衆議院

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第2号 平成22年3月11日(木曜日)

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平成二十二年三月十一日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 筒井 信隆君

   理事 石津 政雄君 理事 梶原 康弘君

   理事 小平 忠正君 理事 森本 和義君

   理事 森本 哲生君 理事 北村 誠吾君

   理事 宮腰 光寛君 理事 石田 祝稔君

      石原洋三郎君    石山 敬貴君

      金子 健一君    河上みつえ君

      京野 公子君    後藤 英友君

      佐々木隆博君    斉木 武志君

      坂口 岳洋君    高橋 英行君

      玉木 朝子君    玉木雄一郎君

      津川 祥吾君    道休誠一郎君

      中野渡詔子君    仲野 博子君

      野田 国義君    福島 伸享君

      柳田 和己君    山岡 達丸君

      山田 正彦君    和嶋 未希君

      伊東 良孝君    稲田 朋美君

      江藤  拓君    小里 泰弘君

      金田 勝年君    橘 慶一郎君

      谷川 弥一君    鳩山 邦夫君

      保利 耕輔君    西  博義君

      吉泉 秀男君    石川 知裕君

    …………………………………

   農林水産大臣       赤松 広隆君

   内閣府副大臣       古川 元久君

   農林水産副大臣      山田 正彦君

   内閣府大臣政務官     泉  健太君

   外務大臣政務官      西村智奈美君

   文部科学大臣政務官    高井 美穂君

   農林水産大臣政務官    佐々木隆博君

   国土交通大臣政務官    三日月大造君

   環境大臣政務官      大谷 信盛君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房長) 佐藤 正典君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  本川 一善君

   政府参考人

   (林野庁長官)      島田 泰助君

   政府参考人

   (水産庁長官)      町田 勝弘君

   農林水産委員会専門員   板垣 芳男君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十一日

 辞任         補欠選任

  石原洋三郎君     坂口 岳洋君

  津川 祥吾君     斉木 武志君

  小里 泰弘君     橘 慶一郎君

  山本  拓君     稲田 朋美君

同日

 辞任         補欠選任

  斉木 武志君     津川 祥吾君

  坂口 岳洋君     石原洋三郎君

  稲田 朋美君     山本  拓君

  橘 慶一郎君     小里 泰弘君

    ―――――――――――――

三月十日

 農業経営に関する金融上の措置の改善のための農業改良資金助成法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農業経営に関する金融上の措置の改善のための農業改良資金助成法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二四号)

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

筒井委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房長佐藤正典君、生産局長本川一善君、林野庁長官島田泰助君及び水産庁長官町田勝弘君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

筒井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

筒井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮腰光寛君。

宮腰委員 おはようございます。

 きょうは大変いいお天気で、宿舎から富士山がきれいに見えておりました。一点の曇りもない富士山でありました。そういう気持ちで質問をいたします。答弁者も同じ気持ちで御答弁をお願いいたしたいと思います。

 今回の長崎県知事選挙で当選した中村知事の対立候補橋本氏、私も何度か話をしたことがありますけれども、農水省職員らしい、非常にまじめで、いい人物であるというふうに評価をいたしております。しかし、選挙自体は、赤松大臣の土地改良やミカン選別施設についての空手形発言があり、山田副大臣の異常な公務出張があり、さらには、石井一議員の長崎県民を愚弄した発言あるいは脅迫した発言があって、後味の悪い選挙となってしまいました。

 私が提出をいたしました質問主意書に対する答弁書によりますと、山田副大臣の地元への公務出張がいかに突出しているか、一目瞭然であります。一月十七日から二月四日までの十九日間で四回、四週連続で地元長崎県に公務出張をしておいでになりました。随行者は三十六名、旅費は百六十七万円。念のため調べてもらった我々の政権のとき、国政選挙でも、三年間の合計で七回、随行者四十三名、旅費は百五十六万円。山田副大臣の十九日間の方が我々の三年間より金額が多いということになっております。

 山田副大臣の公務出張の多さは極めて異常であります。まさに選挙目当ての公務出張そのものではないかと思いますが、山田副大臣、いかがでしょうか。

山田副大臣 公務出張というのは本当にいろいろございました。ただ、あくまで予定されていた公務出張であって、選挙の目的のために行ったものではありません。よく見ていただければいいんですが、選挙は選挙として、政務として、党が推薦していますから、私も土日ほとんど政務として応援には入っております。

 ただ、公務としては、前々から畜産のいわゆる価格決定のために現場の状況を大臣から見に行くようにと。我々政務二役、北海道とか九州を手分けして行ったんですが、私も九州で、長崎とか熊本、そういった現地を生産局長と一緒に見て回って、現場の農業の、畜産の関係者、繁殖、肥育等々から詳しく事情を聞くとか。

 また、対馬で、水産庁長官と一緒に行ったのも、直後から大臣に、長崎県というのは水産は全国で二位、そして大変重要な、いわゆるマグロの資源の問題とか、いろいろなものを抱えておりまして、それを大臣にも、ぜひ見に行ってくださいと。水産長官も行きましょうというお話だったので、水産庁長官と一緒に見に行って、視察に行って、現地からいろいろ、沖合と沿岸のトラブルがあるんですが、いろいろな状況をお聞きした。

 また、林野庁長官と一緒に行ったときは、いわゆる谷川代議士も呼ばれておって、シンポジウムにも書かれておりましたが、全国的なシンポジウムで、森林、日本の林業をどうするか、島外から百人、島内からも八百人ほど集まった、大変重要なテーマで。森林組合の対馬の組合長さんが林野庁長官に去年の十二月から出席も依頼しておったという事案です。

 等々を考えますと、別に特別に選挙のために、私が公務として長崎に行った、むしろ政務と公務ははっきりと区別させていただいておったということで、何も問題なかったと承知しております。

宮腰委員 対馬の問題は後でお聞きいたします。余りにも地元への公務出張が多過ぎる。しかも選挙期間中である、直前であるということであります。

 答弁書におきまして、橋本氏が農水省を退職した昨年の十一月十六日から長崎県知事選挙投票日前日のことし二月二十日までに長崎県に出張した畜産部と水産庁の職員は、延べ百三十七人でありました。畜産部は、橋本氏が退職直前まで勤務していた部署。町田水産庁長官も以前畜産部長を務めておいでになりました。この二つの部署だけで三カ月で百三十七人もの職員が長崎県に行ったことになります。畜産部を初め職場をともにした官僚が大挙して選挙応援に行った。

 当然すべて自費だと思いますけれども、念のために、自費で行ったのか、公費で行ったのか、お聞きをしておきたいと思います。官房長。

佐藤政府参考人 御説明申し上げます。

 ただいま委員からお話のございました百三十七名でございますが、これは先日、質問主意書でお尋ねのあった件でございます。

 この百三十七名は、このうち、漁業取り締まり船に乗船する漁業監督官、これが四十六名おりまして、長崎で一時的に乗船あるいは下船のためにこの県に出張した者。それから、九州漁業調整事務所から出張した者が三十八名ございます。その他の五十三名につきましては、現地調査や政策のために本省から出張した者でございまして、これらにつきましては公務の出張でございます。

宮腰委員 余りにも多過ぎる。百三十七名の農水省職員が国民の税金を使って公費で出かけて、元同僚の選挙応援をした。極めてゆゆしき問題である。政務三役以下農水省全体が常軌を逸しているとしか思えない。

 百三十七名で公費は幾ら使ったのか。一人一人の出張の目的とその成果、日程と費用について報告をいただきたいと思いますが、官房長、どうですか。

佐藤政府参考人 今委員からのお尋ねでございますが、用務それから費用等につきまして、また大臣、副大臣等々の指示を受けながら、対応してまいりたいと思います。

宮腰委員 これは出張の復命書というのがあって、必ず保存をされていると思いますので、ぜひ提出をしていただきたいというふうに思います。

 委員長、後で、次の理事会で結構でありますから、お諮りをいただきたいと思います。

筒井委員長 後ほど理事会で協議いたします。

宮腰委員 国家公務員の選挙活動は禁止をされております。公費で長崎に行った職員のほかに、年休をとって選挙応援に行った職員もいるはずであります。組合もあります。ちゃんと把握しておいでになりますか、官房長。

佐藤政府参考人 ただいまのお尋ねの件でございますが、把握してございません。

宮腰委員 これは、私の方から申し上げておきますけれども、役所ぐるみでやっていたのではないかということでありまして、幾ら年休をとって行ったとしても、国家公務員の選挙活動というのは禁止をされているということでありますから、しっかりと調査をしていただきたいというふうに思います。

 次に、告示日の問題であります。

 知事選告示の二月四日、山田副大臣は本川生産局長を長崎、熊本に随行させ、畜産関連の現地調査と意見交換を行いました。事実ですよね。告示当日、ある選挙集会が行われたところで、本川局長は車の中で待機していたという話がありますけれども、事実でしょうか。

本川政府参考人 お答え申し上げます。

 その日は、二軒の農家を御視察いただいた後に昼食をとった後、副大臣は政務で時間を過ごされるということでございました。私どもは、その間、車の中で待機ということではございませんで、近くに諫早湾干拓の用地がございましたので、そこで飼料の作付状況などにつきまして現地を見させていただいた、そのような形でございます。

宮腰委員 目撃者もいるんですよね。天網恢々疎にして漏らさず。

 山田副大臣、その集会は、二月四日に行われた政務の集会はどういう集会でありましたか。

山田副大臣 当時、前々から畜産の視察で長崎、熊本が予定されておりましたので、ちょうどその日、四日の日が告示日でございました。私の地元大村で、橋本候補が来るということだったので、視察の途中、お昼ぐらいだったんですが、私は、公用車からおりて私の自家用車、いわゆる地元の秘書が運転する私の車で、これから先一時間は、一時間か一時間半ですか、政務だと。それで、私の車で地元大村まで入って、そこで橋本さんを、しっかり頑張りなさいと、当然のことです、激励して、そしてそのまま私の車で戻ってきて、また公用車に乗り、公務についた。

 その間、一時間か一時間半かあったと思いますが、畜産部の、いわゆる局長クラスは、たしか諫早干拓の方に視察に行ったんだというお話を聞いておりまして、何も私が彼らを連れて大村まで行ったりとかそういうことも一切ありませんし、公務と政務についてはきちんと峻別しておりましたので、何もそういういわれは私ども農水省にはない、そう確信いたしております。

宮腰委員 政務に自分の車を使うのは、これは当たり前の話ですよ。当然です。

 今のお話ですと、生産局長は、山田副大臣の政務の時間に諫早干拓の現場、飼料生産を視察してきた、あいている時間に行ってきた、こういうことですよね。

 つまり、つまりというよりも、そもそも、告示当日に選挙集会と公務出張を兼ねて農水省幹部を随行させること自体に大きな問題があります。前代未聞の行動ではないですか。常識ですよ、山田副大臣。

山田副大臣 もともと、畜産価格をどう決めるかという大変大事なことについて、大臣から、現場の畜産農家の、関連対策もありますし、現況、特に、乳牛とか、島原半島には繁殖牛も肥育牛もいろいろな状況がありますから、そういったものをつぶさに見て、さらに熊本の方で、赤牛から乳牛から、そういったいろいろな関係者からの話も聞くという、私は九州の方を担当し、一方、佐々木さんは北海道の畜産を見る、政務二役、それぞれ大臣の指示のもと、ちょうど畜産価格の決定の前に大臣の指示で行ったわけでありまして、何も殊さら、たまたまいわゆる告示日に合ったので、ここからこの時間だけは本人の激励にちょっと顔を出して、これは政務としてきちんとやらせてもらう、あとはすべて公務を公正に適切に行ったということで、何も問題があるとは思っておりません。

宮腰委員 私の質問に答えておいでになりません。

 告示当日に、政務、いわば選挙集会への出席と公務出張を兼ねて農水省幹部を随行させること自体に問題がある。今の政権はその辺の節操がまるでない。仮に、大臣の指示があったとしても。選挙だから、官僚を地元の長崎に連れていくということは御遠慮申し上げたいというのが当たり前ですよ。今回、全くその逆である。

 対馬の問題に行きたいと思います。

 山田副大臣、一月二十三日に対馬で行われた林業再生を考えるシンポジウム、今ほどおっしゃった、谷川先生にも招待状があったということは私も知っております。かなり前から決まっていた公務と発言をしておいでになります。確かに、地元の森林組合が長崎県の森林環境税を活用した公募事業に応募をした、二次審査で事業採択になったのが昨年の六月ごろでありますから、かなり前から決まっていたことは間違いありません。

 しかし、この段階では県レベルの事業の話であって、いつかの時点で農水省などが後援することになって規模が大きく膨らんだ。その経緯はまことに不自然でありまして、何らかの政治介入があったのではないかというふうに推察をされます。

 山田副大臣、関与されたのではないか。

山田副大臣 このシンポジウムは、むしろ半年かもっと前から計画されておった、その日に計画されておったシンポジウムであって、我々がそれに対していろいろ関与したということはもちろん一切ありませんし、当日、当時のパンフレットでも、自民党の谷川議員も出席、私も出席、どちらもあいさつということになっておりました事案でして、国としても当然、全国から集まって、県外から百人、島だけでなく、県内から合わせて八百人集まったという大変な大会でしたから、そこに、たった何日か前に、予定を国のために云々するとかということは考えられないわけでして、もっと半年も前から、しかも出席者の顔ぶれを見たって、ニコルさんとか梶山さんとか、林業関係では銘建工業の会長も来ておったと思うんですが、大変全国的な有名な方々がみんな参加したわけで、そこに当然、林野庁長官も、お招きを受けていたんだから行ってあいさつする。それは、不思議なことは、おかしいことは何にもない、そう思っております。

宮腰委員 有名な方々が多数参加された。私は、中身について文句を言っているわけではありません。おかしいと言っているわけではありません。しかし、昨年の六月時点では県レベルの事業であった。これがなぜこのような大きな規模になったのかということについて疑義があるということを申し上げているわけであります。

 対馬でのシンポジウム、林野庁長官の出番は、最後の来賓コメントということだったと聞いております。多数参加された中で、最終的に、林野庁長官のコメントが最後にあって、出席者はその時点で半分程度に減っていたというふうに聞いております。ほかには、関係者との意見交換をしておいでになっただけだ、そういうことですよね。

 そうであれば、何のために林野庁長官が行ったのか、私は理解できません。これは事実ですか。

島田政府参考人 一月二十三日のシンポジウムにおきます私のある意味で役割と申しますか、それにつきましては、今、宮腰委員の方から御指摘いただきましたように、シンポジウムの最後に、それまでの議論を踏まえて総括的なコメントをしていただきたいということがございまして、最後にコメントをさせていただきました。

 シンポジウムの時間、かなり予定をオーバーしてずれ込んでいたものですので、最後の段階では、やはり予定の時間を過ぎていたということがあって、御指摘いただいたように、かなりの方が席を立たれていたというようなことも事実でございました。

宮腰委員 国会開会中に、来賓コメントと関係者の意見交換のためだけに行く。国会開会中ですよ、それほどの意味があったのかどうかですよね。

 同じく一月の二十三日、長崎県対馬市における漁業関係者との意見交換会。山田副大臣は、発言の中で、県知事と山田、御自分のことだと思います、県知事と山田の気持ちが一つになれば、沿岸漁業とまき網、底びきの漁場の線引きを三マイルから五マイルに変更することは可能だと発言されております。

 これは、民主党の知事を出せば要望はかなえられるとの露骨な利益誘導にほかなりません。発言は事実ですか。

山田副大臣 そういうことを言ったとは私は思っておりませんが、いわゆる地元の漁業組合長の皆さん方が、今申し上げましたように、沖合のまき網と沿岸の一本釣りとの間で、もう二十年、三十年、非常に深刻な状態を続けております。

 そんな中で、いわゆる沿岸の組合員の皆さん方については、三マイルを五マイルにしてほしいというのは、これまで県にも、水産庁にも、我々国会議員にも、何度も切実にそれを訴えてきた問題でありまして、それについて私どもも、向こうからいろいろな、例えばそれだけではない、底びきの問題もありますが、また、マグロがことし非常にとれない、いわゆる向こうではヨコワと言うんですが、ヨコワの問題とか、水産関係では今いろいろな深刻な問題があります。

 対馬では、去年一年間だけで五十三人も自殺しております。漁民の場合には、油代の高騰もそのまま高どまりで続いておりますし、いわゆる漁業経営というかが大変厳しくて、そんな状況を皆さんからお聞きするときに……(宮腰委員「事実かどうか聞いておるんです」と呼ぶ)

 それで、三マイルから五マイルの問題については、十分御意見をお伺いして、ひとつ、まき網側とも私どもの方もお話をしておりますし、沿岸の皆さん方も、それなりに資源保護という感じできちんと、それぞれの痛みを分けて何とか解決しようじゃないか、そういう話をしておりますが、それ以上のことを話したとは思っておりません。

宮腰委員 私が申し上げているのは、今、山田副大臣からもお話があった、漁業協同組合長会の皆さん方と懇談をして、何度も念押しをして確認をしてまいりました。知事と山田の気持ちが一つになれば、沿岸漁業とまき網、底びきの漁場の線引きを三マイルから五マイルに変更することは可能だ、現場におった人しかわからないような発言ですよ。

 水産庁長官も同席をしておいでになったと思います。長官は、意見交換のためだけに対馬に出張されたんですか。

町田政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、先ほどの林野関係のシンポジウム、これに合わせて、漁業関係者との意見交換ということで現地に参りました。

宮腰委員 そのほかにも藻場の視察もあったと聞いておりますが、漁業関係者もそちらには同行しなかったということですよね。ほとんど同行していなかった。

 両長官は、国会開会中にもかかわらず、山田副大臣に随行をし、それほど重要とは思えないスケジュールをこなしておいでになりました。果たして何のために行ったのかね。両長官が、二人も何のために行ったのかね、国会開会中に。現政権、あるいは山田副大臣の権力の誇示のためと言わざるを得ません。これが民主党の言う政治主導の現実の姿であります。

 山田副大臣が幹部職員を引き連れてとった行動は、権力の濫用で、公務員を選挙運動に駆り出した選挙違反の疑いが強い。同時に、駆り出された方の官僚にも責任がある。本来、このようなときは、事務次官が体を張ってとめるべきだ。農水省として厳正な処分を検討すべきであると思うが、官房長、いかがでしょうか。

佐藤政府参考人 お尋ねでございますけれども、いずれも今回取り上げられた出張につきましては、公務の適正な出張だというふうに考えておりまして、そのように評価しているところでございます。

宮腰委員 何でも適正になるということではありません。政治の世界ではそんなことは全くありません。

 山田副大臣は、政府の一員である副大臣としてあるまじき行動をとった責任、国民の税金を無駄に使って農水省の職員を選挙に駆り出した責任、この二つの責任をどうおとりになるのか。辞任されるお気持ちはありませんか。

山田副大臣 公務として予定されていたものを公務としてこなし、いろいろな意見交換会においても適切な話をしただけであって、何も公務員を連れて選挙運動に行ったとかというそんなことでは全くありませんので、そんな責任とって云々とかという、辞任するとかという話とは全く異なる。たまたまシンポジウムは前から予定されておったし、漁業問題も、前から大臣と一緒に行こうというお話を水産庁長官と行っただけの話ですから、そういうことでは本当に問題ないと思っております。

宮腰委員 極めて節度がないと私は思います。政権与党であればあるほど、一定の節度というものが当然必要であります。

 私は、今回の選挙を見ていても、おどし、ばらまき、ほおかぶり、残念ながらこの性格がよく出ていると思います。大臣に求めたいのは、節度を持った政権運営をするということは日本の政治家なら当たり前だと思うんですよね、そのことについてお考えをお聞きして、質問を終わります。

赤松国務大臣 いろいろと先生から御指摘をいただきました。私どもといたしましては、この長崎問題に限らず、箇所づけの問題等についても、私ども農林水産省は非常に適切に、公平公正に対処をしているというふうに私自身は自負をいたしております。

 今回の選挙につきましては、私自身がかつて選対委員長だったこともあり、選挙はもともと好きですから、私の場合は、本当にみずから土曜、日曜を使って、自分の金で、選挙を優先して、選挙のために長崎に二回行きました。ですから、そのときは一人も職員は連れていっておりませんし、現地での車、その他についても全部自分で手配をしてやっています。

 ただ、私の場合は、大臣が来たというので、ぜひこの際、陳情をしたいとか要望を言いたいということで、この間、例の諫早湾のダムの問題もありましたし、それからまた、先ほどちょっと話題に出た野菜の選果機の問題もいろいろありました。ただ、それは、ついでに、そちらの方がついでに御要請いただいたということで、それは率直な地元の皆さんの意見ということで聞かせていただき、選挙に、あちらの候補、こちらの候補、どちらを応援するかは横に置いておいて、確かに必要なものはわかりました、それは言われても無理ですよということをやってきたつもりでございます。

 それと全く反対に、山田副大臣の場合は、畜産価格の問題とか、それから林野のシンポジウムの問題とか、あらかじめ決まったいわゆる公務がございまして、それを優先して行ってもらったということで、たまたまそれが長崎の県知事選挙と重なったものですから、今度は一部その中で政務ということで、そこは切り離して、みずからの立場で応援に当たったというところで、どちらにしても、公務、政務をきちっと切り分けて対処しておるつもりでございますので、その点につきましては、ぜひ委員の御理解と御納得をいただければというふうに思っております。

宮腰委員 理解、納得はできませんが、政治家であれば、役所も含めて、選挙ということになればなおさら節度を持って対応するというのが当然だと思うんです。そのことを申し上げて、質問を終わります。

筒井委員長 次に、稲田朋美君。

稲田委員 おはようございます。自由民主党の稲田朋美です。

 本日は、鳩山政権が誕生してから初めて農水委員会で質問する機会をお与えいただきましたことに感謝申し上げます。

 遅くなりましたが、大臣、御就任おめでとうございます。きょうは、大臣の、日本の農業に対する、そしてその取り組み姿勢についてお伺いをいたしたいと思っております。

 三年前の参議院選、一人区と言われる農家が多い地区で自民党は大惨敗をいたしたわけですけれども、それは、民主党が選挙の最中にビラを配りまして、そして、生産調整をやめて市場価格と生産費を全額補償するというビラを配られたわけです。日本の農業を守る民主党、そして日本の農業を壊す自民党というプロパガンダをやられたわけであります。それを信じた、そしてだまされた農家の方々が票を入れ、そして票をかっさらって、私も一人区ですけれども、福井は辛うじて勝ちましたけれども、しかし、大惨敗をしたわけであります。

 その後、民主党が戸別補償法案を出されましたけれども、そのとき参議院選のビラで配られたものとは全く違う法案を出されたわけです。生産調整はやはりやるんです。そして、市場価格と生産費、全農家には配らないんです。そのことを私は農水委員会で発議者に質問いたしましたら、何と答えたか。自民党の政策に反対するビラをつくっていたら、それが参議院選で配られてしまったんですと。配られてしまったとは、だれが配ったんですかということを聞きたいと思いました。

 今回の衆議院選でも同じようなことがありました。そして、衆議院選の選挙の後に、私の地元でテレビの討論会がありました。民主党の先生方が出てこられまして、私ははっきりお聞きしたんです、生産調整はやるんですか、やらないんですかと。生産調整はやりませんとはっきりとお答えになりました。また、戸別補償、市場価格と生産費をそれぞれの農家にそれぞれの差額を支払うんですかと言いましたら、そうですとはっきりと答えられました。うそじゃないですか。まだ質問は続いているんです。うそなんですよ。

 これだけじゃないんです、マニフェストのうそは。例えば、無駄遣いをやめて九・一兆円、それから、予算を組み替えて、民間企業でも経営者がかわれば一割、二割の経費はすぐに削減できるんだ、日本の国の一年間の予算は二百七兆円、政権交代すれば、一割、二割、二十兆円、四十兆円、すぐ出るんだとおっしゃいました。だから、日本の防衛費よりも多い五兆円以上の子ども手当も配れるし、高速道路もただにできるし、それからガソリンも値下げするんだとおっしゃいました。私の相手は、ビラに、天下りをやめて十二兆円出すんだ。

 みんなうそなんですよ。公党に詐欺罪が成立しないのかな。そして、その詐欺のマニフェストで政権をかすめ取ったじゃないですか、民主党は。本当にそうじゃないですか。

 その後、地元の農家の方々もだんだん不安を感じておられます。そして、私のところにも幾つも民主党の農政に対する不安の声が寄せられております。大臣、お忙しいかもわかりませんから、私の地元の方々から来ているその不安の声を、一字一句直さず、ちょっと読み上げさせていただきます。

 水稲共済の加入者を基本とし、米麦の作付面積十アール以上の農家を対象とすると聞いておりますが、交付金支払いが農政局から農家の口座に直接支払う一方、市町村が地域水田農業推進協議会などを活用して要件を確認するということで、このような事務の流れがばらばらでは、日本の農業を本気で考えているのか疑問です。

 個別農業では不可能な取り組みが集落営農によって可能になり、高齢化が進んだ地域では、集落営農でなくては地域農業が守れないのではないでしょうか。

 自給率が低い作物、新規需要米などの転作作物に助成するとあるが、耕作放棄地再生利用緊急対策事業については来年度予算計上見送り、農道整備事業は廃止となっており、このような政策では自給率向上など望めず、地域の農業の実態がわかっていないと思う。今の生活環境を守っているのは、耕作放棄地対策など農業が占める割合は大きいと思います。

 さきの事業仕分けを見ていると、今の農業を理解していない。ただ数字の削減にだけ考えているようだ。このような政党に任せて将来の日本の農業は大丈夫か。今の美しい自然を守っているのは、農業を守っているからではないかと思う。

 また、EPA、FTAの締結の促進は農家にとって大きな不安要因である。一方において国際競争のもとにさらされ、もう一方で所得補償というあめとむちのやり方は、本当に農業を健全なものにできるのでしょうか。戸別補償制度が今後恒久的に実施されなければ、農産物は安くなっており、農業の継続は不可能になってしまうのではないか。

 補償水準に対し農家の納得を得られず、生産過剰となり、需給緩和となった場合において、生産過剰の翌年は、主食用米を生産できる面積が大幅に減少することも予想される。その場合、主食用米を生産できる面積がわずかでは、所得補償の水準が相当高くなければ制度の維持ができなくなるのではないか。出口対策について、政府として考えているものがあるのか。

 そういった不安の声が、今のは一部です、本当にたくさん寄せられております。

 その中で、まず一問目、大臣にお伺いをいたしたいのは、WTO交渉における大臣の姿勢です。

 今までの自民党の政権のもとでは、守るべきものは守り、攻めるべきものは攻めるという方針をWTOでもEPAでもしておりました。

 例えば、平成十八年の十二月、松岡大臣のころですけれども、私は農林水産行政の責任者として、検疫など攻めるべきものは攻め、守るべきものはしっかりと守るとの方針のもと、米、麦、牛肉、乳製品、砂糖を初めとする重要な農林水産物が除外または再協議の対象となるよう粘り強く交渉に当たる覚悟である、このように、守るべきものは守る、攻めるべきものは攻めると、まさしくわかりやすい言葉で方針を示したわけですけれども、そういった自民党下でのWTO、EPA、FTAの方針は、新政権でも、大臣のもとでも引き継がれるのでしょうか。

