衆議院

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第13号 平成22年5月25日(火曜日)

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平成二十二年五月二十五日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 筒井 信隆君

   理事 石津 政雄君 理事 梶原 康弘君

   理事 小平 忠正君 理事 森本 和義君

   理事 森本 哲生君 理事 北村 誠吾君

   理事 宮腰 光寛君 理事 石田 祝稔君

      石原洋三郎君    石山 敬貴君

      磯谷香代子君    金子 健一君

      川村秀三郎君    京野 公子君

      後藤 英友君    佐々木隆博君

      高橋 英行君    玉木 朝子君

      玉木雄一郎君    道休誠一郎君

      中野渡詔子君    仲野 博子君

      野田 国義君    福島 伸享君

      柳田 和己君    山岡 達丸君

      山田 正彦君    和嶋 未希君

      伊東 良孝君    江藤  拓君

      小里 泰弘君    金田 勝年君

      北村 茂男君    谷  公一君

      長島 忠美君    保利 耕輔君

      森山  裕君    吉泉 秀男君

      石川 知裕君

    …………………………………

   農林水産大臣       赤松 広隆君

   内閣官房副長官      松野 頼久君

   農林水産副大臣      山田 正彦君

   経済産業副大臣      松下 忠洋君

   財務大臣政務官      大串 博志君

   農林水産大臣政務官    佐々木隆博君

   農林水産委員会専門員   板垣 芳男君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十五日

 辞任         補欠選任

  河上みつえ君     川村秀三郎君

  津川 祥吾君     磯谷香代子君

  谷川 弥一君     北村 茂男君

  長島 忠美君     谷  公一君

  山本  拓君     森山  裕君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     津川 祥吾君

  川村秀三郎君     河上みつえ君

  北村 茂男君     谷川 弥一君

  谷  公一君     長島 忠美君

  森山  裕君     山本  拓君

    ―――――――――――――

五月二十日

 農林漁業者等による農林漁業の六次産業化の促進に関する法律案(内閣提出第五〇号)

同月二十四日

 国産の農林水産物の消費を拡大する地産地消等の促進に関する法律案(山本拓君外四名提出、衆法第二一号)

同月二十日

 食の安全・安心と食料自給率向上政策を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一〇八五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一一一三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 農林水産関係の基本施策に関する件(口蹄疫の発生状況及びその対応について)


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     ――――◇―――――

筒井委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件、特に口蹄疫の発生状況及びその対応について調査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。道休誠一郎君。

道休委員 おはようございます。民主党の道休誠一郎でございます。

 まず、質問を始める前に、今回の口蹄疫の発生農家、関係農家、そして感染地域の皆様に心中よりお見舞い申し上げるとともに、一日も早く口蹄疫が終息することをお祈り申し上げます。

 御案内のように、畜産王国宮崎は、今、口蹄疫というパンデミックに襲われ、日本国民が経験したことのない見えざる敵に向かって闘いを挑んでおるところでございます。子供のように慈しみ、大切に育てた牛や豚を一瞬にして失う。長年の仕事や将来への夢、希望が打ち崩されていく。本当に、現場の農家、発生農家は言うまでもなく、地域社会が崩壊寸前の危機に瀕している状態でございます。

 口蹄疫に関する質問をさせていただきますけれども、質問の内容としましては、私に続きまして同僚の川村議員が質問されます。川村議員と私で手分けをしておりますので、私は、基本的には、対応策等についての質問をさせていただくという段取りで進めさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。

 まず第一に、日ごと感染農家はふえ続けているわけですけれども、先ほど得た資料によりますと、きょうも二百件まで達しているという状態でございます。この現状の評価並びに終息に向けての御決意、これを赤松大臣の方からお聞きしたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

赤松国務大臣 口蹄疫の発生の中で、当該の農家の皆さん、畜産の皆さん、関係の皆さん、大変苦悩の中で日々取り組んでおられます。

 心からお見舞い申し上げると同時に、政府としては、県そして市町村と一体となって、とにかくやれることはすべてやり切る、この信念のもとに、全力を挙げて、早期の終息に向かっていけるよう頑張ってやっていきたい、このように思っております。

 残念ながら、川南町を中心にして、昨日も新たな発生があったということで、トータルで二百例ということになりましたけれども、地元の皆さん、関係の皆さんの御理解もいただく中で、殺処分を前提にしたワクチン接種ということも二十二日から始まりました。ちょうどきのう現在で約七三%の牛、豚についてワクチンの接種が終わったということでございまして、きょうも七十一チームのそうしたワクチン班をつくりましてやりますので、何とかきょうじゅうには、対象とする牛、豚のワクチン接種については終了するということになると思います。

 あとは、残っております約六万頭の牛、豚、疑似患畜の処理を急がなければいけない。とにかく早く殺処分をして埋却するということが、やはり今一番ポイントでございます。

 きのうも二時半からだったと思いますが、東国原知事のもとで、各市町村の皆さんにお出ましをいただきまして、そして、できるだけ公有地、町が持っている土地、県が持っている土地、そういうところを出してほしいということをお願いしていただきまして、県有地も三つほど出していただきましたし、ほかの町からもということで、詳細はまた必要であれば、副大臣、政務官等から説明させていただきますが、そういう形で埋却地の確保、ワクチンの接種。

 そして、現在、残っておった埋却の処理ということで、自衛隊、あるいは警察も九州管区全体から動員をかけて、倍の人数にふやしていただいております。

 また、国が持つ土地につきましても、防衛省の御配慮によりまして、新田原の基地のところの土地も、かつて鳥インフルエンザで埋めた実績もあるところでございますけれども、ここもかなり広い面積を提供していただいておりますので、とにかく早くそこへ埋め切るということが必要だということで、全力を挙げて今後とも取り組んでまいりたい、このように思っております。

道休委員 大臣、ありがとうございます。

 今、御説明の中で大臣も若干触れていただいたんですけれども、続きまして佐々木政務官に、具体的に、感染の牛や豚についてのデータを御提示いただければと思います。よろしくお願いします。

佐々木大臣政務官 口蹄疫の発生状況について、頭数あるいは比率など具体的な数字をということでございますので、私の方から答弁をさせていただきます。

 今、大臣もお答えいたしましたが、五月二十四日現在、発生件数二百戸、発生頭数は十四万五千頭、うち、牛が約一万九千頭、豚が約十二万六千頭でございます。

 宮崎県における飼養頭数は、牛が三十一万三千頭、豚が九十万六千頭でございますので、発生比率にいたしますと、牛が約六%、豚が約一四%となってございます。

 川南町を中心とした移動制限区域内においては、飼養頭数が、牛が約七万頭、豚が約二十二万六千頭でございますので、発生比率は、牛が約二七・三%、豚が約五五・六%となってございます。

 なお、えびの市を中心とした移動制限区域内については、飼養頭数は、牛が約三万三千頭、豚が約五万九千頭ですから、発生比率は、牛が約一%、豚が約〇・五%となっております。

道休委員 どうもありがとうございました。

 続きまして、対応についての御質問をさせていただきます。

 四月二十日未明に第一例が確認されて、直ちに、赤松大臣を本部長とする口蹄疫防疫対策本部を立ち上げていただきました。さらに、五月十七日には、鳩山総理を本部長とする口蹄疫対策本部を設置し、山田副大臣が現地対策本部長として陣頭指揮をとっていらっしゃいます。

 また、宮崎県においては、五月十八日に東国原知事が非常事態宣言を出して、関係の市町、そして県、国が連携して対応しているという状況でございますが、当初、畜産農家からは、感染した家畜がそのまま数日手つかずの状態であるとか、既に殺処分が決まっている豚がそのまま置いてあるとか、自衛隊が来たけれども機材がなくて動けないとか、現場のニーズを本当に的確に把握していただいているんだろうかというような動きが伝えられておりました。

 現在、現場のお話をお聞きしますと、当初よりは大分よくなってきている、本当に機能し始めているというお話もあるんですが、当初から、人数や機材については十分確保していますという首長さんたちのお話もいただきながら、残念ながら、その横の連携等がうまくとれなかったのではないかという懸念もあります。

 これにつきまして、現地対策本部で組織を指揮していらっしゃいます山田副大臣の方から、直近どういう動きをしていらっしゃるのか、あるいは、それぞれの組織がどういう働きを担って仕事をしているのかということについてのお話を伺えればと思いますので、よろしくお願いいたします。

山田副大臣 五月七日に私の方で現地に赴きまして、一番最初にやはり消毒の徹底、いわゆる畜産関係の飼料車だけ自主的に引っ込んだところで消毒だけ行っているという状況でしたので、できれば、渋滞を恐れずに、すべての車両をひとつ消毒する必要があるのではないか。消毒ポイントも、北と南に、例えば一ツ瀬川のところ、六カ所の橋のところとか、北は都農の南の美々津町のところとか、そういうふうに線を引いて、消毒の徹底をまずは図らせていただきました。

 確かに、埋却がおくれておりまして、きのうも、発生は二千ぐらいなんですが、埋却が九百しかできていない、その前の日は八千なんですが、埋却が三百二十二しかなされていないというふうに、大変厳しい状況は依然とあります。

 埋却地の確保、そして、それに対する埋却のための人員をどのように配置、そして急がせるかということ。先ほど大臣が申し上げましたように、ワクチン接種も七三%まで来ましたので、すべて、現地においては、そういう対策をこれからさらに懸命にやらせていただきたいと思っているところです。

道休委員 どうもありがとうございます。

 今の答弁の中で、ワクチン接種、埋却ということも触れていただいておりますけれども、殺処分を前提としたワクチンの接種ということが、御説明にありましたように、五月二十二日から始まっておりまして、報道によれば、先ほど大臣のコメント、副大臣のコメントもございましたが、きょうじゅうには完了するというお話をいただいております。

 しかし、口蹄疫の拡散の現状を考えた場合、消毒、ワクチンの接種、殺処分、埋却地確保、埋却という作業を同時並行的に、広範囲において行っていく必要があると思われます。それらの作業に携わっている人員等についても、今御説明を若干はいただいておりますけれども、消毒ポイントの数あるいはワクチン接種に関与する人員の数とか、そういう具体的な現状について、副大臣ないしは政務官の方からお答えいただければと思いますが、いかがでございましょうか。お願いします。

山田副大臣 現在、埋却等とか殺処分等に携わっている人員なんですが、獣医師さん、これは今もまた派遣要請しておりますが、現在、本日段階で百八十名、ワクチン接種で別途五十名呼んでおります。それから、全国の家畜改良センターとか農政局等から約二百名ほど呼んでいますから、国とか派遣獣医師をお願いしたところだけでも約四百名ぐらい、国からの派遣が行っていると考えていただければ。それに、自衛隊が今二百六十名、機動隊が百七十名来ていただいておりまして、それに、県と市の職員さん、また、現地で牛になれた、豚になれた人を今雇い入れて保定作業をさせておりますから、かなりの人数がおります。

 それらの人たちを班体制にして、これからなんですが、早く埋却を急がなきゃいけないので、私の方では、投光器も二十四基用意しましたから、二交代で何とか急げないか、そういう話を今しているところです。

道休委員 どうもありがとうございます。

 先ほどからポイントは埋却地の確保ということで、実際、今御対応もしていただいていると思うんですけれども、感染確認、そして殺処分、埋却と、通常ですと、四十八時間から七十二時間以内に行ってほしいというガイドラインもあるくらいでございますけれども、現状では、データを見る限り、場所によっては十日以上たっても埋却が進んでいないケースもあるのは事実でございます。

 先ほどから御指摘のとおり、埋却地の確保というのが本当に今回の口蹄疫の拡散を防ぐ第一のポイントであるという認識は私も持たせていただいておるんです。現在、県や市や町、それに国が連携をとって埋却地の確保をしていただいている。国有地の提供あるいはその他の公共の場所の提供、または、それに加えて私有地を買い取っていただく作業とか、そういうことも具体的にやっていらっしゃるとは思うんですが、それにつきまして詳しくお話しいただければありがたいんです。

佐々木大臣政務官 埋却場所の確保についてでございます。

 先ほど来答弁申し上げておりますように、この口蹄疫は、消毒と、あとできるだけ早い殺処分、そして埋却ということが必須なわけでありますが、発生地域が、水が出るとか、岩盤に当たるとか、埋却場所に大変苦労されてございます。そういった意味で、十九日の対策本部において、県有あるいは国有地を利用するなどの円滑な確保に努めるということを決定させていただきまして、山田副大臣を現地本部長として、埋却地の確保に関係自治体との調整を進めさせていただいてきたところでございます。

 結果として、二十四日には、宮崎県が、農業大学校を初めとする県有地を埋却地として提供することなどを含めた埋却地の確保等促進について、関係市町村に提示をさせていただき、また、国有地についても、具体的な場所の提示などを含めて政府もできる限りの協力を行うというような方針で、今具体的な調整を進めさせていただいているところでございます。

道休委員 埋却地の確保については本当に最大限の努力をしていただいているとは思いますけれども、現在既に感染したものが一日も早く埋却できるように御努力を続けていただきたいと思います。

 続きまして、ワクチンの接種。この接種の判断をされたのは本当に苦渋の御決断だったと思うんです。現在、専門家による疫学チームが原因と感染ルートについての調査も行っていると認識しておりますが、前回、十年前の口蹄疫の場合も、原因は最終的にはわからなかった、輸入されたわらが原因ではなかったのかというような話もされております。

 こういうウイルスを対象としたものは原因並びに感染ルートの確定というのは非常に難しいとは思いますけれども、そういう疫学的な原因究明の分野で、現時点で公表できるものがございましたらお話しいただければと思いますが、いかがでございましょうか。

佐々木大臣政務官 お答えいたします。

 今、口蹄疫のウイルスの分析あるいはワクチンの状況などについての御質問をいただきましたが、専門家による疫学の調査チームを設置して、感染ルートの調査を今現在行っているところでございます。

 今般の口蹄疫ウイルスの遺伝子を独立行政法人動物衛生研究所、さらにまた英国のパーブライト研究所が解析いたしました結果、本年、香港及び韓国で確認された口蹄疫のO型ウイルスと近縁であるということをまず確認させていただいたところであります。さらにまた、牛豚等疾病小委員会によりますと、十年前の宮崎、北海道で確認されたものと比べて、臨床症状が大変強く出るということ、あるいは伝播力が非常に強いという特徴があるということの報告をいただいているところでございます。引き続き、科学的な見地から疫学調査チームにおける感染経路の調査を進めるところでございます。

 また、ワクチンを接種してから効果が出るまでの間は、牛で約一週間、豚で約二週間かかります。効果は牛、豚ともおおむね六カ月存続するというふうに言われておりますが、発生農場の殺処分を最優先で、今後ともワクチン接種あるいは殺処分を進めていくという考えでございます。

道休委員 どうもありがとうございました。

 こういうウイルスの原因、感染ルートの解明というのは本当に難しいとは思います。十年前、いわゆる原因不明、感染ルート不明ということで結論づけられておりました。今回の口蹄疫、まずは抑えることが、終息させることが大切でございますけれども、終息させた後も、原因究明並びに感染ルートの確定等については、今後のこともございますので、しっかりやっていただきたいとお願いして、次の質問に移らせていただきます。

 ワクチン接種という報道が一部でなされるようになりましてから、それまで現場で、自分の家畜を感染させちゃいけない、あるいは感染を広げちゃいけないと一生懸命に消毒作業をやられた農家の皆さんが、ワクチンは万能であるのではないかとか、ワクチン接種が決まってしまえば自分の家畜も最終的には殺処分になるというようなお気持ちが生まれたかもしれません。一部には、それまでの緊張感がぷつんと切れてしまったような話もありまして、今までとは違って、消毒作業に熱が入っていないような方もいらっしゃるというお話も聞いたりもします。

