衆議院

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第2号 平成20年2月20日(水曜日)

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平成二十年二月二十日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 宮腰 光寛君

   理事 岩永 峯一君 理事 江藤  拓君

   理事 近藤 基彦君 理事 佐藤  錬君

   理事 七条  明君 理事 筒井 信隆君

   理事 細野 豪志君 理事 西  博義君

      赤澤 亮正君    伊藤 忠彦君

      飯島 夕雁君    今津  寛君

      小里 泰弘君    近江屋信広君

      大塚  拓君    金子 恭之君

      亀井善太郎君    北村 茂男君

      佐藤ゆかり君    斉藤斗志二君

      鈴木 馨祐君    田中 良生君

      冨岡  勉君    中川 泰宏君

      長崎幸太郎君    丹羽 秀樹君

      西川 公也君    西本 勝子君

      平田 耕一君    福井  照君

      馬渡 龍治君    水野 賢一君

      森  英介君    石川 知裕君

      大串 博志君    小平 忠正君

      佐々木隆博君    神風 英男君

      高井 美穂君    仲野 博子君

      横山 北斗君    井上 義久君

      菅野 哲雄君

    …………………………………

   農林水産大臣       若林 正俊君

   農林水産副大臣      今村 雅弘君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       藤崎 清道君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房統計部長)          長   清君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局長)            町田 勝弘君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           佐藤 正典君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  内藤 邦男君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            竹本 和彦君

   農林水産委員会専門員   渡辺 力夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十日

 辞任         補欠選任

  赤澤 亮正君     大塚  拓君

  小野 次郎君     田中 良生君

  谷川 弥一君     冨岡  勉君

  永岡 桂子君     馬渡 龍治君

  森  英介君     鈴木 馨祐君

  渡部  篤君     西本 勝子君

同日

 辞任         補欠選任

  大塚  拓君     長崎幸太郎君

  鈴木 馨祐君     森  英介君

  田中 良生君     佐藤ゆかり君

  冨岡  勉君     谷川 弥一君

  西本 勝子君     渡部  篤君

  馬渡 龍治君     永岡 桂子君

同日

 辞任         補欠選任

  佐藤ゆかり君     小野 次郎君

  長崎幸太郎君     赤澤 亮正君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件(畜産問題等)

 平成二十年度畜産物価格等に関する件


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     ――――◇―――――

宮腰委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 農林水産業の実情調査のため、福島県に視察を行いましたので、参加委員を代表して、その概要を私から御報告申し上げます。

 去る二月十三日、福島県郡山市及び須賀川市を訪れ、地域の水田農業者等との懇談等を行いました。

 当日の参加委員は、理事岩永峯一君、近藤基彦君、筒井信隆君、西博義君、委員赤澤亮正君、小里泰弘君、近江屋信広君、石川知裕君、横山北斗君、菅野哲雄君、そして私、宮腰光寛の十一名であります。

 御承知のとおり、国民の主食であり、我が国農業の基幹作物でもある米につきましては、長年、生産調整に取り組んできたものの、近年、供給過剰が常態化しており、これが米価の低下傾向に歯どめがかからない一因となっております。水田農業経営の安定のためには、需要の減少に応じた生産を行い、米価を安定させることが不可欠であります。今回の調査は、このような認識のもと、実際に農業の現場に赴き、生産調整を含めたさまざまな農政課題等について農業者等の率直な意見に耳を傾ける必要があると考え、実施したものであります。

 現地におきましては、まず、環境負荷低減の観点から先進的な取り組みを独自に行っている株式会社「ひまわり」の廃食油からバイオディーゼル燃料を製造するプラント、次いで、年間売上高十億円を誇る農産物直売所「はたけんぼ」を視察いたしました。「はたけんぼ」では、生鮮野菜から果物、地元の食材を利用した加工食品まで数多くの商品があふれ、平日の日中にもかかわらず、多くの人が買い物に訪れ、大変なにぎわいを見せておりました。

 次いで、福島県農業総合センターに移動し、同センター内を視察した後、五名の水田農業者及び五名の農業法人等の代表者の方々と懇談を行いました。

 農業者の方々からは、米価下落により生産費を割り込んでいる稲作の現状や、生産調整に関連し、転作をするにしても土壌条件が適さない実態等についての説明があり、非主食用米による生産調整の拡大等農業者に希望を持たせる農政の実現を図っていかなければならないとの思いを強くした次第であります。

 また、農業法人の代表者の方々との懇談では、課題を抱えながらも地域農業の担い手として経営の多角化や付加価値化に熱心に取り組んでいただいていることに大変感銘するとともに、こうした担い手を支援していくことの重要性を改めて感じたところであります。

 以上が今回の調査の概要であります。

 なお、調査に当たりましては、地元の関係者を初め、多くの方々の御協力をいただきました。ここに深く感謝の意を表する次第であります。

 以上、御報告を申し上げます。

    ―――――――――――――

宮腰委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房統計部長長清君、総合食料局長町田勝弘君、消費・安全局長佐藤正典君、生産局長内藤邦男君、厚生労働省医薬食品局食品安全部長藤崎清道君及び環境省水・大気環境局長竹本和彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

宮腰委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

宮腰委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。江藤拓君。

江藤委員 あす政府の畜産物価格が決まるに当たりまして、きょうは集中審議が行われるわけでありますが、大臣におかれましては、昨年の概算要求の段階ではこのような異常な穀物の高騰、畜産農家の経営環境の悪化、このような事態は正直想定しておりませんでしたし、想定することも難しかっただろうということで、今、御当局と非常に厳しい交渉をされておるわけでありまして、非常に御苦労されておると思いますが、ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。

 それぞれ各論についてお尋ねをする前に、国際状況について少しお尋ねをさせていただきたいと思います。

 国連の食糧農業機関、FAOの発表によりますと、世界の穀物在庫は二十六年ぶりの低水準になっている、そういう警鐘が発せられました。そして、昨年の末にはトウモロコシ価格も三ドルを突破して、これでも異常だというふうに私たち危機感を持っておったわけでありますけれども、ことしになりましたら五ドルを超えるという状況になっております。そして、米国の農務省の発表によりますと、穀物の期末在庫率も一四・六%と、FAOが発表しております安全基準一七%から一八%を大きく下回る状況となっております。

 このような中で、世界では食料の囲い込みが始まっている。ロシア、中国、インドなど八カ国は、既に農産物の輸出規制に踏み切るような状況に立ち至っております。

 こういう状況でありますから、日本としましても、官民合わせて百九十万トン、約二カ月分の飼料用穀物の備蓄はしておりますけれども、このように世界の需給がタイトになってまいりますと、少しずつでもこの備蓄の量というものは増していくことが求められていくんじゃないか、安いうちになるべく買った方がいいんじゃないか、もっと上がるかもしれないわけですから、こういうことを私は考えるわけであります。

 そして、これまでも備蓄は何回か放出されました。これまでは、供給に支障があった場合のみこれを放出するというルールがあります。御当局からも御説明いただきましたけれども、為替の高いときに買っている、倉敷料もかかっている、これを簡単に放出すると逆ざやになる、だからなかなかこれは難しいんですよと説明がありましたけれども、こういう異常な状況になりますと、せっかく二カ月分の在庫があるわけですから、これをこういう非常事態には何とか柔軟に使えるような制度の検討ぐらいはしてもしかるべきではないかというふうに思うわけでありますけれども、大臣の御所見をお願いいたします。

若林国務大臣 委員が御指摘になりましたように、世界の穀物市場、とりわけえさの原飼料につきましては、異常な高騰が続いております。

 我が国における飼料穀物の備蓄につきましては、国が配合飼料の主原料のおおむね一カ月分として、トウモロコシ、コウリャンが六十万トン、及び、米がえさに使えるものとして三十五万トン、計九十五万トンの備蓄を持っているわけでございます。また、民間の配合飼料メーカーなどには同量九十五万トン程度の在庫の確保を義務づけておりまして、官民合わせて需要量のおおむね二カ月分を備蓄しているわけでございます。

 この備蓄は、飼料穀物の供給国で災害など、委員がおっしゃられました、そういう需給上の短期的な輸出の停止などによりまして逼迫事例が出ます場合を想定して必要な数量を設定しているものでございます。現在のところ、飼料穀物の主要な供給国からの輸入に支障を来すというような見通しはないということでありますので、この備蓄水準を直ちにさらに引き上げるという状況にはないと考えております。

 また、仮に、飼料価格の上昇時への対応として、今御提案がございました備蓄の穀物を活用するということにつきましても、備蓄数量は配合飼料主原料の需要量のおおむね二カ月分程度としておりまして、価格低落への効果というのは、それを吐き出していけばそれで効果は終わってしまうというようなことでございまして、限定的かつ一時的なものとならざるを得ないということ。

 また、仮にこうした場合に、その後、備蓄を回復するということが必要でございます。必要な備蓄量を確保するためにこれを買わなきゃいけないということになってまいりますと、通常の必要の量に加えて、その備蓄積み増し分、補てん分の穀物を買わなきゃいけないということで、そのことが需給逼迫を生ずるということになりまして、備蓄本来の目的のために対応するということが困難になってくることも考えられるわけでございます。

 そのような問題がございますので、いずれにしましても、今後とも飼料穀物の需給や価格の動向を十分に注視してまいりたいと思いますけれども、今あります備蓄をこういう価格高騰であるということで放出することの効果については考え方を異にするものでございまして、直ちにこれに応ずるという考えは今のところ持っておりません。

江藤委員 余り前向きなお返事はいただけませんでしたけれども、党内でも検討を進めていきたいと思っております。

 次に、WTOについて少しお伺いをしたいと思います。

 我々がWTOという話をしますと、国内の農業をいかに守るか、上限関税であるとか限度数量であるとか、そういったところばかりに我々はどうも目が向きがちでありますけれども、実は、日本の畜産に目を向けますと、日本の畜産はどうしても海外からの飼料穀物の輸入に頼らなければ成り立たないという構造になっていることは、これは仕方がない現実としてあります。

 そんな中で、日本は平成十二年に輸出国の輸出の禁止、制限の措置についてWTOに対してある提案をされたというふうに聞いております。そして、今回出されましたファルコナーの改訂議長テキストの中にも、この日本の主張がある程度取り入れられた文言が入っているというふうに聞いております。これは非常に画期的なことでありまして、高く評価をさせていただきたいと思うわけでありますが、これから年末にはWTOも合意するのではないかという、いよいよ大詰めに差しかかっているわけでありまして、今後さらに大臣には頑張っていただきたいわけでありますが、大臣のこれに対する姿勢と御所見をお伺いさせていただきたいと思います。

若林国務大臣 委員が御指摘のように、WTO交渉はいよいよ大詰めの段階に来ているわけでございます。そして、ファルコナー議長が改訂のペーパーを先般出したところでありますが、我々日本を代表国としますG10、輸入国の立場からしますと、アクセスを改善して貿易を拡大するということの方に重点が非常にあるわけでございますけれども、主要輸入国とすれば、食料の、穀物の貿易構造からしますとやはり国内優先ということになってくるわけで、国内の事情によりまして輸出国が勝手に一方的に輸出規制をかけるというようなことになりますと、国民に対する食料の安定的な供給を害することになるということから、輸出国、輸入国のバランスのとれた貿易のルールというものが必要であるという考え方に立っておりまして、委員が御指摘になりましたように、日本提案という形で、WTO協定の中に輸出国についても輸出の秩序ある規律というものが必要だということを主張してまいったわけでございまして、今回の改訂の議長テキストにおきまして、ある程度その意見が反映されているという認識でいるわけでございます。

 現在のWTOの協定上は、輸出国がこのような輸出禁止、輸出制限の措置を新設する場合にはWTOに通報する、協議を行うべき旨が規定をされておりますけれども、平成十二年の日本の提案以来、輸出入国の権利義務のバランスの回復と輸入国の食料安全保障の観点から規律強化を主張してきた我が国のこの主張は、今度の改訂議長テキストの面におきまして、農産品の輸出禁止制限に関して、既存の措置を廃止するとともに、新たにこれら規制措置をつくる場合も原則十二カ月でこれを廃止するというような規律が提案され、これが盛り込まれることになっているなど、進展が見られているところでございます。

 我が国としては、新規の輸出禁止、制限の規律が設定されるということについてはこれを評価しているわけでありますが、輸出入国間のバランスの強化という観点から、さらなる規律の強化を求めて引き続き関係者一体となって粘り強く交渉をしていきたい、このように考えているところでございます。

江藤委員 ありがとうございます。先ほども申し上げましたように、八カ国がもう輸出の規制に踏み切っているというような事態も発生しているわけですから、ぜひとも年末に向けて御努力をよろしくお願い申し上げます。

 次に、各論に入ってまいりますが、昭和四十九年につくられました配合飼料価格安定制度。

 これは、長い歴史の中でいろいろな価格の高騰等あったわけでありますけれども、今よりももっとひどい価格の高騰が一時的にはあったわけでありますけれども、こういうときには非常に十分にその役割を果たしてきた。これは、私、制度自体はいい制度だというふうに思っております。

 しかし、昨今の恒常的な飼料高によりまして、通常補てん基金はついにこの二月に枯渇してしまうという事態に追い込まれてしまいまして、異常補てんから通常補てんの方に貸し付けが行われるというふうな事態となっております。そしてまた、農家の方で話を聞きますと、通常補てんがなくなったげな、大変じゃと。でも、異常補てんで埋めたから大丈夫ですよと。では、異常補てんもなくなったらどうなるのという不安な声が随分多く聞かれます。

 このような事態に対して御当局としてどのような対策、対応をとっておられるのか、生産局長にお尋ねをします。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 御案内のとおり、配合飼料価格安定制度による補てんが行われておりまして、その基金残高は十九年度末には、通常補てん基金は約百億円の不足が生じまして、異常補てん基金も約四百億円に低下すると見込まれております。

 こうした状況を踏まえまして、委員御指摘のように、本年度、異常補てん基金から通常補てん基金への貸し付けを行っております。さらに、平成二十年度概算予算におきまして、通常補てん基金の財源不足が生じた場合には、必要な基金財源の借り入れに対する利子助成が行われるように措置するとともに、異常補てん基金の計画的な積み立てとしまして、国負担分六十億円、配合飼料メーカー積み立て分と合わせまして百二十億円の積み増しを計上しているところでございます。

 こうした対応を通じまして、今後の配合飼料価格安定制度の安定的な運用に支障が生ずることのないよう対処してまいりたいと考えております。

 以上です。

江藤委員 そのような対策を打っていただいているということは、非常に結構なことでありがたいことだと思いますが、しかし、この配合飼料価格安定制度は、若干やはり制度的に問題が生じていると言わざるを得ないのが現状でございます。

 これがずっと恒常的に右肩上がりに上がっていけば、それは農家負担もふえると同時に、補てん金も基金が枯渇しなければずっと出続けるわけでありますけれども、これは恒常的に価格が高どまりする、もしくは高どまりしてもピークアウトして下がる、下がった場面でも補給金が支給されないという制度的な欠陥があります。今までは随分この制度は非常に有効に活用されましたけれども、こういうふうに恒常的な輸入穀物の飼料高が続くということを想定して我々は政策的に立案をしていかなきゃいけないというふうに考えるわけであります。

 自由民主党としましても、五月をめどに、集中審議を進めまして、プロジェクトチームをつくって一定の結論を出そうということになっておりますけれども、私の個人的な考えとしましては、一応お披瀝をさせていただくと、この制度自体はこれで残しておけばいい、今までも生産者からトン当たり五百円、配合飼料メーカーからトン当たり千円をいただいて基金を積み増していく、これはいいことだと思います。しかし、高どまりした、下がり始めたという場面では、基金を積み増しても一円ももらえない、払うばかりでもらえないじゃないかということになってしまうわけですから、そうなると、当然、農家からも配合飼料メーカーからも不満が出る。そういうことであれば、我々としては、価格が高どまりしたときにもちゃんと農家に対して一定の補てんができるような新しい制度を創設することが有効ではないか。しかし、その場合は、発動されなければ基金の残高だけがどんどん積み上がっていくわけですから、これを、今回異常補てんから通常補てんに横に貸し付けをしたように、スムーズにこの資金の移動ができるような制度設計を交えたような新しい制度の創設ということを私は党内でも提案をしていこうと思っていますし、これは有効でないかというふうに私は考えておるわけでありますけれども、もしよろしければ大臣の御感想、御所見をお聞かせいただきたいと思います。

若林国務大臣 飼料価格安定制度につきまして、委員から、それなりの有効な役割を果たしてきたという評価をいただくと同時に、しかし、恒常的にこのような飼料高が続くというような状況になった場合には、このような状況に対応した新しい制度を考えるべきではないかというような御提案がございました。

 しかし、今の配合飼料価格安定制度を考えてみますと、これは、他のこういう生産資材にはない極めて特例的な措置としてこのような国も関与した形の制度をつくっているということ、現に、原油でありますとかその他の生産資材が高騰をしていくというような場合にも、直接的に国がこれを補てんするというようなことはしていない。そういう他の産業対策、産業政策とのバランスというようなことを考えますと、この制度自身について、恒常的に高どまりをしている状況に対応するために恒常的な生産資材補てんというようなことをするということになりますと、これは財政負担も大変な負担がありますだけに、こういう高どまりが長く続くということであれば、それに対応した生産のあり方、生産構造、あるいはさらに消費者の理解を得ながら価格転嫁していかなければ産業として長期的に続かないということもあるわけでございまして、これには慎重な検討を要すると考えております。

 しかし、いずれにしましても、今後の配合飼料価格の動向を十分見きわめることが必要だと思いますし、今後の中長期的な課題としては、委員が今御検討いただいており、また自民党内でもプロジェクトチームで検討しているやに伺っておりますが、検討の課題としては、これらを我々も検討していく問題だという認識は持っております。

江藤委員 ありがとうございます。

 非常に財政的な負担が大きい、これは重々承知をしております。しかし、今の価格が高どまりをした場合は、大体ことしの十二月で基金からの補給金の発動がとまってしまいます。ですから、長期的課題ではだめです、少なくとも中期的な課題としてこれは検討したいと思います。

 ただ、大臣の御指摘で非常に私も思いますのは、他産業とのバランス、農業政策を進める上でも他業種の方々からどうして農業ばかりそんなになんだというような批判を受けては農政の基本の根幹自体が揺らぎかねないので、これはやはり価格への転嫁であるとか消費者の理解であるとか、特に小売の方々の理解であるとか、そういったことについても引き続き我々も努力しますし、大臣にもぜひお力をかしていただきたいというふうに思うわけであります。

