衆議院

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第3号 平成19年12月5日(水曜日)

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平成十九年十二月五日(水曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 宮腰 光寛君

   理事 岩永 峯一君 理事 江藤  拓君

   理事 近藤 基彦君 理事 佐藤  錬君

   理事 七条  明君 理事 筒井 信隆君

   理事 細野 豪志君 理事 西  博義君

      阿部 俊子君    赤澤 亮正君

      伊藤 忠彦君    飯島 夕雁君

      小里 泰弘君    近江屋信広君

      岡本 芳郎君    金子 恭之君

      亀井善太郎君    北村 茂男君

      斉藤斗志二君    谷川 弥一君

      中川 泰宏君    永岡 桂子君

      長島 忠美君    丹羽 秀樹君

      西川 公也君    福井  照君

      水野 賢一君    森  英介君

      石川 知裕君    大串 博志君

      黄川田 徹君    菊田真紀子君

      小平 忠正君    仲野 博子君

      森本 哲生君    横山 北斗君

      井上 義久君    菅野 哲雄君

    …………………………………

   議員           宮路 和明君

   参議院議員        平野 達男君

   参議院議員        高橋 千秋君

   参議院議員        舟山 康江君

   農林水産大臣政務官    谷川 弥一君

   農林水産委員会専門員   渡辺 力夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月五日

 辞任         補欠選任

  小野 次郎君     阿部 俊子君

  平田 耕一君     岡本 芳郎君

  渡部  篤君     長島 忠美君

  佐々木隆博君     森本 哲生君

  神風 英男君     黄川田 徹君

  高井 美穂君     菊田真紀子君

同日

 辞任         補欠選任

  阿部 俊子君     小野 次郎君

  岡本 芳郎君     平田 耕一君

  長島 忠美君     渡部  篤君

  黄川田 徹君     神風 英男君

  菊田真紀子君     高井 美穂君

  森本 哲生君     佐々木隆博君

    ―――――――――――――

十二月四日

 有害鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律案(衛藤征士郎君外六名提出、衆法第一二号)

 農業者戸別所得補償法案(参議院提出、参法第六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 有害鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律案(衛藤征士郎君外六名提出、衆法第一二号)

 農業者戸別所得補償法案(参議院提出、参法第六号)


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     ――――◇―――――

宮腰委員長 これより会議を開きます。

 衛藤征士郎君外六名提出、有害鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律案を議題といたします。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。宮路和明君。

    ―――――――――――――

 有害鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

宮路議員 ただいま議題となりました有害鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律案の提案の理由及びその主な内容について御説明申し上げます。

 現在、農山漁村地域における鳥獣による農林水産業被害は深刻化の一途をたどっております。例えば、平成十八年度における農作物に関する被害は、把握できているだけでも約百九十六億円に上っており、実際にはこの何倍もの被害が発生しているものと考えております。また、鳥獣による被害は、金額としてあらわれるものだけでなく、営農意欲の減退をもたらすなど、その影響ははかり知れないものがあります。

 さらに、鳥獣による人身被害も発生しており、農山漁村地域においては安心、安全な生活が脅かされている状況にあります。

 このような状況のもと、日々鳥獣による農林水産業等に係る被害に苦しんでいる現場からも、鳥獣被害防止対策のための法律の早期制定についての要望が高まっております。

 農林水産業の発展、さらには農山漁村地域の振興のためには、鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための抜本的な対策の強化が強く求められているところであります。

 自由民主党及び公明党としては、鳥獣被害に苦慮している現場の声にこたえ、鳥獣被害防止対策を総合的かつ効果的に実施するための法律を早急に制定することが必要であると考え、この法律案を提出することといたしました。

 以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、この法律案の目的は、農山漁村地域において深刻な状況にある有害鳥獣被害の防止のための施策を総合的かつ効果的に推進し、もって農林水産業の発展と農山漁村地域の振興に寄与することであります。

 第二に、農林水産業等に係る被害の防止に係る施策の責任者である農林水産大臣が、被害防止施策を実施するための基本指針を定めることとしております。

 第三に、最も現場に精通し、今日その対策に腐心している市町村が、主体的に被害防止施策に取り組むことができるようにするため、農林水産大臣が策定する基本指針に即して、単独でまたは共同して被害防止計画を作成することができることとしております。

