衆議院

メインへスキップ



第14号 平成22年5月26日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十二年五月二十六日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 筒井 信隆君

   理事 石津 政雄君 理事 梶原 康弘君

   理事 小平 忠正君 理事 森本 和義君

   理事 森本 哲生君 理事 北村 誠吾君

   理事 宮腰 光寛君 理事 石田 祝稔君

      石田 三示君    石原洋三郎君

      石山 敬貴君    緒方林太郎君

      金子 健一君    京野 公子君

      後藤 英友君    佐々木隆博君

      高橋 英行君    玉木 朝子君

      玉木雄一郎君    津川 祥吾君

      道休誠一郎君    中野渡詔子君

      仲野 博子君    野田 国義君

      福島 伸享君    柳田 和己君

      山岡 達丸君    山田 正彦君

      和嶋 未希君    赤澤 亮正君

      江藤  拓君    小里 泰弘君

      金田 勝年君    谷川 弥一君

      長島 忠美君    浜田 靖一君

      古川 禎久君    保利 耕輔君

      山本  拓君    稲津  久君

      西  博義君    吉泉 秀男君

      石川 知裕君

    …………………………………

   議員           山本  拓君

   議員           武部  勤君

   議員           北村 茂男君

   議員           永岡 桂子君

   議員           長島 忠美君

   農林水産大臣       赤松 広隆君

   農林水産副大臣      山田 正彦君

   総務大臣政務官      小川 淳也君

   農林水産大臣政務官    佐々木隆博君

   農林水産委員会専門員   板垣 芳男君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十六日

 辞任         補欠選任

  玉木 朝子君     石田 三示君

  和嶋 未希君     緒方林太郎君

  伊東 良孝君     赤澤 亮正君

  長島 忠美君     古川 禎久君

  保利 耕輔君     浜田 靖一君

  西  博義君     稲津  久君

同日

 辞任         補欠選任

  石田 三示君     玉木 朝子君

  緒方林太郎君     和嶋 未希君

  赤澤 亮正君     伊東 良孝君

  浜田 靖一君     保利 耕輔君

  古川 禎久君     長島 忠美君

  稲津  久君     西  博義君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 農林漁業者等による農林漁業の六次産業化の促進に関する法律案(内閣提出第五〇号)

 国産の農林水産物の消費を拡大する地産地消等の促進に関する法律案(山本拓君外四名提出、衆法第二一号)

 農林水産関係の基本施策に関する件(口蹄疫の発生状況及びその対応について)

 口蹄疫対策特別措置法案起草の件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

筒井委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件、特に口蹄疫の発生状況及びその対応について調査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古川禎久君。

古川(禎)委員 前回に引き続きまして、本委員会におきまして質問の機会をお与えいただきまして、ありがとうございます。委員長初め委員各位にお礼を申し上げます。

 そしてまた、昨日の衆議院本会議におきまして、鳩山総理・口蹄疫対策本部長が、与党、野党の別なく、一緒にこの事態に立ち向かおうという力強いお言葉をいただきました。また、先ほど参議院本会議におきましても、鳩山総理が、議員立法等の動きがあるようだが、力を合わせてこの難局を乗り越えるようにというようなことを発言されたやに聞いております。詳しくはまだ確認しておりませんが、NHKニュースでやっておりました。大変、大変ありがたいことだと思っております。

 まず、発生地を代表して選出いただいております議員の一人として、心から感謝を申し上げるとともに、今後この非常事態を一刻も早く収束させるために力を合わせていきたい、このように思っておるところでございます。

 山田副大臣におかれましては、昨日も、東京、そして一たん地元に、宮崎の方に入られ、そしてまた本日上京されてということで、大変お疲れさまでございます。

 ここで一つ感謝を申し上げなければなりません。

 ワクチン接種の対象エリア、これが日向の耳川以南ということで、地勢に沿った形で設定をいただいておりましたものが、きのう急遽、何だかそれがずっと北の方に延びるというような話がありまして、現場は大変心配をいたしました。本当に心配をいたしました。

 これはもう三千頭近くの牛、豚がおるわけで、この一カ月来、いろいろな方が紹介をしておられますとおり、家畜というものは農家にとっては家族同様のものなんですね。その命が一方的にワクチンのエリアに組み込まれてしまい、やがて命を奪われてしまうのかということで、大変現場は心配をされたわけでしたけれども、きちんとこの実態を見ていただいて、地形を見ていただいた上で的確に御判断をいただいたというふうに今情報をいただいたところです。大変ありがたく思っておるわけです。

 ただ一方で、副大臣、急遽、突然このような大事なことが、ある電話一本でワクチンの対象になりますよというようなことで、現場は大混乱があるわけですね。こういうことは慎重にお願いをしておかなきゃいけないと思うのですが、何かコメントがありましたら、お願いいたします。

山田副大臣 現場においては、いまだに埋却をしなきゃいけない頭数が、患畜、疑似患畜を合わせまして六万頭、それがそのまま残っているものですから、まだ感染を続けております。仮にワクチンを打っていましても、本当に効くのは一週間と言われていますから、やはり感染は続きます。そうしますと、必然とこの円が少しずつ外側に広がってくるわけでして、ワクチンを接種する範囲がそれだけ外側に向かってくるということになってくるか、それが今、古川委員がおっしゃったことだと思うんです。

 今回、まずは、最初にワクチンを決めた、その最初の、そして、ここが本当に北限の地域だと防衛線を張ったあの耳川のところとか、それと南のところ、その辺で、最初にワクチン設定して決めた枠よりも内側の方をまず終わらせてしまうということをさせていただきたい。そして、様子を見まして、これ以上感染の拡大が広がりそうであれば、そのときに、すべての十キロの範囲内まで行くかどうかはもう一回考えさせていただければと考えておりまして、今のところ、そういう線で、完全にやらせていただきたい、そう思っているところです。

古川(禎)委員 今後、さらに広がりそうな情勢が新たに発生をした場合にはということですよね。新たに飛び火をするとかという、新たな展開であればまたワクチネーションのエリアも当然変わってくるでしょうし、そのような意味でよろしいですね。

 というのは、この全頭殺処分を前提としたワクチン接種というものは、現行法、家畜伝染病予防法の枠内ではありません。ですから、あくまでも所有権、財産権との絡みでの個別の話が前提になっておりますので、そこは慎重に御検討もいただき、また御発言もいただきたいと思っております。

 本当に、ワクチンの接種という、もうこれは痛恨のきわみではありますけれども、しかし、いや、これは今が胸突き八丁で、日に日に厳しい状況が続いているけれども、何とかここを乗り越えることによって口蹄疫を退治しなきゃならぬのだ、そういう思いでおるところでございます。

 そして、この一カ月余り、口蹄疫と取っ組み合いをする中で、これは私の個人的な思いではありますけれども、現在の家畜伝染病予防法、昭和二十六年の法律なんですが、これが現代の畜産、あるいは情報通信が発達した現代において本当に体のサイズに合ったものになっているのかどうか、そういうふぐあい、迅速的確に対応しなければならないのに、この法律の枠組みが必ずしもそれに適したものになっていないのではないかというもどかしさ、実は、そういうものを感ずることが少なくありませんでした。

 十七日に政府に対策本部を設置いただいて、即日、山田副大臣は現地チームのリーダーとして現場に入っていただいたわけでございます。これは、遅かったけれども、大変感謝をいたしております。そして、現場で本当に頑張っていただきたいと思っております。

 ここで、現場で格闘していただいております副大臣の率直な今の感想として、やはり家畜伝染病予防法というものが今の畜産の実態に必ずしも即していないのではないか、危機管理において必ずしも使い勝手がいいものではないのではないか、そういう感想を持っておられませんか。率直なところをお聞かせいただければと思います。

山田副大臣 今までの家畜伝染病予防法は、どうしても、牛を飼ったり豚を飼ったりしている農家というのは、かつては、それほどの頭数を飼っていたわけでもなかったし、一万頭とか二万頭豚を飼うとかということはあり得なかったことですし、そういう意味では、周りに埋却地があるんだということを前提にしておって、埋却地に心配がないという形での家畜伝染病予防法であったんじゃないか。

 今回、本当は七十二時間以内にはぜひとも埋めてほしかったものが、もう十日も十五日もさらされてしまった、これが本当に爆発した原因だと思っておりますが、埋却地がなかった。埋却地の選定に、あるんだったらもっと公共用地を使えばいいじゃないか、こう私は言って、すぐ知事さんにも町長さん方にも申し上げたんですが、家伝法がそうなっているし、既に自分の土地に埋めた人、それから土地を購入して新たに埋めた人、いろいろな形の公平感云々だとか、隣からの不平不満とか、悪臭とか、あるいはガスが出るとか、いろいろな形でなかなか一たん決まった土地も決まらなかったりとか、そういう埋却地の問題でこうなってしまったという気はいたします。

古川(禎)委員 ありがとうございました。

 今回の事態が収束をして振り返ったときに、拡大の、蔓延の大きな要因の一つに、埋却地を確保できなかったがために、殺処分をしてすぐ埋却という対応がおくれてしまったために、拡大につながったのではないか、恐らくこれが大きな反省点になるだろう、そのように思っております。

 私は、地元が都城でございます。都城は日本一の畜産基地でございまして、私は初当選までに八年かかりましたが、毎月、家畜市場で競りが行われるときは、白いゴム長を履いて競り場を歩いておりました。

 また、私の政治活動のスタート地点は、とある養豚場に住み込んでの話でした。朝五時に起きまして、豚はブーブー、犬はワンワン、鳥はコケコッコーと大変騒々しい中を、豚小屋の世話をして、それから一日の政治活動が始まったわけでしたけれども、当時の豚小屋というのは、つっと中を歩くだけで体ににおいがしみつくんですね。もう今はそんなことはありません。今はいろいろな工夫がありましてそんなことはありませんが、当時はそういうこともありまして、子豚はかわいいなと思いながらやっておりました。

 この一月余りの間に、私は都城の家畜市場に何度か行きました。もちろん競りはやっておりませんよ、閉鎖をしておりますから。畜魂碑に手を合わせるために行くのであります。そして、その畜魂碑の前で手を合わせているときの胸のうちたるや、これは敗北感といいますか、喪失感といいますか、何とも言えない違和感をぬぐい去ることができないんですね。一生懸命、口蹄疫と格闘し頑張っているんだけれども、何万頭という牛や豚を殺さなきゃならない。一生懸命やっているんだけれども、やればやるほど、何となくこの数がふえていく、そういうニュースばかり。何ともいたたまれないような、人間は一体何をやっているんだろうか、そんな思いに駆られてしまうことがあるんです。

 そういうもやもや感を、私、自分の胸のうちに持っておりますときに、ある方からメールをいただきました。ちょっと紹介をさせていただきたいと思います。

 口蹄疫の件ではご心痛の事と存じます。今夕のニュースで、

これは五月二十三日、三日前です。

 県がすでにと殺処分しているはずの種牛を処分していなかったことを農林副大臣が非難しているのを見ましたが、思考停止しているのではと怒りを覚えました。これからの新たな発想の口蹄疫対策を志向するならば、固定観念の全てを殺すという発想を見直して、生かしてその後の病態を注意深く慎重に観察しようという発想もあって当然だと私はずっと思っておりました。全てを殺しては何も新たな対策は生まれようがありません。獣医学会がこのことを真剣に取り組んでいただきたいと心から願わずにはいられません。いくら感染力が強くとも、経済的影響力が甚大であっても、数十年前と進歩のない、とにかく全てを殺して蔓延を防ぐという発想が将来にわたってまかり通ることが、本当に正しいことなのでしょうか!?

