衆議院

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第16号 平成19年5月24日(木曜日)

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平成十九年五月二十四日(木曜日)

    午後三時三分開議

 出席委員

   委員長 西川 公也君

   理事 岩永 峯一君 理事 金子 恭之君

   理事 近藤 基彦君 理事 谷川 弥一君

   理事 並木 正芳君 理事 篠原  孝君

   理事 松木 謙公君 理事 西  博義君

      赤城 徳彦君    赤澤 亮正君

      伊藤 忠彦君    飯島 夕雁君

      小里 泰弘君    小野 次郎君

      岡本 芳郎君    加藤 勝信君

      北村 茂男君    斉藤斗志二君

      冨岡  勉君    中川 泰宏君

      永岡 桂子君    丹羽 秀樹君

      橋本  岳君    鳩山 邦夫君

      広津 素子君    福井  照君

      福田 良彦君    古川 禎久君

      保坂  武君    御法川信英君

      安井潤一郎君    渡部  篤君

      岡本 充功君    黄川田 徹君

      小平 忠正君    佐々木隆博君

      高山 智司君    仲野 博子君

      福田 昭夫君    山田 正彦君

      田端 正広君    菅野 哲雄君

    …………………………………

   農林水産大臣       松岡 利勝君

   厚生労働副大臣      石田 祝稔君

   農林水産副大臣      山本  拓君

   環境副大臣        土屋 品子君

   農林水産大臣政務官    永岡 桂子君

   農林水産大臣政務官    福井  照君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       藤崎 清道君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局長)            岡島 正明君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  山田 修路君

   農林水産委員会専門員   渡辺 力夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十三日

 辞任         補欠選任

  仲野 博子君     石川 知裕君

同日

 辞任         補欠選任

  石川 知裕君     仲野 博子君

同月二十四日

 辞任         補欠選任

  赤城 徳彦君     橋本  岳君

  今津  寛君     冨岡  勉君

  岡本 芳郎君     加藤 勝信君

  中川 泰宏君     安井潤一郎君

  森山  裕君     保坂  武君

  井上 義久君     田端 正広君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 勝信君     岡本 芳郎君

  冨岡  勉君     今津  寛君

  橋本  岳君     赤城 徳彦君

  保坂  武君     森山  裕君

  安井潤一郎君     中川 泰宏君

  田端 正広君     井上 義久君

    ―――――――――――――

五月二十四日

 カネミ油症被害者に対する特別給付金の支給に関する法律案(山田正彦君外二名提出、第百六十五回国会衆法第八号)

は委員会の許可を得て撤回された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 カネミ油症被害者に対する特別給付金の支給に関する法律案(山田正彦君外二名提出、第百六十五回国会衆法第八号)の撤回許可に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件

 カネミ油症事件関係仮払金返還債権の免除についての特例に関する法律案起草の件


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     ――――◇―――――

西川委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省総合食料局長岡島正明君、生産局長山田修路君及び厚生労働省医薬食品局食品安全部長藤崎清道君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。冨岡勉君。

冨岡委員 まず、ちょっとおくれましたことを委員の皆様方に深くおわび申し上げます。

 私は、九州比例、長崎の冨岡と申します。本日、質問させていただくに当たり、西川委員長初め地元の谷川理事、また今津委員初め皆様方の御配慮をいただきましたことに、まずもって感謝申し上げます。ありがとうございます。

 早速、カネミ油症事件経過を含め、このたび与党カネミ油症問題を検討する議員の会で取りまとめました救済案につきまして、若干の説明をさせていただきます。

 まず、カネミ油症事件の概要について説明します。資料一と二をごらんになっていただければと思います。

 もともとカネミ油症事件は、昭和四十三年に、西日本を中心にカネミ倉庫が製造した米ぬか油による食中毒事件でございます。この事件発生前に、ダーク油事件、カネミ倉庫製造の米ぬか油の副産物を含んだ配合飼料によるブロイラーの大量死亡も発生しており、本事件は、カネミ倉庫が製造した米ぬか油中に、脱臭工程の熱触媒として用いられたPCBが混入したことが原因と当初よりされていました。しかし、その後の油症患者さんよりPCBから生成されたダイオキシン類PCDFが検出されるようになり、現在ではカネミ油症の主原因はPCDFとされております。

 このカネミ倉庫が製造したカネミライスオイルを食べた方が、吹き出物や目やに、皮膚の黒いしみ、目まいや頭痛、肝機能障害の全身症状に見舞われ、今もこうした症状に苦しんでいるほか、黒い赤ちゃんの誕生など世代を超えた問題も発生しております。

 当時の被害届者数は一万四千人、油症認定患者数は千九百六人、うち平成十八年度末の生存患者は約千三百人おられます。

 ダイオキシンの恐ろしさは、資料三、写真に大統領の顔をつけておりますけれども、ちょっとごらんになっていただければと思います。非常に皮膚の変形が激しい。それがいわゆる仮説では、毒殺をしようとして服用されたんじゃないかというような、ユーシェンコ大統領の顔でございます。

 当時、油症被害者は、米ぬか油を製造したカネミ倉庫、PCBを製造した鐘淵化学工業、現在のカネカのほか、厚生労働省と農林水産省に対して損害賠償請求の提訴をいたしました。昭和五十九年から六十年にかけて、二つの下級審判決で農水省は敗訴し、これを受け、国は原告側八百二十九名に対して仮払金二十七億円を支払いました。

 問題は、その後、最高裁において国敗訴の判決が見直される可能性が高くなり、昭和六十二年に原告側が国への訴えを取り下げました。このため、仮払金について、国、農水省に返還請求権が発生し、平成十八年度末現在の未返還額が十七億円残ったことにあります。

 いまだ仮払金を返還できない背景には、仮払金の受給を受けた患者さんのほとんどがこの仮払金を当時、油症治療費として使用してしまっていることにあります。

 その後、カネミ油症の被害者救済について、平成十四年三月、坂口前厚生労働大臣により、油症診断基準にダイオキシンを加える見直しがなされ、以後、公明党の田端先生、山下栄一先生を中心に救済策の検討がなされてまいりました。

 私が国会へ来ました平成十七年は、カネミ油症問題は既に事件発生から三十七年もの長き年月を経ており、各地の被害者自身にもあきらめの雰囲気が強く、また、社会的にも既に過去の事件として扱われていました。

 このような状況の中、平成十七年八月一日、玉之浦町と奈留町の被害者がともにもう一度カネミ油症被害者救済を目指し、カネミ油症五島市の会を発足させました。各地の被害者が細々と活動を続けるのみという状況のもとで、この長崎県五島市の被害者再結集は大変大きな意味を持ったものだと思います。

 また、この五島市の宿輪さん、きょう、患者さんが後で見えられると思いますけれども、再結集に、中尾郁子五島市長はでき得る限りの支援をお約束いただき、救済の動きが急速に加速したわけであります。

 私は、長崎県五島の油症患者さんとは、長崎大学医学部の第二外科が昭和四十七年より奈留島で四十年近くにわたり続けていたがん対策を中心とした総合検診に昭和五十六年ごろより携わっており、県議になってからも五島市ができるまで検診に参加してまいりました。

 こういった関係から、油症問題のいまだ残る問題があるということを耳にしたとき、私も取り組むべきではないかと考え、公明党の坂口先生にお会いし、早速、五島出身である谷川弥一先生と相談し、まずは与党での議連の立ち上げとなり、自民党からは私、谷川先生、公明党から坂口、田端先生が呼びかけ人となり、二〇〇六年三月に議連を立ち上げました。

 ここで、カネミ油症問題の主要な論点は、一、油症患者に国が支払った仮払金債権の免除に関する問題、二、油症患者の健康被害への救済策、三、未認定患者の新認定基準、以上の三つでした。