 続きまして、酪農のことについて少しお伺いをしたいと思います。加工原料乳の生産者補給金単価と限度数量についてでございます。

 これは、北海道はほとんどが加工原料乳向けでありますから、特に北海道の酪農家の経営を大きく左右するものであります。現在は十円五十五銭という水準になっておるわけでありますけれども、昨年度は十五銭引き上げをしました。この十五銭という額であっても大変な財務当局との攻防があった、大変な苦労があった。去年の畜酪を思い出しても、そのときのことをよく思い出します。

 しかし、今回、自由民主党の畜産・酪農小委員会でも、日本全国に散りまして酪農家の現状を見てまいりました。そうしますと、今回は十五円ではとても厳しい、そんな幅ではとてもやっていけないという悲鳴にも似た声が各所で聞かれております。ですから、こういう現状は十分に大臣も当局も御理解いただいていると思いますので、現状を十分に加味した段階での補給金単価と限度数量については決定しなければいけないというふうに思います。

 それに加えまして、今、チーズについては工場を二つつくるなど北海道で非常に前向きな取り組みをしているわけでありますけれども、これに生クリーム等を加えた拡大政策も北海道では非常に有効ではないかというふうに思うわけでありますが、生産局長に御所見を伺います。

内藤政府参考人 申し上げます。

 加工原料乳生産者補給金の単価でございますけれども、これは加工原料乳生産者補給金等暫定措置法に基づきまして、再生産を確保することを旨として生産条件等を考慮して審議会の意見を聞いて決定するというものでございまして、加工原料乳地域でございます北海道にとりまして大変大切な制度であるという認識はございます。各先生方も、現状、現地をよく視察していただきまして、現地の声も聞いていただきました。我々もそういった現地の声はできるだけ耳を傾け、そして聞きながら、この価格の算定をしていくわけでございますけれども、また、生クリーム等需要拡大している分野に対する対策ということもございました、これについてもバター、脱粉よりも高い価格で取引できるということでございますので、我々はこれについての対応というものも当然必要だというふうな認識にあるわけでございます。

 そういったことも踏まえながら、二十年度の補給金単価については、ルールはございますけれども、できるだけそういった声にこたえられるよう適正に算定してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

江藤委員 前向きなお返事をいただいたと受けとめさせていただきたいと思いますが、この単価の決定につきましては、数式がありますよね、どうしても機械的に決められているんじゃないかということが非常にあります。しかし、最近は異常事態なわけでありますから、審議会等の審議はもちろん大切に尊重しなければなりませんけれども、機械的という部分、直近の数字を入れたとか当局からいろいろな説明をいただいていますけれども、それだけではなくて、現状の、特に今苦しんでいる、急激に苦しんでいるこの事態を、やはり政治的な判断も加味した単価の決定をしていただきたいということを重ねてお願いしておきたいと思います。

 続きまして、今、北海道の話をしましたので、今度は、私は九州でありますから、都府県の話をさせていただきたいと思います。

 都府県につきましては、北海道と違いまして、七八%が飲用に回っております。ですから、牛乳が小売で幾らで売られているか、これが農家の経営に直接響くという状況であります。

 そして、こういう厳しい状況の中にありまして、メーカーに対しまして、昨年、十円の買い入れ価格の引き上げを要求しましたけれども、いろいろありましたのでしょう、結局のところ三円ということで妥結をいたしました。年内にもう一度価格交渉するということでありますけれども、三円では、とてもじゃないけれどもやってまいれません。中央酪農会議は、十何日でしたか、試算を発表しておりますけれども、キロ当たり十円。もう既に家族労働費にまで食い込んでしまっているというような厳しい状況であります。

 そして、最近、私の地元でも、木城町という小さい町ですけれども、昨年からことしにかけて酪農家が四軒廃農いたしました。そして、問題なのは、優良な者からやめている、経営状態の比較的いい人からやめてしまっているという状況が実はあるわけであります。これは何をあらわしているかというと、いかに酪農家が将来に対して悲観的な展望しか持てていないか。将来非常に厳しい、どうせだめだから今のうちにやめようというような気持ちになってしまっているということをわかっていただきたいと思います。

 ですから、特に都府県の酪農家に対しましては、非常に厳しいわけですから、飲用ばかりで小売は安いわけですから、都府県に対しましては緊急的な別途の対策が私はどうしても必要だと思います。

 それにあわせて、牛乳には非常によく売れる時期と売れない時期、需給が低迷する時期があります。そういう需給の低迷時に新しいセーフティーネットを、これはたびたび議論されてきたことですけれども、これをつくりませんとなかなかやっていけない。

 そしてまた、生産者団体が行う共補償に対しても、ここに至っては我々はある程度の支援もすることが必要なのではないかというふうに思いますけれども、生産局長、たくさん項目がありますが、なるべく簡潔にお願いいたします。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 都府県酪農は大変厳しい状況にあるわけでございます。先生御指摘のようなセーフティーネット、共補償等のお考えもお聞きいたしました。私どもは、やはり自給飼料の活用等による酪農経営の生産性向上に向けた取り組み支援ということが何よりも重要だというふうに思っております。先生の御提案もお聞きしながら、都府県の酪農経営の安定が図られるよう総合的に対策を検討してまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

江藤委員 もうちょっと深く聞きたいんですけれども、時間がありませんので、きょうはこれぐらいで、また改めてお聞きしたいと思います。

 それで、先ほど申し上げました牛乳の小売の価格について御質問をさせていただきたいと思います。

 繰り返しになりますが、都府県は七八%が飲用に回っております。牛乳の値段が最終末端で上がれば、これは酪農家の経営も当然楽になるということでありますけれども、どうもスーパーのチラシなんかを見ると、卵とか牛乳とかがどうしても客寄せの目玉商品となっているという今までの歴史があります。

 それで、私が個人的に聞いたことで、何の証拠もありませんから一応話として聞いていただければ結構なんですけれども。あるこの業界の方、すべてのメーカーが牛乳と乳製品すべての品ぞろえを持っているわけではありません、乳製品しか持っていないメーカーも日本には存在するわけであります、そういう人が、大手の小売のいわゆるバイヤー、購買担当者と話をすると、あなたのところとは余り話をしたくない、あなたのところは牛乳がないからねと。何でそういう話になるのかと話をしつこく聞いてみましたら、バターとかチーズとか乳製品は国際価格も上昇しているし消費者に対しても価格上昇の理解が得やすい、だからある程度メーカーさんの言っているような値段で買い取ることが比較的容易だ、だけれどもそれではなかなか利益が出ないので、こっちはまともな値段で買うから、かわりに牛乳を安くしてねと。つまり、どうもパッケージで価格交渉をしているのではないかというような話を私は聞きました。これは大問題だと思うんですよ。

 やはり物の値段というものは生産費が当然反映されなきゃなりませんし、生産者、流通、この辺で値段は決まらなきゃいけない。これが正常な形です。しかし、どうも牛乳に至っては、特に大型の小売業者が価格の決定権を持っているんじゃないか。こういうことであれば、これはもう完全に優越的地位の濫用なんじゃないか。

 そういうことであれば、民民の話だといってすぐお役所さんは逃げますけれども、そうではなくて、農水省としても、所管官庁なんだから農水省としても公取あたりと十分協力をして、これについては目を光らせて是正させる努力をすることが必要だと思いますが、生産局長の御所見を伺います。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 我々も、そういった小売の優越的地位の濫用につきましては、目を光らせていきたいというふうに思っております。

 したがいまして、仮にそういった優越的地位の濫用に該当する疑いがあるような事実について具体的な情報が寄せられた場合には、これは公正取引委員会に適切な対応をとってもらわなきゃいけないわけでございますので、そういったことができますよう迅速に委員会に連絡するという対応をして、目を光らせていきたいというふうに思っております。

江藤委員 前回伺ったときと同じ、通り一遍の返事をいただいてしまったわけでありますけれども、現実にはこれだけ生産費が上がっていて、そして、乳業メーカーも紙パック代も上がっている、輸送するチルドの保冷車の運搬賃も上がっている、もちろんガソリン代も上がっている。これで末端価格が上がらないというのは、どう考えても変なんですよ、だれが考えたって。どう考えても変なんですよ。明らかな証拠がないというふうに言いますけれども、客観的事実としてどこかが価格をねじ曲げているということは間違いないんじゃないですか。もうちょっと踏み込んでやるべきだと私は思いますよ。私は与党ですから、これ以上は踏み込みませんけれども。

 では、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 次に、最近、アメリカの方から随分厳しい要求がなされております。今は二十カ月月齢で制限をしているわけでありますけれども、国際基準に準じてもう月齢を全部取っ払え、それでどんどんアメリカの牛肉を買いなさいというような要求が厳しく日本に来ております。

 しかし、現実はどうかというと、最近もへたり牛の報告がありました。そして、これだけ厳しい危険部位は除去しなさいという規定があるにもかかわらず、たびたび混入があるじゃないですか。これは消費者の目から見ても、アメリカの安全水準というものは決して日本のスタンダードには達していないということが客観的に私は明らかだと思うわけですね。幾らアメリカが日本にとって重要な友好国であっても、やはり食の安心、安全というものは、最近の中国ギョーザの問題とかいろいろありましたから特に国民の関心は高まっております。これは毅然とした態度でやはり臨んでもらいたい。

 どうしてこういうことを言うかというと、もしアメリカからどんどん無制限に牛肉が入ってくるという状況になったら、今この厳しい畜産環境の中で、特に酪農における乳雄とかF1とか、こういったものが物すごい大打撃ですよ。どかんと、これ一発でつぶされてしまうぐらいの打撃があることを私は恐れています。ですから、そういう国内の畜産環境も考えて、これは大臣にもお願いしたいと思いますけれども、毅然とした態度でアメリカの要求をはねつけていただきたいということを、これは消費・安全局長にお答えいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 米国産の牛肉につきましては、現在、日米間の技術的な会合におきまして、米国側から提供された飼料規制やサーベイランスのデータにつきまして、その評価も含めた報告書の取りまとめ作業を行っているところでございます。輸入条件を見直すかどうかにつきましては、その取りまとめ結果を踏まえ対応することとしているところでございます。

 いずれにしましても、食の安全と消費者の信頼確保を大前提といたしまして、科学的知見に基づいて対応することが重要と考えております。引き続きまして、厚生労働省と連携いたしまして適切に対応するという態度でいきたいと思っております。よろしくお願いします。

江藤委員 二十カ月月齢とか全頭検査の問題を議論したときに、科学的知見、科学的知見というので結局我々は押し切られてしまったわけですけれども、全頭検査を導入した段階では、実際は極めて政治的な決断というものがそこには深く関与していたという歴史もあるんですよ、畜産の政策の歴史を考えると。ですから、これを緩和するということであれば、そこには政治的判断が、科学的知見も大切だけれども、最終的には政治的な判断も極めて重要になるということを私は最後に少し指摘させていただきたいと思います。

 時間が厳しくなってきたので、母豚についてちょっとやりたかったんですが、これは後で時間が余ったらやらせていただきます。

 これだけ国際的な飼料穀物の値段が上昇して、今後も上がるのではないか。世界的には人口も爆発する。そして、発展途上国が経済的に発展すれば、今までトウモロコシを食べていた人たちが、今度はトウモロコシをいわゆる家畜に食わせて、家畜を肉という形で食べるようになれば、どんどん需給状況はタイトになるだろうということは容易に予想されます。そういう状況であれば、日本としてもさらに飼料の自給率を上げる努力をしていかなければなりません。

 それで、自民党としてもさまざまな政策を打ってきたわけでありますけれども、ちょっと私の宮崎の話をさせていただきたいと思います。

 宮崎は、もう既に総農業生産額の六割が実は畜産で占められる、畜産大国のような県になっております。つまり、畜産がつぶれるということは、宮崎県の農業がつぶれると言っても言い過ぎじゃないだろう。ほかの農業ももちろん大切なんですよ。しかし、大きな柱であることは間違いない。このような地域で、特に我々は畜産が盛んなわけですから耕畜連携は極めてやりやすいんですよね。畜産をやっている人とお米をつくっている人が極めて隣接して暮らしている。耕畜連携がやりやすい。そういう地理的な条件があります。

 そして、産地づくり交付金等の話をしたいんですけれども、飼料米をつくろうということで今政策転換をしておりますが、宮崎の場合を少し数字を出して紹介させていただきたいと思います。

 十アール当たりですけれども、耕畜連携水田活用対策を使った場合、これで一万三千円。そして、産地づくり交付金、これは各地によって金額がばらつきますけれども、最高で出たとして五万円。そして、宮崎は暖かいところですから、飼料用の米だったら二期作ができます。二期作をやったとすると大体八百キロ、もっととれるかもしれませんけれども、八百キロとれたとすると、稲わらの販売額がキロ三十五円ぐらいで売れますから大体二万八千円。そして、この飼料米は大体キロ三十円で今取引されていますので、八百キロだとこれまた大体二万四千円ですね。これを全部足しますと十一万五千円になるんですよ。そして、補正で手当てをしていただきました三年間五万円、これは年で割ると一万七千三百円ぐらいですか、これを足しますと十二万八千円か十三万円ぐらいになる。

 ということになれば、本当は十五万円欲しいわけですから若干低いですけれども、宮崎のような特異な地域であれば、我々が農家に出向いてお願いをして、農協の方々と協力してお話をすれば、もっともっと飼料米を宮崎はつくれると私は思います。当初、五十ヘクタールでやろうかということでやったんですけれども、最終的には宮崎は七十ヘクタールまで申し込みがふえました。ですから、こういうことを考えると、耕畜連携のやりやすい地域に、我田引水的で大変申しわけないんですけれども、そういうところにこの産地づくり交付金を、全体額を積み増すことも大切ですが、集中的な投資をすることが有効なんじゃないか。

 それで、宮崎の場合は、国として平成二十七年までに繁殖母牛を十一万頭ふやそうという政策を今やっていますよね。そして、初年度であった去年は一万三千頭ふえたわけでありますけれども、宮崎で四千頭ふえました。日本一です。次が小里先生の鹿児島で、二千九百頭ぐらい。ですから、こういう耕畜連携がやりやすくて畜産を柱とする県に、やはり施策の集中というものが合理的な政策判断ではないかというふうに思うわけですけれども、生産局長の御見解をお伺いしたいと思います。

内藤政府参考人 飼料米についてのお尋ねでございます。

 まず、産地づくり交付金の仕組みを申し上げますと、これは……(江藤委員「簡単でいいよ、それは簡単でいい」と呼ぶ)わかりました。非常に弾力的な仕組みになっております。我々も、こういった産地づくり交付金が有効活用できるように、もっとそれを真剣に考えるようにということで、先般、通知を出しまして、今後の地域水田農業の将来展望、それから地域におけます飼料米等非主食用米の需要や生産の意向を踏まえながら、低コストの生産に向けた取り組みについて検討を進めるよう生産現場を指導しているところでございます。

江藤委員 宮崎は二期作をやるという話もしましたけれども、二期作の後にしって米というのが出るんですよ。刈り取った後にひゅっと生えてきて、それにもちゃんと、ちょっとだけれども米はつくんです。稲わらもとれますし米も収穫できます。そういった生産努力を地域で一生懸命やっていますので、そこら辺にもちゃんと耳を傾けていただきたい。

 そして、昨年は、二十三万トン米が余りましたよね、それによりまして国が繰り越し分を合わせて三十四万トン買い入れて、これに八百億というお金がかかったじゃないですか。こういうことを毎年できるかというと、これは到底難しいだろう、財政当局ともそういう交渉が次もできる自信などないだろうと思いますけれども。そういうことであれば、米以外どうしてもつくれないというところには米をつくっていただいて、宮崎のように、食用の米じゃなくてもいい、飼料米でもいいというところには施策を集中して、日本全体をグロスとして、生産調整を平均的にやるんじゃなくて、グロスとしてやることが私は有効だと考えますので、ぜひ御検討をいただきたいと思います。

 それでは、次も、これは時間が余ったらやります。

 次は、日本の和牛についてお話を伺いたいと思います。

 日本の和牛は、北朝鮮の偉い人も万景峰号で買って食べているというぐらい、非常に国際的にも高い評価を得ておりまして、随分輸出もされるようになりました。しかし、平成九年、十年の間に、このころに、日本から生体と精液という形でこの和牛の資源が海外に、アメリカに流出をいたしました。そして、それが最終的には豪州にも渡って神戸牛だとか和牛だとか、外国産の日本の系統を若干引いた牛が販売されて、現地ではこれは和牛だという誤解も生まれているというふうに聞いております。それで、農林水産省としては、認証マークもつくって何とかそれとの差別化を図りたいということで努力をしているわけでありますけれども、しかし、これに対してはもっと制度的に日本の国は対応していかなきゃいけない。

 日本は今BSEの発生国で、不名誉なことですけれども非清浄国ですから、非清浄国ということであれば精液も生体も輸出はできません、国際法上。これはこれで結構なことなんですけれども、いずれ日本も清浄国にならなければなりません。その努力も今している最中であります。清浄国になって七年たったらまた出せるようになるじゃないですか、生体も精液も。そういうことになると、多分アメリカのバイヤーは、宮崎あたりの競り場に来て、どんどん繁殖牛から買っていくと思いますよ。そういうふうなことをやられたら、日本の和牛は生産コストも高いし地理的条件も非常に不利なんだから、外国で大規模に和牛生産をやられたら、日本の和牛生産はやられますよ。

 そういうことも考えて、中川農林水産大臣のときに、和牛の遺伝子資源については知的財産として保護できないかという動きがありました。私も、その当時、種苗法の改正等で何とかやれないかということを研究しましたけれども、無理でした。このプロジェクトについては引き続き検討されているというふうに聞いておりますけれども、現在の検討状況、見込み、そこら辺がどうなっているのか、生産局長にお尋ねをしたいと思います。

内藤政府参考人 貴重な和牛の遺伝資源の保護、活用することを考えろということで、中川農林水産大臣の御指示によりまして検討会を平成十八年四月に設置しまして、八月に方策を取りまとめていただいてございます。

 この取りまとめの中で、委員御指摘のように、和牛の精液の流通管理の徹底、あるいは和牛表示の厳格化、海外の追随を許さないすぐれた和牛の生産のための改良・生産体制の強化、それから効率的な特許の取得、こういったことが四本柱としてまとめていただいたわけでございます。

 現在、その取りまとめに沿いまして、平成十九年度には、県や大学の研究者等から成ります和牛知的財産権取得・活用推進協議会を設立しましたほか、精液ストローの流通管理の厳格化のためのバーコードなどを用いましたモデル事業の実施、また、平成十八年度末に策定されました和牛表示のガイドラインの普及啓発、それから、和牛肉の海外輸出の際に添付するための和牛統一マークの策定といったことを進めているわけでございます。

