第2号 平成20年11月19日(水曜日)
平成二十年十一月十九日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 遠藤 利明君
理事 今村 雅弘君 理事 木村 太郎君
理事 七条 明君 理事 宮腰 光寛君
理事 宮下 一郎君 理事 筒井 信隆君
理事 細野 豪志君 理事 西 博義君
安次富 修君 赤澤 亮正君
井上 信治君 伊藤 忠彦君
飯島 夕雁君 岩永 峯一君
江藤 拓君 遠藤 宣彦君
小里 泰弘君 小野 次郎君
近江屋信広君 木原 稔君
斉藤斗志二君 寺田 稔君
徳田 毅君 冨岡 勉君
中川 泰宏君 西本 勝子君
福岡 資麿君 武藤 容治君
茂木 敏充君 森山 裕君
安井潤一郎君 石川 知裕君
大串 博志君 岡本 充功君
川内 博史君 小平 忠正君
佐々木隆博君 神風 英男君
高井 美穂君 仲野 博子君
横山 北斗君 井上 義久君
菅野 哲雄君
…………………………………
農林水産大臣 石破 茂君
農林水産副大臣 石田 祝稔君
農林水産大臣政務官 江藤 拓君
会計検査院事務総局第五局長 真島 審一君
政府参考人
(内閣府食品安全委員会事務局長) 栗本まさ子君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 三浦 守君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 高岡 正人君
政府参考人
(厚生労働省医薬食品局食品安全部長) 石塚 正敏君
政府参考人
(農林水産省大臣官房長) 岡島 正明君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 吉村 馨君
政府参考人
(農林水産省総合食料局長) 町田 勝弘君
政府参考人
(農林水産省消費・安全局長) 佐藤 正典君
政府参考人
(農林水産省生産局長) 竹谷 廣之君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 高橋 博君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長) 中條 康朗君
政府参考人
(水産庁長官) 山田 修路君
農林水産委員会専門員 板垣 芳男君
―――――――――――――
委員の異動
十一月十九日
辞任 補欠選任
飯島 夕雁君 安井潤一郎君
河井 克行君 武藤 容治君
谷川 弥一君 冨岡 勉君
永岡 桂子君 遠藤 宣彦君
丹羽 秀樹君 福岡 資麿君
西川 公也君 寺田 稔君
大串 博志君 岡本 充功君
高井 美穂君 川内 博史君
同日
辞任 補欠選任
遠藤 宣彦君 永岡 桂子君
寺田 稔君 西川 公也君
冨岡 勉君 谷川 弥一君
福岡 資麿君 西本 勝子君
武藤 容治君 河井 克行君
安井潤一郎君 飯島 夕雁君
岡本 充功君 大串 博志君
川内 博史君 高井 美穂君
同日
辞任 補欠選任
西本 勝子君 丹羽 秀樹君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
会計検査院当局者出頭要求に関する件
政府参考人出頭要求に関する件
農林水産関係の基本施策に関する件
――――◇―――――
○遠藤委員長 これより会議を開きます。
農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房長岡島正明君、大臣官房総括審議官吉村馨君、総合食料局長町田勝弘君、消費・安全局長佐藤正典君、生産局長竹谷廣之君、経営局長高橋博君、農村振興局長中條康朗君、水産庁長官山田修路君、内閣府食品安全委員会事務局長栗本まさ子君、法務省大臣官房審議官三浦守君及び厚生労働省医薬食品局食品安全部長石塚正敏君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第五局長真島審一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○遠藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小里泰弘君。
○小里委員 自由民主党の小里泰弘でございます。質問の機会をいただきまして本当にありがとうございます。
きょうは、平素地域を回っておりまして要望の多い項目、あるいは不安に思っておられる向きが多い、そんな項目について特に質問をさせていただきたいと思います。
まず、農地、水、環境保全向上対策であります。
この制度は、地域総参加での共同活動を支援して集落機能を向上させていこう、復活させていこう、そんなねらいにおきまして昨年度からスタートしたわけであります。以来、各地域で活用されまして、水路や農道の維持管理を初め、あるいは環境の保全にと大きく貢献をいたしました。また、地域での評判も上々であります。さらに、期待も高まっているわけであります。また、集落営農を立ち上げるに当たりまして地域の合意形成やきずなを固めるために、この制度が、農地、水、環境保全向上対策事業が大きく役立っている、そんな波及効果も確認をされるところであります。
それだけに、平成二十四年度以降もこの制度が継続をされるのか、心配をされる向きが多いと思います。当然継続をしてさらに充実拡大をさせていくべきであると考えますが、どんな方針であるか、お伺いをしたいと思います。
また、あわせて、申請手続、報告手続につきましてはかなり簡素化が進んだと認識をいたしておりますが、ただ、地域によっては、手続がなかなか難しい、そういった理由で普及が思うように進んでいないというところも見受けられます。制度の周知が徹底されていないんじゃないか、そんな心配もするわけでありまして、その辺の状況につきましてもあわせてお伺いをしたいと思います。
○中條政府参考人 農地、水、環境保全向上対策についてのお尋ねでございます。
本対策でございますけれども、平成十九年度から五カ年間を期間としまして取り組んでまいりました。ことしは二年目に入ります。現在、約一万九千の地区におきまして合計で百三十五万ヘクタールほどの農地を対象に実施しているところでございます。
今ほど委員から御指摘ございましたように、多くの地域から、本対策の効果としまして、農地、農業用施設の保全だけではなく、農家と地域住民の交流が活発になったとか、あるいは地域住民の環境に対する意識が高まったといった声が多く寄せられているところでございます。
ただ、本対策につきましては、先ほど申しましたように二年度目でございまして、ようやく緒についたばかりでございまして、本対策が着実に推進されまして十分な効果を上げますとともに、国民全体の目から見ましてこのような効果が評価されることが肝要だろうというふうに考えております。対策期間後の継続あるいは充実拡大につきましては、今後、本対策の効果につきましてしっかりと検証を行いまして、その結果を踏まえ検討していきたい、このように考えております。
また、この手続についてでございますが、着手のときから、もっと簡素化できないか、あるいはもっと迅速にできないかという御指摘がございました。
このために、昨年の十二月に当省の農政改革三対策緊急検討本部におきまして事務手続の簡素化を決定いたしまして、提出書類の大幅削減などを行いました。全体として手続が半減となりますように措置したところでございます。また、さらに簡素化を図るという意味合いから、本年十月には、実績報告について、回数の半減あるいは提出期限の延長などの手続の簡素化等も公表したところでございます。
これまでも、これらの簡素化につきましては、簡潔でわかりやすいマニュアルを作成しまして地方説明会を行ってきたところでございますけれども、今後、さまざまな機会を活用しましてさらに説明を行いまして、より一層施策の浸透に努めてまいりたい、このように考えているところでございます。
○小里委員 ありがとうございました。ぜひそれぞれ前向きにお願いをしたいと思います。
続きまして、でん粉原材料用カンショの経営所得安定対策についてお伺いします。
この制度に関連して、でん粉原材料用カンショというものは、この生産の地域の経済社会における重要性にかんがみまして、品質のよいものの安定生産を図る見地から、品目別の経営安定対策として講じられてきたわけであります。
経営所得安定対策は、本則に対しまして特例が設定をされまして、多くの生産者がこの特例の適用を受けております。しかしながら、特例の適用が二十一年度までとなっております。その一方で、本則における作業の受委託は思うように進んでいないというのが現状であろうと思います。そのために、平成二十二年度の見直し後の経営を心配する向きが多くあります。引き続き意欲ある農家が安定した経営を継続していくためには、制度の要件や運用面における柔軟な対応が望まれるところであります。
例えば、一定の作業規模を有する者等に基幹作業を委託する者は制度の適用を受けるとされております。この委託する作業の種類について、さらに簡単な作業や委託料の少ない作業を追加する、そういった選択肢をふやしていく必要もあろうかと思います。あるいは、作業委託を受ける者につきましても、現行制度はカンショの生産を主とする農家となっております。一方で、地域の基幹農家として畜産や稲作など他の作目を主体とする担い手がまた非常な意欲を持っているわけでありまして、そういった方々もこの制度の受け手としての対象として加えるべきじゃないか、そんな声も地域から上がっているわけであります。
なおまた、サトウキビにつきましても同様であります。経営環境、制度の仕組み、今後の対応において準じた対応が必要になっていくと思います。あわせて農水省の今後の方針としてお伺いしたいと思います。
○竹谷政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のように、でん粉原料用カンショの生産農家あるいはサトウキビの生産農家につきましては、経営安定対策をとっているところでございます。これは平成十九年度からスタートしたわけでございます。
そうした中で、担い手の方に頑張っていただくということもあるわけでございますけれども、多数の小規模な農家の方がいらっしゃるわけでございますので、委員御指摘のように、現在特例措置を設けております。具体的には、担い手育成組織に参加していただくという形で、小さな規模の農家の方々にも特例ということで交付金の対象にしているところでございます。
この件につきましては、本則の方におきまして、作業受委託を進める、その作業受委託の種類としては、基幹的な作業ということで、整地でありますとか植えつけでありますとか収穫といったようなものを挙げて、そういったものを受委託することによりまして交付金の対象にしているというのが現状であるわけでございますが、二十二年度以降の扱いにつきましては、最初に申し上げました特例措置につきましては二十一年度限りということで今予定しているところであるわけでございます。
ただ、一方におきまして、委員から御指摘いただきましたように、作業受委託がなかなか進んでいなくて低水準であるということ、また、この特例を活用して現在交付金を受けている方がかなりの割合でいらっしゃるということも事実でございます。理由としてさまざまなことが挙げられているわけでございますけれども、委託しようにも委託する相手の方にふさわしい方がなかなかいないとか、あるいは作業受委託しようと思っております基幹的な作業の種類が少し狭いのではないかというような御指摘もいただいているところでございます。
このでん粉用カンショ生産農家あるいはサトウキビ生産農家の経営安定対策、いずれにつきましても、来年の夏ごろにちょうど個別の経営安定対策の見直しの時期を迎えますので、それまでに各地域の生産者の方々の御意見を十分に承りまして、意欲ある生産者の方々がしっかりと生産を続けられるように、経営の実態を踏まえたあり方というものを検討してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○小里委員 おっしゃったように、意欲ある生産者が安定した経営を継続していく、そのための現場に合った運用、制度になりますように、ぜひお願いをしたいと思います。
続きまして、飼料用米についてお伺いをしたいと思います。
いよいよ飼料用米の生産拡大のための事業が来年度から本格化されます。これが軌道に乗っていきますと、今まで生かし切れていなかった農地が生きてまいります。日本の稲作がよみがえり、生産調整の円滑化にもつながる話であります。もちろん畜産経営にも大きく資する話でありまして、地域の期待は極めて大きいと認識をいたします。
需要面から見ますと、肉用牛、酪農牛用の飼料を平均しますと、そこに使われている配合飼料の五%を飼料用米に置きかえることが可能であると言われます。養豚の場合で配合飼料の三割、さらに、養鶏に使われているトウモロコシの全量を飼料用米に置きかえても結構いける、そんな調査結果でございます。
そこで、合計をいたしますと、私どもの試算によりますと、年間需要が七百五十万トンに及ぶ、そんな試算をしたわけであります。食用米の需要が年間八百五、六十万トンでありますから、それに近い需要が存在するということが言えるわけであります。
では使える農地がどのぐらいあるかということでありますが、夏場の休閑地が二十八万町歩、生産調整の拡大分が十万町歩、これに耕作放棄地の中で水田としてすぐ使えると思われる部分等を加えていきますと、優に約四十万町歩は基礎的な農地として存在すると認識をいたします。さらに、野菜の捨てづくりのような農地、あるいは既転作分の農地からの利用の可能性、そういったものも考え合わせていきますと、また大きな可能性が広がっていくわけであります。仮に五十五、六万町歩を飼料用米に振り向けることができたとするならば、濃厚飼料の自給率は二〇%アップして三〇%になる、あるいは穀物自給率は一三%アップの四〇%となる、そんな試算であります。これは、反八百八十キロ前後とれるという仮定であります。
制度として整っていけば、現場のコスト削減に対する意欲も出てまいります。二期作をできるところは二期作をやろう、あるいは多収穫米の活用を図る。あるいは、同じ機械で同じ人がやるわけでありますから、その分でもコストが下がってまいります。コストを一生懸命下げて、それでなお及ばないところを国が補てんする、そういう前提に立ってぜひこの制度の拡大を図っていただきたい、旺盛な意欲を持って取り組んでいただきたいと思うところでございます。
飼料用米の今後につきまして、大臣の旺盛なる抱負をお伺いしたいと思います。
○石破国務大臣 耕畜連携という話はずっと昔からありまして、私、たしか当選一回のころ、こんな議論をしたような覚えがあります。ただ、なかなか実際に進むに至らなかった。それはいろいろな理由があるのですが、これだけ耕作放棄地が出てくる、実際に活用されている水田は六割しかないんだということで、今委員御指摘のようないろいろな手法を検討せねばならないという状況になっておるわけであります。ただ、問題は、それが経営として成り立ちますかというお話であって、これがずっとネックになってきたわけです。
ではどうやってそれを打開するかといえば、結局のところは、多収穫米というものをどれだけ開発し普及させるかということ、あるいは直播方式のような形でコストが下げられないかということ、どうやってコストを下げるかということをまず考えていかねばならないのだというふうに思っております。
ただ、どうしてもそれには限界がございますので、今申し上げましたような取り組みとあわせまして、飼料米の作付を拡大した生産者に対して面積単位で助成金を交付する、そのような支援策を概算要求に盛り込み、年末の予算編成に向けて調整を行っておるところであります。
どういうような助成をするか、あわせてどうやってコストを下げるか、この両方の面からやってまいりまして、委員御指摘のような政策目標を達成いたしたいというふうに考えておりますので、何とぞ今後とも御支援のほどお願い申し上げます。
○小里委員 ぜひこれは今後の農政の柱として大きく進めていただきたい、そんなふうに認識をするわけであります。
飼料米を生産拡大しても食料自給率としては十分の一にしかカウントされないじゃないか、そんな指摘があります。しかしながら、そもそも食料安保の基本というものは、農地と担い手をいかに確保していくか、そこにあると思います。そういった考えに立てば、食料自給率よりも食料自給力の視点に立つべきであると思っております。
例えば、野菜の捨てづくりに顕著でありますように、あるいは大豆等の穀物におきましても、本来水田であるところに畑作目であるものを植えつけるがために収量が著しく落ちる、品質が落ちる、したがって成績加算も受けられない、生産者のモチベーションも上がってこない、そういった事例を多く見受けるわけであります。これでは農地や担い手が生かされているとは言えないと思うわけであります。
そのような転作地は可能な限り水田に戻す、そして飼料米として作付をした方が適地適作ということでありまして、農地が最大限に生かされて生産者も生きてくると思います。そして、いざ食料危機というときにこの飼料米を食用に回す。これが結構食えるんですね、食べてみましたら。あるいは、熱効率の高い、カロリー効率の高い芋を植えつけるという方法も当然考えられるわけであります。そうやっていきますと、食料の供給源として、今度は逆に食料自給率としては十倍にきいてくるわけなんですね。そういったことが期待をされるわけであります。
お茶でもたばこでも、花卉、花でもそうであると思いますが、にわかには食料自給率には貢献をしなくても、それぞれの農地に最も適した作目を植えつけることで、それぞれの農地が最大限に生かされる、生産者が生かされる、そして、いざというときにこれが有力な生産基盤となって食用、食料生産に生かされてくるわけであります。食料の供給源となるわけであります。これが食料自給力の考え方であると認識をいたします。食料自給率に余りこだわり過ぎては、農政、農村、農業の方向性を見誤ってしまうというおそれもあると思います。
ここは、農政におきましては、食料自給力の向上に重きを置いた考えにむしろ転換をしていくべきであると思いますが、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
○石破国務大臣 委員御指摘のようなお話を七、八年前に私は一生懸命したのですよ。だから、自給率ではなくて自給力。もちろん自給率は大事ですが、では転換倍率をどう考えるのかとか、御指摘のように花とかそういうものをどう考えるか、そういうお話がありました。
ただ、自給率というのは大事ですが、それはあくまで結果なのだ、そのベースになるのは農地であり担い手であり農業インフラストラクチャーなのだ、それをきちんとどう達成するかという議論をしないと、どうも議論そのものがおかしな方向に行ってしまうのだというふうに思っております。そういう意味から、飼料用米というのは極めて重要であります。
そうすると、どのような地域で作付がされていないか、そういうところで飼料用米が適するかどうか、あるいは水田の汎用化がどれだけ進んでいるか等々、いろいろな議論を精緻にしていかねばなりません。
