衆議院

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第13号 平成19年5月9日(水曜日)

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平成十九年五月九日(水曜日)

    午前九時三分開議

 出席委員

   委員長 西川 公也君

   理事 岩永 峯一君 理事 金子 恭之君

   理事 近藤 基彦君 理事 谷川 弥一君

   理事 並木 正芳君 理事 篠原  孝君

   理事 松木 謙公君

      赤城 徳彦君    赤澤 亮正君

      伊藤 忠彦君    飯島 夕雁君

      今津  寛君    小里 泰弘君

      小野 次郎君    岡本 芳郎君

      北村 茂男君    斉藤斗志二君

      杉田 元司君    土井  亨君

      中川 泰宏君    永岡 桂子君

      丹羽 秀樹君    鳩山 邦夫君

      広津 素子君    福井  照君

      福田 良彦君    古川 禎久君

      御法川信英君    森山  裕君

      渡部  篤君    岡本 充功君

      黄川田 徹君    小平 忠正君

      佐々木隆博君    高山 智司君

      仲野 博子君    福田 昭夫君

      山田 正彦君    井上 義久君

      菅野 哲雄君

    …………………………………

   農林水産大臣       松岡 利勝君

   内閣府副大臣       大村 秀章君

   農林水産副大臣      山本  拓君

   農林水産大臣政務官    永岡 桂子君

   農林水産大臣政務官    福井  照君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 梅溪 健児君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           久元 喜造君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         佐藤 正典君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房技術総括審議官)       染  英昭君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局長)            岡島 正明君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  高橋  博君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            中條 康朗君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局長)           高橋 賢二君

   政府参考人

   (林野庁長官)      辻  健治君

   農林水産委員会専門員   渡辺 力夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月九日

 辞任         補欠選任

  伊藤 忠彦君     杉田 元司君

  渡部  篤君     土井  亨君

同日

 辞任         補欠選任

  杉田 元司君     伊藤 忠彦君

  土井  亨君     渡部  篤君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

西川委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官佐藤正典君、大臣官房技術総括審議官染英昭君、総合食料局長岡島正明君、経営局長高橋博君、農村振興局長中條康朗君、農林水産技術会議事務局長高橋賢二君、林野庁長官辻健治君、内閣府大臣官房審議官梅溪健児君及び総務省自治行政局選挙部長久元喜造君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤基彦君。

近藤(基)委員 おはようございます。

 自由民主党の近藤基彦でございますが、久しぶりの質問で、ちょっと緊張しております。

 まず、WTO交渉についてお尋ねしたいと思っております。

 本年初めの交渉再開以来、交渉の発展がはっきりしてきました。四月末には、ファルコナー議長ペーパーが公表され、今後の交渉進展が見込まれているところでございます。

 また、EPA交渉についても、四月二十三、二十四日に、日豪EPA交渉がいよいよ始まりました。このEPA交渉に対しては、本委員会においても決議をいたしましたように、政府が一体となって全力で当たっていくことが必要だと感じております。

 また、日米あるいは日・EUについてもEPA交渉を求める経済界の声などが聞こえてきております。米国、EUという世界に冠たる農業大国とのEPAについて、私としては、極めてその方向に危機感を持っている一人でございます。

 本日は、このような状況を踏まえて、WTO、EPA交渉といった国際交渉を初めとして、我が国農林水産物の輸出促進などグローバル化に関連する幅広い分野、そして時間があればバイオについて、松岡大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

 まず初めに、WTOについて御質問をいたします。

 申し上げるまでもなく、WTO体制のもとで開かれた貿易秩序を築いていくことは、我が国を含めた世界の発展にとってもちろん重要ではありますが、それと同時に、自然条件や歴史的背景の違いを踏まえて、世界各国で生産条件の異なる農業が互いに維持発展できるようにすることも非常に重要なことと考えており、この考えに基づいて我が国としても今まで交渉に臨んできたと認識をいたしております。

 我が国の農林水産業と農山漁村は、食料の安定供給はもちろんのこと、国土や自然環境の保全、良好な景観の形成といった多面的機能の発揮を通じて、国民の暮らしの中において重要な役割を担っております。

 近年、グローバル化の進展に伴い、我が国の農林水産業も国際経済社会との結びつきを強めているところでありますが、今後の我が国農林水産業あるいは農山漁村のあり方を考えるに当たりましては、グローバル化にどのように対応していくかといった視点がますます重要になってくると思っております。

 WTO農業交渉に向けた大臣の基本的な方針について、改めてお伺いしたいと思います。

松岡国務大臣 近藤先生にお答えいたします。

 まず、近藤先生におかれましては、自民党の農林部会長をお務めでございますし、そのお立場でWTOを初めとする国際的な問題に対しましても中心的に先頭に立って取り組んでいただいておるところでございますし、その御努力と、またいろいろの御指導、お力添えに、心から感謝と敬意を表しているところでございます。

 そこで、今お尋ねの件でございますが、私は、グローバル化ということをどうとらえるか、幾つかあると思いますが、まず一つには、これはグローバル化という国際的な、世界的な中で競争を強いられる、こういう一面と、それから、世界的な市場、そういった中で日本の農産物がどのように展開をし、そしてその市場の中で売り込んでいくといいますか評価を受けていくのか、こういった二面があると思います。攻めと守り、守りと攻め、こういった面があると思っております。

 そういう中で、WTO交渉というのは、国際的な基準、貿易の取り決めを決めるわけでございますので、これは非常に重要な位置づけにある、このように認識をいたしております。

 先般も、私は、パリで日本食レストラン価値向上委員会の方々とお会いをしてまいりました。これは、フランスの方が委員長をやっておられまして、詳細は後で、いつか、後日またお示しをしたいと思いますが、やはり今大変な勢いで日本食のレストラン、日本食ブームというのが起きている、こういうことであります。

 そういう中にあって、私は、攻めの部分の一つの大きな具体的な事実として、そういう世界的な状況をしっかりと踏まえながら、グローバル化という観点で日本の農産物、食材というものをしっかりと発信していく、これも重要だと思っています。

 また一方で、何といっても我が国は、今申し上げましたような生産条件というものが特に新大陸の生産条件に恵まれた国と比べまして劣っている点がございます、弱い点がございます。こういった点はしっかりと克服しなきゃなりませんけれども、そういう点を念頭に置きながら、やはり守るべきはしっかり守り抜いていく、攻めるべきはしっかり攻め抜いていくという形で、日本農業の将来を確かなものにしていく、こういう基本的な考え方に立って取り進めてまいりたい、このように思っているところでございます。

近藤(基)委員 ありがとうございました。

 現在行われているドーハ・ラウンドは、昨年七月、米国が国内の農業補助金の削減で全く動きを見せようとしなかったことからその交渉が中断されましたことは、御承知のとおりでございます。しかしながら、ことしに入ってから、二国間を中心として各国間で協議が活発に行われることにより、交渉が本格的に再開されました。

 私も三月には訪欧し、EUの交渉責任者やファルコナー議長などとの会談を行ってまいりました。EUの動き、議長の動きについては、今後とも十分留意していく必要があると考えております。すなわち、加盟国間で交渉妥結の機運が一層高まっている中で、我が国がEU、米国など少数国での協議から取り残されているのではないかと懸念をしているものであります。

 交渉の現在の進展状況、特に、我が国がそういった少数国の動きから取り残されているのではないかといった懸念について、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

松岡国務大臣 近藤先生御指摘のとおりでございまして、ことしの一月にダボス会議がございました。そこで、改めてWTO交渉を再開しようと、全会一致でそのことが決まったわけであります。

 それ以前に、先生がこれもまた御指摘のように、昨年の夏、アメリカが中間選挙を前にして、国内支持でこれ以上は動けない、こういったことから交渉が決裂に至った、このようなことでございますが、いよいよダボス会議が出発点となりまして、バイの協議、二国間を中心にいたしまして、まずお互い交渉を進めていこう、こういうことになったわけであります。それから、プルリといいますが、幾つかの少数国会合というのがございます。そういうふうな幾つかの組み合わせ、場面を踏まえながら、交渉が今進んでいる。

 そして、現状といたしましては、四月三十日にファルコナー・ペーパーが出たわけでありまして、ちょうどたまたま出ましたときに、私もファルコナー議長と会談をいたしておりまして、二時にペーパーが出ましたが、私は十一時に、三時間前に彼と会ったわけでありますが、そこで話しながら、今後の進め方といいますか日程について確認をいたしたわけであります。

 ファルコナー・ペーパーに対しての評価はさまざまであります。さまざまというか、押しなべて各国とも不満、不満の度合いもそれぞれいろいろあると思いますが。

 そういう状況の中で、六月末前後、だから六月から遅くとも七月の初めにかけて、ファルコナー議長は、改訂版というよりはもう交渉テキストを出したい、交渉テキストが出ますと、あとはモダリティーの確立ということになるわけでありまして、七月末前後を目途にこのモダリティーを確立させたい。まさに交渉は大きな山場に差しかかってきた、今このような状況でございます。

 そこで、先生の御懸念の、少数国から日本は取り残されていくのではないか、こういうことでございますが、G4というのがありまして、アメリカ、EU、ブラジル、インド、こういう国でございます。これはもともとあるわけでありまして、それにオーストラリアあたりが加わってFIPsというような形でやってきたわけでありますが、私どももまたそこには働きかけ、取り組みをいたしまして、四カ国に加えて、日本とオーストラリアが加わってG6、こういう形で枠組みが一つあるわけであります。

 したがって、このG6の枠組みというものを私どもはしっかりと確保しながら、そしてまた、アメリカともEUとも、それからブラジルともインドとも、バイの形で、二国間の間というものをしっかりと交渉しながら関与してまいりたい、コミットしてまいりたい、このように思っているところであります。

 と同時に、日本は何といっても輸入国の最大の代表でありますから、その立場というものの重みもしっかりと認識をしながら、輸出国に対してしっかりとした対応をしていく、こういうことが必要でありますし、G10の閣僚会合も来週には開催いたしまして、そして我が方のスタンス、しっかりと定まったものをつくっていく、そのようにして先生の御懸念がないようにしっかりと頑張ってまいりたいと思っております。

 また、先生は、国際的にもずっと、この前も大変御努力をいただきました。また改めて、議員外交としてのお立場からも御協力をお願い申し上げたいと思います。

近藤(基)委員 今ほど大臣の方からのお話の中にもありましたけれども、四月三十日にファルコナー農業交渉議長が提示したモダリティー案作成に向けて発表したペーパー、いわゆるファルコナー・ペーパーについてお伺いしたいと思います。

 まずは、本ペーパーの内容について事務方より御説明をお願いいたしたいと思います。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 四月三十日、ファルコナー農業交渉議長は、改訂版テキストに向けての議長ペーパーを全加盟国に対しまして公開文書として発出したところでございます。

 この議長ペーパーは、交渉上の幾つかの論点につきまして、議論の着地点を示したものとなっております。その内容につきましては、国内支持につきましては米国に厳しく、市場アクセスについてはEUやG10に厳しく、特別品目については輸入途上国に厳しく、輸出国家貿易につきましては豪州等に厳しいなど、各国にとって厳しい内容を含むものであると認識しているところでございます。

 また、我が国との関係で申しますと、上限関税につきましては、現時点で何もつけ加えることはないとされている一方で、重要品目の数につきまして、考えられる着地点が一%から五%とされているなど、幾つか問題であると思われる事項を含む内容となっているところでございます。

近藤(基)委員 今までもファルコナー議長がいろいろなペーパーを出してきていたわけでありますが、今回のこのファルコナー・ペーパーの、今後の農業交渉を通じてこのペーパーの持つ意味合いと位置づけについて御説明を願いたいと思います。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の議長ペーパーをきっかけといたしまして、多国間の議論を活性化させるということがファルコナー議長のねらいであるというふうに考えております。

 また、議長ペーパーが発出されました四月三十日、先ほど大臣から話がございましたように、ファルコナー議長と会談を行っておりまして、その際に、同議長から、今後六週間程度議論を行いまして、六月末前後には改訂テキストに持っていきたいとの見通しが言われたところでございます。

 このことからも、今後、主要国グループなどとの協議と並行いたしまして、ファルコナー議長のもと、本ペーパーを踏まえつつ、集中的な議論が行われていくものと考えております。

近藤(基)委員 となれば、かなり重要なこのペーパーの意味が出てくる。先ほど佐藤総括審議官も、着地点を示したものだということでありますから、出発点ではないような話でありますので、ここが着地点だということになれば、相当日本にとっては厳しい内容になっているということだろうと思います。

 そこで、このペーパーに対する松岡大臣の御見解並びに今後の動きについて御見解をお伺いしたいと思います。

松岡国務大臣 このペーパーをどうとらえるかということについて、またどう位置づけるかということについては、先生がおっしゃいますように、大変重要であります。これが終着点ということになりますと、これはもうとてもじゃないが大変なことであります。

 そこで、では、総じて主要各国がどう受けとめているかでありますが、新聞等でも言われておりますように、例えばきのうの読売、これは何でベルファストなのかわかりませんが、ベルファストというのはアイルランドの都市でありまして、別の何か言うと第二次世界大戦のときのイギリス艦隊の旗艦の名前でもありますが、そこ発で言われておりますように、日米欧、総じて反発、こういうことでありまして、インドのナート大臣ともおととい電話会談をいたしましたが、ナート大臣も、これは全く受け入れられないし、評価できない、こういう形でございます。

 そこで、マスコミ的に言いますと、日本が苦境に陥っている、反対しているというふうなことがよく出るんですけれども、私は、これは正当に事実として評価すれば、それぞれが問題を突きつけられた、こう思っております。

 前回交渉の中断に至った、決裂に至った一番の原因はアメリカの国内支持でございますけれども、これにつきましても、ファルコナー、ラミーさんともに会談をした私なりの受けとめ方では、百五十億ドル以下がやはりアメリカとしては国内支持を削減すべき目安である、国によっては百二十億か百三十億まで落とすべきだ、こういうような指摘でございますから、果たしてアメリカは国内的にそれが可能なのかどうなのか、こういった点、そういう厳しい問題を一つアメリカも突きつけられている。

 あわせて、食糧援助というもの、マンデルソン委員と話したときもこの点について指摘がございましたが、アメリカの食糧援助は形を変えた輸出貿易である、こういったような観点からも、緊急援助以外のいわゆるそういう食糧援助についてはやめるべきである、これは私ももともとそのように思っておりますし、全くEUとそこは一致いたしておる。こういう点、アメリカはまた問題を抱えているわけであります。

 それから、当然のことながら、輸出競争、この点では、オーストラリアも貿易歪曲的な国家貿易、カナダもそうでありますが、独占貿易は認めない、こういったファルコナー・ペーパーに対して、これはどのように対応してくるのか。

 それから、もちろんインドは、途上国、インドを初めとするSPの問題、こういった点について、とてもこれでは受け入れられない、こういうわけであります。

 我が日本としても、上限関税について言及がなかったことは評価いたしますが、一%から五%程度、もう既に形式上だけであって、実態としては生きていないと思っております一%というものまでファルコナー・ペーパーは入れている。こういうことについて、全くそれは我々は評価できない。

 また、ブラジルにしても、農業の分野じゃありませんが、NAMAの分野で果たしてどこまで来られるのか、それは最終的にはセットですから、それこそ最終的にはこれは全部包括交渉ですから、来られるのか。

 それから、農業分野でも、最上位階層の削減率をEUはどこまで受け入れ切れるのか。我々の上限関税と同じような意味合いを持っておりますが、どこまで受け入れ切れるのか。

 そんなことをそれぞれが、各国が問題点というものを大きく突きつけられた。ただ、その突きつけられ方の中で、市場アクセスについてはある程度数字というものが表に出てきておる、国内支持や輸出競争といった点については数字というものが表に出てきていない、こういった点について、それは偏っているのではないか、こういう不満。

 したがって、これは混乱に向かうのか、収束に向かうのか、ファルコナー・ペーパーの位置づけ、意義というものは、そういった意味でどうなっていくのかということについて、これは今大変重要な時期なんだろう。

 我々は、やはり我々の国益を守るために、各国と連携すべきは連携しながら、しっかりと対応してまいりたいと思っております。

 中身のことにつきましては、交渉事ですから、EUとはどの点で折り合い、どの点でせめぎ合っているか、インドとはどういう連携をとっておるか、ブラジルとも今どのような協議をしておるか、また、一番の問題でありますアメリカとはどのようなやりとりをしているか、こういった点についてはまだなかなか言いがたいところがございますが、先ほど申し上げましたような評価の上に立ってしっかりと取り組んでいきたい、このように思っております。

近藤(基)委員 このファルコナー・ペーパーが持つ意味、日本ももちろん大変厳しい状況、今大臣から説明があったように、各国とも不満を持っている。しかし、交渉事ですから、どこか一つが勝ち組だったら、全体でその交渉は多分決裂をするだろう、すべてが痛みを持って、痛み分けにするというのがこのペーパーの持つ意味合いかなと。ですから、そういう意味では、これがこのペーパーで収束に向かうということになれば、日本は相当な打撃を受けるということで、私は大変危機感を持っております。

 そういう意味で、ことしの年末の交渉合意に向けて、ここ数カ月、先ほど大臣からも御説明がありましたけれども、大変大きな山場を迎えることになるだろうと思います。

 我が国の基本的な交渉方針、これが貫徹できますように、松岡大臣には、私どもの日本が最重要としております上限関税の断固阻止、そして重要品目の十分な数と取り扱いの確保等、我が国として死守しなければならない一線を断固としてかち取っていただき、食料輸入国としての我が国の主張が交渉結果に必ず反映されますよう、そして多様な農業の共存が可能となるよう、引き続きしっかりと交渉に臨んでいただきたいと思います。

 当然、我々としても全力で大臣を支援していきたいと考えておりますが、最後に大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

松岡国務大臣 先生が今御指摘されましたように、このペーパーで収束ということになれば、それは重要品目が一から五、こういう枠の中でということでありますから、一と五を足せば六になって、平均すれば三というようなことになってくるわけでありまして、そんなことになれば、これはとてもじゃないが大変だ、こういうことであります。

 したがいまして、私どもとしては、これは断固やはり受け入れられないし、そういう中でこれからどのように交渉に臨んでいくかということでございますが、上限関税、それから重要品目の数の確保等、数と同時に取り扱い、これをしっかりと確保していく、これが何といっても最大命題であります。

 そのためには、私どもは、最終的には、これは交渉のやり方として、一番効果的な結論を得る手段、方法としてどういう形をとっていくかといった選択も含めまして、あらゆる角度から検討いたしまして、そして日本の最大の国益が守れるように取り組んでまいりたい、このように思っております。

 本当に、交渉事でありますから、これ以上中身にわたるということにつきましてはなかなか言いづらいわけでありますけれども、この五月の中旬、日米首脳会談でブッシュ大統領が五月中旬が一つの大きな山場だと言及されました、まことにそのとおりなんだろうと思います。来週、パリがあり、ブリュッセルがある、こういった状況の中で、どう我々は対応していくか。全力を尽くして、そしてまた、しっかりとした確信と信念を持って対応してまいりたい、このように思っております。

近藤(基)委員 ぜひ大臣には、交渉事でありますが、日本の主張が通るように頑張っていただきたいと思います。

 次に、EPAについてお伺いをいたします。

 先月二十三日、二十四日には、豪州とのEPAの第一回交渉会合が行われました。これまでも申し上げてまいりましたけれども、我が国と豪州とでは国土条件が大幅に異なり、農業構造等において埋めがたい大きな差が存在していることから、豪州との交渉は慎重の上にも慎重を期して進めていく必要があると考えております。

 松岡大臣は、今後、日豪EPA交渉にどのように取り組んでいかれるか、基本的なお考えをお聞かせください。

松岡国務大臣 先生が今御指摘なさいましたように、四月の二十三、二十四日ということで、この両日にわたりまして、オーストラリアの方で第一回目のEPAに関する協議が行われたわけであります。

 この協議の中身といいますのは、今後どう交渉を進めていくかという交渉の運営の仕方、こういったことについて協議をし、合意したということでございまして、具体的な中身についてはまだやりとりはやっていない。そして、二、三カ月に一回ということで、次は七月末の時点で日本で、こういうことになったわけであります。

 そこで、この日豪EPAに対して農業サイドとしてどのような決意で臨んでいくかということでございますが、もう既に総理も首脳会談においても表明いたしておりますように、また、そこはお互い首脳会談でも確認がなされておりますように、センシティビティーに十分、そのセンシティビティーの意味を踏まえて、そして対処していく、交渉に臨んでいく、こういうことでございます。

 これは、具体的に言いますと、他の国とEPAの交渉をやったときにはなかった内容を私どもはすべて網羅して、そういう枠組みをつくった上で今この交渉に臨んでいるわけでありますので、これはもう、除外なり、再協議なり、段階的削減という、EPA交渉に当たってとり得るべき、守りに当たってとり得るべき武器はすべてそろえ、網羅して、この交渉に臨んでいる。したがって、こういった枠組みをしっかりと私どもは生かしまして、そして日本の農業の将来を必ず守り抜けるような交渉を貫いてまいりたい、そういう決意で取り組んでまいりたい。

 そのためにも、議員外交等も含めまして、また、先生方の絶大なる御指導とお力添え、バックアップをお願いしたい、このように思っております。

近藤(基)委員 今後の交渉は、相手国もいることですから、大変厳しいものになると思っております。大臣におかれましても、政府一体となって、国内農業への影響を踏まえ、本委員会における決議の趣旨に即して、守るべきものはしっかりと守るとの方針が堅持されますよう、全力をいただきたいと思っております。

 続きまして、経済財政諮問会議EPA・農業ワーキンググループについて御質問をさせていただきます。

 五月八日に、きのうでありますが、経済財政諮問会議の下にあるグローバル化改革専門調査会EPA・農業ワーキンググループからの報告が提出されております。

 この議論の中では、農産物関税の一律撤廃の影響試算が行われたと聞いております。農業は、言うまでもなく、地域の主要な産業として、食料を生産、供給するだけでなく、地域の環境や自然、さらには文化、伝統を支えており、このような農業の重要性を十分認識した上で農産物関税についても議論を行うべきと考えておりますが、ワーキンググループの報告の趣旨について大村副大臣にお伺いしたいと思います。

大村副大臣 近藤先生御指摘のように、昨日、経済財政諮問会議のもとにありますグローバル化改革専門調査会が第一次報告が取りまとめをなされました。そこは、金融とこのEPA・農業ワーキンググループ、二つの柱でございます。

 このEPA・農業ワーキンググループの報告におきましては、委員御指摘のように、農業は、農業生産という役割だけではなくて、自然環境の保全でありますとか良好な景観の形成といった多面的な機能も担っているということが触れられておりますし、認識をされているところでございます。その農業が持つ多面的機能の維持のための手段といたしましては、生産転換対策でありますとか環境施策といった農政の施策とあわせて他の政策手段も総合メニュー化して対処していくことが重要だということもここに述べられているところでございます。

 こうした認識を踏まえつつ、国境措置の合理化でありますとか存在理由、それから消費者が負担しているコスト、そういったことも含めて、そのあり方についての考え方をまとめているところでございまして、こうしたこととあわせまして、産業としての強い農業を目指して、農業の構造改革の具体策についての一定の考え方を取りまとめているところでございます。

 いずれにいたしましても、こうした考え方を踏まえながら、今後、関係各省と十分議論を深めてまいりたいというふうに思っております。

近藤(基)委員 また、諮問会議への報告では、日米EPAの共同研究の早急な開始、あるいは日・EUのEPAが重要との提言が行われております。

 しかし、世界経済の三極を占める日、米、EUがEPAに向けた動きを示せば、先ほど来お話をしていますように、現在進行中のWTO交渉に誤ったシグナルを与えることになると考えております。

 また、現在行われている豪州との交渉に加え、米国、EUとEPAを締結すべきとの趣旨がありますが、そうなれば、我が国農業への影響が非常に大きい事態になると考えておりますが、その部分の報告の趣旨について大村副大臣にお伺いをいたします。

大村副大臣 今回の報告におきましては、まず、委員御指摘の米国とのEPAにつきましては、両国間の関税の撤廃に加えまして、投資、サービス等広範な分野をカバーすることによりまして、両国の貿易・投資をさらに活発化させることとなるとともに、日米間の緊密な関係をさらに強化するということがここにまとめられているところでございます。

 また、EUとのEPAにつきましては、EUは、自動車でありますとか薄型テレビなど我が国の重要な輸出品目に対しまして高関税を課しているということから、こうした関税の撤廃、軽減によります効果が期待をされるところでございます。

 いずれにいたしましても、このEPAをめぐるいろいろな動き、特に最近では韓国がアメリカとのEPA交渉をまとめた、そしてEUとの交渉に入ったといったようなこともございまして、そういったことを含めて、我が国国内の経済界なりマスコミ関係等々にそういった意味での御意見があることは事実でございまして、今回の報告でも、そういった面での考え方を取りまとめさせていただいているところでございます。

 そういう中で、この報告におきましては、EPA締結によります農業生産額への影響ということにつきまして、一定の産業調整政策といったことの必要性も記されているところでございまして、その政策の実施に当たりましては、農業における構造改革をさらに進めていくといったような問題でありますとか、対象農家を主業農家に絞ってやっていくべきだといったようなこととか、そういったことの考え方を明示させていただいているところでございます。

 いずれにいたしましても、農業の構造改革をさらに進めて強い日本農業をつくっていくということが肝要と考えます。そういう意味で、またこれも関係各省とこれから十分議論を深めて、そうした施策の取りまとめを進めていきたいというふうに思っております。

近藤(基)委員 強い農業をつくる、それは我々も目指しているところでありますが、その強い農業がまだまだ今構造改革の緒についたばかりでありますので、これがやはり少し軌道に乗ってからということなんだろうと思うし、そういった趣旨の部分もかいま見える割には、日米EPAを早急に進めなきゃいかぬというようなくだりもあるということで、考え方がちょっと分散しているのかなというような気もいたします。

