衆議院

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第19号 平成23年8月9日(火曜日)

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平成二十三年八月九日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 山田 正彦君

   理事 梶原 康弘君 理事 佐々木隆博君

   理事 津島 恭一君 理事 仲野 博子君

   理事 柳田 和己君 理事 谷  公一君

   理事 宮腰 光寛君 理事 石田 祝稔君

      網屋 信介君    石田 三示君

      石原洋三郎君    石山 敬貴君

      今井 雅人君    大串 博志君

      大山 昌宏君    加藤  学君

      金子 健一君    木内 孝胤君

      工藤 仁美君    近藤 和也君

      篠原  孝君    田名部匡代君

      高橋 英行君    玉木雄一郎君

      筒井 信隆君    道休誠一郎君

      中野渡詔子君    野田 国義君

      福島 伸享君    山岡 達丸君

      吉田 公一君    伊東 良孝君

      今村 雅弘君    江藤  拓君

      小里 泰弘君    小野寺五典君

      保利 耕輔君    山本  拓君

      西  博義君    吉泉 秀男君

      石川 知裕君   松木けんこう君

    …………………………………

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   内閣府副大臣       山口  壯君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   厚生労働副大臣      大塚 耕平君

   農林水産副大臣      篠原  孝君

   農林水産副大臣      筒井 信隆君

   経済産業副大臣      松下 忠洋君

   文部科学大臣政務官    笠  浩史君

   農林水産大臣政務官    田名部匡代君

   農林水産大臣政務官    吉田 公一君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 中山 孝雄君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            藤木 完治君

   政府参考人

   (林野庁長官)      皆川 芳嗣君

   政府参考人

   (水産庁長官)      佐藤 正典君

   農林水産委員会専門員   雨宮 由卓君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月九日

 辞任         補欠選任

  網屋 信介君     木内 孝胤君

  石山 敬貴君     福島 伸享君

  今井 雅人君     大山 昌宏君

  大串 博志君     工藤 仁美君

  小里 泰弘君     小野寺五典君

同日

 辞任         補欠選任

  大山 昌宏君     今井 雅人君

  木内 孝胤君     網屋 信介君

  工藤 仁美君     大串 博志君

  福島 伸享君     石山 敬貴君

  小野寺五典君     小里 泰弘君

    ―――――――――――――

八月九日

 TPPへ参加せず、雇用拡充と地域経済を活性化させ、食料自給率の向上政策を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第二一九五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 連合審査会開会申入れに関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

山田委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として林野庁長官皆川芳嗣君、水産庁長官佐藤正典君、法務省大臣官房審議官中山孝雄君及び文部科学省研究開発局長藤木完治君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石原洋三郎君。

石原(洋)委員 おはようございます。

 民主党・無所属クラブの石原洋三郎でございます。

 福島県、大変お世話になっておりまして、本当にありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 ことしの福島県産のお米の補償、賠償についてどのようにお考えなのか、お伺いいたします。

 戸別所得補償に関しましては、定額部分と変動部分がございます。昨年は十二月に定額部分、三月に変動部分が支払われましたが、ことしの福島県産のお米については、補償、賠償に関しまして、戸別所得補償制度の部分と原子力損害賠償法の部分が重なってくるかと思います。

 いつ、どのような考え方で戸別所得補償と原子力損害賠償の部分が支払われるのか、お伺いいたします。

篠原副大臣 二つお尋ねがございました。

 まず、原子力損害賠償についてでございます。

 八月五日に原子力損害賠償紛争審査会が決定した中間指針におきまして、政府により出荷制限指示等が出された場合は、農林水産物等の売上相当額が賠償の対象になるということがきちんと記されております。したがいまして、仮に、そういうことがあってほしくはないわけですけれども、福島県産の平成二十三年産米について出荷制限指示が出された場合には、これらにかかわる損害は東京電力による適切な賠償が行われるものと考えておりまして、我々は早期に補償が行われるように努めてまいりたいと思っております。

 それからもう一つ、出荷制限指示が出された場合の戸別所得補償制度の関係はどうなのかというお尋ねでございます。

 こちらの方は、生産数量目標を守って主食用米を生産する場合は、農業者に対して、米の所得補償交付金、定額部分ですね、それと米価変動補てん交付金を支払うというものになっております。だから、別物でございます。

 二十二年度の分と比べてどうかということもお尋ねがありました。

 定額部分は、二十二年の分と同じでして、作付面積を確認いたしまして、年内に支払われます。それから変動部分については、ちょっと違いまして、昨年はちょっと早目に計算したりいたしましたけれども、今年度分につきましては、出来秋から来年の三月までの相対取引価格の平均の、交付単価を算定して、来年五月ごろまでに支払われる予定でございます。

 それからもう一つありまして、この四月八日に稲の作付制限の指示が出されたところがございます。それで稲の作付を断念されたわけでございますけれども、こういった農業者につきましては、戸別所得補償制度の交付金は支払われません。しかし、この点につきましては、中間指針では、農業者が作付を行った場合に得られたであろう戸別所得補償交付金を含む収益相当額が賠償すべき損害となるというふうに明記されておりますので、東京電力により適切な賠償が行われるものと思っております。

 ですから、制度の運営はちょっと違いますけれども、いずれにいたしましても、農家の責めに帰する理由ではありませんので、農家が困らない、きちんと補償ができるような仕組みになっております。

石原(洋)委員 出荷制限の指示がなかった場合なんですけれども、ただ、福島県というところの中で、例えば風評被害ということで価格が大幅に下落してしまう、そういうケースもあるんじゃないかなと思います。その場合はどうなのかということも、済みません、再質問ですが、お伺いいたします。

篠原副大臣 風評被害につきましても中間指針に明記されておりまして、出荷制限等の指示が行われました六県につきましてはきちんと補償されることになっております。それ以外の県についても、今後そういった同じような事態が生じた場合には、請求が行われた場合には補償されるというふうになっております。

 福島県の場合は、きちんと出荷制限指示が行われておりますので、風評被害についても補償されることになっております。

石原(洋)委員 この出荷制限指示がなくて市場に出回ったときに、戸別所得補償で補償される部分と、あと、価格が万が一下落してしまったときに賠償、風評被害の対象となる部分もあるかと思いますので、その点に関しまして、ぜひきちっとした補償、賠償をお願いいたします。

 次に移りますが、相馬地方を初め福島県内地域においては、原発事故により、警戒区域や計画的避難区域、特定避難勧奨地点において、森林への立ち入りができない状況であります。また、一昨年策定された森林・林業再生プランに基づき、森林経営計画策定に向けて準備をしてきましたが、森林所有者の多くが県内外に避難していることにより、経営計画の策定実施が困難になっているなど、この地域において森林組合の経営が厳しい状況にあります。

 地域での雇用を維持、確保していくためにも、林業者や森林組合に対する支援が必要だと考えますが、その支援策についてお伺いいたします。

皆川政府参考人 林業者、森林組合に対する支援策についてのお尋ねでございました。

 まず、事故に伴う損害賠償等を適切に行うということ、これを支援するということがございます。また、長期にわたりまして仕事量を確保していくということでございますので、森林整備等の事業というものも徐々に再開をしていただいて、経営の安定を図っていただくということが肝要かと思っております。

 このため、農林水産省といたしましては、まずは森林組合系統が行う損害賠償手続について支援をする。さらには、被災した林業者や森林組合に対してさまざまな金融支援、また利子助成を行うということを行っております。また、避難している方を含めまして、森林組合系統が森林所有者に対して森林経営計画の作成を働きかけるために必要な経費への支援ということも講じているところでございます。

 また、仕事量の確保という面では、福島県においても補助事業等をそろそろ発注を始めておりますが、国有林内の森林整備事業につきましても早期発注に努めているというところでございます。

 森林組合系統においても、近隣の森林組合において被災森林組合の作業員を受け入れるなどの支援も行っておりますので、今後とも、森林組合系統と共同一致、協力いたしまして、林業者、森林組合に対する支援を行ってまいりたいというふうに思っております。

 以上でございます。

石原(洋)委員 南相馬市や飯舘村など原発事故の被害に遭った阿武隈山系は、本来、豊かな自然に恵まれ、林業が盛んでありました。今回、厳しい状況となってしまったわけでありますが、しかし、今後、この山々を除染していくということがやはり必要かと思います。そのためにも、やはり木を伐採していくということが必要でありまして、汚染状況の調査や森林伐採をやることで、国の除染対策というものを伺いたいと思います。