これは、いろいろな御意見があります。賛否がありますから、今この場でこの是非を扱うつもりはありません。

 しかし、このメールを送ってくださったのは、私が尊敬するあるお医者さんです。獣医ではなくてお医者さんです。人格的にも立派な方です。この方が送ってくれたこのメールを読んで、私は、何となく胸のうちにあったもやもや感みたいなもののある側面を表現してくれているような気がしたんですね。

 きのうの本会議でも、冒頭に、ある養豚農家の詠んだ短歌を紹介させていただいたんです。これは地元の新聞、宮日新聞に紹介された歌なんですが、もう一度紹介をします。

  養豚の音なき終わりにすべもなく只ありがとうの感謝あるのみ

 そして、これはもう一つ実は掲載されていたんですね。

  近日に命絶たれる母豚あり日々出産をするもあわれぞ

 いろいろな委員会等の場でさまざまな方が報告をしておられますけれども、やはり畜産農家にとって家畜というものは家族であり、牛、豚の命なんですよね。

 先ほどの御紹介をさせていただいたメールにもあるんですが、四十九頭の種牛の話なんです。

 きょうの参議院の本会議でも、質問に対して総理が、口蹄疫対策本部長たる総理が、それはできないというようなことをおっしゃった、それは承知しております。

 そしてまた、この場でまた私が改めてこのことを申し上げること、自分が何を申し上げているかということについて、自分自身よく承知をいたしておるつもりでございます。承知いたした上で、あえて申し上げたいのですが、この四十九頭、これが今、口蹄疫にかかって今現在ばんばんウイルスを発生しているということであれば申し上げませんが、そうでなければ、県が今順番に、殺処分という言葉は悲しい言葉だけれども、順番にやっておるわけですが、そちらを今優先してやっておるわけでして、この事態そのものは、やはり現実として御容認をいただきたいと思うんです。

 私は、大臣や副大臣に対して、特例を設けてくださいとか、この種牛だけは特別扱いをしてくださいとか申し上げるつもりはありません。ここで何らかのコメントをいただこうとも思いません。ただ、今すぐ処分せよというようなことはあえておっしゃらずにおいていただきたいなということを切に願うのであります。

 また宮日新聞なんですが、これはおとといの新聞です。四十九頭について、副大臣が、示しがつかないからというようなことをおっしゃったときの後の、翌日の新聞なんですね。何と見出しがあるか。「「先が見えなくなった」 心の支え奪われ農家落胆」

 「宮崎の畜産をつぶすのか」「何のための政治主導だ」。東国原知事が種雄牛四十九頭を特例で「助命」するよう求めていた問題で二十四日、国は早々と殺処分の方針に鳩山由紀夫首相のお墨付きを得た。

云々と続いていくんですけれども、見出しにあるとおり、心の支えなんです。

 御存じのとおり、宮崎の畜産は打ちのめされて、そして打ちひしがれておるんです。今最も必要なのは、再起に向けた希望、望みなのだと僕は思うんです。

 ですから、特例を設けてくださいとは私は申し上げません。けれども、わかっていただきたい。わかっていただいて、じっと見守っておっていただきたいということを切に申し上げたいと思うんです。

 今、現場の対策のリーダーとして務めておられる副大臣、あるいは宮崎県の知事である東国原知事、お二人とも、この宮崎の畜産農家にとっては親みたいなものです。親が、今打ちひしがれて自信を失って悲嘆に暮れている我が子に対して、追い打ちをかけるように、望みを奪うようなことをおっしゃらないようにしていただきたいと思うんです。

 これはお願いです。よろしくお願い申し上げておきます。

山田副大臣 古川委員の今の切々と述べていることは、私も、かつて畜産をやっていた者、牛を飼い、豚を飼っていた者としては、本当にその農家の気持ち、そういったものはわかっているつもりでおります。

 しかしながら、ここが大変大事なことですが、ワクチン接種は恐らく九五%終わりました。本当に県の皆さん方も町の皆さん方も大いに頑張っていただいて、よかったと思っていますが、その中に、自分で種牛を持っている民間の方がいらっしゃいます。その方は、何としてもワクチン接種に応じてくれません。もちろん殺処分に同意してくれません。

 そしてまた、繁殖農家も、よく気持ちはわかるんですが、子牛から飼っていきますから、これから先も何年も何年も一緒に暮らしていく牛がここで殺処分に遭うということになると、まさに自分も一緒に埋めてくれと言う農家もいる、どうしても同意できないと言っている、そういうお話も現場から聞いております。いろいろなことがございます。

 しかしながら、若い種牛の四十九頭について何とか残してもらいたい、宮崎の将来の畜産のためには残したい、それは古川委員も私も同じでございますが、ここは家畜伝染病予防法で、直ちにいわゆる殺処分し、直ちに埋却すること、そうなっております。やはり私は、ここは県は率先して、あそこにあれだけの埋却地もあるわけですから、やっていただかないとおかしいではありませんか、そう申し上げてまいりました。それはわかっていただきたいと思います。

古川(禎)委員 お説ごもっともでございます。

 ですから、私は、自分がここで何を申し上げておるかというのは重々理解した上で、最後に一言申し上げますけれども、今、宮崎の畜産農家に必要なのは、心の支え、望みなんです。この事態を収束させた後、復興に向けて、再起するために、よし、もう一遍やってみようと、親として、子供が、よし、もう一遍再起しようというそのときのために、やはり望みは残しておいていただきたいと僕は思うんです。

 わかります。大臣のお立場として、苦しい胸の思いを持ちながらも、そうおっしゃらなければならないこともよく理解をいたしておりますから、もうこれは御答弁は求めません。

 牛に引かれて善光寺参りという言葉がありますけれども、牛は観世音菩薩だったんですよ。種牛だから、種牛ということだけで申し上げているんではないんです。やはり全般的に、先ほどのワクチンのエリアの問題もそうですけれども、大臣や副大臣の言葉は重いですよ。こうだと言ったら、そこでたちまち何万頭の、何千頭の牛や豚の命が左右される。でも、それは命だということをやはり胸に置きながら、御苦労だと思いますが、現場の対応にお取り組みいただきたいとお願い申し上げます。

 さて、幾つかあるんですけれども、ちょっと時間がなくなってまいりましたが、一つ、現場の指揮をとっておられる山田副大臣にお願いを申し上げたいことがあります。

 実は、これは風評被害と言っていいと思いますが、例えば宮崎ナンバーのトラックが県外に行きますと、追い返されちゃうのです。あるいは、県外のトラックも、野菜を初めいろいろなものを宮崎に運ぼうと思ったら、結局、宮崎に行った車は帰ってくるなというようなことになってしまうということで、なかなか持ってきていただけない。それで野菜が値上がりしたなんということも起こっていまして、宮崎県は今、孤立しております。

 この十キロから二十キロの間の早期出荷ということを打ち出していただいております。牛の約一万六千頭だったか、豚の三万二千頭ほどだったでしょうか、これを早期出荷というときに、やはりトラックに積んで運ぶんですね。ところが、宮崎県の畜産農家のみんなが困っているんだから応援してあげたいと思っても、そういう業者だったら取引お断りですよということが、現実の問題として今、目の前にあるんです。

 そこで、お願いなんですが、対策本部の方から業界等に対して、こういう早期出荷に当たって、正式に協力要請をかけていただけませんか。そして、そういうことだから、そして消毒等も徹底するので心配はないということを他県に対してもメッセージをいただけるような、そういう御配慮をぜひお願いしておきたいと思います。

 それともう一つ。ワクチン接種をして殺処分することになります。そして、奨励金、これは時価評価式で当たっていただくという言葉をいただいております。きのうの質疑等でもいただいております。

 申し上げるまでもありませんが、育成牛、繁殖豚、こういうものは、やはり将来の期待利益というものがあるわけですね。失うことによる逸失利益というものがあるわけです。そういったものをきっちり、これはもうわかっていただいていると思いますが、きっちり踏まえていただいた上での評価をしていただくように、お願い申し上げたいと思うんです。

 これは、銭金の問題ということを言っているんじゃありません。これは本当に現場で副大臣がまさに御苦労なさっているように、農家の皆さんは、我が子のような、家族同然の家畜を守りたいという気持ちをすごく強く持っているわけですよね。そういう方々と話をされるときに、やはり丁寧に丁寧に人の心に対して、そして人の心でもって相対するという、その丁寧な対処というものを、応じ方というものを常に持っておいていただきたいと思う。その意味で、今申し上げたように、奨励金の時価評価ということに当たっても、しっかりそこを評価していただく、ちゃんと見ているよということが伝わるような形でお願いをしたいと思うんです。

 でなければ、口蹄疫というのは、今回、宮崎で早期に鎮圧しなきゃいけないんですけれども、しかし、今後ほかの県においてまたいつ発生するかわからないわけですよね。そのときに、仮にそういうふうにして発生したとしても、いや、政治がこうやってきっちり現場の実情を把握した上で対処してくれたんだな、率先して自分たちも協力してやるんだ、そういう思いになるような事例を今回確立していただきたいと思うんです。そのような趣旨でお願いを申し上げておきます。

赤松国務大臣 二点お答えしたいと思います。

 まず一つは、トラックの風評被害ですが、これは既に対策本部の中で、前原国土交通大臣からも、そういうことを聞いておるのでということで、トラック協会ばかりじゃなくて、問題は荷主さんですから、荷主さん等も含めてしっかりとその辺は周知徹底していきたいということが一点。

 それからもう一つは、そういう荷主さんにも安心感を持っていただくために、国土交通省としては、全面的に車両の消毒その他について、人も十分あるので協力したいということで、大分箇所もふやしていただいて、今やっております。

 委員の趣旨は当然だと思いますので、さらに徹底して、そのあたりを所管の国交大臣にも伝えまして、しっかりやってもらいたいと思います。

 二つ目の時価評価の問題ですが、これについては、疑似患畜の手当金と同様に、原則としては、三名以上の評価人でやるということになっていますが、今、こんな大混乱の中ですから、概算でとりあえずお支払いして、その後、しっかり時間をかけて、しかもその評価人の中には、県とか市とか町とかの、近くの役所の皆さん、それから農協の皆さん、そういう方にも入っていただいて、血統だとかあるいはいろいろございますね、そういうものもきちっと評価をしていただく中で、適正な時価評価をしていきたい、このように思っております。

古川(禎)委員 大臣、ありがとうございました。

 副大臣、先ほどの、対策本部として、お願いします。

山田副大臣 トラックのことについては今大臣からお答えがありましたが、私が気にしているのは、野菜、根物の出荷。これは土がついておりまして、それが市場から入荷を拒否されているというようなうわさがございました。

 それで調べさせていただきましたが、今のところそこまでには至っていませんでしたので何とか解決できましたが、これから先もそういうことは予測されると思います。そういう意味では、市場関係者にもしっかり、野菜等についてもいずれ周知しなきゃいけないときが来るんじゃないかなとは考えているところです。

 また、いろいろ、古川委員の話としては、特に繁殖牛のときに、これから本当にいい子牛を産むときの評価を単なる月齢でやってもらっちゃ困るというお話じゃないかと思うんですが、私も、その辺の事情はよくわかっています。血統ももちろんありますし、これまでどういう牛が、前の牛がどういういい牛であったとか、そういった、それまでの牛の価格等々も考えながら、この牛だったら、この繁殖牛、親牛だったらどれぐらいの価値があるというところは、きちんと評価員に評価していただくように、私からもそういうきめ細かいお話はさせていただきたい、そう思っております。