 きょう、政府参考人で梅溪審議官がいらっしゃっているんですが、梅溪さん、何かお話があってここに来られているのかどうか、私は、参考人として私自身呼んでいないので、梅溪さんがもし何かお話があるようでしたら、どうぞ。

梅溪政府参考人 御説明申し上げます。

 昨日まとめましたグローバル化改革専門調査会の第一次報告におきまして、次のように記載しておることを御説明申し上げます。

 日米のEPAに関しましては、報告書の中では、「日米EPAの締結は今後の重要課題である。早急に共同研究開始について先方に働きかけるべきである。」ということを記載しております。それから、日・EUにつきましては、「早急に準備を進める必要がある。」ということを記載しております。

 以上記載しておりますが、基本的な考え方は、先ほど大村副大臣がここでお答えしたとおりでございます。

近藤(基)委員 というふうに記載してあるということでありますので、先ほど私が言ったことを確認していただいたということであろうと思います。

 このワーキンググループの報告では、そのほかに農業の構造改革という部分にも触れていただいております。きょうはその部分に関しては御質問いたしませんけれども、我が党としても、私が座長になりまして、農地政策検討スタディチームというものをつくって、既に十六回の検討を進めてまいりまして、昨日、第二次の中間取りまとめをさせていただいたところであります。

 その我が党の方向とこのワーキンググループの方向というのはかなりの乖離が見られております。きょうの日本農業新聞の一面トップ記事にも、「企業の農地所有解禁」と大見出しで出ています。はっきり所有を認めるというような書き方には実はなってはいないんですが、ただし、そう読み取れる部分があるということであります。

 我が党としては、企業の農地所有というものは原則認めないという方向で今取りまとめておりますので、こういったことに関しては、改めて別な時間、後の一般質疑で改めてまたお聞きをしたいと思っておりますので、ぜひ、そのときにはまたよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 現在、先ほども申し上げておりますように、我が国はWTO農業交渉に対して大変な覚悟で積極的に参画をしているところであります。この交渉において、関税のみならず、国内補助金の規律、輸出補助金の禁止など、世界共通のルールが議論されているわけであります。

 こんな中で、我が国だけが一方的に関税削減を行っていくということは、交渉に大変大きな妨げとなり、我が国の国益を損なうものだと考えざるを得ません。これらについて十分に認識していただきたいと思っておりますが、この点に関して松岡大臣の見解をお伺いいたします。

    〔委員長退席、金子(恭)委員長代理着席〕

松岡国務大臣 それは近藤先生の御指摘のとおりでございまして、関税というのは、国内の産業をそれぞれ、大事な、必要なものを守っていく各国に認められた権利でございまして、そしてまたWTO上も厳然と位置づけられた制度でございます。

 思い起こしますと、世に言う安政の不平等条約というのがありましたが、これは一八五七年、八年、まさに安政の時代に、アメリカを初めとする列強から押されて日本はその条約をのまされた、これが不平等条約と言われるわけであります。その中身は何であるか、関税自主権の撤廃と治外法権を認めたことであります。そして、これを回復するのにどれぐらいかかったか、まさに明治の時代全部を通じてやっと回復できた。こういうような歴史的ないきさつもあるわけであります。

 私もこの間、大田経済担当大臣とも十分話をいたしまして、今のWTO交渉の現状がどうなっているか、また各国のやりとり、駆け引きはどうなっているか。それからEPAについても、今はどういう状況にあるか、十分御理解はいただいたと思っておりますが、まだまだ不十分な点はあります。

 したがって、南ヨーロッパあたりでも、WTO上、どのような階層のところの関税を守ろうとしているか、そういったことも考え合わせたときに、低いからといって必要ないんじゃない、低いから逆にそれでもって守られている、こういったところで成り立っている野菜やまた地域もあるわけであります。

 そういう点から考えまして、WTO交渉というまさに国益をぶつけ合う場面、そこに間違った影響を与えるような、そういうシグナルというのは、やはり遠慮してといいますかよくよく考えていただきたい。

 国内的に、強い農業を目指していく、当然でありますが、あれだけの新大陸の広大な土地を持ったアメリカにおいても、またEUにおいても、四〇〇%を超える関税というものは厳然とあるわけであります。したがって、そういう各国間の事実関係等も踏まえながら、しっかりこの点について我々は経済財政諮問会議においても求めてまいりたいと思っておりますし、大村先生は十分その点は御理解の上、副大臣のお立場で今後いろいろと役割を果たしていただけるものと確信をいたしているところでございます。

近藤(基)委員 とにかく、誤ったシグナルだけは我が国から発信するということはないようにぜひお願いをしたいと思いますし、また特にWTO、先ほどから再三申し上げておりますが、日豪のEPAも含めて、政府一丸となって、我が国の国益が損なわれないように、我々も御支援をしながら、頑張っていただきたいと思っております。

 副大臣、もう結構でございます。

 次に、農林水産物の輸出についてお尋ねを申し上げたいと思います。

 先ほど大臣からも若干、日本食がブームになっておるという話でありますが、私も世界じゅうで一大ブームになっていると感じておりますし、また中国を初めとするアジア諸国においては、見た目も美しく味も一級品である我が国のリンゴやナシが贈答用としてもてはやされているのも現実であります。

 こうしたチャンスをとらえ、みずから生産して、物をみずから戦略を持って海外へ輸出し、海外の消費者から高い評価を得て販売することは、我が国農林水産業の活性化に大きく貢献するものであります。既に、私の地元の新潟では、コシヒカリやナシ、カキなどが台湾に輸出され、現地では高級品として贈答用に購入されています。

 しかしながら、農林水産物の輸出は一時的な取り組みにとどまるのではなく、中長期的に我が国農林水産業の将来を見据え、その活性化に資するものでなければならないと考えておりますけれども、その点の松岡大臣の見解をお伺いしたいと思います。

松岡国務大臣 先生と一緒に私も、農林水産物の輸出ということで、党において取り組ませていただいているところであります。先生は今幹事長という立場で、一番中心で引っ張っていただいているわけでありますので、その点については心から敬意を表しつつ、また、なおさらなるお力添えをお願いしたいと思います。

 実は、先ほどちょっと紹介しましたパリ日本食価値向上委員会、これは、委員長は、フランス産業・技術関係団体の事務局長でアラン・コアンという人が務めておられて、こういう委員会が二〇〇七年からまた活動を始めているんですが、時間がないので、ちょっと簡単にいきますが、こういうことを言っています。

 以前は五十軒程度であった日本食レストランが、十年ほど前から急にふえている。日本食とは全然違うものが広がった。これを何とかしなくてはと考えていた。フランス人からも、一体どれが日本食なのかと言われていた。そこで、フランス人と日本人とで、二〇〇六年から準備を開始し、二〇〇七年より活動を始めた。その背景としては、私どもがやった、今度は日本は政府が取り組んでいる、それに物すごく大きな力を得た、こういうことで始めた。

 日本の取り組みについてプレスなどが批判しているようだが、自分としては、これは日本人の副委員長の方ですが、当地の日本食レストランの現状を前に、むしろ何もしないことについて罪悪感を感じていた。

 本物を提供するレストランを知ることができるとフランス人からは賛同の声で、三百七十一名のうち三百六十八名が賛同、これはフランス人ですね、ほぼ一〇〇%賛同。

 委員会の委員十一名のうちフランス人が四名、こういうことで大変それは好意的にとらえられている。

 今後の活動として、ふえ続ける日本食レストランへの調査を続けるとともに、日本の食材の紹介、こういったことをしっかりやっていきたい。

 そして、フランス食品が日本に浸透しているのは、日本のフランス料理人がこちらで修業した際、こちらの食材を覚えて日本に持ち込むからだ。海外の日本料理シェフを日本に呼んでトレーニングさせれば日本の味を覚える、そういう取り組みをあわせて行ってはどうかという、これは提案でした。

 それから、これは長くフランスに住んでおられる女性の方ですが、時間がないですけれども、ちょっとだけ読みますと、日本料理の重要性に気づいていないのは日本人だ。最近、ドミニク・ブシェという三つ星のシェフが、自分の店の隣にわびサロンという料理学校を開いた。みずから日本を歩いてよい食材を入れたいと言っており、金沢の酒、九州のお茶などを持ち込んでいる。若手のシェフも日本でのデモのチャンスが多いが、そのときにユズコショウ、シソ、昆布、ワサビといった日本食を持って帰ってきている。日本食の現場を知らないのは日本人だけだ。

 日本の食材について興味はあるが、どこで手に入れられるのかという情報がない。食材についてのタイムリーな情報が提供されるよう、この委員会の活動と並行して日本の国内でも取り組んでもらいたい。

 フランスにおいては、農業政策における文化行政が進んでいる。農業は格好いい、料理はすばらしいという発想で、美食外交を行うことをルイ十四世時代からこれまで続けており、外交と料理や文化はセットである。また、ミシュランは民間のタイヤ会社がやっているが、なぜやっているかというと、休日に地方の名所や三つ星、二つ星のレストランに外国人を行かせることでタイヤを摩耗させて売る、そういう発想なんだ。単にタイヤを宣伝するのではないんだ。こういうことであります。

 フランス政府は料理人は国家の財産であるとして、叙勲などを行っており、そのような演出が非常にうまい。日本もこうした手法に取り組むべきだということで、いろいろなところに行きましたが、アメリカもそうでしたが、随分いろいろ批判もありましたが、逆に海外に行けば行くほど評価は高いな、そういうことを思ってまいりました。

 先生のおっしゃるとおりで、こういった状況を背景といたしまして、まさに中長期的な観点でしっかりと輸出に取り組んで、そのことによって日本の農業が大きく輸出産業としても一大発展を遂げていくような、必ずそういう方向を目指し実現するようにやり抜いていきたいものだと思っております。

近藤(基)委員 日本食レストラン認証の有識者会議というのが農林省の中で行われていますが、一度傍聴に私自身行かせていただいて、その折に、フランスで日本食のガイドブックをつくられた日本の副委員長さんがいろいろお話をしているのを私もお聞きいたしました。独自でフランスでつくっていただいたということ、それを参考にしてまた認証が進むといいなと感じてきた次第でございます。

 時間が若干迫ってきておりますので、中国向けの日本産米について御質問しようと思ったんですが、これはマスコミでも報道されている部分がかなりあります。

 大変巨大な市場であり、富裕層が大変増加し、また、日本食ブームが中国で起きているという、このことに関しては、以前に松岡大臣と一緒に中国へ行かせていただいて、現地を見たり、あるいは試食会を行わせていただいたりしたところでありますが、私自身はやはり、販売ターゲットを絞り込んで、日本のブランドを確立した上で、十分な市場調査や試験販売を行いながら需要に即して輸出を伸ばしていく、これは中国に関してでありますが、そういったことを丁寧にやることが重要であると考えておりますけれども、今後の戦略と見通しについて、大臣のお考えを簡単にお述べいただければと思います。

松岡国務大臣 これはもう、一緒にずっと行動、活動させていただいておりまして、近藤先生、一番お詳しいお立場でもございます、御指摘のとおりであります。

 ことし四月十一日、温家宝総理が来日をされましたが、それと付随いたしまして、検疫担当大臣であります李長江大臣がお見えになりました。一番最初に近藤先生と行ったのは十七年の一月十八日、阿南大使の御協力をいただいて中国の日本大使館で試食会をやって、日本の米を食べていただいた。それからいたしますとちょうど二年かかりましたが、毎年行きながら、交渉を重ねながら、二年かかってやっとこの四月の十一日に調印式ができたということでございます。

 先生の御指摘のような観点でしっかり取り組んで、二億トン市場でございますから、そこの中において大きな位置が占められるように目指してまいりたい、私はこう思っておるところであります。

 あわせて、この五月の十四日はいよいよ香港向けの牛肉も再開することができるようになりました。これも、おととしの十二月、私は、香港の衛生担当大臣と直接現地で、香港で会談をいたしまして、そこをスタートといたしまして一年と半でありますが、やっと今回実現を見たということで、これも、BSEでとまる前は最大の輸出先国でございましたので、また大きな期待を持って、鹿児島から五月の十四日、第一便が出発いたします。

 いずれにいたしましても、日本の農林産物の輸出というものを大きく広げて、先生御指摘のように、これによって農林水産業の一大発展を目指していけるような、そういう成果を得たい、このように思っております。

近藤(基)委員 その成果の第一歩目が今回の中国への米の輸出と香港への牛肉の輸出ということだろうと思います。これがしっかり根づくように、そして、新たにそういった地域での日本食がブームになるように、頑張っていただきたいと思います。

 引き続きまして、バイオに関して、若干時間がないので、はしょらせていただきたいと思いますが、四月二十七日から、首都圏五十カ所の給油所においてバイオ燃料の試験販売が開始されたところであります。我が国もバイオ燃料利用の第一歩を踏み出したところでありますし、また、生産拡大に向けた工程表なども安倍総理大臣に対して報告をなされたということであります。これに関しては、生産拡大のかぎは技術開発にあるとされているところでございます。

 ということで、農林水産省関係の独立行政法人においてすばらしい技術開発がなされているとお伺いをして、その具体的なものを聞きたかったんですが、若干時間がないので、中長期の目標についてお尋ねをいたします。

 農林水産省では、現在のガソリン消費量の約一割に相当する六百万キロリットルの国産バイオ燃料の生産が可能であると試算をいたしておるところでありますが、一方、アメリカではさらに意欲的であって、ブッシュ大統領は、本年一月の一般教書演説において、石油代替燃料などの使用量を、二〇一七年までに三百五十億ガロン、リットルに直すと約一億三千万キロリットル、日本の六百万キロリットルの約二十二倍ということでありますが、そこまで増加することを明言いたしております。

 このように世界的にバイオエタノールの生産が拡大する中、食料との競合に対する懸念の声も大変強まっております。資源の乏しい我が国において、食料自給率の向上を目指しながら国産バイオ燃料を大幅に生産拡大することはとても大変なことであると考えております。

 総理に対しては六百万キロリットルまで生産可能と報告したようでありますけれども、国産バイオ燃料事業者に対し、原料を安定的、継続的に供給できるような仕組みを検討すべきではないでしょうか。このことに関して、見解をお答え願いたいと思います。

松岡国務大臣 もう時間もないようでありますので、私の方から総括してお答えしたいと思います。

 先生御指摘のとおり、六百万キロリットルを二〇三〇年には達成したい。そのためには、エタノール生産の技術開発、さらには原料となるものの品種、こういったものの開発等々を含めまして、可能性として、それは六百万キロリットル可能である、このような試算をし、これを政府全体の中の農林省の試算として公表をいたしたところでございます。総理からも、その方向に向かってしっかり取り組め、このような指示をいただいております。

 そこで、私は、今回、アメリカのウィスコンシンのエタノールの現地の工場を視察してまいりました。端的に言いますと、三百五十人の組合員がいる農協と九百四十名の組合員がいる農協、だから、千三百名ぐらいの組合員、二つの農協が、それぞれ農家が出資をしてつくっているエタノール生産工場であります。

 もう時間がないので短く言いますが、聞いてみたんですね、これはどれくらいの利益を上げていますかと言いましたところ、そこの責任者が言うには、例えば昨年の配当で、千ドルの出資に対して二千二百ドルの配当ですと。だから、二〇〇二年からやっているんですから、もっと前から配当はあるわけですよ。昨年はそうです、こういうことですから、去年一年だけでも倍、もう元は取っているわけですね。それくらい一つの大きな方向になってきている。そして、それによって、やはり相当な雇用の場も所得の場も含めて、もちろんまたトウモロコシも売るわけですから、三分の一はえさになってまたそれは出されていく、搾りかすがえさになって出ていく、こういうようなことでございます。

 もちろん、そうすると、そこには、えさと食用とエタノール用と、今度はそういう競合も出てくるという問題は確かに一方にはある。しかし、これによって農業の新しい領域、分野というものが大きく広がりつつある現実、エタノール八五%の車もガソリンスタンドに入っているわけです。ただ、日本でいう石油連盟、向こうでいう石油メジャーとの間でまだいろいろあります、こういう話はございましたが、どんどん広がりつつあるというのが実態だ。大きな方向がやはりこれは可能性としてあり得る。

 温暖化にこたえながら、そういった方向を、これによってまた一つの大きな農業の新たな領域の拡大、それによる振興、発展、こういったことを我々も積極的に目指していきたい、そう思っております。

    〔金子(恭)委員長代理退席、委員長着席〕

近藤(基)委員 我が県、新潟県でも、今エタノール工場をつくる取り組みをさせていただいております。

 これは、生産調整を受けている水田、いわゆる遊休農地あるいは耕作放棄地を使って多収穫米、いわゆる食用にはならないけれども収穫量の多い米をつくって、二年にわたって実験をさせていただいて、いよいよ本格的に、できたら来年度からエタノール工場を稼働させたいということで今頑張っているところであります。我が県としても、食料基地である新潟県でありますので、食料とエタノールの、いわゆる食料外の農産物との競合というのはやはり慎重にやっていかなければいけないということで、今三年目に入るわけです。

 しかし、休耕田を、我が県は水田の単作地帯でありますから、そこに、休んでいる田んぼに米が植えられるということだけでも農家にとっては大変うれしいことだととらえていらっしゃいますが、ただ、今の段階では、まだ生産現場では、ボランティアみたいな、本当に微々たるお金で買っていただく、生産コストはもちろん割れております。やはり税の改正がどうしても必要なんだろうと思っておりますので、私どもも積極的に年末の税調に向かって頑張っていきますけれども、政府の中でも、そういった税の取り扱いがまず一番だろうと思いますので、ぜひ頑張っていただきたいと思っております。

 もう時間になりましたので、これで質問を終わりますが、染総括審議官と高橋事務局長には御質問できませんで、大変申しわけありませんでした。

 それでは、これで質問を終わらせていただきます。

西川委員長 次に、井上義久君。

井上(義)委員 公明党の井上義久でございます。

 きょうは、農政改革と国際農業交渉につきまして何点か質問させていただきたいと思っています。

 大臣御承知のように、我が国農業を取り巻く現状は、農業者の減少と高齢化、あるいは生産構造の弱体化、集落機能の低下、国際競争の激化等々、ますます厳しさを増しているのが現状でございます。

 そこで、四月から、一つは、我が国農業の構造改革を加速化するため、意欲と能力のある担い手に経営安定施策を集中化、重点化する品目横断的経営安定対策、それから二つ目に、地域の共同活動で農地、農業用水等の資源、環境の保全向上を図り、農村地域を面として活性化する農地、水、環境保全向上対策、そして三番目に、国による米の生産数量の分配方式を改め、需給調整を農業者、農業団体が主体的に行う米政策改革推進対策、この三つの対策が一体的に実施をされているわけでございます。

 持続可能な強い我が国農業を確立し、食料自給率の向上や多面的機能の向上につなげることができるかどうか、これらの施策の成否にかかっていると言っても過言ではないというふうに私は認識しております。このたびのこれらの農政改革を成功させるためには、農業者や農業関係者等にその目的や意義、ねらいをしっかり理解してもらうことが大前提だと思います。

 そこで、まずは大臣に、戦後農政の大転換ともいうべき今回の施策の目的、意義ということにつきまして、改めて確認しておきたいと思います。特に、農業関係者のみならず、一般の国民の皆様にもよくわかるようにぜひ説明をしていただきたい、このように思います。

松岡国務大臣 農業の現状、また取り巻く環境といいますものは、今、井上先生が御指摘のとおり、全くそのとおりであると私も思っております。

 特に、なかんずく農村地域における人口の減少といいますものは、他の地域、特に都市地域に比べて大変大きなものがある。また一方で、高齢化といったことにつきましても、他の地域の高齢化率に比べて特にまた高いものがある。こういう中で、農業構造というものが弱体化、脆弱化をしている。これをどう打開し、そして農業や農村が求められている役割を果たしていくか、これが今私どもの課題でございます。

 そこで、今先生が御指摘ございましたように、三つの改革を実行し、それによってこの状況を打開し、将来の農業の発展を図っていきたい、こう思っている。そのような認識に立って今政策を進めているところでありまして、その政策の三つの柱が、今先生が御指摘いただきましたように、品目横断経営安定対策、それから米生産の改革の対策、さらにまた農地、水、環境対策、こういうことでございます。

 米の改革というのは、生産調整、こういったものが実際のその当事者の立場でしっかりと取り組んでいけるような、まさに国が主導でやってきたことから当事者主導へという形でこの取り組みをお願いする。さらにまた、農地、水、環境対策というのは、国民生活にとって不可欠な多面的な機能、こういったものをまたしっかりと強化していく、こういう観点からの取り組みであります。それからまた、品目横断担い手経営安定対策といいますものは、これによって強い農業構造をつくり上げていく、担い手に農地を集約化し集中して、それによって強い農業構造をつくり上げていく、こういうことでございます。

 ただ、先生御指摘のように、戦後農政の大転換と言われますように、これは大変大きな困難な面も抱えております。私も何度か申し上げたと思うんですが、例えば、明治維新のときに、それまでの社会体制も身分制度も全部がらっと変わった。そのことによって、戸惑いや混乱も大変なものがあったんだろう。しかし、それを何とか乗り越えて大きな発展につなげた、こういうことでございますので、私どももそういう観点に立って、今先生がおっしゃいましたように、これを乗り越えることが大きな発展につながっていく、こういう形で説明をしっかりしていかなければならない、そして御理解をいただいて、御納得をいただいて、この政策に取り組んでいただくようにしなければならない、そのように本当に思っております。

 そして、まだまだ足りないところはさらなる努力をして、皆様方の御理解と御認識をいただいてこれを進めていきたい、こう思っているところでございます。

 そして、国際競争の中でも強い農業、また国内的にも大きな役割を果たしていける農業、そして、その中でしっかりとした経営を成り立たせていく農業、こういうことで、集落営農、また認定農家への農地の集約、こういったことを進めていきたい、こう思っているところでございますので、よろしくお願いしたいと存じます。

井上(義)委員 今大臣から、今般の農業改革の目的等についてお話をいただきました。

 農は国の基という言葉もございますけれども、私は、農業の衰微は国の脆弱化につながっていくのではないかという大変強い危機感を持っておる一人でございます。その意味で、我が国農業の構造改革は待ったなしである。そういう観点からいいますと、やはり今回の農政改革、我が国農業の再生にとってはその意味は非常に大きいというふうに思うわけで、失敗は許されない。そのためにも、やはり農業者、行政、系統組織等の関係者の理解と納得、そして幅広い参加が私はかぎであるというふうに思います。

 それぞれの施策について、関係者の理解、また参加はどの程度進んでいるのか。スタートしたばかりで、なかなか全体の分析がまだ進んでいないかと思いますけれども、農水省の取り組みの状況につきまして、それぞれの施策について簡潔にお答えいただければと思います。

高橋(博)政府参考人 品目横断的経営安定対策も含めまして、今回の農政改革の全般については、今委員御指摘のとおり、国民各層を含めました幅広い理解ということが極めて重要でございます。

 このため、これまでも、私ども、国の出先機関、あるいは都道府県、市町村、地方自治体、そしてJA、農業団体等の関係機関を挙げて、さまざまなルートを通じまして、場合によっては私どもが直接現地へ出向きまして、この政策の趣旨等について浸透を図ってまいりました。また、単なる会議の開催のみならず、パンフレットあるいはホームページあるいはメールマガジン、そういったようなさまざまな媒体も含めまして積極的に活用して、周知徹底に努めているところでございます。

 このうち、品目横断的経営安定対策につきましては、先ほど委員御指摘のとおり、この四月から本格実施でございますが、実は、その前段といたしまして、昨年の九月から十一月までにかけまして、いわゆる秋まき麦を作付している農家で収入減少影響緩和対策に加入される方を対象といたしまして、加入申請が行われました。

 この数字でございますけれども、加入申請者がことしの十九年産四麦の作付を予定している面積は、十八年産の作付面積全体の約九割の二十四万四千ヘクタールになっております。このほかに、実はこの対策の対象にならないような麦の作付等々もございまして、実際、麦の作付についてはほぼ前年並みというふうに把握しております。

 したがいまして、この段階においては、制度の趣旨、内容について、麦作付農家では相当程度浸透したなと思っております。

 いよいよこの四月からは、米あるいは大豆などの作物を作付する農業者についての加入申請が始まったところでございまして、引き続き、関係団体、市町村等、都道府県を含めまして、連携協力をして、加入促進に努めることといたしているところでございます。

岡島政府参考人 あわせまして、米政策改革でございますけれども、今、経営局長から申し上げたとおり、品目横断対策等の周知とあわせまして、省内幹部が手分けして、いわゆる過剰作付の是正、それについても、現場の行政の方々あるいは農業者団体、関係機関一体となって取り組んでいるところでございます。

 具体的には、本年一月には全国キャラバンを実施しましたし、二月には、過剰作付が顕著な重点推進県に対して、農業者団体と一体となって、過剰作付是正に向けた取り組みを実施しております。また、作付を目前に控えた四月にも、重点推進県に対するもう一段の取り組みを推進したところでございまして、今後とも、関係者の一層の理解の促進と需給調整の実効性確保に向けて、通年的な取り組みを行っていく所存でございます。

中條政府参考人 農地、水、環境保全向上対策につきまして、御答弁申し上げます。

 この対策は、農地、農業用水等の資源につきまして、営農活動と一体的に、その質を高めながら将来にわたり保全するための地域振興対策としまして導入したものでございまして、この四月からスタートしたところでございます。

 本対策につきましては、全国の各ブロック、都道府県、さらには市町村等におきまして、これまで延べ二万回を超える説明会を行いまして、農家、農村への周知徹底を図ってきたところでございます。このほか、昨年は全国約六百の地区におきましてモデル支援を実施いたしまして、これらの取り組み状況をさまざまなメディアを活用して広報してまいりましたし、普及啓発に努めておるところでございまして、関係者の理解は相当程度進んでいることというふうに考えております。

