第7号 平成20年4月2日(水曜日)
平成二十年四月二日(水曜日)午後一時一分開議
出席委員
委員長 宮腰 光寛君
理事 岩永 峯一君 理事 江藤 拓君
理事 近藤 基彦君 理事 佐藤 錬君
理事 七条 明君 理事 筒井 信隆君
理事 細野 豪志君 理事 西 博義君
赤澤 亮正君 伊藤 忠彦君
飯島 夕雁君 稲田 朋美君
小里 泰弘君 小野 次郎君
近江屋信広君 金子 恭之君
亀井善太郎君 北村 茂男君
斉藤斗志二君 杉田 元司君
平 将明君 谷川 弥一君
中川 泰宏君 永岡 桂子君
長島 忠美君 丹羽 秀樹君
西川 公也君 西銘恒三郎君
橋本 岳君 平田 耕一君
福井 照君 福岡 資麿君
馬渡 龍治君 水野 賢一君
森 英介君 石川 知裕君
大串 博志君 菊田真紀子君
小平 忠正君 佐々木隆博君
神風 英男君 高井 美穂君
仲野 博子君 松野 頼久君
横山 北斗君 井上 義久君
菅野 哲雄君
…………………………………
農林水産大臣 若林 正俊君
厚生労働副大臣 岸 宏一君
農林水産副大臣 今村 雅弘君
農林水産大臣政務官 谷川 弥一君
会計検査院事務総局第四局長 鵜飼 誠君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 原 雅彦君
政府参考人
(公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長) 鵜瀞 恵子君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 井上 美昭君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 小野 正博君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 草賀 純男君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 小原 雅博君
政府参考人
(厚生労働省医薬食品局食品安全部長) 藤崎 清道君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 伊藤 健一君
政府参考人
(農林水産省大臣官房統計部長) 長 清君
政府参考人
(農林水産省総合食料局長) 町田 勝弘君
政府参考人
(農林水産省消費・安全局長) 佐藤 正典君
政府参考人
(農林水産省生産局長) 内藤 邦男君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 高橋 博君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長) 中條 康朗君
政府参考人
(水産庁長官) 山田 修路君
政府参考人
(海上保安庁警備救難部長) 城野 功君
参考人
(全国農業協同組合中央会常務理事) 冨士 重夫君
参考人
(全国農業協同組合連合会常務理事) 米本 博一君
農林水産委員会専門員 渡辺 力夫君
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委員の異動
四月二日
辞任 補欠選任
飯島 夕雁君 平 将明君
今津 寛君 西銘恒三郎君
小里 泰弘君 福岡 資麿君
金子 恭之君 稲田 朋美君
北村 茂男君 杉田 元司君
斉藤斗志二君 馬渡 龍治君
渡部 篤君 橋本 岳君
大串 博志君 松野 頼久君
高井 美穂君 菊田真紀子君
同日
辞任 補欠選任
稲田 朋美君 金子 恭之君
杉田 元司君 北村 茂男君
平 将明君 飯島 夕雁君
西銘恒三郎君 今津 寛君
橋本 岳君 長島 忠美君
福岡 資麿君 小里 泰弘君
馬渡 龍治君 斉藤斗志二君
菊田真紀子君 高井 美穂君
松野 頼久君 大串 博志君
同日
辞任 補欠選任
長島 忠美君 渡部 篤君
―――――――――――――
三月三十一日
生糸の輸入に係る調整等に関する法律を廃止する法律案(内閣提出第二三号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
会計検査院当局者出頭要求に関する件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
生糸の輸入に係る調整等に関する法律を廃止する法律案(内閣提出第二三号)
農業者戸別所得補償法案(参議院提出、第百六十八回国会参法第六号)
農林水産関係の基本施策に関する件
南極海鯨類捕獲調査事業への妨害活動に対する非難及び調査事業の継続実施等に関する件
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○宮腰委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、生糸の輸入に係る調整等に関する法律を廃止する法律案を議題といたします。
これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣若林正俊君。
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生糸の輸入に係る調整等に関する法律を廃止する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○若林国務大臣 生糸の輸入に係る調整等に関する法律を廃止する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
我が国の蚕糸業につきましては、その経営の安定等を図るため、生糸の輸入に係る調整等に関する法律に基づいて、独立行政法人農畜産業振興機構が、生糸の輸入調整措置を実施するとともに、輸入生糸から徴収した調整金等を財源として、蚕糸業の振興に資する事業に対する補助業務を行ってきたところであります。
しかしながら、繭、生糸の生産や需給をめぐる状況が著しく変化している中で、同法に基づく仕組みが有効に機能しなくなってきているところであり、平成十九年十二月に閣議決定された独立行政法人整理合理化計画におきましても、同機構の行う蚕糸関係業務は平成十九年度限りで廃止することとされております。
このため、生糸の輸入に係る調整等に関する法律を平成二十年四月一日をもって廃止するとともに、関係法律について所要の改正を行うこととし、本法律案を提出した次第であります。
以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
○宮腰委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
―――――――――――――
○宮腰委員長 この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省生産局長内藤邦男君及び内閣官房内閣審議官原雅彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○宮腰委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○宮腰委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、これを許します。細野豪志君。
○細野委員 今大臣の方から趣旨の説明がありました、生糸の輸入に係る調整等に関する法律を廃止する法律案について質問させていただきたいと思います。
まず、今の趣旨説明の中でも簡単に御説明いただきましたけれども、今回この法律を廃止することによりまして、これまで生糸の輸入にある種関税的な調整金を課していて、それを元手に生糸農家を支援していた、これを基本的には廃止して新たな枠組みに変えるということでございますけれども、この制度、これは抜本改革と言うに値する、この分野に関してはかなり大きな改革だと思うんですが、このことによって生糸にかかわる蚕糸業自体がどのように強化されるというふうに想定されるのか、そのあたりについてもう少し具体的に御答弁をいただけますでしょうか。
○若林国務大臣 これまでは、生糸輸入調整法に基づく実需者の負担、これは輸入生糸調整金でありますが、それにより繭代金の補てんを行うことで国産生糸と輸入生糸との価格差の縮小を図り、これによって蚕糸業の経営の安定を図ろうとしてまいったところでございます。
しかしながら、最近は、和装需要の減退や、海外で加工される絹製品の輸入が増加し、輸入生糸との価格調整を図ることによって国内生糸の価格を維持することは難しくなってきております。その結果、国内の養蚕農家数や繭生産量は大幅に減少し、絹製品需要全体の中で国産繭からつくられたものの比率がわずか〇・九%になるなど、生糸輸入調整法に基づく蚕糸業の経営安定の仕組みが有効に機能しなくなってきております。
今般の新対策は、このような状況の著しい変化を踏まえまして、これまでのような価格に着目した対策ではなく、養蚕・製糸業と絹織物業などが提携しまして、国産繭の特徴や希少性を生かした純国産の絹製品づくりを行うことによりまして、付加価値の向上、輸入品との差別化によって我が国の蚕糸業の経営の安定を図っていこうとするものでございます。
○細野委員 大臣、もう少し詳しくそれぞれ聞いていきたいんですが、これは大臣の言葉で答えていただければ幸いなんですが、まず、生糸、蚕糸業にかかわる業界として、そもそも、農家で生糸をつくっている方々と、一方で加工業という、恐らく輸入調整をやめるというのは、両者の利益がある種相反をしてきて、農家は守れるんだけれども加工業の方は守れないという状況が生じたことで、むしろ加工業の方にも配慮した政策を打った方がいいだろうという御判断があったんだと思うんです。
この調整金を廃止することによって加工業の方はかなり輸入のコストを下げて安い生糸を仕入れられるということについては、そういう理解でよろしいんでしょうか。
○若林国務大臣 そのような御理解で結構でございます。
○細野委員 ありがとうございます。
では、一方で農家の方なんですが、少なくなったとはいえ、生糸産業というのは日本の伝統産業ではあります。かつてさまざまな文化を形づくってきた重要な産業でもあったし、今も小さいとはいえその理解は変わらないんだろうというふうに思うんですね。
今回、この輸入調整をやめる中で、農家に対するいわゆる直接的な保護の部分、一定の生糸を生産すれば自動的に公的に補償してもらえるという仕組みが徐々になくなっていくということを意味するわけですが、国内の農家の皆さんも何らかの形で守っていくということに関してはどういう方針をお持ちなのか、それについても再度御答弁いただきたいと思います。
○若林国務大臣 私も長野県で、しかも養蚕地帯で育った者でございます。結局、お蚕さん、養蚕業が農家の現金収入であったということがありまして、大変主要な位置づけでございました。そういう養蚕業が、諸般の事情の中で外国産の生糸にだんだんと圧迫を受けまして、繭の値段がその生産を償うような形で形成されにくいという状況が続く中で、だんだんと養蚕業を廃止することになってきた、そういう歴史的な流れでございます。私が農林省に入省しました五十年前はまだ蚕糸局というのがございまして、農林水産行政の中にありましては主要な行政分野でもあったということを思いますと、本当に今昔の感がいたします。
今、国内で繭をつくっている養蚕業というのはごく限られた人たちによって支えられているわけでございますが、何といっても国内産の生糸というのは日本の文化でもあるわけでございまして、このようなすぐれた養蚕業、そして養蚕をもとにして生産されます生糸、そしてまた絹織物というものは、これを維持していかなきゃならない、そういう課題を持っていると思うのでございます。
現在でも、蚕糸業と絹業、絹織物の関係は密接に連携をしておりまして、国産繭を使用した純国産絹製品と付加価値を高めた商品を製造、販売している、そういう事例が今出てきております。そういう事例の中でかかわっている生糸、そしてその生糸に原料を供給している、繭を供給している生産農家というものが結びつく中で繭生産が維持されているというような状況が出ております。
具体的な事例としては、大手百貨店などが主導して、繭の生産から絹製品の製造、流通に至るトレーサビリティーを明確にして自社ブランドの振りそでなどを販売している事例でありますとか、着物の専門店が中心になって、養蚕地と絹織物業者が提携をしまして、例えば、蚕の雄からとれてくる糸、これは大変強くてしなやかな生糸になるわけでございますが、それを利用した男性用の着物をつくって販売している事例といったようなものが出てきまして、繭生産と結びついた非常に特徴のある絹織物が出始めてきているということであります。
そういう意味では、新たな蚕糸業の対策については、こういった先進的な事例も十分参考にしながら提携システムの形成を進め、産地、養蚕農家と絹織物、絹製品業者との間をつなぐ生糸産業というものが一体になってこれを支えていくというようなことで、養蚕農家も含めてこれを維持していくことが十分可能である、実現可能であるというふうに考えて提案をしているものでございます。
○細野委員 大臣が農水省にお勤めだったときのことも含め、また長野県御出身ということもあり、蚕糸業についてはこれからもしっかりと育てていくんだという思いを持っていらっしゃることについては今の御答弁で理解できました。
これは難しい問題だと思うんですが、生糸農家を守りつつ、かつ、産業として蚕糸業、絹織物を育てていくためには、この基本的な法律の枠組みでやっていくことについては、民主党も基本的な考え方については賛同するものでございます。したがいまして、きょうこれから採決ということでありますので、私どもも基本的にはこれでよかろうということで賛成の方向なんですが、幾つか私なりにちょっと疑問を感じたところがございますので、それについて少し質問に入りたいというふうに思います。
まず一点伺いたいのは、今回調整金が廃止をされて、輸入価格に、調整金という名前はついていますが実質的な関税的なるもの、これが廃止をされるのは、いわゆる実需者に限られるという形になっていますね。すなわち、これは大体九十社あるそうですが、実需者以外については依然として合計七千円ほどの関税が課されるという形になっております。
なぜ実需者とそうでないところを分けるのか、そこがいま一つ私はすっきりしないんですが、大臣、これを分けて実需者に限って関税を撤廃する理由というのは一体何なんでしょうか。
○若林国務大臣 実需者というのは、絹織物を初めとした絹製品の生産者でございます。
そういう意味で、国内における絹業の維持発展のために、それらの絹業者が生産農家と結びついてウイン・ウインの関係をつくっていただくということのためには、やはり日本の伝統文化であります絹織物などの絹製品を維持していかなきゃいけない、発展していかなきゃいけない、そういう問題意識で実需者に優遇的な措置を講じ、実需者以外については委員がお話しのようにキログラム六千九百七十八円の高い関税を課するということ、実質的にはそのような輸入は禁止的関税なんですね。従来からも、そのようなものが国内に入ってくるのは抑制するということで関税制度を運用してきたものでございまして、今後ともそのような立場を堅持していきたい、こう思っております。
○細野委員 実需者以外が輸入をした数量というのをこの六年間で出していただいたんですが、この六年間で、平成十五年度に〇・一俵あるだけで、あとはゼロなんですね。ですから、今大臣がおっしゃったとおり、実需者以外はほとんど輸入ができていない。キログラム当たり七千円ですから、これはとても採算が合わないということなんでしょうけれども、輸入できていないというのが実態なんですね。
大臣、確認をしたいんですが、この実需者が今大体九十社ということですが、例えば、新規で絹織物業に参入をしたいとか、それこそさまざまな理由で、何らか違う用途も含めて、輸入によってこういう業界に新たに参入をしたいという場合には、これは参入障壁にならないようにはきちっと確保されているんでしょうか。そこを確認させてください。
○若林国務大臣 委員が御指摘のように、新たに絹織物あるいは絹製品を製造しようという人は実需者としてとらえておりますので、そういう新規参入して国内でそのような生産をしていくという人は、実需者として取り扱うつもりでおります。
○細野委員 再度確認しますが、では、製造業として新たに製造を始めたいという場合はすぐに実需者にリストアップをされるという理解でよろしいですか。
○若林国務大臣 それは、間違いなくきちっと製造するということを確認しなければなりません。したがって、製造設備などをきちっとするということを確認した上で、実需者として取り扱っていくと。
○細野委員 そこの部分は、そういう障害にならないようにきちっとやっていただきたいというふうに要望しておきたいと思います。
もう一点確認をしたいのは、また御答弁をいただきたいのは、一年間に調整金を含めて八億円から十億円ぐらいの予算が蚕糸業にはこれまでついてきたということですね。調整金で大体二億円弱、そして補てん額が八億円ぐらいということですから、それぐらいの金額がついてきた。これからはそれをやめて、平成十九年度の補正予算で産業全体に対する三十五億円の基金をつくって、それをもとに補助をしていく、そういう枠組みになっているという説明を私は受けました。間違いありませんね。
確認をしたいんですが、三十五億円というのは平成十九年度の補正予算で出されていて、これを毎年運用するなり少しずつ取り崩して補助をしていくということになるわけですから、新年度、この平成二十年度から新たな予算は当分つかないということを前提としていると思うので、これがどのように活用されてどこに出ているかというのは、これからの蚕糸業の育成において、ほとんどこれしかないということになるわけですから、非常に重要な意味を持つわけですね。
まず大臣に御答弁いただきたいんですが、この三十五億円は去年の補正予算で出ていますが、支出先としては、どこに基金としては預けられているんでしょうか、御答弁いただきたいと思います。
○若林国務大臣 委員のおっしゃるとおりでございますが、この三十五億円の基金は、基金設置者になる者が数年間これを取り崩しながらこの事業を実施していくということになるわけでございます。
その意味で、新たな蚕糸対策に関する事業の執行については、国の蚕糸行政の担当職員が現実に非常に少なくなっているということでございますので、国が直接実施するよりも、蚕糸・絹業について知見を持っております民間に実施させた方がより効率的に実施することが可能であるということ、また、民間の有するそういう知見を有効に活用することによって高い事業効果が得られると考えられることから、実は、その事業の執行者は、公募によって民間の事業主体を選定して事業を実施させることとしたところでございます。
具体的には、蚕糸業、絹業に関する事情に通じて、効果的な業務の実施が可能な事業実施主体を選定することといたしておりまして、公募によって選定した結果、財団法人大日本蚕糸会にこれを行わせるというふうに決定したものでございます。
○細野委員 今御答弁がありましたとおり、この三十五億円はすべて大日本蚕糸会が基金として受ける形になったということですね。
大日本蚕糸会というのはどんな団体かなと思って見てみたんです。皆さんに資料をお配りしておりますが、団体の概要は、もうここで改めて言うまでもなく、蚕糸業についての財団なんですが、団体の役員のリストをつけましたが、常勤の役員が五名いますね。
それぞれ過去の肩書が少しわかりにくいので確認をさせていただきたいんですが、大臣、この常勤の役員五人の中で官僚OBの方は何人いますか。
○若林国務大臣 大日本蚕糸会でございますけれども、実際は、十五人の理事のうち、研究職を除きまして、農林水産省出身者は五人でございます。
この五人は、公益法人の設立許可及び指導監督基準、これは平成八年に閣議決定したものでありますが、これにおきまして、非常勤理事を含む理事全体のうち、省庁、この団体についていえば農林水産省でございますが、研究職を除くその出身者が占める割合は理事現在数の三分の一以下とすることになっておりまして、その結果、今、農林水産省出身者は五人でございます。お手元に委員が配付されました資料にあるとおりでございますが、その割合が三分の一になっていることから、基準を満たしているというふうに判断をしたものでございます。
○細野委員 大臣、しっかりこの表を見ていただきたいんですが、私が聞いたのは、常勤の理事が五人ですね。よく見てください。二段目に「常勤・非常勤」と書いてありますね。常勤の理事が五人です。給料をもらっている理事さんが五人いるということです。常勤理事五人のうち農林水産省出身の方は何人ですかということを聞いています。
○若林国務大臣 常勤の理事五人ということでございますと、農林省出身者が五人でございます。
ただ、先ほど申し上げましたように、基準によりますと研究職を除くということになっておりまして、研究職を除きますと、三人ということになります。
○細野委員 研究職の方が二人いますが、五人全員農水省出身で、常勤理事は全員いわゆる天下りという方でできているわけですね。
大臣、もう一つ質問をいたします。
先ほど、公募で大日本蚕糸会に基金を預けることになったという御答弁がありましたが、それでは、公募に応募した社は何社ありますか。
○若林国務大臣 公募に応募したのは大日本蚕糸会のみでございました。
○細野委員 大臣、私はこう思うんですよ。三十五億円の基金、数年間にわたって蚕糸業はこれだけでやっていくわけですよ。これが今の日本の蚕糸業については命綱になるわけですよね。しかも、つくっている工場なんて、日本全国でもう数社しかないわけです。製糸業のいろいろな業界があって混合していて、とんでもないややこしい業界ならまだしも、極めてシンプルな業界なんですよ。こういうものぐらいは、こういう天下り団体に丸投げをするのではなくて、本省できちっとやったらどうですか。
それぞれ天下っている方の給料を見ると、一千万とか千五百万なんですよね。そちらへ給料を出すよりは、むしろ場合によっては、天下りをせずに、本省で役所の中に残して、蚕糸業を担当する人をふやして農水省が直接やった方がよっぽど責任の所在も明確だし、妥当なことができるんではないですか。
これは大臣、どう思われますか、御答弁ください。
○若林国務大臣 今回のこの事業の実施主体が行う事業は、委員がおっしゃるほど単純なものではないと考えております。実需者であります絹業の皆さん方と生糸の生産者、養蚕農家との間をコーディネートする、結びつけていくようなことを実施すること、これを助成していくわけでございますから、蚕糸業なり絹業なりについて幅広い知見を持っておりまして、蚕糸業及び絹業に関する事業を実施していくこと、そしてこれらの事業の審査及び指導監督を行う能力を有する主体でなければこれを実施することができない、こう考えております。
実は、農林水産省で現在この蚕糸業にかかわっておりますのは三名にすぎません。具体的には、生産局特産振興課の需給対策の課長補佐が一名、需給企画の係長が一名、そして係員が一名の三名でこれを実施しているところでございます。
一方、大日本蚕糸会で見ますと、大日本蚕糸会本部では十名でございます。そして、蚕糸科学研究所というのを持っておりまして、ここに十名の研究員を持っております。また、蚕業技術研究所に十五名おりまして、全体で三十五名の人たちが大日本蚕糸会で絹業、蚕糸業にかかわる仕事をしております。
