第1号 平成22年8月3日(火曜日)
本国会召集日(平成二十二年七月三十日)(金曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。委員長 筒井 信隆君
理事 石津 政雄君 理事 梶原 康弘君
理事 小平 忠正君 理事 森本 和義君
理事 森本 哲生君 理事 北村 誠吾君
理事 宮腰 光寛君 理事 石田 祝稔君
石田 三示君 石原洋三郎君
石山 敬貴君 金子 健一君
京野 公子君 後藤 英友君
佐々木隆博君 篠原 孝君
高橋 英行君 玉木 朝子君
玉木雄一郎君 道休誠一郎君
中野渡詔子君 仲野 博子君
野田 国義君 福島 伸享君
松木けんこう君 柳田 和己君
山岡 達丸君 和嶋 未希君
伊東 良孝君 江藤 拓君
小里 泰弘君 金田 勝年君
谷川 弥一君 長島 忠美君
保利 耕輔君 山本 拓君
西 博義君 吉泉 秀男君
石川 知裕君
平成二十二年八月三日(火曜日)
午後四時一分開議
出席委員
委員長 筒井 信隆君
理事 石津 政雄君 理事 梶原 康弘君
理事 小平 忠正君 理事 森本 和義君
理事 森本 哲生君 理事 北村 誠吾君
理事 宮腰 光寛君 理事 石田 祝稔君
石田 三示君 石原洋三郎君
石山 敬貴君 金子 健一君
川村秀三郎君 京野 公子君
後藤 英友君 佐々木隆博君
篠原 孝君 高橋 英行君
玉木 朝子君 玉木雄一郎君
道休誠一郎君 中野渡詔子君
仲野 博子君 野田 国義君
福島 伸享君 松木けんこう君
柳田 和己君 山岡 達丸君
和嶋 未希君 赤澤 亮正君
伊東 良孝君 江藤 拓君
小里 泰弘君 金田 勝年君
齋藤 健君 谷川 弥一君
保利 耕輔君 西 博義君
吉泉 秀男君 石川 知裕君
…………………………………
農林水産大臣 山田 正彦君
内閣官房副長官 古川 元久君
内閣府副大臣 大島 敦君
総務副大臣 渡辺 周君
農林水産副大臣 篠原 孝君
総務大臣政務官 小川 淳也君
財務大臣政務官 大串 博志君
農林水産大臣政務官 佐々木隆博君
国土交通大臣政務官 藤本 祐司君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 針原 寿朗君
政府参考人
(農林水産省総合食料局長) 高橋 博君
農林水産委員会専門員 雨宮 由卓君
―――――――――――――
委員の異動
八月三日
辞任 補欠選任
松木けんこう君 川村秀三郎君
伊東 良孝君 齋藤 健君
長島 忠美君 赤澤 亮正君
同日
辞任 補欠選任
川村秀三郎君 松木けんこう君
赤澤 亮正君 長島 忠美君
齋藤 健君 伊東 良孝君
―――――――――――――
七月三十日
国産の農林水産物の消費を拡大する地産地消等の促進に関する法律案(山本拓君外四名提出、第百七十四回国会衆法第二一号)
農業等の有する多面的機能の発揮を図るための交付金の交付に関する法律案(加藤紘一君外四名提出、第百七十四回国会衆法第三五号)
農林漁業者等による農林漁業の六次産業化の促進に関する法律案(内閣提出、第百七十四回国会閣法第五〇号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
国政調査承認要求に関する件
政府参考人出頭要求に関する件
農林水産関係の基本施策に関する件
――――◇―――――
○筒井委員長 これより会議を開きます。
この際、理事会の協議に基づき、口蹄疫対策特別措置法第二十三条の基金の設置について、委員長から一言申し上げます。
皆さんに「口蹄疫対策特別措置法第二十三条の「基金の設置」について」と題する書面を机上配付させていただいております。この趣旨をお読みいただければよろしいんですが、基金の設置が必要であるという趣旨、これを明確にしております。
そして、この法律は議員立法で全会一致で成立した法律でございますが、各党、与野党間の協議における共通認識も基金の設置を行うということで進められて、そういう条文になったものでございます。
基金の設置は前提でございますが、しかし、設置主体、これを国にするのか県にするのか財団等にするのか、あるいはその具体的な内容に関しては、これはまだ立法時においては確定していなかったものでございます。
これらの点をこの書面において確認し、理事会でも確認をしたものでございます。
以上であります。
――――◇―――――
○筒井委員長 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
農林水産関係の基本施策に関する事項
食料の安定供給に関する事項
農林水産業の発展に関する事項
農林漁業者の福祉に関する事項
農山漁村の振興に関する事項
以上の各事項について、実情を調査し、その対策を樹立するため、本会期中調査をいたしたいと存じます。
つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○筒井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
――――◇―――――
○筒井委員長 この際、山田農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣山田正彦君。
○山田国務大臣 農林水産委員会における農林水産大臣の所信をこれから述べさせていただきます。
農林水産委員会の開催に当たりまして、委員長にお許しをいただき、所管大臣として所信の一端を申し述べます。
初めに、宮崎県の口蹄疫の発生農家及び関係農家の方々には心からお見舞い申し上げます。また、昼夜を問わず防疫対応に従事された方々に心から感謝申し上げます。
今回の口蹄疫の防疫対応については、四月二十日の発生以降、自衛隊、警察などの御協力をいただきながら、政府と宮崎県が一丸となって、一般道を含む消毒や家畜の処分、埋却等の防疫措置を実施してまいりました。その結果、七月二十七日午前零時をもって、すべての移動制限、搬出制限が解除されました。
しかしながら、大量の家畜排せつ物に含まれるウイルスについては、ブルーシート等による封じ込めを行ったものの、完全に死滅するには一定の時間を要します。引き続き、現地に職員を駐在させ、家畜排せつ物の適切な処理や消毒等を徹底することとしております。
今後、口蹄疫の蔓延防止のために殺処分に応じていただいた方々の犠牲を無駄にせず、また、炎天下や雨の中で黙々と埋却等の作業に御協力いただいた方々の労苦に報いるべく、第三者検証委員会を設置し、今回の対応を徹底検証するとともに、今後は、二度と今回のような大量殺処分といった事態を招かないよう、国と地方が一体となって取り組んでまいります。
また、宮崎県の畜産の復興、地域の再建については、農林水産省に経営再開を支援する特別チームを設置し、一日も早い農家の経営再開が行われるよう努めてまいります。
昨年の歴史的な政権交代により、農林水産分野でも大きな改革が始まりました。私の役割は、この流れを確定的なものとし、我が国の第一次産業を元気にすることであります。そして、国家の基本的責務である食料の安定供給の確保に向け、十年後の食料自給率五〇%を達成する道筋をつけることであります。農林水産業、農山漁村が再生し活力を取り戻すよう、さらに国民全体でこれらを支える社会が創造されるよう力を尽くしてまいります。
以下、主要な農林水産政策について申し述べます。
まず一点目は、戸別所得補償制度の本格実施です。
農林水産業は、食料の安定供給や多面的機能の発揮など国民生活に重要な役割を果たしております。こうした役割を維持するため、戸別所得補償制度により、意欲ある農林漁業者が将来にわたって農林水産業に取り組むことができる環境を整備する必要があります。
本年度スタートした戸別所得補償モデル対策には、幅広い支持をいただき、百三十万を超える販売農家、集落営農に参加をいただきました。今後、さらにその実施状況を検証しつつ、段階的に畑作物その他の品目及び農業以外の分野にも拡大し、本格的に実施してまいります。
二点目は、品質、安全、安心といった消費者ニーズにかなった生産体制への転換です。
近年の食品に関する不祥事等の発生もあって、食の安全、安心が大きく損なわれています。
このため、後始末より未然防止の考え方を基本に、国産農林水産物や食品の安全性向上のための科学的知見に基づく施策の推進に加え、トレーサビリティー、HACCP、GAPの定着を図ってまいります。
三点目は、六次産業化による活力ある農山漁村の再生です。
農林水産業を成長産業化し、地域を再生するためには、農林水産業、農山漁村の秘める力を最大限に発揮することが重要です。
このため、農林漁業者がみずから加工、販売へ進出することや、バイオマス資源などの地域資源を発掘し新産業を創出する農山漁村の六次産業化を推進し、雇用と所得を生み出してまいります。
その際、食文化を軸とする観光、文化政策や、医療、介護、福祉政策との新しい連携についても、各省庁との協力はもとより産学官一体となって取り組み、将来への展望を切り開いてまいります。
四点目は、森林・林業政策の転換です。
現在、森林・林業には、低炭素社会での新たな役割も期待されており、一方、材価の低迷などにより、森林所有者の林業への関心が低下し、貴重な資源の活用に支障を来すことが危惧されております。
このため、昨年十二月に策定した森林・林業再生プランに沿って、路網の整備、森林施業の集約化、人材の育成などを実施するとともに、建築材からエネルギー源に至るまでさまざまな形での木材利用を推進し、十年後の木材自給率五〇%以上を目指してまいります。
五点目は、水産政策の転換です。
我が国水産業については、非常に高い潜在能力を持ちながら、資源状況の低迷等により厳しい状況にあります。
このため、藻場、干潟の保全等により水産資源の回復を図りつつ、漁業所得補償制度を導入し、適切な資源管理と漁業経営の安定を軸とした政策体系に大きく転換してまいります。また、国際的な管理下にある水産資源について、科学的知見に基づき持続的な利用が確保されるよう努めてまいります。
六点目は、国際交渉への対応です。
WTOなど、EPA、FTA交渉につきましては、我が国が食料輸入国であることを踏まえた対応が必要です。このため、安全な食品の安定供給、食料自給率の向上、国内農業、農村の振興等を損なうことは行わないことを基本として対応してまいります。
以上、農林水産政策に関する基本的な考え方を申し上げました。
現在、平成二十三年度予算概算要求に向けた検討を精力的に行っておりますが、厳しい財政状況も踏まえ、農林水産業、農山漁村の活性化に真に役立つ政策に少しでも多くの予算を振り分けるべく、前例にとらわれず予算の無駄を徹底的に排除し、真に必要な諸施策を集中的、重点的に実施してまいる所存です。
委員長を初め委員の各位におかれましては、今後とも一層の御指導、御鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。(拍手)
――――◇―――――
○筒井委員長 次に、農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官針原寿朗君及び総合食料局長高橋博君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○筒井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○筒井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川村秀三郎君。
○川村委員 民主党の川村秀三郎です。
本日は、基本政策に関する質疑ということで、口蹄疫に関して御質問をさせていただきます。
御案内のとおり、私の地元宮崎県におきまして、四月二十日に口蹄疫が発生を確認されました。そして、大変な猛威を振るいまして、結局二十九万頭近くを処分するという事態にまでなったわけであります。おかげさまで、県、地元市町、国を挙げての御尽力がありました。そしてまた、地元のJA、消防、警察、地元の建設業、そしてまた全国からの獣医師、警察、自衛隊の派遣など、関係機関からの御支援、御協力によりまして、去る七月二十七日に家畜の移動・搬出制限が解除できたわけでございます。そして同時に、県の非常事態宣言も解除されたわけであります。
今回の口蹄疫は、畜産業はもちろんでございますけれども、宮崎県の農業全般また関連産業、そして地元の商業、観光の関連産業などなど、宮崎県の地域経済、あらゆる分野に甚大な被害をもたらしております。地域経済が停滞しております。雇用や生活の不安、環境対策など、さまざまな課題が生じております。気を緩めるわけにはいきませんけれども、終息の見通しが立った今、まさに口蹄疫被害からの再建、復興が喫緊の課題であります。
県においては、復興対策本部を設置いたしました。そしてまた同時に、市町村や経済団体も参加をした口蹄疫対策連絡会議を発足させました。そして、先週末ですが、口蹄疫復興に関する緊急要望を取りまとめました。その中で、八分野、三十九項目にわたる要望をされております。すべてをこの委員会で取り上げるわけにはいかないんですが、何点かお尋ねをしたいと思います。
まず最初の点は、基金の問題でございます。
