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第8号 平成23年4月13日(水曜日)

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平成二十三年四月十三日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 山田 正彦君

   理事 梶原 康弘君 理事 佐々木隆博君

   理事 津島 恭一君 理事 仲野 博子君

   理事 柳田 和己君 理事 谷  公一君

   理事 宮腰 光寛君 理事 石田 祝稔君

      網屋 信介君    石田 三示君

      石原洋三郎君    石山 敬貴君

      今井 雅人君    大串 博志君

      加藤  学君    笠原多見子君

      金子 健一君    近藤 和也君

      篠原  孝君    田名部匡代君

      高橋 英行君    玉木雄一郎君

      筒井 信隆君    道休誠一郎君

      中野渡詔子君    野田 国義君

      松木けんこう君    山岡 達丸君

      伊東 良孝君    今村 雅弘君

      江藤  拓君    小里 泰弘君

      北村 誠吾君    谷川 弥一君

      永岡 桂子君    保利 耕輔君

      山本  拓君    西  博義君

      吉泉 秀男君    石川 知裕君

    …………………………………

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   農林水産副大臣      篠原  孝君

   農林水産副大臣      筒井 信隆君

   農林水産大臣政務官    田名部匡代君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房政策評価審議官)       田中  敏君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            吉村  馨君

   政府参考人

   (水産庁長官)      佐藤 正典君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           中西 宏典君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      横尾 英博君

   農林水産委員会専門員   雨宮 由卓君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十三日

 辞任         補欠選任

  道休誠一郎君     笠原多見子君

  伊東 良孝君     永岡 桂子君

同日

 辞任         補欠選任

  笠原多見子君     道休誠一郎君

  永岡 桂子君     伊東 良孝君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 委員派遣承認申請に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

山田委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省農村振興局長吉村馨君、水産庁長官佐藤正典君、文部科学省大臣官房政策評価審議官田中敏君、経済産業省大臣官房審議官中西宏典君及び資源エネルギー庁電力・ガス事業部長横尾英博君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤学君。

加藤(学)委員 民主党の加藤学でございます。

 まず、このたび、東日本大震災において亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げるとともに、被災されました皆様に心からお見舞い申し上げます。

 被災地の一日も早い復興のために現在国を挙げて取り組んでいるところでございますが、東北沿岸地域の津波被害が余りにも大規模であったため、三月十二日の未明に我が長野県の北部で起きました大地震につきましては国民の関心も低く、被災された栄村の住民の方も見放されたといった気持ちになっております。

 栄村では、マグニチュード六・七、震度六強の強い地震が襲い、道路は寸断、停電と断水があり、一時は二千人の村民のうち千五百人が避難するという状況になりました。幸い犠牲者は出ておりませんが、いまだ七十六人の方が村役場などに避難しているということでございます。

 栄村は農業で生きている村であります。農作物や農地そして農業施設の被害は甚大で、畜産、キノコ栽培施設の倒壊など、農作物被害は約三億七千万円が見込まれております。また、北部でありますから、雪がまだ一メートル以上も残る地域でありまして、農地、用水路などの被害は、雪が解けるまで明らかになっておりませんが、周りの陥没している道路の状況などを考えますと、ざっと見積もっても五億円程度はあるとされ、到底これからの耕作ができる状況ではないと見られております。農業経営の存続にかかわる深刻な状況でございます。

 この雪解け後に調査が詳細に行われるということでありますが、既に激甚災害に指定され、復旧を進めております。復旧、復興には国の全面的な支援が必要とされます。東北地方の農地や施設の復旧に関しては特別立法の措置なども検討されているということでありますが、長野県のこの栄村の地震も、三月十一日以降、東北、関東を襲った一連の地震の一つとして考えられます。長野県からは、東日本大震災の復興支援と同じ位置づけでぜひとも支援をしてほしい、そういった声が上がっております。

 政府として、東日本大震災の一部としてこの栄村の地震についてみなしているのかどうか、御見解をお聞かせください。

筒井副大臣 先生が今指摘されました長野県栄村、これと接する隣の津南町、十日町が私の出身地域でございまして、先生とまず全く同じ感情、同じ認識でございます。

 ただ、今先生も言われましたように、激甚災害に東北地方と同じように指定されて、災害救助法の対象にもなっているところでございます。

 そして、これも先生が指摘されましたように、今、一部の被害ははっきりしているんですが、まだ雪が消えていない、物すごい豪雪地帯なものですから、多くの災害復旧工事は、雪が消えると同時にはっきり調査する、と同時にまた復旧工事も始めなければいけないという状況でございます。

 これはまさに激甚災害に共通して指定されましたように、東日本大震災の一部分として今後の復旧、復興活動に取り組んでいく、農水省としてもそう考えているところでございます。

加藤(学)委員 今、東日本大震災の一部として位置づけているということで、大変ありがたいお言葉をいただいたところでございます。

 今後の賠償等に含めましては、津波による塩害や原発事故の放射能の被害など、別途いろいろな法律を検討されているわけでございますが、災害を受けた側にとってみれば、生活する手段がすべて奪われてしまったということで、大変厳しい状況に陥っていることでございます。被災地に格差があってはならないと思います。範囲を拡大して何から何まで面倒を見切れないという点もあると思いますけれども、その場合は、被災者が納得できるルールをつくることが必要だと考えているわけです。

 これからいろいろな形で被害の賠償等が発生してくるわけですが、その辺の線引きの基準というものについてはどのようにお考えになっているでしょうか。

筒井副大臣 それぞれの地域の特徴というか、被害の中身が違うことがございまして、例えば津波被害はもちろんなかったわけでございますから除塩措置等の作業は必要ないし、それに関する特別立法等も必要ないわけでございまして、こういう地域ごとの独自性を除いたものに関しましては、まさに共通の取り組みを行わなければいけないというふうに考えております。

加藤(学)委員 ぜひとも、この長野県、ここは、副大臣、ちょうど篠原さんと筒井さんのところで災害が起きているわけですから、タッグを組んで取り組んでいただきたいなと思っているところでございます。

 次に、やはり長野県の農作物に関係する話題でありますけれども、日本の食品に対する外国の輸入制限についてお尋ねします。

 福島第一原子力発電所事故で放射性物質が放出されている事態を受けて、既に三十カ国に近い国と地域が日本からの農産物や加工食品の輸入を制限する措置をとっております。

 その制限の仕方はまちまちで、アメリカは、国内で放射性物質が検出された福島や群馬、茨城、栃木の四県からの牛乳や野菜の輸入を禁止しております。一方、EUは、食品衛生法の暫定基準値を超える放射性物質がまだ検出されていない長野県なども含めて、十二県の食品の輸入について、汚染されていないことを示す証明書の提出を求めています。また、先日、四月八日には中国が、長野県のやはり農産物の輸入を禁止としました。

 長野県では、シナノゴールドというリンゴや南水というようなナシ、こういった新品種を生み出して、今、中国そして台湾、EUなどへの輸出をしており、またその促進に取り組んできたところでございます。こうした外国の輸入制限措置が、日本の食料品の輸入の多いアジアでさらに拡大してくるということは、農業者にとって大変痛手となってくることでございます。

 農水省は、二十二年に四千九百二十億円だった農産品の輸出を二十九年には一兆円までに引き上げるという輸出振興政策を打ち出しているわけでございますけれども、農水省として、この輸入制限について、この事態をどう見ているか、あるいは、この輸出が今後どの程度減少するというふうに見積もっておられるか、御見解をお願いいたします。

    〔委員長退席、津島委員長代理着席〕

田名部大臣政務官 お答えをいたします。

 今先生から御指摘があったように、諸外国のとっている対応というのはさまざまあります。食品全体に規制をかけているところ、また、特定の地域、特定の産品に対しての規制をかけているところがあるわけですけれども、農林水産省といたしましては、諸外国に対して、在外公館であるとか、また在京の大使館を通じて情報の発信をしたり、またWTOなどの国際会議を通じて我が国のとっている措置、そして検査結果というものを説明しながら、過剰な規制をとらないよう呼びかけをしているところであります。

 また、国内の業界団体に対しても、海外では、諸外国ではどういう措置がとられているのかというようなことを周知徹底するとともに、産地証明等が必要な国への輸出が可能となるように、これは都道府県に証明書発行体制を整備してもらうということで、三月の下旬に、三月の二十七日だったと思います、通達を出したところであります。

 まさに先生がお話しになったように、鹿野大臣のもと、攻めの農業ということで輸出をふやしていきたいと目標を立てて取り組んできたわけでありますが、ぜひとも、多くの農産物が、しっかりと理解をしていただいた上で輸出がなされるよう、これからも体制を整えてまいりたいと考えています。

加藤(学)委員 今、輸出振興のためにも、外国へ、過剰反応を起こさないように、大使館を通じていろいろやっているというお話がございまして、実際、ロシアなどでも一たんは長野県を輸入制限の対象として入れたわけでございますけれども、これがWHOの情報を誤解していたということで、その後輸入停止を解除する、こういったお粗末なことをしているわけでございます。それほどいいかげんな措置で輸入制限というものが外国で行われているということでありますので、ぜひとも強い姿勢で日本から対応していただきたいと思っているところでございます。

 また、それにあわせて、今の、大使館を通じたアプローチではまだまだ不十分だと私も考えております。日本は、安全でおいしい食品だということでアピールしてきたわけでございます。ですから、輸出振興に意味があり、そして日本の農業のすばらしさをアピールできたわけでございますから、こういった安全でおいしいをうたった日本の農作物の信用にかかわる大きな問題でありますので、ぜひとももっともっと安全性をアピールする、例えばCMをCNNやBBCに出すとか新聞広告を打ち出すとか、この機をとらえて、もっと日本の農作物を世界にアピールするようなきっかけにすべきだと思いますけれども、その辺についてどのようにお考えになりますでしょうか。

田名部大臣政務官 先生と思いは同じであります。

 しかしながら、原発の事故がまだ収拾に向かっていない中、各国が規制を強化するということは今後も考えられることでありまして、そういった中においても、やはり、日本の安全で安心な農産物というもの、そのことを証明しながら、輸入がこれからも引き続き行われていくようにしっかりと体制を強化していきたいと思います。いろいろ、先生の御提案もありますので、どういった対応が可能かということも引き続き省内でしっかりと検討をしてまいりたいと考えています。

加藤(学)委員 ぜひとも、そういった点をまた検討していただければと思っております。

 また、そういった輸入制限が行われたことによって、輸出する地方の県においても大変対応に苦慮しているわけでございます。特にEUへの輸出については、放射能に汚染されていないことを証明しなければならないということで、そういった検査ができる機関は本当にごく限られておりまして、もしこうしたことが今後さらに拡大していくと到底対応し切れないというふうに県側では言っているところでございます。さらに、現場にそういった煩雑な手続の負担を一方的に負わせるということが果たしていいのかどうなのかという議論もあります。

 政府の責任としてどのように対処していくおつもりなのか、御見解をお願いいたします。

田名部大臣政務官 まず、諸外国がいろいろと対応を日本側に求めていることに対して、一つは、放射能の検査証明について、国内では検査機器が、台数に限りがあるということで、現在、水道水、食品等の公益目的による使用が優先されているため、輸出用の放射性検査というものは当面、事実上困難というのが現状であります。ただ、輸出先の国において放射能検査を受けられるケースなどもありますので、そういった具体的な情報というものはしっかりと関係者の皆様に提供していきたいと考えております。

 そういった状況もありながら、先ほど申し上げましたように、産地証明等については、各都道府県でしっかりと行っていただけるようその体制を整備しているところでありますし、また水産物のようにEUとの間で取り決めがあるような場合には国において行うというように、その体制を今整備したところでございます。

    〔津島委員長代理退席、委員長着席〕

加藤(学)委員 ぜひとも、一都道府県ではなかなか難しい面もありますので、国がいろいろな形で支援、アドバイスをしていただけるようお願いいたします。

 最後に、放射能汚染に関連しまして、農作物の出荷制限の影響についてお伺いします。

 今後、原発からの放射能漏れが長期化することになれば、特に大消費地である首都圏への野菜の供給をめぐって、需給のバランスが崩れてくるのかなということが心配されるわけでございます。

 今後、夏にかけて、野菜の価格についての影響等、農水省としてはどのように予想をしている、あるいは受けとめているんでしょうか。

筒井副大臣 三月下旬になりますか、ホウレンソウ等を初めとして出荷制限が始まったわけでございますが、農水省としては、全中、全農等を通じて、他産地の出荷の前倒しとか規格外農産物の出荷とか、これらの要請等を継続して行ってきたところでございます。

 そして、四月の上旬の状況を見ますと、ホウレンソウに関しては、平年の四割程度しか市場に出ていなかったんですが、価格は平年の九割程度となっておりました。そして、他の野菜等に関しては、平年並みの出荷がなされていたわけでございますが、やはり価格としては平年の九割程度に下がっている、こういうふうな状況でございました。

 それらの状況を踏まえながら対処しているわけですが、例えば、鹿野農水大臣が、出荷制限を受けていないものに関しての消費を全国民に呼びかけたり、こういうメッセージを発したりという努力もさらにプラスして行っているところでございます。

 ですから、農水省としては、今後も、これらの需給状況を見きわめながらいろいろな対策をとっていく、こういう姿勢を持っているところでございます。

加藤(学)委員 ぜひとも、そういった価格面についてのモニタリングをよろしくお願いいたします。

 また、そういった市況の不安定化に対処するため、例えば近隣の地域、まだ出荷制限が出ていない地域について、作付等について、生産調整、例えばもっとつくってくれとか抑えてくれとか、いろいろなことを指導するようなことというのは野菜については想定されているのでしょうか。あるいは、そういったことは、国がやらなくても地域の農家が自主的にやるというようなことも出てくるかと思うんですが、そういったケースというのは今のところ見当たっているんでしょうか。

筒井副大臣 先ほどホウレンソウの例で申し上げましたが、他産地で出荷の前倒しを要請したのは、特に西日本の方でホウレンソウを今のところ大幅な増産はできないというふうな状況だったものですから、しかも、それはほとんど大阪の市場の方に今まで出荷されていて、それをさらに東京の市場の方に大幅にふやすことは難しいというふうな状況でございましたので、他の出荷制限を受けていない地域についての具体的な増産まではまだ今のところ出しておりませんが、今後、場合によっては、さっきの需給あるいは価格の状況によってはそういうことも検討していかなければいけないかなというふうに思っております。

加藤(学)委員 ぜひとも、そういったいろいろな御検討をまたお願いしたいところでございます。

 また、最後になりますが、現時点において、長野県では幸いにして農作物に暫定基準値を超える放射性物質の検出がされておりませんので、ほかの県は大変厳しい状況に陥っている中でまだ幸いでありますけれども、既に外国での輸入制限等が行われて、新たな風評被害というのがつくり出されているわけでございます。また、いつ放射性物質が検出されるかということで、本当に毎日不安な状況で農家の方は過ごしているわけでございます。

 このように、新たな県名が飛び出すたびに、国内外とも過剰反応して風評被害が拡大していくということがあるわけでありますけれども、こういったことが今後ないように、情報の出し方とか、あるいはきめ細かな地域ごとの出荷制限、あるいはそういったことについていろいろ指導していくような、細心の注意を払ってぜひとも取り組んでほしいというふうに思っている次第でございます。

 最後に、そういった今後の対処の仕方について、決意のほどをお聞かせください。

筒井副大臣 先生がおっしゃる方向で、今、解除も既に一部行いましたが、さらに出荷停止のものも、原則、当初は県単位全体で行っていたものを、地域ごとのきめ細かな指定をする、これらのことをやっていかなければいけないというふうに考えております。

加藤(学)委員 どうもありがとうございました。

山田委員長 次に、中野渡詔子君。

中野渡委員 民主党の中野渡詔子です。

 本日、質問の機会をいただき、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、三月十一日、東北地方太平洋沖地震、そして津波被害、災害が発生して一カ月、四月七日、十一日、十二日、そして本日と、相次いで強い余震が発生し、まだまだ地震、津波に対する不安、恐怖から逃れられずにいます。改めて、お亡くなりになられました方々に心からお悔やみを申し上げますとともに、御遺族の方々、避難所生活を余儀なくされている方々、地元から遠く離れ避難をしなければならないその方々に、また、本当にさまざまな被害に遭われた皆様に対して、心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 津波被害後早くに、青森県の八戸港では朝市が始まり、最近では、宮古でも競りが始まりました。きょうから仙台空港が再開し、そして桜も咲き始めています。少しずつ、それぞれの地域が着実に復興に向かって歩みを始めている。それを後押しするためにも、今、被災した皆様と、そしてその地域とともに、我々国政に責任を持つ者が一体となって、安心できる生活、そのための国づくり、地域づくりというものをどうしていくのか、早く国民に示していかなければいけないということを強く思っております。

 今回の地震被害、地震被害よりも津波被害が大きくて、岩手県、宮城県、福島県、そして茨城県、千葉県、本当に大きく被災を受けた地域の復興を第一に考えなければいけない。十分に理解しているんですが、比較的被害が大きくはなかった地元青森県、北海道、長野県、新潟県といったところがこの対策から非常におくれをとっている。その思いを強く感じております。

 今回の災害復旧、災害復興において、福島第一原発の事故により、地震、津波対策とそして原発対策と、もうごちゃまぜで混同されている、その感も否めません。復興、復旧できるところからどんどん進めていくべきだ、それを声を大にして話をさせていただいたつもりではありますが、なかなかそれが伝わってきません。百万件の被災があっても百件の被災であっても、外から見ればその被害の大きさというものは大小あるかもしれませんが、実際に被災を受けられた方々、地域にとっては、被災は同じ被災なんだということを改めて強く御認識をいただきたいと思っております。

 瓦れき撤去の一つをとっても、今市町村が示してほしいのは、自分たちがどこまで負担しなければいけないのか、国がどこまでやってくれるのか、現行法でどこまでできるのか、特別措置などで何をしてくれるのか、それを示してほしいということであり、一カ月が経過してもその詳細が見えてこないということ、そこへのいら立ち、また、農漁業者においては、漁業や農地が後回しにされているという思いも強く感じられます。その思いを持ちながら質問に入らせていただきます。