 今後とも、やはり和牛は我が国の財産であるという意識を広く醸成していただきながら、検討会で取りまとめた内容の具体化を引き続き図っていきたいというふうに思っております。

 以上でございます。

江藤委員 引き続き努力をしていただいていることはよくわかりました。しかし、ちょこちょことBSEが発生していますから、タイムリミットは先に先に延びていますけれども、しかし、悠長なことを言っていると清浄国になって七年たっちゃいますので、なるべく早く一定の方向性、結論が導き出せるように、さらに活発な議論、検討を進めていただきますように、それは法制当局とも議論を重ねていただきたいと思います。

 それでは次に、ちょっと養豚についてお話を伺いたいと思います。

 地域肉豚生産安定基金造成事業についてお伺いさせていただきます。

 現在、国が、これについては四百円ということで発動の基準価格を決めているわけでありますけれども、それぞれの地域によって、三百七十円から四百十円ということで発動の基準価格は違います。宮崎の場合は三百八十円ということで決まっております。

 もう今までるる話してきましたように、穀物飼料価格、物財費、それから燃料費、いろいろなものの値段が上がっているわけでありますから、当然、この発動基準価格というものは昔と状況が変わったということで引き上げることが有効だというふうになりますし、そうでなければならないだろう。さらには、そういうことをすることによって、若干加入率が低いという問題があります、こういった加入率を上げるということにもつながっていくんじゃないか。そして、現在も、加入率は低いとはいっても、生産者が積み立てた金が二百億ぐらいありますよね。生産者から見てみれば、二百億あるんだからこれを何とかうまく使ってくれよという声が非常に強いです。ですから、この二百億の積み立て分について、この基金の活用についてどのようにお考えになっていらっしゃるのか、生産局長のお考えを伺いたいと思います。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、基金の残高でございますけれども、生産者分五十億円、それから国の分が五十億円という状況でございます。こういった基金があるわけでございますけれども、近年、豚肉価格は堅調であるということから、発動には至っていないわけでございます。

 当然、生産者からは、配合飼料の高騰等もございまして、地域保証価格の引き上げ、それから基金の有効活用というものが求められているわけでございます。

 ただ、こうした地域保証価格、あるいは安定基金の発動基準価格を引き上げますと、結果としまして生産者積立金を引き上げるということにもつながるというふうな課題もあるわけでございますので、こうした点にも留意しながら、畜産物の価格の決定にあわせまして検討してまいりたいと考えております。

江藤委員 価格が堅調だという御指摘が局長からありましたけれども、価格は確かにほかのところに比べれば豚肉は今いいですよ。だけれども、価格はここにあっても、かかっている金は余計にかかっているわけだから。価格が高いからいいという話にはならないわけですよ。それで、この基準を上げたからといって、すぐに農家負担、掛金の引き上げというふうにつなげるというのも、私は若干おかしいんじゃないかと思いますね。

 それで確認ですけれども、これは百億なんですね。私、二百億とさっき言いましたけれども。(内藤政府参考人「百億です」と呼ぶ)百億なんですね、それは後で教えていただければいいです。

 とにかく、これは畜産、養豚を取り巻く環境が変わったんだから、それに基づいて制度も柔軟に上に下にスライドするということについて、余り固執しない方が私はいいのではないかということを指摘させていただきたいと思います。

 あと十分ぐらいしかありませんので、次に移らせていただきたいと思います。

 次は、養豚農家の経営安定対策について少し伺いたいと思います。

 養豚経営の安定のためには、やはり経営の効率化とかいろいろなことが必要でありますけれども、その中で一番すぐにきく対策としてあるのは事故率を下げること。事故率を下げれば出荷頭数がふえるわけですから、ストレートに農家の収入はこれによって上がるということでありますから、事故率の低下は農家も一生懸命努力していますけれども、なかなか自助努力では限界があります。そしてまた、今残っている養豚農家というのは、非常に努力をした農家が残っているという現状もあります。

 そんな中で、最近ではサーコウイルスのワクチンを申請したわけですけれども、今までと違って六カ月を切る、四カ月半ぐらいの早い期間で非常に早く認証していただいて、そういうことについては、御当局の対応について現場も非常に感謝していますし、高く評価もさせていただきたいと思います。

 そして、私の地元では、先進的な養豚農家はオールイン・オールアウトというやり方を一生懸命導入して効果が上がっています。これはやはり有効だということが現場で証明されていると思います。そういうことであれば、養豚農家のこういう取り組みについて国はさらなる支援策を拡充すべきではないか、そのことが養豚農家の経営安定に直接つながるんじゃないかというふうに考えるわけでありますが、これは生産局長に御答弁をお願いします。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 養豚経営におきましては、豚呼吸器複合感染症などの疾病防止によります事故率の低減ということが非常に重要なわけでございます。このためには、豚舎の洗浄、それから消毒の徹底などの基本的な衛生対策を実施することが重要でありますけれども、その上で、豚の群管理が容易で慢性疾病の伝播を最小限の範囲で食いとめることができますオールイン・オールアウト方式の導入が極めて有効であると我々も考えております。

 このため、これまでも地域養豚振興特別対策事業によります衛生管理の改善に必要な器具、機材の導入に対する支援は行っているわけでございますけれども、今後の養豚経営におきまして、飼料価格高騰に対処していく上でも、このような事故率低減ということを初めとする生産性向上をさらに進めていくことが重要であると考えておりまして、畜産物価格の決定とあわせまして必要な対策について検討していきたいと考えております。

江藤委員 検討するということは、拡充するというふうに判断してよろしいんですか。余り突っ込みませんけれども、そういうふうに私は受けとめさせていただきます。

 次に、さらに養豚関係なのでありますけれども、環境省に排水基準についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 本当のところを言いますと、硝酸性窒素類については一リットル当たり百ミリグラム以下でなければ排水してはいけないという国内基準があるわけでありますけれども、現場の情勢も十分に勘案していただいて、やはりできることとできないことがありますから、一生懸命やった結果、これがぎりぎりのところだろうということで、現在は三年間の時限的な措置としてリッター当たり九百ミリグラムということに今抑えていただいていますよね。これは非常に感謝をしているわけであります。これはずっと続けるか、もうちょっと緩めていただきたいというのが正直なところであります。

 もしこれをさらに厳格化するということであれば、私はやはり国に責任があると思いますよ。農家にきちっとやれ、きちっとやれと言うのではなくて、もちろん補助事業で曝気槽とか浄化槽の設備については補助をしていますけれども、それだけでは足りなくて、やはり新しい技術の開発であるとかそういったものについて国はもうちょっと深く関与することが必要なんじゃないか。

 そして、私が非常に危惧するのは、地元の養豚農家の方々が、例えば内水面の方々、地域住民の方々、沿岸漁業の方々、そういう方々とたびたび非常に意見の対立があるんですよ、特に色について。色がついていると、安全だというふうに科学的に立証されていても、客観的に見るとこれは危ないんじゃないのというふうに言いやすいですよね。皆さん方の責任だとは言いませんけれども、九百ミリに緩和してくれているのは環境省さんじゃないですか。ですから、内水面であるとか地域の人たちの理解を求める、そういうところで、今は何か当事者同士で話し合ってくださいという形で丸投げのような格好になっちゃっていますけれども、もう少し皆さん方のようなオーソリティー、権威のある人たちが行って説明をしていただければ地域の理解も深まります。そういうことをしていただかないと、養豚農家は地域で肩身の狭い思いをするんですよ。そういうことについて少し環境省の努力が足りないんじゃないかというふうに私は思うわけでありますが、御所見を伺いたいと思います。

竹本政府参考人 ただいま御指摘のありました硝酸性窒素類につきまして、既に江藤委員御指摘のとおり、技術的な観点から検討しまして、直ちに一律の基準適用というのが困難である、こういうことで、畜産農業など特定の業種に限りましては一定の期限を設けて暫定排出基準を設定しておるところでございます。

 環境省としましては、まさにただいま御指摘のありましたとおり、この技術的な観点からも助言などを通じまして、できれば一律基準の方向で、いろいろな技術開発の面で応援をしてまいりたい、これからも努力をしてまいりたいと思います。

 また、先ほど申し上げましたとおり、暫定排出基準の設定に当たっての考え方を関係方面にきっちりと周知を図っていきたい。そういう意味で、農水省を初めとする関係省庁でありますとか、また地元関係地方公共団体とも連携をとって、しっかりと関係方面の周知を図ってまいりたいと思っておるところでございます。

江藤委員 ぜひそういう方向でよろしくお願いをします。

 そして、養豚農家の経営に係る経費の中で大きい部分が排水の処理なんですよ。これについてきちっとした指針も示していただきたい。いろいろな業者さんがいて、安くていいですよと言って、取り入れてやってみたら二年で壊れちゃったとか、使い勝手が悪かったとか、うまく機能しなかったとか、地域住民に怒られちゃったとか、いろいろなことがありますからね。ただ補助をすればいいということではなくて、何かしかるべき基準のようなものも、これは農水省さんと協力をして、曝気槽とかかわるべきものだ、浄化槽とかかわるべきものだというような一つの基準を設けることも今後の課題として必要じゃないかというふうに私は思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、少し時間がありますので、先ほど飛ばした部分に戻りたいと思います。

 これについては消費・安全局長にお伺いをしますけれども、なかなか前向きなお話はしないと思いますが、現場の声として聞いていただきたいと思います。

 今、都府県の酪農家が非常に経営が苦しいという話は繰り返し繰り返しさせていただきました。何とか収入をふやしたいということで努力をしています。そして、何か売れるものがないか、そういう発想の中で、これは酪農家と養豚農家の人たちと話していて聞いた話なんですけれども、今、乳用牛が病気になって治療をしますと抗生物質なんか打ちますよね、そうなると搾った乳の中にも当然抗生物質が残留する。そういうことは安全基準上まずいので、生乳としても販売することはできません、これはもう当然だと思うんですね。食の安心、安全ですから。これについて文句を言うつもりはありません。

 ただ、私が言いたいのは、最近、養豚農家はリキッドフィーディング、液状でえさをやるということが非常に効果的だということで、エコフィーディングも含めて、リキッドフィーディングの方向が今進んでいます。そんな中で、もちろん、出荷まで日にちのないような豚にはとてもあげられない、抗生物質が残留しているわけだから。だけれども、例えば母豚であるとか生まれたばかりの子豚であるとか、そういった影響のない部分については大丈夫なんじゃないか。

 そして、そういうものの集配業務についても、地域は助け合いですから、養豚農家の方々が国がいいと言ってくれれば我々はローリーを引いていって酪農家からそういう乳をもらってきて、自分たちで搬送業務についてもやる、そういうことまで言ってくれているわけですよ。それだけ酪農家の経営が厳しいということを養豚農家も理解をしてくれている。地域の助け合いの気持ちなんですね。

 ですから、食の安心、安全というものは、とにかく何が何でも守らなきゃいけない最低限の国の責任でもありますし、これを緩めろと言うつもりはありません。ただ、科学的な検証を進めていただいて、リキッドフィーディングでちゃんと使途を限定してやるのであれば、酪農家の収入に少しでも寄与することができるんじゃないかというふうに思うわけですが、安全局長、ぜひ御所見をお願いします。

佐藤政府参考人 御説明を申し上げます。

 ただいまの御提案につきましては、抗生物質の混入などによって食品として流通させることはできない生乳であるけれども、その有効活用という観点から豚に飼料として使うことはできないかという趣旨だというふうに理解をしております。

 しかしながら、有害畜産物の生産とかあるいは家畜等の被害を防止するという観点から、飼料安全法におきまして、飼料は飼料添加物として指定されたもの以外の抗生物質を含んではならないということにされているところでございます。抗生物質が混入した生乳を、子豚とか母豚あるいは種豚の飼料として使用することは認められていないところでございます。御理解を賜ればと思っております。

 いずれにいたしましても、抗生物質等の混入により廃棄処分とされる生乳をできるだけ少なくするということが基本でございます。このため、乳牛への抗生物質の使用につきましては、薬事法に基づく使用基準を遵守するとともに、生乳生産管理の徹底によりまして、生乳に抗生物質が残留しないように指導してまいりたいというふうに考えているところでございます。

江藤委員 飼料安全法の話は会館の方でも伺いましたし、よくわかるんですけれども、例えば抗生物質を投与して何日間はいけませんよとか、そういう基準はないじゃないですか、実際。それは牛によって差があって、いつまでも抗生物質が出るものもいるし、すぐにそれが出なくなるようなものもいるわけですよ。そこら辺を柔軟に、なるべく現場の要望を引き受けて、我々は、酪農家の経営が厳しいということで、これが一番の今の畜酪対策のかなめなわけですから、余りかたくなに言わずに検討ぐらいはぜひしていただきたいなというふうに思います。

 あと数分残っておりますので、肉用牛のことについて少しお伺いをしたいと思います。

 肉用牛、特に和牛、これの生産基盤を支えているのは、何といっても繁殖です。繁殖農家がいなければ、肥育農家もいないし、流通業者もみんな成り立たない。やはり、子牛を生産してくれるということが一番のすそ野になって、ここを守っていかなきゃいけないわけでありますけれども、現場を見てみますと、非常に高齢化が進んでいます。私の田舎の競り場に行っても、本当に腰を曲げたじいちゃん、ばあちゃんがやっと牛を引いてくるというような場面によく遭います。

 最近の競り場に行きますと、今までは子牛が高かったので、体もきつい、もう年だけれども牛をやっておけば楽しみもある、ぼけ防止にもなる、そして収入もいいから子供たちにお年玉なんかも十分にやることができるということでありますから、ちょっと頑張って続けようということでありましたけれども、こういう人たちが最近の子牛価格の下落で、特に二、三頭しか飼っていない少頭飼いの高齢者の小規模農家、そういうところがやめる傾向が非常に強いんですよ。そういうことであれば、こういう方々の労力の負担軽減をするために、牛を引くであるとかいろいろ地域の協力はしていますけれども、行政としても何らかの協力はできないのか。

 ついでに、最近の生産費、そういうもののアップによりまして、肉用子牛の保証基準価格についても、適正にこれが価格に反映されるようにすべきではないかと思いますが、最後の質問、生産局長、どうぞよろしくお願いします。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 肉用牛繁殖経営におきまして、小規模、高齢者層が大変だ、苦労されているということは聞いておるわけでございまして、そういった方々の労働負担の軽減を図るためということで、十九年度から予算を増額しまして、肉用牛繁殖基盤強化総合対策事業というものを措置しまして、繁殖雌牛の増頭対策、あるいは地域の特色ある肉用牛振興対策を実施しているほか、肉用牛ヘルパー活動の組織化、あるいは要員の確保などを通じたヘルパー利用の推進活動にも支援しているところでございます。

 今後とも、こういった方々の労働負担の軽減等、経営が継続できるよう本事業の活用を進めてまいりたいと考えております。

江藤委員 これで終わります。ありがとうございました。

宮腰委員長 次に、西博義君。

西委員 おはようございます。公明党の西博義でございます。

 早速質問に入らせていただきたいと思います。

 初めに、食の安全の確保についてお伺いをしたいと思います。

 二月の十五日、我が党の太田代表が福田総理と会談をいたしました折に、特に中国製冷凍ギョーザの中毒事件を契機にしてでございますけれども、日中両国で食の安全確保等を協議する機関の設置を提言いたしました。

 これに関しましては、二〇〇五年四月に中国政府と覚書を交わして、国家質量監督検査検疫総局という組織との間に協議が仕組みとしてはできているというふうにお聞きしているんですけれども、まず、このルートにつきまして、どのような役割を果たしているのか、お聞きをさせていただきたいと思います。

藤崎政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省と中国側の輸出食品の検査を所管する国家質量監督検験検疫総局との間では、食品安全分野における日中間の交流及び協力の促進を目的として、平成十七年四月十三日、当時の尾辻厚生労働大臣と李長江総局長との間で協議の仕組みに関する覚書を結んでおります。

 この協議の仕組みにおきまして、両国間において、食品安全に関する課題についての協議、法令や規則及び基準に関する情報交換、検査技術に関する情報交換、問題発生時の協議等を通じ、食品衛生の技術的問題について対応を図るということにしております。

 今後とも、この協議の仕組みを活用して、さまざまな問題が発生しましたときに問題解決に努めていくこととしたいと考えております。

西委員 現在は、例の中国で生産された冷凍ギョーザ中毒事件、これは原因が解明されておりません。しかしながら、異常に農薬濃度が高いということで、残留農薬の濃度だけではなかなか理解しがたい部分もあるように思います。

 そういう意味で、故意に行ったことなのか、それとも、過失、何らかの形で混入したのかということがはっきりしていないんですが、こんなような事件が発生した場合に、先ほど御説明いただきましたそのルート、協議機関ではなかなか対応できないのではないかというふうに思います。そんな意味で、別の政府間のルートが必要ではないかという意識を持っております。まさしく、太田代表が提案されたこともそのような内容を含んだものではないかというふうに私は理解しております。捜査当局も中国公安省へ人を派遣して捜査協力の強化に取り組むというニュースも流れておりますが、ぜひ真相を究明されるように期待をしているところでございます。

 さて、今回の問題は、BSE問題に引き続いて、輸入食品で健康被害が生じるもしくは生じるおそれがあるという問題に対してどのように対処するかという課題を突きつけているように思います。今回の問題が犯罪ではなかった場合、今後の対応についてまずお伺いをしておきたいと思います。

 チェック機能の強化が求められていますが、検疫には過度に期待するわけにはいきません。これだけの大量のものが、大量の種類が入ってくるということで、これは限界があるというふうに思います。

 中国産の冷凍ホウレンソウ問題における登録制度、これはうまくいっているようにお聞きしておりますが、またはBSE問題における対日輸出プログラムというようなものを今後求めていくお考えがあるのかどうか、お伺いをしたいと思います。

藤崎政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の中国製の冷凍ギョーザに関しまして、いまだ原因が明らかでないということでございまして、私どもまだ予断を持って対応するという段階ではございませんけれども、やはりさまざまな再発防止対策をとっていくということは、現時点でできることをやっていくということは重要であろうというふうに考えておりまして、一昨日の二月十八日でございますが、厚生労働省におきましては、本事案発覚以降のこれまでの経緯を踏まえまして、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会におきまして、今後の再発防止策について御説明をさせていただいたところでございます。その中で一つの柱が、健康被害等の情報収集システムの徹底をする、もう一点が、輸入加工食品の安全性確保に努めるということで、具体的な対応をお示しして委員の先生方に御審議いただいたところでございます。これらの再発防止策は、全体の流れとしては関係閣僚会議での私どもの御説明の内容を具体化したものということになっておりますが、いずれにいたしましても、そのような取り組みを着実に進めてまいりたいと考えております。