 この被害防止計画を作成した市町村については、都道府県知事が有している有害鳥獣捕獲許可権限を委譲することができる仕組みを設けるほか、被害防止計画に基づく施策の実施を支援するため、地方交付税制度の拡充その他の必要な財政上の措置を講じることとしております。

 第四に、市町村が、捕獲、防護さくの設置等の被害防止施策を組織的かつ効果的に実施するため、有害鳥獣被害対策実施隊を設置できることとし、有害鳥獣被害対策実施隊の隊員については、非常勤の公務員とするとともに、狩猟税の軽減その他必要な措置を講じることとしております。

 第五に、人と鳥獣の共存に配慮する観点から、国及び地方公共団体は、鳥獣の良好な生息環境の整備及び保全を図るため、広葉樹林の育成その他の必要な措置を講ずるとともに、被害防止施策を講ずるに当たっては、数が著しく減少している鳥獣等について、その保護が図られるよう十分配慮するものとしております。

 そのほか、この法律案では、国及び地方公共団体等の連携、農林水産業被害の実態、有害鳥獣の生息の状況及び生息環境の把握、調査研究の推進、人材の育成などに関する規定を設けております。

 以上が、この法律案の提案の理由及びその主な内容でございます。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

宮腰委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

     ――――◇―――――

宮腰委員長 次に、参議院提出、農業者戸別所得補償法案を議題といたします。

 発議者より趣旨の説明を聴取いたします。参議院議員平野達男君。

    ―――――――――――――

 農業者戸別所得補償法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

平野参議院議員 ただいま議題となりました農業者戸別所得補償法案につきまして、その提案の趣旨及び内容の概要を御説明申し上げます。

 去る七月の参議院通常選挙において、我々民主党は、農業政策では、戸別所得補償制度の創設を唱え、多くの方々から御賛同をいただきました。

 経営の規模、年齢にかかわりなく、意欲を持って取り組む農業者に対し、主要農産物を対象として、農業の再生産の確保に資するため、その生産費と販売価格の差を基本とした補てんを行い、その所得を補償し、農業の再生産の確保、著しく低下した食料自給率の向上、農業、農村の維持発展を目指すものであります。

 政府は、本年四月から、戦後農政の大転換と称して品目横断的経営安定対策を導入しました。これは、経営の規模によって、国が支援する農業者を選別するという究極の選別政策であります。特定の経営体だけが農業の担い手であるとの認識のもと、農業の構造転換を性急に推し進めようとするものであり、財政効率だけを優先させた政策と言っても過言ではありません。

 言うまでもなく、農村は、専業農家、兼業農家、大規模農家、小規模農家など多様な形態の農業者と非農家とが混在して構成されています。そして、国民の生活意識が変わりつつある中、自分たちのことは自分たちでやる、助け合ってやるという伝統的な自治機能を、なお色濃く残している地域であります。

 さらに、農業、農村は、食料の生産だけではなく、国土や自然環境の保全や地域社会そのものの形成など、多面的な役割を担っております。まさしく、私たち国民の共有の財産であるふるさとを守る大切な役割を担っているのが農業、農村であります。農業、農村の担っているこうした多様な役割は、そこに住み、生活するさまざまな農業者が担っているのであり、政府が施策を集中させようとしている特定の経営体だけでは果たすことはできません。

 特定の経営体の育成だけを優先させる政策ではなく、地域として、あるいは集落として農業の振興を図っていく、まさに農業と農村振興とが一体となった政策こそが、農業再生、地域再生のかぎであると民主党は考えております。

 事実、これまでの農政も、集落の自治機能を前提とし、制度が組み立てられてきました。現行の米の需給調整などはその典型です。集団転作などの農地の利用調整も、農家間の自主的な調整が不可欠です。

 一方、同時に、農村、特にも中山間地域の農村が大きな岐路に立っている現実も直視しなければなりません。

 基幹的農業従事者の六割は六十五歳以上です。日本の農業、農村は元気な高齢者の方々によって支えられています。しかし、いつまでも高齢者に地域の農業を任せられるわけではありません。我が国が人口減少社会に入っているということも十分考慮に入れる必要があります。政府が進めてきた効率や採算偏重の政策のしわ寄せが農村に押し寄せていることも見逃してはなりません。このままでは、農業の構造改革が進むより先に、農業の生産基盤そのものの崩壊が先に進んでしまいます。

