衆議院

メインへスキップ



第1号 平成22年2月19日(金曜日)

会議録本文へ
本国会召集日(平成二十二年一月十八日)(月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 筒井 信隆君

   理事 石川 知裕君 理事 梶原 康弘君

   理事 小平 忠正君 理事 森本 和義君

   理事 森本 哲生君 理事 北村 誠吾君

   理事 宮腰 光寛君 理事 石田 祝稔君

      石津 政雄君    石原洋三郎君

      石山 敬貴君    金子 健一君

      河上みつえ君    京野 公子君

      後藤 英友君    佐々木隆博君

      高橋 英行君    玉木 朝子君

      玉木雄一郎君    津川 祥吾君

      道休誠一郎君    中野渡詔子君

      仲野 博子君    野田 国義君

      福島 伸享君    柳田 和己君

      山岡 達丸君    山田 正彦君

      和嶋 未希君    伊東 良孝君

      江藤  拓君    小里 泰弘君

      金田 勝年君    谷川 弥一君

      鳩山 邦夫君    保利 耕輔君

      山本  拓君    西  博義君

      吉泉 秀男君

平成二十二年二月十九日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 筒井 信隆君

   理事 石津 政雄君 理事 梶原 康弘君

   理事 小平 忠正君 理事 森本 和義君

   理事 森本 哲生君 理事 宮腰 光寛君

   理事 石田 祝稔君

      石原洋三郎君    石山 敬貴君

      磯谷香代子君    金子 健一君

      河上みつえ君    京野 公子君

      後藤 英友君    佐々木隆博君

      高橋 英行君    玉木 朝子君

      玉木雄一郎君    津川 祥吾君

      道休誠一郎君    中野渡詔子君

      仲野 博子君    野田 国義君

      福島 伸享君    柳田 和己君

      山岡 達丸君    山田 正彦君

      和嶋 未希君    伊東 良孝君

      江藤  拓君    金田 勝年君

      坂本 哲志君    橘 慶一郎君

      鳩山 邦夫君    保利 耕輔君

      西  博義君    稲津  久君

      吉泉 秀男君    石川 知裕君

    …………………………………

   農林水産大臣       赤松 広隆君

   農林水産副大臣      山田 正彦君

   農林水産副大臣      郡司  彰君

   農林水産大臣政務官    佐々木隆博君

   農林水産大臣政務官    舟山 康江君

   農林水産委員会専門員   板垣 芳男君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十五日

 辞任         補欠選任

  石川 知裕君     松木けんこう君

同日

 辞任         補欠選任

  松木けんこう君    石川 知裕君

同月十九日

 辞任         補欠選任

  中野渡詔子君     磯谷香代子君

  小里 泰弘君     橘 慶一郎君

  山本  拓君     坂本 哲志君

  西  博義君     稲津  久君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     中野渡詔子君

  坂本 哲志君     山本  拓君

  橘 慶一郎君     小里 泰弘君

  稲津  久君     西  博義君

同日

 理事石川知裕君同月十五日委員辞任につき、その補欠として石津政雄君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 国政調査承認要求に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件(畜産問題等)

 平成二十二年度畜産物価格等に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

筒井委員長 これより会議を開きます。

 理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴いまして、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

筒井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に石津政雄君を指名いたします。

     ――――◇―――――

筒井委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 農林水産関係の基本施策に関する事項

 食料の安定供給に関する事項

 農林水産業の発展に関する事項

 農林漁業者の福祉に関する事項

 農山漁村の振興に関する事項

以上の各事項について、実情を調査し、その対策を樹立するため、本会期中調査をいたしたいと存じます。

 つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

筒井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

筒井委員長 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。仲野博子君。

仲野委員 おはようございます。民主党の仲野博子でございます。

 本日は、私の地元、根室管内からJA組合長さんが、民主党の農業政策に期待をしながら傍聴に来られております。赤松大臣初め政務三役から、ぜひとも前向きな答弁をよろしくお願いしたいと思います。

 まず最初の質問でございますが、我が国の畜産経営は、農業経営費に占める飼料費の割合が高く、トウモロコシの国際価格の上昇等に伴う配合飼料価格の高騰により、大変深刻な影響を今受けているわけでございます。さらに、畜産物の価格動向については、景気低迷等を背景として、牛肉卸売価格や肉用子牛価格、豚肉価格等が低下をしているという実態でございます。

 このような中、平成二十年の一経営体当たりの農業所得は、酪農業所得が減少しているという状況であり、肉用牛、酪農、養豚、鶏卵、ブロイラー経営とも、大変その農業コストが増加して、今苦しい状況にあるわけであります。とりわけ、繁殖牛及び肥育牛では、農業所得が対前年比でそれぞれ四三・八%、六八・七%の減少となるなど、畜産、酪農経営の厳しい状況を踏まえ、質問に入らせていただきたいと思っております。

 しかし、現在の経営対策については、例えば加工原料乳生産者補給金制度について、確実に生産コストをカバーできる乳価水準になっているかどうかは制度的に担保されていないといった指摘もあるなど、現行制度について、生産コストの上昇や畜産物価格の下落等の事態に対応できているのかといった疑問があるわけであります。また、制度全体についていえば、マル緊事業や子牛対策を見ても、制度の根本を維持したままでつけ足しの対応を行ってきたまま、複雑でわかりにくいものとなっているわけであります。このようなことから、現行制度の検証に速やかに着手すべきと考えます。

 そして、今回の畜産物価格及び関連対策については、所得補償制度の導入までの当面の対応として、現行制度の枠組みの中で対応せざるを得ないことは理解できるわけでありますが、今後の所得補償制度の導入に向けた道筋をつけるという意味で、今回の対策は非常に重要な意味を持っていると考えるわけであります。

 そこで、畜種別に講じられている現行対策についてどのような認識を持っているのか、そしてまた、今後の所得補償制度の導入に向けた検討、いわゆるタイムスケジュール等について、大臣にお伺いしてまいりたいと思います。

赤松国務大臣 仲野委員には、日ごろから、畜産、酪農行政に極めて熱心にお取り組みをいただいており、また、私どもに対しても適切な御指摘をいただいておりますことに、この場をかりて心からまずお礼を申し上げたいというふうに思っております。

 さて、今御質問でございますけれども、一つは、ことしから始まりました、米、水田作を中心にした戸別所得補償制度、農業分野ではこうしたこともことしスタートができるという方向で今進んでおりますけれども、あわせて、酪農、畜産における大変厳しい今の経営環境、こういう中で、所得補償政策、こういう制度も考えられないかというお話だったと思います。

 その意味で、今この政権は三党体制で、民主党のマニフェスト、マニフェストと言うとまた亀井先生や福島先生からおしかりを受けますけれども、それはともかくとしても、私どもとしては、昨年七月に、マニフェストの中で方向というものをきちっと出しておるわけでございます。生産費と販売価格が恒常的に逆転をしている、幾ら努力してもなかなかこれで生計が成り立つということにならないということでもしあるとすれば、できるだけしっかりとその辺を見ながら、所得補償制度が導入できるように、できれば二十三年度から本格実施の中で組み込むことができないか、今検討をさせていただいておるところでございます。

 現状はどうなっているのかというお話もございました。これにつきましては、畜種ごとにというお話でもございましたので、一つは、肉用牛の肥育経営に関する経営安定対策、通称マル緊と言っている事業でございますけれども、これと、養豚経営に対する肉豚価格差補てん事業、三つ目には、肉用牛繁殖経営に対する肉用子牛の生産者補給金制度、四つ目には、酪農経営に対する加工原料乳生産者補給金制度、五つ目には、養鶏経営に対する鶏卵価格安定対策事業など、畜種ごとの畜産経営安定対策を現在まで講じてきたところでございます。

 こうした畜産における経営安定対策については、セーフティーネットとして有効に機能しているという声も多くいただいておるところでございますので、今後、こういう意見や、冒頭申し上げました米の戸別所得補償制度モデル事業や現行の経営安定対策の実施状況などを踏まえ、畜産・酪農所得補償制度のあり方や導入を検討してまいりたい、このように考えております。

仲野委員 今、この戸別所得補償制度、大変農家の皆さん方も、一体どういうふうになっていくのかと。今年度一年かけてその制度設計等を検証されていくことだと思うんですが、大臣、やはり何といっても現場の声をしっかり踏まえていただきまして、どういった形がいいのかということを、現場の関係者の方々の声をよくお聞きいただいて、より実効あるものとして喜ばれる制度にしていただければなということをお願い申し上げたいと思います。

 次に、加工原料乳生産者補給金制度について伺ってまいりたいと思います。

 いよいよ、来週二十三日、食料・農業・農村政策審議会が開催されるわけでございます。加工原料乳生産者補給金は、乳製品価格の安定、加工原料乳地域の生乳の再生産の確保、酪農経営の安定を図ることを目的に、加工原料乳の生産者に補給金を交付するものであります。本制度は、飲用向け生乳価格に比して価格水準の低い加工原料乳に対して一定の補てんを行うことを通じて、腐敗しやすく需給ギャップの生じやすい生乳について、飲用、加工の用途別の需給、価格の安定を図るものとされております。平成二十一年度は、補給金単価十一円八十五銭、限度数量百九十五万トンとされているわけであります。

 現在の酪農をめぐる情勢は、配合飼料価格が平成十八年当時に比べてまだ高い水準にあり、昨年三月に乳価が上昇したとはいえ、まだまだ農家は飼料高騰の影響を引きずっているわけでございます。一方、景気低迷等により、飲用牛乳の消費の減少に見られるとおり、生乳の需要が減少し、約三十万トンの生乳の需給ギャップが生じ、バターや脱脂粉乳の在庫が増加する見込みとなっているわけであります。

 このような中で、中央酪農会議においては、平成二十二年度の生乳計画生産について、平成二十一年度の実績見込み比一・三%減の約七百五十万トンを上限にし、平成十九年度以来また三年ぶりに減産するというような記事が報じられているわけであります。今回の減産計画についても、需給ギャップを縮小させるものとはいえ、酪農家にとっては、搾りたくても搾れないという状況となり、苦渋の選択になり得るのではないかと懸念するわけでございます。

 酪農家の戸数は、近年、三、四%台で減少してきましたが、二十一年度は五・三%の減少と離農が急激に進んでいる中、こういった減産が続く事態となれば、国内の生乳生産基盤を失いかねません。生乳生産は、言うなれば、蛇口をひねれば出てくるようなものではなく、急激な需要の変化に合わせ急速に拡大や縮小することが難しいという問題もあるわけであります。

 こうしたことを踏まえ、生乳の再生産確保と生産意欲の向上、生乳生産基盤の確保の観点から、この補給金単価十一円八十五銭及び限度数量百九十五万トンについては、ぜひともここは大臣の力強い政治判断で現行を維持すべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。

赤松国務大臣 先生御指摘のとおりに、来週の二十三日に食料・農業・農村政策審議会畜産部会を開催いたしまして、そこで諮問、答申の上、今お話のありました補給金単価についても、あるいは限度数量についても決定をするということになっております。多分、発表は次の二十四日ということになろうかと思います。

 そういう意味でいえば、きょうは関係の方もお見えになっていますし、先生からのせっかくの御質問ですので、どんとお話し申し上げたいんですけれども、では何のための審議会か、それでは諮問、答申を受ける必要はないじゃないかということになりますので、申しわけありませんが、しっかりと先生からはそういう御意見があったということを踏まえさせていただいて、ぜひこうした最終的な決定を図っていきたい、このように思っております。

 今御指摘のように、加工原料乳生産者補給金につきましては、単価は生乳の生産費や物価その他の経済事情等を考慮し、限度数量は生乳の生産事情、飲用牛乳及び乳製品の需給動向等を考慮して適切に算定し、生乳需給及び酪農経営の安定、先ほど再生産できる価格というお話もございましたけれども、そういうこともしっかりと考慮に入れながら対処をしてまいりたいというふうに思っております。

仲野委員 きょう、大臣からどかんと御答弁いただければ本当によかったのかなと思いますけれども、私の質問にその期待をしっかりと込めていきたいと思っておりますので、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。

 次に今求められるのは、やはり何といっても牛乳・乳製品の消費拡大対策が必要ではないのかと思います。中央酪農会議が発表した二十二年度の生乳計画において、急激な減産を回避するため、新たに需要の伸びが期待できるチーズ向けと、輸入調製品との置きかえなどで、売り先が見つかれば生産をふやすことができる選択的拡大生産数量の仕組みを措置するとされているわけであります。

 この牛乳・乳製品の消費拡大の強化に当たっては、今後需要が見込まれる国産チーズや生クリーム等について需要拡大を図っていく必要があり、チーズについては、輸入乳製品全体の七割弱を占め、かつ国内消費量の約八割を輸入チーズが占める状況となっているわけであります。

 このため、国産チーズ向け生乳の供給を拡大するため、政府は二十二年度予算において国産チーズ供給拡大・高付加価値化対策事業を措置するとしておりますけれども、この国産チーズの需要拡大を図っていく上で、特にナチュラルチーズについて、これまでの輸入品との競合という観点からのみならず、地域の特性を生かして付加価値のあるチーズの生産を通じ農業者の所得の向上を図る、いわゆる六次産業化という観点から一層取り組むべき必要があると思います。

 また、安全、安心、高品質など付加価値の高いチーズの生産は、海外乳製品との差別化を図ることにつながり、輸出の促進にも大きく寄与するものと考えます。その一方で、生産者にとっては、このチーズ向け乳価が飲用乳価に比べ大変安いという点がネックとなっているということを念頭に置く必要があると思います。

 このようなことを踏まえ、輸出の促進も視野に入れながら、国産チーズの振興策を今後とも充実強化していくべきと考えますが、ここは佐々木政務官にお答えをいただきたいと思います。

佐々木大臣政務官 今、仲野先生から御質問をいただきました。先般、私も北海道を視察させていただき、現場の皆さん方、生産者の皆さん方の声も聞かせていただき、先生の御地元にもお伺いをさせていただきました。

 今、既に仲野議員から御指摘をいただきましたけれども、飲用乳、乳製品全体に消費が非常に減少をしてございまして、そういった中でチーズというのは需要が期待をできる分野でございますので、今御指摘がありましたように、輸入品が国内消費の約八割を占めているというような状況から、ここの置きかえ、輸入品と国産の置きかえなどということをまず進めていくことが重要であるというふうに、御指摘のとおりだというふうに思います。

 そのために、今お話もございましたが、平成二十二年度の一般予算において、チーズ向け生乳の供給拡大数量に応じた奨励金を交付する、これは供給側でございます。それと、国産ナチュラルチーズの製造技術の向上に必要な人材の育成のための研修や機材整備等に対する補助などを行う、今お話がありました国産チーズ供給拡大・高付加価値化対策事業、これは新規にことし一般予算で措置をさせていただきたいというふうに思っているところであります。本年度の予算で約二十九億円、予算を措置しようとしているところでございます。

 以上です。

仲野委員 今、チーズと並んで、生クリームなどの液状乳製品、発酵乳向けの生乳の生産拡大も、これまた重要な課題となっているわけであります。

 これまで、チーズや生クリームなどを含めて生乳需要構造改革事業が措置されておりました。しかしながら、今年度で終了することになっております。牛乳・乳製品の消費拡大の観点から、この液状乳製品、発酵乳向け生乳の供給拡大対策を引き続き実施すべきと考えますが、佐々木政務官、見解を求めたいと思います。

佐々木大臣政務官 今委員御指摘のとおり、生乳需要構造改革事業は、二十一年度で事業が終了いたします。終期を迎えます。このうちのチーズについては、先ほど申し上げました国産品と輸入品の置きかえ、ここのところを中長期的な視点から、まず着実に進めてまいりたいというふうに思ってございます。それと、二十二年の一般予算において、先ほど申し上げましたチーズの供給拡大・高付加価値化事業、措置をさせていただきました。

 一方、景気低迷による需要の減少傾向という状況に今置かれてございまして、二十二年度の需給見通しでも需給ギャップが約三十万トンになるのではないかというふうに見込まれてございます。

 これらを踏まえて、まずは生産者の自主的な取り組みということが前提になりますが、今度は需要側をどう拡大していくかということが重要になってまいります。生乳需要の創出対策等、必要な対策を検討していかなければならないと考えているところでございます。

仲野委員 ぜひ、今、液状製品等についても関係団体の方たちから、何とか対策を講じていただきたいということでありますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 次に、自給飼料対策の見直しについて伺ってまいりたいと思います。

 政府はこれまで、国産飼料に立脚した畜産の確立のため、二〇一五年までに飼料自給率を三五%までに上昇させることを目標に、水田や耕作放棄地、食品残渣などの資源の有効活用による国産飼料の生産、利用拡大を推進してまいりました。

 しかしながら、この飼料自給率が昭和六十年以降二五%前後で推移している状況にあり、自給飼料生産が増加しない理由として、購入飼料が安い価格であることから、購入飼料を使用することによって経営上の合理性があるとされる一方で、水田における米を含めた飼料穀物生産の可能性を追求してこなかったとの指摘があることも、また事実であります。こうした指摘を踏まえつつ、農家が自給飼料生産に継続して取り組むためには、十分なインセンティブを与える必要があります。

 こうしたことを踏まえまして、私ども民主党は、六次産業化ビジョンにおいて、輸入飼料に依存した畜産、酪農から転換し、資源循環型で環境負荷低減に資する自給飼料体制への転換を掲げ、その実現のため、現行の自給飼料、耕畜連携対策の見直しを行おうとしていたところでございます。

 これまでの規模拡大路線で生じた施設整備等にかかわる負債の問題や、自給飼料の給餌方法などの技術、使用面での対応など、その解決には時間を要する課題も多くあります。このため、中長期的な視点に立って国が支援していく必要が十分あると考えるわけであります。

 民主党がこれまで掲げてきた自給飼料への転換に向けた方向性を踏まえ、今後の飼料対策の考えと、短期及び中期的な対応策についてどのようにお考えになっているのか、また佐々木政務官に見解を求めたいと思います。

佐々木大臣政務官 今、委員御指摘いただきましたが、特に北海道においては自給飼料が大変大きな役割を占めてございます。国産飼料の増産によって、飼料の生産基盤に立脚した足腰の強い畜産経営というものを実現させていかなければなりません。現行の食料・農業・農村基本計画においても、今、御指摘がございましたが、飼料自給率について二四%から三五%に引き上げるという目標を設定させていただいているところでございます。

 飼料増産を進めるに当たっては、今、委員の短期的、中長期的という御指摘でございますので、短期的には、新たな飼料資源の生産、利用の拡大を進める。

 具体的には、飼料用米等の生産拡大、それから草地の更新などによる生産性の向上、さらにはまた食品残渣の飼料化など、それから耕作放棄地の放牧利用等、今、委員御指摘のインセンティブのある施策を重点的に推進してまいりたいというふうに思ってございます。