古川(禎)委員 済みません、先ほど申し上げたのは、十キロから二十キロの中にいる家畜を早期に出荷するということを打ち出しておられますよね。出荷するときにはトラックに乗せなきゃいけないんですよ。ところが、業者がそれをトラックに乗せて運びたいけれども、協力したいけれども、しかし、それに協力してしまったら、ほかのところの仕事を失うんじゃないかという事態なんです。ですから、ぜひ対策本部として、出荷するときの運搬について、例えばトラック協会なりなんなりに対して公式にオファーしてください、そういうことです。お願いしておきます。

山田副大臣 十キロ―二十キロ内で運ぶ、一たんそういう豚を運んだ場合において、その同じトラックでよそに行くときには、そこで使ったトラックだから困るということでは、やっていけないというお話なんですね。(古川(禎)委員「いや、済みません、ちょっと時間があれなんですけれども」と呼ぶ)

筒井委員長 時間が余りないので、単刀直入に言ってください、古川さん。

古川(禎)委員 ですから、要するに、その家畜を扱った業者は、ほかの荷主さんから仕事を切られちゃうんです。車を分けていますよといろいろ言っても、消毒をしていますよと言っても、やはり風評被害というのはあるんです。

 ですから、それを防止するために、ここは対策本部として腰を上げていただいて、きっちり正式に要請して、本部からの要請を受けて業者もその仕事を請け負うというふうにしていただくとやりやすいということなんです。

筒井委員長 古川委員、それは各業界全部ですね、全部の業界に対して。

古川(禎)委員 今、トラックのこと。畜産、家畜を運ぶトラックの話。

山田副大臣 意味がわかりました。

 確かに、そういう心配があるかと思いますので、持ち帰って、どうしたら一番有効なのか検討させていただきます。

古川(禎)委員 ぜひお願いします。

 終わります。

筒井委員長 次に、小里泰弘君。

小里委員 自由民主党の小里泰弘でございます。

 引き続き、口蹄疫の関連についてお伺いをしてまいります。

 四月二十八日に、私ども、谷垣口蹄疫対策本部長を先頭にいたしまして宮崎の現地入りをいたしまして、現地の市町村、生産者の関係者の皆様を初め、意見交換をさせていただきました。そのときの意見として、何をしていいかわからない状況が続いている、あるいは、今の国の対応では再起はできない、そういった声が相次ぎました。

 そしてまた、五月九日、谷垣本部長が鹿児島に入りましたときに、それを聞きつけた宮崎の被災地の首長さんがわざわざお越しになりまして、今に至るまで国からほとんど指示がおりない、ただ穴を掘って埋めろと言っているにすぎない、そう憤慨を込めておっしゃったのであります。

 これまでの間、赤松農林大臣は、宮崎の現地入りを一度も果たさず、陣頭指揮をとらないどころか、四月三十日から五月八日までの九日間、メキシコ、キューバ、コロンビアへの外遊に旅立ったのであります。そして、やっと宮崎入りをしたのは五月十日、発生から実に三週間を経過していたのであります。日本の畜産の危機、そして国の食料安保の危機に係るこの重大な危機において、何という危機感のなさ、危機管理能力のなさであろうかと現地からも大変な怒りの声が沸き上がったわけであります。赤松大臣が、火の手が燃え盛る中に、我々のまさに制止を振り切ってかの地へ行かれた。そのときに現地の人々は、国から見放されたと思ったでありましょう。現に、現地のかなりの方々からそういった声を寄せられたのであります。

 かの地における大臣の日程につきまして御答弁をいただきました。私もまた何度も議事録を読み返させていただきましたが、何度聞いても、何度読んでも、大臣がわざわざかの地に赴くべき緊急性を要する日程であったとは思えないのであります。ましてや、この国内の重大危機において、それをおいて大臣が行かれるべき理由は何もなかったと思います。

 本当に外遊をしてよかったと思っておられるのか、改めて大臣にお伺いをいたします。

赤松国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。

 再三にわたって、この委員会でもそれから本会議でもお尋ねをしていただいていますので、私は率直に申し上げておりますけれども、四月の二十日に口蹄疫の発症が明らかになったということで、直ちに対策本部を立ち上げて、そして専門家の御意見も聞きながら、あるいは十六年にできました指針もございますので、過去の例にも倣いながら、その時点でやらなければならないこと、今何が必要なのかということについて指示を出させていただいた。

 専門家は、とにかくまず消毒が大切なんだと。とにかくまず消毒を、全額国庫補助で消毒薬を確保し、直ちにまいてもらうようにということで、そういう手配もしながら、そして、この口蹄疫については、患畜あるいは疑似患畜については直ちに殺処分をする、そして埋却をする、焼却でもいいんですけれども、そのことが大切なんだということで、それを指示させていただいた。そして、それぞれ、現地の農政局の部長も派遣をし、また本省からも何人かの職員も派遣しながら、そして獣医師さん、宮崎県は二十人ぐらいしか獣医師さんがいないという話だったものですから、それではだめだということで、そういう手配をまずきちっとしたということでございます。

 それで、今、ゴールデンウイーク、三十日から八日まで行ったことにつきましては、議会の御理解も得る中で、かつて、OECDとか、マグロをやりましたCITESも私は出しまして、野党の皆さんがだめだと言われたときは行っていないんです。今回の場合は、御了解をいただいたので、じゃ、後の対策をきちっとやっていこうということで、臨時大臣は、これは大臣じゃないといけませんので福島大臣、そして省内における口蹄疫対策本部は、山田副大臣を本部長代理ということでその指揮に当たってもらう、そしてその期間はきっちり政務二役が東京へ残ってその指揮をとる。私とは……(発言する者あり)答えていないですか。

 そして……(発言する者あり)だから、出張そのものは、皆さん方は意味がなかったとか、そんなものはどうでもよかったと言われますけれども、私は、FTA、EPAの、ことしの秋に最終の、五年後の見直しということで、もう去年からずっとやってきているんです。そして、マジョルガ大臣は二月、三月に来ているんです。今度はうちから行って、最後の決着をしなきゃいけないところだということで、メキシコの仕事もきちっとやってまいりました。

 キューバについてもそれぞれ、これもおとといのことですけれども、長期債務問題について、この金額の半額、五百万ドルも、私が行って、もう振り込ませるようにしてきたんです。現に振り込んできたんです。そして、その債務問題について、これは直接私が申し上げて、向こうの中央銀行、そして国立銀行の代表者が来て、日本で今、二十四日から交渉しているんです。

 そして、ウリベ大統領とはコロンビアで、ペルーの次はぜひコロンビアだということで、そのことについての最終の確認をしてきたということで、もちろん口蹄疫は非常に重要な問題ですけれども、すべてこれだけでいいんだということではない、それも重要だけれども、あわせてこうした問題についてもやらなければならないということで、私は、自分の役割をきちっと果たしてきたというふうに思っております。

小里委員 大臣の今のような答弁は、もう何度も聞かされました。何度聞いても、本当に、大臣がこれだけの宮崎の悲劇と引きかえにしてかの地に行かれるような、そんな理由には私には全く思えません。

 前回、答弁の中で大臣は、例えばキューバとの民間の間の長期債務の問題がある、この問題は、民間から要望を受け、そして自民党の古屋圭司代議士から、これは大臣が行かないと解決にならぬと強い要望を受けて行ったんだ、そのような御答弁でありました。

 古屋代議士から私のところに連絡が入った。とんでもない話だ、全く事実と違うと。古屋代議士は、赤松大臣がキューバに行かれると決定をしてから、それを大臣から聞いて、どうせ行かれるのであれば、こういう問題が今はありますよということを申し上げたのにすぎないのであります。決して、古屋代議士が、この件でもって大臣に行ってくださいと要望を申し上げたわけではありません。ましてや、この長期債務の問題は、長年かけて、キューバ議員連盟会長である古屋代議士あるいは先輩の議員の方々が取り組んできて、いよいよ最後のフォローの段階、別に大臣に行ってもらわなければ解決できないような、そんな話ではない、これがまた古屋代議士の話でありました。

 事ほどさように、今回の外遊につきましては、全くもって大臣の説明では納得ができないのであります。ちなみに、古屋代議士の名誉のために申し上げておきますと、彼は、もし大臣が相変わらずそういうことをおっしゃるのであれば、この場に来て証言を申し上げたい、そうおっしゃっていたことを申し添えさせていただきます。

 なおまた、いろいろキューバについては日程の中身についてお伺いしようと思っておりましたけれども、大分、これでもう半分以上時間を経過してしまいました。

 また、かなりの空白の時間があるんですね。もともと型どおりの会談であって、そして、農園とか芸術学校とか、実に視察の多い日程になっております。それに加えて空白の時間がある。これは、例えば五月の一日、五時間、あるいは二日午前中、あるいは五月の五日、五時間、いろいろ空白の時間がある。こういったところはホテルで休憩していたんだ、そんなふうにお答えになるのかもしれません。

 しかし、この古屋代議士の一件にしましても、そういった説明で簡単に納得をするわけにはいかないのであります。我々はまた、理事会を通じて、向こうでの証拠書類、車の運行記録を差し出していただきたい、そういうこともお願いをしておりますが、お答えはないままであります。

 赤松大臣の外遊中に、被害頭数は十倍になりました。さらに、その後の爆発的な感染拡大を考えますと、まさにこの連休中が、外遊期間中が対策の分水嶺であったなと私は思います。なおまた、赤松大臣以外にも、連休中に、中井国家公安委員長、前原国土交通大臣を初め、実に十一人もの閣僚が大挙して外遊に行ったのであります。国の危機管理の観点からいかがなものかと、私どもは警鐘を鳴らしておりました。

 また、連休期間中、業務日を除いて、政務三役のだれ一人、登庁をしていないのであります。農林水産省に出勤をしていないのであります。すなわち、五月一日、二日、三日、四日、五日そして八日、九日と、七日間、政務三役は対策本部を留守にしたのであります。

 この事態をどのように考えておられるか、赤松大臣、お答えください。

赤松国務大臣 まず、副大臣の名誉のために言っておきますが、一日も登庁していないということですが、平日の六日、七日は山田副大臣は登庁いたしております。(発言する者あり)いやいや、じゃ、それは後から、日程はちゃんとありますから、言うと思います。

 それから、空白の期間で何かがあったかのごとく言われておりますが、これは全くそんなことはありません。遺伝子研究センターというのは、メキシコから約二時間から二時間半かかるところでございますし、それから、一たんホテルへ戻って夜の会議まで一時間、二時間あるとか、そういうことはありますが、じゃ、五時間あいているところというのはどこにあるんですか。それがわからないんです。

 それから、メキシコからキューバへ行くときは非常に便がなくて、二日の日曜日、この一時十五分しかないんです。ですから、私は、もっと早く一番で出て有効に使えるあれはないのかということで向こうでもやらせたんですが、この便しかないということで、そして、これは、ちょっと今、また正式に日程がありますからわかりますが、一つ、パナマ経由かどこかだったと思いますが、それで行ったというのと、あと、時差がありますから、一時十五分に出て十六時五十分にハバナに着いたということでございます。

