第10号 平成23年4月30日(土曜日)
平成二十三年四月三十日(土曜日)午前十一時十分開議
出席委員
委員長 山田 正彦君
理事 梶原 康弘君 理事 佐々木隆博君
理事 津島 恭一君 理事 仲野 博子君
理事 柳田 和己君 理事 谷 公一君
理事 宮腰 光寛君 理事 石田 祝稔君
石田 三示君 石原洋三郎君
石山 敬貴君 今井 雅人君
大串 博志君 加藤 学君
金子 健一君 京野 公子君
小林 正枝君 篠原 孝君
田名部匡代君 高橋 英行君
筒井 信隆君 道休誠一郎君
中野渡詔子君 野田 国義君
福田衣里子君 松岡 広隆君
松木けんこう君 山岡 達丸君
吉田 公一君 吉田 統彦君
伊東 良孝君 江藤 拓君
小里 泰弘君 小野寺五典君
谷川 弥一君 保利 耕輔君
山本 拓君 西 博義君
吉泉 秀男君
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農林水産大臣 鹿野 道彦君
農林水産副大臣 篠原 孝君
農林水産副大臣 筒井 信隆君
農林水産大臣政務官 田名部匡代君
農林水産大臣政務官 吉田 公一君
農林水産委員会専門員 雨宮 由卓君
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委員の異動
四月三十日
辞任 補欠選任
網屋 信介君 吉田 統彦君
近藤 和也君 小林 正枝君
玉木雄一郎君 京野 公子君
山岡 達丸君 松岡 広隆君
今村 雅弘君 小野寺五典君
同日
辞任 補欠選任
京野 公子君 福田衣里子君
小林 正枝君 近藤 和也君
松岡 広隆君 山岡 達丸君
吉田 統彦君 網屋 信介君
小野寺五典君 今村 雅弘君
同日
辞任 補欠選任
福田衣里子君 玉木雄一郎君
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四月二十九日
東日本大震災に対処するための土地改良法の特例に関する法律案(内閣提出第六五号)
東日本大震災に伴う海区漁業調整委員会及び農業委員会の委員の選挙の臨時特例に関する法律案(内閣提出第六六号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
東日本大震災に対処するための土地改良法の特例に関する法律案(内閣提出第六五号)
東日本大震災に伴う海区漁業調整委員会及び農業委員会の委員の選挙の臨時特例に関する法律案(内閣提出第六六号)
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○山田委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、東日本大震災に対処するための土地改良法の特例に関する法律案及び東日本大震災に伴う海区漁業調整委員会及び農業委員会の委員の選挙の臨時特例に関する法律案の両案を議題といたします。
これより順次趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣鹿野道彦君。
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東日本大震災に対処するための土地改良法の特例に関する法律案
東日本大震災に伴う海区漁業調整委員会及び農業委員会の委員の選挙の臨時特例に関する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○鹿野国務大臣 東日本大震災に対処するための土地改良法の特例に関する法律案及び東日本大震災に伴う海区漁業調整委員会及び農業委員会の委員の選挙の臨時特例に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
まず、東日本大震災に対処するための土地改良法の特例に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
東日本大震災により被災した農業地域においては、被災農家の意欲を絶やすことなく、早期に営農を再開できるようにするため、災害復旧の速やかな実施が求められています。とりわけ、津波により壊滅的な被害を受けた地域においては、海水の浸入による塩害に対処するための除塩を含め、災害復旧について国等が緊急に取り組む必要があります。
また、これらの壊滅的な被害を受けた地域においては、災害復旧とあわせて農用地の再編、整備、土地改良施設の改良等の対策を講じることが地域農業の再生を目指す上で効果的であり、これらの事業について、国または都道府県が迅速に対処できるようにする必要があります。
これらの措置を実施するのに必要な土地改良事業の特例措置を講ずるため、この法律案を提出することとした次第であります。
次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、津波による海水の浸入のために農用地が受けた塩害を除去するために行う除塩事業について、国、都道府県、市町村または土地改良区が災害復旧の土地改良事業として行うことができることとしております。
第二に、国または都道府県が、農家等からの申請によらずに災害復旧とあわせて土地改良施設の変更や区画整理の事業を行うことができることとするなど、事業実施の手続を見直すこととしております。
第三に、津波による災害に対処するために行うこれらの事業について、国営事業に関する国庫負担のかさ上げ及び都道府県営事業等に対する国の補助のかさ上げの措置を講ずるものであります。
以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。
次に、東日本大震災に伴う海区漁業調整委員会及び農業委員会の委員の選挙の臨時特例に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
この法律案は、東日本大震災の影響のため、海区漁業調整委員会及び農業委員会の委員の選挙を適正に行うことが困難と認められる県及び市町村について、委員の選挙の期日、選挙人名簿の調製等に関する特例措置を講ずるものであります。
次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、海区漁業調整委員会の委員の選挙を適正に行うことが困難と認められる県として農林水産大臣が指定する県の海区漁業調整委員会の委員の補欠選挙について、当該補欠選挙を行うべき事由が委員の任期満了による選挙の期日の前日までに生じたときは、当該補欠選挙は行わないこととしております。
第二に、農業委員会の委員の選挙を適正に行うことが困難と認められる市町村として農林水産大臣が指定する市町村の農業委員会の委員の任期満了による選挙の期日について、平成二十四年七月三十一日までの間で農林水産大臣が指定する期日とし、当該委員の任期を当該期日の前日までとするとともに、当該期日の前日までに補欠選挙を行う事由が生じた場合であっても、当該補欠選挙は行わないこととしております。
第三に、選挙を適正に行うことが困難と認められる選挙管理委員会においては、選挙人名簿の調製に関する期日等を、当該選挙管理委員会が定めてあらかじめ告示する期日等とすることとしております。
以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
○山田委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。
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○山田委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐々木隆博君。
○佐々木(隆)委員 民主党の佐々木でございます。
先日、当委員会としても現地調査をさせていただいて、私も一緒に参加をさせていただき調査をさせていただきました。説明をしていただけるそれぞれの方々が被災者であり、中には家族を亡くされた方もあるという中での説明をいただいて、本当に切実な思いというものを感じてきたわけでありますし、同時にまた、被災地の惨状というものも体験をさせていただきました。
そうした被災をされた皆さん方、あるいはまたお亡くなりになられた皆さん方の思いというものを、私どもは当委員会としてもしっかりとこの法律案の中で審議をしていかなければならないというふうに思っているところであります。与えられた時間は十分間でありますので、端的に質問をさせていただきたいというふうに思います。
最初に、先ほど大臣から説明がありました二つの法律案でありますが、海区調整委員というのは、漁業法によりますと、水面を総合的に利用し、漁業生産力を発展させるというふうになっております。農業委員会は、自作農の創設及び維持、農地の利用関係の調整などに関する事務をやる執行者であるというふうにされております。いずれも、市区町村、海区に沿う市町村の住民あるいは事業者によって選挙で選出される、いわば農地や農業の番人であります。農業、漁業の維持発展に重要な役割を果たしているということは、言いかえれば復旧、復興の重要な担い手でもあるというふうに言えるわけであります。