ただ、委員御指摘のように、必要なのは自給力なんですよということで、もう一度議論を再整理してみる必要があるだろうというふうに思っております。委員の御所感には私はおおむね同意するものであります。
○小里委員 ありがとうございました。
世界的な食料不足、あるいは食の安心、安全に対する国民の意識の高まり、こういったものを背景として、農業、農村、農政を取り巻く環境というのはこの七年、十年の間に大きく変化をしてきていると思います。むしろある意味では、農政を思い切って本来の方向に進めるチャンスの時期が到来をしていると思います。従来の考え方に余りこだわり過ぎずに、新しい発想でもって、真に農業、農村の方向性を見据えた新しい政策を推進していく、そういった時期であると思いますので、ぜひ大臣の力量に期待を申し上げながら、質問を閉じたいと思います。
ありがとうございました。
○遠藤委員長 次に、小野次郎君。
○小野(次)委員 大臣、おはようございます。また、委員の方々、二十分時間をいただきましたので、質問をさせていただきたいと思います。
実は大臣、昨日、日本青年館だったと思いますけれども、あれは毎年開かれる土地改良関係の大会だと思いますが、大臣のごあいさつを後ろで聞かせていただいておりました。定例だからといって、どの大臣もそれぞれ立派なごあいさつを今まで聞かせていただきましたけれども、石破大臣の大変力の入った、今、答弁の一部がございましたけれども、農業の基本というんでしょうかインフラというんでしょうか、農地の問題と担い手の問題というのが基本だということを力説されているのを後ろで聞いていましてきょうの質問の内容を大分決めたという面も実はございますので、重複する部分があるかもしれませんが、お話を聞かせていただきたいと思っております。
穀物価格の高騰というのは、この春ごろ、夏ごろよく言っていましたが、これは私ちょっとこの一月よくフォローしていませんけれども、恐らく、ドルが下がって円が上がったということがありますから、あるいは一段落しているのかもしれませんが、いずれにしても、世界の人口がふえ続けているということ、特に食生活が、日本もですけれども、どの国も向上したために、さまざまな食材の種類あるいは食材の品質についてもニーズが、レベルが高くなっているということもあると思います。また、バイオエタノールという問題もあって、いずれにしても、食料需給の逼迫というのはトレンドとして続くんだろう、もっと深刻になっていくんだろうというふうに思っています。
他方で、これは自給率の問題ではないですけれども、輸入された食品などを中心に、あるいは国内のものでもありましたけれども、偽装があったり、あるいは健康上不安があるような、問題があるような、食べるべきでないものが流通していたとか、そういう食品の安全、安心についての懸念もまた高まっているんだろうと思います。
カロリーベースの自給率の話がよく出ますが、私は、カロリーベースの自給率というのは、そもそも、恐らくこれは国際的に飢餓との闘いの中でどれぐらいのカロリーをそれぞれの国が自給できているかという概念でできたんだと思うんですね。今、日本の私たちの毎日の食生活を考えると、このカロリーベースでは割り切れない問題も多いと思う。
例えば、私自身もそうですけれども、ダイエットしなきゃと思うと、むしろキノコだとか葉っぱの野菜だとかが結構大事なわけですね。そういうものがカロリーベースの中では、例えば、国語と算数は百点満点だけれども、こっちの家庭科だとか体育になるともともと五点満点ぐらいしかないんじゃないかと。というのは、重さの割にカロリーが少ないものというのがあるわけですね、あるいはかさの割にカロリーが少ないもの。ただ、食卓の上では極めて不可欠なものでもあるわけです。
私は、農政というのは、特に日本での農政というのは、こういうことを言うとちょっと語弊があるかもしれませんけれども、今まで、お米オンリーとは言いませんけれども、かなり重点でございましたけれども、やはり実際に食卓の上に並ぶ、私たちが必要としている食料品全体についての総合的な農政というのが必要なんだろうというふうに私は思っております。そういう前提で話を聞かせていただきたいと思うんです。
それにしても、農地の面積が年々減少している、下げどまらないことがございます。また、農地でありながら、私の地元もそうですけれども、いわゆるほったらかしになっている、耕作放棄地というのか休耕田なのかちょっと見分けのつかないような土地がたくさんございます。そういう農地について、使えるものはとにかく有効に農業生産に使っていくんだ、フルに使っていくんだという考え方が大変重要だと思うんです。
その点に関しまして農林水産省にお伺いしたいと思いますが、農地減少がとまらないのはどうしてなんだろうかということ、まず、農地の減少の状況と減少がとまらない原因について認識を伺いたいと思います。
○中條政府参考人 お答えいたします。
まず、農地の減少についてでございますけれども、私どもの耕地及び作付面積統計というのがございまして、この統計によりますと、平成二十年の我が国の農地面積は四百六十三万ヘクタールとなってございます。これは、ピークが昭和三十六年の六百九万ヘクタールでございますので、これと比べますと百四十六万ヘクタールの減ということになります。毎年の減少面積について見ますと、昭和四十年代のピークのときは年間五万から六万ヘクタールぐらいでございましたけれども、近年は大分減りまして、二万ヘクタール程度というところが減少ということになっております。
これにはいろいろ原因がございますけれども、開発適地の減少等によりまして、新たな農地造成等によりますいわゆる農地の拡張が事実上困難になる一方で、委員御指摘の宅地等への転用それから耕作放棄地などの農地の壊廃が進んできているというところがあるというふうに考えております。
平成二十年におきましては、宅地等への転用で約一万四千ヘクタール、それから耕作放棄で一万ヘクタールというふうな報告を受けておりますので、現在、二万四千ヘクタールが壊廃になっているというところでございます。
○小野(次)委員 宅地等への転用も問題がある場合があるわけですけれども、しかし一方で、実際にそういう必要があるという場合も多いわけでございます。そういう議論をする際になかなか腑に落ちないのは、では、耕作放棄地とか耕作していない土地というのはどうしてまたふえるんだろうか。そういうものがフルに使われていて初めて農地の転用について抑制すべきだという考えになるんだと思うんですけれども、農地のままでいながら使われていない面積が余りにも広いのに、ほかの用途に転用したいというのを法規制とか許可や何かの規制によってとめているということについて、多くの国民、つまり非農業者の側からは理解がなかなか得られていない面があるんだと思うんですね。
その辺について、もう一遍、耕作放棄地が生じる原因とその解消方策、どんな手を打っているのか、お聞きしたいと思います。
○中條政府参考人 耕作放棄地が発生する原因とその解消方策についてのお尋ねでございます。
財団法人農政調査委員会というのがございまして、ここでかつて耕作放棄関係のアンケート調査をとったものがございます。それによりますと、答えられた農家の方の多い順に申し上げますと、耕作放棄地の発生の原因についてでございますが、一番多かったのは高齢化等によります労働力の不足、二番目が鳥獣害等により生産性が低いということ、それから三番目が農地の受け手がいない、四番目が土地条件が悪い、こういった順番になってございます。各地区で見ましても、地域の状況それから耕作条件等がそれぞれ違っておりますので、こういったところが多分複合的に絡んでいるんじゃないかというふうに考えております。
このために、現在、耕作放棄地の現状を的確に把握するための調査を行っておるところでございまして、この調査によりまして、農業上の利用が可能とされている耕作放棄地について、まずは、基盤整備による生産条件の改善、担い手農家に対する農地の利用集積、新規参入の促進などの支援を行いますとともに、荒廃した耕作放棄地の利用に当たりまして、土地を営農可能な状態に回復させるための支援について検討いたしまして、平成二十一年度からの実施を目指していきたい、このように考えているところでございます。
また、先般、平成二十年度補正予算で、耕作放棄地対策協議会の体制整備等に対します支援措置を講じることとしまして、地域の耕作放棄地再生利用の取り組みを緊急に実施していくこととしたところでもございます。
このほか、今、市町村長によります耕作放棄地所有者に対します法的措置につきまして、今後実効性を持って活用されますよう必要な見直しを行いまして、平成二十三年度を目途に農振農用地区域を中心に耕作放棄地の解消を目指していきたい、このように考えているところでございます。
○小野(次)委員 農地についても、ちょっと心細いというか、ぜひもっと力を入れていただきたいと思いますけれども、もう一つの基本であります後継者というか担い手の話でございますが、この減少がまた、著しいというかとまらないというか、十年間で二割以上基幹的な農業従事者が減ってしまっているという現象。しかも、高齢化がどんどん進んでいる。
大臣の就任のあいさつにもあったと思いますけれども、昭和一けたというんでしょうか、あるいは終戦直後に青年という形で農業に従事し始めた方たちの世代が、終わると言っちゃいけませんけれども、いわゆる世代交代の時期に完全になっていますから、そうだとすると、この後の五年、十年というのは、このままでは極めて先行きが厳しいんじゃないかなという感じがしています。
ちょっと過激な言い方かもしれませんけれども、農家の子弟が親の経営を承継するのが当然だという頭で、それがうまくいかないから、何とかその農家の子弟に農業を継いでもらおうという意味の後継者対策に力を入れていてもやはり限界があるんだろうと私は思います。それは、土地所有制というのを前提にして、相続というのを前提にして農業を考えていくというのはやはりある程度限界があるんだろうと私は思っています。その意味で、やはり職業としての農業にもうちょっと魅力を持たせなきゃいけない、あるいは魅力をわかってもらわなきゃいけないということがあって、その上で、ほかの農家の子弟でない方にも農業に入っていただけるようなそういう政策をとっていく必要があるんだろうと私は思っております。
その意味で大臣にお伺いしたいんですが、農業が一つの職業として成り立っていかなきゃいけないわけですけれども、一つの職業としての農業の他の職業には見られない魅力、特徴をアピールするとすればどんなものになるのか、ぜひ御認識をお伺いしたいと思います。
○石破国務大臣 二つの観点から議論したいと思っているのですが、一つは、農業というのはなぜ魅力があるかというと、自分で自由に経営ができる、一つの経営者なのだよということなんだと思うんですね。そしてまた、組織の中において上からいろいろ言われるというようなことではなくて、自分の創意工夫ができるということ、あるいはある程度自分で人生設計とか時間の管理とかそういうものが自由にできるのだよと。そして何よりも、国民に向けて安全でおいしくて適切な価格のものを提供する、そういう喜びがあるのだよということだと思います。
非常にPR風に言えば、私は先般のごあいさつで申し上げましたが、農業というのは日本に残された数少ない成長産業なのだということだと思います。要は、潜在力を引き出す努力をどれだけするかということであって、その部分を抑制する方向に来たのではないだろうか、そういう反省が私にはございます。
他方、農業というのはそんな甘いものじゃないんだよということがありますよね。脱サラで就農してみたけれども結局うまくいきませんでしたなんという例も枚挙にいとまがないわけであります。そうすると、意欲がある方が農業に就農するときにどれだけのサポートができるかという体制、もう一つは、背広を着て出勤して、そして農作業をやって、また背広を着て帰りたい、そういうニーズが若い人たちにあるわけですね。そうすると、生産法人というものをどう考えていくかということになると思います。
ですから、委員が御指摘のように、多様な就農ルートというのを考えていかねばならないだろう。基幹的農業従事者がとにかく高齢化しているわけで、もうあと十年たつと、日本の農業を担うのは七十代、八十代とかいうあり得べからざることが起こるわけですよ。その前にやっておかねばならないことがたくさんあって、多様な就農ルートについての検討は本当に集中的にやっていきたいと思っております。
地域によってまた営農のタイプが違いますので、きょうはいろいろなところの方々がお集まりですから、この場において、委員御指摘のことを踏まえ、いろいろな議論を私どももさせていただきたい、拝聴させていただきたいと思っております。
○小野(次)委員 そういう多様な就農ルートの検討の際には、ぜひ私なんかもいろいろ意見を申し上げたい、基本的に御協力申し上げたいと思っているところでございます。
さて、その話につながるわけですけれども、都市の住民の定住を受け入れるといった、農山漁村にとっても、地域の活性化を図る上でも重要だと私は思っています。大臣も所信あいさつの中で、先日、都市と農山漁村の共生・対流による地域経済の活性化に取り組んでいくという旨の発言をされていますけれども、しかし、それは簡単なことではなくて、その定住、交流に必要な施設の整備とか、あるいは交流を考えていく上で必要とされる情報を農山漁村の側が積極的に発信していくなどの努力や取り組みが重要じゃないかと思うわけです。
農林水産省にお伺いしますが、この都市住民による農山漁村への定住、交流を促進するために行っている具体的な取り組みについてお伺いしたいと思います。
○中條政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、団塊の世代を中心としまして、都市住民によります農山漁村への定住、交流についての関心が高まってきていると思っておりまして、これを促進していくための政策の重要性が高まっているというふうに認識をしております。
私どもとしまして、関係各省とも連携をいたしながら、例えば、定住促進のためには、簡易な排水施設等生活環境の整備を促進する。それから、交流活動を促進するという意味合いからは、滞在型の市民農園の整備を行いますとか、それから子ども農山漁村交流プロジェクト等を実施する。それから、こういった定住、交流を促進するための情報を発信するという意味合いからは、活性化の優良事例を公表したり、あるいは、先般も行いましたけれども、郷土料理を紹介する、こういった積極的な情報の発信などに取り組んでいく必要があるんではないかというふうに考えておりまして、施策を展開しているところでございます。
今後とも、こういう地域住民によります地域活性化のために必要な人材の育成、地域資源の保全、活用に向けた取り組み支援等も行いながら、都市住民の農山漁村への定住、交流を促進してまいりたい、このように考えております。
○小野(次)委員 私は山梨から出ていますけれども、山梨で観光用の標語を三年前に考えたときに、私が言っていました「週末は山梨にいます。」というのが、別にだれが選んでくれたというのではないんですけれども、今、JRなんかの広告にも、私が言い出した「週末は山梨にいます。」という言葉が観光用のスローガンとして使われています。
ただ、これは同時に、今話をしております農山漁村への定住、交流の促進という意味でも重要なキーだと思いまして、滞在型市民農園の整備、これは私の地元ではクラインガルテンなんて呼ぶこともあるんですが、こういうのは首都圏に近い地域では極めて適しているのではないか。つまり、週のうち二・五日ぐらいをこのクラインガルテン、滞在型市民農園で過ごすというような考え方というのは、観光じゃなくて、むしろ農業との交流、農村との交流という意味でも大変有意義なんじゃないかと思っておりまして、地元の市町村でもさらに推進してもらいたいという要望がたくさん出てきております。
農林水産省にお伺いしますけれども、この滞在型市民農園、クラインガルテンの現状と、この普及、推進のためにどういう取り組みを行っているか、お伺いしたいと思います。
○中條政府参考人 滞在型市民農園についてのお尋ねでございます。
この滞在型市民農園につきましては、これまでも区画それから休憩施設等を整備するための支援を行ってきているところでございまして、まず開設状況について申し上げますと、平成二十年三月現在で、全国で七十一カ所、約三千三百区画、大体百四十ヘクタールぐらいとなっております。
この普及のためには、休憩施設それから簡易宿泊施設を必要とするため、初期投資それから運営費がかかるということ、さらには、経営収支モデルがないためにこれを示す必要があるだろうということでございまして、私ども、二十二年度中にこのモデルの作成を行いたいというふうに考えているところでございます。
○小野(次)委員 きょうは時間も限られておりましたので、この程度で終わりたいと思います。
どうもありがとうございました。
○遠藤委員長 次に、西博義君。
○西委員 公明党の西博義でございます。私も二十分の時間を与えていただきまして、早速質問をさせていただきたいと思います。
大臣、先日は大変力強い所信の表明をお伺いしました。特に、その所信の中で、「その場しのぎの対症療法的政策に堕することなく、人気取りに走ることなく、政策を根本から総点検し、過てる点があればそれを正す勇気と、消費者を含めた国民全体に真実を語る誠意を持って職責を果たしたい」、こうおっしゃられました。私は、これからの大臣としての手腕に期待するものでございます。
さて、穀物高騰や農薬、化学薬品の混入事件などを背景として、私たちは、食料安全保障の確立、つまり安全な食料の安定的な供給をいかに図るかという課題を今突きつけられております。そのためにまずできることとしては、食料自給率や国内の食料供給力の向上を図るということが課題となっております。
大臣はこのことを、因数分解を例えにして、この問題を解くには農業者、農地などそれぞれの因数について検討して最適の答えを出さなければいけないというお考えを示されました。つまり、農業経営者や経営体をどう育成するか、それから農地制度をどう見直すか、さらには、需要にこたえる生産や需要を掘り起こす販売などの農業経営をどう行うことができるか、農業の構造にかかわる部分についてそれぞれ見直していかなければいけないということだというふうに理解をいたしました。
こういう問題意識を踏まえながら、若干の質問をさせていただきたいと思います。
まず、所信では、食品の安全確保について触れられました。前回の農水委員会で私もトレーサビリティーについて提言を行いましたが、今回さらに食品の安全確保対策について考えを申し上げ、大臣の御答弁をいただきたいと思います。
食品の安全確保は、日本ばかりではなくて他の国々にとっても共通の課題でございます。しかし、中国産の冷凍食品問題のように他の国が関係しているときには、それぞれの国のメンツの問題もあってなかなか原因の究明が思うように進まない、そして再発防止に有効な手だてが打てないという状況が続いているように思います。