 まず、水産関係につきまして、今回、一次補正予算案が出されました。(発言する者あり)準備をされています。この中で海岸、海底清掃等漁場回復活動への支援というものも検討されているようですけれども、どのぐらいの御予算を計上される御予定なのか、教えていただけないでしょうか。

筒井副大臣 おっしゃるとおり、補正予算の国会提出に向けて今政府が全力を挙げているところでございまして、補正予算の中で、それらの瓦れき撤去についての費用等々の問題や、あるいは漁業者、農業者の経営支援の問題等々が出てくるわけでございまして、国会提出を今準備しているところでございますから、それぞれの項目についての金額は言えない状況だろうというふうに思います。

中野渡委員 思いが強過ぎまして、大変失礼をいたしました。

 恐らく、今、船を失った、漁具を失った、漁に出られないという漁師の皆さん、漁業者の皆さんに何とかお金を、直接収入を得るという方向の支援策というものも十分に考えられているんだろう、その思いから先に御質問をさせていただき、大変恐縮でございます。

 その上で、自分の思いとしては、恐らくは沿岸漁業者の方が中心となって直接の支援策というものが考えられるのではないかと思うんですが、実際には、沖合の漁業者であったりとか大型の船を持っている方たち、その乗組員というものも浜に出てくるのではないかなと思うんです。そうすると、大勢の漁師、漁業者の方たちが浜に集まって、そこで本当に瓦れき処理というものができるだろうかという、そういう思いもありましたもので、海底の瓦れきの、廃船を揚げたりとか、そういうところは専門性であったり技術というものも必要になると思います。本当にやれること、やれないこと、そこのどういうことを実際に漁業者の皆さんに託すことができるのかということをお聞かせいただけないでしょうか。

田名部大臣政務官 中野渡委員の御地元も被害に遭われているということで、大変その強い思いは伝わってまいります。

 それで、今お話があったように、瓦れきの処理に関しては、大型の瓦れきに関してはやはり専門的な技術を要することもありますので、クレーンなどを使っての作業が必要となる、そのように考えております。ただ一方、私の地元のことで大変恐縮ですが、階上町というところでは、津波のあった翌日から、町の中の全漁業者が集まって瓦れきの撤去をし始めた。みずからの船を使って、みんなが海に出て処理をしたというようなこともあります。

 ですから、そういうところは、専門的な技術を要するところは専門家の皆さんにお願いをしつつ、しかしながら、漁業者が自分の船を使い、でき得るような瓦れきの撤去であるとかまた処理というものは、漁場の再生というものも含めて取り組んでいただけるように、これからしっかりと検討していきたいと考えています。

中野渡委員 ありがとうございます。

 直接、漁業者の方に、今、浜に行けば皆さんが、今生活するためのお金が欲しいと、強いお声をいただきます。共済や漁船保険も含めて早く確実に漁師、漁業者の皆さんにお金が渡るように、その取り組みをぜひお願いしたいと思います。

 本年度の予算におきまして、資源管理・漁業所得補償対策として約五百十八億円が組まれております。今回の地震、津波の被害によりまして、共済加入というものの見通し、どのぐらいの変化が生じそうなのか、その現状と影響をどんなふうにとらえていらっしゃるのか、教えていただければと思います。

佐藤政府参考人 御説明申し上げます。

 今般の東日本大震災によりまして被災した地域の漁業者等に甚大な被害が発生したことを踏まえまして、先ほど御指摘の資源管理・漁業所得補償対策の加入につきましてさまざまな影響が出てまいります。そういうことを踏まえまして柔軟な対応が必要だというふうに考えておりまして、具体的には、共済責任期間の開始日に加入が困難な漁業者の方について、通常の共済期間の開始日以降においても弾力的に加入申請することができるように指示したところでございます。

 また、これを行う際に資源管理計画が必要になりますけれども、共済責任期間の開始日の時点でこうした計画ができていない場合でありましても、作成が可能である、あるいは作成の見込みが立っているという場合には、計画に参加しているものとみなしまして、本対策への加入を認めることといたしているところでございます。

 御指摘のように、当初の予定のようにはなかなか加入者がふえていかないという場合もあるかもしれませんけれども、資源管理のためには幅広い漁業者の参加がぜひ必要でございます。本対策を通じましてできるだけ多くの漁業者の経営安定が図られますよう、今後とも加入促進に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

中野渡委員 漁業経営そして漁場管理というものをやっていくためにもこの共済に入らなければいけないんだ、それが必要だという意識をさらに強く持っていただくためにも、広報の面、また周知の面にしっかりと取り組んでいただきたいと思っております。

 今回の災害で海底の状態がかなり変化しているのではないかと思います。海底の地形の変化によって、漁場もこれまでのように維持できるのか、また、とれる魚の種類というものも変わってくるのではないかと考えられます。農林水産省として、地質学者等の有識者あるいは技術者などを入れて海底調査を現在行っているのか、これから行おうとされているのか、そのあたりのことを教えていただけないでしょうか。

田名部大臣政務官 まさに、海底の状況がどうなっているのか、この状況をしっかり把握する必要があると考えています。それで、今、ダイバーであるとか、ソナー、音波を使った魚群探知機の少し高度なものだそうです、そういうものを用いた海底調査の実施を検討しているところです。

中野渡委員 ぜひやっていただいて、産業の復興という意味では本当に必要なことだと思いますので、本当に早目に取り組んでいただきたいと思っております。

 農業関係について。

 今回、宮城県が生産数量目標の二千ヘクタール分を都道府県間調整として申請をされました。青森県も受け入れ照会作業を始めていますけれども、全国からどのような反応が上がっているのか、報告が上がっているのか、また、振り分けの設定というものを今どのように検討されているのか、教えていただきたいです。

筒井副大臣 おっしゃるとおり、宮城県が二千ヘクタール分を県間調整で行いたいというふうな話が出ましたし、福島県の方でも県間調整の必要性が出てまいりました。

 これに関しましては、農水省の方から各県にそれぞれ条件等を示しながら応募していただきたいという要請を出したところでございますから、今後、それらの他の県からの応募が出てくるものと思われます。そして、それらについて、農水省がこの県に幾ら配分するというふうな形でやるのではなくて、やはり被災県であります宮城県等々出し手の側で、その条件等を勘案しながら選んでいただきたいというふうな手続を考えております。

中野渡委員 地元の農家さんたちからは、東北の米だからぜひ東北のみんなにつくらせてほしい、その強い思いもいただいてきております。ぜひ御検討の材料として加えていただけるようにお願いしたいと思います。

 また、今回、津波の被害によって塩害を受けた農地が本当に大きくあるんですけれども、この除塩対策、水をかけ流すであるとか土を入れかえるだとか、本当に重度な塩害の農地についてはそれをやらなければいけないと思うんです。まず、その重度な塩害を受けた農地をこれからも耕作地として残していくのか、日本の食を支えている東北の地方に向けてそのビジョンというものを早期に示していただきたいという思いがあります。

 この塩害が軽度に済んだ農地については、農作物を植えることで除塩ということも可能だと思うんですが、それに耐え得る作物というものもあるのかどうか、その辺のところを教えていただきたいと思います。

筒井副大臣 まず、塩害が少ない水田に関しましてはできる限り作付をしていく。その際に、少ない塩であれば大丈夫な作物が、例えば牧草等々が検討対象になっているようでございますが、それらをもうちょっと厳密に検討して決めていかなければいけないかなと思っております。そして、塩害がひどい地域に関しては、もちろん除塩作業を行ってからの作付になるわけでございます。

 ただ、これが原則でございますが、今度、今までの水田のところをそのまま水田として復旧していいのかどうか。あるいは町づくりそのものも全体としてどういうふうに変えたらいいのか。住宅地を高台にという声もございますし、それら全体のマスタープラン、グランドデザインの中でもその復旧を考えていかなければいけない、両にらみで行わなければいけないというふうに思っております。

中野渡委員 ありがとうございます。

 地域によっては、また作物によっては、捨てづくりということも一つ考えていける対策ではないか。そして、そこに補償を与えていくということもあるではないかと思っております。これについて、もしお答えいただけるのであれば、いただけないでしょうか。

筒井副大臣 所得補償は作付することを条件に支給するものでございますから、作付をした場合には対象にする。しかし、初めからもう捨てづくりという場合には、作物を収穫しないという場合には、原則、所得補償の対象にならないわけでございまして、今のところそういう姿勢でございますが、今後の検討課題かと思います。

中野渡委員 ありがとうございます。

 今回の津波被害によりまして、本当に酪農、畜産、そして漁業、この塩害を受けた農地と、もう短期でもとに戻るということが難しいという状態があります。恐らく二、三年、長ければ五年以上かかるんではないかと言われております。長期的に経営の直接支援というものも考えていかなければいけないと思うんですが、その展望についてお答えをお願いいたします。

筒井副大臣 おっしゃるように、短期、中期、長期を考えていかなければいけない。

 短期においては、瓦れき撤去あるいは除塩作業を含めた作業についていただいて、その報酬を支払うという形で生活支援を行う。中期的には、特別的な措置で、作付自体はまだできないけれども経営再開に向けた準備活動をしている、これらに対するきちんとした対応をすることによって生活支援をしていく、瓦れき撤去の後ですね。それで、三段階目に、所得補償等々による経営支援。

 大きく言いますと、農業においてはこういうふうな三段階ぐらいの程度に分けられる経営支援を行っていかなければいけないのではないかというふうに考えております。

中野渡委員 ありがとうございます。

 農漁業者が、先の見通しができて、そして希望が持てる、そのような対策をぜひ講じていただきたいと思っております。

 これから組まれていく一次補正予算について、ちょっと御要望という形になるんですが、少しお願いをしたいことがございます。

 青森県の陸奥湾はホタテがとても有名です。昨年の夏の猛暑によってへい死が大量に出ましたけれども、何とかこれは県や各自治体が連携をとってもとに戻そうと今頑張っています。同じく、このホタテが有名な北海道。この太平洋沖というものも、今回、養殖施設が津波の大きな被害に遭っています。

 激甚法では対象になっていない耳づりの穴あけ機械、耳づりをするために穴をあける機械というのは、海でやるわけではなくて、陸の漁師小屋であったりとか、そういうところで作業するんですが、その機械であったりとか、貝についた付着物を洗うための洗浄機というものが、この激甚法では対象になっていない。これを一次補正予算の中で何とか補償してくれる、そういうものを対策としてやっていただきたいと思います。また、海水のモニタリングについてもぜひ予算を確保していただいて、漁業者の皆さんが安心できる、そういう内容にしていただきたいと思います。

 今回の復興に向けては、平成二十三年度予算からその財源をかき集める、そういうことじゃなくて、例えば五十兆とか百兆とか、災害復興対策のための国債というものを出して、そこに心血を注いでいって、その上で二十四年度以降の予算の縮小を図っていくということもありなんじゃないかと個人的には思っています。また、災害復興府のようなものを設置して、財源や権限の一元化、優先化を図って、東日本全体、日本国土全体の復興を図っていく、そういう強い思いで臨んでいかなければいけないんじゃないかと本当に思っています。

 ぜひとも、予算そして対策事業、いろいろな面で、農林漁業者が夢を持ってこれからも輝いていける、生活ができる、そういう対策を打っていただけますよう心からお願いを申し上げまして、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。

山田委員長 次に、谷公一君。

谷委員 自由民主党の谷公一でございます。

 震災以降、三月二十三日に少し、わずか二十分でございましたが、質問をさせていただきました。そのときは被害の全貌はもちろんよくわからず、それほど具体的な施策について質問をしなかったわけでございますけれども、もう一月がたちました。

 先ほどの中野渡先生の質問では、被災地は着実に復興が進んでいると言われましたけれども、私の認識は全く違います。復興は遅々として進んでいない。過去の十六年前の神戸と比べても、明らかにおくれている。もちろん理由はいろいろあるけれども、問題なのは、そういう危機感を持ってしっかり政府も、また我々国会議員も取り組まなければならないと思っております。

 先月の十九日から、政府・各党の実務者会議というのが開かれ、きょうも幹事長、政調会長と、合わせて、午後あるわけでありますけれども、きょうで十六回目であります。その会議に出るたびに、私は大変歯がゆい思いをいたしております。

 復旧、復興は大事ですけれども、その取り組みは、言葉だけではなくて、現場の方で、地域の方で着実になされなければならない。そういう現場レベルで具体的に進んでこそ、前に進んでいるというふうに思っております。強い危機感を持ってきょうは質問をさせていただきます。

 水産業、放射能問題、そして農業、農地が中心になるかと思いますけれども、質問をさせていただきたいと思います。

 きょうは経済産業省それから資源エネルギー庁も来られておりますので、まずそちらの問題から入らせていただきます。

 放射能の汚染水の排水の問題です。

 四月四日月曜日、突如、低濃度とはいえ、放水されました。鹿野大臣は事前に聞いておられなかったということでございますけれども、その事実関係と、その後どう行動されましたか。お尋ねします。

鹿野国務大臣 残念なことに、今回、低レベルの放射能汚染水の放出については、海洋汚染をより小さくするため、このような措置としてやむを得ないということであったとしても、事前に農林水産省やあるいは漁業者に何ら具体的な報告がなかったということについては遺憾である、こういうふうな考え方に立っておるところでございます。

 そのことにつきましては、私自身、海江田経済産業大臣に対しまして、東京電力から前もって農林水産省に具体的な報告は何もなかったということに対しまして、東京電力を厳しく指導してもらいたいということを強く抗議したところでございます。

谷委員 今、大臣の答弁では、事前に何も聞いていなかった、大変遺憾だ、海江田大臣に対して厳しく東電を指導するように求めた、そういうことかと思いますけれども、求める相手が違われているのと違いますか。経済産業大臣に言わなきゃならないと違うんですか。政府の方に原子力の対策本部があるわけでしょう。東京電力を指導するように求めたのではなくて、そういうことを経済産業大臣が容認したということについて、農林水産大臣として強く抗議すべきじゃないんですか。再度答弁を求めます。

鹿野国務大臣 今申し上げますとおりに、基本的に、この問題につきましては、原子力災害担当大臣であるのが経産大臣でございますので、今日の漁業者の気持ちも思う中で、私自身といたしましては、とにかくその担当の責任者であるところの経産大臣に対しまして、強くこの点につきまして指摘をしながら、指導をしていくべきであるというふうなことについて抗議をいたし、そしてそのことは政府全体としても取り組んでいかなきゃならない大事なことだというふうなことを認識した中での私どもの行動であった、こういうことでございます。

谷委員 大臣には抗議されていないようでございますので、そういう対応についても、私はそれこそ大変遺憾に思います。農林大臣は、血相を変えて大臣に詰め寄って、あんた、何ということをするんだと言うべきだ。それぐらいしないと日本の漁業は守れないと私は思いますよ。

 副大臣なり政務官でも、抗議されたんですか。お尋ねします。副大臣、政務官、この汚染水の排出について、経済産業省なり資源エネルギー庁に抗議されたんですか、副大臣、政務官として。お尋ねします。

筒井副大臣 鹿野大臣が先ほど答弁されましたように、これは正式に抗議を申し入れましたので、私の方からは直接はやっておりません。

田名部大臣政務官 筒井副大臣と同じであります。

谷委員 わかりました。もう結構です。

 ただ、よく御存じのように、漁業関係者は怒っていますよ。放出した水は一万トンでしょう。しかもその以前に漏れていた。どういう影響を及ぼしているのか。それは、あの地方だけではなくて、既に、私の聞いている話でも、四国の高知の方は、銚子より東にもう魚をとりに行かない、商売にならないからと。そういう影響も出ているわけであります。今後こういうことが絶対あってはならないということをぜひ経産大臣に鹿野大臣、改めて申し入れていただきたいと思います。

 というのは、今回の放射能事故の収束のめどが立っていないからです。言いたくはないですけれども、最悪のシナリオもありますよ、あり得ますよ。やむを得ないので、これしか選択がないので、また低濃度もしくは高濃度の汚染水が海水に放出される危険性は、危険性といいますか可能性はなしとは限らないです。絶対にそういうことを二度とやってはならない、そういう申し入れをぜひ大臣、お願いしたいと思いますが、御答弁願います。

鹿野国務大臣 今、谷委員からの考え方が申されたわけでありますけれども、そのような考え方を十分私も踏まえた中で、今後対処してまいりたいと思います。

谷委員 対処するということは、現に、大臣にいろいろな場がありましたね、菅総理が本部長の原子力災害対策本部なり、あるいは十一日に海江田大臣がトップで新たにつくった経済被害対応本部ですか、そういう場でも結構ですので、しっかりとそれは、大臣だけではなくて副大臣、政務官、言っていただかなきゃだめだと思いますよ。収束のめどがないんですから。これからどういう事態になるか、だれも予測できないわけですから。最悪のシナリオは絶対に許さないということを強く求めたいと思います。

 それにしても、経済産業省、お尋ねします。

 汚染水を海水に放水する、どういう事態になるのか、常識的に考えればわかると思いますよ。なぜ、事前に農林水産大臣、農林水産省なり漁業団体に連絡しなかったのですか。お尋ねします。(発言する者あり)忘れたなんていうレベルじゃないでしょう。

中西政府参考人 まず、今般の汚染水の海中への放出ということに伴いまして、皆様に多大なる御迷惑をおかけしていることを、この場をおかりいたしましておわび申し上げたいと思います。

 今般の低レベル汚染水の放出に当たりましては、東京電力からの申し入れを踏まえまして、原子炉等規制法に基づきます報告を徴収し、検討を行いました。さらに、原子力安全委員会にも御助言をいただいて、緊急のやむを得ない措置ということで政府として了解したというようなことが背景にございます。

 農林水産省を初め、今般の放射性物質のまじった汚染水の放出に大きな影響がある関係の府省等に対しまして、本来は、原子力災害対策本部の場を通じてあらかじめ情報を広くお知らせするということをやるべきだったのでございますけれども、事前に今般はそういうことをやってございません。この点につきましては大変申しわけなく思ってございます。

