衆議院

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第9号 平成23年4月28日(木曜日)

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平成二十三年四月二十八日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 山田 正彦君

   理事 佐々木隆博君 理事 津島 恭一君

   理事 仲野 博子君 理事 柳田 和己君

   理事 谷  公一君 理事 宮腰 光寛君

   理事 石田 祝稔君

      網屋 信介君    石田 三示君

      石津 政雄君    石原洋三郎君

      石山 敬貴君    今井 雅人君

      大串 博志君    加藤  学君

      金子 健一君    近藤 和也君

      篠原  孝君    田名部匡代君

      高橋 英行君    玉木雄一郎君

      筒井 信隆君    道休誠一郎君

      中野渡詔子君    野田 国義君

      松木けんこう君    山岡 達丸君

      吉田 公一君    赤澤 亮正君

      伊東 良孝君    今村 雅弘君

      江藤  拓君    小里 泰弘君

      北村 誠吾君    橘 慶一郎君

      谷川 弥一君    浜田 靖一君

      保利 耕輔君    山本  拓君

      西  博義君    吉泉 秀男君

      石川 知裕君

    …………………………………

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   農林水産副大臣      篠原  孝君

   農林水産副大臣      筒井 信隆君

   農林水産大臣政務官    田名部匡代君

   農林水産大臣政務官    吉田 公一君

   環境大臣政務官      樋高  剛君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           清水美智夫君

   政府参考人

   (林野庁長官)      皆川 芳嗣君

   政府参考人

   (水産庁長官)      佐藤 正典君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   伊藤 哲夫君

   農林水産委員会専門員   雨宮 由卓君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十八日

 辞任         補欠選任

  山岡 達丸君     石津 政雄君

  伊東 良孝君     橘 慶一郎君

  江藤  拓君     赤澤 亮正君

  小里 泰弘君     浜田 靖一君

同日

 辞任         補欠選任

  石津 政雄君     山岡 達丸君

  赤澤 亮正君     江藤  拓君

  橘 慶一郎君     伊東 良孝君

  浜田 靖一君     小里 泰弘君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件

 派遣委員からの報告聴取


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     ――――◇―――――

山田委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、東日本大震災による農林水産関係の被害状況等の実情調査のため、去る二十日から二十一日までの二日間、岩手県及び宮城県に委員を派遣いたしましたので、派遣委員を代表して、私から調査の概要について御報告いたします。

 報告に当たり、今回の大震災により、とうとい命を失われた方々の御冥福を心からお祈りいたしますとともに、被災された方々に対しまして、心からお見舞いを申し上げます。また、被災者に対する支援や復旧、復興等に従事されている関係各位の御尽力に対し、心から敬意と謝意を表させていただきます。

 それでは、調査の概要について御報告申し上げます。

 派遣委員は、民主党・無所属クラブの津島恭一君、佐々木隆博君、梶原康弘君、自由民主党・無所属の会の宮腰光寛君、谷公一君、公明党の石田祝稔君、社会民主党・市民連合の吉泉秀男君、そして私、山田正彦の八名であります。

 まず、今回の大震災に係る農林水産関係の被害状況について御報告いたします。

 四月二十五日現在、農業関係では、農地、農業用施設等の損壊が一万二千六百八カ所に及び、その被害額は六千八百七億円となっております。また、農作物や家畜等の被害も発生しており、被害額は四百八十二億円となっております。

 林野関係では、林地荒廃、林道施設や木材加工・流通施設等の被害が二千三百三カ所で、千二十一億円となっております。

 水産関係では、今回の地震に伴う津波により、震源地に近い岩手県、宮城県、福島県では、ほぼ全域にわたり壊滅的な状況となっております。漁船、漁港施設、養殖施設等の被害額は六千五百四十八億円となっておりますが、今後、調査が進むにつれてさらに拡大することが予想されます。

 以上の農林水産関係の総被害額は一兆四千八百五十八億円に達しており、過去に例のない甚大なものとなっております。このため、被災施設の早期の復旧と、被災した農林漁業者等に対する手厚い支援措置を講ずる必要があります。

 次に、視察の概要について御報告いたします。

 四月二十日、岩手県大船渡市に向かう車中で、橋本水産庁漁港漁場整備部長等から、東北管内の漁業の被害状況について説明を聴取いたしました。

 次いで、岩手県大船渡市役所において、宮舘岩手県副知事、戸田大船渡市長及び漁業関係者から、被害状況等の説明を聴取するとともに、漁船や漁港等の復旧支援、漁業者、水産加工・流通業者への経営支援等について要望を受けた後、復興に向けた支援の充実、漁場の瓦れき撤去への対応策等について意見交換を行いました。

 その後、車中より大船渡魚市場、水産加工場等の被害現場を視察いたしました。

 次に、岩手県陸前高田市の松原苑において、市街地の被害状況を視察するとともに、戸羽陸前高田市長及び漁業関係者から、漁船や漁港等の復旧支援、瓦れき撤去への支援等について要望を受けた後、復興計画の策定方針、雇用対策等について意見交換を行いました。

 続いて、宮城県気仙沼市魚市場において、気仙沼港周辺の被害状況を視察するとともに、菅原気仙沼市長及び漁業関係者から、魚市場機能の早期復旧に向けた支援、現地災害対策本部への農林水産省職員の派遣等について要望を受けた後、冷蔵冷凍施設に係る冷凍コンテナの活用方策、省庁横断的に震災対応を図る必要性等について意見交換を行いました。

 翌二十一日には、宮城県名取市に向かう車中で、佐藤農林水産省東北農政局長から、東北管内の農業の被害状況について説明を聴取いたしました。

 次いで、宮城県名取市閖上地区において、農地や排水施設等の被害状況を視察するとともに、佐々木名取市長及び土地改良区関係者から、土地改良事業の農家負担金の償還免除措置、土地改良区の運営のための財政的な支援等について要望を受けた後、作付できない水田の補償のあり方、農地の復旧対策等について意見交換を行いました。

 視察地においては、漁業及び農業の災害現場を中心に調査いたしましたが、そのいずれもが筆舌に尽くしがたい惨状を呈しておりました。津波により、陸には漁船が打ち上げられ、また、作付期を迎える水田は一面多量の土砂や流木に覆われるなど、震災の傷跡が生々しく、今回の津波がいかにすさまじいものであったかを痛感いたしました。

 関係者からは、生産の手段を奪われ現金収入がない、自助努力といってもつめのあか程度、希望の持てる支援をしてほしいといった切実な声、御要望をお聞きするとともに、とりわけ、復旧、復興対策にスピード感を持って取り組んでほしいとの御意見を多くいただいたところであり、こうした声を受けとめ、しっかりと取り組んでまいる旨をお約束したところであります。

 以上が調査の概要でありますが、こうした厳しい状況下にあっても、訪れました各地域では、水産の町の再興にかける思いや、若い農家が希望の持てる農地の再生を果たしたいとの意気込みのもとに、関係者が一丸となって農林水産業の復興に向けて取り組まれておられる姿に接し、強く心を打たれました。

 今、ここで国が求められているものは、被災された農林漁業者の復興意欲を低下させることなく、一日も早い復興に向け、国として考え得る最大限の支援を早急に行うことであります。

 当委員会といたしましても、未曾有の大震災に対して、前例や省庁の壁にとらわれることなく迅速かつ適切な対策を講ずるよう、政府を督励してまいる必要性を痛切に感じた次第であります。

 最後に、今回の調査に御協力をいただきました皆様に心から御礼を申し上げ、派遣の報告とさせていただきます。

    ―――――――――――――

山田委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として林野庁長官皆川芳嗣君、水産庁長官佐藤正典君、厚生労働省社会・援護局長清水美智夫君及び環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長伊藤哲夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石山敬貴君。

石山委員 おはようございます。石山敬貴です。

 きょうは、被災地を代表しまして、農林水産委員会で質問をさせていただきます。お時間をいただいたことにまず感謝申し上げますし、また、東日本大震災発生より五十日近くがたちます。この間、鹿野大臣を初め政務三役の皆様、また山田委員長を初め各委員の皆様に、委員会として、また各個人の立場として被災地に入っていただいたこと、私自身、被災地選出、宮城の選出ということもございます。本当にありがとうございます。御礼申し上げます。

 しかしながら、まだまだ、避難所で暮らしている方がいまだ、きょう現在におきましても十三万人余りある、またさらには、福島の原発の問題が収束せずにまだまだ拡大しているといったような状況でございまして、震災の被害というものはますます拡大しているような状況にあるといったことが言えます。

 しかしながら、ようやく、被災地の人間としましては本当にようやくといったような形なんですが、ここに来まして一次補正予算というものが見えてきた形になっておりますので、きょうは農林水産の復旧、復興にかかわる一次関連につきまして、深掘りさせていただくような質問をさせていただきたいと思います。(発言する者あり)ありがとうございます。

 まず、今回の津波によりまして、全国で、水田を中心に、二万三千ヘクタールもの水田が被災しているといった状況にあります。宮城におきましても、約一万二千ヘクタールが冠水しまして、一万ヘクタール近くが塩害などのために作付が難しいんじゃないかと言われている状況です。

 実際、私のところですと、宮城の内陸部になります。この内陸部におきましては、沿岸部の津波の被害が大きかったところの米の作付というものを請け負うといったような、まず県内での調整というものが共補償などを利用して行われつつあり、そして、それが難しいのであれば県外におきまして調整を行っていくといったような方針で行っていると聞いておりました。

 その質問をさせていただこうと思っていたときに、きょう、日本農業新聞ですが、米の県間調整がこのように進んでいて、二万六千五百トンが成立したといったようなことが報道されているわけですが、まず第一点としまして、この点に関しまして現在の進捗状況についてお話しいただければと思います。お願いいたします。

篠原副大臣 米の作付が困難な地域が発生した場合には、まずは県内で、余裕のある市町村と被害が大きい市町村とで調整することになっておりまして、岩手、茨城、千葉等の県ではこのように行われたと思っております。これじゃ間に合わないというところがあるわけでございまして、新聞報道されていると思いますけれども、宮城県と福島県、県内の調整をやっていただいたわけですけれども、それだけでは調整ができないということで、我々国に対して、県間調整の仲介、マッチングをしてくれという要請がございました。

 これを受けまして、我々、数量の引き受けを希望する県、どういった県があるかということを聴取いたしまして、マッチングというか仲介をいたしました。それでうまくいったのが、新聞報道にありますとおり、二万七千トンでございます。約五千ヘクタール相当でございます。宮城県は一万一千トン、福島県は三万五千トンの要望、合計四万六千トンありまして、十七県から引き受けてもいいというのがございましたけれども、いろいろな調整をいたしまして、十二県と調整がうまくいきまして、先ほど申し上げましたとおり、二万七千トン、五千ヘクタール相当が県間調整ででき上がっております。

石山委員 今後、需給バランス等も考えていただきながら、政府としてはこの部分に関しても注意深く見守っていただければというふうに思っております。

 次に、今般の一次補正に関しまして、津波の被害を受けた水田及び農家の経営再建を図るために、政府の方より、このような、「津波被害水田における経営再建への道」といったことで、ステップ1、ステップ2、ステップ3の段取りでやっていくんだといったような資料と、または、その中の関連支援事業としまして「被災農家経営再開支援事業の概要」といったようなものをいただいております。続きまして、このことに関しまして少し深掘りさせていただきたいなというふうに思っているわけなんです。

 まず、今、津波被害とかが特にひどかった農家におきまして、特に専業農家が気にしていることとしましては、まず第一点として、このような状況になって、農業経営、生活が成り立っていくのか、端的に言ってしまえば、金銭的に国が幾ら支援してくれるのかといったようなことがまず第一点として、現実的に大変今興味があるところ。二番目としまして、冠水が軽微だったところ、つまり、津波被害の際のようなところになってくるかと思いますが、このようなところにおきましては、ことしの作付ができるのかできないのかといったようなところに非常に高い関心を持っておられます。

 ですから、支援策と、今農家が抱えているこのような気持ち、不安を基軸に、続けて質問させていただきたいというふうに考えています。

 まず、この「経営再建への道」のステップ1のところでございますけれども、このステップ1のところというのは、津波の被害が特にひどかった農地または農家が対象になるかというふうに考えています。この中におきまして、「被災農家を作業員として雇用」するというふうにあります。

 後からの質問になりますけれども、被災した漁業者が瓦れきの撤去等に従事する場合は一日一万二千百円日当として国から出るといったことが、平成二十三年度農林水産関係補正予算についてのPR版というのにこのように記載されているわけなんです。

 この辺に関しまして、漁業者の場合は一万二千百円と出ておりますが、被災した農業者が瓦れきの撤去等を行った場合、または用水路の土砂上げなどを行った場合、幾らになるのか、また、事業主体というのはどこになるのかといったようなことをお知らせいただければと思います。また、このような除塩または瓦れきの撤去というものは、国費負担、このPR版には十分の九というふうになっておりますけれども、この辺に関してもそのとおりなのかどうか、ちょっとお知らせいただければと思います。

田名部大臣政務官 津波によって壊滅的な被害を受けた農地の回復、この復旧、復興に向けての取り組みというのは大変急がれるものでありますし、また、それを迅速かつ効果的に行っていかなければならないと考えています。

 それで、今先生御指摘の、まず農地の回復についてお答えいたしますけれども、除塩を土地改良事業として位置づけまして、高い国庫補助率、これは十分の九となっておりますが、これで実施をするための措置を行うために、今回、東日本大震災に対処するための土地改良法の特例に関する法律案を国会に提出したところであります。

 しかしながら、できるだけ地元の負担がないようにということを考えておりまして、限りなく地元の負担が少なくなるように、今後また地方財政措置についてしっかりと、今詰めの作業を行っているところでありますが、このことに努力をしてまいりたいと考えています。

 それと、瓦れきの除去だけではなくて、除塩の作業を行う方々の日当についてのお尋ねでありました。

 これについては、先生が今、一万一千百円、これは宮城においてですけれども、結局、この一万一千百円というのは公共事業の工事費の積算に用いるための金額でありまして、あとは、請け負った企業がこの一万一千百円を払っていただけるかどうかというのはまた別の問題になってくるわけですけれども、私たちが今取り組んでいることは、被災された皆様方を積極的にこの事業に雇用していただきたいということで働きかけをしているところであります。

 その他の御質問に関しては副大臣の方から御答弁があるかと思います。

篠原副大臣 事業主体ということだったと思います。

 都道府県ということになっております。都道府県が、瓦れきの撤去をしたい、水路の修復をできる、農地の補修もできる、それから土づくりもやる。

 共同でやるところ、これはどのような組み合わせでもいいわけです。農業者が共同でもいいですし、法人が含まれていてもいいですし、地域の皆さんで一緒に取り組むというところに対して助成することになっております。それで、それの単価として、普通の場合は三万五千円ということです。

 今石山委員の御質問は、漁業者の場合は一万二千百円という単価がきちんとしているのに、何で農業のはそうなっていないんだと。

 漁業の場合は、面積というのが、漁業権というのはちょっと面積概念があるかもしれませんが、ないわけです。ですから、同じように瓦れきの撤去の作業に従事していただく、これが一番いいということで、これは農業、漁業共通でございます。漁業者の場合は日当で払わせていただいて、農業の場合は、農業者戸別所得補償が典型的な例でございますけれども、面積当たりということで出しているわけです。

 それで、結果的にどうなるかというと、復興組合のところにお金が行きまして、それぞれ作業に従事する人たちに、その地域の賃金、そういったものをよく見まして、やはり日当で支払われるということになります。

石山委員 ありがとうございます。

 今篠原副大臣の方から復興組合という言葉が出てきまして、次にちょっと質問させていただきたいなというふうに思っていた部分なんですが、そのステップ1、恐らく瓦れきの撤去とか除塩が済んでいって、それでもなおかつ、さらにもうちょっと、あぜとか用水路とかもかなり傷んでおるわけですから、その整備等で、作付できないところを行っていくということでこのステップ2が提示されておるわけなんですが、この部分におきまして、この被災農家経営再開支援事業の中で、まず、そのような事業を行っていく受け手のために、実施体制に地域農業復興組合をつくれということがあるわけです。

 私は、ちょっと、ここの部分、違和感があるわけなんですけれども、既に農業地域には、今、集落営農組合であったりとか、または農地・水の活動を行っていく保全会があったり、さらに、転作なんかを行うような団地組合といったような既存の団体があるわけですね。今、現実的に被災して、うちも流されて、自分のところの農地はこのとおり瓦れきの山だと言っているところで、幾ら支援体制が受けられるといっても、ここで新たにまた復興組合という新たな組合をつくっていくといったようなことに対しては、私自身、非常に違和感を覚えますし、もうちょっと簡便にできないのかな。

 やはり農村というのは地域のきずなが強いところですから、当然、地域ぐるみで復興をやっていくんだ、隣の人たちと一緒にもう一回自分たちの御先祖様からの田畑を復活させるんだといったような思いというのを喚起する意味では地域ぐるみはいいと思うんですが、せめて既存の、もともとあるような集落営農組合等を利用するというわけにはいかないんでしょうか。

篠原副大臣 この復興組合というのは、別にきちんとつくれというわけじゃありませんでして、市町村が認定して、皆さん一緒になって共同作業でもってやるところなら、端的に言いますとどのような構成でもいいということでございます。ですから、石山委員御指摘のとおり、集落営農組織がきちんとしていて何十軒が一緒になってやっているというところは、そのまま復興組合として認めても私はいいのではないかと思っております。そこは柔軟になっております。