そこで、食の安全を脅かす問題が生じたときには、事故原因究明と再発防止のための国際的な枠組み、条約をつくるよう、日本政府としてこの際提案してみてはどうかというふうに考えております。
例えばどういうものがあるかといいますと、国際民間航空条約という条約がありますが、これは、航空事故が起こったときに事故調査を行って、そしてその結果を、外国の政府に対しても安全の勧告を行う、こういう制度でございます。昨年の三月に高知空港で、全日空のボンバルディア機が胴体着陸した、こういう事故が起こりました。早速国交省の航空・鉄道事故調査委員会が事故調査の報告をまとめて、そして機体製造国のカナダ航空当局に安全確認を行った、こういう事例がございます。この事故調査は再発防止が最大の目的であって、罪を問うとか責任を問うとかいう性格のものでは、それが目的ではないというふうに伺っております。
食品事故に関してもこうした枠組みがあれば、比較的スムーズに事故原因の究明それから再発防止ということに役に立つのではないかというふうに考えておりますが、大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
○石破国務大臣 委員は科学者でいらっしゃいますし、また、外国で研究をなさっておられた期間も長くていらっしゃいます。私に足らないところばかりでありますので、どうか今後とも教導を賜りたいと存じます。
委員御案内のとおり、コーデックスのガイドラインというのがあるわけですが、おっしゃるとおりそういう国際的な枠組みというのがない、条約もない、確かにそうだなというふうに思っております。
ただ、BSEのお話にしても、結局、各国で考え方が違って、ここはもう科学はこうなんだということで安全はこうだというのは言えるかもしれませんが、科学で安全は証明されても、それが安心につながるかどうかというと、またそこが違うんだ、そこの落差をどう考えるんだということで結構悩んだりするわけでございます。
また、これぐらい安全の基準をとるよというのもまたそれぞれの国によって全く違っておって、ここをどうするかなのですが、恐らくこれは、将来必ずそういう枠組みが必要になるものだというふうに思っております。
国際民間航空条約というのも、私も委員の御教示をいただいて読んでみました。こういう考え方もあるんだなと思います。ほかにどのような仕組みがあるのだろうか。飛行機とは別に、食品にはないんだと思いますが、どういう枠組みがあるのか、委員の御指導もいただきながらよく省内で検討してみたいと思います。
日本が世界に向けてこういうような基準をつくろうよというきっかけをつくることに大いな意味合いがあると思っておりまして、そのことについて我が国が先導的な役割が果たせたらこれにまさることはないと考えておりますので、今後とも御教導を賜りたいと存じます。
○西委員 ありがとうございます。
確かに、大臣がおっしゃるように、安全と安心とは若干違うニュアンスがありますので、すべての分野において一律にきちっと線引きをできるのかという課題はありますけれども、まず一歩を踏み出すというところから議論が進めばなというふうに思って御提案申し上げました。
次に、食料供給力の向上について質問をさせていただきたいと思います。
食料供給力の向上に関しては、大臣の所信で、食料生産装置である水田をフル活用し、自給率の低い麦や大豆や飼料作物の生産拡大、新規需要米の本格生産に取り組むというふうにおっしゃっておられます。私も大賛成でございます。
今後、耕作放棄地の解消対策も進めていくということですから、耕作地の増加に従って当然作物も増産されていくということになろうかと思います。戦略的にどの品目をどうふやすべきかということを農水省としても示す必要があるんじゃないかというふうに思っております。
既にある目安としては、食料・農業・農村基本計画に生産努力目標というのが示されておりまして、平成二十七年度に向けて、米が八百九十一万トン、小麦八十六万トン、大麦、裸麦が三十五万トン、大豆二十七万トン、飼料作物五百二十四万トン、こういう数字が載っております。
これは平成十五年度を基準にして考えているんですが、その平成十五年度に比べてふえているのは、大麦と裸麦が十五万トン、それから飼料作物が百七十二万トン、この増だけでございまして、その他のものは大きく変わってはいません。
この目標について大臣はどう評価されるのかということをお伺いしたいわけですが、この際、数値目標を見直し、もう少し意欲的な目標とすべきではないかというふうに私自身は思っております。自給率の低い麦、大豆、飼料作物の生産拡大、それから新規需要米の本格生産というのは、具体的にはどのような生産の状況を想定しているのかということも含めてお答えをお願いしたいと思います。
○石破国務大臣 私、今から二十年近く前に自民党で麦対策小委員長というのをやっていたことがあります。そのときに国産麦で焼いたパンというのを食べましたが、焼いたらふっくらしているんですけれども、それがしばらくたつと本当にペしゃんとしてしまって膨らみがなくなってしまった。また、米粉ラーメンというのを食べたことがあるんですが、とてもお勧めできるようなものでもないねと思ったこともありました。
それが最近、消費者の需要に合ったものが、消費者のニーズに合ったものが随分出てきたと思っております。米粉パンというのが随分と出てくるようになりました。あるいは、国産麦で焼いたパンというのも本当においしいものができるようになってきました。そうすると、ニーズに合ってきたということは、これから先、生産を拡大するという余地が相当にあるのだろうというふうに思っております。
ただ、これが、常に助成というものを伴って何とかやれている、それがずっと続いているというのは、私は余り健全な状況だと思っていないのですね。では、麦や大豆が米よりも高くなるという状況はどういう状況なのか。経済合理性からいうとそっちの方をやることになるんでしょうけれども、そうすると、ではお米の値段をどう設定するんだというお話になってまいります。
その辺非常に難しいのですが、やはり麦、大豆というものの自給率というか国内生産を上げていく、そして助成に頼らなくてもやっていけるということの目標を見据えた上でいろいろな政策を打っていかねばならぬと思っております。
委員おっしゃいますように、もっと意欲的な目標を達成すべきということはよく念頭に置いて、しかしながら、アンビシャスな目標を掲げましても、やったけれどもできなかったとか、つくってみたけれども捨てづくりになっちゃってちっとも自給率向上に役立ちませんでしたということがないように、消費者のニーズを、品質、価格ということもよく見ながら、そして米政策がどうなっていくのかという整合をちゃんととりながら、委員の御指摘のような方向性を目指してまいりたいと考えております。
○西委員 全く同感です。最適なパラメーターはどこらにあるのか、価格面も含めて、国民の嗜好も含めて、まことに複雑な大臣の言われる因数分解、方程式だと思うんですが、ぜひともその最適値を探るべく努力をしていただきたいと思います。
さらに、基本計画では、麦や大豆に関して取り組むべき課題というのが書かれておりまして、麦につきましては、一つ、実需者のニーズに応じた麦種、用途ごとの計画的な生産、先ほど大臣も若干触れられました。二番、加工適性の高い品種の育成、普及。三番、生産規模の拡大。こういうことが課題になっております。
また、大豆につきましては、一、気象、土壌に応じた耕起、播種技術の確立による湿害軽減。それから二番、契約栽培取引の改善による安定的生産、供給。三番、生産規模の拡大、機械化適性の高い品種の育成、普及。こういう課題をそれぞれ挙げております。
作物ごとのこれらの課題に対して今どこまで対応しているのか、実はそれがこれからの生産拡大の一つのかぎだというふうに思っておりまして、そのことについて示していただきたい。さらに、麦、大豆の需要を伸ばすためにはどのような点を改善していけばいいのかということもあわせてお伺いをしたいと思います。
○竹谷政府参考人 お答え申し上げます。
麦、大豆につきましては、まず、水田・畑作経営所得安定対策におきまして、担い手を中心に生産規模を拡大していただけるような体制づくりというものを図っているところでございます。これとあわせまして、産地づくり交付金も交付してそうした取り組みを推進しているところでございます。
さらにこれに加えまして、今委員御指摘のように幾つかの生産面の課題が基本計画の中に掲げられているわけでございますが、まず麦につきましては、民間流通を前提といたしまして、そうした中で、播種の前に実需者と産地が契約をするということで、計画的にちゃんと実需に結びつくような形での生産に取り組んでいるということがございます。これは全量取り組んでいるところでございます。
それからもう一つ、麦の品種の問題でございますけれども、先ほど大臣からも日本の麦はなかなか加工適性にすぐれていないという事例も御紹介させていただきましたけれども、麦の品種、続々と新しいものが出てきております。近年、平成十年代に入りまして、イワイノダイチでありますとか、あやひかりでありますとか、ふくさやかといったような品種が出てきておりまして、これらは日本めん用のうどんに適する品種としてできてきております。かつてオーストラリアの小麦の方が日本のうどんに適するという声もあったわけでございますが、これらの品種がそれに匹敵するような形で続々登場してきておりまして、その面積は、新品種でございますから徐々に進んできているわけですが、既に全国の麦の作付の一割に達しているという状況にございます。
他方、大豆についてでございますが、大豆は、先ほど委員御指摘のように、まず水田で植える場合に湿害が非常に大きな課題であったわけでございます。これは、畝立てと播種を一体的に行って湿害を防ぐ、試験研究機関が開発したもので大豆300A技術という技術体系がございますが、これの普及を進めているわけでございます。これも大豆の作付面積の約一割において普及をしてきているという状況になっているわけでございます。また、機械化適性にすぐれた品種開発というものも進めてきておりますし、契約栽培も推進しているという状況でございます。
そうしたことである程度生産なりも進んできておりますけれども、小麦につきましては、先ほど基本計画の基準年、平成十五年でございますが、それの八十六万トンを上回る、現在、平成十九年度で九十一万トンの生産ということになっております。
大豆の方につきましては、一たん平成十六年に十六万トンまで生産が下がってしまいました。しかし、その後、先ほども申し上げたような幾つかのことをやってまいりまして、現在、平成十九年で二十三万トンまで回復しておりますし、ことしも大分豊作のようでございますので、一層いい結果が出るのではないかなというふうに見ております。
ただ、まだ課題が多くございます。
委員御指摘のように、さらに生産をきちっと実需者に合った形で対応していくということになりますと、やはり麦の方につきましては、パンに向いた品種というものあるいはラーメンなどに向いた品種というものをしっかり開発していかなきゃいけないと思っております。それぞれの地域で今大体いい品種ができてきておりますけれども、もう少し検証しながらその普及を図っていきたいなというふうに思っているところでございます。
また、大豆につきましても、先ほどの300A技術をもっと普及していきたいというふうに考えておるわけでございまして、そういった取り組みをすることによりまして、生産が安定する、そして増産も図っていけるという形に持っていきたいと思っております。
そして、先ほど大臣から申し上げました来年度に向けましての水田の有効利用を進める新しい対策という中におきまして、麦、大豆というものを戦略作物として位置づけまして、その作付拡大というものをより積極的に推進していこうということも考えておりまして、それらを総合的に進めていくことによって前進していきたいというふうに考えている次第でございます。
○西委員 麦、大豆、大きな課題だと思います。品種の面、技術力の面、それから経営的側面も含めて、全力で取り組んでいただきたいというふうに思います。
時間がもうほとんどなくなってまいりました。最後に一問だけお伺いしたいと思います。
食料自給率向上の一つのかぎは、やはり消費、販売などの需要の拡大ということであろうと思います。自給率五〇%を目指して私どもも食料自給率五〇プランというものを提案しておりますが、今まで農家の皆さんは、生産に関しては大変な努力をしてきましたけれども、販売に関しては余り努力をしておられなかった、感覚がもう一つ強くはなかったというふうに思っておりまして、私はいつも、農家には篤農家はいるけれども農業経営者はいない、こういうふうに言っているんです。
そういう意味で、もちろん作物をつくるという意味での創意工夫は当然のことですけれども、これからは経営的な自立を実践していかなければいけない。また、さらに言えば、国際的な農業経営についても、そういう経営感覚をも取り入れるような、そういうこれからの姿勢でなくてはいけない。これは、大臣も所信の中でも述べられているとおりだというふうに思います。
それで、具体的に、今の実態はそういうことですから、経営全般を今まで一人で切り盛りしてきたということを解消するために、これからいろいろな支援策をぜひとも講じていただきたい。いろいろな側面から、それぞれ個人ないし農村というものの改善のためのノウハウというのをお持ちの方が各地にたくさんいらっしゃると思うんです。そのことについて、農業経営者を育成、支援する人材をぜひとも発掘して活用していただけるようにお願いをしたいと思うんですが、そのことについてお答えをいただきたいと思います。
○石田副大臣 お答え申し上げたいと思います。
私もこういう立場を与えていただいていろいろなところでお話を伺っておりますが、その中で感じたことは、やはり今委員もおっしゃったように、篤農家という観点から、今までは、つくる喜びは当然あったと思うんですけれども、これは言葉はちょっと悪いかもしれませんが、いわゆる売れてもうけるという、その喜びも味わうことがやはり今大事じゃないのかと。この二つの点が大変大事で、その両方が相まって農家の皆さんにいろいろな意味で意欲がわいてくるのではないか。
ですから、私は、委員がおっしゃるように、経営という観点からこれは非常に大事だ、こういうことは大変共感を深くするところでございまして、こういうところに国としてどういう応援ができるかにつきましては、いろいろな、税制、金融、予算というものの支援とか、農商工連携による地域産品に関する新商品の開発、販売促進というものもあろうと思いますし、多様な経営展開を図るためのビジネス商談会の開催等、加工、販売などの経営の多角化による経営発展というものを達成するような経営体の育成、これはぜひやっていかなきゃいけないというふうに思っております。
また今後とも御提案がございましたら、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。
○西委員 時間が参りました。ありがとうございました。
○遠藤委員長 次に、細野豪志君。
○細野委員 おはようございます。
きょうは、農水委員会での質問の機会をいただきまして、委員長、まず心より感謝を申し上げます。
石破大臣の所信を私も非常に興味深く拝聴いたしました。これまで安全保障の議論は大臣と何度かしたことがありまして、かなりの回数やってまいりましたけれども、大臣が農林水産業についても非常に強い熱意を持っていらっしゃるということが所信を聞いておりましてもよくわかりまして、心強く感じたところでございます。
その中で、私がまず非常に興味深いなと思いましたのが、大臣が、今の日本の農林水産業をもって存亡の危機にあるという極めて強い危機感を示されたこと、これは同感でございまして、このことを示されたことが非常に興味深く目にとまりました。その上で、一方で農林水産業は潜在力を秘めていて、数少ない成長産業であるともおっしゃいました。
問題は、この存亡の危機にあるという現状と成長産業であるというこのあるべき姿とのギャップをどう埋めるか、ここが具体的にどうなのかというのが今まさに農林水産省としても求められているところなんだろうというふうに思うんですね。
その間をどう埋めようとされているのかをお伺いしたいんですが、その中のポイントの一つとしていわゆる農地制度、これは、先月の記者会見では晩秋までにまとめると。晩秋ということは、十一月、もうそろそろ晩秋に入っておりますので、時間がなくなっておるということになるわけですが、ここに少し焦点を当てながら、どうこのギャップを埋めていくのかということについて大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○石破国務大臣 存亡の危機にあるというのは、間違いなくそうなんですよ。だれが見てもそう見えますよね、これだけ耕作放棄地がいっぱいあって。先ほど小野委員の質問にもありましたが、基幹的農業従事者、いわゆる農業をなりわいとしている人が、六十代以上が七割ということになると、これは十年前は五十代以上が七割とかそんな話で、あと十年たつと七十代以上が七割とか、二十年たつと八十代以上が七割みたいなことがあるはずがなくて、これを存亡の危機と言わずして何と言うのだということだと私は思います。
他方、成長力を秘めているというのは、アジア・モンスーン地帯にあるというこの気候ですね。もう一つは、傾斜が急峻で水がざあっと流れて、連作可能な水田があるというのが我が国の物すごいメリットですね。そして、何よりも豊かな消費者がこれだけいるというのは大変なメリットではないのかということだと思うのです。
これをどう埋めるかということは、私は委員と問題意識を共通にいたします。そこにおいて、農業者、農地、そして農業インフラストラクチャー、これを一つ一つ精緻に分解して議論をしていかないと、自給力だけに拘泥をするとその辺を見落とすことになるんじゃないか。つまり、食生活が貧しくなったので自給率が向上して政策目標は達成されました、めでたしめでたしの図というのは倒錯した議論であって、そんな議論をしても仕方がないと私は思っているのです。
農地について、また議論させていただきたいと思いますが、基本的には、やる気のある人に農地が集積するような仕組みというのをつくっていかなければいけない、私はそれに尽きるのだろうと思っております。やる気のある人に農地が集積するような仕組みとは一体何であるか、そして、自作農主義から耕作者主義へ転換をしてきましたが、これがこの後どういうふうにして変わっていくのだろうか、いかねばならないのだろうかという議論はいつまでもしていていいものではないと思っておりまして、次期通常国会に法案を出したいというふうに思っております。それに向けて検討を、今最後の段階になっておりますので、晩秋と申し上げたのはそういう意味でございます。
ただ、省内でまだ幾つか論点がございまして、ここでこういうふうにするということが公にできるようなお話ではございませんが、委員のいろいろな御指摘も踏まえながら私どもやっていきたいと思っております。繰り返しになりますが、やる気のある人に農地が集積するようにしたい。