谷委員 中西審議官をこれ以上責めてもあれですから。

 よく政務三役に伝えてください。これは十分反省してもらわなきゃならないし、また後でいろいろ質問しますけれども、その反省はその後も全然生かされていないということを指摘させていただきたいと思います。

 中西審議官、今後の見込みですけれども、もう二度と汚染水を海に流すという選択はないと断言できますか。

中西政府参考人 先ほども御説明いたしましたけれども、今回は、緊急避難的にやむを得ない措置というふうな形での対応だと我々は認識してございます。こういうことが再び起こりませぬよう、東京電力の方では、例えば汚染水をメガフロートというふうなものに入れたりというふうな次善の策を既に検討してございます。

 以上でございます。

谷委員 要は断言できないわけですわ、繰り返しますけれども。ですから、だからこそ、今後の対応を常に農林水産省の方もウオッチしてもらわなきゃならないし、危機意識を持ってそれを見てもらわなきゃならないということを再度指摘させていただきます。

 これは海のチェルノブイリにしてはならないんですわ、レベル七になったんですけれども。まだ可能性はあると私は思っています。最悪のシナリオも考えて、いろいろ対策を講じなきゃならないですから。

 さて、原発の問題で、先日、レベル七にもなりましたし、それから新たに計画避難区域ということで、そういうことを枝野官房長官が発表されました。一月以内に避難をしていただきたいと。一月たつと、計画避難区域というのは今の指示区域と同じになるんですか。つまり、立入禁止区域ということですか。お尋ねします。

中西政府参考人 お答えいたします。

 今般、計画的避難区域として設定されました地域におきましては、基本的に避難指示を受けた区域と同様の対応となるというのが基本的な考え方でございます。

谷委員 ということは、中西審議官、立入禁止区域になるということですか。同じことですか。うなずいておられますから、そう理解してよろしいわけですか。

 では、計画的避難区域は一月以内に出ていってくださいということですわね。一月たちました。そうしたら、今の避難指示区域と扱いは全く同じになる、そういう理解でよろしいですか。確認いたします。

山田委員長 中西審議官、はっきりお答えください。

中西政府参考人 議員今御指摘のとおりの、避難地域と同じような扱いになります。

谷委員 では、一月たてば避難地域と同じ扱いになるということであります。

 さて、この事前の連絡は地元市町村長に、市町の全域の場合ははっきりしていますけれども、一部地域の場合、どの地区がそれに当たるかということを明示して、きちんと説明されましたか。事実関係をお尋ねします。

中西政府参考人 今御指摘いただきました具体的な計画的避難区域というふうな設定につきましては、一部の地域が指定されるというふうな市あるいは町はございます。そこにつきましては、我々も事前に町の方あるいは市の方とは話をさせていただいております。数日以内にはそれが明確になるというふうな形で現在議論が進められているというふうに認識してございます。

谷委員 説明しているという御答弁でしたが、私の聞いている話とは違います。実際、それぞれの市長、町長で、この地区、この集落が該当するということは、はっきり話も聞いていないという自治体も、少なくとも私の方にも幾つか聞いております。

 まあ、ここで、ああでもない、こうでもないと言ってもあれですから、では、これはそういう声があるということだけ、中西審議官にお伝えしておきます。

 さて、そうなると、一月以内に出ていかなきゃならない。中西審議官、家畜はどないするんですか、畜産農家は。

 今の二十キロ、三十キロでも、その扱いが、要は、厳しい見方をすれば、それぞれの方が自分なりに考えてちょうだいということで、それはいろいろ農林省も、えさを補給するとかそういう手助けはしていただいていますけれども、基本的にはそれぞれの、牛なり豚を飼っている農家の判断ということでございますけれども。これは、中西審議官、計画的避難区域はすべて人が退去してということですから、動物はもう置いておいて逃げてちょうだいということですか。まず経産省にお尋ねします。

中西政府参考人 先生今御質問の計画的避難区域につきまして、そのような事態が起きることは我々もある程度予想はしてございます。そのために、我々は、原子力災害対策の現地の本部のもとに支援のためのチームがございまして、現地での具体的ないろいろな経済活動、あるいは生活に伴っての課題についてのサポートをさせていただくというようなチームがございますので、そういったところのチームの具体的なサポートの中で、具体的な御要望等をお聞きするという形になると思います。

谷委員 これ以上、中西審議官に話をしてもあれですから、農水省の方にお尋ねします。

 さて、計画的避難区域、事前にこれは相談があったんですか。事前に、家畜はどうしよう、どうしたらいいんだろうと経産省あるいは原子力保安院から相談があって、既に対策は講じているんですか。お尋ねします。

筒井副大臣 計画的避難地域、今も経産省の方から答弁ありましたように、一カ月以内に現在の避難地区と同じ扱いになるということでございますから、家畜に関しては、この一カ月間は移動あるいは出荷はできるというふうな判断に基づいて今対応をしているところでございます。

 この計画的避難地区について、前もって家畜等の問題についての相談があったかといえば、私自身は存じ上げておりません。(谷委員「区域のあれについて相談があったかという質問をしましたよ」と呼ぶ)区域の指定について、私自身は存じ上げておりません。

谷委員 大臣にもあったんですか。官房長官が発表する前に、こういうふうに計画的避難区域というのを設定しますよという連絡はあったんですか。

鹿野国務大臣 ございました。

谷委員 あったということであれば、はっきり、では、今の筒井副大臣の答弁のように、一月以内に国が責任を持って畜産農家については移動させる、責任を持ってやる、そういうふうに理解させていただいていいですか。国が決めたんですよ、この区域というのは。

筒井副大臣 移動あるいは出荷等について、各農家の意思、それから自治体の意思、それらを確認しながら、農水省が全面的に協力をしながらやっていかなければならない課題だというふうに考えております。

谷委員 少し副大臣の認識と違いますね。

 いいですか、農水省、経産省とかいう話じゃないんですよ。国が計画的避難区域というのを決めたんですよ。一月たったらここに住んじゃいけないということを決めたんですよ。決めたならば、畜産農家であれば、では、別に国の方で場所を確保してくれ、そこで飼いたいといったら、手当てするのは当たり前じゃないですか。地元と相談してやるのは当然ですよ。これは国が責任を持つかどうかということを私は問うているわけです。再度お尋ねします。

筒井副大臣 完全な補償という意味では、東電が第一義的責任ですが、国が最終的に責任を負うことは確かでございます。そして同時に、しかし、移動なのか出荷なのか、あるいはそうじゃなくて、そこで殺して埋設するのか、これらはやはり各農家や自治体の意向を聞いて、その意向に従って全面的に協力して行わなければいけないというふうに考えておりますので、先ほど言ったように答弁したわけでございます。

谷委員 もう一つわかりませんね。

 基本的に、まず副大臣、責任を持つのは国なんですよ。そこをはっきりしなきゃならないですよ。農家が責任を持つというふうに言われるんですか。農家が決めるべきことで、国はサポートするだけという考えであれば、全く私は副大臣と違います。

 繰り返しになりますけれども、この区域というのは国が決めたんだから、撤去を命ぜられたらば、では別の場所で酪農をやりたい、豚を飼いたいということであれば、場所の確保も含めて国が手当てするのは当然じゃないですか。東電の話とかは、そんなのは別の話ですわ。それは原子力損害賠償法の世界の話でしょう、それは後の話ですわ。とりあえずの、一月以内に決めなきゃならないんですから、待ったなしですよ、これは。だから、それは責任持って国がやってくださいと私は言っているんです、やりますと。そういう答えであればこれ以上聞きませんよ。

筒井副大臣 そういう意味では、既に開始をしておりますし、国が責任を持って、例えば移動の場合には、他のところに避難する場合には、その避難先を国がやはり探さなければいけない。

 ただし、先ほど申し上げたのは、避難するのか、あるいは出荷するのか、そこで殺して埋却等々の対象にするのか、これらの選択はやはり各農家の意向に従わなければいけないですから、それを聞かなければいけないということを申し上げたんです。(谷委員「移動した場合はどうだと言っているんです、ちゃんと国が面倒を見るかと。最後まで面倒を見ますかと言っているんです」と呼ぶ)

 最後までという趣旨がどうかはあれですが、それはそうです。これは国による指定の結果によって移動しなければいけなくなったんですから、それは国が責任を負うべきでしょうね。

谷委員 わかりました。国が責任を持つということですから、本当にしっかり責任を持ってやっていただきたいと思います。

 農家の方は泣きますよ、本当にこれは。好きこのんで移動するわけじゃないんです。普通のサラリーマンの方でも大変ですよ、居住を変えるというのは。帰ってくる見込みもないんですから。いつ帰れるかという保証もない。そしてまた、大部屋の、こういう体育館で、それぞれほとんどプライバシーがないところに、一時避難所、親戚を頼る人は別ですけれども、行かなきゃならない。そして、その後の生活のめどもなかなか立たない。ましてや、動物を飼っている農家はなおさらでございますので、その辺をしっかりお願いしたいと要望して、次の質問に移ります。

 水産がメーンでやりたかったんですけれども、少し原発の方にとられました。経済産業省とエネルギー庁の方は結構ですよ。ありがとうございました。

 水産業の問題であります。

 この地域は、今さら私が言うまでもなく、日本の水揚げの四分の一を占める我が国水産業の中心的な地域です。この地域の漁業、養殖業の再生、復興なくして、我が国の水産食料の安定供給と水産業の未来はあり得ないと言っても私は過言ではないと思います。だからこそ、どう地域水産業の再編の姿を形づくるのか、そういうマスタープランの早急な作成というのが求められていると思います。私だけではなくて、あるいは自民党だけではなくて、漁業団体あるいは多くの関係者の方も、どういう姿に持っていくのかというマスタープランを早くという声は大変強いものがあります。

 お尋ねします。いつまでに作成するのですか、いつまでですか、お尋ねします。できるだけ早くという抽象的な答弁では困ります。

鹿野国務大臣 今回の大地震によって被害を受けた被災地をどう復旧、復興させていくかというふうなことは、御承知のとおりに、この十一日に復興構想会議が設置されまして、六月までに基本的な考え方をまとめる、こういうふうなことでありますから、そういう中におきまして、私どもの考え方も含めて取り入れられるように今後対処、努力をしていきたい、こう思っております。

谷委員 大臣、六月と理解してよろしいですか。六月にはやってくださいよ。それならそれでよろしいです。六月にはマスタープランをつくらないと、関係者が懸念するのは、一次補正はともかく、二次補正がつかないからですよ。すべての漁港をもとどおりに再生するというのはなかなか難しいかもわからない。どの漁港に重点を置いて取り急ぎやるのかということは、マスタープランがないと予算要求もできないでしょう。そして、地域の方もそのおくれというのを大変心配している。

 では、六月なら六月をめどにマスタープランを必ずつくる、そういう理解でよろしいですか。

鹿野国務大臣 基本的に、今申し上げるとおりに、復興計画全体をどうするかという構想を描く、こういうふうなことでありますから、六月という段階におきまして、漁業なり漁村なり、あるいは農業なり農村というふうなものをどういう形で復興していくかという実質的なこれからのモデルとなるような構想という中において、しっかりとした考え方というふうなものを、盛り込まれるように私ども努力をしていきたいと思っております。ゆえに、全体としての構想の中で、その考え方を受けてこれを実行、実現化していくというふうなことも、これもあり得るということでございます。

 ですから、マスタープランをというようなことの時期を今どうなのかと言われましたけれども、私どもとしては、できるだけこの構想会議におけるところの考え方の中に全体像というふうなものが盛り込んでいかれるように私どもも対処していきたいと思いますし、そういうものを受けて、しっかりとしたマスタープランになるようにしていきたいと思っております。

谷委員 六月でも遅いかもわかりませんけれども、六月十一日がちょうど三カ月です。三カ月をめどにぜひお願いしたいと思います。そうしないと、マスタープランができないと次のまともな二次補正はできないですよ、水産関係の。答弁は結構です、ぜひよろしくお願いします。

 さて、当面はやはり海の瓦れきです。先ほども質問ありました海底障害物。一次補正でも計上を予定しているかと思いますけれども、相当な金額が要るのではないかと私自身思っております。陸の瓦れき処理でも、十六年前の阪神・淡路でかかった金額は記憶に間違いなければ三千二百億です。今回は五千億とも六千億とも言われております。これは陸の瓦れきです。しかし、あれだけの大津波で、漁港の中にも港湾の中にも、そして沿岸部にも、車を初め相当たくさんの瓦れきがあるかと思います。

 さて、お尋ねします。

 これはだれがやるんですか、事業主体はだれかということが一つ。負担割合は、陸の瓦れきと同じように事実上地方負担はなし、当然私はそうだと思いますけれども、そういう理解でよろしいですか。

鹿野国務大臣 瓦れきの除去につきましては国がやる、こういうふうなことで、できるだけ地方の負担等々がないようにしていきたいというのが基本的な考え方であります。

谷委員 大臣の答弁で、国が事業主体という理解でよろしいわけですね、国がやるということですから。

 事業主体は国かということが一つと、もう一つ、できるだけ地方に負担がないという答えであれば、陸の瓦れき処理と違いますよ、陸の瓦れき処理は補助金と交付税の一〇〇%算入によって、阪神・淡路大震災よりも手厚く、地方負担ゼロなんですよ、ゼロなんですよ。それと同じかどうかということですから、できる限り地方負担を少なくということでは、海の瓦れき処理は地方負担があるということですよ。それはおかしいのではないかということを私は問うているわけです。

 陸の場合は地方負担がないのに、何で海の場合は地方負担があるのか、よくわかりません。仮にそうであれば、その整合性を我々はさらに問わなければなりませんし、もう一度答弁をお願いします。

鹿野国務大臣 今申し上げますとおりに、できるだけということは、御承知のとおりに、瓦れきは国が九割、そして一割は地方交付税というふうな形でございますけれども、そういう意味で、私どもは、海の瓦れきの撤去というふうなことについても、同じような位置づけというふうな中で行っていくということでございます。

谷委員 わかりました。海も陸と一緒だ、明快に言われました。ありがとうございます。その答えを関係者は待っていたかと思います。

 さて、工程表はつくられていますか。これは副大臣がいいかもわかりませんけれども、何年めどにされるんですか、海の瓦れき処理のめどの年度。なければ、これからつくるということでも結構ですので、あれば教えてください。具体的にお尋ねしているんですよ。

筒井副大臣 瓦れき撤去についてのスケジュールも、今、内々ほぼ決めたところでございますが、もうじきそれが公表されるぐらいになるというふうに考えておりますので、今現在はまだそのことを示すことができない、こういう状況でございます。これは、環境省、国土交通省等との関係も含めて調整をした上でなければ出せないというふうな中身でございます。

谷委員 わかりました。おっしゃるとおりです。

 実は、環境省の方と農林水産省の方とはまだ協議は進んでいないと思いますよ、私も環境省に確認しましたから。向こうも大変なんです。陸の瓦れきというのも大変です。

 ですから、一年で仮置き場に置くというのが恐らく内々の、これは私の推測ですけれども、環境省のスケジュールだと思います。仮置き場に置くのが一年、それから処分はさらに一、二年。ただ、さらに処分する最終処分の件について水産庁から相談があるのかと言ったら、ないと言っていましたよ、ないと言っていました。(発言する者あり)いやいや、それは責任ある立場の方ですから。ただ、そこをよくしておかないと最終の処理はよくできませんので、そこだけ要望をしておきます。

 さて、瓦れき処理の問題でもう一つ、農地の問題があります。農地については、畑でも、陸の瓦れき処理は、先ほど来話が出ておりますように、国庫補助金と地方交付税措置で、地方負担ゼロです。しかし、これは相当時間がかかるということで、場合によっては、農地、田んぼによっては、農林省の補助事業を使って、土壌改良とあわせてやる場合もあるかもわかりません。そうしたら、そのときは地元負担がありますわね。

 いわば、環境省のメニューを使って農地の瓦れき処理をやれば地元負担がなくて、農林水産省のメニューを使って田んぼの瓦れき処理をやれば地元負担がある。不均衡ですわね。これはゼロにすべきだと思いますが、考え方をお尋ねします。

鹿野国務大臣 今先生が御指摘されているように、瓦れきの処理につきましては、農地も含めまして、環境省の災害廃棄物処理事業によることが基本だということでございますが、一方、農地、農業用の施設災害復旧事業により農地の復旧と一体的に瓦れきの処理を行うというふうなことも可能でございます。

 そういう中で、農地、農業用の施設災害復旧事業では地元負担が残るものの、どちらの事業で対応するかは、地域で効率的な処理ができるように、県、市町村の意向を踏まえて対応していきたい、こういうふうな考え方でございます。

谷委員 大臣、それはだめなんですって。それは役人の答弁です。それはわかっているんです、そんなことは。だから、そこを私は問うているわけです。

 だって、そう思いませんか。環境省が、我々野党も含めて、実務者会議でも何度もこの問題を言うたんです。何度も問題を言うて、取扱指針をつくって、それで地元負担なしということを決めてもらったんです。先ほどの質問で、まだ決めていないということがありましたが、もう決めているんです、そんなことは。

 ただ、せっかくそれを決めたのに、それは農地にも適用になるんです、確かに。なるんですけれども、現実は、やはり相当時間がかかる。かかるから、農家にはそれは待っておられへん。やはり農林省の補助事業でやろうとしたら地元負担、これは不均衡でしょう、そこは直さなきゃだめですよという指摘なんです。

 ですから、そこは直してください。直す方向で、事務的にいろいろ、法律まで変えなくていいですけれども、若干仕組みを変えてもらわなきゃならないんです、今回。そのことを尋ねているんです。

鹿野国務大臣 今申し上げますとおりに、どうやってスピードを速くやることができるかということを考えたときに、この効率的な処理ができるというようなことの中で、市町村と打ち合わせる中で、意向がどうなのかということを踏まえてやっていくというふうなことを申し上げたところでございます。

