衆議院

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第4号 平成21年3月19日(木曜日)

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平成二十一年三月十九日(木曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 遠藤 利明君

   理事 今村 雅弘君 理事 木村 太郎君

   理事 七条  明君 理事 宮腰 光寛君

   理事 宮下 一郎君 理事 笹木 竜三君

   理事 筒井 信隆君 理事 西  博義君

      安次富 修君    赤澤 亮正君

      井上 信治君    伊藤 忠彦君

      飯島 夕雁君    岩永 峯一君

      小里 泰弘君    小野 次郎君

      近江屋信広君    河井 克行君

      木原  稔君    北村 茂男君

      斉藤斗志二君    薗浦健太郎君

      谷川 弥一君    徳田  毅君

      中川 泰宏君    永岡 桂子君

      丹羽 秀樹君    西川 公也君

      西本 勝子君    茂木 敏充君

      森山  裕君    安井潤一郎君

      石川 知裕君    大串 博志君

      岡本 充功君    菊田真紀子君

      小平 忠正君    郡  和子君

      佐々木隆博君    神風 英男君

      高井 美穂君    仲野 博子君

      松木 謙公君    井上 義久君

      菅野 哲雄君

    …………………………………

   農林水産大臣       石破  茂君

   農林水産副大臣      石田 祝稔君

   政府参考人

   (国税庁長官官房審議官) 西村 善嗣君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局長)            町田 勝弘君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           竹谷 廣之君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  本川 一善君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  高橋  博君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局長)           佐々木昭博君

   参考人

   (畜産・飼料調査所主宰) 阿部  亮君

   参考人

   (遊佐町飼料米生産者リーダー)          今野  進君

   参考人

   (新潟製粉株式会社工場長)            藤井 義文君

   参考人

   (常盤村養鶏農業協同組合代表理事組合長)     石澤 直士君

   農林水産委員会専門員   板垣 芳男君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十九日

 辞任         補欠選任

  小里 泰弘君     薗浦健太郎君

  近江屋信広君     安井潤一郎君

  谷川 弥一君     北村 茂男君

  丹羽 秀樹君     西本 勝子君

  高井 美穂君     松木 謙公君

  横山 北斗君     郡  和子君

同日

 辞任         補欠選任

  北村 茂男君     谷川 弥一君

  薗浦健太郎君     小里 泰弘君

  西本 勝子君     丹羽 秀樹君

  安井潤一郎君     近江屋信広君

  郡  和子君     岡本 充功君

  松木 謙公君     高井 美穂君

同日

 辞任         補欠選任

  岡本 充功君     菊田真紀子君

同日

 辞任         補欠選任

  菊田真紀子君     横山 北斗君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 米穀の新用途への利用の促進に関する法律案(内閣提出第二八号)

 米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律案(内閣提出第二九号)

 主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三〇号)


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     ――――◇―――――

遠藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、米穀の新用途への利用の促進に関する法律案、米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律案及び主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。

 本日は、各案審査のため、参考人として、畜産・飼料調査所主宰阿部亮君、遊佐町飼料米生産者リーダー今野進君、新潟製粉株式会社工場長藤井義文君、常盤村養鶏農業協同組合代表理事組合長石澤直士君、以上四名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。

 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、阿部参考人、今野参考人、藤井参考人、石澤参考人の順に、お一人十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得て発言していただくようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御了承願います。

 それでは、初めに、阿部参考人、お願いいたします。

阿部参考人 阿部亮といいます。北海道から参りました。どうぞよろしくお願いいたします。

 私は、家畜栄養学と飼料学の研究と、それから技術開発に従事してまいりました人間なものですから、飼料米利用の日本の畜産における意義とか価値、それから現状の試験研究機関はどうなっているかということ、試験研究の内容、それから飼料米政策を推進していくための技術的な課題というようなことについてお話ししたいと思います。

 まず最初に、日本の濃厚飼料の現状につきまして、非常にわかりやすく配合飼料の内容でお話しいたしますと、配合飼料の中の組成というのは、穀類についてですが、豚と鶏が約六割、それから乳牛と肉用牛が約四割の穀類が配合されておりまして、その中には六〇%程度、四〇%程度のトウモロコシが入っていますが、そのほとんどはアメリカからのトウモロコシということであります。

 したがいまして、飼料米を利用するということになりますと、飼料米をトウモロコシに置きかえて配合して給与するということになりますが、その場合には、お米とトウモロコシの化学組成とか栄養価はどのように違うかということをまず見なくちゃいけません。

 主要な成分でありますでん粉の含量で見てみますと、これはトウモロコシと、それからお米は玄米なんですが、その比較では、玄米が八五%、トウモロコシが八三%というように、玄米の方がトウモロコシよりもでん粉の含量は多うございます。したがって、エネルギー価的には玄米の方が飼料価値が高いということが言えます。

 また、たんぱく質の含量で見ますと、両者ほとんど差はありません。違うのは、脂肪とか、それからビタミンとか色素とか、そういったようなものが少し違いまして、脂肪とか色素類はトウモロコシの方が若干多い、そういうことであります。

 したがいまして、そういうことから総合的に考えてみますと、現在の配合飼料の中のトウモロコシの割合をかなりの量、玄米、お米で置きかえても、適切な配合設計さえしっかりしていれば、家畜とか家禽の要求量を満たし、健康に成長させることができるというふうに考えていただいて結構だと思います。

 その場合に、適切な配合設計とは何かということなんですが、例えば、先ほど言いましたけれども、ビタミンとかミネラルとか色素といったようなものを補強すればいいということになりますが、そういった作業は、現在のトウモロコシ主体の配合飼料の製造の工程の中でも日常的に行われていることです。

 それでは、実際に家畜に使った場合どうかということで、私の手元にあるデータを整理してみますと、例えばブロイラーの場合には、トウモロコシの全量を、約六割の全量を、これはもみ米なんですが、玄米でやるのをもみ米で置きかえても増体成績は両者変わりはない。それから、産卵鶏でも、全量トウモロコシを、約六割をお米、もみ米に置きかえても、産卵率とか卵重には差がない。豚の肥育試験の成績では、もみ米の方がむしろ増体成績といったようなことについてはトウモロコシよりもすぐれているといったような成績がありますし、それから、乳牛とか肉用牛においても両者の家畜生産能力には差がない、そういうデータを私持っております。

 しかしながら、このデータというのは少し古うございますけれども、最近、ここ二、三年なんですが、飼料米を利用するというようなことを掲げながら、大学と民間の共同研究だとか、試験研究機関だとか、それから農業団体が、飼料米に関する家畜への給与試験を随分やっておられます。だんだん数がふえてまいりました。その場合の試験の課題、研究内容の課題、主題というのは、どれだけトウモロコシを玄米に置きかえた場合、もみ米に置きかえた場合に、増体成績だとか肉質だとか卵質にはどんな影響を及ぼすのかということが次第次第に蓄積されてまいっております。

 これからだんだんと実用化というような段階になりますと、より精密な給与レベルの設定というんでしょうか、実用化、普及に向けての詰めが、今申しましたような既存の試験研究成果を集約して整理することでかなりいけると思います。しかしながら、まだまだ十分ではないところがありますから、そういう部分の情報については試験研究を展開しながら穴埋めをしていくことが必要だ、そういう状況にあるとお考えいただいて結構かと思います。

 それでは、飼料米をどういう形で利用するかということになるんですが、一番ポピュラーでオーソドックスな方法というのは、収穫して、それを乾燥して、そしてそれを粉砕した後にほかの素材とミックスして配合飼料の素材として使う、そして配合飼料として畜産農家の皆さんに配送して使ってもらうというやり方がオーソドックスだと思いますが、もう一つのやり方があります。

 それは、TMRセンターというのがある。トータル・ミックスト・レーションといいますが、これは牛のえさです。これは、草も入っているし、穀類も入っているし、それからいろいろな食品製造副産物も入っている、それだけで牛が飼える、そういうものをTMRというんですが、今、全国にそういう基地が七十三カ所程度あるようです。そういうところで飼料米を利用することがあります。その場合には、必ずしも粉砕することはなくて、ソフトグレーンといって、乾燥しないでやわらかいまままぜる、そういう利用方法があります。その場合には、地域において耕畜連携というのが、肉用牛と乳牛をベースにすることによって田んぼと畜産の融合が図られる、そういうモデルがつくられるということがあるのかなというふうに考えております。

 次に、飼料米そのものから少し離れまして、日本の飼料構造の中の問題について、飼料米というものを背景にして考えてみたいと思います。

 平成十八年後半からのシカゴのトウモロコシ価格の上昇というのは、我々に飼料自給率の向上の大切さというのを改めて実感させました。日本全国が輸入トウモロコシと輸入の大豆かすに過度に依存していた結果、体質として均質なことはいいんですが、金太郎あめ的な、どこを切っても同じやり方というような飼料構造になってしまっていましたために、飼料の高騰に対する緩衝能が非常に小さかった。その結果、一斉に飼料高騰によって共倒れの危機に瀕したわけであります。

 それで、どうするかということですが、やはり緩衝能の付与ということがとても大切だ、つまり、わかりやすく言いますと、ショックアブソーバーの整備というのがこれからは必要であるというふうに考えております。

 シカゴのトウモロコシ相場が今、一時よりは少し下がって、畜産農家の皆さんはほっとしているというのが正直なところであると思いますけれども、やはり、のど元過ぎても熱さを忘れずという言葉がありますけれども、この二年間の苦労を教訓として、日本の飼料構造を改変する努力が必要だというふうに思います。

 それでは、緩衝能を大きくするためにはどうするかということですが、私は常々、飼料のベストミックス化ということを考えております。そのベストミックス化の素材としては、ここできょうテーマとして挙げられている飼料米、それから自給の粗飼料、それから食品製造副産物とか食品残渣といったようないわゆる食品循環資源、それと輸入のトウモロコシといったようなものをうまくブレンドしながら低価格で高品質な飼料をつくって、そしてそのベストミックス化によって緩衝能を高めていくということが必要だと思います。その場合に、輸入穀類の地位が今までよりも下がるといったようなことが一つのポイントだと思います。

 しかしながら、飼料ベストミックス化というものを推進するためには、いろいろな社会経済的な要件とか技術的な要件が当然のことながら必要になってまいります。

 飼料米の場合ですと、例えば、飼料米をつくることへの水田農家の理解の醸成、それから飼料米の栽培のための土地の集積だとか、コントラクター組織、請負組織ですが、その充実と拡大とか、それから飼料米の収量を増加させようということのための育種の改良研究とか種もみの確保、それから収穫されたもみ米というのを粉砕等の加工処理をしなくちゃいけませんから、そのための施設整備の充実化ということで、低コストな飼料をつくっていくという努力。それから、配合飼料工場と畜産関係者との連携というか、つくったものをうまく、一〇〇%満度に使っていくというような連携です。それから、お米の文化と食肉の文化というものの融合がこれからの日本にとても大切だと思います。

 言い方をかえますと、これは水田と畜産の融合によって国産の畜産物生産をしていって、消費者にいただいてもらって、そして食の安全、安心も含めて量の確保をしていくといったような、そういうことが必要だと思います。つまり、生産から消費に至るいろいろなことについての検討が相まって、飼料米を基軸とした持続的な畜産のシステムというものが構築されることを期待したいというふうに思います。

 この法案が、皆さんの議論によりまして、日本のこれからの飼料構造のベストミックス化に寄与して、緩衝能の高い日本の畜産の構築に大きな力を発揮することを願ってやみません。

 以上であります。どうもありがとうございました。(拍手)

遠藤委員長 ありがとうございました。

 次に、今野参考人、お願いいたします。

今野参考人 山形県は遊佐町から参りました今野進と申します。米づくりの百姓をしております。

 私たちの町は、山形県の庄内地方、秋田県境の町でございます。東には鳥海山、西には日本海という、大変自然に恵まれたところでございます。余談でございますが、最近話題の映画「おくりびと」のロケ地になったところでもございます。水田面積が約三千ヘクタールで、転作率が三三%ほどでございます。

 二〇〇四年に飼料米に取り組んで今日まで来たわけですけれども、その経過を少しお話しさせていただきます。

 二〇〇四年に、十数名の仲間とともに七・八ヘクタールから飼料米生産を始めました。大きな志と少しの遊び心で、日本の食料自給率向上に寄与しましょうというところで始まりました。まあ、当時は大きな遊び心と小さな志かもわからないのですが。それで、二〇〇八年には百七十ヘクタール、取り組み人数が二百八十人まで伸びました。

 ちなみに、これは遊佐町の取り組みでございまして、昨年から、農協は同じなんですが、隣町の酒田市にも広まりまして、合わせますと三百二十ヘクタール、五百六十人ほどの生産者がかかわっております。二〇〇九年度、来年度の見込みとしましては、庄内みどり農協管内、遊佐町、酒田市合わせてですが、四百ヘクタールの取り組みになる見込みでございます。

 二〇〇四年に取り組み始めたころは、十年ぐらい先には我々のこのことが注目される時代が来るのかなという程度の思いでございましたけれども、こんなに早く皆さんから注目をされたということは、正直驚いております。

 この飼料米プロジェクトの取り組みの構成内容をお話ししますと、遊佐町、現在は昨年から隣の酒田市も入っておるはずですが、庄内みどり農協、平田牧場、生活クラブ生協、全農庄内、現在は統合しまして全農山形本部になっております、それから北日本くみあい飼料、それともちろん我々生産者グループで構成しておりまして、そのほかに、東北農研センター、山形県農業技術普及課、そして地元の山形大学農学部の指導、御助言をいただきながら取り組んでおります。

 この中で、特に三本の柱となります庄内みどり農協、つまり我々生産者と、それから平田牧場、隣の酒田市にある豚肉の生産、加工、販売までを扱っている会社でございますけれども、それから生活クラブ生活協同組合、これは首都圏を中心にたしか三十万以上の組合員を要する生活協同組合でございます。

 実は、私たちの町の、まだ農協合併前の遊佐町農協時代でございますけれども、一九七二年から米の取引が始まりまして、当時は三千俵から始まったわけですが、現在では約十万俵の米が私たちの遊佐町から生活クラブ生協の方に届いております。ちなみに、我が町の米の生産量はほぼ十七万俵ですから、半分以上、六割程度の米が生活クラブ生協に行っているという関係でございます。

 それから、平田牧場さんにつきましても、一九七四年当時からと聞いていますが、豚肉が生活クラブ生協に届いております。現在、お聞きするところによりますと、年間八万頭の豚が生活クラブ生協に行っておると聞いております。平田牧場さんの年間総生産頭数は二十万頭と聞いておりますので、これもかなりの量だと思います。

 以上の三者の関係、三十年以上にわたる関係があったことでこの取り組みが可能だったとも言えると思います。

 取り組みの目的としまして、生活クラブ、平田牧場から見れば、素性の確かな国内の飼料の確保が見込めるということ、それから、我々米の生産者、生産地にしてみれば、水田機能の維持が可能である、ひいては日本の食料自給率の向上につながるのではないかということでございます。

 さらに、我々米生産者から見た現実的なメリットとしまして、転作大豆の連作障害の対策にもなります。それから、作付放棄地の解消にもつながります。それから、新たな設備投資が不要な転作作物の一つとしてとらえることができます。それから、非常に精神的なことではございますが、飼料用米とはいいましても、我々米づくり百姓が何十年かぶりに思い切り米を生産することができる、そういう喜びも一つあると思います。

 理念や志は今申し上げたとおりなんですが、残念ながら、穀物の内外価格差という大きな現実が立ちはだかっております。昨今の輸入トウモロコシはキロ三十円程度だと聞いておりますけれども、現在、我々は、平田牧場からキロ四十六円で購入をいただいております。もちろん我々も低コストへの取り組みをいろいろ模索しておりますけれども、やはり産地づくり交付金等に頼らないと立ち行かない取り組みでございます。

 最後に、我々、このぐらいの面積、取り組み人数になりますと、まずは今、保管場所で苦労をしております。それから、不正規流通をどう防ぐかということもおいおい問題になってくるのではないかなと思います。人間の食用には回らないはずのものがいつの間にか回っていたというようなことが起こっては大変でございますので、今からこのような仕組みとルールをつくる必要があるのではないか、そんなふうに思います。

 最後に、我々は、主食用の米生産、安定した米生産が可能であるという前提のもとで飼料用米にも取り組んでおるわけですので、将来を見通すことのできる米政策をぜひお願いいたしまして、私のお話を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

遠藤委員長 ありがとうございました。

 次に、藤井参考人、お願いいたします。

藤井参考人 新潟県の胎内市から参りました新潟製粉の藤井でございます。

 私どもの会社は、現在、米の粉を生産しておる会社でございます。工場につきましては、平成十年に、国それから新潟県の農林補助事業として採択をいただきまして、工場建設をしております。当時は、六千五百名という小さい黒川村というところでこういった事業を開始させていただきました。

 工場を建設させていただきました目的といたしましては、米の用途を拡大して消費拡大に努めるということでございまして、私どもの当時の黒川村は水稲単作地帯でございます。農家の皆さんにできるだけお米をつくっていただくような状況をつくるのに、何とか新たな消費を起こすことで消費拡大につなげてまいりたいということで建設されましたのが私どもの工場、また会社ということでございます。

 この製粉技術につきましては、自治体で研究する場所はございませんので、今現在もございます新潟県の食品研究センターというところで技術開発された技術を御教授いただいて工場が建設されておるという状況でございます。

 当初、生産を開始させていただきました当時でございますけれども、年間の生産量が約二百トンというところからスタートさせていただきまして、現状では、小麦代替の米粉、それから委託加工というところを含めますと、年間で四千トン強の製粉をさせていただいておるということでございます。

 その中で、私どもも、新しく御利用いただく中では、主にはパン、めんというもので推進させていただいておりまして、特に昨年来の消費者の皆様の食品の安全志向ということで、米のパンにつきましては、私どもでも、現在の生産量からまいりますと、前年に比較いたしまして約三〇%ぐらいの伸びをいただいておるというような状況でございます。

 また、学校給食でもお米のパン、めんというものを平成十二年から導入いたしまして、この流れが少しずつ広がってまいりまして、新潟県においては、平成十五年から、県内の約十万人の子供さんを対象に、学校給食でお米のパンが提供されておるという状況でございます。また、県外にも波及いたしまして、全国各地で、いろいろな技術、また製パン方法を活用された中で、学校給食等でお米の粉が消費されているというのは非常に喜ばしいことではないかなというふうに感じております。

 農林水産省さんのデータによりますと、平成十九年度に新規用途として使われた米の粉というものは約六千トンというふうにデータが出されております。これはやはり、国の方で御推進、広報いただいた結果というものももちろんございますし、また、私どもで感じておりますのは、昨年の中国ギョーザの事件というものが消費者の皆さんに訴えかける部分が非常に大きかったのではないかなというふうに考えております。特に、消費者の皆様方には、私どもも今まで余り経験したことが少なかった、安心、安全というものに価値をお認めいただけるようになったなというものを実感しておるところでございます。

 そこからまいりますと、国内の農地を有効活用いただいてお米を生産いただき、私ども製粉会社が加工させていただき、そして国内の食品メーカーさんが商品をつくってくださる、そして消費者の皆様にお届けするというのは、原料の生産から加工、消費まで国内でとり行えるということで、どこにとってもメリットのある非常にすばらしい事業になるのではないかなというふうに期待をしておるところでございます。

 私どもの当時の黒川村では、平成十七年から産地づくり交付金を活用させていただきまして、当時、米粉用の稲というものを始めさせていただきました。平成十七年には二十ヘクタールほどの契約で始めさせていただいたものでございますけれども、昨年、新規需要米という制度を創設いただきましたので、こちらの方で取り組みをさせていただいたものが、二十年産が四十ヘクタールでございます。そして、二十一年産は、地元胎内市で百ヘクタールを現在計画させていただきまして、胎内市とともに推進をさせていただいておるという状況でございます。

 また、そのほかにも、JA全農にいがた県本部さんと取り組みをさせていただきまして、新規需要米の制度につきましては、さらに面積を拡大させていただくというふうに計画をさせていただいているところでございます。

 最後に、繰り返しになりますけれども、お米の生産から消費いただくまで国内でとり行うことのできます米粉の推進というものにつきましては、まだ現状ではコストの問題もございます。私どもでも、昨年、多収穫米というものに取り組みもいたしましたけれども、「タカナリ」という品種で取り組んだ結果といたしましては、十アールでとれましたお米が四百キロ程度でございまして、残念ながら多収穫米とはちょっと言えないような状況でございました。

 そういった技術確立も含めて、私どもでもできるだけの低コスト化は進めてまいりたいということで考えておりますけれども、今後も、新規需要米等での生産農家の皆様への御支援をいただくことが、私ども製粉会社にとりましても安定した稼働につながってまいりますし、また、商品化いただく企業様にも、安心、安全な、そしていい米粉を提供させていただくことが新しい需要をつくれるもとになるのではないかなというふうに考えております。

 小麦はこの四月から値下がりをするという傾向にございますけれども、将来を踏まえますと、必ず世界で小麦が不足するという事態は予測されてまいるわけでございます。その中で、国内で一番ノウハウをお持ちの米づくりというものを活用いただきまして、今後の食料の安定確保をお考えいただければ非常にありがたいなというふうに考えるところでございます。

 本日はありがとうございました。(拍手)

遠藤委員長 ありがとうございました。

 次に、石澤参考人、お願いいたします。

石澤参考人 こんにちは。

 実はきょう、子供の小学校の卒業式でして、子供に国会に行くと言ったら、それは大事なことだからぜひ行ってこいということで励まされて来ました。

 実は、今回ここに参加させていただいたのは、私どもがそもそも飼料米というのを始めたきっかけというのが、卵の黄身の色は黄色くなきゃいけないよということとか、それからスズメは何でもみのままで米を食べるのかということとか、そういうことを、私が小さいときはやっていたんですけれども、今、飼料というのは全部配合工場でつくられてしまった形で来ているものですから、そこに対する、ひとつ私たちも実証してみようということで、青森県の藤崎町の協力を得て、平成十八年に一ヘクタール、三名の方から始めて、昨年は約十五ヘクタールで十一名の方々に協力していただいてやりました。

 どちらかというと、ほんの瞬間的なものはミニマムアクセス米でもう既に実証されているんですね。ですから、先ほど阿部先生がお話しされたように、一年間通して飼ったことによってどういうふうに変わるのかということに対する取り組みをやってきました。

 その中でやはりびっくりしたことは、鶏は米が大好きなんだということがわかりました。選んで食べます。しかも、最初は玄米でやりましたけれども、玄米のときはそんなにわからなかったんですけれども、今回もみで食べさせるようになったら、鶏舎の中がみそ蔵のような香りになります。臭くなくなるんですね。ですから、私は、これは本当にびっくりしました。

 そういう中で始めていって、いろいろなことが出てきましたけれども、実はもう皆さんも御存じのように、地方は非常に大変で、特に青森県は非常に厳しい経済状況の中で、今、生産調整ということで、約四割ぐらいの生産調整をしている農家の人たちは、自分たちで大豆をつくりながら、いろいろなものに挑戦しながら、非常に大変な思いをしながら今農業をやっています。