 この日は事実上移動日ということで、約五時に着いて、六時にホテルに着いた。それから、この夜は日曜日でそういうあれですから、食事をしてそして休んだということで、特に何かをしたとか、これも事実じゃないことがわかって、当然のことですけれども、ゴルフをしていたんじゃないかとかなんとかいうようなことが全くでたらめだったということがわかりましたので、これは私としては名誉を守れたと思っていますが、全くこれほど多い日程を組むのかというぐらい、この旅行期間中、組んでいた。

 ただ、最後の飛行機が、直接コロンビアから日本にはないものですから、これはどうしてもニューヨーク経由なり、トロント経由なり、どこか経由で帰ってこないといけないものですから、そういう形で、帰るためにニューヨークで夜だけ泊まって、次の日の便で帰ってきたということでございます。(山田副大臣「委員長」と呼ぶ)

筒井委員長 副大臣から答弁を求めますか。

小里委員 もう結構です。時間がありません。(山田副大臣「ちょっと、一つだけ」と呼ぶ)

筒井委員長 山田副大臣。

山田副大臣 いつも赤松大臣の今度の連休中というお話ですが、実は、連休に入って旅行に行く前、政務三役を集めまして、赤松大臣から、今いわゆる十キロの範囲、最初の発生、二例目の発生、三例目の発生、川南の三キロから五キロの間に集中しておりますが、この十キロの範囲から外に出てよそに、例えばえびの、えびのは一回飛び火したんですが、そのように都城とかほかのところに出てくることがあったら、山田さん、そのときは対策本部をすぐ開いてくださいと。(小里委員「もうちょっとですから」と呼ぶ)ちょっと待ってください。そして、こういう方向でやりましょうと大臣から細かく指示を受けておりました。

 ですから、その間、私もずっと東京におりまして、絶えず動物衛生課に電話を入れて、そして、きょうの発生はどこどこで今検体はどこから来ているのかと。あるいは、いわゆる県外からもいろいろ、ずっとそのころありました。その都度、よし、今度そこから出たら対策本部を大臣に報告してやらなきゃいけないと。

 それまでは、実は、最初の二十三日の対策、三十日の対策等々でもってきちんと大臣がすぐに本部長として指示した、例えばえびの、ああいうところとか都農町とか木城町とか、非常にしっかりと、最初の私どもが示した指針どおりに一生懸命やって食いとめているところもあるわけなんです。たまたま、埋却地がどうしてもああいう形でごたごたした川南とかそういうところでクラッシュしたわけなんですが、そういう意味では大臣は的確に指示をしてやっておられた。

 私ども政務二役も、連休中それなりに絶えず待機しておったということは間違いございませんし、大臣にはその都度、朝昼夕報告をしておって、絶えず連絡もとっておった。そういう事実ですので、そこは誤解ないようにしっかりと、大臣もそれなりに本当に心配されておったということはわかっていただければと思います。

小里委員 委員長、全く審議が進みません。どうかお取り計らいをよろしくお願いします。

 別に、大臣、私はゴルフの話なんてしていませんよ。ちゃんと裏をとった質問をしているわけであります。

 連休の期間中に七日間、政務三役は出勤をしていないんです。このことについてのお答えはありませんでした。この連休期間中、我々は何度か農水省へお伺いをし、また役人の皆さんに来ていただいて要請をいたしました。農水省の幹部は、まず三役に相談しなければ、政務三役に相談をして了承をとらなければと、それぞれのお答えでありました。即応できずに、そして決定をすべき、決断をすべき政務三役は持ち場にすらいなかったのであります。政治主導の名のもとに対策がさらにおくれていったことは言うまでもありません。

 現地対策本部設置の話もありました。一体、いつ設置したんですか。おくれにおくれたじゃないですか。見かねた私どもが五月十四日の衆議院農林水産委員会で、国が主導して徹底した対策を打つためには現地対策本部の設置が必要であると。そのときに山田副大臣は、今の体制で十分であると答弁をされました。しかしながら、方針を転換して現地対策本部を設置したのは五月十七日であります。発生から一カ月近くを経過していたではありませんか。

 この委員会で同僚議員が、江藤議員が、人工授精師、繁殖農家、肥育農家、酪農家の経営の問題、屠畜場の確保、あるいは排せつ物の処理など、具体例を挙げて、今目の前にある現場の窮状を訴え、課題を訴えましたときに、まるで今初めて聞いたかのような答弁でありました。ここに現地との大きな距離があったことは否めないのであります。

 現地の状況を目で見て、肌で感じて、東京との温度差を埋める、距離を埋めるために現地対策本部はあるんです。だからこそ、発生と同時に大臣もしくは副大臣が現地本部で陣頭指揮に当たるべきでありました。おくればせながら現地対策本部を設置して、山田副大臣が現地に常駐をするということを私は確認させていただいた。なのに、どうしてここにおられるんですか。いつ東京に帰ってこられたんですか。現地で陣頭指揮をとるはずじゃなかったんですか。全くもって私はこの対応が信じられないのであります。

 大きな災害時には、まず国のリーダーが現地に行く。そして、予算も制度もおれに任せろ、全責任はおれがとる、それで初めて現地は奮い立ち、対策が動いていくのであります。初動態勢のおくれは明らかであります。初動態勢のおくれと稚拙な対応がこういう際限なき被害を生んでいったのであります。

 現地対策本部の設置、時期的に十分適切であったとお考えですか。では一言、山田副大臣、お答えください。

山田副大臣 いわゆる対策本部を現地に設けるかどうかは別としましても、赤松大臣から連休中に言われておったことは、そして私自身も考えておったことは、川南のあの中心地五キロ範囲内でおさまってくれれば、むしろ私どもが行くよりも、風評被害の方を恐れて、何とかそこでおさまってくれればというのが当時の気持ちでした。

 もちろん、連休中は休みですから、農水省は、動物衛生課はあいております。だから、行こうと思えば行けましたが、動物衛生課には、私は毎日、東京にいて連絡はとらせていただいておりました。当時、平尾局長も詰めておりましたし、私の秘書官を通じてでも、絶えず、どうなっているか、きょうの検体はどういうものがあったのかとか、そういう形でやっておりました。

 現地対策本部を十七日に立ち上げることになりましたが、その前の、たしか日曜日だったと思います、初めて新富町で発生したとき、これは容易ならざることだと思いまして、それで初めて実は大臣に連絡して、どうしても現地に私を行かせてくださいと。ぜひそういう形で、新たなステージというか、新たな全く別なところに発生したわけじゃありませんが、まだ十キロ、十キロが輪が広がっていっていますものの、その周辺ではありますが、やはりここは拡大が、いわゆるどんどん埋却ができていない状況ですし、これは大変だということで、そのときに初めて現地対策本部をつくっていただきましたが、時期的においてはそれなりに、それで今機能させていただいていると思っているところです。

小里委員 全くありきたりの、相変わらずの言いわけ答弁であります。

 委員長、こういうだらだらした審議を待っている余裕は現地にはないんですよ。法案も早く成立をさせなければいけない。我々も必死なんだ。委員長、もっと審議促進をよろしくお願いしたいと思います。

 一つだけ指摘をしておきますが、予防的全頭殺処分の実施を我々は初期の段階から訴えておりました。五月六日、七日の農水省との折衝時には、三キロ圏内との具体的数字を挙げて提案をしました。また、参議院の野村委員が五月十三日には農林水産委員会におきまして、予防的全頭殺処分の必要性を再三にわたり、繰り返し繰り返し大臣に要請をいたしました。しかしながら、赤松大臣はこれを拒み続け、自分自身の信念においてこれはできないとまで言い切ったのであります。ところが、方針転換により予防的全頭殺処分の実施を決めたのは五月十八日、これも一カ月おくれであります。

 対象地域はこの間に何十倍にも拡大して、三キロ圏内どころか十キロ圏、二十キロ圏じゃないですか。新たに二十万頭以上の殺処分が必要となったのであります。決断のおくれが被害の拡大を招き、事態収拾を決定的に困難にしたということをあなた方は認識すべきであります。

 申し上げましたように、ここまでの現地の声を受け、議論を通して、我々は対策法案をまとめて、今与野党の折衝を重ねております。公明党さんからも案を提示いただいて、おくればせながら民主党からも案を御提示いただいて、そして今、必死の調整の中で、我々の意見をほとんど取り入れてもいただいた。今、最後の段階であります。しかしながら、金目のところが、どこまで国が補償してくださるのか、その担保の部分がどうしてもとれない状況であります。

 どうか委員各位の御協力を切にお願い申し上げまして、質問を終えさせていただきます。ありがとうございました。

赤松国務大臣 一点だけ訂正させてもらいます。

 先ほど、メキシコからキューバへ十三時十五分に出て十六時五十分、これは正しいんですが、私は経由のような気がしてちょっと勘違いしましたが、直通で参りました。実際は一時間です。

筒井委員長 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 私も時間をいただきましたので、質問をさせていただきます。

 まず大臣にお伺いをいたしたいと思いますが、外遊につきましては、それぞれお話がありました。大臣もそう嫌な顔をしないでお聞きください。外遊につきまして、私も昨日の本会議では、なぜ行かれたのか、なぜ途中で帰ってこられなかったのか、そして、八日に帰ってなぜその足で宮崎に行かれなかったのか、こういうお話をいたしました。

 特に、外遊中のことにつきましてはもうたびたび触れられておりますけれども、私は、大臣、どう百歩譲っても、この八日の日になぜ栃木に行かなきゃいけないのかと。何カ月も前に決まっていたということをきのうおっしゃっておりましたけれども、それはそうでしょう、いろいろな御予定を組んでやっていらっしゃる。しかし、国外から帰って、やはりその足で宮崎に行くべきではなかったか。

 これは、いろいろと手を打っているからいいんだというお話もきのうありました。海外は海外で御自分の仕事が、大事な仕事があった、それは大臣の御主張であるでしょう。しかし、姿として、日本に帰ってきて、行くところが違っていたんじゃないですかと私は率直に思います。これは私はどう考えても、大臣の政治判断の間違い、そこは欠席をしてでも宮崎に行くべきだった、こういうふうに思いますけれども、大臣、今振り返って、栃木に行ったことはよかったのか。名前は申し上げませんけれども、民主党の衆議院議員の、支援する会に行かれた、これは間違いであった、このように私は思いますけれども、いかがですか。

    〔委員長退席、梶原委員長代理着席〕

赤松国務大臣 昨日、本会議で同様の御質問をいただいて、お答えをさせていただきました。これは変わりません。

石田(祝)委員 私、再度大臣に御答弁をいただく、そういう思いで申し上げましたけれども、変わらないということであります。

 海外から八日にお帰りになって、一日置いて宮崎に行かれた。その前に宮崎に行かれるチャンスもあったし、栃木に行かずにお断りをすれば、当然だ、農林水産大臣としてここに来るより宮崎に行くべきだ、そういうお声の方が当然出てくると私は思うんですね。それを、私も今、再度御答弁をお願いいたしましたけれども、大臣の考えは変わらない、きのうの答弁と同じだ、こういうことでありますから、大臣としては、宮崎へ行くより栃木に行ったその行動については反省すべきところはない、こういうことでしょう。まことに残念なお答えでございます。

 きょうは山田副大臣にも来ていただいております。私がお聞きをしたいのは、現地の雰囲気、空気をある意味では一番御存じなのが山田副大臣だろう、これは私はそのとおり率直に思いますので、一つは、先ほども御質問があったかもしれませんが、現地からのお声で、種牛四十九頭の処分の問題について。

