第7号 平成23年3月30日(水曜日)
平成二十三年三月三十日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 山田 正彦君
理事 梶原 康弘君 理事 佐々木隆博君
理事 津島 恭一君 理事 仲野 博子君
理事 柳田 和己君 理事 谷 公一君
理事 宮腰 光寛君 理事 石田 祝稔君
網屋 信介君 石田 三示君
石山 敬貴君 今井 雅人君
大串 博志君 岡島 一正君
加藤 学君 金子 健一君
近藤 和也君 篠原 孝君
田名部匡代君 高橋 英行君
玉木雄一郎君 筒井 信隆君
道休誠一郎君 中野渡詔子君
野田 国義君 松木けんこう君
皆吉 稲生君 山岡 達丸君
山口 和之君 吉田 公一君
伊東 良孝君 今村 雅弘君
江藤 拓君 小里 泰弘君
北村 誠吾君 坂本 哲志君
谷川 弥一君 保利 耕輔君
山本 拓君 吉野 正芳君
西 博義君 吉泉 秀男君
石川 知裕君
…………………………………
議員 高市 早苗君
議員 谷 公一君
議員 吉野 正芳君
議員 谷川 弥一君
農林水産大臣 鹿野 道彦君
農林水産副大臣 篠原 孝君
農林水産副大臣 筒井 信隆君
農林水産大臣政務官 田名部匡代君
農林水産大臣政務官 吉田 公一君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 徳久 治彦君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 加藤 善一君
政府参考人
(林野庁長官) 皆川 芳嗣君
農林水産委員会専門員 雨宮 由卓君
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委員の異動
三月三十日
辞任 補欠選任
石原洋三郎君 山口 和之君
道休誠一郎君 皆吉 稲生君
松木けんこう君 岡島 一正君
伊東 良孝君 坂本 哲志君
小里 泰弘君 吉野 正芳君
同日
辞任 補欠選任
岡島 一正君 松木けんこう君
皆吉 稲生君 道休誠一郎君
山口 和之君 石原洋三郎君
坂本 哲志君 伊東 良孝君
吉野 正芳君 小里 泰弘君
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三月三十日
森林法の一部を改正する法律案(高市早苗君外十六名提出、第百七十六回国会衆法第一六号)
は委員会の許可を得て撤回された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
森林法の一部を改正する法律案(内閣提出第二九号)
森林法の一部を改正する法律案(高市早苗君外十六名提出、第百七十六回国会衆法第一六号)
森林法の一部を改正する法律案(高市早苗君外十六名提出、第百七十六回国会衆法第一六号)の撤回許可に関する件
お茶の振興に関する法律案起草の件
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○山田委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、森林法の一部を改正する法律案及び第百七十六回国会、高市早苗君外十六名提出、森林法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
この際、お諮りいたします。
両案審査のため、本日、政府参考人として林野庁長官皆川芳嗣君、文部科学省大臣官房審議官徳久治彦君及び大臣官房審議官加藤善一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○山田委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。梶原康弘君。
○梶原委員 民主党の梶原康弘でございます。
三月十一日に発生した東北・関東大震災で亡くなられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災した多くの皆様に心からお見舞いを申し上げます。
三陸沿岸の漁村あるいは仙台平野の穀倉地帯、日本の原風景というべきものであって、そこには人々の営みがあって、文化や産業や町が息づいていた。日本人にとって、まさしくふるさとというべきものであったというふうに思います。
そうした農山漁村が壊滅的な被害を受けたわけでありますけれども、次代の日本のために農林漁業、第一次産業を再生しようという意味で、当委員会は意識を共有しているというふうに思います。被災地の復旧復興が日本再生の原点であるという思いで取り組んでいかなければならないというふうに思っております。既にいろいろな要望が出されていると思いますけれども、やれることは何でもやっていただきたい、特別な事態でありますから特別な対応をしていただきたいというふうに思います。
この復旧復興については、国家を挙げて主導していくべきものでありますけれども、縦割りではいけない。ただ、多くの省庁にかかわっている問題でありますから、一元的な組織を持って、強いリーダーシップを振るっていただきたい。そして、いろいろな知恵や工夫を総動員してやっていただきたいというふうに思っております。
いろいろな意味で再編が迫られるというふうに思いますけれども、単なる合理化や集約化あるいは大規模化ということではなくて、地域の声を尊重した、地域に根差したものでなければならないし、また、環境やエネルギー、そんな課題にこたえるものであってほしいというふうに思います。
具体的なことはこれからでありましょうけれども、どう再生をさせていくのか、被災地に希望の光が差すような、そんな大臣の決意あるいは基本的な考えをお聞かせいただきたいと思います。
○鹿野国務大臣 今回の想像を絶する大震災、この被害に遭われた漁業者そして農業者の方々、被災地に対しまして、今、人命救助と食料供給ということに全力を挙げておるところでございますけれども、漁業者の方々あるいは農業者の方々が、果たしてこれからどう生きていったらいいか、大変な、考えられないぐらいの困難な問題を抱えての日々の生活、そういう中で、もう一度漁業をやってみたい、もう一度農地に戻って農業をやってみたい、こういうふうな方々の気持ちというものを私どもは最も大事にしていかなきゃならない。
そういう中に、そういう意欲を持って取り組んでいこうという人たちにできるだけ早く漁業なり農業にいそしんでいただくことができるようにしていく、このことが私どもにとって本当に頑張ってやっていかなきゃならないことではないか。
そういう意味で、まず短期的に急がなければならない、地域の瓦れき等々をいかにして排除するか、こういうところは一番急がれるところでございまして、そういう緊急にやらなきゃならない。そしてまた、漁業なり農業をやる上での最小限のものは何が必要かというようなこと等々、あるいはまた、これからの漁村、農村の復旧復興ということを考えたときに、これからの新しい一つの構想というふうなものを描く中でどう対処していくべきか。
いわば、急ぐもの、そしてその次に、そしてまたその次にというような基本的な考え方の中で、被害状況というものをしっかりと把握しながら、そして現場の声というものを大事にしながら、とにかくこれからの新しい、被災に遭われた方々の気持ちというものを最も大切にしながら、漁業の、そして農業の復興復旧というふうなものに全力を挙げて私どもは取り組んでまいりたい、このように考えているところでございます。
○梶原委員 福島原発の事故については、周辺住民のみならず、日本全体にとって本当に大きな深刻な問題であるわけでありますけれども、一刻も早い収束を祈るものでございます。
去る二十四日、福島県須賀川市の野菜農家の男性が自殺を図りました。福島県産野菜の摂取制限が出た翌日のことでありまして、大変残念なことでございます。御冥福をお祈りしたいというふうに思います。
まず一つ、原発にかかわる問題で、これは所管が原子力安全委員会、原子力安全・保安院、文科省、農水省、厚労省、食品安全委員会、食品安全担当大臣、さらに対策本部というのが原子力災害対策本部、福島原発対策本部といろいろあるわけであります。いろいろ言いたいことはあるわけでありますが、きょうは農水省にお伺いをしたい。
食品についても、本当に多岐にわたっていて、本当によくわからないなというような思い、どうも複雑らしいというふうに思います。
もう一つは、昨日も食品安全委員会から暫定基準についての報告があった、こういうことでありますけれども、年間許容量五ミリシーベルトというのは一年間食べてということだろうと思いますが、これは、一月食べても問題がないんだろうということかなと。あるいは国際基準について、不適切とは言えない、こういうふうに言っているわけでありますが、これはどういうことなのかなというふうに思います。
それから、福島県にあっても会津の地域からは、会津からは一切出ていないということであって、なぜこれが県単位なのかな。あるいは、直ちに健康に影響が出ないということをよく聞くわけでありますけれども、そうした政府の言葉が生産者や消費者にどう伝わっているのかなと。
本当にわかりにくい、ばらばらで、いいのか悪いのかよくわからないということを感ずるわけでありますけれども、こういうときにこそ、政治がはっきりとわかりやすい言葉で生産者、消費者に物を言っていくということが必要なのではないかというふうに思います。
そこで質問なんですけれども、出荷停止あるいは風評被害によって補償の対象とするということでありますけれども、補償基準というのはどういうものなのか。そしてまた、日々運転資金にも事欠いているというか、厳しい状況にあるということを聞くわけでありますが、仮払いなり、一刻も早く措置をしてほしいというふうに思いますが、この点について。そしてもう一つ、今農家が困っているのは、農繁期を迎えて、作付をしていいのかどうかということでありますから、土壌の検査も急いで、あるいは、それでも万一何かあったときにはどうするのかというメッセージをはっきりと農家に伝えていただきたいというふうに思います。いかがでしょうか。
○鹿野国務大臣 出荷制限そして摂取制限というふうな措置が内閣総理大臣のもとでとられたわけでございますが、このような出荷制限なり摂取制限を受けたことによって、農家の人たちあるいは酪農家の人たちが大変お困りになっておられるというような事態にあることは御案内のとおりでございます。
そういう中で、当然のことながら、このことについては、補償というふうなものがなされていくわけでございますけれども、賠償が行われるまでの間、時間がかかる。このようなことから、その間どうするかというようなことにつきまして、それまでのいわばつなぎ資金というものに対して検討するようにと官房長官の方から話がございまして、農林水産省といたしましても、直ちに検討に入っておるところでございます。
多数の農家の人たちが現金収入が途絶えている実態というふうなものを把握しながら、まず仮払いというような形ができないのか、こんなことも含めて今検討を進めておるというようなことでございます。
また、もう一点。作付の時期に入って、これから農林水産省として農家の人たちに対して具体的にどういう方針を出していくかというようなことでございますけれども、米などの作物の作付というものは、土壌の中に放射性物質がどの程度蓄積されているのかということをまず調査しなきゃならない。このようなことから、各県とも連携をとりながら調査を進めておるところでございます。
そういう中で、県関係とも、今後ともしっかりとした連携の中で、この調査の結果を踏まえて、米などの作物に対してどういう判断に立っていくかというふうなことは、作付がなされる前に一定の方針というものを出していきたい、このように考えておるところでございます。
○梶原委員 農家の不安にしっかりとこたえる、安心して作付なりができる、そういう措置を早くとっていただきたいというふうに思います。
森林の方に移りたいと思います。
昭和三十九年に木材の関税がゼロになって、それ以来、輸入が急増して、林業あるいはその産地が衰退をしていった、日本の森林が崩壊をしたというふうに思います。それから多くの国費も投じられてきたわけでありますけれども、決して森林のための政策とは言えなかったのではないか。木材自給率は七三%から二四%に低下をしてしまったということでございます。
日本に資源がないということが言われるわけでありますが、私は、これは全く間違いであって、森林という貴重な豊富な資源、また水を豊かにたたえた水田というのも貴重な資源であるし、また日本は有数の海洋国家というかEEZも持つ国でありますから水産資源も豊富である、これをいかに生かしていくのかということが大切なことだというふうに思っております。
日本は森林資源を生かす、民主党は、森林・林業再生プランというものを提案して、いよいよこの法案として実現しようとしているわけでありますけれども、そのスタートに当たっての決意をお伺いしたいというふうに思います。
あわせて、木材の自由化によってこうした一つの状況を招いているというふうに思うわけでありますけれども、TPPについては、昨日総理のお話もあったわけでありますけれども、私はTPPについて慎重な対応が必要なのではないかというふうに思っておりますが、それについてもお話をお聞かせいただきたいと思います。
○鹿野国務大臣 今先生がおっしゃるとおりに、我が国は世界にも冠たる森林国であります。森林の果たす役割というのはどれだけのものか、私がちょうちょうと言うまでもありません。これだけの森林があるからこそ我が国の国民生活が、安心、安全な生活を送ることができる、こういうふうなことでもあるということは過言でないものと思っております。
そういう中で、昨年におきまして、御承知のとおりに、公共建築物等木材利用促進法というようなことで、川下に対する対策等々が行われました。今回は、まさに森林を、これから機能をしっかりと発揮できるようにしていく、こういうふうなことで、荒廃した森林を再生するという、いわゆる川上対策でもあるわけでございます。
ちょうど私、私事にわたって恐縮ですが、二十一年前に農林水産大臣を拝命したときには、森林の再生をどうするか、二つだ、こう申し上げてきました。その一つは林道であり、そしてその一つは機械化だ、こう申し上げてきました。今日、二十年以上たちましても、やはり荒廃した森林を再生させるためには人が入らなきゃなりません。そのためにはどうしても作業道が必要だ。いわゆる路網整備、その路網整備をすることによって機械化を促進することもできる、こういうことでございます。
そういう意味では、今回のこの森林・林業の新しい施策によって、まさしく森林というふうなものが再生することができる、そのことによって地域の活性化にもつながる、こういうふうな認識に立っておるところでございます。ことしは国際森林年であります。この国際森林年の年を新しい我が国の森林再生のスタートの年にしていきたい、これが私どもの基本的な考え方であります。
また、森林・林業再生プランというふうなことをやっていく上において、今、TPPの問題に触れられました。
TPPにつきましては、六月に交渉参加をするかどうかを判断する、こういうことでございますけれども、私どもといたしましては、とにかく今、この森林再生というふうなもののスタートの年ということを考えたときに、これから森林・林業の再生の具体的な施策をしっかりと行っていくというふうなことが最も大切なことだ、こんなふうな認識に立っておるところでございます。
○梶原委員 しっかりとお願いをしたいというふうに思います。
震災関連で、これから仮設住宅であるとか、そういった資材が大量に必要になってくるということでありますけれども、その国産材の供給体制をどう構築していくのかということで、最大限頑張っていただきたいというふうに思います。
また、もう既に資材不足ということが伝えられるわけであります。仮にも、売り惜しみであるとか買い占めというようなことがあってはいけないわけでありますけれども、そういったことについて、しっかりと供給体制を強化するということと、それから、そういった業界に対する監視をしっかりと強めてもらいたいということを思っているわけでありますが、それについていかがでありますか。
○篠原副大臣 震災の後、木材需要が増すことは確実ではないかと思っております。まずは仮設住宅、それから、その後の復興住宅でございます。
我々は、こういったことを見通しておりましたので、既に先手を打ちまして、震災後の三月十五日、林業・木材関係団体との間で協議会を開催いたしまして、復興用木材の供給の確保とか、今御指摘にありました買い占めあるいは売り惜しみ、それから価格のつり上げ等、こういったことについてしてはならないということ、それから、積極的に協力、対応をしていきましょうということで、マッチングの情報等の交換等をしております。これが一つでございます。
それから、合板について足りないのではないかというようなことを言われ出しましたので、三月二十二日には、合板の関係者の皆さんにお集まりいただきました。これは、被害も受けております。東北の岩手、宮城が合板の生産の四分の一、その四分の一の工場が被災をしておりまして、ちょっとその面から供給が不足するのではないかということがございましたけれども、我々といたしましては、国内のほかの工場で十分生産可能だと思っております。
ですから、仮設住宅の需要にも十分対応していけるということで、そういったことをホームページ上にも記載しております。
それから、重ねて、投機的な売買、こういったことをしないように十分監視することにいたしております。
それでも足りなくて、やはり足りないんじゃないか、供給不足が生じているんじゃないかということがございましたので、三月二十八日も、三回目になりますけれども、今度は、生産者側とそれから製材業者、全国素材生産業協同組合連合会、これらに対しましても、木材産業への国産材の積極的な供給を図るようにと。こういった時期に外材に頼るというようなことは我々は余り好ましいことではないと思っております。