それから、先ほどの議論にもありましたが、耕作放棄はなぜ起こるのかということだと思います。それは、条件不利地域だけに耕作放棄が起こっているかといえば、そんなことは全然ないわけであって、条件のいいところだって耕作放棄は山ほど起こっているわけですね。では、これは一体何なんだ。耕作放棄問題というのは条件不利地域の問題であるというふうなのは、私は誤った先入観だと思っております。
それぞれの地域でなぜ耕作放棄が生じているのか。そして、それは転用によるものが非常に多い。でも、みんな経済合理性の動物ですから、経済合理性があるから転用しているわけで、それをとめるためにいろいろな規制をかけたとして、それが経済合理性とどのような整合性を持つのかというのは極めて難しい議論だと思っておりますが、そこを解決しない限り農地問題というのは展望が開けないと私は認識をしております。
○細野委員 耕作放棄地について、いわゆる僻地、耕作が難しい地域でのみ出ているという現状にははるかにない。そこから大きく出ていて、かなり町場で、比較的いい農地と言われるところでも、もう既に私の地元なんかでも出ておりますので、そこは認識は全く共有します。
農地法を出されるというふうに今はっきりおっしゃいましたので、その場所でまた議論させていただきたいと思いますが、私どもとしても、そもそも農地というものを、先祖代々の農家のもので、この私有財産権をとにかく守るという発想に立っていては状況は好転してこないというふうに思っておりまして、今利用権を設定して、ある種、今も市町村による法的措置というのはありますが、あれをもう少し実質化させるような農地法の改正に踏み出すべき時期がもう来ているのではないかという認識は持っておりますので、そこはぜひこの場所でまた議論をさせていただきたいというふうに思います。
次にお伺いをしたいのが、農協の政治活動について。
きょう、資料をお配りしておりますので、大臣、まずそれをごらんいただけますでしょうか。これは、これまで何度か本会議及び委員会、衆議院、参議院で農協の政治活動について議論がなされておりまして、その中で大臣が直接答弁をされていて、最近のもので引用に値するかなというものを二点引っ張ってまいりました。それぞれ書いてありますので、ごらんをいただければというふうに思うんですが、二つとも共通をしておるのは、農協については政治活動は認められていて、公選法であるとか政治資金規正法に反しない範囲で行うことは問題なしとしていることですね。
平成十三年の六月二十一日の武部農水大臣はこういうふうに答弁をされている。「しかしながら、中央会は農協を会員とする団体であり、農協にはいろいろな考え方を持っている組合員が加入しているということから考えれば、」この後ですね、下線を引いてあります、「無理な政治活動は組織内部の混乱を招くおそれがあることから、その活動はおのずと限界があるものと考えます。」こういう答弁です。
さらに、平成十六年の五月二十八日の亀井大臣の答弁は、同趣旨のところに下線を引いてあります、「誤解や混乱を招くことのないよう節度を持って行うべきものと考えております。」
つまり、農協というのは、政治活動は自由だけれども、当然それにはある制約が課されるという趣旨の答弁が二回なされています。ほかの答弁も累次こういう形でなされています。
まず、石破大臣に確認をしたいんですが、前段のところは結構です、農協が今の法律的な枠組みの中で政治活動が法律に基づいて認められているということは、これは恐らくそういうふうに答弁されると思いますから結構ですが、後段のところについて、ここで言っている節度であるとか限界というものを当然大臣として従来どおりお認めになるかというところを確認したいというふうに思います。
○石破国務大臣 十六年五月二十八日の亀井大臣の答弁はこのようになっております。「農協には思想や信条の異なる様々な方が組合員として加入していることを踏まえれば、誤解や混乱を招くことのないよう節度を持って行うべき」ということでありまして、これは実に当然のことを述べたものだというふうに考えております。その認識に私どもは変わりはございません。
農協は、その目的の達成に資するために行う政治活動については、ほかの一般の法人と同様、公選法、政治資金規正法に抵触しない限り認められる。これは委員御指摘のとおりで、この点について繰り返して議論するつもりはございません。
農協の政治活動一般について、政治的中立性を求めるべきだというような議論があるわけでございますが、それは現に農協等が有しております政治活動の自由を新たに制限するおそれがあるのではないかということでございます。つまり、活動一般について政治的中立性を求めるということになりますと、それは政治活動の自由に新たな制限を付加することになるのではないかという認識でございまして、節度を持って行うという認識に政府として変更はございません。
○細野委員 一つ一つ整理して議論したいんですが、節度を持って行うべきというのは、大臣も従来どおりだというふうにおっしゃいました。
それでは、一つ具体的に聞きたいんですが、よく農協に特定の候補者のポスターが張ってあります。私は今手元にその一つの例を持っているんですが、配ろうかどうしようか迷ったんですが、余り特定の候補者を中傷するような形になるのは私の本旨ではありませんのでお見せはしませんが、農協の例えば建物の中にもしくはATMの場所においてポスターが張られている。こういうものは、農協というものが地域においてほぼ金融機関として独占的な立場にあるケースもある、また、経済活動においても農家の皆さんに対して強い影響力を持っているということになれば、堂々と敷地の中にもしくはATMのところにポスターが張ってあるというのは、この節度や限界をはるかに超えていると私は思いますが、大臣、このことについてどのようにお考えになるか、お答えをいただきたいと思います。
○石破国務大臣 農協系統金融機関についてのお尋ねでございます。
これは金融業務を行うに際して、厳正に政治的中立性が担保されなければいけない、厳正な政治的中立性を確保するということは当然であると考えておるわけでございます。
ですから、それは個々のケースについて、これはどうだああだということをこの場で私が申し上げることは必ずしも適切ではない。それは農協に限らず、いろいろなものについて節度は守られるべきだというふうに考えております。
それは個々のことについて、これがどうなの、こうなのということで断定はできません、それはその場のいろいろな状況がございますので。それは農協に限らず、すべてのものが節度を持ってやるということなのだと思います。それ以上でもなければそれ以下でもない、それが節度というものだと私は思います。
○細野委員 大臣、そこは逃げずに御答弁をされる責任があると思いますよ。具体的に節度とか限界とかおっしゃっているのだから。この答弁に基づいて、ここで限界は何ですか、節度は何ですかといったときに、それは節度を持って皆さんが判断してくださいということになれば答弁の意味はありませんから。
具体的に聞きますが、では、大臣は、具体的に農協というかなり独占的な役割を果たし、農家の皆さんや地域に極めて強い影響力のあるその建物のところにポスターを張るという行為自体は、この節度や限界に当たらないというふうにここで答弁をされるんですか。確認をしたいと思います。
○石破国務大臣 それは、農協が独占的かどうかというお話にまたなってくるんだろうと思いますね。それは地域において農協というものが果たす役割というのがありますが、その地域に別に農協が相互乗り入れしたって構わないわけでございますし、ほかの農協をつくったって何らそれが規制を受ける、拘束を受けるものではございません。
また、一方において、これは我が党に限らず他党でもあるお話なのかもしれませんが、つまびらかには存じませんが、農協が行う場合には、私のところもそうですけれども、農政協議会というところが推薦する、何々農協という名を名乗って推薦をするという例は比較的まれではないかというふうに承知をいたしております。
そういたしますと、そこの農政協議会の活動としてどのような場にどのような掲示をなすことが節度の範囲内であり、どのような場に張ることが節度の範囲外なのかということは、それは個々具体的に論ぜられるべきものではないでしょうか。
そしてまた、ポスターが、仮にポスターのお話に特定してお答えするとすれば、どういう場所にどれだけ張るかということも節度の問題だと思いますね。
つまり、ATMのところに右も左もすべてポスターを張り尽くすということは相当に節度を超えてはおるのでしょうが、やや控え目に、場合によっては見てちょうだいねというような場合は、それは節度の範囲内だという考え方もあるでしょうし、それはケース・バイ・ケースだと思います。
○細野委員 私は、大臣はわかっておっしゃっていると思うんですが、農政連は全く別の存在として別の議論が必要だと思っています。きょう私が議論したのは、農政連の活動ではなくて、農協本体として、農協本体のATMが農政連と関係ないことは明らかですから、しかも節度を超えてやっている、まさに大臣が言ったような例を申し上げたわけです。わかりました、大臣はそれはポスターの張り方にも当然節度があるという御答弁をされたということはわかりましたので。
では、委員長にちょっとお願いをしますが、ここで言う節度とか限界というのはどういうことなのか、農水省としての現段階でのきちっとした見解を委員会に示していただきたいと思いますので、お取り計らいをお願いします。
○遠藤委員長 理事会で協議させていただきます。
○細野委員 この問題ばかりやっていられないので、最後に大臣にもう一回お伺いをしたいんですが、協同組合組織の中で、例えば生協ですね、中小企業等協同組合、あとは商工会議所も、これは余り知られていないんですが、政治的な中立性を規定しているんですね。商工会議所も政治的な中立性が書かれています。金融機関でいえば、労金も書かれていますし、全信組連も書かれていますから、信用組合も政治的な中立性が法律的に書かれている。
農協もこの並びでいえば書くことは全然おかしくないと私は思いますが、さっき大臣はちょっと前のめりでそこまで答弁をされましたが、これは例えば生協であるとか中小企業等協同組合とか商工会議所なんかが中立性が確保されていて、法律的に書いてあって、農協は書いていない。これはなぜ違う規定になっているのか、大臣、合理的にわかるように説明していただけますか。
○石破国務大臣 それは、御指摘のように、私もこの問題が提起されて以来、いろいろな法律を見てみました。労働金庫であり、信用組合であり、生協であり、信用金庫であり、そして農協、漁協でありということであります。それを明確に述べよと言われて、そこをきちんとしゃべるだけの知識は私は持ちませんが、それが何を目的としてやっているのか。
すなわち、労働金庫であり中小企業等協同組合であり、それぞれ目的が違うわけですね。私は、農協において、例えば資金を融資する金融業務において、そのような差別的な取り扱いがなされてはいけない、当然のことであります。それぞれのものが、その設立の目的に従ってやるということを妨げないということを担保することが極めて重要なことであります。
では、ここに政治的中立性というようなことを書くということが望ましいのか。それぞれの機関がいつの時期にどういう背景でつくられたかということを全部見てみた場合に、農協にそういうような規定がないということが必ずしも不適切だというふうには私は考えておらない。それぞれがいかなる権能を持ち、いかなる役割を果たすかということに由来するものだと思っております。
○細野委員 過去に農協法ができたときに、なぜ政治的な中立性が書かれていないのかという答弁も実は法制局も含めて何度かなされていまして、よくわからないというのが政府の見解なんですね。
例えば生協というのは、これはむしろ政治的に消費者の観点からさまざまな発言をすることを求められる団体ですね。にもかかわらず、政治的な中立性が書いてあるんです。ですから、農協が農業の振興において農家のために何か政治的な発言をするということと中立性が求められるというところは、生協とパラレルに考えれば、当然区別して考えられるべきところなんですね。つまり、農協がさまざまな政治的な発言をしなければならないから中立にはなれないという理屈は、生協がそうでないのと同じように当てはまらないということを申し上げたいんです。
ですから、我々、農協の政治的な中立性についてはもう既に法律を出す準備を進めておりますので、これは大臣としては受け身ということになるのかもしれませんが、そこはぜひ前向きにとらえていただきたいということを最後に申し上げたいと思います。
時間もちょっと短くなってきていますので、汚染米の問題についてお伺いしたいと思います。
大臣、これは広告ですね、十一月の八日に全国紙、地方紙にも出ていましたから、相当幅広く汚染米について政府広告を出されましたね。これはいろいろな省庁が絡んでいますが、恐らく農水省はかなり中心的な役割を果たしたのではないかというふうに書かれています。
私がこれを読んで一つ違和感を感じましたのは、大臣、こう書かれているんですね。「今回の事故米の問題については、多くの方々にご心配・ご迷惑をおかけしました。 政府は、内閣府にチームを設け、情報の公開、流通経路の解明、再発防止策の確立などに向けて、各府省連携し一体となって全力で取り組んできました。」と。これはいいと思います。その次に、「その結果について、以下のとおりご報告いたします。」とある。この調査結果がほぼ終了したかのような書き方になっているんですね。
もう一つ私が注目しているのは、「残っていた事故米はすべて回収され、市場には一切、流通していません。」の後に、「農林水産省では、先月末までに事故米の流通経路を可能な限り解明しました。」と。解明しましたと過去形になっているんですね。これは本当に正しいか、私ちょっとそこに疑問を持っています。
そこで、私が配った資料を見ていただきたいんです。二枚目です。これは農林水産省から出していただいた資料ですが、政府の側で集中的にこれまで調査をしてこられたのは、輸出国から輸入をされて、正品として政府が買い入れられた、つまり、上の部分ですね、問題なしとして正品として政府が買い入れて、そして、保管をしておったら後からメタミドホスがポジティブリスト方式になって事故米で流通させることがだめになった、もしくは長くそこに貯蔵しておったらカビが生えてしまって食用には適さなかったということですね。そういうものについて調査をされた。
ただ、余りこれまで話題になってきませんでしたが、実際には入ってきたときにもう既に食品衛生法違反に当たり、つまり、農薬であるとか、カビが生えておって、食品衛生法違反で食用には流通することができなかった、許されなかった。そして、それがここで下に書いてあるんですが、これは非常に重要なんですが、この事故米についても基本的にはすべて一回政府が買い入れているんですね。これは大臣は御認識でしたか。
既に事故米として入ってきているものも、少なくとも一回政府が買い入れて、それから商社に戻して民間に流通させているんです。その意味では、一たん政府の所有に入っているという意味では、正品で入ってきたものも事故米で入ってきたものも全く同じなんですね。
こっちの流通ルートはまだ解明されていないと承知をしていますが、あたかも政府がかかわったものについてはすべて解明したようなこの政府広報というのはかなり誤解を生む可能性がある、私はそう思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○石破国務大臣 それは誤解をされないようにいろいろな手だてはやっていかねばなりません。
それは、接着剤みたいで変な言い方ですが、瞬間タッチという形で委員御指摘のように一回そういうような経緯を経ます。ただ、その瞬間タッチなるものをそこで微に入り細にわたって御説明するわけにもなりませんので書いておりませんが、ではその分の解明はもう今後はしないのかといえば、そういうことではございません。今まで可能な限り解明をしたし、今後ともできるものはやってまいらねばならないということは当然のことでございます。
○細野委員 きょう厚生労働省にも来ていただいているんですが、三枚目以降で、ここで流れている米が食品衛生法上検疫所でどういうふうに扱われているかという記録を厚生労働省から出していただきましたので、ごらんをいただきたいと思います。
まず三ページ目で、食品衛生法違反通知が、これに関していうと双日に、運用した商社に出されています。違反をしているので食用に出してはだめですよというのが三枚目ですね。
それで、通知書が税関支署にも出されているのが四枚目。
五枚目を見ていただきたいんですが、食用には回すことができないこの米をどういうふうに加工するかということをこの双日が計画書を出しているわけですね。まず見ていただきたいのが、どこで加工するかというと、三笠フーズでやると六番目の「処理加工場所」に書いてあります。実際には、三笠フーズは非食用には加工していなくて、食用に回っていたということですね。「販売先」は森光商店ということになっている。これは、今調べに対してなっていますが。
時間も限られていますが、まずお伺いしたいんですが、私が一つ注目をしたいのは、この「処理加工期間」ですね、八番に書いてあります。平成十九年の九月一日から平成二十一年の三月三十一日までという、これは一年半かけて加工処理することになっておるんですね。
これは平成二十一年の三月三十一日というと、来年の三月ですからまだ報告もされていないんです、ほとんどのものが報告をされているのに。私から見ればこんなのは明らかに、一年半もかけて加工処理するなんてことは考えられませんから、かなりの部分、この双日と三笠フーズと森光の間で何らかの、この処理がきちっとなされないということについての暗黙の了解があったように見えて仕方がないんですが、厚生労働省として、この一年半もの間、時間をかけて加工処理をするというこの考え方についてどういう御見解を持っているか、お伺いしたいと思います。
○石塚政府参考人 食品衛生法違反になりました米につきましては、この用途変更の申請書というのが出されるわけでございます。その際には、飼料に転用する場合には転用計画書、それから、今御指摘ありましたように、工業用への転用につきましては処理計画書等の提出を受けまして、検疫所から税関あてに、食品衛生法違反物件の用途変更連絡書によりまして食品衛生法の規制対象外となる旨を連絡しまして、輸入者が通関手続を行うものでございます。
これらの書類につきましては、実は、用途変更が出された段階で既に食品衛生法の対象外となっているものでございますので、これが出された書類というものはあくまでも任意で提出してもらっているものというように理解をしております。したがいまして、この内容が事実であるかどうかということにつきまして、これを食品衛生法を根拠として検査するとか確認するということについては権限がございませんので、この書類を一応信用するという立場でございます。
○細野委員 今の厚生労働省の答弁は相当ひどいですよ。水際でこれは食用か食用でないかという判断をするのは検疫所の役割ですよね。それがこれは食用に適さないということで判断をしているのに、書類は任意ですか。