やはり、農林水産省本省が御説明申し上げましたようなそれらの業務を直接実施するということは、体制的にも不可能でありますと同時に、実際これを実行、運営するには、そういう知見、能力のある主体が行うことが適当だというふうに考えているところでございます。
○細野委員 これは賛成法案ですので、これ以上この部分に関してはやめますが、私は、行革のあり方として、役所の人数をとにかく少なくしておけば行革ができたかのような、こういう議論は余りよくないと思います。天下り先に結局税金が流れて、そこで給料をもらう人の給料が税金で出るならば、むしろ本省できちっと仕事ができるような体制にすべきですよね。本気で蚕糸業を三人でやれないというならば、こういう天下り先に補助金を出すのではなくて、中できちっと人を確保してやるべきだ、私はそう思います。
農水省については、私天下りをここ数年やっておりまして、蚕糸に関するこの団体以外にもいろいろな天下りの問題があると思っています。時間もなくなりましたし、法案と直接かかわりはありませんので、一点だけちょっと大臣に見ていただきたいんですが、資料の二枚目につけておりますので、ごらんください。
これは、元水産庁長官が退職後どういう団体を転々とされたかというのを一覧表でずっと時系列で示したものです。この方は、大臣もうお気づきだと思いますが、大臣の政治団体の会計責任者、代表をやられていた方ですね。そういう業界からパーティーチケットを買って、大臣のところにもお金が来ていた。少なくとも、その理事長は、パーティーチケットを買っていたということも公表されて、返金をされた方です。
六つの天下り先を転々としているんですが、今ちょっとざわざわと聞こえていますが、これは決して例外的なケースではありません。六つの天下り団体を転々としているケースなんていっぱいあるんです。
ここでなぜあえてこのケースを出したかというと、農林水産省に問い合わせをしたら、この方は、この六つの公益法人すべてに農水省のあっせんで天下っている。これまでは、二回目以降のあっせんについてはほとんどありませんということを言ってきて、一年ぐらいたってだんだん出てきたんですが、この方は、農水省が業務としてあっせんをしてずっと天下り先を転々としているんです。あっせんによる六つの公益法人への天下りなんですね。天下ってから合計三億四千万以上の給料をもらっていらっしゃる。
大臣の政治献金の問題については過去この委員会でも一度やっていますので、私そのことについては聞きませんけれども、こういう二回目以降のあっせんについては、農水省、これはそれぞれ何らかの形で公金が入っている団体ですから、もうそろそろ襟を正してやめていただいた方がいいと思います。
まず大臣、このあっせんの事実も含めてどのようにお考えになるか、御答弁いただきたいと思います。
○若林国務大臣 委員が事例としてお配りになりましたあっせん、わたりのことでございますが、これは佐竹五六元水産庁長官の例であると承知をいたしております。
このことについて担当の方から聞きましたら、あっせんというのは、受け入れる先の団体から、例えばこの人の経歴はどういう経歴であったのかといったような問い合わせがあったときに、その問い合わせに対してこういう人だということで経歴を提示するというようなことも含めてあっせんというふうに、これはあっせんのデータを出すに当たっての定義でそのような約束事にされておりますので、あっせんというふうになっているわけでありまして、基本的には、その受け入れる団体側が、この件でいえば佐竹五六氏を代表に迎えたいということを決定するわけでございます。その決定過程で農林水産省の方に人事記録などの協力要請がありましてそれに応じてきたというふうに承知いたしておりまして、積極的に、この人をぜひ後に入れたらどうかといったような働きかけをしたものがこれらの団体だというふうには承知いたしていないのでございます。
なお、もう聞かないとおっしゃられましたけれども、名誉のために申し上げますと、佐竹五六氏は、私が五十一年前に農林水産省に入りましたときに同じ職場にいた人でありまして、以来ずっと、農林水産省時代あるいは私が退職をして政治の世界に入ってきた今日まで、私と家族ぐるみで大変親しくしてきた間柄でありました。そういう間柄でありましたことから、私の東京の後援会の代表を、後援会の役員の人たちが選考してこの人に就任してもらったということでありまして、私は、佐竹五六氏の公的な活動などについて一切かかわったこともございません。
また、パーティーについてお話がございましたけれども、原則的には佐竹五六氏が個人的に一口というような参加費を負担して参加されたということ、また、魚価安定基金がパーティーの参加費を払っているということにつきましては、魚価安定基金が事務局をやっておりました研究会が参加するという形になっていたものでありまして、形式的にも法的にもこのことについて一切問題はないのでありますが、私が農林水産大臣に昨年就任したことを念頭に置きまして、そのようなかかわり合いのある団体からのものであるということで、私の方で自主的に返上したものでございます。そのことを、もう委員は問わないとおっしゃられましたけれども、名誉のために申し上げておきたいと思うのでございます。
それから、こういう繰り返しのことについては、新たに公務員制度のルールに従って農林水産省も今後対処してまいりたいと思っております。
○細野委員 それぞれの団体の退職日時と次の団体の着任日時というのは、次の日であったり、一カ月後であったり二カ月後であったり、きれいに渡っていらっしゃるんですね。たまたま各団体から佐竹さんという人に就職してくださいと来るなどということは、これはあり得ないですよ。大臣、それは建前だと思いますよ。
もう時間が来ましたのでこれでやめますけれども、十月一日から人材バンクが始まって、これからわたりの問題についても相当制限されてくるというふうに承知をしています。私の知る限り、六回あっせんで天下っているというのは、これは天下り新記録です。こういう問題も含めて、農水省には、やはり襟を正して、天下りについては政府全体でとおっしゃいましたけれども、率先をしてぜひやっていただきたい。そのことを最後に強く要望して、質問を終わります。
○宮腰委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○宮腰委員長 この際、本案に対し、七条明君外一名から、自由民主党及び公明党の二派共同提案による修正案が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。七条明君。
―――――――――――――
生糸の輸入に係る調整等に関する法律を廃止する法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○七条委員 私は、自由民主党及び公明党を代表して、生糸の輸入に係る調整等に関する法律を廃止する法律案に対する修正案の趣旨を御説明申し上げます。
修正案は、お手元に御配付のとおりであります。
以下、その内容を申し上げますと、原案において平成二十年四月一日となっております施行期日を公布の日に改めることとしたことであります。
何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
○宮腰委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。
―――――――――――――
○宮腰委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
内閣提出、生糸の輸入に係る調整等に関する法律を廃止する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。
まず、七条明君外一名提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○宮腰委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。
次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○宮腰委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○宮腰委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
――――◇―――――
○宮腰委員長 次に、農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
本件調査のため、本日、参考人として全国農業協同組合中央会常務理事冨士重夫君及び全国農業協同組合連合会常務理事米本博一君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○宮腰委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
引き続き、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官伊藤健一君、統計部長長清君、総合食料局長町田勝弘君、消費・安全局長佐藤正典君、経営局長高橋博君、農村振興局長中條康朗君、水産庁長官山田修路君、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長鵜瀞恵子君、警察庁長官官房審議官井上美昭君、長官官房審議官小野正博君、外務省大臣官房審議官草賀純男君、大臣官房参事官小原雅博君、厚生労働省医薬食品局食品安全部長藤崎清道君及び海上保安庁警備救難部長城野功君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第四局長鵜飼誠君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○宮腰委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○宮腰委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。稲田朋美君。
○稲田委員 自民党の稲田朋美でございます。
本日は、一般質疑ということですが、全国農業協同組合中央会の冨士常務と全国農業協同組合連合会の米本常務がお見えでございますので、米政策、特に昨年秋の米価下落に伴う緊急対策、そしてまた本年度の生産調整に向けた取り組みなどをお伺いいたしたいと思っております。
本題に入ります前に、お米とともに重要な森林対策について、副大臣にお伺いをいたします。
緑豊かな森は貴重なものです。特に、地球温暖化防止、災害対策としての森林整備の役割が見直されています。そのためにも間伐が重要なことは山に住む人々みんなが一番わかっていることなんですけれども、そうでありながら間伐が進まないのは、間伐をすれば所有者の持ち出しになるという悲しむべき現実があるからであります。間伐材を有効に利用して利益を生み出すことがかぎであります。私の地元の福井でも、森林組合が施業提案をしたり、流通のコスト減を図る工夫などをしております。
今国会には政府は間伐促進法を提出されていますが、その法律案を含めて政府として間伐促進のためにどのように取り組んでいくおつもりであるのか、これまでの延長線上ではない、具体的、画期的な対策を講ずるべきだと思いますが、政府のお考えを今村副大臣にお伺いいたします。
○今村副大臣 お答えいたします。
これにつきましては、財政上の支援措置、そしてまた建築材料あるいは木質燃料、バイオ燃料等々、そういった需要の拡大、その二つに分けられると思います。
財政措置につきましては、六年間に三百三十万ヘクタールの間伐を実施するという目標を立てておりまして、具体的には、市町村が計画を作成した場合には、国から市町村に直接交付金を交付する仕組みをつくりました。また、追加的な間伐等の実施に必要な負担につきましては、地方債の起債の対象にするということも考えております。
以上でございます。
○稲田委員 ありがとうございます。
さて、昨年は、第一線で農業に携わっておられる方々にとっても、また日本の農業政策にとっても、試練の年であったと思います。十九年産から導入されました品目横断的経営安定対策、農地、水、環境保全対策、新たな米政策、この新三政策に対する批判もございましたし、また、民主党からは生産調整の廃止を含む非現実的な政策ビラが配られるなどして、参議院選では自民党の歴史的な敗北となりました。そして、米価の下落。特にこの米価の下落については、作況指数が九九であるにもかかわらず、大幅に米価が下がってしまいました。我が地元の福井のように、生産調整にまじめに取り組んでいる農家から、正直者がばかを見ているという批判の声が相次いだわけです。
そんな中で、昨年の十月二十六日、自民党の農業政策基本小委で米緊急対策を講じ、政府も同様の対策を決定いたしました。その内容は、本日配付いたしております資料一の米緊急対策でございます。
この二枚目に具体的な対策を書いておりますけれども、米価に直接影響を与える対策といたしましては、一つ目の政府による三十四万トンの備蓄米の積み増しであります。そしてもう一つが、全農による十八年産ウルチ米の販売残十万トン相当量についての飼料への処理でした。
特に、この全農による十万トンの飼料への処理については、米価上昇に対する大きな期待がかかっておりました。なぜなら、備蓄米はいずれ市場に放出されることがあるのに対して、えさ処理をいたしますと、最終消費されてしまい、その後の需給、価格に影響を及ぼさないわけですから、えさ処理を十万トン全農が行うとお約束をなさったことは、市場に対する重要なメッセージになったと思われます。
そこで、まず農水省にお伺いをいたします。
この緊急対策の三十四万トンの政府備蓄米の積み増しとともに、全農による十八年産販売残ウルチ米十万トン相当量のえさ処理という対策を盛り込んだ経緯とその考え方について説明してください。
○町田政府参考人 お答え申し上げます。
米緊急対策を決定する前の段階で、農協系統は、十九年十月時点で、全農の十八年産米十万トン程度が契約済みではあるものの引き渡しが終了しておらず、これが十一月以降に引き渡されるため、玉突きで十九年産米が十万トン程度余ることとなるため、これも過剰分であり、価格下落対策の対象にしてほしいという主張をしていたところでございます。
私ども農林水産省としては、この十万トンは一つの米販売業者である全農の販売残であり、これ自体が過剰分であるとは考えておりませんでしたが、十九年産米の価格が大幅に下落しており、政府買い入れには備蓄運営上の限界がある中で、価格下落に確実に歯どめをかける観点から、全農自身が十八年産ウルチ米販売残十万トン相当量を飼料用に処理することとし、これに助成することを米緊急対策に盛り込んだところでございます。
○稲田委員 今の政府のお答えですと、三十四万トンの備蓄米の中にはこの十八年産の十万トンの売れ残りは入っていなかったというふうにお伺いをいたしました。
次に、全農、全中にお伺いをいたしますが、今の政府の御説明に対してつけ加えることがありますか。全農の米本常務、お願いいたします。
○米本参考人 全農の米本でございます。よろしくお願いいたします。
今の政府からの説明でありますが、JAグループとしては、十九年産米の米価下落の歯どめと価格浮揚のための需給対策として、十九年産の過剰生産によるオーバー分二十三万トン、これは農水省と同じ考えでありますが、先ほどのJAグループの持っている十八年産、これは十八年産米でありますが、通常ベースだと十月までに引き取られて消費がされるという米でありますが、これは十一月以降に業務用として価格も下げて販売契約を結んだ分でありまして、十一月以降に消費者の口の中に入る、消費されるということでありますので、この分が当然十九年産が押し出されることになるということで、我々としては、両方合わせた数字の三十四万トンの政府買い入れをお願いする。これは、全農ということで今先生から御指名があったわけでございますが、JAグループとしてそういうことを要請いたしましたので、そこのところは冨士常務の方にもう少しきちっと補足していただいた方がいいのかなというふうに思います。
申しわけありませんが、そういうことで三十四の政府買い入れの要請をしたということでありますが、組織として決めたのは全中で、そこのところは整理いたしました。申しわけありませんが、冨士常務の方に。
○稲田委員 それでは、今お話がありました全中の冨士常務、つけ加えて御説明をお願いいたします。
○冨士参考人 全中の冨士でございます。よろしくお願いいたします。
非主食用十万トン処理の対策が盛り込まれた経過と考え方についてでありますが、先ほど米本常務の方から申し上げましたように、JAグループは、十九年産米の米価下落の歯どめと価格浮揚のための需給対策として、十九年産の過剰生産によるオーバー分の二十三万トンとJAグループで持っておりました十八年産の持ち越し在庫相当分である十一万トンを過剰と考え、これについて政府の買い入れ及びその販売抑制などの緊急対策を要請いたしました。
十八年産持ち越し在庫相当量の十一万トンにつきましては、政府買い入れの要請をいたしましたのは、十八年産米十一万トンは全農において売買契約は締結しているものの、十九年十一月以降の引き取りとなるため、十九年産の需要に食い込み、この結果、十九年産米が押し出され、過剰となることが想定されたためでございます。
平成十九年十月下旬に決定された緊急対策では、三十四万トンの政府買い入れが実現されるとともに、政府の支援のもと、JAグループによる十万トンの非主食用処理があわせて決定されました。このことについては、JAグループみずから、十九年産の需給改善と価格安定効果をより高める対策を行うという観点から取り組むことといたしました。
しかし、こうして取り組んだ非主食用処理十万トンの対策については、我々の見通しの甘さから、対策を措置していただいた期待にこたえられなかったわけでありまして、深く反省し、心よりおわび申し上げます。
以上でございます。
○稲田委員 ありがとうございます。
今の御説明を伺っておりましても、十八年産のウルチ米販売残十万トンは三十四万トンのうちに含まれていると考えていて、あとの二項の十八年産の十万トン相当量についてはそれにプラスアルファをして自主的にやる政策と考えていたというふうに御説明を伺っても、何となくすぐには理解ができないんですけれども、ともかくも、十月末にはえさ処理十万トンを決めて、全農の会長は非主食用への処理について全力で実行しますと決意の談話を出されたわけでございます。
そこで質問なんですが、全農の米本常務にお伺いいたしますが、結果としてこのえさ処理を具体的に何万トン実行されたことになるのか、そしてその費用は幾らかかったのでしょうか。
○米本参考人 今回の緊急対策に基づく非主食用米処理においては、政府から一俵当たり三千円の御支援をいただきました。JAグループとしても同額の一俵当たり三千円の負担をするということで財源措置も行って対応してきました。結果として、まことに申しわけございませんが、一万四千六百三十二トンという数字となりました。
このえさ米処理に対してかかる費用は約十四億六千万円でございます。その二分の一を国で助成いただいておりますので、JAグループとしては約七億三千万円の負担となります。
こういう結果になってまことに申しわけございませんでした。
○稲田委員 重ねて米本常務にお伺いをいたします。
なぜ、十月末の時点で十万トンのえさ処理ができるということでお約束をされたのに、わずか一五%しか実現できなかったのか、今おわびの言葉はあったんですけれども、その経緯なり、もしくは事情、背景、理由について改めて説明をお願いいたします。
○米本参考人 十九年十月下旬に緊急対策を国の方で決定いただいたということを受けて、JAグループとして需給改善と価格安定効果をより高める対策を行うということで、十一月の九日に、全中の水田農業対策委員会、ここは組織として判断する場でございますが、全中のこの委員会で、三十四万トンの全量政府への売り渡しと、非主食用米、えさ米処理でございますが、これの十万トンの処理というのを十一月九日の全中水田農業対策委員会で協議をして、やろうということを決めました。
その際、飼料用米の関係でございますが、飼料用で売るということは、非常に価格が安いということになります。そのため、国の支援も一俵当たり三千円いただいているわけでございますが、JAグループも三千円、ここのところは生産者から積み立てている基金から手当てをするということで、六千円補償してこれでやっていくということでございますが、JAグループに委託していただいているお米は生産調整達成者の米が中心でございます、そのお米を六千円でえさ処理するのかということに対しては、その生産者の、生産調整を達成されている方の御理解はなかなか得られないんだろうということもあり、六千円という水準で考えたときに、ふるい下米でやるべきじゃないか、ふるい下米でやろうということに全中の水田農業対策委員会でなりました。
全農としては、JAグループとしてふるい下米でやろうということを組織決定いたしましたので、全農は事業連でございますので、その組織の決定に基づいてふるい下米でとにかく十万トンやろうということで各県の経済連、県本部、県JAの方にも連絡をとり、各県域で組合長会議等も開いていただき、そういう中で十万トンに向かってやろうということで全力で取り組みましたが、先ほど言いましたように、三月上旬に各県の取り組みを取りまとめたところ、十万トンを大幅に下回るということになってしまいました。
JAグループとしては通常の主食米で不足分を補うということも検討したわけでございますが、先ほど言いましたように価格的に、生産調整達成者の通常の米を持っていくと、この六千円ではさらに生産調整達成者の方の御負担をお願いしなきゃならぬということになりますし、逆に、そのことによって、生産調整を達成されていない方、JAグループに集まってこないお米の方でございますが、そちらの方の方を利するということにもなり、そこのところは、そういうことをやるにしても、組織内の手続をもう一度議論して、先ほどの全中の会議で議論なりをしてやらなきゃならぬということでございますが、先ほど言いましたように三月上旬でそれが判明しましたので、時間的余裕もなかったということでございます。
一方で、一般米の方の契約でございます。十九年産の一般米の方の契約は、緊急対策をやっていただいたおかげで先安感がなくなり、契約が進みました。ほぼ一〇〇%の契約状況になっています。取引先との間で十月末までに引き取りということで契約がほぼ完了しているという状況にもあり、そういうことから一般米でやるということは断念せざるを得ませんでした。
結果として一万四千六百三十二トンという処理数量に終わってしまったということで、我々の見通しが甘かったということは認めざるを得ませんし、こういう結果になったということは深く反省しております。本当に申しわけありませんでした。