住宅建設に当たりましては、木における地産地消ですね、地元の材をちゃんと活用していただくということが地域の復興にもなっていくのではないかと思っておりますので、各省とも連携をとりながら、この点、積極的に進めてまいりたいと思っております。
○梶原委員 よろしくお願いしたいというふうに思います。
法案についてなんですけれども、いまだに地方の森林組合等において十分な理解が進んでいない。どうも既得権が奪われるんじゃないかというような、そんな感じも受けるわけですけれども、森林業を産業としてしっかりと定着させるんだ、こういうすばらしい政策だということをしっかりとアピールしていかなくちゃいけないんじゃないか。森林組合についても、一定のというか、大きな力を出してもらわなくちゃいけないというふうに思いますので、そういったPRを十分にしていただきたい。
川下対策の充実とともに、そういったPRがまだまだ足らないんじゃないかなというふうに思いますが、その点についていかがですか。
○田名部大臣政務官 森林組合には、これから施業集約化の中心的な役割を担っていただけるものと期待をしております。ただ一方で、やはり、森林の整備への取り組みがおろそかになっているのではないかというような一部指摘があるのも事実です。
昨年の十月ですけれども、森林組合系統において大会が開かれました。その中で、目的、使命というところに、施業集約化と国産材安定供給体制づくりを最優先の課題として取り組むということが盛り込まれましたし、また、具体のプランづくりも最優先に取り組んでいくということが方針に位置づけられたところであります。
これからも森林組合連合会また都道府県としっかりと連携を図っていきたいと考えておりますし、これまでも説明会等を行ってきたわけですが、今後も必要な研修会、会議等をしっかりと開きながら、森林組合の役割についてしっかりと御認識をいただきながら、協力して取り組んでいただけるよう意識改革を図っていきたいと考えています。
○梶原委員 地方自治体、山しかないような町でも、その町づくりについて森林政策を掲げているようなところが本当にないわけでありまして、林野庁も、そういったところにももっと積極的に、各自治体で、地方で、森林をもっと生かした町づくりというものをPRしていかなくちゃいけないんじゃないかというふうに思います。
効率的な施業であるとか地域経済の活性化、雇用の創出、林産材の活用、あるいは公共建築物の木造化とかバイオマスとか観光資源とか、そういったところにしっかりと地域が取り組んでいけるような、そういう林業の活性化をもっと具体的に売り込んでいくということが必要ではないかというふうに思いますが、そうした対応をぜひお願いしたいと思います。それについてお伺いします。
○篠原副大臣 梶原委員御指摘のとおり、海がEEZで資源大国じゃないかということをよく言われますけれども、私は、林業資源についても全く同じことが言えるんじゃないかと思います。世界有数の森林国でございます。
地域の資源といった場合、特に田舎の町村は、森林面積というのが八割とか九割というところがたくさんあるのではないかと思います。こういったところを有効活用していくのは絶対必要ではないかと思っております。
まずは木材の需要でございますけれども、このために我々は、施業の共同化、それから路網の整備というのを今度の法律改正によりまして積極的に進めていくつもりでございます。
それから、非常に大事な点だと思いますけれども、ちょっと供給が滞っていたりしたもので、田舎の地域社会では非常に重要な地位を占めていた製材工場、これが相当疲弊している。これらに対するバックアップというのも私は絶対必要ではないかと思っております。
それから次に、三つ目でございますけれども、地域に資源がある、それを、田舎の小学校、中学校も地域材を使わずに、コンクリートがいけないというわけじゃないんですけれども、そういった校舎になってしまっている。やはりこれはよくないんじゃないかということで、昨年、公共建築物につきましてはなるべく木材、地域材を利用していくという法律ができました。これを活用してまいりたいと思います。
それから、四番目でございますけれども、地球温暖化防止とか低炭素社会へ向けていく、こういったことを考えた場合、今、被災地の皆さんは寒くて困っておられるというのがあります。我々は、そこにもまきストーブ等を送っております。山村地域におけるバイオマス利用、こんな大げさなことを言わなくてもいいわけですよ。我々は、それを使っていたわけです。
こういったことを図りながら、地域の資源を活用する。そのときには、やはり市町村が大事な役割を果たしてまいるはずなんです。ですから、我々は、こういったことをちゃんと計画をつくってやる市町村に対しては全面的にバックアップしていく所存でございます。
○梶原委員 もう時間がありません。
最後に、学校教育についてのことなんですが、森林についての教育を、教室の中のみならずできるだけ野外に出て、山の中、里山に入ってそういった教育をしていただきたい。うちの小学校の周りは田んぼばかりですが、田植え教室というのがあって、年に一度、初めて入る、みんなきゃあきゃあ言っているわけですよね。そういうことでありますから、山に対しても、ぜひそういった親しめる事業を学校教育の中で取り入れてもらいたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○徳久政府参考人 近年、都市化や少子化、地域社会における人間関係の希薄化が進む中で、子供たちが森林を初め豊かな自然について学ぶ機会を確保することは重要である、こういうふうに考えております。
このため、文部科学省におきましては、豊かな体験活動推進事業におきまして、小学校の児童が農山村で森林の間伐や枝打ち体験等の林業体験を行う小学校の取り組みを補助いたしまして、子供たちの森林に親しむ活動が充実するよう取り組んでいるところでございます。
また、独立行政法人でございますが、国立青少年教育振興機構におきまして実施している子どもゆめ基金事業におきましても、NPO法人等民間団体の実施する、森林を活用した自然体験活動等に対しまして、助成金の交付を行っているところでございます。
今後とも、自然体験活動など、学校内外のさまざまな活動の機会を通しまして、子供たちが森林に接し、理解をしていく活動を推進してまいりたいと考えてございます。
○梶原委員 ありがとうございました。
以上で終わります。
○山田委員長 次に、坂本哲志君。
○坂本委員 自民党の坂本哲志でございます。
震災が起きまして、きょうでもう二十日弱、十九日を迎えます。原発問題も含めて、皆さん方はまだまだ不安な日々を過ごしておられます。一日も早い復旧、そして強力な支援をしていかなければいけないと思いますが、いろいろな現地の声を聞くにつれて、やはり、対応の遅さ、後手に回っているところ、こういったものも見受けられます。政府におかれましては、まさに危急存亡のときでございますので、早急なるいろいろな対応策を打ち出していただきたい、そして実行に移していただきたいと思います。
その震災の問題で、今質問にもあっていたようですけれども、合板の問題です。
副大臣が、ちょうど私が入ってきたときに答弁されておられまして、供給体制は大丈夫だというような御答弁のようだったとお聞きしましたけれども、九州にいる私のところにも今もいろいろな問い合わせがあります。特に合板は、コンクリート型枠にも使えますし、それから、かわらの下に敷きます野地板にも使えますし、非常に用途が広くて、これから仮設住宅あるいは木造、復旧工事、いろいろなところに使われます。まだまだ不足が懸念をされますし、同時に、くいなども非常に品薄あるいは不足が心配されているところであります。
それは被災地だけではありません。日本全体に広がっております。私の息子は、委員長のおひざ元であります壱岐・対馬の壱岐で今清掃工場をつくっておりますけれども、とにかくベニヤが足りない、合板が足りないというようなことを言って電話をしてきました。おれに言ってもしようがないからそれは何とかおまえたちでしろというふうに言っておりましたが、今後、さらに復旧が本格化すれば、被災地だけではなくて全国的な不足、それによる工事の停滞、こういったものも考えられます。
今後の供給体制あるいは管理体制、そして段階的なやはり供給組織、こういったものに対してどう考えておられるのか、お伺いをいたします。
○篠原副大臣 仮設住宅需要が非常に急激に増大しているということで、合板が足りないんじゃないかという声が我々のところにも寄せられております。それは、坂本委員のところだけじゃないんじゃないかと思います。
原因は、岩手、宮城で二割ぐらい合板を供給しているわけですが、その大事な工場が操業停止になっている、これが原因でそういうことを言われているんじゃないかと思います。ですから、先ほど梶原委員の質問に対してお答えしたとおりでございますので、我々はそういうことを予測できましたもので、既に三回ほど開いて、そういうことのないようにということを言っております。
それから、具体的に申し上げますと、西日本、九州でももう不足しているんだということでございましたけれども、九州、それから中部あるいは秋田というところでまだまだ十分にございますので、そういったところから回すなりして、絶対供給不足ということにならないように、今後とも同じように、必要とあらば会合を開きまして、万全な供給体制をしいてまいりたいと思っております。
○坂本委員 東北地方のシェアは、私は三五%と聞いております。二〇%ぐらいではないと思います。ですから、まだまだこれから深刻な不足状態になると思いますし、全国各地に、やはりこれが今後経済的にも、公共事業としても、あるいは一般住宅としても非常に深刻な問題になってくることは確実でございますので、ここは先手を打っていろいろな対応策、そして十分な現状認識というものをしていただきたいと思っております。
次に、自民党提出の法案についてお伺いをいたします。
森林・林業再生プラン、これからさらに進んでいくわけであります。全国の森林計画、あるいは都道府県によりますところの地域森林計画、そして市町村によりますところの森林整備計画、また各地域で行われます森林経営計画、これまでの施業計画、こういったものをしっかりと立てながら森林の整備というものが行われていくというシナリオになっております。
そのためのまず第一段階としては、やはり新たに、山林の所有者あるいは境界、こういったものをしっかりと把握すること、これが大切であろうというふうに思います。
もちろん、森林法の理念として、だれが持っていても、だれが所有者であっても森林をしっかり整備していかなければいけないという理念はありますけれども、しかし現実的に、やはり所有者の届け出というのは必要であると思いますし、自民党案におきまして、森林所有者等となった者の届け出義務を課しているということについては、私は時宜を得たものであると思います。しかも、今、外国人による森林の買収、こういったものが行われておりますので、まさにこれは森林法の中に入れるべきものであると私は思います。
しかし一方で、森林というのは、土地所有だけではなくて、これは地上権あるいは賃借権、そして立木のみの所有、いろいろな所有体系が多岐にわたっております。届け出義務の対象というものをやはり絞っていく必要があるのではないかというふうに思います。
それと、各自治体における届け出があった場合の作業につきましては、膨大な事務負担にもなりますので、この人的手当て、あるいは財政的手当て、これをどのように担保していくかということも重要な問題でありますけれども、その辺はどのように考えておられますか、お伺いをいたします。
○高市議員 どうもありがとうございます。届け出義務の意義をお認めいただいたということ、大変うれしく思います。
特に、登記簿などは、もうとっくに亡くなってしまった明治時代の方のお名前のまま放置されていたり、そしてまた固定資産関係の帳簿につきましても、なかなか林業の関係、森林行政に活用しにくい。特に、個人情報保護条例を定めておられるような場合にはそうなります。所有者が不明確であるという状況をきっちりと改善していこう、こういった趣旨で届け出制を設けました。
ただ、今委員が御指摘いただきましたように、私どもの法律案で届け出の対象としておりますのは「森林所有者等」となっておりまして、本当にこの所有権を持っていらっしゃる方だけではなくて、地上権、賃借権を持っておられる方、そしてまた立木の買い受けをされた方なども含まれます。
そうなりますと非常に幅広いじゃないかということになるんですが、森林法では、勧告や命令などの措置の対象となるものは、土地の所有者に限らず森林所有者等一般でございます。今回、この届け出制を設けました趣旨といいますのが、森林法上の勧告ですとか命令、これらの措置の対象者をまず把握できるようにするという点にあることからいたしますと、これらの措置の対象者と、それから届け出義務の対象者を、範囲を合わせた方がいいんじゃないか、このように考えました。
しかしながら、確かに、届け出義務の対象者を絞るべきじゃないかという御意見があるのも理解できます。例えば、森林の土地の所有者にのみ届け出義務を課すというところまで絞り込みましたら、私どもが最初想定していたものとはちょっと違ってはくるんですけれども、ただ、所有者から、森林所有者等幅広く情報をたどっていくことは可能だと思いますので、もしも地方自治体の事務負担が過大になるということを懸念するお声が特に強いということでありましたら、届け出義務の対象者を絞ることも検討には値すると考えております。
○坂本委員 情報をたどっていくこと、そしてやはり実態を把握していくことというのは本当に大事なことであります。
ただ、自治体の中におきまして、森林所有者に関する情報の連携がやはり不十分であるというふうに思います。国土利用計画法におきまして、一ヘクタール以上は届け出る、それに林野部門の方が頼っているというような状況でもございます。
自治体間のこういった情報の共有というのは非常に大事なことでありますけれども、そのことに対する規定が特段設けられていないような気もいたしますけれども、提案者におかれましては、このことについてどう考えられますか。
○谷議員 お答えいたします。
坂本委員御指摘のとおり、現在でも、国土利用計画法によって、一ヘクタール以上ですけれども、届け出の規定がある、あるいは市町村の税務当局には固定資産税の台帳がございます。しかし、実際、それぞれの自治体の個人情報保護条例で、情報共有というのが必ずしも十分になされていない。それで、我々としては、いろいろ検討をしたところですけれども、やはり独自に法律で届け出制を置くこととして、森林の土地の所有者などを対象として届け出義務を課す。
それで、情報の共有を、取り扱いをいろいろ国の段階でしたとしても、最終的にはそれぞれの自治体の条例にゆだねざるを得ないということがあるのではないかと判断したわけであります。
しかし、森林所有者などに関する情報共有の必要性、重要性ということは我々も十分認識しているところでございまして、自治体内部の部局間、あるいは自治体相互間における森林所有者などに関する情報共有のための規定を設けること自体は何も否定するものではなく、委員御指摘のとおり、大変大事なことだと思っているところであります。
○坂本委員 せっかくここまで行ったわけですので、次の作業として、そういった規定を設ける、そのことによってやはり自治体間でしっかりとした情報を把握しておく。このことは本当に大事だと思いますし、特に首都圏あるいは北海道、そういった、大規模な山林を所有する、あるいは水源涵養の保安林が存在するところ、こういったところにつきましては特に大事ではなかろうかなというふうに思っております。
続きまして、今回の議員提案の中で、無届けで伐採したものにつきまして、内閣提出法案では造林命令について規定を置いているのに対しまして、自民党案では、造林命令に加えて伐採中止の命令についても規定を置いておられます。中止命令について規定を置くということの意義、意味、自民党提案者としてどのように考えてこの規定を設けられたのか、お聞かせください。
○高市議員 現行法では、無届けの伐採については三十万円以下の罰金刑が科されるのみでございますので、市町村の長は、このような無届け伐採について事実上有効な監督手段を講じることができない、これが問題だと考えまして、自民党案では、伐採の中止命令及び造林命令について規定を置きました。
閣法でも新たに造林命令というものを置くということで、これも考え方は共通なんですけれども、造林命令だけでは、行政が、今行われている伐採行為について把握をすることができても、直接的にその行為に対して有効な介入を行うことができませんので、自民党案の中止命令というのは、伐採行為に対する抑止効果という観点からぜひとも必要なものだと考えております。
○坂本委員 抑止効果を、いかにその効果を高めていくかというのは大切なことでありますので、この点につきましては、中止命令、これは何らかの形で盛り込むべきであるというふうに思っております。
それから、今回の地震につきましても、あるいは原発の問題につきましても、飲料水の問題あるいは水の問題、非常に、改めて私たちに水の大切さを教えてくれました。
特に、首都圏、大都市圏においての水の問題、そのためには水源涵養保安林の確保について、これは自治体そして国に、重要な仕事の一つとしてこれから重くのしかかってくるであろうと思いますが、それに対して十分な財源、あるいはそれに足り得る財源が必要でありますけれども、法的にまだその財源が担保されていないように思います。
今回の議員提案には入っておりますけれども、具体的にどの程度の財政支援を考えておられるのか、お聞かせください。
○谷川議員 お答えします。
東京都などが行っていますが、最近、保安林を初めとして、水源の涵養等森林の有する公的機能を維持するために必要であると認められる森林等については、地方公共団体が改良を行い、みずから積極的に管理を行うということが行われております。
水源の涵養機能を有する保安林等は我が国の基本的インフラであり、これらの森林の整備及び保全が十分に行われるために、地方公共団体の意欲的な取り組みが積極的に行われる必要があります。国による財政支援の規定を設けたところであります。