 ですから、私どもは、やはり、先ほどから大臣以下がおっしゃっておりますように、まず消毒作業が大事であるという認識を確認いたしまして、今後とも、念入りで、そして頻度の高い、徹底した消毒を、そして迅速な殺処分並びに埋却が必要であるという御認識を地域の皆様にしていただくためには、これは広報活動も一方で不可欠かと私は認識しております。

 宮崎県では、ただいまテレビ、ラジオ等を使いまして知事や地元のアナウンサー等が口蹄疫についての説明をしておりますけれども、各市町村、県も含めまして、独自に広報活動をやっているとは思いますが、国の広報活動の現状について、御質問させていただきたいと思います。

佐々木大臣政務官 広報活動について御質問をいただきました。

 今委員も御指摘のとおり、こうした非常事態の状況でありますから、広報活動は極めて重要であり、情報を国民の皆さん方と共有するということは極めて重要だというふうに我々も認識をいたしております。

 農水省では、発生が確認された後直ちに、プレスリリースあるいは正確な情報の提供などに努めてきたところでありますが、さらにまた、農水省のホームページで、口蹄疫の発生状況、防疫措置の実施状況、経営支援策などについて周知に努めているところでございます。

 また、生産者等の疑問に答えるために、専用の電話相談の窓口も農水省の中に設けさせていただいているところでございます。

 さらにまた、この口蹄疫について、早期に周知あるいは通報が重要であるという観点から、典型的な症状を示したパンフレットなどを作成して、都道府県、農政局、獣医師会、生産者団体等に配付をさせていただいております。さらにまた、今委員からも御紹介がありましたが、宮崎県でも独自にホームページに掲載などのPR活動をいただいているところでございますが、さらに強化をしていく必要があるというふうに思ってございますので、検討させていただきたいというふうに思ってございます。

道休委員 どうもありがとうございます。

 宮崎の町では、宮崎市内でも街頭募金が始まったり、あるいは、大学の学生さんが、本当に自分たちも何かできないかということをおっしゃりながら町へ出られている。あるいは、スポーツ選手等も、宮崎の口蹄疫を防ぐために、あるいは口蹄疫で影響を受けられた方のためにということで、本当にいろいろな善意を提供していただいているという状況がございます。

 今我々に必要なのは、本当に一体感を出して、これはもう行政、畜産農家あるいは各種団体、山田副大臣も現地に入られて本当にお忙しく各地を回っていただいている。私も、先週の土曜、日曜と現地を回ろうと思いました。そして一部の町村は回ったんですが、さすがに、川南や都農という今本当に火が一番燃えているところには、私自身が入ることでウイルスを媒介してしまう、運んでしまうのではないかという気持ちから、その二つの町には入りませんでしたけれども、山田副大臣は現地で本当に農家の方々あるいは首長さんと御努力をしていただいていると思います。その副大臣の現地での御苦労に報いるためにも、我々はしっかりと、議員としてやるべきことはやりながら、一緒にこの口蹄疫と闘っていきたいと思っております。

 最後になりますけれども、質問としましては、やはりこの口蹄疫、野生動物への感染というのが一方で危惧されております。これについて何か情報等、あるいはお話しいただくことがございましたら、お願いしたいと思います。

山田副大臣 確かにシカとかイノシシが多いところでございまして、そういうものに感染すると大変なことになるという危機感を持っております。あるいは、防疫専門委員の間では、ネズミとかハエとかというものの媒介も考えられると。確かに、家畜伝染病予防法では、野鳥とか野生動物、そういったものに対する防止という規定がございます。

 そんな中で、今回実際に、今度ワクチンを接種した農家等に対しては、いわゆる囲い込み、シカやイノシシが入らないように、そういったことをしていただくように。また一方、シカ、イノシシがあの周囲に出てこないように、きのう大臣と相談させていただきましたのは、ひとつ、時期がどうなっているかわかりませんが、猟友会にも出向いてもらって、いわゆる十キロの制限地域内に野生のシカ、イノシシが立ち入らないような方向を考えてもらわなきゃいけない、そう考えているところです。

 また一方、県の方に、今までにシカやイノシシの死体、そういったものはあったかどうか、それについてどうしたかということも一応お聞きしておりまして、何例かございます。しかし、それについては、家畜防疫員が出かけていって、獣医さんが出かけていって、異常がなかったという報告は聞いております。

道休委員 どうもありがとうございます。

 現在までの御答弁を伺いまして、本当に国は国としてやるべきことはやっていただいているという認識には立ちますが、やはり問題は、感染をこれ以上広げないということで、もう本当に総力戦で臨んでいただいております。

 また、この御努力を今後とも続けていただく、また必要があれば新たな対策を打っていただくということをお願いしながら、今、本当に宮崎、畜産王国宮崎は存亡の危機に瀕しております。

 このパンデミック、口蹄疫というウイルス感染、日本では十年前にはございましたけれども、あのときはA型、今回O型、本当に強いウイルスが日本を襲っている。そういう現状の中で、今、現地、川南町を初め影響を受けている市町村におきましては、当該の畜産農家は当然でございますけれども、周りの製造業や商店街の方々、本当に地域全体が非常に影響を受け始めている。町によっては、通りから人が消えてしまいそうだというようなお話もございます。

 また一方で、今回当初からお話をされておりましたけれども、宮崎県からの産品ということで、特に牛、豚については風評被害を避ける、抑えるということで御努力をいただいておるんですけれども、残念ながら、今の状態ではその風評被害もどんどん出てきている。実際、空港で航空券のキャンセル、宮崎はキャンセルよと言われる方や、修学旅行がなくなったとか中止にしたとか、あるいは宮崎で何かやるイベントはもう全部中止だというような状況になりつつございまして、まさに今、地域は崩壊寸前の状態になっております。

 畜産農家が本当に長年子供のようにいとおしく育ててこられた牛や豚が一瞬にしていなくなる、そして、畜産で宮崎を、日本を支えていこうとされていた農家が、その夢をかなえる可能性がなくなりつつある、希望がなくなりつつある。本当に社会が崩壊の危機に瀕しております。

 こういうときこそ、口蹄疫を一日も早く終息させて、いわゆる政治がここで力を示す、社会に生きる力を政治の力で与えていただくのが今だと思っております。

 国民総力戦、我々は、政府とともども、一緒になってこの口蹄疫を一日も早く終息させ、力強い畜産宮崎を復活させるために努力をしていきたいと思いますので、何とぞよろしく、今後の対応もしっかりしていただくようにお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

筒井委員長 次に、川村秀三郎君。

川村委員 おはようございます。民主党・無所属クラブの川村秀三郎です。

 ただいまの道休議員に引き続きまして、地元宮崎で大変な猛威を振るっております口蹄疫につきまして質問をさせていただきます。

 四月二十日に発生を見て以来、一カ月が経過をいたしました。農林省におかれましても、発生後直ちに対策本部を農林水産大臣を本部長として設置していただいて、そして職員の常駐派遣など、防疫体制をしいていただいたわけであります。そして、赤松大臣には、我々国会議員にも早々に、二十二日に面会をいただきました。そして翌二十三日には、第一弾の支援対策を打ち出していただいたわけであります。

 また、山田副大臣、赤松大臣も宮崎に来ていただきまして、知事を初め関係の町長あるいは市長、そしてJA関係の方々、そしてまた生産者の代表の方々ともひざを交えて話を聞いていただきました。要望も聞いていただきました。そして、それを踏まえて、第二弾、第三弾、第四弾と次から次に対策を打ち出していただいた。そういった対応に対しまして、改めて感謝を申し上げます。

 ただ、本当に、極めて残念ではあるわけでございますけれども、全国各県から、あるいは自衛隊、あるいは警察、大変な応援をいただきながら、日夜を分かたず、関係者が一体となって懸命な努力を続けておりますが、しかし、拡大がとまっておりません。先ほどから話がありますように、もう二百件に及んでしまいました。頭数も十四万五千三百五十八頭、大変な数字であります。二市五町にわたり、搬出制限まで加えると大変な広がりになってしまう、そういう状況の中であります。

 先ほどもお話がありましたけれども、宮崎県では非常事態宣言を発し、そして国も、総理を本部長とされる政府を挙げての対策本部、地元にも山田副大臣そして小川総理補佐官をヘッドとする現地の対策本部を設けていただいて、連日現場を回り、陣頭指揮をとっていただいております。これも非常に感謝を申し上げますが、その拡大の状況を見ますと、えびの市への飛び火がありました。それから、次第に南方向へ拡大をしております。ただ、北方向には幸いなことに余り進んでおりません。そして、一時おさまったかに見えた都農町、これも再び発生が続発しております。一方、えびの市は、十三日以来発生がないということで、昨日からは清浄性確認の検査が始まったということで、これは一つの朗報ではあります。

 こうした拡大の状況、原因、それから感染ルート、こういうものを農林水産省として、現時点でどう究明し、どう認定されているのか。これが本当にはっきりしないと有効な対策はとれないんじゃないか、そういうことを心配しておりますので、ぜひその点、明らかにしていただきたいと思います。

山田副大臣 防疫、家伝法では、発生したら、二十四時間、七十二時間以内に埋却処分しなきゃいけないと。これは当然のことなんですが、埋却処分できずに、豚が何万頭も放置されてしまった、この事実が一番拡大を爆発させたということになるんじゃないか。豚一頭で、半日で一万頭の豚を感染させるウイルスを、牛の千倍から発散しているということは言われておりますので、なぜ埋却できなかったか、そこは大きな問題なんですが、埋却地がなかった、埋却地の選定がおくれたということがやはり一番大きかったんじゃないか、そう考えております。

 何でこのように感染していったのか。これはいろいろ言われてはおりますが、空気感染も可能性があるなんとも言われておりますが、私は、やはり接触による感染だと思っております、人か物か。

 そんな中で、いわゆる感染ルートなんですが、例えばえびのとか都農町とか西都とか、そういうところでは、各発生した農家に、十日前までどういう人と接触したか、そういう疫学調査といったことも今やっていただいて、町みずからきちんとやっていただいておりました。

 ところが、肝心の最初の一例目の発生、あるいはもっと前、例えば水牛においてはもっと早く、きのう空港ビルでお話を聞いたところによりますと、あそこの水牛からとれたチーズが空港ビルで売られているそうですが、その水牛そのものについて、風邪を引いておったので出が悪いとかという話が三月中からあったというお話ですので、そういったもろもろの疫学的ルートを、これから、どこからどのようなルートで、例えば外国から来たものかどうかといったことまで含めて、詳しい調査を専門家にやっていただこうと考えております。

 なお、先ほどちょっと私が申し上げました家畜伝染病予防法においては、遅滞なく埋却しなければならないとありまして、七十二時間以内にしなきゃいけないということは家畜伝染病予防法には書いていなかったので、その旨はちょっと訂正しておきます。

 いずれにしても、直ちに埋却しなきゃいけないところを、おくれた、そういった疫学的なルート、原因といったものは、これから検証させていただかなきゃいけない、そう考えています。

川村委員 今のお話の中で、やはり埋却地の問題が大変なネックになったということをおっしゃったわけであります。これも、私もこの土日、道休議員と一緒に現場を回らせていただきました。そして、各町長さんとも、あるいは市長さんともお話をした。

 やはりこれまでは、家伝法の原則が、農家個人にまずやってくれ、こういうシステムになっていますね。しかし、今回の口蹄疫というのは、そういった個別の、個々の農家の対応をはるかに凌駕するような、そしてまた、畜産経営の形態もかつてとは違っているんです。戦後間もなくできた家伝法とは違っているんですね。何万頭という豚を飼っておられる。牛だって、何千頭という農家もあるんですね。

 そして、牛は、自分で畑をつくられるので、飼料畑があるので、まだ自分の土地がある。しかし、豚は、建物を敷地ぎりぎりに建てる、いわば施設型の農業ですから、こういう状況の中で土地を探せといっても、実際、それから買わなくちゃいけない。しかし、買うといっても、農地として買うのならまだ話はわかるかもしれないけれども、殺処分した牛を豚を埋めなくちゃいけない。それはもう、環境の問題、いろいろあって、個人、もちろん町と県がチームを組んでやっていますけれども、なかなか思うようにいかないという実情があります。

 私の知り合いの高鍋の農家からも、もう何週間も前に発生したのにまだ埋められない、どうにかしてくださいという電話が毎日のように入ります。しかし、お話によると、これまで努力された農家とバランスをとらなくちゃいけない、そういったことで足が引っ張られていますという話も聞きます。こういう事態ではないと思うんですね、火が燃え盛っているわけですから。それを消さないことにはますます火が、火種が残っているわけですから、どんどん広がるじゃないですか。

 きのう、知事が関係市町村とかJAを集められて、何とかこの埋却地を確保しようということで号令をかけられたという話を聞いています。これが本当に肝心かなめのことだと思うんですね。しかし、疑似患畜ですら、まだ何万頭も残っているわけですよね。

 そして、ワクチン。これは、できればワクチンを打ってからすぐ殺処分して埋却をするというのが本当は原則のはずです。しかし、ワクチンを打つことの日程は、先ほどのお話で、もうきょうじゅうには終わる、そういうふうにおっしゃっていますが、ワクチンを打った牛をいつ埋却できるのか、その見通しが立っていないですよね。これは本当に憂慮すべき事態で、国、県、我々県民、総力を挙げてやらなくちゃいけない話だと思います。

 農家の心情からすると、自分の目の前で家畜を殺してほしくない、大規模な埋却地のところへ連れていってもらって、そこで殺処分してすぐ埋めてほしい、自分のかわいがってきた家畜が苦しむ様子は見たくない、そういう声が、もう要望書としても上がってきています。

 そういう実情もありますので、これは最優先課題として、先ほど道休議員からも何回も言っていただきましたけれども、私も触れざるを得ない、お願いせざるを得ない、我々も頑張らざるを得ない、そういう課題だと思いますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 そして今、疫学的な検討チームの話をされました。私は、これもやはり早急にやらないといけないと思うんです。早急といいますか、同時並行的にやらないといけないと思うんですよ。まさに今も拡大が進行中なんですから、疫学的にも学ぶことはたくさんあると思うんですね。ですから、火を消す方とは別に、やはり専門のチームをしっかり組んで、早急に腰を据えて送っていただく。もうこういう事態を三度と繰り返してはならないと思うのです。そのためにも、平成十二年、十年前の口蹄疫の経験、あるいは英国とかで起こった経験も確かに参考にはなりますけれども、やはり日本で起こったこの現状をしっかり見詰めて分析をしないと、日本の対策にはならないと思うんですね。そういう意味でも、今が肝心だと思うんです。

 そのためにも、どういうスケジュールで、どうなっているのか、より具体的にこの検討チームの話をしていただきたいと思います。

山田副大臣 お答えいたします。

 対策本部を設けた際に、牛豚等疾病小委員会という専門家の疫学の委員会を立ち上げておりまして、その専門家の先生方が現地にも何回か入っていただいております。

 そして、各町、都農町とか、先ほど西都とか言っておりますが、えびの、この市では、既に町自体が、いわゆる発生農家のいろいろな感染ルートといいますか経路をいろいろと調査していただいております。新富町にもお願いしたので、新富町の方も、町長さんがきのうからその担当者を一人決めました。そういう形で調査に入りました。木城町もやっていただいているようですが、高鍋、川南、ここは今大変な状況でして、なかなかそこまで手が届かないのが事実かと思います。

 国の疫学調査についても、そういった資料をもとにして、専門委員の方で先ほど現地入りしておりますし、何とか、何が原因であったのか、感染ルートの解明は、本当に大変やっていかなきゃいけない大事な大事なことだと思っておりまして、しっかりやらせていただきたい、そう考えています。