 これはいろいろな御意見があるでしょう。当然、法律上の問題もあるし、そういう中で、地元の方はこの処分について、いや、法律で決まっているからそのとおりだ、こういうことで現地の方々の御理解というのは十二分にあるんでしょうか。それをまずお聞きいたします。

山田副大臣 家伝法に基づいてこの口蹄疫という恐ろしい病気を一刻も早く封じ込めて撲滅するためには、殺処分して埋却する、これしかない、そう言われております。そんな中で、いわゆる陽性になった牛あるいは家畜伝染病予防法に言う疑似患畜の牛、それについても即刻、直ちに殺処分して埋却しなさいとなっているものを、一々、それぞれ了解をもらうとかあるいは同意をとるとか、そういうことをやらなければいけないような話ではないと私は思っています。

 それは当然のことながら、いわゆる畜産農家であったら、そしてまた県としては当然のこと、それをわかって、その上で本当に口蹄疫の殺処分、埋却をばんばんやっていって、そして早く封じ込める、これが一番大事だ、私はそう思っております。

 今回、種牛四十九頭について、ぜひ残してほしいという声も随分聞いております。しかしながら、それは、本来ならばもっと早く、すぐにでも殺処分しなきゃいけなかったものを、当然殺処分しておるものだと思っておったものを、県みずからがまだ殺処分も埋却もしていなかった。その間、あるいはまだウイルスをまき散らしているかもしれない。その辺は、私は厳しく県にも申し上げました。

 それは何も、県民とか県の理解、同意を得なければならないことだとは私は思っておりません。法律に従ってきちんとやるべきことだと思っているところです。

石田(祝)委員 副大臣のおっしゃることは、私ももっともだと思います。しかし、我々が政策を実行したり政治上の決断をするときに、やはり当該の方々に御理解いただくということも当然大事なんですね。ですから、すぱっと竹を割るようにいかないことで現地もお苦しみだろうと私は思うんですよ。

 私は、これがいいとか悪いとかではなくて、理解を得られているんですかと。ですから、現地の空気を今の段階で、多分この中の、おれが一番知っているという方がいらっしゃるのかもしれませんけれども、現在、現地の対策本部長として指揮をとられている副大臣が一番その空気を肌身で感じているんじゃないか、こういうことであえてお聞きをしたわけでございます。

 だから、いいとか悪いとか、法律にのっとっておるとかのっとっていないとか、そういうことを言っているんじゃなくて、皆さんは、これは種牛というわけですから、結局大事な牛なんでしょう。これが、今は、経過を見てくださいという話だったろうと思いますけれども、私は、現地の理解が得られているかということをお聞きしておりますので、法律上の問題等は抜きにして、その点だけお答えを再度お願いいたします。

山田副大臣 現地が、理解を求められたという意味がよくわかりませんが、少なくとも、現地の、知事さんではございませんが、畜産の責任者、押川次長さんは、私が話した限りでは理解いただいたと思っております。

石田(祝)委員 引き続いて山田副大臣にお伺いをいたしたいと思います。せっかくきょう来ていただいておりますから。

 現地の対策本部を十七日に設置されて、本部長になられてほとんど行かれている、こういうことだというふうに聞いておりますけれども、この現地対策本部で、副大臣が東京にも、極端に言えば、大臣にも相談せずに自分の権限でできることというのは、例えばどういうことがございますか。

山田副大臣 現地対策本部といいましても、私にできることは、実際には、第一義的には、法律上の受任事務ですから、口蹄疫対策は県がやることですから、県に対してできるだけ、さっき言った殺処分、埋却等々を急いでもらうこと。そういった、各町を回りながら、なぜそれができないのか、どうしたらそれができるかということを東京の本部の方に、農水省では大臣に報告しながら、私としてそれなりに県とか各町に、こういうふうにしていただけませんかとお願いをして回っているというところでして、特別に法律的に、私にそれだけの、現地の対策本部長として権限があるわけではありません。あくまで連絡調整、助言、そういった形のものではないか、そう思っているところです。

石田(祝)委員 引き続いて御質問をいたします。殺処分に伴う交付金の割合の件でありますけれども、疑似患畜は五分の四、手当金で出ると。これは、全額、五分の五、こういう形には現行法の家伝法でできますでしょうか。

山田副大臣 現行法の家伝法では五分の四、そうなっていると思いますので、残りの五分の一については特別交付金で支払いさせていただく。合わせて五分の五、時価評価で全額お支払いさせていただくということで整理させていただいております。

石田(祝)委員 そうすると、特別交付金という名前で、今、法律を改正もせずに、新法もつくらずにできるという趣旨ですか。

山田副大臣 特別交付金は総務省の判断、予算措置でできるものだと思っています。

石田(祝)委員 ちょっと教えていただきたいんですが、総務省が特別交付金という名前をつければお金が出せるということですか。ちょっと私は理解できませんが。

 もう一回ちょっと答弁してください。

山田副大臣 特別交付金ではなく特別交付税ということだそうですが、税金の中から手当てするということだと思います。

 その意味で、総務省がどういう形で、例えばこれまでは、鳥インフルエンザの場合には八割であったり、五分の一の残り分、そうあったらしいんですが、今回は総務大臣も、五分の一全額を支給したい、そう申していますので、そこはどういう形でやるかは私は存じていませんが、支払うことは間違いないものと思っております。

石田(祝)委員 総務省にも来ていただいていると思いますので、後ほどそのこともお聞きをいたしたいと思います。

 それで、私がちょっと疑問に思うのは、評価額とか時価評価とか、こういう言葉が飛び交っているわけですけれども、今回の五分の四の家伝法での手当金、これを、残りの五分の一を何とか工夫してお出ししよう、こういうお気持ちであろうと思います。そこで、五分の五はいいんですけれども、評価額の五分の五、こういうことになるわけですね。ですから、この評価額が結果的に低ければ、当然金額も、全額出ても低い。ですから、この評価額という言葉がいろいろと、それぞれ解釈が違ってきているんじゃないか。

 これは、ある人によると、評価額と言われて、はい、そうですかと思っていたんだけれども、自分の思っているのと全然違う。例えば、感染をしていない牛に今回ワクチンを打って、殺処分前提のワクチンだと。では、そういうところは生産費を出してほしいと。いわゆる粗利益というんですか、粗収益という金額での額じゃなくて生産費を補助してほしい、生産費のことだ、こういう主張をされる方もいるんですね。

 ですから、評価額というのは一体何だ、これについて余り詳しい議論がなされていないように思いますけれども、これは大臣、副大臣どちらでも結構であります、評価額とは一体何ですか。

山田副大臣 評価額については、肥育の牛とか豚であれば、食肉の市場で、この牛だったらどれぐらいの価格が決まるかということは、ほぼ推測ができると思っています。子牛とか繁殖の牛であったら、家畜市場で、ほぼ、この牛だったらという取引価格の標準みたいなものがまず出てくるんじゃないか。それをもとにして、牛の月齢、血統、品種等々を適切に評価して、もちろん、肥育牛であったら素畜にどれだけかかったかということも参考にしながら、三人の評価員で決めさせていただくことになっていくかと思います。

 具体的には、やはり標準的な価格に対して客観的に評価してもらう評価員が、いろいろな要素を加味しながら、その価格に上乗せしたり、それより下げたり、そういう作業がなされていくものかと思っております。

石田(祝)委員 副大臣、そういう御答弁ですけれども、現実に、ある一つの農場では、牛が一千頭を超えて殺処分されましたよね。私が四月に、ちょうど副大臣と一緒の便で宮崎に入りましたけれども、そのときに宮崎県の方からお聞きをすると、殺処分するときには全部評価を終わって埋却しているんだ、こういうお話をいただきました。私も、そうかなと思ったんですが、その前後に一千頭の殺処分をしなきゃいけないところが出てきている。これは三人の方が本当に全頭できるのかと。

 ですから、ここのところですね、確かに血統を見て、育ちを見てなんといって、実際そんなことができますか、副大臣。

山田副大臣 当然、殺処分するときに、委員も御承知のとおり、今、牛はトレーサビリティーができております。一頭一頭について、その血統と生まれた年月日、どういうえさをやったかということもほぼ記録ができておりますから、まずそれが一つ参考になります。

 それと、これは殺処分するときに全部写真も撮っております。写真を撮り、それなりにある程度の評価ができるような形のものは残っていると聞いておりますので、それを今後、もちろん、飼養主等々の意向も聞きながら、その評価員で最終的な評価をさせていただくことになろうかと思います。

石田(祝)委員 今、データもある、トレーサビリティーで血統等もわかっている、写真も残っている、こういうことですね。ということは、一頭一頭できる、こういうお答えだろうというふうに受けとめました。

 それで、質問通告にもお書きしておったんですけれども、大臣また副大臣、二十二年度から、今までのマル緊を一本にして、新マル緊、こういうことになりました。私は、これはぜひ御要望もしたいんですけれども、生産費と実際の販売価格、それを補うためにマル緊という仕組みをつくっているわけですが、今回殺処分された牛にも、生産費と収益の粗利益の差、これは当然そういう方々もマル緊の掛金を払っているんじゃないでしょうか。ですから、ここは、殺処分して手当金を出すからマル緊については何もないよと、これはちょっと不合理ではないのかという気がいたします。

 ですから、これはマル緊の対象にして、ぜひお金を出すべきだと私は思いますが、この点、いかがでしょうか。

山田副大臣 マル緊の制度でというのは、御承知のとおり、私もよくわかっているつもりではいるんですが、今回の場合は、時価評価という形になっておりまして、いわゆる時価評価ですから、今回、五分の五の評価の中においてはそれで十分賄えている。そういう意味では、新マル緊の、今度の新しい制度の補てんの必要はないんじゃないか。

 そのかわり、マル緊分については、たしか口蹄疫が発生してからは、その免除をすぐにしているはずなんです。そう考えているところです。

石田(祝)委員 山田副大臣のお答えでありますけれども、例えば、直近のデータということで私、いただきました。

 これは牛のデータでありますけれども、二十一年十月から十二月、肉専用種、交雑種、乳用種と、この三つに分かれていただきました。ちょっと肉専用種で申し上げますと、粗収益八十六万九千四百五十三円、生産費が九十九万六千二十二円、差額が十二万六千五百六十九円、補てん金単価十万一千二百円、こういうデータをいただいております。ですから、これは今の副大臣の御答弁だと、時価評価だからマル緊が発動する余地のない十二分なお金が行くんだと。

 そうすると、例えば、今、生産費が九十九万六千二十二円と申し上げました。では、これだけ平均して出るんですか。そこまで全部見てくれるんですか、生産費まで。そういうお答えのように聞こえましたけれども、これはいかがですか。

山田副大臣 マル緊の価格は、その都度、四半期ごとに変わってきますから、そのときの、これからマル緊の四、五、六の分が出てくるかと思いますが、その価格と、では実際に時価評価との差額があるとして、素畜費とかあるいは飼料費等々について不公平感を生じるようであれば、それを考慮して、五分の五の評価に、いわゆる不公平感のないような形での処理を考えてみたいと思います。

石田(祝)委員 申しわけありませんけれども、もうちょっと明確にお示しをいただきたいと思います。先ほどはそういうお答えじゃなかったように思いますが。

 私が申し上げたように、それでは、これは去年の十月から十二月のデータでありますけれども、直近のデータということでいただきましたから、そのとおり申し上げますが、今までのマル緊という仕組みは、生産費と粗収益の差、そこを生産者にも一部お金を負担していただいて、一対三で国と出して、それで、その差額の八割までを補てんしましょう、こういうシステムですよね。