赤松国務大臣 EPA、FTAのことに関連をしての御質問でございますので、お答えをしたいと思います。

 先に結論を言えば、衆参で全党一致でされている決議もございます。その中では、今委員がおっしゃったように、守るべきものは守る、攻めるべき云々という文言はちょっと知りませんでしたけれども、そういうふうにきちっと議会の決議もあることでございますし、私ども民主党のマニフェストの中でも、我が国の食の安全、安定供給、食料自給率の向上、国内農業、農村の振興などを損なうことは行わないということも、はっきり昨年の衆議院選挙に当たってのマニフェストでも明記をしておるところでございますので、私どもは、WTO、FTA、EPAに当たりましては、国際的な自由貿易のための貿易や、あるいはサービス、投資、そういうことについては積極的に力を注いでいくけれども、一方、今言ったような農業については、そういう食の安全の問題、自給率の問題、農業、農村の振興を損なうようなことはしない、こういう点についても同時にあわせて明言をしておるところでございますので、その点については御信頼をいただいてよろしいのではないかと思います。

稲田委員 大臣の昨年の十二月のWTOにおけるステートメントを見ますと、循環と持続がキーワードだとおっしゃっているんですけれども、意味がわからないんです、どういう意味か。循環と持続がキーワードだと。そして、驚くべきことにステートメントの最後に、我が国は自由貿易により最も恩恵を受けてきた国でありますということをおっしゃっているんです。こういったことを、日本の農水大臣がステートメントの最後で、日本の国は自由貿易で恩恵を受けてきた国だから、ラウンド妥結に向けて力強く貢献していきますなんということを言いますと、自由貿易なのか、そうなのかということになって、誤ったメッセージを世界に、そして日本の農家の方々に不安を与えるメッセージだと思いますが、いかがでしょうか。

赤松国務大臣 これは、WTO参加国のすべてが、一〇年度中のドーハ・ラウンドの妥結に向けて頑張っていこうということも、これはもうすべての国、例外なくすべての国がそのことについては一致をしておるわけでございます。

 それから、過去、自動車や電子部品ばかりじゃなくて、あらゆる面で日本の発展の一つの基礎となりましたのは、やはり、お互いに国内産業を守るという視点はあったにしても、こうした関税をお互いに引き下げて、より大きな、より自由な、より幅の広い貿易の拡大をしてきた、その中で日本のいろいろな形での産業の発展もあった、これも事実でございますので、それを頭から、自由貿易なんというのはけしからぬ、みんな、江戸時代の鎖国とは言いませんけれども、そういうふうに国内産業をすべて守るためにやっていけなんということは、これはもう、今、農家、農村に言っても理解をいただけないということではないか。

 私も、だからといって、今までの自由貿易体制を認めるということは、イコールそれが日本の農業はどうなってもいいということとは全く違いますから、その点は、私どもが申し上げてきたことは決して間違っていないし、また鳩山政権としても、自由貿易体制、さらにそれを進める視点、基本的な姿勢というのは変わらないと思っております。

稲田委員 世界の共通認識はそうかもわかりませんけれども、大臣は日本の農水大臣なんです。そして、民主党の農業政策、ずっと農家の方々が不安に思ってきたのは、小沢幹事長が、自由貿易主義だと。関税を撤廃してどんどん安い輸入食品を入れて、そしてその差額を埋めよう、これが戸別補償なんだということを大変不安に思っていたんです。

 大臣は日本の農水大臣なんです。そして、ちゃんと国境措置をすることによって、お米は七七〇%もの関税をかけることによって、日本の農業を守っているんです。いわば農業は防衛なんですよ。やはりそういう気持ちでもって世界のWTOに対して交渉に臨んでいかないと、日本の農業は守れないと思います。上限関税の問題やらさまざまな荒波にさらされているわけですから、そういう意識をきっちり持ってもらわないと。今のような認識だから、日米FTAをするなんという、そういったことを言って日本の農家の方々の不安をあおっているのだということを申し上げたいと思います。

 次に、土地改良予算についてお伺いをいたします。

 土地改良予算は、前年比では三六・九%に削減をされました。大臣が出された概算要求を基準にしても半額以下になったわけですけれども、昨年の十一月十七日の江藤議員への答弁の中で、事業仕分けの後に農道整備についてこのときは質疑がなされたと思うんですけれども、この中で大臣は、農道整備を含めた基盤整備は強力に進めていくということを力強く答弁されました。そして、その中で、政権交代の後に概算の予算を出されたんですけれども、概算の予算を出したのは、少なくとも政治家たる私を含め政務三役が責任を持って、その中身について出したわけですということで、責任を持って概算要求を出したんだとおっしゃっております。また、別の点では、自信と確信を持って出した概算要求でありますともおっしゃっております。

 また、まだこのときは概算決定が出ておりませんけれども、このところでは、大臣交渉なんだ、最終的には大臣交渉で十二月半ば過ぎに決めるんだと。最後は大臣交渉で、自信と確信を持って出した概算要求をやるんだと胸を張っていらっしゃるわけですけれども、大臣が責任と確信を持って最後は大臣交渉をするんだと言ったこの土地改良予算は、半分以下にばっさり切られました。このばっさり切られるまでの間、どんな行動をおとりになったんですか。

赤松国務大臣 私どもは、概算要求を出す以上は、これは必要だという思いでもちろん出したわけでございまして、ただ、それが財政当局によってお認めをいただけなかったということでございます。

 ただ一方、それを認められなくて三六・九%になったのは事実ですけれども、それとは別枠で、農村整備のための新規の一千五百億円ということも、またこれは地方が使いやすい形で選択をしていただける、使っていただけるお金ということで用意もいたしましたし、年末には第二次補正の中で、いわゆる内閣府の所管でございますけれども、五千億円のきめ細やかな地方活性化のための資金ということで、これも実は農道等に使っていただけるお金なんです。

 今、それを募集してやっているんですけれども、むしろこの五千億円で積極的に農道の整備や土地改良その他に使っていただきたいんですけれども、残念ながら、地方からなかなかその要望が出てこない。今集約しているんですけれども、約百五十億ぐらいしか来ていないということでございまして、今申し上げたように、本来のこうした予算のほかに一千五百億そして五千億という資金もございますので、ぜひそれを有効に使っていただいて、農道整備やあるいは集排水等の農地のこうした事業にも充てていただければというふうに思っております。

稲田委員 恐縮ですけれども、大臣、答弁が長いんです。私の質問にだけ端的にお答えいただければ、また次に質問を用意いたしておりますから。

 今の大臣の答弁を聞いていて、何も大臣として折衝はしなかった、財務当局に切られたからしようがないんだとしか聞こえませんでした。

 また、二月三日の参議院本会議で、今おっしゃったようなことをおっしゃったんですね。大臣は、二千百二十九億円の農業農村整備予算の重点化と、それから農山漁村地域整備交付金千五百億円、総務省の臨時交付金五千億を活用することによって十分対応できるなんておっしゃっているんですけれども、本気で十分に対応できると思っているんですか。端的にお答えください。

赤松国務大臣 もちろん、当初の予算と比べれば減ったのは事実ですから。ただ、それは、重点化をしていく、特に緊急なものを先にやっていくということにせざるを得ないということは、この間の本会議や委員会の質問に対するお答えとしても申し上げておるところでございます。

稲田委員 政治主導と言って胸を張って、自信と確信を持った四千八百八十九億の概算要求を半分以下に減らされて、それが十分な予算だとは、多分大臣も本心は思っていらっしゃらないと思います。何らかの事情で切られてしまって、しようがないなと思っていらっしゃるんだと思います。

 今、交付金の話がありましたけれども、私の地元でも国営土地改良事業を実施いたしております。農業の土台である水を守る事業です。当たり前のことですけれども、末端の水田までに水を配る堰や用水路が壊れてしまったら地域農業は崩壊してしまいます。国営事業に交付金は使えませんよ。

 地元でも、九頭竜パイプラインは、塩害に苦しんでいる農家にとって悲願なんです。私も視察に行きましたけれども、お年寄りの農家の方が、自分の目の黒いうちに何とかつち音を聞きたいんだということをおっしゃっているんです。こんな予算で本当に水を守ることができるんですか。

 この国営の事業については、農家の方々が判こを押して、そして申請をしております。そして、何年までに改修します、何年までにやりますと大臣は農家の方々にお約束をしておられるわけです。完成は先延ばしになるんでしょうか、ならないんですか。延びるんなら、その間、水は大丈夫なんですか。国が事業をしてくれるから大丈夫だと農家は安心しているんです。農家の皆さんに、その点きちんと安心されるように御説明をください。

赤松国務大臣 今、具体的な九頭竜川というお話があったんですが、ちょっと御通告がないので、急に、前、大臣が約束したけれどもといって、だれの大臣のときに言われたのか、ちょっと急な話なものですから、正直言ってわかりません。

 ただ、今、予算が通った後に、国の事業としての土地改良については、新規のものが全国で五つ、これを発表したいというふうに思っております。そして、あとはそれぞれの地域でやる事業に対する補助事業ということで、これもあわせて、予算が通った後、直後に発表したいというふうに思っております。

 九頭竜川云々については、今、具体的なお話だったものですから、また一度きちっと調べさせていただいて、御回答申し上げたいというふうに思います。

稲田委員 私が聞きたかったのは、別に九頭竜川に限らず、一般的に、こんな半分以下の予算になったら工期が延びて完成が延期されるんじゃないかと全国の農家の方々が心配している、それについて大臣はどう答えられるかという意味でございます。

 そして、国交の予算は前年比で八五%です。土地改良は三六%。コンクリートから人へというキャッチフレーズはいいですよ。でも、国交予算は前年比八五%、土地改良は三六%。このバランスを見ると、農業の生産基盤は一般の社会資本整備よりもかなり進んでいるんだ、だから前年に比してこれほど削っても大丈夫だという認識ですか。

赤松国務大臣 ですから、先ほど申し上げましたように、昨年十月の概算要求時点におきましては、継続事業というところについては百十八地区、二千二百九億円、それから新規事業につきましては十三地区、三十一億円という要求は出しておりましたけれども、残念ながら、今お話ありましたように、三六・九%に予算はなりましたので、当然、この十三地区については五地区に、あるいは継続地区については、百十八を削ろうと思ったんですけれども、それぞれの地域の事情を考えてみると、やはりここでとまってしまうのは困る、予算が減ってもそのまま継続してやってほしいという意見が非常に強いものですから、箇所数としてはそのままにして、ただ、申しわけないんですけれども、予算全体が減ったんですから、ですから、額は減らすけれども、継続の地区についてはそのまますべての地区を継続したい、今の時点では私自身はそう考えております。

稲田委員 だから、江藤議員の質問に対して、胸を張って、自信と確信を持った予算なんだと、そして、最後の概算決定ができるまで大臣折衝して、お任せくださいと言った大臣を、もう信頼ができないということを言っているわけであります。

 全国の水田のうちの、いわゆる三反区画に整備されたものの割合はまだ六割です。福井は進んでおりますけれども、でも、水はけが悪くて転作ができないという声も現場ではよく耳にします。生産基盤の整備は地域によってまだまだばらばらの状況なんです。あたかも生産基盤が完成しているように錯覚をして、米の所得補償を全国一律のルールで配分しても、結局はだめなんですよ。生産基盤をちゃんとしておかないと、幾らばらまいても日本の農業は衰退するばかりなんです。

 その点、大臣の所見をお伺いいたします。

赤松国務大臣 ですから、今までの農政の誤りというのは、とにかくばらまけばいい、何でもつくればいいと。だから、水漏れして水のたまらないダムとか、そんなのをいっぱいつくってきたわけです。

 だから、そういう見直しの中で、今回はこうした土地改良事業についても、額が減ったのは事実でございますから、今必要だと委員がおっしゃった水利施設の更新だとか、あるいは排水、特に農地の排水は重要だ、これは私どもも同じ考えでございますので、それを重点化して、そこに予算をつけていきたい。

 それから、今まで、きのうも申し上げましたけれども、施設、大体もう七年、八年来ればみたいなところを、何とか十年以上使っていただけるような施設の長寿命化を図っていくとか、そういう努力をしてまいりたいと思っております。

稲田委員 真逆なんですよ、民主党の農業政策は。例えば、自由貿易にして、そしてばらまく。反対なんですよ、自民党がやっていたことは。きちんと国境措置をして日本の農業を守る。でも、世界の荒波に日本の農業もさらされているから、農家の方々にも頑張ってもらって、自立してもらうために集落営農も進めていこうということをやっていたんです。それを、自由貿易にするけれども、一方でばらまく。農業を弱くして、そして安い農産物を入れていく。真逆です。

 そして、これだって、農村の生産基盤をきちんとして、そして強くなってもらう。反対に、こういう土地改良の予算を切って、生産施設整備はおろそかにしながら、ばらまく。全く日本の農業を弱体にさせる間違った民主党の政策だと私は思います。

 大臣、農家は本当に皆さん不安なんですよ、例えばこんな土地改良予算では。しかも、個別の地区について来年どんな予算になるかということもわからない。本当にただただ不安に感じているというのが実は現実なんです。

 しかも、なぜこの土地改良予算がこんなにもばっさりと切られてしまったか、そこなんですよ。何でこんなにもばっさりと切られてしまったか。(赤松国務大臣「委員長」と呼ぶ)聞いていません。私の質問、今聞いていません、まだ。

 これは見え見えなんですよ。民主党幹事長の意向でばっさり一夜にして切られたんですから、政治的な意図は見えているんです。土地改良から自民党の候補者を出した途端にばっさりと切られているわけなんです。

 私は、こういったことに、この予算を政局に使うということが本当にもう許せないんです。日照りが続こうが政権交代が起ころうが、農業は続けなきゃいけないんですよ。政争の具にするとか、幹事長の受託収賄まがいの政治の見せしめにするとか、そんな卑劣な政治はやめていただきたいと思います。

 次に質問いたします。

 宮腰議員の二月九日の予算委員会での質疑ですけれども、その中で大臣は、米余りも米価下落も起こさないというようなことを答弁されています。そして続けて、だからこそ私どもはきっちりと生産数量目標に従った数量に抑え込まなければいけないということをおっしゃっているんですけれども、この生産数量目標にきちっと抑え込む自信が本当におありなのかどうなのかということなんです。

 市町村段階における二十二年お米の生産数量目標の配分ルールの検討状況、最新版を持ってきましたが、福井県は末端まで、一〇〇%配分ができております。しかし、大臣の御地元では、たったの五〇%です。福井県は正直者なんです。今までもずっと生産調整にきちんと取り組んで、そして正直者がばかを見てきたんですが、大臣、だからこそ私どもはきっちりと生産数量目標に従った数量に抑え込むんだとおっしゃっておりますけれども、その自信のほどをお聞かせください。

赤松国務大臣 いろいろおっしゃりたいことを存分に言って、なかなか反論させていただけないのであれですが、もう少し稲田議員も謙虚になられた方がいいと思いますが。

 今まで自民党農政がすばらしくて民主党農政がだめだと言われるんでしたら、では、農業収入は十五年間で半分に減っているんです。耕作放棄地は三十九万ヘクタールにもうなったりしているんです。毎年毎年、何万ヘクタールとふえてきているんです。

 そして、今、生産数量目標の話も出ましたけれども、今までは、自民党の場合は、減反政策は強制です、必ずこれに従いなさいということをやってきたわけですが、私どもは、今度の戸別所得補償制度というのは、生産数量目標を設定するけれども、入りたくなければ入らなくていいんですよと。また、おれは自由につくりたいんだという人はどうぞ自由につくってください、そのかわり、幾ら米がどうなろうが、暴落しようが何しようが、その差額というのは一切国は払いませんよ、それは自己責任でやるんですねということでやりましたら、今度は、大潟村は象徴的な例ですけれども、ほとんどの、今までつくり放題、やり放題やってきた人たちが、みずから、ぜひこんなすばらしい制度に参加させてください、ぜひ参加させてくださいといって、九割以上の人がもうどんどんと参加しているじゃないですか。

 ですから、米が余っていると言われますけれども、今までそれは、三〇%、四〇%の人たちがつくり放題米をつくってきたんですから、三十万トン、ことしで五十万トンから百万トン近くでしょうか、米が余っていると言われますけれども、それは余るのは当たり前なんです。だけれども、今後は余らないんです、みんな生産調整に参加してくるんですから。ですから、余らないから米の値段も下がらないということを私は申し上げているわけです。

 それで、これは一〇〇%のところは福井ばかりじゃなくて、秋田も山形もあるいは栃木も、一〇〇%になっているところはありますけれども、大都市部、例えば大阪とか名古屋とか、そういうようなところは少し手続上おくれているというだけで、別にまだ期限が来ているわけじゃありませんので、御心配なく、ちゃんと期限までにはすべての都道府県でこうした生産数量目標の配分を終えるようにしますから、御安心をいただきたいと思います。

稲田委員 大臣はおっしゃりたいことをいつも言う機会がおありになるわけですから、私の質問には、質問にだけ答えていただきたいと思います。

 私が聞きたかったのは、「だからこそ、私どもは、きちっと生産数量目標に従った数量に抑え込まなくてはいけない。」抑え込んで、米余りも米価下落ももたらさないとお約束をされる、それでよろしいんですね。はいかいいえでお答えください。

赤松国務大臣 はい。

稲田委員 ところで、大臣、ことしの一月四日は何をされていましたか。一月四日です。

赤松国務大臣 たしか五日がことし初めての閣議だったと思いますので、愛する妻と子供と三人で二日から四日までグアム島に、これは全くプライベートで行っていた。四日には日本に帰ってきていたと思います。

稲田委員 今の大臣のお答え……

筒井委員長 指名後に発言してください。

稲田委員 はい。

 今の大臣のお答えを聞いて、私も悲しいし、多分、日本全国の農家の方々は悲しいと思います。

 というのが、一月四日、昭和四十年から、総理とともに農水大臣、当時の食糧庁長官も、ずっと伊勢神宮に参拝しているんです。毎年毎年伊勢神宮に参拝をいたしております。一回だけ、一月六日に参拝をされて、大島大臣が海外出張が入っていて行けなかったことがある。これは私は、農水省に確認をして、しようがないと思っておりますけれども。

 奥様とグアム旅行に行かれる、それはいいですよ。でも、農家の代表として、伊勢神宮にアマテラスオオミカミが祭ってあって、稲作なんですよ、大事なことだから、昭和四十年からずっと毎年毎年、農水大臣、それから食糧庁長官、局長、それが日本の農家を代表して五穀豊穣を神様に願う、そういった謙虚な気持ちで参拝をしているわけですが、どうして行かれなかったんですか。

赤松国務大臣 もともとそれは職務として行けという話は聞いたことがございませんし、私は前例もそんな調べるつもりもなかったので、もうただ単に純粋に、大臣就任以降一日も休みがない、女房にも大変苦労をかけたということで、元旦は皇居での公式な行事がございますので、それに出、それから五日の第一回目の閣議、これももちろんサボるわけにいきませんので、その間、全く行事が、日程が入っていなかった二日から四日を使って、二泊三日で、女房と二人で、それから子供も一人行きましたけれども、行ったということで、そんな悪いことをしたという意識はありませんが。

稲田委員 私は、やはり五穀豊穣を願う農水大臣としては伊勢神宮に参拝をしていただきたかったし、稲作というのは、単に産業ではなくて日本の文化でもあります。国柄でもあるし、農業というのは日本の国民の生き方、生活の基本だと思うんですけれども、その点について、私はやはり大臣の認識が足りないと言わざるを得ないと思っております。

 さて大臣、私は農業は防衛だというふうに認識をいたしておりますけれども、主権国家として日本の農業を守るということについてお伺いをいたしたいと思います。

 まず、大臣は国旗・国歌法に反対をされました。それはどうしてですか。

赤松国務大臣 正確にそれはお話しをいただきたいと思います。

 これは、かつて旧民主党の時代の話だと思いますが、そのときには、民主党として、国旗については法制化に賛成をするということをはっきり申し上げております。

 国歌については党内に両論ございまして、私どもとしては、当時、自民党、ほかも入っていたかどうかわかりませんが、とにかく、与党が出した法案については、党内で議論をした上で自由投票、党議拘束をかけないというふうにしたというふうでございまして、多分、私は当時議運の筆頭理事をやっていましたから、私の記憶が間違っていなければ、四十五対四十六で、結果は、それぞれちょうど半分に分かれて投票した。

 たまたま、菅さんとか私とか、そういう人たちは、君が代が悪いという意味じゃなくて、それを法制化するということは、強制的に歌いなさいと。今、東京都あたりでもいろいろ問題になっていますけれども、歌わなければ処分しますよみたいなことで、当時は、自民党の中でも野中広務さんあたりは、そういうことを強制的に歌わせるのはおかしい、法制化をしても強制化しないんだということを言っていました。

 歌を歌うというのは一つの行為に必ずつながるわけですから、そういうことを、それぞれ、私も君が代を歌うのに別に何の抵抗もなく歌っていますし、国旗にももちろん自然にほとばしる気持ちの中で敬愛の念を持っていますけれども、そういうことを、果たして、特に歌については、歌えということですから、それを強制化することはどうなのかという意味で、私自身は自分の判断で、党議拘束もありませんでしたから、私はそれは反対をしたというのが事実経過でございます。

稲田委員 私は、何度も言いますけれども、農業は防衛だと思っております。また、日本の国柄という意味から農業を考えていただきたい。その意識が大臣にあるのかどうか。主権国家の農水大臣として、日本の農業を守る気概を持っていただきたいと思っております。

 さて、大臣は、ことしの民団の新年会で、

 団長をはじめ民団の皆さまには昨年、特にお世話になりました。今、農水大臣ですが、その前は選対委員長やっていたもんですから、全国各地で、直接皆さん方、投票いただけませんが、いろんな形でご支援をいただいた。それが三百八議席、政権交代につながったと確信いたしております。

  そのときの皆さんの思いは政権交代ができれば、民主党中心の政権ができれば、必ずこの十五年間、十六年間取り組んできた地方参政権の問題が解決するんだ。その思いで、全国で私どもを応援していただいたんだと思っております。心から感謝申し上げます。その意味で公約を守るのは政党として議員として当たり前のことですから、この政権の中で、鳩山総理の決意のもとで、あるいは小沢幹事長、民主党の与党の強い要請のもとでこの通常国会、必ずこの法案を成立をさせ、皆さん方の期待に応えていきたいと思います。

というような発言をされております。

 ところで、この中にあります、大臣は、選対委員長として全国各地を回った、民団の皆さんにいろいろな形で御支援をいただいたと発言していますけれども、どんな支援をしていただいたんですか。

赤松国務大臣 それはもう今申し上げたように、在日の皆さん方は投票権がないわけですから、投票してくれといっても無理です。そしてまた、資金的なことについても、それは御支援を仰ごうというふうには思っておりませんし、やはりそれは、民主党が勝ってくれるといいな、自民党にかわって民主党が政権をとってくれるといいなという、その人たちの思いがいろいろな形で私どものプラスになる、応援になる。そういう形での御支援を私どもは期待していたということでございます。

稲田委員 民団新聞によりますと、衆議院選が公示された十八日、全国民団は支援候補の当選を目指して始動したと。都内のある重点地区では、公示日の十八日午前、民団支部事務所で支援候補の事務所からこの日預かったばかりのビラ二万枚に証紙を張った。それから、ほかの支部が派遣した専従支援要員の二人は選挙事務所に張りつき、他の選挙スタッフとも公設掲示板や支援者の自宅、店舗へのポスターの張り出し、支援者名簿の回収などに汗を流したということでありますけれども、こういった証紙張りからポスター張り、出陣式参加、ありとあらゆる選挙支援をいただいたということでしょうか。

赤松国務大臣 ちょっとおこがましい言い方ですが、選対委員長ですから、全国の選挙情勢を判断しながら、いろいろなことを指示してやっていくということで、一選対の中でどういう人がどういうことをやっていたということまでは、私は知る立場にはありません。

稲田委員 また、あなたの発言の中でおっしゃっている公約ですね。公約というのはどういう意味でお使いですか。

赤松国務大臣 かつて民主党で私が国対委員長をやっておりましたときに、民主党としても、地方参政権付与の法案を党として議会に出しておりますし、それから、今回のマニフェストの中では明示はされておりませんけれども、それ以前の民主党の、マニフェストと呼ぶのか、政権公約と呼ぶのか、政権政策集と呼ぶのかわかりませんが、そういう中にずっと地方参政権の問題は明記をされてきた政策課題でございますので、そういう意味でいえば、それは私どもの政策だと私は思っております。

 ただ、それを今国会で出すか出さないかは、これは国対を初め、そういういろいろな兼ね合いがあるんでしょうから、そのことについて私はとやかく言う立場ではありませんけれども、個人の意見を問われれば、私はぜひ出して成立をさせていただきたいというのが個人の政治家としての思いではございます。

稲田委員 冒頭に言いましたように、マニフェストに書いてあることを守っていないんですよ。無駄遣いの排除にしたって、ガソリンにしたって。マニフェストに書いていることは守らずに、マニフェストに書いていない外国人参政権を何で公約としてやるんですか。

赤松国務大臣 マニフェストもよく見ていただきたいと思うんですが、例えば私の担当の戸別所得補償制度、これはもう完全にやり切りました。それから高校無償化、そして子ども手当、これはもうすべてお約束どおりにマニフェストに従って公約を果たしたと私は思っております。あと、細かなことでいえば、オーナー課税を廃止するだとか、そういうことも含めて、できることはかなりやった。

 残念ながら、暫定税率についてだけは一部重量税だけとか、あるいは、ことしはできなかったけれども、できるだけ近いうちにということで、これは、任期が四年ありますから、四年の中ではしっかりやっていくことになるだろうと思いますけれども、財政上の問題もあって、暫定税率についてだけはことしそれを果たすことができなかったということで、これは総理を初め内閣として国民の皆さんにおわびをしたところでございます。

稲田委員 選挙委員長として、いろいろな選挙協力をしてもらった、心から感謝を申し上げます、その意味で公約を守るのは、政党として、議員として当たり前とおっしゃっているんですけれども、この公約とは、選挙支援をしてくださった民団の方々に対する公約という意味を含みますか。

赤松国務大臣 私が申し上げた公約というのは、個人でするわけではなくて、政党政治ですから、当然、政党がする約束が公約だというふうに思っております。

 ただ、私がそこの新年のあいさつで申し上げたのは、みずからの政治家としての信念、私はもう、こんな大きな問題になる前から、十五、六年前だったと思いますけれども、その当時から、民団の婦人会の人たちに呼ばれて、勉強会の講師で呼ばれたり、いろいろなことをやっていまして、西欧の実態、そして日本の歴史、いろいろなことを考える中で、地方参政権については、限定した形であるけれども付与をすべきだというのが政治家としての信念ですから、そういう意味で、ぜひそれは、何度も申し上げておりますけれども、できるだけ早く実現すべきだというのが私の考えでございます。

稲田委員 公約というのは、政党だけでなく、政治家個人としても、やはり公衆に対してあることを約束すること、これを公約というんです。ですから、大臣は、民団の方々に選挙支援をしてもらったその見返りとしていわば地方参政権をお与えするとお約束をされたんですよ。こういうのを選挙のために国を売るというんですよ。(赤松国務大臣「委員長」と呼ぶ)聞いていません。