 また、中長期的な推進についても、現在進めております基本計画の見直しの中で飼料自給率のあり方について検討しているところであります。

 幾つかございますが、民主党が提案をしてございました資源循環型の飼料や耕畜連携による持続的な飼料の生産、それから飼料作物の品種や体系など技術の開発普及による生産向上、そして生産効率にすぐれた飼料の生産基盤の確保、それからコントラクターなど飼料の生産組織の育成や効率的流通体系の構築等について、中長期的には進めていく必要があるというふうに認識をしているところでございます。

仲野委員 今、草地改良等も大変重要であると政務官お答えいただきました。実は、酪農経営を維持する上で飼料基盤の改良が本当に重要であることはもうだれもが承知であるわけでありますが、私の地元では、JAが実施主体となり、強い農業づくり交付金などを活用して草地基盤の確保に取り組んでまいりました。JAみずからが事業実施をすることで事務費の経費を抑えることが可能となり、酪農生産基盤の確保に取り組んできたところもまた事実であります。

 しかし、この強い農業づくり交付金について、このたびの行政刷新会議の事業仕分けにより、昨年度の半分、百四十四億円に減額されました。先ほども申し上げましたが、飼料自給率を向上させるためには、自給飼料生産には農家に対する十分なメリットを与える必要があるとともに、地域の実情を考慮しつつ、使いやすく、地域や農業者の自主性が発揮できる対策が必要と考えます。

 あわせて、草地の改良の推進に向け、そしてまた民主党の六次産業化ビジョン政策、インデックス二〇〇九において、大変好評である中山間地域直接支払い制度を法律に基づく措置とすることも掲げてまいりました。この制度の恒久化に向けた取り組み方針について、大臣にお聞きしたいと思います。

赤松国務大臣 恒久化の視点でというお話がございました。

 今、農業につきましても、あるいは畜産につきましても、なかなか努力しても、生産要件等が不利なためにどうしても赤字になってしまう構造的な問題があるというような中で、いろいろと施策を恒常的にやっていくということについては必要だというふうに思っております。

 具体的にいろいろ御指摘をいただければ、今の先生の意向を受けながら、また最大限努力をしてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

仲野委員 ぜひとも、この中山間地域支払い制度の事業というのは全国、農家を経営される方たちに大変好評を博しているので、何とかこれは恒常化していくということで、よろしくお願いをしたいと思います。

赤松国務大臣 これは、きのうの予算委員会でも実は自民党からも出たんですけれども、前政権に比べても、二百六十五億ということで三十億円ぐらい積み増しをしております。

 そんな意味で、こういう形での中山間地、先ほど申し上げましたように、基本的に耕作に不利な条件のもとで頑張っておられるし、そういうところはまた高齢農家であったり、あるいは兼業農家であったり、そういうところも多いというのも実態でございます。

 ただ、一つ言えることは、そういう中山間地に直接支払いの形で残していくことの方がいいのか、あるいは、もう少し戸別所得補償制度みたいな形で全体の制度の中に組み込んでやっていくことの方がいいのか、これは引き続き検討はしていきたい。大規模な協業化されたそういうところと同じ条件で頑張れといっても、これは無理ですから、何らかの形でのそういう対策が必要だ。その前提で、ただ、今のような直接支払いがいいのか、あるいは、全体の制度、大くくりの戸別所得補償制度の中でそういう特別な地域に対する配慮を織り込んだ、そういう仕組みがいいのか、これは今後検討していきたいと思っております。

仲野委員 時間もなくなってまいりましたので、最後の質問に入らせていただきたいんですが、酪農ヘルパーについて伺ってまいりたいと思います。

 酪農ヘルパーというのが営農されている方たちに大変重要な役割を果たしているということで、今、ヘルパー全国協会の調査によれば、一戸当たりのヘルパー利用日数が年間十七日となっており、休暇のため二週間から二十日利用する酪農先進国にはとても及ばない状況にあると言われているわけでございます。

 このようなことを踏まえて、ぜひとも、この酪農ヘルパーは生乳の生産基盤の確保のためには必要不可欠なものと考えるわけでございます。ヘルパー側における待遇の改善、就農、技術向上等への支援と、酪農家側における利用しやすい環境づくりへの支援の両面について、酪農ヘルパー利用拡大推進事業の平成二十二年度以降の取り扱いを含め、その支援を充実させていくべきと考えますが、佐々木政務官、御答弁をお願いいたします。

佐々木大臣政務官 酪農ヘルパー事業、私も現地の皆さん方のお声、意見交換をさせていただいた中でも、大変需要が多くて、ぜひ充実をさせていただきたいというお声はたくさんいただいてまいりました。

 酪農という事業、仕事柄、周年の拘束性が強いというような特徴を持ってございますので、休日確保のために平成二年度から全国で組織化をして推進してきたわけでありますが、一戸当たりの利用日数は増加をしている傾向に今もございます。

 そういった中で、現在、利用促進のために、一つには、ヘルパー要員の養成、それから、疾病時の場合が特にそうなのでありますが、互助制度などを利用して組織化をする支援、それから、そういったことの対策を含めて二十一年度予算でも実施をしていきたいというふうに思ってございますし、必要性は十分認識してございますので、畜産物価格の決定とあわせて、しっかりと検討してまいりたいというふうに思ってございます。

仲野委員 大臣初め政務三役の皆様方、これからの日本の将来の農業をやっていく上で、本当に、若い方たちが夢と希望を持てるような明るい農業をしっかり経営できるように、安定した農業政策を講じていただくように心からお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 本日はどうもありがとうございました。

筒井委員長 次に、道休誠一郎君。

道休委員 おはようございます。民主党の道休誠一郎でございます。

 まずは、きょう御列席の赤松大臣、山田副大臣、佐々木政務官初め政務三役の皆様の御尽力に対して敬意を表したいと思っております。

 私は、昨年の政権交代を実現した選挙で国民の皆様の御支持をいただいて国会に送っていただいた新人の一人でございますけれども、ことしは、鳩山政権にとっても、そして我々新人議員にとっても、政権交代を形にする、本当に政治を進化させる大事な年だと思っております。こういう認識に立ちまして、私は以下質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 来年度予算案には、マニフェストにうたわれた、食料自給率の向上を図り、農業と地域を再生させるための戸別所得補償モデル政策が予算化されております。いよいよ日本の一次産業再生が始まると期待しているところでございます。

 加えて、マニフェストには、畜産・酪農業、漁業に対する所得補償と林業に対する直接支払い制度の導入を進めるとありますけれども、畜産分野において、このマニフェストの実現に向けてどのようなことをお考えになっているか、まずは、基本理念等につきまして赤松大臣の御答弁をお願いしたいと思います。

赤松国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。

 戸別所得補償制度につきましては、民主党のマニフェストの中で、本格実施は二十三年から、そして二十二年はとりあえずモデル事業を始めるということが明記されておるわけでございまして、どこから始めるかということで我々もいろいろ検討いたしましたけれども、まず農業、しかも、百八十万戸を超える、利益率とかそういうことでは別ですけれども、数としては一番一般的なお米、水田作からまず始めていくというところでスタートをしたわけでございます。

 いろいろ議論はありましたけれども、中身等を教えをいただく中で、今まで四十年間、日本の農政に反対し続けて、減反政策なんか従うかと言っていた人たちまで含めて、こんな制度であればぜひ参加したいということで、生産数量目標をきちっと守りますという形でのこうした参加が今見込まれるということで、大変期待も集めているところでございます。

 ぜひこのモデル事業、米を中心にした、水田作を中心にしたものを成功させて、そしてその後、今、畜産、酪農、そしてまた水産業等からも、ぜひ二十三年度の本格実施の中で入れてもらいたい、あるいは畑作のところからも、ぜひ水田だけじゃなくて畑作の方も入れてほしいというような御意見もいただいております。

 そういう意味で、畜産、酪農につきましては、基本的に戸別所得補償制度というのは、生産費と販売価格が逆転している、恒常的にそういう構造になっている、そこに対して国の政策として、国の責任としてしっかりそれを支えていこうという思想でございますから、その意味で、ぜひ、今回のこの三月に行います、審議会の答申を受けて私ども新しい方向を出すわけですけれども、単に今のことについて、お金を幾ら出すとか、どれだけの量を保つとかいうにとどまらず、制度全体を見直して、もう少し簡素でわかりやすい、使いやすい、そういう制度に変えていく。その中で、しかし二十三年の戸別所得補償制度につながるような、そういう中身に、まず第一歩としてこの三月、そういう方向を出していきたい、こんなことを思っております。

道休委員 どうもありがとうございました。

 ただいまの大臣のお考えを私どももしっかり理解した上で、政策の実行について頑張っていこうと思っております。

 続きまして、個別の問題についてお尋ねしていきたいと思っております。

 まずは、肉用の牛対策でございますけれども、黒毛和種子牛対策については、現行生産者補給金制度、生産拡大奨励事業、資質向上緊急支援事業の二階建て、三階建ての非常にわかりにくい制度があるという現場の声がございます。この制度の有効性については現場も認めるところでございますけれども、この現場の声を副大臣はいかように考えていらっしゃるか、御答弁をお願いしたいと思います。

山田副大臣 道休委員の宮崎とか九州において……(発言する者あり)そうか、間違えました、失礼。最近、子牛価格が一時よりも非常に低迷しておりまして、畜産農家も大変困っているのは私どももよく存じておるところですが、先ほど申し上げましたように、法律に基づいて肉用子牛の生産者補給金というのがあって、それに、いわゆる生産拡大奨励金事業と子牛の資質向上事業と、二段、三段と重なっているわけです。

 これを、法律に基づくものは、いかんせん今のところ法律を変えない限りしようがありませんので、二段、三段の部分をできるだけ簡素に、補完している部分をシンプルにして、そして、何とかそういう適用の方向で考えたいなと、今、大臣含め政務三役で検討しているところです。

道休委員 どうもありがとうございます。

 今おっしゃいました、本当にわかりやすく、実効性のある制度の導入に向けて御尽力いただきたいと思います。

 続きまして、副大臣にまたお伺いいたしたいと思います。

 実は、これはきょうの新聞なんでございますが、大きな活字が躍っております。この活字が大きいということは、現場が期待していますよということの象徴であると思うのですが、今年度で終了することになっているいわゆるマル緊事業と補完マル緊事業については、いかにお考えでしょうか。

 現場には非常に継続を求める声が強くあります。仮に見直し等をされるようであれば、やはり生産者の負担が増加してはいけない、そして支援水準が低下してはいけない。我々民主党議員としましては、民主党政権になって、いや、ちょっとまずいよねというような制度を導入されることは非常に、やはり現場の声が届いていないんじゃないかという誤解を招く可能性がございますので、この点について御答弁をお願いしたいと思います。

山田副大臣 私も九州の方で、マル緊制度について、肉牛経営者ともいろいろ会ってまいりましたが、確かに、もうマル緊制度がなくなるんじゃないかとか、どうなるのかと今不安を感じているようです。

 しかし、私ども、このマル緊制度そのものが肉牛経営に非常に安定的に、非常に効果的に機能してきたことというのは本当に大事にしたいと思っていまして、引き続き継続したいと思っております。

 ただ、いわゆるマル緊制度そのものが、粗収益の家族労働費、これの八割の補てんと、また、飼料価格が上がったりして物財費が急騰いたしましたときの物財費部分についての、補完マル緊と称して、六割補てんしているわけです。やはりこういった複雑な仕組みになっておりまして、これをできるだけシンプルにして、できるだけ一本にして、このマル緊制度そのもの、そして、本当に利用者が利用しやすいように、かつ弾力的に運用できないか、そういった検討を、審議会の答申をもって二十三日に決めさせていただきたい、そう思っているところです。

道休委員 どうもありがとうございます。

 やはり制度を導入していただきましても、制度はあるけれども実際に機能しない、こういうケースは多々あるわけです。こういう実効性のない制度についてはできるだけ排除していただくという方向で御対応願いたいと思っております。

 また、あわせて、いわゆる肉用流通安定対策についても、継続の声があることをつけ加えさせていただきたいと思っております。

 次に、養豚対策についての質問をさせていただきます。

 肉豚価格差補てん緊急支援特別対策事業に対しては、これは生産現場から非常にありがたいという高い評価を得ておりますけれども、これも今二十一年度で終了しますが、この肉豚価格差補てん緊急支援事業の、地域によっての運用がばらばらで使いにくいというようなこともあります。画一的で公平な制度の確立が必要であると思いますけれども、この点、いかがでしょうか。

 また、鶏卵価格差補てん事業についても、基準価格の適正な設定が必要と思われますけれども、あわせて副大臣の御見解をいただきたいと思います。

山田副大臣 今、肉豚については、昨年、四百円の基準価格を割るというようなこともあって、肉豚経営の倒産が続いた。自殺者も出るような状況も出て、直ちに、大臣の指示もあって、調整保管から、いわゆるその肉豚価格安定についての供給をしたわけです、今やっているわけですが。この事業が一応ことしで終わりますので、それについてもう一度、本当にいわゆる生産コストに相当する価格を下回った場合にそれを補てんする制度で、各地域によってそれぞれ違っておりますが、場合によっては全国的に統一した形でそれができないかどうか、そういったことも含めて検討していきたい。

 卵価についても同様に、今、卵価の安定基金についても、もう底をついてしまいました。新たにもう一度、制度そのものの見直しも含めて、審議会の部会の答申を待って検討していきたい、そう考えております。

道休委員 どうもありがとうございます。

 現場の本当にせっぱ詰まった声というのにできるだけ直接耳を傾けていただくことによって、本当に生きた制度をおつくりいただきたいと思います。ありがとうございます。

 今まで私は価格下落対策について伺ってまいりましたけれども、やはり畜産業の安定的な発展というのは、生産基盤の確立に加えて、いわゆる出口戦略ですね、六次産業化とも言われておりますけれども、やはり消費の拡大が必要であるということは、これは不可欠でございます。

 この消費の拡大についていかに対応しようとされているのか、これは佐々木政務官にお願いしたいと思います。

佐々木大臣政務官 今、道休委員御指摘のとおり、いわゆる供給側の対策とあわせて需要側、出口の対策がしっかりしていなければいけないわけでありまして、しかしながら、現在の状況の中においては、酪畜両方ともですが、消費が減退傾向にあり、あるいは価格が低下傾向にあるというような状況であります。

 牛肉を中心とした国産食肉の卸売価格というのは特に低下をしておりまして、これまで以上に、国産食肉を食べていただく取り組みというのは極めて重要でございます。

 そのために、平成二十一年度においては、国産食肉需要構造改善対策事業を実施させていただきましたが、新たに生産者団体による国産牛肉の販売強化の取り組みについても支援をさせていただいてきたところであります。

 また、二十一年度の補正予算においては、学校給食における食肉等の地場農畜産物の利用拡大を支援する学校給食地場農畜産物利用拡大事業を、これは原材料費の二分の一の補助でございますが、実施してまいりました。

 二十二年度については、畜産物価格の関連対策、今、答申を受ける中で取り組みの重点化を図り、同時に効果的な消費拡大を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

道休委員 ありがとうございます。

 国内政策については、今御検討されているという案件につきまして深掘りを日々進めていただきたいということをお願いして、先ほど江藤議員からもお声がございましたけれども、実は私は宮崎県の出身でございまして、宮崎県は、江藤議員初め、江藤議員のお父様であられました故江藤隆美先生の御尽力もございまして、宮崎牛のブランド化というのが非常にうまくいきました。宮崎牛、日本一というお声をいただいておるんですが、今、JA宮崎グループのミヤチクという会社がございますけれども、このミヤチクというところが、アメリカや香港、マカオ、最終的には巨大な市場である中国市場、そして中国を超えて世界じゅうへという意気込みでこの宮崎牛の輸出をやっていらっしゃるわけです。

 このような海外市場の開拓というものについては、これは当然各県やっていらっしゃるわけですけれども、やはりジャパン・ブランドの確立というのが本当に必要である。

 私も海外で仕事をしておりまして、海外で、日本の食べ物はすばらしいと。前麻生政権は、アニメというのを非常に強調された。確かに日本のアニメーションも人気がございます。しかしながら、一方で、海外の皆さんの生活の中で、日本の食品そして食料基準に対する評価というのは、非常に高く評価されている。これは我々日本人が思っている以上に高い評価を受けていると思います。

 御案内のとおりに、私がここで言うまでもございませんけれども、過去、日本は製造業が、メード・イン・ジャパンということで、バブル崩壊の直前それからその直後あたりは、もうメード・イン・ジャパン・イコール世界水準であるということで、世界水準を確立することに成功しました。昨今、金融とかサービスの分野ではアメリカが、アメリカ基準をグローバル基準化する、グローバリゼーションという名のもとに世界に広げて、市場を非常に席巻していったという事実がございます。

 私は、個人的には、恐らく今までの、今トヨタさんは非常に苦しんでいらっしゃいますけれども、トヨタやソニーという製造業の会社が日本を代表する時代は終わったのではないかというふうに思っております。非常に厳しい世界の競争の中で日本が生き残る道というのは、やはり農産品あるいは農業技術を世界基準化するということが恐らく一つの方法ではないかと思っております。私は確信しております。プロダクト・オブ・ジャパンという日本産品が、日本畜産品の安心、安全というこの優位性を活用しながら日本基準を世界基準化していく、ここに日本の生きる道はあると思っております。官民一体となっての一層の努力を求めるところでございますけれども、この点について、政務官はいかがお考えでございましょうか。

佐々木大臣政務官 今、大変積極的な御提言をいただきました。

 産品もさることながら、もう一つはやはり日本の技術力だと思うんですね。そういった両方を、やはりしっかりと海外へ貢献をしていかなければならないというふうに思っています。

 実は、昨年の十二月に閣議決定をさせていただきました新成長戦略(基本方針)、ここでも、農林水産物、食品の輸出については、「特に潜在需要が高いと見込まれる品目・地域を中心に検疫協議や販売ルートの開拓に注力し、現在の二・五倍の一兆円水準を目指す。」ということを決定させていただいてございます。

 具体的な取り組みといたしましては、需要の見込まれる国と地域ということになれば、例えばロシア、中国などというところも視野に入ってくるわけでありますが、これらの輸出解禁に向けた働きかけをやってまいりたい。それから、相手国の衛生条件が違いますので、これに対応した食肉処理施設の整備等の支援などについても重点を置いて実施していきたいというふうに思ってございます。