 また、先生の御指摘の輸出国政府に対しての関係でございますけれども、これらにつきましては、先ほど申し上げました協議の枠組みを十分に活用して、必要な協議、あるいは現地での調査、査察等々を組み合わせながら鋭意進めていくことがよろしいのではないかと現在考えておりますけれども、この間、中国政府からもこちらにチームが派遣されて日本側チームと協議をいたしておりますし、またこちらからも調査団が現地に行ってさまざまな情報収集を行っておりますので、そういうことをまずは進めながら、鋭意、先生御指摘のように、対応のおくれがなく、十分な両国の協議を進めて再発防止が行われるように努めてまいりたい、このように考えております。

西委員 情報収集も、保健所等を活用してかなり迅速に国民の健康被害等について集約していくという方向も出たようですし、期待をしたいと思います。

 最近、農薬の種類も複数になってきておりますし、製造会社も複数になってきて、そういう意味での広がりも若干出てきているというふうに思いまして、これは早急に、総力を挙げてこの課題に対して、解決の、まずは真相究明を行っていただきたいということを要望申し上げたいと思います。

 続きまして、時間に限りがありますので、畜産の安定対策についてお伺いしたいと思います。

 先ほどもお話がありましたように、最近の飼料、原油等による生産コストの高騰、これが畜産の経営を大変圧迫しているということでございます。したがって、畜産物の価格については、こうした状況を踏まえて、価格の引き上げ、それから畜種別の経営安定対策を強化していくということが強く求められます。

 現在の配合飼料価格安定制度は、必ずしも現在の状況に対応しているとは言い切れないというふうに私は思っております。つまり、急激な価格の上昇、長期的な価格上昇が続く場合、それから高どまり、こういうときにはうまく機能していかないのではないかという気がしておりまして、まず基金が枯渇する、借り入れによる補てんは生産者とメーカーの負担増となる、それから補てん効果が薄れる等の問題が指摘されるわけでございます。

 米の収入減少影響緩和対策など農業、畜産業関連の経営安定対策は、基本的に価格の乱高下を想定した仕組みでございまして、急激な変動、一方的な変動、高どまり、それから長期の低迷、こういう価格動向に対してなかなか追随していけないという側面があります。

 価格転嫁がなかなかできない農畜産物の特性を踏まえて、経営安定対策の見直し、もしくは直接支払い制度の導入などを今後検討すべきではないかと思いますが、御見解をお願いいたします。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、畜産におきましては、委員御指摘のように、畜種ごとに需給それから価格の動向が異なっておりますので、畜種別の経営安定対策というものを講じているわけでございます。直接支払いというお話もございましたけれども、そうなりますと一律の助成となってしまいまして、畜種別のそれぞれの実情にうまく対応できるかという難しい問題があるわけでございます。

 私どもとしましては、配合飼料価格安定制度による農家負担の激変緩和措置が講じられている間に、まず何よりも、自給飼料の生産拡大、あるいは生産性向上、生産コストの上昇の小売価格への適切な反映のための環境づくりを進めることが重要であろうと思っております。

 こういった必要な対策につきましては、畜産物価格の決定におきまして、畜産経営の安定が図られるよう検討してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

西委員 次に、日本の農畜産物の輸出について一点お伺いしたいと思います。

 ハラール食品というものがあります。皆さん余りお聞き及びでない方もいらっしゃるかもしれませんが、ハラールというのは、イスラム用語で許されたまたは合法のという意味だそうです。ちなみに、ハラームという言葉もあって、これは逆の意味で、食べてはいけないものということのようです。イスラム教徒が食べ物を選ぶときに最も重視するのが、この食べ物がハラールであるかハラールでないかということでございます。ハラールであるかどうかは、その品物の原料やつくられた過程によって決まっていく。例えば、イスラム教徒は豚肉を食べませんので、原料に豚肉、豚の脂などが使われたり、お祈りなどの正しい方法で屠殺したものでないとハラールとは呼べないということのようです。

 政府は、我が国農林水産物・食品の総合的な輸出戦略というのを策定しておりまして、重点個別品目の牛肉については、アラブ首長国連邦、UAEを重点国の一つとして位置づけております。UAEへの輸出は、BSE問題以降、輸出できない状態になっていることは事実ですが、最近、BSEに関してはUAEの理解も進み、輸出再開へ一つのハードルを越えられそうですが、別のハードルとして、ハラールへの対応について交渉中である、こういうふうにお聞きをしております。私も、その周辺国からの引き合いというものも個人的にはお聞きしたことがありますし、輸入させてほしいという要望はあるように伺っております。

 しかし、残念ながら、日本では輸出用のハラール食品への対応がほとんどできておりません。輸出を本当に戦略的に進めるのであれば、こうした課題に対してしっかり対応していかなければいけないというふうに思います。行政の取り組みについてもっと強化してはどうかというふうに思いますが、御回答をお願いいたします。大臣、お願いできますか。

若林国務大臣 我が国が、良質な食料につきまして、国際的な評価も高まってきております。安心、安全な、そしておいしい農産物を外国に供給していく、輸出していくということは、ひいては我が国の食料供給力そして自給率を高めるということにもつながっていくわけでありますので、一兆円に達することを目標にしまして、今、輸出にドライブをかけているところでございます。

 牛につきましては、我が国でBSEが発生をしたということから日本産牛肉の輸入を禁止しておりますイスラム諸国に対しても、これまでも輸入解禁の要請を続けてまいりました。特にアラブ首長国連邦につきましては、昨年十二月にムハンマド・アブダビ首長国皇太子が来日されまして、私、皇太子に面会をさせていただきまして、私自身が輸入の解禁を要請したところでございました。その際、皇太子は、担当大臣とその場で協議をしながら、積極的に前向きに検討する、協力するということを約束いただいたところでございました。

 そうしましたら、ことしの一月になりまして、アラブ首長国連邦の日本国大使館の方から、日本産牛肉の輸入を許可するという意向が示されました。というのは、その国で省令を決めなきゃいけない、省令が出されたという報告を受けました。そこで、現在、実際の輸出に当たって必要な、おっしゃるようなハラールの認証の具体的な手続をアラブ首長国連邦の方と確認し、その意向を受けてできるだけ早く輸出できるようにしたいというふうに考えております。

 今後とも、首長国連邦を含めたイスラム諸国への牛肉輸出の実現に向けまして、厚生労働省の協力を得ながら輸出解禁の手続を戦略的に進めていこう、こう思っておりまして、宗教上の要件についても情報を収集し、慎重に民間の事業者に対して情報提供を行うなど、積極的にこれに取り組んでまいりたい、こう思っております。

西委員 大臣みずから農畜産物の輸出促進に尽力されていること、本当に感謝申し上げたいと思います。これからは日本のおいしい農畜産物をいかに海外に出していくかということも一つの大きな側面だと思っておりますので、ますますの御活躍を期待申し上げます。

 次に、小麦についてお伺いいたします。

 先日、輸入麦の政府売り渡し価格が決定いたしました。買い入れ価格に上乗せしているマークアップは政府管理経費及び品目横断的安定対策の経費に充てることになっているということでございますが、マークアップによる歳入総額、政府管理の経費、それから品目横断的安定対策経費等がそれぞれ幾らになるのか、教えていただきたいと思います。

 また、昨年九月から買い付け価格が売り渡し価格を上回っておりまして、その差額分は財政負担ということになると思いますが、その負担額についてもあわせてお伺いいたします。

町田政府参考人 お答え申し上げます。

 輸入麦の政府売り渡し価格でございますが、直近八カ月の買い付け価格の平均値に港湾諸経費及びマークアップを上乗せした価格で設定するという仕組みになっているところでございます。このマークアップでございますが、麦の自給率の向上を図るため、国内産麦の生産振興経費の一部として使用するということになっております。

 お尋ねの麦の収支状況でございますが、十九年度予算におきましては、輸入麦に係ります売買差額として七百六十五億円を見込んでおります。この中から保管料、事務人件費等の政府管理経費を控除いたしました六百十億円を国内産麦の生産振興経費の一部に充当することとしていたところでございます。

 しかしながら、実際、最近輸入麦の買い付け価格が大変高騰しております。輸入麦に係ります収支は約五百億円悪化しております。国内産麦の生産振興経費を加味いたしました麦全体の収支でございますが、八百二十億円程度の赤字というふうな見込みになっております。

西委員 今お聞きのように、なかなか先が読めない状況の中での価格決定ですので、これもまた畜産と同様難しい決定を迫られるということになると思います。

 先ほどお話がありましたように、マークアップの歳入の一部は、これは全額といいますかそれだけがという意味ではないんですが、国内小麦の振興に使用する仕組みになっております。

 しかし、これは直接的にやるのではなくて、国内小麦の振興とは切り離した方がいいのではないかというふうに私は思っております。国内の麦の生産振興は、額がきちっと押さえられるような形の方が、一部に使っているというその一部がどれだけを必要とするのかという議論がどうしても出てくるような気がしまして、一般財源でやった方がいいのではないかという考えを持っております。マークアップの歳入は、基金化して買い入れに使うとか、売り渡し価格の急激な変動を吸収するためにそこの部分でうまく回していくというようなことを考えるなど緩和措置として利用する、それで振興策は振興策として一般財源でやるというようなことを考えたらいいのではないかというふうに思っております。

 仕組みができたばかりですからすぐにということではないかと思いますが、このことについてお考えをお聞かせいただきたいと思います。

町田政府参考人 マークアップの徴収につきましての御意見を今拝聴させていただきました。

 最近の輸入麦の買い付け価格の上昇という中で、実際上のマークアップ額は大変大きく低下している、御指摘のとおりでございます。国内産麦の生産振興には、従来に増して一般会計からの資金を多く使用するようになっているところでございます。しかしながら、麦の自給率の向上を図るという観点から、私どもとしては、ある程度のマークアップを徴収するということは必要不可欠ではないかというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、今後とも、国内産麦の品質や生産性の向上を図りながら、ニーズに応じました国内産麦の振興に努めてまいりたいというふうに考えております。

西委員 マークアップそのものが最終的に価格変動に大きく左右されるということと、それから、品質の向上、生産効率の向上に直接つながるというところにいくというよりも、価格の底上げみたいな形の意味合いが強いような気がしますので、やはり将来的にはまたいろいろと御議論はいただきたいなというふうに思っているところです。

 最後に、時間がそろそろ参りますので、一点お聞きをしたいと思います。

 政府は、食料の未来を描く戦略会議を設置して、国民に対する食料の安定供給の確保を図るための方向性について議論をしているというふうにお聞きしております。こういう時代にあって、大変大事な内容を議論していただいているというふうに思っております。

 現在は、中国製の冷凍ギョーザ中毒事件や穀物の高騰などを背景として、輸入に頼る日本の食、食料自給率の問題一つとってみてもそのとおりなんですが、これを見直す絶好の機会ではないかというふうに思っておりまして、そうした食の未来図を描くに当たって、日本農業の課題となっている冷凍野菜への取り組みや麦など穀物にかかわる政策のあり方、こういうものもぜひとも戦略的に御検討いただきたい、こういうふうに思いますが、最後に農水大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

若林国務大臣 今、委員の方から、食料の未来を描く戦略会議のお話をいただきました。

 総理もメンバーに入っていただきまして、各界の有識者の皆さん方、これは、農業に通じているという方だけではなくて、国民生活、食生活などについて造詣の深い方にも入っていただくなどいたしまして、今の四〇%を割るような事態になりました日本のカロリーベースにおける食料自給率の低下というものをどう受けとめていくのか、国際環境の急激な変化の中にあって、今後とも国民に対する食料の安定的な供給という国家の役割を果たしていくためにはどうあるべきか。

 それらの議論を踏まえながら、やはり基本的には、国民の皆さん方の御理解を得なければこれは実行が難しいわけであります。特に、食生活と非常にかかわりが深いんですね。一番日本の風土に適しております米が、今なお年々消費が減退をしている、そのために、自給率にもいろいろ影響を及ぼしてくるわけですね。そういう意味では、もう一度お米を見直しながら、日本型の食生活というものをどう理解し、そしてこれを健康の面からも進めていくのか、そういう中で食料自給率の確保にも資していかなきゃいけない、こういうふうに考えているわけでございます。

 こういうような中で、当委員会においても議論されていますように、バイオ燃料の作物に対する需要の拡大、地球規模の気候変動の農業生産への影響など構造的な要因がありまして、昨年秋から急激に穀物需給が引き締まっております。そういう意味では、食料の多くを海外に依存しております我が国におきましては、食料の安定供給を将来にわたって確保していくためにはどうしても国内の農業生産の増大を図ることが基本であるということを再確認しながら、これに輸入と備蓄とを組み合わせながら安定的な供給を図っていきたい、こういう考えでございます。

 そういう考え方に基づきまして、食料の安全保障という観点でこれを確保するためには、平常時から食料の自給力を高めていかなきゃいけない。食料の自給力というものを決める要素というのは、やはり農用地と水ですね。さらに、これらを活用して生産を行う農業の担い手でございます。そして三つ目は、非常に大事な要素でありますけれども、生産現場においてそれが実際に実行されるような農業技術の開発普及というのが大事だ。これが三要素になっている、こういうふうに考えているわけでございまして、そういう基本的な、食料自給力を維持し向上を図るための、今申し上げました農地や農業用水、農業資源の確保とか担い手の育成だとか、あるいは新しい技術の普及だとか、そういったような取り組みをさらに一層強めていこう、こう思っております。

 さらに、来年度、二十年度からは、農林水産省の中に、国際的な食料需給などの情報を一元的に収集、分析、そしてこれに基づく政策の企画立案を行うという意味で、組織の再編成をいたしまして、食料安全保障課というものをお願いいたしておりまして、そういう体制をしっかりと組み立てていきたいと思っております。

西委員 非常に前向きな御議論をさせていただきましたが、まさしく、今までの農政ではなくて、世界の中の農業、生産だけではなくて、経済の中の、世界経済の中で日本の農業はどうあるべきかという大きな枠組みの中で、我々の考え方を大きく変えていく時期ではないかと思っております。同時に、その年々の状況等も把握をしていただきながら、日本の農業が安定的に国民の食料を供給できるような体制をつくるために、今後ますます活躍をいただきたいと思います。

 以上で終わります。

宮腰委員長 次に、仲野博子君。

仲野委員 おはようございます。民主党の仲野博子でございます。

 本日は、私、この質問をするに当たって、地元の酪農家の生産者の方たちあるいは関係者の方たちと、現実、本当に今厳しい状況であるという切実な生の声をいただいてまいりました。

 ある農家の女性の方と、奥さんでありますけれども、お話しさせていただいたときに、涙を潤ませてこうおっしゃっておりました。働けども働けども収入につながっていかない、借金だけがどんどん膨らんでいくと。夜になると、夫婦の会話は、どうやったらこの借金を返済できるのかと。もう家族として生活さえ営むことができない。

 そういった涙を潤ませて語っていただいた奥さんのあの顔を思い出すと本当に切ない思いでありますけれども、日本の酪農業がこれからそうあってはいけない、しっかりとした希望の持てる営農ができるような構造改革が必要でないのかなということを、その視点に立ってきょう質問させていただきたいと思うわけであります。

 平成十八年度から減産型計画生産を実施する中、昨今の飼料価格の高騰などを背景に、今私が申し上げたように、生産意欲が非常に大きく減退しているという実態にあります。一方、乳製品の国際需給の逼迫、乳製品需要の増加、本年度末からのチーズ工場の本格稼働を背景に、二十年度の計画生産は三年ぶりに増産を決定したところであり、加工原料乳の安定的な確保が求められております。

 こうしたことを踏まえ、加工原料乳生産者補給金の単価については、加工原料乳の再生産を確保し、生産性向上に取り組んだ生産者の努力が報われるよう、適正に価格を算定することが重要と考えます。

 また、加工原料乳生産者補給金の対象外であるチーズや発酵乳の原料用の生乳には、三カ年の生乳需要構造改革事業によってある程度の補助がなされておりますが、チーズ増産が本年度末から本格的に始まることを踏まえて、チーズ用生乳対策の一層の充実強化が求められるところでございます。

 チーズなどの加工用生乳対策について、大臣の具体的な対応方針を伺いたいと思います。大臣、よろしくお願いいたします。

若林国務大臣 チーズなどの需要が拡大をし、これに国内で対応する体制を組み立てて、いよいよその生産体制が整ってきたということに期待を持っているわけでございます。そのために、生乳需要構造改革事業というものを十九年度、二十年度、二十一年度と三カ年間で実施することにしておりますが、国際化の進展などを踏まえながら、需要の伸びがさらに期待でき輸入品との一定の競争力を有するチーズだとか、鮮度が重視されるような液状の乳製品、発酵乳向けの生乳の供給を拡大しようとする生産者団体を支援していこうということで組み立てた事業でございます。

 この事業につきましては、北海道において大手乳業三社のチーズ新増設工場が十九年度末から順次稼働を始めておるわけでありますが、チーズ向けの生乳供給量が二十一年度にかけて約三十万トン増加するということを念頭に置きまして、さらに、本年度、三年間の事業の中でございますが、総所要額二百三十七億円を措置しているところでございます。

仲野委員 今大臣からお答えいただきましたけれども、どうしてもチーズ向けで出してしまうと、生産者である酪農家の手取りの確保、またはそういった意味から、今大臣がこの三カ年において二百三十七億予算措置をされているということでありますけれども、本当に具体的に、果たしてこの額でいいのかどうなのか、そういったことをしっかりと試算されて行ったのかどうなのか。

 私としては、これだけの厳しい現状にあることを考えますと、例えば、先ほどもほかの委員からも質疑があったんですけれども、生産費と販売価格の差額について直接支払いを行う方式を導入するなどの、そういった考え方も必要でないのかなと思いますけれども、改めて大臣の見解を求めたいと思います。

若林国務大臣 畜産物の生産コストの中に占める飼料費、えさ費の割合というのは、御承知のように約四割から六割という大きな割合を占めているわけでございます。したがいまして、飼料価格の高騰によりまして畜産経営はここのところ大きな影響を受けているということについては、十分認識をしているところでございます。

