衆議院

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第3号 平成20年2月22日(金曜日)

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平成二十年二月二十二日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 宮腰 光寛君

   理事 岩永 峯一君 理事 江藤  拓君

   理事 近藤 基彦君 理事 佐藤  錬君

   理事 七条  明君 理事 筒井 信隆君

   理事 細野 豪志君 理事 西  博義君

      阿部 俊子君    赤澤 亮正君

      伊藤 忠彦君    今津  寛君

      上野賢一郎君    浮島 敏男君

      小里 泰弘君    小野 次郎君

      近江屋信広君    金子 恭之君

      亀井善太郎君    木村 太郎君

      北村 茂男君    斉藤斗志二君

      杉村 太蔵君    永岡 桂子君

      長島 忠美君    丹羽 秀樹君

      西川 公也君    西本 勝子君

      平田 耕一君    福井  照君

      藤井 勇治君    水野 賢一君

      安井潤一郎君    山内 康一君

      石川 知裕君    大串 博志君

      佐々木隆博君    神風 英男君

      高井 美穂君    仲野 博子君

      横山 北斗君    吉田  泉君

      井上 義久君    菅野 哲雄君

    …………………………………

   農林水産大臣       若林 正俊君

   内閣府副大臣       中川 義雄君

   農林水産副大臣      今村 雅弘君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 堀田  繁君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           田中  敏君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房統計部長)          長   清君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局長)            町田 勝弘君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           佐藤 正典君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  内藤 邦男君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  高橋  博君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            中條 康朗君

   政府参考人

   (林野庁長官)      井出 道雄君

   政府参考人

   (水産庁長官)      山田 修路君

   政府参考人

   (国土交通省土地・水資源局次長)         宮崎 正義君

   農林水産委員会専門員   渡辺 力夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十二日

 辞任         補欠選任

  飯島 夕雁君     長島 忠美君

  小里 泰弘君     藤井 勇治君

  亀井善太郎君     浮島 敏男君

  谷川 弥一君     木村 太郎君

  中川 泰宏君     上野賢一郎君

  丹羽 秀樹君     西本 勝子君

  小平 忠正君     吉田  泉君

同日

 辞任         補欠選任

  上野賢一郎君     杉村 太蔵君

  浮島 敏男君     亀井善太郎君

  木村 太郎君     谷川 弥一君

  長島 忠美君     安井潤一郎君

  西本 勝子君     丹羽 秀樹君

  藤井 勇治君     山内 康一君

  吉田  泉君     小平 忠正君

同日

 辞任         補欠選任

  杉村 太蔵君     中川 泰宏君

  安井潤一郎君     阿部 俊子君

  山内 康一君     小里 泰弘君

同日

 辞任         補欠選任

  阿部 俊子君     飯島 夕雁君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

宮腰委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房統計部長長清君、総合食料局長町田勝弘君、消費・安全局長佐藤正典君、生産局長内藤邦男君、経営局長高橋博君、農村振興局長中條康朗君、林野庁長官井出道雄君、水産庁長官山田修路君、内閣府大臣官房審議官堀田繁君、文部科学省大臣官房審議官田中敏君及び国土交通省土地・水資源局次長宮崎正義君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

宮腰委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

宮腰委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩永峯一君。

岩永委員 おはようございます。

 一昨日、若林大臣から大変力強い所信をお聞かせいただきました。大臣も、アメリカ初め、穀物市場の中での高騰が出てくる、そして日本の食料輸入の事情が大変厳しくなってくる、ましてまたWTOが大変難しい局面に入ってくる等々、大変な御苦労だと、平素の御活躍に感謝を申し上げる次第でございます。そういう事情の中で、基本的な日本の農業事情を通じての大臣のお気持ちをお聞かせいただきたい、このように思います。

 きのう、畜酪の援助の方向性が決まりました。しかし、今回の穀物の高騰だけを見ましても、三千六百億になんなんとする穀物の高騰を来している、そしてそれがすべて畜酪農家を直撃しているわけでございまして、私もこの場を受けて、豚、牛肉、そして乳牛、鶏等々の畜酪農家に全員お集まりをいただいて、そして現状を聞いたわけでございますが、岩永さん、もう我々の給料どころじゃないんだよ、むしろ丸裸で働いて、そして六百万、七百万という赤だ、だから本当にお先真っ暗です、こういう話です。

 だから、自由民主党の中の農林部会を通じて、この対応をどうしたらいいかというようなことで議論しておったわけでございますが、では、その価格高騰の三千六百億だけを補てんできるかといいますと、日本の国の財政、そう簡単なものじゃございません。

 私は、本当に農水省もよくやってくれたと思いますし、また我が党もよく頑張ったと思います。しかしながら、これからだんだん価格が上がるわけでございまして、アメリカからの輸入、そして諸外国からの輸入がだんだん厳しくなってくるばかりでございます。では、配合飼料というのは外国にゆだねられるんだろうか、こういうことを考えますと、私は大変心配な向きがあるわけでございます。

 これは、気象変動による大規模な干ばつもありますし、それからバイオ燃料の原料としての穀物需要の増大もあるわけでございます。穀物市場に投機的資金が流入するというようなことも実は聞かれているわけでございます。

 これは、単に穀物だけじゃなしに、ほかの食料についても、世界の人口が六十億から九十億にこの五十年で増加する。そうなってまいりますと、今までのように潤沢に日本だけが輸入をしていられる、そういう時代ではなくなるんではないか、もう間近に日本の食料事情を攻撃してくる、そういう事態になるんではないかというような心配があるわけでございます。

 こういうことを踏まえて、大臣がこの状況をどうお考えになっておるかということを最初にお伺いしたいと思います。

若林国務大臣 委員が御指摘のように、最近の国際的な食料需給、とりわけ穀物の需給状況を見ますと、大変厳しい状況になっております。それは、途上国の経済の発展あるいはバイオ燃料作物への需要の拡大、地球規模の気候変動による農業生産への影響といった構造的な要因を背景といたしまして、一昨年の秋ごろから急激にこの需給が引き締まっている傾向になってきております。

 こういう中で、食料、飼料の多くを海外に依存している我が国におきまして、これらの安定供給を将来にわたって確保していくためには、何といっても国内の農業生産の増大を図るということが基本であろうかと思います。それとあわせまして、輸入と備蓄とを的確に組み合わせていくということによりまして、この安定的な供給を確保していくことが必要であるという考えに立っております。

 こういう考え方に基づきまして、不測時における食料の安全保障を確保するために、平常時から、食料自給率の目標の達成に向けた取り組みを通じまして、食料供給力の重要な要素であります農地、水、水田を初めとする農地や農業用水の必要な農業資源の確保が第一でございます。そして、その資源を活用する農業の担い手を育成していくということ、そして三番目には、生産現場の農業経営におきますニーズに直結しました新しい農業技術の開発、普及、これらの取り組みを強力に進めていかなければならない。そのことによりまして、国内農業の食料供給力の強化を図っていくことが第一でございます。

 さらに、農林水産省の中に、こういった国際的な食料需給の急激な変化が進んでいることを念頭に置きまして、二十年度から、食料安全保障課という組織を農林省内に設けることにいたしまして、国際的な食料需給等の情報の一元的な収集、分析や政策の企画立案などを行う、そういう組織を新設したいと考えております。

岩永委員 自給率は三九%に下がっていく。それから放棄地はどんどんふえていく。農業従事者が高齢化していく。今大臣がお答えをいただきましたが、むしろ逆の方向、逆の方向に実は日本の農業事情が動いているということでございます。

 突き詰めていけば、やはり農業でもうかればみんな農業をするわけでございますが、今のところ、もうからない、若手がなかなか参画する事情になっていない。また中山間地域では、農業をしていたら食べていけない、米の下落等々の問題も直撃をいたしております。そういうことで放棄地がふえる。しかし、根幹は、政府がこの厳しい日本の食料安全保障に対してどう目を向けるか、ここにかかっているんではないか、私はこのように思っております。

 それで、そのことのために、では何かといいますと、やはりシーリングを取っ払って、きちっと農業生産者には都会の給料所得並みの五百万以上を保障する、そういう状況の中で、農業で食べていけるんだ、これから農業に対して夢を持てるんだという、そういう政策というものを総理初め政府がきちっと提示していかなきゃ、これはすべて倒れてしまってから、では起き上がろうかと思っても、私は起き上がれないと思いますので、今こそ大臣初め我々が、政府に対して、農業政策に対する力の入れ方、金がさにしたら本当に一兆円から三兆円ぐらいの金を国が農業に投じていく、そして生産者を守っていくぐらいの勇気ある施策を講じていかなきゃ大変なことだ、私はこのように思っております。

 ここに世界経済フォーラムのアンケートがあるわけでございます。これは、世界の一万人の経済人がそれぞれの分野においてアンケートをとったわけでございますが、実は日本の農業政策について、アンケートでは日本が百五位というような状況でございまして、特に日本の経済界、それから日本の国民が農業の重大さにまだ気づいていないというような状況が出ております。これは、先般、トヨタの奥田相談役が我々に対して講演をしていただいた中の資料でございます。その奥田さんも、今、日本はすべてに先んじて農業の構造改革をやるべきだ、このように強く言っておられますし、また経済界がそのことに目覚めるべきだ、このように言っておられるわけでございます。

 自給率を達成するために、今シーリングを取っ払って、そして日本農業に国が支援するために大臣としてはどういうような行動をおとりになるか、お聞かせいただきたいと思います。

若林国務大臣 今委員が御指摘になり、御意見をお述べになりました。日本の農業の置かれている状況は大変危機的な状況にある、そういう認識は共有しているつもりでございます。

 そういうような認識に基づきまして、食料をめぐる世界情勢も大きく変化していくということを念頭に置きまして、昨年の七月、私が主催をいたしまして、食料の未来を描く戦略会議というものを発足いたしまして、世界の状況を正確に把握した上で、国民に対する食料の安定供給の確保を図るための方向性について議論を今しているところでございます。

 食料についての国民的な共通認識を醸し出していく、かなりの理解が今広がってきているものの、まだ国民の理解と、そして農業政策についての支援という体制が必ずしも十分だと思っておりません。そういう意味で、この戦略会議を基礎にいたしまして、国民の皆様にも直接訴えていきたいと思っております。

 そういう中にありまして、何としても自給率を高めるということのためには、米、飼料作物、それから油脂、野菜といった重点品目につきましては、集中的に消費、生産の両面にわたりまして取り組みを強化していかなければならない、このように考えております。

 具体的な取り組みとしては、食料自給率に関する戦略的な今申し上げたような広報活動、それから米の消費の拡大、飼料の自給率を向上させる、それから油脂類の過剰摂取の抑制など、食育という観点から食生活についてのそれぞれの見直しと努力を求める、また野菜の生産の拡大といったような六つの取り組みを中心にしまして、消費者、生産者、食品産業事業者などの関係者との連携を図りながら着実に施策を推進してまいりたいと考えております。

岩永委員 時間がございませんので、次に、WTOの農業交渉についてお伺いしたいと思います。

 WTOの農業交渉は、先ほどの話のとおり、日本の農業の行方を左右する大変重要な課題でございます。ファルコナー農業交渉議長が昨年七月に提示したモダリティー案に基づいて、九月以降事務レベルで集約的に技術的議論が実は継続されてまいりました。一方、大臣も先月スイスのダボスで非公式閣僚会議に参加され議論をされてまいったわけでございます。早ければ三月の下旬にもモダリティーの合意に向けた閣僚会議が開催される、こういうようにお聞きをいたしております。

 こういうような中で、ファルコナーが、これまでの議論を踏まえて今月の八日にモダリティーの改訂案を提示したところでございまして、この改訂案に基づいて現在事務レベルでの議論が再び行われようとしているわけでございます。今回このモダリティー改訂案が出たことによりまして、交渉はいよいよ正念場を迎えるのではないか、私はこのように思っております。

 大臣は、ジュネーブやダボスへの出張も含めて、主要閣僚やラミー事務局長との議論や、そして電話会談を精力的にこなしておられると思いますけれども、食料輸入国としての我が国の主張が反映されるような尽力をしてこられたことはわかっておりますし、また我々も大臣を全面的に支援していきたい、党また団体挙げてやっていきたい、こういうように思っているところでございます。

 いよいよ正念場で、我が国の主張が交渉結果にできる限り反映されるようなラウンドの成功が期待されるところでございますが、このWTOの農業交渉に臨む大臣の決意というものをお聞かせいただきたい、このように思っております。

若林国務大臣 委員がWTO交渉の状況についてお述べになりました。おっしゃるとおりでございまして、いよいよ交渉は正念場を迎えているわけでございます。

 先般、ファルコナー議長の改訂版が提示されました。その中身を見ましても、我々がかねて主張をし続けてきております食料の輸入国としての立場がいまだ十分反映されているということになっておりません。とりわけ重要品目について、十分な数と同時に、重要品目に指定をされればそれですべて解決するというわけではございません。重要品目に指定を、数を十分確保すると同時に、その指定された重要品目についての柔軟な取り扱い、柔軟性というものが確保できなければ、やはり相当大きなダメージを受けるわけでございます。

 その意味で、スイスなど他の食料輸入国、G10と言われております。そのG10の諸国との連携を図りながら、関係者が一体となって、我が国の主張が反映できるように、全体として、今後、輸出輸入がバランスのとれた状態が実現できるように、交渉に今全力を挙げて取り組んでいるところでございます。ぜひとも御理解と御支援をお願いしたいと思います。

岩永委員 最後に、京都議定書による三・八%の森林消化の部分でございますけれども、去年は七百六十五億という間伐の対策費、そしてことしは五百四十六億という対策費をおとりいただいて対応いただいているわけですが、御承知のとおり、地方自治体がそれの裏打ちができるか、これはお答えをいただきました。しかし、一番問題なのは、これだけ木材が低迷しているこの時期に、林家負担ができるかどうかというのが一番大きな問題でございます。

 私も林政調査会長として、全力で日本の山の再生そして経済性、それから外国の不法伐採等の輸入対応、今度も具体的なものを出していきたい、このように思っておるわけでございますけれども、に取り組んでいるところでございます。近藤委員なんかは、日本の木材を外国へ輸出できないか、そのことのために実はプロジェクトをつくって頑張っていただいているわけです。林政調査会としてもありとあらゆる対応をし、もう林野庁が悲鳴を上げるほど実は頑張っているところでございます。

 大臣、日本の山はこのままでは死んでしまう。だから、今こそ京都議定書に基づく対応をきちっとしていかなきゃならない。かなり精力的に我々もやりますので、林野庁を激励いただいて、ひとつこの際、日本の山の再生に取り組む大臣の決意をお願いしたいと思います。

若林国務大臣 森林整備につきましては、かねて力を注いでまいっておりますけれども、今おっしゃられたような、林地の所有者、あるいは林業労働者、経営者、それらの立場からしますと、個人負担あるいは地方負担といったような問題がございまして、なかなか整備が思うように進んでいないということが続いてまいったわけでございます。

 そういう意味では、吸収源も含めまして、森林の整備を進めるには、必要な予算の確保に加えて、個人負担、地方負担の軽減が重要な課題であると認識をいたしております。

 そういう意味では、この機会をとらえまして、森林施業の集約化や生産コストの低減などを推進しまして、間伐の収益性を高めるということによりまして、実質的に個人負担の軽減につながるような施策を推進しているところでありますが、平成二十年度予算においても、新しい施策の導入など、その充実に努めてまいりたいと思っております。

 平成十九年度の予算で措置しました定額での助成方式の継続、拡充に加えまして、地方の負担を求めずに、民間事業体の森林整備への意欲を最大限に活用する新たな試みを導入しようとしているわけでございます。

 さらに、地方公共団体の負担の軽減や平準化を図るために、追加的な間伐などを地方債の対象とするということがようやく実現を見ることになっておりますので、そういうことを内容とする新たな法案を、この国会、そして当委員会の方にも審議をお願いいたしまして、この成立を御理解いただきたいと思っているところであります。

 これらの取り組み全体を通じまして、個人負担、地方負担の軽減を図りながら、一方で、今、世界的な課題になっております森林吸収源対策の着実な推進に努めてまいりたい、このように思います。

岩永委員 ありがとうございました。

 大臣、御自愛をいただいて、頑張ってください。

宮腰委員長 次に、木村太郎君。

木村(太)委員 大臣、皆さん、おはようございます。

 早速でございますが、質問させていただきたいと思います。

 補正予算と本予算案を合わせた一千百十一億円の水田農業対策、これについて一つだけお伺いしたいというふうに思います。

 それは現場の農家の声として受けとめながら質問したいと思うんですが、いわゆる生産調整の目標算定の基礎となっております水稲作付面積というものが、国の農林水産統計とそれから市町村の水田台帳、この間に大きな乖離がある、そういう地域が全国各地にあるようでありまして、このこと自体が目標達成を困難にしている要因にもなっているのではないかという農家の皆さんの声もあります。私の地元の県を調べてみましたら、一千ヘクタールの乖離となっている。これは大きな差ではないかなというふうに考えております。

 そこで、台帳を精査していただきまして、乖離の解消を図ることをぜひお願いしたいな、こう考えますが、いかがでしょうか。

若林国務大臣 委員が御指摘のとおり、水稲の作付面積につきましては、幾つかの県で、国が公表している統計値と地元の水田農業推進協議会が把握をしております面積との間に乖離が生じております。

 これまでもその要因について関係者と検証、協議を重ねながらその乖離の解消に努めてきたところでございますが、今までの検証によって明らかになっております乖離要因というのは、御指摘の青森県の場合も含めまして、要因が大きく二つあります。

 一つは、国の統計値は、標本理論に基づく標本調査、全国で約三万カ所、青森県では八百四十カ所でやりますが、その標本調査によって、一定の精度によりまして、これを推定して出しているということでございます。この精度からいいますと、一ないし三%ぐらいの統計上の幅があるという制約があるわけでありますが、これ以上に、水田農業推進協議会の出す面積というのは、生産調整に参加していない方や共済に入っていない未加入者の作付分についても、これを推計に頼らざるを得ないというようなことから、やや過少に出てくる傾向があるということが主な要因ではないかと考えております。

 このために、こういう乖離要因の検証作業は引き続き実施しまして、解消に向けた取り組みが必要と考えているところでありまして、具体的には、水田農業推進協議会が作付面積を把握する際に、地方農政事務所が農業共済組合などと連携を密にしまして、関係者と一体になって取り組むということ、特に乖離が見られる市町村につきましては、関係者との共同によるローラー調査、重点的な現地確認でありますとか、科学的な検証方法として、高精度な衛星画像の活用によりまして、これら市町村における面積の検証などを行うこととしているところであります。

 いずれにしましても、二十年産米の生産調整の着実な実施が喫緊の課題でありますことから、統計部におきましても、マンパワーを重点的に投入をして、作付から収穫までの各段階における的確なデータの把握に努めまして、地元の水田協議会やJA、農家等からの統計調査への信頼を引き続き確保しながらこれを進めていきたいと思っております。

木村(太)委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、時間がありませんので次に行きます。

 これは私の地元的な問題としてではなくて、農林水産省、国も、日本の農林水産物の輸出額を平成二十五年までに一兆円を目指すということで頑張っておりますので、そういう点からお聞きします。

 昨年十二月二十九日付で、中国の商標局が、中国企業によります「青森」という商標登録の申請に対しまして、果実など日本側の異議申し立てを認める裁定を下したということが、今月の初め、明らかになってまいりました。

 攻めの農林水産業、輸出拡大を図るということを考えたときに、今後、こういうことが他の農林水産物でもあってはならないことだ、こう考えております。

 この問題が明らかになった数年前もこの委員会で質問させてもらったことがあるんですが、今後の監視体制、あるいは中国での商標権等の取得を急ぐなど、防止対策に全力を傾けていただきたい、こう思いますが、いかがでしょうか。

若林国務大臣 この問題は、大変重要な問題だというふうに認識をいたしております。

 私は、昨年の暮れに、中国に米の問題その他農産物の貿易問題で出かけていった際に、日本の果物や米などについて、デパートなどで直接の売り込みもやってまいりました。そのときに持っていったのは、リンゴでは、青森のリンゴでございました。長野県もリンゴの産地ですけれども、なぜ青森を大臣は持っていったんだと地元からクレームが出るほどでありますが、それだけ青森がこの輸出に大変熱心に取り組んできたということだと思います。

 おっしゃられましたように、食品の輸出を拡大するといった中で、地名も含めたブランドというのは大変重要でありまして、これは知的財産だと考えております。

 そういう意味で、「青森」という商標出願に対して、中国側がこれを認めないという裁定をした、公正かつ適切な判断であったと考えておりますが、このようなことがこれから各地で起こってくるというおそれもあるわけでございますので、これらのことを防止するためには、大使館とかジェトロなどの協力によりまして海外の制度の調査とか情報収集を行うと同時に、輸出を考える場合にあらかじめ外国との間で商標を取得しておくということなどの対応方策をとらなきゃいけない。その意味で、食と農林水産業の地域ブランド協議会というものの活動でありますとか、知的財産に関する研修会、相談窓口での対応などによりまして情報提供を行ってまいりたいと思います。

 この知的財産分野では経済産業省と連携を図っておりますが、我が国として、外国政府に対して、我が国の著名な商標を保護していくよう、機会をとらえ申し入れを行ってまいりたいと思っております。

木村(太)委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 そこで、今大臣からもお話のあったリンゴに関してなんですが、実は、果樹経営支援対策事業を活用するときに、移動元果樹園と移動先農地の所有者が同一農家でないとだめだという条件があります。そこで、異なる場合でも事業の対象にしてほしいというリンゴ生産農家、これは長野県の農家もそうだと思いますので、これをぜひ是正していただきたい。

 例えば、山間部の園地を廃園しまして、水田に植栽するということで、これは結果的に生産調整あるいは転作にも大きな貢献をすることにもつながる、私はこう思いますので、イエスかノーで答えていただければ。

若林国務大臣 今の御指摘につきましては、平成二十年度からこれを事業の対象とするという方向で検討をいたします。

木村(太)委員 ありがとうございます。青森県の農家だけではなくて、長野県の農家も喜ぶと思います。

 最後に、これはまた地元の話を持ち出しますが、去る一月二十六日、地元の農協中央会主催で、私ども県選出国会議員と県内の農家、農協の代表三百人との意見交換会があったんですよ。

 その中で、若い農家のお母さんが、学校給食で地元産をできる限り使ってほしい、つまり、地産地消を進めてほしいという御意見がありました。私はそれに対しまして、食育基本法あるいは食育基本計画の中でもその趣旨を定めていることを申し上げまして、地産地消や米飯給食の拡大など、これは市町村教育委員会が決めることになっておりますので、県教育委員会を通じて市町村にも引き続き私としても要請していくということでお答えしたんですが、その場にいた民主党のある議員が、文科省の天下り先になっている、日本学校給食会の流れをくむ独立行政法人日本スポーツ振興センターが決定する、牛耳っているということを三百人の農家の前でお答えしておりました。

 そこにいた人たちは、私が正しいのか、その方が正しいのか、まだはっきりしないでいると思いますので、ぜひ国会という場において、文科省、はっきり答えていただきたい。これが最後の質問です。

田中政府参考人 御説明申し上げます。

 学校給食につきましては、どのような献立あるいはどのような食材を使用するのか、どこから購入するのかということにつきましては、先生御指摘のとおり、市町村教育委員会等の判断で自由にできることになってございます。

 独立行政法人日本スポーツ振興センターは、特殊法人日本学校給食会の流れをくむものではございますけれども、独立行政法人化にあわせまして、当該業務、つまり学校給食用食材の供給業務ということは削除をいたしました。一時、経過措置として実施してきた部分はございますけれども、これも平成十七年度末を最後に廃止し、現在は実施してございません。

 以上のことから、先生から今御指摘がございました御発言につきましては、事実と異なるというふうに考えております。

木村(太)委員 ありがとうございました。

 終わります。

宮腰委員長 次に、近江屋信広君。

近江屋委員 自由民主党の近江屋信広であります。

 私からは、生産調整等、農政改革に関する二、三の問題点について質問をさせていただきたいと思います。

 米の需要と供給をバランスさせる、また米の価格を安定させるためには、当面、平成二十年産米の生産調整の目標を達成することが極めて重要であります。

 実は、私、昨年末、秋田県に行きまして、これは自民党の農政現地調査団でありますが、それに参加したわけでありまして、過剰作付として大きな指摘を受けている大潟村に伺いました。そこで生産者に対しましてるる生産調整の必要性、昨年末に決めた支援策について説明をいたしまして、深夜にわたって腹を割った話し合いをして、その結果、これまで生産調整に協力してこなかった方々からも、前向きに協力を検討したいという御発言がありました。

 全国の生産の現場は、現在、それぞれ関係者が苦労しながら生産調整の目標を達成すべく取り組んでいると思います。そこで、生産現場から少し心配の声が出ていることは、行政の対応についてであります。行政側は例えば生産調整に協力しない方々に対してよく働きかけてくれるとか、あるいはまた農家の軒先で直接米を買い取ろうとする業者に対して接触をして自粛を要請してもらうとか、そういう行政側の対応は十分なのか、責任を持った関与をしてくれるんだろうかという心配の声であります。