現在、都道府県の保安施設事業として保安林買い入れ事業を行った場合には、その経費の三分の一が国から補助されることになっており、この規定が設けられた際には、政府において、補助額の引き上げや、保安林以外の水源林等の改良に対する補助の創設など、地方自治体が保安林等の改良を行えることとなるよう十分な財政支援を行うこととなっております。
○坂本委員 市民あるいは住民の健康と命を守る水であります。憲法上の問題を含めて、やはり国は十分な措置をとっていかなければいけない。やはり三分の一の自治体の補助というのは、私は少な過ぎるというふうに思います。地方六団体等も含めて、やはりこの補助率のアップ、充実をこれから求めていくべきであると思っております。
続きまして、閣法の方につきまして御質問を申し上げます。
先ほど自民党提案の法案について質問をいたしましたけれども、今回の森林法の一部改正法案では、森林所有者の届け出規定がありません。これから森林整備あるいは森林・林業再生プランを進めていく上で基礎となる、境界とかあるいは所有者とか、これは絶対把握しておかなければならないことでありますし、そして、この時期になって、外国からの所有者あるいは外国資本の進出、こういったものも聞かれているところでございますので、私は、今回の森林法にこの届け出義務というものをやはり入れておかなければならなかったのではなかろうかというふうに思います。
森林所有情報の必要性を感じていらっしゃらないのか、あるいは、なぜ今回その届け出義務を設けなかったのか、大臣にお伺いいたします。
○鹿野国務大臣 現行法上、森林所有者情報につきましては、市町村や森林組合など地元のつながりというふうなことによって情報を得、また、登記簿情報なり地籍調査の情報なり、国土利用計画法によるところの売買の届け出等ということによって、そういう情報を利用して把握しているというのが実態でございます。
さらに、今回の改正法案につきましては、森林所有者が不明の場合でも、都道府県知事の裁定により施業代行者が間伐を行うことができることとするとともに、路網整備のために、土地の使用権の設定に当たって必要となる意見聴取の手続が進められるような措置もしたところでございます。
このように、現行制度のもとで森林所有者情報を把握しつつ、今回の改正により、森林所有者のいかんを問わず、森林の適正な整備、保全を図るための制度が整備されるというふうに考えまして、森林所有者情報の把握の規定までを新たに盛り込むということはしなかったというところでございます。
○坂本委員 把握をぜひ進めていけるような体制をつくっていただきたいと思いますし、特に、近年言われております、外国資本によります森林の買収あるいは売買、こういったものに関しては、林野庁と国土交通省の方で、情報交換によってその取引実態を調査されているというふうにお伺いいたしました。昨年十月だったと思いますけれども、林野庁あるいは国土交通省、それぞれ課長通知によって、各自治体で実情あるいは実態を把握するようにというような通知が行われたというふうに聞いております。
直近の情報で、あるいは現在把握されている部分で、外国資本による、あるいは外国人による森林の売買、所有、それはどういうふうになっているのか、そして、それを今後どういう情報として管理していかれようとするのか、お聞かせいただきたいと思います。
○篠原副大臣 昨年秋ごろ、週刊誌に、外国資本による水源林の取得等が書かれたところでございます。それから、こういったことについての本も出版されました。そういったことがありまして、外国資本が、将来の世界における水不足を見込んで水源林の取得に乗り出したんじゃないか、それでいいのかということ、各方面から指摘がありました。
こういったものがありましたので、平成二十年六月以降でございますけれども、都道府県等への聞き取り調査、事実確認調査を我々がしてまいりましたが、十月には、国土交通省と連携いたしまして、都道府県の土地対策担当部局が保有する、国土利用計画法に基づくものですけれども、平成十八年から二十一年の四年間の森林売買に関する届け出のうち、居住地が海外にある法人及び個人により森林が買収された事例について、都道府県を通じて全国調査を実施いたしまして、十二月の九日に調査結果を公表しております。
その調査結果でございますけれども、居住地が海外にある法人及び外国人による森林の取得事例は全国で三十件、そのうち北海道が二十九件、兵庫県が一件でございまして、総面積は五百七十四ヘクタール。その規模でございますけれども、全国の民有林の合計面積千七百万ヘクタールのうち〇・〇〇三%。これは言ってみれば小さいウエートではないか、大きいと言う方もおられますが、私は小さなウエートではないかと思っております。どういったことに活用されているか、取得目的でございますけれども、これは都道府県からの報告によらなければならないわけでございますけれども、大部分が資産的な保有というふうに聞いております。
今後ともこういったことが行われるおそれがありますので、外国資本による森林買収の動向を把握するということは非常に重要なことだと考えておりまして、平成二十二年の森林売買につきましても、国土交通省と連携いたしまして、十二月までどのような売買が行われていたかというのを今調査いたしまして、実施しているところでございます。これが取りまとまり次第、結果を公表する予定となっております。
○坂本委員 外国人や外国資本を必要以上に拒否するということは、WTO上も、あるいは二国間協定上もなかなか難しいものがあると思いますけれども、資産として購入する、しかしそれが実態として将来どうなるか、そういう情報はしっかりと把握しておかなければ、いざというときに非常にやはり我々の社会そのものが困ってしまうということになりますので、ぜひここは、それぞれの省庁横断の組織をつくってしっかり現状把握をしていただきたいと思っております。
続きまして、民主党政権の森林・林業再生プラン、このことについての全体的な質問をさせていただきます。
この森林・林業再生プラン、民主党政権の中で、これまでいろいろな形で法案化もされ、あるいは制度化もされております。そのベースとなっているものは、コンクリート社会から木の社会へというようなことのようでありますけれども、大臣、この意味するところを聞かせてください。
○鹿野国務大臣 副題といたしまして「コンクリート社会から木の社会へ」、こういうふうなことでございますが、森林・林業の再生プランは、資材としてのコンクリートというものを否定するということではございませんで、建物や物品などの、木材を使えるところは極力木材を使用するというようなことに努めることによりまして、低炭素社会づくりに貢献しようというような考え方でございます。
また、木材あるいは木質バイオマスの利用を拡大するということは、山村の主要な資源である木材の生産、流通、加工を通じて、林業なり木材産業の振興あるいは森林整備にもつながってくる、こういうふうなことから、山村地域の活性化を図る上でも重要だ、こういう認識を持っているところでございます。
こうした考え方のもとで、森林・林業再生プランの実現に向けて、さまざまな分野で木材ができるだけ多く利用されるように取り組んでいかなきゃならない、こういう考え方でございます。
○坂本委員 キャッチフレーズというのは、よりわかりやすくというようなことでありますけれども、それが誤ったメッセージとして国民の方々に受け取られるならば、それは私は政策的に非常に大きな過ちを犯してくるであろうと思います。
これまで、治山工事、治山ダムあるいは地すべり工事、いろいろな森林土木あるいは森林の防災工事もやってまいりました。それによってどれだけ多くの方々の命が救われたかわかりません。そして、これからもさまざまな災害が予測されますので、私たちはこの治山という問題についてしっかりと取り組んでいかなければいけないと思っております。
その一方で、ぬくもりのある社会をつくるために、ぬくもりのある社会をつくるその要因の一つとして、やはり木は欠かせないものであります。木造住宅、あるいは公共施設に対する木材使用、そして街路樹も含めて、さまざまな木のぬくもりというものをやはり私たちは求めていかなければなりません。
ですから、単純にコンクリート社会から木の社会へということならば、それは私は、政策の選択として誤りであるというふうに思います。言葉遊びが過ぎますと、政治、政策そのものがやはり誤った方向に進むと思っておりますので、それは民主党のロゴかもしれませんけれども、私たちとしては、やはりしっかりとした言葉なり、しっかりとした国民へのメッセージというものを今後発信していく義務と責任感があると思っておりますので、ぜひその辺のところは大臣及び政務三役の方々にしっかり受けとめていただきたいと思っております。
それから、民主党政権の森林・林業再生プラン、私は一定の評価をしております。
戦後植林されたさまざまな山林地域がまだまだ使用できなかったということもあり、これまでいろいろな努力を自民党は進めてまいりましたけれども、なかなか思いどおりにいかなかったところもあります。
今回のプランでは、先ほども言いましたように、具体的に、そして体系化されたというようなことでは私は評価をしたいと思います。一方で、自治体、あるいは森林組合、そして山林所有者、こういったところにしっかりとした責務というものを与えたこと、そして緊張感を持たせるということ、このことについては、やはりこれから大事なことであるし、その方向は間違っていないというふうに思います。加えて、施業の集約化そして規模拡大、これは今後の方向性としては自民党と同じものであるというふうに思いますし、例えば、自民党が平成十八年より始めました、国産材利用拡大を図るための林業と木材産業が連携をした新生産システム、こういったものがさらに進められていくという期待感を持っております。
林業の方はそれでいいわけですけれども、ここは農林水産委員会であります。であるならば、一貫した、こういう集約化なりあるいは体系化なり、これが必要でありますけれども、農業の方を見ますと、これは戸別所得補償制度で、弱小と言うと言い方はおかしいんですけれども、小規模農家も兼業農家も、あるいは専業農家も、そして担い手農家も同じように補償する、私たちから言わせればばらまきの農政になっております。
林政と農政、本来ならば同じ方向に進まなければならないところでありますけれども、これが全く逆のベクトルで作用しているということは、今後の一次産業に対して大きなやはり過ちを犯すことになってくると思います。
この政策の矛盾について、どう考えられておりますか。
○鹿野国務大臣 今、先生からの御指摘は非常に重要なポイントだと思っております。
そこで、とにかく、農業におきましても林業におきましても、意欲のある人はだれでも林業にも農業にも取り組んでいくことができる、このことが私どもの基本的な共通の考え方、方針でございます。
林業におきましては、小規模な森林所有者が個々に、例えば具体的に路網整備をしようというふうに考えておられる人もおると思います、また出てくると思います。しかし、その場合に、面的なまとまりがなければ路網がつながるというふうなことにもなりませんものですから、では機械を入れてみるかといってもなかなか困難でございますし、また木材の搬出をするということについても難しいという状況であります。
ゆえに、このようなことを克服していくという意味において、集約化によって面的にまとまりのある森林に対して具体的な措置が講ぜられるように、この森林管理・環境保全直接支払い制度を新しく創設したということであります。
この場合、今先生の御指摘の小規模な森林所有者についてはどうなのかということになるわけでありますけれども、もちろん、他の森林所有者と共同して、あるいはまた周囲のほかの森林所有者の方々から経営を受託するということによって参加もできるわけでありますし、自分でもできるということでありますから、決して矛盾するというふうなことにはならないものと思っておるわけでございます。
○坂本委員 いや、私は、農林水産大臣として、これは今のは林業の立場で聞いているわけですけれども、農政の立場として、農林大臣の農の大臣としてどう考えているか、農業の方はどうなのであるかということをお伺いしたんです。
○鹿野国務大臣 私は、農業者の場合も、もっと集約化したい、規模拡大したい、こういうふうに思っておられる農家の方々もおられるわけでありますけれども、しかし、いろいろな事情からそういうことができない人でも、規模は小さくても、おれは本当に農業の担い手として頑張るんだという人もいるわけであります。そういうふうな人たち、意欲のあるそういう農業者に対してもやはり一定の支援をしていくというふうなことも大切なことではないか、このようなことから販売農家の人たちを対象としたというふうなことでございます。
○坂本委員 やはりそこは、今の戸別所得補償制度、これを見直さない限り、そして新たな農政の方向性をつくらない限り、林政と同じような方向には進みませんよ。私たちは、今度、担い手総合支援新法というものを出すことにしております。
結果として、戸別所得補償制度、小規模な農家の所得を少し引き上げることには役立ちました。しかし、専業農家はやる気をなくしました。そして、米は暴落をいたしました。このまま二年三年こういう状態を続けていけば、やはり強い農業あるいは足腰の強い農業、こういったものは絶対できないというふうに思っております。
再度、農業の方向の行方、方針転換、このことについてお聞かせください。
○鹿野国務大臣 私どもは、当然、今先生から御指摘の、規模拡大して生産性の向上を図っていくというようなことは非常に大事なことだと思っております。
しかし、そういう中で、では、どうしたらば集約化ができ、そして生産性の向上を図ることができるかといえば、ある程度基本的な、農業者全体の人たちの理解というふうな中で進めていく。このようなことから、まず、規模は小さくとも、今後規模加算をすることによって集約化する。いわゆる集落営農をやられたり、あるいは法人化をするなりというようなことに対してはきちっと取り組んでいくんですよというようなことを政策として行うことによって、では今度はまとまっていこうかというような意欲、新たな意欲を持ってもらう。そういうことによって、これから構造改革を進めていきたいというのが基本的な考え方であります。
○坂本委員 現在の制度をそのままにして規模加算等だけを加えていくならば、これは屋上屋を重ねるだけで、財源的に当然もちません。
私たちは、いずれ出してまいります担い手総合支援新法というのは、やはり世代交代を進めよう、そして、新規就農者そして後継者、こういった者を育てるための制度としてはどうすればいいかというようなものを、制度をひとつ考えよう、そして、高齢者の方あるいはリタイアを考えられている方にはどういう保障をして、そして、世代交代なりあるいは担い手の交代を進めていけばいいか、抜本的な、強い農業をつくるための法案を用意いたしております。まさに、この森林・林業再生プランはそれと同じような体系立ったものであるというふうに思います。
いずれ、この林政と農政は同じ歩みをしていかなければ、農村、山村、それぞれともに歩いていけないというふうに私自身は思っておりますので、どうか大臣、考えがもしおありでしたらお聞かせください。
○鹿野国務大臣 冒頭に申し上げたとおり、先生の御指摘は、まさしく私ども共有の認識を持っております。農業を、これからどういう形を目指して進めていくかということは、当然、農業の集約化、すなわち生産性の向上は、どのような事態になってもその旗をおろすわけにはいかない、こういう考え方であります。
ただ、そこをどうやって集約化していくかという手法なりやり方というふうなものにおいては、いろいろ考え方がある。私どもは、まず農業者全体の人たちの理解の中で集約化を進めていく、こういうことですから対象とした。しかし、今後集約化を進める上で、これは一体となった方がいいんだな、収入も得ることになるんだなというふうな、こういう施策によって集約化を促進していくというふうなことでありまして、基本的な方向性は私どもは変わらないと思っておるところでございます。
○坂本委員 基本的な方向性は変わらないことはわかりましたけれども、林業と農業のそこでの違いは、農業の場合には米があります、野菜があります、畜産があります、そして花卉があります、果樹があります、農業の中でもさまざまな種類があるわけですね。これをどのようにしていくかということは、これは林政とはまたちょっと違った難しさを持っておりますので、ここは、私たちは私たちの手法でこれからのあり方を探してまいります。
それから、また林政の話に戻ります。
森林・林業再生のこのプラン、やはり、これが成功するかしないか、うまくいくかいかないか、最終的には、これまでの森林施業計画、今度新しくなるところの森林経営計画、これが実動するかどうか、実行に移されるかどうかということであります。今回のものは机の上でかいた絵でありますので、その絵としては非常にうまくできている。そして、やはり、こういう体系立ったわかりやすい形の林政というものを進めていかなければならない。
しかし、現実にこれを現場に当てはめた場合に、例えば百ヘクタールを単位として一つの林班として、そしてその中で幾つかの団地をつくっていく。そのときに、では、その中でどのくらい境界線が確定しているのか、あるいはどのくらいその中に中小の林家の方がおられるのか、そして、その方々にどう協力を求めていくのか、これは非常に難しい問題です。これができなかったから、今まで非常に自民党の林政というものは苦労したわけです。これが机の上で描いたとおりにいけば何ら問題はなく、民有林も国有林と同じような形の施業なりあるいは森林管理ができるはずでありますが、これがなかなかできない。
