衆議院

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第19号 平成19年6月6日(水曜日)

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平成十九年六月六日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 西川 公也君

   理事 岩永 峯一君 理事 金子 恭之君

   理事 近藤 基彦君 理事 谷川 弥一君

   理事 並木 正芳君 理事 篠原  孝君

   理事 松木 謙公君 理事 西  博義君

      赤澤 亮正君    伊藤 忠彦君

      今津  寛君    小里 泰弘君

      小野 次郎君    岡本 芳郎君

      北村 茂男君    斉藤斗志二君

      篠田 陽介君    中川 泰宏君

      永岡 桂子君    丹羽 秀樹君

      鳩山 邦夫君    広津 素子君

      福井  照君    福田 良彦君

      古川 禎久君    御法川信英君

      森山  裕君    渡部  篤君

      岡本 充功君    黄川田 徹君

      小平 忠正君    佐々木隆博君

      高山 智司君    仲野 博子君

      福田 昭夫君    山田 正彦君

      菅野 哲雄君

    …………………………………

   農林水産大臣       赤城 徳彦君

   農林水産副大臣      山本  拓君

   農林水産副大臣      国井 正幸君

   農林水産大臣政務官    永岡 桂子君

   農林水産大臣政務官    福井  照君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           久元 喜造君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         佐藤 正典君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           町田 勝弘君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  山田 修路君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  高橋  博君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            中條 康朗君

   政府参考人

   (林野庁長官)      辻  健治君

   政府参考人

   (水産庁長官)      白須 敏朗君

   農林水産委員会専門員   渡辺 力夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月六日

 辞任         補欠選任

  飯島 夕雁君     篠田 陽介君

同日

 辞任         補欠選任

  篠田 陽介君     飯島 夕雁君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

西川委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官佐藤正典君、消費・安全局長町田勝弘君、生産局長山田修路君、経営局長高橋博君、農村振興局長中條康朗君、林野庁長官辻健治君、水産庁長官白須敏朗君及び総務省自治行政局選挙部長久元喜造君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩永峯一君。

岩永委員 大臣席にお座りになっていた松岡大臣が今でもお座りをいただいているような錯覚を覚えるわけでございます。本当に意欲的に日本農業のために当選以来御活躍いただき、リーダーシップをとっていただいた松岡大臣が御逝去なされましたことを、皆さんとともに深く御冥福をお祈り申し上げたいと思います。

 新たな大臣として、赤城徳彦農林水産大臣が誕生いたしました。本当に若くすばらしい大臣の誕生に、我々農林関係に携わる者一同、心から御歓迎を申し上げたいと思います。

 実は、ちょっと調べてまいりましたら、赤城大臣のおじいさんの赤城宗徳先生は、昭和三十二年の第一次岸内閣の農林水産大臣を務めていただき、そして次には第二次、第三次の池田内閣の農林水産大臣を三十八年に務めていただき、なお引き続いて佐藤内閣の第一次内閣で農林水産大臣を務めていただいた、そして四十六年の第三次佐藤内閣の改造内閣で農林水産大臣をお務めいただいた。農林水産大臣を計五回お務めいただいて、本当に日本の農業を、今ここにある礎をお築きいただいた。そのお孫さんである徳彦先生が、おじいさんが引退されて、そして、全国最年少、三十歳という若さで実は当選されてこられたわけです。

 そして、農林関係にどういうような御経歴をお持ちか。私どもの党の関係ですが、部会長、それから総合農政調査会の副会長、林政調査会の副会長、水産総合調査会の副会長、それから農林水産物貿易対策特別委員会の副会長兼事務局長、それから山村振興対策特別委員会の副委員長、それから治水治山海岸対策特別委員会の副委員長、それから甘味資源作物等価格に関する小委員長、それから畜産物価格に関する小委員長、また、現在では食育調査会の副会長、総合農政調査会の副会長、それから林政調査会の会長代理、そして都市と農山漁村の共生・対流を進める調査会の副会長と、本当におじいさんから大臣に至るまで、ずっと日本農政のために御貢献をいただいた、すばらしい大臣をお迎えしたことを心から喜んでいる者の一人でございます。

 大変難局のど真ん中にある日本農政でございます、どうかひとつ持ち前のバイタリティーとすばらしい明晰な能力をふんだんに発揮していただき、世界を駆けめぐっていただいて、今の混迷する日本農政を脱却いただくように、大臣に心からお願いを申し上げる次第でございます。

 きょうは、そういうことを踏まえまして、WTO、それからあと農地政策関係、それから経済財政諮問会議関係、都市農業振興関係、それから民主党の農業政策関係、それから緑資源機構問題等、ちょっと数が多いわけでございますが、率直にひとつ御質問を申し上げたい、このように思います。

 WTO農業交渉につきましては、今、大変な状況にあるわけでございます。結果によっては我が国の農業に多大な影響を与えかねず、我が国の農業にとって非常に重要な大きな課題でございます。

 交渉の現況を見てみますと、先日、ファルコナー農業交渉議長から、我が国にとって非常に厳しい内容を含む議長ペーパーが出されたところでございます。先月下旬以降、ジュネーブでこの議長ペーパーを踏まえた協議が行われているとともに、並行して、いわゆる米国、EU、インド、ブラジルのG4など、主要国による協議が行われていると承知をいたしております。まさにWTO交渉は現在山場を迎えているところでございます。

 松岡前大臣は、精力的に主要閣僚やラミー事務局長との会談を重ねていただきました。そして、我が国の主張が反映されるように、大変な御尽力をいただいたわけでございます。しかし、これを踏まえて、先ほど申し上げましたように、赤城大臣におかれましてもしっかりと交渉をいただくよう、強く期待をしているところでございます。

 このWTOを補完する形で進められているEPAにつきましても、農産物貿易について厳しい交渉が続いております。当委員会においても、昨年末のオーストラリアとの交渉入りに際して、決議を行いました。そして、我が国農業の将来を危うくするようなことがないように万全の交渉を求めましたが、農業への将来展望を示すのは、まさに農林水産省に課せられた役目であります。農林水産物貿易交渉に当たって、ぜひ我が国農林水産業を守るという強い信念で臨んでいただきたいと思います。

 特に、最近アメリカとEUが急接近をしているように思いますし、G4もそこへ加味しているように思えるわけでございます。こういうことを踏まえて、大臣はWTO交渉や今後のEPAにどういう決意で臨まれるか、お伺いしたいと思います。

赤城国務大臣 ただいま岩永委員からの御指摘、御質問でございますけれども、まず、岩永委員が農林水産大臣を経験された先輩大臣として、いろいろ御指導いただいていますことを感謝申し上げたいと思います。

 今ほど、私の経歴についても御紹介いただきましたけれども、これは、岩永委員初め先輩、同僚の皆さんと党内においていろいろな会議、会合を通じて、この農業政策、議論を重ねてきた、そういうことだと思っております。

 祖父が農林大臣をしたのは五十年前のことでございます。この五十年、農村の風景も農業を取り巻く状況も大きく変わってきて、今は大変な改革期にある。だからこそ、与野党の別なく、改革を進めて、新しい農業、農村の姿というものを求めていく必要があるだろう、かように考えております。

 その中の大きな変化の一つ最大の状況が、国際情勢の変化、また貿易ルールの問題でございます。今、WTO交渉、まさに重要な局面を迎えております。EPAもございますし、いずれにしても、貿易のルールを決めるわけでありますから、貿易というのは、売る側と買う側があって初めて成り立つものですから、売る側だけの論理で物事が決まってしまうということであってはならないと思っております。

 今御指摘のG4、アメリカ、EU、ブラジル、インド、この四カ国で精力的に会合を重ねております。また、ファルコナー議長のペーパーを見てみましても、議論の幅を決めるというふうなことでありますけれども、どちらかというと、その幅が我が国にとっては大変厳しい内容になっております。

 いずれにしても、世界最大の食料輸入国である我が国の考え方、これがしっかりと反映したものでなければ、公平な正しい貿易ルールというものは成り立たない、こう考えております。

 そこで、G4という四カ国でなく、日本を含めたG6の六カ国の閣僚会合を開くべきだ、こういうことを就任以来、シュワブUSTR代表、また昨晩はジョハンズ農務長官にも電話で会談をさせていただき、強く申し上げたところであります。

 いずれ、G4という会合が開かれる、そのころには、私も現地へ行って、これは国会があることですので、会期中になると思いますので国会のお許しをいただければでありますけれども、現地でバイの会談、そしてG6が開かれましたら、その場において我が国の立場、考え方、それをしっかり反映していきたいと思っております。

 それから、EPAについてでございますが、もともとEPA、FTAはWTOを補完するということで、シンガポールから始まって、順次締結をしてきました。これは二国間でお互いにプラスになるような、そういう決め方をしていくことが大事だと思っております。

 オーストラリアとの交渉が今始まっておるわけですけれども、オーストラリアとは大変利害のぶつかる部分もありますけれども、守るべきはしっかり守る、これを基本スタンスにしてこの交渉に臨んでいきたいと考えております。

岩永委員 この外交交渉で敗れますと、それこそ日本農業は壊滅的な打撃を受けるわけですし、日本農業は成り立たないと言われるほどやはり厳しい状況になるわけでございます。

 そういうことを十分踏まえながら、ひとつ大臣、決して、きょうも党の部会で一寸の虫にも五分の魂だ、このようにお話をいただきましたけれども、気力、気迫、このことが相手を動かす、私はこのように思いますし、大臣のもとには、日本農民のみならず日本の国家存亡がかかっているという強い気持ちで御対応いただきたい。

 私どもも、筆頭をやらせていただいておりますけれども、今回大臣が外交交渉に出張される立場を十分守りながら、与野党ともにひとつ精いっぱい働いていただく環境をつくっていきたい、このように思っておりますので、頑張っていただきたいと思います。

 次に、今、経済財政諮問会議の中でグローバル化改革の議論が大変盛んに行われているわけでございます。

 先月の九日に開催されたこの経済財政諮問会議におきましても、グローバル化改革専門調査会の第一次報告が提出されました。そして、かなりの議論が行われたと認識しております。

 この第一次報告の内容には非常に問題が多く、我が自由民主党においても強い反発が出ているところでございますし、特に農林関係では、最初、だれがこれをつくったのか、農業を理解していない部分というのが大変たくさん見られたわけでございます。

 特に国際関係では、今の日豪、日米、日・EUとのEPA交渉の見通しの明示もされておりますし、高い自由化率、国境措置の削減など、真剣に交渉に当たっている者を後ろから鉄砲で撃つような記述が書かれているわけでございます。

 農業関係では、与党・政府が一体となって改革に取り組んでいる最中であります。すべてをゼロからスタートさせるような一括法の制定など、現場に大混乱を生じさせかねない記述が盛り込まれております。到底受け入れられる内容ではないと私は考えております。

 現在、国際関係ではWTO交渉が佳境を迎えておるわけでございますが、EPA交渉への戦略的な取り組みが必要となっております。また、農業関係では、四月に新たな経営安定対策を初めとする戦後最大の農業改革を実施したばかりであります。現場に混乱を招くことなく着実に改革を推進する必要があろう、私はこのように思っておるわけでございます。

 このように我が国農業の将来を左右する極めて重要な時期において、これまでの関係者の努力をほごにしかねないような農政に対する認識には、大きな疑問を持たざるを得ません。

 既にことしの骨太方針の策定に向けた調整が行われていると聞いておるわけでございまして、今後、与党においても議論が行われることになりますが、これまで与党・政府一体となって積み重ねてきた議論の内容が反映されるように、しっかりと大臣に調整をお願いしたい、このように思います。

 農林水産省といたしましては、ことしの骨太方針の策定に向けてどのように対応をしていかれるのか、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

赤城国務大臣 御指摘の経済財政諮問会議のグローバル化委員会の件でございますけれども、いろいろな場面、いろいろな専門家の方がいろいろな場で農林水産政策について御議論いただき、また御提言をいただくということは大変大事なことであると思います。

 ただ、御指摘のように、WTOとかEPAとか、交渉をまさにしているというときに、交渉のその先を予断するようなこととか、交渉のスタンスを弱めるようなことになってはいけない、そこは注意していかなければいけないことだと思っております。

 また、農地政策についてもそうですけれども、我が省が責任官庁としてこれから決めていく課題、またこれは大変大きな柱になる課題でありますので、現場の皆さんに不安を抱かせないように、そういうことも注意しなければいけないと思っています。

 いずれにしても、そういういろいろな御議論はございますが、骨太の基本方針ということで、政府としてのこれから一年間の施策や予算についての基本方針をまさに今策定作業をしているところでありまして、その中に私どもの農林水産施策がしっかりと織り込まれるということが大事だと思っております。

 WTOの交渉、そして農地政策改革の検討、そういったことも含めて、こういった重要施策をしっかり骨太方針に位置づけられるように、これからも調整を進めていきたいと思っております。

岩永委員 特に、やはり大臣みずからが大田大臣並びに官邸に直接農業への理解を深めていただくこと。今の原案を見ますと、到底農業を知っておられるとは思えないような記述もあるわけでございますので、ひとつ、このことについては、大臣みずからがリーダーシップをとって御対応いただきたいということを御要望申し上げておきます。

 それから次に、独立行政法人の緑資源機構の談合問題でございます。

 緑資源機構が発注する林道の測量コンサルタント業務に関する独禁法違反の疑いによって、五月の二十四日に、現職の理事及び課長並びに受注法人の関係四名、計六名が逮捕されるというゆゆしき事態となってきております。

 私自身、森林・林業に対する国民の期待と信頼を裏切るような官製談合を行ってきたような組織は、もはや廃止すべき、こういうふうに考えておりましたが、赤城大臣も、就任時の記者会見で、廃止の方向で検討するように事務方に指示したと発言されました。まさにそのとおりと考えております。

 一方、緑資源機構という組織だけに着目するのではなく、今後とも、このような官製談合という事態が生じないように抜本的な検討が必要であります。そのことが国民の信頼を回復するために大変重要な事柄であると考えております。

 そこで、廃止をする、大臣みずからの決断は高く評価をいたしますが、今まで緑資源機構が行っていた森林・林業に対する事業の継承、並びに、あそこで七百人ぐらいが働いていると聞くわけでございますが、この後の、職員が意欲を持ってまた次の仕事ができるような立場というのもやはりお考えいただかなきゃならぬのではないか、このように思います。

 そのことも踏まえて、大臣の所見をお伺いしたいと思います。

赤城国務大臣 岩永委員かねてから、こういう大きな問題を起こした緑資源機構、国民の信頼を損なういわゆる官製談合、こういうことでありますから、こういう組織が存続することはあってはならない、廃止すべきである、こういう御主張をされておりまして、私もそのように感じております。

 そこで、大臣に就任した直後に、こういう発注者側がかかわるいわゆる官製談合を行った緑資源機構、これを廃止する方向で検討するようにということを事務方に指示いたしました。

 御指摘のような、官製談合を再発防止する、こういう意味でいいますと、組織の廃止という検討だけではありませんで、やはり今後どうするのかということが大事だと思っております。受注法人や林野庁の事業、人事、組織のあり方、また、今までやっている事業、大変有意義な事業をしているわけでありますから、残事業の扱いをどうするんだ、七百二十人働いている人たち、まじめに働いている人たちをどうするんだ、そういう問題もございますので、幅広く検討する必要があると考えております。

 一方、この問題については、第三者委員会で検討いただいておりますので、こういった点を十分御議論いただいて、その結果を踏まえて、早急に抜本的な再発防止策を取りまとめていきたい、そのことによって信頼回復に努めていきたいと考えております。

岩永委員 この問題が起こってすぐに第三者委員会を設立されたようでございます。廃止するという大臣の発言を踏まえて、今度、そこでどうしていったらいいかという御検討をされるようでございますが、私は、だれよりも内情をよく知り、だれよりも同志としての仲間をこれからも活躍させたい、だから、外部の人にすべてゆだねてその意見を聞くことも大事ではありますけれども、それよりも、みずから、やはり自分らで隘路を切り開いていく、道を新たに求めていく、そういう農水省の姿勢というのが大変大事ではないか、このように思います。

