第17号 平成22年7月28日(水曜日)
平成二十二年七月二十八日(水曜日)午前十時開議
出席委員
委員長 筒井 信隆君
理事 梶原 康弘君 理事 小平 忠正君
理事 森本 和義君 理事 森本 哲生君
理事 北村 誠吾君 理事 宮腰 光寛君
理事 石田 祝稔君
石田 三示君 石原洋三郎君
石山 敬貴君 小原 舞君
金子 健一君 城井 崇君
京野 公子君 後藤 英友君
佐々木隆博君 篠原 孝君
高橋 英行君 玉木 朝子君
玉木雄一郎君 道休誠一郎君
中野渡詔子君 仲野 博子君
野田 国義君 福島 伸享君
松木けんこう君 柳田 和己君
山岡 達丸君 和嶋 未希君
伊東 良孝君 江藤 拓君
金田 勝年君 北村 茂男君
坂本 哲志君 橘 慶一郎君
徳田 毅君 長島 忠美君
保利 耕輔君 山本 拓君
東 順治君 吉泉 秀男君
石川 知裕君
…………………………………
農林水産大臣 山田 正彦君
内閣官房副長官 古川 元久君
内閣官房副長官 福山 哲郎君
総務副大臣 渡辺 周君
財務副大臣 池田 元久君
文部科学副大臣 鈴木 寛君
農林水産副大臣 篠原 孝君
経済産業副大臣 松下 忠洋君
国土交通副大臣 馬淵 澄夫君
総務大臣政務官 小川 淳也君
財務大臣政務官 大串 博志君
厚生労働大臣政務官 山井 和則君
農林水産大臣政務官 佐々木隆博君
国土交通大臣政務官 長安 豊君
環境大臣政務官 大谷 信盛君
農林水産委員会専門員 雨宮 由卓君
―――――――――――――
委員の異動
七月二十八日
辞任 補欠選任
松木けんこう君 小原 舞君
小里 泰弘君 徳田 毅君
谷川 弥一君 北村 茂男君
長島 忠美君 坂本 哲志君
西 博義君 東 順治君
同日
辞任 補欠選任
小原 舞君 城井 崇君
北村 茂男君 橘 慶一郎君
坂本 哲志君 長島 忠美君
徳田 毅君 小里 泰弘君
東 順治君 西 博義君
同日
辞任 補欠選任
城井 崇君 松木けんこう君
橘 慶一郎君 谷川 弥一君
―――――――――――――
六月十六日
一、農林漁業者等による農林漁業の六次産業化の促進に関する法律案(内閣提出第五〇号)
二、国産の農林水産物の消費を拡大する地産地消等の促進に関する法律案(山本拓君外四名提出、衆法第二一号)
三、農業等の有する多面的機能の発揮を図るための交付金の交付に関する法律案(加藤紘一君外四名提出、衆法第三五号)
四、農林水産関係の基本施策に関する件
五、食料の安定供給に関する件
六、農林水産業の発展に関する件
七、農林漁業者の福祉に関する件
八、農山漁村の振興に関する件
の閉会中審査を本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
農林水産関係の基本施策に関する件(口蹄疫問題等)
――――◇―――――
○筒井委員長 これより会議を開きます。
この際、篠原農林水産副大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産副大臣篠原孝君。
○篠原副大臣 農林水産副大臣を拝命いたしました篠原孝でございます。
山田大臣を補佐いたしまして、郡司副大臣、それから佐々木政務官、舟山政務官とともに、農林水産業政策全般にわたりまして一生懸命頑張らせていただきますので、よろしくお願いいたします。(拍手)
――――◇―――――
○筒井委員長 農林水産関係の基本施策に関する件、特に口蹄疫問題等について調査を進めます。
この際、政府から説明を聴取いたします。農林水産大臣山田正彦君。
○山田国務大臣 宮崎県で発生した口蹄疫に関して御報告いたします。
初めに、口蹄疫の発生農家及びワクチン接種農家の方々におかれましては、心からお見舞い申し上げますとともに、口蹄疫の清浄化のための防疫措置への御協力に改めて感謝申し上げます。また、口蹄疫の発生現場及び消毒ポイントなどで昼夜を問わず防疫対応に当たってこられた方々に対し、心から感謝申し上げます。
宮崎県においては、四月二十日以降、二百九十二例目の口蹄疫の発生を確認しました。農林水産省は、第一回目の発生確認後、口蹄疫防疫対策本部を立ち上げ、宮崎県と一丸となって、一般道を含む消毒や家畜の殺処分等の防疫措置、埋却地の確保、発生農家及びワクチン接種農家の経営維持、再開のための対策を実施してまいりました。
五月十七日には、内閣総理大臣を本部長とし、内閣官房長官及び農林水産大臣を副本部長とする口蹄疫対策本部を設置し、拡大しつつある口蹄疫についての対策をさらに強化して、政府として総力を挙げて取り組んでまいりました。
同時に、各府省の責任者から成る現地対策本部を設置し、当時農林水産副大臣でありました私が本部長として、その後、篠原農林水産副大臣が本部長として常駐し、地元の要望を受けとめるとともに、迅速かつ的確な国との連絡調整に努めてまいりました。
まず、防疫措置の実施状況について御説明申し上げます。
今回の口蹄疫発生への対応については、四月二十日の発生以来、防疫措置を迅速かつ的確に実施するため、宮崎県に対し必要な人的支援を行ってまいりました。具体的には、自衛隊、警察に防疫作業に従事していただいたほか、全国の都道府県、家畜改良センター、生産者団体等から防疫措置に必要な獣医師等を派遣していただき、関係者が一体となって対応してまいりました。
しかし、今回発生した口蹄疫は、感染力、伝播力が強いウイルスであったことに加え、畜産密集地帯での発生であったこと、埋却地の確保がおくれたことなどにより処分が間に合わなかったことから、専門家から成る牛豚等疾病小委員会の意見を踏まえ、我が国で初めて緊急的ワクチン接種を実施いたしました。ワクチン接種家畜の殺処分については、本委員会で御提案、可決いただきました口蹄疫対策特別措置法に基づき実施し、対象農家には同法に基づき補償を行うこととなります。
この結果、七月五日までに、発生農場の家畜二十一万千六百八頭とワクチン接種農家の家畜七万六千七百五十六頭のすべてについて、殺処分、埋却、消毒までの防疫措置を完了し、昨日、二十七日の午前零時をもって、すべての移動制限、搬出制限を解除することができました。
他方、大量の家畜排せつ物に含まれるウイルスについては、ブルーシート等により封じ込めを行ったものの、完全に死滅するまでには一定の時間を要することから、口蹄疫の清浄化及び家畜の再導入のためにはウイルスを十分不活化させる必要があります。このため、引き続き、現地に職員を駐在させ、家畜排せつ物等の適切な処理や消毒等を徹底することとしております。
感染経路の究明については、専門家から成る疫学調査チームによる調査を進めるほか、調査結果を防疫対策に直ちに反映させる観点から、国及び宮崎県の担当者に農場での衛生管理に詳しい臨床獣医師を加えて現地調査チームを組織し、現地に常駐させ、現地調査の体制を強化しております。引き続き、感染経路の早期究明に努めてまいります。
今後、口蹄疫の蔓延防止のために殺処分に応じていただいた方々の犠牲を無駄にせず、また、炎天下や雨の中で黙々と埋却等の作業に御協力いただいた方々の労苦に報いるべく、第三者検証委員会を設置し、今回の対応を徹底検証するとともに、今後、二度と今回のような大量の殺処分といった事態を招かないよう、国と地方が一体となって取り組んでまいります。
また、我が国の清浄性を証明するためのサーベイランスを実施し、国際的に我が国が清浄国として認められるよう努めてまいります。
なお、食品産業事業者に対し、食肉や牛乳の安全性に問題があるかのような告知や、安全性を理由とした販売停止などが行われることのないよう、適切な対応を求めてきました。
各地方農政局、地方農政事務所等の約千七百名の食品表示Gメンの職員が、七月二十六日時点で、三万六千百八十二店舗の小売店を巡回し、宮崎県産の牛肉は使用していませんなどと、消費者の誤解を招く不適切な表示が確認された十五店舗について、表示の撤去、是正などの指導を行っています。
次に、発生農家等の経営再開や周辺農家の経営維持のための対策について御説明いたします。
まず、発生農場及びワクチン接種農場の経営を維持するため、殺処分した疑似患畜及びワクチン接種家畜に対して、家畜伝染病予防法及び口蹄疫対策特別措置法に基づき、手当金及び補てん金を交付することとし、それぞれ概算払いを実施しています。手当金については、既に対象農家の約八割に交付済みであり、今後、時価評価による精算払いを行うことといたしております。また、両者とも地元負担のないように対応しています。
これに加えて、発生三日後の四月二十三日に関連対策を発表し、その後も、発生事例の増加及び発生地域の拡大等の状況や現場の御意見等を踏まえ、適宜適切に対策の拡充、見直しを行ってまいりました。
具体的には、当面の資金対策として、家畜疾病経営維持資金の貸付対象者を移動制限区域内から搬出制限区域内の農家に拡大したほか、家畜市場の開催中止の影響を受けた九州、沖縄各県の子牛、子豚出荷農家もその対象とし、さらに、融資枠を二十億円から三百億円に拡大することにいたしております。
また、移動制限や家畜市場の閉鎖などを踏まえ、出荷が遅延した肥育牛、肥育豚及び子牛に対する助成措置を講じるとともに、肉用牛肥育経営安定特別対策事業、いわゆる新マル緊や養豚経営安定対策の生産者拠出金の免除等の対策、措置も講じております。
農林水産省としましては、これらの対策をきめ細かに実施し、一日も早く、口蹄疫の清浄国への復帰と農家の経営再開、地域の再建が図られるよう努めてまいります。
次に、このたびの梅雨前線による大雨の農林水産関係の被害状況について御報告申し上げます。
また、この災害により被災された方々に、心よりお見舞い申し上げます。
六月中旬から、西日本を中心に、各地で記録的な大雨となりました。二十六日までの調査結果では、農地・農業用施設、林地・林道を中心に、三百七十六億円の被害となっております。
被害の詳細につきましては、お配りした資料のとおりとなっております。
私も、一昨日、広島県庄原市の被災地を訪問し、被災の実態把握等を行ってきたところです。
農林水産省としましては、関係各府県と連携を図り、農地・農業用施設、林地・林道等の被災に対する災害復旧事業の実施に万全を期してまいりたいと考えております。
委員各位におかれましては、引き続き一層の御理解と御支援をお願いいたします。(拍手)
○筒井委員長 以上で説明は終わりました。
―――――――――――――
○筒井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。道休誠一郎君。
○道休委員 おはようございます。民主党の道休誠一郎でございます。
本日は、口蹄疫の問題について集中討議をさせていただく予定でございますが、まずその前に、梅雨前線の大雨による被害を受けられた四十二都道府県の皆様に対しましては、心よりお見舞い申し上げると同時に、一日も早い復興をお祈り申し上げます。
御案内のとおりに、口蹄疫、七月の二十七日、宮崎県で第一例の四月二十日のケースが確認されて以来九十九日目にして、ようやく制限解除、そして宮崎県は非常事態の宣言を解除することができました。これまで、農林大臣初め政府御当局者の皆様、そして宮崎県、被災に遭われました市町村の皆様の、本当に一丸となっての夜を徹しての作業に対しまして心から敬意を表すると同時に、まだまだ気の抜くことのできない口蹄疫、まだ児湯地区におきましては、御案内のとおりに、ふん尿の処理という大事な大事な作業が残っております。
口蹄疫は、皆様御案内のように、十年前に宮崎県、北海道でA型という型で発生し、当時は、宮崎県におきましては三十五頭の殺処分、北海道においては七百余頭の殺処分だけで処理が終わりました。
しかし、今回の口蹄疫、御案内のとおりに、ここ数年来アジア地区で、特にことしに入って香港、中国、韓国、台湾で猛威を振るっているO型であるということが疫学チームの証明でわかってきております。
この口蹄疫、一説によりますと、豚が一頭感染してまき散らすウイルスの数が、一頭につき四億個、それくらい、牛よりも一千倍以上も感染力が強いと言われております。この口蹄疫に対しまして、宮崎の畜産はもとより、日本の畜産業そして農業、地域経済、あらゆる面で、日々の生活に至るまで大きな大きな被害を、そして影響を出したことは皆さん御案内のとおりでございます。
私も、宮崎県民の一人として、児湯地区の皆様、あるいは西都市、宮崎市、えびの市、都城市、今回の口蹄疫が発生した地区の皆様と、制限期間中は、私はこのウイルスの怖さが身にしみておりますので、五月の中旬までは週末ごとに都農町や川南町の役場にお伺いし、あるいはJA尾鈴の事務所にお伺いして、ここにいらっしゃる江藤先生も本当によく現地で動いていらっしゃったということを、私もお顔を合わせながら、一緒に頑張りましょうという言葉を交わさせていただいたこともございます。
本当に、現地の皆さんがしっかりと、この口蹄疫について二度と起こさないために頑張っていこうというふうに、今立ち直りの一歩を始められたところでございます。
しかしながら、今回の口蹄疫、御案内のとおりに、四月二十日の発症以来、先ほど大臣がおっしゃいましたけれども、牛が七万頭そして豚が二十二万頭余り、合計二十九万頭に近い数の家畜が殺処分されました。そして、我が国において初めてワクチンの投与による、接種による殺処分というのも行われました。
この口蹄疫を二度とこの日本の地から起こさないために、我々は今回の教訓をしっかり検証すると同時に、また必要な手だてはしっかりやっていく、そういうことでこれから、本当に立法府が国民の経済、日常の活動を守っているんだということをわかっていただけるようにしっかりと動いていく必要があると思っておりますので、これから具体的に質問に入らせていただきますが、まず、皆さんと一緒に、ここにいらっしゃる農水委員会の皆さん、本当に心を一つにして、畜産宮崎、そして日本の畜産を世界に誇れる先進的な畜産業に変えていくために頑張っていきたいというお誓いを申し上げて、まず質問に入らせていただきます。
先ほどから申しておりますように、今回の口蹄疫、四月二十日の感染以来、第一症の確認以来、七月四日の宮崎での発症を最後に今発症はとまっておりますけれども、いろいろなターニングポイントが四月二十日以降あったと思っております。
まずは、ゴールデンウイークを境に、残念ながら非常に爆発的な感染が広がってしまった。そして、その現状を受けながら、五月の二十二日には、ワクチンの接種という、本当につらいつらい決断であったと思いますけれども、この決断をせざるを得なかった。その殺処分等を行いながら、しかし今、七月の二十七日には、宮崎県知事もおっしゃっています、何とか一息つけるかもしれない。しかし、まだ予断を許さない。
こういう一連の流れの中で、大臣にお尋ねしたいと思いますが、爆発的な拡散、そして途中、えびの市や都城市、日向市そして宮崎市への飛び火的な汚染の拡大がありました。こういうことを踏まえまして、大臣としての対応の御認識と、そして、その対応についての評価をお聞かせいただきたいと思います。山田大臣、よろしくお願いします。
○山田国務大臣 今回の口蹄疫の発症そのものが、かくも、二十九万頭の牛、豚を殺処分する、大変な犠牲を払うことになった。
この原因、事情というのはいろいろあると思いますが、一つは、今回は、十年前と違ってO型で強い伝播力があったということ。もう一つは、ちょうど児湯地区という家畜の密集した地域であったこと。やはり、それに加えて、今、疫学調査チームの調査等によりますと、三月の中旬には既にウイルスがその地域に入っておったんじゃないか、四月二十日、国が報告を受けた時点では、少なくとも十農場以上に発症しておったんじゃないかという疫学調査チームの中間報告がございますが、そういった意味で、いわゆる対応がおくれたということも一つあるんじゃないか。殺処分埋却地、これに、非常に密集飼いであったり、いろいろな事情から大変混乱した。さまざまなものが要因となって今回こういう感染拡大をしてしまった。
しかし、そう言いながら、ここに至るまでそれこそ皆さんが一丸となって、何とか一応の終息を得ることができた。まだまだ油断できませんが、そこまでは来られたんじゃないか。これは本当に皆さん方が、県も市も町も一丸となってやっていただいたおかげだと感謝いたしているところです。
○道休委員 口蹄疫の殺処分が実際に進んでいく中で、一軒一軒の農家にとって、牛一頭、豚一頭、それが全国的に賞をもらった牛であろうとなかろうと、一頭の命は変わらないわけですね。そして、大事に大事に育てられた牛や豚が、ワクチンの接種によって殺処分されなきゃいけない。本当に、現地の、現場の農家の皆さんの御心痛たるや想像に余るわけです。
しかし、私は、一連の流れの中で一つ気になることがございます。
先般まで問題になっておりましたけれども、県の家畜改良事業団、ここの種牛を六頭、特例として、例外的に移動した。そして、その六頭のうちの一頭がその後発症した。残り五頭については、しっかりと疫学的な証明もしながら、感染していない、感染したこともない、大丈夫であるということで、今生きています。
一方で、大臣もおわかりの高鍋の薦田さんの種牛、こちらも立派な牛であるというふうに言われておりましたが、これについては対象地域、規定に沿ってしっかりと殺処分されました。これについては、現地で、知事初め各首長さん初め皆さんが、薦田さんのお気持ちも察しながら、恐らく大臣もお話しされたことはあると思いますが、薦田さんと副大臣も現地でお会いになったと思いますけれども、この牛を殺処分しなければ清浄性が確保できないという議論がございます。
ただ、私自身は、OIEが、しっかり清浄性を確認する上でこの五頭については問題ないということを言ってくるであろうという大臣のお言葉もいただいておるわけですけれども、OIEが清浄性を確認してくれるかどうかも含めまして、私は、一次産業、特に宮崎の場合は、畜産という非常に大きな力のある、商品と言うと語弊がございますけれども、成長エンジンがあるというふうに確信しております。そして、日本がこれからは工業製品だけでなく、トヨタやソニーだけでなく、日本の農産品をしっかりと世界に売り込むことができる産業であり、また日本を再生する産業であると確信しております。
しかしながら、今、現地でお話を聞いていると、ある県外の業者さんから、あの五頭が生きている限りはなかなか宮崎に買いに行けませんよというようなお声もあるやに聞いております。
この五頭の存在がひょっとしたら、これは私の取り越し苦労かもしれませんが、今、日本はアメリカと、牛肉についてはBSEの問題で厳しい交渉をやっております。口蹄疫の問題とBSEの問題を同じ枠内で論じることができないことは私もわかっております。まず、BSE、怖い病気ですよね、人間にうつります。しかしながら、口蹄疫は人間には無害である。
しかしながら、そういうことがわかっていても、政治的な世界では、ひょっとして対米交渉の中でアメリカが交渉の項目として出してくるのではないかという懸念を、私自身はほかの分野でアメリカといろいろな交渉をしてまいりました。からめ手でやってくるんですね。そして、自分たちの戦略をしっかり他国にわからせる、あるいは押しつけるという言葉が適切かどうかは知りませんが、そういうことを私は目の当たりにしております。
それを思うにつけ、この五頭の存在そのものが、日本の畜産の世界への進出のひょっとしたら障害になる可能性があるのではないかというような危惧を持っておることは事実でございます。
これについて大臣はいかに思っていらっしゃるか、お聞かせください。
○山田国務大臣 日本はワクチンを今回緊急措置として接種いたしましたが、ワクチンを接種した以上、そのリング、その地域内のワクチン接種偶蹄類はすべて殺処分しなければ清浄国になれないと私は思っております。そんな中で、今回、薦田さんにも御無理をお願いいたしました。
実際、県の種牛五頭が現在残っております。それについてもいろいろ今とかく言われていることは承知しております。それについては家伝法の特例を認めているわけですが、これは別々に飼養管理されておって、しかも、PCRの検査を経過観察しましても陰性であったこと、及び、これは特措法のできる前、リングワクチンの接種をする前の状況下であったこと、当時、赤松大臣が三つの条件を付して特例を認めたわけでありますが、そういった趣旨からしても、今回、口蹄疫の清浄国として、陰性である牛だから、もともとワクチン接種前の牛だからといったいろいろな事情をもとに、OIEに対しては清浄国であることの主張をさせていただきたい、そう思っております。
米国大使のルースさんともお会いいたしましたが、口蹄疫については、日本も本当に奇跡的にああいう形でおさまってよかったという形で言っていただきまして、それ以上は何もありませんでした。
○道休委員 どうもありがとうございます。
日本の畜産、一次産業がこれから日本の成長エンジンになる、地方が日本を変えていくという確信のもとに、また、この畜産、宮崎牛も含めまして、世界で非常に高い評価を受けていることはもう皆さん御案内のとおりでございます。今、アメリカ、中国、いろいろなところで、いわゆる和牛、日本の牛に対する需要がある。これは、中国とかアメリカとかに限らず東南アジア一円でも、日本の牛が食べたいという方がたくさんいらっしゃいます。
私も、海外で、いろいろなところで生活をしていましたけれども、本当に日本食がこれから世界基準になる、日本の文化が世界基準になっていくというふうに確信しておりますが、その中で、この畜産というのは今我々がもう既に手にしている財産でございますので、しっかりとこの財産を日本の産業あるいは日本の国を元気にするために積極的に使っていただくことをお願いしたいと思います。
続きまして、口蹄疫の対策。
宮崎県も、既に五次にわたる補正予算を組んで、国からの資金援助もいただきながら動いておりますけれども、現地で一番心配な声として聞けるのは、やはり宮崎県も市町村ももうぎりぎりのところまでお金を使っている。宮崎県に至りましては、いわゆる基金が五十億円を切ってしまっている。御案内のとおり、これから台風や大雨のシーズンになってまいります。追加的な支出が必要になる部分も出てくるかもしれません。
実際に予備費や財政支援が今までのところどう行われたのか、そして、これからどういう御予定であるのかについてお聞かせを願いたいと思います。大串政務官にお願いしたいと思います。
○大串大臣政務官 お答え申し上げます。