○稲田委員 今の常務のお話を伺っていて、我々の見通しが甘かったということなんですが、それにしてもわずか一五%という、その見通しは一体どうなのかなと。そもそも、十一月九日に十万トンふるい下米で調達をするということが果たして可能な目標だったのかどうなのか。そして、それが無理だとわかったのが三月上旬ということなんですけれども、三月上旬までふるい下米で十万トン調達することが無理だということがわからなかったというのは、一体どういうことなのかなという感想を持つんですが。
全中の冨士常務にもお伺いをいたしたいと思います。
全中の会長も、昨年十月に、我々JAグループとしても、主食用以外の処理について国の支援のもとに取り組むという談話まで出されておりました。にもかかわらず、一五%しか現実には調達ができなかった。その理由について、今御説明になった米本常務につけ加えて説明をいただきたいと思います。
○冨士参考人 十万トンの非主食用処理につきましては、JAグループみずから十九年産米の需給改善と価格安定効果をより高めるという観点から取り組むこととして、具体的な対象米穀についてはふるい下米で対応するというふうに決定したわけでありますが、それは、国の支援、JAグループの米需給調整・需要拡大基金の双方を合わせて一俵当たり六千円水準の財源が措置されるものの、緊急対策の決定によりまして、通常の十九年産米は、追加払いも含め一俵当たり一万円以上の概算金水準が見通されることから、生産調整協力者でありJAグループに販売委託する生産者の負担を極力少なくする必要があったということ。また、ふるい下米の一部は主食用需要に還流しておりまして、主食用米価格の低下要因となっているため、ふるい下米による非主食用の処理は需給の引き締め効果があるということであって、例年のふるい下米の発生量、生産者からJAへの販売数量、それからJAから県本部への販売数量等から考えまして、JAグループとして十万トン程度のふるい下米でやるという対応は全力で取り組めば達成可能というふうに考えたからでありますが、結果的には十万トンできなかったわけであります。
これは、ふるい下米の総量が想定していたより少なく、ふるい下米の相場が上昇する中で、我々が想定した以上に早くふるい下米の販売が生産現場で進んでしまったことなどによりまして、一万四千六百三十二トンの処理数量にとどまってしまったということでありまして、我々の見通しの甘さから対策を措置していただいた期待にこたえられなかったということで、深く反省し、心よりおわびを申し上げます。
以上であります。
○稲田委員 全中、全農の両会長がえさ処理を全力で実行すると談話まで発表されておきながら、結局は一五%しかできなかったということの影響は大きいと思います。予算を伴う対策を講じる場合、それがきちんと履行されなければ、この次に同じように全中、全農から要望を受けても国が財源を確保してくるということが難しくなってしまいますので、どうかこの点はよく考えていただきたいと思っております。
重ねて全農の米本常務にお伺いをいたします。
本日、資料二で米価の推移についてお示しをいたしておりますが、緊急対策の後に米価は上昇いたしました。しかし、前年比で見ますと、まだまだ十分上がり切っているとは言えないと思います。仮に十万トンのえさ処理をしたならば、価格は上がり、二十年産に向けての需給は締まると考えられませんか。
○米本参考人 御指摘のとおり、十万トンのえさ米処理をきちっと実施できていれば、価格上昇に対するさらなる効果はあったものと考えます。このことについては、先ほどから申し述べましたとおり、我々の見通しが甘かったということで反省と深くおわびを申し上げるところでございます。
現時点で生産者、JA段階から販売先に対する契約が、先ほど言いましたように全農はほぼ一〇〇%、全農以外も含めてほぼ結びつきができているんだろうというふうに考えております。全農の販売に関しても、数量だけでなく、価格も含めて契約しております。その価格は、今回緊急対策で反転した価格をベースに追加の契約をやりましたので、そういうことでそこに反映されておりまして、今後流通する米に関しては、価格は安定的に推移するんだろうというように考えています。
この環境で既に取引先と契約書まで交わしたお米を引きはがして非主食用に処理するということは、先ほども言いましたように農家が丹精込めて消費者に喜んで食べていただこうということでつくっていただいたお米をえさ処理に理解が得られない中で持っていくということは、やはりできないんだろうということもあり、生産者、JAの理解、納得が得られない中でこういう結果になった。
今先生御指摘のとおり、きちっとやればさらに価格上昇の効果はあっただろうというのは、そのとおりだとは思います。
○稲田委員 実際、この米緊急対策のかなめが全農より十万トンのえさ処理であり、もしこれが実現をしていたら、米価はかなり上昇したのではないか、また農家の方々の期待に沿うことができたのではないかと非常に残念に思っております。
さて、ことしに入って、十九年度補正予算を含む千百十一億円の米対策が成立をいたしました。このうち、えさ処理に五十億円です。これは、政府がえさ処理にかかる費用百億円のうち五十億円を補てんするということです。つまり、全農五十億円、政府五十億円という計算ですが、全農が準備されていた五十億円のうち、先ほどのお話ですと四十二億円強は残っているということになっていると思います。
全中の冨士常務にお伺いをいたしますが、えさ処理が結果として十分にできなかった、一五%しかできなかった、その分二十年産の需給は緩和をしてしまうということになるわけですが、今後必要なときに備えまして、今余っているといいますか残っております四十二億円をプールしてそういった場合に使おうという考えはおありでしょうか。
○冨士参考人 四十二億円強についてでございますが、JAグループに販売委託を行うお米につきまして、需給調整、それから需要拡大、いわゆる消費拡大対策を行うことを目的に、全国の生産者から十アール当たり五百円の拠出金によりまして造成したJAグループ独自の基金がございます。
今回の非主食用処理につきましては、全国のJAグループ全体の取り組みであるということから、JAグループに求められました負担額五十億円につきましては、この米需給調整・需要拡大基金の残高から充てることを決定して、そのような内容で事業計画も修正し、担保をいたしました。
非主食用処理を実施した後、基金の残余金につきましては、二十年度末、二十一年三月までに基金の拠出元である各県へ返還することを決定しておりますけれども、四十二億円につきましては、今後改めてJAグループ組織内で協議、検討していくというふうになります。
以上でございます。
○稲田委員 今の冨士常務のお答えにつけ加えて、全農として米本常務に同じ質問をお伺いいたしたいと思います。
○米本参考人 今、全中の冨士常務からありましたように、JAグループの方針を決めるのは全中の組織的な協議の場でございます。ここのところでこの基金の管理をしておりますので、今、全中の冨士常務からありましたように、改めてそこの場で組織内協議をやっていくということで検討していくことになるんだろうというふうに思っております。
全農としては、事業連でございますので、その組織で決まったことを事業としてきっちりやっていくというのが全農の機能でございますので、そういう中で決定したらそういう中で取り組みをしていきたいということでございまして、組織の決定のところは、全中の組織協議をきちっと得ることになるということでございます。
○稲田委員 もし、えさ処理十万トンを実現していたら、二十年産の需給はかなり締まったものになると思っています。にもかかわらず一五%しかできなくて、そして、そのために集めた四十二億円があるということは、二十年産の需給がそれによって緩和をしている、その対策にぜひともお使いをいただきたいし、そういったことも含めて検討いただきたいと思っております。
全中の冨士常務にお伺いをいたします。
昨年の緊急対策で、政府の備蓄米は既に百万トンの適正水準になっております。したがいまして、二十年産の米価が仮に下がったとしても、これ以上の政府の買い増し、積み増しはないと考えざるを得ないのですが、二十年産の生産調整目標達成に向けて全中はどのような具体的な対策、運動を行っておられるのか、特に十九年産の大幅未達県について具体的にどのような対策をとっておられるのかについてお伺いをいたします。
○冨士参考人 平成二十年産米の計画生産の取り組みでございますが、二十年産米の計画生産の実効確保を図り、需給と価格を安定させるため、行政関係機関と連携し、昨年決めていただきました地域水田農業活性化緊急対策を十分に活用しつつ、より一層計画生産の徹底に向け、今全力で取り組んでまいっております。
JAグループでは、平成二十年一月十七日に「二十年産米の計画生産の徹底と水田農業の確立に向けたJAグループの取り組み方針」というグループ全体の方針を決定しております。この取り組みの方針に基づき、今、全都道府県、全JAで二十年産米の計画生産の達成を目指して、現在、JA、県、全国段階において、かつてないような取り組みとしてそれぞれの段階に推進体制を整備して、また、転作の重点作物を設定し、それから重点推進地域、全国段階では七県の未達県を重点県という形で地域を設定して、播種前、播種後といった時期別取り組み方針を策定して生産調整の達成に向け全力で取り組んでおります。
また、三月の七日の全中総会では、農協法に基づきます中央会組織の基本方針に計画生産の徹底を盛り込むということとあわせて、計画生産達成に向けた決議を採択いたしました。
さらに、三月二十八日には、JAグループのほか、初めてJA以外の集荷団体、行政や流通段階の団体を招致いたしまして、全国計画生産推進大会を開催いたしまして、計画生産の達成に向けた取り組みの意思結集を図りました。
引き続き、計画生産の徹底に向け全力で取り組んでまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
○稲田委員 ぜひともよろしくお願いいたします。
次に、全農の米本常務にお伺いをいたしますが、そもそも、十九年産の米価が下落をいたしました大きな原因の一つに、全農の七千円の仮渡し金の問題がありました。なぜこのようなことになったのか、そしてまた、米価が下がったことについてどのように考えていらっしゃるかについてお伺いいたします。
○米本参考人 過剰作付により、十九年産米も供給過剰という厳しい需給環境が想定されておりました。国の統計は九月の終わりにならないと出てこないということでありましたが、米の集荷は、関東地区を中心に八月の終わりから本格的に集荷が始まります。そのときにどういうふうな価格で集めていくのかということが課題でありまして、各県に聞いた限りでは過剰作付がまだ解消できていないということでありましたので、大幅な供給過剰を想定して全農は検討を行ったということでございます。
そういう厳しい需給環境も踏まえて、機動的な販売、とにかく全農に出荷していただいたお米は売り切るということでやっていくことを可能とする概算金の水準をどうするのかという議論をしていったわけでございます。そのときに、概算金を集荷時点と追加払いという形のやり方でやったらどうかという方針の検討を行いました。
具体的には、生産者に後から返金していただくという、概算金を出したんだけれども後から販売価格が下がって返金してください、こういうことになると混乱を起こします。そういうことにならないように、集荷時にはやはり慎重な水準で概算金をやってください、その後、販売のめどが立った時点で機動的に追加払いを行うということを基本方針として、各県に、これは収穫期の時期が違います。十月ぐらいから収穫するところもあります。先ほど言いましたが、八月の終わりから本格的な集荷に入るところもあります。そういう時期の違いがありますので、地域固有の事情を考慮した上で、県域で慎重に検討して、それぞれの県域で水準を決定してください、そういう方針を決めました。これが全農の方針です。
ただ、今回としては、先ほどありました七千円問題、七千円でいろいろ御迷惑をかけているわけでございますが、一律七千円としたわけではないのでありますが、絶対大丈夫な水準といったときにどうなるかというときに、七千円という議論も確かにありました。そういう情報が一部マスコミを通じて、米価水準が七千円になる、一律七千円で全農は概算金をやるんだというような情報として流れました。先ほどの方針をきちっと我々が農協を通じて生産者と議論する前にそういう情報が流れたということで、確かに現場の方で大混乱を起こしました。ここは深く反省しております。農家にも不安感を与えたということも反省しております。
また、全農みずからが八月の段階でことしは大過剰だということをアナウンスしてしまった関係で、そこがやはり米価下落の要因になったことは否めないと考えています。
ただ、そういうことではございますが、最終的には需給で価格が決まるということでありますので、そこのところは生産者への説明が不十分であったわけでございますが、そういうことはきちっと生産者にも理解していただかなきゃならないというふうに思っています。
ただ、反省すべきことは反省するということで、真摯に反省しております。二十年産ではそういう過ちを犯さないようにしたいというふうに思っております。
それから、緊急対策を早い時期に、十月の終わりに打っていただいたおかげで価格の暴落もとめられ、一部反転もしてということになりましたので、本当に緊急対策のおかげで、概算金七千円から一万円という低い水準でやっていた県に関しては、追加払いで千円から二千円、だから一万一千円から一万二千円までの追加払いが可能となりまして、速やかにそこは実施しております。これは緊急対策のおかげだということで、その恩恵が農家に行っているということで感謝しております。ありがとうございました。
○稲田委員 ぜひとも昨年の反省を踏まえてお願いをいたしたいと思っております。
また、全農が単に手数料稼ぎの手数料商売になっていないか、また買い取り方式、もしくは販路についても卸だけではなくてスーパー、外食を含めて安定的な販路の確保をいただきたい。また、全中と全農が縦割りになっていないか、そういった役割分担についてもぜひとも見直しをいただきたいと考えております。
さて、二十年産の米価は、本当にこれからの農政を占う正念場であると思っております。この二十年産の米価が安定しなければ、せっかくの米政策も新三法の実施も頓挫をいたしてしまいます。
このような中で、五百億円の生産調整の予算について政府にお伺いをいたしたいんですけれども、この予算の中身が、今まで生産調整に携わっていなかった人が生産調整すれば十アール当たり三万円、今まで生産調整に携わっていた人がさらに携われば十アール当たり五万円となっておりますが、実質的には、生産調整に取り組んでいなかった人の取り込みに重点がある政策であると思います。
なぜこのような対策をとられたのか。それと同時に、今まで転作にまじめに取り組んでいた人々に対する施策の拡充についてどのようなものを考えておられるかについてお伺いいたします。
○町田政府参考人 お答えいたします。
十九年産米の価格が大幅に下落した要因の一つは、生産調整目標を達成していない都道府県の数が年々増加してきたことにあるというふうに考えております。このため、二十年産米につきましては、生産調整の実効性を確保していくことが何よりも重要だというふうに考えております。
この点、委員御指摘のように、これまで本当に一生懸命生産調整を実施してこられた農業者の方々や都道府県に引き続きお願いするだけでなく、これまで生産調整を実施してこなかった農業者の方々や都道府県にも生産調整に取り組んでいただくということが必要不可欠だというふうに私ども考えております。
こうしたことで、生産調整のインセンティブとしては、従来から産地づくり交付金が措置されておるわけでございますが、これに加えまして、十九年度補正予算で地域水田農業活性化緊急対策が措置されたところでございます。これにつきましては、御指摘のとおり生産調整の拡大面積を踏まえた配分を行っております。
このため、生産調整にまじめにこれまで取り組んでいた都道府県への配分というものは大きくはありません。しかしながら、これを活用してこれまで取り組んでいなかった未達成の県でも生産調整の実効性が確保できますれば、二十年産米の価格が上昇、安定いたしまして、これまでの達成県の農業者の所得の向上、安定につながるというふうに考えておりまして、しっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。
○稲田委員 最後に、大臣にお伺いをいたします。
私は、農業を一つの産業とはとらえてはおりません。農業は日本文化の原点であります。アマテラスオオミカミの神勅にも、稲作が続く限りこの国は繁栄すると書かれております。水田は日本の美の象徴ですし、お米は日本人の主食です。主権国家は自国民の食料を自国で賄えなければ主権国家とは言えず、三九%の自給率で主権国家と言うことができるのか、他国に食料安全保障をゆだねるというのは、私は根本的に誤っていると思っております。
農業政策は、こういった意味で、我が国のあり方、存立そのものにかかわる重要政策でございますけれども、文化の伝承、そして防衛、集落再生、さまざまな観点から省庁横断的な対策が必要だと思いますが、大臣の農業政策にかける思いと対策についてお伺いをいたしたいと思います。
○若林国務大臣 農業、農村が多面的な役割を果たしておりますということについては、今委員がいろいろ御指摘されましたことを念頭に置いておりまして、農業の持続的発展、農業、農村の活性化というのは、トータルとして非常に大事な要素だと思っております。
そこで、農村地域の活性化ということを考えますと、農村地域において農業生産が持続的に活発に行われているということが大事でございまして、国民生活及び国民経済の安定のために農業生産というのは極めて大きな役割を果たしているということを認識いたしております。
このために、農業が持続的に行われていくということが可能になりますように、やはり農業の担い手というものをきちっと育成していかなきゃいけない。さらに、農業の生産基盤の整備などの各般の施策を実施しなければならないわけでありますが、同時に、中山間地域などについて言いますと、そういう条件不利の地域につきましては直接支払い制度による支援を行ったり、農地や水、環境を保全するための事業を地域ぐるみで行う共同活動に支援をしていくといったようなことを実施しているところでございます。
さらに、農業、農村の持続的発展のためには、農業のみならず、農産物の加工、流通、グリーンツーリズムといったような種々の分野において対策を講じていく必要もあり、二十年度からは地域の商工業のノウハウ、商工業の力というものも活用することといたしまして農商工の連携を強めるということ、また、子ども農山漁村交流プロジェクトといったようなことを経済産業省や文部科学省と連携をしながら推進してまいりたいと考えております。
このような活動を通じまして農山漁村が活性化し、農業の持つ多面的な機能が発揮されていくように努力をしていきたいと思います。
○稲田委員 ぜひとも日本の農業、農村を守るために前向きな政策をよろしくお願いいたします。
本日はどうもありがとうございました。
○宮腰委員長 次に、西博義君。
○西委員 公明党の西博義でございます。
きょう私は、後ほど決議にも出てまいります調査捕鯨の妨害活動について若干述べさせていただき、その後、水産について、何点かの問題を御質問申し上げたいと思います。
まず初めに、日本の調査捕鯨活動に対する反捕鯨活動の最近の過激さは度を越している、常軌を逸しているというふうに言わざるを得ません。報道では、オーストラリアのファーガソン資源・エネルギー・観光大臣がシーシェパードへの刑事訴追を検討するというふうに最近表明されております。一方、日本では、海上保安庁それから警視庁公安部は、シーシェパードの立件に向けて証拠収集等に動いているというふうな報道もございますが、最近の状況につきまして、海上保安庁から御説明をいただきたいと思います。
○城野政府参考人 お答えします。
このたびは、五回にわたり妨害行為がございました。一般的に、犯罪を立件するためには、被疑者及び犯罪事実を特定すべく捜査を進めてまいります。今般の事件のように、被疑者が国外に所在する場合におきましては、関係国の協力を得ながら捜査を進めていくことになりますけれども、判明します事実や具体的な捜査の進捗状況につきましては、捜査の内容にかかわることになりますので、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
○西委員 海上保安庁におきましては、今回、この調査捕鯨の活動に同行していただいておると思います。そういう意味で、この妨害を目の当たりにしている、そういう存在でございます。外国の方が相手とはいえ、そういう意味で、身元の確認もなかなか容易ではないとは思いますけれども、責任を持って調査に取り組んでいただきたい、このことを要望申し上げたいと思います。
そして、このシーシェパードの不法な妨害活動に関しては、外務省は、前々からの事件の折に、関係国に対して各国国内法に基づいて適切に対応するよう協力を要請する、こういう内容の答弁を私どもの質問に対しても繰り返しておられます。しかし、残念ながら、これは実効性が上がっているようには思えません。今も、五回にわたって妨害活動が行われた、こういうことは初めてだと思いますし、こんな過激なことは今までもなかった。
そこで、もう一歩踏み込んで、法的な責任を問う姿勢や法的措置を求める姿勢を見せていかなければならないのではないかというふうに思います。刑事事件として、各国の対応を待つのではなくて、例えば共同船舶や日本鯨類研究所などが当事国の国内法に基づいて関係機関に対して告発をする、もしくは差しとめ請求のようなことはできないのだろうか、また民事上の賠償など法的責任を追及することはできないのだろうかというふうなことを考えるわけでございます。このような対外的な妨害活動によって負わされた日本国民の物的それから人的損害に対して、我々が積極的に打って出る、そういうことも必要ではないかと思っております。
外務省は、そうした法的措置などに関する情報を関係者に積極的に提供するように要請したいと思いますが、御答弁をお願いしたいと思います。
○草賀政府参考人 お答え申し上げます。
シーシェパードによります今回の一連の妨害行為でございますが、これは、公海上におきまして合法的な活動に従事しております我が国の調査捕鯨船舶に対する極めて危険かつ許しがたい違法行為だというふうに認識してございます。
したがいまして、これは国際法上、旗国が管轄権を持ちますので、シーシェパードの船舶の旗国でございますオランダとか、あるいはシーシェパードの船舶が立ち寄ります寄港国でありますオーストラリア、あるいはその他関連の属人的な国籍を有する国、政府ですとか、いろいろなところの国に対しまして、この妨害行為が極めて遺憾であり、かつ危険な行為であって、違法であって、これまでの妨害行為について各国において適切な措置をとるように、もちろん、先ほど答弁がございましたように、日本の国内におきましても適切な捜査等をしておられると承知しておりますけれども、各国においても同じく適切な措置をとるようにと。そして、妨害行為の再発防止のために、これは関係国も一致して協力的な対応をとるべきだというふうなことを訴えてございます。
