衆議院

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第3号 平成22年11月5日(金曜日)

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平成二十二年十一月五日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 山田 正彦君

   理事 石津 政雄君 理事 佐々木隆博君

   理事 仲野 博子君 理事 森本 哲生君

   理事 谷  公一君 理事 宮腰 光寛君

   理事 石田 祝稔君

      石田 三示君    石原洋三郎君

      石山 敬貴君    今井 雅人君

      柿沼 正明君    金子 健一君

      京野 公子君    後藤 祐一君

      近藤 和也君    篠原  孝君

      高橋 英行君    玉木雄一郎君

      筒井 信隆君    道休誠一郎君

      中野渡詔子君    野田 国義君

      福島 伸享君    藤田 大助君

      松木けんこう君    柳田 和己君

      赤澤 亮正君    伊東 良孝君

      今村 雅弘君    江藤  拓君

      小里 泰弘君    小野寺五典君

      北村 誠吾君    谷川 弥一君

      山本  拓君    西  博義君

      吉泉 秀男君

    …………………………………

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   内閣府副大臣       平野 達男君

   外務副大臣        松本 剛明君

   農林水産副大臣      篠原  孝君

   農林水産副大臣      筒井 信隆君

   経済産業副大臣      松下 忠洋君

   総務大臣政務官      森田  高君

   外務大臣政務官      菊田真紀子君

   厚生労働大臣政務官    小林 正夫君

   農林水産大臣政務官   松木けんこう君

   国土交通大臣政務官    市村浩一郎君

   政府参考人

   (水産庁長官)      佐藤 正典君

   農林水産委員会専門員   雨宮 由卓君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月五日

 辞任         補欠選任

  網屋 信介君     後藤 祐一君

  伊東 良孝君     赤澤 亮正君

  小里 泰弘君     小野寺五典君

同日

 辞任         補欠選任

  後藤 祐一君     柿沼 正明君

  赤澤 亮正君     伊東 良孝君

  小野寺五典君     小里 泰弘君

同日

 辞任         補欠選任

  柿沼 正明君     網屋 信介君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件(TPPに関する諸問題等)


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     ――――◇―――――

山田委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件、特にTPPに関する諸問題等について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として水産庁長官佐藤正典君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福島伸享君。

福島(伸)委員 おはようございます。民主党・無所属クラブの福島伸享でございます。

 本日は、この臨時国会冒頭に唐突に出ましたTPPの問題について、三十分間の短い時間でありますけれども、諸先輩方、時には生意気な申し上げ方をするかもしれませんけれども、それは農業、農村を愛する心ゆえとお許しをいただきたいと思っております。

 私、ここに元同僚がいますけれども、元経済産業省ですから、自由貿易論者です。この国が貿易で生きていかなければならないことは明らかであると思っております。しかしながら、自由貿易といっても国によって定義が違うんですね。自由貿易だからといって、関税をいきなり撤廃してしまうようなばかな国はありません。口では自由貿易、自由貿易と言いながら、巧みに関税を維持しながら、守るべきものは守り、そして攻めるべきは攻めるという戦略を立てて経済外交をしているのが大方の国であろうというふうに思っております。

 そうしたことから見たときに、突然今回TPPの話が出た。本当にそれはどういう戦略に基づいて出てきたものかということを、私はこの三十分間を通じて明らかにしてまいりたいというふうに思っております。

 まず、TPPとはそもそも何ぞやということでありまして、いろいろ報道がなされておりますけれども、確定したところがありません。私の認識ですと、まず、物品の貿易について原則として全品目について即時または段階的に関税を撤廃する、そのTPPに新規に加盟するためには既に加盟している国の同意が必要、そういう仕組みであると考えて間違いないでしょうか。内閣府からの答弁をお願いします。

平野副大臣 福島委員にはいろいろな場面で積極的な発言をいただいておりますこと、敬意を表したいと思います。

 まず、TPPに関しましては、これは極めて高いレベルというふうな表現を私ども使っていますが、高いレベルでの自由化を目指す、そういうことを目指している枠組みだというふうに理解しています。

 具体的には、関税につきましては、原則八割については即時撤廃、残りの二割については十年以内に原則撤廃ということで、例外の品目については、少なくとも今四カ国でTPPの交渉が妥結しているわけでございますけれども、その例を見ますと、かなり例外品目は限られているということでございます。

 ちなみに、参考までに申し上げれば、EPAは貿易量もしくはタリフラインの九割を自由化するということで、残りの一割については特に規定がなくて、日本の場合は、大体、今までEPAで妥結したものについては貿易額で九割程度の自由化をして、一割程度については例外規定で例外をして扱ってきている、こういう経過でございます。

福島(伸)委員 私は、その例外の考えがちょっと違うんじゃないかと思っていまして、EPAは関税をかけるという例外を設けることができる。一方のTPPは、例外といっても、原則十年以内に撤廃である。その関税がかからないと認められているのは、例えばブルネイのたばこ、酒。これはイスラム教国だから宗教上の理由として例外なのであって、そういう例外になるようなことは、日本の宗教というのはタブーがない宗教ですから、ほぼないと思うんですね。

 そういう意味では、私は、EPA、FTAとTPPは決定的に違うんじゃないか。すべてを捨てておいでというのがTPPであって、EPAは、その中で、自分たちに最後に必要な武器だけは持って一緒にやりましょうねというのが、EPA、FTAであるという意味では、私は根本的に違うのではないかというふうに思います。

 そうした意味では、十年後でも結構ですけれども、関税なしで本当に農業は生き残れるんでしょうか。戸別所得補償があれば大丈夫だという話がありますけれども、私の知る限り、ヨーロッパでもアメリカでも、直接払いをやっている国というのは、関税は多少上げ下げはします、FTA、EPAを結ぶことによってなくしたりすることもあります。しかしながら、関税という手段を失って戸別所得補償をやって農業をしっかり守っていこうという国は、世界じゅうに果たしてあるのでしょうか。

 私は、関税なしで本当に農業が生き残れるかということについて、鹿野農水大臣の御認識をお伺いしたいと思っております。

鹿野国務大臣 御見識をお伺いいたしました。しかと受けとめていかなきゃならぬのかな、こんな思いをいたしております。

山田委員長 その前に、委員長として、平野副大臣に、TPPの質問について、先ほど福島委員も言っておりましたが、例外があるような話をいたしましたが、その件について、もう少し明確に答えられませんか。

平野副大臣 今決まっているのは、P4という極めて参加国が限定されている枠組みでございますけれども、先ほど福島委員が御指摘ありましたけれども、ブルネイの酒、たばこ、こういったものについては例外扱いになっているということでございます。

山田委員長 そのほかについては。

平野副大臣 そのほかについては、チリの一部の乳製品、こういったものが例外扱いになっているというふうに聞いております。

福島(伸)委員 私は一応全部原文で読んだので、チリは砂糖が、個別の公社制度か何かで独特の例外規定が設けられているというふうに私は認識しているんですけれども、いずれにしても、アメリカが入って交渉が変容したといっても、私が申し上げた、関税撤廃を原則全品目でやる、十年後には全部の関税がゼロになる、新規参加にはそれを認めることが条件であるという部分については、もう交渉の余地がないと考えてよろしいんですね。

平野副大臣 ちょっと私、先ほど答弁を間違えたように思います。

 福島委員の御指摘が正しくて、乳製品については十年超の関税撤廃でチリは了解しておりまして、砂糖、同調製品の一部については、これは例外扱いになっている、こういうことです。訂正をしておわびを申し上げたいと思います。

福島(伸)委員 もう一点、今アメリカなどが入って交渉が真っ最中だと思うんですけれども、原則全品目の関税撤廃、時間的な理由はあってもですよ、その本則の部分と、関税をなくすという宣言をしなければ新規加盟は認められていないというその部分については、交渉の余地はないのではないでしょうかという問いに対する答弁をお願いします。

平野副大臣 TPP交渉に入る前に、関係三カ国のすべての同意をまずとらなければなりません。同意をとった上で、かつまたどういうことが課せられるかというと、すべての品目についてまず交渉のテーブルにのせてくださいというふうに言われると言われています。

 つまり、交渉のテーブルにのせるということはどういうことかというと、最初から、この品目については例外扱いをしますよということは認めないということです。しかし、だからといってそれが、最後まで例外扱いを認めないかどうかということについては、必ずしも明確な規定があるわけではないというふうに理解しています。

福島(伸)委員 これも、今のP4という協定を読みますと、条文の中にはっきり、そういう例外は認めないというのは書いてあるんですよ。だから、その条文を変えない限りはその原則を変えることができないと私は思っておりまして、その条文についての交渉を、今入っているアメリカや新しく入る国がやっているという話も聞きません。そうした意味では、私は、全品目の関税を即時ではないにしても、十年後にしても、撤廃するというその原理原則については、このTPPというのは議論する余地がないのではないかというふうに受けとめます。

 ですから、鹿野大臣にお聞きしたように、TPPに入るということは、関税がない世界で日本は農業政策をやっていかなければならないという選択をすると同義であるというふうに私は考えるからこそ、このハードルは極めて高い。農業政策のちょっとした転換じゃなくて、大前提が崩れた中で、すべて新しい白地から農業政策を考えていかなければならない、そうした土俵に入ってしまうのではないかということを申し述べたいというふうに思っております。

 そうしたTPP、いろいろなメリット論、デメリット論が出ておりますけれども、まずメリットについてどう考えていらっしゃるかということを経済産業省の方から御説明いただき、また、その農業に対する影響はどうかということを農水省の方から御答弁いただきたいと思います。よろしくお願いします。

松下副大臣 TPPを含むEPAは、新成長戦略を実現する手段として、日本に立地する企業の競争力を高めてアジアなどの成長を取り込みやすくする、人、物、金の流れを阻害する国内制度等を改善して経済を活性化する効果がある、そう考えています。

 また、TPP交渉に参加することは、アジア太平洋地域における新たな国際経済ルールづくりへの関与、日米関係の強化などに加えて、EUや中国との交渉を促進する効果もあると考えています。

 政府は、TPPに日本が参加した場合にGDPに二・四から三・二兆円のプラス効果があるとも試算しております。分野によってプラスもマイナスもありますけれども、差し引きすれば全体としてプラスになる、そう考えています。

 EPAによる自由化は、しかし一方、国際競争力の弱い産業に厳しい影響を与えることは事実でございます。その上で、国全体でその影響を前向きに乗り越えていく、その対策を講じることで自由化のメリットを国全体で享受できるのではないかというふうに考えております。

篠原副大臣 農業生産については、メリットはほとんどございません。生産額でございますけれども、減少が著しいわけでございますけれども、米が一兆九千七百億円、ほかに四千五百億円ぐらいの減少になるのが豚肉、牛肉、乳製品でございます。合わせて四・一兆円の生産減になります。自給率が、今は四〇%を辛うじて保っておりますけれども、それが一四%になり、多面的機能の喪失が三・七兆円、それから関連産業等の悪影響は七・九兆円と我々は計算しております。

福島(伸)委員 私は数字上以上のものがあると思っておりまして、例えば北海道とか、畜産が中心の宮崎や鹿児島、そういったところは地域経済が崩壊するんじゃないかと思っております。これは国土政策上も極めて大きな影響がある。単に生産額が減るということじゃないんですよ。地域的に壊滅的な影響を受ける地域があるという意味では、日本国政府が日本のある特定地域を切り捨てるということにすらつながるんじゃないか。私は、その点のデメリットというのは今まで余り指摘されていないんじゃないかというふうに思っております。

 また、メリットの面でも、経済産業省はいろいろおっしゃいます。まず一点、確認したいのは、我々は新成長戦略でTPPのことなどは一言も言っておりません。EPAとかFTAの推進は言っているんです。それは、関税という手段を持ちながら、開くべきところは開き、守るべきものは守るという調整をしながらやることが適切だからこそ、EPA、FTAの推進を言っているんです。

 しかも、経済産業省が出した資料によると、輸出額はTPPを結ばないと八・六兆円減ると言っているんですが、そのうち、TPPに入っている米国はマイナス一・五兆円、それ以外にEUが二兆円、中国が五・一兆円ということで、輸出をふやすためには結局、EUと中国とEPAなりFTAを結ぶしかないんですよ。TPPを結べばEUと中国がこれに乗ってくるなんというのは、これは想像の産物でございまして、想像妊娠みたいなものですよね、本当に子供が生まれてくるかわからない。そういうたぐいのものだと私は思うんです。

 ただでさえ、今までEUや韓国と交渉しながらできなかったことが、TPPを結んだらさらに進むなんというのは、私は信じられない。ですから、本当にこうしたメリット、デメリットというのをしっかりと検討しているのか、私は疑わしいと思います。

 その点で考えなければならないのは、政権の危機管理であります。総理の所信表明演説というのは、私が役人時代はいろいろな人が手を入れながらつくったものです。あれを言うに当たって、内閣の中でこうしたメリット、デメリット、そしてTPPの仕組みというのはきちんと総理に説明をされているのでしょうか。内閣府の方から答弁をお願いいたします。

平野副大臣 総理にはしっかりと説明をしております。

 その上で、福島さんにちょっと私から一言申し上げたいんですけれども、日本は、TPP交渉に参加するというための、仮に参加するという意思決定は今この段階で私はできないというふうに思っておりますが、その事前交渉にすら入っていません。そして、アメリカが何を言うのか、オーストラリアが何を考えているのか、正式なルートでの話は一切今伝わってきていません。

 そういう状況の中で、TPPに関して、入った場合のさまざまな影響というのは、議論をすれば幾らでもできます。大事なことは、そういった高いレベルの交渉を進めている国があるということで、その彼らが何を考えて、何を目的として、どういう枠組みをつくろうとしているのか、これを無視しながら日本の経済を考えるというわけにはなかなかいかないんだろうと思います。

 そういう意味で、私どもは今は、そういったまさに福島さんが申されたようなさまざまな影響といったこともあわせて、これから本当の議論を始める必要があるんじゃないかというふうに考えています。

福島(伸)委員 平野副大臣は正直なので、正直に答弁されたと思うんですけれども、私は、そうであればなおさら、野党に塩を送るようなことになって発言はしたくないんですけれども、総理の発言ですよ。そのときに、どこの国がどういう対応をするかもわからない段階で、しかもあの所信表明には、これで一番大きな影響を受ける農林水産業のことは全く出てこないんですよ。わかっていて、農林水産業にこれだけの影響があることがわかっているのであれば、その所信表明のときに言うはずでありますよ。私はとても、わかって発言したとは思えないし、仮にわかっていて発言したのであれば、もっと問題なんじゃないかなというふうに思っております。

