衆議院

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第17号 平成19年5月30日(水曜日)

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平成十九年五月三十日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 西川 公也君

   理事 岩永 峯一君 理事 近藤 基彦君

   理事 谷川 弥一君 理事 並木 正芳君

   理事 篠原  孝君 理事 松木 謙公君

   理事 西  博義君

      赤城 徳彦君    赤澤 亮正君

      伊藤 忠彦君    飯島 夕雁君

      小里 泰弘君    小野 次郎君

      近江屋信広君    岡本 芳郎君

      北村 茂男君    斉藤斗志二君

      清水清一朗君    平  将明君

      中川 泰宏君    永岡 桂子君

      丹羽 秀樹君    西銘恒三郎君

      鳩山 邦夫君    広津 素子君

      福井  照君    福田 良彦君

      古川 禎久君    馬渡 龍治君

      御法川信英君    森山  裕君

      渡部  篤君    岡本 充功君

      黄川田 徹君    北神 圭朗君

      小平 忠正君    佐々木隆博君

      高山 智司君    仲野 博子君

      福田 昭夫君    山田 正彦君

      井上 義久君    菅野 哲雄君

    …………………………………

   農林水産大臣臨時代理   若林 正俊君

   農林水産副大臣      山本  拓君

   農林水産大臣政務官    永岡 桂子君

   農林水産大臣政務官    福井  照君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 齋藤  潤君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 椎川  忍君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 三浦  守君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  山田 修路君

   参考人

   (日本中央競馬会理事長) 高橋 政行君

   農林水産委員会専門員   渡辺 力夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月三十日

 辞任         補欠選任

  飯島 夕雁君     清水清一朗君

  今津  寛君     西銘恒三郎君

  中川 泰宏君     近江屋信広君

  鳩山 邦夫君     馬渡 龍治君

  御法川信英君     平  将明君

  高山 智司君     北神 圭朗君

同日

 辞任         補欠選任

  近江屋信広君     中川 泰宏君

  清水清一朗君     飯島 夕雁君

  平  将明君     御法川信英君

  西銘恒三郎君     今津  寛君

  馬渡 龍治君     鳩山 邦夫君

  北神 圭朗君     高山 智司君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 競馬法及び日本中央競馬会法の一部を改正する法律案(内閣提出第六四号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

西川委員長 これより会議を開きます。

 この際、御報告申し上げます。

 本委員会の委員長、理事を歴任され、多年にわたり御活躍された農林水産大臣松岡利勝君が、去る二十八日、逝去されました。まことに哀悼痛惜の念にたえません。

 ここに、委員各位とともに故松岡利勝君の御冥福をお祈りし、謹んで黙祷をささげたいと存じます。

 御起立を願います。――黙祷。

    〔総員起立、黙祷〕

西川委員長 黙祷を終わります。御着席願います。

     ――――◇―――――

西川委員長 次に、内閣提出、参議院送付、競馬法及び日本中央競馬会法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本中央競馬会理事長高橋政行君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として農林水産省生産局長山田修路君、内閣府大臣官房審議官齋藤潤君、総務省大臣官房審議官椎川忍君及び法務省大臣官房審議官三浦守君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西川委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松木謙公君。

松木委員 まず最初に、大臣がお亡くなりになられました。そのことに対して、心から哀悼の念を表したいというふうに思っております。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 数年前にも競馬法の改正というのがあったと思います。前回のときは、どちらかといえば、馬産地の方々の意見を中心にそのときは質問をさせていただきました。きょうは、今回はちょっと視点を変えて、やはり競馬で一番大切な方々の、競馬があるということで一番大切な方々、こういう方々の意見を、もしお答えがちょっと難しいのであれば、質問通告をしていないところもありますので、そこは結構でございますので、いろいろと、細かいことなんですけれども、お聞きをしたいというふうに思っております。

 競馬を開催する、やっているわけですけれども、競馬で一番大切な人たち、これは一体だれなのかなと。大臣は、臨時代理は、競馬があるときに、一番大切な人たちというのはだれかなとお思いでしょうか。

若林国務大臣 私はファンだと思いますね。

松木委員 臨時代理と同じ気持ちです。私も、一番大切なのはやはりファンだと。そのほかに、もちろん馬産地の方や、あるいは厩務員の方、ジョッキーの方、そしてお馬さんを持っている方、いろいろな方がいますけれども、やはりファンというのが離れていってしまったら、競馬というのは成り立たない、そういうことになっていくと思いますね。

 そして、この間、ダービーがありました。そのときに、これは札幌の人からちょっと聞いた話なんですけれども、ウインズというのがありますよね。ウインズで昔千五百円で特別室というのがあったんですね。それが今千円になったんですよ、数年前から。そして、大体、千円になったときからいっぱいになるのも早くなったんですね、土曜日でも。ところが、どうもこの間のダービーのときに、全部埋まらなかったというんですね。

 ということは、やはり若干、競馬のファン離れというんですか、そういうものがひょっとしたら、加速をされている、そういう可能性もなきにしもあらずというふうに思うんですけれども、臨時代理、いかがでしょうか。臨時代理じゃなくても、だれでも、答えられる方。

若林国務大臣 席があいていたことが、そういうファンの減少ということにつながるのかどうかというのは私はわかりません。わかりませんが、中央競馬と地方競馬とは大分違うと思いますね。

 中央競馬については、いろいろな主催者側の努力、中央競馬会の努力などによりまして、ファンの層は、新しい層が大分参入してきて、かつてよりも層が広がっているように私は感じておりますけれども、ただ、経済の状況がずっとよくなかったこともありますし、それからいろいろなレジャーが多様化しているというようなこともありますから、全体として非常に厳しい環境の中にあると思いますが、ファンそのものが競馬離れを起こしてきているというようなことは、事中央競馬についてはないんじゃないかなというふうに思っています。

松木委員 臨時代理、札幌の競馬であきがあったんじゃないんですよ。要するに、ダービーのときに、ウインズで特別室の、一人千円払ったら入れるところなんですけれども、そこがあきがあった。これは、やはり一時期のことを考えたら、観客というかそういうのは間違いなく減っているというふうに思います。これはぜひ頭に入れておいていただきたいと思いますね。

 そして、今回の法案。法案そのものは、そんなにひどい問題があって、我々がこんなのは反対だというようなことはそうないというふうにも思いますので、ファンのいろいろな意見、いろいろなところで私拾ってきましたので、そういうのをちょっと披瀝したいというふうに思います。

 まず、前回、三年前に競馬法というのが変わりまして、そのときに三連単というのができましたね。この三連単でよくなったことということでいえば、その三連単で百円で何百万が当たるとか、そういう非常に少ないお金で夢が買えるようになった、これがすごく楽しい、こういういい意見。これは一つのいい意見ですね。

 それと、あと、このごろ、窓口に行きますと、昔はおばちゃま方が、はい、三―六幾らね、四―六幾らね、こうやって、やってくれたんですね。ところが、今、何でも世の中というのは機械化ですよね。機械化によって、結構高齢な方というか、そういう方々というのはタッチパネルでやるのが非常に苦手なんですね。そのことによって、結構右往左往しちゃう。

 百ぐらいあったら、十人ぐらい係員の方がいて、それで、お年寄りの方とか使い方がわからない方がいたらそこに行ってはくれるようになっているんですけれども、しかし、何せ百あって十人ぐらいですから、それが全部手が回るわけじゃない。そこで、何かやはり後ろから、おい、おやじ早くしろとか、そういう罵声がかなり飛んだりとか、ちょっと雰囲気がよくなくなっているよ、こんな話も実はあるんですね。

 若い人たちは大丈夫でしょうけれども、高齢社会ですから、機械化していくのももちろんいいんですけれども、本当の昔からのファンというのか、そういうことを大切にするためには、もうちょっと考えてみたらいかがかなということがもう一つありました。これも一つの意見ですね。

 そして、本当に細かい話なんですけれども、あと食堂の話が結構ありまして、これは競馬場の食堂なんですけれども、ちょっと味がよくないよ、こういう話も随分あります。それで、あるところでは、何かコーヒーを飲もうと思ってクリープをあけたら、クリープがどろっとなっていた、こんな話もありまして、そこら辺のファンに対してのサービスというんですか、それがちょっと、それが一応名前のあるホテルのカフェというふれ込みなんですよ。ところが、そういうクリープがどろっとなっているみたいな、そういうことが間々あるらしいんですね。こういうことはやはり改善してもらいたいなという意見がありました。

 そして、あと、これは本当にしっかり聞いてもらいたい、今までのことももちろんしっかり聞いていただきたいんですけれども。今ファンサービスで、例えば、皆さん、若い夫婦が子供さんなんかを連れてきますよね。そうすると、中で子供さんが遊ぶいろいろなものがあるんですね。例えば、汽車、小さなミニ列車というんですか、ああいうのもあるんですね。それで、どうもそこら辺で働いている方々が余り子供さんの扱いがうまくないという意見が、本当にこれは多いんですよ。ミニ列車ですから、子供でも足が下についちゃうわけですね。たまたま私の姉が行ったときに、それでけがをしている人を見たことがありました。

 要するに、結構若い人がそれを担当して仕事をしているんですけれども、子供の扱い方がちょっとよくない。ですから、何か乗馬で乗せるときに、子供なんかがちょっとぐずったりするときがあるわけですね。そうすると、若い人だというのもあるんでしょうけれども、早く乗れよみたいなことを言ったりする、そういうのが結構目立ちますよ、こういう意見が実はあったんですね。

 そして、あとは、これは本当に細かい話ですけれども、ファンサービスで何かやってもらいたいことがあるかと聞いたときに言われた一つなんですけれども、当たり馬券はぜひ記念にとっておきたいなと思ったときに、競馬場にはたしか十円ぐらいでコピーをしてくれるところもあることはあるんですけれども、できたら、機械に入れてお金が出てくるんですね。そのときに、穴か何かがぽんとあいて、それでその馬券も出てきたらうれしいな、これは小さな話ですけれども、こういうファンサービスもしてくれたらありがたいな、こんな話も実はありました。

 あと多かった意見では、ごみが競馬場になくなった、これは本当にうれしいことだ、こういういい意見、そして、やはりトイレが非常にきれいになったよ、こういう意見もありました。やはりこういうところというのは大切なんですよね。

 私の選挙区で、北見で、ばんえい競馬というのをやっているところがあるんですけれども、ここは、ことし、残念ながらやめてしまいました。そこの会場に、自分の選挙区ですから、なるべく一年に一回や二回は行くようにしていたんですけれども、赤字なものですから、いろいろなものにお金がかけられないというので、トイレは汚い、そして座るところもきれいじゃない、こういうことで、それで余計客離れを促進していたというふうに私は思うんですけれども、そういうところを見ると、一生懸命またこの競馬の関係の人たちも頑張っている、そういう側面もあるというふうに思いました。

 大体、私は実はかなりの人にこれは聞いたんですね。これに関して、ちょっと聞いて何か御意見がありましたら、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。

山田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど大臣から御答弁いたしましたように、やはり競馬は何といってもファンがあっての競馬でございます。そういう意味では、ファンの方に競馬を楽しんでもらうようにどうやっていくかというのは非常に大きな課題でございます。

 こういう面で、まず競走自体がわくわくするようにおもしろいということが非常に大事であるというのが一つ、それから情報の提供がしっかり行われる、ファンにちゃんと情報が届くということも重要だと思いますし、先ほど委員が言われましたように、競馬場の中で非常に快適に過ごせるような施設ですとかあるいはソフト面での対応、こういったことが極めて重要であるというふうに考えております。

 私どもといたしましても、委員がおっしゃいましたファンの声によくまた耳を傾けながら、いろいろ検討していきたいというふうに考えております。

松木委員 大臣は、臨時代理はまたどうなるかわからないな。副大臣、どうですか、せっかくですから。

山本(拓)副大臣 今先生御指摘のファンの要望というのは、御案内のとおり、大変重要な事項でございます。そういう意味からいたしまして、今回の法改正によりまして、この趣旨が、もともと順調に売り上げが上がっているのなら、何ら改正する必要は基本的にベースにないわけでありまして、的確に先生が御指摘のような要望にこたえるべく体制をきちっとする。そして、農水省としても、そういう事業主単位がさらにそういう要望をしっかり受け入れるための環境整備をしていこうという中で監督をしていくわけでございまして、今御指摘の件については、今後十分に、監督する中で、そういう視点で監督するということは当然あることだと思っておりますし、またそうしなければならないと考えております。

松木委員 ありがとうございます。

 大変失礼しました、臨時代理のお気持ちもちょっと、端的で結構でございますので、もしできましたら、特にないというのであれば、それでも結構です。

若林国務大臣 当初申し上げましたけれども、ファンあっての競馬でございますので、今委員がいろいろと御紹介がありましたファンの声というものに常日ごろ主催者側も耳を傾けていかなければならないことでありますし、ファンがいろいろと御不満があり、またいろいろな注文があるとすれば、それらは、コストとの関係がありますから、すべてのファンの言い分を聞かなきゃいけないということではありませんけれども、気持ちとしては、それを十分尊重しながら経営管理に当たっていくということが大事なことであるというふうに思っております。

松木委員 今るる私はいろいろなことを言ったんですけれども、この中で、やはりファンの中の話として、私は大切なのは、意外と窓口が機械化され過ぎじゃないのかという話と、子供たちの遊び場にちょっと危険があるよ、この二つが特に大切だと思うんですけれども、役所の方、これに対してどういうふうにしていくかという気持ちが何かあれば、ここでお聞かせをいただきたいと思います。

山田政府参考人 ただいま御質問の二つの点でございます。

 一つは、窓口の機械化の関係でございます。現状でいいますと、自動窓口が相当ふえているんですけれども、やはりそれになれておられないファンの方もおられるので、それなりに有人窓口を設けて対応できるようなことも、それぞれ主催者の方で配慮をしているというふうに思っております。

 それから、一方で、先ほど委員もおっしゃいましたけれども、経費の節減やいろいろな観点から、それもまたファンへのサービスにつながるわけですから、効率化を図るという観点から、自動窓口も一定程度はふやしていくということも必要であろうかというふうに思っております。

 それから、遊び場の件ですけれども、これも今、特に中央あるいは地方でも、家族連れで来られる方がかなり多くなっておりまして、国民の方が家族全体で競馬場で楽しむというようなこともふえておりますので、その遊び場を充実していくということも必要でしょうし、それから、先ほどお話がありました子供の扱いなどについても、やはりそれなりに注意をしていくことが必要ではないかというふうに考えております。

松木委員 わかりました。少子高齢社会とも言われていますので、やはりお年寄りの方というのはどうしても苦手なところもあるようですから、ここら辺の配慮をぜひこれからもいろいろと考えていただきたい。それともう一つ、少子高齢社会の子供の方は、これは大切な子供ですから、万が一にも事故がないように、ひとつそこら辺の、ただのアルバイトを雇うのではなくてそういう経験のある人を雇うとか、ちゃんとした面接もして雇っていただきたいなというふうに要望をしておきます。