 あなたは、主権国家とは何であると理解されていますか。

赤松国務大臣 必ずしも私は民団の皆さんに目いっぱい応援してもらったと思っていませんし、民団の方でも、自民党の私の相手候補を一生懸命やっておられる方もございます。

 選挙に得とか損とか、応援してもらったとかもらわないとか、これはそういう低いレベルの話じゃないんです。もっと高い理念、理想の問題なんです。ですから、余り問題を矮小化しないで、私は、参政権の問題は、賛成反対、それはいろいろあってもいいんです。だから、そういう理念の話で議論すべきであって、あんたは応援してもらったから、やるのは当たり前でしょうみたいな、そういう低いレベルの話にこの問題をしてもらいたくないと思います。

稲田委員 矮小化しているのは大臣ですよ。矮小化しているのは大臣なんですよ。民団のおかげで政権交代することができた、だから公約を守るんだ、地方参政権を与えるんだと発言をされているのは大臣なんです。私はそれを、選挙のために国を売るというのはこういう政治家のことなんだなと思っております。

 主権国家、では何ですかということについてお答えになりませんでしたけれども、主権国家というのは、自分の国のことは自分で決めるんです。大臣の所管のことでいえば、自国民の食料は自国で賄う、自分の国の領土は自分で守る、自国の名誉は自国で守る、これが主権国家なんです。自分の国のことは自分で決めるんです。自分の国のことは自分で決めるから、憲法十五条に、公務員の選定、罷免権は国民固有の権利であると書かれているんです。日本の国の国民が選んだ代表が国会の場で議論をしてこの国の行く末を決める、これが主権国家なんです。

 大臣のおっしゃる主権国家とはどういうことですか。

赤松国務大臣 みずからのことはみずからが決める、その主権者たる国民が決めるというのは、もう当たり前のことで、そんなことをだれも、私は否定しておりません。

 それから、あと、農水委員会ですからちょっと食料に関したことを言えば、私ども、今、食料安全保障ということを非常に重要に考えておりまして、世界の食料事情は、今、飢餓、栄養不足人口が約十億人と言われていますが、二十年、三十年たつ中で、これは約十五億になるだろう。そして、ランドラッシュと言われるような、韓国、中国、インドを初めとするそういう国々が、自分のところではもう足りない、世界のいろいろな国々へ行って農地を全部押さえようなんという、そういうことが今始まっている中で、少なくとも食料自給率を、今の四一なんという数字ではなくて、早く五〇、六〇に上げていこうということで、今度の食料・農業・農村基本計画の中でも、そのことを明示して、きちっとそれに向かってやっていこう、それが国民のための食料安全保障なんだという視点で私どもは今取り組ませていただいております。

稲田委員 日本の政治家は日本の国のためにあるんです。日本の国益を守るためにあるんです。それがわかっていないから、WTO交渉でも、自由貿易なんだと、世界の農水大臣みたいなことを大臣はおっしゃるんです。

 そして、主権国家、当たり前のことだとおっしゃいましたけれども、当たり前のことがわかっていないから、選挙で応援してもらったから外国人の方々に参政権を与えるべきだと言って、選挙のために平気で外国に国を売るようなことをおっしゃれるんですよ。しかも、農家を代表して五穀豊穣を神に祈る謙虚な気持ちが大臣にはないんです。そんな大臣に、日本人の主食であるお米や子々孫々が受け継いできた水田、農地を守ることができるか。農業は防衛なんです。

 私は、農水大臣としての今の大臣の姿勢に大変疑問を持っていることを申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。

筒井委員長 次に、谷川弥一君。

谷川委員 自由民主党の谷川弥一です。

 質問に入る前に、今の政治家に決定的に欠けていること、これは自民党も含めてですが、まず一つは宗教心のなさ、二つ目は哲学がない、三つ目は理念がない、私はこういうふうに実は思っているんです。

 私が言う宗教心というのは、仏教に、「如何なるか是れ仏法的々の大意」という質問をあるときにある和尚にしました。趙州和尚にしたんですが、答えが無と言うんです。どういう意味かわかりません。本には書いていなかったんです。

 ただ、六十八年生きてきて私が思うことは、仏法の真髄とか、意訳すると、人間はどうして生きていったらいいんですかという質問に対しては、人に聞かなくてもあなたがわかっているだろう、無心になればわかるんだろう。結局、欲とか得とか、人に褒めてもらいたいとか選挙の票が欲しいとか、そういうことを言うから迷うのであって、そういうことを全部そぎ落としてしまえば、すっとあなたはあなたのことが自分でわかるよ、そういうことかなと思っているんです。あるときにはまた喫茶去と答えております。まあお茶を一杯飲んで帰らんね、そういうことだと思うんです。

 哲学とは、我々は満州事変を物すごく批判します。それは、そのときに物すごい世界的な不況が来て、いろいろな銀行なんかもつぶれたんですが、そのときに要するに職がなかった、食えなかった、東北の子女が身売りをした、そういうときに職場が欲しくて満州に攻めていった、自分の問題を解決するために満州を攻めた。ところが、よくよく考えていただきたいんですが、その満州事変を批判する人たちが今、縦の満州事変をやっているんですよ。それは特に民主党が激しいんです。

 どういうことかといいますと、今、現代社会の失業とか食えないとかいろいろな問題を解決するために借金をどんどんやっている。例えば、子ども手当をやるよ、それから高速道路をただにするよ、財源は無駄な金があるんだよ、国家公務員を二割カットするんだよ、こう言ってやった。それが実はできなかった、なかった。それならその政策をやめればいいんだよ、なかったんだから。しかし、それを借金でやっていく。それを、あんたには言われたくないよ、こう民主党の連中は言うんですが、あんたに言われたくないより率が高いじゃない。

 例えば、ことしの単年度の財政赤字は一〇・六とか八・二とか言っていますが、日本はギリシャより高いんだよ。累積なんかはうんと高い、二一八とか一八二とか言っていますけれども。そういう状況になったときに、これ以上やっていかない、これは我々、政策として財源がなかったんだからこの政策はやめよう、これが私の言う哲学であります。

 理念というのは何だというと、理念というのは、小さな政府から大きな政府へ、大きな政府から小さな政府へというのが政権交代の常道であって、大きな政府からさらに大きな政府に政権交代をしていったら国が滅びるんだ、これが私の言う理念です。哲学から派生した理念です。

 あら、大臣はいなくなったのかな。これは大臣に聞こうと思っているんだけれども、大臣のかわりに副大臣が答えてくれますか。あなたとは同じ選挙区であり、あなたの息子さん、お嬢さんからおれはおじさんと言われているので、あなたに余り聞きたくないんだ、いろいろな思いがあるから。ですけれども、大臣がお手洗いに行ったんだったら、あなたが答えないとしようがないね。

山田副大臣 今質問の内容がよくわからなかったんだけれども、今民主党はどんどん借金を重ねていっている政策をやっているんじゃないかと。(谷川委員「宗教心がない、哲学がない、理念がないと言っているんだ、コメントはどうですかと言っているんだ」と呼ぶ)自民党には哲学があって理念があったの。

 いわゆる、これまでの八百兆を超える国の負債というのは、ではいつ、どこで、どのようにしてできたかと考えてみれば、自民党政権、我々はまだ半年たたないんですから、その間にできたこれだけの負債じゃないですか。本来、平成二十一年度の予算にしても税収が九兆円も少なかった、それが結果として、今回私どもが約束したような暫定税率の廃止とか、そこまで残念ながらやらなかった、それで国民におわびした。

 しかし、財政規律については我々も十分これから新しい政権のもと考えていこうとしているわけですから、そこはしっかりとひとつ我々民主党を信じて御協力いただければ、そう思っております。

谷川委員 大臣に聞こうと思ったけれども、大臣がいなくなったので、仕方なしにあなたに答えてもらったんだけれども、あなたたちはすぐそんなふうに言うんだよね。要するに、あんたには言われたくないよ、あんたがつくった借金だよと。あんたイコール谷川弥一じゃないんです。

 私は、県会議員になった昭和六十二年からずっと反対しているんだよ、財政赤字については。縦の満州事変をやっちゃいけないよとずっと言っているんです。しかし、なかなか聞いてもらえなかった。それは、自民党にもいろいろな人がいるから聞いてもらえなかっただけであって、自民党がやったからおまえも言うなということにならないんだよ。

 例えば、あなたたちはコンクリートから人へと言うでしょう。このグラフが見えないかな。このグラフを見てもらえばわかるように、社会保障費はどんどん上がっていって、こういう業種はどんどん下がってきているのよ。やっているんだよ、あんたに言われなくても、コンクリートから人へということを我々は。

 だから、そういう議論はやめて、あんたがつくった借金だからあんたに言われたくないよという発想じゃなくて、私どもは、子ども手当を無駄な金からやるのは結構なんですよ。少子化対策だから大変立派な政策なんです。しかし、借金でやっちゃだめなんだ。なぜならば、お母さんから私は育ててもらった、お母さんが手にあかぎれをつくって育ててもらった、ありがたい、こう思ったのが実は借金だった。何だ、大きくなったらおれが払うのかよ、おれを育ててもらったのはローンだったのか、こうなってきたら家庭が崩壊するよ。そういうことを僕は言っているんです。

 こんなことを幾ら言ったってしようがないので、問題に入っていきます。

 大臣、多面的機能というのがあるんですね、一次産業の多面的機能。例えば、農業とか林業とか水産業というのは、産業、食料だけじゃなくて、多面的機能というんだから、雇用、集落の維持、食料安保、自然、環境それから文化、そういう維持があるんですね、役割が。だから、この部分は別にカウントしなければならない。例えば、米が一万五千円だったら多面的機能は一万円あってもいいんだ、僕はそう思っているんですが、その点についていかがですか。

赤松国務大臣 委員御指摘のように、多面的機能ということをきちっと見てやるべきだというのは私も大賛成でございます。

 ですから、集落営農等と比べれば生産性が悪いかもしれないけれども、例えば中山間地のような小規模な農家についても、多面的機能という意味でいえば非常に大きな役割を担っているわけです。ですから今回は、こうした対象として、大規模化した、あるいは法人化した、協業化してやっている立派なところは立派なところでいいんですけれども、それとあわせて、小規模な、本当に地域を守っていただける、そしてまた今委員が御指摘のような多面的機能をしっかりと支えていただいている、そういうところの人たちについても、それをきっちりと支えていける、頑張ってその人たちがやっていける、そういう機能をぜひ評価しながら、そういう制度としてつくっていきたいというふうに思っております。

谷川委員 ところが、農林統計によると、昭和四十年と平成十七年を比較すると、四十年が、例えば杉の丸太の値段が、一立米一万四千円したんです。それが、平成十七年には一万二千四百円。二、三日前、対馬に行って調べたら、五千円と言っているんですね。物すごく下がっているんです。

 その間、平均的給与は、四十年は五十万六千九百円に対して、平成十七年は四百三十六万六千円、八・六一倍になっているんです。給与は八・六一倍になり、丸太の値段は〇・八八、もしくは、五千円にすると〇・三五になっているんです。

 そうすると、この多面的機能というものを正確に認めるとするならば、山の杉の値段は十二万五百四十円にならぬといかぬのですね。十二万五百四十円にならないと平均的な給与にはならない。ところが、丸太は五千円になっている。

 こういうようなことをいかが思いますか。こういう事実に対してどう思いますか、この現象だけを見て。

    〔委員長退席、森本(哲)委員長代理着席〕

赤松国務大臣 かつてと比べて、材価が下がってきているということはあります。

 しかし一方で、かつてとちょっと状況が違うのは、今までは国外の外材が非常にどんどんと日本に入ってきていましたけれども、外材そのものも、かつてほど、それぞれの国々の事情もあって入らなくなってきたということ。

 それからまた、委員が先ほど言われたような、単に、安いからこっち、高いからこっちは買わないとか、そういう論理ではなくて、多面的な機能、特に、今、鳩山内閣ではCO2の二五%削減ということを言っております。しかも、CO2吸収源としては森林しか基本的にはないわけですから、京都議定書の中でも六%のうち三・八%は森林によるCO2の吸収ですから。

 そういう意味でいえば、もう少し、森林・林業再生プラン、年末につくりましたけれども、あの中でも打ち出していますけれども、政府が国の責任としていろいろな手だてをする中で、こうした森林・林業を産業として育成できるように、その技術者や担い手、また間伐、作業道の整備等については、それぞれの森林所有者に任せるのではなくて、むしろ、国が積極的にそれに関与していって手助けをしていくということが必要だと考えております。

谷川委員 林業について二点申し上げます。

 一つは、何で値段がこんなに下がったんですか、正確に把握していただきたい。もう一つは、あなたたちが解決しようという気持ちはいっぱい書いておりますが、具体的には三割前後切っていますね、間伐とか路網の予算について。この二点についてお伺いしたいんです。

 まず、何で下がったかというのが民主党の人たちは全然わかっていません。相談する相手が悪いんです、実は。そんな人に相談したって、その人は学問としていろいろな資料を見ただけであって、本当のところは知らないんだよ。私は実は、材木のプロなんです。親の代からの製材所であり、山に行って木を切って、そしてその木を使って家をつくってきた男なので、現場におるんですよ、僕は。

 下がった理由を言いますが、一つは占領政策です。占領政策によって、和風の住宅が洋風に変わってきた、それが一番の大きな原因なんです。

 これでどういうことになったかというと、家をつくるときには、真壁といって、柱が前に出ておったんです。出ておったから、年輪がこれは百年だよ、これは五十年だよ、目が詰んでいるだろうがといって自慢しておったんです。色がきれいでしょう、赤みでしょう、黄みがかっていると。

 それが洋風になって、大壁。大壁というのは、こんな壁です、柱が後ろに引っ込んだ。前からベニヤとかいろいろなものを張るから、値打ちが見えないんだよ。もう何でもいいんですよ。整形しておろうが、生まれつききれいかろうが、お化粧しておろうが何でもいいんだ。赤土を塗っておったっていいんだ、見えないんだから。

 それで本当に日本の木のよさが必要なくなった。だから外材でいいんです。日本の木の値段が外材と一緒になりました。真壁のときは、内地材が三倍あったんだよ、二倍から三倍。でも、日本の木を買ったんです。こうなったから、同じ値段じゃないと買わないよとなったんですね。

 次に値段が下がったのは、人手不足によって、プレカット工場といって、コンピューターによって、ロボットで、機械でだだだだっと加工するようになった。そうすると、人間の手によって、少しぐらい曲がったのを手のわざによってしておったのができなくなった。曲がりは少しでもだめだよ、少しでも割れたのはだめだよ、こうなって、結局、乾燥させなさいとなったんですよ。

 そうすると、日本の木は小径木で、木がちっちゃくて、含水率といって水分を多く含んでいるんです、外国の木より。外国の木を乾燥させるより、日本の木を乾燥させる方が立米一万高くなるんですよ。そうすると、どうなったかというと、今までよりも立米一万下がった、乾燥だ。

 この二つが大きな原因ですよ。おたくの文章を見ると、このことはどこにも書いていないね。だから、知らないんだよ、何で木の値段が下がったかということを。これについてどう思いますか。

佐々木大臣政務官 お答えさせていただきます。

 谷川議員の森林に対する大変造詣の深いお話をいただきまして、大変参考にもさせていただきたいというふうに思っております。

 在来工法について今お尋ねがございました。我々も全くやっていないわけではございませんで、特に、住宅分野への地域材供給シェア拡大総合対策事業という事業を組んでございまして、その中で、今議員御指摘の真壁工法あるいは手刻みなどについて、いわゆる顔の見える木材での家づくりというようなこと、あるいは、地域材製品の開発あるいは地域材を使った住宅づくりの部材の共通化、さらにまた担い手などについて、この事業の中で取り組みをさせていただいているところであります。

 国産材の利用拡大ということになれば、当然、国土交通省との連携も必要になってまいりますので、そういった点にも留意しながら進めていく、そんな考えでございます。

谷川委員 時間がないので、多くのことを通告しているので、なかなかこれでとれないので、簡単に要望しておきます。

 一つは、和風の生き方というものを取り戻さぬ限り絶対に日本の林業の復活はあり得ないんだ。和風の生活とは何かというと、畳を敷いて障子紙とふすまと廊下をつくって、そこはかとない風情、こういうものを生活の中に入れるような、そういう生き方に変わらぬとだめなんだ。結局、子供のときから教育し直さぬとだめなんだ。雪見障子をあけて、ツバキの葉っぱとかスイセンに雪が積もって、わあ、いいな、こういうのがわかるような生活にならぬとだめなんだ。

  見渡せば花も紅葉もなかりけり浦の苫屋の秋の夕ぐれ

  花をのみ待つらん人に山里の雪間の草の春を見せばや

こういうのが日本の文化であることを徹底して話し合ってください、まず。

 もう一つは、要望でありますが、路網の整備が大事だとか、山田副大臣の答えによると、いや、去年の補正を切ったのがあるからいいんだとか、そんな妙なことを言っておりますが、それではだめなんです。ドイツが、一ヘクタールに二百十七メーターですか、うちが十七メーター、それくらい大きな差があって、それに追いつくためにはそれなりの予算をつけなきゃだめなんです。

 ですから、まず、間伐、除伐というのを公共事業とか、それから路網も公共事業とか、そういう発想を切りかえて、これは公共とは違うんだと。自民党のときは公共扱いにしておったけれども、我々はこれは違う政策でやらなきゃだめなんだといって、予算を三割も削るのではなくて、上げなけりゃだめなんですよ。そういうことを強く要望して、次に移ります。

 次に大事なことは、諫干の問題ですが、諫干は選挙の争点にしないでください。これを、票をとるとか考えないでください。

 なぜならば、まず、一番大きな問題は、何万年も前に阿蘇が噴火して、物すごい量の灰が有明海の底にあるんです。これが潟になっているんです。それが、満潮のときに諫早の方にざっと寄せられて、潟を残して引いていくんですよ。それによって、ここで災害があったら、防波堤になっている、水があふれて何百人と昭和三十二年に死んだんですよ。そういうことをまず頭に入れていただきたい。

 もう一つは、水が時計と反対回りに回っていて、こう回ってくる。熊本から福岡、福岡から佐賀、佐賀から諫早と、潮はこう回っているんです。だから、被害はこっち側に行かないんだよ。島原の方に行くんだよ。

 そういうことも頭に入れながら、この連中がぎゃあぎゃあ言っているのは、諫早だけの問題か。筑後大堰の問題もあるんじゃないの。大牟田の石炭の坑道が陥没しているんだから、それの影響もあるんじゃないかとか、熊本新港の影響はどうだとか、大臣、もうちょっと多面的に調べてくださいよ。

 もう一つは、せっかく、何十年も苦労してつくって、でき上がって、農業をやっているでしょう。この人たちは、あけたら塩水になるんだから、もう農業できないよ。いろいろな問題があるんですよ。

 ですから、一部の人たちがぎゃっと言ってきたから、それに選挙のためにばんと飛びついて人気を上げようとか、そういう。格調高い話をさっき聞きました。安心しました。大臣は、目先のことでは動かぬ人と聞きました。山田副大臣とちょっと違うけれども、それは置いておきましょう。

 大臣と副大臣は全然違うということで理解しておきますので、どうぞ、諫干については、いろいろな人の意見を素直な気持ちで、真っ白な気持ちで聞いて、あれは宗教、なんまんだなんだよ。もう死にたくない、雨が降ったら怖い、そういうものが背景にあって、もう一回言いますよ、山田副大臣は相当選挙をしましたよ。長崎は四区あるんです。一番は彼がやった。そのやった大村よりも、諫早の方が勝っているんだよ。ここには国会議員はだれもいないんですよ、久間先生が落ちたから。

 何でですか。諫干ですよ。民主党は諫干をどうもあけるんじゃないかという恐怖心があって、余り選挙運動をしないのに、どっとあんた方の反対に行ったんだよ。そういうこともいろいろいろいろ考えて、諫干についてはもう一回慎重な気持ちで、環境アセスをやろうとしているんだから、それが終わって、冷静に見てからでいいんだよ、おたくの開門調査なんか。どうですか。

赤松国務大臣 私どもは、この間、一部報道もありましたけれども、私自身としては、今委員言われるとおりに、先に結論ありきではなくて、本当にゼロベースできちっと答えを出していこうと。

 これは正直言いまして、民主党の中にも賛成派、反対派あります。自民党の中にも賛成派、反対派あります。むしろ、地域的には、佐賀や熊本や福岡の人たちは何としても、有明海を汚しているのはあの堰があるからだ、あれをあけろという意見が、これは超党派で大変意見が強い。長崎の中は、私の今までの固定観念としては断固あけるなというふうで一致しているのかなと思ったら、この間、たまたま選挙運動で行ったときに、要望がある、陳情がある、おれたちの声を聞けというので、漁協の代表者の人が来たら、むしろ反対にあけろという人が多くて実はびっくりしたんです。また、世論調査を選挙に絡めてやったら、長崎県内でも、あけろという方も結構多い。

 ただ、委員言われるように、佐賀地裁の結果もありました。それからまた、今、農水省としても、旧政権の継続の中で控訴をして、今高裁でそれを争っているという状況にもある中で、しかし私が一番気にしましたのは、政府・与党としてきちっとした方向をまず持つべきではないのかということで、その意味で、まずゼロベースで一回これについて考えてみてもらいたい。

 それからまた、アセスをやって、そしてその後にまた何とかという考え方も今委員言われましたけれども、しかし、それは単に時間稼ぎで、結論の先送りをするだけではないかというふうにとられることもよしとしないということであれば、公平な立場でどんどんといろいろな意見を出してもらって、そして、まず政府として、与党としての方針を決める。

 ただ、これはもう再三いろいろな場所で私は言っていますが、既に管理は今長崎県に移っています。事業としては国の事業ですけれども、管理そのものは長崎県に移っているわけですから、その管理をしている長崎県の意向を全く無視して、力ずくで開門させるなんということはできるわけがありませんから、どういう結論が出るにしろ地元の了解をきちっととりながら、これは長崎ばかりじゃなくて、佐賀も熊本も、福岡の皆さん方にも、まあまあしようがないか、せめてそれぐらいのところまで納得をしていただく中でしか私は結論が出ないと思っております。

 大変難しい問題ですけれども、丁寧に、しかしいつまでも先延ばしするんじゃなくて、きちっとした答えを早く出して地元の皆さん方に諮りたい、このように思っております。

谷川委員 これだけで、この件については終わろうと思ったんだけれども、今の答弁を聞いておったら、何か全然わかってくれていないと思うね。

 もう一回言いますが、満潮のときに潟を運んできて、引き潮のときにはその潟を置いていくんですよ。それがずっとたまって、防災上物すごい問題が起きるんですよ。これが全然頭に入っていませんね、今の答弁には。命にかかわるんですよ。大災害が起きて、何百人と死んだ事実があるんですよ。だから、地元の人たちがこういう災害について恐怖心があるということは無視してはだめですよ。先生がどこの出身か僕は申しわけないけれども知らないんだけれども、そこにまくらを高くして寝られないということが問題なんだよ、これをわかっていただけますかと言っているんですよ。

 もう一つは、潮が左回りになっているんだ、時計と反対回りに。ですから、それ以外の人たちが言うのは、もうちょっときちっと調べて言ってくださいよ。その証拠に、ノリ業者が鉢巻き締めてわんわんわんわん言っていた、ところが、何年か後には豊作になったじゃないの。この事実はどう見るんですか。関係なかったということでしょう。そういうことはどうですか。酸処理についてはどう思っているんですか。それから、筑後大堰の問題については徹底的に調べたんですか。

 そういうことを言っているので、時間の無駄だとか言わないで、やはり環境アセス、僕が今文句を言っているのは環境アセスのことよ、環境アセスをやってしまってからでいいんですよ。きちっと、科学的にやろうと言っているんだから。それを、時間の無駄だ、そんな話じゃないでしょう。何でそうなるんですか。

 それから、反対者が意外と多いというけれども、選挙のときにおたくの応援団が来たのは、そっちの方が来たでしょう、余計。なぜそれを、数が多いという判断をするんですか。冷静なデータがあるんですか、アンケートが。

赤松国務大臣 今委員の指摘の点も含めて、公平公正な立場で、郡司副大臣をトップにして、そういう検討会で、与党の皆さん、各県の代表の皆さんも入ってもらって、いろいろと議論をしてもらいたいというふうに思っております。これを左回りか、泥を運んでくるか、そういう科学的ないろいろなことも含めて、いろいろな心配事等をそこに率直に出してもらって、私は結論を出してもらいたいというふうに思っております。

 それから、別にアセスを否定しているわけじゃなくて、アセスもきちっとそれを待って、それから結論を出そうということに今度の検討委員会でなるかもしれません。だから、そのことも含めて、この諫早干拓問題、ダム問題についてどうするのか、まだ方向さえある意味でいえば決まっていないわけですから、少なくともそれをきちっとまず方向づけしましょうというのが今回の私の考え方でございます。

谷川委員 それでは、それはまた次の機会にするとして、次は水産の話です。

 水産の給与が、さっき八・六倍と言いましたが、サンマの場合は一・五三、それからサバでは一・六〇、アジは四・八八、四十年と平成十七年と比較した場合にそういうふうになっているので、明らかに、国の平均的所得は八・六一倍になったけれども、サバは一・六、サンマ一・五三ということは、結果として収入面でいかにこの間、漁民の生活が相対的に下がったか、これは御理解してもらえると思うんです。

 もう一つは、これは我々の努力も足りないんですが、百円で売った魚が、手取りは二十四円にしかならないという問題があるんです。流通手数料がかかったり、氷代がかかったり、運賃がかかったり、いろいろしてこうなっているんです。そうすると、これは農業の問題でも言えるんですが、特に、一次産業を考える場合に、運賃をどうするかという物すごく切実な問題があるんです。こういうことを考えたときに、農業もそうですが、水産業とか林業とかに依存した集落というのは、どんどん過疎化していって、限界集落になっていって消えていく宿命にあることは御理解してもらえますよね。

 こういうことを頭に入れたときに、おたくが言う千七百二十五円か八円の所得補償を、いかにもこれで全部解決できるようなことを言っていらっしゃいますが、何の足しにもなりません。五千億じゃなくて五兆円ぐらい要るんじゃないかな、一次産業をきちっとするとしたら。

 それで、このことを解決するには、やはりおたくが言う所得補償しかないんですよ。ないんだけれども、金がない。満州事変は全部いかぬわけだから、縦の社会の。金がない。そうすると、金がないから助けられない。助けなかったら死んでしまう。さてどうするかということなんですが、三つ考えられます。

 一つは、あなた方が言う無駄な金を徹底して減らしていく。徹底してやっていく。これだけではできませんね。大騒ぎした、格好よくやった何とかさん、蓮舫さんは、ぎゃんぎゃんぎゃんぎゃん、水戸黄門みたいに言っておったけれども、結局六千何百億でしょう。二十兆円にならないでしょう。ならないんだよ、実は。あれは選挙のために言ったのであって、ならないんだよ。そうすると、経済成長をさせるか、消費税を上げるか、もしくは、いよいよ社会保障費に切り込んでいくかしかないでしょう、三つしか。そういう覚悟はありますか。

 もう一遍言いますよ。多面的機能は理解した、そして、一次産業については圧倒的に収入が減って生活できなくなっている、何とかしなければならぬよ。財源はどこから持ってくるか、無駄な金はないよ。あるなら探してください、我々も賛成します。