しかし、これをこれからやっていかなければいけない。それは、やはり森林組合も、そして町村も、あるいは都道府県もこれに精力を注いでいかなければなりませんけれども、市町村においては、林業に携わっている職員というのは一人か二人ですよ。ですから、現実的には森林組合がそれを受託する形でこれから経営計画をつくり、そして説得をし、理解を求めて実行に移していかなければなりませんけれども、そういったノウハウ、あるいはそういった研修、これまでやれなかったことをやるというからには、それなりのやはり体系的なものがもう一つなければいけないと思いますけれども、その辺をどのように考えておられますか。
〔委員長退席、津島委員長代理着席〕
○篠原副大臣 小規模零細という点では、坂本委員御指摘のとおり、農業も林業も変わりないのではないかと思います。
我が国の森林所有の構造でございますけれども、一ヘクタール以上の森林所有者、九十一万戸ございますけれども、その七五%が五ヘクタール未満です。御指摘のとおり、境界がどこにあるのかわからない、おじいちゃんぐらいしかわからなくて、今の当主の皆さんはわからないといった状況で放置されているのが現状ではないかと思います。
我々は、こういったのをそのままにしておくわけにまいりませんので、きちんと計画をつくって、集約的な施業計画を立ててやっていくということ、これをこの法律に基づいてやろうとしているわけでございます。
一番理想なのは、林家自身がそういった共同の計画をつくっていくのがいいわけですけれども、それはなかなか難しいということでございまして、これはもう自民党政権下でやっていただいておりますけれども、森林施業プランナー、こうした人たちに活躍していただきまして、この人たちにつくっていただく、そして一緒に規模拡大をしてやっていくということでございます。
いろいろな政策を仕立てております。例えば、ソフト事業で二つ。森林経営計画の作成に必要な森林情報の収集、境界確認や、林家との合意形成などの集約化活動に対する支援でございます。それから二つ目は、間伐等の施業内容、経費、木材販売収入などを示して森林所有者の合意形成を図り集約化の推進役となる森林施業プランナーの育成でございまして、来年度にはもう、二千百人ほどの方々がこういったことで森林施業プランナーになっていただくことになっております。それから、ハード事業といたしましては、間伐や、間伐と一体的に行う森林作業道の整備に対する支援。
このソフト事業、ハード事業相まって、小規模林家の森林についても、森林組合等が中心になりまして、経営計画をつくり、施業の集約化をしてまいりたいと思っております。
○坂本委員 そのことはこれまで自民党時代もやってきたんですよ、いろいろ形を変えてやってきた。しかし、なかなかできない。今度は、それに、今言われたプランナーがあり、あるいはフォレスターがあり、そしてさらに研修制度を積んでと。それはそれで十分納得はできます、理解もできます。
それが実際現場におろされた場合にどうなるか。そして、何よりも、団体職員の方々の意欲とかあるいはノウハウとか、こういったものがしっかりなければ、やはりなかなか前に進むものではないというふうに思います。
今回のこの森林・林業再生プランをつくられた方はドイツをモデルにということでありまして、ドイツは、日本と違って、急傾斜、急斜面が非常に少のうございますので、実態と合うかどうかというようなことを非常に懸念するわけですけれども、一方で、オーストリアの方は、これは非常に傾斜も、高度が高くて、そして日本と似たようなところがあります。しかし、その分だけしっかりと地籍調査や境界の確定、あるいは森林所有者の確定、こういったものもなされております。
ここは私たちも腕の見せどころというようなことで、遠目には見ておりません。やはり協力するところは一緒に協力しますけれども、もっと詰めたいろいろな論議、こういったものが必要であるということを強調いたしまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○津島委員長代理 次に、吉野正芳君。
○吉野委員 今度の災害で亡くなられた方々、本当にお悔やみを申し上げます。また、被災された方々に対して心からのお見舞いを申し上げます。
私は、福島県です。私の選挙区がまさに原発のところであります。今、原発の災害は現在進行中です、続いています。双葉郡の八カ町村、七万二千名おります。双葉郡を離れて、遠くは埼玉県、また県内の会津地方等々へ町民、村民が全員避難しております。私の住んでいる福島県いわき市は、一部、三十キロ圏内にあります。ここの方々は屋内退避ですけれども、ほとんどの方々は避難をしております。そして、三十キロの外にある私たちのいわき市も、屋内退避みたいな形で、極力自宅にいてください、外に出るときにはマスクをし、手袋をし、そして外に出てください、こう指示がされております。特に双葉郡の方々は、浪江町請戸港という漁港があります、津波で今九百名近くの方々が行方不明です、この捜索もできずに今避難している。災害は現在続いている。このことをぜひ理解していただきたいと思います。
先ほど梶原委員の方から、春の農作業をしていいのかどうか、お話がありました。大臣の答弁で、土壌検査をしてみてそれから判断をする、こういう答弁がありました。全く現実の認識を欠いていると思います。災害は続いているんです。いつの時点で土壌検査をしてオーケーかノーか判断するんですか。災害は続いているんです。ですから、早く、農作業をしていいよ、だめだよ、こういう指示を政府として出していただきたいんです。
私も被災者の一人です。被災者の心として、私たちのいわき市は三十五万都市です。約二割から三割は、原子力の災害が起きたときに不安で不安でたまらなくて、東京、県外に避難をしました。でも、落ちついてくると、今多くの市民が戻ってきました。ひところはゴーストタウンです。コンビニもあいていない、スーパーもあいていない、ガソリンもない、お医者さんもいない。産婦人科はたった二軒しかあいておりませんでした。三十五万都市です、ここで産婦人科はたった二軒です。避難しないで頑張って、二十四時間頑張ったところ、ここに粉ミルクがないから、私も東京から戻るときに粉ミルクを買って、一時間待ちました、日立市で。待って粉ミルクを買って、幼児用のおむつを買って届けました。
今、災害が続いている。そういう中で土壌検査をして、その結果、農作業をしていいか悪いか出すなんということは、本当に現状を認識していないので、大臣、そのところを御答弁願いたいと思います。
○鹿野国務大臣 吉野先生が、今回の東日本の大地震に対して、被災地をお回りになられ、そしてまた原発事故によって、考えられないくらいの苦しい思いの中のこの実態というものを把握するべく、現場の声をお聞きになるべく懸命の努力をなされていることに対しまして、心から敬意を表させていただきたいと思います。
そういう中で、今もう農家の人たちは、作付をどうするか、せっぱ詰まっているんだよ、こういうお話でございます。ですから、早く方針を出せ、こういうお話でございます。このことについては、私どもも、いよいよ春の農作業を間近に控えて、そして田植えを含めたことしの営農計画をどうしたらいいか、早急に立てることが差し迫っているんだという認識に立っております。
そういう中で、今後作付などをする米などの作物については、やはり、土壌に高濃度の放射性物質が蓄積しているというようなことになりますならば、作物に吸収され、暫定規制値というものを超す可能性があるというようなことも含めて、放射性物質というものがどの程度蓄積されているかという調査も踏まえて判断する必要もあるのではないか、こういうふうなことでございまして、今回出荷停止等々の指示がなされた関係県の土壌調査も行っているところでございます。
ですから、基本的には、もう差し迫った作付の時期というふうなものにとにかく間に合うように私どもの一定の方針を出していきたい、こういうふうに考えているところでございます。
○吉野委員 そこが認識不足と言うんです。原子力をきちんと閉じ込めて、もう放射性物質は出ないんだ、こうなってから土壌検査をして、ここはつくっていいよ、だめだよ、こういうことであればいいんです。現在進行中なんです。放射性物質はどんどんどんどん出ているんです。今土壌検査をしても何の意味もないでしょう。だから、早く、作付をしてください、だめです、この判断をしてほしいんです。
被災民の心は不安でいっぱいなんです。この不安を取り除くことは、私自身も経験しましたけれども、日常生活に戻ることなんです。ふだんの生活に戻ること、これが一番不安を取り除いて冷静な判断ができる。これは私が体験した、本当に、日常生活がいかに、ふだんの生活がいかに冷静な心を持つことができるかわかります。
ですから、農家の方にも、ふだんどおり田植えをしてください、野菜の種まきをしてください、もしそれがだめならば全額国として補償します、このくらいの強いメッセージを出してほしいんです。大臣、いかがでしょうか。
○鹿野国務大臣 重ねて申し上げますけれども、とにかく、作付の時期が迫っているというような中におきまして、農家の人たちの作付に間に合うように一定の方針を出してまいりたいと思っております。
○吉野委員 今のお言葉、本当に、大臣答弁ですから、ありがとうございます。
再度きちんと、補償も含めて、作付に対して、やっていい、悪い、このことを、補償も含めてということをちょっと言ってもらいたいと思います。
○鹿野国務大臣 この補償の問題は、当然のことながら、今日出荷停止あるいは摂取停止というふうな指示を出された方々に対しては補償がされるということでございまして、そしてまた、正当なる因果関係というふうなものがある場合は、このことについても補償がなされるわけでありますから、そういうようなことも含めて今後の作付についての考え方というものを出してまいりたい、こう思っております。
○吉野委員 これからのことはそれでいいと思います。ありがとうございます。
今現在の野菜、またいろいろな農産物に対して、風評被害ということで、大丈夫な地域、大丈夫なところで生産されたにもかかわらず、風評被害等々で大打撃を受けております。
厚生労働省の指示で、県単位、福島県の農産物という形で、全部出荷停止、摂取停止、先ほど梶原委員からもお話ありましたように、須賀川市のキャベツ農家、自殺までしてしまいました。先行きに本当に失望して自殺をなさいました。これも風評被害の本当に被害者でございます。
大丈夫なところでつくられたものはきちんと販売できる、そのように、県単位でなくて、もっと、大丈夫なところとそうでないところときちんと区別をして、大丈夫なところの野菜はどんどん出荷できる、こういう体制をつくっていただきたいんですけれども、大臣の御見解を伺いたいと思います。
〔津島委員長代理退席、委員長着席〕
○篠原副大臣 風評被害の防止につきましては、我々、当初からいろいろ検討してまいりました。
まず第一に、体内被曝を防ぐためには、暫定規制値以上のものにつきましては出荷制限する、それ以下のものは流通していただいていい。つまり、今店頭に並んでいるものは問題ないんですよということにさせていただいております。
そのときに、出荷制限をどうするか。今、生鮮野菜等につきましては、県単位で生産地を書くことになっております。実は、今、県単位で、どこの県もそうしておりますけれども、必要とあらば、それを分けた、市内、地域の名前を付してもいいことになっております。しかし、実際はそういうふうにはされておりませんで、どこの県も生産県の名前を付しております。ですから、とりあえず出荷制限は県でいたしました。
しかし、これを解除していかなければならないと思っております。
今まだ出ていて、すべて、原発の、もとがどうなるかということによっているわけですけれども、今のところ小康状態を保っている。ですから、引き続き検査しておりますけれども、既に暫定規制値を下回っているところが多くなってまいりました。
その場合には、こうしてまいりたいと思っております。遠くほど放射能の汚染が少ないわけですから、解除の場合には、地域を限って、早く、例えば福島県の場合でいいますと、決めているわけではありませんけれども、会津若松と中通りと浜通り、違うわけですから、そういう、県で日常用いられている区分け、農協等の区分けというのもありますが、そういうことを勘案いたしまして、解除の場合はもっときめ細かに解除してまいりたいと思っております。とりあえずは県でやらせていただいておりますが、解除はそういう配慮をしてまいりたいと思っております。
○吉野委員 今の放射能汚染は、同心円、十キロ圏内、二十キロ圏内、三十キロ圏内という形で、同心円で放射能汚染が広がっているというふうに皆さん思っていると思いますけれども、現実は違うんです。風向き、風力、地形、これによって、本当に、原発に近いところでも余り線量の、汚染がされていないところ、文科省のモニタリングポストのデータが毎日毎日リアルタイムで出ていますので、本当に汚染されたところ、汚染されていないところ、同心円で物事を考えないでください。
ここが、役所の方々はみんな同心円で考えています。同心円でやると、本当に実際に、風向きで遠くにまで、三十キロを超えた遠くまで福島県の場合、線量の高い地域がございます。ここの地域の人々の健康、また、そこからとれる農産物も、本当に線量の高い地域が三十キロの外もありますので、絶対同心円で物事を考えないでください。これはお願いいたします。
また、風評被害ですけれども、ここは林業でありますから、特に特用林産物、キノコ等々、今現在、キノコ等々の風評被害があるのかどうか、知っているところをちょっと教えてください。
○篠原副大臣 特用林産物についても放射性物質の検査をしております。
三月二十七日の時点で、二十四件調査いたしました。そのうち一件、花ワサビについてだけ暫定規制値を超えております。それ以外、心配されております、原木による生シイタケは外でやりますので、これは相当調査いたしましたけれども、すべて規制値を下回っております。シイタケはそうですが、ほかのエノキダケ、ナメコ、私のところは長野県の北部で大産地なわけでございますが、みんな屋内でございます、こういったものについてはほとんど数値が見つかっておりません。検出限界値と称しているわけですが、それ以下でございます。
ただ、残念ながら、東京市場では流通量が減少しておりますし、価格の低下も見られます。これは野菜と同じでございますけれども、幸い落ちついてまいりましたので、入荷量もふえまして、価格も少々上向いてきているのではないかと思っております。
こういったことは、消費者の皆さんに不安を与えてはいけませんので、これからも定期的に検査をきちんといたしまして、暫定規制値を上回ったか下回ったかというのをきちんと公表してまいりたいと思っております。
○吉野委員 次は、今度の災害対策です。
まず仮設住宅、そして、それが落ちつけば復興住宅、このことをこれからやっていかねばなりません。
まず、仮設住宅で、先ほど合板が足りないというお話がございました。セイホクベニヤ石巻工場、これが甚大なる被害を受けて、生産ががた落ちをしております。今、ここの復旧に向けて一生懸命取り組んでいるんですけれども、政府として、農林省として、この工場復旧に向けてどういう支援ができるか。事業者任せで工場の立ち上げだけはやらせていくのか。そこに政府は何らかの形で、住宅、特に合板は土木資材等々にとっても大事な大事な資材でありますので、どういう形ができるのか。ちょっと通告していなかったんですけれども、わかる範囲でお願いいたします。
○皆川政府参考人 お答え申し上げます。
昨日も、実は、被災企業であるセイホクの井上社長と、私お話をさせていただきました。石巻工場は相当にひどい状況だということでございます。ただ、セイホクでも、ほかの地域の工場をフル稼働させることによって、とにかく安定供給には支障がないようにしたいという強い決意を述べておられました。
それに向けての要望として、まず原木の安定供給をしてほしいということで、私どもも、特に東日本中心に、要は東日本の太平洋側に向けていた原木がございますから、それをとにかく、例えば秋田それから岐阜にあるような工場にどんどんつないでいこうといったようなことをもう既に始めております。
それから、工場の被災ということについて、やはり大きな合板工場等も国産材の使用者として大変重要な機能を担っておられます。その被害の実態をまずはよく把握するということでございますが、それに向けてどういった支援が可能なのかということについて、これまでの経緯等々にとらわれることなく、どういった支援策ができるのかということについて真摯に検討してまいりたいというふうに思っております。
○吉野委員 石巻工場の復旧よりも、既存の、特に岐阜にも新しい工場をセイホクさんはつくられましたので、そこをフル稼働して間に合わせる。原木供給だけは、本当に責任持って林野庁、お願いしたいと思います。
また、仮設住宅なんですけれども、全建連、いわゆる大工さんの組合、全国組織でございます、この間ここが、合板を使わないで杉の板だけで仮設住宅、三十平米、九坪ばかりですけれども、こういう仮設住宅を青木会長が開発をいたしました。杉の板、六分板、ですから十八ミリです。そして幅は六寸、十八センチです。全部六分と六寸で、この杉板を外壁にも使う、床材にも使う、天井板にも使う、野地板にも使う、すべてこの画一した板を使ってやる。合板は使わない。そして窓枠も、六分と六寸ですから窓枠にも使える。一枚の部材ですべての家の用途に使える、こういう仮設住宅を開発してやっておりますので、林野庁としてもこれをちょっとバックアップしていただきたいんですけれども、御見解を伺いたいと思います。
○皆川政府参考人 お答え申し上げます。
全建連の仮設住宅といいますか、それについて私も見せていただきました。
仮設住宅と申しますと、非常に短期間に大量の建築をしなきゃいかぬということで、これまで地域材を使ったというような取り組みは余り例がなかったんではないかと思います。そういう意味で、全建連の提案されていること自体、大変に私どもも評価しております。
私どもも、今までも、顔の見える住宅づくりということで、工務店の方々がそういった形で地域材を使って建てられるようなことについて支援をさせていただきました。
