第5号 平成20年3月19日(水曜日)
平成二十年三月十九日(水曜日)午後一時開議
出席委員
委員長 宮腰 光寛君
理事 岩永 峯一君 理事 江藤 拓君
理事 近藤 基彦君 理事 佐藤 錬君
理事 七条 明君 理事 筒井 信隆君
理事 細野 豪志君 理事 西 博義君
赤澤 亮正君 伊藤 忠彦君
飯島 夕雁君 今津 寛君
小里 泰弘君 小野 次郎君
近江屋信広君 亀井善太郎君
川条 志嘉君 北村 茂男君
斉藤斗志二君 坂本 哲志君
谷川 弥一君 中川 泰宏君
永岡 桂子君 長島 忠美君
丹羽 秀樹君 平田 耕一君
福井 照君 松本 洋平君
水野 賢一君 森 英介君
石川 知裕君 大串 博志君
小平 忠正君 佐々木隆博君
神風 英男君 高井 美穂君
仲野 博子君 横山 北斗君
吉田 泉君 井上 義久君
菅野 哲雄君
…………………………………
農林水産大臣 若林 正俊君
農林水産副大臣 今村 雅弘君
農林水産大臣政務官 谷川 弥一君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 本田 悦朗君
政府参考人
(農林水産省総合食料局長) 町田 勝弘君
政府参考人
(水産庁長官) 山田 修路君
農林水産委員会専門員 渡辺 力夫君
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委員の異動
三月十九日
辞任 補欠選任
金子 恭之君 坂本 哲志君
中川 泰宏君 川条 志嘉君
西川 公也君 松本 洋平君
渡部 篤君 長島 忠美君
小平 忠正君 吉田 泉君
同日
辞任 補欠選任
川条 志嘉君 中川 泰宏君
坂本 哲志君 金子 恭之君
長島 忠美君 渡部 篤君
松本 洋平君 西川 公也君
吉田 泉君 小平 忠正君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第二四号)
独立行政法人緑資源機構法を廃止する法律案(内閣提出第二二号)
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○宮腰委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省総合食料局長町田勝弘君、水産庁長官山田修路君及び外務省大臣官房審議官本田悦朗君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○宮腰委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○宮腰委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。仲野博子君。着席したままで結構であります。
○仲野委員 民主党の仲野博子でございます。済みません。よろしくお願いいたします。
今回、水産加工業の改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案が今国会で上程されまして、それにかかわることで何点か地元の関係業界の方とも意見交換をさせていただきまして、その実態を訴えさせていただきたいと思っております。
御案内のように、水産加工業は、漁獲物の最大の仕向け先であるとともに、漁業地域における基幹産業として、地域経済の重要な柱でもあり、雇用と収入の機会を提供しているわけでございます。その産業構造は、地元で水揚げされた魚介類を原料とした加工品の製造、販売により発展してきたため、地域性が高く、中小零細経営が多くなっているという状況にあります。
そこで、国際的な漁業規制の強化などに伴う水産加工原料の供給事情の変化に対応して、水産加工施設の改良などに必要な長期かつ低利の資金の貸し付けを行うことを目的に、昭和五十二年に時限立法として制定されました。以降、水産加工業を取り巻く情勢の変化に応じて、五回にわたりまして本法の有効期限をそれぞれ五年間延長する改正が行われ、今日に至っているわけであります。
一方、水産加工業に目を向ければ、中小零細企業が大宗を占め、少なからぬ加工業者が赤字経営を強いられているといった大変厳しい状況であります。こういった中で、周辺水域の水産資源の減少に伴う供給事情の悪化、水産加工品の輸入の増大、これらの状況に加えて、近年では、買い負けに見られるように、世界的な水産物需要の増大を背景といたしまして水産加工原料の供給事情が一層悪化している状況があり、水産加工業を取り巻く状況は好転する要素がないというのが現実ではないでしょうか。
水産基本法第二十五条は水産加工業の健全な発展をうたっているわけでありますが、依然として続く水産加工業の大変厳しいこれらの状況を踏まえて、水産加工資金法に基づく水産加工資金が果たしてきた役割と効果についてどのようにお考えになっているのか、今村農林水産副大臣にお尋ねしたいと思います。
○今村副大臣 我が国の水産加工業者というものは、ほとんどが中小あるいは零細の事業者でございます。そういった特殊事情の中から、一般の金融機関から調達するということは困難なケースが非常に多いわけでございまして、そこに対応しようということでつくってまいりました。現在までに、平成十八年度末まででございますが、千九百八十六件、合計二千二百六十三億円の融資を行ってきておりまして、水産加工業界の発展に寄与してきたものというふうに思っております。
今後とも、そういった事情を踏まえまして、この経営基盤の強化ということをしっかり図ってまいりたいというふうに思っております。
○仲野委員 ただいまお答えいただいたんですが、この水産加工資金について、平成十五年の改正において資金の拡充が図られたところでございます。しかしながら、この水産加工資金の融資実績を見ますと、平成五年度の百六十五億円をピークに減少に転じてきた。平成十八年度の実績は、融資額で四十五億円、件数で二十五件となっているわけですが、平成十六年度から平成十八年度の平均では四十億円、融資件数では三十八件であります。なかなかこの融資実績が伸びておりません。こうしたことから、水産加工資金が水産加工現場の資金需要に対して必ずしも的確に対応していないのではないのかなと考えられるのであります。
水産加工資金への資金需要と水産加工資金の融資実績がなぜこのように伸びていないのか、その理由と、これらについて、今国会上程されることによって、どう総括をされ、どのように分析をされているのか、山田水産長官にお尋ねしたいと思います。
○山田政府参考人 お答えいたします。
水産加工資金の融資実績についてのお尋ねでございます。
ただいま委員からお話がありましたように、前回改正が行われた以降、十五年から十八年までの四年間を見ますと、融資実績は百六十件、百七十二億円と、一年当たりで見ますと、大体四十件、四十億ぐらいの状況が現在の状況でございます。その前の法律の期間であります平成十年から十四年までの期間で見ますと、五十件、七十億ということで、委員から御指摘がありましたように、水準が下がってきているという事実がございます。
これにつきまして、どういう原因かということでございますが、水産関係の食品製造業全体の投資が非常に減退してきているという状況がございます。例えば、平成十年の投資総額が七百八十二億円に対しまして、十七年では六百四十四億円ということで、水産加工資金だけではなくて、水産関係の食品製造業全般にやはり投資が落ち込んでいるという状況にあります。
こういう状況、先ほど委員からお話がありましたように、近年の世界的な水産物需要の増大によってこれまで以上に原材料の供給が難しくなっている、供給事情が悪くなっているというようなこともございますし、また一方で、中国などから安い輸入加工品が入ってくるということで競争が激化する、また、魚離れというようなこともありまして水産加工品の需要が国内では低迷している、水産加工業の販売の環境も悪くなっているというようなことで、水産加工業全体を取り巻く状況の悪化、これがやはり融資実績あるいは投資全体の実績が減っている状況の原因であろうかというふうに考えております。