 しかし、結局のところ、最終的には消費税をドイツ並みに上げるか。ドイツと比べてノーベル賞の数も負けているんじゃないかな、金メダルも負けているんじゃないかな。そうしたら、ドイツ民族より日本民族は優秀という証拠はどこにもないね。なかったとしたら、ドイツ並みの社会保障制度にするんだったら、向こうが消費税が一九%でうちが五%でできるわけがない、客観的に考えて。

 だから、やはりこれは国民に政治家が金をばらまいて票をもらうんじゃなくて、落ちる覚悟で正論を吐く。そういう覚悟を競争しましょうや、民主党と自民党で。そうしないと絶対にいい国にならぬよ。そういう覚悟はありますか。大臣、どうですか。

    〔森本(哲)委員長代理退席、委員長着席〕

赤松国務大臣 水産業の皆さん方が今、特に沿岸漁業に従事しておられる方を中心にして、大変厳しい状況にあるというのは私も認識をいたしております。特に、一昨年、昨年、例の燃油の高騰等もあり、漁に出てもとても採算が合わないというような形で、年末、A重油の関係でも、私ども今年度については頑張りましたけれども、そういう燃費の問題、魚価の低迷の問題、いろいろな要素があると思います。それから資源そのものが減っているとかあると思いますが、厳しい状況にあります。

 そんな中で、今年度の戸別所得補償のモデル事業の中でも、約二億円を水産関係の調査に充てるということで、二十三年度から、もし間に合えば水産業についても戸別所得補償制度という形で、今の漁業共済等の話も含めて、その中に組み込むことができるのかどうか検討をしてまいりたい、このように思っております。

谷川委員 私が質問したいことは、ありもせぬ無駄な金でやるというんじゃなくて、本当に一次産業は何とかせんばいかぬ時期に来ています。おたくが言う三千億とか五千億じゃどうにもなりません。私は五兆円ぐらいかかると思うんです、少なくとも。そうすると、根本的に恒久財源を探さぬといかぬ。そうすると、消費税を上げるか、もしくは社会保障費に切り込んでいくか。もしくは、韓国に、ソニーとか松下がつくっている部分がもうサムスンに合計でも負けている、そういうふうになってきているので、抜本的に根本的に経済成長のあり方を検討するか、そういう時期に来ているんじゃないのかな、こう言っているんですよ。

 そういう覚悟はあるかな、大臣に聞きます。そういう覚悟はあるんですかと聞いているんです。

赤松国務大臣 例えば、消費税も含む税制改正等については、今年度から税制調査会の中で大いに議論はしていくということになるというふうに思っております。その意味でいえば、私どもは、そうした税制改正、そしてまた聖域なき行政改革というような中で、タブーにせずにあらゆることについて切り込んでいく、あるいは改革をしていく、そういう決意を持っていかなければならない、このように思っております。

谷川委員 副大臣に一つだけ聞きますが、こういう大事な話は、お互いに選挙の熾烈な戦いをやっているね、それを頭に入れながら、僕は、相手の立場でよく考えると、これはぜひ超党派でやらんばいかぬという考えがあるんです。それは壱岐と対馬と五島の三マイル、五マイルの話ですよ。

 確かに、まき網とか底びきの人たちの生活も当然守らなきゃならない。これはしなきゃならないんですが、一本釣りの立場で考えると、ヨコワとかブリとか、そういういわば高級魚がだんだんとれる時期が来た、そして、正月になったら高く売れるだろうと楽しみにしておったら、網がばさっとすくっていって、二重のパンチなんだよな。いつもより何倍と余計水揚げされるから値段が下がる。それから、釣れる資源が一気になくなる。これはだれがどう考えてもおかしいんだ、かわいそうなんだよ。

 ところが、過去の長い歴史の中で、向こうに、とっていいという権利がある。あるから、どうしても、法改正じゃなくて、これは話し合いでやらんばいかぬ。よくわかるんです。それは陳情された私も何とかせぬといかぬと思う。副大臣もそう思ったでしょう。当然と思うんですよ。そして、今度の選挙では勝本で言っているじゃないの、あなた。おれがこれは法律をつくって解決してやると言ったでしょう。ところが、組合長会で言っていない。いや、こっちで言ったと言っているんだよ。署名運動しなさい、してやると言ったと言っているんだ。まあ、言った言わぬはどうでもいいんだよ。

 そんなけちなことを僕は言っているんじゃないんで、本当に何とかせんばいかぬと思います。これは超党派で僕はやるべきと思いますけれども、コメントはどうですか。

山田副大臣 今まさに、ワシントン条約で地中海、大西洋でマグロ資源がどうなるかという状況の中、対馬でも、いわゆるマグロの小さいヨコワという魚をまき網がどっさりとっていく、本当に沿岸漁民が困っているというのは事実なので、そこに対して、長い間、沿岸と沖合漁業の争いがあった。それについて、ワシントン条約ではどうなっているかというと、どうやら大西洋、地中海では、このままでいくとマグロがとれなくなってしまうかもしれないという厳しい状況になりつつあります。

 そんな中で、沿岸もまき網も含めて、ひとつ資源保護というのを本当に日本近海、中西部太平洋でも考えなきゃいかぬ。それぞれが痛みを分かち合って、資源管理という意味でここは思い切った規制を政治主導でやろうじゃないかというお話はさせていただいておりますが、あくまでそこは、まずは沿岸とまき網の皆さん方で、九調、いわゆる水産庁の調整の方も含めて話し合ってくださいという段階で、ひとつぜひ谷川議員も、この問題においては解決を図らなければ、このまま太平洋でもワシントン条約みたいにマグロがとれなくなってくるという事態になるかもしれない、そういう危機感を今持っているところですので、お互いに仲よく一緒に解決を図りましょう。

谷川委員 私は山田副大臣とは中学校も同じだし、学年が一つ私が上ですが、あなたの最初の選挙のときにはおれが参謀をしたので、非常に親しい。親しさと怨念とありますよ、正直言って。だから、余りあなたとは話したくないんだ。

 最後に、時間の許す範囲内で、大臣と政治家としての問答をさせていただきたいんです。

 実は、この冊子は、新聞記事をさらに利用して、ずっと自分でリポートを書いている、いつも。これは結構かかる、百時間ぐらいかかっているんだよ。全部中身は財政再建です。この国はどうなるんだろうかと。あなたに言われたくないよ、そう言わぬでください。今そうなっているんだけれども、ここから先どうするかというのが大事なんですよ。

 結局、僕が一番心配しているのは、超えてきました。千五百兆円の預金が、借金を引くと千六十二兆円ぐらいしかない。それが、預金率というのが二けたあったのが、高齢化社会の到来によって二・二に下がってマイナスになろうとしている。そうすると、もう明らかに限界を超しつつある。だから、財源のない子ども手当なんてばらまいちゃだめなんだ。そんなことをしたら国家が破綻するんだ。どんなふうにして破綻するかというと、超インフレになって破綻するんだ。

 例えば、税収を国債の新規発行が超した。これは昭和二十一年以来だ。しかし、昭和十九年から六年間で二百十六倍になったよ、日本の物価は。二百十六倍、一円のものが二百十六円になるんだよね。こうなったら一番困るのは貧しい人なんだよ。貧しい人たちが塗炭の苦しみを受ける。そんな恐ろしい時代がそこに来ている。それが心配なんで、暇さえあったら僕は徹底してそれを勉強しているんです。

 ですから、これは、先生、子ども手当をやるよ、高速道路はただだよ、年金七万やるよといって、壮大なばらまき合戦じゃなくて、買収作戦、脱法行為、そういうふうな品のない選挙のやり方じゃなくて、この二十一世紀の日本はこうしよう、日本人が世界に向かって立派な民族として成り立つために、まず足元を固めよう、こういう男らしい堂々とした選挙運動をするつもりはありませんか、参議院から。

赤松国務大臣 高速道路や子ども手当、一般論で、政策はいろいろありますが、それが全部ゼロ、百みたいな話では私はないと思うんです。

 高速道路問題については、私もそういう業界に若いときにいたものですから、自分なりの意見がございます。しかし、子ども手当については、やはり少子高齢化社会というのが今一番問題で、例えばフランスは、ちょっと前まで一・九と言っていた出生率が、もう二を超えているんですね。日本は一・三、さらにこれから下がっていくと言われています。

 では、一体この差はどこなのか、何が違うのかということなんですけれども、やはりそれは社会全体で子育てをしていく。未来の社会を担っていくのは子供ですし、人口が減っていく、これは衰退社会なんだ。そういう意味で、すばらしい子供たちを社会全体の責任で育てていくという意味で、別にお金のことばかりじゃありませんけれども、あらゆる手だてをして、これからの社会を担う子供たちを、自分たち大人の責任として、社会の責任として育てていくということは絶対に必要だというのは、私自身のまた信念でもございます。

 それからもう一つは、例えば、年寄りがふえれば医療費はふえ、大変だみたいな、そういうことはあるんだけれども、果たして本当にそうなんだろうか。長野県は日本一の長寿県ですけれども、健康保険の中身を見ると、一番赤字が少ないのは長野県なんですね。年寄りが一番多いのに、一番健全な財政になっているんです。

 それはなぜか。それは中身が違うんですね。健康なお年寄りが百姓をやったり、工場に何かお手伝いに行ったり、元気に働いている。六十五歳以上の就業率も一番高いということです。私は、そういう仕組みを変えていくことによって、年寄りが多くなれば、高齢社会になれば、必ず社会保障費は膨らんで大変だなんというのは、ある意味でまやかしだ、やりようによって、そうならない形でもできるんだというのを思っております。

 ですから、言わんとするところは、必要ならもちろん税金を上げたっていいんですけれども、問題は、仕組みを変えないと、金がなくなったから消費税を上げましょう、それだけではだめですよということを言わんとしておるわけでございます。

谷川委員 ありがとうございました。

筒井委員長 次に、江藤拓君。

江藤委員 自由民主党の江藤拓でございます。

 前回に引き続きまして質問をさせていただきます。

 私は、大臣のこの間の所信を大変興味深く、驚きも感じながら聞かせていただきました。この所信に沿って質問させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 大臣はまず冒頭に、政治主導の精神で、そういうふうに言われました。さらに、平成二十一年度補正予算の見直しでは、全省庁の中で最も高い割合の国費を国庫に返納しましたと言って胸を張られましたね。

 これは、民主党内では高い評価を得られたでしょう、多分民主党内では。ただ、農林水産行政に与える影響という観点から見ると、私は、これは大変問題があったと思いますよ。これは前政権がつくった補正予算ですから、全くさわるなと言うつもりはありません。もちろん、政権がかわれば、一部の手直しをされることは当然あってしかるべきでしょう。

 しかし、その目的は、ただただマニフェストを実現するため、まずは削減ありきであって、一つ一つの事業の内容を十分に検証せずに、ただただ金額を積み上げたというふうに私には思えてならないわけであります。

 補正予算総額は一兆三百二億円ですね。農地集積加速化事業、強い農業づくり交付金。そして、昨今の飼料高騰が畜産農家の経営を非常に圧迫いたしました。これに対応するために措置した畜産自給力強化緊急支援事業、森林整備事業、水産基盤整備事業を初め九十四もの事業が対象となって、四千七百六十三億円も返納となりました。

 大臣、このことが、現場にとってそのタイムラグが出たわけでありますから、悪影響を与えるものにならなかったというふうに自信を持って今お答えになれますか。御答弁を求めます。済みませんけれども、まず大臣に。

赤松国務大臣 自信を持って四千七百切ったことが間違いじゃなかったと言えるかというお話ですけれども、ただ、ひとつ誤解がないようにしておいていただきたいと思うんですが、四千七百は切りました。その中でも、今御指摘のあったような農地集積加速化事業、二千九百、約三千億をばっさり切ったり、一方、反対に、森林に関するものについては、そのまま全額残しました。

 それぞれめり張りのある形でやったんですけれども、一つは、前年予算化してもそれを使い切っていないというような予算も正直言ってあったんですね。ですから、これだけ残す必要はない、これぐらい減らしても、前年分使い切っていないんだからこれぐらいで大丈夫だろうという形で、四千七百六十三億円、これは各省庁の中でも、四七%、八%ぐらいのカット率です。次はたしか国交省が三五%ぐらいのカット率ですから。カットをして、より必要な、私どもでいえば、今度はコンクリートから人へということで、戸別所得補償制度のような、人に対する直接な補助に向けていくということは間違いじゃなかったと思っています。

江藤委員 先ほど稲田委員も言われました。前の委員会で私が質問したことを引用していただきました。自信を持って提出した政治主導の概算要求であったといって四千七百億余り切られたということで、この間も言いましたけれども、これはやはり残念だったでしょう、正直言って。

 そして、先ほど言われました農地集積加速化事業を含めて四十四事業は、実は次の予算で、名称を変えるか、全くそのままの形で復活しちゃっているじゃないですか。ということは、切る必要はなかったんですよ、四十四事業はそのまままた復活しちゃっているんだから。そのことはやはり十分な精査がなされていなかったんだ。一たん切ってはみたものの、やはりよく見たら必要だから復活させたんでしょう。ですから、むちゃな返納であったということは、私の指摘の方が当たっているというふうに私は思います。

 そして、大臣はまたこの所信の中で、意欲あるすべての生産者に政策の恩恵が行き渡ることのできることを目指しますというふうにおっしゃいました。非常にすばらしい御決意であります。

 しかし、では民主党の農政が、そしてまた予算措置が本当にそういったものになっているかというと、そうなっていないというふうに私は思っております。

 簡単に言えば、来年度から始まる米の戸別所得補償モデル事業ですか、十アール当たり一万五千円、生産数量目標を守った農家にしか上げないんでしょう。あとは勝手につくってくださいと先ほどもおっしゃっていました。それで米価が下落しようがどうしようが関係ないとおっしゃいました。そうなると、生産調整に協力した人も困るんですよ。そういうことになれば、所信で言われた「すべての生産者に政策の恩恵」というのは、これは私は言葉の誤りだと思います。そういうふうになっておりません。

 鳩山総理は、昨年十月三十日、代表質問に対する答弁でこうおっしゃっていました。野菜、果樹、酪農、その地域における基幹的な農作物なども当然のことながら戸別所得補償の中に組み込んでいく予定でございますというふうに述べられました。これは、総理大臣、国のトップの発言であります。

 しかし、昨年十一月、私が質問を大臣にいたしました。そのときに大臣は、農業の戸別所得補償の基本が、常に販売価格が生産費を下回っているものを基本に考えているので、果樹、野菜、お茶は対象にしないと御答弁されましたね。今でもそのお考えに全く変わりはございませんか。御答弁をお願いします。

赤松国務大臣 最後のお答えからしたいと思いますけれども、常に構造的に生産費と販売価格が逆転しているものを対象にするというのが基本的な考え方ですから、野菜、果樹、お茶等については、そういう構造に現在のところなっているというふうには理解をしておりませんので、当面の対象からは外すという考えに変わりありません。

江藤委員 それは、大臣、やはり現場の事情は大臣はよくわかっていらっしゃらないですよ、非常に失礼な言い方かもしれませんけれども。

 例えば一例を挙げますと、今ペットボトルのお茶がすごくはやっているでしょう。このことによって、先ほど谷川委員も言われましたけれども、お茶を急須についで飲むという文化が廃れてしまって、大手の伊藤園さんとかがお茶を大量に買うわけですね。自分の農園でお茶葉をつくったり、また輸入もしたりしているわけですよ。そのことによって、今お茶の農家は大変経営が苦しいです。私の地元も大変なお茶の生産地なんですけれども、もう破綻寸前ですよ、お茶農家は。ほかにもいっぱいありますよ、ほかは挙げませんけれども。

 数字を挙げますと、二十一年産のお茶、一番茶から秋冬番茶までの平均単価は、一キロ当たり、何と八百八十八円です。千円を割るなんて考えられないんですよ、千円を割るなんということは。

 こういったことを、もっとやはり政務三役は地方を歩いていただいてきちっと現状を把握してください。それが農政の最高責任者たるあなたの責任ですよ。現場に足を運び、現場の声を聞いて、そして、今逆転していないから対象にしないとまた言われましたけれども、今こそお茶も救ってあげるべきときが来ている、私はそう思います。

 このことについて、済みません、私はいっぱい質問がありますので、御答弁はまた考えておいてください。また今度、一般質疑のときにやらせていただきます。

 林業についても谷川議員がいろいろお話をされました。所信について述べても、随分と意欲的な御発言があったように伺います。「路網の整備や森林施業の集約化、林業を担う人材の育成などを集中的に進めます。」というふうに述べられました。そして、「木材自給率を五〇%以上に向上させる」と。すごい話ですね。先ほどの谷川先生の話を聞けば、いかに難しいかということはよくわかると思います。さらに、中山間地域を中心に百万人の雇用拡大を実現すると民主党政策集インデックスには明記されております。

 しかし、来年度予算を見ますと、二十一年度予算と比べると治山事業は三〇・六%の減、森林整備は二六・九%の減となっております。民主党内では菅大臣が、私は朝日新聞を読みましたけれども、森林再生に先頭に立って取り組むというふうにでかでかと出ておりました。そのお金を握っている財務大臣が、これだけ山に対して思い入れが深いのに、何でこんなに予算を切ってしまったのかと私は非常に不思議でならないんですよ、単純に。

 私は、大臣の心中をお察し申し上げます。菅さんよ、余り勝手なことを言わぬでくれ、担当大臣である自分の苦労も知らずにというふうに、もしかしたらお感じになっていらっしゃるんじゃないかなと勝手に私は思っておりますが、御感想はいかがですか。

山田副大臣 確かに、予算は減っているじゃないか、それでいて林業再生プランで五〇%の自給率を言っているということについての質問だと思います。

 ことしの予算は前年度に比べて減っていますが、昨年度の補正予算、千二百三十八億の各都道府県の基金部分というのはほとんど残っていましたので、実際に今年度、減らされたとはいいながら、さらに今度の補正でも路網整備とか云々に二十億とか、また五千億の新たな補正予算も加えております。予算面からいけば、昨年度に変わらない、林業の方は予算は十分に確保できている、そう考えております。

 また一方、先ほど谷川議員も話があったんですが、何で木材の価格が下がってきてこういう状況になったかというのは、私は二つあると思っているんです。

 一つは、自民党政権時代に自由化して関税をなくしてしまったということ。随分、四十年代ですから。そしてもう一つは、やはりどんなことがあっても、火事に弱いからというので、戦後、公共用建物すべてについて木材をやめてきたということ。

 だから、今回、私どもは、公共用建物を低層においてはすべて木造、いわゆる国産材でできればやろうじゃないかという法案を国会に出させていただきたいと思いますので、ぜひ木材需要に取り組ませていただきたい、そう思っております。

江藤委員 おっしゃりたいことはわからないんじゃないんですよ。しかし、現実には、先ほど申し上げましたけれども、農業農村基盤整備、森林基盤整備、水産基盤整備、海岸保全施設整備事業、合わせて三千三百八十八億円の削減ですから。これに、確かに一千五百億つけたというふうに先ほど大臣は御答弁されましたけれども、先ほどお話にもちょっと出ましたが、これは国営事業には使えませんよ、交付金ですから。これはきちっと仕分けて考えていただかないと。お金も残っているというお話を副大臣は言われましたけれども、これとこれを全部ただ算数で足して、総数としてはそう変わらないじゃないかという話はおかしい。

 それから、自民党が関税をなくしたから材木が困っているんだと言いましたけれども、いつの話ですか。私が生まれる前の話ですよ。そのころは、高度成長期で材木が全然なくて、そして、みんな家を建てたい、家を建てたいけれども材木が高い、それで外材を輸入して家を建てようではないかという国民の要請にこたえて関税撤廃をしたんです。それは確かに失敗でしたよ、今になってみれば。そのときも自民党政権だったかもしれない。そこまでさかのぼって自民党のせいだと言われても、ああ、そうですかというふうには私は思いません。

 もう、半分過ぎてしまいました。私は三十分しかもらっていないので、次に、所信に沿って、今度は水産についてお尋ねをいたします。

 大臣は、燃油高騰等による影響を緩和するセーフティーネットの創設についても大変前向きな御発言をされました。大臣はいなくなっちゃいましたけれども。

 一方、燃油高騰対策につきまして、自公政権時代、我々もやりました。このときは、簡単に言いますと、漁業者にまず拠出を求めませんでした、負担を。その上で、燃油費の増加分の最大九割を国が負担するということを柱として、省燃油操業実証事業六百三十億円を措置しました。要件についても、これについてはいろいろ議論がありました。しかし、お金が残りましたので、これは我々の政権は基金として残して、いつでも機動的に出動できるようにしよう、そして、その間にこの要件緩和、内容についてはもう一度精査をし直そうということで、党内議論を進めてまいったわけであります。

 しかし、これは二月末で事業は終了、この基金は国庫に返納されることになりました。このことで、やはり漁業者の方々は、せっかく予算を確保していただいたのに国庫に返納されちゃうのかということで、非常に不安が広がっております。

 そして、二十二年度の漁業用燃油価格安定対策というものを見てみました。そうすると、漁業者、養殖業者、そして国との拠出によって補てんする仕組みになっていますね。拠出を求める、負担してくれ、海面養殖漁業者も。しかも、養殖用配合飼料価格安定対策と合わせて十九億五千五百万円しか計上されておりません。

 これは余りにも予算の金額が小さいんじゃないですか。急激な燃油価格の高騰が起こったときに、そうなると国庫からまたどんと金を投げ込むか、もしくは、養殖業者さんや漁師さんにさらなる拠出金を払ってくださいということを言わなければならないことになるかもしれません。

 ですから、私は提案なんですが、こそこそ話をしないで私の話を聞いてほしいんですけれども、提案なんですけれども、せっかくあるこの六百数十億、これは大臣の御英断で返納をやめませんか。返納をやめて、これはプールしておいて、我々がやった仕組みをそのまま残せと言うつもりはありませんよ。ただ、その予算だけ残しておいて、漁業者の不安を払拭するために使うということが得策ではないかと私は思いますが、大臣の御答弁を求めます。

赤松国務大臣 多分、今お話しになっている分は、大日本水産会に今基金として積み上がっているお金をそのままでまた使ったらどうかということだと思うんですけれども、私どもといたしましては、今年度から漁業者と国が一対一の割合で積み立てをして、それでもって原油価格等が一定の水準を超えて上昇した場合には補てんをするという仕組みにしていこうということにしておるところでございます。

 国の財政状況は大変厳しい、そしてまた、これから、いろいろな独立行政法人や、国が関連をするいろいろな法人がございますけれども、そういうものに対する見直しをずっとやっていこう。大日本水産会がとは言いませんけれども、中には、天下り機関、その人たちの給料を払うためのそういう組織になっているんじゃないかと。ちなみに大日本水産会も、私が大臣に就任する、政権交代の直前に、前の事務次官がそこの理事長として就任をしております。

 そういう批判も一部にある中で、かつては畜産の関係でも大変な額を積み上げた、ここでも基金を積み上げたということでありますので、そういう国民からの批判にもこたえていくためには、なるべくわかりやすい仕組みにこれから徐々に変えていこう。必要なものは必要なものできちっと出していくけれども、基金というような形で、それぞれの団体が何千億、何百億なんということを積み上げるのは見直していこうというのが今の政権の基本的な考え方でございます。

江藤委員 大日本水産会の話を取り上げられましたけれども、私はそういうことを言っているのではなくて、一応これだけのお金が所要の基金としてとにかくあるわけでありますから、例えば、畜産の話は後でしますけれども、牛関税が畜産、酪農対策に目的税的に、今、使われていますよね、そういうような形で残す工夫だってあるじゃないですか。ですから、私は、御再考されることを重ねて、一応、提案だけはさせていただきます。

 では、もう時間も全然なくなって、最後までたどり着きませんけれども、畜産についてお尋ねをいたします。

 この間、大臣に申し入れをさせていただきました。十九日、自民党としての考え方を。快く時間をとってお話を聞いていただきまして、大臣、大変ありがとうございました。このことについては感謝を申し上げたいと思います。

 その主な内容は、加工原料乳の限度数量については現行数量を維持すること、これを申し入れました。しかし、結果は十万トン減ってしまいましたね。生乳需要創出緊急対策支援事業について、今度の予算で五十八億円計上されております。しかし、これはちょっと私には理解不能なんですよ。予算をつけたからといって、チーズや生クリームの消費が急にふえるんですか。つまり、事業名である需要創出につながる具体性が、この予算の裏づけとして、大いに欠落をしている。ここは政権与党内でよっぽど知恵を絞らないと、五十八億円積み上げたけれども、結局、見せ金に終わる可能性があるのではないかということを私は危惧しております。

 それから、私は九州ですから、都府県対策。飲用需要変動対応緊急支援事業というのをやりました。いわゆる共補償ですね。共補償についてですけれども、これも本年度限り。私たちの時代も、もちろん単年度だったんですよ。でも、我々は、一応、次年度もやろうということで内々に話を進めておりました。これもなくなってしまいました。これは、この間も酪農家の方々と意見交換会をしましたけれども、非常に都府県の酪農家には不安感を今もたらしております。

 また、養鶏では、鶏卵の価格差補てん事業について拠出の見直しをお願いしましたけれども、これも却下されました。それどころか、百九十一円から百八十一円に下げられました。私の地元では、やはり百九十円ないときついんですよ。私は、ちゃんと現場に足を運んで採卵農家の話を聞いてきていますから。何で十円下がっちゃったの、拓ちゃん、そういう声が聞かれ、これは頼んだんですけれども下げられちゃいました、済みません、野党になっちゃったんでとしか言いようがないんですけれども。このことについても非常に私は遺憾であります。

 これらの提言は、野党からの提言ですから、全部受け入れられるはずがない。当然でしょう。これはいたし方ないと思います。しかし、二月の十九日、本委員会で、平成二十二年度畜産物価格等に関することについて、全会一致で決議を行いましたね。この決議は野党からの提案ではないわけでありますから、これはより尊重されるべきものであると私は思いますが、大臣の御答弁を求めます。

 簡略にお願いします。副大臣でもいいですよ、短くお願いします。

山田副大臣 畜酪の問題のときに委員会で決議してもらったことは私どもはよく承知した上で、価格決定等々をさせていただきました。

 確かにその中で、加工原料乳を維持してくれとかいろいろな御意見がありましたが、チーズ、クリーム等々についても、確かに委員のおっしゃるとおり、それなりに十分な予算はつけさせていただきましたものの、これから本当にチーズとか生クリームがどうなるかは、しっかりとその政策を図らせていただきたい、そう思っております。

 あと、卵価の問題、いろいろありましたが、これについても、私もまた現場の鶏卵家からいろいろお話を聞いて、卵価基金を今まで、鶏卵者と、国も一部ですが積み立ててきたのですが、それが底をついてしまって、鶏卵協会の方から、むしろ、十円下げてくれというお話もありました。ところが、今経営が苦しいのはわかっているので、三十九億円だったかと思いますが、いわゆるひなを入れかえるときの期間、それについて十分な手当てをさせていただいておりますから、鶏卵農家に対してもいろいろな形で、今回、畜産農家に対しては十分な配慮をさせていただいた、そう思っております。