 私が思いますに、やはり除染、そのためには山を丸裸にしなければいけないということでありますが、例えば、この地域を特区とし、木材をバイオマス燃料などで消費していく。海沿いには東京電力の火力発電所が立地されています。石炭燃料の五%程度をバイオマスチップとして活用しただけでも、かなりの伐採量になると伺っております。第二次補正予算にも、森林内における放射性物質の分布状況等に関する調査費も計上されておりますが、阿武隈山系の除染を進めるためにも、火力発電所で放射能汚染の木材をバイオマスチップとして活用してもらうことなどを初め、木材利用方法を考えるべきかと思いますが、お伺いいたします。

皆川政府参考人 震災復興に当たりまして、東北の豊かな森林資源を活用していくということは非常に大事だということで、復興の基本方針等にもそういったことが明示されております。林野庁としても、震災瓦れきを含めまして、未利用間伐材等を熱や電力というものに活用していくということに取り組んでまいりたいと思っております。

 一方、放射性物質に汚染された地域の森林の取り扱いでございますけれども、チェルノブイリにおける知見等もございますけれども、そうした森林の取り扱いについては、慎重な取り扱いも必要かと思っております。何となれば、森林に人為を加えまして、放射性物質をかえって拡散するといったことがあってはならないということであります。

 そのため、まずは放射性物質の汚染状況といったものをしっかり調査するということで、二次補正等にもその予算を盛り込んでいるところでございまして、福島県内の森林を対象にいたしまして、空間線量、さらには土壌の放射性物質濃度に関する調査を行っているところでございます。

 また、これらの調査結果を踏まえまして、森林内の放射性物質の挙動というものを的確に把握いたしまして、必要な対策を検討してまいりたいというふうに考えております。

石原(洋)委員 最終的には汚染された森林を除染しなくてはいけない。そのためにも、最終的には、伐採をしていって、山を一たん丸洗いするぐらいの気持ちでないといけないのかなと思いますので、バイオマス燃料等々の有効利用をぜひ考えていただければと思います。

 次に移ります。

 先日も、地元の農家を回ってまいりました。生活は大変厳しい状況でございます。ある酪農家では、現在、一カ月の収入が十万円くらいにしかならないという方もいました。その中から夏場の電気代や水道代などを払っただけでも、手元にはほとんど何も残らない、どのように生活をしていけばよいのかわからないとのことでした。

 つなぎ資金等を借りて何とか食いつないでいるとのことでしたが、本当に補償が払われるのか、賠償が支払われるのか大変不安で、ストレスを感じる中で生活をしているところでございます。また、一部では、仮払いももらっていないとのことです。このような状況にある方々は、酪農家のみならず、農林水産業に従事するすべての方が不安に感じております。

 福島市は、「花もみもある福島市」と言っておりますが、花木が盛んであります。切り花なども、食用でないため補償の対象にならないと話をする花木農家もおりました。食べ物だけではない農家の方々が補償の対象となっていないところであります。

 農林水産分野における補償、賠償がいつごろ本格的に支払われるのか、農林水産事業者が安心できるような補償内容、スケジュールの御説明をお願いいたします。

松下副大臣 被災者の支援チームの事務局長をしておりますので、その立場からお答え申し上げます。

 本格的な賠償でございますけれども、せんだって、原子力損害賠償支援機構法が成立いたしまして、本当に感謝しております。また、八月の五日には、原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針が示されました。

 これらを踏まえて、東京電力は、九月中に請求受け付けを開始して、十月には本格支払いを開始するということを発表しております。いつまでも仮払い、仮払いを続けるわけにはいかないわけでございまして、政府としても、全力を挙げてこの本格的な賠償が進行するように支援してまいりたい、そう考えています。

石原(洋)委員 補償というものがきちんと支払われるような形でぜひお願いしたいところでありますし、抜けてしまうような方々がいないような形でぜひお願いいたします。

 最後に、セシウムの牛に関して質問をいたします。

 国の出荷停止指示によって適切な出荷時期を逃した肉牛を農協などが設立する団体が農家から買い上げ、その団体に県が補助する仕組みが設けられました。さらに、新たな対策として、先日、県の補助金を国が助成することで肉牛買い上げを間接的に支援することとなったわけでございます。

 これはこれで、まことにありがたいことでありますし、感謝申し上げますが、しかし、今までの対応が自治体よりも遅かったということは否めないところではないかと思います。間接支援でよいといたしましても、国が自治体に対してどんとお金を用意するのか、あるいは、請求を受けてから支払うのでは、生産者まで届く国の支援が大きく違ってくるものと思います。

 今回の新たな対策により、これだけ資金は豊富にあるので何かあってもこれで支払うようにいたしますから大丈夫ですといった、肉用牛農家に安心を与える強いメッセージが必要かと思いますし、それ以上に、一日でも早い農家への支払いを含め、新たな対策の実行が重要だと思いますが、お伺いいたします。

鹿野国務大臣 この稲わら問題につきまして、出荷制限の指示が出された県もふえてきましたし、農林水産委員会におきましてもいろいろと委員の皆様方からお考えをお聞きし、また、当衆議院の農林水産委員会におきましても決議がなされました。それを受けまして、八月五日に新たないわゆる政策支援というものを打ち出したところでございまして、せっかくこうやって打ち出した限りはできるだけ早く、今農家の方々も大変困っておるわけでありますから、早期に、かつできるだけ簡潔な形で手続、支払いが行われるように、今全力を挙げて取り組んでおるところでございます。

石原(洋)委員 安心して支払い請求ができるような形をぜひお願いいたします。

 どうもありがとうございました。

山田委員長 次に、石田三示君。

石田(三)委員 おはようございます。民主党の石田三示でございます。

 大変ありがたい機会をいただきまして、ありがとうございます。一生懸命やらせていただきます。

 初めに、米先物取引の試験上場が昨日スタートをいたしました。スタートから大変買いが殺到して、二〇一二年の一月物の北陸コシが一万八千円以上というような高値でストップということだそうでございます。当初、東京穀物商品取引所は先物価格が米の売買の指標になるんだというようなことを言っていたと思うんですが、これが冒頭から、指標とならないことが懸念されるという結果になったんだというふうに私は認識しております。

 政府は今後、市場をしっかり監視していただきまして、生産計画あるいは所得の確保に影響のないように、またあるいは、非常に悪影響が出るというようなことになった場合には、市場を閉鎖するとか、そういったことまで踏み込んで対応をぜひお願いしたいということを冒頭お願いしたいというふうに思います。

 それでは、準備をさせていただいた質問に移りたいと思いますが、最初に、戸別所得補償制度についてお伺いをいたします。

 子ども手当に始まり、民主党の大きな政策の中がいろいろと、震災復興の財源確保ですとか政局の話題として、戸別所得補償までが今取り上げられております。

 当初、大変農家の皆さんも御心配をしておられたんですけれども、モデル事業として一年終わった段階で、私も農村出身でございますし、農家に知り合いがたくさんいるわけでございますけれども、お話を聞くと、大変よかったと。また、ばらまきで、広く農家の皆さんに渡しますので、後継者育成ですとか、そういった点につながらぬのではないかというようなこともありましたけれども、私が伺う以上は、地域を担うそういった方たちこそ、よかった、ありがたい施策だということを大変強く言っておられました。

 そういった中で、先般、戸別所得補償制度に関する意識・意向調査、この結果が出ていると思うんですが、私は、その辺の告知ですとか、そういったことが非常にまだまだ足りないんだろうというふうなことを感じているところなんですが、政府として調査結果を受けてのコメントを伺いたいと思います。

田名部大臣政務官 お答えをいたします。

 先生がおっしゃったように、農家の皆さんに対して、所得補償のモデル事業のアンケート調査を行いました。これはまだ、変動部分が支払われる前の段階でアンケート調査を行ったわけですけれども、モデル対策に対する評価でありますけれども、加入した方の四人に三人が制度を継続すべきと回答をしていただいております。

 評価の理由ですけれども、主食用米に交付金が出ることで経営の安定に役立ったと思うという点、そして、従来の対策に比べ米の需給調整に参加するメリットが大きいからという順番で回答が多かったわけです。