谷委員 質疑は終わりましたけれども、今の大臣の答弁に私は不満です。これはおかしいですよ。これから問題になりますよ、そういうことであれば。もうきょうは時間になりましたので、ぜひそこのところをよく検討してください。筒井副大臣、検討してください。

 そうしないと、繰り返しになりますけれども、環境省のメニューでやったら地方負担がなくて、農水省のメニューでやったら地方負担がある、だれが考えてもおかしいです。しかも、瓦れき処理は、汚泥堆積とかあるいは砂れきの堆積と一体、区別のつかないものはやるというふうに環境省もメニューも広げているんですよ、広げて取り扱おうとしているんです。ですから、そこのところをぜひ同じように扱ってくださいよ。

 やむを得ず農林のメニューを使うというのは、間に合わないからですわ。来年の作付に間に合わないから、もうしようがないから、待っておられへんからそのメニューを使う。そのメニューを使ったら、早くやったから地元負担はあってもいいでしょう、地方負担はあってもいいでしょうというのは、これは酷ですよ。という要望で、いい答弁があればいただきたいんですけれども、なければ結構ですから。

鹿野国務大臣 地方の負担分のことをどうするかというのは、これは今先生からの御指摘のとおりに、これから地元における負担がないような形の方法があるのかどうかということを踏まえて、私どもも詰めてまいりたいと思っております。

谷委員 いい答弁をありがとうございました。終わります。

山田委員長 次に、永岡桂子君。

永岡委員 自由民主党の永岡桂子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 三月十一日に起きました東日本の大震災、これは余りにも突然でございましたし、余りにも大きい被害をこの日本の国にもたらしました。とりわけ、日本の根幹とも言える農林水産業への影響は、現在のみならず、本当に将来の見通しをしっかりとして論じなければならないと考えております。

 また、農林水産業は、言うまでもなく、一定の地域に定住しながら、土地を、あるいは海を、山を、そういう自然と向き合って営む崇高な産業でございますし、その自然を恐れ、また自然を敬いながら、人間はみずからの命を長らえる食というものを確保し続けたのだと思っております。

 私は茨城県に住んでおります。茨城も被災いたしました。被災の大小、大きさは違いますけれども、私も被災民でございます。当日は外におりましたが、畑の真ん中に車におりましたけれども、大揺れでございまして、自分の乗っている車が今にもひっくり返りそうな、そういうことも経験しましたし、マンションの九階に住んでおります、頑丈な、築三十年以上もたっているマンションでしたが、ひび一つ入っていませんでした。だから家の中も大丈夫かと思いましたら、とんでもございませんでした。家の中はめちゃくちゃ、丸々二日ほど家の中の掃除に時間がかかりまして、この仕事をしておりますといろいろと大変忙しいもので、掃除も思うようにいかないと思っておりましたが、まあ大掃除ができた、そういうふうに前向きに考えてこの震災に臨んでおります。

 しかしながら、大きな被害を受けた方には、本当に心よりお見舞いを申し上げなければいけないと思っております。

 大臣も山形でいらっしゃいますし、私が住んでおります茨城は、本当に大地豊かで、農林水産業が大変盛んなところでございます。そういう中にありまして、やはり農業というものに対しては、本当に畏敬の念を持って、これが日本の根幹の部分を支える産業だという認識は実は同じであると思っております。

 いろいろ通告もしておりましたが、時間の関係で省かせていただくこともあるのでお許しいただきたいと思うのですが、私たち日本人一人一人にとって、東日本大震災というのはすごく精神的なダメージが多かったということを言わなければならないと思っております。

 先般私は、三月の二十三日でございましたが、文部科学委員会におきましても実は、原発事故、今回は、大震災、津波、地震だけではなくて、原発の事故に関する大変な被害があるわけでございますが、原発の事故に伴う補償問題を取り上げました。原子力損害賠償法は文部科学省の所管でございますので、被害を受けた方に確実に補償を行うと明言していただきたいために質問したわけでございます。

 そのときには、笹木副大臣が次のように明快に御答弁いただいております。「原子力発電所の事故による損害については、農作物の出荷制限されたものに限らずですが、事故との相当の因果関係が認められるものについては原子力損害賠償法に基づいた賠償が行われることになっております。」「賠償責任は一義的には東京電力が負うことになるわけですが、東京電力がその賠償の責任をしっかりやれる、全うできるように政府としても調整もし、協力もするということです。」こうお答えいただきました。

 また、風評被害、もうそのときには茨城産の白菜やレタス、こういうものが、市場から追い出されるように、値がつかないような状態でございましたので、風評被害についてもお尋ねいたしました。こうおっしゃっております。「風評被害が発生している場合には、これも先ほどお話ししましたように、相当の因果関係が認められる損害についても、風評被害についてもその判断で対応していくということになります。 これも、しかし個々の被害者とのやりとりというのは原子力事業者である東京電力がやるわけですが、最終的には政府も連携協力をしてその責任を全うできるように、被害者がしっかりした補償を受けられる、このことを第一に対処していくということです。」と御答弁いただいております。

 国会答弁ですから、笹木副大臣の発言は大変重いものと思っております。しかしながら、理不尽な被害に遭っているとしか言えないような農家について、間違いましたでは済みませんので、文部科学省として、現在でもこの方針に変更がないか、もう一度お尋ねさせて、確認させていただきたいと思います。

田中政府参考人 原子力発電事故に伴います農作物に係るいわゆる風評被害に関しましては、文部科学省としては、それが生じないように、客観的かつ正確な情報をいろいろな方面に伝えるということがまず第一かなというふうに思ってございます。

 御指摘がございました原子力損害の賠償に関する法律ということは、先日副大臣からも御説明申し上げたとおりでございまして、事故との相当因果関係が認められる損害については、いわゆる風評被害であるとしても、この考え方に照らして判断されるというふうに考えてございまして、現在もこの考え方に変更はございません。

 いずれにしても、原賠法のもとで、一義的には東京電力が賠償責任を負うことになるというふうに考えてございますけれども、政府としても、被害者の方々が適切な補償を受けられるよう万全を期すこととしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

永岡委員 どうもありがとうございます。間違いではなくてよかったと思っております。

 農林水産業を営む方々にとっては、本当に、今回の風評被害、特に北関東、東北地方の方々にとって、丹精込めた野菜が売れない、値がつかないということに関しては、もう死活問題なんですね。特に今の時期は春でも早いものですから、資材などにも随分とお金をかけて野菜をつくっているんですね。そういうことを考えましても大変な問題なわけです。

 三月の二十三日は、この委員会におきましても風評被害について議論がなされているわけですね。公明党の石田委員の「風評被害も損害賠償のカテゴリーに入るということでよろしいか、」という質問に対しまして、加藤政府参考人は、やはり、「事故との相当因果関係が認められるものにつきましては、損害に当たるものとして適切な補償を行うことになってございます。」と答弁されておりますし、さらに篠原副大臣も、「因果関係が明らかになった場合には確実に補償していくべきではないかと思っておりまして、そういった方向で検討しております。」と明言されております。

 文科省も言っている、農水副大臣も言っていらっしゃるわけですから、鹿野大臣はいかがかなと、実はちょっと私もいろいろコメントなんかを調べてみたんですが、三月の三十一日でございました、記者会見で、記者の質問がこういう質問だったですね、風評被害を受けた方までの補償をするとなると、やはり国によるというのは無理だということですかと記者が聞いているんですね。そのことに対して、大臣はこう答えてらっしゃいます、そうでございます、はい、今の段階ではね、はいとお答えなさっていらっしゃるんですね。

 ということは、国がということはおっしゃっていますけれども、風評被害については国はタッチしないのかな、いかがなものかとちょっと私は心配になりました。

 実は、私も、農水ではなくて文部科学委員会で風評被害について政府に確かめておりますので、地元の農業者の方には、風評被害についても政府はしっかりと責任を持って対応してくれる、だから一生懸命、売れなかったものなどは処分する前にきちんと証拠をとっておかなきゃねというような話をして対応させていただいておるんですけれども、そういうことでございますので、ぜひ、ここでは大臣にしっかりと、風評被害についても、国として、農林水産省としても、損害賠償法にかかわる賠償、しっかりと取り組んでいきますよというふうに言っていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

鹿野国務大臣 風評被害につきましても、相当な因果関係というふうなことが認められる場合は、それは適切なる賠償が行われるということにしていかなければならないと思っております。そういう考え方に立って、私どももこれから、審査会も設置されたわけでありますから、働きかけをしてまいりたいと思っております。

永岡委員 どうもありがとうございます。やはり、農林水産業のトップである大臣からそのお言葉をいただけたことで随分私も安心しましたし、また地元の農家そして水産業の方も、また林業の方も安心している、そういうふうに思っております。ありがとうございます。

 今回の事故によります損害賠償は、まだ収束しているわけではございません、原発の方が。きのうはレベル七に評価が上げられました。また、収束までには相当な期間がかかるということでございますし、また、現時点においても損害賠償の額というものは本当に大きくなる、大規模になると想像がされるんですね。

 この損害賠償を円滑に対応するためには早期に、今大臣がおっしゃいました原子力損害賠償紛争審査会、これを設置すべきということが私たち自民党を初め関係者から随分強く要望されていたわけですけれども、月曜日にやっと設置されました。損害賠償についてやっと動き出したのかなという気がしております。

 この審査会は、紛争を早期に解決するために、損害の範囲ですとか損害の額の算定法など、こういうもの、また基本的な考え方を、またそしてその考え方が中立で、また高度な専門性を持った組織の方々が提示するということが必要であります。東海村のジェー・シー・オーの事故がありました。臨界事故のことを踏まえて、紛争審査会に、そうした基本的な考えを提示する、指針を定めるという権限を与えたわけでございますね。

 今後どのような日程で、いつごろをめどにこの紛争審査会の対応方針を決定するか、決めるか、ちょっとお伺いしたいと思っております。これは農水省じゃなくて文科省です。お願いいたします。

田中政府参考人 ただいま御指摘がございました原子力損害賠償紛争審査会、四月の十一日に設置がされ、十名の審査委員が同日任命をされました。今後、被害者の方々に対して原子力事業者である東京電力が行う賠償が円滑かつ適切に進められるよう、今週中にはまず第一回会合を開催する予定で準備をしてございます。

 この指針の策定ということにつきましては、現時点では確定的なことはどうしても申し上げられないわけですけれども、今後の賠償が円滑かつ適切に進められるよう、本当にできる限り早く早急に策定をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

永岡委員 どうもありがとうございます。

 早速会議を持っていただけること、そしてまた、その結論が早急に出されることを望むわけでございますが、一つ、ちょっと私不思議なことがあったんですね。

 この審査会の委員の方は、皆さん、法律家ですとか、あとは学者さん、法律に詳しい方がいらっしゃいますが、今のこの紛争審査会で実際にその賠償をいただく方というのは、本当に素人の方でございますし、近所に住んでいらっしゃる方がいらっしゃるわけですけれども、また農業者もいらっしゃいますよね。こういう方たちの、被害者の方たちの実情というものはどういうふうにその委員の方にお知らせするのか、ちょっとお伺いしたいと思います。

田中政府参考人 委員御指摘がございましたとおり、原子力損害賠償紛争審査会の委員は、それぞれ、法律の専門家、あるいは医療、原子力工学といったことの専門家でいらっしゃいます。現場の、実際のいろいろな場面ということにつきましては、この審査会が進める中で、あるいは専門委員になっていただいてお聞きをするとか、あるいは現場のことをヒアリングするとか、そういう格好で、現場の実情ということをよく把握しながら委員会を進めていきたいというふうに考えているところでございます。

永岡委員 どうもありがとうございます。

 しっかりと現場の意見を反映できるような審査会であってほしいと願っております。

 実は今、ジェー・シー・オーの事故、これを前例としてこの紛争審査会が立ち上がっているわけでございますが、平成十一年の九月の三十日にジェー・シー・オーの事故があったんですね。そして、随分と、そのときに比べると、今の福島の原発の被害の大きさというものがわかるんですけれども、これは臨界事故としては初めてでございまして、半径三百五十メートルの圏内の住民の方々に避難の請求がされております。また、半径十キロメートル圏内の住民の方々に屋内退避の勧告がなされているんですね。事故発生から三日間で事態は収拾されたんですけれども、それでも、損害賠償請求の総数は八千件に及んでおりますし、賠償金は最終的には百五十億円ということになっておりました。年内に仮払いがされたわけですけれども、大多数の方々が和解するためには約半年かかっているんですね。

 このときは、初めは、当事者だけの問題として、茨城県はそういう立場をとっていたんですけれども、被害者救済が早急にされるために、県も実はそのジェー・シー・オーの臨界事故の賠償対策室を設けたんです。県職員を交渉の窓口につけたり、東海村もまた同様に、職員を仮払いの交渉の窓口につけまして、賠償額の確定交渉の場を設けるなどして、東海村もまた県もいろいろ関与しているんですね。国は国で関与してくださっておりました。実は相当因果関係などに関する認識の共通化を図るために、賠償に関する基本的な考えを取りまとめてくださったんですね。そして被害者とジェー・シー・オーの主張のすり合わせを行ったんですよね。

 このように、東海村と茨城県と国がそれぞれ協力しながら賠償の規模を決め、実行に移して、収束に向けて頑張ったわけですけれども、今回は、政府全体としてこの賠償に取り組まれるのが当然だと思うんですけれども、特に農水省は、農業者の立場を日ごろから本当に一番理解されていますし、相応の責任を持って対応に当たられるべきだと思っております。

 四月の一日ですか、これはプレスリリースで、農林水産省においては、原子力災害対策本部また紛争審査会の取り組みとも整合性をとりながら、農業被害に係る原子力損害賠償請求等について、農林水産省に連絡会議を設置、そして請求の考えや基準を示すなど、できる限りの支援を行いますと発表しておりますが、現在の対応状況などお聞かせいただきたいと思います。

筒井副大臣 今先生がおっしゃった、農業団体等々を含めた連絡会議の設置、これも農水省の方針でございますが、現時点では、一つは、東電に対する仮払いの請求について、農漁業団体等にいろいろ協力、支援をしているところでございます。各農業者、あるいは特に酪農家、あるいは漁業者等が個別に請求手続するのはなかなか困難な点がございますから、各団体等がそれらを取りまとめて仮払いの請求をするというふうなことをまず進めているのが一点。

 それから、農水省としても、東電の方に、早く相談窓口を設置して損害賠償に適切に、しかも迅速に応ずるよう、それらの要請もしているところでございます。

 それと、これは質問にないのかもしれませんが、つなぎ融資等の関係についても、いろいろ、各金融機関等々に農水省としても働きかけをして、あるいは要請をしているところでございます。

永岡委員 いろいろいい御答弁をいただきまして大変ありがとうございます。

 実は、東電がやるべきもの、仮払いをしていただくこと、その措置、大変重要だと思っております。

 団体もいろいろ、団体では交渉しやすいとは思うんですけれども、実は、例えば葉物、野菜ですね、これは農協がメーンであるわけですね。全国組織ですから大きいですし、また組織もしっかりしているということで話はしやすいんですが、実は農協ばかりに出荷している農業者ばかりではないんですね。例えば、同じ農家の人が、農協にも出す、また近所の市場にも出す、地方市場ですね。また、その同じ農業者の方が、農家の方が契約栽培をして、直接消費者に売っている、そういうことがあるわけです。

 団体などと副大臣はおっしゃいましたけれども、そういういろいろなルートを通じて農家の方は自分のつくった作物を出荷しております。そういう点を踏まえますと、団体だけではなくて、広く、例えば農家のあります市町村単位での要望とかそういうものも、連絡協議会などでの調整の上で、厚く扱っていただくということも考えていただければありがたいなと実は思っております。

筒井副大臣 これも先生おっしゃるとおりで、JAに加入していない農家もおられるわけで、一つは、JAの方で、組合員でない農家も、要請があればそれも取りまとめの中に含めて一緒に行動してほしいという要請、それと、組合員でない農家は結構大規模農家も多いものですから、それらの独自の団体があるものですから、それらの団体を通じた取りまとめ、それから、今先生がおっしゃった市町村を通じて取りまとめの手続を行う、これらも含めて今、協力、支援、助言をしているところでございます。

永岡委員 いろいろと御配慮いただいてありがとうございます。大変心強く感じます。もう今は風評被害などで収入が途絶えております農家の方々にそれが一刻も早く届くように、どうぞ御尽力いただきたいと思います。

 それでは次に、農地のことについて、災害の復旧のことについてお聞きいたします。

 この災害によりまして、農地や農業用施設の破損は、全部合わせますと一万二千カ所ですか、被害額も五千億円以上になるのではないかというお話を伺っております。また、発生から一カ月ではございますが、調査の主体であります地方公共団体も本当に甚大な被害を受けておりまして、この行政能力というのも大きく低下しているのではないかと思われるのですね。制度もまちまちであったり、損害額の報告というのも、正確性は今のところ余り十分とは言えないような面もあろうかと思います。それにしても、相当な損害があったと想定されることには間違いないわけです。

 もう四月になりまして、四月から五月の連休には田植えをするというのは日本のこのころの風物詩になっております。稲の作付には水が不可欠ですよね。この水の確保ができなければ田植えはできないわけです。

 私のところも、軽微ではございましたが、随分と家の屋根などが壊れております。見た目はそんなに大したことはないんですが、実は、よくわからないのが、見えないところで損害が起きているということがここのところわかりました。それは、田んぼ、つまり圃場の下を通る用水の樋管ですとか、これが随分と漏水しているということがわかっております。

 田植えに間に合うように被害の回復に奮闘していくというのはもちろん当たり前なんですけれども、例えば茨城県の霞用水なども、これは大きいんですよ、二万ヘクタールもの田畑を潤している大きなパイプがあるんですね。実は、霞ケ浦から筑波山の下を通っているんですね。一番太いところでは二メートル以上もの基幹のパイプが通っております。それが相当傷んだ状態であるというのがわかっております。もうこの春の作付は間もなくでございます。復旧のめどについてはどのようにお考えでしょうか。