口蹄疫の被害農家に対する御支援等々でございますが、これにつきましては、家畜伝染病予防法、そして今般成立させていただきました口蹄疫対策特別措置法に基づいて殺処分をされた家畜に対する手当金などの支払いということに充てるために、これまで三回にわたって計四百十一億円の予備費を計上しまして、今、支払いの手続を進めているところでございます。これがこれまでのところでございます。
今後でございますけれども、この手当金の支払いについて、現在、予備費、四百十一億円のところまで確定しておりますけれども、さらに想定を上回る部分が必要になるということが明らかになってきたときにおいては改めてこれを追加することなども含めまして、必要な財源の措置を講じていきたいというふうに思います。
さらには、経営が、再開が非常に大変な状況になられている被害農家の方々もいらっしゃいます。この被害農家の経営再開等に関する支援というものについても、地元の皆様の要望も踏まえながら、真に必要な措置をしっかり検討して実行してまいりたいというふうに思います。
以上でございます。
○道休委員 予備費等を含めた国からの支援、これにつきましては、やはり一方で特別交付金の手当て等も必要になると思うんですが、それにつきましても、もし可能でございましたら小川政務官の方からお話しいただければと思います。
○小川大臣政務官 道休先生初め、本当に地元の関係者の皆様の御苦心に心から敬意を表したいと思います。
地方交付税、特別交付税による措置でございますが、従来は、地方負担分の五割とか八割とかが限度いっぱいでございました。今回は、事の重大性にかんがみまして一〇〇%特別交付税で措置をするということでございます。
被害額がまだ、もちろん算定中ではございますが、例えば宮崎県さんの予算措置の状況を御紹介いたしますと、損失補償に七十八億円、その他消毒ポイントの設置等々を含めまして百十七億円余りの予算措置がなされております。直接はこれらの金額が特別交付税措置の対象になろうかと思います。
あわせて、ふだんですと三月まで交付をお待ちいただくわけですが、今回は十二月分で対処したいと考えております。
○道休委員 非常に前向きの力強いお言葉をいただきました。本当にありがとうございます。
宮崎県民も、知事を筆頭に、畜産復興に向けて、あるいは宮崎県の経済を強くするということに向けてしっかりやってまいりますので、財務省、総務省そして農水省を中心に、官民一体の努力に向けて御支援をいただきたいと思っております。
続きまして、確かに畜産農家は、御案内のとおり直接に被害を受けて、今本当に畜産が続けられるかどうかという危機的な状況になっております。しかしながら、今回の口蹄疫は、御案内のとおりに、県全体の県民生活に影響を与えました。いろいろなお祭りやイベント、そしてさきに行われた参議院選挙も、運動制限、本当に重要な運動ができないような状況が生まれるほど大きな影響を受けております。畜産農家だけでなく、農家だけでなく、県民の一人一人の生活、特に地域の飲食業や販売業そして製造業といったいわゆる中小企業の皆さんも、お店によっては水道や電気の基本料が払えない、それくらい危機的な状況に追い込まれています。簡単に言えば、四月二十日以降三カ月間収入がない状態が続いております。
そういう厳しい状況の中で、被害農家については重点的に国の御支援もいただけると先ほどからお話をいただきました。しかしながら、地域にはいろいろなお仕事をされている方がいらっしゃいます。中小企業支援対策について松下経産副大臣に、現在の状況と、それから、これからの取り組みについてのお話を伺えればと思いますが、お願いいたします。
○松下副大臣 経済産業省でございます。
中小企業支援対策として、これまでに、相談窓口の設置や政策金融の手続の簡素化それから返済条件の緩和を実施しておりまして、七月二十二日までの実績は、相談件数が千二百十六件、融資や保証が五十億三千万円、返済条件の緩和が二十四億円でございます。
昨日、宮崎県において家畜等の移動制限や非常事態宣言が解除されたことを踏まえまして、宮崎県からの要望にこたえて、口蹄疫により被害を受けている中小企業の方々それから商店街の方たちにさらなる支援を行うことを公表いたしました。
具体的には、まず、宮崎県の中でも特に口蹄疫被害の大きい地域、そこで、使用期間とか地域を限定したプレミアム商品券について、関係の団体の協力を得て、八月のお盆前にも発行できるように取り組んでいきたい。金額の規模等についても今具体的に相談中でございます。
それから、宮崎県が検討中の、今委員もおっしゃいましたけれども、商工関係のイベント等を助成するためのファンドの創設、これは、中小企業基盤整備機構の災害時の融資制度を活用いたしまして支援したいと考えています。しっかりやってまいりたいと思って、今規模等についても具体的に相談しているところでございます。
よろしくお願いします。
○道休委員 副大臣、どうもありがとうございます。
宮崎県におきましても今具体的に復興策を練っている段階だと思います。この復興策が具体化するにつれて国へのお願い等もあると思いますが、本当に宮崎県を救っていただくためにも、皆様の前向きの御検討をお願いしたいと思います。
続きまして、今回の特措法の中で、やはり、一つ、県民あるいは自治体の大きな関心は、基金の創設、二十三条でうたわれておりますが、これが具体的にどうなっているんだろうという心配が地元から流れてまいります。これについてお話を伺えればと思いますが、大臣、よろしくお願いします。
○山田国務大臣 地元が、商店街とか中小企業等まで含めて非常に疲弊している、トラックの運送業その他の皆さん方も大変であるということは、私が現地にいるころからよくお聞きしておりました。
そのために、特措法の中に、基金を設けてというくだりがございます。正確に言いますと、特別措置法は、地域の実情に応じ、きめ細かな措置を積極的に実施できるよう、「基金の設置その他の必要な措置を講ずるものとする。」となっております。基金の設置もうたわれておりまして、これもできないものかどうかという形で、農水省だけではこれについてはどうしようもありませんで、財務省及び内閣全体で考えていただけるべきものと考えておりまして、今、官邸の方で、内閣府の方で宮崎県からいろいろと要望を聞いているところだと聞いておりまして、その上でいろいろ判断されるものと思っております。
宮崎県のそういう中小零細企業、商店街の皆様方も含めて、関係者が一日も早く再開できるように、私どもも、できるだけのことを農水省としても手を打たせていただきたいと思っているところです。
○道休委員 力強いお言葉、ありがとうございます。
私も同じ認識でおりますので、しっかりと宮崎県の経済の復興に向けて皆さんのお力をおかしいただきたいと思います。
資金手当てについては、基金の設立についてはいろいろな方法もあるんでしょうが、私は個人的には、恐らく法改正等も必要になると思いますけれども、宮崎県口蹄疫復興債券とか、あるいは宮崎県復興宝くじの発行とか、そういうようないろいろな資金の調達方法も考えていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
時間もなくなってきました。最後の質問でございますが、これは大臣にぜひともお願いしたいと思っています。
口蹄疫の発生状態の前に戻すのが果たしていい畜産、いわゆる畜産業のあり方なのかというようなことも個人的には考えております。今、児湯の町には牛、豚は一頭もおりません。これから非常にクリーンな、先進的な畜産をこの地区に導入していただく、ある意味での機会であるかもと思っています。この点につきまして、大臣、いかに考えていらっしゃるか。具体的なことを言っていただくのは難しいかもしれませんが、それについての大臣の所見を聞かせていただければありがたいと思います。
○山田国務大臣 これから八月いっぱいというか、八月の下旬までにいわゆるふん尿の切り返しとか処理等が終わって、家畜の再導入という時点で、いろいろお聞きしてはおりますが、豚については無菌豚の養豚を始めるとか、いろいろと、今回こういう口蹄疫に感染、そういうことのないような、防疫措置、衛生管理のしっかり行き届いたような形での家畜導入、いわゆる再開支援、そういった意味では、密飼いといったものについても、埋却地がないとか、ああいう状況が発生しましたので、いわゆる出口も考えた畜産というものをしっかり構築していただければなと考えているところです。
○道休委員 どうもありがとうございます。
宮崎の畜産の再建は恐らくこれからの日本の農業のあり方を方向づける一つの大きなターニングポイントになると私は確信しております。特に、一次産業の六次産業化等を含めまして、これからここにいらっしゃる皆さんの、委員の一人一人のお力をおかりしながら、現地で、現場の見える農業行政を私どもは推進してまいりたいと思います。政府・与党そして野党の皆さんの一体のお力をいただきながら、しっかりと、宮崎そして日本の畜産を世界に誇るべきものにするために頑張っていきたいと思います。よろしく御支援のほどお願いいたします。
どうもありがとうございました。
○筒井委員長 次に、宮腰光寛君。
○宮腰委員 まず、ことしの梅雨災害において被災された全国の皆様方に心からお見舞いを申し上げたいと思います。山田大臣におかれましても、一昨日、広島県庄原市の被災地を視察されましたけれども、大臣を先頭に一日も早い復旧に努めていただくよう、要望申し上げておきたいと思います。
まず、質問の第一点、マニフェストの修正についてであります。
さきの参院選におきまして、自民党は、農村を主体とする一人区で二十一勝八敗と大きく勝ち越しました。三年前の参院選、昨年の衆院選では、民主党は、戸別所得補償を初めとするマニフェストにより農村部で大勝いたしましたけれども、それもつかの間、今回の参院選の結果、既に米モデル事業の段階でマニフェストは信任を失ったと言わざるを得ません。
衆院選マニフェストの工程表では二十三年度から本格実施。それが、ことし三月の食料・農業・農村基本計画では、本格実施の年度が消えて、「本格実施に当たっては、」との表現に変わり、さきの参院選マニフェストでは、本格実施そのものが消えて、「段階的に他の品目および農業以外の分野に拡大」との表現に大きく変わりました。マニフェストの後退に次ぐ後退であります。
その証拠に、民主党の参院選マニフェストポイント版QアンドAでは、五十四項目めとして、〇九マニフェストでは、戸別所得補償について二〇一一年度から完全実施としており、その所要額は一兆円となっている。〇九マニフェストどおり二〇一一年度から完全実施するのかというクエスチョンに対するアンサーとして、〇九マニフェストの工程表では、二〇一一年度から一兆円で農業にかかわる戸別所得補償制度を完全実施することとした。しかし、現在の状況を踏まえれば、来年度以降の実施については現実的な対応をせざるを得ない。参院選マニフェストでは、段階的に他の品目に拡大としている。この点も、〇九マニフェストの修正に当たる。国民に対して丁寧に説明し、理解を得る努力を行っていくとなっております。つまり、民主党みずからが、この点もマニフェストの修正に当たると明言をしております。
大臣も、戸別所得補償のマニフェスト、これは既に修正されていると考えておいでになりますか。
○山田国務大臣 まず、今回、マニフェストについて、参議院選挙で民主党が敗れたから不信任になったんじゃないのかというお話でございましたが、今回、戸別所得補償には百三十二万戸の農家が加入していただきました。昨年、生産調整の農家が百二十万戸ですから、それからしますと、かなり多くの農家の方々に戸別所得補償制度は信任を受けた、そう考えておりまして、この戸別所得補償制度そのものは、党としても、我々政府としても、いささかもこれをやめるとかそういったことではありません。
修正について、もう既に修正されているのではないかというお話でありましたが、〇九年のマニフェストには、モデル事業をことしから実施ということになっておりまして、私ども今、農水省、政府としましては、来年度本格実施というところで、今回、概算要求もいたす所存でございます。
どういう形での本格実施になっていくか。畑作についても今度は戸別所得補償をしていこう、今、副大臣、政務官も私の横にいますが、いろいろな検討をしているところでして、それなりにしっかりとした内容の戸別所得補償を拡大していく。段階的に拡大と党のマニフェストにあるかに聞いておりますが、それについては、来年、漁業の所得補償等も考えておりますし、いろいろな形で段階的には確実に広げていくというところはありますし、私ども、このいわゆる戸別所得補償を初めとする農林漁業再生について、民主党の、今農水省の、我々政府としての対応というのはきちんとやらせていただきたいと考えているところです。
○宮腰委員 百三十二万戸の話は、信任を受けたからではありません。私も、まずは申請しなさいよと地元で言っております。なぜか。入っておかないと、米価が下落したときに危険だからということで勧めているわけであります。全国の農家も、なぜ迷いつつも申請しているのか。これは、やはり危険性があるということを肌で感じているからであります。
その証拠に、五月十四日、農水省は関係団体に対しまして、買いたたき防止の通知を出しました。それほど米価下落の懸念が大きくなっている、強くなっている証拠であります。現に、昨年九月からことし五月までの八カ月間で、二十一年産米の相対取引価格の全銘柄平均は、六十キロ当たり八百五十五円下がっております。ことしの秋には、それに加えて、六十キロ当たり千七百円の固定部分、さらに千二百円の変動部分を背中に担いだ米が市場に出てまいります。市場がそれを読み込んで、さらなる米価下落は必至であります。
赤松前大臣は、戸別所得補償をやれば、米の需給が引き締まって、作況指数が一〇八とか一〇九でない限り米価は安定すると予算委員会で明確に答弁をされております。今になって買いたたき防止の通知を出さざるを得ないというのは、この制度そのものが米価下落を招く欠陥商品であることをみずから証明しているようなものではありませんか。
二十二年度予算で、米モデル事業で三千四百億円を計上いたしました。これは、農林水を合わせた公共事業の削減総額とぴったり同じであります。土地改良施設の維持更新に赤信号がつき、食料自給率向上のための水田汎用化もほとんど進まなくなりました。ことしも昨年の予算編成と同じように乱暴な編成をやれば、一過性のばらまきのために農村現場はがたがたになります。
二十三年度予算では、大臣がいまだにこだわっておられる一兆円のために、今度は何を犠牲にされるんですか。予算の確保は不可能ではありませんか、大臣。
○山田国務大臣 前回、各卸売業者とか米の販売業者に対して、いわゆる優越的地位に基づいて買いたたき等を生産者からやらないようにという通知、いわゆる独占禁止法違反に当たりますよという通知は、赤松大臣のときに出させていただきました。
これは、今回、戸別所得補償をやるということによって、十アール当たり一万五千円、それを見込んで米の卸業者、購入業者がそういう買いたたきに出ることがないようにと、今回、米トレーサビリティーも実施しておりまして、厳しい取り締まりはさせていただきたいと思っております。
確かに、米の価格が今下がっていることは事実です。しかし、在庫量も、かつて四十万トンも五十万トンもあるとか言っておりましたが、今現在、六月末では、昨年に比べて六万トン多いだけですし、本当に、平年作であれば、百三十二万戸、今まで生産調整に協力しなかった農家の方々が、今回、生産数量目標、いわゆる戸別所得補償に参加していただいておりますので、需給は締まると私は考えておりまして、そういう意味では、宮腰委員が心配するほどのことはないんじゃなかろうかと今考えているところです。
○宮腰委員 百三十二万戸の中を詳細に見ましたら、いわゆる余剰作付の多い県、福島県、それから茨城県、埼玉県、千葉県。福島それから茨城については、若干申請戸数がふえている。しかし、埼玉県は減少している。千葉県に至っては、一万六千戸の昨年の推定生産調整参加農家、これが半分の八千戸にまで減っている。そういうこともあります。面積を見てみないと、今の大臣の答弁は、私は、不明確、不確実な答弁だというふうに思います。
それから、池田財務副大臣、おいでであります。
仙谷官房長官は、おとつい、特別枠として一兆円超を新設する予算の配分方法について、政策の優先順位づけを行う政策コンテストを国民に開かれた形の公開手法で実施するというふうに発言をしておいでになります。恐らくこういうことは初めてなのではないかというふうに思います。
さらに、昨年末の予算編成の際に、当時の野田副大臣、現大臣が示した六項目にわたる戸別所得補償の論点というものがあります。事業の政策目的、いかなる目的か、あるいは全国一律方式の問題、こういう問題を六項目にわたって論点として挙げておいでになりました。この論点は今も厳然と存在していると思います。
予算を預かる財務副大臣として、一兆円の戸別所得補償予算は、農水省予算の枠を超えてでも確保すべき優先順位の高い事業だというふうに考えておいでになりますか。
○池田副大臣 宮腰委員にお答えをいたします。
お尋ねの戸別所得補償制度の予算編成での扱いでありますが、きのう、概算要求組み替え基準を閣議決定し、これから各大臣が、概算要求枠そして要望基礎枠等の範囲内において、御承知のとおり八月末までに要求、要望を行うことにしたところでございます。
まず、戸別所得補償制度については、農林水産省において、二十二年度に開始した米の戸別所得補償制度のモデル対策を検証する、そして二十三年度以降の制度を検討するものと承知しております。
○宮腰委員 意味不明の御答弁だと思いますが、とにかく、この戸別所得補償の全国一律の仕組みというのは、市場が直ちにそれを読み込んで、続ければ続けるほど予算が必要になる。農家の所得は変わらない。最終的に、お金が続かなくなれば、残るのは下落した米価のみということになりかねないと私は思っております。
一兆円という数字は、今、池田副大臣がわからない答弁をしておいでになりましたけれども、農水省内部の予算の見直しぐらいでは到底不可能な数字、額でありますよ。参院選のこの結果を踏まえれば、今が理念なきマニフェストの呪縛から逃れるいい機会ではありませんか。我々としても、日本農業の将来のために協力することはやぶさかではないということを申し上げておきたいと思います。
次に、口蹄疫対策特措法について伺いたいと思います。
四月二十日の一例目の口蹄疫確認以来ほぼ百日、きのうで制限区域はすべて解除となりました。しかし、これで安心というわけにはまいりません。全会一致で成立した口蹄疫対策特措法に基づき、引き続き再発防止に取り組むとともに、生産者等の経営や生活の再建、地域の再生に向け、特措法の趣旨に沿って長期にわたる対策を講じていかなければなりません。
そこで、問題の第一。第六条の予防的殺処分により生じた通常生ずべき損失に対する補てんや補償について、休業補償を含む経営再開までの営業損失を政令に盛り込んでいないというところが第一の問題であります。
これは、我が党の主張だけではなく、民主党さんが農林水産議員政策研究会でまとめられた法案要綱においても、通常生ずべき損失について、わざわざ米印を打って「権利対価補償(家畜全評価額)のみならず休業補償(営業損失)等の付随的損失も含む。」というふうに要綱で明記されているように、特措法提案者の共通認識であると私は思っております。
休業補償を含む経営再開支援策なしでは、経営再建は不可能であります。これを政令に書き込んでいないのは、私は、政府の不作為による法律違反であると言わざるを得ない。今後早急に政令を改正すべきと考えておりますけれども、その意思はおありでしょうか。
○山田国務大臣 確かに、通常生ずべき損害と書いております。
解釈だと思いますが、いわゆる家畜そのものの評価、一〇〇%の評価額と、殺処分を勧告してから殺処分するまでの、かかる経費、飼料代を今計算させていただいておりますが、それを今私どもは、通常かかるべき損害だと、そういう解釈をさせていただいておるところです。それに加えて、互助基金等の加入にかかわらず、それぞれに、経営再開支援金については支払いをさせていただくつもりでおりますので、その中でも十分見ていただけるのではないか、そう考えているところです。
○宮腰委員 詳細については後ほど我が党の議員も質問するということになると思いますので。私は、今のは政府の不作為による法律違反だと思っております。
それから、問題の第二。第二十条の、家畜等の移動等の禁止等により生じた損失の補てんということでありますけれども、現在、宮崎、鹿児島、熊本の三県を対象に、えさの助成や子牛の販売価格の算定特例が設けられております。しかし、それ以外の県では融資のみの対応となっております。これはおかしい。
例えば沖縄県などでは、家畜の出荷おくれに県単独でえさ代などを助成し、JAも子牛に対して仮払いを実施しております。特措法の趣旨は、農水省がホームページで公表しているQアンドAに挙げられている支援策に限らず、損失というふうに認められれば、この特措法に基づいて必要な措置を講ずることを予定しているのであって、私は、交付税措置などでは不十分だというふうに考えております。
三県以外でも二十条の損失補てんの対象にすべきと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
○山田国務大臣 三県に絞ったということは、鹿児島県、熊本県も一時的ではありましたが、移動制限区域に入ったということを根拠にして、鹿児島、熊本県においては、子牛の価格とかその他はやはり下がるんじゃなかろうかということをもとに、そういうふうに対策を打たせていただきました。
大分県も隣接県であり、沖縄とか長崎、佐賀、そういったところも家畜市場をとめておりましたし、それなりに畜産農家は自主的に家畜の出荷を抑えておりましたし、損害は生じております。
そう考えていきますと、山口とか、九州を越えてやはり出荷を規制しておったり、そういうところも多々ありまして、どこまでをどうするかということは非常に難しい分野で、いわゆる特措法としては、今言った宮崎、鹿児島、熊本をその対象とし、今現在、特別交付金でその他の沖縄とか佐賀とか長崎、そういったところにおいて見られないかどうかというのを検討させていただいているところです。