一点、確認をさせていただきたいと思います。海区委員は県、農業委員会は市町村選挙管理委員会が執行者になると思うわけでありますが、さきの地方選挙でも一部混乱がありました。いわゆる、できる規定なのか、ねばならない規定なのか。そのことについてはあくまでも市町村が執行者でありますので、その点について、これを十分に市町村と協議、周知すべきであるということについて申し上げておきたいというふうに思います。答弁は要りません。
二点目、土地改良法についてであります。
被災された東北三県を初めとする地域は、皆さん方のお手元に資料を配付させていただいてございますが、農業生産額で全国の一割弱、耕地面積も一割弱を占めております。我が国の農業にとって極めて重要な地域であり、地震による地盤沈下、海抜ゼロメーターが五・三倍になったというふうに言われておりますし、津波による冠水被害は被災地耕地面積の約二・六%にも及ぶわけでありまして、これらの復旧はぜひ進めなければならない事業と考えます。
約二万ヘクタールを超える被害の復旧、復興には相当の時間を要すると考えるわけでありますが、被害の程度によっては、本年度から作付可能なところもあるのではないかと考えます。進捗状況と中長期のスケジュールをお示しすることが、被災民に対する安心へのメッセージになるというふうに思います。ぜひお示しをいただきたいと思います。
三点目は、原発事故について。
一昨日、ようやく原子力損害賠償紛争審議会が開催をされ、一次指針がまとめられました。事故から既に五十日も経過をしています。我が党は、原発被害対応ワーキングチームを設置し、既に三度、提言をさせていただいております。原賠法の賠償契約は、一般事故では民間保険でありますが、地震、噴火、津波の場合は政府保証契約になっているわけです。もちろん、一義的な責任は東電にあるわけでありますが、東電が政府に掛けているいわゆる保険、保険者が政府にあるわけでありまして、千二百億は政府が東電にすぐにでも支払わせることが可能だというふうに考えるわけであります。
情のない理は有害である、理のない情は無力であるといいます。我々が幾ら情を訴えても無力かもしれませんが、理ばかりを重ねていても、行動がなければそれは有害なのです。被災地では多くのボランティアの皆さん方に支援をいただいておりますが、物資も、一カ月を超えると無償提供は限界という声も聞こえ始めています。新たに計画避難地域に指定された地域の皆さんの補償も含めて、早急な政府の決断を求めます。
以上、二点について、現状の進捗と方針を伺います。
○筒井副大臣 津波の被害を受けた面積が二万四千ヘクタールに及ぶ、こういう状況でございますが、被害の程度は、今先生おっしゃったとおりさまざまでございまして、現在も海水をかぶっているところでは、まさに排水対策から始めなければいけない。さらには、水利施設の損壊があったわけですが、その損壊の程度も非常にさまざまである。そして、除塩措置が必要である。これは全体に共通するわけでございまして、これらの三つの組み合わせで、軽微なところでは、ことしの作付も何とかできるようにという努力をしているところでございます。
そして、来年の作付は少なくとも何とかしていきたいというふうに考えて、期待をしている農家も多いわけでございますから、そのためにも全力を尽くしていく。そして、来年が無理だとしても、どんなに甚大なところでも再来年からは作付が可能なようにしていきたい。今、農水省はそういう姿勢で取り組んでいるところでございます。
それと、二つ目が、原賠でしたね。
先生おっしゃるとおり、事業所が二つと考えれば、二千四百億円までは、東電が賠償した後、政府がその金額を補てんする、こういう保証契約が成立しております。ですから、今農水省は、各団体等に要請もしているところでございますし、東電にも要請をしているところでございますが、仮払いを早急にしてほしい。仮払いの手続をとった段階においては、それに対して政府保証のつなぎ融資を行うということを進めているところでございます。
紛争審査会が、おとといでしたか、第一次の指針を出しました。出荷制限の部分、それから県が関与する自粛の部分、これについて指針を出してくれました。風評被害についてこの次に出すという予定になっているというふうに私は聞いておりまして、しかも、指針の中で、仮払いも早急にするよう東電に対して要請をしている部分もあって、その点を大きく評価しているところでございます。
早急な仮払いの手続、今、JA栃木とJA茨城がもう既にされたところでございますから、これも一日も早くやっていかなければいけないというふうに考えております。
○佐々木(隆)委員 残された時間が一、二分になりましたので、もう一点。
今回の第一次補正というのは、緊急的なもの、あるいは復旧ということが中心の予算でありますが、私どもも提言の中で、復興府の設置と、そのもとでの復興再生計画、あるいは現地対策本部というものが必要ではないかということについて提言をさせていただいているところでございます。ぜひ、このことを検討いただくよう、ここは提言させていただきたいというふうに思います。
私は、今度の被災で学ばなければならないことは、今日まで我が国が行ってきた経済一極集中的な経済一辺倒のあり方というものを見直して、安心、安全な町づくりあるいは国づくりというものをどうやって進めていくのか、あまねくどこの地域にあってもしっかりとした安心、安全が確保されるというような町づくり、国づくりに転換をすべきときではないかというふうに思いますが、そういうことを含めて、大臣の決意をお伺いします。
○鹿野国務大臣 まさしく、現地の皆様方が被災に遭われた中でどのように考えておられるかということをしっかりと受けとめる。県の考え、市町村の考え方、関係者の方々とやはりいろいろな形で接触をしながら、これからどうしていくかということについての思いというふうなものを受けとめていくことが大事だと思っております。
そういう意味で、現地本部の体制をどう強化していくかということも今政府としても考えておるところでございますので、今佐々木委員から言われたようなことを踏まえて、しっかりと取り組んでいかなきゃならない。そして、復旧、復興に向けては、まさしく復興モデルになるような復興を目指していかなきゃならないと思っております。
○佐々木(隆)委員 ありがとうございました。
○山田委員長 次に、小野寺五典君。
○小野寺委員 自由民主党の小野寺五典です。
先般は、委員長を初め委員の皆様には、私の地元気仙沼を含みます三陸沿岸を御視察いただきまして、大変ありがとうございます。特に、津波といいますと漁業被害ということがイメージにわくんですが、今回、農地についても相当の被害が出ております。つぶさに見ていただきまして、ありがとうございます。
きょうは、土地改良の中で特に除塩ということについて審議をしていただいております。私、地元の農地をずっとつぶさに見ておりまして、確かに、津波をかぶって塩害というのがこれから相当予想されるんですが、それ以上に、例えば家の廃材とか工場の廃材とか、そういう大きなものが農地に散逸している場合には、ああ、瓦れきが随分入っているんだな、そんな印象を持たれたと思うんです。実際、農地に入ってみますと、一番厄介なのはガラス片、ガラスの細かいものとかあるいは小石とか、これが一見、外から見ると、あぜ道もちょっとあって、何となく圃場として生きているんだなという印象があるんですが、実は厄介なのは、このガラス片が多数ございます。
大臣も御案内のとおり、これから田植えの時期、今各農家は水を張って代かきを始めているところもそろそろ見えておりますが、その際に、例えばガラス片が入った、あるいは小石が入った、こういう田んぼで農作業というのはできるものではありません。恐らく、災害復旧の中で、塩というものもございますし、油というのもあると思いますが、さらに小さな瓦れき、ガラス、こういうものも含めた復旧が必要だと思います。現在、こういう全体を含めた復旧についてどのようなお考えがあるか、お聞かせください。
○鹿野国務大臣 今小野寺委員から申されたとおりに、大変な被害を受けた農地、その中で瓦れきをどう除去していくかということでございますが、これは御承知のとおりに、農地も含めまして環境省の災害廃棄物処理事業で処理というふうなことで進めているところもございますけれども、当然、農地、農業用の施設災害復旧事業によりまして、農地の復旧と一体的に瓦れきの処理を行うことができるわけでございます。
まさしく、瓦れきと言われるものが取り除かれても、今御指摘のとおりに、実際に農作業というふうなものになった場合に、小石とかあるいはガラスとか、そういうれきがたくさん含まれておるのをどう取り除くかということは、農業のいわゆる災害復旧事業というふうな中で、特に実質的に農作業ができるような処理を行う、そういう中で取り組んでいきたいと思っております。