 行政側としては十分しっかりやっていただいていると思いますが、国としてはそういう行政側の体制について、生産調整の成果が実際に上がる具体的な取り組みを行政側の体制づくりを含めてお願いしたいと思いますので、その点の大臣の御見解を承りたいと存じます。

若林国務大臣 米の生産調整につきましては、長い経過を経て今日に至っているわけでありますが、大変に難しい。適地適産といいますか、それぞれの地域がそれぞれの米づくりに取り組む中にありましてこれを調整していく、それぞれの地域におろしていって最終的には農家の納得が得られるような形で組み立てるというのは、徹底的な話し合いと理解を求めていくその関係者の努力によるしかない、こう思っているわけでありますが、十九年産の状況を見まして、もう少し行政が踏み込んでいかなきゃいけないなという認識に立ちまして、二十年産米につきましては、行政側と農協系統組織などの関係者がそれぞれの役割を分担しながらも、相互に連携しながら生産調整の実効性を確保していくことを目指して努力するということが必要だと考えているわけでございます。

 このため、昨年末に生産者団体と卸売業者、小売業者の全国団体と農林水産省が生産調整目標の達成のための合意書というものを締結いたしまして、関係者が気持ちを一つにして生産調整目標の達成のためにそれぞれの役割を果たすために全力を挙げる、そういう体制を組み立てたところでございます。

 また、この生産調整目標につきましては、国が仲介をしまして都道府県間の調整を行うという仕組みも新たに設けたところでございます。そういう意味では、こういう仕組みをつくってまだ間がないわけでありますが、各都道府県の自主的な判断によりまして、七千五百八十トンについて、一県で生産調整を拡大して転作を広げていく、他の作物を広げていく、そういう県の申し出がありまして、この分を米の生産を拡大したいという七つの県で調整を成立させたということがございます。さらに、十九年産に過剰作付の多かった県を中心にしまして、農林水産省の職員が県庁、農協中央会などへ出かけていきまして意見交換を重点的に進めているところでございます。

 今後とも、成立を見ました補正予算五百億円と産地づくり交付金を適切に活用しながら参加をしていない方々の取り込みを図っていく、農協系統などとの連携を密にしながら、全都道府県、全地域で生産調整の目標が達成されますように全力で取り組んでまいりたいと考えております。

近江屋委員 ありがとうございました。

 大臣から、特に行政がどんどんさらに踏み込んでいくというお話を伺いまして、また、県間調整について行政側が仲介をして、七県について調整が進んでいるということを伺いまして、大変心強い限りであります。

 続きまして、産地づくり交付金についてお伺いいたしたいと思います。

 米の生産調整を推進するに当たりまして、生産者から少しまた心配の声が上がっているのでありますが、現在の産地づくり交付金、これは三年間の固定のものになっておりまして、仮に生産調整に協力する人がどんどんふえたり、転作面積がふえたりすると、その交付金の水準が薄まってしまうんじゃないかという懸念が生産者の側から示されております。まじめに生産調整を進めたけれども、生産調整に協力した方々にとっての大きなメリットであるこの交付金が、足りなくなりました、十分交付できませんということでは、安心して生産調整に踏み込んでいけない、この点がネックになりかねないと思います。

 このような心配に対しまして、私たち、現地へ行きまして、それは、交付金を拡充する必要があるのならば政治の責任で必要な予算は獲得する、そういう気構えでいるので生産調整に踏み込んでいただきたいという説明をしておりますけれども、大臣から一言、こういう生産調整に正直にまじめに協力した方々の交付金が不足するというような事態が生じないように最大限の努力をするというような御発言をいただければ、また生産者側も安心すると思いますので、その点、よろしくお願い申し上げます。

若林国務大臣 生産調整の取り組みに対する支援につきましては、平成二十一年産までについてはお話ございましたように産地づくり交付金が措置されているところでございますが、これに加えて、今般の補正予算で、生産調整の拡大を推進するための措置としまして、地域水田農業活性化緊急対策が措置されたところでございます。

 また、産地づくり交付金も今回の補正予算の地域水田農業活性化緊急対策もともに生産調整推進のための助成金でございまして、これをうまく活用して生産調整を実行していく、つまり、新しくやられた緊急対策も含めまして地域においてこの活用を図っていただきたい、このように考えているところでございますが、この産地づくり交付金というのは地域の判断でその使途とか単価というものを設定できる仕組みでございますから、二十年産以降の生産調整が確実に実施できるようにするためには、今申し上げましたような緊急一時金と毎年の産地づくり交付金を一体のものとして考えていただいて、これを適切に地域の実情に応じて組み合わせを行う、また、地域内の農業者相互間の公平を確保しながらうまく活用できるようなことを地域で議論をし、地域で協議をして進めていただきたいと考えているところでございます。

 なお、二十二年産以降の生産調整のための助成金のあり方については、今後十分検討してまいりたいと思っております。

近江屋委員 ありがとうございました。

 続きまして、次の質問でございますが、酪農経営に関する飼料用米、えさ米でありますが、その生産振興対策についてでございます。

 現在、世界的な飼料価格の高騰によりまして、畜産や酪農経営は大変急激に危機に直面しておりまして、急激に悪化していると思います。そのため、飼料用米、えさ米につきまして、これは先ほど申し上げました米の生産調整による転作の作物として非常に有力であると期待されるばかりではなくて、畜産にとっても国内で安定的に供給をされる可能性のある飼料として期待されるものであると思っております。

 さらに、えさ米は米ですから、水田という我が国の貴重な資源を最大限有効に活用してできる、そういう意味でもこの飼料用米、えさ米の生産を積極的に拡大していく、それを推進していくべきであろうと思っております。

 先ほど私は秋田に昨年末行きましたということを申し上げました。もう一度秋田を例に引かせていただきますが、秋田は米どころであると同時に、農業生産額、総生産額は一位が米なんですが、二位が畜産であります。米どころでもあり、畜産地帯でもあるわけでありまして、こういう秋田のような地域で耕作と畜産の両面が連携をして飼料、えさを自給していく、その自給を確保するメリットは大変大きいものがあるのではないか、期待されるところが高いのではないかと思います。

 しかしながら、この飼料米につきましては、生産と流通のコストと販売代金の差が大き過ぎて、販売代金が安過ぎるという課題がありまして、この生産拡大のためには販売代金と生産、流通コストの差額について何らかの一定の政策的な支援が必要ではないかと思う次第であります。

 一昨日、二十日でありますが、自由民主党で決定した、飼料米等自給飼料基盤の抜本的強化対策を決めましたが、この対策を含めまして飼料用米の生産が安定的に拡大するための対応策について大臣の御見解を承りたいと存じます。

若林国務大臣 飼料用の米につきましては、輸入トウモロコシが高騰していく中で、国内で生産される有力なえさ用、飼料用の穀物として期待されておりますし、また、御指摘がございましたように我が国の水田機能を維持活用する上でもこれは重要なものであると考えております。

 しかしながら、その生産コストは輸入トウモロコシの価格よりも数倍高い、いろんな前提がございますけれども、大体五倍程度の状況になっているわけでありますから、本格的な生産、利用に向けては、生産コストの大幅な低減を図る。同時に、家畜にこの飼料用のお米を食べさせた場合、そのことによる商品としての畜産物の付加価値を上げていくというようなことなどの試みもいたしておりますが、この輸入トウモロコシによる畜産物との間の差別化というようなことにも注目をしていく必要があるのではないか、このように考えております。

 このために、十九年度の補正予算の地域水田農業活性化緊急対策におきましては、主食用米との需給バランスを図りながら、米の生産調整の一環として低コスト生産技術の確立、定着を促進するという意味でこれを助成の対象にいたしております。

 同時にまた、お話のございました畜産における利用拡大を図っていくために、飼料用の米を利用した畜産物の付加価値化や給与方法のモデル実証等を推進いたしておりまして、二十年度の畜産・酪農緊急対策において、昨日食料・農業・農村審議会の畜産部会からの建議も受けており、また自由民主党の中におきましても大変な御論議をいただいて御意見を賜っているわけでございまして、そういう中にありましてこのモデル実証の事業を全国的に展開すると同時に、飼料用米の運搬とか保管に係る経費の支援、飼料用米の利用、活用に必要な機械の整備といったようなことを推進いたしまして、これが水田地域に畜産との結びつきの中で広がることを進めてまいりたいというふうに考えております。

近江屋委員 ありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。

 続きまして、食の安全と食料自給率に関してでございます。

 中国の冷凍食品に毒性農薬などが混入している、次々にそのことが発見されまして、日本の食の安全、安心が大きく揺らいでいると思います。

 現在、日中双方で調査中と聞き及んでおりますが、このことが仮に故意犯による行為であるとするならば、仮の話でありますが、これはまさにテロというに等しい暴挙でありまして、日本国民の生命身体が大変な脅威にさらされているということでありまして、国民の大きな関心を呼んでいるところであります。

 この事件につきましては、二月九日、十日に共同通信の全国世論調査があったのを新聞で見ましたが、その調査によると、行政側に最も望むこととして、五五・五%の皆さんが国内の農業を見直して食料自給率を高めるべきだと答えています。一方、被害発生時に国民に情報を隠さずに伝えることが一五・三%、加工品の原材料の生産国をきちんと表示させることが八%でありまして、国民の多くはこういう輸入食品に頼る日本の食の現状に大いに問題意識を持っている、疑問を持っているということが示されていると思います。

 この事件についての再発防止策については、きょうの新聞にも出ておりましたが、きょうの関係閣僚会議で省庁間の連携体制をしっかり強化していくということのようでございますが、さらに、規制面の改革、規制面の措置もきちんと早急に手を打っていく必要があろうと思います。

 同時に、我が国の生命線ともいうべき食料の自給率を何としても向上させていかなければなりません。そのためには、先ほど大臣からも言及がございました米の消費拡大、先ほど指摘しました飼料の自給率の向上、また、私が先ほど申し上げました生産調整による転作、これも自給率の向上に資するものだと思います。また、野菜の生産拡大などに集中的に、戦略的に取り組んでいかなければならないと思います。

 大臣は先ほど戦略会議でいろいろな大所高所からの検討をしていくと言われておりました。その中で、先ほど岩永議員が言われておりました、すべてに先んじて農業構造改革が必要だ、また、農で食べていけるように予算のシーリングを撤廃してもらいたいというお話がございましたが、そのような点も確かにそのとおりでございますので、その点を戦略会議でもぜひ取り上げていただければいかがかなと提案する次第であります。

 また、食料自給率の向上を求める国民の声にこたえまして、日本型食生活を推奨する、先ほど油脂類の過剰摂取が問題だということでありましたが、その点も含めて日本型食生活を勧める、そのための食育を一大国民運動といたしまして一層全国展開していくべきときだ、こういう世論が高まっているときこそこの運動にさらに一層力を尽くしていく必要があるのではないかと思いますので、その点、大臣あるいは副大臣から御見解を賜りたいと存じます。

今村副大臣 ただいま御指摘のとおり食料自給率をいかに高めていくかという中で、国内におけるいわゆる食育ということを通して自給率を高める、あるいは、医食同源という言葉もございますが、やはり一番日本人に合った食事をするということを含めて積極的に取り組んでまいります。

 具体的には、テレビ等々のコマーシャルを通じて、あるいはいろいろな団体とも連携をとりながらこの運動を一層強化していきたいというふうに思っております。

近江屋委員 ありがとうございました。

 少し時間がありますので、食の安全、安心に関連して、食品の表示について一言伺いたいと存じます。

 食品表示を偽装するという悪質な事件も多々ありましたので、食品表示に対する消費者の信頼回復、確保が大事なことでありますので、どのように取り組んでいかれるおつもりなのか、その点を一点最後にお伺いしたいと思います。

今村副大臣 この問題につきましては、昨今のギョーザ問題等々含めまして、大変関心が深くなっているわけでございます。政府としても全力を挙げて取り組んでおるわけでございますし、総括官の制度も検討されるやに聞いております。

 農水省といたしましても、具体的なことにつきまして幾つかございますが、特にこういった違反事案が発生した際に、機動的に調査をして一日も早く問題解決を図るということで食品表示特別Gメンを農政事務所に配置します。そしてまた、関係府省庁間の連携体制を構築するということで、関係五府省庁による食品表示連絡会議も発足させたところでございます。

 また、こういった行政だけの取り組みじゃなく、やはり直接に国民の皆さん方にこういった食品を提供される食品事業者の方が責任を持ってぜひ取り組んでいただきたい。これはある意味では、その事業者にとって、企業の評価あるいは場合によっては企業の存立にかかわってくる問題にもなってくるわけでありますから、そこはしっかり取り組んでいっていただきたいなということ。

 そしてまた、そういったことをやっていただく方につきましては、しっかりと私たちもいろいろな機会を通してこれを評価し、あるいは奨励するためのいろいろな仕組みをつくっていく。そして、そういった優良な事業者がこれからしっかりまた企業業績も伸びていく、そういうことになっていくように積極的な取り組みを推し進めていきたいというふうに思っております。

近江屋委員 食品の表示につきましては、やはり生産者あるいは食品事業者が、消費者に積極的に情報を提供しようという生産者もおるわけであります。例えば私の近くの大手量販店ですが、この量販店は何か牛乳の生産者から優越的地位を利用して安く買いたたいているのではないかと言われている大手量販店のことでありますが、その量販店ではなかったわけであります、ほかの量販店でありましたが、一つの野菜の表示の中に生産者の氏名、住所、電話番号まで、場合によっては生産者の写真まで出ているというような非常に優良な生産者、食品業者もありますので、そういうところに対してはそれを促進するように、ぜひとも農水省においてしっかりとそういう環境づくりも今後とも進めていただきたいということをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

宮腰委員長 次に、井上義久君。

井上(義)委員 公明党の井上義久でございます。

 きょうは、農政改革三対策の見直しについてお伺いをしたいというふうに思います。

 まず、米政策改革の推進ですけれども、昨年産米から、農業者、農業団体を主体とした新たな需給調整システムへ移行したわけですけれども、作況九九にもかかわらず二十一万トンの過剰供給が発生したということで、米価が大幅に下落をするということで、米作農家が大変困難に陥ったわけでございます。

 私どもとしても、これは看過できないということで政府にも申し入れをいたしまして、昨年の十月二十九日に米の緊急対策を決定したわけでございます。また、年末、十二月二十一日には農政改革三対策の見直しを決定し、生産調整の取り組みについて強化策を打ち出したわけでございます。

 一連の米価対策を打ってきたわけでございますけれども、昨年の十月の緊急対策以降の米価の動向、あわせて一連の対策の効果をどのように現時点で検証されているのか、その辺についてまずお聞きしたいというふうに思います。

若林国務大臣 委員が御指摘になりましたように、十九年産米の価格につきましては、本当に作況が九九でありながら価格が大幅に下落をするというような事態を迎えてしまったわけでございます。

 そのために、お話ございましたように、自民党、公明党、与党の皆さん方からも非常に具体的な御提言、御意見も伺ってこの緊急対策を検討したわけでございますが、三十四万トンの政府の買い入れなどを内容とします米の緊急対策を十月二十九日に決定をいたしました。

 その結果、米価につきましては、緊急対策後に米の価格センターに上場されたほとんどの銘柄、具体的に言えば三十七銘柄中三十六銘柄が緊急対策前よりも上昇を見るというようなことで、下落には歯どめがかかったんではないかというふうに見ているわけでございます。前年産の同月水準には達しておりませんけれども、大幅な下落に歯どめをかけるという意味で一定の効果は期待できる。問題は、二十年産にどうつなげていくかということであろうかと思っております。

井上(義)委員 そこで、二十年産米にどうつなげていくかという今お話がございましたけれども、一連の米対策の実効性のかぎというのは、やはり生産調整がどこまできちっと実行できるかということにかかっているというふうに思います。

 二十年産米の生産目標数量は、前年をさらに下回って八百十五万トン。これを達成するには十九年産米の作付面積から約十万ヘクタール削減する必要があるということで、現場でいろいろな苦労を今していただいているわけでございますけれども、行政も適切に連携して生産調整を行うということを昨年の十二月二十一日の農政改革三対策の見直しの中で決めているわけでございまして、農水省として二十年産米の生産調整に対する取り組み、また、その決意ということについてお伺いしておきたいと思います。

若林国務大臣 米の価格の安定を図るには、何としても需要と供給が調整をされてバランスがとれる状態にならなければならないわけでありまして、今委員がおっしゃられましたように、二十年産米につきましては、需要の減少なども前提にいたしまして、作付面積でいいますと約十万ヘクタール抑える必要があるというふうに判断をいたしました。そのことをどのような形で生産現場の方におろしていくかということが大きな課題でございました。

 そこで、この二十年産米につきましては、行政と農協系統組織等の関係者がそれぞれ役割をしっかり果たしてもらう、果たさなきゃならない、相互に連携しながら生産調整の実効性を確保するということで取り組んでいるわけでございます。

 このために、昨年の末に、生産者団体、卸売業者、小売業者の全国団体と農林水産省が生産調整目標の達成のための合意書というものを協議の結果締結をいたしました。その合意書をみんなで実行に移していく、関係者が気持ちを一つにして生産調整目標の達成に全力を挙げる体制というものを構築してきたところでございます。

 また、生産目標数量につきましては、国が間に入りまして都道府県間の調整を行う仕組みも設けることといたしました。実際、まだ新たにこのような仕組みを設けて間がなかったわけでありますが、各都道府県の自主的な判断によりまして、七千五百八十トンにつきましてある県が生産調整を拡大するという決断をいたしました、もう少し米をつくりたいという県、これは七県で、その米の生産を拡大するという調整が成り立ったわけでございます。

 さらに、十九年産米の作付状況の中から過剰作付の多かった県を中心に、農林水産省の幹部職員が直接その県庁や農協の中央会などに出かけていきまして、かなり精力的な意見交換を重点的に進めているところでございます。

 また、補正予算でお認めいただきました五百億円と従来からの産地づくり交付金を適切に活用しまして、参加してこなかった人たちを取り込んでいく、納得の上でこれを巻き込んでいくということなど、農協系統組織などと連携を密にしながら、全都道府県、全地域で生産調整の目標が達成されますように全力で取り組んでいくつもりでおります。

井上(義)委員 生産調整の見通しというのが米価にも非常に大きな影響を与えると思いますが、そのアナウンス効果ということも含めて強い決意で引き続きしっかり取り組んでいただきたいというふうに思います。

 そこで、今大臣からも一部お話がございましたけれども、生産調整参加へのインセンティブを高めるために、今回、地域水田農業活性化緊急対策で緊急一時金が交付される仕組みを導入して、補正予算で五百億決定したわけですけれども、現場の声をいろいろ聞きますと、生産調整のメリットの本体部分である産地づくり交付金についてやはり拡充を求める声が非常に強いわけでございます。

 今後の需給調整を軌道に乗せるためにも、二十年産米の作付動向を注意深く見ていくとともに、支援の拡充も含めたあり方についてさらに検討すべきだというふうに考えておりますけれども、それについて農水省の考え方をぜひお聞かせいただきたいというふうに思います。

町田政府参考人 お答え申し上げます。

 生産調整のインセンティブといたしましては、平成二十一年産米までにつきましては産地づくり交付金が措置されているところでございますが、御指摘いただきましたように、これに加えまして、今般の補正予算で生産調整の拡大を推進するための措置ということで地域水田農業活性化緊急対策が措置されたところでございます。

 また、産地づくり交付金も今回の補正予算の地域水田農業活性化緊急対策もともに生産調整推進のための助成金でございますので、これをうまく活用して生産調整を実行していく必要があるというふうに考えているところでございます。

 産地づくり交付金の単価につきましては地域協議会ごとにまちまちでございますが、各地域におきましては、二十年産以降の生産調整が確実に実行できますよう、緊急一時金と毎年の産地づくり交付金を一体のものとお考えいただきましてこれを適切に組み合わせる、また、地域内の農業者相互間の公平を確保しながらうまく活用していただきたいというふうに考えております。

 なお、二十二年産以降の生産調整のための助成金のあり方につきましては、農林水産省としても今後十分検討してまいりたいと考えております。

井上(義)委員 今回の三対策の見直しの中で、いわゆる飼料用等の新規需要米の生産を本格化するということで、隔離を前提にして生産調整にカウントする、私はこれについては非常に高く評価しております。

 ただ、昨今の飼料の国際的な高騰とか、いわゆるバイオ原料との争奪戦とかということを考えると、生産調整の一翼としてそれを位置づけるだけじゃなくて、やはり国がしっかりした戦略を持って飼料米とかバイオ原料米の本格的な生産に取り組むという強い姿勢が非常に大事じゃないかな、国家戦略としてこの問題に取り組むべきじゃないか、私は今非常にそういう感を強くしているわけです。

 このことは前回の委員会でも御指摘申し上げましたけれども、ある意味で米生産を主体にしてきた日本の農業にとって最もメリットのあるやり方だというふうに思いますし、飼料米あるいはバイオ原料米等の本格生産ということについて、改めてその基本的な考え方をお伺いしておきたいと思います。

町田政府参考人 お答え申し上げます。

 食生活の変化などによりまして主食用米の消費が減少しております一方で、御指摘いただきましたように、小麦などの国際需給は逼迫しておりますし、相場も高騰している。こういう中で、我が国の水田機能の維持を図って自給率の向上に努めていくためには、飼料米、ホールクロップサイレージ、さらにはバイオエタノール用、こういった米の低コスト生産の定着に積極的に取り組んでいくということが重要だというふうに考えております。

 こうした点を踏まえまして、私ども、米による生産調整の取り組みにさらにわかりやすい形で取り組んでいけるようにということで、これまで用途ごとに細かく要件等を定めておりました非主食用米の取り組みを簡素化いたしまして、今回、新規需要米制度ということで一本化して見直しをしたところでございます。

 また、生産調整の拡大に対応するために、これら非主食用米の低コスト生産技術の確立に取り組む農家に対しまして、先ほど申し上げました十九年度補正予算で十アール当たり五万円の一時金を交付するということにしたところでございます。

 こうした支援等を通じまして、非主食用米の本格的な取り組みが進みますように鋭意努力してまいりたいというふうに思っております。

井上(義)委員 今御答弁があったとおりだと思うんですけれども、どうもベクトルが違うなというか、要するに、生産調整の一翼を担うというある意味で受け身の態勢から、そうじゃなくて、やはり国の戦略としてそういう飼料とかバイオエタノール米ということを国際的な食料需給等の関係なんかを踏まえて積極的に推進していくという、ベクトルをちょっと変える必要があるんじゃないかということを申し上げているので、この辺、大臣、よくおわかりだと思うので……。

若林国務大臣 受け身で対応していただけでは、農業政策の中で水田を有効に活用するということだけじゃなくて、新しい需要、バイオエタノールの原料あるいは配合飼料の原料に水田を活用する形で米が使えないのか、そういう問題意識は大事だと思っております。

 御承知のように、えさについていえば、トウモロコシとの価格でいえば大体五倍程度の開きがあるわけですから、いろいろな形で助成をするとしても、すべて助成でこれを賄っていくというだけでは膨大な量をこなすのは無理がありますので、まずは、もっと増収効果のあるような新種の開発ということについては全力を挙げて研究開発をしていかなければなりませんし、それらの栽培技術につきましても、食用のものと違う形での栽培体系というようなものも組み立てる必要があるのではないか。そういう視点で積極的に取り組むという方向性で、今申し上げましたような基礎的な生産性を上げて、これが主要な作物としても認知できるような方向に向かって努力していきたい、こう思っております。

井上(義)委員 私は、いわゆる食料安全保障と並ぶ一つの戦略物資という位置づけをして、あらゆる手段を通じて、もちろん、それが結果として生産調整に資するということなんですけれども、生産調整が目的でやるということじゃなくて、結果として生産調整に資するぐらいの取り組みが必要じゃないかということを改めて申し上げておきたいというふうに思います。

 その次に、品目横断的経営安定対策。今回から水田経営所得安定対策ということで少しわかりやすくなったかなということで、これはこれで評価していますけれども。

 我々も、ずっと昨年来、農業活性化フォーラムというものをいろいろな地域でやりまして、直接農家の皆さんからさまざまな声を聞いてまいりました。それで、もう少し使い勝手がいい、加入しやすい制度に改革をすべきじゃないかということを申し入れをして昨年末の見直しが決定したわけでございますけれども、今回は特に、例えば市町村特認制度を創設するとか、あるいは認定農業者の年齢制限を廃止もしくは弾力化するとか、事務の簡素化であるとか、さまざまな手が打たれたわけでございます。

 こういう手を打った結果として、現在のこの対策の加入状況、経営体とか農家の数ということもあると思うんですけれども、対象面積が現在このくらいの面積なんだけれども、こういったさまざまな手を打つことによって、要するにどのくらいの面積をカバーすることをこの対策の目標として考えているのか、それについて今回打った対策がどの程度効果を発揮するというふうに見ているのか、そういうことについてちょっとお伺いしておきたいと思います。