 また、今年度の米の所得補償交付金に対する加入意向でありますけれども、回答者の八五%に相当する方々が加入すると回答をしていただいておりまして、二十二年度に加入した方よりも多いところでございます。

 モデル対策に加入をせず、ことし新たに加入すると回答した方にその理由を聞いたところ、二十二年度の米価が大幅に下がったために、需給調整に参加をして米の所得補償をもらう方が有利と回答する方が最も多かったというのがアンケート調査の結果でございます。

石田(三)委員 ありがとうございました。

 総論的に大変大きな評価をいただいたというふうに私は認識をしています。そのことを、やはりもう少し広く、農家の皆さんあるいは国民の皆さんに公表をしていくべきだろうというふうに考えております。

 野党の皆さんから見直すというような声も上がっておりますけれども、農家にこれだけ支持を受けている制度でございますので、ぜひ、食料自給率を向上させるためにも、また、戸別所得補償の実施により日本の農業を再生するんだというところを、しっかり大臣からその辺の決意をお伺いしたいというふうに思います。

鹿野国務大臣 今、田名部政務官からも話がありましたけれども、この農業者戸別所得補償制度というのは、多くの方々に実施することによって理解が広がっているものと思っております。そのことが、農業者の方々からの、このアンケート調査における結果としてあらわれているのではないかと思っております。そういう意味で、実質的に、六月末までの加入者の数を見ましても、昨年を上回る数字というふうなところにも、この制度というものを続けてほしいというような考え方を明確に示しておるものと私どもは思っております。

 そういう意味で、安定的にこの農業者戸別所得補償制度というものを実施していくということにつきまして、今後、定着の度合いというふうなものを見詰めながら、着実に軌道に乗せていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。

石田(三)委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 それでは続きまして、農地の再生と農地転用の規制緩和について御質問をさせていただきます。

 食料・農業・農村基本計画の中で、「農地転用規制の厳格化」ですとか「耕作放棄地の解消に向けた対策の推進等により優良農地を確保する」、そうしていくんだということをうたっております。食料自給率を向上していくためには優良農地をしっかり確保していく、こういった政策が必要だというふうに認識をしております。

 そんな中で、東日本大震災での原発事故を受け、再生エネルギーの導入、こういった機運が非常に高まっております。被災地のみならず、各地域で太陽光、風力、地熱、小水力、バイオマスといった資源が大変注目を集めておりますけれども、これらは大半が農村地域に存在するわけでございます。この取り組みによっては農村地域の活性化に大いに貢献するものだというふうに認識をしております。

 また、孫氏が提唱しました自然エネルギー協議会の電田プロジェクトは、三十五都道府県が賛同するというようなことで大変大きな運動になっているというふうに思いますけれども、彼が言っているのは、休耕地や耕作放棄地に太陽光あるいは風力発電施設を設置していくということを言っております。

 その辺で、新規発電事業については、固定価格買い取り制度の導入のほか、電線網あるいは系統の問題の解決、さまざま問題があって一朝一夕にいかないことも十分理解をしておりますけれども、農水省を含め政府全体での取り組みが必要だろうというふうに思っています。

 今後、農地転用については、都道府県知事の許認可権限というのは二ヘクタール以下、あるいは二ヘクタールから四ヘクタールは一応御相談をというようなことでありますけれども、国の届かないところで転用が進んでしまうこともあり得るのかなということをちょっと心配しております。

 今後、優良農地の確保と再生可能エネルギーの推進、これはもうどうしても両方やっていかなきゃいけないというふうに認識をしておりますけれども、その辺について政府のお考えをお伺いしたいというふうに思います。

篠原副大臣 福島の第一原発の事故の後、再生可能エネルギーについての関心が非常に高まってきております。そういったことから、我々は、遊休農地もそういったところに活用できるのではないかということを検討してまいりました。

 ですけれども、第一義的には我々は食料自給率の向上というのを真っ先に目指さなければいけないんじゃないかと思っております。しかし、使われないでいる農地があるということで、そういったことを活用することにより、農村地域の雇用の維持ができ、農家の所得の確保もできるということであれば、そういった方面でも遊休農地を活用していただくのはいいことではないかと思っております。

 転用等の問題、いろいろ御指摘いただきました。公益性とのバランスですね。食料自給率の向上、農地の維持というのと、電力事業という公益性とのバランスの関係でございますけれども、電気事業法に定められております許可をちゃんと受けております十電力会社、ほかに電源開発とかあるわけですけれども、そういった企業の場合は、第一種農地も許可できるようになっております。それ以外の事業者につきましては第二種、第三種の農地の方に誘導するという形でバランスをとってまいりたいと考えております。

石田(三)委員 ありがとうございます。

 優良農地の確保、これは絶対条件として私は必要だと思いますし、また自然再生エネルギーの確保も大切なことだということでございますので、しっかりバランスをとりながらよろしくお願いをしたいというふうに思います。

 時間も残り少なくなりましたのですが、最後に、先ほど農村地域にある資源を生かした再生可能エネルギーということの中で、小水力発電あるいはバイオマス発電、これはなかなか規模が大きくならないわけでございます、その中で経費もかかるということでございますけれども、非常に大きなポテンシャルを持っているというふうに私は認識をしております。

 これは農村で農民が、あるいは林地を使ってということになると思いますので、本来、発電事業というのは経産の事業になるのかもしれませんけれども、農水省として、小水力発電あるいはバイオマス発電をどう取り組んで進めていくのか、最後にお伺いをして終わりたいと思います。よろしくお願いします。

篠原副大臣 農山漁村地域には、石田委員御指摘のとおり、再生可能エネルギー資源がたくさん存在しているのではないかと思っております。特に、私は、その中でも小水力発電というのは、余り喧伝されておりませんけれども、非常に有望な資源じゃないかと思っております。

 ちょっと御紹介させていただきますと、農山漁村電気導入促進法というのがございまして、それに基づきまして、戦後、農村地域に小水力発電が導入されました。今残っているのは四十六カ所あるわけですけれども、残っているというか導入されたもの。そのうちの四十一カ所が中国電力の傘下になっているわけでございます。

 これは何を物語っているかというと、中国電力は、きのう聞いた、私が承知している限りでは、副社長さんがおられまして、将来のことを考えたら、どちらかというと、電源開発交付金のようなものがあったわけです、それでもって道路だとか、何とか会館とかそういったものに皆行きがちだったわけですけれども、農村でも電気を使うんだから、小水力発電をつくったらいいということを進められたわけです。それが残っているわけでございます。

 これはどういうことかというと、全国各地に八万カ所も水車というのがございました。水車があったというところは小水力発電に向いているというところでございまして、石田さんの御地元の千葉県や茨城県とか、ちょっと平地のようなところでも幾らでも可能ではないかと私は思っております。

 それから、バイオマス発電。

 これについても、間伐材の残り等もございますし、こういったものを有効活用していけば、我が省で計算したわけでございます、ポテンシャルでございますけれども、全発電量の四三%もカバーできる。経済性等その他問題はあるわけですけれども、そういった計算もしておりまして、我々は、そういったことに全力を挙げて取り組みつつ、農山漁村の活性化にも役立てていくことを考えております。

石田(三)委員 ありがとうございました。

 その取り組みが農村の活性化に大きく寄与するものだというふうに信じておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 以上で終わります。ありがとうございました。

山田委員長 次に、小野寺五典君。

小野寺委員 自由民主党の小野寺五典です。

 きょうは、質問の機会をありがとうございます。

 先日、京都の大文字焼きで、今回津波、震災で町がほとんど壊滅しました岩手県の陸前高田市の高田松原、ここは私のうちから車で二十分ぐらいのところです、ここのまきを使って大文字の送り火をしよう、そういう企画がありました。ところが、これが放射能の心配があるということで中止をされた。これは、陸前高田を含めて私ども被災地の人間にとっては大変ショックな事案でした。

 例えば陸前高田、専門家も非常に疑問を投げています。広島大学の原爆放射線医学研究所の細井教授。陸前高田市は福島第一原発から二百キロ近く離れており、そもそも放射性物質が松に含まれる可能性は低い、まきを燃やしても環境への影響は全くない、こういうところが専門家の意見であるにもかかわらず、京都で、岩手県の陸前高田の松はこのような扱いを受けてしまいました。

 これは風評被害以外の何物でもないんだと私は思っております。そして、これが、実は私ども東北地域の畜産全般に今広がっている、これはもう大臣もお認めいただけることだと思っております。