 飼料米をやることによって何が見えてきたかというと、私たちで一番最初につくったのが実は「べこあおば」という品種だったんです。これは青森には向かない品種なんですけれども、たまたま天候がよかったので十六俵とれたんですね。二年目はやはり天候の関係もあって少なかったんですけれども、去年つくった「べこごのみ」というものは一トン二百ぐらいとれました。

 ですから、こういうのは、先ほど今野さんもお話ししましたけれども、非常に農家にとっては意欲的になってきて、実は、私たちのところで三年間ずっとお手伝いしていただいた佐々木さんという方は、非常に意欲的になって、今まで家族で農業のことについて語り合うことは余りなかったんですけれども、この飼料米をやってから家族が本気になって農業のことを考えるようになって、あるとき、だんなさんが入院したときに、今までやったことのない奥さんが、これはやはり飼料米で一トンとらないとだめなんじゃないかということで、追肥の手伝いなんかをして、しかも、やったことがないものですから真ん中にぽこっと行って稲が転んだんですけれども、だんなさんは怒れなかった、そういう非常に温かい話があります。それと、家族がみんな協力して、後継者も来たというような形になって、非常に楽しい、夢がある、そういうような形になってきたように思います。

 そういう中で、青森県には今二万ヘクタールの生産調整の面積がありますけれども、もしこれに全部つくると、青森県にいる四百万羽の鶏の自給率は、自給率と言うと言葉に語弊がありますが、トウモロコシを食べさせている部分をすべて米にかえることができる。そうすると、単純にいけば、これは私の素人計算なんですけれども、皆さんの方が詳しいですけれども、大体百億ぐらいの直接的な、それは、トウモロコシでアメリカに行っていた部分の経済効果、これが全部回っていけば三百億の経済効果があると私は思います。日本全国でいえばもっとあると思いますので、それは後ほど計算していただければと思います。

 それと、実は生産コストの問題がやはり一番大きいと思いますけれども、私たちは今、キロ五十円で農家の方から買っています。それは玄米換算です。そうするとどういうことが起きていくかというと、実際、農家の方々は、今までどちらかというと、一俵何ぼになればいいとかそういうことを話していましたけれども、一反歩から幾らとれればいいのかということを考えるようになります。

 そうすると、実は、米だけで考えていくと、これは五十円ですから仮に一トンとれても五万円にしかなりません。ところが、稲わらも考えていけば、非常にこれは可能性が出てきます。今現在は、私どものところでは大体キロ二十五円で買っていますので、そうすると、五十円足す二十五円ですから七十五円。もうちょっとのところへ行くと、実は先ほど先生の方からも話があったのと、もみでやることによって乾燥調製の手間暇が少なくなりますので、ざっくりと言って八万円ぐらいでできることになるんですね。ですから、実は、将来的なことを考えていけば、飼料米を余り国に頼らずにできる可能性はあると私は思います。

 ただ、今のところ、先ほど先生お話しされたように、いろいろな技術の確立等がちょっとまだ見通しが立っていないところもありますので、今後三年から五年ぐらいはまだまだやはり国の皆さんの御協力が必要だなと私は思っています。

 もう少しだけ言わせていただけば、この機会を逃せば、私は、二度と農村、農家の自立を促す機会というのはなくなるんじゃないかなという気がします。というのは、どういうことなのかといいますと、今、農村は非常に年をとってきています。平均六十五歳です、農家の人たちの年齢。技術の伝承をするのはこれが最後のチャンスじゃないかなと私は思っています。ですから、私は、できることであれば、日本の中で、特に青森のあたりでも農業というのは基幹産業として非常に重要な位置づけにあります。青森県というのは、やはりすばらしい環境もありますし、いろいろなことができる中で農業を残していく、続けていく、そして農家が自立していく、本当に一番重要なことだというふうに私は今感じています。

 それと、水田を、それこそ今までつくっていなかったところがつくられていくことによって、いろいろな生き物なんかもますますふえていくような形になりますし、川とか湖、海までも影響してくることになると思っています。

 そういう点でいけば、ここ最近、よくテレビで、アポロが月に行って月から見えた人間のつくった創造物は何なのかというので、万里の長城だというのが出ていましたけれども、実は、このことについて、私が大学のときに教わった岩手大学の石川武男先生が、万里の長城よりもすばらしいものが日本にはあるんだ、皆さん、それは何だと思いますかというふうに言われたときに、みんなだれもわからない。余りにも身近過ぎてわからないんですね。それは水田ですよと。ですから、皆さん、この水田という人間がつくった、しかも日本人のつくった文化をきちんとやっていくことが、私はやはり国として今一番大事なことなのではないかなと。

 そういう点では、今回の法律がきちんとできることによって私たち農家がずっと続けていける。しかも、畜産も私は非常に大事な職業だと思っています。日本人はそれこそ農耕民族だと言いますけれども、実は昔から狩猟もしていたわけですね。ですから、そういうようなこともひっくるめて考えていけば、これから、畜産と農業、耕畜連携という言葉だけではなくて、やはり有畜複合という非常に大事な時期をこれからやっていける、今ちょうど転換点というか、皆さんこれから進めていくこの法案がきちんとできることが私たちのあすへの期待が持てるということで、ぜひこの機会を逃すことなく皆さんの力で法案化していただけることを期待して、私からの発表とさせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

遠藤委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

遠藤委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木村太郎君。

木村(太)委員 おはようございます。

 四人の参考人の皆さん、本当に御苦労さまでございます。二十分ですので、早速質問をさせていただきたいと思います。

 まず阿部先生、先ほど栄養面からいろいろと御説明いただいた。そして、飼料米を使ってもそんなに違いがない、むしろいいみたいな御意見だったと思うんですが、ただ、私を含め素人の人ほど、あるいは消費者という立場になった場合に、味はどうなのか、あるいはかたい肉なのか、やわらかい肉なのかというようなこともやはり気にします。BSE発生のとき、牛丼チェーンによっては今までアメリカの肉を使っていたのをオーストラリアの肉に変えたとか、そのことにより肉質に少し違いが出てきたとか、そういうような報道もありましたので、飼料米を使ったときにそういった面での品質の差が、例えば牛、豚、鶏、あるいは肉質、生乳、卵においても差が出てくると考えられるのか、ちょっとお尋ねします。

阿部参考人 主に味のことについてですが、これからはこの部分が、今までのように増体量とか、それからどれだけ卵を産むかというのはたくさんあるんですが、この部分が先生おっしゃるように大切だと思います。

 今までの既存の中でもないわけじゃありません。その中で見てみますと、豚は山形の方にお聞きになるといいと思うんですが、かえっておいしい味がすると。それはオレイン酸という脂肪酸が米をやることによってふえて、そして少しやわらかくなるけれどもおいしいといったようなことがあるようです。

 それから、牛乳とか牛肉について、特に牛肉について、お米を食べさせたものでどの程度霜降りが、そしてどんな赤肉ができるかというのはまさにこれからの問題だと思いますが、牛乳については、味には米とトウモロコシではほとんど差はないと考えていいと思います。

 鶏の方も、ブロイラーですけれども、これは良食のものができる。トウモロコシと同じか、あるいは少しオレイン酸が多くてやわらかいものができるといったようなことがありますけれども、繰り返しますが、これからかなりその部分について研究をして、そして、差別化商品というのは余り好きではありませんが、そういうことも追求していく余地がたくさんあると思います。

 以上です。

木村(太)委員 阿部先生にもう一つお伺いしますが、先生の専門的な分野じゃないかもしれませんが、もし御意見があったらお聞かせください。

 農林水産省の試算によりますと、仮に畜産関係の飼料をすべて国産で賄うとした場合、カロリーベースで食料自給率というのが現在の四〇%から四八%へ向上するという試算があります。ただ、これは国内の農地面積を考慮しておりませんが、先生、仮に飼料をすべて国産で賄うとすると、カロリーベースでの自給率はどのぐらいになると予測されますか。

阿部参考人 ちょっとそれについて明確なお答えは数値的にはできませんが、私は、自給率というのはそんなに単純に上がるものじゃないと思うんです。先ほど私が言いましたように、飼料米とか、それから食品製造副産物とか、それから自給飼料もつくっていく、稲のホールクロップサイレージ、そして、そういうことを少しずつ努力しながら、地べたをはうような努力をしながら、十年たってみると、ああ、日本の食料自給率というのは四〇から四五、六とか五〇に上がったんだな、そういうようなことになると思います。

 そういった意味では、国としてこういう目標、例えば四五%のためには飼料の自給率がこのぐらいというのはいろいろ試算はできると思いますけれども、残念ながらその数値は今のところ持ち合わせておりませんので、申しわけありません。

木村(太)委員 では、生産者を代表しての今野さんにお伺いしますが、ずばり、今の飼料米の今の品種で満足しているかどうかということをお伺いしたい。今野さんは山形県の庄内地方で御努力されているということでありますが、日本は北海道から九州、沖縄までということになっておりますので、それぞれ地域の気候状況、条件等を考えたときに、今野さんの立場から見て、どういう品種をこれから改良したいとか、あるいは目指してもらいたいとか、何か考えがあればお聞かせください。

今野参考人 現在は「ふくひびき」という品種と「べこあおば」という品種を使っております。私どもは収量目標を一トンに置いておりますが、残念ながらなかなかそこまでは、人によっては八百キロ程度まで収量を上げている人もおりますけれども、平均でいいますとなかなかそこまでは行っておりません。

 各先生方にもお願いしているんですが、直まきで一トンとれる品種をつくってくださいというふうにお願いしています。もちろん、直まきの技術は我々努力する部分もかなりあると思いますけれども、直まきで一トンというのが私の希望です。

木村(太)委員 では、藤井参考人にお伺いします。藤井さんの工場は、地域の農家と連携するという仕組みで頑張っておられるようでありますが、仮に米粉用の米の生産が全国的にこれから進んでいったときに、やはり製粉関係の皆さんを初めそれを利用する方々と地域の農家が個々にやりとりする、取引するということよりも、むしろ農協など生産団体との関係がやはり必要になってくると思うんですが、どう思われますか。

藤井参考人 私どもも、今おっしゃっていただきましたとおり、個々の農家の皆様と一つ一つの個別契約になりますと非常に取り組みが大変でございますので、やはり農協さんあるいは生産組合さん、そういったところと進めさせていただくという方向でやってまいりたいというふうに思っております。

木村(太)委員 藤井参考人にもう一つお伺いしますが、先ほど学校給食でのパン、めんを通じてというお話がありましたが、一層、もっと国民の食生活の中に普及させて、また定着させていくために、米粉を使ってそのほかの何らかの加工食品のアイデアがあるのかどうか、また、学校現場での米粉パンあるいはめんだけではなくて、どういう人たちをターゲットにどういう場面でPRしていくべきか、考えがあったらお聞かせください。

藤井参考人 新しい商品につきましては、まだ私どもも、既存の小麦が使われている商品というあたりの置きかえのものしか現状では頭にないというのが実情でございます。

 ただ、昨日、米粉加工技術シンポジウムというものがありまして、そちらの方でローソンさんが御発表なされた中では、ローソンさんが今米粉を使った製品をお出しになられておりますけれども、そこで、ある特徴といたしましては、女性の皆様の来店それから購入というのが非常に多くなっているというお話をされておりました。そういう意味では、新しい商品ということでありますけれども、やはりターゲットとしては女性の皆さんに受ける米の粉を使った新しい商品というものをこれから研究していきたいというお話がありましたので、私もそれをお伺いして、まさにそのとおりだなというふうに思っております。

 それから、学校給食につきましては、子供さん方に小さいうちから食べていただくことで、例えばパン、めんというものは小麦だけではなくて米でもできるということで、いわゆる選択肢が広がるということはいいことではないかなというふうに思っております。

木村(太)委員 では、石澤参考人にお伺いします。

 私も同じ町に住む者ですから、先ほど石澤参考人の御意見を聞きまして、大変すばらしい考え方だなと思わさせていただきました。

 お聞きしたいのは、飼料米を使って生産している鶏卵、鶏肉等は、飼料米を使わないで生産しているものと比べた場合に、例えば品質や販売価格あるいは収益ということにおいて違いがあるのかどうか。お聞かせください。

石澤参考人 ただいま質問ありました。

 まず一つは、卵の部分でいきますと、黄身の色の違いがもう明らかに、米は白いものですから黄身の色は白くなります。ただ、非常に食べたときのバランスはあっさりした形で淡泊な感じがします。

 それから、あと価格の面ですけれども、一応今現在は私どもでは一個百円で販売していますが、現状としては、やはりトウモロコシと比較すると米の価格が幾らか高いものですから収益的な部分でいくとちょっとあれですけれども、非常に消費者の皆さんには中身がわかるということで安心して食べていただいているので、これから普及が必要かなと思っています。

 以上です。

木村(太)委員 では、次に今野参考人と石澤参考人、お二方にお伺いします。

 私ども自由民主党の方では、米粉用の米、飼料米に対しまして十アール五万五千円の交付、あるいは、えさ用トウモロコシには十アール三万五千円の交付、さらに、耕畜連携ということで稲わらの利用等に取り組む場合は十アール一万三千円を上乗せする、また、水田の二毛作で米粉用米、飼料用米と小麦を作付する場合はさらに十アール五万五千円を交付し、計十一万円を交付するということを決定し、しかし、これは最低でもということですので、今、さらなる上積みが必要ではないかということを党内でも活発に議論を始めているわけですが、こういったことをどう評価されますか。十分やっていけると思われますか。

今野参考人 最近、先生おっしゃられるようにいろいろな施策が出てまいりまして、大変ありがたいと思っております。ただ、例えば、これが一年限りであるとか三年であるとかという場合が多いので、その先のことがちょっと見えにくいなという思いはあります。

 それから、国民の税金を使わせていただくわけですので、いかにして国民の皆さんの合意をいただくか、特に消費者の皆さんにどうしたら理解していただけるのだろうかということも今考えながら取り組んでおります。

石澤参考人 やはり農家の皆さんは、今、非常に迷っている現状です。ですから、ことしはちょっと量がふえないような状況です。

 それはなぜかというと、昨年ちょっとだけ米の値段が上がったものですから、今の五万五千円だと足りないという。ただ、やはりこれを変えていく意味でも、いろいろな技術の普及とかが必要ですので、ぜひそういうふうな形で後押しをしていただければ、今度は自立に向かって農家の人たちもやりがいを持ってできると思いますので、私は非常に大切なことだと思っています。

木村(太)委員 それでは、最後の質問、四名の方に一言ずついただきたいと思います。

 輸入トウモロコシにかわりまして新たな日本型の飼料のあり方、構造を構築していくという時期なわけでありますが、日本全体、国全体で取り組むとしたならば、飼料米の生産、集荷、流通、販売に至るまで、その過程、過程で何らかの基準やあるいは検査、先ほどルールというお話もありました、私もそういうものが必要になってくると思います。また、ハード、ソフト面からも何らかのものが、国全体として取り組む場合に必要になってくると思います。

 例えば私は、飼料米専用のカントリーエレベーターなるものも必要になってくるんじゃないかなと思うんですが、それぞれ、お考えがあればお聞かせください。

阿部参考人 まず一つは、どのような形でお米を使うかということで、私は、先ほど言いましたけれども、配合飼料と、それから給食センターで使うというふうに言いましたけれども、やはり自給率を高めていくためには日本の畜産が多様な畜産を展開するということが必要だというふうに思っていますので、その地域の特性に合わせたお米の飼料の使い方というのを地域、地域ごとに工夫されて、その中で何が問題かということを検討してフォーカスを絞って、そしてこの法案の中でそういうような努力をされていくのがいいかなというふうに思っています。

今野参考人 食料の備蓄も含めた考え方はできないのかなというふうに以前から思っておりました。えさ米といえども、いざというときには人間が食べて食べられないものではございませんので、先ほども申し上げましたように、その辺の区分けをきっちりする必要はありますけれども、そんなことも考えております。

藤井参考人 実は私どもも、米粉用の稲というものをつくっていただくに当たりましては、そういった乾燥調製施設をどうするか。これは、いわゆる一般の品種とまた別な品種をつくったりしますと、おっしゃるとおり乾燥それから保管というものが問題になってまいりますので、ぜひそのことも含めて、生産から加工に至るまでの一連のところで助成をいただけるというのは非常にありがたいことだと思います。

石澤参考人 今の御質問は大変すばらしい質問で、実は、大分県の鈴木さんという私たちの仲間は、飼料米のタンクをみずからの力で、五千万をかけて建てました。ところが、ほかの、私どもも建てられない一番の原因は、この法律というかこの方法がいつまで続くのか。いわゆる生産調整の延長上でいくと、まだやはり私たちとしてはそういう設備投資ができるような形ができないという点でいけば、ぜひともここら辺をうまく解消していただいていい方向にできれば、私は、明るい、先々の畜産というのが見えてくるのかなという気がします。

木村(太)委員 貴重な御意見をそれぞれいただきまして、ありがとうございました。

 終わります。

遠藤委員長 次に、筒井信隆君。

筒井委員 民主党の筒井信隆でございます。

 時間がありませんので、早速、貴重な意見をいただいたことについて、さらに質問をさせていただきたいと思います。

 最初に、阿部さんはエコフィードの提唱者、その第一人者というふうにお聞きをしております。エコフィードというのは食品残渣の飼料利用というふうにお聞きしているんですが、今の飼料米の利用というのはその中に含めた概念なのか、飼料米の利用はそのエコフィードとはどういう関係に立っているのか、それをちょっと教えていただきたいと思います。

阿部参考人 私、最初にお話をしました飼料のベストミックスということの中には、今先生がおっしゃいましたように、飼料米が今までのトウモロコシに一部変わる、トウモロコシが飼料米の一部に変わると同時に、そのトウモロコシの一部がいわゆるエコフに取ってかわる、そういう飼料構造が私はできると思っておりますし、それはこれからいろいろなところで試験研究をやりながら、地域実証をやりながら、そういう形で進んでいくのが日本のために一番いいというふうに思いますし、それが都市型の畜産、私は神奈川におりましたけれども、そういうところでは展開できるというふうに思っております。

筒井委員 その場合にまさにそれを目指していかなければいけない、私もそう思っておりますが、やはり、飼料米も含めてコストの問題、飼料米に関して言えば、ちゃんと生産者の方に持続生産が可能なそういう費用が入る、あるいは食料残渣の問題に関して言うとまたちょっと別の面がありますが、いずれにしてもエコフィードを進めていくためにはコスト的に成り立つというものが必要だというふうに思っております。

 輸入飼料の場合には、まさに安さによって進められてきたわけでございますから、そのエコフィードを進めていくに当たってのコストの問題、持続生産の可能性の問題、これについてはどういうふうにお考えですか。

阿部参考人 エコフィードといっても、食品製造副産物、それから売れ残り商品だとか、それから野菜のカットセンターの加工くずとかいろいろ違いがあるんですが、農水省がまとめられた平均値で見ますと、今いろいろなところの事業所の平均はキロ十九円ぐらいだということになります。その結果、やはり、この二年間の飼料高の中でエコフィードに対するニーズが物すごくふえてきて、トウモロコシより安いものですから、かえって、使いやすいエコフィードがだんだん取り合いになっているというような状況があると思います。

 そういった意味では、エコフィードをうまく組み合わせていくことによって、それから飼料米についても、いろいろな先生方の努力で価格というのが支持されて、そしてトータルとして配合飼料と同じか配合飼料よりも少し安いぐらいで、しかしながら緩衝能があるものが私はつくれるというふうに思っております。

 以上です。

筒井委員 もう一点、阿部さんにお聞きしたいと思います。

 飼料とか、病歴を含めたトレーサビリティーの管理の徹底ということも強調されているというふうにお聞きしていますし、それからHACCP対応、これを食の安全の観点からもぜひそれでやるべきだと提唱されておられるというふうに聞いております。

 それらのトレーサビリティーの徹底とHACCP対応の必要性、二つの必要性について御説明をいただきたいと思います。

阿部参考人 今おっしゃられましたような二つのこと、私もお手伝いしましたけれども、エコフィードでいいますと、エコフィードの安全ガイドラインというのをしっかり守っているということが条件で、そして、それと同時に、今言われたようにHACCPの工程でつくられているといったようなことをやはり皆さんに明らかにする、トレーサビリティーということを皆さんが認知して、そしてそれをちゃんと追求するようなシステムをつくるというのが私が先ほど言ったベストミックスの中では絶対に必要だと思いますし、今、例えば豚肉でも各県がトレサシステムをつくりつつありますので、そういう方向に私はあるというふうに思います。

 先生のおっしゃるとおりで、それがやはり見える、そして安全で安心だなということを評価していただいて、少しぐらい価格が高くてもいいよということにつながっていくんだというふうに思っておりますが、その基盤はあると私は考えております。

筒井委員 次に、今野さんにお聞きをしたいと思います。

 先ほどの御説明ですと、飼料米はキロ四十六円でしたよね、購入してもらっている。ほぼ反当たりの収量は九俵ぐらいですか。それで見てみると、産地づくり交付金等の補助を含めると、反収が農家にとってみると約八万弱になるんですか。その点のことを教えていただきたいことと、ほかの主食米や何かもつくっている農家でしょうから、その単価だけではないと思いますが、そういう今の金額で持続的な生産体制は可能であるかどうか。それらの問題について教えていただきたいと思います。

今野参考人 先ほども申し上げましたように、主食用米の安定生産ができるという前提で飼料米生産にも取り組める。十アール当たり粗収入が七万円なり八万円というのは、転作の一部として考えてみれば、何とかやっていけるのかなというのが我々の実感です。

 ただ、主食用米が大幅に下落をして、極端な話、飼料米も主食用米も大して変わらないやというようなことになるのであれば、これは到底、持続的に取り組むことは無理なのではないかと思います。

筒井委員 その点、石澤さんも先ほど意見を述べていただきましたが、八万円ぐらいの反収の収入があれば、先ほどの趣旨はそういう趣旨ですか、やっていける、持続生産可能であると。ただ、その趣旨は、今、今野さんが言われたのと同じ趣旨なんでしょうか。農家にとって持続生産可能な金額等の体制について、ちょっとまた教えてください。

石澤参考人 今、今野さんがおっしゃったとおりの部分と、それともう一つは、農家の人たちがコスト意識をきちんと持つということがやはり必要かなというところはあります。飼料米をやることによって、実は農家の方々がやはりそういうようなコスト意識を持たれたという、これが次の自立につながる大事な一歩なのかなというような気がしますので。

 ただ、今、現状では、このままではなかなかやっていけませんので、ある程度やはり国からの補助なりが必要だということと、当面の下支えがやはり必要になるのかなというふうに思っています。

筒井委員 今野さんと石澤さんに今の関係でさらにお聞きしたいんですが、大体同じ趣旨のことを二人は言っておられると思うんです。現時点では、もちろん飼料米は物すごく安いですから補助が必要である、これもだれもみんなそう思っているんだろうと思うんです。

 ただ、先ほど今野さんが言われておりましたが、やはり、これからずっとそういう飼料米を続けて生産していくかどうかの場合には、収入が単年度限り、あるいはことしは何とかなるということだけでは、なかなかそこに安心して取り組めないんじゃないですか。やはり、これから継続して五年、十年先もこういうふうな計算が可能である、そういう見通しがつかない限りは、なかなか農家にとっても不安があってそれらのものに本格的に取り組めない、こういう状況ではないかということを、ちょっとお二人からもう一度お聞きしたいと思います。