それで、先ほど委員が御指摘されました、もっと能動的な要請、対応をとるべきであるという点につきましては、直接の被害者でございます共同船舶あるいは日本鯨類研究所の意向も踏まえまして、所管官庁でございます水産庁さんと連携して、必要な関連情報を提供するとか妨害行為の再発防止のためによく連携しながら、取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
○西委員 結局、当事者がどういうふうな行動をとるかということは最終的に大事なことではございますが、各国の法体系等も違うということもありまして、要望に応じて積極的に外務省としての協力をお願いしたいということを申し上げたいと思います。
次に、マグロ関係の国際委員会の状況についてお伺いいたします。
先日、三月二十六日から二十七日まで、大西洋まぐろ類保存国際委員会が東京で開催されました。三月五日から七日には、全米熱帯まぐろ類委員会が開催されましたけれども、それぞれの委員会の結果について、これは簡単で結構ですので、報告をお願いしたいと思います。
○山田政府参考人 お答えいたします。
まず、大西洋まぐろ類保存国際委員会でございます。
資源が悪化しております東大西洋のクロマグロについて、資源の持続性確保のため、漁獲枠などの保存管理措置の確実な遵守が現在課題になっております。
このため、委員からお話がありました、去る三月二十六日及び二十七日に、東京におきまして東大西洋のクロマグロの関係者会合が開催されたところでございます。この漁業にかかわります行政当局、漁業者、蓄養業者及び貿易関係者が資源の持続的利用のために必要な行動について意見交換を行いまして、保存管理措置の遵守等を確認する共同声明が合意されました。
次に、全米熱帯まぐろ類委員会でございます。
東部太平洋におきまして、資源状態がよくないメバチ等の保存管理措置を強化することが課題になっております。
このため、これも委員からお話がありました、去る三月五日から七日までの間、米国のラホヤで特別会合が開催されました。この会合におきましては、本年以降のメバチ、キハダの漁獲枠などの保存管理措置の策定に向けた議論が行われました。しかしながら、まき網漁船を有する一部の国が柔軟性を示さないということもありまして、関係国間で合意が得られず、本年六月に開催される年次会合において、再度議論ということになっております。
○西委員 それぞれの委員会が、全米熱帯まぐろ委員会が六月、それから大西洋まぐろ類保存国際委員会は十一月ということで、今後相次いで年次総会を開くということになっております。今、国際的に、日本も買い負けるような状態の中で、大変重要な時期を迎えていると思いますが、それぞれの課題について、具体的にどのような合意を目指していくべきだと考えているのか、御所見を伺いたいと思います。
○山田政府参考人 お答えいたします。
まず、全米熱帯まぐろ類委員会でございます。
これは、先ほど申しましたけれども、結局、保存管理措置について合意が得られなかったわけでございまして、ぜひとも我が国としては、特にメバチ、キハダの保存管理措置につきまして、今回、六月の年次会合において、関係国と協力をして、この保存管理措置が策定されるというように努めていきたいと思っております。
また、十一月に開催される大西洋まぐろ類保存国際委員会の年次会合でございますが、これにつきましては、東大西洋のクロマグロの保存管理措置の見直しが実際に検討されるということでございます。我が国としては、クロマグロ資源の持続的利用のため、資源状況を踏まえた適切な保存管理措置がとられますよう努めていきたいと考えております。
○西委員 それぞれ課題を持っての総会でございますが、しっかり頑張っていただきたいと思います。
マグロの話を聞いておりますと、IWCの状況が、資源の持続的利用というような観点、科学的な調査における計画的な漁獲量を決めるとかいうようなルールになかなか至らないのはまことに残念な思いがいたしますが、IWCのことについてもまた御努力をいただきたいと思います。
さて、先日、地元のマグロ漁業の関係者の方とお話しする機会がございました。漁業者は、漁場の管理だけではなくて、密輸や密入国の防止のために海上保安庁の補完的な役割を果たしている、さらに、海難事故が発生した場合も救助などの対応をしていただいている。先日のイージス艦の事故の場合でもそうでございました。こうしたことは基本的に無報酬でずっと行っていただいている。
そこで、私は、離島に適用されました漁業再生支援交付金を、例えば半島地域へ適用拡大するということとか、先ほどの委員の質問の一部にありました、農業における農地、水、環境保全向上対策、これの漁業版といいますか、漁場、水、環境保全対策というような形になるかと思いますが、そういう形で施策を講ずべきだというふうに考えておりますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○若林国務大臣 委員が御指摘になりましたように、漁業者は、漁村地域にありまして、海難の救助でありますとか、あるいは今お話がございました、密輸に当たっての協力要請に応ずるなどの活動をしていただいているほかにも、漁村地域におきます海面も含めました環境の整備でありますとか生態系の保全とか、また都市の人たちとの交流の場などを提供するというような意味で、農業と同じように多面的な機能を発揮するという面で重要な役割を果たしているものと認識をいたしております。
このために、水産業、漁村についての各般の振興施策を講じているところでありますが、特に平成十七年度から、本土に比べて消費地への出荷などの面において大変不利な条件にある離島の漁業集落を対象として、漁場の生産力の向上などの取り組みに対する離島漁業再生支援交付金を交付するということを始めたところであります。
また、藻場とか干潟などの維持管理などの沿岸域の環境、生態系を守る取り組みが重要であるというふうに認識いたしておりまして、平成十九年度から、これらの活動についての調査、実証を行うための事業、つまり環境・生態系保全活動支援調査・実証事業というものに着手をいたしておりまして、今後こうした活動を促進するという方策を確立するべく検討をしていきたい、このように考えております。
○西委員 大臣も同じ認識で取り組まれているということに意を強くいたしました。できるだけ今までの調査結果を活用されて、具体的な施策に適用していただけるようにお願いを申し上げたいと思います。
時間もあとわずかになってまいりました。最後に一問、お願いしたいと思います。
水産物の輸出について、最近輸出に関する質問ばかりをやっておりますが、輸出についてお願いしたいと思います。
日本の農林水産物の輸出における水産物の割合は三分の一でございます。大変大きなシェアを占めているわけでございます。したがいまして、輸出を促進する上でも、水産物の輸出というのは戦略的に中心的な存在になるだろうと私は考えております。我が国は、農林水産物、食品の総合的な輸出戦略を作成して、重点個別品目それから重点国を決めて取り組んでおられます。これはよく承知しております。国の重点個別品目にはなっていないが、その地域独自の重点品目のようなものがそれぞれ各地に、いわゆる特産物といいますか、そういうものがございます。そうした品目の輸出をぜひとも促進するために取り組んでいただきたい。また、そういうふうなことを計画している自治体も各地にあるというふうに聞いております。私の地元の和歌山県でも、和歌山県農水産物・加工食品輸出促進事業、こういうものを行っておりまして、輸出の促進に努めようとしております。
農水省におきましては、自治体と連携してこうした取り組みを支援していただき、重層的に輸出の促進に努めていただきたい、こういうふうに考えておりますが、大臣、御答弁をお願いしたいと思います。
○若林国務大臣 委員が今御主張なさいましたように、農林水産物の輸出を促進する、平成二十五年までには一兆円規模にするという目標を掲げて努力をしているところでございますが、これを達成するためには、地域のさまざまな取り組みをきめ細かく拡大していくということが重要だと考えております。
このため、平成十七年四月には、都道府県知事を含みます関係団体、関係省庁等で構成された農林水産物等輸出促進全国協議会を設立いたしましたが、平成十九年には、全国を地区ごとに、八地域において地域輸出促進協議会というものを設立いたしまして、各都道府県と連携した取り組みを進めているところでございます。
また、農林水産物等の輸出に戦略的に取り組もうとする事業体に対して支援を行っておりますが、お話がありました和歌山県では、昨年度、和歌山県の農林水産物・加工食品輸出促進協議会によりまして、台湾、香港、マレーシアなどに向けて果物等の輸出の促進に取り組んでいるわけでございます。これについては、国も二分の一の助成をいたしまして、市場の調査でありますとか、関係バイヤーの産地への招聘でありますとか、百貨店などにおけるテスト販売、産地フェアの開催といったような事業を支援してきているところでございます。
今後とも、自治体と連携を進めながら、地域におきますさまざまな取り組みに対する支援を積極的に講じてまいりたい、こう考えております。
○西委員 時間が参りました。
これから、少子高齢化の中で、第一次産業が抱える課題は大変多いと思います。特に、若い人たちが希望を持って就業できる、そういう環境を我々はぜひともつくっていかなければなりません。そんな意味で、自国における消費だけではなくて、それぞれの産業が、守りだけではなくて攻めていく、輸出をしていける、そういう流れをぜひともつくっていっていただきますように大臣にお願い申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○宮腰委員長 次に、筒井信隆君。
○筒井委員 民主党の筒井信隆でございます。
西委員が先ほど聞かれました調査捕鯨に対するシーシェパード等の犯罪行為、そこからお聞きをいたします。
最初に水産庁に確認をしたいんですが、このシーシェパードの行為は、テロ行為、犯罪行為であり、厳しく糾弾されなければならない、こういう認識に立っておられますね。
○山田政府参考人 お答えいたします。
今回のシーシェパードの行為は、我が国が行っております合法的な科学調査に対しまして、酪酸瓶の投入ですとか、船体を傷つけるためのロープの投入等の行為が行われておりまして、明らかに暴力行為でありまして、我が国の法律に照らしましても犯罪行為であるというふうに考えております。
○筒井委員 私は今、限定してお聞きをしております。
テロ行為、犯罪行為である、厳しく糾弾されるべきである、こういう認識をされておりますねという質問です。
○山田政府参考人 今申し上げましたとおり、そういう意味でまさにテロ行為、犯罪行為であって、厳しく糾弾されるべきであると考えております。
○筒井委員 海上保安庁にも確認いたしますが、今の認識と同じ認識だというふうにお聞きしてよろしいですか。
○城野政府参考人 同じように認識をいたしております。
○筒井委員 具体的に犯罪行為としては、傷害を与えたわけですから傷害罪、船に侵入したわけですから艦船侵入罪、そしてロープ等をプロペラに巻きつけて運航不能にしようという行為、これは未遂でしたが、往来危険罪の未遂罪、これらの犯罪行為を行ったわけでございます。
水産庁にもう一点確認しますが、それらの犯罪行為を行ったという認識であるとすれば、公務員は犯罪行為を知った場合には告発をする義務があることも御存じだと思いますが、告発をされましたか。
○山田政府参考人 ただいま、告発をしたかという質問でございますが、告発はしておりません。
これについては、要するに、具体的にだれがやったかというのが必ずしもはっきりしないこともありまして、現在、捜査当局で捜査をしておりますけれども、そういったことも待って、また今後検討する必要があるというふうに考えております。
○筒井委員 何を言っているんですか。氏名不詳でも告発できるんですよ。そして、二名は拘束しているんですよ、実際に一時期捕まえているんですよ。
では確認しますが、犯罪があることがはっきりした段階で公務員は告発する義務がある、この規定は御存じですか。
○山田政府参考人 そういう規定があるというふうに承知をしております。
○筒井委員 そうしたら、今告発しないのは違法ではないですか。何で告発しないんですか。
○山田政府参考人 そのような義務については、一般的にそういうことをすべきだということが規定されていると思いますけれども、今言いましたように、現在、シーシェパードによる行為については、関係省庁で捜査をするとかそういう状況にありますので、具体的な対応については、その捜査の状況も見ながら対応していく必要があるというふうに考えております。
○筒井委員 国の意思を明確にしなければいけないんですよ、こういう問題は。先ほど言ったように、厳しく糾弾されるべきであると言っていながら、全然糾弾していないじゃないですか。義務として規定されている告発の手続さえもとっていないじゃないですか。日本のまさに当事者である水産庁がそうで、だから外国から甘く見られるんですよ。それで、こういう行為をされちゃうんですよ。
海上保安庁の方にお聞きしますが、今、傷害罪それから往来危険罪を申し上げましたが、これをやった者は自分の船からそういう行為を行ったわけですね。
○城野政府参考人 今先生がおっしゃられましたように、該船に対しては、乗り組んでいる船から行為が行われたということでございます。
○筒井委員 自分の船、つまり日本から見ると外国の船の中で行われた行為に対しては日本の国家主権は及ばない、こう考えておられますでしょう。その点の確認と、そういう行為に対してはどう対処するか、つまり、外国の船の中から行われた犯罪行為に対して日本としてはどう対処しようというふうに方針を、意思を決めているんですか、それとも決めていないんですか。
○城野政府参考人 公海上で犯罪が行われました場合については、旗国主義ということになっておりまして、当該外国船舶が行った犯罪につきましては、当方の権限が及ばないということでございます。そういった犯罪が我が国の船舶に対して行われました場合につきましては、一般的ではございますけれども、通常、外国の協力を得まして、どういった行為が行われたのかという調査をお願いしているところでございます。
○筒井委員 極めて不十分な方針で、外国の船から行われた場合に、外国の船では外国の主権ですから、そこへ乗り込んで逮捕することはできないかもしれない。しかしそれは、公海上というよりも、外国の船の上だからそうなんでしょう。だから、その場合は、逮捕したりすること、日本の司法権は及ばない。
だけれども、正当防衛はできるでしょう。今、調査だけ要請するとか言ったけれども、正当防衛行為はできるでしょう。
○城野政府参考人 我が国の船舶に対して人命に危険を及ぼすような行為があった場合に対して、必要な範囲内の正当防衛行為というのは可能であると思います。
○筒井委員 だから、単に外国に調査をお願いするなんて先ほど答えたけれども、その場所において正当防衛行為ができる。どういう正当防衛行為ができるとか、そういうことについて検討されているんですか。そして、それらの問題を、日本の艦船に対してマニュアルとか何かをつくって周知徹底を図っているんですか。その点はどうですか。
○城野政府参考人 正当防衛について、態様についてはいろいろございますので、それについて個々に一般船舶に対してマニュアルを配っているということはしてございません。
○筒井委員 ほかの海においても、海賊行為とかいろいろな問題が、違法犯罪行為が行われているわけですよ。今度のようなこういう犯罪行為も行われている。これに対して日本国家としてどう対処するのか、きちんと方針を、船長が司法権を持っていますから、各船長に周知徹底を図ることが必要なんじゃないですか。今度の船長に対してもそんなことは全然やっていなかったみたいですが、その必要性は認めますか。
○城野政府参考人 各船の船長の行います司法権とか正当防衛行為といったものについて、今のところ、海上保安庁として個々具体的にやっているということはございません。
○筒井委員 そういう対応だから、甘く見られてこういうことをいろいろやるんですよ。
今、公海上のことについて聞きました。EEZ内それから領海内、この場合は今度は別で、今度の調査捕鯨のように水産関係に関する仕事の場合には、それは相手の船であっても日本の捜査権が及びますね。
○城野政府参考人 我が国の領海内及びEEZにおきましては、我が国の捜査権が及びます。
○筒井委員 その場合についても、そういう違法行為、犯罪行為が行われた場合にどう対処するのか、マニュアル的なもの、そういうものの周知を全く図っていないでしょう、海上保安庁は。それを早急に図るべきじゃないですか。海洋国家日本としては、どうしてもそれは必要なことではないですか。
○城野政府参考人 お答えします。
我が国のEEZ、領海内で我が国の法令に違反した船舶につきましては、海上保安庁の巡視船あるいは航空機でもってその法律違反を取り締まるということにしてございます。
○筒井委員 だから、それが不十分だと言うんだ。海上保安庁自身も不十分な行為だけれども、船長が司法権を持つわけでしょう。船長が司法警察員としての資格でどういう対応をしたらいいのか、これをやはり明確にしておくべきでしょう。それを言っているんです。今、海上保安庁がやります、それだけしか言っていない。時間がないからまた次回聞きますが。
それで、今言った傷害罪も往来危険罪も、いずれも公海上における相手の船ですから、日本の主権が及ばない。しかし、艦船侵入罪、二名のシーシェパードがその犯罪を犯しました。これは日本の船の中ですから、日本の主権が及ぶ。船長は司法警察権を持っておりますから逮捕できるわけですが、逮捕もしなかった。何か聞くところによると、一時期拘束したけれども、食事を与えてすぐ釈放した、こういう事実関係のようですが、明確に艦船侵入罪を犯した現行犯で、私人でも現行犯の逮捕権限は持っているんだけれども、司法警察員としての資格において船長が逮捕権限を持っている。それを、逮捕しなくて直ちに釈放した。これはどうしてですか。
○山田政府参考人 お答えいたします。
目視採集船第二勇新丸に侵入した二人につきましては、船長が一時的に船内に二人を収容したわけでございますが、この二人につきましては、暴力行為に及ばなかったこと、抗議文の手交が目的であったこと、さらに、引き続きその二人がいろいろな妨害活動をする、あるいはその人を通じてほかの者が妨害活動をするというようなことも考慮して、これについては解放することとしたところでございます。
○筒井委員 全く今のは理由になっていない。ビラを配るために敷地内に入っただけで逮捕されているんですよ、日本国内では。それも、直接手渡しじゃなくて、いないときにポストに入れるだけでも逮捕されている例がいっぱいあるんですよ。
今の理由が、艦船侵入罪として逮捕しないで、収容ということも逮捕ではないので法的な意味をどう持っているのかはっきりしないけれども、直ちに釈放した、その理由にはならないでしょう。これは、司法警察員として、あるいは私人でもいいんだけれども、明確な艦船侵入罪の現行犯として逮捕すべきではなかったですか。
○山田政府参考人 この際の船長の行動でございますが、船長は、船員法等の規定によりまして、船内の安全確保のために必要な措置を講ずることができるということもありまして、船長が一時的に収容したということでございます。
○筒井委員 そんなのはわかっているので、船員法に基づいた必要な措置をとったと。だけれども、私は、司法警察員として逮捕すべきではなかったかと言っているんです。逮捕することに何の障害もないでしょう。国内法を厳密に適用すれば、まさに逮捕すべき案件でしょう。
○山田政府参考人 繰り返しになりますけれども、先ほど言いましたように、暴力行為に及んでいないということ、抗議文の手交が目的であるということ、これからの妨害活動への対応も必要であるということから、解放することとされたわけでございます。
○筒井委員 暴力行為に及んでいたら、今度はまた別の犯罪が成立するんですよ。今は艦船侵入罪で言っているわけですよ。
しかも、この前、我が農水部門会議で同じように海上保安庁に聞いたときには、何か、四十八時間以内に検察官に渡さなきゃいかぬから、それが不可能だから逮捕しなかったんだという別な理由を挙げておりましたが、その理由も成り立たない。やむを得ない合理的な理由がある場合にはその四十八時間というのは延長できるという規定になっているわけですから。まさに、私が先ほど一番最初に聞いた、厳しく糾弾されるべきであるという認識を持っているならば、極めて甘い対応をしてしまった。日本の国としてこういう方針で厳しく臨むということを明確に示して、今後はこういうことがないように、国内法に基づいて厳しく対処するように要求をしておきます。
時間がなくなったので、さっきのもう一点の方の質問をちょっと聞きたいと思います。
全中、全農さんの十万トンを飼料米に回すという件ですが、きょうの先ほどからの議論ではっきりしたんですが、十万トン飼料米に回す、これは全中、全農の方から農水省に要請した、そして必ず実行しますと約束した。
全中、全農さんにちょっと確認したいんですが、それで間違いないですね。
○冨士参考人 JAグループの要請の内容でありますけれども、十九年産米の米価下落の歯どめと価格浮揚のための需給対策として、十九年産の過剰生産によるオーバー分の二十三万トンと、JAグループで持っていた十八年産の持ち越し在庫相当分である十一万トンを過剰と考えて、これについて政府買い入れと販売抑制などの緊急対策を要請したというのが内容でございます。
ただ、十八年産の持ち越し在庫相当量十一万トンの政府買い入れ要請をしたのは、十一万トンが、全農において売買契約が締結しているものの、十九年十一月以降の取引となるために需要に食い込み、その結果、十九年産の米が押し出されるということが想定されたためであります。それで、三十四万トンの政府買い入れが実現されるとともに、政府の支援のもと、JAグループによる十万トンの非主食用処理があわせて決定されたということで、我々として、みずからの需給改善と価格安定効果を高める対策という観点から取り組むことといたしました。
○筒井委員 時間がないので、質問だけに答えてくださいね。今、全中、全農の方から飼料米処理する対策を要請したかという質問ですから、それを要請したかどうかだけ答えていただけばいいんです。
もう一点私が聞いたのは、必ず実行しますということも全中、全農の方で約束したんですね。
○冨士参考人 みずからの需給改善と価格安定効果を高める対策ということで、十万トン処理に取り組むということをお約束いたしました。(筒井委員「実行を約束したんですね」と呼ぶ)はい。
○筒井委員 その実行を約束した時点で結構ですが、十万トンを飼料米として処理するという具体的な措置は何かとっていたんですか。それとも、そんな具体的な措置は一切とらないで、ただ約束しただけでしょうか。
○冨士参考人 その時点では、まだ具体的な対策はとっておりませんでした。
○筒井委員 農水省の方にお聞きしますが、その要請と実行を受け入れた段階で、では実際にどういうふうに実行するんだと、具体的な措置を問いただしましたか。
○町田政府参考人 お答えいたします。