江藤委員 副大臣が十分だと言われますが、私は十分だと思っていないというふうに言わせていただきます。

 もう時間が五分しかありません。

 大臣は、この決議を踏まえて、最近の畜産をめぐる情勢を踏まえつつ、十分検討してまいりますと、今おっしゃったとおりですね、そういう御答弁をなされております。

 ずっと行きたいんですけれども、もう省かないとどうしようもないですね。

 例えば、肉用肥育対策について、マル緊と補完マル緊が一本化されました。これは我々も要求したことでもあります。しかし、ステップアップの一頭当たり一万七千円がなくなっちゃいましたね。そしてまた、農家負担の軽減を念頭に置いた対策を講じること。農家負担の軽減ですよ、一本化した上で。だけれども、これを一本化したことによって、新たな農家負担を求めることになってしまうんでしょう。負担は上がるわけですよね。これは我々、この決議の内容とは異なるのではないかというふうに思います。

 そして、家畜飼料特別支援資金は継続されました。でも、決議の中では強化を図ることとなっていますよ、全会一致の決議。強化を図ること。これが何で今までどおりのものになってしまったかということも、非常に失望感があります。

 草地基盤整備事業の拡充も盛り込まれておりました。これは、結局は五十四億円。概算要求段階と比べると半分以下に決着してしまいました。養豚のことも聞きたいんですけれども、きのう、まだ制度設計ができていないという役所からのあれでありますので、また今度、一般質疑のときにこれはお聞きしたいと思います。

 さらに踏み込んで、各種畜種ごとにぎりぎりやらせていただきたいんですが、時間がありませんので、それではこれをやらせていただきます。

 肉用子牛資質向上緊急支援事業と子牛生産拡大奨励事業、これを一本化するということは私も申し上げたことで、これをしていただいたことについては非常に評価をいたします。要件緩和をしたことも、私はよかったというふうに思います。しかし、残さなきゃいけなかった要件もあったような気がいたします。しかし、なぜ発動基準が三十八万円なのか。この水準が私にはよく理解できません。

 そして、その下がった分の四分の三しか埋めないというのは、これは非常に厳しいですよ。この間、六日の日から、今年度の最初の子牛の競り市が私の地元の児湯で行われました。前回の競りは非常に安かったんですけれども、今回は、三日間の平均は三十七万六千三百二十八円でした。非常に喜ばしいことであります。

 ただ、気をつけなければならないのは、昨年の数字ですけれども、昨年、九千五百頭競りにかけて、三十五万円を超えた牛は四千三百頭しかいないんです。つまり、六割近い牛は三十五万以下でしか売れていないんです。いい牛なんて、そんなにいっぱいはいないんですよ。そうなりますと、三十八万円と三十七万六千三百二十八円との差額の四分の三ですから、一頭当たり二千七百五十四円。十万円でしか売れなかった人にも二千数百円しかもらえない。これは繁殖農家にとっては大ショックですよ。

 今までの制度も欠陥はありましたよ、認めます。しかし、条件を満たせば、一頭当たり五万円出たわけですから。例えば、三十五万円以下の牛が五頭出れば、五、五、二十五の二十五万出たわけですよ。これが二千円となれば、五頭で一万円じゃないですか。そうなりますと、いわゆる生産規模のまだ小さい農家、繁殖農家ですね、それから就農して間近な農家、ましてや、高齢化で、もうそろそろ牛養いをやめようかなと思っている人もいるんですよ。そういう人たちが繁殖農家の生産基盤を支えているんですけれども、これでは、弱い人たちから一気に繁殖という事業から手を引いてしまうことが起こりかねない。これは見直した方がいいですよ、副大臣。

 我々は、我々自民党政権時代もいろいろミスは犯してきました。ただ、いろいろ現場の声を聞きながら、例えば一昨年は、期中改定も三回行いましたよ。本来一回であるべきものを、その時々の時局に対応するために。ですから、新政権におかれましても、ぜひ、その時々の要素を十分見きわめてやってください。

 もう終わったようですから、続けて行きます。

 一つだけ、最後にお願いします。今度、事業仕分けがありますね、四月から。頑張ってくださいよ、副大臣、大臣、政務官。

 これはもう言うまでもありませんけれども、この畜産、酪農対策は牛関税が原資でしょう、三八・五%。そして、輸入量がふえたら五〇%までセーフティーガードも発動できる。この金によって畜産、酪農対策ができているわけじゃないですか。まずは貿易自由化を完全に阻止した上で、そして、この四月の事業仕分けで牛関税が一般会計に召し上げられることがないように、体を張って、大臣、副大臣、特に副大臣、頑張ってください。できなかったら責任を追及しますから。

 以上申し上げまして、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

筒井委員長 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 きょうは時間をいただきましたので、御質問を申し上げたいと思います。

 大臣の所信に対する質疑ということでありますけれども、大変中身が多うございますし、また、きょうは私は、チリの地震による津波被害、特に水産被害についてもお聞きをいたしたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。

 まず、役所からいただきました、きのう付、十日付の資料で、水産被害、県別にどういう被害があったか。北から申し上げますと、青森、岩手、宮城、福島、三重、徳島、高知と、こういう被害でございました。

 それで、この七県しか私はお聞きをしておりませんけれども、神奈川県でありますけれども横須賀市の長井漁港、ここが被害があったということで、ぜひ調べてもらいたい、こういうことをお願いいたしておりましたが、まだ私の手元には来ておりません。いろいろと被害の状況がこれから上がってくると思いますけれども、どうぞ、津波という本当に思いもかけない被害でございますので、ぜひこの点もしっかりと調べていただきたいというふうに思います。

 それで、この被害についてお聞きをしたいんですけれども、実は、カキだとかいろいろなものがございますね、水産物。それがだめになってしまった。そしてそれが、ことしだめで来年すぐいけるかといったら、そうでもない。その施設の被害もある、また、水産物の被害もその回復には二年、三年かかる、こういうことであります。こういうところに対してぜひいろいろと支援をしてあげるべきではないか、こう私は思っておりますけれども、この点、どういうことが考えられますか。

佐々木大臣政務官 お答えさせていただきます。

 チリ地震での被害については、今も情報を、各地の被害の状況というのを集めている最中でございまして、毎日集計をさせていただいておりますが、先ほど委員の言われたとおり、現在のところ七県の被害ということで、岩手県の十七億六千万、それから宮城県の二十六億一千万、七県全体で四十四億五千万というふうに現状を把握しているところであります。

 対策としては、いろいろなことをできる限りやっていきたいというふうに思ってございますが、一つには融資あるいは共済の発動などなど、でき得る限りのことをしっかりと対応していきたいというふうに考えているところであります。

石田(祝)委員 それで、この被害の状況報告をいただきましたが、水産物で、ホタテとかカキとか、いわゆる施設でやっているもの、そういうものについてはありますが、実は高知県の須崎市というところでは、私が聞きますと、いわゆる生けすで出荷を待っているタイが、引き波、押し波で生けすの中でこすれて商品価値がなくなった、こういう報告もあるんですね。

 ですから、岩手とか宮城、また青森なんかも、ホタテとかカキとかホヤとか、そういうものもあろうかと思いますけれども、魚がそういう引き波、寄せ波の中でこすれて、生きていますよ、生きているんだけれども商品価値がなくなっている、こういうのもあるんじゃないかと思うんですよ。ですから、この調査については、あらゆる角度からぜひ私は慎重な調査をしていただきたい。

 この点、御答弁をお願いします。

佐々木大臣政務官 ただいま御指摘をいただきましたような点もしっかり調査をしていかなきゃいけないというふうに思うんですが、いずれにしても、水産の場合は収入保険でありますから、そういった意味では、そういうものもしっかり調査をさせていただいて、対象になるものはしっかり対象にしていく。それから、施設、水産物、また漁具、いろいろ補償の仕方も変わってきたりしますので、その点もしっかり掌握をしていきたいというふうに思ってございます。

石田(祝)委員 共済の中で、去年の十月に、地震とか津波、噴火、こういうものによる限定の商品として、大変掛金も安く商品が開発されている、そのことを私お聞きをしまして、現状どうなっているか、こういうことをいろいろと聞きました。そして、十月から商品を開発して売り出されているわけですから、その資料はないのか、こうお聞きしたら、待っていても出てこないんですよ。これを売り出しますよと十月からやって、全国で八百件ぐらい入っているらしいんです。しかし、残念ながら、どうも今回の岩手とか宮城はお入りになっていない、こういうこともお聞きをいたしました。

 これは大臣、十月に共済でこういう新しい商品を売り出しました。津波とか地震、噴火、これはめったにないわけでありますけれども、ですから掛金を大変安くやる、こういうことで売り出しました、こういうことでありますけれども、では、これがどういう中身ですかと。商品というのは当然、開発して販売、まあ保険ですが販売と申し上げますけれども、どういうものか、どれだけの補償でどれだけの金額か、こういうものがないとおかしいと思うんですよね。これが、幾らお願いをしても出てこない。これは、政務三役がそういう資料をとめているんですか。ですから私は、では、いいよ、委員会で大臣に聞くしかないね、こういうお話をいたしましたが、そういう資料というものはないんですか。

 半年前ですよ。それが、委員会で漁業補償、共済の問題を取り上げる、大事な観点だから、ぜひこれはどういうものをどういう考え方で開発したのか、商品設計したのか、これをぜひ出してもらいたいとお願いしても、一向に出てきません。もうらちが明かない、話をしていても。

 これは大臣御存じですか、十月にこういう津波、地震、噴火に限った被害を補償する共済ができているということを。ですから、これをしっかりPRして非常に安い掛金で入っておいていただければ、今回、補償ができるわけです。しかし、私たちにも詳しいことは知らせない、また、全国にもちゃんとやっているのか、こういう話であります。

 これはぜひしっかりした御答弁をいただきたい。そして、なぜ出せなかったのか、このことを教えていただきたいと思います。

佐々木大臣政務官 お答えいたします。

 今、石田議員御指摘の製品について、御質問があったということで私も初めてこういう制度があったということについてわかったような状況でございまして、農水省としては、全国会議での説明とか、あるいはまた広報誌とかということをやっているようなのでありますが、御指摘があったように、PR版的な、いわゆるパンフレット的なものは用意されていないようでございます。そういった意味では、御指摘の点を踏まえて、これはやはり農水省がやるというより、共済の団体がそういう制度をしっかりと、委員も製品と御指摘をいただきましたが、製品なんですから、しっかりPRできるような仕組みにしていかなければならないというふうに思います。

 さらにまた、加入件数ですが、千五百件程度にとどまっているということでありますが、先ほど御指摘のように、今回被害のあった宮城県はゼロというような状況でありまして、岩手県は九十件ぐらい入っているようでありますが、そういった意味では、これから積極的にこの商品の普及に努めてまいらなければならないというふうに思っているところでございます。

石田(祝)委員 私は、その答弁では納得できませんね。

 皆さん、考えていただきたいと思うんですよ。民間でお勤めだった方もいらっしゃるでしょう。商品を発売するときに、それを説明する資料はありません、こういうことを言っているんですよ。だから私が、ではどうやってやったんですか、口頭で説明しましたと。そんなことがありますか。

 全国に共済の保険を発売するのに、水産庁が全然関係していないんですか。関係しているんでしょう。今回だって、ちゃんとやっておけば、ゼロなんということはないじゃないですか。それを、私がそういうことを聞いて、これはPRもしなくちゃいけない、なぜそういうことになったのか、どういう商品設計をしているのか、こういうものを出してもらいたい、説明する資料の紙はありませんと。こんなこと、だれが信じられますか。

 ですから、私は、それは政務三役に了解いただかなきゃ出せないというのか、そこはわかりませんよ。しかし、これは大臣も副大臣も政務官も、水産庁がやって、そして、新しい形の保険商品です、共済商品ですと。それを、十月からやっている、現実に入っている人もいますよ。しかし、説明する紙は何もありませんと。こんなことが皆さん信じられますか。

 普通、保険だったら、幾らの補償で、掛金は幾らですよと、そして、いろいろな条件がついてやるじゃないですか。それを、私が質問通告をして、ずっと待っておっても出てこない。電話をして、どうなっているんですか、もにょもにょもにょもにょとおっしゃって、出てこない。こんなでたらめな話は私はないと思うんですよ。

 ですから、これは、今政務官がお答えになりましたけれども、そういう紙がないんですか、あるんですか。全然なしで、口頭だけで説明して、それぞれの地域で勝手にやっているんですか。どうなんですか。

赤松国務大臣 大変失礼いたしました。

 私自身も、詳細にこの共済商品の云々というのは、大変申しわけないことですが、存じ上げなくて、しかも、そういう委員からの要求があったにもかかわらず水産庁の方で、聞いたら、本当に隠しているわけじゃなくて、PR用のパンフレットはないそうです。しかし、それぞれ全国各地で、制度説明会としては岩手県で四回、宮城県で一回、それから漁協については、二十四漁協、あるいは九十四支所でそれぞれ説明しているわけですから、そこには説明資料として何らかの紙を配付してやっているわけですから、そういうものでもちゃんと議員からの請求があればお渡しをし、きちっと説明をすべきだったと思いますが、大変その辺のところは、私どもの監督不行き届きで、御迷惑をかけたということをおわび申し上げたいと思います。

石田(祝)委員 これ以上申し上げませんけれども、説明会をやったということも聞きました。ではそのときにどういうものでやったんですか、口頭でやりました、紙はありませんと。ですから、パンフレットは、つくる時期もあるでしょう。しかし、何か説明するものもあったんでしょう、こういうことを申し上げても、はっきりしたお答えがありませんでした。非常に残念です。

 これは、政治主導とか、政務三役の許可を得なきゃ資料を出せないとか、いろいろなことを言われておりますけれども、必ずしも私はそうだとは思いません。しかし、今回、このことを大臣も今知った、こうおっしゃっておりますから、これは現実に、昨年の段階でもしっかりとPRがされておったら、今回の津波にも間に合ったわけですね。

 私がちょっと聞いたところでは、二百万とか三百万の補償で二千円とか三千円の掛金だ、こういうわけですから。大体、保険に入らない人は、掛金が高いというのが入らない一つの理由でもあると思うんですね。そのほか理由はあるかもしれませんけれども。

 ですから、こういう点は、大臣が全部に目を通してすべてを知っている、そういうことは当然ないと思いますが、ある意味でいえば、漁業者の将来にかかわる大変大事な観点だと思いますので、ぜひこれは、よくまた御指導をいただきたいな、こういうふうに思います。

 続きまして、シーシェパードの問題。これも予算委員会で取り上げましたけれども、引き続いて、その後いろいろな動きもあったとお伺いをいたしております。特に、オーストラリアがシーシェパードの運動をしているところに強制捜査ですか、そういうこともなさったとか、シーシェパードもことしの活動は終わりだとか、こんないろいろな動きもあったようでありますが、現時点、一番新しいところで、この動きはどういうふうになっておりますか。

佐々木大臣政務官 お答えいたします。

 現時点では、第二昭南丸に乗り込んだシーシェパードのメンバーについては、ただいま我が国に向けて移送中ということでございます。到着後は海上保安庁に引き渡すということになってございますが、詳しい日付については差し控えさせていただきたいというふうに思います。

 以上です。

石田(祝)委員 外務省も来てもらっていますから、答弁をお願いします。

西村大臣政務官 お答えいたします。

 まず、シーシェパードによる我が国調査捕鯨船に対する妨害行為でありますけれども、これは大変悪質かつ危険な行為であり、まことに遺憾だというふうに考えております。

 政府といたしましては、このシーシェパード船舶の旗国や寄港国の政府に対して、ハイレベルでの働きかけを初めといたしまして、累次にわたって首脳、外相会談等で働きかけを行っておりまして、妨害行為の再発防止のための適切な措置をとるように申し入れてまいりました。

 直近でいいますと、二月の二十日から岡田外務大臣が弾丸外交といたしましてオーストラリアを訪問いたしましたけれども、その際にも、ラッド首相、そしてスミス外相に申し入れを行っております。関係国側も、我が方からの申し入れを受けて、例えば本年二月にはトーゴがボブ・バーカー号の船舶登録を抹消しております。

 これは委員も御指摘でありますけれども、三月六日には、オーストラリアの連邦政府が、ホバートに寄港いたしましたボブ・バーカー号及びスティーブ・アーウィン号に対して捜索及び差し押さえを実施しております。また、オランダが最近スティーブ・アーウィン号の船籍剥奪を可能にする法改正を審議中ということで承知をしております。

 引き続き関係国にしかるべく働きかけていく所存でございます。

石田(祝)委員 最初に佐々木政務官が御答弁になって、今日本に移送というんですか、今これは逮捕じゃなくて保護しているような状況だというふうにお聞きをいたしまして、大変いい待遇で、乗り込んだ方を保護している、こうお聞きをいたしました。

 これは海上保安庁、国土交通省にお聞きしますが、日本に来たときにその方は逮捕する、こういうことでよろしいんですか。

三日月大臣政務官 お答えをいたします。

 二月十五日に調査捕鯨妨害予防船第二昭南丸に侵入した当該活動家は、現在日本に向けて移送中です。

 この方は、刑法百三十条の艦船侵入罪の容疑があると言われておりますので、本邦に到着次第海上保安庁に引き渡され、厳正な捜査が行われると承知をしておりまして、逮捕するか否かについては、捜査機関の判断であります。

石田(祝)委員 海上保安庁は警察権を持っているんじゃないんですか。その海上保安庁に渡されるわけでしょう。本当は第二昭南丸も、一般人も現行犯を拘束してもいいんですから。今度海上保安庁に渡すわけでしょう。警察権があるじゃないですか。

 逮捕するんですか。

三日月大臣政務官 海上保安庁には警察権も捜査権もございます。今、私は、国土交通省大臣政務官という立場でお答えをいたしておりますので、そののりを越えない範囲内で申し上げたつもりでございます。

石田(祝)委員 ちょっと言っている意味がわかりませんね。海上保安庁に答弁を求めたら、あなたが出てきたんでしょう。海上保安庁は、警察権も捜査権もいろいろ持っているんでしょう。それで出てきて、私が海上保安庁にお願いしたらあなたが出てきて、国土交通政務官だからのりを越えない範囲で答弁しますとはどういうことですか。

三日月大臣政務官 あくまで逮捕するかしないかは海上保安庁の判断でございますので、そのことについて、私が今この委員会で、政務官としての立場で、逮捕する、しないということを申し上げる立場、そして時点ではないということでございます。

石田(祝)委員 三日月政務官、それは御自分でよく整理されておっしゃっているんですか。私は、そういう趣旨で聞きますよ、海上保安庁に出てきてくださいと言ったら、いや、政務三役がお答えをしますと。それで三日月さんが来られているんでしょう。では、これはだれが答えられるんですか。あなたは海上保安庁の責任者じゃないんですか。それで出てきたんじゃないの。

三日月大臣政務官 私は、国土交通省政務三役の中では海上保安庁も担当する政務官であります。したがって、海上保安庁の業務については私も担当しておりますが、今回のこの件で、当該活動家が逮捕されるか否かについて、この時点において私の立場でお答えするべきではないということでございます。

石田(祝)委員 時間がなくなりますからこれ以上申し上げませんが、そのことを聞きますよと言って、私は海上保安庁の方に答弁させてくださいと。そうしたら、いや、政務三役が答えますと。では、答えられないときというのは一体どうするんですか。ですから、現時点においてはそういうことは言えない、判断できない、こういうことだったらいいんですよ。私ののりを越えることは言えませんとはどういうことですか。これはもう結構です。

 ですから、これから責任持って答弁できる方を私は要求いたします。残念ですが、いろいろと質問のすり合わせ、通告のときに申し上げてあなたは来ていただいているんだけれども、そういう御答弁であれば、これからは、お答えのできる、例えば政府参考人であったとしてもその方を呼ばせていただきます。

 時間も余りありませんので、成長戦略のことをちょっとお聞きいたしたいと思います。

 これは古川副大臣に来ていただいておりますのでお答えいただきたいのですが、二月の二十八日付の私の地元の新聞、またそのほか地方紙に、表現、見出しはいろいろあろうかと思いますが、多分通信社の配信でしょう、政府成長戦略、農業関税下げ検討、政策課題判明、FTA推進ねらう、こういう見出しでございました。

 これは、東京にいて全国紙を見たらどこにも載っていないんですよ。しかし、これは通信社が配信していますから、地方は全部見ています。ですから、大臣、東京で私は、農林水産省に翌日電話したんですよ。知らないって言うんです。私が指摘したら、慌てて西日本新聞を取り寄せてそれを送ってくれましたよ。しかし、私たちはもう地元で、日曜日の段階で全国、議員さん、帰った人はみんな見ています。

 これは、古川副大臣、どうでしょうか。こういうことをお考えになって、これは米のモデル事業とリンクさせて皆さんすぐ考えますよね。このことはいかがでしょうか。

古川副大臣 報道があったことは私どもも承知をいたしておりますが、ただ、委員も与党としても活動しておられましたから多分わかると思いますが、しばしば政府内で議論されていないことが報道されるということもよくある話でございまして、この件につきましても、私どもも報道を見てびっくりしたというところでございます。

 成長戦略につきましては、現在、昨年末に決定をいたしました基本方針を踏まえつつ、施策の追加、具体化を行って、本年六月ごろに新成長戦略の全体像を完成させる予定でございまして、現時点で政策課題を決めているわけではございません。

石田(祝)委員 これは昨年の衆議院選挙のときに、今政権を担われている民主党のマニフェスト、またインデックスの政策集、それも拝見しましたけれども、当初、米国とFTAを締結する、これをにわかに推進に変えたことは皆さん御存じだろうというふうに思います。ですから、そういう下地があって、そういうことをやるんだろう、こういうことが考えられたと思うんですね。

 では、古川副大臣、済みません、ちょっと聞き方を変えます。この農業関税下げ、そしてFTAを結べば経済は成長しますか。

古川副大臣 私どもは、FTAというもの自体をさまざまな形で推進していかなきゃいけないということは考えております。同時に、農産物、この自給率を高めると同時に、農林水産業、これは産業としてもこれからは成長分野として力を入れていかなければいけない話だというふうに思っております。

 ただ、そこのところと、FTAと農産物、自給率の向上やあるいは強化、それが直接結びつくとか、そういう議論というものを特に今いたしておるわけではございませんし、そこのところは、私どもとしては、これは農林水産業をどう強化するかということ、それと貿易面でのFTAの促進、それは別個のものとして今考えておるところでございます。

石田(祝)委員 私は古川副大臣が、これは経済成長に資する、こういうお考えがあるかというお伺いをしましたが、それぞれで検討している、そういうお話でございました。これはまた今後取り上げさせていただきたいと思います。

 次に、ワシントン条約における宝石サンゴの規制、これが、にわかにと申しますか、そういうものを生活の糧として頑張っている地域からしたら驚くような話でありますが、この現状をどのように今お考えで、我が国としてはどうされようとしているのか、お願いいたします。

佐々木大臣政務官 お答えいたします。

 宝石サンゴについてでありますが、現状ということでありますので、今、我々の現状についてお話をさせていただきます。

 アメリカあるいはEUが、ワシントン条約で、いわゆるCITESの附属書2への掲載を提案しているということであります。我が国としては、宝石サンゴについては、CITESによる国際取引の規制ではなくて、地域漁業管理機構等を通じて適切な保存管理により持続的に利用していくべきであるというふうに考えておりまして、附属書2の掲載には反対という立場でございます。

 我が国は、これまでもさまざまな機会をとらえて、政務三役も、あるいは農水省OB、顧問なども含めて、海外派遣あるいは在外公館などを通じて各国へ働きかけを今やっているところであります。決して予断を許すような状況ではございませんが、しかし、しっかりとこうした働きかけをしながら、採択がされないように引き続き各国に対して働きかけをしていく決意であります。

 以上です。

石田(祝)委員 これはぜひ御奮闘をお願いいたしたいと思います。利益誘導でも何でもやって、ぜひ守っていただきたいな、こう思います。

 最後に、時間もなくなりましたので、麦のことをちょっとお伺いいたしたいと思います。

 去年、佐々木政務官がここに座って、私がそっちに座っているときに、政務官、麦の御質問がございまして、別にそれで揚げ足をとるとかそういうことではありませんよ、大事なことなのでお聞きをしたいんですが、この四月から政府の売り渡しの小麦がまた下がるわけですね。落ちついてきた、こういうことだろうと思います。

 そうすると、いわゆる国内産の小麦、これは播種前契約をしている。このことを佐々木政務官もそのとき、非常に課題があるんじゃないか、こういうお取り上げだったと思いますが、私も全くそのとおりだと思います。価格の逆転が起きている、こういうことであります。

 これについて、政務官、何かいいお考えがあるのかどうか。そのときに問題意識をお持ちになって、私もそのとき北海道へ行ったんですよ。それで、大変大きくやっていらっしゃるところもあって、しかし、品質からいって、逆転したらこれは大変だ、苦しい、こういうお話もありました。この四月からの値下げということと、国内産の麦、これをどう守っていくのか。

 また、きょうの農業新聞を見たら、小麦を百八十万トンへ倍増する、こういう記事も左の肩に載っておりました。

 こういう逆転した中で、播種前契約、それはそれぞれに理由があって、今までの経過があってできていると思うんですけれども、これは私は決してそのままでいいとは思わないんですね。何かいい知恵がないだろうかという意味での質問ですから、どうぞ北海道の平原も思い浮かべながら、政務官のいいお知恵を開陳していただきたいと思います。

佐々木大臣政務官 お答えいたします。

 質問をしているときの方が楽だったかもしれないと思いつつお答えをさせていただきますが、今委員御指摘のように、農業者、実需者、それぞれで播種前契約ということをしているわけであります。そのときも私は申し上げたんですが、今のように途中で乱高下をするというような状況になっているときに、なかなか適切に反映していくということが、ちょっとおくれていきますから、そういう意味では、そういうところに課題を抱えているというふうに私も思っておりまして、ぜひこれは石田委員のお知恵もかりながら、いい方法をみんなで考えていきたいなというふうに思ってございます。

石田(祝)委員 終わります。

筒井委員長 この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時五十五分開議

筒井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。石津政雄君。

石津委員 石津政雄でございます。

 初当選後、初めて委員会での質問をさせていただきますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 きょうは、私は、大臣の所信表明を踏まえまして、これからの農政万般についてざっくりとした質問をさせていただきたい、このように考えるところでございます。

 まず、大臣は所信におきまして、我が国の農林水産業の現状は、生産額の減少そして就業者の高齢者割合の増加など、深刻な状況に陥っている、このように分析されました。

 農林水産生産額は、昭和五十五年においては八・八兆円で、GDP比三・六%であったのに対しまして、平成二十年の生産額は七・四兆円で、その比は約六割減の一・五%と、大きく減少をいたしております。また、六十歳以上の農業経営者は、平成十二年では百二十五万人、農業経営者全体の五三・五%であったのに対しまして、直近の統計である平成十七年では百十二万人で、全体の五七・一%と、非常に増加をしております。

 このような値を見る限り、大臣の御見解のとおり、農山漁村の疲弊ぶりは深刻なものとなっております。私は、このような農山漁村の状況、今までの農政をしっかりと検証した上で、問題の所在をしっかりと明確にした上で新たなスタートを切らなければならないと考えております。