 ちょっとお聞きしたところ、実は、一番最後の基幹の大きなパイプを修理するまでに五月の二十日までかかるということが農水省からは示されておりますが、これはもう作付が六月になっちゃうなということで、ちょっと私は心配しておりますが、いかがでしょうか。お答えいただけますでしょうか。

    〔委員長退席、津島委員長代理着席〕

田名部大臣政務官 今先生お話しになられました霞ケ浦ですけれども、先般、吉田政務官も視察に行っておりました。本当に、全体の被害状況をすべて把握するには、まだもう少し時間を要するというのが実情です。

 現段階でわかっている農地、農業用施設の被害でありますけれども、農地二千六十二カ所、三千七百五十五億円、そして農業用施設一万五百四十六カ所、三千五十一億円であります。

 ただ、先生が今お話しになられましたように、見てはわからない被害というものがあります。液状化も含めてですけれども、パイプラインなどは水を通してみないとどういう状況かわからないということもありまして、現在、全容の把握に努めているところです。

 今後の復旧に向けてですけれども、まずは、今期作付が可能な農地を優先して復旧することとしておりまして、査定前着工の制度を活用して復旧工事に既に着手をしたところであります。

 ただ、まだまだ土地改良施設であるとか農地の復旧には時間を要するわけでありますけれども、今後、被災した農地や農業用施設の状況を確認しながら、復旧の方針については農家の皆さんとも十分に相談をしながら対応してまいりたいと考えています。

永岡委員 どうもありがとうございます。本当に、できるところはもう早急に一生懸命やっていただきたいと思っております。

 今度はお米に関してですが、お米の需給についてお伺いいたします。

 この震災で水田も被害を受けたわけですけれども、今現在では大体二万ヘクタールが作付不能と見込まれているというように伺っております。二万ヘクタールだけであればさほど問題はないかと思われておりますが、先ほど申し上げましたように、見えないところのパイプが傷んでいるとかで、水源がないために作付ができないということもあるはずですよね。これはまだ数はわかりませんけれども、あるはずだと思います。それも心配しております。

 また、作付不能に見合う生産調整というのは、それぞれの県内で県内調整を進めていらっしゃいますし、また、宮城、福島県、両県とも、これは県外ですか、調整も進んでいるということではあります。

 けれども、私はちょっとまだ心配なんですよ。お米は日本人にとってはもう本当に一番の食糧ですよね。食糧のもとのもとでございます。お米とお塩またみそさえあれば何はなくても生きていけるというのが日本人なわけです。そのお米が万が一にも不足するようなことがあっては国としての責任が果たせないのではないかと思います。

 農水省はそのことについてはどのようにお考えか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

筒井副大臣 二十二年産米の時点で、過剰作付が約四万ヘクタール分ありましたし、それらを前提として今度の生産数量目標を配分したわけでございますが、その生産数量目標を、一部、今言われましたように、宮城県、福島県のところで、耕作することができない部分は県内調整をして、県内調整で足りない分を県間調整で賄うという方針でございます。ですから、今のところ、生産数量目標の数量全体を変更する必要性はないものというふうに考えております。

 そして、現在、民間在庫が約二百万トンぐらいことしの六月時点でも見込まれる状況ですし、さらに政府備蓄米もあるわけでございますから、米の消費にはきちんと対応していくことができるものと現在考えております。

永岡委員 どうもありがとうございます。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 備蓄は備蓄なんですけれども、お米じゃなくて飼料についてお伺いしたいと思います。

 この震災では、随分と港が痛めつけられまして、また道路も寸断されまして、家畜のえさというものが各家畜農家に運ばれないというようなことが起きたし、また、船がやられるというのは、外国から輸入されている小麦ですとかトウモロコシ、コウリャンなど、そういうものが入ってこないという事態になったようでございます。

 動物ですから、人間と同じように、食べていかなければ死んでしまうわけですから、この飼料というものは絶対欠かすことのできないものだと思うわけです。随分と今度の震災で飼料メーカーも被害を受けたわけですね。ということで、サイロから持ってこられないということで大変厳しかったということになるわけなんです。

 石油備蓄も、これは放出したという話を伺っております。そういうことを考えますと、飼料の備蓄、これはトウモロコシとコウリャンで六十万トン、お米で三十五万トン備蓄しているわけですね。

 ところが、これは去年の秋ですか、事業仕分けに遭いましたね。トウモロコシを半分程度に減らすことを決めたわけでございます。これに従って、現在、そのトウモロコシなどを放出する手続を進めているとのことですが、今回の災害に伴いまして、需給動向などを踏まえて、事業仕分けであるそのトウモロコシを減らすということも、見直しを視野に入れて再検討するべきではないのかなと思いますが、いかがでしょうか。

筒井副大臣 質問していただきましてありがとうございます。

 当初六十万トンだったトウモロコシの備蓄量が、いろいろなこと等を言われて四十万トンにするという決断をして、四十万にした後に、行政刷新会議の事業仕分けで、さらにそれを半減しろ、二十万トンにしろというふうな決定が、間違いと思いますが、下ってしまいました。

 二十万トンに減らす過程においてこの大震災が発生したわけでございまして、二十万トンにしてなかったおかげで三十四万トン放出することができました。あれが、二十万トンにしていたら、まさに先生がおっしゃるように大変な事態が起こったわけでございますから、あの二十万トンに半減せよという決定ははっきり間違いであったということが事実によって証明されたというふうに考えております。

 ですから、これをもう一度四十万トンに復活する、しなければならないというふうに考えております。

永岡委員 大臣、閣議ではこのことを蓮舫大臣にしっかりとおっしゃっていただきたいと……(発言する者あり)ここに呼んでもいいですが、呼べないと思うので、いらっしゃれないと思うので、ぜひ大臣は、今筒井副大臣がおっしゃられたことを蓮舫大臣にしっかりとお伝えいただきますように、よろしくお願いいたします。

 次に移らせていただきます。

 この四月の五日、私は、福島県で被災された方々の状況を視察に行ってまいりました。そのとき、地元の畜産、酪農家の方から、一つ、これだけは言ってちょうだい、よろしくお願いしてちょうだいということを、要望を受けてまいりました。

 それは、原発事故の影響で肉用牛を出荷することが困難な状況が続いているということなんです。そして現金収入が途絶えている畜産農家が数多くいるということで、何よりも肉用子牛の生産者補給金制度について、本来は二カ月という月齢の要件を緩和していただきたい、これをぜひ検討してください、というよりは、お願いだから緩和してというような要望を受けてまいりました。

 農水省としてはいかが対応していただけますか。お願いいたします。

田名部大臣政務官 先生の御指摘の御要望、私どもも承っております。二カ月齢以上の乳用子牛も本制度の対象とできるよう、既に事務方に検討を指示したところです。

永岡委員 どうもありがとうございました。よろしくどうぞお願いいたします。

 それでは次に、ちょっと水産物の対応についてお伺いしたいと思います。

 私の住んでおります茨城県も、また今回大きな被災を受けました三陸の海岸も、我が国有数の漁場でございます。原発の事故以来、農産物、水などでは、その影響調査を実施して、安全な農産物だけを市場に出荷し、国民の健康を守ってきたわけですね。海水についても、当初、三月の半ばの混乱期はともかくとして、海水の安全性について国民の関心というのはどんどん高まってきたと思うんです。

 ところが、この四日、低濃度の放射性の汚染水を海に放出しましたということでございます。これは放出が認められております濃度基準の約百倍の濃度のある汚染された水だそうでございますが、これは、保安院などは大きな危険を避けるためやむを得ないと判断したというお話がございましたし、先ほど谷委員からも同じような質問がございました。

 知らなかったという鹿野大臣には、もう本当におかしいわけですよね、知らなかったということ自体が、事実が。これは全く報告がないということは大きな問題でありまして、政府の危機管理能力が問われるわけでございますので、ぜひ、これからはしっかりと対応して連携を強めていただきたいと思っております。

 その前なんですけれども、北茨城の沖、四月の五日に、コウナゴから、随分と放射性が高い、暫定基準を上回るセシウムが発見されまして、県内でコウナゴ漁を一斉に休業しております。以前には、今の時期、四月から六月というのは、一時期は七億円も水揚げがあったという年もあったぐらいの、この地域の人のこの時期の漁としてはコウナゴしかないぐらいの大きな漁なんですね。これが、放射性物質がコウナゴから検出されたという以降、もう買ってくれないんです。茨城の船さえ、銚子の港では水揚げを拒否されておりまして、大変厳しい状況になっているわけです。

 これは風評被害ではなくて直接被害だと思うんです。自主休業ということで、本当に漁業者の方のつらい、厳しい、悲しい思いがわかるんですけれども、水産庁としては、これまで、消費者に安全な水産物を提供するように、どんな調査をしてどんな措置を講じてきたのかなというふうに思うんですけれども、この水産業を営む……

津島委員長代理 永岡さん、済みません、持ち時間が終わっていますのでまとめてください。お願いします。

永岡委員 はい。もう最後です、あと三行なので、済みません。

 自主的な漁業者の休業をどのように考えるのかが問題になります。原子力損害賠償法に基づいた補償をするべきであると考えますが、いかがお考えでしょうか、お返事ください。

筒井副大臣 短く結論だけ申し上げますが、コウナゴに関しては直接被害でございます。自主休業についても直接被害の中に含むことができるかと思っております。

 それ以外の、全く基準値以下の魚がほとんどだったわけでございますが、それらについても値段が下がったり出荷を拒否されたりしている例があるわけでございますから、それらは風評被害の中に入るかと思いますが、しかし相当因果関係の中に入る損害として補償されるものというふうに考えております。

永岡委員 どうもありがとうございました。

津島委員長代理 次に、石田祝稔君。

    〔津島委員長代理退席、委員長着席〕

石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。

 時間をいただきましたので、質問をいたします。

 まず最初に、大臣にお伺いをいたしたいと思いますが、民主党の議員からも補正予算の話が出ましたが、補正予算はまだ出ていないと思いますので、出るであろうと言われていることについてお伺いをいたしたいと思います。

 今回、もう新聞にも載っておりますけれども、第一次補正予算が約四兆円の規模で、その中で農林水産関係ということも出ておりまして、ちょっと申し上げますと、公共事業を除く金額で二千六百億円程度、こういうことがあらあらの数字として出ておりますが、鹿野大臣、これで今回の震災の農林水産関係の被害を立て直すのに十分な金額だというお考えでしょうか、まずお考えをお聞きします。

鹿野国務大臣 この第一次補正予算案につきまして、農林漁業の復旧支援対策二千六百億程度と報道されていることは承知しておりますが、具体的な金額につきましては正式に今この段階でお示しを申し上げることは困難でございますけれども、今回の補正予算というものは、緊急にとにかく行う復旧対策に必要な予算を計上するということでございまして、その必要なことを具体的な形で何とか私どもとしては盛り込んでいきたい、こういうふうなことで、今詰めておるところでございます。

石田(祝)委員 これは数字は変わるだろうと思いますので、二千六百億という固まった数字というお話じゃなくて、二千六百億円という数字でいいのかという聞き方だったらいかがでしょうか。これでまずは十分だ、こういうことでしょうか。

鹿野国務大臣 私として、今具体的な詰めの段階でございますので、とにかく、緊急に必要なことについては、あらゆる努力の中でこの第一次補正の中に盛り込んでいきたい、こういうことでございます。

石田(祝)委員 ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。

 やはり予算というのは、ある意味でいえば、金額が皆さんに与える影響というのが大きいわけですね。やはり、これだけ国が考えてくれているのか、こういうメッセージにもなります。これは政府が、当然予算というのは政府しか提出できませんので、我々はその提出を待つだけでありますけれども、農林水産大臣として、この補正についてはぜひ頑張っていただきたいなと思います。

鹿野国務大臣 ただいまの石田先生の意を受けて、最後の、最後というのは、第一次補正につけるところの最終的な詰めにあらゆる努力をしてまいります。

石田(祝)委員 今のは大変心強い決意だったと私は思います。

 我が党として賛成するとかしないとかいうことは、これは当然別でございますけれども、農林水産のところだけ切り取ってくれれば、私はもう大賛成したいんです。そうはいきませんけれども、ぜひ御奮闘いただきたいと思います。

 これは一次で終わる話ではありませんので、二次、または三次もあるかもしれません。ぜひ、大変大事な、東北を含む地域の農林水産業、これはまず復興をしなきゃなりませんので、そういう点で頑張っていただきたいと思います。

 もう一点、大臣、私はここで何回か御質問いたしました、大臣から明確な前向きな御答弁をいただいておりませんが、天災融資法ですね、これを私は何度かお聞きしたように思いますが、平成になってからもう十度ほど発動されている、そして千年に一度と言われている災害でなぜ発動しないのか、こういうことを今までもお聞きしてまいりました。特に貸し出しの利子についてはその都度決められるということでありますから、これはぜひ無利子でやっていただくという天災融資法、もうそろそろ大臣の御英断、御決断があってもいいんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

鹿野国務大臣 過般も石田先生から御指摘をいただきました。

 とにかく、被害を受けた農林漁業者の経営再開を支援するための天災融資法の早期発動や、天災融資法の実質無利子化を含む金利引き下げというふうなものについては、今ぎりぎり詰めさせていただいているところでございます。

石田(祝)委員 これはぜひ早く詰めていただきたいというふうに思います。

 前にもお話ししたとおり、大臣のふるさと、選挙区は、将棋のこまで有名な天童も入っていますから、これは将棋のごとく、びしっと詰めていただきたいと思いますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、何点かきょうは具体的なこともお聞きをいたしたいというふうに思いますけれども、質問の、出した通告の紙の順番と若干違ってくるかもしれませんが、その点はよろしくお願いいたしたいというふうに思います。

 一つは、飼料の問題です。

 私の友人も、実は八戸の方に行きまして、飼料工場等が大変な被害を受けている。そういう中で、鶏ですか、そういうものもえさが足りなくて死んでいってしまっている。こういうことを目の当たりにして、私にも、一体これはどうなっているのか、こういう問い合わせもありました。そのときに農林水産省から聞いた話は、鹿児島の志布志から飼料を送っているから大丈夫なんだ、こういうふうにお聞きをしておりましたが、どうも港には着いたかということをお聞きしましたけれども、それから運ぶルートが確保できていなくて、鶏とかに大変な影響があった、こういうお話がございました。

 その中で、今回、ちょっと確認をさせてもらいたいんですが、飼料不足で亡くなる家畜がいた、これはもう間違いない事実だと思いますけれども、これは共済の対象になるのかどうか。えさ不足でいわゆる飢え死にするようなことは想定はされていなかっただろうと思いますけれども、これは共済の補償の対象になるかどうか、お答えをお願いします。

筒井副大臣 鶏以外は共済の対象になるというふうに考えております。

石田(祝)委員 これは、先ほど申し上げたように、今まで自分の飼っているものを飢え死にさせるようなことは当然想定されていなかったと思いますが、今までも対象だったんですか、それとも今回対象にするということですか。

筒井副大臣 鶏以外は今までも対象というふうに考えております。

石田(祝)委員 それでは、今までもそうであったということですから、事務手続については遺漏ないようにぜひお願いをいたしたいと思います。

 それで、私は、今回の飼料の問題についてもう一点お伺いをいたしたいのは、今回のような震災は、余りだれもここまでという想像はできていなかったと思いますけれども、実は昨年、いわゆる事業仕分けの中で、飼料穀物の備蓄対策事業、これが行政刷新会議の事業仕分けの対象になった。

 それで、この評価のシートもいただきましたけれども、評価者のコメントまた評価結果、こういうのを見ますと、これはもう国の事業としてはやめろというのが三人。来年度の予算計上見送り、これはいなかったようでありますが、予算要求の縮減というのは半額が二人、三分の一程度縮減は四名。予算要求どおりという方もこれはいらっしゃいませんでした。その結果として、予算が二十二年度当初の約四十二億から十三億七千万になっている。そして、備蓄も基本的には二十万トン、こういうふうになったわけですね。

 これはどうなんでしょうか。こういう事業仕分けが、今回のことに対して影響が私はあったと思いますけれども、これはいかがですか。

筒井副大臣 再度にわたる質問でございますが、ありがとうございます。

 今回は、四十万トンから事業仕分けによって二十万トンに減少する過程で起こったものでございまして、まだ二十万トンになっていない段階でこの大震災が起こったことが不幸中の幸いでございました。ですから、今回、三十四万トンを備蓄飼料から放出して、ぎりぎりでございます、それでも十分とは言えないかもしれませんが、何とか対応することができたものでございまして、もし事業仕分けの結論どおり二十万トンになっていたら大変な事態になったというふうに先ほど私申し上げましたが、非常に困った状態になったことは明らかでございました。

石田(祝)委員 そうすると、今副大臣御答弁いただきましたけれども、今回、途中だったので三十四万トンあってよかったと。だけれども、これは今回、平成二十三年度では二十万トンにするという予算ですよね。これはそのままですか。では、当初予算はこれだけれども、補正でもうちょっと備蓄をするかと。私、その備蓄も、幾つかのところに分散してやることを当然考えていると思いますけれども、これは見直しをしますか。

筒井副大臣 今度ではっきり、二十万トンでは足りないという事実が証明されたと思っています。そして、この備蓄は、米の備蓄に関してもそうですが、万一の場合の備えでございますから、当面すぐそんなこと起こり得ないんだろうという判断でなくするわけにいかないものでございますから、やはり四十万トンに少なくとも復活をする、こうすべきだし、そう要求していかなければいけないというふうに考えております。(発言する者あり)

石田(祝)委員 いい答弁だというお声もありましたけれども、そうすると、では補正で入れるということでいいんですか、第一次補正で。

筒井副大臣 第一次補正ではなかなか、もう時間的にも難しい状況でございますので、二次か、その点は今、もっと詰めていかなければいけないというふうに思います。

石田(祝)委員 これは、副大臣御答弁いただいたように、一次では無理かもしれないと。それは時間的にそうかもしれません。ですけれども、はっきりわかったのは、御答弁の中にあったように、二十三年度の二十万トンではもうだめだ、こういうことですから、これはぜひ、その点踏まえて、しっかりと対応をお願いいたしたいというふうに思います。