 二〇〇七年四月には与党PTに格上げとなり、仮払金に着手することになり、救済策の検討経過としましては、油症事件発生後三十九年に加え、加害者が高齢化していることや、債権管理法の債権免除の履行延期後十年経過の要件を満たす債務者が出ていること等から、カネミ油症問題について、政治的に解決を求める動きが活発化しました。

 資料四に示しますように、法律以外の救済策として、一、健康実態調査の実施と研究調査協力金の支給、二、従来より行われてきた油症研究の一層の充実と強化、三、原因企業であるカネミ倉庫の責任追及とカネミ倉庫のこれまでの対応に対する改善勧告を実施すること、以上三つを含め、救済策がまとまりました。

 これらの救済策につきまして、先週五月十九日の土曜日に、与党PTの河村座長が、油症患者が一番深刻であるとされる五島列島で、被害者の方々に救済策の現地説明会を実施されました。そこで本法案の成立に対し強い期待が寄せられました。

 また、この質疑後、西川委員長様から提案されることになっているカネミ油症仮払金の債権免除に関する法律案には、民主党さんからも御賛同いただけることであり、地元を含めて大変感謝申し上げております。

 この法案は、人道上の見地からも一刻も早い成立が求められるものであり、全会一致での法案成立に向け、先生方の御理解、御協力を賜りたくお願い申し上げます。

 経過は以上でございます。

 患者の皆様も、与党案を含めて、民主党さんからの協力も得られるということで、山田先生もおられます、大変感謝、ありがたいということでございます。よろしくお願い申し上げます。

 ちょっと確認事項みたいなことを農水、厚生の方にしたいと思いますけれども、お許しいただけますでしょうか。

西川委員長 はい、どうぞ。

冨岡委員 今回の議員立法が成立した後、仮払金の免除につきまして、農林水産省としては具体的にどのように対応されるのか、お考えと、確認を含めて御説明をいただきたいと思います。

山田政府参考人 法案成立後の対応についてのお尋ねでございます。

 法案が成立いたしました後には、この法律の趣旨を踏まえまして、まず、成立後直ちに弁護士さん等を通じて債務者の方に対しまして、免除の基準あるいは申請手続等の周知を図ってまいりたいと考えております。また、債務者からの免除申請がなされた場合には、審査事務を迅速に処理するということを考えております。今申しましたような周知の徹底や審査事務の処理に必要な省内の体制の整備充実も図ってまいりたいと考えております。

 また、特にカネミ油症の被害者のプライバシーには十分配慮する必要があるということから、審査事務を進めるに当たっては、プライバシーが守られるよう債務者の実情を十分に踏まえて対処してまいりたいと考えております。

冨岡委員 ありがとうございます。

 それでは、続きまして厚生労働省にもちょっとお伺いをしたいと思うんですけれども、与党PTが取りまとめた救済策について、厚生労働省はどのように具体化していこうとされるのか、その点につきましてお考えをお聞きしたいと思います。

藤崎政府参考人 お答えいたします。

 先ほど、冨岡先生、経緯について御説明いただきましたように、カネミ油症問題について、与党プロジェクトチームとしての救済策が取りまとめられ、四月二十四日の与党政策責任者会議において了承されたというふうに私ども承知してございます。

 私ども厚生労働省としましては、これまで、カネミ油症問題について研究費の補助を行う等の対応を行ってきたところでございますけれども、今回の与党プロジェクトチームの救済策を十分に踏まえまして、健康実態調査事業の実施及びこの調査結果を踏まえた油症研究の充実強化を行い、引き続き適切に対応してまいりたいと考えております。

冨岡委員 ありがとうございます。

 私の知るところでは、この法律ができて、さらに新認定患者さんの問題がやはり少し出てくるのかなと思います。

 現在、三十九名、ダイオキシンというのを血中濃度をはかって、それをもとに認定された患者さんが新たに出てきているわけでございます。その点につきまして、そういった新たに認定された患者さんに対しましては、どのような対策、どのような施策を考えられておられるのか、お聞きしたいと思います。

藤崎政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、平成十六年九月の診断基準の見直しの後に、平成十八年度末までに、都道府県知事等により三十九名の方が新規に油症患者として認定されております。

 このように新規に油症患者として認定されますと、認定を行った都道府県等より、カネミ倉庫株式会社に対し、認定を行った旨の通知がなされます。そして、カネミ倉庫株式会社により、一時金二十二万円及び油症に関連する医療費の自己負担分等について支払いがなされている、このように承知いたしております。

冨岡委員 恐らく、ずっと待たれていて新たに認定された患者さんの群と、全く自分では認識していなかった群の血中濃度の高い群、そういう方がおられる可能性があると思います。こういった点で、臨床症状とか臨床経過を加味して、きっちりした対策をとっていただきたいと思います。

 それからもう一点でございますけれども、これは、福岡それから長崎、熊本、全国に患者さんがおられるわけですが、特に五島の方というのが、治療研究班が博多の九州大学の方にあるので、なかなかそちらから呼び出されても、具体的に、すぐ行くというわけにはいきません。

 そこで、五島にも中核病院となる五島中央病院とかいろいろな診療所がございまして、そこにぜひ油症患者さんをよく診ていただけるというか、よく診てというのは、経時的に何年にもわたってこういう疾患をお持ちの患者さんがおられるわけなんで、そういった点につきまして、長崎の五島中央病院、あるいはその近傍の病院等を中核病院として、連絡場所あるいはそういった治療に当たる施設として活用できはしないか。その点につきましてどのようにお考えか、お聞かせ願えればと思います。

藤崎政府参考人 お答えいたします。

 カネミ油症に関する研究につきましては、これまでにも九州大学を中心とした研究班において、内科、皮膚科、眼科、産婦人科、呼吸器科などの臨床分野、さらにそれに加えまして、化学分析、疫学、生化学などの分野の専門家の御参画をいただき推進してまいりました。

 来年度、今回の与党プロジェクトチームの御指摘をいただきまして、研究班の再編成ということを考えております。そういう中で、他分野の専門家の参画を得て、食品を介したダイオキシン類等の人体への影響の把握と治療法の開発を重点的に研究を行うこととしております。

 そういう中で、御指摘の地元五島の医師の参画につきましては、患者さんの皆様にとって大変に有益なものであるというふうに考えられますことから、研究班とも相談しながらその実現に向けて検討してまいりたいというふうに考えております。

冨岡委員 ありがとうございました。

 本当にこの法案、西川委員長様初め皆様方のお取り計らいを何分よろしく重ねてお願い申し上げまして、私からの質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

西川委員長 次に、田端正広君。

田端委員 公明党の田端でございます。

 きょうは農水委員会に質問させていただけるということで喜んで参りました。というのは、私は、本日を万感の思いで迎えまして、今回この委員会にかかりましたカネミ油症事件関係仮払金返還債権の免除についての特例に関する法律案、本日これがこの委員会において全会一致で可決されるという、これは本当に画期的なことだと思って心の底から喜んでいる一人でございます。

 この法案の第一条の「趣旨」のところにもございますが、当該事件による被害の発生から現在までの間に置かれてきたこの患者の皆さんの状況、及び当該債権の債務者の多くが高齢者となっていることを踏まえ、そしてこの特例という措置をとられたということは、これは、きょうも九州五島列島からもたくさんの方が傍聴にお見えになっておりますが、本当に三十九年間待って、ようやくこういう朗報に接することができたという意味では、恐らく患者の皆さんも心から喜んでいただける、こう思っているわけであります。

 まず、大臣、大臣も九州、しかも水俣病とかにもたくさんかかわってこられて、この事件についても、直接的ではなかったとしてもいろいろな形で聞き及んでいると思いますが、本日この法案がここで審議されることに対しての大臣の所感をお伺いしたいと思います。