全農みずからが十万トンの飼料用処理を行うということについて約束したということでございますので、私ども、当然それを責任持って実行するというふうに考えていたところでございます。
○筒井委員 いつも官僚の皆さんは明確に答えないんだけれども、要するに、具体的な措置は問いたださなかったんですね。
○町田政府参考人 えさ処理の具体的な方法等についてはしかるべく検討がされていると思っておりまして、私ども機会あるごとに、きちっと十万トンを処理するように、両会長が約束したことですので、そういうふうに常に要請していたところでございます。
○筒井委員 しかるべき措置がとられていると思っていたと今言われましたが、そういう約束を受けたとき、そして農水省のその方針に乗っかって五十億円の補正予算を組むことを決定したときに、しかるべき措置がとられていると思っていたということですね。
その中身を実際に聞かないで、勝手にそう思っていたんですか。さっきの全中、全農さんの答えでは、具体的にはそのときには何もしていなかったと言うんですよ。
○町田政府参考人 お答えをいたします。
十月二十六日に対策が決定されたわけでございますが、先ほどの冨士参考人のお話は、その時点では具体的な実行方法は検討していなかったけれども、速やかに検討するということで、十一月に入って全中農業対策委員会等で実行方法の取り組みを決定したというふうに承知しております。
○筒井委員 取り組みを決定したというのを聞いているのじゃなくて、具体的にどういう措置で全部売るのか、どういう具体的な措置をとるのか、その中身を聞いているんです。
今の答弁ですと、この緊急対策を決定したときにおいては、全中、全農さんも何も具体的な措置はとっていなかったと。五十億の補正予算を組むときに具体的な措置を全然考えないで、それは後から考えるものですか。税金をそれだけ使うわけですから、具体的にどういうふうに飼料米として処理するか、そういう方針は立てるのが当たり前でしょう。それも全然聞きもしない、立てもしない。それで、五十億の補正予算を国会で議決した、政府も決めた。やはり農水省と全中、全農が癒着だと言われちゃうんですよ、こんなことをやっていたら。中身をお互い何も聞いていないんだから。五十億なんて大した金じゃないと思っているのかもしれないけれども、それは極めて大きな問題だと思います。
全農さん、全中さんに、この五十億の予算を国会において、国において、政府において決定した、その重みをどう考えておられるのか、ちょっとその点答弁ください。
○冨士参考人 極めて重いというふうに受けとめております。
そういう意味で、十一月九日の水田農業対策本部委員会におきまして、我々として、五十億の二分の一対応ということで、JAグループに販売委託を行っている米で需給調整対策並びに需要拡大対策の基金を持っておりまして、生産者からの十アール当たり五百円の拠出金により造成したJAグループの需給調整・需要拡大基金、これに財源がございまして、この財源から五十億をこの対策に担保するということで決めまして、具体的なそのような事業計画の修正もいたしました。
○筒井委員 そして、政府は、この十万トンに関しては過剰分とは考えていないというふうに先ほども答弁されました。しかし、全中、全農さんは、これも過剰分だと考えていると。全く過剰分についての認識が正反対でございまして、さっき言ったように露骨な癒着みたいな行為をやるかと思うと、こういう重要なところで認識が全く正反対。
まず政府の方にお聞きしますが、そうすると、過剰分は、過剰作付七万ヘクタールに対応した二十三万トン、これが過剰分であったということでよろしいですね。
○町田政府参考人 生産過剰分についてでございますが、私ども、主食用米の十九年七月から二十年六月までの一年間の需要は、八百三十三万トンというふうに見通していたところでございます。一方、米緊急対策の検討を行っていた昨年十月時点での十九年産の主食米の生産量は、九月十五日現在の作柄概況に基づきまして八百五十六万トンと推計されておりました。生産オーバー分はこの二十三万トンというふうに考えていたところでございます。
○筒井委員 二十三万トンが過剰分であったと。それに政府在庫米の方で十一万トンプラスして三十四万トン買い上げたわけでございますから、これで需給は均衡している、政府はそういう判断ですね。今の答弁からいうと、全農の十万トンを飼料米に回すということを別にしても、これを入れなくても、二十三万トンプラス十一万トン、三十四万トンの政府買い上げで需給は均衡している、こういう判断でありますね。
○町田政府参考人 生産オーバー分が二十三万トンございましたが、二十三万トンの在庫積み増しを行いました。そのほかに十一万トン販売し、また販売が予定されておりましたので、三十四万トン買ったわけでございますが、二十三万トンのオーバー分については、この二十三万トンの在庫積み増しで民間流通から隔離されたということで、民間需給はバランスがとれているというふうに考えているところでございます。
○筒井委員 三十四万トンの買い上げで需給はバランスしていると。
そうしたら、まず一つは、飼料米に十万トン、さらに五十億も使って処理する必要はないんですよ。何で五十億出したのかということが一点。
もう一つは、前提として、需給がバランスしているんだから、飼料米の分は主食用に売れるという見通しが立つでしょう。飼料用には売れない、なくなっちゃうという見通しが立つでしょう。だから、政府の今の答弁からいうと、今度のように一万四千トンしか飼料米の方に集めることができなかった、ほかはもう売れちゃう、当然それが見通しとして立つわけですね。
○町田政府参考人 全農による十万トン飼料用処理についての政府の支援についての考え方でございますが、十九年産米の価格が大幅に下落していて、政府買い入れには備蓄運営上の限界があるということで、大幅に価格が下がっておりました。それに確実に歯どめをかける観点から、こうした緊急対策にこの飼料用の処理を盛り込んだということでございます。
○筒井委員 今の答えは、需給均衡以上に逆均衡なんだよ。均衡よりも需要の方をずっと多くしようという答えなんだけれども、私が今聞いているのはそうじゃなくて、需給はバランスがとれているというふうに答えられた。ということは、この十九年産の十万トン相当量は主食用として売れる可能性が非常に高いということが初めからわかるでしょう、需給は均衡しているんだから。そうしたら、結局、飼料用の方として集めることができなかったという今みたいな結果は当然予測できるでしょうという質問なんです。
○町田政府参考人 繰り返しになりますが、大幅な価格下落に歯どめをかけるということで、全農みずからがこのえさ処理を実行することを約束したからということでこの措置が講じられたということでございます。
○筒井委員 さっきから私の質問がわかっていて逃げているんだと思うんだけれども、大幅な下落を何とか高くしたいという要望、気持ちはわかりますよ。今それを聞いているんじゃないんですよ。
需給バランスがとれている、均衡しているという中において、十九年産米について、それを主食用として十万トンも含めて売れる可能性は極めて高いでしょう。だから、今度の結果みたいに、損してまで十万トンを全部えさ米の方に回さない、これは当然予測できたはずでしょう。それなのに何で十万トンも、税金も使って、それから全中、全農は損をして、そういう対策をつくったのか、極めて見通しが間違いである、見通しがおかしい、こういう質問をしているんですよ。別に、値段をもっともっと上げたいという意欲を聞いているんじゃないんです。需給バランスがついているということであれば見通しはつくでしょうという質問なんです。
○町田政府参考人 対策決定時の農協系統の御主張は先ほど冨士参考人からお話があったとおりでございまして、玉突きで十九年産米が十万トン程度余る、過剰分だ、そういう主張をされていたわけでございます。私どもはそれは過剰ではないということでございますが、価格の下落に確実に歯どめをかけるという点について、その十万トンをえさ処理する、それをもって価格に歯どめをかける、そういう御決意もありましたので、それについて支援をしたということでございます。
○筒井委員 その答弁もおかしいけれども、最後の質問として、過剰分ではないと判断した理由を説明してください。
○町田政府参考人 十九年六月当時の民間在庫につきましては、百八十四万トンということで、前年産とほぼ同様でございます。そういった意味で、民間流通全体で見た場合、需給はバランスがとれていたということでございます。
先ほどの全中、全農さんの話は、一販売業者である全農さんの十九年産新米の扱いでございますので、私どもは、在庫持ち越し等を含めてトータルで判断をいたしておりまして、バランスはとれているというふうに見ていたところでございます。
○筒井委員 私は需給バランスとしては農水省が今言った答弁に賛成なので、そこで全中、全農さんにお聞きしたいんですが、需給バランスがとれていない、この十万トンは過剰分であると先ほどから強調されていますが、その理由は何ですか。
○米本参考人 十八年産の販売の関係でありますが、去年我々は、十月末までに新米が出ること、次の十九年産が十一月から出回ると十八年産が古米になりますので、十八年産を十月末までに売る、引き取ってもらうというのが通常の売り方でございます。
ところが、八月段階で契約を推進いたしましたが、まるっきり契約が積み上がらぬ。それは、十九年産が供給過剰状況に陥っているという状況の中で十八年産が販売できないということになりました。
そこで、取引先の方にいろいろ推進していく中で、業務用でなら十一月以降引き取っていただけるということになりましたので、業務用ということで価格も下げ、十一月以降引き取りということで、八月の終わりから十月の中ごろにかけて契約を推進して十一万トン契約したということです。消費が十一月以降になるということは、その分、消費者の消費する新米の量が減りますので、玉突きでその十一万トンが十九年産で出てくる、こういう理解で、二十三万トンプラス十一万トンという理解で我々は要請させていただきました。
○筒井委員 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。
○宮腰委員長 次に、松野頼久君。
○松野(頼)委員 民主党の松野頼久でございます。
きょうは当委員会において質問の時間をいただきましたことを、委員長初め各党の皆さんに心から感謝申し上げます。
きょうはBSEと鳥インフルエンザの問題について質問をさせていただきたいと思っています。
資料をお配りさせていただきました。まず、資料の一をごらんください。
これは平成十四年一月二十五日、私の予算委員会での質問に対しまして、武部農林大臣が、BSE、当時は一頭目から約三頭目ぐらいまで発生していた時期であります。線を引いている真ん中をごらんください。このときに、「感染経路を解明するに至っていない、先ほど申し上げたとおりでございますが、私は、何度も申し上げておりますように、迷宮入りはさせないとの覚悟を持っております」というふうに答弁をされております。
最近、「BSE感染源及び感染経路に関する調査について」という調査報告が出されておりますけれども、次のページにつけてあります、どうかごらんください。(1)の2)の2A群という牛だと思います。これで感染経路の究明はできたのか、お答えいただけますでしょうか。
○若林国務大臣 今委員が、A群について、具体的なことについての御質問でございました。
実は私は、武部大臣が当時の答弁で、迷宮入りはさせない、これを追求していくという御答弁がありまして、きょうはそのことがその後どうなっているんだという御質問だというふうに一般的に受けとめておりましたので、そのようにお答えをまずはさせていただきたいと思います。
これについては、BSEの発生事例については、いずれの事例にありましても、都道府県が給与飼料などの詳細な調査を行っておりまして、農林省としても、関係都道府県と連携しながら原因究明を進めてきているところでございます。
我が国において確認された三十二例目までのBSEの感染原因とBSEのリスク管理措置の再点検等を行うために農林水産省が実施した委託研究においては、昨年十二月十四日に開催された第五回のプリオン病小委員会において、今まで追求してきたその成果については、この委託調査では妥当だというふうに言われているわけでございます。
この委託研究の報告書におきましては、幾つかの感染経路の可能性が示唆されるということ、そして、平成十三年十月以降、飼料の規制などのリスク管理措置を講じた結果として、十四年四月以降に生まれた群では感染が確認されておらないので、我が国もBSEの封じ込めに成功するということが見込まれるというふうに報告書ではされているところでございます。
このような報告書を受けまして、今、厚生労働省と連携をしながら、今後とも適切なリスク管理の措置を徹底して努めていくというふうに考えているところでございます。
御指摘のありました、A群の中における具体的なことにつきましては、事務当局から答弁をさせます。
○松野(頼)委員 今の説明はよくわからなかったんですが、筒井先生も当時同じ予算委員会でこの質問を一緒にされたんですけれども、当時は、迷宮入りは絶対にさせないんだ、感染経路の究明を行うんだということを繰り返し農林大臣として答弁されていたんですよ。五年たって、この調査報告書を見ると、例えば、当時もオランダからの代用乳が原因ではないかというふうに言われていたんですけれども、当時もはっきりとそれだということが断定できなかった。
資料の二ページにつけてあります調査報告を見ると、オランダからの粉末油脂、いわゆる代用乳に含まれていた油脂が原因とする合理的説明は困難ということで、感染源の究明はここで終わっているんですよ、大臣。迷宮入りはさせないと農水省の大臣として答弁をされた。五年たって出てきたこの調査報告書は余りにもひどいんじゃないですか。
感染源の究明ができているならば、一体何が感染源だったのか、お答えいただきたいと思います。
○若林国務大臣 実はこの委託研究を受けております研究総括者、これは東京大学大学院の吉川泰弘教授でございます。その教授のもとで、この分野におけます知見の豊富な研究者をグループ別に多数糾合しまして、そこでかなり専門分野にわたって徹底した調査をいたしました、その結果の報告でございます。
この報告の中で、いわゆるA群とおっしゃる中でございますが、共通の飼料工場で製造された代用乳が原因となった可能性がある、他の科学的知見、これはオランダの疫学調査結果などでございますけれども、それを踏まえると、オランダ産の油脂を感染原因としていることについて合理的に説明をすることは困難だといったように整理されているものと承知をいたしております。
そのような高度の専門的な学者の集団がこのようにいたしたわけでございまして、迷宮入りをさせる、させないということではありません。徹底的な追求をいたしてまいりましたが、それは、これらの専門家集団の中でとことん検討、調査をしても、この部分については合理的に説明することは困難であるということを出されている調査報告書でございます。
○松野(頼)委員 ちょっと答弁に納得できませんけれども、こればかりやっているわけにいきませんので、またこれは別の機会にやりたいと思いますが、今の段階ではっきり感染ルートはわかっていないと思うんですよ。五年前に必ず感染ルートは究明するんだと農水省で言い切っているにもかかわらず、五年たって今でもできていないということに対しては、ぜひ注意をしていただきたいというふうに思います。
もう一問。
大臣、この七月から全頭検査の国庫補助が切られるというふうに聞いております。もし、この国庫補助が切られた後、単独事業として全頭検査を続けるという県が出てきた場合に、これはお認めになるかならないか、これだけ御答弁いただきたいと思います。
○若林国務大臣 各都道府県が行います検査は、委員御承知のとおり自治事務でございまして、都道府県知事の判断で、これが必要と考えればそれを実施するということでございますから、そのことを私どもの方として異論を申し述べるというようなことは一切ございません。
○松野(頼)委員 ありがとうございました。
続きまして、環境委員会の時代から随分動物愛護で大臣とはいろいろな議論をさせていただいて、非常に前向きな姿勢をとっていただきました。そのことには大変感謝を申し上げる次第でございます。
この鳥インフルエンザの問題、実は日本の鳥インフルエンザの対策というのは、発生をしたら二百万羽でも三百万羽でも殺す、これが唯一の対策なんですね。この対策に関して、余りにもひどいんではないかという思いできょうは質問をさせていただきたいと思いますし、動物愛護団体の方も、これは人間かどうかよくわかりませんが、非人道的な処分方法を中止してほしいというような声明を出されている団体もあります。見ていて余りにもむごい状態であります。
そういう観点から、実は幾つか調べてみました。発生をしたら全羽殺処分をしなければいけないのかというと、諸外国の例を見るとそうでもありません。まず日本では、発生をしたら全羽殺処分をしている。ワクチンというものを使っている国もあるわけです。
日本では、豚、牛のインフルエンザワクチンの投与というものは認められているんですけれども、なぜ鳥だけがこの投与が認められていないのか。豚と牛と鳥の違い、この対策の違いについてお答えいただきたいと思います。
〔委員長退席、近藤(基)委員長代理着席〕
○若林国務大臣 馬や豚についてのインフルエンザは、鳥インフルエンザと異なりまして、死亡に至るというような重い症状を引き起こすものではないという専門家の判断がございます。そこで、家畜の所有者による自主的な感染予防対策としてワクチン接種も任意の形で実施されているというふうに承知いたしているわけでございます。
高病原性の鳥インフルエンザにつきましては、ワクチンは発生の抑制にはそれなりの効果はあるけれども、感染を完全に防御するということはできないということとされております。そこで、予防的な使用をいたしまして、この病気の発生を万一見逃す、可能性は高いわけですが、見逃した場合には、さらに多くの家禽に感染が拡大するということが予測されるわけでございまして、養鶏経営としては耐えられないほどの甚大な被害を及ぼすおそれがあるというようなことなどから、国が定めました防疫指針におきまして、感染家禽の早期の発見と同時に迅速な殺処分を基本としておるわけでありまして、発生を予防するためのワクチンの使用は認めていないわけでございます。
しかし、高病原性の鳥インフルエンザにつきましては、ある一定の地域内の複数の農場で同時に発生してくるというようなことも起こり得るわけであります。そういう場合には、とても迅速な淘汰が困難になるというような事態も予想されるわけでございますので、そういうような場合には、緊急な手段としてまずはワクチンを使用して、それの拡大を防ぐという意味でワクチンの使用も検討することとなっているわけでございますが、その場合にありましても、疑似の家禽につきましては、結局、最終的には全部殺処分をするということにすることになっております。
○松野(頼)委員 今の答弁で幾つか聞きたいところがあるんですが、まず、馬インフルエンザで死亡例はないというふうにおっしゃいましたけれども、それは確かですか。
○若林国務大臣 ないというふうに申し上げたわけではありませんが、死亡などの重い症状を引き起こすものではないという学者側の判断があるということを申し上げたわけでございます。
○松野(頼)委員 死亡例はあるんじゃないですか。
○若林国務大臣 事務局の助言によりますと、馬ではあった、しかし、ほとんどないというふうに助言を受けております。
○松野(頼)委員 そのほとんどないという、ないからワクチンは使っていいんだと。そのほとんどというのは死亡例があるわけじゃないですか。そのほとんどないから大丈夫だという判断は一体どういう判断でされているんですか、死亡例があるにもかかわらず。
○若林国務大臣 家畜の疾病に対します防疫的な措置というのは、ウイルスの感染力など、その強さというようなものを考慮して、あくまでもその疾病の蔓延を防止するという観点から決められているものと考えているわけでございまして、今委員が御指摘になりましたような、死亡例として少数あるかもしれませんけれども、この防疫措置の趣旨というのは、これが蔓延していくということを防止し、その影響を阻止するということで決められているものと考えております。
○松野(頼)委員 では、鳥インフルエンザの、例えばH5というウイルスが原因での死亡例は逆にあるんですか。
○若林国務大臣 今おっしゃられましたH5というのは、馬についてであれば、これは馬にかかりませんので、そういう例はございません。
○松野(頼)委員 いや、鳥です、鳥。例えば、H5N1。このH5シリーズの中で、要は鳥インフルエンザの病原菌が原因で死亡例があるのかというんですよ。
○若林国務大臣 国内で鳥についてはあるというふうに承知しております。
○松野(頼)委員 馬でもあるんですよ。馬のインフルエンザの感染力と鳥のインフルエンザの感染力が、一方ではワクチンを認めて、一方ではワクチンを認めないというほど明らかなデータがあるんですか。
○若林国務大臣 実は、そこまでワクチンについて委員が専門的な立場から御質問になるということについて、私の方もそのように理解をしていなかったために、私は事前の資料の準備というのが十分できておりません。申しわけないと思います。
ただ、この感染力の強さ、その広がりということについては、国際的な、今後、獣医学的な知見というものもあるわけでございまして、そういうようなことを念頭に置きながら、鳥に対してインフルエンザの影響、感染力の強さということを大変危惧した上での措置であるということをお話ししたいと思います。
○松野(頼)委員 では、そこは後で御説明をいただくなり、また時間をいただくなりという形で結構ですけれども。
もう一点、さっきの大臣の答弁で、これは農水省がずっと言い続けていることなんですが、例えば、去年の十二月十三日、決算行政委員会で若林大臣の答弁なんですが、発生の抑制には効果がある、けれども、今もおっしゃったように、感染を防御するということはございませんというふうにおっしゃっているんです。このときには、いろいろな学者の方がそういうふうに言っているというふうに答弁をされているんですが、発生は抑えられるけれども、感染に関しての抑止力がないというふうにおっしゃった、その根拠は一体何なんでしょうか。
○若林国務大臣 実験結果によりましても、そのようなことが明らかであるというふうに承知しております。
○松野(頼)委員 お配りした資料八をごらんください。
これは、OIEの中の質疑応答資料、二〇〇三年五月にパリで行われた内容なんですけれども、諸外国、特にEUやアメリカでは、ワクチンに対して、ワクチンを接種した鳥、いわゆるOIEの鳥インフルエンザの専門家でありWHOの鳥インフルエンザの特別調査委員の専門委員のカプア教授は、このアンダーラインが引いてあるところですが、ウイルスの排せつ量はワクチン未接種鶏において十の八乗であるのに比較をして、ワクチンを接種した鶏のウイルスの発生は十の二乗から四乗程度である。要は、十の八乗がワクチンを接種すると十の二乗から四乗程度に抑制されるというふうにおっしゃっているわけです。