 それで、続いて、水産業それからまた漁村の復旧、復興について、基本方針ということがこれから大事だと私は思います。これから我が地域の水産関係のものはどうなるのか、こういうことがあろうと思いますが、実は、これは新聞報道でありますけれども、菅総理が十日に宮城県の石巻市を訪れたときに、漁港の重点整備、こういうことをおっしゃっているということが記事で載っておりました。

 重点整備ということは、すべての漁港を復旧、復興するということではないと。順番をつけてやるのか、それとも重点化をして、三つ四つの漁港の中で一つだけ整備して、そこに水揚げするような、こういうお考えなのか。これは、基本方針とあわせて、どういうふうに漁港の復興についてお考えなのか、お答えをお願いします。

鹿野国務大臣 菅首相が日曜日の日に行かれて、そして今先生が申されたような、重点的な形で今後漁港の復旧にというふうな考え方も言われたことも承知しておりますが、これはまず、何としても一刻も早く復旧をしたい、こういうようなことで、復旧しやすいところからまず取り組んでいくというような考え方もその中に入っておられるのかな、こんなふうに私ども思っているわけでございますけれども、基本的に、今回の地震、津波による被害というものは考えられないくらいの壊滅的なところもございますので、原状復旧という考え方だけではなかなか対応が難しい面もあるのではないかというようなことも考えての御発言であったと思っています。

 そういう中で、しかし大事なことは、被災に遭われた漁業者の方々なりあるいは関係の方々、地方公共団体の方々がどう考えているかというふうなことは非常に重要でございますので、そういう方々の意向というふうなものを踏まえながら、地域との調整を図って、そして地域水産業のこれからの再編の姿というものをともに描き、復旧、復興というふうなところに結びつけていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。

石田(祝)委員 これは、漁業者の方々、漁村の皆さん、また関係する業界の皆さん、やはり将来の姿を早く基本計画等で示していただくということがあしたの希望につながるわけですから、これはどういうふうにするのか、我が港はどうなんだ、我が水産の加工施設はどうなんだ、このあたりをぜひ早くお示しいただきたい、私はこのように思います。

 その具体的な姿が、最初に申し上げた、補正予算のときのある意味ではお金の額になってくるわけです。これだけの額を入れてやりますよ、こういうことが政府としてのある意味では明快なメッセージになりますから、これは、最初に申し上げたように、鹿野大臣に、大変な被害を受けている農林水産業の復旧、復興についての予算についてはぜひ頑張っていただきたいと思います。

 ちょっと個々の話になりますけれども、私も塩竈に参りまして、いろいろなお話を聞きました。塩竈だけではありません、ほかのところも大変な被害を受けているわけですけれども、瓦れきが、陸上の瓦れきというのも当然ありますけれども、海の底に瓦れきも残っている、こういうこともあるだろうと思います。

 そういう中で、漁業者の方が、今までは毎日漁に出て、そして水揚げをして、ある意味でいえば日銭というのでしょうか、そういうものも受け取ることができた。しかし今回は、漁に出ようにも出られないし、水揚げをしても加工施設もない、こういう状況になってきております。

 ですから、私は、地元の漁業者の方を、漁港のいわゆる復興、瓦れきの撤去等も含めて、そういうところでぜひ手伝っていただいて、そういう方に、ある意味でいえば仕事をしていただくということですから当然報酬を出すわけですが、そういうところでちょっと汗をかいていただいて、また収入にもしていただく、これはそういうことを考えられないかという提案ですが、いかがでしょうか。

筒井副大臣 先生と同じ考えでございまして、瓦れき撤去に漁業者自身を雇用して、その報酬を支払うという事業をやりたい。それは第一次補正の中でやっていきたいというふうに考えております。

石田(祝)委員 これは私は大変ありがたい御答弁だというふうに思います。

 引き続いて、やはり漁業に携わっている方は、もう自分は漁師でいくんだ、こういうお考えの方が非常に多いというふうにお聞きをいたしております。そういう中で、船があれば、魚はいる、とって、水産の施設、水揚げの施設が今までの自分が水揚げしていたところでできない、しかしほかの港にも揚げることもできる、こういうことで、ぜひ船を早く手に入れたい、こういう方がいらっしゃいます。

 あと、漁船の場合はほとんどの方が保険に入っているというふうにお聞きをいたします。しかし、漁船の保険を引き受けているところからまた国が再保険を受けていると思いますが、前回も御質問したかもしれませんけれども、これがなかなか金が足りないだろう、こういうことが言われておりますが、これは間違いなく第一次補正で全額その分については手当てをする、国が払うべきものについては予算化しているんだ、予算化する、こういうことでよろしいですか。

筒井副大臣 先生がおっしゃるとおり、一次補正で足りない分を一般会計から繰り入れる、こうしたいというふうに農水省としては考えております。

石田(祝)委員 これはぜひ早くやっていただいて、漁船の再建造にも時間がかかりますから、この点、保険がスムーズに支払われて、再び船に乗って出かけられるように、ぜひお願いをいたしたいと思います。

 きょうは文部科学省と経済産業省にも来ていただいておりますので、質問をいたしたいと思います。

 四月の十一日の官報に、原子力損害賠償紛争審査会の設置に関する政令が公布をされた、こういう官報の号外が出ておりますが、これは文部科学省に置かれるということだろうと思います。メンバーも決まったようでありますが、この紛争の審査会は一体いつ開くのか、そして何を決めるのか、また一体いつまでに結論を出すのか、この点につきまして御答弁をお願いします。

田中政府参考人 原子力損害賠償法に基づきまして、原子力損害賠償紛争審査会というものが四月十一日に閣議決定をされました。同日、十名の審査員が任命されたというところでございます。

 文部科学省といたしましては、できる限り早くこの紛争審査会というのを機能させるために、今週中には第一回会合を開催したいというふうに考えているところでございます。

 また、全体的な、この紛争審査会ということにつきましては、原子力事業者が行う賠償が円滑かつ適切に進められるよう、原子力損害の範囲の判定等、当事者間の和解による自主的な解決を促進するための一般的な指針を作成することといたしております。

 今後、具体的には、作業が進められるわけでございますけれども、例えばジェー・シー・オー事故のときなどは、原子力損害の類型、どういうものが原子力損害に当たるのかとか、原子力損害の対象となるというのは事故が発生したところからどのくらいの距離なのかとか、実際にはどのくらいの時間の中で起こったことになるのかとか、そういうことについて指針というようなものが作成されていくというふうに考えてございます。

 文部科学省といたしましては、原子力損害を受けられた方々に、適切に早く損害に対しての措置が行われるよう、できる限り早急に指針を策定してまいりたいというふうに考えているところでございます。

石田(祝)委員 これは、ジェー・シー・オーの事故のときもこの審査会がつくられて、基本的には民民の話なんだけれども、指針を示して和解という形で約七千件ほど処理をされたというふうにお伺いをいたしました。今回は、そのジェー・シー・オーのときと比べると、規模も範囲も人間も大変多いわけですから、早く指針を出していただきたいというふうに思います。御努力をしていただくと思いますけれども。そうすると、これは当然、半年ぐらいは少なくともかかるんじゃないだろうか、こういうふうに思います。これはこれからの議論の進め方で、今私が申し上げるべきではないと思いますが。

 そうすると、今回この原賠法で対象になる方々、今までも御質問がありました。直接的な被害、また風評被害、こういうものも当然あるわけですね。その審査会が結論を出すまで待っていてくださいというわけにはいかないわけですね。特に、漁業者の方、コウナゴで残留放射能が基準を超えて出た、こういうことでもう漁に出られない、そうすると、やはり日銭というものが入ってこない、収入が全く入ってこなくなった、こういうお話でもございます。

 そして、これは新聞等でも一世帯百万という数字が、もう数字だけが出てきておりますけれども、これは一体いつまでに、一時金というんでしょうか、仮払いというんでしょうか、めどはいつぐらいにお支払いになられるのか。また、金額も百万ということでいいのか。このことについて、きょうは経済産業省に来ていただいていますから、御答弁をお願いします。

横尾政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、原子力損害賠償に関する指針の策定には、これは可及的速やかにやるとしても一定の時間が必要になると見込まれますから、今、原子力災害対策特別措置法の規定に基づく指示に従って避難、屋内退避を余儀なくされている住民の方々につきましては、被災者生活再建支援制度に基づいて震災被災者に支給がなされる、これが百万円ということでございますが、ということも踏まえまして、この窮状にかんがみて緊急的な支援措置ということで、生活資金としての一時金を言ってみれば仮払いということで、東京電力から支払う準備を進めてございます。

 御指摘の時期でございますが、今具体的に固まっているわけではございませんけれども、被災者の方々の置かれた窮状を踏まえまして、早急に支給が行われる必要があるというふうに考えてございます。

石田(祝)委員 ちょっと確認をさせてもらいたいんですが、避難指示のところはわかりましたが、屋内避難の方も対象ということでいいんですね。

横尾政府参考人 指示に従って避難及び屋内退避を余儀なくされている住民の方ということでございます。

石田(祝)委員 できるだけ早くということですから、私は、いろいろな、被災者生活再建支援法についてもきょうは申し上げませんが、連休前に、こういうことも常々申し上げております。ですから、これは歩調を合わせてやられるというお考えかもしれませんが、現金がないんですよね、はっきり言って。これはいずれ払わなきゃいけないものですから、すぱっと払った方がいいですよ。そのことだけ申し上げておきたいと思います。

 それから、十一日に枝野官房長官が、計画的避難区域、そして緊急時避難準備区域、こういうことを私たちからしたら突然発表された。それで、全く今までこんな言葉はなかった言葉でして、一体これは何を意味するのか、こういうことも考えてまいりました。

 それで、これは谷先生の御質問に筒井副大臣がお答えになりましたけれども、私も実は、毎日のごとくやっております実務者会議、各党と政府でやっておりました。それで、この計画的避難区域の計画というのは、避難する側が計画するのではなくて国がやるべきではないのか、こういうことを申し上げると、やはり国と自治体がこれはやるんだ、そういう計画を立てるんだ、こういうそのときのお話でした。筒井副大臣はそういうふうにお答えだったと思いますが、確認をいたしますが、それでよろしいですか。

筒井副大臣 はい、結構です。

石田(祝)委員 何か副大臣、声が小さかったような気がいたしますが、会議録には載るでしょうから、そういうことでぜひお願いしたいと思います。

 それで、これを私がなぜ申し上げるかというと、原子力とは別に、これから作物を植えつける時期になるわけですね。それで、大臣が、計画的避難区域また緊急時避難準備区域、要するに、そこではもう田植えはできない、こういう趣旨のことをおっしゃったというふうに新聞等報道で承知しておりますけれども、それで間違いないですか。

鹿野国務大臣 今副大臣から申し上げますとおりに、計画的避難区域につきましては、これは実質的に作付制限の対象に含まれていくことになるのではないかな、こう考えておりますが、準備区域につきましては、いわば県なり市町村につきましても、それぞれの市町村の考え方があるようでございまして、県も調整をというふうにおっしゃっておられますので、私ども、そういう県との、市町村との調整というふうなものも含めて今後対処していかなきゃならないのかな、こんなふうに思っておるところでございます。

石田(祝)委員 これは新聞の記事ですが、こういうふうに書いていますね。計画的避難区域については作付制限の対象とする、当然含まれる、こう鹿野大臣がおっしゃっている。それから、やはり避難準備区域も、新聞によると、「「農作業ができないわけではないが、一方で自粛を求めるということだ」と述べ、作付け許可は困難という見方を示した。」こういう記事になっているんですね。

 ですから、これはだれが見ても、あわせて読めば、これは計画的避難区域も避難準備区域も無理だ、こういう大臣のお話というふうに受けとめましたが、これは間違っていますか。

鹿野国務大臣 準備区域ということにつきまして、官房長官の方から記者会見で言われたわけでありますけれども、実質的に、この定義というふうなものについて市町村との打ち合わせも必要だというようなこと等々も県当局からもお聞きをいたしておりますし、今そういう中で調整がなされていると思いますので、そういう中で最終的には判断をしていくということになるのではないかなと思っております。

 私とすれば、いわば作付がなかなか難しいところもあるのではないかな、こう思っておるところでございます。しかし、これはあくまでも市町村の考え方というふうなものもございます。そしてまた、その地域においても、市町村単位全体としてある程度制限区域というような形にしていくことができる地域と、なかなかできにくい地域もあるのではないか、こんなふうに思っておりまして、それぞれの市町村がそういう中で県とも話し合いをしながら調整をしているということも聞いておりますので、その中で最終的に判断をしていくというふうなことになるものと思っております。

石田(祝)委員 大臣、済みません、再度確認させていただきたいんですが、計画的避難区域は作付の制限をする、できない。緊急時避難準備区域についてはこれからの検討だ、こういうことですか。

鹿野国務大臣 わかりやすく言っていただきましたけれども、そういうことになるわけでございます。

石田(祝)委員 それで、昨日、福島県の農林水産部が、自分のところをいろいろと調べて発表なさいました。それで、こういうふうに書いているんですね。「「避難区域」、「計画的避難区域」、「緊急時避難準備区域」以外の地域で、五千ベクレルを超え、稲の作付制限に向けて、国との調整を必要とする地域はありませんでした。」こう書いてあります。「したがって、「避難区域」、「計画的避難区域」、「緊急時避難準備区域」に指定される市町村・地域以外の県内各市町村、地域におきましては、稲の作付を行っていただいて差し支えありません。」こういうことを書いています。「なお、「計画的避難区域」、「緊急時避難準備区域」につきましては、国から考え方が示されたばかりであり、その取り扱いについては、今後、関係市町村とよく相談して国と調整してまいります。」と。

 こう見ると、計画的避難区域についても、大臣はだめだと言っているけれども、福島県の方はこれから相談するんだと。ちょっとそごがありませんか。

鹿野国務大臣 今このような形で、福島県の農林水産部の方からの農家の方々に対するメッセージが送られているわけでありますけれども、この計画的避難区域というのは、先生御承知のとおりに、一カ月後にはひとつやはり避難してくださいよ、こういうようなことの含みがその中に入っているわけでございますので、果たしてそういう状況の中で、現実、農作業というものを行うことができるのかなということを考えたときに、どうしても計画的避難区域というのは作付というふうなものは難しい状況になるのではないかな、こういう私自身の考え方もその中には含まれておるわけであります。

石田(祝)委員 ですから、これは、大臣の御答弁と、福島県の農林水産部が「農家の皆様へ」と出したもの、若干食い違っているわけですよ。大臣は、もう一カ月以内に避難しなきゃいけないから、当然作付はできないだろうと。しかし、福島の方は、計画的避難区域、緊急時避難準備区域、これから国と相談するんだと。

 ですから、結局、この地域のこういう指定の仕方について福島県と十二分に相談をしていなかったということがこれではっきりわかるわけです。十二分に地元と相談して、これはこういうことだよと。一カ月以内に避難しなきゃいけないよといったら植えられないのは当然ですよね。しかし、それを地元に十二分に説明をしていなかったんじゃないのか。ですから唐突にこういうことを発表なさったんじゃないのか。

 そしてもう一つは、結局、今回のこの問題というのは、これからどうなるかというと、積算の線量を基準にとなっていますね。積算線量を基準にこれは決めていく、こういうことでしょう。そうすると、これから地域が変わってくる可能性があるわけです。現時点において計画的避難区域なんだよ、準備区域だよ、こう言われても、積算、どんどん積み重なっていくわけですから、変わってくるわけですね。そうすると、そこで大臣が、避難準備区域については地元とこれから相談するんだと言っても、これは、将来に向かってはっきりとした、今植えていいのかどうかということもなかなかわかりにくい。

 ですから、今回のこの問題は、我々からしても、唐突に全然新しい言葉を出してきて説明をしておりますし、どうも地元に十二分な説明がなかったと私は言わざるを得ないわけであります。

 大臣、この点、これからどうなさいますか。福島県の皆さんは大変、「農家の皆様へ」というのを、きのう福島県の農林水産部から出している。しかし、どうもテレビの報道だと、これはどうなるかな、こういうことですから、ここはやはり政府として、やはり悪いのは、そういう大事なことを地元に言わない、言っていない。それでぽんと発表するものですから右往左往する、もう上を下への大騒ぎ、こういうことですが、大臣、これはこれからどういうふうに福島県に御説明なさいますか。

鹿野国務大臣 基本的に、今先生からも御指摘をいただきましたけれども、県ともしっかりと調整をして決めていくということが大事なことだと思っております。

石田(祝)委員 これはこれ以上申し上げませんが、ぜひよく丁寧に御説明を地元にはなさるべきだ、このように私は思います。

 時間の関係で、最後にお聞きをいたしますが、この問題について、植えつけるときに、やはり五千ベクレルという一つの基準で、できるかできないか、こういうことになってくると思いますが、やはり、お米を例にとりますと、収穫のときにこれは検査をなさる予定ですか。そして、具体的にどういう検査をするのか、全量検査するのか、それとも抜き取って検査するのか、その辺のことは今お考えですか。

田名部大臣政務官 お米の場合でありますけれども、お米は、まさに国民の主食であって年間八百万トン消費されているという中で、お米が生産された後で安全性を確認するというのはなかなか現実的に難しいという状況もあって、すべてをチェックすることは大変困難であることから、作付前に今ある暫定基準値を超える可能性の高いところは作付を制限することといたしました。

 しかし、作付制限のないところに関しても、ずっと放射性物質が降り続いているわけですので、土壌の検査また大気中の検査というものをしながら、収穫後にお米、これは玄米の分析になりますけれども、放射能の量などから見て、必要なところはそういった検査をしていくことになります。

石田(祝)委員 私が聞いたのは、全量やるんですかと。例えば農家というのは物すごくたくさんあるじゃないですか。それを、一つの農家は全部一回やるとか、それとも、その地域で一カ所だけ無作為に調べてやるのか、そのことをちょっとお答えできますか。