この件につきましては、先日のこの農水委でも多くの委員から取り上げられました。そして、残念ながら、政府の方からは、基金創設については県の要望を待って検討ということで、設置自体についての明言はなかったわけであります。先ほど、冒頭、委員長が見解を示されました。立法趣旨というのは、二十三条の趣旨というのは、当然に実現を予定している代表例ということで、この見解を示していただきました。
そして、先ほど言いました県の緊急要望の中にも、口蹄疫被害からの再生、復興を図るために宮崎県が設置に向けて検討を進めています口蹄疫復興対策基金、これは仮称でございますけれども、これに対して財政支援を行ってほしいということが要望されておりまして、金額的には、事業規模として三百億円という具体的な数字が想定をされております。
要望の理由でございますけれども、再生、復興のためには国の制度あるいは事業による対策だけでは足りないということで、県や市町村におきますさまざまな取り組みを迅速にかつタイムリーに、そしてまた地域の実情、ニーズ、こういうものに応じて柔軟かつ的確に対応する必要があるということ、そしてまた、ある程度長期にわたるということを想定して、継続的に実施する必要があるから復興基金をお願いしたいんだ、こういう理由であります。
そして、実際、では、この基金の活用で具体的に何を想定しているかということでございます。
県の要望の中では、例えば消毒の問題。これは、もう今後は極めて小規模のところから大規模なところまで消毒を徹底しなければなりません。その施設整備も必要であります。それから、今回の口蹄疫の消毒で消石灰をかなり使いまして、施設にさびが出るとか、いろいろな老朽化が非常に起こっております。そしてまた、汚泥の問題もあって、活性汚泥が死んでしまった、そういうことでやりかえをしなくちゃいけない。さまざまな小規模な施設復旧であるとか補修等が必要になってまいります。
また、これは後でも触れますけれども、一応終息の見通しはついたけれども、農家の方々は大変に不安を持っておられます。本当に大丈夫なんだろうかという不安がまだあるわけであります。そのためにも、試験的に家畜の導入をやるような、そういう試みも必要であります。
それから、大量の家畜を埋却いたしましたけれども、その埋却地にかかわる環境対策、こういうものもきめ細かく今後実施をしていかなくちゃいけない。水道問題、水の問題も出てくる可能性があります。現に出ているところもあります。
そしてまた、先ほど言いましたように、この被害は広範囲に及んで、商業とか工業、地元の産業に影響を与えているということで、それぞれの地域が、創意工夫といいますか知恵を出しながら、地域復興を何とか図っていきたいということで、さまざまなアイデアを出して頑張ろうとしております。そういうものを支援していかなければならない。こういうものは、一々大きな制度をつくって国が認可をしてということではなかなか進みません。そういう意味でも、既存の枠にとらわれずに、地域や個別のニーズを踏まえたきめ細かな対応をするためにも必要なものだと私は考えます。
そういう意味で、今申し上げましたように、この二十三条の立法趣旨、そして県の要望、こういうものを踏まえて、ぜひここではっきり農林大臣にこの基金の設置について明言をしていただきたいと思います。ぜひ御答弁をお願いいたします。
○山田国務大臣 先ほど筒井農林水産委員長がまとめていただきました、いわゆる特別措置法の二十三条に基づく基金については、内閣府、官邸とも相談の上、設置させていただきます。その内容、時期等々については、各省庁にもまたがることですので、これから検討させていただきたいと思っています。
先ほどの要望事項で消毒の云々等々にありましたが、そういったものについては、今回、予備費とか、あるいは消費・安全交付金とか、あるいは施設の整備費や、強い農業づくり交付金とか、いろいろな形で対応できるものもあるのではないかとは思っておりますが、いずれにしましても、どういう形でやるかということはこれからしっかり検討させていただきたい、そう思っているところです。
○川村委員 今大臣から設置については明言をしていただきました。本当にありがとうございます。ぜひよろしくお願いします。
ただ、重ねてで恐縮でございますけれども、やはりスピーディーにやっていただかないといけない。後手後手に回ったのでは、本当に、せっかく復興に向けて動き出している動きがとまってしまうんです。そういう意味でも、ぜひ早急に結論を出していただきたい、中身を固めていただきたいと思います。
そして、消毒の話もございましたが、過去に済んだ消毒についてはそういうこともあるかもしれません。今後、まさに小規模のものも含めていきますと、個々の農家にやるような話になりますので、国の大きな予算の中で、そういった個々の農家の要請に対応するようなものは多分私は無理だと思います。やはり基金をつくって非常に機動的にやっていかないといけない、そういうものが多いと思うんですね。全体の大きなシステムをつくるのは国の制度になじみますけれども、本当にかゆいところに手が届くような対策はやはり基金の中で、細かい事業にも出せるような、そういう基金がぜひ必要だと思っていますので、その点を配慮して、ぜひスピーディーにお願いをしたいと思います。
次の質問をさせていただきます。
この土日、ここにいらっしゃる道休議員とか宮崎の参議院の外山議員ともども、何人かの町長さんにお会いしまして、今後に向けての御意見等を伺ったわけでございます。その中で強く言われましたのは、農家の皆さんの再開の意思というものは非常に高いんです。九割以上の方が何とか再建にいきたいということで希望を出しておられます。ただ、皆さん、不安をお持ちなんです。本当に始めていいんだろうか、そして、万が一自分のところで出て、またほかのところに迷惑をかけたら、これは申しわけない、そういう気持ちもあって、やはり様子見をしなくちゃいけないというようなことがあります。
理論的には、堆肥の問題が片づく八月末、その翌日からでも導入は可能なはずなんですが、今申し上げたように、すぐには再開できないという気持ちを持っておられます。しかし、再建がおくれればおくれるほど、非常にすそ野が広いので、畜産業のみならず、関連産業、地域経済の復興もおくれるわけなんです。ですから、この不安感をいかに早く払拭するか、これが今一様に求められていて、農家のニーズが高い、こういうことを聞いております。
そして、先ほど言いました県の要望の中では、二つほど具体的な提案がなされております。
一つは、酪農家のぬれ子、乳用種とか交雑種の子牛を、牛農家でありますとか豚農家に二頭ぐらいずつ試験的に飼ってもらう、そして発生がなければ、個々の農家、それぞれの農家が安心して再導入に取り組めるというようなことで、これは、今、酪農家の子牛、ぬれ子が非常に滞留しています。移動制限、搬出制限、競りが開かれないということで滞留していますので、これを有効活用するという意味でも非常にいいですし、そして、今言いましたように、肥育農家であれ繁殖農家であれ、そして養豚農家であれ、二頭ぐらいずつを飼うことによって安心する、身をもって清浄性が確認できるということで、非常にこれは有効な、一石二鳥にも三鳥にもなるような対策だと思います。これをぜひ実現しなくちゃいけないなと思います。
もう一つは、中間保有と言っていますけれども、JAとか経済連あるいは地区連等が、ある程度まとめて自分たちが飼う、そしてそれをまた農家に配分するといったようなことでリスクを軽減するということも案として入っております。
早期に再建に着手することで、いわゆる関連産業、これまで人工授精も控えておりましたから、人工授精師の皆さん、あるいは削蹄師の皆さん、いろいろな、運送、飼料、えさですね。関連産業の維持、雇用の維持にもつながると思いますので、国としてもこういう取り組みを積極的に支援していただきたいと思うわけですが、こういう点についてのお考えをぜひお聞かせいただきたいと思います。
○篠原副大臣 ただいまありました二つの提案の、最初の方についてお答えさせていただきます。
疑似患畜が確認された農場、それからワクチン接種区域の農場における家畜の導入に当たりましては、口蹄疫の再発防止に万全を期さなければなりません。
それで、今どうしているかといいますと、川村委員の中にもありましたけれども、殺処分が終了してから、一週間ごとに三回ほど消毒をきちんといたします。それから、まだ家畜排せつ物が残っております。これはウイルスがありますので、疑似患畜が確認された農場では六週間、ワクチン接種農家では一週間、これが不活性化あるいは死滅化には絶対必要でございます。そういったことを完了していること、これを条件としております。
それから、今ありましたように、初めてのことですので、再開はしてはいいんだと、八月下旬に大体その期日が来るということはわかっておるわけですけれども、農家は非常に不安でございます。それは承知しておりますので、家畜排せつ物の処理に当たりまして、詳細なマニュアルをつくりまして、農家の皆さんを相手に説明会を開いております。そして、適切な切り返し等をやっていただくことにしております。六十度ぐらいになりますとほとんどのウイルスは死滅するということになっておりますから、そういうことをしていただくと万全に近づくことになります。
それから、せっかくのいい機会というか、こういうことがありましたので、一体、家畜排せつ物の中にどの程度ウイルスが残っているのか、あるいはどのようにしたらリスクが低減できるのかというようなことも緊急調査しております。
それから、具体的な提案の、おとり牛の関係ですけれども、豚よりも牛の方が非常に敏感であり、かかりやすいということで、我々は、そういうことを、ぬれ子牛がどうだということまで具体的には指示しておりませんけれども、急に再開するのではなくて、試しにぬれ子牛もいいんだろうと思います、それを少数、今までは五百頭とか飼っていたところを、ほんのわずかだけ飼ってみて、これで万全だったらばやっていけるんじゃないか、そういったやり方で再開したらどうだということを宮崎県に要請しております。
いずれにいたしましても、我々は、農家が安心して再開できるように全面的な支援をしてまいる所存でございます。
○川村委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いをしたいと思います。
そして、三点目でございますが、宮崎は農林水産業が基幹産業でございます。これと同時に、やはり観光立県でもございます。口蹄疫の影響で観光客の落ち込みが大変著しい。旅館等によっては、予約が五割減、八割減になってしまったというところもいっぱいあるわけでありまして、この速やかな回復が必要でございます。
終息宣言まではまだちょっとありますけれども、非常事態が解除されたということで、八月一日、ついおとといでございますけれども、全国高校総合文化祭という、文化系の甲子園という大会が宮崎で行われました。秋篠宮、同妃殿下そして佳子内親王も来ていただきまして、多くの高校生等が参加するということで、私も開会式に出ましたけれども、こういう催しが宮崎で行われますと、やはり終息に向かっているんだなということを実感できましたし、私だけではなくて県民皆さんが元気が出てきたと思います。
こういったことを次から次にやはり打っていただきたいなと思います。官民一体になった取り組みで、ぜひ、宮崎に観光客なり来訪者がふえるような施策をやっていただきたいと思うわけでございます。いろいろな会議の招致でありますとか、あるいは旅行会社等に対する働きかけとか、観光需要を喚起するための優遇措置等を国としても講じていただければ大変ありがたいと思いますので、この点、国交省の藤本政務官、ぜひ明確に御支援をお願いしたいと思います。
○藤本大臣政務官 川村委員にお答えいたします。
観光は宮崎県の中でもやはりリーディング産業の一つであるということは認識をされていると思いますが、私どもも全く同じ認識でございまして、宮崎県の地域経済、元気を回復するためには、やはり観光の需要を拡大するということが大変重要であるということを認識しております。
二十七日に非常事態宣言が解除されて、すぐに、前原大臣からも、宮崎県の観光需要の具体策を考えろということの指示を受けております。宮崎は、県としては、八月一日から九月三十日までの実施期間で「来て!みて!宮崎キャンペーン」をもう実施されて、誘客対策を図っているということで認識をしておるんですが、観光庁としては、旅行業界を通じて宮崎へのいわゆる送客の強化、これを要請しました。それとあわせまして、旅行各社においても、料金的に比較的安目の、格安ツアーなども企画して実施をしているということで、宮崎を支援する動きが進んでいるわけです。
このように、国そして県のキャンペーン、そして旅行会社の積極的な、自発的な、いわゆる魅力的な旅行商品をつくっていくということを、三者が一体となって総合的に、それぞればらばらでやりますと予算的にもなかなか厳しいところがあるんですが、そこをやはり三つが連動してやっていくことが大切であるということで、旅行客にとってはお得感のあるような旅行商品の造成などを含めて、観光庁が中心になって頑張ってやっていきたいと思っております。