では、聞きますが、六枚目、これは誓約書になっていますね。「誓約書」の下に、この物件については下記のように「食用以外の用途に転用する事を誓約致します。」。誓約書になっているじゃないですか。これは法的文書でしょう。損害賠償も請求できるぐらいの誓約書を課しておいて、それこそこれは任意で出してもらっている書類であって、しかも何の追跡もしていないわけでしょう。検疫所とはそんなものなんですか。この誓約書というのはどういう効果があるんですか、御答弁ください。
○石塚政府参考人 先ほども御答弁申し上げましたように、用途変更がなされた段階で食品衛生法の規制対象外ということになっております。したがいまして、ここにございます計画書、それから誓約書というものにつきましても、業者の方から自主的に出してもらっているものというふうに位置づけております。
食品衛生法の法的な根拠がない中で、これに対して法的な権限を行使するということは、私どもにとってはそれはできないという立場でございますので、あくまでもこれらの誓約書といったものも信用するという立場でございます。
○細野委員 時間がなくなりましたのでまた改めてやりたいと思いますが、これは大分やったんです、厚生労働省と。全く当事者意識はないんですね。
最後に、私から見解だけ言って終わりにします。
この三笠フーズに回っている米というのは、工業用に回るはずだったものなんですね。事故米の中には、もう食べられないので飼料用に回るものと、飼料にするのもまずいので工業用に回るものがあるわけですよ。要するに、豚も牛も食わないものを人間が食っていたという話なんです。
その意味では、この例以外に飼料用に回っているものが相当あるわけですね。私の推測ですが、工業用ですら食用に回っていたんだから、飼料用が本当に人間に回っていないかという疑義を相当持っていますので、一刻も早く事故米が、少なくとも私が調べた段階でも二・五万トンぐらい事故米がここ数年間で入っています、それが食用に回らなかったのかどうかということについては、できるだけ早期にきちっと検証していただきたいと思います。
私が今の検疫所の話を聞いてもう一つ疑問に思ったのは、検疫所は米以外の食料品についてもチェックをしているわけですね。小麦もやっています。加工食料品もやっています。これは廃棄してください、これは食用に回してはいけませんよと判こだけ押して、全部チェックしていないんじゃないですか。チェックする権限はないと言っているんだから。だから、問題は米だけじゃないかもしれませんよ、大臣。
ですから、検疫所の問題と食の安全の問題は、ここに大きな穴があると私は思っています。これは組織の改編においても、消費者庁をつくるとおっしゃっているけれども、検疫所の問題は入っていませんね。我々は、食品安全庁という組織で検疫所も視野に入れてちゃんとやっています。組織を変えることについてはいろいろ議論があるかもしれないけれども、少なくとも、この問題が出てきて検疫の問題が出てきているんだから、そこはしっかりと大臣として視野に入れて問題の解決を図っていただきたい、これは緊急課題だと思いますから、そのことを最後にお願いをして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○遠藤委員長 次に、佐々木隆博君。
○佐々木(隆)委員 民主党の佐々木でございます。
大臣所信について質問をさせていただきますが、時間が三十分しかありませんので、極めて今日的な課題について絞って質問をさせていただきたいというふうに思います。
一つ目は、麦の契約生産奨励金についてお伺いをいたします。
麦の契約生産奨励金というものが昭和五十三年に麦の実需者の拠出によって制定をされて、麦作の振興、あるいは民間流通の促進ということに役立ててこようということでできたというふうに聞いているんですが、まずはこの根拠、意義、目的についてお伺いをします。
あわせて、その奨励金が二十一年産から廃止されるというふうに聞くわけでありますが、その目的は達成されたということなのか、あわせてお伺いをいたします。
○町田政府参考人 お答え申し上げます。
現在の麦の契約生産奨励金の意義、目的等でございます。御案内のとおり、国内産麦は平成十二年産から民間流通へ移行しましたが、その際、需要に即した良品質麦の生産振興により民間流通の円滑な移行を図る観点から、製粉メーカーなどの負担によりまして、国内の麦生産農家に対しまして契約生産奨励金が交付されてきたところでございます。
この奨励金につきましては、平成十二年の民間流通の開始以来九年が経過いたしております。国内産麦の民間流通が軌道に乗ってきたことなどを踏まえまして、生産者団体と製粉メーカー等が協議した結果、今年度限りで廃止する予定となっております。
一方、国内産麦の価格についてでございますが、毎年、播種前に入札方式で決めております。その際、前年産の平均の落札価格を基準価格といたしまして、プラス・マイナス七%の範囲内で札を入れる、これが原則となっているところでございます。
しかしながら、本年八月に行いました二十一年産の国内産麦の入札に当たりましては、昨年来、外国産麦の輸入価格が大幅に上昇していることを踏まえまして、生産者団体と製粉メーカー等の協議の結果、二十一年産限りの特例措置として、基準価格を二十年産の平均落札価格の一三〇%の水準とした上で入札を実施したところでございます。
この結果、全銘柄平均では、前年産より三九%の上昇となったところでございます。二十一年産から契約生産奨励金を廃止いたしましても、実質的に生産者の手取りは減少することはないというふうに考えております。
また、二十二年産以降につきましても、前年産の平均落札価格を基準といたしまして、先ほど申し上げました七%の値幅制限の中で取引価格が決定されることになっております。生産者手取りが大きく変動するということはないというふうに考えております。
○佐々木(隆)委員 実は、今私の質問にすべて答えていただいていないというふうに思うんですが、要するに、意義、目的は何かといったら、今言ったのは、価格の面からのお答えしかないわけですね。
では、その価格の面だけでこの生産奨励金というのはつくられたのかというと、目的はそうはなっていなくて、品質向上とかそのほかの目的はたくさんあるわけですね。そういう目的でつくられて、では、その目的が達成できたのですかということを聞いているんですが、価格の影響はないという話だけを今されているわけで、価格の影響がなければこの奨励金は切ってもいいんだという、今のお話だとそういう理屈になるわけですが、それでいいんでしょうか。
○町田政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、この麦の契約生産奨励金でございますが、麦の民間流通の円滑な移行を図る、これを主たる目的としているものでございます。
十二年に民間流通に移行したわけでございますが、その後の経過を見ますと、麦の政府買い入れは十七年産以降事実上なくなっております。また、十九年の食糧法の改正によりまして、制度的にも廃止されたということでございます。
まさに民間流通は定着をしてきたということで、この契約生産奨励金は関係者の話し合いによって廃止することになったというふうに理解しております。
○佐々木(隆)委員 流通という側面から見るとそれは多少当たっているわけですが、良品質麦生産誘導という目的、一番最初の目的はそこにあるわけですから、そこのところはどうしたんだということはまだ疑問として残ります。
次の質問に移らせていただきます。
この話なんですが、これは実は極めて唐突な話と言わなければならないというふうに思います。麦管理改善対策要綱という、国の食料・農業・農村政策審議会の中でそういうものが決められている。これは国の制度であります。契約生産奨励金基準額決定委員会、ここが麦の取引価格を決めるところでありますが、これは実需者と生産者で組織をされています。ここで決定するということになっているんですが、この委員会が開かれるのは十二月だというふうに聞いております。
ところが、九月一日付の通知文書というのがありまして、これは農林水産省総合食料局長名で既に通知されているものですが、そこで国の関与を廃止するという旨既に通知しているわけですね。それで、生産者の方は十月十日から十一日の新聞報道でそれを知るわけですけれども、麦は播種前契約ということになっています、先ほど局長もお答えになられました。播種前契約というのはいつかというと、これは六月なんですね。
六月に契約するものが、九月一日で通知文書で知らされて、来年から廃止しますということになってしまった、十二月決定ですからなってしまったというのは正しくありませんけれども。農家の人が播種してしまってから、九月一日に通知文書が出されているというようなことになっているわけで、生産現場は今大変混乱をしているわけです。しかも、極めて短期間にこのことが行われているものですから、全く唐突という印象をぬぐえないわけですね。昨年からそういう話があったというのなら別なんですが、そういう状況の中で極めて唐突な話なんであります。
ここについて、どういう経緯と、それから生産者に対してどんな周知方法をとってきたのか、その点についてお伺いをいたします。
○町田政府参考人 今回の件についての経緯でございますが、先ほど申し上げましたとおり、十九年の食糧法の改正によりまして、制度的に政府の買い入れもなくなった、民間流通になったということで、契約生産奨励金の役割は達成をされたので廃止することが適当ではないか、こういった問題提起は昨年来から製粉メーカー等を中心に行われてきたということでございます。
その後、ことしでございますが、二十一年産麦の入札方式をめぐります生産者団体と製粉メーカー団体との協議の中で、先ほど申し上げました二十一年産麦の入札の基準価格を前年産の平均落札価格の一三〇%とすることになったこともありまして、二十一年産麦から契約生産奨励金を廃止することにつきまして、七月上旬に当事者間でおおむね合意に達した。七月の、先ほどお話がありました契約生産奨励金基準額決定委員会においてそういったことがおおむね合意に達しまして、その後、それぞれの団体で、十二月に向けて、これは正式決定でございますが、手続を進めてきたということでございます。
そういうような経緯でございます。
○佐々木(隆)委員 今のお話でもそうなんですが、製粉メーカーを中心に去年から論議されてきたと。製粉メーカーと論議したって、つくるのは生産者なんですから、生産者に対してどういう周知をしたかということを今問題にしているわけです。製粉メーカーと話し合ってきましたと、確かに拠出しているのは製粉メーカーですが、そういうことを私は問うているんではなくて、生産者に対してどういう周知をしてきたのかということを申し上げております。
それから、今七月ごろと言っていましたが、この麦生産奨励金は播種前契約ということで六月末が契約なんですよ。今七月とおっしゃって、もう六月末に契約しているんですから、七月に論議されても、これは既に契約が終わってからその論議が始まったということになるわけでありますので、手続的には非常に問題があるというふうに私は思っています。
今局長が何度もおっしゃられている、価格が今見合っているからいいという論理の話をしているのではなくて、契約の流れというものが一つあって、ちゃんとそういう制度をつくってきたわけですから、そのつくってきた制度をやめるに当たって、実害がないからいいんだという理屈にはならないんではないかというふうに私は思います。
そこでお伺いをしたいのは、この奨励金は、所得安定対策、いわゆる品目横断の対策の算定基礎の中へ既にこの奨励金というのは制度的に組み込まれているわけですね。今度それが外されるということになるわけですから、これをどうするのかということについてお伺いをいたします。
○高橋政府参考人 水田・畑作経営所得安定対策におきますいわゆるゲタの対策、生産条件不利補正対策でございますけれども、これにつきましては、過去の生産実績に基づきます固定払い、あるいは毎年の生産量、品質に基づきます成績払い、それぞれの面積単価、数量単価の算定におきまして販売価格というものが考慮されることになっております。
この販売価格につきましては、当然のことながら、麦につきましてもこの生産奨励金も含めて、市場価格と生産奨励金が含まれて算定をされているところでございます。したがいまして、今後、契約生産奨励金が廃止ということになりますと、市場価格の変動と同様にこれらの単価の算定に影響を与えるという形になるわけでございます。
ただし、固定払い、これは面積単価、過去の生産実績に基づく固定的なものでございます。また一方、成績払いの数量単価につきましては、当初三年間、二十一年産まで固定しているということになりますので、このような販売価格の変動につきましては二十二年産以降に反映される形になるわけでございます。
なお、先ほど総合食料局長からもお話ございましたけれども、この算定に用います販売価格は、市場価格及び契約生産奨励金ということになります。したがいまして、契約生産奨励金の廃止ということも当然算定の要素になるわけでございますけれども、一方で、市場価格そのものが、現在までの間に、現在の単価算定時におきまして五〇%以上上昇しているというような状況もございます。これらを総合的に考慮いたしまして算定するということになるわけでございます。
○佐々木(隆)委員 今のお答えも、実害がないからいいんだという、手っ取り早く言うとそういう話であります。
そこで、これは大臣にお伺いしたいんですが、今は確かに国際相場が上がっていますからそういう理屈は成り立つんですが、国際相場というのは常に乱高下するわけですね。そのときにどうするんだということを大臣からぜひお伺いしたいんです。
これは国の関与を廃止すると言っていますし、奨励金も廃止すると言っているんですね。ことしはやらないと言っているんじゃないんです。廃止すると言っているんです。廃止するということは、この奨励金はなくなるということだし、国も関与しないということなんですね。
では、今度乱高下したときにどうするんですかという話ですよね、結果として。この通知文書でも「国の関与は廃止する」、通達は不適切だ、こう言っているんです。そのことについて、今後どうするのかということについて大臣にお伺いをしたい。
あわせて、これにかかわって二つの法人があります、米麦改良協会、製粉振興会。廃止するんですから、この組織も廃止するということなんでしょうか。あわせてお伺いをしたいと思います。
○町田政府参考人 まず、後段の御質問でございますが、その二つの団体は、この契約生産奨励金につきましての業務をやっておるわけでございますが、その他の業務がございますので、直ちに廃止ということではございません。当然のことながら、公益法人としてその目的を達成するための組織、業務の見直し、そういったことについてはきちっと行われるということだと承知しているところでございます。
また、一点目でございますが、ちょっと私どもの説明が十分でなかったかもしれないんですが、この契約生産奨励金の廃止の問題につきましては、製粉メーカー等から生産者団体の方に提起があって、両者が話し合って決められたというものでございます。私どもも、それにつきまして通知を出しております。ただ、関係団体等に対しまして通知は出しておりますが、それぞれの団体から傘下の組合等への周知といった手続は、それぞれの団体で図られたというふうに考えているところでございます。
この契約生産奨励金がなくなるということでございますが、先ほど経営局長からの答弁もありましたとおり、きちっとその後の状況というのは把握された上で対応されていくというふうに承知しております。
○石破国務大臣 今、両局長からお答えをしたとおりでございますが、結局、乱高下をするのは確かにそのとおりなのです。それに適切に対応できる仕組みがなければなりません。ですから、今のところ高いからいいじゃないかということなのですが、二十二年産以降についてはどうなるのかということです。これも先ほどお答えしたかもしれませんが、前年産の平均落札価格を基準として、七%の値幅制限の中で取引価格が決定されるということでございます。したがいまして、生産者の手取りが大きく変動するということはないというふうに考えております。
ただ、どういう場合でも生産者が価格が乱高下することによって経営に大きく支障が生じることがないように、その場で適時適切な対応というのは考えていかねばならないのは当然のことであります。
○佐々木(隆)委員 これは既に廃止をするということでありますから、今大臣がお答えになったように、乱高下したときに新しい制度をまたつくるということになってしまうわけですね。
生産現場にとって一番必要なことは、将来的にも安心して生産できるということが必要なのであって、そのための装置が取っ払われてしまったわけです。その代替があるというわけじゃないんですね、これを取っ払っちゃったら。そういうことを含めて、今後、こういうものについて決定は十二月だと言っていますから、まだ決定しておりませんから、ぜひそういうところも十分に参酌をしてほしいというのと、この二つの法人は他の業務があるから残すというお話でありましたけれども、一番大きい部分がここの部分なんですね、この一番大きい部分の仕事がなくなってしまったのに残す意味があるのかということ。
これは指摘にしておきますが、もともとこれは何か根拠に基づいてできた法人じゃないんですね。そういったこととか、あるいは自主的に拠出金になっている部分というのはマークアップのお金なわけでありますが、そのほかにもいろいろと加算をさせられているというような報道も一部ありますので、いろいろな意味でこの法人のあり方そのものもいろいろ疑問のあるところもありますので、そういった意味もぜひ今後参酌をしていただきたいということは指摘をさせていただきたいというふうに思います。
時間がありませんので次の課題に移らせていただきますが、次は集荷円滑化対策についてであります。
水稲の作況指数が一〇二というふうに予想されておりまして、地域によっては、北海道なんかは一〇六でありますが、この集荷円滑化対策、いわゆる区分出荷ですが、十月二十二日の通知文書というものが、これも総合食料局長名で出されておりますけれども、二十年産米の豊作分について政府買い入れを行う旨通達をされてございます。なぜ政府買い入れにしたのか、その変更した理由についてまずお伺いをいたします。
○町田政府参考人 御指摘いただきましたとおり、この集荷円滑化対策でございますが、十月十五日現在の全国、都道府県、地域の作況指数が一〇一以上になった場合に、その地域を対象に、対策加入者の豊作による過剰米を主食用米から隔離するというものでございます。
この集荷円滑化対策につきましては、加入者は豊作過剰分につきまして六十キログラム当たり七千円しか保証されないのに対しまして、生産調整非実施者は豊作分を含めてすべて主食用として販売していることから、強い不公平感が生じているところでございます。
一方、政府米の備蓄の状況を見ますと、二十年九月三十日現在の政府米の備蓄在庫は約九十万トンとなっております。適正備蓄水準を念頭に置けば、ある程度の政府買い入れが行える状況にあるということでございます。