今回の仮設住宅の件につきましても、私も一応、国土交通省の副大臣がヘッドになりました、仮設住宅をしっかり建てる推進チームというものの一員になってございますので、その中でも、全建連のこの住宅ということについても御紹介もさせていただき、またその仕様についても、そういった中で、こういったケースがあるんだということについて幅広く皆さんにもお知らせをして、こういった取り組みがより進むように努力してまいりたいというふうに思っております。
○吉野委員 プレハブの仮設住宅よりは、国産材、杉で囲まれた仮設住宅に住むこと、一番は不安が取り除かれる、心が穏やかになる、本当に十分なる効果があろうかと思いますので、ぜひ推進をしていただきたいと思います。
仮設住宅が終わって、次は、ちょっと先の長い話ですけれども、復興住宅、かなりの数がこれからつくられると思います。先ほども質問がありました。この住宅資材、こちらの方を私は大変心配しているものです。この点について、農林省でまとめられた、先ほども御答弁ありましたけれども、もう一度、私の心配を取り除くことができるような、そういうきちんとした住宅資材を今手当てしているのかどうか、お聞かせを願いたいと思います。
○皆川政府参考人 お答え申し上げます。
まず、仮設住宅についても、住宅資材、一般に、木材だけではなくてさまざまな資材がございます。例えば断熱材がどうなのか、さらには、いろいろな意味での什器といいますか、水回りの施設等々もございます。そういったものにつきまして、私どもは、国土交通省の住宅局、さらには経済産業省、あと環境省等々と連絡会議を設けておりまして、そういった資材に関する、ちゃんとした供給ができるようにといったような形で各業界指導を、横の連携もとりながらやろうということにしております。
今後、復興ということになりますと、ますますそれが長期化するということでございますので、特に私どもは木材でございますが、それに向けての供給体制をしっかり組むということをやっていかなきゃいかぬということで、これはまさしく、山から川中、川下まで通じた、どこでも目詰まりがないような形ということをつくっていくということだと思っておりますので、そういったことについて遺憾なきを期してまいりたいというふうに思っております。
○吉野委員 特に原木の確保、製材工場が増産できるような形でしっかりと役所も取り組んでいただきたいと思います。
そこで、ちょっと心配なのは、やはり、先ほど買い占め等々の、価格の高騰なんです。どこまで価格の高騰、私はかなり上がると思うんですけれども、その辺の、抑えるすべ、価格高騰を防止するすべ、どういう対策があるのかお聞かせを願いたいと思います。
○皆川政府参考人 お答え申し上げます。
まずは、そういった仮需が起こるということは、情報の不足ということに起因することが多いというふうに思っております。その意味で、例えば合板についてもそういったことがあり得ると思っておりまして、やはり、今回東日本の工場が大きく毀損したということをとらえて、どうも合板が足りないんじゃないかといういろいろな思惑が今相当、日本全国回っているところでございます。
それに対する大きな施策としては、まず、とにかく供給余力がどのぐらいあるのかということについて、業界、それから政府を挙げて、その実態を明確に国民の方々にお示ししていく、情報の偏在をさせないということがあるんだと思います。その意味で、私どもとしては、まず協議会を設置して情報の共有を図る、また、業界からも政府からも、そういった需給関係の情報について的確につないでいくということが大事なんだと思っています。
もう一つは、中期的な問題になりますと、やはり安定供給の体制ができているかということが大事でございます。その意味で、木材でありますれば原木供給体制ということをしっかりつくっていく。その意味でも、今回森林法の中でも、川上からの体制をつくるということをやっていく、集約化をしていくことによって安定供給をつくるということをやっていくこと自体が大きな意味で供給の安定につながるということだと思っています。
そういう意味では、情報のいわゆる伝達の仕方、共有の仕方ということ、さらには安定供給体制をどうつくるかということを通じまして、そういったいろいろな意味で思惑に基づくような価格の高騰が起こらないようにぜひしていきたい。
また、もしそういったことになりますれば、当然、国民生活の安定を阻害することについてのさまざまな法制も既にありますので、場合によればそういったものの活用ということもあり得るかと思いますけれども、まずは情報を的確につないでいく、安定供給をしていくということで取り組みたいというふうに思っております。
○吉野委員 ある意味で少し私は安心しました。本当にしっかりとお願いしたいと思います。
それでは、山の話に移りたいと思います。
日本の山がなぜここまで衰退したのか。戦後、復興に向けて日本の、特に林野庁の果たした役割は大きな大きなものがあります。でも、なぜ外材に負けたのか、日本の国産材が負けたのか。私は、二つ理由があろうかと思います。
最初は、価格が、外材が安かったから、きちんと日本の国産材を打ち負かしたんだというのが一般的な考え方といいますか、思われ方であります。でも、今現在の価格水準は、国産材の方が安いんです、外材が高いんです。にもかかわらず、外材をどんどんどんどん買っております。
この一番の原因は、外材はいつでもどこでも一定の品質、太さです、一定の品質を、一定の量を買うことができるんです。品質が一定、いわゆる太さが一定、そして量も買うことができる。国産材はそれができないんです。品質もばらばら、太いものから細いものまで。量もまとまらない。ここの供給体制がきちんとないから外材に負けている。
もう一点は、切ったら植えるなんです。例えば、山を買う。先ほど森林所有者等、等という言葉の中に、山の土地は買わないけれども立ち木だけ、立木だけ、これだけ買う、そしてその立木を買った方は、それを切ってそのままで、だから植えない。山林所有者も、将来性がないから植えない。切ったら植える、このことがなされていませんでした。
この二つが解決されれば日本の山は再生できるんです。それが今度の森林法でどういう位置づけで、切ったら植える、どう担保できるのか。そして、今度の森林法で供給体制が本当にできるのか。外材に負けないだけの、いつでもどこでも品質一定、量も好きなだけ買える、ここのところの供給体制ができるのか。そこら辺のところをお伺いしたいと思います。
○皆川政府参考人 お答え申し上げます。
まず、切ったら植えるということでございますが、これまでの現行法では、無届けの伐採について、十分にそれをチェックするところが、法律上からいいますと少し弱かったという面があったんだと思います。そういう意味で、届け出がありますと、その届け出に沿った伐採をしていない場合に措置命令等が行われるということでありましたけれども、無届けということで、どちらかといいますと一番責任をとらない形で切ったというケースについて、その部分をいろいろな措置命令等ができないというようなところの穴があったということでございます。
今回、そこについて、造林命令といった形で、切ったら植えるということの措置命令が行われるということでございますし、また無届け伐採に関する罰則も強化するということで、その部分が穴が埋まるというようなことではないかというふうに思っております。
それから、国産材の安定供給ということ自体が、今先生御指摘のように、国産材がなぜ外材に比して競争条件上不利になってきたかということでございますけれども、その安定供給ができないということにまず最大の問題があったということは、まさしく認識を共有しております。
その意味で、今回、山側で、いわゆる先が見えるといいますか、どういった計画に基づいてどういった材が出てくるのかということ自体が数カ年のオーダーで見通せるという状況をどうつくるかということが非常に大事だというふうに思っております。それが持続的な森林経営ということにつながるんだと思いますが、それは、まさしく集約化であり、面的なまとまりをつくるということ、これが山側でできれば、さらにそれを、束を束ねて太いパイプで流通過程にのせていくということになれば、外材に伍していけるというようなことだと思います。
その意味で、今回の森林経営計画ということの措置の中で面的まとまりを持った山側の供給単位をしっかりつくっていければ、国産材時代を招来することができるというふうに私どもは思っておりますし、今回の法案でその大きな一歩が踏み出せるというふうに思っているところでございます。
○吉野委員 先ほどの坂本先生のお話で、まさに机上でつくった絵なんですね。すばらしい森林経営計画をつくってやるという、ここをいかにやらせるか、ここがまさにポイントだと思いますので、本当に皆川長官の全力を挙げて、この改正森林法ができたら、それをきちんと実行できるような、特に予算も含めて、予算対前年三割減なんというのは本当に、すばらしい絵をかいてお金が少ない、こういう現実をきちんと打破していただきたいと思います。
もう一つ、森林法と木材利用促進法。木材利用促進法ができました。私は、木材利用促進法というのは本当に画期的な法律だと思っています。
いい木をつくる、路網をつくって高性能林業機械を入れて安く出す、いい木で安ければ、羽が生えたようにどんどんどんどん売れるだろうという、これが経済原則なんですけれども、先ほど申しましたように、物流関係、供給体制が外材と比べて全く弱いんです。だから、高い外材でも買わなきゃならないんです、大型製材工場は。ここに、木材利用をする、木材を使っていくんだという新しい側面のこの法律で、木材を使うことによってお金が生まれます。このお金が山に循環する。大きな循環がこれによってできたわけであります。
今までの林野政策は、いい木をつくろう、安く出そう、ここでとまっていたんです。これをどう金にかえていくか、これが木材利用法案の大きな、根本的な意味だというふうに私は理解をしていますが、長官、どのように理解をしているでしょうか。
○皆川政府参考人 お答え申し上げます。
鹿野大臣からも先ほどお答えしましたけれども、公共建築物の木材利用促進法案と今回の森林法改正というのは、川下と川上、それぞれの大きな一歩ということだと思っております。その意味で、この二つが両々相まって、まさに車の両輪として回っていくことによって、まさしく国産材時代を招来し得る体系ができるんだというふうに思っております。
公共建築物ということで、今まで、戦後の過伐した森林の状況からして、極力公共建築物は木材でつくらないようにしようという時代がございました。それを大きく反転させたのが公共建築物の木材利用促進法案というふうに思っております。これはまさしく、公共、いわゆる公的な分野だけではなくて、それを民需に波及させる大きなインパクトがあるというふうに思っております。この推進ということと、さらに今回の山側、川上の体系、これをしっかりやっていくということをあわせてやれば、国産材時代は必ず招来し得るというふうに思ってございます。
また、出口対策という面では、もう一つ、再生可能エネルギーの固定買い取り制度ということも検討がなされております。これも、出口をつくるという意味でも大変大事なのではないかというふうにも認識しているところでございます。
○吉野委員 まさにそのとおりです。一生懸命推進してください。
次に、林野特会なんですけれども、国有林、これは国有林を切って、そこのお金で給料を払っていこうということで、ある意味で私は、うがった見方ですけれども、給料を払うために木を切っているんだ、こういう理解もしているところです。ですから、これをやめて、給料を一般財源で払って、国有林の木材は、木材供給、そこの市況を見ながら、値段が上がっているときには大量に国有林を出し、値段が下がっているときには国有林をもっと絞る、ふやすとか、そういうダム的機能、調整機能を国有林に求めたいんです。
今は、給料を払うために毎月毎月決まった量を切っている、市況に関係なく切っている、こういう形になっていますので、ぜひ国有林野事業の給料の部分は一般財源化して、給料を払うために木を切るんじゃない、こういうところをお願いしたいんですけれども、いかがでしょうか。
○皆川政府参考人 お答え申し上げます。
私どもも同じ認識でございまして、我が国の国有林というのは国民の共有の財産でございます。その意味で、その使命というのは木材の安定供給でございますが、急激な木材価格の変動というときには国有林材が供給調整の役割を担うということは当然のことだと思います。
ただ、それが、なかなか今までの特別会計の体系の中ではできにくかったという面がございます。このため、森林・林業再生プランの中でも、国有林野事業の組織、事業すべてを一般会計化して、民有林との連携がより強化できるような形をとるべきだということが提言されております。
実は昨年の行政刷新会議の中で特別会計の事業仕分けというのがあったんですが、私どももこの考え方を主張させていただきまして、国有林野事業につきましては、特別会計を一部廃止しまして一般会計に統合する、負債の方は区分経理をして国民負担をふやさないということの方針を説明させていただきまして、行政刷新会議においてもその方向で了ということになってございます。
これらを踏まえまして、本年一月から、林政審議会に対しまして、今後の国有林野の管理経営のあり方を諮問しております。一般会計化に向けた具体の検討を進めまして、年内には改革案を取りまとめたいというふうに思っております。
また、今回の復興需要等につきましても、当然に、民間が安定供給がまだ十分できないという場合があれば、国有林の方で、例えば復興材の安定供給ということで、積極的な出材にも努める覚悟でございます。
○吉野委員 まさにその方向に向かって、特に復興住宅についての木材の供給を林野庁は責任を持ってお願いしたいと思います。
では、ちょっと法案について質問します。
無届け伐採は、閣法では造林命令だけができるというふうに書かれているんですけれども、なぜ閣法で中止命令まで、自民党案は中止命令が出ているんですけれども、無届けで切っているのはわかっているのに何で中止できないんでしょうか。どういう理由で中止命令を入れなかったのか、お願いいたします。
○皆川政府参考人 お答え申し上げます。
私どもも、今回、無届け伐採後の造林命令ということの措置を閣法の中にも入れさせていただいておりますが、その際、中止命令をどうするかということについて、私どもも法制的な議論をさせていただきました。
その中で、私どもがとりました判断といたしましては、届け出がございませんので、伐採をした方がどういった範囲で伐採をするかということがあらかじめわからないという中での伐採行為をどう見るかという際に、個々の伐採がどういったケースで、無届け伐採に当たるかということの認定自体が現場実務としてなかなか難しい面があるのではないかという判断のもとに、今回の閣法では伐採中止命令ということについては措置しなかったということでございます。
○吉野委員 通常、我々、伐採届という言葉だけで伐採をしているんですけれども、これには造林届という言葉もあるんですね。伐採及び造林の届け出なんです。ですから、伐採したらきちんと植えるということが書かれていないと木は切ってはだめだよというのが今の法の建前なんですけれども、現実には造林がかなりされておりません。その罰則規定もあります。正式な伐採及び造林届を出しているにもかかわらず造林しない場合の罰則規定もあるんですけれども、勧告規定もあるんですけれども、運用上これが実行されてこなかったのが現実なんです。
今後、どういう形で林野庁として市町村を指導していくのか、お伺いしたいと思います。
○皆川政府参考人 お答え申し上げます。
現行の制度につきましては、まさに委員御指摘のとおりでございます。
そういった意味で、では、それがどうして実効がなかなか上がってこなかったのかということでございますが、先ほども、坂本委員の御指摘の中にも、森林・林業の市町村のレベルでの体制がなかなか脆弱であるということもやはり大きな要因の一つではないかというふうにも思っております。
その意味で、今回、やはり市町村の森林整備計画というものがしっかりと進行管理される体制をつくるべきだということではないかというふうに我々は判断をいたしまして、今回の法案の中で、市町村森林整備計画の達成のための技術的援助ということについて、都道府県の林業普及指導員の事務として明確につけ加えさせていただいたということでございます。
また、そういった支援機能ということで、森林・林業に関する専門知識、技術、実務経験を有する方々の市町村行政に対する支援の仕組みということについても今回創設する考えでございます。
このような取り組みによりまして、伐採後の適切な造林ということが行われるように指導してまいりたいというふうに思っております。
○吉野委員 まさに、切ったら植える、これをきちんと担保できるように頑張ってほしいと思います。
次に、国及び地方公共団体の役割として、閣法では、いわゆる全国森林計画、地域森林計画、市町村の森林整備計画をつくるためのいろいろな情報提供等としか書かれておりません。自民党案に書かれているような境界がわからない、また、施業集約化をどう進めていくか等々は書かれておりません。
なぜそういうところまで踏み込んで閣法では書かなかったのか、理由を聞きたいと思います。
○皆川政府参考人 お答え申し上げます。
今回の政府提出法案におきましては、国民の権利義務に関する事項など、いわゆる法律上定めなければいけないということ、そういった規定について新しく盛り込ませていただいたということでございまして、国それから地方公共団体が講ずる措置ということにつきましては、法律上の規定がない場合でも実行が可能だというような判断をいたしまして、政府提出法案には盛り込まなかったところでございます。
ただし、今回御議論の上で、もしそういった規定をいただければ、そういった決定に従って、施策のより積極的な推進に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
○吉野委員 今回の改正で一番特筆すべき点は、やはり私権の制限、所在不明者の山林でも間伐をきちんとできる、またそこに路網をつくることができる、これが一番特筆すべき点かなというふうに思います。これによってよりよい森林整備ができるわけです。