 私は、今の日本の状況を見たときに、今平野副大臣がおっしゃるように、参加するかしないか決めていないということでありますので、まさにその原点に立ち返るべきだと思っております。一度戦略を練り直す必要がある。貿易の自由化は必要です。そのための道は一つじゃないんです。TPPだけではなく、EPAもあればFTAもある。そして、私たちの政党は、異論はあるかもしれませんけれども、マニフェストでは東アジア共同体の構築というのを言ってきたわけです。その道のりに対して、この方法が唯一の道ではないという、いろいろな検討をした上で発言をするのが一国の総理大臣の立場なのではないかなというふうに私は思います。

 本当は、前原外務大臣の一・五%発言、これも、地元に帰ると本当に怒っていますよ。一・五%だから少ないと思ったら、農村部の人はこういう発言が一番響くんです。私たちは都会の犠牲にならなければならないのか、切り捨てなければならないのか、その思いを私はしっかりと理解していただきたいと思っております。

 そもそも、GDP比一・五%農業生産額、これが大きい国か小さい国かと見たときに、どうなんですか。アメリカは、GDP比農業生産額は何%ですか。イギリス、ドイツは何%ですか。ちょっと詳細なデータをお答えください。

松木大臣政務官 お答えします。

 アメリカは一・一%、そしてドイツは〇・九%、イギリスは〇・九%、EU全体では一・八%、そんなものでございます。

福島(伸)委員 ありがとうございます。

 これは本当にきちんとデータを見なければ議論できないと思うんですよ。一・五%だから農業の比重が低い国というのは、私はとんでもない間違いだと思っております。アメリカは大農業輸出国です、それでもGDP比で見たら一%を切っているんです。ドイツやフランスやイギリスも同じように農業国であります。食料自給率が一〇〇%を超えていたり一〇〇%に近い水準がある、そうであってもGDP比は低い。それであっても、どの国も、自国の食料安全保障のために関税を維持したりいろいろな政策を講じて、自分の国の農業を強くしているのが現実であるのですよ。私は、その現実を理解して発言する人が外務大臣であってほしいと思っております。

 この件についての外務省の答弁は求めませんけれども、総理大臣、外務大臣、きょうはいませんけれども……(発言する者あり)ではどうぞ、発言を求めます。どうぞ、お願いします。

松本副大臣 簡潔に話をしたいと思います。

 福島先生がお取り上げになった前原大臣の発言の全体の中でも、私、これは前原大臣ですが、農業は大事で、農業の食料自給率を高めるべきだという考え方でありますので、そこをどう制度設計をしていくのかといったことがこれからの議論であります。また、徹底した国内農業に対する支援を各国ともやっている、自国農業を保護した上でその国を開くことをやっている、めり張りをつけた政策をしっかりやらないと大局を見失う、こういう発言をしていることもあわせてぜひ御披露したいと思います。

福島(伸)委員 それは認めますけれども、余り言った言わないはしたくないですけれども、日本の国内GDPにおける第一次産業の割合は一・五%だ、一・五%を守るために九八・五%のかなりの部分が犠牲になっているのではないかと言っているわけですから、やはり言葉は国民に直接届くわけですから、慎重にしていただきたいものだというふうに思っております。

山田委員長 今の発言についてはいかがでしょうか、松本副大臣。

福島(伸)委員 いや、いいです。

 もう時間がないので先に進みますけれども、昨日、民主党の政調のPTで取りまとめを行いました。これはもう十五、六回、朝から晩まで毎日のようにやって、苦心惨たんの末、取りまとめた案でございます。ここでは、TPPについて、APECまでは「情報収集のための協議を行い、参加・不参加を判断する」というふうに、私たちは党として一致して提言をさせていただいております。

 このことに対してどうとらえているかということをお聞きしたいのですが、この協議というのは、よもや事前協議と言われる、日本が関税を撤廃することを表明して、では例外を何にするかという協議ではないということを、まず、どなたがいいのかわかりませんけれども、政府の方から御答弁をいただきたいと思います。

平野副大臣 党の報告書、よくまとめていただいたと思います。大変激しい議論を重ねた結果の報告書だというふうに理解しております。

 この報告書の中にこういう表現がございます。「一般論としては、TPPについての時系列的、段階的手続きは下記の通り。」と。「1、情報収集のための協議を行い、参加・不参加」、恐らくこれは交渉の参加、不参加のことを言っていると思いますが、「参加・不参加を判断する」ということでございまして、ここはまさにこのとおりでございまして、今、事前協議とかどうのという言葉ではないだろうというふうにおっしゃいましたけれども、交渉参加するかどうかの判断、参加、不参加を判断するに足り得るさまざまな情報、あるいは各国との調整をするということだというふうに理解をしております。

福島(伸)委員 報道によると、某官房長官は報道による質問をするような稚拙なことはやるなと言うんですけれども、いろいろな報道が出ているものですから、関係閣僚会議で、交渉参加を目指し協議を開始するという案が取りまとめられた、その過程では、交渉参加を前提として協議を開始するという案と二つあった中で、交渉参加を目指し協議を開始するという案があったと報道をされております。

 これが正しいかどうかというのを問うつもりはございませんけれども、少なくとも、今の答弁であれば、交渉参加を目指し協議を開始するということではなくて、情報収集を行うという方向に党の提言を受けて修正される。修正かどうか、これが確かかわからないですけれども、そういう方向に行くと考えてよろしいでしょうか。

平野副大臣 いずれ、この趣旨は十分踏まえてこれから政府の方でも最終的な基本方針を決めるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、私の理解では、交渉参加、不参加を判断する、判断するために必要な材料はすべて集めるということでございまして、その過程の中で関係国との調整等々も場合によっては必要になるのかなというふうに、今、私の段階では、担当の副大臣としてはそのように思っております。

福島(伸)委員 ぜひとも、平野先生は農業がわかって内閣府の中に入り、調整をされている、大変な御苦労をされていると思っておりますので、私は、そのポジションからびた一文動かないでいただきたいなと。びた一文などとちょっと表現が悪くて、田舎っぺなので表現が悪くて恐縮なんですけれども、その立場をしっかりと堅持していただきたいというふうに思っております。

 そもそも、私が考えるに、何で今回APECがターゲットなのかということなんですよ。去年シンガポールで取りまとめたAPECの首脳宣言案には、TPPの文言というのは全然ありません。我が国が今回議長国でありますけれども、参加もしていないTPPに関して、なぜ我が国はTPPの問題をAPECで取り上げなければならないのか、その点が私は大いに疑問であります。仮に、APECという期限があるからそこまでにTPPの参加の表明をしなければならないというふうに焦っているのだとすれば、これも私は、APECの議長国として、APECをどう取りまとめるかということに関して事前に十分な戦略をつくっているかどうかというのは非常に疑わしいというふうに思っております。

 私は与党の立場でありますから、政府をいたずらに批判するつもりはありません。しかしながら、このTPPの参加の問題は、農業に対する問題もそうですし、日本がアジアの中でどの国とどうつき合って生きていくのかという、この国の外交の根本的な問題を含む問いかけであるというふうに思っております。そうであるからこそ、私は政府に対して、十分な情報収集をし、そして綿密な戦略を練り上げ、そして、いたずらに一・五%発言のような挑発や格好つけをすることなく、慎重に事を運んでいただきたいというふうに思っております。

 菅総理は所信表明演説で、国民全体で考える主体的で能動的な外交というのをおっしゃいました。私は余りこの言葉は好きではありませんけれども、ただし、TPPの問題はまさに国民全体で考える主体的、能動的な外交に一番ぴったりなものだと思います。ですから、表明した後、この数週間の間、いろいろありますけれども、もう一度白紙に戻って、情報収集をして、それをしっかり国民に提示して、関係者からの意見もきちんと聞いて、そして我が国の進むべき道というのを決めていただきたいというふうに思っております。

 私の地元は水戸というところです。今映画館では「桜田門外ノ変」というのをやっております。これは、天皇陛下の許可を得ないで勝手に開国しちゃったことに対して桜田門でぶすっとやった、そうした事件であります。私はこの映画を見ていて、何とも言えない気持ちになりました。当時の水戸は、尊皇攘夷と言われても、外国人排斥であったのではないんですね。富国強兵をして段階的に開国していく、そういう立場をとっていたのが、いきなり井伊大老が開国をしてしまった、それに怒った水戸浪士たちが、ある意味テロを起こした。私はそれに自分をなぞらえさせるつもりはございません。しかしながら……(発言する者あり)テロをやるつもりはありません。ないけれども、しかし、この背後には冷静な議論が実はあったんですよ。

 私は今、TPPの問題も、単に国を開くという情緒的な言葉だけでやるのではなく、綿密な調査、そして詳細なデータに基づいて国民を巻き込んだ議論を行った上で、TPPに参加をするか、不参加をするかということを決断していただきたいというふうに思っております。

 前に座っている山田委員長も、TPPを慎重に考える会の会長として、我々は一緒になって、今般のAPECにおいて、議長国である我が国が前のめりになってTPPへの参加や事前交渉に参加することを表明することに反対するという決議を、多くの議員の賛同を得て採択させていただきました。ここにいる皆さん方の思いはみんな同じだと思うんです。いきなりわけのわからない話が出てきて、国を開く、開かない、そういう情緒的な議論はやめて、もう一度冷静に白紙から、この国の農業をどうしていくのか、この国の産業をどうしていくのか、貿易自由化にどう取り組んでいくのか、そうしたことを私はみんなとともに議論をしていくべきであると思っております。

 最後に、この問題に当たるに当たって、やはり頼りは鹿野農水大臣であると思っております。農業を守る、そして国を守るために、このTPPの問題に対してしっかり情報収集を行う、その先には国民の合意もなく進まないという強い決意をお示しいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

鹿野国務大臣 この三十分間、福島議員のお考えを、私も十分基本的な考え方をお聞かせいただきました。今、このTPPに対する対応につきまして、政府内で最終的に詰めておるところでございますので、私自身の考えというふうなものをここで申し述べさせていただくことは差し控えさせていただきたいと思います。

福島(伸)委員 ぜひ、筋を通すところは通していただきたいと思います。どうもありがとうございました。

山田委員長 次に、赤澤亮正君。

赤澤委員 おはようございます。質問の機会を与えていただき、ありがとうございます。

 今、福島委員から大変熱のこもった、演説も含めて質疑を行っていただきました。気持ちの部分では本当に共有できる部分が多い、こういうことであります。与党の福島委員でありますから、閣僚の、あるいは政務三役の皆様を余り追い詰めてはいけないということで、演説に時間をとれるわけでありますけれども、こちらは野党でありますからしっかりと問いたださせていただきたい、そういう思いで質疑をさせていただきます。

 本日は、まず、前原外務大臣の発言を立て続けに三つ取り上げます。

 今、福島委員がお話があった件も当然重なってまいりますけれども、日経、CSIS共催の「安保改定五十周年、どうなる日米関係」と題するシンポジウムで、先ほどから紹介があった話です、もう今や非常に有名になっています。日本の国内総生産、GDPにおける割合が一・五%の第一次産業を守るために九八・五%が犠牲になっている、この発言には、大臣は賛成ですか。

鹿野国務大臣 私は、基本的に、農業という産業は、農産物を生産するというような重要な役割を果たしているということのほかに、いわゆる、人間として毎日生きていかなきゃならない、そういう食料を生産しているという意味は、その中には人間の営みということも含まれているんではないか。そういうふうな意味で、私自身は、農業というものを、数字だけで取り上げて判断していく産業ではないんではないか、こう思っております。

赤澤委員 それでは、大臣は、前原大臣に対して、この発言に対して抗議をされましたか。

 農家の気持ちを考えてほしいんです。あんたたちは加害者だ、多くの農業以外の人に迷惑をかけているみたいなことを言われて、農家の人たちの気持ちを考えたら、ふざけるんじゃないという一言が何で大臣から出てこないんだ、それが何でオンエアされないんだ、私はそこが非常に悲しいです。いかがですか。

鹿野国務大臣 私は、このことにつきましては、私自身の考え方として、委員会におきましても、予算委員会でございましたか参議院の農水委員会でありましたか、御質問を受けたときに、前原大臣の言われた考え方の立場には立ちません、そのことにつきまして、私自身は、自分は、農業の役割というものは多面的機能というようなものの維持、発揮をする上において大変な、それを維持するということにも大きな役割を果たしているというような発言をいたしたということであります。

赤澤委員 決して前原大臣の発言に賛成はされていないんだと思いますけれども、もっと激しく発信をしていただきたいと思います。

 最小不幸社会というようなことをおっしゃった総理のもとで、率直に言って、農家、特に米農家は、私は、今最大不幸の状態にあると思っています。戸別所得補償の米モデル事業の実施に伴う米価の大幅下落、そして猛暑の影響による二等米の割合の激増によるさらなる収入減、これらの収入減を補てんするための変動部分を上げるから安心しろと民主党の皆さんは言うけれども、もらえるのは来年の三月です。それまで対策を打たないと皆さん公言してはばからない。年を越せない、もう米づくりは続けられない、仮渡金の段階で収入がもう何百万と落ちている農家からそういう声が聞こえてきています。

 このような状況に何ら共感することなく、農家が加害者であって、農家以外に多大な迷惑をかけているかのような前原大臣の物言いには、これは腹が立つのを通り越して、無知を笑うというか、恐らく、今大臣がおっしゃった農業の多面的機能、こういったことも理解されていないんでしょう。ここまで農業に理解のない者を外務大臣に抜てきして、日本の国益が実現できるわけはないと私は思っています。菅総理大臣の任命責任は極めて重いと言わざるを得ない、これは言わせていただきます。

 加えて、前原大臣の二つ目の発言、これも福島委員が触れられたようですが、同じシンポジウムにおける講演中に、外交の最優先課題は経済に尽きる、経済外交の柱は国を開くことだ、国を開くことを本気で考えないと競争力は低下してしまう、こう発言しています。この国を開くという表現は菅総理も使っておられると承知していますけれども、大臣は一体どういう意味だとお考えですか。

鹿野国務大臣 国を開くというふうな考え方は、いろいろあると思いますけれども、私自身のとらえ方といたしましては、これから日本の国も、これだけ国際社会が進行する中で、やはり開かれた国として発展を遂げていかなきゃならない、そういうような意味を意味しているんじゃないか、こういうとらえ方をいたしております。

赤澤委員 大変空疎なお答えだったように私には感じられますが。

 民主党のトップリーダーの皆様は、しばしば耳ざわりのよい言葉を思いついて、国民をだますと言うと聞こえが悪いのであれば、世論を効果的に喚起するというのが大変お上手でいらっしゃいます。