 それと、あともう一つ、ファンからのお話として、犬とかペット、数年前までは、ワンちゃんとかそういうペットを連れて入ることは全然何でもなかったらしいんですね。ところが、数年前から突如、本当に突如、入り口でぽんととめられて、いや、だめなんですと言われた、それで何でですかと聞いても、いやいや、とにかくだめなんです、上から言われています、こういうことだったらしいんですけれども、これに対して、動物検疫だとかいろいろなことなんだろうとは思いますけれども、一応お答えをお願いいたします。

山田政府参考人 ただいまペットの件についてお尋ねがございました。

 ペットにつきましては、委員からお話がありましたような検疫上の問題、これも一つございます。

 それともう一つは、やはりそれまで以前は、ペット、犬とか猫を持って入るというのを認めていたようなんですけれども、そのペットが場内を駆け回って、特に馬場に出て、馬が驚いて事故が生じたというようなことがあったそうなんです。それ以降、やはりそういうことがあると大変ファンにも迷惑をかけますし、それから人の身体にも影響しますので、そういう観点から御遠慮願っているということだと聞いております。

 そういったことをよく入り口のファンの方に説明していくというようなことも重要なことかというふうに考えております。

松木委員 よくわかりました。

 それは事故があってはいけませんので、馬も足というのは弱いですから、そういうけがでもしたら、これは馬主が、今度は何千万、ひょっとしたら一億の馬がだめになるかもしれないですから、これは大変なことです。

 ただ、お客さんが来たときに、けんもほろろに急にだめだとかと言うんじゃなくて、まず告知をするとか、お客さんを大切にする、そういう態度が若干欠けていたんじゃないかなという気もするんですよね。

 そして、働いている人たちが、自分たちがどういう立場で、どういうことをお客様にも言わなきゃいけないかということもよく周知徹底して仕事をしてもらう、これも私は非常に大切なことだというふうに思います。ぜひそういうふうにしていただきたい。

 それと、私ちょっと気になっているんですけれども、ピーク時から考えて、来場者数だとかそういうものは減っていませんか。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 売り上げは、中央競馬では平成九年、それから地方競馬では平成三年がピークでございまして、それ以降下がっております。それから、入場者数もほぼ同時期をピークとして、競馬場に実際に来られる方の数は減っている状況にございます。

 ただ、委員御案内のとおり、電話投票のシステムあるいは場外馬券売り場のシステム、こういうものがかなり入っておりますので、例えば、中央競馬で集計をしております電話投票なり、あるいは場外馬券売り場へ来て実際に参加している方の数字を見てみますと、全体としてはそんなに減っていないということなので、中央競馬で見れば、確かに競馬場への人なり場外馬券売り場の人は減っているかもしれませんが、いろいろな、インターネットですとか電話などの人はそれなりに確保されているということで、関心は依然としてあるのではないかというふうに理解をしております。

松木委員 売り上げそのものはどうなっていましたか。大体でいいですよ。

山田政府参考人 売り上げにつきましては、中央競馬、先ほど言いましたように、平成九年がピークですけれども、これに比べまして、現時点では約三割近くの減少になっております。

 それから地方競馬につきましては、ピークが平成三年でございますが、これにつきましては約六割ちょっとの減というような形で推移しております。

松木委員 何か世の中を反映しているのか、地方がだめになってきているということなんですね。より地方がだめになってきている。地方競馬があって中央競馬もあると思いますので、地方競馬というものをやはり大切にしなきゃいけないなというふうに思うわけでございます。

 それでは、我が国の競馬というのは国や地方の財政にかなり寄与してきた。そして、国民の健全な娯楽の提供等大きな役割を大分果たしているわけですけれども、JRAもこれまで十兆円規模で国庫に貢献してきたわけですね。競馬の売り上げが下がる中で、JRAの改革を通じて売り上げ拡大を図るということは大賛成なんですけれども、ただやればいいということじゃなくて、やはり中身が大切なんです。

 その中で、今回の改正の一つの柱の中で、経営委員会を意思決定機関として設置するというふうになっていますよね。JRAに経営委員会を設置したとしても、何か屋上屋というんですかね、そういうものを重ねるだけではないかなという感じもするんですけれども、新たに経営委員会を設置する趣旨というのか、そういうものをお伺いしておきたいと思います。

山田政府参考人 経営委員会を設置する趣旨でございますが、経営委員会は、国の関与あるいは規制を緩和するという中で、日本中央競馬会の適正な業務運営を確保するということ、それから、さらに外部の方の知見あるいは活力を中央競馬会の中に反映させるということで、一層効率的な、また非常にファンの方にとっても楽しいような競馬がなされるようにということで設置をするものでございます。

 この経営委員会は、経営の基本方針や目標、さらには予算、事業計画などの重要事項を決定しまして、また、実際の執行に当たります役員を監督するというようなことを考えております。

松木委員 わかりました。頑張っていただきたいなと思います。

 JRAというのは、今効率化という話が随分出ていますけれども、効率化ばかり言っていて、結局ファンが何となく寂しい思いをして、そして観客が来なくなる、そして馬券も売れなくなるということになってしまってはしようがないので、そこら辺は気をつけていただきたいというふうに思います。それが一番大切なことだと思います。

 そして、世界一の売り上げを誇るんですね、我が国の競馬というのは。それはまさにだれが支えているかといったら、もちろん馬産地の方々から何からみんなそうなんですけれども、やはりファンというのが支えているということが言えるわけですけれども、現状二五%が、テラ銭という言い方をしたらちょっと失礼ですけれども、二五%がまず取られて、そして一〇%がたしか国庫に納付されるんですよね。そして、あとの一五%でJRAの運営をして、それでまた黒字が出たら、たしか二次国庫ということになるんでよかったでしたか。

山田政府参考人 おおむね今お話のあったようなことで、国庫納付なりがなされております。

松木委員 今まで大体十兆円ぐらいですか、国庫に入れた。国庫納付割合をもうちょっと、では恒常的に下げようかという考えは今のところはないんですか。

山田政府参考人 ただいま委員からお話がありましたように、昭和二十九年に日本中央競馬会が設立されて以来、十兆円以上の国庫納付が行われておりまして、この国庫納付金を活用しまして、畜産振興等の事業や社会福祉の事業に活用されているということでございます。

 中央競馬の目的というものの一つとしまして、馬の改良増殖やあるいは畜産振興を図る、それから国の財政に寄与するということで、いろいろな形で社会貢献をしていくということでございますので、そういう意味で、国庫納付をしたものがまたいろいろな形で社会還元されるという意味では、公益の観点から、競馬が特に刑法の例外措置として認められているような趣旨からすれば、国庫納付を今の程度は続けていく必要があると思いますし、それから国の財政事情を考えましても、やはり国庫納付は引き続きお願いをしていかなくちゃいけないというふうに考えております。

松木委員 なるほど、よくわかりました。

 その中で、例えば、こういうばくちというんですか、ちょっと言葉は悪いですけれども、フィンランドに私行ったときに、あっちもカジノがあるんですけれども、それの収益というのはお年寄りのために使う、そういう限定的なものなんですよね。

 今は、国庫に入れて、ある意味、いろいろなことに使われるということなんですけれども、案外これは、例えば、今度から競馬の、テラ銭と言ったらまたちょっと言葉はよくないですけれども、上がったお金は、社会福祉に使うとか、あるいはお年寄りのために使うとか、子供のために使うとかという、かなり限定的なことにしていくことというのは可能なのかな、そういう気持ちはないのかなとちょっと思うんですけれども、どうでしょうか。

山田政府参考人 現在、一般財源に繰り入れられたお金、財源でございますが、これについては日本中央競馬会法の中で規定がございまして、その繰り入れられた額に相当する金額のうち、畜産振興に必要な経費におおむね四分の三、それから民間の社会福祉事業の振興のために四分の一に相当する金額を充てるという規定がございますので、競馬会の収入見合いの分についてはこれまで十兆円ございますけれども、そのうちの約四分の三ぐらいが畜産振興、それから四分の一ぐらいが社会福祉という形で利用されているということでございます。

松木委員 よくわかりました。

 畜産振興ももちろんですけれども、そういう福祉的なことに使っているということをもっと大いにPRすればいいというふうに私は思っておりますので、ぜひそういう努力もされたらいいと思います。

 それと、もう時間がなくなりましたのでこれで終わろうと思いますけれども、馬産地、実は私の、選挙区は馬産地ではないんですけれども、北海道の日高というところが、例の新冠だとかありまして、ハイセイコーだとかそういう名馬が出たところなんです。この馬産地の人たちが、三年前もそうだったんですけれども、競馬場がどんどん閉まっていくんですね。それによってかなりサラブレッドがだぶついているというので、かなり皆さんから私のところに陳情があった。この間の競馬法の改正のとき、そういうことがありましたけれども、これはどのぐらい解消されたのかなと思うんです。

 なかなか、そう簡単じゃないのかもしれないです。しかし、ファンも大切です。でも、お馬さんをつくる人たち、この人たちも、これは国策で軽種馬ということで農林水産省の方々が奨励してやったことだと思うので、こういう方々に対してのいろいろな意味での説明責任、そういうことをこれからもしっかり果たしていただきたいというふうに私は思いますし、そして、困っていることがあれば、本当にきめ細かな、そういう方々に対してのケア、こういうことをしていただきたいということを要望申し上げまして、私の質問を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

西川委員長 次に、御法川信英君。

御法川委員 おはようございます。自由民主党の御法川でございます。

 法案の審議に入る前に、一言申し述べることをお許しいただきたいと思います。

 農政の大先輩である松岡先生が御逝去なされたことは、内閣、農水省のみならず、全国で農林水産業に携わる皆様や、私のように国会議員として農林水産業に取り組んでいた者にとってもはかり知れない損失でありました。

 故松岡大臣は、昨年九月に農林水産大臣として入閣をされましたけれども、農林水産行政は松岡先生が一貫して取り組んできた政策分野でありまして、まさに農政の専門家として、その知見をいかんなく発揮して行政に取り組まれてまいりました。

 御功績は多岐にわたりますけれども、農政の一大転換期である今、本年四月から実施に移された品目横断的経営安定対策、米政策改革推進対策、農地、水、環境保全向上対策という三本の政策に向けて、関係機関、団体との連携協力を図り、その円滑な実施と定着に向け、日夜御奮闘なされました。

 また、おいしく安全な日本産品の輸出を平成二十五年までに一兆円規模にするための戦略的な輸出促進や、国産バイオ燃料の大幅な生産拡大など、農林水産業の新たな領域の開拓にも果敢に取り組まれました。

 また、国際交渉についても積極的に取り組まれ、WTO交渉やEPA、FTA交渉では、我が国農林水産業への影響を十分に踏まえ、多国間、個別の国々あるいは地域との交渉に熱意を持って取り組まれました。とりわけ豪州とのEPA交渉については、守るべきものはしっかり守るとの方針のもと、重要な農林水産物が除外あるいは再協議の対象になるよう、粘り強く交渉に当たっておられました。

 このような重要な時期に我々が松岡大臣を失ってしまったということは、本当に痛恨のきわみでございます。我々は、なお一層の熱意を持って日本の農林水産業の未来のために取り組んで、誠心誠意、国民の負託にこたえていかなくてはならず、それが今は亡き松岡大臣への我々の最大のはなむけである、そういうふうに思います。

 松岡利勝先生の御冥福を心よりお祈りを申し上げます。

 ありがとうございます。

 それでは、法案の質疑に入らせていただきます。

 我が国の競馬は、中央競馬、そして地方競馬という二つのスタイルで、関係者の長年の御尽力によって発展、振興してきたところでございますけれども、最近、特に地方競馬の衰退が著しいということで、地方財政あるいは地域の産業、雇用にも大きな影響を及ぼしております。

 一方、先日行われましたJRAの日本ダービーには十三万超のファンが来場したと言われておりますし、国民的な行事と言ってもいいようなイベントにもなっております。しかしながら、このJRA、中央競馬にあっても、平成九年をピークに売り上げが減少し続けており、厳しい経営改革に取り組んでいるということでございます。

 ここで、我が国の競馬の役割ということを考えてみますと、中央競馬にあっては国家財政に対して、そして地方競馬にあっては地方財政に貢献する、これはもちろんのことでございますけれども、畜産振興への寄与、そして、先ほど松木先生からるるお話がございましたけれども、国民の皆様に対するレジャーの提供というような、さまざまなことが挙げられるというふうに思います。

 しかしながら、この厳しい地方競馬の状況では、撤退をする主催者が出始めまして、最近におきましても、その存廃の瀬戸際に追い込まれている主催者が見られるという状況でございます。

 このため、特殊法人の改革についても、JRAの運営等の一層の効率化を図る、あるいは地方競馬全国協会の業務に地方競馬の事業の改善に資する業務を追加するなど、最近の競馬をめぐる状況を色濃く反映した措置内容が政府において閣議決定をされております。

 そこでお伺いしますけれども、農林水産省としては、このような競馬の状況をどういうふうに認識をして、また、このような売り上げが低迷している原因というものをどのように考えているのか、お答えを願いたいと思います。

山田政府参考人 競馬の状況についてお答えいたします。

 委員からお話がありましたように、競馬につきましては、大衆の娯楽としてかなり広く受け入れられている状況にございます。そういうこともありまして、地方競馬にありましては平成三年度まで、中央競馬にありましては平成九年度まで、順調に売り上げが伸びてきたところでありますが、その後は売り上げが減少しているということでございます。

 具体的には、電話投票会員などの競馬参加者は増加をしているというふうに思っておりますが、一人当たりの購入単価が大きく低下しております。その結果、売り上げ全体としては減少しているという状況にございます。

 この理由といたしましては、最近では景気回復の基調に転換してきていると言われておりますが、余暇や娯楽に向けられるような支出がまだ回復していないということもございます。それから、娯楽、趣味の多様化などに伴って、新たなファン層を獲得していかなければならないわけですが、そこが十分できていないということ。それから、パチンコなどのように、時間的にもあるいは交通アクセスから見ても手軽な娯楽というものがありまして、これとの競合があるというようなことが指摘をされております。

 ただ、最近の経営の収支を見ますと、地方競馬におきましても、主催者によっては、馬券の種類の多様化あるいはファンの利便性向上ということで、場外発売施設あるいは電話投票の整備に取り組んでいるというようなことで、一定の成果が出ているところもございます。私どもとしては、今後、各主催者において、こういった競馬を取り巻く情勢あるいは地域の状況をよく分析しながら、売り上げを増加させる対策の検討をしていくということが必要である、また重要であると考えております。

御法川委員 ありがとうございました。

 地方、地域のやり方によってはかなり差が出てきているというようなことだとも思いますが、全体として見ると、先ほどから申し上げていますように、地方競馬をめぐる状況というのは大変厳しいものがあるんではないかなというふうに思います。多くの地方競馬の主催者は事業収支が赤字であるというふうに聞いております。ギャンブルというのは不景気には強いというようなことをよく言われておりましたけれども、現在、日本全体の景気が回復傾向にあるとはいいながらも、地方における経済の状況というのはまだまだ厳しいものがございまして、地方競馬が売り上げがよかったころに、下支えをしていたその地方経済もなかなか戻ってきていないというのが現状ではないかなというふうに思います。