○仲野委員 今長官からるるお答えいただいたんですが、この水産加工資金の融資機関については農林漁業金融公庫とされているわけであります。
資金の借り入れ手続を希望する方は、借入申込書と水産加工施設改善計画を農林漁業金融公庫に提出し、公庫は貸し付けの是非及び貸し付けの条件を決定し、その後、貸付契約の締結、担保設定を経て資金の貸し付けが行われているわけであります。また、融資機関である農林漁業金融公庫には本店のほか全国に二十二の支店がありますが、水産加工資金を初めとした各資金については、一般金融機関やJAなどの委託金融機関においても相談、取り扱いができるとされているわけであります。
しかしながら、水産加工業者からは、銀行による審査が余りにも厳しくて融資してもらえない、せめて国による利子補給が必要じゃないかといった声などもありまして、資金を使い勝手のよいものにしてほしいとの要望がされているわけであります。
まず、融資機関である農林漁業金融公庫、業務委託を受けている金融機関が融資を行うに際して、その融資審査の基準、通常審査に要する期間はどのようになっているのか、また、業務委託を受けた金融機関がきちんと水産加工資金に精通しているのかどうなのか、山田水産長官にお伺いしたいと思います。
○山田政府参考人 お答えいたします。
ただいま委員からお話がありましたように、水産加工資金につきましては、農林漁業金融公庫の本支店で貸し付け実務が行われるほかに、業務委託を行っております金融機関、これは、銀行、信用金庫あるいは農協、漁協系統の組織において行われているところでございます。
実際に審査にかかる期間というのは、案件ごとに違いますけれども、大体一カ月ぐらいが実際の審査に当たってかかる期間であろうかと思います。ただ、事前にいろいろ相談があったりして、実際に借り受ける方は、もっと長くやっているというふうに思われている方もあるいはあろうかと思います。
今お話がありましたように、金融機関、銀行などではなかなか水産加工業の現状がよくわかっていないというようなこともあって、あるいは借り手の方に非常に不愉快な気分が残ったというようなこともあろうかと思いますけれども、この融資の本体は農林漁業金融公庫でございますので、改善措置が必要であれば公庫を通じて指導していくというようなことも考えていきたいと思っております。
○仲野委員 やはりこれから一番心配されてくるのは、この法案そのものの融資対象者が中小零細業者の方ということで、従業員も三百人未満ということでありますので、中には従業員が二十人、三十人、四十人といった加工業者の方たちも入ると思うのであります。そこで、そういった方たちこそが厳しい状況の中で経営をされているということで、今国会でこれが制度化されていくことによって、いい制度ができた、本当に使いやすくなっている制度だと、これからやはり利用者の側に立った法制度にしていただきたい。
やはりどうしても、農林金融公庫に限らず、一般的に政府系の金融機関というのは余りにも審査が厳しくて、協調融資となる市中銀行もそこでなかなか貸し渋りをしてくる、そういう実態もあるということもよく理解をしていただきたいということであります。
そういった意味では、これからますます、今こういった御時世の中で、本当に一生懸命頑張っている方たちにこそ政治の光をしっかり当てていただくように、余り窓口で難しいことを言わないで、親切丁寧に、なぜ融資できないのかということをやはり説明していくようにしていかなければ、また同じような制度があっても、決算がゼロに近いような、ゼロということはあり得ないんでしょうけれども、なかなか理解をしてもらえないということになりますので、これを機会に、しっかりとこのことについて、長官といたしまして、きょう大臣はちょっとおられませんけれども、大臣の方にもしっかり伝えていただきたいなということを私の方から強く言わせていただきたいと思っております。
今度、十月一日に、政府金融改革に伴って、株式会社日本政策金融公庫に統合されることになりました。そこで、水産加工資金について、今私が言ったように、水産加工業者から使い勝手が悪いという評価を受ける中、さらに償還期限が十年を超えるものになれば、水産加工業者にとっては、今以上に融資を受ける資金としての魅力が薄くなる、あるいはハードルが高くなっていくのではないかと思われます。
そこで、日本政策金融公庫への移行に伴う水産加工資金の融資対象者や融資期限の変更が水産加工業者の融資調達に支障を来すことはないのか、これもあわせて山田水産長官にお尋ねしたいと思います。
○山田政府参考人 お答えいたします。
先ほどお話がありましたように、中小零細な水産加工業者の方に適切に融資をしていくということが極めて重要でございます。そういう意味で、必要な指導はやっていこうというふうに考えております。
ただいま御質問がありました今回の新公庫への統合、あるいは十年を超える期間に限定するということにつきましてお話をしたいと思うんですが、これはもう委員御案内のとおり、農林漁業金融公庫につきましては、平成十八年六月に決定されました政策金融改革に係る制度設計に即しまして新法が制定された、これは昨年でございます。新しい日本政策金融公庫に十月に統合されるということと、食品産業向けの貸し付けについては償還期限が十年を超えるものに限定するということになったわけでございます。これは、委員お話があったとおりでございます。
この制度改革の基本的な考え方といたしましては、政策金融機関は民業補完に徹するということでございまして、このような観点から、十年以下の償還期限の食品産業向けの資金需要については一般の金融機関において対応するということを期待した上での制度でございまして、民業を育成するという観点からもこういった仕切りになっているということは御理解をいただきたいと思います。
なお、利用者の利便性については、農林漁業金融公庫、現在支店が全国で二十二支店でございます。統合後は、沖縄公庫が対応します沖縄県以外の四十六都道府県に新しい公庫の支店ができまして、水産加工業者も身近な支店で水産加工資金の融資相談などが可能となるということで、そういった意味では利便性が高まるものというふうに考えております。
○仲野委員 より一層の、今までにないような制度であるということを利用者の方たちから言われるようにぜひしていただきたいと思います。
やはり一番問題なのは、水産加工業者にとっては、加工する原魚の確保ということが一番大事じゃないのかなと思うわけであります。
そこで、近年では、世界的な水産物の需要の高まりを背景といたしまして国際価格が上昇し、我が国が輸入競争に負けてしまう、すなわち買い負けする事態も発生しているという状況にあります。
このため、今般の改正案でも、法律の背景事情に世界における水産物の需要の増大を加えることにしておりますが、水産加工品の輸入原材料の安定確保は確かに重要な課題であると考えております。中期的、長期的に見れば、我が国周辺水域の水産資源の回復を図り、国産の原材料を利用できるようにすることが、食料自給率の向上や食の安全の確保の観点から極めて重要であると考えるわけであります。
このようなことも踏まえて、水産加工業の振興に大きくかかわる我が国周辺水域の資源回復について、取り組み状況と今後の取り組み方針について、山田水産長官から御答弁をお願いいたします。
○山田政府参考人 お答えいたします。
加工業者の原料の安定供給ということのためには、我が国周辺水域での資源回復は、委員おっしゃるとおり本当に重要な課題でございます。
農林水産省といたしましては、緊急に資源回復を図る必要がある魚種を対象といたしまして、十四年度から国または都道府県が資源回復計画を策定するという仕組みを設けておりまして、現在五十四の計画が策定され、今後さらに十七の計画が策定される予定となっております。
資源回復計画におきましては、資源を回復させる期間や目標数量等を定めておりますし、具体的な措置としましては、休漁や減船などによる漁獲努力量の削減、種苗放流による資源の積極的培養、さらに藻場、干潟の造成等による漁場環境の保全等を漁業者が行い、これに対して国が支援をするという仕組みでございます。