 この、国を開くという表現、何となくよい響きを持っているので、国民の多くが正しいことであると信じてしまいかねませんけれども、よく考えてみると、国を開くというのは、今回のTPPに関して言えば、単に農林水産業を犠牲にすると言っているに等しいんじゃないですか。大臣、いかがですか。

鹿野国務大臣 基本的には、これからの、例えばアジアにおきましても、お互いに協力し合いながらやっていこう、こういうような考え方に立っていることは委員も御承知のとおりであります。そういう中で、貿易体制をどうするかというようなことも含めて、お互いが、開かれた国としてそれぞれの考え方を出しながらやっていこうよというようなことではないか。

 当然その中には、私ども申し上げており、また総理もおっしゃっておりますけれども、その際は国内の対策というふうなものもやっていかなきゃなりませんよということはいつも答弁でも申し上げているとおりでございます。

赤澤委員 では、もっと具体的に聞きます。

 韓国とEUがFTAを結ぶ。韓国が、自動車に課している関税は一〇%、薄型テレビに課している関税は一四%。これが、日本はそのままだけれども、韓国はなくなるから競争上大変なんだ。このことからわかるように、私は、少なくとも工業製品に関して、EUが国が閉じているんだと思います。日本の国は開いていますよ、明らかに。

 大臣に、今のお答えであればさらに聞きたいんですけれども、農林水産業以外に、国を開く対象になるにはどういう分野があるんですか。

鹿野国務大臣 例えば、お互いにそれぞれ、他国で生産された農産物を求めるというようなこともあるんではないでしょうか。今、中国の方は、日本の国で生産されたものは大変安心できるというようなことで求めている。また、あるいは我が国においては、消費者の人たちはできるだけ安い農産物が入ってくればいいなというような思いもあるんではないでしょうか。そういうふうなことは現実としてあるものと思っております。

赤澤委員 お互いの国の農産物を求めるなんて今でもやっていますよ、それは。改めてこの段階で国を開くとか第三の開国とか言っていることの意味を私は問うているんです。

 国を開くという耳ざわりのいい言葉に国民がいい気持ちにさせられてしまうのも、これは私は少々残念なことだと思っていますが、この言葉に民主党のトップリーダーの方たちが酔っている、もっと言えば、酔いしれているように見えるのが本当に情けない。民主党の幹部の皆様が第三の開国などと言って坂本竜馬を気取っている間に、日本の農林水産業が壊滅させられるんじゃないか。本当に心配しているんですよ。

 大臣は何で、国を開くということは、今の工業製品の関税とかはもう日本はない、それを考えたら農業のねらい撃ちじゃないか、なぜそう言って抗議をされないんですか。本当に国を開くなんていう言葉に大臣自身賛成をされて、それで国益が追求できると考えておられるんですか。

鹿野国務大臣 それはいろいろな考え方があるんじゃないでしょうか。とにかく、日本の国においてこのまま今の状況の中で果たしてどうなるんだろうかというようなことは、これは当然検討していかなきゃならぬことでありますし、国を開くというようなことにおいて、当然、グローバル化というふうな中で日本の国がどういう行き方をしていくかというふうなことにおいては、いろいろな考え方を持って対応していかなきゃならないというふうなことだと私は思っております。

 ですから、今、議員が言われた、何かこう限られたものだけ、それはだめなんだというようなことの認識ではなしに、もっと幅広く、全体として日本の国のこれからの、二十一世紀の行き方を、こういう国際社会の中でどう生きていくかという視点からとらえていく必要もあるのではないか、こう思っておるところであります。

赤澤委員 日本は既に、世界で見ても第五位の農業大国ですよね。先進国に限れば、生産額はアメリカに次いで二位ですよ。しかも、国が開いているからこそ自給率四〇%ぐらいまで落ちてきているんですよ。問題は確かに米とか一部にありますけれども、工業製品に至ってはほとんど開いている。それを、国のトップの、まさに政権党にある方たちがこの国は開かれていないかのような発信をしながら農業をねらい撃ちにしているということは、私はもう絶対に覆い隠せない事実だと思っています。狂気のさただと私は感じております。

 前原大臣は、たった今御紹介したものだけではなくて、コンクリートから人へとか、あるいは私が質問したのに対して、命の道を整備しなくてもドクターヘリを整備すれば足るんじゃないかと。道には災害の代替路の意味があるといったようなことも、国土交通大臣の職にありながらぴんときていない。本当にとんでもない暴言を繰り返し吐いておられます。

 ただ、最近一つだけ感心したのは、ごくまれに正鵠を射る発言をされる。それが本日取り上げる三つ目の前原大臣の発言ですけれども、TPPに参加しようとするまいと農業の強化は必要である、これも彼が言いました。この発言だけは私は全く正しいと思っています。

 ただし、この発言を前提にする限り、今の政府は、私は、農業を本当にばかにしてきたと言えると思うんですよ。

 というのは、それは最近になって、TPPに参加するんだったら農業を強化してやろうという感じで農業改革本部が設置されます。それが打ち出されてきた。今まで何をやっていたんですか。TPPに参加しなくても農業の強化が必要だといいながら、農業改革本部を置かれませんでしたよ。

 本当にTPPに参加しなくても農業の強化が必要だというのであれば、平成二十二年度の農業予算、三十四年ぶりに二・五兆円を下回る、基盤整備や大規模化に必要な予算をめった切りにする、そんなことはできるはずがないんです。

 TPPに参加しなくても農業の強化が必要だといいながら、なぜこれまで農業改革本部を設置されなかったんですか。

鹿野国務大臣 当然農業を非常に重視しているというふうな考え方に立って、これから、二十三年におきましては、いわば本格的な戸別所得補償制度をやっていくということで概算要求もしているところでありますし、また、継続審議になって、これからお願いをいたしております、農業のいわゆる六次産業化法案というふうなものを御審議していただくように重ねてお願いをしているわけでありますけれども、これからそういう六次化法、六次産業化を進める、そして、いかにして食の安全、安心を確保するか、そういう非常に国民にとっても重要なテーマを柱にしながら私どもとしては取り組んでいきたいという、一つの意気込みであるというふうにお受けとめいただければと思います。

赤澤委員 私には、残念ながら余り中身があるようには聞こえませんでした。ただ、これは別に時間をとってやらせていただきたいと思います。

 意気込み、それだけではやはり農家は満足できないと私は思います。農業改革本部でどのような農業強化策を打ち出すのか、大臣の腹案、もう一度具体的に教えてください。

鹿野国務大臣 非常に大事なことは、農業にいそしんでいる人たちが再生産に意欲を持ってもらうというようなことが一つの大きなポイントだと思います。そういう意味では、農業者戸別所得補償というような、大きな政策の転換というものをこれからいかにして継続して、いわゆる恒常的なものにしていくかというようなことは一つの大きなポイントであると思っております。

 もう一点は、重ねて申し上げますけれども、地域経済というふうなことの中で、農業者の人たちも、生産をし、そしていろいろなものに加工しというようなことも努力をされてきましたけれども、その中でどうしてもやはりなかなかうまくいかなかったのが販売というような面だ。そうすると、すなわち、生産をし、加工し、販売というようなところを、一、二次、三次というものをいわば一体化した中で取り組んでいくということならば、そこに改めて農業というふうなものが定着しやすくなってくるんじゃないか、そこに活力が生まれてくるんじゃないか。そういうようなことを具体的に実現していくということによって地域経済というようなものが大きく変わってくるのではないか。

 そういう意味で、農村、社会、そして農業者の意欲というふうなものを結びつけていけたらな、こんな思いをいたしておるところであります。

赤澤委員 まず二点申し上げたいのは、販売、確かに大事である、おっしゃるとおりでしょう。ただ、自民党の、自公連立政権当時にも農商工連携そしてまた地産地消、やってきたことというのは基本的に変わらないと私は感じます。六次産業化と言われて、どこが新しいのか正直なところぴんときません。

 所得補償について言えば、何度も繰り返し申し上げますけれども、昨年の十一月十七日に赤松大臣に言ったことでもう尽きています。全国一律単価で、幾らもらって、幾らかわかる形でお金を配れば、お金を配った分米の価格が落ちますよと何度言っても理解いただけなかった。絶対に下がらない、需給は締まると。山田大臣になっても、大丈夫、変動部分で手当てするからと。

 これは働いていないですよ。大幅下落した上に、変動部分も来年の三月ですから。全然いい状態にない。その所得補償について検討されるんだったら、そういう制度的な欠陥も含めて、要するに、変動部分を三月までもらえなければ農家は年を越せないんですよ。そういうことも含めてきちっと検討していただきたいと思う。

 その上で申し上げれば、私は、この農業改革本部、これまで、政権交代後国民が何度も目撃した民主党の悲喜劇的なパターンが繰り返されるんじゃないかなと思っています。

 それは何かといえば、重要な国政上の課題、民主党が一生懸命取り組むと、勉強が進むと自民党の政策に戻ってしまうということですよ。普天間の基地移設問題がそうだったんじゃないですか。無駄を省けば消費税を上げなくていいと言っていたのはどうなったんですか。とにもかくにも、安全保障、外交問題あるいは経済財政問題、重要な国政の課題で、民主党が政権をとってから、まじめに取り組めばどんどん自民党案に戻ってくる。同じことに私はなると思いますよ。当委員会で真剣に取り組んだ口蹄疫問題もそうでした。つけ加えておきます。

 農業において、平成二十二年度予算で今の政府がめった切りにした、総額は二・五兆を三十四年ぶりに切った、そして、担い手や集落営農の育成、土地改良などの基盤整備、あるいは農地の面的集積による大規模化、それのための基金の予算とか、そういうものを全部切ったわけですよ。農業を強化していくにはこれを復活することが必要なんです。私は、それが最も有効な農業強化策であると予告をしておきます。そこに最後手をつけなきゃどうにもならない。そのことを改革本部で、一度めった切りにしたものをまた元に戻す、事業仕分けと似たことが起きる、そのことを私は確信しています。そのことは一応指摘にとどめておきたいと思います。

 次の質問でありますが、先月二十六日の当委員会で篠原副大臣、TPPの交渉に参加するための条件である九カ国の合意を得るための、それらの国々との間で、ここから引用です、「ほとんど事前の交渉というのは進んでいないのではないかと思います。」とおっしゃいました。その後の九カ国との接触状況はいかがですか。これは、大臣、副大臣、どちらでも結構です。

篠原副大臣 TPPについての一定の方向性はまだ出されておりません。したがいまして、TPPの参加を前提とした交渉というのは全く行われていないと承知しております。

 ただ、他方、外交ルートを通じまして、一般的な情報収集のための交渉というか、事前の努力はしていると思っております。

赤澤委員 副大臣、その一般的な情報収集、何か副大臣のもとに情報は入ってきていますか。

篠原副大臣 例えば、APECの開催に当たりまして、もう新聞等にも報道されておりますし、前原外務大臣が発言されておりますけれども、十一月九日に、TPPに参加を検討しているような国ということでカナダと日本とフィリピンが挙げられておりますけれども、そういった国々がどのような興味を持っているかというようなことを、外交ルートを通じまして、参加の検討の一助として情報を収集しておりまして、我々の方にもその情報は伝わってきております。

赤澤委員 そうすると、引き続きこれは、交渉に参加するためにも九カ国の合意が要るわけですが、各国からどんな要望が出てくるのか、その辺のサウンドは、前回の農水委員会、先月二十六日だったと思いますが、それ以後特に進んではいないということは間違いないですね。

篠原副大臣 そこまで深いことは進んでおらないと思っております。

赤澤委員 これは本当にありとあらゆる分野にかかわるわけですね。先回大臣もお認めになったように、これはアメリカが一番問題だと思いますけれども、USTRからは、郵政の関係、それから保険、金融。ベトナムなんかであれば、これはもう看護師さん、介護士さんの労働力の移動の自由化の問題。そして政府調達、規制緩和、ありとあらゆるものが出てきます。非関税障壁と言われるものが全部入ってきます。

 そういうことについて、一体どの国から何を求められるのかわからないのに、参加の検討をするなんという能天気なことを言ってちゃいけないんですよ、これは。その辺のサウンドがきちっと終わらなければ、私は、これは意思決定なんかできるわけがないと思うんですよ。

 本当に、こういう、何か国を開くとか言って浮かれて、何度も言って悪いけれども、坂本竜馬気取りで、中身が何も詰まっていない、準備もできていない、説明もまともにできていない。準備不足、説明不足、決定的ですよ。

 少しこれは頭を冷やして、冷静になって議論をすべき、本当に国益に非常に広くかかわる問題でありますから、ぜひ、このTPPの参加の検討というのは一回総理に即時撤回をしてほしいと私は思うんです。一度頭を冷やして、あの所信表明のときに何にも準備をしていなかったことは明らかなんですから、一回撤回をきちっとした上で、頭を冷やしてもう一回検討をし直してほしい、そのことを求める決議をぜひこの農林水産委員会でやってほしいと私は思うんです。委員長、いかがですか。

山田委員長 理事会で協議いたします。

赤澤委員 では、理事会でしっかりと協議をして、ぜひ決議を打ち出していただきたいというふうに思います。

 私は、内容は基本的に二つになると思いますよ。EPAの基本方針の中では、しっかりと、安全、安心な食料の供給、食料自給率の向上、さらには農業、農村、地域の振興といったようなことを決して阻害しない内容のEPAの基本方針にする。これはもう、食料・農業・農村基本計画、今の政府が決められたそのものに書いてあることです。それをきちっとEPAの基本方針に盛り込む。加えて、一度頭を冷やすという意味で、このTPPの参加の検討については即時撤回をするという二つのことを盛り込んだ決議をしっかりやっていただきたい。

 本当に、私は農業分野だけじゃないと思いますよ。こんなに浮かれ騒いで、国益をおもちゃにしていいわけがない。

 菅総理は、TPPは消費税とは違うんだと叫んだとどこかで報道されています。(発言する者あり)私も思うんです、一緒じゃないだろうか。しかも、もう一言言っておけば、では消費税とは何だったのという感じが私はするんですけれども、それは置いておきます。やはりきちっと熟慮をし、準備をし、熟議の国会にしてもうらうには、その決議の中にぜひ即時撤回を盛り込んでいただきたい、このように思います。