 このような中で、全国で都道府県、市町村、農業団体等を構成員とします地域協議会の設立手続が進められておりまして、現在、本対策の実施を予定しております四十六の道府県のうち、既に四十三の道府県で設立を了しているところでございまして、残りの三県につきましても、県内数カ所の設立を待つばかりというふうになっておりまして、五月中にはすべて設立予定というふうに聞いております。このほか、活動の主体であります活動組織につきましても、この協議会の設立と相まって、市町村との協定締結等の手続が始まっているというふうな報告を受けているところでございます。

 今後とも、対策の着実な推進を図りまして、地域ぐるみの効果の高い取り組みが一日も早く展開するよう努めてまいるところでございます。

井上(義)委員 大臣、今、それぞれの施策について、農業関係者を中心に理解が大分進んできているという御答弁をいただきました。

 大臣にお願いしておきたいんですけれども、この四月から本格スタートしたばかりで、取り組みの過程でさまざまな課題、例えば貸しはがしというような課題も浮かび上がってきています。担当者は非常に苦労しています。

 私ども公明党でも、この十三日、福島を皮切りに、全国で農業フォーラムを開催し、関係者との意見交換を予定しております。

 私は、今後、これらの施策を成功させるためには、これら関係者の声にきめ細かく対応していく必要がある、このように思いますけれども、この点について、どうかきめ細かく対応してもらいたいということをお願いしたいと思いますけれども、松岡大臣、どうですか。

松岡国務大臣 本当にその点につきましてはきめ細かな対応が必要だと思っております。先生が御指摘ございました、また、今私どもの事務方からもお答え申し上げてまいりましたけれども、しっかり先生の御指摘を踏まえまして、万全を期して、重々、そのきめ細かさにおきましてそごのないようにしていきたいと思っております。

井上(義)委員 今後、そういった意見、我々もいろいろな意見交換をしながら当局によくお話ししていきたいと思いますので、しっかりした対応をぜひお願いしたいというふうに思います。

 今回の三つの施策の中心であるいわゆる品目横断的経営安定対策、このポイントは、一つは、支援対象をこれまでの全農家から意欲と能力のある担い手に限定する、それから二つ目は、品目ごとの支援を、経営全体に着目した補てん政策に一本化する、この二つだと思います。

 これに対して、特に支援の対象を一定規模の担い手に絞るということについて、小規模農家の切り捨てではないか、結果として、耕作放棄地がふえ、農村集落の崩壊を加速し、国土保全などの多面的機能の低下、食料自給率の低下につながるのではないか、こういう批判がございます。

 こうした懸念、批判についてどのように考えるか、この点について見解をお聞きしたいと思います。

高橋(博)政府参考人 今回の農政改革につきましては、先ほども大臣から御説明がございましたけれども、現下の我が国の農業の現状を見てまいりますと、やはり農業従事者の減少、高齢化等によりまして生産構造の脆弱化が非常に進んでいる。このままでは、食料自給率の低下のみならず、耕作放棄地の増大、さらには、農業関係だけではなくて、国土保全などの多面的機能も含めた地域社会全体の維持発展にも重大な支障を生じかねない現状になる。

 こういう認識のもとに、現状のままでこのような構造を自然体で見守っていったのでは、農業の再生の機会を逸してしまう、こういう危機意識のもとに、先ほど来御説明いたしましたが、効率的かつ安定的な農業経営が農業生産の相当部分を担う強靱な農業構造を構築する、これが今の日本の農業にとって待ったなしの課題であるということから、担い手に対象を限定しました今回の対策の実施を中心といたします農政改革を進めているところでございます。

 ただ、しかしながら、本対策におきましては、小規模な農家でございましても集落営農組織といたしましてまとまった形でこの対策に参加できる、四ヘクタール、十ヘクタールということはあるわけでありますけれども、一ヘクタール以下であってもこんな形で参加できます。また、集落農地が少ない場合、あるいは経営規模が小さくても、複合経営など、果樹地帯も含めてでございますけれども、相当水準の所得を確保している場合には、また別途の基準を設けるということで、地域地域の状況にも十分配慮した形で参加をし得るような形で条件を整えているところでございます。

 そういった意味で、この対策については、単純に小規模な農家を切り捨てるというような発想ではなくて、逆に、そういった方々も含めて地域が一定の努力をしていただくことによりまして、全体として担い手を育成確保していく、そういう農村地域全体の総合力を最大限発揮していただくような政策であるということについて、私ども、さらに説明してまいりたいと思っております。

井上(義)委員 小規模農家の切り捨てではないか、結果として耕作放棄地がふえるんじゃないか、こういう批判、懸念について今局長から答弁あったとおりなんですけれども、やはり、集落営農をどこまで確立していくことができるか、どこまで参加を拡大していくことができるかどうか、この辺がかぎだと思いますので、引き続きの努力というものをぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。

 それから次に、中山間地域の直接支払いの件ですけれども、平成十二年に、私どもも強い主張をしましたけれども、この中山間地域等の直接支払い制度がスタートして、私は、中山間地域の農地保全とかあるいは多面的機能の確保に大きな役割を果たした、それぞれ地域を回ってもそのことを実感するわけです。

 平成十七年からは第二ステージに入りまして、新たな政策目標を持って展開されていますけれども、これまでのこの制度の成果及び現在の取り組み状況、今後の推進方策等についてお伺いしたいと思います。

中條政府参考人 中山間地直接支払い制度についてのお尋ねでございます。

 この制度は、中山間地域等における農業生産条件の不利を補正するための支援としまして、今委員の方からお話がございましたように、平成十二年度から実施をしておりまして、これは私ども前対策というふうに呼んでおりますが、この平成十七年度からは、生産性の向上、集落営農化など将来に向けて積極的な取り組みを行うということで、新たな対策に移行したところでございます。

 平成十二年度から実施しました前対策では、成果としましては六十六万二千ヘクタールの農用地で農業生産活動が継続をされまして、水路、農道等の共同管理作業の平均回数がそれまで年一・六回だったものを三・二回に増加するという成果ももたらしております。新規就農者が約四千人参入し、集落の話し合いの活動の平均が年一・八回から四・二回に増加する、そういった集落活動の活発化による農業生産の維持、農地の適切な保全管理等の効果があったというふうに承知をしております。

 また、十八年度、これは新たな対策の二年目になりますけれども、ここにおきましては、交付市町村が千四十一市町村、それから締結協定数が二万八千五百二十四協定、交付面積が六十六万三千ヘクタール。前対策は六十六万二千ヘクタールでございますから、一千ヘクタールふえているわけでございますけれども、対象となる農用地面積のうち約八割の地域で取り組みが行われているというふうに見込んでおります。これらの地域において本交付金を活用しまして、農作業の共同化等の安定的な農業生産活動が継続されますとともに、都市農村交流が行われますなど、これまで以上に積極的かつ質の高い取り組みが実施されているところでございます。

 なお、平成二十年六月には中間年評価を実施することとしておりまして、この結果を踏まえまして、必要に応じ制度の所要の見直しを行い、当該制度に基づく、より着実かつ効率的な取り組みの推進に努めてまいる所存でございます。

井上(義)委員 国際農業交渉について二点お伺いしたいと思います。

 一点は、昨年十二月の日豪首脳会談の合意に基づいて経済連携協定、EPAがこの四月から開始をされました。

 日豪間貿易では、我が国の農産物輸入に占める麦、牛肉、乳製品等の重要品目の割合が非常に高い。EPA交渉の進展によっては、我が国農業と食料自給に大きな影響を及ぼすと懸念をされております。昨年十二月の衆参の農林水産委員会でも、重要品目を関税撤廃対象から除外する等の措置を確保するため、政府を挙げて対応すべき旨の決議を採択したところでございます。

 この四月二十三、二十四日には第一回の日豪EPA交渉が行われました。日豪EPA交渉の現状と今後の政府の取り組み、見通しについて、御報告をお願いしたいと思います。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 日豪のEPAにつきましては、委員御指摘のとおり、昨年十二月に日豪首脳間で交渉の開始が合意されたところでございます。第一回目の交渉が、四月二十三日から二十四日まで、豪州キャンベラで開催されたところでございます。

 日豪のEPAにつきましては、これまでの他国との共同研究とは異なりまして、その共同研究の報告書におきまして、関税の段階的撤廃のみならず、除外及び再協議も含む、我が国農業を守る上で必要なすべての柔軟性の選択肢が用いられることとされたところでございます。

 先般開催されました第一回交渉におきましても、交渉はこの報告書を基礎として行われることにつきまして、日豪双方の共通認識が得られたところでございます。

 今後の交渉に当たりましても、この報告書の記述を土台といたしまして、国内農業への影響を十分踏まえ、昨年十二月の本委員会における決議の趣旨に即しまして、守るべきものはしっかりと守るとの方針のもと、国内農業の構造改革の進捗状況にも留意いたしまして、日本として最大限の利益を得られるよう、政府一体となって交渉してまいりたいと考えております。

井上(義)委員 最後に、大臣に、WTO農業交渉につきまして、ちょっとお伺いしたいと思います。

 WTO農業交渉は、ことしに入ってから交渉が再開をされ、二国間あるいは多国間で活発な協議が行われております。先月の十二日にはG6閣僚会議がインドで開催をされ、また、四月三十日には農業交渉のファルコナー議長の新文書、チャレンジ文書が各国に提示をされました。

 この文書では、例えば、重要品目数の想定される着地点を全品目の一%から五%にするというようなことで、日本にとっては到底受け入れられない、そういう非常に厳しい内容になっています。

 市場アクセスあるいは国内支持、輸出競争、この交渉三分野をめぐって、種々の交渉グループが合従連衡しながら事態は進展していくと思いますけれども、やはり各国の多様な農業が共存できる、公平で公正な貿易ルールといういわゆる日本提案、この目的を達するための取り組みの強化が私は非常に重要だというふうに思います。

 活発化しているWTO農業交渉の現況、今後の取り組みについて、大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

松岡国務大臣 井上先生の御指摘のとおりでございます。

 今WTOの交渉は、農業交渉が一番その中心といいますか一番の困難な分野ということで、そこを軸に動いているというのが実態でございます。

 そういう状況の中で、一月のダボス会議で再開を合意した。再開を合意した当初は、バイの、二国間の交渉を軸に、お互いがそれぞれ関心事項を埋め合って進めようではないか、こういうことで、さらに加えて、少数国ということでG4、G6、日本はG6という立場でこのプロセスを重要視すべきだ、こういう観点で取り組んでまいりまして、インドにおきまして、ナート大臣の大変な御協力もいただきまして、その会合が実現をできたわけでございます。

 そして今度は、ラミー事務局長は、どうもなかなかG6、G4では収れんが難しいというか、なかなか見えてこない、そこで、マルチといいますか、各交渉議長、グループのもとで一つ大きく前進をさせよう、言ってみれば、少数国とマルチ、多国間交渉を組み合わせて相互作用でやらせよう、こういうねらいで、今その第一弾としてファルコナー議長が三十日にペーパーを出してきた、こういうことでございます。この評価につきましては、それぞれ各国さまざまでありますが、一言で言うと、各国ともども不満を持っている、とてもこれでは受け入れられない、こういう状況でございます。

 そこで、一番かぎを握るのは、何といってもアメリカの動向であり、インドの動向であろうと思っておりますし、もちろん、我々としても、一から五%の範囲でというようなことについては、到底これは受け入れがたい、これでは、多様な農業の共存という日本の主張するそういう方向というのは実現できない、したがって、これは受け入れられない。したがって、ただ受け入れられない、受け入れられないというだけでは、なかなかこれは目標の貫徹が難しい。

 問題はそこからでございまして、したがって、どのようなやり方をしていくか、どのような形でその重要品目の数と扱いを守り抜いていくか、そのためにはどのような交渉の仕組み、仕組み方、戦略的な戦術的な面を含めましてやり抜いていくか、これはなかなか言いがたいところがございますが、そういったところをしっかりと考えながら、戦略を立てながら、そして各国とも連携を強化しながら取り組んでまいりたいと思っております。

 いよいよ五月中旬、山場に来る、こういうことでございますので、それこそしっかりと政府の総力を挙げまして、また、私どもは農業分野という担当分野におきまして全力を尽くしましてこの交渉に臨んでまいりたい、このように思っております。

 また国会におかれましても、また与党の立場でも、ぜひとも強力な御指導とお力添えを賜りたい、このように思っております。

井上(義)委員 農業は国の基ということを私は申し上げました。食料自給率四〇%というのは、裏返しますと、食料の海外依存率が六〇%ということなんですね。基本的な、人間が生きていくための、日本人が生きていくための食料を海外に六割依存している。しかも、農業は国土保全等の多面的機能をあわせ持っているということを考えますと、多様な農業が共存できるというのは、これは当たり前の主張だというふうに思います。

 そのことについて、やはり国内の世論というものもしっかりと喚起していかなければいけないと思いますし、我々もしっかりと政府の後押しをして頑張っていきたいと思いますので、ぜひ強い姿勢で交渉に臨んでいただきたいことを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

 以上でございます。

西川委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十時三十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

西川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。山田正彦君。

山田委員 きょうは、林業について、ひとつ細かい質問をさせていただきたいと思っております。

 先般、大型連休のときにドイツに行ってきまして、急傾斜地の林業、これをつぶさに見てまいりまして、かなり確信を持ってまいりましたが、この間、林野庁出身の松岡大臣がいて、日本の林業はまさに瀕死の状態にある。これは、松岡大臣は一生懸命やられたんだろうけれども、きょうの質問は松岡大臣にとことんやって、松岡大臣に答えていただきたいところでしたが、残念ながら、ひとつ副大臣、政務官に質問させていただきたいと思います。

 それでは、木材価格について、私の資料一、「丸太価格の推移」、これを見ていただきたいと思います。

 ここのところ、丸太価格、北洋材中心に急速に急激に上げています。それについて、日本の杉丸太も少し上がっていますが、これで見ますと、まず、二万円まで北洋材がいっているのに、日本の杉丸太は一万三千円ぐらい。日本の杉丸太が半分ぐらいしか値段がしないという状況、これはどうしてこうなったのか、副大臣か政務官、どちらからでも結構ですが、お答え願いたい。

山本(拓)副大臣 先生今御指摘のように、価格については外材が大変価格が上昇してきておりまして、その原因というのは、いわゆるBRICsと言われるブラジル、ロシア、インド、中国等の消費量が大変拡大しているせいに起因するところでございます。

 先生今御指摘のなぜ国産材が値段が上がらないのかということにつきましては、当然のことながら材料が安ければ売れるんですが、生産者側と、要するにそれを使う側の住宅メーカーとのマッチングがいま一つ整備されていないところがございまして、今日まで、海外からの輸入材をベースに最終ユーザーの方での年間需要予測と申しますか、そういう流通体制ができておりまして、そこを逆に、こういう内外価格差が縮まったということで国産材の流通を整備して、また国内住宅メーカーの意向が国産材の生産者にきちっと反映するような整備を今促しているというか行っているところでございます。

山田委員 いいですか、外材が国内産価格のほぼ倍ぐらいしている。これはまさに日本の杉丸太、いわゆる杉正角とか、本当にこれまで日本の建築に使われていた大事なものがこれだけの価格しかしない。製品価格も同様ですね。ホワイトウッドにしても、この表を見てもらうとおり、これだけ違いがある。

 ということは、これは林野庁が農林行政そのものに、まさに失政である、林業家のことを考えてこなかったということに尽きると思うんですが、いまだに、今山本副大臣はいわゆる流通との間の、住宅メーカーと生産の間の話し合い、調整中であるとかと言っていますが、こんなことで林野庁としての行政の責任がとれるとは思いません。

 私、今回ドイツの方に行ってきながら、海外事情をちょっといろいろ調べさせていただきました。

 実際に、北洋材、いわゆるロシアからの木材ですが、これは中国が今物すごい勢いで買っています。かつて四年前に日本と輸入量は一緒ぐらいだったんですが、今中国は日本の四倍から五倍買っているわけです。

 ヨーロッパに行きましても、ドイツでもそうですが、どこでも、だんだん森林資源に対する先行き不安になってきて、小さい木を切って大きい木を大事にしている。今、いわゆる集成材といいますが、そういう小さい木の張り合わせでそれを何とか賄おうとしている。

 カナダ、アメリカ、これも日本に対しての輸出余力はなくなってきている。特にカナダに至っては、政府が環境保護という見地から、一本切ったら切り株税という税金をかけるようになって、伐採コストも今やカナダ・ドルで百ドル超えるといっていますから、これは一万円以上になっているわけです。

 そうすると、これから先、日本の林業というのは、まさに日本の森林の蓄積量、これだけで四十億立方メートルあるわけですから、毎年一千七百万立方メートルしか伐採していない、年間八千万立米、自然増といいますか、木が成長していって、増加、蓄積、それがあるわけですから、日本はまさに恵まれているわけです。これからの林業というのは決してそう捨てたものじゃない、そう考えているわけです。

 私、今度、大変確信を持ってやってきたんですが、ところが、今の林業家は、つい最近もそうですが、悲鳴を上げているというか、最近、私が林業家に会うと、あきらめ切っているわけです。もう日本で林業は採算がとれないんだ、そうあきらめ切っているんです。かつて、ドイツでも二十年前はそうだった。ところが、今や見違えるようにドイツは林業に活力が出て、百万雇用を達成している、林業だけじゃないんですが、木材業も含めてです、そこまで伸びてきた。

 そうすると、我々はここで本当に林業について考えなきゃいけないときに来た。ところが、日本が決定的に林業がだめになってきたのは、伐採コスト、これが欧米と格段の開きがある、十倍ぐらい開きがある。これはなぜなのか、詳しく正確に明確に、副大臣、答えていただきたい。

山本(拓)副大臣 素材生産コストの我が国と海外との状況につきましては、十倍ということも言われましたけれども、私どもとして把握しておりますのが、例えば生産コスト、日本ですと平米七千円がオーストリアでは三千百円と、いわゆる倍の開きがあるのは事実でございます。

 そこで、御案内のとおり、林業というのは、あくまでも需要があって、いわゆる売れて、その販売価格で生産コスト、素材費をペイして、人件費その他も払って利益を上げていくという仕組みの中でやっておりますので、そういうことで、先生の方から先ほど示されました内外価格差の表を見ましても、最近になってようやく海外と国産との差が逆転というか縮まってきているところでございます。

 これも単年度ですと、やはり上がったり下がったりしますから住宅メーカーはシフトしませんが、安定的にまたこれから先も国産材が安いという状況が見込まれてきましたので、一部、既に大手の住宅メーカーなんかは、年間の販売戸数ということを計画的に林業家に、契約栽培じゃありませんが、計画的にやっているところは安く、生産コストは下がっておりますが、市場に出して、そこで単発的に買い取って住宅に使用する、注文に応じて使用するということを続けている限り、当然単価は高いわけでございます。

 いずれにいたしましても、先生の御指摘のなぜ高いかということについては、さまざまな要因がございましたが、今後は、それが縮まるように、また、コストが縮減できるようなさまざまな提案を実行いたしているところでございます。

山田委員 副大臣は私の質問に答えていない。私の質問は、流通コストが高いか低いかを言っているんじゃない。伐採コストが十倍の開きがあるが、これはなぜかと聞いているんです。

 また、伐採コストがどれくらい開きがあるか、例えば欧米と日本と比べていただきたい。それを私は何度もレクのとき言っていますので、多分大臣の耳にも入っているかと思いますが、それを知っておられたら、ここで答えていただきたい。どれくらい伐採コストの開きがあるか。知っておられなかったら、答えられなくてもよろしい。

山本(拓)副大臣 伐採コスト、先ほども申し上げましたように、年間これだけ注文があって、これだけ納めるということが安定していれば、伐採コストは安く仕上がるし、そのようにやっているところもございます。

 しかしながら、出してみて、可能な限り、単発的な伐採のやり方が今まで森林組合は多かったわけでありますので、そういう場合には、だから、海外と比較する場合の前提条件が一律じゃありませんので、一概に、結果の単価だけ見て、海外は安い、日本は高いという比較はなかなか難しいということで、知っているか知らないかということになれば、私は、前提条件が違いますから、なかなかそこはこの場でお答えするのは難しいということだけ申し上げることができるかと思います。

山田委員 副大臣は、答えになっていない。これだったら林業家は、本当に営々と何十年も、それから、先祖代々だったら何百年もやってきたのが、こんな副大臣の答弁では情けないと思う。

 私が聞いているのは、木の現場に、山の現場に行って伐採するコスト、それが一立米、例えば一人が一日当たりどれくらいドイツとか欧米では伐採して、日本では一人が一日かけてどれくらいしか伐採できないか。これは、大臣、知らないようだから、私が調べたので、お教えしましょう。

 私、ドイツに行って、林業家のフレヒさんというのにお会いしたんですね。六十五歳です。六十五歳で山の坂をもちろん走って回るんですが、ところが、こんな大きな七十年、八十年あるモミの木を一人でトラクター一台で伐採するんです。その現場を見てきました。本当に驚いたんですが、彼が六週間で二百五十立米出していますと言うんです。一回当たり八から十立米出しているんです、一人で。

 では、日本は伐採をほとんど森林組合でやっていますね、というか、民間もやっていますし、個人もやっていますが。その中で、森林組合で、私もいろいろな森林組合に聞いてみましたが、大体一人当たり三百立米から多くて五百立米ぐらいです。一年通しますと大体一人一立米なんです、一日当たりの一人の伐採量。

 コストが十倍ドイツの方が安いわけです。それで、なぜ伐採コストがそんなにドイツは、欧米は安くて、日本は高いのか。

 私は、地元の大村市で、高性能の機械、タワーヤードとかプロセッサーとか、そういったものを使ってやっている現場も見てきました。ドイツで森林組合がやはり同じような機械、日本の方が僕は進んでいると思いましたが、プロセッサーとかそういったものを使ってやっておりました。

 ドイツも同じような急傾斜地です、スイスに近いし。オーストリアも急傾斜地です。ヨーロッパは、私も今まで、スウェーデンとかデンマークみたいに広いところで林業をやっているから、カナダもアメリカもそうですが、伐採コストはかからないものだ、そう思っていたが、大間違いなんです。山があるところは、ヨーロッパでもやはり、スウェーデンとかデンマークは別でしょうが、オーストリア、ドイツあたり、スイスあたりも急傾斜地なんです。言ってみれば、急傾斜地の山があるんです。

 そこでやれるのは、同じような機械を使って、何が問題か、どこに差があるのか、一人の人間の能力はドイツ人も日本人も変わらないわけですが、そこを聞いているわけです。

山本(拓)副大臣 先ほども申し上げましたように、国全体の平均的な数字で論ずるのは、非常に不確定要素が多いですから難しいわけでありますが、実は、私の地元でも林業家が多くて、選挙区の大半が山でございますので、そこの印象から申し上げますと、道路網というか林道整備率が低いというところもありまして、非常に効率の悪い生産性の山が現実的に多いということも現実でございます。

 そしてまた、林業の場合でも、大量に注文をもらっているところはやりますが、最近になってようやくそういう見込みができましたから、人であれ、生産性がさらに向上するような設備もできるようになってきましたけれども、今までは、幾らつくっても、安く、手間代も出ない価格でしか売れませんでしたので、そういう意味では、なかなか海外との比較は、今までのところでいくと厳しい。

 トータル的に、海外もいろいろな海外がありますが、少なくとも私の選挙区の地元で見ている限りにおいては、非常に急傾斜地が多くて、非常にやりにくいところも多うございます。そういうところで、今山田先生が御指摘のような海外の指摘というのは、確かにそういうところはあるかもしれませんが、一口で言うならば、非常に効率の悪い整備しか、これからまだ進めていかなくてはなりませんが、そういうものも大きな要素だと実感いたしております。

山田委員 副大臣が今申しました、いわゆる路網の整備、林道の整備、これが日本はおくれているわけです。

 私は、あした林業の質問をするからというので林野庁の皆さん方に来ていただいて、そうしたら、私に、レク要旨というので、その資料で林業の現状と云々という長いこういう紙でいただきました。

 その中に、資料二を見ていただきたいんですが、「林内道路密度の諸外国との比較」というのがあります。日本は十二・八メートル、ドイツが五十四・四メートル、そうあります。

 ところが、林道、私も、これだとそんなにドイツと差がないじゃないか、せいぜい四、五倍ぐらいの差じゃないか、こう思ったんです。いいですか。それで、聞いてみたんです。これは、作業道、一番大事なのは作業道なんですよ。これは、プロセッサーが入る、タワーヤーダが入る、そういうところ、その作業道なんです。これはおかしいなと思って、もう一回聞いてみた。

 君は我々国会議員をばかにしているのか、作業道はどうなっているんだと聞きましたら、いや、済みません、実は作業道は別ですと。作業道は、日本は三・五メートル、ドイツは百十メートル整備されているんです。一ヘクタール当たりですよ。これでは、まさにオーストリアもドイツもそうですが、林業において勝負にならないわけです。

 では、林道の整備に今どれくらい日本の予算がことしだけで使われているか、大臣、私、レクしておりましたので、質問照会していましたので、明確にお答えいただきたいと思います。

山本(拓)副大臣 林道、作業道の林内路網は、国土の保全、水源の涵養、地球温暖化等の公益機能を発揮させるために、森林整備や間伐材の木材を搬出する上で、対象森林へのアクセスの確保のために不可欠な施設でございます。

 国庫補助事業における路網整備については、林道、作業道の整備事業費として、平成十八年度において六百九十億程度の経費がかかっているところであります。

山田委員 私の資料を見ていただきたいと思います。資料の五を見ていただきたいと思います。

 これは私がきのう一日かかって、林野庁の皆さん方につぶさに聞いてまとめ上げさせていただきました。林野庁もこの資料に大変協力していただいて、最終的につくらせていただきました。