 また、今、道休委員の地元でありますところも含めて、和牛でございますが、和牛については、国内でもブランド化の推進ということはもちろんでありますけれども、国内だけではなくて、海外においても確固たるブランドとして定着をさせていくために、実は和牛の統一マークというものを策定いたしまして、商標登録も今申請中でございますが、海外の消費にアピールをしていきたい、こう考えているところでございます。

道休委員 どうもありがとうございます。

 特に今政務官がおっしゃいました商標登録とか、こういう分野においては、我々日本人は非常に根が穏やかなものですから、国際社会では手がおくれてしまう、打つ手が遅くなるということもございます。この辺についても配慮をしていただきたいと思います。

 また、今お話のありました海外市場については、中国やロシア、そしてインド、非常に巨大市場だけに、人口の多いところだけに力が入ってしまう。残念ながら、私、現実を見ていますと、もう中国のマーケットはいわゆる買い手市場のマーケットになってしまって、各県がいろいろな産品展をやるんですけれども、どれだけ補助が出るのという話をまずしてくるような、足元を見られたような状態にもなっていることも事実でございます。これらの巨大市場以外にまだ、世界の胃袋は非常に大きゅうございますので、ほかの地域にも重点的に御配慮いただけたらと思っております。民主党には、私が議員になる前に、ガソリン値下げ隊というのがあったやに聞いておりますけれども、私は、個人的な気持ちとしては、日本の食品売り込み隊というのをつくって、世界のマーケットをやっていきたい、それくらいの意気込みでおりますので、よろしくお願い申し上げます。

 最後に、赤松大臣にお聞きしたいと思います。

 ちょっと話が大きな、ブロードな話になるんですけれども、国家戦略として食料自給率を引き上げる。これは本当に、食の安全保障確保という、非常に我々にとっても大事なことでございます。

 現在、農業の現場、畜産業の現場においては、いわゆる就労人口の高齢化というのが非常に進んでおりまして、後継者づくりというものが大事でございます。新規の方々がマーケットに入ってくるというのも大事でございますけれども、やはり教育というものがまず、農業は私、自分はやったことはありません、家庭菜園で大根とかニンジンをつくった程度でございますけれども、それでも大変な苦労をした。やはり農業というのは、非常に特殊性のある、高い知識と技術を必要とされる分野でございます。

 今、宮崎県にも宮崎県立の農業大学校というのが長年の歴史を誇ってあるんですが、農業後継者の育成に努力しております。こういう全国に多々ある農業大学校を含めた教育施設の有効活用、いわゆる後継者づくりにどういうようなお考えをお持ちか、大臣の御見解を伺いたいと思います。

赤松国務大臣 大きな視野でというお話で、まさにそのとおりだと思っております。

 今、世界でいろいろな紛争が起きていますけれども、みんな、宗教戦争だ、民族戦争だと言っていますが、実は食料をめぐる争いが一番多いわけで、食料を十分に供給できないような大統領は、ハイチもそうですし、マダガスカルもそうですが、暴動が起きたり、あるいは政府さえ倒されてしまう。そういう状況で、この間もNHKで「ランドラッシュ」という、見られた方もあると思いますが、自国の農地が足りない、外国に行って、どんどん世界各国で農地を争って押さえに入っている、韓国、中国、インド、そういうところがそういうことをやっているというのが出ていました。

 そういう意味で、各国が、やはり自国の少なくとも過半数以上の食料はきちっと賄えるようにしていこうというのが世界の当たり前の流れでございますし、そのためには、ヨーロッパなんかはそうですが、農業所得の九〇・九五%、みんなそれぐらいの率で所得補償をしているというのが実態でございます。日本の場合は一四%ぐらいだと思いましたが。そういう意味で、もっともっと日本も農業や第一次産業に力を入れて当たり前だというふうに思っています。

 それからあと、後継者問題の話がありました。

 私は、リタイアされた人たちが、高齢の人たちが、趣味だとか本当に身近なところでやっていただくのはもちろん結構です、大賛成です。しかし、本当にそういうリタイアした人たちで日本の農業が将来にわたってきちっと担っていけるのかというと、これは無理なんですね。やはり若い人たちが、ちゃんとした技術を持ってしっかり、しかもそれは生計が成り立っていく形で、業として農業を営んでいただく、取り組んでもらうということでなければ、私は日本の農業の将来はないというふうに思っております。

 そういう意味で、道休委員御指摘のとおりに、それは農業大学校という形もあるでしょう、あるいは、農業法人でしっかり技術を学ぶ、体験をする、そして今度は自分がオーナーになってやっていくという方向もあると思いますけれども、若い人たちが積極的にこうした分野に入ってこられるような、そういう仕組みをぜひつくっていきたい、こんなことを思っております。

道休委員 どうもありがとうございます。

 今大臣から御意見をお伺いしたわけですけれども、やはり私は、農業問題というのは、鳩山政権でうたっていらっしゃるチャレンジ25という大きなテーマがございます。これは環境の問題とも非常に密接に関係してくるわけですけれども、農業の活性化というのは、いわゆる日本の地方を元気にする、あるいは日本の社会全体をつくりかえていく。過去、日本の産業経済政策は、いわゆる製造業や大都市を中心とする輸出志向型の産業政策、これは確かに成功しました。しかしながら、現在の経済の状況あるいは地球環境の状況というのは、その政策を改めなきゃいけないというような警鐘を発しております。

 農業政策は、本当に農業だけでなくて、日本を元気にする、そして地球を救う、それくらいの大きな大きなテーマに我々は今携わっているという認識を持ちながら、日本の地方を元気にすることが日本を再生し、そして日本の平和への国際貢献、日本は平和憲法を持っております。その平和憲法を、農業という実業の分野で世界的な平和に貢献していくという大きな課題を抱えていると思います。

 私ども、その目標に向かって、政務三役ともども、ここにいらっしゃる議員さん、自民党さんも同じだと思います、各野党さん、皆さん一緒だと思います。我々は、日本の農業を世界に冠たるものにしていく、そしてそれが世界の平和につながるということを確認させていただきまして、若干時間が残っておりますけれども、これで私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

筒井委員長 次に、江藤拓君。

江藤委員 引き続きまして、宮崎県の江藤拓でございます。(発言する者あり)ありがとうございます。味方の応援が少ないから、私にも声援を送ってください。

 本日は、畜酪対策について開かれたこの委員会でございます。しかしながら、来週決定される畜酪対策だけで畜産、酪農は成り立っているわけでは当然ありません。しかるべき予算措置がまずなされて、そして現下の厳しい経営環境を十分考慮して決定されるのがこの畜産、酪農対策であります。ですから、本題に入る前に、今回、今、国会で提出されております予算につきまして通告してございますので、まず冒頭に質問を若干させていただきます。

 覚えていらっしゃると思いますけれども、私は、昨年の臨時国会の場におきましては、大臣を初め政務三役の皆さん方に対してはエールを送らせていただきました。頑張ってください、期待しておりますとエールを送らせていただきました。私は戸別所得補償方式が正しいとは今も全く思っておりません。全く思ってはおりませんが、しかしながら、新政権が政治主導でこれから農政に責任を持ってやっていくというかたい決意を述べられましたので、私は、この委員会におきましては私たちの意見も取り入れていただいた上で建設的な議論の場としたい、そう思いましたものですから、そのような発言をしたわけであります。

 さらに、私はこうも申し上げました。民主党政権であれ自民党政権であれ、農林水産業が守られるのであれば、政治は結果がすべてでありますから、それでよいと思っています、そう申し上げました。これも政務三役に期待の言葉だと受け取っていただきたいと思います。しかし、これに対しましては、自民党の先輩議員からは若干おしかりをいただきました。褒め過ぎだ、攻めが甘いというふうに怒られましたけれども、しかし、その気持ちは今も全く私は変わっておりません。

 そして、さきの委員会で、私は、概算要求について、そしてまた農道整備事業の廃止の問題、事業仕分けの問題、誠実に御答弁をいただきました。大変ありがとうございました。

 そして、この概算要求について、大臣はこのように御答弁されました。これはもう議事録そのままでございます。私どもとしては、自信と確信を持って出した来年度に向けての概算要求ですので、ぜひこれが本来の形で御理解いただけるように、さらに努力してまいります、そうおっしゃっていただきました。私はそのときには元気づけられました。そして、続きまして、農道整備事業、さらには農地集積、基盤整備も強力に推進していかれるんですねとお尋ねしましたら、大臣には御答弁を求めませんでしたけれども、御着席のまま、大きな声で、はい、結構でございます、そのとおりですと力強く声をかけていただきました。

 私は、質問を終えまして、確かに少々生ぬるかったかなという気持ちもある反面、ある意味、自公政権が行ってきた農業政策をすべて否定するわけではなくて、改めるところは大胆に改め、そして残すところは残していくという政権の姿勢なんだなというのが、私のこの間の委員会での感想でありました。

 しかしながら、ここからちょっと厳しくなってまいります。今年度予算を見てみますと、基盤整備事業は全体で三千三百八十八億円減少、新たに農山漁村地域交付金を一千五百億円創設したとおっしゃいますけれども、これでも半分に届きません。御存じのとおりでございます。畜産、酪農の基盤整備に大きな役割を果たしてきた強い農業・担い手づくり交付金は、前年度は二百四十四億円でございました。今年度は百四十四億円になってしまっております。マイナス百億円、これは大変な減額ですよ。

 北海道に行ってまいりましたけれども、このことにより、さまざまな将来に向けて計画してあった事業、これが今頓挫しつつあります。あきらめなきゃしようがないなという声を聞いてまいりました。これは悲痛な声です。現場の声ですから、しっかり受けとめてもらいたいと思います。

 草地基盤整備事業のうち畜産担い手育成総合事業も九十三億円から約三十八億円へと五八%も削られてしまいました。私の宮崎県では、この事業によって四つの地区で新たな事業展開を計画しておりました。こういうことになってしまいますと、大体一億四千万ぐらいいただけるんじゃないかと思っていましたが、大体七千万を切るんじゃないか。そういうことであれば、県が減額部分を負担するのか、もしくは事業自体をあきらめるか、それしか選択肢はない、何とかしてくれという悲痛な声が私の宮崎県からも上がっております。

 しかも、政治姿勢が悪いという全く理解不能な理由で土地改良の予算は半減されてしまいました。先ほどから北海道の先生方の御質問を聞いておりましたけれども、土地改良は北海道なら特に大事なんですよ、特に。草地改良も必要ですし。今年度予算を見る限りにおきまして、畜産、酪農の振興、一次産業の再生、六次産業化、そんなことを皆さん方は言われますけれども、そのような内閣の姿勢を私は予算の中から読み取ることは、残念ながら全くできませんでした。

 特に、土地改良の予算が削られたことを小沢幹事長が一刀両断でやったときに、筒井委員長はそのときに、幹事長にかみついて、食い下がって、その必要性を訴えてくれた、粘ってくれたというふうに漏れ伝え聞いております。ありがとうございました。非常にいい筆頭でございました。(発言する者あり)委員長か。前は筆頭だったじゃないですか。自民党大先輩の野中先生も、土改連会長という立場で、自民党公認候補を擁立することを断念してまで予算の復活を求めましたけれども、ゼロ回答でありました。

 大臣、あなたは、何度も申し上げましたけれども、農林水産行政の最高責任者なんです。こういうことをやられて、小沢幹事長に、例えばどなり込んでいって、異議申し立てなどをされたんですか。前の質問で私はちゃんとお願いをしてあります。農林水産行政の最高責任者は大臣でいらっしゃいますから、時には党とも決然とした態度で闘ってくださいとお願いしたじゃありませんか、私。そのとき大臣は答弁席でうなずいていらっしゃいましたよ、こうやって。そのとき私はうれしかったんです。うれしかったんですよ。そのような御努力を大臣はされたか、されなかったのか、まずお答えをいただきたいと思います。

赤松国務大臣 いろいろな見方があると思いますが、ただ、基本的には、これは予算のことでいいますと、別に小沢幹事長が、これを何千億に、これだけしろとか、するなとか言ったわけではないと私は理解しています。

 ですから、予算の概算要求をやったときに、あるいは事業仕分け等の中で、よく私は例に出して言ったんですけれども、例えば農業共済の額を多過ぎるから三分の一減らせと。しかし、そのやった人たちは、本当に二分の一が国庫負担ということを知っているんですかと。知っていたらできないんですね、そんなことは。成り立たないわけですから。だから、そういうようなことのときに、事業仕分けでこれはばっさり三分の一切るんだと言われたときに、これはおかしいだろうということで、藤井財務大臣とちょうちょうはっしやる、あるいは当時の仙谷行政刷新担当大臣とやって、これはおかしい、もとへ戻せ、これは鳥獣被害についてもそうですけれども、そういうことはやりました。

 それからもう一つは、ただ、新しい内閣の方向として、コンクリートから人へと。コンクリートすべてを否定するわけではないけれども、無駄な公共事業と言われるようなものについては極力削減をして、そして、もっと直接従事しているその人たちの懐にお金が入っていく、直接支援のできるような、そういう仕組みに変えていこうということです。今回も、確かに先生御指摘のとおりに、公共についてはかなり大きな形で減額をされていますけれども、反対に、今度は非公共の部分では、例の戸別所得補償の五千六百十八億のこともあり、これは一一四・何%だと思いましたが、ぐっとふえているということです。

 とにかく、配分は変わりましたが、全体では九四、五%になったと思いますが、そんなところでとめることができたということです。ただ、非公共については、昭和六十年度以降これだけの額になったのは、実は農水省は初めてでございまして、農水省の職員の連中は万歳して喜んで、よく大臣やってくれた、よくこれだけ予算を認めさせてくれたといって喜んでいるということも事実ですので、ぜひその点も御理解をいただきたいと思います。

江藤委員 質問を上手にはぐらかされてしまいました。

 とにかく、国民は幹事長が牛耳っているとみんな思っているんですよ、現実問題。違うとおっしゃっても。

 闘ってくださいよ。若手の議員さんたちが政審の復活を今訴えているでしょう。大事ですよ。政審をぜひぜひ復活して党内議論をすること、それが政党政治の根幹ですよ。頑張ってください、若手の先生方。

 これは全くまともな予算編成じゃありませんよ。全くいわゆる選挙目当てじゃないですか。まして、これはもう恫喝政治だと私は思いますよ。(発言する者あり)いや、ひどくないですよ。だから、野中さんは頭を下げに行ったわけじゃないですか、恥を忍んで。悔しかったと思いますよ。

 私は、今大臣の御答弁を聞きまして、大臣が現場で御苦労されている人たちの立場に立って、本当にその職責を果たすお気持ちがあるのかどうか、残念ながら、きょう、疑念を持ってしまいました。残念なことでございます。前回は激励をさせていただきましたが、今回は失望に変わった。これの答弁は要りません。長いので、済みませんけれども。

 そして、今、農水省は万々歳だというふうに胸を張られましたけれども、マイナス四・二%でしょう、概算のときから見れば。新しく五千六百億という、戸別所得補償というでっかい荷物がどかんと農水省に乗っかったんですよ。そうであれば、全体予算はもっと、がっと三兆円ぐらいまで乗っかったって何の不思議もないじゃないですか。えらい手柄のようなお話をされましたけれども、絶対に農水省の人たちは、黙ってこっちを見ていますけれども、万歳はしていないと私は思いますよ。泣いているかどうかは知りませんけれども。

 そして、先ほど申し上げましたように、自信と確信を持って出した来年度に向けての概算要求、これが四・二%も削られたんですから、そのことについてはやはり残念だと率直にお認めをいただくのが、私は正直な御答弁だったんではないかと思います。これも御答弁は要りません。済みません、お話しになりたいでしょうけれども。

 その中で、私は、自民党で畜産、酪農対策の委員長をさせていただいております。南は鹿児島から北は釧路まで行ってまいりました。そこで意見交換会を必ずやってきて、現場も見て歩いたわけですけれども、そのとき私が言ったことは、全く私たちに気を使う必要はありません、どんな厳しい意見でも結構です、さらに言えば、自公政権のやってきた農業政策に対して怒りがあればどかんとぶつけてください、そこまで申し上げました。

 その中で、まことに貴重で率直な御意見をいただきまして、見直さなきゃいけない点、そういったものに気づかされたことも事実でございます。しかし、どこに行っても異口同音に言われましたのは、畜産、酪農対策の現行制度は基本的に維持してほしいというのがすべての意見でしたよ。

 維持してほしい、そしてその上で、制度の充実、そして強化、簡略化、さらには農家にとってもっとわかりやすいものに制度設計をしてほしいというのがほとんどの意見でありまして、新しい制度の導入を求める声はありました、特に豚の世界でですね。ありましたけれども、これまでの畜産、酪農政策を完全否定するような意見は、私は一度も触れることはありませんでした。ただ運がよかっただけだとは私は思いません。それが現場の意見だということをまず政務三役には御認識をいただきたいと思います。

 政務三役はお気づきだと思いますけれども、畜産、酪農の世界には、直接支払い、それから不足払いという戸別所得補償にもつながる考え方、これはもう既に導入されているんですよ。政務官、よくわかっていらっしゃいますでしょう。非常によき制度だと私は思います。農家にも一定の負担を求めながら、生産基盤の向上を図って、そして自助、共助、公助の三位一体による運営がこれまでなされてきたわけであります。

 私は、今回の視察を通じまして、これまでの畜産、酪農の政策理念、これは、充実、改善、強化は求められているものの、正しいスキームであると。十分ではなかったかもしれないけれども、スキームとしては正しいものであったという確信を持ちました。

 ところが、ある方から、いろいろと問題があると困りますので、あるペーパーをこの間渡されました。十二日の日に、民主党の北海道の先生方に、北海道の酪農家の方々がいろいろと意見交換、御陳情をなさったんだそうです。そのときに、首相補佐官であられる小川勝也さん、当選三回、この方が、その陳情を聞いた後に、欲張り過ぎるから酪農は崩壊するんだと一喝、自民党に今まで言ってきたことをそのまま民主党に持ってきても我々は一緒に議論できないと。

 先ほどの民主党の先生方の御議論を聞いておりましたけれども、やはり、今までの、例えば草地であるとか基盤整備であるとか、これは拡充してくれとか充実してくれとか、そういうお話でありましたけれども、同じものを持ってきても一緒に議論できない、ここまで言っているんですよ。ほかにもひどいことをいっぱい言っていますけれども。

 例えば、エゾシカの話もこの中に入っています。草地をつくったらシカがふえるのは当たり前やろうと。ちょっと言葉が汚かったですね、今のは。たくさんつくって草地をどんどん広げれば、それを食ったシカが子供をふやすのは当たり前のことだ、シカがふえたからといって駆除しろなどというのは、人間だけが生きている世界ではないんだ、こんなことまで言っているわけですよ。生産現場の方々の気持ちを踏みにじるものだと思います。出席された方々は唖然としたというふうに言っておられました。