ありがとうございます。
○川村委員 大変ありがとうございます。
我々も頑張りますので、ぜひ国交省におかれましても最大限努力をしていただきたいなと改めてお願い申し上げます。
もう時間が参りました。
地元では、今回の反省も踏まえまして、再建に向けて、単純に前の姿に戻すのではなくて、もう畜産をやめて、川南とかこういう地域は畑作地帯でもありまして、畑作に転換をする。そのためには、やはりその製品の受け皿としてのいろいろな加工場も必要だ。それから、畜産も、いっぱい飼って密度を上げるのではなくて、加工して直販をするとか、そういう動きが出ています。そういう意味で、理想的な畜産経営あるいはその複合経営というものを模索する動きがありますので、これについてもぜひ、基金の中でも対応しようということにはなっておりますが、農水省においてもしっかり支援をしていただければと思います。
以上、お願いを申し上げまして、終わります。
きょうは、ありがとうございました。
○筒井委員長 次に、小里泰弘君。
○小里委員 自由民主党の小里泰弘でございます。質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
早速質問に入ります。
今回の口蹄疫への対応を振り返りますときに、多くの教訓あるいは反省点を生んだと思います。例えば、初期のころ、国からの消毒薬の手配がおくれたと言われます。あるいは、一般車両への消毒がおくれました。自衛隊出動要請がおくれました。そういったことを含めた、自治体への国の指示、指導というものが欠落をしておったんじゃないかということも指摘をされております。あるいは、現地対策本部、大臣、大変御苦労をいただいたわけでありますが、この現地対策本部の設置も、政府対策本部の設置も約一カ月おくれたのであります。あるいはまた、殺処分、埋却のおくれは、感染源が長らく放置された状況をつくりました。決定的な致命傷となったわけであります。同時にまた、予防的全頭殺処分、これは私どもが早期の段階から再三要請をいたしましたが、残念ながら、これもおくれにおくれて一カ月おくれとなりました。
こういった政府の対応のおくれあるいは欠落が際限なき被害拡大を生んだ、このことは謙虚にまた反省をしなければならぬと思います。大臣として、一連の対策をどのように総括されるか、お伺いしたいと思います。
○山田国務大臣 いかにも国の責任だと言わんばかりのお話かと今賜りましたが、もともと疫学調査チームからも、今、第三者委員会でもこれから検証していただきますが、国が実際に口蹄疫の発生を聞いたのは四月二十日でございます。ところが、実際に発症しておったのは三月の中旬から下旬。四月の二十日、そのときまでには既に十農場で、抗体検査の結果によっては発症が確認されております。県の家畜保健所、そこに三月の三十一日には検体もとっておったわけですから、それを早く国の方の動衛研に送っていただいていれば、口蹄疫であることが早く確認できて早期の対応ができたのじゃないか。
口蹄疫の、家畜伝染予防法に基づく国の指針につきましては、えびの市のように、都城のようにしっかりと早期対応をとっておれば十分それで防げる、そう考えておりますが、そういう意味では、今の家畜伝染予防法でも、これは第一義的には法定受託事務で、県の責任でやるべきことでもございます。そうかといって、国としてもいろいろと反省すべき点は今考えているところです。
いずれにしましても、どこにどのような教訓、学ぶべきところがあったかということは、今、第三者委員会、検証委員会でもってこれからはっきりされていくべきことで、あながち県の初動のおくれだとは、それだけだとは私は思っておりません。
○小里委員 法定受託事務の話がまたありました。法定受託事務は本来的には国が果たすべき役割であるということは御案内のとおりであります。
ましてや、今回は、いわゆる大災害、国の危機管理に係る話であります。何より、食料安保というものは国が最後まで責任を持つべき最たるものであります。大災害というものは、どの地域にも満遍なく発生をするものではありません、ある日突然に特定の地域に降りかかる。それだけに、予算も権限も、あるいは人もノウハウも、集中的に投入して打開を図っていかなければならぬのであります。そこには当然国のリーダーシップというものが期待をされます。
殺処分を初め、家伝法どおりに対策が実行されなかった、あるいは想定外の事態に十分な対応ができなかった、その責任は国と県の双方にあると私は思います。ここは、大臣がおっしゃったように、謙虚に客観的に検証をいただいて、今後の対応に生かしていただきたいと思います。いたずらに私は国の批判をするつもりはありません。未来を見据えて、しっかりともに取り組んでまいりたいと思うところでございます。
そこで、多くの教訓を生んだ今回の口蹄疫の問題であります。法定受託事務の扱いを含めた国の権限強化をいかに図っていくか、現地対策本部や政府の体制のあり方というものをどうとらえていくのか、予防的殺処分のあり方、車両等の消毒のあり方、埋却場所の確保の問題、各地域における防疫資材の備蓄、配備のあり方など、多くの課題を残しました。
それぞれについてマニュアルの再構築をしていかなければなりません。まずは農家におけるマニュアル、自治体におけるマニュアル、国におけるマニュアルというものを再構築しないといけない。そこには家伝法の改正も当然伴ってまいります。事に臨む大臣の方針というものをお伺いしたいと思います。
○山田国務大臣 今回、本当にさまざまなことを、現地に、またこちらにもいて学ばせていただいたと思っております。
一つは、今委員が御指摘のように、やはり国家的危機管理として国が前面に立ってやること、これは、今回、家伝法の改正においてもぜひやらなければいけない、そう考えております。
実際に、今回一つの大きな教訓であるんですが、既に六月中にマニュアルをつくって各都道府県に配付し、各都道府県の畜産課長さんも集めて先般お話ししたところですが、いわゆる家畜の異常、よだれを垂らしたりびっこを引いたりしたら、異常を農家が見つけたら、二時間以内に防疫員、獣医さんがそこに出かけていくということ。それで、デジタルカメラで写真を撮って、すぐ国の方に、家畜衛生研究所、動衛研の方に送ってもらうと写真で今判定できる。二十四時間以内に、その写真で判定して黒とわかれば、殺処分して、七十二時間以内に埋却していく。
これからグローバル化して、またいつ、どこに発症するかわからないときに、そういったマニュアルを今しっかりと、そして、家畜改良センター、国の組織において今チームをつくりまして、いざ発症したときには、直ちに一切の資材を持って、獣医師さん等々を含めて駆けつけられるような緊急チームを編成できております。
いずれにしましても、今回大変な教訓を、大変な犠牲を払った上でいただいたということで、私ども、しっかりとその対応に取り組ませていただいているところです。
○小里委員 ありがとうございました。
しっかりと今回の教訓を生かして防疫体制の再構築をお願いしたいと思います。
さて、口蹄疫発生後の競り市が再開をされました。私どもの鹿児島で見ました場合に、例えば出水地域で平均で二万四千円値下がりをしております。指宿地域で二万六千円の値下がり、逆に、曽於地域では一万二千九百円ぐらいの値上がりをしております。これは四月に比べて、口蹄疫発生前に比べてそんな動きであります。八月に入りましてからは、平均すると一万一千円値下がりをしております。七月の平均値で六千六百円のマイナスということでございます。
率直に言いまして、思ったほどは下がらなかったかなという気がしないでもありません。
ただ、県により、例えば出荷日齢が三百六十日以上の肉用子牛につきましては、基準価格以上で買い上げる購買者に対して、雌の子牛で二万五千円の助成、あるいは去勢牛で三万円の助成を行っております。これがかなり下支えになったんじゃないかと推定をするところであります。また、えさのやり方を工夫いたしました。繁殖農家が、子牛が大きくなり過ぎる過程で、肥育農家のえさのやり方を取り入れて、そこをやっていただいた。したがって、肥育農家、購買者が買いやすい状況になったということも言えます。
そういった、自治体あるいは農家の懸命の努力がありまして、こういう状況に何とか、落ちついているとは言いませんが、一つの価格の成績になっているわけであります。
そこで、今後また宮崎県側で、例えば八月二十九日に高千穂市場が皮切りでしょうか、再開になりますし、今後ともそれぞれの市場の動向というものが目が離せないわけであります。
肉用牛繁殖経営支援事業の特例措置として、七月から九月の、第二・四半期の県平均売買価格が適用されます。そして、四半期ごとの交付となります。したがって、十月にその支払い額というものが確定をして、十一月に支払われるということになります。ただ、これだと、資金繰りに困っている農家が大変困る。それ以上にまた窮地に立たされるわけであります。そこで、月ごとの平均売買価格の適用ができないか、あるいは月ごとの支払いが迅速にできないかという要望をいただいております。
また、四分の三の交付ではなくて全額の交付をお願いできないか。今、県でこれに補完をいたしまして、約九〇%が補てんをされているわけでありますが、ぜひともさらなる国の支援をお願いしたい。
また、前から御指摘がありますように、飼料代四百円だけじゃなくて、労賃も、労力経費も見ていただきたい、そういう切なる要望がいまだに上がっているわけであります。
特措法第二十条では、この補てん、まさに全額を予定していると私どもは思うところでございますが、大臣の見解をお伺いしたいと思います。
○篠原副大臣 肉用牛繁殖経営支援事業の特例措置について、細かい御要望、御質問がございました。
肉用子牛については平成二十二年度から肉用牛繁殖経営支援事業を措置しまして、今小里委員御指摘のとおり、四半期ごとに全国一本の平均価格で発動基準価格、例えば黒毛和種だと三十八万円ですけれども、これを下回った場合に四分の三を支援交付金として交付するという措置を講じてまいりました。
そして、今回の口蹄疫の発生に対しましては、現行対策の枠組みをそのまま維持しつつ、今、これも御指摘がありましたが、四半期ごとに、七月から九月における平均価格について、特例で、全国一本だったわけですけれども、宮崎、鹿児島、熊本では影響が大きいだろうということで、県ごとに算定した地域平均の売買価格を用いて支援交付金を算出することといたしております。これは、口蹄疫の発症でいろいろ影響があった地域に対する特別の措置でございます。
このほかに、資金繰りが一時的に悪化した場合には、もろもろの資金、例えば、家畜疾病経営維持資金、それから農林漁業セーフティネット資金、それから家畜飼料特別支援資金等の利用が可能になるようにいろいろ措置してございます。
それで、細かい御指摘ですけれども、毎月やってくれないかということでございますけれども、小里委員のところの地元ではどうでしょうか、毎月市場が開設されているところと隔月のところと三カ月に一回のところと、いろいろあるのではないかと思います。ですから、それぞれの各市場の価格を平均的に反映して計算するには四半期ごとが一番適当じゃないかということで、四半期ごとに我々はしております。これが計算上の事情でございます。
それからもう一つ、四分の三ではなくて全額補てんしてもいいじゃないかということでございます。全額というのは、全額の方がいいのはわかっておるわけですけれども、ほかの県との公平感とかいう問題もありまして、差額の四分の三を交付する現行の仕組みの中で対応してまいりたいと思っております。
○小里委員 県の平均価格にしていただいた、これはありがたいことでございます。
それと、四半期か単月ごとかというのは、農家が資金繰りに困っておりますから早期に支払いをお願いしたいということでございまして、その観点から対応をお願いしたいと思っているところでございます。
申し上げましたように、特措法の第二十条では、家畜市場の自主的な開催の停止による農家の損失につきましても「当該家畜の所有者の当該損失を補てんする」としております。ここには、家畜所有者の損失額全額を国が補てんするという立法者意思というものが込められていると私は認識をしておりますし、こここそ立法過程で、立案過程におきまして腐心をしたところであります。制限区域の内外を問わず、自主的な競り市の停止による損失に対しても全額補てんを予定していると私は信ずるところでございます。
また、これから将来への、いざというときの防疫対応を図るときに、制度に対する信頼、行政に対する信頼というものがなくてはならぬ。これをしっかり確保していくためにも、ここは温かい手厚い対応をぜひお願いしておきたいと思います。
次に移ります。
鹿児島県内でも、競り市の中止のみならず、感染拡大防止のために、スポーツ大会あるいはこの時期の夏祭りのほとんどなど、多くのイベントや行事が中止に追い込まれました。交流人口の減少によりましても、例えば六月の調査におきましては、観光地、鹿児島の霧島とか指宿地区で宿泊客数が激減をいたしまして、前年同月比で一七%減少をしております。県境の商店、観光地におきましてはゴールデンウイーク中の人出が例年と比べて二十万人減少したという数字が挙がってまいっております。また、例えばスポーツ大会が中止をされますと弁当の注文が減ります。あるいはまた、曽於地区におきましては、商店街の八割が売り上げが減少をしたという事例もあるのであります。