 なぜこのような農山漁村の疲弊を招いてしまったのか、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

赤松国務大臣 石津委員からの御質問にお答え申し上げたいと思います。

 今御指摘のとおり、日本の農業あるいは農村の状況につきましては、お話しのとおりでございまして、とにかく、畑、田んぼへ行けば、そこに従事をする人たちはもうお年寄りばかり。ちなみに、十年前、農業者の平均年齢は五十九歳ぐらいだったと思いますが、五十歳代が今ではもう平均年齢六十五歳ということになるわけで、このままのやり方をやっていけば、また十年後には、今度は七十歳代が平均年齢ということになりかねないというふうに思っております。

 また、農業収入も十五年前と比べて約半額ということで、事実上、兼業農家や高齢者農家が今、日本の農業を半分ぐらいは支えているわけですけれども、これは、年金をもらいながらとか、あるいは出稼ぎに行って、その分をプラスしてやっと生計が成り立つというところに、やはり一番大きな原因がある。しっかりまじめに頑張ればちゃんと農業が業として成り立っていくという仕組みにやはり変えていかなければ、今三十九万ヘクタールあると言われている耕作放棄地も、ふえることはあっても減ることはない、このように思っております。

 しかも、三十九万ヘクタールのうちの十万ヘクタールは、優良農地として今すぐにでも耕作に適している、そういう土地だと言われているわけですから、ちゃんとした担い手が、また特に若い人たちが、農業をみずからの職業として、しっかり取り組んでいただけるという構造にしていけば、まさに、地域にあるのが第一次産業である農業が中心ですから、あるいは水産業や林業が中心なんですから、そういうところをやはり活性化してよみがえらせなければ、日本の活力再生はあり得ないというふうに思っております。

 そんな意味で、具体的には、戸別所得補償制度ということで生産者そのものに戸別に直接支払いをしていく、そしてまた、六次産業化ということも考えながら、そこに至るまで、生産、流通、加工、販売というのも絡み合わせながら、新たな産業あるいは雇用をまたそこにつくり出していくということを、今回、私ども提案させていただいておるわけでございます。

石津委員 ありがとうございます。

 私は、いわゆる高齢化社会の到来そのものだけが農業、農山漁村の疲弊を招いている、このようには考えておりません。人口動態の変化はもちろん大きな要因かと思いますけれども、一方におきまして、食えない農業あるいは食えない林業、生計を立てるには不十分な可処分所得しか得られない、やはりこういうような現状というものが長い間放置されたためにこのような状況になっていると思います。でありますから、それがゆえに、やはりこういう問題をしっかりと検証した上で新たな制度設計に立ち入るべきだ、このような認識で質問をさせていただきました。深掘りについてはまた次の機会に譲りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 さて、続きまして、嫌な言葉ではございますが、限界集落という言葉がございます。これが日本列島あまねく現実のものとして存在をしてきております。農山漁村の疲弊ぶりは急速に進んでおるわけでありますが、もう一方におきまして、地域主権の確立は鳩山政権の一丁目一番地の政策である、このように私は認識をしております。その地域主権を確立するためには、地域社会そしてコミュニティーが持続性を保つことによって成り立つものである、このような認識をいたしております。

 地方の基幹産業は農林水産業という認識に立てば、その地域社会、コミュニティーを維持するためのツールとしての農林水産業の振興は、まさに地域主権を確立する上で必要不可欠の条件だ、このように私はとらえておりますが、このような視点について、副大臣の御見解をよろしくお願いします。

山田副大臣 本当に、これまでの自公政権の中で、一極集中、あるいは貿易立国だから自動車産業、テレビ産業を重視して、地方が置き去りにされた。そんな中で、我々は地方分権と言っておりましたが、今まさに鳩山政権では総理がみずから、地方主権だ、そういう言い方をされておりまして、地方主権、限界集落を担うのは、まさに農業であり漁業であり第一次産業であると我々は認識しております。

 そこで食べられなきゃいけない、若い人も農業、漁業で食べていけなきゃならない。そういう収益性を上げさえすれば、本当に地方にもう一回第一次産業が根づき、そして限界集落がなくなっていくんじゃないか。

 そういう意味では、収益を上げるために、我々は、EU各国、アメリカで既にやっているように、農家の戸別所得補償制度あるいは漁業者に対する所得補償制度、林業者に対する一定の直接交付金とかそういったものも考えていかなきゃいけないのではないか。そういう意味では、地方を大事にする、地方主権の立場に立った第一次産業というものにしっかり取り組んでいきたい、私ども、大臣ともどもそう思って頑張りたいと思っております。

石津委員 ありがとうございます。

 そうしたような農業をツールとした地域主権を確立するためには、やはり農家の実態あるいは地方の実態というものをしっかりと細かなところまで踏まえて政策に反映させる必要があるのではないかと考えております。私たち国会議員がその声をしっかりと政策に反映させるということももちろん大切な役目ではありますけれども、もう一方におきまして、政府、すなわち私たちの声をしっかりと政策に実現すべく制度設計をするのは政府であり、官僚の皆さんでございます。

 そこで、まさに政策を立案する官僚が農業をあるいは地域をしっかりと肌で感じるべきであり、具体的な施策としては、基礎自治体しかも町村に、現場の実態を勉強するというような意味で、農水官僚を二年間くらい出向させまして、そこで経験したこと、あるいは問題を抽出したこと、内容、そういったようなものを政策にしっかりと反映させるべきであろう、私はこういう見解を持っております。

 私はかつて、茨城県大洋村の村長をしていた際に、中央官庁のキャリアを三代にわたりまして助役として迎えた経験がございます。もちろん村政においては大きく貢献をしていただきましたけれども、一方においては、三者から意見を聞きますと、村の現場で仕事に携わったことは官庁に帰ってからも非常によい経験となった、このようなことを異口同音に言っております。現在はそれぞれの省庁で活躍されております。

 これまでも都道府県を中心として地方自治体への出向はあったかと思いますけれども、思い切ってこの際、本当に、基礎自治体である町や村に官僚の皆さんを出向させるというようなことをやってもいいのではないか、こういうふうに思うのでありますが、御所見をお伺いしたいと思います。

佐々木大臣政務官 お答えさせていただきます。

 石津委員に、村長としての経験も踏まえてそういう御提言をいただきました。見解については我々もほぼ同じくするものでございます。現場感覚を大切にするということは極めて必要なことだというふうに思ってございます。

 これまでも地方公共団体との交流というものはさせていただいてございますが、研修制度という仕組みでありますので、1種職員で四十人程度を入省二年目に一カ月間、今委員は二年間ぐらいという御指摘でございましたけれども、現在、二年目に一カ月間、農山漁家に泊まって仕事に従事するという農村派遣研修というものを実施させていただいています。

 人事政策も、市町村の若手職員と一対一の交流ということもさせていただいておりまして、今、地方への出向で総計で百二十三名、それから農水省への出向で七十三名が交流をさせていただいているところであります。私も大洋村へ出向した人の話を聞きましたが、当時の石津村長さんの御指導がよかったせいもあるんだと思いますが、大変参考になったというお話を伺っているところでございます。

 御指摘いただいた点、しっかりと踏まえていきたいというふうに思っていますし、私自身も農家でありますので、農水省の皆さん方の豊富な知識と私自身の肌感覚みたいなものをどうやってマッチングさせるかというのが、より現場に近い政策を組んでいくことになるんだというふうに思ってございます。御指摘の点を踏まえて、さらに拡大に努めてまいりたいというふうに思ってございます。

石津委員 ありがとうございます。

 研修制度は私も存じておりますけれども、どうして私が二年間というふうに長期を言ったかといいますと、やはり、第一次産業に携わっている方々というのは、仕事をやることが四季折々に違います。でありますから、系統的に体験するということはとても大事なことではないのかな、こういうような観点からお話を申し上げました。ひとつよろしくお願いしたいと思います。

 大分時間がなくなってまいりましたので、最後まで行けないかと思いますが、時間の限りよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、先ほど大臣の御答弁の中で、新たな政策として、戸別所得補償と六次産業というお話がございました。そこで、まだまだ六次産業化法案等々については、我々、示されておりませんけれども、民主党のマニフェストに掲げていた、そういう前提のもとでちょっと質問をさせていただきたいと思います。

 大臣のそもそものお考えをそんたくいたしますと、いわゆる農家の可処分所得を向上させるための戸別所得補償制度のモデル事業、そして農山漁村のあらゆる資源を利活用するための六次産業化、これは農林水産分野の成長戦略の大きな柱と我々は受けとめております。私も、これを伺いまして、農村出身の者として大変勇気づけられました。

 そこで、農林水産省の試算によりますと、平成十七年時点で、我が国の消費者向けの国内生産農水産物及び輸入農水産物の合計生産額は約十兆円、細かく言いますと十・六兆円。それが生鮮商品のまま出荷されたり、あるいは食品製造業を経て加工食品となったり、外食産業等に供されることによって、最終的に国民が消費する段階で、その消費額は七十三・六兆円というふうになっております。これは、流通や加工前の農産物価格の七倍もの額を国民の皆様が食のために消費されている、こういうことになろうかと思います。この七十三・六兆円という最終消費額は、GDP比一四%というものを示しております。これは非常に高い値であるというふうに認識しております。生産額と最終消費額の差が七倍であるという数字に私は着目し、ここに農業再生の大きな可能性を感じております。

 農業経営を多角化して流通や加工の分野に農業が踏み込むことにより、最終消費額七十三・六兆円という大きな数字を可能な限り生産者、すなわち農家側に引き寄せることが六次産業化の目的の一つであろう、このように考えております。

 大臣は、地方が期待を膨らませているこの六次産業化政策にどのような決意を持って臨まれるのか、その御所見をお伺いいたしたいと思います。

赤松国務大臣 まさにこれからの農業が本当に再生できるかどうかは、来年度から始まります、二十三年度からの戸別所得補償制度の本格実施と六次産業化に私はかかっていると思っております。

 ただ、六次産業化、いろいろな地方にある有効な資源を生かしてということになりますと、当然、地域地域の、画一的には決めることのできないそういうものがあると思います。その意味で、石津委員のような、村長さんを四期十六年やってこられた、あるいはNPOの理事長として地域のいろいろな取り組みに先頭で頑張ってこられた、そういう人の知恵を出していただきながら、茨城は茨城らしい、あるいは秋田は秋田らしい、福島は福島らしい、そういうものをぜひ実現していただければというふうに思っております。

 ちなみに、六次産業化というとなかなかイメージがぱっとわかないと思うので、現に今始まっている一、二の例だけを申し上げますと、例の減反政策に反対してずっとやってきたあの秋田の大潟村、ここでは、今度ほとんどの方たちは戸別所得補償制度にみずから進んで入っていただきます。

 そうしますと、今まで一〇〇%つくっていた米を、ほぼ半分ぐらいしかつくらないわけですから、あと半分水田が余ってしまいます。その余った水田で、今度は、今農水省が積極的に推進をしております米粉をつくろうということで、米粉を生産して、そして、今までの考え方だと米粉米を売るだけですけれども、今度は、それを自分たちで精米して、そして加工して、そしてそこに工場をつくって、そこで米粉のパスタだとか米粉のうどんだとか、そういうものをつくろうということで、今工場建設に既に入っております。

 そうしますと、お百姓さん以外の新たな雇用がそこに生まれるわけで、もう既に何十名かの採用をというようなことを聞いております。そういう形で生産、加工、流通、販売。パスタができたら、ヨーロッパからの引き合いも出ているので、ぜひそれを輸出したいと今言っておりますけれども、それが一つの例だと私は思います。

 それから、既に福島の方では、キューピーという企業がございますが、そこの技術指導もあって、とれたお米をそのまま売るんじゃなくて、それを洗米してから炊いて、真空パックにして、いわゆるかま飯にして、そこまでもうそこでつくってしまう、あとはそれをスーパーなり直接販売するところに卸して、そこで売ってもらうというようなことを始めているということです。

 地域地域に合ったいろいろなやり方があると思いますけれども、ぜひそういう知恵を絞っていただきながら、より付加価値の高いもの、そして利益、収益性が上がるもの、そしてまたそれが新たな雇用に結びつくもの、また新たな産業として生まれてくるもの、そういうことにぜひ取り組んでいただきたいというのが六次産業化の趣旨でございます。

石津委員 ありがとうございました。

 時間も参りましたけれども、こういうすばらしい制度がこれからスタートするわけでございますので、できる限り農家である現場の皆様方の使い勝手のいい制度設計をしていただきたいと思います。

 そしてまた、これに最終的に魂が入るためには、国を挙げてそういう方向で進んでいるというようなことを、応援団として消費者の皆様にも御理解いただけるようなPR活動もあわせてお願いをして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

筒井委員長 次に、石山敬貴君。

石山委員 本日、初めて質問をさせていただきます。宮城県第四区というところの選出の石山敬貴と申します。

 皆様も御案内のとおり、宮城県は、農業、漁業、これらの第一産業が基幹産業でございます。かく言う私も、実家、父親が今一人でやるようになったわけですけれども、田んぼ六町歩、四町歩水稲の、二町歩飼料用米を作付しておりまして、私も昨年の三月までは地区の集落営農組合の組合長や、また農林水産省の事業であります農地、水、環境保全向上事業の組織またはそれの会計書記というのも現職で今やっているといった実情がございます。

 しかしながら、私も、二〇〇五年の選挙落選以来、農村に戻りまして、そのような地区の一人として、農業従事者としてやっておったわけですけれども、戻りまして、やはりこの十五年間、第一次産業、特に農業、漁業は本当に疲弊をきわめた、そして、地域経済が衰退するにつけまして、若い人たちも自分のふるさとに残りたくても残れないといったような状況になっているというものを私はこの四年間肌で感じて、今ここに立たせていただいているといった経緯がございます。

 ですから、先ほど石津先生からも、しばしば現場の声といったお言葉をいただきましたが、私もやはり同様に、現場感覚というものを伝えていきたいというふうに思い、政治活動をさせていただいている次第です。

 きょうの質問に関しましては、二点。まず、チリ地震による津波のこと、あとは、私が党の質問研究会の方で新しい基本計画の座長を務めさせていただいておりますので、大きく分けまして、この二点に関しての質問をさせていただきたいと思います。

 今回のチリ地震によります津波によりまして、特に、私の地元であります宮城県またはお隣の岩手県、そこの養殖業に対しまして甚大なる被害が出ております。津波発生より、もう既に十日以上が経過しております。当初は詳細な被害状況というのは不明だったかと思いますが、きょう現在、また今現在の一番新しい被害状況をお伝えいただければと思います。よろしくお願いいたします。

佐々木大臣政務官 お答えいたします。状況でありますので、私の方から報告をさせていただきたいというふうに思います。

 午前中もそうしたお尋ねがございましたが、今は、大きな被害の地域としては、宮城、岩手、青森、福島、三重、徳島、高知などから養殖施設を中心に被害が報告をされているところであります。

 被害地としては、岩手県、宮城県が特に大きいわけでありますが、この被害額は、現時点で、岩手県で十七億六千万、宮城県で二十六億一千万、七県全体では四十四億五千万という被害の報告を受けているところであります。

 これは毎日データを集めてございますので、日々変わってございますが、もう少し申し上げますと、中身でありますが、水産物の方で二十六億一千八百万、それから養殖施設の方で十七億五千百万というような現在の状況でございます。

 以上です。

石山委員 ありがとうございます。

 私自身も、三月三日、五日と、気仙沼、石巻、塩竈、七ケ浜と、漁協、または気仙沼におきましては漁協の船をお貸しいただきまして、湾内も回らせていただきました。確かに、いかだ、浮き、ロープといった養殖施設が絡まり、そして固まって、宮城県弁で言うとこういうのをたごまると言うんですけれども、そのようになって散乱しているといったような状況になっております。

 今、もちろん宮城県の方からも、自治体からも漁協からも、養殖の方の激甚災害の指定にはならないのかといったような問い合わせが私の方にも非常に来ております。今、政務官の方から十七億五千百万円の資材ということのお話をいただきましたが、私も激甚災害の指定の方法というのをこのように水産庁の方からいただいているわけです。全国の海面養殖施設被害見込み額が全国の海面養殖業所得推計値の二%以上であれば養殖施設に対する激甚指定制度が発動されるといったような規定でございます。

 今のところの、この激甚災害指定の見通しというものに関しましての情報をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

佐々木大臣政務官 お答えいたします。

 激甚災害の指定についてでありますが、今、石山委員からも御指摘がありましたが、一定の基準というものがございます。それは、国民経済に著しい影響を及ぼし、当該災害による地方財政の負担の緩和または被災者に対する特別の助成を行うことが特に必要と認められるというようなことが適用の条件になってございまして、被害の規模などを今、総合的に勘案して、中央防災会議の審議を経て指定をされるということになってございます。

 今お話のありました、全体の養殖の推計額の二%という条件と、あるいはもう一つ、都道府県における一%という両方があるわけであります。先ほど申し上げました施設の方の十七億五千百万というのは、ややというようなところでございまして、まだ指定になるという条件を完璧に満たしたという状況ではありませんが、まだ被害状況がどんどん入ってきていますから、今そんな状況にあるということでございます。

石山委員 今の、ややというお話だったわけなんですけれども、さらに、水産物の方も被害は二十六億ということになっておるわけでございます。

 やはり、私も回らせていただいておりまして、もちろん、カキやホヤなどに関しましては、これは一年物ということにはいきません。二年または三年、四年といったような海産物もあるわけです。しかしながら、今回の件におきまして、もちろん資材もそうですが、全部津波に持っていかれた、つまり、来年収穫予定のそのようなカキにしても、もう全部持っていかれているということを考えますと、今、漁業者の厳しい経営状況の中で、来年度も再来年度も、要するに収入の低下、被害というものが続いていくといったような、表現としましては継続的な被害がこれから何年にもわたって続いていくということになってきます。

 さらに、やはり私が現場を回らせていただいてこれも実感させていただいたんですけれども、漁業従事者の方々も非常に高齢化が進んでいる。私が三月三日に気仙沼に行った折も、いかだの回収またはロープの回収をやられていた方々が、三人とお話しさせていただいたんですけれども、三人とも七十歳以上の方々であるといったような実情がございます。

 つまりは、例えば融資枠の拡大、利子を低減するといったようなお考えもあるやと聞いておりますけれども、この機会においてもう養殖はやめるといったような声もちらほらと聞かれております。となれば、これは一漁業者の方々のものではなく、例えば宮城県でしたら、やはりそのような水産物のメッカ、基幹産業でございますが、その産業に与えるダメージというものも大きいわけです。

 ですから、何とか国の支援というのを求めているといったことが現場の声であるわけですけれども、この点に関しまして、お考えがあればお聞かせいただきたいと思います。

佐々木大臣政務官 お答えいたします。

 今、対策として考えられるものは、まず共済があります。それから、融資というものがありますが、その融資についても、できるだけ適用範囲を広げていくというようなことも考えていかなければならないと思っています。さらにまた、セーフティーネット資金という資金も用意されておりますので、今はむしろ災害資金よりもセーフティーネット資金の方が使い勝手もいいというようなこともあって、そうしたあらゆる制度、今、使えるものを集めてございまして、県の皆さん方とも話し合いをさせていただいているところでございます。

石山委員 ぜひともよろしくお願いいたします。

 とにかく、去年の夏の政権交代というのは、私は一つ、第一次産業、農林水産業に従事している方々が、もうこれではだめなんだといった思いで政権交代の原動力になってくださったというふうに強く感じております。民主党は第一次産業を大切にするということを私も地元で言わせていただいておりますので、ぜひともその辺のところを御考慮いただければとお願い申し上げて、この津波の質問は終わらせていただきます。

 話題はかわりまして、食料・農業・農村基本計画関連の質問に移らせていただきたいと思います。

 今回の戸別所得補償制度の導入というものは、先ほどから、農政の大きな転換点としまして、または、将来は漁業者へも戸別所得補償制度を導入していくんだという私たちの考えのもとに、今、農山漁村におきましては、一筋の、まだ一筋の光明となっているといった実態があります。しかしながら、私たちは、今は一筋の光明ですけれども、それをどんどんどんどんと大きくしていくことが大切なんじゃないかというふうに強く感じているわけです。

 ですから、そのためにもやはり、まだ現政権の農政はよくわからないんだよなといった、将来に漠然たる不安を持っていらっしゃる、そのような農林水産漁業者の皆さんに対しまして、特に農業者の方々に対しまして、将来にわたるビジョンというものを示すことができるのが今回の新しい基本計画であると私は強く考えています。

 しかしながら、私も、先ほどお話しさせていただいたとおり、現場の農業をやっておりまして、正直、浅学なのかもしれませんが、基本計画というものがあるのは今回初めて知りました。ですから、あくまで基本計画という名称になっておりますので、あえて根本的な原理原則の質問をさせていただきたいと思います。

 まず、この基本計画というのは、何のために、そして主体者として、対象者としてだれのために策定している計画なのでしょうか、お願いいたします。

山田副大臣 今、石山委員、基本計画について、この小委員会で座長を務めていただいております。ひとつしっかりと検討していただきたいと思っておりますものの、もともとといえば、食料・農業基本法に基づいて、五年に一回、農業のあるべき姿というものの基本計画をつくっていく、そういうものだと私どもは理解しております。

 では、政権交代して、これからあるべき農業の姿とはどういうものか。そうしたときに、まさに、先ほどから石津委員も言っておりましたが、実際に石山委員も今農業をやっていて、集落営農をやっていて、本当に農業で食べていくことの大変さというのはわかっているかと思いますが、まず収益を上げていく。収益を上げられるような農業にすること、そのために、EU、アメリカ並みのいわゆる所得補償を実現すること、これが一つだと思います。

 そしてまた、私どもがこれからあるべき姿として考えていくのは、六次産業、ひとつきめ細かく、その地域で、その農村で、ある資源を農業者を中心として生かしたものとして、それで付加価値を高めていく、そういった六次産業化に対して、今年度百三十一億、予算をつけさせていただいております。

 もう一つ大きな柱として、食の安全というのがあるんじゃないか。例えば、私ども民主党は野党時代に試算したことがありましたが、原料原産国を表示するだけで自給率が三%上がるんじゃないか、そういった試算もあるくらいです。

 そういった形で、石山委員が座長を務めております委員会におきまして、ひとつぜひ、こういう基本計画をやりたいというのを、今私どもが示している案とすり合わせて、よりいいものを一緒につくらせていただきたいと思います。また、野党の先生方からもいろいろな申し出がありましたら、我々も柔軟に受けさせていただいて、本当に超党派でも、しっかりした十年後の日本の農業のあるべき姿にひとつしっかりと取り組んでいきたい、そう思っております。

石山委員 ありがとうございます。今の副大臣からのお言葉を聞いて、私たちも一丸となってこの基本計画にかかわらせていただきたい、御協力させていただきたいというふうに強く思っております。

 今、日本の食料自給率というものは四〇%しかありません。私は前職、農業にしっかり入ってくるまでは、ちょっと植物科学者として、研究者としてやっておったものですから、この四〇%というものを随分と分析させていただいた経緯もあります。もし仮に、外国からの農産物の輸入というものがとまってしまったら、二カ月から三カ月ぐらいでこの日本においても餓死者が出てしまうといったような数値がこの四〇%でございます。

 さらに、これから地球の人口というものが急激に増加していき、そして地球温暖化が進んで砂漠化が進行する、単位当たりの農地の収穫量はそれほど上がってこない。または、中国やインドの経済発展ということをトータル的に考えていきますと、まさしく食料需給というものは逼迫する。もっと言わせていただければ、食料危機といったものが明確に数年後には顕在化してくるんじゃないかといった危惧を私は抱いております。

 そういった食料安全保障的な観点と今回の基本計画のかかわり、また、それの盛り込み方というものに関しまして御質問して、私の最後の質問とさせていただきます。

山田副大臣 本当に石山委員の言うとおりに、世界の人口は爆発的にふえていっておりますし、中国、インド、新興国のいわゆる食の質の向上といいますか、牛肉とかそういったものをどんどん食べてくることによって、非常に大変厳しい状況で、一昨年、いわゆる世界十七カ国、食料輸出国が輸出をとめるという事態がありました。日本でも、スーパーからバターが消えたり、小麦粉類のめん類、スパゲッティがなくなったときです。一時緩和されているところではありますが、いつ何どきまたこういうことが、より厳しい状態でなってくるかわからない。

 いわゆる食料輸入に頼っていけないんだ。我々は、少なくとも五〇%には、食料自給率を上げなきゃいけない。ぜひ基本計画でそこをしっかりと、五〇%を、どうして上げることができるか、それも一緒に検討させていただきたい、そう思っております。

石山委員 ありがとうございます。今の私たちの党の、または政務三役の皆様との御協力も含めて、しっかりとした基本計画をつくり、そして国民の皆さんに訴えられる、だから農業は、漁業は、第一次産業は重要なんだと納税者の方々にもしっかりとアピールできる基本計画をつくっていければと考えております。

 本日はありがとうございました。以上で私の質問を終わらせていただきます。

筒井委員長 次に、高橋英行君。

高橋(英)委員 愛媛県出身の、民主党高橋英行でございます。

 本日は、国会デビュー戦となる質問の機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。政治家を志すことを決意し、初めてお会いした国会議員が実は当時の選対委員長の赤松大臣でございます。初めての国会の質問も赤松大臣に対してということでございますので、感慨深いところでもあるわけでございますが、日本の農林水産業発展のために全力で取り組んでまいることを、まず決意を最初に申し述べさせていただきたいと思います。

 まずは、せっかくの機会でございますので、少しだけ地元のPRをさせていただきたいと思います。

 我がふるさと愛媛県は、日本一の温州ミカンや伊予カンを中心とする、果樹中心の農業王国でございます。同時にまた、瀬戸内海と宇和海という海洋資源に恵まれた水産王国でもあるわけでございます。漁業生産高は、北海道、そして副大臣の長崎に次いで三位でございまして、養殖業につきましては全国一位でございます。

 その中でも、私の地元である愛媛県西部の南予地方は、海岸線八百五十キロ、この距離は東京から福岡までの距離でございますが、非常に長いリアス式の入り江の中で、マダイ、ハマチ、そして、きょうはここにも地元の宇和島の真珠をつけさせていただいておりますが、それらの養殖業が盛んな地域でございます。

 また、特産品はかまぼこやじゃこてん、そして、皆さんには懐かしいかもしれない魚肉ソーセージも、実は私の出身である八幡浜市が発祥でございます。まさに水産業の六次産業化を地でいっている地域でもございます。

 その中におきまして、いつまでも暮らしていける南予にというフレーズで長い選挙戦を戦い抜き、ふるさとで暮らしていくためには水産業の発展にかかっている、さらには、質問研究会水産小委員会の座長を拝命させていただきましたので、本日は水産業に特化した質問を主に三つさせていただきたいと思います。

 最初の質問は、漁業者への戸別所得補償制度の内容についてでございます。

 御承知のとおり、漁業を取り巻く環境は、漁業資源の減少、それから燃油の高どまり、長引く魚価の低迷、さらには漁業就業者の減少であったり、高齢化による漁村活力の低下等厳しい状況となっておりまして、全国の漁村が疲弊しているのは言うまでもありません。