 そこで、大臣にお尋ねをします。大臣も驚かれたと思いますけれども。このことが、この発言が、内閣としての統一見解なんですか。内閣としては、そういう方針でこれから畜産、酪農政策を進めていくんですか。首相補佐官ですからね。

 御答弁を求めます。

赤松国務大臣 全く農水省としてはそれに関知しておりませんし、私も、そういうことがあったということさえ知りませんので、それをどうだこうだと言われても、これはコメントする立場にないというのが、別に逃げているわけでも何でもなくて、そういうことです。

江藤委員 その席には仲野先生も御出席されておられましたので、私が言っていることは全く作り話ではございません。生き証人がそこにおられますので。ですから、うそをついていないということだけは信じていただきたいと思います。

 それでは、畜種ごとの質問並びに提言型の質問をさせていただきたいと思います。

 まず、肉用子牛生産者補給金対策について。

 現在、物財費も確保できない厳しい経営状況にあるということは皆さん御存じのとおりであります。保証基準価格の引き上げを行うべきだ、これは現場の意見として非常に強い。先ほど副大臣からの御答弁でもありましたように、これは法律マターですからね。法律改正しなきゃなりませんから、すぐにできるはずがない。

 であるとすれば、もうこの畜酪、二十三日に決まるんですか。それが終わったら早速、法改正に取りかかってくださいよ。ぜひとも取りかかっていただきたい、このことをお願いしたいと思います。

 そして、先ほども我が同郷の議員からも御指摘ありましたけれども、三段階になっていて、できる限り四十万円の農家手取りが保証されるように一生懸命考えてやったんです。期中改定も三回やりました。今まで一回しかやったことがないものを三回やりました。一生懸命やりましたけれども、農家にとってはわかりづらい、もっと簡素化してくれと。そして、余り感謝もされていません、わかりづらいものだから。

 ですから、私は具体的な提言をさせていただきたいと思います。現行の子牛生産拡大奨励事業と肉用子牛資質向上緊急支援事業を統合することを提案したいと思います。そして、現在、肉用子牛資質向上事業では、県平均または四十万円のいずれか安い方を発動要件としておりますけれども、これは法律マターじゃありませんから、これを生産コストの賄える水準にまで引き上げることが有効だと私は考えております。

 地方を回っておりますと、再生産のためには三十五万円は欲しいという声もありますし、最低四十万は要るんだという声も、いろいろありました。さまざまでございました。

 しかし、この場合は気をつけなければならない点があることを指摘しておきたいと思います。ある県では平均価格が三十八万を超えているところもある、そしてまたある県では二十万円そこそこのところもあります。そして、生産コストだけを見てもかなりの地域間格差があります。そして、努力し、コストをかけて、手間暇をかけていい牛を生産した者には、制度設計をよっぽどうまくやらないと、頑張った者はもらいが少なくなる、そういう不公平感が生まれる可能性があります。ですから、全国一律というのは、これは全く畜産の世界にはそぐわないというのも、ここでわかっていただけると思います。

 さらに言えば、この制度に移管した場合、頭数をふやしさえすれば、いい牛であろうがどうが関係ない、そういう構造になる。これはまさに経営ですね。和牛の世界というのは職人の世界なんですよ、黒毛和牛の世界は。これが単なる産業になってしまう、そのことを私は恐れております。そうしますと黒毛和牛生産の生産基盤自体が弱体化して、文化として衰弱していくのではないかということを懸念しております。

 これまで黒毛和牛の世界では、生産者、肥育農家の努力と研究によって世界一の、北朝鮮の偉い人も食べたがるような牛が生産されてまいりました。やはりよい牛を生産したかいがあった、頑張ったかいがあったと思っていただける、さらには、自分もあいつに負けないように頑張ろうと地域の方々が思っていただけるような、そんなインセンティブを与える政策が今まさに求められているんだろうというふうに思います。

 例えば、優良牛生産奨励加算金制度、私が勝手につくりましたけれども、頑張った人には加算をするというような、そういうものの創設なども有効ではないかというふうに私は考えております。

 なかなか御答弁は難しいと思いますけれども、御答弁を求めます。

山田副大臣 いわゆる子牛の制度について、生産の拡大奨励といわゆる資質向上、この二つの、三段階になっているものを、先ほど話したように、法律でもって決められている子牛の生産されたものの補給金に対して、補完の部分の二つを一つにするということは、江藤委員のおっしゃるとおりに、そういう方向で検討させていただきたい、そう考えております。

 あと、全国一律の単価なのか、あるいは地域単価なのかという御質問がございました。

 これについては、今、私どもも審議会にもいろいろかけながら検討させていただきたいと思っていますが、それぞれ地域によって違うものの、やはり、米の戸別所得補償でもシンプルに、そしてそれだけ努力した者が報われるように、全国一律の単価というのもいいのではないかと私どもは考えているところです。これから審議会の結果を待って、政務三役で相談させていただきたいと思っています。

 最後に言っておられました、いわゆる余りよくない牛をつくった人に補給金が行って、高い牛をつくった人には来ないとか……(江藤委員「もらいが少ない」と呼ぶ)もらいが少ないとか、そういう不平等なことがあるじゃないかと。これは私どももよく承知しておりまして、今検討しているところです。

江藤委員 副大臣、やはり慎重に検討してください。

 例えば、今回の視察の現場でも、この子牛は生まれたときから下痢ぎみだから配合飼料の配分を変えているんだ、この子は生まれたときから非常に元気がいい、だから粗飼料を中心に育てているんだと。本当に手間暇かけて育てている人も物すごくいるんです。

 そして、宮崎県は枝肉共進会でも日本一になりました。鹿児島の人には申しわけないけれども、日本一になりました。そういった、いい牛をつくろう、頑張ろうという努力が日本の牛を世界一にしたんですよ。

 ですから、そういうインセンティブを失わない政策をぜひやっていただきますように、重ねてになりますけれども、お願いをしておきたいと思います。

 次に、肉用肥育対策について御質問させていただきます。

 これは、マル緊、補完マル緊、ステップアップ事業がやられておりますことは御存じのとおり、四期連続で発動されております。四期連続でどんどん出ているわけでありますから、これを一本化することも全く問題ないだろうと思います。

 視察先では、肥育農家は依然経営は厳しいと。経営は厳しいけれども、この制度があるおかげで再生産の意欲は下がっておりませんという高い評価をいただきました。

 マル緊事業は二十一年度で終期となりますけれども、この機会に、今言いましたように、一本化をぜひ進めてもらいたいと思います。年末にお会いさせていただいたときに、江藤君も知恵をかしてと言っていただきましたので、私の知恵でよければいつでも協力させていただきたいと思います。

 しかし、その際留意しなければならない点があることを御指摘させていただきたいと思います。

 肥育農家の負担金が、一本化することによって上がるようなことがあっては絶対にいけません。私は、むしろ、この負担金は、家族労働費八割、物財費六割、これを一つにするようなお話を先ほど副大臣はされましたけれども、その算定の基準を例えば九割、七割に上げるとか、やはり厳しい現下の状況を踏まえて、この補給金がより一層肥育農家の経営を助けるようなものになるべきだというのが私の考えでございます。

 加えて、御参考までに言わせていただきますと、素牛価格は下がりました。子牛はずっと安かったですよね。そのことによって、三カ月ごとに出されますこのマル緊、多分次は通常マル緊しか出ませんよ。そうなりますと、多分一頭当たり七万円ぐらい減るんじゃないかということになります。そうなると、肥育農家にしてみれば急に収入が減るわけですから、これについては、この間、米で皆さん方がやられたように、激変緩和の措置、そういったものを検討することがもしかしたら必要になってくるのではないかというふうに思いますので、この点もぜひ御検討をいただきたいと思います。これも御答弁はいただかなくて結構でございます。

 次に、配合飼料価格安定制度について述べさせていただきます。

 この制度もまた、どこに行っても、この制度は維持してくれという御意見ばかりでございました。しかしながら、価格ががあっと高騰しているときには極めて農家には喜ばれる。ありがたい制度だといって喜んでいただけました。それで基金も枯渇してしまったわけでありますけれども、しかし、現在のように、価格も一定水準にまで下がり、そして価格が依然高水準で横ばいになっている状況では、農家がトン当たり五百円の負担金を払っているにもかかわらずお金が一円ももらえないということについては、やはり不満の声を聞かせていただきました。このことがこの制度の一番の問題点だというふうに私は考えております。

 例えば、この制度を、価格は一定水準まで下がっても、一年前の価格に比べて極めて高い場合には補給金を拠出できるような、そういう制度に改めるべきだと私は考えます。

 この制度履行に当たっては、これはお金が要るわけですから、一定水準以上の一般会計からの繰り入れが必要となると思いますが、このことについては、大臣もしくは副大臣の御答弁を求めます。

山田副大臣 配合飼料が、十八年の十月からだったか、二十年の十二月まで一気に高騰して大変なことになって、それについて緊急とか通常補てんとかをやったわけですね。そのときにやった金額が、緊急出動が九百億、通常の出動が二千何百億か数百億かかったと思います。価格安定に対してそういう大変なお金をかけたわけですが、それらの農家の負担が一トン当たり五百円という形でやっております。

 そうすると、それについて、今、農家にとっては負担は軽いと思うんですが、江藤委員も知っているとおり、財政的には借り入れでやっております。だから、この問題については、確かに今は配合飼料価格が下がる傾向にあるとしても、しばらくの間、こういう形で続けていくとか、そういう形になっていかざるを得ないと思っております。

江藤委員 ありがとうございます。副大臣はさすがによくわかっていらっしゃると思います。

 市中銀行から九百億借り入れを行いました。そして、ALICから二百億以上今借り入れをして、何とかかんとかやりくりをしているということであります。これは償還しなきゃ、借りた金は返さなきゃなりません。これはやはり、農家を回りますと、今我々が払っている金が全部借金払いに回ってしまうのではたまらない、また配合飼料価格は上がるかもしれないじゃないかと。

 だから、例えば長期で返すとか、もっと言えば一般会計で埋めてしまうとか、乱暴かもしれませんが、そういったこともぜひ大胆に大臣、副大臣には御検討いただきますことをお願いしたいというふうに思います。

 次に、養豚対策について提言をさせていただきたいと思います。

 調整保管を昨年から行っていただきました。そしてまた、二十円出していただきました。これは非常によかったと、私は高く評価させていただきたいと思います。

 調整保管につきましては賛否があります。よかったという人もおれば、今後また市場に出たときにがんと下がるから悪かったという人もいます。しかし、私はよかったと思っております。ですから、これからも、機構による買い上げ、それから調整保管等は継続すべきであるというのが私の考え方であります。

 さらに、肉豚価格差補てん事業、これも二十一年度で終わります。そして、この際、皆様方も関係団体から御陳情を受けておられると思いますけれども、全国肉豚マル緊というような制度への移行というものをぜひ与党においては御検討をいただければありがたいと思います。お役人の人たちは、後ろから知恵をつけるのはやめてください。これについては、御答弁をいただく必要はございません。

 養鶏対策について申し上げます。

 養鶏については、特に採卵ですけれども、鶏卵価格差補てん事業がありますけれども、これは非常に農家の負担が重い、国の拠出が少ないということで、加入率も非常に低うございます。こういうことを考えますと、やはりほかの畜種と余り不公平感のない水準にこれを改めていくことが必要ではないかと思います。

 そしてさらに言うと、ブロイラー、これは日本は世界一の衛生管理を行っているんですよ。屠畜してから出荷するまで三回も検査をしている。日本のブロイラーというのは、世界一安心、安全でおいしい鳥肉なのでございます。そのことを消費者は全然知らない。そのことをやはり政府としてぜひアピールする、そういう予算づけをしてください。そのことが国産ブロイラーの消費拡大につながっていく、農家の手取りがふえていく、そう思いますので、このこともぜひ御検討をいただきたいと思います。

 そして、この検査費用については、全く今は自己負担でやっているわけでありますけれども、手取りということを考えたときには、もしかしたらこれは厚生労働マターかもしれませんけれども、何らかのこの検査費に対する助成等も考える価値があるのではないかというふうに思います。

 そして、次に、これは余り触れない方がいいのかもしれませんけれども、触れない方がいいことは触れないようにしましょう。農水省の方から、ALICの話です、やぶ蛇になるといかぬという御指摘もありましたので、このことについては触れないようにします。

 あと、もう時間がなくなりましたが、ちょっと残りがありますが、はしょらせていただきます。一方的に私の方からいろいろと政策提言させていただきました。何だ、野党になったら君たちも、財源も考えずに好き勝手なことを言っているなと思った方もおられるかもしれません。笑っている方もいられますね。(発言する者あり)思っていなかった、そうですか。失礼しました。

 そこで、私は、具体的なその財源に対する提言をここでさせていただきたいと思います。実は、お金はちゃんと今年度予算の中にあるんですよ。ちゃんと中身を見ますと、使えるお金が。

 大臣は、昨年の臨時国会の赤澤委員からの質問に対して、米価は下落しないと。しつこく赤澤君は聞いていました。米価は下落しない、そう断言をされましたね。間違いないですね。お答えください。

赤松国務大臣 私が申し上げたのは、これも特例でと言いましたけれども、本当に作況指数が一〇八とか一〇九とか、二十年に一回、三十年に一回あるかないかみたいな事態が起これば、これはつくり過ぎということもあるかもしれないけれども、先ほども別の委員の方に言いましたけれども、今まで一切減反に協力しないと言ってきた人たちも、今回、大潟村を初めとして、九割以上の人たちがこの制度にきちっと入ってやりたい、そして生産数量目標を守りたいということを言っておられるわけで、そういう意味でいえば、大潟村だけでも二十万俵米が現に減るわけですから。

 ですから、そういう流れでいけば、米がだぶついて、今大体五十万トンと言われていますけれども、それがだぶついて結果的に価格が下がっていく、減反政策に協力していた人たちだけが割を食うということはなくなっていくということを申し上げているわけであります。

江藤委員 私は、前回の補正、臨時国会での議事録を詳細に読み返してきょうはこの場に立っておりますので、しつこくしつこく赤澤委員が聞いたときに、価格は下落しないと。そのときに赤澤委員は、そのときは職責をかけますかと、そこまで迫りました。そのときは大臣はお答えを避けられましたけれども、相当な自信があるというふうに私は受けとめましたよ。

 確かに、作況指数はあります。一〇八とか、そんなことは今はめったにありませんけれども、そんな場合に備える部分は多少は必要かもしれません。

 今回、米の戸別所得補償関連の予算で五千六百億が計上されておりますね。この予算のおかげでさまざまな事業が削られて、圧迫されて、農道とか基盤整備とか、いろいろな事業が非常に厳しい状況になってしまっているわけでありますけれども。しかし、この内容をよく精査してみますと、積算をしてみますと、十アール当たり一万五千円、これは固定分ですね、この予算分としては大体二千億円が必要であるというふうに計算されます。そして、飼料米やその他の作物分としては大体二千二百億円ぐらいが必要であるというふうに計算ができます。これは逆算すればすぐわかることです。すると、五千六百億からこの二つを引くと、一千四百億円も余るんですよ。これは一俵当たりにすると幾らになるのかな、千二百円ぐらいですか、かなりの金額ですよ。

 大臣がこれほど米価の下落はしないというふうにおっしゃっているのであれば、今、畜産というのは一番厳しい状況にあるんですよ、いわゆる全農林業の中で。米も大変かもしれません。施設園芸も大変かもしれません。露地野菜も大変かもしれない。山も大変だ。漁業も大変だ。みんな大変です、一次産業は。だけれども、畜産は、今本当に生きるか死ぬか。先ほど自殺者が出たというお話をされました。私が本当に尊敬する先輩が、これはどうも経営の問題でということではないようですけれども、確かに命を絶たれました。私が尊敬するすばらしい先輩でした。

 そういうことが起こっているのであれば、この一千四百億円、全額とは申しません。このお金を今回の畜産、酪農対策にぜひ振り向けていただければ、私がいろいろと政策提言したものを、ほかにももっとあったんですけれども、十分補える財源となるというふうに思いますが、大臣、副大臣、どちらでも結構ですが、御答弁をお願いします。

赤松国務大臣 多分その額のところは、変動部分で見ている部分が予算化されているということだと思います。全額ではありませんが、ほぼそれに見合った分がということで理解をいただきたいと思います。ただ、私どもは、ぜひその変動部分が出ないようにやっていきたい、それが一番理想的だと。

 しかも、二十三年度から本格実施の中で、農業だけでも、あるいは一部水産、畜産、酪農も含めてやっていこうと思えば、一兆円、場合によっては一兆四千億円のお金が全体で要るということになるわけで、これは畑作等も入ってきますから。

 ですから、そういうことからいえば、やはり次の段階に向けてその準備をしっかりしていきたいということと、一応予算でございますので、科目を勝手に変えて、こっちにある金をすぐ、今年度の予算の中で融通し合うということはちょっとこれはできませんので、それは御理解いただきたい。ただ、基本的には、先ほども山田副大臣も言っていますけれども、酪農、畜産というのは非常に重要な分野だということはわかっていますので、二十三年度以降、本格実施の中で、ぜひこの制度も取り入れる方向で考えていきたい、そこでしっかり守っていくというふうに考えています。

江藤委員 大臣、まだ予算は成立していないんですよ。成立した後であっても、たしか財政法の三十三条だったと思いますけれども、国会でちゃんと議論をして議決を経れば、ここにつけた金をこっちに回すということは、財政法上可能です。可能ですから、多少のお金を残すのはそれは必要かもしれませんが、一千四百億も要らぬでしょう。私はそう思いますよ、常識的に考えて。

 私の持ち時間も、これで大体終わってしまいました。もっともっと大臣と楽しい議論をさせていただきたいところではありますけれども、これで私の質問は終わらせていただきます。この後、坂本委員、それから伊東委員が、私の足らざる部分につきましては厳しい追及をしてくれると思いますので、これにて私の本日の質問は終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

筒井委員長 次に、坂本哲志君。

坂本委員 自由民主党の坂本哲志でございます。

 今、江藤委員の方から畜産についてのさまざまな御質問、そして将来に向けての御提言がございました。私は、酪農についての質問を中心にやってまいりたいと思っておりますので、どうか簡潔な、そして中身のある御答弁をよろしくお願いいたしたいと思います。

 二十二年産から米の戸別所得補償制度が始まります。いろいろな不安あるいは財政上の問題が言われているところでありますが、大臣はさまざまな委員会で、予算委員会でも、そして農林水産委員会でも、二十二年のこの戸別所得補償を一つのモデルとして、それを参考にして、今後、畜産、酪農、あるいは水産業、林業についても戸別所得補償を考える、あるいは直接支払いを考えるというような御答弁をされておりますけれども、酪農についてはどのような所得補償を今考えていらっしゃいますか。大体のアバウトなところで結構でありますので、大臣のお考えをお示しいただきたいと思います。

