衆議院

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第4号 平成22年11月16日(火曜日)

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平成二十二年十一月十六日(火曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 山田 正彦君

   理事 石津 政雄君 理事 梶原 康弘君

   理事 佐々木隆博君 理事 仲野 博子君

   理事 森本 哲生君 理事 谷  公一君

   理事 宮腰 光寛君

      網屋 信介君    石田 三示君

      石原洋三郎君    石山 敬貴君

      磯谷香代子君    今井 雅人君

      金子 健一君    川口  博君

      京野 公子君    篠原  孝君

      田名部匡代君    高橋 英行君

      玉木雄一郎君    筒井 信隆君

      道休誠一郎君    中野渡詔子君

      野田 国義君    花咲 宏基君

      浜本  宏君    福島 伸享君

      松木けんこう君    水野 智彦君

      柳田 和己君    伊東 良孝君

      今村 雅弘君    江藤  拓君

      小里 泰弘君    北村 誠吾君

      谷川 弥一君    長島 忠美君

      保利 耕輔君    山本  拓君

      斉藤 鉄夫君    西  博義君

      吉泉 秀男君    石川 知裕君

    …………………………………

   議員           山本  拓君

   議員           永岡 桂子君

   議員           長島 忠美君

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   農林水産副大臣      篠原  孝君

   農林水産副大臣      筒井 信隆君

   農林水産大臣政務官    田名部匡代君

   農林水産大臣政務官   松木けんこう君

   農林水産委員会専門員   雨宮 由卓君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十六日

 辞任         補欠選任

  金子 健一君     水野 智彦君

  京野 公子君     川口  博君

  近藤 和也君     磯谷香代子君

  藤田 大助君     花咲 宏基君

  小里 泰弘君     長島 忠美君

  西  博義君     斉藤 鉄夫君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     近藤 和也君

  川口  博君     京野 公子君

  花咲 宏基君     浜本  宏君

  水野 智彦君     金子 健一君

  長島 忠美君     小里 泰弘君

  斉藤 鉄夫君     西  博義君

同日

 辞任         補欠選任

  浜本  宏君     藤田 大助君

    ―――――――――――――

十一月十六日

 国産の農林水産物の消費を拡大する地産地消等の促進に関する法律案(山本拓君外四名提出、第百七十四回国会衆法第二一号)

は委員会の許可を得て撤回された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 農林漁業者等による農林漁業の六次産業化の促進に関する法律案(内閣提出、第百七十四回国会閣法第五〇号)

 国産の農林水産物の消費を拡大する地産地消等の促進に関する法律案(山本拓君外四名提出、第百七十四回国会衆法第二一号)

 国産の農林水産物の消費を拡大する地産地消等の促進に関する法律案(山本拓君外四名提出、第百七十四回国会衆法第二一号)の撤回許可に関する件


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     ――――◇―――――

山田委員長 これより会議を開きます。

 第百七十四回国会、内閣提出、農林漁業者等による農林漁業の六次産業化の促進に関する法律案及び第百七十四回国会、山本拓君外四名提出、国産の農林水産物の消費を拡大する地産地消等の促進に関する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案につきましては、第百七十四回国会におきまして既に趣旨の説明を聴取しておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

 農林漁業者等による農林漁業の六次産業化の促進に関する法律案

 国産の農林水産物の消費を拡大する地産地消等の促進に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

山田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石津政雄君。

石津委員 おはようございます。石津政雄でございます。

 きょうは、質問の機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。感謝を申し上げつつ、私、質問をさせていただきたいと思います。

 質問と、それから御提案も含めまして、おおむね三点をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 まず、これまでの農政について言うならば、一言で言えば国の上意下達の嫌いがあったように思われます。概して農林漁業者が国の方針に従って農林漁業を行うような、硬直化した農政を続けてきた結果、農山漁村は、結果として疲弊し、また活気が失われているのが実情ではないか、このように考えております。

 こうしたことを踏まえまして、民主党は、昨年の総選挙におきまして、これまでの、国主導による、規模拡大にやや傾斜した農政から大きくかじを切りまして、農林漁業者がみずからの知恵で生産、加工、販売までを一体的に担う起業を促し、それによって農林漁業者が規模の大小にかかわらず多くの所得を得ることが我が国の農業の新たな姿、すなわち六次産業化の必要性を示させていただいたわけでございます。

 私は、このように、国主導の農政から、六次産業化によりまして農山漁村の地域ごとの創意工夫を促進する、いわば地域主導の農政への大転換を目指すことを明確にした意義は極めて大きいと考えておりますが、こうした点について、鹿野大臣の御所見をお伺い申し上げたいと思います。

鹿野国務大臣 今石津委員の方から申されますとおりに、まさしく、この法案のポイントというのは、農業者の人たちがみずから工夫をし、そしてみずからいろいろな考え方を出しながら農業にいそしんでもらい、その地域でとれた農産物を加工して、そしてまたそれを多くの人たちに市場を広げていくことによって職にしてもらうというようなことになりますならば、本当に農業者の新たなる意欲というふうなものが出てくる、それがこの法案の成立の意味ではないかと思っております。

 そのことによって、当然のことながら、そこに働く場所も生まれてまいりますし、そういう新たな魅力というふうなものが定着するようになれば、若い人たちが、じゃ、おれも生まれたところに帰ってやってみるか、こういうUターン現象も起きてくるでしょうし、当然、そのことによって地域に明るさも新たに取り戻すことができるのではないか。そういう意味では、農政の大きな転換の契機になるもの、こういう認識を持つところでございます。

石津委員 ありがとうございます。

 ただいま大臣の御所見をお伺いいたしまして感じましたことは、まず一つは、農業を、経済政策という観点のみならず、農業者の意欲を喚起し、また地域社会が活性化する、こういうような視点を持つならば、もう一方において、私は、やはり社会政策的な側面もある非常に幅広い法案ではないか、このように感じました。大臣には、そのような基本的な姿勢を持って、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。

 それでは第二点目でございますが、六次産業化は、いわば農林水産物関係だけではございませんで、地域から生まれるエネルギー、すなわち太陽光、そして小水力、バイオマス、こうしたエネルギー源を商品化することも極めて重要でございます。すなわち、こうした総合的な取り組みによって地域に雇用の場が確保され、また地域が大いに活性化するもの、こういうふうに考えられます。

 一方、六次産業化をより効果的なものにならしめるためには、地域の農林水産物をその地域で消費する、いわば地産地消という取り組みも重要だと思います。私は、それに加えて、地域の農林水産物や加工品を地域の外に売り込む、つまり地産外消も地域経済を考えた上では大変重要ではないか、このように考えております。地域の外というのは、国内の他の地域や、加えて外国を指しております。例えば、世界の成長センターとなっている東アジア地域への進出も含まれておるわけでございます。

 しかし、地方自治体を担わせていただいた私の経験から申し上げれば、地方において、こうした六次産業化を実現するために必要な人材やノウハウは極めて乏しいと考えなければなりません。こうした問題をクリアするためには、政府がイニシアチブをとって、地域の、もう既に行われている先進的な事例を紹介することが極めて重要ではないか、こう考えております。

 つまり、六次産業化の成功例を農林漁業者に知ってもらう、いわば六次産業博覧会、こういったようなものを、国主導でこういう政策に取り組んでいくということも重要であると考えます。そこで六次産業化の成功者を初め、その成果物である商品あるいはそれに関係した設備、アドバイザー、コーディネーター、こういうような人たちが一堂に集まることによって、各地の農林漁業者が交流を求め、そして大いに刺激を受け、新たな知恵が生まれる場になるのではないか、こういうふうに考えております。

 こうした視点に立ちまして、いわば六次産業化博覧会、こういったようなものを開催することを、私、要望も含めて、そういう意思がおありになるかどうか、御所見を承りたいと思います。

筒井副大臣 おっしゃるとおりで、これをどんどん広げていかなければいけないというふうに思っています。

 その際の手段として、今石津委員から話がありました博覧会、あるいは六次産業化奨励賞的なものを創設するとか、そういうことも今後検討していくべきであるというふうに思っております。

 ただ、現在、現時点においては、各地の農政局がいろいろな情報を集めて、それをまた逆に発信する、農水省のホームページでもそれを全国に紹介する、こういうことも既にやっているわけでございまして、これらはさらに強化をしていかなければいけない。

 そして、来年度の概算要求で、六次産業化プランナーという制度、ここに委託をして、いろいろな取り組みを指導、支援していく、こういう制度も今つくろうとしているわけでございます。さらには、交流会とか技術研修会、これらを頻繁に各地域において開いていく。これらの事業も二十三年度の概算要求の中に入れておりまして、これらの事業、つまり、研修会とかあるいは交流会とか、さらには商談会とか、こういうものを各地域段階だけではなくて全国段階でも開いていく。それらのために約十五億円の予算要求をやっているところでございまして、それを進めていくことも、今石津委員が言われました趣旨の実現のためには資するものというふうに思っております。

 さらには、やはり、六次産業化の具体的な事業が利益を上げている、雇用を確保して所得を確保している、この実態をつくり上げること自体が最大の宣伝媒体だというふうに思っておりまして、それをやっていきたい。

 そのためにも、再生可能エネルギーに関しては固定価格買い取り制度を早急に導入していきたいというふうに思っているところでございます。

石津委員 ありがとうございます。

 既にこの法律案に盛り込まれている諸事業、そしてまた、ただいま私が申し上げたような新たな事業等々も含めまして、できるだけ、この法律の目指す、実効性が伴うような大いなる施策を進めていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。

 そして、最後の質問になるわけでありますが、この六次産業化というのは非常に幅の広い事業が考えられます。そういうような意味では、各省庁の垣根を越える大きな政策というふうに位置づけますならば、既に施行されている、いわゆる農商工連携促進法を初めとして、省庁間にまたがる既存の法律あるいは制度、こういったようなものとの整合性を求めなければ、いわばこの六次産業化政策に魂が入ったということにはならないんだろう、私はこのように考えております。

 こうした観点からいきますと、本法律案の附則第二条には、この法律は施行後五年以内に必要があれば見直す、こういうふうに書いてありますけれども、私は多少、五年は長い、もう少し早目に、実効性を伴うような法律にしていくためには早目に見直しを行って、まさに省庁間にまたがる大きな政策である六次産業化を実効性のあるものにするためにはできれば二年とか三年とかというような、もちろん実態の検証を行いつつということにもなろうかと思いますが、前倒しで御検討をいただきたいと思います。