 このような飼料価格の上昇に対しましては、配合飼料価格安定制度によりまして農家負担の激変緩和措置が講じられているわけでありますが、この激変緩和措置を講じている間に、生産段階におきます国産飼料の生産の拡大や家畜の生産性向上を推進すること、また、加工、流通業者や消費者への理解を深めていくようにしまして、生産コストの上昇というものが、恒常的にそういう状態が生産構造としてあることにつきまして理解を求めまして、そのことが小売価格に反映していくような環境づくりを進めていくということが非常に重要なことだと考えているのでございます。

 仮に、単に今おっしゃられたような形で粗収益が生産費を下回る、そういう部分に直接所得補償を行うという仕組みをした場合でありますが、生産費の実態とかけ離れたような低い水準で畜産物価格が固定されるということになってくるわけでございまして、結果的に、補てん金がないと経営が存続できないという状況が恒常化するおそれがあるというような難しい面があると考えているわけでございます。

 さはさりながら、急激に環境が変化している中におきまして、このような環境に当面対応するという意味合いで、平成二十年度の畜産物価格決定におきまして、畜産経営の安定が図られるような必要な対策も含めて総合的に検討してまいりたいと考えておりますが、直接の所得補てんという形で御提案のありましたようなことは、私としてはとるつもりはございません。

仲野委員 大臣、実際に農家の方からお話を伺ってみれば十分おわかりだと思うんですけれども、今、飲用乳の消費低迷、需要の多いチーズを含む加工向けでありますけれども、どんどんどんどんそういったチーズ向けの方に今国としてもシフト変えしているような、それもバランスですね、飲用乳と加工向けの。どうしても、生産者からお話を伺うと、安いから、どちらかといったら飲用乳の方で出してしまう。ですから、今、どんどんチーズ工場ができている中で、これから三十万トンも増加を見込んでいるわけでありますから、これは政策判断になるかと思いますけれども、ぜひチーズ向けに対しても、そういった意味では農家にとって遜色のないような方法を今後やはり検討する課題の一つでないのかなということを申し上げておきたいと思います。

 きょうは余り時間がないので、次の質問に入らせていただきます。

 生産費の四割を占める今のこの配合飼料の高騰の問題でありますけれども、この価格については、今後とも上昇ないし高どまりする可能性が指摘されております。今後長期にわたり続くのではないかと懸念されておりますが、価格動向の見通しについて、大臣の見解を改めてお聞かせいただきたいと思います。

若林国務大臣 委員も御承知のとおりでございまして、配合飼料価格に影響する要因、今後の動向、国際的な広がりを持っているものでございますから大変難しい問題でありますが、幾つかこの要因を挙げてみますと、まず、最近の大豆の大幅な価格上昇というのがございます。そのことを反映しまして、来年度は、米国での大豆の作付が増加をする、トウモロコシの作付が減少するというような動きになっております。

 一方、そのトウモロコシにつきましては、バイオエタノール向けの需要だとか中国などの需要が旺盛でございまして、これは引き続き増加するだろうというふうに見ております。

 また一方、最近ちょっとまた下がりぎみになってきましたけれども、一般的な旺盛な船舶需要によりまして、海上運賃が引き続き高水準で推移している。

 こういったようなことが価格上昇要因としてなおも予測されるところでございます。

 その一方で、米国でのトウモロコシの単収の増加というものが進んでおりますから、高い生産量が維持されていくだろう。また、小麦の主要な生産国であります豪州とかヨーロッパでの小麦生産量が回復をいたしております。そして、中国のオリンピック需要はことしの秋から一段落していくというようなことが、これが実は船舶需要に非常に影響しておりまして、フレートが低下するということも期待できるといった価格低下の要因も予測されているわけであります。

 そういう上げ要因、下げ要因、いろいろございますので、これを見通すというのは非常に難しいのでありますけれども、我々としては、そういう海外の需給に及ぼす動向などにつきましては、さらに一層情報収集に努め、十分注目をしてまいりたい、このように考えているところでございます。

仲野委員 情報収集して対応していくということでありますけれども、ただ情報収集するのではなくて、やはり、どうしのいでいくのかということをしっかりと理解していただかなきゃならないという大事な問題だと思っております。

 今、先ほどから出ております通常補てん金の積み立てを行うことが農家に求められている状況にありますけれども、これ以上の負担増は、経営を行き詰まらせて、その結果、本当に畜産、酪農の崩壊を招くおそれがある。

 そこで、民主党は、国民の重要な動物性たんぱく質の供給源であるとともに、地域の主要な産業として地域経済に多大な貢献をしている日本の畜産、酪農を守るため、今月六日に、トン当たり二千七百二十五円の畜産・酪農経営安定特別交付金を農家に直接交付する飼料価格の高騰に対する緊急対策を実施すべきであるとの考えを打ち出させていただきました。

 これは、昨年四月からのトン当たり五千四百円に上る農家負担額の増加のうち、一年の平均増加分である二千六百七十五円については、厳しい状況においても自助努力により一年間農家が負担してきたものとしてとらまえ、自助努力を超えた負担増加分である二千七百二十五円について、畜産、酪農経営の安定のために納税者に負担をお願いし、国において補てんを行うものであります。

 私は、現下の畜産、酪農経営の危機的状況にかんがみ、いわば緊急避難として、現行の配合飼料価格安定制度に加え、飼料購入費に対する何らかの補てんを行い、農家の負担軽減と所得確保を図る必要性があると考えます。

 政府の畜産、酪農経営をめぐる現状認識とそれを踏まえた対応策、そして民主党の緊急対策について、若林大臣の見解を求めたいと思います。

若林国務大臣 今もお話がありました、民主党から御提案があると承知しておりますその案につきまして申し上げますと、現行の配合飼料価格安定制度、これは緊急対応としてできているものでありますけれども、この制度は、ほかの産業におきます仕組みとして、生産要素であります生産資材そのものについての助成制度ということでありまして、これは極めて特例的な措置であるということでございます。原油などの高騰が今問題になっておりますけれども、それらの生産資材にも直接的に国庫がこれを補てんするということは行われていないということでありまして、えさについてのみ今の配合飼料価格安定制度以外に民主党が御提案のような形で直接的に補てんをするというようなことは、財政負担の問題、あるいは、生産コストをさらに構造的に変えていかなければならない要素を持っております畜産経営につきまして、問題があると言わざるを得ないと思っております。

 農林水産省としては、今回の配合飼料価格の高騰に対しましては、今ある配合飼料価格安定制度とともに、家畜飼料の特別支援資金制度というものを持っております。これによって農家負担の影響の緩和措置を講じるとともに、そういうことを講じている中で、それぞれの経営が、国産飼料の生産の拡大、また家畜の生産性の向上などの取り組みを進めまして、生産コストの上昇を抑えていく。

 同時に、どうしても構造的にコスト上昇が出てまいりますものについては、これはやはり消費者に負担してもらうということで畜産物価格に適切に反映をしていくことが重要だと考えておりまして、そのための各般の対策は引き続き講じていきたいと思っております。

仲野委員 大臣、今、農家の方たちが大変厳しい状況である、まさかここまで配合飼料の価格が高騰するとだれもが想定をしていない。しかし、農業行政といたしまして、今本当にこうやって困っているんだという方たちのことを考えたときに、緊急的に政府としてしっかりとこのことについて対応するべきでないのかな、私はそのように思うんです。

 そのために、民主党といたしまして、いち早く、近々の、こういった緊急のことに対して、私が先ほど申し上げました、負担増加分である二千七百二十五円を負担するべきであるということを言わせていただきました。そういった意味で、本当に今困っていることに対して民主党がこういった緊急対策を出していただいたということで、本当に地元の農家の方たちからは、ぜひ民主党に頑張っていただきたい、やはり政権をとらなきゃだめですねと言われました。

 私、思いは多分ほかの先生方も同じだと思うんです。先ほど来から、配合飼料価格安定制度の基金の枯渇だとか、あるいは、これだけどんどん飼料が高い中で経営が行き詰まっている厳しい状況を先生方も御地元で聞かれていることを、きょうは本当に江藤先生なんかもすごく気持ちを込めて訴えられておりました。同じ思いだと思うんです。そういった意味で、私は、政府としてどうあるべきかということをしっかりとやっていただきたいなと思います。

 時間もあと五分ということでありますけれども、そういった意味で、私は、この価格高騰が長期的に続いていくことが懸念されているという中で、本当にこうした事態にこそ対応し得る畜産、酪農経営を確立することが求められていると。

 そこで、酪農経営を大きく左右するこの飼料について、これだけ輸入飼料穀物を原料とする配合飼料や濃厚飼料に依存する経営スタイルとなっていることもあって、牧草を中心とする粗飼料の自給率が七七%と高いものの、トータルでは飼料自給率は二五%と極めて低い状況にあります。また、そうした状況が食料全体の自給率を三九%と世界的にも異常に低い水準におとしめている一因となっていると思っております。

 以上の事態を考えると、私は、輸入飼料にこれから大きく依存せず、国産飼料にも立脚した畜産、酪農経営を確立することが必要であり、そのための取り組みを今からもう始めていくべきだと考えますけれども、大臣の力強い御答弁をお願いいたします。

若林国務大臣 輸入飼料に大きく依存をしている我が国の畜産業にとって、弱点であることは間違いございません。この輸入飼料の依存をできるだけ少なくして、国産自給飼料に立脚をしたいわば足腰の強い畜産経営を実現するということは、我が国の畜産の持続的な発展を目指す上からも重要であることは当然でございます。

 だからといって、輸入飼料に依存をしないような畜産、各種あります、養鶏も養豚も肉牛も酪農もあるわけですが、輸入飼料に依存しないでこれらの畜産を振興していこう、国内で畜産業を振興しようということは、私は不可能だと思っております。できるだけ少なくしていくということで経営の力を強めていくのは、可能性のありますのは、酪農を中心とした畜産業、酪農及び肉用牛などがなおも自給飼料に非常に依存できる分野だと考えております。

 その意味で、草地などの飼料生産基盤の整備とか、稲の発酵粗飼料の生産の拡大でありますとか、国産稲わらの広域流通を促進するとか、あるいは放牧を推進する、つまり、今の耕作放棄地などを有効に利用した放牧の推進でありますとか、食品残渣の飼料化、いわゆるエコフィードですけれども、これらを今推進してきているところでございます。

 さらに、二十年度の予算案について言いますと、現在畑にすき込んでしまっている緑肥作物がございます。これは耕種農業の方で農家がそうするわけですが、畜産の側からしますと、それをえさに転換するということが望まれるわけでございまして、そのような緑肥作物の飼料への転換でありますとかあるいは耕作放棄地を草地として利用するということ、また、水田の裏作での飼料作物を生産、供給すること、そして三つ目は、地域の食品残渣飼料化につきまして業者と配合飼料メーカーとが連携したエコフィードの増産といったようなことを支援するための対策を計上しているところでありまして、このような対策を講ずるとともに、さらなる国産自給飼料の増産のための対策についてなお検討してまいりたい、こう考えております。

仲野委員 中長期的な、やはりこういった輸入飼料に大きく依存せずに、もうそろそろ、そういった意味では、国産飼料にしっかりと取り組む、その転換期に来ているのではないのかなと私は思っております。ぜひ大臣も、国会が終わってからでよろしいですので、地元に入っていただきまして、現場の声にぜひお耳を傾けていただいて、経営に従事されている方たちの声を聞くということを大事にしていただきたいと思っております。

 今大変な状況にあるということを一言申し上げて、何とか安定した経営をできるような、そういったことを期待して、終わりたいと思います。ありがとうございました。

宮腰委員長 次に、石川知裕君。

石川委員 民主党・無所属クラブの石川知裕でございます。

 今の状況というのは、平成の酪農危機と言われるぐらい、昨年来からの飼料高騰、原油価格高騰により、酪農家の方々は危機的な状況になっているということは大臣も皆様方も御認識のとおりだと思います。

 私の地元は十勝というところでありまして、生乳全体が八百万トンだといたしますと、大体私の地域だけで百万トンですから、北海道の中で四分の一、全国でも八分の一というところで、日本でも最大の酪農地帯でございます。

 そうした中、私も浪人時代に、随分と酪農家の方々のところに泊まって実際に研修をしてまいりました。何軒も泊まって、それぞれ、搾乳を終わった後、農家の方々とも懇親を深めてまいりました。それが二年前でありますけれども、ちょうどあの生乳廃棄のときでありましたので、増産を増産をと言われた。今度は減らせ減らせと言われている。猫の目のように変わる農政に対して、何とか長期的な視野に立って考えてほしいという点も寄せられました。

 ただ、今回の問題は、一年前から今日に至るまで飼料の高騰というのはなかなか予測ができなかったところだと思います。ですから、先ほど仲野委員の方から要望がありましたように、今までの通常補てん、異常補てんに加えて、さらに特別的な措置というものが今まさに必要なときではないかと思います。あと、もう一つは、乳価の価格の決定のあり方というものも、十分に、また再度議論をしなければいけないのではないかなと私は考えております。

 そうした中、二月十五日の全国農業新聞の記事で、これは東京大学農学部の鈴木宣弘さんという教授さんの話が載っております。「乳価が上がらなければ酪農の廃業が増え、供給不足になる。我々の計算モデル上の試算では、乳価が六%(都府県が三%、北海道が八%)上がっても飼料価格が五割上昇しているため、生産量は一一%減少する。乳価が上がったとしても需要の落ち込みは三%にとどまる。需給均衡が保たれるには、一二%ぐらいの乳価引き上げが必要だ。」こういう記事を掲載しております。

 現在、本当に酪農家が厳しい状況の中で、乳業メーカーも、私も乳業メーカーの過去三年の決算報告というものを見ました。確かに、乳業メーカーも今大変厳しい状況にあります。しかしながら、酪農家からすると、三十年間、実際のところ大幅な引き上げがなかった、いわゆる価格転嫁が正当に行われていなかったのではないかという気持ちがあるわけでございます。

 今回の乳業メーカーと生産者団体との価格決定に際して、適正な価格であったかどうかということを含めて、一連の中で、大臣の見解を伺いたいと思います。

    〔委員長退席、七条委員長代理着席〕

若林国務大臣 委員が御承知のとおり、生産者と乳業メーカーとの関係、価格の決定過程というのは、基本的には民間ベースの取引交渉によって決まるという基本をずっと維持してきているわけであります。

 ただ、生産者は一人一人にばらしますと弱い立場でございます。その意味で、生産者が結束をして生産者組織をつくり、その生産者組織を通じて力を結集した上で価格交渉に当たっていく、そんなことを長年ずっと行政指導をしてきたという経緯がございます。制度の仕組みとしては、それをさらに、一元集荷、多元販売といいますか、生産者側が地域として一体になる、そして一本化して売っていくという体制をつくるということについてアドバイスもし、つくることにつきましては、政府としてもこれを支援してきたという経過がございます。そして、でき上がってきたのが今の体制でございます。

 その意味で、生産者が生産できない状況になればメーカーもやっていけなくなるわけでありますし、メーカーがちゃんとした企業活動として優良な乳製品を、牛乳を消費者に供給できなくなれば生産者も困るわけでありますから、その意味では生産者を結集する仕組みをつくった中で、生産者と乳業メーカーとがしっかりと話し合った中で決めていくという民民ベースの仕組みというのは、これを結果がいいとか悪いとかということを私の方がここで介入をして言うようなことは差し控えた方がいい、こう思っております。

石川委員 確かに、大臣が言うこともわかりますけれども、酪農家の現場としては、適正な価格が反映されていないという気持ちが十分に強いわけでございます。ぜひ生産者サイドの気持ちに立って、今後、この乳価改定に関して、できるだけ政府の努力というものを求めたいと思います。

 もう一点、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法第十一条二項に、補給金は生乳の再生産を確保することを旨とするとあります。現在は、搾っても搾っても赤字という酪農家も少なくありません。もちろん、生産者のより一層の奮闘努力、経営努力というものは当然必要だと思います。しかしながら、皆さんが皆さん、なかなか思いどおりに、いい方向に持っていけるだけの能力を持っている酪農家の方々だけではないというのは御案内のとおりでございます。

 今回は本当に厳しいところまで追い詰められているというのが現状だと思いますけれども、今回いよいよ補給金の単価というものが決定になるわけでありますけれども、現行の程度で酪農家が希望を持って再生産、そして頑張っていけるという状況にあるとお考えかどうか、大臣の御見解を問いたいと思います。

若林国務大臣 委員も御承知でございます加工原料乳生産者補給金の制度のもとにおきまして、補給金の単価も決定していくわけでございます。

 二十年度の補給金単価につきましては、最も近い段階で、直近の配合飼料価格だとか光熱水料費などの状況も踏まえまして、ルールがございます。その一定のルールに基づいて適正に算定をしてまいるつもりでございます。

石川委員 この補給金単価の決定に際してですが、平成十三年から十四年、これはBSEの影響を織り込んで単価を算定となっております。当時は本当に大変な状況だったわけでありますけれども、このときで十円三十銭から十一円に補給金の単価が七十銭上がっております。BSE問題のときも、全国的に酪農家の方々にとっては大変な状況だったわけでありますけれども、何度も繰り返し申しますけれども、昨年来からの飼料高、そして原油高による資材高騰というのは本当に未曾有のもの、大変な、危機的な状況だと思います。

 この補給金単価の設定の中で、農林水産大臣は著しい変動があった場合に、認められるとき改定をするというような条文が書いてありますけれども、前回のBSE問題のときと比べて、今回の飼料高、原油高に関するこの激変というものは、どのような感じで著しい変動ととらえていらっしゃるでしょうか。

若林国務大臣 BSEの問題は、あるとき突然に襲ってきたような、そういう激変でございます。そのために、酪農経営の現場におきましては、廃用牛の価格が大変に低下をするということもございました。そういう肉の価格の低下というのを受けて急激に起こってきた事態だ、こういうふうに思います。

 もちろん、配合飼料の原料たる飼料価格の高騰も昨年来のことではありますけれども、それと比べますと、急激に起こってきた現象としては、私は事情が異なるんではないかというふうに思っておりますが、いずれにいたしましても、経営の中で占める比率が四〇%、六〇%という高いえさ代が、費用構成になっているわけでありますから、これが一年にわたって上昇を続けているということが経営に対して大きな圧迫になっているということについては、十分承知をいたしているわけでございますので、BSEのときと比較してどうなんだというよりは、それはそれ、これはこれと見て、こういう状況の変化が起こってきているということについては、深刻な問題と受けとめながらこれへの対応を考えなきゃいけない、こう考えております。

石川委員 重ねてになりますけれども、同じぐらい深刻な問題ということでよろしいでしょうか。

若林国務大臣 同じぐらい深刻というのはやや文学的でございまして、その度合いは、それぞれの状況で、経営状況の調査、生産費調査、それぞれ行っている中で出てくるわけでございます。