今野参考人 先生のおっしゃるとおりです。

 ただ、私たちは、生活クラブ生協という相手先に、十万俵のほとんどを一般流通米よりは若干高い値段で買っていただいております。そういうことも含めまして可能であると。一面、特殊な我々の関係かなという思いもありますけれども、こういった関係を全国各地、地域に合った形でつくり上げていくということが、日本全体の食料政策なりがいい方向に回っていくのではないかなという期待を抱いております。

石澤参考人 今、今野さんもおっしゃいましたけれども、やはり、私としては、生産調整の延長上での飼料米ということからの脱却を目指していかないとなかなかこれは難しいのかなと。飼料米という作物、それから今野さんも今おっしゃいましたけれども、食料ということに対する根本的なところがやはり大切になるのかなというような気がします。

筒井委員 藤井さんにお聞きをしたいと思います。

 私は、藤井さんのやっておられる新潟製粉工場に視察に行って、米粉パンとかケーキとかいろいろなもので食べさせていただきましたが、こんなにうまいものかというふうに感心をしたものでございまして、今、新潟製粉工場が持っているのか、特許を持っていて、さらに申請中のものもあるというふうにそのときもお聞きをいたしました。

 その特許というのは、それが米粉をこれから普及させるために、やはり私も、物すごい技術開発が大前提になったし、これからもなるんだろうというふうに思うんですが、そういう意味で、特許を取っている中身、それから今申請中のもの、素人がわかるように一言で説明していただけませんか。

藤井参考人 今ほどいただきました御質問につきまして、回答させていただきます。

 特許につきましては、今、現状、私どもの方で使わせていただいております特許は、新潟県が開発をした特許でございまして、新潟県が特許を保有してございます。

 一つは酵素利用製粉という製法、それからもう一つが二段階製粉という、米を製粉します技術としては主に二通りのものがございます。

 ちょっと一言では難しいんですけれども、酵素処理米粉につきましては、お米を洗った後に浸漬をするんですけれども、そこで酵素を使ってお米を浸漬する……(筒井委員「シンセキ」と呼ぶ)浸漬というのはつけるということでございます。お米をつけて、そして、その酵素溶液を吸わせたお米を気流粉砕という粉砕機で粉砕するというのが酵素処理米粉でございます。この米粉に、小麦のたんぱく質でありますグルテン、そういったものをまぜますと、パンやめんにでき上がるというのが一つの技術でございます。

 それからもう一つが二段階製粉というものでございまして、これもやはりお米、ウルチ米を洗って、今度は水につけます。そして、水を吸わせた米を一度ロール機というものでつぶしまして、その後気流粉砕にかけるということで、二段階製粉という名前がついてございます。

 これは主にはそのまま洋菓子、今ですと例えばローソンさんでありますとか、そういったところでロールケーキ等にお使いいただく、そういったものについては二段階製粉を用いていただいておるというのが現状でございます。

 それからもう一つ、今特許申請中というものにつきましては、現在、三洋電機さんのホームベーカリーで御活用いただいておるのでございますけれども、昨今小麦アレルギーというのが非常に問題になっておりまして、私どもも、米粉パンということでおつくりをいただいておるわけでございますけれども、小麦の成分でありますグルテンというものは使っております。これを使いますと、やはり小麦アレルギーの皆さんはアレルギー反応を起こされますので、アレルギーの方が食べられるパンということではございません。

 ですので、このグルテンを使わないで米粉パンをつくるという技術も新潟県の食品研究センターが開発をして、現在特許申請中ということでございまして、まだこれは特許はおりておりませんけれども、その技術を活用していただいているのが今三洋電機さんのホームベーカリーに搭載をされたものでございまして、それはアレルギーの皆様も食べられるという技術でございます。

 以上でございます。

筒井委員 使用の方法を見据えてというか、米粉のつくり方によって使用も、パンになったりあるいは洋菓子になったり、さらには小麦アレルギーがある人の食用になったりと、いろいろな形でされているようでございますが、その場合に、小麦粉でできるものはすべて米粉でできる、こう言えると思うんですが、その点、ちょっと専門家として教えていただきたいんです。

 要するに、小麦粉でできるものは全部米粉でかえることができるんだよということであるかどうかの確認と、今現実に米粉からつくっているもの、あるいはつくりたいと考えているもの、それを全部ちょっと羅列していただけませんか。どういうものが、例えばギョーザの皮とか、何かいろいろなことを聞いているんですが、全部トータルにわからないものですから、それが二つ目。

 ちょっと時間がないのでまとめてお聞きしますが、それと三つ目が、それらの場合に物すごい微粉末にする技術が大前提だというふうにお聞きしていて、ミクロン単位の微粉末にする技術が開発されたことが米粉普及の前提条件だというふうにお聞きしているんですが、今、新潟製粉の場合には何ミクロン程度の微粉末にしているのか。それをさらにどの程度まで、例えば現在二けたでしたら一けたあたりまで進める方向で努力されているとか、それらの微粉末の程度についてもちょっと三つ目にお聞きをしたいと思います。

藤井参考人 今ほど御質問いただいた件でございますけれども、私どもでつくらせていただいている米粉につきましては、小麦の代替としてはすべて可能でございます。パンができるということは、パンをつくります小麦粉は強力粉でございますので、パンができますと、それ以外のものは十分御活用いただけるということでございます。

 それから、現在つくっていただいております製品といたしまして、それらの御紹介をさせていただきます。

 まず一つはパンでございます。それからめん、ピザ、そしてロールケーキ、シフォンケーキ、ギョーザの皮、これはでん粉としての御活用なのでございますけれども業務用の卵焼き、クッキー、そしてチョコレートでございますね。チョコレートにも米粉を混ぜまして、もちっとした食感を出してございます。今思いつくのは大体それぐらいでございます。

 それから、私どもの微粉末についてでございますけれども、私どもでつくらせていただいております米粉につきましては、大体四十ミクロンから五十ミクロンで米粉になってございます。通常の強力粉ですと大体七十五ミクロン前後ということでお伺いをしておりましたので、そういう意味では小麦粉よりもさらに細かく製粉はできておるというふうに考えております。

 将来的にでございますけれども、先生に今おっしゃっていただきました、さらに細かくというものは、可能性としてはまたほかの、例えば食用だけでなく化粧品とかそういったものにも御活用いただける可能性は十分ございます。これで御活用いただくにはミクロンからナノということで、一ミクロン以下の粉砕方法といいますか、こういった技術は多分これから開発をされてくると思いますし、またそういったものが出てきたときに、粉体になりますと非常に、食用だけではなくほかの用途にも広がってくる可能性はあるのではないかなということで、私どもも注目をさせていただいております。

筒井委員 ありがとうございます。

 つくばの研究所へ行ったときには、今、四ミクロン、五ミクロンといいましたか、一けたのミクロン単位のものがほぼ可能性が出てきているというふうに言っておりまして、ただ、今初めてナノ単位のものも考えられていると。ナノ単位であれば食用以外のものにまで活用できるという、まさに物すごい希望のあふれた答えをいただきまして、ありがとうございます。

 その中身についてお聞きしたいんですが、今終了という連絡が来ましたので、以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

遠藤委員長 次に、西博義君。

西委員 公明党の西博義でございます。

 きょうは、四人の参考人の方々、本当に御多忙のところ、貴重な御意見をちょうだいいたしまして、また先ほどからもお聞きして、新しい新規需要米の方向性といいますか、非常に明るい、また一方では課題も残っているというふうな印象を受けております。

 時間が短いですから、すぐに質問に移らせていただきます。

 初めに、阿部先生にお聞きをしたいと思います。

 先ほど飼料のベストミックス化というお話がございました。大変重要なことだと思いますし、現実に、トウモロコシのあの価格急騰を受けて、まことに先生が日ごろからお考えになっているとおりだなというふうに思いました。

 その中で、食品残渣のことについても、先ほどちょっとほかの委員からもお話がありましたけれども、先生が日ごろから研究されているということを拝見いたしました。日本の穀物、特に米と食品残渣の飼料への導入なんですが、ちょっとお聞きすると、食物残渣の場合は結構塩分が、例えばホテルの食べ残しだとかこういうものについては、ただ単に栄養分としてまぜたらいいということじゃなくて、注意が必要だというふうなこともお伺いしたんですが、そのことについて初めにちょっと確認をさせていただきたいと思います。

阿部参考人 いろいろなものについて分析してみますと、家畜、家禽の要求量よりも約十倍ぐらい高いといった量は含んでいるというのは間違いありません。しかしながら、まず、家畜にとってそれが有害なレベルかというと、決してそうじゃありませんで、ありていに言いますと、水をたくさん飲んで尿に出してしまえば、それは問題ないということです。

 しかしながら、実際の家畜飼養管理の面では、尿量がそれだけふえますから、だからきちっとした飼料設計をして、せいぜいNaCl、食塩の要求量よりも、低くするということ、同じレベルにするのは難しいかもしれませんが、そういうようなことがないような意味での飼料設計が必要である。

 飼料設計するためにはいろいろな素材についての分析値がないといけませんから、それも案外と今リアルタイムでできるような整備がなされておりますので、そういう飼料設計と飼料分析ということで混合していく。先生おっしゃられるような見方をしていくということは、私は可能であるというふうに思っています。

西委員 ありがとうございます。

 もう一つ、飼料米のことなんですが、先ほどほかの参考人の方からおっしゃっておられたと思うんですが、もみのついたお米をそのまま飼料として出すとかいうお話がございました。

 私も、つくばの農業関係の研究所に行ったときに、田んぼにそのまま稲を植えて、電さくを引っ張って、少しずつ先々食べさせていくというような研究をちょっと拝見しまして、省力化という意味ではいろいろな工夫があるんだなというふうな思いがいたしましたけれども、玄米まで持っていくという以前に、そういう省力化の面について何か御示唆がございましたらお願いしたいと思います。

阿部参考人 やはり食用米との分別、それから、先生おっしゃいましたように、要するに、製品のコストを安くするといった意味では、私は、家畜、家禽、鶏も含めて、もみのレベルでいいんじゃないかなと思います。しかしながら、もみと玄米というのを比較しますと、もみの繊維の部分が約二割ありますから、だからやはり栄養価というのは少し下がります。少し下がりますけれども、それはそんなに大きなものじゃないというふうに考えて、もみでやっていく。

 その場合に、次の段階で、今、製品化ということでいきますと、では、もみでいいのかというと、鶏の場合はもみのまま、粒のままでも、これは消化率は粉砕しているものと変わりません、そのうといううるかす部分がありますから。しかしながら、豚と牛の場合にはやはり粉砕をするということが必要になります。そうすると粉砕のお金がまたかかるんですが、先ほど言いましたけれども、乳牛、肉用牛の場合には、必ずしも乾燥して粉砕するという手間をかけなくても、ソフトグレーン、いわゆる立毛状態で、三〇%ぐらいの高い水分のままそれを発酵させて、そしてロールを軽くかけるというような程度で、それは比較的低コストでできるのかなと。

 だから、畜種といわゆる製品のコストということで、いろいろな加工技術があって、その部分の細かい詰めはこれからだというふうに思いますが、それはちゃんと分別というか仕分けをしながら、それぞれのものに適合したような形でできていくんじゃないかなというふうに思っています。

西委員 もう一問お願いしたいと思います。

 実は私、昨日の農水委員会でも長粒種のお米についてちょっと質問させていただいたんですが、多収穫で、やせ地でも沼地でも結構強い品種という形で出ておりました。ただ、温暖なところでないとだめだという条件はあると思うんですが、そういうものを飼料米として、例えば温暖な九州、四国とか、西日本の方でそれを適用するということの可能性について、ついでにお伺いしたいと思います。

阿部参考人 昔、長粒種というか、要するに長いものだったんですが、このごろは必ずしもそうではなくて、丸いものとか、いろいろなタイプが試験研究機関で用意をされているようです。

 先ほどお話がありましたように、当面は七百キロ、そして願わくば一トンという中には、いろいろなタイプがあると思いますけれども、私、その植物の育種の専門家ではありませんから明確に答えはできませんけれども、北でも南でも、地域に適したようなものはいろいろあると思いますが、どちらかというと、長粒種、アルボリオというのは、南の、イタリア系統の暖かいところですから、暖かいところには向いているかなというふうに思います。

西委員 次に、今野参考人にお願いをいたします。

 大変長い歴史を持っておられる飼料米の生産をされているところだとお聞きして、また、基本的な農業に対する考え方が非常にしっかりしていて、水田をできるだけ維持していくための一つの方策として飼料米も取り入れられているというふうにお伺いをいたしました。

 それで、私、お聞きしておりまして、いろいろな意味でのネットワークが既に確立されているがゆえに、そういうかなり思い切った飼料米の生産、これは町内でいきますと一割以上が飼料米ということになっているように思いますが、一割といえども、一軒一軒の耕作農家にしてみると、個人としては、要するに普通のお米をつくり、その合間合間で飼料米をつくる、こういう耕作のパターンでやっておられるんだと思うんです。

 そこで、いわゆる食用米と飼料米の栽培方法についての違いというものがおありでしたら、教えていただきたいと思うんです。省力化をするために、何らかの工夫を飼料米だけ何かやっているのか。農薬を散布するとか肥料をやるとか、日ごろの管理についての考え方をお教えいただきたいと思います。

今野参考人 基本的には同じです、米の栽培ですから。ただ、もちろんコスト低減が至上命題ですので、まずは、一番コストがかかるのは田植えと乾燥調製なわけですから、田植えをしない、いわゆる直まきにも取り組んでおります。先ほど申し上げたとおり、我々の努力不足もありますが、なかなか技術が確立をしない。今のところ、まだまだ努力が必要だなと思っています。

 あとは、先ほど話題になりました乾燥調製、もみすり、これがもし省けるような状況になれば、さらにコストは下がる可能性がある。要するに、田んぼで刈り取りをしてそのまま何らかの加工をして保存できるようなことができるのであれば、乾燥する灯油代も要らないわけですから。そんな技術、システムが可能なのかなという期待はしております。

西委員 次に、藤井参考人にお伺いしたいと思います。

 先ほどからの話で、非常に見通しの明るい優秀な米粉の製造をしていただいているということで、私は感心して聞いておりました。我が党も、米粉という言葉が出始めぐらいのときに、政策として米粉を普及しましょうと言った時代があるんですが、こういう時代が来たかなということで大変喜んでおります。

 確かに、技術的に、いわばかたい米というものを微粉化するということは大変な技術だとお聞きしていまして、それをクリアされたことに本当に敬意を表したいと思います。

 まず一点目は、この米粉、先ほど生産能力についても若干お触れになったと思いますが、将来どういう需要があるというふうに御社としては展望されているのかということをまずお伺いしたいと思います。

藤井参考人 私どもの地元の新潟県におきましては、現在、R10プロジェクトというものが推進をされております。これは、輸入小麦の一〇%を何とか米粉に置きかえようという県の運動でございまして、私どももこの運動には参画をさせていただいてございます。

 需要としては、現在、この平成二十年度については、国内で恐らく一万トン前後のそういった新規需要が広がっているんじゃないかということで言われておりますけれども、私どもといたしましても、今、国の方では十年後の五十万トンということを目指されておりますので、こちらの方に何とか少しでも近づけさせていただきたいということで、需要は、五十万トン分は十分あるというふうに考えてございます。

西委員 新聞等を拝見しますと、この技術というのは大変特殊な技術で、県が開発されたということもあるんでしょうけれども、新潟県下で工場を運営されているというお話を聞きました。

 先ほどのお話ですと、若干、ほかの製粉業者の皆さんも同じく米粉をつくっていらっしゃるというふうに読めるんですが、今は新潟製粉さんで国内の需要分の大部分を負っていらっしゃるような構図になっているのではないかなというふうに思うんですが、正直言いまして、そのほかの業者の皆さんも、言いにくいかもしれませんが、同レベルの粒度、四十ミクロンレベルというように、今市場に出回っているのは他の業者さんともよく似た感じというふうに理解してよろしいんでしょうか。よそのことをけなすのは難しいかもしれませんが。

藤井参考人 今、国内におきましても、機械メーカーさんを初め、あるいは都道府県の方でもさまざまな研究がなされております。ですので、各地域でそういった技術開発はかなり進んでおりまして、実際には、私どもの粉に近い米の粉はでき上がっておるというふうに感じております。

西委員 と申しますのは、急速な需要拡大で、新潟だけということになりますと、なかなか他の地域に出回る機会が少ない。いろいろなルートで販売されていることは聞いているんですけれども、例えばスーパーなんかでぱっと見つかるというケースが少ないものですから、いろいろなところでその技術を拡大していっていただければありがたいな。よそに技術供与するという意味ではなくて、新潟製粉さんの技術も広げていっていただければありがたいという思いで申し上げた次第でございます。

 次に、石澤参考人にお願いをいたします。

 大変積極的な経営をされまして、将来も、課題はもちろんあると思うんですが、展望を持って頑張っておられるというふうにお伺いをしました。

 その中で、これは論文をお出しになっているんですが、その中で飼料米の課題ということで四点ほど挙げられております。

 まず初めに、価格面でやはりこれから一段の工夫が必要だ、そういう内容でした。それから二番目が、種子の育種改良並びに確保ということで述べられております。ここの部分で、先ほどもお話がありましたように、いろいろな品種を幾つか試されておられると思いますが、それぞれについての収穫量とかそういうものが、季節と品種といろいろ複雑に絡まり合ってなかなかまだ定着していない段階なのかなという感じを受けたんですが、その辺のことについて、現状についてお伺いをしたいと思います。

石澤参考人 まさにおっしゃるとおりでございまして、それと、やはり地域によってもまた違います。コシヒカリは青森ではできないように、青森では「つがるロマン」という品種になるように、やはりその地域地域によってみんな違うわけです。

 今、青森県でも種子の関係にはかなり力を入れていまして、新たな品種をつくっていますけれども、やはり一番大事なところは、その地域に合った種子というものを確立するまではまだもうちょっと時間がかかるのと、それからあと一番大きいのは、栽培体系だと思うんですね。それと、循環型の農業というのをきちんと考えていかないと、肥料もほかから買ってくるのであればやはりもったいないわけです。

 やはり畜産がある地域でそれが循環できるという仕組みが非常に大切なことになると思いますので、その栽培体系は、私たちも三年やってみて、今これだなというのは大分見えてきました。実は、種子の場合、安定性が今まだちょっとないという点が課題ではありますけれども、かなり見えてきた部分があります。

 それとあと、倒伏しないということ。大量にとれる場合はやはり倒れないということが非常に大事でして、そこの部分。今これかなという形でいっているのが、私どもでは「べこごのみ」という品種で、去年も三反歩ほどやりましたけれども、平均すると、もみの状態でですけれども二割多いので、玄米で大体一トンを超えています。

 あと、種子は、ことしはかなり確保されているみたいですけれども、課題としては、きちんと安定した種ができるかという点でいけば、やはり国の力というのはまだまだ必要なのかなと思っています。

西委員 時間が近づいてきましたが、最後、一問だけお願いしたいんですが、今野参考人と石澤参考人にお願いしたいんです。

 早くからこのようにして飼料米をつくられております。かなり大規模につくっておられるんですが、先ほどのお言葉にあったかどうかちょっとわからないんですが、農家というのは、昔から、お米をつくるというのは、お米というのは大切なもので、一粒のお米も残すな、こういう言い伝えの中で生きてきて、私もそうだったんです。

 そんな中で、牛や鶏にやるえさにする米をつくってくれという。つくり方もほぼ同じだ、こういうふうな御説明だったんですが、これから新規需要米という形で、各地でこういう新しい需要に対するお米をつくっていくに当たって、農業者、生産者の気持ちの切りかえというのが、結構簡単なように見えてすとんと落ちるのは難しいという気もするんですが、その辺の、切りかえられたときの皆さん方の思いといいますか、よし、では、やろうというそのきっかけになったのはどういうお話だったのかなということをお聞きしてみたい。

 お二人にお願いをいたします。

今野参考人 始めるに当たっては、牛や豚に食わせる米をつくるなんてとんでもない、あるいは、一俵二千円の米をつくってどうするんだという声はありました。私自身も、そういう思いもどこかにあります。

 ただ、現実に米は余っておる。それから、日本の人口はこれから減る時代に入って、ますます余る可能性がある。そういう現実の中で、我々が先祖から受け継いできた米づくりを続けていくには、そんなことは言っていられない。牛や豚に食わせる米でも米は米、我々の腕でつくっていこうじゃないか、まあ、こういう空元気で始めたわけでございます。

石澤参考人 私は、先輩から罰当たりと言われました。

 ただ、やってみると、農家の人たちが、久しぶりに本当にいっぱいつくれるという喜びの方が今高い。やはり農家というのは、おいしいお米をつくるということも大事なんですけれども、収量をいっぱいとるということに対する本音というのがあります。そういう点では、非常にいいきっかけだったような気がします。

 以上です。

西委員 どうもありがとうございました。御活躍をお祈りしております。

遠藤委員長 次に、菅野哲雄君。

菅野委員 社民党の菅野哲雄です。

 四人の方々、貴重な御意見をお聞かせいただいて、本当にありがとうございます。

 まず最初に、阿部先生の方からお伺いしたいんですが、先ほどるるお話があって、配合飼料、トウモロコシと玄米というのはほとんど成分は同じなんだ、かえていっても問題はないというお話をお聞きしました。まさに私もそのとおりだと思うんですけれども、配合飼料の成分をかえていくためには、生産から消費までの連携が大切だと、るるお話がありまして、こう申されておりました。

 このことをつくり上げていくというのは大変なことだというふうに私は思うんですね。連携をどう図っていくのか。そういう体制をつくっていくためのエネルギーというのは非常に大きなものがあるというふうに思うんですけれども、先生は、どこがイニシアチブをとっていくことが大切だと考えておられるのか。エコフィードでも同じだというふうに思うんですけれども、先生の考え方をお聞きしておきたいと思います。

阿部参考人 一つのシステムとして、飼料米というのを配合飼料なりTMRセンターの中で位置づけていって、そして、今先生言われたように消費者も理解するというようなことで、やはり僕は時間が随分必要だなというふうに思います。

 すぐに、拙速的にこうやろうというんじゃなくて、先ほど申し上げましたけれども、地域の実情に合わせて、地域の実情というのは、要するに水田の利用ということも含めて、そして、家畜と水田がどういう比率でいてというようなことも含めて考えなくちゃいけないというふうに思うんです。

 そうすると、今先生がおっしゃったように、そのときにそういうネットワークというのを、だれが要するにコーディネート役をするかということになると思うんですが、やはり国の方針がきっちりとしていて、そして、地方農政局なり県なりがその意向をしっかりと受けとめて、その地域地域の農業団体だとか普及のところだとか生協だとかといったところの連携が必要だというふうに思っています。

 そういったようなシステムづくり、ネットワークづくり、そして地域の人材の養成ということが、やはりこの政策を推進していくために同時に行われなくちゃいけないというふうに思います。時間がかかると思いますけれども、粘り強くやっていくというのが大切だと思います。

 以上です。

菅野委員 次に、今野さんからお聞きしたいと思うんですが、まさに今阿部先生がおっしゃったことを遊佐町で実践してきたというのが、二〇〇四年から今日までの経過だというふうに私は理解したわけです。