今後とも、国産原料の安定確保に資するように、こういった資源回復のための施策を総合的に実施していきたいというふうに考えております。
○仲野委員 長官はこういった意味では非常に水産のプロでありますので、今日までさまざまな水産行政に携わってきているわけであります。
要するに、日本の海域の資源の枯渇が言われている中で、水産で生きているそれぞれの水産の町ですか、とる漁業から育てる漁業への転換もこれを機会にやはり図っていくべきでないのかな、そのように思っております。
北海道では、タラバガニについて、これまで世界的にも数千匹規模で増殖させた例はないとされている本格的な増殖計画に挑戦することにもなっているわけであります。
こういった資源回復を図る観点から、この中長期計画の中の水産資源の増殖推進に向けた新たな取り組み方針についても、水産庁として何か具体的にこういったことを今考えているというお考えがあれば、御答弁いただきたいと思います。
○山田政府参考人 水産資源の増養殖についてのお尋ねでございます。
これにつきましては、昨年三月に水産基本計画を策定いたしまして、その中で、先ほど議論になっておりました資源の回復とあわせて、やはり水産資源の増養殖を図るということがこれから極めて重要な課題であるというふうに認識をしているところでございます。
そういった観点から、例えばマグロの資源などについて、回遊するものですので、これについて今までは漁獲に頼っていたわけですけれども、これからは、やはりマグロ資源、養殖用のマグロの開発、あるいは安定供給のための技術の確立等を図っていくことですとか、あるいは持続的な養殖生産を推進するための安価な飼料や効率的な給餌方策を開発していくということで、栽培漁業あるいは養殖といったつくり育てる漁業の推進にも努力をしていきたいというふうに考えている次第でございます。
○仲野委員 ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。
せっかく水産庁で前向きにお考えいただいても、私の地元根室では、根室海峡で操業するロシアのトロール船による漁獲によって資源状況が悪化しております。水揚げももちろん減少しているわけであります。
これまで政府もロシア側に対して、トロール船の自粛について水産資源の保護管理の観点から申し入れを行ってきているとも承知しているわけでありますが、しかしながら、スケトウダラの不振にあえぐ北海道の羅臼漁協は、一月七日から始まった今季の漁では、一、二月の合計が前年比の何と三割減の、過去十年で最低の水準と新聞報道でも報じられて、実際私も、先般羅臼漁協の方にお邪魔させていただいて、その切実な声を聞いてきたわけであります。
ことしに入り延べ三十四隻のロシアのトロール船を確認したとも言われている中で、このような状況を踏まえると、トロール船の操業自粛に対する我が国政府の申し入れの効果がないように思われますが、現在の操業状況と今後の対応方針についてどのようにお考えになっているのか、まず外務省の本田大臣官房審議官にお尋ねしたいと思います。
○本田政府参考人 お答え申し上げます。
知床沖におきますロシアのトロール漁船の操業につきましては、外務省といたしましても、この水域の海洋生物資源状況に大変大きな影響を与えること、また、北方四島周辺水域操業枠組み協定に基づき操業する我が国漁船がこれらトロール漁船の操業によるものと考えられる漁具被害を受けるなど、深刻な問題であると認識しております。
外務省といたしましては、このような状況を踏まえまして、水産庁とも連携しつつ、ロシア側に対しまして、漁具被害防止のための具体的措置を講ずるとともに、漁業資源の保護の重要性を十分考慮するよう、累次にわたり申し入れを行ってきておるところでございます。これまでも、北方四島周辺水域操業枠組み交渉の場を含め、ロシア側に対し働きかけを行ってきております。
昨年につきましては、ロシアのトロール漁船の操業により甚大な漁具被害が発生いたしました。我が国漁船の操業に支障を来しましたが、これまでの我が国からの累次の働きかけもございまして、本年は、現場海域におきまして我が国漁業者がロシアのトロール漁船と連絡をとり合い、漁具被害は大幅に減少し、我が国漁船の操業状況も改善したものと承知しております。
外務省といたしましては、今後とも、漁具被害の防止及び漁業資源の保護のために、ロシア側への働きかけを継続していく考えでございます。
○仲野委員 今、外務省サイドから力強い御答弁をいただきました。しかしながら、このことについて、毎回、何度も何度も、地元の切実な課題としてさまざまな場を通じて私も議論させていただいたのでありますけれども、一方で一向に解決をされないということは、一体何が原因なのかなと。地元の漁業者のことを考えると、本当に一日も早くこういったことをしっかり解決していただきたい。
ことしは、七月に北海道洞爺湖でサミットも行われるわけであります。これを機会にぜひこういったことも議題にしていただければなということを、強く申し入れをさせていただきたいと思っております。これは、きょうは水産庁長官もお見えになっておりますけれども、水産庁の方ともがっちりスクラムを組んでいただきながら、地元にとって支障のないように強く行っていただきたいと思っているわけであります。
時間もないようですので、次に、最近、中国の冷凍ギョーザ等の問題で、本当に今、消費者の方たちが、スーパーに行けば必ず商品を手にとって表示を見られている光景が多いわけであります。それだけやはり消費者の方たちが、いかに食の安全、安心というものが大事であるかということの関心が大きく高まってきているところであります。
とりわけ、北海道の昆布、昆布巻きやつくだ煮の加工用として使用されている釧路や根室産の昆布については、輸入割り当て、IQ制度の規制対象とならない中国からの安い価格の昆布加工品の輸入増加により価格が低迷し、大きな打撃を受けているということもあります。
私も、消費者への正確な情報の提供という観点、あるいは生産者が正当な評価を受けるという観点、IQ制度の実効性の確保という観点から、昆布巻きなどの昆布加工品について原産地表示を義務づけるべきであることをこれまで農水委員会で主張してまいりました。しかし、残念なことに、これまでの答弁では、加工食品の原料原産地表示については、一定のルールに基づいて食品の表示に関する共同会議において議論しているので、現場の声もよく受けとめて議論してもらいたいというように、消極的な回答しかいただいていないわけであります。
今、食の安全ということで、消費者の要請にこたえるためにも、この加工食品については原料原産地表示を義務づけるべきと考えますが、このことについて今村副大臣にお尋ねしたいと思います。
○今村副大臣 加工食品の原料の原産地表示につきましては、食品の表示に関する共同会議の検討を経まして、原材料が品質を左右する加工度の低い二十食品群に対象を大幅に拡大して、平成十八年十月から義務化しているところでございます。
こういったことからいきまして、水産加工品につきましては、非常に加工度が低いということで干し昆布が対象になっておりますが、さまざまな原料を組み合わせて味つけした昆布巻き等につきましては、加工の程度が低いとは言えないということになっていますので、今、対象とはしておりません。
しかし、昨今、こういった原産地表示について関心が非常に高まっている中で、こういったことについて食品事業者自身が、自分の会社の製品をしっかり信頼して買ってもらうということの期待を込めて前向きに取り組んでいただくことを私たちも期待しているところでございます。
○仲野委員 今村副大臣御存じと思うんですが、中国から輸入されている昆布巻きは、半調製品、巻かれた状態で日本に入ってくる。日本で味つけされると、結局、最後の表示は日本国である。それで表示されてしまえば、消費者は、ああ、日本のものであるなということで購入してしまう。