 私が全農の改革をやりましたときに、やはり、どこかで検討してもらおうじゃないかという話がございました。しかし、農水省の中にすばらしい能力を持った方がたくさんおられるんではないか、だから、その人間が寄って、そして農水省が必要とする全農のあり方というのを模索しようじゃないかということで職員がやりましたとき、本当に燃えるような熱意を持って対応をしたわけでございます。

 きょうはちょっと欠席しておられますが、京都の中川さんなんかが全農側の理事の一人でございました。三十人いる理事を十五人にしてきなさい、もしそれができないようだったら第二の全農をつくりますよ、全農を八つに分けますよというものをみずからぶち当てたわけです。そうしたら、参った、よしわかった、これから、農民のための全農になるように、心を入れかえてコンプライアンスをきちっとやります、そして事業清算をしますということをみずからつくってきたわけですね。

 だから、農水省みずからの姿勢、どう改革するのか、そしてどういうものをつくり上げるのかというリーダーシップを、職員とともに汗をかきながら、大臣みずからがつくり上げていただきたい、このように思いますが、もう一度決意をお聞きしたいと思います。

赤城国務大臣 まさにおっしゃるとおりでありまして、これは技術的なもの、細部の問題、そういった問題もありますし、残事業をどうするとか、人材、システムをどうするとか、そういったことを含めて幅広く第三者委員会の検討をお願いしているわけですけれども、検討をお願いして、そちらにもうお任せ、こういうことではありませんで、やはり林野庁みずからの問題として、農林水産省挙げてこの問題に取り組む。私もその責任者として、全力で、この問題について率先して取り組んでいきたいと思っております。

岩永委員 私は、この委員会に所属して筆頭をさせていただいて、きょうまで大変うれしかったことは、民主党さんの理事、筆頭と本当に仲よくやれた。そして、お互いに肝胆相照らすような仲で対応してこれた。そして、いち早くすべての法案が、皆さん方の議論を得て、委員長のすばらしいリーダーシップによりましてすべて可決されたことに対して、大変うれしい思いを持つわけでございます。

 しかし、そうした民主党さんとの関係ではございますけれども、実は、民主党の農業政策に私なりに疑問がございますので、ひとつ大臣がどう思っておられるのかお聞きをしたい、このように思っております。

 民主党さんは、政府・与党の進める農政改革に対抗して、すべての販売農家を対象として、生産費と市場価格との差額を支払う戸別所得補償制度を創設していこうとしておられるわけでございます。当面、どこでどういう形でその金を見出すのかわかりませんけれども、予算一兆円を充てると主張しているわけでございます。

 一方で民主党は、余りそのことに対して具体的に、ではどうするかというようなことについて御説明がないようですが、農産物貿易の自由化を進めるというような立場をとっておられるわけでございます。(発言する者あり)質問、質問。

 これらの問題を考えますと、民主党さんは、農産物貿易の自由化による価格の下落の代償措置として、その下落分を補てんする戸別所得補償制度を導入しようとしているのではないかと思うわけでございます。

 民主党が参議院選挙を意識して配布されているビラには、米一俵五千円になってしまったとしても一万円を補償するというように書かれております。民主党が農産物貿易を自由化しようとしているからこそ、こうした例を持ち出すのだと私は思うわけでございます。

 さらに民主党さんは、食料の完全自給を目指すと主張されておりますが、これは農産物貿易の自由化とは全く相入れないと言わざるを得ない、このように思っております。

 こうした民主党の農業政策からは、日本の農業をどうしていくのか全く見えてまいりません。矛盾をはらむ政策を平気で打ち上げておられるのは、政権を担わない無責任さではないかと私は思うわけでございます。

 このような民主党の農業政策について、大臣はずっと、ここにあるビラを見られたり、また、今までから、うちの部会の中で御議論いただいてきた民主党農業政策に対して、どうお考えを持っておられるのか、率直にお話をいただきたい。これは勇気を持ってやっていただかないと、ここできちっと発言していただかないと、間違いを起こすと思いますので、よろしくお願いします。

赤城国務大臣 民主党の篠原筆頭理事が手を挙げておられますけれども、実は私も篠原先生と浅からぬ御縁がございまして、篠原先生の御薫陶を受けてきたという者でございます。また、この農林水産委員会において、篠原先生の質問される姿、大変わかりやすく、核心をついた資料を整理して質問されている、非常に私も感銘を受けて拝聴しております。

 一方、民主党の農林政策について、実は私も、以前この委員会で質問させていただきまして、岩永委員と同じように疑問点を感じておりました。

 御指摘のような、民主党の、昨年来、すべての販売農家に生産費と販売価格の差額を支払う戸別所得補償制度を創設する、また、食料の完全自給体制の確立といったものを柱とした農業政策を主張されているわけですが、戸別所得補償制度について、すべての農家を対象として支払いを行う、こういうことになりますと、今、農業従事者が減少、高齢化していることや、耕作放棄地が増加しておりますけれども、そういう現状の脆弱な農業構造、それを固定することになってしまうのではないか、農業の体質を強化していく、改革をしていくということが大事であろう、こう考えております。

 また、食料の完全自給体制についてですが、完全自給する、こういうことになりますと、現在の国内農地面積の三倍の農地面積を新たに確保しなければならないということになりますと、これもやはり非現実的なのかな、こう考えております。

 農林水産省としては、今申し上げたような改革ということで、零細な農業構造を、構造を変えていって、もっと体質の強いしっかりとした担い手を育てていく、また、そういうところへ施策を集中して投下していくということが大事だと思いますし、食料自給率について、これは供給と需要側と両面の問題がありますので、どこにどういう問題があって、どうやって自給率を上げていくべきなのかということを、工程を管理しながら、平成二十七年度までにカロリーベースで四五%、こういうことを目標に着実に進めていこう、こう考えておるわけであります。

岩永委員 大臣のお考え、しかと承りました。

 また、機会があったら、民主党のネクスト篠原大臣にもお聞かせをいただきたいと思いますが、きょうはこういう場でございますので、ほんまの大臣だけにしておきます。

 五月の二十五日に、OIEの総会で、実は、アメリカが管理されたリスクの国だということで、BSEの問題を決定されたようでございます。それで、先般、赤城大臣が、ごあいさつかそれとも向こうから電話がかかってきたのかわかりませんけれども、シュワブ代表並びにジョハンズ長官から、二十カ月齢以下の牛を日本に輸出したいというような話が来たと新聞で承っているわけでございます。

 二十カ月齢未満の牛肉が今までやはり年間約一万九千トン、大体二万トンぐらい輸入されているわけですが、これが二十カ月齢以上になりますと、過去の例で二十万トン以上日本に輸出される。だから、その差というのは、今、オーストラリアだとか、それが豚だとか魚にかわったり、日本の牛が高騰しているというような部分で補完されているんだろう、このように思うわけでございます。

 だから、大臣としては、現在の輸出条件がきちんと守られているかどうか。それから、査察の検証結果を取りまとめている段階である、その作業をきちんと進められることが大事だというような、相手に対するお答えを出されたと聞いておるわけでございますが、これは、早かれ遅かれ、この問題はかなり具体化してくるだろうと思います。

 それで、将来予想として、これから日米の間で今後の検討をしていく、またアメリカがどういうような状況になっているかというデータだとか情報をもらう、また専門家のいろいろな議論もいただくというようなこともありましょうし、食品安全委員会でやはりそこらあたりの御検討もいただかなきゃならぬ、こういうようなことにもなろうかと思うわけでございますが、この問題に対して大臣はどういうお考えを持っておられるのか。きのうかおとといやられたところでございますし、新聞でも、国民もかなり関心を持っておられるところだと思いますので、お聞きをしたいと思います。

赤城国務大臣 このアメリカからの牛肉の輸入の問題でございますけれども、きのう、おとといとシュワブUSTR代表、ジョハンズ農務長官と電話会談をいたしました。この会談は、私の新任のごあいさつをするということとともに、その場で、その機会に、WTOの今の交渉について、最大の輸入国である我が国の立場、また、その進め方についても、G4だけではいかぬ、そういうことを申し上げた、そういう会談であります。

 その際に、先方から、牛肉の輸入条件の緩和についての要請もございました。もう報道で御案内のとおりでありますけれども、私は、そのことに対してこういうふうに申し上げたんですが、いずれにしても、この問題というのは科学的知見に基づいて決めることであって、今は、既に決められた輸出プログラム、これに沿ってきちっとそれが守られているかどうか、それを査察し、その査察が終わって検証しているという段階ですから、その検証をきちんと進めるということが大事なんだということを申し上げたわけです。

 いずれにしても、科学的に検討することでありますし、厚生労働省との協議も必要なことでありますから、その後のことをどうかということは聞かれますけれども、まずもって査察の検証をきちんと進める、この問題については科学的にやるんだ、また厚生労働省との協議が必要である、こういうことではないかと思っております。

岩永委員 それでは、最後に、現在カロリーベースで四〇%、そして平成二十七年までに自給率を四五%に上げていく、こういう考え方を持って今農業改革を進めているわけでございます。

 その中で、品目横断関係、米政策改革関係、そして農地、水、環境保全向上対策関係、それから今大きく議論をしておりますこれら三つに基づく農地政策関係、耕作放棄地対策をも含め、なおかつ都市農業振興関係、都市農業をどうしていくかという大変多くの課題があるわけでございます。

 私は、たまたまこの改革を提案したときに大臣を預かっておりまして、みずからがやはり全国を回るべきだ、そして、本当に今までの農業を担い手政策に変えていく、集落営農にしていく、このことは、大臣みずからが地域地域に出向いて、そして地域の農業事務所それから農業現場、そういうところで自分自身の意思、気持ちというものを伝えることが全体の空気を醸成していく、こういうことだ、私はこのように思って歩きました。だから、行くところどころで大変な議論もじかに感じましたし、そして、これを本当に改革して、し切ってしまおうと思うと、それこそすごい労力が要るということもみずから知ったわけでございます。

 ひとつ大臣、大変忙しく、WTOだとか、それから今質問した多くの課題があるわけでございますが、やはり各農政事務所ぐらいまで行かれる、また、農政局ぐらいまで行って職員を集める、それぞれのブロックで農民の代表を集める、そして、おれはこうだ、だから、皆さん方、一緒にやろうじゃないかというような、そういう動く大臣の姿というのを見せてやってもらいたい、私はこのように思います。

 時間がありませんので、最後、この大農政改革に対する赤城大臣の決意と、それから、これらに対する、どうやっていこうかというプロセスをある程度お教えいただきたい、このように思います。

赤城国務大臣 岩永委員の御地元の滋賀県、岩永委員が集落営農というのを提唱されて、推進してこられましたけれども、御地元では大変改革が進んでいるということを伺っております。

 例えば、品目横断の対策でもそうですけれども、現場にどう理解していただくのか、このことが重要でありまして、そのために、これまで、本省の職員も全国に散って説明をし理解をいただく、そういう取り組みを進めてまいりました。

 県や市町村、そして農協、農業団体挙げて取り組んできて、例えば、麦では九割方そういう担い手への集中、こういうことで進んできている。それはやはり、そういう取り組みが大事だと思っております。

 私もその先頭に立って、何よりも、きのうの所信のときに申し上げましたけれども、農家の皆さんが、よし、やってみようという気持ちになっていただかなければいけない。上からの押しつけるような改革ということではなくて、農家と一体となって進めていくという姿勢が大事だと思っておりますので、十分御指摘を踏まえて取り組んでまいりたいと思います。

岩永委員 大臣、ありがとうございました。

 私どもも、ともに汗をかいて、全面的に大臣を御支援申し上げて、日本農政の改革を、そして、食料自給率の向上に向けて頑張っていきたいと思いますので、手をつないでしっかり頑張りましょう。

 ありがとうございました。

西川委員長 次に、西博義君。

西委員 公明党の西博義でございます。

 赤城大臣、このたびは、御就任まことにおめでとうございます。ともどもに農政改革また農業の発展のために頑張っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 早速質問に入らせていただきます。

 初めに、きのうの大臣の御所見を拝見いたしました。その中で大臣はこうおっしゃっておられます。

 「我が国は、世界最大の食料純輸入国として新たな食料戦略を確立していく必要があります。このため、国際的な食料情報を一元的に収集、分析する国内体制を整備するとともに、食料をめぐる諸問題について国民全体で認識を共有するため、国民的な議論を喚起していきます。」こういうふうに述べておられます。

 私は、非常に有益な、卓越したお考えだなというふうに拝聴いたしました。

 大臣が述べられた国際的な食料情報を一元的に収集、分析する、この体制、国内体制は整備するということなんでしょうが、このことについてもう少し具体的にお考えをお聞かせ願いたいということと同時に、先ほども若干岩永筆頭からもお話がありました、この中で、食料自給率のことについて今回は触れておられませんでしたが、改めて、そのことについても関連してお伺いをしたいというふうに思います。

    〔委員長退席、金子(恭)委員長代理着席〕

赤城国務大臣 先ほど食料自給率についてちょっと議論がありましたけれども、これは今カロリーベースで四〇%まで低下しております。主要国の中でも最低の水準ということで、世論調査をしても、国民の八割がこのことについて将来に不安を抱いておられる。

 こういうことで、具体的に、生産と消費の両面にわたって、四五%という目標を着実に実行できるように工程管理をして取り組んでいこう、そういうことで取り組んできたわけでございまして、例えば消費面からいいますと、食事バランスガイドとか食育とかそういう取り組み、また生産面では、消費に見合った、需給のミスマッチのないようにというふうな取り組み、そういうことをやっておるわけです。

 一方、考えてみますと、地球というのは随分小さくなったんだなというふうに感じます。今バイオ燃料ということに取り組む、そうすると、これは環境のためにやっているんですけれども、そのために食料生産にしわ寄せが来て、何が上がった、マヨネーズが上がったとか、そういうことまで言われるような、地球温暖化とか生態系への影響とか、地球というのが非常に連関しているんだなと、いろいろなところに影響が出てくる。

 だから、我が国の取り組みも、そういう世界の情勢、世界に影響を与えるということも十分注意しながらやらなきゃいけないし、逆に、そういうふうないろいろな情報を一元的に収集して、それを提供していくということ、これが大事だ、こう考えたわけでございます。

 刻々と変化する国際的な食料情勢を的確に把握、分析し、その成果を国民に提供、発信していく、こういうことが目的でございます。

 今のところはちょっとばらばらに行われているものですから、これを体系的にやりましょう、こういうことで、在外公館とも連携をしますし、これはまだこれからどういうふうに具体化するかということはございますが、ちょっとイメージとして、関連する団体、在外公館、国際機関あるいはメーカー、商社、いろいろなところが情報を持っているわけでございます。それを農林水産省が中心になって一元的に集約し、分析もし、それを提供していこう、そんなふうなイメージで今考えております。

西委員 ありがとうございます。

 グローバル化、輸送の迅速化等で、加工食品だけではなくて、生鮮食品までもが国際的な流通の枠内に入ってきているという状況もあり、非常に大事な観点ではないかなと思っておりまして、この構想の実現に期待をしているところでございます。

 続きまして、今度は農地制度のことについてお伺いをしたいと思います。

 五月の八日、政府の経済財政諮問会議のグローバル化改革専門調査会は、米国、欧州との経済連携協定、EPAでかぎとなる農業分野の構造改革を促す第一次報告を出しました。農地制度の見直しについては、企業の農業進出を促すため、農家が耕作放棄地を企業に一定期間貸す、いわゆる定期借地権制度や、農地と企業の株式を交換できる制度の導入を提案されました。