○小野寺委員 残念ながら、地元を歩いてみますと、まだ農地に対しての復旧、あるいは瓦れきの片づけ、そして、意欲的な農家の方で、例えばことしの作付に向けての水田での代かきの問題とか、そういう前向きな姿が実は地域では見えておりません。恐らく、まず復旧をするということが頭の中に重くのしかかっていると思うんですが、その際、ことしの作付ができない農家というのは、多分多数あるんだと思います。もしかしたら、これは除塩に技術的には複数年かかる、そういう専門家もいらっしゃいます。そうしますと、一年なのか二年なのか、作付ができない農家が出てまいります。
皆さんも御案内のとおり、例えば労働者であれば、雇用保険に入っている方であれば、失業手当、休業給付、あるいは雇用調整助成金の研修制度、さまざまな形でその日の収入、その月の収入というのが保障されることがありますが、農家の方に関しては、保障というのはほとんど今回見られない。また、作付後の今回の津波であれば、恐らく共済ということでの対応があるんでしょうが、三月十一日といいますと、東北地方で作付をしている農家は基本的にはございません。
ですから、こういう中で、農家の所得を維持する、農地の復活の間、支えていくということが急務だと思いますが、政府としてはどのようなことを考えていらっしゃいますでしょうか。
○鹿野国務大臣 今小野寺委員からの御指摘のとおりに、やはり農地を復旧させるためには時間がかかる、この間どうするかということは非常に大事なことでございまして、私ども、そういう意味で、先ほど申し上げますとおりに、まず、瓦れきの処理等々をしていかなきゃならない場合に、被災農家の方々の雇用の場、雇用というふうなことに配慮して、そこにかかわっていただくというふうなことが一つだと思っております。
それから、今回の補正予算におきまして、農作物の作付が困難だという地域におきまして、地域の取り組みとして、復興組合を組織していただいて、そして営農再開に向けていわゆる復旧作業というふうなものを共同で行ってもらう。そのことにおいて、被災農家経営再開の支援事業というようなことで、農家の人たちが直接復旧事業にかかわっていただくことに対して国として支援をしていく、このような施策も講ずることにいたしておりまして、そういう中で被災農家の方々の復旧までの生活の糧にしていただくことができるようにしていきたい、こんなようにも考えておるところでございます。
○小野寺委員 今回のこの制度について、多分さまざま工夫があってのお考えだと思います。特に、復興組合をつくって、そこで、水田であれば反当三万五千円とか、そういう支援というお考えだと思うんですが、やはり、私ども聞くと、一面わかりにくい状況がある。
例えば漁業であれば、今回努力いただきまして、一日一万二千百円だったでしょうか、例えば漁場環境の清掃、整備にかかわる日当という形での支払いというのが行われますので、そこに参加した人は、一日幾らもらえるということはかなり明確な中で復旧作業について携わることができますし、これで日々の糧を得て、そして来るべき漁業の再開に向けてという何か明確なシグナルがあるんですが、今回の、復興組合をつくって、組合で反当三万五千円出します、あとは組合員でそのお金を分けてくださいというような形では、何か従事している農家の方、あるいはその農地自身も、実は自分の所有している農地ですから、私の所有している農地でほかの人が働いてほかの人がお金をもらう、私には来ないのかな、こういう不公平感が出ないのかなと思うんです。こういうさまざまな不公平感について政府としてはどのようなお考えがあるか、教えていただければと思います。
○鹿野国務大臣 基本的には、被災に遭われた農家の方々の中に専業的な農家の方々とかあるいは兼業農家の方々とかいろいろな方々がおられるわけでございまして、そういう中でも、被災を受けたということに対しては、大変な被害を受けておるわけでございますので、復興組合に対して一括に交付をいたしまして、そして実際に作業した農業者に対して、従事時間やあるいは作業面積に応じて支払われていくものと思っておりますけれども、私どもといたしまして、必要があるとするならば、いろいろそういう一括交付をさせていただく中で考え方もまた示していきたいと思っております。
○小野寺委員 これはさまざまハードルはあるんでしょうが、一番わかりやすいのは、今回被災を受けた、例えば水田であれば、反当三万五千円がいわゆる休業補償のような形で支払われる、そして今後、農家の方でほかにお勤めがなくて専業でやっていらっしゃる方、こういう方が、例えば圃場整備の事業を含めた形で一緒に協力することによって日当を幾ら払う、こういう二段構えの支払いができれば、私は、今回作付ができない農家の方が安心をする。
そして、この時期になりますと、農家の方というのは体が動かしたくて仕方がありません。避難所にいらっしゃる方でも、あるいは、今、二次避難の温泉地に行っていらっしゃる方でも、どうしてもやはり土と何か触れ合っていたいということで、独自にそこで農地を借りて始めています。こういう農家の方の心というのは、やはり常に、この時期になると、何か農作業、働きたい、そういう思いがあります。
反当三万五千円はありがたいんですが、何か集団で行うという形だけで支払われるという形ではなくて、むしろ直接的に、漁業者と同じように、一日参加すれば日当は幾ら出ますよ、ぜひそういうような方向でお考えをいただくことはできないでしょうか。
○鹿野国務大臣 今お話も申し上げますとおりに、被災農家の方々に対する生活支援というものは、まず先に専業農家の人たちを優先すべきではないか、こういうふうな声もございました。
しかし、そういう中でも、やはり兼業の農家として食料供給に大きな貢献をしてきてくださる方々もおられるわけでありますから、やはり一体的にそういう方々に対しても支給をしていかなきゃならない。このようなことから、共同でやった場合に一括交付をさせていただいて、後はそれぞれの実態に応じて支払っていただく、こういうふうな考え方で今回、補正予算に計上させていただいたわけであります。
これから、実態がどうであるかということも、実際のお考えというふうなものを聞く中で、農林水産省として、いろいろな意味で指導なりあるいは意見を言っていった方がいいなということにおきましては、先生が今言われたようなことも踏まえて取り組んでいきたいと思っております。
○小野寺委員 今、水田、稲作のことを中心にお話ししましたが、この地域には、もちろん畜産、あるいは園芸、特に宮城県の県南地域というのはイチゴで大変有名な地域でもあります。こういう休業についての手当、そしてさらに一日も早い施設園芸を含めた支援をしていただきまして、ことしのクリスマスにはまたイチゴの需要がたくさんになります。その時期に合わせて価格も上昇しますし、全国の皆さんがこの宮城県の県南のイチゴを大変楽しみにしております。福島県も同じような状況だと思っています。ぜひこれを復活できるように御支援をいただければと思っております。
さて、今回、同じように津波に遭った方でも、特に、既に土地改良事業を行ってかなりの投資をして、そしてそこの償還金が残っている、こういう農家の方も被災を受けました。個人の家でいえば住宅ローンがまだたくさん残っている。そういう農家も今回被災を受けたということになりますと、新たにやはりここはもう一度土地改良事業をしなきゃいけない、あるいは区画整理をしなきゃいけない、そういうような状況が出てきたときには、住宅でいえば二重ローンの問題というのが今後出てくる。土地改良事業についても同じように、今までの償還金にプラス、今回また発生する新たな償還金ということが出てくる可能性もある、こういう心配がございます。このような農家の心配に対してどのようにお考えになるか、教えていただければと思います。
○鹿野国務大臣 今、小野寺委員から御指摘の点につきまして、今回の大震災で被災した農地、農業用の施設について、復旧事業中というものは営農ができないということでございますから、この間、負担金の支払いを求めていくということは事実上できないことでございます。
そういう意味で、この営農再開までの間に負担金の支払いを行わなくとも済むようにということで、償還を猶予するとともに、その間の利子分については最大三年間国が助成する、今回の大震災の土地改良負担金償還助成事業を今回の補正予算の中においても計上させていただいておるわけでございます。
また、一方におきましては、今回、土地改良法の今御審議をいただいている法律案におきましても、国費のかさ上げ等も行うべく取り組みをいたしたいと思っておりますし、農家の負担がほとんどない形で行わせていただくということでございます。
これらのことから、営農再開後は、基本的にはもとの土地改良事業の負担金だけを支払うことになるわけでございますので、農家の方々の二重債務というふうなことにならないようにということを私どもも考えさせていただいたところでございます。
○小野寺委員 今の答弁でちょっと確認をさせていただくと、例えば今ある償還金については、これは一応据え置きにして、五年ほどでしょうか、それから利子補給は国が行うので五年間は償還をしなくていい。そして今回、この津波被害によって発生した新たな例えば土地改良、区画整理、そういう事業費に関しては、今お話しされましたが、通常これは、災害のかさ上げ等はありますが、やはり自己負担というのが一部発生をします。今回は農家の方にはそれが発生しないというふうに今御答弁では伺えたんですが、そのとおりでよろしいんでしょうか。