 それで、なぜそういうふうにするかというと、漁業の場合は先ほど言いましたように日当でございますが、農家の場合はそれぞれのところの対応が違う。さっきのステップ1、ステップ2、ステップ3がありますけれども、いきなりステップ3でできるところもあるんですが、やはり災害復旧してもらわなかったらできないところがある。再開の方、真ん中のステップ2をいきなりできるところ、それは自分たちでやろうという人たちのところをバックアップしようというものでございます。ですから、その対応はいかようにもできまして、集落営農で私は十分だと思っております。

石山委員 当然、農村地域におきましても、集落営農組合だ、保全組合だ、何をつくれ、何組合をつくれと常に振り回されてきた部分もあります。ですから、特に今回は被災という、大震災という、通常時ではない、平時ではありませんので、もし仮にこのような団体を必要とするにしても、本当に簡便な形でつくっていくような指導、またつくってよいような指導というものをお願いします。

 あと、ここで、水田の復旧に関して一反当たり三万五千円出します、露地野菜だったら一反四万円出しますということ、これはよろしかろうというふうに思うんですけれども、この場合、そのような組合形式でやったときに気をつけなきゃいけないことというのは、やはり、今集落営農をやっているといっても、例えば四十軒、五十軒の農家が一つでやっている、実際三作業をやっているのは、そこの中のお二方であったりお三方であったり、つまり専業農家としてやっていられる方だと思います。ですから、生活支援または経営支援ということになってくれば、実質上今まで作業にかかわっていた方々、農業を実際にやられていた方々がやはり生活できるようにということを意識して支援金も渡るようにといったことを配慮していかなくてはいけないのかなというふうに思います。

 あともう一点としまして、これは既に農水省の方から聞いておりましたけれども、農地・水保全管理支払いも復旧のために使っていいといったような達しが出ているとの話があります。

 あわせてその辺の、専業農家へのお金の支払いをきちんとするといったようなことや、また農地・水の支払いに関してもお話しいただければと思います。

田名部大臣政務官 まず、農地・水のことについて、私の方からお答えをさせていただきたいと思います。

 今回の大震災に伴って、農地・水保全管理支払交付金、これが、活動の継続等が困難になる、そういうケースも発生をしていると聞いております。このため、被災した活動組織について、計画している基礎部分の活動と農地・水向上活動等をすべて行わなくても、地域の活動として取り組もうとしている、例えば破損施設の応急補修、こういったことに取り組んでいただく、つまり復旧に向けた農地・水の保全活動に重点的に取り組むことによって活動要件を満たすこととみなす等の措置を講じる、その旨の通知を四月の十九日に出したところであります。

篠原副大臣 なるべく実際に農業にきちっと従事する人に渡るようにという御指摘でございますけれども、ステップ2の部分はそのように配慮しております。

 どういうことかといいますと、算定基準として面積基準でやっております。ですけれども、実際は、どのように作業をしたかということに応じまして日当で支払われるわけです。ですから、平日も週末も同じように作業が行われる、平日にもちゃんと出られる専業農家の皆さんが一番従事しやすい、そういう人たちに作業量に応じて支払われることになりますから、専業農家のところにたくさんバックアップというか、行くような形になっております。

石山委員 続けて質問させていただきたいと思いますが、畜産の部分ですね。飼養を再開していく部分で、畜産に係る部分への支援というものをいただいているんですが、この部分で、さらにちょっと腑に落ちないわけですね。

 実際、宮城県でも気仙沼市の本吉町、または南三陸、あと石巻などを中心に、鶏が三十六万羽、豚が七百頭、牛が四百頭、今わかっているだけの被害総額ですけれども、大量死しています。さらに、震災直後の飼料不足ということで、特に肥育農家の方々が肉質が同じような牛を育てることができないといったような被害といったらいいんでしょうか、そのようなものが出てきている中で、このような支援メニューをつくっていただいているのはありがたいんですが、畜産農家にもやはり復興組合なるものを要求しているんですね。

 通常は、今、普通の水田などをやる場合は集落営農だといったような状況になっておりますが、畜産農家の場合は、余り協業というものは行われておりませんし、全くもってこれは現実的じゃないというふうに思っております。

 ちょっとこの辺のお考えを聞かせていただければと思います。

篠原副大臣 共同で復興組合というふうな仕組みをつくったのは、面積当たりあるいは頭数当たりで支払いするといった場合、こんなことを言ってはなんなんですが、もらうけれども、余り作業はしないということも考えられないわけではないわけです。転作のころによく言われましたけれども、やるふりをして捨てづくりというモラルハザードが生ずるというのがありますので、そういうことがないように、皆さん、共同でちゃんとやってくださいよという意味でございます。

 ですから、畜産の場合は、もともと何千羽を飼育されている、何十頭あるいは百頭、二百頭というのがあります。そういったところで、復旧作業というか再開作業をやられるわけですから、そういった場合は、小さな農家でちまちまとやっているんじゃなくて、皆さんのところにきちんと知れるんじゃないかと思います。

 そういった認定は市町村がやるわけでして、市町村がきちんと把握してちゃんと支払うという形になれば、私はそれで十分ではないかと思っております。ですから、その点では石山委員の御指摘のとおりでございまして、畜産農家については別途また考えてもいいのではないかと思っております。

石山委員 いずれにしましても、現場に即した対応というものをお願い申し上げます。

 続きまして、明らかに津波被害が大きくて、今もまだ冠水状態のままの、もちろんこれは地盤沈下も含んでいるんですが、水田なんかもあります。または、その冠水が長かった、そしていまだに瓦れきが散乱しているといった水田をお持ちの農家に関しましては、ことしは作付を見送って、今出していただいているようなこのようなプランに従って営農活動または復旧活動を行っていただけるものと期待することができます。

 その一方で、非常に悩ましいのは、冒頭にも言いましたが、津波をかぶった、だけれどもすぐに水が引いたといったような田んぼ、つまり、作付ができるんだろうかできないんだろうかといったような微妙なところにある水田、津波の被害の多かったところの際の田んぼをお持ちの農家さんは非常に悩んでいると思います。

 農家の心情的には、水田を良好な状態で維持していくためにも、やはり、できれば作付、田植えをしたいといったような方向で考えると思います。実際、一年間そのままさらしておけば、さまざまな雑草の種が飛んできて、今まで生えてこなかったような雑草も生えてくるといったような状況になってくるわけですから。さらに、これは実際に現場で出ている話なんですが、除塩のためにも作付を行った方がいいんじゃないかといったような話も出てきています。

 これも農水省の方からあらかじめ話は伺っていたんですが、この作付をするかしないかの最終判断というのは農家に任せるんだ、農家の判断なんだというふうにお話しいただいております。本当にそれでいいんでしょうかと私はまず思っているんですね。

 仮に、除塩のためにと思って作付をいたしました、そうしたら、案に相違してよく実ってしまった、これは出荷していいのかどうかとか、また逆に、塩害が出るとわかっているような田んぼで作付して、これは生産数量目標の対象にして戸別所得補償の対象とか農業共済の対象にしてもいいんだろうかといったようなことや、さらに問題になるのは、冠水を少ししてはいた、冠水はした、塩濃度というものは大したことないよといったような状況にあっても、例えば近くに工場等があってさまざまな有害物質とかが水田に流れているといったような可能性も、現場では、まだうわさ話の段階ですが、指摘されつつある部分もあります。

 ですからこそ、私は、さまざまなことが予測されておりますので、農家の判断ということに任せたとしても、明確に、もう少し、作付に対する基準というものをやはり国が何らかの形で示してあげるといったようなことが、将来的に予想されるような混乱も防ぐことになるかというふうに思っているんですが、この辺に関していかがお考えなのか、お話を聞かせてください。

篠原副大臣 石山委員の御指摘はごもっともだと思います。

 さまざまな被害を受けておりまして、塩害を受けていても水路がきちんとしている、そういったところの場合は、水張りして、作土を耕うんして、二、三回除塩をする、これでことしももう作付できる可能性があります。そういったところが一番いいところでございますけれども、とてもじゃないがそれはできない、だけれども来年は、少なくともこれを続けていけばできるんじゃないかというのがあります。

 我々が指標として持っているのは除塩でございまして、今御指摘の、車の中からガソリンが漏れているじゃないかというようなこと、それについては明確な基準を持っておりません。除塩のことについてだけは、作付指導はきちんとするようにということで県に伝えております。

 各県が各県の土壌条件、当然おわかりだろうと思いますが、粘土質のところと砂質のところと違います。それで、塩分濃度を見てやるようにということで、例えばで申し上げますと、宮城県の場合は、四月七日に我々が指令を発しましたので、土壌中の塩分濃度を〇・三ミリジーメンス・パー・センチメートルというので、電気伝導度でもって調べまして、塩分濃度がどのぐらいあるかというので、それ以下の場合は作付していいんだということを指導しております。それは各県によってちょっとずつ濃度が違うわけですけれども。

 そういったことで、除塩に関連いたしましては、この程度の塩分濃度だったら作付していいですよ、これ以上はちょっと無理なんじゃないですかという指導をしております。

 今後いろいろな状況が想定されますので、問題がありましたら、その都度普及センターを通じて問い合わせがあるだろうと思います。それに対して答えて、そして農家が混乱しないようにしてまいりたいと思っております。

石山委員 ぜひともきめ細やかな対応をお願いしたいと思います。

 なかなか今、被災地の方、これは皆さん同じなんですけれども、やはりどうしても情報量というのが乏しくなってきている。または、さまざまなうわさ話、ガセネタ、流言飛語が飛び交うといったようなこともありますので、できるだけ正確な情報を、また、いつまで、そして金銭的なものでしたら、本当にもうきれいごとを言っているような状況じゃありませんので、自分たちが生活していく上で、農業をやっていこうといった上でどのくらいの支援を金銭的にもらえるんだろうといったようなことも非常に重要な、次の再建に向かうマインドが上向きになっていただくためにも必要なことですので、その辺の情報の方、よろしくお願いしたいなと思います。

 土地改良の方の質問もちょっとしたかったんですけれども、査定前着工とかも含めてお取り組みいただいているといったようなことで、被害の少なかった内陸部の方もそれぞれ、パイプライン、開水路、揚水や排水の機場というものは相当に傷んでおりますので、先ほど生産調整のお話もさせていただき、県内・間の生産調整の話もいただきましたけれども、とにかくまず復旧できる内陸部で正常な農業を行っていくということが沿岸部の津波被害が大きかったところへの支援にもなっていきますので、早急に復旧できるところは復旧し、平時に戻していくといったようなお取り組みを引き続きお願いしたいなというふうに思っております。

 あと、漁業に関してなんですけれども、これは一点だけお聞きさせていただきます。

 先ほどもちょっと話題に出させていただきましたが、瓦れきの撤去ということで、被災漁業者に対しまして日当を支払ってといった部分があります。今いろいろな資料をよくよく読ませていただきますと、その瓦れきの撤去等の作業の部分に、私はぜひとも、流されてしまった、船外機のような小型船舶の回収というものも入れていただきたい、認めていただきたいというふうに御要望申し上げます。

 今、ほとんど船外機のような小型船舶は流されて津波でだめになってはいるんですが、船体はそのまま、維持されたまま海を漂っていたりとかという船が随分とあるそうです。漁業者の方々は、これは私は災害特別委員会の方でも話させていただきましたが、とにかく自分たちは船があれば、小さな船でもあれば、海に出ていって、ワカメの養殖等のような簡便な養殖作業から始めたりとかもできるんだといったようなお話も本当にいただきます。

 しかしながら、今心配されているのは、船を購入する支援策というものをいただいたとしても、船自体が足りなくなるといったような状況が出てきています。ですから、そのような船体だけでも、使えるものは回収して使っていきたいんだといった希望が浜から、被災した漁業者の方々から出されておりますので、ぜひとも、この瓦れきの撤去の部分には船の回収といったような部分も含めていただければと思います。

 それに関しましてお答えいただければと思います。

篠原副大臣 基本的には、先ほどから申し上げているとおり、日当というのでやっております。

 大きな船等は漁業者だけでは無理でございますので、漁協等が専門家にお願いして、雇って、そしてサルベージするようなものを別途予算要求しております。全体では百二十三億なんですが、漁場堆積物除去事業、それからもう一つ、漁場漂流物回収処理事業ということで、これらにつきましては、漁業者みずからできないものについては専門家に発注してやれるようなメニューもそろえております。

石山委員 いずれにしましても、時間となりました。

 一次補正予算案にしましても、二次補正は、通常国会、六月ごろにという目標でというふうな政府の方針だと聞いておりますけれども、いずれにしましても、被災した農業者、漁業者の前向きな再建ができるというような気持ちを引き出すようにしていただきたいということと、とにもかくにもスピードでございます。難しい手続、平時の手続、何の書類をしなきゃいけないとかということではなくて、スピード感をぜひとも持ってやっていただきたいということと、あと、正確な情報、これが国の方針なんだといったような情報を自信を持って出していただけるといったことが今現場で求められていることでございますので、その点お心にとどめていただきながら、今後ともども復旧、復興に御尽力いただければと思います。

 本日は、どうもありがとうございました。

山田委員長 次に、浜田靖一君。

浜田委員 おはようございます。

 きょうは、農林水産委員会のこの場で質疑をさせていただくことを、委員長を初め、また筆頭理事の皆さん方にも心から御礼を申し上げる次第でございます。

 この大震災に当たっては、亡くなられた方、被災された方に心からお悔やみを申し上げる次第でございますし、また、お見舞いを申し上げる次第でございます。

 きょう、この場で鹿野大臣に質問できるというのは、私にとっても大変喜びとするところであります、大先輩でありますので。この農林水産にまた造詣の深い大臣でございます。そういったことも含めて、このところの一連の流れを見ていますと、鹿野大臣にとっては大変厳しい場面というのが就任以来かなりあったなという気がしてなりません。

 きょうは水産に特化してやらせていただきますが、鯨の問題、そしてまた今回の放射能汚水の放出の問題。これも本来だったら、鹿野大臣にしてみれば、こんなことじゃ責任を持ってやれないということを、特に放射能の汚水の問題に関しては、知らなかった、報告がなかったなんというのはとんでもない話であって、逆に、それをもって、責任がとれないからやめるぞということを言ってもおかしくないぐらいの場面だったと私は思っています。それともう一つは、鯨の方にまた戻りますが、これも結果が見えているわけですよね、ここで下げたらどうなるのかということも。

 また、両方とも、そういうことがわかっているにもかかわらずやってしまうというのは、これは一体全体どういうことなのかなと。大臣にとっては、果たして鯨のことも正しい情報が入っていたのかどうなのか。暴力に負けたということをやはり全世界に知らしめてしまったというのは、我々とすると、捕鯨に携わってきた人間からすると、全くとんでもない話だなという話に思っていました。

 だから、その点も含めて、原発の話はまた後でお聞きしますが、鯨の件に関しては、やはりこれは、ここで一言、大臣から、今後もやるんだということを明快に言っていただけませんかね。

鹿野国務大臣 浜田委員の方からいろいろと御助言をいただきました。大変貴重な御助言をありがたく受けとめさせていただきたいと思います。

 鯨の件につきましては、まさしく調査捕鯨というふうなことの中で、私も、この立場に就任してから、出航してから実質的にどうであるかということを常に私に情報をきちっと報告するように、こういうふうなことで、実態について、私なりに状況は把握をしてきたつもりであります。

 そういう中で、あえて申し上げますならば非常に苦渋の選択ということであったわけでありますけれども、私も、三十年間の政治活動の中で、政治家としてどうあるべきかというふうなことから、私の責任において、引き揚げるというふうな判断に立たせていただきました。

 そういう意味で、果たしてこれからこの調査捕鯨をどうするかというふうなことについては、非常に重要な問題でありますので、私だけの判断でこれからどうするかというふうなことを決断していくのは果たしてどうなのかということも含めて、最終的には私が判断をするわけでございますけれども、そういう中で、専門家の皆様方からもいろいろと多角的な考え方も検討していただく必要があるのではないか。こういうふうなことで、四月の二十二日から検討委員会で検討していただいておりますので、それを受けて、私は最終的にどうするかを判断していきたい、こんなふうに考えておるところでございます。

浜田委員 大臣、多分、そういうことも、いろいろな意味合いを含めて御意見を聞くのは重要かもしれません。ただしかし、あのような形でシーシェパードに妨害をされて、危険を感じて、本来であれば、あれは海賊行為と全く同じでありまして、これをやはり許すということはあってはならぬということですので、当然、今までの捕鯨というものに対することをいろいろな形から、角度からもう一度点検して、新たな闘いに臨むための一歩にするというのであるならばこれはいいんですが、しかし、もう現実としてそれを表に出してしまったわけですから、それは屈しないでいただきたいというふうに思います。

 鯨の件に関して、長きにわたって、この苦しい、いろいろな、反捕鯨国との闘いの歴史というのがあるわけであります。それを考えると、我々の食文化というものが今なくなってきたとはいいながらも、しかし、暴力で物事を解決するというならば、これは世の中、道理が通らなくなりますので、ぜひともその点は大臣にも御理解いただいて、強い姿勢で臨んでいただければと思いますので、よろしくお願いをする次第であります。

 そしてまた、篠原副大臣お見えですけれども、今の水産業の現状というのは決して明るかったわけではありませんよね。水産というのはどうも、海の中のことというのはなかなかわかりづらいこともあったり、調査が足りなかったりとかということはたくさんあるわけであります。