 補給金単価の算定との関連で申し上げれば、BSEの場合に七十銭の引き上げをしたというのは御指摘のとおりでございますけれども、今年度の補給金の単価につきましては、えさ価格が上昇してきているということをどこまで織り込むかという意味で、できるだけ直近の価格動向というものを織り込むと同時に、光熱水料費等の状況、これも上昇しておりますから、これらの状況も踏まえまして、ルールがございます。そのルールに基づいて、適正に透明性のある形で算定してまいるつもりでございます。

石川委員 大臣の答弁の中にもありましたように、確かに、電気代、水道代を含めて、経費が大変高騰しているという現状もありますので、この補給金単価の算定に対しては、生産者の気持ちを十分に踏まえて決定していただきたいと再度お願いを申し上げるところでございます。

 それで、乳価の補給金単価の改定というものが年一回なわけでありますけれども、現場から寄せられる声で大きいのは、昨年来からずっと高騰している中で、こういう急激な資材の高騰等があった場合に、その改定までずっと待っていなければいけないという状況があるわけでございます。

 今の方式というものが、十二年から十三年に変わったわけでありますけれども、今後、補給金単価の決定に際して、年一回というものを、急激な変化があった場合に、期中でもいいですし、また何かルールをつくって、急激な変化が起きた場合には単価の設定を見直すというような改正等を行う考えはありますでしょうか。

若林国務大臣 委員御承知のとおりでございますが、まず、加工原料乳は、生乳価格がどうなっていくのかということと非常に連動しているわけですね。経営としては、生乳と加工乳と、それぞれ同じ生産者がそれを出していくわけでございます。そういう意味で、まずは生乳価格の動向を見ながら加工乳の価格、補給金単価を決めていくというようなことが、実際の価格決定の合理性、妥当性を決める決め方としては、私は妥当な決め方だというふうに考えております。

 生乳の生産者乳価につきましては、メーカーとの間で、毎年一回、地域ごとの生産者団体と各乳業メーカーとの交渉によって決定するという、長い間のお互いの関係の中でそういうルールができ上がってきているわけであります。ことしは、こういう緊急事態でありますから、前倒しをしまして、約一カ月余早目に交渉が始まり、そして早目に大体見通しがついてきたというふうに承知をいたしているところでございます。

 そこで、補給金単価につきましても、これは加工原料乳生産者補給金等暫定措置法に基づいた、加工原料乳地域における生乳の再生産を確保するということを旨にした、生乳の生産費その他の生産条件を考慮して、審議会の意見を聞いて決定するという仕組みとされているわけでございます。その意味で、私は、いろいろな要素をのみ込みながら、価格としては年に一遍の価格で決めていくというのが現実的だろうと思います。

 途中で変化してくるような問題については、やはり個別の、酪農なら酪農、肉牛なら肉牛、養豚なら養豚というそれぞれの畜種別の諸対策として、緊急の事態があればそれに対応していくというのが現実的な政策の対応としては妥当なのではないかと私は考えております。

石川委員 去年からずっと上がってきて、確かに一カ月前倒しをしたということではありますけれども、それは決定の時期が一カ月前倒しをされたということなので、農家に実際入っていく時期が前倒しされたことにはならないと思うんですね。

 ですから、現場の農家からすると、こんなに緊急事態というのは今までそうそうなかったと思うんですけれども、そうしたときに備えて、これから乳業メーカー、政府、そして生産者団体で話し合って、もしこのような事態が起きたときには、たとえ期中でも改定をしていくというような、ルールの取り決めを行おうという、例えば話し合い自体もこれから考えるということはありませんでしょうか。

若林国務大臣 行政が生乳取引についての価格を介入して決めるという性格のものではございませんが、今お話しのように、生産者団体、指定団体と乳業メーカーとの間で、今のような話し合いが進められるということであれば、そのことはお互いの納得の上で効果的な対策、価格決定が行われるということは結構なことだと思っております。

石川委員 時間がないので次の質問に行きますけれども、現場からすると、ただずっと待っていなければいけないという現状があるわけですね。だから大臣、今後この問題については十分に検討いただきたいとお願いを申し上げますけれども、検討自体もあり得ないでしょうか。

若林国務大臣 私の方が検討することではございませんが、そういう御提案があったということは関係者の方に伝えていきたいと思います。

石川委員 この問題については再度、今度質問させていただきたいと思います。

 次に、酪農飼料基盤拡大推進事業についてお尋ねをしたいと思います。

 酪農飼料基盤拡大推進事業について、これは十八年から新しく導入をされていると思うんですけれども、私の地域はデントコーンの作付が非常に多い地域なのでありますけれども、この事業の中、これは北海道に対しての事業という意味合いが非常に強い事業なんですけれども、この十勝地域だけ、この取り組みというのは随分がくんと落ちているんですね、落ちざるを得ない状況があると思うんですけれども。

 時間もないので端的に質問したいと思いますけれども、要は、この事業のハードルがちょっと高いというところがあるんですね。このハードル、いわゆる要件の緩和について、今後検討の余地があるかどうかということを、まず一点、御質問させていただきたいと思います。

 一つは、面積要件、四十アールでばさっと切られてしまっている。品目横断と同じような形になってしまっているわけですね。つまり四十アール未満でも、例えば、今回品目横断も市町村特認みたいな形になりましたけれども、三十アールだとか二十アールだとかでも、飼料作物の自給について努力していると認められる農家には、これらの事業について、いわゆる参加を認めるような方向は考えられないものなのかどうか。

 十勝という地域は本当に酪農王国なんですけれども、私の生まれ故郷は足寄町というところで千四百平方キロメートルもあるんですよ。香川県が千八百平方キロメートルですから。放牧酪農推進の足寄町ですらも五〇%いっていないんですね、この事業への参加率が。これはある程度問題があると思うので、この点について緩和措置ができるかどうか、お答えをいただきたいと思います。

内藤政府参考人 酪農飼料基盤拡大推進事業の要件につきましての御質問でございます。

 御案内のとおり、本事業は、環境と調和した酪農経営を確立するという目的で、平成十八年度から実施されておりまして、参加の要件として面積に基準を設けてございます。北海道の場合、一頭当たり四十アールということでございますけれども、この考え方は、やはり酪農経営をする場合に、そこから出てまいります家畜排せつ物をきちんと草地に還元をして、そして飼料基盤をつくっていくということは極めて重要であるという考え方から、例えば一頭当たりどのくらい排せつ物を排出するのかということを試算しまして、それをある程度還元するに必要な土地面積ということで四十アールというものを出しているわけでございます。逆に言いますと、これを小さくしますと家畜排せつ物をうまく還元できないということになりますので、私どもとしては、環境保全と自給飼料の生産ということを両立させる上からはこういった要件が必要だと考えているわけでございます。

 また、この事業は十八年度から二十二年度までの五年間の継続事業として実施しておりまして、関係者もこれを達成すべく努力していただいているところでございますので、中途で要件を変えるということについては慎重に考えざるを得ないということでございます。

石川委員 非常に品目横断と似たような部分があるので、これは特認のような形でぜひ考えていただきたいと思います。現場の声を実際聞いていただいてぜひ考えていただきたい。特に環境、環境と言われている割には、どんどん予算が減っていっているのが事実だと思うんですね。ですから、十分に考えていただきたいと思います。

 最後に、時間がなくなったので大臣にお尋ねをしたいんですけれども、この酪農の問題、特に牛乳の問題というのは、消費者の理解醸成がないとなかなか進まない部分があると思います。どれぐらい消費者の理解醸成に努めているか、また、これからどう考えているか。これだけ厳しいと、CMか何か導入してでもやるぐらいの覚悟じゃないと、国産の安心、安全というものをうたうためにも、必要な予算をつけてやるべきじゃないかと私は思いますけれども、御見解をお聞きしたいと思います。

若林国務大臣 御指摘のように、このような生産事情というものは、構造的な問題であればあるほど、最終的にはコストというものが、製品を通じて、商品を通じて、消費者に受けとめていただかなければならないというふうに思っております。その意味で、飲用牛乳を中心とした消費の拡大というのは大事な要素だというふうに考えておりまして、政策としても消費拡大に取り組んでいるところでございます。

 具体的に申し上げますと、まず、牛乳・乳製品を摂取するという場合の着眼点は、体によいというような知識を普及するとか、商品の魅力とか、あるいは酪農と牛乳へのイメージといったような観点でもありますので、まずは、牛乳・乳製品の機能性、有用性の普及啓発、調査研究、また新商品の開発の促進、酪農と牛乳等に関する理解の醸成などを推進すると同時に、学校給食を通じた牛乳の普及啓発などを推進しているところでございます。

 また、生産者団体におきましても、御承知かもしれませんが、中高生を対象としました「牛乳に相談だ。」といったキャンペーンも行っているところでありまして、こうした取り組みとも連携を図りながら、今後とも牛乳・乳製品の消費拡大、普及に力を入れてまいりたい、このように考えております。

石川委員 政府が今取り組んでいる予算を私も確認をしましたけれども、まだまだ低いのが現状だと思います。もっともっと頑張ってほしいと思います。

 以上で終わります。

七条委員長代理 次に、佐々木隆博君。

佐々木(隆)委員 民主党の佐々木でございます。

 酪農、畜産対策について何点かお伺いしたいというふうに思います。とりわけえさを中心に少し議論をさせていただきたいというふうに思うのですが、その前に、畜産経営にとって大変影響力の大きいWTOとFTAについて大臣にお伺いをいたします。

 朝の質問の中にもありましたけれども、今WTOの方は二月上旬にファルコナー議長のテキスト改訂版というのが出されて、三月末、大枠合意に向けて交渉が進められております。一方、日豪のEPA、FTAは、二月下旬から東京で第四回の会議が開かれて、いよいよ農畜産物の関税について本格的に交渉するというような状況にあります。いずれも、我が国の農業とりわけきょうのテーマであります畜産農家にとっても大変大きな影響があるわけであります。

 交渉事ですから、中身にどこまで触れられるかということは承知をしておりますけれども、これらに向けて、現在の交渉の状況と大臣の決意について、まず最初にお伺いをさせていただきます。

若林国務大臣 WTO交渉につきましては、今月の八日にファルコナー議長の改訂テキストが提示されました。そして、交渉はまさに正念場を迎えている段階でございます。我が国は、この交渉に当たって、終始多様な農業が共存をしなければならないということを基本理念として掲げて主張をしておりまして、具体的には、これはG10、輸入国共通でございますけれども、上限関税は適用をしない、上限関税は不適用、そしてまた重要品目については十分な数とその柔軟な取り扱いを確保する、このことを最重点課題として交渉に臨んでいるところでございます。

 一方、日豪のEPA交渉につきましては、これまでの交渉会合を通じまして我が国の農業をめぐる状況、その重要性について説明をしてきた段階でございまして、いよいよ今月二十五日から開催されます次回の会合におきましても、お互いのリクエストオファーというものを出す段階になってきておりますけれども、このことにつきましては、衆参両院の決議等も踏まえて、豪州側とは粘り強く日本の事情に対する理解を求めていきたいと思っております。

 いずれにしましても、WTO及びEPAの交渉に当たりましては、守るべきものはしっかりと守っていくという方針のもとで、経営体質の強化に向けた国内農業の構造改革の進みぐあいということにも留意をしながら、我が国の農業の存立をかけて、交渉に全力を挙げて取り組む覚悟で臨んでおります。

佐々木(隆)委員 粘り強くというお話だったんですが、いずれも国内農業に与える影響は大変大きいわけでありまして、むしろ交渉を中断してでもというぐらいな強い意思でぜひ臨んでいただきたいということを申し上げておきたいというふうに思います。

 飼料の問題についてお伺いをいたしますが、飼料価格の高騰の要因、高騰の一因として、近年急速に拡大しておりますバイオマス由来燃料生産というのがあるわけでありますが、飼料あるいは食料生産との適切なバランス配慮、あるいはまた世界の食料情勢に配慮した生産がなされなければならないわけでありまして、これは国際的にも日本として働きかけていく必要があるのではないかというふうに思うんですが、大臣の御見解を伺います。

若林国務大臣 バイオエタノールなどのバイオ燃料の利用というのは、一方、地球温暖化の防止だとか循環型社会を形成していくという世界的な課題に取り組むという中で、アメリカあるいはブラジル、最近は東南アジアにおいても積極的な取り組みが行われているわけでございます。

 そういうバイオ燃料の利用というものを進めるという観点で、このことは地球温暖化という政策から見れば、それぞれの国がそれぞれの国の対策として取り組むということは、それはそれで国の政策だと思いますけれども、これを推進されていきますと、食料だとかえさ用の安定供給に支障を来すというおそれもあるわけでございます。そういう意味で、よく言われることでありますが、エネルギーと食料とがせめぎ合っていく、だから地球人類の将来にも深く関わる問題だというような指摘もあるわけでございます。

 我が国について申し上げますと、昨年の二月に国産バイオ燃料の大幅な生産拡大を図るために、それを実現するための工程表というのを取りまとめたところでございますが、そこでは、中長期的には、まさに食料とかえさの供給と競合しない形で、稲わらとか間伐材などのセルロース系の原料を活用して、国産バイオ燃料の大幅な生産拡大を図るという計画を立てているところでございます。

 平成二十年度の予算案におきまして、農林水産省としては、食料、飼料供給と競合しない、稲わらや間伐材等を有効に活用した、いわば日本型のバイオ燃料生産拡大対策というものを重点的に実施するという方向を出したわけでございます。

 今後は、このようなバイオ燃料に関する我が国の取り組みを、バイオマスの利活用という形で、世界の食料需給に関する各種の国際会議におきましても我が国の状況を紹介いたしまして、我が国の事情というもの、あるいは地球人類の将来というようなことも訴えまして、各国の理解を求めてまいりたいと思います。

 いろいろな形の国際会議においてそのような情報を発信していきたいと思いますし、ことしは委員御承知のとおり北海道の洞爺湖サミットがございますが、日本が議長国になります。このサミットの主要な議題として温暖化対策というのが取り上げられると思いますけれども、その場合なども、日本としては、エネルギーと食料の関係という意味で、我々としてはこういう会議の場を利用しながら情報発信をしていきたい、こう思っております。

    〔七条委員長代理退席、委員長着席〕

佐々木(隆)委員 今、大臣からお話がありましたように、このバイオエタノールということについて、地球温暖化とか地球環境という話がどうも前面に出てき過ぎていまして、最後の、燃やしたときのカーボンニュートラルの話だけがどうも強調されておりまして、全体のライフサイクルとしてどうなんだという話をもう少しきちっとやらなければいけないと思うんですね。

 我が国においても、平成十四年から各省庁一緒になって、バイオマス・ニッポン総合戦略というのがスタートしているわけですが、要するに、一リットルのエタノールをつくるために〇・七から一リットルの化石燃料を投入しなければならないという試算があります。結局、カーボンはニュートラルだけれども、それまでに同じだけの化石燃料を使っているという試算もあるわけでありますし、それから、ガソリンタンクいっぱいにするためのエタノールをつくるために、人一人一年分の食料が必要だというふうにも言われています。

 そういった意味でいうと、日本という食料自給率の極めて低い国でありますので、どうも一方的に推進の方向に向かっていくということ、推進しちゃいけないと言っているわけじゃないんですが、むやみに推進するということについては、私は、日本という国から発信していく必要があるのではないかというふうに思っています。

 そういった意味で、農水省が北海道でのバイオ工場にかかわり、環境省が沖縄で実証試験を今やっておられたりしているわけでありますが、各省庁で必ずしも統一された状況にないというふうに私は感じております。環境大臣もやられておられたわけですから、その辺も含めて、私は、バイオ燃料については極めて限定的であるべきだというふうに思っております。

 今大臣もちょっと触れられましたけれども、そういった各省庁との連携も含めて、どういう取り組みでこれから我が国としてやっていくのかということについて、再度お伺いをいたします。

若林国務大臣 今委員が御指摘ありましたように、環境省も沖縄・宮古でサトウキビの廃糖みつを利用した形のバイオエタノールの生産実証事業を推進しています。ほかに、実は大阪の堺で、廃木材といいますか、家屋を壊したときに出てくる廃材を、普通は燃やしたりするわけですけれども、この廃材を利用して、廃材からエタノールをつくる。これも実証事業としてプラントをつくりまして、私も実際これが稼働しているところへ行きましてテープカットをしてきたんですが、コスト面では大変かかってきます。

 ただ、委員がおっしゃられましたように、それをつくるのに熱源として、またCO2を出すような熱源を使ってはしようがないわけであります。宮古についても、大阪・堺の廃材をする場合も、サトウキビのケーンの部分とか、あるいはまた搾りかす、それから廃木材、堺については、防腐剤なんかが入ってなかなか使えないような木材は、それを熱源にして利用して、CO2とのバランスが、委員が御指摘になるようなことがないように工夫を凝らしているところでございます。

 あと、経済産業省はエネルギー庁の方が一つの実証事業をいたしているところでございますが、環境省がいわば窓口になりまして、それぞれの省庁がその資源を利用して、農林水産省あるいは経済産業省がそれぞれこれを推進するということは、まだ緒についたところですから、どんどんとやれることはやっていった方がいい、私はそのように考えているところでございます。

 その意味で、農林水産省が、農地の残滓だとかあるいは間伐材だとか、そういうものを有効に利用する形で将来構想も立てておりまして、バイオマスの活用という意味で、先ほどもお話ししました日本型のバイオ燃料生産拡大対策というようなことを明確にしていきたい。当面、具体的には、二十三年度に単年度で五万キロリットルの生産を目指して実証実験を拡大していきたい、こう思っております。

佐々木(隆)委員 なぜこのことをお伺いしたかというと、これから畜産飼料についてお伺いをしたいと思うんですが、飼料価格に影響を与えている一つとして、アメリカや何かが中心となってバイオ燃料にどんどん切りかわっていっているということが、石油価格の高騰とバイオ燃料と二つ、そのほかにもありますが、両方の要因が重なっているわけでありまして、そういった意味でも、バイオエタノールについて、どこかで制限的な国がなければならないのではないかという思いで質問をさせていただきました。

 次に、飼料についてお伺いをいたします。

 先ほど石川委員も質問しておりましたが、実は北海道に集約をして言わせていただきますと、六%のうちの、北海道でいうと八%ぐらい価格が上がることになるわけです。価格にしますと、農家のところへいくと七%ぐらいですから、実質五・一円ぐらいの値上げになるわけですね。五・一円の値上げですが、生産費は六円上がっていると言われています。ということは、生産をするたびに九十銭ずつマイナスするということなんですね、今の状況というのは。ここをまずしっかり認識してほしいと思うんです。