 実は、私の地元は秋田でございますけれども、隣の県でございます岩手の方に伝統のある地方競馬がございまして、黄川田先生のところでございますけれども、岩手競馬がございますが、ことしの三月に岩手の県議会の方で、この存廃をめぐっての大変な議論が行われたというふうに承知をしております。廃止の寸前までいったということで、我々の地元秋田の方の地方の新聞でも大変大きな話題になりました。

 しかし、地元の関係者の御尽力によって、最終的には存続ということが決定いたしまして、今、関係者一丸となって頑張っていただいているということではないかなと思います。我々の地元の秋田の方には、岩手競馬の場外馬券の販売所がございまして、そういう意味でも、岩手競馬の存続を望む声というのは秋田で大きく聞かれたということでございます。

 地方競馬というのはその地域地域に根差した健全な娯楽であります。また、地元の雇用あるいは関連産業への波及など、地域の経済にも大きな貢献をしておるわけでございまして、仮に廃止というようなことがある場合、その経済的な影響あるいは社会的な影響というのは非常に大きなものがあるというふうに考えられます。

 そういう中で、地方の景気の回復を待って、地方競馬がだめになってしまうということではまずいんではないかなというふうに思います。地方競馬の関係者の皆様は本当に血のにじむような努力をされているというふうに御察しをいたしますけれども、これはやはり政府としてもきちんと取り組んでいかなくてはならない問題ではないかなと私は考えます。

 そこで、お伺いを申し上げますが、地方競馬の事業収支の改善を促進する措置として、本改正案の中でどのようなものが用意をされているのか、お答えをいただきたいと思います。

山田政府参考人 地方競馬の収支改善措置についてでございます。

 地方競馬につきましては、やはりさまざまな問題を抱えております。例えば、各主催者が個別に競馬関係の施設を設置しているなどの関係で高コストな体質があるということ。それから、主催者ごとにばらばらな日程、番組編成が行われておるということで、ファンのとり合いが生じたり、あるいはレース自体がおもしろくないというようなこともあります。それから、その商圏といいましょうか、販売をされる馬券の範囲というのもやはり限定されるというようなこともあります。

 こういった問題を解消しながら収支改善を図っていく必要があるということでございまして、今回の改正では、地方競馬全国協会を地方競馬の主催者がその意思と責任で運営する地方共同法人に改組いたしまして、主催者が共同で利用する施設の設置あるいは主催者間の競馬開催日程あるいは番組編成の調整などを行いまして、そういったことによりまして、競馬事業の改善に資する業務ということをやっていくということにしております。

 さらに、主催者が一層の事業収支の改善に取り組めるように、新たな措置を講ずることとしております。これまで、競馬連携事業、競馬連携計画として実施してきたものにつきまして、競馬活性化計画ということで拡充をしまして、地方競馬の活性化に資する取り組みを支援していきたいというふうに考えておりますし、地方競馬全国協会への交付金の猶予できる期間、現在三年でございますが、これを五年に延長する、また競馬場の改修等事業収支改善のための一定の措置を実施した場合には、交付金の一部を還付するといった措置でございます。

 このような支援措置を有効に活用しまして、全国の各主催者がそれぞれの事情を踏まえて連携を進め、地方競馬の振興あるいは主催者の経営改善が促進されるようにしてまいりたいと考えております。

    〔委員長退席、近藤(基)委員長代理着席〕

御法川委員 ありがとうございます。

 先日は日本ダービーがありまして、松木先生の方から、有料のウインズの席には空席があったようだというような話でございましたが、さはさりながら、十三万人という数のお客さんが足を運ばれたということでございます。JRAの方では、スターホースもたくさんおりますし、騎手の方も大変有名になっている方が多いというようなことで、こういうJRAの方の経営の取り組みというか内容は、例えばG1と我々普通に呼んでいますけれども、そういうものを頂点とする競馬番組の整備というものがあるから、まあまあよくなってきているんだろうというふうに思います。

 一方、地方の話をしますと、今局長から御回答ございましたように、開催日程がばらばらであるとか番組編成がよくないというようなことで、競馬そのものの魅力というのがどうも引き出されてきていないというようなことがありまして、事業収支改善のための措置の中でも、主催者間の連携というものをやはりもっと促進して、おもしろい、皆さんが来る地方競馬づくりというのを進めるというのは、これは本当に重要ではないかなというふうに考えます。

 先ほど、これも局長さんからお話がありましたが、前回の改正で整備をされました競馬連携計画というものの中に、今るる申し上げたような取り組みの端緒があったとは思いますけれども、この前の連携計画制度というのは、そもそも足りなかった部分があったとすればどういうところがだめだったんだろうなということ、そして、今回、競馬活性化計画制度ということになったわけですが、そうなることによって、具体的にどのような部分が改善されて、どうよくなっていくんだろうというようなことをお伺いさせていただきたいと思います。

山田政府参考人 ただいま委員からお話がありました現在の競馬連携計画でございます。これは、地方競馬主催者が連携をしまして、事業収支改善を図るための計画を作成しまして、大臣の認可を受けた場合に地方競馬全国協会から助成がなされるという仕組みでございますが、この仕組みのもとでも、主催者共通の電話投票システムや、あるいは主催者共通の映像システム等が構築されてきております。

 一方で、委員からお話がありました問題点ということでございますが、やはり全体を調整するいわば調整役が必要なのではないかという声、あるいはインセンティブがもう一つ足りないのではないかという意見もございました。こういった状況を踏まえて、今回の改正で競馬活性化計画へと発展を図るということとしたところでございます。

 具体的に言いますと、新たに、地方競馬全国協会の調整、助言のもとで、競馬ファンの獲得に資するようなおもしろい競馬番組の編成、あるいは出走条件について調整などを行うということといたしました。また、地方競馬全国協会の補助の対象としては、これまでは主催者が共同して設置するような施設あるいは設備に限定をされておりましたが、単独で設置する施設設備、例えば各競馬場でナイター施設をつくるというようなもの、これまでは対象になりませんでしたが、今後は対象に加えるということとしております。

 今回の改正によりまして、この改正による取り組みが実施され、各主催者の経営改善が一層促進されることになるというふうに期待をしているところでございます。

御法川委員 ありがとうございました。

 今のお答えにありますように、補助の対象がこれで広がっていくというのは本当に喜ばしいことだなというふうに思います。この新しい活性化計画制度というものを利用して、主催者の方々が地方競馬の活性化ということに資するような事業というものをどんどん立案して実施していっていただければというふうに思います。

 さはさりながら、主催者の皆さんの財政状況が厳しい話はずっとさせていただいておるわけでございまして、今二分の一という補助率でありますけれども、これがやはり主催者側に対してはネックになって連携事業というものがうまく進まなかったのではないかなというような声もちらほらと聞こえるわけでございます。

 そういうような現場の声を踏まえて、この補助率というものを今回引き上げてもらえるのでしょうか。また、そういう補助率を上げた場合に、当然これは、では財源は大丈夫なのかというような話にもなってくるわけでございますが、その辺のところを農林水産省の方にお伺いしたいと思います。

山田政府参考人 ただいま競馬活性化計画の事業についての補助率について御質問がございました。

 地方競馬は、基本的には地方財政への寄与ということを目的としておりまして、独立採算を基本として実施されておりますので、地方競馬主催者の責任のもとで収支改善に取り組むというのが原則であろうと考えております。

 こういった原則からいたしますれば、競馬活性化計画に基づく補助事業につきましても、主催者の自助努力が基本であります。そういう点で、主催者の負担を超えない範囲、すなわち二分の一以下で補助するということが基本的な考え方だと思っております。

 ただ、委員からもお話がありましたような、地方競馬をめぐる情勢、なかなか厳しいものがあるということもありましたし、また、今回の改正では現在の競馬連携計画を一層充実強化するということでございましたので、そういったことからすれば、補助のあり方についても検討する必要があるというふうに考えております。

 例えば、全国的な日程調整のもとで、すべての主催者の間で連携または活性化を図るために必要な共同のトータリゼーターシステムの構築など、すべての主催者に関係をするというようなものもございますので、そういった基盤的な事業について、例えば補助率のさらなる見直しを行うというようなことも検討課題かというふうに考えております。

 また、財源の点についてお話がございましたが、この財源につきましては、現在、日本中央競馬会及び地方競馬全国協会等の関係の資金を利用させていただいているわけで、こういった関係者の方々と十分に協議をいたしまして、必要な事業に支障がないように確保していきたいというふうに考えております。

御法川委員 ありがとうございました。

 地方競馬についてさまざま御議論をさせていただきましたけれども、今答弁があったようなさまざまな措置を実施していって、地方競馬の活性化というものにさらに取り組んでいただくよう、よろしくお願いしたいと思います。

 地方競馬に比べますと中央競馬の方は体力も比較的あるというようなことで、大変頑張ってはいるわけでございますが、しかし、やはりこれも、先ほどから松木先生の方からもあるように、ピーク時に比べれば売り上げもなかなか下げどまりが見えてこないというようなことで、楽観をできるような状況ではないというふうに私も思います。

 JRAの方は、皆さん御案内のとおり、テレビのコマーシャルをやってみたり、雑誌で広告を出してみたりということで、さまざまな宣伝の活動をやっているということでございますけれども、競馬そのものの本来の魅力というものをぜひ国民の皆様に理解していただいて、新しいファンというか、そういうものを獲得していくという、その努力が非常に今大事になっているのではないかなというふうに思います。

 もちろん、これはもう当たり前のことでございますけれども、競馬というのはギャンブルでございまして、それこそ今新しくできた三連単とかそういう話で、どちらかというとギャンブル性の部分に重きを置いたような議論というのがあるわけでございますが、実際に競馬場に行ってあの馬の走る姿というものを見ていると、本当に馬というのは美しい動物でありまして、それによって受ける感動というのもあるのではないかな、競馬ファンのような話になってしまいますけれども、私はそういうふうに感じるわけでございまして、そういうものをもっと国民の皆様に広めていくというような努力というのは、これは本当に大事なのではないかなというふうに思います。

 最近、たしかコマーシャルで「フィール・ライブ」というような、キャッチフレーズというか、そういうものを使ってやっているわけでございますが、やはり現場で本当の馬を、そしてレースを見てもらうというような取り組みというのは本当に大事ではないかなというふうに思います。

 また、競馬というのは、競輪、競艇、さまざま公営ギャンブルございますけれども、一つ決定的な違いがありまして、馬と騎手、この二つが組み合わさってドラマをつくっていくというような部分がありまして、騎手の存在というのも、これは決して小さいものではないというふうに思います。

 我々が競馬で馬券を買うときにいろいろなことを考えるわけでございますけれども、これは馬を見ているということだけでなくて、例えば騎手の技量、あるいは騎手と馬との相性とか、そういうことまでレースの結果に影響するということで、さまざまなことを考えながら我々は競馬を楽しんでいるということだと思います。

 この騎手の皆さんの話なんですが、中央競馬の方では、関西でも関東でも大変有名な、スタージョッキーと言っていいような方々が多数おられるわけでございますけれども、例えば、そういう人たちが地方競馬に行ってレースをしてみるとか、そういう交流等もさまざまこれからはやっていってもらえばいいのではないかなというふうに思います。

 そういうことをやっていってもらう上で、やはり競馬における大事な商品であります馬券の魅力の向上ということ、これも大変重要ではないかなというふうに考えます。

 今回の法案の中にあります払戻金の上乗せ措置ということについて、お伺いをいたしたいと思います。

 私は、なかなか当たりませんけれども、競馬ファンでございまして、この払い戻しの上乗せということには大変関心を抱いている部分なんでございますが、払い戻しの上乗せ措置というのは、どのようなレース、どのような方式で行われることになるんでしょうか。お答えをいただきたいと思います。

山田政府参考人 払い戻しの上乗せ措置についてでございますが、委員からお話がありましたように、馬券の売り上げが低下傾向に歯どめがかかっていない状況の中で、やはり売り上げの維持向上を図るためには、競馬をより魅力的なものとし、ファンを引きつけるためのファンサービスが重要でございます。この方策の一つとして払戻金の増額があるという点は、委員の御指摘のとおりであろうかと考えております。

 現在、払戻金の算出方法は競馬法によりまして一律に定められております。今回の改正によりまして、この払戻金につきまして、競馬主催者の経営判断により、また、農林水産大臣の認可を受けて、通常の払戻金に一定の金額を上乗せして交付するということとしたところでございます。

 この上乗せの対象となるレースあるいは馬券の種類につきましては、経営の状況あるいは競馬ファンの購買動向等を勘案して、各主催者の経営判断に基づいて決定されることとなります。具体的にどういうものがあろうかというふうに今考えてみますと、ファンの関心を引きやすいような非常に有名な馬が出るようなレース、こういったものについて、さらにファンの魅力を増すために上乗せをするというようなことが考えられるというふうに考えております。

御法川委員 この措置に私は大変期待をしておりますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。

 そのような興行面での規制緩和というのは、やはり新しいファンの獲得のためには大変有用であろうというふうに考えますし、さまざまなそのような措置というものをこれからもどんどん実施していただきたいなというふうに思います。

 さて、今回の改正の中では、JRAの組織改革というものもあわせて実施されるというふうに聞いております。新たな意思決定機関として経営委員会というものが設置されるということでございますけれども、当然、この経営委員会というものは、先ほど申し述べた払い戻しの上乗せの件でありますとか、さまざまな興行面での重要事項の決定というものにかかわってくるということになると思います。

 そこで、この経営委員会というものをJRAに設置するそもそもの趣旨というものを伺わせていただきたいというふうに思います。また、JRAの重要な役割ということを考えれば、経営委員会の委員というのも大変重要な位置を占めてくるというふうに考えられますが、どのような方たちを委員として迎え入れてやっていくことになるのか、その辺のことをお伺いさせていただきたいと思います。

山田政府参考人 経営委員会の設置につきましてお答えいたします。

 経営委員会は、国の関与や規制の緩和を行う中で、日本中央競馬会の適切な業務運営を確保するとともに、その経営に外部の方の知見あるいは活力を反映するということで、中央競馬会の事業運営の一層の効率化を図っていくということから設置されるものでございます。

 経営委員会は、経営の基本方針や目標、また、予算、事業計画等、経営に関する重要事項を決定し、さらに、役員の職務執行を監督するということになります。

 どのような人が委員になるかというお尋ねでございますが、今言いました経営委員会の果たす機能、その役割にふさわしい識見を有する者ということに抽象的にはなろうかと思いますが、具体的には、経営マインドにすぐれた企業経営の経験者であるとか、あるいは、競馬ファンの声を代表するという意味で、マスコミ関係の方などが想定されるところでございます。

御法川委員 新しい委員会をつくるということになると思いますので、当然、その委員の方たちの識見、能力、そして、委員会そのものの透明性というような部分にもぜひ配慮していただいて、進めていただきたいというふうに思います。

 表でJRAの計画というのは本当に必要であるし、わかるところでございますけれども、そもそも競馬というのは競走馬がいないと始まらないということを考えれば、競走馬の生産というのは本当に競馬の根幹の部分であるのではないかなというふうに思います。

 しかしながら、競走馬の生産農家の皆様は大変苦しい状況で今やっていらっしゃるという、私の地元にはございませんが、一大生産地である北海道の生産者の皆様は大変厳しい状況の中でやっておられるというのが現状ではないかなと思いますが、その競走馬生産についての課題をどのように農水省は認識して、これから対策をしていこうとしているのか、お答えをいただきたいと思います。