○宮腰委員 きのうで制限区域がすべて解除になって新たなステージに入ったということでありまして、現に損失が生じている、自主的な家畜市場の開催の停止などであっても、ちゃんと特措法に明記してありますよ。それを、今の段階でまだ明確な御答弁をいただけないというのは、私はいかがなものかと思います。
問題の第三、第二十三条。先ほど道休委員も質問しておいでになりましたけれども、地域再生のための支援ということであります。これは古川官房副長官にお聞きしたいと思います。
条文は、地域経済の再建及びその活性化を図るため、地域の実情に応じたきめ細かな措置を積極的に実施するための基金の設置その他の必要な措置を講ずるということになっております。阪神・淡路大震災や中越大地震の際にも基金が設置され、災害復旧以外でも、地域再生や観光振興など、きめ細かな復旧支援に大きな役割を果たしてまいりました。
法案を審議した五月末の段階では、口蹄疫が全国に拡大する可能性がその時点では否定できず、基金をどこに置くのか、どう運用するかなどの点については留保したものでありますけれども、きのう制限区域が全面解除されたことにより、事態は新たな段階に入りました。早急に基金を設置し、経営の再建や地域の再生に全力を注ぐべきと考えますが、内閣としての見解を官房副長官からお聞きいたしたいと思います。
○古川内閣官房副長官 お答えいたします。
先ほど委員から御指摘がございましたように、特措法におきまして、地域の実情に応じ、きめ細かな措置を積極的に実施できるよう、基金の設置その他の必要な措置を講ずるものというふうに規定をされております。
このため、畜産業につきましては、農林水産省内に特別チームを設けまして、補助事業や融資制度等の各種支援対策が円滑に活用されるよう、現地の相談等にきめ細やかに対応し、発生農場等の経営再開や畜産業の振興を最大限支援する。さらに、商工業につきましては、関係団体の協力を得て、プレミアム商品券の実現を支援するほか、宮崎県が検討中の商工関係のイベント等を助成するためのファンドの創設を支援する。加えまして、観光業につきましては、観光誘致キャンペーンの実施など、観光振興策の検討を進めております。さらに、雇用対策につきましても、雇用維持を支援する雇用調整助成金の支給要件を緩和する。今申し上げたように、宮崎県からの具体的な要望も踏まえて、地域経済の復興支援に政府として全面的に対応していく考え方でございます。
昨日開催されました口蹄疫対策本部におきましては、菅総理から、雇用対策、さらには関連産業や商工業、観光業など地域経済の復興支援が課題となっておりますので、今後とも、宮崎県など地元の要望を聞いて支援を検討していくので、各閣僚においては積極的に対応するようにとの指示があったところでございますので、その指示に従って内閣として対応してまいりたいというふうに考えております。
○宮腰委員 質問に答えておりません。基金はどうするのかという話なんですよ。今の答弁は法律違反だ。
特措法では、基金の設置は当然実施すべきものとして例示をし、その上でさらに、その他の必要な措置を講ずるとしたものであり、立法者の意思は明確であります。今のお話は、あれもやります、これもやります、やっていますというお話ですが、基金については全く答えがありませんでした。
これは、例えば農水省のQアンドA、「基金の設置は、地域経済の再建・再生を図る手段の例示として示されているものであり、実際にどのような措置を講じるかは、関係府省とともに、今後検討していく」というふうになっておりますけれども、これは誤った法律の解釈であります。
こんな解釈がまかり通れば、議員立法の意味がなくなりますよ。どう考えているんですか。全会一致で成立をしたこの法律です。今のような答弁では、内閣総理大臣が現場に行って何をおっしゃっても、だれも信用しなくなりますよ。基金の設置は当然やるべし、その上でさらに、その他の必要な措置を講ずるというふうになっているわけでありまして、今の御答弁では議員立法の意味がなくなる。こんな解釈がまかり通っちゃいかぬ、私はそう思うんです。
政府の都合ではなくて、国会が定めた特措法に基づいて早急に経営再建あるいは畜産の振興を含む基金の設置を求めるものでありますが、今度は山田大臣の御見解を伺いたいと思います。
先ほどのような、基金設置ができないものかというような答弁では、これは現場の畜産農家なり地域の皆さんが本当に落胆しますよ。
○山田国務大臣 特措法には、先ほど条文も、私、読み上げましたが、例示として基金の設置を挙げておりまして、今、古川官房副長官の方から、そういった例示的ないわゆる支援対策、それについて雇用調整金等々いろいろございました。今、地元に私が三週間入り、そして、特措法の後の経緯から見ますと、地元としては、商工関係者、中小企業者含めて、ぜひ基金の設置をしてほしいという強い要望があることは私もよく承知しております。
それでいて、今回、本当に基金を積めるかどうかというのは、今、予算編成中、予算の概算要求中でありますから……(宮腰委員「ことしの予算でですよ」と呼ぶ)いずれにしましても、財務省、内閣全体で、今、宮崎県から要望を丁寧に聞いた上で、その上で、どのような対策をするかということを講じているところだと聞き及んでいるところです。
○筒井委員長 古川副長官、先ほど、基金についての答弁がなかったので、もし今できればそれを。
○古川内閣官房副長官 お答えいたします。
先ほどから申し上げておりますように、私どもは、法の規定に基づきまして、地域の実情に即して、宮崎県などの地元の要望も踏まえて、今後とも政府としては全面的なできる限りの対応をしてまいりたいということでございます。
○宮腰委員 こんなばかな解釈がまかり通ったら、議員立法なんか本当に意味がなくなってしまいますよ。
山田大臣、あさってから始まる今度の臨時国会、恐らく大臣所信をお聞きする機会があると思います。そのときに、明確に、基金を設置するということを所信の中に盛り込んでいただくように努力をしてください。お願いします。
最後に、諫早湾干拓事業についてお聞きしたいと思います。
赤松前大臣は、諫早湾の潮受け堤防の開門調査について、参院選挙前にも政治判断することがあり得るというふうに答弁をしておいでになりました。所管大臣としては、手続を無視した乱暴な御発言であったと思います。
この問題に関して、現在、環境アセスメントの手続が進行中でありますけれども、開門調査の是非を判断するには、アセスの実施による科学的な知見が何よりも前提条件となります。それなくして地元の合意は到底得られるものではありません。
山田大臣は、ルース・アメリカ大使との会談において、アメリカ産牛肉の輸入制限緩和について、科学的知見に基づいて判断するとおっしゃっておいでになります。これは当然のことであります。
私は、そもそもこれ以上ゲートをあけてはいけないと考えておりますし、最終的にも開門には地元の合意は得られないと認識をいたしております。
山田大臣は長崎県の御出身であり、この点について十分理解されていると思います。大臣は、政府としては、科学的知見が出される前の段階、つまりはアセスの結果が出ていない段階では開門の是非を政治判断することはないというお考えでしょうか。
○山田国務大臣 諫早干拓の問題については、赤松前大臣の段階において、郡司副大臣のもと、調査委員会というか報告委員会を設けております。
その中で、私もいろいろお話はお聞きいたしましたが、佐賀県も熊本県も福岡県も、アセスの調査がまずは先であると。そういうことでは、長崎県と各隣接県も見解を同じにしていると思っております。ただ、アセスの調査結果を待って判断するものか、その前に判断すべきなのかというところで、赤松大臣の折には、できるだけ現地を回って、方向性をずるずるせずに決めておきたいという意向であったようです。
私といたしましても、郡司副大臣から今回いろいろ御報告を聞きまして、この予算の概算要求等が終わりましたら、九月にも一回、長崎、熊本、佐賀、福岡を私自身回ってみて、いろいろとその時点で考えさせていただければと今は思っているところです。
○宮腰委員 終わりますが、科学的知見が得られていない段階で無理無理政治判断をすると、普天間のようなことになるんですよ。それだけ申し上げて、終わりたいと思います。
○筒井委員長 次に、江藤拓君。
○江藤委員 宮崎県の江藤拓でございます。
本日は、両筆頭それから委員長、この閉会中審査を開催していただきまして、まことにありがとうございます。そのことにまず感謝を申し上げたいと思います。
約九十九日ぶり、ようやく移動制限等が解除になりました。新聞等では、宮崎には明るい兆しが差しているとかいう記事が躍っておりますけれども、現地はまだ全くそういう状況じゃありませんよ。八月二十七日、堆肥、ふん尿の処理が終わるまでは、これは終息宣言はできません。終息宣言が終わったからといって、すぐに競りが開けるわけではありません。児湯郡の競りは多分九月の中旬以降になるでしょう。五カ月おくれるんですよ、五カ月。子牛は五百キロを超えますよ。そういう厳しい厳しい状況の中であります。そして、終息宣言が終わっても、再建に向けての闘い、これが一番、本当の苦しみの闘いだと思います。
私、この選挙後に地元を回りまして、愕然としました。いつも元気がよくて、私の背中をたたいて、ああ、拓ちゃん、元気でやっちょるかいと言うような人がみんな、魂を抜かれたみたいに、意見交換会の場でいすに座って黙っているんですよ。朝起きて、牛の世話をして、一日、家族合わせて仕事をしてきた、その仕事を全部奪われた。生きる希望を奪われた。今も本当に悲惨な状況であります。決していい状況にはなっていないということを御指摘させていただきたいと思います。
きょうは、そちらの方に宮崎県の建設業協会の方が実はお見えになっていらっしゃいます。なぜ来られたか。今回の口蹄疫、この方々がおられなければ埋却はできませんでした。無償の奉仕ですよ、無償の奉仕。お金にはなりません。しかも、受注していた工事は全部ストップ、やっちゃいけない。それでも一生懸命皆さん方は御努力をいただいた、そのことで国から表彰していただきました。そのことについては、その御労苦に対してこたえていただいたということで、大変感謝を申し上げたいと思います。
自民党それから公明党、我々は、参議院選挙前に、この参議院選挙、今やっちゃいかぬ、まだ潜伏期間も終わっていないのにどうして選挙をやるんだと仙谷官房長官に申し入れました。そして、不測の事態に備えるために、口蹄疫対策特別委員会を絶対設置してくれとお願いをいたしました。これも断られました。
そして選挙戦に突入したわけでありますが、恐れていたとおり、この選挙の真っただ中に、後ろに松下議員がおられますけれども、新たな口蹄疫の発生が起こってしまいました。パニックですよ。まさに選挙どころじゃない。地域の方々は、殺処分、消毒、埋却、防疫、そういう仕事に忙殺されまして、選挙なんてもう頭から吹っ飛んでいましたよ。そういうときに選挙をやったことについては、私は、与党の責任は重いというふうに思うわけであります。
参議院におきましてはもっとひどいですね。総理に対する問責決議案、それから議長への不信任案を廃案に持ち込みたいということで、閉会中審査の手続もせずに国会を閉じてしまいました。ひどいですよ。そのために、参議院は、本会議はもちろん、すべての委員会において閉会中審査が今できません。大雨、洪水が日本列島を襲っておりますね。きょう、災害対策特別委員会の委員は現地視察に行っております。私も委員なんですが、これがありますから行けませんでしたけれども。そして、あす閉会中審査を開いて、委員からの報告、政府からの報告をいただいて、そして質疑をする予定になっています。参議院はこれもできないんですよ。
どういうことなんですか、この政府は。私は、これはまさに現政権が危機管理能力が全くない、それから責任感が全くない、そして現政権には政権担当能力がないことの証左であるということを厳しく申し上げまして、質問に入らせていただきます。
まず、大臣にお尋ねいたします。今、宮崎県民の間に広がっている気持ち、国に対する思い、どんなものだとお感じになっていらっしゃいますか。それは、政府に対する不安、疑念、そして将来に対する大きな不安でありますよ。それに満ち満ちております。基金のこともあやふやで。
さきの参議院選挙で、余り言うと嫌みかもしれませんが、宮崎は大勝利でした。すべての市町村で勝ちました。全国で三番目の得票を得ました。その選挙結果について大臣もお感じになることがあると思います。率直に御感想をお聞かせいただきたいと思います。
○山田国務大臣 たしか宮崎日日新聞の記者からも参議院選挙について聞かれたと思いますが、そのときお答えしたのが、今回の参議院選挙、宮崎においては、まさに口蹄疫のそれこそ真っただ中というか、大変な状況下にあったので、それぞれ選挙運動もできなかった。民主党から出た新人も、ほとんど知名度がなかった、運動できなかった、そういったこともあったんじゃなかろうか。実際、では、私ども国がやった今回の口蹄疫対策について、だからといって、大変な批判を受けているんだ、そこまでは今私どもは思っていないところです。
○江藤委員 大臣、物すごく認識が甘いですよ。
例えば、爆心地である川南町の話をしましょうか。投票率は衆議院選挙に比べて一五%も落ちました、一五%ですよ。それでダブルスコアですよ。都農町もダブルスコアですよ、木城町もダブルスコアですよ、新富町もダブルスコアですよ。西都市、これまで私が一番選挙の弱いところです、いい票をとったことがありません。そこでもダブルスコアですよ。政府による口蹄疫対策その他もろもろが、被災された方々、御苦労された方々に高く評価をされていれば、いい票が出ますよ間違いなく。いい票が出ますよ。
民主党という政党は、これまで民意という言葉を野党時代にさんざん使ってこられましたね、直近の民意。口蹄疫に対する国の対応については、畜産農家、地域経済、農家の方々、あらゆる産業の方々が明らかにだめ出しをしたんですよ、間違いなく。したんですよ。そう受けとめてください。別に私は意地悪を言いたくてこんなことを言っているんじゃないんです。
私が今回委員会で質問に立つということを地元で言いましたら、江藤君、どうしてもあんたに聞いてもらいたいことがあると。何ですかと聞きましたら、怖いと。我々は怖いんだ、こんなに大差で勝ってしまって、ぼろぼろにやっつけてしまって、これで政府が腹を立てて、ああ、もうこれ以上宮崎のことは余り熱心にやる必要はない、やりたければ県の単独事業でやればいいじゃないか、町の単独事業でやればいいじゃないか、そういうことになりはしないかということを、そんなことはないとおっしゃるでしょうけれども、本気で心配しているんですよ。
政治は怖いんですよ。なぜかというと、小沢氏の政治手法がそうだったからです。そうでしょう。土地改良の予算にしたって、農道の予算にしたって、ばっさばっさやったじゃないですか。農協に対する態度にしても、森林組合に対する態度にしても、協力するなら金をつけるけれども、そうじゃないんだったらばっさり切って捨てるぞと。そういうことがありますので、非常に恐れているわけであります。
ですから、大臣、お願いします。
大臣を私は信じると就任の日に申し上げました。ですから、この選挙結果は、よくやってもいただいていると思っているんですよ、一〇〇%だめだと私は言っているんじゃないんです。例えば十キロ圏内の補償の金額であるとかそういったものについて、非常によく地元の声も聞いてつくっていただいたものも多々あります。でも、満足はされていないし、将来に展望が開けるような内容ではないんですよ、間違いなく。
ですから、大臣、先ほどいろいろと御答弁もありましたけれども、どんなことをしても、この口蹄疫に関する、長い闘いですよ、本格的に復興するまでには五年、十年かかりますから。この間政府として、そのときには政権交代しているかもしれませんけれども、きちっと対応する、予算の心配はないと明言をしていただきたい。よろしくお願いします。一言で。
○山田国務大臣 財務大臣でもなく総理大臣でもないので、私から明言ということはできるわけではありませんが、現地に三週間いて、現地の農家の皆さん方の気持ちはわかっているつもりでおります。私もかつて畜産をやっていた経験もありますし、その再開に向けては農水大臣としてできるだけのことはさせていただきたい、そう思っております。
○江藤委員 大臣、残念ながら政治には限界があります。それは、私は、おやじの秘書もしておって、政治家を三期やらせていただいて、すべての国民の皆さん方の要望に一〇〇%こたえることは難しい、そのことはわかります。でも、宮腰筆頭からも御指摘があったように、特措法もつくり、菅直人総理大臣の所信表明演説もあるわけですから、それに基づいてしっかりやっていただきたいんです。今回、予備費で八十八億円追加していただきましたね。うれしいですよ。ありがとうございます。でも、全然足りませんよ。全然足りないということを申し上げます。
それでは、もう大分時間が経過してしまいましたが、これまでの委員会で私が何度も質問をいたしましたけれども、十分な回答を得られませんでした。まとめて聞きます。通告しましたからね、事細かに。事細かに御丁寧に通告しましたから、端的に御回答を求めます。副大臣でも大臣でも結構でございます。
まずは、家畜疾病経営維持資金。これについては、貸付限度額の拡大や据置期間の延長が絶対必要だということを私は何度も申し上げました。でも、結局のところ、枠の拡大とか金額の増大とか、そういったものしかやっておりません。これはやるんですか、やらないんですか、イエス、ノーでお答えいただきたいと思います。
次に、人工授精師、削蹄師、酪農ヘルパー、乳牛検定員、これらの畜産にかかわる人たちは全く仕事がないんですよ、これからずっと。この三カ月、仕事はありませんでした。これから先もないんですよ。この人たちのいわゆる所得の補償、そういった支援、雇用対策、これはやる気がありますか、ないんですか、お答えをいただきたいと思います。
次に、水田利活用自給力向上事業の飼料米についてお尋ねいたします。
前の委員会でも何度もお尋ねをいたしました。十アール当たり八万円ということで始まった事業ですよね、十アール当たり八万円。しかし、需要先が見つからなかったら、買い手が見つからなかったら三万五千円しか払いませんということに今なっております。これは酷ですよ。例えば、宮崎でホールクロップサイレージにして、熊本の人は買ってくれますか、買いませんね。鹿児島は買ってくれますか、買ってくれませんよ。やはり怖いんですよ、正直なところ。ですから、需要先を一生懸命探してみて、それでも見つからなかった場合は八万円を当然払うべきだと私は思います。
この御答弁を三個まとめてよろしくお願いいたします。副大臣でも大臣でも。端的に。
○山田国務大臣 ちょっと、一遍に聞かれるとわかりにくくなったんですが。
まずは、家畜疾病維持資金の拡大ということです。これについては、確かに、一戸当たり、個人だと二千万、法人だと八千万だと思ったんですが、一年据え置きの五年の支払いでしたか、二年据え置きの五年支払いでしたか、そういった形でやらせていただこうと、それは思っておりますが、それを、それでは足りない、その返済期間も長くしてくれという御趣旨かと思います。
今回、宮崎の児湯地区だけに限らず、熊本にしても鹿児島にしても、幅広く、できるだけ、今回そういった出荷できなくて困っている農家等々もありますので、家畜疾病維持資金については、これまで二十億の枠を三百億に広げさせていただきました。
二番目に、飼料米の前……(江藤委員「人工授精師とか削蹄師とか酪農ヘルパーの問題です」と呼ぶ)はい、わかりました。
人工授精師の仕事がなくなって収入がない、これについて補てんしてもらえないかというお話の質問は聞いております。
しかし、これにつきましても、例えば人工授精師さんについてだけそういう補償をするとか、ではそのときに、トラック、飼料を運搬したトラックの運送業者もしばらく仕事がない、ではその人たちに対してはどうしていくのか。際限なく補償しろ補償しろという形になれば、それができるわけではございません。そのために、今言ったようにファンドあるいはセーフティーネット資金、非常に安い、低利での無担保無保証の融資制度とか、あるいはいろいろな制度資金が用意されておりますし、雇用調整金等々についても今回特例措置を設けていただいております。それで何とか解決していただければと考えております。
さらに、飼料用米について、作付申請している場合には八万円出せることになっておりましたが、肝心の実需、いわゆる畜産農家との契約は実際には履行できなくなってどうしたらいいかというお話は私が現地にいるときからいろいろお聞きしておりました。
今、農水省、農政局、農政事務所にも話しまして、宮崎にいる養鶏農家、鶏卵農家、そういったところとマッチングしていただいております。または、どうしてもマッチングできなくて、この時点でもう飼料用米の栽培はやめたいといった場合には十アール当たり三万五千円は出せるようにしたい、そういう形で整理させていただきました。
○江藤委員 ゼロ回答ですね、ゼロ回答です。全くのゼロ回答ですよ。
何でトラックと人工授精師を一緒にするんですか。人工授精師は家畜を相手にした仕事しかできないんですよ。削蹄師だってつめを切る仕事しかできないんですよ。何でそれとトラックを混同するんですか。全くひどい答弁だと思います。とめたいところですけれども、次に移らせていただきます。
これからは、現場に即した質問もしていきたいと思います。
まずは、さきの国会でつくった口蹄疫対策特別措置法、これは明らかに修正する必要がありますね。例えば十九条「口蹄疫に対処するために要する費用の国による負担等」、この条文の「費用の全部又は一部を負担する。」、この表現がやはりまずかった。私も自民党案の法案の提出者の一人ですから責任を感じております、すべてそちらの責任にするつもりはありません。一緒にこれは直しましょうよ。全部国庫が負担するというふうに書きかえるべきであります。
そうしたら、よし、国がそこまで踏み込んでやってくれるのであれば、苦しいけれども、つらいけれども頑張ろうという気持ちにみんななりますよ。そういう明るいモチベーションを国が苦しんでいる方々に与える、それが国の一番の仕事じゃありませんか。