 現在の漁業生産額は、平成十九年度、農林水産全体の約十・三兆円のうち一五・五%の約一・六兆円であり、昭和五十七年のピーク時から実に四六%も減少をいたしております。農林水産の予算においても、昭和五十七年の三・七兆円から二・五兆円にまで減少し、また水産予算も、ピーク時の三千二百億円から千八百十九億円、四三%減となっております。

 ただ、このデータ上で少し気になったのが農林水産予算における水産予算の割合でございますが、総生産額の一五・五%に対し、予算はその半分の七・四%。もう少し水産予算があってもよいのではないかと思いますので、後ほどあわせて御見解をお聞かせいただけたらと思います。

 漁業、漁村の再生、そして食べていける漁業のためには、やはり戸別所得補償制度の考え方が必要不可欠であると私は確信をいたすところでございます。

 我が民主党マニフェストにおきましても、農山漁村を再生するため、「畜産・酪農業、漁業に対しても、農業の仕組みを基本として、所得補償制度を導入する。」また、今国会の赤松大臣の所信におきましても、戸別所得補償制度の「漁業分野への拡大等についても検討を進め、実現を図ってまいります。」とございました。そして、平成二十二年度予算には、漁業者への直接所得補償調査等一・七億円を計上されており、いよいよ制度実現に向けた取り組みが開始されようといたしております。

 その中におきまして、一月二十四日の長崎県佐世保市における赤松大臣のコメントでございますが、農業に一年おくれぐらいで沿岸漁業に限って実施したいとの新聞報道がなされておりました。この発言の意図を含めまして、今後の漁業者への戸別所得補償制度のあり方についてと、先ほどの水産予算についての赤松大臣の御見解をお聞かせいただけたらと思います。

赤松国務大臣 高橋委員からの御質問にお答え申し上げたいと思います。

 きょうは、初めての御質問ということで、やはり私が選対委員長として選んだ候補者に間違いはなかったな、大変すばらしい形で地域を代表して、こうしてはつらつと、しかも本当にポイントをつく御質問をしていただいたということで喜んでおります。

 今お話がありましたように、水産業については、今の鯨、クロマグロに限らず資源ということを考えたときに、世界のレベルで見ても、あるいは沿海という日本周辺のところを見ても、こうした資源の低迷あるいは魚価の低迷等々、大変厳しい状況にあるのは御指摘のとおりでございます。

 そういう中で、私どもが、党の政権公約として、マニフェストとして、本格実施の中ではぜひ水産業あるいは酪農、畜産等も含めて所得補償制度を、形はどういう形でやるかは別として導入していきたい、本格実施の中ではということをお約束してきたわけでございます。

 そのために、このモデル事業の予算の中でも約二億円計上いたしまして、水産に限っての、いろいろな魚価の、これはやはり仕組みとしては販売価格と生産費との差額を埋める制度ですから、米とは違いまして、米の場合は今共済制度がありますからそこですぐ価格はわかるんですけれども、魚の場合はそうはいきませんし、いろいろな種類もある、沿岸、沖合ではまた違うし、遠洋というと、今度は大企業を中心にしてやる、給与の支払いの仕方も違いますから、そういうことも含めて検討させていただいています。

 基本的には、小規模の沿岸の漁業に従事する人たちの所得補償をきちっとやっていこうというのが基本的な考え方でございます。二十三年に間に合えば、ぜひそこの中に入れていきたいということを思っています。

 あと、それにしても総予算の中で水産予算が少ないではないかという御指摘ですが、名目上はそう見えますけれども、例えば、例の一千五百億円の、地方が使いやすい公共事業のための費用というのがあるんです。これなんかでは、実は漁港の整備なんかはそこでやっていただけるということになっていまして、地方がこの漁港の整備は必要なんだということであれば、それぞれ各県からそれを上げていただくということで、今ちょうど審査をしておるところなんです。新規のこういう予算もあるということで、ぜひ、旧来の水産予算に入っている部分とはまた別個のこういう公共事業のための新予算についても、御活用いただくように考えていただければというふうに思っております。

 どちらにいたしましても、額はともかくとしても、日本にとって第一次産業の中で水産業の占める割合、また重要さ、これについては、高橋委員ともども私自身も、極めて重要で、またこれから将来的に発展性のある産業だという視点については同じでございますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

高橋(英)委員 御答弁ありがとうございます。少し安心をいたしました。

 戸別所得補償制度につきましては、まだまだ検討中ということでございますので、今後につきましては、議員政策研究会水産小委員会においても議論をさせていただきまして、政府に提言してまいりたい、そのように思います。よろしくお願いいたします。

 続きまして、我が国の水産業発展の今後のかぎを握ると思える養殖業への支援対策についての御質問でございます。

 昭和五十二年の二百海里が規制された際、資源管理型漁業と、つくり育てる漁業いわゆる養殖業との二本柱が打ち出されました。今では、漁業生産額の二八%を占める四千五百億円にも成長いたしました。林業が四千九百億円でございますので、いかに大きいかが伺えるかと思います。

 また、水産基本法には水産植物の養殖が推進されなければならないと明記されており、水産基本計画では食用魚介類の自給率、平成二十四年度目標は六五%、また、現在見直しをしている食料基本計画の平成三十二年度食料自給率目標五〇%達成のためにも、養殖業の拡大は必要不可欠であるというふうに私は思っております。

 また、世界を見ましても、人口増加による食料不足が現実のものとなり、少ない食料資源をめぐっての紛争が起こる可能性も否定はできません。土地の少ない日本が国民の食料を確保する上でも、養殖業は非常に重要な産業だと言えるわけでございます。

 したがいまして、養殖業は、世界的な食料不足また資源管理の面からも、産業自体がそれらの対策となっており、我が民主党政策インデックスにも、「養殖業・内水面漁業について、国民への食料安定供給等に資する観点から、長期的に安定した養殖生産の維持・増大や、水産資源の維持・増殖を可能とするための支援を行います。」とございます。

 しかしながら、養殖業は現在、えさ、飼料や養殖資機材の予測もつかない高値と魚価の低迷などにより、青息吐息の非常に厳しい経営状況に置かれております。我が愛媛県におきましては、例えば、ハマチ養殖はこの十年間で所得が六七%も減少し、マダイ、真珠も五〇%台の減少となっているため、廃業に次ぐ廃業という本当に悲惨な現状となっております。

 ここでお伺いいたしますが、養殖業における現状認識、今後の我が国の養殖業のあり方、また、戸別所得補償制度の扱いを含めた養殖業への支援対策についてお聞かせいただけたらと思います。

佐々木大臣政務官 お答えさせていただきます。

 漁業の種類としては、先ほど大臣からもお話がございましたが、沿岸があり、沖合があり、そして遠洋があり、養殖がありということになるわけであります。水産を振興していくという意味でいうと、一つは、世界的にも今問題になっております資源管理をどうするのかということと、もう一つは、沿岸のところがとりわけ実施をしていただいておりますつくり育てる漁業をどうするのか。この二つをしっかり組み立てていくということは私どもにとっても重要だというふうな認識をさせていただいているところであります。

 先ほど委員からも御指摘がございましたが、水揚げ、生産量では二割程度なんですが、漁獲高にすると三割になるという、やはりいかにウエートが高いかということをあらわしているんだというふうに思っています。

 そうしたことから、重要な産業として、まず収入面では、共済制度をしっかり充実させていく。とりわけ二十年度からは積立ぷらすというものも導入をさせていただいています。あともう一つは、支出の方の対策として、配合飼料価格の高騰時の補てん対策、これにセーフティーネット資金の創設というようなことを今実施させていただいているところでございます。

高橋(英)委員 御答弁、ありがとうございます。

 まだまだ現時点では養殖業に対する支援が不十分だと私は思っております。ぜひとも、養殖業の今後の重要性を踏まえまして、例えば使い勝手のよい融資などの面も含めまして、積極的かつ早急な対応を強く望むことを申し述べたいと思います。

 三つ目の質問は、水産業の消費拡大対策についてでございます。

 今までは、食べていける水産業への支援、いわゆる守りの政策でございましたが、次は攻めの政策でございます。水産業発展のための攻めの政策とは、やはり国内における消費拡大対策が重要だと思います。

 私は、以前、愛媛の製造業に勤めておったんですけれども、営業やマーケティングを担当いたしておりました。東京の大手チェーンストアに営業した際にも、消費拡大についてバイヤーとよく議論をしたものでございます。

 そこでお伺いいたしますが、水産業の消費拡大政策及び対策についての御見解を簡単に短目にお聞かせいただけたらと思います。

山田副大臣 確かに、若い人の魚離れというのはかなり深刻な問題になってきておりまして、どうしたらいいのかということを我々も検討してまいりました。

 この前、チェーンストア協会の総会に呼ばれて行ったんですが、まず、魚とか云々、そういったものをいわゆるスーパー等が客寄せのためにさらに安売りして売っている、それがさらに悪循環になるし、かつ、量販店が輸入の魚の価格に合わせて産地で競っている、産地で直接購入したりしている。そういうことが魚価安の原因じゃないかと。そういう意味で、やはり本当に、まずは適正な価格で魚を売っていただきたい。安いから消費が拡大するとは思っていません。

 同時に、やはり若い子供さんたちにできるだけ魚をヘルシー志向から食べてもらうように、学校給食あたりでも地産地消の魚を多く扱ってもらうとか、あるいは、老人ホーム等々で、最近中国からの骨を抜いた魚を食べてもらったりしているようですが、いわゆる地場で、地場の魚をそういったところでもやっていただくような、そういう働きかけをぜひ、農水省としても水産庁としても頑張りたいと思っております。

 もう一つつけ加えさせていただきますと、今、高橋委員が養殖の話をしておりました。私の地元長崎県も実は今、タイの養殖も真珠の養殖もすべてが大変な状況にありまして、養殖の共済もなかなか高くて入れない。そういった中で、積立ぷらすというのも始めましたが、いわゆる沿岸の所得補償に加えて、ひとつ養殖も、自給率に大変寄与していますし、何とかできないものか。先ほども大臣と話したところですが、養殖も含めて私どもも検討していきましょう、そう申しておりまして、しっかり頑張らせていただきたい、そう思っております。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 なぜこのような質問を申し上げたかと申しますと、私は実は、営業時代に学んだ消費拡大対策について申し上げたかったからでございます。

 消費拡大の重要な要素というのは、それは新商品の市場投入ということでございます。消費者の考え方をマーケティング的に申し上げますと、昔は十人一色、その後、十人十色の個性の時代になりまして、そして現在は一人十色という時代になったわけでございます。

 製造業も、大量生産、効率化の時代から多品種少量化に変化をし、そして、いかに多種多様の多くのニーズを把握し対応できるのか。そのためにひたすら新商品開発を行い、競争原理を発生させ、消費者の購買意欲を刺激していく。その結果、市場が活性化するということでございます。

 具体的に水産業でいえば、やはり六次産業化の積極的な推進。また、養殖業におきましては、新品種、例えばアオリイカ、イサキ、オニオコゼ等が新規養殖研究されており、また、生産コストの半分を占めるえさ、飼料の低コスト化の研究が挙げられると思っております。他分野のわかりやすい例では、ドングリを食べさせるイベリコ豚。

 とにかく、消費拡大の重要な要素というのは、新商品の開発にどれだけ力を入れるかが重要であるということを強く申し上げたいと思います。

 まことに恐縮でございますが、消費拡大には新商品の開発が重要であるということについて、一言、大臣から御見解をお聞かせいただきたいと思います。

赤松国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。

 どういう形で新商品を開発したらいいのか、また、新たな魚種ということもあるでしょうし、調理の仕方ということもあるでしょうし、高橋さんは専門家ですから、あなたの御意見も十分拝聴しながら、また皆さんの、委員各位の御意見もいただきながら、そんなことにも努力をしてみたいと思います。

高橋(英)委員 御答弁、本当にありがとうございました。

 最後に、養殖業の新商品開発が我が国の食料を救う、いや、世界の食料を救うかぎであることも申し述べさせていただきます。

 そして、最後に一言だけ。大西洋クロマグロの附属書掲載の採否などを議題といたしまして、十三日からカタール・ドーハで始まるワシントン条約締約国会議へ、水産庁の町田長官が派遣されると聞いております。まさに十七年前の第二のドーハの悲劇とならないよう、ロスタイム終了まで全力で闘っていただき、よい結果になりますよう激励を申し上げまして、質問を終了させていただきます。

 本日は大変ありがとうございました。

筒井委員長 次に、野田国義君。

野田(国)委員 こんにちは。福岡七区の野田国義です。

 きょうは、農林水産常任委員会の方で質問をさせていただきますことを大変うれしく思い、感謝を申し上げたいと思います。

 日夜、赤松大臣を初め農林水産省の皆様方におかれましては、国家国民、そして第一次産業の再生のために御尽力をいただいておりますことに対しまして、心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございます。

 私も、農家の長男に生まれました。地元の方では、八女茶の生産農家に生まれまして、ブドウとか米とか麦なんかもつくっておる農家に生まれ育ったということでありますが、そしてその後、先ほど質問されました石津理事と同じく、四期十六年間市長をさせていただいたということであります。私、執行部側に十六年間座っておりまして、答弁の方は大分、いろいろな質問を受けて、無難に、時にはおもしろく答えることもできたんですけれども、質問になりますと初めてということでございますので、よろしくお願いをしたいと思っておるところでございます。

 それで、私は、この経験から、本当に地方の再生というのは、農業、第一次産業の再生なくしてはないということをしっかりと私自身感じてまいりまして、この農林水産常任委員会の方に所属をさせていただいたということでございます。

 それで、私は、例えばよく市長同士で集まるときに、こういうことを話したことがあります。農林省の施策というか方針どおりにすると、なかなか農業がうまくいかないね、何か、反対のことをしていた方がうまくいって、また元気にやっているところが多いよね、こういう会話を多くの首長、市長としてまいりまして、まさしくここが一番ポイントじゃないのかなと思っております。

 ですから、今までどおりの農政ではだめだということではないかと思っておるところでございますので、何度も答えられていると思いますけれども、今回、予算も衆議院の方は通過をいたしました。どういう気持ちで予算編成に当たられたのか、大臣の方からその思いというものをもう一度お願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

赤松国務大臣 お答え申し上げたいと思います。

 予算というのは、私どもが政策を実現する上で国民から見て一番わかりやすい、そしてまた、私どもがそれを実現しようとする一番また財政の裏づけということになるわけですから、一番の力になるものということだと思っております。

 そんな意味で、今回の、前年度と比べれば額としては九十数%、総額は若干落ちていますけれども、しかし、その中身はもう全く違いまして、非公共と言われる部分、直接生産者に、農業者やそういう人たちに直接お金が渡るような形での戸別所得補償制度、これはもう昭和六十年以来の大変な大きな予算ということになりましたし、一方、コンクリートから人へということで、これは残念ながらでございますけれども、旧来の、言われてきた農業土木系については、これはもう農水に関しては、新規のダムを着工しないということも含めて、厳しく切り込んだということで、これでいいとは言いませんけれども、こういう限られた財源の中で、こうした構造改善事業等については効率的に重点的に、本当に必要なところにだけ集中してやっていく、そういう仕組みに変えたということでございます。

野田(国)委員 どうもありがとうございました。

 そこで、本題に入らせていただきたいと思いますが、きょうは、森は海の恋人と申しますけれども、森林政策、それから海ですね、これは有明海の再生について、ちょっと質問をさせていただきたいと思うところであります。

 私、地元の有明のノリ業者、ですから地元でいいますと、柳川市と大牟田市がいらっしゃるわけでありますけれども、ぜひとも視察をしてほしいということでの依頼がございました。それで、二月の、あれは十二日だったと思いますけれども、大変寒い日でございましたけれども、漁民の方と有明海に船で出まして、それでノリの色落ち、これがことしは非常に激しいということでございました。

 佐賀の方は二年続けてということらしいんですけれども、福岡県は十年ぶりぐらいにノリの色落ちがございました。非常にひどい状況でございまして、本当は黒くなくちゃいけないのが黄色くなっておるというようなことで、そしてまた、もうとれないから、このまま網を張っていてもしようがないからということで、撤去作業なども行われておった。ですから、甚大な被害が今回出ておるということを思ったところでございます。

 先ほどから話があっておりますけれども、甚大な被害が出た場合にどういう支援体制があるのか。当然、共済ということになろうかと思いますが、私も、見てみますとノリも田んぼや畑と一緒だなということを感じたところでございまして、いわゆる所得補償などができれば、安心してノリ生産者の方々も取り組みができるんじゃなかろうかと思ったところでございますが、いかがでございますでしょうか。

佐々木大臣政務官 お答えさせていただきます。

 先ほども申し上げましたが、水産の場合は、沿岸とそれから沖合と遠洋、そして養殖の皆さん方と、いろいろなところに及んでいるわけでありまして、今の所得補償という視点からいうと、それらを一つで横ぐしを刺してすぱっといくような話には、なかなか難しいところもあります。

 そういった意味では、ことし、モデル事業を実施させていただきますので、先ほど大臣からも答弁させていただきましたが、ことしの調査もさせていただきますので、その中で、ことし一年かけて、しっかりと検討させていただきたいなというふうに思ってございます。

野田(国)委員 どうもありがとうございます。

 大変厳しい状況にあって、自殺者が後を絶たないような悲しい出来事も耳に入ってくるわけでございますので、そういった支援体制というものをしっかりやっていただきたいなと思います。

 そして、有明海の再生という観点から考えてみたときに、どういうことをやっていかなくちゃいけないのかなということを考えるわけでありますけれども、福岡県側におきましては、今まで継続的に二百億ぐらい、覆砂事業ですか、そちらの方をやってきたということでございまして、本当に再生するための支援もお願いをしたいなと思っておるところでございます。

 それで、今度は逆に、なぜこういう状況になってきたかということでございますけれども、午前中にも話があっておりましたけれども、地元の方々がおっしゃるのは、やはり諫干の問題ではないか、あるいは筑後大堰の問題ではないかということを言われておるということでございまして、このあたりのところをしっかり調査し、解決していかなくてはいけない大きな問題ではなかろうかなと思っておるところでございます。

 それで、この諫干問題でございますけれども、御案内のとおり、二〇〇八年の六月でございますか、佐賀地裁におきまして判決が出たということでございます。三年の猶予期間を持たせ、国に五年間の開門を命ずる判決であったということでございますけれども、この判決についてはどうお考えなのか、大臣の方から述べていただければありがたいと思います。

赤松国務大臣 佐賀地裁の判決につきましては、出た時点では、農水省としては、これは前政権ということになりますけれども、それに対して納得はできない、控訴だという形に今なっております。そして、福岡高裁で今それは係争中ということです。

 政権交代もあり、そのままのスタンスで我々はいくべきなのか。あるいはマニフェストでは、科学的知見に基づいて我々は決めるんだというような形で書いてありますけれども、しかし、明確に方向を定めたわけではないということで、現在、私個人の判断で云々というよりも、もう少し幅広く、内閣やあるいは私どもを支えていただいておる与党の皆さん方の意見も聞いた方がいい。それからまた、地域性の問題もありますから、各県の代表の方にも出ていただいて、郡司副大臣をトップに、佐々木政務官を事務局長にして、そして政府・与党としての方針をまず決めたい。

 そしてそれを決めた上で、これは前の答弁でも申し上げましたけれども、既にダムそのものはもう完成をして、今管理を長崎県にお願いしているという状況ですから、地方自治体の納得もないままに無理やりに、国がこう決めたんだからということでやるわけにはいきませんので、それはしっかり話をして、納得の上で、長崎を初めとする四県の皆さん方と、まず私どもが方針を決めて、それに納得していただけるかどうか、話し合いを進めていきたいと思っております。

 ちなみに、私自身も、今の諫早干拓ばかりじゃなくて、有明海の今、色落ちのノリの話もございますので、議会のお許しがいただければ、来月の中ごろ、一泊二日ぐらいで熊本、福岡、佐賀、長崎、有明海も中を船で見てというようなことで、一回現地もしっかり見せていただいて、そして、それぞれの県知事さん、あるいは該当の漁協の皆さん、地域の人たち、そういう人たちの意見も、今度は農水大臣として聞いてみたいというふうに思っております。

野田(国)委員 ぜひとも、早い機会に視察をお願いしたいと思っております。

 きょうはちょっと席を外しておられるようでございますが、この判決が出たときの鳩山邦夫法務大臣ですか、初めてこの間話を聞いたんですけれども、なかなかいきな裁判じゃないかと思った、だから、自分も控訴しなくてもいいんじゃないかというような話もしたというようなことでございまして、自民党にもそういう方がおられるということでございますので、しっかり取り組んでいただきたいと思っておるところでございます。

 それで、これを開門するということになりますと、いろいろな問題が出てくるということではなかろうかと思うところでございます。

 それで、三つほど。一つは、午前中にもありましたように、やはり災害が一番問題かなと思っております。ただ、ここは二層の堤防になっているわけですよね、潮受け堤防と普通の堤防と。ですから、前の干拓地の堤防が非常に傷んでおるということでございますので、こういうところはしっかりと補修をやっていただきたいと思うところでございまして、当然、災害をとめるということを事前にしっかりやった上でこれはお願いをしていかなくてはいけないと思っておるところでございます。

 それからもう一つは、農業用水ということになるわけでございますけれども、農業にこの堤防内の水を使っておる。ですから、この問題もクリアしなくちゃいけない。当然、井戸を掘ればという話になるかと思いますが、そうしますと、やはりどんどんどんどんまた沈下というか、そういうことが心配になってくるということでございますので、そのあたりのところはしっかり考えてやらなくてはいけないということであろうと思います。

 また、諫早市には下水道の施設があるということでございますので、それもうまく活用をするとか、そういう形を考えていくということが大切なことではないかなと思っております。

 それからまた、塩害が農作物にとっては非常に被害を与える可能性があるということでございますので、これもやはり堤防などを高くするとか、そういうことで地元に万全の体制を、対策をして、後には、私はぜひとも開門をしていただきたいと思う一人であります。

 私は、政権交代をいたしましたけれども、この諫干問題というのは一つの大きな象徴じゃなかろうかなと。ですから、私、会うたびに地元の方がおっしゃるのは、本当に政権がかわってすぐ開くものだと思っていたと。しかしながら、政権がかわってもなかなかこの話が進まないんで本当にじれったいというような強い要望もあるわけでございます。

 先ほど申し上げましたように、私も首長をやらせていただいた中で思いますのは、これこそやはり政治判断しかないんじゃなかろうかなということを改めて感じておる一人でございますので、ぜひともひとつ、赤松農林水産大臣を初め山田副大臣、それから佐々木政務官、政治的な御決断を勇気を持ってやっていただきたい、心からお願いを申し上げたいと思います。

 もう一度、大臣、お願いいたします。

赤松国務大臣 私どもは、先ほど申し上げましたように、マニフェストでは、明確にあけるともあけないともこれは書いてありません。科学的な知見に基づいてきちっと調査をして決めるんですと、簡単に言えばそういう書き方なものですから、私どもは、この辺は八ツ場とかとはちょっと違うということを御理解いただくと同時に、午前中にもこれは申し上げましたけれども、正直言って、御存じのとおり、民主党の中でも強硬な開門反対の方もお見えになりますし、それから、いやいや、それは当然あけるべきだよ、せっかくそれを期待していたのにというような、今のような御意見もございます。

 その辺のところは、まず、党内の意見をきちっとまとめながら、そして、今回のこの検討委員会には国民新党や社民党からも代表に入っていただいて、いわゆる与党三党でも結論を出していこうという形にしておりますので、これはそんなに時間をかけずに答えを出していきたい。

 そういう中で、結論が出れば、それを持って、それぞれの関係自治体の皆さん方に御納得がいただけるかどうか、これは丁寧にきちっと話をしていきたい、このことを今思っております。

野田(国)委員 最後にもう一度、政治判断をお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

筒井委員長 次に、吉泉秀男君。

吉泉委員 社会民主党の吉泉秀男です。

 持ち時間十分でありますので、早速質問に入らせていただきます。

 大臣、今元気な生産者がふえております。おれたちはこの大地からあらゆるものを恵んでもらっている、この自然豊かな大地があるからこそ、農業が成り立つし、おれたちは生きているんだ、こう目を輝かせて私に話す、こういう生産者が今ふえてきているのでございます。

 振り返れば、自然と共栄をする有機農業運動が始まってもう三十数年余りになりました。農薬、化学肥料に依存をし、多収穫を追い続けてきた、そういう情勢の中でも、収量は少なくとも安全なものをつくりたい、こう頑張ってきた人たち、それが今日本の食と農を守る上で国民合意形成につながってきているんだろう、こう思っております。

 命を守る、地球の命を守る、そして、大臣は、食と地域を再生することが大臣の任務である、こう言明したことに、私自身、大きなエールを送るものでございます。

 きょうの答弁でも、この仕組みを変える、こういうふうなことの中で、これまで農業政策が続けられ、そして疲弊をしてきた、そういう状況の中で、何とかみんな頑張れる、そのための仕組みを変える、こういう意気込みが大臣からうかがえる、そういったふうに思っております。

 そうした面の中では、これまでのいわゆる農村、山村、これをどう位置づけながらこれから進めていくのか、このことが大きなポイントになっているんだろうというふうに私は思っています。

 今、食料・農業・農村基本計画が取りまとめられ、作業が進んでおりますけれども、私にもこの素案、届けられております。そして、この素案を見て私は感じるのでございますけれども、基本法の四つの理念の一つである多面的機能、十一年以降進めてきた経過の中で、このことをもう少しきちっと総括をしながら具現化していく、そういう面でこれからのこの計画の中で前面に出していく、このことが今大事になっているのではないかな、こういうふうに私は思っております。

 大規模農業を奨励してきた、そのことについては何も否定をしません。しかし、そういう農政に加えて、今、農村、山村、その基盤に依拠しながら農業を命を守る産業として強化していく、このことが必要だろうというふうに思っておりますし、農林業の持つ多面的な機能、ただ単に文字面、言葉だけでなく、このことの具現化ということについて大臣の御所見をお伺いさせていただきます。

赤松国務大臣 御指摘のとおり、法に定められました一つの方向、国土の保全、水源の涵養、自然環境の保全、良好な景観、また、ある意味でいえば、村の鎮守様じゃありませんけれども文化の継承、そういうことも含めて、こうした農業、農村の持つ多面的機能というのがしっかりその中に位置づけられなければならない、このように思っておるところでございます。

 御心配なく、ちゃんとこれは中にしっかり書きますので。そういう中で、ただ、書いただけでは意味がありませんから、それを実際の政策の中に反映していけるように頑張りたいと思っております。

吉泉委員 大臣、今私は、山村、農村、これはもうまさに、エネルギーのまさしく宝庫だ、こう思っております。

 確かに、六次産業化、そういう意味の中で、加工、販売、生産一体化、そういうふうな部分の中でそれぞれの収入を得ていく、こういうことは大事でございます。しかし、農村、山村、この部分の持ついろいろな面での、環境をいわゆるエネルギーにかえていく、こういう部分は、私はもっともっとこれから考えていかなきゃならない。そして、もう既にEUの段階では、LEADER事業、こういう形で進められているわけでございます。だからこそ、今のこの基本計画の中において、やはりそうしたものを、私は、具現化、こういった部分をもっと前面に出して強く進めていくべきだ、こう思っておりますので、もう一度、お願いをしたいと思います。