川村委員御指摘のように、宮崎県のみならず、鹿児島県におきましても地域経済に広範囲に深刻な影響を及ぼしているのであります。そこで、鹿児島県側におきましても、地域再生の基金に対する期待というものがとみに高まっているのであります。
先ほど、委員会冒頭、委員長から、今回の基金の設置につきまして、これは立法者意思として、唯一の代表的な事例であって当然実施されるべきものという委員会の確認の披露がありました。そしてまた、大臣におかれては、きのうの予算委員会でも、基金の設置を明確に表明いただいたところでございます。
そこで、基金の規模、対象地域、内容、窓口、スケジュール等を明確にしていく必要があると思いますが、この基金の設置に臨む、その辺の大臣の方針についてお伺いをいたしたいと思います。
○山田国務大臣 基金の内容、範囲それから時期等については、各省庁にまたがるので、これから検討していくところですが、鹿児島県も一部、熊本県も一部、搬出制限区域にかかっているところもございます。
いろいろなことを考えさせていただいておりますが、基金の内容等についてはどういう形にするか、本当に基金じゃないと対応できないもの、そういったものになっていくかとは思っておりますが、各省庁にまたがるもので、これから官邸とも相談しながら詰めていきたいと考えているところです。
○小里委員 基金の規模、対象地域、内容、窓口等についてお伺いをしたわけでありますが、考え方としては、大胆に、広範囲に、きめ細かに、そして実効ある基金となりますように、ぜひ職務に照らして大臣の御奮励、御指導をよろしくお願いしたいと思います。
時間がありませんので、赤潮被害の問題に移らせていただきたいと思います。
今般、長島・天草海域を中心にいたしまして大規模な赤潮被害が発生をいたしました。長島海域で見た場合に、百四十四万尾の被害。昨年、未曾有の被害と言われた長島海域の被害が百二十一万尾でありました。それを大きく上回ってきているわけであります。熊本県、長崎県分を合わせますと二百四十八万尾、被害額は三十二億円に上ります。魚価の低迷、餌料価格の高騰などを大きな背景といたしまして、漁業者は大変な経営の苦難にさらされておりますが、そこに、昨夏に引き続いてことしも、ダブルパンチとなってこれが漁業者を見舞ったわけであります。
長期化をいたしました。昨年の赤潮は二週間でありました。ことしは一カ月に及びました。あるいは、細胞数が膨大でありました。そしてまた、潮が動かなかった、最盛期において小潮であったのであります。こういった悪条件が重なりまして、専門家に言わせますと百年に一度の赤潮被害と言われるまでの大きな災害になっているところでございます。
若い後継者の多い、そして地域の基幹産業でありますブリ養殖であります。何とかここを未来へしっかりとつないでいきたい、しっかりと乗り切っていきたい、地域のかたい意思が存在をするところでございます。ここで激甚災害並みに、あるいは口蹄疫対応並みの対策をお願いしたいという地域の切なる要望であります。
漁業共済に大半が入っておりますが、ただ、共済金は実損額の五八%の支払いであると伺っております。その差額をどう見ていくのか、大きな課題であります。あるいは、関係金融機関における返済猶予、条件緩和等の措置が求められます。漁業緊急保証対策事業の別枠の創設も求められているところであります。
また、自治体における死魚の埋設処理など、赤潮被害対策に係る経費負担が自治体に大きくかかってくるわけであります。緊急雇用対策もまさに緊急の大きな課題となっているところであります。
こういったことを含めまして、担当大臣として、この赤潮被害に臨む決意というものをお伺いしたいと思います。
○佐々木大臣政務官 赤潮対策についてお答えを申し上げます。
今小里委員から御指摘がございましたが、本年の六月から、大変毒性の強いと言われているシャトネラ・プランクトンによって、八代海、有明海、橘湾などに大発生して、大きな赤潮被害が発生をしているということについては我々も承知をしているところでございます。鹿児島、熊本、長崎、それぞれで、大変大きな被害を受けて、今委員からも御指摘がございましたが、なお現在も各県において引き続き被害調査を実施させていただいているところでございます。
現在は、八月二日時点で、鹿児島県においては赤潮の警報は解除をさせていただいてございます。
対策についてお尋ねがございました。
七月二十八日から二十九日、現地に水産庁の増殖推進部長等を派遣させていただき、現地の皆さん方と意見交換をさせていただき、今お話がございました、一つには共済についてでありますが、共済金が速やかに支払われるように、もう一つ、金融については、公庫資金、日本政策金融公庫あるいは信漁連などに相談窓口を設けさせていただいたところでございます。
共済でありますが、昨年まで七七%の加入率でありましたが、ことしは九一%加入をしていただいてございまして、さらに加入促進に努めてまいりたいというふうに思ってございます。
共済とセットであります融資についてでありますが、再建に必要な経営経費として使える長期運転資金、これらについて、低利の、〇・六%から〇・八五%の農林漁業セーフティネット資金を活用していただけるようにしているところでございます。
さらにまた、養殖業者が稚魚の買い入れあるいは運転資金の調達などを行うために、プロパー資金の活用、それから無担保無保証等に使う漁業緊急保証対策等についても利用可能なので、これらについても今周知をさせていただいているところでございます。
○小里委員 ありがとうございます。
今後、漁協あるいは自治体の方から具体的にまた要請があろうかと思います。地域の大事な基幹産業をここで絶やすことのないように、ぜひとも手厚い対応をよろしくお願いしたいと思います。
もう時間がありませんので、最後の一問でございます。集中豪雨における農業被害を中心とする対策についてでございます。
鹿児島県におきましては、先般の集中豪雨災害によりまして、二名が亡くなったほか、県下各地で公共土木施設、農地・農業用施設、林地、治山施設、林道施設、住宅など、極めて広範囲かつ甚大な被害が発生をいたしました。うち、農地・農業用施設の被害につきましては、霧島市分だけで約十億円、県下全体では四十一億円に上っております。
一日も早い災害復旧に向けまして、自治体、関係機関とともに全力を挙げて取り組んでいるところでございます。国におきまして、緊急な特段の配慮がなされますように要望を申し上げる次第でございます。農林水産大臣としての、今般の広範囲な災害に臨む決意をお伺いしたいということがまず一点でございますが、同時にまた、早期の復旧に向けまして激甚災害の指定が望まれるところであります。
今回の雨の降り方を見ますと、極めて局地的に、強い、激しい雨が降っております。霧島市の例で申し上げますと、旧一市六町が新たな霧島市を構成しておりますが、その中の旧霧島町を中心とするところだけがほぼ集中的に被害を受けておる。時間雨量百二十六ミリの被害を受けておりますのに、その周辺は二、三十ミリというような状況があったわけであります。
予算委員会でも、雨の降り方、気象条件、局地的な豪雨の増加傾向等の指摘がありました。従来の発想を超えた対応が必要になるんじゃないか、従来の基準ではなかなか救えない地域が出てくるんじゃないか、その辺の御指摘もあったところでございます。柔軟な新たな対応というものが望まれると思いますが、その辺もあわせて、これは内閣府でありましょうか、お伺いをしたいと思います。まず、農林大臣。
○佐々木大臣政務官 先に、農業被害について私の方からお答えをさせていただきます。
この梅雨期の集中豪雨の被害を五百一億円というふうに八月二日現在で報告を受けているところでございます。一番大きい被害は農地・農業用施設でございまして、二百六十億円、林野関係が二百三十三億円、そのほか、農作物被害が七億八千万円、水産関係が二千万円というような状況でございます。
農水省としては、七月二十六日、山田大臣の広島県の被災地訪問などを含めて実態把握を行っているところでありますが、いずれにしても、現地に担当官を、それぞれ鹿児島、広島等に派遣し、助言をさせていただいていると同時に、被害の大きい農地・農業用施設、林地・林道、主に土木事業でありますが、災害復旧事業に万全を期してまいりたいと考えているところでございます。
○大島副大臣 お答えをさせていただきます。
激甚災害の指定なんですけれども、被害状況の把握と精査が必要であり、早急に取りまとめるよう、関係省庁で連携して取り組んでいるところでございます。
現時点では、農地等の被害が全国的に積み上がっていると聞いておりまして、激甚災害指定の可能性が高いものと考えております。
以上です。
○小里委員 ありがとうございました。どうぞよろしくお願い申し上げます。
質問を終わります。ありがとうございました。
○筒井委員長 次に、赤澤亮正君。
○赤澤委員 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
久しぶりに農林水産委員会の質問でございますので、我が国にとってなくてはならない宮崎県の畜産について、しっかりと再生の道を歩むことを期待しておりますし、そのために、農林水産省政務三役の先生方には獅子奮迅の活躍をしていただきたいということを、冒頭、申し上げます。
さらに、私の地元鳥取県の日南町を初め本年の梅雨の災害において被災された全国の皆様に心からお見舞いを申し上げる次第でございます。特に、お亡くなりになった方々の御冥福をお祈りいたします。
似た話題がもう出ていると思いますけれども、現在、例えば、地元の鳥取県、島根県さらには広島県、山口県の四県が連名で激甚災害の指定を要望しております。多くの農業被害が含まれていることを考えれば、山田大臣の御尽力が大いに期待されるところであると思いますが、その点について、冒頭、大臣のお考えを聞かせていただければと思います。
○山田国務大臣 最も被害が大きいと思われました庄原市、本当に山の奥でしたが、行ってまいりまして、大変悲惨な状況、十七ヘクタールの田畑が、土砂で家も家屋も含めて埋まっているのを見てまいりました。地元の方々からいろいろな御意見も伺ってまいりまして、今回、集中豪雨の被害がいかに大変なものであったかということは、よく認識させていただいたつもりです。
できるだけ早く激甚災害の指定を受けたいと思っておりまして、今、その査定を急いでいるところです。
○赤澤委員 ぜひよろしくお願いいたします。
過去に、風倒木の被害なんかでも、鳥取、島根、岡山県だったと思いますが、三県で要望して激甚被害の指定を受けたという例もあると承知しておりますので、ぜひ大臣の大きなお力を発揮していただきたいと思います。
委員の中には、ぴんとこられている方、こられていない方もおられると思うんですが、本当に水の力というのはすごいものでありまして、私も現地を見て本当に驚いたのは、田んぼの周りを畦畔で区切って、水を流したりためたりしておるわけでありますけれども、用水路がコの字型になっていても関係ないんですね。
水の勢いが、最初に山から出たところの勢いで、それが直線的に進んでしまう。そこの通り道にある畦畔は全部崩されて、その通り道にある稲は全部土をかぶってという状態になってしまう。畦畔が崩されたところは水がたまりませんので、出穂間近の稲が、もう本当に大被害で、このまま水がたまらなければ全滅だみたいな状態。共済の世話になるしかないのかというぐらいの瀬戸際になってしまう。こういうことでありますし、道路のアスファルトも、これは大臣もごらんになったと思いますけれども、下の土が全部掘られちゃうものですから、道路のアスファルトが、力が加わって何かめちゃくちゃに折り曲げられたみたいな状態になって、もう車も走れない。
本当に、現地に足を踏み入れてみると、毎回、その大変さというのがよくわかることでありますし、やはり被害に遭った方たちをしっかり支えないと、農業を続ける熱意というのがもう折れてしまうという事態もあり得ると思うので、本当に、重ねてになりますけれども、激甚災害の指定をぜひよろしくお願いしたいと思います。
きょうは、主に米価の話、それから米の在庫、そして所得補償についてお伺いをしたいと思うので、質問を進めさせていただきます。
現在、米価が下がっている原因について、大臣、どのように認識をされておられますでしょうか。
○山田国務大臣 現在、米がじりじりと下がっているのは承知しております。これを考えてみますと、三つあるんじゃないかと思っております。
一つは、おととしから去年の在庫量というのは五十万トン多かったわけですが、その在庫が過剰に残っておったということ。もう一つは、去年の六月からデフレ、いわゆる食料品価格は軒並みに下がってまいりました。実際、麦価、小麦粉の価格等々は四%も下がっております。食料品全体が下がりました。米も下がってきたのはデフレのせいも幾らかあるのじゃないかと考えております。三つ目としましては、卸、小売の段階におきまして、ことし、六月末の在庫は減っております。その減った分、一部の県、東北の県の農協等の在庫は売れ残っているのがある。それらを合わせますと、ことしは六月末が去年に比べて六万トン多い、そういう在庫量を来しておる。