高橋政府参考人 水田・畑作経営所得安定対策の加入の実績と今後の見通しということでございますけれども、初年度十九年産におきまして、加入申請者数は、認定農業者で六万七千余、集落営農組織で五千四百弱、合わせまして七万二千四百三十一でございました。

 特に、ここでカバーしております対象品目の作付面積につきましては、麦、大豆、てん菜、あるいはでん粉原料用バレイショ、このような畑作につきましては、それまでの品目別に講じておりました対策とほぼ同程度の面積、大豆につきましては、これをオーバーするような状況になっております。

 一方、米でございますけれども、米については十九年産で四十四万ヘクタールということになっております。これにつきましては、十八年まで実施しておりました、担い手を対象といたします担い手経営安定対策の加入面積、これは二十万ヘクタールでございましたけれども、これは大幅に超えておりますが、担い手以外も対象としておりました稲作所得基盤確保対策加入面積、これは七十五万ヘクタールの大体六割ということになっております。

 それで、今回、今委員御指摘のとおり、市町村の特認制度ということで、地域農業の担い手といたしまして周囲からも認められ、かつ、熱意を持って取り組んでおられる方々につきましては、米の需給調整の実施に当たりまして、各市町村ごとで地域水田農業推進協議会という組織を設けまして、ここで地域の水田農業の将来ビジョンを策定しております。ここの中で位置づけられております認定農業者、あるいは集落営農組織、こういったものについては市町村がこの人たちは担い手であるということできちんと認定すれば、すべて対象になるようにいたしております。

 この地域水田農業ビジョンに現在位置づけられておりますのは、認定農業者、集落営農合わせて十六万三千経営体でございます。先ほど申し上げましたように、現在の加入者、これは米の関係でいきますと大体五万八千程度でございますけれども、それに比べまして相当人数が多い状況になっております。

 ただ、先ほど申し上げましたが、畑作の部分は既にほぼそれまでの面積をカバーしているということで、米が中心になろうというふうに思うわけでございますけれども、これまでも加入ができる者につきましては、実績として相当程度入っていると思います。

 ですから、今後はその地域で私もきちんとやりたいという方々が手を挙げればきちんと対応できるという形にしたわけでありますけれども、そういった方々は、対策メリットとの関係でどの程度、例えば面積が小さい方もおられますので、そういったところで考えておられると思っております。そういった意味での経営判断の部分が相当ございますので、具体的な数字、今申し上げました母数は押さえておりますけれども、この中でどこかというのはなかなか見通しにくいところは御了解いただきたいと思います。

井上(義)委員 現在六割ぐらいカバーしているわけで、当初の政策目標として、この三対策がスタートしたときに、そのくらいがいわゆる担い手という形できちっとカバーできればいいかなというふうに我々も想定していた。だけれども、実際に現場に行ってみたら、いわゆる中小規模の農家の皆さんにはそういうことについて非常に不満もあるし、あるいは地域の実情ということを考えると、もう少しカバーできた方がいいんじゃないのかということなんですね。

 だから、政策目標としてどのくらいのカバー率を考えるのかというのは、私は非常に重要なポイントだろうというふうに思うんですけれども、そこはどうなんですか。

高橋政府参考人 先ほど申し上げましたように、畑作につきましては大体カバーできたと思っているんですが、やはり一番のポイントはお米だと思います。

 お米につきましては、全国で生産している数量が約八百万トン強あるわけでございますけれども、この中で実際に市場流通をしているお米の量というのがおおむね六割程度というふうに思っております。この六割の量というのは、一つの経済的な物資としてのお米、お米は経済の中で動いているものでございますので、基本計画でも申しておりますけれども、やはり生産量の相当程度をきちんとした担い手で確保できるというような形でカバーをしていくことが目標だろうというふうに思っております。ですから、この流通量というものの相当部分をカバーするというところが大きな目標の方向性だというふうに考えておるところでございます。

井上(義)委員 それで、逆の立場から、例えば、もともと担い手を中心とした我が国の農業の構造改革を進めるということでいわゆる水田・畑作経営所得安定対策というのを出したわけなんですけれども、今回、市町村特認とか集落営農組織に対する法人化指導の弾力化とか、ある意味で緩める形になると思うんですけれども、その改革に逆行しているんじゃないのかという意見も一方ではあるんですね。ですから、その全体の政策の整合性ということについて、今回の見直しをどういうふうに位置づけているのかということも含めてきちっとしておかなければいけないんじゃないかというふうに思いますね。

 この点についてはどうなんでしょうか。

若林国務大臣 今委員が御指摘になられましたように、今回の見直しというのは、今まで進めてきた望ましい構造を実現するための担い手を育成する、そういう視点から大幅に後退したのではないか、あるいはそういう基本の方向を変えることになるんじゃないかというふうな御批判も伺うわけでございます。

 しかし、私どもの方としては、基本的にはこういうふうに考えております。日本の、特に水田農業経営、土地利用型農業についていいますと、とにかく、今の構造でいる限りは水田農業の発展は期待できない、そのために規模拡大を進めていこう、この基本方針はいささかも変更するつもりはないわけであります。

 そういう意味で、各地に出向いていろいろな御意見を伺った中で、現在の仕組みについてまず一つは大変な誤解もあった、十分な理解が得られていないという、それは対策の名前も品目横断的と言っていますから、何か水田だけじゃなくて畜産やその他の果樹、野菜なども含めて全部対象にしているんじゃないかというようなところから、生産者側あるいは生産者団体がこれに取り組んでいったという経過もあるわけでございますので、そうじゃないんだ、当初の目的どおりこれは水田農業の構造改革を進めようとするものだということを明確にするために、まず名称を変えたというのは、そういうことでございます。

 そして、規模につきましても、いろいろな地域の特例でありますとか個別農業者の所得の状況などから見て特例措置を開いておりますから、それでかなりのものが救えると認識しておりましたけれども、しかし、やはり現地に入ってみますと、市町村地域では、望ましい担い手としてこれを担い手に位置づけるというようなきめ細かな判断が地域によってあるわけですね。それは水田農業ビジョンの中に認定農業者として認めていっている。そこで、認定農業者については市町村の判断を優先していこうということで、それを市町村特認という形で取り入れたわけでありまして、認定農業者にならないような人までこれにのせるつもりはないわけでございます。

 そういう意味で、そういう加入の道を開きましたけれども、地域農業の担い手を確保して土地利用型農業の体質を強化するという政策の基本、あるいは基本の方向性については、何ら変えるものではございません。対策の導入に伴って制度に対する誤解も見られたところから、対策の名称のみならず、ゲタだとか青だとか黄色だとか、そういうようなことはもう使わないようにして、現場で理解しやすいような言葉を用いていくということで、この対策の普及、定着を図っていきたいということでありまして、基本方針なり基本的な枠組みを変えるということは考えておりません。

井上(義)委員 農地、水、環境とか農山漁村の活性化、それから原油高騰対策等についてお伺いしたかったんですけれども、どうも終了しちゃったので、また別の機会にこれはしっかりやらせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 いろいろありがとうございました。

宮腰委員長 次に、筒井信隆君。

筒井委員 私の方から、井上議員が聞いた最後のところも関係するわけですが、戦後農政の大転換と言われた、旧名称で言うと品目横断的経営安定対策、それに米改革も含めた形でのものが昨年の四月から始まったわけですが、その直後に、その大転換がまた大転換されてしまった。これはやはり、当初から設計ミス、こう言えるのではないか。当初から間違いだったということが直ちに明確になった、私はその実例だというふうに思っています。

 そして、その関係でお聞きするんですが、今も大臣ちょっと言われましたが、理念それから基本、原則は変えていないと。いろいろな言い方があるんですけれども、きょうは方向性という言葉もちょっとプラスされましたが、基本だとか理念だとか原則は変えていない。その基本、理念、原則、方向性というのは、一言で言うと何ですか。

若林国務大臣 これは、農業基本法二十一条に規定しておりますように、効率的かつ安定的な農業経営というものが生産の相当部分を担えるような構造をつくっていくということでございまして、その担い手というのは、いわゆる他産業並みの労働時間で他産業従事者と遜色のない生涯所得を確保し得るような効率的、安定的な農業経営を育成する、これが基本理念でございまして、生きがい農業とかいろいろな副業的な農業というのも否定するわけじゃありませんけれども、この対策におきましては、そういう方々は、他の対策、地域対策などの中に対象として含まれ、そういう人たちも支援はいたしますが、この経営安定対策というのは、まさにこのような担い手を育成していくということに目標を定め、そのために規模の拡大を要する人たちについては規模拡大のための必要な施策を講じていく、こういうことでございます。

筒井委員 今の話ですと、他産業並みの所得をきちんとできるようにする、これが基本理念であるということでございますね。その基本理念の中には、大規模化ということは入っていないんですね。規模の要件は入っていないんですね、今の説明ですと。

若林国務大臣 これは水田農業について申し上げているわけでありまして、土地利用型農業の場合の経営の基本的な生産要素というのは土地でございますから、それは、相当規模のものがない限りは、生産性を一方で上げても、あるいは収量を上げていっても限界があるわけでありまして、その意味では、一定の経営規模というものを念頭に置きながら、経営規模の拡大を図っていく。個別経営で難しい場合には、集落営農というのを基本にして、集団的な組織という形で規模の利益が出てくるようにするということを前提に組み立てているわけであります。

 野菜でありますとかあるいは花でありますとか、そういうようなものは今回のこの経営安定対策の対象じゃありませんで、そういう意味で、規模に大きく制約を受けないような農業については、それぞれ作物ごとの対策を従来と同じように講じていく、こういうことでございます。

筒井委員 品目横断的経営安定対策についての理念、原則は変えないと言われていますので、その理念、原則を今厳密にお聞きしているんです。

 その品目横断的経営安定対策における理念、原則というのは、他産業並みの所得、この点であって、四町歩以上だとか二十町歩以上だとか、こういう規模要件は、理念、原則の中には入っていないんですね。

若林国務大臣 今、理念、原則ということをお話ししましたので、他産業並みの労働所得、これは生涯所得と私は申し上げております。農業の場合は定年制がありませんし、かなりの年齢になっても所得が上がりますから、そういう意味で、所得均衡というのは、生涯の所得を均衡できるようにということであります。

 そして、そういう目標、理念に従って、それじゃ土地利用型農業でどういうふうにすればそれだけの所得が上がっていくか、そういう経営分析というものがあるわけでありまして、その中から導き出されてきたのがそれぞれの土地利用型農業についての一定の面積ということになるわけでありまして、面積は理念ではありませんけれども、理念を実現するための最も大事な要素としてそれを入れたわけでございます。

筒井委員 理念、原則は変えないと何回も何回も言われている。そして、経営所得安定対策は、まさに四町歩以上、二十町歩という規模の要件が前面に出ている政策なものですから、では、理念、原則を変えないと言っている中には規模の要件というのは入るのか、それともそうじゃないのかを確認するために私今聞いていたんです。

 ただ、今の答弁ですと、理念、原則の中に規模要件は入らない。しかし、それは理念、原則の所得を確保するための重要な手段ではある。理念、原則には入らないが、理念、原則を実現するための重要な手段である、そういう答弁でしたね。

若林国務大臣 言葉の使い方をいろいろ厳密におっしゃられると、それが正確かどうかわかりませんけれども、少なくとも、理念、原則ということになると何が原則かということでありますが、基本的な理念、原則といいますと基本法に戻るわけでありまして、そこには具体的な面積が入っているわけではありません。

 しかし、それを実現するための政策の手段といいますか、今、手段というお話がありました、まさにそういう政策自身の遂行上の基本というものは、面積を一応の基準としながらも、その面積に達しない場合でありましても、いろいろな特例を開いたということで、その特例の中で一定の所得が目指せる担い手たり得るというような人は対象にしていこう、こういうことでございます。

筒井委員 今の答弁で大体わかったんですが、四町歩以上、二十町歩以上というのは原則だけれども、基本だけれども、これは変えないけれども、しかし、特例としてそれより下のものは認めるんだというふうに理解されている面もあったものですから、そうじゃない、それは原則、理念ではない、二十町歩以上とか四町歩以上は理念、原則ではないんだ、絶対変えないと言われているそのものではないんだということが今わかったので、それはよろしいです。

 そして、戦後農政の大転換が直ちに大転換された。初めから間違いだったんじゃないか。

 その具体的な例として一つお聞きしたいのは、認定農業者の年齢制限が今度廃止になりました、廃止、弾力化。これは初めから、この高齢化社会においてこんな年齢制限を、四月の時点で正しくてその後は正しくなかったという状況の変化じゃないでしょう。初めからこれは間違いでしょう。

若林国務大臣 年齢制限というのは、認定農業者の条件として、もともとそんなことは決めておりません。それは地域に任せております。地域によって、市町村が市町村レベルで年齢を加えている地域もあります。しかし、大部分は年齢を規定しておりません。しかし、地域によってそういうことを加えているものですから、誤解が出てきているということがあり、これを柔軟、弾力的に取り扱うということを再確認する意味で、年齢というものを弾力的に考えるよう市町村におろしたわけでありまして、市町村が決めているんですよ、認定農業者の要件というのは。

筒井委員 今度の見直しの内容として、認定農業者の年齢制限の廃止、弾力化を政府が挙げたことは間違いないですね。

若林国務大臣 市町村に対する指導として、そのようなことを決めているところがあれば、それは廃止をし、あるいは弾力化を図るということを指導したということでございます。

筒井委員 その指導を今度初めてやったんですよね。その前からそんなのがあるのは知っていたんでしょう。知らなかったんですか。何で今度初めてやったんですか。

高橋政府参考人 認定農業者に対する指導の関係でございますけれども、今大臣が申し上げましたように、認定農業者の認定基準そのものは、地域でどういう方々が一番ふさわしいかというのは、やはり市町村の判断が重要であろうということでございます。その際に、当然のことながら、若い方々がたくさんおられるところで、農業者年金の制度等もございました。そういった中で、早く世代交代をしようというような場合には、認定農業者についてはできるだけ若い人たちを優先的にやっていこうというような市町村もございます。

 ただ、一部の市町村におきまして、この認定農業者制度の年齢について画一的に扱っているのではないか、逆にそのような声が生産者からも出てまいりました。私どもとしては、認定基準につきまして、年齢というのは制限ではないというのは、これはもう制度ができたときから通達等で説明をしております。

 今回、このような生産者の声が出てまいりましたので、再度これを確認するために、市町村が独自の判断基準として年齢制限を設けている場合に、その硬直的な運用によりまして意欲のある高齢農業者が地域の担い手として排除されることのないよう、年齢制限の廃止あるいは弾力化の運用を強力に指導したところでございます。

筒井委員 私の地元でも私もいろいろな苦情を聞いていたので、認定農業者は年齢制限があったために私は外されたと。これは去年の四月以前からあったでしょう。四月以前からそういう声があったでしょう。そうしたら、四月の時点で、今度やった指導をもうその時点でやるべきでしょう。

若林国務大臣 今局長がお答えしていますように、もともとこれは市町村で決めるという仕組みになっておりますから、市町村によって扱いは違っているわけなんですよ。委員の地元でとおっしゃったその地元は、地元市町村が水田農業ビジョンなどを議論し、認定農業者というものをどう扱うかというような協議の中で市町村がそのように決めたということでございまして、全国的にこういうような年齢を基準に決めるような指導もしておりませんし、そういうことはやっておりません。

 したがいまして、今回の見直しの通達の中にありましても、市町村が独自の判断基準として年齢制限を設けているような場合にあっては、その硬直的な運用によって意欲ある高齢農業者が地域の担い手として排除されることがないように、市町村の基準としての年齢制限は市町村として廃止をし、または弾力的な運用を図るように指導をしてもらいたい、こういう通達になっているわけです。

筒井委員 私は、今度の経営安定対策の見直しで政府が行ったものはすべてもう四月の時点で行うべきだったんだと。その具体的な例として挙げているんです。だから、そんなのは各市町村でその前からやっているんですから、こんな遅くなってからではなくて、去年の四月の時点でやるべきことだったんじゃないですかという質問なんです。

若林国務大臣 認定農業者の認定基準というのは市町村が決めるようにしてスタートしているわけですから、市町村によってそういういろいろな差があるということを前提にこの制度は仕組まれているわけでございまして、去年の四月にそういう状態の中で年齢制限をかけるというふうに決めた市町村もあれば、そういうことをかけていない市町村もあるということであります。

 しかし、そのかけるというふうに決めた市町村は、いろいろな事情の中でそのようにかけたのかもしれませんけれども、それを、硬直的な運用によって意欲ある農業者が排除されるということがないようにもう一度見直してもらいたいということを言っているわけで、その意味では、にもかかわらず、私のところは一定の年齢制限を設けるということを市町村が決めるということであれば、それはそれで、我々としてそれを決めてはならぬということを規制することはできません。

筒井委員 だから、何回も言っているように、そんなのはもう四月の時点でわかっていたことなんだから、その時点からやるべきだったんじゃないですか、そういうことを言っているので、それはもういいです。

 そして、生産調整、さっきの井上議員もお聞きして、そこの中でも説明があったので詳しいことはやめますが、二十一万トンの過剰生産、そして米価大幅下落、十九年産米に関してでございますが、まさにこれも、去年の戦後農政の大転換の中で始まった新しい生産調整システムのもとでそうなった。この結果を見ますと、新しい生産調整システム、これは失敗しましたね。少なくとも、機能しなかったという反省はしていますか。

若林国務大臣 それは言い過ぎだと思いますね、機能しなかったという言い方は。

 それは、生産調整を、生産者団体などが主体になりまして、地域が需要に応じながら決めていくという基本の考え方を打ち出したわけでありまして、その考え方に従って大変な御努力をしたんですよ。しかし、統制、規制ではありませんでしたから、その後、最終的なナショナルレベルでいいますと、品種別に見ましても、なかなか需要にマッチしない形の生産の部分があった、こういうことなんですね。

 その結果が下落という形であらわれたわけですから、確かに生産者団体の大変な御努力で相当の効果は上がったんだけれども、その少しの調整上のそごが価格に大きくあらわれてきたということは事実でありますので、そういう少しの調整上のことが出てこないように、再度、もう一度行政側も一体になってやろうということで体制を組みかえたということと御理解いただきたいと思います。

筒井委員 機能しなかったというのは、生産団体が全然やらなかったという意味ではなくて、そういうふうに今度の制度を変えた農水省が悪いと言っているんですよ。例えば、今一つ言われましたが、以前は、行政が関与して行っていた。今度は、団体による自主的生産調整に変えて、情報を提供するというふうにした。このことも間違いだったでしょうと言っているんですよ。その点はどうですか。

若林国務大臣 私は間違いだと思いません。

 やはり自分の地域の、新潟であれば新潟の、またその地域の中の品種がございます。それが売れ筋のある場合と余り売れない場合もある。そういうようなきめ細かな需要を承知しているのは生産者なんです、生産者団体なんです。そういう人たちが、自分のところの生産物である米をどの程度までならしっかり売り込めるかといったようなことを考えながら、地域の人たちの相談の中で積み上げていく、そういう需要に応じた生産計画をつくっていくんだという基本は正しいと思っていますし、また、それがそういう機能を果たしてきた、私はそう思っております。

筒井委員 みんな生産調整は嫌でやっているんですから、これを本当に実現するためには、行政が関与して、ペナルティーとかあるいはメリット措置を明確なものにしなければできるはずがないことはわかり切っていると思うんですよ。それを、基本的に行政の関与を外した。それがもし間違いでなかったとすれば、何で今度また行政の関与を強めたんですか。

若林国務大臣 前のように戻って行政が主体になってやろうということを今度決めているわけではありません。生産者団体などとの役割を再確認しながら協力してやりましょうと。ですから、基本は、そういう需要に応じた生産計画を立てるというのは、生産者及び生産者団体の方が主体になって決めていくわけであります。行政はそれを支援する形でかかわっていく。

 だから、行政が一度に引いてしまったらいいというふうに理解をされたとすれば、それは違いますよと。行政は、それを応援していくという、そういう応援の姿勢を明確にして強化をする、こういうことでございます。

筒井委員 行政が応援とか何かだったら、四月からだってやっているんですよ、情報提供を初めとして。だけれども、今度この見直しで出したのは、応援、提供だけではなくて、行政の関与そのものを強める、この方向に転換した。この転換は間違いないでしょう。

若林国務大臣 おっしゃるように、行政が従前よりも踏み込んで生産者団体との調整、話し合いに入るということにしたことは間違いございません。

筒井委員 だから、それをしなかった去年の四月以降のやり方、システム、これは間違いだったでしょうと言っているんです。

若林国務大臣 間違いか間違いでないかということをやりとりしてみても、我々は、間違いか間違いでないかというのは何をおっしゃっているのかよくわかりませんけれども、全国的なナショナルベースの需給の調整にそごがあったという現実は現実としてとらえた上で、さらに、そういうことがないようにするための措置を強化したというふうに御理解をいただきたいと思います。

筒井委員 どうも農政は、猫の目農政と言われて、その都度みずから検証して、この農政は間違いだったのかどうか、きちんとはっきりさせなきゃだめなんですよ。そんなずるずると、間違いか間違いでないかと言われてもとかって、そして、どんどん変えてきているようだから、農政に哲学はないと言われて、はっきりしないんですよ。

 今、一つの例で言っていますよ。行政の関与、行政が以前生産調整を直接やっていた、それが外れた、今度はその関与を強めた。そういうふうに変えた。この三段階の変えたことも猫の目農政の一つかもしれないけれども、これは、行政の関与を本当に薄めてしまった去年の四月からのものが間違いだったから今度は強めたんでしょう。そういうのは明確にさせた上で、そういう反省点を明確にして検証した上で農水省もやってもらわなきゃだめなんですよ。どっちかはっきりしない、間違いか正しいかはっきりしないなんて、そういう態度を続けているから日本の農業はなかなかよくならないんですよ。

若林国務大臣 繰り返しで申しわけありませんけれども、我々は、昨年からスタートした品目横断的経営安定対策が間違いであったという認識は全く持っておりません。そういう方向性のもとで、その実行面の取り扱いとして、行政がもう少し力を入れて応援体制、支援体制をつくっていくということにしなければいけない、そういう修正を加えたということでございます。

筒井委員 範囲を広げて答えないでくださいね、私は行政の関与に限定して聞いているんだから。

 行政の関与は、当初、完全に行政がやっていた。その関与をなくした。なくしたというのは言い過ぎで、薄めた。今度は強めた。こういう見直しをしたのは、薄めたのが間違いだったからでしょうと言っているんです。

若林国務大臣 そうは思っておりません。

 従前のように、行政が前面に立って行政の責任において生産調整が全国の市町村から農家まで及んでいくという、その手法というのを変えたことは間違いがない、こう思っております。

 その場合に、行政がどこまでこれにかかわっていくかというかかわり方について修正を加えたということでありまして、従前のように行政が責任を持って主体になってやるというような方向性に戻るというわけではありません。

筒井委員 戻せと言っているんじゃないんですよ。変化について聞いているんです。まあいいです、それで。

 そして、産地づくり交付金、これも一定額なところに問題がありますね。

 産地づくり交付金は、生産調整参加者をふやしたい、こういう目的ですよね。ふやしたいという目的がある。しかし、ふえると各参加者への支給は薄くなる。そういう制度をつくったこと自体、その制度そのものに矛盾があるんじゃないですか。ふやしたいんだけれども、ふえると薄くなっちゃうという制度、これについてはどう思いますか。

町田政府参考人 産地づくり交付金につきましては、要するに、生産者が主体的に生産調整に取り組む、大臣からもお話しされましたが、地域でその地域の水田農業のあり方といったことをよく考えていただいて、地域の判断で使っていただくということで措置したものでございます。全部を固定したとか、そういったものではございません。

筒井委員 私の質問は理解されていないのかな。

 産地づくり全体が一定額だから、これは参加者をふやしたいための制度だ。だけれども、ふえると各人の支給額が減るでしょう。これは矛盾した制度ではないかという質問なんです。

町田政府参考人 産地づくり交付金の単価につきましては、地域それぞれ、協議会でまちまちでございます。各地域で、当該地域の実態といったことを踏まえて、生産調整を確実に実行できるようにということで措置しているものでございます。

筒井委員 悪いけれども、官僚さんの答弁は全く意味がない。大臣、今の点ではどう思いますか。

若林国務大臣 局長が説明をいたしておりますように、産地づくり交付金について、例えば、一定十アールなら十アール当たりでどの作物をこうつくったらこれだけというように地域的に決めているというようなことではありませんで、まさにその地域がどのような形でこの交付金を活用していくのかということを地域の知恵で対応してもらうということをやっておりまして、現実に、これは地域の受けとめは非常に積極的な受けとめをしてもらいまして、さまざまであります。

 米については、有機農業に助成をしているという場合もありますし、水稲の直播への助成もありますし、加工用米に対する助成をするというところもありますし、また、担い手に対して、利用権設定に対する助成をするというところもあるし、受託作業に対する助成ということもございます。そして、地域によっては地産地消の取り組みに対して助成をするというような地域もあるわけでございまして、麦に対し、大豆に対し、ソバに対し、ホールクロップサイレージに対し、あるいは土地の集団的な利用を進めることに対しという、そういう形で地域でさまざまであります。