 次に、TPPへの参加の及ぼす影響の試算結果についても一つ伺います。

 菅総理は、補正予算ということかもしれませんけれども、雇用、雇用、雇用と、とにかく連呼されてきました。その前提で、TPPへの参加が農業に及ぼす影響について、農林水産省の試算によれば、三百四十万人程度の就業機会が減少するとされております。これは農水大臣、副大臣も御案内のことであります。経産省の試算によれば、日本がTPPに参加しなければ八十一・二万人の雇用が減少するとされています。両省の試算が正しいという前提で、単純に考えれば、TPPに参加しない方が、三百四十万と八十万の差で、相対的に二百六十万人程度の雇用増になる、より多くの雇用が確保できるという推測といいますか、合理的に判断ができます。

 大臣から、雇用、雇用、雇用と連呼されている菅総理に、二百六十万人の雇用が失われるからTPP参加は慎重に検討した方がいいんじゃないか、こういう議論を持ちかけられたことはありますか。

鹿野国務大臣 いろいろと農林水産省としても試算を出しているところでございますので、そういうことも含めて、経産省の方からもいろいろな影響というふうなものも出されておりますが、いろいろそういうものを検討していく必要があるもの、こう思っております。

赤澤委員 試算は何のためにするのかといったら、分析して、それでやはり判断に資するようにするんですよね。

 もう一回繰り返しますよ。農水省の試算では、TPPに参加をすると三百四十万人程度の就業機会が失われる、経産省によれば、TPPに入らなければ八十万人雇用が減少する、差は二百六十万あるんです、その試算結果が出ているんですよ。雇用についてはTPPに参加しない方が確保できるという議論をなぜされないんですか。

鹿野国務大臣 今指摘のありました問題も含めていろいろと考え方を、含めて検討をいたしておるということでございます。

赤澤委員 大臣、ぜひお願いしたいのは、私、鹿野大臣が紳士なのはよく知っているんです、よく知っています。だけれども、ここは本当に鬼になるときですよ、これは。少なくとも、一・五%発言に、前原大臣ふざけるなとかみついていただきたいし、国を開くとは何だ、今の状況でいえば、日本は農業以外は開いている、農業をねらい撃ちにするということじゃないかと言っていただきたいし、雇用、雇用と言っている総理に、二百六十万雇用を減らすつもりですか、TPP参加はそういうことだと試算結果が出ていますよと言っていただきたいんですよ。やはり大臣が闘ってくれないと日本の国益は守れない。この点は強く指摘をしておきたいと思います。

 先月二十六日の当委員会における質疑でもう一つ。

 私が、TPPに参加をすれば、当面の目標、カロリーベースの食料自給率五〇%の十年以内の達成は不可能ではないかと質問したときに、大臣は、TPPへの参加と食料自給率五〇%、十年以内の達成の両立を含めて検討をしているとお答えになりました。

 TPPに参加しながら十年後に五〇%の自給率を達成する方法は見つかりましたか。

鹿野国務大臣 いろいろと検討して、そして最終局面に来ておるところでございますので……。今の赤澤委員から言われたことも含めて私ども今検討いたしているというふうなことであります。

赤澤委員 大変苦しい大臣を見ておりますけれども、しかしながらちょっとこれは続けさせていただかざるを得なくて、これは、国益を考えたときに、本当に、TPPに入ったら自給率がどうなるかという話については、これはきちっと国民に説明しておかないと不誠実ですよ。

 実際、韓国なんかも自給率が五%ぐらいここ数年で落ちてきて、日本よりFTAを熱心に進めればそういうことが起きるということはどうも間違いがない気がするんですよ。その辺で、しっかりとやはり議論しておかなきゃいけないのは、カロリーベースで自給率、これは大事な目標なんだ、この目標を維持して、今後ともこれを上げるんだという立場で本当にこれからいくのか、この際考えを変えるのか、その辺はTPPの参加を検討する前にきちっと国民に説明をしておかなきゃ、私は明らかに政治として不誠実だと思います。その点はどのように考えておられますか。

鹿野国務大臣 私が就任して以来、あらゆる機会を通して、委員会なりあるいはいろいろな会合等におきましても、食料自給率の五〇%というふうなものをどうやってこれから実現していくかということは非常に大事なことだということは常に発言をいたしておるところでございます。

赤澤委員 だから聞いているんですよ。TPPに入っておきながら食料自給率が維持できるという方法を私は考えつけないです、無理だと思います。どう考えても、安い農産物が大量に輸入されます。自給率をどうやって上げていくんですか。競争力のあるものが入ってきますよ。質の面でも価格の面でも圧倒的なものが入ってくる、あるいは質が同じでも価格が安い。どうやって自給率を維持できるんですか。

 私は、TPPに参加をしてしまって、基本的に農産物関税全廃をした場合、全く自給率を上げていくという手だては考えつきませんけれども、正直に、それはもうそのとおりだと答えていただけないですか。

鹿野国務大臣 そういう、今御指摘のあった問題も含めて、私自身が今まで発言をしてきたことも含めて検討いたしておるということでございます。(発言する者あり)

赤澤委員 今同僚の委員からも指摘がありました、一四%に自給率が落ちるという試算、農水省自身が出していますね。そうしたらば、TPPに入れば、食料・農業・農村基本計画の五〇%、十年以内に、この目標はもう守れないということをぜひこの場で宣言をしてください。

鹿野国務大臣 いわゆる関税を全廃された場合にどういうふうな影響かということの試算を出した、その中で自給率は一四%になるということであります。いろいろな国内対策をするというようなことにおいての対応については、これはまた別の面が出てくるんじゃないか。しかし、私どもとしては、何もまだ参加するとかどうかというふうなことは決めていないわけですから、影響をどの程度受けるかというようなことの数字を出さしていただいたということであります。

赤澤委員 これは、なかなかはっきりとお認めになりませんけれども、農水省自身が出している試算ですから、TPPに参加した場合には、食料・農業・農村基本計画、食料自給率の目標はもう捨てる、守れないと言っているに等しいと私は理解をしていますし、とにかくきちっとした反論ができるんだったらしてほしい、TPPに入りながら自給率が上げられるという手だてがあるというんだったらそれの説明もしてほしいと思います。

 まだこの議論は続きますので、一つ先に進ませていただきますけれども、二十六日の当委員会における質疑で、私が篠原副大臣に対して、TPPへの参加を検討するということは、農林水産物の国境措置に関する我が国のこれまでの農林水産行政の基本方針、すなわち、現行の関税制度を前提として、センシティブ品目、重要品目はできるだけ守るという基本方針を百八十度転換することになるのではないかとお尋ねをしました。篠原大臣は、TPPへの参加が「正式に決まった場合はそのようなことになるかと思います。」こうお答えになっております。

 この質疑を前提に以下の質問をしますが、今、TPPへの参加を唱える皆様が盛んに喧伝されるのがTPPのルールづくりに参加するメリットですよ。バスに乗りおくれるな、早く乗らないとルールづくりに参加できないぞと。

 お尋ねします。農業分野では具体的にどのようなルールをつくるように働きかけるんですか。

篠原副大臣 赤澤委員御指摘のとおり、TPPに積極的に参加していくべきだと言う方々はいろいろな理由を申し述べておられます。その一つに、ルールづくりに参加できるんだというメリットを挙げられます。

 その点については、例えば十月にブルネイで事前交渉を行いました。関税だけじゃなくて、二十四作業部会ができまして、さまざまな議論をしているということは聞いておりますけれども、具体的にどのような議論が行われているかということは、我々、そこまで十分な情報は得ておりません。

 したがいまして、現段階におきましては、農業についてどのようなルールづくりができて、どのような方向に行って、日本にとってはどのようなメリットがあるのかデメリットがあるのかというようなことを、確たることを申し上げる立場にはございません。

赤澤委員 それはおかしい話で、篠原副大臣も政府の一員ですよ。政府が国民を説得するときに、自分たちに、日本に少しでも有利なルールづくり、これを働きかけられるように、だからチャーターメンバーでなきゃいけないんだ。では、そのルールは農業分野では具体的にはどういうルールですかと言ったら申し上げられない、こういう話ですよ。それは中身がないということじゃないですか。

 質問をちょっと変えますが、農業分野では日本に有利なルールづくりなんということはとてもできそうにないからもうあきらめたという意味ですか。

篠原副大臣 赤澤委員御指摘の点も含めまして、我々は、ですから、参加の検討のための情報収集というのは鋭意やっていかなければいけないんじゃないかと思っております。

赤澤委員 この点はぜひ、政務三役にも念頭に置いていただいて、閣内で議論をしてほしいんですよ。これは空疎な議論ですよ。私、日米航空交渉の現場にいたことがあるんですけれども、外務省がすぐにこういうことを言うんですよ。私たちは日米関係全体を見ていますから、全体の国益を見ていますから、ここは、日米航空交渉、日本、譲歩してくださいとすぐ外務省は言うんですよ。では、その航空の国益以外のどういう国益が関係しているんだと聞くと、説明が何もないんです。非常に空疎なんですよ。もっともらしいことを言うんだけれども。

 私が非常に恐れているのは、今回も、菅総理以下、何かこの交渉を進めたい、外務省の方たちに単純にルールづくりに参加できないからと言われて。日本に有利なルールづくりなんて本当にできるんですか。その点は徹底的に閣内で追及してくださいよ。日本にとってどういう有利なルールがつくれるんだと聞いてみたら、多分中身ないですよ、出てきませんって。そこを徹底的にやってください。闘うというのはそういうことですよ。具体的に、相手が論拠にしているものをたたきつぶすんですよ。それができなきゃ国益なんか守れませんぜ。そのことを申し上げておきます。

 それで、一言で言えば、今の話なんですけれども、バスに乗りおくれるなのかけ声で目の前のバスに飛び乗ろうとしているけれども、それが我が国の目的地と反対方向に向かうバスでないという保証が私はないように思っています。

 今のところ、そのルールづくりの話も含めて、輸出産業がもうかる、一言で言えば、自動車や薄型テレビをつくっている企業、あるいはその関係の部品をつくっている企業も含まれるでしょう。その関係の企業、これがもうかるということ以外は、TPPに急いで参加することで、現在喧伝されているようなメリットが得られる保証は私は何もないんじゃないかと思っています。その点を徹底的に洗って説明をしていただきたい、これが農水省の政務三役への強いお願いであります。

 それで、今度スケジュールについてちょっと教えていただきたいんですが、経済連携協定に関する基本方針、EPAに関する基本方針です、来週火曜日に閣議決定するというスケジュールは、これで間違いはないんですか。

鹿野国務大臣 そういう方向で今検討を進めている、こういうふうなことを私は承知しておるところであります。

赤澤委員 それでは、これを一番最初に聞けばよかったのかもしれませんが、現在の検討状況はどのようなものか、今の時点まででどういった議論がされて、本当に九日に閣議決定できそうな状況なのかどうか、見通しも含めてお答えください。

鹿野国務大臣 今、最終のぎりぎりのところでございますので、果たしてそういう方向どおりになるかどうか、そういうことも含めて検討中でございますので、具体的な形でどうだかというようなことは差し控えさせていただきたいと思います。

赤澤委員 先月の二十六日の当委員会で、質疑の中で申し上げたのと同じことをやはり私再度申し上げないといけないんです。

 もし、大臣が所信でうたわれた攻撃型の農林水産行政、これが実は玉砕型の農林水産行政でないとおっしゃるんであれば、もし我が国の農林水産業の将来に本当に大臣が責任を持つおつもりであるならば、農林水産省の試算では四・一兆円とされる農業分野、国内農業への影響額、これを念頭に置いた十分な国内対策の規模と内容、それから確かな対策、確かな財源、さらに言えば、きょうもずっとお話をさせていただいた、自給率をどうするんですかと。農家の生活が国内対策で維持できても、私は、どうしても、食料自給率を上げていける道がTPPに入ったら見当たらないと思いますよ。そのことの説明も含めて、こういったことをしっかりと明らかにしない限り、九日に閣議決定されるとされているEPAの基本方針の中でTPPへの参加の検討をうたうことはない、このことをぜひ断言していただきたいと思います。よろしくお願いします。

鹿野国務大臣 いろいろとお考えをお聞かせいただきました。

 私も、こういう立場でありますから、農業者の気持ち、そして国民生活の求めるところは那辺にあるかということも含めて、当然、いろいろな場におきまして私の考え方を申し上げてきたところでございます。

 そういう意味で、このTPPの対応につきましては、今、最終の、ぎりぎりのところに来ている中で、また私は私としての役割を果たしていきたい、こういう思いをいたしておるところであります。

赤澤委員 篠原副大臣が韓国に行ってこられました。私も行かせていただきました。韓国はそれでも対策をとっている。彼らは先対策、後開放、そういうことでやってきているんだと。日本のJA全中に当たるところ、農協中央会とか、あるいは農林水産食品部に聞くと、対策は一〇〇%ということはやはりないと言われるけれども、それでも対策をとってきている。

 大臣にもう一度重ねてお伺いしておきたいのは、やはりTPPの参加云々ということを議論する前にはこういう対策を打つということについては、それを言ってからじゃなきゃ無責任だと私は思うんです。TPPの参加について何らかの方向を打ち出される前に、必ず国内対策、規模と内容、そして財源を明らかにされると約束をしてください。よろしくお願いします。

鹿野国務大臣 まだ方向が定まったわけではありませんし、今そういうことも含めて検討をいたして、このTPPに対する対応を検討中でありますというふうなことだけは申させていただきたいと思います。

赤澤委員 今申し上げたことを守ってもらえなければ、間違いなく、今最大不幸の状態にある農家はもっと不幸になる、そのことを重ねて申し上げて、大臣、必ずお願いします。

 これで私の質問を終わります。ありがとうございました。

山田委員長 次に、小野寺五典君。

小野寺委員 自由民主党の小野寺五典です。

 本日は、質問の機会をありがとうございます。

 まず、大臣にお伺いをいたします。

 今回、日本がこのTPP交渉を行うに当たって、恐らく最大の交渉相手となるのはアメリカです。この交渉に入る過程において、まず入場門について、アメリカがどのようなことを要求してくるか、そのことについてどう情報として把握しているか、教えてください。

鹿野国務大臣 まだTPPについての対応は方向を決めたわけではございません。そういう意味で、私が軽々に、仮定の話といえども申し上げるというふうなことは、もうぎりぎりの段階でありますので、控えさせていただきたいと思います。

小野寺委員 委員の皆さんに聞いていただきたいことがございます。

 私は、先月十四日、USTRに行ってまいりました。農務省にも行ってまいりました。そして、TPPにもし日本が入るときには、どういうことが日本政府として必要かということを聞いてまいりました。

 まず返ってきたのは、今回の関税交渉においては、前提条件、これを疎外してくれ、あれを疎外してくれという前提条件は持ってきてもらっては困る。非常に汚い言い方をすれば、素っ裸で来てくれ、そして、交渉の中でパンツぐらいはいていいのか、シャツぐらい着ていいのか、そういうぐらいの厳しい覚悟で来いということ。