川村委員 本当に、この十キロ圏内の移動制限区域、この中でワクチンを投与してそして全頭殺処分する、こういう非常手段までいったわけですから、これが失敗したら大変なことです。もうとめようがない。そうなりますと、少しでも得られた知見はフィードバックして、そして拡大を完全にシャットアウトする、こういうことをみんながやらないと、これは本当にとまらないと思いますので、その点、重ねてお願いをしておきます。

 それから、本当に牛や豚が農家の前から消えていきます。そして、これまで頑張ったのにやはりだめだったのかと、無力感、脱力感、そして将来に対してどうなるんだろうと、日々の生活すらやっていけない、そういう状態です。これはまさに今まで我が国が体験をしたことのない大災害だ、天災だという認識でぜひ対応していただきたいと思います。従来の延長ではなくて、思い切った対応をしないといけないと思います。そして、農家の皆さん、関係の皆さんが安心できるような、そういうメッセージを早く送っていただきたいと切に希望いたします。

 そのためにも、具体的な十分な内容の対策を示すことが、やはり一番希望をともす道だと思うんです。この拡大がおさまっても、清浄性確認をし、そして家畜の再導入まで、また後でも言いますけれども、二年とか三年とか、かかるんですね。こういう状態で、まず、いつになったら再建ができるのか、再建が本当にできるんだろうか、生活をやっていけるか、そういう見通しが立たない、これが一番つらいとおっしゃっています。ですから、幾つかいろいろな対策を出していただきました。かつての家伝法を超える対策も出ております。そこでまた、特に今回出された措置について、いろいろな要望も出ていますので、考え方を聞きたいと思います。

 一つは、移動制限区域内で殺処分を前提としたワクチンの接種をして、接種した家畜は早期に殺処分をする、そしてその殺処分については適切な奨励金を出す、まずこういう第一点がありますね。ここの部分は、最初は一頭六十万とかといううわさが流れて、そんなもので一律処理されては困る、そんなんじゃ受けられないということもありました。これはまさに情報不足だと思います。正確な情報が伝わらなかったのでそういうことになったんだと思いますけれども、時価評価方式ということになったので、しかも五分の五、しっかり国が面倒を見るということを打ち出していただいたので、この点では、皆さん大変評価されています。

 ただ、そうなると今度は現実問題として、その時価評価というのをどうやってやるんだろうかということが皆さん、気になっておられるわけです。家畜評価員でやられるというんですけれども、農家というのは、ただ漫然と例えば牛を買ってきてやるわけじゃなくて、やはり自分の手でいい牛をつくろうということで、血統とかなんかを見て、姿を見て、そしてこれを立派に育てたいということでやっておられるわけですね。自分が手塩に育てる牛、そして血統も見込んで育てた牛、これが将来どうなるんだろうかという期待を持って飼っているわけですね。ですから、こういう将来的な価値まで含めて見てほしいというのが希望なんですよ。

 ここをどういう形で評価されるのか。例えばJAの関係者の方も入るのか、そういったところをちょっと詳しく具体的に御説明いただければと思います。

山田副大臣 殺処分するときに、当然それについては時価評価で、五分の五、全額国の方で負担いたします、そういうことになっておりますが、その評価はどういうやり方でやるかということかと思います。

 これは、確かに私も現地を回りまして、農家の方々から二、三聞かれました。私の牛は、それこそすごい、百万も二百万もする牛なのにというようなお話なんですが、一応、互助金のいわゆる基準単価みたいなものがあるようでございまして、月齢とかそういったもの、いわゆる標準的な牛の価格表みたいなものがあるようです。そういったものをもとにして評価する、今三人の委員が決められておりますが、そういったものを中心にしながら、どのようにして、それにプラスどれくらいになるのか、マイナスどれぐらいになるのか、そういったことでやっていくことになるかと思っております。

 ただ、殺処分するときはそれができるんですが、やはり既に埋却処分してしまったときに、正確な当時の評価とかそういったものがどうやらよくなされていない、このごたごたの中で何万頭というものを埋却しておりますから。そういったことは、標準的なものでやっていかざるを得ないのかなと考えておりますが、そこは個々の農家と話し合いながら決めていかざるを得ないだろう、そう考えております。

 今の評価については、確かに月齢、血統とか、これまでのその人の出荷した牛の価格とか、いろいろなことを参考にしながら決めていくことになるんじゃないか、そう考えているところです。

川村委員 これは各論になるわけですけれども、県が評価員を指名されるということを聞いています。ただ、そういった将来に対する希望的な期待値、これは現実にある程度客観的なものでないといけないと思いますけれども、やはりそこまで見ていただかないと農家は納得しないと思いますので、適切なガイドラインといいますか、そういうものを、評価員の選定につきましてもぜひ国として考えを持って御指導いただきたいということを思います。

 それから、この中で、さらに経営再開の支援金ということで、先ほど言いましたように、おさまって清浄性確認をする、これは長ければ一年ぐらいかかるかもしれません。そして、そこから素牛を導入して育てて、実際に市場に出すというのには三年ぐらいかかるんですね、長い場合は。そうなると、そのときのまさに生活資金、こういうものはどうなるんだろうか。

 今、規模が大きくなっていますから、例えば私の知り合いの農家も千頭規模ですけれども、一日のえさ代は、一頭五百円としても、千頭いれば毎日五十万かかるんですよね。大変なえさ代もかかります。それから、生活もやっていかなくちゃいけない。大きなところになると従業員もいる。本当に大変な困難が待ち構えているわけです。やはりこういう天災ですから、そういうところをしっかり面倒を見ていただきたいなと思います。

 そして、今回、この経営再開資金の中に、互助基金の考え方で、そういったつなぎの生活支援をするんだという考え方が出されました。これは本当にありがたい話だと思いますが、この考え方を、これは皆さん、どの程度どうなのかということを思っておられます。その意味合いを含めて、農家の方も聞いておられると思いますので、ぜひわかるように御説明いただきたいと思います。

山田副大臣 ワクチンを打って牛を殺処分してしまうというと、殺処分した後、それから生活の糧がなくなるわけです。ワクチンを打って殺処分するまでの間は、一日当たり幾らという飼料費相当を支払いさせていただきたい、そう考えておりますが、殺処分した後、殺処分すれば早速何もなくなって、再開までに生活に困るわけですから、そのために互助基金制度というのを、そのまま、そういう形のもので生活支援をさせていただきたい。

 例えばの話ですが、肉用牛の繁殖を持っておられる方は、これは固定で決まっておりまして、一頭当たり十七万九千円、例えば繁殖牛を二十五頭持っていますと、そのときに生活支援として四百四十七万五千円。子牛だったら五万九千円で、五頭いましたら二十九万五千円。四百四十七万円と二十九万五千円が農家のこれから再開するまでの支援という形で、繁殖もそういう形。

 肥育についても養豚についても同じような考え方で、固定的に幾らという生活費の支給は、飼ってきた頭数によって決められておりますので、例えば養豚の場合に千頭ぐらいいますと、一頭当たり五万六千円ですから五千六百五十万ですか、五百六十五万かな、ちょっと今計算できませんが。そういった金額が支払いされますので、いわゆる従業員に対しても幾らかそこから、多く飼っている人はそれなりに支給できるんじゃないか。

 川村議員、本当に心配されているのはよくわかるんですが、我々としましても、ワクチン接種農家はできるだけ殺処分を急ぐ、急いであそこを空にしまして、そして一回消毒して、一週間後さらに消毒、二週間後さらに消毒、その次の週さらに消毒して、いわゆる三週間、二十一日消毒が終わったら、清浄国としてもう一回牛の導入、そのときには改めて家畜をリースして農家に与えるような新しいやり方を考えておりまして、農家が希望を持ってもう一回再開できるような、そういう形をぜひとらせていただきたいと思っているところです。

川村委員 その再開の時点でもう一回しっかり対応するというお答えもいただきましたので、今予測しがたいところもありますので、今のお言葉をしっかり受けとめまして、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 きょうは財務省からも御足労いただいております。本当に、今申し上げましたように、いまだ経験をしたことのない大変な事態を招いております。畜産県宮崎から、地域からまさに家畜が消えようとしています。影響は畜産農家にとどまらず、飼料とか関連資材、こういったものを供給される方、ひいては人工授精師あるいは削蹄師など関連の方、支援をされている方、販売、加工、運輸、それから地域の商店街、本当に広範囲にわたって、しかも非常に甚大な打撃を与えています。

 そして、非常事態宣言を出したものですから、人の集まる施設は閉館、いろいろな定期集会、定期総会、あるいはイベントもキャンセルです。そして、県民は外出を控えるといったようなことで、県民生活全般にも及んでいるんですね。先ほど来私が話しているように、この畜産を初め、復興には最低でも二年から三年、もとの姿になるには恐らく五年、十年かかると思うんです。感染の拡大を抑えることが現下の最大の急務ではあるんですけれども、その後も、またこれは正念場なんですよね。

 だから、再建への道筋を立てて、これを支援していかなくちゃいけない。まさにこの再建への道筋を立てていくんですが、そのためには、従来の枠を超えないと。これは未経験の世界ですから、ぜひそういうやわらかい頭を持って対応していただきたいと思うんです。

 そして、これまでも、家伝法にかかわらず、これを超える対応、全額補償とかいろいろな対応をしていただきました。こういう対応に感謝しますとともに、まだこれからなので、ぜひ財務省さんにも、この口蹄疫に対して的確に現状認識していただいて、今後の予算措置も含めてしっかり対応していただきたいと思いますので、その御認識と対応を力強く、宮崎の農家の皆さんが聞いておりますので、関係者が聞いておりますので、よろしくお願いいたします。

大串大臣政務官 川村委員にお答え申し上げます。

 今回の口蹄疫の課題、前回の課題に比べて、発生事例あるいは頭数ともに極めて甚大、かつスピードも極めて速いという内容であります。地元の発生農家の皆様あるいは影響農家の皆様、あるいはそれのみならず地元の皆様にも大変大きな影響を与えているということは、早い段階からかなり認識した上での対応を行ってきておりまして、私自身としても、私も九州、近隣県、畜産の盛んなところであって、畜産農家の方々がどのような思いで、深刻にかつ大変な心配を持ってこの問題に取り組んでいらっしゃるかというのは肌身で感じているところでございます。

 こういった極めて深刻な認識に立って、全閣僚が参加した本部においても、総力を挙げて対応をする、取り組みをする、そして、発生農家あるいは移動制限の影響を受ける農家の皆さんの生活支援あるいは経営再建、維持のために万全を期するということを財務大臣も入った全閣僚の場で決めて、全政府として対応するということを決めております。

 財務の面でも、今回の面、早期の封じ込め、そしてその後の経営再建も含めて万全の取り組みを行っていく、このかたい決意で取り組んでまいる所存でございますので、頑張らせていただきたいというふうに思います。

川村委員 どうもありがとうございました。ぜひよろしくお願いします。

 もう時間が参っておりますので、要望にとどめますが、何度も申し上げて恐縮なんですが、今まで経験したことのない事態、防除方法も率直に言って手探り状態だと思います。ですから、従来のマニュアルとか指針にこだわり過ぎてもいけないんじゃないかと思います。

 例えば、最近話題になっております種雄牛の問題も、示しがつかないという御発言があります。しかし、畜産農家だけでなく県民の多くは、できる限りの延命を望んでいるんです。私のところにも、知人はもちろんですけれども、見ず知らずの方から多くの電話、要請を受けております。きょうも電話をいただきました。もう泣きながら訴えておられました。やはり従来のマニュアル、指針など、今回の事態を踏まえて見直すべき点が多々あろうと思うんです。

 現場の声、実態を踏まえて、硬軟両様での対応を切にお願いいたしまして、私の質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

山田副大臣 先ほどの数字を、ちょっと二つ間違っていましたので、訂正しておきます。

 きのうも二千頭ぐらい発生したと言っておりましたが、実はきのうは千三十三頭の間違いでしたので。

 もう一つ、先ほど、母豚を仮に千頭だとしますと、一頭当たり五万六千円ですから、そうしますと、母豚が千頭いますと五千六百万という形になるかと思います。

 いずれにしましても、そういう互助基金の、準用したような形での生活支援、それにプラスして、殺処分するときに時価評価でその豚を買い上げる、そういう形で何とか再開につながるようにさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

筒井委員長 次に、江藤拓君。

江藤委員 宮崎県の、自由民主党、江藤拓でございます。

 もう四回目になりますので、本会議を入れると五回目ですが、たくさんのやじをいただきまして、皆さん大変ありがとうございました。

 厳しい、本当に苦しいこの一カ月間でした。みんなと肩を抱き合い、時には一緒に昼飯を食い、涙を流したこともありました。だけれども、この苦しい期間の中、最初のうちは物すごく士気が高かったんですよ、何とか最小限でおさめようと。国からは消毒薬は届かなかったけれども、手持ちの消毒薬でとにかくやろうと一生懸命やりました。ところが、広がっていった。だんだん途中で心が折れそうになってきた時期がありました、正直言って。でも、そこでもみんなが支え合って、ここでおれたちが折れたらどうにもならぬ、頑張ろうやないかということで頑張りました。そして、一カ月たって、ワクチン接種ということになったわけであります。

 思い返すといろいろなことを思い出しますけれども、道半ばなんだろうと思います、まだ途中だろうと思います。ですから、ぜひ、この委員会ではいろいろな議論を皆さん方としていきたいと思います。

 ただ、救いもありました。最初のうちはマスコミでの取り上げもほとんどなくて、認知度がほとんどなかった。ところが、ネットの世界でいろいろな方に興味を持っていただいて、そこから広がったのか、大手も今は毎日、テレビで放送するようになりましたね。テレビの方々、お見えになっていらっしゃいますけれども、もっと早く放送してほしかったですよ。確かに、風評被害の問題はありました。私も、最初は、余り大ごとで広めてほしくないという気持ちはあったけれども、やはり、豚に感染した時点でもうステージは変わりましたから、あれぐらいからメディアの方々にはもうちょっと関心を持っていただきたかった。まあ、あなた方に文句を言ってもしようがないですけれどもね。

 今、私は、これまで殺処分されていった牛たち、豚たち、毎日その冥福を祈りながら日々を過ごしております。そして、これからワクチンが打たれることによって、健康にもかかわらず、殺処分される運命が決されてしまった、そういう牛や豚たちのことを思うと非常に胸が締めつけられる。

 きのう、ファクスをもらいました。あの水牛が発生した牧場の隣保班、隣保班というのはわかりますか、皆さん。いわゆる御近所ですよ、隣組。隣保班の農家でも、一頭もまだ疑似患畜が出ていない農家がきのうの夜の時点でいるんですよ、実は。いるんです。その人から電話をいただいて、拓さん、何とかうちも経過措置にしてもらえぬやろうか、助けてもらえぬやろうかと泣きながら訴えるわけですわ。だけれども、どんなに家伝法を読んでも、これからの蔓延防止法を読んでも、一市六町、町長がワクチン接種を受け入れたことを読んでも、相談はしていますが厳しいですと正直に言いました。非常につらかったですよ。そういった日々が今送られております。

 また悲しいニュースが入ってきました。高鍋農業高校、これは優秀な学校で、将来の畜産を担う子供たちが一生懸命勉強している学校なんです。この間、二〇〇七年、畜産共進会では農林水産大臣賞をとったんです。高校生がつくった牛ですよ。これは快挙です、すごいことですよ。ここにも感染が確認されてしまいました。これも全頭殺処分。学生たちの絶望と悲しみを思うと、何ともやりきれない。そしてまた、その学校に通学がこれからできるんだろうかと。発生した場所ですからね。いろいろな問題がこれからさらに広がっていく。幅広の議論をしていかなきゃならぬと思います。

 山田副大臣、お帰りなさいませ。大変お疲れさまでございました。

 いきなり嫌なことを聞いて申しわけないんですが、副大臣、行かれまして、地元の方々、知事、市町村、農協、関係の方々と、がっちりとスクラムを組んで、信頼関係をつくることに成功して帰ってこられたと実感されていらっしゃいますか。御返答を求めます。