 ワーキンググループとして、遊佐町、JA全農山形、JA庄内みどり、平田牧場、生協という形でグループをつくりながら進んできた。当時は七・八ヘクタールから、四年間で百八十ヘクタール、また来年度もかなりふえた数量になるというお話を聞いたんですけれども、この間、四年間、五年間の中で指導力を発揮してきたのはどこなのかということを教えていただきたいというふうに思うんです。

 ここまで、どんどん何の気なしに進んできたんじゃなくて、大きな議論の中で今日まで推移してきたというふうに私は思っています。そして同時に、阿部先生おっしゃったように、地域の特性を生かして遊佐町で今日まで発展を遂げてきた。これを全国展開しようとしても、かなり無理がある部分もあるんじゃないのかなというふうにも私は思うんですけれども、遊佐町で今日まで推移してきた経過というものの中で、だれがイニシアチブをとってきたのかなということを教えていただきたいと思うんです。

今野参考人 大変難しい質問ですが、一つは、この事業に取り組むに当たりまして、生協の当時の理事長さんから、君たちは山間部の効率の悪い田んぼから荒らしていく、もっと発想の転換をしなさい、効率の悪い山間部の冷たい水のかかるところで人が食べるおいしい米をつくって、平場の大型圃場で徹底的にコストダウンをした米づくりをして、それをえさ米にしなさい、こういう提言を受けました。私たちも、確かに理屈はそうなんですけれども、なかなかそうはいかないと。そういったやりとりの中で、一つは、消費者団体である生活クラブ生協のイニシアチブもありました。

 それからもう一つは、何といっても産地づくり交付金です。産地づくり交付金というのは、御承知のとおり、その地域である程度用途を、地域の裁量で配分することが可能なわけですから、当然、水田協で、遊佐町の場合は飼料米に少し手厚くということが可能だったために、農家には説得しやすかったという面が大きいと思います。

菅野委員 もう一点お聞きしておきたいんですけれども、これは、あくまでも転作作物の一つとして飼料米を位置づけてきた。そうすると、他の転作作物との関係があるというふうに思うんですね。転作作物、今まで大豆、麦をつくってきたのに、一気に飼料作物という形にはなかなかいかないというのは想像できるんです。

 今、二〇〇八年で百三十ヘクタールという、資料を見させていただいたんですけれども、転作面積における飼料米がどれくらいの割合でつくられているのか、そして他の転作作物との比較において飼料米はどういう位置づけになっているのか、ここを教えていただきたいと思うんです。

今野参考人 三三%の転作率ですから、大ざっぱに言って一千町歩が転作、うち三百数十ヘクタールが大豆です。えさ米が二百町歩少しですか、そういう割合。

 私どもとしては、できることならば、大豆、飼料用米と主食用米をうまく回せればいいな、ローテーションできればいいなと。そのことによって、冒頭にも申し上げましたけれども、大豆の連作障害回避、あるいは、大豆の後にえさ米を植えることによって投入肥料の軽減、節約ですか、それを図ることが可能である。そのように地域でうまく回すことを当面の目標にしています。

菅野委員 今野さんにもう一点ですが、生協が中心となって、そして平田牧場という一つの生産者、養豚業者がいて飼料米という方向に行って、えさに飼料米を一〇%まぜていくということなんですが、これはやはり限度があるというふうに思うんですね。平田牧場が買い入れる数量というものに限度があるというふうに思うんです。

 この点について、私は、まさに遊佐町は地産地消でやっているというふうに思うんですね。これが飼料米を全国流通させていくことによるコスト増がかさむことによって、つぶれてしまう可能性もあるわけです。この遊佐町における地産地消という観点から見て、飼料米の今後の拡大の方向というのはどういうふうに見ているんですか。

今野参考人 平田牧場は、生産する二十万頭の豚にすべて、肥育後期の八十二時間、トウモロコシ代替で一〇%与えるとすると、六百ヘクタールほどの水田が必要であろうという試算です。ですから、平田牧場の必要量に対してはもう少し余裕があるのかなと思います。

 先生おっしゃるとおり、もちろん地場で、東北で生産したえさ米を関東まで持ってくるなんということはまたコストがかかるわけですから、まさに地産地消で、各地域地域で取り組むのがやはり理想的であろう、そのように思っています。

菅野委員 どうもありがとうございました。

 次に、石澤さんからお聞きします。

 飼料用米を農家と一緒になってつくってきたということなんですが、「べこごのみ」、びっくりしたんですが、反当たり一千四百六十四キログラムとれた、二反歩に生産してこれくらいの収穫を得た、あるいは、平均していくと九百二十一キロという反当たり収量を得たというふうに、先ほどもお話しになったし資料にも書かれてあるんですけれども、今後、この飼料用米を、どう多収穫米を農家に生産させていこうと考えておられるのか。そのことと、今打ち出されております五万五千円という部分を実際の農家の人たちはどのように受けとめているのか、これらについてお聞きしたいというふうに思います。

石澤参考人 ただいま先生から御指摘あった数字、若干違いますけれども、とれた量は玄米換算で一トン二十ぐらいです。もみでいくと一トン二百ぐらいとれたということですので。それと、「べこごのみ」という品種は三反歩つくりました。全体の平均でいきますと、いろいろな品種がまじっていますので、去年は約七百キロぐらいの平均でした。

 そういうような状況の中で、今御指摘のありました五万五千円という数字なんですけれども、実は、昨年、米の価格がちょっと上がりましたので、農家の皆さんは、昨年までは五万五千円あれば皆さんつくるということでお話ししていましたけれども、ところが、去年の価格が上がって、一万二千円で、私どもの近くは平均十俵とれましたので、十二万ぐらいになりましたので、ことし飼料米の見通しは、私は本当は百町歩あるうちの五十町歩ぐらいいくのかなと思っていましたけれども、農家の皆さんも、今の段階だと、今まで転作に協力しなかった人たちは飼料米よりもやはり普通の米をつくった方がいいということで、ことしは、今のところ私が知っている数字からいくと、去年よりも三町歩しかふえません。

 そういうような現状ですので、やはりこれは何らかの対策がまた今後必要かなと思っています。

菅野委員 もう一回、今野さんとそれから石澤さんにお聞きしたいんです。

 遊佐町では、先ほど言ったように、七・八ヘクタールから百三十、最終的に六百ヘクタールまで余裕がある、そこを目指していくんだということなんですけれども、今、石澤さんの方からいえば、なかなか飼料米の作付は拡大していかないというふうにおっしゃいました。永続的に飼料米を作付していく、そして広げていく、このための課題というのはどこにあるのかなというふうに私は思うんですね。今石澤さんから何らかの対策は必要だというふうなお話があったんですけれども、五万五千円を提示しても広がっていかないという状況の中で、広げていくための課題というものをどう考えておられるのか、お二人からお聞きしておきたいと思います。率直な意見を述べていただきたいと思います。

今野参考人 大変難しくて、ちょっとお答えしづらいです。

 ただ、漠然として思うのは、昔、我々若いころは、食糧管理法、食管制度のもとに米づくりをしてきました。最近はまた法律が変わりまして、我々の感覚としては、つくる自由、売る自由というような、言葉がひとり歩きしているなという思いもあります。

 米の他用途利用を含めて、食料政策として、これからの時代に合った新しい食糧管理法が必要なんではないかな、そんなふうに漠然と私は考えております。

石澤参考人 今、今野さんのおっしゃったとおりだと私も思っています。生産調整からの、そのままの延長線上ではなかなか進まない。やはり食料というものをきちんと考えていかないといけないんじゃないかなというふうに考えています。

菅野委員 最後になりました。藤井さんの方からお聞きしたいんですが、今言ったように、米粉についても本当に消費拡大を図っていかなければならない。と同時に、麦との価格競争というものが米粉の中には存在する。そういう中で、農家では、米粉用の米を作付する場合、できるだけ米粉を高く買ってもらいたいという要望が存在するわけですね。

 そうすると、麦の価格と米粉の価格との差。確かに一時期は麦の価格が上がった。そういう意味で、米粉も競争力を持つというふうになってきて、今は現実問題として麦の価格は下がってきている。そういう中において、今後どのような形で米粉を普及していかれようとしているのか。これらの関係についてお聞かせ願いたいと思っております。

藤井参考人 今ほどおっしゃっていただきましたとおり、小麦につきましては、今後また値下がり傾向になるということで、さらに価格差は出てこようかと思います。

 その中で、私どもの方で考えておりますのは、現状では、産地づくり交付金を含めて助成金をいただいておりますので、その間に、やはり、先ほど少し申し上げました多収穫米でありましたり、あるいは私どもも、製粉コストの低減といいますか、できるだけ小麦の製粉と競争できるような新しい製粉方法の開発というものにも着手していきたいというふうには考えております。

 ただ、現状で、やはり小麦は非常に安うございますので、その値段と米の値段がイコールになることは、やはりないと思います。ですので、もう一つの方法としては、先般もある企業の方がおっしゃられたんですけれども、あくまでも、今までの小麦の商品ではなくて、新しい米の粉を使った商品として消費者の皆さんに御理解いただくといいますか、そこに必要なのは、やはり地元も含めた国内の生産農家の皆さんに米をつくっていただく安心、安全というものだと私どもも思うんですね。

 ですので、それを消費者の皆さんに訴えかけて、そして、例えば同じパンにしましても、小麦でつくったパンと米粉でつくったパンというものはイコールにはならないと思うんですが、やはり、それに違う価値を持っていただくといいますか、米は国内でつくられたお米ですので、その価値を消費者の皆さんに御理解いただけるような商品開発と、それから生産コストの低減に努めてまいりたいというふうに考えております。

菅野委員 いろいろ御提言、どうもありがとうございました。終わります。

遠藤委員長 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。

 本日は、大変貴重な御意見をお述べいただきまして、本当にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。

 この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二十八分開議

遠藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 午前に引き続き、内閣提出、米穀の新用途への利用の促進に関する法律案、米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律案及び主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省総合食料局長町田勝弘君、消費・安全局長竹谷廣之君、生産局長本川一善君、経営局長高橋博君、農林水産技術会議事務局長佐々木昭博君及び国税庁長官官房審議官西村善嗣君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

遠藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木原稔君。

木原(稔)委員 自由民主党の木原稔でございます。本日はよろしくお願いいたします。

 早速始めさせていただきます。いわゆる米トレーサビリティー法案に関連した事項について、まず質問をさせていただきます。

 昨年の事故米の不正転売問題によって経営的に打撃を受けたいわゆる善良な業者がいるということは、もう御承知のとおりでございます。小規模な業者が多いので、大変な御苦労をしておられます。信用回復のための血のにじむような努力によってようやく立ち直った業者でさえ、昨年末からの追い打ちをかけるような不景気によって、また、三月のこの決算をどう乗り切っていこうか、そういうふうに考えておられる深刻な業者の方がおられて、これも大変深刻な問題でございます。

 事故米の不正転売問題の再発防止に向けてはさまざまな対処がなされていると理解をしておりますけれども、農林水産省の最近の取り組み状況を教えてください。

町田政府参考人 御説明申し上げます。

 事故米問題を受けまして、農林水産省としては、事故米穀を今後二度と流通させないようにするため、輸入検疫で食品衛生法上問題があるとされた米麦については輸出国などへ返送するかまたは廃棄する、国の在庫保有中に問題が生じた場合はこれを廃棄することなどを措置してきたところでございます。

 また、輸入米の販売後にカビが発見されることを極力なくすために、昨年十二月八日から、従来輸入時の袋のままの状態で販売していた米につきまして、販売前にすべての袋をあけ詰めかえるなどカビの確認を徹底し、さらに、本年二月十九日からは、アフラトキシンB1の分析を行った上で問題のないもののみを販売することとしてきたところでございます。

 今後とも、食品の販売業者としてより適切な品質管理、衛生管理を行えるよう、見直し、改善を着実に進めていきたいと考えております。

木原(稔)委員 今回の法案も再発防止に向けた対処の一つというところだと理解をしておりますが、そのトレサ法案は米及びその加工品のみを対象としております。食の安全という観点から国民の立場に立ってみれば、すべての食品を対象にするという考えもあったのではないかというふうに思います。また、産地情報の伝達ということについて言えばJAS法でも対応できると思いますが、その点はいかがでしょうか。

町田政府参考人 二点、お尋ねをいただきました。

 まず、米及びその加工品のみを対象としているのはなぜかということでございます。

 もとより、食品事故などの発生は米やその加工品に限られたものではないわけでございまして、ただ、米につきましては、唯一自給可能な穀物であり国民生活上重要な地位を占める食品であるということ、用途別に価格差が大きいなどの流通構造のもとで特に流通の透明性を確保する必要性が高いと考えること、さらには、事故米問題の発生によりまして米穀の流通そのものに対する消費者の不信が高まっていること、こういった事情を踏まえまして、まずは米及びその加工品につきましてトレーサビリティーと原料米の産地を伝達する仕組みを導入することとしたものでございます。すべての食品に対しましてトレーサビリティーを確立することはあるべき姿として望ましいと考えておりますが、農業者、中小事業者の取り組みが課題になると思います。

 今後、入出荷記録の作成、保存マニュアルの作成や品目、業態に合致した取り組み方策の検討などにより、農業者、中小事業者も実施可能となる環境づくりを進め、トレーサビリティーの導入を推進してまいりたいと考えております。

 また、JAS法で対応しないのはなぜかという点につきましては、米トレーサビリティー法案におきます産地情報の伝達は、事故米問題の際に、ふだんから召し上がっている米の加工品や外食、弁当などの原料米の産地がわからないことから消費者の不安が増幅したということを踏まえまして、外食におきます御飯の提供を含めて、各種の米関連製品につきまして原料米の産地情報を伝達するものでございます。また、外食店等では、インターネットでの掲示、店外での立て看板への掲示など、伝達手段も幅広く認めることが必要となっております。

 一方、JAS法におきましては、米の原産地表示は米関連製品では米ともちに限定されております。また、消費者が購入する際に的確な商品選択ができますよう、表示方法も商品の包装あるいは容器などに直接表示することとなっておりまして、インターネットでの掲示や店外の立て看板への掲示のような形態は認められておりません。

 このような事情、すなわち、対象とする製品、また伝達手段の違いといったことを踏まえまして、JAS法とは別途の仕組みといたしまして、米トレーサビリティー法案におきまして新たに産地情報の伝達を措置することとしたものでございます。

木原(稔)委員 米は日本人の主食であって、伝統的に米についてさまざまな加工品があるということでございますから、トレーサビリティーの強化の必要性というのは理解ができました。

 しかしながら、具体的な対象品目、例えば外食産業または中食での御飯類であるとか、またはあられとかせんべい、そういった対象品目は政令によってこれから、法案成立後に決まるということでございます。それ以外にも、代表的な米の加工品には、清酒だとか米じょうちゅうといった酒類がございます。

 私の地元熊本県にも酒造メーカーや販売会社がたくさんありまして、事故米問題で大打撃を受けた美少年酒造などもその一つでございますけれども、酒類については管轄が財務省ということもあって、この酒類を今後対象項目とするかどうかということについてどのような見解をお持ちであるのか、お聞かせください。

 また、次に大臣、清酒を非常に大変好んで飲まれているということでございますので、大臣のお考えも聞かせていただけたらと思います。

西村政府参考人 お答え申し上げます。

 酒類につきましては、法律上、政令で手当てをすることによりまして対象品目に加えることができるよう措置をしているところでございます。

 酒類を対象品目とするかどうかにつきましては、今後、社会通念上米を主たる原材料とするほかの米加工品を所管する農林水産省とも相談をしながら検討してまいりたいと考えております。

石破国務大臣 今財務省からお答えがございました。

 この法案では、トレーサビリティーの対象は、米穀のほか医薬品及び医薬部外品以外の米穀を原材料とする飲食料品であって政令で定めるもの、これは法第二条第一項でございますが、と規定をしておるわけでございます。産地情報伝達の対象は、トレーサビリティーの対象項目の中からさらに政令で指定する、今委員が御指摘のとおりでございます。

 酒類は、すなわちこの対象から除かれておらないわけでございまして、政令で指定しその対象とすることができますので、さればこそ、主務大臣に酒類の流通を所掌する財務大臣を十一条第一項で加えておるわけでございます。今財務省から答弁がありましたとおり、今後財務省と御相談をしながら、本年夏ごろまでに結論を出したいというふうに思っておる次第でございます。

 別に私がやたら酒を飲むから言うわけではございませんが、やはり消費者の方々にきちんと情報が伝わるということ、あるいは米というものが訴求ポイントになっているかどうか、そしてそれが製品の中でどれぐらいの役割を果たしているか、そういうことをよく念頭に置きながらやっていかねばならないというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、委員から御指摘をいただきました熊本の美少年酒造を初めとする、熊本以外にもございますが、酒造メーカーの方々、あるいはお菓子屋さん、和菓子屋さんの方々に御迷惑をおかけいたしたと思っております。深くおわびを改めて申し上げますとともに、今後、委員の御指導もいただきながら、この後のいろいろな対応方について万全を期してまいりたいと思っておる次第でございます。

木原(稔)委員 ありがとうございます。

 消費者の立場からすればこの対象項目がふえることはいいことかもしれませんが、しかし一方、こういったトレーサビリティーの義務づけ及び産地情報の伝達の義務づけを余りにも多岐にわたって、しかも厳しくやってしまうということは、これはひょっとすると、まじめにこれまでやってきた業者にとっては新たな負担になる可能性もなきにしもあらずだなという感覚を持っております。

 業界の方もそういったことを心配しているような話を聞いたこともございます。特にこの業界というのは小規模な業者も多いわけで、余りにも過度の負担になってしまうと、どうしてもコストの部分を最終的には価格に反映せざるを得なくなって、その結果として消費者負担につながってくるということも考えられるわけであります。

 そのあたりのことを、どのような御見解であるか、お聞かせください。

町田政府参考人 本法によりますトレーサビリティーまた産地情報の伝達の義務づけが事業者にとって過度な負担とならないよう、制度設計に当たっては十分に配慮していきたいというふうに考えているところでございます。

 具体的には、まず、トレーサビリティーにおきましては、米穀やその加工品などを取引した場合、その名称、数量、年月日、相手方などを記録していただくことになるわけでございますが、この記録につきましては、帳簿などへの記載のほか、納品書、送り状等、通常の商取引において用いられております伝票類を保存することなどを幅広く認めていきたいと考えております。また、一般消費者に対する産地情報の伝達においては、容器や包装への表示のほか、ホームページでの情報提供などといった伝達方法を柔軟に認めていく考えでございます。

 今後、こうした点につきまして、対象となる事業者の方に対しまして丁寧に説明を行いますとともに、施行までに十分な準備期間を設けるなど、制度の円滑な施行、また事業者の負担が過度にならないように、そういったことに努めていきたいというふうに考えております。

木原(稔)委員 なるべく業者にとって大きな負担にならないように、コストが価格に転嫁されて消費者負担にならないように、そういった御配慮をお願いいたします。

 次に、いわゆる米粉・えさ米法案についての質問に移ります。

 大臣は、水田フル活用は生産調整の一形態であるということをこれまで何度か発言をされております。当法案がそういった水田フル活用のために果たす役割と、また生産調整における位置づけというのはどのようなものであるか、まず見解をお聞かせ願います。

石破国務大臣 食料自給力を強化したいということはずっと申し上げておるとおりでございます。

 日本国、いろいろなものがございますが、米以外のものがつくりにくいというところは多い、あるいは米をつくった方がもうかるというようなことで、生産調整に参加されない方々もいらっしゃいます。そうすると、生産調整をまじめにやっている人からすれば、何なんだこれは、不公平ではないかということ。これは非常に強いですね。本当に強いです。結果として、産地において閉塞感が生じているというふうに私は認識をしておるわけです。

 そうすると、この不公平感とか閉塞感とか、これは打破していかねばなりません。不公平感が強い制度というのは、私は、それは制度としてやはり永続性を持ち得ないと思っております。そうしますと、それを打破して、将来性のある水田農業をつくっていきたい。その第一歩といたしまして、二十一年産から、大豆、麦だけではなくて、水田で米粉用米や飼料用米の増産を本格的にお願いしたいというふうに考えておる次第でございます。

 今お願いをしております米穀の新用途への利用の促進に関する法律案、これは米粉用米あるいはえさ米の利用の拡大に今後継続的に取り組むことを明確にするものでございまして、これを軌道に乗せたいと思っておるわけでございます。

 ここは時々御指摘をいただくことでありますが、生産調整の一環でございます。主食米として位置づけますとこれは何のことだかわけがわからなくなるわけでありまして、これは生産調整の一環として取り組んでおるわけでございます。

 ただ、その用途が拡大をし、生産が軌道に乗っていかなければどうにもなりませんので、そういうような考え方からこの法案を御審議いただいているものでございます。

木原(稔)委員 私は、大臣のお考えというのは十分解釈ができました。ことしどうするとか来年どうするとかではなくて、やはり大局的な見地から、国家百年の大計としてこれからの農業政策をどうしていこうかというところから始まって、今のこういったさまざまな政策におりていっているんだろうというふうに私は理解をしております。

 米粉用米の振興をこれから図っていくわけでありますけれども、やはり何といっても、これは消費者の理解があって、そして消費がふえること、これがまず大前提で最大の課題であろうかと思います。売れないのにつくるだけつくってしまって自己満足に陥ってしまっては、意味がございません。

 そのためには、全国各地にございます米粉パンをつくっておられるそういった製造事業者や、または販売業者、彼らの積極的な参加が欠かせません。一方、飼料用米の振興についても、同じように畜産農家また販売業者への周知徹底、それと積極参加が必要であります。地方自治体などにも協力を要請してもらった方がいいのではないかというふうに私は考えております。

 そういう普及または協力をお願いする上で、インセンティブや、また支援策なども今後講じていく用意があるのかどうか。そういったことについて御見解を御教示願います。

町田政府参考人 御指摘をいただきましたように、米粉また飼料用米の生産の振興に当たりましては、消費者のニーズに応じた商品、こういったものが不可欠であるというふうに考えております。

 そのために、製粉業者や米粉パン製造業者、畜産物加工業者、販売業者の各事業者が消費者の方に喜ばれる商品の開発、製造、販売に取り組むことについて支援を講ずることといたしております。具体的には、生産者と米粉の製造業者、販売業者などが連携して取り組むことを前提といたしまして、米粉や米粉パンの製造施設等の整備に対します助成また販売施設等に対する低利融資につきまして平成二十一年度予算において措置しておりますほか、米粉製造施設等を取得した場合の税制上の特例措置、取得価額の三〇%の特別償却を創設することといたしております。

 また、これも御指摘いただきましたが、地方自治体、県や市町村につきましても、こうした米粉や米粉パンの利用促進を図るための取り組みに積極的に協力していただくことが重要であると私どもも認識しております。

 現在、県や市町村におきましても、米粉パンを給食に導入する学校の増加、新潟県におきます、米粉による輸入小麦の代替の運動R10プロジェクトなど、生産者、製造業者、消費者と連携した普及活動などの動きが出てきております。このような動きが広がることを期待しているところでございます。

木原(稔)委員 地元熊本でも、例えば、山鹿市にかんぱーにゅという古くから米粉パンを製造している事業者があったり、また、鹿本農業高校という県立の高校があるんですけれども、そこで高校生が米粉でつくったコメロンパンというメロンパン、これが民間団体の賞をいただきまして、実は今コンビニエンスで非常に売れている、品薄であるというようなこともある。民間の努力によって、これまで地道ではありますけれども少しずつ普及をしていっているわけでございまして、この法案をきっかけに一気に普及が拡大していくことを心から望んでいるものでございます。