先ほど、また宮腰筆頭から、特措法の八条それから二十条、これに対する御質問がありました。これもひどいですね。時間もないし、もうここは省きます。宮腰筆頭の御意見に全く賛同するものでございます。
それから、家伝法の改正について。
篠原副大臣、宮崎、大変御苦労さまでした。最後まで、選挙期間中も御滞在いただきまして、意見交換をさせていただきまして、大変感謝をいたしております。
最後の日に電話で意見交換を若干させていただいたときに、篠原副大臣が、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律、こういったものとの整合性も、家伝法の改正とかそういったものをするときには一緒にやらなきゃいけないねということを御提言いただきました。私はそこまで知識がありませんので、ああ、なるほどなと思いました。
ですから、副大臣、ぜひ、関連する法律、徹底的に洗い出していただいて、万全を期したいと思うんですよ。次の発生がないことを祈りますけれども、あやふやな解釈ができないような、びちっと責任の所在が明らかになるような法律にしなければならないと思うんです。そういうふうに私は考えておりますが、副大臣の御所見をいただきたいと思います。
○篠原副大臣 お答えいたします。
家畜伝染病予防法は、農林水産大臣が科学的知見に基づいて防疫指針をつくり、大半の業務を法定受託事務として、地域の実情に精通している都道府県知事に任せております。
口蹄疫特別措置法につきましては、国が直接やれるものもあります。例えば、具体的な例で申し上げますと、曽於市と都城市はすぐ近くで、あそこで発生したら、もう鹿児島県、宮崎県なんて言っていられませんで、そういった場合は国が直接やる形になっておりますけれども、やはり原則的には、予防的殺処分とか消毒とかいうのは都道府県知事の法定受託事務になっております。
ですから、今回、そういった法律のもとに国と県が一体となっていろいろやってまいりました。しかし、最後のところで、いろいろ国だ県だというのがございました。これは、菅直人総理がすぐに宮崎県に来られまして、国家的危機管理だというふうに発言して、だから国が全面的にバックアップするという発言をして帰られました。私はそのとおりだと思います。
江藤委員に私の意見として申し上げましたのは、これは人の病気じゃないんですが、感染症、これにもかかわりますし、もっといくと国の一難あるときにもつながっていくわけですね。今盛んに地方分権、地域主権ということで、これは大事だと思います。しかし、このようなものについては逆でして、国が最初から指揮権を発動して、統一的な見解に基づいて、これは表現が的確かどうかわかりませんけれども、びしばしとやるということが必要なんではないかと思っております。この点では、山田大臣がきのうかおとといの記者会見でも申し上げておりますけれども、検討してまいる予定でございます。
既に我々は、第三者を含めた検証委員会を設けまして、一体この対応がどうだったかというのをきちんと見直すことにしています。そういった過程におきまして、どこをどのように変えたらいいんだろうというのをきちんと見きわめて、改正に進んでまいりたいと思います。
それから、何よりも、この法律は既に、検討するんだということを附則の六条におきまして、時限立法で、それまでにきちんと再度見直すと言っておりますので、口蹄疫特別措置法の附則ですけれども、そのようにしてまいりたいと思います。
○江藤委員 ありがとうございます。
確かにおっしゃるとおりでございまして、今回口蹄疫が発生して一番問題だったのは、どこが司令塔なのかはっきりわからなかったんですよ。例えば、都農町、川南町で問題が起こったときに、家保にお尋ねをすると、都城の家保に聞いてくださいとか、わけがわからぬですよ、どこが司令塔でどこが情報管理をしているのか。こういったこともきちっと今後やらなきゃなりません。
ですから、今副大臣が言われたように、まず、何が何でも国が責任をとるんだ、地方自治の時代とはいっても地方自治体に責任を押しつけるようなことはしないという確固たる法律改正、私はこの点非常に暗くございますので、副大臣の御指導をよろしくお願いいたします。
次に、特措法の二十三条、もう随分議論がなされましたから、そして副官房長官もかわられましたので、さっき聞いていらっしゃらなかったでしょう。ですから、話がかぶりますのでこれはどうしようかなと思いますけれども、とにかくこれはやらないとまずいです。
選挙期間中に、大臣は、都城に来られて、白紙だとおっしゃいましたね、白紙だと。宮崎日日新聞にそれが出ました。宮崎県民は本当にいすから転げ落ちるぐらいびっくりしましたよ。ええって。これに希望をつないでいたのに、この時期になってまだ白紙なのと。その白紙というのはどういう意味なんですか。省庁間の連絡がうまくいかないのか、協議がうまくいかないのか、それとも全く手をつけていないのか、一体どういうことなのかということです。もしこれができなかったら、宮崎県民の、いわゆる畜産家の、畜産に関係する人たちの心は現政権からは完全に離れますよ、完全に。これは裏切りです。法律違反でもありますし。
ですから、先ほど議論にありましたように、まず基金をつくって、そして、中小企業庁もいいでしょう、プレミアム商品券もいいでしょう。
プレミアム商品券もおかしいですよ。例えば、二十キロ圏外のところも、五ケ瀬とか椎葉とか、あんなところの商店街もプレミアム商品券を出しているんですよ。二十キロ圏内だけしか対象にしないんですか。
話せばどんどん長くなりますからやめますけれども、これは何が何でもやっていただかなければ困ります。この件は、先ほど古川副官房長官から御答弁いただいたんです。せっかく来ていただいて大変申しわけないんですけれども、御答弁いただきましたので、飛ばさせていただきます。申しわけございません。御用があったら御退席していただいて結構でございます。
次に、制限区域外で、家畜市場の開催を自粛している地域、独自に防疫に取り組んでいる地域に対する支援、これについて指摘をさせていただきたいと思います。
これは、発生県以外、大分とか佐賀とかこういったところも同じ支援が絶対に必要ですよ。制限区域外は殺処分されなかった、発生しなかった、よかったなとみんな思っているかというと、全然そんなことありません。今すごく苦しんでいます。
例えば、具体的にいいますと、発生農家やワクチン接種農家は、法律に基づいた補償、それから義援金、全国からも随分集まりました、そういったものがありましたから大変助かった部分もあるわけでありますけれども、しかし、競りの開催や種つけを自主的にやめているところについては何にも支援がないのであります。制限区域外の延岡とか高千穂、種つけを始めたのは七月の十六日です。やっと種つけを再開しました、びくびくしながら。この三カ月間種つけをしなかったということがどういうことだか、大臣ならおわかりになると思う。三回発情を見逃したんですよ、三回発情を見逃した。繁殖の世界ではこれは大変なことですよ、大問題ですよ。将来に大きな不安材料となります。
ですから、最近は、江藤君、久しぶりにトンボを使ったよという農家の方がいらっしゃいました。大臣はトンボというのを御存じですか。もう古い話ですから。トンボというのは、イージーブリードというものなんですけれども、女性もいらっしゃいますが、膣に挿入しまして発情を促進するというものです。こんなものは今まで要らなかったんですけれども、それさえ使わなければならなくなったというような厳しい状況なんです。そして、発情サイクルが狂うと、これまた受胎率が下がるんですよ。種つけしても、ちゃんと受胎するかどうかわからない。
非常に苦しい状況に二十キロ圏外の人たちも追い込まれているんだということであります。その分はやはり補償した方がいいんじゃないですか。当然私はすべきだと思います。一頭の繁殖母牛が、その生涯の中で七産、八産、九産できたものが、例えば四産とか五産しかできなかったら、将来当然得られるはずの所得が得られなかったということになるわけですから、これはやはり国の責任において私は補償していただきたいと思います。後ほどこのことについては答弁をお願いします。
さらに深刻なこともあります。種つけを三カ月やめました。これによって、次なる影響は、来年の、十一月、一月、競りに出す子牛がいないんですよ、当然のことながら。年末の十一月と年始の一月、一番お金の支払いの多いときですよ。このときに出す牛がないということは、これは大変なことですよ。このことについては、ぜひ今後、党内でも議論をいたしますけれども、民主党内でも、与党の中でもぜひ議論をして、対策を打っていく必要があります。このときに繁殖農家が倒れてしまう可能性がある。ぜひ御検討いただきたいと思います。今すぐ答えるのは難しいと思いますから、御答弁は結構です。
それから、制限区域外の種つけの自粛は、家畜伝染予防法、これに基づいてやったものじゃありませんよね。法律的に言えば、法律に書いていないことを勝手にやったんだという解釈もできるわけであります。でも、それでは政治の温かさ、ぬくもり、思いやりというものはそこにはかけらもありません。口蹄疫が発生したことによって被害を受けた人、特措法にも書いてありますよ、ですから、すべての方々にしかるべき支援ができるように私はしていただきたい。勝手にやったんだから知らぬよというような態度をとるのであれば、私は政府を許せませんよ。
制限区域外でも影響を受けた方々、十分な財政措置を行いますというふうに、今御答弁いただけますか。大臣、よろしくお願いします。
○山田国務大臣 人工授精師の皆さん方がいわゆる種つけを自粛しておった、その結果、こういうことになってしまった。確かに、三カ月、えさ代はかかるわけですから、三カ月自粛しておれば、それだけ経費もかかるということはわかります。
しかしながら、移動制限区域内の話ですか。(江藤委員「外」と呼ぶ)外、移動制限の外。であれば、普通であれば、それは種つけしてもよかったんじゃないかという気が私はしないでもありませんが。
自粛なさったということで、その分についても損害を見てくださいと言われると、今、なかなかそう簡単なものじゃないなという気が私自身はいたしております。
○江藤委員 非常に冷たい御答弁ですね。
菅直人総理大臣は、万全の措置を講じますと言ったんですよ。万全というのは百点でしょう。みんなが納得する、どこまでやっても、それは要望には切りがないかもしれない。だけれども、将来間違いなく得られるはずだった所得が失われるんですよ。人が亡くなったときには、例えばどんな会社に勤めていたとか年齢が幾つだったとか、それによって生命保険の金額だって変わるわけじゃありませんか。少し話が飛躍していると思うかもしれませんけれども。
これは、種つけすればよかったじゃないかというようなことを、百日たって今の段階で大臣の口から出るとは、私は想像もしませんでした。ひど過ぎますよ。これは要望書として自民党としてきちっと提出をさせていただきますので、検討してください。
宮崎県は、口蹄疫の予算を、補正予算五回編成しました。その総額は、一般会計の一割、五百九十二億円ですよ。そして、基金残高は二百十九億円まで減ってしまいます。そして、口蹄疫発生によって宮崎経済が物すごく傷ついた。建設業も厳しい、法人税を払える企業はつるべ落としに減っていますよ。来年度はどれほどの企業が法人税を払えるかどうかわかりません。県の自主財源はぎゅっと縮小するでしょう。それは地財法の中で穴埋めはしてもらえるんでしょうけれども。財政は厳しいんですよ。
さらに言わせていただくと、宮崎県は、ずっと東国原知事のもとで財政再建のための努力をしてきました。それでも追っつかずに、毎年基金から百五十億円を切り崩して予算編成をしてきました。二年後には予算編成ができません、宮崎は。宮崎は予算編成できません、そうなってしまいます。そのことを十分考慮していただいて、これから宮崎県に対する支援をしていただきたいということは、これは要望であります。
特交という話が先ほども出ておりましたけれども、特別交付税は交付税全体の六%、これはルールですよね。そうすると一兆円になります。そして、そのうち都道府県に毎年配分されるのは、例年一千二百億円ぐらいですね。最近は、先ほどお見舞いも言われましたけれども、水害が発生したりしております。これから大型の台風が来るかもしれない、もしかしたら地震が来るかもしれない。そうなると、そういうお金はこの特交から出るわけですね。そうなると、足りなくなる可能性があるんじゃないですか。もちろん、予備費で全部それを見るというのを断言してくれれば、それで私は納得いたしますけれども。
今回の八十億円を追加して四百十一億円となったこの予備費、このことも必ず、あわせて十分な予算は確保しますと、宮崎県民を安心させるために御答弁を求めます、大臣。
○山田国務大臣 宮崎県の県の財政事情も非常に厳しいお話も伺いましたし、各都道府県とも、自治体も国も厳しい財政状況にあるわけでして、その中で、今回こういう口蹄疫という災害の中で、商工業者とかいろいろな方々が、旅館も観光業者も、それなりに被害をこうむっているということもよく承知しております。
その中で、支援策について、特別交付金、いわゆる交付枠、交付税といったものをできるだけ迅速に、あるいは予備費の中からでもできるだけ迅速に早く出そうということは私が現地にいるときから随分話してまいりましたし、そういう意味では、仮払い、特交の概算払い等々もさせていただいてまいりました。今回も、もちろん内閣全体の問題ではありますが、今、宮崎県の要望をあれこれ聞いておるところですので、十二分に、できるだけのことはさせていただきたい、そうお答えさせていただきたいと思っています。
○江藤委員 きょうのところはその御答弁で納得をさせていただきたいと思います。
次に、私は、参議院選挙後、直接農家の皆さん方と各地でたくさん座談会をやりました。その中でいただいた疑念や不満、御質問についてお披瀝をいたしますので、ぜひお聞きください。その上で、これまで打ってきた政府の対応が十分であるのかどうか、そのことを私はゼロベースで考えてもらいたいと思います。
JA尾鈴の調査。約九割が再建したいと。JA尾鈴というのは都農と川南を管轄しております。九割の畜産農家が再建したい。すばらしいことですよ。しかし、その四割は、それに当たってはとても資金が足りないという回答をしているんです。自分のところに家畜が何頭いるかわかりますから、掛け算をすれば幾らもらえるかすぐわかるわけですよ。能力加算とかそういう部分は後でありますけれども、大体見当はつきます。四割の方々がとても足りないと言っているという事実を、まず大臣はよく御認識ください。
菅総理は、前も言いましたけれども、所信表明演説で、影響を受けた方々の生活支援、経営再建に万全を期しますと言ったんですからね。菅内閣なんですから、総理大臣をうそつきにしないようにしてください。
そして、六月十二日、総理就任後初めて、総理は宮崎県にお越しになりました。そのとき、びっくりしましたよ。日本の酪農にとって国家的危機だ、口蹄疫の問題が終息した後は、国において全力を挙げ、必要なことは全部やると。必要なことは全部やる。
このことはもう責めません、認識が甘いんですよ、総理大臣は。畜産のことを酪農と言い間違える。宮崎県民、あきれ返っておりましたけれども、ここは大目に見るとしましても、最後の言葉、再建に向けて全力を挙げる、これが一番大事なんですよ。
埋却、殺処分、蔓延防止、これはまさに闘いでした。これからは帳簿とにらめっこしながらの本当に苦しい闘いですよ、再建に向けての闘いというのは。これに全力を尽くすと、宮崎までわざわざやってきて言ったんですからね。これも必ず、総理大臣は内閣全体の問題だとおっしゃいました、守らせてください。これがもし参議院選挙目当ての発言だとしたら、私は許しませんよ。そのときは、大臣にも総理大臣にも私はおやめをいただきたいというふうに思います、責任をとって。
これからは、時間の関係上、通告を細かにいたしましたから、一遍に聞かれて困るとさっき言われた。通告を細かにしたんですから、丁寧に。もう時間がありませんからいっぱい質問します。端的にお答えください。
まず、子牛出荷遅延対策。助成対象、平均出荷日齢と三十日の翌月一日からというものがありましたが、これを、自民党農林部会の厳しい指摘を受けて、翌月一日というものを外しましたね。しかし、三十日は残りました。この三十日というのは何なんですか。農林省から説明を受けました。意味がわかりません、全く。農家の方々にも意味がわかるという人は一人もいませんでした。これはやめてください。平均出荷日齢にすれば簡単に済むことです。
それと、一日当たりのえさ代四百円。これもだめです。まず、家族労働費が十分に練り込まれていない。そして、牛がどんどん増体すると食べるえさの量がどんどんふえていっている。これじゃやれませんよ。これも見直してください。
それから、家畜共済。前にも指摘しましたけれども、疑似患畜農家は対象ですね。県が五分の一を払う。だけれども、ワクチン接種農家にはお金がもらえない。無事戻しの分、自分が払った積立金の分だけ返ってくるというお話ですよね。不公平じゃありませんか。農家の間に不公平感があるということが農政全体に対する不信感につながるんですよ。ですから、県が見舞金として払うのであれば、五分の一相当を国が払えばつじつまが合うじゃないですか。平等じゃありませんか。私はそれが大変有効だと思います。
そして、経営を再建しても、収入を得るまでには、長い人だと大体三年はかかりますね。経営が順調になるまでには十年かかると言われています。それは畜種によって違いますよ、豚や、酪農や、繁殖、肥育、それは違いますけれども、十年かかると言われております。しかも、その間は、家畜の導入費、えさ代、生活費、借金の返済、出費はどんどんふえていくわけであります。ですから、今までにいただいたお金では足りないということであります。どうやって生活したらいいかわからぬと。だから四割の方が金が足りないというアンケート調査が出るんですよ。
しかも、この手当金、ありがたいです、仮払いも迅速にやっていただいて大変結構だったと思う。しかし、これに税金がかかるのか、所得としてみなされるのかどうか、いまだに政府からははっきり示されていない。どういうことですか、もう百日もたっているのに。七月、八月に決算を迎える法人はどうしたらいいんですか。もう七月も終わりますよ。早くはっきりしてくださいよ。とにかく遅いんですよ、仕事が。遅いんです。
たくさん申し上げましたけれども、まとめて御答弁をお願いします。あと五分しかありません。
○山田国務大臣 一遍に三つも四つも言われるとちょっと困るんですが。
まず、子牛が三十日を超えた件について、何で三十日だというお話だったんですが、まず、競りは月に一回とか、私の田舎では二月に一回とかということで、生後八月から十月ぐらいまでの間に出荷して、平均生後九カ月ぐらいで出荷しているんでしょうか、結構その間の幅があります。仮に一月出荷がおくれたとしても、その月齢の子牛というのはそれだけ増体して、それなりに競りでは価格は上がってまいりますので、その分については三十日という設定をしたんじゃないか、そう考えているところです。
あと、ワクチン接種農家に対して、共済に入っている農家と共済に入っていない農家ですか、それについての質問だったと思いますが……(江藤委員「入っていない農家じゃないです。殺処分されたところは、五分の一出て、共済金も出たでしょう」と呼ぶ)
殺処分されたところは、いわゆる特措法に基づいて五分の五、全額出ますから、これは共済の適用がありません。共済の適用がないので、共済に入った人と共済に入らなくて殺処分を受けた人と、不平等じゃないかというお話がありましたので、共済に入っていた人は、その分の掛金を払ってもらうとか、そういう措置はさせていただいたと思っております。
税金について、いろいろ、どうなるのかというお話ですが、これについては、篠原副大臣が今回税制調査会の委員になりましたので、税制の中で検討させていただきたい、そう思っております。
○江藤委員 三十日の話は、三十日以内に出荷できればそれでいいでしょう。三カ月たったんですよ、百日。だから、この三十日は見るのは当たり前です。考え直してください。
えさ代の話は御答弁がありませんでしたね。考えてください。
共済の話はよくわかっていらっしゃらない。無事戻しという話はもうよく知っていますよ。だけれども、いわゆる疑似患畜で殺処分された人は五分の四が出て、五分の一相当は県から見舞金が出て、さらに共済金の支払いが受けられる。だけれども、ワクチン接種農家は、国から五分の五出るから、共済金の今まで払った分、一頭当たり二千円とか三千円ですよ、それしかもらえない。蔓延防止に協力をして泣く泣くワクチン接種を受け入れたのにもらいが少ないというのはおかしいじゃありませんか。これは国の思いやりですよ。思いやりとして、御協力いただいてありがとうございますといって相当額を払ったって大した金額じゃないじゃないですか。万全な対策と言うんだったらそれをやってくださいよ。
それから、税金のことですけれども、私は、法人は七月、八月と言いましたよ。早くやってください、早く。早くやってもらわないと本当にみんな困っているんですから。金ないんですから。借金して税金を払えという話になりますよ。
あと五分しかありませんね。それでは何をやりましょうか。二十五ページ中十四ページしかできておりません。(発言する者あり)次をやりたいので、済みません。友党の御意見ですけれども、次へ行かせていただきたい。
次に、競りが本格的にまた再開された後の心配を申し上げます。
購買者の方々に対してはいろいろとお金を提示されていますね。九州管内は一頭当たり千円だ、九州管外は二千五百円だと。こんなのは全く話になりません、全く話になりませんよ。
なぜかというと、もう牛は、例えば児湯は、八月の競りは、先ほど言いましたように九月の中旬なんですよ。五百キロですよ、もう若牛ですよ、子牛じゃありませんよ。普通、牛の購買者というのは、トラックを引いてきて、二十六頭ぐらい載せるんですね。でっかい牛ですから、十八頭とか十九頭しか載りませんよ。ということになれば購買者はどうするかというと、トラックの台数をふやすか、もしくは買う頭数を減らすしかない。これは大変ですよ。