 しかし、いまだにわからないものもある中で、一つだけはっきりしていることは、今の水産の現状というのは、一時期は輸出国であったものが輸入国になって、今度また輸出に変わってきているみたいなところがありまして、そういった現状からすれば、今の水産の現状というのはどういうふうにお考えですか、副大臣。

篠原副大臣 今、大臣は三十年とおっしゃいました。私は、政治家としては未熟者でございますけれども、農林水産省に三十年勤めさせていただきました。全く海に縁のない長野県の生まれ育ちなんですが、なぜかしら水産庁に三回勤務させていただきまして、全役人生活の三分の一ほどを水産関係のところで仕事させていただいております。今浜田委員御指摘のとおり、その三十年の間、それから政治家になってからの七年、三十七年間の変遷というのは物すごいものがあるんじゃないかと思います。

 私が水産庁企画課の係員として勤務させていただいていたころは、漁獲量は一千万トンを超えていて、世界じゅうに船を出しておってという、最盛期、絶頂期のころだったと思います。そして、二百海里問題が起こりまして、遠洋漁業が外国の二百海里のところから撤退しなければいけないということが始まりました。

 それがずっと続きまして、今は沿岸重視ということで、水産庁企画課長をやらせていただいているときは、浜田委員等と一緒にさんざん議論したいい思い出がございます。TAC法を成立させて、資源管理で、我々の二百海里の中の資源を有効活用していこうということでやり出したわけですけれども、農業と違いまして、技術の進歩が激しい、それがそのまま漁獲量のアップにつながる。これが新圧力になって、五百万トンぐらいの生産量になってしまう。金額でいいますと、輸入と生産量はパラレル、平行して同じぐらいになってしまうというような状況になってきたりしております。

 そういった面では、水産業というのは抜本的に、この災害で、地震、津波で、三陸沖を中心とする漁業、日本漁業の相当の部分を占めるところが大被害を受けておりますけれども、これがなくても、漁業のあり方というのは相当見直していかなければいけないんじゃないかと思っております。これを機会に原点に立ち返って、漁業のあり方というのを見直していくべきいい機会ではないかと思っております。

浜田委員 私も、篠原さんとは本当に水産に関してはいろいろな議論をさせていただきましたけれども、そういったような水産業の現状は大変厳しいということだけは同じ認識を持っていて、そこへ来て、なおかつ今回の大震災でありますので、この大震災に関して言わせていただければ、漁村がなくなってしまった、そしてまた、漁師さんだけじゃない、水産加工業も全部、一切合財なくなっているというのが現状だと思うんですね。

 だから、そういったところも含めて考えると、ただ単に、今までの水産業からという話も確かに、今篠原副大臣がおっしゃったように、将来的にわたって形を変えなければならないところに来ているのは事実だけれどもというお話もありました。ただやはり、さっきも質問されていましたけれども、要するに、今の現状からいえば現場でまだやりたい、そういったものも、まず聞き取りをしながらやらなきゃいけないと思うんですよ。

 将来的な中長期にわたるマスタープランと、そして、今現状の漁業者の皆さん方が感じていらっしゃることをまず聞き取って、それをやれるものからやっていって、将来的なものというのを二つに分けないとなかなか難しいのかなというふうに私は思っているんですよ。

 だから、水産の全体の姿からすれば、気仙沼では輸出というのもありましたよね。要するに、サメのフカひれを中国に輸出しているというようなところもありましたし、かなりの部分で輸出に頼っていた部分もあった。本当にそういう意味では、水産業の変革期が目の前にあったわけですよね。それが一気に今度なくなってしまった。これをやっていくためには、まず、今後何に、漁村を復活させるためのプランというのがなかなか出てこないというのも事実だと思うんですよ。どこから手をつけていいのか。

 まず瓦れきを処理します、処理しないと船は入っていけませんから。それでもって、今度は岸壁の修理をせにゃいかぬ。そうすると、そこに水揚げ場をつくらにゃいかぬ。水産加工業の皆さん方にも帰ってきてもらわにゃいかぬということになれば、これは本当にどのくらいのプラン、スケジュールで物事が進んでいくのかというのはわからないんですが、我々とすると、ちょっとイメージしづらいんですよ、余りにもこの被害がでか過ぎて。

 少なからずその点について、うっすらとでもいいですけれども、プランとかスケジュールみたいなものが頭の中におありになるのかどうか、ちょっとお聞かせ願えますか。

鹿野国務大臣 今浜田委員の御指摘の点は、今後の水産業はどうあるべきか、漁村、漁業をどう復旧、復興させていくかというふうなことの一つの大変大きなポイントだと思いますが、まず、お話しのとおりに、私も現場に参りまして漁業関係者の方々からもお話を伺い、また、いろいろな御要請、御要望をいただく中で、まず早く海に出たいというような方々にどうこたえていくかということが、今回の第一次補正に対しての予算の盛り込みであったと思っております。

 その次におきましては、復興構想会議におきましても、特に三県の代表の知事も参加をされて、いろいろな意見も出されておるようでございますが、私どもとしては、やはり、岩手県の漁村、漁協の考え方、あるいは宮城県、福島県、そして先生の千葉県、いろいろ、北海道から千葉までの地域はまさに我が国の冠たる漁業地域でありまして、そこで五〇%産出されておったということからすると、それぞれの特性、特徴というふうなものがあったわけでありますので、それをどう生かしていくか。

 また、これだけの大震災に遭って、漁業者の方々がどういう判断に立っているかというふうなことは、やはり我々としても冷静にお話を伺って、今後の復興に向けて取り組んでいかなきゃならないところでございますので、この時点でどういう構想を描いているかというようなことについては、まだ少し時間が欲しいなというのが率直なる考え方でございます。

浜田委員 先立って、漁業団体の方でも漁業者の方々にお話を聞いて回っているのもあるわけですので、そこはスピード感を持ってやっていただきたいなというふうに思います。

 そして、今お話し申し上げたように、今度、震災のことにだんだん入っていくんですが、漁業再開のためには、漁船とか漁具、そしてまた製氷施設とか冷凍冷蔵庫等、必要な施設整備が数多くありますけれども、再開に必要な施設復旧整備についてはどういうふうに対応していくのか、具体的に案があれば教えていただきたいと思います。

篠原副大臣 今大臣お答えになりましたが、浜田委員御指摘のとおり、農業は二万四千ヘクタールが塩害に遭っている。ごく一部でございます、面積にしても〇・二%ぐらいですけれども。東日本の漁業は本当に壊滅的な打撃を受けておりまして、よく漁業者の皆さんからこういう言葉が聞かれます。ゼロからのスタートとよく言うけれども、マイナスからのスタートであるということでございます。漁に出たくても漁に出られない、船がない、船が二万隻ほどぐちゃぐちゃになってしまっている、漁港も瓦れきの山で出られないということでございます。我々は、一歩一歩やるしかないんじゃないかと思っております。

 ですから、第一次の補正予算におきましては、まず瓦れきの撤去、このところに重点的に予算措置を講じようと思っております。百二十三億円ほど要求させていただいておりますけれども、瓦れきの撤去に漁業者の皆さんに積極的に参加していただいて、漁業の復興にみずから汗を流していただいて収入の糧とする。その延長線上で漁業の再開に結びつけたいと思っております。

 その一方で、総理がちょっと復興プランのところで言っておられて、新聞等に出ておるので御存じかと思いますけれども、あれは別に総理だけがお考えになっているわけではありませんでして、我々も三月の中旬ぐらいから、どうしたらいいかということで復興プランについて議論をしております。

 ひな形の段階でございますけれども、漁業者の皆さんは、大半はやはり漁業をやりたい、海がある、魚があるからやりたいということで、なるべく漁村に住みたい、そういったことがわかっております。ただ、同じように海のすぐそばでうちを建てるのは問題なので高台に移っていただく。

 しかし、漁港の設備あるいは荷さばきの施設などは岸壁というか漁港のすぐ近くに。これは皆さん御承知だったんじゃないかと思います、日本の鉄筋コンクリートというのはなかなかのものでして、地震でも津波でも全く倒れていないわけですね。ですから、そういったところには五階建て、六階建てあるいは十階建てのものをつくってもいいんじゃないかと思います。下の方は漁業関係の施設にして、上の方は朝早く漁に出たりする漁業者もいるわけですから住居とするとかいうように、そういったプランを考えております。

 ですから、先ほど浜田委員の御指摘のとおりでございます。今やるべきことは何かと、将来がどうあるべきかというのをちょっと分けて考えておりまして、我々は二本立てで同じように検討を進めておるところでございます。

浜田委員 そこはそういうふうにやっていただければいいんですが、今まで、今回の震災に当たって政府として一つだけ足りないものがあるんですね。あらゆる事態において対処するに当たっては国がすべて責任を負いますという言葉がなかなか出てこない。大臣はまじめだから、そうやって言ったら全部やらなきゃいけないというふうに思うのかもしれませんが、しかし、そうではなくてやはり、漁民の皆さん方とか農民の皆さん方に安心感を与えるのは、国がすべて面倒を見るから心配するなという一言があれば、私、こんな質問をしなくていいんですよね。

 そこのところは、大臣、思い切って言っていいと思いますよ。今回ちょっと官邸の方にも貸しがありますからね、あれだけ無視されてやられたら。それだったら、ここで大臣、思い切って、我々はそのことで責任を問うたりしませんよ。やはりここは、鹿野大臣が政治家生命をかけて、絶対予算をつけてやるんだ、心配するなということを言ってもらうことがまさに安心、安全につながると思うんですけれども、大臣、いかがですか。

鹿野国務大臣 大変、激励をいただきましてありがとうございます。私も性格的に遠慮深いところがありまして、なかなか思うように言えないところもございます。しかし、今申されたことは真摯に受けとめて、これからも努めてまいりたいと思います。

浜田委員 こういうときだからこそ政治主導なんですよね。それは篠原さんが一番よく知っていると思うんですよ。やはり役人さんというのは与えられた権限の中でしか仕事ができないですよ。それを飛び越えるのがやはり政治主導だと私は思うので、大臣、そこはぜひ思い切ってやっていただくことによって安心を伝えていただきたい、このように思います。

 この間、一番ショックだったのは、国民の皆さん方が復興に向かって一つになって団結しているにもかかわらず、それを政治が足を引っ張らないでほしいというのをテレビのコメンテーターが言っていたんですよ。すごいショックでしたよ、これは。

 だから、そうならないためには、やはり政治主導というのは責任をとることだと思いますので、大先輩に向かって大変失礼かとは思いますが、ぜひそこはそのような気持ちを持って思い切って対処していただかないと、これからの新しい水産行政に向けての第一歩がなかなか踏み出せない。ましてや漁業者の皆さん方も、大臣に対しての信頼感を高める意味でもそういうふうにやっていただくことが一番だというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いをする次第であります。

 そうすると、質問のしようがなくなってくるんです。それをやると言っていただければそれで済んでしまうんですが、しかし、二、三点ちょっと言わせていただきます。

 水産加工業者の皆さん方が、今まで、前からの借金もあるわけですよね。既往債務というんですか、これについても何か救済措置をとらなきゃいけないんじゃないかなと思うんですが、これについてはどうでしょうか、副大臣。

篠原副大臣 震災でこれからのことについてという前に、漁業者、農業者も同じでございますけれども、債務がいっぱいあるじゃないかという御指摘だと思います。それにつきましては、漁業全体でもって債務保証がきちんとできるように、ちょっと今手元に数字がないんですが、代位弁済をきちんとしていけるように、四十五億円ほどこの第一次補正予算でも要求をさせていただいております。

 これで十分かと言われますと十分ではない部分があるかと思いますけれども、大半の皆さんは、まずは復旧の方にてんてこ舞いで、そんな簡単に再開の方までは行かないんじゃないかと思っております。その暁には、第二次、第三次補正予算もきちんと予定されておりまして、その都度要求をさせていただいて、間に合うようにさせていただきたいと思っております。

浜田委員 大体、本当に二次、三次、四次、五次というのがあるのかねという話になっちゃうので、お気持ちはよくわかるんですが。本当なら最初にどかっというのが一番いいんだよね。

 それでもって、何となく通常の予算のような感覚で回しているような気がしてならないんです。こういうのを財務省主導というんでしょうかね。何となく、そのペースが遅くなるのはちょっとペースが何か違うような気がするので、ここで政治主導というのがあって、要するにそうじゃないんだと。

 あらゆることをやってでも財源は、我々は借金しちゃいけないなんて一言も言っていませんよ、今の時点で。だって、必要なものは必要なものなのですから、最初にどんとやっていただいて、そこからやっていくのならいいんだけれども、どうも何か後から後からと、では何次まで補正予算があるのかわからないというような不安な状態というのが一番よくないと僕は思うんですね。

 いや、それはわかりますよ、まじめな人が考えたら。私みたいないいかげんなやつが言うと、そんなものいいじゃないかという話になるんですが。後は何とかなるんじゃないのというふうに私は言わざるを得ないんだけれども。そのくらいの感じでやらないと、スピード感もなければ安心感もないのでは、これはやはり政権批判になっちゃいますよ。だから、お互いに政権を責めているんだと思うんですけれども。やはりそこはそういうことだと思うので、ぜひ、二次、三次、四次があるということを期待しながら、そこで確保していただかないと困るのであれなんですが。

 もう一つ、今回は確かに、津波の、自然の力というのはすごいなと思ったのは、津波の被害は沖縄まで行っているんですね。千葉県では、外房側があれするのはわかるんですが、我々の内湾の方でも被害が出ているんですね。(発言する者あり)宮崎にも行っちゃっています。三重もそうだし、みんなそうなんですね。養殖関係はみんないかれちゃったんですよ。やはり引き波の強さというのはすごいなと思いました。

 だから、これも含めて対策というのはどうなっているのかなとちょっと心配になったので、意識がそっちに集中しているので、全国にあるんだよということがなかなか見えてこないので、ぜひ、その点についてはどういうお考えがあるのか、教えていただけますか。

篠原副大臣 津波の被害は沖縄や宮崎ばかりではありませんでして、太平洋の反対側にも行っておるわけでございます。その点は十分承知しているつもりでございます。

 それで、政治主導でばっと予算をつけなければいけないんじゃないかという御指摘でございますけれども、パワフルな、安定感のある、石原慎太郎都知事に言わせますと、唯一のちゃんとした大臣、こんなような表現をしておられました鹿野大臣のもと、我々は全力を傾注しておりまして、ちょっとPRさせていただきますと、今度の第一次補正予算も三千八百十七億円でございます。そのうち水産はどのぐらいかといいますと、二千百五十三億円です。

 もともとの予算が大したことではないがと言われるとそれまでなんですが、もともとの当初予算が二千二億円ですから、当初予算を上回る予算というのは余り前例がないのではないかと思っております。(発言する者あり)少なくとも水産のところではなかったのではないかと私は思います。

 これでもって、すべてを一回で、この第一次補正予算ですべてを賄えるということではないとは思いますけれども、まず災害復旧から始めまして、徐々に再開できるようにということで、我々は工程表をつくって着実にやってまいりたいと思っております。

浜田委員 基本的に、金額的に言えば、そういうふうにおっしゃると思っていたんですよ。だけれども、それは、普通のときだったらそうなのね。でも、そうではないじゃないですか。これだけ大きな災害があるので、今お話にあったように全国レベルの話になっていて、やっていたら、それで満足しては。政府内にいるからなかなか言いづらいのかもしれないんだけれども、シェアをとるというのは、力ずくの部分があるじゃないですか。そこはやはり、頑張って引っ張れるぞ、この次があるぞと。言うんだろうけれども、そこはもっと力強くがんとやってくれないと。もっともっと必要だと言わないとだめじゃないですか。

 だから、そこのところは、気持ちはわかるんですが、通常と同じような感覚で予算の分捕り合いはやらないでくださいね。だって、これは本当に大変ですよ、これから幾らかかるかわからないんだから。

 今からちょっと話をさせていただきますけれども、今度は風評被害、原発の話になるわけで、これになってくると、どうするんだという話ですよ。国がやはりやらないとだめな部分はたくさんありますよ。さっきの、あえて触れていなかったのかもしれないけれども、原発の関連からすれば、やりたくてもできない、農地があってもそこではできないというように、水産の場合も同じようなことが出てくるわけで、流しちゃった後ではもうこれは遅いですわな。もう風評被害だらけですよ。

 だから、逆に言うと、海外からは、輸入はもう要らない、もう日本からは買わないと言われて、日本国内だけの問題じゃなくて海外の問題になってきちゃっている。

 ということになると、大臣が知らなかったという。本当に何を無視しているんだ、一番重要な大臣に報告をしない。そしてまた漁業者にも説明をしないままにやってしまったこの責任というものは、これはちょっと、もうやっちゃったことだからしようがないんだけれども、後は、では、どのようにこの信頼を回復して、風評被害に対して、影響が出ている人たちに対していかに補償していくかということだと思うので、そこのところは、大臣、無視されたということに関してはもっと怒っていいと思いますよ。僕らが怒っちゃいましたからね、本当に。

 尊敬する大臣でありますので、私はあえてそれ以上は申し上げませんが、要するに、細かなことを話させていただくと、安全をどのように伝えていくかという話になるわけですよね。逆に言うと、海の中というのはわからないんですよ、本当に。僕らが水産をやっている最中でも、なかなか研究しても出てこないことというのが、まだ研究が終わっていないのかよというようなことがいっぱいあるんですよね。