そういったこと、もろもろのことが、いわゆる二十一年産の米がじりじりと今下がっている原因じゃないかと考えているところです。
○赤澤委員 それで、米価が下がっていることについての評価を伺いたいんです。あわせて、もし適正米価というようなことについて大臣が認識をお持ちであれば伺いたいんです。
わかりやすく言えば、米価は市場次第で幾ら下がっても問題はないと考えておられるのか。あるいは、適正米価、そういうものはないんだと思っておられるのか。その辺について、現在の米価の下がっていることについての評価と、適正米価についての認識を教えていただきたいと思います。
○山田国務大臣 二十一年産の米については今そういう状況ではありますが、生産者、米を生産している農家は、ことし、二十二年産の米については、所得補償分、それと変動部分というものについて、いわゆる生産コストの岩盤部分は必ず補てんされることになっておりまして、生産者にとっては、私は、ことし心配することはありません、二十二年産米についてはそう考えているところでして、国が、価格が下がったからといって買いに入るということは現在の食糧法の建前からもできません。かつて自民党さんではやられたことはありますが、仮に、もしそういうことがあったとしたら、この戸別所得補償に参加しなかった農家の方々、あるいは一部のちょっと売り残してしまった方々をかえって利することになって、不公平感を生ずるんじゃないのか。
我が国としては、戸別所得補償制度を始めた、モデル事業を始めたことに至っては、その点、国の立場をはっきりと堅持して、生産者の生産コストはしっかりと戸別所得補償において守っていきたい、その方針をきちんと貫いていくつもりでございます。
○赤澤委員 幾つかおっしゃったことで、私も理解ができる点とそうでない点がありまして、できない点もかなりあるわけで、一部留保をして先に進ませていただきたいですけれども、岩盤部分と変動部分ということをおっしゃった。
私の理解しているところ、変動部分は一俵当たり千二百円までの価格変動にしか対応できるだけの予算がないということであります。概算要求においては一俵当たり千二百円分しか用意していないので、それ以上米の価格が下がれば、それ以上は補てんができないということは事実としてあるというわけであります。
だから、二十二年について御安心くださいというメッセージなのかもしれませんけれども、私は全く十分安心できない。現に、過去八カ月間で千円、米の価格は落ちておるわけですよね。後で在庫の話もさせていただきますけれども、一俵当たり千二百円の予算の用意で本当に足るのかということについては大いに疑問があります。
さらに言えば、これは今後、米の価格が落ちれば落ちるほど、後ほどまた触れますけれども、米の所得補償に必要な財政支出の額というのはどんどんどんどん膨らんでいくわけでありまして、これはどこかで無駄がある、無駄で何でも財源は出ると言ったけれども、そんなに無駄はなかったという、本当に金欠の状態である今の政府のもとで行き詰まることはもう歴然としていると私は思っているので、今のお話を聞いても、正直なところ、必ずしも安心ができません。
ただ、大臣のおっしゃったことの中で、事実としては、一俵当たり千七百円、あるいは十アール当たり一万五千円という方が農家には流布しているかもしれませんけれども、プラス変動部分、一俵当たり千二百円の予算は用意をされている、それは間違いなく確かに事実であろうというふうに思います。
ちょっと話題をかえますけれども、関連した話題で、七月三十日の日本農業新聞によれば、私の尊敬しております篠原孝副大臣が、米価が下がっても自己責任、麦や大豆で適地適作を進めていくことが筋だ、こう述べ、過剰米対策には否定的な見解を示したとされていますが、本心ですか。
○篠原副大臣 その記事は、北海道、東北の水田の協議会の皆さんの陳情をお受けいたしました。そのときに一時間ほどやりとりした一部が、私の取材ではなくて、来られた方々、県の農協の中央会の会長さん方だったと思います、その方のところから出た発言だろうと思います。
私の言わんとしたところはこういうことでございます。
今、農業者戸別所得補償を始めました。これはいろいろな目的があるわけですけれども、一つの目的として、ずっと米の過剰が続いておる、これをこの農業者戸別所得補償の導入によって直していきたいということです。それにはどうしたらいいか。米をずっと優遇してきたがために、米は大事だからやっているんです、大事だから米を大事にする。その結果、米に余り適さない地域でも、あるいは、米に適さないと言うと語弊があるんですね、米以外の作物でもって収益を上げていこうと思ったら上げていけるんだけれども、米が余りにも優遇されているので、やはり米をつくってしまうというところで多くなってしまっているんじゃないか。だから、この際、麦とか大豆とか菜種とかソバとか、そちらの方で十分な収益が上げられるところは、そういうのをつくってください、それに対しては所得を補償いたしますということをやっている。
米については、余っているので、そういった手厚い保護をする必要はないのかもしれませんけれども、米でももう採算割れしているところがあると。やはり、食料安全保障のことを考えたら一番大事な作物なので、これについても所得補償はしなければならないということでしました。なおかつ、米は大事なので、さらに価格が下がったときは、変動支払いということで千三百九十一億くらいを用意してある。これだけ用意してあるんです。
だから、ちょっと米が今在庫がふえていると今大臣がお答えになりましたけれども、それから価格が下がっているといったところで、余りがたがた騒がれる必要はないんじゃないでしょうか、頑張ってやってくださいということで、激励の意味で申し上げたところが、逆のところだけが強く出てしまっているんじゃないかと思います。
○赤澤委員 ただ、私はこれは、副大臣、今そうおっしゃいましたけれども、本心を吐露されたのかなと思わなくもないんですね。米価が下がっても自己責任というこの大臣の考え方は非常に衝撃を持って、日本の農家の皆さんが大いに心配する形で衝撃を持って伝わったと思うんですよ。
それはなぜかというと、政権交代前、篠原副大臣がまさにこの委員会の場で、ちょっといかがわしいあの選挙ビラと言った民主党のビラですよ。そのビラに何が書いてあったか。米一俵五千円になっても我々が所得補償するから大丈夫と。あのときは一万円ぐらい補償するみたいなことが書いてあったのかな。その選挙ビラの中身は、米の価格が落ちてもちゃんと所得は我々が補償するからオーケーですよという中身だった。
ただ、そのビラを、理由は私はよくわかりませんけれども、副大臣は一度、あれはいかがわしい選挙ビラだと呼ばれたことがあって、実は、米の価格が下がっても、それも自己責任というのは本心ではないんですか。そこはもう、そういうことではないんだ、本意ではないんだ、この記事の書かれ方は自分の本意とは違っているんだ、米の価格が下がった場合はやはり我々が補償するんだということなんですか。ちょっと一応、もう一度確認をさせてください。簡潔にお願いします。
○篠原副大臣 農業者戸別所得補償の対象品目になっておりますし、麦、大豆、菜種等にはそういうのはありませんけれども、米については変動支払いまで用意しているわけですから、それなりにきちんと手当てはするということでございます。
○赤澤委員 新しい副大臣が出られて、いきなり省内不一致みたいなことが起きているのかなと思って、ちょっと確認をさせていただいたわけでありますけれども、では先に進めさせていただきたいと思います。
そこで、昨年十一月十七日、当委員会、臨時国会で私が質問をした際に、赤松前農水大臣が、私どもは、今回のモデル事業につきましては、需給が緩んで米の値段が下がるということはあり得ないというふうに思っております、こう発言をされました。私は、それについてどういう発言をお返ししたかというと、一国の大臣が下がることはあり得ないとまで言った以上、もし下がったらやめてくださいね、やめていただけますかということを申し上げました。そのときに、赤松大臣は何とおっしゃったかというと、要旨を言えば、大潟村の人たちまですばらしい制度だと言って、あの生産調整を守らない大潟村の方たちまでそう言ってこの制度に入ると言っているから絶対下がらないんです、確信したんです、こういうお話だったんですね。
私は、何と危機管理の意識の薄い方かなと。自分が想定しているシナリオが崩れたときのことを何も考えない人だなと思って、案の定、口蹄疫の問題で危機管理の意識なり対応能力の欠如も露呈して、私が米価が下がった後で追及する前にもうやめてしまわれたわけであります。
しかしながら、その当時の大臣の発言と比べても、今回、五月十四日付で農水省が大臣官房長、総合食料局長、生産局長の連名で紙をまかれています。「米モデル事業の実施に伴う流通分野における不適切な取引の発生の防止について」ということです。内容は、これは長いので細かく申し上げませんけれども、モデル事業で絶対米価は下がらない、下がったらやめますかと聞かれても、いや、絶対下がらないんだ、こういう農水大臣の発言がありながら、今大臣は山田大臣にかわっておられますけれども、当時副大臣でいらっしゃいました。この赤松大臣の発言と、今回農水省が出された不適切な取引の発生の防止、要は米価が下がることをまことに心配している文書に私には見えます。これは矛盾していませんか。
○山田国務大臣 赤松大臣が申し上げたのは、二十二年産の米、いわゆる戸別所得補償に基づく米の価格のことで下がらないと言ったわけなんです。
と申し上げますのは、前回、生産調整に協力した農家は百二十万戸と言われておりますが、今回、百三十二万戸を超えました、戸別所得補償に参加していただいた農家は。先ほど大潟村の話もありましたが、需給は引き締まるものだと考えております。
ただ、作柄等がどうなるかということは、これから注視していかなければならないと思っております。いわゆる二十一年産の米についてもそうですが、作柄による影響はあるものだと思いますが、その点、在庫量も含めながら、十分注視していきたいと考えているところです。
○赤澤委員 今大臣の、この五月十四日の文書をよく理解しておられていないんじゃないかというような答弁がちょっとあったと思うんですけれども、まさにこれは二十二年産についての話でしょう。これから二十二年産が出てくるに当たって、一俵千七百円支給されるのはわかっているから、その分は下げられるだろうみたいな取引をするなよと、簡単に言えば。米の買い取り業者に対して、そういう何か足元を見たような不当なやり方をするなよという文書ですよ。
これはほっておけば、それが不当なやり方かどうかはともかくとして、これだけ一俵当たりの価格に翻訳しやすいお金の払い方をするんですから、私が一番危惧するのは、これは赤松大臣にも申し上げたけれども、理解してもらえなかった。需給が緩まなければ価格が下がらないなんてことは私はないと思うんですよ。需給が去年のとおりだって、あなた、一俵当たり千七百円、去年より多くお金をもらっているんでしょう、その分まけてよ、でなければ隣から買うよ、もしそういう形で値下げを求められたら、それはたくさん売るために下げる人の方が多いと私は思いますよ。
その辺のことを危惧しているからこそ、まさにこれが出てくるのであって、そこを不当な取引だといって何とか抑えようとしているけれども、要するに、私が昨年十一月に申し上げたとおり、これを単純にやれば米価下げの圧力が働くということを恐れている文書じゃないですか。赤松大臣が言っていたことと、私にはどうしても全く矛盾しているように思えますけれども、いかがですか。
○山田国務大臣 赤澤委員がおっしゃっているのは、いわゆる所得補償をやるんだから、その分、農家に対していわゆる集荷業者が買いたたくのではないか、そういう言われ方かと思いますが、独占禁止法でも、買う側、いわゆる優越的地位に基づく、例えば所得補償をやるんだからその分まけろと言うことは独禁法違反に当たる行為だと思っておりますし、これから米トレーサビリティーをきちんとやっていく。
今回、事故米についても刑事告発いたしましたが、そういう意味では、きちんとやっていきますし、取り締まりも集荷業者に対してやってまいりますので、そういうことのないように万全を図っていきたいと考えているところです。
○赤澤委員 今、私はかなり重大なことを言われたというふうに思っているんです。それは何かというと、米の価格は商取引で決まるので、そこはもう基本的に自由だというのが今まで大原則なんですよ。何だかんだ言って、牛乳がスーパーで買いたたかれる、卵が買いたたかれる。その結果、生産者が所得が上がらない。おかしいと思いながら、公取に出動願ったって、今までずっとできてやしないんです。