口蹄疫が発生してすぐの委員会で、私は赤松大臣に申し上げました、いわゆる十年前にやった市場に対する支援百万円、これをやる必要がありますよと。そして、あのときは一笑に付されましたね、そんなものは国民の理解を得られないと。でも、百万じゃとても足りない話になっていますよ。実際に予備費だけで四百十一億円プラス八十数億円じゃありませんか。とんでもないお金がもうかかっているわけであります。このことについても十分に御検討をいただきたいと思います。このことはもう御答弁は求めません。
次に、マル緊、これが非常に問題になっています。
二十キロ圏内は免除ですね。積立金も免除です。ところが、二十キロ圏の外になると、これは免除になっておりません。これは不公平ですよ。
それに、疑似患畜やワクチン接種で殺処分された牛、これは四―六月期に出るであろうマル緊が出ないんですよね、出ないんです。お金をもらえないんですよ。ワクチン接種を受けないで生き延びていれば、これはもらえたお金ですよ。国に協力したためにもらえるはずのお金がもらえない、これはおかしいじゃありませんか。
実施要綱を読みました。確かに、その中には「契約肥育牛を販売した場合」というふうに明記をされております、「販売した場合」と。販売していませんよ。殺処分したということは、ある意味、国に買い取ってもらったのと同義だというふうに理解していいんだろうと私は思います。ですから、殺処分された牛に対しても、みんな財政的に苦しんでいるんですから、四―六月期のマル緊をきちっと支払っていただきたい。これは養豚経営対策の拠出金についても同様の対応を求めたいと思いますが、御答弁を求めます。
○山田国務大臣 マル緊事業そのものは、生産費と、いわゆる販売高、収入との差額の八割を補てんする、売った場合に経費がかかり過ぎた場合に補てんするという制度です。
今回は、そうじゃなくて、いわゆる殺処分する、ワクチン接種した家畜に対しては全額、損失の八割ではなく全額補てんする、時価評価による評価ですから、そして、ワクチンを打っていわゆる殺処分するまでの間の飼料代も見ておりますから、マル緊制度以上に十分な手厚い手当てをしたものだと私は考えておりますし、さらにそれにマル緊制度の分まで上乗せしろというのは、ちょっとそれはという気がいたしております。
○江藤委員 大臣、それはごまかしですよ。最初にマル緊のことも考えて価格の設定をしましたか。していないでしょう。まあ、したと言われればそれまでかもしれませんけれども。私が地元でこの足で歩いて、我々は積立金を払ってきたんだ、ワクチン接種を受けなければ今も生きていてマル緊が出るんだ、どうしてもらえないんだ、そういう生の声なんですから、現地の声にはこたえてくださいよ。
もうあと二分ぐらいしかありませんから、ぼんと飛ばします。
ふん尿、堆肥の問題です。これは、七月一日、農林省から通告が来ました。これは確かに、全部埋めようと思ったら、六メートルの幅で十キロ掘らなきゃなりません、十キロ。とんでもない量なんですよ。ですから、ブルーシートでやるという方法も仕方がないかもしれませんが、しかし、地元では水分量が多い、ことし、宮崎は雨がすごい多いんです、にわか雨とか。本当に六十度以上になるのかどうか不安で仕方がないんですよ。大臣はこれで間違いなく大丈夫だというふうに断言できるかどうかをお聞きしたいんですが、時間がない、もうやめろということでありますので、もう答弁は求めません。
最後に、お願いをいたします。
本当であればまだ聞きたいことが山のようにあって、あれでありますけれども、ぜひ、すべてが一段落をしたら、国による慰霊碑の建立それから慰霊祭、それをきちっと私はやっていただきたいということを強く最後に要望したいと思います。私は、今回の口蹄疫問題で人生観が変わりました。人間というのはいかに罪深い生き物なのか。産業動物とはいえ、これほどの家畜を殺してしまって、それであとは経営再建だ、それだけじゃいかぬと思うんですよ。きちっとした慰霊祭をやって、みたまの安らかなることを祈って、そして次のステップを踏むということが必要だと思います。ぜひこれは御検討ください。
そして、口蹄疫は八月二十七日で終わるんじゃありませんよ。途中でも申し上げましたけれども、経営再建こそが最も厳しいイバラの道なんです。ですから、これからの委員会でも、これから二年、三年、四年、政権交代があってもなくても、このことについては、委員各位の皆様方、政務三役の皆様方、御協力をいただいて、ぜひ風化させることのないように、忘れることのないように、いつもお心にとめていただきますことをお願い申し上げまして、質問を終わります。
どうもありがとうございました。
○筒井委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時五分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○筒井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。坂本哲志君。
○坂本委員 自民党の坂本哲志でございます。
午前中の宮腰委員そして江藤委員に引き続き、口蹄疫の問題で質問をさせていただきます。
四月二十日の、口蹄疫、宮崎での発生から一週間あるいは二週間、十日たった時点で、私たちは、今回の口蹄疫はこのままでは済まない、昭和二十六年に成立した家伝法では到底これは処理することができない、そういうことで、特措法の成立、特措法の設置、これを呼びかけました。
私自身も、今の家伝法上の問題、あるいはこれからの再建のための支援、こういったものを考えるときに、農林省でできる財政支援、あるいは総務省での特交の本来の法の趣旨、そういったものを考えた場合には、どうしてもやはり特別措置法が必要であるというようなことで主張をしてまいりました。
そういう質問もしたところでありますが、当時の赤松農林水産大臣は特別措置法の成立に消極的でありました。現行の法律の範囲で処理できる、財源的にもそれで十分であるというような趣旨の答弁をされております。
しかし、私たちは、到底それでは無理だということで、五月の十八日に自民党内でPTをつくりまして、宮腰先生に座長になっていただきまして、都合七回、日夜含めて、専門家も呼びまして審議をいたしました。そして条文をつくり上げて、委員会の方に提出したところであります。
この間、民主党さんの方でもいろいろな論議があって、特措法の準備はされたようでありますが、結局未提出となっております。未提出となりましたその案文を後で拝見させていただきましたけれども、例えば、本部の設置は明記されていないとか、あるいは蔓延防止の措置に関するその他の規定がないとか、あるいは家畜の所有者に対しての支援措置が交付金制度や現行の家伝法の延長線上にあるとか、非常に大ざっぱで、法案あるいは条文と言える代物ではありませんでした。
結果として、委員長が特措法の必要性を認められ、そして委員長提案、また自民党、公明党が提出しました特措法案、こういったものも含めて、最終的に全会一致で国会終了前に成立をいたしました。
もし、あの特措法が成立しないまま国会を閉じていたならば、今ごろはどうなっていただろうかというような気がいたします。支援措置にいたしましても、あるいは補償措置にいたしましても、あるいは埋却、殺処分にいたしましても、どれだけの混乱が生じていただろうかというふうに思っております。
そういう点で、当時、特措法の成立に消極的でありました赤松大臣のもとで副大臣をされておりました山田大臣、今改めて、私たちは特措法をつくっていて、まずその礎ができてよかったなというふうに思うんですけれども、大臣として今度の特措法に対してどう思われていますか。
○山田国務大臣 赤松大臣当時、特措法については確かに消極的ではございました。確かに、家伝法に基づいて、えびの市においては、まさに七十二時間以内に殺処分、埋却をきちんと終えて、そして発生を封じ込めることができた。えびの市のように、川南とか、あの地域でもそうしておれば、私は、特措法の必要はなかったんじゃないか、そう思っております。
しかしながら、川南の発生のときには、我々国が四月二十日に聞いた時点では、抗体検査結果等によりますと、既に十農場以上で発生しておった。そういう中において、埋却地もない。私が行ったときも驚きましたが、埋却地にすぐ埋めてくれと言っても、不公平が生ずるから埋められないとか、いわゆる殺処分できないでいる牛、豚の疑似患畜、患畜だけで七万頭という事態にまで至った。そういうときに、ワクチンを接種するしかない、そうなりますと強制殺処分をするしかない。消毒も、単に一般車両まできちんと消毒するとしたら、強制的な消毒しかない。そうなってきたら今の家伝法では間に合わない。
そういうところから、私は、当時の筒井委員長にお願いいたしまして、ぜひ特措法をつくっていただきたいと。赤松大臣にもお願いいたしまして、ぜひ特措法で強制殺処分並びに強制消毒等をやっていただきたい、そしてリングワクチンを接種して、何としても封じ込めなければいけない、そういう判断のもとに特措法をお願いいたしました。そういう意味では、あの時期特措法は必要であった、それは私自身もそう考えておりました。
ただ、発生直後、えびの市のように本当にマニュアルどおりに、当時の指針どおりにやっておれば、あれだけの拡大は防げたはずです。
○坂本委員 宮崎のことは江藤先生あたりが一番知っていると思いますけれども、えびのに飛び火して、そこで事態を収拾したことと、それから川南町、こういったところで発生し、結果として蔓延を招いたことを私は同時に考えてはいけないと思うんです。飼育の仕方あるいはその経営体、全く違いますから、私たちは、えびの市になぜ飛び火したのか、もっと突き詰めてやるべきだと思っております。
なかなかこれは裏がとれませんので、できておりませんけれども、私自身は、これからさまざまな家畜の伝染病が出てくる、そういう中において常に、昭和二十六年に制定された家伝法、これでは処理できないんだ、間に合わないんだ、そういう危機感はいつも持っていていただきたいし、特措法の準備というのは、発生時点から、この事件が、あるいはこの口蹄疫がどれだけ大きなものに広がるか、そしてそこでどういう処理をしなければいけないかというのは当然、所管の大臣として、あるいは所管の政務三役としてわかるはずでありますので、ぜひ当初から特措法の準備、こういったものは入念にやってほしかったなというふうに思いますし、今、特措法の必要性を十分認められたのであるならば、法に従って、午前中に基金の問題等も出てきましたけれども、後でまた質問いたしますけれども、ぜひその重要性もお認めいただきたいというふうに思います。
そして、家伝法の問題でありますけれども、これからの口蹄疫あるいはBSE、あるいは家畜に関する伝染病、これは世界同時多発テロと同じような意識を持って対処していかなければ大変なことになるというふうに思います。
そういう点で、家伝法の問題について言えば、これは昭和二十六年に、先ほどから言いますように、成立をしております。そして、その法の組み立ては、農林水産省の省令に従って、その地域地域の都道府県知事が報告について判断する、あるいは処理について判断する、あるいはいろいろな状況について判断する。省令の指針に沿って知事が判断するというような法の組み立てになっております。
これは、当時の畜産というのがまだまだ地域で小規模で、そして個性のある、特性のある飼育の仕方をしていたということからきていたと思います。そういうことで、地域の判断にゆだねるということが多かったわけでありますけれども、今のように大規模化、そして非常に広域化、そして繁殖から肥育に対しての移動の拡大、こういったものも非常に大きくなっているわけですので、私はこの点も踏まえて抜本的に改正をしていかなければならないと考えます。
そのためにはかなりの時間も必要であると思いますが、まず、都道府県知事というのが主語になっている部分がかなりございますので、これをやはり、国の権限を強化する、主語を国にすること、そして早急に封じ込め、あるいは処理しなければいけない。このことに対しての緊急性を考えた場合には、国の権限をもっと強くする、そして国の責任も強くする、またその後の支援措置も強くする、こういう対応がやはり必要であると思います。
そういうことで、今後の改正に当たっての論点、そしてその論点を整理して家伝法改正まで持っていくためにはいろいろな論議が必要だと思いますけれども、時期的に見ていつぐらいに改正法案を出されようとするのか、このことをお答えいただきたいと思います。
○山田国務大臣 今回の口蹄疫対策は家伝法その他に基づいて当初なされたわけですが、これは法定受託事務で、第一義的には県の方でやるということになっておりました。しかしながら、実際には、あれだけの感染拡大で、国の対応がおくれたとか、国の責任が国会でもいろいろ取りざたされてしまいました。そういう意味からも、今回、こういう場合においては、単なる県に任せるだけではなく、実際に国がみずから出向いて危機管理をやらなければいけないんだ。それは確かに、私ども今回の件で、学習いたしましたと言ったらおかしいかもしれませんが、そう考えさせていただきました。
そういう意味で、家伝法における危機管理、こういったものについては、今回第三者委員会を立ち上げましたので、客観的に、今回の場合にも、国のどこに初期の対応のおくれがあったのか、県のどこに対応のおくれがあったか、市町村においてはどうであったか、そういったものも含めてすべて検証したいと思っております。できれば八月、あるいは九月の初めには中間報告を取りまとめられればと思っているところです。
それをもとにして、私どもは家伝法の抜本的改正、見直しを図りたいと考えておりまして、できれば来年の通常国会に家伝法の改正法案を出させていただきたい、そう考えているところです。
○坂本委員 家伝法の改正といっても、今の家畜伝染病、さまざまな症状あるいはさまざまな病気、こういったものがあります。一カ月、二カ月、三カ月の審議でもって、それで抜本的な改正というのはなかなか厳しいと思われますが、本気で来年の次期通常国会に提出する、スケジュールとしてはそれでいいんですか。もう一回お伺いします。
○山田国務大臣 そのつもりで準備いたします。
○坂本委員 ぜひその審議の過程で、地域の実情、宮崎県も含め、あるいは九州も東北も、あるいは本州、それぞれの畜産地帯、あるいは外国の事情も含めながら、本当に現代の家畜伝染病予防に資するような予防法に改正していただきたい。私たちも、そういう点では今後大いにいろいろな議論をさせていただきたいと思っております。
そして、私が特別措置法の主張をいたしましたときに、総務省に対しましても、やはり予算措置の問題で非常に無理があるところが出てくる、一方で農林水産省の交付金を共済金に使い、その上乗せ分を特別交付税、特交でやる、特交の趣旨と農林水産省の方の法の趣旨が本当にそれで整合性がとれるのか、農林水産省あるいは総務省、こういったところの調整というものをもっと入念にやるべきではないかというようなことを申し上げました。
今、各自治体は、緊急的にみずから予算を組んで、消毒をやり、あるいはさまざまな支援措置を都道府県独自でやっております。例えば熊本県の場合には、消毒だけで三億二千万の予算を組みました。また、家畜市場のおくれに対しましては、家畜市場は自分の運営がありますので早く開きたい、県は開いてくれるなというわけでありますので、県が音頭をとって相対取引で子牛の売買をお世話するからというようなことまでやりました。
県独自でいろいろな財政的な措置を緊急的にやったところでありますが、緊急にはやりましたけれども、この後、果たしてどれだけの措置がどういう形で来るのかというのが非常に不透明であります。特別交付税でどこまで見てくれるのか、あるいは地方交付税の対象になるのかどうか。また一方で、農林水産省の交付金がどこまで来るのか。
先ほど午前中に言われましたように、搬出制限区域にかかった鹿児島と熊本については遅延支援対策というのが適用されるけれども、それ以外の佐賀や大分には支援されない。そのことは、果たして法の優越性というのはどちらにあるのかということを考えた場合には、非常にやはり地方としては混乱するであろうというふうに思います。
ですから、これはまず総務省にお伺いいたしたいと思いますけれども、これまでさまざまに行われました防疫対策、こういったものに対する措置、あるいは県独自の支援措置、そういったものに対して今後どういう仕切りをしていくのか。どういう形で、特別交付税の枠を決めるのではなくて、特別交付税の筋道というものを立てていくのか、お聞かせいただきたいと思います。
そしてもう一点、きょう午前中に基金の問題がございました。基金は今回の特別措置法で明記されていることであります。これは本来ならば内閣府でありますけれども、私は、地域の支援にかかわることでありますので、最終的にはその仕切りは総務省がやるべきであるというふうに思っております。その基金のあり方、今後の設置についてもあわせて総務省の方にお伺いいたしたいと思います。
○小川大臣政務官 まず、さきの国会を含めまして、本委員会でさまざまな御議論をいただき、御指導をいただいてまいりましたことに深く敬意を表したいと思っております。それがあってこそのこの間の具体的な措置の検討であり、この間の成果であろうと思っております。
その意味で申し上げますと、幸いにもと申し上げますか、宮崎県以外では殺処分あるいはこれに伴う損失補償ということは出なかった。非常に不幸中の幸いであり、先生のお地元である熊本県を初めとしたさまざまな関係者の御尽力のたまものであろうと思います。
しかし、今御指摘になられましたとおり、車両消毒の義務づけ指定地域としてさまざまな御負担をいただいている。消毒ポイントの設置だけで三億円余り、その他の農家に対する支援を含めますと六億円余りの予算措置を熊本県におかれては既になさっておられる。
午前中の御答弁でも申し上げましたが、こうした特措法に基づく事業、またそれに伴う事業については、その地方負担分を全額特別交付税で措置をさせていただく決意でございますので、ぜひとも御理解をいただきたい。大変強い決意で臨んでおりますことを改めて強調させていただきたいと思います。
○坂本委員 その決意をぜひ現実のものにしていただきたいと思いますが、これは通告しておりませんでしたので、基金のことについてはいかがですか。
○小川大臣政務官 大変失礼をいたしました。
基金につきましては、その成り立ち等々、まだ法律の条文そのものが非常に骨格だけでございまして、この具体的な検討はこれからでございます。
いずれにしても、十分地元の都道府県の御意向などをよく踏まえながら、関係省庁とも協議をしてまいりたいと思っております。
○坂本委員 基金の問題については、またこれから予算委員会等々で質問があります。ぜひ地域支援措置として設置しなければいけないことであるし、総務省はまさに先頭に立ってそのことを主張していただきたいというふうに思います。
あと、それぞれ各論について御質問させていただきます。
まず、今回の口蹄疫、一月に韓国で発生をいたしました、一月七日だったですかね。それから一時終息をいたしまして、また二月から三月にかけて韓国で発生した。その後、四月の二十日に日本での、宮崎での発症が確認されたというような経緯をたどっております。私は、この一月に韓国で口蹄疫があった時点で、あるいは台湾で口蹄疫が大きな問題になった時点で、もっと大きな警告あるいは警報を出すべきであったというふうに思います。
その出し方というのはいろいろあると思います。各県によっては、ステージ別にいろいろな、レベルワンからレベルフォーまで、あるいはレベルファイブまでつくっているところもあります。農林水産部長で対応するところ、あるいは県知事で対応するところをつくっておりますが、国においては、今、そういった警報あるいは警告についての統一的な基準がありません。
これからは、朝鮮半島にいたしましても、中国にいたしましても、台湾にいたしましても、この口蹄疫の問題はやはり常態化してきます。その都度その都度、非常にきめ細かな警告体制が必要と思います、警戒情報システムを新たに策定すべきであるというふうに思いますが、まずその点についてお答えください。
それからもう一点、一緒に質問します。
それと、早期発見ができなかったということは事実でありますし、農業新聞等によりますと、あるいは疫学の調査チームによりますと、三月の時点で本来ならば発症していたんだというようなことが報告をされております。
やはり、早期発見のための対応策が必要であります。しかし、今、特に肥育につきましては、三百頭、四百頭ではなくて、千頭、二千頭の単位で飼育の大型化が進んでおります。果たしてこの状態で目視あるいはその他の検査も含めて早期発見ができるのかどうかというのは非常に難しい問題であると思いますが、私は、管理獣医師を含め、社員への教育の徹底、そして国や都道府県が責任を持って早期発見のための研修体制を常時開いていく、さらには、さっき言いましたように、台湾の情勢、朝鮮半島の情勢、中国の情勢、欧州の情勢、オーストラリアの情勢、こういった情勢を逐次情報として発信していく、この繰り返しが本当に大切だと思います。
この警戒のための情報システム、そして早期発見のための研修やその他の国の、制度化、これについてどうお考えでいらっしゃいますか、お伺いしたいと思います。
○山田国務大臣 昨年の台湾の発生とか韓国の発生、発症等々については、私ども農水省としてはよく承知しておりましたので、昨年、再三にわたって、近隣各国でこうして口蹄疫が発生していて日本も非常に危険なので厳重な警戒をするようにというのは、各都道府県に通知しておきました。特に、昨年の十二月には、いわゆる殺処分の用意、埋却地まで確保しておくようにという通知も国としては出しておきました。
しかしながら、今回、残念なことにこういうことになってしまいましたが、実は昨日、全国の都道府県の畜産課長さん及び畜産関係団体、農水省の講堂に約二百人ほど集まっていただきまして、その中で、早期発見、早期対応について、宮崎の口蹄疫の実情を報告しながら皆さんにお話をさせていただきました。