 そういうような意味においては、我々民主党としても、まさに省庁の垣根を越えて議論をしていきたいと思いますけれども、大臣におかれましても、閣僚会議等々で、こういう方面で強いリーダーシップをとっていただきたいと思いますが、その件についての御所見をお伺いしたいと思います。

筒井副大臣 農商工連携も六次産業化であり、今出している農林漁業者等による六次産業化、二つとも、広い意味で同じ方向性を目指しているわけでございます。やはりその全体を統一した、省庁の垣根を取り払った、そういう体制をつくっていくことはまさに望まれることでございまして、それをやっていきたいというふうに思っております。

 ただ、農林漁業者は、特に事業経営等々に関しては、非常に今まで、中小企業経営者と比べたら、そんなに経験が多いかというとそうではありませんので、この法律によって、農林漁業者等による事業経営等の体験をしていただいて、そしてそれを広範に広げていただいて、それと並行しながら農商工連携法との統合というのを図っていくべきだというふうに思っておりますので、なるべく早い方がいいことは間違いないと思いますが、必ずしも、拙速にやってもまた、本当の形の統合、融合というのができるのか、問題点もありますので、それら、適切な判断をしながら、なるべく早くこの見直しを実現していきたいというふうに思っております。

石津委員 ありがとうございます。

 私もそのとおりだとは思います。

 ただ、地方の農林漁業者あるいはこれに関して興味を持たれておる方々、どの法律によって何をするのかということで多少迷いも当初の段階ではあるのではないのかな、私はこういうふうに考えますので、見直しを行う期間にあっても、既存の法律、制度等々にわたってはその整合性をきちっとやはり現場に御説明を申し上げる、そして混乱を防ぐ、そういうようなことも極めて大切ではないか、このように考えておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

山田委員長 次に、長島忠美君。

長島(忠)委員 自由民主党の長島忠美でございます。

 きょうは、質問の時間を与えていただきまして、大変ありがとうございます。

 私は百姓でございます。村長であった経験も踏まえながら、農村のあるべき姿について、少しこの法案の中で議論をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 私は衆法の提案者でもありますので、衆法については質問ができないことになっておりますが、政府側に質問をさせていただきたいと思います。

 今ほど筒井副大臣の答弁の中で、農商工連携と六次産業化法案について、根っこは同じだという答弁をされたような気がするんですが、私もそこのところを少しお聞きしたいと実は思っておりました。

 農商工連携促進法という法律が現在ございます。その中で、わざわざ六次産業化促進法案を制定するということは、六次産業化法案の中に込められた思い、農商工連携との違いについて少しお聞かせをいただきたいなと思います。

筒井副大臣 農商工連携の場合は、一次産業者、二次産業者あるいは三次産業者、それぞれが連携するわけでございますから、複数の主体が連携をして行うというのが原則的な形になっております。

 しかし、この六次産業化法案は、一次産業者等が二次産業にも進出して、三次産業にも進出する、こういう形を原則的な形として考えておりますので、一つの主体がほかの産業分野にも進出するという形でございますから、その点が一番の違いかというふうに思っております。

長島(忠)委員 農村の現況を考えて、今、全国にある直売所だとかあるいは直販所だとかをイメージしたときに、多分、農村が、農家が、農商工連携の中で進めてきたことを急に六次産業化と言われて、一体そこのところにどうあるのかというところまでやはりまだ理解ができない。この六次産業化という言葉自体を農家の人たちに理解をしてもらうためには、かなりやはりきちんとした説明を、今のような形の話はなかなか伝わりにくいんじゃないかな、私はそう思っているんです、私は百姓をしていますから。

 私は、百姓をしていて、あしたからあなたは工場もつくっていいんですよ、あなたはあしたから売っていいんですよということを急に言われたって、そこにまでいく施策だとか、そしてそこに至るイメージがなかなかわいてこないというのが現況だと思うんです。わざわざ六次産業化と言わなくても、農商工連携の中で少し変えてあげることができれば、参加をするということに変えてあげることができれば全く問題はないので、その方が、定着をしている農商工連携促進法の改正ということでは混乱がないんじゃないかなと思うんですけれども、その辺はどう思われますか。

筒井副大臣 農商工連携は、あくまで、一次産業者と例えば二次産業者が、あるいは三次産業者が連携する、こういうイメージでございますが、ここで強調したいのは、一次産業者自身が二次産業にも進出し、三次産業にも進出するということでございます。

 これは今までも、例えば、モチ米をつくってそれをもちに加工するとか、しょうゆやみそに加工するとかいう形であったし、また、直売所とか産直という形では、流通業にも一次産業者が進出するという形であったわけでございますから、農商工連携とは違う、そういう形をもっと広範に広げていくことが農業と農村の振興につながる、こちらを特に強調したいんだという点を明確にしているわけでございまして、この違いは御理解いただけると思いますが。

長島(忠)委員 一次産業者、いわゆる農家であっても、二次産業、現在も、農商工連携の中で起業をしたり、直売所をやったり、あるいはスーパーをつくったりしている人がいるんです、それは可能なんですよ。わざわざこの六次産業化という法案をつくらなくたって、それはやっているわけですね。だから、そこのところはわざわざやらなくたって、それよりも、農家が地域の野菜を地域に伝えやすいというようなイメージをこの六次産業化の法案の中に込めるんだったら、私は、農商工連携促進法の改正で十分だと実は思っています。

 一つ、私は百姓で農村ですから、農村のあり方を少しあれすると、皆さんがイメージをしていらっしゃる農家は平場農業なのか、すそ野農業なのか、中山間地農業なのかわかりませんけれども、すそ野から中山間地農業において今農家が一番苦しんでいるのは、農業だけでは自立できない。だから、百姓という言葉にあらわせるように、ある意味、林業に入ったり、水産業に入ったり、場合によっては、田んぼや畑が資源になって、体験農業として観光資源として来ていただいたり。そのことすべてを、やはり自分の産物として来ていただく、あるいは買っていただくというところに至らないとなかなかいけないんだと私は思うんです。

 だから、農家としたら、商業、中小企業者も参加をしてくれて、そのことを支援してくれる農商工連携というものにはかなり期待をしていたということだけはおわかりをいただいて、今お手が挙がったようですから、あえて答弁いただきたいと思います。

筒井副大臣 地産地消もこの六次産業化の一つの形だと思います。これも進めていきたい。

 しかし、地産地消に限定するわけにはいかない。先ほど石津委員が言われましたように、地域内での消費に至る過程も一つの形として追求する。しかし、地域外への販売も追求する。地域外どころか外国への輸出までやはり追求する。そういうことを広く考えているわけでございまして、そういう意味で、この農林漁業者等による六次産業化を進めることが、広い概念である、これはまた先ほどから強調したから言いませんが、農商工連携というそれぞれの主体が違うものとはまた違う取り組みである、この点も御理解をいただけると思いますが。

長島(忠)委員 六次産業化というイメージを法案の中で私なりに理解をさせていただいて、農商工連携ということも副大臣は十分御理解をされているようです。だから、私は、あえてここで六次産業化という言葉を使わなくたって、農商工連携なりという言葉で十分イメージがいけるんじゃないかなと思ったので。

 これだけを議論しているわけにいかないんですけれども、六次産業化という言葉が必要ですか。本当に六次産業化という言葉でなかったらこれは農家に伝わりませんか。

筒井副大臣 農商工連携では、ここで言っている六次産業化路線は含まないわけです、含まない場合があるわけです。何回も言いますように、農商工連携はあくまで一次産業者と二次産業者との連携ですから。しかし、ここで言っているのは、一次産業者が二次産業にも進出する、これを言っているわけですから、農商工連携の原則的な形の中には、ここで出している六次産業化法案の形は含まない。だから、これを六次産業化として出した。

 ただ、六次産業化という言葉だけが絶対的に正しいか、唯一それしかないかと言われたら、あるいはもっといい言葉があればそれはそれでいいかと思いますが、しかし、この六次産業化という言葉も結構広がっているんですよね。今、各地域においても、農林水産業全体にわたって六次産業化という言葉を一次産業者自身が使っていたり、あるいは自治体も使っていたり、それから何とかという辞典にももうそれが説明されていて、一番最初は東大の今村教授が使い始めたそうでございますが、思った以上に広がっていることも事実でございます。

 ただ、絶対にその言葉でなきゃいかぬということをこちらの方が断言しているわけではありません。

長島(忠)委員 私は、農家が商業にも工業にも参加をできる、地産地消というイメージを六次産業化法案も持っている、農商工連携も持っている、あるいは我々が提案者になっている衆法も持っているという形だととりあえず理解をさせていただいて、大臣にちょっとお聞かせをいただきたいことがあります。

 この法案によって、農村は、例えば、先ほどの答弁の中に、後継者が勇気を持って帰ってくるような形になるというふうに答弁にあったと思うんですけれども、農村は、この法案によって若い定住者人口をふやそうという目的はこの中に期待していいんでしょうか。

鹿野国務大臣 まさしく今先生がおっしゃるとおり、そこが大きなポイントだと思います。基本的に、農村地域、そして地方の地域社会に活力を生み出すためには、どうしても働く場所というものが必要であります。

 そういう中で、やはり農業者の人にとっても、農産物をつくる、そういうことがお得意な人もおります。また、新たなものを、地域にとれる、生まれてくる産物を生かして加工してみようというふうなことに対して興味を持ち、また能力を持つ人もおる。そしてまた、おれは販売をする、売り込みをする、そういうところに関心を持つんだ、そういう人もおるわけでありますから、第一次産業にいそしんでいる人たちが、生み、つくり、そして売るというような一体化の中での定着というふうなものになってくれば、そこに新たな働く場所も生まれますし、そこに新たな魅力も生まれてまいりますから、若い人たちも、では帰って自分たちで自分たちの村を再生してみようというような、そういう動きも大きな期待が生まれてくるのではないか。

 そういうところに、この法案を何としても成立をしていただいて、そして地域の活性化に結びつけるというふうな意味があるのではないか、こういう思いをいたしておるところであります。

長島(忠)委員 現実には、多分、全国の直売所をやっておられるところでは、既に自分で加工をし販売をする、それは小規模ですけれども。それをもっと、今言われたように、世界にも売るんだというような答弁をされましたけれども、そのときに、例えば地域ブランド、いわゆる地域の特産を地域の農家でそこまで高めるにはやはりなかなか難しいんだと思うんです。

 今までは地方自治体がそのことを、きちんと制度をつくったり支援をしたりしてくれたんですが、この法案では、国が規制緩和をしたり支援をする体制をしてくれたりする。そのプラットホーム的というか、支援をする人たちがいるというところのイメージはどういうふうにとらえたらいいんでしょうか。