 一方では、農地制度の見直しを議論している農水省の有識者会議は、五月十五日、一般企業の農業参入を進めるため、借り入れ可能な農地を耕作放棄地などに限定している現行制度を緩和すべきだという意見をまとめられました。

 これらを受けて、今週までに農地制度の見直しに関する具体策をまとめるというふうに言われております。

 農水省の資料によれば、農地集積に必要な取り組みとしては幾つか現場から上がっておりまして、公的機関によるあっせんや仲介機能の強化、集落での話し合いへの支援、面的集積に伴う集落への奨励金等の交付、それから、農地状況を把握する図面等の作成というような要望が強いというふうに出ております。

 農地集積を促す施策として、一部報道では、各市町村に仮称農業再生機構、機構という名前がつくだけでちょっと嫌な気がしますが、農業再生機構なる公的機関を設置するというような報道も見られました。

 基本的な構想も含めて、新しい組織をつくってやろうというのが本当のことなのかということを一つお伺いしたいということと同時に、それから、農地集積を促す他の施策については、奨励金の交付だとか、農地情報それからデータの整備、私は、これはぜひとも基本的な条件として必要だと思っているんですが、そういうふうなことについての大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

赤城国務大臣 農地制度をどうするかということは、今、品目横断対策とか米政策大綱の改革とか、農地、水、環境対策、そういうことに取り組んでおるわけですけれども、残された国内対策の最大の、また一番難しい分野だと思っております。

 御指摘のように、いろいろな会議とか民間の委員の方からいろいろな御提言があります。そういう専門家の方がいろいろ御議論いただき、御提言をいただくということは大変大事なことだと思っております。大変大事な問題でありますし、現場の農家の方々とかその地域に与える影響とか、慎重にこれは考えていかなければならない、あくまでこの問題については農林水産省が最終的に決断、決定することだと思っております。

 今、二〇〇七の骨太方針、この中にも織り込まれておりますけれども、これは、政府全体の方針の中に我が省の考え方もしっかりここに織り込んでいきたいと思っております。

 その中で、基本的な方向というのは一つあると思うんですね。それは何かといいますと、今の日本は、国土が狭いとかいろいろな制約があります。集約化を進めているんですけれども、でも、なかなか圃場が分散していて効率が悪い、それをどうやって面的に集積していこうか、そういう問題。

 それから、それにも付随することですけれども、農業経営の法人化を進めていくとか、新規参入をするとか、耕作放棄地をなくしていこうとか、そういう大きな目標に向かって具体的にどういう手段を使い得るのか、どういう制度がふさわしいのか、それを体系的に見なければいけないと思います、全体を見なければいけない。それを検討していきたいと思っております。

 具体的には、これから省内での検討、こういうことになると思いますけれども、この問題については、いつまでもというわけにもいきませんし、予算編成の関係もありますので、本年秋ごろを目途に体制の枠組みをまとめていきたいというふうに考えております。

西委員 大臣も今ちょっとおっしゃられたように思いますが、これは地理的条件もそれぞれ違いますし、それぞれの集落の成り立ちも違います。いろいろな要件がありますので、やはり丁寧に物事を進めていっていただきたいなというふうに思います。

 農政全体の改革のいよいよ大きな山場に差しかかるということで課題も山積しているわけですが、実は、私どもの党としても、五月から全国的に、各地の農業者それから農業団体それから地方自治体それから消費者団体等と現場に行って視察をさせていただいたり、また意見交換をさせていただいたりということをしております。

 幾つかお聞きしていることはあるんですが、きょうは一点だけちょっと大臣にお聞きをしておきたいと思います。

 担い手経営安定新法を初めとする農政改革の関連三法がことしの四月からスタートしておりますが、これによって戦後の大きな農政の抜本的な改革が始まった。

 同時に、現場に行っておりますと、農業従事者などに戸惑いや不安も一方では大変感じられます。特に、担い手要件に満たない小規模農家それから中山間地域の農家に大変な不安、もうちょっと言うと、不満も感じることがございます。

 こういう方々に対する、不安の解消へ、品目横断などの支援の仕組みの説明、集落営農や農業法人への誘導といいますか、そういう方向性のほか、担い手要件を満たすための具体的なアドバイスを行うべきだ、これは前回のこの法案の審議のときにも非常に多くの皆さんからそういう議論がございましたけれども、具体的にスタートしてもやはりまだ十分理解されていない面があるということを今感じております。

 そのことについてぜひともお願いをしたいということと、また、小規模農家それから中山間地域の農家の不安を払拭するために、地域の特色に応じたきめ細かな対策、既に講じられている施策もあるわけですが、このことをきちっと講じていく必要があるというふうに実感をしております。

 細かなことはまた時間を見て御質問もさせていただきたいと思いますが、とりあえず、きょうはこのことについて大臣から、こういうふうになるんだということを概括的にお話をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

赤城国務大臣 この品目横断対策を導入するに当たって、小規模農家が切り捨てられるのではないかとか、現場のいろいろな不安の声も聞いておりまして、そういうことのないように対策を立てるということが一つ大事でありますし、もう一つは、やはり公明党さんでも御努力をいただいて、地元、現場への説明やこの制度の普及に御尽力をいただいているということは、大変ありがたいことだと思っております。

 一つ制度的な対応としては、もう既に、例えば、集落の農地面積がもともと少ない、そういう地域とか、複合経営をやっていてほかで所得が上がる、相当水準の所得を確保している場合とか、そういうものについては別途特例を設けて対応している、こういうこともございます。

 何よりも、規模が小さい農家であっても集落営農という形でみんなで参加をできるんだ、ここが一番大事なポイントだと思っておりますけれども、決して、一定規模以上のところしか対象にしないよ、こういうことではなくて、地域のみんなが参画してほしい、それができるような仕組みになっていますよということをぜひ御理解いただきたいと思っています。

 そのことも含めて、現場への説明をしっかりやっていくということが大事で、これまでもパンフレットとかホームページとかメールマガジンとかいろいろなものを活用してやってまいりました。それから、本省の職員も各地に派遣をして、説明会、座談会というふうな形でたびたびやってまいりました。国の出先機関、県や市町村、農協ほかの団体も挙げてこの取り組みをしてきて、その結果、これはもう既に随分進んでおって、昨年の秋の麦、これは大体申請が終わっていますので、これで見ますと大体九割方、もう目標は達成した、こういうことです。

 集落営農がどのぐらい進んでいるかという数字で見ましても、秋の加入申請状況の速報値なんですが、全体の大体四分の一を集落営農が担っている、残りは認定農業者、こんなことで、集落営農も非常に進んでいるということが、先生初め多くの皆さんの御努力の結果だ、こう思っております。

西委員 多分、積極的に動いているところは大体先が見えてきたかなと思うんですが、それ以外のところの意見がこういうふうな形で、今伺っても、依然として十分理解をされていなくて、戸惑っていらっしゃる皆さんがおいでかなと思いますので、もう少しその辺のところを再度配慮していただいて、方向性をきちっとやっていただきたいということと、農業団体とかその辺の中心者はまだわかっているんですが、お一人お一人まで行き届いていないところが、まだなかなか集落営農のところにも行き届かない状況なのかな、その辺の濃淡があるのかなという感じがしておりますが、再度御徹底をお願いしたいというふうに思います。

 時間が迫ってまいりましたので、最後、この間のIWCのことについてお伺いをしたいと思います。

 先日、アンカレジで開かれました国際捕鯨委員会、IWCの総会で、日本の代表団が、これも新聞報道です、事実でないということも若干聞いておりますが、IWC脱退や新しい資源管理機関の設立に向けて準備を始める可能性を表明して、異例の厳しい発言となったというふうに言われております。

 この趣旨はともかくとして、今回のIWCは、日本にとっては相当の決意をして臨んだ。東京でも事前に会合も開催されましたし、大変な決意を持って臨んだ会合にもかかわらず、なかなか突破ができないというそのもどかしさがこういう表現になってあらわれているんだと思うんです。

 報道では、水産庁は政府の方針ではないというふうに否定したという報道も後日出ておりますが、IWCにおけるこの発言について御説明をお願いしたいということが一点と、それから今回のIWC総会の総括と今後の対応についてぜひともお聞かせを願いたいというふうに思います。

白須政府参考人 今回のIWCの関係につきましての御質問でございます。

 まず一点、可能性を表明したというふうな報道があったわけでございます。

 我が国は、御案内のとおり、これまでもIWCというものが鯨のいわゆる資源の管理機関であるということで、IWCの正常化に向けまして、あらゆる努力を講じてきたところでございますけれども、今回の総会におきましても、反捕鯨国側が、鯨の持続的な利用を否定いたしまして、IWCの資源管理機関としての役割を放棄している。また、そういうことで、IWCの正常化の可能性がこのままでは見込めないということがほぼ明らかとなったわけでございます。

 したがいまして、今後、我が国のIWCに対します対応を根本的に見直す可能性が出てきたというふうなことでございまして、そこで、総会におけます発言の中で、国内の関係者の方から大変強い要請がございます、一つにIWCからの脱退、それから国連海洋法条約に合致をしました新たな国際機関の設立でございますとか、あるいは沿岸小型捕鯨の自主的な再開、こういったことを今後の見直す可能性ということの例示として提示をいたしたというところでございます。それが事実関係でございます。

 そこで、今回の総会の総括と今後の対応ということでございますが、この点につきましては、昨年のセントキッツの採択以来、大変反捕鯨国側が危機感を募らせまして、反捕鯨国側五カ国を新たに加盟させたというふうなことで、過半数を上回る状況になったわけでございまして、その結果、総会におきまして、反捕鯨国側がいろいろな調査捕鯨の廃止でございますとか、そういったセントキッツ宣言と相反するような決議を相次いで採択いたしたわけでございます。

 そういった中で、我が国の沿岸小型捕鯨の捕獲枠の提案につきまして、まじめな検討が行われなかったということは極めて遺憾でございます。また、委員からもお話がございましたように、私ども、IWCの正常化会合、ことしの二月にも行いまして、そういう努力をずっと続けてきたにもかかわらず、大変に反捕鯨国側がかたくなな態度ということで、IWCの正常化、そのための鯨類の資源管理機関としての機能が回復されなかった点、これも極めて遺憾だというふうに考えております。

 しかしながら、我が国の調査捕鯨に対します反捕鯨団体によります危険な妨害行動に対しまして、関係当事国が適切な措置を講じるように要請する決議がコンセンサスで採択されたということにつきましては、これは評価ができるというふうに考えているわけでございます。

 今後につきましては、今回の会合の結果をよく分析いたしまして、国内の関係者あるいは持続的利用を支持いたします国々とよく協議をいたしまして、十分御意見をお伺いしながら、先ほどのような可能性も含めて今後の対応を検討してまいりたいと考えておる次第でございます。

西委員 時間が参りました。ありがとうございました。

金子(恭)委員長代理 次に、小平忠正君。

小平委員 民主党の小平忠正です。

 まず、松岡農林大臣には、さぞかし無念であったと思います。御冥福を心からお祈りし、衷心より哀悼の意を表したいと思います。

 私も、同期の一人でありましたので、本当に残念に思います。現下、厳しい農業情勢のもとで、農林水産行政含めて、本当に残念でありますが、その後を受けて赤城農林大臣、本当に御苦労さんでございます。

 赤城さんとも同期の桜で、かつて、ともに農水委員会理事もしながら、いろいろと活動を展開いたしましたが、今ほどいろいろと新大臣としての抱負もお聞きしまして、しっかり頑張っていただけるなと、私は、対峙する党でありますけれども、しっかりと我が国の農林水産行政の振興のために、発展のために頑張っていただきたい、まずエールを送らせていただきたいと思います。

 そして、今岩永さんからるる我が党の農政プランについてお話がございまして、ありがとうございました。大分気にかけている、こう思いました。しかしこれは、ここは農水委員会で、現下行われている自民党農政、その最高責任者の農水大臣に今の自民党農政のあり方、これを中心にお聞きいたします。

 私どもは、選挙を通じ、あるいはふだんの行動を通じて、国民各層に我が党の考え方の正しさ、すばらしさを訴えていく機会は多々ありますので、きょうは、現行行われております国内の経営所得安定対策あるいは今厳しい対外交渉等々を中心にお伺いさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 そこで、今岩永さんるるお話がございましたので、お聞きしておりまして、大分重複すると思います。少しく通告をしたこととは変わっていくかもしれませんが、そこは、ふだん持っていらっしゃる農政の博識、知識をもとに御答弁をいただきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。

 まず最初に、WTO、これから入っていきたいと思うのでありますが、いわゆる七月末までにモダリティー、この確立に向けて、これから国内の選挙、参議院選挙もありますが、重大な局面を迎えていくと思います。

 今もお話がありましたように、最近では、G4というか、アメリカ、EU、インドそしてブラジル主導による交渉がとかく見えております。しかし、現にG6という、日本とオーストラリア、あたかも今、日豪のEPAで盛んでありますけれども、このグループも存在しますので、日本が蚊帳の外に置かれないように、特に、世界の輸入国側の代表として頑張っていく、全力を傾注することが必要だ、こう私は考えております。これは御異論ないと思います。

 また、六月下旬には、先般四月に出されたファルコナー農業交渉議長によるモダリティー案、これが提示をされますね。そんなことで、ここ一、二カ月が本当に文字どおり正念場というか大事な時期になっていく、そんなふうに私は見ているところであります。

 こういう状況の中で、まず冒頭に、今るる申し上げましたが、改めて、今後のWTO交渉に向けたいわゆる政府の交渉戦略、それをもとにした赤城大臣の決意の抱負をお伺いしたいと思います。

赤城国務大臣 小平委員御指摘のように、まさに、WTO交渉、大変長い交渉でありましたけれども、いよいよ最大の山場を今迎えているという状況だと思います。

 モダリティーという、これは枠組みを決めるわけでありますから、あとは譲許表を提出してさらに具体的に決まっていくという、その一番大事なモダリティーが間もなく決まる。その交渉に入っていくということで、今そういう状況にあって、G4という輸出国側の一部の国々で物事が決まる。これは、先ほど申し上げましたけれども、貿易というのは輸出側と輸入側とがあって成り立つのに、その最大の農産物の輸入国である日本がそこに参画をしない、あるいはその意見が反映されない、そういう方向で決まってしまうということは、これはあってはならないことだと思います。

 ファルコナー議長のペーパーも出ました。このペーパーを見ても、非常にその重心が傾いている、偏っているのかな、こう思っております。

 今、私が農水大臣として就任をいたしましたが、そういう重大局面で、まさに走っている列車に飛び乗るような、そういう状況でありまして、何としても我が国のこれまでの主張、また輸入国の立場、そういったものをしっかり織り込んでいかなければいけない。そのためには、G4という形だけではなく、日本やオーストラリアを入れたG6という閣僚会合を開くべきである。このことは、シュワブUSTR代表、ジョハンズ農務長官との電話会談でも再三強く申し上げたところであります。

 今後、G10、関係国もありますし、しっかりと連携をとりながら、また電話会談を、これからまた可能な限り関係者とやりたいと思いますし、国会開会中ですから国会が許せばでありますけれども、現地にも赴いて、それぞれの担当者との会談や、またG6が開かれれば、その場でしっかり国益を担って交渉に臨んでいきたい。何としても、我が国、また輸入国、そしてそれは全体の利益、公平な貿易ルールの確立にもつながる、こう確信しておりますが、そのような形での交渉決着を目指していきたいと考えております。

小平委員 大臣、貿易は買う側と売る側、先ほどもこういうお話がございましたが、きのうの大臣の所信の中で、守るところは守る、そういうところがありましたね。守るべきものはしっかり守るとの方針のもと、政府一体となって、こういうお話、確かにそのとおりであります。