○鹿野国務大臣 実質的に農家の負担がないというふうな形でこれからも詰めをしていきたいと思っております。
○小野寺委員 除塩事業自体にしても、国の負担というのは十分の九。ですから、十分の一が、実は自治体、それからもしかしたら農家の負担ということに残ると伺っております。
ただ、御案内のとおり、今、農家経営は大変厳しい。水田稲作もそうですし、施設園芸もそうです。ですから、これ以上、例えば少しでもの負担金というのは、もう農家経営を全く圧迫してしまうことになります。
ぜひ、そういう農業が抱える、言ってみれば構造的な非常に厳しい環境ということを踏まえて、大臣がおっしゃったように、今回の土地改良あるいは事業の復旧、そして除塩事業に関しては、まず農家の方の負担は求めないということ。そして、今まであった過去の債務、償還金の問題。これは、しばらく農家は十分な営農が多分できないかもしれません。作付をして新しい圃場でどれだけ米がとれるかというのは、なかなか未知数があります。そういう意味で五年間は据え置いていただくということ、これを今確認したと了解をさせていただきたいと思っております。
さて、もう一つ、同じく例えば土地改良事業の中で心配なのは、今言った過去の借金についての償還金というのがありますが、通常の運営経費、例えば土地改良事業で、揚水機場、排水機場を回す、そういう電気代。それから、土地改良組合自体に職員の方がいらっしゃいます、こういう事務経費。こういうことは、農家の頭割りで今までは負担を求めていたということになります。
ところが、今回見てみますと、ある農業協同組合あるいは土地改良組合では、相当数の農家が実際に被災してしまったので、言ってみれば、日々の組合の事務経費の負担、あるいは揚水機場、排水機場の実質的な電気代その他の負担、こういうことができない、そういう方が多くなる。そうしますと、土地改良区自身が非常に経常的な経営が厳しくなるんだと思うんですが、こういうことへの実態把握、そしてまた手当てについて教えていただければと思います。
○鹿野国務大臣 先生、その前の質疑の中で、三年間ということでございますので、この点、申させていただきたいと思います。
それから、今先生から御指摘の、いわゆる土地改良区も含めて被災した農林漁業者に対する資金の円滑な融通というものは、当然のことながら要請をいたしているところでございますけれども、土地改良区の運営という観点からも、災害復旧事業において土地改良区の技術職員を引き続いて活用を図る、あるいはまた中長期的には、土地改良区の統合等によりまして組織運営基盤の強化を推進してまいりたい、こんなふうに思っております。所によりましては、このようなことも計画をなされておるところもあるようでございます。
そして、これらの措置を通じて土地改良区の円滑な運営が確保できるように、そのことに対して可能な限り支援をしてまいりたい、こんなふうに思っております。
ちなみに、宮城県におきましては、事務所などが被災した二十二の土地改良区のうち二十一地区では施設の点検などの業務を再開しておられるということも聞いておりますが、残りの一地域についても、今後、災害の復旧が進めば事務所を確保して業務が再開をする予定だ、こんなふうにも聞いておるわけでございますけれども、可能な限りの支援をしてまいりたいと思っております。
○小野寺委員 今回のこの復旧については、むしろ土地改良区、これがかなり中心となって、またさらなる農地の復旧ということを行うことも当然あるんだと思います。また、従前事務方から御説明いただきましたが、ここに係る、例えば用排水、除塩に係る水かけが当然必要です。その電気代等の負担も今回は予算の中に入っていると伺っております。
さて、このように復活できる農地については私どもイメージがわくんですが、今回御視察いただいた中で、既にかなり水没をしている、海水、もしかしたら沈降したためか水面下と想定される、大潮のときには必ずかぶってしまう、こういうような農地も多数あるんだと思っています。こういうところを、例えばもう一度その護岸をして、復旧して、盛り土をしてというような予算でやった方がいいのか。あるいは、ここについては逆に、地殻変動に伴うような水没という形で農地としては対応できないという判断をする場合。恐らくさまざまあるんだと思います。
もし、水没したともう判断をし、今後、復旧については経済的に相当厳しい、合理性がないと判断された場合、このような農地についてはどのような取り扱いをされるか、教えていただきたいと思います。
○鹿野国務大臣 基本的には、被災農地というものは、復旧した上でこれからも農地として利用していくというような考え方でおるところでございますけれども、今先生おっしゃるとおりに、水没によって、なかなか農地に戻すことは困難だなというふうなところもあるということも承知しております。
ただ、これは今のところ、まだ全体的に把握もできないような状況もございますから、今御指摘をいただいた問題等につきましては、全体として復興に向けたマスタープランというふうなものについても、今、復興構想会議でもこれからさらに議論されていくと思いますので、地域の方々の意向というふうなものも十分踏まえてこれからも取り組んでいかなきゃならないことではないかな。すなわち、地域の方々の声というふうなものはしっかりと聞いてまいりたいと思っております。
○小野寺委員 実は、地域の方々の声というのはもう複数出ております。農地についてもそうですし、あるいは、今回かなり沈降した市街地についても、その自治体の市長さんだったり町長さんはどう言っているかといいますと、もう既に幾つか報道に出ておりますが、こういう水没した農地や水没した市街地については国が買い上げてほしい、国が買い上げて、海岸としてここは保全をしてほしい、そのような声が出ております。
このような声に農水大臣としてはどのようにおこたえになるお考えがあるか、教えていただければと思います。
○鹿野国務大臣 宮城県の知事さんも、今回の被災に遭った土地の国有化というふうなこと、国が買い上げてというふうな考え方もお示しになっておられることも承知をしております。そういう中で、これからの被災農地というふうなものをどう取り扱っていくかということは、それぞれいろいろな考え方がありますけれども、一つの考え方であるとも思います。
そういう中で、私ども、構想会議の考え方というものの中で、農林水産省といたしましても、さらに全体としてどうあるべきかというふうなことも含めて検討してまいりたいと思っております。
○小野寺委員 ぜひ、今回は、既にもう水没してしまった農地、これは市街地も同じですが、国としてしっかり支援をしていただいて、もしそこを国が買い上げるということになれば、その買い上げたお金で実は別な農地を求めることもできます。農家の方は、営農していきたい、農業をしっかり守っていきたい、そういう気持ちを皆さん持っていらっしゃいます。ですが、したくても農地が水没した、あるいは、今後、塩害が恐らくたびたび起こるだろう、こういうところに関して、そこで再開せよというのは、私は、大変酷だし、また経済合理性もないんだと思います。
そういうときには、ぜひ、もう少し津波の被害が上がらない、少し高いところで農地ができますように、農業ができますように、ぜひ国での買い上げということも重く受けとめていただければと思っております。決して農地を放棄するわけではないんです。新しい農地を求めるために、そのための原資が必要、そこはぜひ国の方で対応していただけないかというお願いでございます。
さて、もう一つ、実は、今回こうしてさまざま支援があるんですが、私、現地へ入って思いますのは、農家、特に農機具も津波で相当の影響を受けております。車もそうですが、一度塩水をかぶったこういう機械というのは、使い物にならないものがたくさんあると思います。こういう農機具、あるいは農業協同組合の持っているようなさまざまな共同施設、こういうものについての今回の復旧についてどのような支援があるか、教えていただきたいと思います。
○筒井副大臣 今先生がおっしゃった一次補正の中身は大きく三項目に分かれますので、御説明を申し上げたいと思います。
一つ目が、農林水産業共同利用施設災害復旧事業、これが七十六億円でございます。これについては、農業協同組合等が所有する施設等のハード事業が対象になるわけでございまして、国庫補助率は十分の九ということでございます。
二つ目が、東日本大震災農業生産対策交付金、三百四十一億円でございます。これが、今申し上げた農業協同組合等以外の所有によるハードあるいはソフト、農業機械等の導入に関してもここに含まれるわけでございますが、これについて交付金として支給して、二分の一の補助という内容でございます。
それから三つ目が、これは融資に対する支援でございますが、七十八億円を計上しております。先ほどからも話が出ております無担保無保証、一定期間、長期の間ですが、実質的な無利子、こういう融資の支援をする。
この三つの事業があるというふうに思います。