 そんな中、今回、まず、国の方で肉の買い上げという制度を出してくれました。肉の買い上げ、現在流通している肉の買い上げの対象というのは、汚染稲わらを食べた牛のみということになっています。

 しかし、例えば、皆さんは肉屋さんに行って、宮城の牛、これは汚染稲わらを食べていないから大丈夫です、そんな表示で売っているところを見たことはないんだと思います。汚染稲わらを食べた、食べないにかかわらず、今回出荷停止になっている。既に出荷された宮城の牛については、これはほとんど店頭に並ぶことはありません。ということは、事実上、宮城の、出荷停止になる以前に売られた牛というのは今どうなっているかというと、流通した肉屋さんがみんな抱えているんです。ある面では、小売に売ったものが返品されて返ってきたこともあるでしょう。

 そうすると、今市場で宮城の牛あるいは福島の牛、もしかしたら出荷停止になっている岩手の牛、既に出荷されたもの、これは汚染稲わらを食べたか食べていないかにかかわらず全く流通をしていないということであれば、私は、今回この買い上げ対象というのを、汚染稲わら、春の稲わらを食べたとした牛だけじゃなくて、全頭検査以前に流通された牛全部に広げるべきだと思いますが、大臣はそのようなお考えはないでしょうか。

鹿野国務大臣 いわゆる今回の稲わら問題につきまして、今、小野寺議員の方から具体的な形での宮城県のことにつきましてお話がございました。

 出荷制限以前に出荷された牛の中には、汚染稲わらを給与されていないものであっても販売できずに流通段階でとどまっておる、こういうことにつきまして、それも一緒に買い上げるべきじゃないか、こういうような今御提言でございますが、そういう実態、実情にあるということも私自身も承知をさせていただいております。

 このためにどうするかということにつきましては、今回、宮城県を含む出荷制限県産の牛肉について、汚染稲わらを給与されていないものであったとしても当面在庫として保管するよう、必要な経費を支援するというふうな仕組みを措置したところでございます。そういうことにつきまして私どもとしては具体的な形で取り組んでいきたい、こういうふうなことから今申し上げたような措置を講じさせていただいているところでございます。

小野寺委員 例えば、保管して、そのまま時間がたつので凍結をした場合、値段は半値以下になります。この下落分、これもやはり扱った食肉業者の手出しになってしまう。大変大きな問題です。私は、いっそのことこれは買い上げてしまったらどうなのか、そう思うんですが、この下落分について含めてどのようなお考えがございますでしょうか。

鹿野国務大臣 当面在庫として保管するためには保管するところの経費もかかりますし、また、今先生が言われた、いわゆる凍結をしてしまいますと当然値段も下がる、こういうことでありますから、この差損につきましても措置を講じさせていただく、こういうふうな考え方でおるところでございます。

小野寺委員 この差損とか、それぞれ一つ一つ、これは冷凍を何カ月したからこのぐらい下がりましたということを追うのであれば、初めから私は、汚染稲わらを食べさせた、食べさせないにかかわらず、今回出荷停止になっている地域の牛肉は国が買い上げる、そういう制度の方がすっきりしてわかりやすいと思いますので、これはこれからも主張し続けますので、ぜひ国として検討していただくようにお願いをしたい、そのように思っています。

 さて、次に、肥育農家の支援ということをちょっとお伺いします。

 今回、肥育農家の支援のスキームということで、今出荷できないということで、肥育農家に一頭当たり五万円を仮渡しするという制度が農水省から出ました。

 先般の、これは外務委員会だと思いますが、篠原副大臣に、この問題について、今政府が出している案であれば、これは前年の同月に出荷した実績掛ける五万円だという数字で出ておりました。例えば三百頭肥育している農家であれば、前の農水省の答弁であれば、三百頭肥育していて、そのうち恐らく去年の八月に出荷したのは十五頭ぐらいでしょう、十五頭掛ける五万円、これしか出ないというのが実は先般までの農水省の考え方でした。先般質問をして、ちょうど外務委員会だったので、篠原副大臣が御答弁されて、これは農水省としてももっと枠を広げるように考えるというお話を言っていただきました。

 速やかに対応していただきまして、今回は、飼育するすべての肥育牛、ですから三百頭肥育すれば三百頭掛ける五万円ということで、実は大変ありがたいと思っています。速やかな対応を感謝いたします。

 ただ、その中で、まず懸念するのは、これは最終的には対象牛の販売時に返還となっているんです。今回、五万円出すけれども、後で、牛を売った後にこのうちから五万円取りますよと。言ってみれば、これは支援するのではなくて、一時仮払いしますよ、そういう制度になるんだと思います。

 ところが、ぜひ知っていただきたいんですが、きょう皆さんのお手元に資料をお配りしております、平成二十三年稲わら不足対応品申込書。これは、ついこの土曜日、日曜日、地元を回ったときに、私の地元のJA栗っこという組合が農家に、各戸にこれを今回しました。実は、春上げのわらを使うなということで、農家はえさ不足になっています。申込書を見ますと、例えば、稲わら九州産、これは大変品質がいいんでしょう、ですが、百二十キロで一万三千二百円、これは通常のわらの価格の三倍以上です。こんな値段のわらを申し込んで使わなきゃいけない。あるいは、農家は、今回出荷できないということで、長期間肥育せざるを得ない。ましてや、今回、稲わらの問題が出たので、精神的なダメージは大変なものです。

 農家は実は相当今回いろいろな面で被害を受けている。であれば、今回、肥育牛に対するこの五万円の支援、これは支援ということであれば、売ったときにこの五万円返してね、これは私はちょっと余りに無体じゃないか。そうであれば、やはりさまざまないろいろな影響を見て、たとえ牛肉の価格がもしかしたら下がらなくても、この五万円の返還ということを国がわざわざ求めるということは、これは、今回大変な被害を受けた農家の皆さんに対してちょっと冷たい対応じゃないかと思うんですが、ぜひ、今回の、販売時に、一回国が渡した五万円、一頭当たりを返還する、こういう制度について、見直す考えがあるかどうか、大臣にお伺いしたいと思います。

鹿野国務大臣 肥育する肥育一頭当たり五万円の支援というのは、出荷制限や、あるいは全頭、全戸検査の開始に伴いまして厳しくなっておるところの肉用牛の肥育農家の喫緊の資金繰りに対応するという支援でございます。

 この五万円を交付された牛が出荷された際に、価格が回復していなければ価格下落分を一頭ごとに補てんするということもしておるわけでございますので、その際には相殺されるというふうになるところでございます。

 このような状況の中で、私どもは、まさしく今精神的な面も含めて大変御苦労なされておるというようなことも承知しておるわけでございますけれども、このような措置を講ずることによって、とにかく生産、流通というものが一刻も早く、一日も早く正常に戻るようにというふうなことを考えておるところでございます。

小野寺委員 一刻も早く戻すのは当然のことです。そして、今大臣みずから農家の心情のことをお話をされました。

 であれば、五万円ですよ、一頭。これを今回、支給して、売った後に返してねと、これはやはり、私は、政治家として、恐らく今の答弁は大臣の後ろの方々がつくられたと思いますが、私は、これは、全体の金額はそんなに大きな金額じゃないんだと思いますよ。これからも私ども、うちの党はどう考えるかわかりませんが、復興財源についてさまざま努力をするために、赤字国債とかいろいろなことを一緒に協議してまいりますよ。ですが、今困っている農家の皆さん、そして、国が出してくれる、みんな喜んだわけです、ありがとうと。ところが、一文見ると、売ったら返してねと書いてある、これはがっかりですよ。

 きょうここですぐに、恐らく大臣は答弁できないんだと思います。ですが、ぜひきょうこの場で、委員会で、恐らくここにいる野党、与党の委員、皆さん同じ気持ちだと思います、政府として、この五万円の返還については、これはしないと明言してほしい、もし、しないと今明言できないのであれば、検討する、あるいは弾力的に運用する、そういうことをこの場で決断していただきたいんですが、いかがでしょうか。

鹿野国務大臣 私どもも本当に、先ほども御答弁をさせていただきましたけれども、一刻も早く、資金繰り、農家の方々の資金繰りというものに対する対応をというふうなことからこのような措置を、今申し上げたような措置を講じさせていただいているわけでございますので、何とか軌道に、正常なる状況に戻すというようなことも含めて、今回の一頭当たりの支援策というものは具体的な形で効果を上げてくるのではないか、このような考え方に立っておるところでございます。