もう一ページめくってください。これは、FAO、OIE、WHOの技術会議、専門家諮問会議でこういうことを言っているんです。「何らかの状況で、動物を大量処分することが望ましくない、あるいは、適切でない場合には、ワクチン接種が適切な選択肢と考えられる。この背景にある理論的根拠としては、ワクチン接種により感染に対する感受性及びウイルス排出(持続期間においても、排出されるウイルス量においても)が」、要はウイルスの排出が減少している。「そのため、新たな発症を減少させ、環境中のウイルス排泄を軽減させるのに適切な手段であり、その結果、ヒトへの伝播の可能性を低減させるという他の対策にも寄与するもの」である。ワクチン接種に関して、OIE、WHO、FAOではこういう説明をされているんです。
もう一つめくってください。これもOIE、FAOの共同プレスリリース。「このようなワクチン使用が健常家禽を感染症から予防するだけでなく、感染家禽からのウイルス放出量を低下させ、結果としてウイルスの他の家禽および人への伝播の可能性を抑制することが示されてきた。」今大臣がおっしゃった、発生には効果があるけれども感染に関しての防御にならないというのと全く逆の話がOIEやWHOではもう既に結論づけられているんですよ。
ですから、もう一回伺いますけれども、さっき大臣が言われた、発生には効果があるけれども感染には効果がないというのを、この論文を見てもう一回答弁されますか。
○若林国務大臣 かなり技術的な判断でございますので、今の委員の御指摘について改めて検討をした上でお答えしたいと思います。
○松野(頼)委員 要は、日本の鳥インフルエンザの今の対策というのは、発症したら全羽殺す。確かにそれは完璧ではあるんですよ、病気を蔓延させないという手段だけを考えれば。ヨーロッパでは、ずっと前からこの鳥インフルエンザに悩み苦しみながら、長い歴史を持っている状況の中で、当時は全羽殺すという処理をもちろんしてきました。ただ、それでは動物愛護的にも、また農家の皆さんの苦痛に対しても余りにもひどいということで、試行錯誤を繰り返しながらここに至っているわけです。
ですから、日本も、原始的な、発生したら全部殺すという対策だけを打つのではなくて、少し前に向かって私はやっていくべきだというふうに思っています。
もう一点。
先ほど大臣がワクチンを打った鳥が入るとほかの鳥との区別がつかなくなるということをおっしゃいました。だからワクチンは打たないんだ。それはヨーロッパでもEUでもWHOでも同じです。諸外国ではDIVAのシステムというのを導入して、おとり鳥を入れて、要はワクチンを打った鳥と病気が発生したほかの鳥の差がわかるようなシステムというのを導入しているのですが、日本はDIVAのシステムさえ今現在否定をしている状況であります。
大臣、そういう状況を踏まえて、いまだに発生したら全羽殺す、殺処分をするというこのやり方が本当に正しいのかどうか、もう一回御答弁いただけますでしょうか。
○若林国務大臣 結論から申しますと、十分検討をさせていただきたいと思っておりますが、私が承知している限り、今EUの状況のお話がございましたが、EUにおきましても、イタリアの北部でありますとかあるいはオランダの小規模農家におきます庭先養鶏などについては、ワクチンの使用を認めていると承知しておりますが、鳥インフルエンザの予防、蔓延防止対策としては、インドネシアとかベトナムとかタイなどで既にインフルエンザが蔓延しているような地域についてこれが行われており、EU全体、各国の状況からすると、一般的にはこのようなワクチン接種というものを認めているわけではないと私は理解をしておりますが、委員の御指摘でございますので、EUの状況などにつきましても、十分調査、検討をさせていただいて、答弁をしたいと思います。
それからまた、DIVAについてのお話がございました。
これにつきましては、ワクチンを接種した鶏群の中に十分な数の非接種のおとりの鶏を置きまして、定期的な検査をすることによって監視を継続することで感染を確認するということは確かに可能でございますけれども、ウイルスが農場に侵入しても、ワクチンを接種した鶏は症状があらわれない、また発見までに時間を要するというようなことから、初動防疫のおくれにつながることになることを危惧いたしております。
また、発生前から常時このような体制を整えておくということは、労力の面からも費用の面からなども多大な負担を生ずることになりまして、経済行為として養鶏業を考えますと、余り現実的ではないのではないかということを考えております。
なお、流行するウイルスの型というのはなかなか予測が困難でございまして、野外流行している株と現実に識別可能なワクチン株を事前に選定するということは困難ではないか、こういうふうに考えております。
○松野(頼)委員 今みたいな答弁を国際会議の舞台で言ったら笑い者になりますよ、大臣。DIVAまで否定をして、世界の舞台で果たしてその答弁が通るのかどうか。
最後に、もう時間になりましたから終わりますけれども、資料の十二から十五までごらんください。EUの公報をつけてあります。資料の十三、丸がつけてあります、緊急ワクチンの接種。資料の十五、予防的ワクチンの接種。これはEU公報であります。こういう形で、諸外国では、アメリカでも同じような状態。もちろん、すべて野方図にワクチンの接種を認めていない。認めてもいいなんという国はどこにもないんですよ。ただ、いろいろな条件のもとで、いかに発生したか、そして発生から蔓延を防いでいくのかということを、世界の舞台では研究しながらやっているということをどうか御理解いただいて、ぜひ大臣、前向きなことを考えていただきたいというふうに思っております。
また機会があればやらせていただきます。
○若林国務大臣 ただいま委員からお示しを受けましたEU公報、事項については日本語であるのですけれども、あと中身は全部英文でございまして、率直に申し上げまして何が書かれているのか、私はここで判断することもできません。
委員がおっしゃられました一連の御意見、御質問に対して私が答弁をいたしましたことにつきましては、改めて、私ども農林省の疫学上の専門家のところまでおろしまして、EUの事例、実際のヨーロッパ諸国がどのような対処をしているかというようなことをしっかり調べて御答弁したいと思います。
○松野(頼)委員 時間になりました。大臣、ありがとうございました。また、各委員の皆さん、ありがとうございました。
○近藤(基)委員長代理 次に、神風英男君。
○神風委員 民主党の神風英男でございます。
本日は、一般質疑ということで、先日の大臣所信質疑に引き続きましての質問をしたいと思っております。
まず最初に、中国産冷凍食品薬物中毒事案について伺いたいわけでございますが、例の天洋食品製造の冷凍ギョーザの薬物中毒事案についての原因解明が現在どこまで進んでいるのか。また、その後もいろいろ、しめさば、肉まん、ロールソースカツといった冷凍食品の中から残留農薬が検出をされているわけでございますが、こちらの事案についても、現在原因解明がどこまで進んでいるのか、またその見通しについて、まず教えていただきたいと思います。
○小野政府参考人 まず、毒入りギョーザ事件につきまして、警察庁の方から御説明申し上げたいと思います。
この事件につきましては、既に、ギョーザの流通経路の解明、関係者からの事情聴取等の日本国内において捜査が可能な項目につきましては、かなりの部分が終了しているところでございます。これまで日本の警察におきましては、捜査の結果、密封された袋の内側からメタミドホスが検出されていること、検出されたメタミドホスには不純物が混在し、日本で入手できる純度の高いメタミドホスとは異なるものであること、千葉、兵庫事案のギョーザは、中国国内から出荷された後、完全に別ルートを経由しており、日本国内での接点がないことなどが判明しておりまして、このようなことから日本国内においてメタミドホスが混入した可能性は極めて低いとの見解を示しておるところでございます。
他方、中国側は、中国国内においてメタミドホスが混入された可能性は低いとの見方を現在示しているところでございまして、現時点におきましては、両国間の見解は必ずしも一致していないという状況でございます。
○藤崎政府参考人 お答え申し上げます。
食品の薬物中毒事案の発生に伴いまして、天洋食品以外の製造者が製造した加工食品からも、先生御指摘のように、保健所や事業者の検査によりまして、メタミドホスですとかジクロルボス等の残留農薬が検出されております。
御指摘の点のしめさばですとか、あるいは肉まん、ロールカツなど、自治体の調査状況につきましては、いずれも残留農薬基準を超える原材料が使用されたというふうに判断されて、食品衛生法違反というふうに判断されております。
これらの天洋食品以外の違反事例につきましては、違反としては、違反でございますけれども、その濃度がそれほど高くなくて、残留農薬も違反事例として通常想定される範囲のものであるというふうに私ども考えておりまして、天洋食品の事案のような混入とは考えにくい、原材料に当該農薬が使用され残留したのではないかというふうに考えております。
いずれにいたしましても、個別違反事例につきましては、中国側に対して、どういう原因でそのようなことが起きたのかということについては現在調査中でございます。
以上でございます。
○神風委員 そうしますと、天洋食品の事案とそれ以外の事案とでは性格がかなり異なるということでよろしいですね。
○藤崎政府参考人 お答え申し上げます。
そのとおりでございます。
○神風委員 これは現在、天洋食品あるいはそれ以外の、山東仁木食品というんでしょうか、ニッキーフーズ関連の企業、今どういう営業状態なんでしょうか。
○小原政府参考人 お答え申し上げます。
中国国家質量監督検験検疫総局は、二月の十五日に輸出食品安全特定課題工作会議というものを開催いたしまして、各地の品質検査部門に対し、断固たる措置を行い、輸出食品の安全を確保するよう求めております。
天洋食品工場につきましては、中国側より我が方に対しまして、本事案発生を受けまして当局が操業停止を指示した旨の説明がございました。その後、同措置が撤回されたとの連絡は受けておりません。なお、同工場の当時の操業状況としては、二月四日から七日まで訪中しました日本側調査団が、原材料管理、製造工程管理、施設内管理、輸出管理等の面について中国側から説明を受けてきております。
他の食品加工工場につきましては、中国検験検疫総局から各地の関係部局に対しまして、先ほども触れましたが、輸出登録に関する従来からの要求事項と輸入国の衛生条件に関する要求事項に従って、輸出企業に対してしっかり監督管理を行い、輸出食品の安全性を確保せよという指示を出しているという説明を受けております。
○神風委員 今の御説明ですと、それ以外の、山東仁木食品とかそこら辺は今営業されているんですか、それともまだ営業停止中になっているんでしょうか。
○小原政府参考人 我が方から輸出検査の強化につきましては国家検験検疫総局に照会をいたしました。
回答は、各地の関係部局に対して、輸出登録に関する従来からの要求事項と輸入国の衛生条件に関する要求事項に従って、輸出企業に対してしっかりと監督管理を行い、輸出食品の安全衛生を確保せよという指示を出しているということで、こうした指示を受けた各地の検疫当局が対日輸出用の食品加工工場に対して同様の指示を行っている、そうした指示に基づいて個別企業ではそれぞれの対応がなされているものと承知しております。
ジェトロの北京センターによりますと、関係企業へのヒアリングをしたということでございまして、輸出申請に先立って現地検疫当局の係官による工場検査を受け入れた企業もあるということで承知しておりますが、現在のところ、私のところで全容がわかっているわけではございません。
いずれにしましても、外務省として引き続き情報収集に努めたいと思っております。
○神風委員 前回も中国国内でのHACCPの導入状況について伺ったわけですが、前回、実態は把握していないという回答でございました。
ただ、中国国務院が公開しております中国の食品の品質と安全状況に関する白書によると、中国全土には四十四万八千社の食品生産加工企業がある、その中で十万七千社が品質安全市場参入資格を取得しており、さらに二千六百七十五社がHACCP認証を取得しているということが書かれておりまして、これからしますと、中国の食品製造業全体に占めるHACCPの取得の割合というのは〇・六%ぐらいという理解でよろしいでしょうか。
○藤崎政府参考人 お答え申し上げます。
〇・六%の数字がどうかということにつきまして、私ども今手元にその数値を持ち合わせておりませんので、正確にその値でよろしいかどうかについてお答えできませんので、また後ほど御報告させていただきたいと思います。
今お話に出ました山東仁木食品につきましてということでございますれば、今先生おっしゃられましたような中国の輸出食品生産企業衛生登録登記管理規定というのがございまして、その中で衛生登録証書または衛生登記証書を取得した後に輸出食品を生産及び加工できるとなっておりまして、その中に衛生登録に関するHACCPシステムの審査を要する製品目録というのがございまして、その中では肉または水産物を含む冷凍即席食品というのがございますので、この山東仁木食品につきましてはHACCPの対象になっているというふうに私どもは理解をいたしております。
以上です。
○神風委員 また詳しい数字は後で教えていただきたいと思います。
これは一般論で結構なんですが、HACCPの工程管理によって残留農薬を排除するということは可能なのか。一説には相当コストがかかってしまうために現実的には難しいという話も伺うんですが、HACCPの工程管理によってそれが可能なのかどうか、あるいはGAPを用いればそれができるのかどうか、そこら辺はいかがなんでしょうか。
○藤崎政府参考人 お答え申し上げます。
HACCP手法は、先生御案内のとおり、原材料の受け入れから最終製品に至る一連の製造工程において、危害発生を防止することができる工程を重要管理点として定めまして重点的に管理する手法でございます。
そういう意味からいたしますと、原料中の多種多様な残留農薬につきましては、製造工程で重点的に管理することが困難でございます。したがって、HACCP手法の重要管理点とすることは難しいというふうに考えております。
そういう意味で、残留農薬基準に違反する原料の排除につきましては、HACCP手法導入の基礎となる一般的な衛生管理において対処すべきというふうに認識しておりまして、農家との契約時や原料購入時に適切なGAPの実施について確認することが重要である、このように考えております。
○神風委員 今、天洋食品あるいは山東仁木食品、いずれもHACCPの認証を受けているということであったんですが、恐らくこれは両社とも中国国内では相当エリートの企業なのであろうと推測をされるわけであります。
そういう中で、今度、五月の六日ですか、中国の胡錦濤主席が来日をされる。今回のチベット問題とあわせて、この中国の中毒事案についてどういう方針で臨まれるのか、それについてお伺いしたいと思います。
○小原政府参考人 お答え申し上げます。
食の安全につきましては、日中両国国民共通の重大な関心事という認識でおります。本件ギョーザの問題につきましては、一日も早く真相を究明して、両国国民の不安を解消すべく、日中の関係当局が緊密な協力を行っているところでございます。
現在、捜査当局間でも協議が進んでおります。先般、中国側の鑑識の専門家等も訪日をいたしました。また、日本側でも、そうした専門家が中国に行くという予定になっております。
胡錦濤国家主席の訪日につきましては、現在、中国側と調整中でございます。首脳会談の議題等、未定でございますが、十年ぶりの中国国家主席の我が国公式訪問でございまして、今後の日中関係にとって重要な意義を有する会談となるよう、準備を進めていきたいと考えております。
胡錦濤国家主席訪日の成功に向けて、本件問題につきましても、あるいはただいまチベットの問題につきましてもお話が出ましたが、いろいろな懸案はございますが、引き続き日中間の協力を進めていく所存でございまして、本件ギョーザ問題につきましては、一日も早い真相究明に向けて、特に捜査当局間での協力が進展するよう、外務省としても最大限の努力を払う所存でございます。
〔近藤(基)委員長代理退席、委員長着席〕
○神風委員 ちょっと一点大臣に御検討いただければなと思うことがございます。
一昨日も、この冷凍ギョーザの事案がニュースで報道されておりました。この事案に関して、政府からもあるいはマスコミからも、表現としては中国製冷凍ギョーザという形で、全部中国製という形で書かれているわけですよね。
ただ、実際には、これは正確に言いますと、今御説明があったとおり天洋食品製造の冷凍ギョーザであるわけですよ。その天洋食品の製品と他の食品とでは、これは事件性の中でもレベルが相当違うというか、その問題の内容が相当違うのであろうと思うわけでございまして、特にまた国民の皆さんにとっても、単に中国製冷凍ギョーザと言うよりは天洋食品製冷凍ギョーザと言った方が、関心というかそれをきちんと喚起できるのではないかなと思うわけでありまして、ある意味では、中国製冷凍ギョーザと言うよりは天洋食品製造の冷凍ギョーザと表現していただいた方が的確ではないかなと思いますが、いかがでしょうか。
○若林国務大臣 このたびの天洋食品製造に係る冷凍ギョーザの問題につきましては、実は、まずは原因の究明が先決だというところから着手しているわけですね。
原因が、残留農薬、つまり農業生産場面における原材料の生産過程のところにあるということであるならば、これは冷凍ギョーザを製造している他の工場についてもその危険が予測されるわけですね。しかし、いろいろ指摘があるように、工場における製造過程でこれらの毒物が混入されたんだということであれば、それは当該天洋食品工場の問題に限定されるわけであります。
その原因のところが明確になっていないために、これは私どもが中国産の冷凍ギョーザ全体がおかしいと言っているわけではないんですけれども、原因がはっきりしないところから、ギョーザに限らず他の冷凍食品に対しても中国産の問題について大変な危惧、不安が広がっているんだというふうに私は理解をいたしているところでございまして、今の時点で天洋食品のものだけが問題だと言い切るには、その原因が解明されていないということで、ちょっと私の方からはそれに限定するというふうに申し上げる状況にはないと思います。
○神風委員 いや、全般ではなくて、例えば一昨日の報道も、これは天洋食品の冷凍ギョーザに関して一万九千ppmを超えるようなメタミドホスが検出をされたということでありますから、ある意味では、中国製と言うよりは天洋食品産の中国製の冷凍ギョーザと言った方がより正確ではないかな、それだけちょっと指摘をさせていただきたいと思います。
本日は全農の米本常務もお見えでございますので、せっかくの機会でありますから、一点だけ確認をさせていただきたいと思っております。
平成二年から、全農さんの方で日本の和牛をアメリカに輸出しているかと思います。相当輸出量も拡大傾向にあるということでありますが、実は、一昨年ニューヨークに行ったときに、地元の関係者の方とお話をしていたときに、日本の和牛は人気が高いんだけれども品薄であるというようなお話がありました。
その原因を伺ったところ、日本からアメリカに輸出できるのは、HACCPを取得している四カ所の工場だけである、そのHACCPの認定工場がふえないためになかなかこの輸出量が伸びないんだというようなお話であったんですが、先般の委員会で農水省さんの方にも伺ったときには、これは四施設の処理能力はまだまだ余裕があって、処理能力がないから輸出が伸びないという関係にはないというような農水省さんの御答弁であったんですが、当事者の全農さんとしてはその点どういう御認識なのか、お答えをいただければと思います。
○米本参考人 まず、恐縮なんですが、私は米穀担当理事でありますので、畜産部門から私が確認したという範囲での答弁にさせていただきます。
現在、国内で四工場の認定工場があるということで、今御質問のあったとおりでございます。系統工場は群馬、宮崎、鹿児島の三工場でございます。
対米向け輸出等で厚生労働省が定める輸出食肉を取り扱うと畜場等の認定要綱というものがあって、この要件が施設のハード面の部分とソフト面で非常に厳しいというように聞いております。このソフト面の部分にHACCPの衛生管理というのが要件に入っているということでございます。このHACCPの衛生管理に関しては、高額な投資が要るということでかなり課題もあるわけでございますが、これはやはり時代の趨勢だというふうに全農としては考えております。そういう意味で、今後、この方式での衛生管理を拡大していきたいというふうに考えています。
それから、今後、現行の三工場をオペレーションの効率化でさらなる輸出能力を図るわけでございますが、効率化だけで大きくふやそうとすると当然限界が出てまいりますので、そこは国の事業等を有効活用させていただいて認定工場をふやしていきたい、そういうことで輸出量の拡大をしてまいりたいというふうに考えております。
○神風委員 ありがとうございました。
前回、国営土地改良事業について質疑をさせていただきました。昭和二十四年から国営土地改良事業が開始をされまして、これまでの委員会でも何回か質疑をさせていただいたんですが、当初計画の総事業費の見込みと実際に最終的にどれぐらい事業費がかかったのか、あるいは最初予定していた工事の期間と最終的にどれぐらいかかったのか、あるいは農地が国営土地改良事業によってどれぐらい造成されて実際に今そのうちでどれぐらい遊休農地化してしまっているのか、そういったことについて知りたいということで農水省に以前問い合わせたところ、文書期間の十カ年を超えてしまう範囲はわからないというようなことであったんですが、前回、若林大臣のその作業に取り組むという非常に前向きな発言でございましたので、現在、その作業がどのぐらいまで進んでいるのか、まずはその点からお伺いしたいと思います。
○若林国務大臣 公式に事業部局が文書として持ち、その文書の中で委員が要求されております諸事業を把握するということは、これは可能なんですね。しかし、公式の文書の保存期間、一般的にいえば十年というような期間を過ぎますと、公式の文書というのはないわけであります。そこで、かねて事務方が委員にはそのようなことをお伝えしたんだと思います。
私ができるだけやりますと言っておりますのは、そういうことではなくて、国営土地改良事業の完成に伴って記念誌を発行しているとか、そういう部内資料というのは大きな事業については大体つくっているものだという前提に立ちまして、事業ごとに、事業所も含めて農林省の中にそういう事業計画書が保存されていない地区がかなりあるわけでございますが、今、そういう事業の完成を待ってつくられた事業情報誌、事業の記念誌といったような関係資料にまで当たって必要なデータを収集する作業をしろという指示を出したところでありまして、これは実は膨大な作業になります。
そういう意味で、様式も決めまして、それらを今各農政局におろして、農政局で事業別にそのような資料があるかどうかを関係者に問い合わせて、その資料に基づいて埋められるものは埋めて御報告できるようにしたい、こう思っております。できるだけ急がせているところで、早期に取りまとめができるように作業を進めております。