 そういう柔軟、弾力的な運用をするというのが産地づくり交付金でありまして、そういう意味で、全体の参加者がふえてくれば、それらをまた相談して、どういうような対策にこれを使っていったらいいかというのを御相談いただくというふうになっている仕組みでございます。

筒井委員 それと、先ほど井上議員が聞いた市町村特認の制度についてもお聞きします。

 これが新たに、今度の見直し、大転換の大転換で始まった。先ほど井上議員の質問に対する答弁として、水田に限りますと、この市町村特認が始まる前、十九年産の加入申請者が五万八千経営だったという答弁がありました。このときの加入資格者はどのぐらいの数だったんですか。

高橋政府参考人 今の御質問は、十九年産におけます実際の加入者に対して、要件を満たしていた者がどの程度おられたかというふうな御質問だと思います。

 これにつきまして、ちょっと今手元にはないわけでございますけれども、基本的な面積要件四ヘクタール、北海道十ヘクタール、それから二十ヘクタール以上の集落営農組織、これらの要件を満たす者に加えまして、先ほど来申し上げておりますけれども、一定以上の所得がある者につきましては基本的に特例措置として入れるというようなことがございますので、その割合がどの程度あるのか。現実に、認定農業者が全国で今二十数万おります。その中でさらに集落営農が一万余ございますので、大きくはその母数の中で今申し上げましたような要件を満たしているというのがその基本的な母集団であったというふうに考えております。

筒井委員 十九年度における加入申請者の数は五万八千というふうにさっき答弁されましたが、申請ができる加入資格者の数。今の四町歩以上、二十町歩以上の資格者だけでもいいですよ。

高橋政府参考人 私ども今持っております基本的な数値は、階層別の認定農業者の数ということ自身、実はちょっと把握をしておりません。

 先ほど申し上げておりますように、私どもといたしましては、これの前の、今回の対策以前の品目別の対策が講じられておりましたときの面積と対策加入後の面積ということで先ほどもお答えさせていただいておりますけれども、麦とか大豆、てん菜、でん粉原料用バレイショ、この畑作についてはほぼ品目別の対策を実施したのと同じということで、それの耕作者についてもほぼ同様ではないかと考えております。

筒井委員 五万八千というのは、米について、先ほど井上議員の質問に対して答えられた。

 これは今、資格者は数がわからないと言うんだけれども、資格者のうちの何割ぐらいがこの申請をしたんですか。それもわからないですか。

高橋政府参考人 先ほどは恐縮でございますけれども、私ども把握をしておりますのは、先ほど来申し上げておりますように、対策別で作付面積のどの程度をカバーしてきたかということでございまして、面積ベースのところで把握をしておりますので、そこにおけます耕作者数については、先ほど来申しておりますように、全体の認定農業者の数なり集落営農組織の全数というのが、全体の枠の中で、さらにそこから要件を満たしているというふうに推定しているところでございます。

筒井委員 何も答えていないんだけれども。

 さっきの五万八千、資格者のうち何割ぐらいが申請して五万八千になったのかという質問なんですよ。

若林国務大臣 実は、しきりと委員は、四ヘクタールとか十ヘクタールということを……(筒井委員「二十」と呼ぶ)二十とか。そういうことから発想されておられるわけでありますけれども、今までの仕組みにおきましても、物すごく特例を開いているわけですよ。中山間地の特例でありますとか、いろいろな、農地面積の小さい地域における特例でありますとか、あるいは、個別の農家の集約的農業をやっているために面積が小さいけれども所得が多い、そういう人たちの水田経営、複合経営ですから、そういうものにうんと特例を開いているんですね。そういう特例というのを大きく開いているために、そういう特例に適用できるような資格者がどのぐらいかということとをあらかじめ予測あるいは決めていくということはできないんですよ。だから、そういう意味で、そういうものは持っておりませんと。

 つまり、資格者がどのくらいあるかというのは、手を挙げて、市町村がそれを見て、これはこういう特例が適用できると。かなり大幅な特例が今までもあったわけですから、そういう意味で、それを活用し得る人がどのぐらいいるかということはわからない。

筒井委員 四町歩以上、二十町歩以上に関してはわかるでしょう、数は。

若林国務大臣 水田自身、土地利用型農業で、四町歩以上あるいは二十ヘクタール以上ですか、そういう面積規模での農家数というのはわかります。(筒井委員「はい、それを」と呼ぶ)それは資格者と言わないんです、我々は。もっともっと特例がうんと開いていますから、もっと多いんですね。

 だから、その点は事務的に答えさせます。今の四と二十ですね。

高橋政府参考人 今の面積、階層規模別でございますけれども、全作物を通じて、ちょっと手元に今ございませんので、後でまた。

 基本的に、先ほど来申し上げておりますけれども、私どもの統計の方で把握しております面積の階層規模別も、今申し上げたような四とか二十のところで切れているものではございませんので、ちょっとここのところはもう一回確認をさせていただきたいと思います。

 先ほど来申し上げておりますのは、全体の母集団の総枠としては、認定農業者は全国で今二十三万余ございます。

筒井委員 今ここでわからないというのであれば、では大臣、後で確認してください。

 そして、今度、市町村特認で対象になり得るのが十六万三千経営と先ほど答えられました。これが新たに経営安定対策の対象になり得る人たちというふうに理解していいわけですね、市町村で認定されたら。

高橋政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、今回の市町村特認につきましては、市町村ごとにつくられております地域水田農業推進協議会が定めております農業ビジョンに位置づけられた者ということで、その中で、現在、地域水田農業ビジョンの中に位置づけられた認定農業者が約十五万五千、それから集落営農が約八千ということでございます。ですから、このような方々が基本的には加入の対象になり得る者ということでございます。

 なお、そのほかに、実は、法人経営等々、若干少ない数ではございますけれども、幾つかございます。その点も含めて、申請をして可能になり得る者ということでございます。

筒井委員 これは水田農業に限ってでございますから、現在の水田農業の申請者が先ほどから言っているように五万八千、これが今度十六万三千経営が対象になり得る。大幅な変更だと思うんですよ。これは、品目横断的経営安定対策自体がもう成り立たなくなった、その一つの象徴ですよ。

 そして、この水田農業ビジョンで、十六万三千経営の平均面積というのはわかりますか。それともう一点、最低面積はわかりますか、水田で。

高橋政府参考人 水田農業ビジョンでちょっとそこまでのものは記載されておりませんし、私どもとしては、そこは把握しておりません。

筒井委員 戦後最大の農政の大転換の中で、四町歩以上あるいは二十町歩以上という、規模の要件が極めて重要だと先ほど大臣も強調された。それで、今度、水田農業ビジョンの人たちも対象にする。その新たに対象にする人たちの平均面積だとか最低の面積だとか、そんな重要な問題を全然調べていないんですか。それとも、これから調べるんですか。

高橋政府参考人 先ほど申し上げましたけれども、この認定農業者、大臣からも御説明ございましたけれども、基本的に、土地利用型の水田農業、稲作農業を中心としておられる方以外にも、果樹でございますとか野菜ですとか、そういう施設型の農業を行われている者も相当数あるというふうに聞いております。

 今回、四ヘクタール、二十ヘクタールの基本的な原則を維持しつつ、従来から所得の特例等のそれぞれの特例措置を講じた上で、さらに、実際の地域の生産現場から自他ともに水田農業の担い手だと認められているような人たちについては、より弾力的な運用を図れるような仕組みを導入するべきであるということから、この地域水田農業ビジョンというのが水田の生産調整も含めました一つの地域としての担い手のあるべき姿を描いておりますので、ここに位置づけられた者であれば、従来の原則あるいは特例措置に乗りませんでも対象とし得るということにしたわけでございます。

筒井委員 大臣に確認したいんですが、新たな市町村特認の対象者の水田耕作面積、平均がどの程度で、最低がどの程度で、これは調べるお気持ちはありますか、それとも面積は関係ないとおっしゃいますか。

若林国務大臣 気持ちはありますけれども、そういう形でデータが整理されているかどうかというのは私実は今承知しませんので、また別途お答えしたいと思いますが、それらの農業者が水田をどれだけ持っているのか、水田以外の……(筒井委員「いや、水田農業ビジョン」と呼ぶ)いやいや、水田農業ビジョンは水田のことだけじゃないんですよ、地域農業ビジョンなんですから。地域農業ビジョンの中で認定農業者として位置づけられているわけで、その認定農業者は水田もやっていますし、野菜もやっているし、果物もやっているし、畜産をやっている人もいるかもしれない。そういう人たちが地域水田農業ビジョンの中に入っているわけですね。

 ですから、その中で水田の部分だけを引っ張り出してきて、水田の面積でどのくらいなのかというのがデータとしてとれるものかどうか、それはちょっと私承知いたしておりませんのでお答えできないのですが、我々は米だけを問題にしているわけじゃありませんで、水田というものを高度に利用するという意味で、水田を含む複合的な経営も認定農業者の中にいるわけですから、そういうのは水田が小さい面積であっても対象にしていこうということなので、水田の面積自身はさほど私は重要だと思っていなかったんですよ。

 そういうことでございます。

筒井委員 だから、私は、一町歩以下あるいは五反以下だってあり得ると思っているんですが。(若林国務大臣「あり得ますよ」と呼ぶ)あり得るでしょう。そういうものを対象にするんですよ、政府の経営安定対策は。まさに、民主党が規模にかかわらず販売農業者を対象にするのと物すごい近づいてきているんじゃないですか。近づかざるを得なくなってきて、だから、先ほど言ったように、これは品目横断的経営安定対策の崩壊の象徴なんだ、こう言えると思うんですね。それは、後で面積は調べてくれるというので、調べてまた教えていただきたいと思います。

 そして、面積要件はそんなにこだわらないと今大臣言われましたが、面積要件にこだわらない、あるいは小規模のものも含めて品目横断的経営安定対策の対象になるということになりますと、今まで、何とか規模要件を満足させるために、四町歩、委託だとか購入だとかで努力したり、集落営農で何とか二十町歩以上にしようと努力した、そういう努力した人たちと今度の市町村特認で対象になる人たちの不公平感、これは出てきませんか。

若林国務大臣 何か基本的なところで委員の御理解と私たちとが違っているところがあるように私は思うんですよ。

 それは、例えば都府県について言えば四ヘクタール、四ヘクタールについてもいろいろな特例を設けていますね。四ヘクタールというものは基本として置いた上で、いろいろな特例を設けています。その特例の中には、所得要件の特例として、花でありますとか畜産でありますとか、そういうようなことでその地域の目標農業所得の二分の一以上といったような所得を上げている人も、今までも対象になっているんですよ、水田は小さい面積でも。それを委員は無視しておられるんだけれども。

 それがあるということであれば、従来から、水田自身について言えば、稲作は規模の小さい人であっても他の作物との組み合わせの中で一定の所得を上げている人は対象にしているという仕組みがあるということを考えますと、今度の市町村の方の特認が出てくる、市町村で決めたビジョンの中の認定農業者の基準の中で、意欲と能力があって、村としてはそれを認めよう、そういう農業者の基準を満たす人の中に、今までの特例でも入れる人たちがいるんですよ。いるんです。

 だから、それを理解していただければ、今までの特認基準で救済できる人もいるんだけれども、一つ一つの町村でそういう特例をわかってもらうように一方で今後も普及をするんですけれども、しかし、そういうことも含めまして、そういう人も含めて、市町村の定めた地域農業ビジョンの中で認定農業者にするという基準に当たっていれば、そういうことで申請があれば対象に認めていけばいいじゃないかというルールを出したというだけでありまして、矛盾するものではないんです。重なり合っている部分がある、こういうふうに御理解いただきたいと思うんです。

筒井委員 時間が来ましたので終わります。ありがとうございました。

宮腰委員長 次に、高井美穂君。

高井委員 民主党の高井美穂です。

 本日は、中国製の冷凍ギョーザの中毒事件ということと、あと林業と中山間地域直接支払い制度について、それから鳥獣被害、できればそこまで行きたいと思いますけれども、よろしくどうぞお願いいたします。

 まず、食品安全基本法というのが平成十五年にできまして、それ以降、消費者行政も、総理が先般の所信表明演説の中でも、各省庁縦割りになっている消費者行政を統一的、一元的に推進するための強い権限を持つ新組織を発足させて、あわせて消費者行政担当大臣を常設するということを表明なさいました。新組織が国民の意見や苦情の窓口となり、政策に直結させ、消費者を主役とする政府のかじ取り役になるものとするという強い決意を述べられたわけでございますし、若林大臣におかれましても、所信表明演説の中で、食の安全確保の取り組み、消費者の被害の未然防止を図るというふうに述べられております。

 まず、お伺いしたいんですけれども、私が二月六日に中国製冷凍ギョーザと食の安全に関する質問主意書を出して、その回答の中で、「政府全体として幅広く取り組むことが必要な問題であるため、消費者行政の推進を担当する岸田内閣府特命担当大臣(国民生活)が主たる担当」となるという御答弁が答弁書の中でございました。

 そこで、消費者の利益の擁護及び推進に関する基本的な政策は岸田大臣がつかさどりと。今回の中国製の冷凍ギョーザの毒入り事件に関しては、主たる責任大臣は岸田大臣ということでよろしいんでしょうか。

堀田政府参考人 岸田大臣は、国民生活担当大臣として、一般消費者の利益の擁護及び増進に関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進に関する事務等を担当するとともに、当該重要政策に関し行政各部の施策の統一を図るというために必要となります企画及び立案並びに総合調整に関する事務をつかさどるというふうにされております。

 一方、農林水産大臣は、先般閣議決定されました議員の質問への答弁書に記載したとおり、本件事案に係る事務としては、酒類を除く飲食料品及び農林畜水産物の流通及び消費の改善及び調整に関する事務、食品産業等の改善及び調整に関する事務といったものをつかさどっております。

 本件のように消費者の食の安全については、政府全体としてさまざまな観点から幅広く取り組むことが必要であるため、広く消費者行政の推進を担当する岸田内閣府特命担当大臣が主たる担当となっているところでございます。

高井委員 それでは、重ねて内閣府副大臣にお伺いしたいんですけれども、先般、二十一日の新聞報道の中で、日本生活協同組合連合会が問題のギョーザの包装材から、ジクロルボスとともに有機燐系農薬の成分のパラチオン、パラチオンメチルを検出したという発表が新聞報道でありました。

 この発表内容について、政府としてはどのように掌握して、これは事実というふうに認識してよろしいのかどうか。また、パラチオンについては昭和四十六年に使用が禁止されたと聞いておりますけれども、今農家などでの残留状況などは把握しておられるかどうか。あわせて教えていただきたいと思います。

中川副大臣 本件は、保健所で発見されたものじゃなくて、そういう行政機関で発見されたものじゃなくて、御承知のように、民間のところで発見された。

 そういう通報を受けてから、その結果に基づいて、当該商品は回収済みの天洋食品工場の商品であることから、改めて回収措置を行う必要は全くない、さらに、当該農薬成分の検査方法は既に検疫所に伝えてありますので、大丈夫だと思っています。

 しかしながら、このような毒性の強い農薬が含まれていた可能性があるということは非常に重大な問題だと認識しております。本日九時から、食品による薬物中毒事案に関する関係閣僚会議を開きまして申し合わせをしまして、このようなことが再度起きないように、政府が一体となってしっかり取り組まなければならないということになっております。

佐藤政府参考人 御説明申し上げます。

 委員お尋ねのパラチオン及びパラチオンメチルの関係でございますが、人畜に対する急性毒性が強く、使用者の事故が多発したことから、毒物及び劇物取締法に基づきまして、昭和四十六年にその使用が禁止されているところでございます。農薬取締法により、それぞれ昭和四十六年それから四十七年に農薬の登録も失効しているところでございます。

 農薬取締法に基づきまして、このような登録のない農薬については、我が国における製造、輸入、販売、使用等が禁止されているところでございます。

 使用禁止になりましてから四十年近くたっておりますので、農家等に存置されているような可能性というのは極めて小さいものと考えているところでございます。

高井委員 再度起きないように政府が一体となって取り組むと中川副大臣がおっしゃいましたけれども、この言葉を何度聞いたことかといいながら、毎日毎日民間の業者さんも一生懸命調べておられますよね。政府としてのメッセージ性が低いのではないかと思うんです。

 消費者は今かなり混乱しております。私が新聞で受けた印象は、それこそ大変な農薬だ、危ないというふうに私は思いました。それぐらい強烈なので、特に私は子供がまだ小さいので、消費者の皆さんに、今すべて何か危ないんじゃないかという印象も与えますし、これは大変混乱を来していると思う。

 その割に、総理も所信表明でここまで力強くおっしゃり、各大臣もこうやって、消費者の利益の擁護のために頑張る、食の安全のために頑張ると言っておられるにもかかわらず、少しメッセージ性が低い。

 あと、このギョーザ事件はスタートは一月三十一日でしたよね。もう三週間以上もたっております。それにもかかわらず、何かこれに対する政府全体の対策が、けさの新聞でしたか、再発防止策が明らかになったということでございましたけれども、新聞報道ですので、もう少し中身、詳しい内容をぜひ教えていただきたいと思います。

中川副大臣 私も全く同じような考えを持っておりまして、政府にはしっかりした検査機関もあって、もう三週間以上たっていて、これが政府の検査機関から新たに発見されたのではなくて、御承知のように、民間がみずから食の安全のために検査した結果出てきたということは、私も担当者の一人として非常に情けなく感じております。このことだけは間違いない事実でありまして……(発言する者あり)回収して調べた中の、政府が発見できないで、民間で発見した事案なのであります。ですから、その点は情けなく感じているということを私も皆さん方の前でここで明らかにしておいて、政府の責任というものを私も担当大臣とともにしっかりやっていきたい、こう思っております。

高井委員 民間が頑張ってやっているから政府としては全部回収できないとか、何かそういう答弁なんでしょうか。

 つまり、輸入加工食品に関しては、それこそ民間の業者さんの方が詳しいかもしれませんけれども、ただ、やはり政府としての責任は絶対的にあるわけですよね。とりわけ輸入加工食品は、この間、残留農薬の件であるとか、そういうことからずっと問題となり続けていたがゆえに、BSEのことももちろんありましたけれども、食品安全基本法というのができて食品安全委員会ができたという経過があるにもかかわらず、五年前にできた法律が十分に今なお生かされていない。

 なぜここまで政府が取り組むと言っておるのに遅いのかが私には本当に理解できないんですね。副大臣がそういう意思を持っていらっしゃるのに、なぜ取り組みが遅いのか。これは、一元化する、一元化するといいながら、全く一元化できていないんじゃないですか。話を聞くだに、調整役のみ、情報収集のみに徹しているような感じなので、機能していないんじゃないかと思いますので、しっかりやっていただきたいと思います。

中川副大臣 今委員の御指摘のとおりでありまして、非常に多岐にわたってそれぞれ担当しております。厚生労働省だとか農林水産省だとか、外務省もまた警察も、いろいろな機関でそれぞれの立場でやっておって、それがきちっと一元化されていない。そういうこともあって、急遽、この問題が起きたときに、総理が決断しまして、一元化のための具体的な検討に入って、その準備室も立ち上がりました。そういう危機意識は総理も非常に強く持っています。

 ただ、今回収は、一応我々が聞いているのは全部回収した。しかし、生協は生協として、自分で扱った商品を回収しながら検査した結果から出てきたというふうに聞いておりますから、これも先ほど言ったように、政府が一生懸命やっているところから出たのならまだいいんですが、民間から出たということに対しては、深くおわびもしなければならないし、強く反省しなければならない。ですから、こういう行政の一元化に向けてしっかりと取り組んでいかなければならない、こう思っているわけであります。

高井委員 食品衛生法に基づいて政府が回収命令を出せると思いますので、しっかりやっていただきたいと思います。

 ちょっと中川副大臣に、この問題が起きたときに、何とかしなきゃいけないということで、総理が岸田担当大臣を任命されてつくられたということなんですか。

中川副大臣 総理は、総理に就任した当時から消費者問題の一元化についてしっかりやっていかなければならないと言っておりました。これは、間違いなく我々もそれに基づいてやろうとしていました。

 しかし、このギョーザの問題が発生したものですから、そんな悠長なことはしていられないということで、急遽関連の会議もつくり、そして前倒しをして準備室もつくったということでありますから、今度のギョーザ事件が総理に強いインパクトを与えたことは間違いない事実で、それに基づいてすぐ指示を我々は受けたわけでありますから、そのことを申し上げているわけであります。

高井委員 すぐすぐ、迅速にとおっしゃる割に、そういうふうなメッセージ性が聞こえてこないので、繰り返し申し上げているんですが、ぜひやっていただきたいと思います。

 食品安全基本法に基づいてできた食品安全委員会というのがございますよね。食品安全委員会というところは、食品健康影響評価の実施をするというふうにお聞きしておりますし、せっかくできて、実際あるにもかかわらず、今この食品安全委員会はこの件に関しては何をやっているんですか。何もしないんですか。趣旨からすると、人の健康に及ぼす影響についての評価を施策ごとに行わなくてはいけない。

 今はもちろん事件の真っ最中ですけれども、せっかくあるのに、名前ばかりの会議ばかりやっているのでは意味がないので、ちゃんと早くやっていただきたいと思うのですけれども。

堀田政府参考人 食品安全担当大臣、それから国家公安委員長を兼務されておりますけれども、泉大臣も関係閣僚会議には参加されておられます。

高井委員 ちゃんとやってくださいということを申し上げているのです。

 では、食品安全委員会でこれはちゃんと扱うんですか、扱わないんですか。まずそこから教えてください。

堀田政府参考人 私は食品安全委員会の担当ではないんですけれども、科学的な問題なんかがあれば、食品安全委員会として適切な対応をとられるというふうに考えております。

高井委員 では、農水大臣にちょっとお聞きしたいと思うんですけれども、この件に関して、農水大臣はどういうふうにお取り組みをなさろうと思っていらっしゃるんでしょうか。

若林国務大臣 委員もう十分御承知のことだと思いますけれども、食品衛生法というのは厚生大臣が責任を持っているんですね。それで、食品を通じて人間の健康に危害を与える、そういうような食品が製造され、あるいは取引される、そういうことがないように、また、そのことによって被害を受けるというようなことが不幸にして発生したときには、それをチェックするという権限は、食品衛生法に基づいて厚生大臣が持っているわけなんですよ。そうなっているんです。

 私の方は、これを流通過程で、食品関連のまずは製造、卸、それから外食、中食、小売といった、そういう段階がずっとあるわけで、それらを業者が適正に取り扱っていくようにという部分を持っているんですね。そして、今回のように、これは危険だ、人体に危険があるという観点で食品衛生法上それをとめるというようなことが決まりましたら、私の方は、今言った関係業者の方に連絡しまして、それを扱わないように、そしてまた、それらがあった場合はすぐ連絡をするように、そういうふうな部分を担当しているんです。

 それぞれがそういう部分を担当するのをそれではどういうふうに一本化していくのかという問題は、今まさに総理からの指示を受けて内閣府の方で検討をしている、こういう状況になっているわけです。

高井委員 まさに大臣がおっしゃったとおり、全くばらばらな状態で、一元化されていないですよね。大臣の方から、幾ら厚生労働大臣が所管であったとしても、政府として、多分回収命令を出すことは可能なんだろうと思うんですよ。だから、政府としての取り組みをやるということを総理が表明されて、一元化するんだということをおっしゃっているんですから、いや、厚生労働大臣が言ってくれないとだめだなんというのはちょっと、おっしゃっていただいたらいいと思うんですよ、むしろそれを束ねる役として岸田担当大臣が特命担当大臣として任命されたわけですから。ぜひ農水大臣も、他人事ではなく、働きかけもしていただきたいと思いますし、それはぜひ決めていただきたいと思います。

中川副大臣 ただいまの指摘、回収命令をまだ全然出していないということであれば……(高井委員「出していないですよ」と呼ぶ)回収はしっかりするということで、それぞれ、これは輸入食品で、いつ、どこから、どう入ったということだけはっきりしていますから、その回収は、そういう形で、回収も含めて、政府を挙げてこの問題に取り組むということになっておりまして、けさも緊急的に閣僚会議を開いてやっております。それは、いろいろな形の中で、国民からいろいろとこのことに関して不信感があることは間違いない事実でありますから、だからこそ、なおしっかりとやっていくということで、政府を挙げてこれからもやっていきたい、この問題についても取り組んでいきたい。これだけは間違いない事実でありますから、御理解いただきたいと思います。

高井委員 この件が食品衛生法違反かどうかというのはまだわからないんですよね。(若林国務大臣「わからない」と呼ぶ)わからないんですよね、食品衛生法違反かどうか。それも一刻も早く調べた方がいいと思うんですよ。私もわからないと怖いです。