 例えば、このノウハウを農家に伝えてくれる役割を果たす人がどのプラットホームに、地方自治体に上がっているのか、それとも、国でそういう人たちのところにプラットホームがあるのかどうか。

田名部大臣政務官 今先生おっしゃったとおり、農家の皆さんが、自分たちでつくったすばらしい農林水産物をどうやって加工して、付加価値をつけて、そしてどういう売り先をつくっていくのか、つまり販路を開拓していくのか、こういうことは非常に重要だと思いますし、そのための人材を育成する必要があると考えています。

 そのために本法案では、人材の育成等を総合的に推進するということをしっかりと規定した上で、取り組みの総合的なサポートを行う六次産業化のプランナーを配置するということを要求しているところでございます。

長島(忠)委員 済みません、そのまますぐ答弁してください。

 私が聞きたいのは、そのプランナーを、今のイメージで、国がどこかに置いておくのか、地方自治体が置いておくのか、それとも、自主的な民主党さんの議論でいうNPOみたいなところに期待をして、この法律だけで期待をする形に置いておくのか、ちょっとお答えをいただけますか。

田名部大臣政務官 これは各都道府県に置くということになっているんですが、その場合、公募をさせていただきます。

 その中で、例えば、食品企業みたいなところでこれまで営業をされてきた方であるとか、またバイヤーだとか、コンサルタントだとか、そういうノウハウを持った方々もいらっしゃるでしょうし、また、生産ということに非常に専門的な知識を持っていらっしゃる方もいる。そういう人材を集めていただくというか、そういう人材のいる中で公募をして、このプランナーをつくっていきたいというふうに考えています。

長島(忠)委員 どうもそのイメージが私にはよくわからないんですね。本当に農家のお母さんだとか農家の若い人が定住するために、そのプランナーの人が、公募をする形で本当に役割を果たしてくれるまでにどれぐらいかかるんだろうかという思いを、実は今聞きながらあれしたんですが。

 それと一点、現実にはもう農家のお母さんは直売所に出て、ただ一番必要なのは、その直売所が小規模であるために地域ブランドとか安心、安全という品質が一定でなくなってしまう。そこのところをプランナーとしてきちんと指導してあげて、地場産品ブランドとしてやってあげる、やはりそういった形の指導が私は必要だと思うんです。そこのところは、公募をして本当に……。

田名部大臣政務官 先生の御心配はそのとおりだと思います。

 それで、公募をするというだけではなくて、今回、二十二年度の補正予算においても、農林水産物の生産の技術であるとか、また安全の管理であるとか、またマーケティング、加工の技術、こういったこともしっかり学んでいただけるように実務の研修を行うこと、また、先進的な農林漁業者や民間企業での実習ということにも今回補正予算で要求をしているところでありまして、こういった研修を通じて、そういうノウハウをしっかり身につけていただくということを考えているところであります。

長島(忠)委員 国がきちんと現場を見て、さっき村長さんもあれしたし、そういう人をきちんと使えばいいんじゃないかなと私は思うんですよ。

 どうぞ、お座りになって結構です。

 私は、六次産業化という言葉をさっき聞いて、少し私と思いの違いはあるようですけれども、農家の皆さんにとって本当に、今お母さん方が直売所の中心にいることを考えると、地域の産物をどれだけ喜んでもらえるか、いわゆる地消なり国消なりという考え方を期待していることの方がやはり多いんだと思うんですね。だから、法案の名称として六次産業化法と使うのが少し適切であるかどうかということを、私は指摘だけしておきたいと思います。

 それで、鹿野大臣に、農村のあり方として、所得補償制度という民主党が掲げた政策に農家の多くの皆さんが大きな期待をされてスタートしたわけです。米価が下落をしたことによって、やはり農家の皆さんは、ある意味、所得補償をいただくということと、反面、米の値段が下がって困ったという意識を持っておられると思うんですが、米の価格はやはりどうなんですか。今の所得補償を続けていくと、来年度以降も下がるという予測をされているんでしょうか、これで下げどまらせたいという意向でいらっしゃるんでしょうか。少しお聞かせをいただけますか。

鹿野国務大臣 来年度のことにつきましては、当然のことながら需給関係で米の価格が動いていくと思いますが、今年の状況を見ますと、この戸別所得補償制度をさらに拡大していくということの中で、参加者もふえていただけるものと思っておりますし、そのことによって需給が締まってくる、こういうようなことは予測できるのではないか、こういう認識を持っておるところでございます。ゆえに、戸別所得補償制度をこれからも続けていくというところに大きな意味があるもの、こういうふうな認識を持つところであります。

長島(忠)委員 需給が締まるというお答えは、需給が締まる段階で価格は下げどまるというふうにお聞きをしてよろしいんでしょうか、今のお答えの中で。

鹿野国務大臣 当然、締まってくれば価格が下げどまるというようなことも予測されることであります。

長島(忠)委員 それを、いつ需給が引き締まる、下げどまるということを想定して今の施策をやっておられるか、少しお聞かせをいただけますか。

鹿野国務大臣 二十二年度の予算というものはもう執行されておるわけでありますし、来年度、二十三年度におきましては、備蓄の方法も変えていくというようなことも考えておるわけでありますし、いずれにしても、二十三年度というふうなものは当然意識の中にあるわけでございます。

長島(忠)委員 米の価格がことし非常に大きく下がってしまった。所得補償という形でリスク回避はできたという人たちも確かにいらっしゃると思うんだけれども、私は、農家にとって、米の価格がこれ以上下がり続ける、あるいは下がることは、ある意味、所得補償という形で所得は補償されても、やはり農家として誇りを保てるのかなという思いを一方では抱いているんです。

 というのは、せっかく田んぼや畑を耕して米をつくったり野菜をつくって、そしてそのことを喜んでもらえない施策。それは我が党のときもずっと米余りが続いたわけですから、一概に所得補償だけがすべてのことだと言うつもりはないんですが、何とか所得補償をするから米は下がってもいいというメッセージだけは私は出してほしくないなと思うんです。農家の誇りを保つためにどうしたらいいのか。

 だから、場合によっては、需給バランスに対して政府が介入していただくことも必要だろうと思うし、やはりそこのところをきちんとしないと、今回議論をされているTPP、それは国を開くと菅さんはおっしゃっているんですから、ただし、その中で一番今農家の皆さんが心配をしているのは、何となく国の中の対策も決まらないうちにそのことの議論に入ってしまうと、さらに値段が下がったときに、我々は消費者に対して、米の価格が安いので、何で農家だけ支援をいただけるの、何で農家だけ支援をするのという、やはりプライド、誇りを失うようなことになってはいけないと私は思うんです。競争力を増すということについては、私は賛成です。

 だから、そのプライドを失わせないために、所得補償はどうあるべきか、そして需給のバランスはどうあるべきかということをやはり議論していくべきだと思うんですが、感想をひとつお聞かせください。

鹿野国務大臣 私は、そういう意味で、この二十二年度におきまして導入した戸別所得補償制度というものは何のために導入したのか。これは、当然のことながら、農業者の人に再生産に向けて意欲を持ってもらう、そのことが国民全体の食の安定供給にもつながるということでありますから、農業者の人たちだけに対する理解でなしに、国民全体の人にこの所得補償制度の導入の意味をきちっと啓発、啓蒙していきながら理解をしていただいて、そしてお互いに、そういう農業者の人たちに対する施策というふうなものを我々も支援していこう、そういう一つの心の一体化というふうなものがこれから必要になってくるのではないか。

 そういう意味で、私どもはこれからも、農業政策について消費者の方々、多くの国民の人たちに理解をしてもらう、そういう努力をしていきたいと思っているところであります。

長島(忠)委員 私は農家です。牛を飼っています。コイも飼っていましたが地震でだめになって、コイは今はやめています。田んぼもやっています。畑もやっています。林も持って、キノコをやったりしています。

 私は、多分、都会の皆さんが見ると、農家というのは、米だけつくる農家、野菜だけつくる農家、あるいはキノコだけつくる農家というふうにイメージされると思うんですが、私のところみたいな村、あるいはすそ野から中山間地には、いろいろなことをやりながら、場合によっては、農業だけでは食えないから日雇い労働に出ながら農地を守る、農地を守るということは家族を守る、そういう意識で農業をずっと続けていられる方がいっぱいいらっしゃると思うんです。だから、私は百姓という言葉に誇りを持っています。百の仕事をしてでも私は家族を守る。

 そういった意味で、私は、米の価格が下がり続けると農家の誇りはやはりなくなってしまう。だから、そこのところだけはきちんときょうは受けとめてほしいな、そのことでこれからも議論をさせていただくことはやはりしていきたいなというふうに思います。

 一点だけ大臣に、私のところの産物、あるいは例えば大臣のところの産物、いろいろな意味で農家のお母さんが一生懸命売り出そうとしているけれども、さっき少しお答えをいただいたように、支援をしてくれる方法がわからないんです。方法がわからないためになかなかブランド化できない。

 この前私がびっくりしたのは、東京のど真ん中のある一流ホテルに行ったら、これは何だかわかりますかと聞かれたから、えっ、何ですかと言ったら、新潟の神楽南蛮みそですよ、えっ、それは私のふるさとですけれどもと。そんなことが頻繁にやはりある。私の知らないところでそういう流通が回っている。そのことを教えてもらえれば、そこに私は農家の皆さんと流す方法は検討できる。

 だから、ある意味、言っているのは、一次産業の方が二次産業、三次産業と参加をすることの限界と、農商工連携の中で、今までノウハウを持っている人たちが参加をしてくれてそのことを教えてくれることは少し意味合いが違うのかもわからないので、ぜひそういうプラットホームにきちんとやはり支援体制をつくっていただきたいという思いですので、そのことについて一言。

鹿野国務大臣 今先生がおっしゃるとおり、例えば、私も田舎ですから、農家の主婦の人たちが大変すばらしい、おいしい漬物をつくる。それを何とか多くの人に食べてもらいたいと思っても、加工して漬物というすばらしい、自分の地域でとれたものを活用して、加工して漬物をつくった、しかしそれが、どうやって販路を生み出していくかというところは、やはりなかなか思うようにいかなかった。

 そういう状況の中で、今おっしゃるとおりに、プランナーというような人たちが、教えてやるよというような、おれたちの言うことを聞けばそれはすべてうまくいくんですよというような取り組みでなしに、お互いにやはり、どうやったらばそういう農家の主婦の人たちも理解をする中で販路を拡大していくかという、お互いが本当に心と心のつながりの中でのプランナーの役目を果たしていくというようなことが非常に重要なことではないかなと思っております。