それ以前に、今回、私の方で新しい指針を、これから先も、今もアジアで猛威を振るっている口蹄疫がいつ日本で発生をするとも限らない。そんな中、まずは、各農家が異常な家畜、いわゆるよだれを出したりびっこを引いたりする家畜について早期に発見したら、二時間以内に獣医さん、家畜防疫員が現場に駆けつける。駆けつけてデジタル写真を撮ったら、その写真を動衛研、国の方に送っていただければ、今はほぼ写真判定で一〇〇%確認できます、写真判定で確認したらすぐに折り返し連絡をするので、それに基づいて二十四時間以内に必ず殺処分していただきたい。そして、七十二時間以内に埋却していただく。そういうマニュアル、指針を今私どもの方で各都道府県に徹底させていただいているところです。
いずれにしても、これから先、またこういう事態がいつどこで起こってもおかしくないという状況下にあります。全国の畜産農家、畜産関係者の皆さん方は、より厳しくこの口蹄疫対応、危機管理に対してしっかりやっていただきたいし、国としても、国の家畜改良センターにおきまして、今回、緊急部隊というのを用意いたしました。もし仮にどこかで発生したら、直ちに駆けつけて、資材その他も含めて、約四十人のメンバーを今構成して待機させているところです。万全の用意はさせていただくつもりでおります。
○坂本委員 去年から厳重な警戒体制をとっていたという割には、現実的に結果として初動態勢がおくれたというのは、私は言いわけでしかないというふうに思います。ですから、しっかりとした警戒体制、情報システムはつくっていただきたい。
それから、今言われましたけれども、何百頭、何千頭といる中で、写真を送って、それで早期発見というのは、非常に考え方そのものが安直であるというふうに私は思います。PCR検査でも出なかった牛が大変多いわけです。また、黒毛和牛の場合には非常に見分けがつきにくい、目視でも見分けがつきにくいという問題がありますので、私は、もっと専門家の意見を取り入れて、本当に綿密な形での早期発見、何ができるのか、どういう形でできるのかということをやるべきであるというふうに思います。
そしてもう一つ、発症後の蔓延対策でありますけれども、今回は宮崎という地域でした。川南町、都農町にしても、前は海でありました。そして、九州の中の宮崎であります。宮崎に封じ込める、封じ込めるという点では、私はそれは成功したのかもしれないと思います。しかし、これがえびのから鹿児島あるいは熊本に広がっていた場合にはまた大変な問題になっていたでありましょうが、条件としては、例えば宮崎から隣接他県に広がったら南九州で抑える、あるいはそれから広がった場合には九州でやはり抑えていく。九州の場合には一つの島でありますので、いろいろな対応の仕方があると思いますが、これがもし近江牛の肥育地帯や松阪牛の肥育地帯、あるいは東北の米沢牛や盛岡牛あたりの肥育地帯で起きた場合、この風評被害あるいは都市経済への混乱、大都市近郊や本州で起きた場合の混乱というのは大変なものになると思っております。
私は、ステージ別にそういう蔓延防止対策あるいは防疫対策を今しいておかなければいけないというふうに思っております。移動制限区域の十キロ、あるいは搬出制限区域の二十キロ、さらにはそれ以外の防疫体制についてももう一回練り直すこと、広域体制としてどこまでどれをどうするのかということをもう一回練り直す、その用意をぜひしていただきたいと思いますけれども、いかがですか。
○篠原副大臣 委員の御指摘は、ごもっともだと思います。
我々日本では、OIEの基準があるわけですけれども、それに基づきまして、移動制限区域は十キロ、搬出制限区域は二十キロにしております。蔓延防止のことを最優先した場合は、十年前がそうだったわけですけれども、三十キロとか五十キロとか、広げた方がいいわけですけれども、先ほど午前中、江藤拓委員の質問の中にもありました、移動制限、搬出制限を受けますと、非常に出荷がおくれたり授精ができなかったりして、経済的に打撃が大きくなるわけです。ですから、どこをピンポイントとして防疫措置を講ずるかというのは、各国とも頭を悩ませているところではないかと思います。
我々は、今のところ、ほかの地域で発生した場合にも十キロを移動制限区域とし、二十キロを搬出制限区域とするということでいいのではないかと思っております。なぜかといいますと、確かに、川南のところでは初動がちょっとおくれたんだろうと思います、蔓延してしまいましたけれども、よく例に出されますえびの市の場合は、先ほど山田大臣が説明しましたとおりでございますけれども、早期発見、そしてすぐ、二時間で連絡し、二十四時間で殺処分し、七十二時間以内に埋却措置を講じるということで封じ込めしておるわけです。ですから、こういったことでもって処置していかなければならないんじゃないかと思います。
ただ、今御指摘の、では本州で、もっと都市の地域で起こった場合はどうかというと、これはやはり全く違った対応をしなければならないんじゃないかと思っております。そういった場合は、その時々で機敏な対応をして、防疫措置をきちんとしてまいりたいと思っております。
○坂本委員 その時々でというのが、また今回のような事態を招くんですよ。ですから、シミュレーション、マニュアル、これは全国どの地域でどういう規模で発生したか、発症したか、これに向けてやはり今からつくっておくべきである、でないと大変なことになってくると私は思っております。
きょうは文部科学省と国土交通省からも来ていただいておりますので、こちらの方の質問を先にやらせていただきます。
今回、獣医師の確保が大変でありました。獣医師の育成、養成、これは非常に、特に大動物、産業用動物の場合には難しくなってきております。どうしても、小動物あるいはペット用、こちらの方に六割から七割の方が志願される、そして大動物は三割から四割である、その中で産業用動物は一割に満たないというようなことであります。
特に私立大学は、獣医学科が五大学あると聞いていますが、私大の運営上、ほとんどがやはりペット、小動物を中心とした獣医師の育成でありますので、産業用動物は、どうしてもこれは国立大学が責任を持って育てるということでやらなければなりません。十年ぐらい前に、宮崎大学や鹿児島大学、あるいは西日本の獣医学科関係の大学を再編して、そこで獣医学部として大動物、産業用動物の獣医師を育成するというような案が立てられたようでありますが、それぞれの大学の思惑が交錯いたしまして、それが頓挫をいたしてしまいました。
これからの産業用動物の獣医師確保対策あるいは獣医師の育成対策についてどういうようなお考えでおられるのか、まずお伺いをいたします。
そして、国土交通省には、やはり港湾そして空港の、人の検疫体制が本当に必要だと思いますし、特に靴底についたさまざまなウイルスに対する防疫体制をやらなければ、いつ、どこから、どういう形で入ってくるかわかりません。釜山と福岡を結ぶフェリーもありますし、それから船舶もあります。あるいは、中国の方から、韓国の方から、それぞれの空港には特別便あるいは定期便が来ております。
人に対する防疫体制、これを農林水産省ともどもに連携してやっていくべきだと思いますけれども、それぞれに、文部科学省、国土交通省からお答えをいただきたいと思います。
○鈴木副大臣 お答えを申し上げます。
現在、大学におきます獣医師の養成は、十六大学で総定員九百三十名によって行われております。この中で、産業用動物の獣医師の養成に大きな役割を担っております国立大学の獣医学科等は、御指摘のように、入学定員、それに伴いましての教員数等々も小規模でございますので、お話ございましたように、昭和五十年代よりこの再編についての議論が行われてきておりますが、御指摘もいただきました、これまでの統合を中心とした提案は、それぞれの大学、そして何よりもそれぞれの御地元の御同意が得られていないということで、実現に至っていないというのが現状でございます。
一方、大学院における獣医学教育の充実、連携強化を図るという観点からは、平成二年に、東日本そして西日本それぞれに連合大学院を設置いたしておりまして、高度な専門能力を備えた獣医師や研究者を輩出しているところでございます。
加えまして、統合ということになりますと、統廃合ということになりますので、これは先ほど申し上げたように大変厳しいわけでございますが、現在、大学設置基準を改正いたしておりまして、複数の大学の学部が共同で教育課程を実施することは可能といたしております。
これを踏まえまして、現在、幾つかの獣医系大学におきまして、例えば、北海道大学と帯広畜産大学でありますとか、あるいは岩手大学と東京農工大学でありますとか、山口大学と鹿児島大学、こういった大学におきまして、それぞれが得意とする分野を結集した形での獣医学の共同教育課程の実施に向け検討を進めているところでございまして、文部科学省としても、そうした設置の促進に努めてまいりたい。いずれも平成二十四年四月の開始を目指しておられるというふうに伺っておりますので、私どもとしてもそれを応援してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○長安大臣政務官 お答え申し上げます。
私ども国土交通省といたしましては、五月中旬から、国道上での車両用消毒マットや消毒槽の設置協力等を行ってきたところでございます。
六月十日に都城市で患畜が確認されたことを受けまして、空港及び港湾を含む公共交通機関において、移動制限区域及び搬出制限区域内を通過する路線における乗客用の消毒マットの設置、及び自治体等から要請があった場合の協力等を行うよう、各事業者や出先機関に対しまして要請を行ってきたところでございます。
また、六月十一日に西都市、日向市及び宮崎市におきまして患畜が確認されたことを受けまして、九州地方整備局また九州運輸局の合同支援本部を設置いたしまして、自治体等からの要望や現地の対策状況に係る情報収集、対策の検討、協力を行っているところでございます。
二十七日、昨日でございますけれども、宮崎県内のすべてで移動制限区域及び搬出制限区域が解除されたところではございますけれども、国土交通省といたしましては、引き続き、空港、港湾における水際対策や現地の復興を含む口蹄疫対策を積極的に推進していく所存でございます。
○坂本委員 いつ、どこから、どういう形でウイルスが入ってくるかわかりません。今の搬出制限区域内の空港、港湾ということではなくて、やはり全地域で日常の防疫体制を実施すべきであるというふうに私は思いますので、ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。
時間がなくなりましたので、最後、一つだけ要望をしておきます。
やはり埋却処分には限界があります。特に、熊本のように飲料水を全部地下水に頼っているところでは、仮に埋却処分が行われるとなると、これは大変な反発を招くことになります。やはり、焼却処分、埋却処分、それぞれ含めたものが必要であると思います。
熊本も、そして鹿児島も宮崎も化製場を持っております。焼却施設を持っております。かなりの頭数を焼却することができますので、それに、搬出として欠かせない密閉の移動車両をブロック単位で配備すること、そして、いざとなったときに、発症した場合には焼却処分を含む処分を断行する、このことがこれから最も求められると私は思いますので、これは要望として大臣の方に訴えをし、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○筒井委員長 次に、徳田毅君。
○徳田委員 自由民主党の徳田毅でございます。
山田大臣とは島嶼議員連盟でも御一緒させていただき、当選当初より御指導もいただいてまいりました。今、大臣に就任され、このように委員会で議論できることを大変うれしく思いますが、きょうは、口蹄疫ということもあり、厳しい議論になることもどうか御理解を賜りたいということを思います。
二十七日午前零時をもって、移動・搬出制限区域の制限というものは解除されました。また、非常事態宣言も解除された。口蹄疫との闘いに取り組んでこられた農家の方々、または市町村、国、行政の方々、また、きょうはJAの方々もいらっしゃいますし、江藤先生の質問の途中には建設業の方々も来られておられましたが、そういう方は、本当に皆さん一体となって抑え込みに取り組んでこられてこの日を迎えた。本当に皆様の御労苦に心からの敬意と感謝を申し上げたいということを思います。
しかしながら、今回解除をされたとはいえ、先ほど江藤先生が言われていたとおり、これから、再建、地域の再生、これこそが本当のイバラの道だということでございます。口蹄疫特別措置法というものを成立させ、そして、今回また政省令というものも出てまいりましたが、しかしながら、ここについて本当に十分かどうかという声も上がっております。この辺についても、きょうの質問でしっかりと議論をしてまいりたいと思います。
まずもって、山田大臣は、三週間にもわたり宮崎にも行かれておって、そして地域の悲惨さ、凄惨さというものを目にしてこられたんだということを思います。
今回殺処分された家畜は計二十八万八千六百四十三頭と、我が国の家畜伝染病史上最悪の被害ということになりました。なぜこれほどまで感染が拡大してしまったのか。または、感染経路についてもこれから検証されると思いますが、それでは、これまでの政府の取り組みについて反省はなかったのか、問題はなかったのか。
まず、この九十八日間を振り返って御感想をいただきたいということを思います。
○山田国務大臣 政府の対応について怠りがあったのではないか、もっと万全の対策ができたのではないか、あるいは、第一義的には、法定受託事務ですから、宮崎県の対応についておくれはなかったのか等々について、今、第三者委員会を立ち上げまして検証していただくところでございます。早ければ中間報告を八月の下旬でもまとめていただければと、十月、十一月までにはその報告をいただきたいと思っているところです。
なお、私に、なぜあれだけ拡大をしたのかと聞かれるということであれば、やはり早期発見、早期処分。えびの市のように、マニュアルどおりに七十二時間以内に埋却処分できておればあれほどまでの感染拡大はなかったんじゃないか。実際に抗体の検査を見てみますと、三月中旬にはもう発症しておったんじゃないか、ウイルスが入っておったんじゃないか。四月の二十日、国に報告した時点では、少なくとも十農場においては発症が認められる。
そういう状況で、その間、県として、県の防疫体制はどうであったか、やはりおくれというものもあったんじゃなかろうかという気はいたしております。それらを含めて第三者委員会できちんと、また、国も、国家的危機管理として私が現地に出向いたのが五月の十七日だったわけですが、そういったものについてもどういうものであったかということも含めて、検証して第三者委員会での評価をいただければ、それをもとにし、今後二度とこういうことにならないように家伝法の改正へつなげていきたい、そう考えているところです。
○徳田委員 これからしっかりと検討していただきたいと思いますが、私も、農林水産委員ではありませんが、やはり、鹿児島でもありますし、隣県宮崎で起こったこの口蹄疫について大きな関心を持ち、何度もこの農林水産委員会の議論を聞いてまいりました。
初動の段階で、例えば消毒液を国から宮崎に持ち込むのが、四月二十日に発生が確認されてから一週間以上おくれたということも指摘がありました。赤松農水大臣が外遊に行ったということについても大きな問題となりました。
私からすると、そうした議論の中で、赤松大臣からは、本当に適当ではない、もっと言えば、きょう大臣が冒頭にごあいさつの中で言われておりましたが、雨の中、炎天下の中で殺処分や埋却に取り組んでこられた方々を逆なでするような発言もあったのではないかということを思いますが、その辺についてもあわせてやはり反省をしていただきたいということを思います。
さて、この口蹄疫について、今、解除ということになりましたが、まだまだ排せつ物の処理等が残っているということを聞きます。これについて地元の御意見を聞きますと、これが本当に適切に処理されているのか、また、その処理が農家任せになっているのではないかという声もあります。その辺について、今、国や自衛隊が入っているという話も聞きますが、この排せつ物の処理が本当に適切なのか。今回、六十度以上にしてということでありますが、それは、どこからの根拠でその規定を設けられたのか、それについて教えていただきたいということを思います。
○篠原副大臣 排せつ物は、委員御指摘のとおり、たくさん残っております。患畜の発生した農場については、六週間、そのふん尿の中にもウイルスが残っていると言われております。ワクチン接種農場については一週間、七日間ということで、これは、いろいろな経験上我々が知っている範囲のことではそういうことになっております。
ですから、今どういうふうにしているかといいますと、これから切り返し、それから運搬があるわけです。
口蹄疫のウイルスというのは、蔓延力は物すごいんですけれども、皆さん御存じのとおり、pHがちょっとずれるだけでだめになる、それからもう一つ、温度がちょっと上がって、今委員が御指摘になりましたとおり、五十度か六十度になると死滅するということが言われております。ですけれども、切り返しや運搬のときに飛散して、それがまた蔓延の原因になるということも考えられるわけです。ですから、そういったことを慎重にしなければならないということで、堆肥温度を上昇させたりすることによって今後処理していこうということにしております。
今の予定では、そういうことを繰り返しながら、今まで搬出制限解除は地域ごとにやってまいりましたけれども、これは全体でこの程度でいいじゃないかということで、八月下旬をめどに、すべての制限解除に向けて準備をしているところでございます。
それから、これはまだ、こんなに大きくというか広く口蹄疫が発生したことがないわけでして、我々も知り得ないことがいっぱいありますので、農家も悩みが深いということはわかっておりますので、私などは、先週、三十五日間の宮崎市の滞在を終えて帰らせていただきましたけれども、農林水産省の専門家の職員を五人現地に残しまして、相談窓口を開きまして、いろいろなことについて、悩み事があったら、わからないことがあったら聞ける体制になっております。その点では、県と国と一体になって十分やっているところでございます。
○徳田委員 ありがとうございました。
膨大な量だということをお聞きしますので、やはりそうした部分についても引き続きしっかりとした御支援をいただきたいということを思いますし、また、きょう議論の中にもありましたが、中国などでは口蹄疫は今も蔓延している。宮崎にかかわらず、全国でいつどこで起こってもおかしくはない状況の中で、やはり全国的な防疫体制の強化というのが必要だと思います。
ちなみに、私の選挙区にある大規模農家に聞きますと、やはりこれから、消毒槽であったり噴霧機であったり、そうした部分についてもしっかりと整備を行ってほしいと。今は民間が個人的に購入をしているような状態でありまして、今畜産業というのは大規模化が進んでいる中で、そうしたリスクも大きくなってきているということもありますので、あわせて御議論をいただければありがたいということを思います。
そして、これからの経営支援、経営再開の支援、そういう部分について今回議論に移ってまいりたいと思います。
まず一つ、やはり、きょうの議論を聞いていまして、本当に政府が万全の措置を講じようとしているのか、その姿勢に疑問を持たざるを得ません。鳩山前総理また菅総理が宮崎に行かれて、しっかりと県民の皆様にお約束をされた。しかし、今回、口蹄疫特別措置法に基づく政省令が公布されましたが、この内容というものは、被害に遭った農家の方々や地域にとって本当に納得いくものであるのかどうか、そこに大変疑問を持たざるを得ません。
まず、この議論を始める前に、被害に遭った農家の方々や地域について万全の措置を講じていこうと本当に考えておられるのか、お伺いをしたいと思います。
○山田国務大臣 これからまさに経営再開に向けてどういうことができるかということだと思います。
まずは、早く、殺処分した家畜に対する評価分相当を、仮払い、概算払いという形で今支払いをさせていただきました、これから精算払いをしながら、このままでいけば、新しい家畜の導入が九月の初めにはできるようになると思っております。
そのときの再開支援についても、互助基金相当で、かなりの、それなりの経営再建に向けての支援ができるものと私は思っておりますが、それでも足りない場合には、家畜疾病維持資金、またセーフティーネット資金、あるいは家畜の導入をリース事業でやるとか、その支払いは六年間待つとか、いろいろな手当てを私ども考えておりまして、経営再開については十分な支援をさせていただきたい、そう考えているところです。
○徳田委員 十分な支援をさせていただきたいという力強いお答えもいただきましたので、それでは、この問題点について一つ一つお伺いしたいと思います。
まず、今お話にも出ました家畜疾病経営維持資金、これについては融資枠を百億から三百億に拡大、貸付限度額を一・三倍にしていただいたということでありますが、しかしながら、江藤先生の御指摘にもあったとおり、これはもう借金がふえるだけだという話であって、そして、牛については、やはり経営再開までは六年と言わずもっとかかるんではないか。そうすると、返済猶予期間というものもさらに延長が必要かもしれませんし、さらには返済期間の延長も必要なんだということを思いますが、その点についてこれからまた考えていただけるか、お答えいただきたいと思います。
○山田国務大臣 今のところ、家畜を導入する、繁殖牛を導入するにして、実際に九カ月齢の子牛を買って、数カ月育てて、はらませて云々するとしたらやはりまた一年、そして実際にそれが出荷できるまでにはさらに六カ月かかるとか、いろいろかかっていくことはよく承知しているつもりです。
そのためにも、繁殖牛を導入するときに、お金がなくても、リースで繁殖牛を導入できて、かつ六年間で子牛の売却でもって払えるようなシステム、そういう制度というのを今構築しておりまして、いろいろな形で、繁殖牛、肥育牛、養豚、養豚の一貫経営についても、きめ細かな経営再生チームというのを昨日課長補佐クラスでチーム編成をいたしました。それをもとにして、経営再開支援に向けての対策を十分出していただきたいと思っております。
○徳田委員 それでは、そのチームでもって、この貸付制度についても、本当に弾力的な柔軟な制度にやはり考えていただきたいということを思います。
