衆議院

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第12号 平成22年5月14日(金曜日)

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平成二十二年五月十四日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 筒井 信隆君

   理事 石津 政雄君 理事 小平 忠正君

   理事 森本 和義君 理事 森本 哲生君

   理事 北村 誠吾君 理事 宮腰 光寛君

   理事 石田 祝稔君

      阿知波吉信君    石原洋三郎君

      石山 敬貴君    金子 健一君

      京野 公子君    後藤 英友君

      佐々木隆博君    高橋 英行君

      玉木 朝子君    玉木雄一郎君

      津川 祥吾君    道休誠一郎君

      中野渡詔子君    仲野 博子君

      野田 国義君    福島 伸享君

      柳田 和己君    山岡 達丸君

      山田 正彦君    和嶋 未希君

      伊東 良孝君    江藤  拓君

      小里 泰弘君    金田 勝年君

      谷川 弥一君    長島 忠美君

      保利 耕輔君    山本  拓君

      西  博義君    東  順治君

      吉泉 秀男君    石川 知裕君

    …………………………………

   農林水産大臣       赤松 広隆君

   農林水産副大臣      山田 正彦君

   総務大臣政務官      小川 淳也君

   農林水産大臣政務官    佐々木隆博君

   農林水産委員会専門員   板垣 芳男君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十四日

 辞任         補欠選任

  石山 敬貴君     阿知波吉信君

  西  博義君     東  順治君

同日

 辞任         補欠選任

  阿知波吉信君     石山 敬貴君

  東  順治君     西  博義君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 農林水産関係の基本施策に関する件(口蹄疫の発生状況及びその対応について)


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     ――――◇―――――

筒井委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件、特に口蹄疫の発生状況及びその対応について調査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。江藤拓君。

江藤委員 十一日に引き続きまして、質疑をやらせていただきます。どうぞよろしくお願いします。

 前回は、私もちょっと病み上がりということもありまして、どっぷり地元の空気に浸っておりましたので、少し感情的に流れてしまった部分が多分にあったかなというのは自分の中でも反省があります。大臣、その点についてはぜひ御容赦をいただきたい、よろしくお願いをいたします。

 そのときに申し上げましたけれども、このことをまず確認させてください。一丸となってやろう、与野党一丸となって、もう与党も野党も関係ない、国の持っている力すべてを注ぎ込んで蔓延の防止をやろうということを申し上げました。このことについては、大臣は御同意をいただけますね。御答弁を求めます。

赤松国務大臣 それは、議会の中の与野党もそうですし、それから国、県、市、町が一体になってこの難局に当たっていく、これはもう当然のことだと思っております。

江藤委員 ありがとうございます。

 我が宮崎県でも、六人の国会議員がおります。この間集まりました。そして、私が一応合意文書のようなものをつくって、その方向に向かって今努力中でございます。ですから、ここにおられる民主党の先生方もぜひお力をおかしいただいて、この委員会からいい答えが出るように。別に、与党の要求をすべてじゃない、我々野党の要求をすべてのんでください、そんなむちゃなことを言うつもりはありません。法改正も必要でしょうし、大臣一人の権限では無理なこともあるでしょう。いろいろな限界があることはわかっています。ただ、受けとめていただいて、検討はしていただきたい、そのことをぜひよろしくお願いします。

 私の一日は、まず電話をすることから始まります。けさも尾鈴農協の松浦畜産部長に電話をかけまして、状況の確認をしてまいりました。毎日悲しいニュースばかりです。まだ確定されてはおりませんけれども、またどうも怪しいなというところが何件か報告をされました。これは非常にセンシティブな問題ですから、どことは言いませんけれども、蔓延の拡大がとまっていないという事実は間違いがありません。このままでは、もう平田川という川を越えましたから、そうするともう木城町へ行っちゃうんですよ。高鍋も危ないです。ですから、もっと対策を強化しないと大変なことになりますので、そのことをぜひ御認識をいただきたい。

 最近、ネットの世界のこともいろいろ話題になっておりまして、大臣にも一部御迷惑をおかけしているようなこともあるようでございますけれども、しかし、多くの方が心配をしてくださっています。

 私はグリーでブログをやっているんですけれども、例えば、新宿のアンテナショップ、あそこに行って買い物をしてきました、宮崎の物産を進んで買います。スーパーに行ったら宮崎野菜と書いてありました、それを選んで買いました。寄附をしたい、どこにお金を送ったらいいんですか、江藤さん、教えてください。私、行ってもいいです、役に立たないかもしれないけれども、ぜひ行かせてほしい、窓口はどこですかと。本当に温かい、宮崎県の人の気持ちをわかってくれている、そういう書き込みがあって、それで私も比較的早く回復できたのかなというふうに思うぐらいの気持ちであります。

 ぜひ、御関心はないと思いますけれども、これも広い皆さん方の御意見ですから、厳しい御意見もありますよ、私に対する批判の意見もあります。もしよかったら、一度お目通しをいただくと参考になるかなというふうに思います。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 まず、大臣にお尋ねをしますけれども、家畜伝染病予防法に基づいて手当てされる、五分の一の件、この間しり切れトンボになってしまった件ですね。これについて質問させていただきますが、特別交付税で措置することが決定したかどうかについては、きのうの参議院の委員会でも大臣は確固たる自信をお示しになりました。見ておりました。ですから、このことを改めて蒸し返すことはもういたしません。宮崎県民はみんなこのことを信じていますから。ぜひぜひ五分の五になるように、よろしくお願いいたします。これはお願いにとどめておきたいと思います。

 次に、十一日の本委員会の冒頭での宮崎県で発生した口蹄疫に関する報告の中で、「殺処分した疑似患畜について、家畜伝染病予防法に基づき手当金を交付するほか、発生農場が家畜共済や家畜防疫互助基金に加入している場合には、それぞれの制度により補てんすることとしております。」これのこのページに書いてありますね。これは大臣が朗読されたものであります。

 家畜共済の場合は、牛においても豚においても、殺処分された場合、これは五分の一きちっと補てんされるというふうに、この文章からはそうとしか読めないわけでありますが、これは間違いないですね。大臣、御答弁をお願いします。

赤松国務大臣 これは正確に申し上げますと、例えば牛の場合と豚の場合とは違うと聞いています。

 例えば、共済で五分の一を補てんすると、牛の場合はほとんどそれが見られるんですけれども、豚の場合は、価格の評価が必ずしもそれと一致しない。そうすると、それで五分の一は補てんするといいながらも、実際には若干の差額が出る場合があるというふうに聞いております。

 ですから、それは、私は東国原さんにも言ったんですが、とりあえずその足らざる点、それから同様に、本来すべての方が畜産の共済に入っていただけばいいんですが、入っていない方も中にはおられますので、そういうところはとりあえず県が全部直ちに補てんしてあげなさい、そして、その分についても後で特交で処理をするというようなことにすればいいじゃないかと。とにかく、まず全体的にきちっと心配なく補てんできるんですよというメッセージを与えることが今必要なんだということで申し上げているということであります。

江藤委員 御理解をしていただいているということを聞いて、安心をいたしました。

 ただ、新聞にもテレビのニュースにも、国が全額補てんということが大々的に報道をされているわけですよ。今、大臣が御指摘されましたように、若い豚につきましては大体出ます。牛については五分の一、言われたとおり出るんですよ。ところが、出荷直前の豚、これはゼロなんですよ。

 ということになりますと、この書きぶりというのは、非常に誤解をもたらすものですよ。非常に誤解をもたらすものです。別に意地悪を言うつもりはありませんが、これは、政府がこれからどうやって口蹄疫の蔓延防止、再建に向かって立ち向かっていくのか、政府の基本姿勢を示したような大事な文章ですよね。これが誤解を招くような表現であるとするならば、私は完全に誤解を招くと思いますよ。「発生農場が家畜共済や家畜防疫互助基金に加入している場合には、それぞれの制度により補てんすることとしております。」と。

 特交のことも書いてありません。特交のことも書き加えて、この部分については、豚については十分ではありませんので、その部分についても特交で見ますというふうに書き直して、再提出されたらいかがですか。そのことを求めますが、御答弁を求めます。

赤松国務大臣 これはある時点での報告書なものですから、そういう意味でいうと、基本的には、衆参と違うものを出してどうこうということもいかがかということで、できるだけその時点での同じものを実はそろえて出そうということにいたしております。

 私は十日に行って、その中でまた現地でいろいろお話があった。埋却地の問題もそうですし、今の五分の一の問題もそうですし、それから、また後で話題が出るかもしれませんけれども、例の育ち過ぎてしまった豚の差額の、一万一千円の問題とか、そういうことも含めて、できることは、その後、第三弾という言い方がいいかどうかわかりませんが、さらに追加していろいろ対応をしているということについては、確かにそれは書いていないんですけれども、それはあくまでもとりあえず委員会の冒頭に出す報告書ということで、足らざる点については、こういう委員とのやりとりの中で実質的に中身を補っていただくということです。それは、最終的にこのままの中身しか必ず動かないんだということではなくて、あくまでも大臣としての口蹄疫についての報告ですから、それはそれで御了承をいただきたいと思います。

江藤委員 もう私、大臣ともめたくないんですよ、正直な気持ち。一体となってやりたいので。

 ただ、これはその時点での報告書というふうに言われましたけれども、みんなはこれを見て、例えば養豚農家の方は、ああ、おれはちゃんと入っている、安心なんだと現地で思っちゃっているんです、これを読んで。ですから、修正することが必要だと思いますよ。別にそんなに恥ずかしいことじゃないんじゃないですか。わかっていらっしゃっているんだったら、だったら正しい文章に直す。筆頭、どうですか。

 私は、このことがやはり政府・与党としての誠実な対応だと思いますが、これを書き直して、改めてきちっとしたものを衆参に出し直すということはされませんか。

山田副大臣 五分の一の部分について、豚においては出荷前においてゼロになるんじゃないかというお話でしたよね。これは共済の評価が、確かに二十日ごとに、二十日齢の評価額を全頭に適用していっているから、どんどん下がってくるということはあるとは思うんです。限りなく下がっていって、五分の一分がその分出なくなっていくんじゃないか、そういう言い方をされたんじゃないかと今思ったんですが。

 ところが、大貫物については一応、一万一千は出すようにしていますけれども……(江藤委員「それは共済とは別の話でしょう」と呼ぶ)共済とは別ですけれども、ALICの方から一万一千は、そういった場合に備えてもそれは出すようにしていると思います。