松岡国務大臣 今、田端先生から御質問がございました。

 まず、何よりも、きょうは傍聴席の方にもお見えでございますけれども、患者の皆様方、本当に今日まで大変なお苦しみであったと思いますし、本当に御苦労も多かったと思います。そのことに対しまして心からお見舞いを申し上げる次第でございます。

 実は、今先生御指摘のように、私も、水俣病問題、これにつきましては自民党の委員長として長い間この解決に向かって携わってまいりましたし、また、与党全体の水俣病のプロジェクトチームの座長としても取り組んでまいったわけでありますし、その取り組んでいる中で、やはり皆様方の大変なお苦しみというのは本当に実感を持って受けとめております。きょう、また、水俣病とは違いますが、しかし、同じようなことでの本当にこれは大変なお苦しみであったろうと思います。

 先ほど冨岡先生も御質問されましたが、与党の自民党、公明党が何としてもこの救済策をということでプロジェクトチームをつくって取り組まれてきょうの結果になったわけでございます。冨岡先生の御発言のように、冨岡先生御自身はお医者さんとして携わってこられたし、また、きょうは岩永筆頭初め理事の皆様方も大変な御努力をされたわけでありますが、特に、長崎の谷川理事も冨岡先生と一緒になって大変なお取り組みをされたというわけであります。

 また、西川委員長も、委員長としてこの問題に全面的に取り組んでこられた。また、野党の先生方も、これはもう与野党超えた問題だ、こういうことで一致してこの解決に向かっておられる、こういうことでございます。

 私ども、患者の皆様方に、本当にお気の毒であったし、大変な思いで、苦しみで過ごされてこられたということに対し、心からお見舞いを申し上げますと同時に、今回の救済策についてはカネミ油症被害者の実情を適切に踏まえて決定された、このように理解をいたしております。

 カネミ仮払金の債権免除に関する特例法が成立いたしました後には、その趣旨を踏まえまして、法案成立後、直ちに弁護士等を通じ債務者に対しまして免除の基準や申請手続等の周知を図りたい、こう思っております。それからまた、債務者から免除申請がなされた場合には、審査事務を迅速に処理をして患者の皆様方におこたえを申し上げたい。このようなことで適切に対処してまいりたいと考えております。

田端委員 今大臣から、適切に迅速に対応するということでございますので、ぜひ細心の注意を払った御配慮でお願い申し上げたいと思います。

 それで、この事件は昭和四十三年、先ほど冨岡先生からお話がございまして、今日に至るまで三十九年かかっているわけであります。その間、ちょうど今から五年半前になりますが、二〇〇一年の十二月に参議院の決算委員会でこの問題が取り上げられたときに、当時の坂口厚生労働大臣が、今まではPCBという原因が主たる原因と言われてきたけれども、しかし、PCDF、ダイオキシン類による、それが主要因となって今日に至るまでのカネミ油症問題になっているんだということを、初めて国としてダイオキシンということをお認めになったのが今から五年半前でございました。

 それを重視して、私たち公明党としては、私は今でも覚えておりますが、二〇〇二年二月二日、二・二・二という日でありましたが、北九州、福岡、そして五島列島に参りまして、患者の皆さんそしてまたいろいろな関係者の方とお会いして、本当にこれは大変なことだということで、ダイオキシンとして、国がこの人類史上最も毒性の強い化学物質であるダイオキシンによる被害ということを認めたのなら、今までとは違った新しい視点でこれは対策を立てるべきだということで、この問題に以来取り組んで五年有余になって、今日、与党PTで合意し、そして本日のこの委員会に法案が提出されるというところまで来たということは、そういう意味で万感の思いを持っているわけでございます。

 まず、この間、当時は武部さんでございましたが、歴代農水大臣とか、厚生労働大臣とか、環境大臣とか、患者の皆さんが直談判を何回もされてずっと来られました。しかし、根拠になる法律、救済策がなかったためになかなか明るいお知らせをすることができなかったわけであります。

 しかし、昨年来与党の中にこのPTが立ち上がりまして、そして河村座長、そして冨岡さん等の御努力もいただきまして、こういう新しい流れができました。

 それで、この間、ダイオキシンと認めたことによって、厚生省の方も、認定基準を改めたり、あるいは、油症研究班というのがございますが、ここを強化充実していただいたり、相談体制を充実させていただいたり等々、いろいろやってきましたが、これで新たにはっきりと、もう法律までつくって、特例法案までつくって患者の皆さんにこたえていこうということになったわけでありますので、さらにそこの点を、与党として四点にわたって合意をいたしましたので、この点について各省に確認させていただきます。

 まず、農水省の方、仮払金の法律が通った後の対応でございますが、上限があって、今回その上限から外れている人が何人かいると思いますが、どのぐらいいるのか、そして、例えば今後その方々が収入の上限との関係で変動があった場合はどう対応されるのか、お答えいただきたいと思います。

山田政府参考人 ただいま債務免除に関連する御質問がございましたが、債務免除となる債務者の数については、最終的には、債務者の資力状況を見て個別に判断することとなりますので、現段階で正確な人数を把握することは難しいところでございます。

 ただ、過去の債務者の方々の資力状況から免除者数を推計いたしますと、現在の債務者、五百四人の方々おられますけれども、このうち九割程度が免除されるものというふうに考えております。したがいまして、数十人程度の債務者の方については、免除されない可能性があるというふうに考えております。

 それから、お尋ねがありました、現時点で免除の要件を満たしていない者についてでございますが、現時点で免除の要件を満たしていない債務者の方でありましても、その後収入等の状況が変化いたしまして、免除の要件を満たすということになりますれば、免除の対象となるということでございます。

田端委員 ぜひ、できるだけその辺のところは柔軟に対応をお願い申し上げたいと思います。

 二番目に申し上げたいことは、今回の法律の決定と同時に、カネミ油症患者を救済する総合的な救済策の一つとして、カネミ油症研究調査協力金ということで、患者さん一人当たり二十万円の調査研究金を平成二十年度予算としてこれを措置する、支給する、こういう決定を与党としてさせていただきました。

 しかし、与党として決定して、今現在、認定患者約千九百人のうち、生存されている千三百人全員に支給をしていただくという約束をいただいているわけでありますが、この席で明確に、これを実行するということ、そしてどういう形で、千三百人の方といっても、全国に散らばっているわけでありまして、どういうふうに調査協力金として支給することになるのか、その辺のところを御回答いただきたいと思います。

藤崎政府参考人 お答えいたします。

 与党プロジェクトチームにおきまして、平成二十年度に、健康実態調査を行い、調査に御協力いただいた生存患者の方へ一人二十万円の調査協力金を支払うことが決定されております。厚生労働省といたしましても、この決定を重く受けとめ、必要な予算要求を平成二十年度に向けて行ってまいりたいと考えております。

 また、調査の具体的な実施方法でございますが、これは、これから二十年度予算に向けて詳細を検討していくことになりますけれども、議員の御指摘を踏まえ、患者の方々に対してきめ細やかな対応が行えるよう、研究班や関係者と相談しながら適切に対応してまいりたいと考えておりますが、検診などをお受けいただくケースもございますし、また検診に出向けないような方々に対しましては、お邪魔をしてアンケートに御協力いただくとか、あるいは問診に御協力いただくとか、いろいろな形が考えられようかと思いますので、そのようなことを検討してまいりたいというふうに考えております。

 さらに、健康実態調査の実施時期につきましても、与党プロジェクトチームの御決定を踏まえ、できるだけ早期に、二十年度行えるように努力をしてまいりたい、このように考えております。

田端委員 一日も早く、決まったままでなかなか実施がということではないように、ぜひよろしく対応のほどお願いしたいと思います。

 そして何よりも、仮払金のことはこれで一つの大きな決着ができました、しかし、患者の皆さんは、なおかつ今もいろいろなところが体調を崩しておられるわけで、いわば本当にもう病気のデパートなぐらい、いろいろな病気を抱えながら、必死に闘って生きておられるんだと推測されます。