山田政府参考人 競走馬生産の課題、また対策についての御質問でございます。

 我が国の競走馬生産は、さまざまな制約のもとで行われているというふうに考えております。例えば生産について、やはり歴史が浅く、生産者の技術水準が平準化されていない、うまい、非常に立派な人もいれば、そうでもない方もいるというような状況。また、血統のはやり廃りがあったり、あるいは個体差というものがあって、競走馬の価格がかなり変動するということから経営のリスクが非常に高いのではないかということ。それから三番目には、やはり土地資源が制約されているということで、おのずから経営が零細なものが多数を占めるというような構造がありまして、なかなか規模拡大ができないというような状況にあります。

 また、特に最近の状況を見ますと、地方競馬の主催者の中で競馬事業から撤退するような事例がございますし、それから、収支の悪化に伴いまして賞金の引き下げが行われて、その結果、馬主の購買意欲が低下をするというようなことがございます。そういったことから、競走馬の需要が減少して生産頭数が減少する、そういったことで、農家経営の状況もなかなか厳しいという状況でございます。

 こういった状況を踏まえまして、平成十六年の競馬法の改正によりまして、競走馬生産振興事業を実施する。この事業は平成十七年度から二十一年度までの期間ということでございます。そういう事業を実施することとしたわけでございます。その内容といたしましては、担い手生産者の組織化などの先駆的取り組みへの支援、既往借入金の借りかえ資金の融通などの経営基盤強化対策、さらに優良繁殖牝馬の導入への支援等を行いまして、生産構造を強化するとともに、強い馬づくりを推進しております。

 今回の改正案では、この競走馬生産振興事業の実施期間を平成二十四年度まで三年間延長いたしまして、これら対策をさらに推進していくというふうに考えております。

    〔近藤(基)委員長代理退席、委員長着席〕

御法川委員 ありがとうございました。

 生産者対策もぜひよろしくお願いしたいなというふうに思います。

 さまざま質問させていただきましたけれども、競馬の売り上げ等を通じた財政のこと、あるいは畜産振興、さらには国民のレジャーというようなこと、さまざまなことをもって、やはり競馬というものが魅力的なものである、そのために今回の法改正があるというふうに考えますけれども、今後の競馬の発展ということに対して、農水省としてどのように考えているのか。最後に、副大臣の方から一言いただければというふうに思います。

山本(拓)副大臣 今、御法川先生がずっと御指摘いただいたとおりでございまして、競馬の売り上げが減少いたしておりますのは、個人消費支出の低迷、娯楽の多様化が主なる原因と言われているわけであります。

 そういう中で、競馬の今後の発展を考えたときに、あくまでもやはり事業者がしっかりと対応していただかなくてはならないわけでありまして、日本中央競馬会を初めとする主催者が、競馬の売り上げ回復を図るための取り組みを積極的に行い、これが経営の改善と競馬の振興につながるということでございますから、そういう方向での計画をしっかり立てていただく、それを農林水産省として環境整備に協力していくということが重要か思います。

 そういう中で、農林水産省といたしまして、公正でわくわくするような競技の施行とか、ファンのニーズに合った馬券の種類や情報サービス等の提供とか、快適で楽しく過ごせる競馬場の環境整備といったいろいろな要望、またこういう委員会の場で委員から指摘いただいた要望、そういうものをしっかり踏まえて監督指導に当たってまいりたいと考えております。

御法川委員 しっかり取り組んでいただきたいというふうに思います。

 これで私の質問を終わります。ありがとうございました。

西川委員長 次に、西博義君。

西委員 公明党の西博義でございます。

 質問に入らせていただく前に、一昨日お亡くなりになられました松岡利勝農林水産大臣の御冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、御遺族、御親族の皆様に心よりお悔やみを申し上げたいと存じます。

 それでは、時間がわずかですので、早速質問に入らせていただきます。

 現在の地方競馬は、いわばそれぞれの主催者がミニJRAという感じで運営をしていると言ってもいいんじゃないかと思います。つまり、各主催者が、競馬開催に必要なコース、それから競走馬、厩舎、発売網などをすべて個別に抱えている。競馬は、かかわる人の数も多く、競走資源の維持コストも他の種類の公営競技よりかなり高いというのが特徴でございます。

 JRAは、全国展開をすることによってスケールメリットをうまく使っておりますが、地方競馬の主催者は、そのようなスケールメリットがないために、売り上げの低下が経営圧迫に直結するというような構造を持っていると言われております。

 こうした点を踏まえて、今回の法改正は、平成十六年の法改正に引き続いて、売り上げの減少から厳しい経営状態に陥っている地方競馬事業について、さらに対策を講じようというものだというふうに理解をしております。

 ところで、平成十六年の地方競馬改革の大きな方向性というのは、ブロック化ということでございました。そして、今回は、地方競馬全国協会を地方共同法人として組織改革し、ブロック化をさらに進めて、緩やかな一元化まで目指そうというふうにしているわけでございます。

 そこで、まず現状についてお伺いしたいと思うんですが、このブロック化のことについて質問を申し上げたいと思います。

 JRAのようにスケールメリットを生かすため、地方競馬を全国一本の組織に統合するという案も考えられますが、各主催者の調整が難しいことから実現が難しいということでブロック化を模索したというふうに考えていますが、この間、統合化ではなくてブロック化を進めてきた理由、これが一点でございます。

 また、ブロック化では、地域的に近い主催者同士などで日程調整を行って、日程が重複するいわば供給過剰状態を解消すること、それから競走資源を共有するということでコスト構造を改善して質の高いレースを提供する、これがねらいだというふうにされておりますが、現状のブロック化の進捗状況について、あわせて御報告をお願いしたいと思います。

山田政府参考人 委員からお尋ねがございましたブロック化を進める理由それからその進捗状況についてお答えをいたします。

 これは、委員からもお話がありましたけれども、全国一本の組織にするということについては、やはり地方競馬の性格からするとなかなか難しいものがあるというふうに考えております。地方競馬は、地方財政への寄与を主たる目的として地方公共団体が実施をするということでありまして、その収益は各地方公共団体に帰属するということで、こういった地方競馬の趣旨あるいは性格からすると、全国の主催者を一本に組織化するということはなかなか困難があろうかと思います。

 一方で、委員からお話がありましたとおり、地方競馬の問題点といたしまして、主催者ごとに競走馬や騎手、厩舎等の施設を抱えておりまして、番組編成や日程の決定を行っているということで、コスト高になる、あるいはファンのとり合いが生ずる等の問題が生じております。こういった問題を解消していく必要がありますので、地域ごとの主催者が連携して、おもしろく、また効率的な競馬開催が行われるように、ブロック化を推進してきたというところでございます。

 このようなブロック化の取り組みの中には、その先駆的な取り組みということで、昭和五十年代後半から南関東地区で取り組まれてきておりまして、現在、南関東地区では、地区内の日程調整を行い、重複した開催を解消する、避けるということ、馬券の集計システムでございますトータリゼーターシステムを一本化するということもしておりますし、それから、騎手、競走馬が、四つの競馬場がございますが、基本的にはどこでも出走できるというような形で、ブロック化が相当深まっている状況にございます。

 それから、東海・北陸地区ですとか九州地区におきましては、平成十六年の法改正も踏まえて、南関東で行われているような同じような取り組みを進めようということで、徐々に進んでいるような状況にございます。

 こういった取り組みに対しましては、十六年の法改正で導入されました地方競馬連携事業等により、必要な支援を行っているという状況にございます。

西委員 今、先駆的な取り組みを御報告いただきました。

 一方で、先ほどもちょっと議論がありました、岩手が存続がいっとき危ぶまれて、また復活するというような存廃の問題がございます。それから、兵庫は、地方よりもJRAに参加、一緒にやりたいというような意向が強いと言われているように聞いております。それから、北海道、高知、福山、いずれも地理的にこれは離れているということで、ブロック化が難しいというような問題があるんじゃないかと思いますが、それぞれの地域でのブロック化、特に今挙げましたところのブロック化の取り組みについて、現状をお知らせいただきたいと思います。

山田政府参考人 お答えいたします。

 委員の御指摘のありましたようなそれぞれの地域におきましては、南関東地区のように近隣に他の競馬主催者が存在しないということで、競走馬や騎手の交流等を行いにくいという面があります。しかしながら、このような主催者においても、最近、通信や交通手段が発展してきておりますので、遠隔地の他の主催者との間で各種の連携協力がなされております。

 例えば、北海道営競馬におきましては、北海道営競馬の馬券を南関東地区の電話投票システムに載せまして、そこで購入できるようにするというようなこと、あるいは福山市営競馬と高知県競馬組合との間で騎手の交流をするということ、あるいは馬券の相互販売をするというようなことが行われております。

 また、今言いました南関東のようなブロック、一定の区域でまとまって取り組むということや、あるいは主催者同士が少し離れていても連携をするというようなことのほかに、全国的な観点から、地方競馬主催者の間で連携協力を進める取り組みが行われております。昨年から実施をしておりますダービーウイークというのがございます。これは、全国の主催者が参画して競馬番組面で連携を行って、ダービーというものをいろいろな地域でやりながら重賞レースを組み立てていくというようなこと、あるいは互いに各主催者が連携して重賞レースの発売を行うというような全国的な取り組みがございます。

 今回の改正によりまして、地域のブロック化のみならず、遠隔地であっても個々の主催者同士の連携とか、あるいは委員から御指摘がありました全国的な連携、こういったさまざまな取り組みを地域や主催者の実情に応じて実施していくということで、地方競馬全体の活性化につながるようにしていきたいというふうに考えております。

西委員 地方競馬にとっては非常に大きな変革、期待の持てる方向性だと思います。とはいいましても、今までがそれぞれの競馬場主催ということで難しい面も種々あろうと思いますが、積極的な展開をお願いしたいと思います。

 次に、地方競馬全国協会について、関連した質問を申し上げたいと思います。

 今回の改正で、地方競馬全国協会を地方共同法人として組織改革するということになっております。緩やかな事業の一元化、先ほど説明したことの関連だと思いますが、それから事業のさらなる民営化を進めようということですが、その目的もしくは地方競馬の方向性というものをどういうふうにこれによって描こうとしているのか、御説明をお願いしたいと思います。

若林国務大臣 地方競馬全国協会につきましては、平成十七年十二月に閣議決定されました行政改革の重要方針の中で、地方競馬主催者の意思と責任で運営され、新たに地方競馬の改善に資する業務を行う地方共同法人とするというふうにされたものでございます。

 これは、地方競馬につきまして、主催者ごとに厩舎などの施設を抱えているため、高コスト体質になっていること、主催者ごとにばらばらな開催日程でファンの取り合いが生じていること、商圏が限定していることなどの問題を解決するために有効な措置であると考えられたためであります。

 具体的な改正内容といたしましては、地方競馬主催者の意思と責任で運営するために、その代表者から成る意思決定機関として運営委員会を設置すること、運営委員会が決定する方針のもとで、全国的な視野に立った競馬開催日程の調整などを行うこと、主催者が共同して利用する施設の整備を行うことなどの措置を講ずることとしているところでございます。

 これによりまして、地方競馬が活性され、わくわくするような競馬が各地の地方競馬で効率的に施行され、全国的な発売網のもとで馬券が発売されるというようなことになることを期待しております。

西委員 ありがとうございます。

 地方共同法人ということで、特殊法人から変わるわけですが、人事面においては、現在、農林水産大臣が協会の会長、監事の任命を行っております。今回の改正で、新しい組織では、理事長や監事は、理事長というのは今までの会長ですが、農林大臣の許可を受けて運営委員会が任命するということになっておりまして、そういう意味では、改正案では、人事面で主催者の意向が反映しやすくなっているというふうに言えると思います。

 人事面以外については、基本的には仕組みは変わっておりませんが、地方共同法人の効果としては、自主自立した運営を促していく方向を目指そうとしているというふうに理解をしております。

 例えば、競馬法の第二十条、施行規則第二十九条及び別表一というところでは、競馬開催の日取りが都道府県の区域ごとに細かく決められております。また、十九条及び施行令の第十七条では、競馬場に関しても細かく決められております。これらは、全国的に調整する際に支障となるという可能性もあるんじゃないかというふうに考えておりまして、今後、政省令の見直しも必要となるのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

 さらに、業務方法書、予算書の認可など、業務に関して農林大臣の認可という現行規定のままで今のところやっておりますが、自主自立的な運営を促すという目的からすれば、もう少し規制緩和といいますか、地元のそれぞれの皆さんにお任せするという工夫の余地があってもいいんじゃないかというふうに考えますが、御答弁をお願いしたいと思います。

山田政府参考人 現行の政省令の見直しの点、また業務に関する農林水産大臣の関与の点についてお答えをいたします。

 地方競馬につきましては、今委員からお話がありましたようないろいろな形での政省令での制約があります。これは、昭和三十年代に公営競技全体でいろいろな騒ぎ、暴動事件等が起こったこともありまして、公営競技の開催を抑制的に行うという政府の方針がございまして、そういった中で、今委員から御指摘がありました都道府県の区域外での競走を制限するとか、あるいは、都道府県の区域ごとの年間開催回数あるいは競馬場の数の上限を決めるというような形の規制が行われているということでございます。また、公正で安全な競馬を確保するというような観点から、馬場の長さや幅というようなものの、いわば施設の構造についても規制がなされているということでございます。

 委員からお話がありましたように、これからいろいろな形で日程の調整等が行われていく中で、こういった規制があるいは障害にならないかということでございましたが、最初に言いました、公営競馬を抑制的にしようということについては、最近の状況を見ますと、かなり当時とは異なって健全な娯楽として受け入れられてきているという素地があるという一方で、まだやはり抵抗を持っておられる方もいるというのも事実でございます。また、施設の構造面については、やはり、これは安全性を確保するという観点から必要なものもあろうかと思います。

 いずれにしましても、委員から御指摘がありましたような日程調整等の観点から省令の見直しが必要かどうか、それから、その今日的な役割も検証しながら検討していきたいというふうに考えております。

 それから、業務に関する大臣の関与につきましては、今回の改正によりまして、地方競馬全国協会をできるだけ自立的に運営できるような組織にするということで制度改正が行われておりますけれども、一方で、地方競馬全国協会は、騎手の免許あるいは馬主の登録といった競馬の公正や中立性の確保に関する業務がありましたり、あるいは畜産振興という公益に関するような業務を行う法人であることから、こういった競馬の公正な実施や畜産振興に責任を有する農林水産大臣が、この地方競馬全国協会の監督を適正に行う必要は依然としてあるというふうに考えております。このため、理事長や監事の任命、あるいは予算、事業計画の認可については、農林水産大臣が実施することが適当であるというふうに考えております。

 なお、最初に申しましたように、この地方競馬全国協会を地方共同法人にするという趣旨を踏まえまして、この監督あるいは指導の実施に当たりましては、新法人の自主性、自立性が発揮されるように対応していきたいというふうに考えております。

西委員 その点、よろしくお願いいたします。

 最後の質問ですが、今回、日程調整など興行に関して全国的な調整事務を行うということになりますが、一方ではそのことが、それぞれの競馬場に関しては、かなり固定的に日程を割り振られるということの、それぞれの競馬場の有利不利というのがあるのではないかというふうに思っております。