 同時に、江藤議員が問題にしているのは、共済に入っていない農家に対しても五分の一については、大臣としては、もうできるだけの補てんをしてやる、そうおっしゃっているんだから、そういった分についてもいわゆる特別交付金でちゃんと補てんしてほしいという趣旨だと。そういう意味では、そういう形で、大臣の言っている趣旨とはたがわない、私はそう解釈しております。

江藤委員 わかりました。質問事項が多いので、もっとやりたいですけれども、本当は一時間半ぐらい欲しかったですけれども四十分しかないので、残念ですけれども、きょうのところはこれで引き下がります。

 しかし、実際、共済に入っている人がいますよね。共済に入っていない人がいますよね。この人も五分の五ですよね。共済に入っている人は共済金の分をプラスアルファにしてくださいよ。掛けていた人はばかを見るじゃないですか。そうでしょう。そうしたら、次、だれも入らなくなりますよ。

 ですから、そのことは、今すぐ御返答いただかなくて結構です。共済に入っている農家がいる、入っていない農家がいる、入っていない農家まで五分の五もらった、入っているおれも結局五分の五だった、では、おれが今まで掛けてきた掛金は何なんだということになりますので、このことは、御答弁を求めません、もういいです、長いので。求めませんが、御検討ください。よろしくお願いします。

 続いてお尋ねします。山田副大臣、いいですか。

 六日の記者会見、これを見せていただきました。新聞で読みましたけれども、このときに副大臣は、牛は落ちついたとおっしゃいましたね。でかでかと新聞に出ておりました。通告しておりましたから御存じのわけでありますけれども。しかし、翌々日から五十一例が新たに発症をいたしました。そのうち、三十五例は全部牛ですよ。これはやはり、政府としての認識は甘かったというふうに私は自覚をしてほしい。

 御答弁を求めます。

山田副大臣 そのころ、豚にかなり頻繁に発生した時期で、四日、五日に牛の発生がなかったということから、私としては六日の日に、一応牛は落ちついてきたんじゃないかと、当時、記者会見で、少し落ちついてきたような感じを受けますという話をしたことは事実です。当時、豚がまだかなり出そうな雰囲気ですが、制限区域内に封じ込めることができれば、何とか、本当にいいんじゃないかという話をさせていただいたという記憶がございます。

江藤委員 やはり、最初から言っていますけれども、もっと危機感を持ってください。我々が一番恐れていたのは豚への感染なんですよ。千倍、二千倍、三千倍の感染力を持つようになってしまう。我々は現場で、豚に行ったら牛が全滅すると思っていたんですよ。豚に行かないことを最重要目標にやってきたんです。確かに、その二日、牛は出ませんでした。豚が出た時点で、これは牛はもっとやばい、これはどえらいことになったと。

 この三役の中で一番畜産に詳しい方じゃないですか。私は、副大臣からこういう発言が出たことは非常に残念です。みんなびっくりしていましたよ。みんな豚に感染してびびっているのに、何か牛はこれで終わったようなことを副大臣が言っている。それは、もう責めても仕方がありませんから、一応胸に刻んでおいてください。御答弁は求めません、もう今いただきましたから。

 続いて、今度は大臣にもう一度お尋ねをいたします。

 食料・農業・農村政策審議会、この担当小委員会が六日の会合で、風による広範囲なウイルス拡散は考えにくいという発表をしていました。これも新聞で見ました。これは私は非常に問題があったと思うんですが、大臣の御見識を伺います。

赤松国務大臣 正確に申し上げれば、まだすべての、例えば感染源だとか、感染経路だとか、それが検証されたわけじゃありません。ですから、これはもちろん、抑え込むという一つの作業と並行して、一体どこから病原体が来たのか、あるいは、もともとのもとは何だったのかというようなことは、専門家の先生方に今検討していただいております。

 ただ、私どもが最低限言えることは、これは人にはうつらない、あるいは、うつった豚、牛を食べても全く人の健康には影響ない、害がない、そういうことはもう科学的に証明されているわけですから、そういうことをきちっと踏まえた上で、あとは、いろいろ、この辺のマイクで言っている人たちは、人にもうつるんだとか、あるいは空気でどんどん蔓延して、あっという間にこれが全国へ広がるんだみたいなことをあおり立てるような意見、インターネットでもそういうのがありますけれども、そこはもう少し冷静に私どもは考えた方がいいのではないか。

 今のところ、先生方のお話としては、どうも、入り口付近で発生しているとかなんとかから見ると、人とか車がウイルスを媒介しているのではないかというような見方が多いというのも事実でございますけれども、ただ、それだといって断定したわけではございませんので、あらゆる可能性を今見ながら、きちっと厳格に検証をしている最中ということでございます。

江藤委員 大臣の言うとおりなんですよ。最終的な結論が出る前に、あやふやなこういうものがきちっとした情報管理もなされずに流れ出してしまう、これは危機管理能力の欠如ですよ。

 現場に行っていないからわからないんですよ。二百メートルしか離れていなくても、うつっていないところはうつっていないんです。二キロ、三キロ離れているところでも、うつっているところはうつっているんですよ。

 もっと言いますと、山田副大臣はわかっていただけると思いますけれども、養豚のウインドーレスのそこに入る人たちは、着てきたものを全部着がえて、シャワーを浴びてきれいにして、体を洗って、滅菌した服を着て、長靴を履いて、手袋をして、帽子をかぶって、それで入るんですよ。ウインドーレスですから、外気との接触点というのは換気扇しかありませんよ。ネズミとか鳥なんて絶対入ってくるスペースなんかない。ありませんよ。そこに発生したんですよ。とんでもない頭数ですよ。とても獣医では殺処分できません。これは特例をいただいて、炭酸ガスで殺処分をいたしました。悲惨な状況ですよ。ですから、地元の方々が何を言っているかというと、これはやはり空気感染というものの可能性が高いなというのが地元では通例になりつつあります。

 この発表がなされたことによって何が起こったかというと、畜産農家の方々は、自分の周辺とかそういうところのチェックポイントの強化をしておけば、空気で飛んでこないんだから大丈夫なんだろうと思っちゃったんですよ、みんな。やはり権威ある人たちの御意見じゃないですか、正式発表じゃありませんけれども。

 ですから、今後は、最終結論が出るまでは、こういった現場の対応に混乱を来すようなことはきちっと抑制をしてください、副大臣、大臣、三役。このことを強く求めないと、今度の防疫体制、これはまだまだ、残念ながら広がります、言いたくありませんけれども、とまる気配を見せませんので。そのことを強く申し上げておきたいと思います。

 それから次に、いわゆる家畜の移動の問題。家畜改良事業団、六頭の種雄牛がいます。三十六年の長い時間をかけて改良してきました。隆美号、糸秀、安平、世界に名立たるような名牛をつくってきました。そして今、その次の世代を担う六頭の牛が、宮崎県の牛、大体八〇%強、種つけを今しています。これがいなくなってしまったら、宮崎ブランドは消えてしまうんですよ。

 伝染病予防法を読めば、制限することができると。移動させちゃいけないとは確かに書いていない。ですから、移動していいと御英断をいただいた。感謝しています。県も、三つの条件、これをクリアしてくれた、努力をしてくれた。このことについては、大変私はありがたいと思う。ただ、移動される経路のいわゆる市町村、それからそれに隣接する県の人たちが不安な気持ちになるのは、これはやはり当然だと思いますよ、恐ろしい病気ですから。

 きのうの参議院の質疑を私はテレビで見ておりました。大臣が何度もおっしゃったことは、県の責任においてということを、確かにそうです、事業主体は県なんですから。ただ、やはりここは、国が一歩前に踏み出していただいて、例えば隣県が鹿児島、熊本だったとした場合、最後は国が責任を持つから、わかってやってくれと。そういう仕事を私は国にお願いをしたい。

 将来、宮崎県がやはり和牛生産の一大拠点として生き残るためには、最後に守らなければいけない城なんです、ここは。ですから、県の県のという話、わかりますけれども、理解はしますけれども、大臣、この場で、わかった、最後は国が責任を持つ、そう決断して、表明をしていただけませんか。

赤松国務大臣 私は、県がきちっと責任のもとでやってほしいというのは、例えば三条件の中で二番目を見てもらえばわかるんですが、清浄性が確認される、これは国の方でも確認ができます。ところが、現地へ行ってから、そこがちゃんと清浄性を保つための管理をきちっとやってくださいよということは、これは宮崎県にお願いしないと、我々が常に見て、国の施設としてやるわけじゃないものですから、それはいいですねと。きれいなものが行ったって、ほかからうつらないように、ちゃんと管理してくださいよということは、これは宮崎にきちっと自覚を持ってやっていただかないといけないという意味で私は申し上げています。

 ただし、今度のことでも、最初に決まったのがまたちょっとあれになってみたいなことは、どことは申し上げませんが、近くの県が、そんなものが来たときに、もしかかったらどうしようかなみたいなことで、御心配があった。だから、そういう他県に対して、いや、これは宮崎だけじゃなくて日本全体の宝なんだから、それをやるために、ぜひ他県としても、近くへ来るけれどもそれは了解してほしいと、そういうような努力は、これは国としてやることは当然でございますので、そういうことはきちっとやらせてもらいます。

江藤委員 ありがとうございます。

 それは、出す手順についての責任は県です。ないと信じておりますが、もしかしたら、移動した牛が発症する可能性がゼロとは言えません、空気感染があるわけですから。イギリスでは、ロンドンの霧にこのウイルスが乗って、ドーバー海峡、ヨーロッパ大陸まで飛んでくるとまで言われている。これはそれぐらいの伝播力のあるウイルスなんですよ。

 ですから、万々が一起こった場合は、そのときは国が、万全、最終的にすべての責任を持つから、わかってくれという説得をしてください。これはお願いですから。今、決断していただいたので、大変このことについては感謝をいたします。ありがとうございます。

 それでは、皆さん方にも参考資料としてお配りをしました、これは口蹄疫に関する谷垣総裁の名前で出させていただいたものでございます。これは、私が実は一任を受けまして、畜酪の委員長をしておりますので、一人でつくったものでありますので、多分に足らざる点があります。

 例えば、猶予期間、こういうところについても、猶予を求めると書いておりましたけれども、これは無利子無担保というような言葉が実は抜けてしまっておりまして、もしできることがありましたら、皆さん方にはこれは書いてほしいなと、勝手なお願いですが、そういうふうに思うわけであります。