 だから、今回のこのコウナゴの、いっぱい出ちゃったという話の中で、この処理というか検査を、だれがして、どこであれしたのかというのもあるし、それから、例えばわかりやすく言うと、コウナゴを食事等で一年間摂取する量というのは一般の人でどのぐらいの量なのか。それと、今回公表された数値で、人体への影響は、どのくらいの量を摂取した場合にどのような影響が体にあらわれると考えているのか。それは、一般的な摂取をする方がどのくらいの期間摂取する場合に相当するのかというようなことも含めて、お話しいただきたい。

 当初、農林水産省は、放射性物質が体内に蓄積することは考えられない旨の説明をしていたんですよね。でも、今回、検査結果を受けて、どういうふうにお考えか、考え方が変わったのかどうか、それも含めて、一連でだあっと答えていただければと思います。

    〔委員長退席、津島委員長代理着席〕

田名部大臣政務官 これまでも鹿野大臣の方から、検査をしっかりと強化していくようにという指示がございました。やはり、風評被害も含めて、正確な情報をしっかりと国民の皆さんに提供していくということは大変重要なことだと考えています。

 それで、コウナゴの件なんですけれども、この検査については、これまで、いわき市周辺、それと茨城県の北茨城市等、沿岸部においてその検査をしてきたわけなんですが、検査の場所、これは、水産総合研究センター、また、茨城県の環境放射線監視センター、日本分析センター等で分析を実施してきたところであります。

 それで、当初は、検査が統一をされていないところもございまして、実は前処理をきちんとしなければならない。海の汚れであるとかぬめりを除去するために三回水で洗うというような前処理をするんですけれども、この水で洗い流すことをせずに検査をしているようなケースが実はありましたので、四月の十五日、関係者を集めまして、検査を統一するようにしたところでございます。

 正確な数値を出して正確な情報を伝えるという意味では、こういうことも徹底していかなければならないと考えておりますが、今の人体への影響についてでございますけれども、実はこれは厚生労働省が担当しておりますので、厚生労働省に確認をさせていただきました。

 厚生労働省では、現時点ではどういう影響があるかわからないとのことでありまして、現在、食品安全委員会で放射性物質の食品健康影響評価について諮問中であるということでございます。これを受けて、食品安全委員会では現在その評価を実施中で、きょう、第二回目が開かれるそうでありますけれども、七月ごろの取りまとめになるということでありました。

 それで、どのぐらい摂取をすればということも、今お話ししたように、実際わからないというようなことでありますので、やはり、早くこういう結果を出していただいて、食の安全、安心というものをしっかりと守っていかなければならない、そんなふうに考えています。

浜田委員 そういうことなんですよね。だから、逆に言うと、とりあえずはとるのをやめておこうという話になってしまうわけですね。

 そういう意味では、その安全基準みたいなものを早くやっていただくことが必要だし、それからまた、科学的な知見というのが今までなかったわけですから、それを早くつくるのは当然のことですし、逆に言うと、ではそれがいつわかるのか、七月ごろなのか何なのかまだわからない。となると、やはり休漁補償というのは、当然のごとく東電と国がしっかりそれに対処するということが重要だと思いますけれども、その補償についてもちゃんとやっていただけるんですよね。

鹿野国務大臣 当然、このことについては、補償におきまして万全を期すべく、私どもとしては強く申し入れもいたしておりまして、あらゆる努力をしてまいりたいと思っております。

浜田委員 そういった形でやっていただく。今から考えておかないと、それが出てからじゃ間に合わないので、ぜひよろしくお願いします。

 そして、意外と知られていないんですけれども、東北地方は昨年末から低気圧によっても被害が出ているんですよ。低気圧被害についてもやはり十分な配慮が必要だと思うんです。それについても何か対策を今講じていらっしゃいますか。

篠原副大臣 昨年末の低気圧による養殖施設への被害報告額、たくさん上がってきておりまして、岩手県で三億三千万円、全国でも五億三千万ありまして、ただ、チリ津波災害の被害額と比べて小さかったもので、養殖施設の激甚災害の指定の適用の基準には達しておりませんでした。

 このような中でございますけれども、我が省といたしましては、共済で手当てしようということで、漁業共済組合に対しましては、漁業被害の迅速な損害評価の実施、それから共済金の早期支払いにつきまして、文書で一月になってから依頼しております。漁業施設共済の方では、岩手、宮城の両県合計で一億五千万の共済金が支払われております。

 それから、金融機関に対しても償還猶予等の要請をしておりまして、こういった手当てを着実にしているところでございます。

 それから、それに加えてでございますけれども、漁業者が共同利用する養殖施設につきましては、強い水産業づくり交付金でもって手当てしようということで二、三採択されているところでございます。

浜田委員 その点、ぜひ見てあげていただきたいと思います。

 そしてまた、もう一つ、カキ、ホタテガイの養殖についてなんですけれども、生産物もそうですし、施設も壊滅的な被害を受けているんですよね。それでもって、漁済の関係で、これにいろいろな規定があって、二年、三年たたないとこれがとれないわけですよね、売れないわけですよね、養殖しているわけですから。そうすると、加入は要件の中でかなり厳しいものがあって、要件緩和しないと新たに漁済に入れないというようなこともあるので、これは要望しておきますけれども、ぜひ入れるようにしていただきたいなと思います。

 今のままだと、もう去年の段階でだめになっちゃっています。ことしだめなので、来年入れないので、復活したとしても入れないような状況になってしまうので、そこの要件緩和をぜひひとつお考えいただきたいなと思いますので、よろしくお願いします。

 そして、今、きょうもテレビでやっていましたけれども、いよいよまた原油価格が上がってきました。これはずっとだらだら上がってきて、またちょっとここへ来て上がっているんですけれども、これに対する対応を誤りますと漁業経営には本当に大打撃になっちゃうわけです。この点についてのお考えと、そしてまた、今の原油高騰の状況からすると、漁業経営セーフティーネット構築事業の本年度の予算がどこまで対応可能なのかということをあわせてお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

篠原副大臣 未曾有の災害でございますし、あらゆる手当てを講じていかなければいけないと思っておりますけれども、今のところ、具体的な燃油の関係の手当てというのは考えておりません。

 今後、今もじわじわ上がってきておりまして、食料価格も同じでございますけれども、そういった暁には、また漁業は重油がなかったら漁に出られませんので、ほかの、農業の施設園芸の場合も重油をたいたりするものもあるわけですが、そちらはほかに代替するものがございます。漁業にはございませんので、この点は万全の対策を講じていかなければいけないんじゃないかと思っております。前の政権下でも、たしか一千億近くの燃油対策の予算を講じたことがございまして、似たようなことをしていくつもりでございます。

浜田委員 燃油高騰は、このセーフティーネットの事業というのは始まっておりますので、ぜひ予算が切れることなく対応できるようにしておいていただくことが極めて重要だと思います。なぜかといえば、これは経費が多くなれば経営を圧迫するのは当然の話でありますので、その点についてもしっかりとした対応をお願いしたいと思います。

 次に、これは篠原副大臣とよく話していたことでありますが、漁協のあり方ということになるわけであります。

 今回、漁協も大変甚大な被害を受けているわけですけれども、今のこの時代に漁協の役割というのはかなり大きな面があると思うんですよ。これに対応して、やはり漁協自身がしっかりとやることによって地域の復興につながっていくというふうに私は思うんですけれども、その点について、今後どのような救済策をとっていこうとお考えになっているのか、お考えがありましたら教えてください。

篠原副大臣 復興の関係で申し上げますと、浜田委員御指摘のとおり、漁協は非常に大事な役割を果たしていただかなければならないんじゃないかと思っております。

 私も、忙しくて現地に足を運んでいる時間がなかなかないわけですが、四月十日に石巻に伺っております。近隣の三市町の首長の皆さんから御要望を直接承ってまいりました。そのときに、我々の考えていることと現場の首長さんたちの考えておられることは同じだなと思って私は得心したわけでございます。

 例えば女川町、一千隻ほど漁船があった。百六十隻しか残っていない。前と同じように一千隻の漁船とは思わない。しかし、共同でやっていくというのは考えられると。そのとき、取りまとめてどういう組み合わせにするかということを考えていただくのは、やはり漁業協同組合が一番ふさわしいんじゃないかと思います。共同でやることに対しては我々がバックアップしていく。そのかわり、資源管理をきちんとして、とり過ぎはやめてくださいよ、ここの資源は皆さんのためのものだからと。

 数年やって、うまくいって、やはり漁業者は独立心が旺盛でございますから、自分で一人でやりたいと言ってこられた方がいて、資金的にも十分だったら、またそっちにバックアップしていくというようなことでやっていったらいいんじゃないかと思います。

 そういった現地の事情というのは、私は、漁業協同組合が一番的確に把握しているので、そちらの皆さんにこういったプランをつくるのに積極的に参加していただきたいと思っております。

浜田委員 漁協に関して言えば、合併を繰り返しながら一生懸命経営の努力をしているんですが、まだまだ足らざるところがあるわけで、そしてまた、先ほど一番最初に申し上げたように、今の水産業というのはかなり厳しい状況にあるのも事実だったわけですよね。船籍は二十五年以上のものがかなりの数になってきた。そしてまた、漁業従事者の平均年齢もかなり高くなってきた。

 こういうような状況を考えれば、やはり個人個人の漁業権で漁業をやっていくというのはかなり厳しいところが出てくるわけで、ゼロから、マイナスからのスタートをするときに、では、果たして新造船がつくれるのかといえば、それは無理ですよね。となれば、どこかでモデル事業なりなんなりをして、国がやはり主導権をとりながら、その窓口としての漁協というものの立場をしっかりと定めていくことが極めて重要だと思いますので、その点に関してはぜひ対応していただいて、その地域地域に合ったやり方というのを目指してやっていただきたい。

 そしてまた、当然、水産の場合は、農業と違っていろいろな魚種がいっぱいありますから、その調整という面からいっても、例えば協業ができるものとできないものというのは必ずあるわけですから、その辺のところの方向性をぜひ政治主導でしっかりしていただいて、やっていただければなというふうに思います。

 そして最後に、捕鯨の件なんですけれども、いよいよ、調査捕鯨で我々が目標にしていたものがとれなくなってきたということになりますと、当然のごとく今までは、とってきた鯨を売って、それを財源にして次の調査捕鯨にというような形をとってきたわけでありますが、それができなくなってくるということになれば、政府からの予算を新たに計上して、それを入れることによって調査捕鯨を続けていくということになりますので、新たなスキームをつくらざるを得ないんですよね。

 その点については、先ほど申し上げたように、暴力によって調査捕鯨をやめました、そしてまた、逆に言えば、それができないことによって、実際の、今まで鯨をとる技術だとかそういうものをやってきた船だとかというものも新しくつくらなきゃいけないというような時期に来ているときに、それが立ち行かなくなったということでは、これはまさに我が国の威厳にかかわることだと思いますので、その点は、新しいスキームを、積極的に国が金を出すということをこの場でぜひお答えいただければと。なぜならば、私は今、自由民主党の捕鯨議員連盟の会長をやっているものですから、この点はぜひお答えをいただきたいと思います。よろしくお願いします。

鹿野国務大臣 先ほど申し上げますとおりに、調査捕鯨を今後どうするかというのは、今検討会におきまして検討していただいておりますけれども、もし、そういう中で結論を出していく上において新たなスキームというふうなものが必要だということになりますならば、当然、予算もそこについてまいらなきゃなりませんので、そういう意味では、検討委員会の考え方というふうなものは概算時ぐらいまでにはやはり出してもらう。こういう中で、今後どういうふうにしていくかということを判断していきたいと思っております。

浜田委員 ありがとうございました。

 大臣、ぜひ、きょうを機会に趣を変えていただいて、政府内部で厳しい顔をしていただける大臣になっていただければというふうに思います。我々は、そういう大臣に対して批判はいたしません。目いっぱい応援をさせていただきますので、ぜひとも、後顧に憂いのないようにがんがんやっていただきたい。その思い切りを心から期待しながら、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

津島委員長代理 次に、赤澤亮正君。

赤澤委員 質問の時間をいただき、ありがとうございます。

 私の尊敬する浜田先生が最後に大変気持ちのこもったお話をされて、私は、それをそのまま引き継いでお話をさせていただきたいと思うんです。

 大臣におかれては、政府の中でもっともっと勇気を持って、そして力強く発言をしていただいて、被災地域の農林水産業の復旧、復興に全力を挙げていただきたいと思います。

 その点で一つ、私自身が、農水省の発信が少々弱いなと最初に感じる点は、実は、今回質問するに当たっても、資料を要求したところ、こういう資料がすぐに出てこない。要するに、被災地域の農業あるいは水産業が日本全体に占める割合というのはどれぐらいなんですか、こういうことを聞いたところ、担当者の方も一生懸命やっておられるんでしょう。しかしながら、汗をかきかき、要するに、被災地域といったら、最初は岩手、宮城、福島の三県の額をまとめていたら、いや、北海道が入っていない、青森が入っていない、いろいろな方の御指摘を受けて今全部見直しているんですと。それがごく数日前の話です。

 となると、一次補正予算を獲得する、ある意味政府の中で闘いをするに当たって、日本全体に占める水産業が今回どれぐらい傷んだのか、大変説得力のある資料というのが省内でまとまっていないまま闘っているのかなと。それではもう当然のことながら、政府内での予算の、分捕り合いという言い方は変かもしれませんが、それにおいても、それから国民向けの発信もやはり弱いところが出てくると思うんですね。

 そこで、まず冒頭、大臣に伺いたかったのは、時間もありませんのでまとめてお伺いをしますけれども、例えば、農地面積、農業生産額、この両面において日本全体に占める被災地域の割合いかん。あるいは、漁業についても同じように、漁業全体あるいは養殖漁業の両面において日本全体に占める被災地域の割合いかん。こういったものについて、どのような認識を持っておられますか。

 少なくとも、農水省として統一的にこうだということを言っていただきたいし、それについては一枚のわかりやすい資料にまとめて、いろいろなところで発信をしていただきたいと思います。いかがでしょうか。

    〔津島委員長代理退席、委員長着席〕

田名部大臣政務官 具体的な数字だけ、私の方からお答えをさせていただきたいと思います。

 先生から御指摘があったように、全体的な被害の状況というのは、今もさらにその把握に努めているところでございます。ですので、現時点でわかっている被害というものであります。

 漁業であれば、岩手、宮城、福島の三県を中心に、漁船二万隻、また漁港三百十九、こういった被害がある。被害額にして六千五百億円でございます。

 そして、特に被害の大きかった岩手、宮城、福島、この三県の全体的な被害の面積であるとか農業の産出額ということでありましたけれども、農地全体の被害というのは現時点では二万四千ヘクタールなんですけれども、この三県に限って申し上げれば、農業産出額の合計が六千六百六十九億円、これは全国では八兆三千百六十二億円ですから、全国の八%を占める、こういった地域でございます。こういったところが、先ほど申し上げましたように、農地であると二万四千ヘクタール、大きな被害があるというような状況になっています。

赤澤委員 それでは、あわせて漁業についてもちょっとお伺いをしておいていいですか。数字の点なのでどなたでも結構でございますが、漁業についてはいかがでしょうか。

佐藤政府参考人 御説明申し上げます。

 今回災害を受けました地域というのは漁業にとって大変重要な地域でございますけれども、特に被害の大きかった岩手県、宮城県、福島県の沖は、いわゆる世界の三大漁場と言われておりまして、この三県で、平成二十一年度の漁業生産額は全国の一割、特にサンマにつきましては全国の三分の一と、大変高いシェアを持っております。

 また、養殖関係につきましても、三陸海岸地域につきましてはリアス式海岸ということで、海藻あるいは貝類の養殖業も盛んでございまして、平成二十一年度の三県の養殖生産量につきましては全国の二割、特にワカメにつきましては全国の八割、それから、カキにつきましては全国の三割のシェアを持っているところでございます。

 以上でございます。

赤澤委員 今、一連のことを伺いました。

 やはり私の予想どおりなのは、結局、農林水産省として、大臣が一枚でぱっと説明できるような、どれだけ被害が大きかったかというものをつくっていないんだと思うんですよ。要は、次々担当者が慌てて飛び出てきてそれぞれのことをおっしゃる。

 それはやはり、一枚の資料でだれもが、例えば農水省のホームページの一番上にそれが載っていて、これぐらいの被害があったんだ、地域としては、今の話であれば、農業であれば日本全体の例えば八%ぐらいの生産額を生み出す地域、そして水産業であれば、海面も入れて、全部入れれば一割だ、養殖であれば二割だ、サンマ三割、ワカメ八割、カキ三割、そういったことはきちっとやはりまとめられているべきだと私は思います。発信力が少々弱いと思うのはそこじゃないかなと。

 その上で、私はちょっと申し上げておきたいことがあって、認識を共有したいんですが、それは何かというと、私、実は、被災地に、自分でハンドルを握って加藤勝信衆議院議員と行きました。そのときに最初に感じたことは、内陸部で、本当に、ブルーシートをかぶっている家がほとんどないということなんですよ。鳥取県西部地震、二〇〇〇年だったと思います、経験しておりますし、阪神・淡路大震災の光景も見ている。地震で大きく構造物がやられたところは、かわらだのそういうのがやられて雨漏りするからブルーシートをかぶった家がもうそこらじゅうにある。これが普通なのに、ないんですね。

 内陸の、地震だけで被害を受けたところというのは、どうも思ったより構造物はやられていないぞというのがもう直観でした。それは、後でいろいろな場所で、東北地方整備局の専門家に聞いても、いわゆる地震の加速度であるガルというのがありますよね、あれが阪神・淡路大震災と比べてもどうも小さかったようだ。長期に、長く大きく揺れているけれども、加速度は小さい。だから、地震しか襲っていない内陸部の構造物は思ったより元気です、こんな専門家の解説もあったんです。