 そして、実は、その前提として、二つのことを言われました。その一つは、現在、牛肉、BSE以降、月齢制限を行っています。これをOIE基準、月齢制限をなくして、速やかに自由化の方向で動いてくれ、これを一つ言われました。そしてもう一つは、郵政の改革の問題、これを言われました。

 このことについて、大臣は認識をされていますか。

鹿野国務大臣 ある程度予測されることではないかな、こういう思いはいたしております。

小野寺委員 今、予測されるというお話がありました。では、知っていて、今この交渉の例えば閣議に閣僚として参加されているということですね。ということは、今後、これが議論されているときに、何が日本として、これはまず入り口なんです。大臣、おわかりでしょうか、アメリカの議会に対する三カ月ルール、これについてお話をください。

    〔委員長退席、森本(哲)委員長代理着席〕

鹿野国務大臣 九十日というふうなことにつきましては、もう御承知のとおりであります。

 それから、承知して取り組んでいるのかということでありますけれども、重ねて申し上げますが、いわゆる牛肉なり非関税障壁の問題が出されてくるのではないかなというようなことを予測はされますということでありますから、そういうことを意識しながら、私自身としては、今検討している中において、いろいろな話し合いをさせていただいているということであります。

小野寺委員 これは、皆さん、これが交渉の本段階ではないんです。まず交渉のテーブルに着く。アメリカは、実は、議会に対して三カ月前、九十日前に、日本とこういう交渉をしますということを指示して、アメリカ議会の了解を得る必要があります。そして、議会の了解を得るということは、私どももそうですが、さまざまな地元にいろいろな議員がいます。その議員からいろいろな意見が集まる。

 そして、今の現在の時点で、これは絶対に、日本がまず交渉に入るに当たって、交渉に入るんですよ、あるいは、これから情報を得るに当たって、これはまず譲ってほしいものということで二点、これはアメリカのUSTRの日本担当者が言っていました。

 一つは、先ほどお話ししたように、現在、BSEで月齢制限をされています米国産輸入牛肉、これは、先方の要請は、月齢制限の撤廃そしてSRMの範囲の見直し、これを明確に言ってきています。

 そしてもう一つ、ここでは農水の委員会ですから、多分農業のことが多く議論されると思うんですが、実は郵政についても私は明確に向こうから示唆をもらいました。そして今、郵政についてはどういう議論がなされているか。これは多分、大臣、知らないことだと思います。きょう、郵政の関係の政務官に来ていただきましたので、ぜひ聞いてください。

 ことし五月二十一日、ジュネーブで、この郵政について、EU、米国から日本に対して要求があった。この内容について、どのような内容だったか教えてください。

森田大臣政務官 総務大臣政務官の森田でございます。

 小野寺議員にお答え申し上げます。

 五月二十一日、私どもも報道発表の資料を通じて存じている次第でございますが、ジョン・クラークEU臨時代理大使及びマイケル・パンク・アメリカWTO代表大使より、ジュネーブにおいて北島信一日本国大使と面会され、その際、日本郵政と民間企業の間におけるいわゆるイコールフッティング、内国民待遇に関するコミットメントをいただいたというふうに承知しております。

小野寺委員 私はそのときの議事の資料を持っております。それによりますと、まず、この両者は、国会に提出された郵政改革法案は、日本郵政が現在、民間企業に比して優遇措置を享受するという米国及びEUの概念に対処するものでないことに対し、失意を表明した。そして、幾つか書いてありますが、日本に対しては、WTO上の義務を履行することを強く要請する。これがアメリカの要請なんですよ。

 ということは、現在、政府内で検討されている郵政改革法案、こんなものを国会で審議することなんて絶対にできないし、まして言えば、さらに郵政の改革について大きく踏み込むことをアメリカと約束しなければ、実は、この交渉に入れない。議会が承知しない、九十日ルールで議会の同意が必要、このことを大臣知っていますか。

森田大臣政務官 おっしゃった趣旨は、十分自分たちも重大な関心を持っております。

 幾つか冷静に論点を整理した方がいいと思うんですが、現時点で発効されているTPPアグリーメント、四カ国でありますが、委員御存じのとおり、ニュージーランドには既にポスタルバンクであるキウイバンク、政府出資一〇〇%の銀行がありますから、現時点でのアグリーメントはチャプタートゥエルブに書いてありますね。ここは金融サービスに関する除外規定を設けているということでありますので、ニュージーランドでもせっかく、八〇年代に郵政が破綻して、民営化して、破綻して、二十一世紀に入ってからキウイバンクを始めてもう一回国営事業として郵政を立て直した後ですから、簡単に譲れるはずがない。

 これから拡大協議の中でどのような協議がされるかということを今から情報収集する必要があると思います。

小野寺委員 政務官、もうちょっと勉強してから来てください。アメリカがねらっているのは、別に郵便の事業じゃないんですよ、郵貯、簡保のお金なの。これをねらって日本にはもっと開放しろときているわけですよ。何寝ぼけたことを言っているんですか。

 農業以外の分野でも、実はこれだけ、郵便貯金、しかも、これはこれから国会で恐らく、もし郵政の改革法案を出すときには当然閣議で、もう通っているんでしょうか、さまざまな議論が必要だと思うんですが、こういう問題も出ているということを、閣僚の一人である大臣、どうお考えですか。

    〔森本(哲)委員長代理退席、委員長着席〕

鹿野国務大臣 重ねて申し上げますけれども、いわゆる具体的な形で二国間の話し合いがなされていくというふうなことの中で、アメリカのことを取り上げられているわけでありますけれども、先ほど申し上げますとおりに、牛肉とか、あるいは郵政の問題というふうなものは、今までの改革要望というものの経緯からいたしますと予測されることかな、こういうふうな認識を持っております。

小野寺委員 今、予測されるということは、これを受け入れるということなんですね。だって、予測されるということは、これを受け入れるということでしょう。今回、十月一日の菅総理のあの所信表明演説を閣議で了承して出しているということは、当然、大臣は閣僚の一人ですから、それを了承して発表しているわけですから。

 大臣、それを了承するかどうか。もう政務官はいいです。どうぞ、大臣。

鹿野国務大臣 私が了承するとかしないとかの問題で、そういうようなことが当然要請されてくるのではないかというようなことを申し上げているわけであります。

小野寺委員 今、ここまでTPPについてみんな必死になって議論をしているのに、聞きましたか、今の答弁を。そういうことは議論されていることは知っている、何か他人事じゃないですか。では、牛肉、牛を生産している農家の方は今どう思っていますか。

 そして、皆さんは多分これに気づいていないと思いますが、郵政問題が大きな問題になります。ここにいらっしゃる方で、もしかしたら特定郵便局から御支援していただいている方もいらっしゃるかもしれません。連立与党の国民新党は、この問題に本当に賛成するんですか。これは入り口なんですよ。交渉に入るための手土産なんですよ、これは。手土産で差し出すのが、まず牛肉。そして、手土産に差し出すのが郵政の問題。

 これから本格的な議論になって、そこでみんなで集まって、いや、米はこうだ、砂糖はこうだ、こういう形でどんどん攻めてくる。これが、実は今回のTPP交渉の全容。そして、私たちは、こういう内容を全部つまびらかにして、それから議論をしなければ、入るも入らないも、言ってしまったらこれで終わりじゃないですか。

 それでは、もう一つ言いますよ。

 アメリカで中間選挙が行われました。今回、アメリカの中でも大きな政策変更があると言われています。下院は共和党が多数を占めました。全部の委員長を共和党が占めることになります。こういう政策がこれからアメリカはどう変わるかわからない。このタイミングで、今回、交渉の最大の相手であるアメリカに対して、政策がどう変わるかわからない、相手がわからない、こんな状況でも前のめりにこの議論をする必要があるのか。

 今回、アメリカの中間選挙の結果を受けて、アメリカの政策がどう変わるか、大臣にお伺いいたします。

鹿野国務大臣 いろいろな報道がされておりますけれども、共和党の考え方というようなことが相当重きをなしてくるのではないか、そういうようなことも言われていますけれども、軽々に私自身が、今、こういう中間選挙が終わったばかりの段階で申し上げさせていただくということは控えさせていただきたいと思います。

小野寺委員 大丈夫ですか、皆さん、農林水産委員会で、この大臣で。聞きましたか、答弁を。一体、本当にまじめに、これだけ大きな日本の農業の転換期に、大臣は山形御出身です、私は宮城出身です、同じく農村部を皆さんは抱えています。そんな大切な農業の問題に対して、この答弁。アメリカの政策がどう変わるか、報道では共和党が勝ったことは知っている。それで今後どう変わるか。そことこれから交渉するんですよ。こんな態度でいいんですか、大臣。

鹿野国務大臣 重ねて申し上げますけれども、私は、この委員会が始まってから申し上げましたが、今、当然、そういういろいろな問題を総合的な見地から検討しておるわけでありまして、今、ぎりぎり最終段階において、申し上げることができないということが多々あるということだけは御承知いただきたいと思います。

小野寺委員 何強めているんですか、言葉を。怒っているのは日本の農家ですよ、ほかの日本の国民ですよ。

 相手の状況もわからない、相手がどう変わるかわからない。それで、今大臣がおっしゃったのは、最後の局面だ、内容もわからないで最後の局面だ。何を言っているんですか。

鹿野国務大臣 私自身は、どの場面でも言っていますけれども、農業の人たちのそういう状況なりお気持ちというふうなもの、そして、国民の人たちの食に対する関心というふうなもの等々を常に頭に入れながら農林水産行政をやっていかなきゃならない、こういう姿勢で取り組んでいることだけは間違いなく申し上げられるところでございます。(小野寺委員「ぜひ、その意気込みでお願いしたいと思います」と呼ぶ)

山田委員長 ちょっと小野寺君、私が指名してから答えてください。

小野寺委員 失礼しました。

 ありがとうございます。

 それでは、実は、農水省から四兆一千億の農業に対する被害という数字が出ております。私どもは、この数字は何も対策をしなかった場合という、最大を見積もった状況だと思っていますが、もしこのような状況に向かうと大変なことになる。そしてまた、先ほどお話がありました先対策という問題も出ております。

 先般、実は、外務委員会でこの問題を取り上げて質問をしたときに、ちょうど篠原副大臣においでいただきました。そのとき、これは前原外務大臣も言っておりましたが、もし万が一、仮にこのTPPに対して踏み込むことがあった場合、これは農業に対してしっかり支援をするべきだと、前向きに思っている前原大臣もそういうお話をしていました。

 その際、日本が対応するべき農業の予算、このことについて篠原大臣からお話があったと思うんですが、もう一度、どれだけ私たちが予算措置をするべきか、その考え方について教えてください。

篠原副大臣 韓国がFTAを先行しているということで、皆さんは韓国を見習え、見習えとおっしゃるわけです。その延長線上で、前原大臣が似たような発言をされているのは承知しております。

 そのお言葉をかりて計算いたしますと、韓国は十年間で大体九・一兆円の農業予算を投入している。前原大臣は、新成長戦略実現会議におきまして、GDPは日本は韓国の五倍だから、五倍の予算をつぎ込んでもいいという発言をされております。それを単純に計算いたしますと、四十八兆円になります。

 それから、もう一歩引いて、農業総生産額で計算いたしますと、農業総生産額は大体韓国の三倍強になります。それで計算しますと二十七兆円。毎年に合わせますと、生産額で比べると二・七兆円、GDPで計算しますと四・八兆円の予算が必要になるという計算ができます。

小野寺委員 今お話がありました。これはGDP換算でいくと、前原さんもGDPでいくべきだと言っていましたから、そうすると十年間四十八兆円、一年間四・八兆円。これはたしか農業予算の倍ぐらいになると思います。

 韓国は、農業予算の倍の予算、四・八兆円を十年間出し続けて、そして今、議論として、それでも米は聖域として残していますよね。いかがですか。

篠原副大臣 御指摘のとおりでございます。これがEPA、FTAとTPPの大きな違いですけれども、韓国は、アメリカともEUともFTAを結んでおりますけれども、米関係の十六のタリフラインはすべて除外しております。

小野寺委員 さて、今回、交渉を九カ国と基本的には結ぶことになりますが、そのうち、特にアメリカとの交渉、入り口で恐らく、議会の対応があってアメリカは手土産を要求してくるだろう。そして今の手土産は、牛肉の月齢撤廃、それからもう一つは郵政、この問題になるだろう。

 まずこれを政府として仮にクリアしたとしても、今度は中に入って本格的な交渉になります。

 もちろん、農業についての多方面の関税の交渉もありますが、実はそれ以外、非関税の問題についても既にアメリカから従前いろいろな注文が出ています。アメリカだけでなくて今回は九カ国と、一つ一つの国に対して、済みません、ベトナムさん、私は入りたいんですが了解してもらえますかと、九の国にそれぞれ了解をとって初めてこの中に入られる。そうしますと、恐らくさまざまな非関税障壁のことが出てくるんでしょう。

 まず、従前から、例えば日本の公共調達、公共事業、このことについてアメリカは入ってきたいと思っていますし、USTRの担当者も、これも交渉の中でアメリカ側が強く主張するだろうと言っておりました。きょう国土交通省から来ていただいておると思いますので、従来からアメリカ等が主張している、日本の公共事業の開放について教えてください。

市村大臣政務官 小野寺委員、本当に質問ありがとうございます。恐らく、仮に日本がTPPに参加した場合に国交省の直轄事業等に海外企業が参入してくる可能性が高いということに対する御質問だというふうに思います。

 まずは、先ほどから真剣な議論をしていただいておりますけれども、まさに本当にこのTPPを含めて、日本がこれから世界に埋没しないようにどのような国家戦略を持っていくのか、これが大切だと思っています。

 その中で、国交省の対応ということでありますけれども、残念ながら、今のところ、先ほど小野寺委員もおっしゃったように、これからが交渉の本番でありますので、今現在どういうふうな交渉になるかというのがまだはっきりしていません。

 ただ、一応、サービス産業をどうするかとか、政府調達等についてどうするかという項目は入っているようでありますから、これからさまざまな議論があると思います、その皆さんのいろいろな議論を聞きながら、またどんどんどんどん議論をさせていただきながら、日本が埋没しないようにするには何をすべきなのか、それを考えていくべきだと思っています。一生懸命取り組んでいきます。そのことをまず申し上げます。