 法案の中身についてでございますけれども、生産者と製造事業者の連携を義務づけております。米粉・飼料用米をつくりたい、そういった生産者と製造事業者とのマッチング問題。昨日も幾つか質問がございましたけれども、そういったマッチングについてどのように今後進めていこうと思われているのか。また、農商工連携という新たなスキームが昨年からできておりますけれども、そういった農商工連携をうまく活用しながら何かできないかということは考えておられるのか。お教えください。

町田政府参考人 御説明申し上げます。

 米粉用米、飼料用米につきましては、実需者と生産者の結びつきを円滑に進めまして、確実に流通、消費が行われますよう、米粉用米、飼料用米に関する産地及び実需者双方のニーズを調査いたしまして、これをお互いにまた情報提供していくという需要と供給のマッチングに努めているところでございます。

 さらに、このような情報を活用いたしまして、各県の水田協議会なども県内の需要と産地のマッチングを行いますとともに、農林水産省におきましても、全国展開をいたしております大手量販店や大手製パンメーカーを中心に取り組みの意向を確認いたしまして、関係産地等との話し合いの場を取り持つなど、マッチングに努めているところでございます。

 また、農商工連携等の活用ができないかということでございますが、米粉用米などの生産者と中小の事業者の方が、昨年制定されました農商工等連携促進法に基づきまして新商品の開発や販路の拡大に取り組む場合に、例えば試作品をつくるとかパッケージのデザインの開発、こういったことにつきましては経費の三分の二ということで、通常は二分の一でございますが、この農商工連携法のスキームでやる場合は上乗せをして三分の二といった助成も行うことにいたしているところでございます。

 このような取り組みを通じまして、米粉用米、飼料用米の需要拡大に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

木原(稔)委員 やはり最大の課題はコストの削減だと思います。この米粉用米、飼料用米のさらなるコスト低減を図っていくためには、やはりより効率のよい新品種の利用というのを、これから貪欲に開発をしていかなければいけないと思います。

 しかしながら、新品種を育成するということは、大変難しいことだろうと思いますし、長い期間も要するわけでございまして、民間業者は金銭的にも時間的にも相当のリスクを伴うわけであります。

 現在の多収品種の開発状況や今後の見通しについて、何か情報がございましたら教えてください。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 我が国の貴重な食料生産基盤であります水田を最大限に活用して食料の安定供給を確保するためには、飼料や米粉用として収量性の高い水稲品種を育成し、主食用以外の需要に積極的に対応していくことが重要であると考えております。このため、国といたしまして、これまで各地域の気候区分に適合した多収品種の育成を進めてまいりました。

 具体的には、十アール当たりの玄米収量が七百キロから八百キロ程度の「きたあおば」あるいは北陸193号といった品種がございます。また、このほかに、稲発酵粗飼料向けとして、茎や葉を含む全体の収量が十アール当たり一・五トン以上というような、これは例えば「たちすがた」とか「タチアオバ」といった品種がございます。こうした品種を育成して、普及に努めているところでございます。

 今後の多収米の開発でございますけれども、農林水産省のプロジェクト研究があります。これによりまして、独立行政法人農研機構というものがありますが、ここが中心となって、平成二十四年度までに十アール当たり一トン、こうした玄米収量を目標として研究を進めております。

 今後も、さらなる多収品種の育成に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

木原(稔)委員 新品種の開発というのは、相当な時間も、また予算も必要であるので、農水省も非常に大変だなと思っております。

 それとは関連がないんですけれども、これは質問通告はしておりませんけれども、一つだけ。二、三日前の報道がちょっと気になったので、きょうはいい機会ですので御質問させていただきたいんです。

 事故米の不正転売問題で、農水省が三笠フーズなど四社に対して違約金を請求していた、そういう報道を見ましたけれども、これは恐らく、工業用のりの原料として販売したにもかかわらず、そうではなかったということの契約違反だというふうに理解をしております。三笠フーズの違約金は、報道では二億一千八百十万円というようなことで、私は、具体的には正確な数字は把握しておりませんが、購入量の割にはこれは少ないのではないかなと数字を見たときに思いましたが、いかがでしょうか。通告していませんので、お答えいただけないのであれば結構でございます。

 また、四社のうち三社はもう事実上廃業、破産しておって営業実体がないために、実際には全額回収というのはなかなか難しいのではないかというふうに私は思っておりますが、いかがでしょうか。

町田政府参考人 御説明申し上げます。

 国から事故米穀を買い受けまして、これを不正に転売いたしました事業者であります三笠フーズ、島田化学工業、浅井、太田産業、この四社につきまして、二月二十六日に契約書の違約金条項に基づきまして違約金の請求を行ったところでございます。この四社合計で二億一千八百十万余ということでございます。先ほど言っていただいた数字は四社合計の数字でございます。

 違約金の納付期限は三月十七日というふうにしておりましたが、島田化学工業は同日付で全額納付、百二十四万余でございますが、その他の三社は納付がなかったということでございます。

 未納付の三社に対する今後の対応方針につきましては、三笠フーズについては、破産手続中のため、この破産手続の中で回収を進めるということ、また、浅井と太田産業につきましては、国の債権の管理等に関する法律に基づきまして、督促等の措置を行いまして回収を進めるということでございます。

 こうした点の責任追及というのは、徹底してやっていかなくてはいけないと思っております。

木原(稔)委員 ありがとうございました。引き続いて、やはり正すべきところは正す、そういう姿勢で臨んでいただきたいと思います。

 最後に、今までの話の腰を折るようでございますけれども、米粉の振興というのは大変大事なことであるということは理解した上で、でも、やはり王道は主食用米の消費拡大であるということは間違いないことだと思いますので、そういったことについての大臣の見解をお聞きして、質問は終わらせていただきます。

石破国務大臣 それはおっしゃるとおりなんで、それは、米粉とかえさ米とか一生懸命やっていますが、えさ米の場合には、転換倍率にもよりますが、牛、鶏、豚、そういうもののえさを国産でやらなければ自給率は上がりませんので、これはまた別の話です。

 ただ、米粉米でパンといっても、それは、そのまま御飯で食べていただくにこしたことはないのであって、生産調整をめぐっていろいろな御議論があります、農林委員の皆様方にもいろいろな御教導を賜っているところですが、何のことはない、みんなが食べればこんな話はなくなるわけでございますよね。私は、もう一度本当に、御飯を食べていただくということに本格的に取り組みたいと思っております。

 一つは、きのう文科省からも答弁がありましたが、学校給食は四日は当たり前なのであって、これが五日にできないのかと。高知県の南国市でできることが何でほかのところでできないのか。それは、子供たちも喜ぶ、残すのもほとんどなくなる。そして、だれがつくったか、その苦労を思って、まして、つくった人たちも、この子たちが喜んで食べてくれたということになるわけで、何も悪い話はないわけです。それを、本当にそれぞれの自治体において取り組めるのか取り組めないのか。それはもう、努力をしていかなければいかぬのじゃないでしょうか。

 あるいは、二十代、三十代の独身の方々を中心に、欠食率、朝御飯を食べないという方が非常に多いわけで、単純計算しますと五十億食ぐらい食べていない。これを本当に食べていただくと、マーケットとしては一兆五千億円になるわけですよね。これは内需の拡大ということに相なる、つながる部分が多いので、これも本当にまじめに取り組みたい。

 さらには、「家族揃って夕ごはん」キャンペーンというのをやろうと思っておるんです。なかなか、我々政治家の仕事をしておりますと、家族そろって何が夕御飯だみたいなことになってしまうのでありますが、やはり家族の団らんの時間、みんなが語り合う時間、そういうものにお米というものもつながっていくわけで、必ずお米とは限りませんが、そういうキャンペーンを打っていきたい。

 それで、今まで一生懸命いろいろなことをやってきました。ただ、キャンペーンを打って、成果が上がらなかったねというようなことで終わっていたんじゃないか。上がらないとすればそれはなぜなのか、キャンペーンを打つこと自体が自己目的化していないか、そのことも点検をしながら、委員がおっしゃるように、王道はそういうことだと思っております。

 政府を挙げて取り組みたいと考えております。

木原(稔)委員 幹の部分はやはり主食用米の消費拡大、そして、枝葉でさまざまな米粉米、飼料用米、それ以外にもさまざまなお取り組みをやっていく、これは枝葉の部分であるという、その認識を確認できましたので安心いたしまして、今後とも大臣の御活躍を御祈念して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

遠藤委員長 次に、笹木竜三君。

笹木委員 民主党の笹木竜三です。質問を始めますので、よろしくお願いします。

 まず最初に、大臣に、この委員会でも何度かお話しになっていますが、基本的な認識について確認をしたいと思うんです。

 食料について国としての自給率を高めないといけない、それはどうして高めないといけないのか。今ごろ愚問かというお話もあるかもしれませんが、そのことについての認識を改めてお伺いしたいと思います。

石破国務大臣 やはり、自分の国で食べるものはなるべく自分の国でということは、世界どの国も共通認識だと思っております。いろいろな国の首脳が、自給ができない国を独立国というのかと。それはいろいろな思いが込められているのだと思いますが、そうあるべきだと思っております。もちろん貿易も大切ですから、そのことも念頭に置いていかねばなりませんが、とにかく自給率を高めるべく努力をするのだということは、今後、異常気象、温暖化あるいは砂漠化、人口爆発等々、とにかくいろいろな要素がございます。

 緑の革命というのがございましたが、生産力はこれから先また飛躍的に上がるかといえば、かなり懐疑的にならざるを得ない部分もございます。だとすると、食料安全保障という考え方、世界に迷惑をかけないという考え方、あるいは世界に貢献するという考え方からいっても、自給力、そしてその結果たる自給率、これを上げていくべきだということは、私は多くの方々の御理解をいただけるところではないかと思っております。

笹木委員 今お話がありました気候変動ですとかあるいは人口爆発、そのとおりだと思います。例えば、二〇二五年、国連の報告ですと、中国は十四億人、インドが十三億人、インドネシアが四億人、ベトナムが二億人、こういう人口爆発がある。その一方で、生産力を高める技術的な限界があるんじゃないかというお話ありましたが、それと同時に、米の生産をかなり減らしている国がアジアの中でも多いわけですよね。八十年前に比べると、台湾は半減している、韓国も三分の一になっている、これは米についてですが。それから、中国も九〇年代に入ってから減っている。こういう事情がある。

 もう一つは、投機もあります。あるいは、穀物の輸出国が輸出を控える。これは、価格の暴騰があったり、あるいは自国の貧しい国民に対してももっと行き渡るようにするとか、いろいろな理由があるでしょうが、輸出国が輸出を規制する可能性もある。

 そうすると、今大臣のお話もあわせてですが、将来的に食料の需給はかなり逼迫してくる可能性も高い、その可能性は決して低くない、こういうこともあるんだろうと思います。

 そこで、さらに確認をしたいわけですが、この委員会でも言及がありましたが、もう一度、どうして食料の自給力が我が国は減ってきたのか、自給率とともに。

石破国務大臣 これは、なぜ高齢化が進み後継者が出てこないか、なぜ農地は減少しているか、なぜ農業所得は半減したか、その一つ一つについて分析が必要だと考えております。

 高齢化、そして新しく土地へ入ってこないというのは、やはり新しい人たちが入ってくるための仕組みが十分ではなかったのだと私は考えております。そして、新しい人たちが入ってきて、それがビジネスとして成り立つのかということの議論がなお十分ではなかった面がある。人についてはそういう感じを私は持っております。

 物であります農地につきましては、またこの後法案の御審議を賜りますが、農地というものをどう考えるかということについて突き詰めた議論が行われる必要があると思っております。農地の流動性の確保ということもそうでございますし、農地の転用とか耕作放棄に対する法の仕組み、あるいは法の運用、これが本当によろしかったかどうかという点をきちんと確認する必要があると思っております。

 結果として所得というお話が出てくるわけでございますが、そこにおいては、農家所得と農業所得というものをきちんと分けて議論をしないと事の本質を見誤りかねないと私は思っております。

 私は何も、おもしろおかしく大変だ、大変だと言っているわけではございませんで、それがかなり極限点に近いところまで来ているのではないか。今申し上げましたことについて、本当に委員会においていろいろな御議論を賜り、私どもも御教導賜りながら答えを出していかねばならないと考えております。

笹木委員 お話にありました、新しく農業をやっていこうという方がなかなか参入しづらい、農地の問題もある、おっしゃるとおりだと思います。借りやすくしていく、こういうことも必要だと思います。耕作放棄地、そうした新しい担い手がなかなか参入しにくいということももちろん原因としてはあるんだろうと思います。

 しかし、今大臣のお話にもありました、ビジネスとして成り立つ、やはりこれは決定的に大きくて、農業所得というお話もありましたが、これが決定的に大きいと思うんですね。ですから、自給力を高めるためには、なりわいとして農業に魅力があるかどうか、収入がちゃんと、将来的な展望も含めて、見通しとして確保できるんだ、そういうようなこと、ビジネスとして安心感があるかどうか、これが非常に大きいだろうと思います。

 そこで、お話にもありました、今回の法案にもかかわりますが、では、ビジネスとして日本の農業が成り立っていくためには何が必要なのか。大臣の所信の中でも、国民がコストを負担する感覚を持てるかどうかというお話がありました。しかし、国民が負担をオーケーだよと言える前提はどういうことになってくるのか、このことについての認識を確認したいと思います。

石破国務大臣 国民がどうすれば負担をするか、国民に御負担をいただくゆえんは何であるかということでありますが、これは、抽象的に言えば農業の持つ多面性ということになるんだと思っております。

 ただ、多面性だから負担をしてね、実際に販売されている価格とかかったコストの差額は全部持ってねというような話になるかどうかといえば、それは必ずしも論理的にはそうはならないのだと。何を御負担いただいているのか、何を担っているのか、それをダムに換算すればどれぐらいとか、そういうような計算方法もございます。そういうことを議論していって、農業が果たしている役割とは何だということを明確にしていかなければ、御負担をいただくことには相ならないであろうと思っております。そこは御議論のあるところですが、私は、本当に、各国においていかなる手法が確立をされ、どのような支払いがなされているのかということの認識を共有した上で議論をしたいと思っております。

 他方、委員がおっしゃいますように、別に国民に負担をしてもらうとかそういうお話ではなくて、条件がきちんと恵まれたところで、やる気のある主体に、それが法人であれ個人であれ、そこに農地と資金が集まる仕組みというのはやはりつくっておかねばならないのだろうと思っております。

 ただ、今まで、最近の例で申し上げれば、某衣料メーカーが農業に参入した、うまくいかなかった。某電器メーカーが農業に参入した、うまくいかなかった。それはなぜなのだろうと。株式会社が参入すれば何でもめでたしという話ではございませんで、やはり企業が参入していく場合に、どのような条件というものを整えていかねばならないか、それは、企業の側であれ、あるいは法制度の側であれ、その辺もきちんと議論をしないと抽象的な話に堕してしまうのではないかと思っております。

笹木委員 お話にありました新しい担い手という問題とともに、もう一つ、多面的機能に対する理解、こういうことも、どれだけのコストがかかるか、これも共有化していくことが大事だ、それもおっしゃるとおりだと思います。

 ここで、所信表明の中で大臣が言われていたスイスの卵の例がありました。あれについては、国民が価格が高くても負担をしていると。日本とかなりまだギャップがあるんだと思いますが、こういうのを埋めていくために今回の法案、トレーサビリティーというのもあるんだろうと思います。少なくとも国内でつくっている食品は、米はもちろんですが、それ以外も含めて、外国産に比べて、輸入のものに対して、すべてとは言いませんが、一般的に、平均的に、より安心、安全だ、こういう意識があれば、価格に対する、あるいは国が自給率を上げるためにいろいろ行っている政策にかかるコストに対する理解も恐らく増してくるんだろうと思います。

 それで、消費者の意識としては大体どういう意識だと思われますか。スイスのあの例はありましたが、材料がどれだけあるかは別として、例えばより安心、安全な食品であればコストはどのぐらいかかってもいいとか、何か手がかりになるようなそうした資料はありますでしょうか。役所の方で結構です、お答えいただけますか。

石破国務大臣 御下問にぴたっと合ったような資料は、もう一度役所に帰って探してみますが、今まで説明を聞いたことは、少なくとも私はありません。

 ただ、気をつけなければいけないのは、意識と行動のギャップというものをどうとらえるかということには留意をしなければいけないことなのだと思っております。あなたは国産がいいですか、外国産がいいですかと問われた場合に、恐らくほとんどの人が国産と答えるはずなんです。ただ、委員がおっしゃるように、値段がどれぐらい違い、安全性に対する情報の認識がどれぐらいあってという物すごく複雑な要素がございます。私も、スーパーに買い物に行って、国産と外国産と並んでいるときに、どっちを買おうかなというので、全く迷いなく国産を買っているかというと、必ずしもそうでもない。いろいろなことを頭の中で考えながらどっちかを選ぶわけですよね。

 そのときに、やはり、どれだけの情報が伝わっているか、そして価格が納得のいくものであるかどうかということは、ちゃんと提示をしなければいけないことなんだろうと思っております。何でもかんでも国産よみたいな推進運動をしてもしようもございませんので、そのあたりの情報をちゃんと伝えたい、それが今回の法案の一つの大きな意義であるというのは委員御指摘のとおりでございます。

笹木委員 去年の十一月に三井物産戦略研究所が実施したアンケートがあるわけですが、食品のトレーサビリティーに関する主婦の意識調査というもので、主婦に対する調査ですね。

 生産者、製造者、販売者は消費者にもっと情報提供をするべきだ、半数近くの主婦が肯定、弱い肯定四六%も含めると九四%に上る。もう一つ、では、価格が高くてもより安全、安心なものを買いたいかどうか、国産がより安全、安心であればということですが、こういうアンケートもあるわけです。これは果物に絞ったアンケートですが、価格が二割以上増しても購入するという人は大体三〇%ぐらいおられたという調査ですね。これは果物に限っています。

 それと、今、いろいろなギャップがあるというお話もありましたが、確かに、このアンケートに答えている方そのものが、ある程度関心がある方かもしれません。それと、アンケートに答えても、いざ現場でどれだけ買うかという問題もあるかもしれません。

 いずれにしても、国産のものについては安全、安心ということをしっかり消費者にアピールすることが、スイスの例、いきなりあそこまで行けるかどうかは別として、少なくともああいう例に近づいていく一つの道であるということは間違いがないんだろうと思います。それで、今回のこのトレーサビリティーの法案があるということだろうと思います。

 それで、役所の方にお聞きをしたいわけですが、今考えておられるトレーサビリティーの対象についてどういう話になっているか、お聞かせいただけますか。

町田政府参考人 米トレーサビリティー法におきますトレーサビリティーの対象品目でございます。米穀のほか、医薬品、医薬部外品以外の米穀を原材料とする飲食料品であって、政令で定めるものといたしております。

 具体的に申しますと、米の加工品であって食糧法に規定いたします主要食糧に該当するもの、米粉、米飯類、もち、米菓の生地などでございます。また、その他の加工品であって、社会通念上米を主たる原材料とするもの、あられ、せんべいなどでございます。さらに、米を原材料としていることを訴求ポイントにしているもの、米粉パンなどでございます。

 こうしたものを基本として、現在検討を進めているところでございます。

笹木委員 検討しているということですが、大体いつごろまでに決まるわけですか、この対象品目については。

町田政府参考人 トレーサビリティー、また産地情報伝達の対象品目につきましては、本年夏ごろまでに固めたいというふうに考えております。

笹木委員 原産地表示についてはどうですか。

町田政府参考人 原料米原産地表示情報の対象品目でございますが、これにつきましては、先ほどのトレーサビリティー品目を原則として考えているところでございます。

 具体的に申しますと、米穀、また御飯として提供されるもの、定食ですとかおにぎりですとかチャーハン、どんぶり類、そんなものでございます。また、同じように、社会通念上米を主たる原材料とするもの、さらには米を原材料としていることを商品の訴求ポイントにしているもの、こういったものを基本として検討しておりまして、先ほど申しましたとおり、トレーサビリティーの対象品目と同様、本年夏ごろを目途に固めたいというふうに考えております。

笹木委員 民主党は、すべての食品に対してトレーサビリティーを、そして原産地表示も、すべての加工食品に対して原産地表示をというふうに法案を出しています。

 二〇〇七年のミートホープ事件とか、中国産のギョーザ事件ですとか、こういうのを見ても、国内の食品が安全、安心だとアピールするためには、まずは米というふうに言われるわけですが、やはり対象品目をこうやって全食品に対して広げて実施していく、こういう姿勢が生産している側にもやる気を与えるし、もちろんいろいろ大変な面はありますよ、実務的に、あるいはコスト面でもいろいろあるかもしれませんが、そちらの方に向かっていこうという、少なくとも政治からのメッセージになるんだろうと思います。

 どうしてこれができないんですか。そこまでやってこそトレーサビリティーの意味があると思うわけですが。

竹谷政府参考人 お答え申し上げます。

 米以外の食品全般にトレーサビリティーを拡大するという点についてでございますけれども、これは、委員御指摘のように、事故原因等の究明といったような観点から見ますと、あるべき望ましい姿であるというふうに考えるわけでございますけれども、他方、今現在におきましても、食品衛生法におきまして、努力義務ではございますけれども、仕入れ先あるいは販売先といったものを記録いたしましてそれを保存するといったことが定められているところでございます。そうした努力義務でございますけれども、これを農林水産省としても広げていきたいということで、厚生労働省あるいは関係自治体とともに拡大に向けて推進をしているところでございます。

 また、原料原産地の方の問題についてでございますけれども、こちらにつきましては、平成十三年から原料原産地の問題に取り組んでまいりまして、JASの品質表示基準について取り組んでまいりました。次第次第に広げてまいりまして、平成十八年からは、いわゆる二十食品群ということで、産地に由来する原材料の品質の差異が製品の品質に影響を与えるもの、そうしたものを対象に原料原産地の表示を広げてきているところでございます。

 ただ、他方におきまして、原料原産地の表示ということになりますと、やはりいろいろな事業者の方々においてしっかり原材料の原産地を把握するということになかなか困難を伴う、あるいは、品質を安定化させるために頻繁に産地の切りかえをするというような実行上の問題がございます。そうしたような問題などもございまして、すべてのというわけにはなかなかまいらないところがございます。

 そういう中で、やはり各事業者の方々になるべく広く取り組んでいただこうということで、昨年三月に推奨通知というものを出しまして、いろいろな事業団体、事業者の方々の取り組みを推進しているところでございまして、飲料メーカー等においては、これに応じて取り組んでいただいているというような例もあるわけでございます。これを積極的に進めてまいりたいというふうに考えております。

笹木委員 今、農水省の方から、なかなか全商品に広げていけない事情についてお話があったわけですが、ここで大臣の認識をお伺いしたいのです。今、余りはっきり言われませんが、要は、事業者なんかのいろいろな、コスト面ですとか実務面ですとか人材面とか、そうしたこともあってこういう形になっているのかとも思うわけですが、いかがですか。