 この中に六百九十億と書いてあります。今大臣が答えられた六百九十億です。その内訳を見ていただきたいんですが、今公共事業で、緑資源幹線林道事業、これは昔、大規模林道とか広域林道とか言われていたものですね。今緑資源機構というのがやっているものですが、これで国のお金が百十七億投じられているわけです。

 この林道はまさに立派な林道で、この単価を見てください。二十五キロの延長に五十八・四万円です。事業費は百四十六億円となっております。これは二車線でアスファルトの完全舗装ですから、立派な普通の道路。これを林業家が利用するものでしょうか。普通の一般の人がいわゆる林道のために使われているのが実態です、これは御承知のとおり。これは大臣も、副大臣も地元でよく御承知のとおりです。

 そして、その次に、この林野予算の中で森林整備事業というのがありますが、いわゆる普通の林道です。二車線通れるというよりも、幅は四から五メートルで、一車線の場合もあります。場合によっては二車線もありますが、これは単価が十八万五千円かかっています。これはもちろん十トン車のトラックがどんどん通るところです。これが林道整備だと言っているわけです。

 これは、林業家のための林道整備だとこのような道路は言えますか、大臣、副大臣。副大臣がお答え願いたい。

山本(拓)副大臣 言えるか言えぬかと言われてもわからぬのですが、基本的には、林道をつくる場合には、やはり公共事業としてやりますので、いわゆる豪雨が来たり、災害の、著しい雨とかそういうときにでも、地盤が弱いところはなおさらでありますけれども、決して事故が、土砂が崩れたり道路が壊れたりしないように、あくまでも大型トラックの通行を前提としたいわゆる規格というものがあるわけでありまして、その規格に沿ってやっているものでございます。

 一応作業道の場合は、それはそこの管理する人たちの自己責任でとりあえずつくっていただくということでありますが、公共事業として林道を税金でやる場合には、ある程度安全規格というものを前提に日本の場合はつくっておりますので、もしそれがだめだということであれば、その規格そのものを別な次元で見直す議論はすべきかなと思いますけれども、今日の、現時点での道路の整備の内容につきましては、安全規格に沿って林道を建設しているということでございます。

山田委員 これからも続けていくということですか。

山本(拓)副大臣 私が決定する権限があるのかないのか知りませんが、改正されない限りその規格は守らなければ逆に違反行為になってしまいます。だから、その規格を今後とも続けるかどうかは国会での議論かと思います。

山田委員 国会で道路の規格を云々するなんて聞いたことはないし、そこは大臣の責任ですし、副大臣の責任です。きちんとそれもできないで、そういう続けるか続けないかわからないような、このままでいけば続けざるを得ない。これは、十トントラック、十一トントラックがばんばん走る林道が林業家のために本当になっているのか。いわゆるトラクター、プロセッサー、タワーヤード、そういったものが入る、二メートルから三メートルの作業道こそが必要なんです。

 ちっともわかってもらえないんですが、こんなことで林業がだめになってきたということは、まさに今の副大臣の答弁を聞いていて、国民が、林業家がその答弁の内容を知ったら、よくおわかりだと私は思う。今非常に憤慨しているところなんです。

 ところで、その林道について、林道でなく作業道と言いましょう、作業道について、一体どれくらい金がかかるのか。

 私の資料五を見ていただきたい。一番最後の森林づくり交付金、たった三十七億円。六百九十億の中の三十七億円。言ってみれば、これで何と延長六百キロの作業道、いわゆる二から三メートルで、四トントラックが入れる、いわゆるフォワーダとかプロセッサー等の重機械が入れる、これが必要なんですね。これが五千円で計上しているんです、五千円。

 ところが、こういう作業道というのは、ドイツとかいろいろなところの事情も聞いてみました、私の地元でも聞いてみました、一体、作業道、いわゆる路網というのはメーターどれくらいかかりますかと言ったら、山田さん、五千円なんてとんでもないというんです。私の地元の長崎県の五島で林業をやっていた人、森林組合に勤めておった人が、山田さん、私ならメーター百円でつくっていますというんです。メーター百円ですよ。

 きのうずっと林野庁の皆さんと話していたら、まあ二千円でできるところも出てきたようです、二千円でつくれるところも。私が調べた限りでは、千円で一メートルつくれると思っていますが、仮に大きい道路も、またちょっと大きい道路も必要ですから、舗装しなくていいけれども、十トントラックがちょっと入れるようなところ、それを入れると、平均して一メートル当たり二千円ぐらいで作業道はつくれる、そう思いますが、副大臣はどうお考えですか。

山本(拓)副大臣 御案内のとおり、先ほど先生の御指摘にありました道路網に関しては、例えば今年度で六百九十億。それで、それの積算根拠というのは、あくまでも地方自治体並びに地元からの要請を受けて対応しているわけでありまして、先生が先ほど、もっと道路網、作業道ということでありますと、これは責任問題とかどうのこうのというよりも、作業道の場合はどんどん要望していただければ、さらに要望が多ければそちらの方に対しての補助はつけられるようになっております。

 逆に言うと、むしろ、作業道の管理責任者はそれを使うそこの地域の人でありますから、極論を言うと通れればいい。けもの道では困りますが、そこで災害、大雨なんかで崩れた場合があっても、そういう使う人たちの責任のもとでやっていただくということであれば、別に手づくりであれ、極論を言うと、そうお金をかけなくても限りなく安くできることも可能かと思っております。それはその場所場所の地盤とか地形とか、一概には言えませんが、それはだれが見ても不必要な経費をかける必要は全くない、不必要というか安全管理対策でどうか、一律ではないということでありますので、先生が御指摘の安いコストでできれば非常に喜ばしいことかなというふうに思っております。

山田委員 既に、林野庁の皆さんと話してみても、二千円で簡易な作業道はできてきているということですから、僕はもっと、千円だと先ほども言いましたけれども、それでもできると思っていますが、仮に二千円でつくったとして、もう実際には、こう言っちゃなんですが、公共事業で土建屋さんだけを喜ばせるような二車線の道路とか云々を林業予算でやっちゃおかしい。僕は、これが今までの自民党の体質だと思っているんですが、そこはそれ以上言うのはやめます。

 ただ、今副大臣もそういうことは喜ばしいことだと言われたので、仮に六百九十億円で二千円で作業道をつくったとしたら、どれくらいになるだろうか。かつ、日本の人工造林が一千万ヘクタールありますから、一千万ヘクタールに、もう既に日本が三・五メートルで十二・幾らですから、あと一ヘクタール当たり八十メートル作業道をつくればいいと僕は思っているんです。そうすると、全体に一千万の人工林で六十四万キロ、ドイツ並みというと。六十四万キロの作業道ができればドイツ並みに安く木材を刈り出せるわけです。

 さっきオーストリアで三千五百円、日本で七千円と言っていましたが、カナダでは既に一万円もかかっているわけですから、日本の場合もオーストリア並みに作業道さえつければ、一人が一日当たり一立米しか刈り出せないのを、それが十立米でも刈り出せるようになるには、この作業道なんですね。間伐経費あるいは下刈りの経費、これも作業道があれば格段に安くなる。

 そうして考えますと、この六十四万キロの道路を全部整備できれば日本の林業は欧米に太刀打ちできる、副大臣、そう考えませんか。欧米に太刀打ちできると考えられたとしたら、一体、この六百九十億の予算で、全部作業道に仮に使うとしたら、どれくらい道路網を整備できるとお考えでしょうか、ちょっと今計算できなければそれは私が答えますから。

山本(拓)副大臣 計算上は確かにそうなるかもしれませんが、現実問題として、作業道というのは恒久的なものではなしに、場所によっては、一回使って来年は使えないようなものも存在するのも事実でございます。だから、そういうことを考えれば、恒久的な林道を一本つくっておけば、それを中心に枝葉としてできますけれども、単純にそれをいわゆる簡易的なもの、一時的なもので恒久的な機能を果たすということではないと認識いたしております。

 そしてまた、御案内のとおり、年間で、例えば草刈りとか、林業関係者で死亡事故、また重傷をこうむる事故も現実的に結構起きていることも事実でありますので、何事においても、やはり我々として、安全確保ということが今まで先行いたしておりますので、それとどう、今の安全を確保しながら安いコストでできるにこしたことはございません。

 だから、そういう意味では、目的によって、場所によって、先生御指摘のように、なるたけ効率のいい、安全で確実な道路網整備を今それぞれ研究していただいておりますが、要は、先生の趣旨は十二分に理解できますので、できるだけ、これは地元からの要請に応じて対応いたしておりますから、自己責任で対応する作業道の要望が、来年度予算に向けて森林組合から非常に多く要望が集まれば、当然それは対応していくことになろうかと思います。

山田委員 安全性の担保ができないとか来年はもう崩れちゃうんだとか、ちょっとそういう言い方をされたような気がいたしますが、これは間違いじゃありませんか。安全性の確保といっても、路網がないために、いわゆる機械を入れられないがために、トラクターとかを入れられないがために、架線を張って、下から玉掛けしてつり上げていくという危険な作業をせざるを得ないんです、今。だから、路網さえできれば、機械が入っていってむしろ安全に作業ができるんです。

 路網において、私が言っている作業道二千円というのは、来年は使えなくなるというそんな簡単なもの、ただブルで押していって、それだけで、一回限りで終わりというものじゃないんです。それはヨーロッパの路網を見てもらえばわかるとおり。日本でも、大橋さんとか、それぞれ立派に急傾斜地で路網をつくっている例が幾らでも御存じで、ぜひ副大臣もこれは見に行っていただきたい。

 だから、そういったものを、例えば、アスファルトとか砂利で舗装していなくても、土を盛り土しながらきちんとした道路が、そしてそこに草が生え、下刈りだ云々だと通ることによって何十年も立派に作業道ができていっている、これが現実なんです。余りにも林業の現実を大臣、副大臣は知らないんじゃないか。

 そこを見ていただければ、むしろ今、林業予算で必要なのは、そういう作業道のために、少なくとも、林道予算の六百九十億円というのを全部使ったとしたら一体どれくらいになるか、私の方で試算してみました。

 二千円でそういう道路ができたとして、一年間、ことしもし始めたとしたら三万五千キロできるんです。仮にこれが五十メートル十年間でやったとしても、今百メートルですが、現場の人とお話ししましたら、もう一ヘクタール五十メートルの作業道ができればそれで十分ですと言う人もいます。ともあれ、六十四万キロが理想的に全部必要だとしても、十年でその半分、それは達成できるわけなんです。では、ほかにそれだけの予算を林業予算から持ってくることができないか。この倍の予算を持ってこれれば、まさに十年間でドイツ並みの作業道が整備できるわけです。

 実際に、緑資源公団、これが百十七億かけて立派な道路、これをつくっているわけですが、この決算書を見ていただきたいと思います、資料で提出しています。緑資源公団じゃなくて機構ですね。

 副大臣、緑資源機構は一体何のためにあるんでしょうか、ちょっと簡単に答えていただけますか。

福井大臣政務官 緑資源機構がどのような事業を行っているかということでございますが、ちょっと長くなりますけれども整理させていただきたいと思います。(山田委員「短く言ってくれ」と呼ぶ)できるだけ短くさせていただきます。

 まず、幹線林道の事業でございますけれども、地域要件がございまして、地勢等の地理的条件が極めて悪くて、豊富な森林資源の開発が十分に行われていない地域において、当該地域の林道網の基幹となる林道を整備しております。国の補助金が三分の二、借入金が三分の一でございます。その他水源涵養のために、森林の造成、あるいはこれと一体としての農用地、土地改良などの事業を行っているということでございます。

山田委員 ありがとうございます。

 私の資料六の二の方を見ていただけますか、損益計算書。緑資源機構は約二億五千万利益を出しています。立派なものですね、独立行政法人で。

 ところが、これを見てください、経常収益の中で、分収林の収入というのは八千九百六万しかないんです。拡大造林をやっていますね。この上の経常費用を見ていただければいいんですが、いまだに林業作業、拡大造林をやっています。林道もつくっています、農道も一部やっているようですが。実際の収入というのは九千万しかないんです。

 国がこの緑資源機構にことしもまた幾らお金を、公的資金を支出していると思いますか。副大臣か、政務官ですね、福井政務官、お答えいただきたい。

福井大臣政務官 今先生お配りしていただきました資料六の一が貸借対照表で、六の二が損益計算書、フローでございます。

 今最初におっしゃいました分収林の収入、この経常収益につきましては、それぞれ完成した区間においての補助金とか、あるいは伐期に達したところで分収林の収入があるとかということで、その年その年……(山田委員「私が聞いているのは、国から交付金が幾ら出ていますかと聞いているんです。金額を言ってもらえばいい」と呼ぶ)はい。

 ですので、そのフローでいいますと、国庫補助金等収益というのは、この経常収益の六行目に書いてございます五十五億二千六百六十七万千九百二円となりますが、失礼しました、国費ですね。(山田委員「国費が幾ら入っていますか」と呼ぶ)はい。

 緑資源機構についての国費につきましては、平成十九年度では五百七十七億円となってございます。五百七十七億円が平成十九年度の予算額としての国費でございます。

    〔委員長退席、近藤(基)委員長代理着席〕

山田委員 独立行政法人で、緑資源機構は道路をつくり、そして拡大造林をいまだに、いわゆる落葉樹をどんどん切り払っていって、針葉樹、もう価値がないと言われている針葉樹を植えていく拡大造林ですね。それを、前は公社造林とかいろいろ言っていましたが、もうみんな赤字で、各県はその赤字清算に何百億という負債を抱えて困って、解散したりいろいろな県費をつぎ込んだりしているんです。そういういわゆる拡大造林を続けて、その分収益が九千万しかないのに、ここでは何と五百七十七億円というお金をことしもやるわけです。一体、何にこの五百七十七億というお金は使われているんですか。意味があるんですか、これは。明確にお答えいただきたい。

福井大臣政務官 済みません、先ほど申し上げました五百七十七億円というのは緑資源機構トータルの事業に対する国費でございまして、今お尋ねの水源林造成事業につきましての国費は、平成十九年度で二百九十七億円でございます。

山田委員 私が聞いているのはそうじゃないので、この五百七十七億円は、ざっと林道整備に幾ら使われています、拡大造林に幾ら使われています、簡単に品目を幾ら幾らと言ってくださいと。人件費に幾ら使われております、あるいは農水省OBの役員報酬にこれだけの金が支払いされています、それだけ言えればなおいいですよ。

福井大臣政務官 済みません、何回も往復しまして申しわけございません。

 では、五項目ございます。森林関係業務が二つございまして、緑資源幹線林道事業で百十二億円が平成十九年度の国費、そして、先ほど申し上げました水源林の造成事業に二百九十七億円、そして農林業関係で、特定中山間保全整備事業で国費が二十六億円、海外農業開発事業で五億円、農用地総合整備事業で百三十八億円、トータル国費が五百七十七億円ということでございます。

 それから、うち人件費、ちょっと今資料がございませんけれども、役員が八人、職員が七百二十人でございます。

山田委員 副大臣、今ずらずらと言いましたが、農用地とか林道整備とか、こういうこともやっていますよ、水源涵養何とかと言っていましたが、こういったこともやっていますよと言っていますが、こういったことは何も緑資源機構という独立行政法人、利益を上げている法人にわざわざ国が金を出してやる必要があるんですか。国か地方自治体が直接やればいい話じゃありませんか。いかがですか。

福井大臣政務官 まさに今先生最初からおっしゃっていただきましたように、林道、作業道、作業路があって、とにかく戦略としての森林あるいは林業再生を図らなければならないという御指摘は、まさにこの独立行政法人緑資源機構が国の意思を背負って、そして戦略的にお仕事をすべきだというふうにむしろ私自身は受けとめさせていただきましたので……(山田委員「それが必要ですかと聞いているんです」と呼ぶ)この今行っている事業をさらにまた飛躍的に進めていかなければならないというふうに受けとめさせていただきました。

 それと、人件費もわかりましたので、人件費は七十三億円でございます。

山田委員 こういう無駄な行政改革を、一生懸命安倍政権がやっていますと。渡辺さんは行政改革、改革と言いながら、今の政務官の答えですと、これをさらに拡大していきます、緑資源法人を続けていきますということで間違いありませんね。もう一回、確認。イエスかノーでいいですよ。

福井大臣政務官 イエスかノーかで言いますとイエスでございまして、しかし、今御指摘のように、仕事のやり方とか必要な見直しとかいうのは必要だと思います。今までもやりましたし、これからもさらにまた強固に、業務運営のさらなる効率化のためにいろいろな改善を図っていきたいというふうに思いますけれども、トータルとしては、この機構が今やっている仕事を推進してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。

山田委員 まあ、情けないということの一語に尽きますが、林道整備で百十二億だったと思いますが、出していると言いながら、この経常収益の中で、林道整備割賦譲渡収入で六十三億云々とあります。これを説明していただこうと思いますが、時間が来そうなのでもうやめましょう、これは。

 では、いわゆるこの五百七十七億円、これをそっくり、そっくりですよ、作業道の整備に、林業家のために、日本の林業のために、環境保全のために、CO2抑制のために、間伐も下刈りもすべて、本当に簡単に、金がかからなくて済む、これをやったとしたら、約その倍、いわゆる七万キロ作業道が整備できるんです。そうすると、本当に十年で日本の林業は見違えるように生き返るんです。

 林業予算の中で、まさに林道の、トラックの十二トン車が通るような林道をつくるんじゃなく、そういった作業道に、林道予算と、かつ、この緑資源機構、これは、いずれ見直して、民間にして、あるいは場合によったら作業道の整備等のノウハウを生かしてもらうような形で下請させてもらうようなことも考えられますが、いずれにしたって、これを全部かけると、本当に日本の林業は見違えるように生き返る。これについて、副大臣、どう考えるか。

山本(拓)副大臣 先生御指摘のように、林道整備並びに作業道整備は急務な話でありまして、基本的にこれはすべて、大型トラックとか大型作業がしっかり入り込む林道も必要ですし、そしてまたそれを補完する意味でのいわゆる作業道も、これは組み合わせがうまくいかなければ効率が上がらないところでもございます。

 そういう意味では、今、各自治体をベースに事業計画を立て、また、新しい生産システムづくりということで今年度十一カ所ほどモデル地区を指定いたしまして、林業家といわゆる住宅メーカー、そしてまた関連の効率的な流通と申しますか林業経営が成り立つような、その計画の中に作業道の整備も当然含まれているところでありまして、まず今年度十一カ所でそういう今山田先生がおっしゃるような効率のいい実証例をお願いいたしているところでございます。

 いずれにいたしましても、今までやってきたことの蓄積をさらに多くの皆さんに理解できるようにガラス張りで説明し、さらに効率のいい林道、作業道整備にかなうような、緑資源機構を初め、そして自治体も初め、さらに督励してまいりたいと考えております。

山田委員 私の資料七を見ていただきたい。

 我々は林業予算の国費の中から、林業関連公益法人、これが全部で幾つあるのかな、五十ぐらいあるんじゃないですかね、ちょっと数えていないんですが。

 大日本山林会から始まって、いわゆる林野弘済会、これは松岡大臣が献金してもらっているところとして共産党さんの紙さんから追及されたところですね。そういうところから、また、林業土木コンサルタンツ、そういういろいろなところ、これも松岡大臣が献金を受けているようです。さらに、林業土木施設研究所、これもあります、これからも献金を受けているようです。これは、ゼロと書いているのはゼロ円じゃないので、一千万以下なので計算できませんから御勘弁くださいとただし書きも書いてあります。

 これで考えますと、かなりの、これだけで少なくとも七十億以上のお金がこういうところに、天下りの理事だけで、役員数だけで百三十七人、農水省から行っているんです。

 こういうところに無駄なお金が使われていて、大事なところに全く使われていない、これが松岡農政なんです、林業の。こんなことで本当にいいのか、これは口を酸っぱくして言いたいところです。

 もう一つ、時間もありますので、聞いておきたいことがある。

 最近、NHKの報道で、熊本県の久万町でしたか、大臣の熊本県ですが、ここで皆伐、みんな切り払った後をそのままに放置しておって、土砂崩れが起きたという報道がありました。宮城県の安住先生からも言われましたが、おれんちの宮城県でも、伐採したはいいけれども、後をそのままにして、はげ山がいっぱいふえているというんです。この後、どうなるんだろうと全国各地が心配しております。

 ところが、ヨーロッパ、ドイツに行って聞いてみて初めてわかったんですが、EU、ヨーロッパとか各国は、ドイツは、後でもう一回調べていただいたら州によって違うそうですが、私が行っている州は法律で皆伐するのを禁止してある、よっぽどなこと、病害虫が発生したり、そういうことがない限りできないと言っています。

 日本の場合にはこれが野放しになっている。ドイツとかそういうところでは木を切ったら、伐採したら必ずその後に植林が義務づけられる。ところが、日本の林野行政、松岡行政ではこれを全く野放しにしている。これでは一体どうなるのか。ひとつ松岡大臣に答えてもらいたいところだけれども、副大臣、お答えいただきたい。

山本(拓)副大臣 そういう先生の御指摘の、誤解を受けられないような説明をしっかりと全体で取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 造林の未済地の発生防止のためには、高齢級間伐の推進による皆伐の抑制、抜き取りや天然力を活用した施業による針広混交林化等の多様な森林整備の推進をしてまいりたいと考えておりますし、森林所有者に利益が還元されるような木材の安定供給体制の構築や、低コスト、高効率な作業システムの整備及び定着等による間伐や再造林の促進等に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

山田委員 私が聞いているのは、皆伐を野放しにしているが、それでいいのかと聞いているんだ。いいならいい、悪いなら悪いと、それを答えていただきたい。

山本(拓)副大臣 いいとか悪いとかという、要するに、基本的に適正に今行っているところでございますし、これからもさらに適正に行ってまいりたいと考えております。

山田委員 適正に適正にって、何が適正なのかわからないじゃありませんか。

 私が聞いているのは単純なんですよ。皆伐すると、当然のことながら、山がはげ山になって荒れてしまうんです。ヨーロッパでは皆伐を禁止しているところが多い。皆伐が仮になされたとしても、木が切り倒されたとしても、必ずどこの国でも植林することが義務づけられている。日本はそれが義務づけられていない。それに対してどうなのかと言っているんですよ。

山本(拓)副大臣 基本的には、保安林等の制限はございますが、要するに、先生御指摘のような無計画的に皆伐をするということではなしに、新しいいわゆる針広混交樹林と申しますか、そういったものも積極的に進めているところでございまして、あとは個別具体的な案件がありましたときにはそれはしっかりと対応させていただいているところでもありますし、もしそういう御指摘のところがありましたならば、言っていただければ、具体的な説明はできるかと存じます。

山田委員 具体的な説明を今できるというので求めているので、皆伐を禁止する気はあるのかないのか、あるいは伐採した後の植林を義務づける気があるのかないのか、その二つをイエスかノーで答えていただきたいと言っているだけです。それは答えられないんですか。

山本(拓)副大臣 何事におきましても決まり事に沿ってやっておりますので、画一的なお答えしか言えませんが、林野庁といたしましては、森林整備事業においては、皆伐だけではなくて人工林の抜き取りという形をとっているところでありまして、その後の広葉樹の植栽などに対して助成を行っているところでございます。奥地の荒廃した保安林においては、治山事業により針広混交林化を推進することといたしております。

 そういう意味で、しっかりと補助体制また針広混交樹林化を推進する方針を明確に打ち出しているところでございます。

    〔近藤(基)委員長代理退席、委員長着席〕

山田委員 答えになっていないんですが、まあ、しようがない、これが松岡農政である。仕方がありませんね、これは。

 それで、もう一つ言っておきたいんですが、流通コストなんです。

 これが日本の場合には、私が資料を出しております、見ていただきたいんですが、資料四、「一般的な国産木材流通モデル」とあります。

 いわゆる森林所有から原木市場に出るんですね、素材業者の手を通って。それで、製材所、加工業者、いわゆる製材市場で卸すというふうに、大きく言いますとこれだけの流通を経ているわけです。

 ドイツに行ってきましたら、いわゆる林業家の手から真っすぐそのまま製材所に行くんです。それで、製材所から工務店に行くんです。日本はこれだけの流通、これが価格を莫大にしているわけです。

 例えば、もう時間がないので私の方から言いますが、運送賃が、県内だったら、山から木材所、いわゆる製材所とかあるいは原木市場まで、平均して一立米当たり千円から千五百円です。ところが、これが遠いところ、遠隔地に行きますと、運送賃が四千円から五千円かかるんです。ということは、この中で運送を何回もするだけで、もうかなり莫大な、林業家の手に行かずに、むしろこういう流通業者の手に渡っているということなんです。これを改革しなきゃいけないんです。

 幾ら聞いても、適正な方法を考えたいとしか副大臣は言わないでしょうから、もうこれ以上言いませんが、その中でやはり必要なのは乾燥なんです。大手の加工業者が、住宅メーカーが欲しいのはやはり乾燥材なんです。

 乾燥材をやるにしても、ドイツに行って調べてきましたが、この乾燥材そのものも、大体乾燥機そのものは二千万から三千万ぐらいでは十分できるんです、二千万から五千万ぐらいと言っていいでしょうね。そういったものに助成する、そして、顔の見える木材の流通にかければ、まさに一番重たい商品、ウッドマイレージとありますけれども、うちのネクスト大臣がよく言っているウッドマイレージ、フードマイレージ、そういった面からしても、これは必ず手をつけなきゃいけない問題なんです。