小野寺委員 市村さん、では、ちょっと聞いてください。

 私は、当然、外務省、いろいろなことも知っていますし、今までの交渉経緯も知っています。アメリカが何を日本の公共事業に要求しているかというと、これは国だけじゃないんです、地方、市町村、このすべての公共事業の発注の内容について、英語で、インターネット上ですべてアクセスできるようにしろ、これがアメリカの要求です。ですから、今後、恐らく非関税障壁の中で、今うなずいていらっしゃいます、多分御存じだと思うんですが、こういう問題が当然出てくる。

 ですから、これはどういう状況かわかりませんが、一体この公共事業に何をこれから要求して、これを日本がのんだ場合には、すべての市町村の事業の発注まで英語でこれを出さなきゃいけない、これが条件として来る可能性が高い。これを私たちは心配しております。

 ほかにもございます。例えば、介護士、看護師。これはアメリカではございませんが、実は、今回このTPPに入っている幾つかの国、そして今後入ろうとしている国から、従前から、この看護師、介護士の資格についてさまざまな要求が来ております。どのような要求が来ているか、厚生労働省、きょう来ていただいていると思うので、お答えください。

小林大臣政務官 お答えいたします。

 経済連携協定に基づく看護師、介護福祉士の候補者の受け入れについて、経済活動の連携の強化の観点から、平成二十年度から開始して現在まで、フィリピンから四百三十八名、インドネシアから六百八十六名を受け入れております。そして、課題については、日本語の能力が低い、こういうことでございます。

 そういう点から、今言ったような国々から、日本でこういう研修を受けて働きたい、こういう要請はあるんですが、今言ったような課題がある、このように承知をしております。

小野寺委員 今、アメリカでの公共調達の問題も出ていますが、恐らく、これから出てくる要求というのは、看護師、介護士の資格試験、これを英語でさせろという要求が出てまいります。そのときに、日本政府として恐らくこれを受けざるを得ない。そして、介護士、看護師の資格試験が英語で行われるということになりますと、これはTPPを結ぶ、あるいはこれから結ぶであろう東南アジアの国々からたくさんこういう方が来て、そして優秀な方も多いでしょう、英語であれば当然試験に通る、こういう方がたくさん看護師、介護士資格として登録をされる。こういう事態について予測されていますか。

小林大臣政務官 今、小野寺委員がおっしゃったような、こういう懸念もあると思いますけれども、今の我が国の状況を考えてみると、今言ったような国々から看護師あるいは介護士の方を受け入れたときに、まず日本語の能力、ここをしっかり研修を受けて、日本の国家試験に受かるような、そういうことをやっていくことがまず先決だ、このように考えております。

小野寺委員 そういう非関税障壁の条件が出てくるということなんですよ。

 そして、試験が英語で通るということになる。日本語は、皆さん片言は話せます。今なぜフィリピン、そういうところから看護師、介護士の数がふえないかというと、日本人でも難しい試験が日本語で行われるから試験に受からないだけなんです。これを今回の非関税障壁として日本がのんだ場合、英語で受験できます。そして、日本語は、例えばお年寄りとお話をする、患者さんとお話をする、コミュニケーションがとれればいい、こういうことにもしとどまった場合、これは相当数の方が日本に介護士、看護師として入ってくる。

 そして、これが逆に、今、介護の労働の現場で一番議論になっているのは報酬の低さ、待遇のきつさ、ここに東南アジアからたくさん新しい有資格者が入ってくることになれば、日本の多くの看護師さん、介護士さん、この方々の待遇がより一層厳しくなることは目に見えている。こういうことも非関税障壁になるという、そこまで先を読んで厚生労働省は考えていますか、お答えください。

小林大臣政務官 環太平洋連携協定など、これからどうしていくのかということを我が国としても検討していくということになっていきますので、今言ったようなことも含めて検討をしていかなければいけない、このように思います。

 ただ、日本の現在の外国人労働の受け入れについては、高度の専門的、技術的分野の外国人、こういう方を受け入れていく、これが基本方針になっておりますので、そこをしっかり守っていくということになります。

小野寺委員 済みません、今回のTPPの交渉というのは、日本が今まで守ってきたルールというのを国際的なルールで下げていく、受け入れするという、その交渉なんですよ。そして今、恐らく厚生労働大臣も厚生労働副大臣もこの検討チームの中に入って官邸で協議をしていると思います。こういうことも想定して当然協議をしなければ、後で取り返しのつかないことになる。だから、これを聞いているんですよ。

 もう一回聞きます。今がどうはいいんです。今後こういうことが議論に上ってきてされることを想定されていますか。

小林大臣政務官 TPPについては、まだ日本が参加をしていない交渉であるため、詳細については承知しておりません。

 いずれにせよ、TPPは複数国を相手とする交渉事でもあり、将来どのように対応するかについては現時点でお答えすることは困難である、このように御理解ください。

小野寺委員 ここは国会の場です。そして今、TPPの議論をして、これからこれに入ったら日本はどんな影響が出るのかということをみんな心配して。入ることはそれは大切だとみんな思っています。ですが、入ったときにどんな影響があるか、最大限みんなで情報を共有して、そして入る前にいろいろなことの手当てをして、相談をして、そして検討しなければいけないんですが、今のお話を聞くと、まだ何も話していないから何が来るかもわからない、想定していない。こんな状況で、本当に政府はこのTPPに入ろうとしているのか。

 私が心配なのは、恐らくこうなると思いますよ。菅さんはTPPに行くんだと言って、さて実際、まず交渉に入るときには手土産を持っていくことになるでしょう。そのときには、当然、郵政の改革法案なんか国会で審議できない。それ以上に、今回、内外無差別の内容で、郵政の民営化はさらに進めることを約束せざるを得ない。そして、牛肉の月齢についても撤廃せざるを得ない。これがまず手土産なんです。そして、入っていった後に、本格的にいろいろな公共調達や、あるいは人の移動の問題や、あるいは金融サービスの問題、いろいろなことが向こうから出てくる。こういうことなんですよ。

 私たち国会議員の仕事は、今、ここで検討するこのTPPについて、もしこれに日本が入った場合にはどういう影響があるんだろう、プラスの影響はこうだ、マイナスの影響はこうだ。特に私たちが考えなきゃいけないのは、これで被害を受けるかもしれないマイナスの方々ですよ。政治は弱い人のためにあるんだ。そうしたら、ひょっとしたら問題が起きるかもしれない。そういうところに今のうちにしっかりと手を差し伸べ、検討する、これが大切だと思います。

 きょうは、政府からたくさん来ていただいています。恐らくこういうオープンの場で言えないこともあるんだと思います。ですが、もしTPPに入る場合に、自分の所轄の分野で、プラスもあるけれどもマイナスの分野も実はこれだけある、それは内部でしっかり検討していただいて、業界の皆さんとしっかりやりとりしていただいて、そして対応については先に対応していく。あるいは内容についてはオープンにしていく。そういうことをぜひお願いしたいなと思います。

 そして、私どもも政権にいた経験があります。ともすれば、皆さんの後ろにいる人たちは、皆さんをだますこともあります、大事な情報を伝えないこともあるかもしれません。それを経験した私たちですからあえてお話をしますと、ぜひ、本当にこれは大丈夫なのか、こういう問題は起きないのか、そういうことを真剣に議論していただいて、そして、日本が方針を決めたらその方針どおりしっかり前に進めるように、こうしなければ、日本自体の面目をつぶしてしまう。

 そして、今回、このまま何もしないでTPP、菅総理がお話しされていました。私ども、非常におかしいと思います。なぜこんなに急ぐのか。アメリカの中間選挙の後の政治状況も変わりつつある。そうしたら、アメリカがどう変わるのかを見きわめて、来月でもいいじゃないですか、一月でもいいじゃないですか。

 この間、USTRの担当者はこう言っていました。来年の十一月まで、一番早くてそこが、私どもはこのTPPの交渉のエンドだと言っていました。これから延びるかもしれないと言っていました。そうしたら、アメリカの政治が今大きく変わろうとしている、その状況をちょっと聞いて、十二月、一月に政府として方針を決めても全然遅くない、むしろ、そうすることが、相手の手のうちをしっかり知ることが一番大切だと私は思うんです。

 なのになぜ、このタイミングで、こんなに焦って、しかも今週、きょうにでも何か方針が決まり、そして来週、何と閣議で決めるというんですよ。閣議で決めたら手足を縛ることになります。交渉している国の中には閣議で決めていない国もたくさんあります。なぜ閣議で決めるほどのことをするか。それはやはり手足を縛って、とにかく飛び込め、こう言っている。なぜこんなに焦るのか、私には理解できない。

 きょうお話をしました。農業の問題にもさまざまな不安が多分あります。農家の方もようやくこの問題についてわかってきました。そして、各省庁おいでいただきましたが、いろいろな分野で実は非関税障壁の問題が今後出てきます。その問題だって、手足縛って閣議で決めた後、飛び込んだ後に出てきて反対だ反対だと言われたって、皆さん、困るじゃないですか。そうしたら、事前に、やはりこういう問題があるということを示して、議論をして、ここまでだったら努力できる、ここはやはり難しい、こういう話をして、覚悟を決めてこの話に入るべき。

 ですから、私は、ぜひお願いしたいのは、なぜそんなに急ぐのかということを、これは与党の皆さんにもよく考えていただいて、十二月でもいいじゃないですか、一月でも二月でも。長く延ばすということじゃないと思うんです。相手のアメリカの状況が大きく変わりつつある中で、その状況を見据えて、見定めて、情報を得てからこの交渉に入ったって何の問題もない。

 私は、なぜ十三、十四日、ここを一つのターゲットにして菅さんがこれだけ踏み込むか、理由はたった一つだと思うんです。これは、ちょっと嫌な言い方になります。今回、日米関係がおかしくなりました。日中関係も尖閣をめぐっておかしくなりました。北方領土の問題も、これはメドベージェフが北方領土に行ったということで日ロ関係もおかしくなりました。今、菅内閣は外交でさまざまな失態を続けています。そして、これを何とか挽回して自分の面目を取り繕いたい。

 そう思って、この十三、十四日のAPEC、自分が議長をするから、自分が議長で、自分の顔を立てたいから、そのために閣議決定をして、各国の首脳にいい顔をし、アメリカに日本は頑張ったよと言い、そして手土産に、手土産にですよ、農業を差し出す、郵政を差し出す。これは多くの地方経済に大きな影響があるんですよ。私たちの国民、有権者に大きな影響があるんですよ。こんなことを、総理の顔を立てるために、外交の失態を隠すために許してはいけない。

 だから私は、国会でもっと時間をかけて議論をする、そして何より情報収集をしっかりして、ここで大臣に、アメリカはどういう考えですかと、そのときに大臣は、アメリカはこういうことを言ってきている、そしてこの問題に対しては農水省としてしっかりこれで対応できるんだ、こういうことを繰り広げていただきたい、そう思っております。

 言いっ放しになって恐縮です。最後にちょっとだけ水産の話をさせてください。

 いきなりかわって済みませんが、今回、漁業の問題、今資源の問題で大変な影響が出ております。特にメバチマグロの資源、カツオ資源の問題、これは近年、大変な不漁になっています。

 そしてこの原因が、実は、日本近海にマグロが上がってくる、北上するに当たって、今、南太平洋を含めたところで外国船のまき網がたくさん横行しています。そして、これが資源に大きな悪影響を及ぼしているということを言われていますが、この状況について、大臣が把握をしており、そしてまた、これから国際交渉の場で、例えばWCPFCのような、そういう場で、このまき網規制を積極的にされるかどうか、お考えを聞かせてください。

佐藤政府参考人 御説明申し上げます。

 近年、中西部太平洋の熱帯地域で操業いたします外国大型まき網漁船の隻数が増大してきております。同海域でのカツオ・マグロ資源への影響が懸念されるところでございます。

 本年八月に開催されました中西部太平洋まぐろ類委員会、WCPFCでございますが、その科学委員会で新たなカツオの資源の評価が行われました。ここでは、資源状況は持続的利用が可能な水準にあるものの近年減少傾向にあること、それから、熱帯地域での漁獲拡大が日本周辺海域等に北上する資源の減少に影響を与えている可能性があることが指摘されているところでございます。

 このような状況を踏まえまして、本年十二月に開催されます年次会合におきまして、我が国として、大型まき網漁船の増隻抑制に向けた議論が行われますよう積極的な働きかけを行ってまいる所存でございます。

小野寺委員 時間が参りましたので、質問ということではなくて、注文ということでさせていただきたいと思います。

 この資源管理をしっかりしていただきたいということ、特に外国船のまき網については強い姿勢で臨んでいただきたいと思っています。

 また、漁業共済の問題ですが、実は今回、漁業者への戸別所得補償ということでこの制度を入れていただきました。これは今までの、例えば共済の掛金、政府の支出を多くするということで、これはお得な内容に確かになっています。ただ、問題は、浜全部が入れば大変お得、その中で何軒か抜けると中ぐらいのお得、そして一人で入ると非常にお得さが低い、こういう状況になっているので、なかなかこの加入に対して不公平感が出ています。

 御案内のとおり、ここに委員の皆さん、全員いますが、全員が入ればこれはお得。でも、やはり中には、私は掛金を払うのは嫌だと、一人、二人抜けることもあります。そうすれば、結局、掛金がぐぐっとお得さが下がってしまうので、この共済、戸別所得補償という効力が落ちてしまいます。

 私は、農業と同じように、これは、一人でもしっかりこの共済は対応できる、そしてこれは五中三でだんだん下がっていきますから、本来であればこの基準というのは農業と同じように生産費を基準にする、こういう形に制度をしっかり直していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

佐藤政府参考人 御説明を申し上げます。

 先生御指摘の義務加入の問題につきましては、すべての漁業者が加入した場合に共済掛金に対して高い国庫補助率を適用しているところでございます。

 これは、地域を挙げまして共済に加入していただくということで、十分な危険負担を図るという考え方でございまして、共済掛金の低減を図るという目的もございます。こうしたことによりまして、加入数の確保あるいは保険基盤の強化に寄与しているというふうに考えているところでございます。

 また、幾つかの御指摘をいただきましたけれども、いずれにつきましても制度改正が必要なものでございまして、直ちに対応することはなかなか難しいんですけれども、いずれにいたしましても、共済のあり方につきまして、利用者を初めとする関係者の御意見も踏まえまして、今後とも検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

小野寺委員 ありがとうございました。

 時間が来ましたので、どうぞしっかり対応していただきたいと思います。終わります。

山田委員長 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。

 私は、先週、米どころの新潟に行ってまいりまして、いろいろと現地の方々と懇談をさせていただきました。そのときに、大変心配されていること、幾つかありましたが、その中で主なものは、一つは米の値段が下がっているということ、もう一つはこのTPPの問題でございました。きょうはTPPの集中審議ということでありますけれども、まず冒頭、お米の値段の問題について若干お伺いをいたしたいと思います。