 大臣がサバはしばらく食べるのは嫌と記者会見でおっしゃったそうですが、隣の香川県で見つかった冷凍サバも、よくお聞きすると、食品衛生法違反ではないそうなんですね、人体に影響を与えない程度混入されていたということだったので。そうなると、まさに私は、大臣がああいうふうにおっしゃるから、これはちょっと影響があるんだろうなというふうにかえって思ったりしました。

 だから、今いろいろな新聞にこうやって毎日農薬の名前が出て、何に入っている、これに入っているかもしれない、袋に入っているかもしれない、物に入っているかもしれない、どこで混入したかもわからないという情報を、毎日毎日浴びれば浴びるほど余計心配になって、やはり政府がちゃんとしたメッセージ性を出すべきだと思うんですよね。ちゃんと調べてほしいと思うんです。

 そういう点からも、食品安全委員会がリスク評価をぜひやっていただきたいと思います。(発言する者あり)与党の先生もしっかりせいというふうに言っていらっしゃるようですけれども。

中川副大臣 厚生労働省の説明員もきょうここへ来ていませんので、そういう専門的なことは答えるわけにいきませんが、ただ、御承知のように、いろいろな問題があって、原因のしっかりした究明がまだなされていない……(発言する者あり)いや、そういうふうに我々政府としては説明を受けております、担当の方から。

 そういう説明を受けて、しっかりとした原因究明がまだなされていない、その原因究明をまずすることからしっかりしなければならないということで、厚生労働省がそれを専任しておりますので、政府を挙げてそれをやっているということでございますから。まだはっきりした原因が究明されていないというふうに我々は説明を受けていますので、その点は御理解いただきたいと思います。

高井委員 個々個別の専門的なことをお聞きしているわけではないので、一元化しているということの話ですから、ぜひ取り組んで、調べろと言う権利は多分あるんだろうと思うんですよ。そういうことをお聞きしているわけですね。早急にこれを調べてくれと、大臣として、また政府としてやっていくということはできるんだろうと思うんです。それをぜひやっていただきたいというふうに申し上げているわけであります。

宮腰委員長 高井先生、だれに聞くのかということを、内閣府に聞くのか、少なくとも役所名ぐらいは言っていただかないと。だれに指名していいのか、ちょっと難しい。

 中川内閣府副大臣。

中川副大臣 一元化をする方向で今鋭意検討し、やっている最中で、まだ一元化は残念ながらでき上がっていないんです。それは、何十年というここまで続いた行政の中で、総理が強いリーダーシップを持って一元化を図るべきだということです。しかし、この間準備室ができたばかりでありまして、すぐ一元化できるような、そう簡単なものではありませんので、そんなに急いで逆に変な形になったら困るということで、鋭意検討している最中でありますから、その点は御理解いただきたいと思います。

高井委員 政府がそういう認識であるならば、それは仕方がないのかもしれませんけれども、急を要することですよね、この冷凍ギョーザの件は。我々が政権をとったら、そんな悠長なことは言いませんので、頑張りますので、今の政府はそうだという認識を持ちたいというふうに思います。

 けさの新聞で、警察庁の吉村長官が、日本国内で混入した可能性は低いと考えるというふうに記者会見されました。密封された袋の内側からメタミドホスという日本で使われていない農薬が検出されたこと、それから、メタミドホスに不純物が含まれていて、純度が高い、日本国内で使用されているものと違うこと、それから、発見されたギョーザは中国を出荷後別ルートで流通し、国内では接点がなかったという三点を挙げられております。

 この件に関して農水大臣はお聞きになっていますか、この記者会見の内容を。そして、どう思うか、教えていただきたいと思います。私は新聞紙上からしか知らないので、もしお聞きになっていれば、ここで教えていただきたいと思います。

若林国務大臣 まずは所管の関係でいいますと、警察の方の取り締まりという、そういうかかわりの部分について、常時連絡を受けるようなことになっておりませんで、私も先ほどまでは警察庁の方がそのような見解を示したということも承知しておりませんでした。

 ただ、きょう閣議の後、消費安全の関係の閣僚会議があったんですが、当委員会に私は出なければいけないということがありましたので、私はその閣僚会議に出ないで、閣僚会議の方は副大臣に出席をしてもらっておりますが、その閣僚会議におきまして、今のような警察側のことがそこで報告されたのかどうか、その点も私は確認をしておりませんけれども、おっしゃるように、幾つかにまたがって食品安全の問題は所管をしておりますから、その意味で関係の閣僚会議というものを設置して情報交換をしております。それを窓口として取りまとめているのは岸田大臣ということになっているわけでございます。

 そして、委員が先ほど来ばらばらじゃないかと。まさに一体になっていない。これを何とか行政の体制として、一体の体制をどうやってつくるかというのを協議している、検討している、そういう段階ですから、今の時期では、窓口としては岸田大臣が窓口になって受けとめて、関係の省庁と協議をして、判断を示すときには、やはり窓口の大臣が統一して判断をするということだと私は思うんですけれどもね。

高井委員 きょう私は質問する前に、通告の段階でも、その前の段階でも、中国の中毒ギョーザの件を聞くということを申し上げておりました。なので、きょう新聞に突然出たわけですから、それで今改めてお聞きしたわけです。これは全然私も記者会見を拝見していないもので、ただ、聞くにも当たって、まだ農水大臣も承知でなかったというお話が今ございましたので、何か結構のんびりされているなと思いました。

 というのは、つまり原因が一刻も早く確定されないと、政策、対応を打てないですよね。だから、早く警察とも連携をとって、早く情報収集もしていただきたいと思いますし、これにかかわる質問でありますから、通告というか、けさ新聞で私もこれを見たもので、大臣だったら政府の内部の方ですから、もういろいろ御存じだろうなと思ってお聞きしたんですが、お聞きしていないということだったので、それはそれで結構でございます。

 では、この輸入加工品の安全確保の強化策を、どこの省がこれから責任を持ってやっていくんでしょうか。そして、大臣としては、この輸入加工食品の安全強化策というのを、何か具体策をお考えでいらっしゃったら教えて下さい。

中川副大臣 今回の中国産の薬物中毒の事案、これは輸入加工品の安全確保強化策ということで、水際段階では厚労省が検疫問題でやっております。だけれども、それも通り抜けております。

 それから、内閣府は一般の消費者の利益をどうやって確保するかという観点からも重大な関心を持ってこれをやっております。

 それから、警察庁はこれに重大な違反行為があったりすると、これは警察庁として重大な関心を持って、今捜査その他をやっていると思っております。しかし、このことについては、警察庁の問題はなかなか事案の関係から簡単に情報が外に出ないような形の中でやっていると聞いております。

 それから、外務省は外交使節を通じていろいろと今回の事案の原因究明などに協力をしていただいている。

 そして、文部科学省は児童への健康を、何とか未然に防止したいという形からこの問題に関与している。

 農林水産省は、ここに大臣もおられますから、これは重大な関係を持って扱っている。

 それぞれが担当しているわけですが、このように、いろいろな行政機関がそれぞれの役割に応じてやっておりますが、これを何とかして一元化したいという形の中で、今回、食品による薬物中毒事案に関する関係閣僚会議というものを持って随時協議をしております。そして、被害拡大の防止、原因の究明、それから再発防止策の検討。そして、担当の内閣府大臣が窓口として、一体となってやっていくということであります。

堀田政府参考人 けさほど開かれました閣僚会議で申し合わされた事項を御説明したいと思います。

 輸入加工食品の安全確保策の強化というのが中に織り込まれておりまして、その中で、七つの項目の施策がございます。簡単に申し上げますが、最初が、輸出国政府への対応といった内容、それから在中国日本大使館における食品安全担当の駐在、それから輸入食品の監視体制の強化といった項目、それから輸入業者自身による輸出段階での管理強化、それから五つ目が加工食品の残留農薬に関する試験法の検討、開発、さらには福祉施設等における注意喚起、最後に学校給食用食品の安全性といった項目が織り込まれているところです。

高井委員 その中身については、個々個別に全部明らかになってから、またお聞きしたいというふうに思うんです。

 大臣に一つ提案なんですけれども、せめて輸入加工食品の原産地表示のルール化をしていただけないかというふうに思います。つまり、個々個別に一個一個加工されたものに、このしょうゆはどこ製、酢の物はどこというふうに、全部一個一個調べていくのは難しいと思うんですが、せめて、最終生産地、その製造物がどこで最後にパッケージされたか、どこで形になったか、それを書く。最終的にどこで製造されたかを表示するぐらいはできるんではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

若林国務大臣 まさに今のJAS法はおっしゃるようになっておりまして、最終製品製造地が中国であれば、それは中国というふうに今表示をするようになっているわけでございます。

高井委員 原産地表示は、それは国だけなんですか。だから、それをもう少し細かいレベル、もしくは、特にJAS法は罰則規定もないわけですし、違反していても今のところ何も。

 例えば原産地表示を偽装したら、犯罪として摘発されるようになっているんですか。

若林国務大臣 今、幾つかのことをおっしゃっておられるんですけれども、まず、最終製造をした加工食品の製造地が外国である場合は、その国名を表示するというのが法律で決められておりまして、もしそのようなことがなされない、無表示で、あるいは虚偽表示で、それが商品として取引されるというような場合は、まさにJAS法違反でございます。ある違反に対する措置が、手順を踏んだ上で措置命令を出し、命令に反している場合には罰則がかかるというようなことがございます。

 それから、今委員のおっしゃった中で、その原料はどうかと。小麦粉を使っている、油を使っている、豚肉のひき肉であれば豚肉がある、鳥肉であれば鳥、そういうような原材料を表示するというようなことは義務づけておりません。そして、それは検討しなければならないという問題意識は持っていますが、非常に多様であります。例えば、小麦はオーストラリアの小麦を使っているといえば、小麦のところにオーストラリアと書かなきゃいけませんし、肉はアメリカの肉を使っていればアメリカと書かなきゃいけませんし、油は大豆油を搾っているという意味で、ブラジルの大豆で搾ったという油であればブラジルと書かなきゃいけない。

 ギョーザだけでとっても三十幾つの原材料の組み合わせですから、それをみんな書けということを言うことは、事実上、実行上非常に難しいということが一つあると同時に、実は、これを決めますと、当然国内の規制をかけるわけですけれども、そういう規制をかけますと、WTO条約がございまして、そういう一義的に商品について規制をかける場合は、WTOにそれを通告しなきゃいけないんです。通告をして、世界に公表しまして、一定期間の間、意見がWTOに出されるわけであります。それに異議が出ますと、その国との間で協議をする。協議が調わないままそれを実施しますと、今度、不服審査の関係でパネルに行って議論をしなきゃいけない。こういう手続に入っていくわけですね。ですから、国際的に、大体こういうものが常識として理解される、あるいはコーデックスで決めているような範囲で書くというのであれば、そういうクレームが出ないわけですね。

 そういう中で、国際的にいいますと、原材料についての原産地の表示というのはほとんどの国でやっておりません。一般的でないということを申し上げておきたいと思います。

高井委員 個々個別に一個一個の中身、原産地を表示するというのは大変難しいということもよくわかります。わかっているつもりです。だからこそ、輸入加工食品の安全確保策というのは大変難しいと思いますし、こういう事件が起きてしまったので、これからいろいろな会議を重ねられると思いますけれども、ぜひ何らかの、それでもできるだけ明らかにできるような御努力をいただきたいというふうに思います。

 時間がなくなってまいりましたが、林業の話に話を移らせてもらいたいと思うんです。

 今回の「農地政策の展開方向について 農地に関する改革案と工程表」という農水省が平成十九年の十一月六日に出されたペーパーの中に、農地情報のデータベース化の推進というのが書かれてございました。実は農地だけではなく山林にもこうした情報のデータベース化といいますか調査が必要ではないかというふうに思っています。つまり、森林の所有者がかなり高齢化をしていますから、国土調査というか地籍調査をできれば一刻も早くしていただいて、森林の境界線をきちんと決めていくということを早めていただきたいと思うんです。今度、森林に係る間伐を促進する法案もこの後出されるような話を聞いておりますけれども、それにも多分大きな面積要件といいますか、補助金を出すに当たって面積要件が要ると思いますので、やはり境界線というか、本当に細かい境界でなくても、大体どこの所有者であるかという線引きが大事だと思いますが、まだこれは徳島でもそんなに進んでいないわけですね、財政的な問題が大きいのかと思いますけれども。

 それで、これは国土交通省が管轄だというふうにお聞きをいたしましたので、この点、なぜ進んでいないのか、これからどういうふうになるのか、お答えをいただきたいと思います。

宮崎政府参考人 お答えいたします。

 現在、今お話ございましたように、山林を含めまして、一筆ごとの土地につきまして、所有者、境界、地積、面積でございますけれども、こういったものを確定する地籍調査、これを市町村が事業主体となっていただきまして実施しているところでございます。

 何で進まないのかということでございますけれども、やはり所有者一人一人に立ち会っていただきまして、納得ずくで権利を確定せにゃいかぬということもございますし、一筆ごとにやっておりますので、非常に手間、時間がかかる、こういった問題がございます。

 ただ、先ほどちょっとお話にございましたけれども、山村地域におきましては、地権者の高齢化とか不在村化等が進行しておりますので、将来的に境界確認が困難になるんじゃないか、こういったことを私どもも懸念しているところでございます。

 こういったことを踏まえまして、国土交通省といたしましては、市町村それから都道府県等に対しまして、速やかに地籍調査の実施をやっていただくように働きかける、こういうことは当然でございますけれども、将来、いざ地籍調査をやるというときに、もう既にその情報がなくなっている、そういったことにならないように、地元の事情に詳しい森林組合等の方々に協力いただきまして、山林のおおむねの境界を保全する事業、これは平成十六年度から国直轄で実施しているところでございます。

 今後とも、これらによりまして、山村部での地籍調査の促進に努めてまいりたいと考えております。

高井委員 今、木材の自給率は二〇%ですよね。幸いなことといいますか何というか、最近輸入木材の増加が、二十年ほど前からずっと続いていたのが少し減ってきて、また少し国内産の需要が高まっているということでございますけれども、それをチャンスに、この政策をぜひ危機感を持って進めていただきたいと思うんです。

 よく聞きますと、輸入木材に比べて日本の木材は乾燥が大変難しい。特に杉なんかは含水率が多岐にわたる。二〇から八〇%と大変木によって違っていたり、また、乾燥させて集成材として使うにしても、なかなか大きなロットで用意するのが難しい、輸入業者は言ったロットをきちんと出してくれる、すぐ来るというふうな話がありました。

 だから、せっかく需要が高まっているんですから、木が山にたくさんあって、これを業として成り立っていかせるためにも、供給側がきちんと提供できるような後押しをぜひ政府の方でしていただきたいと思います。昔から林業というのは初期投資が大変要りますし、最初林業を始めるに当たって、多分山が好きでたくさん投資をしたりしていても、それが今となっては業として成り立っていかないから山林の手入れができないという状態になっているところが多いのではないかというふうに思うのです。

 だからこそ、これをチャンスに林業を振興するために、地域の木で地域の家が建てられるといったような施策とか、木材の自給率を上げるために、高齢化している方々に対して、少なくとも日当程度のお金を、生活費を稼ぎながら林業ができる、生活が成り立っていくような林業者に、個々個別の小さいところであっても何とか生活していけるような支援をぜひお願いしたいというふうに思います。

井出政府参考人 いろいろお尋ねがあったんですが、まず、山の方に木はたくさん営々として育ってきているわけです。

 現在、林野庁が進めておりますのは、いわゆる山元、川上におきましては、今委員からお話がありましたように、どうやってロットをそろえて川下の業者に安定的に供給する体制をつくっていくかということが肝心でございます。

 また、間伐材を製材あるいは合板、集成材等に加工する業者におきましても、今お話がありましたように、外材から国産材へシフトしていくという動きが最近顕著になっておりますので、そういった業者が、そういった工場を拡張したり、あるいは新設したりする場合にも、林野庁として必要な助成をするということにいたしております。

 いずれにしましても、山元では、そういったことで森林施業を集約化しまして、あるいは作業道等の路網と高性能の機械を組み合わせて生産コストを縮減していく。あるいは、業者のところでも、今、杉のお話がありましたけれども、乾燥材をしっかりつくっていくためのシステムづくり、そういったことが重要でございます。

 現在、そういった川上、川中、川下を通じて、体系的、システム的に国産材が活用されるように体系を組んで、施策を展開しているところでございます。

高井委員 ありがとうございました。

 最後の質問になりますけれども、鳥獣被害について、一問だけお答えいただきたいと思います。

 これは議員立法として、与野党の協議を経て修正の後、鳥獣被害防止特別措置法が成立をいたしました。大変待ち望んでいた市町村も多いと思いますし、よかったと思います。市町村の取り組みを財政的に支援するために、一刻も早くこの制度が充実していくことを望みたいと思いますし、鳥獣被害がここまで広がった背景には、農業者の高齢化、農山村の高齢化と山の手入れがされていないことがあるというふうに思います。

 現在、徳島なんかでもそうなんですけれども、猿が結構子供にいたずらをしたりするケースがあって、大変危ない地区もあります。猟友会の有志の方の力をかりて撃つということをしているんですけれども、有害鳥獣の退治に関して、けがをしたり、最悪の場合、命を落としたりしているケースまでございます。

 徳島の北灘地区という鳴門にある地区なんですけれども、猿をとるために事故で命を失ってしまった人のお墓を建ててあるところがあるんですね。それは単なる一例なんですけれども、こういうふうに猟友会の方の善意に頼るだけでは限界があるところもあると思いますし、そういう事故などが起こったときに、労災など適用できたり何らかの支援ができるような制度をぜひ進めていただきたいと思うんです。

 今回の法案に基づいて、そうしたことをカバーするための対策が講じられるというふうにお聞きしましたけれども、少し概要をお聞きしたいと思います。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、鳥獣被害防止特別措置法におきまして、市町村は、捕獲あるいは防護さく設置の実施のための被害対策実施隊を設けることができることになっております。猟友会の会員などの民間人を隊員とする場合には、市町村長の指名または任命によりまして、非常勤の地方公務員ということになります。

 これらの隊員につきましては、地方公務員災害補償法に基づきまして、市町村が条例によりまして、公務上の災害に対して補償の制度を定めなければならないというふうに決められてございます。

 被害対策実施隊の隊員の方々が安心して被害対策に取り組んでいただけるよう、私どもも総務省と十分連携をいたしまして、関係市町村に対して、条例の整備、あるいはその適正な執行等を働きかけていきたいと考えております。

高井委員 ありがとうございました。

 最後に、大臣、一言何かおっしゃりたいようなので、さっきの鳥獣被害政策に関して、最後にお願いします。

若林国務大臣 鳥獣害の被害対策については、まさに全国、北海道から沖縄まで、どの農山村地域においても深刻な問題になっております。そういうことを踏まえまして、委員がおっしゃられたように、まさに議員立法の形で特別法を制定していただいたわけでございます。

 そのことを受けまして、来年度、各種の施策をいたしますが、市町村が中心になって、関係者との間で協議の上で鳥獣害被害対策の計画を立案する。市町村の計画に基づいて行われる各種の諸対策についてはいろいろな助成をしていくことにしておりますが、いろいろな農林政策の中にあります政策の中には、メニューですから選べることがありますが、メニューとは別に単独で、鳥獣害被害対策費というのは農林予算で今までは二億円でありましたものを、二十年度は二十八億円という単独の予算を今要求しているところでございます。この予算が成立をいたしますれば、これを基盤にしまして、積極的な鳥獣害被害対策に臨んでいきたいと考えております。

高井委員 済みません。超過しました。

 ありがとうございました。

宮腰委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

宮腰委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。横山北斗君。

横山委員 民主党の横山北斗です。

 きょう、私は、水産政策で新たな経営安定対策ということについての質問をしていきたいと思います。特に私は青森県ですので、ちなみに午前中に、青森県の民主党の国会議員が何か質問して、事実と違うと言って木村太郎先生がかみついておられましたけれども、それは私ではございませんので、どうぞ皆さん、安心して私の質問を聞いてくださればよろしいかなと思っております。

 実は、二〇〇七年の十二月二日の地元紙、東奥日報にこういう記事が載りました。「不漁などの補償」として「年収の九割に拡大へ」という大きな見出しで、漁業は自然や市況に左右され、変動が激しい、そういう漁業収入を安定させ、担い手の減少に歯どめをかけるために、本人や従業員の所得が比較的低いという要件を備えた漁業者を対象に新しい経営安定対策を始めるという趣旨のことが載っておりました。

 結構大きな記事でしたし、漁業者の所得、収入が非常に低いという状況の中で、この記事に一筋の光を見出した漁業者の方も多かったのではないかと思いますが、きょうは、その制度の内容、そして現実にどういう問題点があるのかということにつきまして、私の思うところ、考えるところを話をしてみたいと思います。

 大臣が所信で表明されました「新たな経営安定対策の導入による足腰の強い経営体の育成確保、」これはまさしく努力で補えない経営の悪化をどうにかしたい、これが漁業を営む方々の長年の願いでありますので、この制度に対しての期待は大きかろう。

 しかし、この新しい漁業経営安定対策は、現行の漁業共済の制度に上乗せをして収入変動を緩和するものだと伺っておりますが、この仕組みとねらいにつきまして、まずは大臣からお話をいただきたいと思います。

若林国務大臣 新しい漁業経営安定対策は、今委員が御指摘になりましたように、漁業共済制度に加入している人の、漁業共済制度では補えないようなものを担い手漁業者に対して付加的に経営安定対策を講じようという趣旨で設けようとしているものでございます。

 漁業共済制度では、補てん率というのが七割から八割というようなことでありますから、なかなか全損ということはありませんけれども、全く漁獲収入がなくなったような場合であっても七割ないし八割までしか補てんされない。これは保険の設計でそういう設計をしたわけであります。しかし、農業と違いまして漁業共済というのは、PQといいますか、価格と漁獲量と一緒にして、結局、漁獲、水揚げ量で補てんするという意味では、ある意味では農業よりも進んでいる面もあるわけですね。

 そういうことに着目をしまして、漁業共済制度の加入を前提としまして、その上に、効率的かつ安定的な漁業経営が持続的に発展できますようにということを目指します漁業者の経営改善努力を支援するという趣旨で、収入の変動による漁業経営への影響を緩和しようということをねらいとして二十年度に導入をしようとするものでございます。

 具体的な仕組みについては、今申し上げましたように現行の漁業共済の経営安定機能に上乗せをする形で、減収が生じた場合に、漁業者の拠出と国費の助成ということで積み立てをしておきまして、それを原資として減収の一部を補てんする、こういう仕組みとしてスタートを切ろうというものでございます。

横山委員 大臣がお話しいただいたのに、失礼かもしれませんが、もし農水省の方で内容的なもので補足することがあれば、制度的なことをお聞かせ願えればと思います。

山田政府参考人 今大臣が申し上げましたとおり、漁業共済の上乗せの制度ということで制度を仕組んでおります。この場合には、今大臣が申し上げましたように効率的かつ安定的な漁業経営を対象とするということで、幾つかの要件を設けて、そういったことで将来担い手として育成をしていくということを念頭に置いて上乗せ措置を講ずるということでございまして、制度の仕組みとしては大臣が申し上げたとおりでございます。

横山委員 私もその制度を少し見たんですけれども、そうすると、これは、先ごろまで農業の品目横断的経営安定対策と呼んでいたもののナラシと極めてよく似た性格を持っているのではないかと思います。つまり、収入の変動をならすということが目的です。

 したがって、まず収入、これは先ほど説明がなかったですかね、五年間ぐらいの収入の中で高いのと低いのを除いてその平均ということだそうですが、その収入が全体として今はもう右肩下がりになっているわけですから、となると、効果も薄れてくるんじゃないか。この対策の対象者についても、品目横断的経営安定対策のときと同じように、政府の定める要件を満たした方ということになりますので、予算の金額からいっても、もちろん漁業者の皆さん全員を対象としてはいないと思います。

 そこで、漁業共済の制度に上乗せをするという仕組みですから、まずは漁業共済に加入しているということが大前提になるわけです。ところが、余り加入率は高くないのではないかと思うのですが、現在、共済の加入率がどうなっているのかな。とりわけ青森県で、私がお願いしたのは平内町、外ケ浜町、漁業の町なんですが、どれぐらいの数字なのか、お聞かせ願えればと思います。

山田政府参考人 ただいま、漁業共済の加入の状況、それから特に青森県の状況についてお尋ねがありました。

 漁業共済の加入率につきましては、通常、生産金額ベースであらわすということにしておりまして、いろいろ計算はありますけれども、生産金額ベースといいますのは、概念的に申しますと、共済対象になっている漁業種類の水揚げ高が分母になりまして、共済加入者の水揚げ金額が分子に来るということで、金額ベースでどの程度加入しているかというのをあらわす数字でございます。これにつきまして全国ベースで見ますと、今、平成十七年度の数字がございますが、全国ベースでは平均の加入率が五〇・四%ということでございます。この加入率は年々増加しているような状況になっております。