 しかるに、私の記憶では、松岡前大臣は、守るところは守り、譲るところは譲る、攻めるところは攻める、そういう表現がありまして、それは輸出攻勢という意味で攻めると言ったんでしょう、輸出をふやすという、前の松岡大臣は。しかし、やはり攻めるという言葉は大事なので、大臣は、しっかりこの国の国益を守るという観点から言われたんでしょうけれども、攻めるという気概を持って、売る、買うという側だけじゃなくて攻めるという、攻撃こそ最大の防御なりという言葉がありますけれども、ぜひそういう気概を持って当たられたい、このように御要望申し上げます。

 それで、今、ファルコナー議長のチャレンジ文書ですか、これがいよいよこれから非常に気になるところでありますが、やはり問題は、この重要品目を含めて、いわゆるタリフラインですね、これが一%かあるいは五%か、あるいは我が国が主張する方向になるのか。これによって、この対象品目数が、例えば一%ですともうほとんどありませんよね、こういうことになれば、この国の農業はもう壊滅だ。したがって、非常に気になるところであります。

 同時に、上限関税の導入については、過般はファルコナー氏は触れなかったようでありますけれども、しかし、これも議論そのものがないわけではありません。こんなことを踏まえると、ファルコナー氏の、実際に議長として責任者ですから、この報告が非常に気になるところであります。

 これについてしっかりと取り組んでいくことが私は肝要と思いますけれども、まず、これについて、大臣、御答弁をいただけるでしょうか。ファルコナーのこれから出てくるチャレンジ文書ですか、そこの予想を含めて、どういうふうに向かっていかれるのか。問題はやはりタリフラインだと思うんですね。いかがですか。

赤城国務大臣 まず、私は、松岡前大臣の逝去に伴って就任することになりましたけれども、この交渉に臨む松岡前大臣の並み並みならぬ意欲、エネルギー、そういうことを目の当たりにしておりましたし、さぞや無念の思いであったろうと私も感じております。そういう思いをしっかり受け継いでこの交渉に臨みたいと考えておりますので、臨むに当たっての基本的な姿勢は松岡大臣と変わらず、また劣らず、そういう思いを持っております。

 攻めるところは攻める、守るところは守る、これは交渉事ですから、当然そういう駆け引きがあることでありまして、そういう駆け引きを通じて、最終的には我が国の利益、そしてまた世界全体の利害ということも考えていかなければならないかと思いますけれども、基本的には小平委員御指摘のように、しっかりとそのことを胸に入れて取り組んでいきたいと考えております。

 それから、御指摘のファルコナー議長のペーパーが出たわけでありますけれども、確かに、市場アクセスでは具体的に踏み込んだ内容になっています。一方、国内支持では、削減水準の数字が余り絞り込まれていないということで、大変バランスを欠いたものになっております。

 上限関税についても、何もつけ加えることはない、こうなっているんですけれども、つけ加えることがないからそれでよかったねということではありませんで、決して上限関税は適用しないというふうに言っているわけではない、ここは十分注意しなければならないと思っております。全体としてそういうバランスを欠いたものになっている、こう考えております。

 このペーパーは、我が国だけでなく各国にとっても厳しい内容を含んでいる、それぞれいろいろな言い分がある、こう思いますけれども、これからバランスのとれた貿易ルールとなるということが大事でありますし、主要国との協議とかいろいろな場があると思います。そういう場で、今申し上げたような、我が方の考え方をしっかり織り込んだ内容になるよう、全力を尽くしてまいりたいと考えております。

小平委員 大臣、これからですから、これ以上言いませんけれども、私は、今申し上げたように、タリフライン、いわゆる重要品目数ですね、この枠が非常に大きく影響すると思うんです。市場アクセスから国内支持を含めていろいろなことがありますが、今後の交渉はいろいろとポイントがありますので、今までの経験を生かして、しっかり取り組んでいただきたい、こう思います。

 さらに、今WTOにあわせて日豪のEPA、FTA交渉が四月の二十三日から、キャンベラで第一回が始まりました。そういうことになり、WTOがマクロとしたら、これはミクロのサイドで非常に難しい問題です。

 そして、これについてはいろいろなサイドから、対象が絞られていますので、いろいろな声が聞こえております。特に我が国経済界からは、こういう状況の中で、このEPA交渉については、資源エネルギー、さらには食料の安定供給、こんなことも経済界は言いながら、関税撤廃により貿易の拡大、豪州との包括的な戦略的関係の強化、こういう観点から、日豪のEPA締結は急務である、こういう意見が経済界から聞こえていますね。先ほど後ろから鉄砲という話もありました。

 私は、そういう状況の中で、さらに、例の政府の経済財政諮問会議ですか、少しトーンダウンしている感があります。これは確かに自民党農業関係議員からの強い反発もあったんでしょう。一昨日ですか、少しトーンダウンしているのは見受けられますけれども、しかし、その姿勢はやはり経済界の考えを背景にした考えだと思います。

 そういう状況で、私も、豪州という国は鉄鉱や鉄鉱石、そういうエネルギー資源を提供する国でありますから、この関係強化は私はわかりますが、しかし、要は、この国の農業の問題は、本当に今危機的状況です。そういう中では、今回、政府は新たに経営所得安定対策、大きな政策転換をされましたが、しかし、幾らそれが国内的に進んでいっても、まず当面の日豪とのEPA、これがおかしくなればすべて水泡に帰してしまう、こう思いますので、大事な交渉に今向かっていると思います。

 新大臣になって難問山積で大変でしょうけれども、特に、まず当面、日豪EPAに向けての大臣の決意なり御姿勢をお聞かせ願いたいと思います。

赤城国務大臣 EPAまたFTA交渉というのは、もともとWTOを補完するということで、二国間で結ばれ、二国間ですからお互いにプラスになるように締結をする、これが基本だと思っています。つまり、勝つか負けるか、そういうような関係であってはいけない。これまでシンガポール、マレーシア、メキシコ、それぞれ結んでまいりました。お互いに両国関係全般がプラスになるように取り組んできたと思っております。

 ところが、日豪、オーストラリアとなりますと、これはいろいろな意味で性格が違ってくると思います。それは、何よりもオーストラリアという国が非常に大きな、経営面積でも千八百倍も大きな国であるということや、また非常に我が国にとっても難しい品目について関心を持っているということ、そういうこともあって、また、これまでの交渉相手国と違って、オーストラリアの場合、ほかの国とEPAを結んでおりますけれども、ほとんど例外を設けない、そういう態度で交渉をしてきております。そういう中ですから、大変厳しい交渉になるだろう、こう考えております。

 そこで一方、これを始めるに当たって、政府間の共同研究報告書というものをつくって、その中で、関税の段階的削減のみならず、除外及び再協議を含む、我が国農業を守る上で必要なすべての柔軟性の選択肢が用いられ得ることとされた。

 そして、第一回の交渉会合で、交渉はこの報告書を基礎として行われるということについて、日豪双方の共通認識が得られたわけであります。つまり、あらゆる柔軟性、その選択肢が用いられ得るんだ、それを前提にして、我が方にとっては、守るところはしっかり守る。

 お互いにウイン・ウインのいい関係が築けるように、こういう基本精神で、この交渉、日本としても最大限の利益が得られるよう、政府一体となって取り組んでいきたいと考えております。

小平委員 政府間の難しい交渉ですから、まさしく国益を損なわないように、特に我が国の農業はこういう状況を抱えていますので、これ以上追い詰められないように、大事な局面ですので、あらん限りの力を出して御奮闘をこれから御期待申し上げます。よろしいですね。

 次に、国内に転じまして、例の品目横断を軸とした経営所得安定対策、これがいよいよ四月からスタートいたしました。やはり問題は、こういう新しい制度や施策を進める中においては、加入のいわゆる進捗状況ですよね、この新しい制度に向かって。どうもこれが、それは緒についたというか始まったばかりですから、まだ少ないようであります。経営体数も三万二千何がしですか、作付計画面積も、米が十七万ヘクタール、四麦が二十四万、大豆が六万、てん菜が五万とか、でん粉原料用バレイショが二万何がしですか、数値は間違っていないと思うんですが、こんな状況にありますね。

 今問題は、加入進捗状況、これが、まだ今のところ非常に微々たるものですけれども、今後この方向に向かってさらに確実にふえていくことが肝要であります。これについては、政府も盛んに、大きなエネルギーを投入して、対策の説明を含めて随分今までやってきたと思うんですが、これに農家の協力体制が伴わなければ進んでいきません。そこの誘致の段階で、まず大臣、この新しい制度を進めていくことについてどう考えていかれるのか。

 特に、私は、参議院ですから、直接聞いておりませんけれども、この法案審議の際に、当時の中川農林水産大臣が質疑の終局した後に異例の発言をして抗議があったそうですね。議論の過程でもありましたが、農政の大転換として導入されるこの新しい経営安定対策は、その実効性に未知の部分が少なくないことから、今後、その政策効果をしっかりと検証し、必要に応じて適切な見直しを検討してまいりたい、こう言われているということは、もう既に当初から見直しまで含めて検討されている、そんな状況であります。

 この状況の中で、担い手農家の経営安定が真に確保されるように、そういう施策の確立、さらには、今問題となっている、この施策に該当しない、言うならば絞り込まれる弱小農家というか規模の小さい農家、そういうところの救済を含めて、両面やっていかなければ、担い手農家の順調なる進展、それから絞り込まれる、切り捨てられる弱小農家、この両面を含めてしっかりと取り組んでいかなければ大変なことになると思うので、それを踏まえて、まず大臣の経営所得安定対策に対するいわゆる抱負、決意をお聞かせいただきたいと思います。

赤城国務大臣 品目横断の経営安定対策、本年の四月から本格的に導入されたところでございます。今、昨年の秋の麦作、麦の作付の農業者の加入申請に引き続いて、四月の二日から七月の二日までの間、米と大豆、これを対象に加入申請の受付を行っている、こういう状況でございまして、御指摘のように、作物によってまだ、米とか大豆はこれからだというところがあります。

 一方、麦については目標を一〇〇%今達成しております。これからまた春まきの麦がありますけれども、そういう状況でありまして、米は目標に対してはまだ半分ぐらいという状況というふうなところで、今、まだ田植えの作業が行われているとか、それから、JAに委託して申請するというような仕組みで、まだJAが現在取りまとめているところで少しおくれている部分があるということでございまして、全体としては、これから後半にかけて申請は増加する、こう考えております。

 これはぜひ現場の皆さんによく御理解いただかなければいけない、こういうことで、あらゆる手段、パンフレットとかメールマガジンとかやってきましたし、本省の人間も現地に派遣をして取り組んできて、一定の成果が上がってきている。また、今まさにこれから申請というものもありますから、これからその成果が見えてくるという部分があると思います。

 そういう状況ですので、参議院での中川大臣の発言ということ、私も拝見しました。これは、まさに今、本年四月から本格的に始まったばかりであります。省を挙げてこの政策の普及、浸透に努めているところであります。私としては、担い手の育成や農業構造の変化などがより進んで、政策効果があらわれた状況で見直しを行うということを願っているというところでございまして、政策の効果が今後ある程度判断できる段階において、しっかりと検証を行って、必要に応じて適切な見直しを検討していきたいと考えております。

    〔金子(恭)委員長代理退席、委員長着席〕

小平委員 前もって通告していなかったので、いわゆる切り捨てられる側の農家、この言及はありませんでしたが、これは忘れないように、そういう米に対してもしっかりと施策を持って対処されるということ、これは、きょうは入り口ですから、御要望しておきます。

 そこで、もう一点は、これに並行して進んでいます、いわゆる農地、水、環境保全向上対策、これも大きな関心を持たれております。しかし、これも、活動組織のあり方を含めて、いろいろと対象が多岐にわたっているようであります。これは、いわゆる府県においては、農家、一般住民との住宅と農地の混在がありますので、そこも理解はできますけれども、これは船頭多くして船が丘に上がらないようにしっかり取り組んでいただきたい、そこにとどめておきます。

 ただ問題は、これもいわゆる基礎支援で一応数値を置きまして、国庫負担の補助の金額の対象で、水田が幾つ、畑が幾ら。しかし、問題は、これもいわゆる地目で行くのか、あるいは現場、現況で見るのか、これによっても数値に開きができてきます。しかし、これをカバーするには、やはりきちっとした予算づけですから、そういうことも含めて取り組んでいかれたい。

 時間もないので、これについて、簡潔で結構ですから、そういう方向でよろしいですね。簡潔にお答えください。

赤城国務大臣 その前に、先ほどの品目横断について、これは地域の特性、実情に応じて特例もありますし、小さな農家も集落営農に参画するということでこの制度に参加できますので、決して切り捨てということではない、また、ないように取り組んでいきたいと考えております。

 農地、水、環境対策でありますけれども、これも地域の農業者だけでやる、こういうことではなくて、その活動組織については、地域住民とか自治体、消防団、いろいろな組み合わせで地域の実情に合わせて参画をしていただく、こういうことが大事か、こう考えております。また、その区域についても、集落単位とか水系単位とか、地域の条件でいろいろ設定できるようになっておりますので、いずれにしても、その地域の実情に合わせたものになっていくようにしていきたいと思っております。

小平委員 予定には申し上げていなかったんですけれども、先ほど来から、我が国の食料自給率、これについての言及がありましたので、私からも一言大臣に申し上げたいんです。

 我が国は確かに、食料自給率四〇%足らずと、非常にお寒い限りであります。その中でも、特にこれについて大きく自給率が下がっている要因は、やはり麦、大豆。麦についてはもう二〇%弱、大豆はわずか五%ですね。これは基幹である穀物の分野において大きく足を引っ張って、この国の自給率が下がっている。

 野菜なんかは大体いっていると思います。果物なんかは、消費者のニーズは、例えば、好みによっては、この国では産出できない南洋のパパイヤとか、あるいはそういうヤシの実とかがありますから、果物については、それは自給率が一〇〇%いかなくてもこれは仕方ないと思いますよ。

 しかし、問題は穀物です。米が残念ながら一〇〇で抑えられている、生産調整で。欧米のように、EUのように小麦を大きくつくっていない。したがって自給率は上がりませんよね。麦、大豆が一緒に、そのかわり低い、下がっている。ですから、政府としては、これからこういう新しい制度に入っていく中において、これは日本型直接支払いというものを軸にしていますけれども、やはり麦、大豆の奨励、私はこれを進める必要があると思うんです。

 さらに今、バイオマス、これが大きく注目になっております。バイオエタノールを含めて、これについては、いわゆるCO2、二酸化炭素、地球温暖化には、石炭とか石油と違って、この資源は効果がありますから、そういう意味では地球に優しい、そういう方向ですよね。だから、これについての面積をふやせば、今、先人が努力をしてつくられた土地改良、農地の有効利用にもつながりますので、これも側面から大きな効果がある、こう思うのであります。

 しかし、そういう中で、これは確かにコストの面もある、バイオマスを使えば。それから、言うならば、非常にバランスもあるし、あるいは地球規模でいうと、食料の、既にもう起きているトウモロコシや、世界で価格が今高騰していますよね。そういう価格面での問題も控えている。これは非常に難しい。

 しかし、この国としては、今、米を軸にして厳しい生産調整の中で、せっかく先人が大きな努力のもとに、また政府も多大の予算を投下してつくった農地が今遊んでしまって、非常に無効になってしまっている。これではせっかく投資した国民の税金が無に、水泡に帰すわけですよね。

 そういうことを考えると、この国のいわゆる食料自給率については、いろいろと言われていますけれども、こういうことも含めて検討を進めていけば私は効果があると思うので、今自給率の問題が出ましたので、ぜひ新大臣にこのことも含めて御検討あらんことを一言申し添えておきます。これは事前に通告していませんでしたので、もしあれば、簡潔で結構ですから。

赤城国務大臣 この自給率の問題というのは、おっしゃるとおり、消費面の構造の変化、また生産面、両面あると思いますけれども、国内でつくれないものを食べるようになれば当然輸入はふえるわけで、果物でもそうですし、また、国内で自給できるお米を食べずにほかのものを食べる、こういうことになれば自給率は下がるという、どの作物をどういうふうに食べるかによって変わってくる。それを細かく分析する必要があると思いますし、生産と消費と両面で取り組んでいかなければいけないと思います。