 ところが、これを、林野庁は、行政は、農水省は今まで野放しにしてきた。林業行政に何の責任もとってこなかった。ただ緑資源機構とか、いろいろないわゆる公益法人、大日本山林会とか、そういったところにどんどん国費を流していって、天下りをふやして、そしてそれが政治家の献金のもとになっていっている。こんなばかなことをやっていて、まさに日本の林業がここでつぶれてしまうのは、これはだれの責任でもない、いわゆる農水省の責任である、松岡農政の責任である。これはぜひ改めていただきたい。

 私ども民主党は、今度、林業の再生について、菅直人代表代行と一緒に、篠原ネクスト大臣も一緒ですが、ヨーロッパにも行ってきて、いろいろな各地を見てきて、近く林業再生プランを、本当に林業者のための林業再生プランを打ち出すつもりです。いかに与党が、そして農林省が、林野庁が林業者にとって無策であったか、それを明らかにしていきたいと思います。

 もって、私の質問を終わります。

西川委員長 次に、高山智司君。

高山委員 民主党の高山智司でございます。

 ただいまも同僚というか先輩の山田先生からも緑資源をしっかり頼むよということを言われましたので、まず冒頭、この緑資源機構の談合問題ですか、これについて伺います。

 きょうは林野庁長官もお越しだと思うんですけれども、まずちょっと事実確認的なことから先に伺いたいんです。

 私、前回の質問のときにも、緑資源機構またその先に捜査が入っているというこの段階で、取り調べを受けている方がそのまま放置されているので、証拠隠滅のおそれがあるんじゃないですかというような話をさせていただいたと思うんです。この中で、また、これはちょっと報道に出ているんですけれども、理事の方で「「落札率九三%」指示」とかという報道があるんです。この理事、経歴はここに書いてあるんですよね、森林業務部長などを経て、〇五年から理事に就任と。この方は今どういう勤務状態になっているか教えてください。

辻政府参考人 前回もお答えいたしましたように、現在、森林業務担当理事として勤務をいたしているところでございます。

高山委員 私、前回も、そういう状態だと証拠隠滅のおそれがあるのではないかということで、指摘させていただいてからもう二週間以上たっているんですけれども、もしこれで証拠隠滅をしようと思えば、幾らでもこれはできてしまう状態を放置していたんじゃないかなというふうに私は思うんです。

 まず、次は農水大臣に伺うんですけれども、緑資源機構や公益法人の監督官庁である農水省としては、監督官庁ということでどんな指導をしたり、助言をしたり、あるいはどういう指示をできる今立場にあるんでしょうか。

西川委員長 辻長官。

高山委員 大臣に今聞いたんですけれども。

西川委員長 大臣なの。(発言する者あり)

高山委員 議事録見てください。僕、大臣に初めに聞きますけれどもと言いましたから。

西川委員長 聞くんですけれどもと言った。聞くのですけれどもと言った。

 高山智司君。

高山委員 この緑資源機構にどういう監督の方法があるのか。指導助言方法、こういうのはどういうのがあるのか。大臣、教えてください。

松岡国務大臣 高山先生はいつも具体的な御通告をいただかないものですから、なかなかこちらも即座にはお答えしかねるわけでありますが、所管省庁として、その立場での指導なり監督なりの権限があると思います。

高山委員 今回、私、この緑資源の問題を詰めようと思って具体的に通告しているので、今の発言は撤回していただきたいと思うんです。

 今のでわかったことは、大臣が、これだけ問題となっている緑資源機構に対して、何か具体的にいろいろな指示を出す方法もよく知らなければ、しかも、私、これは指摘させていただいた、この証拠隠滅のおそれのある理事、これもまたずっとそのままになっている。

 これは、どうして、この方を自宅待機にするなり、あるいはそういうことをした方がいいですよということを緑資源に言ってくださいねということを前回言ったんですけれども、そのまま放置されているわけです。何かあれですかね、助けているとまでは言いませんけれども、何か証拠隠滅するのを見て見ぬふりというんですかね、そういう状態が、事件が少なくとも明るみになってからだけでも続いているなというふうに思うんです。

 大臣はいろいろ具体的に指示されていると思うんですけれども、この緑資源機構に対して、一般競争入札にすべて切りかえていくんだというようなことも含めて、今どういう指示を出されていますか。

松岡国務大臣 先ほど通告をしてあるとおっしゃいましたが、私どもがお聞きいたしておるのは、緑資源機構問題というような一般的な言い方で先生はおっしゃっておりまして、具体的な項目やそういったことについておっしゃっておられません。もし、これが反対の場合であって、先生が、先生は相当有能な方ですから、お答えが一から百まで入っているのかもしれませんが、やはり私どもといたしましては、具体的な御通告をいただいた上で、その上できちんとした実のある質疑応答というのが望ましいと思っております。

 あわせまして、今何を緑資源機構に指導したかということでございますが、まず、昨年の時点で公取委の調査が入りましたときには、全面的にその調査に協力をするように、こういったことを林野庁を通じ指導いたしているところでございます。

 それからまた、それ以降におきましても、また犯則調査というようなことでございますが、その時点におきましても、これもまた全面的な調査に対する協力をするようにということを改めて指示をいたしたところでもございますし、それから、先般におきましては、緑資源機構が発注する事業というものにつきましては、これはすべて残らず一般競争入札で行う、そのようにするように指示をいたしたところでございます。

 さらに加えまして、緑資源機構の直接の所管でございます林野庁におきましても、林野庁の発注をいたしますものにつきましては、これもすべて一般競争入札において発注をするように、このような指示をいたしたということでございます。

高山委員 それでは、事細かに通告をしてある、この公益法人からの献金問題についてちょっとまず伺いたいんです。

 これはきのうの委員会でも随分質疑で出てきたみたいなんですけれども、私もびっくりしました。松岡大臣に、調査が入ったところからゴールデンウイーク前に献金が四百二十万あった。何か、それは返金されたというような御答弁をされていましたよね。さらに、その後になって、またきのうの委員会でも明らかになったんですけれども、加盟している財団やら何やからトータルで一億三千万近く献金を受けている、こういう話があったんです。これは何か、問題のあるものは返金した、返すべきものは返したというような御答弁があったんですけれども、これは一体どういうものを返したのか。ちょっと教えてもらえますか。

松岡国務大臣 きのうのそのお話は、一般の、いろいろな民有林関係のところですとか、十年間にわたってトータルでそういうようなものがあった、こういうことをおっしゃっているわけでして、全く今回の緑資源とは問題のないところがほとんど多いわけでありまして、これはまさに政治資金規正法に基づいて、私は、その法の範囲内でそれは献金をいただいているものでありますから、そのことについてどうこうということについては、こちらとしてもお答えをすることはないと思っております。政治資金規正法に基づき、収支報告で報告をいたしておるとおりでございます。

 それから、公益法人につきましても、もう既にこの七年、二〇〇〇年か二〇〇一年ぐらいから、これも具体的に通告を受けていませんから、自分の、確実、正確じゃない点もあるかもしれませんが、ほぼ大体二〇〇〇年ぐらいからは、これはもういただいていない。だから、この六、七年というものは、全く公益法人からいただいていない。それを十年までさかのぼってトータルして、こういうことでございますが。

 あとそれから、個人の方からは、これは昔役所の、同じ役所の、職場の先輩であった、そういう御関係で個人的に献金をいただいた。ただ、その中で、今回いろいろと言われておりますそこの会長をされておる、こういった方からの献金ということにつきましては、これはやはり会長さんということで、その組織の代表でもございますから、そういった人の献金はすべてさかのぼってお返しを申し上げた、こういうことでございます。

 それから、以前にと言いましたのは、以前の段階で、これは法的にどうかこうかということはともかく、補助金を受けておった、そういったところからのものについては、これも誤解を受けないように、その時点で返却すべきは返却した、こういうことでございます。

高山委員 それをちょっと教えてほしいんです。

 その時点でというのは昔の話だと思うんですけれども、最近の話で、御記憶が新しいところでいいんですけれども、この緑資源談合問題が起きた、それで、その談合問題が起きた捜査先の公益法人や、その個人名、理事の人から松岡大臣に献金があった。これに関して、問題のあるものは返したんだというようなことを前回の答弁でも松岡大臣はされているんですけれども、これはどういう問題があって、何を幾らぐらい返したのかというのを教えてもらえますか。

松岡国務大臣 先般申し上げましたのは、今回言われております、談合後に関係したと言われているところの公益法人からは、この六、七年間というのはもういただいておりませんので、それ以外に、森公弘済会というところの代表の方、理事長さん、この方からは個人的に献金を受けておったわけでありますが、これは数年分、今日までの分、それはお返しを申し上げた。それからまた、もう一人の林野弘済会の会長さんも、この方も、一年か二年か、過去、献金を受け取ったわけでありますけれども、その方の分もお返しを申し上げた、こういうことでございます。

高山委員 これは確認なんですけれども、いわゆる緑資源機構からの仕事を受けている、今調査が入った公益法人から、パーティー券の購入や、そういうのというのはどうなんでしょうか、まず大臣の方で。直接献金は、もう法人からの献金というのはそもそも禁止されていますので、当然ここ五、六年は受けられないと思うんですけれども、パーティー券の購入というのはいかがでしたか。前回聞いたら、政治資金報告書のとおりですということでしたので、そこをお調べいただいて答弁いただければと思います。

松岡国務大臣 十一年ぐらい前に一部のところからあったと聞いておりますが、それ以外はないというふうに聞いております。

高山委員 非常に細かい話でもありますし、これは事前に私は通告しているので、総務省の方に伺いたいんですけれども、この松岡大臣の資金管理団体に、私の方からお願いしてありますのは、問題となりました公益法人及びそこの理事長のお名前というのを私の方で調べまして、それの相関関係を聞こうと思いまして、まだ、普通の民間の方もいらっしゃるので今私はあえて名前を言いませんけれども、これの寄附状況というのを、いただいているこの表なんですけれども、ここから御説明いただきたいと思うんです。

 その中で、特に今大臣がおっしゃいました林野庁の先輩がやっているというのは、この森公弘済会というのでしたか、それと日本森林技術協会とかでしたか、この理事長をやられている方ですね。この方からどういう献金があったかというのを御説明ください。

久元政府参考人 昨日、高山委員から通告がありましたお名前で申し上げますと、個人の方でございますが、高橋勲氏、この方からの寄附額は平成十六年に十二万円。それから、根橋達三氏、この方からの寄附額は平成十二年に六万円。それから、塚本隆久氏、この方からの寄附額は、平成十三年から平成十七年まで毎年十二万円ずつの計六十万円というふうになっております。

高山委員 松岡大臣に伺いたいんですけれども、今、私は、個人名を別に言わなくてもいいなと思ったんですけれども、今お名前が上がった方々というのは、今大臣がお話しされていたように、いろいろな公益法人の理事を務められている方だということでよろしいですよね。それと、今の献金の額ですけれども、これは総務省の言っていることだから間違いないと思うんですけれども、この中の、何が問題があって、幾らぐらい返したんですか。それとも全部返したんですか。ちょっと教えてください。

松岡国務大臣 今総務省の方からお答えをいただいた方が、私が先ほど固有名詞は申し上げませんでしたが、役所のときの先輩の方で、そういう個人的な関係で献金をいただいたという方、その人たちでございます。

 それから、幾らかということについては、私は、全部今までの分をさかのぼってお返ししたと、私が直接自分でやったわけじゃありませんけれども、事務所の方からはそのように報告を受けておりますので、今あなたもおっしゃいますように、総務省が言うから間違いないんだろう、私もそう思います。

高山委員 今、総務省の話があったものをすべてお返ししていただいたというような話ですけれども、これは何が一体問題だなというふうに感じられて、いつ返したんですか。

松岡国務大臣 お返しを申し上げたのは、四月の十二日ということでございます。そこで、当該公益法人が公取委の犯則調査の対象になった、やはりその代表の方、個人的とはいっても代表の方ということで、そういう関係からお返しを申し上げた、こういうことでございます。

高山委員 お金を返されたということですけれども、もともとが法律にのっとって別に問題のない献金をいただいていた。だけれども、返した。こういうようなことなんでしょうか。それとも、違法献金だと思って返したんですか。これはどちらなんでしょうか。

松岡国務大臣 違法というのはどういう場合を違法とおっしゃっているのか、よく御存じの上でおっしゃっているんだろうと思いますが、違法なんというようなことではなくて、当然、この人は献金をする上で何の問題もない方なわけです。私にとっては職場の大先輩です。個人的に応援してやろうということで御支援をいただいた。この方がいつからここの代表をお務めになっているか、理事長というのか会長というのか、これはちょっと確認をしてみなきゃわかりませんが、そうじゃなかったときも個人的に御支援をいただいておった、その分も含めてすべてさかのぼってお返しを申し上げたということでございます。

高山委員 総務省に伺いますけれども、そうしますと、松岡大臣の側からこの個人の方に寄附されたお金を返金したということですけれども、松岡大臣の政治団体からこういう訂正の申し出とかいうのは直近ではいつありましたか。また、その内容はどういうことなんでしょうか。

久元政府参考人 松岡利勝新世紀政経懇話会の収支報告書につきまして、直近で訂正がありましたのは平成十九年四月十二日であります。これは平成十七年分の収支報告書についてでありまして、訂正内容は、平成十七年十二月二十一日開催の政治資金パーティーの収入の内訳として記載されていた民有林整備懇話会及び林土連懇話会からの収入をそれぞれ八十万円から七十万円に訂正するものであります。あわせて、このパーティーの収入額につきましても、一億八百三十八万円から一億八百十八万円に訂正が行われております。

高山委員 今の総務省のお話ですと、八十万が七十万、一億八百三十八万が一億八百十八万、二十万とか十万とかということが訂正になっているわけですけれども、何となく数字が合わないなと思うんです。この民有林整備懇話会、林土連懇話会、またこういう名前も出てきているんですけれども、今大臣が全額返却したんだということと、この訂正が十万円分、二十万円分しか変わっていないということと、私も混乱してしまうぐらい数字がちょっと合わないのと新しい名前が今出てきたんですけれども、大臣の方でちょっとこれを御説明願えますか。

松岡国務大臣 私よりも高山先生の方がいろいろ調べられているから詳しいんじゃないかと思うんですが、四月十二日の訂正というのは十九年の訂正になるんです。したがって、収支報告書に出るのは来年の話なんです。来年の三月でこれは収支報告書として出ていくわけでして、今向こうからあったのは、全然違う件での十七年の収支報告書について訂正があった、こういうことでございますから、返還をしたのはことしの四月の十二日ですから、今の理事長さんや会長さんに返還を申し上げたのは四月の十二日ですから、これは来年の十九年分の収支報告書の中で出ていく話だ、私はそのように思っております。

高山委員 いや、違うんじゃないですか。返金したのであれば、今までいただいていた分をこの個人名の人に返金したというふうに訂正していかなければいけないんじゃないんですか。では、十七年のこの話は、なぜこういう十万円マイナスになったり二十万円マイナスになったりという訂正なんでしょうか。

 私が言いたいのは、大臣は今、全額を返したとかこういうことをおっしゃっていますけれども、実際訂正されていないじゃないですか。前、WBEFというような団体から百万円のパーティー券なんかもありましたけれども、あれは私的に受けたのは問題があると思って返還したと、それはすぐ訂正されています。

 では、今回のこの訂正は、今言った、理事長が献金するのは問題があると思って訂正したのではないんだということですね。では、こちらの方の訂正はしないんですか。

 それともう一個は、今大臣が御説明になった民有林整備懇話会、林土連懇話会ですか、これがどういう懇話会で、なぜここを訂正したのか。ちょっと説明してください。

松岡国務大臣 前のNPOの場合は、その年度の収入が記載をされていなかった、したがって、十七年度だと思いますが、収入として記載されていなかったので訂正をして記載をした。

 今回のものは、もともと今までずっと合法的に受け取っておったものを今回四月十二日で一括してお返しを申し上げた、こういうことでございますから、これは来年の収支報告書でその訂正として出ていくものだ、私はこのように今理解というか、そういうものだというふうに聞いておるわけであります。

高山委員 そうしますと、では、例えば去年だとかおととしにもらったときの収入からこの十二万円だとか二十何万円だとかというのが減るというのではなくて、松岡新世紀政経懇話会という団体からそれと同額、見合い額を個人の方に返金した、そういう意味ですか。

松岡国務大臣 それはもともと新世紀政経懇話会に献金をいただいておったわけですから、それを一括して、私の政治資金団体、そこからそれぞれの方々にお返しを申し上げた、当然そのとおりだというふうに聞いております。

高山委員 つまり、いただいていたのが、例えば三年間にわたっていただいていたのであれば、その年度ごとに、では、これはなかったことにしましょうというので返したのではなくて、それは正規の献金だから受け取った、それの見合い分を支出した、そういうことになるということですか、ことし。そういうことですか。

松岡国務大臣 私の方の返し方はそういうことであったというふうに聞いております。年度ごとに修正をしなきゃいけないのかどうか、返し方はよくわかりませんが、返し方としては、まさに一括して四月十二日時点で返した。事実が発生したのはその日ですから、年度をさかのぼって事実が発生したわけじゃありませんから、私の直感でも、そういう記載しか方法はないんじゃないかなと思いますが。

高山委員 そうしますと、ことし動いたお金の分というのは、きちんとことしの政治資金収支報告書には、支出の項目には、だれ某にお金を返した、こういうふうに出てくるということだと思うんですけれども。

 もう一つちょっと伺いたいのは、では、十二日に訂正された民有林整備懇話会、林土連懇話会の収入はどういうことで訂正になったんでしょうか。これを教えてください。

松岡国務大臣 それは事務的なことですから、今の時点で私はわかりません。

高山委員 今度もう一個伺いたいんですけれども、もう一つ、きのうの委員会でも指摘があったように、ずばり、緑資源のところから仕事が来ている公益法人から直接来ている献金ではなくて、何か政治団体や何かいろいろつくられてそこから来ている献金があるということですけれども、こちらに関しては返金の意思はないんだというようなことだったんですけれども、これは大臣、その分のお金というのは返却するつもりはないわけですか。

松岡国務大臣 政治団体というのは全く別の人格でありますから、例えば全国に建設政治連盟とかいうのがあると思いますが、これは全国をトータルしていると思うんですが、では、もしそこの傘下の人が何かあったとしたら、それもすべて、これは恐らく各党にわたって行っていると思うんですが、そうすると、一人あればその団体全体が全部そのようにしなきゃいけないかどうか。

 いずれにしても、私もそれはよくわかりませんが、人格が違うというものであれば、当然、違う人格としての扱いで私は対応をする、そのように思っておりますし、特別そういった形でまだ判断はいたしておりません。

高山委員 それでは、今のは、確かに、何とか政治連盟ですとか、そういうところからいろいろな献金をいろいろな先生方に行くというのはあることなので、確かにそうだなというふうにも思った面もあるんです。

 もう一つ、捜査が入った問題の六公益法人というんですか、緑資源機構から仕事をもらっているところ、ここから松岡大臣に多額の献金が行っていたということですけれども、この経緯についてはもう御説明をいただいているんです。今度また総務省に伺いたいんですけれども、まず、これは公益法人ですよね。そういう公益法人が政治家に献金していい、なぜいいのかというのをちょっと御説明ください。

久元政府参考人 公益法人につきまして、公益法人であるということに着目した政治資金規正法上の規制というのは特段に行われていないというふうに考えております。

 どうしてそういうふうになっているのかということにつきましては、これは長い政治資金規正法の、特に寄附に関する制限についてのルールが、いろいろな各党会派の議論が積み重ねて行われてきた、改正が重ねられてきたわけですけれども、政治活動の自由ということと、それから寄附のルールというのをどういうふうにつくるのかということを調和を考えながら今の制度ができているというふうに考えております。

高山委員 私、公益法人から松岡大臣への献金がもうそのまま即違法だというのではないんですけれども、すごく不適切だなとは思いました。それは、その公益法人、しかも緑資源機構からの仕事がほとんどの公益法人である。緑資源機構の仕事というのも、林野庁からほとんど税金が原資のものを、仕事を振られている。それをもらっている公益法人が、また献金という形で政治家にお金が回っていく。みんな国民の税金が林野庁OBの間を回り回っているという、何か不適切だなという私は気がしたんですね。

 それで、またこれは総務省の方に伺うんですけれども、この六法人の団体がありますね、公益法人。これが松岡大臣には献金はされているということですけれども、ほかにも有力な農水の先生方というのはたくさんいるんですけれども、どういった方に献金がなされているのか教えてください。

    〔委員長退席、金子(恭)委員長代理着席〕

久元政府参考人 通告をいただきました六つの公益法人等から、松岡大臣の資金管理団体以外の政治団体に対する寄附あるいはパーティー券の購入ということでありますけれども、私ども、これも通告いただきました、平成七年から平成十七年までの寄附、政治資金パーティーの対価に係る収入の状況につきまして、実は、独立行政法人国立印刷局が運営する官報の情報検索システムというものがありますけれども、それによって調べたところ、この収入は確認できなかったというところでございます。

高山委員 そうしますと、今のはあれですか。問題となった六法人が献金をしていたのは松岡大臣だけ、こういうことですか。

 ちょっとそれは、大臣、今これは私、事前に、松岡大臣以外にはこの六法人、献金していないんですねというようなことで総務省に確認してもらった結果なんですけれども、そうしますと、松岡大臣しか、この問題となった談合、天下りで、官製談合をやっている団体から献金は受けていないんだと。

 先ほどの松岡大臣の御答弁では、いろいろな政治連盟はいろいろな先生方に献金をしているだろうということでしたけれども、たくさんほかにも有力な、農水の有力議員がいる中で、松岡大臣にだけ、林野庁のOBがたくさん天下っていて、そしてまた林野庁からの仕事が来ている公益法人が、多額の献金をしている。何かすごく不適切だなという印象を私は持ちました。

 その辺の経緯に関しては、私はこれは合法な献金だったとは思いますけれども、やはり政治資金規正法、そもそもざる法だったり、あるいは問題が多い法律なので、これは、ただ法律にのっとっているからいいんだ、悪いんだということではなくて、疑惑を持たれた場合には、いや、疑惑はありませんということを公開していただかなければいけないなと私は思うんです。

 この点、最近の報道で、安倍総理の方から党に対して領収書の添付を義務づけるというような指示があったというようなことになりましたけれども、まだ法改正そのものはされていないわけなんですけれども、これで五万円以上は少なくとも領収書添付は決まった。民主党案であれば、政治資金管理団体だけではなくて、すべての政治団体、一万円以上の領収書を添付するということになっているわけなんです。

 そうしますと、これは松岡大臣に確認でちょっと聞きたいんですけれども、以前より、各党会派でルールを決めていただければ進んで公開しますというようなお話だったんですけれども、大体これで、五万円以上ということは、領収書添付、決まったと思うんです。

 大臣は今まで、これは疑念を持たれていた、光熱水費がただの議員会館に事務所があるのに、年間五百万円以上、水道代を使っている、あるいは事務所費も年間二千万円近く、家賃がただのところなのに、使っている。こういう疑惑に対して、大体、一応少なくとも五万円以上は公開しましょうと与党内でもまとまっていることですから、どのような対応をとられるつもりなのか。これを御答弁願えますか。

松岡国務大臣 その前に、先ほどの件でちょっとお答えをしておきたいと思うんですが、まず林野弘済会、林業土木コンサルタンツ、森林技術協会、これから私が、この三つから、六法人か五法人とおっしゃいましたが、そのうち、私が過去献金を受けておったのはこの三つでございまして、それも林野弘済会が最後に献金をいただきましたのは平成十年なんです。したがって、今やこの十年間は全く献金はないんです。そのことをひとつよく御認識をいただきたい。この十年間ないものを、それ以前までして、あったあった、こうおっしゃっているんですが、今はこれはないということを、この十年間は公益法人からはないということをまず申し上げておきたいと思います。

 それで、その上で、今の五万円のことにつきましてのお話でございますが、私は先般も、これも高山先生、高山先生はずっとこの問題でございますから、おっしゃっておられますから、それ以外のことは大体御質問いただいていませんので、このことでございますから、もう覚えていらっしゃると思いますが、もう何度も申し上げておりますように、そういった遡及をするかしないかという問題も含めまして、法令の定めがどうなるかということに従って対応してまいります、私はこのように申し上げておるわけであります。

 したがって、今申し上げたとおり、先日も申し上げたとおりでございます。

高山委員 つまり、大体五万円以上は領収書添付という流れが決まってきたわけですけれども、松岡大臣はどういうふうに対応されるのか教えてください。

松岡国務大臣 それはもう、法律が定まれば、私だけでなく、政治資金規正法、まさにその政治資金規正法の適用を受ける政治家は、当然、定まった法律に基づいて、そのとおりの適用を受ける、このように思っております。

高山委員 松岡大臣、今回の政治資金規正法は五万円以上の領収書添付、こういうふうになった原因をよく考えていただきたいんですよ。それは当然我々はやりますよ。だけれども、そもそもの原因は何なんですか。松岡大臣が事務所費がただのところなのに二千万円も計上している、松岡大臣が水道代がただの議員会館に入っているのに光熱水費が五百七万円で、何とか還元水だとかそういうのをつけているとか、そういうことをおっしゃって、これは不自然じゃないかという声が国民の間に上がってきて、与党の間でも、五万円以上は、ではつけましょう、こういうことになったんじゃないんですか。

 だから、いいですか、我々が五万円以上の領収書添付になったらつける、あるいは民主党なんか一万円以上ですよね。こんなの当たり前ですよ。松岡大臣は今まで自分にかかってきた疑惑、あるいは、国民の皆さんがこれは納得いかないなというのを、五万円だというふうに新しい基準が決まったら、いや、実は私の五百七万円、内訳は五万円以上ですとこういうふうになっておりますとなぜ公開しないんですか。

松岡国務大臣 大きな声と身ぶりでやっておられますが、ここはあなた一人の場じゃないんで、お互い礼節を持ってやりたいと思っていますが。

 先ほど申し上げましたとおり、これは当然法律の定めに従ってその適用を受ける、そのとおりであります。(発言する者あり)