赤松国務大臣 基本的に、私どもが考える戸別所得補償制度というのは、前にも申し上げたかもしれませんが、恒常的に構造的に生産費と販売価格が逆転をしている、単なる努力だけでは業として成り立っていかない、そういう分野に対して、いわば岩盤部分をきちっと補償していくというかつくっていく中で、あとはそれぞれ、もっと利益を上げていただくためには、農地の集積もあるでしょう、大規模化して、協業化して、機械化して生産性を上げる、そういう中でより多くの利益を得るということはあったとしても、少なくとも、最低限、再生産に必要な形で生計が成り立っていくということを考えております。

 酪農についても、そういう意味でいえば、今、制度としては、乳価の安い加工原料乳についても対象数量に上限を設けて補給金を交付している、今経営安定対策をやっていますけれども、こういうことでもって何とか成り立っているという状況でありますから、私どもは、現行の経営安定対策の実施状況などを踏まえながら、酪農の所得補償制度のあり方は一体どういうものがいいのか、そして、私どもが目指しております二十三年の本格実施の中で酪農あるいは畜産も組み込むことができるのかどうかということを考えております。

 その意味で、来週発表になります数量、価格、そういうことの発表ばかりではなくて、仕組みそのものも、二十三年度に向けた一つの前段階になるといいますか、準備の段階になるような、例えば全国一本とか、簡素化をして統一をするとか、そういうことも含めて示していきたいと一応今のところは考えております。

坂本委員 酪農の場合には、米あるいは畜産と違って非常に複雑なんです。いろいろ違うんです。ですから、簡単に所得補償といっても、やはりそれは非常に難しいと思います。一九六一年に農業基本法が成立いたしました。そのときに、酪農部門は選択的拡大部門ということで非常に発展が期待をされました。しかし、乳価が非常に不安定でありました。それは、牛乳が余ってくる、飲用乳が余る、そうすると、どうしてもやはり加工に回さなければいけない。一つの製品が飲用乳あるいは加工原料、バター、脱粉、それからチーズあるいは生クリーム、こういったものに形を変えていく。そういう中で、やはり加工原料については何らかの下支えをしようということで、今大臣が言われた加工原料乳生産者補給金制度というのができ上がりました。

 それからもう一つは、やはり地域的な格差がこれは米以上に大きいんです。北海道の先進地の酪農、それから栃木や千葉を中心といたします首都圏の酪農、さらには熊本あるいは鹿児島を中心といたします西日本あるいは九州の酪農、全くそれぞれに違います。ですから、南北戦争を起こさないために、北海道の酪農の生乳はできる限り加工原料に、あるいは乳製品に、そして都府県の方を飲用乳にということでそれぞれやってまいりました。その中には、やはり生産者あるいは指定団体、そして乳業メーカー、それぞれの協調や理解や役割分担があったんです。ですから、これまで四十数年かけてこういう酪農の仕組みあるいはシステム、こういったものをつくり上げてきたわけです。

 私は、十年ほど前は、割かしこの仕組みは順調にいっていたというふうに思っております。酪農は非常に優良農家として数えられたというふうに思いますが、いかんせん配合飼料に非常に頼っていた、そして配合飼料が暴騰してきた、このことによって大変な打撃を受けているところでありますので、やはり酪農についての所得補償というのは、これは飲用乳の方もあるし加工もあるし、北海道もあるし都府県もあるし、さまざまな地域の格差、あるいは生乳の形を変える商品の格差というものがありますので、これはぜひ、この辺のところを考えながら、これまでの積み上げたものにのっとってどういう所得補償をするかということをもう一度真剣に考えていただきたいと思います。

 もう一回、副大臣でも結構ですので、酪農についての所得補償、あるいは所得増大のための、農家を守るための、あるいは今以上にもう酪農家が減少しないための対策というものを、決意をお聞かせいただきたいと思います。

赤松国務大臣 御指摘のありましたとおり、経営安定対策、今日までいろいろ果たしてきた役割については否定するものではありません。ただ、その制度を充実するような形での支援策がいいのか、それとも、制度としてそこ全体を所得補償するような形がいいのか、これはまだ検討期間がございますので、しっかり先生方の意見も聞きながら、そしてまた生産者の皆さんの直接の御意見も聞きながら、慎重に検討してまいりたい、このように思っております。

坂本委員 それはぜひお願いいたしたいと思いますし、先ほどの、畜産の方もそうですけれども、頑張る酪農家、それは非常に質の高い生乳を生み出します。また、搾乳形態にいたしましても、いろいろな搾乳形態があります。フリーストールからつなぎから何かいろいろありますので、こういったものを考えると、やはり非常に所得の補償方式というのは難しい面もあると思いますが、ぜひ、それぞれの、個々の酪農家の実情というものをよく考えていただきたいなと思っております。

 そして次に、来週、食料・農業・農村政策審議会の畜産部会が開かれて、大臣の方に答申をされます。去年、乳価キロ十円上げていただきました。しかし、乳価だけ上がっても酪農家の所得向上にはなかなかなりません。やはり、今言われた加工原料に回る加工原料乳生産者補給金、これを一定水準に保たなければ、この乳価と補給金は二本柱でございますので、酪農家の実質所得というのは上がってこないわけであります。

 昨年、自民党政権では、この問題に対して十一・八五円、非常に厳しい中で、生産者補給金、現状維持をいたしました。そして、加工原料に回るその量も、非常に厳しい中ではありましたけれども、百九十五万トン、維持をいたしました。

 今回、来週審議会の方でいろいろ決定をされますけれども、酪農家にとりましては、十円上がった分、どうしても消費が落ち込みがちでありますので、その分、加工原料乳の生産者補給金そして限度数量を、やはり最低今の額、今の量に維持していただくこと、これは生産者及び生産者団体の切なる願いでありますので、ぜひ維持していただきたい、あるいは引き上げていただきたい、その決意をお伺いいたしたいと思います。

赤松国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、来週の二十三日に諮問、答申をするわけでございまして、残念でございますけれども、それを待たずに、委員会の場であるとはいえ、私の方からどうこうということは申し上げられません。

 ただ、各委員からいろいろ、自分は現状維持でやるべきだ、あるいは上げるべきだ、限度数量も現状維持にすべきだというようなことについてはしっかり御指摘をいただいて、それを私どもがしっかり受けとめさせていただき、こうした委員各位の御意向も体しながら、最終的には私どもの判断で決めさせていただく。発表は二十四日になろうかと思いますけれども、そのようにさせていただきたい、このように思います。

坂本委員 ぜひ強い決意で、そして、日本の酪農を守る。酪農家というのは非常に後継者も優良酪農家はしっかりできておりまして、やはりモデル的な農家が多いんです。こういうのを絶対守るというような決意で臨んでいただきたいと思っております。

 特に、農家が減少傾向にありますので、これに歯どめもかけなければいけません。さらに、酪農家の場合には、配合飼料がこの二年間非常に暴騰して、それがまだ取り戻せていないんです。やっと今一息ついたところばかりなんです。そして、配合飼料についても、遺伝子組み換えを使っているところ、あるいは使っていないところ、ノンGMのところ、それぞれあって、非常にコストをかけて良心的に牛乳をつくっている、生乳をつくっているという農家が大半でありますので、ぜひその現場の思いを胸に答申を受けとめていただきたいなというふうに思います。

 それから次に、消費拡大対策に移らせていただきます。

 生乳、特に飲用乳、この消費が拡大しなければ、やはり酪農家の経営状況というのは厳しくなります。ところが、去年の仕分け作業の中で、学校給食用供給推進事業というのがありますが、これに対してクレームがつきました。もう少しいろいろなやり方があるだろうということで、離島やあるいは僻地に対するさまざまな助成を除いて、二十二億円あったものが来年度の予算案では十三億八千万円に減額をされました。八億円以上減額をされました。

 私たちにとりまして、子供と学校と牛乳を結びつける、そして牛乳を飲む習慣をつける、あるいは生産現場をしっかりと子供たちに知ってもらう。そのことによって、農業への理解、あるいは牛乳がどうやってできるか、青い草を食ってそして白い牛乳が出るわけですから、これは魔法の液体なんですよ。そういうのがどうやってできるのか、こういったものをよく子供たちに知らせて、そしてなおかつ、その中に豊富なカルシウムも含めて大変な栄養分が含まれて、これが子供の体をつくるわけですので、このことについてはやはり慎重にやっていただきたい、予算の削減その他は。

 と同時に、学校給食だけではなくて、社員食堂やあるいは機内の飲料、こういったものも含めて消費対策はいろいろあると思います。これはやはり、国も含めて、その指導も含めて、団体、あるいはメーカー、あるいは生産団体一緒になってやっていかなければいけない問題だと思いますけれども、どうも消費拡大対策に対して消極性みたいなものが私は否めません。もっともっと学校に、そして一般社会に、この消費拡大に対しての取り組みを積極的にしていただきたいと思いますけれども、御答弁をお願いします。

佐々木大臣政務官 今、消費の拡大について御質問いただきました。

 先ほどもどなたかからの質問がございましたが、供給側の対策ももちろん必要でありますが、出口、需要側をどうするかというのは大変重要なテーマだというふうに思ってございます。

 今委員から御指摘がございましたが、事業仕分けにおいて、遠隔地への支援等については理解を得たわけでありますが、普及啓発等についてはかなり厳しい指摘を受けて、予算の縮減という結果に今なってございます。

 こうした状況を踏まえて、二十二年度の予算の中では、普及啓発資材の作成あるいは普及啓発に係る活動というのは、これは廃止をさせていただいて、遠隔地への輸送費の補助、あるいはHACCP取得工場からの牛乳に対して一本二十銭の奨励金など、新たな措置で学校給食の拡大に直接的に寄与する、そういう事業に重点化をさせていただきたいというふうに思ってございます。

 さらにまた、消費拡大全般に向けてでありますが、これは二十三日に予定をされております畜産物の価格決定にあわせて、本当に効果的なメニューに重点化をしてしっかりと取り組んでいきたいというふうに思ってございます。

 以上です。

坂本委員 学校給食用牛乳の促進事業の大幅削減で、非常にやはり精神的にもダメージを受けておりますし、果たして今の政権、牛乳に、飲用乳にどれだけ理解があるんだろうかというようなお声が生産現場からも聞こえます。こういったものを取り戻すべく、今回の価格関連対策、ぜひ全体の消費拡大対策というものをお願いいたしたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いいたしたいと思います。

 次に、牛乳の輸出についてお伺いをいたします。

 私は、農産物の輸出対策というのは余り積極的に進めるべきだとは思いません。やはりそれは何らかの対価を払いますので、フードマイレージ等の問題もありまして、やはり基本的にはみずからの国の食料はみずからでつくる、それを輸出の戦略物資にしてはならないというような強い決意が私たちの日本の農業としては必要であるだろうというふうに思います。

 しかし、どうしても日本にしかつくれないもの、安全で高品質なもの、これは畜産も酪農も含めて、それを食味する方があれば、やはりそこは輸出に積極的になるべきである、その部分は積極的になるべきであると思います。私たちも、何年に一回かはフカひれを食べてみたり、あるいはキャビアを食べてみたりしたくなりますので、それと一緒であります。

 そういう中で、牛乳は、熊本県の県酪連、らくのうマザーズといいますけれども、二〇〇五年から輸出に踏み切りました。香港を対象にまず二トンでスタートをいたしました。今、香港を対象に十トンになりました。そして、昨年から台湾と上海の方に輸出を始めました。上海は一気に十トンでありますので、今、二十トンから二十五トン輸出をしているという状況になります。

 しかし、一昨年、中国でメラミンが粉ミルクに混入したという事件がありまして、上海の通関手続が非常に厳しくなりました。この機に乗じて日本から飲用乳が、牛乳が来るのではないか、その輸入に歯どめをかける、そういうことで、これまで通関が大体一週間あるいは十日でできていたものが、三十八日から四十日かかるようになったんです。博多に持っていって、博多で大体十日間ぐらい据え置く、そして上海に持っていって三十八日から四十日。五十日を要するわけですね。LL牛乳、ロングライフミルクが九十日間でありますので、残り四十日間で販売をしなければいけない。

 非常に厳しい輸出環境に立たされておりますけれども、この輸出に対して、やはり国としてできる部分はあるというふうに思います。輸出等で頑張っている各団体に対して、少なくとも、中国の通関に対してどうこうと言うわけにはいかないかもしれませんけれども、外交交渉で何らかの形ができるのではないか。あるいは、こちらから、もっと集荷しやすい、そして東南アジアに持っていける、あるいは中国に持っていける、例えば、同じ九州でありますけれども、佐賀空港あたりが非常に乗客の減少で苦しんでおりますので、この辺をしっかり貨物の部分をふやして、そこから農産物の輸出を中国にするんだ、そういう輸出促進のための対策ができると思いますけれども、いかがでございましょうか。

山田副大臣 坂本委員のおっしゃるとおり、メラミン騒動その他でちょっと厳しくなりましたが、非常に輸出が、熊本県の努力というのはあるかと思いますが、大変伸びております。前年比、大体一四八・七%、生乳と、粉ミルクで、育児用の粉ミルクもかなり伸びております。

 それについて、先ほど申しました中国側との手続の、衛生条件等の内容について、できるだけ簡便に行えるような協議を今させていただいておりまして、国内の対策につきましてもできるだけ迅速にできるようにという形で、昨年十二月に、保健所から五日以内にすぐ衛生証明できるような手続とかいろいろな形をさせていただいておりまして、できるだけ速やかに、迅速に輸出できるような方向。

 今、佐賀空港から出す場合にいろいろな助成も考えられないかというお話でしたが、輸出促進については、農水省としても、本当にこれから真剣に取り組みたいと考えておりますので、ぜひ、いろいろな検討はさせていただきたい、そう思っております。

坂本委員 ぜひ、その辺のところはよろしくお願いいたしたいと思います。

 やはり、相手国も、無制限にいろいろ入ってきて自国の農家を苦しめる、このことについて一番心配しているわけでありますので、輸出その他も一定量の限度数量、量的なものを決めた上で中国と、アジアとあるいは香港とそれぞれ交渉すれば、これはわかっていただける。必ず需要があるわけですから、そこについての交渉をよろしくお願いいたしたいと思いますし、国内でのそういったスムーズな、そしてコストも考えた輸出体制というものをお願いいたしたいと思います。

 それから、畜産についてひとつ、お伺いとそれから御要望をいたしておきます。

 先ほど江藤委員の方から、世界の食品、黒牛は世界ナンバーワンだというようなことがありました。本当にこういったことで、五島牛も含めて、品質向上に一生懸命やられている方々には敬意を表したいと思います。

 ただ、やはりその地域地域に合った畜産、そして自然との共生ができる畜産、これも大事なことであります。黒毛和種にどうも偏りがちでありますけれども、私たちのところは、褐毛和種、赤牛であります。この赤牛というのは、阿蘇の草原を中心に、非常に放牧に向いた牛であります。一日六十キロから七十キロの牧草を食べますし、そして六キロから七キロ歩きます。非常におとなしい牛でございまして、やはりこれからえさの自給率を上げるということでいえば、こういった粗飼料を中心にした畜種の育成、これは非常に大切なことであると思っております。配合飼料も、出荷までに、黒牛だと五トン必要でありますけれども、赤牛の場合だと四トンで済みます。

 そういう意味では、やはり、自然との調和、そして草原を守る、さらにはコスト低減そして自給飼料というものを非常に大切にする、こういう意味では、非常にこれから、もっともっといろいろな形での助成策が必要ではないだろうかと思いますし、保証基準価格も、黒牛の方は四十万出ておりますけれども、赤牛の方は三十四万でございますので、その辺のところも考えながら、これからの赤牛への支援策、御答弁をお願いいたしたいと思います。

山田副大臣 赤牛、先般、熊本で見てまいりまして、お話も聞いてまいりました。私の地元というか選挙区の対馬でも昔から赤牛をやっておりまして、ちょうど対馬の赤牛が熊本で肥育されているのを見てまいりました。

 確かに、赤牛は粗飼料が中心で、自給飼料が中心で、非常に理想的な肉牛経営と言えるんじゃないか、強いし病気にもかからないし、いいんじゃないか、私もそう思っております。そういう意味で、赤牛そのものにもできるだけの配慮をさせていただきたいと私どもも思っています。

 ただ、価格において、今、子牛の補給金制度が差がありますが、これについては、あの法律ができるとき、輸入の自由化によって農家へ影響を与えないようにというので、当時から、赤牛と黒牛と価格差がありましたし、今でもありますし、コスト的にも幾らか違いますし、そういう意味で、そこは御了承いただきたいと思っています。ただ、この赤牛、黒牛に比べて赤牛に対しては繁殖雌牛の導入助成を特別に計らったり、そして、牧草地をやる場合に三分の二の助成をしたりとか、いろいろな配慮は今もしておりますし、これからも考えていきたい、そう思っております。

坂本委員 ありがとうございました。

 農家の戸別所得補償制度で足腰が強い日本の農業ができるとは私は思いません。やはり、担い手あるいは専業そして集落営農そして畜産、こういった農業に真剣に取り組む方々をいかに強くしていくか、経営を安定させるか、これが将来の日本の農業というものを産業として足腰の強いものにする、後継者もできる、つくらせるというふうに思いますので、私は戸別所得補償制度大反対でありますけれども、ぜひ、この畜産、酪農については格段のこれからの御配慮を、専業であります、専業で皆さんやっていらっしゃいますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

筒井委員長 次に、伊東良孝君。

伊東委員 それぞれ、酪農、畜産に関して議員の方々より御質問がありましたので、余り重複しないようにお話をさせていただきたいと思います。

 景気の低迷を受けまして、酪農、畜産製品の市場価格の下落あるいは販売不振、これらが続いているわけであります。また、我が党の江藤委員、そしてまた坂本委員からもただいまそれらについての厳しい質問があったところでありまして、私は北海道でございますので、北海道の立場で、牛乳・乳製品と酪農経営についてお伺いしたい、このように思う次第であります。

 生産者が意欲や将来に希望を持って牛乳生産、営農ができるという環境づくりが何よりも大切であるというふうに私は思います。それができて、後継者あるいは新規就農者に酪農を引き継ぐことができるということになるわけでありまして、そのためには、生産量の確保、あるいはまたその生産費に見合う安定した価格が不可欠だと思うわけであります。