 そういう意味では、ダイオキシンというものが体内に入った場合にはどういうことになるのかということを、実態を医学的にしっかりと究明していただいて、そして、ダイオキシンによる健康被害を根治するにはどうしたらいいのかという医学的な研究をさらに深めていただくことがこれからの最大のテーマだと私は考えています。

 がんとか肝臓、腎臓の機能障害、脳、神経障害、皮膚障害、アレルギー、ホルモン異常、生殖器異常等々、もう本当にありとあらゆる病に悩まされているわけでありますから、このダイオキシンによる健康被害を根治するような医学的研究、これについては、既に今、九州大学の古江増隆教授のもとで油症研究班が一貫してずっと積み重ねてきていただいておりますが、一つは、この油症研究班をさらに強化充実をお願いしたい。もう一点は、この油症研究班は、つまりPCBというものを主体にした研究班でありましたから、今度はダイオキシンを対象にした研究班に強化充実をお願いしたい、こう思います。

 そして、できれば、できればといいますか、これは与党PTでも合意させていただきましたが、ダイオキシン類による人体への影響の問題、そしてこれの医学的根治療法を解明する研究体制の仕組み、これを例えば、九州大学あるいは長崎大学の中にそういう看板を掲げた研究機関を設置していただくことを決定しております。これは文科省との関係もありますので、厚生労働省の方から指導的役割を果たしていただいて、文科省と協調して、そしてもう一つは、先ほどの古江研究班とも一体になってやっていただくようぜひお願い申し上げたいと思いますが、この点についての回答をお願いしたいと思います。

藤崎政府参考人 お答えいたします。

 油症研究班の見直しの方向につきましては、ただいま先生御指摘のように、ダイオキシンに着目した研究班として、再編を二十年度から行ってまいりたいというふうに考えております。

 具体的には、まず研究班の名称そのものを、食品を介したダイオキシン類等の人体への影響の把握と治療法の開発等に関する研究、現時点では仮称でございますが、このような形で再編をしてまいりたいと考えております。

 そして、これまでの油症研究の成果を踏まえまして、他分野からの専門家の参画を得て、特にダイオキシン類等の直接の経口摂取という特殊性に着目をして、人体への影響の把握並びにダイオキシン類の体外への排出を目的とした根治療法の開発等を目指す研究班の体制を目指していきたいと考えております。

 厚生労働省としましても、与党プロジェクトチームの御議論を踏まえ、油症研究班とも十分に相談しながら、その内容について検討してまいりたいと考えております。

 また、先生御指摘のもう一点の、大学における研究機関あるいは研究拠点の設置についてでございますが、これも、与党プロジェクトチームの御議論を受けて、私ども、厚生労働省から、国立大学法人を所管する文部科学省あるいは大学にも働きかけを行ったところでございまして、今後とも関係機関と連携しつつ、油症研究の充実強化について適切に対応してまいりたいと考えております。

田端委員 ぜひ積極的、前向きにお願いしたいと思います。

 もう一点申し上げます。

 それは原因者であるカネミ倉庫に対してでありますが、これは患者の皆さんに対しての約束はしっかりと守っていただきたい。

 例えば、医療費を支払うとか、交通費を支払うとか、そしてまた、ここで今発行している油症患者受療券、まあ原爆手帳のような全国的なものであればいいんですが、カネミの油症受療券といってもなかなかこれは全国では通用しません。ここを少ししっかりと対応できるような仕組みにすべきだということで、我々は与党PTとして、カネミ倉庫に対して勧告することを決めております。

 農水省の方としては、カネミ倉庫に政府米、お米をずっと一貫して、これは三大臣の合意のもとに、できるだけ患者の皆さんにバックアップしてもらうためにという思いを込めて国の仕事をずっと与えているわけですから、その分だけでもしっかりと患者の皆さんにこたえていただかなきゃならないと思います。カネミ倉庫が今後どういう対応をするかということも非常に大事な点でありますので、これは農水省からもカネミ倉庫に対してしっかりと物を言っていただきたいと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。

岡島政府参考人 お答えいたします。

 委員、今御指摘のとおり、昭和六十年二月のいわゆる三大臣の確認事項に基づきまして、倉庫の活用であるとか、まさにカネミ倉庫の経営に着目しながら、これまでも対応してきたところです。

 今般の与党のプロジェクトチームにおきましては、勧告をされるということとともに、被害者に対するカネミ倉庫の対応が改善されない場合は、カネミ倉庫に寄託している政府米について、この三大臣の確認事項を見直し、あらゆる政治的手法を検討するというふうにされたというふうに伺っております。

 農林水産省といたしましても、今の与党プロジェクトチームの検討結果を踏まえる、あるいはこれまでのカネミ倉庫の対応なりあるいはカネミ倉庫の経営状況、そういったことを踏まえながら、患者の救済に資するよう、厚生労働省など関係方面とも連携をしながら適切に対応してまいりたい、そのように考えております。

田端委員 いずれにいたしましても、このダイオキシン、PCBよりも五千倍の毒性があると言われる大変な猛毒の化学物質によって被害を受けた方が一万四千人も当時いたわけでありまして、そういった方々に対して、今後とも政府として、また我々議員団も一致結束して皆さん方に対応していかなきゃならない、そんな思いでいっぱいでございますので、どうぞ、また委員会の皆さんにも御支持をいただいて、そして患者の皆さんが喜んでいただけるような前向きな対応を国としてもお願いしたいということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

西川委員長 次に、山田正彦君。

山田委員 先ほど田端先生が、感無量である、そういうお話をなさいました。また、私もこのカネミ油症に関してはいろいろな思いがよぎってまいります。

 と申し上げますのも、今回に至るまで、田端先生とも、公明党の坂口先生とも、自民党の座長、河村建夫先生ともいろいろ話し合いをさせていただきました。そして、今回の仮払い法案、与野党一致でということになりましたが、先ほど冨岡先生が、与党PT、いわゆる与党の議連ができたのは一年前とかおっしゃっておりましたが、私ども民主党はもう三年前にはプロジェクトチームを立ち上げて、もっと早くからこの問題に鋭意取り組んできたところです。ようやく、この仮払いについて、ここまで来たかなという思いがいたしております。

 私どもはこの仮払金について、前の国会で、いわゆる仮払いを受けて払った人、払わずに今回免責を受ける人は不平等になるじゃないか、これだけ苦しんだカネミ油症患者に、それぞれ三百万の交付金をやって、それで国に弁済し、そして一部払った人にはそれをお返しする、最も公平な形でその仮払金の解決を図ろう、そういうことでの法案を前国会に出しておきましたが、今回、既に今仮払いで苦しんでいる方々の九割が何とか救われるということで、私どもも今回のこの法案に同意させていただきました。

 それには、もう一つ、これからいろいろ質問させていただこうと思っておりますが、油症患者の根本的な問題の解決、私どもの主張と与党さんの主張をすり合わせる議連、これをどうしてもつくって、それをもとにして根本的解決を図っていただこう。そういう意味で、今回、自民党の先生方も公明党の先生方もあわせて、野党、社民党、そして共産党の先生方も超党派で議連をつくるということに御同意していただき、その人選、構想も進んでいること、それを含めて、私どもは今回、この油症問題の仮払いについての同意をさせていただいた、そういう事情を先にお話しさせていただきたいと思います。

 これから私の方での質問で、今まで厚労省が、政府がいかにこの問題で怠慢であったか、そのことについてきょうはきつく質問させていただきたい、そう思っております。

 先に、先ほど万感の思いがあると申し上げましたが、実は私も五島列島の出身でございまして、この問題は、今から三十九年前になりますが、当時私が住んでいた部落と油症患者の発生した部落とは少し離れております。離れておるがために、たまたま私はカネミオイルを食べずにこうして元気におられた。偶然とはいえ、私も若いころ、弁護士始めのころ、これはほっておけないと思いながら、第一次カネミ訴訟の弁護団に、端っこの方に加わらせていただきました。こうして今、この問題の解決に向けて努力させていただいているわけですが、私自身、あの当時のことを思い浮かべながら、弁護士としていろいろな質問、いろいろな聞き取り調査をしているときに、吹き出物が出て座っておれない、大変な痛みとかゆみと、そして頭痛その他で座っておれない、そんな状況であったことを今になれば思い浮かべるところです。