 ということは、私が本当にここで強調しておきたいのは、今回原発もありましたし津波もあったから、日本全国が、東北はもう内陸も含めて家もばたばた倒れ、その上に津波が来たんだろうと思っているかもしれないけれども、本当にひどかったのは、やはり原発、これは現在進行中で収束の見通しが立たぬという意味で大問題です。それとあわせて、やはり津波に襲われた海岸部の、例えば五キロとかの幅のそこの問題なんですよ。では、そこがどうきいてくるかといえば、漁業についていえば、今申し上げた、海面漁業も入れて全国の一割、養殖であれば二割と言われる部分が、沿岸五キロ内陸まで入ったところまで全部やられてしまえば、これは多分壊滅。

 出てくる結論は、内陸部の工場とかも確かに傷んでいる、だけれども、電力とか燃料が復旧をし、構造物に被害がないなら、機械とかを調整し、入れ直しと、数カ月で立ち直るような被害という議論でしょう。大体、生産が復旧して、いろいろな自動車工場であっても、サプライチェーンが傷んだと言われて、工業製品、立て直さなきゃだめだと言われても、数カ月で何とかと言われる被害なんです。それが、農林水産業については明らかに年単位の議論になっていますでしょう。そこはもう今申し上げた理由で、決定的に津波なんだ、沿岸五キロのところがやられているんだ、そして大被害は漁業なんだ。

 その認識はきちっと持っていただいて、だからこそ、他省とも話をするときに、先ほど篠原副大臣が、当初よりも頑張って多くとりましたと。もっと頑張ってほしい。そのためには、発信するための情報をきちっと一元化して、ぜひ持っておいていただきたい。そのことは重ねて強く申し上げておきたいと思います。ぜひ、そのようなものをつくって、発信をしてください。

 私は、原発事故自体、大変な大問題だと思っていますから過小評価をする気は全くないですけれども、原発の問題である程度の見通しが立てば、本当に、沿岸部の地盤沈下等、これに対応すること、あるいは堤防をまた築くこと、加えて農林水産業の復興というのがメーンの課題だ、そこが本当に何年もかかる仕事であって、風化させてはならないし、産業、ほかのものが数カ月で復興した後も絶対力を抜かずにやっていかなきゃいけない。という意味では、農林水産省の対応が最も気合いを入れてやらなきゃいけないものだと私は思っていますので、ぜひそこについて共有していただきたいと思います。

 大臣から、特に何かお考えがあれば伺いたいと思います。

鹿野国務大臣 今、赤澤先生が申された、今回の大震災によるところの被害状況のとらえ方というものは、私ども、そして農林水産省も共有していかなきゃならない。それだけに、被害の状況というものをもっとわかりやすく、情報をしっかりと発信するということについて、御指摘の点を踏まえて対応してまいりたいと思っております。

赤澤委員 ありがとうございます。

 ということで、本当に、漁業については、沿岸部五キロをやられればほぼ壊滅であることはもう歴然でありまして、内陸が比較的大丈夫だということでは、農業は、被害があっても、先ほど御報告のあった全体の生産額の八%を占めていても、ほとんどがやられたわけではないですね。海沿いの農地、これは優良なものも特に宮城県なんかはあったと思いますけれども、農業と違ってやはり漁業については本当に気をつけて見ていかなきゃいけないということ。

 あと、日本全体に占める割合ということでいうと、もう一つ伺っておきたいことがあるのは、合板等木材産業の生産額の面で日本全体に占める被災地域の割合というのはかなり高いものがあった、海岸に合板工場等、相当な生産規模のものがあったと思います。

 これについてはどのように認識されていますか。

皆川政府参考人 お答え申し上げます。

 岩手、宮城、福島三県の製材、合板、木材チップ等の木材製品の出荷額でございますが、約千五百億円、全国一兆九千億の約八%でございます。特に、今赤澤委員御指摘の合板につきましては、生産量ベースになりますが、平成二十一年の生産量ベースで見まして、岩手、宮城で六十五万立米をつくっているということで、全国の二百二十九万立米の約三割ということでございまして、大変大きなシェアを占めている地域であったということでございます。

赤澤委員 ということで、御案内のとおり、一時的にコンパネが全国的に手に入らなくなって、例えば建築とか請負をしている人たちが最後のところで完成できずに、結果、契約したお金が受け取れない、非常に経営に痛手であったというような声も当初あったわけです。残りの工場がフル稼働に入って、今大分落ちついてきているのかなというふうに思いますけれども、その辺の認識もきちっと持っていただいて、やはり日本全体にどれぐらいの割合を占めるものなんだ、農林水産業はどれぐらい傷んだんだということは、折に触れてぜひ発信を続けていただきたいと思います。

 そういう意味で、ちょっと一言だけ付言をしておくと、今回また特徴的だったのは、内陸では本震よりも大きな余震に見舞われたところがあるんですね。これでさらに被害が拡大しているところが実はあります。つまり、本震については一定のマグニチュードであったけれども、余震と言われるものの方が大きいのに見舞われた地域、ここはまた被害が生じているので、別途議論しなきゃいけないので、その点は私は過小評価するつもりはないということはあらかじめ申し上げておきたいと思います。

 その前提で、本当に大きな問題はやはり原発の問題。これは、まだ進行中である上に全く収束しているという感じがいたしません。一部では、細野首相補佐官が収束の傾向だと外国人の記者たちの前で言ったようですけれども、そういうふうに国民は今のところ受けとめてはいないですよね。あの工程表が本当に守れるのかと。これは現在進行中の問題です。大変痛ましいことに、風評被害や出荷停止ということを苦にして自殺をする農業者の方も現に出ているということでありますから、これは本当に真剣に受けとめて対応してもらわなければなりません。

 これも基本的な数字をちょっと確認しておきたいと思うんですけれども、原発事故のために営農ができなくなった農地面積あるいは農業生産額、さらには畜産、酪農の生産額についてはどれぐらいと把握をされていますでしょうか。

田名部大臣政務官 福島県の原発事故によって営農ができなくなった面積でありますけれども、現在、警戒区域、そして一カ月の間に立ち退きをするということで計画的避難区域が設定されているわけですけれども、これらの区域では農業ができない状況にありますので、この市町村の面積を合わせますと、二万六千ヘクタール、十一市町村になります。

 それで、酪農関係なんですけれども、出荷制限の対象となりました福島県及び茨城県、この全域の産出額、二十一年度でありますけれども、福島県で九十七億円、茨城県で百六十四億円となっております。

赤澤委員 それでは、同じことを漁業についても伺いますけれども、漁業の生産額についてはどのように認識をされていますか。

佐藤政府参考人 御説明を申し上げます。

 福島県につきまして御説明したいと思いますけれども、今回の原発の事故を受けまして、原発から半径三十キロメートル圏内の航行危険区域の設定、あるいは福島県漁連による操業の自粛要請、それから四月の二十日になりまして、原子力災害対策本部長の指示によりますコウナゴの摂取、出荷制限、こういうものによりまして、全漁業の操業を停止しているところでございます。現在、こうして漁業ができなくなったことによりまして失われる福島県の漁業生産額を計算することはなかなか難しいわけでございますが、JFグループにおきまして今取りまとめをしているところでございます。

 平成二十一年度をとりますと、お尋ねの福島県におきます漁業生産額は百六十億円となるところでございます。

 以上でございます。

赤澤委員 以上のように、数字の話について、実は、私事前に何度か伺ったときに、要領のいいものが出てこないんですね。質問の中で逆にこういうことを聞いていくのは、本当は事前に資料をもらえれば十分節約できる部分なんで、今後はその辺、ぜひきちっとまとめたものをつくっておいていただきたいなというのが率直な思いであります。

 それで、風評被害対策でありますけれども、先ほど、自殺者も出ていて大変痛ましい状況であるということであります。これについてはぜひ万全を期してくれということで、後で補償の話もちょっと伺いますけれども、大臣としては、これについての現在の取り組み状況をどのように認識されていますか。

鹿野国務大臣 風評被害は、まさしく、その被害を受けて大変苦しんでおられる方々のことを思いますと、一刻も早く少なくとも仮払いはなされるようにしていかなきゃならない。こういうふうな考え方で、出荷制限そして出荷自粛、それに伴っての原発事故との相当因果関係があるものと認定される可能性の高い風評被害については同列に扱って、一刻も早い仮払いをなされるようにということで、私どもも強く主張し、また東電にもこのことを求め、また経済被害対応本部におきましてもこのことを主張してきたところでございまして、さらに、このことが実行、実現されるように、引き続いて私どもはしっかりと取り組んでいかなきゃならないと思っているところでございます。

赤澤委員 それで、一つ気になるのは、原発の風評被害あるいは出荷停止の被害、そういったものについて、当然補償はすべきだという考えは示されているんだと思うんですけれども、ところが、いざ大きな障害があるのは、一義的には東電が賠償すべきだ、原因者である、こういうのが国のポジションなんですね。

 そうなると、私から見て本当にもどかしいのは、本来、農林水産業について言えば、農水省が予算を確保して直ちにでも救済に入ってほしいものが、まず国が金を払うのはおかしいと、これは財務省の意向も強く働いているのかもしれませんけれども、全く、そこのところについては催促するだけで、では東電の取り組みはどうかといえば、理想的なスピードを持っているとはほど遠い。たしか本日だったかと思いますけれども、賠償機構かなんかの基本的な考え方が示されるはずだったのに、もめて、難しいかもしらぬなんて記事がきのう現に出ていたと思います。

 ということで、ちょっと我が党の緊急提言、第二次のもの、これは四月十五日だったと思いますけれども、その中にも入れておりますし、第一次の、三月三十日だったかと思いますが、これにも入っていますけれども、そういう意味で、柔軟に、事業者、農林水産業も含めて営農再開とか漁業の再開をしてもらうために、融通無碍に、臨機応変に使える基金をつくるべきではないか。当初、思いやり基金と第一次提言で言ったものを、その後きずな基金というふうに名前を変えて我が党は提言をしております。特に農林水産関係では、さらに農林漁業・農山漁村復興再生基金という基金の名前にして、これを設置して、国費の拠出等についてきちっと定めてほしい。政府・与党の回答によれば、今後の検討ということでありますけれども。

 まさにこういう基金を積んでもらって、風評被害とか出荷停止についてなかなか東電が対応、賠償とかをしてくれないときに、立てかえ払いの考え方でもいいから救いに入るということができないのかということをぜひ検討していただきたいと思うんですけれども、そこについては大臣のお考え、いかがですか。

鹿野国務大臣 今先生が申されたきずな基金によって、なかなか仮払いがおくれておるというふうなことの一時的な対応策として具体的な提言があったわけでありますけれども、私どもといたしましては、御承知のとおりに、今困っておる農業者、漁業者の方々に、つなぎ融資というふうな仕組みをつくりまして、ぜひ活用していただきたい。三月三十一日の日にこの仕組みを公表したところでございます。

 しかし、なかなか実質的にその仕組みが生かされないというようなことから、政府が保証します、こういうふうなことで、風評被害を含めて出荷停止そして自粛をしておる方々がきちっと、そういう状況の中で申請をした方については、申し込みをした方に対しては、無利子においてまずつなぎの融資をするというようなことの仕組みもつくらせていただいているところでございますので、その仕組みを活用していただきたいな、こんな考え方に立っておるところでございます。

赤澤委員 今のだと、残念ながらちょっとお答えになっていないと思うんですよ。農林水産業にかかわっている方は高齢の方も多くて、今さら、無利子だと言われようが政府保証がつこうが、借金は借金で、これは返さなきゃいけないですし、当然、賠償の問題となれば、これは別に自分が借金なんかしなきゃいけないものではなくて、そもそも与えた損害についてちゃんと償えよ、こういう話なんで、何とかそこについて迅速に救済が得られるようなものができないのか。

 繰り返し申し上げているところは、きずな基金もそうですし、この農林漁業・農山漁村復興再生基金もそうなんですけれども、何を考えているかというと、単に日常生活に必要な食料を買ったり、あるいは光熱費を出したりというお金をお渡しするだけでは足りなくて、人間やはり暮らしていくには、生活の糧といいますか、あるいはなりわいといいますか、食っていくための仕事を再開してもらわなきゃこれは救済したことにならぬだろう、こういうことなんです。

 なので、きずな基金と呼ばれるものでは、小規模でやっている個人営業の農業とか水産業の方であれば、再開の資金を何とか応援していきたい、こういう思いが含まれていますし、この農林漁業・農山漁村復興再生基金の方になれば、むしろ結構大きな規模で、より大きな規模で、法人なんかでもやっているような取り組みとか会社組織でやっているようなものについても、再生に向けて何らかお手伝いをしたり、そういう基金でありますから、やはり立てかえ払いみたいなものも含めて、賠償の部分もある程度先取りをしてできるようにということをこれはぜひ御検討いただきたいんですけれども、大臣いかがでしょうか。

鹿野国務大臣 今前段で先生が御指摘された、それは農業者なり漁業者、被害を受けた方々からすると、何で借金しなきゃいかぬのか、これはまさしくそのとおりなのであります。

 しかし、そういう中で、毎日毎日の入ってくるべき収入が途絶えているというような状況からするならば、国がきちっと保証させていただきますのでというこのつなぎ融資を、手続も非常に簡素化した形で申し込みすることもできますから、こんなようなことで、私どもも、ぜひこのつなぎ融資を生かしていただきたいと申し上げているところでございます。

 今のきずな基金というような御提言につきましては、私なりに勉強させていただきたいと思います。

赤澤委員 ありがとうございます。

 きずな基金とあわせて、私ども、農林水産業関係では、農林漁業・農山漁村復興再生基金というものを別建てでお願いしたいということですので、ぜひ検討いただきたいと思います。

 それに加えて、あわせて、我が党の緊急提言の中ですけれども、「原因者負担を伴う放射性物質除去事業の実施」ということについて、今後の検討というお答えを政府・与党からいただいております。

 放射能を帯びた農地の除染などについて、国際的に確立した手法はあるのか、少なくともこの事故が収束した時点で直ちに、こういう方法で放射能を帯びた農地等について対応すると確たるものがきちっと用意をされているのか、そして、それは原因者負担できちっとやらせる方向なのか。今後検討と回答をいただいたものも含めて、今お話をいただきたいと思います。

篠原副大臣 放射能の除去につきましては、皆さん御承知おきいただいていると思いますけれども、まずは原発からの放射能漏れがとまっていただかないと手をつけられないんじゃないかと思います、一度やってもまたやらなければならないということで。

 私は先週末、キエフ、チェルノブイリに行かせていただきまして、現地を見せていただいてまいりました。十日間ほど、相当な量の、よく言われているんですが、福島第一原発の約十倍の放射能が出たと言われております。十日間で、ある程度とまっているわけです。その後、いろいろな対策が講じられております。

 我が国の場合は、量は少ないんですけれども、まだ完全に収束していないということで、それを待ってでございます。

 先輩と言うとなんなんですが、チェルノブイリではいろいろな対策が講じられています。どういうのが行われているかというと、まずは表土をはぎ取る手法でございます。これは、放射能によりまして、何センチぐらいにまでたまっているかというのは違うようでございます。セシウムだと十五センチぐらい、ストロンチウムは四十センチというようなのがあるわけです。それをはぎ取る方法、反転させる方法がございます。これは膨大な作業量になります。

 二番目は、セシウムが残っているわけですけれども、セシウムとカリウムが似たような性格だということで、カリウム等の施肥により、放射性物質の作物への吸収を抑制する。カリウムがたくさんあればセシウムを吸い取れない、こういう方法がございます。

 それから三番目でございますが、三番目だけが、私が今まで携わっていたということもありまして、新聞、テレビ等で過剰に報道されている感がありますけれども、菜種栽培等により、植物を通じて土壌を浄化するというようなことがございます。

 これはあくまでですけれども、チェルノブイリの土壌においてやっていることでございまして、相当部分は学べるんですが、我が国の土壌条件、酸性土壌なわけですね、火山灰土壌です。こういったところでこのような手法が一体そのままとれるのかどうかということは、我が国においてこれから研究していかなければならないんじゃないかと思っております。早急に調査研究に取り組みまして、一日でも早く戻れるような形で土壌の浄化に取り組みたいと思っております。

赤澤委員 今お話しいただいていますが、一般的にはといいますか、私も専門家ではない、いろいろな記事とかで見る限りは、植物に吸収させるのはどうも余り効果がないんじゃないかという説もあるということをちょっと読んでおりますし、今のお話を聞いていても、まだまだちょっと研究の余地があるということなので、これについては、当然のことながら、生産者の方に経済的な負担をかけずにどう対応していくんだということ、これをきちっと準備して、しかも、それを早目に公表していただきたいと思うんですね。

 見通しがないのが一番やはりみんな嫌なんだと思うんですよ。少なくとも今の時点では、原発の事故が収束した後に営農再開できるように国が責任を持ってやってくれるのかどうかについても皆さん不安だし、それについてのメッセージは何ら発されていないし、受け取られてもいない、こういうことだと思いますよ。

 そこについてきちっと見通しを示してほしい。場合によっては、こうこうこういうぐらい放射能を帯びてしまった場合については対応が難しいということだって、きちっと発信しておいたらいいと思うんですよ。国は見通しを持って判断ができて、そして自分たちの、生産者の今後の将来の道行きというものをリードしてくれるんだということを力強く発信いただきたい、そういうふうに思います。