 それから、御指摘のバイオ、これは世界的に今進めておりますけれども、エネルギーと食料の代替関係があります。エネルギーのために食料にその影響が出てしまう、そこは我が国としては特に注意していかなければいけないと思いまして、例えば、耕作放棄地でバイオ作物をやるということであればその影響はないだろう、あるいは規格外の麦を使うとか、そういうことで食料に影響を与えないように、一方、農地を有効に生かしていくという視点で、このバイオも進めていきたいと思っております。

小平委員 大臣、基本的には私も同じ方向を考えていますので、これから真剣に取り組んで、一つの新しい方向の流れですから進めていっていただきたいと思います。

 それでは次に話題をかえまして、今ほど西さんからですか、御発言がありましたけれども、先般アンカレジで行われたIWCの総会のことについて一言御質問いたします。

 確かに前回は、昨年は我が方はうまくいきました、セントキッツネービスでは。しかし、その反動もあるのか、また反捕鯨国がすごい精力をつぎ込んだのか、今回逆転してああいう結果になりまして、しかも五年に一度の沿岸小型捕鯨、確かにアラスカを含めて先住少数原住民のこれは通りましたけれども、我が国の主張は通らなかった。

 そういう中で、多分に感情的なこともあり、私は現地に今回行きませんでしたけれども、そういう話も聞きまして、行かれた水産庁の責任者も少し声を荒げた場面もあったようであります。しかし、その気持ちは私もわかりますし、私自身もこんな状況ではとてもやっていられないという思いは一緒でありますけれども、問題は、我が国は今まで冷静に、科学的知見に基づいた持続的利用、これを旨として世界に発信していますので、この姿勢は失わないように、しかし相手がそういう状況になればある意味では毅然たる姿勢も必要、しかし同時にオオカミ少年にならないように、こういうこともあわせて必要です。

 今ほど質問もありましたので、この点、重複すると思いますが、長官、改めてありますか。これについては、その後、水産庁はどうも打ち消しに回られたようでありますけれども、一方で火をつけて一方で打ち消すという、これはよくある話ですけれども、うまく機能する場合とそうでない場合がありますので。

 まず私は、この国が歴史的にこの国の伝統的な食文化としてしっかり築いてきた鯨の文化、これを守っていくには、やはり水産庁の姿勢が大事と思います。特に私が今感じますことは、国内においてPRも足りない。特に今の若い人たち、鯨を食する機会も少ないので、ただホエールウオッチングに関心が移り過ぎている。しかし、この国の伝統的な食文化、この大事さを訴え、同時に、あの鯨が今、確かに放置が一番いいかもしれませんけれども、今のこの地球上の海洋資源では、鯨が余りにふえ過ぎれば、ただでさえ枯渇の方向に向かっている魚の資源が鯨によって席巻されてしまう、こういうこともありますので、そこも両面あわせて、このことについて、一つ目の質問ですので、これは長官でいいです。長官、答えてください。簡潔にお願いします。

 ちょっと時間がないので、もう一つ続けていいですか、質問一点。

 それと長官、例のシェパードを含めて、余りにも不逞のやからが今横行してきている。これはまじめに、いわゆる民間操業といいながらも政府の後押しによって行われている外洋における操業について、船舶あるいは乗組員を含めて非常に危険な状況に追いやられた。今回のアンカレジでは、ニュージーランドもどういうことか、それに賛同に回って、こういう不逞のやから、グループに対しては、言うならば、船籍を有する国がしっかりとこの犯罪的行為に対し適切な措置をとる、こういう合意が可決をされましたよね。これは私は一歩前進であると思う。しかし、そういう中で、ただ決議が決まっただけじゃなくて、さらにこれをしっかりと実行することが私は肝要と思います。

 と同時に、この具体的な方向としては、今、これから南極海でも調査活動が展開されるわけですね。そのときに、調査船団あるいは乗組員の安全のために、予算をしっかり講じて、そして海上保安庁の艦船の派遣なり、そういう安全策を講じる必要があると思うんですが、これについてもあわせて御答弁いただきたいと思います。

白須政府参考人 ただいま委員からるるお話がございましたが、まず前段の今後の対処方針ということでございます。

 お話しのとおりで、今回、私ども、IWCの正常化に向けまして、あらゆる努力を講じてまいったわけでございますが、いずれにしても、反捕鯨国側が、持続的な利用を否定いたしまして、IWCの資源管理機関としての役割を放棄しておるというふうなことでございます。したがいまして、IWCの正常化の可能性がこのままでは見込めないということが明らかになったわけでございます。

 したがいまして、私ども、今後、我が国のIWCに対する対応を根本的に見直す可能性が出てきたということでございまして、国内の関係者から強い要請のある脱退でございますとか、あるいは新たな機関の設立、自主的な小型捕鯨の再開等々を例示として提示いたしたわけでございまして、委員からもお話のございましたとおり、私どもとしても、今後はしっかりと科学的な知見に基づいた調査なりなんなり、当然必要でございまして、あるいはまた、伝統的食文化についてのPRも必要でございます。

 いずれにしても、今回の会合の結果をしっかりとよく分析いたしながら、関係者あるいは持続的利用を支持する国々ともよく協議いたしまして、十分意見を伺いながら対応は検討してまいりたいと考えておる次第でございます。

 また、お話のとおり、危険な妨害活動が今回あったわけでございます。これを禁止する決議が採択されたわけでございまして、この点については、委員からもお話がございましたとおり、コンセンサスで採択されたということで、私どもとしてもこの点については評価をいたしているわけでございまして、今回の決議を踏まえて、妨害活動については厳しく対処しまして、外交ルートを通じた関係当事国に対しまして強く協力要請してまいりたい。

 また、国際海事機関等、船員の安全あるいは船舶の秩序に関します国際機関に対しましても、こういった危険な妨害活動に対する効果的な措置の早期の構築に向けまして働きかけてまいりたい。

 そしてまた、最後におっしゃいました、調査船団の安全対策、これは大変重要なことでございます。今後、申し上げましたような外交ルートによります働きかけに加えまして、おっしゃるように、関係省庁もまたがるものでございますので、そういったところともしっかりと連絡を密にいたしまして、慎重に対応を検討してまいりたいと考えておる次第でございます。

小平委員 しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 与えられた時間が来ましたので、この後、緑資源機構についてお聞きしたかったんですけれども、うちの若い精鋭がこの後質問しますので、私はこれで終わりますが、一言だけ。

 大臣もきのうの所信で、緑資源機構は廃止の方向というふうに言われました。ただ廃止をするだけじゃなくて、しっかりこの事実関係を調査して、ただふたをするだけじゃなくて、しっかり調査をして、その上で廃止の方向に進めていただきたいということを申し上げて、最後に、きょうは山本副大臣には聞かなかったけれども、大臣を中心にお伺いしましたので、御理解いただいて質問を終わります。

 ありがとうございました。

西川委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 民主党の岡本です。

 きょうは大臣所信に対する質問ということでありますので、私からは、赤城大臣を中心に質問させていただきたいと思います。

 大臣、こちらを向いていただいて、きょうの質問でありますけれども、まずは農林水産省として、前回も私はお話をしましたけれども、大変急な大臣の交代ということ、松岡前大臣には大変私は期待をしておったという話も前回の質問のときにもさせていただきましたけれども、そういう中で、今回急な大臣への就任ということで、いろいろと大変なところもあるとは思いますが、まずは、新大臣として、大変山積する農政にしっかり取り組んでいただきたいということを、冒頭、私からお願いすると同時に、御就任のお祝いとさせていただきたいと思います。

 その上で、質問は質問できちっと聞いていきたいと思うわけでありますけれども、大臣の昨日の発言の中で、所信の中で、触れられていること、触れられていないこと、幾つかありますけれども、まず私のそもそもの関心は、大臣としてこの日本の食料の自給率の問題をどのようにお考えになられているか。今の食料自給率、政府の方針は現状を何とか維持していこうという方針だと聞いておりますけれども、今後、未来にわたって、やはり上げていかなきゃいけないというお考えなのか。それとも、この食料自給率、上げるのは大変厳しい中で、下げるのを何とか防いでいくというのが精いっぱいだというようなお考えなのか。そもそもこの食料自給率とはどうあるべきだというふうに大臣としてお考えなのかをお聞かせいただきたいと思います。

赤城国務大臣 岡本委員にお答えいたします。

 食料自給率というのは、食料のあり方、供給、消費の関係を一番端的にあらわす一つの指標でありまして、この指標を一つ目安にいろいろな施策を進めているわけであります。その指標がカロリーベースで今自給率四〇%、こういうことでありますけれども、これは先進国中最低の数字であります。

 先ほど来お答えをいたしておりますけれども、この自給率というのは、いろいろな要因が絡んでおりますし、作物もいろいろな作物、食品がありますので、まず大きく、消費面と生産面、こういうふうに分けますと、消費の構造が大きく変わってきた、これが一つ大きな要因としてあります。

 昭和三十年代とかかつての食生活に戻れれば、これは随分変わるんでしょうけれども、日本が豊かになって、外国からの輸入品を食べるようになる。例えば、果物でも随分いろいろな国のものが食卓に並ぶようになる。そして、豊かになる中で、何よりもお米の消費が減ってきた。それからほかの、えさや何かを輸入しなければならないような畜産物とかそういうものがある、細かく見ますと作物ごとにいろいろな要因が絡んでいると思います。一方、生産についても、もともと生産構造が分散しているとか脆弱であるとか、国土の制約要件からくる事情もありますし、そういう両々の問題があります。それを一つ一つ、どこに問題があって、どこをどう対策をとればこの自給率が上がるのか。

 いずれにしても、先進国中最低というふうな自給率、これは食料の安全保障とか、また、例えば世論調査をしても、国民のこういう低い自給率に対しての不安、もっと上げるべきである、こういう期待もある。そういう中で、しっかりと工程表をつくって、今申し上げたような生産、消費両面、そしてそれぞれの作物や地域の問題にしっかりと焦点を当てながら、自給率を四五%にまず上げていこう。これは目標だけ高く掲げても実現できなければ意味がありませんので、具体的に工程表を立てて実現できるように、こういうことで努力しております。

 残念ながら、八年連続で四〇%という現実もありますから、なかなか大変な課題でありますけれども、しっかりと取り組んでいきたいと考えております。

岡本(充)委員 私は食料自給率をもっと上げるべきだと考えていますし、今大臣がるる状況説明というか、まさに役所の主張そのとおりでありますけれども、お話をされましたけれども、そういう各種の事情をどう乗り越えていくかということをやはり考えていって、上げていっていただきたいということをまず御指摘したいと思います。

 次の観点でありますけれども、今の日本の農業土木のあり方というか、圃場整備が各地で行われ、終了しているところもあります。

 今後、日本のこういった農業に係る公共土木のあり方、これからももっと整備をしていかなきゃいけない地域があるのはもちろんでありますけれども、金額ベースでいけば、今後伸びていくべきだというふうにお考えなのか、それとも大体一段落した、こういうふうにお考えなのか。そこの点についてお答えいただけますか。

赤城国務大臣 今の自給率の問題でもそうですけれども、これからの農政を進めるに当たって、それを担う担い手、それから農業を生産する基盤である農地、これは車の両輪だと思っております。この施策をどうやって担い手に集中、集約化していくのかということで品目横断の経営安定対策というものや一連の対策をやっております。

 一方、生産の基盤をどういうふうに整備していくのかということは大変大事な問題だと思っております。先生御指摘のとおり、まだまだこれはきちっと整備をしていかなければいけないところがございますし、また、面的に基盤が整備されたところは大変生産効率が上がっている、経営がよくなっている。そこら辺は、基盤が整備されていることによって、飛躍的に変わってまいります。いわば車の両輪のもう一つの大きな柱でありますから、これはしっかりと進めていくべきだろう。

 もちろん、それは予算、限られたものがありますので、今の財政再建の流れの中で、一方で重点化し、効率化し、しかし、やるべきところをしっかりやることによって、より体力の強い、体質の強い農業というものを実現していく必要があると考えております。

岡本(充)委員 私も各地を見ておりますと、確かに土地改良が終了したといってもいいところはありますが、これからの維持、整備にもお金がかかるという部分もありますし、またこれからやっていかなきゃいけない地域もあるのは事実だと思います。そういった意味で、大臣の所信の中では特段はっきりと方針が示されておりませんでしたけれども、先ほどの大臣の発言に沿って、しっかりと整備も進めていただかなければいけないと思っています。

 もう一つ、大臣の発言の中でお触れになられていなかったであろうと思われる、畜産の振興のことについてもお聞かせをいただきたいと思います。

 大臣が御不在のときに競馬法の改正がなされました。これは私も、ある意味、タイミングとしては仕方がなかったんであろうとは思いますけれども、今の畜産振興に大きな財政的寄与を果たしてきた競馬というものが、特に地方競馬において大変苦しい状況になってきている。

 私も先日、名古屋競馬の厩務員の皆さん方とお話をしてまいりましたけれども、もう三年前の状況とはかなり変わってしまっていて、三年前は苦しいという状況で、何とかこの苦しみを打開したいということであったけれども、その苦しみをもう突き抜けてしまったというような思いを持っていると聞いてまいりました。本当に、厩務員も調教師も、そしてもちろん馬主の皆さんも、もちろん主催者も、みんな大変今の状況を憂えているし、それから大変な苦労の中で地方競馬を担ってみえます。

 私、この質問のときにもお話をしましたけれども、一号交付金のあり方、今の一号交付金の使い道は、ざくっと言って三十億円ほど国庫に納付してもらううち、十億円ほどを地方競馬のさまざまな用途に使っているようであります。前回の競馬法の改正でそこの部分は使えるようになった。とはいいながら、大変厳しい今の環境を見ると、私は、なお一層の見直しをしていただかなければいけないんじゃないか。

 地方競馬の例えば厩務員の方なんというのは、人によっては、一頭五万円そこそこのお金で馬の面倒を一月見て、二頭を見ていたところで一月の手取りが十万円行くか行かないか。子供を高等学校に上げることも金銭的に苦しい、こう言っている方がたくさんみえる。名古屋競馬には厩務員が百三十人います。この皆さんがほとんどこういう生活です。調教師もそれに類する大変厳しい状況にある。

 こういう環境にぜひ目を向けていただいて、私は、今の農林水産省所管のさまざまな事業の中でも、極めてつらい生活をしている人がいるということを大臣もお知りいただいて、今回、この所信の中ではお触れになられておりませんでしたけれども、ぜひ対策をとっていただきたいと思うわけですが、お答えをいただけますでしょうか。

赤城国務大臣 競馬について御指摘がございました。

 まさにこの委員会で、つい先ごろ競馬法の改正が成ったわけですけれども、改めて委員から、競馬に当たる関係者の皆さんの御苦労、そしてまた地方競馬の問題、御指摘をいただきました。

 今回の競馬法の改正は、一言で言いますと、そういう地方競馬の現状をどうするのか。それから、何といっても魅力ある、ファンがついていただけるということが何よりも大事でありますから、そういう魅力のある競馬を実現する、こういうことで改正がなされたわけでございます。

 今後、この改正の趣旨に沿って、御指摘のような点もしっかり心にとめて、さらに競馬が振興され、全体として、そこで働く皆さんも、本当に、より前向きに、さらに御努力をいただけるような姿にしていきたいと考えております。

岡本(充)委員 これに加えて言いますと、名古屋競馬は、今出走手当が一回大体五万円ぐらいだそうです。馬が走れるのは一月二回から三回ですよ。知らない方は、毎週走らせればいいじゃないかという人もいる。出走手当五万円をもらいに、毎週馬を走らせればいいじゃないかという人もいますけれども、馬はそうも走れない、機械じゃありませんから。そういう意味でいうと、二回か三回走らせると、馬主も本当に、馬一頭を飼育している経費すら出ない。よしんば、レースで一着になっても賞金は十七万円ですよ。先週の安田記念の賞金は、一着一億円です。これだけの差があるんですよ。