○小野寺委員 農機具といっても、通常頭に描くのは田植え機であったりコンバインであったりトラクターであったりという印象がありますが、例えば軽トラックあるいはトラック、こういうものも実は農業には不可欠なものです。また、それぞれ農家の中には、自分で稲刈りをした後に乾燥機を持っていたり、それから色彩選別機を持っていたり、もう少し自立的な農業をするためにさまざまな投資をしている方もいらっしゃいます。こういうものが今回一切流されてしまいました。
今回お考えの、復旧についての二分の一補助がこれらすべてに対して適用されるかどうか、教えていただければと思います。
○筒井副大臣 乾燥機や色彩選別機等はこの対象になるわけですが、軽トラ等は、余りにも汎用性が高いものですから、この対象には入らないというふうに思います。
○小野寺委員 正直言いまして、今お話を伺って、軽トラが農業以外に使われるということは、農家では普通ほとんど想定されない状況だと思っています。私どもは、決して何か揚げ足取りのために言うわけじゃなくて、この問題については、実態に合う形で支援していただくように、制度はしっかり見直していただければと思います。軽トラについても、少し窓口を広げて対応していただけるような、そういう状況をお願いしたいと思います。
最後に、実は今回、農業共済のことについて余り触れられておりません。地域によっては、農済の加入区域がほとんど被災をしたというような地域もございます。そうしますと、今後、農地が復活しない限りは、農済に対していわゆる掛金の支払いもできない、かなりの農家がもう今回は農業を休まなきゃいけない、そういうような状況が急に起きて、農済の組合が一時的に経営が大変になるという実態もあり得ます。こういうことに対してどのような支援のお考えがあるか、教えていただければと思います。
○鹿野国務大臣 農業共済のことについての今後の取り組みにつきましては、実質的な状況というものを踏まえて、これからも実態に即した形で対処していかなきゃならないと思っております。
○小野寺委員 せっかく今回、さまざまな一次補正を組んでいただきました。それが実効ある形で回っていくためには、私は、土地改良もそうですし、農済もそうですし、既存の農業団体、農協もそうです。そういうところが合わさって、今、力を合わせて農業の復活ということに一丸となって頑張っています。もちろん、その最前線にいるのは農家であります。
ぜひ、国としましても、いろいろな、既存の各種団体、こういうところを、すべての力を合わせて今回の災害復旧に向けていくということ。そのことを、鹿野農水大臣は私と同じ東北出身でございますので、東北人の思いがあると思います、そしてまた、今回のこの震災に対しての東北人としての誇りもあると思います、東北人としての意地もあると思います。ぜひ、大臣の存分の働きによりまして、今回、農家が再び元気になれるように心からお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
最後に一言お願いいたします。
○鹿野国務大臣 ただいま小野寺委員から言われたことを私自身も共有してまいりたいと思います。
○小野寺委員 ありがとうございました。
○山田委員長 次に、西博義君。
○西委員 公明党の西博義でございます。
東日本大震災に対処するための土地改良法の特例に関する法律案を中心に質問させていただきたいと思います。
私は、和歌山県の広川町の出身でございます。この広川町というところは、戦前戦後約十年間小学校の教科書に掲載されていました「稲むらの火」という話の主人公浜口儀兵衛の地元でございます。
きょうも教科書をお持ちしましたけれども、実は、この四月から教科書が改訂されまして、今まで全くなかったんですが、さまざまな科目で、この浜口儀兵衛、「稲むらの火」の物語が採用されておりまして、国語、社会、理科、道徳、そういう科目の中で小学生が学んでいる内容でございます。
きょうは、そのうちの一冊を紹介させていただきたいと思います。これは小学校五年生の国語、きょう皆さんに参考にお配りをしている内容はこの中の一部でございます。大臣にもお渡しをさせていただきましたが、この作者は、津波、巨大災害の専門家河田恵昭先生、今の政府の復興構想会議の委員でもいらっしゃいます。その先生の書かれた「百年後のふるさとを守る」、こういう題で小学校の教科書に採用されているものでございます。
この浜口儀兵衛の家は昔の広村です。広村ですが、同時に、江戸と銚子で既に大きなしょうゆ屋を営んでおりました。今も現実に、立派なしょうゆの会社を経営していらっしゃいます。
江戸末期の安政元年十一月五日夕方四時ごろ、大震災が発生。しばらくして逃げ出そうとした村人を、自分のうちの田んぼの稲のわらに、干していたわらに火をつけて、そして夕方から夜にかけての薄暗がりの中を、住民が、庄屋さんのうちが大変だということで駆けつけて、災害を免れた、こういうお話でございます。それはそれで立派なことなんですが、この教科書を見ていただければと思うんですが、ちょっと時間がありませんので飛ばさせていただきます。
河田先生のお話ですが、六十四ページ後ろから三行目、
浜口儀兵衛の本当の物語は、実は、この後始まる。
ここから始めまして、一番最後の行、
そして、大地震の後、田畑には海水に運ばれた材木などが散らばり、家屋のほとんどがたおされるか、津波でおし流されるかしていた。そのうえ、大きな余震がたびたび起こった。打ちひしがれた人々を見て、儀兵衛は紀州藩に手紙を出し、援助を求めることにした。ところが、いく日待っても返事が来ない。村人の中には、希望を失い、村をすてようとする者まで現れ始めた。
「このままでは、村がつぶれる。」そう思った儀兵衛は、住む家も、食べるものも、着るものもない村人のために、自分のお金を出して、米を買い、衣服を買い、仮小屋を建てた。それでも、村人の流出は止まらない。なにしろ、漁船は津波で流されたりこわされたりして使えず、田畑も塩分が入ってすぐには作付けができないのである。このまま何もしなければ生きていけないのは、だれの目にも明らかだった。
ちょっと飛ばして、
考えに考えた儀兵衛は、一つの計画を思いつく。村人自らの手で堤防をつくることを紀州藩に願い出ようというのである。
次のページに行きます。
「五十年後、いや、百年後に大津波が来ても、村を守れる大堤防をつくろう。工事には、できるだけ多くの村人に参加してもらう。賃金は、毎日手にできるようにする。自分たちの手で、子孫たちまで安心してくらせる村をつくるんだ。」
儀兵衛の熱意は、外を向こうとしていた村人たちの足を止めた。そして、賃金を得られる仕事があり、それが村のためになるという案は、村人たちをふり返らせた。ほとんどの村人が、堤防づくりに参加することを決めた。
こういう話でございます。
その後もずっと続いて、結局、浜口家はこれで大変な苦労をしていくわけですが、時間の関係で、またゆっくり皆さん、興味のある方はお読みいただければと思うんですが。
今回の土地改良法の特例に関する法律により実施される大規模な除塩を初め今回の土地改良事業は、農業者にとってはまさに百年後のふるさとを守る仕事であろうと私は思います。大変な大事業になるのではないか。そういう意味では、大臣、どうか平成の儀兵衛というつもりでやはり取り組んでいただきたいと思いますし、お金を出せとは言いませんが、お金はまた別途さまざま工夫をしていただくことが大臣のお仕事であると思います。
この事業を初め復興事業に被災地の皆さんを積極的に使っていただく、自分たちの村は自分たちで守っていくんだ、自分たちで復興するんだという気持ちをやはり持っていただくことが、今回の災害に遭われた皆さんの大きな励みになるのではないか。
この物語、私たちはずっと地元に住んでおりまして、実は、堤防を補修するために、ずっと津波祭りというのが、これは百年を超えているんです。子供たちがこの堤防に土を盛るという儀式を通じて、百年来、この浜口儀兵衛さん、浜口梧陵さんという、私たちは梧陵さんと言うんですが、この人の遺徳をしのぶという習慣がずっと続いております。
それは、もちろん私財をなげうっていただいたことはすばらしいことですけれども、この村の人々に、私たちの土地を自分たちで築き上げたという誇りをつくっていただいた梧陵さんの思いというのを、大臣にぜひとも持っていただきたい。そのために、今回のこの事業に一人でも多くの皆さんを雇用する、そして自分たちで立ち上がるきっかけをつくっていただきたい、この思いできょうこのお話を紹介させていただきました。
大臣の御所見をお願いいたします。
○鹿野国務大臣 今、西先生から、浜口さんという方の、いわゆる歴史の中でのエピソードについてお話がございました。
和歌山県からは先生初めいろいろな方々が、歴史的にも、また今日も輩出されて活躍されておりますけれども、改めて、偉い人がおられたんだな、こんな思いを率直に持ちました。そういう意味で、先生方がその浜口さんの思いというものをいつまでも忘れてはならないというふうなお気持ちで取り組まれていることに対しまして、私ども心から敬服をいたしておりますということをまず申させていただきたいと思います。