長島(忠)委員 多分、ここにいらっしゃる皆さんは、地域に宝物をみんな持っていらっしゃるんだと思うんですね。そのことを意外と知らないところがやはりあるんだろうと思うんです。

 私は農家に誇りを持っています。百姓をやっていることに実は誇りを持っていますから、そういう誇りがつながるために、やはり自分のつくった地場産を、本当は一番最初に家族に喜んでもらいたいんです。家族においしいと言ってもらいたいと思って百姓はつくります。次に、近所の人から、おまえさんのところのトマトはおいしいね、おまえさんのところのキュウリはおいしいねと言ってもらいたい。その次には、少し広くして、おいしくて褒められたから、ではもう少し多くの人に、うちのキュウリはどうだ、うちのトマトはどうだ。それが私はやはり農家の基本的な考え方だと思うんです。

 だから、六次産業化というイメージの中に農商工連携も、ある意味、地産地消、いわゆる地元のものを地元の人たちが大切にする、あるいは国のものを国の人たちが大切にするイメージをやはりきちんと伝えていってほしいな、私はそう思うんです。

 私は、米をつくって、一番最初に仏様に上げます。その後に我々がいただいて、その年の味を感謝しながらいただきます。農家はそういうものだということをぜひ御理解いただきたいと思いますし、農家の誇りを失わせないような施策に努めていただきたいなと思います。

 余りに抽象的な話をしましたが、大臣から一言感想を述べていただいて、私の質問を終わります。

鹿野国務大臣 先生は、現場でみずから農業をやって、いろいろな多角経営もなされておられるという中から、農業者の実態、農村の実情というものを踏まえてのその御見識というものは、私たちはしっかりととらまえていかなきゃならないと思っております。

長島(忠)委員 どうもありがとうございました。

山田委員長 次に、谷公一君。

谷委員 自由民主党の谷公一でございます。

 きょうは、内閣提出のいわゆる六次化法案、そして我々自民党提出の地産地消法案、この二つの審議ということでございます。先ほど、我が党の長島委員がこの地産地消の提出者でございますので、質問ができなかった。その分も含めて、まず、地産地消の法案について幾つかお尋ねをしたいと思います。

 地産地消というと、言うまでもなく、地域で生産された農産物を地域で消費する、これが地産地消で、前から全国各地で、あるいは国レベルでもいろいろな手段で地産地消が進むように進めてきたところであります。中には、たしか福井県ですか、そのための条例までつくっている自治体もあるやに聞いております。

 我が党でこの法案づくりに中心的な役割を果たされた山本拓先生も、きょう、提出者として来られております。

 そうしたら、この出されている法案は、実は地産地消の促進ということではないんですね。よくよく見ますと、「地産地消等の促進」と、各委員のお手元にある法律でも「等」ということが入っております。

 どういう意味合いで、普通は、わかりやすいのは、地産地消という、それをもっと促進するためにこの法律をつくるんだというのがわかりやすいかと思うんですけれども、なぜ「等」を入れた、その意味合いについて、提出者山本議員にお尋ねしたいと思います。

山本(拓)議員 我々の考え方としては、目的は、国産農林水産物の消費拡大というのを目的といたしております。本当を言うと、名前を国産国消にしたかったわけでありますが、それをやるとWTOで、ガットというか、うだうだ指摘されるという話もありますので。その意味では、その手段として地産地消というものをベースにして、日本国民が、いわゆる一日二千五百キロカロリー消費いたします、これは食べ残しの分も含めてでありますけれども、食料自給率四〇%前後という中で、それを引き上げるためには、一人一人の食生活の中で一人一人の農林水産物消費の国産比率をいかに上げていくかということが大きな目的、目標でございます。

 たまたま私の地元の福井県議会におきましても、三年前、地産地消条例というのを議員提案によって成立させております。その条例による地産地消の定義というのは、地域でとれたものは地域で消費するという概念でございます。この考え方は、私が農林副大臣のときに、篠原副大臣から地産地消をもっとやるべきだという提案もいただいているところでもございます。

 そんな中で、ただ、その問題点は、地産地消というのは、地域でとれたものを地域で消費するという概念に特化しますと、福井のみならず北海道であれ、地域の農林水産物をフル生産しましても、人口が少ないものですから供給過剰になってしまう。

 その地域でとれたものをいかに地域外に輸出するというか地域外の人に食べてもらうか、また、地域の特産を広く多くの人に食べていただくかということを考えると、やはりそこは、各自治体ごとの農地に照らし合わせて、そしてまた各自治体ごとの特産品の品目に合わせて、また一方では、食料自給率の品目は、ニンジン何%と品目別に国産比率が出ておるということは、国民が品目別の消費、国産比率というデータもとれるわけでありますので、その品目を細かく精査する中で品目単位で比率を高めるということを前提に、地域で地域特産の消費計画、生産計画を立てていただいて、それをまずはしっかりと地域で学校給食も含めて食べていただく。そしてまた、それ以外に、国産という概念を国民運動することによって、大都市部の人たちにも広く食べていただく。また、その延長で、全世界で二千四百以上ある日本レストランのメニューを通じて、広く日本のすばらしい食の文化を世界じゅうの人に知っていただく。

 そういう概念で、生産、加工、流通もすべて含めたということがこの「等」に含まれているところでもございますので、会社でいうと定款以外の一切の業務もそれに含むという「等」でございます。

谷委員 わかりました。ありがとうございます。

 時間は三十分しかございませんので、先輩でございますけれども、答弁を簡潔にしていただければありがたいと思います。

 先日の大臣所信で、私は有害鳥獣のことについて質問させていただきました。またきょうも後でさせていただきたいと思うんですけれども、今全国で、私の選挙区は兵庫でございますけれども、大変困っています。シカ、イノシシ、クマ、猿、ヌートリア。

 今、山本議員が御答弁になりました。では、そういう野生鳥獣のシカとかイノシシなどは地産に入るんですか。その確認をさせていただきます。

山本(拓)議員 短くやりますが、地産に入ります。

 そして、一つだけつけ加えさせていただきますならば、うちの地元でもイノシシとかそういったものを駆除するという方法をとっておりますが、どうしても、駆除するということは、鳥獣の愛護集団というか、殺して埋めるのは何かという批判もございます。一方では、鳥獣をジビエ料理として、高級料理としてフランスを中心として広く定着いたしております。東京都内でもジビエ料理店がございますが、そこらでメニューに載っている食材は、フランスとか海外から加工したものを輸入しております。各地区で結構、ジビエ料理普及協会ができて、それが普及をいたしております。

 ただ、猟友会の人がとってきて自分で食べる分には、また近所に上げる分にはよくやっている話でありますが、正式に流通に乗せて、日本のレストラン等でジビエ料理として鳥獣を、イノシシとかそういったものを定着させるためには、どうしても食品衛生法にのっかった食肉処理施設を通した形で仕入れをしないと、専門業者は、また一流の上場企業は使えないものですから、そういう設備をしっかり応援していくという条件整備をすれば、地域特産のジビエ料理として、鳥獣というものがしっかりとしたメニューにつけ加えられる重要な資材になると思っております。

谷委員 ありがとうございます。

 今の御答弁を聞かせていただいて、東京のフランス料理の、もともとがフランスから、外国から輸入するというのはどこかおかしい。何かそこに工夫が、我々としてもいろいろ考えなければならない問題があるということを、改めて今の御答弁を聞いて考えさせられました。

 そうしたら、その次に質問ですけれども、先ほど、きょうの質問の中の冒頭の質問で石津委員の方から、何か今までの施策は、農政は中央集権、国主導、上意下達というようなことがございました。しかし、この自民党提出の地産地消法案を見ると、国主導ではなくて、自治体みずからの地産地消等、先ほどの「等」ですね、等の施策を自治体みずからが計画して、それを国がしっかり支援する法体系となっているかと思います。むしろ六次化法案の方が、国が主導して直接事業者へと、何か言われていることと逆のような感じ、石津委員が言われているのと何か少し逆じゃないかという感じもしないわけではありません。

 そこで、現場の実態を熟知されております提出者の長島議員にお聞きしますが、質問、答弁となかなかお忙しいですけれども、なぜこういう法体系に、六次化法案のように国が決めて、やろうという人に直接支援ではなくて、自治体の工夫というか取り組み、地域に応じたあれを大事にする、そういう法体系にしたのか、お尋ねしたいと思います。

長島(忠)議員 お答えをさせていただきます。

 イメージとして、六次産業化法案で、国が農林漁業者に対する直接講ずる支援措置が中心であるように受けとめられています。それに対して地産地消法案では、地方公共団体の自主的取り組みを重視させていただいたつもりです。例えば十八条において都道府県及び市町村が促進計画を定めるとしているのは、そのようなあらわれであります。そしてこれは、先ほどもありました先行事例である福井県の条例等も参考にしながら、実は練らせていただきました。

 私どもは、現在国がやるべきことは、主導するというよりも、地方自治体みずから推し進める地産地消等を支援するということだというふうに考えております。十六条一項の財政上の措置、あるいは財政上の措置を講ずるに当たっては、国産品が消費者に割高にならないように、あるいは的確に対応ができるようにということを考えている次第です。

 したがって、地方自治体が地域とともにやることを支援するという国の位置づけにしてございます。

谷委員 わかりました。要は、自治体の取り組み、まず地元で考えてちょうだいな、それを国が支援する、そういう考え方でこの法体系ができているという御答弁かと思います。

 それで、地産地消を進める有力な施策、やり方の一つとして、冒頭、山本拓議員の答弁にありましたように、学校給食というのも大変有効かと思います。では、今の状況はどうか。学校給食でどういう地産地消の状況なのか。

 といいますのは、以前、食育基本法が成立して、食育推進基本計画で、たしか平成二十二年度までに三〇%という目標があったかと思うんです。その進捗も含めて、どういう状況なのか、また、何がネックになってもう一つ進んでいないのか。私の選挙区でも、私もよく言うんです、市長さんとか町長さんに、できる限りしてちょうだいと。ただ、やはり共同で県下の特定のところで食材をつくるというようなあれもありますし、値段のこともある、父兄の負担がございますので。

 いろいろあるかと思いますけれども、提出者として、学校給食で地産地消の状況はどうか、またネック、それについて、政務官経験者の永岡議員にお尋ねしたいと思います。

永岡議員 谷委員にお答えいたします。

 委員御承知のように、御指摘いただきましたとおり、平成十八年にできました食育基本法の中の食育の推進基本計画、五カ年計画だったわけですが、当時は、地産地消、つまり地場産品を給食に使うというものが大体二〇%ぐらいしかありませんでした。今は、残念ながら、五カ年計画の目標値でありました三〇%を切っておりまして、平成二十一年度の学校給食におけます地場産品の利用率というのは大体二六%ぐらいになっております。まだまだ足りないということなんですね。