 特に、今委員の方からお尋ねがありました青森県の状況、特に平内町、外ケ浜町については、県の漁業共済組合が調べておりますけれども、平内町では加入率が八三%、外ケ浜町では八四・五%ということで、全国平均に比べると非常に高い率になっております。これは、まさに先生がおっしゃいましたように、地元でホタテの養殖とかが非常に盛んな地域で、そういう意味で非常に大きな規模の漁業者の方が加入しておられるということがこういう要因になっているものと思われます。

横山委員 どうもありがとうございました。

 一つお答え願いたいのは、現行の共済の方は掛け捨てですよね。入っている方々に聞くと、掛金が高いという声を聞くんですけれども、いま一度ちょっとその辺について説明願えればと思います。

山田政府参考人 掛金については、もう委員も御案内のとおり、保険計算をしまして、事故率を計算して出しておりますので、事故が非常に多い方は意外とよかったなと思い、事故が少なかった方は何か随分高く払っちゃったなという印象を受けるので、委員がおっしゃるようにいろいろな方の受けとめ方がありますけれども、それについては今申し上げましたように保険のルールでもって計算をしているものでございますので、印象はそれぞれそういうことであると思っております。

横山委員 わかりました。

 それでは、この漁業経営安定対策に加入するための要件についてお尋ねしていきたいと思います。

 まず、加入要件の中に、これは効率的で安定的な経営体を目指す経営体をバックアップする制度で、漁業経営改善計画というものの認定を受けていることが要件とされているんですけれども、この漁業経営改善計画につきまして、改めて、何を目指して、どういう考え方、制度の中で出てきたのか、その制度でこの計画が認定されると何ができることになっているのか、それから、この制度によってこの間経営が改善したのかということを含めて御説明をお願いいたします。

山田政府参考人 ただいまお尋ねのありました漁業経営改善計画でございますが、これは平成十四年の法律改正で設けられたものでございます。それまで漁業経営再建整備特別措置法という法律がございましたが、それを全体的に見直しまして、法律名も、ちょっと長い名前ですが、漁業経営の改善及び再建整備に関する特別措置法と直しまして、その中で今お話がありました漁業経営改善計画の制度が位置づけられたわけでございます。

 この背景といたしましては、その前の年、平成十三年に水産基本法ができまして、委員からお話がありました効率的かつ安定的な漁業経営の育成というものが水産基本法の中で位置づけられて、これから進めていこうという制度が基本法で位置づけられたことを踏まえて、今言いました法律改正をして設けたものでございます。

 したがいまして、その目的といたしますところは、全漁業種類を対象として、意欲のある漁業者等が創意工夫を生かして漁業経営の改善に取り組むということで、基本法に言っております効率的かつ安定的な漁業経営の育成を図っていくという趣旨で設けられたものでございます。

 具体的な仕組みでございますが、法律上、農林水産大臣が経営改善に関する指針を策定するというのがまず一番最初にありまして、その指針に則して各漁業者の方が経営改善計画を策定する、それについて農林水産大臣が、あるいは都道府県知事の場合もありますが、それを認定していくという形でオーソライズをいたします。

 その認定を受けますとどういう効果があるかという御質問でございましたけれども、法律上の措置といたしまして、もちろん、国なり都道府県が安定的な経営を育成するための助言、指導などを実施するということも法律上書かれておりますが、特に意味があるものとしては農林漁業金融公庫等による資金の貸し付け等の規定がございます。そのほかに、法律の制度ではありませんが、予算措置といたしまして、認定を受けた漁業者がリースで新しい代船を取得するときのリース代の助成をするというような予算措置が講ぜられているということでございます。

 それで、こういった改善計画によって経営の状況がどうなってきているのかという御質問でございました。

 この計画の期間というのは、五年間の期間でございます。五年経過したところで実際にどういうふうになっているかということを報告を求めるという仕組みになっておりますが、先ほどお話をしましたように、十四年に制度ができまして、初年度のものがようやく五年目に達してきている状況でございます。現在、その計画の実施状況についての報告は、一部上がってきておりますが、これは現時点では七つしかまだ数字が来ておりませんので、この制度全体についてどういう評価ができるかというのを見るのはまだちょっと早い状況にあると思っております。

 この七つの部分に限って申しますと、この七経営体は、遠洋マグロはえ縄漁業が七つあるわけでございますが、マグロ漁業を取り巻く環境、これはもう御案内のとおり、資源の状況とか規制強化がされるということで非常に厳しい状況にありますので、経営全体として見た評価をする生産額、付加生産額と呼んでいる概念があるんですが、その概念で経営全体として見ますと、やはりそれぞれの経営は下がっている状況にあります。ふえていないという状況にあります。

 ただ、この計画で、従業員一人当たりの付加生産額をどれだけふやすかというのもあわせて目標にしているんですが、その一人当たりの付加生産額は増加をしているものが三つの経営体で見られる。つまり、経営を合理化することによって従業員一人当たりの生産額はふえているというようなものも見られているということで、七つだけの分析でございますが、厳しい状況の中で一定の効果があるのかなというようなところがとりあえずの状況でございます。

横山委員 わかりました。計画どおり物事がうまくいったら楽なことはないと思いますので、それで結構です。

 ただ、この経営改善計画について、いま一度、計画には認定基準があったと思いますが、それについて。そして、実際、その結果発表は七経営体ということでしたが、現在までどれだけ認定者数がいるのかについてもお教え願いたいと思います。

山田政府参考人 経営改善計画の認定基準でございますが、これは先ほど仕組みのところで御説明をしました、大臣が指針を定めるということになっておりますが、その指針におきまして、さまざまなことが書いてございますが、例えば期待される取り組み内容ということでは漁船その他施設の整備を行う、あるいは生産方式の合理化を行う、経営管理の合理化を行うというような、こういうことがいいんですよというような例示をしてお示しをしたり、それから実施方法としては、やはり経営向上の数値目標を設定してそれに向かって取り組みを進めていきましょうというようなことを規定しております。そういった指針に合致しているということと、計画の内容や実施時期が適切であるかどうかというようなものもあわせて判断をしながら認定をしていくということでございます。

 認定の件数について御質問がありましたけれども、全国で見ますと、今手元にある数字は十八年度末の時点の数字でございますが、全国で二百三十四件の認定となっております。

 漁業種類別に見ますと、多い順でいえば、養殖関係が五十八、遠洋カツオ・マグロ漁業が五十六、近海カツオ・マグロ漁業が四十、大中型のまき網漁業が二十五件、その他となっております。

 特に青森県では、県全体でいいますと五件ということで少し少ない状況でございますが、遠洋カツオ・マグロ漁業が二つ、それから、大中型まき網漁業、底びき網漁業、定置・敷網漁業それぞれ一件ということで、合わせて五件という状況になっております。

横山委員 ありがとうございました。

 今、大臣の認定、それから都道府県知事の認定ということで青森県は五件ということでしたけれども、この認定の基準の中で、慎重に回避されたのかなと思われるのは、私がこの認定の基準を見ますと、やはり一番最初に目に飛び込んでくるのは、付加生産額または従業員一人当たりの付加生産額の五年間の伸び率が一五%以上になると書いてあるわけですよね。それは間違いございませんか。

山田政府参考人 ただいまお話がありましたのは、先ほど私が説明しました、実施方法として数値目標をつくるというところのくだりの中で、経営の相当規模の向上を目指しなさい、その場合の規模としては、今お話がありました付加生産額、これはまさに営業利益、人件費、それから減価償却費を合わせた経営の指標として使っているものですけれども、これについて五年間で経営体全体あるいは先ほど言いました従業員一人当たりの伸び率が一五%というのを、一定の、一つの目標にしてくださいということをその中で記載しております。

横山委員 それともう一つ関連して、今、遠洋のカツオ・マグロ、底びき等々で全部で五件と言われましたが、ホタテ業をやっているのはどこに入るんですか、この五件の中で。

山田政府参考人 私どもが持っている資料では、青森はホタテはないのではないかと思います。

横山委員 この水産庁が出している書類自体が、もともとこれは漁船漁業に関係する数字ではないんですか。ホタテみたいな特定養殖は、もちろん共済の中には入っていますけれども、今度の新しい対策の中の数値表の中には入っていないんじゃないですか。

山田政府参考人 ただいま漁業種類としてありますのが、大臣認定のものが、遠洋底びき網漁業と遠洋カツオ・マグロ漁業の二つ、それから、都道府県知事の認定のものが十個ございますが、その中にはおっしゃるようにホタテという分類はありませんので、この中でどこにも入らないとすれば、今のところはないということだと思います。

横山委員 済みません、単純な質問で。では、ホタテは含めないんですか。だって、入っていないんでしょう。

山田政府参考人 制度としてもちろん認定はできるわけですけれども、今のところその実績がないということで、ホタテは数字として上がってきていないということでございます。

横山委員 わかりました。

 要は今の段階で、先ほど外ケ浜、平内、そういうホタテ養殖をやっている人たちが八割以上共済に入っているという状況はわかりましたが、しかし、その中で今のところこの新しい制度の認定基準を満たしている人は、だれもいない、経営体はいないということですね。

山田政府参考人 今のところ漁業経営改善計画を立てているホタテの漁業者はいないというのはおっしゃるとおりですけれども、これから経営改善計画を立てることは可能でございますので、そういう人たちが入れないということでは必ずしもないということでございます。

横山委員 わかりました。

 ただ、これから入るということなんですが、現在の段階でも二百三十四件ということなんですが、この計画を新しい漁業経営安定対策の要件にするのは単純に数字だけ見る限りでは厳しいような気もいたしますし、現段階で青森県でホタテ養殖をやっている方ではどなたも要件を満たしていないということですから、これについて改めて要件にするということにつきましてどうでしょうか。

山田政府参考人 現在、その認定の数が少ないということでございますけれども、その理由といたしましては、先ほど来、制度の趣旨、あるいはできた経緯をお話ししておりますが、十四年度に制度を制定いたしまして、そのときにあわせて支援措置を規定しております。先ほど説明をいたしましたけれども、その支援措置の主なものは農林漁業金融公庫の融資であるとか代船を取得するとか、まさにかなり規模の大きい投資をする人たちがメリットがあるということで現実には手を挙げて入ってくるということが少なくなっている。つまり、手を挙げて認定を受けても、具体的に国の指導なり助言なりを受けられるものの、例えば低利の融資が受けられるとかそういうことがないので手を挙げていないというのが現実の姿であるというふうに理解をしております。

 そういう状況のもとで、今回、経営改善計画について認定をしてください、できないわけではありませんので経営改善計画をつくって手を挙げていただければいいわけですけれども、もともとこの新しい経営安定対策の目的が効率的かつ安定的な漁業経営をまず育成していくという水産基本法が定まり、あるいは、昨年決めました水産基本計画でそういったものを育成していこうということを決めて新たに対策を講じようということで、そのために効率的、安定的な漁業経営に早急になってもらわなくちゃいけない。そのためには、少なくともやっている漁業者の方々が自分で改善をしていこうという取り組みをするのがやはり大前提ではないかというふうに考えているわけです。

 したがいまして、これまでそういう意味でメリットがなくて手が挙がっている数が少なかったとしても、これから助成、支援を受けていこうというからには、自分で改善をするぞという計画をまずつくってほしいというのがこの要件としている理由でございます。

横山委員 わかりました。

 ただ、それでも先ほど言った二百三十四経営体しかない、この平成十四年度から十八年度までの間で。先ほど言った、五年間での伸び率が一五%以上という経営改善をしなければならないということに関して、なかなか達成が厳しい。

 その理由の中に、水産庁の発表でこういう文章がございます、「平成十六年三月頃から始まった燃油価格の高騰が漁業経営を更に圧迫し、五年間で付加生産額を一五%以上向上させるという本計画が立てられない状況となっている」と。

 この燃油価格の高騰というのは、平成十六年に終わったわけではなく、今なお厳しい状況で続いていると思うんですが、それでもこの一五%の達成というのは数値目標として有効なのでしょうか、お伺いいたします。

山田政府参考人 燃油価格の高騰につきましては、今委員から御指摘がありましたように、特にここ数年極めて大きく上がってきておりまして、漁業経営を非常に圧迫している状況にあるというのは、私どももそういうふうに理解をしております。

 漁業経営の改善につきましては、また後ほど御議論があるかもしれませんが、燃油関係の補正予算百二億円という対策を講じまして省エネ型の経営体制にしていくとか、そういったことを通じて経営の安定を図っていこうということで対策を別途講じております。

 それから、先ほどちょっと申しました、現在のところ七件の報告が来ているというお話をしましたが、特に全体の生産額はいずれも下がっているんですが、先ほど委員もおっしゃいました一人当たりの付加生産額で見ますと、三件が上回っていると言いましたが、そのうち二件のものは二割から三割も伸びている状況がありますので、それぞれの経営ごとに状況は違うと思いますけれども、少なくとも計画として一五%上げていくというのが、例えば従業員一人当たりのものとかいうようなことで見れば必ずしも無理なことではないのではないかというふうに理解をしております。

横山委員 わかりました。

 それでは、引き続き加入要件についてお尋ねしたいんですけれども、所得に関する要件というのがございます。新聞紙上を見ると、比較的所得の低い人を対象にというような文章もありました。現実には所得に上限や下限が設けられているわけですが、まずその理由。それから、実は、青森県で下限が幾らぐらいになるかというようなことに関して、まだこの制度を説明する立場にある人も明確な数字を持っていないようです。お教え願えますでしょうか。

山田政府参考人 ただいまお話がありました所得についての要件でございます。

 まずこの要件を設けている理由についてちょっと御説明をしたいと思うんですけれども、効率的かつ安定的な漁業経営を育成するという目標を置いているわけですが、これは具体的には何かというと、他産業並みの所得が確保できることだというふうにしております。

 五年間事業を実施することになっておりますが、五年間たった後でも他産業並みの所得が確保できるような形にしていきたいということがありますので、先ほどどれだけ改善するんだというお話がありましたけれども、ある程度その実現可能性がなければいけないだろうということで、五年後になったらばそういったレベルに達するものという方、そうすると、現在どのくらいの所得の方が五年たったら改善できるかというようなことをある程度前提を置いて考えたものを最低ラインとしておりまして、これはまさに都道府県ごとに非常に数字が変わります。青森のような全体として所得の低いところと東京みたいなところでは全く違うわけでございます。

 一番最低のラインにつきましては、青森県の個人経営の場合には、二十年度、今度の最初の年度ですけれども、二百二十六万六千円、これは青色申告の特別控除前の所得ということでございます。この数字は各県ごとにすべてはじき出しておりまして、すべて通知をしておりますので、しかるべきところに聞かれればわかる数字でございます。

 それからもう一つ、先ほどおっしゃいました上限を設けているという話ですが、これについては、もう既に相当高いレベルの所得を上げておられる漁業の方もおられる、漁業も非常に千差万別ですので。そういった方について国が助成をしていくのが適当かどうかということもありまして、これについては一定額のものはやはり対象から除外をしようということで、上のレベルは、これは県ごとに区別をするということではなくて、東京も青森も同じ上限ということにしております。これは全国一律で、二十年度では五百九十万五千円ということですので、青森なんかのレベルではこの範囲が広くて、東京などはちょっと狭くなっているという状況でございます。

横山委員 そうしますと、どこの都道府県でも、自分のところの平均所得みたいなのが新聞に発表されますよね、それの数字と大体同じぐらいということなんだろうなというふうに思います。

 その二百二十六という数字はまた後で一つお尋ねしたいことがあるんですが、もう一つ、その要件の中に年齢要件がありますよね。それについてちょっと教えてください。

山田政府参考人 この新しい経営安定対策は、先ほど来説明をしておりますが、将来にわたって継続的に水産業を担っていただける、水産物の安定供給をしていただける経営体を育成しようということでございます。したがって、先ほど申しましたように、五年間事業を実施いたしましても、その後も安定的に経営が継続できるようにということで一定の年齢制限を設ける考えでございます。

 ただ、これにつきましては、あるいはちょっと誤解をされている方がおられるかもしれませんけれども、漁業経営者の年齢制限ということではありません。高齢者の人が入れないということではなくて、漁業経営というのは、主に漁労作業、海に出て作業をするということなので、非常に厳しい条件の中で労働をするということになりますので、経営者の方ということではなくて海上で従事する方、その日数が一番多い方、つまり、本当に現場の中心になって働く方は六十五歳未満でいてくださいということでございまして、高齢者だから入れないとか入れるとかいうことではなくて、例えば、だれか後継者の方、息子さんが主に海で働くということになれば、それはちゃんと要件を満たすということでございます。

横山委員 今のは、この共済の新たな制度に入ろうかという人を集めたときに、でも、おれは六十五だからなという人に対して、そこで説明があって初めてみんなわかるんですよ。表に出ている数字はあくまでも六十五歳未満ですから、そのあたりの誤解を解く努力をぜひしていただきたいと思います。

 と同時に、品目横断でも当初こういうのがあったのを後にとったような、今自民党はとっていますよね、政府の農業政策では品目横断のときに六十五という要件があったのは。そういう点で、大臣、これはいかがですか。私、別に六十五歳から八十五歳……。青森の外ケ浜に行けば七十歳、八十歳ぐらいで漁業をやっている人はいっぱいいるんですね。六十五歳からでも十五年間は仕事できますよ。いかがでしょうか。

若林国務大臣 長官が御説明申し上げましたように、経営者の年齢を問題にしているのではなくて、海上で漁労の作業に従事している海上作業者の年齢を問題にしているんですね。その作業者は、そういう海上作業の中で、当該経営の中で一番多く従事している人の年齢がどうかということで見ている年齢でございます。その点が農業の場合とはちょっと違うわけです。

 さらに、農業について申し上げますと、これは市町村が認定農業者というものの基準を決めて、市町村が決めているわけですね。当該市町村が自分の町村の中でどういうような農業者を担い手として認定をしたらいいかというので決める、その決める中に年齢を決める場合もあるんですね。これは市町村にお任せしているわけですから、農水省の方がそれを決めるとか決めないとか、そういうことを言ってきたわけではありません。

 ただ、現場の市町村の中には、やや画一的、形式的に年齢を入れちゃったというような町村がないわけではありません。いろいろ現地の話を聞きますと、そのために自分が入れないんだというようなクレームも出てきております。そういう意味では、画一的に年齢を基準にするというようなことは、市町村が決めるんですが、指導としてはそういうことは廃止をするなり弾力的な運用ができるようにするなりの措置を指示したところでございます。

横山委員 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いいたします。

 ただ、私は今まで話をしてきて、一五%の経営改善とか六十五歳であるとか、それから二百二十六万が下限であるというのもちょっとどうかなと思う部分があります。これらのことも踏まえて、こうした要件をクリアして加入することのできる方々は一体どの程度と見ているのか、その概数を教えていただければと思います。

山田政府参考人 この経営安定対策につきましては、要件は、主に五つほどあると最初に申しました。委員が言われましたような経営改善計画の話でありますとか、所得の話、それから漁業共済の加入割合が一定であることとか、さらに資源管理、改善に取り組んでいることとか、五つほど主要な要件がございます。

 それぞれの要件につきまして、先ほども説明をしましたが、今はその経営改善計画がないからだめということでは必ずしもありませんので、そういう意味で、今後のいろいろな普及活動なり指導によってかなり変わってくるものであるというふうに理解をしております。したがいまして、個々の要件、こういう要件があるからこのくらいになるんだということは、現時点ではなかなか明確に申し上げられないというふうに考えております。

 ただ、現実に私どもが政策としてどういうことを目指しているかということでございますが、これは、昨年、水産基本計画を定めましたときに、あわせて構造展望というのをお示ししているんですが、これから十年後の経営についてどういう経営を育成してどういう構造にするかということなんですが、二十九年度に向けて、今安定的な経営体が一万五千あるところを二万五千にまでふやしていこうというのが全体の十年後までの目標でございますので、今度の経営安定対策もその一環として、その中の一つとして位置づけられている。したがって、政府全体の目標としては、二万五千ぐらいの経営体が効率的、安定的な経営体になっていくことを目指しているということでございます。

横山委員 どうもありがとうございました。民主党は漁業分野にも戸別所得補償制度をということですから、この制度の成功を祈っておりますというわけにはなかなか申し上げにくい立場にございますけれども。

 最後に、それでもやはり一五%上げるということの今大きな弊害となっているのが、燃油価格の高騰ということだろうと思います。それに対しましてさまざまな策を講じていることは承知しております。例えば、先ほど言葉の中でも出てまいりました、省エネということで発光ダイオードを使うとか。しかし、その省エネというのは考えてみれば、別に燃油価格が高騰していようがいまいが省エネ対策というのはやっていくべきことであって、現下の燃油の高騰に対して、どういう対策を、漁業分野において持っているもの、省エネ以外の分野でお教え願いたいと思います。

山田政府参考人 燃油価格高騰対策でございますが、今度の十九年度の補正予算百二億円ということで措置をさせていただきました。

 それで、この中では、従来から取り組んでおります、まさに先生お話がありました省エネ対策、これは十七年の補正のときもやはり省エネ対策ということでやったわけですけれども、まさに委員がおっしゃったように省エネは本当にどういう状況であろうが取り組むべき課題でございます。もちろん、燃油価格が高騰したときにはより重要になると思いますが、それ以外のものとして、例えば、とにかく漁に出るとなかなか収入が上がらないというようなこともありまして、今現実には不漁のときには輪番で休漁をしているというような地域もございます。今回の補正予算では、そういった輪番で休漁をするというような取り組みしか今のところ手がないという方々に対しましても、そういった方々が藻場、干潟の造成という公共的な活動をその間やるというようなことがあれば、それも支援をするということで、今までの省エネといった燃油高騰対策に加えて、いま一段、その対応が厳しい状況のもとで対応できるような対策も考えているということでございます。

横山委員 わかりました。

 以上でございます。ありがとうございました。

宮腰委員長 次に、神風英男君。

神風委員 民主党の神風英男でございます。

 本日は大臣所信に対する質疑ということでありますが、まず最初に、高井議員も質問をされておられましたが、中国産冷凍食品の薬物中毒事案についてお伺いをしたいと思っております。

 まず、天洋食品製造の冷凍食品の薬物中毒事案についての原因解明というのは、現在どういう状況にあるのか、どこまで進んでいるのか。また、最近、天洋食品以外に、相当、中国産の冷凍食品のしめさばであるとか肉まんであるとか、あるいはロールソースカツからも残留農薬が検出をされたという報道があるわけですが、これらの事案についての原因解明はどういう状況にあるのか。そして、天洋食品の事案とそれ以外の事案というのは性格が同じものなのか、あるいは違うものなのか。

 そこら辺、どういう状況にあるのか、教えていただきたいと思います。

堀田政府参考人 ギョーザの原因究明について御質問がございましたけれども、事件の発生以来、中国も含めまして両国で調査、捜査を鋭意進めているところではございますけれども、本件事案の原因に関しまして、依然さまざまな可能性が残されておりまして、まだ現段階では断定的なことが言える段階には至っておりません。

 ただ、捜査当局もいろいろ調査しておりますけれども、これまでの捜査経過を踏まえれば、日本側で混入された可能性は低いのではないかという認識が警察当局の方から示されておりまして、いずれにしましても、まだいろいろ調査すべき事柄が残されていると考えております。

 新たな事案につきましても、高濃度のものであったかどうかとか、あるいは濃度の関係とか、若干性格が違う点もございますので、いろいろ調査をさらに進めていきたいと思っております。

神風委員 天洋食品ではHACCPの認証を取得していると聞いているわけですが、まず、これが事実であるのかどうか。

 あと、それ以外の、天洋食品以外の製造工場がありますね、しめさばであるとか肉まんであるとかロールソースカツ。こういったほかの工場ではHACCPというのは取得をされているんでしょうか。

町田政府参考人 御質問のありましたサバや肉まんを製造していた工場のHACCPの取得状況につきましては現在のところ明らかになっておりませんが、最初のメタミドホスが検出された中国産冷凍ギョーザを製造していた天洋食品の工場につきましては、先般派遣されました日本側調査団の調査によると、HACCPを取得していたとのことでございます。

神風委員 そうすると、全体で、天洋食品も含めて何社のうち何社がHACCPを取得されているんですか。

町田政府参考人 このHACCPでございますが、FAOとWHOの合同規格であります食品規格委員会、コーデックス委員会が総会でHACCPの手法の具体的な原則と手順を採択いたしておりまして、食品の安全性をより高める管理手法ということで、各国にその採用を推奨しているところでございます。

 各国においては、それぞれ各国の実態に即した導入の取り組みが行われているように承知しておりますが、中国におけるHACCPの具体的な導入状況につきましては、現在、私どもその実態を把握しておりません。

神風委員 というと、天洋食品では取られているわけですよね。ほかのところはまだはっきりわからないということでよろしいですか。

町田政府参考人 中国においては、これは各国ともそうでございますが、中国におかれます実態に即した導入の取り組みが行われておると思っておりますが、詳細は承知しておりません。

神風委員 日本の場合、食品製造業全体に占めるHACCPの導入状況がどのぐらいになるのか、また、中国国内の食品製造業全体に占めるHACCPの取得の状況、導入状況というのはどれぐらいになるのか、教えていただけますか。