 それでは、これから山田副大臣に質問が集中しますが、どうぞよろしくお願いします。

 まず、第二番目についてお尋ねします。これは通告を全部してありますからね。

 出荷停止により、収入が途絶える農家に対して、一時金の給付など生活支援策を講じるとともに、税金や公的機関への納付金などの支払い期日を猶予すること。この猶予というのが私は間違いだったと思っているんですよ。あのときは猶予でまだ事足りると思っていました。でも、事がここまででかくなると、私は、これを免除とすべきだったなというふうに反省をしております。

 このことについて、副大臣の御見識、お考えをお聞きしたいと思います。

山田副大臣 畜産農家、特に口蹄疫の発生した畜産農家につきましては、もちろん出荷もできませんし、現金収入もなくなりますし、それは大変だと思いますので、生活そのものも大変だと考えています。

 そんな中で、まずは、いわゆる五分の四の家畜伝染病による評価等、それについては、先般、大臣が宮崎県に行ったときも、早く出してほしい、すぐにでも国としても出したいと思っているのでと。それをできるだけ迅速に適用させていただきたいと思っておりますし、かつ、再生資金については、疾病維持資金で、個人だったら二千万、法人だったら八千万、市町村、県の協力も得て、そういった制度があります。

 一方、そうではなくて周りにいる、制限区域にいる家畜の農家の人たちについては、出荷もできない。そういった意味では、返済猶予、まずえさ代の返済猶予、これを国の方から各えさ会社、全農さん初め皆さんに要請させていただいております。今まで、支払いについても、返済猶予法案、いわゆるモラトリアム法案も成立しておりますし、まずは返済猶予だと思っております。

 その次に、いわゆる生活資金については、宮崎県が貸し付けを始めてくれたんですね、今、県として。それについての利子補給等については、恐らく無利息だと聞いておりますが、これから総務省と私どもが相談して、特別交付金でそれがどれだけ賄えるかということは検討させていただきたい、そう考えております。

 もろもろ、私ども、そういった畜産農家についてのいろいろな資金面での手当て等も考えておりまして、税についても、猶予という形で、今、そういう方法もできるやに確かめておりますので、できるんじゃないか、そう考えております。

江藤委員 ですから、先ほど申し上げました猶予の方向で検討に入っていただいている、これは一歩前進です。でも、猶予では無理です。これはいずれ払わなければなりません。ですから、ある程度そういう支払い能力が畜産農家につくまでの間は、国税、消費税、それからいわゆる所得税、法人税、これについては免除する、それぐらいの思い切った方策を地元は期待しております。

 そして、なかなか難しいのはわかりますけれども、地元は動き出しているんですよ、今お話がありましたように。例えば、農協の例を御紹介しましょうか。農協は、生活費であったり経営支援資金であった場合は、ほとんど無審査で貸していますよ、尾鈴農協。それがどれほど農協の経営に圧迫になるかなんということは二の次です。おれたちはつぶれるかもしれないとみんな言っていますよ、農協は。それは、どれだけ農協の皆さん方が畜産農家との距離が近いか、真剣に彼らのことを考えているか、この証左だと私は思う。

 畜連についても、尾鈴農協、児湯農協、西都農協の三つで経営しているわけですけれども、子牛の競り市は出荷できませんでした。だけれども、希望者には、出荷したとみなして一頭当たり二十万円を仮渡金として差し上げましょうということで、お金を出しているんです。本当になけなしの金ですよ。地方ではこれだけ頑張っているんですから、国ももう一歩二歩前に出てくださいよ。ぜひお願いします。

 この税金は、先ほど言いましたが、猶予というのであればだめですね。この際チャラにしてください、緊急事態ですから。今お返事はいただけないんでしょうけれども、ぜひ政務三役で御検討していただくことをお願いします。

 全然時間が足りませんけれども、三番目についてお尋ねをいたします。

 出荷の延期等に伴い経営継続に支障が生じないよう、日本政策金融公庫より、無利子の運転資金の融資を速やかに行うこと。これは山田副大臣が若干触れられました。二十億から百億に枠を広げたこと、悪いと思いません。枠が広がった、いいことだと思いますよ。それから、対象区域が広がった、これも私はいいことだと思います。感謝申し上げます。

 だけれども、では実際この金が使われるかというと、残念ながら使われません。宮崎県が新しいこれに近い制度資金をつくりました。現場の方々は、宮崎県の資金の方がよっぽど使いやすいので、県の方に申し込みをする。だけれども、国の顔も立てぬと悪いしなと。やはり政権与党にはみんな気を使うんですよ、正直なところ。

 私はここで提案をいたします。この資金について一番やらなきゃいけないこと、これは貸し付け条件の緩和であります。貸し付けの限度額は、個人で二千万、法人で八千万、こうなっています。農協が、経済連が一千万乗せていますから、三千万、九千万に前回はなりましたけれども、経営体もでかくなっていますから、こんな金額ではとても足りません。せっかく百億に広げたんだったら、この貸し付け条件をよくしてくださいよ。しかも、融資期間はたった五年、据置期間はたった二年。無理です。

 地元の声を聞いてまいりました。十五年、二十年にしてほしいと。これを思い切って十五年、二十年にしてほしい、それぐらいの時間がかかりますよ、今回のダメージは。それほど傷は深いんです。(発言する者あり)県のは七年です。経営継続資金は、乳用牛は十万円。笑いますけれども、二年でも長いとありがたいんですよ。

 経営継続資金についても、乳用牛十万円、その他の畜種についても金額が入っていますけれども、こんな金額では、とてもじゃないけれども、やれません。ですから、貸し付け条件の見直し、これをきょうから早速、政治主導で、政務三役で検討に入ってください、これをお願いします。きょうは御答弁はできないと思いますので、御答弁は求めません。

 これについては、飛んで申しわけないんですが、三ページ目の三十一、三十二項目、いわゆる口蹄疫発生によって影響を受けるさまざまな関連産業、商店街とか運送業であるとか、いろいろあります。そして、地域経済への多大なる打撃についても、これに準ずるような温かい制度資金の導入ができるように、御検討を進めていただきたいということをあわせてお願いをしておきます。もう時間がないので、済みません、答弁は求めません。

 四番目について申し上げます。発生農場の患畜及び疑似患畜の殺処分、埋却について、家畜伝染病予防法を改正し、全額を国庫で行うこと。

 国有林という話がありましたけれども、国有林は使えないということは大体御理解がいただけたと思います。防風林に埋めますと、一メートルで水が出ます。確認しました。そして、漁業問題もここで発生しています。そういうことであれば防風林は使えません。山に行くとなると、物すごく遠いので、移動距離が長くなるとリスクが高いです、患畜を運ぶわけですから。

 ですから、やはり農地を買い取るしかないんですよ。ところが、農地を買い取りたくても、農地は自己資金で買わなきゃいけないことに今なっています。農地が見つかっても買えない人がいるんです。これはやはり国が面倒を見てください。

 そして、きのうの朝、川南町長さんとお話をしましたら、現在発生している分の埋却地については何とかめどがついたという報告を受けました。よかったですね、頑張られましたねと。もう疲労こんぱいですよ。本当に一軒一軒農家を歩いてお願いをして、頼んで、地域のためだから協力してくれ、本当に畳のへりに頭をこすりつけるようにして、関係団体、農協の人もそうですよ、県の人も働いたかもしれない。そういう人たちの努力によってこの埋却地は確保された。きのう、何か政務官は十六ヘクタールとかいう答弁をされたようですけれども、まだふえるかもしれませんよ。

 そして、酪農家は草地に埋めました、自分の牧草を植えるところに。そこにまた牧草を植えられますか。酪農家にとっては、そこはお墓ですよ。その上にまた牧草をまいて、北海道の先生方だったらわかるでしょう、またトラクターを走らせて牧草を刈り取って、それを新しい牛に食わせますか。できませんよ。トラクターに乗るたびに涙が出るでしょう。ですから、埋却地については国が全部面倒を見てほしい、このことを要求します。

 それから、この埋却についてはいろいろ問題があります。平成十六年十二月一日に大臣が公表したものがありますね。口蹄疫に関する特定家畜伝染病防疫指針、これによると、いわゆる査定する人間が来てからじゃないと埋められないというふうになっているわけですが、実際にはそんなものを待っていられません、蔓延してしまいますから。どんどん殺処分して、どんどん今埋却を進めております。

 家伝法自体が昭和二十六年にできた法律ですから、古いんですよ。これは早速、直しましょう。畜産の形態も変わりました。経営規模も変わりました。ですから、そんな私が生まれていないときのような法律がいまだに生きていて、それが基本になって指針がつくられている、このこと自体も私は問題だろうと思います。

 このことについては、副大臣、今度は御答弁を求めますので、お考えを簡略にお願いします。

山田副大臣 殺処分するときに、地元の知事さんが任命した三人の専門家が評価することになっていると聞いておりますが、先ほども話しましたように、五分の四、五分の一のいわゆる損失分を補てんするために、全く評価できないということはできないでしょうから、できる限り評価していただいて、ただ、豚みたいに何千頭も、一万頭を超えるような頭数になってきたときには、一頭一頭の評価というのは不可能でしょうから、当然のことながら全体で。そういう便宜は、私も心配になって聞きましたところ、現場においては十分そういう配慮はしながら、評価事務もそういう形できちんとやっておりますというお話だったので、安心しているところです。

江藤委員 副大臣、ありがとうございます。

 ですから、一応、家伝法に基づいた殺処分は行われていない、埋却は行われていないんですよ。ですから地元の声をお伝えしますけれども、最終評価で補償をするのではなくて、概算的評価基準等で仮払いしてほしいんです。きのうも古川議員が一生懸命言いましたけれども、仮払いをしてほしいんですよ。先ほど、五分の四のお金を当面の生活費に充てろというふうにおっしゃいましたけれども、それは酷な話ですよ。そして、最終的に精算するという形にすれば、国庫には何の損失もないじゃないですか。

 強力なリーダーシップを大臣に期待します、副大臣に、政務官に。ぜひ、その査定に当たっては、その農場主も現場に立ち会って、納得する価格で最終的金額が決まるように、やはり政治的な指導力、リーダーシップを発揮していただきたい。このことを重ねてお願いしておきたいと思います。

 質疑時間が終わったという紙が来てしまいました。あと一つだけやらせていただいてよろしいですか、委員長。だめですか。

筒井委員長 短くしてください。

江藤委員 わかりました。ありがとうございます。(発言する者あり)

 小里先生が五分くれるそうですから、よろしくお願いします。

 経営が再建されるまでの期間、休業補償をすること。これは五番目に申し入れとして書いてあります。これについては与党内で御検討が進んでいらっしゃいますか。副大臣、五分ですから簡略にお願いします。