 それで、御質問のように、何がネックでなかなかそれが伸びないのかということにお答えしたいと思うんですけれども、一番の問題は、学校側が必要といたしますものにこたえるだけの地域の安定供給ができるかどうかということにあります。そしてもう一つ、地場産品を使うことによってのコストアップが反対にかかってしまうということ。この二つが大きく挙げられると思うんです。

 これを解消いたしますためには、やはり学校側、特に栄養教諭などの学校側関係者と生産者の方、そして食品関連の納入する業者の方などの連携の強化、そして理解、信頼をお互いにできるかどうかということが非常に大切になります。

 また、その地域には気候がありまして、ニンジンの季節であるというものは、いろいろありますよね、そのときにしかとれないというものがありますので、やはり時期や数量に関する、学校側と生産者の側のそういうものの状況の把握も大切になります。

 また、給食というのは短時間に大量の調理が必要になります。いろいろなものを切ったりするのに短時間で集中して調理をしなければならないということで、やはり農産物の規格、大きさとか形というものも大きく影響してくると思います。

 そういうものがいろいろございますので、それの解消に向けまして地域の自治体が積極的に取り組んでいただければ、学校給食の地産地消というものも進むと考えております。つまり、行政が直接学校の給食にかかわれるということが、この法律では大きく地産地消の消費拡大につながると思うとともに、何しろ地域の方が、知っている農家の方が子供たちにいろいろな情報を提供するなどという食育に関しましても、大きく意義が深められるものと思っております。

 このような趣旨を踏まえまして、地場産物の利用というものがより一層推進されるような取り組みをお願いしたいと思っております。

谷委員 鹿野大臣、学校給食で地場の農産物をいろいろ利用してほしいということは、いろいろな法改正で、平成二十年には学校給食法の法改正が国会で成立して、農林水産省でもいろいろ努力されていると思うんです。

 この学校給食の食材需要というのは大臣御存じですか、大体年間どれぐらいあるかというのを。大体五千億と言われているんです。五千億もあるんです。ですから、行政が本当に、少々コストアップでも、場合によっては助成しても、地産地消のためにというやはり取り組みいかんというところもあるかと思うんです。

 ですから、ぜひ引き続き、今回この法改正も予定されていることでもありますし、積極的に、今まで以上に、農林水産省としてももちろんですけれども、文部科学省とも十分連携して進めていただきたいと思いますが、御見解をお尋ねします。

鹿野国務大臣 地場産物、地場でとられたもの、今先生おっしゃったようなものをどうやって地域における学校給食に利用していくかということにつきましては、農林水産省としても、さらにこれから、もちろん文科省との連携ということもございますけれども、学校給食関係者と生産者、そういう連携強化なども含めて、地場でとれた産物の利用拡大に向けて取り組んでいきたい、こう思っております。

谷委員 ありがとうございます。

 議員提出の衆法ばかり質問しますと、筒井副大臣が何かやや寂しそうでございますので、先ほどの長島委員の質問とも絡むんですけれども、一つお尋ねします。

 私は、正直なところ、関係者には六次産業あるいは六次産業化という用語は、普及員であるとか、そこそこ浸透はしつつあるかもわかりませんけれども、これは国民向けの法律ですから、やはりまだまだではないか。また、この法律を見ますと、六次産業化の定義の中で融合なんという言葉も出てきます。大変わかりづらいですね。もっと一般的で理解しやすい用語の方がいいのではないかと思いますけれども、副大臣のお考えをお尋ねします。

筒井副大臣 六次産業化という言葉自体は、先ほども申し上げましたように結構こだわっておりまして、ただ、これしかないということではなくて、ほかの言い方がないわけではない。例えば、地域資源の事業化とか、あるいは農業の総合産業化とか、あるいは農業経営の多角化とか、それらいろいろな言葉が考えられるわけでございまして、それらが全部間違いというわけではありません。

 ただ、今言われました融合の方がもっと私はこだわらないでいいんだろうというふうに思っておりますから、この融合という言葉がちょっとわかりにくいなということは理解できるところでございます。

 ただ、先ほど申し上げましたように、もとへ戻りますが、六次産業化という言葉自体は、中身が非常に厳密に定義ができるものでございますし、もう既に一定程度広がっていることも確かなんです。だから、これはこれからも使っていきたいなというふうには思っております。

谷委員 副大臣の思いはわかりました。でも、自慢するわけではございませんけれども、地産地消の方がはるかに一般的ですよ。そのことだけ御指摘させていただいておきます。

 少し別の問題に移ります。

 最近、大変気になる記事を見ました。例の行政刷新会議の事業仕分けです。大臣所信でも、私、この事業仕分けについて、内閣府から園田政務官も来ていただいて、厳しく指摘させていただいたところですけれども、またまた何か、再仕分けの項目ではないようではありますけれども、鳥獣の被害防止対策について、昨年秋の判定に沿った対応がなされていないと行政刷新会議より見直しが求められているという記事が出ておりました。

 復習しますと、昨年秋の行政刷新会議の事業仕分けで、これだけ全国的に大きな問題になっていて、これだけ多くの方々が苦しんで、意欲を喪失して、嫌になって、とにかく何とかしてくれと叫ぶように言っている声をどう受けとめているのか。何と、昨年秋の行政刷新会議の結論は、こういう事業は、農水省のソフト、ハード施策については国が行うべきではないという判断だ。事業の実施について自治体の判断に任せるとの結論。農水省はその結論に従っていない。だから、もう一度、昨年の秋の判定に沿った対応をとるように見直せということかと思うんです。

 被害の深刻さというのが一体わかっているのか、どんな感覚でこんなことを述べるのか、私には信じられません。少しは現場を見て、何が一番必要なのかということを勉強する必要があるし、そういうようなメンバーを選んだ政府自身も私はおかしいと思います。これはけんかをすべきです、農水省は。

 筒井副大臣、こういうような指摘を受けたら、どうしてもっと正面から反論しないんですか。あなたたちは地域の現場を知っているのか、わかっていながらこんなことを言っているのかと声を出して言わなければ、地域は農水省をもう信頼しませんよ。ただでさえ、この鳥獣被害は、前回にも私、指摘させていただきましたが、私の選挙区の市長、町長などは、もう怒りを通り越えて、あきれて、しょせん霞が関、永田町はわかっていない、政府は何にもわかっていない、予算を二割減らすとはどういう感覚だ、もう信じられへんというのか、言う気力もないという受けとめ方です。

 筒井副大臣の決意をお尋ねいたします。

筒井副大臣 先ほど地産地消のときに言われましたように、地方自治体に業務は移し、そっちに任せるのがいいんだ、これは原理原則でございまして、それ自体は正しいんです。しかし、今の鳥獣被害のように、各自治体によって温度差もあったり、あるいは、取り組みの時期や何かの遅い早いもあったりしている中で、農家の立場に立つと、すぐ目の前で物すごい被害を受けているわけでございますから、これは早急に、国としても全国的に取り組んでいかなければいけない、こういう要請がもう一方であるわけでございます。そのことを先生は今主張されていることだろうと思っておりまして、その点、全く理解できるわけでございます。

 これは、事業仕分け等々でも、農水省の主張として、ほかの項目に関してもそうでございますが、今までも強調してまいりましたし、これからも強調していきたい、主張を強めていきたいというふうに思っております。

谷委員 副大臣の決意はわかりました。

 ただ、副大臣、これは温度差があるというあれじゃないんですよ。現実に、私がこの事業仕分けの判定で一番頭にくるのは、それぞれの地域でばらばら、対応が地域に応じたことをしなければならないから地方に任す。任せたらどうなりますか、現実にどうなるのか。では、自治体は金があるのか。地方に任す、そのための金の手当てをしっかりしろとでも書いていればともかく、何にも書いていないんです。書いていなくて、これは国の仕事ではない。

 そして、何と、県をまたがる動物の移動等に関する情報管理に国は特化すべき。何を言うているかと。そもそも、情報を今持っていると思っているのか。国のどこの省庁が持っていますか、これ。私の知る限り、持っていないですよ、そんなもの。だって、都道府県の段階で、こういう野生動物について持っている研究機関は、私の知る限り、我が兵庫県だけです。国はないですよ。国でもないんです、こんなこと。何もないのに、こういうことを平気で言う感覚というのは信じられません。ぜひ、これは頑張っていただきたいと思います。

 昨年秋の判定で、出て、それに唯々諾々と従ったから私は声を大にして言っているんですよ、事業仕分けに出て、何で昨年反論しなかったのかと。昨年は従って二割減ですよ。それでは余りに、こんなことをやっていては、国として、農水省として耐えられへんと。

 それで、来年度、単年度ではありますけれども、百億という額にも補助金というやり方にも私はもう一つだと思いますけれども、それはともかくとして、ともかく、今までに比べるとこういう大きな要求をされているわけです。

 昨年の反省を踏まえて、ぜひこれは頑張っていただくというのか、私が頑張ってほしいというのではなくて、頑張らなくては農水省の信頼をなくしますよということを再度お話しさせていただいて、大臣の決意をお尋ねしたいと思います。

鹿野国務大臣 鳥獣被害は大変深刻な状況にあるということは、私も山形でございますから、十分承知をいたしておりまして、また、各都道府県からも、その深刻な事情について強い要請を承っております。

 そして、きょう谷委員の方から改めて、この問題に対する取り組みについて言及があったわけでございまして、この実態、実情、本当に重要な問題として取り組んでいかなきゃならないということを、筒井副大臣からも今申し上げましたけれども、私ども、関係方面に対してしっかりと説明をしてまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。

谷委員 大臣の踏ん張りを期待いたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

山田委員長 次に、西博義君。

西委員 西でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 初めに、民主党の農業政策について、ちょっと大きなテーマでございますが、お伺いをしたいと思います。

 民主党のマニフェストを拝見しますと、私の感じるところは、戸別所得補償制度と、それから今回提出されております六次産業化、この二つが農業政策のいわば二本柱、こういうふうに私には思えます。

 六次産業化という用語に関しては、法案上「農林漁業及び関連事業の総合化」、若干先ほども副大臣から御答弁がございましたけれども、さまざまな言い方ができるだろうという話はありましたけれども、こういう用語も使われておりまして、六次産業化が農林漁業及び関連事業の総合化という言葉に置きかえられても支障がないというふうに私には思えます。六次産業化は、イメージを説明するにはいいとしても、産業分類上の概念でもなくて、法律用語にするというのは私は必ずしも適切ではない、こういうふうに思っております。