 ですから、今回、その生産費に当たるところまで評価ができて、実際出していただければ当然いいわけですけれども、そうでないところはマル緊で補うべきではないですかと。本人たちも、これはこれから払う方もいると思いますし、今回、本人負担は要らないよ、こういうことになっているわけですけれども、当然、国負担分があるわけです。それは一対三で出しておりますから、その差額は当然、八割掛ける四分の三、国の負担分は少なくとも出すべきではないか。

 私はこのように思いますけれども、そこの点はいかがですか。

山田副大臣 今、石田委員がおっしゃっているように、できればマル緊制度の決まってくる価格と実際の市場価格との差額、販売価格との差額があるとしたら、マル緊制度であればこれだけもらえるものを、今回の時価評価であればこれだけしかもらえなかったということもこれは不都合だと思うので、ぜひ考慮させていただきたいと思います。

石田(祝)委員 では、確認いたしますけれども、これは十キロ内、また、十キロ―二十キロ関係なく、移動制限区域内、搬出制限区域内関係なく、副大臣は、今までのマル緊制度の本旨にかんがみて、そういう対応ができるようにしたい、こういうことでいいですか。ちょっと答弁してください。

山田副大臣 そのとおり考えていただいていいと思います。

石田(祝)委員 では、わかりました。ありがとうございました。

 それで、もう一点、埋却場所の確保についてお伺いをいたしたいと思います。

 やはりどうしても、埋却場所の確保に現地は大変な御苦労をされております。それで、埋却の実施状況、現在のところ、何頭中何頭まで終わったと、これは一番新しいデータで御答弁をお願いします。

赤松国務大臣 きょうは、先ほども現地と連絡をとっていたんですが、今、例のワクチンがあったものですから、ちょっとそちらに集中をしておりまして、豚についてはワクチンは全部終わった、あと牛が何千頭か残っているということで、それはきょうじゅうにほぼ終わります。そうしますと、並行して埋却もやっていたんですが、こちらにちょっと重点を置いていたものですから四千頭ぐらいしかきのうはできなかったんですね。ですけれども、きょうは、かなりこっちへシフトしていますので、一万頭ぐらい埋却ができそうだというふうに現地からは聞いております。

 そうしますと、今まで埋却しなきゃいけないのに埋却できなかったのが約六万頭と言われておりますので、このペースでいけば、かなり速いペースで残の六万、一万やればあと五万ですけれども、それぐらいができるのではないかというふうで、こちらのワクチン部隊も全部、今度は埋却の方に移しますので、そういうことでピッチを上げていきたい、このように思っています。

山田副大臣 大臣がかわりに答弁していただきましたが、正確な数を申し上げますと、きのうまでで、まだ埋却処理対象頭数が六万七千三百十二頭ございます。大臣がおっしゃいましたように、きのうで四千頭、約三千七百七十頭埋却しておりまして、ワクチンもほぼ終わりましたので、きょうから一気に埋却の頭数はふえるものだと思っています。

 梅雨がこれから本格的になる前に、何とか急がなければいけない。できれば二交代でやれないか。投光器も二十四基ほど用意しておりますし、これから拍車をかけて、何とか埋却用地も県の方も出していただいたようですし、急ぎたいと思っています。

石田(祝)委員 私は、この埋却場所の確保については自前で構えられた方もいらっしゃると思います。しかし、だんだんと頭数もふえてくるとなかなかこれは難しい、こういう現状だと思います。このところは御本人の責任でというのが大前提かもしれませんが、もう事ここに至っては、埋却場所の確保は国、都道府県が責任を持ってやるべきだと思いますが、この点、いかがでしょうか。

赤松国務大臣 二日前の時点で、県の方もやっと四カ所出していただけました。農業大学校、茶業の試験場、それから家保が二つ、四カ所出していただいて、そこにかなり埋めることができると思います。

 それからもう一つは、私どもの国有林も、それは掘って砂だとか水が出るというところもありますが、そうじゃないところもあるので、ぜひそれも使っていただきたいというふうに今お願いしています。

 それから、新田原の飛行場につきましては、北澤防衛大臣の積極的な御提示によりまして、ここも鳥インフルエンザのときにかなりの地域で埋めました。ただ、地域の人たちが、においとかいろいろなことで、ここならいいけれどもここじゃだめだと言われるようなところもあるものですから、そういう地域の皆さんの御同意がいただけるところを今、現地で、自衛隊、施設庁と言った方がいいかもしれませんが、それと町長さんで個々に当たっていただいておる。では、ここはどうですか、ここを使ってもらえませんかということで自衛隊の方で言っていただいているものですから、そこであとは町が御理解をいただければ、どんどんとそういうところにも埋めていきたいというふうに思っております。

石田(祝)委員 これも質問通告ではお話ししておりましたが、現在のところ、埋却場所の確保の実態ということで、面積的には、県、国それぞれ、何ヘクタール今まで県は構えたよ、国は構えたよ、これは数字はわかりますか。

赤松国務大臣 今の四カ所のうち、茶業試験場と農業大学校はいいんですが、僕は家保と聞いていたんですが、ちょっと私の勘違いで、畜産試験場二件だそうです。数は四カ所ということで変わりません。

山田副大臣 確保された面積について正確な算出は困難だということなんですが、大体、埋蔵頭数、牛は一ヘクタールに約二千頭、豚ですと大体一ヘクタールに五千頭と言われているようです。それから推しますと、今確保されている面積は約二十六ヘクタールではないだろうか、そう考えています。

石田(祝)委員 副大臣、ちょっとそれは話が逆ですよね。普通は、これだけの面積が確保されているから、これだけ埋却できますということなんでしょう。

 私は、今にわかに聞いたわけじゃなくて、紙で、要するに、国とか県がこれだけしっかり今面積も確保して取り組んでいますよと、それを数字で示した方がいいのではないか、こういうことで、もう事前に、実はきのう質問する予定でしたが、延びましたから、二日前にもうお渡ししているんですよ。それを、何か今のような御答弁だと、これは全然お聞きになっていない、調べていないんじゃないかと思わざるを得ませんが、いかがでしょうか。

山田副大臣 埋却地については、私はずっと現地、各町を回りながらやかましく言ってきたんですが、都農町では、個人の土地で確保できているという町長さんの話でございました。西都市においても、ワクチン接種分については新たな土地が必要だけれども、今発生する分は十分確保していると。

 それで、各町それぞれ、私も聞いて回りました限りにおいては、かなり、民間で確保している分、それだけで百五十八カ所、県有地で今四カ所、国有地も今、新田原基地等々をしておりまして、県有地のうち、例えば農業大学校だけでも百ヘクタールはあると言われておりますから、十分な埋却地は用意できる、そう考えているところです。

石田(祝)委員 私は温厚な人間なんですよ。しかし、副大臣、私はにわかに聞いているんじゃないんですよ。おとといの時点でペーパーにして渡して、やはりこれはもう国とか県が前に出て確保しないと埋却が進まないから、どれだけやっているんですかと。県はどれだけ確保したんですか、国はどれだけの面積を確保したんですか、これをお聞きするということで、通知もとっくに紙でやっているんですよ。そんな、都農町で民間地が、町長がとか、そういうことを言わないでくださいよ。県とか国が頑張っている姿を数字で示した方がいいんじゃないか、こういうことを申し上げておるのに、何ですか、今の答弁は。

 だから、調べていないなら調べていないと言ってくださいよ。これは僕はおとといちゃんと質問通告していますよ。ちゃんと答えてください。

山田副大臣 県立農業大学校は五・七ヘクタール、畜産試験場川南支場が四ヘクタール、それから総合農試茶業支場というんですか、茶業試験場とお聞きしておりましたが、これが〇・六ヘクタール、そういうふうに私のところには今報告が上がっておりますが。(石田(祝)委員「それは県でしょう。国はどうなんですか」と呼ぶ)

赤松国務大臣 国が、国の関係の土地と言った方がいいかもしれませんが、所有するのは県有林と、それから自衛隊の基地のところが主なところでございます。

 基地については、防衛大臣から地図をもらいまして、かつて埋めたところ、もう三年以上たっていますから、そこを掘り返すことはできます。

 しかし、先ほど言ったように、住民の皆さん方のにおい等に対する反対運動も非常に強いところでございますので、そういう住民の皆さんの御理解を得られるところということで、今、当該の町長さんとそれから自衛隊の方で話しておりまして、面積はたくさんありますが、どの地点に埋めるのかというところをまだ調整中で、何ヘクタールとかいうことは出ていません。

 おととい時点で、僕のところに、一つまとまったのが一万坪ぐらいの土地があって、町の方はぜひここで埋めたいということです。ただ、それについては、ここは買い取りということになるものですから、これは騒音対策ということでもともと買おうというところなんですが、そういう詳細な詰めを防衛施設庁と今やっておられると聞いていますので、何坪とか何ヘクタールとかということが決まったというふうにはまだ聞いておりません。

石田(祝)委員 結局、今、埋却が進まない。ですから、きょうはちょっと確認しておりませんけれども、先日の質問では、五月七日の疑似患畜がまだ埋却できていない、こういうお話でございました。

 それで、毎日、情報というんですか、きょうはこうでしたというお話を聞くんです。そうすると、一例からずっと二百例を超えていただきますけれども、埋却が終わったら、処分が終わったら、グレーで網かけになっていますよね。そこがなかなか最近は出てこなくて、大体白く、まだこれからだというところがあって、結局、埋却場所がないということでいろいろなことがおくれていっている。

 ですから、そこを県とか国にしっかりやっていただく、そしてそれを面積で示してほしい、こういうことを申し上げたわけです。新田原の横の、基地の面積というよりは、では一体そこでどれだけの面積が使えるのか、そうするとここでどれだけ埋却できる、こういうことですから、副大臣のおっしゃるように一ヘクタールで二千頭だから云々という話じゃないんですよ。どれだけの面積だということをしっかり押さえていただきたいと思います。

 これはこれ以上申し上げません。もう何回もやりとりしておりますから、もう結構です。(山田副大臣「一言」と呼ぶ)はい、では一言。

山田副大臣 新田原の基地については、新富町がいわゆるリングワクチンを打った牛を集めて埋めたいという話を、私と自衛隊の基地の皆さんとさせていただいております。

 場所も、その面積もほぼ確定しておりまして、こちら東京の方に投げて、今、多分もう話が決まったかと思いますが、一たん町が土地を借り上げて、そして、一応それを、民間の土地もあるものですから、基地周辺整備の土地として国が将来買い上げる形で、いわゆる豚八千頭分でしたか、牛六千頭分の埋却地をそれで確保しようとしているところでして、これは戻りましたら早急に詰めてみたいと思っているところです。

石田(祝)委員 実は、宮崎の方から私も教えていただいたんですけれども、市とか町が独自で埋却場所を見つけてきたというときに、例えば、そういう農用地、これは国が買い上げるということですね。ですから、今お金はなくても将来必ず買うよ、こういうことの費用の全額負担をしてやらないと進まないんじゃないか、こういうふうに思います。

 今、一生懸命土地をお探しになっていらっしゃるのはよくわかるんですが、地元は地元で、それぞれの人間関係とかで、どうもあそこはいけそうだとか、あそこは今だれも耕している人がいないだとか、いろいろな情報を地元の人が持っていると思うんです。そこを市とか町が探してきた場合、これはどうしても最後はお金の話になりますから、それはもう国が責任を持って買うよ、当面買っておいてくれ、後でちゃんと手当てするよ、こういうことをすべきではないかと私は思いますが、この点はいかがですか。