そして、家畜疾病経営維持資金、この制度については、対象地域が九州、沖縄とまで広がっています。ここには、家畜市場の開催中止の影響を受けた九州、沖縄の子牛、子豚出荷農家を支援するということであります。
その一方で、出荷遅延対策、こちらについては、宮崎、鹿児島、熊本に限定されている。なぜこれが宮崎、鹿児島、熊本に限定されているのか。先ほど、午前中の議論にもありましたが、沖縄でも、そして大分でも山口でも、競り市場の自主的な中止というのは行っている、そこには必ず損失が生まれている。それはお認めになられると思いますが、しかしながら、そうした部分については、それでは出荷遅延対策を適用する必要はないと考えられる理由を教えていただきたいと思います。
○篠原副大臣 この子牛出荷遅延緊急対策事業は、口蹄疫の発生したところだけじゃなくて、発生するリスクがあるということでいろいろな自粛措置を講ずる地域も入れようということで検討いたしました。
ただ、どこにするかということでございますけれども、今ありました、宮崎は当然発生源でございますけれども、鹿児島と熊本は搬出制限区域にひっかかる、入っているわけですね。そういった観点で、大分からも要望はございましたけれども、搬出制限区域に入っていないということで、この関係している三県に限定させていただきました。
それから、各県は、そんなわけにいかないということで、自主的な子牛の出荷遅延対策をやっております。それにつきましては、総務省に対して特別交付税措置を要請しているところでございます。
○徳田委員 この出荷遅延対策で、先ほど言われたように搬出制限区域にひっかかるということはどう関係があるのか、全くわからないんですね。
それでは、ひっかかるからこちらについては出荷遅延対策で対策をし、ほかの地域については、県独自の支援策が行われる場合特交で賄う、なぜそこが特交で賄われるのか。いつ競り市場がある予定であり、それがどこで中止をされたか、そういうものは全部把握できるはずでありますし、また、四月の競り市、五月の競り市、こちらには、しっかりと登録検査をして、そしてどの牛を出すかというのは確定しているわけですから、そうしたものについての調査をすれば損害額というのは見えてくるはずだということを思います。そうした部分について、それでは、宮崎、鹿児島、熊本以外は特交でやるという理由について教えていただきたい。
○山田国務大臣 徳田委員の地元である徳之島とか奄美大島、私の出身地の五島、沖縄の各離島においても、同じように家畜の競り市場は今回全部閉じておりました。その間、宮崎や熊本や鹿児島と同じように損害が生じております。
しかしながら、宮崎と鹿児島と熊本においてはそれなりの措置をし、それ以外のところにおいてはしていないというのはおかしいじゃないかというのはごもっともな御意見だとは思いますが、先ほど副大臣が答えましたように、いわゆる搬出制限区域に鹿児島も熊本も入っていまして、入っている以上、この地域からの家畜の買い入れ等については各地域が非常に警戒して、それなりに経済的損失を受けるのは大きいのじゃないか、そういう配慮もあってそうしたわけです。
ただ、沖縄とか奄美大島とか佐賀とか長崎とか大分とかにおいても同じようなことはありますので、できれば特交等で、そういう交付金で手当てができないかどうか、今農水省の方で総務省の方にお願いして、検討して、できるだけの配慮が畜産農家に対してできればと考えているところです。
○徳田委員 いま一つよくわからぬのですが、そこよりも大事な部分がありますので、次に行きたいと思います。
こちらについて、助成単価が日数掛ける四百円となっています。この日数掛ける四百円という積算根拠を教えていただきたいんですが、これには家族労働費なども含まれていないと。なぜ労働費が含まれないのか。自民党の中で議論をしたときに、では、えさは牛が勝手に食べに来るのかという話もありました。これはなぜ四百円なのかということを明確にお答えいただきたいと思います。
○篠原副大臣 四百円の補助単価の算出根拠でございますけれども、どこの増嵩する経費とかまで見るかということは当然議論になったと承知しております。
我々は、飼料代それから光熱水費、動力費、いわゆる物財費、これを子牛の生産費調査から算出いたしまして、一日当たりとして計算いたしました。家族労賃は入っておりませんけれども、これは子牛の生産費というのがそうなっているからですけれども、子牛だけじゃなくて母牛の、両方の物財費も入っているわけです。ということで、それなりの単価ではないかというふうに考えております。
それから、先ほどの答弁の延長線でございますけれども、なぜほかの県にまでというのは確かにそのとおりなんですけれども、きちんとした理屈になっているかどうかわかりませんけれども、一応、強制的に搬出制限をした、そこのところは面倒を見なければいけないということで、その区域が入っている鹿児島、熊本県はきちんと手当てをしなければいけないということで対象にいたしました。ほかのところは、まあ同じような影響を受けているんでしょうけれども、国なり県なりが強制的に搬出制限をしたわけではないので、自主的にやっていただいているので、そちらでやってくださいという、お答えになっているかどうかわかりません、これが一応の線引きでございます。
○徳田委員 搬出制限にかかった、かからないと言われますが、競り市を自主的に中止したというのは感染拡大を防ぐためですよね。その努力があってこそ今回の非常事態宣言また搬出制限区域の解除ということにつながったわけですよ。みんなそういった努力もしているということについては何の評価もしていただけないということですか、それでは。
それともう一点。今ので、それでは家族労働費を含まない理由になるんでしょうか。一日遅延をした場合、それではそのコストはどれぐらいと算出されますか。労働費まで含めたら幾らですか。牛も大きくなる、えさ代も多くなる、手もかかる、それを皆さん、農水省としてはどのように考えておられますか。
もう時間がないので、もう一点ちょっとお伺いしたいと思います。
当該農家の前年度の平均出荷日齢プラス三十日を超えた日から、解除後直近一回目の市場再開日または二回目の市場開催日の期間となっています。これについても、なぜ三十日なのか。先ほども午前中にお伺いしたんですが、これはいま一つ理解できないんですね。農家の人たちも理解できない。なぜ三十日ということを設ける必要があるのか。先ほども申し上げましたが、四月に出す子牛、五月に出す子牛というのは、登録検査を経てリストアップされているはずなんです。それであれば、予定されていた競り市の日からしっかりと助成金を計算して交付していただくのが正しいやり方だと思いますが、なぜ三十日を超えた日から直近の市場再開日ということになるのか。
もっとひどい話は、六月十六日に私たちが農水省から説明を受けたときは、これは、当初は平均出荷日齢プラス三十日の翌月一日からとなっていたわけです。これが今変更になった、緩和していただいたとはいえ、皆さんの姿勢に、それでは万全の支援をしていこうという姿勢が見えないんですよ、全く見えない。はっきり言えば、出し惜しみしているようにしか見えないんです。それで農家が救われますか。
もう一度この辺について、農家の人たちが理解、納得ができなければ、何のための支援策ですか。そして、今の説明で、被害に遭った方に本当に御理解いただけると思いますか。もう一度お答えいただきたいと思います。
○山田国務大臣 午前中も同じような質問がございましたが、子牛の場合は大概生後八カ月とか十カ月ぐらいの間に一般に家畜市場に出荷する、そう思っております。家畜市場も、地方によって毎月というところはありますが、二月に一回とか一月に一回というところです。どうしても一月ぐらい出荷が、今度の競りに出そうか次の競りに出そうかという形で、農家もいろいろ考えたり、相場を見ながら調整しているのが一般です。
そうした中で、仮に一月出すのがおくれたとしても、そのころの、九カ月齢ぐらいの牛というのは、それだけ体重もふえて、それなりにそこそこの評価も上がりますので、一月はそのまま正当な評価ができるものとして、その次の月からの分としての損害分として計上させていただいたというところです。
○徳田委員 農家の支援を行う場合は、農家の支援をしっかりと行おうと思うのであれば、やはり市場の仕組みというかシステムというものをもう少し考えた上でしていただかないと、今言われていることも間違いだという声も上がる。二百八十日が適齢日齢ですね。二百八十日と三百二十日では価値も全然違ってくる。こうしたことも本当にそれでは御理解をいただいているのか。今の説明では全く違うように、御理解をされていない中でこの支援策を策定されたように思います。
もう時間がありませんので、もう一点、どうしても申し上げたいのは基金の話であります。
午前中も話しました。口蹄疫特別措置法第二十三条です。こちらに、「地域経済の再建及びその活性化を図るため、地域の実情に応じたきめ細かな措置を積極的に実施することができるよう、これらの措置に必要な費用に充てるための基金の設置その他の必要な措置を講ずるものとする。」と書いてあります。
これが例示として解釈できますか。基金の設置はした上で、それで不足する部分を適切な措置を講ずる。それは全会一致でつくったわけですから、皆さんもよく御理解いただいた上でこの文言を盛り込んでいただけたと思いますが、これはあくまでも例示としてとらえて、それでは基金は、午前中の話では、もうやらない、つくらない、設置しないというふうに私には聞こえたんですが。
それは、大臣にも内閣官房にもお答えいただきたいと思いますが、設置をされますか。はっきりとお答えいただきたいと思います。
○古川内閣官房副長官 お答えいたします。
午前中も回答申し上げましたけれども、昨日開催された口蹄疫対策本部におきましては、菅総理から、地域経済復興支援のために必要な措置について、今後とも、宮崎県など地元の要望を聞いて支援を検討していくように、各閣僚におかれて積極的に対応するようにという御指示がありました。
そういう指示のもとで、今後さまざまな支援法を検討していくものというふうに考えています。
○徳田委員 これは委員長提案でつくった法律なんですよね。委員長、これで、こんな答弁、納得できますか。なぜ……
○筒井委員長 今、答弁を求めているのはだれとだれとだれですか。
○徳田委員 大臣もお答えいただきたいと思いますが、今の古川さんのは答えになっていませんよ。なっていないですよ。御自身でもおわかりでしょう。
菅総理が万全措置を講ずることを指示したのではないですか。そして、なぜここに基金の設置ということを明記されているか。これは、地域の再生というものを複数年で行っていかなければならない、中長期的に行っていかなければならない中で、使い勝手のいいお金をしっかりと確保しようということではありませんか。もう一回答えていただきたい。
○筒井委員長 古川官房副長官、基金の問題に限定して答弁をお願いします。
○古川内閣官房副長官 繰り返しになりますけれども、この問題につきましては、総理からも、これは、宮崎県の要望等を踏まえて、地域の実情に応じた必要な支援措置を全面的にとっていくべきだ、そういうような考え方をいたしておるということでございます。
○徳田委員 今の答弁では答えになっていないのはだれもがわかっているはずです。
それでは、今度は口蹄疫の対策本部長の菅総理に、ここへ来てしっかりとお答えいただかなければなりません、どういうつもりでそういう指示を出されているのか。
皆さん、基金をつくって、今、宮崎県でも再生プランというものをつくっている途中ではありませんか。それは、基金が設置されるかされないかでは大違いですよ、その中身についても。何年計画でできるのか、どういうことを具体的に行っていこうとされるのか。では国からです。ここには、法律として基金を設置すると示されているわけですが、では、これはどれぐらいの規模で、どういう骨格のものなのかというのを、まず、本来であれば国から示してもらわなければなりません。
大臣、今のお答えについて、内閣の姿勢についてどう思われますか。三週間地元に張りついて、地域の凄惨さ、悲惨さというのをごらんになってこられたはずです。そして、基金の必要性というのも感じておられると思いますが、どう思われますか。
○山田国務大臣 基金について、確かに特措法については書いております。基金その他の措置についてと、きめ細かい対応策をと書いておりますが、それについての解釈をどうとるかということなんでしょうが、私が農水大臣としての立場からすれば、できるだけ基金の創設をお願いしたいと考えておりますが、これは内閣全体の問題でありまして、今、内閣が宮崎県側から要望を聞いた上でいわゆるきめ細かい、基金も含めて、基金もその一つであり、きめ細かい対応策を今内閣で検討しているというところですので、それを待ちたいと思っているところです。
○徳田委員 地元の要望を聞いた上でということを言われましたが、それではこの政省令の数字についても地元の要望は十分聞かれたんですか。きょう朝、民主党の議員の方が質問されておりましたが、この数字を地元に持って帰れるのか、私は不思議に思います。これは民主党の皆さん、特に農水委員会の皆さんがしっかりと議論をされて、そして被害に遭われた農家の方々が納得いくものを出されないと、それは与党議員としての務めではありませんか。
これで質問は、もう時間もないので終わりたいと思いますが、地域の要望を聞くのは当然の話ですよ。本来であれば、もっと早くにこうした委員会も開き、政省令も決まる前にこうした議論も行わなければならなかったんですよ。しかし、皆さん勝手に決めて、こんな不十分なのが出てきた上に、今度は基金をつくるかどうかを明言しない。これは法律違反ですよ、はっきり言えば。マニフェスト違反どころじゃないんですよ、法律違反なんです。
地域の実情、地域の今の被害状況、解除されたとはいえ、いまだに悲惨な状況が続いていると本当に思うのであれば、本気で、こうした口蹄疫、せっかく特別措置法をつくったわけですから、これに基づいた支援策というものを、皆さんの方でしっかりと十分なものを考えていただきたいということをお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○筒井委員長 次に、東順治君。
○東(順)委員 公明党の東順治でございます。
私も、ただいま徳田委員から鋭く御指摘のあった、まさにこの基金問題というのが全くネックになっているというところから質問せざるを得ないという思いでいっぱいでございます。
ただいま主張がありましたとおりの思いも私は抱いておりまして、我が国は法治国家でございます。法治国家というのは法のもとに運営される国家のことをいう。この特措法という法律ができて、何か解釈の問題であるというような、妙な、わき道に話がそれ始めているということは、私は、国家として非常な危惧を実は感じているわけでございます。
この特措法で書かれている二十三条のところなんですけれども、これは「基金の設置その他の必要な措置を講ずるものとする。」ということが、ワン・オブ・ゼム、例示の一つであるというふうには、とてもそういうふうに、どこからそういう解釈が出てくるのか。基金を設置するんだ、そのほかに必要な措置をまた講ずるんだ、こういうふうに書いているわけでございまして、これが法律ですよ。
しかも、これは立法府として提示して、正式に法律として成立して、この特措法のもとに今回の口蹄疫問題というのは対処されているわけですから。消毒の問題から、あるいは埋却の問題から、全部この法律によって施行されているわけでございますから、何かここのところだけ全然全く違う解釈に持っていこうとするということは、私は甚だいかぬことであるというふうに思います。
しかも、この法律の最後の「本案施行に要する経費」というところで、「本案施行に要する経費としては、約一千億円の見込みである。」こう明示されているわけですね。それなのに、一体どういうことなのか。
先ほどから、地元の要望が出てくればというような発言がありますけれども、私は、一昨日地元に行ってきましたよ。よく地元の方たちに意見を聞いてきましたけれども、まさに県当局や責任ある人たちが言っていることは、早く、早くこれを実現してほしい、基金を実現してほしい、どうなっているんですか、早く基金を実現してほしい、その全容がわからないものだから物すごくこちらとしては打つ手が打てなくて非常にじれったい思いをしているんですよ、早くともかく基金をどうして実現しないんですか、こういうことなので、地元の要望どころではなくてもう切望になっているわけでございまして、それに対してどういうふうに思われるのか。私がこうやって質問するとまた同じような答弁が官房副長官あるいは農水大臣から出てくれば、大変に失望します。しかし、聞かざるを得ない。
きょう、官房副長官、おいでいただいております。私は、今回の答弁者として、内閣官房長官、ぜひ来ていただきたい、どうしても来られなければ官房副長官、おいでいただきたいと、それこそ切望をいたしました。それは、いわゆる政府の防疫対策本部という立場でぜひ出てきてほしいという思いを込めてそのように願ったわけでございます。きょうは官房副長官おいでになっていますが、この対策本部でのお立場というのはどういうお立場なんですか。
○古川内閣官房副長官 私も、対策本部には毎回出席させていただいております。
○筒井委員長 古川副長官、対策本部における古川副長官の立場はどうかという質問に答弁ください。
○古川内閣官房副長官 官房長官が副本部長でございますので、その官房長官を補佐する立場でございます。
○東(順)委員 ぜひ対策本部の責任ある当事者としての御答弁をお願い申し上げたいと思います。
さて、この二十七日でもって、一つの区切りと言ったらなんですけれども、当然、来月の二十七日まで、終息宣言というものを目指しているわけですから、とてもとても油断はできませんが、ひとまず今回の口蹄疫問題、まさに牛、豚二十八万八千三百頭、防疫に携わった人たちの延べ人数が十五万人、この口蹄疫に寄せられた真心からの義援金が二十六億四百八十七万円、またピーク時における消毒ポイントが三百四十八カ所、イベントの中止、延期が二百八十四件と、これは大変な出来事でございます。
幸い、昨日をもって、例えば甲子園の地方大会、野球場のスタンドにようやく一般の観覧者も入ってこられるというような映像がテレビに流れ始めました。あるいは、図書館も自由に開放されたというような明るい映像がようやく流れ始めたということでございますけれども、問題はこれからのステージでございます。まさに復興、再建という、ある意味ではこれまで以上に相当な難儀を伴う新しいステージへと入ったわけでございます。
そういうところで、宮崎県の方も復興対策本部というものを立ち上げたようでございます。また、商工会とか経済界、いろいろな人たちを入れて連絡会議という形にもしたようでございますけれども、これからこの第二ステージというものは、本当に、県を挙げて、これから県の命運をかけての大きな大きな闘いに入るんだろうというふうに思います。
そこで、私が一昨日東国原知事と意見交換した際に、知事が切望しておりました、県は復興対策本部を立ち上げたが、国はどうなっているんでしょうかねと。
私は、先回、やはりこの農水委員会に差しかえで質問をさせていただいた折に、やがて、これは農水省だけの問題ではなくて、この復興、再建ということになってくると、もうさまざまな各省庁にわたる問題が惹起をしてくる、そのときに、だれが責任を持ってみかじめるんだ、だれが司令塔になるんだ、その体制を今からつくっておかなければ、これは大変な混乱が生じるんじゃないかということを申し上げました。だから、まさにこの口蹄疫の特命担当大臣というものをきちっと置くべきである、そしてそのシステムをつくる、そしてこの第二ステージというものに向かい合っていかなきゃいけない、こう主張いたしました。まさにそのときが来たわけでございます。
知事も、国の司令塔はこれからだれなんでしょうか、どなたを相手にして国と県の連係プレーを進めていけばいいんでしょうかということをおっしゃっておられました。
私は、今の立場では、この間も農水省の皆さんに確認したんですけれども、それは政府としての防疫対策本部です、対策本部長は菅総理です、こう言っていましたけれども、菅総理は、これに特化して、いわゆる司令塔として当たるということは現実的にはなかなか難しい。そうすると、だれなんですか。各省庁が、省庁の大臣があまたおられるけれども、そこに対してきちんと調整をし、指令を送り、全体の司令塔として物事の解決に、対処していくというのは一体だれなんですか、そのことを思うわけでございます。
したがいまして、ぜひそういう、いわゆる司令塔という体制、それは官房長官がこの期間その司令塔になるということもあるかもしれません。私は、今もなお特命大臣というものを、この復興支援というものがきちっと軌道に乗るまでつくるべきだという考え方でございますけれども、古川官房副長官、これについてどのようにお思いでしょうか。
○古川内閣官房副長官 政府といたしましては、復興も含めて、今、対策本部、総理を先頭にしてやっているわけでございますが、今後とも、もちろん今委員からも御指摘があったように、各省庁において必要なことを随時迅速に実行していく。そうした進捗状況などは、官房におきまして随時把握した上で、長官の指示のもと、私ども、適切な調整や指示を行ってまいりたい。
そういった意味では、官房長官を中心にやっていきたいというふうに考えております。
○東(順)委員 さあ、そこで、現実の問題として、最初に私は触れましたけれども、副長官、まさに基金、これはどうするんですか。これについてどうなんですか。もう一度答弁願います。
○古川内閣官房副長官 先ほど来から申し上げている話でございますけれども、総理からは、復興には万全の措置をとるようにという御指示はありまして、それぞれ各省でも今対応しておりますし、必要な対応を考えているところでございます。
委員からもお話がありましたように、県庁において、先般、六月二十八日でございますけれども、復興本部が設置されたというふうに伺っております。そして、ここの復興本部におきまして、今後、被災農家への支援や被災地域の振興、県内経済の活性化及び失業者等の雇用対策等を内容とする復興計画を策定する予定というふうに伺っております。