そうではなくて、昆布巻きの昆布がどこでできてきたのかという原料原産地の表示をしっかりやっていくべきでないのかなということで、私は、これを機会にこのことをはっきりとさせていく時期でないのかなということで強く言わせていただきました。もう一度このことについてお答えいただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。
○今村副大臣 加工品についてはいろいろなものがあるわけでございまして、その中で、たくさんのものを組み合わせたものもあるし、少ないものもあります。その辺を全部表示するかということになってくると、なかなかこれは難しい面もあるということは言えると思います。
しかし、先ほども言いましたように、こういった国民の皆様方の要望が強いということになれば、できるだけそういった方向で、製造業者あるいは販売業者も含めて取り組んでいくことが必要じゃないかなというふうに思っております。
○仲野委員 しっかりとやっていただくことを強く要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○宮腰委員長 次に、横山北斗君。
○横山委員 きょうは、本題に入ります前に、今月の七日に地元紙の方で、米の一時金支給のことをめぐりまして、連日大きく報道がなされました、農水省の解釈と地元の理解との間に大きな差があって混乱を招いている旨の記事なわけですが。私がこの間農水委で福島に視察に行きましたときにも、この米の一時金支給の点につきまして、農水省側の説明は二月に入ってかなり時期がたってからで、締め切りまでの日も浅くて問題が生じた、これでは対応するのに大変だったというような生産者の御意見を伺ってきましたけれども、そういう問題が生じてしまったのかなというふうに懸念しているんですけれども、このつがる市の米の緊急一時金問題はどういうことが問題であったのか、御説明願えますでしょうか。
○町田政府参考人 お答え申し上げます。
十九年度補正予算で措置をいたしました地域水田農業活性化緊急対策につきましては、平成二十年産以降の生産調整を確実に実施するために、生産調整拡大部分を対象として緊急一時金を交付するというものでございます。
この助成対象となる面積につきましては、農業者個人が契約を行う場合は、農業者ごとに判断をするということにいたしているところでございますが、つがる市におきましては、この面積のとらえ方につきまして国の指導に混乱がございまして、対策の推進に支障が生じたところでございます。
この点につきましては、国としても率直に陳謝するとともに、本対策の趣旨、要件、こういったことにつきまして農家の方を初め関係者に十分な御説明をさせていただいたところでございます。
〔委員長退席、七条委員長代理着席〕
○横山委員 この問題につきまして、全国的なことは別として、青森県の状況、特につがる市の状況が互助方式とかいって少し特殊なケースであるというような話を伺っておりますけれども、少なくとも青森県に関しまして、他の市町村との関係といいますか、その状況について御説明をお願いいたします。
○町田政府参考人 お答え申し上げます。
このつがる市の問題を踏まえまして、三月の十一日に、青森県及び青森農政事務所が、青森県内の市町村、農協の担当者等を招集いたしまして、助成対象となる契約面積のとらえ方につきまして改めて説明を行ったところでございます。この結果、理解が得られまして、今、各市町村がそれぞれ対応方針を決めて本対策への取り組みを進めていただいているというふうに聞いております。
○横山委員 それで、この今の状況、問題を受けて、農水省が今日までどういう対応をとられてきたのかという点についてもあわせて御質問いたします。お願いいたします。
○町田政府参考人 つがる市への対応、また青森県への対応は先ほど御答弁させていただいたとおりでございますが、私どもといたしましても、三月の十二日に開催いたしました地方農政局長会議、また、この問題のために農政局の食糧部長を招集いたしました、その会議におきまして、先ほど申し上げたような本対策の要件、趣旨、こういったものについて全国的な周知徹底を図ったところでございます。
○横山委員 今の答弁は新聞などでも知ることができるのですけれども、少なくとも一部の地元紙で報じられている限り、少し違った地元の理解がございます。
というのは、七日の日にまずこの問題が新聞紙上で報じられました。その同じ七日の日に自民党の総務会が開かれまして、その席上、この問題が取り上げられて、翌日、叱咤された町田局長が大慌てでつがる市に来て収束を図ったというような地元紙の記事がございます。その町田局長がつがる市に来て収束を図った、それについて、いわゆる農水省の判断が政治家の介入で二転三転したというようなとらえられ方が地元ではされているんですけれども、今、そういうことは当然ないという話をお伺いしました。
そこで、もちろん自民党の総務会の内容、話題、そんなことは一切お話ししていただく必要もありませんが、私もどういうことなのか事情を知りたいと思いまして、農水省の方に、もし自民党の総務会の方に出られた方がおられれば、質問通告の際に、この場に来てちょっとお話を聞きたいと申したら、そういう方はいないということでした。いない理由は、そもそもこの七日の総務会で特段こういう問題が取り上げられたことはない。あくまでもこのときは、差しさわりのない範囲でいえば、中国産冷凍ギョーザのことは話題になったけれども一切米のことは話題になっていない、したがって、そういう方はいないという説明を私は受けました。
改めて、七日の自民党総務会でこのことが話題になったのかどうか、そんな政治家のツルの一声があったのかどうか、それについてお聞かせ願えますでしょうか。
○町田政府参考人 私ども、この件につきましては、あくまでも私どもの指導の混乱が原因であったというふうに考えております。すなわち、この対策の趣旨、要件といったものについてつがる市に十分御説明できなかったといったことが原因だというふうに思いまして、その点について率直に陳謝するとともに、対策の趣旨、要件、こういったものについて改めて十分説明をして、御理解をいただいたというふうに考えているところでございます。
○横山委員 自民党総務会でこのことが話題になったんですかということを聞いているんですけれども。話題になっていないなら話題になっていないで結構です。
○七条委員長代理 横山君、党のやったことを今農水省に聞こうとされているんですね。
○横山委員 いえ、説明に伺った事実がないと申しておりますので、説明に伺った事実がないならないと言ってくれればいいわけです。党の内容を聞いているわけではございません。
○町田政府参考人 私ども、その総務会に出席しておりませんので、そういったやりとりがあったかどうかは承知しておりません。
○横山委員 ありがとうございます。
地元紙には、米の緊急一時金をめぐり、農水省が地域内調整の有無を問わず支給する方針に転換したことについて七日の自民党総務会で農水省を厳しく叱責したと書いてある。だから、これは要するにこの政治家が自分の政治力を誇示するためについたうそ発言ということで理解いたします。
余り生産的でない議論をしてもしようがないので、こちらの問題の方に移らせていただきます。
今回の改正案で、融資対象に非食用水産加工品、魚粉等を製造するための施設も含まれるということを明確化することとしておりますけれども、今後、この非食用の水産加工品の製造を支援し、水産加工業を振興していくという展開があるのかどうかについてお尋ねいたします。
○山田政府参考人 お答えいたします。
非食用水産加工品の製造の関連でございますが、水産加工品の製造過程において加工残渣が発生をするわけでございまして、その加工残渣については、一部は魚粉などの飼料あるいは肥料の原材料として有効利用されておりますが、地域によりましては、そういった魚粉などの製造施設が全くないということ、あるいは、費用を支払って廃棄物として焼却したり埋め立て等の処分を行っているというような状況にございます。