山田副大臣 それを現地でも何回も話し合ってまいりまして、国とも話させていただきました。その中で決まったのは、県の農業公社、そこが町が探してきた土地を買い上げる、その資金については基盤特別会計から、国から出しましょう、一刻も早く町の方もそうして埋却地を見つけてくださいという話で詰めておりますので、適当な土地を町が探してくれば、それは県の農業公社が買い、その金は国の基盤特別会計でお支払いする、そういうシステムはでき上がっております。

石田(祝)委員 それでは、どんどん、そういうアナウンスが伝われば、こういう土地がある、ああいう土地がある、こういうことで前を向いて転がっていくのではないか、こういうふうに私は思います。

 それで、きょうは、総務省、小川政務官、よろしいですか。

 これは特別交付税でやるということがいろいろな対策のときに発表されております。私は、特別交付税でやるということそのものについてはちょっと違うのではないか、こういうふうに思っておりますから、今、新しい法律の中では、予備費から出すべきである、私どもはこういう主張をいたしておりますが、それはおいておきまして、例えば特別交付税ということをずっと政府が発表されておりますから、ちょっと確認をいたしたいと思います。

 まず、口蹄疫の対策に特別交付税は現時点で使えますか。

    〔梶原委員長代理退席、委員長着席〕

小川大臣政務官 特別交付税につきましては、さまざまな自治体の需要を前提にその財政支援を行うというものでございまして、口蹄疫対策そのものが現在、省令の中に全部で五百項目ぐらい細目がございます、その中に直接書き込まれてはおりません。

石田(祝)委員 ということは、大臣、特別交付税でやるということを発表されていますよね、これは将来にわたる決意表明ということですか。現時点では特交でできないと言っていますよ。

小川大臣政務官 恐れ入ります。

 法制的に今省令にはないわけですけれども、既に政府として、全額を前提に、特にその五分の一の部分でありますが、特別交付税措置を行うという方針を明確にしているわけでございまして、十二月がその交付の予定時期でございます、それまでに省令改正を行うという決意でございます。

石田(祝)委員 これは、総務省が、五百何項目ある中に口蹄疫対策は特別交付税の対象にする、こういう柱を立てられるということですね。ですから、特交の時期に間に合わせてやりましょう、こういうことだということですね。

 そうすると、小川政務官、特交というのは早く出せとか、すぐ出せとかいうことはできるんですか。

小川大臣政務官 特別交付税そのものにつきましては、あくまでこれは宮崎県に対する、自治体に対する支援でございまして、農家との関係で申し上げますと、既に宮崎県が対策費用として予算計上を行う予定のように聞いております。二十八日から始まる県議会で御審議をいただくということでございます。

 これに対する後押しとなるのがこの特別交付税でございまして、法律で交付時期が十二月ないし三月と決まっているわけでございまして、原則的にはこれに応じた対応をとっていくということになります。

石田(祝)委員 ですから、これはぜひ御検討いただきたいんですが、どういう形でこれから出されるようになるか。これからの新法、新しい特別措置法、私たちも今提案をして、精力的に話し合いをしておりますけれども、例えば特別交付税の分でほかの、今回の牛とか豚の直接殺処分のものに対する時価評価とか、そういう形の、五分の一ですね、五分の五から五分の四を引いた分、これは何らかの形でやられるかもしれませんし、そのほか周辺の対策でやられるかもしれませんが、そうすると、十二月までこれは待たなくちゃいけないということですね。

 例えば、宮崎はもう四月からそういういろいろな対策をやって、私も、お邪魔したときに、県の担当者から、これはもう議会のお許しを得て専決でやっていると。ですから、開かずに専決処分でやっているわけですね。宮崎県がお金があるかないかというのは私もよくわかりませんけれども、そんなに余っているところじゃないだろうと思うんです。そうすると、十二月の特交まで待てるのか。これは、その間、例えば普通交付税の前倒しをするとか、そういう対策をとってあげるべきではないか、こういうふうに私は思います。これは提案でもありお願いでもありますが、いかがですか。

小川大臣政務官 大変重要な御指摘をいただいておるものと考えております。

 財政的な支援はもとよりでありますが、各自治体の個別の資金繰り、これにも十分な配慮をする必要があろうかと思います。

 そこでなんですけれども、交付税そのものにつきましては、大きくは普通交付税が九四%、特別交付税が六%であります。その大半の九四%について、四月、六月、九月、十一月ということで交付の時期が定まっております、それぞれ四分の一ずつ。

 ということは、当面の資金繰りですが、六月の二日に宮崎県向けに四百五十億の交付が予定されておりまして、これらも含めて対応を検討させていただきたいと思います。もちろん、要請があれば、御指摘のような前倒しも含めて十分検討してまいりたいと思っております。

石田(祝)委員 それでは、ちょっとこれは大臣にお聞きをしたいんですけれども、今小川政務官からのお話があったように、普通交付税が九四%、特別交付税は六%と。大体一兆円ぐらいでしょうか、これは五百数十項目の柱があって、それぞれが特別交付税の対象になるよと。しかし、最終的に交付税として来るわけですから、このことに対してこうですよというのはないわけですね。

 例えば、五百項目すべてにおいて、自分たちはこういう要望を出しているんだけれども、お金が来ました、しかし、今回の例えば口蹄疫の問題で消毒の薬を買いましたと、これは特交で応援してあげようじゃないかといっても、それに対して幾ら来ているのかというのは実際わからないわけですね。

 それともう一点。済みません、これはまず先に政務官にお伺いをいたしたいんですが、口蹄疫対策という柱を立てて、十一月に省令改正をされるというふうにお聞きもいたしましたが、この特別交付税の額というのはふえるんですか。

小川大臣政務官 よく御存じの上でのお尋ねかと思いますが、交付税の総額は、今年度で申し上げますと十六兆九千億円ということでございまして、そのうちの六%、一兆百三十億円が特別交付税ということでございます。これをその年度の特殊事情に応じて分配をするということでございまして、これにより、総額そのものがふえるものではございません。

石田(祝)委員 これは大臣にお伺いいたします。

 毎日、私も、どんどん件数がふえるたびに、ああ、きょうもまだとまっていないか、こういう思いをしているんですが、今、特別交付税というふうに大臣も御発表になっていらっしゃいますけれども、そうすると、それにお金が現時点でも間違いなく何十億はかかるでしょう、五分の一の負担というところだけとっても。そうすると、全体の総額がふえない中で、口蹄疫が新しく特別交付税の対象になりましたよ、そこにどんどんどんどんお金がかかりますよと。

 現時点では宮崎県にこれは行きますよね。そうすると、総額がふえない中で、宮崎の方に厚く行っているねと。それは、みんなは応援してあげたいという気持ちも当然あるし、ほかの四十六都道府県、東京は違うかもしれませんけれども、では、宮崎対四十六、四十五という、我々からいったら嫌な話なんですけれども、お金の世界の中で対立みたいなことになってしまわないか。

 これは大臣、どうですか。

赤松国務大臣 まず、少し整理してお話ししたいと思いますが、五分の一については、きょう午前中の参議院の本会議でも、原口大臣の方から、五分の一については特別交付税で措置をします、皆さん方、そうはいったって、実際に来たら少ない場合だってあるんじゃないかみたいな御心配があるといけないので、これは十二月にきちっと、この分ですよとわかる形で渡したいというお話が本会議場で答弁の中でございました。

 それを踏まえた上で、今の委員の御質問でございますけれども、特交でやるという場合は、今言われたように、決められた特別交付税分があって、その中でそれを使っていくわけですから、当然、そこへ使えばほかに行くべきものが減っていくということで、やはり他の都道府県に理解をしてもらえるような支出の仕方、中身じゃないといけない。当然のことですが、何でもかんでもすべてそこからというわけにはいかないということで、今回の場合は、こうした国民的な課題ですから、御理解をいただけるというのが、私は原口総務大臣のお考えではないかというふうに思っております。

 あとのものは、通常言われている私どもの予備費からの支出ということで、他の多くのものはそこから支出をしていくわけでございますので、たまたま、さっきの五分の四、五分の一のところについては、畜産共済に入っていない人もいるんだから、この人たちをどうするんだというところから実は話が出て、最終的には、その特交での処理ということが一番理屈もきちっと立つし、一番いいということで、そういう処理をさせていただいたということでございます。

石田(祝)委員 これは、先ほど申し上げましたように、私たちも、現行の家畜伝染病予防法ではできないところがどうしてもあるので、新しい特別措置法をつくって対応すべきだと。ですから、そこのところを、総額が決まっているところに無理やり入れないで、小川政務官も前回ここで、御答弁のときに、これは激甚災害だということをおっしゃったように記憶をいたしておりますけれども、私はこれは予備費から別途明確にお出しになった方がいいと。そこでお金の手当てをして、この部分については、まさしく緊急的な、また、政務官もおっしゃったような、私もそう思いますけれども、一種の激甚災害、激甚的な災害である、こういう位置づけで予備費からお金を出す。これはどなたも反対される方はいないと思いますよ。

 そういう方がすっきりと明確になって、予備費から今回はやった、こういう一対一の関係にした方が、五百数十項目あるうちの一項目ではっきりさせるという、原口大臣が明確にするんだ、明確にわかるようにしますとおっしゃったということを今大臣に御紹介いただきましたけれども、それよりは予備費で出した方がいいのではないか、こういう提案を私は持っておりますけれども、大臣、いま一度御答弁をお願いします。

赤松国務大臣 これは多分、財政法上の支出の問題やら、いろいろなことがあると思います。私どもにとって一番肝心なのは、要は、そうした被害を受けられた、今苦しんでおられる畜産農家の皆さんにとって、ちゃんと一〇〇%、五分の五、きちっとした額が時価評価に応じて出るんだということが重要なのです。

 あとは、必ずそれは出しますということを、鳩山本部長のもと、鳩山総理のもとでお約束をさせていただいて、そして、細目についてどういう処理をするかについては、これは農水省だけが勝手に決めるというわけに正直言っていきませんので、総務省、財務省と協議をして、少なくとも、畜産農家には御迷惑は絶対にかけない、全額きちっと出すということだけはこの場でお約束できると思います。

石田(祝)委員 これで最後の質問にしたいんですが、今各党で協議をいたしております。家畜伝染病予防法では対応できないところを新法でと思っておりますけれども、この特別措置法、新法の必要性についての大臣の認識を最後にお伺いいたしたい。

赤松国務大臣 これは与野党間で協議をされているということで、その協議の最中で、まだ結論はどうなったかも聞いていませんので、そういう段階で、ここは必要だ、ここは必要じゃないとかいうのはいささか問題があるんじゃないかと思います。

 しっかりと委員の皆さん方が、今の制度、法律の中ではここが足りないんだ、ここを補強しなきゃだめなんだということを議論していただくことは大変ありがたいことだと思っておりますし、その中身が合意のもとにもし出されるということであれば、それは決して否定するものでもない。むしろ、私どもがそれでよりやりやすくなれば、歓迎すべきことだというふうに思っております。

石田(祝)委員 もうこれで終わりますけれども、本当にこの口蹄疫の問題は、私も何度か申し上げているように、与党野党を超えて、これはしっかりと、ある意味でいえば、この農林水産委員会に所属する委員の私たちに課せられた重大な使命だ。こういう思いで取り組みをいたしたいと思いますので、どうぞ、農林水産省、大臣、副大臣、政務官、特に財務省に負けないで頑張っていただきたい、このことを最後にお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