田名部大臣政務官 はっきりお答えできなくて大変申しわけないんですけれども、検査の方法等については今後検討していくことになりますけれども、実務的に検査可能であり、かつ、安全性を適切に確認できるものとしていく考えでございます。

石田(祝)委員 時間になりましたから、終わります。ありがとうございました。

山田委員長 次に、小里泰弘君。

小里委員 自由民主党の小里泰弘でございます。質問の機会をいただきましてありがとうございます。

 震災対策関連についてお伺いをしたいと思います。

 まず、自由民主党は、大震災が発生以来、相次いで部会を開催いたしまして、また、政府へ対策を提案し、また、党独自のボランティア活動を展開してまいりました。

 そして、先般は、阪神・淡路大震災を初めとする各種災害対応のノウハウを生かして、そしてまた、新たな知恵を凝らしながら、対策案を政府に提言しようということで、緊急対策プロジェクトチームを発足いたしました。党として、真摯な議論を重ねながら対策案の取りまとめをいたしました。二百項目に及ぶ第一次緊急提言として、三月三十日に菅総理に提言を行いました。

 政府側からは、提言を踏まえてしっかりと対策を実行していく、必ずフィードバックをするという言及がございました。そして実際に、先週、四月七日の日でございました、枝野官房長官以下が自民党本部を訪れまして、第一弾の回答書を提示されたわけであります。自民党の提言をしっかりと受けとめて丁寧に回答していこう、そういう政府の姿勢については敬意を表したいと思うところでございます。

 ただ、中身におきましては、役所が急ごしらえで対応されたということもございまして、検討中とか、不明の部分が多くございます。政治主導色というものもなかなかそこからはうかがいにくいところがあるところでございます。特に、農業、水産分野におきましては、ほとんど抽象的な表現にとどまりまして、具体的な回答が少なかったと言わざるを得ないところでございます。

 自由民主党の提言をどのように受けとめて、どのように対応されようというのか、大臣の見解をお伺いいたします。

鹿野国務大臣 今委員からの御指摘のとおりに、自由民主党におかれましても今回の震災に関連しましてどのような考え方かということを、私ども、三月末におきまして直接具体的な御提言をいただきました。

 このことにつきまして、私自身も、直接話を承り、また目を通させていただいた中で、考え方というふうなものが重なる、そういう部分も多くございまして、この考え方というものを、貴重な考え方である、大事にさせていただくというふうなことで、今後具体的な施策に結びつけていくところは結びつけていきたい、こういうふうに考えているところでございます。

小里委員 きょう、自民党の全体会議を開催しまして、第二次提言に向けまして議論をいたしました。そして、新たにまた二百四十項目ほどを取りまとめたところでございます。第一弾、第一次提言と合わせますと四百二十項目超になろうと思います。

 そこには、我々の同僚議員が被災地復興、再生にかける思いが込められておりますし、また、被災地の皆さんにとりましては、新たに立ち上がろうという、復興、再生への一つの道しるべになることを願っているわけでございます。ぜひ、これは真摯に受けとめていただいて、具体的にそれぞれの対策を実行していただきたいと思います。

 これは何も、野党のパフォーマンスとして行っているわけではございません。野党だからこれぐらい言ってもいいだろうとか、高いハードルを設けていいだろう、そんな考えは全く入れ込んでおりません。当然のこととして具体的に実行すべきことを対策案として盛り込んでおりますので、どうかしっかりと受けとめて対応を図っていただきたいと思います。

 そこで、宮城県仙台市、海岸地帯にかけて視察をしてまいりました。要は、市街地と海岸地帯の間には何もない状況でございました。住宅はない、田畑も全くなくなってしまっているに等しい、そういう状況が、光景がずっと延々と続いておりました。

 特に農地は、液状化や塩害によりまして広大な農地が使い物にならなくなっております。被災地全体として高齢化率も非常に高い地域であります。災害の規模、内容、社会構造からいって、被災地の農業にとって、これから克服を図っていかなければならない、極めて困難かつ多くの課題が控えているところでございます。

 この被災地の農業、農村の復興、再生に向けましてどのような理念を持って臨んでいかれようというのか、大臣の見解をお伺いいたします。

鹿野国務大臣 委員も直接被災地に行かれまして、被害に遭った状況を見ていただいた、こういうことでございます。そのような中から、具体的な自由民主党の提言というふうな中にも盛り込まれておるものと思うわけでございます。

 私どもの基本的な考え方は、想像を絶する今回の被災でございますので、そういう中で、まず、漁業者なり農業者の方々が新たな意欲を持っていただく、こういうふうなことが非常に大切なことではないか。こんな思いの中で、緊急にとにかく、海に出たいというふうな人たちが出られるように、また農業をやりたいというような人には農業を少しでも、一刻も早くやっていただく。

 こういうような、まず急いでやらなきゃならない施策と同時に、その後、どういう新しい漁業の形態あるいは農業の形態をつくっていくか。単なる、もとに戻すというような発想ではなかなか困難ではないか。こんな思いの中で、私どもも、直接、地域の方々、漁業者、農業者の方々のお考えというふうなものを踏まえながらこれからの新しい食料基地としての東北というものをつくっていくんだ、その思いというものは、被災に遭った漁業者なり農業者の人たちと分かち合っていく、そういう気持ちで今後新たな農業地、漁業地をつくっていきたい、こんな気持ちでございます。

小里委員 まずは、食料安保の観点から、どう農地を確保していくか、あるいは担い手をどう確保していくか。

 大臣のお話にありましたように、単なる復旧にとどまらない、新たな農業、農村の形をどうとらえていくのか、村をどう維持していくのか、あるいは防災機能をどう位置づけていくのか、政府が前面に立って、大胆に、今までの枠にとらわれない対応もまた必要かと思います。いろいろな角度から復興、再生にかける理念というものが求められます。被災地の農山漁村の復興、再生にかける明確な理念、方針というものを早急に打ち立てて、お示しをいただきたいと要望を申し上げるところでございます。

 そこで、この際、使える農地と復旧不可能な農地を分ける、意欲のある担い手に農地を集積していく、そういった思い切った措置も求められようと思います。大臣としてどうお考えであるか、お伺いをいたします。

筒井副大臣 今、農地転用の関連でも質問があったかと思いますが、原則、農地をこれ以上、特に優良農地に関しては減少させてはならないわけでございます。農地は農地として復旧、復興をしていく、これを原則としながらも、しかし、今までの農地のところで農地を復旧するだけでいいのか、それとも住宅地も農地も含めて場所全体を移動させなければいけないのではないか、それらのマスタープランもつくらなければいけないのではないか、それらの中で農地の場所等々を考えていかなければいけない。ただ、大原則は、農地はきちんと守っていくということが大前提かと思います。

 それと、規模拡大も必要なわけでございますが、今の所得補償制度そのものの中に規模加算を一反当たり二万円つけておりますし、また、十アールの控除に関しては、集落営農等、集約化すればその部分が有利になるようになっておりますし、さらには、面積で所得補償の固定払いも変動払いも払っておりますので、大面積になればなるほど非常に多額の金額が支給されるという点で有利になっている。さらには、基盤整備、これも、一町田あるいは二町田、これらの規模の拡大をすることによって生産コストの削減につながるわけでございます。

 これらの仕組みを最大限活用することによって、規模拡大そして生産コストの削減、これをなおさら今度の地域において図っていかなければいけないかというふうに思っております。

 ただ、もう一点強調したいのは、規模拡大だけが農業再生の限定された道ではないという点でございまして、今度、一番、まさに疑惑、不安感を持たれてしまった食の安全性の問題、そして食味のよさ、これは日本農業の世界に冠たる強みを持っていたものでございますから、それらもさらに強化していくことが日本農業の東日本における復活にもつながっていく大きな柱だ、こういうふうに考えております。

小里委員 新たな農業、農村を目指していく上で、いろいろな要素があろうかと思います。日本の農業の従来のよさをしっかり生かしていく、それは当然であろうと思います。

 そしてまた、肝心なことは、今お話にあったような戸別所得補償制度を初めとする従来の制度だけで本当にいいのか、従来の枠を超えて新たな姿を目指していくところに真の復興の姿があるんだろうと思います。そこには、しっかりと国が主導していかれる、先頭に立って、前面に立って新しい日本の農業の姿のモデルをつくっていく、そういう覚悟が必要なんじゃないかなと私は思います。あらゆる悲しみ、困難を乗り越えて、国が主導して日本の農業のモデルをつくる、そういった覚悟で取り組んでいただきたいと思います。

 改めて大臣にお伺いします。

鹿野国務大臣 今回の大震災、考えられないくらいの、今まで、かつてなかった被害を受けた中で、東北、東日本の地域、漁業地、農業地をまさしく復興モデルにしていきたい、こういう強い意欲を持って私どもは取り組んでまいりたいと思っております。

小里委員 例えば、復旧が可能かどうかの判断、ここは極めて重要であろうと思います。復旧不能の農地を中心にして、海岸から二、三キロメートル以内は国有地化が必要だというのが仙台市長の話でありました。この仙台市長の要望、意向をどう受けとめておられるか、お伺いします。

鹿野国務大臣 今回の震災によりまして、宮城県を中心として、約二万四千ヘクタールの農地が冠水いたしました。除塩等が必要なために、直ちに農業生産を再開することができるかどうか、始めることがなかなか難しい状況であるということも、私もこの目で認識をさせていただいたところでございます。

 そのためにはまず、復旧の対策として、意欲のある人たちのためにも、農地の瓦れきをまずは除いて、そして除塩を進めるということによって経営の再開につながる農地もあるわけでございます。そういうところは全面的に支援をしていきたいという考え方であります。

 同時に、今委員が指摘されたように、復旧不能、なかなか難しいんじゃないかという農地の発生等の問題も生じていくという可能性は否定できないわけであります。このような農地をどうしていくか。これは、地域の方々の声を聞きながら新しい食料基地をつくっていくんだ、こういうふうなことの中で、土地利用をどうやって行っていくかということは、グランドデザインというふうなものを描きながら今後考えていかなきゃならないことではないかと思っております。

小里委員 まずは使える農地をしっかり確保していく、農地の回復を図っていく、これはまず第一義であろうと思います。あらゆる手を尽くした上で、どうしても再生不可能と判断された農地につきましては、国による買い上げ、あるいは転用を図っていくしかないんだろうと思います。

 その際の転用手続の緩和、これも、副大臣がおっしゃったように必要となってくるかもしれません。特にその辺の判断の行方について、お心づもりをお伺いしたいと思います。

筒井副大臣 一部では海になってしまった海岸側の農地等もあるというふうに聞いておりますし、先ほど申し上げました、もう農地ゾーン自体を転換しなければいけない、今まで宅地部分だったところに農地を造成しなければいけないかもしれない。

 その場合には、区画整理事業というのを取り入れなければならないだろうというふうに思いますが、これは激甚災害の対象になっていないわけでございますから、農地造成の場合の補助率を大幅に上げなければいけない。まさに委員、先ほどから申し上げておりますように、今までの延長線上でのやり方ではない、抜本的な対策をとるんだという姿勢で臨まなければいけない問題がいっぱいあるというふうに考えております。

小里委員 関連してまいりますが、従来の農地を離れて新天地で農業を展開しよう、そういう農業者も相当出てくるんだろうと思います。その際の代替農地を提供する、大変な作業であろうと思います。また、その代替農地を取得するまでの生活をどう支えていくか、雇用をどう図っていくか、そういった問題も大事であります。あわせて大臣の見解をお伺いします。

鹿野国務大臣 今委員が指摘されたことでございますけれども、非常に重要なことだと思っております。

 とにかく多くの農林漁業者が、これまでのとおりに引き続き地元で農林漁業で頑張っていきたいというような気持ちを強く持っておられる方も非常に多いという認識でございます。ただ一方、津波によりまして浸水や、あるいは原発等の影響で、当分の間、自分自身の今までの農地を利用することができない、このようなことからやむにやまれず避難しているというような農業者も漁業者もおるわけでございます。そういう中で、こうした農業者も含めて、この地域を新しい食料基地としてどう復旧、復興させていくかというようなことは、これからも非常に大事なことになっていくわけであります。

 それだけに、できるだけ早く農業が再開できるように取り組んでいくというふうなことは、これは一つのポイントでございますけれども、それまでの間の雇用の機会を確保するというようなことも非常に大切なことだ。こういう意味で、これからの農地の復旧という中において、この復旧事業へひとつお手伝いをしていただくことができないだろうかということも含めて、このことにつきまして幅広く検討、並びに詰めさせていただきたい、こういうふうに考えておるところでございます。

小里委員 再生可能な農地についてなんですが、被災農地を一たん国有化した上で、土地改良を施して、これを意欲のある担い手に貸し出す、リース方式ですね。これも提案があるところでございますが、こういった考え、アイデアについてはどう受けとめておられるか、お伺いします。

鹿野国務大臣 農地等の災害復旧に当たりましては、地震、津波によるところの水利施設の破損なり塩害等の課題を踏まえまして、農業用施設の復旧、除塩、区画整理等の総合的な取り組みが可能となるようにしていくということが重要なところだと思っております。

 さらに、このような取り組みによりまして再生された農地において、地域の方々が見通しを持って農業を再開できるようにするためには、どのような形で土地利用を行っていくことが適切なのかというふうなことは今後の検討課題としていかなきゃならない、こういうふうに考えておるところでございます。

小里委員 先ほど答弁いただきましたように、従来の発想にとらわれない、大胆な対応が必要になってまいります。ぜひ、いろいろな選択肢を決して排除しないで、広くとらえて、しっかりと実効の上がる対応を図っていただきたいなと思うところでございます。

 そこで、復旧可能な農地にしましても、大変な、例えば宮城における塩害であります。新しい土をどう入れていくか、抜本的な土壌改良、土地改良というものが必要であろうと思います。まずは、この表層を洗うためにも用水路の復旧が急がれるということを仙台市長もおっしゃっていました。仙台市内だけでも総延長三百七十キロに及ぶ用水路の復旧が必要だそうでございます。先ほどの区画整理方式の導入、そういったことも含めて、またここを大胆に政治の主導でやっていく必要があろうと思います。

 総じて大臣の見解をお伺いします。

筒井副大臣 大臣がもう先ほどから強調されておりますように、今度の震災は、まさに今までの災害対策の延長線上で考えて行うべきものではない、戦災の、敗戦の中から、焦土の中から国土、国家を復興した、そういう抜本的な、いまだかつてない取り扱いも大胆に取り組んでやっていかなければいけない、そういう問題だというふうに考えております。

 今先生がおっしゃった、いろいろな具体的な中身についても、それらを、今までやっていなかったからといって排除することなく、いずれも検討の、選択肢の一つだというふうな立場で取り組んでいかなければいけないというふうに思っております。

小里委員 これは忘れないうちに、一つ質問でございます。

 各先生方から、また民主党の議員の方々からも要望があったと聞いております。緊急のつなぎ融資ではなかなか間に合わないんじゃないか、手続に時間がかかってしまうんじゃないかということでありまして、仮払いを求める声が与野党を超えて上がってきておると認識をいたしますが、改めて大臣の見解をお伺いします。

筒井副大臣 まず、それは原発事故についての仮払いの話だというふうに思いますが、仮払いの手続を早急にやはりやった方がいいということで、先ほどもほかの先生の段階で答弁させていただきましたが、漁業者、農業者そして畜産、酪農家が早急にその仮払いの請求手続をとるように、今農水省としても支援し、助言し、協力をしているところでございます。

 同時にまた、東電に対しても、その仮払い等に応ずる体制を早急につくるように、相談窓口の早急な設置を含めて強く要請もしているところでございます。

 第一義的な責任は東電にある、政府の方がずっと強調しているわけでございますから、まずそれをやった上で、政府の方の一時金の支給等々はその上で検討、考えていくべき問題だというふうに考えております。

小里委員 被災者の心情にまず重きを置いて、実効が上がるようにしっかりと対応をお願いしたいと思います。

 被害が深刻でありまして、広範囲に及んでおります。そういったことから、復旧事業が非常に長期にわたるんじゃないか、懸念をされております。この際、災害復旧事業の期間を大きく延ばす措置が必要なんじゃないかと自民党の部会においても意見の集約を見ているところであります。

 長期にとらえていくために大臣としてどういった方針を持っておられるか、お伺いします。

鹿野国務大臣 何としても、今回のこの大震災によるところの被害状況を私も見せていただき、そしていろいろと地域の方々、農業者、漁業者の声を聞かせていただく中で、とにかく、まず急いで復旧していかなきゃならない、そして、漁業者の方々、農業者の方々に少しでも光というふうなものを感じ取っていただくということが大切だ、こんな思いをいたしながら取り組んでいきたいと思っております。

小里委員 政権交代後、農業土木の予算が大きく削られました、あるいは一般公共の予算も大きく削られました。その結果として、地域の建設業者を初め、大きく疲弊しております。本来復旧事業に当たるべき業者が今大変な困難な状況にございます。その業者自体がまた被災もしておるわけであります。

 この膨大な復旧事業をどうこなしていくか、その復旧事業に臨む体制について大臣のお考えをお伺いします。

鹿野国務大臣 これだけの緊急的な復旧事業というふうなものでございますので、我が国全体としてのとらえ方の中で復旧、復興を目指していかなきゃなりません。あらゆる、全国の至るところの方々からも協力をいただく中で復旧事業に取り組んでいかなきゃならない、こんなふうに思っております。

小里委員 これはいろいろなバランスを持って取り組んでいく必要があろうと思います。まずは、被災地の業者が病んでいるからこそ、被災地の業者をまず優先的に活用を図っていくというのは当然でありますし、それで及ばないところをどう補っていくのか、非常にここはバランスの必要とされるところであろうと思います。しっかり調整を図っていただきたいと思います。

 復旧事業に当たりましては、財政窮乏の被災自治体、そして農家に実質的な負担をかけないようにするということが、私どもの提言の大きな柱にもなっているところでございます。補助率のかさ上げ等、どんな方針を持って臨んでいかれるか、お伺いします。