 先ほど大臣にいろいろ御答弁いただいたんですが、では、えさ対策で何をやるのか、えさ対策ができないのなら価格を上げるのか、どちらかしかないんですね。どちらかをしっかりやらない限り、今のバランスの崩れた状況というのは直らないわけですから、そういった意味で、ぜひしっかりとお考えをいただきたいというふうに思うんです。

 そこで、えさ対策ですが、酪農、畜産農家の生産費を押し上げている要因の飼料価格の高騰ですが、政府としては、平成十一年から十七年にかけて土地利用型酪農推進事業という事業をやっています。そして、十八年からは酪農飼料基盤拡大推進事業というのをやっているんですが、これは言ってみれば自給飼料を拡大するためにやってきたわけでありますが、この成果、実績、どのぐらいふえたのかということについてお伺いをいたします。

若林国務大臣 酪農飼料基盤拡大推進事業とその前身事業であります土地利用型の酪農推進事業というものが、飼料自給率の向上というような面で直接どの程度の効果があったかというようなお尋ねであるとするならば、具体的にこれを数字で示すことは本当に困難でございます。

 ただ、事業がどういうふうに実績を上げてきたかという意味で、飼料作付面積に関してみますと、事業に参加している北海道の酪農家に限ってみますと、一戸当たりの飼料作付面積は、平成十一年が四十六ヘクタールでありましたが、平成十八年には五十八ヘクタールへと増加をしているというのが実績としてございます。

佐々木(隆)委員 事業を組んでいるんですから、事業を組んで予算をつけたということは、必ずその評価があるはずなんですね。その評価として、今成果がどうだったかとお伺いしているんですから。

 そうしたら、どこに問題があったかでもいいんですよ、もしふえていないとするなら。簡単にお願いいたします。

内藤政府参考人 答弁申し上げます。

 先ほど大臣から御答弁あったように、平成十一年の参加農家、約九千戸ございまして、飼料作付面積が四十一万ヘクタール、一戸当たりに直しますと四十六ヘクタール、平成十八年の新しい事業になりましてから参加していただいている農家数が約六千戸ございまして、これは三十五万ヘクタール、そして一戸当たりで見ますと五十八ヘクタールという形で大きくなってきているということが、我々としてはその事業の効果の一つであるというふうに考えておるところでございます。

佐々木(隆)委員 事業を組んだのですから、参加した農家が少し大きくならないと、それはそれで全く効果がなかったということになるんですが、私がお伺いしたいのは、自給飼料をふやそうとして組んだのだとすれば、要するに自給飼料がどのぐらいふえたかということなんですよね。

 先ほど仲野議員もちょっと紹介しておりましたけれども、平成十一年に事業を組んでからですが、濃厚飼料は、全くこれは国内生産というのは一〇%程度ですが、これはほとんど横ばい状態であります。粗飼料七七%ですが、これも特段ふえたわけではありません。ほとんど横ばいです。トータル二五%、これもほとんど横ばいなんですね。事業をせっかく組んできたにもかかわらず、自給飼料は残念ながらふえているとは言いがたい状況にあります。

 酪農近代化計画、酪近計画というのがありますが、酪近計画においても、輸入飼料への依存体質から脱却し、自給飼料基盤に立脚した畜産経営の育成が重要である、こういうふうに書いて、そして十八年度からまた新しい事業に取り組んだと思うんですね。にもかかわらず、ほとんどふえていないわけであります。

 そこで、この飼料基盤拡大推進事業というものを見たときに、先ほどの石川議員の質問と重複しますけれども、環境保全ということと飼料の自給率の向上というのがセットになっているんですね。これは、余りにも私はWTOを意識し過ぎだというふうに思うんですが、そのために非常に取り組みづらい制度になってしまった。品目横断の二の舞だとまでは言いませんが、非常に取り組みづらい制度になってしまっている。まず、自国の自給飼料というものをどうやって確保するかということを、今飼料が非常に高騰していて、酪農、畜産経営が大変なんですから、そういうときには自国の自給飼料にシフトしていくという政策にしっかりと転換しなきゃいけないときなんだと思うんですね。そういうことから考えると、しかも、先ほどのバイオ燃料のことも含めて考えると、決して一時的なものじゃないわけです。

 先ほど、資金制度も用意されているなどというお話がありましたが、いっとき乗り切ればいいというのであれば資金制度でもいいんです。燃料の高騰だって今すぐ下がるという要素がない、しかもバイオ燃料でもっと逼迫しているというときに、一時的に安い資金を用意したからといって乗り切れるような状況に今ないわけですね。だとするならば、やはり抜本的に見直して、自給飼料というものをしっかり確保するということをやらなきゃいけないんだというふうに思うんです。

 昨日の自民党の部会でも、抜本的に見直すべきだという意見がたくさん出たという報道がございましたので、そういった意味でも、この飼料の対策というのは、まず自給飼料をつくるということをしっかりと対策で組むということと、環境対策は環境対策として別建てでやるという二本立ての政策にしない限り、しっかりとした自国での自給飼料を拡大していくことはできないというふうに思うんですが、この辺についてお伺いをいたします。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、飼料生産の動向でございますが、飼料作物の作付面積、平成十九年の速報値でございますが、前年とほぼ同じ、八十九万七千ヘクタールということで、作付面積の減少傾向に歯どめがかかった状況というふうになっております。

 この理由としましては、まず、北海道で青刈りトウモロコシの作付意欲に対しまして生産者が非常に意欲的であるということ、それから都府県では、耕畜連携の進展によりまして稲発酵粗飼料の作付拡大ということが起きてございまして、こういうことが背景になりまして、作付面積にもようやく増加の兆しが見えてきたのではないかと思っております。例えば、青刈りトウモロコシだけを見ますと、平成十九年は平成十八年に比べて全国それから北海道ともにふえてございます。

 このように、なかんずく粗飼料の完全自給を目指しての取り組みでございますが、これはやはり関係者が一体となって取り組まなければいけないということでございまして、全国飼料増産行動会議というものを組織しまして、毎年新しい計画をつくり、そしてその計画の実証を行い、そして粗飼料の生産拡大に努めているところでございます。

 今後は、配合飼料価格の高騰ということもございますので、例えば、先ほど言いました栄養価の高い青刈りトウモロコシとか、こういったものにも力を入れて推進していきたいというふうに思っております。

 それから、御指摘のございました酪農飼料基盤拡大推進事業でございますけれども、先ほど御答弁しましたように、酪農農家の場合は、やはり家畜排せつ物をいかにしてうまく土壌に還元して環境問題と対応していくかということが大きな課題でございまして、我々としましては、やはり粗飼料基盤の整備の際に環境対策をあわせて実施していかなければ健全な酪農経営の発展ということは難しい、そういう意味では、やはり環境対策と粗飼料基盤の整備というものをあわせ行う事業の形で推進した方がより効果的であるというふうに考えているところでございます。

佐々木(隆)委員 時間が参りましたので終わりたいと思いますが、今のお話ですと、この事業、要するに、自給飼料をふやすために、例えばスラリーをどうしても入れないといけないという理由にはならないと思うんですね。それはそれでちゃんとやればいいんですよ、そういう事業はそういう事業で、環境型の農業として頑張っているという人たちに対して何らか手当てをすればいいのであって。

 今、自給飼料が足りないんですから、そして高騰しているんですから、そのときに、どうやってふやすかという大切なときに、無理やりそれをくっつける必要がない事業なんですから、二つ別々にやっていただければそれでいいし、特に、今の畜産の状況を考えると、私はそのことをどうしてもやらなきゃならないときではないかと思うんですが、大臣、もしお答えがあればいただいて、終わりにさせて……

宮腰委員長 時間が終わっておりますので。

佐々木(隆)委員 はい、わかりました。

宮腰委員長 次に、菅野哲雄君。

菅野委員 社会民主党の菅野哲雄です。

 本日は、畜産、酪農を中心とした質疑ですが、畜産、酪農の農家それから養鶏農家などから、生産すればするほど赤字、借金を抱えてやめるにやめられないなど、悲鳴に近い声が上がっております。

 昨日、農水省から、畜産経営及び収益性の動向という資料をいただきました。それでは、実態はどうなっているのかということで見させてもらったんですが、乳用牛飼養で平成十二年においては三万四千戸の農家がありました。七年間経過して、今は二万五千戸という状況になっているという数字が出ています。七年間で九千戸の乳用牛飼養農家が減っている、これが実態ですね。それから、肉用牛でいえば、平成十二年は十一万六千五百戸、三万四千二百戸が減って平成十九年では八万二千三百戸という数字が出ています。十二年から十九年をとっても、大体三%から四%の農家が離農しているという実態が生じています。そして、ここに来て、全国でことし五%離農した、そして都府県でいえば六%にも上っている、ふえているという実態が今の畜産、酪農の状況だというふうに思います。

 これからしっかりとした対策をとっていってほしい、とっていかなければならないという現実があるわけですから、倒産や廃業が進んでいる主な理由というのをどうとらえているのか、ここを説明していただきたいと思います。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 畜産農家戸数は、ここ六、七年を見ましても、委員御指摘のように減ってございます。畜種別に見ますと、多少差はございますけれども、減っております。ただ、一方、いずれの畜種も、一戸当たりの飼養頭羽数は着実に増加しているということでございます。

 お尋ねの減少している理由でございますが、平成十七年度に酪農経営で調査結果がございまして、それによりますと、経営を中止する理由としては、後継者不足、高齢化を挙げられた方が五四%、病気、けが、災害を挙げられた方が二三%、環境問題を挙げられた方が一七%、こういうふうになっております。

菅野委員 今、主な理由ということで、後継者不足という状況です。これは、将来に先行き不透明という状況が、先ほど言ったように、これが現実の問題として横たわっているから、私の代でやめてしまおうというのが実態なんです、酪農、畜産経営は。そして、後継者が育っていない、これが現実です。これは酪農、畜産に限ったことじゃなくて、農業を先取りしているんじゃないでしょうか、私はそう思います。

 そうしたときに、飼料価格が高騰したというのに追い打ちをかけて、そしてこういう実態が横たわっているわけですけれども、生産費の四割から六割を占める飼料価格の高騰が、この一年間で一トン当たり七千七百円も上昇していると政府統計で出ているわけですから、もう農家の自助努力の範疇を超えているのではないでしょうか。私は緊急の経営安定対策を行うことが不可欠だと申し上げておきたいというふうに思います。

 それで、飼料価格の値上がり分が価格に転嫁できていれば問題はないのでしょうが、例えば乳価交渉で都府県の場合、生産者団体は飼料価格の上昇分として一〇%以上の乳価引き上げを求めましたが三%にとどまっていたとか、農水省の資料を見ても、飼料価格上昇分を小売価格に反映するには五から一〇%の価格引き上げが必要だとしています。ところが、そうなっていません。

 コスト高を小売価格に適正に反映できない理由はどこにあるんですか、そして、この原因を克服するためにどのような対策を考えているのか、示していただきたいと思います。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、畜産物によって違うわけでございますけれども、牛乳について申し上げますと、消費の減退が続いておりまして、値上げをしますと、さらに消費が減少するのではないかという懸念があったわけでございます。そういったこともございまして、価格への反映が進まなかったと私どもは考えております。しかしながら、今般、主要乳業メーカーは、四月から牛乳を値上げすると公表しております。

 食肉の場合は、これは食肉卸売市場における取引価格が需要と供給の関係で形成されており、これが最終的な小売価格に反映されていくわけでございます。こういった事情にあるものですから、飼料価格の高騰等の生産コストの上昇が直ちに小売価格に反映されるということにはなっておりません。

 こんな状況ではございますけれども、私ども、やはり国産畜産物を安定的に供給していく、それから現在のそういった生産コストの上昇を何とか消費者の方に理解していただくという必要がございますので、生産者の努力によっても吸収できない、こういった配合飼料価格の高騰によるコスト上昇という事情を加工、流通業者あるいは消費者の方々に十分理解していただけるよう、そしてそれが小売価格に反映できるような、そういう環境づくりを進めていくことが重要だというふうに考えております。

菅野委員 先ほどもこの部分は議論になりました。環境づくりに努めていく、すべてを市場競争にゆだねていくということでは、私は解決していかないんじゃないのかなと思えてならないんです。米の場合も同様だというふうに思います。

 今、卵や牛乳、あるいは牛肉、豚肉でもそうなんですが、大手量販店の中で、お客さんを引き寄せるための商品として位置づけて低価格で販売する、こういう構図を流通業者と一緒になって変えていく努力を農水省がしていかなければならない時期に来ているんじゃないですか。私は、そこに、環境づくりだけじゃなくて精力的に取り組むべき、そういうことを申し上げるために、今問題提起したということをしっかり受けとめていただきたいというふうに思っています。

 次の質問に移りますが、生産者団体は、畜産、酪農の危機的な現状を踏まえて、すべての政策価格を引き上げてほしいと訴えています。私個人は、畜産、酪農にも何らかの形で所得補償政策が必要だと考えていますが、現状では、生産者団体の皆さんの声にこたえ、政府価格の十分な引き上げをお願いしておきたいと思います。

 そこで、現状の肉用牛肥育経営安定対策、通称マル緊ですが、これは所得が低下した場合に、家族労働費と所得の差額を八割まで補てんする内容です。これでは労働費以外の生産コストが上昇した場合に対応できません。生産コストの上昇に対応できるよう、私は制度の抜本的な見直しが必要ではないのかなと思っているんですけれども、政府の考え方を示していただきたいと思います。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆるマル緊事業が発動されたにもかかわらず物財費が賄えないような事態が生じた場合でございますけれども、私どもは、所得の低下が子牛の導入価格の引き下げに反映されていく、そうしますとコストが下がりますので収益性が徐々に改善されていくというふうに考えているわけでございます。

 仮に、粗収益が物財費を下回る部分に補てんを行うというような仕組みにしますと、やはり生産コストの実態とかけ離れた低い水準で枝肉価格が固定され、結果的に、やはり補てん金がないと経営が持続できないという状況が恒常化するというおそれがあるわけでございます。

 私どもとしましては、肥育経営における生産性向上を通じまして、合理化、生産コストの上昇分を小売価格に適正に反映していこうという取り組みが阻害されないように、そういう配慮が必要だというふうに考えているわけでございます。

 ただ、今回、畜産物価格の決定にあわせまして、いろいろな対策、必要な対策を考えていかなければいけないわけでございますので、そういった中でも考えていきたいと思っております。

 以上でございます。

菅野委員 このことは、また議論していかなきゃならない大きな課題だというふうに私は思います。

 それから、加工原料乳には生産者補給金という制度がありますが、飲用乳については、先ほども議論になったんですけれども、経営安定対策がそもそもありません。この際、飲用乳の生産農家が経営意欲を持続できるような支援制度が必要だと思うんですけれども、先ほど大臣とのやりとりを聞いていて歯がゆい思いをしたんですけれども、このことをどう取り組んでいくのか、しっかりと答弁願いたいと思います。

内藤政府参考人 御答弁申し上げます。

 まず、御案内のとおりでございますけれども、加工原料乳というのは飲用乳に比べて乳価が低いという状況にございますので、生産者補給金を交付しているわけでございます。

 飲用乳に関しましては、生産者団体とそれから乳業メーカーが交渉して決定していただいておりまして、聞くところによりますと、今度、やはりまだまだ不十分であるということから、再度値上げを求めるということで、乳業メーカーと交渉をしていくという状況にあるというふうに聞いております。

 以上でございます。

菅野委員 冒頭申し上げたように、乳用牛の飼養農家が三万四千戸から二万五千戸に減っていっているんです。この実態というのは、将来に希望が持てないから離農していっているという現状を踏まえたときに、政府がそのことに支援策を示さなければ後継者も育ってこないという現状をどう克服していくんですかということなんです。それを農家と乳業メーカーの交渉にすべてゆだねていくということだけで、この困難な状況を乗り切れるんですかという質問をしているんです。

 このことに対して、しっかりとした政策展開を私は求めておきたいと思っています。現状では、どんどん離農農家がふえていく、こういう現実だということをしっかりとらえていただきたいと思っています。

 最後になりますが、この高騰する飼料価格に対してですが、現状の配合飼料価格安定制度は、価格が高どまりした際には意味がなくなってしまいます。制度の改善と並んで、中長期的な課題としては、国産飼料の育成、中でも飼料用米を普及させていくことが必要ではないでしょうか。

 先ほど佐々木委員に対する答弁で、下げどまったという現状ですけれども、私は、そういうことじゃなくて、政府挙げて、この飼料用米、ホールクロップサイレージ等も含めて、普及、拡大していくことが今求められているというふうに思いますけれども、政府の今後の取り組みについてお聞きしておきたいと思います。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 飼料米についてでございますけれども、私ども、まず飼料米についてはコストという大きな課題があるわけでございます。産地づくり交付金の活用、あるいは補正でお認めいただきました緊急対策等を活用していくわけでございますけれども、それに加えまして、既存の品種を上回る多収品種の育成、あるいは省力、低コスト栽培技術の開発導入、それから飼料用米の高付加価値化によります差別化といった、こういったことについても推進しているわけでございます。

 畜産サイドとしましても、飼料用米の地域での給与実証をさらに充実させまして、利用のための体制整備を進めていきたいと考えております。

 以上でございます。

菅野委員 終わりますけれども、飼料作物の自給率をどう上げていくのかというのは、食料安全保障の観点からも、私は重要なことだというふうに思っております。先ほども議論されていますけれども、耕蓄連携というのが、日本における農業の大計だということを忘れることなく、しっかりと取り組んでいただきたいことを強く申し上げて、質問を終わります。

     ――――◇―――――

宮腰委員長 この際、近藤基彦君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び社会民主党・市民連合の四派共同提案による平成二十年度畜産物価格等に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。近藤基彦君。

近藤(基)委員 自由民主党の近藤基彦でございます。

 ただいま議題となりました決議案につきまして、各会派の提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきたいと思います。

    平成二十年度畜産物価格等に関する件(案)

  配合飼料価格の急激な高騰、WTO農業交渉及びEPA交渉の本格化など、我が国の畜産・酪農経営を取り巻く情勢は、極めて厳しいものがある。

  よって政府は、こうした情勢を踏まえ、平成二十年度の畜産物価格及び関連対策の決定に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。

      記

 一 飼料や原油価格の高騰等による生産コストの急激な上昇やWTO農業交渉、EPA交渉の本格化等を踏まえ、自給率の向上と安全・安心な畜産物の安定供給を目指した生産者が意欲を持って取り組めるよう、畜産・酪農政策を確立すること。