ここで、例えば間伐の場合、自己負担が三二%あります。これは間伐した木材を売って自己負担分に充てる、そういう発想のもとで三二%の自己負担があるわけですけれども、不明者のところも間伐するわけです。これは、かかった分と間伐の売り上げ等々で精算をして、益金が出た場合、また損金が出た場合、不明者の部分についてどういう処理をしていくのか、お尋ねをしたいと思います。
○皆川政府参考人 お答え申し上げます。
今回、代行者が費用を負担しまして間伐をして、得られた収入で間伐を賄うということになっておりますけれども、不明者の場合は、いわゆる間伐木の標準的な販売収益に相当する額を供託するという形になります。そういう意味で、不明者の場合はそこの供託をされているという形でございます。
それから、代行者にもし損失が生じた場合には、所有者に支払うべき額がゼロ円になるという形になります。ただ一方で、代行者の方々はなるべく集約化をして、路網も的確に入れてということでお取り組みいただけるというふうに考えておりますので、一般的な場合には、そういった代行者にも一定の利益が残るという形を私どもは想定しております。
○吉野委員 時間も来ました。これで質問を終わりますけれども、本当に、森林法を改正して、これが、日本の山が生き返る、そういう形での、絵にかいたもちにならないように、中身を込めて実行できるような、そんな体制をぜひつくっていただきたいと思います。ありがとうございました。
○山田委員長 次に、吉泉秀男君。
○吉泉委員 社会民主党の吉泉秀男です。
戦後最悪の大惨事が発生をしてから、きょうで二十日目を迎えております。いまだ行方の知れぬ、わからない行方不明者の方々、そして不自由な生活を強いられている被災者の皆様、とうとい命を奪われた多くの犠牲者に対し、心から哀悼の意とお見舞いを申し上げながら、質問に入らせていただきます。
事故発生以来、大臣の気持ちは、まさに犠牲者なり被災者の悲痛な叫び、これが日を追うごとに大きく届けられ、大臣の心、気持ち、そのことを思うと、本当に休む暇もなく大変みんなのために頑張っている、このことには敬意を表させていただきたい、こう思っております。
しかし、福島の原発事故の対応については、私から見れば、政府の対応、東京電力の情報隠しにいら立ちと不安が募り、憤りを覚える状況にあります。特に、最も恐れていたプルトニウムが検出されても、すぐには公表せず、人体に問題になるものではない、こういう姿勢には憤りを覚えます。
事故発生以来、食の安全、環境保全に責任を持つ担当大臣として、東京電力や保安院、これに対して毅然とした態度で臨むべきだろうというふうに思っております。この間の大臣の対応、そしてまた多くの消費者、生産者に対する不安、そのことを含めて、これからの、そして今まで起きてきたこの事故に対する処理の仕方、対応の仕方、そして決意、このことをまずお伺いさせていただきます。
○鹿野国務大臣 今回の原発事故によりまして、国民の多くの人たちが大変大きな不安を感じておる、こういう中におきまして、農林水産省といたしましては、国民の皆様方に対して、まず食の安全を確保する、このことが最も重要な使命である、こんなふうに感じておるところでございます。
そういう中で、過般、厚生労働省が決定いたしました暫定規制値というものを超えた一部の農産物につきましては、出荷を控えていただきたい、こういう要請も指示が出されたところでございます。
このようなことの措置に対しまして、私どもといたしましては、農業者の人、あるいはまた漁業者の人、消費者の人、そういう方々にしっかりとした情報を提供いたしまして、まず御理解と御協力をいただく。
そして、その出荷制限がなされたということについては、まさしく、これからも、どういう状況になっていくかということを踏まえたときには、相当な因果関係というふうなものは明確になっているわけでありますから、きちっとした補償というものも、これは適切なる補償が行えるように万全を期していくことも大事でありまして、とにかく、私どもといたしましては、農業者そして国民の皆様方の立場に立ちまして、食の安定供給、安全の確保に全力で取り組んでいきたい、このように考えておるところでございます。
○吉泉委員 今回のこの大惨事で農林水産省がどういうふうに対応していくのか。このことが、国民から見れば非常に期待も大きいものがあるというふうに私は思っております。
今回の事故で、十四基の原発の増設を目標に掲げていたエネルギー基本計画を見直す、この方向で動いているというふうに思っております。原発の重視から太陽光などクリーンエネルギーを重視する、こういう転換、このことは当然である、こういうふうに自分自身思ってもおります。
森林・林業再生プラン、このところにおいても、理念の中において、林業・木材産業を成長戦略の中に位置づけ、エネルギー利用拡大に、貢献する、こういうふうにうたってもおります。これから、この基本計画の見直し、このところが進むんだろうというふうに思いますけれども、大臣として、この見直しに関して、そしてまた、この再生プランをもっともっと具現化、こういう部分の中で進めていかなきゃならない、こういうふうにも思っておりますけれども、その点についての見解を大臣からお伺いします。
○鹿野国務大臣 これからのエネルギー政策をどうしていくかということにつきましては、政府全体として取り組んでいかなきゃならない大変重要な課題であると思っております。
そういう中で、森林・林業再生プランを実行していくというふうなことは、国民の皆様方の安心と安全な生活を守るという意味におきましても、今日まで連綿と続いてきたこの恵まれた自然というものをこれからもしっかりと保全していくという意味におきましても、どうしてもこの森林・林業の再生というふうなものをなし遂げていかなきゃならない、このような認識に立っておるところでございます。
○吉泉委員 ぜひ、これからのエネルギー政策の中に大臣としての積極的な発言さらには提言、このことを御期待申し上げさせていただきます。
そしてまた、森林・林業の再生を図る、このことについて、これまで質問の中でも多く出たわけですけれども、自分自身も、課題について、再生を図るにはやはり地域の林業の事業体、このところが今問題が多くあるんでないか、こういうふうにも思っております。木材の安定的な供給体制を確立していくためには、事業体の経営主体性、このところの強化が不可欠だろうというふうに私は思っています。
二〇〇五年の農林業のセンサスによれば、全国で六千六百七十三の事業体がある、しかし、この六千六百七十三事業体の中で十人以下の事業体がもう八割でもある。まさにこの林業に携わる事業体についてはもう零細企業そのものだ、こういうふうに私は言わざるを得ないというふうに思っています。
この事業体を、またはそれぞれ森林組合等もあるわけでございますけれども、この強化策、このことについてお伺いをさせていただきます。
○田名部大臣政務官 林業事業体の、今後、林業就業者を安定的に雇用していくということもこれからはしっかりと考えていかなければならないと思っておりますし、この事業体がしっかりと事業を行っていくためには、間伐等の事業量というものをしっかりと確保していかなければならないというふうに考えております。また、林業事業体が施業の集約化に取り組みやすい、そういった環境づくりも行っていく必要があると考えています。
また、林業就業者が生きがいを持って仕事につけるように、キャリアアップをしていく仕組みも必要だと思っておりますし、また、そういう人たちが地域に定住をしていくような仕組み、これは総務省が交付税措置をしているものでありますけれども、こういったことも総務省とお互い協力をしながら、取り組みに全力を尽くしていきたいと考えています。
○吉泉委員 今、雇用の問題、人材の問題、これも含めてこの事業体の御答弁がなされたわけでございますけれども、これからだというふうに私は思っています。今言われましたように、地域に定住をする、そのためには、経営能力さらには優秀な人材、これがやはり欠かせないわけでございます。しかし、今の現状、このことを見た場合に、林業の就業者、これはまさに、昭和四十五年の二十一万人から五万人、こういうところで、もう激減をしている現状でもございます。そんな中において、高齢化率も非常に高い。
そして今、政府の方として、雇用政策、緑の雇用、このことを打ち出していこう。若者の新規就業者は確かにふえてきております。しかし、中身を見ますと、それぞれ日々雇用、こういうのが現実でございます。そんな中で二百万、高くて三百万、これが年収の現状。そういう中には、やはり、若者がこの林業に生きがいを持っても、そこに定住をする、そういう状況にはなかなかならないんだろうというふうにも少し思うわけでございます。
雇用の政策、緑の雇用、このところについてもっともっと、予算的な問題も含めて、人材の活用、育成、このことにもう一度御答弁をお願い申し上げます。
○田名部大臣政務官 先生の御指摘のとおりだと思っておりますし、また、大変重要な課題だと考えています。
森林・林業再生プランの実現に向けて、いよいよ予算もまた中身も一歩踏み出していく、そういう状況にあるわけですけれども、林業の分野においても、若い皆さんが生きがいややりがいを持ってその場に定住をしながら仕事に励んでいけるような、そんな支援体制をしっかりとつくり上げてまいりたい、そのように考えております。
○吉泉委員 今御答弁もあったわけでございますけれども、今この再生プランの中では、技術力を生かしたセーフティーネットとして、組織、事業のすべてを一般会計に移すことを検討する、こういうふうになされているわけでございます。今林野庁では、この点に関しまして審議会を設けて、国有林事業の今後の役割等について検討が進んでいる、こういうふうにもお聞きをしております。
私は、国有林事業そのものが我が国の森林・林業の再生に貢献できるように、組織、事業のすべてを早期に一般会計に移行させながら、人材育成を推進し、民有林への指導、サポート、さらには地域貢献、このことを果たす、そういう体制を確立することが急務だ、こういうふうに思っております。
この点についての一般会計への移行の問題について、現在の状況、そしてまた政府の見解をお伺いさせていただきます。
○篠原副大臣 小泉政権時代に、官から民へ、官から民へという言葉が盛んに喧伝されました。しかしながら、国有林、緑の維持というのにつきましては、私企業等に任せていくべきことではないのではないかと私は思っております。この点については、先ほど吉野委員から御指摘がありました。国有林野に携わっている人たちを食べさせるために木を切っているんじゃないか、そういうことをしちゃならないと。私は、ごもっともな指摘ではないかと思います。
先ほどから申し上げておりますように、小規模の森林の所有者の皆さんも仲間に加える、あるいは、所有者が不明な場合は国が整備していくというようなこと、これは、根底には、緑、森林の維持というのはやはり国の役割ではないかというのがあるのではないかと私は思っております。
ですから、平成二十一年には、今吉泉委員御指摘のとおり、森林・林業再生プラン、農林水産省がつくり上げたものでございますけれども、ここで、一般会計に移行するということを明言しております、検討するということですね。
それから、昨年の十月の行政刷新会議、ここでは、拙速な議論がなされて、根拠のないような結論が出されている部分がたくさんございましたけれども、この国有林野事業につきましては、特別会計の一部は廃止し一般会計に統合、それから、負債は区分経理して国民に負担をふやさないというふうに、そこそこ真っ当な仕分けがなされたのではないかと私は思っております。
これらを踏まえまして、これも委員御指摘になりましたけれども、林政審議会におきまして、一月に、国有林野の管理経営のあり方を諮問したところでございます。
一般会計化に向けまして検討しておるところでございまして、年内にはきちんとした結論を出してまいりたいと思っております。
○吉泉委員 ありがとうございます。
年内というと、十二月まで、そういう認識でいいのでしょうか。ありがとうございます。
ぜひ、これからの雇用の問題、農林業を含めた第一次産業における雇用そのものをもっともっと強化していかなきゃならない、そういうふうに思ってもおります。そんな面の中では、政府の方として、国有林の果たす役割、このことをきちっと踏まえながら、ぜひ一般会計への方向性というものについて強く打ち出していただきたいことを要望申し上げて、時間になりましたので、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○山田委員長 次に、西博義君。
○西委員 公明党の西博義でございます。
二十分の時間をちょうだいいたしました。早速質問に入らせていただきたいと思いますが、その前に、このたびの東日本大震災においてお亡くなりになりました大勢の皆さんに対して心からお悔やみを申し上げるとともに、被災された皆さん方に心よりお見舞いを申し上げたいと思います。
では初めに、閣法から始めていきたいと思います。
初めの質問は、今回、路網等の設置のために必要な他人の土地に使用権を設定する、このことにつきまして、この使用権にかかわる使用料、それから、路網整備のために伐採した木材の補償という形のものが発生する場合に、土地所有者が不明の場合には、この使用料それから補償金等についてはどういうふうな措置がなされるのか、お伺いをいたしたいと思います。
○田名部大臣政務官 お答えをいたします。
今回の改正によりまして、土地の所有者が不明である場合も、都道府県の知事の裁定によって使用権を設定できることとなります。この場合、土地の所有者に支払うべき土地の使用に係る対価については、都道府県知事が裁定において、周辺地域における土地使用料の相場であるとか、また標準的な立木価格をもとにその金額を決定し、路網の開設者が土地の所有者のためにこれを供託することとなっているところでございます。
○西委員 早急に間伐が必要な森林の間伐を行わない場合に、行政の裁定によって、かわって施業代行者が間伐を行う、こういうことになります。
間伐材を売った収入より費用が上回った場合、この費用をどうするのか。先ほど、そういうことがないようにというお話がありましたけれども、条件が悪いところでは、必ずしもすべて収益が上がるということにはならない危険性があるんじゃないかというふうに私は思っております。結果的には赤字になる。その場合には、費用が出せないものですから間伐が進まないという結果が出るのではないかというふうに危惧しておりますが、このことについてのお考えを大臣からお伺いしたいと思います。
○鹿野国務大臣 先生の御指摘の、いわゆる条件不利なところにおいてはなかなか引き受ける人もいないのではないか、こういうふうな御指摘だと思います。
この件につきましては、制度の支援対象というものは、平成二十四年度以降ということでありますけれども、間伐代行制度の導入に合わせ、要間伐森林の間伐を代行する者も支援対象とすることといたしております。
そして、この制度では、条件不利地も含めた森林施業の集約化と路網の整備を通じた施業そのものの低コストを図るとともに、間伐材の搬出材積に応じた単価設定をする仕組みとしておりまして、搬出経費に見合った支援を受けることが可能であることから、国産材の利用拡大と相まって、代行者による要間伐森林の間伐を含め、収益の確保というものは可能になるのではないか、このように考えておるところでございます。
○西委員 常に黒字が出ればいいんですけれども、木材価格等の変動もありますし、また大変急峻な山地なんかの搬出は非常に労力がかかるとかいう悪条件もあります。その場合にきちっと対応できるように、やはり計画段階からきちっと、黒字といいますか運営ができるようにぜひとも頑張っていただきたいと思います。
次に、改正案では、市町村の森林計画から要間伐森林という規定を今回削除しております。その理由についてお伺いしたいということ。それから、市町村長が要間伐森林の所有者に対して通知し勧告する、こういう改正ですが、この方が間伐がより進むというふうに考える理由について、お伺いをしたいと思います。
現行の制度では、市町村森林整備計画には、整備できるところしかなかなか計画にのせられないという非常に難しい部分がございます。反面、計画が公表されて議会の目にも、きちっと目を通すということになりますと、逆にこれがオーソライズされて世間にも目に見える形で計画が決定される、こんなこともメリットとして無視できない部分があるのではないかというふうに私は思います。
今回の改正案の書きぶりでは、要間伐森林の明確な規定がなくて、これで市町村長がどういうふうに決めるのか、何をもってここが要間伐森林だと決めるのかということが不安になります。そうなりますと、責任を負うということになりますので、結局、市町村長が通知、勧告するということが逆に難しくなっていくのではないか、そういう感じを受けておりますが、このことについて大臣のお考えをお述べいただきたいと思います。
○鹿野国務大臣 現行制度では、市町村森林整備計画に、早急に間伐等を実施する必要のある森林を要間伐森林、このように位置づけをいたしているところでございますが、市町村森林整備計画に掲載されるだけでは、森林所有者が認識していないというふうな場合が出てくるわけでございます。このため、今回の改正におきましては、市町村森林整備計画への掲載にかえまして、市町村長が森林所有者に直接通知を行うというようなことにしたところでございます。
また、施業代行の手法といたしまして、これまでの分収育林契約の締結に加え、間伐木の所有権の移転というんでしょうか、このことも追加をするというようなことで拡充をしておるところでございます。
なお、要間伐森林につきましては、市町村森林整備計画の計画事項である間伐を実施すべき林齢や森林の現況等の基準に基づきまして指定されるということでございまして、このようなことから適切なる運営を図ってまいりたいと思っておるところでございます。