 ブロック化や緩やかな一元化、これは合併や事業譲渡ではないので、会計は主催者ごとにあくまでも責任を持ってやっていくということの範囲の中での日程調整ということになる、そのギャップがあるのではないかというように思っております。

 そのときに、それぞれ、例えば土日にやりたいというような意向が強くてなかなか日程調整がうまくいかないとか、また、日程調整の結果、ある競馬場が売り上げが極端に減少して経営難に陥っていく、共同で調整をしているんだけれども、それぞれの事情が異なって、その制約のもとに運営をされていくということから来るいろいろな問題が惹起していくこともあるのではないかというふうに思っておりまして、そこで、今回できる地方競馬の全国協会、売上金などで調整をしていくということは想定をされているのか、お伺いをしたいと思います。

 本当に、売り上げが減少して経営危機に陥る主催者が出ないように、日程調整をうまくやっていくことができるのかどうかということについての問題意識を持っておりまして、この問題をどう解消するのかについて、最後にお伺いをしたいと思います。

山田政府参考人 売り上げの調整についての御質問でございます。

 これは、委員からもちょっとお話がございましたが、地方競馬は地方財政への寄与を目的としておりまして、地方公共団体の実施により、その収益は地方公共団体に帰属をするというものでございます。

 地方競馬全国協会は、地方競馬の公正かつ円滑な実施、あるいは畜産の振興に資する業務を実施するということで、そういった目的を持つ団体でございますが、地方競馬全国協会が主催者の売上金をプールする、あるいは再配分するといった調整を行うということについては、協会の趣旨からすると、なかなか難しいのかなというような感じを持っております。

 むしろ、地方競馬全国協会としては、地方競馬全体として効率的な競馬施行を行い、各主催者それぞれが収支が改善していくというようなことから一定の役割を果たしていくということが適当ではないかと考えておりまして、例えば、先生からお話がありました、日程調整を行い重複開催を減らすということで開催日の売り上げを増加させるというようなことが可能ではないかということで、今回の改正において主催者間の調整を行うということとしたところでございます。

 売上金なり収益の調整については、先ほど言いましたように、地方競馬主催者間で行うというのが原則であろうと思いますけれども、地方競馬全国協会におきましても可能な範囲で支援はしていくということかと思っております。

 例えば、日程調整の結果、開催を行わない競馬場等で場外発売を行うという場合に委託料率というのを決めますけれども、その水準がどういうものが適当であるのかというようなことの検討など、地方競馬全国協会としてもそういったことに取り組むことが考えられるというふうに思います。

 以上でございます。

西委員 以上で終わります。ありがとうございました。

西川委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 民主党の岡本でございます。

 私からも、まずは冒頭に、このたびの松岡農林水産大臣の御逝去に心よりお悔やみを申し上げたいという意味で、一言お話をさせていただきたいと思います。

 昨年の九月に御就任をされました松岡大臣におかれましては、農林水産行政に大変明るい、そういう大きな皆様方の御期待を背景に、農林水産行政に邁進をされてこられたと思います。

 とりわけ、先ほどからお話もありましたけれども、攻めの農政への転換、例えば、日本の農林水産物の輸出であったり、また新しい経営安定化対策の推進を通じて農業の転換を図っていく、こういった取り組みにも取り組まれました。

 また、私が大変関心を持っておりました食の安全、とりわけ米国産牛肉のBSEの問題や国内のBSE対策の問題では何度も意見交換をさせていただきましたけれども、私の考えに賛同をしていただいたり、また、時にはエールもお互いに交換をさせていただいた、そういう関係であったことを思うと、私も大変につらい思いを感じるわけでございます。

 ここにおられます農林水産委員会の委員の皆様方はもちろんのこと、残された農林水産省の皆様方、また全国で農林水産業を営んでみえる多くの皆様方、さらには消費者の皆様方、こういった皆様方とともに、農林水産大臣の突然の御逝去に私自身も衷心より哀悼の意をささげたいと思う次第でございます。

 今回のこの法律案も、本来であれば正式な大臣が決まってから審議をするというのが筋であろうということは私も重々承知をする中でありますけれども、大臣の御遺志やまた農林水産省関係者からお伺いをするお話を聞くに至って、きょうの委員会の開催、そして法案の成立に向けて、私なりに、きょう質問をする、採決をするということについても理解をさせていただいた次第でございます。そういったことを含めてきょうは質問をさせていただきたいと思うわけであります。

 とはいいましても、法案審議でありますから、松岡大臣の御意向を酌んでといっても、なあなあで法案審議というわけにはいかないというところはまたこれ事実でありますので、いつもと同様に、厳しく法案の中身を精査して質問をさせていただくということについては委員の皆様方にも御了承をいただいて、しっかりとした御答弁がいただけなければ、きょうも質問が続けられなくなる可能性もあるということも御理解をいただきたいと思います。

 それでは、きょうの質問に入らせていただきたいと思います。

 まずは、この競馬法改正の質問に入る前に、一点だけ委員長にお伺いをしておきたいことがございます。

 先日は、委員会派遣ということで、宮古島に行かせていただきました。私も、バイオエタノールの開発、またその使用に熱心に取り組んでおられる宮古島の関係者の皆様方、また製糖業、サトウキビをつくっている農家、こういった皆様方のいろいろな課題について学ばせていただいた、そういった視察でありましたけれども、私、大変気になったことが一点ありました。

 この委員会視察は、当然のことながら、衆議院の予算で行っているにもかかわらず、私自身、途中で人数が足りないんじゃないかと頭数を数え直したことがあったわけでありますが、その辺、委員長はどのような御認識で、どういう事実関係であると把握されているのか、一言御報告をいただきたいと思います。

西川委員長 過日の宮古島の調査の日程の問題でありますが、宮古島の農業者の皆さんが、市長さんを会長に、EPA、FTAの反対の集会を持たれる、こういう中で、ぜひ出席を願えないかという話が事務局を通して私の方にありました。

 私は、全員で行くべきか、それとも日程を変更するか、いろいろ検討しましたが、調査団全体の日程を変えるわけにはいかない、こういうことで、皆さんにできる限り日程どおりに調査が進められるよう配慮をして、私と岩永筆頭と二人でその大会に出席をしましたが、農産物を守る、こういう趣旨を申し上げてきたわけでありまして、連絡不十分であった、ここについては、非常に私も、これは民主党の皆さんに、受けとめ方の上で御迷惑をおかけしたかな、こう考えておりますが、あくまでも農産物の阻止の大会で、超党派でやられたところに、ぜひ出てくれということでありますから、全体の日程には影響を及ぼさない、こういう判断をさせてもらったところでございます。

岡本(充)委員 私も、このたびのオーストラリアとのEPA、FTA交渉には大変危機感を持っていますし、これまで農林水産委員会を長く務めさせていただいている、私は初当選させていただいてからずっと農林水産委員会です、厚生労働委員会の方が主じゃないかという声があっても、あえて農林水産委員会で、私は農業者の、そして水産業者、林業者の皆様方の思いを伝えていきたいという思いでこの委員会に所属をしておりますから、同じ思いですけれども、さはさりながら、これは国費で行っている視察でありまして、その国費で行っている視察の中で、たとえ別の法人なり個人なり組織なりに当たっても、その別段の政治活動に参加をするということはやはりそもそも問題があったのではないかというふうにも思いますし、また、その段取りをしたのが、責めるわけではありませんけれども、衆議院の職員であったという話も若干耳にしております。そういった観点は、私は、先ほどの筋ではないですけれども、筋がやはり違う。

 そもそも、二十三日に視察の旅行が変更になったのは、この大会があったからではないかとうがってしまいたくなるのも、これは私だけではないはずです。十六日の予定であったのが二十三日になりました。行ってみたら、そこでJAおきなわさんも行ってみえる大会があって、JAおきなわの大会に行っていたという話であっては、これはやはり筋が違うし、こういうことでけちをつけたくないわけですね。

 行かれるのであれば、もちろん自費で行って、もしくは党の費用で行って、そこで大いに気勢を上げる。けしからぬことだ、これからもFTA交渉をしっかり見ていくぞ、この決意を表明されることは私は大賛成でありますけれども、しかし、この視察の趣旨を、委員長初めこの視察に行った皆様方と同様に、皆様方にも御理解をいただきたいというふうに思うわけでございます。

 そういったことで、この問題については、きょうは質問が競馬法の関係でありますので、この辺にさせていただいて、後刻、この問題、恐らく理事会等でも話になると思いますけれども、同行させていただいた一人として、委員の皆様方に御報告申し上げるとともに、ぜひ皆様にもお考えをいただきたいと思うわけでございます。

 それでは、競馬法の改正の方の法律案の審議に移りたいと思います。

 きょうはJRAの理事長にもお越しをいただいているのではないかと思います。

 きょうは、JRAの問題、課題についても質問をしていきたいと思いますが、まず、そもそも、今回の法改正に当たって、さまざまなポイント、観点があるとは思いますけれども、大きな私の関心事は、地方競馬の窮状をどのように救っていくかということが一つあります。

 まず最初に、地方競馬における一号交付金の問題、各地で開催されている地方競馬、なかなかこの一号交付金が負担になっているという声も聞いています。売り上げに対するパーセンテージでかかってくるというのもその一つかと思います。

 例えば、利益に対して交付金の金額を決めるとか、もしくはそのパーセンテージを今後減らしていくとか、そういった開催地への配慮ということは行っていくことはできないものなのか。

 それは、そもそも競馬が刑法の賭博罪に当たらないという大きな柱の一つともなっている公益性、公共性の観点からも、ゼロにするのは難しいということは理解をします。しかしながら、その減額、平成三年ごろでしたか、行われたとは聞いておりますけれども、今後、減額や、また交付金のかける母体を先ほどお話ししました売り上げではなく利益に変更していく、こういうような形にはできないものなのか、まずは御答弁をいただきたいと思います。

山田政府参考人 ただいま一号交付金につきまして、売り上げでなく利益についてかけるという方法がとり得ないのかという御質問がございました。

 これにつきましては、交付金を課す場合に客観的に明確な基準が必要だということもあろうかと思います。利益の場合には、その経費をどう見るか、いろいろな要素がございますので、必ずしも客観的でないということもあろうかと思います。そういう意味で、現在、売上高に応じて措置がされているというふうに考えております。

岡本(充)委員 減額の方はどうなんですか。

山田政府参考人 交付金率の引き下げについてでございますけれども、これにつきましては、現在、地方競馬の交付金の率でございますが、これは約一・二%となっております。競輪や競艇など、ほかの公営競技に比べますと相当に低いレベルにある、ほかのものは二から三ぐらいのレベルになっております。そういうレベルにあるということもありますし、それからさらに、前回の改正で、この一号交付金を活用しまして競馬の連携事業に助成をするというような措置も導入をされております。

 そういうことを考えますと、現時点でさらにこの交付率を引き下げるということは適当でないというふうに考えております。

岡本(充)委員 他の事業、競馬以外の競輪と競艇などと比較をされておりますけれども、そこに大きな差があるわけです。先ほどからお話をしていますように、競馬には馬が必要です。競輪の自転車にえさをやる人はいません。競艇の舟に面倒を見るような厩務員はいないんですね。こういった皆さん方がいて成り立つ事業でありますから、こういった必要経費が多くかかるのはやむを得ないところが私はあると思っています。

 そういう意味で今の交付金率になっているということで、ここから下げるか下げないか、ほかの事業と比較してもこれは仕方ないわけでありまして、ここはぜひ御検討いただきたいと思います。

 また、一号交付金の交付先を開催地へ傾斜配分するということは難しいんでしょうか。今の状況では開催地への傾斜配分はないと聞いておりますけれども、これを開催地に傾斜配分していくというお考えがあるかないかをお聞かせいただきたいと思います。

山田政府参考人 この一号交付金につきましては、その利用として、馬の改良ですとか地域の畜産振興のために助成をするということでございます。

 このように地方競馬の売り上げを活用しまして畜産の振興を図るということで、いわば広く全国に競馬事業の収益なり売り上げを均てんさせていくというような役割を果たしているわけですけれども、こういった仕組みというんでしょうか、公営競技共通の仕組みでございますけれども、やはり特別な立法措置をもって公営競技を認めるという措置として、そういう全国に均てんさせるんだという考え方が公営企業の共通の考え方であると思いますので、これを一部の県に傾斜配分するということは適当でないと考えております。

岡本(充)委員 これも、馬産地の問題を局長は出されましたけれども、実際に事業をやっている事業体も、今非常に苦しい状況になってきています。

 競馬法の冒頭を見ると、一条の二には、競馬を開催できるところは、「著しく災害を受けた市町村」と書いてありますが、最近でも、著しく災害を受けた市町村で、競馬をやって何とかその財政を立て直したいという自治体があったかということを考え直していただくと、局長、決してもうそういう魅力はなくなりつつあるわけであります。しかしながら、地方競馬を続けている自治体に何らかのインセンティブを与えてあげなければいけない、こういう思いも思うわけでありまして、この傾斜配分についてもぜひお考えをいただきたいと思っています。

 ちなみに、一号交付金、ざっと言って今三十億円ですか、このうち十億円ぐらいが特例的に、前回、平成十六年の法改正を根拠に使用されているというふうに聞いておりますが、この特例的な使用のあり方については、今後どのくらいの割合までふやしていけるというふうにお考えになられているのか。これは恐らく二十三条の条文の中に入っている項目のことなんだろうと思います。二十三条の項目なんだろうと思いますが、ちょっとその点を踏まえて、どのくらいの割合までふやしていけるとお考えなのか、お答えをいただきたいと思います。

山田政府参考人 委員からお話がありましたように、平成十六年度の改正で、競馬連携事業ということで、一号交付金を畜産振興ではなくて競馬の振興のために使っていくという制度ができて、そういう意味では、主催者の側にある程度戻っていくという格好になっているわけですけれども、今の実情を申しますと、競馬連携事業につきましては、十七年度で三・五億円、十八年度で六・五億円、こういうことになっております。合計すると十億円ぐらいというお話でございます。一方、畜産振興の事業の方は、十七年度に十二億円、十八年度には十億円、こういうレベルになっております。

 委員お尋ねのどの程度までいくのかということについては、実際に競馬連携事業、あるいは今度は活性化事業になりますけれども、それについてどのくらいのニーズがあるのか、一方で、畜産振興事業についてのニーズがどのくらいあるかということも踏まえながら毎年毎年決定をしていくということになりますので、現時点でどのくらいになるかということをあらかじめ申し上げることは困難でございます。

岡本(充)委員 これは重要な点でありまして、どこまで交付金の中で特例的使用を認めていくのか。後ほど法務省にも聞きますけれども、これは、どんどん胴元の費用だけに消えていくという話になっては、そもそも公共性、公益性のある競馬ということになってこないわけでありまして、この点、極めて重要だと思っています。

 もう一点、確認だけですけれども、今回の法改正で、交付金の納付期間、これは二十三条の二だと思いますけれども、特例期間は三年を超えることができないものとする。これを五年に延ばそうという話ですけれども、これで三年たったわけですね。