したがいまして、基金の問題も含め、国としてどのような対応をとっていくかにつきましては、この宮崎県が策定する復興計画も踏まえつつ、政府として全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに考えております。
○東(順)委員 万全の対応をするという一丁目一番地が基金なんですね、まさに。そのために、この特措法のまさに魂ということで基金を設けるということをうたっているわけで、その金額は一千億円が見込まれる、こううたっているわけですから、まず早急に基金をきちっと立ち上げるというところからぜひ入ってもらいたい。いかがですか。急いでもらいたい。地元はもう本当に急いでくれということですけれども。再度伺います。
○古川内閣官房副長官 御意見として受けとめたいと思います。(発言する者あり)
○筒井委員長 古川官房副長官、基金を設置することを前提に検討するという趣旨なんですね、先ほどから述べられているのは。そうではなくて、基金の設置そのものもどうするかを検討するという趣旨なんでしょうか。この基金に限定しての答弁をもう一度お願いします。
○古川内閣官房副長官 基金の設置も含めて、国としての対応について検討するということでございます。
○筒井委員長 そうすると、もう一回確認しますが、基金を設置するかどうかを含めて検討する、設置しない場合もあるという、今の答弁の趣旨はそうですか。その点だけちょっと答えてください。今、ちょっとその答弁。(発言する者あり)
では、今、ちょっと速記をとめてください。
〔速記中止〕
○筒井委員長 では、速記をもとに戻してください。
あるいは、私の方で、ちょっと言い過ぎかもしれませんが、一千億円というのは基金の金額ではありませんので、東さん。
その一千億円という金額の問題は別にして、基金の設置はもう前提にして、どういうふうに、どういう形で設置するかを検討するという趣旨なのか、それとも、設置するかどうかも含めて検討する、その場合には、設置しないこともあり得るという趣旨の答弁なのか、その点だけはっきりさせてください。
○古川内閣官房副長官 基金の設置の問題につきましては、先ほど来から申し上げておりましたように、県において、これは今どういう要望をつくられるかということを検討しているところでございまして、県からの要望もない中で国の方でつくるという話ではございませんので、そうしたものを踏まえた上で、私どもとしては基金設置も含めて、復興対策について検討してまいりたいということでございます。
○筒井委員長 では、今の……(発言する者あり)はい、ちょっと待ってください。
今の趣旨、答弁は、設置をするかどうかも含めて検討すると。つまり、設置しないこともあり得るという答弁というふうに解釈せざるを得ません。(発言する者あり)だけれども、その答弁を前提にして審議を進めてください、今ので。いや、もう審議を進めますので。(発言する者あり)
では、ちょっと速記をとめてください。
〔速記中止〕
○筒井委員長 では、速記再開してください。
答弁としては明確な答弁ですから、それが違法であるか、あるいは不当であるかどうか、それも含めて審議に入ってください。理事会協議もいたします。まずは質疑続行してください。
○東(順)委員 委員長の御裁定はよくわかるつもりですが、つまり、質問と答弁がかみ合っていないということなんです。つまり、これは一丁目一番地ですから、基金を立ち上げるということが法律にうたわれているんだから、この立ち上げはいつになるんですか、早くやってくださいという質問を私はしているんですが、その前提が全く違う形の答弁しか出てきていないんで、これはちょっと、これから先、やりとり、質問ということにはなかなかいかないんだろうなと思いますけれども。そういう気持ちです、率直な気持ち。
○筒井委員長 その趣旨はわかりますが、前提がもう違うんですね、立場が。
○東(順)委員 いや、立場じゃないんじゃないかな。
○筒井委員長 法律上の前提として基金を設置するかどうかを含めて検討するとこちらは言っておられるし……(発言する者あり)それはこちらの方の。
いずれにしても、これは再開されているので、設置を含めて検討するという答弁を前提に質疑を続けてください。それが不当である、違法であるという主張はもちろん構いませんというか、理解できますが。
○東(順)委員 それは質問できません、そういう委員長の御裁定であれば。それ以上質問はできません。だって、成文化されている法律なんだもの。それを、設置するかどうかを含めて検討するというんだったら、それはちょっと、全く違います。
○筒井委員長 法律解釈について全然正反対の考え方があるのはしばしばあることで……(発言する者あり)いや、これはとめる必要はないと思います。法律解釈について全然意見が違うという、正反対の立場というのはあるので。(発言する者あり)だけれども、一応解釈としてそういうふうな主張ですから、こちらの方は。答弁自体が不明確だったらそれは明確にさせてもらいますが、明確にしていますので。それを前提にした、違法である、不当である、そういう質疑をしていただくことになると思います。(発言する者あり)いやいや、もう続けてください。速記はもう再開します。(発言する者あり)
質疑続行いたします。そして、この問題、議員立法なものですから、この法律に対する解釈も含めて、理事会で協議をして決めたいというふうに思っております。
東先生、質疑を続行してください。答弁があいまいな場合とは違いますので。(発言する者あり)いや、答えているんですよ、それが。こちらにいい方向じゃなくて、答えているんです。
○東(順)委員 既に成案になっている法律で、この法律のもとにさまざまな具体的な施行がなされている。その法律そのものが、もう一度検討をして、場合によってはこれを改正することもあり得るかもしれないというような趣旨の御答弁でございますから、これはそもそも、この委員会での質問そのものが僕は成立しないと思います。したがって、これ以上は私はもう質問はいたしません。そういう思いでございます。よろしくお願いします。
○筒井委員長 そうしたら、東君の方から、結果としては、この後質問を続行しないという態度が出されましたので、では、ここで東君の質疑は終了とせざるを得ません。
では、その次の質問者の方に引き継ぎたいと思います。それでよろしいですか。(発言する者あり)
東さん、さっき終了宣言されましたが、配慮して今待っておりますが、終了宣言は撤回されますか。(東(順)委員「しません。もう、ここに座っていますよ、終わるまで」と呼ぶ)座っている。終了はしない。さっきの終了宣言は撤回ですね。(発言する者あり)
東君。
○東(順)委員 このような事態になったことは、まことに残念でございます。
全会一致で、委員長提案でこの法律が成立をし、この法律のもとに、口蹄疫対策、消毒や埋却やさまざまなものが進められてきて、そしていよいよ復興、再建という第二ステージに入ったときに、まるで急ブレーキをかけるかのように、この基金というものが、こういう形でもう一度検討するというようなニュアンスが出たことは大変残念です。宮崎の方たちがもしこの事態を知ったらば、大変な驚きと大きな大きな怒りに包まれるんだろう、私はこのように思います。したがって、私はきょう質問を放棄させていただきました、残る質問を。
最後に、委員長としてこの事態をどのようにお取り計らいになるか、その御発言を聞いて、私は質問を終わりたいと思います。
○筒井委員長 言われましたように、委員長提案で全会一致で成立した法律でございます。その場合の法律の各条項の意味内容、解釈権は提案者にあると言われております。
それを含めて理事会で協議をして、その中で合意して、その意味内容の確定を含めて明確にさせて、それに対する対処の方法も理事会の中で協議をして、決定をしていきたいというふうに考えております。
○東(順)委員 終わります。
○筒井委員長 次に、吉泉秀男君。
○吉泉委員 社民党の吉泉です。
異様な雰囲気です。重い雰囲気です。この場の中で質問させていただく、大変、自分自身も慎重にまた構え方をしておるところでございます。
東委員については、本当に残念だろうというふうに思っています。きょうのこの大切な口蹄疫の集中質問に対し、それぞれ地元に帰って、畜産農家、さらには商工業者、ホテル等々含めて、今の置かれている現状、そのことを含めながら、きょうの質問に臨んだんだろうというふうに思っています。しかし、残念ながらこういう事態。
私は、もっともっと、そういう意味では、私ども議員ではございますけれども、ぜひ政府等についてもしっかりした対応をお願いしたい。まずそのことを申し上げさせていただきながら、質問させていただきます。
私の手元に、県知事からの、対策本部長農林水産副大臣篠原殿、口蹄疫被害からの復興に関する要望書、これを七月十六日、知事は出したわけでございます。その中に基金の問題が出ているわけです。この扱いが、宮腰委員の最初の質問から、基金に対する答えが非常にちぐはぐです。
だとするならば、知事が十六日に出して、きょう二十八日でございます。その間、副大臣として、この要望書、この中身に対する基金の取り扱い、これはどういうふうにきょうの日まで対応してきたのか、まずお伺いいたします。
○山田国務大臣 内閣の中における口蹄疫対策本部、その中においては、宮崎県の現在のいろいろな、中小企業の、観光その他も含めて、大変な状況にあるということについては、十分話し合いさせて私からも報告させていただいておりまして、そういう対策、この法案にあるように、必要な費用について、基金も含めていろいろなことが必要であるということは申し上げておるところです。
そういう中で、今、内閣として、先ほど午前中からいろいろ話しておりますが、いろいろな対策を今講じております。いわゆる経営再開に向けての支援、あるいは家畜のリース事業、あるいは雇用調整金の本来なら出せないところを出せるようにするとか、きめ細かい、この法案にあるような費用、そういった対策を講じている。
この法文の解釈においても、法文を読み上げてみましても、それらのきめ細かい措置に必要な費用に充てるための基金の設置その他の必要な措置を講ずるものとしている、そう条文上はなっておりますので、恐らく内閣の解釈としては、対策本部の解釈としては、必要な費用に、今いろいろな予備費から、きょうも八十八億出しましたが、十分充てている。そういう意味では、基金その他、いわゆるそれを十分法律的には満たしているんだという解釈のもとに、先ほど古川官房副長官がお答えしたのではないか、大臣としてはそう考えているところです。
農水の分野としましては、できるだけ、本当にきめ細かい対策を、必要な費用を、どんな形であれ、基金という形であれどういう形であれ、出してもらえればありがたいと思っているところです。
〔委員長退席、梶原委員長代理着席〕
○篠原副大臣 今、委員御指摘の要望書でございますけれども、私あてだけではございませんで、山田農林水産大臣、それに菅直人総理大臣のところにも届いております。
ですから、先ほどのいろいろ議論がありました点についてちょっと申し上げると、宮崎県でいろいろ要望があるというこの七項目めに基金の設置が入っているわけです。三ページにびっしり書かれた要望書でございますけれども、宮崎県としては少なくとも基金の設置はもう国にお願いしているというふうにとっていいんじゃないかと思います。それで我々がどのように検討するかという状況だと思います。
○吉泉委員 ぜひ、内閣の段階についても、その辺の流れ、そういったところをきちっと踏まえながらお願いをしたいというふうに思います。
また戻るというふうな部分は言いません。
ただ、私ども社民党としても、対策本部を持ちながら、私自身も今週の日曜日、月曜日、現地に行ってまいりました。そして、知事、川南町の町長、それから二例目から九例目までの、出た農家の現状、さらには埋却地、この部分をつぶさに現地を調査させていただきました。
川南町の段階においては、まさに畜産の町、その町が、牛、豚、鳴き声一言もなし、そして地下に重なって埋められている。埋却地に行ったときに、私ども調査団は自然にこうべを垂れ、手を合わせてきたところでもございます。
宮崎県の県議団、それぞれ有識者、経済界、弁護士等々含めて、今のこの二カ月間、さらには三カ月間、県生活衛生組合の連合会、このことで意見を交換しながら、宮崎市内で発生をしてから、ホテル、旅館、約一万五千人の宿泊のキャンセル、さらには美容、理容業、飲食業、軒並み三〇%以上のダウン、こういう現状を県議団として率直に受けとめながら、どう再興していくのか、こういう意味で、県議団として、基金の具体的な案、これを練り上げて、知事の方に要望もしてきた、こういう現状でもございます。
そういう中において、地方の新聞にも出ています。社説に出ています。復興をしていくために、畜産農家だけでなく全体に、この宮崎県をどうしていくのか、こういう意味の中で、やはり原資が必要だ。これは全体的に私は一枚岩になれるんだろうというふうに思っています。
そんな面では、私ども、これから委員会の中で理事会なりそういった形で詰めさせていただくという委員長判断でございますから、それにゆだねます。しかし、ぜひ前向きに、今の宮崎県が置かれている現状、このことをきちっと踏まえながら頑張っていただきたいというふうに思っています。
自分自身、日曜日、タクシーに乗りました。そうしたらドライバーさんが何と言ったのか。二十七日、移動解禁になる、高校野球の準決勝、この準決勝が二十七日、そこから応援に行かれるんだと。今まで高校の球児が全然観客のいない、そういう中でプレーをしてきた、こういった部分も含めて、そういう二十七日の楽しみというものについて私どもに話をしてくれました。
そんな面の中では、本当に山田大臣を初め多くの関係者の皆様が、一県だけで封じ込めできた。まだまだ油断は許さない、こういう状況でございますけれども、本当に多くの皆さん、一生懸命頑張っていただいた。こういうことに対しては、本当に心から敬意を表させていただくものでもございます。
しかし、今の現状の中において、やはり感染ルートを含めて、徹底調査、このことをお願いしたい、これが二例目、三例目、そういう農家の方から出た意見でございます。
そういう中で、質問をさせていただきたい、こう思っております。
疫学チームの二十三日に出された内容、そのことについて、畜産農家の、あの現場にいる、近くにいる農家の人たちから見れば、相当不満だ、何でこういうふうな報告が出るのかと。いわゆる感染元はどこなのか、なぜ宮崎県に、それも川南町に来るのか、そのウイルスが、何で宮崎なのか、そして何で川南なのか、こういうふうな非常に戸惑いも含めた、この疫学チームの結果に対して非常に戸惑いを見せながらも、非常に信用もできない、こういう言い方でもございました。そんな面の中で、知事からも、感染ルートを含め徹底した調査、この部分を分析も含めてやってほしい、こういうものも要望されたわけでもございます。
そんな面で、これからの進め方、いわゆる第四回の疫学調査チームのこの段階であとは終わりなのか、それとももっともっと、今言ったように一つのウイルスの、日本に、宮崎県に来た、川南に来た、その感染ルートというものをどういうふうに解明していくのか、納得していくのか。このことを県民さらには畜産農家が聞きたい、ぜひお願いしたい、こういう声でもございますので、その辺の今後の進め方についてお聞きをしたい。
〔梶原委員長代理退席、委員長着席〕
○篠原副大臣 口蹄疫対策は非常に多岐にわたるわけですけれども、一番大事なのは、私は畜産農家の不安を取り除くことがまずあると思います。次に蔓延の防止、そして復興支援、この三つに分けられると思います。感染経路の究明というのは、農家の不安を取り除くことについては一番大事なことではないかと思っております。
ですから、我々はまず国の段階で口蹄疫疫学調査チームを結成いたしました。これだけでは足りないということで、現地の疫学調査を充実すべく、国と県、それから現地の農場のことに通暁しております臨床獣医師を加えました現地調査チームを結成しまして、今までいろいろ調べてまいりました。
そして、今委員御指摘の第四回の疫学調査チームの結果でございますけれども、簡単にこの内容に触れさせていただきますと、まず一番に、一体このウイルスはどこから来たのかという点。これは、韓国、中国ですね、香港、こちらの方に口蹄疫が発生しておりました。このウイルスは七系列に大体分けられるそうですけれども、O型と称される、香港の口蹄疫と似ている遺伝子配列だということで、これは大体わかっております。ですから、明らかにアジア地域から人とか物を通じて入ってきたということはわかるんですが、その後一体どこで、どこからどのように入ってきたのかということまでは特定する段階には至っておりません。
まず、国内に入ってきたということ、どうやって入ってきたかというのを特定するのが大事でございますけれども、そのほかにも疫学チームの調査というのは大事でございまして、では一体どうやって日本国内でもって広まっていったのか、これはそれなりにわかっておりまして、六例目の農場への侵入時期は、一例目は都農町の四月二十日なんですけれども、三月中旬ごろにはもう入っていたんじゃないかということがわかっております。十農場以上に四月二十日以前にウイルスが侵入していたということがわかります。
それから、今、川南町の話が出てまいりましたけれども、あちらは相当あっちこっちに散らばってしまいまして、人、車両その他でもって周辺の農家にうつっていったということがわかっております。
それから次に、もう一つ、我々の立場からすると非常にいい事例を提供してくれていると言ってはなんですが、それに当たるのは、リングワクチンの外に出ました都城、西都、日向、宮崎でございます。これについては、同じ飼料会社の人それから車両でもってウイルスが伝染していった可能性が強いということがわかっております。
その都度、きのう七月二十三日のものも皆様方に速やかに公表しているところでございます。
今後のこの疫学チームの調査でございますが、この後、いろいろ今までに得られたデータの究明を急ぎまして、八月中に疫学調査チームの中間取りまとめを行うことにしております。それを踏まえて、またその後どうするかということを検討してまいる所存でございます。
○吉泉委員 もう時間がないということでございますけれども、まさに今、川南さらには宮崎県の中において、地方のミニコミ新聞さらには週刊誌、こういったところで感染の源云々かんぬんというふうな部分の中で記事が多くなっているわけでございますけれども、また、そのことも含めて、裁判とかそういったところなんかも動きがあるようでもございます。
私どもも、社民党対策本部として、やはりこのことについては現地と合わせながら、徹底してこの感染ルート、さらにはなぜ宮崎に、川南に来たのか、このことも私どもとしても調査に入りたい、こういうふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
あと、最後、お願いを申し上げます。埋却地の問題でございます。
先ほどもお話ししました。元気な牛、豚が地下に潜っている、それも三段、四段で潜っている、埋められている。こういう状況の中で、今現在、公社保有地、個人所有地及び公有地から、五市七町で二百五十二カ所、百四十二・三ヘクタールある埋却地でございます。この埋却地を今後どうしていくのか。だれが管理をし、そしてまた畑なり田んぼ、この部分はまさに土地評価も下がるわけでございますから、この埋却地、それから管理の問題を含めて、今の、非常に環境問題、これももうハエが発生している、悪臭が出ている、こういった埋却地も自分自身も見てきました。
そういう中において、どういうふうにこれをどこが、県がやるのか国がやるのか、または所有者がこの部分をやるのか、このことについて明快な回答をお願い申し上げます。
○山田国務大臣 現地での埋却、私もあの現場におって見てまいりましたからよく承知しておりますが、その後、土中からぶくぶくとガスが噴き出てくる、異臭がする、そういったものも見てまいりました。
そんな中で、環境保全に対してどういう形でやっていくかということは県とも市町村長さんとも随分話をさせていただきまして、環境対策については、単なる殺処分、埋却ではなく、おがくずとか、あるいは木酢液とか、そういったものについても、いわゆる埋却地に相応する経費等を国の負担でやらせていただいているところです。
これから先、あと何年かかるかわかりませんが、環境にも十分配慮していかなければいけないと考えておりまして、今後の措置について、どのようになっていくか、それはしっかり考えていきたいと思っておるところです。
○吉泉委員 ありがとうございました。
やはり、封じ込めが先だ、まず何でもありき、頼む頼む、こういうふうに私どもは言って、お願いをしてきたんだろうというふうに思っています。そして、その結果、今、ここまで一定の、新しいステージに向かう、そういうときに、それぞれ地方の県、市町村、そういったところについて、これからその部分を、どういうふうにして約束したことを履行していくのか、このことがまた頭の痛い状況になっているというふうにも思っています。
そういった面で、私どももぜひ精いっぱい、この口蹄疫について、二度とあってはならない、そしてまた宮崎県の復興、このことに向けて全力で頑張っていく、そういう決意を述べさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○筒井委員長 篠原副大臣、答弁はありますか。
○篠原副大臣 済みません。先ほどの答弁で、ちょっと修正をさせていただきたいと思います。
宮崎県からの要望でございますけれども、正確に言いますと、宮崎県に再生、復興のための基金を設置したいと考えておりますので、口蹄疫対策特別措置法第二十三条に基づく地域再生の支援策として、当該基金造成に対する支援をお願いいたしますと。宮崎県の要望は、国に基金をつくってほしいということではなくて、宮崎県自体に基金をつくって自由にそれを使いたい、それに対する支援を国にお願いしたいということでございます。
先ほどのはちょっと正確じゃなかったと思いますので、訂正させていただきます。
○筒井委員長 本日は、これにて散会いたします。
午後三時二十二分散会