○西委員 今大臣から答弁いただきましたように、やはり客観的な説明責任を果たせるような形で、ぜひとも首長さんから指定をしていただきたい、このように思います。
次に、十条の九、つまり、伐採及び伐採後の造林計画の変更命令、この規定に関して、今までどれぐらいの件数が適用されたのかということをお伺いします。
このたび、無届けの伐採者に対しては、四つの条件に該当した場合に、市町村長は、造林をしなさい、こういうことで命令できるようになります。これらの条件は、同条第四項の無届け出の伐採者だけではなくて、第一項の場合の届け出をした伐採者にも同じ形として通じるような条件ではないかというふうに私には思われるんですが、これらの条件が無届け出の伐採者のみが対象となる条件、これに限られるのかということについてお伺いをさせていただきます。
○篠原副大臣 現行法上で命令をした実績があるかどうかということでございます。十年間、ございません。
命令の実績がない理由でございますけれども、届け出を行った人たちは、届け出の中に計画が書いてあるわけです。ですから、首長さんはそれを承知しているわけです。ちょっとおかしかったりすると市町村が行政指導により是正しておって、わざわざあえて命令を下す必要がなかったのではないかと思います。
それから、今度、では、届け出を行っているので、造林計画について、いろいろ変更したり、遵守の命令を出すのにきちんと要件が必要じゃないかということでございますけれども、その点については、変更しようとする場合、もう計画があるわけです。だから、その計画に従って造林をしているかしていないか。ですから、計画自体が要件に当たるのではないか、計画どおりにやっているかやっていないか。ですから、あえて要件が必要ないのではないかというのが一つでございます。
それから、遵守も同じでございます。そもそも、同じになるんですよ。計画そのものがあるわけですから、計画に沿っているか沿っていないか、沿っていないからこうしろ、これを守れというのを、計画そのものが要件になるのではないかと私は思っております。
そういったことで、今回は、この法案に新たな要件は出しておりません。ですけれども、実際にそういったことをする場合は、西委員御指摘の四つの項目、これは参考にはなるのではないかと私は思っております。
〔委員長退席、梶原委員長代理着席〕
○西委員 既に計画ができているから必要ないということですが、計画ができているにもかかわらず実施されていないという部分がまさしく今問題になっているわけで、そのままの適用はしてもいいんですが、きちっと実施できるように、これからまた行政上体制を整えて、適用をきっちりしていくということをぜひともお願いをしたいと思います。
次に、伐採の中止規定をもともと質問しようと思っておりました。政府にはない、自民党さんには入れられているということを質問しようと思いましたが、たくさんの質問が出ておりまして既に回答が出ておりますので、これはやめさせていただきます。
次に、改正案の中で、従来の森林施業計画から森林経営計画というふうに変更しております。この理由についてお尋ねをしたいと思います。
同時に、政令で定める基準というふうにありますのは、現行と同じ三十ヘクタール以上ということになるのだろうと思いますが、点から面で森林整備を進めていこうというのが改正の趣旨であるならば、この政令の基準はもう少し面的にとらえられるように見直すことも必要ではないかというふうに考えておりますが、この点についてのお答えをいただきたいと思います。
○田名部大臣政務官 今回の見直しでありますけれども、森林の面的なまとまりを確保して効率的な施業を推進していく必要があるというような考えのもとで行われました。
それで、森林経営を行う意思のないというか意向のない森林所有者には、効率的な施業を行って持続的な森林経営を行える方に委託をしてもらいたいと、委託をしてもらうことを期待しているわけです。
そのため、森林所有者のほか、森林経営を行わない所有者から委託を受けて森林経営を行う者が計画を作成できることとした上に、対象森林について、地形その他の条件から一体的に森林の整備を行うことでその効率化が図られる森林を単位として計画を認定することで、面的なまとまりを確保する考えであります。先生最後に御指摘あった、面的なまとまりを確保する、この観点を私たちもしっかり踏まえていかなければならないと思っています。
対象森林の具体的な基準でありますが、このことについてこれから政令で定めることとなりますけれども、地形であるとかその他の自然条件、こういったことから見て施業を一体として効率的に行えることをしっかり踏まえて、これからその方向で検討をしていきたいというふうに考えています。
○西委員 まず三十ヘクタールありきということで、なかなかそれがまとまらないから面的集積ができないということよりも、少し狭くてもきちっとしたまとまりができるということを優先していただければというふうな趣旨でございます。よろしくお願いいたします。
次に、衆法をお出しいただいた皆さん方にお答えをいただきたいと思います。
森林の所有者となった者は、今回、衆法では、市町村長に届け出るということになります。また、都道府県知事及び市町村長は、森林所有者等に関する情報の内部利用をして、情報提供を求めることも考えておられるということです。
いずれにいたしましても、これらの情報について集約して一元化するということをお考えになっているんじゃないかなというふうに思うんですが、そのことについての確認でございます。その際に、森林簿など既存のものを利用してそれを改善しようとされているのか、それとも、新しく何らかの森林情報のデータベースなんかを考えておられるのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
〔梶原委員長代理退席、委員長着席〕
○高市議員 今回、この届け出制を設けました趣旨は、森林所有者等を行政がきっちりと把握して、そして指導監督権限を適切に行使する、これを担保するためのものでもございますので、今西委員おっしゃいましたとおり、この情報というのは一元化、集約化していくということを目指しております。その際、都道府県が持っている森林簿に入れていくという方法もあるんですけれども、立法者といたしましてはデータベース化を希望いたしております。
今も、森林地理情報システムというものを徐々に都道府県が導入し始めております。これは、森林の図面情報であったり、森林簿などの帳簿情報であったり、それからまた施業履歴、こういったものであったり、これを集約化しつつあるということですので、こういったところに集約化していきますと、恐らくこれから森林計画の策定ですとかそういったところにも使っていけますので、立法者としてはデータベース化を期待いたしております。
○西委員 できるだけ充実したものになればというふうに思います。
今回、森林の所有者に届け出義務がかかるということになりますが、これをどのように周知徹底していくかということが私はかぎになるんではないかと思います。先ほどからも議論がありましたように、なかなか山林の売買、相続等がスムーズに行われていなくて、昔の人の名前がそのまま書いてあったりということは私の地元でもたくさんあります。
役所への何らかの接触は、例えば、その方がお亡くなりになったときの死亡届だとか、それから税務署に相続税の申告をしに行くだとか、森林に対する所有者の変更のさまざまな機会というのが、役所とつながっているところがあると思うんですが、こんなときに、届け出義務について行政の方からちょっとアドバイスをしてもらう、案内をしてもらう、こんなことがあればスムーズにいくのかな、こんな思いを持っております。また、不動産の関係者へも周知徹底をしていただくとか、さまざまな取り組みによって、とりあえず森林の所有者に届け出をしていただく、周知するというところから、今回の皆さん方のお考えの具体化が始まるんではないかなというふうに思っておりまして、その点についてのお考えをお伺いしたいと思います。
○高市議員 周知を徹底するという観点から、公布から施行まで六カ月の期間をとりました。この間に国や地方公共団体が広報物などを通じて周知していくということも考えられます。
それから、国土利用計画法にも届け出制度があるので、あれはどのように周知したのかしらと調べてみましたら、あのときは、行政書士会ですとかまた司法書士会、それから不動産関係団体などの御協力を得ている。それからまた、登記の際にということで法務局にも広報物を置いたりしておりますので、今回、この法案に関しましても、やはり周知というのは、森林組合初め林業関係団体もたくさんございますので、そういったところの御支援も得ながらということになるかと思います。
それから、相続が何代も続いて、もう自分自身が森林所有者かどうかわからなくなっておられるような方もおいでかと思いますが、今回こういう制度が導入されたということによって、いま一度自分で確認をしてみるというきっかけにもなると思いますし、どうしても判断が難しいという場合には、行政の方でも、登記簿を確認したり、地縁による調査をしたり、そういった取り組みをしていただくことも必要かと思います。
○西委員 以上で終わります。ありがとうございました。
○山田委員長 次に、石田祝稔君。
○石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。
きょうはお時間をいただきましたので、質問をさせていただきたいと思います。
まず最初に、もう今回の震災でお亡くなりになった方が一万人を超えました。行方不明の方と合わせると約三万人と、大変大きな災害でございます。心から御冥福とお見舞いを申し上げたいと思います。
まず、法案の質問に先立ちまして、この法案と直接関係ありませんが、一言、政府の御見解をいただきたいことがありますので、ちょっとお願いをいたしたいと思います。
この後、お茶の問題について取り組みを委員会としてしますけれども、この中で、お茶の伝統と文化ということが載っております。このことについて、政府としてはどのように受けとめているか、端的にお答えをお願いいたしたいと思います。
○鹿野国務大臣 与野党で協議されており、また、本委員会での提案が予定されているというお茶の振興に関する法律案の内容につきましては承知をいたしておるところでございますが、農林水産省といたしましても、お茶に関する伝統と文化が国民の生活に深く浸透している中で、お茶の文化の振興を図ることは、茶業のいわゆる健全な発展と豊かで健康的な国民生活の実現に寄与することになる、このような考え方に立っておるところでございます。
また、茶道から日常の喫茶まで、お茶の歴史や伝統に関する幅広い知識を普及することは、お茶の文化の振興を通じて、茶業の健全な発展と豊かで健康的な国民生活の実現につながるものではないか、こんなふうにも考えているところでございます。
このため、法案が成立した暁には、こうした法律の趣旨と目的を実現できるよう、農林水産省といたしましても最大限努力してまいりたいと考えております。
○石田(祝)委員 大臣、ありがとうございました。
ことしは国際森林年でございます。私も、林野庁からいただいたバッジをつけて、森林ということをしっかりと啓蒙してまいりたいと思っております。
私のふるさと高知県は、全国一の林野率を誇る県でございます。森林そのものがたくさんあるんですけれども、即、山の振興になかなかつながっていっておらない。こういうこともありますので、この法律が成立の暁には、ぜひともしっかりとした対応をお願いいたしたいというふうに思います。
それでは、まず、今回の森林法の改正で、皆さんいろいろ御質問なさいましたのでダブるかもしれませんけれども、一番大きな今回の目玉というんでしょうか、今までとの違いは、やはり森林等所有者の私権に踏み込んでいる、制限に踏み込んでいる、この点が今までと大きく違うのではないか、このように私は思っております。
今までもそれらしいことはあったかもしれませんけれども、やはり森林のいろいろな問題に対して実効性のある法律として今回考えられていると思います。その中で、この私権の制限ということについて、私は老婆心ながら非常に心配もするんですが、この点について心配がないのか、このことでまず御答弁をお願いいたします。
○鹿野国務大臣 今回の改正によりまして、施業代行者によるところの早急に間伐が必要な森林の間伐や、路網等の設置に必要な他人の土地への使用権の設定が可能となるというところでございます。
このような措置というものは、森林の有する公益的機能を十分に発揮させる上で不可欠となる適正な施業の確保に真に必要な場合に限って適用、こういうふうな考え方であります。十分な公益性が認められるというふうに考えているところでございます。
これらの措置によりまして財産権の制約を受けることになる森林の所有者に対して、間伐木から得られる収益や土地の使用に係る対価を支払うことも明記されております。こういうことで、憲法上の財産権の保障の要請をも満たしているのではないか、このような考え方が私どもの基本的な認識でございます。
○石田(祝)委員 今大臣、心配ない、こういう御趣旨だったと思いますが、えてして現場ではいろいろトラブルも起こりますので、これはよくよく執行段階で丁寧にやっていただきたいと思います。とにかく、隣同士の境界で一センチでもずれておったら大変な問題になるというのが昔からでございますので、他人の土地を、道をつけるということで、大変な工事もしてその中を通っていくわけですから、これは重々その点御注意もお願いしたいと思います。
それで、今回の震災に関して申し上げますと、これから仮設住宅等もどうしてもつくっていかなければなりません。どうしてもこれは、木材に対する需要ということも当然出てまいります。今回の震災で、いわゆる加工場とかいろいろなところも大分大きな被害を受けているように思いますが、こういう点をこれからどういうふうに復旧させていくのか。
そのことと、今回、木材需要が出てまいりますから、これはぜひとも国産材も使ってほしい、こういう希望も私はいたしますが、加工施設等の復旧の問題と、これからの仮設住宅の建設に当たって木材の需要に国産材がどうこたえていけるのか、この点について御答弁をお願いします。
○篠原副大臣 木材の自給率も相当下がっております。木材、それから我が省の所管物資でいうと小麦、それから今問題になっております石油はほとんど外国から参りますので、その関係の工場はほとんど港湾のすぐ近くでございます。
したがいまして、合板の関係では、仙台港を中心にたくさんあったわけでございますが、相当被害を受けておりまして、七つの大きな工場が操業停止に追い込まれております。これは港の回復、港湾設備の回復と一緒に復興、復旧もそうですけれども復興で相当直さなければいけないということで、そのプランの中に入れて再建を図っていかなければならないことではないかと思っております。
次に、仮設住宅あるいは復興住宅について国産材をどんどん活用すべきではないかという点。この点は私は、農業と漁業の場合は、農業の場合は資源等、土地の制約があり、漁業の場合も資源制約がある。それに対しまして、林業につきましては、我々の祖父母の世代にさんざん植林をしていただいております。日本で年間使う木材と同じ量が大きくなっている。ですから、使おうと思えば使えるわけです。ただ、その体制になっているかどうか。
先ほどここで、谷委員、提案者として横におられて、いや、合板は西日本でももう不足ぎみになっているんだ、ちゃんとしてくれという要請がございました。我々、そういうことのないようにしているつもりでございます。先ほど林野庁長官も答えておりましたけれども、既に三回、業界団体の皆さんと話し合いをしております。こういった地道な努力を重ねまして、この際ですから国産材をたくさん使っていただく。
先ほどちょっと、合板について、もっと東北側のシェアが大きいと。きちんとした県別の統計がないんですけれども、宮城、岩手が二割から三割でございます。東北全体では、秋田のところがありますので五割近く、四七、八%供給されておるわけです。木材についても地産地消、地元のものを使っていただくというのが一番いいので、こういったマッチングを政府が中心になってやっていけばいいのではないかと思っております。
今後とも、国土交通省と協議をいたしまして、国産材をこの際うんと使っていただくようにしてまいりたいと思っております。
○石田(祝)委員 あと心配な点は、先ほどちょっと副大臣もお話しになりましたけれども、私の地元の高知県、また四国、いろいろとお声が聞こえてまいりまして、資材がどうも足りないと。ですから、それぞれの地元でもいろいろ建設は当然予定をされておりますけれども、そういうものが突然というんでしょうか、急になくなってしまったと。ですから、住宅着工等もおくれる、完成もおくれる、こういうことも今現実に出てきております。
ですから、復興はとにかく全力で、国を挙げて、それぞれの地域の協力もいただいてやっていかなきゃいけませんけれども、それと同時に、まあ、人為的なことはないと思いますけれども、売り惜しみだとか意図的に供給を調整するようなことがないように、こういう点もぜひ目を光らせていただきたいというふうに思います。
さて、きょうは文部科学省にも来ていただいておりますので、引き続いて、原子力発電所の事故による農業被害、このことでお伺いをいたしたいと思いますが、現実に出荷制限を受けているところ、またそれに伴う風評被害、こういうことも出てきているわけです。
先ほどからも御質問等にありましたけれども、私も消費者庁を呼んで一度お聞きをしました。原産地表示が大体県単位になっている、ですから、現実には全然問題ないものも、何々県、こういうことが出ているだけでもう敬遠されてしまう、そして引き取りをしない、こういうことが現実に起きているようでありますが、こういう問題について、原子力損害賠償法、これは出荷制限されている地域、品物以外に、風評被害についても私は当然損害賠償すべきであると思いますが、このことについて、まず文部科学省からお聞きをいたします。
○加藤政府参考人 御説明申し上げます。