筒井委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後三時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後七時四十分開議

筒井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、口蹄疫対策特別措置法案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、理事会等において協議いたしました結果、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を得ました。

 本起草案の趣旨及び主な内容につきまして、御説明申し上げます。

 本年四月、宮崎県において口蹄疫の発生が確認されて以来、関係者の懸命の努力にもかかわらず、感染の拡大が続いております。発生農家や周辺地域の農家の経済的、精神的負担ははかり知れず、地域経済にも重大な影響が及んでおり、宮崎県のみならず我が国の畜産の崩壊にもつながりかねない事態となっております。

 今回の口蹄疫は、その感染力の強さにより爆発的に感染が拡大しており、現地では、殺処分、埋却処理が追いつかない状況となっております。このため、政府は殺処分を前提としたワクチン接種という緊急措置を実施せざるを得ない状況に追い込まれております。

 こうした危機的状況を踏まえ、平成二十二年四月以降に発生が確認された口蹄疫に起因する事態に対処するため、口蹄疫の蔓延を防止するとともに、口蹄疫に対処するために要する費用の国による負担、生産者の経営や生活の再建支援等の特別措置を講じようとするものであります。

 以下、その主な内容につきまして御説明申し上げます。

 まず第一に、農林水産大臣が都道府県知事の申請に基づいて指定する地域内において、消毒のための設備を設置している場所を通行しようとする者は、その使用する車両その他の物品を消毒しなければならないこととしております。

 第二に、都道府県知事は、口蹄疫の蔓延を防止するためやむを得ない必要があるときは、農林水産大臣が都道府県知事の申請に基づいて指定する地域内において都道府県知事が指定する家畜を所有する者に、期限を定めて当該家畜を殺すべきことを勧告することができることとし、所有者が当該勧告に従わないとき等において緊急の必要があるときは、都道府県知事は、家畜防疫員に当該家畜を殺させることができることとしております。

 第三に、都道府県知事は、勧告に従ってその所有する家畜をみずから殺したため損失を受けた所有者に対し、その生産に要する費用その他の通常生ずべき損失として政令で定める損失を補てんしなければならないこととし、国は、都道府県知事がその損失の補てんを実施するために要する費用の全部または一部を負担することとしております。

 第四に、農林水産大臣が都道府県知事の申請に基づいて指定する地域内に存する死体の所有者が、当該死体を焼却または埋却することが困難なため、家畜防疫員に対し、これらの死体の焼却または埋却を求めた場合には、家畜防疫員は、当該求めのあった死体を焼却または埋却するものとするほか、国は、埋却の用に供する土地の確保、埋却のために必要な作業に従事する者の派遣その他の必要な措置を講ずることとしております。

 第五に、国は、口蹄疫の蔓延により経営及び生活が不安定になっている家畜の生産者、関連事業者等の経営の安定及びその生活の安定を図るため、事業再建等に必要な資金の無利子の貸し付け、施設または設備の整備等に要する費用の助成その他の必要な措置を講ずることとするとともに、地域経済の再建及びその活性化を図るため、地域の実情に応じたきめ細かな措置を積極的に実施することができるよう、基金の設置その他の必要な措置を講ずることとしております。

 この法律は、公布の日から施行するものとし、平成二十四年三月三十一日までの時限立法としているところであります。それまでの間に、効果的な家畜伝染病の発生の予防及び蔓延の防止のあり方等について検討を行い、家畜伝染病予防法の抜本的な見直しを含め、所要の措置を講ずるものとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。

    ―――――――――――――

 口蹄疫対策特別措置法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

筒井委員長 この際、本起草案につきまして、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣の意見を聴取いたします。農林水産大臣赤松広隆君。

赤松国務大臣 本法案の提出に際して、議員各位の御努力と御熱意に対し、心から深く敬意を表するものでございます。

 政府といたしましては、宮崎県における口蹄疫蔓延の状況にかんがみ、本法案に異存はございません。

 御可決いただきました暁には、その御趣旨を踏まえて、適切な運用に努め、口蹄疫の蔓延防止と生産者等の経営及び生活の再建等になお一層の努力をしていく所存でございます。

筒井委員長 お諮りいたします。

 口蹄疫対策特別措置法案起草の件につきましては、お手元に配付いたしております起草案を本委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

筒井委員長 起立総員。よって、本案は委員会提出の法律案とするに決定いたしました。

 なお、ただいま決定いたしました法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

筒井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

筒井委員長 次に、内閣提出、農林漁業者等による農林漁業の六次産業化の促進に関する法律案及び山本拓君外四名提出、国産の農林水産物の消費を拡大する地産地消等の促進に関する法律案の両案を議題といたします。

 これより順次趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣赤松広隆君。

    ―――――――――――――

 農林漁業者等による農林漁業の六次産業化の促進に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

赤松国務大臣 農林漁業者等による農林漁業の六次産業化の促進に関する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。

 我が国の農林漁業、農山漁村をめぐる状況を見ますと、農林水産物価格の低迷等により、農林漁業所得が大きく減少し、農山漁村の活力が低下する中で、農林漁業と、二次産業・三次産業との融合を図り、農林水産物を初め、農山漁村に豊富に存在するバイオマス、小水力等の資源を有効に活用して、新たな付加価値を生み出す農山漁村の六次産業化を強力に推進することが喫緊の課題となっております。

 このため、政府において、農山漁村における六次産業化を総合的に推進するための第一歩として、農林漁業者等による農林漁業及び関連事業の総合化を促進するための措置を講ずることにより、農林漁業の持続的発展と農山漁村の活性化を図ることを目的として、この法律案を提出した次第であります。

 次に、この法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。

 第一に、農林漁業者等による農林漁業及び関連事業の総合化は、農林漁業者の所得の確保を通じて地域経済に活力をもたらすとともに、エネルギー源としての利用など農林水産物等の新たな需要の開拓等により地球温暖化の防止に寄与することが期待されるものであることにかんがみ、農林漁業の六次産業化を促進するため、農林漁業者等が農林水産物等及び農山漁村に存在する資源を有効に活用して主体的に行う取り組みに対して国が集中的かつ効率的に支援を行うことを旨として、その促進が図られなければならないとの基本理念を規定することとしております。

 第二に、農林水産大臣は、農山漁村における六次産業化の推進に関する基本的な事項、農林漁業及び関連事業の総合化の促進の意義及び基本的な方向を明らかにした基本方針を定めることとしております。

 第三に、農林漁業者等が、必要に応じて他産業の事業者の支援を受けつつ、農林水産物やバイオマスを利用した生産とその加工または販売に一体的に取り組む計画を作成し、農林水産大臣の認定を受けることができることとしております。また、民間事業者等が地域に存在する土地、水等の資源を有効に活用した発電の事業等、農林漁業及び関連事業の総合化に資する研究開発及びその成果の利用を促進するための計画を作成し、主務大臣の認定を受けることができることとしております。

 第四に、農林水産大臣または主務大臣の認定を受けた計画に基づく取り組みを進めるため、無利子の農業改良資金の貸し付け、農地転用に関する許可、野菜の契約取引に関する交付金の交付、品種登録に係る出願料等に関する法律の特例措置を講ずることとしております。

 第五に、農林漁業及び関連事業の総合化とあわせて、農山漁村に存在する資源を有効活用した新事業の創出等が、農山漁村の六次産業化を推進し、農山漁村における雇用機会の創出等の農山漁村の活性化に資する経済的、社会的効果を及ぼすことにかんがみ、国は、関係省庁相互間の連携を図りつつ、本法に基づく措置及びこれと別に講ぜられる農山漁村の活性化に資する措置を総合的かつ効果的に推進するよう努めることとしております。

 第六に、国は、この法律に基づく認定を受けた総合化事業及び研究開発・成果利用事業の実施に必要な制度資金や予算の確保に努めることにより、農林漁業者等による農林水産物等の加工・販売、バイオマスや自然エネルギーの利活用、人材育成等の取り組みを支援することとしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。

筒井委員長 次に、提出者山本拓君。

    ―――――――――――――

 国産の農林水産物の消費を拡大する地産地消等の促進に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

山本(拓)議員 国産の農林水産物の消費を拡大する地産地消等の促進に関する法律案について、その提案の理由及び主な内容を御説明申し上げます。

 今、農政に求められているものは、国産の農林水産物の消費を戦略的に大きく拡大することであります。

 このことは、消費者が安心して新鮮な国産の農林水産物を入手する機会をふやし、豊かな食生活を実現するという消費者の利益を増進することを意味いたします。

 また、これにより、農地の維持、フル活用等が図られ、農林水産業及び関連産業の市場規模が拡大し、新たな雇用が創出されるなど、農山漁村地域の活性化につながり、食料自給率の飛躍的な向上が期待されます。

 さらに、農林水産物の輸送にかかる燃料の消費や二酸化炭素の排出による環境への負荷の軽減が期待されております。

 このように、国産の農林水産物の消費拡大はさまざまな効果を発揮するものであり、そのための施策をWTO協定の内外無差別原則に抵触することのないものとして構築したものが、この法律案であります。

 こうした中、全国各地において、直売所などを活動拠点として、地域において生産された農林水産物をその地域内において消費する地産地消の取り組みが関係者一体となって展開されており、その社会的、経済的波及効果が大いに期待をされております。

 この地産地消の取り組みをさらに進め、地域における食品加工、いわば地産地工の取り組み、及び、地方の農林水産物を、国産品を求める大都市の消費者にも低コストで提供できる仕組みを自治体間の取り組みで発展させることにより、国産の農林水産物の消費を拡大することができる条件を整備することができるものであります。

 自由民主党・無所属の会は、こうした考え方のもと、本法案を提出いたしたところであります。

 以下、その主な内容について御説明をいたします。

 第一に、本法律案の目的は、地産地消等の促進に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、地産地消等の促進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、地産地消等の促進に関する施策を総合的に推進して国産の農林水産物の消費を拡大し、もって消費者の利益の増進、農林水産業等の振興及び地域の活性化並びに食料自給率の向上を図るとともに、環境への負荷の少ない社会の構築に寄与することであります。

 第二に、地産地消等の促進は、生産者と消費者との結びつきの強化、地域の農林水産業及び関連産業の振興による地域の活性化、消費者の豊かな食生活の実現、食育との一体的な推進、都市と農山漁村の共生・対流との一体的な推進、食料自給率向上への寄与、環境への負荷の低減への寄与、社会的機運の醸成及び地域における主体的な取り組みの促進を旨として行われなければならないことを基本理念として定め、国及び地方公共団体は、この基本理念にのっとり、地産地消等の促進に関する施策を策定し、実施する責務を有することといたしております。

 第三に、政府は、施策の実施のために必要な財政上の措置その他の措置を講ずるよう努め、その際、生産、加工、流通及び販売の各段階における課題に的確に対応したものとなるよう配慮することといたしております。

 第四に、農林水産大臣は、地産地消等の促進に関する基本方針を定めることとし、都道府県及び市町村は、基本方針を勘案して、促進計画を定めるよう努めることといたしております。

 第五に、国及び地方公共団体は、地産地消等の促進に必要な基盤の整備、学校給食等における地域の農林水産物の利用の促進、地域の需要等に対応した農林水産物の安定的な供給の確保、地産地消等の取り組みを通じた食育の推進等に必要な施策を講ずるよう努めることといたしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及びその主な内容であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願いを申し上げます。

筒井委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後七時五十八分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.