高山委員 意味わからない答弁しないでくださいよ。何ですか、今の礼節がどうのこうのというのは。失礼なのは松岡大臣でしょう。ずっと答弁をはぐらかしているだけじゃないですか。自分の疑惑が持たれている光熱水費、五百七万円もかかっている、これが、ずっと引き延ばして、基準が決まったら公開します、基準が決まったら公開しますと。結局、基準が決まっても公開しないじゃないですか。どうしてそうやって逃げるんですか。これは礼節とか関係ないですよ。松岡大臣のその態度に国民の皆さんがみんな怒っていると思いますよ。

 さっきから何かやじっている人とかいますけれども、では、自民党では松岡大臣が公開しないことを了とする、そういうお声ですね、今のやじは。

 もう一回聞きますけれども、松岡大臣が端緒となってこの政治資金疑惑の問題が起きてきて、領収書添付の問題が起きて、領収書を添付しましょうとなったのに、遡及しないから公開しないと。遡及して公開してくださいよ。なぜ公開しないんですか。

松岡国務大臣 私は、法律に基づいて適切にずっと報告をしてきているんですよ。だから、法律で求められている以上のことについては、法律でその基準をどう適用されるのかが決まれば、それに従って私は対応いたしますということを申し上げてきているわけでして、それ以上のものではございません。

高山委員 松岡大臣に言うまでもありませんけれども、別にここは警察や検察じゃありませんので、法律違反を問うているわけじゃないんですよ。その不自然な政治資金の使い方が国民の納得を得られないんじゃないか、だから国民に納得できるように説明していただきたい、こういう場なんですよ。別に我々は検察官でもないですしね。だから、法律がどうだこうだと。それ以上のことは別に説明したらいいじゃないですか。

 それで、しかもずっと、与野党で基準が決まるまではやりません、基準が決まればそれに従って公開しますと言ってきて、大体もう五万円以上の領収書添付ということが決まったのにどうして公開しないのか。これはただの逃げじゃないですか、大臣。なぜ公開しないんですか。こんなのでは国民は納得しませんよ。公開してください、五万円以上の領収書を添付して。今までの基準を明らかにしてください。

松岡国務大臣 与野党で、各党各会派で合意があってお決めになって、そしてまた、その結果法律が定まるというのは、定まっていくかどうか、これは国会でお決めになることでございますが、その国会でお決めになった法律が決まれば、当然その法律の定めに従って私はその適用を受けます、こう言っているわけでありまして、そのことを、何度も申し上げていることについて、逆に高山先生が勝手にここで公開しろと言われておりますが、それは私は法律の定めに従って適用するということが当然のことだと思っています。

高山委員 だから、法律の定めに従って公開するなんというのは当然のことなんですよ。今求めているのは、法律はどうやら遡及効がないんだ、これは、安倍総理も塩崎官房長官も遡及する必要はないんだと。

 結局こういうことでしょう。自民党の側としては、遡及効がなくて結局松岡問題は明らかにならないんだけれども、それで幕引きにしようということだと思いますけれども、これは普通の国民からしたら、いや、去年、おととし、去年が五百七万円、その前は八百万だとか七百万だとかの水道代、何に使ったんだろうと。これを明らかにしなければ、政治資金規正法を改正したって全然意味がないじゃないですか。そんなの、今後五万円以上領収書をつけるなんて当たり前のことですよ。

 だから、それ以前のことを公開してください。今までずっと待ってきたわけですよ、では与党側がどういう出方をしてくるのかなと。公明党の皆さんがどういうような考えを持っているのか。自民党の中でも、領収書の添付は当たり前じゃないかという人もいれば、いや、領収書なんか添付したら大変なことになるよという方も多くて、それでこういうところまで今来た。それで、松岡大臣が、今までの分、領収書添付しない、あるいは五万円以上の支出があったのか、どういうものなのか、これを公開しないんだったら法改正の意味が全然ないじゃないですか。

 だから、松岡大臣に私がさっきから言っているのは、今度新しくできる基準で、今までみずからの持たれていた疑惑を、きちんと公開して説明をしてください。これは別に、法律上そうだからやれ、こういう命令じゃないんですよ。政治家として、政治家のまさに先輩議員にけじめをきちんとつけていただきたいなと思って私はお願いしているんです。

 ぜひその光熱水費の内訳を明らかにしていただきたいと思いますけれども、大臣、どうですか。

松岡国務大臣 もう何度も申し上げているとおりですが、法律が定まれば、その定めに従ってその適用を受けて対応するというのは当然であります。高山先生の御見解は御見解、御指摘は御指摘として受けとめておきます。

高山委員 法律のことを妙に盾にとって、自分をきちんと説明するということをしないわけなんですけれども、なぜそんなかたくなに説明しないのか、その理由を教えてください。

松岡国務大臣 理由は、申し上げているとおり、法律の定めに従って適用を受けるというのは当然のことだからであります。

高山委員 法律の定めと言いますけれども、水道代で五百万円というのは明らかに不自然なんですよ。だから、その内容を明らかにしていただかなければ、もし光熱水費に入れるべきでないところに支出をしていたり私的に流用していたら、これはただの脱税ですよ、政治資金を政治資金に使っていなければ。だから、これはまじめに納税している一般国民が怒っているわけですよね。

 だから、内容をちゃんと説明してくださいよ。法律に定められていると言ったって、ざる法じゃないですか。それで、今回、自民と公明の与党側で出してくるのだって、資金管理団体だけが対象となるざる法でしょう。ただ、こんなざる法で当てはめてみたって、それは国民は納得しませんよ。どういうふうに政治資金を使っているんだ、これを松岡大臣は説明する責任があるんですよ。だから、きちんと説明してください。内訳を説明してください。

松岡国務大臣 それは高山先生の御見解として承っておきますが、ざる法とかざる法でないかというのはそれは高山先生の御見解でありまして、私がそれにお答えをして、その高山先生の御指摘に、ざる法であるとかないとかと言うことは差し控えますが、いずれにいたしましても、先ほど納税とおっしゃいましたが、これはもともと税金じゃないんです、そのことだけはちょっと確認をはっきりしておかないと、誤解を与えますから。

 そしてまた、私はもともと適切にこれは報告してきているんです。法律に基づいてやってきているんです。そのことをもって何かおかしなことだ、こうおっしゃいますが、法律に反しておかしなことということはないということだけは申し上げておきたいと思います。

    〔金子(恭)委員長代理退席、委員長着席〕

高山委員 脱税のことに関して言うのは、私は税金が原資だと言っているんじゃないですよ。政治資金として松岡大臣にいろいろな献金が来る、一億八百万とか来ているわけですよね。こういう収入が、これは民間の方からのいろいろな浄財で来ているわけですよね。これがもし政治活動に使われなかったら、それは松岡大臣の所得になって、きちんと所得税を払わなきゃいけないわけですよね。だけれども、政治活動に使われているから、だからこれは必要経費なんだということで税金がかからないお金なわけですよね。

 だから、五百七万円の水道代を使っているのはすごく不自然だなと。これは、もし民間の企業で水道代が五百七万円だというふうに申告して、税務署の方から、これはちょっと五百七万円は幾ら何でも多いんじゃないですか、怪しいじゃないじゃないですかと言われたら、普通の民間の会社であれば、三万円以上の領収書をちゃんと添付して、いや、これこれにちゃんと本当に使っているんです、だからこれは必要経費なんですというふうに、疑われた方が論証するんですよね。だけれども、今までの政治資金規正法では、五万円以上だとか幾ら以上だとか、領収書の添付も全然なくて、全く論証する必要がなかったわけですけれども、それは経常経費として民間の会社と比べても明らかにおかしいじゃないですかということで、今これは法改正の流れになってきたわけですよね、五万円以上ということで。

 だから、松岡大臣は、何でそんな水道代が五百万以上かかるんだろうと国民の皆さんが疑われているわけですから、いや、これは内訳はこうでございますと、何とか還元水だとかいろいろそういうことをおっしゃっていましたけれども、どういうものに一体使っているのか、これは説明する義務がありますよ。少なくとも五万円以上のものはちょっと今説明してくださいよ。

松岡国務大臣 もう何度も申し上げておりますように、法律の定めが定まればそれに従って法の適用を受けて対応してまいる、こういうことを言っているわけでありまして、何かほかのものに使ったんじゃないか、冗談じゃありませんということを申し上げて、私は、法に反するようなそういったような形でのものはありません、したがって適切に御報告申し上げております、こういうふうに言ってきておるわけであります。

 以上であります。

高山委員 大臣、そんな冗談じゃありませんと言いますけれども、水道代が五百万円かかっているというのは、これは、それこそもう冗談じゃないぞと国民の皆さんは思っていますよ。しかも議員会館は水道代ただなんですよ。どうして光熱水費で五百万円かかるんですか。そっちの方がよっぽどおかしいじゃないですか。何に使ったのか明らかにしてくださいよ。

 今言われている一本五千円のミネラルウオーターというのも、私これを飲んでみましたけれども、こんなの一日十本とか飲めないですよ。体にはいい感じがしますよ。だけれども、何かこう、ごくごく一日何本も飲めるものじゃないですね。

 私が言いたいのは、何でその内訳を説明しないんですか。ちょっと教えてください。教えてください、内訳を説明しない理由を。

松岡国務大臣 これは光熱水費という項目でありまして、水道代は水道と、水道代ということで私は報告をして、それじゃありません。光熱水費の中の、その全体として報告をしているわけでありまして、光熱水費のそこに関連するものとして御報告を申し上げているわけでありまして、したがいまして、今委員がおっしゃいますようなそういう意味での、何でその説明しないんだと。既にもう法律に基づいて報告しているわけでありますから、何でその説明しないんだということを、今度はまた逆に、先生は、この国会の場で、法律に基づいてお互い対応する場でそういうことを強く一方的に言われるのか、その点についてちょっと私も受けとめかねるな、こういう思いであります。

高山委員 先ほども言いましたけれども、別にその法律違反をここで問うているんではないんですよ。法律が私たちから見たらざる法だな、問題点が多いな、政治資金がきちんと使われているかどうか、今の現行法ではなかなかわかりにくいじゃないか、だからまあ五万円以上は少なくとも明らかにしましょう、こういう話になってきたわけですよね。

 だから、私が大臣に聞きたいのは、光熱水費ですか、光熱水費で五百万円以上だ、水道代ではないんだということを今大臣はおっしゃいましたけれども、水道代でもなくて、その光熱水費というのは、では、どういうのが本当は入るんですか。教えてください。これは教えてくださいよ、本当に。大臣。

松岡国務大臣 何度も申し上げているとおりです。

高山委員 では、丁寧に説明してください。

松岡国務大臣 いや、もうこれ以上御説明というか申し上げることはございません。

高山委員 だから、それが全然説明責任を果たさない逃げの姿勢なんだなと。それで、しかも、もしそれが政治活動費に使われていなかったりあるいは何かのつけかえであれば違法ですよということを言ったら、そうではないんだと。そこまで強く言うんだったら説明してください。

松岡国務大臣 既に法律に定められて求められたことの報告は尽くしております。

高山委員 それは何度も聞いているんです。だから、その内容をきちんと説明してください。法律では確かにそこまでは求められていないけれども、それはざる法なんだ。だから、今改正の機運が高まってきて、改正の方向性が出てきたんだ。だから、少なくとも、五万円以上のものはどういうのがあるのか。だって、光熱水費ですよ。水道代だとか、何か燃料代だとか、電気代だとか、そういうもので五万円以上の支出といったらわかるんじゃないですか、幾ら何でも。何があるんですか。それを教えてくださいよ。全部それとも五万円以下なんですか。教えてください。

松岡国務大臣 だから、一方的に教えてくださいとおっしゃいますが、私は、ですから法律がこれから定まってくれば、その定めに従って適用を受けて対応いたします、こう言っているわけです。それ以上言うことはございません。

高山委員 今後の分ではありません。今までの分を聞いているので教えてください。今までの分の内訳です。それが五万円以上のものはどういうものがあるのか、五万円以下のものに全部分散しているんだとすれば、では、それは一体どういうものなのか。説明してください。

松岡国務大臣 高山先生が法律であれば、それは高山先生が法律だということで、その定めに従わなきゃいけないのかもしれませんが、高山先生は法律そのものじゃございませんし、今自分の立場で言っておられるわけで、私はもう既に法律の定めに従った対応というのはいたしておりますので、それ以上はいたしかねる、こう言っているわけであります。

高山委員 何かさっき、せっかくその五百七万円の内訳を聞いたときに、水道代ではないというところまでおっしゃっていただいたのに、また発言が後退してきているんですけれども、その水道代ではない何かでどういうものが五百七万円になるのか。これは説明してくださいよ。だって、そこをみんな知りたくて、政治資金透明化、政治資金透明化というのが今の国民世論なんですよ。なぜそこを説明しないんですか。しかも、そこの説明がなされないのであれば、今回の改正、全く意味ありませんね。

 だから、そこは違う委員会でやることですけれども、私が大臣に今聞いているのは、法律がどうこうじゃないんですよ。五百七万円の内訳が明らかになる方向でやらなければ、何にも、政治資金の透明化と言っても、絵にかいたもちだし、ざる法だし、改正の意味もないなと。

 だから、まず松岡大臣が安倍総理を助ける意味でも、自分のその五百七万円の内訳を明らかにしていただきたいということを言っているので、これは別に法律に基づいて命令しているわけでも何でもないんですよ。

 だから、公開してください、中身を説明してくださいとお願いしているので、この五百七万円、五万円以上のものはどういうものがあるのか、五万円以下だったら一体どういうものがあるのか、それを説明してください。

松岡国務大臣 もう何度も申し上げているんですが、もう既に法律に基づいてしかるべきものは対応いたしておりますので、したがって、これから、今意味がないとかあるとか、意味がないというふうに高山委員は決めつけておっしゃっておられますが、それは私がそのことに論評する立場にはございません。

 したがいまして、これ以上お答えすることは、私は必要がないと思っております。

高山委員 今自民党の方で五万円以上にするかどうかということで、安倍総理から指示ということでしたけれども、松岡大臣は、今回のこの政治資金規正法の改正がもしまとまって、領収書添付だ、こういう話になるわけですよね。この点で、安倍総理からまた何か指示がありましたか。

松岡国務大臣 本来そういうこともお答えをする必要はないんですが、あえて言いますと、何も特別指示はございません。

高山委員 安倍総理からのきちんと指示があれば、松岡大臣は、きちんと光熱水費の内訳、これは公開するおつもりなんでしょうか。

松岡国務大臣 これは国会議員として、政治家として対応すべき問題であると思っておりますので、そのような判断で私はいたしたいと思っております。

高山委員 その政治家として対応する、そのような判断の中身を教えてください。

松岡国務大臣 だから、それは法律の、これからどのように法律が定まっていくのか、その定めに従って対応するということを申し上げているのです。

高山委員 安倍総理からの指示に関してはどういうふうに対応されるんでしょうか。

松岡国務大臣 あるとかないとかも含めまして、今の段階で申し上げることはないと思います。

高山委員 安倍総理から、確かに法律は遡及効はないのだけれども、松岡大臣には、これだけ国民を騒がせたのだから、みずからこの五百七万円に関しては少なくとも説明していただきたいというような指示があるといいなと私は思っておりますけれども、仮にそういう指示があった場合には、それはもう法律の定め以上のことなんですけれども、公開されますね。

松岡国務大臣 高山委員が安倍総理の立場に立ってそういうことを私に、そうだった場合はというような御質問でありますが、そういう仮定のことには予断を持って答えることは控えたいと思います。

高山委員 委員会で平委員の私が質問しても答えない。法律の基準といっても、それも遡及効がない。そうすると、これは総理のリーダーシップでこの国民の疑惑を晴らしていただかなければいけないなと思うんです。

 だから、もう一回聞くんですけれども、安倍総理から、法律では確かに遡及効はありません、だけれども、安倍内閣の一員として、疑惑を国民から持たれた分、きちんと説明して疑惑を晴らしてくださいと言われましたら、その去年、おととしの分に関しましても、きちんと新しい基準で説明していただけますか。

松岡国務大臣 高山先生が高山先生の考えで、おもんぱかってのことでございますから、安倍総理がどのようなお考えを持たれるかということも含めて、私がここで答えることではないと思っております。

高山委員 官房長官は、遡及する必要はないんだというような、記者会見で言われていますね。それでまた、自民党の政調会長の方も、それは遡及する必要がないんだということでしたので、これはもうあとは、松岡大臣にきちんと今までの疑惑を説明させるのは安倍総理しかいないなと思って、私は、安倍総理が指示をされた場合には、松岡大臣、きちんと公開してくださいねというお願いをしているわけなんですけれども、それはきちんと私は公開していただかなければ、これは国民の皆さんも本当に納得できないと思いますし、五万円以上ということで幕引きということになったら、より政治不信が高まるだけなんじゃないのかなというふうに思いますけれども、時間が来たので、終わります。

西川委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。

 私は、民主党に、真に農業者のための農協改革本部というのが立ち上がりました、その事務局長を務めさせていただいておりますので、きょうは農協改革について質問をさせていただきます。簡潔な御答弁をお願いしたいと思っております。

 しかし、まず松岡大臣にお聞きしなくちゃならないんですけれども、先ほどは私どもの高山委員から大変適切な厳しい意見が、たくさん質問が出ましたけれども、私の方からは、前回もお勧めをいたしましたが、ぜひ、説明責任を果たすか、それともすっぱりと辞職をするか、どちらか明確にされることをお勧めしたいと思います。

 このままずるずる内閣改造まで居座るということになりますと、一番得をするのは安倍総理かなと。本当に、そういった意味では、松岡大臣は、私が余計なお世話をするんですが、きっと次の選挙は苦戦するだろうな、そんなことを考えると、佐田大臣のようにすっぱりやめちゃった方が辞職もしないで済むということで、これは本当にそれをお勧めしたいな、こう思っております。そして、やはり捲土重来といいますか、それを期した方が松岡先生のためになるのかなと私は思っておりますが、これはどちらを選ぶかは大臣の心一つでございます。いかがですか。

松岡国務大臣 福田先生の御指摘、御忠告として受けとめておきます。

福田(昭)委員 それでは、質問に入りたいと思います。

 まず、農協の性格と役割等についてお伺いをしたいと思います。

 一点目、農協の性格と役割についてでありますが、それはどのようなものなのか、念のため確認をしたいと思うものですから、教えていただきたいと思います。

山本(拓)副大臣 御案内のとおり、農協は、農業生産力の増進及び農業者の経済的社会的地位の向上を図り、もって国民経済の発展に寄与するため、農業者の協同組織の発達を促進することを目的としており、農業者が自主的に組織する団体として位置づけられております。

 また、農協は、農協法において組合員のために最大の奉仕をすることを目的として事業を行うものとして位置づけられておりまして、中でも総合農協においては、組合員の利便性の向上を図る観点から、経済事業、信用事業、共済事業等を総合的に営み、窓口を一元化したサービスを提供しているところでございます。

福田(昭)委員 ありがとうございました。

 農協の役割みたいなものについて話がございましたが、農協は、営利を目的としないというようなことから非営利法人、また、公益を直接の目的としないというようなことから中間的な非営利法人だ、そのような位置づけがなされているようでございますが、そうした性格と役割、このことについては今後変わらないんだと思うんですが、いかがでしょうか。

山本(拓)副大臣 自主的な団体でございますから、非営利ではございますが、組合員のために、組合員の合意のもとで運営を決めておられるところであります。

福田(昭)委員 それでは、農協の今後の日本の食料・農業・農村における役割ですけれども、食料・農業・農村基本法及び基本計画における農協の役割について、どんな役割が期待されるのか、教えていただければと思います。

山本(拓)副大臣 食料・農業・農村基本法においては、農協を初めとする農業団体は、その活動に当たっては、食料の安定供給の確保、多面的機能の発揮、農業の持続的な発展、農村の振興という四つの基本理念の実現に主体的に取り組むよう努めるものとして位置づけられております。

 また、この法に基づき策定される食料・農業・農村基本計画においては、食料自給率向上に向けた農業団体の役割として、農協についても、国産農作物の需要拡大と生産拡大に積極的に取り組むことなどが位置づけられております。

 さらに、同計画においては、農村の振興に関する施策として、都市と農村の交流の促進に関し、都市の学校関係者等と農協を初めとする農業団体の連携による都市と農村の相互の情報発信の強化などが位置づけられているところでございます。

福田(昭)委員 それでは、続いて、米政策大綱及び品目横断的経営安定対策、並びに農地、水、環境向上対策における農協の役割というものはどんなものが期待されているのか、教えていただきたいと思います。

福井大臣政務官 今、三本柱における農協の役割でございますけれども、それぞれ重要な役割を果たしていただいております。

 まず、品目横断ですけれども、担い手の育成の総合支援協議会がございますけれども、その構成団体として参加をしていただいて、そして、農政事務所等、我々の方と緊密に連携をとっていただいているということでございます。対策の普及とか啓発とか担い手の育成、確保、これを中心的な役割でやっていただいているということのほかに、具体に言いますと、農業者の過去の生産実績と当年の生産数量、これを証明する資料を提供させていただいていますし、対象者の交付申請手続に際しての事務委託を受けるなどの支援をして、積極的に応援をしているということでございます。

 さらにまた、米政策におきましては、市場のシグナル、価格情報あるいは需給に関する情報をもとに、みずからの販売戦略、農協が考える、売れるものを売っていくというみずからの販売戦略に即しました生産を実行していくシステムへ移行するところでございまして、農協は、需給調整システムのまさに中核的な役割を担っているということでございます。

 最後に、先生御指摘の農地、水、環境につきましては、これは地域の幅広い関係者の参画がないといけませんが、農協におきましても、まさに中核的な組織の一員として参画をしているということでございます。

 よろしくお願いします。

福田(昭)委員 この三つの対策についても農協の果たす役割は非常に大きいと思うんですが、そうした中で、今、まだ全部集計ができておりませんが、全国の農協にアンケートを出しておりますけれども、私の県の中央会からいただいた回答によりますと、特に集落営農ですね、経営安定対策の中での集落営農組織をつくることについてはうまくいっているか、まずいかというような質問をいたしましたところ、まだどちらとも言えない、何とも言えない、なかなかうまく進まないという回答が来ましたけれども、このことについてはなかなか難しいようでして、農協職員の中にも、何でこんな、それこそもう時代錯誤の、ソホーズ、コルホーズ、人民公社と同じようなものを何でやるんだ、こういう声があるほどのものでございまして、こういうものは今後改善していかなくちゃならないんじゃないか、そのように思っているところでございます。そして、農協にはもっとしっかり頑張ってもらうところがあるんじゃないか、こう思っております。

 農協はこれからもっと頑張ってもらわなくちゃならないんですが、そうした中で、例の政府の総合規制改革会議では、農協三分割論といいますか、経済事業、信用事業、共済事業、この三つを分割するべきだというような意見があるようでございますが、こうした意見に対してはどう考えているのか、教えていただきたいと思います。

福井大臣政務官 今おっしゃいましたように、現場の情報が一番大事ということで、またいろいろな活動でそごがありましたら教えていただきたいと思います。

 今おっしゃいました規制改革・民間開放推進会議の件でございますけれども、前提として、全く変えないということはもちろんございません。時代に即応した改革を進めるというのは当然のことだと思いますし、農協は農業者みずからが組織した民間団体でいらっしゃるわけですから、その改革も農協及び組合員みずからが行うべきというふうに農水省としては考えておる次第でございます。

 現在、事実として、経済事業、信用事業、共済事業を総合的に営んでいて、そして窓口が一元化されている、一元化されたサービスを提供しているというのが事実経過だろうというふうに思います。

 この事実は、組合員である農業者みずからが選択してきたわけでございますので、国が強制的に分離する、分割を進めるということにつきましては適当ではないというのが農水省の考え方でございます。

福田(昭)委員 余りにも経済至上主義で経済財政諮問会議が考えておりますので、その辺はしっかりと政府としても踏ん張ってほしいなというように思っております。

 五点目でありますが、五点目は国際協同組合七つの原則の適用についてであります。

 農協も協同組合ということですから、この協同組合の原則を基本に運営されているものと考えておりますけれども、中でも第四の原則、組合の自治、自立という原則についてどのように認識をされているのか、お伺いをしたいと思います。

福井大臣政務官 今おっしゃいました、いわゆる協同組合原則というのは、国際協同組合同盟、ICA、インターナショナル・コオペラティブ・アライアンスが定めているものでございます。現在の原則は、一九九五年九月の全体総会で採択されました協同組合のアイデンティティーに関するICA声明の中で、協同組合がその価値を実践するための指針として定められております。

 このICAには、我が国の協同組合の全国組織、我が国においても全中、全農、全漁連、全森連それから日本生協連など十二団体が加盟しておりますけれども、農協系統組織においても、みずからの意思でICAの協同組合原則を踏まえた事業運営を実施しているということでございます。

 以上、事実経過と、それから、先ほどおっしゃいました、このICAの声明の第四原則として「自主・自立」という項目は確かにございますが、これにつきましては、殊さらに今までも活動を制約したというふうには考えてございませんけれども、いずれにしても農協系の組織が加盟しているということは事実でございます。

福田(昭)委員 この自治、自立の原則につきましては、政治的にも経済的にも自立をするんだというのが基本だという考えのようでございます。

 その中で、それこそICAが言っているんですけれども、ヨーロッパにおいては、協同組合の世界には、政府の強烈な抱擁は協同組合にとってしばしば死の接吻に終わるということわざがあるそうでございまして、したがって、政治的にはしっかり中立を守っていかないとだめだ、中立では弱いので、今回、中立よりももっと立場を強固にするという意味で、組合の自治、自立という原則に変えた、こういう話でございますので、そういったことをぜひ農林水産省としても、大臣も副大臣も政務官も認識をいただければというように思っております。