山田副大臣 経営が再建されるまでの所得補償ということなんですけれども、休業補償といいますか。実際には、今までに肥育した評価を、例えば五分の五で売却してもらえば、一応の、当面のといいますか、私はできるんじゃないかと思っています。

 それに、互助会に、皆さん薄く、たしか二百円ぐらいで入っておられると思うんですが、今回……(江藤委員「疾病基金のですね」と呼ぶ)はい、基金の互助金制度。これは、江藤さんのお父さんの時代につくられた制度だと聞いておりますが、その互助基金のうちから、次に牛を入れるとき、豚を入れるとき、乳牛だったら十九万八千円とか、たしかそういう金額のものがそれぞれ出てくると思いますので、そういった形で、当面、生活さえ何とかしてもらえばやっていけるんじゃないか。

 その間の休業補償は、例えば、この前、津波で災害があった宮城の漁民あたりも今大変困っているんですけれども、ああいった場合でも、もちろん休業補償とかそういったことはできませんし、できるだけのことはいろいろな形で検討させていただきますが、そういった方向でやっていただければと思っています。

江藤委員 副大臣のお気持ちはよくわかりました。当面は五分の五の金が出れば何とかなるだろうと。それは、頭数が多ければ、家族が飯を食っていく分ぐらいは何とかなるかもしれませんよ、子供の学費を払うとか。ただ、頭数が少ない農家は、ほんのちょびっとしか出ないわけですから、すぐにそんなお金は尽きてしまいます。

 ですから、私、例えば酪農の話を少しさせてもらいます。

 酪農を再建する。終息宣言が終わって、清浄化宣言ができて、もう一回再起しようという話になった場合、四カ月、五カ月の妊娠牛を買ってこなきゃいけない。持ってきても、搾乳するまでに四カ月かかりますよね、政務官。そして、搾乳して出荷してメーカーに出しても、金になるのは一カ月半後ですよ。

 いつ再開できるかわからない、いつ牛を導入できるかわからない、いつ搾乳が始まるかわからない。地元の声は、下手をすると、もしかしたら一年もしくはそれ以上、おれたちは無収入になるんじゃないかと。その間に破産ですよ。一家離散。ですから、五分の五だから食っていけるだろうというのは、副大臣、申しわけないんですが、若干認識が甘い。早く終息すれば、それで事足りることもあるかもしれない。

 ただ、先ほども言いましたように、私が毎朝畜連に電話をして状況を聞いていると、こういう声が出ました、きのうの委員会でも話が出たようですけれども。これは、域内のみんなの合意が得られれば、蔓延防止の手段は、もう全頭殺処分しかないのではないかと。最初言い出したのは一人、二人でしたよ。それは発生農家じゃないですよ、発生していない農家ですよ。周りに迷惑をかけないために、うちの豚も殺していい、うちの牛も殺していい、これで封じ込めようという声が地元で今どんどん広がりつつあるんですよ。

 そんなことはしたくないです、私だって。大臣は、そんな、生きている牛を殺すのは心が苦しいとおっしゃいました。私だって同じ気持ちですよ。だけれども、これは、莫大的にパンデミックになることを考えたら、そのことも一応視野に入れて、今、やると言わなくて結構ですから、検討課題としては頭の隅に入れておいていただきたいと思います。

 たくさんまだ残ってしまいましたけれども、小里議員もいい質問を用意していただいていますので、これで私の質問を終わりますが、最後にもう一回確認をさせてください。もう、自由民主党も民主党も共産党も社民党も公明党もみんなの党も、ほかにもいろいろありますけれども全部覚えていないので、それはありません。とにかくこれは、選出された国会議員すべてが力を合わせてやることであって、団結することが大事だと思います。足を引っ張りはいたしません。問題点の指摘はします。要望もいたします。大臣に対しても、これからはもう少し敬意を表するようにいたします。

 ですから、どうぞ、皆さん方の、委員の皆さん方のお力をおかしいただけますことを、地元代表の選出議員として心からお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願いします。

筒井委員長 次に、小里泰弘君。

小里委員 自民党の小里泰弘でございます。

 引き続き、口蹄疫についてお伺いをしたいと思います。

 まず、現在の被害状況はどのような状況か、お伺いをいたします。

佐々木大臣政務官 現在の状況についてお答えをさせていただきます。

 四月二十日以降、八十六例の発生を確認して、約八万頭を殺処分するとしたところでございます。川南町、都農町及びえびの市に今のところ限局されてございます。

 それから、発生が続いていることについて、牛豚等疾病小委員会においては、厳格な消毒、迅速な殺処分等、防疫措置を徹底すべきとの意見をいただいているところでございます。

 さらにまた、殺処分についてでございますが、本日まで、国や都道府県から派遣している獣医師を約百四十名まで増員させていただいてございます。農政局等の派遣職員は約百三十名規模に増員をしているところでございます。

 こうした人的支援を強化させていただき、できることはすべて行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

小里委員 このような事態に至った責任についてどんなふうにお考えか、大臣にお伺いします。

赤松国務大臣 責任といって、責任を自分は回避したいとか、そういう気持ちは別にありません。

 ただ、私どもとしては、一部には、初動がおくれたのではないかとか、認識が甘かったのではないかとか、いろいろ言われていますけれども、去年の段階から、台湾での発生、あるいは本年に入ってまた韓国での発生、その都度、全国各地に、こうした今の口蹄疫、O型の蔓延の兆しありということで、万全の体制をとってほしいと。

 例えば、飛行機で汚染地域から来ておられる方には、申しわけないけれども、靴の底をきちっと消毒して入ってもらう、あるいは船で入る場合もそういうような形でやってもらう。そしてまた、万が一そういうことが起きた場合には、埋却地の確保をきちっとしてほしいというような通達等もそれぞれに発して、そして、残念ながら四月の二十日に正式にその発生が確認されて以降、万全の体制で、できることをすべてやってきたということだと思っております。

 その都度、残念ながらしかし数はふえてきたわけでございまして、二十三日の対策、三十日の対策、そして私が現地を訪れました十日の、現地でのまた要望を受けての対策、二弾、三弾という形でレベルアップしながらあらゆることをやってきたということで、その点についてはぜひ御理解を賜りたいと思っております。

小里委員 十年前の口蹄疫の発生時におきましては、例えば宮崎では三例、三十五頭の段階で、まさに国と与党あるいは自治体が強靱な連携を講じまして、封じ込めに成功したわけであります。被害を最小限度に抑えることができた、そのように言えるんじゃないかと思います。この経験を踏まえまして、私ども自由民主党は、発生と同時に農林部会を何回も招集して、情報を収集し、意見を取りまとめて、政府へたび重なる要請を行ってまいりました。

 また、四月二十七日には東国原宮崎県知事が党本部にもお見えになりまして、十年前は自民党にしっかりと抑えてもらった、ぜひその知恵をかしていただきたい、そういう要請を受けたわけであります。その言葉の裏には、今の政府の対応に対する不安感、不信感がにじみ出ていた、そのことを我々は痛感いたしました。

 そして、この東国原知事の要請を受けまして、翌日、二十八日に、谷垣総裁、自民党の口蹄疫対策本部長を先頭にして宮崎県へ赴いて、関係市町村、JA、あるいは県、生産者団体等の意見を聴取し、要望を受けたわけであります。その要望を踏まえて、翌二十九日、総理官邸及び農水省に対して、今、江藤委員がお述べになったような四十二項目にわたる要請を行ったわけであります。

 こうした中にも被害は日に日に拡大をしていきました。例えば、宮崎でのくだんの意見交換会におきましては、何をしていいかわからない状況が続いている、あるいは、十年前と比べて国の対応が遅い、今の対応では再起ができない、そういった意見が相次いだのであります。やはり初動態勢のおくれというのは否めないと思います。

 さらに、四月三十日、農水省への陳情を行った際に、対応したのは舟山政務官でありますが、宮崎県の対応がおくれてしまったと述べました。確かに、宮崎県における対応のおくれはあったかもしれない。しかしそれは、国の指揮官が言ってはいけないことなんですね。まさに親が子に責任を転嫁するような話でありまして、極めて残念に思った次第であります。

 赤松大臣は、それまでの間、つまり五月十日まで、一度も宮崎県入りをしなかった。陣頭指揮をとろうという姿が見えなかったんです。そして何より、連休中九日間ですか、外遊に行かれた。これは何としても残念なことでありました。

 宮崎、鹿児島県は、日本の畜産の一位、二位、三位を争う大事な畜産県であります。まさに日本の畜産業の一大危機、日本の食料安保にかかわる大変なこの緊急事態において、何という危機感のなさ、危機管理能力の欠如であろうかと、現場からはその声が日ごとに増してくるわけであります。

 改めて、この一連の経緯、事態をどう考えておられるか、大臣にお伺いをいたします。

赤松国務大臣 いろいろ御指摘をいただきました。もう二回にわたり、この衆議院における農水委員会でもお話をしてまいりましたし、昨日はまた参議院の委員会でも、夜、同様の御質問も出ておりますので、お話を申し上げてまいりましたけれども、私どもが今回の発生を確認し、あれしたのは四月の十九日の未明でございまして、二十日の朝、直ちに口蹄疫の対策本部、これは家畜伝染病予防法にのっとって、かつて十年前のいろいろな教訓がありますから、それに従ってのいろいろな手順の一つのマニュアルみたいなものはきちっとございますから、それに従う形で、前日から、万が一にもそうしたことが起こったらということで用意はしておりましたけれども、二十日の日に直ちにこうした対策本部を立ち上げさせていただいたというところでございます。

 そして、その発生時点でできることすべてをやり切ろうということで、薬剤を全額国庫負担により直ちに散布するとか、あるいは人の派遣、これは現地の九州農政局から部長を現地の責任者として常駐させる、本省から獣医等を派遣する、そして職員も派遣をするということも含めて、私が陣頭指揮でその辺のところはやってきた。

 そしてまた、山田副大臣にも現地へ行ってもらいまして、また何回も話題に出ましたけれども、副大臣自身が畜産業を経営していたというプロでもありますから、彼にも行ってもらって、現地の声を聞きながら、また東国原知事とも率直に意見交換をしながら、何が必要なのか、何を今、県として国に求めているのか、そういうことも含めて、具体的には二十三日に第一弾、三十日に第二弾、そして私が十日にお邪魔した以降第三弾ということで、それぞれまた追加的な措置についても行わせていただいたということでございます。