このような状況も考慮いたしまして、二十年産米におけます集荷円滑化対策の区分出荷米につきましては、政府で買い入れるということとしたところでございます。
○佐々木(隆)委員 それは、そのとおり通知文書に書いてありますので、私もそれは理解できます。
問題は、集荷円滑化対策のこの事業は主食用の市場隔離ということが前提になっているんですね。政府買い入れは、主食用の市場隔離は原則になっていません。ですから、政府が買い上げるということは、それは玉突きで、ことしは別にして、いずれ市場に出てくるということを意味します。ですから、わざわざ集荷円滑化という、生産者に拠出をさせてそういう制度をつくってきたわけですね、市場に出回らないように。今度は政府買い上げだというんですが、この市場隔離という目的はどうされるおつもりなのか、お伺いをいたします。
○町田政府参考人 本来の集荷円滑化対策は、御指摘のとおり、区分出荷米を主食用から完全に隔離するというものでございます。豊作分を放置した場合に比べまして、主食用米の需給バランスの悪化を回避することができるわけでございます。
これに対しまして、区分出荷米を備蓄米として政府が買い入れする場合につきましては、いずれ主食用として販売することになりますので、当年産の需給バランスを改善する効果はありますが、主食用米から完全に隔離することにはならないわけでございます。
本年につきましては、小麦製品を初めとする食料品価格の上昇によりまして米の消費が拡大しておりまして、豊作分を主食用から完全に隔離しなくても、主食用米全体の需給バランスや価格水準を大きく崩すことにはならないものというふうに考えているところでございます。
なお、政府買い入れを行った今回の二十年産の区分出荷米につきましては、特別の事情がない限り、一年以内に主食用米として販売することは考えておりませんし、その後も、極力民間流通米の流通に影響を与えないように配慮して販売してまいりたいというふうに考えております。
○佐々木(隆)委員 今のお話を聞いて農家の人が安心されるとはとても思えないんですが、今、ことしは大丈夫だと確かに言いました。しかし、将来についてはわからないということですよね。今九十万トン在庫しているのでことしの分を買い入れても大丈夫だ、こういう理屈なんですが、来年も豊作だったら玉突きになるわけですよね。二年は大丈夫だと今局長は言ったんですが、二年大丈夫じゃないわけですよね、来年豊作になった場合は。来年どうするかということもまだ決めていないんです。ことしはとりあえず政府で買い入れたということですから。
確かに言われるように、この集荷円滑化は、北海道のように全戸加入しているような地域にとっては非常に不公平感があって、不満が出ていたことは事実です。それはそのとおりで、これは直していかなきゃいけない制度であるというふうに思いますが、実際に、集荷円滑化というのは平成十六年に創設されてから一度しか発動されていないわけでありますから、そういった意味も含めて、あるいは先ほど局長がお答えになったように、これに入っていなくても一般に売って十分にやっている人たちとの間に不公平感があるという問題があります。
二つ目の課題としては、今度は市場隔離という問題をどうしていくのかという問題が残ってきます。
もう一つは、この措置を来年もやると、来年のことについては何も触れていないんですね。ことしはそうしましたということなんです。来年度以降どうするのかということに全く答えていない。農業というのは、そんなに急にいろいろやめたりつくったりすることができない産業なんです。一年に一回しか回転しない産業なんです。途中で変更されても困るんですね、先ほどの麦も同じですが。
そういう意味で、この三つの点にぜひお答えいただきたいんですが、不公平感の問題をどうするのか、市場隔離の問題をどうするのか、来年度以降についてどうするのか、この点についてぜひ大臣のお考えを伺いたいと思います。
○石破国務大臣 不公平感を払拭するというのはまず不可能なんだろうと思います。いろいろな手だては打ちますが、生産調整にしてもそうなのですけれども、参加した人のおかげで価格というのは一定維持されるわけですよね。それで、参加しないでそのメリットを受けるということを完全に排除することはできないので、不公平感を払拭するというのは本当に仕組みとしては極めて難しいことなんだろうというところまではだれでもわかる。そこから先どうしますかという議論をしていかねばならぬのだろうと思います。ですから、集荷円滑化対策とかいろいろな手を打っておりますが、完全に払拭するのは難しいと考えております。では、どうするかというお話です。
それから、主食用との隔離のお話でございますが、これも今申し上げたような方策できちんと隔離をするようにいたしております。それは相当厳正に担保されるのではないかと私は思いますが、要は、どうできるかということもありますし、どう食べるかということがあるわけですよね。どうやって需要を拡大していくかという要素、これは努力で相当のことができるんだろうと思います、お天気との相談ではございませんので。ですから、どうやって需要を拡大していくかということも私どもあわせて考えていって、これがバランスよく効果が発現されるように努めてまいりたいと思っておるところでございます。
○佐々木(隆)委員 大臣自身が記者の質問に答えて、構造的な問題を持っていると。私もそう思います。集荷円滑化というのが我々の地域においては非常に評判の悪いものであったことも事実です。しかし、今日まで何年間も積み立てはしてきたわけですね、拠出は。ですから、これをちゃんと効果のあるようにしてほしいという声があったことも事実です。しかし、大臣が言うように構造的な問題を持っていて、なかなかそう簡単にいかないことも事実なんです。
しかし、いずれにしても、唯一、一〇〇%を超えている作物である米をこれからどうしていくのかというのは、まさにこの国の農政の基本だと思うんですね。そういった意味で、この三つの矛盾というものをぜひ早い機会に、農家に、生産者に示していただきたい。要するにどういうメッセージを政府が送るかということが今大切なのであって、対症療法をいろいろやられることは結構なんですが、それで安心というものにはつながらないわけですから、ぜひそこのところを早急に大臣を中心に進めていただきたいというふうに思います。
もう一つ、指摘だけさせていただきますが、先ほどの麦のところでもそうだったんですが、この所得安定対策の最大の欠陥というのは過去実績なんですね。初年度のスタートとしては過去実績しかなかったのかもしれませんが、ここも三年目に入ってきていて、ことし努力をしたことが反映できないんですね、過去実績が中心ですから。だから、これは、農家に努力しろ、あるいはそういう人たちを中心にと言っていながら、一生懸命やった人たちがこの制度ではどんな形でも報われない制度だという最大の欠陥を持っているわけです。ここのところは、我々は違うことを主張しておりますから、我々の制度になれば大丈夫だといえばそれで済む話ではありますが、そうではなくて、ぜひ政府の方でもここのところを見直しをしていただかないと、実質的不利益をこうむるのは生産者ですから、そこのところをぜひお考えいただくように申し上げて、質問を終わらせていただきます。
―――――――――――――
○遠藤委員長 この際、お諮りいたします。
政府参考人として外務省大臣官房参事官高岡正人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○遠藤委員長 次に、川内博史君。
○川内委員 委員長、理事の先生方にお許しをいただきまして、発言の機会をいただきました。感謝を申し上げます。ありがとうございます。
二十分しかございませんので、早速質問させていただきます。
まず、米国産牛肉の輸入問題についてお伺いをいたします。
三年前の平成十七年十二月、食品安全委員会のリスク評価に基づいて、二十カ月齢以下の米国産牛肉の輸入が再開をされました。その際、食品安全委員会のリスク評価の「結論への付帯事項」として、米国での飼料規制の強化、米国では脳や脊髄などの特定危険部位、SRMがレンダリングによって鶏や豚のえさになり、交差汚染のリスクが依然としてある。この交差汚染のリスクに対して飼料規制の強化をすべきである。さらに、検査、サーベイランスの拡大、継続が必要であるということが食品安全委員会のリスク評価の「結論への付帯事項」で指摘をされておりました。
そこで、私ども民主党は、当時の中川昭一農水大臣に対して、再三質問あるいは御提案をさせていただき、中川大臣の御指示で平成十八年と平成十九年の日本政府から米国政府への規制改革要望書にこの飼料規制の強化とサーベイランスの拡大、継続が記載をされておりました。ところが、ことし十月の平成二十年版からはこれが抜け落ちております。
この規制改革要望書は外務省がおまとめになられると聞いておりますが、外務省から抜け落ちた理由についてまず説明をいただきたいと思います。
○高岡政府参考人 お答え申し上げます。
農水省から外務省に対しまして提出されました対米要望事項におきましては、BSEに関する飼料規制の強化、それからサーベイランスの維持拡大については含まれておりませんでした。
以上であります。
○川内委員 農水省から外務省に対してその書類が上がってこなかったということでございます。
では、食品安全委員会に来ていただいておりますが、食品安全委員会にお伺いします。
この年次改革要望書からこの件を落とすよ、飼料規制とサーベイランスの維持拡大について落とすよということについて、農水省から事前の連絡なり協議なりがありましたか。
○栗本政府参考人 お答えいたします。
お尋ねの件につきましては、食品安全委員会は農林水産省から情報提供、相談を受けておりません。
○川内委員 厚生労働省、農水省から協議なり相談なりがありましたでしょうか。
○石塚政府参考人 厚生省の方でも農水省から個別に事前の御相談を承ったということはございません。
○川内委員 この年次改革要望書は政府として政府対政府で文書を交換するものでありますが、それでは農水大臣は、この年次改革要望書から飼料規制の強化とサーベイランスの維持拡大を落としますよということについて、いつ説明を受けましたか。
○石破国務大臣 これが行われたのは私が大臣になる前のことでございますので、当然あらかじめ聞くということはないわけでございます。
この件につきまして報告を受けましたのは十一月十七日、今週の月曜日であります。
○川内委員 きょうは事務方にも来てもらっていますが、いや、石破大臣は九月に大臣になっているのですよね。交換したのは十月ですから、大臣になる前に決まったということじゃないのですよ、文書は十月に交換していますから。
では、石破大臣の前の農水大臣に事務方は説明したのかということを事務方から答弁してください。説明していないでしょう。
○佐藤政府参考人 御説明をさせていただきます。
先ほど大臣よりお話がございましたように、農水省より外務省への要望文を提出いたしましたのが九月の二十二日でございまして、その際には現大臣ではなかったわけでございます。
そのときに、前の大臣にということの御質問があったかと思いますけれども、ちょうどこの時期は大臣の交代期に当たっておりまして、事実上私どもは大臣の御判断を仰がなかったところでございます。
今後とも、できるだけ丁寧な取り運びをしたいと思っておりますけれども、実情はそのようなことでございます。
○川内委員 適当な理屈をつけていますが、それでは、この重要な政府対政府の文書を交換する、これは毎年行われているわけですが、毎年秋にこっちから要望を出すわけですね。秋に要望を出す。それで、春に向こうから回答をもらうわけです。去年の秋に飼料規制の強化とサーベイランスの維持拡大をしてくださいねとアメリカ政府に日本政府は要望しているわけです。ことしの春、アメリカ政府はそれに対してどのように答えているか。それが十分な答えだったら、ことしの秋、ああ、私たちの要望をきちんとアメリカ政府は聞いてくれたから、ことしの秋は落としたよということも理屈はつきますよ。
では、ことしの春、アメリカ政府がどんな回答をしていたかというと、「BSE対策(飼料規制、サーベイランス) 米国政府は、日本国政府と協力して、これらの問題の科学に基づいた解決に向けて努力する。」報告書にはこれしか書いていないのですよ。どんな努力をするとか、こういうことをしていますとか、何にも書いていない。努力しますとしか書いていない報告書しかもらっていないのに、ことしの秋の政府からの文書から要望を落とすというのは、しかも大臣にも何にも相談しない、しかもその理由は何だと聞いたら、いや、大臣がちょうど交代期で大臣がいなかったのでというのは一体どういうことなんですか。これは事務方の暴走でしょう。違いますか。
○石破国務大臣 これは二十二日、つまり九月の二十二日に農水省より外務省へ今委員が問題にしておられます要望書を出したということでございます。このときは町村官房長官が農林水産大臣臨時代理をお務めであったということであります。私が農林水産大臣につきますのが二十四日ということで、報告する状況になかったなんぞということはもう何の言いわけにもなりませんで、この日は自民党の総裁選挙の日でございましたが、それはやはり何らかの形でお伝えをした方がベターであったし、今後はそのようなことをよく心がけていかねばならないと思っております。
今回の判断の根拠につきましては、先ほど申し上げましたように今週の月曜日に報告を受けたのであります。これももっと早くてしかるべきだったというふうに思いますし、今後はそうしなければならないと思います。
ただ、その判断が妥当であったか否かということにつきましては、私は事後的に報告を受けて、それは妥当なのだというふうに私自身判断をいたしておるものでございます。
では、アメリカは一体どうしてくれるんだ、おまえ、そんなことを言うけれども、アメリカは信用できるのかというようなことだとするならば、アメリカとして、強化された飼料規制を来年四月から施行するというふうに官報で告示をしているということは委員御案内のとおりでございます。官報で告示しているわけですから、それはちゃんとやるということだと思います。
合衆国政府というのはその辺はきちんと行う政府だというふうに、私は長いつき合いで承知をしておるわけでございますが、仮に実際にやらなかったということでありとせば、何でやらなかったのということは、それこそぎりぎり詰めなければいけません。官報にまで載せて、来年の四月からちゃんとやると言いながらやらなかったとすれば、何でなんだということはまさしく検証しなければなりませんし、年次改革要望書においてもう一度要望しなければいかぬということだと思っております。
役所内の情報のシェアの体制はもう少しきちんとしたものにしていかねばならない、私自身そう思っておりますが、当時そのような混乱の中にあったという事情は理解できないわけではありません。ただ、私どもとしてそのような言いわけをすべきだとは思っておりませんで、今後はきちんとそういうような体制を徹底してまいる所存でございます。
○川内委員 今の大臣の答弁で了としたいところでございますけれども、しかし、食の安心、安全を求めるというのは、国民の今最も大きな願いであろうというふうに思いますし、食の安心、安全をきちんと日本国政府として担保していくというのが政府としての大きな責任であるということを考えると、年次改革要望書は、先ほども私が御説明申し上げたとおり、毎年秋に要望をし、翌年の春、回答をもらいますということになっている。ことしの春の米国政府からの回答には、何ら実質的な回答は載っていないわけですよね。それで、ことしの秋、もう一度きちんと飼料規制の強化と。
もちろん、私も知っていますよ。アメリカが飼料規制を強化するよと言っている、官報にも載せたということは知っています。それは米国内のことであって、対日本ということに関して言えば、アメリカが今飼料規制あるいはサーベイランスの維持拡大について言っているのは、努力します、頑張りますとしか報告書の中で言っていないわけですから。
だとすれば、ことしの秋、きちんともう一度要望をして、来年の春、こうしましたという報告をもらって、それで、ああ、ちゃんとやられたんですね、しかしまだ不十分なところもありますよというようなことで、お互いにやりとりをしていくのが日本国政府としての正しい対応であるというふうに思います。
そこで、外務省にお尋ねしたいのですが、この年次改革要望書というのは追伸あるいは追加はないのですか。ちょっと紙が抜け落ちたので新たに送ります、ごめんなさいというのはできないのですか。
○高岡政府参考人 お答え申し上げます。
本件、このような年次改革要望書につきましては、過去何年かこうしたことをやってきたところでございますけれども、今まで追加という形で要望書を出したことはございません。
○川内委員 いや、できるのかどうかということを聞いたんです。出したことはあるかないかということじゃなくて、できるんじゃないかなと私は思うのですけれどもね。
○高岡政府参考人 今回、年次改革要望書につきまして、御指摘のあったBSEに関する飼料規制の強化とかサーベイランスの維持拡大、そういうことを書かなかったということにつきましては、農水省さんからそうしたことが含まれていなかったということが一つにはございますけれども、こうした事情につきましては、BSEに関する飼料規制の強化、それからサーベイランスの維持拡大をめぐる米国における近年の状況などを踏まえまして、農水省さんとしてそうした結論に達したものだと思います。
そしてまた、その下、その他の省庁からも、本件に関する……(川内委員「制度的にできるのかできないのかということを聞いているのです」と呼ぶ)
○遠藤委員長 手を挙げて御質問をお願いします。(川内委員「委員長、その前にまずちゃんと答えさせてくださいよ」と呼ぶ)
○高岡政府参考人 そうしたことで、また、他の省庁からもこの件につきまして要望書は提出されておりません。
そうした経緯もございまして、外務省として、今回、本件については要望しないこととしたものでございます。
○川内委員 委員長、ちゃんと僕の質問を聞いて、ちゃんと質問に答えさせてください、まず私に注意する前に。
○遠藤委員長 川内君、質問してください。
○川内委員 いやいや、委員長、おかしいよ、それは。
私は制度的に追加で出すことができるんですか、そういう手続はあるんですかということを聞いているだけの話で、今回のこの件についての外務省の見解を聞いているわけじゃ全然ないじゃないですか、時間もないのに。
制度的に追加で出すことができるのかということだけを聞いているんですよ。
○遠藤委員長 高岡参事官、制度的に可能かどうか、お答えください。
○高岡政府参考人 お答えいたします。
今回、対米要望書の中にそうした事項が含まれていないということにつきましては、政府としての全体的な検討の結果としてそうした結果になったものだと思います。そうしたことの……
○川内委員 わかりました。はい、もういいです。