山田副大臣 県が第一義的には責任者だと私は思っておりますが、県、市町村、そして国も一緒になって、今本当に一体としてやらなきゃいけない。そう考え、そう言ってまいりましたが、なかなか、それぞれ思惑の違いがあり、例えば、燃え盛っているときに、火事だったらまず火を消さなきゃいけない。火を消さなきゃいけないのに、火を消す、いわゆる埋却する作業が、埋却地について不公平感があるとかいろいろな形で、なかなかうまく進んでいかない。ようやく、きのうから解決の兆しが出てきたかと思いますが、まだまだこれから大変な状況にある、そう認識しているところです。

江藤委員 余り個人批判はしたくないので、副大臣、これ以上は申し上げません。

 私は、金曜日に、一市六町すべての町長さんにお話をじっくり聞いてきました。今回のワクチン接種受け入れも、唇をかんで、本当に悔しい思いをしながら受け入れたんですよ。わかっていらっしゃるでしょう。そのクローズの議論の中でどういう会話が、山田副大臣は農民の味方の発言をされていたように私は聞いております。しかし、それ以外の方に非常に不見識な発言があったということを、すべての市町村長は非常に怒っていますよ。そのことはこの場では言いません。私はその場にはいませんでしたから、しようがありませんからね。

 言いませんが、現地対策本部をつくってくれというのは、自民党としての要望でもありました。行っていただいたことはありがたい。でも、そこでまずやるべきことは、地域の実情をきっちりと把握をして、そして信頼関係を築いて、徹底した議論を尽くして、そしてそこから答えを導き出していく、それがステップだったと私は思います。何か上から来たものが押しつけられたという印象を地元の方々が受けられてしまっているということは残念なことですから、これからも続きますので、副大臣、よろしくお願いしますよ。

 埋却地については、前の日も、わかった、金はあるんだから引き受けると言った。次の日になったら、財務に相談したらやはりだめでした、そういうお返事もあったでしょう。もうやめますけれどもね。

 行っていただくことはいいことなんです。とにかく国にも、県も、市町村も、農協もですよ、今回物すごく頑張ったのは農協ですから、畜連ですから、彼らの力、あらゆる力を結集して、早く火消しができるようにこれから御活躍を期待しますので、どうぞ副大臣、よろしくお願いいたします。

 もういいです。長いので、済みません、勘弁してくれませんか。(山田副大臣「一言」と呼ぶ)では、一言だけ。

山田副大臣 いかにも不見識な発言があったかのような……(江藤委員「いや、副大臣ではありませんよ」と呼ぶ)しかし、私はそうは思いませんで、それなりに、やはり地元の、何とか早くワクチンの接種を進めたい、何とかしてこの火を消したいという思いからの発言だったと思っております。

 もう一つ、土地の件ですが、それについては、どうやら財務省とも話し合いを続けられて、いわゆる県の農業振興公社において、基盤整備特別会計をもって買うことができることになりましたので、きちんとできております。

江藤委員 農業公社の話はわかりました。

 ただ、先ほども民主党の委員からもお話がありましたけれども、自分の土地で埋めた人、自己資金で購入した人、それから、いわゆる試験場にただで埋めた人、さまざまなんですよ。ここは不公平感のないようにしていただきたいと思います。

 それから、先ほどもお話ありました、四十九頭の種雄牛。もうこれは結論を出されたということがニュースで出ておりますので、今さら言っても仕方のないことかもしれません。ただ、東知事の気持ちをお伝えさせていただきます。

 一頭発病した。忠富士は、四番バッターですよ。エースピッチャーです。一番人気があった。私は、競りに行くと、忠富士という種を見れば、ああ、四万、五万は確実に高いなと。確実にそうでした。極端な話、ほかの種よりも十万高かったですよ。それぐらいの優秀な種だった。これも失われた。もし五頭が失われれば、もうゼロになってしまう。

 確かに、ではその次を担っていく牛が全く宮崎にいないのか、いますよ。ただ、彼らは余りにもまだ若過ぎる。彼らが成牛になって、精液をとれるようになって、試験種つけをして、種つけした牛が大きくなって、それを割って、どれぐらいの脂肪が入っているのか、どれぐらいの増体率があるのか、そういったものを調べるまでには七年かかるんですよ。最低でも七年。

 ですから、知事が家伝法を読んだって、どう考えても読めません、四十九頭を守れというのは。わかりますけれども、知事の必死の思いはわかってください。私のところにも、両論ですよ。同じ命じゃないか、何で県の種雄牛だからといって命が助けられるんだ、そういう抗議の電話もたくさんもらいました。その反対に、先ほど民主党の議員からあったように、我々が再建するための最後の希望の光なんだから、これだけは消さぬでくれという声もありました。

 もうこれは最終決定であり、御再考の余地は全くありませんか。大臣、御答弁を求めます。

赤松国務大臣 私どもは、やはり法律に従ってやらなければいけない、そういう立場であります。その意味で、家伝法では、疑似患畜と指定されたものについてはできるだけ早く処分をするということが明記をされておりますので、それに従ってやらざるを得ない。

 ただ、委員言われるように、確かに地元の、知事さんだけじゃなくて、そういう関係の人たちが、何とかこれが残ってくれればなという気持ちはわからないわけではありません。しかし、大変厳しいようでございますけれども、やはりきちっとやるべきところはやらざるを得ないということで、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

江藤委員 私も政治家の端くれでありますから、法治国家でありますから、大臣のお言葉は理解いたします。しかし、ざんきの思いであるという気持ちだけはわかっていただきたい。よろしくお願いいたします。

 大臣にお尋ねをいたします。

 日本で初めてワクチンを接種することになりました。これは大変なことですよね。これで、清浄化が確認されたとしても、向こう三カ月間は、日本の肉は海外には、清浄国に対して輸出ができなくなってしまいます。この経済的損失も非常に大きなものがある。

 初めて日本でワクチンを打たなければならなくなってしまった、ここまでの事態に至ったことについて、本会議でも聞きましたけれども、地元の皆さん方に、ワクチン接種を受け入れなければならなくなった、本当は嫌だけれども受け入れなければならなくなった農家の方々に、おわびの言葉なり、なぐさめの言葉なり、いたわりの言葉なり、そういうものはいただけませんか。御答弁を求めます。

赤松国務大臣 今御質問でございますけれども、これはある意味でいえば、今後の宮崎の畜産のためにという意味でも申し上げるんですが、香港とか一部の国では、そういう口蹄疫が起きていることはわかっているけれども、ぜひ日本の肉を輸入したいということで、現に今輸出をされている、幾つかの国ですけれども、香港、マカオ、そういうところもあるということです。

 ワクチンを打つことによって、その地域内のところはそうですけれども、それ以外は旧来どおりと全く関係ない、一緒だということをまず申し上げながら、今、委員が言われるように、確かに、健康であるにもかかわらず、殺処分を前提としたワクチン接種ということを受け入れていただいた農家の方たちには、その心痛を思いますと、私どもも本当につらい気持ちでいっぱいでございます。

 しかし、ある意味でいえば、それ以上に広がらせない、拡大を何としても防ぐんだという中で、専門家の先生方の御示唆もいただく中で、ワクチン接種も検討すべしという小委員会での結論もいただきまして、そういう判断をしたということでございます。

江藤委員 私、さっき清浄国ということを最初に言いましたよ。清浄国であっても、相手がいいと言えばいいんですよ。それぐらいの知識は、私もちゃんと持っております。

 私がお願いしたのは、農家の方々に優しい言葉をかけてやってほしいということを申し上げたのでありますが、非常に残念であります。

 私、今、ブログをやっておりまして、一日二百件ぐらいの書き込みがあります。この中の一つだけ、嫌かもしれませんが、紹介をさせていただきます。

 私は、新富町に住む繁殖農家の娘です。生まれたときから牛の鳴き声を聞きながら育ちました。嫁いだ今でも、毎日実家に行って、牛たちの世話をしています。この前の十三日に、私の初めて買った牛に子牛が生まれました。去年の三月に宮崎の子牛の競りで初めて買った三頭のうちの一頭です。大きな元気な雄の赤ちゃんでした。出産は大変でした。ですから、四人がかりで引っ張って出産をいたしましたと。

 多分、忠富士の種ですよ、これだけ体がでかいということは。

 あとの二頭も、六月と七月に生まれてくる予定です。この一年間、無事に生まれるのを毎日楽しみに世話をしてきました。でも、その子牛の顔を見ることができない。何の罪もないこの子供たちも殺される、この怒り、悲しみはどうすればいいんですか。この子たちを守るために、これまでの一カ月間、毎日毎日一生懸命消毒の努力を重ねてきました。簡単に十キロ圏内殺処分と言うな。感染拡大を食いとめるためとはわかってはいます。それでもやりきれません。毎日この子たちを見ていると涙がとまりません。なぜここまで拡大する前にとめてくれなかったんですか。私は一生許しませんと。

 この中にもかなり激しい言葉がありますが、私の独断で割愛をさせていただきました。そこには家畜に対する愛があるんですよ、愛情が。ですから、大臣、嫌かもしれませんが、私の今のこの文の紹介を受けて、もう一度お答えをいただけませんか。

赤松国務大臣 これは、おととい、私の方で、ぜひこうした関係畜産農家の皆さん方に私どもの気持ちを伝えたいということで実はつくらせていただいた文書でございます。これはごらんになっていらっしゃる方もなっていない方もお見えになると思いますが、その中でもこういうように書いております。

 移動制限区域内における殺処分を前提としたワクチン接種による感染拡大防止に踏み切っていただきました。

  これは、我が国ではこれまで経験のないものであり、農家の方々には、「今後の生活はどうなるのか」、「経営の再開はできるのか」といった不安、また、心を込めて育てた家畜を失うことによる痛み・悲しみは、計り知れないものと思います。

  農家の皆様方には大きなご負担をおかけすることになることから、政府としてできる限りの対応を行うこととしました。

感染拡大防止のために格段の御協力をいただきましてということで、文章化させていただいた方がきちっと私の気持ちが伝わると思いますので、読ませていただいて、こういう気持ちで対応しているということを御理解いただきたいと思っております。

江藤委員 もう、不毛な議論ですので、やめます。これ以上言っても仕方がありません。

 それでは、ちょっと政策的に質問させていただきます。

 ワクチンの接種について、大臣は、二十一日の記者会見で、個々の農家は、もう同意書が、ほとんど豚の場合は、もう出ているというふうに述べられましたね。間違いないですね。これは現地対策本部の成果だというふうにお受けとめになっていらっしゃいますか。

赤松国務大臣 私は、成果とは多分言っていないと思います。私が申し上げたのは、現地から聞いておるのは、豚については九割ほどの同意がいただけておるので、特に豚が菌の発散の率が高いというふうに言われていますので、ぜひ豚を中心に最初にやらせていただきたいということを申し上げたと思っております。

江藤委員 その御認識は正しいです。豚からまずやらなければ大変なことになる。その御認識は正しいです。

 ただ、きのうも電話をいただきました。尾鈴農協の養豚部会長、遠藤さんです。彼は私にこう言ってきましたよ。拓ちゃん、えらい苦労したけれども、あと一軒や、あと一軒だけなかなか縦に首を振ってくれぬ、だけれども、埋却地がないといって苦しんでいるので、おれのところへ持ってこい、おれのところの土地に埋めさせてやるから、何とか首を縦に振ってくれと。

 これは、発生農家で苦しんで、全財産を失っている人たちが、周りに迷惑をかけたくない、それこそ鹿児島とか熊本とか大分とか、そういうところに迷惑をかけたくない、日向とか西臼杵、入郷に迷惑をかけたくないと、自分の身をなげうって必死にやっている努力なんですよ。地元の方々がどれだけ頑張っているかということをわかってやってください。そうでないと報われない。

 それから、処分地について、やはり二十一日の発言ですが、農業大学校を初め、ほかにも候補地があるのですが云々と言われたようですけれども、この後の部分、どこか具体的にあれば。地元ではみんな期待しています、大臣の頭の中にはほかにもあるらしいぞと。もし今、御紹介できるのであれば、教えてください。

赤松国務大臣 昨日の知事及び各町長さんとの会議の中では、具体的な数字は今副大臣等が持っていますのであれですが、県有地については四カ所、それから市有地については何カ所、これは確定しているという具体的な数字が出たというふうに聞いております。

 また、国有地については、新田原の基地の周辺、非常に広い土地なんですが、におい等のことがかつて鳥インフルエンザのときにあって、どこでも全部というわけにいかないので、もう既に地元の御了解を得たところが、かなり広い、およそ一万坪ぐらいだったか、ちょっと僕のそら覚えで、面積は確認していただきたいと思いますが、民有地も含めて、その民有地は町にとりあえず借り上げてもらって、最終的には国が買うということで了解をしておる件でございます、これは騒音対策用地としてですね。そこに埋めさせていただくということで、これは防衛省、今総理府が管理をしておりますけれども、了解をいただいております。

江藤委員 なるべく早く、やはり埋却地がない、これが一番の問題だったんですよ。先ほど、えらい長い期間埋められなかったと間違ったことを認識されている方もいらっしゃいましたけれども、豚の場合、大体長いもので十日間でした。ですから、その間もウイルスを発散するわけですから、早く、わかったところから、みんなの不安を解消する意味でも公表してください。

 今、国が買い上げるとおっしゃいましたけれども、これは間違いないですね。

赤松国務大臣 これは新田原の基地の横の土地は買い上げるということですから、すべての民有地を買い上げると言ったんじゃありませんよ。これは誤解しないでください。

江藤委員 たしか、新田原の周りの土地、鳥インフルのときに埋めた土地は、あれは国有地ですよ。国が持っていて、地域の方々に、ちょっと前なので私もうろ覚えですけれども、組合のようなものをつくって委託して耕作していた土地だったというふうに私は理解をしております。ですけれども、そういう土地であっても、埋却地としてやっていただけるのであれば、私はそれはいいことだというふうに思います。

 それから、また二十一日の記者会見ですけれども、埋却地は何年かは使用不可能になってしまう、例えば、土地を買って、そこに埋めても、事実上、そこから後からガスが出たりしてね、十年前の北海道の例や、いろいろ見ると、まあ、どぼどぼになっちゃって、もう、しばらくは使えないという状況になる、こういうふうにおっしゃいましたね。

 それなのに、土地のリース代は五年間という対策を内閣は、農林水産省としてはお出しになっている。これはおかしいですよ。この間の委員会でも言いましたけれども、自分のかわいい家畜たちが埋められた草地の上にまた牧草を植えて、トラクターを走らせますか。できませんよ。そう言わずに、こういった埋却地はすべて国で買い取ってください。

 私たちはこの法案をつくりました、口蹄疫対策緊急措置法。きょうの午前中には国会に提出いたします。宮腰先生が座長、私が座長代理でつくりました。この中には、国がすべて買い取ることということも書き込んであります。

 ですから、そういうところは公園にするなり慰霊碑を建てるなり、二度とこういう悲劇が起こらないようにと、戒めの意味でも、そういった温かい配慮をしてほしい。十年たっても、農地には戻せません。それは地域の人たちが言っていることですから。では、耕作放棄地にするんですか。そういうことなんですよ。

 次に、ワクチン接種後処分した牛の補償についてお尋ねをいたします。

 十九日の記者会見で、なお、額については、今、詰めをやっておりますが、おおよそ、牛については六十万ちょっと、それから、豚については三万五千円前後と発言されまして、それが農業新聞に載りました。ですから私は、二十日の衆議院本会議で、すべて一律で払うということなら絶対に同意は得られませんということを言ったんですよ。