 三十日の夜からメキシコ、キューバ、コロンビアと、それぞれあらかじめ議会に予定表を出して、議運の御了解もいただいて、その予定どおり参ったわけでありますけれども、連日、今はこういう時代ですからリアルタイムで連絡もつきますし、その都度、きょうはどこどこで出たものが黒だったとか白だったとか、そういうことも含めて報告も受けながら、また、私がいろいろ指示できるところは指示をさせていただいてきた。もちろん、形式的には福島みずほ大臣に臨時大臣ということでやっていただいた。

 これはもう何回も出ていますので、またそれを言うと時間が長くなりますから省きますが、EPAの問題。あるいは一千万ドルの不良債権の処理の問題、そしてまたJICAを通じての農業支援、漁業支援が、例の台風の影響で、台風が三回来て壊れてしまった、それをこの九月に再開させるかどうかということも含めて。あるいはコロンビアでは大統領と直接会って投資協定の問題、そしてFTA、EPAの問題等について話をしてまいりましたし、また、その成果も十分上がったということです。

 特に、マグロの問題もありました。これのお礼も申し上げてきました。六月には、IWCの鯨の総会があります。これについても、しっかりとそれらの国々に理解を求めるような、あるいは持続的な利用ならいいという形で反捕鯨国であるメキシコから言質をとるなど、そのようなこともやってきたということは、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

小里委員 長い御答弁でありましたが、私は言いわけにしか聞こえません。

 赤松大臣が外遊に旅立った三十日の時点で、口蹄疫の発生事例は十二例、処分対象は四千三百頭でありました。外遊中の九日間に、新たに二十三例、四万五百二十三頭が発生をしているわけであります。陣頭指揮をとるべき担当大臣が日本を離れている間にこれだけの被害拡大を見た、その事実は厳然としてあるんです。その後も、御案内のとおり、日ごとにこの被害拡大は増しているわけであります。

 昨日、総務委員会で質問をさせていただきましたが、原口大臣は、これは災害であるという表現をなさいました。災害といえば、私は、阪神・淡路大震災におきまして、担当大臣の秘書官として現地に二十数回赴いて、その対策を末端の方で担ったわけであります。また、平成十八年の鹿児島県北部の豪雨災害におきましては、地元の代議士として大変厳しい経験をいたしました。そのときの経験として、とにかく、こういった大きな災害時におきましては、国の指揮官がまず現地に行くことであります。そして、予算も任せろ、制度も任せろ、おれが全責任をとる、存分にやってくれ、この一言があって初めて自治体も思うように動けるのであります。

 教科書もない、ノウハウもない事態が往々にしてこういう災害時には発生をしてまいります。制度の不備につきましても、さっき江藤先生がおっしゃったように、見受けられるでありましょう。そういったときには、やはり政治決断というものが必要になってまいります。

 そういった、国のしっかりしたリードをしていく姿が見えないと、国の対応がどうなるかわからないから、予算がどうなるかわからないから、自治体も思うように動けない、あるいは現場にも動揺、不安が広がってしまう。したがって、動かしちゃいけない牛や豚を動かしてしまう、あるいは動いちゃいけない人が行ってはいけないところに行ってしまう。そういったことでまた被害が拡大をしていくわけであります。今回、政府の危機管理能力の欠如、対応の不備は否めないと思います。

 再度、改めて大臣の見解をお伺いします。

赤松国務大臣 今申し上げたように、私どもは旧来から、できることはすべてやっていく。そして、本来、法によれば、法定受託事務ですから宮崎県ということですけれども、そういう立場ではなくて、まさに国と県と市、町がしっかりとスクラムを組みながらこの難局に当たっていく。これはもう当然のことでございますので、今後ともそういう体制で引き続き頑張ってやっていきたい。小里議員を初め、国会の各委員の皆さん方にもぜひ御協力は賜りたいというふうに思います。

小里委員 当然、私どもも、持てるノウハウ、自民党の全能力を発揮して、対応の御協力に当たってまいりたい、それは言うまでもないことであります。

 今になって、大臣が処分対象牛の全額補償を初めとする対応を発表しておられます。やはりこれは遅きに失しているんですよ。

 あるいは、自衛隊の派遣にいたしましても、現地から自衛隊派遣要請の声が上がってきたはずです。我々もお伝えをした。ただ、そのときに、政務官あるいは官邸の答えにおきましても、自衛隊を派遣すると動揺が広がってしまう、大ごとになってしまうということで消極的でありました。そして、おくればせながら、連休に入ったころでしょうか、自衛隊の派遣が成ったわけでありますが、これも最小限度の域を出ない体制であろうと思います。

 一般車への消毒も、現地から訴えが上がってきていたはずであります。これもずっとやっていなかった。そして、マットに消毒液をしみ込ませてその上を通過させる手法であれば、そんなに人員も要しないし、できるんじゃないか、そういう現地からの声、また我々の提案を受けて、これがきのうかおとといからですか、始まったと聞いております。

 情報提供にしましても、海外の事例を見て、なすことはやってきたということでありますが、それが本当になされておれば、この前宮崎県で聞いたような、何をやっていいかわからない、ああいう声が上がってくるはずはないのであります。

 東国原知事が現政権の対応に対する不信感、不安感をにじみ出しておられた、それは申し上げたとおりであります。現に、殺処分も追いつかない、そして被害は拡大している。結果がすべてだと思うんですね。対応のおくれと対応の拙劣さというものは否めないと思うわけであります。改めてお伺いしてもどうかと思いますので、これはやめます。

 先日、例えば、三キロ圏内におさまっていることは幸いだと、たしか副大臣がおっしゃいました。何が幸いなのか、私は耳を疑いました。大臣一人がいなくても、みんなでやるからどうにかなるんだと言わんばかりの答弁を大臣がなさった。これだけの空前の被害を招いておいて、何たる発言であろうかと、私は本当に疑問に思ったわけであります。

 ちなみに、三キロ圏内とかおっしゃったけれども、川南とえびのの距離は何キロでしょうか、大臣。

赤松国務大臣 順番に申し上げますが、発言をされるときはきちっと確認して、事実関係で言っていただかないと誤解を生みます。

 五分の四の話あるいは残りの五分の一の話も、私は、知事が来たときに、もうその時点でしているんですよ。それはマスコミにも全部公開していますから、テレビやそういう人たちも全部そこで聞いているんです。五分の四ありますよ、しかし、五分の一、御心配でしょう、本当は共済でそれはカバーできるんだけれども、共済に入っていない人もいると聞いています、そのときは特交でやりますから心配しないでくださいということをちゃんともうその時点で、二十七日の時点で知事にも言っているんです。

 それから、自衛隊の話も出ました。自衛隊も、その要請する権限は知事にしかないんだから、あらかじめ北澤防衛大臣には私が話してあるから、早く要請した方がいいですよ、埋却する人手が足りないというんだったら、自衛隊もそれにちゃんとこたえてくれますから、要請はきちっと知事の方からしなさいということで、準備をしておいて、やっとそういう話があって、直ちに、県からの申し出に従って、次の日にすぐ自衛隊が派遣された。

 今延べで千何百名行っていると思いますが、この間、もう一度お会いしたときにも私は、それで足らないんだったら、要請すればまた自衛隊を出してくれると、ちゃんと私が北澤さんに話して言ってあるから、必要だったら、もっと、倍ぐらい出してくれとか要請したらどうですかと、この間、十日に行ったときも言っているんです。

 だから、そういう事実関係もちゃんと言っていただかないと、さも十日から、帰ってきて急に何かばたばたやり出したみたいな、そういううそを言っちゃだめですよ。

 それから、何か、十年前はよかったけれども、今の政権では心もとないみたいな。僕も、そういうことを勝手にいろいろなところで書いたりなんかしているから、知事さんにこの間聞いたんですよ、そういう、何か御心配があるようなことを言っているけれども、本当にあなたはそう思っているんですかと。とんでもないです、本当によくやってもらっています、そんなことを私は一切言ったことはありませんと。きのうの質問でも、委員会で出ていますから、見てください。ちゃんとそういうことを、自民党の議員の人がそういって否定しているじゃないですかと。そういうことをちゃんとほかの自民党の議員の人たちが言っているのを確認して言わなきゃだめでしょう。

 だから、そういう意味で、そういうことを踏まえた上での批判なり御意見なりは結構ですけれども、事実に基づかないそういうようなことはやめていただきたいというふうに思います。

小里委員 これ以上、そういう無責任な言いわけによる失態はさらさない方がいいと思いますよ。(発言する者あり)

筒井委員長 ちょっと、聞こえませんから静かにしてください。

小里委員 全額補償の問題にしましても、時期の表現の多少のずれはあっても、遅かったというのは事実なんですよ。最初の時点でそんなことは宣言すべきなんですよ。

 あるいは、五分の一、五分の四のお話がありました。五分の四は国が助成をする、五分の一は特交でというようなお話であったけれども、では五分の一の共済の分については、それぞれの農家が負担をしている掛金はどうか、それは別にしてちゃんと国が実質補償してくれるのかという議論は、たしかきのうかおととい江藤議員がやったところでありまして、これも明確にはその時点では決着をしていないわけであります。

 また、自衛隊につきましては、この連休前、我々が農林省を訪れたときに、政務官が自衛隊の派遣については消極的な発言をなさった、総理官邸では官房副長官が消極的な発言をなさった、これは事実なんですよ。これは事実として確認を申し上げたいと思います。

 きのう、佐賀県で九州の市長会が開催をされまして、政府の今回の口蹄疫における対応に対して極めて厳しい意見が続出をしたそうであります。そして、特別決議を行ったということであります。

 その中におきましては、この重大事に大臣が外遊などなっとらん、連休前に自民党議員が農林省を訪れたけれども、何で大臣が対応せずに政務官であったのかと。あるいは、民主党の議員団にしても、連休明けに陳情を行ったということで、これもおくれているんじゃないかと。これは市長会で出た意見であります。

 そして、これは本当に残念なことでありますが、風評被害につきましては、業界筋では、九州の子牛や種は取り寄せるなという声が上がっているそうでありまして、これも政府の対応のおくれがなしたことであるという批判の意見があったそうであります。

 これは本当に激甚災害だ、合議などをやっている場合じゃない、総理、大臣が直に指揮をとるべきだ、そういった意見も上がったそうでありまして、まさに九州全域に広がっていくんじゃないか、そういう危機感に包まれておったそうであります。

 けさ一番にでも口蹄疫の決議を持って農林大臣のところにお伺いをすべきである、そうおっしゃったのはたしか佐賀の多久市の市長さんであったそうでありますが、そんな九州市長会でのきのうのやりとりであった、また特別決議であったということをお伝えしておきたいと思います。