 そういうことを考えていただくと、いかに苦しいかということがわかっていただけると思います。ぜひその点を大いに留意していただいて、施策の推進をしていただきたいと指摘をしておきたいと思います。

 もう一点が、今度は食の安全の観点で、私が大変気にしております米国産牛肉の問題があります。今回、アメリカへの査察を契機にして、いわゆる暫定期間を終えて全箱開封をやめるのではないか、こういう話が出ておりますが、これまでに見つかった違反品目も、全箱開封しなければ見つけることができなかった違反品目もあったはずであります。

 そういう意味でいうと、今回の通告をした上での現地査察というのは、向こうもある程度準備ができますから、そういう意味では、これだけでもって本当に向こうが遵守をしているのかどうかを見きわめるのは難しいし、実際に、抜き打ち査察をするという日米合意が昨年あったにもかかわらず、抜き打ち査察はこれまでたったの二回しか行われていません。二施設ですね。

 そういう意味でいうと、今の米国の食の安全に対する対日輸出プログラムがどのように守られているかということを担保するにはまだ不十分ではないかというふうに私は考えておるわけでありますけれども、とりわけ、今後、米国との交渉を大臣が先頭になってやられるわけでありまして、その点について大臣のお考えを。

 それから、もう一つ加えて言いますと、このたびOIEの総会で、アメリカが管理されたリスクの国という分類になったそうであります。三分類だと言っておりますけれども、第三分類、不明な国になる国はまずあり得ませんから、そういう意味でいうと、これは現実的に二段階しかないリスクの分類であり、加盟国が百数十カ国ある中で、今回認定を受けようと手を挙げたのはわずかに十二カ国ぐらいでありまして、まだまだ、この認定基準自体も、国際的に皆さんが、私も認定を受けよう、こういうような認定になっているわけではありません。

 あくまで、米国の主張はそうであったとしても、守るのは日本の国民の食の安全だという観点で、大臣は、ここはきちっと、米国の農務長官とも、日本の主張を貫いていただきたいというふうに思うわけでありますが、まず、先日の農務長官とのお話を含めて、大臣のお考え、どういうことをお話しされたのか、そしてまた先方のお話は何だったのかをお答えいただけますでしょうか。

赤城国務大臣 昨晩、ジョハンズ農務長官と電話会談をさせていただきました。私の新任のごあいさつが第一の目的でありますけれども、あわせて、WTO交渉に向けての我が国の立場を主張しました。また、先方から、牛肉の輸入条件の緩和についてのお話がありました。我が方から、私からは、これはあくまで科学的な知見に基づいて決めることである、現在、査察を行って、それが終わって検証している、そういう段階でありますので、その検証をしっかり進める、それがまず大事であるということを申し上げたわけです。

 いずれにしても、この問題については、厚生労働省との関係がありますから、厚生労働省とも十分協議をしていかなければならないと考えております。

 それで、査察のやり方について御指摘がありました。これは、査察のやり方についても、どういう査察が有効であるか、効果的であるかということは十分検討を重ねて今般の査察を行ってきたわけでございます。

 今回のこの査察についてですが、検証期間を終了するための査察であり、日本側ができる限り主体的に査察を行うことが望ましいということ、また、日本側が査察を実施することが事前に米国内で公表されていたことから、抜き打ち査察への同行は行っていない、こういうことであります。

 また、査察の最終日に行われた米側との出口会合において、米側より、今年度、各施設一回ずつ抜き打ち査察を行うこととしている、こういうことを聞いておりますけれども、いずれにしても、この点について、私も今検証を行っているということを聞いている段階ですので、この点も含めて、査察の検証結果の公表の際に報告をさせていただきたいと思っております。

    〔委員長退席、金子(恭)委員長代理着席〕

岡本(充)委員 そのめどは、一体いつごろ公表されるめどなのか、お答えをいただきたいのと、あともう一つは、これも大臣にお伝えをしておきたいのですけれども、米国の今の牛肉の管理状況、そしてまた、実際に米国がどのようなリスク管理を、屠畜場じゃなくて、いわゆるフィードロット等で行っているのか、こういう状況についてもぜひ十分把握をしていただいて、数ある国の中でも、恐らく就任最初に電話会談をされたのは米国だけなのであろうと思います。それだけやはりこのことについて農林水産大臣として、また省としても大変な注意を払っているのであろうと思います。

 しかし、だからこそ、これまでのバックグラウンドを十分把握していただいて、リスクを管理するのは自分なんだという自負はもちろん持っていただかなければいけませんけれども、その一方で、アメリカの主張に折れることのないようにきちっと貫いていただきたいということをお願いして、それでは、いつごろ公表されるのか、お答えをいただけますか。

赤城国務大臣 報告の時期についてということでありますけれども、これは、今まさに検証を行っているという最中で、鋭意やっておりますが、具体的にいつということを御報告できる段階ではございません。

 また、アメリカの主張に折れることなくということでございました。この問題については、やはり科学的な知見に基づいて決めていくことが大事だと思っておりますので、勝つか負けるかとか、折れるかどうかということではなくて、あくまで科学的に正しく判断をしていきたいと考えております。

岡本(充)委員 科学的にというのは、客観的な事実は一つであっても、交渉の世界では、土俵をつくるという、そこを科学と呼ぶ人たちがいるわけですね。日本のつくった土俵、アメリカのつくった土俵。

 例えば、今回のOIEのあの基準でも、はっきり言いますと、OIEの事務局長自身はフランスの方だというふうに聞きましたけれども、その中でも、科学の分野を決めるという分野の担当者はアメリカ人であります。科学的知見をもとにしてと言ってはいますけれども、そこには多分にアメリカの主張が織り込まれていることも考えられるし、今回の二分類、詳細に言えば三分類でありますけれども、二分類の分け方も、アメリカの主張するBSEの汚染の基準を一つ物差しにしているところがあるわけです。

 それは、ここでは時間の関係で長くは触れませんけれども、ぜひそこを事務方に聞いていただいて、彼らが言う科学的基準は必ずしも真実かどうかということは定かでありませんし、これが科学的根拠だというふうに言い出せば何とでも言える。

 最たるものが、肉質で牛の月齢がわかるなんという話は、これは最近急遽出てきた話で、これもフォローアップ検証をしろということをかねがね私は指摘をしているのに、いまだにその話は、きっときのうのジョハンズ長官からも出なかったでしょう。これは、私は何遍も指摘をしているんですよ。これを科学的根拠だと言っているような状況ですから、その科学的根拠というのに巻き込まれないようにしていただくということが重要なんです。

 最後に、この問題でいえば最後に、私が要求をしている資料、御存じですよね、いつごろまでにいただけるのか、お答えいただけますか。

赤城国務大臣 科学的知見に基づいて、こういうことを累次申し上げていますけれども、これは、私どもはこの点についていえば素人、科学的な知見という面では。その分野の専門家の見方というのはやはりあると思います。

 科学とは何かということになると、これは非常に難しいお話になりまして、委員御指摘のように、例えば、あるものがここにある、だれが見てもそれはそこにあるものだ、こうなるわけですけれども、これは例えばミクロの科学の世界でいいますと、観察することによってそのものが位置が変わってしまう。量子力学の世界では、観察ということが物に影響を与える、そういうこともございます。

 今私が申し上げられるのは、あくまで科学的知見に基づいてこれを決めていくしかないんだ、それから、厚生労働省との関係もありますから、この問題については十分協議をしていきたい、こういうふうに考えております。

 それから、委員から要求のありました資料について、今鋭意取りまとめている、こういうことでございますので、取りまとまり次第御報告をさせていただきたいと思います。

岡本(充)委員 取りまとまり次第といっても、これはかなり以前から私要求をしておりまして、後ろで役所の人から聞かれていると思いますけれども、これはもうかなり言っているということを改めて指摘しておきたいと思います。これなくしては、今の米国の対日輸出プログラム遵守状況が把握できません。

 それから、大臣が言われた科学という言葉、これを、科学とは何ぞやといっていけば、これはもうまさに文系の世界というか論理学の世界に入っていく。ないことを証明しろということが非常に難しいということはちまたでよく言われていることでありますけれども、例えばこういう話になってくると、もう完全に文学の世界に入りますよね、科学といいながら。

 私は、くどいようでありますけれども、そういったある意味論拠のない話に、もしくは向こうがつくるワールドの中に引き込まれないようにしていただきたいということです。

 さて、きょうは、時間の関係もありまして、もう少し聞いていきたいことがあるんですが、この話はこの辺までにしまして、きょうは各副大臣、また政務官にもお越しをいただいておりますが、このたび大変大きな話題になっております緑資源機構の話について、少しお伺いをしていきたいと思います。

 その前に、いわゆる特林懇話会と言われているところから、大臣、副大臣、政務官、それぞれの献金並びにパーティー券というのはどのくらい購入をしてもらっているのか、お答えをいただけますでしょうか。

    〔金子(恭)委員長代理退席、委員長着席〕

赤城国務大臣 特林懇話会からの献金やパーティー券の購入についてのお尋ねでありますけれども、私は、政治と金の問題、これはきちっと法律にのっとって適正に処理をしなければいけないと考えております。

 また、私自身、政治家自身は国政に専念をするということが大事で、殊さらに、金の問題について、微に入り細にわたり政治家自身がかかわったり承知したりする必要はない、私は国政に専ら専念したい、こういうことで、この資金の処理については、秘書また事務方に任せております。法律にのっとってしっかり処理をしなさいということを日ごろ申しつけております。

 今回、改めてそのことを申しつけたわけですけれども、秘書からは、適正にきちっとやっております、こういう報告を受けております。

 寄附とかパーティー券については、資金報告書ですか、そういったものに掲載されているとおりであります。

岡本(充)委員 私はきのう通告しているはずですから、それは金額をここできちっと申し述べていただきたいと思います。

赤城国務大臣 法律制度、法律にのっとってきちっと処理をする、こういうことでやっておりますので、法律に従って、資金報告書なり、そういうものに報告をされている、こういうことで承知しております。(発言する者あり)

岡本(充)委員 額を答えてくださいと言っているんです。

赤城国務大臣 法律に基づいて報告すべきもの、公表すべきものがあれば、そこに報告をされておりますし、その必要がないものについては報告をされていないと思います。(発言する者あり)

西川委員長 ちょっと速記をとめてくれますか。

    〔速記中止〕

西川委員長 速記を起こしてください。

 岡本充功君。

岡本(充)委員 では、大臣、確認をしたいと思います。

 きのう、私は質問通告をしているはずです。しっかり調べておいてくださいということが、伝わっていないからそう言われているのか、伝わっているけれども答えないのか。それとも、何らかほかの理由があって数字を言われないのか。これをお答えいただきたいと思います。

赤城国務大臣 岡本委員から昨日通告をいただきまして、その特林懇話会からの献金やパーティー券購入の事実はあるのか、あるとすれば額は幾らかということで通告をいただいております。

 それに対しまして、私は、この資金の問題は、秘書や事務所の者にきちっと法律に基づいて処理するようにということを常々申しつけておりますし、私自身は国政に専念をする、したがって、資金の問題については一線を引くということが、むしろ政治と金の問題についてみずからの規律を保つ意味でも大事だ、これは私の考えでありますけれども、そのようにやっております。

 改めて秘書に確認しましたところ、法律に基づいて適正にきちんとやっております、こういうことでありますので、収支報告書ですか政治資金報告書というのか、それに出ているとすれば、それは法律に基づいて出すべきものはそこに載っているでしょうし、出ていないとすれば、法律に基づいて載せるべきものはない、こういうことになろうかと思います。

岡本(充)委員 これは公表している数字を教えてくれという国会での要求に対して、何で大臣がその数字を答えられないのか、その理由になっていないですよ。だって、先ほど私が指摘をしているとおり、これはもう既にきのうの段階で通告をしている。なおかつ、適正に処理をしているのは、それはそれで当然のことでありますけれども、日ごろは国政に専念をしていく、それも結構なことです。

 しかし、国会の委員会で委員から質問があるということを聞いておきながら、そして、それは秘書に聞けば数字が幾らであるかはわかるにもかかわらず、それをあえて答えない、無視をするというのは、これはおかしいじゃないですか。ちゃんと数字を答えてください。

赤城国務大臣 これは、法律に基づいて処理をするということですから、法律にのっとって公表すべきものがあれば、そこに公表されている、こういうことではないかと思っております。だから、公表すべきものがないのであれば、それは公表されていないし、報告書に載せる必要もない、こういうことになると思います。

岡本(充)委員 公表している額に載っているか載っていないかの話をしているんじゃない。

 国会で質問があるということがわかっていながら、それを答えない、その理由は何なんですか。

赤城国務大臣 たびたびお答えしていますとおり、収支報告書に記載のとおりでありますということです。

岡本(充)委員 答えない理由は何なんですかと言っているんです。答えない理由は何なんですか。だから、それは、収支報告書のとおりですじゃないんです。それは答えになっていません。答えない理由は何なんですか。

 国政に専念をしたいのはわかります、それはどうぞ、お考えです。それから、日ごろ秘書に任せている、それはどうぞ、結構です。国会で質問があるにもかかわらず、それにあえて答えない。そんなことを言えば、どんな質問でもそうですよ。例えば、緑資源機構の何とかのこういう事業について教えてください、これは公表されているとおりです、これしか答えないんですか。それでは大変不誠実じゃないですか、答弁として。聞いたら、これはすべて記者会見で言っています、公表しています、これで終わりですか。国会で聞いているんですよ、国民の代表たる者が聞いているのに、それに答えないという理由が何なのかということを聞いているんです。

赤城国務大臣 私はきちんとお答えをしているつもりでございまして、それは委員の思うようなお答えではないかもしれませんけれども、政治家として、きちっと規律を持って、資金の問題は、むしろ、私は国政に専念し、資金のことについては秘書に適正に処理をするようにと、また、させる、こういうことが大事でありまして、その結果は、報告書に記載すべきものがあれば記載をするし、記載がないということであればそれは報告の必要のないものである、あるいはそれがない、こういうことだと思います。(発言する者あり)

西川委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

西川委員長 それでは、速記を起こしてください。

 岡本充功君。

岡本(充)委員 では、質問の角度を変えて伺います。

 大臣、御自身の報告をされている政治資金収支報告書によると、先ほどから質問をしているパーティー券、献金の額でありますけれども、パーティー券二十六万円購入をしていただいているというのは正しいんでしょうか。それ以外にはないんでしょうか。

赤城国務大臣 岡本委員から特林懇話会から二十六万円という数字が今出ましたけれども、その数字がどういうものか私は承知しておりませんし、報告すべきものがあれば、それは収支報告書に記載されておりますし、記載がないとすれば報告するものはない、こういうことだと思います。(発言する者あり)

西川委員長 それでは、もう一回答えてもらいますから。

 赤城農林水産大臣。

赤城国務大臣 岡本委員から二十六万円というふうな購入があったのではないか、こういうことでありましたけれども、私は、その数字、また、それがどういうものであるかは承知しておりませんし、いずれにしても、資金収支報告書に記載すべきものは法律にのっとって記載しておりますし、記載すべきでないものについては、私から申し上げる立場にはありません。

 いずれにしても、秘書から、適正に処理をしている、こういうふうに聞いております。

岡本(充)委員 その数字について、私は事前通告をしているわけですから、なぜその数字について答えないのかということを聞きたいんです。

 逆の側から見て、では、今度、報道の話で、うちが調べた話を言うのもなんですから、報道の方でいうと、特林懇話会の政治資金収支報告書によると、徳友会が開催をした政治資金パーティー、はばたく二十一世紀の会で、〇三年、〇五年に八万円、〇四年に十万円のパーティー券を購入している、こういう報告があるそうでありますけれども、これは事実でありますか。