こういった中で、加工残渣等を有効利用して魚粉等の非食用水産加工品を製造するということは、水産加工業者の体質強化に資するものであります。また、魚粉に対する需要が国際的に高まる中で養殖用飼料の供給源として期待をされるということがございますので、今回の改正によりまして、加工残渣等を有効利用して魚粉等の非食用水産加工品の製造施設も融資対象であるということを明確化しておりまして、委員からお話がありましたように非食用の水産加工品の製造も支援するということで、水産加工業の振興を図ろうとするものでございます。
○横山委員 ありがとうございます。
地元にありますある水産会社は、商品にならない魚の頭、しっぽ、あら、こういったものを大体キロ六円で仕入れて、ミール工場にキロ十一円で売っている。ところが、運送費が結構かかるので、収益を上げるのは厳しい状況だ。また、工場自体も、七つぐらいあったのに、八〇年代から今日にかけて、もう今一つになっているというような状況の中で、その方は、ミール工場に十一円じゃなくてもう少し高い値段で売ることができれば、漁業者から仕入れる魚もキロ六円じゃなくて済むというような発言をされておりました。こういう制度が、その点でのいい方向に向かえばいいなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
それで続けて、加工原材料の確保という問題について質問をいたします。
近年、買い負けとか、あるいは魚の、原料魚の価格が高値で推移をしておりますが、また、環境問題との関係で、以前はこの辺でたくさんこういう魚がとれたのに今はとれなくなっているとか、さまざまな問題があろうかと思いますけれども、この加工原材料を確保するという問題への対応につきまして、政府の考え方をお聞きしたいと思います。
○山田政府参考人 加工原材料の確保についての御質問でございます。
水産加工業では、製品出荷額に占める原材料費の割合が非常に高うございます。六割を超えているというようなことで、委員から御指摘がありましたように、原料の魚の安定的な確保が経営上の重要な課題でございます。
これも委員もう御案内のとおりですけれども、水産加工業の原料の確保につきましては、国際的な資源管理の強化ですとか、漁獲量が外国二百海里あるいは公海の漁場において減少している、資源の悪化もあるということで大変厳しゅうございますし、また、いわゆる買い負けといいましょうか、国際的な買い付け競争の激化ということもございます。
こういった観点から、水産加工業の原材料の確保は極めて重要な課題でございまして、当面の対策といたしましては三つほどあろうかと思っております。まず第一に、安定供給契約の締結を通じまして、産地と加工業者との連携強化を図っていくというようなこと。第二に、利用の程度の低い水産資源を原材料にした水産加工品の開発普及を図ること。また、第三番目としまして、長期、低利の水産加工資金の貸し付けを通じた新たな原材料への転換に対する支援を行うというようなこともございます。
また、そもそも長期的な視点ということでいいますと、やはり我が国内外の水産資源の回復、確保が重要でございますので、そういった水産資源の管理の徹底あるいは資源回復措置の強化ということも重要な課題というふうに考えております。
○横山委員 ありがとうございました。
それでは続きまして、この水産加工業は国際化の流れの中にある。つまり、一つは加工品が数多く輸入されているという現状もあります。それから、労働力が安いという点もありまして、我が国の会社が海外に工場をつくっていくというケースもあります。そしてまた、青森なんかでもホタテがそうなんですけれども、高級食材として中国などへ輸出されているというケースもあります。
こういう国際化の流れの中に今置かれている、水産加工業がそういう状況の中にあるということを踏まえて、今後の水産加工業の支援のあり方につきまして、大臣の御答弁をお願いいたします。
○若林国務大臣 今委員がお述べになりましたように、水産物あるいは水産加工製品の貿易量というのは拡大をいたしております。輸入もふえてきて国内加工業者にとっては厳しい状況がある反面、輸出の方も、今ホタテのお話がございましたけれども、日本食ブームでありますとかアジア地域の経済力が高まってきていることに伴いまして、日本の水産加工品を含みます水産物の需要が高まり、輸出がふえているという状況にあります。
こうした中で、国内水産加工業につきましては国際競争力をちゃんとつけていかなきゃいけないという認識でございまして、昨年の三月に策定をいたしました水産基本計画の中で定めております水産加工業の経営基盤の強化でありますとか、安全、安心対策を推進する、また消費の拡大などの総合的な施策を展開することにいたしております。
今回、法律改正をお願いしているわけでございますが、このような制度によります長期かつ低利の融資措置に加えて、強い水産業づくり交付金というものがございますが、その交付金による水産物加工処理施設の整備などに対する助成措置、また、HACCP方式による衛生あるいは品質管理体制の整備を進める。つまり、輸出しますと、そういうHACCPの適用があるかないかということで輸入国の側で厳しく規制されておりますので、HACCP手法の導入。また、消費者がどういうものを望んでいるかというニーズに基づく新たな需要、新商品の創出といったような施策の展開によりまして水産加工業の総合的な振興を図ってまいりたい、このように考えております。
○横山委員 ありがとうございました。
先ほど、加工原材料の確保の問題への対応の中で、水産基本計画にもあります「産地と加工業との連携の強化」という御答弁がありました。国産水産物の利用の促進ということなんですけれども、これは食料自給率を上げるという観点からもどのように実現を図っていくのか、改めて御説明願えますでしょうか。
○山田政府参考人 産地と加工業との連携についての御質問でございます。
ただいま委員から御指摘がありましたように、水産基本計画の中で、産地と加工業との連携強化ということで国産の水産物の利用を促進するということが記載をされております。
この背景といたしましては、国産水産物の志向が国民の間で極めて高いということがございます。農林水産省の調査によりますと、生鮮あるいは加工の水産物について、おおむね九割の方が、安心であるとか品質が高い、おいしいという理由で国産水産物を志向しているということがございます。こういった国民のニーズに合わせて対応していくことで国産水産物の利用が促進できるのではないかと考えている次第でございます。
具体的に申しますと、国内の生産者と加工業者があらかじめ規格や価格を設定して契約をしておくことで国産水産物が安定的に取引できるというような取り組みが行われておりますし、これを推進していくというような方法、また、生産者団体と加工業者が連携をいたしまして、先ほど言いました消費者のニーズを的確に踏まえて新商品を開発していくというような取り組みも現在行われており、これをさらに積極的に推進していこうというような形で産地と加工業との連携を進め、国産水産物の利用を促進していこうと考えているところでございます。
○横山委員 それでは、最後の質問になりますけれども、必要な法律なら恒久化してもいいという意見もあると思うんですけれども、本法が時限立法として延長を繰り返している理由についてお答え願えればと思います。
○若林国務大臣 委員御承知のとおり、この水産加工資金法は、昭和五十二年に外国政府が北洋に漁業水域を設定したことに伴いまして、いわばそこから排除されるというような危険が出たわけでございます。それに緊急に対応することとして、五年間の時限立法として制定されたものでございます。
その後、五年間の時限法という枠組みのもとでありますので、有効期限を迎えるごとにその存続の必要性を検証するとともに、水産加工業をめぐる情勢の変化を踏まえながら、資金内容などについて所要の見直しを行ってきているところでございます。
現行法は本年三月三十一日に有効期限を迎えることになるわけでありますが、委員から先ほど来お話がございましたように、最近の我が国の水産加工業をめぐる情勢を踏まえて検討を行った結果、資金内容について魚粉を加えるなどの所要の見直しを行った上で、有効期限をさらに五年間延長することとして、本法案を国会に提出したものでございます。