 都農町の一例目では、届け出から検査の陽性確認まで十日以上を経過しております。六例目の水牛の事例では、四月二十三日に陽性が確認をされておりますが、これは三月三十一日に採取した材料であったということは御存じのとおり、また指摘があったとおりであります。潜伏期間を勘案すると、既に三月中旬ごろにはウイルスの動きがあったと考えられるのでありますが、臨床観察など、摘発ができていなかったことになります。

 また、処分も追いついていない。感染源が放置をされている状況であります。七十二時間以内に防疫措置を施さないといけないということになっているのでありますが、被害が広がっても仕方ない状況をつくってきたということは、これは免れないと思います。後手後手に回りまして、一定のエリアを限定した殺処分、積極的な清浄性確認検査の実施など、先回りした防疫もまだできておりません。江藤議員から要請のあったとおりであります。

 こういう状況を考えたとき、だれが主導権をとって指示するのか、県なのか国なのか。国がしっかりした防疫方針を示すべきと考えますが、例えば、動物衛生課と政務三役あるいは関係省庁の情報の共有化、防疫方針の決定過程について、どんなふうになっているのか。我々は疑問を持たざるを得ないのであります。

 まず、農林省、総務省、厚労省、防衛省あるいは警察庁等の関係省庁の連絡会議、これは官邸に設けておられるということでありますが、その機能がどのように発揮をされているか、お伺いをしたいと思います。また、国が主導権をとるんだという明確な体制を構築する上では、現地に対策本部を国が置くべきじゃないか。副大臣なりにそこに常駐をしていただいて、しっかりと国と現地を直結するパイプ役としてその機能を果たしていくべきじゃないか、そんなことも考えるわけでありますが、いかがでありましょうか。

山田副大臣 先ほどから、政府の初動の対策は余りにもお粗末だったような言い方をされてちょっと心外な気がするんですが。

 二十日の未明に、政府としては、国としては、口蹄疫の発生を確認し、その日の午前九時には対策本部を開いて、その日のうちに防疫の専門官を現地に派遣した。それから、平成十六年にできた指針どおりに、十キロ以内については移動制限、禁止、そして二十キロ以内においては搬出禁止、そういう措置をすぐにとらせていただいて、完全に、発生した農家からそこに通ずる道を七十二時間消毒に当たってきたわけです。四月二十日に確認できるまでの間に、その検体が三月中の検体であったとか、いろいろなことはあったかもしれませんが、政府が確認してからはそれなりに対策はとらせていただいたつもりでございます。

 また、これは法的な家畜伝染病予防法の委任事務で、第一義的な責任は県の方で対応をさせていただいている。その中で、国ができることはすべて国でやらせていただく。そういう意味では、特別交付金の問題とか県が負担する分、消毒にかかる費用とかその他、また一方、自衛隊の派遣についても、それは官邸とも私ども相談させていただいております。自民党さんからの要望も聞かせていただいて、ここは与党も野党も一緒になって、官邸も、各省庁それぞれの関係会議もしょっちゅう開かせていただいておりますし、きちんとした対応はそれなりにさせていただいております。

 ただ、風評被害についても、前回の口蹄疫のときと比べて、今回は非常に大臣の判断もよかったとは思っておりますが、全国の食品Gメンに七千とか八千店舗とか、一万店舗にわたったと思いますが、全部回らせて、宮崎県牛の差別扱いはないように、そういったいろいろな配慮をさせていただいた。幸い、いわゆる風評被害も今のところほとんどなかった、そう考えております。

 自民党の先生方からは大変厳しく言われておりますが、私どもとしてはそれなりの対応を十二分にさせていただいておると思っております。

小里委員 現地対策本部はどうですか。

山田副大臣 もちろん、二十日に、既に現地宮崎県では、第一義的には宮崎県の責任というか、委任事務ですから、対策本部を設けております。国も、その前に、午前九時には対策本部を設けましたので、国は国としての対策本部、現地は宮崎県としての対策本部、それで十分じゃないかと考えておりますが。

小里委員 時間となりましたので、ここで終了させていただきたいと思いますが、今、風評被害のお話がありました。これは今、九州市長会で極めて大きな危機感を持って受けとめておられる、このことは先ほど申し上げたとおりであります。

 それと、私が申し上げた現地対策本部というのは、政府の現地における対策本部、この必要があるんじゃないかということを申し上げたのであります。

 阪神・淡路大震災のことを再三申し上げて恐縮でございますが、あのときは、発生と同時に、任命された担当大臣が、その日に現地に行きました。正確には発生から四日目でありますけれども、任命されたその日に現地に赴いて、その日に政府の現地対策本部を立ち上げているんです。現地の状況を目で見て、肌で感じて、そして、国と現地を直結するパイプ役になってほしい、緊急を要する事態もたくさんあろうと思うけれども、それは大臣が全責任をとる、政府責任は自分がとる、しっかり、思う存分やってほしいということを訓示したわけであります。

 そういった国の姿勢があって初めて現地は奮起をするし、しっかり存分にやっていこうということがあるんじゃないか、そのことは最後に申し上げておきたいと思います。

 具体的にいろいろ要請を申し上げたいこともございましたが、来週、決算委員会の機会もあるということでございますので、またそのときにお願いをしたいと思います。

 ありがとうございました。

筒井委員長 次に、東順治君。

東(順)委員 公明党の東順治でございます。

 大臣、副大臣、政務官、連日お疲れさまでございます。大変疲労の度が濃いような感じがございます。まさに、かつてない大変な事態が発生をしているわけで、私は当委員会の委員ではございませんけれども、私たち公明党も急遽、防疫対策本部を立ち上げまして、地元宮崎にこれまで二回行かせていただいて、東国原知事を初め関係の首長の皆さん、あるいはさまざまな方たちに、厳しい現地状況というものを聴取してまいりました。あるいはまた、川南町にもえびの市にも足を運ばせていただきまして、非常に厳しい現状というものを肌身で感じながら、今、この場に立たせていただいております。

 私は、その防疫対策本部の本部長という立場がございましたものですから、きょうは差しかえをお願いして、ここに質問をさせていただきます。

 先ほどからお話が出ておりますように、まさにこの問題に対する対応というものは、政府が、あるいは与野党が一体となって取り組むものであるというふうに私も思います。当委員会も、きょうで事実上三日目ですか、きのうは参議院でも質疑があったようで、まさに集中審議の連続という、このこと自体が、どれほど今回の問題が深刻であるか、まさにパンデミック状態になりつつあるというような、私もそういう非常な危機意識を持っておるものですから、どうかひとつ、大きな仕事が、国として的確な仕事ができますことを願いつつ、質問をさせていただきます。

 それでは最初に、まず、現在ただいままでの家伝法に基づく支援の進捗状況、具体的にお願いを申し上げたいと思います。

佐々木大臣政務官 現在までの進捗状況についてお答えをさせていただきます。

 予防法での、国が当該家畜評価額の五分の四を所有者に交付するということについて、現在、宮崎県において、発生農場における殺処分等の防疫措置を実施するとともに、手当金の交付に必要な家畜の評価、それから手当金の申請書類の準備等を行っているところでございます。

 農水省としては、県からそうした申請書が提出されれば、できる限り早く、迅速に交付するというような体制をとらせていただいております。

 さらに、宮崎県においては、円滑な防疫措置を実施するために、群ごとに家畜を評価するというような対策もとらせていただいて、できるだけ迅速に対応できるというような体制をとらせていただいているところでございます。

東(順)委員 そこで、この共済金、あるいはきょうは総務省もおいでいただいていますが、特別交付金の支払いの状況というものは今どうなっているんでしょうか。

佐々木大臣政務官 共済金並びに手当金のことでありますが、家畜共済においては、評価額と家畜伝染病予防法の手当額との差額を共済金として支払うという原則になってございますが、手当額がまだ確定をされてございません。それが確定され次第、速やかに支払うというような体制をとらせていただいているところでございます。

小川大臣政務官 お尋ねの特別交付金、特別交付税というふうに理解をいたしますが、交付の時期が法律上定まっておりまして、最初の概算交付が本年の十二月を予定しておりますので、最終が来年三月ということでございます。

東(順)委員 私は、なぜこういう基本的な質問をさせていただくかといいますと、四月の二十日の未明に発症して、それから、まさに大変な勢いで一気に広がってきた。もう既に埋却処分も完了して、二十一日とか二十二日、こういうところの人たちは、もう三週間になんなんとしているわけですね。

 それで、こういう状況の中で三週間も経過しながら、いわゆるお金というものが、この被害に遭っている御本人のところになぜ届かないのだろうか、こういう非常に素朴な疑問を僕は持つわけです。最初の人たちからしてみれば、もう間もなく一カ月になりますよ。その辺は、どうしてなんですか。

山田副大臣 共済もですが、五分の四の損失分についても、もう既に払ってもいいじゃないかという委員のお話かと思いますが、私もそう思っておりまして、どうしてまだ払えないんだろう、そういうことを問い合わさせていただきました。

 現場が今のさらなる埋却処分等々にかなり混乱しておって、申請手続というのをしなければ私どもも払えませんで、いわゆる五分の四の評価、家畜伝染病予防法に基づく請求そのものがまだ上げられていないということなので、何とか簡略に、もう既に、何頭処分して云々と、ある程度の評価も出ているはずだから、早急に上げてもらえないかと。県の方も、できるだけ早く上げてもらえば、大臣も現地に行って、県が先に仮払いしてくれれば、それなりに国としても、申請さえ出してくれればすぐにでも出せるように、普通なら一、二カ月かかるところを迅速に対応すると。私どももそう考えておりまして、委員のその指摘のお気持ちは私どもも共有しているところです。

東(順)委員 大臣が十日に現地に入られましたね。あの日、私どももたまたまスケジュールががちあって、対策本部としても現地に入ったんですけれども、大臣がおっしゃっていたので私が非常に心に残っているのは、ともかく早く上げなさい、国としては仮払いでも何でもやりますから、ともかく申請を早く上げなさいということを非常に強くあの日、大臣はおっしゃっていましたよ。その後の委員会の質疑なんかも、私ずっと会議録を読んだりあるいは国会内テレビを見ても、何度もおっしゃっている。

 何で滞るんだろう。国に責任があるのか、あるいは県なのか。そんなに難しい申請手続なのか。要するに、困っているのは現地の人たちなわけですから、一刻も早くそのお金が届くということで、それだけでも大きな安心を与える材料になるわけです。いまだにこういう議論をしなきゃいけないというところに、危機管理ということから見たら、本当にこれは大丈夫なのかと素朴な疑問を実は持つんです。そこは大臣、いかがでしょうか。