 そうしたら、大臣は随分腹を立てられたようでございました。その後の翌日の会見で、何か、きのうの本会議で勝手に言っていますけれども、別に、最初から統一価格でやるなんてことはだれも言っていないのですと。でも、これに近いことを言ったから私は言ったんですよ。(赤松国務大臣「委員長」と呼ぶ)まあいいです、こんなことは……(赤松国務大臣「いいですといったって、間違ったことを言われちゃ困るんだ」と呼ぶ)では、どうぞ。短くね。

赤松国務大臣 私は、記者会見のときに、幾らで買い取るんですかと記者たちが何回も質問してきました。それはまだ、トータル幾ら必要なのか、そういうことはちゃんと財務省と折衝しなきゃいけないので、今事務方がやっているので、今は言えませんということも、何回も申し上げてきたんです。

 そうしたら、とにかくこの対策費が幾らかかるのか知りたいんだというふうに言われるので、これは私がちょっとそういう記者の皆さんにサービスし過ぎたのかもしれませんが、平均的に、例えば六十万とか六十三万とも言ったんですが、そのぐらいがもし平均値だとすれば、トータル何頭というのはわかっているわけだから、掛ければ全体の事業費みたいなものは出ますよねという言い方をしたんです。

 ですけれども、今やっているものだってそれぞれの豚や牛の評価をしながらやっているんですから、そこだけが突然統一価格というか基準価格になるわけはないので、そんなことは当然のこととして、私は、ただ全体の目安を知っていただきたい、ぜひ知りたいというのでそういう言い方をしたことが正しくない形で伝わったのかなというふうに反省をしております。

江藤委員 私はもういいですと言ったんですけれども御答弁されましたから、では、さらに言います。

 そのときに、最初から時価評価でやると言えばよかったんですよ。それぞれ個体差があるんだから、記者の諸君、そんないいかげんなことを聞かれて、今数字を出せるわけないじゃないか、時価評価でやるんだよとそのときに言っておけば、私もあんな質問なんかしないで済んだんですよ。私が勝手に言ったというのは、取り消せとは言いませんけれども、私の名誉のために言っておきます。

 では、時価評価、先ほど民主党の先生方も御指摘をされていました。とても大事なことです。まず、だれが行うのか。このことはとても大切ですよ。これがもしいいかげんな結果に終わったら、農家の怒りは爆発します。

 例えば、私のところの農家では、百二十万で繁殖雌牛を買っている人がいます。一頭百二十万。まだ三産しかしていません。三回しか出産していません。大体七回から八回は子供を産ませますよ。その後の牛は、隆美、糸秀、安平の血統をどんと引いていますから、この安い値段の時代でも、一頭当たり六十万近い値段がついてきたんですよ。ということは、三産しかしていないということは、少なくとも四産、五産はできたはず。もしかしたらもっと高い値段で売れたかもしれない。五産掛ける六十万だから三百万。導入価格は百二十万。これまで手塩にかけてきた金が幾ら、えさ代が何ぼ、これを詳細にはじき出すのは膨大な作業ですよ。でも、これをやらなければいけない。

 今回被害者である農家の理解を得る努力を政府が怠ったら大変なことになりますので、このことは、今お答えするのは難しいですけれども、ちゃんと一頭一頭細かく、幾らで導入して、これまでの実績はどうだったのか、そこまで調べて時価評価されるんですね。副大臣、お願いします。

山田副大臣 時価評価で評価するということになっておりますから、当然、導入時の価格、それから月齢、そしてその血統、いろいろなことを考慮して、大体の評価というのは牛についてはあると思っております。また、互助会、互助基金協会にも大体の標準価格表みたいなものもございますし、そういったものを参考にしながら時価評価をきちんと決定させていただいて、本当に農家にとって時価評価していただいたというような形にできればと思っているところです。

江藤委員 副大臣、今の言葉を信じます。農家に決して不満が出ないように、農家が納得のいく時価査定をしていただくことをよろしくよろしくお願い申し上げます。

 松野先生、お忙しいんですね。ちょっと順番を飛ばします、ずっと先だったんですけれども。

 松野官房副長官にお尋ねしたいことは、対策本部長が内閣総理大臣になりましたね。すべての閣僚が副本部長ですか、ということになったわけですね。ということは、この口蹄疫問題は内閣を挙げて当たるということなんですよ。もう農林水産大臣一人の責任ではないんです。内閣の責任として背負ったわけでありますね。そのことはまず間違いない。

 そういうことであれば、あらゆる省庁、景気対策も必要ですよ。経済対策も必要です。心が痛んだ人たちがたくさんいます。メンタルのケアも必要です。学校の子供たちは心がすさんでいますよ、だって家庭がすさんでいるんだから。

 ですから、私があなたに来ていただいた最大の理由は、内閣総理大臣が対策本部長となった以上、内閣を挙げて、総力を挙げてという言葉がさっき大串さんからありましたけれども、あらゆる方策、予算に糸目をつけずとは言いませんけれども、責任を持って、パッケージで、畜産対策だけじゃだめです、この痛みに痛んだ宮崎県を鳩山内閣としてどう支えるのかというパッケージとしての政策をぜひ早急にお示しいただきたい。

 すぐお返事は難しいと思いますが、お考えだけでも御答弁を求めます。

松野内閣官房副長官 五月十七日に口蹄疫対策本部、内閣総理大臣を本部長として立ち上げをさせていただきました。

 今委員おっしゃるように、その意味合いは、政府を挙げてこの問題に対処するという意気込みも入っておりますので、ぜひ御理解をよろしくお願いいたします。

江藤委員 パッケージで出してくれるのですか。

松野内閣官房副長官 今、関係省庁連携をとりながら、あらゆる施策を総動員してという思いで頑張っているところでございます。

江藤委員 期待をしておりますので、ぜひパッケージで、宮崎県民が安心するような。

 いろいろな影響が起きているんですよ。例えば、観光も大ダメージ。それから、野菜は平気かというと、この間、児湯農協に行ってきましたら、キュウリの苗、先生わかるでしょう、八千鉢キャンセルですよ。スイートコーン、今までは宮崎のスイートコーンといったらブランドでした。これも宮崎と名前はつけられぬと。当然値段も下がります。そういったあらゆる影響。運送業もしかり、飲食店もしかり、あらゆるところに影響が出ています。雇用の問題は深刻です。ですから、ぜひよろしくお願いをいたします。

 それではどうぞ、御退席、よろしくお願いいたします。

 それではまた農水関係に戻らせていただきます。

 次に、二十キロ圏内の早期出荷についてお尋ねをいたします。

 大臣は、搬出制限区域というのは、その中にある屠畜場で屠殺をして肉にして出すことはできるので、それはもう現に今もしているのですということを十九日と二十一日の記者会見でおっしゃいましたね。これは間違いないですね。

 これまで、川南、都農町などを中心とした半径二十キロの搬出制限区域内の牛は、一体どこの屠殺場で処理をされていたんですか。そして、牛肉は、大臣が言われるように出回っていたんですか。事実確認をさせていただきたいと思います。

山田副大臣 いわゆる搬出制限区域、十キロから二十キロの範囲内に、生体の牛を外に搬出することはもちろんできませんが、いわゆるそれを屠殺して肉として出荷することは、外に出すことは自由ですから、既に行われておりまして、日向市の南日本ハムですか、ここでは、三戸の農家から、それなりに生産者からの豚を受け入れて出荷している。えびの市においても同様の、そういう形でそれなりに出荷をしている。そのように聞いております。

江藤委員 大臣、副大臣、大いに間違っていますよ。結局、一番震源地である川南、都農、ここから牛は一切精肉としては流通していないじゃないですか。それから、南日本ハムの話。私は日向ですから近所ですよ、車で十分ぐらいのところ。わかり切っていますよ。だけれども、地理的要件があって、物すごい迂回をしていかなきゃいけないんですよ。ですから、ほとんど搬入していません、現実問題。

 それで、えびのの話をされましたけれども、えびのはワクチンを打っていないわけでしょう。ワクチンを打っていないところとワクチンを打っているところを一緒くたにしちゃだめじゃないですか。えびのがそうだから牛は動いていると。私が言っているのは、川南、都農。

 余り役人が後ろから知恵をつけるんじゃないよ、政治主導なんだから。

 川南、都農、そういったところが一番の震源地で、ワクチンを打ったわけでありますから、そこの周りの十キロ―二十キロの話をしているんでしょう。えびのに十キロ―二十キロがあるんですか。ないです、そんなものは。現状認識が全くなっていらっしゃらない、わかっていらっしゃらないということを指摘させていただきます。もう御答弁は求めません。

 しかし、数万頭もの家畜をどこで肉処理するんですか。子牛や子豚、妊娠牛、こういうものは食肉には向きませんよね。畜産をしている人間だったらだれでも知っていることです。政府の方針を聞いて、地元の方々は、現場の現状が全くわかっていないという声が多数上がっていますよ。

 昨日、移動制限区域にあるミヤチク都農工場の工場長さんと話をしました。ここは再開に向けて御努力をされているんでしょう。これも大変な特例ですよね。これも本当は家伝法にのっとったらやっちゃいけないこと。だけれども、これは雇用対策にもつながりますし、全否定するつもりはありません。それはそれでいいのだろうと思います。早期出荷をお願いするということであれば、これしか方法はないでしょう。

 しかし、この搬出制限区域内には牛は一万六千頭いるんですよ。工場長さんに直接聞きました、一日何頭処分できますかと。一日何と六十頭ですよ、フル稼働しても。計算しますと、二百六十六日かかります。これはワクチネーションを否定するものなんですよ。ワクチンを打って十キロ圏内を封じ込める、外側から。ワクチンを打ったって、病気にはかかります。ただ、ウイルスを吐き出す量は極端に減る、それで蔓延を抑え込もうと、これは正しい選択だったかもしれない。だけれども、同時に、この十キロから二十キロの間の家畜は早急にいなくなっていただかないと意味がないんです、ワクチンを打ったことの意味自体が。意味がないんですよ。このままでは、必ず十キロ―二十キロ内で出ますよ。そういうことを考えてください。

 十キロ―二十キロ圏は、緩衝圏、いわゆるファイアウオールのように、みんなに迷惑をかけないように、それに協力しようというふうにみんな言っていらっしゃいますけれども、戸惑いもありますけれども、それが意味をなさないという可能性があるということを御指摘しますが、副大臣、どうぞ、御答弁を。

山田副大臣 先ほどの南日本ハムは、牛は確かに搬出制限区域内のものを出していませんが、豚については処分していること、えびのでもそうだ、そういうふうに今確認させていただきました。

 また、先ほどから申し上げておりますが、確かに、十キロから二十キロの範囲内において、牛の処理能力はミヤチクは六十頭しかありません。しかしながら、今急がれるのは豚だと思っておりまして、ぜひとも豚から最優先して、この十キロから二十キロの範囲内を処理させていただきたい、そう思っているところです。

江藤委員 先ほど言いましたけれども、豚優先は正しいです。だったら最初からそう言ってください、最初から。そして、十キロ―二十キロ圏内の牛肉も、あたかも今まで流通していたかのようなことを言うのはやめていただきたいと私は思います。

 それでは、早期出荷した肉、これによってですよ。これは、国が買い上げるんじゃなくて流通させるんですね。間違いないですか。一般流通、スーパーに並ぶんですね。

 私は、国が今ずっと国民に対してメッセージとして言ってきたことは、口蹄疫にかかっている肉を食べても人間に影響はありません、しかも、口蹄疫にかかった牛はそもそも市場には出ることはありませんと。知事もさんざん言ってきたし、大臣も言ってきたし、私も地元で説明してきました。もし、ワクチネーションをして、それでもう十キロ―二十キロ圏内に入って、それでそこから出た牛なりに口蹄疫が見つかったら。今はトレサがありますからね、トレーサビリティーが。この牛はどこから来たかというのは消費者はすぐ判定できますよ。もし口蹄疫にかかった牛が市場に出たということがわかったら、これは非常に問題です、非常に問題。

 だから、役人は、うるさいと言っているだろう、そこで。後ろからごそごそと。政治主導なんだから、役人に知恵をもらうのはやめてくださいよ。

 そういうことを考えると、やはり最悪の事態を考えて政府は事に臨まなければなりません。ですから、これは国が買い上げましょうよ。もう内閣を挙げてやるということで幅がでかくなったんだから、使えるお金も大きいでしょう。万一の場合のことに備えて、十キロ―二十キロ圏の肉については政府が買い上げるべきだと私は強く提案しますが、いかがでございましょうか。

山田副大臣 十キロから二十キロ以内の牛というのは健康な牛ですから、この健康な牛をいわゆる食肉として出荷することについては、健康な豚、そういったものを食肉として出荷することについては、何ら問題はない、そう思っておりますが、屠畜する場合におきましても、当然のことながら、口蹄疫にかかっているか否かという検査はするわけですから、安全、安心ないわゆる宮崎の豚、そういったものを出荷していくわけですから、何ら問題はないんじゃないか、私はそう考えております。

江藤委員 私は、この期間中、いろいろな学識者や獣医師さんとお話をしました。屠殺した時点ではまだ発症していない、だけれども罹患はしている、発症していないだけで。それで食肉になっている場合があるそうです。これは、私は専門家ではないので断言はできませんが、肉にウイルスが残る可能性が否定できないんだそうですよ、肉に。六日から七日、さらに検査期間を入れると十一日間ぐらいはやはり危険ゾーンなんです、危険な期間なんです。そして、その期間に出荷された牛肉、それが実は発症した地帯から出た肉ということはトレサでわかる。

 となると、そこの人たちだけじゃなくて、宮崎牛に対する信頼、それから、トレーサビリティーとかJAS法とか、いろいろ農水委員会でもやってきました、食の安心、安全をやってきました。事故米のとき、私は政務官でした。それもとても大事な問題ですよ。食の安心、安全を確保するために、ここはけちらずに、私は、BSEのときは全部焼きました、もったいないという意見もありましたけれども。私は国がやはり買い取るべきだと思いますが、ぜひ前向きに御検討されますことをよろしくお願いします。

 まだ質問が多いので、次に移らせていただきます。

 搬出制限区域の人たちが、政府の要請を受けて早期に出荷する、そうすると、いずれ牛舎は空っぽになりますよね。全部成牛になって出ていく、全部成豚になって出ていけば、空っぽになりますよね。その後、新しい母豚を入れよう、新しい種母牛を入れよう、そういうふうになったときに、このいわゆる搬出制限区域の人たちに対する再建の支援策というのはお考えになっていらっしゃいますか。

山田副大臣 再建支援策は、先ほどお話ししましたように、ワクチンを接種した農家については互助基金並みのいわゆる生活支援をするということですが、今、実際に、早期奨励してやって豚がいなくなってしまったところとか、そういう農家に対しては、今それなりの生活支援を検討させていただいております。また同時に、再開するときには、豚のリースとか牛のリースとか、そういった家畜のリース事業もやりたい、そう考えているところです。

江藤委員 早くそれなりの生活支援の内容を明示してください。十キロ―二十キロ圏内の人は、物すごい不安に思っています。リース事業なんというのは既存の事業ですから、特別目新しいものでも何でもございませんから、それから一歩も二歩も出た温かい手を差し伸べないと、逆に言うと、この十キロ―二十キロ圏の人はもっと大変ですよ。

 それでは、副大臣がお越しですので、時間がなくなると申しわけないので、副大臣に、ちょっと飛んでお尋ねします。

 自民党におられたときは、私の農林の師匠であった方でいらっしゃいますので、このことについては大変な御理解をいただいているというふうに信じております。経済産業省として今どのような支援を考えていらっしゃるのか、そして、先ほども、何度も言いますけれども、内閣としてやるということでありますから、これ以上にやるお覚悟があるのかどうか、御答弁を求めます。