 今、納付の猶予を受けているところが一競馬場あると聞いておりますけれども、これは三年の猶予があって、そろそろその期間が来る。これを今度五年に延ばすということですけれども、さらに二年後に法改正をして、七年、十年と延ばしていくようなことがあり得るのかどうか、現時点での御答弁をいただきたいと思います。

山本(拓)副大臣 現時点の答弁といたしましては、その予定はいたしておりません。

岡本(充)委員 根本的な解決をせずに支払い猶予だけをしていくということであっては、これは解決にならないということを言っておきたいと思います。

 その上で、きょうは法務省にもお越しをいただいておりますけれども、そもそも競馬が刑法百八十五条における賭博の処罰の規定の例外になっているのは、聞いたところによりますと、最高裁判所の昭和二十五年十一月二十二日の判決、勤労によって財産を取得するという健全な経済的風俗であるために、賭博を処罰している、そこに保護法益があるというふうにヒアリングで教えていただいたわけでありますけれども、今回、この競馬法が勤労によって財産を取得するという健全な経済的風俗を乱しつつあるのではないかと思われるようなことも、私、懸念を示さなきゃいけないと思っています。

 一つは、最初にお話をさせていただきました公益性、公共性の問題。二つ目が、今、非常に射幸性を高めるというか、いわゆる先日のダービーでも百円買って二百十五万円支払い金が来る、これはもう本当にかなりの高額倍率でありますし、さらに言えば、馬を見なくても、電話や携帯電話で勝馬投票券が買えて、なおかつお金が入ってくる。もっと言えば、口座にお金を入れておいたら月曜日には口座にお金がふえている、こういう事実があるわけであります。

 そもそもの競馬の楽しみ方としてこういう楽しみ方が想定をされていたかというと、やはり競馬は馬の姿を見て予想して、こういう話でありましたけれども、今は、紙の新聞を見て、携帯電話をいじって、そして月曜日には口座の金が増減している、場合によってはかなりの倍率のお金が入っていることがあるわけでありまして、こういう方法だと、勤労によって財産を取得するという健全な経済的風俗が害されてくるのではないかというおそれも私は持つわけであります。

 そういう意味で、射幸性を高めていくということは、競馬法施行規則十一条等によって払戻金の最高限度額を制限しているという話も聞いてはおりますけれども、しかしながら、その倍率がかなり高くなってくるという事態はこういった健全性を阻害するのではないか。

 さらに言えば、収益金が公共性、公益性に利用されているかといえば、もし一部の自治体だけ、もしくは胴元の、胴元のと言ったら失礼ですけれども、主催者の経費にのみ使われるような事態になれば、これはまさに公益性、公共性の部分にも大きな疑義が生じると私はかねてから指摘をしているわけでありますけれども、この指摘について法務省はどのような見解を持っているか。

 農林水産省が独自に決めることだとか、農林水産省が所管しており把握するところではないではなくて、そもそも、こういった刑法の条文と競馬法のあり方との法的な見解について、法務省にきょうは御見解をいただきたいと思っているわけです。

三浦政府参考人 刑法百八十五条の賭博罪の規定と競馬法の関係についてのお尋ねでございますが、刑法三十五条におきまして、法令による行為は罰しないという規定がございまして、競馬法の規定に基づきまして実施される競馬につきましては、この規定によって犯罪が成立しないというふうに理解しているところでございます。

 実質的な問題としてさらに申し上げれば、競馬法において、競馬を正当、適正なものとして実施する法的枠組みをつくっているわけでありまして、その内容の正当性、妥当性といったものについては、一義的には所管の省庁において御検討をされていることであろうというふうに思っておりますが、基本的には、公益を図る目的に従って、適正、適切な管理、制限のもとにその目的を実現していくという制度の枠組みのあり方であろうというふうに理解しているところでございます。

岡本(充)委員 きのう役所の方にこれは通告しているはずですよ。そういう答弁ではなくて、具体的に、どういう事態になればこれは法律の構成要件から外れてくるのか。

 例えば、医師法で業務上過失致死傷が適用されない、それは医師であるから注射の針を刺していいわけですね。しかし、医師であるというその規定があやふやになってくれば、当然、医師法で幾ら違法性がないというふうにされていても、ここの部分の立脚点があやふやになってくれば、業務上過失致死傷という適用が検討もされてくる。医師の要件がきちっと決められていて、それが決められているからこそ、注射針を刺してもいい、人にメスを入れて切ってもいいわけでありますね。

 同じように、なぜ競馬が違法性を阻却されているかということを考えたときに、今の現状の状況、先ほども言いましたように、射幸性が高くなってきている、そしてもっと言えば、その公益性、公共性、金銭の面で非常に厳しい状況になっている、こういった状況。また、今の地方競馬の実際の運用の苦境を考えたときに、本来の競馬法が趣旨としている公共性、公益性を大きく傷つけているのではないか、こういう思いについて私は危惧を持っている。

 どこまで行けばこれが違法の世界に入ってしまうのか、どこまで行ってもこれは違法にならないのか、それを明確に御答弁いただきたいと言っているわけでありまして、これは通告しているはずですから、明確にお答えをいただかないと、答弁次第によっては質問が続けられません。

三浦政府参考人 先ほど申し上げましたように、刑法との関係で申し上げれば、刑法三十五条によりまして、法令による行為は罰しないということでございますので、競馬法に基づいて、競馬法の規定に従って実施されている競馬については犯罪が成立しないというふうに考えられるところでございます。

 したがいまして、競馬法において、どのような制度として法的枠組みをつくるかというのは、その上で、その目的、あるいはその目的に従った規制のあり方ということで検討されるべきものだろうということでございますので、そこで、どのような制度であるか、どのような運用であるかによって、刑法の違法性の阻却がそのことによって判断されるべき事柄ではないのではないかというふうに考えているところでございます。

 なお、医師の医療行為との比較で申し上げますと、医師の医療行為は、もちろん、その医療行為自体は法令による行為ということになるわけでありますけれども、その法令による行為を行うに当たって、医師には注意義務というものが課せられているわけでありまして、その注意義務に違反して過失による行為によって人を死傷させた場合に、別途、業務上過失致死傷罪といった犯罪が成立する場合があるということでございます。

岡本(充)委員 今、審議官が言われましたのは、どういう条件になれば競馬がその違法性を阻却される事態から逸脱するのかということについて明確にお答えをいただいていないわけなんですね。

 この法令がある限り、この法令に基づけば、先ほどの話ではないですけれども、射幸性がどれだけ高かろうと、もっと言えば、法律さえあればその収益金の使い道がどういう使い道に使われようと、今現在のこの現行法の中で行われている競馬であれば、どのような競馬であってもこれは違法性が出てこない、賭博罪の本来の保護法益である勤労によって財産を取得するという健全な経済的風俗、この最高裁判例に違反をしない、こういうふうに言い張られるということでしょうか。そこを明確にしてください。

三浦政府参考人 現在の競馬法自体が、まさに一定の公益の目的、公益を図ろうということで、その目的に従って必要な監督あるいは制限というものを設けておりまして、それに従って実施されているわけでありますので、その場合の競馬について、刑法三十五条によって犯罪が成立しないということでございます。

 まさに、競馬というものをどのように正当、妥当なものとして制度設計し、運営するかという考え方の問題であろうと考えますけれども、その点につきましては、基本的には所管の省庁でまず御検討いただいていることだと思いますし、現行の競馬法自体がそのような考え方で成り立っているものというふうに理解をしているところでございます。

岡本(充)委員 農林水産省が法改正するときには、当然、法務省に相談するわけでしょう。それなのに、農林水産省の所管でありますから私は知りませんでは、これは答弁にならないから、ちゃんと答弁させてください、委員長。

三浦政府参考人 もちろん、競馬法を改正するといった場合には、いわゆる通常の法令協議という形で、私どもの所管しておる法令との関係での整合性等について検討しているところでございます。

 しかしながら、実際に、具体的にどの条項についてどういう形でまず妥当な設計をするかということについては、一義的に所管の省庁において御検討され、それについて具体的に問題があるかないかということを私どもとしては検討し、御意見を申し上げるということをしているということでございます。

岡本(充)委員 どこまで行くと問題になるのかということを聞いているのに、そこを答えていただかないと、競馬の法改正、ずるずると今私が懸念をしている方向に進んでいくのではないかと思うわけで、きちっと、法務省として、ここら辺がリミットだということを示していただきたいと言っているわけですから、それをお答えいただきたい。

三浦政府参考人 まさに、競馬法の制度自体は、いろいろな仕組み、全体で成り立っているわけでございますので、その全体を見て、現在のあり方が適正、妥当なものかどうかということになるんだろうと思います。

 私どもとしましては、現行の競馬法あるいは今回の改正につきまして、適正な、妥当なものであろうということで理解しているところでございます。

岡本(充)委員 委員長、これで時間がなくなっちゃいますよ。

 どこまで行ったら違法なのかと聞いているんですよ。これは刑法との、まさに法令協議をすると言ったけれども、どういう状況になったら違法なのか、公益性、公共性が阻害されるのか、もしくは射幸心をあおり過ぎているというふうに考えられるのか。極端な例でもいいから、こういうのだったらさすがにまずいよねというのを示してくれと僕はきのう言っているはずですよ。それをずるずるとこうやって答弁を延ばされては、私の肝心の質問ができない。しっかり答弁をしてもらわないと、これ以上質問ができません。

三浦政府参考人 まさに、制度の実質的なあり方の問題にかかわることでございまして、極端な例と申しましても、結局、公益を図るという目的に従って適切な規制と制限があることというものが基本的な枠組みとして想定されるんだろうというふうに考えておりますので、それに基づいて法令、制度を設計している限りにおいて正当なものであろうというふうに考えているところでございまして、それ以上具体的にこれがこうということを所管外の立場から申し上げるのはなかなか難しいということを御理解いただければと思います。

岡本(充)委員 いや、具体的に答弁になっていないじゃないですか。ちゃんと私はきのう通告していますよ。

三浦政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますが、もともと、法令に基づく行為について犯罪が成立しないということを定めているわけでございまして、競馬法におきまして、まさに正当な公益目的に従って適切な監督、制限のもとに実施されるという限りにおいて、それは妥当なものとしてまさに評価されるということだろうと考えております。

 したがいまして、具体的に、どこの部分がどういう形で外れることによってどうなるかということにつきましては、まずは制度のあり方自体の問題としてその正当性、妥当性が検討されるべき事柄だろうということでございまして、私どもとしましては、一義的にその点をお答えすることが難しいということを御理解いただきたいと思います。

 現在の競馬法あるいは今回の法改正に基づく制度改正自体につきまして、そういう観点からしても特段問題があるというものではない、適切なものだというふうに理解しているところでございます。

岡本(充)委員 法務省としては、まず一義的に話ができないというのであれば、法務省は、今の話を聞くと、審議官の話ですと、農林水産省が示してもらえばそれについて協議をするという受け身のあり方だということですので、農林水産省としては、ここはどこまでがリミットなのかと考えておるかはしっかりお答えいただけるはずであります。

山田政府参考人 ただいま法務省の方から御説明がありましたけれども、法令に基づく行為については、刑法との関係では問題がないというのが今の刑法の規定でございます。

 今回の改正につきましては、今までの改正の延長線で措置をしているものでございまして、これについては、これまで同様に、競馬法の改正としては、刑法上問題になるというようなものとは考えていないところでございます。

岡本(充)委員 私は今回の改正を言っているわけではないわけでありまして、これは一体、どこまでが許されるのかというのを、ある程度上限を示しておかないと、先ほどの、刑法が求めている勤労によって財産を取得するという健全な経済的風俗を害してくるのではないかということを私は懸念しているということだけは伝えて、時間もないので、中央競馬の話に移りたいと思います。

 きょうはJRAの方に来ていただいています。

 もう残り時間が少なくなっていますが、皆さんにお配りをしています、見ていただければおわかりのとおり、中央競馬の役員の出自。見ていただければ、このとおりであります。

 一枚おめくりいただいて、その報酬は、理事長で本俸月額が百二十二万六千円。歴代の理事長は、昭和三十七年でありますから、現在の高橋理事長が農林水産省に入られる一年ほど前から、ずっと農林水産省のOBが、しかも事務次官のポストになっている、こういう状況になっています。こういった今の状況、適材適所だと言うかもしれないけれども、同じ人がずっと天下っているこの状況。

 さらには、もう一枚おめくりいただいて、日本中央競馬会の子会社等の役員の出自。これについても、見ていただくとおわかりのとおり、今度は、中央競馬会からの天下りが子会社にはずっと続いています。五ページも同じ、六ページも同じであります。これだけ、天下りばかりの子会社。

 では、わかりづらいから、社長だけ見てみましょうということで、七ページをごらんいただきますと、子会社の社長は、実は、その次の、最後のページにも載っておりますが、JRAとの取引額に応じて、JRAとの取引額が多いところはJRA理事が、また取引額の少ない企業については部長が、それぞれ社長に天下っている。また、この理事、部長はそれぞれ、JRA出身者の方もみえますが、中には農林水産省の食品流通局長からJRAの常務理事になり、さらに子会社の社長になられている人もいる。

 それぞれの役員報酬は次に書いてあるとおりでありまして、最後に一つ問題にしたいのは、九ページ目です。

 売上高に占めるJRAとの取引額のうち、随意契約がどれだけかというと、トータリゼータという会社から始まり、以下、ほとんど随意契約であります。

 この随意契約を減らしていかない限り、JRAの高コスト体質が続くのではないか。とりわけ、JRAの役員が天下り、なおかつそこで随意契約をしているということであれば、これは、今話題の官製談合が起こる一つの素地になるんじゃないかと言われている素地の一つであります。

 ちなみに、この中で、一つ目立っているのは、馬の輸送をする会社が三番目にあるわけなんですが、ここは随意契約の割合を大幅に減らしました、こうやって言っています。一般競争入札にしたと言っています。

 これは、木曜日に、私、農林水産省の役所の方に質問の話をし、そしてJRAの方には早く来てくれと言って、結局来ていただいたのはきのうだったんですが、きのうの午前中に、では、この会社について入札率はどのくらいかというのを出してくれと言ったら、結局入札率の率が出せていないんです。

 資料がなくて、本当であれば質疑ができないところであるわけでありますけれども、これはしっかり出すとお約束をいただけるか、ここでまずは御回答をいただきたいと思います。

高橋参考人 ただいまの御質問、いろいろございましたけれども、最後のところについて、特に競走馬輸送契約の入札の落札率はどうかということについてお答えを申し上げます。

 これは、ちょっと経緯のある話でございますから申し上げますと、馬匹輸送、馬の輸送でございますが、この運賃につきましては、過去、運輸省の運賃認可制度によりまして一律に決められておりまして、非常に硬直性の高いものであったわけでございます。そういう中で、この硬直性を是正するために、これを何とか弾力化したいということで、平成十七年四月から、今先生がおっしゃいました輸送経路別の一般競争入札に移行しました。

 それによりまして、では、まず、どのくらい単価が移行前と比較してダウンしたかということを言いますと、九〇から九九%でございました。それから、今お話しの落札率で見ますと、約九九%でございます。