小野寺委員 改めてお伺いしますが、今の答弁ですと、進むも進まないも私どもに伝わってまいりません。これは、政治家として大臣に改めてお伺いしたいと思います。この返還について、ぜひ、政治家鹿野大臣として、踏み込んだ対応をするということを改めてお伺いしたい。

 そして、今大臣は、何度も資金繰りというお話をしました。いつ出るのか。いつ、どこから、この五万円、一頭当たりのお金が出るのか。それをぜひ教えていただきたい。

 というのは、今お盆を前にしています。きょうは松下副大臣もいらっしゃいますが、農家にとってこのお盆というものの持つ意味、そしてお盆の前にさまざまな支払いもしなきゃいけない、これが今一番心に迫っているわけですよ。ですから、ではお盆前にこのお金が出るのであればまだ何とかしのげる。一体いつ出るんですか。

篠原副大臣 一刻も早くという御指摘でございます。

 これは八月五日に決定したところでございます。翌日の八月六日から、事務方と、特に福島県の農家が一番困っているので、打ち合わせを行ったりしております。この資金繰り、五万円の支給を早急に開始できるように鋭意努力をしているところでございまして、確実にお盆前ということではないかと思いますけれども、その方向で進んでおります。

 どうやっているかということでございますけれども、トレーサビリティー情報がございます、それが一つございます。それから、新マル緊事業の登録頭数というのもございます。我々、そういったことで把握しておりますので、手続を簡素化して、概算払いででもいいから、早く、お盆前に支給できるようにということで検討しているところでございまして、この点は御要望に沿えるのではないかと思っております。

小野寺委員 農家の懐ぐあいを一番よく知っているのは農協です。仮に、政府がしっかりとこれを出すんだという明確な意思を出し、通達、通知を出せば、もしかしたら、お盆前に間に合わなければ農協が立てかえて出してくれるかもしれません。私は、農家に、お盆ということが持つ意味が大変重いと思います。ここまで被災した農家の皆さんに、ぜひ、お盆前にしっかりこのお金が回るんだというメッセージをお願いしたい。

 そして何度も、もう一度大臣にお伺いしますが、えさがこれだけ高騰しているんです、仮に肉の値段が下がらなくても、農家はこれだけの負担をこれからも強いられる、それから、出荷できないので、預かる期間も長くなる、ましてや、精神的ダメージが大きいです。もし牛肉が下がらない、仮に下がらなかったとしても、これに対して何らかの手当てをして、これは人間であればそうじゃないですか。

 加害者と原因者がわかっている中で、迷惑かけてごめんなさい、東京電力はそう言いましたか。東京電力、ある東北の、宮城の農家に対して、食べさせた農家が悪い、こう言い切った職員もいるわけですよ。こんなことをされていて、私どもはとても許すことはできない。

 この五万円、もし国が出せないんだったら、逆に東京電力に五万円上乗せして請求していただく、こういう考えをぜひお伺いしたいんですが、松下副大臣いかがでしょうか。

松下副大臣 小野寺委員の御指摘のとおり、農業関係の団体の皆さん方とのやりとりの中で、本当に、被害に遭った方々の心情に配慮が至らないで、心を傷つけるようなことがあったということは事実だというふうに聞いています。話の内容はよく、いろいろな行き違いもあって、意見がありますけれども、間違いなくそういうことがあったということでございまして、これは厳重に注意して、しっかりと謝罪して陳謝するように話をしておりまして、それは行ったというふうに聞いております。

 あと、補償の問題ですけれども、仮払いと本払いがございますけれども、仮払いにつきましては、いろいろな制限がありますけれども、できるだけ広い範囲の方々にとにかく素早くお支払いしたいということで、お盆の前までに何とかしたいということで努力してまいりました。いよいよ支援機構法、本賠償の関連する法案ができましたので、これから全力を挙げてその実現に向けて努力していきたい、そう考えています。

小野寺委員 ぜひ、この五万円の今回の仮渡しということ、これも含めて損害賠償ということで私は積み上げていただきたい、そう思っています。

 さて、その中で、今回価格下落の補てんということも項目に入っていますが、具体的に、例えば、今回、福島なり宮城なり岩手の牛、茨城も栃木も、もしかしたら千葉もそうかもしれませんが、価格が下落をしてしまった場合、どのような算定基準でこの下落分を見るのか。具体的に今どこまで検討が進んでいるか教えてください。

篠原副大臣 価格下落分の補てんというのが農業者をバックアップするのに非常に大事になってくるんじゃないかと思っております。

 すべてがきちんとしているわけではございませんけれども、出荷計画を作成しまして、全頭検査あるいは全戸検査した後、牛の価格の下落が、牛肉価格の下落がわかった場合には、きちんとその分を補てんすることにしております。

 それはいろいろな仕組みを考えておるわけでございますけれども、基本的には、各県ごと、それから品種ごと、それから格付ごとに精緻に考えております。比較すべき価格は、汚染稲わら問題発生前の価格と、それ以降に価格が決定したときの価格ということでございます。

 具体的なイメージで、ちょっと数字でもって申し上げたいと思います。例えば、ある県の和牛のA4の枝肉の場合。前の価格、平成二十三年の四月から六月の平均価格がキログラム当たり千八百円だとします。八月、今、価格が下がってしまった、千三百円だ。五百円の差があるということですね。そして、その肥育牛の枝肉の全量が五百キログラムだという想定をしていただきたいと思います。ですから、五百キログラム掛ける五百円をやりまして二十五万円、この二十五万円が価格下落分として肥育農家に支払われるということを考えております。

小野寺委員 ぜひ、等級別でしっかりやっていただくということが大事だと思いますし、また、ちょうど今、夏の時期というのは出荷の盛期になります。非常に焼き肉等の需要が高まって、本来高い値段がつく時期であります。ぜひ、そういう時期別のことについても配慮していただきたい。

 そして、今回、出荷停止をした後のお話をされましたが、する以前も、例えば、汚染稲わらが今回宮城から出たというあの直後に私は東京の食肉市場に行きました。従来の価格から三分の一、四分の一まで下落をした、そういう状況が既にありました。こういうことについても当然風評被害だと思います。出荷停止以降ではなく、その以前の分についても対応するかどうか、お伺いしたいと思います。

篠原副大臣 八月五日の原子力損害賠償紛争審査会におきまして、このことがきちんと決められております。言ってみれば風評被害でございますけれども、七月八日に、南相馬市の牛肉が非常に高度に汚染されている、たしか一番高いのが四千三百五十ベクレル・パー・キログラムだったと思います。そういったことがありましたので、汚染された稲わらが流通した県、基本的に十七道県でございます、十七道県で産出された牛肉については賠償の対象というふうに認められております。

 しかし、その十七道県だけじゃなくて、恐縮でございますが、私の長野県等も、飼料や堆肥のチェックをきちんとしろというような対象県には入っているわけです。ですから、それぞれ、肥料や何か、堆肥の対象と、稲わらが流通したのと、ちょっと違ったりしているわけですけれども、被害は同じように受けておりますので、こういった県も含めまして、東京電力に対しまして、損害賠償を具体的に算定して、きちんと適切に補償されるようにしていきたいと思っております。

小野寺委員 副大臣は言いにくいと思いますが、我が党の長野県出身の議員も同じことを言っておりましたので、長野も含めてしっかり対処するようによろしくお願いしたい、そのように思っております。

 さて、今回、肥育牛の問題でしっかり対応が必要なんですが、実は、繁殖、子牛の方、これも恐らく、肥育の方で今出荷できないとなれば子牛を新たに買うこともできない、そして、当然、肥育の方がダメージを受ければ子牛の方にお金が回らないということで、今後、子牛市場の低迷ということも考えられます。宮城では八月の十七、十八から子牛市場が始まります。私どももこの価格を注視してまいりますが、子牛がもし下がった場合、これについても風評被害という形で対応できるかどうか、お伺いしたいと思います。

篠原副大臣 この汚染稲わら給与問題というのは、畜産関係者あちこちに悪影響を与えております。何も肥育牛業者だけじゃなくて、酪農家、あるいは、極端なことを言いますと肉全体の消費低下にもつながっている部分があるのではないかと私は思います。