今の発言にまさに関連するので、これは大臣の信念なんだろうと思いますけれども、七月二十八日の当委員会における宮腰委員の質問への農水大臣としての答弁で、これは、今回、戸別所得補償をやるということによって、十アール当たり一万五千円、それを見込んでの米の卸業者、購入業者がそういう買いたたきに出ることがないように、今回、米トレーサビリティーも実施しておりまして、厳しい取り締まりをさせていただきたいと。
今まさにおっしゃったことですね。それは本心かということを確認したかったんですが、具体的に、今まで、厳しい取り締まりといいながら、実際に、米の買い取り業者なり、あるいは卵や牛乳を安く売ってしまうスーパーなりに公取が出ていって取り締まったことなんか現実的にないんですよ。
しかも、もっと具体的な話をすれば、これはどうやって取り締まりが始まるかといえば、買いたたかれました、所得補償が出ているから一俵千七百円まけられるんだろうと言った業者がいますという情報が来なければ、まず取り締まりの端緒がないと私は思うんですよ。
この文書を出してありますけれども、農家からすれば、この文書を読めば、買いたたきがあれば申告しろというようにも読めるかもしれない。だけれども、そんな農家はまず出てきませんね。出てこないですよ。それは立場が弱いんだから、そもそも。弱い立場の人たちが、自分は買いたたかれましたなんてまず出てこないです。それはわからないままに価格は下がってきますよ。現に価格が下がったことについては、我々は責任を負わなきゃいけないんです。
二点聞きたいんですけれども、この文書を出したことで、そういう買いたたきみたいなことがあったときに、本当に農家が出てきて公取が取り締まるなんてことは現実にあり得ますか。それともう一つ、本当に、そういうことで米価が下がるという事態は想定をされていないんですか。これは、赤松大臣に尋ねたのと同じように、山田大臣に伺いたいと思います。
○山田国務大臣 これは、当然のことながら、法に反すれば、刑事告発も含めて、いわゆる独禁法に違反する事実があれば、調査して、きちんと厳しい取り締まりをやっていく、それだけです。
○赤澤委員 そういう、本当に観念的な理論を振り回して、結果的に農業がおかしくなるというのが一番よくないと思うんですよ。公取なんかに、買いたたかれましたなんて言ってくる農家はいませんよ、自分たちは立場が弱いんだから。米を来年もその次の年も買ってほしいわけですから。こんな紙が一枚まかれたからって、私は買いたたかれましたなんて言ってきませんよ。実際に買いたたかれて米価が下がることは私は起きると思います。そのことは本当に大臣の認識は甘いですよということは、私は今申し上げておきたいというふうに思います。
そして、ちょっと時間の関係で、在庫の話についても入らせていただきたいんですけれども、昨年に比べて六万トン多いだけだという話、民間の在庫が六万トン多いだけだと。これは七月二十八日の委員会で、宮腰委員の質問への答弁の中でおっしゃった。
六万トン多いだけという認識をされていますけれども、しかしながら、JA、全農などから資料をとりますと、七月二十日現在、未契約の数量というのは三十五万七千トンあるんですよ、現時点で三十五万七千トンある。単発的に出てきても、構造的にこれが、よっぽど投げ売りとかして米価が下がるようなやり方をしない限り、今からさばけたりしませんよ。しかも、十一月には、宮腰委員も指摘したとおり、一俵千七百円、そして変動部分千二百円もお金がもらえるということがわかっている。それを背負ったお米が市場に出てくるんです。
八百万トンの市場だ、米生産だと言っている中で、三十五万七千トン、これから投げ売りするかどうか、それしかないようなお米がだぶついている状態で、その中で、昨年に比べて六万トン多いだけだというような答弁をされて、ちょっとこれも認識が甘くないですかというのが私の考えなのでありますけれども、大臣はどう思われていますか。
○山田国務大臣 見方はいろいろあろうかと思いますが、昨年の六月、在庫量が、その前の年、おととしに比べて五十万トン多かった。ことしの六月、昨年に比べて六万トン多かった。過去十年間、平均を見ていますと、大体二百万トン前後が六月末の在庫量です。そうであれば、必ずしも、私ども農水省が調査している米の在庫量においては、余りにも過剰だという状況ではないと私ども今認識しているところです。
○赤澤委員 私は、そこについてはもう見解が全く違っていまして、その認識は甘いだろうと思います。在庫が過剰であって、それについての圧力というのが今後必ず働いてくるというふうに考えております。ですので、その点についても本当に今から備えをしておいてほしいんです。前大臣が余りに危機管理の意識や能力がない方だったので、本当に口蹄疫含め混乱が生じたことは間違いのないことなので、山田大臣にはぜひ、その辺、今から検討を始めておいていただきたいということを申し上げておきます。
それからもう一つ、備蓄についてもいろいろな機会にお話をされています。棚上げ備蓄を自分たちはするんだ、政権交代したからそれが一つの変化なんだ、これは食糧部会で話し合われるぞというようなこともおっしゃっていたと思います。それをちょっと簡潔に、食糧部会の議論も含めて、棚上げ備蓄はどうされるんですか、そしてそれに必要な予算はどれだけかかるんですか。そのことについてお話をいただきたいと思います。
米価下げについて対抗できる手段ありといいながら、ほとんどどれもないんじゃないか、財源が全く用意できないんじゃないかという心配で聞いております。簡潔にお願いします。
○山田国務大臣 回転備蓄になりますと、政府が市場に介入することになります。売っていくことになります。米の相場価格を押し下げる要因になってまいります。
私ども、今回、戸別所得補償で、生産数量目標をきちんと守ってもらう農家に所得補償して生産費のコスト割れを防ぐということですから、やはり食料安全保障のために適正な備蓄量、例えば冷害のときに一時百七十万トンぐらい緊急輸入したことがありましたが、そういうことのないような手当てを一方でしておかなきゃならない。そのために、いわゆる、政府は市場に介入しないで、食料安全保障、供給の安全を図るという意味ではやはり棚上げ備蓄がいいだろう、それが民主党時代の議論だったので、今、食糧部会にその点について議論を、そしてまた党の方でも改めて議論をいただいているところです。
○赤澤委員 ざっと試算してみると、三十万トンから四十万トン棚上げ備蓄しようとしたら、本当の棚上げであれば七、八百億から一千億ぐらいお金がかかるだろうと思います。その辺の金額を用意できなければ、これも本当に、言ってみるだけ、絵にかいたもちであって、米価下げを何とかするための手段にならないということを指摘しておきたいと思います。
最後に、戸別所得補償制度の持続可能性、もうあと二分ぐらいしかないので。私はこれがないと思っているんです。
そのことをぜひ指摘しておきたいのは、棚上げ備蓄も結局別の財源が要るんです、数百億単位、場合によっては一千億ぐらい要るんじゃないでしょうか。あるいは、厳しい取り締まりとおっしゃったけれども、これはだれも告発してきませんよ、現実問題として。あるいは業者だって、そんな告発されるような幼稚なやり方はしませんよ、正面から一俵千七百円まけろなんて言いませんよ。だからこそ、取り締まりができない中でこれは下がっていくんです。備蓄もきかない、取り締まりもききません。そんな中で在庫量は非常に多い。
平野達男民主党政調副会長は、日本農業新聞、七月三十日付の中で、「野党からは、戸別所得補償に名を借りた宣言なき米価下落政策との批判が巻き起こりかねない。」こういうことを発言されています、在庫量の過剰を心配して。別に野党から出てくる話だけじゃないですよ。もっと真剣に考えているのは農家の方たちであり、農業を真剣に憂えている方たちであって、本当に米価の下落が所得補償には米についてビルトインされちゃっているというふうに私は理解をいたします。
最終的には、米価が下がればその分財政支出は固定部分を翌年多くしなければならなくなります。物の道理として、五中三とかいろいろな考え方がありますけれども、徐々に徐々に用意しなきゃいけない財政支出の額がふえていく、そういうことでありますから、最終的には、今のまま、想定の一番恐れていることが起これば、下落した米価と不十分な補償の挟み打ちに遭う米農家が救済されないという事態があり得るということです。農林政務三役の危機意識、危機管理能力の欠如で、口蹄疫問題と同様、農家を苦しめることになると私は考えます。
なので、制度設計を本当に改めていただきたいし、この制度が本当に持続可能なのかを考えていただいて、何かしら、我が党が検討している多面的農地の直接支払い制度とか、そういった形のものに衣がえをしていただきたいと切に願うものでありますが、これは今後議論をいたしたいと思います。
そこで、一つだけ確認をしておきたいんですけれども、米モデル事業と同様の、基本的に何も変わらない米の戸別所得補償制度を本格実施するための法案を、今後、近い国会、直近の国会に提出するつもりでしょうか。そこを確認させてください。
○山田国務大臣 今度の次の臨時国会とかは考えておりませんが、通常国会には出したいと考えているところです。
○赤澤委員 時間が来ているのでこれでもう終わりますけれども、棚上げ備蓄とか、あるいは公取の取り締まりが期待できないものに、あるいは財源が調達できそうにないものに期待をかけて今のまま突き進むことは、私は本当に危険があるというふうに思います。我が党としては、米価については、これはもう非常事態じゃないかというふうに本当に危機意識を持っているところであります。将来、米農家が下落した米価と不十分な補償の挟み打ちにならないことを切に祈るし、そのために、今後の法案審議などにおいてはしっかりと議論を続けていきたい、このように思っておる次第です。
我が党としては、米価についてはもう非常事態だということで、何らかの、そのことを世に問う宣言なども考えていきたいというふうに思っているところでございます。ぜひ与党の先生方、特に農林の政務三役の先生方におかれては、しっかりとその点を受けとめていただいて、本当に私どもの心配しているところを受け入れて、うまく、米価下げの仕組みがビルトインされていない、そして地域に公平な制度である、我が党が前国会に提出しました農地多面的機能直接支払い制度法案のようなものも視野に入れながら、今後の議論を続けさせていただきたいと思います。
長くなって失礼をいたしました。以上でございます。ありがとうございました。
○筒井委員長 次に、石田祝稔君。
○石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。
質問をさせていただきます。
質問通告はいたしておりますが、その前に、きょう大臣から御発言のありました所信の一端をお聞きいたしまして、このことで一点だけ御質問をさせていただきたいと思います。
大臣発言と書かれている冊子の四ページに、「主要な農林水産政策について申し述べます。 まず一点目は「戸別所得補償制度の本格実施」です。」こういうことを書かれております。
もともと、二十二年がモデル対策、二十三年が本格実施、こういうお話だったと思いますが、ここにはいつからやるかということは書かれておりませんね。これはミスプリントでしょうか、それともいつからやるかが決まっていないから書いていないんでしょうか。これは大臣、いかがでしょうか。
○山田国務大臣 来年度、本格実施したいと思っています。
○石田(祝)委員 そうすると、二十三年度からということですね。では、これになぜ書かれていないんですか。これは間違いですか。どうしてこれに書いていないんですか。これは大臣の正式な、所信の一端ということでありますけれども、文書にして御発言ですよね。これは、私たちが突然質問をして不十分な答弁になるとかそういうことじゃなくて、御自分が書かれているわけでしょう。なぜこれに入っていないんですか。
○山田国務大臣 これは、ことしがモデル事業で来年が本格実施という趣旨ですから、私にしてみれば当たり前のことで、別に、二十三年度を入れたから、入れていなかったからと、これは二十三年度からの趣旨だ、そう思ってきょう所信を述べさせていただいただけです。
○石田(祝)委員 では、大臣、確認しますよ。
これは、書いていないんだけれども二十三年度である、私がそう思うんじゃなくて、二十三年度からやるということだけれども、もともとの約束だからあえて数字は入れていない、二十三年度からやります、こういうことですね。確認をいたします。
○山田国務大臣 そのとおりです。
○石田(祝)委員 それでは、口蹄疫の基金の問題で、ちょっと確認しつつ、御質問をしたいと思います。
冒頭、委員長からも御発言がありましたが、あえて確認をさせていただきたいと思います。
せんだっての委員会で、我が党の東委員が、特措法の二十三条の基金について御質問をいたしました。極めて不十分な答弁でありましたので、東委員もあえてそれ以上の質問をしなかった。その後、理事会協議等で一応の確認もできましたが、なお答弁として確認をいたしたいと思いますが、これは、農林水産大臣、また内閣官房から来ていただいておりますから、お答えを願います。基金はつくる、こういうことでよろしいんでしょうか。
○山田国務大臣 筒井委員長のもとで成立させていただきましたし、基金は創設させていただきます。