 そして、今の点に加えて、今、私のホームページ、各委員の先生方も同じだと思うんですけれども、物すごい数が寄せられてくるメールに、半径二十キロの警戒区域内の牛、豚、鶏などの家畜、あとペットもそうです、本当にかわいそうだということです。聞くところでは、豚などの場合、もう共食いしている例もある、それから、牛や馬はそういうことがなかなかできませんので、どんどんやせ細って死んでいく、こういうことです。

 既に県が衛生上の観点から独自に殺処分を始めているというふうに承知しておりますけれども、殺処分以外の方法を含めて、国の対応はどうあるべきだと大臣はお考えですか。

鹿野国務大臣 今お話しになりました、二十キロ圏内の避難地域におけるところの家畜の扱いというふうなものについては、本当に私どもも、思いというものは、言葉であらわすことのできないような思いもあります。

 そういう中で、今委員から御指摘の、具体的な形で、衛生上の観点から殺処分等のほかに、何か国の対応というふうなものはないのか、こういうことでございますけれども、四月の二十五日から、福島県の獣医師等が、十分な装備をした上で、死亡畜の消毒や瀕死の家畜などの処置というふうなものを行ってもらっておるところでございます。

 このことにつきましては、県とも常に相談をしながら対処方というふうなことについて対応してきているところでございますけれども、これからも福島県等の考え方というものを十分踏まえて、できるだけの協力はしていかなきゃならないな、こんなふうに思っております。

赤澤委員 政治主導を標榜する今の政府・与党でありますが、なかなか難しい問題になると、県の考え方に、よく相談しながらというようなことだと、私は、ちょっと対応としては不十分だと思います。

 やはり早急に判断をしていく。端的に言えば、救えるものは救うということ。そして、どうしても殺処分といったようなことを考えなきゃいけない状態にもうなっているのであれば、これについては少しでも苦しむ時間が短いように、その辺の対応を国がもうちょっと責任を持ってやっていただけないものかということを、これは申し上げておきたいと思います。今の大臣の対応を聞いていても、正直なところ、県任せという感じに聞こえるので、これではなかなか、政治主導、国が責任を持ってという話にはなっていないぞということについては強く指摘をさせていただきたいと思います。

 以上、原発についてお話を伺ってきましたけれども、大事なのはやはり見通しだと思うんですね。少なくとも原発のところ以外については、災害はもう起きてしまって、それについてどう復興していくかなので、年単位でかかるとしても、ある程度の希望はあって、前に動き出そうということになると思うんですが、原発については工程表の信憑性も含めて本当に見通しが立たないということで、人間、精神的に参ってしまうんだと思うんですよ。その点は、今の家畜やペットの対応についても、それも含めてきちっと見通しを立てて、国の責任でこうやっていくということをぜひ発信をお願いしたいというふうに思います。

 それから、次に伺いたいのは、これは団体からも出てきていることですけれども、二つといいますか、正式に言うと三つ大きな要望があると思うんですね。農業の関係でいえば三つです。これは党の要望としても入れてあります。

 一つは、被災農地の公有化をして、そして、生産者の方に場合によっては貸し出す形で何とかやっていけないか。これについては、政府・与党の御回答は、今後の検討ということになっております。それ以外にも、農林漁業共通で出てきている御要望というのは、やはり大きなものは、しっかりとした休業補償、それと既往債務の棚上げです。この二つをきちっとやっていかないと、生活が成り立たないんじゃないか。借金苦があって生活苦があって、それではもう全く夢も希望もない、こういうことだろうと思います。

 そこで、漁業者の生活保障、それから漁業の再開支援について伺いたいんですが、これは特に通告はしておりませんけれども、一つ、問題意識があれば伺いたかったのは、今回、先ほど漁船が二万隻以上被害を受けているという話で、その復旧をしていくに当たって、激甚災害の場合に、共同利用の小型船舶、五トン未満だったと思いますが、それについて補助が出るということなんですけれども、三分の一なんですよ。どんなものでも、今回特別に、内閣府の方で今、内閣官房の方で用意しているんですかね、財政の特例に関する法律、どんなに少ないものでも二分の一の補助率以上だったと思うんですけれども、これだけは三分の一なんですよ。

 今回、漁業の傷みがひどい、そして、漁港もあるいは漁業の規模も小さくてやっている、そういう地域で、この小型の共同利用の漁船についての補助が三分の一というのはいかにも少ないと思うんですよ。これについて、何かできることがないのかということは強くお願いをしておきたいと思います。

 これはちょっと通告をしていなかったので、大臣、この場で答えられることがあれば、よろしくお願いします。

鹿野国務大臣 この漁船の件につきましては、国が三分の一、さらに県が三分の一、こういうことでありまして、この県の三分の一につきましては、起債一〇〇%を求めているところでございます。そして、あとの三分の一はどうなるのかということでございますけれども、保険の残存によって、協業化していけば、自己負担というようなことに充ててもらうというようなことでございまして、このことによって、具体的に、漁船を一時的に漁協が所有するというふうな形で、漁船を新しくしていくというふうなことができる措置を講じてまいりたい、こんなふうに思っておるところでございます。

赤澤委員 通告していなかったのにお答えですから、問題意識は持っておられたということで、私はそこは大変ありがたく感じますけれども、今のお話だと、まだ、要するに、三分の一の県の負担について国が一〇〇%支援をしていくということについては今財政当局と折衝中なんですね。そこはきちっとかち取っていただきたい。もう言った以上、それはぜひやっていただきたい。本当に必要なことだと思います。

 加えて、今その残存価格という話があったんですけれども、これは、要は、船が古ければそこは結局自己負担、こういう話ですよ。協業していく中でということで、何かそこのルールが、比較的新しい船を使っていた人が中にいればそれをとっていくということなのかわかりませんけれども、責任を持って実態を調べて、本当に負担のない形で小型船舶についても復旧ができるということをぜひ大臣の力で実現していただきたいと思います。

 もう一言いただけますか。

鹿野国務大臣 私が今御説明申し上げた考え方というふうなものは、これは、実質、漁業者の方々とも話し合う中で、少なくとも実情に合う形でというようなことの措置でございまして、当然、このことにつきまして、できるだけ自己負担なんということがないようにというようなことを踏まえての措置でございます。このことは、今までになかった一つの施策であるもの、こんなふうに思っておりますが、引き続いて、今後、漁業者の方々とも連携をしながら取り組んでいきたいと思っております。

赤澤委員 ぜひ、自己負担のない形でというのは、もうこれは全般について党の緊急提言でお願いをしていることでありますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 それと、休業補償の点についても伺っておきたいんですが、これはちょっと相前後いたしますけれども、時間の関係で質問の順番を変えます。

 漁業については、補正の中で要求をしておられます、百二十三億円だったですか、漁場復旧対策支援事業、漁業者等が行う漁場での瓦れき等の回収処理、まあ日当のような形で一日一万二千円払われる、これはそれなりの休業補償の形になっているかなと思います。一方で、ちょっと時間の関係ではしょりながら行きますが、農業についていうと、細かい瓦れきの処理をしたり、あるいは用水路、簡易なものの補修などをやったり、そういうことで十アール当たり三万五千円というのが考え方としては休業補償に近い、こういう言い方なんですけれども、漁業の一日一万二千円はわかりやすいです。

 ところで、十アール当たり三万五千円というのは、これは一ヘクタールやっていても三十五万。家族労働費という考え方なのかもしれませんけれども、休業補償というには余りに力不足というか頼りない感じがします。何か、もう少し手厚くできないものか、その点についてお伺いをしたいと思います。特に、ちょっと漁業ともバランスを失しているんじゃないかなと思いますので、お考えを伺いたいと思います。

篠原副大臣 赤澤委員御指摘のとおり、漁業は非常に単純明快で、日当一万二千百円というのに対して、農業の方は違うんじゃないかという御指摘でございます。先ほどの質問者の方の中にも同じような御指摘がございました。我々は、そのことを十分承知しております。

 どのように、復旧から、それから農業の経営再開、本格的な生産に持っていくかということを考えたわけでございます。

 農業におきましては、伝統的に面積当たりという単価がございます。ですから、算定の基準としては面積当たりということでやらせていただく以外にないのではないかということで、面積当たりということにいたしました。

 ですけれども、結果的には漁業者と同じでございまして、漁業は、救漁土木事業という形で明確になっているわけですけれども、農業も実は同じでして、ところが、農業は、面的に広いし、漁業の場合はほとんど同じような被害を受けている、漁港はだめ、養殖施設はだめと。農業の場合は、ことしうまくやれば再開できるところもある、来年うまくいけばというところがあるんです、あるいは、三年後も四年後も、用水路も排水路もぐちゃぐちゃになってだめだというところもある、さまざまなわけでございます。そういった地域の実情に合わせて、そして復旧をし、復興できるのをということで、とりあえず面積換算でいたしました。

 それで、委員の御指摘の中にありました、では単価としてどのぐらいになっているのか。家族労賃の平均的なのをとっております。それで、面積当たり、田んぼの場合は三万五千円、ほかの場合は、施設園芸等の場合はちょっと単価を高くしてあるわけでございますけれども、結果的には、先ほど石山委員の御質問にお答えしたんですけれども、復興組合等、これは形はどのような形でもいいわけでございますが、そこに一たん支払って、作業を実際にやった人たちに対して日当で支払われる。

 日当の金額というのはそれぞれの復興組合で決めていただくということになりまして、とりあえずは、一年で終わる場合もあります、二年で終わる場合もあります、三年で終わる場合もあります、状況に合わせてやっていただくということになっておるので、差はそれほどないのではないかと思っております。

赤澤委員 この場で議論するよりも、だったら積算をぜひ数字で出していただきたいと思います。篠原副大臣はいつも精緻な議論をされますので、ちゃんと紙で、積算は大体水産業と同等だと今おっしゃったわけですから、それを出していただいて、ぜひ議論をさせていただきたいと思います。

 三年という言葉が今出てきたので、それにちょっとひっかけて質問を進めますけれども、除塩事業についてです。

 今回、土地改良に含めていただきました。基本的には、水路を整備した上で水を何度も流すことで塩分を抜いていく、こういう考え方だと理解をしております。それを進めていただくことは結構なんですが、三年かかるという報道が頻繁に、盛んにされているわけです。これは事実なんでしょうか。本当にすべて三年かかってしまうものなんでしょうか。

篠原副大臣 おおむね三年から五年はかかるということで予算要求をさせていただいております。

 しかしながら、直前の答弁でも申し上げましたとおり、ことし、うまくやればできるところもあります。おわかりだと思いますけれども、水路がちゃんとしているということだったら、最初のうちから水を張って耕土をして、そして二、三回、あるいは三、四回やる、それで塩分濃度を調べる、ああ、これなら大丈夫だとなれば、ことしの作付にも間に合うわけです。

 平均でもって三年ということにしております。そういうことで対処してまいりまして、二年目あるいは三年目、五年目にかかるものもあるわけですけれども、我々は、当然のごとく、一年目で、少なくとも二年目には大半のところを作付できるような方向に持っていきたいと思っております。

赤澤委員 それで、今、ことしできるところもあれば五年かかるところもあるということですから、ぜひお願いをしておきたいのは、農地ごとに、工程表を、どれぐらいかかるのかを明らかにしてあげて、その農地ごとにきちっと、先ほどの十アール当たり三万五千円、これが休業補償として働くのか、ちゃんと農家に説明をして、不安のないようにぜひ進めていただきたいと思うんです。

 加えて、あと二つほど伺いたいんですが、これは大臣にお伺いをします。

 宮城県の村井知事が、漁業も国有化してくれと。中身を見ると、国が漁業をやれという意味ではどうもなくて、漁業再開に必要な冷凍施設とか加工施設とか、そのたぐいのものは全部国有で何とかいってもらえないかと。漁業の営業自体は会社方式というようなことを考えているようですが、漁業も国有化というようなことが言われています。我々は、農地についても公有化ということをお願いしています。国が本当に責任を持って、一定程度の資産を抱えて、それでこの地域の復興を図っていくということについての大臣の御決意を伺いたいのが一点。

 あと、もう時間が来ましたので、もう一つ。先ほど浜田先生が漁業についておっしゃいましたが、農業の方が、さらにどれだけ生産者が借金を負っているかの把握がまだ済んでいません。漁業以上に対応がおくれています。代位弁済の制度も不十分だと思いますが、漁業についても、あれで手当てした百四十億の三倍ぐらい全体であるんじゃないかと思います。

 農業については、その辺の債務の額の把握すら十分まだできていない、こういう状態ですので、そこについては、既往債務の棚上げについてはまだ今後の問題で、しっかり取り組むという大臣の決意も伺って、その二つの御決意を伺って質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。

鹿野国務大臣 今、前段の、宮城県知事が水産業の国有化構想というふうなものを出しておられるところでございますけれども、この件について触れさせていただきますと、実は、農林水産省といたしましても、もうかる漁業創設支援事業というふうなものを行っておるわけでございまして、三年間支援する、こういうことであります。そういう意味では、この提案が、国が直接三年間助成するというふうなことの考え方を提示されているようでございまして、そういう意味では類似したところもあるのではないか。

 そういう意味で、今後、被災地の水産業の再生のためにどういう事業方式がいいのかというようなこと、このもうかる漁業創設支援事業なども活用していただくことができないのかということも含めて、県を初め関係者の人たちとこれからも相談をしてまいりたいと思っております。(赤澤委員「あと、債務の話をお願いします。大臣、債務の話」と呼ぶ)

 後段の件につきましては、私どももしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

赤澤委員 終わります。ありがとうございました。

山田委員長 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。

 きょうは、時間をいただきましたので、質問をさせていただきたいと思います。

 冒頭、委員長からも御報告がございましたけれども、二十日、二十一日と岩手県そして宮城県に視察に行かせていただきまして、現地の生々しい状況を改めて確認させていただいた、こういうことでございます。そして、いろいろな方と意見交換もいたしましたので、そういう点も踏まえましてきょうは質問をいたしたいと思います。

 個々のいろいろな御要望等もございましたけれども、私は、その中で、個々の要望というよりは、おっしゃっていた方が、スピード感を持ってやってもらいたい、こういうお話をなさったのが大変心に残っております。やはり今は、こういう災害のときでありますから、スピード感を持ってやる。遅いことは、今はもうこれは罪だ、私はこういうふうにも思っております。

 ですから、これから補正予算がきょう出されると思いますけれども、出されて、我々もしっかり審議をさせていただいて、予算が成立をいたしましたら、一刻も早く現地にそういうものが反映できるようにお取り組みをいただきたいというふうに思います。

 私は、これから何点かお伺いをいたしたいと思います。いろいろな方も御質問がありましたが、今回、宮城の名取市へ行きまして、ここはもう、海岸沿いのところの農地、排水機場も壊れて、大変な被害を受けている。こういう農地、水路、また農業施設の復旧、及び塩害対策、こういうことを具体的にどうやってお進めになるのか、まずこのことをお伺いいたしたいと思います。

鹿野国務大臣 今回の大震災によって塩害に遭われた農地につきましては、基本的には、もとにできるだけ戻していきたい、こういうような考え方でおるところでございます。

 ただ、現実的に、深く陥没したようなところもございまして、実態を把握できかねているところもございます。しかし、これからもそういう状況というものを把握する中で、重ねて申し上げますけれども、できるだけもとに戻して、再び作付ができるようにしていきたい、こんな考え方に立っているところでございます。

石田(祝)委員 私が先ほどお話しした宮城県の名取、ここは、いろいろと状況をお聞きしますと、排水機場も壊れ、そして二十センチから三十センチ地盤沈下をしている。一生懸命、排水機場が壊れたところにポンプを仮のものをつけて、今までの能力から大分落ちるけれども、熱心に排水をなさっておりました。しかし、樋門も壊れているということで、せっかくやっても、また水が入ってきている。こういう状況で、さらに地盤沈下もしているということで、これはなかなか大変ではないのか、こういう率直な思いをいたしました。

 しかし、農家の方は、意欲を持ってやろうというお話もされておりましたけれども、組合長さんがおっしゃっていたのは、やはり、若い人はどうなんだろうか、ほかの方に行ってしまうんじゃないかという御心配もなさっておりました。ですから、そういうお声にもしっかりとこたえていかなきゃいけない、私はこういう思いをしてきましたので、その点だけ冒頭申し上げたいと思います。

 それから、今回の災害は、地震と津波と原子力発電所、この三つが重なっている、こういうことでございますが、今回の災害の補償という観点でお伺いをいたしたいんです。

 一つは、戸別所得補償制度の特例措置、こういうものが必要ではないのかということ。それからまた、いろいろな理由で、自分のところの田んぼは大丈夫なんだけれども、他への影響、ほかの田んぼへの影響とかを考えて、作付を自粛している農地もあるということもお聞きしました。また、原発事故によって被害、その被害で作付ができない、こういうところもある。

 この三つ、私、分けて申し上げましたけれども、それぞれどういう対応をなさるのか、お答えをお願いします。

鹿野国務大臣 戸別所得補償の特別措置というふうなことにつきましては、もう先生が一番御案内のとおり、この制度は、自給率向上を目的といたしまして交付しておるわけでございます。

 今回、地震、津波の被害を受けた方々に対しては、できるだけ、瓦れきの処理あるいは除塩などの事業に直接当たっていただくというようなことで生活の糧にしていただきたい。そういう意味で、今回の補正予算案の中におきましても、農作物の作付が困難な地域におきましては、復興組合というものを組織していただいて、営農再開に向けた復旧作業を共同で行う農業者に対して支援金を交付する被災農家経営再開支援事業というふうなもので予算を措置いたしておるところでございます。