 非常に私がショックだったのは、私の友人の、私の知り合いの戸町さんの息子さん、三十一歳で、このカネミ油症で将来をはかなんで、確かに吹き出物が出て苦しんでおりましたが、大変優秀な青年だったんです。将来定置網を引き継いでやっていく青年だったんですが、割腹自殺してしまいました。いろいろな方々がいろいろな思いがあった事案です。患者の詳しいことについては参議院で犬塚さんがるる聞いておりますので、一つだけ私から質問させていただきます。

 新聞で黒い赤ちゃんといろいろ騒がれました。いわゆる色素沈着のあるその赤ちゃん、これは九州大学の油症研究班で調査研究もすべて行っているはずなので、その色素沈着があって生まれた新生児について、その数を私は質問通告しておりました。厚生労働副大臣、この場で明確にしていただきたい。

石田副大臣 お答えを申し上げたいと思います。

 その前に、長くカネミ油症で苦しまれた皆様に心から同情を申し上げたいと思います。

 今山田委員から、いわゆる黒い赤ちゃん、こういうことでありますけれども、油症研究班においては、御指摘のいわゆる黒い赤ちゃんの数については把握はいたしておりません。

山田委員 油症研究班にことし幾ら国から交付金がおりますか、研究費名目で。同時に、今まで累積幾ら研究班にお金がおりていますか、国から出されていますか、我々の税金で。

石田副大臣 お答え申し上げたいと思います。

 平成十八年度の交付額は約一億七千万円であります。昭和四十三年度からの累計額は約二十六億四千万円であります。

山田委員 その調査研究費一億七千万、それはことしどのように使われるのか。詳しいことは要らないです。二項目で結構ですから答えてください、大きいところを。

石田副大臣 ことしと申し上げますか、これまでのことでお答えしたいと思いますけれども、研究班では、油症の原因の特定、健康影響に関する研究を通じて、診断基準の改定を行う際の科学的根拠の収集、治療法の研究等を行ってまいりました。また、患者の健康状態のフォローアップのための検診や認定を希望する方に対する無料の検診を実施してきたところであります。

山田委員 一億七千万円のお金がそういう研究費にことしも使われる、患者には一円も行かない。その患者の検診に、そのうちからお金を幾ら使っていますか。

西川委員長 藤崎医薬食品局食品安全部長。

山田委員 委員長、私は大臣か副大臣に答弁を求めておりまして、副大臣に答弁をさせてください。

西川委員長 石田厚生労働副大臣。

石田副大臣 油症患者の健康状態を臨床所見、血液学的及び生化学的検査により把握するお金に約五千七百万円であります。

山田委員 では、何人にその検診をしたかと私きのう調べましたら、三百五十人、一人当たり二十万、きょう、検診を受けた方もおられると思いますが、二十万かけてことしも三百五十人の方に検診なさるそうです。どういう検診なのか聞いてみましたら、血液検査だと。あとの一億何千万かのお金は調査研究費に使われながら、新生児が色素沈着、この色素沈着というのは油症の診断基準の二番目の大きな項目、この色素沈着が何人生まれたかということすら、数がわかりませんと。数がわからないことはないはずだ、それぐらいのことは、それだけのお金を使いながら。

 それについて、きょうこの委員会でそれだけでも明らかにされない限り質問は続けられないと通告しておったはずで、その数をもう一回、副大臣、明らかにしていただきたい。質問通告はしてあったはずだ。

石田副大臣 いわゆる黒い赤ちゃんという出生数でありますけれども、これは、診断基準に色素沈着という所見はありますけれども、医学的にいわゆる黒い赤ちゃんの明確な定義や基準というものはないわけですから、油症研究班であっても出生数を把握することは困難である、このように考えております。

 いずれにしても、患者の認定においては、発病条件と症状、所見を参考にし、受診者の年齢及び時間的経過を考慮の上、総合的に判断をしております。

山田委員 色素沈着の数について答えてくださいと言っているわけです。それはわかっているはずで、答えられぬなら答えられないと言ってください。

石田副大臣 繰り返しの答弁になりますけれども、色素沈着、いわゆる黒い赤ちゃんという形での数の掌握はいたしておりません。

山田委員 色素沈着の数について研究していないはずはないはずなんです。これだけのお金かけているんだから。これ以上質問できない。

西川委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

西川委員長 では、速記を開始してください。

 石田厚生労働副大臣。

石田副大臣 答弁としては繰り返しになるかもしれませんけれども、いわゆる黒い赤ちゃんについては、診断基準に色素沈着という定義はありますけれども、医学的に黒い赤ちゃんということの明確な定義や基準はございませんので、実数は把握はできておりません。

 以上でございます。

山田委員 私が聞いているのは、黒い赤ちゃんを聞いているんじゃないんです。新生児の色素沈着の数を聞いているんです。

 というのは、患者さんの皆さんに聞いてみますと、この診断、いわゆるカネミ油症の患者が、カネミ油症の認定にこれから入りますが、それについても、いかにその診断基準がいいかげんであるか、しかも、診察が、私にとっては研究班の診察結果が納得できない。

 そういうところから、少なくとも色素沈着のある新生児は認定患者にされるべきだと思っているので、その患者の数をまずここできちんと我々委員会としては明らかにすべきだと言っているので、黒い赤ちゃんの数を聞いているんじゃない。それはおとといから僕は質問通告して、きのうも聞いているんです、それを。きょう必ずその数ぐらいは、いろいろな研究をなさる、こんな分厚い研究があるんだから、少なくともそれをここで明らかにされない限り質問を続けられないよと、そこまではっきり言っているのに、副大臣、厚労省が答えられないということは納得できない。これ以上質問はできない。

石田副大臣 山田委員のところに、厚生労働省からいろいろと質問のことでお伺いをして、質問の趣旨はよくわかっておりますけれども、質問の趣旨を体して調べた結果のことを今お答えしているわけでございまして、別に、それを隠すだとか、わざとお答えをしないだとか、そういうことではございませんで、わからないというのが現時における答えでございます。(発言する者あり)

西川委員長 それでは、挙手されて質問を続けてください。

山田委員 いわゆる調査をやっているのか、やっていないのか。やっていないからわからないということなら、そのとおり答えてください。

石田副大臣 先ほどもお答えしましたけれども、病状という形での明確な基準がないということで、そういう一つの線引きをして、ここからこっちの赤ちゃんはこうだ、ここからこっちの赤ちゃんは色素沈着だ、そういう形ではとっておらないということであります。

山田委員 そんな、基準もないような、明確でないような、そんなあいまいな答えで全く納得はできない。後日、この委員会において、理事会でそのことは明らかにしていただきたい。

 委員長、いかがでしょう。

西川委員長 理事会でお諮りをいたします。

山田委員 次、お聞きしたいんですが、それだけの研究費を、累積二十六億かけながら、厚労省がそれをさせているんだから、厚労省自体にお聞きしたいんですが、有効ないわゆる治験、治療薬、治療方法というのはあったんですか。もう時間がないので、一言で答えていただきたい。

石田副大臣 有効な治療法は確立されておりません。

山田委員 患者の人たちは本当に苦しんでいますが、油症研究班の三十年の油症の歩みというんですか、油症三十年の歩みという中に有効な手だてというのが書いてあります。私が幾ら聞いても、有効な治療方法はない。