赤松国務大臣 私も東委員とまさに同じ気持ちでございまして、現地へ行きますと、今月暮らす金がない、来月どうしようと。そういうことがまた非常に心のストレスになるわけで、そうであれば、ちゃんと法に基づいたお金なんですから、手続だけすればすぐ出るんですから、今、山田副大臣が言ったように、本来、書類が上がってきて正規の手続をやれば一カ月、二カ月かかるんですけれども、それは直ちに仮払いで国が出しますよと。ただ、税金を使ってやるわけですから、何もなくて出すというわけにはいきませんと。

 八万頭という頭数だけ見ると多いように見えますが、畜産農家という軒数でいえば何十軒の単位なものですから、そこの方の手続を町なり市なり県なりがやっていただくというのは、私は、そんなに難しい話でもないし、それほどまた込み入った何かをやってもらわなきゃいけないということじゃなくて、むしろ、公正にやるという意味で三人立ち会いの方が一応要るんですね。だから、その三人さえそろっていただいてやれば、それほど時間がかかる手続というふうには思いませんので、それは国の方から県を通じてそれぞれの市町にも、ぜひ早急に手続をやっていただくように、お願いをしてみようというふうに思います。

東(順)委員 私も全くそう思うんですよね。戸数にしたら八十六戸でしょう。頭数は確かに八万頭を超えるという大変な頭数になっているわけですが、八十六戸なわけですから。しかも、すべて完了している戸数が随分あるわけですから、まずそういうところから直ちに手を打ち続けていかないとまずいと僕は思いますよ。そこは、細かな手続論にこだわらずに、しっかり公平性を期してきちんと処分していく、これがまさに政治の感覚だろうなと思います。

 国民の生命と財産を守るということが政治にとって一番大事な話ですから、これがまた妙な風評被害になってどんどん広がらない意味でも、ともかく大臣が今おっしゃったその角度でぜひ迅速に対応をお願いしたい、こう思います。

 続きまして、先ほども話が出ておりましたけれども、埋却場所確保の件でございます。

 先ほど江藤委員の方から、川南町の町長さんとお話をした、そのときに、何とか現時点では埋却地のめどがついた、ほっとしているという発言がございましたけれども、私も大変うれしい思いがいたします。

 ただ、これは日を追って頭数がふえていますので、とまったわけじゃない、また、これからもどこまで行くかわからないという大変な状況をはらんでいるわけですから、今のところ何とかという、そういう発言をするまでには、恐らく大変な努力と、へとへとになるまでの御苦労の末の発言だろうというふうに思います。

 その結論として、防風林も厳しい、山も遠過ぎる、国有地といったって簡単にいかない、そうなってくると、結局、やはり農地を買い取って、個人の責任に任せるんじゃなくて国が農地を買い取ってあげて、そこで埋却をしていくというような思い切った手を打っていかないと、これは埋却地問題というものが物すごい大きなネックになっているわけですから、私はそう思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

佐々木大臣政務官 埋却場所の確保についてでありますが、委員も御指摘のとおり、口蹄疫の発生の場合は敷地内に埋めるのが最もいいわけで、その次には近隣の敷地ということになるわけでありますが、川南町の場合は、先ほど来お話もありますように、掘削をしてみると水が出たとか岩があったとかいうようなことで大変御苦労をされているというふうに伺ってございます。

 ただし、宮崎県の大変な御努力で、おおむね場所については確保されているということでありますが、この先のことを考えますと、今御指摘のようなことも考えられますので、そんな場合には、とりあえず、まず借地ということも想定しながら借地料の支援の措置とか、あるいはその後は国有地にも拡大する場合も想定をしなければなりませんので、そうしたことの調整などもさせていただきたいというふうに思ってございます。

 さらにまた宮崎県や川南町などとしっかりと連携をとりながら、最大限の支援をしてまいりたいと考えているところでございます。

東(順)委員 まずは借地、そしてその借地料に対する支援、そういうところからという御発言でございます。やはり段階というのは当然あるんでしょうから、ぜひそういうところから、農家の個人の力とか裁量に任せるということはもう限界を超えていますので、どうぞひとつしっかりとしたリーダーシップをとっていただいて、借りる、あるいは最終的には買い取るというところまで視野に入れて、対応をしていただければというふうに思います。

 ところで、大臣、あの日、十日、大臣が宮崎に入られたときに私も入ったんですが、僕らが現地調査を終えて飛行機に乗るまさに直前、川南町の隣の高鍋町というところの町長さんが追っかけてきたんですね。町長さんと副町長さんでした。追っかけてきて、そして空港で、ぜひ自分らの心配を聞いてほしいということで、急遽、空港の一室で私たちはお話を聞きました。

 それは何かというと、先ほどもちょっと出ておったようですけれども、家畜改良事業団、種牛センターの話なんですね。これは、数カ所あったものを県が集約して、まさに今この高鍋町の中にある。先ほどの話を聞いておりますと、まさにその種牛の中の六頭がエースで、このエースの六頭でもって県内の牛の八二%を誕生させている、そういうお話がありましたけれども、そのぐらいにすごく大事な種牛センター、家畜改良事業団、それが高鍋町にある。

 もしここから口蹄疫が発症したら、宮崎県の畜産そのものが壊滅的な打撃を受ける。むしろ、もう成り立たなくなるんではないか。宮崎県の牛は、今やもう宮崎牛という形でブランド化をし、そしてそれが佐賀牛という名前になったり、あるいは全国にもいろいろとつながっている。まさに全国の牛の一〇%強ですか、一割ぐらいを宮崎牛が占めているわけですから、これは全国的にも大変な影響になる、もしここがやられたら。

 しかも、それが我が町の中にあるんです、しかもその高鍋町は川南町に隣接をしている隣の町ですと。川一本、小丸川という川一本で何とかせきとめているけれども、ひょっとして、空気感染みたいなことになって、もしここがやられちゃったら、もうアウトです。宮崎の牛はアウトですと。宮崎の牛がアウトということは、まさに日本全国の和牛レベルのダウンにつながりかねない。あるいは日本の和牛資産、この確保ということが危うくなってしまう、大げさに言えばそうなるかもしれない。

 日本全体のまさに宝が宮崎の牛であり、その中枢がこのセンターにあるということなので、私たちはもう夜も眠れません、当然ゴールデンウイークも休みなんかとれるわけもない。作業服姿で追っかけて、私たちのところにすがりつくように、この話をされたんです。これは大変だな、ここからもし一頭でも出たらということで、私はもう大変な危機意識を持ちました。

 そこで、家畜改良事業団の種牛をどこかに移さなきゃいけない、この移動問題について、現状としてもう一回確認をしたいんです。今どうなっているんでしょうか。

山田副大臣 家畜改良事業団の大事な牛ですので、かといって、今、いわゆる防疫指針でもって二十キロ制限以内と私どもは指示しておりますから、これを本当に安全なところに移動するとしたら、今その種牛が完全に消毒済みというか口蹄疫に感染していないということ、そして、今度、行き先で他の牛に迷惑をかけないような、まさにそういうきちんとした管理、環境整備ができているということ、そして、ほかに移動したくとも移動できない……(東(順)委員「それはわかっています、今の現状をちょっと聞きたい」と呼ぶ)

 現状は、今、国の方の、きのう承認を得まして、そして現在は移動させております。もう現在移動は終わって尾八重牧場という、西都市の方にもう既に行っているところです。

東(順)委員 何頭行っているんですか。(山田副大臣「六頭」と呼ぶ)六頭でしょう。私もさっき触れましたように、まさにエース級の種牛六頭が、ともかくエースだから、これを何とか移動させることが実現できた。ところが、全体として六十頭ぐらいここにいるんでしょう。だから、その六頭はとりあえずエースですから移動できたけれども、残るところの、全体で六十頭ですから、まだ五十四頭ぐらいは残っておるわけでしょう。これはやがてエースになる種牛なわけですから、全体をどこかに移動できれば、これはもうベストなわけでしょう。ところが、そこになかなか難しい問題があるんでしょう。この障害が何だということになるわけですね。

 速く、速やかにこの六十頭を移動できれば一番ベストのことなんだけれども、この障害というのはどういうふうにお考えですか。とりあえず六頭しか移動できなかった。移動できたことは何とかよかったんだけれども、まだ六頭にとどまっている。これはいかがでしょうか、大臣にお伺いします。

山田副大臣 六十頭すべて移動するということも考えられないわけじゃないと思うんですが、ただ、この六頭を移動するについても、例えば熊本県との県境が近くなってきますし、周辺地域の皆様方は大変神経質になっておりまして、非常に、周辺住民の本当の御理解を得るとしたら、とりあえず大事な六頭の種牛だけという形に現在させてもらっているんじゃないかと、そう聞いておりますが。

東(順)委員 確かに、例えば隣接県にしても、あるいは周辺のところにしても、そういう心配が出てくるでしょうね。要するに、まさに直撃されている川南の、まだ発症していないとはいえ、その隣の町にある、そこから種牛を移すわけですから、ひょっとしてウイルスを運ばれるんじゃないかなという大きな心配はよくわかります。そうすると、ちょっと待ってくださいよということで、恐らく反対の思いというのが全面に出てくるんでしょう。そこで、やはり宮崎県としては、それは心配はわかるんだけれども、何とか移させてくださいと、場合によっては隣の県に相談をしなきゃいけない状況が出るかもわからない。そこで大事なのが国の指導力なんですね、私はそう思う。

 そこで国が、現地だけでやりとりする、それに任せていて、いたずらに時間が経過して、そして結果的にそのセンターの種牛がやられるみたいなことになっちゃったら、残っている五十四頭がやられるというようなことになってしまったら、これは元も子もないわけです。現地のさまざまな綱引きに任せて、それをただ傍観というような形にしていて、肝心なところで発症してしまったらば、これは元も子もないわけです。ここで国がいかに指導力を発揮できるか、調整力を発揮できるか、私はここは物すごく大事だと思いますよ。日本全国の牛にかかわる話ですから。

 ここは大臣、御決意、あるいはこの調整について、やはりこれから、六頭で済む話じゃないわけですから、残っている牛までも、種牛までもということで、ひとつ大いに指導力と調整力を発揮していただきたいと思いますが、いかがですか。