原子力発電所の事故に関しまして発生してございます風評被害に関しましては、それが生じないように、まずは、関係省庁を初めといたしまして私ども関係機関が正確かつ客観的な情報を国民の皆様方に伝えることが重要だと考えてございます。
御質問にございました関係でございますけれども、原子力損害の賠償に関する法律がございまして、この法律のもとでは、一般論といたしまして、事故と相当因果関係が認められる損害につきましては、原子力損害に当たるものとして適切な賠償を行うことになってございます。したがいまして、御質問ございました風評被害に関しましても、このような考え方に照らしまして判断されるものと考えてございます。
以上でございます。
○石田(祝)委員 これは、政府も記者会見等で、第一義的に東電の責任である、こういうことは繰り返しおっしゃっておりますけれども、東電は、もう今原発をとにかく静めることがまず当面の課題と、そういう被害に対して損害を、どう責任をとっていくのか、こういうことになかなか頭が回っていないように思います。
それでまた、お金が出てくるにもこれは時間がかかるわけであります。この間、被害を受けた農業者、風評被害を受けた農畜産物を扱う皆さん、こういう方々にどういうふうに手をかしていくか、こういうことが大事だと思いますが、毎日のお金が突然入ってこなくなるわけですね。
これは大臣、つなぎ融資という言い方で、あちこちで大臣も御答弁なさったり、または記者会見でもお話しになっているようでありますけれども、もうこれはそろそろ、検討、検討という答弁の時期は過ぎたんじゃないですか。さっきも話がありましたが、きょうは二十日目であります。ですから、現実に被害を受けている方が日々困窮をされている、これは間違いありませんので、大臣、そろそろ具体的なことをおっしゃっていただいた方が私は皆さんが安心するんじゃないかと。御答弁をお願いします。
○鹿野国務大臣 今の先生からの御指摘につきましては、先ほど申し上げますとおりに、官房長官からも、いわゆるつなぎ資金的なものの手当てについて検討するようにというふうな話がございまして、我が省といたしましても、多くの農業者の方々が現金収入が途絶えているというような実態もございまして、何とかこの点に配慮した仕組みというふうなものをつくることができないか、こういうふうなことで今詰めておるところでございます。
そういう意味で、先生から、具体的にもっと言え、こういうふうな言い方はできないか、こういう御指摘でございますけれども、今、詰めのところでございますので、いずれまた御報告をさせていただくことが来ると思いますけれども、一生懸命今、詰めておるところでございます。
○石田(祝)委員 これは、それぞれ役所の問題もあって、各省庁間の話し合い、また東電との問題、いろいろやっていると思いますが、中身もそうですけれども、いつごろまでにというめどもできないんですか。
○鹿野国務大臣 そのとおりです。いつごろまでかというのも、農業者の方々も待っておられると思うんです。
一つの考え方といたしましては、もうそろそろ、今、年度末ということもございますので、何とか年度末、新年度くらいまでにはなという、こんな思いは私は個人的に持っておりますけれども、今先生もおっしゃられたとおりに、いろいろ連携等々の関係のところもございますので、何とかできるだけ早くというふうな気持ちで取り組んでいるところでございます。少しでも早くということで努力をしてまいりたいと思います。
○石田(祝)委員 今年度も、きょうとあすしかないんですよね。あさってはもう新年度です。予算も成立しました。ですから、このまま持ち越したら、足かけ二年度にわたって決められなかったということになりますよ、大臣。
大臣は山形で、天童の近くじゃないですか。天童は同じ県内だと思いますけれども、詰めるという、詰めるのが得意だと思うんですよ、山形は。ちゃんとパチッと詰めていただきたいと思うんですよね。いつまでも指してちゃだめです。詰めなきゃいけない、最後は。これは、一日も早くという言葉を信じて、この程度にきょうはこの問題はとどめますけれども、ぜひ御奮闘いただきたいと思います。
では最後に、天災融資法、これはぜひ早く発動すべきじゃないのか。今回は未曾有の災害で、いわゆる千年に一度の地震だ、こう言われているわけです。そして、この天災融資法については、平成に入ってももう十回ですか、政令で発動されているわけですね。二十年、二十一年、二十二年の間に十回も発動されている天災融資法が、未曾有の災害、千年に一度だ、こういう大きな地震の被害だ、これを、発動がまだなぜできていないのか、私は非常に不思議に思っております。
天災融資法を発動すべきだということと、お貸しをされる利子についてはその都度決められるということですから、この際無利子で融資をすべきだ、この二点について明確な御答弁をお願いします。
○鹿野国務大臣 先生からの御指摘の、天災融資法を何でもっと早くやらないのか、こういうことでございますけれども、その発動についても今検討しているというのが実態でございますけれども、できるだけ早く措置を講じていかなきゃならないと思っております。
また、今回の、これまた先生からの御指摘の金利水準、融資条件というふうなことにつきましても、被災された農林漁業者の経営再建を本当の意味で支援することができるようになるように、最大の努力をしてまいりたいと思っております。
○石田(祝)委員 大臣、いろいろ被災に遭われた方、本当に大変な中でこれから頑張っていこうというのは、要するに、将来こうなるぞというところが見えていかないと、あしたはどうなる、あさってはどうなる、わからないという中では、だんだんと心もなえてくると私は思うんですね。ですから、大臣は農林水産大臣ですから、検討大臣じゃありませんので、ぜひこの天災融資法についても発動を早く決断していただきたい。
特に、いろいろなところで、私もこの法律、六法を見ますと、やはりこういう災害のときには、新しくもう一度やり直そう、こういう方々の大きな励みになる法律でありますから、この法律については、きょうあした、年度内に二日しかありませんけれども、年度内に起きたことは年度内でいろいろとやりましょうよ。
大臣、このことも含めまして、最後に、この災害に対して大臣の御決意、通告はいたしておりませんけれども、お伺いをして、質問を終わりたいと思います。
○鹿野国務大臣 被災地の皆様方のお気持ちというふうなものをしっかりととらまえて、全力を挙げて取り組んでいきたいと思っております。
○石田(祝)委員 終わります。
―――――――――――――
○山田委員長 この際、お諮りいたします。
第百七十六回国会、高市早苗君外十六名提出、森林法の一部を改正する法律案につきまして、提出者全員から撤回の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○山田委員長 内閣提出、森林法の一部を改正する法律案について議事を進めます。
これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○山田委員長 この際、本案に対し、佐々木隆博君外五名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、公明党及び社会民主党・市民連合の四派共同提案による修正案が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。佐々木隆博君。
―――――――――――――
森林法の一部を改正する法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○佐々木(隆)委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
修正案はお手元に配付したとおりであります。
以下、その内容を申し上げます。
第一に、地域森林計画の対象となっている民有林について、新たに森林の土地の所有者となった者は、市町村長にその旨を届け出なければならないこととしております。ただし、国土利用計画法第二十三条第一項の規定による届け出をしたときは、この限りではないこととしております。また、市町村長は、当該届け出に係る民有林が保安林等であるときは、都道府県知事に当該届け出の内容を通知しなければならないこととしております。
第二に、都道府県知事及び市町村長は、この法律の施行に必要な限度で、その保有する森林所有者等に関する情報を、利用目的以外の目的のために内部で利用することができるとともに、この法律の施行のために必要があるときは、関係する地方公共団体の長その他の者に対して、森林所有者等の把握に関し必要な情報の提供を求めることができることとしております。
第三に、市町村長は、届け出義務に違反して立木を伐採した者に対して、造林命令のみならず、伐採の中止を命ずることができることとしております。
第四に、国及び地方公共団体が講ずる措置について、保安林に係る権限の適切な行使、森林の土地の境界の確定のための措置、森林に関するデータベースの整備等、施業の集約化等の事業の推進、地方公共団体が行う保安林等の買い入れに係る財政上の措置に関する規定を設けることとしております。
その他、施行期日の見直し、所要の規定の整理を行うこととしております。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
○山田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
―――――――――――――
○山田委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
内閣提出、森林法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。
まず、佐々木隆博君外五名提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○山田委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。
次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○山田委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○山田委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、梶原康弘君外三名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、公明党及び社会民主党・市民連合の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。谷公一君。
○谷委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
それでは、案文を朗読いたします。
森林法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
未曾有の東日本大震災により、森林・林業・木材産業においても例のない甚大な被害を受けている。一日も早い復興のために全力を尽くすべきである。
加えて、木材価格の低迷による経営意欲の低下や不在村森林所有者の増加などを背景として、適正な森林施業が行われていない森林が増加している。
こうした中で、林業を地域産業として再生していくとともに、適正な森林施業の確保と持続的な森林経営の確立を図ることが、森林の有する多面的機能を十分発揮させ、木材自給率の向上を目指す上でも極めて重要な課題となっている。
よって政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に努めるべきである。
記
一 被災地における木材産業・治山施設・海岸林などの復旧に向け、特別な財政上の措置を含め迅速かつ万全の措置を講じること。
二 林産物の流通・消費に無用の混乱が生じないよう適切な対応に努めること。
三 行政による立入調査の主体の拡大や土地の使用権の設定に関する協議の認可等、本法改正の趣旨を十分に踏まえ、震災の復旧に努めること。
四 保安林等の機能を保全するため、地方公共団体が森林所有者等に関する情報を円滑に把握・利用することができるよう、関係省庁は連携して必要な協力を行うこと。
五 無届伐採に対する中止・造林命令や所有者不明森林における路網整備・間伐等の施業代行の制度を活用し適正な森林施業が行われるよう、当該制度の趣旨及び手続について地方公共団体を含めて現場に十分浸透させること。また、制度の適切な運用に努めること。
六 木材自給率五十%以上の目標達成に向け、路網整備や造林・間伐等の促進、森林施業の集約化、木材の安定供給や利用拡大等の施策が確実に行われるよう、森林・林業基本計画及び全国森林計画を見直すこと。また、これらの施策の推進に必要な財政上の措置を講じること。
七 森林・林業の再生を通じた山村振興や地域経済の活性化を推進するため、森林組合をはじめ、地域の林業事業体や林業の担い手を将来にわたって確保できるよう人材の育成に努めること。その際、国有林の組織や技術、フィールドの活用により、民有林への指導・サポートや連携等による地域貢献ができるよう、国有林野事業及び組織の在り方について一般会計への移行も含め検討すること。
八 地球温暖化防止のための森林吸収源対策、木材や木質バイオマスの利用拡大を着実に推進するため、環境税の使途にこれらの対策を明確に位置付け、必要な安定財源を確保すること。
九 施業集約化による林業経営の継続を確保する観点から、平成二十三年度税制改正大綱及び本法改正の趣旨を踏まえ、平成二十四年度税制において山林相続税・贈与税の納税猶予措置を講じること。
右決議する。
以上の附帯決議案の内容につきましては、質疑の過程等を通じて御承知のところと存じますので、説明は省略させていただきます。
何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
○山田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○山田委員長 起立総員。よって、本法律案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣鹿野道彦君。
○鹿野国務大臣 ただいまは法案を可決いただきましてありがとうございました。附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、関係省庁とも連携を図りつつ、適切に対処してまいりたいと存じます。
―――――――――――――
○山田委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
――――◇―――――
○山田委員長 次に、農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お茶の振興に関する法律案起草の件について議事を進めます。
本件につきましては、理事会等において協議いたしました結果、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を得ました。
本起草案の趣旨及び主な内容につきまして御説明申し上げます。
本案は、お茶に関する伝統と文化が国民の生活に深く浸透し、国民の豊かで健康的な生活の実現に重要な役割を担うとともに、茶業が地域の産業として重要な地位を占めている中で、近年、生活様式の多様化その他のお茶をめぐる諸情勢の著しい変化が生じていることにかんがみ、茶業及びお茶の文化の振興を図ろうとするもので、その主な内容は次のとおりであります。
第一に、農林水産大臣は、茶業及びお茶の文化の振興の意義及び基本的な方向に関する事項、お茶の需要の長期見通しに即した生産量等の茶業の振興の目標に関する事項、茶業及びお茶の文化の振興のための施策に関する事項等を内容とする茶業及びお茶の文化の振興に関する基本方針を定めることとし、その際、お茶の需給事情を把握するため必要があるときは、都道府県知事、茶業団体等に対し、資料の提出等の必要な協力を求めることができることとしております。
第二に、都道府県は、国の基本方針に即し、当該都道府県における茶業及びお茶の文化の振興に関する計画を定めるよう努めなければならないこととし、その際、お茶の需給事情を把握するため必要があるときは、茶業団体等に対し、資料の提出等の必要な協力を求めることができることとしております。
第三に、国及び地方公共団体は、茶園に係る農業生産の基盤の整備、茶樹の改植の支援、災害の予防の推進等お茶の生産者の経営の安定のために必要な施策、お茶の加工及び流通の高度化、品質の向上の促進、消費の拡大並びに輸出の促進のために必要な施策、お茶の文化の振興のために必要な施策等を講ずるよう努めることとしております。
第四に、国は、地方公共団体の施策が円滑に実施されるよう、必要な情報の提供、助言、財政上の措置等を講ずるよう努めることとしております。
なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。
以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。
―――――――――――――
お茶の振興に関する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○山田委員長 お諮りいたします。
お茶の振興に関する法律案起草の件につきましては、お手元に配付いたしております起草案を本委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○山田委員長 起立総員。よって、本案は委員会提出の法律案とするに決定いたしました。
なお、ただいま決定いたしました法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十九分散会