町田政府参考人 日本におけますHACCPの認証がどの程度行われているかということでございます。

 我が国におけますHACCPの認証につきましては、食品衛生法に基づく厚生労働省による施設の承認、これは平成七年から始まっているところでございます。その承認施設数でございますが、本年一月三十一日現在で五百六十七件というふうに聞いております。

 このほか、地方自治体、民間団体等によりまして、自主認証というのも行われているところでございます。この自主認証の具体的な認証数につきまして取りまとめられたデータはございませんが、農林水産省が調査した結果によりますと、我が国の食品製造業全体のHACCP手法の導入状況でございますが、導入途中のものも含めまして、平成九年に六・八%でありましたものが、平成十二年に一〇・四%、平成十八年では一四・六%というふうになっているところでございます。(神風委員「中国は」と呼ぶ)

 繰り返しになりますが、中国の具体的なHACCPの導入状況につきましては、私ども現時点で把握しておりません。

神風委員 中国国内でHACCPの認証を与える機関というのはどういうところがあって、その認証を与える機関の衛生管理の基準というのかレベルというのか、それはもう世界と同レベルというか、基準は同じだという理解でよろしいんですか。

町田政府参考人 まず、中国におけます認証の機関でございますが、これも先般派遣されました日本側調査団の調査によりますと、中国国家認証認可監督管理委員会、ここが所管しているということでございます。

 具体的な認証の方法でございますが、この中国国家認証認可監督管理委員会が直接HACCPの認証を行うのではございませんで、同委員会が定めました審査機関、会社が個別企業のHACCPの認証を行っているというふうに聞いておりますが、通例考えますと、先ほど言ったコーデックス委員会のガイドラインに沿って行われているというふうに考えております。

神風委員 これは、HACCPを取っているか取っていないかわからない企業からもそういった残留農薬の検出があるわけですが、こうした問題とHACCPの認証を取得しているのかどうかというのは、これは関連があるんでしょうか。つまり、HACCPを取っている、取得をしている施設であれば当然こういう事態は起こり得ないという理解であるのか、そういう理解はそういう実態には合わないということなのか、そこら辺はどうなんですか。

町田政府参考人 HACCPと今回の事案との関係についてお尋ねでございますが、先ほど内閣府の方からもお答えありましたように、現在の時点で原因がどういうことかといったことがはっきりしておりませんので、現時点では確たることは申し上げられないということでございます。

神風委員 今の質問は一般論で結構なんですが、HACCPという認証を取っているような施設がこういう製品を出してくるというのは通常あり得ないんですか、それとも十分に可能性としては起こってしまう危険はあるという理解の方が正しいんですか。そこら辺、わかりますか。

町田政府参考人 今回の事案の性質にもよると思うのでございますが、仮に故意である場合、こういった場合につきましては、HACCPを取得していたから完璧、一〇〇%問題がないということは言い切れないという、これは……(神風委員「故意じゃない、一般論で」と呼ぶ)

 一般論として言えば、品質管理、衛生管理を定めておりますのがこのHACCPでございますので、そういった一般の衛生管理に比べてより高い衛生管理がされている、これはまさに一般論でございますが、そういうふうに理解しております。

神風委員 この問題というのは、ある意味ではHACCPの信用性というか信頼性にもかかわってくるのかなという気もするわけですが、そこら辺は日中間で議論をされているようなことはあるんですか。例えば、日本から中国側の基準が甘いのではないかみたいな、そういう話というのはあるんでしょうか。

町田政府参考人 日本への輸入先国の衛生管理の状況につきましては、輸入食品の安全性にかかわる問題の一環でございますので、厚生労働省さんに一義的に対応していただいているわけでございます。中国の食品安全衛生の状況といったことについては、これまでも日本側と中国で意見交換がされているというふうに承知しておりますが、このHACCPにつきまして具体的なやりとりがあったかということは、ちょっとただいま私承知しておりません。

神風委員 いずれにしても、これについては一日も早い原因究明と再発防止ということをお願いしたいと思っております。

 次に、このHACCPに関連をして、日本の和牛の対米輸出についてちょっとお伺いをしたいんです。

 日本では平成二年から和牛の対米輸出というのを行っていると思いますが、輸出量の伸びというのは今どのぐらいになっていますか。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 日本産牛肉の米国向け輸出につきましては、我が国での口蹄疫、これが平成十二年三月でございます、それからBSE、これは十三年の九月でございますが、その発生によりまして輸入が禁止されておりましたが、平成十七年十二月に解禁されたところでございます。

 統計上、牛肉について品種区分されておりませんので和牛という厳密な区分はございませんけれども、業界からの聞き取りによれば日本からの牛肉輸出はほぼ和牛肉ということでございますので、牛肉の輸出ということで申し上げますと、平成十九年には百二十七・五トン、金額でいいますと十億八千万円ということでございます。過去の年間最大輸出量が十一年で、十四・五トン、一・八億円でございますので、これを大きく上回るペースで輸出が行われております。

 以上でございます。

神風委員 これは、平成二年から比べると相当伸びているんだろう、全体量としてはごくわずかだと思いますが、伸び率でいうとかなり伸びているなという印象を持っております。

 実は、平成二年当時、私もニューヨークに滞在をしておりまして、ちょうど初めて日本の全農が日本の和牛をニューヨークで売り出したころでありました。最初は、あんな霜降りの肉、どこのアメリカ人が食べるのかなというような印象であったんですが、JAの方も一つはPRであると。日本の牛肉というのはこれだけおいしいんだというのを向こうのアメリカ人に知ってもらいたいというのと、そう毎日食べられるものでもないから、年に一回、二回食べてもらえればというような話であったんですが、それが今、随分伸びているなという印象なんです。

 そしてまた、一昨年、今度は久しぶりにまたニューヨークへ行ったんですが、そのときに聞いた話が、今、神戸ビーフですか、神戸ビーフと呼ばれるいわば米国産の和牛ですよね、ある意味で疑似和牛と言ってもいいのかもしれませんが、それが相当人気を集めている。日本から輸出をされた純粋和牛というのも非常に人気はあるんだけれども、非常に向こうでは品薄になっている。何で品薄なのかという理由を聞いたら、日本から米国へ牛肉が輸出できる工場というのは、結局、HACCPの認証を受けているのは四つしか日本国内にはないわけですよね、現状で。

 このHACCPの認定を受けている工場が四つだけであって、その数がふえないから結局輸出量が伸びないんだというお話であったんですが、これは事実ですか。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 確かに、現在、米国あるいは香港への輸出の認定施設、認定を受けている施設は、全国で四カ所でございます。

 私ども、日本の国産牛肉につきましては、非常にニーズが高い、これからもどんどん伸びていくだろうと思っておりますので、その輸出促進に力を入れているわけでございます。

 ブランドの話が出ましたけれども、私どもも、日本の和牛をきちんとPRし、その品質のよさを訴えていこうということで、和牛統一マークというのをつくりまして、輸出用の牛肉についてはこの和牛の統一マークを付して今後PRをしていきたいと思っております。ちなみに、この和牛統一マークは、昨年に公表いたしまして、既に香港でイベントを開催するなど、そのPRを現在展開しているところでございます。

神風委員 ある意味で非常にもったいない話であるなという印象を持っております。

 つまり、和牛に対するニーズが非常に高い、しかし、日本での輸出認定施設が四カ所しかないためになかなか出す量が少ない。そういう状況の中で、ある意味では、神戸ビーフと呼ばれるような、純粋な和牛ではない、向こうで生産されたそういう疑似和牛みたいなものが取ってかわってかなり消費をされているというような状況になっているわけでありまして、農水省として攻めの農政というのを掲げるからには、こういった点はもう少し改善の余地があるのではないかと思いますが、大臣、いかがですか。

若林国務大臣 私も、日本のすぐれた食品が世界的な日本食のブームの中にありまして着実に伸びてきているということを力強く思いながら、さらに一層ドライブをかけていかなきゃいかぬ、こういう認識でおります。

 特に、日本の肉牛につきましては、おっしゃるように評価が高いんですね。午前中にも御答弁申し上げましたけれども、私自身がUAEの皇太子殿下の訪日の機会に直接表敬をしながらお願いをしたところ、これが認められることになったわけです。ただ、普通と違いまして、イスラム圏では、お祈りをした牛、ハラールという、手続に従って屠殺をしお祈りをしたものでなければ食してはならないということがありますから、今度はそういう施設をイスラム国との間で、UAEとの間で今相談をしておるんですけれども、それが決まれば、そういう施設で処理をし、他のイスラム諸国についても同じような規律があるわけですから、これをきっかけにしましてそれを拡大していきたい、こう思っております。

 実は、日本の和牛について精液が別に取引されていって、外国産の日本和牛というようなものも出始めているわけですね。そういう意味では和牛のマークもきちっと商標上の登録もしながら、精液の管理などについても注意を払い、やはり何といっても日本で仕上げたのを和牛としてこれからもどんどんと輸出拡大に取り組んでいきたい、こう思っております。

神風委員 日本国内のHACCPの承認状況、先ほど一四・六%という状況であるというお話であったんですが、EUでは食品事業者すべてに義務づけがされている。米国内でも食肉、水産物、ジュースに関してはこれが義務づけられているわけですね。

 日本ではこれは任意の制度になっているわけですが、それはどういう理由で任意になっているのか、余りHACCP自体に価値を見出していないというか意義を見出していないのかどうか、そこら辺はどうなんですか。

内藤政府参考人 HACCP手法が任意であるか否か、任意にはなっているんですけれども、なぜ任意か。それは要するに、食品衛生法上の規制の対象ということで理解しますと、ちょっと私の所管ではございませんけれども、私どもも従来からHACCP手法を取り入れた食肉処理というものを推進してございます。

 例えば、衛生管理施設の整備に対する助成を行っておりますし、また、平成二十年度につきましても、強い農業づくり交付金の中で、輸出に向けた施設整備については優先枠を設定するというふうな形で、高品質な牛肉の輸出拡大のための積極的な支援を行っているわけでございます。

 あと、衛生的かつ効率的な食肉処理加工技術の開発も必要なわけでございまして、それにつきましては、食肉処理関係企業で組織します技術研究組合の活動に対する支援という形でこういった技術開発も進めているところでございます。

神風委員 いや、だから、日本でHACCPを義務化しない理由は何ですかというのをお答えいただけますか。

町田政府参考人 食品の安全確保に必要な規制につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、輸入品も含めまして厚生労働省が食品衛生法に基づき実施しているということでございまして、現状から見て、我が国において、輸入品に対してもHACCPを義務づけるという判断には至っていないということだと思います。

神風委員 ちょっと今の回答だとあれですが、厚生労働省の担当だからこちらからは何も言えないということなんですか。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども生産サイドといたしましては、衛生面には十分気をつけてきちんとしたものをつくるようにという指導をしておりますので、現時点においてそのことに関して問題があって何らかの規制が必要だという認識には立っておりません。

神風委員 いや、例えば今、牛肉のことを例に挙げましたが、結局、日本でHACCPを取っているのが四施設しかないからその量も少ないわけですよね。それが全部義務化されていれば、それによって経費が高くなるとかいろいろあるとは思いますが、HACCPを義務化しない何か特段の理由というのはあるんでしょうか。

内藤政府参考人 輸出量との関係で申し上げますと、先ほど申し上げましたように、十九年は百二十七・五トンでございます。この四施設の処理能力から見ましても、まだまだ余裕はございます。したがいまして、処理能力がないからといって輸出が伸びないという関係にはないと認識しております。

 それから、規制という形でこういった施設に、HACCP、何かそういう特別な衛生規則、衛生規制を現時点において新たに導入する必要性ということについても、私どもそういう認識には立っておりません。

 以上でございます。

神風委員 今のお答えは、そうすると、HACCPに対して余り日本としては価値を見出していないという意味でよろしいんですか。

内藤政府参考人 私ども、HACCP手法の導入というのが、より衛生的でより安全に近づく意味で、非常にいい手法だというふうに思っております。したがいまして、HACCP手法を導入した施設の整備に対する支援を進めているわけでございます。

神風委員 これは今度は延長法案が出るみたいですから、そのときに詳しくやりたいなと思います。

 いずれにしても、大臣所信の中でも、平成二十五年までに、一兆円規模ですか、輸出額を伸ばすというのが述べられているわけでありますから、ぜひ重点的に取り組んでいただきたいなという気がいたしております。

 次に、今お手元にお配りをいたしました資料の方をちょっとごらんいただきたいと思いますが、これは昨年の四月十三日の朝日新聞一面に掲載をされていた記事であります。「干拓地、農地利用は半分」「戦後の二百十八地区 本社全国調査 営農ゼロも三割」という形で書かれていたわけでありますが、この記事について、これは事実でありますか。

中條政府参考人 平成十九年四月十三日の朝日の新聞記事についてのお尋ねでございます。

 まず、この記事につきまして、私どもの方でこれを確認する情報はございませんので、各県に担当の者が別個に照会をいたしました。それをもとに御報告を申し上げたいと思います。

 まず、戦後、平成十九年三月までに干拓されました全国の二百三十一地区、これが私どもの調査の対象として出てまいりました。各府県を通じて調査したわけでございますけれども、全体の造成面積が約五万ヘクタールございまして、農地以外に転用された面積はおおむね六千六百六十ヘクタールとなっておりまして、全造成面積の約一三%となっております。

 もう少し詳しく申し上げますと、造成面積が約五万ヘクタールでございますが、この中には堤防敷地とかそういったものも含まれておりまして、農地面積はこれよりももっと狭くなります。約三万三千ヘクタールということになります。

 今申しましたように、転用面積が六千六百あるわけでございますが、干拓の場合は、周りの農家が農地を求めていわゆる増反する場合と、一家もろもろ中に入植する場合がございまして、入植する場合には、干拓地の中に宅地を造成しまして、この方たちが生活をするような場もその中で設けることがございます。そういう意味で、農業以外の利用地もございまして、これは約九千ヘクタールございます。

 この記事についてでございますけれども、キャプションのところには「干拓地、農地利用は半分」と出ておりますが、右下に円グラフがございます。少し字の見えにくいところもございますけれども、上から見ますと、営農の面積割合がゼロの場合、三割未満の場合、それから三割から六割未満、こういうふうに区分があるわけでございますが、それぞれ地区数が書いてございます。恐らく、これは私どもの推計でございますが、それぞれの範囲の真ん中の数字、例えば三割未満ですと、ゼロから三割の真ん中ですから一割五分、それから三割から六割の真ん中ですと四割五分、それに地区数を掛けて加重平均したものがおよそ五四%になりますので、この数字をもって農地利用は半分ということで示されているんじゃないかというふうに思います。

 ただ、この記事の下から二番目のパラグラフがございまして、そこには国内最大の八郎潟干拓地は全体の面積の九五%で営農されているとございます。それで、残り二百十七地区、全部で二百十八地区あるとこの記事では言っているわけでありますが、八郎潟以外の二百十七地区につきましては、二万九千五百ヘクタールのうち営農面積は七〇%というふうに言っておりまして、全体として少なくとも七〇%を超す農業利用をされているということはごらんいただけると思います。

 したがいまして、このキャプションにつきましては、どういうことでこういう数字になったのかというのは私ども十分承知をしていないところでございまして、今まで申し上げましたのはすべて推定ということでございまして、お許しをいただきたいというふうに思います。

 なお、私どもが調べましたところ、転用が進んでおります地区は、主に東海とか山陽地域のいわゆる昭和三十年代以前に造成された地区が多うございまして、昭和四十年代以降に、三十年代に造成されましたその地域が、高度経済成長等の社会経済情勢の変化によりまして都市的な土地利用のニーズが高まった結果、転用が進んだものというふうに承知をしているところでございます。

神風委員 なかなか検証というのができないのであろうと思います。

 ちょっと資料の二を、二枚目をおめくりいただきたいんですが、これは国営土地改良事業現況事例ということで、私がいろいろな資料を見ながら自分でまとめたものであります。以前この委員会でもごらんをいただいた資料でありますが、それぞれの土地改良事業の地区の工事期間予定、実質の工事期間、伸び率であるとか、事業費予定あるいは実際の事業費、その伸び率とかをいろいろな資料から拾っていってまとめました。

 どうしてもわからない空欄の部分があって、農水省さんの方に、ちょっとわからないのでこれを埋めてもらいたいという形でお願いしたんですが、それで返ってきたのが、結局、資料の三、三枚目であります。埋めてもらえるどころか、なおさら真っ白になって返ってまいりました。注の一に書いてあるのが、いわば、「益田地区、御浜地区、青蓮寺地区、雄国山麓地区については、事業完了後、事業計画に関する文書の保存期間(十カ年)を経過していることから把握できない。」という状況で返ってきたわけであります。

 しかし、こういう状況で本当に日本の農地政策というのをきちんと担っていけるのかなと。つまり、これまでの国営土地改良事業によってどれぐらいの農地を農水省なり国なりが造成をして、現状、どれだけ遊休農地になってしまっているのか、面積はどれぐらいなのか、何%なのか、あるいはどれぐらいの経費をこれまで土地改良事業にかけてきて、実際に遊休農地化して、結局、つぎ込んだ事業費はどれぐらい無駄になっているのかということが全くわからないわけですよね。それを以前委員会の中でも聞いてみると、十年以内についてのみわかる、それ以前のものについては把握できない、そういうのが出てくるわけであります。

 これについて、もうこれまで委員会の中でもやりとりしましたので、きょう、それについて申し上げるつもりはありません。ただ、去る一月十八日の衆議院の本会議における施政方針演説の中で、まさに福田総理が、「行政文書の管理のあり方を基本から見直し、法制化を検討するとともに、国立公文書館制度の拡充を含め、公文書の保存に向けた体制を整備」するという発言が施政方針演説の中でございました。

 当然ながら、この発言を受けてこういった状況というのは改善されると思いますが、大臣、いかがですか。

若林国務大臣 事業計画自身、確実に計画時点でどうだったのかというようなことについては、あるいはその担当者が律儀にそのときの原資料に当たるという意味では当たれなかったということはあるかもしれませんが、これだけの国営事業をやってきているわけですから、正確な原資料でなくても、当該地域の関係者の中で、この事業を進めていくに当たってどのぐらいの農地がその結果できたのかといったようなことは、いろいろな資料を突き合わせながらつくることは可能だと思いますし、今委員がおっしゃられましたように、戦後の食料難時代にかなり苦労して干拓を進めたという経過、私自身も組織の中にいて承知いたしておりますけれども、そういう努力の結果、資金もかけ、あるいはまた体制をつくって農地を造成してきているわけですから、そういう農地の造成が、少なくとも国営土地改良事業について、全体でこの地区についてはこれだけの造成をした、そのときの事業費がどうであったのかというようなことについては、私はやはりつくっておかなきゃいけないというふうに思っておりますから、これは作業として進めさせたいと思います。

神風委員 今の発言は非常に心強い発言でありまして、これまで委員会の中でさんざんやりとりしましたけれども、なかなかそういった前向きの発言をいただけなかったものですから、ぜひその点についてお約束をしていただきたいと思うわけでございます。

 ある意味で、そういった正確な実態把握というものをされていないから、農水省の農地政策というのは、非常にわけがわからないというか、矛盾に満ちているなということを痛感するわけであります。

 つまり、平成五年から当初平成十八年までの第四次土地改良長期計画というものが実施されておりました。特に、この中で、農用地造成事業として一兆四千百億円をかけて、当時、約十万ヘクタールの農用地の造成を行うという計画になっていたわけであります。しかし、これは、平成十二年の時点で既に三十四万三千ヘクタールが耕作放棄地になっているわけですよね。平成十七年では三十八万五千ヘクタールが耕作放棄地になっている。我が埼玉県全県よりも広い面積が、今、全国で耕作放棄地になっているわけです。

 その一方で、十万ヘクタールの農地造成をしようとしていた、これは非常に矛盾に満ちた政策であるなと思うわけでありますが、大臣、御感想があれば。

若林国務大臣 今の干拓は、事業計画を立て、着手してから完成して、農地として利用できるようになるまでに大変に時間がかかるんですよ。大変な時間がかかっています。

 そして今、国営で着手して大体完了間近でありますけれども、これは今一カ所だけなんですね、有明だけなんです。そのほかに何か計画しているかというのは、今のこういう情勢の中で国営事業として干拓をやるという事業計画は持っていないんです。ですから、そういう長い経過の中で、八郎潟の新農村建設などもそうですし、河北潟もそうですけれども、非常に長い時間がかかって今日に来ている。

 しかし、世の中はもう大変な激変をしたわけでありますね。今の耕作放棄地の発生というのは、まさにそういう激変の中で、中山間地を含め、高齢化が進む、農業従事者が減少していく、そういうような中で耕作放棄という現象が起こってきているわけでありますから、今の干拓と比較して、だから矛盾しているんだということではないと思います。

 しかし、耕作放棄が三十八万、三十九万ヘクタールもあるということは、これは、日本の土地利用のあり方として、農業上の土地利用のあり方として何とかしなきゃいけないということだと私は思うんですね。そういう意味で、今、農地制度の改革といいますか改正というものに取り組んでおります。法案として、法律事項として整理するにはいろいろ難しい問題がありますけれども、二十一年度には、法律事項を含めてそれを提案していきたい、こう思っております。

 そういう検討の中では、この耕作放棄地を法制的にどうするか。例えば、所有者が東京に出ちゃっている。農地所有者であっても、いわゆる不在地主というようなことがあってもいいようになっているんですけれども、それがまた相続を繰り返して分割していかれる。ところが、現にある農地の耕作を承認してもらおうと思っても、所有者が何人も出ているというような事態も出てきているんですね。

 そういうものについて、公的な機関が中に入ってこれを利用する道を法制的にやる道はないものだろうかとか、いろいろな要因に応じた対策を講じていかなきゃいけない、こんなふうに考えているわけでございます。

神風委員 わかりました。

 そして、今申し上げた第四次土地改良長期計画というのは、結局、四年早まって平成十四年度で打ち切られて、その後、平成十五年から平成十九年までの五カ年の新しい土地改良長期計画に切りかわるわけですよね。

 ただ、この中で全然わからないのは、では、この五年間でどれぐらいの農用地を造成するのか、どれぐらいの事業費をかけるのか、あるいは、数字が全く書かれていないということは全くそれをやらないのかどうなのか、全然その実態がわからないんですが、これはどういう状況なんですか。

中條政府参考人 平成十四年に閣議決定で、各種の社会資本整備の長期計画についての方針が出ました。これまでは整備量あるいは事業費を中心として積み上げ、結果としてどういった整備ができるかというところで計画がまとまっていたわけでありますけれども、そのときに、その方針よりはむしろ成果を明確にして、事業をやった結果としてどんな成果があるかという成果の指標を出して、指標がどのように計画によって変わったのかというところを評価するという手法に変わったわけでございます。

 したがいまして、前段の第四次土地改良長期計画との比較でいいますと、四次長計の場合は、委員御指摘のとおり、事業量も事業費も出しておりましたので、第五次長計につきましては、今申しましたようなことで、その辺は示していないという状況でございます。

神風委員 非常におかしいなと思うのは、この第四次の土地改良長期計画の中の農用地造成事業、これは、十四年までの進捗率は八二%ということになっているわけです。

 通常、目標の造成面積が十万ヘクタールで進捗率八二%ということでありますから、できた農地が八万二千ヘクタールなのかなと思ったら、そうではない、実際にできているのは二万三千ヘクタールですと。では、この進捗率八二%というのは何なんですかと聞いたらば、結局、当初の一兆四千百億円という予算のうち、十四年度までの投資金額は一兆千五百二十一億円である、だから八二%の進捗率なんだと。つまり、進捗率というのは、農地が完成した率ではなくて、使ったお金の割合なんですよ、予算の中の。だから、実際には進捗率というのは二三%ということですよね。

 ここら辺、非常におかしいなと思うんですが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

中條政府参考人 実績にかかわることでございますので、大臣にかわりまして私の方から御説明を申し上げたいと思います。

 土地改良長期計画につきましては、委員御案内のとおり、非常に長期を要するということで、十年間を予定して計画しているわけでございますけれども、これも、財政逼迫の事情がございまして、さっき申しました、四年間延長されて十四年間ということで第四次長計をしてきたわけでありますが、そのことによりまして、よりまた期間が長くなったということもございます。

 それから、十年間といいますと平成五年ごろからの事業着手でございますから、その間の農業事情も変わっておりまして、そういったところが、こういった農地開発、特に農地の造成の達成が悪くなった、そういう結果だったというふうに思っております。特にこの間の、自然環境を保全するとか、そういういろいろな社会の価値観の変化もございまして、結果としてこういう成果になったというふうに承知をしております。

神風委員 これは先ほどもお答えいただけなかったわけでありますが、新しい五カ年の土地改良長期計画、何も書かれていないので、過日の委員会で、ではゼロなのか、もうこれからつくらないのかという形で伺ったところ、平成二十七年度までに一万ヘクタールの農地造成を見込んでいるという回答であったわけであります。