筒井副大臣 これも先生のおっしゃるとおり、今農水省は取り組んでおりまして、補助率のかさ上げ、それも、激甚災害に指定されて通常よりも補助率がかさ上げされたものをさらにかさ上げする、激甚災害の指定の対象になっていないものをそれと同等の扱いをする、そういう形でもって漁業者、農業者の負担を事実上ゼロに近づける、こういうために今全力を挙げているところでございます。

小里委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 農家が生産活動を再開して、その先、加工、流通、輸送、ここがないとなかなかまたその再生もかなわないわけであります。農業関連産業の復旧、復興に向けて農林水産省としてどういった方針をお持ちか、お伺いします。

筒井副大臣 農地、農業の復興、あるいは漁業、漁場の復興等については今までずっと議論がされてきたところでございまして、漁業者、農業者の負担が限りなくゼロに近づくという形でやっていきたい。

 加工、流通業についても、もちろんこれは早急に復旧、再興しなければいけないわけでございまして、そのうち市場については、ソフトそれからハードを含めて、全面的に国において取り組んでいきたいというふうに考えております。民間の加工、流通業に関しましては、できる限りそうしたいわけでございますが、基本はやはり、いろいろな有利な融資を最大限活用することによって早急な復興を図っていきたいというふうに考えております。

小里委員 今、まさに民主党の唱える六次産業化の大きな正念場だろうと思いますね。そこはぜひ、全体として配慮していただきながら、しっかり対応を図っていただきたいと思います。

 原発による農業被害は手厚く補償すべきであろうと思います。一般の被災につきましては、激甚災法によりまして、農地、農業用施設支援の対象となってまいります。また、共済も使えるところは使っていくべきであろうと思います。

 問題は、これからのものですね。作付ができなくなった分、ここをどうとらえていくのか、大変な大きな課題でありますが、方針をお伺いします。

筒井副大臣 作付ができないことによる場合も、原発事故による場合とそうでない場合と分かれるわけでございますが、原発事故による場合は、まさに先生が今おっしゃったように、すべての相当因果関係にある損害を補てんする、補償する、これではっきりしているわけでございますから、それでやっていく。

 それ以外の場合の作付ができないことに関しましては、先ほどもどなたかの先生にお答えしたかと思いますが、三段階に分けて支援措置をやっていきたいというふうに今取り組んでいるところでございます。

 一段階目は、瓦れきの撤去あるいは除塩作業、これらの仕事に就業していただいて、その賃金、報酬を支払うという形での支援。第二段階目は、別枠の特別措置がやはり必要だと思うんです。瓦れきの撤去等、除塩措置が終わった後も直ちに耕作に入れない期間というのがあり得る、その間の生活支援として、別枠の特別措置でもって考えていきたいというふうに思っているわけでございます。そして、耕作等々に入れた段階においては通常の所得補償等々の支援によって行っていく。大きく言って、これらの三段階に分かれるかというふうに考えております。

小里委員 原発被害の風評被害によりまして、海外からいろいろな誤解もある。日本の農作物の輸出戦略にとって大変な大きな影を落としているところでございます。そういった事態に、海外に対してどのような対応を図っていかれるのか、見解をお伺いします。

鹿野国務大臣 今御指摘の件につきましては、まさしく大きな打撃を受けておるところでございます。

 そこで、諸外国に対しまして、我が国がとっておる措置あるいはまた検査結果等について正確なる情報をしっかりと提供する、そして過剰な規制となることがないように、働きかけをあらゆるルートを通して行っているところでございます。

 そういう中で、まず何としても大事なことは、日本産食品のイメージを回復して、安全性を改めてアピールしていくというふうなことではないかと思っております。このために、農産・水産品、この輸出の戦略というふうなものを立て直す必要がある。

 こういうふうなことで、とにかく輸入規制等々が行われている国々に対して直接赴いて、そして意見交換をしてきて、そして、今日の、今申し上げた正確な情報というふうなもの、国がとっている措置というふうなものをできるだけ理解してもらうというようなことを私も指示をいたしているところでございます。あるいはまた、その他の、日本産のイメージ回復、あるいはまた輸出にかかわるところの農林漁業者、食品企業というふうなことに対する支援についても当然のことながら、農林水産省としても重要な課題として取り組んでいかなきゃならないと思っているところでございます。

小里委員 まず、隗より始めよでありまして、日本の消費者、特に消費者団体にまた広報を図ってしっかりと需要喚起を図っていく、それをまた海外に示していくという姿勢も必要であろうと思います。そういったことも含めて、広範囲に格段の措置を図っていただきたいと思います。

 それと、いろいろ議論にも出てきたかもしれません。よもや、これ以上被災農業者をむち打たれるようなことは政府においてないだろうと思いますが、TPP、決してこれ以上議論しちゃいかぬと思いますが、大臣の見解をお伺いします。

鹿野国務大臣 今、農林水産省、そしてその責任者である私が取り組むべきことは、何といっても被災地の方々に食料を供給する、水を供給する、安定的に供給をする、こういうふうなことの使命を負っております。そして同時に、並行して、一刻も早くこの被災に遭われた地を復旧させていく、こういうふうなことで、農業者、漁業者の方々に一点の光を感じていただくようにする、これが私どもの大きな使命であります。ここに集中してこれからも懸命に取り組んでいきたい、これが私自身の考え方であります。

小里委員 しっかりと日本の農業、農村を守っていただきたい、国民の食料安保を守っていただきたいし、そして国民全体にとっての財産である多面的機能をしっかり守っていただきたいと思います。

 そこで、国の取り組む体制であります。

 今回、二百項目に及ぶ緊急提言を行いました。これに対する回答もいただきましたが、冒頭お話し申し上げましたとおり、そこにはなかなか政治主導の姿が見えてこないわけであります。あわせて、今度、二百四十項目を、追加を提言する予定でございますが、政治主導のあり方をぜひ考え合わせながら、その組織体制の再構築を図っていただきたいと思います。

 今までのところ、各省庁がばらばらに動いていたという感は否めないと思います。官僚は、それぞれの分野においてノウハウがあり、優秀な、また知恵がありますから、それなりの動きはされるんだろうと思います。しかしながら、のりを越えるところ、従来の制度、枠を超えるところは官僚にはできないわけでありまして、そこはやはり政治決断でやっていかないといけない。そのための組織体制のあり方というものをもう一度考えていただいて、しっかりと対策を実行していく体制を図っていただきたいと要望するところでございます。

 そして、今回の自民党からの第二次提言、金曜日に行う予定でございますが、特に今回は農林水産面におきまして大変中身の濃い、そして、かつ、当然実行すべき内容が盛り込まれているところでございます。これをしっかりと受けとめていただいて現地に届けていただきたいと思いますので、最後に要望をいたしまして、質問を終えたいと思います。

 ありがとうございました。

山田委員長 次に、吉泉秀男君。

吉泉委員 社会民主党の吉泉秀男です。

 戦後最悪の大惨事、発生をしてから一カ月過ぎまして、この間の大臣を初めとする関係者の皆様の御奮闘に心から敬意を表させていただきたい、こう思っております。

 私ども社民党も、現地対策本部を立ち上げながら、被災地、仙台市若林区、気仙沼、釜石、大船渡、陸前高田、そして福島県に行いながら、そして現地の状況をきちっと把握をし、関係省庁に申し入れ、提言をしてきているところでございます。

 その中でびっくりしたのは、谷先生からも出されたわけでございますけれども、四月四日の、放射能汚染水を海洋に放出したことでございます。このことに対して、びっくりというよりも、怒り、この部分が先に出るところでございます。そして、私ども社民党として申し入れを行ったところでございます。

 このことに対して、谷先生からの質問さらには答弁を聞きますと、危機管理、この部分が非常に欠落しているんでないかなというふうにも思っております。

 というのは、国際条約であるロンドン条約、この関係の中において、特に、これまでですと、いわゆる高レベルの放射能、こういった部分を規定してきたわけですけれども、ロシアが低レベルの汚染水を日本海に放出した、このことが非常に国際的に問題になって、高レベルの放射能を海水に出す、そのことを禁止するだけでなくて、低レベルの放射能の汚染水についても大きく問題がある、そして、そのことについての対応について今検討なされている、こういうふうに私どもはとらえております。

 そういう状況の中において、一万一千五百トンもこれを放出した、これはやはり世界の国々から批判される、このことについては当然だろうというふうに思っております。

 そんな面で、幾ら日本の現状、福島の事故、このことについてかんがみながらも東京電力としてそういう処置をしなければならない、このことについては、単に四月四日に起きたものではなくて、事前に、そういう対処の仕方についてはそれぞれ対策本部の中で検討もなされてきた、そういうふうにも私たちは思いたいのでございます。しかし、それぞれ大臣等について、聞かされなかった、こういうふうな発言をしているわけでございます。

 まさに海に捨てる、このことについてのとらえ方、さらには経過、なぜこうなったのか、まずこのことについてお伺いをさせていただきます。

中西政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の低レベル汚染水の放出につきましては、ほかの、ピットからのさらに高いレベルの汚染水の漏出がとまらないという状況の中、早急にその高レベルの汚染水の移送先を確保するという必要がございました。また、安全上重要な設備の水没を防ぐという観点もございまして、四月の四日の朝、緊急、やむを得ない、そういう位置づけの対応措置といたしまして放水を実施したいという東京電力からの連絡がまずはございました。

 保安院でも、それを受けまして、直ちに東京電力に対して、具体的な放出の事実関係、環境への影響、そういったものを、内容をしっかり聴取したということで、経済大臣が最終的に了解をしたということでございます。もちろん、その間に原子力安全委員会の専門家の意見も聞いた上で、最終的に了解というふうなことをやらせていただいた次第でございます。

吉泉委員 これは国際条約ですよね。ロシアが日本海に捨てた、このことの中で問題にもなったわけですね。それは低レベルだ、だからそのロシアの段階ではそれは流してしまった。しかし、これが大きな国際的な問題になったわけですよ。

 今までの、強い、そういうレベルでの放射能、それは禁止をしたわけでございますけれども、その事件以来、放射能の係る物質、このことについては、強い低いにかかわらず、国際的なロンドン条約の中において禁止をされ、そして低レベルの部分についてはそれぞれ検討なされる、こういう今の現状になっているわけです。

 それを、東京電力の方からそういう処置の仕方を受けて、そして四日の日に流した。そして、それぞれの隣国の方にも何も話をしないで、そしてまた農林水産大臣も知らないままにやる。これは大きな問題になるんじゃないですか。その責任というものは電力じゃないんですよ、国なんですよ、日本そのものが問われる、私はこう思います。

 もう一度見解をお伺いします。

中西政府参考人 今先生御指摘のように、事前に、関係の産業、農林水産業、あるいは関係省庁、さらには世界的なということで海外への十分な情報の提供といったことができなかったということは、我々としても反省をしてございます。以後そういうことのないように我々も対応していきたいと考えてございます。

吉泉委員 それでは、再度あれさせていただきます。

 ロンドン条約の動き、流れ、このことは経産省の方として恐らく知っているんだろうというふうに思います。そして、東京電力の方から、低レベルで人体への影響はない、だからそういう処置をする。それを了解する。こういう形で流れたんだろうというふうに私は思いますけれども、そしてまたそういう説明なんだけれども、それならば、今の低レベルというふうな形の判断、これは何を指して低レベルということで認識を、さらにはそういう見解を持ったのか、そのことをお伺いします。

中西政府参考人 今般東京電力の方で排出した汚染水につきましては、一応、海洋への放出に伴います人への影響というものを判断いたしました。全身の、これはちょっと専門的用語でございますけれども、実効線量といたしまして年間〇・六ミリシーベルトと評価がされてございます。原子炉等規制法に基づきます線量限度でございます年間一ミリシーベルトというものを下回っているということでございます。

 そういった判断根拠のもとに、今回は承認というふうなことをやった次第でございます。

吉泉委員 私は、一つの指導性の問題なり、さらには国としてこういう部分を認めたというとらえ方になるというふうに思っていますけれども、そこを言ったわけですけれども、まさに今の流れというのは、東京電力のやり方そのままをうのみにしている、そのままだというふうに思っております。

 そんな中で、原子力安全委員会の助言として、委員会として四つ出したわけですね、四日の日に。三時二十分。一つは、放出水の放射性物質の濃度、放出量を確認すること、これが第一点です。それから第二点目は、放出時点の海洋の状態を確認しておくこと。三つ目としては、放出前後の海水のモニタリングを実施すること。そして、状況を踏まえて影響評価を行うこと。この四つ、委員会としての見解を出されているわけですけれども、このことはどうなっているんですか。

中西政府参考人 今御指摘いただきました四点につきましては、一個一個、我々は電力を指導いたしまして、しっかりとした管理監督のもと、そういう対応をするという形になっているというふうに認識してございます。

 例えば、具体的には、排出量は当初の予定よりも若干少ない一万三百九十三トンだという確認をしておりますし、さらには、具体的に、海洋の、沖合十五キロぐらい先のエリアで、モニタリングの地点を、従来三カ所だったものを六カ所にふやす、さらには一日一回の測定を一日二回の測定にするというようなことで指導しているところでございます。

吉泉委員 時間がありませんので、このところだけやるということはできません。

 しかし、今後、国際的なところの中で非常に大きな課題になるんだろうというふうに私は思っておりますし、さらには、日本のこれからの、外交上の問題なりいろいろな面で足かせになってくる、こういうふうにも私は思います。そんな面では、今回のこの処置、これについては、国がきちっとやったのだ、東京電力ではないんだ、国が認めてやったのだというその認識、そして、そのことが今後大きな問題が出てくる、そこにやはり私どもとしてはすごく危機意識を持つわけです。

 そのところをやはり対応してほしいというふうに思いますし、もう既に、今質問でも出されているように、やはり、海に生息している植物、動物等々について影響が出ている、このこともきちっと認識をしながら、二度とこんなことがあってはならない、やるとするならば、やはりそれぞれ国際的なところから了解ももらわなきゃならない、単に一つの、日本だけでやれる、そういうものではない、このことをしっかり私はまず申し上げさせていただきたい、こう思っております。

 次に、戸別所得補償の問題についてお聞きをします。

 ホームページを見ますと、四月一日に、戸別所得補償の取り組みについて延期をする、こういうふうに載っております。

 それで、私ども米どころでございます。そんな面で、今、大変な震災の中における予算等の問題で非常に戸別所得補償そのものに影響が出てくるんじゃないか、こういう心配がなされているわけです。そこにまた延期をする。

 すると、今の現状の中においては、戸別所得補償制度、今まで説明をしてきた取り組みの進め方、このところはどういうふうに変わっていくのか、そのことについてお伺いさせていただきます。

鹿野国務大臣 手続の申請を八月三十一日まで延ばしたということでございまして、戸別所得補償制度に対する取り組みについては、具体的な形で、今までの取り組みそのものの考え方で取り組んでいきたい、こういうことでございます。

吉泉委員 それでは、今までの説明してきたことと何ら変わらないというとらえ方でいいですか。

鹿野国務大臣 そのとおりでございます。

吉泉委員 それでは、もう時間がありません。

 それで、今の計画的避難区域、このところについて、谷先生から質問もありました。その中で、答弁が、立入禁止、こういう部分と同じ対応をするんだということでございます。

 その中で、一つ大きい問題が、この間ずっと私のところに電話なり相談が入ってきているところが、和牛の産地の飯舘村の農家のところから相談が入っているわけです。これは非常に今、飯舘牛ということで、ブランドをつくって一生懸命やっている。そのところがほかのところに移っていかなければならない。自分は逃げても牛と一緒に、自分の家族と同じなんだ、牛を置いて行けない、こういう言い方をしているわけです。

 そうすると、今筒井副大臣の方からは、売るか殺すか、どっちか選択だ、こういうような言い方なんですけれども、こういうとらえ方でいいんですか。

筒井副大臣 売るか殺すかと言ったのではなくて、出荷か、別のところへの避難か、これを中心として、あと一カ月間はそれをやってもいいというのが今度の指定の趣旨ですから、やっていきたい。ただ、一部、あるいは殺すという部分も出てくるかもしれないけれども、それらのどのところに分類されるかは農家の意思が一番重要でございますから、農家それから市町村、県と農水省、政府が相談をしながらそれを進めていきたい、こういうふうに申し上げたんです。

吉泉委員 でも、国の責任でこれをやるとするならば、やはり、移動の場所、そこのところはきちっと提供して、そして避難をしてくださいと、これでないと畜主は途方に暮れるという状況だと思います。

筒井副大臣 移動先については農水省が探してそのマッチングをする、こういう取り組みをしなけりゃいけないし、今現在しつつあるところでございます。

吉泉委員 それでは、今、この計画区域内には、それぞれ家畜というのはどのぐらいいるんですか。

筒井副大臣 今私が覚えているのは二十キロから三十キロ圏内のところでございましたが、牛が約一万頭、それから豚が四万頭、それから鶏が百二十六万羽ということを覚えております。

 今度新しく、先日指定されました計画避難地域、ここに関しては、今資料をもらっているところですが、ちょっと記憶では出せないところでございますが、後ほどその資料はお渡しをしたいと思います。

吉泉委員 ぜひ、今の段階は手持ちがないというふうな状況ですけれども、例えば、ここの飯舘の和牛、年間約八百頭というふうな数字も出ているわけでございますし、そんな中では、やはりきちっと家畜の頭数、そういうものを押さえて、そして命令を出す前に、処置をして、計画をやって発表する、そういうことが必要なんだろうというふうに思います。

 今後ともいろいろな面で、農家、さらにはそれぞれの対象地域のところについて、住民が戸惑う、さらには不信感を持つ、こういうことにならないように、ぜひ、きちっとした対処の仕方、そのことをお願いし、質問、時間がありますので終わらせていただきます。

     ――――◇―――――

山田委員長 次に、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。

 東日本大震災による農林水産関係の被害状況等の実情調査のため、来る二十日水曜日から二十一日木曜日までの二日間、岩手県及び宮城県に委員を派遣いたしたいと存じます。

 つきましては、議長に対し、委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、派遣委員の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十五分散会


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