 この六次産業化という野心的なネーミングとは裏腹に、農林漁業政策の大きな柱の一つというふうに考えるには、対象範囲それから支援措置等が余りにも限定的であって、輸出面や海外からの農業投資面等における広がりも見られない。

 民主党は農林漁業にどういう産業の展望を開こうとしているのかということをまずお伺いしたいと思います。また、六次産業化法案は農林水産政策にとってどのような位置づけになっているのかということもあわせて、大臣にお伺いをしたいと思います。

    〔委員長退席、梶原委員長代理着席〕

鹿野国務大臣 私どもの基本的な考え方につきましては、今、西先生からお触れいただきましたけれども、基本的に、これからの農業政策として、再生産というところに結びつく、こういうようなことが非常に大事なことだ。このようなことから、農業者戸別所得補償制度の導入。そして、今、農村社会の疲弊した状況を見たときに、いかにしてそこに働く場所を創造していくかというようなこと等々、やはり新たな魅力を地域社会につくっていかなきゃならない。このようなことから、六次産業化という、第一次産業をそういう一つの成長産業に持っていくというようなことが大事なことではないか。もう一つは、やはり、国民総じて求めておるところの食の安全、安心の確保。こういうようなことをいわば三本柱として取り組んでいきたい、こういうふうに思っておるところでございます。

 そういう中で、特に六次産業化というものは、これからの我が国の戦略的成長というようなことを考えた場合でも、やはり欠くことのできない重要な位置づけだというふうに思っておるところでございます。

西委員 位置づけについては理解させていただきました。この六次産業化という考え方も、今後の農業政策の中で重要な位置づけというお話でございました。

 この中で、「農林漁業経営の改善」、これは非常に大事なことだと思いますが、こういう目的が掲げられておりますけれども、この法案の、経営主体についてです。あくまでも農林漁業者というふうになっておりまして、私がちょっと拝見しました六次産業化法案のQアンドAという農水省の資料ですが、これによりますと、加工、販売のノウハウを有する異業種の方が参画することも可能ですが、農林漁業者が経営等の意思決定権を持っていることが条件である、こういうふうに、あくまでも農林漁業という一次産業が主体でこれが回っていくというような書き方になっております。

 農林漁業者と組織を構成する商工業者、それから協力者と位置づけられている促進事業者、この方たちは経営の意思決定権を持てないというふうに理解してよろしいでしょうか。

    〔梶原委員長代理退席、委員長着席〕

筒井副大臣 意思決定に参画することができるという結論なんですが、一つは、総合化事業においては、総合化事業計画を農林漁業者等と一緒に立てて、この支援対象になることによってまず参画できますし、その総合化事業計画の中に農林漁業者等と一緒に参画しないとしても、促進事業者としてこの六次産業化の支援をするという形でこの法律の支援の対象にすることができる、さらには、研究開発という形での認定も受けることができるということでございますから、農林漁業者以外の人たちも具体的な参画ができるというふうに考えております。

西委員 もちろん、六次産業ですから、第一次産業、第二次産業、第三次産業、すべてが関係するわけですけれども、経営の意思決定、だれが主体的にこれを経営していくかということは大変大事なことです。このことについて、先ほど、促進事業者というふうに、さまざまなケースをおっしゃられましたけれども、そういう人たちが経営の主体者としてこれを引っ張っていくという観点はこの中には含まれているのか、もう一度、はっきりとお答えいただきたいと思います。

筒井副大臣 先ほども申し上げましたが、総合計画を農林漁業者と一緒に立てるということでもまず意思決定に参加ができますし、総合計画を農林漁業者と一緒に立てない促進事業者としての立場でもその事業に参画することができる、その範囲での意思決定ができる。そして、もう一つの項目として挙げたのが研究開発の方、これは、みずからの意思決定で事業を行ってこの法律の支援の対象になることができる。こういう三段階でお考えをいただきたいなというふうに思っています。

西委員 もう一つわかりにくいんですけれども。

 どうも、その三段階を見ていますと、それぞれが側面的な支援、研究も含めて、促進事業者も含めて。あくまでも農業者というものが主体であって、そこに、計画段階での企画に参画するとかそういうことであって、日々の経営の主体者というものは必ず第一次産業従事者でなければいけないというふうに聞こえるんですが、そうではないというふうに理解していいんですね。もう一回言ってください。

筒井副大臣 そうではなくて、実際に一緒に参加をする場合には、側面的なものだけではなくて、まさに共同してやるわけですから、意思決定の主体になるかと思います。

 ただ、先生が言われる、農林漁業者じゃない人たちが全面的に主体になった場合には、これは今度は農商工連携法との関係が出てきますし、そっちの方の範囲に入ってくる、ちょうどその分水嶺になるんだろうというふうに思っております。

西委員 第一次産業が側面から応援するというケースはあり得ないというふうに簡単に理解していいですね。促進事業者が第一次産業従事者、農業者、主体者が工業であり商業であるというケースは、これはこの法律には入らないというふうに理解したらいいですか。

筒井副大臣 それも、先ほどの研究開発の部分では、そういう場合も入るということになります。

 ただ、総合事業化の場合には、農林漁業者が主体で、それと一緒に他の、異業種の人たちが行う事業の場合ですから、農林漁業者が他の事業の人を側面から支援するという形は対象としては考えていない。

西委員 よくわかりました。

 私どもは、そこはもう一つ乗り越えた方がうまくいくのではないかな、あくまでも農林漁業者しか厳密な意味での経営者、主体者になれないというのは限界があるんじゃないかなという感想を持っております。

 六次産業化法案QアンドAを読みますと、いわゆる農商工連携法は、農林漁業者と中小企業の双方の経営改善を目的とするものであるため、両者が連名で農商工連携計画を策定する、これが必須な要件となっています。また一方、六次産業化法案は、これは農林漁業者の農林漁業経営の改善を目的とするものであるため、農林漁業者が総合化計画を策定する。先ほど副大臣が答弁されたとおりだと思います。すなわち、農林漁業者等だけの取り組みでも総合化事業の対象になり得る、こういうことになっております。

 そういう意味では、農林漁業者だけの取り組みでもこれの対象となるというふうな、ある意味ではメリットというふうに見られますが、農商工連携のような対等な関係があってもよかったというふうにも思いますし、その可能性から開ける部分もかなり多いのではないか。

 経営的な感覚、私は常々言うんですが、農林漁業者は、篤農家はいるけれどもなかなか立派な経営者は少ない。少しでもいいものを、少しでも収量の多いものをつくろう、そういう意欲はよく感じるけれども、これをいかに高く売るかということはやはりまだまだ十分ではない。そういう意味では、経営という感覚を他の業種から取り入れるということを考えた方が、もちろん共同でやるということが前提ですけれども、うまくいくのではないかというふうな気がしておりまして、その方がメリットが全体的には拡大していくのではないか、こう思いますが、いかがでしょうか。

筒井副大臣 おっしゃるとおりでございまして、だから、先ほども、近い将来には農商工連携法との法律自体の統合を考えていけば、今先生が言われたことを完全な意味で実現できるんだと思います。

 ただ、それに至る過程においても、現在の法律でも、農林漁業者でない人たちが主体となった場合にはちょっと問題が起こりますが、共同してやった場合にはこの法律の対象にすることができるわけでございますから、先生の言われた趣旨は、現在の法律でもほとんど実現すること、図っていくことができるというふうに思っております。

西委員 六次産業化、地産地消、それから農商工連携、だんだんとやはり、これからの農業のあり方といいますか、そういうものの方向性が、当委員会でもいろいろな議論の中でも集約されてきているのかなというふうに私自身は思います。

 日本の、立派な農業の農産物、漁業も含めて、これをいかに価値を高めていくかという側面を追求していくためにどういう仕組みがいいかという意味では共通しておりますので、さらにまた、さまざまな議論を積み重ねていきたいと思います。

 がらっと話がかわります、話題がかわりますが、先日テレビで、ミドリムシを使った事業を行っているベンチャー企業の紹介がございました。

 ミドリムシというのは田んぼの中に青々とたくさんできるものですが、ミドリムシは、植物のように光合成を行って栄養分を体内に蓄えることができて、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、カロテノイド、不飽和脂肪酸など、人間に必要なほぼすべてと言っていい五十九種類の栄養素をつくり出すことができる、こういうふうに言われております。これは、ミドリムシですから、動物、虫です。虫であると同時に、植物のような光合成作用を持っている、こういうものです。

 このような高い栄養価を持つミドリムシは発展途上国などの栄養不足を解決するのに有効だと思ってその人は研究開発に取り組んできた、こう言っておりました。この企業の活動が、食品や飼料としての活用だけにとどまらず、化粧品、バイオ燃料、さらには、発電所や鉄工所から出る高濃度の二酸化炭素の吸収源など環境関連技術への応用と、さまざまな分野への活用に広がりを見せている、こういうふうに言われておりました。

 先ほどの六次産業化法案の審議を行っているここでこのベンチャー企業の取り組みを紹介したのは、この事業がある意味で六次産業化ともいうべき姿をあらわしているというふうに思ったからでございます。以前、この農林水産委員会で、米の有効成分について、医学、食品、その他工業での利活用に取り組んでいる企業がある、こういうふうに御紹介したことがあります。こんな取り組みも、先ほど紹介したミドリムシと同様に、広がりを持っている取り組みです。

 第二次産業と位置づけられるこれらの企業、いわば製造業ですね。この企業は六次産業化法案の対象とはならないわけですが、しかし、六次産業化というものは、従来の産業分類の枠組みを超えて初めて生きてくるわけで、そこのところは、常に一次に軸足を置いてという発想というのは、私は、こういうケースからしましても、もう少し拡大した考え方、先ほど副大臣が、これにとどまらずこれからもさらにいろいろな議論を積み重ねていく必要があるというふうに御答弁なされましたけれども、もう一度お考えをお聞かせいただきたいと思います。

筒井副大臣 今言われたこと、詳しい事業の中身まではわかりませんが、今聞いた範囲では、私は六次産業化の範囲に入ると思います。現在は一般企業があるいはその事業をやっておられるんですか、たとえそうだとしても研究開発のところに入ってくるし、それは、将来の農村の振興のために貢献する、そういう点で、六次産業化の対象にすることができるというふうに思っています。