 そこで、六点目の質問に入りますけれども、六点目は、農協の政治活動と選挙運動についてでございます。まさに組合の自治、自立にかかわる問題でございます。

 その一つ目でありますが、政治活動と選挙運動の違いについてであります。政治活動と選挙運動の違いについて、総務省の参考人からお願いをいたします。

久元政府参考人 まず選挙運動について、公職選挙法上の解釈を申し上げますと、選挙運動につきましては、特定の公職の選挙につき特定の候補者に当選を得させるため投票を得、もしくは得させる目的を持って、直接または間接に必要かつ有利な周旋、勧誘その他諸般の行為をいう、最高裁の判例によりますとそういうふうにされております。

 一方、政治活動は、一般的には、政治上の主義や施策を推進、支持し、あるいはこれに反対すること、また公職の候補者等を推薦、支持し、もしくはこれに反対することを目的として行う直接間接の一切の行為をいう、こういう非常に幅広い概念でありますが、公職選挙法上の政治活動は、この選挙運動にわたる行為を除いた行為をいうというふうに考えられているところでございます。

福田(昭)委員 そうすると、特定の選挙で特定の候補者を当選することを目的にやっているものは、政治活動とは言っているけれども本当は選挙運動だ、こういうふうに解釈してよろしいですね。

久元政府参考人 選挙運動の定義につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。

 公職選挙法上の政治活動というものは、政治活動から選挙運動を除いたものということで、概念上は明確になっているわけでありますけれども、実際上は、個々の行為について、一体それはどちらに当たるのかということについては紛らわしい行為があることは事実であります。

 そういうことから、公職選挙法は、第十四章の三ということで、選挙時における政治活動の規制について一定のルールを置いておりまして、選挙運動と紛らわしい政治活動についてルールを置くということでこういう問題に対応しようという考え方の制度ができているというふうに理解をしております。

福田(昭)委員 いろいろな判例から選挙運動については限定されて決められているようでございます。

 政治活動と選挙運動は違うということだけは明確だということですね。具体論はいずれにしても。

 二つ目でありますが、公職選挙法と政治資金規正法の定める寄附行為についてお伺いをしたいと思います。そちらは、公職選挙法と政治資金規正法の定める寄附行為については、同じものなのか、あるいは違うものなのか、その辺をお伺いしたいと思います。

久元政府参考人 二つの法律におきましては、寄附については定義規定が置かれております。

 公職選挙法上の寄附とは、「金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付、その供与又は交付の約束で党費、会費その他債務の履行としてなされるもの以外のもの」というふうに定義をされております。

 一方、政治資金規正法上の寄附ですが、「金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付で、党費又は会費その他債務の履行としてされるもの以外のものをいう。」というふうに定義をされておりまして、この政治資金規正法における寄附には財産上の利益の供与または交付の約束は含まれないというところで異なっているところでございます。

福田(昭)委員 それで、寄附については金銭以外のものも含まれる、こういうふうに解釈してよろしいですね。

久元政府参考人 先ほど申し上げました定義からはそのように解されているところでございます。

福田(昭)委員 それでは、具体的な寄附行為違反にかかわるようなものについて、これから何点かちょっと質問をさせていただきます。

 まず一つ目は、例えば、農協の職員を特定の候補者の運動員または労務者として派遣することは寄附行為に当たると思いますが、いかがですか。

久元政府参考人 具体的な事実関係を承知する立場ではありませんので、あくまでも一般論としてお答えさせていただきたいと思います。

 企業や団体がみずからの活動として政治活動や選挙運動を行うということ、そしてその活動が政党や候補者を支援するということは一般的には許されるわけでありますけれども、労務の無償提供といったような場合が、先ほども申し上げましたような寄附に当たると考えられる場合には、これはそういう規制を受けるというふうに考えられます。

福田(昭)委員 ということは……(発言する者あり)落ちついて落ちついて。

 要するに、選挙運動の運動員あるいは労務者として派遣するということは確実に寄附行為だということです。これは確認をさせていただきました。

 それから、二つ目であります。

 次の質問ですが、農協の建物や敷地に特定の候補者の後援会連絡所の看板を置かせることは寄附行為に当たると思いますが、いかがですか。

久元政府参考人 念のためですけれども、先ほどから申し上げております政治資金規正法の規定につきましては、農協がそれ以外の団体ということについて特に区別が行われているわけではありません。

 そういう前提で今の御質問について申し上げますと、みずからの団体がみずからの活動として行う政治活動、選挙運動、これは公選法のルールに従って行う限りは許されるところでありますが、土地、建物、施設などの無償の提供が寄附に当たるというふうに考えられる場合には、先ほどから申し上げております制限、ルールの対象になるというふうに考えております。

福田(昭)委員 ということは、違反だということですね。寄附行為に当たるから違反になるということ、要するに無償で置かせているということですから。まず、これは二つ目、確認させていただきました。

 それから三つ目でありますが、三つ目は、例えば何々政治連盟というのがあります。県によっては興農政治連盟とかいろいろありますけれども、そういう政治連盟の会長の名前で文書を出して、あて先は農協の役職員であったり農協の職員であったり、そうしたところに通知を出す、つまり、農協の連絡網を使って選挙運動をやっているわけです。これも私は寄附行為に当たるんじゃないかなと思っているんですが、これはいかがですか。

久元政府参考人 寄附に当たるかどうかということにつきましては、先ほどの寄附の定義ということから御判断いただければと思いますが、今御指摘がありましたような行為ということは、同時に、政治資金規正法の寄附のほかに公職選挙法の選挙運動に関する規定の対象になる、それはその具体的な行為の態様によって具体的に判断されるべき事柄であろうかというふうに存じます。

福田(昭)委員 要するに、何々政治連盟から何々政治連盟の会員あてなら構わないと思うんですよ。そのルートを通していたらいいと思うんですよ。ではなくて、まるっきり農協の本店や支店を通して文書を出して、選挙運動のための集会をやっている、あるいは生産部会の組合員を使ってやっている、これは確実に全く違反行為につながっているのではないか、私はこのように思っております。

 それから……(発言する者あり)まあ、質問しているんだから、静かにしてください。

 それから、その次、四つ目ですね。全中または全農等の職員が休職できるのはどんな場合ですか。お聞かせいただきたい。

高橋(博)政府参考人 農業団体も含めまして、一般の民間の団体の職員の休職につきましては、基本的には、労使協議の上で、各団体で作成しております労働基準監督署に届けております就業規則、そこでそれぞれの扱いが決まっているところでございます。

 例えば、一般的には、公務によります休職、あるいは事故、あるいは療養、あるいは労働組合の専従問題、あるいは育児、介護等、それぞれごとに団体ごとで労使間で調整した上で、休職の規定が定められているというふうに承知しております。

福田(昭)委員 例えば、選挙運動をやるために休職は可能ですか、その就業規則の中で。

高橋(博)政府参考人 先ほど来申し上げておりますように、この就業規則というのは、労使間におきまして交渉の上で、労働基準監督署に届けられているものでございます。

 私ども農林水産省といたしましては、確かに農協一般を指導しておりますけれども、労働基準法制の適用関係についての監督という立場からは、このような就業規則の詳細については承知しておりませんけれども、一般的に就業規則の中で定められているものというふうに承知しております。

福田(昭)委員 いずれ調べればわかることなんですけれども、まさか休職の理由に選挙運動に従事するためというのはないと思うんですが、常識的に考えて、選挙運動に従事する期間、休職命令を出して選挙運動に従事させるというようなことが可能とは思わないんですが、それはいかがですか。

高橋(博)政府参考人 先ほど来申し上げておりますとおり、休職の関係につきましてはそれぞれの団体の就業規則の中で定められているものでございまして、その運用についても当該就業規則にのっとってされているものと承知しております。

福田(昭)委員 それでは、ぜひ早急に調べて連絡をしてください。なぜかというと、農協改革の中で皆さんが一番何が大事だと言っているんですか。法令遵守、コンプライアンスと言っているんじゃないですか。そうしたら、しっかりとそれを調べて、ぜひ回答してください。きのうから事前に通告をいたしておりますので、しっかりと調べて、返事を後でお待ちしております。急ぐ必要はありませんが。

 それでは、次、四つ目に移りたいと思います。

 四つ目は、農協系統、例えば全中とか全農とか全共連とか全厚連ですけれども、中央組織だけで結構でございますので、これらの受けている補助金はどの程度あるのか、ぜひ教えていただきたいと思います。

高橋(博)政府参考人 農林水産省から農協の全国団体に出しております補助金でございますけれども、これについては、交付実績が確定しておりますものについては、直近の平成十七年度の数字がございます。

 これを見てまいりますと、農林水産省から全国農業協同組合中央会に対しては十三億円、全国農業協同組合連合会に対しては千五百一億円、全国共済農業協同組合連合会及び全国厚生農業協同組合連合会については交付実績はゼロとなっております。

 この中で、全中に対します十三億円の内容は、お米の消費拡大対策等の補助金となっております。また、全国農業協同組合連合会、全農に対します千五百一億円につきましては、このうちの八割は、これは旧制度になっておりますけれども、麦の交付金あるいは大豆の交付金など、麦、大豆等の生産者に対します助成金について、事務の効率化等を勘案して、農業団体を経由するという形で全農に支払われたものが最終的に農業者に支払われるものが千百九十六億円、そのほかに、全農を直接支払い対象としているものにつきましては、農業者の高品質、低コスト等のための共同利用施設の設置などについて三百五億円となっているところでございます。

 なお、今申し上げました千百九十六億円の大宗を占めております麦の助成金あるいは大豆の交付金につきましては、本年度から品目横断的経営安定対策の実施に伴いまして、直接農業者に今後支払われるということになってまいりますものですので、こういったような形での系統機関の経由ということはなくなる予定になっております。

福田(昭)委員 そうすると、確認ですけれども、最終的に全中に残るのは、全中の活動資金みたいなものだけですか。米の対策みたいなお金だけですか。

高橋(博)政府参考人 先ほど申し上げました、全国農業協同組合中央会に対しまして十七年度で十三億円の補助金が出ておりますけれども、これを詳しく申し上げますと、お米の消費拡大に対します補助金が九億五千万円弱、それから、全中によりますJA・農業・農村サポート機能活性化促進事業ということで、指導事業に対します助成が二億三千万円弱という形になっております。

    〔委員長退席、近藤(基)委員長代理着席〕

福田(昭)委員 それでは、全中、全農とも、補助金としては残るけれども、ゼロになるわけではないということですか。

高橋(博)政府参考人 先ほども申し上げましたように、全国農業協同組合中央会に対しましては、補助目的といたしまして、米の消費拡大等の事業を実践してもらう、その事業の経費に必要な補助金として支払われているものでございますし、また、全国農業協同組合連合会につきましては、最終的に農業者に行かない部分につきましても、例えば、施設の設置費という補助目的にのっとった形で補助金が支払われている、いわゆる補助金でございますので、補助目的、補助事業というものをきちんと確認した上で助成をしているところでございます。

福田(昭)委員 では、補助金をいただかないということはないということですね、基本的には。農家に直接行くものについてはできるだけ農家に直接出すようにして、それ以外のものについては農協もしっかりと補助金を受けているということですね。

 それでは、五つ目は、国または地方公共団体から補助金、負担金、あるいは利子補給などを受けている団体の寄附行為の禁止についてであります。

 政治資金規正法では寄附の質的制限を規定しておりますけれども、交付の決定の通知を受けてから一年間は政治活動に対する寄附ができないとされておりますけれども、その規定に農協も当然該当することは明らかだと思いますが、いかがですか。

久元政府参考人 農協もこの規定の対象になるというふうに考えております。

福田(昭)委員 農協は、ほかの労働団体と違いまして、補助金を受けているんです。ですから、当然、寄附行為の制限があるんです、皆さん。それをしっかり頭に入れていただきたいと思います。

 そこで、問題は、六つ目に入りますが、農協が政治連盟を結成して選挙運動を行うことについてであります。農協は、農協の名前ではなく、なぜ政治連盟を結成して選挙運動をやるのか、その理由について教えていただければと思います。政務官、いかがですか。

福井大臣政務官 ちょっと整理してお答えさせていただきますと、まず、農協の政治活動につきましては、何回か御答弁させていただきましたけれども、一般論としてもう一度整理させていただきますと、農協は農協の目的がございます。農業生産力の増進とか農業者の経済的社会的地位の向上が目的でございますので、この目的の達成に資する限りにおいて行う政治活動については、ほかの法人と同様、公職選挙法や政治資金規正法に抵触しない限り認められるものと認識をしているというのが農水省の立場でございます。なので、今先生御指摘の政治連盟を別の法人として結成していろいろ活動しているという理由は、農協関係者が関係者の自由意思に基づいて政治団体を結成して、政治活動を行うかどうかを決めるというふうに理解をさせていただいております。

 一般論として申し上げれば、先ほど申し上げました、農協の目的の達成に資するために種々の活動を行っているわけですけれども、農協が政治資金規正法などによって許容されている範囲を超えて政治活動を行う場合には、農協関係者の中で考え方を同じくする者が集まって、政治団体を結成して活動しているということと承知をしている次第でございます。

福田(昭)委員 それはちょっと違うんじゃないでしょうか。農協は、みずから定める協同組合原則、その原則の第四の原則に反しているということを承知しているんだと思うんですよ。政治的には中立だ、政治的にも経済的にも中立だという、そのみずから定める原則に反している。それは、農協中央会が中心となって、農協の職員に農協は政治的には中立だからと教えているわけです、研修所で。ですから、みずからの定めに反する行為をやるというのが一つだと思います。

 それからもう一つは、さっき言ったように、国や地方公共団体から補助金などを受けているわけですから、寄附行為が制限されているわけです。にもかかわらず選挙運動をやるためには、別な組織をつくらなくてはやれない、法律違反のおそれもある。そこで政治連盟をつくってやっているのと違うんですか。いかがですか。

福井大臣政務官 今先生の御指摘の点が、私どもと考え方のスタートが違うわけでございまして、我々の方は、今先生御指摘になりました、このICAの第四条、日本語訳をもう一度読ませていただきますと、「協同組合は、組合員が管理する自律・自助の組織です。政府を含む外部の組織と取り決めを結び、あるいは組合の外部から資本を調達する場合、組合員による民主的な管理を確保し、また、組合の自主性を保つ条件で行います。」ということで、我々としては、自主、自立の趣旨、つまり、協同組合は、組合員が管理する自律、自助の組織であって、外部の組織と取り決めを結ぶ場合に、組合員による民主的な管理を確保すること、そして、組合の自主性を保つという条件で行うということに終始しておりまして、政治活動といえども、このような指針を踏まえて行われるものとしては、特段特定をして問題はない、第四条に抵触するものではないというふうな考えが私どもの考えでございます。

 ちょっと先生の出発点と違いますので、今一般論で御答弁申し上げましたことと先生のお考えが若干ずれているということでございます。

福田(昭)委員 それは違うと思いますね。

 私、ここに「新 協同組合とは」ということで、協同組合経営研究所、もちろん農協や生活協同組合ですね、協同組合がみんなして参加してつくっている協同組合経営研究所でつくっている協同組合の教科書を買ってきました。これを読んでみます。全く認識が違うと思います。

 協同組合と政治の関係については、二つのポイントがあります。

  第一は、組合員個々の政治的信条が尊重されるべきであると同時に、組合全体が特定の政党や政治運動に従属するものであってはならない

と書いてあります。

 その意味で政治的に自立した存在であるべきだということです。協同組合は、どんな政治的信条をもつ人であっても、ともに集まり、ともに行動する開かれた組織でなければなりません。

こう第一に書いてあります。

 二つ目のポイントでありますが、

  第二は、組合内部で意見の統一がはかられる限りでは、いつでも政治に対して自由に発言し、自由に行動すべきだということです。協同組合は、単に経済的利益のみを追い求める利益集団ではなく、人びとの協同によって社会を少しでもよくしていく運動体として、市民運動などとも協力しながら、政治にも積極的にかかわっていくことが求められます。したがって政治への発言も、単に自分たちだけの利益という狭い観点でなく、よりよい社会への接近をめざす立場から行なわれるべきです。

ということで、まさに、政治的にも経済的にも自由な立場でやるんだというのが協同組合の自治、自立の原則だということです。

 したがって、特定の候補者を応援するということじゃなくて、農協がやる政治活動というのは、それこそ皆さん方、農林水産省の大臣初め役人の方々に日本の農業かくあるべしという提言をするのは、これはまさに農政活動、農協の政治活動ですよ。それと、特定の候補者を応援するのは政治活動じゃない。これは選挙運動なんです。(発言する者あり)選挙運動なんですよ。

 だから、今はここの問題を、農協の問題、それは今厳しい環境の中にあって、農協の存続そのものも危ぶまれている、そういう状況の中にあって、この後の議論の中でちょっとさせていただきますが、農協をこれからしっかり活性化させて、本当に日本の食料・農業・農村を守るためには、やはり原点に返るほかないと私は思うんですよ。原点に立ち返って、農協を再生させるほかないと思うんですよ。

 そういった意味から、さっき御紹介したように、政府の強烈な抱擁はしばしば死の接吻に終わるということわざがヨーロッパにあると紹介いたしましたが、まさに、農協が特定の政党、特定の候補者にこだわるとそういうこともあり得るという経験をヨーロッパでは既にしてきたということなんです、これは。

 ですから、そういったことをやはり念頭に置いて、原点に返って農協をしっかりと再生しなければ、これからの大変な時代に、農協はそれこそつぶれるほかないというふうに私は思うんですよ。事実、私の地元の農協の専務さんなんかは、もう農協はだめだわということで、専務さんをやめて、自分でみずから農業をやる会社なんかを立ち上げちゃいましたけれども、実は、現場ではそんな実態もあるわけです。そんなことを考えると、やはりここはしっかりとやらなくちゃだめだと思うんですね。

 問題は、農協中央会からの回答がここにあるんです。これは我が県の中央会でありますが、こう書いてあるんですね。「農協は、農業生産力の増進、あるいは農業者の社会的・経済的な地位の向上を図ることを目的とした団体であり、他の法人と同様、公職選挙法、政治資金規正法に反しない範囲で、目的を達成するための政治活動は認められるものと考えている。」ここは私もいいと思うんですよ。さっき私が申し上げたように、農水省やあるいは都道府県や市町村に対して、我々の農業はこうあるべきだ、我々こう頑張るから、ぜひ行政でも理解して応援してほしい、そういう農政活動というのは十分やっていいことだと思うんです。

 その後、こう書いてあるんですね。「選挙活動については、志を同じくする農業者等が結集する政治団体によって行われるべきだと考えており、」だから、農協もちゃんとこれは危ないということを承知しているんですよ。承知しているから、こうした志を同じくする人たちが集まって、「栃木県興農政治連盟をつくり活動しており、何ら問題はない。」こう書いてあるんですよ。しかし、問題はないんじゃなくて、私に言わせれば問題がいっぱいあるんですね。

 それは、先ほど申し上げたように、全く、すべてのものが興農政治連盟のものによって行われればいいんですよ。ところが、名前だけが興農政治連盟で、実際に使っているのは農協の建物であったり電話であったり、すべて農協の財産を使って、あるいは組織も使ってやっているのが実際の選挙運動でして、ですから、そういった意味で本当に問題があるんですよ。

 ですから、政治資金規正法上からいえば、ともすると、二十六条の四の寄附等のあっせんに係る威迫的行為の禁止違反の疑いなんかもある。これは、ある農協では何か無理やり千円か二千円カンパさせられたとか、そういうような苦情があったり、あるいは二十六条の五で、意思に反するチェックオフの禁止違反の疑いの声もある。何か給料から後援会費を天引きされちゃったというような話もある。

 ということになると、これは本当に一人一人の自由な意思に基づいて選挙運動が行われているとは思えないんですね。そういう事実があるから、それこそ、単に農協の経営がまずいからだけじゃなくて、そんなこともあって農協離れがどんどん進んでいるということなんですね。

 ですから、そうした状況をやはりしっかりと直していくというのが農協を再生させるに当たって大変重要な点だ、私は実はこう考えているんですね。これから我々もちょっと確認をしてみたいと思っていますが、もしこんなことが本当だったら、完全に捕まっちゃうんですよ。本当だったらこれは逮捕されちゃうんですよ。

 ですから、全く、私もそんな被害者は出したくありませんから、そういう意味で、先日、実は、紳士的に農協の皆さんと意見交換してきたんです。でも、残念ながら、この辺はよく理解していない。先ほどから理解していない言葉も議員さんからも出ていますけれども、農協自身がよく理解していないんですよ。だから、この辺はしっかり農水省としても指導していく必要があるんじゃないかというふうに私は考えておりますが、いかがですか。

福井大臣政務官 先生の現場主義にはいつも敬意を表させていただいておりますけれども、もう一度事実経過を整理させていただきます。

 先生御指摘の第四条が、一九六六年の第二十三回ICA大会で「政治的・宗教的中立」という今まであった項目をわざわざ除外したので今第四条があったということなんですが、これを除外した理由に我々が考えをいたしている根源があるわけでございまして、解説によりますと、「政治的・宗教的中立」という項目をわざわざ外した理由は、さらにまたモディファイして私の言葉で言いますと、一〇〇%従属するような政治的な活動というのはいかぬだろうということなので、「宗教的・政治的中立」という項目をつくったら、本来あるべき自由な発言、本来あるべき自由な活動というのが阻害されるということで、わざわざ取られたということでございます。

 したがって、先生のお考えが変わらないことは重々承知しておりますけれども、我々は、そういう解説も踏まえた上で、この政治的中立という項目が除外されたという事実経過も踏まえた上での考えでございます。

 先ほどから繰り返しになりますけれども、先ほど御答弁申し上げたように、政治連盟を結成するという理由は、まさに今先生がおっしゃった、関係者の自由意思に基づき行われているということでございますし、政治活動についても、目的達成に資する限りにおいて行う政治活動については、公職選挙法、政治資金規正法に抵触しない限り認められる、自由だということでございますので、そういう制約のもと、境界条件のもとで一番重要なことは、関係者の自由意思に基づいて、政治団体をつくった上での選挙活動なり、ふだんの政治活動なりが行われているということが重要だというふうに思っているわけでございます。

福田(昭)委員 どうもそこの認識が違うんですけれども、政治的な中立では弱過ぎるということで、自治、自立の原則に変えたわけですよね。ですから、政治的中立を守らないために変えたんじゃなくて、政治的中立では第三者的だ、傍観的だ、それでは主体性が出てこないということで、実は、政治的な中立よりもっと踏み込んで自治、自立の原則を打ち立てたんだとこの解説書には書いてあります。

 したがって、こういうふうに書いてありますよ。説明の中では、

 たとえば日本の農業政策においては、産業組合法の制定以来、とくに農協の組織化が伝統的に重視され、国の保護や指導を受けながら発展してきた面があります。しかし、協同組合がこうした位置づけに安住してしまうと、みずからの主体性と活力を低下させる危険があることを忘れてはなりません。

と書いてあります。

 したがって、先ほども話がありましたけれども、国からの補助金が少なくなるということはいいことだと思うんですよ。そういう意味では、農協が経済的にも行政の下請はやめる、そういう方向に向かっていくということは、これは大事なことだと思いますし、また政治的にもやはり下請はやめる、そういう立場に農協がこれからなっていかないと、農協の発展というのはないんじゃないでしょうかね。私はそう思っているわけであります。

 だんだん時間もなくなってきましたので、最後の方の質問に移らせていただきますが、この辺は平行線だと思いますが、けが人が出ないようにぜひ御指導のほどをお願いしたいなというふうに思っております。

 それでは次に、農協改革の基本方向について、これは、平成十五年の三月に、農水省の方に農協のあり方研究会というのができて、その報告書が出たわけでございますけれども、その中で、農協系統の問題点、あるいは農協改革の理念及び方向、農協改革の推進力、行政との関係などについて、五点にわたって指摘がされております。

 それらを踏まえて、農協自身における農協改革も行われたわけでございますが、まず、この農水省の研究会の報告書による農協改革は、現在どんなふうに進んでいるんでしょうか。その進捗状況についてお伺いをしたいと思います。

    〔近藤(基)委員長代理退席、委員長着席〕

福井大臣政務官 今先生御指摘の報告書、平成十五年三月に、農協のあり方についての研究会が出してございます。この中で、確かに改革も進んでいるけれども、おくれている農協があるんじゃなくて多いという御指摘でございました。

 経済事業に係る改革の理念や方向として、農協系統は、農業者、特に担い手、そして消費者に選択してもらえるようにするということが基本であるという、全く精神論的な、基本中の基本を御指摘いただいた上で、国産農産物の販売の拡大、生産資材コストの削減などに取り組むべきというふうに指摘がされております。

 さらに、経済事業に係る農協改革の推進力として、農協中央会のリーダーシップの発揮、そして全農改革の断行などが必要であると指摘をされていますし、行政との関係につきましては、農協系統と農協以外の生産者団体とのイコールフッティングを確保すべきであるということが指摘をされております。

 この報告書を踏まえまして、平成十六年の農協法の改正で、全中が農協改革を強力に指導する仕組みができました。これは先生も議論に加わっていただいたというふうに伺っております。

 全中は、十七年の三月に、組合の組織、事業及び経営の指導に関する基本方針を策定しました。そして、昨年十月に行われました第二十四回のJA全国大会において決議をしました。全中が決議をして、ことしの三月にこの基本方針を改定して、農協系統組織が一丸となって経済事業改革に取り組んでいるということでございます。

 我が省としましても、イコールフッティングを確保するために、平成十六年度以降の新規の補助金については、交付先を農協系統に限定しないという取り組みを行ってきたところでございます。