○古川内閣官房副長官 お答えします。
今大臣がおっしゃったとおりでございます。
○石田(祝)委員 これは、二十八日の答弁とは、古川官房副長官も若干御修正をなさったと。つくるということでございますが、国につくるか地元につくるか、また、別の団体、法人等をつくってやるか、これはいろいろあろうかと思いますけれども、いつつくり、実際お金を造成するか、どういうふうな性格を持たせるか、その辺のことはお考えになっていますか。これも大臣と副長官にお願いします。
○山田国務大臣 これから内閣とか各省庁ともあわせて検討させていただきたい、そう思っておりますが、基金の中には、震災等のそういう基金の場合には、運用益でやる基金というのが一般のようです。
いろいろなことをこれから検討させていただきたいと思っているところです。
○古川内閣官房副長官 ただいま大臣から御答弁がございましたさまざまな点を勘案いたしまして、効果的、効率的な事業の運営という観点を踏まえまして、農林水産省におきまして、今後、宮崎県から要望を十分に聞いた上で、基金の具体的な内容を協議していただくことになるというふうに考えております。
○石田(祝)委員 副長官、今回のこの問題について、委員長があえて労をとっていただいて、やはり立法者の意思の尊重、こういうことでおまとめをいただいたと思います。
この基金をつくるに際して我が党も提案をいたしましたが、やはりこれから復興対策を考えた場合に、農林水産省の関係だけじゃない、商工業者や、またいろいろな方々の復興の問題も出てくるので、今でいえば省庁が広くわたるだろう、そしてもう一つは複数年にわたる可能性がある、こういうことで基金をという発想だったんですね。これはほかの、もうちょっとつけ加えるお考えが他党からあるかもしれませんが。
ということは、これは、農林水産省でやれという話じゃなくて、官房が農林水産省とよく連携をとっていただいて、そうしていただかないと、例えば経済産業省にかかわる部分は農林水産省ではできないですよね。ここのところは官房の方で引き受けて、基金の造成、運用、こういうものに当たるというお考えはないんでしょうか。
○古川内閣官房副長官 もちろん、最終的には官房の方で取りまとめをさせていただきますが、まずは、中心になっております農林水産省において、地元であります宮崎県の要望を十分に聞いた上で、基金の具体的内容を農林省中心に検討していただいて、最終的には、他省庁の分も含めて、政府全体として官房で取りまとめさせていただくということでございます。
○石田(祝)委員 副長官、やはりちょっと腰が引けていますよね。
山田大臣のおっしゃることも私は実はよくわかるんですよ。今の法律の中で、農林水産省の範囲はできるだけのことはできる、しかし、これから復興対策になると、当然いろいろなところがかかわってきて自分のところの範囲を超えるから、これはなかなか自分のところではできにくい、こういうお考えがあったように私は先日の委員会の御答弁もお聞きをいたしました。ですから、副長官、これは内閣官房が引き受けて、ほかの省庁にまたがる部分も含めてしっかりとやるべきではないのか、私はこのことだけは申し上げておきたいと思います。
特別交付税について確認をさせていただきたいんです。
実は、きょうは渡辺副大臣に来ていただいているんですが、特交、特交という話がありまして、いかにも、今でも、特別交付税で全部やれるところはやるんだ、こういう御答弁がいろいろなところからありますし、発言もあります。
渡辺副大臣、この特別交付税というのは、口蹄疫は入っているんですか、今。
○渡辺副大臣 お答えいたします。
現在の特別交付税の算定項目の中には入ってございません。
○石田(祝)委員 私は大変不思議に思うんですけれども、これは、どこからお金を出すのか、そういう議論をしたときに、私たちは、予備費でやるべきだと。特別交付税は枠が決まっているし、いろいろな、災害対策とか、やってほしいところが全国にもある、それを例えば九州の宮崎に特化して特交をやると、これはほかのところが影響を受けるわけですから、予備費でやったらどうか、こういうふうなことを随分主張してきましたけれども、いや、特別交付税だ、特別交付税だ、こういうお話が続きまして、では、特別交付税の柱に立ててくれているのかと思ったら、まだ立っていないわけですね。
これだけ、一千億の規模の特別措置法もつくって、そして政府を挙げてやっている。私たちも一生懸命取り組んでいる。これで、特交、特交という発言をしながら特別交付税の算定項目にいまだに入っていない。そして、これは省令でできるというんですね。ですから、法律を改正するとか閣議決定で、政令でやるとかいう話じゃありません、総務省の中でできる話です。
なぜこれを、特交の算定項目にちゃんと入れましたよ、安心してください、特別交付税でやれるところはもうやりましたよ、柱も立てましたよと、何で今ごろまでやっていないんですか。これは、皆さん、特別交付税に当然入っているだろうと思っている方はたくさんいますよ。これはなぜ入っていないんですか。なぜやらなかったんですか。
○渡辺副大臣 原口大臣は、もうこれまでも、この特措法に基づきます宮崎県の負担分につきましては交付税で措置をするということは重ねて申しております。それだけに、省令改正を行えば、これは大臣決裁でできるわけでございまして、閣議決定も要らないわけでございます。
問題は、今どれだけの額が必要かということにつきまして、宮崎県と、あるいは宮崎県の県議会や宮崎の市長さんも副大臣室にお見えになりましたけれども、まだ、この必要とされる額、現在、予算計上ベースでは、疑似患畜とワクチン接種家畜の殺処分に係る宮崎県の負担は七十八億円出ておりますが、それ以外の、要は口蹄疫被害からの復興ということにつきまして、どこまでのことを措置するかということで、今きめ細かく要望を聞いているところでございますので、御存じのとおり、特別交付税の交付は十二月と三月でございまして、これは法改正しないと十二月交付を前倒しすることはできません。
しかし、省令の改正はおっしゃるとおりできますので、これにつきましては、大臣は宮崎県等と話をして、必要な額が決まり次第省令を改正する、そういう立場でございます。
○石田(祝)委員 この口蹄疫の問題は、副大臣、よくお聞きをいただきたいんですけれども、私たちは、まず現地の方々に安心感を与えなきゃいけない。ですから、まず私たちが最初に提案したのは、とにかくお金はこれだけ用意をしたよ、こういう安心のメッセージを送れ、また特命担当大臣をつくれ。こういう、これは実際いろいろな省庁がかかわってまいりますけれども、現地の方が、ああ、自分たちのことを本当に心配してここまでやってくれるのかと、安心のメッセージを送る必要があるということでいろいろと申し上げてきました。
ですから、大臣が特別交付税でやりますよと、こういう御発言があったのも事実でありますけれども、そうしたら明確になぜ早く柱を立てないのか。お金が決まらないと項目を立てられないんですか。五百ある項目全部、お金が決まっているんですか、今。そうじゃないんでしょう。そういう項目が決まった後で、では一体幾らになるんですか。これは積算もあるでしょう。
しかし、特交の算定項目にちゃんと入れましたよ、御安心ください、基金もつくるし、こういう特別交付税でも、全国の他県の御了解もいただいて御理解もいただいてやりますよと、これをしないからメッセージが伝わらないんですよ。ただ十二月に出すんだからそれまででいいだろうなんということじゃないんですよ。これは大至急やってください。
○渡辺副大臣 一つ申し上げますと、例えば川南町の家畜排せつ物等については、まだ引き続き移動制限というのが解除されておりません。ですから、これに幾ら、どれだけかかるかということも含めまして、とにかく私たちは交付税でやるということはお約束をします。ですから、特別交付税の項目の中に追加することは、大臣と相談をして速やかにしたいというふうに思っております。
ただ、その金額につきましては、まだこれから、要望のある額、いろいろきめ細かく我々は宮崎県の立場に立って、あるいは宮崎県周辺の被害に遭われている自治体の立場に立って、できるだけ、これは総理からも発言がありますけれども、積極的に対応するようにという方針でございますので、金額につきましては、この後まだまだ加算をしていくと思いますけれども、まず安心感を与えるという委員の御指摘につきましては、これは私どもも、大臣も含めて全く同感でございますので、安心感を与えるべく、直ちに対応を考えたいと思っております。
○石田(祝)委員 渡辺副大臣にせっかく来ていただいていますが、最後に一言だけ申し上げますと、政務官が二十九日の災害対策特別委員会で、もう既に項目に入っているかのごとき発言をなさっております。ですから、これは明確に間違いですから、よく発言を精査して訂正をなさった方がいいと私は思います。
では、続きまして米の問題、お伺いをしたいと思います。官房副長官と渡辺副大臣はもう結構でございます。
山田大臣と篠原副大臣の発言について確認をいたしたいと思います。
一つは、大臣の発言。米問題について、在庫の量ですね、七月二十八日の委員会で、昨年に比べて六万トン多いだけだ、こういう発言。副大臣は、先ほども同僚議員から質問がありましたけれども、米が下がっても自己責任だ、こういう二つの発言がありました。
それぞれ御確認をお願いします。
○山田国務大臣 農林水産省の調査によりますと、ことし六月末の在庫は二百十八万トンと、昨年に比べて六万トン多い。昨年の六月の在庫は、その前のおととしに比べて五十万トン多かった。そういったところから、この前そういう……(発言する者あり)上がっていることは上がっているんです。大変な量の在庫があるとは今のところ思えないんじゃないかなということから、そういう発言をいたしました。
○篠原副大臣 モデル事業への参加についてどうするかということ、生産調整に参加するかどうかということも農家の皆さんに判断していただくことになっております。それから、一応、所得補償の額というのを、米の場合は十アール当たり一万五千円ですね。(石田(祝)委員「それはわかっていますから、確認だけしてください」と呼ぶ)はい。そういったことで、そういった金額を見てどういった作物を選ぶかというのは農家が判断するわけです。
私は、この仕組みというのは、地域主権、地方分権とかいうのをすっ飛ばしてそれより先に行って、農民主権、農家主権の制度ではないかと思っております。そういう意味で、農家の皆さんがどの組み合わせがいいかということを考えてつくっていただく。そういうことでは皆さんの判断でやっていただきたいということを申し上げたまででございます。
○石田(祝)委員 副大臣、言葉はすごい力があるんですよ、昔から言霊というように。また、一度出した言葉は引っ込められない。ですから、この農業新聞を見て、自己責任だ、これを見たら、皆さん、どう思いますか。結局おれたちは何だよ、農家の自己責任だから下がってもしようがないね、農林水産省はこういう認識か、こういうふうに思うじゃないですか。
これは、先ほどの同僚議員の質問で、自分の言葉そのものじゃない、ほかの人が言ったことを書いたんだろう、こういうことでありました。しかし、こういうことになっている以上、これは農家の方からしたら、副大臣は何か冷たいな、こういうことじゃないですか。どうですか。
○篠原副大臣 ちょっと繰り返し申し上げさせていただきますと、米の農家も困っておられる、ですから一万五千円の所得補償をする。そして、麦や大豆や菜種、そういった作物にはない変動支払いもする。それにかてて加えて、今大臣がお答えになっておりますけれども、農業団体と農林水産省の数字がちょっと違っているようでございますけれども、在庫が多い。だから、この際、余っている米を全部備蓄で買い上げてもいいんじゃないか、そういった議論が行われたわけです。
そういった中で、所得補償をし、変動支払いもあり、さらにまた備蓄のための買い上げでは、それは余りにも米ばかりにシフトし過ぎているんじゃないでしょうかということを私は申し上げたんです。そのことがそういう形で伝わったんじゃないかと思います。
○石田(祝)委員 これは自分の本意じゃないよ、こういうことを書かれると誤解を与える、こういうことであれば新聞社に抗議すべきですよ。抗議なさっていないんでしょう。だから、それはそういう副大臣の判断ですからこれ以上申し上げませんけれども、この文章を見たらやはり、何か冷たいな、こういう印象が残ってしまうんじゃないでしょうか。
時間がありませんので、きょうは財務省にも来てもらっていますから、変動部分のことでちょっとお伺いをいたします。
これは先ほどからお話があるように、一俵大体千二百円分が変動部分で、千三百九十一億円措置されていると。財務省にお聞きしますけれども、この変動部分については、私の記憶では、一月までの相対取引を見て変動部分を決める、こういうことですよね。これは、一月末まで価格を調査してやって、本当にこの千三百九十一億円で足りなかったら、措置できますか、補正予算はそこから組めますか。これはどうですか。
○大串大臣政務官 お答え申し上げます。
確かに、変動部分の積算及び支払い、一月までの価格を勘案したところで年度末までに支払いをしていく、こういうふうな形になってございます。