松下副大臣 松野官房副長官がお答えされました。経済産業省も政策を総動員して、できるだけの、全力を挙げて対応をしてまいりたい、こう思っております。

 私も、鹿児島県の、日本一の畜産県と言われる薩摩地方の出身でございまして、宮崎県と一緒に日本一を競ってきた県でございます。忠富士に負けないほどの、平茂勝というすぐれた種牛を初め、優秀な種牛を産出した地域でございますから、全力を挙げてやっていきたいと思っています。

 十年前に、三月二十五日に発生して、五月二十六日に撲滅しました。そのときの党の対策本部長が、あなたのお父さんの江藤隆美先生でありました。その薫陶を受けて、私は事務局長としてこの問題に当たっていました。あなたがお父さんを助けて頑張ってこられたこともよく見ておりますし、今回もその思いで、国を挙げて、全力を挙げて、自分の力も出して頑張っていきたい、こう思っています。

江藤委員 ありがとうございます。

 商業、一次産業、二次産業、三次産業かかわらず、助けを求めている県民がたくさんいます。どうぞ内閣の力を合わせてお力をおかしいただきますように、重ねてお願いを申し上げます。

 力強い御答弁、本当にありがとうございました。

 それでは、昨日、宮崎労働局から雇用調整助成金が利用できるという発表がありました。非常に私は喜びました、これは使い勝手のいい制度ですから。この決定については、私は極めて歓迎をいたします。経済産業省にも、今、一生懸命やっていただくという御答弁をいただきまして、力づけられたところでございます。

 総理は十八日の会見で、ちょっとかぶりますけれども、経済、経営のことはしっかり政府がやると。しっかりやると。経済も経営のこともしっかりやると述べられたんですから、私は赤松大臣にもこのことをただしました。これは、生活の補償、農家の経営再建、従業員の給与、関連産業、地域経済が受けたすべての損失、これについて鳩山政権が総力を挙げて責任を持って補償するということで理解してよろしいですかとお聞きをいたしました。その御答弁は、畜産への依存度が極めて高い地区であることを考えますと、政府一丸となって対策を適切に講じてまいりますというふうにおっしゃいました。これは議事録そのままですから。

 何度も言いますけれども、もう畜産だけじゃだめなんですよ、畜産だけでは。ですから、大臣も対策本部の閣僚として、一員でありますので、畜産はもちろん主たる題目、演題ではありますけれども、ぜひ全体を見据えてやっていただきたいというふうに私は思います。

 なぜかといいますと、国道十号線、私、朝一便で来るときは、いつもは空港へ二時間前に出るんですよ。ところが、チェックポイントがふえて、そこを通るときは減速しなきゃいけないんです。とめられて、ゆっくり行かなきゃいけない。うちの秘書君が、代議士、ちょっと早目に出ないと飛行機に間に合いませんと。では、一時間早く出ようと、きのうは三時間前に出ました。そうしたら、驚くほど早く空港に着いちゃったんです。

 なぜだと思いますか。みんな外出を控え、そしてトラックが本当に走っていない。トラックの数が本当に少ないんですよ。経済活動がいかに停滞しているのか。十号線というのは宮崎県の生命線ですからね。あそこが朝の時間に渋滞しないなんということは考えられません。まさに実体験として、宮崎の経済が受けている傷の深さというものをきのうの朝実感してまいりました。

 ですから、ぜひとも皆様方のお力もおかりをして、思い切った対策を省庁横断的にやっていただきたい。ぜひよろしくお願いいたします。

 それからまた、農林所管のお話に少し戻らせてもらいたい、もう時間がありませんが。

 出荷停止により、収入が途絶える農家に対して、一時金の支給など生活支援を講じるとともに税金や公的資金の支払いを免除すること、これは前回、五月十四日の委員会で私がお願いをしたことであります。このことについて山田副大臣の御答弁は、いわゆる家畜伝染病予防法に基づく交付金、融資、これらで対応しますということを申されましたが、それでは、そんなお金はすぐ消えちゃいますよというお話をした。

 同時に、このお話をしました。いわゆる家畜疾病経営維持資金融通事業、これの要件がよくないと。二十億から百億に枠を広げたことは評価すべきです。もっと広げなきゃならないかもしれない。ただ、貸付限度額が個人で二千万、今個人でも大規模化していますからね。そして、法人で八千万。これでは余りにも内容が不十分。融資期間がたった五年間、そして猶予期間が二年しかない。そして、経営維持資金についても、乳用牛でも十万円しか出ない。ここの貸出限度額、それから要件の見直しをお願いしますということを申し上げました。そのときは時間がなくて、時間切れになってお返事をいただけなかったわけでありますが、もし御検討いただけたのであれば、この場で御答弁をお願いします。

山田副大臣 まだこれからでございますが、ただ、百億では足らないということは私もよく承知しておりまして、今、大臣には、少なくとも三百億まで枠を広げましょう、そう言っているところです。

 いずれにせよ、ワクチンを接種して、清浄国として事業を再開するときには、今委員がおっしゃられましたいわゆる貸し出し要件については、今の事業規模に沿った形で、返済能力も加味しながら、十分考慮させていただきたい。そのときには、また大臣とも相談して決めさせていただければと考えているところです。

江藤委員 ありがとうございます。非常に前向きの御答弁をいただきました。信じますから、ぜひお願いします。

 本当は、この残ってしまう一・四七五、これについては、特交でやるのかやらないのかまだはっきりしませんし、突っ込みたいところはいろいろありますけれども、枠を広げていただく、要件についても今後検討するというお言葉をいただきましたので、きょうのところはこれにて納得をさせていただきます。

 ただ、急いでください、急いで。なぜかというと、もう地元では生活困窮なんですよ。この間の委員会で私は申し上げました。五月の競りに出荷できなかった牛、その分については仮払いとして農協が二十万払いました。それで何とか御飯を食べてきました。私の携帯に電話がかかってきて、拓ちゃん、もう銭がねえ、飯を食う金がねえ、どんげしようかと。そんな電話が一本、二本じゃないんですよ。

 川南町はすべての畜産農家に、まだ議会できちっとした議決は受けておりませんが、行政と議会の間ではもう合意をしました、一律三十万払うと。あの財政力の弱い川南町の方がずっと動きが速いですよ。

 私たちが求めているのは、差し当たり生きていけるお金を、お見舞金とは申しませんが、何とか私は川南町に倣って出していただきたいと思います。ほかの市町村も、川南町に倣って我々もできないかという検討に今入っています。みんな一生懸命。現場で苦労している人たちがこれだけやはり頑張っているんですから、国もスピードアップ、その不安を取り除く努力をしてください。

 それから、税の話をいたします。

 宮崎県の税務課は、県税のいわゆる納税猶予それから分納相談、これを受け入れるという発表を昨日いたしました。私が前回の委員会で申し上げたのは、いわゆる国税、消費税とかそういった部分については、とても払える状況にないんだから免除してくださいということを申し上げました。お答えをいただけませんでしたけれども。ぜひ、これについては考えてください。ないそでは振れないんですから。生活に困窮している人に、税金の請求書が来て、払わなかったら延滞金を払えと。こんな冷たい国がありますか、こんな冷たい国が。

 御検討いただけるかどうかだけで結構ですから、御答弁を求めます。

赤松国務大臣 具体的に現地からは、例えば補償金等について収入とみなさずに、戸別所得補償制度なんかでいう、いわゆる準備金の扱いにできないかとか、いろいろな声を聞いておりますので……(江藤委員「非課税という意味ですか」と呼ぶ)そういう声を聞いておりますので、そういうこともしっかり受けとめながら、これはもう財政当局とも相談をしなきゃいけないことでございますので、しっかりと生活支援あるいは経営再開支援ができるように頑張ってやっていきたい、このように思っております。

江藤委員 時間が参りました。最後にしますが、先ほど申し上げました、私どもは昨日の夜遅くまでかかりまして口蹄疫対策緊急措置法をまとめました。もう多分、今の時間には国会に提出がされていると思います。もう時間がないので説明はしませんけれども、これは、今までの家伝法ではできない部分をこれでフォローしようということを目的にしています。

 例えば、国が土地は全部、埋却地については買いましょうとか、基金をつくって、それが畜産にかかわらず、この口蹄疫発生によって被害を受けたあらゆる人たちの経営再建、生活再建に資するような基金をつくりましょうであるとか、いろいろなことが盛り込んであります。

 政務三役におかれましては、委員の皆さん方におかれましてもそうですけれども、これをぜひ読んでいただきたい、そして御検討をいただきたい。私はこれがベストだと思っております。しかし、もっといい案が皆様方から出るかもしれない。この案につきましては、一刻を急ぎます、一刻を急ぐようでありますから、ぜひともこの委員会で、筆頭間御協議も交えて御検討をいただきますことを最後にお願い申し上げまして、質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

筒井委員長 次に、森山裕君。

森山(裕)委員 自民党の森山でございます。

 委員長、理事の皆さんや委員の皆さんの御理解をいただきまして、質疑の時間をお与えくださったことに感謝を申し上げます。

 大臣、私は、参議院の時代に宮崎で発生した口蹄疫を国会議員として経験しました。あのときのことを今思い出しておりますけれども、自民党は、朝昼晩、毎日と言っていいぐらい部会を開いて対応を協議しました。先ほど質問をされた江藤拓代議士のお父上が、悲壮感に満ちた顔で議事を進めておられたことを思い出しています。また、平成十六年三月、私の鹿屋市で発生をいたしました豚コレラの疑似患畜の案件にも私は遭遇しました。

 自分の経験を通じて思いますことは、ウイルスとの闘いは科学を信じることだと私は思っています。科学を信じて万全な対策をとっていく以外に解決の道はないのだと私は思っています。

 現状を大臣はどう認識しておられるのか、まずお聞かせをいただきたいと思います。

    〔委員長退席、梶原委員長代理着席〕

赤松国務大臣 大変、口蹄疫の勢いがとまらず、きょう時点で二百例の発症を確認し、約十四万五千頭、牛が一万九千頭、豚が十二万六千頭などでございますけれども、これが殺処分の対象ということになっております。

 最初に発見をされました四月二十日以降、農水省におきまして対策本部、そしてまたその後、今度は政府全体で、これだけの広がりを見せている口蹄疫に対する対策をしていこうということで、総理をトップといたします政府の対策本部も立ち上げたところでございます。二十三日、三十日、十日という形で、第一次、第二次、第三次ということで、それぞれ、地元の要請、要望も受けながら対策を講じてきたところでございます。

 何とか今、宮崎県内に押しとどめてはおりますけれども、しかし、残念ながら、今申し上げたように発症件数等は増加の一途をたどっているということで、何としてもそこで食いとめよう。また、委員の地元であります鹿児島の方に決して御迷惑をかけてはいけないというところで、今それぞれ防衛線もつくりましてやっている。

 特に、初めてでございますけれども、殺処分を前提にしたワクチン接種ということも、いろいろ御意見はあったと思いますけれども、そこまで踏み込んで、ぜひ蔓延を阻止したい。

 それからまた、十キロから二十キロ圏に関しては、そこに何とか緩衝帯をつくって、それ以上この移動制限区域内から外に広がらせないようにしようということで、これまた、きょう午前中のいろいろな議論で、それぞれ反対の声もないわけではございませんけれども、そういうところも、御理解をいただく中で今取り組みをさせていただいているというところでございます。

 委員御指摘のとおり、一番やはり大切なのは科学的な根拠に基づいてしっかり対応をしていくことだということでございまして、まさに私もそのとおりだと思います。私どもの対策本部のもとに専門家を中心にした小委員会も設置をしておりますので、その先生方のいろいろな判断も、その都度、毎日のように判断をいただきながら、対策を進めているというところでございます。

森山(裕)委員 大臣、ありがとうございました。

 いろいろ申し上げたいことがありますが、まず、五月六日の日に、二回目でありましたけれども、我々自民党の関係議員、宮崎、鹿児島の国会議員を中心にして、山田副大臣のところにも直接お伺いをして、一定の区域を決めて思い切って殺処分をした方が広がらなくて済むのではないか、その方が結果的に蔓延を阻止できるのではないかというお話も申し上げました。印象に残っておりますのは、副大臣が大変苦渋に満ちた表情で我々の陳情を聞いておられるなということでございました。

 私は、ウイルスとの闘いというのは、いかに決断を早くするかということだと思います。そして、科学的見地に基づいた対応をしっかりやっていくということ以外にないのだろうと思います。そういう意味では、やはり初動がおくれてしまったということは大きな反省点なのではないかと思いますが、その点について、いかがでしょうか。

山田副大臣 初動について、いろいろ言われております。

 実際、二十日の未明に発覚しておりますが、それ以前に、水牛が三月中に既に宮崎県下においては発症をしていたんじゃないかというようなお話もございます。これからいろいろな形で、どうしてそれは見逃されていき、そして四月二十日にならなければわからなかったのかということも、一つ大きな初動のおくれになるかと思います。

 四月二十日以降は、私ども、その日の朝九時には赤松大臣を本部長として対策本部を立ち上げまして、すぐに防疫員を現地に派遣し、移動制限区域十キロ、そしてまた搬出制限区域二十キロ、その線を引いて、それから防疫に努めてまいりましたが、ただ、残念なことに、埋却地の確保ができなかった。埋却処分がおくれて、おくれて、おくれてしまった。これが、先ほどから申し上げているように蔓延を拡大してしまった。非常に残念な思いがいたしております。

 ちょうど委員が私のところにお見えになったのが五月六日だったと思いますが、私も、たしか次の日には、大臣と相談いたしまして現地入り、次の日じゃなかったか、ちょっと間違っているかもしれません。それから後、大臣ともすぐ相談させていただいて、私も現地に今そのまま入らせていただいて、委員がおっしゃっているように、早く殺処分できないだろうかと。

 ところが、まさに殺処分が、埋却地がないから発生に追いつかないという状況の中で、もうワクチン接種もやむを得ない、そういう判断をいたしまして、大臣とも相談し、知事さんとか各市長さんにも御理解を求めて、そういう決断をさせていただいたというところです。

森山(裕)委員 副大臣、私は、埋却をする用地がなかったということは許されることではありません。どんなことをしてでも手当てをしなければいけないのではないかと思います。それができなかったで済む話ではないということを、まず強く申し上げておきたいと思います。

 それと、私はちょっとよくわからないのでございますが、第一回の疾病小委員会で出された結論の中に、当該の農場から一キロのところで抗体検査を実施するという方針が示されているわけでありますけれども、どうもこの抗体検査が行われたということを実は聞いていないものですから、なぜ、疾病小委員会が一キロの範囲内で抗体検査をすべきだという指示をしたのにそれがなされなかったのかということがよくわからないのでございます。そこをまず教えていただきたいなというふうに思います。

佐々木大臣政務官 お答えいたします。

 御指摘の小委員長の発言というのは、発生確認直後でありますが、この清浄性確認検査について、一キロ以内のすべての農場の抗体検査を実施すべきという見解を示したものであります。

 しかし、実際の対応としては、その後の発生がどんどんと広がっていったというようなことをかんがみて、殺処分等の防疫対応を優先させていただいたということでございます。

 清浄化確認検査の手法については、その後、五月六日の小委員会において改めて確認をされて、移動制限区域内の牛及び豚の飼育農場全戸における臨床検査、それから半径三キロ以内の牛の飼育農場全戸を対象とした血清検査等を実施するということも、この小委員会において決められているところでありますが、先ほど申し上げましたように、その後の発生状況が、大変蔓延をしてきたということで、そちらを優先させていただいたということでございます。

森山(裕)委員 そのことが初動にミスがあったということなんじゃないんですか。

 この小委員会が結論を出されて、抗体検査をすべきだと言われたのは、間違いなく、鹿児島県の鹿屋市で起きました豚コレラの疑似患畜を抑え込んだときに、抗体検査を先に先にやって、うまく五例でもって終結をいたしましたから、私は、その経験に基づいてこの提言はなされているのだろうと思っています。