 私は、二十六日ですか、当委員会で、集荷円滑化のお金三百二十一億、これはだれのものであるのか、こういう御質問をいたしました。そして、それをこれからどうするのか、こういう質問をいたしましたが、たしか政務官が、いろいろなところと協議をしている、こういうお話でございました。

 集荷円滑化のお金を、どうも使い道がほぼ決まってきたような報道もございますけれども、まず、この点について、現状どのようになっているか、このことをお聞きいたします。

松木大臣政務官 お答えします。

 田名部政務官がお答えをしたところからまだ進んではおらないんですけれども、これからいろいろと、農業団体の皆さんを初めとして関係者の皆さんの具体的な話をもう少し聞いてから検討を進めてまいりたいというふうに思っております。

石田(祝)委員 検討が全然進んでいないということでありますけれども、全然違う報道も出ているわけですね。ですから、余り、検討中ということで委員会だけやり過ごして、突然決まりましたというようなことは、これはやめていただきたいと思います。せっかく、何のために議論しているかわかりません。

 そして、私が新潟でお聞きをした、お米の値段が下がっている、これは生産者の方からすると、一年間かけて一生懸命育てたもの、それが日々自分の目の前で、価値が毎日下がっていっているわけですね。きのうよりきょう、きょうよりはあした、毎日毎日、これはある意味で言えば、自分のつくってきたものを否定されているということではないでしょうか。今まででしたら魚沼コシヒカリ、六十キロ当たり二万六千円だとか七千円だとか、それがだんだん下がっているということは、自分たちの汗の結晶が日々、ある意味で言えば否定され続けている、こういう思いになっているんじゃないだろうか。

 ですからここは、三百二十一億というお金、これは農水省のお金ではありませんよ、農業者が出したお金ですから。そこは農業者の観点に立って、しっかり使い道は早く決めるべきだ。そうしないと年越しちゃいますよ。ここのところはどういうわけか、集荷円滑化の問題については二回とも政務官がお答えになっておりますけれども、大臣、副大臣はどうお考えになっているのか。特に、指名して悪いんですけれども、篠原副大臣は何かおっしゃっているんでしょう、この問題について。篠原副大臣の方からちょっと答弁してください。

篠原副大臣 石田委員の御指摘のとおりでございまして、三百二十一億円というのは農業者の皆さんが拠出したものでございます。

 今米価が下がっている、こういう状況を見まして、いろいろな手当てを講じていかなければならないということを言われております。その一環としてこのお金を有効に活用できないかということで、今農業団体の皆さんが盛んに協議されているということを伺っております。その協議の結果次第で、これも有効に活用できるのではないかと思っております。

石田(祝)委員 それでは、TPPの問題でいろいろとお伺いをいたしたいと思います。

 これは外務省になると思いますけれども、いろいろと今までも議論を私もここで聞かせていただきました。また報道等でもいろいろとお聞きをいたしましたが、TPPで、譲歩の余地が全くない、要するに、これはもう絶対、だれがどう言ってもだめなんだ、こういう原則というものは何ですか。

菊田大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 TPP協定は現在交渉中でありまして、我が国は交渉当事国でないことから、TPPが、どのような原則のもとに交渉が行われ、そして最終的に合意されるか、この子細については不明でありますが、原則として十年以内の関税撤廃が必要と考えられております。また、交渉参加国からの説明によりますと、交渉参加に当たっては、あらかじめ特定分野の自由化を除外した形での参加は認められない可能性が高いと考えられています。

石田(祝)委員 政務官、正直にお答えいただいたと思います。これから交渉に参加しないとわからないという大前提でいろいろとお話をなさる方もいらっしゃいますけれども、一つは、関税の完全撤廃、それから、事前にこの分野はやりたくありません、こういうことは認められないだろう、こういうことですね。

 ということは、農業の分野で申し上げますと、例えばお米、これは農林水産省の試算で、完全に国境措置をなくすると九〇%がだめになるだろう、こういうことが出ております。これについて、菊田政務官、米も当然認められないよね、こういうことになりますか。

菊田大臣政務官 原則としてはそういうことになります。

石田(祝)委員 続いてお聞きをしたいと思います。

 今回、議論がこういう形で沸騰しているわけですが、私は、問題は、菅総理が十月の一日の所信で、私たちからすれば唐突、これは、我々野党の立場で聞いていないということではなくて、与党の中でも唐突感があった、こういうことではないかと思います。ですから、これは、ある一定の時間が、余裕の時間があれば、議論のスタートとして、これはキックオフでいい、こういう考え方もありますけれども、おしりを、APECの、十一月の上旬から中旬にかけての会議で何か打ち出しをしたいと。そして、今言われているのは、きょうの朝にも閣議決定、政府の方針を決定したかったけれども、議論がまとまらないからもうちょっと延びていると。

 ですから、実質的には一カ月ですよ。一カ月で、今政務官からお話のあったように、十年程度かけて全部撤廃するんだ、例外分野は認められない、こういう原則だ、お米も当然例外にならない、こういう話です。これを一カ月ぐらいの期間の中で議論をまとめよう、国民にも納得してもらおう、こういうことははなから無理だったんじゃないんですか。

 ですから、十月の一日の菅総理の御発言、私は、そういういろいろなことがわかって言っておったら確信犯だし、TPPについて余りわからずにしゃべっていたら愚かだ、こういうことをこの委員会でも申し上げたわけであります。

 今ちょっと大臣がおりませんからもっと後で聞かなきゃいけませんが、内閣府の副大臣にも来ていただいておりますけれども、十一月の三日の日に閣僚間での話し合いがあった、こういう報道がなされておりますけれども、十一月三日は一体何が話し合われたんですか、そしてどういう結論になったんですか、ちょっとここの場で開陳してください。

平野副大臣 今、内閣の方では、APECを目前にしまして、経済連携に関する基本方針というものをまとめる作業に入っております。その作業の一環として、関係大臣が集まってさまざまな意見交換をしたということでございます。

石田(祝)委員 さまざまな意見交換と言われても、何かわかりませんよね。まあ、いろいろなことが話し合われたんだろうなと。しかし、ここは、議論をする、また、私たちがわからないこと、これからTPPをどうするかということに対して我々も政府から聞かなきゃいけない、そのために来ていただいているんですよね。さまざまなことが話し合われましたということで終わるんだったら、私も聞く必要はないし、これは副大臣もお答えするまでの価値がないんじゃないか。

 だから、一体、このTPPについてほかの大臣は、鹿野大臣はこれから聞きますからあれですけれども、ほかの大臣がどんな御発言をなさってどういう議論が進んできているのか、これはぜひお話をしていただきたいと思いますが、もう一度御答弁をお願いします。

平野副大臣 いずれ、政府の考え方としては、先ほど申し上げましたように、基本方針は最終的に閣議決定されると思いますが、その中でしっかりと示されるというふうに思っておりまして、その過程の議論については、委員も御承知かと思いますけれども、通例、だれがこう言ったとか、こういったことについてはコメントしないということでございます。

石田(祝)委員 では、だれかということは言わなくていいですよ。Aさん、Bさん、Cさんでいいですから、こういう議論がありましたということを言ってくださいよ。人の特定がまずいということであれば、ある方はこう言った、ある方はこう言った、ある人はこう述べた、こういうことでも結構ですよ。

平野副大臣 重ね重ねの御質問に対する答弁としては恐縮でありますけれども、先ほど言いましたように、特定のそういった発言についてはコメントをしない、そういう立場でございます。御了解いただきたいと思います。

石田(祝)委員 せっかくきょうは、私が朝から聞いている中では、与党、野党関係なくこの問題について真摯な議論を深めていこう、こういう態度で、与党、野党は大体ぶつかるんですけれども、きょうはそうではない議論をしようということだろうというふうに思っておりますが、副大臣がそこまでかたくなに、もう新聞等で報道されているような会合があったということ、それについて議論の中身も一切明らかにできないということで、こう決めましたからよろしくということで私たちは納得できるでしょうか。これは私は甚だ疑問でございます。そういうことは、野党時代の民主党の皆さんがもともとおっしゃっていたことと合っているんですか。これはもう全然違う方向じゃないんですか。ですから、時間の急な開催になりましたけれども、せっかく議論をしているわけですし、ある意味では、いつまでも議論できる時間的余裕がない中での議論でございますから。

 これ以上は申し上げても時間が過ぎるばかりでありますから、ちょっと質問をかえたいと思います。

 鹿野大臣にお伺いをいたしたいと思います。

 今までの議論の中でもおわかりのように、非関税障壁もありますが、やはりこれはどうしても農業分野が大きな影響を受ける、こういうことだろうと思います。

 大臣は、総理が十月一日にTPPに参加を検討するということをおっしゃったのは、もうその前から既に御存じで、御自身としてある程度の腹構えができて、あの十月一日の所信をお聞きになったのかどうか。一言で言えば、知っていたかどうかということです。

鹿野国務大臣 しかるべき時期に、事前に協議を受けておったということであります。

石田(祝)委員 そうすると、大臣は、総理が十月一日に、日本の農業、第一次産業に大きな影響を与えることを発表なさる、まあ入り口の話かもしれませんけれども、御存じであった、こういうことですね。

 それについて、鹿野大臣は、それは日本の農業に、林業、水産業含めて大変な影響がある、そういうことは総理に申し上げたんですか。それとも、総理が言われたので、ああ、そうですか、こういうことで終わらせたんでしょうか。

鹿野国務大臣 あくまでも検討という受けとめ方をいたしておりました。ゆえに、今日までいろいろ、この検討の中におきまして私どもの考え方を申し上げてきているところであります。

石田(祝)委員 私は前にもちょっと申し上げたかもしれませんが、議論がだんだんと重なってくるに従って、一体このTPPというのは何なんだということがだんだんとわかってきた。

 それで、実は、政府から私がいただいた資料にも二つ数字があるんですよ。即時撤廃の数字が、八〇%というのと九〇%というのと両方、いただいた資料にあるんですね。政府がつくられる資料にあってもこれだけやはり数字が違っている。ですから、私たちは、九〇%即時撤廃で、あと一〇%は十年程度かけて完全撤廃だと思っておりましたら、きょう平野副大臣が八〇%と言うものですから、あれと思って資料を見直したら、確かに八〇と書いているものもあります。しかし、九〇と書いているものもある。手を振っていますけれども、これは私がいただいた資料にありますよ。ですから、どっちかが間違っているということだろうと思いますけれども、即時撤廃の割合一つとっても、それだけ数字の違っているものが出ているわけですね。

 ですから、この点についても、実は私も、先ほど御答弁があった後で、どちらが本当の数字ですかということをお聞きしたいと思っておりましたので、どうぞ、八〇、九〇、どっちが正しいのか、九〇と書いているのは間違いか、こういうことでありますが、お答えをお願いします。

平野副大臣 TPPに関しては、私どもが理解しているところによりますと、原則八割の品目、タリフラインですけれども、約八割が即時撤廃、その他については十年以内に撤廃をするというのを原則としているというように聞いております。

 一方で、その九割なんですけれども、その九割については、EPA、二国間、バイでやるEPA、これについては、WTO上特に基準はないんですけれども、貿易量もしくはタリフライン、品目数でもいいんですけれども、少なくとも九割について十年以内に関税撤廃をすることが必要との解釈が一般的だというふうになっていまして、そちらでは九割という数字が出ております。

 ちなみに、日本は、今までインドを含めて十二カ国、EPAについての合意ができておりますけれども、大体、貿易額については、いずれも九割程度については自由化をしているということでございます。

石田(祝)委員 後で見せますけれども、いただいた資料で、環太平洋戦略的経済連携協定における各国の譲許状況、原則としてすべての品目について即時または段階的に関税撤廃、その後に、約九〇%の品目は即時撤廃、こう書いてあるんですよ。ですから全然違うことを私は申し上げているつもりはないんですが、政府の出されている資料の中でも、もう既にこの段階で八〇と九〇というような数字が交差している。それだけ中身についてまだ議論がなされていない、情報すら精査されておらない。そういう中で、やはり、約一カ月間の間にこれだけのことを決定しようというのはいささか無理があるんじゃないのか、こういうことを申し上げざるを得ないわけであります。

 そして、これは農林水産大臣にお伺いをしたいんですが、この三月に農業、農村また食料の計画を閣議決定しましたよね。これは、自給率を十年で五〇%に持っていく、こういうことでありますけれども、この問題は、大臣、TPPの議論と、閣議決定がもう既にされている基本計画、これとの間にそごはありませんか。

鹿野国務大臣 当然、自給率を五〇%に引き上げるというようなことについては、私どもとして非常に重要な課題である、こういうとらえ方をいたしております。

石田(祝)委員 これは、我が党も、自給率を五〇%に、こういうことは申し上げてまいりました。

 しかし、農林水産省が出された資料では、四〇%から一四%になる、こういう数字が片やあるわけですね。一四%に下がるというのとこれから五〇に上げるというのは、これはだれが見たって二律背反の話じゃないですか。例えば農林水産省じゃないどこかが勝手につくった数字が四〇から一四になるんだという話じゃないですよ。今回の問題を、国境措置を全部なくしたときにこうなりますよ、お米は九〇%もうだめになるでしょう、例えばトマトだったら一〇〇%もう入れかわるでしょう、こういうことが全部出されているじゃないですか。

 その両方の数字というのは大臣のところから出ているわけでしょう。三月の段階では大臣ではなかったかもしれませんけれども、これは閣議で決まっている、四〇を五〇にしようというそのことと、今回、TPP、国境措置がなくなった場合にはこうなるんだ。これは農林水産省が出している数字ですよ。もう一度、その五〇と一四の差を埋めてください。

鹿野国務大臣 農林水産省として試算を出した、いわゆるTPPということで関税が撤廃になった場合には一四%に下がるというような試算を出していますけれども、これに対して、国内対策としてやった場合にどうであるかということも含めて検討をいたしておるということでございます。

石田(祝)委員 いや、だから、私が言っているのは、ふやす方向と明確に差がある、こう予測しているじゃないですか。その一四と五〇の間、三六%を埋めるものは何ですかと。これはもう、検討中、検討中じゃちょっと済みませんよ。閣議決定とか政府決定しようというわけでしょう。これは大臣、もう一度答弁してくださいよ。この三六%を埋めるものは何ですか。