赤城国務大臣 報道でどういう報道がされているか、詳細は知りませんが、報告に記載すべきものは報告に載っておりますし、そうでないものは報告には載りません。また、そのことについてお答えする立場にもありません。(岡本(充)委員「立場になくないでしょう。立場にあるんですよ。では、だれが答えるんですか」と呼ぶ)報告をすべきものについては報告書に記載しておりますし、記載すべきでないとされているものについては、それは記載もされませんし公表もされない、こういうことであります。

 一般的に、会合の券をだれがどう購入したかということについて、私は最初に申し上げたように、資金のことについては、私は一切タッチしないということでありますので、どなたがそれを購入されたかとか、その額がどうであるかとかいうことは、私は了知しませんし、一線を画すということでやっております。(発言する者あり)

西川委員長 岡本充功君、時間が経過をしておりますので……(発言する者あり)いえ、時間をとめて、それでも時間が経過をしております、お約束の時間を。どうぞ質問を続けてください。(発言する者あり)

 時間が、所要時間がなくなってまいりましたので、岡本充功君には次の機会に質問を、質疑をする、こういうことにさせていただいて、そのときには、大臣にも、答えがよく岡本充功君に理解していただくよう御努力をお願いいたして、ここは質問者を高山智司君にかわらせていただきます。

 次に、高山智司君。

高山委員 民主党の高山智司でございます。

 きょうは赤城新大臣に質問ということで、若い新大臣ということで、私もエールを送ろうという気持ちは今でもありますけれども、ちょっと大臣の今の答弁は余りにも不誠実だな、国民に対してまた説明責任を果たしていないじゃないかというふうに言わざるを得ないなと思いました。この政治資金に関して、秘書がやっているから知らないんだというような答弁、これではもう二十年も三十年も前の自民党の古い政治家と全く同じじゃないかというふうに私は思いましたけれども、大臣に改めて確認させてください。

 今、政治資金に関しては自分は見ないようにしているというようなお話がありましたけれども、では、虚偽記載であったり何か問題が生じたときに、大臣は、自分は知らない、責任はとらない、そういう趣旨なんでしょうか。

赤城国務大臣 それぞれ、議員の考え方があると思いますけれども、私は、金の問題、資金のことについてはタッチしない、そのことによって、むしろ一線を引いて国政に専念するということが大事だと思いますし、その処理に当たっては担当の者を信頼しておりますから、そのもとで適正に法律に基づいて処理をしていく、こういうことでやっておるわけであります。

高山委員 そうしましたら、これは総務省に伺いたいんですけれども、赤城大臣の資金管理団体、徳友会、これは代表者はだれですか。

久元政府参考人 赤城大臣であります。

高山委員 大臣、これは自分が代表を務めている資金管理団体ですよ。それを、自分は政治活動に専念したいから後は知りません。これは本当に古い自民党そのものですね、今の大臣の御答弁は。本当にがっかりしました。

 ちょっと横道にそれますけれども、では、秘書が秘書がということですけれども、大臣の、便覧というのがありますね、議員一人一人の情報が出ている。あの便覧を見ますと、平成十六年には公設秘書の方は三名書いてありますけれども、最近のものは、ほとんどこれは空欄ばかりなんですね。これは、公設秘書の方は常に空席なんですか、大臣のところは。それとも、何か公表したくない理由でもあるんでしょうか。ここのところ三、四年ずっと秘書の欄が空欄なんですけれども、なぜですか。

赤城国務大臣 国会便覧というふうな冊子といいますか、何種類かあると思いますけれども、どの冊子かわかりませんが、きちっと公設秘書は届けてあると思います。

高山委員 これは後刻、では委員長の方に、理事会の方に出させていただきますけれども、本当に過去三年ぐらい空欄なんですね。ただ、秘書の問題というのはいろいろありますから、別にここでさらに深く今聞く気はありませんけれども、どうも赤城大臣が、これは過去三年分ぐらい公設秘書がずっと空欄なんですよ。だから、秘書の名前を何か出したくない理由でもあるのか、それとも衆議院の方にはきちんと届け出てあるのにこっちに書いていないだけなのか、私はわかりません、原因は。これはもう大臣にしかわからないことだと思いますけれども、それもなかなかお答えいただけないようですので。

 ちょっと、赤城大臣も若くてさわやかな感じだなと思っていたんですけれども、なかなかこの政治資金に関して、自分でもごらんになっていないのか、本当は見ているけれども見ていないようなふりをされているのかわかりませんけれども、二、三確認をさせていただきたいと思います。

 これは総務省に伺います。

 林業の土木、今まさに緑資源機構の談合問題ということで、林業土木、随分問題になっておりますけれども、その中に林土連懇話会、そういう林業の土木を請け負っている人の政治連盟がありますけれども、この団体から赤城大臣の資金管理団体である徳友会へ、何年に幾ら、どういう献金が行っているか、総務省の方で答弁してください。

久元政府参考人 御指摘の林土連懇話会の収支報告書を確認いたしましたところ、平成十五年分と平成十七年分の収支報告書には、徳友会に対する寄附として、それぞれ二十万円が記載されているところであります。

高山委員 総務省に伺います。

 では、受け取っている方の徳友会は、その平成十五年から十七年、この林土連懇話会から幾ら寄附を受けている、こういう記載になっていますか。

久元政府参考人 赤城大臣の資金管理団体であります徳友会の平成十五年分と平成十七年分の収支報告書を確認させていただきましたところ、林土連懇話会からの寄附を受領したという旨の記載はないところでございます。

高山委員 赤城大臣、林土連懇話会さんの方は大臣の方に二十万円、二十万円という額で寄附をしている、大臣の資金管理団体には記載がないということですけれども、虚偽記載ですか。

赤城国務大臣 林土連からの支出と徳友会、資金管理団体とのことでありますけれども、資金管理団体の経理、また報告すべきものについては、法律にのっとって適正に処理をしていると考えております。

高山委員 総務省に再び確認します。

 二十万円という額ですけれども、二十万円の寄附を受けた場合、これは記載しなくてもいいんですか。現行法上の法の運用を教えてください。

久元政府参考人 五万円超の寄附に当たりますので、記載義務が発生をいたします。

高山委員 赤城大臣、大臣がわからないようでしたら秘書の方に確認して、今答弁してください。

赤城国務大臣 今御指摘のあったお話でありますし、林土連懇話会からの寄附があった、こういう御指摘でありますけれども、報告すべきものについては報告しておりますし、報告がないということであれば報告すべきものはない、こういうことであります。

 いずれにしても、そういうことであろうと考えております。

高山委員 総務省選挙部長に伺います。

 林土連からのその二十万円、二十万円といった寄附は、これは報告すべきものですか。それとも、報告する必要のない寄附なのでしょうか。答弁ください。

久元政府参考人 収支報告書につきましては、会計責任者が事実にのっとって正確に記載をしていただくということでありますので、二十万円の寄附をしたという事実があるのであれば、それはそのとおり報告をしていただくということが法律上の会計責任者に課せられた義務であります。

高山委員 大臣、この林土連さんの方はもう二十万円自分の方は出していますよということで報告しているわけですから、普通は、これは二十万円の献金があったんじゃないのかなというふうに多くの方は思われると思うんですよね。大臣自身もそうだなと思われると思うんですね。それとも、林土連の方がうそをついている、虚偽記載がある、こういうことなんですか。大臣、ちょっと説明してください、合いませんから。虚偽記載ですか。

赤城国務大臣 林土連の方でそのような支出をしたということで、今総務省からの答弁があったわけでありますけれども、私の方で、収支報告書に記載すべきものがあれば記載しておりますし、記載がないということであれば、そういう記載の必要があるものはない、こういうことだと考えております。

 いずれにしても、適正に処理をしている、私の方は適正に処理をしていると考えております。

高山委員 では、再び大臣に伺います。

 五万円以上の寄附に関しては収支報告書に記載をしなければいけない。しかし、赤城大臣は、二十万円の寄附を受けていながら収支報告書には記載していない。これがどうして適切なのか、説明してください。

赤城国務大臣 林土連の方からそのような支払いがあった、こういうことのようですが、私の方では、報告すべきものは報告しておりますし、すべきでないものについては報告は記載がない、こういうことであるというふうに考えております。

高山委員 全然適切になっていないじゃないですか。だって、五万円と二十万円の差を説明してくださいよ、ちゃんと。

 総務省の答弁に基づいて私は質問しているわけですから、大臣もごまかさずに答弁していただきたいんですけれども、二十万円の支出があって、これは記載漏れなのか、それとも何か意図的に、そこまで強弁されるということは、何かを隠したいというような意思が働いておられるのか。

 私は、非常に国民の皆さんもがっかりされたと思いますよ。別に、これはいただいたものであれば、二十万円をこの団体からいただきましたと記載すればいいのであるし、記載漏れであったのであれば、訂正すればいいわけですよね。それもなさらないで、またそういう強弁をされるということは、ここから献金をいただいたということを隠したいのか何かわかりませんけれども、非常に不誠実な答弁だなというふうに私は思いました。

 そこで、この問題はまだ伺わなければいけないことはあるんですけれども、先ほどの岡本さんの答弁にもあることですけれども、報道によれば、赤城大臣が二十六万円のパーティー券を緑資源機構関連団体から購入してもらっている、こういう報道はありましたけれども、これに関しては大臣は、今まさに緑資源機構は談合で解体かと言われているようなところでございますので、返却するなりなんなり、そういうことを今お考えですか。

赤城国務大臣 二十六万円という、これは何ですか、特林懇話会の方か、というふうな何か報道があったというお話でありますけれども、詳しい内容については私は承知しておりませんし、いずれにしても、報告すべきものがあれば報告に載っておりますし、それがないということは報告すべきものはない、こういうことでありますから、それについてどうこうと言われましてもお答えのしようがない、こういうことになります。

高山委員 今私が大臣に聞いているのは、幾ら以上だから報告してくださいとかそういうことを聞いているのではなくて、今談合で強制捜査を受けている団体、また、それから受注している企業が入っている政治連盟から大臣が献金を受けていた。これはまさに天下り、官製談合、そして、資金がまた大臣に還流しているという構図じゃないかというふうに国民の皆さんは思うと思うんですよ。

 だから、確かに少額かもしれませんけれども、大臣、みずからまたこれは返却するのか。それとも、これはこれで合法なんだから、これでいいじゃないですかということなのか。そこを国民の皆さんは聞きたいと思っていると思うので、大臣、答えてください。

赤城国務大臣 資金の問題については適正に法律にのっとって処理するようにと、こういうことでかねがねやっておりまして、報告すべきものがあれば報告するし、そうでないものであれば、それは報告はされない、こういうことでありますから。

 特林懇話会が購入した、こういう報道があるということでありますけれども、だれが幾ら買っているかとか、そういうことは私は承知しておりませんし、適正に処理するという方針で、それは秘書がと言ったらいかぬ、こういうことでありますけれども、私は一線を引いて、その事務に当たる秘書が判断をして、必要があれば適正に処理すればいいことである、こう考えております。

高山委員 それでは、大臣に伺いますけれども、大臣、これは就任の日に、緑資源機構関連の団体から二十六万円、パーティー券というような報道がなされたわけですけれども、この点で秘書の方に、これは本当なのかと確認しましたか。

赤城国務大臣 就任してからばたばたしておりますし、いろいろな問題も指摘されている。いろいろなことがあった後、私が就任したわけでありますので、政治資金の問題については間違いのないように、これまでも言ってきたことですけれども、きちっと法律にのっとって適切に処理をしなさい、こういうことを改めて申し渡しました。

高山委員 大臣、私はこの二十六万円の、緑資源機構からパーティー券を買ってもらったというのが違法だと言っているんじゃないんですよ。これは別に合法だと思いますよ。合法だけれども不適切なんじゃないかな、談合している企業からもらっているんじゃ不適切じゃないか、今こういう話を私はしているわけで、大臣も緑資源機構は解体なんだというようなお話を会見でもされていましたけれども、それをやるのであれば、御自身に二十六万円、パーティー券を買ってもらっている、こういう疑惑というか報道がなされたわけですよね。その報道に対して秘書に確認するべきだと思うんですけれども、いつ確認していただけますか。

赤城国務大臣 これは、いろいろ考えはあると思いますけれども、私は、法律に基づいて適正に処理されているということであれば、それはそのとおり、資金については適正にやっていくということが大事だと思っております。

 私は、専ら国政に専念をするということで進めてまいります。

高山委員 いや、これは国政に専念するとかという問題ではなくて、大臣御自身が、緑資源機構は問題がある、解体しなければいけないとまで言われているところから献金を受けていたのでは、ああ、新大臣もまた献金を受けているじゃないかと国民の皆さんはみんな思ったわけですよね。

 ですから、まずこれは確認して、返還するなら返還するだし、いや、これは適切な献金なんだから返還する必要はないんだというのであれば、そういう大臣のお話、自分の意見を言っていただければいいので、これは別に違法行為だからけしからぬじゃないかということを私はここで論じているのではありませんので。

 では、大臣に伺いたいんですけれども、一般論で構いません。これだけ談合をしている機構なり企業なりあるいは公益法人なり、そういうところがつくった政治団体から農水大臣が献金を受けていた、これは適切ですか。

赤城国務大臣 法律上、適法かどうかという問題もあります。また、法律上の問題だけでなく、李下に冠を正さず、こういう言葉もあります。適正に処理をしなさい、こういうふうに言っているのは、そういう精神で取り組みなさい、こういうことでありまして、私がそれを一々判断して、これはどうだ、あれはどうだということではなく、適正に処理をしてもらえればいいことだと考えております。

高山委員 では、大臣、伺いますけれども、今のパーティー券、緑資源機構談合企業からのパーティー券の問題と、先ほどの林土連懇話会から二十万円、二十万円と受け取っているけれども記載がなかった問題、この件に関しては、秘書に確認して、この委員会で報告していただけますか。

赤城国務大臣 御指摘の話につきましては、例えば、報道でこういうパーティー券の購入があるということでありますけれども、私の方で適法に処理をし、公表すべきものがあれば公表しているし、すべきでないものはしていないし、また、総務省から答弁がありましたけれども、そのことについて、総務省が言っていることはそれはそのとおりだと思いますが、私の方では適法にきちっと処理をしている、こう考えておりますので、そのことには間違いがないと考えております。

高山委員 大臣、秘書に確認して報告してくださいという私の方からのお願いには、何か長い答弁で今ごまかされましたけれども、あと、この林土連懇話会の方からの二十万円の問題は、これは五万円以上は記載しなきゃいけないわけですから、違法かどうかという話じゃなくて、本当に記載しなかったら違法ですから、大臣のやっていることは。だから、そこはきっちり秘書に確認していただく必要があると思うんですけれども、いつ確認してくれますか。

赤城国務大臣 林土連懇話会からの献金ということでありますけれども、それは懇話会の側にそういうふうな支出が記録がある、こういうことでありますけれども、私の方では報告すべきものは報告をされておりますし、適正に処理されていると考えておりますので、そのように御理解をいただきたいと思います。

高山委員 今の答弁でこの委員会は乗り切ったと思うかもしれませんけれども、これは国民の皆さんに対して失礼な話だと思いますよ。今、これだけずっと政治と金の問題が話題になってきている中で、本当に不誠実な答弁だなと私は思いました。けれども、大臣が全く国民に対してそうやって説明責任を果たす気がないのであれば、では、私は違う質問に行きます。

 きょうの朝、緑資源機構、島根でも官製談合という報道がありました。今、緑資源機構がやっている中山間地域への開発事業、これは熊本県の小国町と島根県、島根県の方は総額百二十億円の事業である、熊本の方は百五十四億円の事業、いずれも巨額の事業であり、また実施主体がこの緑資源機構ということで、まさにこれは談合の温床になっていたことですけれども、島根で起きたこの談合問題に関して、大臣は今どんな報告を受けていますか。