それでは農水大臣、アメリカが来年四月から飼料規制を強化するというのはある一定の前進ではあるけれども、これは三十カ月齢以上の牛の脳みそと脊髄をレンダリングの過程から取り除きますというだけの話であって、三十カ月齢未満の牛は相変わらずレンダリングされるわけです。そして、えさになるんです。
そこが日本とアメリカの決定的な違いで、日本はすべての特定危険部位が取り除かれて一切出回らないということになっているわけですから、日本とアメリカの違いというものは大きな違いがあるということを御認識いただいて、農水大臣として、この年次改革要望書から全く報告がない中で抜け落ちてしまったということに関して、それはちゃんと気をつけていくよという御答弁を先ほどいただいたわけですが、現時点において、農水大臣としてアメリカ政府に対して年次改革要望書からは抜け落ちてしまったけれども、飼料規制の強化とサーベイランスの維持拡大については農水大臣として注意して見ているよということを紙で米国の農務省の長官あたりに送っていただきたいというふうに思いますが、いかがですか。
○石破国務大臣 いずれにしても、米国産牛の輸入については今後日米で相当ぎりぎり詰めた話をしなければいけないのだと思っております。いろいろな機会にそういう場面が到来をいたします。追伸ができるかできないか、ちょっと私も判然としませんが、いずれにしても、日本国としての意思が表明できないなぞということはないはずなので、それはきちんとやってくれますねということ。官報に書いてある内容はまた委員がおっしゃったとおりで。
要は、日本とアメリカと安全の基準が違うところがあるわけですよ。先ほども議論しましたが、安全と安心というところにギャップがありまして、日本の消費者が何についてセンシティブであるかということも含めまして、合衆国に対してあらゆる機会を通じて、安全性について我が国が持っておる懸念、そして合衆国に果たしてもらいたい、履行してもらいたい事項、そのことをあらゆる機会を通じて伝えてまいりたいと思っております。
○川内委員 最後に、時間もないんですが、汚染米のことについて伺います。
平成二十年十一月に、今月ですけれども、農水省から紙をいただいておりまして、「農林水産省が事故米穀を扱う法的根拠について」という紙なんですけれども、これは要するにどういうことかというと、新食糧法に位置づけられている主要食糧という言葉、そしてまた主要食糧の一つとしての米穀の中に汚染米も入る、主要食糧の中に汚染された米、食べられない米も入るのだという政府の見解がこの紙の中で示されているんですが、私はこれは絶対おかしいと思います。
主要食糧、食糧の中に食べられないものも入るんだと農水省がおっしゃっていることこそが今回の汚染米流通問題の本質である。そこを反省して、法律上しっかり書き分ける、食糧じゃないわけですから。先生、そこで首をひねっていますが、食糧じゃないでしょう、汚染米は。食糧じゃないものを食糧と言ってしまうところに今回の流通の大きな問題があるわけで、今後、新食糧法を改正して、汚染米あるいは食べられないお米、事故米穀の中の食べられないお米については法律上きちっと書き分けるよ、取り扱いを全く違えるよということを法律の中に明記するということが、農水省が今回のことを反省してもう一度出直すんだというのであればどうしても必要であるというふうに思いますが、大臣の見解を最後にお聞きしたいと思います。
○石破国務大臣 これも累次申し上げておりますように、現在、省内に設けました米流通システム検討会、これは有識者の方々にメンバーになっていただいておるわけですが、十一月中に制度の骨格を取りまとめるべく議論をしておるところでございます。
食糧法というものをいじらなければならないかということは、そこにおいてまた御議論があるわけですが、米穀を食用と非食用に分けるということをとったときに、これは既に違和感はないでしょう。米穀は食用と非食用とあるのだということについて違和感はないと思う。そういうふうな立論をしていって条文を組み立てていったときに、さてどれぐらいの問題が解決するんだろうかということはやってみなければわかりません、法律全体で見なければいけませんので。システム検討会において出た結論を踏まえて、委員御指摘のようなことも加味しながら、どのような法律ができるのかということは、それは考えてみたいと思います。食糧法をいじるということがどれだけの実効性を持つかということについて、私は検討することを排除するものではございません。
○川内委員 終わっていますからあれですけれども、石破大臣、米穀に食用、非食用の区別はないと。それはそうでしょう。しかし、その米穀は食糧法上主要食糧の中の米穀ですから、まず主要食糧なんですよ。その食糧という言葉を使っていながら食糧じゃないものをその中に含ませるということに、汚染米が食用として流通する、あるいは人間の口に入るものとして流通してしまったことの本質的な原因がある。
だから、そこをきっちり書き分けることが農水省の反省の第一歩ですよということを私は申し上げて、終わらせていただきたいというふうに思います。
○遠藤委員長 次に、岡本充功君。
○岡本(充)委員 民主党の岡本です。
きょうは委員各位に御配慮いただいて、時間をいただいて、質問させていただきますことをまずもって感謝申し上げます。
まず川内委員の質問の続きでもありますが、お配りをしております日本政府の米国に対する規制改革及び競争政策に関する要望事項という中で、二〇〇七年の十月十八日にはこのような記載があるということを改めて皆さんに指摘しておきたいと思います。
アンダーラインのところですが、「日本の食品安全委員会においては、二〇〇五年十二月の米国産牛肉等に係る食品健康影響評価の結論への付帯事項として、」以下のものがあるんだと。そして、「日本国政府は、米国政府に対し、食品安全委員会やOIE科学委員会からの指摘も考慮しつつ飼料規制の強化及び十分なBSEサーベイランスを継続するよう求める。」としています。
先ほど川内委員からの指摘のとおり、これが二〇〇八年の十月十五日発行の要望事項の中からは消えているわけでありますけれども、こういったサーベイランスや飼料規制について食品安全委員会へ評価を求めるということはされたのでしょうか。もしくは、されていないのであれば、するのでしょうか。
○佐藤政府参考人 御説明申し上げます。
サーベイランスの関係につきましては、既に米国の新しいサーベイランスのやり方につきまして食品安全委員会で評価をしていただいておりまして、従来の方法と変わるものではないという返事をいただいております。
それからまた、飼料の関係につきましては、これは従来よりも規制を強化するものでございますので、新たに食品安全委員会の評価を得る対象というふうには思っていないところでございます。
○岡本(充)委員 これは食品安全委員会の食品健康影響評価の「結論への付帯事項」を踏まえた上での要望なんですよ。
それで、この「付帯事項」に対して米国の答えが十分だったかどうかということについて日本政府がどう評価するかという話の指摘も先ほどあったわけですが、この評価はリスク評価機関である食品安全委員会にかけるのが当然のことであって、リスク管理機関の農林水産省が勝手に措置をとればこれで十分だと判断をするものではないはずであるということを私は指摘しておきたいわけです。
では、それを踏まえると、これが果たしてサーベイランスとして、また飼料規制として十分なものであるかどうかをだれが判断するわけですか。
○佐藤政府参考人 御説明申し上げます。
重ねてというところになることもあるかもしれませんけれども、食品安全委員会は、強化前の米国の飼料規制を前提といたしましてリスク評価を行って、十七年の十二月に米国産牛肉と国産牛肉のリスクに差はないとの結論を出しているところでございます。重ねてになりますけれども、本年四月、米国政府が官報に告示しました飼料規制は、交差汚染の防止の観点からはそういう強化が図られておりますので、私どもとして、もう一度食品安全委員会に評価をしていただくというふうには判断をしなかったところでございます。
○岡本(充)委員 大臣、おかしいと思いませんか。リスク評価機関に評価をかけずに、自分たちでかけなくてもいいと判断をして要望書をおろすというのはやはりおかしい。向こうが、米国がどういう対策をとるにせよ、それが十分なのか、要望をおろすに値する改善なのかどうかは、きちっと評価をかけるべきではないかということを私は厚労委員会でも指摘をして、恐らくきのうの閣議前後で舛添厚労大臣とお話をされたと思います。
そういった点を踏まえ、大臣、これはきちっと評価をするべきであるというふうにお考えにはならないのでしょうか。
○石破国務大臣 この件について、舛添大臣と協議をいたしました。今委員の御指摘のような点もあり、もう少し事務方で詰めていく必要があるだろうというふうに考えております。
本当にこういうようなやり方でいいのかどうか、私どもとして専門的な知見を持ってやっておるわけでございますが、そこにおいて食品安全委員会というものをどのように関与させるか、どのように関与させるべきなのかということについては、今後のことも踏まえまして、事務方でもう少しよく詰めさせたいということが私と舛添大臣との間の協議の結果でございます。
○岡本(充)委員 これはきちっと評価をするというステップを踏まないと国民の皆さん方の疑念が払拭されませんし、最終的にこういう食の安全に対する懸念や不安が広がっている中ですから、きちっとこれは対応をとらないといけないと私は思っています。
その上で、きょうこういう指摘をさせていただきましたので、改めてよく省内で検討をされて、また御報告をいただきたいと思いますが、御報告いただけますか。
○石破国務大臣 この国会の場での委員の御指摘でございますから、報告するのは当然のことと心得ます。
○岡本(充)委員 続いて、これは資料の一番最後のページですけれども、米関係の公益法人の問題について少し取り上げたいと思います。
もういろいろなところでいろいろな指摘がなされているようでありますけれども、これは農林水産省からいただいた米関係の公益法人、十団体ほどあるわけですが、本当にたくさんの農林水産省のOBが天下っているわけでありまして、この中で、きょうは問題意識を持っている点について少し取り上げたいと思います。
一つは下から四番目、食糧保管協会です。食糧保管協会というのは、もういろいろな委員も御存じだと思いますけれども、米を倉庫に預かってもらう、政府米を倉庫に預かっている、その預かっている倉庫の伝票を取りまとめて、各農政局、農政事務所等にその請求書を持っていくということが主な仕事になっています。
愛知県の食糧保管協会へ行ってきました。会長は地元の倉庫業者の社長です。そこの専務理事は食糧事務所の元所長が再就職されています。そして女性スタッフが一人、忙しいとパートの女性も来るということですけれども、基本的に三人体制です。それで、月五十枚の請求書をチェックする。結果、倉庫業者から一千万円のお金がその協会に入るというのが愛知県の大ざっぱなスタイルです。月五十枚の請求書をまとめて、東海農政局食糧部とこの食糧保管協会というのは建物が隣り合っているんですね。隣へ歩いて持っていってお届けする。これで一千万円だということでありますけれども、こういったやり方が、結局このお金はどこから来ているかというと、政府の保管米に対して支払っているまさに税金からこのお金は、直接ではないです、一たんは倉庫業者に入りますが、保管協会に行っているという話です。
全国では一億円になるという話ですけれども、大臣、こういったやり方、事務手続を見直していただくということはできないのでしょうか。
○石破国務大臣 これは、今の委員のお話を聞いて、多分ここにいらっしゃる人みんなが、そんなことが本当にあるのかというふうにお思いなんだろうと思っております。
これは、中身についてはもうよく御存じのとおりですので、繰り返すことはいたしません。各倉庫業者が契約の締結や保管料の請求に伴う事務コストが軽減される、あるいは、倉庫業者が保管上のミスにより損害賠償責任を負う場合にこの協会に連帯保証してもらえる、そういうようなメリットがあるのだということで、民間ベースでの自主的な判断により行っている、民間業者としてはそっちの方がメリットがあるのだという形でこういうことになっているということであります。そういうことがないとは申しませんし、実際にあるのでございましょう。
しかしながら、このような取り組みというのは、変な言い方ですが、当省OBの面倒を見るためのものであるというふうな誤解を招きかねませんので、今後は全国食糧保管協会が取りまとめて契約することはやめるということでございます。国と倉庫業者が直接契約をすることといたしまして、保管料の支払いにつきましても、倉庫業者との間で直接行う形に改めたいというふうに考えておるものでございます。
その旨を十月一日付で通知を発出したところでございまして、今後はそういうような、それぞれの業者さんがいろいろなプラスマイナスを考えて判断をされることでございますけれども、そちらの方のやり方、つまり今申し上げたようなやり方の方が有利だというふうにお考えになるのであればそちらの方に仕事は行くのでありまして、今おっしゃいました食糧保管協会のお仕事というのは、結果として相当に減ることになるかもしれません。私どもとしては、そういうような道もありますよということをもう一回きちんと徹底をさせたいというふうに思っております。
○岡本(充)委員 結果として農林水産省のOBが養われているのじゃないかという話をもう一つしていきたいのは、三つ目の穀物検定協会です。
このほかにもOMIC等指定されている検査団体はあるんですけれども、この検査団体には多数の農林水産省の技術系の職員が天下っています。
大臣、私はここも行ってきました。そして、農林水産省のOBでなければできない検査があるからここにはたくさんOBが来るんです、こう言われるんですね。では、その農林水産省の検査官しかできない奥義を見せてくれと私は言いに行きました。そうしたら、怪しげなマンションのユニットバスから検査器材を出してきて、大臣、その中から出てきたのはふるいですよ、そこに米を入れて振り始めるわけです。これは農林水産省の奥義です、肩幅に足を開いて、肩幅に振る、一秒間に二回、三十回振るんです、つまり十五秒間振るんだというのですね。
私にもやらせてくださいといって私は振りました。いや先生、それは違うんです。どこが違うんだ。最初は右から左です、これが農林水産省の奥義です。これは、委員の皆さんもそんなことないだろうと言われるが、ぜひ見に行ってください、そう言われますから。これはアメリカと同じで、私たちは自信を持ってやっていると。
もちろん結構です、それはいいのですけれども、これが農林水産省のOBでなければできない検査なのかということについて、私はその検査方法の内容が悪いと言っているわけじゃないですよ。農林水産省のOBしかできない奥義があるというから見に行った話であって、それが奥義であることがおかしいと言っているんです。
その上で、こういった検査をしている穀物検定協会でありますけれども、また前の方に戻ります、写真があります。これは検査の話、米の検査だけじゃないです。実は袋もやっているんですね。米の袋が二ページにあります。三ページ、これは裏です。裏のところに小さく楕円の印鑑があります。これを拡大したのが四ページです。これは合格、穀物検定協会と書いてあります。これは袋に最初から印刷されているんです。検定協会が見に行っているわけじゃないんです。そして、説明によると、政府備蓄米にだけ要求をしているということでありますけれども、これは政府備蓄米だけじゃなくて、皆さんの地元へ行って、ぜひ農家の皆さんに袋を見せてもらってください、これを打っていますから。
どれだけやっているんだというと、六ページですけれども、平成十九年度、米麦用で一億五千百七十五万九千枚やっているんです。一枚当たり幾らなのかというと、七ページです、紙であると一・五七円。それから六ページに、五十五万五千九百六十一枚の麻袋などでは六円六十九銭というものもあるようです。トータルすると三億円ぐらいのお金が、これは一社独占でありますけれども、ここがずっと印刷をしている。
また、製袋メーカーにしても、正直申し上げて、自分のところの紙の性質、その袋の強度について疑念を持たれているということで、私は今どきあり得ない検査だと思うんですけれども、仕組みは五ページに書いています、時間の関係で余り詳しく言いませんけれども。
こういった形で米の価格にオンされて、結果として、その中から薄く広くいわゆるお金を取る。主要食糧である米であるからこそできるわざでありますけれども、この穀物検定協会、会長、理事長は農林水産省のOB、しかも事務次官が再就職をしているという会社で、三億円のお金が来れば事務次官の高いお給料も年間お支払いすることができるという大変いい仕組みになっているんじゃないかという点で、こういった印鑑を事前に刷っているわけですから、こういったやり方はもうやめるべきじゃないかというふうに私は考えるんですが、大臣、いかがお考えでしょうか。
○石破国務大臣 恐縮でありますが、委員御指摘の奥義を私は残念ながらまだ見たことがございません。それがまたその奥義の名に値するものなのかどうなのか、これは一度ぜひ見たいものだ、こう思っておるわけでございます。
私が事務方から説明を受けておりますのは、穀物検定協会及びOMICは、農産物検査法に基づく登録検査機関として国産及び輸入の米麦の銘柄、品位検査、その他理化学分析などを業務としているというふうに聞いております。
それから、OBが即戦力として起用されているというふうに承知をしておりますが、本当にそれがOBでなきゃできないのかということは、やはりちゃんと議論してみなきゃいかぬことですし、奥義をきわめるのも相当な時間を要するものだろうと思っておりますが、それに値するものであるのかどうか、本当にOBでなきゃいかぬのか、それに任用制限みたいなものがあるのかどうなのか、そこは委員の御指摘を受けてちゃんと調べてみたいと思っております。
それから、包装証明についての御指摘をいただきました。
これは、証明というものが行われているわけですが、この要件につきましては、特定の者のみを誘導したり、あるいは新規届け出を妨げているものでは全くございません。としたところが、これまで届け出を行っているのが日本穀物検定協会のみということになっておる。これはいかにも面妖だねという感じがいたします。面妖という言葉が正しいかどうかは別といたしまして、いかにも違和感を感ずるところでございます。
したがいまして、証明実施者の要件につきましては、これまでも関係団体などに対して周知をしてきた、皆様方も届け出てくださいね、届け出ていいんですよという言い方はしてきたわけでございますが、再度、製袋メーカー等に周知徹底をしていきたいと思っております。もう一度皆さん方も参加してくださいね、ある意味ビジネスチャンスですよということを私どもの方から申し上げていきたいと思っております。
○岡本(充)委員 ぜひ前向きに御検討いただきたいと思います。
八ページにいきます。八ページは今般会計検査院から指摘をされた農林水産省関連の補助金、事務費の不正流用について、これは愛知県の状況について、これだけのリストがあるということをお見せしました。