私自身も、その浜口さんの思いというものを、つめのあかでもせんじて飲まなきゃならないな、こんな思いをいたす中で、雇用の問題につきましても、やはり被災農家の方々の就労機会を確保するというふうなことが、国だけではなしに、やはり県にも求めていく必要もあるのではないかな、こんなようなことで、一体的に取り組んでいきたいと思っております。
具体的に申し上げますと、事業の請負者に対しまして、入札の際には、被災地域におけるところの農林漁家の就労希望者を優先的に雇用するように、このように説明をしてまいりたいと思っております。そしてまた、工事着手前に被災地域におけるところの農林漁家の就労希望者の雇用見込み数、それから工事完成時には実績、それを報告させる、このようにしてまいりたいと思います。
そういう中で、被災に遭われた農家の人たちがこの復旧事業等に直接、積極的にかかわることができるように努めてまいりたいと思っております。
○西委員 一歩踏み込まれた方針をお出しいただいたことに感謝を申し上げます。直接の事業ではありませんからなかなか難しい面もあると思いますけれども、やはり被災者の皆さんの活力を呼び戻すためにも、ぜひともお願いをしたいと思います。
次に、同じ教科書の後ろの方の六十八ページから少し、あと数行読ませていただきます。六十八ページの六行目。
そして二年、しばらくぶりに、儀兵衛は広村にもどった。村人たちは、儀兵衛がいない間も、たゆまず堤防工事を進めていた。儀兵衛がそこに見たのは、自らの手で村を再興しようとしている村人たちのすがたであった。儀兵衛は最後の仕上げに取りかかった。松の木を堤防にそって植えるように指示した。その数、数千本。松が根をはることで、津波や長年の風雨にもびくともしない、強固な堤防にしようとしたのである。松林の効用はそれだけではない。たとえ堤防をこえる津波が来ても、松林は津波のいきおいを弱くする。また、流された人が林で止められ、助かることもある。これだけ大きな石がき形式のもり土堤防は、世界でも初めてのものであった。
こういうふうに書かれております。
もちろん、今回も松林が完全にやられたというケースもありますが、いつもいつもマグニチュード九・〇というわけではございませんし、私は、防潮堤というものの必要性はあるんだろうというふうに思っております。
今回の補正予算の中で、森林・林業復旧対策のうち緊急治山対策・被害森林緊急復旧対策というところに、地震や津波等により被災した海岸林等の復旧整備というふうに予算が計上されております。大災害の現場状況を踏まえて、海岸林の効用についてどう評価しているのか。
また、今後の復旧造林計画についてもお伺いしたいと思います。実は、日本には日本海岸林学会という学会もございまして、既に定期的に論文も発表している。防潮堤としてはどういうふうに配置したらいいのかというようなことも書かれておりまして、そういう知見も十分参考にしながらこの計画についても着々と進めていただきたいと思いますが、御所見をお願いしたいと思います。
○吉田(公)大臣政務官 お答え申し上げます。
委員のおっしゃいます海岸林の復旧でございますが、東日本大震災におきましては、海岸部の保安林に甚大かつ広域に及びます被害が発生をいたしまして、報道等でもありましたけれども、松が一本しか残らないなんという報道もございまして、よく承知をいたしております。
海岸部の保安林の早期復旧のためには、まず防潮堤が必要でございますから、この復旧を早急にさせていただいて、海岸部の保安林のこれまた再生をしていかなきゃなりません。
検討会をまず設置いたしまして、被災状況の把握、それから防災効果の検証、そして復旧方法の検討等を実施いたす予定でございます。検討会の結果を早急に出していただきまして、復興計画の検討状況等を踏まえ、今後の対策を講じ、海岸部の保安林や地域の再生に万全を期す考えでございます。
なお、保安林の再生に向けましては、まず被害状況の把握が必要でございますし、防災効果の検証、それから復旧方法の検討を踏まえまして、そのための予算をこのたびの第一次補正予算にも盛り込んだところでございますが、当面、第一次補正予算で盛り込んでございますので、いずれまた第二次補正予算等で、足りない部分については復活させるということでございます。
○西委員 ありがとうございます。全体の復興計画の中できちっと対応していただきたいと思います。
次に、除塩についてです。
土地改良法には、農用地と土地改良施設の災害復旧という規定がありますが、除塩、つまり塩を除くということですね、現行農用地の災害復旧では対処できないというふうにお伺いをしております。一方、重油や重金属の汚染については、現行の災害復旧の中で対応できるということでした。
今回、特例で対処しておりますが、今後も災害により除塩が必要となるということも想定されます。小さな規模では、台風ごとに塩水が入ったりということも現実にはあるんじゃないかと思いますが、土地改良法で除塩事業も対応できるようにした方がいいんじゃないかというふうに思いますが、大臣の御所見をお願いいたします。
○鹿野国務大臣 先生おっしゃるとおりに、今までもいわゆる土地改良で除塩の事業をやってきたこともあったわけでございますけれども、今回の農地の塩害の被害の程度というものが甚大でございまして、いわゆる通常の営農として行う除塩ではもう対応できない、こういうようなことでございます。そういう意味で、災害復旧事業の土地改良事業として取り組む必要がある、地域全体をそういう形で取り組む必要があるというふうなことになったわけでございます。
そういう意味で、今後、いわゆる除塩事業、土地改良法の本体におけるところの除塩事業の創設というふうなことについては、通常の営農で行う除塩とどう仕分けしていくかというようなところも難しいところもあるのかな、こんなふうに思っておりまして、今後検討する課題として取り組んでいきたいと思っております。
○西委員 次に、津波により流出、冠水した農地の面積が二万三千六百ヘクタールというふうに推定されるというふうに伺っております。国が行う特定災害復旧事業は、津波の被害を受けたすべての農用地等を対象にしているのかどうか。
また、今回の補正予算では、事業費として六百八十九億円を計上しておりますが、除塩事業の分は二十四億円というふうになっております。この予算で行える事業はどの程度と見込んでいるのか。
さらに、この法案の目的となっている除塩事業、これの総事業費は今後幾らになるというふうに想定しているのか、このことについての全体像をお示しいただきたいと思います。
○吉田(公)大臣政務官 委員の御質問にありました、被害程度が少なく除塩開始が可能な農地を対象に、二十四億五千万円ほど計上いたしておりまして、これは、面積にいたしまして約八千ヘクタール程度まで除塩が可能ということでございます。被災地をできるだけカバーできますように、国、県、市町村が連携を図って解決に向けて努力をしていくということでございます。
被害の程度によりまして工法や費用は異なることから、これらを詰めつつ必要な予算を確保していく予定でございます。
なお、約二十四億五千万円を計上いたしておりまして、約八千ヘクタールの程度まで除塩が可能ということでございます。
○西委員 次に、放射性物質による土壌汚染についてお伺いをしておきたいと思います。
まず、その前に、国が行う特定災害復旧事業等の負担金についてでございます。
これはなかなか、どれだけの負担金が要るのかというのは難しくて、一戸当たりの事業費が二万円までの場合は五〇%、そこから少し多くなって二万から四万が一五%、四万から八万までが一〇%、そこから十五万円までは四%というふうにだんだん少なくなって、二十一万円以上の部分では一%、こういうふうに六つの構造になっております。事業費が百万円だとすると、ずっとそれを足し合わせていきますと二万八千九百円ということになるというふうになっております。
これが、一軒一軒がどれだけの自己負担が要るかという計算が大変難しいということをよく聞きます。所得税と同じような構造ということなんですが、当事者によくわかる資料をぜひともつくって、説明をできるようにしていただきたいというふうに要望をしておきます。
さて、最後に、先ほど申し上げました、この法案とは直接関係ないんですが、今後、放射性物質による土壌汚染問題ということになってきます。
原子力発電所の事故に伴って放出された放射性物質による土壌汚染に取り組むために、やはり農業というのは、例えば稲は一年一年ですから、サイクルがどんどん先になってしまうということがありまして、できるだけ早くこの事業を立ち上げる準備を私はまずしていただきたい。そのために政府に研究チームを立ち上げて、どなたかの責任でいろいろな研究をしてみるというようなことをやはり今からしていく必要があるのではないか。一段落してから、どうするか、いろいろな人の意見を聞きながらといっても、何ら確定的なことが言えないということではやはり遅いのではないかというふうに思います。
そんな意味で、リーダーを決めてきっちりした体制で取り組む必要があるのではないか、そして、このような形で、今回のように除塩事業のような感じで、除染事業といいますかそういう事業も引き続き自信を持って農水省として進めていく、そんな体制をつくるべきではないか、こう思っておりますが、大臣の御所見をお願いいたします。