そこで、今委員から指摘があったように、価格が一月以降下がった場合にどうかというような御指摘、これはこれまでの国会でもいただいておりました。
今回の米に関するモデル事業でございますけれども、先ほど来も、るる指摘がありましたように、生産数量目標に従ってくださった生産者の皆様にメリットが届くというようなことも含めて、需給の引き締めになるというような効果も期待しています。実際、百三十五万戸の申請もあったということもこれあり、現在においては、価格の下落があった場合においても、今回積算した予算の範囲内で対応できるというような認識のもと、今回の予算の要求をいただき、かつそれにおける予算査定をしたということでございます。
○石田(祝)委員 ほかのことをいろいろ言う必要はないんですよ、わかって質問しているんですから。金が足りなかったらどうするのかということだけ言ってください。
○大串大臣政務官 現在、今回、変動部分に関しての予算措置をしてございます。この変動部分に関する予算措置に関しては、今般、私たちも、ある一定の下落があったとしても、この予算の中で対応できるという認識のもと、その中での予算策定になっております。
○筒井委員長 大串政務官、足りなくなった場合のことは考えていないという今御趣旨。(発言する者あり)
○石田(祝)委員 いや、仮定の答弁といったって、心配だから言っているんじゃないですか。仮定だったら全部仮定ですよ。何ということを言うんですか。だからそこが思考停止になっているんですよ。私が予算委員会でも聞いたら、需給が締まるから、その一点だけですよ。それでもう思考停止になっちゃっているんです。
これは、なきゃいいんですよ、足りればそれでいいわけですから。しかし、そうじゃない場合はどうするんですか、心配しなくていいんですかということを言っているわけです。そんなことを言えば全部仮定ですよ、先のことというのは。だから、それはどういう意味でおっしゃっているかはわかりませんけれども、そういう仮定のことも含めて心配をして、先々の政策をどうするか、どういう手を打っていくかというのが我々の役目じゃないんですか。
最後に、ちょっと一点だけ聞きます。これはまた後で日を改めて聞けるときもあるかもしれませんが。
梅雨前線による大雨被害、これはだんだんと被害が積み上がっておりますけれども、これについて、激甚災害、これをぜひ私はしてもらいたいと思いますが、この激甚災害の指定の見通しについて、これは内閣府からお伺いをいたします。
○大島副大臣 お答えをさせていただきます。
農業被害に係る激甚災害の指定についてお答えをさせていただきます。
現時点で、農地等の被害が全国的に積み上がっていると聞いておりまして、激甚災害指定の可能性は高いと考えております。
○石田(祝)委員 終わります。
○筒井委員長 次に、吉泉秀男君。
○吉泉委員 社民党の吉泉秀男です。
持ち時間が十五分ということでございますので、早速質問に入らせていただきます。
それぞれ、今、赤澤委員さらには所信表明の中で、米の戸別所得補償制度、このことに対していろいろな議論が、またコメントも答弁もなされたわけでございますけれども、今の生産者の気持ちからいえば、申請件数も相当多くあった、このことに対しては、まさにこの制度に対する期待、この部分が非常に大きいものだ、こういうふうには認識をしております。しかし、私たちの、生産者の気持ち、そしてまた米価、このことが本当にこの制度で守られるのか、こういう一つの不安も今大きくなってきている、このことも事実だというふうに思っております。今の答弁も、財政の問題を含めて、なかなかそれに対する理解のでき得る、そういう答弁がなかったようにも私は思っております。
私の地域はまさに米どころでございます。そして、生産者の、まさに米価が、今入札するたびに価格が下がってきた、こういう状況の中で本当に今大量に余ってしまう、そういう危機感。価格が下がっても取引量がふえない、こういう現実。
そして、二十一年産、一万二千三百円、これの仮渡しを生産者は受けました。しかし、今、JA等については、この仮渡金一万二千三百円よりも下回って売りに出さなきゃならない、こういう現状にもなっております。今、一万二千三百円よりも下がって出してくる、こういう中において、二十二年産の米価に直接反映をしていくのではないか、こういう一つの生産者の不安もあるわけでございます。
こんな現状の中において、大臣の方から、適正米価、このことに対する考え方、答弁が出されたわけでございますけれども、今、こういう、米価が下がり続けてきている。そしてまた、答弁の中において、二十二年産は所得補償があるから心配するな、こういう言い方ではございますけれども、今の、現状の米価の下がりぐあい、こういう部分に対する危機感、認識、それを大臣はどう受けとめているのか、もう一度お伺いさせていただきたいと存じます。
○佐々木大臣政務官 お答えさせていただきます。
先ほど来このことがテーマになってございますが、先ほど来大臣、副大臣が答弁をされているとおりでございまして、ことしのモデル事業においては、定額部分それから変動部分という形で補てんされる仕組みになっておりますので、これに参加されている農家の皆さん方の所得については補償されるということになるわけであります。
一部地域に過剰在庫を抱えているということは我々も承知をしてございますが、これを買い支えるということになりますと、みずからの努力で販売を完了した地域との間で不公平感を生ずることにもなります。市場の需給動向、消費者ニーズ等が生産者に伝わらないというようなことにもなりますので、そういった意味のことも配慮をしながら対応していかなければならないというふうに思っているところでございます。
○吉泉委員 確かに産地間競争、このことは納得します。それがあるのも事実だというふうに思っています。しかし、今、東北の米は余っております、ほかの地域から見れば。そういうふうな状況の中で、それぞれ、JAも含めて生産者は努力をしている、こういったことについても事実なわけでございます。
そういったところなんかも含めて、私たち、生産者は、米価、所得、その部分を補償する、そういう言い方、ありがたい話ではございますけれども、しかし、これからも長年、米、田んぼを守ってやらなきゃならない、そういうふうな状況のときに、今のこの所得補償制度、本当に消費者から、さらには国民全体から、コストよりも収入が減ったから、価格が下がるから、その差額を国で補償する、こういった一つのものについて理解が得られるのか、こういう問題なんかも農家自体がやはり持っているということも事実なわけでございます。
そういう面の中で、私自身も、この所得補償の問題、このことについてはこれからまた長く議論をしていかなきゃならない、こういうふうに思っておりますけれども、もう早場米が出回る、こういう時期でございます。この価格がどういうふうになっていくのか、このことを注視しながら、米価対策についてこれからも自分自身も質問をさせていただきますので、よろしくお願いを申し上げたいと存じます。
そして、今、安全でおいしい、こういう生産者の気持ち、このことを逆なでするような事件がまた発覚をしてしまったのでございます。農林省の、MA米在庫管理に対する不信感、今これが大きくなってきているというふうに思っております。今、法律が変わったからというふうな状況だけでなくて、まさに、在庫管理を含めて今の農林省の進め方、そういった部分に対する不信感、こういうふうに私は受けとめているのでございます。
平成十九年度、輸入した事故米でございますけれども、八十二トンから、これが調べていくうちに三千トンに広がってきている。そして、今調査をしているわけでございますけれども、調査が進めば進むほどまたふえていくのではないか、こういうふうに自分自身は心配をしているのでございます。
そういう中で、私たちへの報告、そういった中では、農林省としてはこの米について飼料用米として確認した、こういうふうに報告をしてきたのにもかかわらず、そういうふうに不正流通が出てきている。そして、今、八十二トンの不正流通をした会社を公表しながら処分はしているわけでございますけれども、しかし、八十二トンでの会社でございます。これが三千トン、こういうふうになっていったときに、MA米の輸入をし、そしてその中から事故米が出た、そういうふうな業界、会社が、今公表した以上に出てくるんじゃないか、こういうふうにも心配をしているところでございます。
そんな面で、現在どこまで調査が進んできているのか、そして、すべての部分についていつまでに明らかにしていこうという考え方なのか、このことをお伺いさせていただきます。
○佐々木大臣政務官 非食用米穀の不正規流通にかかわっての御質問をいただきました。
今委員からも数字的なものについてお話がございましたが、八十二万トンのうち、用途が判明しているものは十九トンだけでございます。残る六十三トンについても流通状況の解明を今行っているところでございます。
さらにまた、今御指摘がございました八十二トン以外にも、協和精麦が飼料用として処理したと報告があった非食用米穀約三千トンがあることから、これらの輸入業者や販売先についても現在調査を実施させていただいているところであります。
この三千トンでございますが、平成十四年度から平成十九年度に流通したものでありますことから、帳簿が破棄されたり担当者の記憶があいまいというようなことが多いために調査は難航してございます。なかなか調査終了時を確定的に申し上げることはできませんが、これらの事態をしっかりと判明させていただき、厳正に処分させていただくために今鋭意努力をさせていただいているところでございます。
○吉泉委員 いつまでに終わるのか、このこともわからない。しかし、もう既に処分をされた業者もおるわけでございます。そして、明らかになった偽造した業者から三千トンというものが出てきた。だとするならば、豊田通商だけでなく、そういった部分も私は少しは明らかになっているんだろう、こういうふうにも思っております。そんな面で、どんどん日を延ばしていく、こういったことは許されない、私はそう思っております。
そしてまた、この管理の体制が十月よりすべて民間委託、こういう方針が打ち出されているわけでございます。これまで、販売するについては、備蓄米を含めて、MA米、この販売は全部政府が責任を持っていた、こういうふうになってきているものが、今度は民間にゆだねる。こういう状況の中で、この間のこの三千トンの問題なんかも含めて明らかにしていないままに、こういう流れで民間委託、納得できない、こういうふうにも思っております。
そんな面で、この民間委託、こういった部分が、この間の調査の現状を含めながら、二度と起こらないような、そういう意味での進め方が本当に確約できるのかどうか、このことをお伺いさせていただきます。
○佐々木大臣政務官 その前に、先ほど、非食用として輸入された米穀八十二トンと申し上げるところを八十二万トンと申し上げたようでございますので、修正をさせていただきます。
民間委託の件についてでございますが、一昨年のこの事故米問題というものを踏まえて、不適正な流通の防止を図るということから、平成二十年十一月に、国と輸入業者の契約条項の改定というものを行いました。輸入時に食品衛生法違反となった米穀については輸出国への返送または廃棄をさせておりまして、現時点では非食用米が国内に流通することはないことになってございます。
また、本年四月に施行されました改正食糧法においては、非食用米穀等の実需者への直接販売等を義務化させていただいてございます。及び、ことし十月から施行されます米トレサ法、取引の記録の作成、保存を義務化させていただくトレサ法を制定させていただき、新たな米穀の流通監視体制の構築を図っているところでございます。
なお、改正食糧法、米トレサ法は、国から委託を受けることとなる民間の受託事業体も当然適用されることになるわけであり、国による流通監視の対象となるものでございます。
加えて、政府と受託事業体との間の委託契約においては、MA米の販売前のカビ確認等を含めて、受託事業体に米穀の適正な流通を確保するための措置を講じさせるとともに、違反に対しては違約金を徴収するなどの措置も講ずることとしているところでございます。
○吉泉委員 時間がなくなりました。要望だけさせていただきます。
この違反の輸入米の調査結果は、すべて適正、こういうことで国の方も認めてきたわけでございます。しかし、加工業者の中からそれが出てくる、こういう状況。そういうようなところから見れば、私たちは、安全、安心、この部分の担保、これはまさに本当に政府がやっていかなきゃならない、こういうものなんだというふうに思っておりますし、どうしても十月から民間委託、こういうふうな方向でいくというような状況であれば、この調査、三千トンのその結果というものについて、それまでにやはりつぶさに報告、明らかにしていただきたい、このことを要望して、終わらせていただきます。
○筒井委員長 次回は、来る六日金曜日正午理事会、午後零時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後六時二十一分散会