このような資金は、実は農林漁業金融公庫によって融資が行われてきたものでございます。このような政府によります政策金融については、実は政策金融全体として民業を補完するような金融でなければならないという位置づけがなされたわけでございまして、政策金融改革の中におきまして、この制度についてもこの十月からは新たな政策金融に組みかえられるわけであります、資金の内容は変わりませんけれども。そのように状況によってどこまでが必要であるかということは点検をし、情勢変化に応じてその必要性を検証するという過程を経ながら、必要があればその次また延長を図る、こういう法形式になっているところでございますので、御理解をいただきたいと思います。
〔七条委員長代理退席、委員長着席〕
○横山委員 以上で質問を終わります。
○宮腰委員長 次に、菅野哲雄君。
○菅野委員 社会民主党の菅野哲雄です。
水産加工業は国内向け魚介類の総供給量のうち四五%を消費する大変に重要な位置にあります。その一方、私の地元、気仙沼のかまぼこ業界からは、スケソウダラの漁獲枠削減、国際的な魚価の高騰、さらには燃油高による包装資材の値上げで、企業努力ももう限界だという悲鳴が聞こえております。大変厳しい状況です。
そこで、伺います。
水産加工業の経営体は、平成十年には約一万五千あったものが平成十七年には約一万五百と三割程度減少しております。この要因についてどのように考えておられるのでしょうか、お聞きいたします。
○山田政府参考人 水産加工業者の数の減少の要因についてでございます。
この減少につきましては、我が国経済の全体の流れ、あるいはさまざまなそういった要素があろうかと思いますが、特に水産加工業に関連するものとしては、主要なものとして二つ挙げられると思っております。一つは、原材料の供給事情が悪化しているということ。二つ目としまして、製品の販売環境の悪化というようなことでございます。
一つ目の原材料につきましては、水産加工業は出荷額に占める原材料費の割合が六割を超えておりまして非常に高い割合になっておりまして、その確保いかんが経営に与える影響は極めて大きいところがございます。
この原材料の確保につきましては、委員も御案内のとおり、資源の悪化あるいは水産資源の管理の強化、また原材料の一部は輸入に頼らざるを得ない状況にある中で、近年では、世界で水産物需要が増加しているということで、非常に国際的な買い付けが困難である、こういったことで原材料の供給事情が悪化しているということがございます。
また、製品の販売環境の悪化、二番目に挙げました要因でございますが、これは中国などから今度は安価な輸入加工品が入ってくるというような現状にありまして、そういった意味では競争が激化しているということがございます。また、国内では魚離れというような現象もありまして、水産加工品の需要が低迷をしている、こういった二つの要因が主要なものと考えております。
○菅野委員 今の水産庁長官の答弁にもあったんですが、原材料の使用割合が本当に水産加工業の場合は大変高いという状況であります。かまぼこでは、原材料のスケソウダラの入手が困難で高値がついている状況では、私は経営が非常に圧迫されているというふうに思えるんですが、水産庁として、今の水産加工業の経営収支の状況、動向についてどうとらえているのか、この点について答弁願いたいと思います。
○山田政府参考人 お答えいたします。
水産加工業者の経営状況、これを正確に把握、評価するのはなかなか難しいのが実情でございます。
ただ、この経営状況につきまして水産庁でアンケート調査を実施いたしておりまして、十八年度の調査では、最近の一年間の収支について赤字であるというふうな経営体の数、これが十八年の時点では三二%程度、それから収支均衡としているものが三六%程度、黒字としているものが三二%程度ということになっておりまして、これを五年前の数字と比較すると、赤字のウエートが減少し、黒字のウエートが増加している。五年前に比べればややよいかなというのがこのアンケート調査の結果でございます。
一方、国民生活金融公庫が調査をしたものがございまして、これによりますと、水産食品製造業でございますが、五十人未満の企業を対象とした売上高経常利益率がございますが、これは十四年には二・三%であったものが十八年には〇・九%ということで、この資料によると低下をしているということでございます。
それぞれのデータが非常に限定的でありますサンプル調査でもありますし、自己申告という面もありますので、なかなか正確に把握できないところでございますが、中小零細な事業者が多数を占めている水産加工業者の経営状況は、概して厳しいもので推移をしているというふうに思っております。
○菅野委員 次にお伺いしますが、この問題はかなり前から言われていることなんですが、地元、気仙沼を見ていますと、水産加工の主要な担い手は年配の女性パートの方々なんです。こういう現状を見ていますと、この業界の将来はどうなってしまうのか、本当に心配なわけです。
従業員の高齢化や人材難ということが起こってきています。この現状をどのように認識しているのか、そして対策をどのように進めようとしているのか、この点についてお聞かせください。
○山田政府参考人 従業員の高齢化についてお尋ねがございました。
これについてはいろいろなデータがありますけれども、例えば水産庁が十八年度に実施をしました経営実態調査によりますと、従業員の構成比率、四十歳未満の方が約三〇%、四十歳以上六十歳未満の方が五二%、六十歳以上の方が一八%となっておりまして、五年前と比較すると、六十歳以上の割合が増加をしているという状況にあります。
また、少し古い資料ですが、十二年時点での国勢調査で、他の一般の製造業と水産食品製造業を比べてみますと、平均年齢も一般の製造業に比べまして五歳ぐらい高くなっている、それから六十五歳以上の構成比も四%ぐらい高いということで、やはり水産加工業の高齢化は一般の製造業に比べてもかなり高い状況でございます。
委員からお話がありましたように、水産加工業が健全に発展していくためには、機械化を進めるにしても、ある程度若い従業員がいないと健全な発展はなかなか難しいのではないかと考えておりまして、こういう観点からも、水産加工業が魅力ある産業になる、若い人もぜひ勤めようというような気になる産業になるよう支援をしていくことが重要と考えております。
○菅野委員 水産庁長官、これは十年前から、将来は、家族経営的な加工業者だったら五十、六十、七十とやっていけるというふうに思うんですが、従業員の高齢化という問題なんです。団塊の世代がリタイアしてしまう状況になっていったときに、水産加工工場で働くパートの人たちが本当にいなくなってしまったときに、産業として、働く人たちがいなくなった産業というふうになっていってしまうおそれがあるということなんですね。
それで、二〇〇七年問題というのは、団塊の世代がリタイアする時期と言われております。ただ、今、ここ四、五年は、下手すると、六十四、五まで働いてもという人たちがおりますからもつんだろうというふうに思うんですが、ここの部分においては、しっかりとした調査と将来を見越した対策というものを本当に打ち立てていかなければ、日本における水産加工業は継続していかないんじゃないのかな、こういう危機感を持っているということですから、この部分は緊急にでも、調査、対策というものは水産庁としてとる必要があるんだということを強く申し上げておきたいというふうに思っております。
それから、今も長官の答弁があるんですが、水産加工業者の後継者育成というものがなかなか継続していかないという問題なんですね。先ほど魅力ある産業として発展させていかなければならないという答弁がありましたけれども、後継者難というこの現実をどう受けとめて、そして克服していくのか。言葉の上では、魅力ある産業として育成していくというのは当然だというふうに思うんですが、現実は、私の代で終わりという人たちが今頑張っているという状況を、後継者をつくるために政府としてどう支援していくのかというのはしっかり対策をとるべきだというふうに思うんですが、これについて、改めて考えをお聞きしたいと思います。