その際に、すべてが埋まらなくても、ここまではこういう形で資料が収集できた、埋まったというような段階で委員には一度御説明ができるようにしたい、こう思っております。
○神風委員 ぜひなるべく早い段階でその資料を教えていただきたいと思うわけでございます。
時間もなくなってしまいましたので、簡潔に伺います。
第四次の土地改良長期計画がございました。これは平成十四年で打ち切りになったわけでありますけれども、その中で述べられていた農地造成事業と、その後、平成十五年から十九年にわたって五カ年の長期計画ができて、今、平成二十七年までの間に一万ヘクタール造成をするという目標になっているようでありますが、その第四次長期計画のときの農地造成事業の中身と今やっている農地造成事業の中身、言葉は同じでありますが、その中身はかなり性格が違うものなんでしょうか。確認の意味でお伺いをしたいと思います。
○中條政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、第四次長計における農地造成の意味合いと現在実施中の第五次の長期計画につきましては、若干意味合いが異なっているというふうに私ども認識をしております。
といいますのは、第四次長計のときは、再三御説明申し上げておりますように、これは整備をする整備量とそれに伴う事業費、その両方を十年間にわたってこれだけ必要であるということで算定をしておりまして、その後者の中に農地の拡大というものも位置づけをいたしまして農地造成を位置づけたわけでございます。
第五次長計につきましては、そもそも長期計画と呼ばないんですけれども、法律に基づく長期計画でございますから仮にそう呼ばせていただきますと、それにつきましては、確かに食料・農業・農村基本計画の農地の確保ということで、一万ヘクタールの農地の拡大といいますか造成を位置づけておりますが、これは積極的に農地造成として位置づけるという意味合いよりは、むしろ区画整理ですとかあるいは草地整備、そういった事業を行いますときに外縁部を同時に取り込んで行うようなところがございます。そういった工事に伴って取り込む部分が予想されますので、そういったところをおよそ十カ年、十一カ年にわたりまして合計一万ヘクタール予定をしておる、こういうことでございます。
○神風委員 最後に一点だけ伺いたいんですが、基本計画で、平成十六年現在で農地面積が四百七十一万ヘクタールであった。恐らく、これから耕作放棄地が進展をしていくあるいは転用が進んでいくということで四十万ヘクタールがなくなって、平成二十七年に四百三十一万ヘクタールになるであろうという予測の中で、二十七年までに十九万ヘクタールふやそうという計画でありましたよね。その十九万ヘクタールと今の農地造成の一万ヘクタールというのはどういう関係にあるんでしょうか。
○中條政府参考人 お答えいたします。
委員のお話にございましたように、平成十六年現在の農地面積が四百七十一万ございまして、このままで趨勢いたしまして、恐らくは農地が減っていって、二十七年時点では四百三十一万ヘクタールになるであろうというふうに推定をしております。
これでは十分な対応ができませんので、農地を確保するという意味合いから諸般の施策を私どもが行いまして、それによりまして、御指摘のとおり十九万ヘクタールを確保したいというふうに考えておりまして、結果として四百五十万ヘクタールの農地を確保するというふうに考えておるわけでございますけれども、その十九万ヘクタールの中に、今申しました区画整理ですとかあるいは草地整備に伴いまして外縁的に取り込む部分が一万ヘクタールあるだろうというふうに私どもは想定しているところでございます。
そういう意味で、十九万ヘクタールの内数というふうに私どもは了解しています。
○神風委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。
○宮腰委員長 次に、石川知裕君。
○石川委員 民主党の石川知裕でございます。
本日は、まずJAS法の表示問題と制度改正について、そして補助事業の厳正かつ効率的な実施についてお尋ねをしたいと思います。
昨年の流行語大賞や、昨年一年間の一字をあらわす食品偽装という問題が大変大きく取り上げられました。本当に偽装問題は余りにも多過ぎて、忘れるぐらい多かったですよね。私は北海道なので、白い恋人ですとかミートホープ、こういった問題が北海道からも出てきたわけであります。赤福の問題も、私の地元の十勝というところでつくった小豆なものですから、本当にそういう意味では生産者の方々にもしわ寄せがいっているというのが現状だと思います。ミートホープも、コロッケに、私の地元でも大変ジャガイモを使っているんですけれども、大臣、ジャガイモが最近なかなか流通していかないということで、地元の農家の方から何とかしてくれという声も寄せられております。
しかしながら、最近、数多くの偽装問題が摘発されている中で、水産物の偽装が結構多くなってまいりました。フグ、ちりめんじゃこ、ワカメ、クエと、水産物の産地偽装が多くなっています。その中でも特にウナギの偽装が目立って多いのではないかと思います。
平成十四年二月一日から、かば焼き等ウナギ加工品についてはウナギの原産地表示が義務づけられているが、その年の十月に伊藤忠フレッシュが台湾産を鹿児島産と偽って販売をしていたことが判明しました。その後、農林水産省は、「うなぎ加工品の原料原産地表示に係る追跡確認調査」、きょうの資料の二ページから五ページに農水省が発表した追跡調査の資料を添付させていただきましたけれども、十五年七月に実施し、全国で小売店は三千五十七店舗、加工業者は百八十四業者、そして八十商品のDNA分析を行った。原料原産地表示が不適正であった商品をつくった加工業者に対して後日現地において改善状況を確認した結果、すべて改善が図られていたと調査報告書では、四ページの中ほどではないかと思いますが、書かれていると思います。
昨年、ウナギの産地偽装にかかわって調査した業者は何件でしょうか、立入検査は何回行いましたでしょうか。答弁をお願いしたいと思います。
○佐藤政府参考人 御説明を申し上げます。
昨年八月以来、一連のウナギの産地偽装につきましては、六十三業者に調査を行いまして、延べ調査回数は百六十二回でございます。
○石川委員 調査した業者数は六十三社、立入検査は百六十二回に上ると今言われましたけれども、今年度の産地偽装に関する調査でも、資料の一番上に添付をしておりますけれども、ウナギの産地偽装摘発の回数というのは非常に多いんですね。
二〇〇七年九月五日原田穂積商店、これはテレビでも報道されました、随分大きく報道されました。まあ、九社ありますけれども、ウナギはやはり突出して産地偽装が多いと思いませんでしょうか。局長、どうでしょうか。
○佐藤政府参考人 御説明を申し上げます。
委員御指摘のように、きょう資料を配られておりますけれども、この九件でございます。
一から八までの件につきましてはそれぞれ政令指定都市あるいは県の方で指導しているところでございますし、九番目の事項については農水省の全国案件であることから農水省が指導しているところでございます。
ウナギの関係につきましては、件数としてかなり多いというふうに感じております。
○石川委員 平成十五年にこれだけ大がかりな調査をやったにもかかわらず、去年、十九年九月五日に原田穂積商店というのは随分大きく報道されましたよね、それでもまだ出てきている。例えば山政、さかな家物産店はJAS法違反と判断され、指示の行政指導を受けました。その他は厳重注意とされております。マスコミは記事にしますけれども、業者間取引というだけで、JAS法上は何ら処分されていないというのが実態だと思います。
ほかの食品偽装や品質問題を起こした企業は自主回収を行ったり謝罪会見等を開いたりしているのが見受けられますけれども、指示や厳重注意を受けたウナギに関連する偽装業者は、自主回収を行ったり、また利益の没収等をされたとか、こういうことはありましたでしょうか。
○佐藤政府参考人 御説明を申し上げます。
JAS法の品質表示につきましては、一般消費者の選択に資するということを目的としております。そのため、事業者が偽装表示を行った場合には迅速に是正を指示し、その旨を公表すること等によりまして、その表示を早期に適正化することとしております。偽装商品に関しまして回収する制度はございませんけれども、厳重注意を受けた一業者が自主的に商品の回収を行ったところでございます。
それからもう一点、不当表示による不当利得を剥奪する制度でございますけれども、これは課徴金制度を導入する等の景品表示法の改正法案が今国会に提出されておりまして、食品表示につきましてもその対象となりますことから、今後、公正取引委員会とも連携をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○石川委員 こうした中で、それぞれ景品表示法やほかの法律で取り締まっていく、JAS法ではなかなか取り締まれない現状であると思うんですけれども、風評被害を受けた、ほかのまじめにやっている業者の方が一番被害をこうむっている。やはりこれはきちんとこの業界の体質というものにメスを入れていかなければいけないと思います。
次に、きのうですか、四月一日から、JAS法が法改正ではなく大臣名での告示の改正ということで有識者の検討会の取りまとめを踏まえて行われました。この中で気になるのは、本当に実効性の伴った改正であるのかという点です。
JAS法では、品質表示基準違反があった場合に、直ちに罰則を科さずに、三段階目になったときに初めて罰則、罰金となるわけですね。一回目は表示の是正の指示、公表。次が、指示に従うよう命令、公表の手順を踏んだ上で、懲罰または罰金が科される仕組みになっています。
今までは、業者間、いわゆる輸入業者、産地問屋、この流通の部分はJAS法で問えなかったということで、今回からは、この四月一日からは、今までは厳重注意にしか問えなかったけれども、そこがJAS法の適用になって、いわゆる指示、公表というところが第一段階でとられるということであります。去年九月に一件目が厳重注意を受けてから、七件も八件も九件も出てきている。今までは厳重注意。今度は指示、公表ということですけれども、この四月一日から告示改正を行って、果たして本当に……。不正を行っていた業者の方も、一回目は指示、公表だからといって、これからもたかをくくるんじゃないでしょうか。どうなんでしょうか。これで本当にこの業界全体にメスを入れることができますでしょうか。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
JAS法の場合につきましては、商業活動をしている方に対する指導あるいはペナルティーということでございますけれども、指示、公表の場合にはその社の名前がマスコミに載ったり、あるいはテレビで報道されたりするわけでございますので、社会的には極めて厳しいペナルティーであるというふうに認識しております。これを迅速に行うことによりまして偽装表示の抑止力は大きくなるというふうに思っているところでございます。
○石川委員 マスコミに載ったり、公表もしたり、それは厳重注意のときも同じですよね。今度の指示、公表のときも同じですよね。でも、摘発されたところは、恐らく今もきちんと商売しているところがほとんどだと思いますよ。
このJAS法なんですけれども、三段階で、指示、公表、次が命令、公表、そしてそれに従わなかった場合、懲罰、罰金を適用ということになっていますけれども、大臣にお答えをいただきたいんですけれども、過去にこのJAS法の適用によって懲罰または罰金を適用された業者というのはおりますでしょうか。
○若林国務大臣 ございません。
○石川委員 ということは、大臣、もう一度お答えいただきたいんですけれども、この改正によって、本当に取り締まりが強化されて、まじめにやっている方々が風評被害によって苦しまないように業界の体質が改善されるとお考えでしょうか。
○若林国務大臣 食品の加工流通業は、委員御承知のとおり、大企業から零細、個人営業まで非常に幅広くございます。とりわけ中小企業、零細、個人事業者というのは非常に多いということがございますので、このJAS法上の表示義務違反などについて、偽装問題の是正はそれぞれの業者のコンプライアンスを徹底する手法をもってしなければなかなか徹底しない。そういう意味で、食品産業全体について、過日、手引書を作成して、業界諸団体を通じまして、零細な事業者にまで手引書に基づいてきちっとした適用を確保してもらうという指導に入ったところでございます。
JAS法自身の意義というのは、大部分の事業者は早期にこの事実を公表し、委員がおっしゃるように指示、公表というものを通じて是正されているわけでございまして、中には、事業者の企業上の死命を制するような打撃を受けた結果、事業廃止をせざるを得ないというようなものもかなり出てきているわけであります。しかしながら、繰り返し悪質な事業者が野放しになっているのではないかということでございます。
そこで、昨年の十一月の六日に、警察庁と農林省との間で食品にかかわる偽装表示事案対策について連携を強化するということを申し合わせをいたしたところでございまして、悪質な事案については、表示の是正という指導のみならず、経営者に刑罰を科することも重要な抑止効果になるというようなことでありますので、このような案件につきましては、不正競争防止法あるいは刑法におきます詐欺罪などの適用に向けまして警察庁の方と十分連携をとって厳しく対処してまいりたい、このように考えております。
○石川委員 次に、警察庁の方にお尋ねをします。
去年もミートホープの事件のときに、北海道庁と農林水産省の方で、告発は農林水産省が受けて、ミートホープは道内の業者だから、これは自分は道内の業者の管轄だと思って連絡したと。そうしたら、道庁の方では、いや、そんなことは聞いていないと。非常に縦割り行政の弊害がミートホープの事件のときにあらわれたんですけれども、この警察との連携ですけれども、警察の方で、昨年、ウナギに限定でいいですけれども、例えばウナギの違反で摘発したということはありましたでしょうか。
○井上政府参考人 昨年から現在まで食品の偽装表示に係る事案は四十件、二十一人を検挙しておりますが、ウナギに関する偽装事件の検挙はございません。
○石川委員 去年、百六十二回も立入検査をしている、六十三業者に調査が入っている。これは、やはり連携がまだちょっと足りないんじゃないかと私は思います。
きょうも朝日新聞に「消費者行政の新組織 強い権限求める 推進会議 論点整理」ということで出ていますので、ぜひ連携をとって、厳しく偽装を行っている業者を取り締まって、まじめにブランドづくり等に頑張っている方々をどうか助けていただきたいと思います。
時間がなくなってまいりましたので、次に、補助金の厳正かつ効率的な実施にかかわることについてお尋ねをしたいと思います。
去年、大臣の前任の遠藤大臣が補助金の不正受給にかかわる件で辞任をされました。この補助金の不正受給、本当に、農林水産行政のお金を無駄に使うことは許されないのでありまして、きちんとこれを厳しく追及していかなければいけないところでありますけれども。
農林水産省の強い水産業づくり交付金が、十七年度、十八年度にわたり、熊本県下益城郡富合町にある緑川養殖センターの建設に充てられました。この緑川養殖センターは、これまでばらばらに行われていた県内の養鰻場を一カ所に集約し、大量生産を行い、活性化させていくという目的でつくられました。これは資料の八ページ、九ページ。これは農水省の方から、このセンターはこういうセンターですよということで去年いただいた資料であります。
まず、熊本県内のウナギ養殖業者ら十一名が集まって緑川養殖漁業生産組合を立ち上げて、ここが同予算の中より平成十七年度六千六百六十六万円、十八年度三千三十五万円、合計すると一億円の補助を受けておりますけれども、これは農水省として事業目的に沿ってきちんと今も運営されているとお考えかどうか、簡潔にお答えいただきたいと思います。
○若林国務大臣 この補助金でありますけれども、実は強い水産業づくり交付金というのは、個別の補助対象事業箇所について農林水産省が判断して補助金を交付するのではなくて、地方の自主性を生かした形で水産施策の展開を支援するということでございますので、国は都道府県からの申請に基づいて都道府県全体の交付金を一括して交付する、個々の事業主体への具体的な配分は都道府県にゆだねられている、そういう制度だということをまず御理解いただきたいと思います。
御指摘がありました緑川養殖センターの施設につきましては、熊本県によれば、この養鰻漁業協同組合が事業主体となりまして、ウナギの生産の増加や価格の向上を目標としてその組合の組合員が利用するというものでありまして、十七年から十八年の二カ年で施設の整備が終わったというふうに承知いたしております。このような趣旨、目的に従って現在施設の運営がなされていると熊本県からは報告を受けておりますが、この緑川養殖センターを利用している十一人の中には建設会社の役員などもおられまして、それらの人たちが養殖業をやっていないのではないかというような御指摘もあったようでございますが、それらの方々は現在は漁協に加入をいたしまして、漁協の組合員として緑川養殖センターを利用しているというふうに聞いております。
○石川委員 これは資料の十ページをごらんいただきたいんですけれども、この緑川養殖漁業組合の名簿を熊本県から取り寄せたところ、今大臣もお話しありました、脱退者を除く十一名のうち四人は企業役員です。他の七人も建設業やミカン農家。養鰻業者と言える方々は極めて少ないんです、一人と言ってもいいぐらいですね、これは。
そうすると、これはもともと熊本県内の養鰻業者を一カ所に集めて効率的にという目的で補助金の申請を行って交付になったわけですね。しかし、実態は、養殖センターは鹿児島県から養鰻経営者を呼んで所長として管理させているのが実態です。四人の役員の勤め先は、ある企業グループの会社群です。これはヨーマングループといいまして、代表は熊本県議会議長の村上寅美さんという方です。自民党の県の政調会長も務められた方で、熊本県では大変な実力者。一昨年の総裁選では、安倍総裁誕生に向けて熊本県の票をまとめた立て役者なんてどこかの新聞に載っていましたけれども。
ただ、この緑川養殖センターでつくられたウナギは加工会社ヨーマンに全量を出荷されることになっています。緑川養殖センターに農林水産省と熊本県からそれぞれ補助金が行って、緑川養殖センターでつくられたウナギは全量ヨーマングループが買い取っているということになっております。
ところで、大臣はこの村上さんという人物を御存じでいらっしゃいますか。
○若林国務大臣 委員から通告があったときも私は念頭に浮かばなかったのでございますが、いろいろ調べてみましたら、実は、熊本県で育樹祭というのがございました。これは熊本県におきまして、林野関係の育樹祭でございます。皇太子殿下もお出ましいただいたわけでございますが、その育樹祭のときに、熊本県知事が主催をいたします夕食会というのがございまして、江田参議院議長初め農林省関係、林野庁長官などもそれに出席したわけでありますが、その名簿を見ましたら、熊本県関係者としては、知事、副知事、そして熊本県の議会議長、農林水産部長というのも出席をいたしておりましたので、その席でお会いはしているんだなという程度でございまして、記憶にはないんです。
○石川委員 阿蘇プリンスホテルで、そういう夕食会で会食をしたということで私も聞いております。別に大臣と個人的にどうだということを追及しているわけではありません。
しかし、ヨーマングループの構図を見ますと、九州生鮮という会社が、グループの一社でありますけれども、昨年、偽装事件が発覚をいたしました。昨年十二月二十五日に熊本県が厳重注意をいたしました。これは単なる業者間の取引の偽装事件にとどまらないで、一連の流れの中で偽装事件が起きたわけであります。特に、緑川養殖センターというところに国の補助金、県の補助金が行っている。その養殖センターからヨーマンに、すべてヨーマンが買い取っている。ですから、これは考えようによっては、自分の会社に入れるウナギを公金を使ってつくらせている構図も浮かび上がってくるわけであります。
会計検査院にお尋ねをしたいんですけれども、会計検査院は、一連の、こういう問題が今少しずつ少しずつ起きてきているわけですけれども、この熊本県の緑川養殖センターに調査に入ったということはありますでしょうか。
○鵜飼会計検査院当局者 お答え申し上げます。
会計検査院といたしましては、現在検査の途中でございまして、個別の検査についての御質問に対しましてはお答えを差し控えさせていただいているところですが、ただいまの先生の御議論を十分念頭に置いてまた検査を実施してまいりたいと考えております。
○石川委員 では、通常の検査で熊本県にはことし入りましたでしょうか。
○宮腰委員長 もう既に民主党の持ち時間が終わっております。
○石川委員 わかりました。最後にこれだけで結構です。
○鵜飼会計検査院当局者 この緑川養殖センターに対しましては、先生今お話しのとおり、十七年度、十八年度で補助金が、交付金が交付されておりますので、検査には入っております。
○石川委員 時間が過ぎて申しわけありませんでした。
最後に、大臣、これは資料の途中でつけているんですけれども、去年、「補助事業等の厳正かつ効率的な実施について」というのを通達されたと思います。これをもとに、まじめに頑張っている業者さんが風評被害等で泣くような社会ではいけないので、これはぜひ正していただきたいと思います。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○宮腰委員長 次に、菅野哲雄君。
○菅野委員 社会民主党の菅野哲雄です。
お忙しい中、参考人として出席された全中の冨士常務、全農の米本常務、本当に心から御礼申し上げる次第でございます。
さて、昨年から全農は、米農家への仮渡金方式を見直して、内金を払って後で追加額を払う概算金方式に変更をしました。内金として、昨年九月に六十キロ当たり七千円を打ち出したわけです。この七千円という低価格が、販売価格の下落を呼び起こし、農家の不安を増大させたのではないかと多くの方が指摘されています。
全農の常務にお伺いしますが、この概算払い方式と内金七千円という額について、適正な対応だったのか、答弁願いたいと思います。先ほどの質疑で、経過については理解いたしました。しかし、市場に与える影響をどう考えていたのか、その点について答弁願いたいというふうに思います。
○米本参考人 今先生から御質問がありましたように、一律七千円ということがマスコミに流れて、農家にとっても米価が七千円まで下がるという誤解を招いてしまったということは本当に申しわけありませんでした。
ただ、先ほども述べたんですが、全農としては一律七千円ということを決めたのではございません。各県域ごとに適正な水準で決めてください、また返していただくということにならないようにしてくださいというので決めました。一方で、七千円も議論したことは確かにありますので、それが流れてしまったということ、ここは反省しております。
それから、市場に対する影響、ここは七千円の問題もありますが、全農みずから、八月段階で、世の中に、十九年産は生産調整が未達成になって供給過剰になるということをアナウンスしてしまいました。早い時期にスタート段階で価格が乱れたという原因の一つになったかなということで、ここは特に反省しております。