西川委員長 理事長、端的に答えてください、時間の問題がありますので。

高橋参考人 それで、今の先生の御質問の件でございますが、落札率で見ますと約九九%ということになっております。(岡本(充)委員「だから、資料を出してくれと」と呼ぶ)それはまた、我々、検討させていただきます。(岡本(充)委員「検討じゃなくて、ちょっと待って、検討じゃだめだよ」と呼ぶ)いや、検討というのは、資料をつくることを検討いたします。

岡本(充)委員 資料を出すかどうかを聞いているんです。それは検討じゃないです、だって資料はあるはずですから。出すかどうか。

高橋参考人 検討して、出させていただきます。(岡本(充)委員「出すのね。ちょっと、これ、出すんですか」と呼ぶ)

西川委員長 質問してください。

 岡本充功君。

岡本(充)委員 出すか出さないか。検討してとかじゃない、出すか出さないかです。

高橋参考人 早速検討して、出させていただきます。

岡本(充)委員 必ず出していただいて、これは今後、天下り問題ともあわせて、また機会をつくってやりたいと思います。

 いつまでにこれを出していただけるか、最後にお答えいただいて、私の質問を終わります。

高橋参考人 できるだけ早くやりたいと思います。

岡本(充)委員 できるだけ早くじゃだめです。ちゃんと。

 今、天下り法案の審議をしているんですよ。随意契約の問題も出しているわけですよ。これはいつまでに出すかということを言ってもらわないと、やはり向こうの法律案の審議にも影響します。はっきりとお答えをいただきたい。

高橋参考人 今週中には出させていただきます。

岡本(充)委員 では、きちっと私の要求した資料をお待ちしております。

 終わります。

西川委員長 次に、黄川田徹君。

黄川田委員 民主党の黄川田徹であります。

 松岡大臣の突然の御逝去に、私からも心からお悔やみ申し上げる次第であります。

 競馬法の改正でありますけれども、これは参議院先議の法案でありまして、そしてまた、本日も大勢の委員から質問されておりますので、私の質問も重なるところが間々あると思いますけれども、確認しながら質問していきたい、こう思っております。

 そしてまた、民主党の時間、岡本さんが食い込みましたので、その範囲内で持ち時間と思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 まずもって、趣味の多様化と公営競技のあり方についてお尋ねいたしたいと思います。

 我が国の余暇市場でありますけれども、レジャー白書の二〇〇六によれば、平成八年の約九十一兆円をピークにこれは減少傾向にありまして、平成十七年で約八十兆円となっております。

 そしてまた、余暇活動参加人口の将来予測でありますけれども、これまた、人口減少の影響を受け、長期的には減少基調となっておると思っております。例えば中央競馬については、二〇〇五年で七百三十万人の参加がありますけれども、二〇二〇年には五百八十万に減少する、こう予測されておるところであります。

 そこで、大臣臨時代理にお尋ねいたしますけれども、余暇市場が全体的に減少し、さらに国民の趣味が多様化する、こういう中での公営競技のあり方、これについてどう考えているか、基本的な認識をまずお尋ねいたします。そしてまた、公営競技を活性化させるには、どんな取り組みが一番大事かということをお尋ねいたします。

若林国務大臣 委員御指摘のように、余暇市場が近年縮小傾向にあるということは、我々もそのように認識をしているところでございます。

 これは、競馬を初めとする公営競技について言いますと、景気の低迷による個人消費支出の停滞、さらに、委員もお話しになりました娯楽の多様化などによりまして、売り上げが減少傾向となっているということでございます。したがいまして、主催者の経営は非常に厳しい状況になってまいっております。

 そのような中で、公営競技は、国民に対する健全な娯楽を提供する、そしてまた国や地方の財政に寄与し、また関連産業の振興などの役割が期待されているということでありますから、ファンのニーズをとらえた公正な競走を安定して実施し、主催者の健全な経営を確保していくことが重要であると考えております。

 このためには、コストの削減など主催者の経営構造の改革を促すとともに、主催者間の連携を強め、また、規制の緩和をできるだけ図りまして、ファンのニーズをとらえた競技の施行を推進すること、民間企業などの持つ経営のノウハウや技術力をどこまで活用できるか検討することなどが必要であると考えておりまして、今回の法改正におきましても、これらの取り組みを促進するために必要な措置を講じようとして御提案申し上げたところでございます。

黄川田委員 これまで局長が答弁されたところをまとめて臨時代理からお話しされたということでありますけれども、競馬だけでなくて、競艇であるとか、あるいはまた競輪、オートレース、軒並み公営ギャンブルが本当に減少といいますかそういう事態に陥っているということ、それから、二年前にも法改正している、そしてまた、地方競馬は特になのでありますけれども、先ほど御法川先生からお話しのとおり、大変厳しい場面に陥っている。

 競馬の存在意義といいますか、地方財政に貢献しないようなことになるのであれば、その役割は終わったのじゃないかというふうな意見もありますし、また一方、競馬の関係者は本当に多いわけでありまして、地域経済あるいはまた雇用の場の確保等々さまざまな課題があって、主催者は本当に岐路に立っているというところもしっかりと臨時代理には認識してほしい、こう思っております。

 そこで、何とかしたいという気持ちが私はあるのでありますけれども、その前に、政府の政策といいますか、所得格差の拡大と可処分所得の減少という点についてちょっとお尋ねいたしたいと思います。

 国民の所得格差、私は地方に住む者でありますから、本当に開いているな、そう思っております。そしてまた、国民の可処分所得ですが、これも減少している。

 公営ギャンブル等娯楽部門の活動でありますけれども、他の部門と比べると、消費金額が大きいこともあって、家計消費が低迷する中で参加率が減少している。

 中央競馬の場合、平成九年には一二・六%の参加率があったのに対し、平成十七年には六・八%に減少しております。そして、地方競馬については三%から一・二%にこれまた減少しております。それから、年間平均費用についても、中央競馬の場合でありますけれども、平成九年には七万一千四百円だったのが、平成十七年には五万六千三百円に減少している。

 ファンは減ってはいるけれども、それ以上にお金の使う単価が減少している、そういうことだと思っております。

 そこで、質問なのでありますけれども、これは農水省に質問してもあれでしょうから内閣府の方に質問します。

 こういうような公営競技を活性化させるため、その原点は、やはり国民の所得の向上といいますか、所得格差の拡大を防ぎ、勤労者への所得配分を促し、そしてまた、ファンの皆様方、馬券購入層の可処分所得の拡大、これがまず基本的な仕事ではないかと思うのでありますけれども、内閣府はどう認識しておりますか。

齋藤政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇〇二年の初めから始まります今回の景気回復局面では、いわゆる三つの過剰といったものを解消する中で、まず企業部門が先行して改善を示してまいりました。その企業部門の好調さは、緩やかながらも、雇用情勢の改善を中心に家計部門に徐々に波及してきたというふうに考えております。

 ただ、一方で、賃金の伸びが緩やかなものにとどまってきているということも事実でございます。

 この背景といたしましては、これまで見られてきましたような相対的に賃金の低い非正規雇用比率の高まりが平均賃金を押し下げてきたというようなことも挙げられると思いますが、労働需給は引き続き引き締まっておりまして、初任給などで見ていただきますと、明るい兆しも示す動きが見られているということでございます。ですから、こうしたことから、今後は、雇用所得環境が改善して、企業部門の好調さが家計部門に波及していくというふうに見込んでおります。

 今後でございますけれども、企業から家計への流れをより一層確かなものにしていくということで、重要なことは、日本経済の新たな活力が引き出され、安定した経済成長を続けることによって、雇用拡大あるいは所得の増加という形で、経済成長の成果が広く経済社会の各層に行き渡っていくということであるというふうに考えております。

 このため、政府としましては、「日本経済の進路と戦略」に沿いまして、新成長経済の実現に向けた改革への取り組みを加速、深化してまいります。また同時に、政府、日本銀行は、マクロ経済運営に関する基本的視点を共有しながら、物価の安定基調を確実なものとするとともに、物価安定のもとでの民間主導の持続的な成長を図るために、一体となった取り組みを行ってまいります。

黄川田委員 内閣府の経済政策の軸足をお話しされたんでしょうが、一点だけ確認であります。

 平成三年までは地方競馬のファンが伸びてきた、中央競馬は平成九年までということであります。それでは、経済対策ということで、国におつき合いして地方自治体も借金を重ね、大変な難儀の状況に今ある。そして、東北の経済も、回復基調にあればいいのでありますけれども、東北六県の中でもいわゆる北東北三県、青森、秋田、そして岩手、岩手の場合は、競馬主催者の県、あるいはまた共同でやっています盛岡とか水沢はあるんでありますけれども、この北東北三県の経済の現状認識はどうですか。

齋藤政府参考人 お答え申し上げます。

 日本経済は、先ほど申しましたように、全体として景気回復を続けております。地域的に見ましても、全体としては改善をしているというふうに考えておりますが、おっしゃるように、地域によっては差がございまして、相対的に東北地域につきましては回復がほかに比べておくれているということではあろうかと思います。

黄川田委員 景気は好転しているんであるが、地域によってはまだまだというところもあるということでありまして、都市と地方の格差の拡大、そういうふうな認識でおります。

 そういう中にあって、地方競馬を今までリードしてきた地方馬主でありますけれども、こういう状況の中で廃業あるいはまた財力の低下といいますか、そういうものが著しいわけであります。

 そこで、質問なんでありますけれども、ファンとともに馬主の体力低下、これも何とかしなきゃいけない。地方競馬の衰退の一因にもなっておるわけでありますけれども、こういう部分をどう考えておるかということと、体力強化、農水省として何か方策があるのか、お尋ねいたしたいと思います。

山本(拓)副大臣 先生御指摘の、いわゆるファンの購買力をいかに取り戻すかという点が一番大事なわけでありますが、要は、主催者の経営を改善することがまず基本というふうに考えております。

 このため、今回競馬法を改正して、払い戻しに関する規制緩和や競馬事業の活性化を図るための措置を講ずるとともに、地方競馬全国協会を競馬事業の改善に資する業務を行う地方共同法人に改組する等により、地方競馬主催者の経営改善と馬主が参加しやすい環境づくりを促進していく。

 これから、やはりより経営主体となる馬主さんを中心として、また経営をつかさどる人たちの事業計画がさらに改善しやすいように、農林水産省としても積極的に応援してまいりたいと考えております。

黄川田委員 今副大臣の答弁で、地方競馬全国協会、ここがかなめである、大事なところだから、そこの強化の部分の法改正というところもあるんだよという、多分そうだと思いますけれども、その部分の中で、運営委員会というんですか、これを上部に設けるということであります。

 そこで、三年前にも法改正しましたけれども、むしろ、そのときからやはりその部分を強化ということが大事なんではないのかというところを、ちょっと遅きに失した運営委員会の設置ではないかというふうに思うわけでありますけれども、地方競馬の構造的な問題、これは過去から、ピークが終わった平成三年以降、さまざま認識してきたと思うわけなのであります。

 そこで、こういう運営委員会とか、前回の法改正でもって、先、先と措置されるべきものではなかったかと思うわけでありますけれども、臨時代理の認識はどうでしょうか。

若林国務大臣 平成十六年度の改正につきましては、平成三年をピークに売り上げが減少を続けてきている、特に厳しい状況にある地方競馬を中心に、平成十三年に設置されました地方競馬のあり方に係る研究会、平成十四年に設置された我が国の競馬のあり方に係る有識者懇談会などにおいて地方競馬の改革のための議論が行われまして、その議論を受けて、平成十六年に競馬法の一部を改正する法律案を国会に提出して成立させていただいた、こういう経緯でございます。

 その際に、委員も御指摘ございますが、主催者の間で連携を支援するというような制度を整備したわけであります。その法改正後、すべての地方競馬主催者などを交えてさらに検討をいたしたわけでございますが、地方競馬の改革のためには強力なリーダーシップが必要だというような意見が出てまいりまして、平成十六年十一月には、今回の法改正につながる地方競馬全国協会の統括機能の強化などについての方向が、地方競馬の主催者側からそういう方向が出てきたということでございます。

 また、政府においては、一方、特殊法人改革の検討が行われておりまして、現場の関係者の意見が聴取されたわけでございます。行政改革の重要方針というのが決められたわけでございますが、その中で、地方競馬全国協会のリーダーシップの強化を含む改革が平成十七年十二月に閣議決定を受ける、こういうことになり、平成十六年のとき以降の状況の変化が生まれたわけでございます。

 さらに、今回の改正法案の具体的な作成に当たりましても、再度すべての地方競馬主催者を交えた精力的な検討、調整を行っておりますが、現場の関係者の意見を十分に踏まえた上で取りまとめをいたしまして、今国会への法案の提出に至ったということでありまして、私としましては、この地方競馬全国協会のリーダーシップの発揮などを通じて、地方競馬の改革をさらに進めなければならないという立場でございます。そういう意見でございまして、この改正に大きな期待をかけているということでございます。

黄川田委員 具体的に、では、地全協の運営委員会の中身についてお尋ねいたします。

 この運営委員会は、どのような権限を有して、そして地方競馬の改革のためにどのような役割を果たすことになるのか。あわせて、喫緊の課題であります地方競馬の経営改善を推し進めるという観点からは、現在の地方競馬に欠けている民間的センスを大胆に導入するため、企業経営の経験のある方など民間からすぐれた人を呼んでくることが必要ではないかと考えるわけであります。

 リーダーシップとともに、やはりそれにふさわしい人を取り込まなければ、とても基本的な構造改革にならないのではないかと思うわけでありますので、この点について農水省にお尋ねいたします。

山田政府参考人 運営委員会の権限、役割、また委員についての御質問でございます。

 運営委員会につきましては、まさに地方競馬全国協会の意思決定機関という役割を果たすわけでございまして、具体的には、予算や事業計画等の問題あるいは理事長の任命等、組織の運営に当たっての重要事項を決定する権限が与えられているということでございまして、まさに意思決定機関として地方競馬の活性化に重要な役割を果たすと考えております。

 また、委員からお話がありました、委員が特に大事じゃないかというお話でございます。委員につきましては、すべての地方競馬主催者の長から成る会議において、地方競馬主催者の長七名以内と、それから地方競馬に関する有識者二名以内を選任することとしております。

 そのうちで、特に、委員からお話がありました民間のセンスといったことが必要だという点につきましては、有識者から選任される委員について、特に、委員からお話がありました民間的センスが欠如しているという御指摘もありますので、地方競馬が抱える課題の解決に資するよう、地方競馬全国協会の関係者、あるいはそういうことを問題にせずに、地方競馬の活性化のためにそういった知見を生かすことができるような方が選任されるということを期待しているところでございます。

黄川田委員 今局長からお話しいただきましたけれども、運営委員会の委員でありますが、競馬を行う都道府県及び市町村の首長、長ですか、七人以内、そして学識経験者二人以内ということであります。私からすれば、学識経験者はどういう方を選ぶかは別でありますけれども、少なくとも首長については、競馬の世界では、もちろん認識の深い方もおるかもしれませんけれども、極端な話をすれば、素人集団の集まりじゃないか、そういう気がするわけなんであります。特に、地方競馬、一部事務組合とか、地方公共団体の一つですよね、職員は公務員ですよね。そういう中で大胆な改革をやるというところに、首長を排除するという気持ちは何もありませんけれども、この件を本当にしっかりやっていけるのか。