○山田政府参考人 ただいま委員から御指摘がありましたように、後継者の育成、これも極めて重要な課題でございます。
先ほど申しました、水産庁で調査をしております実態調査によりますと、特に、後継者の確保ということが当面の課題というよりは、あるいは、むしろ長期的な課題として経営者の方が考えておられる。当面の課題、短期的な課題と考えられている方が約九%に対しまして、長期的、将来はやはり後継者の問題が心配だなという方が二七%程度おりまして、委員が御指摘されたように、今はまだ頑張れるけれども、先々はもう本当にどうなるんだろうというふうに不安に思っておられる方が非常に見られるのではないかというふうに思います。
また、委員からもお話がありましたが、特に、この水産加工業は中小零細規模でございまして、まさに家族経営ですとか同族経営といった経営体が多いわけでございまして、まさに自分で後継者を見つけてこないと、従業員の方が後をやってくれるということもなかなか難しい方もおられるということでございます。
これにつきまして、今の委員のお話にもありましたけれども、やはり魅力ある職場にしていく、経営主の方が、よし、自分の息子にも継がせようというような職場にしていくということが極めて重要でございます。
これにつきましては、先ほど来説明しておりますが、水産業、水産加工業をめぐる情勢は大変厳しいところがありまして、何か一つ後継者対策をやるというよりは、むしろ加工業全体を発展させていくようなもの、資源回復もありますし、それから原料の確保もありますし、こういったことを総合的に講じていくしかないのではないかということで、そういうつもりで取り組んでいきたいというふうに考えております。
○菅野委員 今議論しているのは、水産庁が委託して実施した水産加工業経営実態調査、平成十八年の調査結果に基づいて議論しているんですが、そこの中でも出てきているんですけれども、出荷先からの低価格要求が問題だという回答が短期的課題、長期的課題の双方で高い数字になっています。
気仙沼のかまぼこ業界でも、原料となる白身魚の値段、さらには原油高による包装資材の値上げがありながら、出荷する製品の値段に転嫁するのが難しいというため息が聞こえております。日本の経済全体として消費が低迷する中、価格を上げれば売れなくなる、出荷先からも値上げはしないでくれと要請される。コスト高はひとえに加工業者にしわ寄せされてしまう構造になっているということが大きな問題だと思います。
出荷先からの低価格要求に対して、農水省として何か具体的な手だてを考えていらっしゃるのでしょうか。このことについて答弁を願いたいと思います。
○山田政府参考人 お答えいたします。
出荷先からの低価格要求でございますが、生産コストが上がる中で、製品の価格になかなか転嫁ができないというお話が委員からございました。
一部の製造メーカーにおいては、優良メーカーと言われるようなものですけれども、そういった会社では、製品価格の引き上げを表明したり、実施しておるところもございます。ただ、中小零細のメーカーが中心でございますので、多くの水産加工業者では、生産コストの動向を反映して価格を販売先と決めていくというのは困難な例が多いというふうに承知をしております。
水産庁といたしましては、生産コストの動向も反映した水産物の価格形成が実現をされる必要があると思っておりまして、燃油価格の高騰もありますけれども、水産業あるいは水産加工業全体としてのそういった問題について、消費者を含めた関係者の理解が極めて重要でございます。こういう意味で、生産、加工、流通、消費、各関係者から成ります協議会を設置いたしまして、まずは関係者間の理解の醸成を図るということを進めております。
また、特に水産加工業におきましては、食の簡便化志向といった消費者ニーズがございますので、これに的確に対応していくということで付加価値の向上を図るというような方法も重要でございます。生産者と加工業者の連携を通じました多様なニーズに応じた新たな水産加工品の開発あるいは販路開拓等について支援を行うというようなことで対応していく所存でございます。
○菅野委員 消費者の低価格商品を求めるという傾向はどんどん強まっていっています。そして、長期的に見たときに、それが主食である米の値段にまで影響が及んでいる。そういう状況を見たときに、水産物、水産加工品だけの問題としてとらえるのではなく、食料全体の問題としてとらえて、どうしたらコストを製品価格に転嫁できるのかという観点から政策立案すべきだというふうに思っているところであります。私は、この問題は日本における食料自給率の向上を目指す上においても大変重要なファクターだというふうに思っていますから、省挙げて、国挙げて、政府挙げてぜひ検討していただきたいというふうに思っています。
それで、今回、水産加工資金の低利融資を五年間継続するわけですが、この水産加工資金、平成五年度をピークにして融資件数も融資額も減少傾向にあるように思います。
そこで、お伺いしたいのは、まず平成十八年度で融資件数二十五件、融資額四十五億円の内訳として、どのような規模の業者が幾らぐらいの融資を受けているのか教えてほしいと思います。
そしてさらに、全国で一万近くの経営体がありながら、これだけの低利融資にもかかわらず融資件数が二十五件というのは、余りに少ないように感じます。これは、融資条件が厳しいのか、あるいは、事業者が低利融資であっても借りにくいと感じているのか、何らかの問題があるのではないかというふうに感じています。この点についても農水省の見解を求めておきたいと思います。
○山田政府参考人 融資の件数あるいは融資額についての御質問でございます。
前回の改正が行われた十五年から十八年までの状況ということで、四年間の状況について分析をしてみますと、融資実績は百六十件で百七十二億円ということで、平均いたしますと、一年当たりで四十件、四十億程度の融資が行われているということでございます。
実際にどういう融資先に融資されているかということを経営の規模で見てみますと、資本金が一千万円以内のかなり小さな、零細なメーカー、水産加工業者が五十五件ありまして、四十六億円ということ。それから、一千万円を超え五千万円以内のものが七十二件で七十一億円。それから、大きな、五千万を超え三億円以下のものは、大分少なくなりまして、二十七件、五十一億円。さらに、三億円を超えるような大企業と言われるものについては一件だけということでございまして、水産加工業の状況に応じて、零細なあるいは小さい規模の水産加工業者が多いというような状況にございます。
その貸付融資の推移でございますけれども、その前の五年間、平成十年から十四年の五年間の状況を見ますと、年平均で見て、おおむね五十件、七十億円程度ということなので、先ほど言いました今回の期間の四十件、四十億からしますと、前の期から比べて減っているというような現象がございます。これは委員が御指摘されたとおりでございます。
この原因を分析してみますと、水産加工資金の融資実績だけでなく、水産食品製造業全体の投資額も減っている。例えば、平成十年度で七百八十二億円の投資総額があったものが十七年度には六百四十四億円ということでございまして、水産加工資金の問題というよりも、むしろ水産加工業を取り巻く情勢が、投資、あるいは融資を受けて投資をするというところに向いているものがだんだん少なくなってきた状況にあるんだと思います。
これはもう委員からも御指摘がありましたように、世界的な水産物需要の増大でその原料の供給事情が悪化をしているというようなこと、あるいは安価な輸入加工品が国内に入ってきて競争が激化している、国内の魚離れが進んでいるというようなことが重なってやはり水産加工業が厳しい現状にある、これが融資の実績の減少にも影響を及ぼしているというふうに考えております。
○菅野委員 大臣、今ずっと水産庁長官と数字的なものも含めてやりとりをやってまいりました。私は、冒頭言ったように、水産加工業が国内向け魚介類の総供給量のうち四五%を占めている、こういう状況の中で、これを絶やしてはいけないというふうに思ってずっと議論しているわけであります。