 一番直接的な打撃を受ける農家の一つとして、肥育農家に子牛を提供する人たち。今現に飼っておられて出荷できないわけですから、畜舎が満杯ですから、子牛を新しく買ってこれから肥育しようにも、買えないわけです。ですから、そういった意味では非常に直接的な被害を受けておられるのではないかと思います。

 これも、我々の望みですけれども、一日も早く全頭、全戸検査が行われ、出荷制限が解除されていくと、先ほど、三百頭のうち十五頭ぐらい毎月出荷されているということを小野寺委員がちょっとおっしゃいましたけれども、十五頭出荷されれば十五頭の畜舎があきますから、そういったことで子牛を購入するという形で回復していってくれればいいかなと思っております。

 肉の価格は急激に下落いたしましたので、我々は、子牛価格への影響というのも見てまいりました。確かに影響を受けておりますけれども、幸い、今のところ、正常だった場合と比べて一〇%ぐらい、大体一頭当たり四十万円ぐらいだったのが三十数万円になっているぐらいの下落にとどまっております。ですから、我々の今の対策がうまくいって、子牛の価格も回復していくことを願っております。

 ただ、御指摘のとおり、今後このままいったら、なかなか進まないで、子牛の価格ももっともっと下がってしまうというようなことがありましたら、また別途対策を講じなければいけないんじゃないかと思いますので、そういった場合には検討してまいりたいと思っております。今のところは、肉の方の対策だけで、子牛価格の下落については対策を講じておりません。

小野寺委員 今、副大臣は、子牛の価格については今のところ一〇%ぐらいだとお話をされましたが、例えば宮城の子牛市場であれば、子牛市場の競りが終わってその数日後にこの稲わらの問題が宮城で発覚したということになりましたので、実はまだ子牛市場は開かれていないんですよ。初めて開かれるのが八月十七日なんです。きのうもうちの部会で事務方の方が同じようなお話をされて、その日付を間違って、後で訂正されておりましたが、報告がもしかしたら違って上がっているかもしれません。宮城の事例でありますが、子牛市場はこの汚染わらの問題が起きた後まだ開かれておりません。

 前回開かれたのはその前ですから、これが下がらなければいいんですが、もし下がったとき、事前に私どもは警告をさせていただきます、これについても同じく風評被害になりますので、しっかりとした対応をしていただきたいんですが、もう一度、万全な対応をするというお答えを聞きたいと思います。

篠原副大臣 先ほどお答えしたとおりでございまして、状況を見まして対策を検討いたします。

 その前に、風評被害対策というのがございますけれども、価格が下がった場合は、当然相当因果関係が明らかにございますので、そちらの方でも補償の対象になることになっております。

小野寺委員 次に、えさの問題。

 今回、当然春上げのわらは使うなということで、今、農家はえさで大変困っております。先ほどお配りした資料を見ていただいても、輸入か、あるいは九州からの優良なわらを導入するとなると、大変な金額、お金がかかります。農家は、今までは自前でわらを上げて、それを牛に食べさせていた、こういう、自家でやっていたということで何とか採算が合う形で肥育ができていたんですが、この申込書を見てもわかるように、こんなに高いわらをこれから畜産農家は買わなきゃいけない。これに対しての手当てがどうなっているか、教えてください。

篠原副大臣 稲わらが汚染されまして使えなくなってしまって農家が困っているという事態、我々も承知しております。ですから、稲わら等緊急供給支援対策というのも、第一回目の対策のときに既にそういった対策を講じております。

 どういったやり方かといいますと、自分が持っています稲わらや牧草等が放射能に汚染されているというのがわかって使えないとなった場合、先ほど小野寺委員の資料の中にございました。そういった畜産農家に対しましては、代替飼料を供給するため、その代替飼料の購入費を立てかえ払いした民間団体に対しまして飼料購入にかかる原資を支援するという事業をやっております。

 これによって、まだ申し込みはそんなにたくさんなくて、それほど動いていないかと思いますけれども、我々はどれだけ供給能力があるかということも調査いたしました。今の時点でございますけれども、九州等を中心といたしまして大体一万トンぐらいの粗飼料、稲わらだけじゃありませんけれども、干し草等あるということがわかっておりまして、それで、出せる農家はどのぐらいいるんだということで、もし必要な場合は、マッチングをいたしまして供給できるようにする。それで、そのお金が当然ないわけですから、その立てかえ払いをする団体に対して援助するという仕組みをつくっております。

小野寺委員 東京電力に対してえさ代については請求できるというふうにこの間の審議会で出ていると思います。

 ちょっと、わかりやすくお伺いしたいんですが、農家が今回春わらが使えないということでこの申し込みをして、これのような高いわらを購入する。このえさ代、わら代というのは、今回政府が立てかえ払い、あるいは政府の関係団体が立てかえ払いをして東京電力に後で請求をするので、ここに、何個欲しいと正確に必要な分を記入して農家が申し込んだ場合、この請求は農家には行かないと考えていいんでしょうか。

篠原副大臣 基本的にはイエスでございます。

 ただ、一応、さっき、三倍、四倍という数字、非常に高くなると。ほとんどが、九州から運んできた場合はガソリン代の方が稲わらの代よりも多分高くなるんだろうと思います。そういったものを、でも、必要不可欠なものでございますから、サシを入れたりするのに必要不可欠でございますから、合理的な価格の範囲というのがどの程度かという問題はあるかと思いますけれども、基本的には賠償の対象になることになっております。

小野寺委員 ガソリンが安くてもガソリンを食べて牛は生きていけません。牛は、どんなに高くてもやはりわらが必要だ、牧草が必要だということになります。ぜひ今回の手当てをしっかりしていただいて、今の答弁、国に請求書が行くということ、もし農家の方がこれをしっかり見れば、ある面では安心して今回肥育ができるのかな。

 それからもう一点、今は暑い時期です。ですから、肥育が一カ月二カ月延びれば、もしかしたら途中で倒れて死んでしまう牛があるかもしれない。これについても、きのう確認しましたら、しっかり対応するという御答弁をいただきましたので、肥育途中で、出荷間際で、間もなく出荷できる、その段階で例えば倒れてしまった、こういう牛について病畜扱いすれば、これは価値がゼロで、むしろその処理費用だけが農家から出ていきます。これについても、本来出荷されるべき、そういうものだということで対応できると理解しておりますが、それでよろしいでしょうか。

篠原副大臣 今回の汚染稲わらを原因として生じた損害すべて補償されることになっております。ですから、死亡した場合は当然でございますし、死亡しないまでも、二週間三週間余計に飼っていた、その間に肉の質が下がって従来よりも価格が下がってしまったというような場合もきちんと補償されることになっております。

小野寺委員 よろしくお願いします。

 それから、汚染稲わらと堆肥の問題です。

 今農家は、実は春上げの稲わらをどうにもできない状況で、農家の軒下とか、あるいは納屋とか飼料庫にずっと保管をしております。農家ですから、当然家族もいれば、子供、孫さんもそこで遊んでいる。汚染された稲わらが今でもそこに残っている。あるいは、堆肥についても処理できずにおります。

 国が今いろいろな基準を出しています。この基準以上はこうしたら大丈夫、ああしたら大丈夫という基準がようやく出てまいりましたが、これは農家に全然徹底されていないんです。

 ぜひ、国の指導として、この稲わらは今回このぐらいの汚染度合いだから焼却をしてもいい、あるいは埋却をしてもいい、田んぼにすき込んでもいいと農家一戸一戸に、堆肥の処理についても、県やあるいは市を通じて指導を一戸一戸していただく。

 この春上げの稲わらは大丈夫です、処理してください、そういう何らかの指示を戸別にやるようなことをしていただかないと、農家を回ってみてみんな相談を受けるのは、これを食べさせないというのはわかるけれども、この稲わらはどうしたらいいんだ、堆肥を移動してはいけないと言われたけれどもどうしたらいいんだ、毎日毎日牛はどんどん出すんだよと。

 ぜひ、こういうことについて農家一戸一戸に、これは大丈夫だ、だからこうしてくれ、そういう細かい指導をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

田名部大臣政務官 小野寺委員の御指摘、非常に重要だと考えています。生産者の皆さんに対しての周知徹底をしっかりと強化していくために、これまで以上に、複数の団体にもこの通知を出して、そこから各生産者の皆さんのところに周知されるように体制をつくったところであります。これがしっかりと強化されるように、行われるように取り組んでいきたい、そのように考えています。