赤松国務大臣 委員も先ほど御指摘がありましたけれども、旧来の農政が、生産に目を向けることが中心であったために、大規模農家、担い手だけに応援をしてきた。しかし、本当に水、緑、環境を守ってきたのはだれなのか。それは、小規模ではあっても、それぞれの地域に点在するこうした小規模農家、高齢農家であったりサラリーマンとの兼業農家であったり、そういうところもあるかもしれませんけれども、そういう人によって支えられてきたというのも事実でございますので、今度の政策では、担い手と言われる営農集落の人たちももちろん応援をしていきますけれども、それに加えて、小規模の農業者に対しても支援をきっちりやっていくということでございます。

吉泉委員 ありがとうございます。

 ただ、今、山村、農村、そういうところに依拠するというふうなお話をしました。しかし、私自身、農村整備、この部分を考えていったときに、単なる林道、農道、こういうことではなくて、今、山村、農村が本当にエネルギーの宝庫である、そういう立場でとらえていった場合に、いわゆる水車、風車、そしてまたバイオマス、こういういろいろな部分にエネルギーにかえられるもの、この部分を、まさにそこに焦点を当てた農村整備のあり方。

 これまでですと、いわゆる道路なりため池なり、こういう部分で農村整備、土地改良があったんだというふうに思っています。それも確かに大事です。しかし、そういう意味で私自身は、そういうエネルギー、こういった部分を少し大きくとらえていった場合に、この農村整備のあり方がやはりこれからの一つの方向性というものを変えていく、こういうことが必要なんだろう、こういうふうに思っておりますので、あと時間ありませんので、よろしくお願いを申し上げます。

赤松国務大臣 では、簡単に答えさせていただきます。

 おっしゃるとおりで、私ども、特に太陽光発電もそうですが、これはもう、耕作放棄地で、残念ですけれども、優良農地じゃなくて何ともならない土地もありますが、そういうところに太陽パネルを張るだとか、あるいは小水力発電につきましては、これは天候にかかわらず、そして、日本の国土というのはもうどこにでも水があるわけですから、本当にちょっとしたせせらぎみたいなところでも落差さえあれば発電ができるということで、ぜひそういうものを新たな地域のエネルギーとして、未活用の資源として活用していきたい。

 ただ、これは別の場所でも申し上げましたけれども、一番のポイントは、太陽光については、今、わっと一斉に各住宅の屋根なんかあれしていますが、これは売電価格四十八円なんですね。ところが、小水力で、これ買ってくださいと電力会社に言うと、六円八十銭から大体十一円ぐらい、平均で十円でしか買い取ってくれない。これではなかなか採算が合わないというので、小水力発電については広がらないということがありますので、これは経産省、国交省、環境省、関係省庁と相談もしながら、ぜひ、この辺のところは売電価格は上がるとか、あるいは発電した量は必ず買い取るとかいうようなことをしていただければ、一気にこれは普及をするのではないかということを考えております。

吉泉委員 本当にありがとうございました。

 あと時間ありません。まさに今、遊休農地、そのことを、元気な若い生産者がそこを借りて、そしてみずから木の根っこを掘りながら農地に変えている、こういった部分もあります。頑張る、そういう意味での農業の第六次化、こういった部分を含めて、ぜひ命を守る産業として、大臣のリーダーシップをよろしくお願い申し上げ、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

筒井委員長 次に、西博義君。

西委員 公明党の西博義でございます。大臣、私が最後ですので、お疲れでしょうけれども、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 私は和歌山県の出身なんですが、和歌山の農業構造は、生産額でいいますと、六〇%が果樹、これは梅も入れてですが、果樹、残り一五%が野菜、八%が米、あとその他、こういうふうになっておりまして、比較的急峻なところで、果樹が非常に大きなウエートを占めている、そんな条件がございます。

 きょうは、初めに果樹のことについて、大臣を中心にお伺いを申し上げたいと思います。

 最近の品質管理は大変すぐれておりまして、選果機の中でも光センサーをつけた選果機で糖度をコントロールして、きちっと一定の糖度を保ったものを出荷する、こういうことが盛んに行われております。この光センサー選果機は、そういう意味では品質管理には大変大事だということになっておりますが、全国で大体何台ぐらいあるんでしょうか。まず初めに、よろしくお願いします。

佐々木大臣政務官 事実関係ですので、私の方から答えさせていただきます。

 現在、光センサーが全国でどのぐらいあるのかということなんでありますが、西議員の質問があったものですから、都道府県を通じて産地から聞き取らせていただきました。一台一台についてはちょっとわからなかったものですから、施設でお答えをさせていただきたいと思います。選果機が三百一施設に導入されているというふうに把握をしてございます。

西委員 これも種類もさまざまでして、私は、温州ミカンの産地ですから、ミカンということがある意味では中心なんですけれども、いろいろなものに使われているということです。

 私の地元の場合、和歌山の場合は、台数、これもやはりわからないということですが、施設として約二十二カ所の施設がある、こういうふうに聞いております。和歌山は共同の設備によって比較的大型の設備を備えて選果をする、こういうことがありまして、そういう意味ではかなり整備を既にされている状況だというふうに聞いております。

 したがいまして、今後はどういうことかといいますと、この設備を更新して、さらに優秀な機械にかえていく、こういう作業が必要なんですが、お聞きしますと、大体七、八年ぐらいで更新するというのが一般的だというふうに聞いております。

 そうなりますと、県全体としては大体年平均三つぐらいの施設を順繰りに更新していく、こういうのが必要だという計算になります。大型の施設になりますと五億とか七億前後というふうに言われておりまして、三カ所で大体十五から二十億ぐらいの予算が必要だというのが今の和歌山県の現状でございます。

 さて、今回の民主党政権の予算を拝見いたしますと、こういうものに活用されておりました強い農業づくり交付金、これは百億削減されて残り百四十三億、それから農山漁村定住・交流活性化交付金、これも百三億円削減されて二百五十二億円、こういうふうになっております。これら予算の削減によって、こういう選果機を初めとするさまざまな機械の更新、採択も大変厳しくなるということが当然予想されます。

 この選果機一つとってみても、大体三百施設というふうに今答弁がありましたけれども、大小ございますけれども、今回の予算で見る限り、設備の更新それから整備というものがスムーズに行われるのかという心配を私は持っております。

 こうした施設設備の実態を踏まえまして、この予算についてはよく検討をしていくべきではないか、こういうふうに思いますが、大臣の御答弁をお願いしたいと思います。

佐々木大臣政務官 これも私の方からお答えをさせていただきたいというふうに思います。

 今、西議員から御指摘がありましたように、今回、農業関係予算大転換という中で、強い農業づくり交付金はマイナス四一%、それから農山漁村定住・交流活性化交付金がマイナス二九%という中で、大変厳しい状況でありますが、こうした交付金に今それぞれ地方から要望を受けさせていただいてございます。

 できるだけ客観的にこういうものの判断をしていきたいということで、事業実施主体が設定した成果目標などを我々としてはポイント化をさせていただいて、そしてポイントの高い順から配分額の算定をするという、できるだけ客観的にそうしたものを運用していきたいというふうに思ってございますのと、そのほかに、産地収益力向上支援事業、これは二十二年度新規でございますが、これで二十一億円、それから経営体育成交付金、これも新規でありますけれども、これで八十一億円、これらも措置させていただいてございますので、これらも活用していただいて、選果施設等の必要な共同利用施設の整備を支援してまいりたいというふうに考えてございます。

西委員 客観的にポイント化されるということは、それはよくわかることで、結構だと思いますが、やはり予算全体として、新規も若干ふえましたけれども、全体的には大きな減ということで、ぜひともこれの回復を念頭に入れていただきたい。やはり優秀な品質のものを出荷するということが最低限の、これは農業者としては大事なことですので、ぜひともこのことについての御努力をお願いしたいと思います。

 うなずいていただいておりますので、そういうことだと。大臣、よろしいでしょうか。

赤松国務大臣 御指摘のとおりだと思います。

 私どもとしては、今政務官から申し上げましたように、各地域から県を通じて早く上げてくれということで言っておるんですが、二分の一補助なものですから、反対にその二分の一がつらくて出せない、非常に残念なことですけれども、そういう経営実態も現実にはございます。

 そういう中で、ほとんどのところは零細な農業者ですから、ぜひそういう協同組合等にもしっかり応援できるように頑張ってやっていきたいと思っております。

西委員 ありがとうございます。

 続いて、果樹経営支援対策事業についてお伺いをしたいと思います。

 実施期間が平成二十二年度までということで、最後の事業ということになるんですが、これが今後どうなるのか。これは果樹の今後さまざまな対策の一番中心になっている仕組みなんですね。そういう意味で、改植、高接ぎとか、いろいろこれからの改良の中心なんですが、今後どうなるのか。

 仮にこの対策事業が継続するならば、優良品目、それから品種の交換、条件の不利園地の廃園等について、かんきつやリンゴの改植、廃園を行った場合は定額助成をいただけることになっております。その他の果樹、そして高接ぎなど他の方法についても、定率助成から定額助成ということで、各農家の努力をさらに促進するような仕組みにしてはどうかというふうに思いますが、大臣の御所見をお願いします。

赤松国務大臣 私も、先々週でしたか、和歌山の方に行く機会がございまして、特に和歌山県は、先ほど委員御指摘のとおり、梅だとかミカンだとか、そういう果樹に関連するものが大変多くて、ただ、みんな厳しいんですね、今経営が。これは青森のリンゴもそうですし、それから静岡あたりの温室のメロンもそうですし、今、果物系が本当にそれぞれ、どの品種でも厳しいという実態がわかっております。

 そういう中で、この二十二年で終わる制度についても、ぜひ二十三年度以降もという御要望は聞いておりますので、前向きにそれをしっかり受けとめながら、ただ、今までのやり方でいいのかどうか。単なる植えかえとかそういうことばかりじゃなくて、もう少しほかのことも含めて、補助のあり方等もあわせて検討した方がいいと思いますので、それが必要だという委員を初め皆さんの御意見はよくわかりますので、それをしっかり前向きに受けとめながら、中身については少し検討させていただきたい、このように思います。

西委員 ありがとうございます。

 そういう意味では、今後の果樹の産業の育成のために抜本的な議論をお願いしたいと思います。

 次に、事業仕分けによって、中央果実生産出荷安定基金協会、これの事業余剰積立金を含む果実対策資金が一たん国に返還をされております。事業仕分けの第二弾ヒアリングが始まって、この中央果実生産出荷安定基金協会もヒアリングの対象、つまり五十の法人の一つになっているというふうに、これは報道されております。

 この協会については、五十に選ばれたということの理由、どのような論点でここに、ヒアリングの対象になったのか、この点について、きょうは、行政刷新担当の政務官でいらっしゃいますか、おいでいただいておりますので、よろしくお願いします。

泉大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 今回、この公益法人の事業仕分けについては、幾つか基準を持ってまずはリストアップをさせていただいております。例えば、法令による権限付与があるかどうかですとか、あるいは収入に占める行政からの公的支出の割合が二分の一以上であるかどうかですとか、あるいは過去、会計検査院から指摘があったかどうかですとか、いろいろな点でまずはリストアップをさせていただいております。

 そのリストアップをしたところから個々にヒアリングを受けるという形ですので、その時点、リストアップの時点では、それぞれに明確にこの論点、あの論点があるからヒアリングを行いますというふうにはしておりません。

 ただ一方で、今言ったような基準、幾つかの基準にひっかかってくるというところがあって、例えば、指定法人という意味では、その中にこの基金が該当するというものもございますし、会計検査院の指摘を受けているということについても、これは基金については一度返してはいるんですが、過去指摘を受けているというところにもかかわってきたりというところ。あるいは、天下りを受け入れているというところを含めて、今回リストアップの中に入っているということで、御理解いただきたいと思います。

西委員 ということは、このことでもって、何か事前にまずい内容があるということを想定してやっているということではないというふうに理解してよろしいですか。

泉大臣政務官 公務員出身者がおられることの、そのおられ方についてはよく中身を精査しなくてはいけないというふうに思っておりますので、現時点で、それが問題であるか問題でないかということは明確には言い切れないという状況ではあると思います。

西委員 次に、野菜の振興対策についてですが、指定野菜価格安定制度の産地区分があります。これは、産地区分としては、安定的、継続的生産者の割合によって補てん率が違う、こういう仕組みになっているんですね。

 生産者の割合が低い産地区分で農業を営む人がいるんですが、意欲があっても頭から補てん率が違うという不公平さというか、ハンディがどうしても出てくるわけでございまして、これは少し、私はもうやめていいんじゃないかというふうに思っているんですが、これについて御答弁をお願いしたいと思います。

佐々木大臣政務官 今、指定野菜価格安定制度について御質問をいただきました。

 今委員御指摘のように、担い手の作付面積シェアをもとに産地を三つに区分するという、今現在はそんな仕組みでございまして、補てん率も、九割、八割、七割と格差を設けていたわけであります。

 しかし、二十二年度の秋冬野菜から、産地を単位とする野菜生産の現状、今御指摘のようなこともありますので、担い手の作付面積シェアではなくて、新たな指標による産地区分とする方向で今検討させていただいてございます。

 具体的には、産地による計画的かつ適切な出荷を推進するという観点から、出荷計画と実際の出荷実績の乖離度合いを指標とするというような新たな産地区分を導入する方向で今検討させていただいているところでございます。

西委員 非常にまた新しい考え方で出発されるということを私は歓迎したいと思います。意欲のある人がきちっと農業をやれば、どこでやっても報われるという形の方がいいんじゃないかと思って質問させていただきましたので、きちっとした制度になるように、また頑張っていただきたいと思います。

 それから、指定野菜の品目についてです。

 最近、やはり食の好みも変わってまいりますし、スイートコーンだとかブロッコリーなどの消費がふえているというふうに言われておりまして、こうした消費量のふえている野菜をぜひ今後の指定野菜の中に追加をしていただきたい、こういう趣旨でございます。

 例えば、こういうものが追加されるとすると、追加費用として大体幾らかかるものか、もしそういうものの試算の根拠でもあれば教えていただきたい。

 二点についてお伺いしたいと思います。

佐々木大臣政務官 これも、西議員にそういう御指摘をいただいたものですから、計算を一生懸命させていただきました。

 今御指摘いただきましたように、指定野菜は現在十四品目でございますし、特定野菜は現在三十四品目でございます。指定野菜の方は国が六割を負担するというシステムでさせていただいておりますし、特定野菜については国が三分の一を負担するという仕組みで今実施をさせていただいているところでございます。

 今、例えば特定野菜の中でこのごろふえてきているようなものについて指定野菜にしたらどうなるのかという御質問でございますが、仮にブロッコリーを指定野菜に追加した場合に、極めて機械的に試算を行わせていただきますと、八億円程度の予算の増が必要だということでございます。

西委員 ありがとうございます。

 指定野菜に入れる候補、私は二つしか挙げませんでしたけれども、その他いろいろあるかと思います。まずそこのところをきちっと考えていただいて、額を大体聞きまして、オーダーがこの程度のオーダーですから、十分そういう制度に新たに加える可能性はあるんじゃないかなというふうに私は思っておりますので、さらに安定的な野菜の供給のためにも、新しい施策をぜひ取り入れていただきたい、こういうふうに思っております。

 今度は、ちょっと角度を変えまして、学校給食のところに話を移させていただきたいと思います。

 実は、果物もなかなか食べる量が少なくて、嫌いな人も結構多い、こんな事情があって、学校給食の中でもう少しそういう意味での教育ができればというふうに思っているところですが、私は、文部科学委員会で結構このことについても、農水委員会でもやったんですが、学校給食でお米をできるだけ食べるように、ここから始まっておりまして、きょうは果物でお願いをしたいと思います。

 まず、私たち、米の消費拡大で、もっとお米を食べるようにということで、自公政権のもとでいろいろなところで頑張らせていただいてきたんですが、新政権で米飯給食の目標引き上げについて今後どう取り組まれるのかということをお伺いしたいと思います。以前から申し上げていたんですが、今、大体三回程度だと思うんですが、週四回とか五回とかいうようなことをぜひとも考えていただきたい。

 我々大人は、お昼は、おうどんで済ますとかありますけれども、大体、お弁当とか御飯類はやはり食べますよね。お昼にパンを食べる習慣をつけるというのは、私は、余り好ましい習慣ではないんじゃないか。大人になれば、お昼はやはりそういう御飯と何かおかずというのが一般的ですから、そういうものが原則であって、週に何回かはパンというのが教育の上において原則じゃないんじゃないかという考えすら持っているんですが、今後の学校給食の米飯給食の目標について、お伺いをしたいと思います。

高井大臣政務官 お答えいたします。

 私も西委員の問題意識には大変共有をするところでありまして、個人的にも、この学校給食の問題、米飯給食の推進には大変関心を持って取り組んでまいりました。

 文部科学省でも、もちろん、米飯給食の定着については、昭和六十年以降、週三回程度を目標とするということで推進するように指導してきた結果、今、平成二十年度に、全国平均で週約三・一回は米飯給食がなされているというところでございます。

 省内でも、協力者会議というところで検討いたしまして、その結果、平成二十一年の三月に、局長通知といたしまして、国として週三回以上を目標として推進することというふうに原則としていたしまして、地域の実情や学校の実情も踏まえた上で、週三回未満の地域や学校は、少なくとも週三回程度、既にもう過半を占める週三回以上の地域や学校は、週四回程度など、上に新たな目標を設定していくべく、実施回数の増加を図るように促しているところでございます。

 今後とも、米飯給食というのは、先ほど来話が出ておりますとおり、地元の伝統食や、地元の、地域の人がつくったものをありがたいという気持ちでいただくというのは大変教育的な意義も高いと思いますし、地域の食生活に対する理解という点からも、やはり進めていきたいと思っています。

 それに加えて、健康にも比較的いい。カロリーとしても低かったり、あとは、どうしてもパンのつけ合わせは油物が多くなりがちですけれども、御飯のつけ合わせは漬物とかおみそ汁であったり煮物であったりということで、環境的負荷も少しは低いのではないか。それに加えて自給率の向上に資するということもありますので、引き続き取り組んでまいります。

 ありがとうございました。

西委員 ありがとうございます。

 特に都市部が若干低かったような印象があるんですが、引き続き、そこら辺のてこ入れもぜひともお願いをしたいというふうに思います。

 次に、果物なんですが、いろいろ調べますと、文部科学省はすばらしいですね。学校給食の食事内容の適正を期すため、学校給食実施基準というのがありまして、栄養量と食品構成の基準を決めているわけです。学校給食標準食品構成表というのがあって、幼児の場合、それから六―七歳の場合、八―九歳の場合、例えば果物が、幼児の場合は一回につき三十グラムとかいう非常に細かな目標が決められておりまして、年齢によってそれぞれ異なるんですが、これは果実ですが、小学校では大体三十から三十五グラムとることが望ましい、中学校では四十五グラムとることが望ましい、こういうふうにされております。

 では、一体その目標に対してどれだけ今摂取しているかといいますと、平成二十年度の摂取状況は、小学校全体で十八・七グラム、中学校全体で二十・八グラム。四十五グラムに対して二十・八グラムですから半分もとれていない、こういうことなんです。米、野菜、魚などに加えて、果物も若年層を中心に摂取が少ないということが統計上明らかになっております。

 こうした食品をしっかりとることが大事であるというふうに思いますけれども、このことの取り組みについて、文科省からお願いをいたします。

高井大臣政務官 御指摘ありましたとおり、文部科学省において、学校給食実施基準、告示でございますが、この中で、学校給食における各栄養素、ビタミンやミネラルなどの望ましい摂取量ということで、児童又は生徒一人一回当たりの学校給食摂取基準というものをお示ししております。摂取基準の検討を行った調査研究協力者会議がまとめた報告書の中に、摂取基準を満たすための目安といたしまして学校給食の標準食品構成表が示されたわけでございまして、学校給食を実施するに当たって参考にするようにということで、都道府県教育委員会等に対して通知を行っているわけでございます。

 果物については、御指摘あったとおり、目安として示した量に達してございませんが、果物を通じて摂取することが期待されているビタミンCにつきましては、その他の食品などから十分な摂取がなされているというふうに形としてなっておりまして、今のところその状況であるということを踏まえた上で、促していくということでございます。

 学校給食で何をどのように使用するかにおきましては、この学校給食摂取基準を踏まえつつ、各学校の設置者において適切に判断するべきものというふうに思っておりますが、我々としても、多様な食品を適切に組み合わせて、地域の理解も含めて、食事の内容の充実を図るということをこれからも指導してまいりたいと思います。

 繰り返し申し上げますけれども、今申し上げた学校給食摂取基準というのは、一カ月間の摂取量の目標を一回当たりの数値に計算して換算したものであって、運用に当たっては、必ず一回当たりそれを全部一食で入れなければならないというものではなくて、実態を踏まえて弾力的にやっていただきたい、参考にしてほしいというものの指針であります。

 いずれにしても、今、やはり子供の健康の問題、肥満の問題等やアレルギーの問題等もございますので、できるだけ弾力的に充実できるように努力をしていきます。

西委員 先ほどおっしゃられたように、地元でとれたものをいただく、その感謝の気持ちなんかも教育的には大事だというお話もありました。地産地消という考え方も大変重要な内容だと思いますので、さらに充実していただけるようにお願いをいたします。

 時間が余りなくなってきました。ちょっと急ぎたいと思います。もう一つの私の地元は太地の鯨でございまして、鯨のことについてちょっとお伺いをしたいと思います。

 二月五日の記者会見で赤松大臣は、日本の沿岸の商業捕鯨を認めるということを条件に調査捕鯨を見直すという趣旨の発言をされております。六月に開かれるIWCに向けての一つのお考えをおっしゃられたんだなというふうに受けとめておりますが、このことについての御発言をもう一度教えていただきたいと思います。

赤松国務大臣 私どもは今日まで、国際捕鯨委員会での決定の中で調査捕鯨は認められているということで、それに従ってまさに合法的にこうした活動をやってきたわけですけれども、ただ問題は、私どもはそれにプラス商業捕鯨も認めるべきだということで主張をしてきたわけですが、反捕鯨国もあり、どちらも四分の三はとれないということで、そういう膠着状況がずっと続いてきた。

 そうすると、IWCそのものは、議論はあっても何も決定できない機関だ、こんな機関があってもしようがないなみたいな、そういう議論も出てくる中で、特に、反捕鯨国であるアメリカ、そして商業捕鯨をする日本、そこの中で、その二国が相談をして、もう少し全体で合意ができる、そして、本当にみんなが決めて、みんながそれに従って行動できる、そういうIWCに変えていかなければいかぬじゃないかということが根底にございました。そのためには、自分の要求が一〇〇%通らなければというんじゃ何も進みませんので、お互いにそのあたりは折り合って、どこか全体で合意できる点はないだろうかということで、この間、日本とアメリカが中心になりながら、関係の何カ国かでずっと非公式に会談を続けてきたということで、先日、議長提案みたいな形で、それぞれ一つの方向が出されたわけです。

 その中身は、ほぼ私どもの主張であります、南太平洋の今までやってきた調査捕鯨の認められた八百五十頭という頭数はありますが、もともと旧来から全部それをとっているわけじゃなくて、そこまで数は行かないところでいつも終わっていますので、そういう意味でいえば、それを一定程度減らしても、やらないという意味じゃなくて、数は減らす、そのかわり、日本沿岸のところについては商業捕鯨として堂々と認めてもらうということでやったらどうだろうかということを今投げかけております。

 ただ、捕鯨支持国の中でも、アイスランドなんかはそういう制限がつくのは嫌だというような意見もございますし、反対だけれども、しかしそういうところで何とか折り合うかみたいな流れもできておりまして、何とか、何も決められないIWCというんじゃなくて、私自身は、議論はあってもいい、考え方の違いはあってもいいけれども、しかし、みんなで大いに議論をした結果、一つの方向に向かっていける、お互いに一〇〇%じゃなくても、六〇%、七〇%で納得できる、折り合える点はないのかということで、最終的には、六月のアガディール、モロッコでのIWCの年次総会に、与野党の皆さんの御理解がいただければ私自身も参加をさせていただいて、ぜひそれで何とか取りまとめをしてみたいということで、今努力をさせていただいておるというところでございます。

西委員 きょうは何問か鯨の問題をお願いしたかったんですが、もう時間が参りました。以上で終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

筒井委員長 次に、内閣提出、農業経営に関する金融上の措置の改善のための農業改良資金助成法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣赤松広隆君。

    ―――――――――――――

 農業経営に関する金融上の措置の改善のための農業改良資金助成法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

赤松国務大臣 農業経営に関する金融上の措置の改善のための農業改良資金助成法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。

 我が国農業の生産構造が脆弱化する中で、将来にわたって国民に対して安定的に食料を供給することができる体制を確立するためには、新たな農業技術の普及、水田の汎用化を通じた麦、大豆の生産振興、農業の六次産業化に向けた生産、加工、流通における取り組みの強化等を進めるための金融支援の充実を図ることが必要となっております。

 また、国の財政事情はますます厳しいものとなる中、農業改良資金等の貸付原資については、国の特別会計から貸付主体に対し無利子で供給する方式を改め、貸付主体が有利子で調達し国は利子を補給する方式とすることとし、国の財政資金の有効活用を図るとともに、銀行等の金融機関が融資する際の保険の充実により、民間資金がより一層円滑に農業者に供給されるようにする必要があります。

 政府といたしましては、このような課題を解決し、農業経営の改善を図る際に必要となる資金を公的資金及び民間資金を有効に活用しつつ円滑に融通されるよう、農業経営に関する金融上の措置の改善を図ることとし、この法律案を提出した次第であります。

 次に、この法律案の主な内容につきまして、御説明申し上げます。

 第一に、農業改良資金助成法の一部改正であります。

 食料自給率の向上のための新技術等の普及、農業の六次産業化の促進のための加工技術の導入等を促進する無利子の農業改良資金について、貸付主体を都道府県から株式会社日本政策金融公庫及び沖縄振興開発金融公庫に改めることとしております。

 また、厳しい財政状況を踏まえ、国が貸付原資の三分の二を無利子で供給する方式を改め、政府は、農業改良資金を貸し付ける株式会社日本政策金融公庫及び沖縄振興開発金融公庫と利子補給契約を締結することができることとしております。

 さらに、株式会社日本政策金融公庫及び沖縄振興開発金融公庫が、過度に担保、保証人等に依存せず、農業改良資金を柔軟に貸し付けることができるよう、担保、保証人の設定を義務づける規定等を廃止することとしております。

 第二に、農業経営基盤強化促進法の一部改正であります。

 麦、大豆の生産振興、食料自給率の向上に資する水田の汎用化を促進するための農用地の改良または造成に必要な無利子資金について、厳しい財政事情を踏まえ、国が貸付原資を無利子で供給する方式を改め、政府は、当該資金を貸し付ける株式会社日本政策金融公庫及び沖縄振興開発金融公庫と利子補給契約を結ぶことができることとしております。

 第三に、農業信用保証保険法の一部改正であります。

 食料自給率の向上や農業の六次産業化に資する取り組みを促進するため、銀行等民間金融機関からの農業者に対する資金の円滑な融通が行われるよう、独立行政法人農林漁業信用基金が民間金融機関の融資における事故の際に補てんする融資保険の対象者に、銀行その他の政令で定める金融機関を追加することとしております。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。

筒井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三分散会


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