 ここが一番核となる大事なところなものですから、期待をするだけじゃなくて、必ずやここが改革ののろしとなって、拠点となって頑張り切れるというような答弁を私はいただきたいのでありますが、再度答弁をいただきます。

山田政府参考人 運営委員会の委員のうちで、地方公共団体の長の方がなる部分が七名以内ということでございまして、まさに委員御指摘のとおり、こういう方々の意識改革が進んで、経営マインドを持って全体の競馬のあり方を検討していくということが極めて重要でございます。

 そういう意味では、まさに決定をし、またその影響が帰属する地方公共団体の方が責任を持って入っていくということ、そういった方が自覚を持って地方競馬全体の改革に取り組む、そういう人を選んでいくということで、意識改革も含めた中で、地方競馬全国協会のあり方なり地方競馬のあり方、改革を進めていくというふうにしていくべきだと思いますし、私どもも、そういったことが行われるよう、所要の指導なりにも努めてまいりたいというふうに思っております。

黄川田委員 残り時間が少なくなってまいりましたので、ちょっとはしょっていきます。

 地方競馬については、それぞれ十六の主催者が二十もの競馬場を持っているということ、それぞれ競走馬も飼養されているという形であります。一方、中央競馬は集中管理ということであります。

 そういう中で、個々の主催者が開催するという時代から、ブロックといいますか、共有化する形の中で、さまざまな改革をしていかなきゃいけないと思っておるのであります。

 飼養施設や競走馬の共有化でありますけれども、地方競馬主催者のコスト削減に有効と考えますし、これについて、農水省としては、共有化の現状、そして今後どのような形、方向性に持っていきたいか、この辺もちょっとお聞きいたしたいと思います。

山田政府参考人 お答えいたします。

 今委員からお話がありましたように、コストの削減を進めていく上で、施設の共有化なり連携強化なりということは極めて重要でございます。

 このような中で、例えば、南関東地区では、既に地区内の日程調整を行いながら、騎手、競走馬を交流させて有効活用するというようなこと、また、最近では東海地区、九州地区においてもこういった動きが始まってきております。

 それから、特に飼養施設、厩舎の施設等でございますが、これにつきましては現状では地方競馬の主催者ごとに所有、管理をしているということがございまして、まず、委員からお話がありました、施設の共有化に向けた素地づくりというようなことから進んでいく必要があるのではないかというふうに考えております。

 そういった意味で、最近の動きといたしましては、南関東地区において実施されております競馬場外にある外厩の施設、外の厩舎施設ですけれども、これを共有化しているというような動きも出てきておりますし、また、雪が降って冬の間競馬ができません金沢競馬では、競走馬を雪の降らない東海地方に移してそこで出走させていくというような形も進んできておりまして、そういう意味で、施設の共有化の素地づくりも少しずつ進んできているというような状況にございます。

黄川田委員 少しずつ動いておるということでありますが、南関東のように地理的条件がよかったり、さまざまできるのでありますけれども、東北、北海道が一つのブロックになってということも考えたいのでありますけれども、津軽海峡を越えなきゃいけないとか、いろいろあります。

 それで、地方競馬は地方自治体の財源ということになるのでありまして、それぞれの主催者ごとの物言いがさまざまあると思いますし、これを共同化するというのも難儀なことかもしれません。

 きょうは総務省の方にも来ていただいておりますので、競馬の主催者は、一部事務組合、地方公共団体でありますし、先般は三千二百の自治体を平成の大合併ということで千八百に持ってまいりました。例えば、競馬組合とか、合併等々ということとか、あるいはまた、自治体の平成合併では合併特例債とか財政支援とかあったわけなんでありますけれども、この競馬組合に関しては、何か支えられる、そういう仕組みがないかどうか、お尋ねいたしたいと思います。

椎川政府参考人 お答えいたします。

 地方競馬の経営状況は大変に厳しいということでございまして、それぞれの施行者において売り上げの回復等の経営努力を重ねていただいているところでございまして、お尋ねの共同開催等につきましても、現在、御指摘がありましたように、既に十六の主催者のうち十一が一部事務組合ということで、それなりの御努力はされているわけでございますけれども、さらにいろいろな検討を進めていただきたいというふうに思っております。

 共同開催に限らず、経営改善計画を策定していただいておりまして、その経営改善計画に基づきまして、例えば、人員削減、機械導入等に伴う一時的な増嵩経費があるとか、あるいは、公営競技施設を新たにつくったり修繕をいたしまして、そのための地方債の元金償還金が大変かさんでいるというような団体につきましては、その平準化をするための地方債の発行を認めるというようなことを現在でもやってきておるところでございます。

 しかしながら、御指摘のありましたように、公営競技全体がそうでございますけれども、これは収益を上げて地方財政に貢献していただくということを大きな目的の一つにしてございますので、元利償還費を交付税に算入していくような合併特例債というような支援措置を講ずるということは難しいのではないかというふうに考えているところでございます。

黄川田委員 主催者が、累積赤字を解消するようしっかりと努力をしなきゃいけないということが第一義的だということでしょう。

 時間でありますので、終わります。ありがとうございました。

西川委員長 次に、菅野哲雄君。

菅野委員 社会民主党の菅野哲雄であります。

 私の方からも、一昨日、みずから命を絶たれた松岡農林水産大臣並びに御家族に対して、心から御冥福をお祈りいたしますとともに、お悔やみを申し上げます。

 また、昨日は、緑資源機構の前身である森林開発公団の元理事の方も自殺されたと報道されております。

 政治と金、そして談合問題がこのような形で推移していることは、痛恨のきわみだと言わなければなりません。

 通常国会の会期も残すところあとわずかになりながら、事務所経費あるいは官製談合の双方とも真相が明らかにならず、さらには、政治と金の透明化を図る法改正も先送り、審議にすら付されていないのは、極めて遺憾と言わなければなりません。

 この責任は、松岡大臣をかばい続けていた安倍総理、安倍内閣にあることを指摘して、質問に移らせていただきます。

 競馬の経営状況は大変に深刻です。経営の悪化は、関係自治体の財政や国庫納付金だけでなく、軽種馬の生産農家あるいは競馬場施設で働く方々にも影響を及ぼしますから、競馬の健全な発展に向けさらなる努力が問われているという認識は共有していきたいと考えております。

 そこで、質問しますが、今回の法改正、中央競馬会の経営委員会を新設するとしています。予算や事業計画の決定から職員の給与に至るまで、その権限は絶大です。

 私が懸念するのは、特殊法人である中央競馬会が、農水省の関与を薄め、七人の経営委員会に絶大な権限を持たせ過ぎていないかという点です。外部識者の意見を取り入れるというのであれば、運営審議会が既に設置されています。

 そこで、経営委員会に国、農水省はどこまで関与をするのでしょうか、それから運営審議会との関係はどうなるのでしょうか、お答えください。

山田政府参考人 ただいま、経営委員会、運営審議会、さらに農林水産省との関係について御質問がございました。

 委員からお話がありましたとおり、経営委員会は、日本中央競馬会の経営の基本方針や目標、予算、事業計画等の重要事項の意思決定を行うという機関でありますとともに、理事長などの役員の職務執行を監督するという役割を担っております。

 一方、運営審議会でございますけれども、これにつきましては、理事長の諮問機関という位置づけでございますが、特に、日本中央競馬会の業務の執行に関する重要事項について調査審議し、あるいは理事長に意見を言うということでございまして、委員としては、馬主さんあるいは競走馬の生産者の方、騎手、調教師さんなど、いわゆる競馬サークルの中の関係者という位置づけ、そういう方がかなりの部分を占めるようなものでございます。

 したがいまして、意思決定機関と、それから理事長の諮問機関ということで、かなり役割が違うわけですが、農林水産省といたしましては、中央競馬会の職務執行が適切かつ公正に行われる必要がある、これを監督する必要があるということでさまざまな関与をいたすことになりますけれども、具体的には、経営委員会の委員の任命あるいは経営委員会の議決した予算等の認可等を行うということになっております。

菅野委員 今答弁があったように、経営委員会に権限が相当集中していくというふうに私は見ております。そういう意味では、この七人の経営委員会というのは重要な役を担っていくんだなというふうに思っています。

 それで、先ほどからの答弁でもありましたけれども、この方針は、平成十七年の十二月、行政改革の重要方針でこの方向が示されて、今日の法改正に至ったというふうに私は認識しています。

 そのときの議論ともかかわるというふうに私は思うんですけれども、中央競馬会の執行機関は、理事長以下、副理事長、理事等の役員だと思います。ところが、中央競馬会の重要事項の決定権は経営委員会に属するわけなんですね。

 そうしたときに、経営責任は一体だれにあるんでしょうか。このことがはっきりしていないといけないというふうに思うんですが、答弁願いたいと思います。

山田政府参考人 委員からお話があり、また先ほど私からお答えしましたように、経営委員会は、経営の基本方針などの重要事項を決定し、役員の職務執行を監督するという機関でございます。

 一方、理事長以下の執行機関は、経営委員会の決定に基づいて、具体的な競馬の施行などの業務執行を行っていくということでございまして、基本方針の決定と執行をする機関というふうに分かれていくということでございます。

 経営責任がだれかという御質問でございますけれども、今言いましたように、決定をする機関と、それから役員が執行するということで、それぞれ分担をしながら全体としての経営を運営していくということになるというふうに思っております。

菅野委員 今答弁があったように、まさかこんなことはないと思うんですが、経営委員会がトップダウンですべてを取り仕切るような運営になりはしないかという危惧を私は持っておりますし、そういうふうになってはいけないというふうに思っております。

 それで、中央競馬も地方競馬も売り上げが減少しております。ただ、その中でも、随分と内部努力が行われています。例えば、中央競馬では、平成十二年から十七年の五年間で九百五十一億円もの費用を削減しています。これは同じ期間の売り上げ減少をほぼカバーする数字であります。

 この費用の削減の重立った中身は何だったんでしょうか、明らかにしていただきたいと思います。

山田政府参考人 委員からお話がありました約九百億円の経費節減の内訳でございますけれども、競馬の開催に要する経費、直接競馬の開催のための経費ということで、これが約五百二十億円の削減、また賞金等の経費の削減が約二百六十億円、それから役職員の給与や営繕費等について約百五十億円、こういった内容になっております。

菅野委員 売り上げがどんどん減少しているという現状の中で、無駄をなくすことは必要だというふうに思っています。ただ、経営改善のすべてを費用削減に求めると、これは企業のリストラではないですが、働く人や軽種馬の生産農家に過度なしわ寄せをもたらすのではないかと危惧いたすのです。

 そこで、お伺いします。

 中央競馬の今後の経営改善で柱となる施策はどのようなものと考えているんですか、お答え願いたいと思います。

山田政府参考人 中央競馬の今後の運営改善あるいは経営改善の柱についての御質問でございます。

 中央競馬の運営の改善を図るという観点からは、まず一つは、今委員からもお話がありました経費の削減などの効率化の追求ということが一つございます。さらにもう一点としまして、売り上げの向上などのための積極的な取り組みということもまた必要かと思っております。

 このうち、経費の削減の部分でございますが、これにつきましては、委員からお話がありましたが、関係者は非常に多岐にわたっておりますので、競馬関係者全体の協力なり御努力によって、日本中央競馬会の経営の合理化や効率化ということが図られますので、そういったいろいろな今までやってきたような取り組みがありますけれども、これをさらに続けることによって経費の削減を図っていくというのが一つの柱かと思っております。

 また、もう一方で、積極的な施策、売り上げ向上につきましては、質の高い競走馬による公正でわくわくするような、ファンが喜ぶような競走をする。また、ファンに対して適切な情報を提供していく、あるいは、馬券の種類をいろいろニーズに応じたものに変えていく。それから、競馬場の施設で快適に過ごせるような整備も必要であるというようなことが考えられると考えております。

 いずれにいたしましても、中央競馬会において、また今後、経営、運営改善策について議論がなされるというふうに考えております。

菅野委員 なぜこのことをずっと議論しているのかということなんですけれども、経営委員会があって、理事会があって、運営審議会があって、そして全体が機能していくという仕組みに今回変えようとしているんですね。先ほど言ったように、この経営委員会と理事長以下理事会との関係が、経営委員会がトップダウンで決められていくということに非常に私は危惧を抱いているんです。

 それで、売り上げが順調に伸びているときにはその危惧というのは当たらないんですが、ややもすれば、売り上げが減少している中で、経営委員会の決定権でもってずっと行われていくというのはどうなのかなということですね。

 最高責任は理事会であるというふうになっていれば、私は理事の方々の真剣なる議論というものも行われていくんじゃないのかなというふうに思いながら、全体を見ながらそう推移していくんだろうというふうに今まで思っていたんですが、行革の重要方針なるものが示されて、こういうふうに行われるというのは、現場というものをどれだけ知って今日になっているのかということに危惧を抱かざるを得ないから、今議論しております。

 ぜひそういうことのないように、しっかりとした制度設計というものを、この法律案施行以降、つくっていただきたいというふうに思っています。

 それからもう一つ、経営責任の問題です。

 経営委員会と理事会が総体でこの経営責任を持っていくということなんですが、中央競馬会は、職員に加え、多くの従事員によって支えられております。費用の削減やリストラということになると、まず一番弱い立場にある従事員の方々に目が向けられるのではないかと実は大変心配しております。

 従事員の方々の平均勤続年数は十七から十八年近くに達していると伺っています。まじめに中央競馬を支えてきたこれらの従事員の方々の賃金や労働条件を安易に切り下げていくようなことは何としても避けていただきたいというのが私の率直な気持ちです。

 今回新設される経営委員会が予算などを決めていくわけですが、従事員の方々が賃金や労働条件について協議する対象はだれになるんでしょうか。経営委員会のトップダウンで決められていくということになってはいけないというふうに私は思います。

 経営のあり方の大きな変更、とりわけ費用削減を余儀なくされる場合、職員や従事員の方々との丁寧な協議が必要と考えますが、しっかり今後とも協議をしていくと約束できるんでしょうか。答弁願いたいと思います。

山本(拓)副大臣 今回の改正により日本中央競馬会に経営委員会が設置されることになるわけでありますが、執行面で日本中央競馬会を代表するのは理事長でありますので、従事員等の賃金や労働条件等の協議には理事長を長とする執行機関が引き続き当たることになるところであります。

 また、執行機関と従事員との協議のあり方については、当事者間で決定すべきものであり、基本的には、従来の経緯を踏まえて、お互いに十分意見交換を行い、意思疎通を図りつつ協議をしていくことが適当と考えているところでございます。

 今ほど先生の御指摘いただきました点につきましても、万に一つそういうこともないと思いますが、万が一そのようなことが生じたときには、農林水産省が一般的な監督権を有しておりますので、監督権を行使するなどして、より適切に対応したいと考えております。

菅野委員 経営委員会と理事会との関係ですね。ここは、今副大臣の答弁の中でわかりました。従来どおり理事会に経営的な面の権限は集中しているんだという答弁だったというふうに思います。

 そういう意味での農水省としての監督権限を本当に強化していただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。

西川委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

西川委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、競馬法及び日本中央競馬会法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

西川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

西川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


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