石破国務大臣 これは、まず米ということなんですが、それ以外に広げるべきだというのは、私もべきだと思っております。べきはそれでよろしいのですが、実際にできるかどうかということについて、私も問題意識は委員と同じですので、今、消費・安全局長からお答えを申し上げましたが、そういうことが実際にどうなのか、きちんと精査をしてお示しをしたいと思っております。

 我が国の特異性という言葉を仮に使うとすれば、とにかく中小零細の業者さんが圧倒的に多いということなのですね。中小零細であるがゆえに、そういうようなことに技術的に対応する能力があるか、資力があるかという問題。

 そうであれば、中小を除いて大企業だけ統合をまず課せばいいじゃないか、今度はこういう話になるわけでございます。ところが、食品が流通する、加工の段階、その両方でいろいろなものが入ってくるわけです。零細があって、大規模があって、小売があってみたいな話になると、そうすると、ここには義務づけがあるがここにはないということになって、だれがどういう責任を負うのかみたいな話が今度は発生をしてくることに相なります。そのあたりをきちんと整理しなければならぬだろう。

 そして、米の場合には、余り米というのが姿を変えない。もちろん、米粉、お酒、いろいろなものもありますが。これが、例えば卵であるとかあるいは大豆であるとか、そういうことになった場合に、一体本当にそれを遡及することがどこまで可能なのだろうかということを今精査いたしております。

 そういう方向であるべきですが、仮にそれが難しいとせば、どういう課題があり、どうすればそれが克服できるかということをきちんとお示しする責任は私ども行政にあると考えております。

笹木委員 ちょっと話を変えますが、例えばHACCPについて、今、大臣のお答えの中にも、大きい規模の事業者と中小の事業者のいろいろな条件の差とか体制の差というお話がありましたが、HACCPの実施状況について、これも同じようなことが言えるわけですよね。役所の方でいいですが、現状についてお伝えいただけますか。

町田政府参考人 御指摘をいただきましたように、このHACCPの手法を進めていくということは、食品の衛生管理、品質管理の上から大変重要だというふうに考えております。このため、私ども、昨年の通常国会でまた延長をさせていただいたんですが、HACCP手法の支援促進法というので、税制上、金融上の支援を行っているところでございます。

 その実施状況でございますが、御指摘をいただきましたとおりでございまして、やはり大企業と中小企業に導入状況におきましてかなりの差があります。昨年の御審議のときにも御説明をさせていただいたんですが、一億から五十億のそういった中小企業の規模ですと、一四%ぐらいというのが現状でございます。これをこの五年間で何とか五〇%にしたいということで、HACCP手法の指導者なり実際にやる方のセミナーですとか研修ですとか、そういった人的面、また先ほど言いましたような金融、税制面、そういった支援措置を今講じているところでございます。

笹木委員 今お話にあったように、大きいところでは、例えば五十億とか百億円以上の企業の場合で九割で導入済み、十億円以下だと一割いくかどうかとか、そのぐらいの数字だというお話がありました。

 しかし、実際、いろいろな記事を見ますと、中小の中で、実際に取り組んでみたらそれほどコストはかからなかったとか、やったプラス面の方が大きかったとか、そうした報道も時々見られますね。全国的にもかなりあると思います。

 例えば、外国との交渉ですね。輸入物に対してもある程度食の安全についての厳しい規格あるいは表示を日本としても求めていくということを今後考えた場合ですが、日本国内がHACCPをしっかり義務づけもしていて、トレーサビリティーについてもさらに厳格にやる、広い商品についてやっている、そういう立場を持った場合に、恐らく外国からの食品についても主張し得る立場になるのじゃないかと思うのです。

 石破大臣、そこはいかがですか。中小の規模でも、やって成功だった、予算はそれほどかからなかった、人材の面でさらにいろいろな手助けがほしい、いろいろな声がありますが。

石破国務大臣 委員御指摘のようなことは実際にあるだろうと思っております。ですから、そういうような方々がHACCPというものを導入していただけるように、私どもとしてもできるだけのお手伝いはしていかねばなりませんし、御負担の軽減ということにも努めていきたい。それが、おっしゃいますように、信用が増して業況というものがよくなったということであればこれにこしたことはございませんので、私どもとしても、制度の御説明、あるいは御支援のやり方、また今後ともさらにこの導入が進むように検討してまいる必要はあるだろうと考えております。

笹木委員 ここでもう一つ、遺伝子組み換え食品の表示についてお伺いしたいわけです。

 外国から入ってくるものも含めてですが、この遺伝子組み換え食品についての表示、「遺伝子組換えでない」という表示があるわけですが、これはすべてじゃないですよね。組み換えられたDNA及びこれによって生じたたんぱく質が加工後に残存しない加工食品、これをもう少し具体的に詳しくお話しいただけますか。

竹谷政府参考人 御説明申し上げます。

 委員御指摘のように、現在、私どものJASの制度のもとにおきまして、この遺伝子組み換えの問題につきましても表示をさせていただいておるわけでございます。品質表示基準の中に遺伝子組み換え食品の基準をつくっております。その場合に、今御指摘がございましたように、遺伝子組み換えによりまして生じましたDNAあるいはそれによって生じましたたんぱく質というものが残存するものと残存しないものに分けております。

 残存するものにつきまして、すなわち、具体的にはどういうものかと申しますと、たんぱく質が出ているわけですので、大豆で例をとりますと、豆腐でありますとか納豆でありますとか、あるいはみそといったようなもの。

 逆に、残存しないもの、分離してしまう、あるいは分解してしまうものといたしましては、例えば大豆から搾りました油、大豆をベースにいたしました食用油といったようなものがあるわけでございます。

 その二つに分けて、残存するものについては表示を義務にしております。残存しないものにつきましては義務はかけていないという形になっているところでございます。

笹木委員 例えばEUの場合、この遺伝子組み換えについて、種油とか綿の油について、先ほどしょうゆとかそういう例が挙げられましたが、そういうものは対象外になっているという話ですが、〇・九%という基準を挙げて、食品のGMO混入率が〇・九%を超えるものについてはそうしたものについても必ず表示をさせる。これは外国から入ってくるものについてもですね。そういう厳しい基準を設定しているわけです。

 これについてはどういうふうにお考えになりますか。

    〔委員長退席、七条委員長代理着席〕

竹谷政府参考人 委員から今御指摘ございましたように、遺伝子組み換え食品に関します表示の仕方につきましては、世界の各国の流れとしては三つぐらいに分けられるかなと思っております。

 日本が一つ代表例としてあるわけでございますが、日本のように、たんぱく質なりあるいはDNAが残存するかどうかによって表示義務をかける、かけないということで分けている国々でございまして、アジアの国が多いんですが、あるいはオーストラリア、ニュージーランドといったところも日本と同じような取り組みをしておるところでございます。

 逆に、今委員御指摘がございましたように、そういったものではなくて、およそ遺伝子組み換え食品であれば表示義務をかけているというのがEUでございます。あと、ノルウェーとかスイスといったようなヨーロッパの国があるわけです。

 さらに、第三の類型といたしまして、遺伝子組み換え食品の表示そのものについて非常に消極的でございまして、そのことによって栄養成分とかが大きく変わるといった場合にその旨の表示をするという取り組みをしている。北米の国が多いわけですが、アメリカ、カナダといったような国々です。

 そういったように、国々において対応が分かれているところでございます。

 また、そういう表示をした際に、意図せざる混入の割合があるわけでございますけれども、そこのところにつきましては、委員御指摘のように、EUの方は〇・九%ということで行っておりますが、日本は五%という形でやっているわけでございます。

 日本がなぜこうした、たんぱく質あるいはDNAが残存するかどうかで見ているかという点でございますけれども、これは、やはり表示の義務をかけるわけです。したがいまして、違反すれば後で罰則をかけるということですから、しっかり後で検証できるような規制になっていなければいけないという立場でございます。したがいまして、後で、検査の対象にいたしました食品においてたんぱく質やDNAの形で遺伝子組み換えがあるのかないのかということを検出できるかどうかということを、日本としては、執行面をきちっと担保する意味において非常に重視しているわけでございます。そういった意味で、日本はこのような取り組みをさせていただいておるところでございます。

笹木委員 そういう基準はEUはさらに厳しくかけているというお話をしたわけですが、話をもう一回戻して、この遺伝子組み換えということだけじゃありませんが、国産のものが安心、安全である。

 先ほど、参考人の質疑、大臣はおられたんでしたかね、あのとき。参考人質疑の中で参考人の方が言われていました。米粉パンの消費は、中国製ギョーザ、まあ特定国がどうのこうのという話じゃないですが、あれをきっかけに非常に需要が伸びたというお話がありました。やはり国産で、しかも出所がわかっているものが安心、安全だということで、米粉パンが非常に需要を伸ばしたというお話がありました。

 それと、びっくりしたんですが、私も初めて聞きましたが、米粉をもとに、ケーキとかクッキーとかチョコレート、ギョーザの皮もつくれる、あるいは将来的に化粧品もつくることが可能だ、めんあるいはピザの材料も当然できると。パンとしては、アレルギーを起こさないパンもできているんだというお話がありました。

 要は、こういう安心、安全ということ、この意識はかなり急速に高まっている。それでこの消費もふえた、製造もふえたということです。

 国産のものにはいろいろな可能性がかなりこれから広がっていく。そのためにも、さっきからお話のこうしたトレーサビリティーの範囲を全商品に拡大していく、あるいはHACCPを義務化していく、こうしたことをやった上で、外国に対してもそうした基準について交渉をしていく。こういう立場があって初めて、自給率を高めていく、安心、安全な食の供給に対して本気になったなと国民も感じる、消費者も感じる、そう思うわけです。

 大臣、きのうですか、大臣の任期がいつまでかによるということを答弁の中で言っておられましたね。それは、二年も三年もやっている保証があれば一番いいんですが、例えばトレーサビリティーでいいますと、準備とかいろいろなことに一年半かかったり、二年以上かかったり、実施までにはそのぐらいかかる。検討されると言うんですが、例えばこの対象品目を広げていく検討、あるいはそのためにクリアしないといけない課題を、それはそれで詰めていかれるのは必要だと思います。

 大臣は、自分として大体いつまでに、トレーサビリティーの対象品目を広げるということについて、クリアすべき課題についてもはっきりとされて国民に対してメッセージを出す、そういうおつもりがあるのか、そこを確認させてください。

石破国務大臣 ここは、日本の流通の体系が諸外国と全然違うということをどう考えるかということに実は私の問題意識はあります。スウェーデンが一番高かったと思います。その後、スイス、イギリス、フランス、ドイツ、アメリカ。欧米の食品小売業ですが、小売業についてだけ申し上げれば、大手の上位五社がどれぐらいのシェアを販売額において占めているか。スウェーデンが七一、スイスが六七、イギリスが六三、フランスが五五、ドイツが五四、アメリカが五七。日本は上位五社が占める割合が一〇%ということで、七分の一とか六分の一とか五分の一とか、そんなお話になるわけでございます。

 では、ここを変えるかというと、変えられない。そんなに寡占化が進むことがすなわち善かといえば、それはそうでもないのだと私は思っております。そうすると、中小零細の方々が多いという前提において、どうしたらそれができるのだろうか。そして、法的責任の負わせ方をどのように組んだらいいのだろうかということ。そして、いろいろな食品を、輸入が多いということにもよるんですけれども、安定的に仕入れるためには、仕入れ先が多岐にわたらないと安定的な供給ができないということがございます。

 そういういろいろなことをどのようにして克服ができるかということを、私自身今すごく、悩んでいると言うと大臣が悩んでどうするという話になるんですが、ここに結論を見出すためにもう少しお時間をいただきたいと正直言って思っております。

 今、いついつまでにというようなことを無責任に申し上げられるような段階にはございませんが、また農林水産委員会の質疑において一体どこまで進んだという御下問があればお答えができるようにしたいと思いますし、そういう緊張感と時間的な感覚を持って臨みたいと思っております。

 済みません、いつまでというお答えができませんで恐縮ですが、そのような事情でございます。

笹木委員 民主党は、五年ぐらいをめどにということで、このトレーサビリティーについても全商品にということを言っているわけで、今すぐにと言っているわけじゃありません。

 ただ、気になるのは、先ほどからの、これも聞く時間がなかったわけですが、例えば違反者に対するチェックをどこでやるか、そういうことについてもまだ決まっていないわけですね。そこをどこが監視するか、監督するかということもはっきり決まっていない。対象品目もいろいろ検討して、さらに広げることはこの先でというお話なんです。

 これは私が言っているわけじゃないですが、報道の一部にあるわけですが、この国会で消費者庁の法案が出る。非常に気になるのは、政省令に結論を待って、本当にかなり大ざっぱな枠組みの法律だけは急いで通すんだ、そんなことまで言われているわけですね。しつこいようですが、そんなことはあっちゃいけないし、そうじゃないと信じたい。

 大臣は、食料の自給力を上げるということに対しても非常に熱心であるし、こうした食の安全についても非常に熱心だと思っています。ですから、今すぐにとは言いません、少なくとも対象品目を広げていくことについて検討し、そして中小零細に対してもどういう問題をクリアしていくか、どういう方法があり得るか、そうしたことを含めて、大体いつごろまでに、少なくとも自分が大臣をやっている間には必ずそれは国民に対してメッセージを出す、そのことを確認させていただきたいんですが。

石破国務大臣 いつまでやるか、私はわかりませんので、何とも言いようがございません。

 ただ、委員が御指摘の、政省令にゆだねられている部分が非常に多いわけですね。法律は骨格だけで、その方向にはだれも、文句がないかどうかは知りませんが、余り異論を唱える方はいらっしゃらないだろうと思っています。

 政省令の詰め方については、これは大臣としてきちんと見ていかねばならない。どの法案もそうなのですが、政省令にゆだねられている部分が多い部分は、それは法律をお認めいただいた後の作業が極めて大事だというふうに考えております。

 いつまでにということはお答えできないのですが、少なくとも何が問題点かということは認識をしておるわけでございまして、それが技術的、法的に可能なのかどうなのかということについては、それは大体半年ぐらいに方向性は出てくるのだ。委員が先ほど五年とおっしゃいました。実際に実行するには、少なくとも五年ぐらいの時間は当然に必要なことだと思っております。

 何をどうしたらいいかという方向性は、やはり半年ぐらいの間には、こういうことだ、この課題の解決のためにはこういうことが必要になるであろうということは出てくるのではないかというのが、事務方ときちんと相談をしたわけではございませんが、あくまで私の今の、感じと言っては恐縮ですが、感じでございます。

笹木委員 ぜひそのことをお願いしたいと思います。我々も、さらにどういう課題があるか、丁寧に検証していきたいと思っております。

 新規需要米について確認をしたいわけですが、これは、例えばパン用の米粉ですとか、あるいはえさ米とか、こうした新しい需要、水田のフル活用ということで、これは必要なことだと思いますが、二〇〇七年の補正予算で、地域水田農業活性化緊急対策ということで五百億円の予算があったわけですね。これについてはどのぐらい利用、活用されたのか、それについて報告をしていただけますか。

町田政府参考人 お答え申し上げます。

 地域水田農業活性化緊急対策、予算額五百億円でございましたが、活用されましたのは百十八億円程度でございました。

笹木委員 これは、それだけしか活用されなかったのはどうしてなんですか。

    〔七条委員長代理退席、委員長着席〕

町田政府参考人 この緊急対策でございますが、二十年産におきまして生産調整を十万ヘクタール程度拡大するために、踏み切り料という形で緊急一時金として交付したものでございました。

 執行が少なかった理由でございますが、十九年度補正予算で措置したということで、一年限りの対策であったということ、また、今度は、対策が一年であったのに対しまして、複数年、例えば米粉用米や飼料用米、新規需要米ですと三年間の取り組みを要件としたということでございまして、生産者また現場において取り組みにくい点があったのではないかと考えております。

 二十一年度予算におきましては、こうした点も踏まえて所要の改善をして、毎年交付支援を行うという仕組みにしたところでございます。

笹木委員 方向性としてはいいと思うんですが、今お話があったように、五年計画だけれども初年度のみだということで、実際にそれに取り組む方は不安で取り組めないという面もあったんだろうと思います。あるいは、助成の額が十分だったかという面もあるのかと思います。

 先ほど、これも参考人の言葉ですね。一年、二年のみでは困るんだ。何かとりあえず始まって、それで助成がつく、予算がつく。しかし、一年、二年で終わる。もう一つ、こういう発言もありました。生産調整の一環、これは、もちろん生産調整という意味はあるんでしょう。しかし、生産調整の一環だけというものでは不安になるんだ。それはいつまで続くのかということで非常に不安だ。少なくとも五年先の見通しができるようなものじゃないと安心ができない。そういう趣旨のお話が参考人からもありました。

 この枠組みで続けていくことは、最低何年ぐらいはちゃんとやっていくおつもりなのか、お答えいただけますか。

町田政府参考人 水田をフルに活用していくということで、二十一年度を転換元年と位置づけておるところでございます。

 生産者の方に本格的に本腰を入れて生産をしていただけるようにということで、国としてもこの問題に継続して取り組むということを明らかにするということで本法案を出させていただいたところでございまして、今直ちに何年ということを申し上げることはできませんが、継続して取り組むということでこの法案を提出させていただいております。

笹木委員 大臣に。

 この参考人、非常に熱心に米粉についてもやっている方の発言だったわけですが、安心して取り組めるためには五年先ぐらいの見通しがあることが必要だというお話がありました。少なくとも一年や二年でやめるということはないんですよね、この予算措置を。大臣にも確認をさせてください。

石破国務大臣 それは、例えば二年先の大臣がどんな判断をするかということにもよるわけでありますので、将来のことまで私が把捉をして申し上げるべきことではございませんが、政策の方向性として、自給力を上げていかねばならない、水田フル活をやっていかねばならない、その事情が変わるということは、見通し得る将来なかなか考えにくいことでございます。よほどの理由がない限り、米粉米あるいは飼料米政策というものが、水田フル活用政策というものが変わるということはないのだと。

 いや、そんなことじゃなくて、みんながお米を突如として今の倍でも食べるようになっていただければ、それはそういうものじゃなくて主食用米だ、こういう話になるんでしょうが、なかなかそういうことを望むのは難しいなということから考えれば、政策の方向性というものがそう短期間に変わるということは考えにくい。

 今私に申し上げられるのはそこまででございます。

笹木委員 実は、私の地元の方でも、公立の小中学校で、パンの消費量の中で二〇%はこの米粉のパンを目指そうということで、小麦原料のパンに比べた価格差というのを自治体で補助をしている。こういう工夫もやってかなり普及を図っていこうということがあるわけです。

 こういうこともあるわけですから、先ほども紹介しました米粉のいろいろな活用法というのは、いろいろな品目に及んでいく可能性が十分ある、あるいは輸入小麦の代替になる、これは決してパンだけじゃないというお話もありました。こういうこともあるわけですから、少なくとも生産調整の手段としてだけという発想はやめて、ここはしっかり続けていくということをぜひお願いしたいと思います。必要だと思います。

 それともう一点、新規需要米の対象品ですね。大臣にお伺いしたいんですが、バイオ米はどうですか。民主党はバイオ米ということで入れるということで方針を出していますが。

 今、非常に経済が厳しいときですよね。こういう法案も、放棄地対策とかあるいは担い手対策ということもあるんでしょうが、非常に経済が厳しい、地方でも厳しい。そうすると、地方で雇用をいかにふやしていくか。危機の時期はチャンスの時期でもあるので、新しい雇用を、その産業をふやしていく、十分そういう可能性があると思うんですね。あるいは、バイオ米もその可能性があると思います。

 環境ですとか食の安全、これについての雇用をふやすという面でも必要だと思うわけですが、対象にこのバイオ米を入れていくということについて大臣はどうお考えか。

石破国務大臣 バイオ米については、今、実験的な取り組みを進めておるところでございます。

 といいますのは、例の事故米を捨てないで燃料に使ったらどうだという御指摘を昨年随分いただきました。捨てちゃうとか焼いちゃうとか、どうしてそういうもったいないことをするの、バイオ燃料に使ったらどうですかという御指摘を随分委員会でも賜ったところでございます。ただ、汚染米の場合、これをそのまま燃料に使ったらば一体どういうような影響が大気中に生ずるかよくわからない、そこで、もう少し実験をさせてくださいということを申し上げました。

 これも事故米、汚染米の話ですから、そうじゃないお米はいいんでしょうということになると思いますが、これがどれほどの効果を持つものなのかということがまだ実験段階にございます。そこが実証された場合に、またそういうようなことが考えられるだろうというふうに思っております。

 現在思っておりますのは、バイオ燃料米を含めまして、昨年施行されました農林漁業有機物資源のバイオ燃料の原材料としての利用の促進に関する法律、この中におきまして利用拡大をするための支援措置を組んでおるのですが、これをしばらく使ってみて、このバイオ米というものが本当に米政策あるいは水田活用政策の一環として位置づけられるかどうか、そこを見きわめたいと思っております。そこを見きわめた上で、これをどういうふうに続けるかということが決まるのではないかと思っております。

笹木委員 余り時間がなくなったんですが、最後に一点だけ、会計検査院の指摘を受けている特別会計について確認をしたいわけです。

 旧農業経営基盤強化措置特別会計について、会計検査院の平成十六年度の決算検査報告で、もともとの事業ですね、この事業の農業改良資金貸付金の実績が非常に低調になっている、決算の剰余金が非常にふえている、これについて大幅に見直せ、そういう会計検査院の指摘があります。

 これについて、担当の役所の方、どういう認識でおられるか、お答えいただけますか。

高橋政府参考人 御指摘のございました旧農業経営基盤強化特別会計につきましては、平成十七年十一月に内閣に回付されました平成十六年度の決算検査報告におきまして、会計検査院から、剰余金の一部を一般会計に繰り入れることができるという強化措置特別会計法第八条ただし書きにおける政令が整備されていない、したがって一般会計への繰り入れは行われていないこと、それから、この会計から資金が出ております社団法人全国農地保有合理化協会について、各事業の運営状況、全国協会における資金の保有状況などを的確に把握した上で、資金規模の縮小も含めて、基盤特会における資金の効率的活用を図るための方策を検討する必要があるとの御指摘を受けたところでございます。

 この指摘を受けまして、私どもといたしましては、平成十八年一月に、まず、一般会計への繰り入れを実施することができるよう、農業経営基盤強化措置特別会計法施行令を改正いたしました。そして、これに基づきまして、平成十七年度の剰余金の中から二百九十五億円を一般会計に繰り入れたところでございます。

 また、社団法人全国農地保有合理化協会につきましては、平成十七年度に三十二億円、翌十八年度五十七億円、十九年度五億円、計九十四億円について国庫へ返還をさせたところでございます。

笹木委員 今、社団法人全国農地保有合理化協会のお話がありました。決算の剰余金は、確かに、平成十三年ごろ一千億を超えていた、これが平成十九年には減ってきています。しかし、それと同時に、この社団法人全国農地保有合理化協会に対する補助金が大幅に拡大してきたということですよね。これは会計検査院も指摘しています。そして、今現在も協会の保有額が非常に多額になっているということですね。

 どれだけの保有額がありますか、協会の保有額ですね。

高橋政府参考人 この協会につきましては、いわゆる都道府県の県公社が行います農地保有合理化事業のために農地等を売買する際に、必要な資金を貸し付けるということでございます。ただし、これについては、資金の効率的な運用ということで、従来利子補給で行っていたものにつきまして、原資貸し付けの方向に変えております。