そういう意味から、水産加工業者は非常に厳しい状況、苦しい状況に追い込まれていて、そして最後はやめざるを得ないというところまで追い込まれていきそうな状況だというふうに思っています。だから、低利融資以外で政府がどう対応していくのかというのは、私は緊急の大きな課題だというふうに思っています。
食料自給率を政府の目標としても四五%に平成二十七年までに持っていこうという流れの中で、どう位置づけていくのかというのは重要な課題だというふうに思っているんですが、政府として講じようとしている施策について、大臣の見解をお聞きしておきたいと思います。
○若林国務大臣 委員がずっと、水産加工業をめぐる厳しい諸情勢について御指摘がございました。それに対しまして、これはという特効薬がなかなか見出せないというような現状にあることも明らかになってきているわけでございます。
しかし、漁業経営が安定をし発展するためには、委員もおっしゃられましたように、四五%が加工仕向けでございますから、加工業がしっかりしないと漁業経営の安定も図れないわけでございます。その意味では、漁業経営と水産加工業というのは、文字どおり車の両輪として加工業を強化していかなければならないわけでありまして、同時にまた、限られた水産資源というものを有効に利用するという観点に立ちましても、加工仕向けというものを非常に高度化していかなければならない、こんな状況だというふうに考えておりまして、その点も委員の御指摘と問題意識は共有していると思うのでございます。
昨年三月に水産基本計画を定めております。この水産基本計画の中では、水産加工業の経営基盤を強化していかなければならない、そして特に、安全、安心対策を進めなければならない、また消費の拡大を図らなければいけないというような方向性を出しているわけでありますが、私は、やはりそれぞれの浜で揚がったものを浜で付加価値をつけていく、そういう意味では、ブランド化といいますか、その特徴を出した高付加価値の加工品をつくるというような、今までのものを発展させると同時に、新商品の研究開発を進め、またその加工度を高めていくというような方向に対して我々も力をつけていかなきゃいけない。
それからもう一方は、大量に揚がってくる、あるいは各地の原料水産物というものをどのような形で大量に処理していくかという意味では、零細な企業が統合し合併をしながら能率を上げていくようなことが可能になるような水揚げ地もあるわけでございまして、そういう意味では、HACCPの導入というものを積極的に進めて、企業、工業の近代的な施設、衛生管理体制というものを整えることによって、いろいろ問題、指摘を受けました、そこでの従業員の勤務環境といったようなことも改善を図っていかなければならない、このように考えているわけであります。
強い水産業づくり交付金という仕組みがございますが、生産活動とあわせて加工部門も一体となって進めていかなきゃいけない、こういうことで、積極的な取り組みをしてまいりたいと思います。
○菅野委員 最後になりますが、水産加工品の輸入量ですが、ここ三年は少し減っていますが、五年、十年前と比較すると、やはり物すごい勢いでふえているのは間違いありません。このため、国内工場を畳んで海外生産、海外委託生産する経営者もふえています。いわゆる空洞化現象です。
これに加えて、WTOやFTA、EPAで食料品の輸入自由化の動きが一気に進めば、国内の水産加工業は一層深刻な事態になるのではないかと懸念する声が業界から聞こえています。
輸入自由化が国内の水産加工業に与える影響を農水省はどのように考えているのか、それに対してどのような対策を講じようとしているのか、最後にお答え願いたいと思います。
○山田政府参考人 お答えいたします。
WTO交渉につきましては、これは委員御案内のとおり、NAMA交渉と呼んでおりますが、非農産物市場アクセス交渉の中で水産物も交渉の対象になっておりまして、現在、まさに議論が行われているところでございます。
それから、EPA、FTA交渉でございますが、これについては既に九つが合意されておりまして、このうち五つの協定が発効しております。これまで水産物については、今まで御説明をいたしましたように、外国における需要の増加、これが最近非常に強くなっておりますことから、水産加工品を含めて水産物の輸入量がむしろ減少するような傾向にありまして、こういったEPA協定等によります影響というのが国内で大きくあらわれているというような状況にはないというのが現状でございます。
いずれにいたしましても、WTOなりEPA交渉に当たりましては、我が国の水産加工業あるいは水産業に不測の悪影響がないように適切に対処していきたいというふうに考えているところでございます。
○菅野委員 水産加工業の持つ産業としての重みというのは非常に大きいというふうに先ほどから申し上げておりますけれども、政府としても水産加工業の振興にしっかりと対処していただきたい、このことを申し上げて、質問を終わります。
○宮腰委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○宮腰委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
内閣提出、水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○宮腰委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○宮腰委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
――――◇―――――
○宮腰委員長 次に、内閣提出、独立行政法人緑資源機構法を廃止する法律案を議題といたします。
これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣若林正俊君。
―――――――――――――
独立行政法人緑資源機構法を廃止する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○若林国務大臣 独立行政法人緑資源機構法を廃止する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
政府においては、制度導入以来六年が経過した独立行政法人について、国民生活の安定及び社会経済の健全な発展のため必要なサービスを確保しつつ、無駄を徹底して排除するよう取り組んでいく観点から、平成十九年十二月に独立行政法人整理合理化計画を閣議決定したところであります。
この法律案は、同計画において、緑資源機構を平成十九年度限りで廃止すること等が定められたことを受け、独立行政法人緑資源機構法を廃止して緑資源機構を解散するとともに、その業務の一部を森林総合研究所に承継させる等の措置を講ずるものであります。
次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、独立行政法人緑資源機構法を廃止することとしております。
第二に、独立行政法人森林総合研究所法の一部改正であります。
独立行政法人緑資源機構法の廃止に伴い、緑資源機構が行っていた業務のうち、水源林の造成の事業、既に着手されている中山間地域における農林地の一体的な整備の事業等を森林総合研究所が暫定的な業務として実施することとし、このために必要となる業務規定の整備等の措置を講ずることとしております。
このほか、緑資源機構の解散に伴う所要の措置を講ずることとしております。
以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
○宮腰委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る二十四日月曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後二時三十一分散会