 殺処分が間に合わなかったからやらなくていいという話とは違うと思います。それは、あなた方が小委員会の提言を忠実に守ろうという姿勢がないということなんじゃないんですか。見えないウイルスとの闘いというのは、そういうことを一番大事にしていかなければならないんじゃないんですか。そこをどうお考えになりますか、政務官。

佐々木大臣政務官 確かに、ウイルスとの闘いというのは先生の御指摘の点もあろうかというふうに思いますが、この小委員会でのサーベイランスの決定というのは、清浄化をするという前提でこの小委員長の発言があるわけで、その後の続発状態ということから考えると、とてもそれは、そちらの方に対応しなければいけないというような状況が生まれたので、そちらを優先したということだったというふうに思います。

森山(裕)委員 政務官、そういう認識で口蹄疫に対応されても、ますます広がっていくんじゃないんですか。あなた方の物の考えている基本を改めていただかなきゃいけないんじゃないんですか。

 それと、疾病小委員会の概要を読ませていただきますと、すべてのところで、迅速な疑似患畜の処分を急げということを指示しておられますけれども、私は、今回の現象の中で、えびのの現象と川南を中心とする現象の大きな違いの原因はどこかというと、えびのは、発症した牛や豚が発見をされたら、頭数が何頭であろうと、その日に殺処分をして埋却、消毒を済ませています。これは非常に大事なことなんだろうと思います。そういうやり方をやれというのが疾病小委員会のお考えなんだろうと思います。

 ただ、先ほど副大臣が言われましたとおり、それは土地がないという話はわからないわけではないけれども、余りにも時間がかかり過ぎたんじゃないんですか。

 もっとひどい話は、一番新しい資料を見せていただきましても、まだ五月の七日ごろの分が残っているということではありませんか。五月の七日に判明したものもいまだに処理が終わっていない、そして五月の八日、五月の十日ごろまでの分もまだ済んでいない。これは私は大変なことだと思いますよ。ウイルスを出す牛や豚をそこに置いたまま、どんな防疫体制をしたって意味がないんじゃないですか。私は、これはどんなことがあっても、どういう手段を使ってでも、速やかに終わらなきゃだめですよ。そこの決意を述べていただきたい。そして、いつまでに終わるんだということを明確にしてください。

山田副大臣 私が十七日に現地入りしまして最初に本当に心配をしたのは、今の埋却地、何で埋却できないのか、どうして殺処分が進まないのか。最初は、獣医さんが足りない、人が足りないんじゃないか、そう思って、一生懸命獣医さんをかき集めたり人の確保をやってみたんですが、よくよく現地を回ってみますと、いわゆる埋却地がいろいろともめているわけです。近隣の方々に、臭いとか、ガスが出るとか、いろいろな形で。一たん決まった埋却地も、またもとに戻されて埋却できない。そういったいろいろな事情があることがわかってまいりました。

 そこで、すぐに大臣とも相談させていただきましたが、知事さんにすぐに申し入れさせていただきまして、農大の跡地、あれだけの広さに、すぐにでも川南、高鍋のそのままになっている豚を埋めさせてもらえないか、そういう話をさせていただきました。

 知事も、それを反対するものではない、そういう話をいただき、川南の町長さんにも、不公平感は、既に自分の土地に埋却したところ、そこはずるずるになって自分の土地が使えなくなるということもわかりますし、そのために、埋めるために他人の土地を買った人、そういった人たちの苦痛、そして出費もわかります、それについてはそれなりの対応をさせていただくから、とりあえず、急ぎこの火事を消さなきゃいけない、だから農大の土地に埋めてくださいと言っても、なかなか聞き入れてもらえなかった。しかしながら、ようやくきのう、県も四カ所の公共用地、国も新田原の基地のところの土地についての埋め立て、そういったものも決定していただいたと思っております。

 そんな中で、早く埋却地を確保して、本当に一刻も早くやらなければならない。先ほども申し上げましたが、豚一頭がまさに半日で一万頭の豚に感染するウイルスを発散し続けているというこの現実、それが、数万頭に及ぶものがいまだにそのまま残されているという事実、その意味では、非常に、大変危機的な状況、大変厳しい状況であるということは、よく認識しているところです。

 期日を追っていつまでにとは言えませんが、少なくともワクチンの接種だけは、県の方で十日から一月かかると言っておりましたが、必ず三日間でやってほしいという形で、どうやら四日で、きょうでもってほぼワクチン接種は終わるようです。

 ところが、ワクチン接種したからといって、すぐに効果が上がるわけじゃありませんし、消毒はさらに欠かせないことですし、非常にこれからも燃え盛るんじゃないかと大変危惧しているところです。

森山(裕)委員 副大臣、ありがとうございました。

 大臣、今副大臣から御答弁をいただいたところでありますが、私は、五月七日に判明したものがいまだに処理が済んでいないという現実は非常に重いと思います。ここは大臣が先頭に立っておやりいただかないと、まさに人災と言われてしまいます。専門家の話を聞きますと、空気感染を始める条件が整っているんではないかという話もあります。空気感染が始まってしまったらどういうことになるかというのは、よくお互いに理解ができるところであります。まず埋却の処分を一時間でも早く終わるということが大事なことだと思いますし、大臣の決意を少しお聞かせいただきたいと思います。

赤松国務大臣 お答え申し上げたいと思います。

 森山委員の御指摘のとおりでございまして、私も、とにかく口蹄疫に対する唯一最大の決め手は、やはりいかに早く殺処分をして埋却するか、そして消毒を徹底的にやるか、これしかないと思っております。

 先ほど委員も御指摘のとおり、では、なぜえびの市ではうまくいって、川南を初めとするこちらでうまくいかなかったのか。これは、まさに十年前を教訓に、指針に従って、きちっとその指針どおりのことをやれた地域とやれなかった地域、その差ではないかと思っておりますが、ただ、それはだれのせいとかなんとかという意味ではなくて、やはり幾ら国がかけ声をかけても、県や市町村の御協力なくしてはこれはできませんし、今の具体的な例でいえば、あと六万頭残っているわけですから、これをいかに早く埋め切るかということしかないというふうに私は思っております。

 ワクチンについては、七十一班、七十一チームでずっと獣医さんがそれぞれ責任者で回っていますが、ほぼきょう終われば、この七十一名も旧来殺処分に当たっている獣医さんと一緒にプラスアルファして、そして、あす以降、埋却地も、公有地も含めて、県有地等も含めて出てきたようでございますので、そこに積極的に埋めて、とにかくこの六万頭を埋め切るということに全力を挙げたい、このように思っております。

    〔梶原委員長代理退席、委員長着席〕

森山(裕)委員 大臣、どうか大臣が先頭に立って、そのことをぜひともお願い申し上げたいと思います。

 それから、今回少し気になりますのは、宮崎県の畜産試験場とか、あるいは家畜改良事業団とか、県立の農業大学とか、県立高校とか、比較的防疫体制についてはしっかり対応していただいているところが発症しているということをどう見るのかということだと思います。

 私は、地元に帰りまして、週末、いろいろな方とお話をするんですけれども、はっとした話は、鹿児島はお酢の産地でございますから、消石灰をまいた、しかしお酢もきくそうだ、だから先生、消石灰をまいてお酢までまけば非常にいいんじゃないか、こうおっしゃるわけです。それでは中和してしまいますので意味がないんですが、やはり農家の皆さんというのはとにかく何とかしたいと思っておられるものですから、消石灰をまいてお酢もまけばより消毒体制がうまくいくんじゃないかと思われるところも無理はないんですけれども、私は、もっと基礎的なことをしっかりやってこなかったなというところに反省があります。

 また、私の地元で豚コレラが発生をしたときに、ワクチンを打たせろ、打たせろの大合唱でした。それは知事も大変御苦労されました。地元の市長も大変御苦労された。我々のところも、電話が来るのは、ワクチンを打たせろ、打たせろという話でした。しかし、ワクチンを打つと清浄化に時間がかかるし、難しい問題が出てくるので、ここは頑張り抜こうとお互い励まし合いながら、何とかクリアしました。

 だから我々は、今回ワクチンを打たなければならなかったというのは大きな反省点だということをお互いが認識しておかなきゃいけないのだろうと思います。ワクチンを打って、何とかウイルスの発散を抑えて対応するという手法をとらざるを得ないところまで追い込まれたんだということを強く認識しておかなければいけないのだろうと思います。

 時間がありませんからちょっと具体的なことをお聞きいたしますけれども、防疫体制に当たっておられる方々を含めて、マスクをはめておられなくて大丈夫なんだろうかとか、そこからまた次に伝染をしていく可能性はないんだろうかということを、テレビの放映を見ておられる方々というのは、大変実は専門家の人たちも心配をしておられます。

 また、何かの間違いであればいいのですけれども、きのう、えびのの清浄化の確認作業が始まりました。テレビ局がその作業にずっとついて放映をしておられるというニュースがあったと地元で聞きます。私は、ここはマスコミの方々も御理解をいただかないと、それを通じてウイルスが広がっていくかもしれない。そういう報道規制をするというわけではありませんけれども、御理解をいただくところは御理解をいただいてやっておかないと、おかしなことになってしまうのではないか。その二つのことを実は大変気にしておりますので、対応方をまずお願いしておきたいと思います。

 それと、ちょっと気になる話を地元で聞くのでございますが、十キロ圏から二十キロ圏のところは早く屠畜をするという政策を出されました。そこで問題になりますのは、肉にならない子豚とかぬれ子とかいうものが必ず発生をいたします。それをレンダリングするために、都城にあるレンダリング業者へ持っていこうとされる計画があるのではないかという話が地元であります。

 私は、こういうことはもう本当にやめていただきたい。そんなことをしたら、今必死に防疫体制に取り組んでいる近隣の市町村というのは気持ちがなえてしまいます。そういう間違った判断はしないでいただきたい。そういうことはありませんよという答弁をここでしっかりいただければありがたいと思います。

山田副大臣 先ほどから、森山委員が最初に言っておりました疫学調査、これについては、確かに私もその必要性を考えておりまして、今はワクチン接種に獣医さんも従事しておりますが、ぜひ何らかの形で早く疫学調査はやっていきたい、そう思っております。

 先ほどから話しておりますように、十キロから二十キロについて、できるだけ豚を処理していきたい、肉にしていきたい、そう考えておりますが、その方法等については、肉豚についてはミヤチクとか南日本ハムですぐにできそうですが、その余のものについては検討しなきゃならないことがいろいろございます。ましてや牛については、処分頭数もまだまだ、例えばミヤチクでは六十頭しかできないとかいろいろなことがありまして、そう簡単ではないということは十分認識しております。

 これから対策本部においていろいろな検討をさせていただきたい、そう考えているところです。

森山(裕)委員 時間が参りましたので終わりますが、そのような懸念が、また心配が非常に地元にあるということを御認識いただいて、間違いのない対応をお願いしたいと思います。

 お時間をいただいてありがとうございました。

筒井委員長 次に、谷公一君。

谷委員 自由民主党の谷公一でございます。

 きょうは、委員長、理事の方々に御理解をいただきまして、質問の機会を与えていただきましてありがとうございます。地元のさまざまな問題は、先ほど来、江藤先生、また森山先生、午後からも続きます。

 私は、十五年前の阪神・淡路大震災を初め、さまざまな災害、大規模事故、福知山線の事故もございました、それらを経験し、遭遇し、復旧復興に携わった者として、今回の口蹄疫の問題について、基本的な認識、また対応がおくれたのではないか、小出しし過ぎたのではないか、そして、今後の取り組み、目標、そういったものについて、以下お尋ねしたいと思います。

 委員長、大臣に私は質問したいんですけれども、大臣……

筒井委員長 もう戻られましたね。

 では、谷君。

谷委員 基本的な認識といいますのは、口蹄疫というのが一たん発症して広がると、どういうふうな影響、また国民経済に影響を及ぼすのかというのは、さまざまな前例があります。

 十五年前、阪神・淡路大震災のときは、戦後五十年、日本であるいは世界で大都市を襲った直下型地震というのは皆無でありました。今回、口蹄疫はそうではありません。二〇〇一年、イギリスでは七百万頭を超える家畜が殺処分をされ、一説によれば間接的な経済への影響も含めて一兆七千億を超える損害を与え、総選挙も延びたようにお聞きしております。

 そういう認識を、大臣、しっかり持っておられましたか。発症前からこのことは御存じでしたか。あるいは、発症してから勉強してわかりましたか。そこをお尋ねしたいと思います。

赤松国務大臣 お答え申し上げたいと思います。

 前政権のときからこの口蹄疫につきましては、昨年の二月に発症いたしておりまして、それ以降三回にわたって、それぞれ国内の関係団体あるいは各都道府県に注意を喚起してきたところでございます。そういう意味で、口蹄疫が、例えば香港であるいは韓国で発症しているので、特に、海からあるいは空からの渡航者等について消毒その他をやってほしいということは、農水省からもお願いをしてきたところでございます。

 そういう意味で、ちょうど十年前に北海道と宮崎でこうした口蹄疫が発生したという事実は存じ上げておりますけれども、今回いろいろな対策をする上で、専門家の方たちからいろいろ話を聞いたり勉強させていただいたり、一般的な予備知識といいますか、そういう知識以外に専門的なことは、今回のこの宮崎における口蹄疫の発生以降勉強したことも多かったと思います。

谷委員 私がお聞きしたかったのは、特にイギリスの例です。九年前に七百万頭を超える殺処分を出して、国の経済がおかしくなるんです。私が質問するのは、そういう危機意識、また認識を、最高責任者たる大臣がきちんと持っておられたかどうかというのを疑っているからなんですよ。

 ですから、その後の四月二十日に初めて国の方に報告があって、その後どういう行動をとったかというと、大臣は、対策は万全と考えて国外出張をされた。それはいろいろ委員会でもやりとりがありました。大臣は、これは国益のために必要なんだと言われた。その必要性については、ここはこの場では議論いたしません。

 一つ、もう一度大臣にお伺いします。

 大臣は、外国に行ったとしても、対策について何も差し支えなかったですか。外国に行って差し支えがあったのかなかったのか、そのことをお尋ねします。

赤松国務大臣 私が行ったことによって、急に例えば発症が大きくなったとかいうことはないというふうに認識をしております。

谷委員 どうも認識に相当ずれがあります。この委員会でも、あるいは本会議でもたびたび言われましたけれども、最悪の事態、これは災害です。危機的な状況なんです。そういう認識をしっかり持っていれば、最高責任者は外国に行ったりしちゃいけないんです、これは当たり前です。直ちに現地に行くというのが通常の姿で、阪神・淡路でもそうでした。それ以降のさまざまな災害でもそうだったじゃありませんか。中越でもそうです。福知山線の事故でも直ちに行った。そういう初動の対応について、私はどうも政府側の答弁には納得できない、今なおできない。

 過去の議事録、私も、農林水産委員会の委員ではございませんのでいろいろ調べてみました。山田副大臣は、「初動が遅いというお話でしたが、決してそんなことはない。」初期の対応は万全だ。あるいは別の委員会では、それなりの対応を十分にさせていただいていると。

 問題はないんだ、こういう認識、その認識は、大臣、まだ変わらないんですか。今でも初動の態勢に全然問題はなかったと。

赤松国務大臣 私自身は、二十日に判明して以来、直ちに、専門家の委員の先生方の話も聞きながら、対策を今、最初に何を講じなければいけないのかということで、それぞれ対策本部も立ち上げる中でいろいろな施策を尽くしてきたところでございます。