 そして、このために、貸付残高の増大に伴いまして基金規模も増大をしているというような状況にあるところでございます。現在、十九年度末で、基金のうち、基金残高が九百四十一億九千百二十九万五千円、このうち貸付金残高は五百六十三億七千八百四十九万六千円ということになっております。

笹木委員 要は、今も貸付金の残高じゃない保有している額が三百八十億円を超えていると。先ほどのお話、剰余金が減少していたときから補助金がふえて、この保有額もふえているということです。

 また別の機会があれば詳しくここはお尋ねもしたいと思いますが、最後に石破大臣に確認をしたいんですね。

 きょうの冒頭からお話がありました。大事なことは、自給率を上げるためにも、国民の国産に対する、あるいは農水省の予算に対する、コストについての理解を得ることだ、これが大事だと。生産する側にも流通側にも、トレーサビリティーとか、消費者とのコミュニケーションあるいは消費者へのわかりやすさ、これを図っていく必要があるんでしょう。これが値段とかに対する理解を深めるんだろうと思います。一方で、多面的機能も含めてですが、国の予算というのは、いろいろな形で自給力を上げるために多額のものを使っていく。それについての国民の理解も非常にこれからさらに必要になってくるだろう。

 こんな中で、この特別会計は非常に不明朗なことがあるわけですが、ここにいわゆる天下りの問題とかいろいろな問題もあるというふうによく言われています。こうした問題、次回また取り上げますが、農水省が管理している特別会計も含めてより透明化を図って、国民の方々に理解していただきやすい、そういうものに変えていく必要が基本的にある、このことは間違いありませんね。必要があればそういうことに取り組むということは間違いありませんよね。

石破国務大臣 間違いございません。特別会計の存在意義というものも、きちんともう一回検証する必要があるだろう。公益法人というのは本当に必要なのかということ。それが民間で代替できるのであれば、何も公益法人である必要はないのです。そして、それが公益法人としてなお必要であるとしても、そこの役職員というものは、官庁の、農水省のOBでなければ本当にだめなのかということ。民間の方でよいのであれば、別に官庁のOBがだめだとは言いませんが、それで独占されるということは何かおかしくないですかということだと思っております。

 もちろん、早期退職の慣行もございますから、一概に全部だめだというお話ではありませんが、理屈の立て方は、常に国民の立場に立ってどうなのだということですべてが検証されなければならないという意識は、私は強く持っております。

笹木委員 この問題はまた別の機会にやりたいと思っています。質問を終わります。

遠藤委員長 次に、佐々木隆博君。

佐々木(隆)委員 民主党の佐々木でございます。ササキが続いておりますが。

 きょう、米三法について質問をさせていただきます最後になりましたので、大分重複するところがありますけれども、それはお許しをいただきたいというふうに思います。できるだけ法案に沿って質問させていただきたいというふうに思います。

 最初に、いわゆる米粉、新用途利用米についてお伺いをいたします。

 民主党にも米粉化推進小委員会というのがございまして、実は私がそこの事務局長でございますので、現地調査も幾つかさせていただいてまいりました。ここで新用途米というふうになっているんですが、米粉というのは別にそんなに新しいものではなくて、昔から米菓子というのはこの国にもあるわけでありまして、いわゆる上新粉と言われるようなものとか、あるいは白玉粉と言われるようなものとか、ビーフンと言われるような、これはウルチ米ですけれども、それからアジア全体でいえばギョーザの皮とか春巻きの皮とか、かなり幅広く実はこの国にも定着はしていたわけですが、ただ需要量としてそれほど多くなかったということだというふうに思います。

 私どもも調査をいろいろやってきている中で、生産段階、それから加工、流通段階、消費者段階、それぞれの場面においてそれぞれの課題があるということは大分わかってまいりました。そういった意味では、今回の法案というのは、弾みをつけるという意味では大変我々も応援をしていかなければならないなと思っているんですが、その中で、私は一番問題だと思うところから質問させていただきたいというふうに思うんです。

 一番ネックになるのは、恐らくお米というのは粒でおいしかったがゆえに粉になる文化がおくれたとも言えるわけですけれども、主食用、加工用、米粉用、飼料用、もう多岐にわたるわけですね、今回こういうことも含めて。その結果、どこで米粉のお金を渡せばいいんだというところが一番私はネックになるのではないかというふうに思うんですね。余り早く渡してしまうと粒のままどこかへ行ってしまうという危険性があるわけですし、粉になるのを確認してから渡すということになれば年をまたいでしまうということにもなるわけですので、ここの担保をどうするかというのが大変難しいなというふうに思うんですが、その辺の見解について、大臣、どうお考えでしょうか。

石破国務大臣 委員が御指摘のような問題を私もよく認識をするところであります。

 米粉用米に対する交付金をいつ払ってくれるのということですが、現在のところ、これまでの生産調整の取り組みと同様、次の営農準備に間に合うようにしなければならぬ。

 では、一体いつなのということになるわけですが、認定を受けていただいた生産製造連携事業計画などに基づく作付、これを確認した上で、これまでの産地づくり交付金と同じように、十二月から三月に交付をすることにしたい。

 一方、横流れ防止をしなきゃいけませんので、この法案では、生産製造連携事業計画の認定を行うに当たりまして、四条一項で連携計画の作成を規定しておりますが、確実に米穀が加工されるよう生産者と製造業者の連携が担保されていること、あるいは新用途米穀の出荷者、加工業者が帳簿の備えつけを行っておられることなどが認定要件となっております。

 このほか、その連携計画が確実に実施されるかどうかを確認するため、報告の徴求、徴収を行うということが十六条にございます。

 それで、必要に応じて、トレーサビリティー法施行後はということですが、同法による記録を調査するなどして、連携計画どおりに生産者から製造業者にきちんと米粉用米が出荷されているかどうかを確認したいということでありまして、今申し上げられるのは、十二月から三月、その間にお支払いをしたいねというのが現在の私どもの立場でございます。

佐々木(隆)委員 農家にとっては十二月と三月では相当違うわけでありますけれども、そこら辺が、産地づくり交付金そのものは、ほかの産地づくり交付金と一緒に渡すということは、それはそれでいいんだと思うんですよ。

 もう一つは、いずれにしても五万五千円だけでは足りないわけですから、物が流れていった分、そのところをどうチェックするかということ。計画を出して、連携と帳簿とをそろえておいてくれればというのであれば、わざわざ法律に書くこともないわけで、そこのところをもっとやはり厳しく何かチェックできる仕組みがなければいけない。早くお金は渡してあげたいし、そこをちょっと念押しをさせていただきたいんですが、どうなんでしょうか。

本川政府参考人 補足をさせていただきます。

 十二月から三月というふうに大臣におっしゃっていただきましたのは、例えば、北海道は十二月に産地づくり交付金はほとんど出ております。東北もほとんど十二月に出ておりますが、地域によってやはり三月ぐらいまで交付がかかるという意味で、十二月から三月ということでございます。

 いずれにしましても、生産のための支援でございますから、次の再生産に間に合うようにということでございますので、この交付金についてはできるだけ早くお支払いをしたいというふうに思っております。

 ただ、一方で、粉になるまでということになりますと三月までにお支払いすることもできなくなってしまいますので、そちらの横流れ防止の方については、今大臣におっしゃっていただいたような法律上の措置によって担保をするということで、交付金の交付はそれとは切り離して、再生産に間に合うように行いたいというふうに考えているところでございます。

佐々木(隆)委員 この後、米トレサについても論議をさせていただきたいというふうに思いますが、これは当然、トレサの対象になるというふうに考えていいんでしょうか。

町田政府参考人 米粉用米はトレーサビリティーの対象となるということで考えております。

佐々木(隆)委員 そこで、一点だけ確認をさせていただきたいんですが、米トレサ法ができたら、そのトレサ法の適用というか、もちろんそれは厳格にやっていただく、私はそれでいいと思うんですが、きのう、同僚の高井委員の質問に対して、MA米はトレサ法ができても焼却するんだと言い続けていたわけですよね、局長は。それで、今度はこれを適用するんだというのは、ちょっと話としては矛盾するんですが、そこをもう一回答えていただけますか。

町田政府参考人 きのうお答えをさせていただきましたのは、MA米の中でカビがついたお米が出た場合にそれをどうするかという点でございました。

 MA米を例えば飼料用米として使う、これは政府が販売するということになりますれば、きちっと私どももそのトレーサビリティーの義務といいましょうか、対象になるというふうに考えております。

佐々木(隆)委員 これは差別だと私は思うんです。私と高井委員が差別されたという意味ではありませんが、要するに、輸入米の処理の仕方と国内で出回るもののトレサの対象が違うという印象を与えてしまうわけですよね、今。

 だから、MA米であれ何であれ、トレサ法ができれば、施行されれば全部トレサでやるんです、そう言わなければこれは矛盾になってしまうんです。トレサ法ができればトレサ法でやるんですから、それでいいんだと思うんですけれども、違うんですか。

町田政府参考人 済みません。私の答弁が不十分だったかもしれませんが、おっしゃるとおりでございます。トレーサビリティー法でやるということでございます。

佐々木(隆)委員 それであればわかりました。

 もう一つは、先ほど来お話もありますが、参考人の話の中にもいろいろありましたけれども、えさ米にしろ米粉にしろ、やはり価格をどうしていくかというのが一つ大きなポイントになっていくというふうに思うんです。輸入小麦の値段が今下がるのではないかというふうに言われている中で、これをどういうふうに支援していくおつもりなのか、その点についてお伺いをいたします。

本川政府参考人 昨日も何度も答弁させていただきましたが、米粉用米に対する支援水準につきましては、同じ原料用米として既に定着しております加工用米の収入、大体これは九万円程度でございますが、それを確保するということで考えております。確かに、小麦については少し下がり傾向ではございますけれども、五万五千円の助成を加えれば、小麦用の、そういう価格との横並びを見ても、それを超えるような、上回るような収入を確保することができるというふうに考えております。

 また、米粉用の栽培につきましては、昨日申し上げましたけれども、いろいろなメリットがあるということでございますので、そういうようなことを周知しながら、生産者につくっていただけるようにお勧めしてまいりたいというふうに考えております。

 また、生産者に対してだけではありませんで、あわせて、製造施設への支援、あるいはそういう施設の導入に対する低利の融資でありますとか税の軽減、こういうような措置を講じることによりまして、総合的な支援を行い、安定的な取り組みとなるように推進してまいりたいと考えているところでございます。

佐々木(隆)委員 もちろん、米粉並びに飼料米の推進のための支援というのはぜひやっていただきたいんですが、では、転作の小麦と大豆、それから米粉用と飼料用と、どのようにしていこうとされているのか。この生産振興をいずれもしようとしているわけですから。その点の農水省の方針みたいなものはあるんですか。

本川政府参考人 自給率を上げていく上で、やはり麦、大豆、さらには米粉用米、どれも重要な作物だというふうに考えております。

 ただ、麦、大豆につきましては、歴史的にこれまで長く生産調整を進める中で、地域におきまして、ブロックローテーションだとか大規模な団地化でありますとか、そういう優良な事例が出てきております。

 したがいまして、私どもといたしましては、それぞれ地域の段階で水田農業ビジョンをつくっていただく、そういう中で、その地域においてどういう作物に対してニーズがあるのか、地域の条件あるいは農業者の意向、そのようなものを踏まえまして、地域で話し合って適切な作物を選んでいただく、そのような形で考えていきたいと思っております。

 特に米粉用米につきましては、私ども、中心的に作付をお願いしたいと考えておりますのは、調整水田などの不作付地、それから主食米の過剰作付部分、あるいは湿田などの理由で麦、大豆などがなかなか作付できないような部分、そういうところで中心的に作付をお考えいただく。それから、一方でこれまで歴史的に形成されてまいりました麦や大豆のブロックローテーションなり団地化転作につきましては、これをできるだけ地域で維持していただく。そのような方向でお話し合いがなされることを希望しているところでございます。

佐々木(隆)委員 麦、大豆、米粉と言ったり、大豆、麦、米粉と言ったり、米粉、大豆、麦と言ったり、いろいろしているんですが、その都度順番が入れかわっているというわけではないんですよね。

本川政府参考人 全く、その都度意図して入れかえているわけではございません。申しわけございません。

佐々木(隆)委員 要するに、大臣はこのごろ自給力という言葉を使われたりもしているんですが、私は、やはり最終的には自給力ではなくて自給率をどうするかということだというふうに思っております。

 その自給率なんですが、今の小麦、大豆、あるいは新用途と言われるものも含めて、結局、地域の水田農業推進協議会、そこにゆだねられているんですよね。片方で、国は自給率を掲げて、作物ごとの目標も掲げているんですけれども、結局、つくるときは地域の協議会にゆだねているわけですね。これでは、私は、自給率を目標に掲げても、掲げただけになってしまうと思うんです。どうやってつくっていただくんですかというところが今のは全く担保されていないんですね。

 だから、ここをこれからやるときには、自給目標を掲げるのであれば、作物ごとにももちろん掲げますが、それをどうやって担保するのかというところのプロセスもきちっと示す。あるいは、私ども民主党の場合は、目標を達成するために生産数量の目標を設定して、そこは目標設定に向かって地域と話し合うということをうたっているわけです。そこのプロセスのところをきちっとやらなければ、ただ目標を掲げただけという話になってしまうと思うんですが、これはどうですか。

本川政府参考人 お答え申し上げます。

 今改定作業を進めておりますが、基本計画の中で自給率の目標というのを掲げさせていただいております。その内訳といたしまして、それぞれの作物ごとの生産努力目標というものを掲げて、それの実現に向けて取り組んでおるわけでございます。

 それぞれの実現に向けて取り組むための施策といたしましては、きょうも御審議いただいておるこういう法律もございますけれども、私どもとして、水田の産地づくり交付金でありますとか、あるいは今回の水田フル活用の水田等有効活用促進交付金、こういったようなもので農業者の方々に取り組んでいただくような誘導といいますか、政策的な支援を差し上げるということにいたしております。

 そういう中で、例えば麦や大豆、大豆や麦につきましては、いわゆる緑ゲタという固定払い、あるいは成績払い、こういうものを合わせますと、大豆や小麦につきましては、例えば十アール当たりでいきますと六万二千円、あるいは七万五千円の、そういう支援単価を設定することによって、そういう政策誘導を図りながら、農家の方々にそういう目標実現に向かって取り組んでいただく。このような支援を差し上げながら、政策的な支援をして、誘導すると言うとおこがましゅうございますが、そのような御努力を促していく、そのような政策的な努力をしていきたいと考えているところでございます。

佐々木(隆)委員 今の説明を聞きますと、奨励金などを含めてお金で誘導していくという話ですよね、手っ取り早く言うと。

 ですから、農家の手取りが幾らになるのかということはそれはもちろん無視はできないんですけれども、やはりみんなで目標を掲げて、みんなで話し合って、地域全体、地域全体というのは行政も含めてという意味ですが、例えば、この地域においてはこの作物についてはこれだけの数量というようなものも同時に示していかなければ。今の話ですと、奨励金で誘導していくような話に聞こえてしまうんですが、そういう目標をやはり掲げていくべきではないか。これについては提言、指摘にさせていただきます。

 米粉の方ですが、これは今の目標ということからいうと、私ども民主党は、新潟に倣ってR10ということを言わせていただいて、一〇%というのを目標にさせていただいているんですが、これは、自給目標も含めて意識して考えた場合に、今政府としてはどのぐらいというふうに考えておられるんでしょうか。

町田政府参考人 私ども、昨年の十二月でございますが、新たな基本計画の策定に向けた議論に供するということで、おおむね十年後に食料自給率五〇%を達成した場合のイメージを公表させていただいております。この中では、米粉の生産につきましては五十万トンとしております。これは、繰り返しになりますが、食料自給率五〇%を試算するに当たってのイメージといたしまして、輸入小麦五百万トンのうち、その一割を米粉に代替すると想定したものでございます。

 今後、新しい基本計画の審議の過程の中で、この五〇%のイメージの妥当性や可能性を含めまして、数値目標についても検討してまいりたいと考えております。

佐々木(隆)委員 我々民主党とほぼ同じというイメージでいいんだというふうに思いますので、当面の目標として、私は、一〇%ぐらいというのは妥当な数字だというふうに思います。ただ、これから食の安全とかあるいは技術的な問題とか含めて、それはまた当面、十年先ぐらいはその辺なのかなというふうに私も思っております。

 そこで、この米粉の支援のあり方について考えを伺いたいというふうに思うんですが、きょうも午前中、参考人の皆さん方からお話をいただきました。その中で、技術支援ということもありましたし、新しい品種の支援というようなこともありました。私は、この米粉を本格的に政府、国を含めて推進しようとするときに、ぜひ心がけていただきたいと思うことがあります。

 それは、この国は戦後、粉文化と油文化を捨ててしまったのではないかというふうに私は思っています。それはなぜかというと、小麦粉とそれから大豆をほとんどすべて外国に頼ってしまって、そして粉は、アメリカ産を中心とした外国の粉を中心とする文化に取ってかわられてしまったわけですね。油もそうです。

 結果、どうなったかというと、地域ブランドの粉もなくなれば、地域ブランドの油もなくなっちゃったんですね。もと沈殿していた、あの菜種でとったような油とか、ヒマワリでとった油とか、あるいは粉にしても、例えば北海道どこどこ産の小麦粉などというのは、今、北海道には一部よみがえってきていますけれども、ないわけです。全部、輸入業者、大手製粉メーカー、大手製油メーカーと、そこの中にくくられてしまって、独自の文化というものがなくなってしまったんですね。

 これは私は、やはり取り戻さなければならないというふうに思っているんです。ましてや、自給目標を上げていこうというときですから。そのときに、この米粉を普及するについて、やはり地域ブランドというものをどうやってつくっていくのかということを一緒に進めていくという方針を農水省はぜひ持ってほしいと思うんですね。

 それはどういうことかというと、今度の補助、支援などを見ると、何か大型の機械を導入するようなときだけ対象になるのではないか。現実には、地域の中でいろいろなメーカーの人たちが知恵を出し合って、自分たちでこの製粉の、精製の機械をつくろうとしている動きなんかもあるわけですね。

 ところが、では、今度のこの支援の方法の中でそういう人たちが対象になるのかというと、これは何か既存のメーカーを意図したのではないかというような補助の出し方になっているものですから、そういうところについてぜひ対象にしていくべきだ。そして、地域ブランドとしてこの米粉というものをつくっていくようにしなければいけない。私は、まさに農業は文化だというふうに思っているので、そのことを含めてお答えをいただきたいと思います。

石破国務大臣 おっしゃるとおりであります。

 正直、今、米粉に地域特性がすごく出ているかといえば、まだまだそうでもないんだろう。例えば、士別ブランドですとか名寄ブランドですとか旭川ブランドですとか、そういうことになっているかといえば、まだまだであって、それを、地域間競争ということが必ずしもすべて正しいとは思わないが、そういうこともあって特色あるものを伸ばしていく、それぞれが持ち味を伸ばしていくということは必要なんだと思います。

 そうしますと、支援の対象をどうするんだということですが、また必要があれば事務方から説明申し上げますが、大きなものに限って支援をするとかそういうスキームを組んでおるつもりはございません。大手メーカーによる全国展開とあわせて、地域の実情に応じて関係者が創意工夫を凝らした取り組みをいただくことが重要でございますので、地元の機械メーカーが開発された製粉機械を地元の製粉業者の方々が導入していただく、そういう場合につきましても、補助金、税制、融資等の支援措置の対象といたしております。あるいは、研究開発それ自体に対しましても助成措置を講じておるものでございます。

 ですから、もし仮に、この制度というものがこういう場合に使いにくい、こういう場合に支援の手が及ばないというようなことがあれば、御指摘をいただいて改善方いたしますが、私どもとして、どのように小さい取り組みにつきましても、もちろんすべてとは申しませんが、その地域の特性を生かした取り組みができるように、支援を考えて用意をしておるものでございます。

佐々木(隆)委員 ありがとうございます。ぜひそのようにお願いをしたいというふうに思います。

 大臣も今胸につけておられますが、よい食プロジェクト、あのバッジを私もつけさせていただいていますが、よい食というのは、とりもなおさず、地域ブランドをどうつくるかというところにかかってくるんだと私は思うんですね、それが安心の担保だというふうに思うので。午前中の参考人の皆さん方からも、二つだったと思うんです。価格的な支援をどうするんだ、技術的な支援をどうするんだというのと、多様性をできるだけ認めてほしいというようなお話があったというふうに思います。今大臣からそういうお答えをいただきましたので、ぜひよろしくお願いを申し上げたいということ。

 あわせて、これはお答えをいただければお答えをいただきたいというふうに思いますが、今、導入の部分で大臣から前向きなお答えをいただいたんですが、研究開発の部分でも、ぜひ同じような取り組みを、これは、何か新品種の研究開発というところは書かれているんですが、そういう製造工程のかかわりなんかのところには書かれていないわけですよね、今。研究開発なんかについてもそういうことが起こり得るのではないかというふうに私は思うんですが、もしお答えいただければいただきたいというふうに思います。

町田政府参考人 お答え申し上げます。

 二つ、新品種育成計画ともう一つ、生産製造事業の連携計画がございます。この中で、地元の生産者とまた連携して新しい機械をつくるとか、その機械をつくって製粉するとか、そういった取り組みがありますれば、そういったものについても支援を行っていきたいということで、こういった点につきましてもよくPRをさせていただいて、使いやすいものにしていきたいと思っております。

佐々木(隆)委員 前向きな答えをいただきましたので、ぜひそういったことで地域を育てるということ。確かに大臣言われるように、今はまだ小さな範疇ですからそれほど問題になっていないんですが、これが大きくなってきたときに、今度やはり流通や何かで、どうしても大手の流通に乗せたいというような動きが出てくると、結局また同じようなことになってしまうのではないかということをちょっと今から心配しているものですから、そういうことでお話をさせていただきましたので、よろしくお願いを申し上げます。

 それでは次の、長くて読みづらいんですが、トレーサビリティー法と食糧法について質問をさせていただきます。

 さきの笹木委員から、トレサとJASについてお話がありました。民主党はすべて、このトレサあるいはJASについて、ずっと広げるべきだということを提案させていただいていますので、それについては先ほど来お話がありました。

 大臣から、問題意識は同じだというお話があったんですが、中小が多いからというお話もあったんですが、私は、これは安全のコストですから、安全のコストというのは、やはり生産者もそれから中小企業者も消費者も、みんなで払わなきゃいけないものだと思うんですね。問題は、どこまでいっているかではなくて、政府の姿勢と決意とメッセージ、これをどう送るかというところにもう来ているんだと私は思うんですね。だから、むしろ大臣というか政府の方からしっかりとそこのところを言って、そして、トレーサビリティーについてもJASについても、できるだけ幅を広げていく、間口を広げていく、対象を広げていくというところに踏み込むときに来ているのではないかというふうに私は思うんですが、大臣、もし御決意があれば聞かせてください。

石破国務大臣 そうあるべきです。そういう方向に持っていきたいと思います。

 ただ、政府が決意をして、やろう、こう言いましたときに、本当にそれが圧倒的多数の中小零細の技術的あるいは資金的な負担を乗り越えるものなのか。もしそれが政府がお金をお支払いして、というのは納税者のお金という意味でございますが、それがクリアできるものであれば、そういう考え方もあるでしょう、中小事業者の御負担を減らすために。そういう考え方は私は決して否定をいたしません。