 まず一つは絶食だと。これは、患者の皆さんから、私も十年前から聞いておりました。もう一つは、いわゆるコレスチラミンというのと米ぬか繊維、これを食べさせるとPCBが二倍か三倍排出できる。それが三十年も患者に全く教えられていなかった。これは厚労省の責任。

 そしてもう一つ、これは重大なことなんですが、いわゆるPCB、このPCBが加熱されてPCDF、これがいわゆるダイオキシンとしてはっきり科学的に、その論文というのは随分前から出ていたようですが、一九八八年にNATO、北大西洋条約機構でもって公表され、一九九〇年には、WHOでPCDFがダイオキシンであるということがはっきり発表されている。

 ところが、厚労省、政府は、これがダイオキシンであるということをいつまでも認めなかった。二〇〇四年になって、いわゆるダイオキシンであるということをやっと認めた。これは公式に発表されながら、何でその間、二十年もの間認めなかったのか。当然、九州大学の研究班では、十年も、あるいはそれ以上前から研究論文でわかっていたはずだ。それを何で二〇〇四年まで放置されたのか。これはまさに政府の責任である。厚労省の責任である。

 副大臣、明確にそれについての理由をお答えいただきたい。

石田副大臣 PCDFがダイオキシンとわかった経緯につきましては、今委員がお示しになったとおり、一九八八年に、NATOにおいてPCDFをダイオキシン類の一部とする決定がありました。それから、一九九〇年に、WHOにおいてPCDFをダイオキシン類の一部と決定をした、こういうことでございます。

 それで、カネミ油症の原因物質は、当初、PCBのみと考えられておりましたけれども、油症研究班の研究により、一九七五年に、ライスオイル中にPCDFが含有されていたことが判明をいたしまして、一九七七年には、患者体内にもPCDFが存在することが確認されました。PCDFもカネミ油症の原因の一つと考えられるようになりました。その後もPCDFはカネミ油症の原因物質の一つとして研究を行っております。

 厚生労働省としては、PCDFをダイオキシン類と認識し始めた正確な時期は不明でありますけれども、カネミ油症研究班の研究者の見解も総合すると、一九八〇年代の後半ではないか、このように考えております。

 なお、国際的には、先ほど申し上げましたように……(山田委員「それを聞いているんじゃなくて、厚労省は何で二〇〇四年まで」と呼ぶ)

西川委員長 答弁中です。

石田副大臣 一九八八年に、お示しいただきましたようにNATOで認められ、そして、世界保健機構では一九九〇年に認められたわけであります。そういう経緯が今までございました。

山田委員 答弁になっていない。

 私が聞いているのは、そういうふうに、一九七七年、三十年前からダイオキシンだということがわかっていながら、二〇〇四年になってようやく診断基準も変え、そしてここで厚労省が認めた、この責任は国の責任である、なぜなのかと聞いているので、それを明らかにできないと、明らかに答弁しないと、質問できないじゃないですか。

 委員長、副大臣にその辺の趣旨を明らかにするよう求めてください。

西川委員長 副大臣、質問の趣旨に答えてください。

石田副大臣 失礼しました。

 いずれにしましても、厚生労働省といたしましては、時間の経過による症状と所見の変化、そして分析技術の進歩等の油症研究班の研究成果を踏まえ、平成十六年九月に、PCDFに関する項目を追加する油症診断基準の見直しを行ったところでありまして、これまでに、新たに三十九人が油症患者として認定されたところであります。

山田委員 その責任について聞いているんですよ。答えてください、時間がなくなるから、早く。

石田副大臣 その時々の科学的知見を最大限に活用して診断基準をつくっております。

山田委員 厚労省は責任はないということですか。ないならないで答えてください。

石田副大臣 その時々の一番新しい科学的知見に基づいて適切にやってきた、こういうことであります。

山田委員 先ほど厚労省の部長が与党プロジェクトチームの意向を受けて云々ともっともらしく言いましたが、厚労省自体がこのざまで、国に責任が、厚労省に責任がありながらそれを放置してきて、ようやく仮払いだけは少しだけ何とかしましょう、こういう態度で本当にこのカネミ油症の問題というのは解決できない、こんなことではやっていけない。

 本当はもうこれ以上質問も続けられないところだけれども、時間も限られているので、さらに大事な話に行きたいんですが、こんなあいまいな診断基準の中で、この認定基準はどこが、だれがつくったんですか、それだけちょっと、はっきりと質問にだけ答えていただきたい。

石田副大臣 これは油症研究班であります。

山田委員 今患者は、認定を受けていない患者、私も患者とこの前お話ししたんですが、立岩満治さんという方は八人家族だったんです、おじいちゃん、おばあちゃん、御夫婦と子供四人。みんな同じような症状で苦しんだ。それで、御主人の立岩満治さんだけ油症患者と認定されて、奥さんは、まっこうと五島弁で言うんですが、額に黒いできものができて手術した、それでもいまだに油症患者として認定されていないんです。

 この診断の基準がいかにあいまいであるか。厚労省は、我々政治家もいながら、国会もありながら、単に研究班、一研究班に認定基準をつくらせている。そして、実際に、色素沈着もどの程度か、新生児に色素沈着があったかどうかというのは医者が診ればすぐわかることだ、それも、その程度がわからないからあいまいで、基準がないからどうだこうだと言っている。これくらいいいかげんなことで、油症患者を、やってきた者を認定しないという。認定されない患者にとっては、これまでの治療費もいまだに全部自己負担なんです。見舞金ももちろん一切おりないわけです。

 それでは、視点を変えてお聞きしたいんですが、今から三十九年前の十月、いわゆる油症発生ということで、これは一種の食中毒だと思うんですが、食中毒事件として、まず油症患者から届け出がある。一般に食中毒事件で届け出があって、赤痢菌か何かだったら、例えば腹痛なら腹痛、そういう関連した症状があったら、これはいわゆる食中毒患者として、当然、食品衛生法、私何度も読ませていただきましたが、副大臣、これは認めることになるんでしょうね。

 副大臣、いろいろ聞かずに自分の考えで、当然、副大臣としてそれだけの権限も、我々良識としての判断もあるわけですから、質問通告も食中毒についてはしているわけですから、お答えください。

石田副大臣 このカネミ油症事件につきましては、十月の四日に、ある住民の方から、ライスオイルによるものではないかと……(山田委員「それはわかっているんです。食中毒としての扱いを聞いているんです」と呼ぶ)ですから、これは食中毒事件として、食品衛生法において、食中毒事件が発生した自治体において原因究明や被害拡大防止の措置を講じることとなっております。

山田委員 私が聞いているのは、食中毒事件と今言ってくれましたが、食中毒患者としての扱いだったら、届け出があってそれに関連する症状があればすべて食中毒患者になるんでしょうと聞いているんです。イエスかノーで答えてください。

石田副大臣 食中毒事件における患者かどうかについては、当該食品の摂取についての自己申告だけではなくて、管轄の保健所長が具体的な被害症状等に関する医師の診断等に基づき判断することとなっております。

山田委員 それでは、食中毒患者の場合、医師の診断書がなければならないんですか。行政上、食中毒患者として扱えないんですか。実際には扱っているんじゃないですか。

石田副大臣 食中毒の場合は、なくても認める場合もある、こういうことであります。

山田委員 私は、副大臣は副大臣として務まらないんじゃないか、質問通告しているんですから、それぐらいのことはきちんとやっていただきたい。通例は、医師の診断がなくても、いわゆる関連する症状があれば食中毒患者として認められております。

 次の質問に移ります。

 私の資料を見てください。資料二です。これは犬塚さんが調べた資料なんですが、今、患者の数は千三百人ということですが、当時、保健所に届け出て、そういう症状、今度の油症というのはいろいろな症状が、先ほど田端先生も言っておりましたが、あらゆる症状が出てきているんです。資料の三、これはダイオキシン関連疾患リストで、米国が調べたものですが、韓国の調べもそうなんですが、日本は残念ながらそういう調べがなされていません。資料四、油症患者のいろいろな症状についての病名が書かれております。資料三も同様です。