○鹿野国務大臣 省内に放射能対応研究チームをもう立ち上げました。そしてまた、独法におきましても放射能対応研究チームというふうなものも立ち上げて、今取り組んでおるところでございます。
同時に、土壌の改良対策技術につきましては、これはもう喫緊の課題でございますので、チェルノブイリに調査チームを派遣いたしまして、帰ってまいりましたのはついきのうですか、関連情報を収集もしてまいりました。また、篠原副大臣にも行ってもらったところでございます。
そしてまた、チームのメンバーも福島県に出張させまして、被災地の自治体とも連携しながら、技術対策というものをどう確立するかというふうなことについて今検討を行っているところでございます。
効果が実質的に実証されるというふうな技術については直ちに現場でも導入をしてまいりたいと思っております。
○西委員 ありがとうございました。
○山田委員長 次に、吉泉秀男君。
○吉泉委員 社会民主党の吉泉秀男です。
先般の委員会視察の中で、私も一緒に参加をさせていただいたわけでございますけれども、多くの関係団体の方からそれぞれ大変要望も受けてきたところでもございます。
今回のこの法案、まさに出発点であるだろうというふうにも自分自身思っております。
今、生産者から言わせれば、もう自分の農地がどうなっているのかわからない、ましてや農機具も格納庫も流されている、そしてまた避難箇所で生活を余儀なくされている。そういう状況の中で、農業というものについてどう復興させていくのか、このことが問われているんだろうというふうに思っております。そんな面では、今回の法律、まさに農地の復旧作業さらには事業が、これまでは国がかかわることはできなかったわけですけれども、今回の法案の中でこれがやれる。まさに、生産者なり、さらには被災された地域の人方からいえば、本当に国主導でやってほしい、こういう思いが強いんだろうというふうに私は思っております。
もう一カ月半以上避難生活をされている中で、徐々に集団移転とかそういう話も今聞こえてくる状況になっております。
先般、名取の方にお邪魔させていただいたときに、まさに海水にまだ浸っている部分の排水作業を一生懸命やっている、こういった状況も目の当たりにしてきたところでございます。今、農林省で発表している、そういう冠水農地二万三千六百ヘクタール、こういうふうに数字的になっているわけでございますけれども、その中には、福島・浜通り、こういったところの農地も含まれているわけでございます。
これから出発をしていく際に、それぞれ、国主導、そしてまた生産者、農地の所有者の意見等々も含めて、この事業を進めていく段階で多くの課題があるというふうに思っております。
佐々木さんの方から最初、スケジュール、こういう質問がなされたわけでございますけれども、これから出発点だというふうに思っておりますけれども、今、その中における被害の実態調査、この部分について相当多くの予算が組まれておるわけでございます。そんな中において、やはり一日も早くそういうメッセージを生産者さらには被災地に出していかなきゃならない、こういう状況のときに、まずこの法案を通して、そしてそれからどう具体的に、ある程度スケジュール的な部分について、再度、日程的な部分、考え方、そのことについてまずお伺いさせていただきたいと思います。
○鹿野国務大臣 今吉泉委員の方から言われたことは大変大事なことでございまして、今回の補正を含めて、土地改良事業の法案も提出をさせていただきまして、今御審議をいただいているわけでございますけれども、今回の除塩並びに区画整理事業というふうなものを進めていく中で、この法案が通ったらば、どういう考え方のもとに具体的に実行していくのか、こういうような御質問でございます。
とにかく、私どもといたしましては、今回の被災というものは並々ならぬ状況にあるというふうなことも、先生方からも御視察いただいたというお話もございまして、私も現地に参りまして、この目で確かめさせていただいておるところでございます。
そういう意味で、何としても作付というものをできるだけ早く行うことができるように、これが私どもにとってのまず取り組んでいかなきゃならない基本的な姿勢だ、こういうふうなことでございまして、除塩と単なる原形復旧をあわせて行うということだけでなしに、区画整理もあわせて行うというふうなことが大切だと思っております。
そして、名取の沿岸部のような地域におきましては、農地、農業施設等が大変な被害を受けておりますので、御承知のとおりに、排水そして排水路の復旧、もちろん並行して瓦れきの除去、そして除塩、こういうふうな形で本格的に農地の復旧に向けて取り組んでいかなきゃならない。
そして、これを実施していく時間は当然かかるわけでありますけれども、同時に、復興に向けたマスタープランというふうなものを、地域の方々の意向というものを十分把握しながら反映をさせていくという基本的な考え方のもとに、計画的に進めていかなければならないものだと思っております。
○吉泉委員 今、農林省で、被災地、市町村なり県の方にそれぞれ出向しながら陣頭指揮をとっているということについても伺っております。
その中で、今回の予算の中に二十六億の予算を計上しているわけでございますけれども、今、基本計画なりマスタープラン、こういうお話がありました。
この調査、まさに今の現状の中において、被害のあった農地、そしてそのところにおける専業農家、兼業農家、さらにはどこまで格納庫も含めて流されてきているのか、こういう部分がやはり具体的に数字としてこれから積み上がっていくものだろうというふうに思っておりますけれども、そのところを踏まえながらどうしていくのかという方針が出てくるんだろうというふうに思っています。
その点について、この調査費、そしてまたこの調査の中において、今の被害に遭ったいわゆる農家、そういった部分を一緒に入れて、調査活動なんかに、いわゆる費用の負担等を含めてなんですけれども、労力奉仕、こんなものも含めて使えないのか、こんなところを、まず時期的な部分を含めて、この調査がどこまでどういうふうになっていくのか、このところについてお伺いいたします。
○鹿野国務大臣 今先生からの御指摘の点、調査のことでございますけれども、もちろん、被災に遭われた農業者の方々の御協力というふうなものを得ながら調査をしていかなきゃならない、こういうふうに考えておるところでございます。
○吉泉委員 これから、それぞれ同意の問題なり、区画整理等の関係なんかも含めて後で出てくるわけですね。そういうところの中において、生産者の意見、さらには考え方、離農の問題等々を含めて、非常に複雑なものが私はあるというふうに思っています、進めていく際に。だから、一番最初のところがやはり肝心なんだろうなというふうに思っています。
この調査費の使い方、まず今回の場合について、それぞれ箇所、相当、発表も何カ所ということで出されています。しかし、そこをやっていく際に、やはりある程度重点的な部分を決めながら、そしてその中において、国、県、市町村そして生産者が一体となって、ある程度の、二カ月なら二カ月、そういうものをやりながら進めていく、このことが必要なのではないかなというふうに思うわけです。
ですから、この二十六億の予算を持った、そのところの使い方なり、さらに調査をどういうふうにしていくのか、このことをお聞きしたいわけでございます。
○鹿野国務大臣 この調査のことにつきましては、県なり市町村なり、そしていろいろと御協力をいただくということになりますけれども、もちろん農業者の方々からの御協力が必要であります。
そういう意味で、現地に派遣しておる者に対しまして、私どもといたしまして、被災に遭われた農業者の人たち、あるいは県なり市町村の意向を踏まえてしっかりと調査をしていく、そういう中で、調査の方法というふうなものも、きちっとしっかりやっていくようにということを指示してまいりたいと思っております。
○吉泉委員 よろしくお願いします。
そしてまた、小野寺委員の方からも出されました、それぞれ、これからの生活をどうしていくのか、そういう中において、瓦れきの撤去とか、そういうお話が出されているわけでございます。そしてまた、復興の、それぞれ集落営農を中心とする、そういう組織の立ち上げ、こんなところなんかも出されているわけでございますけれども、そんな面の中では、私は、調査活動なんかも含めて、そしてこれからの基本計画の中に入れていく段階についても、それぞれ生産者の中に、費用弁償も含めて、やはり生活、さらには再建でき得る、そういう意味でのいわゆる再建費用というものについて、なるべく多くの額が生産者の方に行くような、支払われるような、そういう仕組みをつくっていただいて、ぜひお願いを申し上げたい、こう要望をさせていただきたいと存じます。