 今おっしゃったように、まさにこの六次産業化の中身は広く考えていくべきで、一つは、農林水産物を加工し流通する、特に食品関係を加工し流通するということがあるわけでございますが、もう一つは、農山漁村に存在する資源、未利用の資源を含めて、今言われたミドリムシですか、それに雑草とか間伐材とかも含めて、さらには、先ほど地産地消のところで、鳥獣被害のところでありましたイノシシやその他の鳥獣、これらも農山漁村に存在する資源でございますから、それを活用して新しい事業を創出していく、これもまさに六次産業化の柱、大きな、太い柱だというふうに思っています。それらについて、輸出も含めた、あるいはレストラン化も含めた、それらの活動をすることが農山漁村の振興につながっていくものだというふうに思っております。

西委員 一つは植物工場とか、このミドリムシも、実は、水田で繁殖させて使うということを必ずしも考えているわけじゃなくて、要するに工場的な生産、または、高濃度の二酸化炭素を吸収させるという何か装置を考えて、その中で使うとかいう、今の概念では一次産業から出発しているとは必ずしも言えないような、確かに、葉緑素が含まれていますから植物の一種というふうには言えるんですが、あいまいな面もあります。

 副大臣がおっしゃられたように、拡大解釈をしていろいろなものをこの中に取り込んで発展を促していくという方向は私は賛成ですが、そういうことの一例として申し上げさせていただきました。

 続いて、輸出について申し上げたいと思います。

 公明党は、旧政権に参画してから、農業政策については、それまでの生産政策に偏ったあり方を是正して、販売、消費など需要政策も重視する政策を講ずるよう努力してまいりました。地産地消の推進初め、輸出促進など具体的な施策を盛り込んだ提言を具体的に行ってまいりました。

 例えば、平成二十年六月の提言、食料自給率五〇プラン、五〇%の意味ですが、輸出促進策として以下のようなことを提言しております。「輸出支援体制の整備」としては「ジェトロの農林水産物輸出支援体制の強化、農林水産物輸出ゲートウェイの開設、輸出プロモーターの登録制度など」、それから「輸出環境の整備」としては「検疫協議の推進、知的財産保護と商標登録問題への対応強化」、その他では「在外日本食レストランや海外在住者向けへの日本食材の供給促進、特定保健用食品などの健康志向食品・飲料の輸出促進、地方産品の輸出支援」、こんなことを具体的に提案してまいりました。また、この委員会でも、海外から長粒米などを請負生産し、輸出することなど、たびたびいろいろな提言を行ってまいりました。

 六次産業化法案QアンドAによると、農林漁業者等がみずから生産した農林水産物等やその加工品を新たな国内の輸出業者または海外のバイヤーに直接販売する取り組みは総合化事業の対象となりますので、事業計画の認定を受けた場合は支援措置の適用を受けることが可能となります、こうあります。

 この法案に盛り込まれている支援措置としては、金融措置、それから農地法の特例措置、それから出願料の減免措置というものが並んでおりますけれども、輸出の促進に結びつくものは残念ながら見当たらないように思います。どのような支援が受けられるのか、その支援策というのがどのような効果をあらわすのかということについてお尋ねをしたいと思います。

筒井副大臣 金融上のものには、無利子の融資等々いろいろな法律の適用を行うという形になっておりますし、先ほど申し上げました六次産業化プランナー、あるいは技術研修、交流会、商談会等は輸出業務にも適用になるわけでございまして、それらについて、全国的に開催したり地域で開催したり、あるいは外国で開催したりというものについて支援していく。さらには、例えば中国に食品の展示兼即売館を建設するとか、そういう事業についてもいろいろな形での支援をしていく。これらが今考えられる方向だというふうに思っております。

西委員 昔、ある大臣が攻める農業というお話をされたことがございますが、私どもも、守りだけではなくて、やはり、日本の安心、安全な、すばらしい農産物を輸出するということについても全力で支援をしていきたいと思っておりますので、その点もしっかり頑張るように要請をいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山田委員長 次に、吉泉秀男君。

吉泉委員 社会民主党の吉泉秀男です。

 世界の国々が注目をいたしましたAPECも閉幕をいたしました。そして、菅総理はTPPにオブザーバーということで参加をいたしまして、それぞれ生産者さらには多くの人々から、いろいろな不安さらには期待、どうなっていくのか、こういうところで大きな波紋を投げかけております。そうした中で、大臣の方は、これからの農業について、閣僚会議含めて、そのメンバーの中で、これからの対応、こういうふうにお伺いをしているところでもございます。

 しかし、農業のこれからのあるべき姿、このことについては、基本法に基づいて、ことしの三月、食料・農業・農村基本計画を策定したわけでございます。そして、この計画、これからの向こう十年間を展望し、そして五年ごとの見直し、こういう一つのものでございます。この計画の中のものについて、所得補償制度そして六次化法案、このところがまさしく車の両輪のごとく、二つで、一つの課題に基づいて、農業が抱える課題、この部分を克服しながら、産業として大きく地域を守ってやっていこうという部分がこの両輪なんだろうというふうに私は思っています。

 しかし、現実に、今の段階において、戸別所得補償の問題についても、米の大幅下落、こういう状況。そして、大変期待をしている、いわゆる総合産業としての六次化、この部分がずっと成立をしなくて、そのまま今も審議の状況になっています。意欲のある方については、それぞれ、今、地方の農政事務所の方に行きながら、これから自分はいわゆる二次産業、三次産業に進出をしたい、こういう状況の中で相談もなされている、そういうふうにも聞いています。

 しかし、今の現状、今置かれている状況はこうだ、そしてTPPの参加、今の生産者が置かれている状況については、本当にどうなっていくのか、こういうふうな不安と焦り、この部分が大変あるというふうに思っています。そうした面の中で、これからこの参加の問題も含めていろいろな課題、さらにはどういう方向へ行くのか。

 でも、基本的には、基本計画に基づいたこの二つの進め方、このところが私はずっとやはり基本にならなければならないんだろうというふうに思っています。

 そういう面の中で、まだ基本計画が策定をされて一年もないわけでございますけれども、そうした現状を踏まえながらの大臣としての今後の考え方、さらには決意、こういった部分についてまず冒頭お伺いさせていただきます。

鹿野国務大臣 ことしの三月に閣議決定いたしました食料・農業・農村基本計画というのは、今、吉泉委員がお触れのとおりに、食料自給率五〇%の達成を目標にしていく、こういうこと。そして、食の安全、安心の確保をいかにしてしっかりとやっていくか。そしてもう一つは、六次産業化によって農山村地域に活力を生み出していく。これを三本柱にいたしまして閣議決定がなされたわけでありますけれども、これはもう着実にこれからも進めて、推進をしていきたい、この考え方には変わりございません。

 その中で、今TPPの言及があったわけでありますけれども、TPPに参加をするというふうに決めたわけでもありませんし、そういう意味ではこれからの判断というふうなことになっていくわけでありますが、これからの農業というものを成長産業化していくということにおいては、やはり市場の拡大ということも含めてEPAを推進していく、こういうようなことはこれからも求められることでございますので、そういう中で、この基本計画を踏まえながら、どういうふうに国際化に対応していくかというようなことは、これは一体となった形で当然検討していかなきゃならない、こういうふうに思っております。

吉泉委員 大臣のこの間の努力、大変敬意を表させていただきたい、こういうふうに思っています。

 しかし、現実に、それぞれマスコミの方から、前向き前向き、参加の方向、こういうふうな状況が流されていく中で、やはり生産者自体も、大変焦り、不安、この部分がまた高まっているということも事実でございます。そしてまた、大幅な下落、こういった部分と相まって、どうやってやっていこうか、こういう部分がやはり交差している、そういう今日の状況だ。そのことを踏まえて、しっかり大臣の方は頑張っていただきたいなというふうに思っております。

 副大臣の方から、今の六次化法案の部分について、これまでの連携、そして今度は、この連携の部分と、二次、三次の方に進出というふうなことの中で、これまでの農商工連携法との違い、こういう部分が今の段階で答弁がなされたわけでございます。

 その中で、自分自身も思うわけでございますけれども、二十年から進められてきたこの法のもとで事業がどんどん拡大もされてきたんだろうというふうに思っています。この農商工連携の中で、特に農業分野における一つの成果、そしてまた足りなかった部分、そしてまた予算を投じながらこの二年間やってきた一定のまとめ方、こういう部分を、一つは、今の段階で明らかにしていただきたい、こういうふうに思います。

筒井副大臣 六次産業化という言葉と農商工連携という言葉と地産地消と、今三つがいろいろ言われているわけですが、六次産業化というと一番広いわけでございまして、六次産業化の中には農商工連携も入るし、地産地消も入る。ただ、ここでの法律は、農林漁業者等による六次産業化に限定をしている点で、別に農商工連携法を侵しているわけではないということになるんだろうというふうに思います。

 そして、農商工連携法、今成立してから二年ぐらいでございますが、例えば規格外の農産品を使っていろいろな、シャンプーとか何かまで含めたもの、あるいは酢を含めた、ポン酢とかそういうものを含めた産品を製造して販売している。あるいは、もう売れなくなる摘果したミカンを使って新しい商品を開発して販売していく。これらの事例が、今四百ぐらいの事例ですか、認定されているのがあるわけでございまして、この四百ぐらいの事例が多いか少ないかは別にしまして、それらの取り組みを農商工連携法に基づいてやっているわけでございます。

 中には、既に今の時点でもうけを上げているのも結構ありますから、もうそれでそれは成功なんだとここで認定してもいいのかもしれませんが、やはり二年、三年ぐらいの期間を経て、そういう、成功あるいはそうでないという評価をすべきなんだろうなというふうには考えておりまして、まだ最終的な評価ができるような時期ではないんじゃないかなというふうに思っております。

吉泉委員 農業を産業として大きく育てていく、このことは、だれもが頑張らなきゃならないな、そういうふうに思うわけでございますけれども、自分自身、ここまで行くについて、生産から加工、販売、そしてまた市場調査、販売戦略を立てる、そしてまた研究開発、そしてまた金融を含めた経理、こういう全体な部分を身につけていかない限り産業として、または経営者として成り立つ、この部分については非常に難しいだろうし、この部分については私は最低の条件だろうというふうに思っているところでございます。そんな面の中で、そういった部分をクリアして頑張ってきている、そういう農家、生産者、そしてまた大きく育った法人、これもございます。しかし逆に、産直センターなり建てて、つぶれたところも数多くあります。

 こういう状況を見たときに、もっともっとスピード感ある、そういった一つのやり方、進め方、その部分が必要だというふうにも思っております。ですから、総合産業として、さらには研究開発としてそれぞれ受け付けるよというふうなところがこの六次化法案の中に入って、これから進めていく、そういうふうになっているわけですけれども、これが今まだとまっているわけでございます。