赤城国務大臣 けさの新聞で、島根でも官製談合、こういう報道があったということでございますが、報道で見聞したというところでございますので、今後の推移を見守っていきたいと考えております。

高山委員 大臣、新聞を見てというのじゃなくて、どういう報告を受けているかを今聞いているので、どういう報告を受けたか教えてください。報告を受けていないということはあり得ないですから。

赤城国務大臣 御指摘の緑資源機構発注の特定中山間保全整備事業については、官製談合の疑いがあるとの報道がありましたが、その事実関係については承知しておりません。

高山委員 大臣、緑資源機構は解体だというような意気込み、これは見せかけですか。この事件の全容を解明して、二度とこういう官製談合が起きないようにする、そういうつもりが大臣は本当にあるんでしょうかね。私は、ちょっと今の答弁、ずっときょう一日聞いていて、何か組織を守ろう守ろうとする、また自分のことを守ろう守ろうとする答弁だなという気がいたしました。

 今大臣の方で第三者委員会をつくられて、そこでいろいろなことを検討されているということですけれども、私は、農水省の中でそういうことをやられても、農水省がつくった第三者委員会ではなかなか信頼できないなと思うんです。

 もう一つ伺いますけれども、農林水産省の独立行政法人の評価委員会というのが〇三年から〇五年まで独立行政法人がどういう働きぶりかというのをA、B、Cでチェックしているわけですけれども、緑資源機構は〇三年から〇五年までどういう評価だったのか教えてください。

西川委員長 林野庁辻長官。(高山委員「呼んでいない」と呼ぶ)呼んでいない。ちょっと待ってください。参考人になっていないの。(高山委員「簡単な質問で、きのう通告してありますから」と呼ぶ)大臣、いいですか。

 赤城農林水産大臣。

赤城国務大臣 農林水産行政法人評価委員会の評価で、緑資源機構は三年間、総合評価Aとなっております。

西川委員長 高山智司君、時間が来ておりますので、簡潔に質問をお願いします。

高山委員 今、大臣からも御答弁ありましたように、外部委員会ということでこれは評価していますし、外部有識者を入れての同じような委員会なんですけれども、緑資源機構の運営が三年間Aですよ、これだけずっと談合をやっていた団体が。それでまた今度農水省の中でこの緑資源機構の問題、何か第三者委員会をつくってそれでやりますと。

 大臣が緑資源解体も視野に入れて徹底改革だというのは、何か見せかけだけだなと残念な気持ちがいたしますけれども、先ほど委員長からも言われましたので、時間ですので終わります。

西川委員長 次に、菅野哲雄君。

菅野委員 社民党の菅野哲雄です。

 日本の農林水産業が大変な困難にある中、松岡前大臣がお亡くなりになり、赤城大臣には多大な責任と期待が課せられております。与党、野党の違いはありますが、日本の農林水産業を守り発展させるために御尽力いただけるものと、まずはエールを送りたいと思います。

 ただ、今の質疑を聞いていて、大臣、政治不信をもたらすようなことのないよう、しっかりと説明責任を果たしていく、これが大臣に課せられた任務であるということも申し添えておきたいというふうに私は思います。

 最初に、まず緑資源機構について質問いたします。

 大臣は、昨日の所信表明で、緑資源機構は廃止の方向で検討するようにと事務方に指示したと述べられました。規制改革会議の第一次答申は、幹線林道事業と農用地総合整備事業については事業の廃止、水源林造成事業については透明性の確保を提言していますが、大臣の言う廃止の方向で検討とは、規制改革会議の答申と同じなのか、それとも機構の丸ごと廃止なのか、この認識をお聞かせ願いたいと思います。

赤城国務大臣 私は、就任直後に、この緑資源機構は廃止する方向で検討するように、こういうことで事務方に指示をいたしました。

 これは、発注者側がかかわる官製談合を起こした緑資源機構について、そういう組織がそのまま存続するということは許されないことだ、こう判断をいたしまして、廃止の方向で検討するように、こういうことを事務方に指示したところであります。

 その際、緑資源機構が行ってきた各種の事業をどうするかということ、特に残事業がありますので、これをどうするかについては具体的に検討していかなければならないことだと考えております。この点については、農林水産省に設置しております緑資源機構談合等の再発防止のための第三者委員会がございますので、そこの御意見も聞いた上で、早急に詰めていきたい、こう考えております。

 御指摘の、既に規制改革会議において、幹線林道事業及び農用地総合整備事業について、新規採択を行わないこととするなどの答申が出ておりますので、この答申も踏まえて対応方向を検討してまいりたいと考えております。

菅野委員 大臣、先ほどからも議論になっておりますけれども、この第三者委員会の結論というのは、農水省への提言であって、決定事項じゃないというふうに思うんです。

 これは、大臣も同じ認識なんですが、緑資源機構をめぐる官製談合、これはもうあってはならないことなんです。しかし、談合、天下り問題と、機構が果たしている役割、任務というのは別問題なんです。森林整備事業の重要性を十分勘案して、機構のあり方については冷静な議論、判断が必要なんだと私は考えているんです。この点、松岡前大臣にも強く指摘してきました。

 緑資源機構の主要な業務は、林道事業、農用地総合整備事業のほかにも、農林業の持つ多面的機能、公益性を担保する水源林造成事業や特定中山間地保全整備事業もあります。これら機構の業務が本来果たすべき役割について、大臣はどう認識されているのか。これは第三者委員会が、あるいは規制改革会議が答申したということじゃなくて、農林水産省として、今後の農林業の方向性をどう持っていくのか、このことの議論というのは大切なことなんだと私は主張しておきたいというふうに思うんです。

 そのことを飛び越えて、談合があったからこれはもう全部解体だなどという粗っぽい議論というのはすべきじゃない。談合は、絶対これは正すべきです。こんなのは二度とあってはならないことなんです。それと今後の機構のあり方、あるいは機構じゃなくて、今言った業務のあり方がどうあったらいいのかというこの二面性というのは大事だというふうに私は思っているんです。

 このことについて、認識をお聞きしたいと思います。

赤城国務大臣 まさに、菅野委員御指摘のとおり、こういう問題を起こした緑資源機構、これは、このまま存続するということは国民的にも許されることはない、こう思いますが、一方で、残事業の問題とか、そこで働く七百二十人の方がまじめに働いておられる、その方々を現実問題としてどうするのか、そういう具体の問題、また技術的な問題もございます。

 そういうことで、第三者委員会というのを設置して検討を願ってきたわけでありますけれども、いずれにしても、林野庁、そして農林水産省、最終的には私が主体的に判断をしていく、こういうことになる問題である、こう考えております。

 それから、そもそも考えてみますと、この緑資源機構というのは大変大事な役割を果たしてきたわけで、そのことはいささかも変わりはない、こう思っております。

 例えば、水源を涵養するために必要な森林を造成する、こういう事業や、森林資源を開発するために必要な林道を開設する、こういった重要な役割を担ってきたわけでありまして、これまで緑資源機構が行ってきたそれぞれの事業を今後も行うかどうかも含めて、どのように扱っていくか、また、行う場合にはどこが受け皿になるか、そういった問題についてもよく検討する必要があると考えております。

菅野委員 大臣と共通認識だというふうに思うんですが、ただ、七百二十人という職員の数字が出されています。こういう問題が起こったときに、そこで働いている人たちは、まじめに今日まで精いっぱい働いてきている人たちなんです。その人たちに不安を与えるようなことがあってはならないというふうに私は思うんです。ここが原点だというふうに思うんです。

 ただ、職員の人たちは、官製談合があった、そのことに対しては一切責任はないということなんです。その職員の人たちに、毎日毎日まじめに働いている人たちに不安を与えるような、そういう経過があってはならないし、結論があってはならないと私は思っています。

 ぜひ、大臣も今そのことに最大限配慮しますということなんですが、規制改革会議や第三者委員会というものが、ややもすればこのことを議論する、真剣になって議論していただきたいというふうに思うんですが、このことが抜け落ちると大変な事態を生じるんじゃないのかなというふうに私は思います。

 そういう意味を含めて、大臣、この七百人以上にも及ぶ職員について、今後どういうふうに大臣が考えておられるのか、今の段階での考え方をお聞きしておきたいと思います。

赤城国務大臣 これまでまじめに一生懸命大事な役割を果たしてきて働いてこられた皆さんの処遇というのは、これは大変大事なことでありまして、第三者委員会で検討するということで、そのことがないがしろにされる、そういうことは決してないと考えております。

 第三者委員会に検討していただくに当たって、特に、四つの項目を立てて、入札方法やチェック方法、緑資源機構の事業のやり方等、一方で人事システムのあり方についても検討をしっかりお願いしておりますし、今働いている七百二十人の皆さんの処遇ということもまた重要な問題でありまして、これは、第三者委員会の御意見も伺った上で、十分先生の御指摘も踏まえて検討してまいりたいと思っております。

菅野委員 第三者委員会に四つと言っていましたね、最後の人事システムのあり方、大臣の所信表明でもこのことに触れられています。

 これも考えてみました。しかし、このことは、天下りのあり方ということを、天下りの防止という観点からの人事システムとして私はとらえたんですね。だから、大臣の所信表明の中においては、緑資源機構で毎日毎日汗して働いている人たちのことについては触れられていないと私は読みました。ただ、今の大臣の答弁として、そのことも十分配慮していきますという答弁でありますから、私は、もう一点、この視点というものを、今後の機構のあり方、七百人をどう処遇していくのかという観点からの機構のあり方について、第三者委員会の方向性を待つんじゃなくて、農水大臣としてしっかりとしたリードをとっていただきたい、このことを強く申し上げておきたいというふうに思います。

 それで、次に移りますが、前回の競馬法の改正で質疑しようと思って質問できなかったんですが、それについて少し補足的に、一般質疑ですから、質問させていただきたいと思います。

 昨年のフランス凱旋門賞で日本のディープインパクトが薬物使用で失格になりました。そこで、農水省の競馬監督課を中心に、競走馬の安全性について資料提供や御説明を事前にいただきました。御説明によりますと、競走馬では六十四品目が禁止薬物に指定され、厳格な薬物管理が行われているとのことでした。

 一方、国際的には、日米を除き、自然に存在しない物質を禁止薬物とするのが一般的とも伺っており、日本の場合、治療薬の多くがドーピング対象外なのではないかという指摘もあります。

 国際的に見て、日本の競走馬の薬物管理は必要にして十分なのか、このことについて答弁願いたいと思います。

山田政府参考人 競馬の薬物規制の問題でございます。

 世界の競馬開催国は、生産、競馬及び賭事に関する国際協約というものがございまして、この協約のもとでそれぞれ各国が競馬を施行しておりますが、その国際協約の中で、薬物の影響下にある馬を競走に出走させてはならないという規定がございます。この規定の具体的な実施方法につきましては、例えば、今委員からお話がありました薬物の取り締まりといった問題については、各国の法律の体系等のもとで、それぞれ体系が違いますので、異なった扱いになっております。

 例えばヨーロッパなどでは、フランスにおきましては、禁止される薬物について、主催者が決める競馬施行規程において決められているんですが、委員からお話がありましたように、一般的に、例えば呼吸器系に作用する薬物というような書き方をして、つまり、薬理作用別に示して取り締まりが行われ、違反があった場合には制裁が行われるという形になっています。

 一方、我が国では競馬法に基づいて規制がなされておりますが、競馬法では、馬の競走能力を一時的に高め、または減ずる薬物の使用を禁止し、違反した場合には刑罰の対象にしておりますが、委員からお話がありました六十四の薬物ということですが、これはまず、明示をして書いてあるものが六十四、それからその第二項、次の規定で、六十四以外の薬物についても、競走能力を一時的に高める等の目的で使用するものは禁止をするということで、六十四以外でも一般的にそういう効能があるものは禁止されているという形になっております。

 このように、法律の形は違いますけれども、おおむね規制の中身としては同じような、外国に劣っているということはないところでございます。

菅野委員 結論からすれば、必要にして十分なんだというのが答弁の中身だというふうに思うんですが、やはり、日米を除き、自然に存在しない物質を禁止薬物とするのが一般的なんですね。だから、このことを考えて対処すべきだと私は主張しているんです。確かに、今厳格に運用されているというふうに言って、必要にして十分なんだという答弁ですけれども、私はぜひ国際的な視野から検討を加えていただきたいというふうに思います。

 これも農水省の担当者から説明を受けたのですが、食用に付される馬、年間約一万八千頭のうち、四分の一弱が競走馬関係と推定されています。

 現在、競走馬登録あるいは繁殖登録を抹消した後、馬の履歴は管理されていないものと思います。屠畜検査で残留薬物をチェックするシステムにはなっていますが、食の安全性に対する不安を払拭するため、食用になる廃馬の履歴管理を徹底すべきではないでしょうか。

 同様に、国産馬肉についての原産地表示や、もともとの食肉用なのか、競走馬の廃馬なのかについて表示するようにすれば、馬肉に対する消費者の理解も進むと思いますが、いかがお考えでしょうか。答弁願いたいと思います。

町田政府参考人 競走馬を含みます馬に使用される動物用医薬品につきましては、牛や豚の場合と同様、その肉が食用に供されることを想定いたしまして、薬事法に基づきまして必要な規制を行っているところでございます。

 具体的に申し上げますと、畜産物への薬剤の残留防止、こういった観点から、食用として出荷する前の使用禁止期間を設定するなど、動物用医薬品の使用者が遵守すべき使用基準を設定いたしまして、その適正使用の徹底を図っているところでございます。

 一方、厚生労働省におきましても、と畜場法に基づきまして、屠畜検査の申請書に動物用医薬品その他これに類するものの使用状況ということで、動物用医薬品の投与歴、こういったことの記載を求めていると承知しております。

 農林水産省といたしましては、今後とも、厚生労働省と連携のもとでこれら制度の円滑な運用を図りまして、畜産物の安全性の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。

菅野委員 ディープインパクトの問題があって、競走馬に薬物が使用されている、これが最終段階で安全なのかという形で消費者が不安を抱いているという今日の現実があるわけですから、その不安を払拭するための手だてというのは、私は農水省と厚生労働省が連携をとってしっかりと手だてを図っていただきたい。その上、その一つの手段として、先ほど申し上げた手段があるんじゃないのかなということを申し上げました。このこともぜひ検討課題にしていただきたいと思います。

 最後になりますが、家畜を快適な環境で育てようという家畜福祉、アニマルウエルフェアの動きがヨーロッパを中心に広がっております。社団法人畜産技術協会でも、快適性に配慮した家畜の飼養管理に関する勉強会が昨年来、何回か積み重ねられております。

 この勉強会につきましては、報告書あるいは提言のようなものが取りまとめられる予定なのでしょうか。また、その際には農水省の施策に何らかの形で反映されるのでしょうか。

 また、家畜福祉といった際に、牛、豚あるいは鶏と同様に、食用馬や競走馬などもその対象として含まれるのでしょうか。農水省の考え方をお聞かせください。

山田政府参考人 お答えいたします。

 アニマルウエルフェアの関係でございますが、委員からお話がありましたように、我が国においても国際的なアニマルウエルフェアの関心に対応いたしまして、昨年八月から、社団法人畜産技術協会で勉強会を開催しております。このアニマルウエルフェアのあり方について、この勉強会では基本的な方向を検討いたしまして、近日中に公表するという予定になっております。

 今後、我が国の飼養実態に応じた家畜別の具体的な飼養管理のあり方につきまして、順次検討していくということを考えておりまして、競走馬あるいは食用馬も含めて、馬についても検討してまいりたいと思っております。

 農林水産省としては、こういった検討を進めまして、他の関係省庁とも連携しながら、家畜の適切な取り扱いを推進していきたいというふうに考えております。

菅野委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

西川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十九分散会


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