 しかしながら、この経済事業改革につきましては、全国組織である全農の改革がまず重要であろうということで、農林水産省において、十七年の十月、業務改善命令を発出いたしました。これに基づきまして全農から提出のありました改善計画の進捗状況について、四半期ごとに報告をしていただいておりまして、その都度、強力に指導しているということでございます。着実にやるべきところをやっているということでございます。

 この改革の成果につきましては、農業者、とりわけ担い手に確実に還元される必要があるわけですけれども、農林水産省としては、常日ごろ農業者と接している単協レベルでの改革も不可欠である、全国組織だけじゃなくて単協レベルで改革もどんどんやってくださいということで、あわせて強力に指導しているというのが現状でございます。

福田(昭)委員 私は、この農協改革の基本方向を読ませていただいて、こう思っているんですね。こういう考え方ではちょっと無理だというふうに思っています。

 それは、大事な思想が入っていないんですよね。やはり考え方は、これは地方行政と同じで、地方分権の思想ですよ。地域の単位農協に主体的、自主的にやはり任せる、そういう農協改革が大事だと思います。

 ですから、私に言わせていただければ、まず、三つ大きな原則を立てる。

 一つは、まず、単位農協中心の改革を徹底させる。そして、単位農協についてはできるだけ総合農協にする。やはり総合農協の強化策というのを考える。それから、全国、県レベルの組織はむしろ一本化する。全中、全農、全共連、全厚連、みんな一本化しちゃう。これは、県レベル、全国レベルは一本化しちゃう。いつまでも分割なんかさせておかない。一本化してスリム化させるというのが私は基本かなと。そして、連絡調整、情報提供機能だけを全国レベル、県レベルはやる。

 問題は、単位農協が総合農協として自立できる体制をつくっていく、それが私は農協をしっかりさせる大きなポイントじゃないかなというふうに思っております。

 次に、もうそろそろ時間がなくなってきましたが、農協系統による農協改革についてでございます。

 農水省のそうした報告書を受けて、農協自身も、平成十五年の十二月に、全中が経済事業改革指針を立てたわけですね。それに基づいて事業目標と財務目標を定めて、平成十五年から十七年まで三年間、農協改革を進めたんですが、その実施状況はどんなふうになっているのか、ここでお答えをしていただきたいと同時に、もしそうしたまとめたものがあれば、後ほどぜひ我々のところに提出をしていただければありがたいと思いますが、いかがでしょうか。

山本(拓)副大臣 御案内のとおり、今、農協改革を進めているところでございますが、全中において、農協系統全体で取り組む経済事業改革の共通の目標を定めていただいているところでございまして、それを実現するために、平成十五年に、経済事業改革指針というものを策定したところでございます。

 丁寧に申し上げますと、いわゆる本指針においては、事業目標として、例えば、農協における農機事業やAコープ事業については、十七年度までに収支均衡を実現することといたしておりますが、赤字農協の割合は、農機事業では、十五年度の六一%から十七年度には五七%に低下したものの、Aコープ事業では、六五%から八一%に増加をいたしております。

 また、財務目標といたしましては、すべての農協で農業関連事業について、原則三年以内に収支均衡を図ることとしております。十五年度に四一%であった赤字農協の割合は、十七年度に三八%に低下をいたしております。

 このように、十五年度に策定をいたしました経済事業改革指針は、一定の成果を上げておりますものの、その目標の達成にはまだ至っていないところでございます。

 経済事業改革については、全国組織であります全農の改革がまずもって重要でありまして、現在、農林水産省といたしましては、平成十七年十月に発出した業務改善命令に基づき全農から提出のあった改善計画の進捗状況について、四半期置きに報告をしていただき、その都度、強力に指導をいたしているところでございます。

 全中においては、昨年十月に行われた第二十四回JA全国大会における決議を踏まえて、十六年改正農協法に基づき十七年三月に策定した組合の組織、事業及び経営の指導に関する基本方針を本年三月に改定し、農協系統組織が一体となって、一層の経済改革に取り組んでいるところであります。

 農林水産省といたしましては、農協系統が一丸となって経済事業改革を進め、改革の成果が農業者、とりわけ担い手に確実に還元される必要があると考えております。

 この経済事業改革チームの座長は副大臣である私が担当させていただいているところでございますが、要は、今回の一連の改革は、地域の農業者主役の農政改革が基本でございまして、まずは、生産者がそこでつくったものが効率的に消費者に届く、その流通、また消費者のニーズが的確に伝わるような仕組みを、全体のコストダウンの中で全体計画を書いているところでございます。

 あくまでも、我々としては、平成二十二年度に一連の全農改革が完了するという目標を掲げているところでございまして、初年度の計画はいまだでございますが、その都度のチェック状況によっては、それぞれ各農協の組合員の方が一連の改革の方で真剣に購入コストとか、それぞれ農協の総会においても全国各地区で活発な議論がなされておりますが、だんだんガラス張りで農業者のための農業改革の運営が地方から確実に芽が出てきているというふうに理解をいたしておりまして、当初の目的が確実に果たせるように、我々としても逐次監視と申したらなんですが、しっかりとバックアップしてまいりたいと考えております。

福田(昭)委員 私も地元の農協と意見交換してみて感じたのは、やはり農協のリーダーをどうやって育成するかだと思います。特に、経営感覚を持ったリーダーを、ある組合長が言っておりましたが、そういう人を育てるのが大変なんだ。ですから、途中で農業をやめて経営の方へ入っていけるという人がなかなかいない。そうした中で、定年制なんかもしかれてきたようですが、しかしなかなか、七十歳定年制をしいても、すぐ定年制を実行できないというようなことがあったり、では女性の理事を登用したらどうか、これもなかなか進まない、では青年はどうだ、これもなかなか進まない。

 ですから、そういったことを考えると、これは地方自治もそうですけれども、アメリカなどでは、市長と違ってシティーマネジャーというのがいまして、市政をしっかり管理している人がおりますけれども、農協も改正の中で経営委員会というのをつくったようですが、経営委員会を実際にやっているところはまだほとんどないというような状況もあります。そういった意味では、それこそ経営マネジャーみたいなものをやはりしっかりと養成して、単位農協をしっかり強化していくということも大事なことだと思います。

 それから、それこそきょう自民党の近藤委員からもありましたが、農地を株式会社に持たせるなんという経済財政諮問会議からの意見が出てきたようでございますから、そういった意味ですと、農業も小規模農家切り捨ての農政がスタートしたわけで、農協がこれからどうなっていくか本当にわからないような状況でありますので、これは与野党を超えた問題だと思いますので、しっかりと対応していく必要があるんじゃないか、そんなことを申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

西川委員長 次に、菅野哲雄君。

菅野委員 社会民主党の菅野哲雄でございます。

 大臣、農林水産行政は私は大事な時期と思っております。これまでも申し上げてまいりましたが、大臣として、国民の信頼を取り戻す努力を精力的に私は行ってほしいというふうに思っております。国際交渉も信頼なしには進みません。そして、今後、政府としての交渉力を強化するためにも、一つの方向をつけるべき時期であると考えるものであります。このことを申し上げておきたいというふうに思っています。行政の停滞を招いてはなりませんし、今WTO、EPAをめぐって大事な時期であります。今日の情勢を踏まえて議論を行いますので、政治判断を誤りないよう、的確な、長々とした答弁ではなく、ポイントを絞って答弁願いたいというふうに思っております。

 日豪EPAの第一回交渉が行われました。WTOドーハ・ラウンドをめぐっても、農業交渉のファルコナー議長が新たな文書を提案いたしました。ここで対応を一歩誤れば、日本農業が壊滅し、ひいては農村地域、自然環境の破壊が一気に進むことにもなりかねません。日本の農政にとって大変重要な局面にあることを指摘しながら、質問に入らせていただきます。

 最初に、アメリカと韓国が先月二日に合意したFTAについて質問いたします。

 米韓FTAでは、米が例外扱いとなったものの、牛肉、豚肉、果実などの重要品目が七年から二十年かけて関税撤廃となりました。果樹栽培、酪農、養豚業が崩壊するのではないかと、韓国では農業団体がこの合意に大反発しているのは周知のとおりです。

 そこで、大臣に率直にお伺いいたしますが、米韓FTAがこのような形で合意されると予想していましたか、そして、韓国の農家が大反発している今回の合意をどのように思いますか、大臣の感想をお聞かせ願いたいと思います。大臣でいいです。

松岡国務大臣 端的にということでありますから、短くお答えしたいと思います。

 まず、米韓は、それぞれのお互いの立場で国益を考えながら交渉をし、その結果妥結をしたものと思います。

 そこで、韓国において、米が例外扱い、今おっしゃいましたように、牛肉等につきましてはある一定の期間が来れば関税をなくす、こういった形で決まった、このように受けとめておりますが、まだ詳細は、私ども、今後公表されるでありましょう中身をしっかりと見きわめながら、米韓の関係がどうであったのか、十分分析をし、それをまた整理したいと思っております。

 その上に立って、我が国にとって米韓の交渉の内容といったものがどのような影響を与えてくるのか、こういった点について十分私どもはまたしっかりと認識をしなきゃならぬと思っています。

 経済界等を中心といたしまして、乗りおくれちゃいけないといったような空気が強いのもまた事実でございますが、そういう中で、誤ることのないように、見誤ることのないように、私どもはまたしっかりいろいろ見きわめながら対処していかなければならない、今は平たく言ってそのように受けとめております。

菅野委員 今後、米韓FTAはどういうふうに推移していくかというのは、まだ決定的じゃないということですね。

 それから、大臣、韓国の農家が大反発している今回の合意、このことをどう思うのかという質問もしているんです。今、韓国の農家の人たちは本当に非常に憤りを持って政府に抗議しているという現状があるというふうに思うんですが、このことをどう見ていますか。

松岡国務大臣 韓国の、他国のことを、私も政府の立場で、韓国の政府が決断したものについて、中に入った、内政的なものについて干渉的なことを言うのは避けたいと思っております。韓国は韓国なりの判断があったのであろうと思っておりますし、また一方、私もこれまで韓国の議員の皆様方とはウルグアイ・ラウンド以来ずっと行動をともにし、そしてまた共同していろいろ取り組んでまいったといったようないきさつもございますので、韓国の事情等も、国内的な状況、こういったものも私ども十分また参考にしながら対処していきたいと思っております。

菅野委員 次に、日豪EPAの第一回交渉についてお伺いしたいと思います。

 本委員会でも、米、小麦、牛肉、乳製品、砂糖などの重要品目は関税撤廃の適用除外とすべきという決議を上げております。アメリカとオーストラリアのFTAでも例外品目になったのは砂糖と乳製品だけという状況、さらには、米韓FTAでも例外品目は米だけ。この状況を見ると、オーストラリアとの交渉は甘い見通しなど立ちません。

 農水省として、第一回交渉をどのように評価し、今後の交渉をどのように進めていくつもりなのか、お聞かせ願いたいと思います。

松岡国務大臣 第一回の交渉は、もう既に先生御承知のとおりでありますが、四月の二十三、二十四日の両日にわたりまして、高級事務レベルという形で行われたわけであります。

 その結果決まりましたものは、平たく言えば、交渉の土俵、何を対象に交渉していくのか。物に加えまして、サービスや人の関係や、いわゆるEPAですね、そういった対象が、何を対象にするかということが決まったし、それから、二、三カ月に一回程度の割合で交渉を開いていこう、こういう交渉の枠組みといったものが今回第一回目で決まったと思っております。

 したがいまして、今後このような枠組みに従って交渉が行われ、七月の末ごろにまた東京で第二回目、このようなことでございますが、第一回目の交渉の評価ということにつきましては、土俵なり枠組みが決まった、こういうことでございまして、中身としてのどうこうということについての評価はまだできない状況でございます。

 いずれにいたしましても、先生御指摘ございましたが、衆参の両委員会におきまして決議をいただいております。したがって、今先生が品目を挙げられましたけれども、こういったものの除外なり再協議なり段階的な削減といったようなことは、私ども、交渉の前提としてつくってありきでありますので、まず、今御指摘になりましたような品目については、最大限の我が国の立場を貫いていくことができるように、そういう決意を持ってしっかり臨んでいく、このような考えであります。

菅野委員 重要品目が関税撤廃となると、北海道の一兆四千億円を筆頭に、全国各地の農業、関連産業に多大な影響を及ぼします。この日豪EPAに対して、日本農業新聞の世論調査だと八割が否定的。さらに、地方議会では、三十一都道府県そして六百四十一市町村議会から、日本の農業を守れという意見書が大臣あてに送付されていると報道されています。

 農業関係者や地方議会の多くが交渉の行方を心配しています。このような世論、地方議会からの意見書をどのように大臣として受けとめているのか、答弁願いたいと思います。

松岡国務大臣 結論的に一言で言いますと、極めて重く受けとめているというのが私どもの思いでございます。

 当然、国益と国益をこれはお互いに求め合って、そしてプラスを求めてこれはやるわけでありますから、このことによって地方が大変な打撃を受けたり、特定の産業がまた大変な死活問題になったり、そういったことがあってはならないわけでございまして、私どもは、重く受けとめまして、そして、今申し上げましたようなことが結果としてならないように、逆に、本当にプラスが成果として上がりますように交渉に臨んでまいりたい、このように思っております。

菅野委員 大臣、先ほども、韓国は高度な政治判断のもとに米韓FTAを結んでいこうという政治判断をしたんだというふうに思います。そのことによって世論は大反発を起こしている。やはり日本も国民世論がどこにあるのかということをしっかりと見きわめていく、そういうことは大事なことだというふうに思っています。

 それで、先ほども大臣言っていましたけれども、今、経済産業界が全面的に前に出て、バスに乗りおくれるなとEPA締結をあおっているのが私は現状だと思っています。しかし、幾ら日本の農業の構造改革を進めたとしても、国民一人当たり農地面積が日本の五百七十倍に達するオーストラリアを相手に、生産性や価格競争で勝てるわけはありません。拙速にオーストラリアとEPAを締結する必要性が私には理解できません。

 EPA交渉に当たって、農水省の談話では、重要な農林水産物が除外か再協議の対象となるよう粘り強く交渉する、こういうふうに、大臣も答弁していますけれども、言われております。そうであるならば、オーストラリアが関税撤廃の例外に難色を示した場合、農水大臣として、交渉の中断、凍結をまずは安倍内閣の中で主張する決意はありますか。私はここが大事だというふうに思うんですね。大臣としてのこれからの進んでいく方向に対しての決意として、お聞かせ願いたいというふうに思います。

松岡国務大臣 先生がおっしゃいましたように、オーストラリアと日本というものを比較すれば、特に農業の面においては大変な開きがあるということはそのとおりだと思います。

 そういう状況の中で、日本として、日本の農業を守っていくためにどのように交渉に臨んでいくか。これは何度も申し上げているわけでありますが、安倍総理の立場におかれましても、日豪首脳会談のときに言われております、センシティビティーなものについてはお互いにしっかりとそこは配慮すべきであると。あわせまして、交渉の期限を設けずにしっかりと交渉をしていくべきである、このことも申されておるわけでございます。

 したがいまして、私どもは、みずからの、我々の主張を貫くことができますように、粘り強く、そしてしっかりと交渉をやっていくというのが、まずは基本の交渉に臨む姿勢であります。

 したがいまして、相手もあることでありますが、今の時点から、予断を持ってどうこうということについては、まだ今始まったばかりでありますから、その点はちょっと予断を持った形では控えさせていただきたいと思います。しっかり臨んでいくということが基本であります。

菅野委員 このことについても少し後の方で触れたいというふうに思っていますが、次の質問はWTOの農業交渉についてです。

 四月の三十日にファルコナー議長から、チャレンジ文書と称した新たな提案がされました。そこでは、日本が強く否定してきた上限関税には触れていないものの、重要品目数を全品目の一から五%の間とする、一般品目でも関税削減率を六〇から八五%とするなど、日本にとっては大変に厳しい内容となっております。

 仮に重要品目数の割合が一%になったら、日本は十三品目だけ。これは米の十七品目ですらカバーできません。オーストラリアとのEPA交渉で米、小麦、牛肉、乳製品を例外品目にしようとしても、肝心のWTO交渉で例外品目にならなければ何の意味もありません。

 そこで、この議長文書の内容を大臣はどのように評価しているのでしょうか。お聞かせ願いたいと思います。

松岡国務大臣 これも一言で言いますと、トータルで言えば、とても受け入れかねる、したがいまして評価できない、こう思っておりますが、評価できるところは、今先生もおっしゃいましたように、上限関税については言及されていないということについては、これは多とする、こういう話であります。

 これは、先生、とらえ方はいろいろあるんですけれども、立場によって、国によって。しかし、今回のファルコナー・ペーパーというのは、ファルコナー議長自身が、その三十日の日、午前中、私と会談いたしました。とにかく皆さん不満でしょう、しかし、不満をぶつけて大いに議論を活発化してもらう、こういう目的で出しました、こういうふうに彼は言っておりました。しかし、不満の度合いも違うということも私はその場で申し上げたわけであります。

 というのは、市場アクセスという面について言うと、最上位階層の削減率、これはEUが一番問題にしており、またEUが一番受け入れられないと言っているところでありますが、これについてはEUとアメリカの間だと。ということは、数字が出ていますから、もう数字が想定できる、こういったことを言っておりますし、一方、一番の問題でありますアメリカの国内支持につきましては、どうも百九十から下ということは言っているなということはわかりますが、また、どうも百台の下の方と言っているけれども、それは十なのか二十なのか三十なのかわからない。我々の解釈では、ラミーさんもファルコナーさんも大体、これは言っていることを解釈すれば、百五十以下であるということは言っているけれども、しかし、それは市場アクセスに比べるとはっきりとした数字ということにはならない、したがって偏っている、これはやはりアメリカに有利な提案をしている、こういうことであります。

 まして、一から五%、この意味するところとは何かでありますが、一%というのはアメリカが主張しておった数字であります。それは下としてちゃんとその一%が出ておる。だから、アメリカは、砂糖が一番彼らは大変な問題でありますけれども、自分の砂糖の品目さえ守れないようなものも提案してきている。これは交渉のやり方で、悪魔の手法というんだそうでありますが、相手に反対させて自分の立場をかち取っていく、そして相手に譲歩を求める、そういうやり方なんだそうであります。

 いずれにいたしましても、お互いに、これはぎりぎりの国益をかけた勝負だ。日本だけが苦しいというか不満があるというわけじゃない。アメリカは国内支持を抱え、オーストラリアもカナダも国家貿易を抱え、EUも最上位階層の問題を抱え、インドを初めとする途上国もSPの問題を抱えておる。こういう非常に複雑な、多次元方程式みたいに組み合った中で、我々はどのような方程式をもって臨んでいくのか。この点については、いろいろなことを私どもは整理しながら、しっかりと対応して、日本の主張というものを最大限に実現していきたい、こう思っております。

菅野委員 日豪EPAとも、WTOの今日的なこれからの進む方向とも、私は密接に絡んでいくというふうに思っているんです。

 大臣もそう思っていると思うんですが、ただし、日本は食料純輸入国のG10グループで活動していますが、最近はアメリカとEUが水面下で調整を図っているようにも見受けられます。また、先月のG6の会合の前段で日本抜きでG4が開かれるといったように、ともすれば日本の主張の存在感が薄れているようにも見えます。

 そこで、主要農産物で関税撤廃となると、関税収入を補助金などに充てている日本の農業にとって、二重三重の痛手になります。大臣、今言ったようなんですが、日本の存在感をいかに示して、今後の交渉をどのように進めていくのか。私は、本当に大事な時期に来ているというふうに思っています。これからの進め方、今披瀝されました、日本としての、私は、農水大臣としてしっかりと主張していっていただきたいということを強く申し上げておきたいというふうに思っています。

 大臣、感想があったら述べていただきたいと思います。

松岡国務大臣 先生がおっしゃるとおりでありますが、お互いに自分の都合のいいところだけを重ね合わせて、そして交渉を進展させよう、こういたしますから、当然、輸出国は最大限に市場アクセスを広げさせたい、一方で、自分たちが輸出に有利な国内支持とか輸出競争の条件というものはそのまま持っておきたい、このような思いでやっていると思います。

 G4というのはもともと日本が入っていない枠組みでございまして、米それからEU、ブラジル、インドでございます。日本はそれに絡んでG6という立場を求めて、先般のインドでも、これは端的に言いまして、インドネシアに行かせていただいた、そのことによってインドでのG6がかち取れたと思っております。ナート大臣との信頼関係、こういったことは、インドがG6を、インドというその主催国の名において、日本との連携を図りながらやっていただいた。

 また、私どもは、EUとの関係も、いろいろと水面下でしっかりと連携をとりながら、次のG6の場面というものを今求めているところでございまして、この点についてもしっかり立場が反映できるような、そういう場というものを求めて努力をしていきたいし、いずれにいたしましても、その点については全力を尽くして私どもは取り組んでいるということを申し上げ、そしてまた、そういう決意で臨んでいるということを申し上げたいと思います。

菅野委員 大臣、大臣の決意はわかりましたが、国内で、WTOの流れを見ながらこのEPAやFTAを声高に主張しているのは経済産業界です。

 経済財政諮問会議のグローバル化改革専門調査会が、昨日、第一次報告を取りまとめました。そこでは、国際的なEPA、FTAの動きから日本が取り残されたら不利になるという、経済産業界の利益が大上段に振りかざされています。日豪EPAについて、確実な成果を早期に得ることを目指して交渉を積極的に促進すべきであると述べ、EPAが日本農業に与える深刻な打撃を考慮する姿勢が見当たりません。それどころか、アメリカとのEPAについて早急な共同研究を働きかけろとまで言っています。

 国際競争にさらされた方が日本の農業構造改革が進むといったような主張ですが、主要農産物の関税撤廃は、日本農業全体を根こそぎ崩壊させ、改革の基盤まで奪い去るとき、何とも無責任な私は主張だと言わなければなりません。

 大臣は、昨日の報告書をどのように受けとめておりますか。答弁願いたいと思います。

松岡国務大臣 内容は先生御承知で御質問をいただいていると思っております。しかしながら、改めて申し上げます。

 きのうの報告、きょう、実は五時半から経済財政諮問会議がございまして、私はそこに臨むわけであります。そして、委員の方々といろいろ議論をするということになると思いますが、一言、端的に申し上げまして、私は、言うべきものはしっかりと申し上げまして、そして、考え方というものについて委員の先生方にも御理解をいただきたいと思っております。

 特に、国際交渉ということになりますと、お互いに駆け引きですから、それを最初から縛ってしまうようなことを、国内においてこれを明らかにしてしまうということは、これはもう交渉自体が手足を縛られますから、それはまずないようにしていただきたいし、それから、グローバル化という中で、余りにも一足飛び的なことになりましても逆にまた改革も進まない、こういうことでもございますので、この点につきましては、大体菅野先生が思っておられることと似通っているといいますか重なっている部分はあると思っております。

 そういうような観点で、先生も時間を気にされておられますからこれでやめますが、専門調査会の結果、きょうの経済財政諮問会議での議論にはしっかりと臨んで対処してまいりたいと思っています。

菅野委員 大臣、私はこの昨日の文書を読んでびっくりしたんですが、「はじめに」という項目にこう書いてあります。「今後、EPA交渉で主導権を発揮するためには、改革の進んでいない岩盤のような分野における取組が不可欠である。特に、農業については、これまでのEPAは農業への影響が比較的小さいものにとどまっていたが、今後は、日豪EPA交渉をはじめ本格的な交渉が必要になる。グローバル化を恐れる農業ではなく、グローバル化を梃子として強い農業を目指すことが、我が国の農業経営者にとっても、消費者にとっても重要である。」これが経済財政諮問会議の基本の問題意識だと「はじめに」に書いてあるんです。

 このことを考えたときに、私は、大臣の本当に果たすべき役割というのは、先ほど申し上げましたように、安倍内閣の中で本当に体を張って経済財政諮問会議の方向と対決していく強い決意がなければならないと私は思うんです。

 それで、この報告書の基礎となる議論を進めてきたのはEPA・農業ワーキンググループですが、このメンバーには農業関係者が全く含まれていません。失礼な言い方かもしれませんが、農業と無関係な方々が、机上の市場原理を持ち出して農業を論ずること自体が間違っていると私は思っているんです。こういうメンバー構成は改めるべきだとこの場で私は強く主張しておきます。

 そして、こういう一連の流れの中で私が懸念するものは、これまでの内閣は、経済財政諮問会議の答申をほぼそのまま受け入れて、骨太方針として閣議決定してきたことです。今回の第一次報告が閣議決定され、骨太方針にされたら、日豪EPAに関する本委員会の決議は真っ向から否定されたに等しいと私は思います。

 これから骨太方針二〇〇七を策定するに当たり、農水省として、農水大臣として、EPAやFTAに関する記述はどのようになるべきだと考えているんですか。一連の流れの中で、大臣のこれからの方向性をしっかりと示していただきたいというふうに思っています。

松岡国務大臣 経済財政諮問会議の場において、いろいろと議論があって、そこで整理されるわけでありますが、私どもは私どもの考え方を、WTO、EPA交渉に臨む考え方、何度も申し上げてきてまいりました。それが御理解をいただき、そしてまたその方向で位置づけをしていただきますように、また国内の改革におきましても、今大変な状況の中で我々は改革に乗り出したわけでございますから、そういった改革の方向に反することがないような御理解をいただくようにしっかりと対処してまいりたいと思っております。

 そして、経済財政諮問会議の場において理解をいただいて、そして皆様方からも十分御理解いただけるような方向にまとまっていただけるように私は取り組んでまいりたいと思っております。

菅野委員 大臣としての決意はわかりました。

 私は、安倍内閣の中で農水大臣としてしっかり主張していっていただきたいというふうに思いますが、そのためにも、本当に農水大臣として国民の信頼を得ること、このことが私は不可欠なんだということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

西川委員長 次回は、明十日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十三分散会


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