小野寺委員 なお、この処理も、例えば焼却しろとか埋めろとか、そうなった場合には、これは、農家が自主的にやれと言われても費用がかかる問題です。その費用についてもしっかり対応していただきたい、そう思っております。

 さて、最終的な市況の回復には、当然全頭検査というのが必要だと思います。

 きょうは厚労副大臣に来ていただいておりますが、実はこの全頭検査、主要市場で、今検討しているやり方がばらばらなんです。例えば、仙台では、実施主体は民間でやる、検査方式はゲルマニウム方式、一番精度が高いものでやる。東京市場、ここはどこがやるかというと食品衛生検査所がやる、そして方法としてはスペクトロメーターという簡易方式でやる。これはまだ党に要望している段階だ。あるいは、大阪市場、ここでは、実施主体は卸売会社がやる、検査方法はシンチレーションの方式でやる。もうこれはばらばらなんです。

 結局、消費者の安全、安心をかち得るためには、統一な基準で、国がちゃんとサイドを固めて、厚労省はこうするんだと、私は、BSEと同じように、統一基準でしっかりやって証明書を発行するということが大事だと思いますが、この体制について厚労副大臣にお伺いいたします。

大塚副大臣 まず、委員会に先立って委員からその関連資料をいただきまして、本当にどうもありがとうございます。私の手元にしかなくて恐縮なんですが、食肉市場卸売協会のこの一覧表を見ると、今先生御指摘のような問題が非常に明確になってございます。

 したがって、最終的には、今先生の御指摘に沿うように、統一的な対応を図りたいと思います。

 その中で、現状に関しましては、ゲルマニウム半導体検出器等の生産に時間がかかる等の問題もありまして、検査機器等についても、まずは手当てできるもので迅速に対応するということが今の現状でございます。

 御指摘の、実施主体、検査方法あるいは検査対象になる牛肉、費用負担等々精査の上、しっかり体制を整えさせていただきたいと思います。

小野寺委員 ぜひ速やかにお願いしたいと思います。

 それから、もう一つ心配なのは、今回の、わらを春上げた、あるいは毎日わらを給餌している、この作業をしているのは農家の方です。今でもこの汚染されたわらが農家の軒先や敷地内にある。今、体内被曝の問題、これが問題になっていますが、私は、ぜひ、農家の体内被曝の検査というのを、これは希望者に対しては無料で検診を行う、こういうことを配慮すべきではないかと思います。ぜひ御検討いただきたい、そう思っています。

 それからもう一点、農家のお話をずっとしていますが、実はJA、ここも、販売手数料は今回損失しました。また、さまざまな周知の集会、こういうことを農協や関連団体中心でやらざるを得ない、さまざまな事務費が積み上がってまいります。

 この販売手数料が、実際、今回の風評被害で牛の価格が例えば半分になれば、手数料も半分になります。農家にはその分補てんが行きますが、本来の得るべき手数料が、JAを含めて関連団体には半分になってしまう。また事務費も今後かかる。このような配慮が今回の制度の中にあるかどうか、お伺いしたいと思います。

田名部大臣政務官 出荷制限に伴う手数料の減収であるとか、またかかる事務費、そして説明会等の経費、これらは当然賠償が行われるべきものと考えています。

 中間指針においても、間接被害の具体的な類型を述べた箇所に、「事業の性質上、調達先が地域的に限られている事業」「であって、調達先である第一次被害者の避難、事業休止等に伴って必然的に生じたもの。」ということが明示されておりますし、また、「個別具体的な事情に応じて相当因果関係のある損害と認められることがあり得る。」ということが明示をされています。

 ですから、こういったことに基づいて、東京電力からしっかりと賠償が行われるものと考えております。

小野寺委員 ぜひ、東京電力でさまざまな細かい事情がわからない場合には、農林水産省を含め国がしっかりとその後押しをしていただきたい、そう思っております。

 さて、今回の汚染稲わらの問題、これはやはり原因者がありますが、残念ながら、それが広がる過程で、国のさまざまな指示、指導が末端まで行き渡らなかったということもございます。

 前回、BSEのときには、この問題に関する調査検討委員会ということが十一回行われました。後のための、さまざまな今回の対応、対策の検証、今回の国や東電のさまざまな対応についての検証ということが今後必要になってくると思います。BSEのときには、調査検討委員会というのを第三者機関でつくり、学識経験者が全体のことを、こういう結果だった、ここが反省点、今後はこうすべきだということをまとめましたが、今回のこの汚染稲わら問題も含めて、同じような対応をされるかどうか、お伺いしたいと思います。

鹿野国務大臣 今、小野寺先生からの御指摘の、いわゆる第三者の検証委員会を設置してしっかりと今回の問題について検証したらどうか、こういう御提言でございます。

 今後の取り組みというふうなものを私どもも見きわめなきゃならないところもございますし、また、いわゆる出荷制限というふうなものがかかっておるところにおきましては、今後解除されるという状況にもなってまいります。また、農家の方々の資金繰りの動向というふうなこともございます。

 そういう意味で、今回のこの事案というふうなもの全体を整理した上で、第三者のいわゆる検証委員会というものを設置すべきであるかどうかということは検討していかなきゃならないと思っているところでございます。

小野寺委員 ぜひ検証をしていただくことも大切だと思います。

 そして、きょうお話をさせていただいていますが、今回、やはり、農家、そして流通の食肉関連者、JA、多くの皆さんがこの問題で今困っております。ぜひこれを救済するということ、そして、国がここまでやってくれたんだという感謝が出るぐらい、ぜひ政治主導でやっていただくことを御期待申し上げます。

 さて、最後五分間ですが、復興のことについてちょっとお伺いしたいと思います。

 今回、津波被害を受けた地域、これは特に沿岸地域が多いということで、水産業が中心の産業になっています。そして、水産業の復興、復活がなければ実はこの地域は再生がない、私どもはそう思っています。

 そして、特に一番被害を受けたのが、例えば石巻であったり、私の地元気仙沼であったり、沿岸地域。ここで今何が起きているかというと、工場がどんどん県外に逃げているんです。

 二週間前、私は、福岡県の大牟田というところに行ってまいりました。なぜ大牟田に行ったか。気仙沼のある水産加工工場が大牟田に新たな工場をつくり、気仙沼の人七十九人、家族四十人、この人が大牟田にこれから移住するんです。雇用促進住宅に住んで働くんです。そしてまた、きのうも地元紙に出ておりましたが、大手の地元の水産会社が今度は岩手県に行く。なぜかというと、宮城県ではさっぱり支援がない、あるいは工場を直すにもさっぱり対応ができない、だから、私たちはもうここを離れるんだと。今もう働く場がどんどん失われている。

 こんな状況で私どもが期待したのが、実は経産省でありがたい事業を今回つくっていただきました。お手元に資料をお配りしていると思いますが、ちょっとめくっていただきまして、グループ化事業、企業が幾つかのグループ化をすれば、ここで七五%の補助金が出る、そういうありがたい事業なんです。

 これは、第一次認定で、宮城で認定された具体的な企業名がこの二枚にわたって書いてあります。ちなみに、全県で今回二百十七、全体の申請があって、採択が二十八、申請の一三%しか実は採択がありませんでした。ところが、例えば石巻、これが一番被害が大きい。ここは六十二の申請があって、採択は二です。気仙沼、三十一の申請があって、採択が一です。四%ですよ、どちらも。一番被災地が実はほとんど採択をされていない。

 そして、この二枚の紙を見ていただいて、どういうところが宮城県で採択をされたか。製造業、製造業、製造業、製造業、製造業、製造業、製造業、次のページに移っていただいて、新造船、製造業、製造業、製造業、新造船、水産加工業、水産加工業。水産加工業は全体で二件でしかないんですよ。ましてや、石巻も気仙沼も水産加工業への支援が全くありません。だからみんな絶望して出ていってしまう。

 私は、松下副大臣、よくおわかりだと思うんですよ、産業がなきゃこの町に住めないんですよ。だから水産業を真っ先にやってほしい。だけれども、出てきたのは全然違う案件です。復旧、復興、特に水産のことに全力を挙げてほしい農林水産省も、恐らくこの実態を知っていたかどうか。