 それから、農業用水の使用制限についてでございますけれども、水稲の作付が困難だ、こういうふうな状況になっておる。せっかくやろうとしても、排水ポンプが破壊されて、その影響で作付自粛をしなきゃならないというようなことでございます。

 そういう方々は、まく水はあるけれども、ためることができない、こういうふうなことから稲の作付ができないというようなことでございますので、できるだけほかの、大豆やあるいはソバなどの作物をつくっていただいて、そのことによって当然、水田活用の所得補償交付金も受けられるわけでございまして、畑作物もまた所得補償交付金の対象ともなるわけでございますので、そのようなことで、ほかの作物をつくっていただくようにしていただければ、こんなふうに思っております。

 また、原発によって作付ができない農業者の方々につきましては、御承知のとおりに、何とか、今回、原子力の損害賠償紛争審査会におきましても指針が今検討されておるわけでありますけれども、第一次指針の中に盛り込まれるというようなことも一部聞いておるわけでございます。そのような中で、できるだけ早く補償が受けられるようにというふうなことで、これからも強く、引き続き働きかけをしてまいりたいと思っております。

石田(祝)委員 私が二点目にお聞きをしました、そこの田んぼそのものは何ら傷んでいない、しかし、水が高きから低きに流れるように、上流でやると下流に影響が出てくる、こういうことで作付を自粛しなきゃならぬ、こういうところがございまして、今大臣からお話があったように、ほかのものをつくってもらいたい、こういうことですよね。ですから、これは、お米をつくっているところに急に、下流に影響があるから、下の方に影響があるから大豆をつくってくださいよ、畑作の方でお願いしますよと。

 これは、そんなに簡単にいくんでしょうか。もう、つくるものが違うわけですから、そこのところはよく事情を聞いてあげないと、これがだめだからこっちでどうぞなんというのは余りにも安易だと思いますが、その点はどういうふうになさいますか。

鹿野国務大臣 今先生からのお話につきましては、できるだけそのようなことも選択肢の一つとしてお考えいただきたい、こういうことでございますが、基本的には、いろいろのことを考えたときに、今日の御指摘いただいたような状況にあられる農家の人たちは、現地の状況というものを詳しく聞かせていただきまして、そして、それを受けて、今後、対応というふうなものについて検討させていただきたいと思っております。

石田(祝)委員 今回、東日本大震災、こういうことでありますけれども、私が物すごく感じたのは、災害は一くくりで、地震だ、津波だ、原子力だと言えないんですよね。それぞれの被災者が、状況が全く違う。ですから、そこは、全体を一まとめにという、これはお金の面ではそういうことになるかもしれませんけれども、個々の被災者の実情はよくよくお聞きをいただいて、そういう方々のお考えに沿った対策をやはりとるべきである、このことをお願いいたしたいというふうに私は思います。

 それで、原発事故の問題でありますが、第三回の紛争審査会が二十八日、きょうだ、こういうことであります。先ほどもどなたか御質問なさっておりましたけれども、大臣の感触として、明確に農林水産業、風評の方はちょっと私もわかりませんが、実害についてしっかりとした対応がなされると。これはまだ出ておりませんからお答えしづらいと思いますけれども、大臣の感触としてどういうふうに受けとめていらっしゃいますか。

鹿野国務大臣 この審査会でどういう議論になるかというのは新聞等々で私ども承知をするというような状況でありまして、審査会の方々がどういう判断をされるかということでございますけれども、少なくとも、私どもは、重ねて申し上げますけれども、今回の原発事故によって大変な被害を受けておるところの、出荷制限を受けられた方々、県の考え方によって自粛せざるを得ない方々、その他またいろいろな事情から、市場の関係の事情から自粛せざるを得ない方々、それを受けての、原発の事故と相当因果関係があるものと認定される可能性の高いものは、一緒に何とか第一次指針に盛り込んでもらいたいというようなことも強く求めてきておるところでございます。

 そういう中で、引き続いてそのことをこれからも求めていき、そして、その指針にきちっと盛り込まれたならば直ちに仮払い等々は支払いがなされるようにというようなことも、強く私どもは求めていきたいと思っております。

石田(祝)委員 この問題につきましては、先日の予算委員会でも、私は、農林水産大臣の立場として仮払い一時金についてはどうかと。大臣はその質問に対して、ぜひ早急にやってもらいたい、こういう御答弁もありましたので、きょうの御答弁とあわせて、被災された農家の方、また漁家の方にも応援をぜひお願いいたしたいというふうに思います。

 それで、ちょっと角度を変えまして、林野の関係で若干お伺いをいたしたいというふうに思います。

 今、仮設住宅の建設も進んでいる。用地の確保もできた、大体徐々に進んできている。それで、先日の予算委員会で菅内閣総理大臣は、お盆までに希望者が全員入れるようにしたい、こういう答弁をなさったと思ったら、国土交通大臣は初めて聞いた、そういう話。それで、きのうも各党と政府合同の対策会議の実務者会議で国土交通省から報告がありましたけれども、それは総理の発言の後の報告で、なお総理のそういう指示が全然、ある意味では私から見たら軽く見られている。もともとの総理の指示、予算委員会での答弁があったことをまさしくなかったかのようなもともとの計画を出してきている、こういうことで、総理の指示がその程度にしか受けとめられていないのかなと、非常にこれは残念な思いも私はいたしました。

 ですから、総理がお盆までにと。私は、そのとき質問者であれば、新盆か旧盆かということも聞きたかったんですが、八月らしいですけれども、どうもその辺のことも確たる政府の方針になっていない、こういう感じがいたしました。

 そういう中で、特に今回被災を受けた地域には合板の工場等もたくさんあって、非常に全国でのシェアも高い。そういうところが被害に遭って、仮設住宅をつくるのに原材料が非常に全国的にも逼迫しているんじゃないかということがございます。林野関係について、林野の被害の状況を簡単にお話しいただきたいということ、それから、仮設住宅建設に必要な合板また原木等の木材の適正かつ円滑な供給、このことについてお伺いをいたします。

吉田(公)大臣政務官 石田委員にお答え申し上げます。

 林野関係の被害状況は二千三百三カ所でございます。被害総額でございますが、一千二十三億円と想定されております。特に、海岸部の保安林におきましては甚大かつ広域に及びます被害が発生しておりまして、災害復旧事業等の実施により、被災地の復旧、復興に傾注していく所存でございます。

 また、木材加工それから流通施設でございますが、全国の約三割の生産量を占めております岩手県と宮城県の合板製造工場を初め、相当な被害を受けておりまして、補正予算において復旧に向けた支援策を盛り込むこととしております。

篠原副大臣 合板の状況については、私の方からお答えいたしたいと思います。

 先ほど大臣が、漁業について、北海道から千葉まで日本の総漁業生産額の半分ぐらいを占めていると言われましたけれども、合板についても東北地方はかなりの生産量を誇っておりまして、全体の三割ほどでございます。そこが壊滅的な打撃を受けたということでございます。

 我々は、これがありましたので、ちょっと不足するような事態が生ずるのではないかというので先手を打ちまして、震災を受けていないところの工場とのマッチングを考えております。三月下旬からは、ほかのところ、影響を受けなかった合板工場にフル生産をお願いしております。

 なぜかといいますと、毎月二十三万立方メートルぐらいずつ生産していたわけですけれども、三月は十六万立方メートルに落ちてしまいました。七万立方メートル足りない。これが仮設住宅の復興需要と相まちまして、ちょっと短期的には足りなくなったのではないかということで、業界等もそういったことを盛んに言っておりました。

 ですけれども、フル生産をいたしました結果、四月の前半で、半月分で十三万立方メートルに回復いたしましたので、四月全体で見ますと二十六万立方メートルということで、昨年の平均の月の生産量を三万立方メートルほど上回ることになっております。こういった状況が続けば、合板不足というのは解消されるのではないかと思っております。

 それから、第一次補正予算におきましても、今申し上げましたマッチングでございますけれども、仙台のあたりの合板工場が生産再開できないもので、北陸や中国地方の合板工場に青森や岩手や秋田から持っていっていただく。その運送賃はバックアップする、援助するという予算要求を六億ぐらいさせていただいておるところでございます。

石田(祝)委員 生産数量がもとに戻った、また平均を上回ってきた、こういうことは非常に結構なことだと思いますが、震災を理由にして買い占めだとか売り惜しみ、そういうことが西日本の方であったのではないかというお話も聞いたことがあります。ですから、これは、ぜひそういう点も目を光らせておいていただきたいと思います。

 それぞれ復興に協力をしようという方はたくさんおりますけれども、現実に自分の足元でそれにつけ込むような動きがあればこれは許せない話でありますから、しっかりとそのあたりも見ていただきたいと思います。

 それで、きょう環境省からも来ていただいておりますので、瓦れきの問題をお伺いしたいと思います。

 瓦れき撤去については、今回は、陸上また海、それも港湾、漁港そして漁場といろいろなところがあるわけですね。特に海の中はなかなかわかりにくいということもあります。これは、環境省として瓦れき撤去を担当されるわけだと思いますが、今地元の方で、私が直接ではありませんが、こういう心配があるということが入ってきましたのは、国は一〇〇%出すと言っているけれども、本当に最後になって出してくれるのかという心配があると。

 例えばそれは、瓦れき撤去のやり方ですよ。物すごく大きな一部上場企業のようなところの瓦れきを、地元の産業を早く立ち直らせなきゃいけない、そういうことでやったとしたときに、後から、そんなところは出ないんだよというふうに言われたら、これはもうどうしようもないわけですので。

 その瓦れき撤去の具体的なマニュアルというんですか指針、要綱、これを早く出してあげないとなかなか手がつけられない。どこかに、道路で車が通れるぐらいにはよけていますけれども、そのまま積まれている、また一時保管のところではそのままになっている、こういう例もあるように聞きます。ですから、環境省としてこういうマニュアル的なもの、要綱を私は早く出すべきだと思いますが、この点についてはどういうふうにお考えですか。

樋高大臣政務官 石田先生におかれましては、今回の震災対策に大変御熱心にお取り組みをいただいておりますこと、心から敬意と感謝を申し上げさせていただきたいと思います。

 今先生おっしゃいました今般の震災に伴う災害廃棄物処理の財政措置につきまして、今回は特例といたしまして、災害救助法の負担率を勘案した国庫補助率のかさ上げを行う。それと同時に、一方で、地方負担分につきましてでありますけれども、災害廃棄物処理事業費が多額に及ぶ市町村につきまして、その全額を災害対策債により対処いたしまして、その元利償還金の一〇〇%を交付税措置することとさせていただいたところでございます。

 環境省といたしまして、これまで自治体に対しまして、今回の東日本大震災に係る災害廃棄物処理事業の取り扱いにかかわる必要なQアンドAというものをつくらせていただき示してきたところでございますが、補正予算が成立をして、そして東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律が施行した後、直ちに、速やかに補助要綱等を市町村に示すことができるように、先生の御指摘をしっかりと重たく受けとめて対応させていただきたいと思っております。

石田(祝)委員 政務官、もう一点ちょっとお伺いしたいんです。

 これは質問のレクのときにお話をしたんですが、市町村がみずからやる、当然これは委託をするわけでありますけれども、そのときに、私は、現地の被災された方でちょっと仕事がなくなっているという方は優先的に使って仕事をさせていただきたいと思います。

 そのとき、例えば今回の補正予算で海の中の瓦れき、これは水産庁がやるということで予算も要求しておりますけれども、その日当がもう明確になっているんですね、一万二千百円と。そして、船を借りる、船を動かした場合はたしか一日二万一千円ですか、そういう数字がもう表になっております。そうすると、例えば同じ作業をして日当に差が出るとかいう形を私は大変心配しておるんですが、そこのところの平仄を合わせるようなことはしっかりと連携がとれておりますか。ちょっとその点を教えてください。

樋高大臣政務官 お答えさせていただきたいと思います。

 私自身、今回、環境省の災害廃棄物対策特別本部長を仰せつかりまして、今まで現地に八回調査に入りまして、現状を的確に把握してきたところでございます。

 特に、地震、津波によりまして膨大な瓦れきが発生をしているということでありますけれども、市町村が行う瓦れきの除去につきましては、市町村からいわゆる民間事業者への委託などによって行われるのが通常である、このように考えているところでございます。

 その場合につきましてですけれども、入札を行うことなどにより公平性、透明性が確保されるべきものであります。これは当然のことでありますが、その上で、受託した事業者が諸法令の規定をしっかりと踏まえていただいて適正な賃金を支払うことになる、適正な賃金が確保されることになると認識をしているところでございます。

 なお、先生が今おっしゃいました問題意識につきましては、私自身、政務官としてしっかりと受けとめさせていただきたいなというふうに思っております。

石田(祝)委員 私がきのうそういう質問のレクをしたときに、どうも環境省はそういうことはお考えになっていなかった。それはもう市が発注して市がやるんだ、こういうお考えで、どうもそういう点には思いが至っていなかったと私は思います。

 これはぜひ、いろいろな方が復興のために、またそういうところで仕事をして、お金も受け取りながら復旧に尽力していく。その中で、余り金額に差が出てくるようだと、そういうときにいろいろと現地でもめごとになりはしないか。これは杞憂かもしれません。そういう点も心配をしておりますので、よくお考えをいただきたいというふうに思います。

 それで、ちょっと通告しておりませんでしたが、今の政務官の御答弁で、入札をするとかいうことになったとき、今は、地元に限るとか、そういう条件をつけられないでしょう。これは地元の方を使ってほしいという私たちの思いもあるんですけれども、通常の入札ということをお考えですか。こういう震災に関して、やはり地元優先でやろうというふうなことはできますか。そこはちょっとはっきりさせておかないと、全然関係ないところから飛び込んできて、安いからここにやらせちゃおうなんということになってしまいますよ。それはどう考えていますか。

    〔委員長退席、佐々木(隆)委員長代理着席〕

樋高大臣政務官 恐れ入ります。

 まず、この実施主体が市町村、あるいは市町村から委託された県が行うということでございますけれども、その実施主体はあくまでそれぞれの地方にゆだねられているというのが今回のスキームでございます。ただし、私自身は、さまざまな会議、あるいは現地に入りまして何度も申し上げておりますのは、やはり地元の皆様方の雇用をなるべく可能な限り最大限していただくということをお願いさせていただいているところでございます。

 今の先生の御指摘も大変重要な御指摘だと思います。私自身、政務官としてしっかりと受けとめさせていただきたいと思っております。ありがとうございます。

石田(祝)委員 政務官、しっかり受けとめるという答弁が多いですけれども、受けとめて、ちゃんとやってくださいね。これはお願いしたいというふうに思います。

 それで、きょうは厚生労働省にも来ていただいております。一点だけ、災害の援護資金の問題であります。これの現状は、貸付利率が三%だとか、また借りた人が亡くなった場合はいろいろな事情をしんしゃくすることなく返してくれ、こういうふうなことになっているようにお聞きしておりますけれども、これを思い切って今回見直されるということも聞いております。

 その中身と、私は、この貸し付けの限度額、これはきょう答弁を求めませんけれども、限度額もやはり三百五十万でしょう、この辺ももうちょっとふやすべきではないのか。これは意見として申し上げておきたいと思います。

清水政府参考人 災害援護資金についてのお尋ねでございます。

 この資金は、災害によりまして住家、家財に被害を受けた場合あるいは世帯主が重傷となった場合に最大三百五十万円貸し付けるという制度でございます。

 この制度につきましては、石田先生を初め御指摘いただいてございます。これを受けまして、政府部内で調整をいたしました。その結果、今回の大震災の被害が甚大であるということにかんがみまして、先日閣議決定されました東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律案に特例を盛り込んでおります。

 それは三点ございます。

 一点目は、法定三%の貸付利率といいますものを原則無利子化するということでございます。二点目、償還期間が十年、うち三年が据置期間ということになってございますが、これをおのおの三年間延長するということ。三点目でございますが、今御質問にございましたように、償還免除理由を拡大する。この三点を今回の特例法案に盛り込んだところでございます。

石田(祝)委員 続いてお伺いをいたしますが、今回、田んぼ、水田が塩をかぶったり、つくれないところが相当ある、こういうことでございます。それで県間調整等努力をいただいたと思いますが、最終的にはすべてが県間調整でカバーできなかったということも聞いております。

 それで、これからお米の値段がどうなるだろうかということも若干気になるところでありますけれども、米の需給、価格変動、また二十三年産米の見通し、これはどういうふうにお考えになっていますか。

    〔佐々木(隆)委員長代理退席、委員長着席〕

篠原副大臣 県間調整というのは行われておりまして、先ほどの質問者の皆さんにお答えしております。

 ですけれども、影響を受けました面積は、地震津波の被害面積も二・四万ヘクタール、原発の方の関係はまだきちんとしていない面がありますけれども、福島県の要望してまいりました県間調整もそれほど多くはないということでございまして、我々は、当面の米の需給には特段支障はないものと思っております。

 ただ、新聞報道されておりますとおり、二十二年産米、東北産の米の価格は一%ぐらいから九%ぐらい上がったりしているというのはございます。ですけれども、全体で見ればほとんど上がっておりませんで、前月並みの水準でございます。こうしたことを考えますと、やはり、二十三年産米、あるいは二十三年度におきましても、それほど価格についても影響はなく、需給についても混乱はないものと思っております。