その上で、ぜひこれは大臣にお願いをしておきたいんですけれども、ほかの都道府県についても、十二以外についてもぜひお調べをいただきたいということ。それから、正職員の人件費等については、これは今回の指摘に含まれていないようですけれども、ほかの費目についてもないのかどうかをぜひ確認していただきたいということ。
それから、会計検査院にきょうはお越しをいただいておりますので、会計検査院におかれましては、不正事項があった場合には、昭和二十七年以降指摘をしていないという内容になっています。これは十一ページに載っています。しかしながら、九ページにあるように、会計検査院法三十三条もしくは刑事訴訟法二百三十九条第二項において、告発ないしは通告ができるというふうになっているわけですから、それについてはぜひ厳格に適用していただいて、その問題点について指摘をしていただきたいということをお願いして、それぞれ御答弁を求めて、私の質問を終わります。
○遠藤委員長 時間ですので、簡潔にお願いいたします。
石破農林水産大臣。
○石破国務大臣 不適正な経理処理を行ったことがないように、私どもの補助金がそのように使われることがないように、私どもとして、あらゆる手を使って、あらゆる手段を使ってこれは解明をしてまいりたいし、適正を図りたいと考えております。(岡本(充)委員「調べてもらえるかどうかです」と呼ぶ)これは技術的な問題もございますが、可能な限りそれは調べたいと思っております。ただ、相手のあるお話でございますので、これはもう両方の調整が必要なことは言うまでもございません。
○遠藤委員長 会計検査院真島第五局長、簡潔にお願いいたします。
○真島会計検査院当局者 お答えいたします。
会計検査院法第三十三条は、「会計検査院は、検査の結果国の会計事務を処理する職員に職務上の犯罪があると認めたときは、その事件を検察庁に通告しなければならない。」このように規定されております。
会計検査院におきましても、通告を行うべき事実が確認された場合には厳正に対処してまいりたい、かように考えております。
○岡本(充)委員 終わります。
○遠藤委員長 次に、菅野哲雄君。
○菅野委員 社会民主党の菅野哲雄です。
最初に、事故米問題に関連して、米の流通のあり方について伺います。
今回の事故米問題では、MA米か国産米かすらわからずに流通した事故米が食用に転用されました。ですから、農水省の検討会で議論されているトレーサビリティーや米の原産地表示は、再発防止策としては不可欠な対策だと思います。
一方、主食用以外に、国産加工用米、MA米、ここに米粉や飼料用の新規需要米など、主食用と大きな価格差がある米が一緒に流通するわけであります。よほど厳格な管理がなければ、この価格差を利用した転用、不正転売が起こる可能性は排除できません。トレーサビリティーや原産地表示だけで不正流通が防げるのかどうか、大臣の考えをお聞きしておきたいと思います。
○石破国務大臣 先ほどの答弁でも申し上げましたが、現在、専門家の皆様方で構成をしていただいております流通システム検討会におきまして、おおむね三つのことを議論しております。今委員御指摘のトレーサビリティーシステムの確立、次に米関連商品の原料米原産地表示、そして三番目として取扱業者に対する規制のあり方、まさしく委員が御指摘いただいたようなことを議論しておるわけでございます。
これは実際に商売をやっている人でなければ本当のことはわからないわけですね。かといって、私ども食管法の時代に戻るわけにもまいりませんものですから、何が一番適正な形なのか。そして、消費者の利益がきちんと確保されると同時に生産者の利益も確保されなければならないわけで、それにふさわしい新制度の骨格を十一月中に取りまとめるということにいたしておるところでございます。
また、実効性のある制度を構築したいというふうに思っておりまして、そのときには当然公表いたしますので、また菅野委員初め皆様方の御指摘を賜りながら、よりよいものを目指してまいりたいと考えております。
○菅野委員 十一月中に米流通システム検討会で一つの方向性を出すということなんですが、今回の事故米を契機として問題点が明らかになったんですが、主食用米を取り上げても、米穀検査では一等から三等、さらに規格外と区分されるわけです。それで、販売段階ではそれらの差はなくなっていくわけですよね。そこに、先ほど言ったように、米粉や飼料用の新規の需要というものが入ってくるわけでありますから、私は米の検査制度と品質表示のあり方についても検討対象に上がるべきではないかと考えているわけです。ぜひこの辺も議論の対象にしていただきたいというふうに思います。
それから、米の不正流通を防ぐ、そこでの国の管理責任を明確なものにするためには、米流通を原則自由化した二〇〇四年の改正食糧法の見直しをして、許可制か登録制のもとで流通履歴の記録と報告を義務づけていくべきではないかと思うんです。
この辺もずっと主張しているんですけれども、大臣はこのことに対してどのような考えを持っておられるのか、お聞きしておきたいと思います。
○石破国務大臣 先ほどお答えしましたように、食管法の時代に戻るわけではありませんし、委員ももちろんそんなことをおっしゃっておられるのではないということはよく承知をいたしております。
社会的規制と経済的規制という二種類の規制があって、仮に社会的規制というカテゴリーに入るのであるならば、私は規制というものを、食の安全に対しての国の責任という考え方からして、社会的規制というものはあり得るのではないかというふうに考えております。
もちろん、流通実態を踏まえて適切な措置をとらなければなりませんが、食の安全も関係なければ生産者の利益も関係なければ、自分たちのビジネスそのものに制度が悪用されることがないような観点で規制のあり方というものも議論をされ、またそれを実効あらしめるための手段も考えていくことが必要なのではないかと現段階で私は考えております。
〔委員長退席、七条委員長代理着席〕
○菅野委員 今回の事故米の流通経路を見たときに、非常に複雑な経路をたどってきたというのが現実だというふうに思います。どうしてこんな複雑な経路をたどっていくのかというと、原因を表面に明らかにしないように水面下で流通していったという経過があるわけです。ここの反省点をしっかりと踏まえなければならないというふうに思うんです。すべてを市場競争にゆだねた二〇〇四年の改正食糧法、このことが今日の事態をもたらしたとすれば、そのことをしっかり見直すということが必要なんだというふうに思います。
そのときに、登録制かあるいは許可制にしないと、国のしっかりとした関与というのが行われていかないんじゃないのか。ましてや今、米流通システム検討会でトレーサビリティーのことも検討課題としておりますけれども、牛肉でのトレーサビリティーは制度として今確立しています。しかし、トレーサビリティーを確立した上で、その後、このトレーサビリティーに対して違反した場合はどういう事態になるのかというところまではまだ検討としていっていないんです。
だから、米についてもそういう政府のしっかりとした関与というものが必要とならば、私は流通段階の見直しというのを本気になって政府としてやっていただきたいというふうに思っています。十一月の方向性が見えてきたときに、改めて私はこの問題について議論していきたいというふうに思っています。
次に、WTO農業交渉について伺います。
七月の閣僚会議では決裂したわけですが、年内のモダリティー合意に向けた動きが再び加速化をされています。さきの金融サミットでの首脳宣言にも「本年合意に至るよう努力する。」との一文が盛り込まれています。
七月の会議の際、当時の若林農水大臣は、当初、重要品目数の一〇%死守を目標にしていたわけですが、八%にまでラインを下げました。現在、報道によれば、重要品目数は原則四%にプラスして例外二%という厳しい案が浮上していると言われていますが、今後の交渉で、政府はどのような数値基準を持って交渉に当たられるのか、大臣の見解をお聞きしておきたいと思います。
〔七条委員長代理退席、委員長着席〕
○石破国務大臣 七月の交渉の経緯は今委員が御指摘のとおりでありまして、G20の宣言もおっしゃったとおりでございます。今後、交渉は加速化すると思っております。
このような中で、重要品目の数の問題も含めまして、将来の我が国の農業のために何が必要であるかということを十分に念頭に置きまして、従来からの食料輸入国としての主張ができる限り反映された成果が得られるよう、最大限の努力を行うということでございます。交渉事でございますので、今こうするとかああするとか手のうちを明かすことが必ずしも交渉を有利に導くことだとは考えておりません。
私として、将来の我が国の農業のために本当に何が必要なのかという議論をきちんとセットにした上で、本当に生産者の利益にかなう、そして消費者の利益にもかなう、あわせて、委員もよく御案内のとおり、自由貿易というものの恩恵を一番受けているのは我が国でございますので、その立場もよく考えながら、しかし、不当な不利益が一部の方に及ぶことがないようによく配意をしてまいりたいと思います。
○菅野委員 先日、大臣は大臣所信においてWTO交渉あるいはEPA交渉で、「守るべきものはしっかりと守る」と発言されておりました。守るべきは守るという表現は若林前大臣もよく使われていたんです。実際に、重要品目数の目標ラインがそういう中においても一〇%から八%へ下がってしまったり、あるいは四%プラス二%という状況になっていったりして、守るべきものは守る、この最低基準はどこにあるのかということだと思うんですね。
確かに、大臣は交渉事ですから明らかにできないということは言えると思うんですけれども、実際に一〇%、八%、四%プラス二%という形で推移していったときに、私はWTO交渉決裂という事態も日本政府として日本の農業を守っていくというときには選択肢として存在するんじゃないのかなというふうに思うんですが、この守るべきものは守るという最低のラインを大臣はどのように考えているんですか。披瀝願いたいと思うんです。
○石破国務大臣 私はなるたけすれ違いの答弁はしたくないと思っておるのでございますが、これとこれとこれが守るべきものであってということをすぱっと言い切ることは非常に難しいんだろうと思います。
要は、上限関税の不適用でありますとか、重要品目の十分な数及びその柔軟な取り扱いの確保ということが最重要課題であるということでございまして、もちろん当省の中で、こういう場合には国内はこうなるというようなシミュレーションは全部行っておるものでございます。そこからおのずと守るべきものというのは明らかになってくるものでございまして、精神論を申し上げているわけではございません。これがこうなるとこの品目はこのようになるというようなシミュレーションを精緻に行って交渉に臨むものでございます。
交渉決裂も辞さずというのは、それは一つの考え方ではあると思います。ただ、農業分野だけでやっておるわけではないことも委員も御案内のことでございます。
そうすると、トータルの国益としてどうなんだ。そしてまた、自由貿易の恩恵を一番受けておる。つまり、何も売るものがないという国が世の中にはあるわけですよね。自動車がつくれるわけでもなければ、コンピューターがつくれるわけでもなければ、農産品などを輸出できるわけでもなければ、資源があるわけでもない、そういう国もたくさんあるわけで、我が国として世界の自由貿易の中でいかなる役割を果たすかということも考えていかなければいけません。
多くの考慮すべき事柄の中で、守るべきものというものを守っていく。何を言っているかわからぬという感想をお持ちだと思いますが、そのようないろいろなことを考えながらやっていかねばならぬのだと思っております。
○菅野委員 十二月いっぱいでこのモダリティーの合意にこぎつけるという世界的な約束事になってしまったのですから、これから山場を迎えるというふうに思うんですが、先ほど大臣が言ったように、農業は成長産業であると言い続けているわけですよね。そうしたときに、成長を阻害するような、そんな条件を排除するような交渉を行っていただきたいというふうに思います。
仮に重要品目で米をカバーしたとしても、最低輸入枠が国内消費の五から六%になるとすると、現在の七十七万トンのMA米が百二十万トン、一・六倍にもふえてしまいます。MA米の存在は、事故米問題に限らず、米需要が減少する中で極めて重い問題になっていることは周知の事実でありますが、減らすかなくすことはあっても、ふやすわけにはいかない。
この間、ずっとMA米の問題で議論してきましたけれども、これをどうにかならないのかという形で議論してまいりましたけれども、国際約束のことだということでずっと継続してきた今日までの経過があるんですが、それに加えて、今回この最低輸入枠拡大問題が浮上してまいりました。このことに大臣としてどう対処していくのか、見解をお聞きしておきたいと思います。
○石破国務大臣 個別品目の取り扱いにつきましては、モダリティーについての合意ができ、譲許表の段階で議論をされるべきことだというふうに承知をいたしております。
MA米をどう取り扱うかということは本当に難しい議論で、論者によっては、それは機会を提供するだけで入れなくてもいいんだという議論もあることは承知をいたしております。
ただ、国家貿易というものをどう考えるかという話がまたそれに対してはあるわけでございますが、譲許表の段階で議論をされるものではございません。MA米の問題というものは常に認識はしております。
○菅野委員 この問題も交渉事の重要な問題です。モダリティーの合意以降、また次の段階に進むわけですから、日本の食料事情というものを勘案してしっかりと取り組んでいただきたい、このことを強く申し上げておきたいと思います。
次に、漁業の燃油価格高騰対策についてお伺いいたします。
漁業用燃油の高騰分を九割補てんする省燃油操業実証事業についてですが、現時点でどの程度の利用実績、申請件数があるのでしょうか。二十万隻とも言われる漁船数に対して、どの程度の割合をカバーしているのか、これを一点お聞きします。
また、この燃油代補てん事業ですが、燃油使用量の一〇%削減という条件がつき、昨年十二月末のキロリットル当たり八万六千円という値段を基準値として、値上がり分の九割を補てんする仕組みです。この燃油使用量の一〇%削減という条件並びにキロリットル八万六千円を基準値とした根拠について、説明願いたいと思います。
○山田政府参考人 お答えいたします。
省燃油操業実証事業の実績でございます。これにつきましては、七月二十八日に対策を公表して以来、申請を受け付けております。これまでにおおむね千二百のグループから申請がございまして、認定をしてきております。一年間の燃油費の使用見込みで見まして、約九百五十億円に相当する規模ということでございます。
どのくらいの割合かというお話ですけれども、燃油の使用量で見て約八十万キロリットルということで、我が国で漁業で一年間に使用される燃油の量のおおむね三分の一ぐらいになっているところでございます。これは地域によって大分ばらつきがあって、非常に熱心に取り組んでいただいているところと、なかなかまだ成果が上がっていないところがあります。
それから、一〇%削減の根拠、あるいは昨年の十二月の価格を基準にしているということでございますが、本対策につきましては、昨年の十二月以降ことしの八月ぐらいまでの間に、一・五倍と非常に急騰したという事情がございます。こういったことに対して、緊急の措置として、操業の合理化によって燃料使用量を削減するという取り組みに対して、燃油価格高騰分の九割を補てんするという考え方でございます。これはもう委員御案内のとおりでございます。
この考え方として、操業の合理化なりで燃油使用量を削減するという取り組みはやはり必要なものだということで、他の対策とのバランスも考慮しまして、大体一〇%ということが要件になっておりますので、一〇%削減をお願いしている。
また、基準につきましては、先ほど申しましたように、昨年十二月の時点から急騰しているということで、そこを基準にしているということでございます。
○菅野委員 大臣、私もこの委員会で漁業用の燃油の価格の高騰について再三質問してまいりました。現時点では三倍と言われていますけれども、八万六千円というのが大体二倍の値段なんですね。そして、採算ラインというのは、地元で聞いていても、キロリットル当たり六万円を下回らなければ採算はとれないんだという漁業者の真剣な声があるわけです。
そして、今の時点で緊急的な対策として八万六千円で、一割省エネをした場合に九割補てんするという仕組みは、これは現時点で仕組みとして理解しますけれども、漁業全体を考えたときにいかなる仕組みがあったらいいのか、先ほど言ったように、八万六千円じゃなくて六万円段階にどう国として支援していくのかということなしには漁業を産業として維持していくことができなくなってしまっている。
そのほかに大きな問題も、後継者問題等もありますけれども、そこいら辺に政府としてのしっかりとした支援というものをつくるべきだというふうに思うんですが、大臣としての考え方、今後の方針というものをお聞かせ願いたいというふうに思います。
○石破国務大臣 燃油対策については今山田長官からお答えを申し上げたとおりであります。
これは、ではトラックはどうなるのだとかいろいろなお話があって、では農業はどうだ、何で漁業だけこんなに手厚いんだという議論も一方にはあるわけでございます。そこは、私どもいろいろな手だてを尽くし、御理解をいただき、漁業の厳しい経営の実態は今委員が御指摘になったとおりであります。それにかんがみ、省エネということと組み合わせて九割までの補てんをするということにいたしております。これは燃油高騰の時期というものに合わせてつくったものでございますから、今さら基準を変えろと言われてもなかなか困難な面があるのも仕組みとして御案内のとおりでございます。
今燃油の値段が下がっているということもあわせて、今後の漁業の経営がどうなるかということを注視しながら新しいことを考えていきたいと思いますが、私は漁業者の手取りをふやす仕組みというのをいろいろ考えてみたいと思っておるのですね。例えば、JFしまねでやっているような、流通を少し変えてみる、どうすれば漁業者の手取りがふえるかということに力点を置いて考えてみるということもまた必要なのではないか。
私はそういう方向から、委員は気仙沼でいらっしゃいますけれども、いろいろなところにいろいろなタイプの漁業があって、そして国産のおいしくて安全な魚を食べたいねという人はたくさんいる、そこにおいて魚のトレーサビリティーをどうするかということも含めて、漁業者そして消費者がともに幸せになれるような、変な言い方をしますが、農水産のあり方というものを模索してまいりたいと考えております。
○菅野委員 原油の価格が下がってきているから少しは議論はトーンダウンするというふうに思いますけれども、実際には先ほど申し上げたように今の下がった値段でも漁業経営が厳しいんだという立場に立ってどう対応していくのか、これについてこれからもしっかり議論していきたいというふうに思います。
終わります。
○遠藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十一分散会