 この二十七年度までの一万ヘクタールの農地造成の根拠というのは何なんですか。

中條政府参考人 農振法の規定によりまして、国は長期にわたりまして国として確保すべき農地面積を確定するということになっておりまして、今委員御指摘がありましたように、現在、二十七年時点を目指して、国として確保すべき面積四百五十万ヘクタールというものを示しているわけでございまして、それには、十六年現在の農地面積の四百七十一万から、このまま社会の趨勢に沿ってまいりまして壊廃する面積、それから政策を打つことによりまして壊廃を抑止する面積、その差し引きをいたしまして、今申しました四百五十万という数字を出しているわけでございます。

 政策によりまして壊廃を抑止する、もしくは、委員御指摘の農地をふやすといったところで農地の造成面積一万ヘクタールを予定しているところでございますが、これは大規模な農地開発を行うという前提ではございませんで、中には自己の農地開発ですとかあるいは今耕作放棄されているところをまた復活するとか、そういったものも含まれているというふうに承知をしております。

神風委員 そうすると、一万ヘクタール造成というか、いろいろな形で確保しようとしている農地のどれぐらいが今現状で造成をされているんですか。

中條政府参考人 十六年の現状以降については、今のところまだそこのところは確認をしておりません。ちょっと手元に数字がございませんので、もし必要であればまた別途御紹介したいと思います。

神風委員 事業費についてもわからないわけですか。

中條政府参考人 今手元に情報がございませんので、これも調べまして御報告します。

神風委員 先ほど申し上げました第四次の長期計画というのが打ち切られて、結局、その時点では二千五百七十九億円という予算が使われない形になったわけでありますよね。この予算の扱いというのはどういうふうになるんですか。

中條政府参考人 先ほど申しましたように、土地改良事業の場合は、地区が採択されますとそれが完了するまでがかなり長いということで、長期計画をつくって、その間にどのくらいの事業量と事業費を必要とするかというところを確保して行っているところでございますけれども、実は、一地区一地区を見ますと、それぞれ申請をしてそれを採択するということで事業を実施しております。したがいまして、第四次長期計画で実施できなかったところにつきましては、また引き続き第五次のところで申請が上がれば、そこで採択をしていくという形になろうかというふうに思っております。

神風委員 ちょっと、今のお話を伺っていても、なかなか理解しがたいなという気がしております。

 これから平成二十七年度までに、新規ではないにしても、どういう形で造成するのかは別にしても、一万ヘクタールを造成していこうということであって、その目標の根拠も、結局、平成二十七年度に食料自給率を四五%に高めるために四百五十万ヘクタールが必要だということですよね。その四百五十万ヘクタールのうちの一万ヘクタールをそういう形で何で二十七年までに造成しなければいけないのかなと。

 うがった見方をすれば、二千五百七十九億円というお金が当時十四年で打ち切られたために、余っているとは言わないけれども使えたはずのものである、そこから逆算して一万ヘクタールぐらい造成しておこうか、そういう形で計画にしておこうかという形にしか見えないわけですが、そこら辺いかがですか。

中條政府参考人 この数字につきましては、過去の実績、それから地方の要望等を踏まえて出しておりまして、今申し上げているその数字につきましては大枠として申し上げているわけでございますが、具体的な数字につきましては、それぞれの地区の申請に基づいて採択して固まっていくものだというふうに考えております。

神風委員 いずれにしても、これは農水省に限らないのかもしれません、プラン・ドゥー・チェックでいえばチェックの機能というのがほとんど働いていない実態であるなという気がいたしておりまして、先ほど大臣の方からも非常に前向きな御答弁がありました、こういったデータがきちんとそろっていけば、相当日本の農地政策というのも変わっていくのであろうと期待をしております。

 最後に、その決意を大臣にお伺いしたいと思います。

若林国務大臣 まず、土地改良事業の今までの執行してきた状況と現状についてざっとお話をさせていただきたいと思います。

 これは、近年、公共事業全体を抑制しておりますが、土地改良事業について言えば、平成九年度は一兆二千二百八十二億円、これがピークなんですね。その後ずっと落としてきていまして、現在、平成十九年度は六千七百四十七億円というところまで落としてきております。

 そういう意味で、公共事業として実行いたします土地改良事業は、今後それを大いに拡大していくというよりも、ちょうど今、過去の施設が、更新期を迎えている施設が非常にふえてきておりますから、農業水利施設、サイホンだとかそういうようなものの補修とか、そういうことに非常に当たっていくわけであります。

 それからもう一つは、規模拡大を図っていくために、分散錯圃でいろいろばらばらになっている土地を整備して圃場整備をしていく、そして大きく使えるような形にしていくという、農地集積のための農地の整備に重点を置いているわけであります。

 いろいろな見方があろうかと思いますけれども、今、そんな中で、しかも何をつくるかということが非常に難しい今の農業事情の中で、新たに農地を開発して広げて、相当のお金をかけてこれをやるという投資効果のことを考えますと、それほどそのことに熱心に力を入れていく余裕もなくなっているというのが状況だと思うんです。だから、今ある農用地をどうやって有効に利用して耕地利用率を高めていくとか、そのための条件の整備、水利施設とかいうのを含めまして、その整備をするということに重点を置いていくべきじゃないかと私は考えておりますけれども。

 お答えになりますでしょうか。

神風委員 またこの問題については大臣とやりたいと思います。ありがとうございました。

宮腰委員長 次に、菅野哲雄君。

菅野委員 社会民主党の菅野哲雄です。

 最初に、消費者が強い関心を抱いている中国産輸入ギョーザ中毒事件に関連してお伺いしたいというふうに思います。

 今回の事件を通じて、食品表示のあり方が関心を呼んでいます。現行のJAS法では、国内の加工食品には原材料、原産地の表示を義務づけていますが、輸入加工食品については、生鮮食品に近い二十食品以外は原材料、原産地表示は必要ありません。石原都知事は条例で原産地表示を行うような考えを示していますが、若林大臣の記者会見の内容を拝見しますと、大変慎重なように思えます。

 輸入加工食品に、原則、原材料、原産地表示を導入することについて、率直なところ、どのようにお考えなんでしょうか。見解をお聞きします。

若林国務大臣 委員御承知のように、加工食品については、最終的な加工食品の製造地につきましては、原産国表示というものを法律上義務づけているわけです。

 しかし、その中にどういうものを使っているか。例えば、最近話題になっていますかつとじ丼なんというものが出ましたね。中国からの輸入品です。これは、まず豚肉は一体どこの国のものか、それをカツとして揚げた場合のパン粉はどこの国なんだ、それから小麦はどこの国だ、菜種油を使ったとすれば、その菜種油はどこの国の菜種油かと。そして、乳等、卵とか牛乳を入れたりしているものがあるんですけれども、それがどこなんだと。これは、中国の場合は、例えば肉はオーストラリアから入れている、小麦はカナダからあるいはアメリカから入れている、油はブラジルからの大豆でつくった油が入っているというようなことで、だから絶対やらないと言っているわけじゃないんですけれども、委員に後でお示ししますが、こういうのをごらんいただきますと、どういう原料がどこの国から入っているかというのは気が遠くなるほど錯綜しているんですよ。

 それともう一つ、したがって国際的には原料、原材料の原産地を表示するという取引慣行もないし、ほとんどの国でやっていないのですね。それで、国際機関としてのコーデックスを決めていますけれども、これは原料原産のものを表示するというふうになっておりません。

 日本がそれに踏み切りますと、これは強制するわけですから、WTOに届け出を通告するんです。WTOに通告すると同時に、世界の各国が、日本に輸出しようと思う国は規制を受けるわけですから、異議の申し立てができるようになって、意見が言えるようになっているんですね。そういう意見を協議で取り入れないで、こちらで強行するとなりますと、WTO手続上はこれを訴えることができるようになりまして、裁定にかかっていく、こういうふうになるんですよ。

 だから、そういう意味で私が慎重な発言をしているという、制度的な、国際的な慣行や何かのバックグラウンドとか現実の実証可能性を考えまして、やらないと言っているわけじゃないのですけれども、慎重な発言になっているということをぜひ御理解いただきたいと思います。

    〔委員長退席、近藤(基)委員長代理着席〕

菅野委員 大臣の今の答弁、理解できます。

 ただ、国民生活審議会の議論を見守ると大臣は一方では言っているわけでございます。輸入加工食品の原材料すべてに原産地表示することは、今言ったような多くの課題が、あるいは業者のコストの問題などがあるということは理解できるんですけれども、今この輸入ギョーザ問題で何が起こっているのかというと、消費者の安心、消費者の選択権を保障する上では、できるだけ早く何らかの結論を出していくことは必要なんだというふうに考えております。その点を踏まえて、ぜひ今後対処していただきたいと強く申し上げておきたいと思います。

 そして、これと関連して、福田総理大臣のもとでは消費者行政の一元化が進められています。現在、食品の安全衛生については、厚生労働省、農林水産省、公正取引委員会、さらには経済産業省も一部法律で関係しています。このような現状ですから、一元化そのものは否定しませんが、窓口だけ一本化されるだけで、実際は現状どおりでは意味がありません。

 BSEのときもそうなんですが、例えばリスク評価は食品安全委員会、そしてリスク管理は厚生労働省と農水省という縦割り行政のままになってしまった。私は、そのときも大きな議論を行いましたけれども、こういう評価と管理のあり方というのは疑問を感じているんです。

 ですから、リスクの評価、管理、防止それぞれについて、縦割りをやめて統一的にできる仕組みと組織を考えるということが私は必要だというふうに思うんですが、この一元化に対する大臣の見解をお聞きしていきたいと思います。

若林国務大臣 消費者行政の統一的、一元的な組織を検討するということにつきましては、政府の中で消費者行政推進会議というのを設けまして、そこで検討、協議を進めるということになっておりますので、私、農林水産省としてはこの消費者行政推進会議の議論というものを注視していきたいと思いますが、いずれにしましても、消費者から見てわかりやすい行政が実施できるように、政府全体として検討をしていくことが必要であるというふうに思っております。

 ただ、リスク評価とリスク管理は、これはむしろ分けた方がいい。つまり、どういう形にしろ、管理している部門が評価まですると、それは消費者の側から見ますと、リスク評価というのはかなり科学技術的な、科学的な知見のある人たちがやらないとできないので、お役所がやってはいけないということででき上がるわけですね、その評価というのは。

 ですから、リスク評価の部分が実行部隊の管理までやることがいいのかどうかということについては、非常に問題があるという意味で今分かれているわけですから、そういうことも含めて、この一元化の議論の中で消費者行政の推進会議がそれらをどう判断するか、注視してまいりたいと思っております。

菅野委員 どういう消費者行政の組織をつくるかというのは、これから組織、仕組みをつくっていくんですが、私が言っているのは、窓口を内閣府に一本化して、あとはそれぞれ農水省、厚生労働省、それから公正取引委員会、経済産業省という形で、現行どおりであったらば一元化の意味はないんじゃないですかと。

 少なくとも、BSEのときには、厚生労働省の担当する部門と農林水産省の担当する部門は一本化して管理すべきだということは主張してきたということですから、そのことも踏まえて、消費者行政のあり方というのは、今後、大臣としてしっかりリードしていってほしいと私は強く申し上げておきたいと思います。

 それから、輸入ギョーザの中毒事件で、国民の関心を呼んだのは、やはりカロリーベースで三九%にまで低下している食料自給率です。冷凍食品に占める輸入品の割合も四三%に達していると言われています。中毒事件で行政に望むことは何かという世論調査でも、最も多い答えが食料自給率を高めることです。

 政府は、今から十年後の平成二十七年に食料自給率四五%を達成するという目標を掲げていますが、六%アップに向けて、どのような品目でいつまでに何%アップさせるのか。そのためにどういう施策を行うのかといった具体的プランはお持ちなのでしょうか。お答え願いたいと思います。

若林国務大臣 委員が御指摘のように、十八年度のカロリーベースの食料自給率は三九%という、本当にもう危機的な状況になっているわけであります。

 一方、目標については、食料・農業・農村基本計画におきまして、平成二十七年度には四五%にするという目標なんですね。さらに、その計画が気持ちとしては半分五〇%を、趣旨とすればそういうことにしたいんだけれども、現実、実行可能性から見て四五%をまず何とか実現しようということで決まっているという経緯がございます。

 そこで、これを実現するには、実は生産と消費の両面からアプローチしないと、油脂、油をどんどん使うというような食生活が進んでいきますと、油というのはどうしても輸入せざるを得ないわけですから、食育の面、つまり日本型の食生活の面で、もう少し油の消費を抑えていくことが健康面でもいいと。一方、これが自給率を高めることにもなるとか。例えば肉の消費などにつきましても、そういうえさの効率などを考えまして、国内でえさが生産できるような体制に伴って肉の消費が行われていくというふうに消費の形も変わっていただきたいという気持ちを持っているわけですね。

 そういうことを考えますと、まず食生活の面でいえば、何といってもお米をもっと食べる、そういう食生活のアピールをしていかなきゃいけない。相当戦略的な広報を今考えているわけでございます。また、団体の方も、朝御飯をもっと食べましょうというようなことでテレビを使った米の消費の拡大をやったりしているわけであります。

 さらに、具体的には、緑肥の作物、今すき込んでやっていますけれども、そういう緑肥の作物をえさに使っていく。それをすき込むんじゃなくて、えさに使っていく。あるいは、耕作放棄地に飼料作物を作付けたり、あるいは耕作放棄地を、放牧で使えるものは少数であっても放牧に使うようなことを進めていくというようなことでありますとか。

 野菜をもっと食べていただくということで、その場合に、今度の冷凍食品で出てきますけれども、これは加工業者が利用しやすいような形で、年間を通じてそういう野菜が供給できるという意味で、単なる農業だけじゃなくて中間に入っていく、そういう加工で供給できる、そういう供給システムをつくっていかなければいけないというようなさまざまなことを課題として考えておりまして、それに積極的に取り組んでいきたい、こう思っております。

菅野委員 大臣、ある雑誌に、それこそ全体で百四十二ページの雑誌なんですけれども、持ってきました。この雑誌は六十二ページを使って特集しています。「暴騰する輸入穀物。コメ・畜産は未曾有の危機」、見たと思うんですけれども。

 やはり、ここの中で「穀物自給率は極端に低い 輸入国も大きな偏り」ということで、ここのさる記事の中には、「輸入国で大干ばつや食品安全のトラブルが起きたら…。日本の食卓は、世界のリスクと背中合わせである。」というふうに書いています。そのとおりだと思うんです。トウモロコシでいえば、輸入はほとんど一〇〇%、麦でも、小麦は輸入が八七%、大豆は輸入が九五%という統計、これは農水省の統計資料を引用しています。

 ここの中で大事なのは、例えば、小麦、トウモロコシは、それでは小麦が今三〇%値上げして放出する、量はほぼ六百万トンと言われています。米は七百万トンから八百万トン。米の消費拡大をしていくんですが、八七%も輸入している小麦、こういうものをどう自給率を高めるかという戦略がなければ自給率は高まっていかないというのも側面ではあるんじゃないですか。

 そこを徹底的に分析して、食料自給率、平成二十七年までですから、徹底分析して戦略的に行うべきだ。そして、先ほどから議論になっていますけれども、ホールクロップサイレージの部分をどう広げていくのか。戦略的なスケジュールはぜひつくっていただきたいというふうに思っています。この部分で議論すれば、もう三十分、四十分になると思うんですが、さわりだけ申し上げて、次に移っていきたいというふうに思っています。

 それからもう一つ、一昨日も畜産、酪農問題で私は指摘させていただきましたが、飼料価格などの原材料費のアップがありながら、農産物価格は低下傾向にあります。農水省の資料を眺めていましたら、穀物製品の消費者物価指数は、諸外国では上昇しているのに、日本だけがこれまで低下傾向にあります。

 私は、農家に直接支払いを行って生活を支え、同時に農産物が適正な価格で取引されるような条件を整備することも食料自給率の向上の大前提だと考えていますので、このことも含めて検討していただきたいと思います。

 そこで、近くオーストラリアとの第四回目のEPA交渉が開始されると聞いています。WTOの農業交渉も年末が最終妥結期限になっています。当面、この二つの成り行きが食料自給率、ひいては日本の農業の将来を大きく左右するわけですが、とりあえず、月末に予定されているオーストラリアとのEPA交渉について、報道では、米、小麦、砂糖、牛肉、乳製品の五品目を関税撤廃対象から除外する提案を行う方針だと聞いておりますけれども、この事実確認と今後の見通しについてお聞かせください。

    〔近藤(基)委員長代理退席、委員長着席〕

若林国務大臣 今委員がおっしゃられましたように、豪州との間のEPA交渉は今まで三回行ってきまして、それぞれの国の農業事情について理解を求めるという意見交換をしてきたわけでありますが、いよいよそれを踏まえてリクエストオファーに入っていくという段階になっております。二月二十五日から二十九日までの日程で第四回の会合を開くことになっておりまして、ここで日豪がお互いリクエストしオファーをするという、リクエストオファーの交換が始まるわけでございます。そのための準備をしているところでございます。

 その中で、まだやっていないわけですけれども、両院委員会の決議というものも大切な決議として我々は受けとめているわけでございまして、重要品目については除外、再協議を粘り強く求めているわけでございますが、具体的に言いますと、米、小麦、砂糖、牛肉、乳製品などについては、これは除外をしてもらいたい、除外でいかなきゃいけないというようなオファーをするつもりで今準備をしております。

菅野委員 大臣の所信にもその強い決意があらわれているわけでありますから、ぜひEPA交渉に当たっては、日本の立場というものを前面に出して交渉に当たっていただきたいというふうに思っています。

 次に、緑資源機構の廃止についてお伺いいたします。

 廃止法案が今準備されていますが、天下りを背景とした官製談合とは全く関係のない職員の方々の雇用について、昨年も若林大臣にお尋ねしたところ、得がたき技術を持っておられる人たちと評価され、職員の処遇については適切に対処していくという答弁をいただいております。

 ことしの三月末までに、まず林道事業が残事業を地方移管して廃止するとなるわけですが、約百三十人の職員の雇用は確保されたと聞いておりますので、まずは大臣に、これまでの御努力に対して、お約束を守っていただきましたことに心から感謝を申し上げておきたいというふうに思います。

 しかし、特定中山間地保全整備事業や農用地総合整備事業もやがて事業そのものが廃止されるわけですから、この雇用問題は今回で終わりというわけではありません。職員にはいまだ不安がついて回っています。

 そこで、雇用問題は今後も政府の責任で対処するという理解でよろしいんでしょうか。答弁願いたいと思います。

若林国務大臣 緑資源機構に現在勤務しております職員は七百二十名いるわけでございます。しかるに、緑資源機構は廃止するという法案をこの国会で出して、廃止をお認めいただくということになるわけでございます。したがいまして、一度にすべての仕事がなくなるわけではございませんで、例えば水源林造成事業、これはまだしばらく続けていくとか、いろいろあるわけですね。

 そういうようなことに、できるだけ今の職員の知識、経験を生かした形で仕事ができるように雇用対策を念頭に進めなければならない、こう思っておりますが、そういう職員の配置転換を円滑に進めるために、この二月に実は設置したわけでございますけれども、関係府省によります雇用対策連絡会というのがございます。これを活用しまして、他の独立行政法人などによる受け入れ措置についても、横断的な雇用確保が図れるように努力をしてまいりたいと思います。

 なかなか至難のわざでございます。今までの仕事を生かした、延長線上だけで仕事があればそれでいいんですけれども、その中では仕事が十分確保できないというときは、他の仕事に移っていただくということになっていくわけでございますから、職員の意向などを尊重しながらも、その間に入ってあっせんを精力的に進めたい、このように思っているところでございます。

菅野委員 大臣、今も大臣の答弁で触れておられますけれども、これは私からの提案なんですが、今後も事業そのものとしては存続していく水源林造成事業、ここに事業が終了した職員をできる限り吸収して受け入れていくことが私はベストではないかと思っておるんです。そして、この水源林造成事業は、これから質問する森林吸収源対策にもかなうばかりか、聞くところによると、これから主伐作業が始まって、新たな要員確保も必要となると聞いています。ぜひそういうことを総合的に配慮して対応していただきたいというふうに強く申し上げておきたいと思います。

 次に、温暖化対策に関連して質問いたします。

 一九九〇年と比較して六%CO2を削減する目標に対して、二〇〇五年には八・一%もCO2をふやしている現状は非常に深刻です。ややもすると排出対策ばかりに目が行っていますが、森林吸収源の三・八%は大変な重みを持っています。

 そこでお伺いいたします。

 森林吸収目標達成に向けた予算、十九年度では七百六十五億円で二十三万ヘクタールの整備、二十年度は五百四十六億円で二十一万ヘクタールの森林を整備することになっています。年々予算が減っていることに疑問を感じているわけですが、前年度の補正予算で相当額を確保して当年度予算で残り部分を充てていくやり方は、いかがなものかと思います。やはり、京都議定書の議長国だったわけですから、補正を使わずに当初予算で必要額を確保するのが当然ではないでしょうか。

 あわせて、地方や民間の森林所有者に過度の負担をかけるのではなく、財政手当てを含めて、国の責任でしっかりと森林整備を進めていくべきだと考えておるんですけれども、大臣の見解をお聞きしておきたいと思います。

若林国務大臣 委員が十分御承知のことと思いますけれども、京都議定書によります森林吸収目標は、炭素トンにしまして千三百万炭素トンを達成する、これを約束しているわけでございまして、これをいよいよ実施に入ります平成十九年から二十四年の六年間でやろうとしますと、今まで整備を済ませてカウントされるもののほか、毎年二十万ヘクタールを増加して整備をしていかなければならない、こういうことになるわけでございます。

 その意味で、委員もおっしゃられましたけれども、十九年度の補正では二百四十億円、二十年度の当初予算では三百六億円でございます。そういう意味で、五百四十六億円を確保して、二十万ヘクタールを超える二十一万ヘクタールの追加整備に相当する予算を計上しているところでございます。

 また、地方公共団体の負担を軽減し、平準化するというような意味から、追加的な間伐などにつきましては、総務省とかなり交渉をしまして理解をいただいて、地方債の対象とするということを内容とすることを了解しましたので、このことについては法案を今国会に提出したところでございます。

 所要の予算を、当初予算の中ですべてが組み込めればいいんですけれども、限りある財政の中でございますから、理想はそういうことでありますが、それがうまくいかないからといってあきらめることなく、機会をとらえて、補正でも何でも確保するものは確保するという姿勢で対応をし、財政当局とも鋭意詰めてまいりたい、こう思っているところでございます。

菅野委員 緑資源機構の廃止法案、あるいは森林の関連法案が出ていますから、この部分については、関連法案のときにしっかりとまた突っ込んで議論していきたいというふうに思っています。

 ただ、私も森林地域に住んでいるんですけれども、担い手をどう確保していくのかというのは、予算措置だけじゃなくて、地域においては大きな課題なんです。先ほども議論されておりますけれども、これをこのまま放置しておったならば、幾ら予算をつけても森林整備が進んでいかないという現状も存在するというふうに思えてなりません。

 大臣、この担い手確保についてもしっかりと取り組んでいただきたいというふうに私は思っております。予算の確保と同時に、担い手をどういう形で対応していくのか。答弁は要りません。先ほども議論されておりますけれども、私は、不十分だと申し上げながらも、これからもしっかりと議論していきたいというふうに思っています。

 最後になりますが、道路特定財源が議論になっている今だからこそ真剣に検討すべき課題として、環境税があるのではないでしょうか。

 京都議定書の評価に関する最終報告でも検討課題になっていますが、課税するだけで排出抑制につながり、それを財源にして森林整備などに支出すれば二重の効果があると思いますが、大臣、環境税の創設について見解をお聞きしておきたいと思います。

若林国務大臣 農林水産省としては、かねてより、森林吸収源対策のための財源確保という意味で、環境税を税制改正要望をしてまいっているわけであります。もちろん、環境省もこれを要求し、プッシュしていただいております。私はこの前、環境大臣をやり、今は農林水産大臣をしています。これはもう必死でやってきたわけでございます。

 ただ、いろいろな考え方がございまして、政府の税制調査会の答申の中では「総合的に検討していくべき課題である。」ということで、もうちょっと総合的に検討をしなきゃいけないんだという結論を昨年十一月に出されております。

 私の方としては、その総合的な検討の中で森林吸収源対策が確保できるような、財源確保ができるように、この環境税の、名前はどんな名前でもいいんですけれども、少なくとも環境改善のために使える財源というものを税制の面でしっかり確保できるような方向で努力をしてまいりたいと思います。

菅野委員 質問を終わりますけれども、最後に、委員長に一言申し上げておきたいと思います。

 本当に、こうやって特集記事が書かれるように、今日の農林水産業は非常に危機的な状況だと言わなければならないというふうに思っております。農林水産委員会を挙げて、今日の事態に対処していかなければならないというふうに思っていますが、本日、私の後ろに出席している議員が半数にも満たない、委員会が成立していない中で、私はあえて質問しました。こういうことのないように、ましてや筆頭理事も出席していないなどというこの委員会の持ち方について、委員長として再検討、しっかりとした対応をお願いしたい、このことを申し上げて、質問を終わります。

宮腰委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三分散会


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