 田端先生も先ほどおっしゃられていましたように、このように、ダイオキシンによって多種多様のいろいろな症状が出てきます。その中で、そういう症状を訴えて出た者だけで、カネミオイルを使っていないという非使用者を外しても、最終的に何と一万三千三百三十四人いるんです。

 私の知っている人でも、小さな土建会社の社長さんでしたが、とうとう白血病で亡くなりました。そのときも、その人は役所に行くときには必ずシャツを脱いで、臭いから、本当に臭いんです、こう言っちゃ悪いんですが、脱いで着がえてからじゃないと行けなかった。大変苦しんでおりました。その方も、認定医に行ったら、何か目が悪いんじゃないかとかほかのことをさんざん聞かれて、あげく、金欲しさに来たんだろうと言わんばかりだったと。山田さん、私はそれから二度と認定医の診断には行きませんでしたと。とうとう白血病で亡くなってしまいました。アメリカでは、十分ではないけれども、白血病もダイオキシンに関連があるとされています。

 そういういろいろな中で、当時認定を受けているのが千三百人なんですが、実際にそういう医療費の負担も受けずに苦しんでいる方々は一万二千四百二十一人。先ほど副大臣は、食中毒だと。食中毒患者として扱えばこれだけいるんです。はっきり名前もわかっているんです。この人たちが油症患者なんです。

 これは、副大臣、大臣も、それから委員長も聞いていてください。この人たちが本来、油症患者なんです。この人たちの中から千三百人を、あいまいな認定基準をどこかの研究班につくらせてやらせて、そういうのじゃなくて、この人たちをまず患者として認定して認めて、その中から、ダイオキシンに関係がないという人は、それを逆に国側あるいは自治体が立証して外していくということが本来の認定なんです。認定そのものに全く法的根拠はないんですから、食中毒の食品衛生法を根拠にするしかないんです。ところが、実際にはそういう認定しかやってこないで、今本当に苦しんでいる数が多いということをしっかり考えていただきたいと思います。

 それでは、国に責任はなかったのか。実は裁判で、控訴審で、一つは国が負け、もう一つは国が勝っております。実は私が、カネミ油症の問題を、プロジェクトチームの座長として、もう三年になるかと思いますが、お聞きしたときに、最初に法制局が言ったのは、国側に責任はありませんということでした。何でですかと言ったら、和解で訴えを取り下げていますと言ったんです。調べてみましたら、訴えを確かに取り下げています。しかし、取り下げていることは、訴訟法上、いわゆる裁判所の、司法の判断がなかったということなんです。なかったということは黒か白かわからないんです。

 ところが、高裁であった判例の中に、これは国が負けた方ですが、このようなことで明確に書いてあります。ちょっと読み上げさせていただきます。

 「食品の生産流通を職務とする農林省係官が、」これはダークオイル事件ですね。この油症が発覚する前の、油症発覚が十月ぐらいですが、三月ぐらいに鹿児島の養鶏業者の飼っている鶏が何万羽と死んで、その原因がカネミオイルであるということは鑑定の結果明らかになったんです。それはもう六月の時点ではっきり明らかになっています。ところが、それをそのまま放置しておった。それで、知らないでどんどんその油を使っていって、患者の人たちがさらにさらにふえていった。

 このダーク油事件についてなんですが、「農林省係官が、自己の職務を独自に執行中であつても、その過程で右のような食品の安全性を疑うような事実を探知し、食品の安全性について相当な疑いがあれば、食品衛生業務を本来の職務としないとはいえこれを所管の厚生省等に通報し、もつて権限行使についての端緒を提供する」必要があった。それを怠った国の責任、これは高裁でもはっきり認めているんです。

 私は、大変な数の未認定者の人たち、そして、新たに認定された三十九人の人たち、カネカも国も含めて、これは訴訟になったら、国の責任は大変なことになる。単に二十万円の見舞金で打ち切り、当初そんな話が与党筋、自民党筋から出ておったようですが、それでは済まされない。

 さらにもう一つ、国の責任をあえて申し上げるならば、十月十一日に厚生省では食中毒事件として扱ったわけですが、米ぬか油の販売禁止と移動禁止をカネミ倉庫に言っている。これはそこまでなんです。その後、一月末日まで回収命令を出していない。いわゆる周知徹底、例えば、もしそれがわかれば、厚労省は、当然のことながらプレスリリースして、皆さん、カネミオイルは危ないから飲まないでください、そういう広報をする責任があると私は思うんですが、それもせず、そして回収命令を出したのは一月末。

 しかも、自治体において、長崎県において、それを回収できたという事実はない、記録も残っていないのです。私が聞いてみましたら、患者の皆さんにおいては、一斗缶で買ったのがほとんどなんですが、回収は本当に遅くなって、もう全部使い切ってしまった後に、ようやく売っている販売会社からやってきました、最初は何にも言われませんでした、そういう話もございました。

 そうすると、回収をさせなかった、当時、国民にというか患者の皆さんに危ないということを周知しなかった、周知させなかった、プレスリリースもしなかった、注意義務喚起も図らなかった。厚生労働副大臣、それは国の責任だとは思いませんか。

石田副大臣 時系列的に申し上げると、先ほどもちょっとお話ししましたが、十月の四日に住民の方からありました。(山田委員「時系列はもういいです、同じ話をしましたから」と呼ぶ)ですから、ちょっと待ってください。それで、十月……(山田委員「もう十分、国の責任を重くは思わないんですか。それだけ答えてください」と呼ぶ)ちょっと話をさせてください。

 だから、十月十日に新聞報道がありましたけれども、そのときにはカネミという名前が出ていなかった。十一日になってはっきりわかった。その後、申し上げるように、十六日には、福岡県や北九州市で販売停止、移動禁止措置をとった、あわせて一般家庭へのPRも実施した、こういうふうに聞いております。

 そして、その後、当該の油が一体いつ生産されたものか、これについての調査に時間がかかって、年を越したというのが事実だろうと思います。

山田委員 実際に、長崎県側も、犬塚さんの方で調べていただきましたが、どういう措置をしたか、資料不明だし、私の方も玉之浦町そして奈留島の皆さん方にお聞きした限りでは、具体的な回収も、そして実際に周知徹底もなされていない。厚生省も記者会見でそういうことを発表した事実もない。国民の健康、安全に対する国の責任はまさに明確である。今まで、公明党の先生方も自民党の先生方も、国に責任がないからあいまいな決着をしよう、見舞金で決着しよう。そうじゃないんです、この事件は。これを明らかにしていただきたい。

 もう一つ、今の回答でも、国の責任を認めるということではなかったんですが、お聞きしたいことは、アスベストについては、今療養手当が患者に月に十万と、そして亡くなった方には、相続人に対しても合わせてほぼ三百万支給されております。

 我々民主党としては、月二十万の療養手当、これを患者に交付すべきだという法案を今参議院に出しております。この法案は取り下げません。これからも審議を続けさせていただきたい、そう思っております。

 アスベストは原因が石綿、ところが、このカネミ油症の場合にはPCBなんです。そうすると、PCBによって、例えば石綿と同じように呼吸器からPCBの工場でとって、その責任をとられた方もあります。同じように考えることはできないんでしょうか。農水省の方からでも厚労省からでも結構です。

石田副大臣 お答え申し上げたいと思います。

 アスベストもカネミ油症の問題も、原因物質は特定されているわけであります。そして、違うところは、カネミの問題については原因者はだれか、これも明確にカネミ倉庫ということははっきりしているわけであります、そしてそれを製造した鐘淵化学と。アスベストにつきましては、超長期にわたって経済活動全般を広く支えてきた結果、多くの方に被害が出ている。