 あるいは、大手だけやればいいじゃないかというお考えがまた一部で示されておりますが、そうしますと、大手が責任を追及されましたときに、大手の責めに帰すべきものではなくても、結果的に責任を負わされるという可能性も起こるわけでございます。

 ですから、こうこうしかじか、こういうことがあるからだめだということを私は申し上げているんじゃなくて、こういうことを克服するためにはどうしたらいいのだろうかということもあわせて、方向を実現するようにしたいと考えております。だめだ、だめだ、だめだと理屈を述べるつもりはなくて、それを克服するためにはどうすればいいかということもあわせて議論をしながら、目指す方向性は一緒だと思いますので、実現をしたい。

 決意だけ申し述べても、それはそれで今ここではいいのかもしれませんが、それを本当に具体化するためにどうすればいいのだということで、今省内で議論をいたしておるところでございます。

 また、一般質疑等々におきまして、一体どうなったというような御質問を賜れれば、そのときにおいて、こういうような進捗でございますというような御報告はし、さらなる議論をしたいと思っております。

佐々木(隆)委員 これ以上繰り返しませんが、輸入食品が危なくて国産が安全だという神話も、こういうものが整備されていなければ、これは崩れることになってしまうわけです。国産は安全だという根拠は何だといったら何もありませんという話では、国産が安全だということにはならないわけですので、そこはぜひ、できるだけ早く御検討いただきたいというふうに思います。

 次に、不正規流通を防止するという意味で、行政の役割についてお伺いをしたいというふうに思います。

 この八年、九年にわたって行われてきた規制改革と言われるものの最大の間違いは何だったかというと、要するに、入り口を規制していたものを取っ払って、本来は、入り口の規制を緩和したのであれば出口の方を強化しなければいけなかったのに、入り口を緩和したままずっと来てしまったというところに、規制改革の一番の間違いがあったのではないかというふうに私は思っています。

 要するに、今までは許認可制であったものが届け出制になった。そうすれば、入り口に五人いた職員が二人で済むようになった。その二人、三人を減らしただけで、本当はチェックや監視の方に人を回さなければならなかったのを回さないで来てしまったというのが、この国の規制改革の大きな間違いだったのではないかと私は思っています。

 特に、食品安全委員会の論議の中で、この十年余りでアメリカ以上にチェック体制は悪くなっているというふうに言われております。これは委員会での話です。そんな中で、米トレサを円滑に進めようとすれば、行政によるチェック体制というのは欠かせないというふうに私は思うんです。特に今、食の安心、安全ということですから、そのチェック体制、どのような主体がどのような体制でやっていこうとされているのか。

 それからもう一つは、食糧法の方で、大臣の権限に属する事務の一部を政令により都道府県知事に委任することができるというふうにしているんですが、これは国の責任が大きく後退するということを意味するのではないかというふうに思うんですが、どのような事務を委任しようとしているのか、あわせてお伺いをさせていただきます。

石破国務大臣 規制の緩和に関する委員の御所見には私も相当部分うなずくところが実はございまして、私は、当選三回のときに規制緩和特別委員会の委員長というのをやったことがございます。そのときにこんな例がありました。飛行機に対するいろいろな規制緩和をする、そうすると安全性が損なわれるじゃないかという議論になりまして、いや、そういうような会社の飛行機は落ちるのだ、落ちたらだれも乗らなくなるからそれでいいのだみたいな、そういう議論があって、そういう話じゃないでしょうというような議論をしたような覚えがございます。

 ただ、今回の新食糧法、食糧法に基づきます届け出制というのは、そういうようなめちゃくちゃな考え方ではないのでありまして、どうやって流通の自由というものを確保していくかということであって、安全性をきちんと担保するということは、また別の話でございます。それは、食糧法に米穀の管理は国の責任であるということが明確に明示をされているものではございません。しかしながら、行政として、その安全というものはきちんと担保をしていかなければなりません。

 そうすると、国と都道府県の役割分担をどうするかということは、これから都道府県とよく御相談をしながら決めてまいりますが、都道府県がやった方がよりよろしいもの、それは都道府県にお願いをするということになりますし、広域にわたるもの等々国がやった方がよりよろしいものは、当然国がやるものだと思っております。

 きのうもお答えをいたしましたが、国がやるのが嫌だから地方自治体にやってくださいとか、そういうお話ではなくて、どちらが分担した方がよりよろしいか、より実効性が上がるか、そういう観点から、今後、都道府県と早急に議論を詰めてまいりたいと思っております。

 法律の立て方から申しまして、国が責任を負うということが基本でございますけれども、そこを事務の分け方として、より実効の上がるもの、より消費者の安心が担保されるものということに重きを置きながら、今後、役割分担を決めてまいりたいと思っております。

佐々木(隆)委員 事務方でもいいですから、もう少し具体的にイメージさせていただきたいんです。

 どこかでチェックをしていかなきゃいけないわけですね、トレサだって。そのときに、どういう主体、どういう体制、それと、食糧法でいえば、どのような事務を委任しようとしているのか。もう少しイメージがわくようにお話をいただきたいんです。

町田政府参考人 どのような主体がどのような事務を担っていくのか、また、都道府県にどういうことをやっていただくか、できるのかということと思います。

 農林水産省といたしましては、現在検討いたしております農林水産省の抜本的な機構改革の中で、まさに食糧法に基づく流通監視を適切に実施するという観点から、消費・安全部門におけます表示規制など、他の分野におけます立入検査のノウハウも生かしながら、これと一体的に流通監視を行う体制を整備したいというふうに考えているところでございます。

 具体的に申し上げますと、国と都道府県の役割分担は、現在、食糧法と同様に食品業者への規制を行っているJASがあります。JAS法の表示規制におきましては、県内業者は県、県を越える業者は国が担当するという分担が定着しております。こうしたことも参考にしながら、今後、都道府県ともよく相談をさせていただいた上で、国と地方の適切な役割分担を検討していきたいというふうに考えているところでございます。

佐々木(隆)委員 今のは、食糧法の方の話だと思うんですが。

 今、消費者庁の論議、我々は消費者権利院と言っていますが、それと、前に我々が出した安全法も含めて常に問題になるのは、出先のところのチェックをだれがどうやってやるんだ、だれが相談を受けるんだというところが一番問題なんですね。そのときに、一番、チェック体制の、それはだれがやるんですかというところが決まっていない、今考え方も示せない状態で我々に法律を論議しろというのは、余りにも乱暴なのではないかというふうな気がします。

 あわせて聞かせていただきますが、都道府県に委任するというのは、それは自治事務なんですか、それとも法定受託事務なんでしょうか。

町田政府参考人 取り締まりチェック体制につきましては、繰り返しになりますが、私ども今回、トレーサビリティーであれば、トレーサビリティーまたは原料原産地表示の義務づけ、食糧法であれば、遵守事項を設けて、それについて勧告、命令等そういった指導をしていきます、立入検査をします。そういう新しいこと、こういう重要な点については、当然のことながら法律で骨格を示させていただいております。

 それの具体的な実施の仕方につきましては、それが実効性がより上がるようにということで、国、国の中にも本省、地方局、地方農政事務所がございます、また県もございます、そこで適切な役割分担をやるということで、これは政令ということで定めていくわけでございますが、当然のことながら、パブリックコメント等、透明性を確保、上げながら検討を進めていくということでございます。

 また、事務でございます。新しくできます事務は、遵守事項関係の事務あるいはそれに伴う立入検査でございますが、これは自治事務ということでございます。

佐々木(隆)委員 いわゆる食糧法ですが、「主要食糧の需給及び価格の」というこの法律は、「主要食糧」と書いてあるんです。これは「主要」を取らなきゃだめですよね、それだったら。国がある程度の責任を持っているから主要食糧と言うわけでしょう。もともと食糧管理法からきているんですから。それなのに、自治事務にはならないと思うんですよ。法定受託事務というのならまだわかります。国の事務なんですから、それをお願いするという話ですから、それはちょっと違うのではないかというふうに私は思います。

 それともう一つ、トレサで追っかけるという話ですが、食とか医療とかいうのは、事故が起きてから追いかければいいというものではないですね。事前に防ぐというところに意味があるわけです。

 そういう意味で、もう一度、この二つの点について答弁を求めたいと思います。

町田政府参考人 今回、この法案を出させていただいていますのは、まさにその横流れを防止するということでございます。事故米問題等を反省し、国民の皆さんに御迷惑をおかけしたということを踏まえて出させていただいておりますので、とにかく、問題が起こらないように未然に防止するということは当然のことでございます。

 私ども、今回、この新しい法律に基づきまして報告徴収をかけられますので、幅広く報告をかけますとともに、あるいは、関係の皆様から情報をいただければ、そういった情報に基づいて直ちに抜き打ちのチェックに入るといったこともございます。また、警察等、都道府県、そういった関係機関ともよく連絡をとりながら対応していきたいというふうに考えています。

佐々木(隆)委員 法定受託事務ではないという点については答弁いただいていませんが。

町田政府参考人 先ほどもお答えさせていただきましたが、私ども、同じように食品に関して規制をやっておりますJAS法、これについても自治事務ということでやっているところでございます。

 ただ、今、どの部分を都道府県にお願いするかという役割分担については検討させていただいておりますが、役割分担される県のそういった業務につきましても、地方自治法に基づきまして、国は指導助言といったことができるわけでございます。そうしたことはきちっとやって、国として、地方自治法に定められているようなことについてはやっていきたいというふうに思っております。

佐々木(隆)委員 JASの場合は、県をまたぐか、またがないかということが一つの基準になっているわけですが、この米トレサについていえば、もともとのこの法案をつくるきっかけになったのが、要するに、不正規流通がまさに県を横断して、港まで含めてやられたわけですね。しかも主要食糧だと言っていて、そしてこれは自治事務だというのは、どうも流れとしては余りすっきりとした説明にはなっていないのではないか。

 米の問題も、結局、かつては許認可で、米を扱える業者というのは限定されていた。それでは余りにも使い勝手が悪いということで、いわゆる緩和をしてきたわけです。それを悪用した業者がいたわけですね。だれでも買える、だれでも売れるということを利用してロンダリングして、わけがわからなくして、結局ああいうことが起きたわけです。そうすれば、チェック体制というものが一番最初に検討されなければならない課題だというふうに私は思いますので、その点については、ぜひそのことを考えてやっていただきたいというふうに思います。

 大臣、もしそれについて何かあれば、ぜひお願いします。

石破国務大臣 それはそのとおりです。ですから、この間の三笠フーズの事例というのは、チェック体制は全然なっておりませんでしたということは幾重にもおわびをしたことでございますし、改善をいたしたところであります。

 それとトレサというのは、やはりこれは、チェック体制だけきちんとしていればいいのかといえば、それはそうではなくて、消費者の方々が、一体この米はいかなる由来のものであるかということが常に把握できる、そして、流通にかかわる人たち、生産から食卓に至るまでかかわる業者さん、あるいは生産者、それが常に記録をつけるということにおいて、さかのぼることが可能であり、緊張感を持って米の流通に当たるということだと思っております。チェック体制はトレサができたからもうよいのだという話には全然なりませんので、チェック体制はきちんと遺漏なきを期すのは当然のことだと認識をしております。

佐々木(隆)委員 次に移らせていただきます。

 そもそも、この二つの法律についてなんですが、先ほど来指摘がありますように、対象品目、政令事項。規模要件、政令事項。トレーサビリティーの記録内容、省令。産地の具体的方法、主務省令。ほとんど省令とか政令にゆだねられているわけですね。

 先ほど遵守事項というお話もありましたが、遵守事項といいながら、することができる、こういう表現になっているわけですよ。遵守という意味は、かたく守るという意味なんですから、することができるというのは、かたく守ることとは違うのではないかという気が私はするんですね。ねばならないというのが大体が遵守事項ですから。ところが、食糧法の方を見ると、ほとんど、することができるとなって、「遵守事項」と書いてあるんです。

 こういう法律を、今さらやめろというわけではありませんが、私どもはここで論議をして、そして、この法律をどこかで成立させるか何らかの結論を出していくわけです。そのときに、国民に対して我々も説明責任を負うわけですね。大臣は行政のトップですから常にそれに参加できるかもしれませんが、我々は常に参加できるわけじゃない。そうすれば、当然のことながら、説明責任を負わされているときに、ほとんどは、あとは政省令にお任せしております、遵守というのは、することができるというんですから、きっとやってくれるでしょうなどという論議をして説明責任を果たすことはできないわけでありますから、ぜひ、大臣の決意として、ここのところをきっちり担保すると。

 そして、先ほど来申し上げておりますように、食の安心、安全というのは、それは事業者との調整が時間がかかったとか、あるいは生産者が大変だとかそういうことではなくて、安心のコストをみんなでどうやって分け合うかという話なんですから、しっかりと責任を持ってこれらについてやることについて、やはり大臣の決意をお示しいただきたいというふうに思います。

石破国務大臣 おっしゃるとおりです。

 ですから、政省令事項にゆだねるのは、それが極めて技術的なものであって、法案として御審議いただくには余りに膨大、多岐にわたるということであるから政令にゆだねているのだということなのですが、そこの内容の書き方によっては、何のために法律をつくったんだかわけがわからぬということにもなりかねないということは、多くの例が示すとおりでございます。

 したがいまして、これはこれから政令を定めるに当たりまして、パブリックコメント等々もかけてまいります。そして、一般の方々の御意見というものを承りながら、きちんとしたものを定めてまいりたい。別にこの法案に限らず、我が省がこれからやっていきます政策立案におきましては、広く国民の皆様方にも御参加をいただくという手法を取り入れてまいりますが、一つはパブリックコメントということ、もう一つは、ここで御賛成をいただき、参議院においても御賛成をいただき、法律が成立をしたと仮にいたしますれば、その後、政令をどう定めるか、省令をどう定めるかということについて、私としてきちんと配意をし、必要があれば国会において御説明をするということも、今後やっていかねばならないことだと思っておる次第でございます。

佐々木(隆)委員 そういった意味では、これ自体が、昨年来のいろいろな事故にかかわって、国民の皆さん方に何らかお示しをしなければいけないという状況の中で出てきた法律であるということについては我々も理解をするんです。しかし、それにしても余りにも急ぎ過ぎ、ちょっと煮詰め切っていないのではないかという感はやはり否めないわけでありまして、今大臣が決意をお示しいただきましたので、そこは大臣にゆだねるしか我々もございませんが、ぜひそのように取り組んでいただきたいというふうに思います。

 最後の質問になるかもしれませんが、今、大臣の肝いりで農水省の改革チームが改革についていろいろ検討されているというふうに言われております。その中で、地方の農政事務所のことが取り上げられているというふうに聞いているわけです。

 私は、無駄を省くということや組織をスリム化することを全面的に否定するつもりは全然ないんですが、先ほど申し上げましたように、食の安全とか、それからトレーサビリティーだとかということで業者をどうやってチェックするかというときに、必要なのは、出先の人間がどれだけ、もちろん訓練はしなきゃだめですけれども、これは結局人がやるわけですから、人がいなければチェックできないわけです。

 そこのところで、私は行革ということについても少し違うというふうに思っているんですが、行革は簡素、効率とすぐ言うんですが、行革というのは、簡素、効率を求めるのが行革ではなくて、サービスの変化にどうやって対応させるかというのが本来行革でなければいけないというふうに思うんです。

 そういった意味で、地方の農政事務所は、もとはそれこそ入りのところをやっていたわけですね。刺してぽんと押してという、これはまさに入り口規制をやっていたわけです。今その業務はなくなったことは確かですが、しかし、やはり中間とか出口の規制というものの業務、新たに今、食の安全とかトレサとかいう新たな業務が加わってきているわけですね。では、そちら側に訓練をして転換をさせていく、それが行政の、今サービスの変化に対応するということだと思うんですね。

 そういうことで、本来行政が果たさなければならない役目を行革だからといって放棄してしまうというようなことになっては、とんでもない間違いをするのではないかというようなことと、今回の法律とのかかわりについて、まず説明を求めたいというふうに思います。

 それから次は、水田フル活用についてですが、これは先ほど来お話がありますけれども、米粉というのは水田フル活用と大きくかかわる話でありますので、先ほどの参考人の質疑の中でも随分論議されたのは、将来の展望をちゃんと示してほしい、そうでなければ、飼料米にしても米粉にしても、我々は安心して取り組むことができないではないかという話が、これは何人からも出されたわけですね。

 そういった意味で、この水田フル活用と大臣の話が、我々のところに曲がって伝わっているのかどうかわかりませんが、ちょっと首尾一貫していないのではないかというふうな言われ方もしておりますので、そこと水田フル活用の関係ですね。

 それから三つ目が、先ほど来、基本計画の見直しに合わせてという話が何度か出てきているんですが、この水田フル活用あるいは米粉用や飼料用の作付、それから生産調整のあり方というのが基本計画と非常にかかわりの深いものであるだけに、基本計画が出ていない今の時点で我々はほかのことも論議しているわけですから、そういった意味では、この組織改革、基本計画の見直しとこの三法、これらについてどのように整合性をとって進めていこうとされているのか、お伺いをいたします。

石破国務大臣 まず、農政事務所等々の役割についてであります。これはくだくだ申し上げることはいたしません。具体的には、三月末までに基本的な考え方を取りまとめます。八月末の機構、定員要求までに成案を得るということでございます。

 委員おっしゃいますように、行政改革の名のもとに行政が本来やらなきゃいかぬことができなくなるなぞというのは、何のための行政改革だということになるわけでございますから、そのことはよく念頭に置きながら、そういうそしりを受けることがないように機構改革はやらねばならぬというふうに思っておるところでございます。これが一点。

 それから第二点目の、水田フル活用は今後どうなるのだということでございます。

 きょうの御論議の中でもいろいろとお答えを申し上げましたが、これは、見通し得る将来、よほどのことがない限りこの方針は変わらないのだというふうに私は思っております。また時の大臣がどのような御判断になるかそれは存じませんが、水田フル活用という考え方は、やはり日本に向いた水田という装置をどうやってフルに活用するかという考え方でございますから、生産調整の一環として、ここが大事なところでございますが、生産調整の一環としてこれを位置づけ、今後さらに定着をさせるべく努力をすべきではないかと思っております。

 それから、いろいろな改革あるいは基本計画の改定との整合性いかんということでございますが、これは参議院においてもお答えをしたことでございますけれども、それぞれ、いつまでにやらなければいけないというもの、あるいは、いつまでにやるべく、それを目途としてというふうに申し合わせがなされているもの、そういうものがそれぞれ違いますので、議論というものが一見ばらばらのように見えますが、それがすべて整合しますように、私、農政改革担当大臣も拝命をしておるわけでございますが、そこは目配りをしながら、きちんとした整合性のとれた議論が行われるようにしていかねばならないと思っております。

 いずれの場面にも、農林水産省というものが主体的に参画をいたしておりますので、あるいは農林水産省の中の議論もございますので、そこがそごを来すことがないように、跛行性を示すことがないようによく配意をしてまいらねばならないと思っておる次第でございます。

 以上であります。

佐々木(隆)委員 時間が参りましたので終わらせていただきますが、きょうの朝日新聞に、何か、次官が地方行脚をされておられるという記事が出ておりました。地方はほとんど技術官ばかりで事務官がいないというようなことも、中央と地方のそごを来している原因になっているのではないかなどという話がありましたので、そこはぜひ、よくその行脚の成果を出していただきたいというふうに思います。

 法律論議をさせていただいてまいりましたが、私は、法律というのは、必ずそこを利用する人がいるし、適用される人がいるわけでありますが、やはりそういう人たちにとって使い勝手がいいとか、あるいは、この法律ができて安心できたとかというものでなければならないと思うんですね。そういった意味では、実は少し中身が、骨格だけというような部分があったり、必ずしも満足がし切れるものではありませんでしたけれども、この法律がそういった意味でしっかり機能されるということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

遠藤委員長 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

遠藤委員長 引き続き、各案中、内閣提出、米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律案について議事を進めます。

 この際、本案に対し、宮腰光寛君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び社会民主党・市民連合の四派共同提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。筒井信隆君。

    ―――――――――――――

 米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

筒井委員 私は、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び社会民主党・市民連合を代表して、米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律案に対する修正案の趣旨を御説明申し上げます。

 修正案はお手元に配付したとおりであります。

 以下、その内容を申し上げます。

 法律案の附則における政府が検討すべき事項に、国民の健康の保護、消費者の利益の増進並びに農業及びその関連産業の健全な発展を図る観点から、飲食料品について、この法律の実施状況を踏まえつつ、速やかに、取引等に係る基礎的な情報についての記録の作成及び保存並びに緊急時における国等への情報提供を義務づけることについて検討を加えるとともに、加工食品について、速やかに、その主要な原材料の原産地表示を義務づけることについて検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする旨を追加することであります。

 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

 以上です。(拍手)

遠藤委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

遠藤委員長 これより各法律案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに順次採決に入ります。

 まず初めに、内閣提出、米穀の新用途への利用の促進に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

遠藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、宮腰光寛君外三名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

遠藤委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

遠藤委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

遠藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

遠藤委員長 ただいま議決いたしました各法律案に対し、宮下一郎君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び社会民主党・市民連合の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。宮下一郎君。

宮下委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    米穀の新用途への利用の促進に関する法律案、米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律案及び主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、これらの法律の施行に当たり、左記事項の実現に努め、水田の有効活用を促進するとともに、米を含めた食品に対する消費者の信頼の確保等に努めるべきである。

      記

 一 米粉・飼料用米等の価格が主食用米と比べ極めて低水準にあることを踏まえ、米粉・飼料用米等について十分な支援水準を確保すること。また、多収品種の開発や直播栽培の導入等の低コスト化生産技術の確立及びその普及に向けた支援を充実・強化すること。

 二 新たな食料・農業・農村基本計画の策定に当たっては、食料自給力の強化と食料自給率の向上を図るため、水田の有効活用方策や米の生産調整の在り方等について、関係者の意見を十分踏まえつつ、長期的視点に立った施策の構築を図ること。

 三 米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律案附則第五条第二項の検討に当たっては、飲食料品について、この法律の実施状況を踏まえつつ、速やかに、仕入先、仕入日、販売先、販売日等の取引等に係る基礎的な情報についての記録の作成及び保存並びに緊急時における国等への情報提供を義務付けることについて検討を加えるとともに、加工食品について、速やかに、その主要な原材料の原産地表示を義務付けることについて検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づき所要の措置を講ずるものとすること。

 四 米については、主食用、米粉用及び飼料用等用途別に大幅な価格差が存在し、これを利用して不当な利得を得ようと考える事業者が存在することを前提とした上で、横流し等による不正規流通を防止するため、米の流通に対する行政による監視体制を強化すること。

  右決議する。

 以上の附帯決議案の内容につきましては、質疑の過程等を通じて御承知のことと存じますので、説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

遠藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

遠藤委員長 起立総員。よって、各法律案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣石破茂君。

石破国務大臣 ただいまは法案を御可決いただき、ありがとうございました。附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、今後最善の努力をいたしてまいります。

    ―――――――――――――

遠藤委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

遠藤委員長 次回は、来る二十四日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時八分散会


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