 二 配合飼料価格安定制度については、同制度による補てん金の支払が農家にとって重要な役割を果たしていることにかんがみ、通常補てん基金が財源の上で安定的に運営されるよう万全の措置を講ずること。

 三 加工原料乳生産者補給金単価については、生産者の努力が報われ、意欲を持って営農に取り組めるよう、飼料価格の高騰等を反映し、再生産の確保を図ることを旨として適正に決定すること。また、加工原料乳限度数量については、バター及び脱脂粉乳の安定的な需給を確保する観点から、生乳の生産事情、牛乳・乳製品の需給動向等を踏まえて適正に決定すること。

   さらに、生乳の需給安定を図るため、脱脂乳の需要開発、液状乳製品・チーズ向けの生乳の供給拡大、牛乳・乳製品の消費拡大等に努めること。

 四 牛肉・豚肉の安定価格及び肉用子牛の保証基準価格等については、畜産農家の経営安定に資するよう、需給動向、価格の推移、飼料価格の高騰などに十分配慮し、再生産の確保を図ることを旨として適正に決定するとともに、肉用牛農家及び養豚農家の経営安定対策の充実・強化を図ること。

 五 飼料の輸入依存体質を転換し、国産飼料に立脚した畜産・酪農を確立する観点から、青刈りとうもろこし等の高栄養飼料作物の生産拡大、エコフィード、未活用・低利用資源の利用拡大、稲発酵粗飼料や飼料用米の利用拡大及び水田・耕作放棄地への放牧等の耕畜連携を強力に推進すること。

 六 家畜の生産性向上を図るため、乳量の増加や乳質の改善、出荷頭数の増加に向けた繁殖性向上対策や事故率低減のための家畜疾病対策を強化するとともに、効率的な飼養管理技術の普及を推進すること。

 七 飼料価格の高騰に伴い、農家の生産性向上に向けた努力にもかかわらず、畜産物価格が上昇せざるを得ない状況について流通業者や消費者の理解が得られるよう、広報・啓発に努めるとともに、生産者団体や消費者団体の取組を支援すること。

 八 山場を迎えたWTO農業交渉及びFTA・EPA交渉に当たっては、平成十八年十二月の本委員会決議の「日豪EPAの交渉開始に関する件」の趣旨を踏まえ、我が国の畜産・酪農が今後とも安定的に発展できるよう、適切な国境措置等の確保に向けて、確固たる決意をもって臨むこと。

  右決議する。

以上です。

 何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

宮腰委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

宮腰委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とするに決しました。

 この際、ただいまの決議につきまして農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣若林正俊君。

若林国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨に従いまして、最近の畜産をめぐる情勢を踏まえつつ、十分検討してまいる所存でございます。

宮腰委員長 お諮りいたします。

 ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

宮腰委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

宮腰委員長 この際、農林水産大臣から所信を聴取いたします。農林水産大臣若林正俊君。

若林国務大臣 農林水産委員会の開催に当たりまして、私の所信の一端を申し上げます。

 農林水産業と農山漁村は、食料の安定供給はもとより、国土や自然環境の保全、良好な景観の形成、文化の伝承といった多面的機能の発揮を通じ、国民の暮らしにおいて重要な役割を担っています。農林水産業を持続的に発展させ、農山漁村の活性化を図ることは、地域を再生し、国民生活の安定向上を図る上で、不可欠であると考えております。

 農林水産行政をめぐっては、今年度から実施に移した農政改革の着実な推進、食品に対する消費者の信頼の確保、重要な局面を迎えているWTO交渉への的確な対応を初めとして、先送りのできない数多くの政策課題を抱えています。

 私は、昨年、農林水産大臣に就任して以来、生産現場や消費者の声を十分に踏まえるよう心がけながら、これらの課題に取り組んでまいりました。今後とも、常に国民の立場に立った農林水産行政を展開することによって、地方の主要な産業である農林水産業の活力を高め、生活者や消費者が主役となる社会の実現につながるよう、全力で諸施策の推進に取り組む所存です。

 その第一は、国内農業の体質強化と農山漁村の活性化です。

 農業従事者の減少、高齢化などによる生産構造の脆弱化や経済のグローバル化が進展する中、我が国の農業、農村が活力を持ち続けるためには、意欲ある担い手の育成などにより農業経営の体質強化を図り、力強い農業構造の構築に取り組むことが不可欠であります。

 このような観点から、昨年四月より、水田・畑作経営所得安定対策の導入、米政策改革推進対策の見直し、農地、水、環境保全向上対策の導入という三本の柱から成る政策改革を実施に移したところです。これらの対策については、その着実な実施を図るため、私を含めた農林水産省幹部が全国に出向いて直接生産者や関係の皆様の御意見を伺い、より地域の実態に即したものとなるよう必要な改善を行ったところであり、引き続き、関係者に丁寧に説明を行いながら、対策の普及、定着に努めてまいります。その際、高齢者や小規模な農家も安心して農業に取り組むことができるよう、集落営農を組織化しやすくするための支援を充実するなど、きめ細かな対応に努めてまいります。

 また、米の消費の減少や、輸入に多くを依存している麦、大豆、飼料作物等の国際需給や価格の動向等を踏まえ、米の生産調整を確実に実施し、水田において自給率向上が必要な麦、大豆、飼料作物の生産を進めるとともに、非主食用米等の低コスト生産を着実に定着させる取り組みを推進します。

 農業の最も基礎的な生産基盤である農地については、その有効利用を図る観点から、昨年十一月に「農地政策の展開方向について」を取りまとめたところであり、この方向に沿って、改革を順次具体化してまいります。

 このほか、生産、流通の各段階での食料供給コストの縮減の取り組みを強力に推進するとともに、農協の経済事業改革を推進します。また、農業の体質強化に向けて生産性の向上、低コスト化を図る技術の開発、普及を推進するほか、知的財産の戦略的な創造、保護、活用を進め、農業の潜在的な力の発揮を図ります。

 農山漁村においては、人口の減少や高齢化などにより、その活力の低下が懸念されており、農山漁村の活性化を図るため、既存の枠組みを超えた新たな取り組みが必要となっています。昨年十一月に取りまとめた「農山漁村活性化のための戦略」に基づき、地域のリーダーとなる人材の育成、祭りや伝統、文化などの保全、復活による農山漁村集落の再生、子供たちの農山漁村における宿泊体験を初めとした都市と農山漁村の交流の促進等に取り組みます。また、地域の基幹産業である農林水産業と商業、工業等の産業間での連携、いわゆる農商工連携を強化し、地域産品の販売促進、新商品開発への支援などを通じた地域全体の所得の向上と雇用の確保を図ります。

 さらに、深刻化、広域化する野生鳥獣による農林水産業被害に対応し、地域の実態に即した対策の抜本強化を図るため、市町村等の計画に基づく取り組みを総合的に支援します。

 第二は、食と農に関する施策の戦略的な取り組みについてです。

 昨今、途上国の経済発展に伴う食料需要の大幅な増加、バイオ燃料需要の増加や地球温暖化による農業生産への悪影響など、食料をめぐる世界情勢に大きな変化が見られます。食料問題については、現在、私が主宰する食料の未来を描く戦略会議において議論を行っているところであり、今後、この議論の成果を取りまとめ、食料に関する認識を国民全体で共有できるよう広く発信してまいります。さらに、平成十八年度に三九%に低下した食料自給率を平成二十七年度までに四五%とする目標の達成に向けて、生産と消費の両面から戦略的な取り組みを進めるなど、将来にわたり食料を安定的に供給するための施策を積極的に展開してまいります。

 食は生命(いのち)の源であるとともに、健康で充実した生活の基礎となるものであり、生産、加工、流通の各段階を通じて食品の安全と信頼を確保し、消費者の視点に立った農林水産行政を展開することは、国の重要な責務であります。

 昨今、薬物中毒事案の発生により食品の安全に関する不安が高まっていることや、食品表示に対する消費者の信頼を揺るがすような事案が相次いだことを重く受けとめ、内閣府や厚生労働省と迅速な情報共有を図りながら政府一体となった対策を進めるとともに、食品表示特別Gメンの新設による監視体制の強化や食品の業者間取引へのJAS法の品質表示の義務づけ、食品の製造、流通等に携わる企業の法令遵守の徹底を図るなど、消費者の信頼確保に努めてまいります。また、国民の皆様から情報提供があった場合には、直ちに行動するとともに、たらい回しにならないよう関係機関との連絡を密にするなど、消費者の視点を重視した対応を徹底し、消費者から見てわかりやすい行政を推進してまいります。

 このほか、食品の製造過程における管理の高度化を促進するなど、農場から食卓までを通じた食品の安全確保の取り組みを進め、消費者の被害の未然防止に努めるとともに、国民の皆様に食や農への理解を深めていただくよう、食育を推進してまいります。

 米国産牛肉の輸入問題については、現在、日米間の技術的な会合の結果を取りまとめる作業を行っているところであり、食の安全と消費者の信頼確保を大前提として、科学的知見に基づいて対応してまいります。

 次に、現在、重要な節目を迎えているWTO農業交渉については、多様な農業の共存を理念として、引き続き議論に積極的に参画し、輸出国と輸入国のバランスのとれた貿易ルールの確立に向けて戦略的に交渉に取り組んでまいります。一方、日豪を初めとしたEPA交渉については、我が国全体としての経済上、外交上の利益を考慮し、守るべきものはしっかりと守るとの方針のもと、食料安全保障や国内農業の構造改革の進捗状況にも留意しつつ、政府一体となって取り組んでまいります。

 我が国の農林水産物や食品の輸出促進については、平成二十五年までに輸出額を一兆円規模にするという目標の達成に向け、検疫協議の加速化など輸出環境の整備、品目別の戦略的な輸出促進の取り組み、意欲ある農林漁業者等に対する支援、日本食、日本食材の海外への情報発信等に重点的に取り組みます。

 第三は、地球環境保全に対する貢献です。

 農林水産業は、自然の循環機能を利用しながら営まれる活動であり、持続可能な農林水産業を推進することにより、地球温暖化を初めとした環境問題に適切に対応していく必要があります。農林水産省としても、本年七月に開催される北海道洞爺湖サミットに向けて、農林水産分野における資源、環境対策に積極的に取り組んでまいります。

 まず、京都議定書における温室効果ガスの削減目標を達成するため、美しい森林(もり)づくりを国民的な運動として展開し、市町村の自主性、裁量性を生かした森林整備の取り組みを支援するなど、間伐を初めとした森林の整備、保全等の森林吸収源対策を着実に進めてまいります。

 次に、国産バイオ燃料の大幅な生産拡大に向けて、農林漁業者とバイオ燃料製造業者の連携による低コストでの安定供給に向けた取り組みや、食料と競合しない稲わらや間伐材等の非食用資源から効率的にエタノールを生産する日本型バイオ燃料生産拡大対策を推進します。

 さらに、昨年七月に策定した農林水産省生物多様性戦略に基づき、農林水産施策に生物多様性の保全をより重視した視点を取り入れ、生物の生息、生育環境としての質を高める持続可能な農林水産業を推進してまいります。

 第四は、森林・林業政策の推進です。

 我が国の国土の三分の二を占める森林は、地球温暖化の防止のほか、国土の保全、水源の涵養など多様な機能を有しております。この緑の社会資本というべき森林を後世に引き継いでいくため、森林・林業基本計画に基づき、国民のニーズをとらえた多様で健全な森林(もり)づくり、国民の安全、安心の確保のための治山対策を推進するとともに、森林施業の集約化等によるコスト削減、市場ニーズに対応した木材製品の安定供給体制の確立により、国産材の利用拡大を軸とした林業・木材産業の再生を図ります。

 なお、官製談合問題を起こした緑資源機構については、本年度限りで廃止することとし、今後とも、入札談合の再発防止に万全を期し、国民の信頼回復に努めてまいります。

 第五は、水産政策の展開です。

 我が国の水産業、漁村は、資源状況の悪化、漁業生産構造の脆弱化、燃油価格の高騰など厳しい状況にある一方、世界的に水産物への需要が高まるなど、これまでにない情勢変化に直面しています。

 こうした中、力強い水産業と豊かで活力ある漁村を確立するため、昨年策定した水産基本計画に即し、科学的根拠に基づく持続的な利用を基本とした水産資源の回復、管理の推進、漁船漁業の構造改革や新たな経営安定対策の導入による足腰の強い経営体の育成確保、品質衛生管理機能の強化や漁港、漁場、漁村の総合的整備など、水産政策の改革を早急に進めてまいります。また、燃油価格の高騰に対応するため、漁業者の経営体質の強化や省エネ型漁業への転換を緊急かつ集中的に推進します。

 平成二十年度の農林水産予算の編成に当たっては、以上のような農林水産政策を展開するために十分に意を用いたところです。

 また、施策の展開に必要な法整備については、今後、御審議をよろしくお願いいたします。

 以上、私の所信の一端を申し上げました。

 農林水産行政は、現場に密着した政策課題であると同時に、国民の毎日の生活に深くかかわっているものです。このため、生産現場の取り組みや消費者の声を積極的に政策に反映するとともに、わかりやすく丁寧な政策運営を行うことにより、国民の信頼と支持が得られるよう努めてまいります。

 委員各位におかれましては、農林水産行政の推進のため、今後とも一層の御支援、御協力を賜りますよう、切にお願い申し上げる次第であります。

宮腰委員長 次に、平成二十年度農林水産関係予算の概要について説明を聴取いたします。農林水産副大臣今村雅弘君。

今村副大臣 平成二十年度農林水産予算の概要を御説明申し上げます。

 平成二十年度一般会計予算における農林水産予算の額は、関係府省計上分を含めて二兆六千三百七十億円となっております。その内訳は、公共事業費が一兆千七十四億円、非公共事業費が一兆五千二百九十六億円となっております。

 平成二十年度の農林水産予算は、強い農業づくりと農山漁村の活性化、食と農に関する戦略的な取り組み、資源、環境対策、美しい森林(もり)づくりや力強い水産業の確立などを進める観点から、既存の予算を見直した上で大胆に予算の重点化を行うなど、新たな政策展開が図られるよう編成いたしました。

 以下、予算の重点事項について御説明いたします。

 第一に、強い農業づくりと地域を元気づける農山漁村の活性化に取り組みます。

 まず、昨年から導入いたしました品目横断的経営安定対策につきましては、担い手の経営発展に向けた努力を促すという制度の基本を維持しつつ、市町村特認制度の創設など、地域の実態に即した見直しを行った上で、水田・畑作経営所得安定対策として着実に実施します。あわせて、高齢者や小規模な農家も安心して集落営農に参加できるよう支援を充実します。

 また、米政策につきましては、主食用米の需給バランスをとるための生産調整を確実に実施することとし、麦、大豆、飼料作物等の国内生産を進めるとともに、飼料用などの非主食用米の低コスト生産を定着させてまいります。

 さらに、農地制度の改革に必要な農地情報の整備を進めるとともに、耕作放棄地を解消することを目指し、地域ぐるみでの取り組みを支援します。

 次に、農山漁村の活性化に向けた地域の創意工夫を積極的に後押しするため、農山漁村への定住や都市との地域間交流を一層促進するための整備を行うとともに、農林水産業と商業、工業等の連携を促進します。加えて、鳥獣被害の深刻化、広域化に対応し、農山漁村の暮らしを守る鳥獣害防止対策を講じます。

 このほか、防災・減災対策や都市農業の振興を着実に進めてまいります。

 第二に、食と農に関する戦略的な取り組みを推進します。

 まず、米や飼料作物といった食料自給率の向上に影響の大きい品目を重点に置き、消費と生産の両面からの取り組みを戦略的に推進します。

 また、食料供給コストを縮減すべく、生産と流通の両面におけるコスト縮減に向けて、生産資材の流通、利用の効率化や物流の合理化を着実に進めます。

 現下の原油価格の高騰を踏まえ、施設園芸の省エネルギー化などの対策に加え、税制優遇や金融措置を一体的に講じ、農林漁業者の経営体質の強化を図ります。

 農場から食卓までの食品安全を確保するとともに、昨今の食品偽装事件の発生等を踏まえ、食品事業者のコンプライアンスを徹底させるなど、食品に対する国民の信頼を確保するための取り組みを促します。

 日本型食生活の普及と教育ファームの展開による食育の推進とともに、農林水産物、食品の輸出を拡大するための支援、イノベーションを先導する技術開発の加速化や知的財産の創造、保護、活用に取り組みます。

 第三に、地球的視野に立った資源、環境対策を推進します。

 まず、食料自給率の低い我が国において、食料供給と競合しない稲わらや間伐材等の未利用のバイオマスを有効に活用し、国産バイオ燃料の生産拡大に向けた取り組みを進めます。

 このほか、温暖化防止・適応策や国際協力を柱とした地球温暖化対策を推進するとともに、田園地域、森林、海洋を保全し、生物多様性を重視する農林水産業を推進し、本年の北海道洞爺湖サミットに向けて、農林水産分野における取り組みを積極的にアピールしてまいります。

 第四に、未来に向けた美しい森林(もり)づくりの推進と国産材の復活に取り組みます。

 まず、京都議定書に基づく森林吸収目標の達成と森林資源の次世代への継承のために、多角的な森林整備を推進いたします。

 また、森林や山村の地域資源を利活用した地域の新たなビジネスを創出し、林業・木材産業の再生と適切な森林整備、地域の活性化を図ります。

 さらに、木材の加工流通体制の整備や林業生産コストの削減により、国産材の競争力の向上を図ってまいります。

 第五に、力強い水産業と豊かで活力ある漁村を確立します。

 水産基本計画に即して、水産資源の回復、管理を推進するとともに、漁船漁業構造改革や新たな漁業経営安定対策の導入等により、国際競争力のある経営体を育成、確保します。

 また、燃油価格の高騰を踏まえた省エネルギー技術の開発等を推進するとともに、安全で新鮮な国産水産物を安定的に消費者に届けるため、品質衛生管理機能の強化や産地市場の統廃合等を通じた流通の効率化を進めます。

 さらに、漁港、漁場、漁村の多面的機能の発揮に向け、地域の創意工夫を生かした漁村づくり等を支援してまいります。

 次に、特別会計については、平成二十年度から、国営土地改良事業特別会計を一般会計化するなど必要な見直しを行った上で、それぞれ所要の予算を計上しております。

 最後に、財政投融資計画については、農林漁業金融公庫、日本政策金融公庫等による財政融資資金の借り入れなど総額二千二十七億円を予定しております。

 以上で、平成二十年度農林水産予算の概要の説明を終わります。

宮腰委員長 以上で説明は終わりました。

 次回は、来る二十二日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十四分散会


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