石田(祝)委員 価格に影響はない、こういうお答えでありますけれども、価格に影響がないということは、去年並みに非常に低い米の価格になるということですね、おっしゃっていることは。非常に、つくっている方からすると、また去年と同じぐらいの見通しかということにもなるわけでありますが、需給に心配はない、こういう御答弁でありますから、きょうのところはそれを受けとめたいと思います。

 それで、今いろいろ言われておりますのは、家畜の扱いです。これが、警戒区域が設定をされる、また計画的避難区域、緊急時避難準備区域というものが設定をされて、家畜についても、牛を所有者の了解を得て殺処分にしなくちゃならないだとか、そういうお話も出てきておるんですが、これは具体的に、家畜はどういうふうに扱われる予定ですか。

 例えば、そういうところで死んだ牛とかいうものは、ちゃんと補償とか賠償みたいなもの、これは賠償となると当然という話になるかもしれませんが、そのあたりの家畜をどういうふうにこれから取り扱っていくのか、方針は決まっておりますか。

篠原副大臣 原発の関係の対応につきましては、お気づきいただいていると思いますけれども、我々は、出荷制限、作付制限、前広にきちんとルールをつくりまして、着実にやってきたのではないかと思っております。

 正直なところ、そうした中で、家畜の取り扱いにつきましては、余りにも急だったことがございまして、特に、今で申し上げますと、警戒区域、入ってはいけない地域についてはそのままほったらかしにされてしまった。この扱いについてはどうするか、事後処置でもって処理するしかないということで、少々手間取っております。

 先に、補償の点でお答えしますと、当然のことでございますけれども、これは、この区域内の家畜につきましては全面的に補償されることになっております。それで、今現在で申し上げますと、死んでしまっている家畜が相当おるわけでございますけれども、我々が承知しているところでは、警戒区域内に乳牛が百頭とか肥育牛三百頭、済みません、楢葉町、浪江町。町によってちょっとずつ違うんですが、合計でいいますと七、八百頭の牛がまだいるということを承知しております。

 そういった状況にございますので、福島県と相談いたしまして、四月二十五日以降、南相馬市や田村市から順次、福島県の獣医師が二十キロメートル圏内に十分な装備をして参ります。死亡畜かどうかというのを、死亡していた場合はブルーシートをかけてそのままにしておく、それから、何頭いるのか、これをどうしたらいいのかということを調査し出しております。

 それから、これにつきましては先ほど赤澤委員の方からも御指摘がありましたけれども、ペット類もそのままになっておるわけでございます。これについても、全国民、動物愛護に非常に関心を持たれる方等から、私のブログのところの意見メールも、何とかしろということで、この人たちにほぼ占拠されております。

 こういったこともありますので、まず、我々は、我々の所管の家畜等についてございますけれども、一緒にペット類についてもきちんと対応していかなければいけないのではないかと思っております。

 そういった手はずを今、原子力安全委員会と相談しております。どの程度入って、例えば我々は二時間立ち入りできるとかいうのがあります。それに対して、獣医師の皆さんはちゃんと防護服を着て行ったら何時間いられるのかというようなことをすり合わせている途中でございます。

石田(祝)委員 この問題は、今副大臣がお認めになったように、対策がおくれている、そのとおりだと思います。

 それで、去年、口蹄疫のときに、思い出してみますと、やはり殺処分をしなくちゃならない牛が出てきた。そのときには、基本的には一頭一頭評価をする、こういうことであのときはやったはずであります。今回は、もう皆さん逃げられて、泣く泣く牛を置いて出られた、豚を置いて出られた。ですから、牛を一頭一頭評価する時間がなかったと思うんです。もう死んでいる、また、もうやせこけているということでしょうから、この辺のことは、やはり一頭一頭というのは現実的にどうなのかな。

 私は、ぜひ一頭一頭何らかの形でしっかり評価をして、これは東電に補償を求めるべきだというふうに思いますけれども、そういうお考えはありますか。

篠原副大臣 口蹄疫と比べましても、ずっと被害の度合いというか、精神的な被害等を含めますと大きいのではないかと思います。したがいまして、もう牛自体がないわけですし、やせ細っておるわけでして、評価というのは難しいかと思いますけれども、過去の出荷額、過去の評価等を見まして、十分な補償措置を講じてまいりたいと思っております。

石田(祝)委員 それはぜひ、飼養農家の方々、畜産農家の方のお話もしっかりと聞いていただきたいと思います。

 最後に、時間がなくなってまいりましたので二点お伺いいたしますが、今回の震災は激甚災にすぐさま指定をしていただきました。それで、水産の被害については全国にも広がっております。これは、宮崎とかいうお話も先ほどありましたけれども、私の住んでいる高知県も大変な養殖施設の被害がありました。そのとき、査定をどうもまだなかなかやってくれないということで、激甚の査定を受ければ、これから復旧するときに補助率もいいわけですけれども、東北以外の地域の査定というのは、激甚の査定は十二分にもうやられているのかどうかということ。

 それから、先日、予算委員会で、私が鹿野大臣に、コンテナ型で、冷凍冷蔵設備を持っているコンテナがある、これを借りたらどうか、こういう声が現地でもありましたということを御紹介しながら御答弁を求めたんですが、どうもそのコンテナについてお答えはなかったように思いますので、改めてこの二点をお伺いいたします。

吉田(公)大臣政務官 お答え申し上げます。

 石田委員のお地元の高知県を含めまして、東北地方以外の地域におきましても、御指摘のとおり、養殖業を中心に大きな被害が発生をしております。

 いずれの地域でも復旧に全力で取り組む所存でございまして、過去の養殖施設の激甚災害復旧事業の先例におきまして、審査が行われる前に復旧済みの施設にありましても、証拠書類、例えば領収書等がそろっていれば復旧事業の対象となるよう取り扱ってきたところでございます。今回の災害復旧事業においても同様の方向で調整をいたしております。

鹿野国務大臣 今、コンテナの件につきましてお触れになられましたけれども、農林水産委員会の御視察の際も、気仙沼の魚市場におきまして御要望があったというふうなことも承知をさせていただいております。

 そういう意味で、冷凍冷蔵機能を持つコンテナを整備したいという御要望に対しまして、被災地の現場の方々のそういう御要望を踏まえて、適切に対応してまいりたいと思います。

石田(祝)委員 吉田政務官、現地は、被害の金額から当然激甚災になるだろうと思っていますけれども、やはり、なる前に、どんどんやっていいよと言われても、最後にならなかったらどうなるんだという思いがありますから、これは東北ももちろん大変ですけれども、その他の地域も、被害を受けているということでいえば同じなんですよ。ですから、これは早く、激甚なら激甚の査定がしっかりと明確になるようにやっていただきたいと思います。この点、ちょっと最後にもう一度御答弁をお願いします。

吉田(公)大臣政務官 御指摘がありましたように、そのように努めてまいります。

石田(祝)委員 終わります。ありがとうございました。

山田委員長 次に、吉泉秀男君。

吉泉委員 社民党の吉泉秀男です。

 先日、福島の県知事、福島の市長、そして各JAの組合長、農家の方々とお話をさせていただく機会がございました。その中で、今副大臣がおっしゃられた二十キロ圏内の家畜の問題、このことについて質問もさせていただきたいというふうに思っております。

 今、畜産農家は、まさに、もう一度戻る、そういう元気はございません。途方に暮れて避難地で暮らしているというのが現状です。

 統計上見れば、牛三千五百頭、豚三万頭、馬百頭、鶏六十七万五千羽、これが事故前の二十キロ圏内に飼育、さらには家畜として、それぞれ畜産農家が一生懸命努力をしてきた一つの光景でございます。これがすべてなくなっている。そして、ほとんどが飢え死にしている。こういう状況。

 これまで二十キロ圏内立入禁止、このことを決めたのは国でございます。このことについて、何らかの対応、何もできなかったのかどうか。今、ほったらかしのような状況になってしまったという副大臣の答弁があったわけでございますけれども、現状について、これだけの畜産、家畜が今現状どうなっているのか、わかれば教えていただきたい、こういうふうに思います。

吉田(公)大臣政務官 お答え申し上げます。

 今御指摘がありましたように、二十キロの区域につきましては、三月十二日の爆発と同時に、避難指示区域として立ち入りを制限いたしました。家畜の作業をする人たちの放射能被害の可能性や作業自体の危険を伴いますので、家畜の移動等の方針を示すことは極めて困難な状況でございました。

 四月二十五日からでございますが、福島県内の獣医師の皆さん方が、十分な装備をいたしまして、死亡家畜の消毒や瀕死の家畜等の処置をいたしております。福島県等の意向を十二分に踏まえまして必要な協力を実施しておりますが、現時点での警戒区域内で生存しております家畜の数でございますけれども、推測でございますが、今のところ、四町、若干その他の町も入れまして、乳牛百頭、繁殖牛、肥育牛含めまして三百頭、それから乳牛が十五頭、肥育牛が六十頭、その他が百頭というような状況になっております。

吉泉委員 今、私、それぞれ牛、豚、鶏、話をしたんですけれども、これは家畜共済の関係はどうなっているんでしょうか。家畜共済に入っていて、そしてこのことについては、東電の賠償等の前に家畜共済の支払いがなっているのかどうか、そのところはどうでしょうか。

篠原副大臣 共済とは別でございまして、原子力損害賠償法による補償ということにしたいと思っております。

吉泉委員 今、飯舘村それから川俣町、このところが、一カ月以内の避難、こういうお願いをされながら、早朝から夜遅くまで、どうしていくのか、これは、それぞれ町の職員、村の職員、農協の職員、農家の人たち、もう寝ないで今やっているわけですね。

 私は、これまでの口蹄疫そしてまた鳥インフルの状況から見ると、今回の原発事故に対して、畜産農家に対する手だて、対応、全く不十分だ、こういうふうに言わざるを得ないというふうに思っています。

 先日、先般の質問の中で政府の声高な答弁がございました。これはどうするのか、移動、売却、そして殺処分、こういう三つの方法があるというお話も答弁として受けたところでございます。

 これから、三十キロ等の中における家畜、このことについてどう対応していくのか。ましてや、移動するというについても、それぞれ放射能を浴びている、そういう畜産をほかのところで受け入れられるのか。また、それぞれ食肉にする、そういう状況にあっても、価格の問題で相当の不利益が出てくる、こういうふうにも思っております。

 そういう面の中で、二十キロ圏内において対応してきたその対応の問題と、今これからやろうという、そういうふうにせっぱ詰まっている農家に対して、国としてどういうふうにこのことについてメッセージを出していくのか、このことをまずお伺いします。

鹿野国務大臣 先生からの御指摘の、計画的避難区域、この指定によってまさに家畜を移動、避難せざるを得ないというような畜産農家の方々につきましては、現在、具体的な、移動あるいは出荷に向けて、移動先のあっせんなどの支援を行うために担当者を福島県に派遣いたしているところでございます。

 移動先につきましては、調査のまだ途中段階でございますけれども、二十三の施設が受け入れの検討をしておるというようなことでございまして、これから移動までの猶予期間というのはもう限られたことでございますけれども、福島県とも協力をいたしまして、生産者の方々の意向を踏まえて、区域外への移動、出荷というところにできるだけの努力をしてまいりたいと思っております。

吉泉委員 ひとつよろしくお願いしたいというふうに思いますし、自分自身も連休の前後にこの二つの自治体にお邪魔する予定にしております。

 まさに、畜産農家から見れば、もう本当に再起不能みたいな、そういう状況になっているんですよ。ただ単に賠償金を払えばいい、こういう問題ではないというふうに思っております。そんな面からいえば、やはり、一つ一つの、家伝とは違うわけでございますから家伝法では対応できないわけですけれども、今回の原子力の事故、その部分に対応しての何らかの手厚いものをメッセージとして出していかなきゃならない、私はこういうふうにも思うわけでございます。そんな面でぜひよろしくお願いを申し上げたい、こう思っております。

 次に、農地の関係で、質問も多くの方々から出されたわけでございますけれども、約二万四千ヘクタール、この農地のところについて、これをすべて復元する、こういう問題。それならば一番いいわけでございます。しかし、それと同時に、農家が大型機械等々皆含めて流されている、こういう状況もあるわけでございます。そして、陸前高田なり名取なり、そこに行きますと、宅地なのか農地なのか境がわからない、こういうやはり現実です。

 そんな中からいうと、今、当面のものとして、どのぐらいの面積までそこを農地として復元して、努力をしていこうとするのか、まず、このことを冒頭お聞きいたします。

篠原副大臣 今吉泉委員の御指摘のとおりでございまして、みんな跡形もなく、家等も流されている。それから、農地におきましても、あぜとか道とかさっぱりわからなくなっている、どこが境界かわからないというような状況にございます。

 そういった状況でございますから、一体、どの程度の被害を受けたところがどの程度の面積かというのを、先ほど赤澤委員から、ちゃんとしていないじゃないかという御指摘を受けましたけれども、何しろ面積が広いもので、それから、市町村の役場、市役所の体制が整っておりませんので、そちらの方から報告がないと、我々が全部のところへ行って見るわけにもいかないということで、そこが不確かな面がございます。

 そういうことでございますけれども、しかし、きちんとしていかなければいけないということは承知しておりますので、とりあえず、二万四千ヘクタールのうち九千ヘクタールぐらいはことし、来年で何とかなるのではないかということで、一つ区分けをしております。それ以外のことにつきましては、事情がわかったら、徐々に再開支援事業の対象にしていく考えでございます。

吉泉委員 今回の津波なり地震というものについては、例えば台風の場合だとそれぞれ経験もあるわけでございますけれども、そのときは、それぞれ稲なり多くの作物を植えていて、そしてそれが流され、その中において共済の見舞金なり支払われてきたんだというふうに思っております。

 しかし、今回は何もないわけです、何の補償も、何もない。こういう中で、裸にされている。それを、もう一度頑張れ。機械も何もない。農地は復元をするよというふうに言っても、農家が本当にもう一度頑張る、こういうふうになるのかどうか、そのことを自分自身非常に思っております。離農者が多くなるのでないか、こういうふうにも思っております。

 そうした面では、やはり、農家の再建策ということについて、生活保障の問題も含めながら手厚い対応をしていかなきゃならないし、そしてまた、今答弁に出されました九千ヘクタールだというふうな考え方で進めていこうとするならば、そのことについて、きちっと、それぞれ地域の方々と連携をとりながら、気持ちをしっかりお聞きしながら対応していかなきゃならない、そういうふうに思っておりますし、そのことについて要望をさせていただきたいというふうに思います。

 次に、瓦れきへの対応でございます。

 仙谷副長官は、東北六県の知事の要請に対してそれぞれ、この瓦れきの問題について、国は、力を挙げて、スキームも含めて国が責任を持ってやっていく、こういう答弁をなされたようにお聞きをしております。

 しかし、宮城の県知事の方からは、汚泥も含めて約一千八百二十万トン、こういう数字も出されております。そして、今、大変な、行方不明の方々の捜索活動、そのことも含めて、この一カ月間頑張ってきた、本当に敬意を表させていただきたいというふうに思っておりますけれども、間もなく夏を迎えます、そういう中においては、生活環境のところにおいて、なるべく早く、瓦れき、この部分について一時的な形で撤去していかなきゃならない、こういうふうに自分自身思っております。

 この一カ月間の状況を見ると、自衛隊含めて、生活関連道路からなくなって、きれいになってきているところも相当多くなってきております。しかしまだまだ、今の現状からいうならば、今後、分別の問題そしてまた置く場所、こういうものを見た場合、ことし一年間の中でどこまで進むのか。そしてまた、国として、官房副長官がスキームというふうに言ったわけでございますけれども、このことに対して、瓦れきの、方向、具体的な日程なんかも含めて環境省としてどう考えているのか、お伺いさせていただきます。

伊藤政府参考人 今回の震災におきましては膨大な災害廃棄物が発生しており、地域の実情に応じた災害廃棄物の迅速かつ計画的な処理が必要だというふうに当然認識しているところでございます。国といたしましては、必要な財政面での措置を当然講じているところでございますが、加えまして、計画的な処理を進める上では、工程表を含めた処理計画の策定が極めて重要である、こういうことでございます。

 環境省では、県、市町村、国の地方支分部局や関係業界団体等をメンバーとした災害廃棄物処理対策協議会の設置を岩手県、宮城県、福島県の三県に呼びかけたところでございます。これを受けまして、これらの県では既に協議会が開催され、市町村、県、国が協力して災害廃棄物処理を進めるための体制が整備されたところでございます。

 この中で、宮城県におきましては、既に災害廃棄物処理の基本方針を示され、おおむね一年を目標として災害廃棄物を被災地から搬出し、おおむね三年以内に処理を終了すると表明されているところでございます。

 環境省といたしましても、今後も、各自治体の計画の策定を促しつつ、被災した各県の災害廃棄物処理の進捗状況を把握し、適切な工程管理により円滑かつ迅速な処理が進むよう、最大限関係自治体等を支援し、一緒に取り組んでまいりたい、こういうふうに考えております。

吉泉委員 今、それぞれの市町村の中において、自治体にある建設業協会、このところにゆだねて、それぞれエリアを決めて、そしてそこから、建設業協会の中で漁師さんなり農家さんなりを雇いながら進めている、そういうふうに聞いております。

 しかし、このことについて、もっともっと進むならば、今度、分別なりいろいろなことが出てくる、そして、置く場所がない。そのことについては、国は用地も確保しているというふうに言うわけでございますけれども、まだまだ、十日、二十日ぐらいしか進んでいないわけですから、これから進むぐあいについて、ぜひ国としての指導の方をお願い申し上げながら、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十六分散会


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