 酪農業の経営は、御案内のとおり、極めて広大な土地と牛舎、あるいはトラクターなど大型機械、これらを必要とする、いわば、金額でいいますと億単位の資金を要する投資型の事業であります。さらに、労働面につきましても、広大な牧草地を管理しあるいは採草し、乳牛の出産から搾乳まで、これはまた衛生面や牛の病気に細心の注意を払いながら、三百六十五日、通常は朝四時、五時から起きて、さらにはまた、七時、八時の夜遅くまで働くわけであります。今の時期でありますと、私どもの地元、佐々木政務官の地元もそうでありますが、マイナス二十度あるいは十五度、十度、こういった日が連日続く中、毎朝外に出てあるいは寒い牛舎の中で厳しい作業が実は続けられているわけであります。

 北海道の中で、生乳の生産は約三百九十万トンでありますが、このうち飲用乳に回っているのはわずかでありまして、二二、三%であります。ここが問題であります。飲用乳でありますと、単価百十円。しかし、バター、脱脂粉乳等の加工原料乳になりますと、いきなりこれが単価的にも六十五円に下がり、それが北海道の生乳の約四〇%を占めることになるわけであります。また、お話にも先ほどから出ておりますけれども、近年少し増量が見込まれております生クリームあるいは発酵乳等の液状乳製品、これが約二〇%から二〇ちょっとでありましょう、これは単価的には七十五円。そして、チーズ向けが四十五円の単価で、今約一一、二%の生産に占める割合であります。

 したがいまして、本州方面と比べまして、加工原料乳生産者補給金、そして経営安定対策あるいは生乳需要構造改革事業によって、今日まで足らざる点を補っていただいてきた現状にあります。特に、一昨年は輸入飼料の高騰あるいは燃油の高騰等によりまして生産費が極めて増嵩し、牛乳を搾れば搾るほど赤字が増大するという年でありました。したがいまして、昨年は飲用乳価の引き上げやあるいは生産者補給金の引き上げが行われ、農家はやっと一息つくことができたという現状にあります。

 昨年からことしの状況について見ますと、飼料は、トン当たり五万二、三千円という五万円台前半で推移をいたしておりますし、高どまりであります。そして、牛乳・乳製品、子牛価格等々についても、いずれも販売不振と価格の低迷が続いており、農家は泣いているわけであります。まさに酪農の危機と言っていい状況にあり、北海道酪農の存続は加工原料乳の生産者補給金にかかっていると言っても過言ではありません。

 二十二年度予算では、今年度と同額の二百三十一億の生産者補給金が予算的には計上されているわけでありますが、ぜひ、現行のキログラム当たり十一円八十五銭以上を維持していただきたい。さらにはまた、限度数量も百九十五万トンを確保していただきたい。これが北海道の酪農を維持させる、また救う道だ、このように思う次第でもございます。

 財務省等々の厳しい査定もあろうかとは思いますけれども、農水省の本来の力で、現下の酪農情勢を踏まえて、この対策をぜひ講じていただきたい。二十三日の審議会にお任せするということだけではなくて、農水省として我が国酪農を守るために力強い決意をお聞きいたしたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。

山田副大臣 本当に、酪農は大変これから厳しい状況にありますので、今申し上げましたように、酪農の生産者が安定して、安心して経営に当たれるように、二十三日の審議会を持って、そして加工原料乳の補給金及びその量についても、しっかりと政務三役でできるだけのことは考えたい、そう思っているところです。

伊東委員 力強い答弁でありますので、ぜひ、二十三日に向けて強力な指導力、また力を発揮していただきたいというふうに要望をさせていただきます。

 さて、先ほどからいわゆる需給ギャップ三十万トンのお話が出てくるわけでありますけれども、ここ十数年ずっと見てまいりますと、需給ギャップがこれ以上多かった年もあるわけであります。しかし、それが一、二年するといきなり逆転して在庫が足りなくなる、そういった数字の動きもこれまでもあったところでありまして、予想外の需給変動、これが起こり得るとすれば、これらの事態に対応した乳製品の保管販売体制の構築、これを国と生産者、あるいは乳業メーカーと一緒になってそろそろ検討すべき時期ではないか、このように思いますが、見解をお聞きいたします。

佐々木大臣政務官 伊東議員から、特に酪農関係について御質問をいただいてございますが、伊東議員も御案内のように、生乳の需給そのものが非常に緩和をしているというような状況で、御指摘がありましたように、需給ギャップ三十万トンというふうに今言われているところであります。

 ただ、在庫という御提言をいただいたわけでありますが、御案内のように、生乳の場合には、ほかのものと比べた場合日もちをしないという特徴がございますので、まずは関係者で需要に見合った生産をしていただく。逆に言うと、そういうのはいつでも、毎日生産ですから回復もしやすいという特徴も持っておりますので、そういったことをまずやっていただかなければならないというふうに思いますが、同時に、農林水産省として、需要の創出対策というものもやっていかなければならないというふうに思ってございます。

 まず、在庫そのものでは抜本的なものにはなかなかなりませんけれども、逆に余り在庫のことを言いますと価格に影響するというような場合も出てまいりますので、そういうことも配慮をしながら、全体としては、需要をどう拡大していくかというような方向で農水省としてはこれから頑張っていかなければならない、そんなふうに思っているところであります。

伊東委員 先ほど言いましたように、過去の事例の中で、バター、脱脂粉乳等の需給ギャップが相当あったものが、もう二、三年でそれが逆転してしまうということもこれまであったものでありますから、生乳を保管するというのは難しいにせよ、バター、脱脂粉乳等々の乳製品については保管販売体制の構築というのは可能ではないか、このようなことが生産者の側からも言われているわけでありまして、この点について、もう一度ちょっとお聞きいたします。

佐々木大臣政務官 その御指摘はまさにそのとおりで、我々もできるだけ、そういったチーズなども含めて、これから需要の見込まれるものなどを含めて、これも今畜産部会で一緒に御論議をいただきたいというふうに思っているところです。

伊東委員 それでは、先ほどからもお話ししておりますけれども、いわゆる生クリーム、発酵乳等々の液状製品、そしてまたチーズ等々に加えまして、これまで加工乳に対しまして生乳需要構造改革事業として今年度八十六億円の予算がつけられているわけであります。しかし、二十二年度、新年度では、チーズのみの増産対策といたしまして十四万トン、二十九億円がついているわけであります。

 先ほど、他の委員からもこの点についてありましたが、二十二年度における伸びがまだ期待される発酵乳、生クリーム向け生乳等の生産奨励措置が必要である、このように思うわけでありますけれども、これについての農水省の考え方をお聞かせください。

佐々木大臣政務官 今御指摘のとおり、生乳需要構造改革事業は、本年度が事業の終期を迎えますので、見直しの時期に入ってございます。

 そのうちチーズについては、今御案内がありましたように、一般会計で既に措置をさせていただいてございます。これは新規で措置をさせていただきましたが、全体の景気低迷というようなこともあって、需要が非常に減少している。さらに、先ほどお話がありましたように、需給ギャップが今三十万トンに上るというような状況でありますので、先ほど来論議をしていただいてございますが、いわゆる需要の創出対策ということが大変必要な対策ではないかというふうに思っておりまして、それについて今検討させていただいているところでございます。

伊東委員 需要の増大策、消費拡大策につきましては、先ほど坂本委員からもお話がございましたので、ぜひこれは強力に進めていただきたいというふうに私からもお願いを申し上げるものであります。

 さて、酪農家の今の実態でありますが、これはもう後継者対策、あるいは嫁探し、高齢化や医療、福祉、なかなか酪農地帯には病院がない、あるいは介護施設、福祉施設がないということもあります。また、大型の設備投資あるいは資金繰りや働き手の不足、長時間労働、さらには子供の通学、教育面などにおきまして、経営問題と同時に生活問題も数多くあるわけであります。

 地域ごとの協業化あるいは分業化を進め、省力化を図り、合理化を図り、効率化を図って、自分たちの生活の中に少しでもゆとりや、あるいはまた生活というものを考える時間をとろうという努力が近年見られるわけであります。

 そうした中で、実は飼料生産のコントラクター、あるいはまた栄養価の高い混合飼料の生産を行うTMRセンター、また、すっかり定着をいたしました、先ほどもお話に出ました酪農ヘルパー制度など、これらによりまして農家の経営や性格が大きく改善してきている事例が報告されております。先ほど佐々木政務官も、飼料自給率の向上を目指す、このようなお話でございましたが、私は、このTMRセンターというのは大きな効果があるというふうにいつも見ておりました。

 しかし、二十二年度予算では、施設整備の事業費、いわゆる強い農業づくり交付金が、先ほどもお話ありましたように、二百四十四億から百四十四億と、約百億円も大幅に減額をされております。これで果たして本当にTMRセンターなどなどの施設整備が進むかどうか、将来計画に不安がよぎるわけであります。

 省力化あるいは飼料生産の高度化、さらには配合が、専門家によって栄養価の高いものをつくる、そしてまた農家の牛に合わせてこれらを生産するということは、農家が個別で行うよりはるかに効率的であり、乳量のアップも報告をされているわけであります。こうした酪農家自身の協業化、合理化に水を差すべきではない、私はこう思うわけでありますけれども、百億円の減額の影響についてお伺いします。

 そしてまた、土地改良の話も出ましたけれども、かんがい排水事業あるいはまた草地改良事業等々、これらがあって初めて長雨でも優良な飼料がとれる、生産できるということになるわけでありまして、自給率の向上を目指す、そういうことであれば、こうしたバックグラウンドの事業もぜひしっかりと補完すべき、このように思うわけでありますけれども、この点についてお伺いします。

佐々木大臣政務官 畜産もそうでありますけれども、とりわけ土地利用型の北海道の酪農の場合には、土地利用というのは極めて重要だ、私もそのように認識をしてございます。草地整備の事業あるいはまた強い農業づくり交付金、それぞれの事業、いずれも大変状況的には厳しい状況にございますが、特に北海道は、去年長雨というような状況があって、排水対策が実施されているところとされていないところで収量に相当差があったというような報告も、私もいただいてございます。そういった意味では、その必要性については十分認識をしているところでございます。

 とりわけ、強い農業づくり交付金でありますけれども、共同利用、今ほど御指摘がありましたけれども、コントラクター、TMRセンター、私も現地を見させていただきました。牧草と濃厚飼料をうまく配合してつくっておられて、これは乳質も非常によくなるというようなこともあったり、あるいは、共同作業でやるものですから非常に労力も節約をされるというようなことで、大変効果が高いというのを見させていただきました。必要性は十分に認識をしているつもりであります。

 交付金は残念ながら削られてございますけれども、効果的にこれらを実施していくために、成果目標などについてポイント化をして、そしてポイントの高い事業からしっかり配分をして実施していくというような重点化を図っていきながら、適切に執行してまいりたいというふうに思ってございます。

伊東委員 ぜひ、コントラクター、そしてまたTMRセンターについては、農家の意欲をそいで縮小させるということではなくて、これからもこれが農家の主流になるというような思いで、新年度は別としまして、二十三年度、二十四年度にかけてぜひ充実を図っていただきたいというふうに要望をさせていただきます。

 もう一つ、農家の問題の最後でありますけれども、酪農ヘルパー、これが、基金が召し上げられるのではないか、あるいは、いつまでこれを続けることができるかという大変な心配をしている向きがございます。

 酪農ヘルパーがあって農家の生活がようやく少しは人並みに近づける、月に一回でも二回でも休みがとれる、あるいはまた、家族の体調が悪いとき、けがした、病気をした、何があったというときに助かるという話を随分聞くわけでありまして、酪農ヘルパー制度の充実、さらには、単なる存続というより、ヘルパーの技術向上や、あるいはまたその資質向上について、ぜひ制度を充実させていただきたい、こういうふうに思うわけでございますけれども、この点はいかがでございましょうか。

佐々木大臣政務官 酪農ヘルパー事業についても、現地で随分、生産者の皆さん方からこれの効果について私もお話をいただきました。今お話がありましたように、疾病時の互助組織という段階から、今やもう生活のゆとりというようなところまで皆さんの思いが広がってきているということも実感をさせていただいているところであります。利用日数も大変ふえてきているというふうに存じているところであります。

 今委員から御指摘がありましたように、まずは、資質も含めて、ヘルパー要員の養成と確保というものをまずしっかり図っていきたいというふうに思ってございますし、互助制度の組合に対する支援などについても実施をしていきたいというふうに思っているところであります。

 いずれにしても、成果の検証、調査を踏まえながら、畜産物の価格の決定とあわせて、これらについても検討させていただきたいというふうに思ってございます。

伊東委員 酪農問題についてはこれで終わりでありますけれども、いずれにいたしましても、先ほどからお話がありましたように、消費の拡大が何よりも大事であります。これはもう景気の回復が何よりでありますので、農水省といたしましても、ぜひ、景気回復策あるいは雇用増大策等々に全力を挙げてお取り組みをいただきたい、このように思う次第であります。

 さて、もう一つ、箇所づけ問題についてお伺いをいたします。

 これは、二月の十六日の北海道建設新聞に、新年度の北海道開発局が実施する直轄農業農村整備、あるいはまた漁港の箇所づけ予算が、かなり詳細に一面を使って出たところであります。

 今まで、一億から二億とか、三億から五億などという方法で出された資料は見ていたところでもありますし、予算委員会の質疑を経てこれらが資料として提出をされました。私もちょっと見せていただいたところであります。これも、一転二転したところもあります。最初に出したものと次に出したものが違うとか、いろいろあったわけでありますけれども、これについては、二月四日の予算委員会で、平野官房長官から、馬淵国土交通副大臣について誤解を招く言動があったことはおわびします、今後、事実関係を十分精査の上、内閣においてしかるべく処分を含め対処させていただきたいという答弁がありました。また、二月十日には、予算委員会で、前原国土交通大臣から、箇所づけあるいは内示というものはあってはならないことであるし、できないことである、また、県連などを通じ自治体に流れたということは極めて遺憾なこと、このように述べているわけであります。

 今回のこの建設新聞の報道でありますけれども、農水省の北海道分における箇所づけについては、この予算委員会での論議の反省がなされていない、このように思うわけであります。また、場合によってはこれは国会軽視に大きくつながる、このように言われているところでありまして、この点について、赤松農水大臣のお考えをお聞かせください。

赤松国務大臣 大変私も驚いております。

 一つだけ御理解をいただきたいのは、この間、予算委員会でいろいろ議論になってまいりましたのは、国土交通省の直轄国営事業、それが、どういう渡し方かはともかくとして一部のところに渡っていたりしてどうこうということで、いろいろと今御議論をいただいたわけであります。

 私ども、別に農水省はいい子になれという意味で言うんじゃありませんが、私どもも同様に、公共事業は直轄それからまた補助事業を含めてたくさんあります。ただ、その問題については、同時期にずっとやってまいりましたけれども、これは私自身の判断で、与党に対しても、野党に対しても、地方に対しても、予算が通るまでは一切お示しをしないということで割り切ってやってきました。農水省はどうなっているんだとだれか聞いてくれないかと思ってもだれも聞いてくれないものですから今初めて言うんですが、旧来そういう形で、原則はやはり予算が正式に通った後お示しをするというのが正式な形ですので、そういうふうにやってまいりました。

 にもかかわらず、北海道建設新聞に、十六日でしたか、突然出たということで、私もびっくりしておりますし、これはもう、一切外に出していない、私どもが検討してきた中身でございますので、そういうものがどうして外へ流れて出たのかということで、本当に、それが実態です。

 それで、これだけ申し上げておきますが、きのう検討会を開きまして、きょう付で、私を長といたします直轄事業に係る情報管理特別調査チームというのをつくって、そこで、一体どういう経緯でそういうものが特定の業界紙に流れたのか、しっかり調べてみたいというふうに思っております。

伊東委員 それでは、もう時間がございませんので、これで最後にさせていただきます。

 今、調査チームをつくる、調査委員会をつくるというお話でございますので、ぜひお願いをしたいと思います。これは、大臣も目の前で予算委員会のやりとりをごらんいただいていたわけでありますので、本来であれば、その時点で農水省に、我が省にこういった漏えいはないか、あるいはそういうことが今後ないようにせよという厳命が下ってしかるべきであったと私は思うわけであります。

 今大臣の答弁の中にもありましたように、それがどのようなルートで漏えいされているのか、あるいはその業界紙に漏れているのか。こういうことになりますと、地区別のものから背景の解説まであの新聞を見ると出ているわけでありまして、簡単な数字がただ流れたなどという話ではないような気がしてしようがありません。本来であれば、これは事業を一度白紙にするか、あるいはまた金額も、一度これはなしにして、一から積み上げてもらわなきゃならないような話である、このように思うわけであります。

 官房長官も、内閣として処分をというお話も出ていたわけでありますので、正式な謝罪あるいは処分、さらにはまた事業計画の見直し、再発防止、こうしたものについて農水省に求めるところでありますけれども、大臣の最後の答弁をお願い申し上げます。また、調査し、ぜひ御報告をお願いしたい、このように思う次第であります。

赤松国務大臣 繰り返しになりますけれども、私どもは、特定な人に特定な形でお渡しをしたということは農水省に限っては一切ありませんので、そういう意味で、むしろ、なぜしかしこれが出たのかということでびっくりしているわけで、しかも、現在検討内容ですから、伊東委員御指摘のように、本当に金額が変わるかもしれません、箇所も変わるかもしれません。だから、そういうことも含めて、中身的にはまだ変更もあり得る、そういう検討資料だということです。

 しかし、にもかかわらずそれが流れたということは大変遺憾なことでございますので、きっちり調査をして、また、調査結果等については、しばらく時間はかかると思いますが、しかるべき後にきちっと、私が長で調べますので、御報告をさせていただくことになると思います。

伊東委員 ありがとうございました。

筒井委員長 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 お時間をいただきましたので、きょうは、同僚議員と手分けして質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 私は、まず牛のことについてお聞きをしたいと思います。

 過日、私の同僚議員が宮崎に行かれて、何か延岡方式というのがあるというふうに聞きまして、いろいろな御努力をされているな、工夫をされているな、ここでは詳しく申し上げませんが、そういうことを率直に実感いたしました。

 まず、マル緊と補完マル緊についてお伺いをしたいんですが、これは今年度で切れる、こういうことでございます。これはぜひ継続をしてもらいたい、私はこのことをまず申し上げたいと思いますが、いかがでございましょうか。

赤松国務大臣 先生の方は中身をもちろん御存じでございますので、もう省略して、くどくど中身は言いません。今の継続してほしいという御意見でございましたけれども、確かに、両事業については二十一年度が事業終期ということになっております。