 ですから、カネミ油症の問題は、四十三年の二月ごろにつくられた油によって、一番最初が、先ほど申し上げたように十月の上旬にいろいろな問題が出てきた。

 ですから、これはもう原因者がはっきりしていることと、そういうところが違うんじゃないかと思います。

山田委員 PCBであるという原因は、アスベストも石綿であるということで、同じである。原因企業が、アスベストの場合には特定していないと言っていますが、カネミ倉庫の場合には、同じような、人体に危害を加えるものをつくったのは、鐘淵化学、カネカ、そして、私もこの資料の中に提出しております、三菱モンサント化成ですね。製造メーカーははっきりしております。

 そして、それでもって、長い間アスベストと同じように利用した企業というのは、数え切れないほどあります。私の資料六を見てください。まず、高圧トランス、変圧器に使われました。ほとんどの電力会社は恩恵企業ですよ。それから、電機会社、ここに全部、会社の名前もほぼ書いています、計二十六社。そして、PCBは、かつてカーボン紙に使われておりました。だから、十条製紙、三菱製紙、神崎製紙、富士写真フイルム、いろいろな企業が、長い間、アスベストと同じように恩恵を受けてきました。

 ところが、PCBについても、やはりそれが有害であるということがわかって、それについて、いわゆる焼却のための設備助成を、企業にさせるんじゃなくて、国が我々の税金からそれを焼却する。その設備と運転費用に幾らお金をかけるつもりなのか、どちらかの副大臣で結構ですが、お答えください。

土屋副大臣 お答えいたします。

 石綿による健康被害者であって労災補償等の対象にならない者を対象とし、事業者、国及び地方公共団体が全体で費用負担を行い、被害者を救済しようとするものでありまして、費用負担の規模については、毎年度おおむね九十億程度を想定して予算措置を組んでおります。

 そのほかに、施設整備に係ります費用、約一千五百七十億円についてでございますけれども、今、施設はつくっている状況でございまして、一部はでき上がっておりますけれども、平成十八年度までの施設整備費補助金の交付額は約七百三十億円でございます。

山田委員 設備だけで千七百億とか今聞いたようですが、では、運営費用は出さないんですか。運営費用も含めて、トータルで我々の税金が幾らその企業のために使われていくんでしょうか。本来、企業が焼却すべきじゃなかったんでしょうか。

土屋副大臣 運営費用は、日本環境安全事業株式会社によりまして、現時点では約四千百億円と見積もっておりますが、その中で、国としては、運営費に関しては補助をしておりません。

山田委員 たしか五年かそれくらい、もっと前だったか、私が自由党時代にこの問題の審議をしたことがありますが、そのときに、たしか三千億ぐらい国の出費が見込まれておったと私の記憶にあります。それが四千億になったのか、幾らなのか、わかりません。製造者責任でもって、有害物質ですから、企業が本来焼却しなきゃならないものを、それだけのお金をかけている。

 しかし、それならば、アスベストと同じように、製造企業と恩恵を受けた企業でもって、私の資料を見ていただきたいと思うんですが、アスベストの場合に、環境再生保全機構、この中に石綿健康被害救済基金というのを設けております。これと同じように、いわゆるカネミ油症に対しての健康被害救済基金を設けて、PCB、これはカネミ油症がもとでPCBをつくらないことに、製造しないことに、使用しないことになったわけですから、それを口で摂取して被害を受けた皆さん方のために、企業に基金を出させ、国も責任があるわけですから、国も責任を負って、アスベスト、石綿の場合には三百八十億ぐらい出したと記憶しておりますが、企業も出して基金をつくり、そして、一万二千人という、あれだけの人たちの被害と、あれだけ変圧器、カーボンで恩恵を受けた企業、これでもって、まさにアスベストのような形での救済を考えなきゃいけないのじゃないか。

 これについて、大臣には聞いちゃいけないことになっているので、副大臣、お答えいただきたい。

山本(拓)副大臣 本日、議員立法で、成立する予定の法案が成立いたしまして、その趣旨にのっとりまして、我々としては、誠心誠意対応させていただきたいと思っています。

 その上で、責任問題とかいろいろなお話がありましたけれども、これは裁判等でいろいろ、私も北陸生まれの北陸育ちで、カネミのことは小さいときから聞いておりましたけれども、ここで責任問題どうのこうのという話になりますと私には答えられませんので、要は、一日も早くしっかりと対応してまいりたいということで、提案をしていただいた皆さんの御意向を体しながら、しっかりと対応してまいりたいと思いますし、その中で、またいろいろお話を承りたいと存じております。

山田委員 時間も参ってしまいました。本当はゆっくり時間をかけて聞きたいと思ったんですが、残念ではありますが、一つ最後に、この法案をきょう皆さんで可決するに当たって、議連をつくっていただきました、それこそ、自民党から、公明党、民主党、社民党、共産党と。その中で、本当にこれは国に責任はなかったのか、あったのか、それも含めて、実際、患者の根本的な救済、これをぜひ論議いただきたいと思って、私の質問を終わらせていただきます。

     ――――◇―――――

西川委員長 この際、お諮りいたします。

 第百六十五回国会、山田正彦君外二名提出、カネミ油症被害者に対する特別給付金の支給に関する法律案につきまして、提出者全員から撤回の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

西川委員長 引き続き、農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、カネミ油症事件関係仮払金返還債権の免除についての特例に関する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、理事会等において協議いたしました結果、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を得ました。

 本起草案の趣旨及び主な内容につきまして、御説明申し上げます。

 本案は、昭和四十三年に九州地方を中心に発生したカネミ油症事件をめぐる損害賠償請求訴訟に係る判決の仮執行の宣言に基づき国が支払った仮払金の返還に係る債権の債務者が、当該事件による被害の発生から現在までの間に置かれてきた状況及び当該債権の債務者の多くが高齢者となっていることを踏まえ、早期に当該債権の免除を行うことができるようにすることの緊要性にかんがみ、当該債権について、国の債権の管理等に関する法律の特例を定めようとするもので、その主な内容は、次のとおりであります。

 第一に、歳入徴収官等は、国の債権の管理等に関する法律第三十二条第一項の規定にかかわらず、カネミ油症事件関係仮払金返還債権について、当該債権の債務者がこの法律で定める収入及び資産に係る基準に該当する場合には、当該債権並びにこれに係る延滞金及び利息を免除することができるものとすること。

 第二に、特例の適用に当たっては、当該債権の債務者の置かれている状況に配慮するものとすること。

 第三に、租税その他の公課は、この法律の規定による免除を受けた場合における経済的利益を標準として、課することができないものとすること。

 なお、この法律は、公布の日から施行するものとすること。

 以上が、本案の趣旨及び内容であります。

    ―――――――――――――

 カネミ油症事件関係仮払金返還債権の免除についての特例に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

西川委員長 この際、本起草案につきまして、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣の意見を聴取いたします。農林水産大臣松岡利勝君。

松岡国務大臣 本法律案の御提案に当たり、委員長及び委員各位の払われた御努力に深く敬意を表するものであります。

 政府といたしましては、カネミ油症事件関係仮払金債権の債務者が当該事件による被害の発生から現在までの間に置かれてきた状況及び当該債務者の多くが高齢者となっていることを踏まえ、本法律案については、特に異存はないところであります。

 この法律案が御可決された暁には、農林水産省といたしましては、関係各省と連携を図りながら、その適切な運用に努めてまいる所存であります。

 委員長を初め、委員各位の御指導、御協力を引き続きよろしくお願い申し上げます。

西川委員長 お諮りいたします。

 カネミ油症事件関係仮払金返還債権の免除についての特例に関する法律案起草の件につきましては、お手元に配付いたしております起草案を本委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

西川委員長 起立総員。よって、本案は委員会提出の法律案とするに決定いたしました。

 なお、ただいま決定いたしました法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る三十日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十四分散会


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