そういう中で、緊急対策を十月の末にやっていただいたということによって価格が反転した、下げどまったということでありまして、ここのところは感謝しております。
○菅野委員 十九年産米の総括の上に立って、反省の上に立って、しっかりと二十年産米の対応をしていただきたい。そういう意味では、農水省の発表した緊急対策の部分にもこの部分は盛り込まれていますから、それを受けてしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
次に移ります。
東北の新聞社が行ったモニター調査の結果が先日公表されました。それによりますと、〇七年産米の米価暴落で、前の年に比べて減収となった農家が専業で約六六%、兼業で七三%、兼業農家は五割が赤字になったと答えております。この最大の原因は、生産調整がうまく機能しなかったことと言われています。
社民党は、そもそも強制減反による生産調整ではなく、所得補償による政策誘導が必要と考えていますが、それにしても四十三万人以上が生産調整に参加していない、そこで七万ヘクタールに及ぶ過剰作付が行われ、二十三万トンの過剰米が発生しているような現状では、米価が安定しないのも当然です。
そこで、全中の冨士常務にお伺いしますが、昨年から生産調整の中心が農業者と農業団体に移ったわけですけれども、国や自治体の強い関与がなくても生産調整がうまく機能すると考えているんですか。
昨年の生産調整、とりわけJAの系統外に出荷しているような農家との協議はどうだったのか、その総括をお聞かせ願いたいと思います。
○冨士参考人 JAは生産調整方針作成者ということで地域の水田協議会に参画をしております。JAの方針に参加する生産者に対しては、生産調整を実施するよう指導しております。また、JA以外の業者でも、生産調整方針作成者として地域の水田協議会に参画している場合は、方針参加農家に対して生産調整を指導しているというふうに思います。
しかしながら、どの生産調整方針作成者にも参加しないで生産調整を実施しない農家がいるために、先生おっしゃったような生産調整の実効確保が困難になっているという実態があります。このため、JAグループとしては、十九年産からの生産者、生産者団体による需給システムにおきまして、JAグループの方針に参加しない未実施者、その米を取り扱う業者に対しては、行政等から強力に指導してもらいたいということを政府にお願いしてまいりました。そして、昨年の秋、政府の方で、「当面の生産調整の進め方について」という中で、生産調整非実施者や非実施者から集荷している集荷業者それから販売業者に対しても、適切な対応をとるように強力に要請するということを打ち出していただきました。
そういう意味で、我々JAグループとしても、今後、行政、関係機関と一体となって、計画生産の実効確保に向け、徹底した取り組みを行っていきたいというふうに考えております。
○菅野委員 この問題はこの農水委員会でもかなり議論してきていて、今の方式に切りかわっているわけです。それで昨年の状況が生まれているわけですから、これからの取り組みというものがどう展開していくのか、私はここが重要だというふうに思っています。
政府や自治体が関与しなければ本当に機能しないんだという視点をしっかりと持つべきだというふうに私は思っています。すぐという形にはならないですけれども、後戻りじゃないです、どういう形で行政が関与していくのかという視点を、これからもしっかりと議論していかなければならない課題だと私は位置づけています。
それから次に、単純に数字の問題として全農の常務にお聞きしますが、米の集荷量のうち、JAが担っている量と割合はどの程度なのでしょうか。この数字が上がらない限り生産調整もうまく機能しないと思います。今後、この数字をどの程度の水準にまでどうやって引き上げるつもりなのか、この点もお聞かせ願いたいと思います。
○米本参考人 まず、現状でございます。
平成十九年産米で全農が委託して集荷するという数字は、今現在三百三十二万トン程度だというふうに考えています。その三百三十二万トンは、生産量八百七十一万トンからすれば三八%のシェアでございます。これは全農まで委託した数字でございます。農協が自分でみずから売っている数字というのは、統計データできちっと把握できない形になっておりますので、そこのところをいろいろ聞き取ったり推定したりすると、八十万トンぐらい、この外にあると考えています。そうすると、三百三十二万トンに八十万トン程度乗ると、シェアは四八%程度かなというふうに思っています。
かつては、全農、JAグループ、これは食管法の時代でございますが、六五%ぐらいのシェアがありました。そのときは、流通ルートも特定され、流通規制もあったという中でございますが、そういう時代もあり、流通が完全自由になる中でここまで落ちてきたわけでございますが、まず、どこまで上げていくのかという先生の御質問、難しい御質問でございます。
まず、平成二十年産、ことしの米で全農のシェアは、実を言いますと去年から二ポイント、去年までは全農のシェアが四〇%でした。それが三八になっていますので、そこを四〇まで戻したいというふうに考えています。その部分は、JA扱いも当然ふやしていきたいというふうに考えております。
○菅野委員 すべてを市場競争にゆだねていくという中で、私は、JAの系統が本気になって食料を守る、米を守るという視点をどう全体として確認していくのかというのは大きな課題だというふうに思っています。市場競争になったんだからということで、その課題を放棄してしまわないように、私はしっかり取り組んでいただきたいというふうに思っています。
もう一点、全農の米本常務にお聞きします。
全農は、先月段階で、〇七年産米の米穀取引・価格形成センターでの入札取引をやめることにしました。センターでの落札数量は四万トン程度と聞いておりますから、JAの全集荷量のうち、センターを利用している割合もごくわずかになるわけです。その理由をお聞かせください。
あわせて、集荷量の残りの部分は米卸業者に相対販売していると思いますが、販売価格の水準はセンターでの落札額と同じ水準なのでしょうか。この点、お願いします。
○米本参考人 現在、米の流通は、青果物と同じように完全に自由になっております。そういう中で、米の販売は各集荷業者、生産者も含めて、相対交渉で各取引先と契約がどんどんされていく、こういうような形になっています。そういう中で、今、入札でやっておるわけでございます。
入札のときに、買い手側で、買い手の方がセンターで入札で米を買いつけるというメリットが少なくなってきているんだろう、やはり安定的に買いたいと。入札だと、買えるときもあれば買えないときもあります、買ったけれども高い価格で買ってしまったという場合も出てまいります。そういう意味では、入札の結果を見て、後は相対で買うとか、買い手さんもそういうような形になっている。
売り手の方も、入札にかけると、売りたいところに、安定的に顔の見える取引で売り手の方も売っていきたい、そういうような傾向になってくる。だから、売り手の方も相対取引を志向する側面があるということでございます。
十九年産に関しては、出来秋から落札状況も勘案して上場を行ってきましたが、今、相対契約も含めて、全農のことしの主食用として一般米で売る米、二百五十六万トンの計画になっています。それに対して、今二百五十万トン、もう契約完了して、これは入札も含めてでありますが、もう十月末まで引き取り契約が完了しておりまして、残りの六万トンも、県内の学校給食用だとか県内需要分で、ここも行き先が決まった。契約書の締結を、三月末現在でまだできていない、ちょっとおくれているというだけのことでありまして、これはもう契約できている。そういう状況でありますので、センターの入札は、先生の御指摘のとおり、この後はやめようということになっています。
それから、相対取引の価格です。これは当然、入札の銘柄に関しては、入札価格で相対取引をやっております。
○菅野委員 次に、大臣にお聞きします。
米の流通は自由化されていますから、センターを利用するかどうかも売り手の自由です。しかし、センターで形成された値段よりも安く大量に大手スーパーなどが米を買い入れるような事態が続けば、米価の暴落は防ぐことができないわけです。だから、私は生産調整ではなくて米の流通段階での規制が必要だと指摘してきたわけでありますけれども、価格形成センターでの取引量は、米全体の流通量のわずか一%です。このままでは、センター不要論の声さえいずれ出てきてしまうのではないでしょうか。
白須次官は会見で指標価格のあり方も含めて抜本的に検討を行うことを示唆しましたが、具体的にどのような見直しを考えているんでしょうか。お聞かせ願いたいと思います。
○若林国務大臣 ただいま質疑の中で明らかになっておりますように、コメ価格センターの利用というのは、ごくわずかなものになってきているわけでございます。そういうことでありますれば、このセンターの価格というものが指標価格としての信頼性を失ってくるというような深刻な事態になると思っております。
そういう意味では、今後のセンターにおける取引のあり方などにつきましては、米の取引実態や関係者の考えをよく聞きまして、それらを調査いたしまして対処したいと思っておりますが、今これを具体的にどのようにするかということは、申し上げるような段階になっておりません。
○菅野委員 今の質疑で、コメ価格形成センターの現状というものがもうわかったと思っています。
大臣としても、現段階では申し上げるものがないというんですが、米の流通のあり方について、私は農水省としてもしっかりと検討を加えていただきたいと強く申し上げておきたいと思います。
米価下落の緊急対策で、先ほども議論になっていますけれども、十万トンを飼料用米として市場から隔離することが対策の一つの柱とされました。ところが、JAからの飼料用米としての申請は、先ほども答弁ありましたけれども、一万四千六百三十二トンにとどまりました。予算を使わなくて済んだという声もあるかもしれませんが、このようなことでは、同じような対策を今後行っても、市場は信用しなくなるのではないでしょうか。
なぜ、目標値に届かなかったのか、そのことについてどのような見解を持っているのか、全農の常務からお聞かせ願いたいというふうに思っています。
経過については、今までのやりとりでわかりました。ただ、十万トンと一万五千トンというこの差はなぜなのか、説明願いたいと思います。
○米本参考人 えさ米処理の十万トンをやろうということで緊急対策が決まったときに、政府米の買い入れとえさ米処理ということで、系統として具体的にどうするのかというのは十一月九日の全中の水田農業対策委員会で議論して正式決定した。先ほど申し述べましたように、それはふるい下でやろう、こういうことを決めたわけでございます。これはJAも含めた組織としての決定でございます。
それに基づいて、全農は集荷に当たりました。三千円、三千円、合計六千円を補償して、農家からふるい下を集めようとやったわけでございますが、緊急対策の効果も出て、逆にふるい下も含めて値段が上がったということで、六千円で集まらないという話になりました。えさ処理したときの最終精算金、ここのところは流通経費等かかりますので、最終処理した結果、ことしの九月ぐらいまで売っていくわけでございますが、そこの結果で出てくるんですけれども、追加生産できる部分、六千円に上乗せが数百円ぐらいだと思っているんですけれども、ここのところをとにかく千円まで乗っけて、実質七千円になるようにして集めようということで、農協を通じてそういうこともやりました。
しかし、先ほども言いましたように、そういうふるい下を扱われている業者の方もおられます。そちらの方も必死で集められました。そちらの方に行ってしまったということでございます。ここのところは、まことに申しわけないということで、そういうふうにおわびしなきゃいかぬというふうに認識しております。
○菅野委員 通告していないんですけれども、総合食料局長がいますから。
先ほどの筒井さんとのやりとりで、どうもわからないんですね。十九年産米、この二十三万トンが過剰だ、そして、この十一月以降の引き取り分が十一万トンだから、三十四万トンを備蓄米として買い入れる。これで需給バランスはこの政府の案の1でもう整ったんだ、需給バランスは均衡しているんだ、これが先ほどのやりとりでの総合食料局長の答弁ですね。
そうであるならば、2の十万トン相当量というのは、どの部分なんですか。先ほどの全農の常務の説明では、ここは明確な答弁はないんですが、十九年度産米の十万トンというのはどの部分を指しているんですか、答弁願いたいと思います。
○町田政府参考人 お答えいたします。
昨年の秋の米緊急対策を決定する前の段階で、農協系統は、十九年十月時点で、全農の十八年産米十万トン程度、これは契約済みではあったわけでございますが引き渡しが終わっていないということで、十一月以降に引き渡されるということになりますと、玉突きで十九年産が十万トン程度余るということになるため、これも過剰だということで、価格下落対象としてほしいという主張をされていたということでございます。
○菅野委員 合わないですよ。先ほどの三十四万トンの説明は、過剰部分二十三万トンプラス十八年産米の十一月以降の取引分十一万トンを合わせて三十四万トンという説明です。全農常務、そうですよね、ずっと説明してきたのは。これは間違いないでしょう、私は答弁をメモしたんですから。
○米本参考人 JAグループとしてお願いしてきたというのは、二十三万トンの十九年産での過剰、十八年産で十一月以降に繰り越した分を消費者が十一月以降に食べるわけですから、その分、十九年産がさらに押し出しになるというのを、十一万を合わせて三十四万ということを、JAグループとしてはそういう理解で進めさせていただきました。
○菅野委員 局長、この十万トンという数字は、どの部分の数字なんですか。
○町田政府参考人 全農がえさ処理をすると言ったのは、十八年産ウルチ米販売残十万トン相当量ということでございます。十九年産に押し出される、玉突きで出てくる十万トン相当量をえさに処理するということを緊急対策として決定したということでございます。
○菅野委員 全農の常務と局長の答弁が違っているんじゃないですか。玉突き分は備蓄で処理すると言っています。局長は、玉突き分が十万トンだと言うから、これが全然理解できないんです、私は。
○若林国務大臣 実は、この十万トンと、備蓄用で購入した三十四万トン、初めの二十三万トンの予定と十一万トンとが、極めて近接した、十万トンベースで、十万トン、十万トンと同じようなことになったものですから、御理解をいただくのはなかなかわかりにくいことだと私は思っております。
実は、国が買い上げました三十四万トンは、過剰部分は二十三万トンなんですけれども、あとの十一万トンは、備蓄用として限度を持っておりました百万トンに、その後売るものですから、売ったので百万トンに枠が出てきた。そういう意味で、私どもは、米価下落に何とか歯どめをかけたいということで、これは相場の代物ですから、計画経済で配給ルートを通じて需給を合わせているというようなものじゃないものですから、どんな動きをするかというのは非常に不安だったわけです。しかし、どうしてもこれは歯どめをかけなきゃいけないということで、備蓄限度量百万トンに達するまで限度いっぱい買おうといった結果が三十四万トンになったわけですね。
そこで、全農の方の十万トンは、私の方は、多く出てくれば、市場に与える影響、その取引に与える情報としては、それはその方が確実に歯どめがかかるという判断を当時したものですから、全農と全中の申し出によります十万トンはぜひやってもらいたい、こういう思いで、これを対策の二本柱の一つとして取り上げ決定した、こういう経過でございます。
○菅野委員 大臣、この十万トンの根拠はそこにはない、米価をどうしても緊急的に底上げしたいから十万トンという部分は追加したんだということなんですけれども、そうであるならば、これは主食用に回っても過剰じゃないんです、この十万トンの部分は。だから、一万五千トンでとどまったというのは、私は当然の結果だと言わなければならないというふうに思うんですが、この議論をしていてもなかなか前に進みません。
それでは、大臣は、十万トンはえさ用に回してもらいたいというのは今でも思っているんですか。大臣の答弁では、十万トンに達しないのは極めて遺憾と言っているんですが、この考えに今でも変わりないんですか。
○若林国務大臣 極めて遺憾であるという認識は変わりません。しかし、一万五千トン弱にとどまった、結果としてはこれ以上のものを全農が処理できないという判断をしたということでございます。私どもは指導以上のことはできませんので、その意味では、これはやりようがないという意味で、一万五千トンにとどまっても、残念だな、こう思っております。
しかし、二十年産に向かって、それだけ全中及び全農はしっかりと取り組んでもらいたいということを今後とも重ねて要望していきたい、こう思っているところでございます。
○菅野委員 最後になります。
今も大臣からお話がございましたが、米価暴落の中、農家の立場でいかに米価を安定させていくのか。〇八年産米の作付に際し、全農、全中の決意というものがこれからを大きく左右するというふうに私は思うんです。JA系統としての決意をお聞きしておきたいと思います。
○冨士参考人 二十年産米の計画生産の実効を図り、需給と価格の安定を図るために、行政関係機関と連携し、昨年決めていただきました地域水田農業活性化緊急対策を十分活用しつつ、生産調整、計画生産の徹底に向けて全力で取り組んでまいりたいと存じます。
JAグループでは、ことしの一月十七日に、二十年産の計画生産の徹底に向けた取り組み方針を決定しております。この方針に基づきまして、今、全国、全都道府県、全JAで、二十年産米の計画生産の達成を目指した、かつてないような取り組みを展開しております。
三月七日の全中総会では、農協法に基づく中央会、組織の基本方針に計画生産の徹底を盛り込みましたし、三月二十八日には全国計画生産推進大会というものを開催して、計画生産の達成に取り組む意思の結集を図りました。
引き続き、二十年産の計画生産の徹底に向け全力で取り組んでまいりたいと存じます。
以上でございます。
○菅野委員 最後に一言。
やはり国と地方の関与がなくなったということでこういう現象が起こっているわけですから、改めて、このことをどうしていくのかという点で、JAもJA系統もしっかり議論していただきたいと私は最後に申し上げて、質問を終わりたいと思います。
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○宮腰委員長 この際、南極海鯨類捕獲調査事業への妨害活動に対する非難及び調査事業の継続実施等に関する件について決議いたしたいと存じます。
本件につきましては、理事会等におきまして協議を願っておりましたが、その協議が調い、案文がまとまりました。
便宜、委員長から案文を朗読し、その趣旨の説明にかえたいと存じます。
南極海鯨類捕獲調査事業への妨害活動に対する非難及び調査事業の継続実施等に関する件(案)
我が国が、南極海において国際捕鯨取締条約(IWC条約)第八条に基づき、加盟国の正当な権利として適法かつ科学的に実施している鯨類捕獲調査事業に対し、今調査期間中、反捕鯨団体であるシーシェパードなどが数次にわたり展開した国際法に反する極めて悪質で許し難い海賊行為ともいうべきテロ行為・犯罪行為を、本農林水産委員会は強く非難する。
一連のテロ行為・犯罪行為は、日本籍船に対する違法な侵入行為であり、また、警備乗船中の海上保安官並びに乗組員を負傷させ、更にIWC条約に基づき行っている鯨類捕獲調査事業に重大な被害を与えるなど、我が国の主権を著しく侵害するものであり、これに対し、日本政府は、厳正な処置を講ずべきである。
よって政府は、捕鯨問題に対しては、関係省庁一丸となり毅然たる姿勢をもって対処するとともに、左記事項の実現に万全を期すべきである。
記
一 我が国が行う鯨類資源の科学的な調査については、海上保安庁の警備体制の充実等妨害対策を強化するとともに、今回のようなテロ行為・犯罪行為が行われた場合には、我が国国内法に照らし厳正に処置すること。また、その旨を国内外に明らかにすること。
二 かかるテロ行為・犯罪行為の再発を防止するため、今回の行為に関係した者に対し、豪州、オランダ及び米国をはじめ関係国政府がそれぞれの法規に基づき厳正に処置することを強く要請する等、最大限の努力を傾注すること。
三 我が国の南極海鯨類捕獲調査が鯨類の生態を明らかにする上で大きな役割を果たし、かつIWC科学委員会でも各国から高く評価されていることを踏まえ、南極海鯨類捕獲調査事業については、今後とも、不退転の決意で継続実施することとし、引き続き充実した鯨類捕獲調査が円滑に実施されるよう、国内外に対する的確な情報の提供を行うとともに、必要な財政措置を講じる等、その環境を整備すること。
右決議する。
以上でございます。
お諮りいたします。
ただいま読み上げました案文を本委員会の決議とするに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○宮腰委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とするに決しました。
この際、ただいまの決議につきまして農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣若林正俊君。
○若林国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして、関係省庁との連携を図りつつ対処してまいりたいと存じます。
○宮腰委員長 お諮りいたします。
ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○宮腰委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
――――◇―――――
○宮腰委員長 次に、第百六十八回国会、参議院提出、農業者戸別所得補償法案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案につきましては、第百六十八回国会におきまして既に趣旨の説明を聴取しておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○宮腰委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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農業者戸別所得補償法案
〔本号末尾に掲載〕
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○宮腰委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
本案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○宮腰委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時二十分散会