 その取り扱いにつきましては、私どもといたしましては、生産コストと販売価格の差額を保険方式によって補てんする今のマル緊事業の仕組みを生かしつつ、皆さん方からこの間いただいてきた、制度としてはいいんだけれども複雑過ぎるとか、もっと簡易なものに、簡単な制度にできないのかとか、あるいは補てん金の算定方式の、地区ごとに今あるわけですけれども、全国一本化ができないのかというような、いろいろな見直しの御意見もいただいておりますので、ぜひ、先ほども言いましたように仕組みは生かしながら、そしてまた、私どもが、二十三年度以降、戸別所得補償制度の中に組み込めないかという方向もあるものですから、そういうところを勘案しながら、制度見直しについて、この二十三日に審議会が出ますので、そこで一つの方向が、その前段階の方向が出せるような仕組みを考えてみたいと思っております。

石田(祝)委員 続きまして、このマル緊のところ、これは、家族労働費まで出ない、こういう牛の販売価格のときに、家族労働費分の八割を補てんする、こういうことでありますけれども、きのう、いろいろと農林水産省にもこの家族労働費が一体どういうふうに計算されているのかということをお聞きいたしましたが、私もその省に籍を置いておりました者として甚だ恥ずかしいんですが、はっきりした数字が出てこない。

 家族労働費の八割ということであれば、家族労働費がわからなければその八割が当然出てこないわけですから、これについては、私は、今回ちょっと間に合いませんでしたので、もう少し自分自身でも調べてみたい、このように思っております。これについては、ある意味では妥当な家族労働費というものをぜひ計算してもらいたい。

 大臣も御存じのとおり、米の戸別所得補償、そこのところの家族労働費は一体幾らなのか、何をもとにしてやっているか、これが本当の農業の大変さの中の家族労働費になっているのか。これはぜひ大臣もまた、御存じだろうとは思いますけれども、いま一度、大変な中での家族労働費を、ほかの職種を転用するような、こういうことじゃなくて、しっかりとした数字を使うべきだ、私はこのことだけを申し上げておきたいと思います。

 それで、続きましてお聞きをしたいのが、肉用の子牛の生産者補給金制度、これが三十一万ということでございます。大臣、これは御存じですよね。

 ここのところは、私も説明を聞きますと、これは法律で決まっている、だから法律改正しないとこれはできない、ことしは間に合わないと。そのときに、では、どういうことでこの三十一万円というのは法律で決まっているのかと、ちょっと副大臣、待ってください、まだありますから、私は思いましたけれども、実はそうじゃない。

 ここに、肉用子牛生産安定等特別措置法、こういうものがありまして、この三十一万のところの、これは保証基準価格ですね、これがどう書かれているかというと、「肉用子牛の生産条件及び需給事情その他の経済事情を考慮し、肉用子牛の再生産を確保することを旨として、毎会計年度、当該年度の開始前に農林水産大臣が定める金額をいう。」こういうふうに書かれているんですね。

 それで、私、調べてみましたら、この三十一万というのが、驚くべきことに、平成二年が三十万四千円なんですね。そこからずっと来て、十九年まで三十万四千円、二十年が三十万五千円、そして二十年に期中改定をして三十一万、こういうことですね。

 大臣、これは、再生産をする価格である、大臣が決める、こうなっておるんですが、約二十年間同じ金額なんですよ。こんなことは普通では考えられない。これはどちらでも結構ですけれども、大臣、ここのところはいかがですか。これは私はよくわかりませんね。

山田副大臣 確かに、自由化のときに生産価格を、農家を何とか安定的に補てんするためにできた制度で、それ以後ずっとこの三十一万の算定で来ていることは来ているようなので、今回、それについてどうしようかという論議も今政務三役の中ではいろいろさせていただいております。

 いずれにしましても、今度は、子牛の生産者補給金と同時に、いわゆる乳用子牛とか交雑種等々の価格についてもありまして、それぞれをもう一度精査していかなきゃいけないとか、いろいろな事情もありまして、今回、その算定基準そのものも、この法律の中でもう一回その需給を見合わせて決める必要があるのじゃないか。そういうことから、そういった法の改正そのものも含めて、先ほどから話していますように、三段階になっている制度を一本化するとか、そういうことを含めて、抜本的な解決は戸別所得補償制度の畜産への運用の段階で考えたいと思いまして、ことしは、この三段階のうちの上の資質向上の部分と生産拡大奨励金の部分、これを一本にして、そして運用させていただくような方向で、そう考えているところです。

石田(祝)委員 これは副大臣に、ちょっと御答弁で申しわけないんですけれども、これは政務三役でどうしようかという話じゃないんですよね。明確に法律に書かれているように、肉用子牛の再生産を確保する、その中で幾らになるかということであると思うんですね。ですから、私は、それが二十年間同じだということはちょっと信じがたい、こういうことを申し上げているわけです。恣意的にああしてくれ、こうしてくれということでは当然ありません。私は、この最低保証基準価格が三十一万、これはもうちょっと上げた方がいいと思いますし、そして、それを二十年間もそのままということは、これは常識的には考えにくい、こういうことを申し上げております。

 ですから、これは、ここの書き方をどうするか、法律をどう変えるか、どういうふうに書くかということはあると思いますけれども、私は、肉用子牛の再生産を確保するということ、これは、これ以上のものはある意味ではないのではないか。しかし、そこのところでどう決めてきたのか。余りさじかげんとか云々という話はふさわしくない、こう私は思っておりますので、ぜひ、御努力をされている肥育農家の方に御説明がいただけるような価格にすべきではないか、このことを申し上げたいと思います。

 ちょっと時間がありませんので、養豚の方に移りたいんですが、私も、高知県の幡多地域という西南地域で養豚をやっていらっしゃる友人がおりまして、今困っていることは何だ、こういうことをお聞きいたしました。やはりそれは価格が上がらないということと、もう一つは配合飼料が高どまりしている、こういうお話でございました。

 三つお聞きしたいんですが、一つは、調整保管はいつまで行うのか。それから、地域肉豚については余りにも全国ばらばらではないのか。そしてあと、生産者の拠出割合が、これは普通の割合と逆になっておりまして、通常、国が三とか本人は一だとか、これが実は逆になっている。これは私は、まず半々ぐらいにすべきではないのか。こういう三点をまとめてお答えいただきたいと思います。

山田副大臣 今お話ありましたように、この肉豚価格の補てん事業については、本当に地域がばらばらでございまして、既に安定基金が底をついたところとか、また余り補てんしなかったところとか、いろいろあります。それで、何とかこれを全国一律の算定方式でまずやれないかということを検討させていただいております。

 さらに、養豚関係の業者については、今、補てんの割合なんですが、肉牛の場合は三対一で、国が三負担して生産者は一なんですが、この養豚の場合には逆に生産者の負担が大きいということもありまして、何とかこれを、今、石田委員がおっしゃっています一対一にできるものかできないものか、そういったことも含めて審議会で検討させていただきたい、そう考えております。

 もう一点……(石田(祝)委員「調整保管はいつまでやるのか。三月になっていると思うんですが」と呼ぶ)調整保管は、一応この三月で切れることになっておりますが、それについては、現在の価格の推移を見ていきますと、そのときにもう一度判断させていただきたいとは思っておりますものの、やはり引き続き調整保管は必要になるのではないかなと考えておりますが、そのときに判断させていただきたいと考えております。

石田(祝)委員 それでは最後にお聞きしますが、先ほど申し上げた生産者の拠出割合、私は、まず半々、さらに改善してもらいたいという意見を持っております。

 最後に、配合飼料価格安定制度についてお伺いをしたいんです。

 これは当然、上がっていくときには、それぞれ補てん金、異常補てん金、こういう形になりますけれども、一回上がり切って、それが若干でも下がると、高どまりしておっても全然これは効かないわけですね。これは私は、現状どうこうということではありませんけれども、上がったところからちょっと下がっただけでも全然対応できない、これについても、下がり局面でも通常よりさらに高いところでとまっている場合には何か工夫ができないんだろうか。このことはちょっと提案を含めて申し上げますが、最後にこのことをお聞きして、終わりたいと思います。

山田副大臣 確かに、今、高どまりして、下がっていくときには、一トン当たり農家が五百円負担しているのが意味がないというか、積み立てても我々には返ってこないという考え方もあるんですけれども、しかし、あの緊急事態のときに、かなりの金額、緊急で九百億だったかな、通常で二千数百億やっておりまして、それについて借り入れで行っております。だから、それについての支払いもあります。

 そういう形で、今はそういう積み立てはやむを得ないかな、そう考えているところでして、これから先、また飼料価格がいつどういうふうに変わっていくかわからないということもありますので、この安定飼料価格の制度については、畜産のマル緊制度等々のいわゆる将来における所得補償等々も含めながら、さらに検討させていただきたいと考えます。

石田(祝)委員 終わります。

筒井委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 公明党の稲津でございます。

 酪農経営安定対策について伺ってまいりたいと思います。

 これまでのきょうの委員会の中でも、各委員の皆様から、これから私がお伺いすることとほぼ同様の御質問があったと思います。ただ、その上で、私も北海道選出の議員でございまして、一大、最大の酪農地帯でございます北海道の立場を踏まえて、順次御質問させていただきたいと思います。

 まず、加工原料乳生産者補給金制度についてなんですけれども、二十一年度、補給金の単価はキロ当たり十一円八十五銭、限度数量は百九十五万トン。この交付金単価それから限度数量、これが新年度は下がるのではないかという大変不安の声が私の方にも寄せられておりまして、私としては、ぜひ現行以上にすべきだと。それは、現在の酪農家の皆さんの生産現場というのは非常に厳しい経営を余儀なくされている、こういうことを踏まえて、そういう立場で申しているんですけれども、この制度に対する評価、それから、今私が申し上げましたように、ぜひ現状以上にすべきだというこの二点について、まず大臣の方からお答えいただければと思います。

赤松国務大臣 今御指摘ございました加工原料乳生産者補給金、それからまた限度数量という制度については、大変厳しい経営環境の中でこれをしっかり今までやってきたので何とか経営が維持できているということだと思います。

 しかし、昨今、特に、御承知のとおり、先ほど来議論に出ております三十万のギャップの問題とか、そういうようないろいろな厳しい条件のある中で、では一体今年度については単価をどうするのか、限度数量は、皆さん方は現状維持あるいはもっとふやせという御意見が多い中ですけれども、そういう皆様方の意見を体しながら、二十三日の諮問、答申を受けて、私どもの判断も加えながら決定をさせていただきたい、このように思っております。

 今までの制度についてはどうかと言われれば、大変その役割を果たしてきた、そのことについては評価をしていい制度だと思っております。

稲津委員 そこで、実はけさの、これは一般紙、地方紙なんですけれども、私これを見て愕然としたんですが、加工原料乳については補給金据え置き、限度数量は三年ぶり下げる、農林水産省は、そうした方向について、補給金単価は据え置くが、限度数量は現行の百九十五万トンから引き下げる、このような方針、概要を固めたという報道がありまして、私はどうしてこういうことがまた出てくるのかなと。

 それで、お聞きしたいのは、まずこの内容、新聞記事をごらんになりましたか。

赤松国務大臣 私は、申しわけないんですが、見ておりません。

稲津委員 それで、真偽のほどはわかりませんよ。ただ、私が申し上げたいのは、こういうことが仮にもし、例えば農水省からその概要が漏れ伝わっているということがあれば、これは極めて遺憾な話でございまして、そして、まさに今大臣が二十三日の審議会をというお話をされて、我々がきょうここで質疑をさせていただいておるわけでございます。ですから、ここはぜひ調べていただきたいなというふうに思うのと、私は、こういうことは、この報道だけでも生産者の方々の意欲をなくすような状況になりますので、極めて遺憾なことであるということを強く申し上げたいというふうに思います。

 そこで、私の場合、時間が非常に限られているので簡潔に申し上げたいと思うんですけれども、経営実態をどのように見ておられるかということについて一つお聞きしたいと思うんです。

 例えば、一頭当たりの所得については、この八年間ぐらいの間に、平成二十年の調査結果を見るとほぼ半減されている。家族労働報酬についても半分になっている。それから、酪農家の農家戸数も大体九千戸ほど全国的に減っている。北海道も多分同じような状況であるというふうに私認識しておりますけれども、この今の生産者の置かれている経営状況をどのように認識されているか、この点についてお伺いしたいと思います。

佐々木大臣政務官 特に稲津委員が酪農という視点で御質問をいただいておりますので、私の方から答弁をさせていただきたいというふうに思います。

 さきに委員から御指摘もあったように、今酪農の世界、畜産もそうなんですが、酪農は、農家戸数が減っていて頭数が減っていないという状況をずっとここ二、三年経過しているわけですね。結局、それだけ一戸当たりの頭数がどんどんどんどんふえていって、離農している人の分を、さらにそこを吸収していくという状況が今ずっと続いておりまして、そういった意味では、大変もう限界状態をそれぞれの生産者の皆さん方が迎えているというような状況であります。

 そういった意味でも、先ほど委員から御指摘があった補給金単価についても限度数量についても、与える影響は極めて大きいというような状況に置かれているというふうに私は認識をしております。

稲津委員 ありがとうございました。

 このことにつきましては、次の質問に移りますのでこれ以上求めませんけれども、ぜひこの単価、数量を拡充すべきということを強く申し上げたいと思います。

 そこでもう一点、今度は生乳需要構造改革事業についてお伺いしたいというふうに思うんです。

 この制度は、御存じのとおり、チーズ等向けの生乳が基準数量を上回った場合に奨励金を交付する。経営安定には非常に寄与してきたものだ、こう思っております。

 ただ、平成二十一年度で事業は一応終了、こういうふうに伺っておりまして、この事業の継続を望む声も多いんですね。この生産者の期待にどうおこたえできるのか、この点についてお伺いしたいと思います。

佐々木大臣政務官 今御指摘いただきましたように、この事業が二十一年度で事業の終期を迎えます。

 特にチーズにおいては、需要が見込まれる分野でもありますので、そういった意味では、二十二年度においては一般会計において予算の措置をさせていただいているところであります。もう一つは、国産品と輸入品の置きかえということも同時にこれはやっていかなければならない。

 全体の需給が、非常に需給ギャップが起きているときに、どこでそれをしっかりと確保していくかということでありますので、そういった意味では、全体としては減少傾向というような状況の中で、この需給ギャップを埋めていくための仕組みというものをやはりしっかりと検討していかなきゃならないというふうに思っています。

 これも、まずは生産者団体の自主的な取り組みが一つありますが、同時に、今度は出口と言われております需要の拡大、創出、こういったところも非常に重要な対策だというふうに思っておりますので、この需要対策についてもしっかりと検討していきたいというふうに思っているところでございます。

稲津委員 きょうの日本農業新聞に政務官の記事が出ていまして、時間がありません、簡潔に読みます。チーズなどの需要拡大で、酪農の生産基盤をどう守るかが今回のテーマだ、そして、チーズには、補給金制度のような、同じような経営安定の仕組みがない、そこで、加工原料乳と同じことはできないが、チーズなどの新たな対策構築は重要な課題と考えるということで、さすが佐々木政務官だなと思いまして、私は非常に期待をしたところでございます。

 そこで、今お話のあった、この事業、今年度で一応終わりますよと。現場からもその継続や期待の声も大変大きかった。貢献もしてきたんだというお話だと思うんですけれども。

 そこで、今度は一般予算で二十九億円ですか、措置をするというお話がありました。これは計算すると、もともとの、私が申し上げました生乳需要構造改革事業については、二十一年度予算で事業規模で八十六億あった、今度は一般会計予算で増産対策で二十九億円ですから、差し引きすると幾らになるんですか、五十六、七億ですか、単純にそういう計算をしてはいけないかもしれませんけれども、ある意味では予算削減ということに事実上なってくるだろう。

 先ほど政務官も大変厳しい経営状況を強いられているんだというお話を、それを政策に反映するのであれば、引き算すると出てくるこの予算、むしろこれは、ぜひそういうことを踏まえて、二十九億という措置じゃなくて、もう少し拡充するような、あるいは別途、別なもので検討するとか、そういう総合的な対策を講じていただければと思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。

佐々木大臣政務官 これも今、畜産部会で検討していただく中のテーマの一つだというふうに思ってございますが、同時に、やはり我々、答申を受けてどうやってそれを政策に反映していくかということは、もちろん関連対策としてやっていかなきゃいけないと思いますが、もう一つはやはり先ほど来論議になっております需要の拡大だと思うんですね。

 チーズをつくっても、そのチーズが売れていくという仕組みがなければ、結局またチーズの塊がどこかにたまってしまうということになってしまうわけですから、日本人の嗜好に合ったようなチーズをどうつくっていくかとか、あるいは学校給食などでも、飲用乳だけではなくて、チーズを使った、あるいはバターを使ったような料理も提供できるとか、そういった需要の拡大というようなことも同時に進めていかなければならないというふうに思ってございます。

稲津委員 ぜひ、あわせて需要拡大についてもしっかり対応していただきたいと思います。

 本当に時間がありませんので、ちょっとこれは、質問しようと思ったんですが、現場の状況ということでお伝えしたいと思います。

 要するに、本当に厳しい経営状況を強いられているので、先ほどの所得補償制度の御議論もありましたけれども、これが何年後になるのか、制度設計はどうなるのか、まだ見えない中で、言うならば、よく絵にかいたもちといいますけれども、まだ絵にかかれていないもちなわけですね。それよりもむしろ、せめて現行の手取りだけは確保したいというのが、これがやはり現場の声だと思うんです。

 それで、この間、こんな話も聞きました、各種の飼料自給率向上対策が講じられてきたけれども、今後の対応が必要だと。草地更新率約三%となっているけれども、更新して生産性が上がったところに、これは政務官が一番御存じだと思いますけれども、北海道のエゾシカが集中してこれを食べてしまう、二番草も収穫できないような状況になっている、こういうこともありまして、ぜひこうした現場の声を政策にしっかり反映していただくことを二十三日の審議会を通して固めていただきたい。

 ぜひ先ほどの、冒頭の補給金についても拡充すべきということを強く訴えさせていただいて、質問を終わらせていただきます。

     ――――◇―――――

筒井委員長 この際、石津政雄君外三名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・改革クラブ、公明党及び社会民主党・市民連合の四派共同提案による平成二十二年度畜産物価格等に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。石津政雄君。

石津委員 民主党・無所属クラブの石津政雄でございます。

 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。

    平成二十二年度畜産物価格等に関する件(案)

  リーマンショック以降の世界的な金融危機に端を発して、我が国の経済は低迷を続けている。そうした中で、我が国畜産・酪農経営は配合飼料価格の高止まりに加え、畜産物の需要と価格が低迷し、全国で離農が相次ぐなど、かつてない厳しい状況にある。よって政府は、こうした情勢を踏まえ、畜産物の需要を喚起するとともに、困難に直面する農家が将来を展望できる畜産・酪農政策を確立するため、平成二十二年度の畜産物価格及び関連対策の決定に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。