 行かなかった、行かなかったという話もありますが、むしろ畜産業もやっていた山田副大臣あたりの方が専門的に詳しいだろうということもあり、山田副大臣には行っていただく。その前には、知事もお見えになり、与野党のそれぞれの議員の皆さん方からいろいろな申し入れや要望や意見交換や、そういうことがありましたので、そういうこともしっかりやらせていただく中で、そして、何カ月も前から海外の出張の件については決まっておりましたので、それについて議運の方にお伺いを立てさせていただいたというところでございます。議運の方は了解ということになりましたので、それに従って行かせていただいた。

 ただ、そのときに、後はではよろしくなんということではなくて、ちゃんと、こういう場合にはこういう対応をしよう、こういう場合にはこうしよう、連絡は朝、昼、晩、こうやってとろう。そして、もちろんこれは内閣全体のことですけれども、臨時大臣として福島さんを決めていただく。省内的には、山田副大臣が私の代理として連休中もずっと東京にいてもらって、対策の先頭に立ってもらう。緊急な、もし数が急にばっとふえたとか、あるいは県外に広がったとかいうときにはこういう対策をしようというようなことについても、きちっとそれは決めておいて、連絡も絶えずとってやってきたというところでございます。

谷委員 そういう話はもう委員会で、議事録を読めばわかります。大臣が一生懸命やっていないんじゃないかと私は言っているわけじゃないんですよ。ただ、責任者でしょう。結果責任はどうとるか、そのことを私は問うているわけです。

 常識的に考えて、初動の態勢に問題なかった、初動の態勢に問題ないということは、危機管理の上においては、同じようなことがあったら同じような体制で今後ともやるということですよ。では、同じように、また某県で口蹄疫があった。政府の対策本部、国全体の対策本部は立ち上げないんですよ。農林水産省だけで立ち上げて、現地の対策本部も、いや、これは法定受託事務だから某県の知事がやればいい、現地の対策本部さえ設けず、そこの農政局の幹部をやっているからいい。それが今回の対応でしょう。今回の対応の反省がないということは、同じようなことを同じようなやり方でやるということですよ。そういうふうに理解してよろしいですか。

赤松国務大臣 当面は、とにかくこの口蹄疫を抑え込むということに全力を挙げる。

 それで、当然のことながら、こうした対応についての検証ということは必要になりますし、それからもう一つは、やはり同時並行で、感染源や感染経路の究明、この科学的な部分、医学的な部分と、もう一つは、もう少し、ソフト面でこういう対応で本当によかったんだろうかということは、当然のことながら検証する必要があるというふうに思っております。

谷委員 反省はしていないけれども検証はする、そういう理解でよろしいですか。

赤松国務大臣 別に反省はしていないと言っているわけじゃなくて、私としては、誠心誠意、必要と思う事柄についてやらせていただいてきたつもりだと。ただ、結果として、委員御指摘のように、これだけ広範囲に口蹄疫が広がった、一定のところに押しとどめはできたけれども、しかし、残念ながら、その数はきょうの時点で二百例ということで一万四千を超える数になっている。そのことについては、大変それは申しわけない気持ちでいっぱいです。

 特に、現地で御苦労されている畜産農家の皆さん、そして、この口蹄疫を抑え込むために、自衛隊の諸君も、あるいは九州管区の警察の諸君も、あるいは農協の皆さん方、これももう全国から今応援に来てもらっていますし、獣医さんも、共済からも今来ていただけるようになりました。こういう皆さん、都道府県の職員の皆さんも本当に駆けつけていただいて、今、昼夜を分かたぬ活動をしていただいている。本当に皆さん方によくやっていただいて、頭が下がる思いです。

 また、畜産農家の苦悩を考えると、将来、本当にこれでやっていけるだろうか、再開できるだろうか、いろいろな御心配があると思いますけれども、それに対して、やはりきちっとした方向を出し、支援策をとり、責任を持った国の対応をしていくというのが、今の私の責任だというふうに思っております。(谷委員「検証はするんですか、検証は」と呼ぶ)

 検証はもちろんしてまいります。

谷委員 反省がないというのは、先ほどのいろいろな答弁、初期の態勢は万全だとか、「初動が遅いというお話でしたが、決してそんなことはない。」これは山田副大臣の過去のこの委員会での答弁です。また、今までの体制で十分だ、そうも答弁されている。あるいは、大臣みずから、考えられ得るすべてのことを実施しているんだ、薬剤も十分だ、人も対応している、金も万全だと言われているんですよ、今まで。ですから、そのことについて、そう自信を持って言われているから、私は反省はないかと尋ねたら、いや、反省はないことはないと。

 では、もう一度聞きます。

 それは今、事態は進行していますよ。進行していますけれども、万全だ、反省することはないということは、同じような事態になったら同じようなことをやるということですよ。もう一度お尋ねします。

赤松国務大臣 最初に少し訂正をさせていただきます。私、二百例で十四万と言ったつもりだったんですが、一万四千と言ったようですので、これは訂正をさせていただきます。

 今申し上げたのは、私は知事とも何回もお話ししましたし、現地の畜産組合の羽田会長ともいろいろお話をしまして、あるいは市町村長さんともお話をしてまいりました。その都度、二十三日、三十日、十日、それぞれ要望が出てまいりまして、その要望については、別にこれは居直るわけでも何でもないんです、素直に聞いてもらいたいんですが、なるべく地元の意見をきちっと受けとめようということで、獣医が足りないと言えば、獣医はでは倍にしましょう、あるいは職員は十倍にしましょうという形で、人の手配も。あるいは、財政的な裏づけは大丈夫か、例の五分の一問題や何か、いろいろありましたけれども、そういうことについても、少しでも不安を取り除くために、そういうことについては、もうほぼ地元の皆さんが要求するとおり、国だけではできませんから、国がいろいろなところにお願いして、人の問題もそういうこともどんどんとやってきた。そういうことについて、おまえは不十分だったと言われれば、これはあれですが、私は、そのことは十分にやってきた。

 ただ、今後検証する中で、これだけ大きく広がってしまったということの一番の問題点は、それは形式上、法律上でいえば法定受託事務で、県であったとしても、しかし、これだけ大きく広がった中で、国と県と市町村が本当に心と気持ちを一つにして、同じ方向できちっと最初からきれいに対応が回ったか。そういうことを聞かれたときに、これは私どもの努力も足りなかったかもしれないけれども、例えば埋却地一つとっても、我々はとにかく埋めさせてください、いやいや、金の問題がしっかりするまではそうはいかないよみたいなことで、少し認識の違いがあったり、そういうことが進まなかったことが、特にえびの市を除く東部の方の地域では、そういうことがやっと今、そういう意味でいえば一〇〇%、一二〇%の形できのうぐらいから回転しかけてきたということだと思います。

谷委員 私は、大臣とどうも少し認識がずれていますね。

 一番の違いは、これは非常事態だ、その認識をしっかり持っていれば、これは法定受託事務だから一義的に知事がするとか、あるいは、過去のこの委員会の質疑でもありましたけれども、自衛隊派遣が必要なら、知事さん、遠慮なく言ってくださいよといって、これは非常に受け身なんですね。現行の仕組みでは、平成十六年の特定家畜伝染病防疫指針で、自衛隊派遣は知事しかできない、それは私も知っていますよ。こんなものは、指針じゃないですか、いざといったら農林水産省で変えれば済むんですわ。これは危機的な、このままでは宮崎県、九州だけではなくて、国全体の畜産業あるいは関連業界ががたがたになって崩壊の危機に瀕するという危機意識があれば、できるはずなんですよ。

 阪神・淡路大震災、あのときは、一月十七日午前五時四十六分でした。二月、三月にどれぐらいの特例法を成立させたか御存じですか。十六本ですよ。十六の特例法を国会でつくったんですよ。百本を超える政令、省令をつくったんですよ。特例法をそのために。なぜ特例法をつくったかというと、現行の仕組みでは十分じゃない、新たな特別措置をしなければこの災害の復旧復興には対処し得ないということで、与野党を問わず、みんなが一生懸命、総力を挙げて頑張ったんですわ。

 ですから、そういう全体の取り組みが私はおくれたと思います。おくれていなければ、五月十七日に政府対策本部を一月近くたって立てるなんということはなかったんじゃないですか。そして、同じ日に山田副大臣を本部長とする現地対策本部ですか、やっと一月近くたって立ち上げた。

 そして、今でもまだ、現行法の縛りを突破できているのかできていないのか、いろいろなやりとりを聞いてももう一つよくわかりませんが、家畜伝染病予防法の枠を超えて今回支援をするおつもりはあるんですか。

赤松国務大臣 私どもは、基本的に、法律を守り、法律の上で行政を進めていくという立場でございますから、法律を超えてやるんだなんということは、残念ながら口が裂けても言えません。

 ただ、今回行っているのは、法律の弾力的な運用をする中で、いろいろなことについてできるだけ、この口蹄疫を抑え込むためにはこういうことが必要だというようなことをいろいろやらせていただいております。

 例えば埋却地も、旧来、その法律等ができたときは、もともと、一つの地域に何千頭も豚を飼うとか、そういうことを想定していない時代なものですから、そういうことがあったら自分の土地にとにかく埋却しなさいと書いてありますが、事実上そんな土地はないという人が多いわけですから、これはむしろ今後の問題として、そういう現状に合わないような中身があれば、これは与野党で議論をしていただく中で法の改正なりについても考えていくことになるのかどうか、これは議会がお決めになることでありますから、そういう点はいろいろあると思います。

 ですから、そういうことも含めて、今回、まず今、とにかく病気を抑え込むことが第一ですから、これをやって、鎮静化した後には、そういう検証の中で、そういうことも含めて皆さんで御議論していただければありがたいと思っております。

谷委員 いやいや、大臣、それは法律をつくるのは我々立法府の仕事ですよ。ただ、平常時はいいですわ、与野党で議論をしていただいて、これは皆さんで、議会で決めることだと。これは非常時じゃないですか。非常時であれば、政府が現行法を弾力的に運用するというのは当たり前ですよ、そんなことは。ただ、現行法でできないものがあれば、政府が準備をする、あるいは、政府はなかなか各省庁をまとめるのが難しいから、議員立法で議会の方でやってもらえないかと働きかけるのが当然じゃないですか。

 現行法を超える新たな仕組み、法制度の必要性、どう思われていますか。具体的に言えば、処分する土地も、現行法では所有者がしなければならない。費用負担も五分の四。五分の一は農家が持たなければならない。それは共済はありますよ。ただ、全部が共済に入っているわけではないです。あるいは、先ほど、午前中、江藤先生からも言われていましたように、単に農家だけではなくて、地域の経済に大変大きな影響を及ぼしている、そういう復興支援をどうするか。現行法でできるというふうに考えておられるんですか。大臣にお尋ねします。

赤松国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。

 例えば、今回は殺処分を前提にしたワクチン接種を行います。現行法上では、ワクチンを打つ、これはもともと知事がやるんですけれども、知事がなかなかやらない場合には指示をしてやらせることができると書いてあるわけですね。これに従わない人は、三十万だったか幾らか、ちょっと正確な金額は忘れましたが、とにかく罰金ですよ、必ずこれは強制で打てるんですということになっているわけです。

 しかし、ではその後の殺処分ということになると、これはそれぞれの御了解のもとにやらなければいけないということになるわけで、そういう意味でいえば、今回は何とか同意を得て、これは多少時間がかかっても何としてもやりたいということで今取り組みをしておりまして、知事さんや各市町村長さんの御理解も得ながら、あるいは農協の組合長さんたちの御努力もあって、全体、一部例外があるかどうか、これはまだ結果を見てみなければわかりませんが、ほぼ同意をしていただいて、それがあしたまでにほぼでき得るという状況になっています。

 それも、では本当に同意がない場合はどうするんだというようなことも含めて、これはこれからの議論の余地があるところだというふうに思っております。

谷委員 必ずしも新たな立法について否定的な御意見ではなかったと思います。かといって、積極的にぜひという意気込みも感じられませんでした。

 一つだけお尋ねします。

 やはり経営を再建し地域全体を再生させるためには、地域の実情とかニーズに応じたさまざまな施策が必要かと思います。そのために自然災害でよくとられた方法は、基金をつくるという方法です。阪神・淡路大震災のときは、私は当時兵庫県庁にいましたけれども、結果的に九千億の基金をつくりました。その運用益でさまざまなきめ細かな事業をやるというやり方です。そして、その基金のやり方、方式というのは、阪神・淡路大震災以降も、それ以前で雲仙もありましたけれども、新潟県の中越、能登、あるいは中越沖地震にも踏襲されました。

 今回も、こういった仕組みが、運用益というのは今金利が低いですからどうかと思いますけれども、全額国が手当てをして、そして、それを取り崩しながら、さまざまな地域のニーズに応じた、要望に応じた支援策をとるべきだと考えております。我々自民党の案にもそういった考え方が盛り込まれていますけれども、大臣の所見をお尋ねしたいと思います。

赤松国務大臣 お答え申し上げたいと思います。

 まだ自民党の案というのを私は存じ上げないものですから、その基金の規模がどれぐらいのことを考えておられるのか、どういう事業をやろうとされておるのか、そういう細目はわかりませんので、それについていいとか悪いとかという立場にはないと思います。

 ただ、基本としては、基本的な一般論で言えば、この鳩山内閣においては、できるだけ今まであった基金についても、そういう、何か積んでおいて、何かのときに使えばいいというやり方は変えていこうと。必要なときには必要な施策でばんと予算をつけてやればいいというような仕組みに徐々に変わりつつあるということは、事業仕分けその他でも、基金には、一たん全部戻しなさい、戻して、必要な都度、それは予算に、毎年毎年の予算に計上すればいいからという仕組みに変わりつつありますので、そのことだけ申し上げておきます。

谷委員 一般的な国の基金とこういうときの基金というのは違うと思いますよ。

 どうも、大臣の御答弁を聞いていますと、平時なんですよ、考え方が。法律がどうのこうのだとか、予算の制約があると。予算、予算と言いますけれども、どれぐらいのことを言われているんですか。新聞では、公明党さんが一千億とか言っていますけれども、それで国家財政がひっくり返るんですか。必要なときは必要な手当てをしなくてどうするんですか。そのことを私は特に強く訴えたいと思います。

 冒頭お話しさせていただきましたように、今回の事態の認識の甘さは、私は、与党議員にも、与党としてどうかと思うような言動もありました。ちょうど四月二十八日、木材利用、私は自民党、公明党の案の提出者でございましたけれども、国土交通と合同審査をした。何とそのときに、米粉パイを御賞味いただきましたかと。もうびっくりしましたわ。口蹄疫がこれだけ流行しているときに、何ですか、この発言。あえて御本人の名誉のために言いませんけれども、名前は言いませんけれども、そういう危機意識で与党が、やはり、これは連休前四月二十八日ですから、いたというのが、政府の、政府・与党なんですから、一体なんですから、対応のおくれの一端の責任があるのではないかと思います。

 私は、認識の甘さ、特に大臣の危機管理の認識の甘さ、対応のおくれ、対策の小出し、そして何かといえば法定受託ということで県の方にいわば責任を押しつける、そして職をかけた、大臣という職をかけた意気込み、そういったものは見られません。大臣として、このままであれば、これだけの動物が殺されて、平成のそれこそ屠殺王になりますよ、あるいは平成の殺処分王と言ってもいいかわからないです。何らかの責任を、私は、大臣としてとってもおかしくないと思いますよ。指揮官として失格だと思いますよ、これは。

 大臣みずから、前の答弁で言われているんじゃないですか。どういう表現でしたか、江藤先生のやりとりは五月十一日でしたね。私が一人いなかったからといって、いささかも支障はあったというふうには理解しておりません。そういう大臣ですから、責任をとっておられなくても何ら差し支えはないんじゃないですか、理論的に言いますと。

 そのことを御指摘させていただきまして、時間が参りましたので、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

筒井委員長 この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕


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