そして、今の状況の中において、これから実態調査というふうになるわけでございますけれども、さっきお話ししましたように、今回の補正の段階においてはすべてがやれるという部分ではないというふうに思っておりますので、それぞれ、宮城なり、さらには岩手なり、ある程度の箇所を決めて重点的にこの復旧作業をしていかなきゃならない、こういうふうに思うわけでございますけれども、その点についてはどうなんでしょうか。全部、二万三千六百、これを一括にやるためのこの金額だというふうには私は受けとめてはいないわけでございますけれども、重点的に、やはり今回のこの第一次の補正の部分の中では使っていくんだというメッセージを私はお聞きしたいわけですけれども、その辺はどうなんですか。
○筒井副大臣 やはり津波被害を受けた全地域を対象として、被災した農地を復旧、復興していく、こういう立場で取り組んでいく、それが一次補正での考え方でございます。その中で、重点的なものとか、あるいは時期が、早く取り組むところとか、そういうところは出てくるかと思いますが、一部地域を除いたという形ではなくて、全地域を対象とする。それを、国、県、市町村、あるいはさらに農家の皆さんと連携をしながら取り組んでいく、そう考えております。
○吉泉委員 すべてのところをいわゆる予算の中でやっていく、まず手をつけていくというのが今副大臣の方から説明なされたわけでございますけれども、そのことについては私も了とします。
しかし、事業そのものが、そんなに重くやらなくても簡単にでき得る、そういうところから、ほとんどもう非常に難しい、こういう地域もあると思うんです。
ですから、私は、お願いしたいのは、名取とか若林区とか、それから陸前高田だとか、そういう、もう線引きもわからないような、そのところをまず重点的にどうするのだというふうな部分を、やはり国でメッセージを出していく。そのための調査をまずやる。被害のひどいところからまずは手をつけるという進め方でないと、なかなかメッセージが伝わってこないんではないかな、こう思うんです。
ですから、その点、もう一度お伺いします。
○筒井副大臣 先ほどほかの先生のときにもお答えしたかと思いますが、排水事業から始めなければいけないところ、さらには水利施設の損壊を直さなければそもそも除塩措置もなかなかできないというところ、あるいは、それらの損壊がないものですから直ちに除塩措置に取りかかれるところ、そういういろいろな形に分かれるわけでございまして、それぞれに対応しながらやっていかなければいけないというふうに思っています。
その場合に、もちろん、一番被害が甚大なところに最も労力と費用がかかるわけでございますから、それに重点を置くといえばそうなんですが、では軽微なところを後回しにしていいかというとそうでもなくて、軽微なところはかえって早目に取り組むことができるという意味で、全体を取り組んでいきたいというふうに申し上げたところでございます。
ただ、期間は、物すごい甚大な場合には、来年、再来年からの作付がようやく可能になるというふうなところもあるわけでございますから、それらのところは、本当に、先生のおっしゃるように、重点的に取り組んで、一刻も早く耕作再開ができるようにやっていかなければいけないとは考えているところでございます。
○吉泉委員 ありがとうございます。
自分自身思うのは、やはり、専業農家で、面積ももう十五ヘクタール、二十ヘクタール持っている、そういう生産者が、それが今途方に暮れている。何で避難場所で生活をしなきゃならないのか、どういうふうに自分として、これからの十年二十年の、残されているその部分の営農計画をやるのか、頭が痛いわけですよね。その中において、離農ということもどうしてもやはり考えざるを得ない。
ですから、私から言わせれば、なるべく早い段階で、そういう、非常に多く、これから事業が困難な、そういうところに生産者が何人いて、そしてその生産者に対してどういうメッセージを出すのか。これまでの県営なり市町村なり団体運営の土地改良とは違う、国がやる、だからこの法案なんだ、そういうメッセージを、ぜひ力強く、一日も早く出していただいて、そして、それが、私はその調査活動の中にぜひ一緒に専業農家の人方も入れて、そしてやはり進めていくという一つの方向性というものが大事になっている、そういうふうに思っているところでございます。
自分自身も、これからも多くのところ、被災地に足を運び、そしてまた、生産者と意見交換もさせていただきながら、一日も早く食料基地としての東北、この復興に向けて努力をさせていただきたい、この決意も申し上げまして、自分の質問、時間が来ましたので終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○山田委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○山田委員長 これより両案に対する討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
まず、内閣提出、東日本大震災に対処するための土地改良法の特例に関する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○山田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○山田委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、仲野博子君外三名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、公明党及び社会民主党・市民連合の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。仲野博子君。
○仲野委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
それでは、案文を朗読いたします。
東日本大震災に対処するための土地改良法の特例に関する法律案に対する附帯決議(案)
東日本大震災により、農林水産業及び農山漁村は未曾有の大被害を受けている。一日も早い復興のために全力を尽くすことが喫緊の課題である。
よって政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に努めるべきである。
記
一 被災地域の復旧・復興に当たっては、我が国農林漁業における被災地域の位置付けを明確化した上で、復旧・復興へのマスタープランと工程表を示し、スピード感をもって対応すること。特に、本法に基づく措置と他の復興再生措置との一体的推進を図り、万全な農林漁業経営対策を講ずること。
二 東京電力福島第一原子力発電所事故に係る放射性物質の被害除去については、技術的な知見の集積に努めるとともに、これを踏まえた対処の方針を明確に示すこと。
三 除塩事業の円滑かつ効果的な実施を図るため、除塩に関する技術の開発・普及に努めること。また、今般の津波による海水の浸入のために農用地が受けた塩害を除去するために行う除塩事業を土地改良事業とみなすこととしている特例措置について、恒久措置とすることを検討すること。
四 除塩を始めとする農地・農業用施設の災害復旧に係る工事期間中、休業状態となる農業者の生活・経営の再建に向けた支援策を講ずること。
五 被災により償還が困難となった土地改良事業負担金について、支払猶予、無利子化措置を講じること。
六 土地改良事業を円滑に実施し、土地改良施設の適切な維持管理を図るため、組合員が被災したため経常賦課金の徴収が困難となった土地改良区や賦課台帳を逸失する等事務所機能に損傷を受けている土地改良区等に対して支援を行うこと。
右決議する。
以上の附帯決議案の内容につきましては、質疑の過程等を通じて御承知のところと存じますので、説明は省略させていただきます。
何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
○山田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○山田委員長 起立総員。よって、本法律案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣鹿野道彦君。
○鹿野国務大臣 ただいまは法案を可決いただきましてありがとうございました。附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、東日本大震災による農林水産業及び農山漁村の状況を踏まえつつ、適切に対処してまいりたいと存じます。
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○山田委員長 次に、内閣提出、東日本大震災に伴う海区漁業調整委員会及び農業委員会の委員の選挙の臨時特例に関する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○山田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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○山田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時四十二分散会