 そしてまた、一方、中山間地、さらには平場の段階についても不利な条件のもとで集落営農を核として地域を守って、そして独自のブランドをつくって頑張っている生産者の、集落営農のほかの段階の、この地域に住んでいる銀行マンだとかそれから公務員だとか、そういう人方の力もかりて、そして何とかこの地域を守っていって、中山間地も含めた、今の財産、農業、農地、山、こういった部分で頑張っている例もいっぱいあるわけでございます。そして、この人たちは、まさに環境分野も視野に入れた産業おこし、この部分にもやはり努力をしている、そういう現状にもございます。

 そんな面の中では、この六次化法案、まさにこれからの、農業を産業としてやっていく、そういう一つ一つの、スピード感ある進め方、この部分が急務になってきているというふうに私は思っております。

 そんな面の中から、これからこの六次化法案、今の現状の中で法案を早急に通し、そしてまた通った段階で、予算の問題も含めて、具現化はいつごろになっていくのかということについてまずお伺いをさせていただいて、あと時間ないんですから、そんな面でちょっとこれからの考え方、日程的な部分を含めてお伺いしたい、こういうふうに思います。

田名部大臣政務官 済みません。時間がないのにのろのろ歩きでごめんなさい。

 先生の御指摘されたことは非常に重要でありまして、例えば、農林漁業者をしっかりサポートしていくための人材の育成や体制をつくること、そして新たな研究開発に対する支援、そして事業化の見込まれるものに対しての支援、さらには集落営農に関しても、地域の農業をいかに発展させていくかという点では、集落営農の皆さんにもこの六次産業化にしっかりと取り組んでいただいて、そして高付加価値化をした新たな商品をつくっていただき、それでさらに地域やまた農業を活性化していただきたい、そういうふうに思っておりまして、それらすべてを総合的にとらえ、その対策にしっかりとこの法案の中で取り組んでいきたい、そのことに具体的に取り組んで実行していきたいと考えているところであります。

吉泉委員 農業は、今、まさに市場原理、こういうふうな部分が先行される、そういう状況もあるというふうに思っていますけれども、しかし、農業は命を守る産業だ、このことをやはりしっかり私は唱えながら、これからの六次化法案等含めて、農業を中心としながら地域おこしに踏ん張っていただくようお願いをしながら、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山田委員長 次に、石川知裕君。

石川委員 無所属の石川知裕でございます。

 質問するに当たりまして、民主党、与党の中から、また自民党の方にも御理解をいただいて、お時間をいただいたことに感謝申し上げたいと思います。石津先生も、二十分という短い時間であればお願いしなかったんですが、本当に心から感謝を申し上げたいと思います。

 さて、今回の法案でありますけれども、名称等でもめたと聞きました。しかし、与党も野党も思いは同じだと思います。どうやって地域おこしをしていくのか、そしてそのためには農林漁業者の所得を確保して、そしてそこで雇用を確保していこう、そういう思いの中で法案づくりに取り組まれたと思います。公共事業の削減や、製造業の工場が海外移転される中で、どんどん地域が疲弊していく、そうした中で、一村一品運動ですとか地産地消ですとか、または六次産業化、これによって地域を元気にしていこうというあらわれだと思います。

 ただ、大変心配をしているのは、ただ制度をつくるだけでは、本当に農林漁業者の方々が元気になって地域が元気になることができるのかということを私は大変危惧いたしております。

 今、中小企業の方々または農業者の方々が地域おこしをするためには幾つかの制度があります。一つは中小企業新事業活動促進法、新連携、また中小企業地域資源活用促進法、地域資源活用法、そして二年前にできた農商工連携促進法でございます。

 今回の六次産業化というのは、農商工連携は農林水産業者のメリットが少ないのではないのかという指摘もある中で、農林水産業者の所得確保そして雇用増大による地域おこしを目指したと思います。

 私も、二年前、農商工連携のときに質問に立たせていただきました。その後、事例を調べさせて、去年もまた質問に立たせていただきました。農商工連携は、農業者と中小企業者、これが有機的な連携を行って、今回は融合という話でありましたけれども、まあ言葉はどっちでもいいんです、農業者の方が元気になって、地域が元気になればいいわけですから。しかし、制度をつくっても、私が地元にいて感じるのは、実は、既に力を持っている農業者の方々または中小企業者の方々が、その制度に合わせて乗っていくだけの法案に、制度になりはしないのかという危惧があります。

 私が三百ぐらい農商工連携の事例を調べて、同一の人や企業が行っているというのが大体十一個ありました。一つ例に挙げると、例えば、ツツイという農業者がある物をつくった、株式会社ニイガタがそういう製品を探していた、この二人が融合してこういうものができた。二人は同一人物なんですよ。そういうのが幾つか見られる。

 今回も、この六次産業化法案をつくって、この制度に乗るためにいろいろな資料だとかアイデアだとかを持っていかないといけないですよね。そのために大事になるのが、今回の六次産業総合推進事業という中で、先ほどから出ていました六次産業化プランナーというものをつくって、ここのポンチ絵に書いてあるのは、「六次産業化プランナーが個々の農家をサポート(手とり足とりアドバイス、情報提供)」「六次産業化プランナーが、案件の発掘から農林漁業者等への専門的なアドバイス、申請書類の作成等を行う。」ということが書いてあります。

 二年前、農商工連携が発足した後、私の地元の帯広市というところで、商工会議所の工業委員会がアンケートを行いました。コーディネーターの利用について、国の支援策であるコーディネーターの利用希望、必要か必要でないか。希望はわずか一八%でした。

 これは能力にもあると思います。私もそのときちょっとお話を聞いたんですけれども、当然、能力にも、それぞれ個々ですから限界があります。今回、まずは各都道府県に四、五人程度。北海道は十四支庁あって、これで、果たして四、五人程度でこの六次産業化プランナーが本当に機能するのかどうかという懸念もありますし、もう一つは、六次産業化プランナーをたとえつくったとしても、それぞれ個人の能力の違いによって、これは農業者の方が自分で案件を発掘するのは無理ですから、そういうところに相談に行こうというわけですよね。でも、なかなかそういう能力を持っていない。

 そこで、この六次産業化プランナーが必要なんでしょうけれども、私は引き出しをつくらなきゃいけないと思うんですよ。そこに行ったときに六次産業化プランナーの人が、いや、あそこの地域にはこういう技術がある、あそこの地域にはこういう農作物があると。これは、農商工連携のときに経産省の方にもそうしたものをつくらなきゃいけないと言ったんですけれども、なかなかそういうものができませんでした。

 もう時間もないので、一つは、こういう引き出しをつくるのかどうかということだけお答えをいただきたいと思います。

筒井副大臣 前段で言われました、Aという農業者がBという会社と連携をして事業を行う、そのBの代表者がAであるという、これは事実上同じ人間じゃないかというふうな趣旨のことを言われました。これは、農林漁業者等による六次産業化としては全然問題ない形になるわけでございます。ただ、それが農商工連携になった場合に、場合によってだめなものもあると思いますが、だめかというとそうでもないと思っているんです。きちんとBという独立の法人格を持って、その社長がAという農業者であるということであっても、独立法人格であれば、これは農商工連携に適合するんだろうなというふうにも思うわけでございます。

 それから、六次産業化プランナーについて、これはまさにおっしゃるとおりで、やはり人材育成が一番大事で、幾らプランナーという名前がついていても、プランナーとしての能力、行動力がなければ進展しないわけでございますから、そのための引き出しというのが具体的にどういうものになっていくか問題でございますが、しかし、そのプランナーの人材育成、これが極めて大きな課題であるということはおっしゃるとおりだというふうに思っております。

石川委員 時間が来たので終わります。ありがとうございました。

    ―――――――――――――

山田委員長 この際、お諮りいたします。

 第百七十四回国会、山本拓君外四名提出、国産の農林水産物の消費を拡大する地産地消等の促進に関する法律案につきまして、提出者全員から撤回の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山田委員長 第百七十四回国会、内閣提出、農林漁業者等による農林漁業の六次産業化の促進に関する法律案について議事を進めます。

 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山田委員長 この際、本案に対し、佐々木隆博君外五名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、公明党及び社会民主党・市民連合の四派共同提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。宮腰光寛君。

    ―――――――――――――

 農林漁業者等による農林漁業の六次産業化の促進に関する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

宮腰委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 我が国の農林漁業及び農山漁村は内外のさまざまな問題に直面しており、農林水産物価格の低迷等による所得の減少、高齢化や過疎化の進展等により農山漁村の活力が著しく低下している中、農林漁業の振興を図る上で、農林漁業経営の改善及び国産の農林水産物の消費の拡大が重要であります。

 このため、一次産業と二次産業、三次産業の総合的かつ一体的な推進を図り、地域資源を活用した、新たな付加価値を生み出す六次産業化の取り組みと、地域の農林水産物の利用を促進することによる国産の農林水産物の消費を拡大する地産地消等の取り組みとを総合的に推進することが、農林漁業の持続的かつ健全な発展、農山漁村の活力の再生、消費者の利益の増進、食料自給率の向上等に重要な役割を担い、さらには、こうした取り組みが環境への負荷の低減に寄与することが大いに期待されるものと考え、本修正案を提出するものであります。

 以下、その内容を申し上げます。

 第一に、法律の題名を地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律とするものであります。

 第二に、制定の理念を宣明するため、前文を加えることとしております。

 第三に、法律の目的を「農林漁業の振興を図る上で農林漁業経営の改善及び国産の農林水産物の消費の拡大が重要であることにかんがみ、農林水産物等及び農山漁村に存在する土地、水その他の資源を有効に活用した農林漁業者等による事業の多角化及び高度化、新たな事業の創出等に関する施策並びに地域の農林水産物の利用の促進に関する施策を総合的に推進することにより、農林漁業等の振興、農山漁村その他の地域の活性化及び消費者の利益の増進を図るとともに、食料自給率の向上及び環境への負荷の少ない社会の構築に寄与すること」に改めることとしております。

 第四に、「農林漁業の六次産業化」の文言を「地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等」に改めることとしております。

 第五に、「地域の農林水産物の利用の促進」について、定義、基本理念、国及び地方公共団体の責務等、財政上の措置等、基本方針、都道府県及び市町村の促進計画及び地域の農林水産物の利用の促進に関する施策の規定を追加することとしております。

 以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

山田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

山田委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 第百七十四回国会、内閣提出、農林漁業者等による農林漁業の六次産業化の促進に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、佐々木隆博君外五名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山田委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山田委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

山田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十一分散会


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