赤松国務大臣 この六頭の移動につきましても、実は近県からは、例えば二十キロ圏ぐらいで大きく円を描くと区画がそこに入ってしまうということで、若干の御意見もあったようですが、これはもう私どもからもお願いしつつ、ぜひ、宮崎県の問題ということよりも、日本全国のこれからの畜産業のあり方に大きく影響することなのでということで、快く御理解をいただいた。この六頭については、現地の皆さんのお言葉によれば、宝中の宝であり、ここが全体の八〇%ぐらいの、そこから精液が分かれていっているというふうに聞いています。

 本来、ここのところは、高鍋のところは種牛が五十五頭いて、あと肥育牛も百六十頭いるということですから、全体を移すということになりますと、それだけまた万が一のときにかかる範囲も広がるわけですから、それよりも、本当に守らなければいけないこの六頭に限定をしてということで、多分、今回の場合はやられたというふうに思っております。

 では、あと残りの五十五引く六の頭数はどうするのだというのが東委員のお話だと思いますけれども、これについては、そこもどうするのかね、これもぜひ、必ずしも同じところへ行かなくたっていいわけですから、別のところでできるのか、あるいは、本当に守らなきゃいけないのはこの六頭なので、そこは通常の形の管理でいいということなのか。これは現地の御意向もございます。あくまでもこれはもともと県の施設、県の資産ということでございますので、地元の意見を尊重しながら、国もその相談に乗って、できるだけいい方法を模索していくということではないかと思っています。

東(順)委員 しまったということにならないように、やはり先手を打っておかないと、発症しちゃったらこれは大変な話になりますので、ひとつ大臣、そこは重々、指導力、調整力を発揮していただきたい、切にそのように思います。

 それから、今回の口蹄疫の被害についての予算の問題なんですね。

 先ほどからさまざまな支援策でお金の問題がずっと出ておりますけれども、十年前の口蹄疫問題というのは、宮崎県で牛三十五頭でしょう、北海道で七百をちょっと超える、そういう状況でしたね。それでもって何とか封じ込めた。今回は、ざっと言えばその百倍を超えていますよね。十年前よりも百倍を超えている、大変な話だ。だから、いわば未知との遭遇と言ってもいいぐらいに大変大きな事案に今回はなっているわけでございます。まさに爆発的な広がりで、まだとまらない、こういう状況なわけでございます。

 それで、十年前はこれに要した予算というのが三十三億円でしょう、もうすべて含めて三十三億円。今回は、その百倍の大変な深刻さでしょう。だから私は、最終的に、国が今回の緊急対策予算というような形でどのぐらいの予算ということを構えながら、用意をしながら、まさに未知との遭遇とも言えるような激しい今回の問題に対応しようとしているのか、そこに重大な問題意識を実は持っております。しかも、十年前は牛だけですから、今回は牛と豚ですからというようなことです。

 そこで、私は一昨日、官房長官に、ここをどう思いますかということで、対策本部として意見、提言をさせていただきました。官房長官の方も、官邸としても考えられることは全部やります、全力を挙げてやります、政府が一体となってやっていきますと。

 その中で、具体的に私は、十年前と今回を比較して、国として一千億規模ぐらいの予算を緊急対策費という形で構えを出す、大丈夫ですよと。だから県も、当該市も町も、ともかくお金のことを心配しないで、打つ手はもう全力を挙げて考えるだけ打ちまくってください、国が後ろについていますから大丈夫ですよというような、地方自治体に対するいわば安心のメッセージ。そして、被害を受けておられる畜産農家の人たちに対しても、これから事業を再建していく、あるいは今の処理に追われているというようなことも、やはり希望の光みたいなものを心にともしていく意味でも、国として一千億ぐらいの準備はありますよというメッセージを出すべきである、僕はこのように官房長官に申し上げましたら、官房長官は大変前向きで、そのことも含めて、いいですねということで、とにかくやれることは全部やりたいと思います、こういう御発言がございました。

 そこで、このことは農水大臣にも、御提言申し上げたときにお伝えを申し上げました。農水大臣あるいは総務省、このことを官房長官から伺ったでしょうか。あるいはまた、大臣の方から御確認をされたでしょうか。まずその点から、いかがでしょうか。

赤松国務大臣 この間、公明党からこういう申し入れをもらいましたということは、きょうも閣議がありましたので、別に閣議の場ではなくて、会ったときに平野さんからはありました。ただ、一千億円出せという話は聞きませんでした。だから、多分トータルでいろいろな要請があったんでしょうから、額の問題よりも、むしろできることをすべてやり切るということの意味では、私どもは東先生と考えを一にしていると思っておりますので、そういう意味で、全力投球で頑張りたいと思います。

小川大臣政務官 具体的なことが私までは届いておりません。五月七日に官房長官が閣僚懇談会で御発言をされて、それ以降、具体的な御指示はお聞きしておりません。

東(順)委員 大臣あるいは小川政務官、私どもはこういう提言書というものを官房長官にお出しした。これをお出しする前に、個人的といいますか一対一のときに、この一千億のお話を私はいたしました。それがメッセージになるよ、大変なメッセージになるんですからと言ったら、非常に前向きで、いいですね、こういう反応だったんです。

 これから農水省と総務省、やはり一体で当たっていかなきゃいけないことがさまざまに出てくる。ことしの農林水産省予算の概要を見ますと、家畜伝染病予防費というのは三十五億円ですね。これでは実際問題として何にもできないですよ。十年前、百分の一で三十三億かかっているわけですから、当然できません。だから、この家畜伝染病予防費というのりを越えて、国として全力を挙げて対応していくというためには、やはり緊急予算の構えというものをしっかり見せなければだめだと私は思います。

 したがって、農水大臣、それから総務大臣、もう一回官房長官にここを確認いただいて、おお、それはやろうと多分なると思いますよ。また、なってほしい、こう思います。そうなって、そこまでぜひこぎつけていただいて、最終的に農水大臣と総務大臣の共同声明みたいなものを、この一千億のことも含めて、今回の宮崎県の口蹄疫問題に対して、それほど重大なことなんですよ、だから両省挙げて、総力を挙げて取り組みますよという共同声明文みたいなものを、私は発するべきだ。そして人心の安定、安心、迅速な行政の対応等を促進していく大きな力にしていく、そのぐらいの必要性のある事案であるというふうに私は思うんですけれども……(発言する者あり)今、いい提案だという発言がございました。大臣、いかがですか。

 大体、私は赤松大臣は昔からよく知っていますが、非常に率直で、非常に行動力があって、なおかつ閣僚の中でも重要閣僚のお一人ですよね。だから、赤松農水大臣がリーダーシップをしっかりとって、総務大臣を引っ張って、それで共同声明文を発して、国としてこれは取り組んでいるよと。政党の方も、与党も野党もないよ、みんな一体になってこの問題に取り組んで、何とか川南とえびの、そして都農、ここで抑え込んじゃうんだ、このメッセージを、お金の面、それから心の面、両面から発することが今一番大事なことだ、こういうふうに私は思うんです。いかがでしょうか。

赤松国務大臣 今回のこの口蹄疫問題につきましては、内閣を挙げて取り組みをさせていただいているところでございます。

 原口総務大臣も、五分の一問題を初めとして、そればかりじゃなくてほかに県が独自でやることについても、例えば埋却の二分の一問題とか、いろいろまた相談をしなければならないことはあるんですけれども、そういうことも含めて、非常に前向きに考えていただいておりまして、農水省と総務省でいろいろ協議をしながら、今本当に苦しんでおられる皆さんのために、あるいは、無事これが終わって今度は再建ということになったときに、その経営支援をいかにしていくかということについても、しっかりといい政策、いい仕組みでやれるように、ぜひ頑張っていきたい。あわせて、今、そのほかにも、防衛大臣には自衛隊の支援等についても快く御協力をいただいておりますし、その他閣僚も含めて、内閣としてしっかりと取り組んでまいりたいと思っています。

 今の、ちゃんと官房長官に聞けというお話でございますので、平野官房長官にも御相談申し上げながら、取り組みをさらに一層進めてまいることをお誓いして、答弁とさせていただきます。

東(順)委員 一千億という額を出して官房長官とよく協議をしてもらえるでしょうね。そこまでいいですね。(赤松国務大臣「はい」と呼ぶ)よろしくお願いを申し上げます。やりますということでございます。(赤松国務大臣「やりますとは言っていない」と呼ぶ)いやいや、協議をやります、協議を。(赤松国務大臣「協議を続けます」と呼ぶ)

 それから、もう時間もそろそろ迫ってきているんですけれども、もう一つ僕は非常に心配しているのは、川南とかえびの、まさに直撃をされているそういう町や市で牛や豚を飼っておられる家庭の子供さんたちの心のケアの問題なんです。

 つまり、小さな子供さんたちにしてみれば、牛は多分家族なんでしょうね。毎日えさをやったり、場合によっては一緒に寝泊まりをしたり。ともかく、寄り添うようにして毎日生活をしている牛やあるいは豚が、毎日のように自分の目の前で殺されていく。これは想像しただけで、もう大変な心の傷になるんだろうと私は思いますよ。自分の親兄弟が殺傷されていくような、そこまではいかないにしても、やはりたまらないと思います。あるいはまた、殺傷される、もう殺されることがわかっていて、埋却地がまだないものだから、えさをやり続けなきゃいけない子供の思いだとか、そういうことを考えますと、もうたまらない思いになります。

 それで、その子たちが今度は小学校に行く。そうすると、あそこの子は家畜農家の子だから、ウイルスを持ってきているかもわからないから、うつるかもしれないから、余り一緒になって遊んじゃいけないよなんて関係ない家庭の親から言われたりする、それがいじめにつながる等々のことが惹起しているんではなかろうかなということがすごく心配になるんです。

 あるいはまた、介護を受けているお年寄りもその家畜農家の中にはおられるんじゃなかろうか。そこには、介護のために今まで毎日通ってきていた人たちがさまざまに制限をされて、思うようにうちに入れないとか、さまざまなことがあるんじゃなかろうか。

 そういうことからくる心のダメージというようなことを考えて、ハードの面ばかりではなくて、そういう心のケア、ソフトの面も、やはり県や国、あるいは市はしっかり目配りをしていかないといけないんだろう。ところが、県や市は今、もうそれどころじゃない、当面の対応でばたぐるっている。そういうときに、やはりそういう問題意識をきちっと国が持っていただいて、農水省が持っていただいて、県や市にきちんと物を言うということが大事なんだろうというふうに私は申し上げさせていただきます。

 既に時間が経過いたしましたので答弁は求めませんが、どうぞその一点も御留意されて、今後とも頑張られてください。

 ありがとうございました。

筒井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五分散会


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