 こうした政府の政策を是正するとともに、現実に適応した、地域主体のしっかりとした農業振興への取り組みがされなければなりません。

 必要なことは、国が画一的に、特定の経営体や営農組織を構築しろといった押しつけ型の政策を進めることではありません。

 生産に取り組んでいる方々が、こぞって参加して地域の農業、農村の将来を考え、行動してもらうことが必要です。その枠組みの中からこそ、実態に即した農地の流動化、生産の組織化といった取り組みが始まらなければなりません。

 このためにも、農業に取り組んでいる方々は、その規模、形態にかかわらず、すべて担い手と位置づけることが必要です。

 小規模ながらも、赤字覚悟の高齢農業者の、とにかく耕作しなければならぬとの義務感ともいえる意欲は、主作物である米価が下落基調にあり、農業をやめれば耕作する人がいなくなるという危機的状況の中、大切にする必要があります。

 また、我が国の食料自給率は、平成十二年に食料・農業・農村基本計画を策定して以来、全く向上していません。昨年、カロリーベースで三九%と、ついに四〇%を割ってしまいました。また、世界の人口の増加による食料需要の増加、バイオ燃料用としての新たな需要の発生、地球温暖化、水資源の不足といった大規模な環境変化等により、世界的な食料供給の逼迫が懸念されております。さらに、輸入農産物に対する安全性への不安も国民の間に高まっております。

 食料の安全保障、そして安全性の観点から、食料の国内生産の確保は喫緊の課題であります。自給率の低い作物を中心として、生産振興を今まで以上に積極的に進めていく必要があります。

 国民が安心して質の高い食生活を送ることができるよう、国内で安全な農産物を安定供給する仕組みを充実していかなければなりません。その前提条件として、意欲を持った農業者が安心して生産に取り組むとともに、迎えつつある農村の変化に対応した地域主体の地域農業を確立していただくことが必要であると考え、本法案を提出した次第であります。

 以下、この法案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、この法律は、食料の相当部分を輸入に依存する我が国においては、食料の安定的な供給及び安全性の確保の観点から、食料の国内生産の確保が緊要な課題であることにかんがみ、農業者戸別所得補償金を交付することにより、食料の国内生産の確保及び農業者の経営の安定を図り、もって食料自給率の向上、並びに地域社会の維持及び活性化その他の農業の有する多面的機能の確保に資することを目的としております。

 第二に、この法律において、主要農産物とは、米、麦、大豆その他この法律の目的の達成に資するものとして政令で定める農産物としております。

 第三に、国、都道府県及び市町村は、毎年、農業者の意向を踏まえ、相互に連携して、それぞれ主要農産物の種類ごとに生産数量の目標を設定するものとし、また、その達成に努めなければならないこととしております。

 第四に、国は、生産数量の目標に従って主要農産物を生産する販売農業者に対し、その所得を補償するための交付金を交付することとしております。

 交付金の額は、主要農産物の種類別の標準的な販売価格と標準的な生産費との差額を基本としてその需要及び供給の動向を考慮して定める面積当たりの単価に、販売農業者のその年度における当該主要農産物の生産面積を乗じて得た金額とすることとしております。交付金の額の算定については、当該主要農産物の品質、その生産に係る経営規模の拡大及び環境の保全に資する度合い、並びに米にかわる農産物の生産の要素を加味することとしております。

 また、農林水産大臣は、不正の手段で交付金の交付を受けた者に対して、その交付金の返還を命ずることができることとしております。

 第五に、現在予算措置として行われている中山間地域等直接支払い制度を法制度上の措置として位置づけるべく、国は、中山間地域等とそれ以外の地域の農業の生産条件の格差を是正するための交付金の財源に充てるため、地方公共団体に対し、交付金を交付することとしております。

 第六に、農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律を廃止することとしております。

 最後に、この法律は、農業者の方々の十分な理解を得て進めていくために、平成二十一年四月一日から施行することとしております。

 以上が、この法案の提案の趣旨及び内容の概要でございます。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いを申し上げます。

宮腰委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時十四分散会


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