鹿野国務大臣 ゆえに、国内対策ということでそういうようなことをやり得るかどうかということも含めて当然検討の一つの課題である、重要な課題であるということを、認識は持っておるということを申し上げさせていただきたいと思います。

石田(祝)委員 重要な問題だということは我々も認識しているんですよ。しかし、現実の農林水産行政の最高責任者は鹿野大臣であります。ですから、その大臣が、では具体的にどうする、こういうことをおっしゃっていただかない限り、私たちがああしろこうしろ、自分たちはこうだと言っても、これは実際的な効力は持たないわけですよね。ですから、同じ農林水産省の中での数字の話ですから、この乖離を埋めるものについて大臣は真剣に検討しなきゃいけない、それはそのとおりでしょう。

 しかし、今の問題は、総理も、きのうの衆議院の本会議でのいろいろな質問に対して、TPPと農林水産業、この両立が大事だ、それしか言わないんですよね。どうするのかということは一言もありません。ですから、大事だ大事だと言うんだったら、私たちだって言いますよ、大事である、大事であると。ではそれをどうするかということが行政府には求められているわけですよね。

 そこのところがないまま、またTPPのバスがどこに行くのか。私は前にも指摘しましたけれども、バスに乗りおくれるな、こういう議論があるけれども、どっちを向いて行くバスかがわからなくて乗って、途中でおろしてくれ、バスの方向を変えてくれ、自分が行きたいのはこっちなんだ、こんなことができるんですか。ハンドルを握っているのは日本じゃないでしょう。

 ですから、こういういろいろな不確かな点、不透明な点、不明な点がたくさんある中で、政府決定をしようだとか、来週には全体の閣議決定をしようだとか、こんな話が飛び交っているわけですね。そういう中で、ぎりぎり、与党と野党筆頭理事の両先生には大変御苦労をいただいたんですけれども、急遽の開催になったわけですから、もうちょっと議論の中身を埋める、乖離を縮める、この議論を、ぜひこれは御答弁としていただかなきゃいけない、このように私は思います。

 鹿野大臣に何回か聞きましたから、これ以上お聞きをしても御答弁が同じだろうというふうに思いますので、平野副大臣は農業にお詳しい方で、どっちかというと、下世話な言葉でいうと農林水産族議員じゃなかったのか、私はそう思っていたんですけれども、何となく違う立場で御発言、まあ役目柄かもしれませんけれども、これは副大臣、私はあえてそういう分野にお詳しいと思ってお聞きをしますけれども、この一四%と五〇の乖離、これはどういうふうに埋められると思いますか、埋めたらいいと思いますか。

平野副大臣 まず、先ほどの一四%という数字でございますけれども、これは農林水産省が一定の仮定に基づいて試算をされた数字でございまして、それなりのきちっとした意味のある数字だと思います。ただ、あえて付言申し上げておきますと、関税を下げて、何も代償措置をしないという前提で試算をされているからそういう数字になっているということだけはちょっと申し上げておきたいと思います。

 では、しからば、仮にその関税を下げて、なおかつ自給率というものを五〇%を目指すにはどうするかということにつきましては、これは一般論で申し上げれば、先ほど鹿野大臣が申されたように、まさにそういったことも含めてこれから議論をしていくということになります。

 さらに、その先を進めての一般論として言えば、例えばヨーロッパでは、関税を下げて、関税を下げたことによって農産物価格が下がってくる、下がってきたことによって農家が農業経営を継続できないという場合には、生産費と農産物の価格を一定の考え方で補てんするという、いわゆる直接支払い、それによって支えていることでヨーロッパは今の農業の維持をしているというふうに理解をしております。

石田(祝)委員 それは間違いですよ。

 日本では、例えばお米の問題一つとっても九〇%がだめになるというわけでしょう。ここにお金を、差額の分を全部出して、全部つくってくれるんですか。そうすると、入ってくるお米もある、日本で今でも余っているお米が。そういう中で本当に水田機能とか環境的なものというのは守られるんですか。そんなところで、つくる、本当にできるんですか。

 ただお金を上げればいい、これはまさしくどなたか言っていましたよ、おれたちは国の小作人か、こういう御表現をなさった方もいらっしゃいますよ。

 ですから、お米をそこでつくってどうするか。それを捨てるんですか。食べてもらわなきゃいけないでしょう。金を上げればつくってくれるんですか。そこのところを、ヨーロッパの農業のことをすぐ出されますけれども、こういう、日本のようなアジア・モンスーン的な気候の中でつくれる作物、そういう中でそれが洪水調節機能だとか環境の機能だとかいろいろな機能を果たしているということは、これは明白じゃないですか。ここのところをどういうふうに埋められますか。

平野副大臣 かつて、三年前でしたか二年前でしたか、農業者戸別所得補償法案を参議院から提出してさまざまな議論をさせていただいたときにも申し上げましたけれども、あわせて、今の日本の農業構造を直視した場合に、就業者の平均年齢が、もう御案内のとおり六十六歳に近づいている。私も岩手県の出身でございますけれども、中山間地域の農山村地域を歩きますと、加えて後継者がいない。

 現場で今どういうことが起こっているかといいますと、七十も過ぎるとやはりさすがにつらくなってきますから、だれかに農地を貸したいという人がいっぱいいます。いるんだけれども受け手がいない。受け手がいないから、田んぼを荒らすのはきついから、大変だからといって最後まで頑張ろうとしますけれども、いずれ限界が来ますと、受け手がいなければ耕作放棄地が拡大する、そういう状況にあります。

 こういう現実を踏まえて、これは、ポジティブに見ますと、ある意味においては、日本の農業の体質の強化ができるチャンスにあるというふうにも言うことができると思います。農地の流動化を進めなくちゃならないというのは、農業就業者人口が減っていく、プラス、人口減少が入っている、そういった要素を加味すれば、これはもう不可避だと思います。そういった農業の体質強化、日本の農業の強化を図っていくということもあわせて考えなければならないというふうに思っています。

石田(祝)委員 時間ですから、最後に一言だけ申し上げますが、前の政権のときに、農地の集積事業、予算を組みました。政権交代後全部カットしたのはどこですか。そのことをいま一度思い起こしていただきたいというふうに思います。

 以上でございます。

山田委員長 次に、吉泉秀男君。

吉泉委員 社会民主党の吉泉秀男です。

 大臣、もう時間がございません。そして、私の持ち時間はたった十五分でございます。これまでの政府の答弁、いろいろな角度から検討なされて、自分自身も勉強もさせていただきました。そして今、ここに来てまだ、事前交渉に入るか入らないか、この判断をするための情報を集めている、こういう答弁でございます。いつ閣議決定をされるのか、そんな中で、私ども生産者の段階で、私の地元は、TPP問題で八日に大決起集会、デモ行進、こういう企画がなされ、自分自身にも案内が来ているところでございます。

 そんな中では、前回の委員会の中で三つ、私ども理事懇の中で確認をしてきたわけでございます。その一つは、まず、関係省庁で試算をしている資料、これをなるべく速やかに出してほしい。二つ目は、集中審議でございます。そして、この集中審議も閣議決定される前に開くべきだ、この理事懇等の中で確認をしてきたわけでございます。そして、きのうの夜遅くまで、委員長、筆頭理事初め努力がなされて、私どもに連絡が入ったのが夜の七時前でございます。それから各委員、質問をどういう角度でやっていくのか。

 もう最後、こういう状況であるわけでございますから時間がない。その中で、いろいろな課題、今の状況の中ではまさに日本の農業は壊滅をする、こういうところがやはりだれもが心配をするわけでございます。まだまだ議論なり、さらには想定する部分に対する対応、このことについては全くなされていない、こういう状況だろうというふうに思っています。そんな中で、大臣にお伺いをいたします。

 自民党の小野寺委員が質問をしたことが、いわゆるAPECの部分のところで判断、そういう部分ではなくて、もう少し時間をかけてやるべきではないか、結論を、事前交渉に入るか入らないか、この判断はもっともっと時間をかけてやるべきだ、こういう質問をしたわけでございます。私も、改めてこの点について、大臣のこの間の努力は理解しながらも、もうちょっと時間をかけて、事前交渉に入るか入らないか、このことについてのタイムリミットの部分を延ばしていただくよう、その努力をしてほしい、このことについて大臣の考え方はどうでしょうか。

鹿野国務大臣 今、吉泉委員からのお話がございましたが、重ねて申し上げますけれども、このTPPに対してどう対応するかということにつきましては、最終のぎりぎりの状況でありますので、そのお考えというふうなもの、いろいろな方々のお考えというふうなものがあるということも承知をいたしておりますけれども、そういう中で、今私どもの考え方を申し上げさせていただくということは差し控えさせていただきたいと思います。

吉泉委員 でも、資料をいただいたときに、新成長戦略、六月十八日閣議決定、この資料の中にTPP問題に触れている資料が、もう既に内閣の、閣僚の会議の中では検討なされてきているように思ったところでございます。所信表明の唐突な発言、自分もこういうとらえ方をしていたわけでございますけれども、この資料を見ますと、相当以前の段階からこのTPP問題、閣僚の中では検討なされてきた、こういうふうにも判断をするわけでございます。

 その点について確認をしたいんですけれども、この新成長戦略で、経済連携のところについて、六月十八日に閣議決定をされたこの資料の中において、アメリカとの関係を含めて、TPPの問題についても議論が前からなされてきたのか、このことについて大臣にお伺いします。

鹿野国務大臣 六月十八日の閣議決定の新成長戦略の中にはTPPという問題は含まれておりません。

吉泉委員 それでは、もう一度確認をいたします。閣僚の中で、この経済成長戦略等々含めて、このTPP問題については、いわゆる所信表明以降の中で急浮上しているというとらえ方でございましょうか。

鹿野国務大臣 先ほど申し上げましたとおりに、所信以前に私もこのことについて協議を受けているということであります。

吉泉委員 それでは、今の状況の中において、まさに時間がない、そしてそんな中において、きょうの段階においても、入るか入らないか、そのための情報を集めている、こういう状況であっては、私方、ここ農林水産委員の一員として、自分自身大変情けなく思っております。

 きのうも、集会、そしてまた終わってからも、それぞれ、このところについて反対、さらには、今の状況の中で、まだまだ明らかになっていない中で閣議決定されては困る、こういう議員の人たちがいろいろな面で動きがあった、こういうふうに私は理解をしております。

 その中で、いわゆる経団連、商工会議所そして同友会、このTPP交渉への参加を先送りすれば日本は世界の成長と繁栄から取り残されてしまう、一日、緊急の大決起集会を経済界の中では行った、その中に、与野党それぞれ、心同じくする、推進をしていく、そういう議員なんかも出席をした、こういうふうに伺ってもおります。

 しかし、各副大臣の方からも少しお聞きをさせていただきたい、こう思っております。やはり今、この日本の農業、このことがまさに、総理は言うわけでございます、TPP問題とあわせて両立をしていくんだ、こういう強い決意があるようでございますけれども、今の現状の中において、何もまだできていない中で、この両立は私たちは考えられないわけでございますけれども、それぞれ関係する省庁の副大臣等含めて、見解をお聞きしたい、こういうふうに思います。

平野副大臣 総理を初めとして、もちろん関係閣僚の中で、ある意味共有されていることの一つとして、例えば、農産物の自由化を進める、進めない、そういったものにかかわらず、日本の農業の体質強化というのは必要じゃないか。その背景にあるのは、先ほど言いましたように、農業構造が、今、日本はどんどん変わってきています。そういう中で、農地を守り農業を維持していくためには何が必要か。まずこれはきっちり、鹿野大臣を先頭にしっかりとした対策をとるべきじゃないかという共通認識はできていると思います。

 その上で、これから、EPA、FTA、日本は貿易立国でございますから、そういったものを進めるということについては、これは民主党のマニフェストにも入っておりますから、今まで以上の貿易拡大が進む中で、場合によったら、今まで守ってきた農産物の関税についても見直しをすることもあるかもしれない。そういう中でも農業と両立できるような環境づくり、こういったものはセットで進めていくという基本方向で、その具体策をどうしていくか、これをこれから、それこそ政府を挙げて、党を挙げて、あるいは国民を挙げて議論をするべきではないか、こういう今ポジションにいるというふうに理解しております。

松本副大臣 今、平野副大臣からお話があったとおりでございますが、私ども外務省としては、政府の皆様に御報告申し上げているのは、一つは、TPPの交渉というものが今後一年以内に既に六回の関係国の協議が予定されているなど、こういったマルチの経済協定としては大変速く進んでいるというふうに認識をすべきではないかということであります。

 大切な、私どもの国の行方を決める話でありますから、しっかりと議論をして決めるべきだという御意見、私も全く同様に感じているわけであります。

 同時に、TPPを見きわめて、こういうお話があるわけですが、恐らく今の状況からいくと、一年後にでき上がったものに我々が入るかどうかを判断するという方法と、この一年間、四カ国のではなくて九カ国のTPPというのはこれからつくられようとしていますので、つくられる中に、どのようなTPPにするかということに我々が加わることを試みるのかどうかという判断をしなければいけないということを申し上げております。

 なお、もう一言だけ付言させていただければ、APECとの関係をよく御質問等でも賜るわけですが、四カ国の、当初のTPP構想も、さらには米国の参加も、APECを機会にやはり動きがある。TPP参加国も、現在の九カ国はやはりAPEC参加国に開かれている。こういう意味では、やはりAPECとは大変密接な関係があって、APECで議論になる。ちなみに、昨年のAPECの首脳会議でもTPPに関しては話題になっているということは既に御報告を申し上げているとおりでございます。

松下副大臣 中小企業を含む我が国の製造業、それから貿易で国の発展に貢献している貿易産業の人たち、そういう人たちの競争力をどうしても高めて、そしてしっかりと雇用を確保していくということは我々として非常に大事だ、こう考えております。そのためにも、アジアの成長をしっかり取り込みながら我々は努力していかなきゃいかぬ、こう思っているわけでございます。

 一方、総理もたびたび申しておりますし、今平野副大臣からもございましたけれども、我が国の農林水産業、これとしっかり両立させて、一緒に車の両輪として前進していきたい、この道を何とかして探っていけないかという努力を続けていきたいという気持ちでございます。

吉泉委員 ありがとうございます。

 時間終わりというふうに通告が来ました。

 それぞれお話を聞きますと、担当の省庁の副大臣、このTPPの問題については少し慎重というふうにもお伺いをしております。しかし、今の、現状の中においては本当に時間がない、こういう状況の中で、もっともっと積極的に鹿野大臣を支えながら、ぜひ、日本の農業、農耕民族だ、主食は米だ、このことをしっかり守っていただきたい、このことを要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時八分散会


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