      記

 一 WTO農業交渉及びEPA交渉に当たっては、平成十八年十二月の本委員会決議の「日豪EPAの交渉開始に関する件」の趣旨を踏まえ、我が国の畜産・酪農が今後とも安定的に発展できるよう、適切な国境措置等の確保に向けて、確固たる決意をもって臨むこと。

 二 牛乳は、昨年三月の飼料価格の高騰を受けた価格の引き上げで一息ついたのも束の間、牛乳並びに乳製品の需要の低迷で、低価格の成分調整牛乳への傾斜と乳製品の在庫が膨らんでいる。

   ここで、牛乳の生産を低下させることになった場合、これまで培ってきた努力を崩し将来に禍根を残すことになりかねない。今回の決定に当たっては、現行の生産レベルの維持を基本に、需要の拡大対策を強化するとともに、加工限度数量及び補給金単価を適正に決定すること。

 三 国民の食における牛乳の重要性にかんがみ、学校給食への供給対策をはじめ、消費拡大対策を強化すること。

   また、チーズや生クリーム等液状乳製品の供給拡大を図るための対策を継続実施するとともに、都府県における加工を拡大するための乳業工場の再編等、加工施設の整備対策を強化すること。

 四 肉用子牛生産者補給金等対策については、保証基準価格を適切に設定すること。また、我が国の貴重な財産でもある黒毛和種については、重層化している事業を簡素化するとともに、生産コストを賄える支援水準を確保すること。

 五 肉用牛肥育対策については、「マルキン事業(肉用牛肥育経営安定対策事業)」・「補完マルキン事業(肥育牛生産者収益性低下緊急対策事業)」・「ステップ・アップ事業(肥育牛経営等緊急支援特別対策事業)」等の対策が講じられているが、平成二十一年度までの事業であり、これらの仕組みを一本化した肥育経営のセーフティネット対策として、わかりやすい仕組みに見直し拡充すること。

   また、その場合、農家負担の軽減を念頭に置いた対策を講ずること。

 六 養豚対策については、必要に応じ(独)農畜産業振興機構による買い上げや調整保管を機動的に実施するとともに、平成二十一年度までの事業である肉豚価格差補てん緊急支援対策事業を抜本的に見直し、肉豚マルキンともいうべき全国的なわかりやすい事業として拡充すること。

 七 配合飼料価格安定制度については、飼料価格が高位水準にとどまっている現状のような場合、価格安定対策としては機能しないことから、発動要件等について検討を行うこと。また、農家負担軽減を図る観点から、借り入れにより対応してきた資金の償還について支援対策を講ずるとともに、家畜飼料特別支援資金等の継続・強化対策を図ること。

 八 自給飼料対策の重要性にかんがみ、草地基盤整備事業の拡充や、コントラクター、ヘルパー、TMRセンター、リース事業等の十分な予算の確保に努めること。さらに、耕作放棄地・畑地における自給飼料生産による活用や循環型農業推進に向けた堆肥施設や流通体制の整備を抜本的に強化すること。

 九 畜産の担い手育成の観点から、きめ細かな新規就農対策の充実や、子ども酪農体験学習等消費者との交流活動の強化に取り組むこと。

 十 食の安全と消費者の信頼の確保を図るため、加工食品と外食の原料原産地表示の義務対象の拡大を早急に検討するとともに、米国産牛肉の輸入条件については、科学的根拠に基づき慎重に対応すること。

   併せて、景気の悪化で生じている、国産の食肉や鶏卵、牛乳、乳製品の消費拡大対策に取り組むこと。

 十一 平成二十三年度以降の畜産・酪農に係る経営安定対策等については、畜種ごとの実態等を十分に踏まえ、生産者・消費者等関係者の意見を聴きながら、幅広い観点から現行対策の検証を行い、平成二十二年度中を目途に制度や基金の在り方について明らかにすること。その際、沖縄の本土復帰時に特別措置として認められた牛肉調整金制度が消滅し、その代替として設けられた沖縄食肉価格安定基金について、価格差や県外移出の必要性等沖縄の特殊要因に十分配慮すること。

  右決議する。

以上でございます。

筒井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

筒井委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とするに決しました。

 この際、ただいまの決議につきまして農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣赤松広隆君。

赤松国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨に従いまして、最近の畜産をめぐる情勢を踏まえつつ、十分検討してまいる所存でございます。

筒井委員長 お諮りいたします。

 ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

筒井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

筒井委員長 この際、農林水産大臣から所信を聴取いたします。農林水産大臣赤松広隆君。

赤松国務大臣 農林水産委員会の開催に当たりまして、委員長のお許しをいただき、所管大臣として所信の一端を申し述べます。

 私が農林水産大臣を拝命した昨年九月十六日から約五カ月が経過しました。この日以来、私は、副大臣、政務官とともに、政治主導の精神のもと、全力で取り組んでまいりました。

 平成二十一年度第一次補正予算の見直しでは、全省庁の中で最も高い割合の国費を国庫返納いたしました。さらに、平成二十二年度の予算、税制改正要望の検討過程においても、前例にとらわれない、国民の生活を第一とした判断を行ってきたと自負しております。

 これらの中で、この内閣における農林水産政策の考え方を最も色濃く体現しているのは平成二十二年度予算案です。厳しい財政事情のもと、戸別所得補償制度のモデル対策を核として、政策を大転換する大きな一歩を踏み出しました。引き続き、政治の強いリーダーシップのもとで農林水産行政に取り組んでまいります。

 さて、鳩山総理は、さきの施政方針演説において命を守る政治を提唱しましたが、生命の源である食を生み出す農林水産業、その舞台となる農山漁村は、まさに命を支える基盤となるものです。また、地域経済の心臓として地域を支えているのも、まさしく農林水産業です。

 しかし、残念ながら、我が国の農林水産業の現状を見ると、生産額の減少、就業者の高齢者割合の増加、農地、森林の荒廃、水産資源の減少など、深刻な状況に陥っています。農山漁村は疲弊し、地域コミュニティーの維持すら困難となっているところもあります。

 国際情勢に目を転じても、決して楽観視できる状況ではありません。中国やインドを初めとする新興国の経済成長などを要因として、世界の食料需給は逼迫基調にあり、先進国の一員としてその安定化に寄与することが求められています。また、WTOドーハ・ラウンド交渉など、我が国の農林水産業にも大きな影響を与えかねない厳しい国際交渉が続いています。

 このような内外を取り巻く危機的な状況を克服し、国民の命を支える農林水産業と農山漁村を再生すること、すなわち食と地域を再生することが、今、我々がなすべきことです。

 このため、意欲のあるすべての生産者に政策の恩恵が行き渡り、国民が将来にわたって安全な食の恩恵と豊かな水や緑を享受できることを目指します。その際、農林水産業が営まれる農山漁村は、水、緑、環境の保全などの多面的な機能を支える基盤でもあり、国民全体の安全、安心な生活に重要な役割を果たしていることについて、国民各位のより一層の理解を求めつつ、必要な支援を行っていきます。さらに、世界の食の安定に向け、国際的な議論をリードしつつ、積極的な貢献を図ってまいります。

 以下、農林水産政策に関する主要な取り組みについて申し述べます。

 国内政策では、農林水産分野の成長産業化を図ってまいります。

 その中心となる政策は、戸別所得補償制度です。農山漁村に暮らす人々が将来に向けて明るい展望を持って生きていける環境をつくり出すべく、平成二十二年度においては、食料自給率向上のために水田農業のてこ入れを行う戸別所得補償モデル対策を実施いたします。

 具体的には、食料自給率向上のポイントとなる麦、大豆、米粉用米、飼料用米などについて、シンプルでわかりやすい助成体系のもとに生産拡大を促す対策である水田利活用自給力向上事業と、水田農業の経営安定を図るために、恒常的に赤字に陥っている米に対して補てんする対策である米戸別所得補償モデル事業をセットで講じます。

 また、その際、生産調整達成者のみに麦、大豆等の助成金を交付するというこれまでの手法を見直し、米の需給調整は米のメリット措置により実効を期す仕組みへと改め、過去四十年にわたって農村を疲弊させ、閉塞感を与えてきた生産調整政策を大転換します。つくらせない農政からつくる農政へとかじを切り、食料自給率の向上へとつなげていきます。

 また、畑作、畜産・酪農、漁業分野への拡大等についても検討を進め、実現を図ってまいります。

 あわせて、食料供給力の基本となる農地の有効利用、意欲のある担い手の確保に向けた取り組みなどを展開するとともに、資金面から農業経営の改善を支援するため、農業改良資金法案を本国会に提出しております。

 戸別所得補償制度の導入と並び、農林水産分野の成長産業化の大きな柱となるのが六次産業化です。

 六次産業化は、農林水産物の生産から加工、流通まで一体的にとらえ、新たな価値を相乗的に生み出すものです。雇用の確保と所得の向上を実現し、農山漁村に活力、若者、笑顔を再び取り戻すべく、農林漁業者による加工、販売への主体的な取り組みなどを促進するための法律案も本国会に提出することとしております。

 六次産業化に当たっては、農林水産業の重要なパートナーである食品産業との連携を初めとする多様な連携軸の構築、農山漁村に豊富に存在するさまざまな地域資源を活用した新産業の創出、農林水産物や加工食品の輸出拡大も成功の大きなかぎを握ります。特に、農山漁村に豊富に存在するバイオマス、太陽光、小水力、風力などの自然エネルギーの利活用は、鳩山総理が掲げた温室効果ガスを二〇二〇年までに一九九〇年比で二五%削減するという目標達成に大きく貢献できる可能性を秘めており、積極的に取り組んでまいります。

 一方、農山漁村の中には、中山間地域を初め、営農条件等が著しく不利であり、こうした取り組みをしてもなお雇用や所得を十分に確保することが困難な地域があります。このため、中山間地域等における生産条件の不利を補正するための措置等を引き続き講じるとともに、農山漁村における定住、交流の促進を通じた地域経済の活性化にも取り組んでまいります。

 次に、森林・林業の再生です。

 我が国の国土の三分の二を占める豊富な森林と、それを守る林業を支えるべく、昨年十二月に、コンクリート社会から木の社会への転換を目指す森林・林業再生プランを策定しました。同プランに基づき、川上の対策として、路網の整備や森林施業の集約化、林業を担う人材の育成などを集中的に進めます。また、川下の対策として、公共建築物等における木材の利用を促進するための法律案を本国会に提出するほか、住宅やエネルギーへの木材利用を拡大します。これらの対策により、木材自給率を五〇%以上に向上させることを目指します。

 次に、水産対策の推進です。

 我が国水産業は、非常に高い潜在能力を持ちながら、資源状態の低迷等により厳しい状況にあります。このため、藻場、干潟の保全等による水産資源の回復を図るとともに、大型クラゲ等による漁業被害への対策を講じます。また、燃油高騰等による影響を緩和するセーフティーネットの仕組みの創設、収入減少の影響の緩和、融資・保証制度の充実により、漁業経営の支援に取り組んでまいります。さらに、マグロや鯨等の国際的な管理下にある水産資源については、科学的な知見に基づき、持続的な利用が確保されるよう国際社会をリードしてまいります。

 食品の安全性向上と消費者の信頼確保の分野では、食品の移動を把握するトレーサビリティー、農業生産工程管理、HACCP、卸売市場におけるコールドチェーン体制の整備などの食品供給行程における取り組みを推進します。

 引き続き、日ごろから食品の安全に係る情報の収集や分析を行い、農場から食卓にわたって、科学的根拠に基づいた安全性を向上させるための対策を充実させるとともに、農薬や飼料等の生産資材の適正な使用の徹底を図ってまいります。

 次に、国際交渉への対応について申し述べます。

 まず、WTOドーハ・ラウンド交渉については、昨年のWTO閣僚会議や本年一月のダボスでの非公式閣僚会合でも改めて主張してまいりましたが、多様な農業の共存を基本理念とし、各国の農業がともに発展することができる貿易ルールづくりを目指して、引き続き取り組んでまいります。また、EPA、FTA交渉については、我が国全体として経済上、外交上の利益を考慮し、守るべきものはしっかりと守るとの方針のもと、関係省庁と連携しながら、国内の農林水産業に悪影響が及ばないよう十分に配慮いたします。

 さらに、本年十月には、APECにおいて初めての食料安全保障担当大臣会合が新潟で開催されます。さきの食料価格高騰時には、食料不足により暴動が発生する国が幾つも生じ、また、食料輸出国の中には、輸出規制を行う事例も見られました。まさに、食料が命に直結するものであるがゆえであります。私は、主催国の担当大臣としてこの会合の議長を務める予定ですが、その中で、持続可能な農業生産や食料安全保障の確保に向け、積極的に貢献してまいります。

 また、国際生物多様性年に当たることし、名古屋で生物多様性条約の第十回締約国会合、COP10が開かれます。私は、これに先立ち開催される遺伝子組み換え生物の適正管理を目指すカルタヘナ議定書第五回締約国会議、moP5の議長を務めます。こうした生物多様性を初めとする地球環境の問題について、国際的な協力関係を強化しつつ、積極的に取り組んでまいります。

 以上、農林水産政策に関する基本的な考え方を申し上げました。

 私は、副大臣、政務官、そして農林水産省の全職員と一体となって、マニフェストの実現に向けて全身全霊を賭して取り組んでいく所存です。また、このような取り組みが国民の皆様から信頼の得られる組織のもとで進められるよう、本国会では、農林水産省設置法を改正する法律案を提出しております。

 農林水産省が進める政策は、汗水を流しながら必死になって働かれている現場の方々の視点に立ったものとなって、初めて血の通ったものに仕上がります。とりわけ、本年三月には、今後の農政についての基本的な方針を盛り込んだ新たな食料・農業・農村基本計画を取りまとめる予定ですが、ここでも、農業、農村を支える必要性に対する国民的理解の醸成に努めながら、生産者や消費者の方々の声を十分に反映した計画にする必要があります。

 そこで、私は、副大臣、政務官とともに、これまでも、農林水産業に関するさまざまな御意見を伺うべく、全国各地を訪問させていただきました。そこには、安全な食料を安定的に供給すべく努力をされている方々、地元でとれた農林水産物の販売を通じて地域経済の底上げに取り組まれている方々、農山漁村の環境を守るべく農地や森林などの保全に取り組まれている方々など、我が国の農林水産業、農山漁村を支えるために果敢なチャレンジをされている方々がたくさんおられました。

 そして、国民の皆様とお話をさせていただく中で、我々の政策が形になっていく中で、日ごとに国民の皆様方からの期待、信頼が大きく、強くなってきていると身をもって感じております。

 私は、その期待、信頼にこたえることが農林水産大臣としてみずからに課せられた重い使命と受けとめ、本年も果敢に農林水産行政の大転換を進めてまいります。

 委員長を初め委員各位におかれましては、今後とも一層の御指導、御鞭撻を賜りますよう、お願いを申し上げます。(拍手)

筒井委員長 次に、平成二十二年度農林水産関係予算の概要について説明を聴取いたします。農林水産副大臣山田正彦君。

山田副大臣 平成二十二年度農林水産予算の概要を御説明申し上げます。

 平成二十二年度一般会計予算における農林水産予算の額は、関係府省計上分を含めて二兆四千五百十七億円となっております。その内訳は、公共事業費が六千五百六十三億円、非公共事業費が一兆七千九百五十四億円となっております。

 農林水産予算の編成に当たっては、コンクリートから人への理念に立って、農業者を直接支援する事業に予算を重点的に配分することにより、農林水産業を立て直し、食と地域の再生を図ることといたしました。

 以下、予算の重点事項について御説明いたします。

 第一に、戸別所得補償制度のモデル対策の実施です。

 意欲あるすべての農業者が農業を継続できる環境を整え、創意工夫ある取り組みを促すため、戸別所得補償制度を導入することとし、平成二十二年度は、本制度の導入に向けたモデル対策を実施いたします。

 具体的には、食料自給率向上のポイントとなる麦、大豆、米粉用米、飼料用米などについて生産拡大を促す水田利活用自給力向上事業と、恒常的に赤字に陥っている米に対して補てんする米戸別所得補償モデル事業をセットで講じます。

 第二に、食料供給力の向上対策です。

 農業者の経営に必要な資金について、金利負担の軽減や無担保無保証人の特別保証の導入等融資制度を充実することなどにより、意欲ある農業者の経営の改善を支援します。

 また、将来の農業を担う人材を確保するため、農業法人等が就農希望者を雇用して行う実践研修等への支援を図ります。

 第三に、農山漁村の活性化対策です。

 中山間地域を初め営農条件が著しく不利な地域に対して、生産条件の不利を補正するための措置を講じるとともに、農地、水、環境の保全のための共同活動等を実施する地域を支援します。

 また、地域が自主性を生かして地域の実情に即した公共事業を実施することが可能となる新たな交付金制度を創設し、農山漁村地域の総合的な整備を推進いたします。

 第四に、食の安全の確保対策です。

 食の安全と消費者の信頼を確保するため、リスク管理措置の実施、農家等でのトレーサビリティーの取り組み、家畜防疫・農作物の病害虫の防除を支援いたします。

 第五に、農山漁村の六次産業化対策です。

 農林水産業、農山漁村の有する資源を有効に活用し、地域ビジネスの展開や新産業の創出を図るため、農林漁業者と食品事業者等の連携による販路拡大、食品産業の環境対策、再生可能エネルギーの利活用の取り組み等を支援いたします。

 第六に、森林・林業・木材産業対策です。

 国土の保全や水源の涵養、地球温暖化防止など森林の有する多面的機能が将来にわたって発揮されるよう、森林における路網の整備や施業の集約化、林業を担う人材の育成等を集中的に進めます。

 また、国産材を初めとした木材利用の拡大に向けた取り組み、地域の木材関係企業等の連携促進等を推進し、森林・林業の再生を図ります。

 最後に、水産対策です。

 漁業経営の安定化を図るため、燃油などの資材コストの変動や収入の減少の影響を緩和する対策を講じます。

 また、水産資源の回復、漁場生産力の強化のため、藻場、干潟の保全を図るとともに、大型クラゲ等の有害な生物による漁業被害防止対策、漂流・漂着ごみの回収等を支援いたします。

 次に、特別会計については、食料安定供給特別会計等について、それぞれ所要の予算を計上しております。

 最後に、財政投融資計画については、日本政策金融公庫等による財政融資資金の借り入れなど総額一千八百六十二億円を予定しております。

 以上、平成二十二年度農林水産予算の概要の説明を終わります。

筒井委員長 以上で説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十二分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.