 まず大臣にお伺いします。今回のこの支援体制、水産がこれだけ抜けていること、これについてどうお考えでしょうか。

鹿野国務大臣 一次、二次の補正につきましては、いわゆる共同で施策を講じていくというふうなことに対して緊急措置として対策を講じさせていただきましたけれども、水産業の関係の人たちは個人経営が多い、こういうふうなこともありまして、その個人に対してどういう支援をしていくのかというようなことに対して具体的な措置というふうなものがまだ講じられていないというようなところも含めて、このような、実情に合っているのかな、こんなふうな感じはいたすところでございます。

小野寺委員 済みません、大臣、ここに挙げたすべての企業、これは全部個人企業です、株式会社含めて個人企業ですから、別に個人企業だから採択されているわけじゃなくて、全部が個人企業です。その中で特に水産が抜けているということ。これを、この産業復興のためにぜひ水産庁が前面にやっていただきたいと思っている中で、このような状況です。

 最後に、松下副大臣にお伺いします。

 二次、三次と用意されています。こういう地域の復興は、まず地場産業の復興なくして成り立ちません。そしてそれは漁業だったり水産業だったりするわけです。ここに対しての全面的な支援をぜひお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

松下副大臣 小野寺議員の御指摘があったこと、そのとおりでございます。被災した地域の中核の企業が外に出ていく、国外にも出ていくということが全体に起こっておりまして、これを何としてでもここは食いとめて、踏ん張ってもらいたい。そのための支援もしっかりしていきたいと考えています。

 御指摘のところは小野寺議員のまさに地元中の地元でございますけれども、必ず実行します。

 しかし、少し今おくれていることも事実です。事業認定には、復興計画をつくって、県の認定審査会でそれを審査した上で県が認定するということが建前になっておりまして、このことを今急いでおりますけれども、先生の御地元、先生が大変奮闘されておられて、心から敬意を表して感謝しておりますけれども、気仙沼あるいは石巻、被災が深刻で地盤が沈下している、それをやはりどういうふうに持ち上げてどういうふうに利用していくのかというところの考え方がまだまとまり切っていないとも聞いております。ここを急がせながら、しっかりとした復興計画をつくっていただいて、直ちにそれはしっかり応援していきたい。

 二次、三次、しっかり対応してまいりますので、県の方ともしっかり我々も打ち合わせしてまいりますから、どうぞよろしく御支援をお願いします。

小野寺委員 石巻は安住国対委員長の地元であります。きのう本人からも、くれぐれも言ってくれ、自分からは言えないからと言っておりましたので、ぜひ二次、三次の支援でしっかりお願いしたいと思います。

 終わります。

山田委員長 次に、今村雅弘君。

今村委員 おはようございます。暑い中、御苦労さまでございます。

 時間がないので、早速質問に入らせていただきます。

 きょうは、大きく分けて二つのグループになるかなと。一つは諫早干拓の対応の問題でございます。そしてもう一つは米の問題です。特に、昨日、試験上場ということでありましたが、大変な事態が起きている。そしてまた、米の価格が、店頭といいますか、特に中小のお米屋さんなんかが大変困っている状況になっている。それに関連して、その背景にあるのが放射能の汚染の問題、こういったものでございまして、この三つは相互に関連するというふうに思いますので、質問があちこちになるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。

 最初の、諫早干拓の問題でございます。

 先般の委員会でもやりましたが、昨年、上告を断念された。そして、もう既に八カ月がたつわけでございます。この間一体、政府は何をやっているのか。具体的な動きといいますか、開門調査に向けた判決に従ってやっていく動きというのがさっぱりよくわからないんですね。ですから、先日もそういう質問をしたわけでございますが、大臣、ここのところ、何か際立った働きかけとか動きとかはされているんでしょうか。まずそれをお伺いします。

筒井副大臣 先生おっしゃるとおり、確定いたしました高裁判決に従う義務があるわけでございまして、三年以内の開門、これが義務づけられております。そして、その開門を行うためには、あの門の管理運営を委託している長崎県、これは農業上の点からも利害関係が深いわけでございまして、その長崎県の理解を得ることが前提条件になっております。

 今、環境アセス素案を公表して、それらの説明等々、長崎県を初めとした関係者の皆さんに一生懸命御説明申し上げて、その理解を何とか得たい、この努力をしているところでございます。

 いずれにしても、三年以内の開門は実行する、そういうことを前提に、今いろいろなそれらの理解を求める活動をしている、こういうところでございます。

今村委員 では、お伺いしますが、長崎県の理解が得られなければ開門しないということですか。

筒井副大臣 何としてでも理解を得て、そして開門する、これが今の農水省の立場でございます。

今村委員 何回も同じ質問をさせないでください。得られるように努力するという気持ちはわかりますが、私は、得られなかったらこれはどうなるんだと聞いているんですよ。論理的に答えてください、論理的に。

筒井副大臣 今、一生懸命理解を得る努力をしているわけでございまして、それを理解が得られなかったら強行する、そういうふうなことは絶対に言えないことであることをぜひ御理解いただきたいと思います。

今村委員 では、聞きますが、この判決の既判力というものはどうなるんですか。頑張ったけれども理解が得られない、だからあけられないということで、それでいいんですか。

筒井副大臣 既判力は厳然として存在しますから、そういう事情にかかわらず、既判力の効力は発揮しております。

今村委員 では、お伺いしますが、きょうは法務省にも来てもらっております。

 こうやって上告を断念して、そして、その判決に従って国が行動する義務があるわけですね。今言われたように、理解を得るように努力している、努力していると言っているけれども、現実問題、それがかなわなかった場合には、今言った既判力が及ぶということであると思います。

 国としては、その場合に、仮に原告の方が、この判決のとおりやってくれと言われたときには、どういうことになっていくのか。つまり、国が国を相手に代執行といいますか、強制執行といいますか、そういうことをやっていくことになるのか。これは、政治的な配慮は結構ですから、法理論的にどうなるのか、きちっと答えてください。

中山政府参考人 御指摘いただいた福岡高裁の判決の主文によりますと、判決が確定してから三年が経過しますと、債権者の方々は強制執行の申し立てができる状況になると考えられます。

 そして、これはあくまで一般論ではございますけれども、適法な強制執行の申し立てがされまして、民事執行法上の所定の手続をとった上で、執行裁判所の方が判決主文の債務の履行を怠っていると判断するとなると、国を相手とする強制執行手続が進んでいくという一般的な関係には立ちます。

 ただ、大臣がお話しになったように、そうならないように御尽力いただくということですが、法的にはそういう進み方になろうかと思っております。

今村委員 法理論的にはそういうことになると思うんですね。ですから、国が国を相手取って執行するという、本当に漫画みたいな、こんなことは前代未聞のことだと思いますが、こういう例は今まであるんですか。

中山政府参考人 ちょっと私の御説明が不足していたかもしれませんが、あくまでも、強制執行の申し立てをされるのは、福岡高裁の判決で請求が認められた原告の方たちが申立人になる。それで、相手方は国が相手方になるということの関係になりますので、あくまで申立人は原告。福岡高裁判決で請求が認められた方たちが申立人になる、相手方は国になる、そういう関係ですので、国と国との関係ということではございません。そこを御理解いただきたいと思います。

今村委員 申立人はそういうことなんでしょうが、現実に執行するのは国がやるわけでしょう。だから私はそれを言っているんですよ。

 これでもう法務省は結構です。理論的にはわかりました。

 ですから、こんな恥ずかしいことが起きないように、とにかく国はきちっとやってくださいよ。

 それともう一つ。開門するのにいろいろな工事が要りますよね。これは、どういうあけ方をするかによって、その工期も規模も大きく変わってきます。もう時間が余りないんですよ。その辺をちゃんと認識しておられるのかどうか、それをちょっと伺いたいと思います。

筒井副大臣 三年以内の開門ということは、三年以内に事前対策の工事を終了する、これが前提になっております。

 しかも、今先生がおっしゃったように、ケース一、二、ケース三―一、二、これらの素案が出ましたが、そのいずれの開門方法をとるかによって、工事内容、工事期間が大幅に違ってくるわけでございまして、それら全体を見ながら、今、何としてもまずは理解を得ることが大前提だということで努力をしているところでございます。

今村委員 では、もう一度聞きますが、いつまでに、少なくとも、遅くとも着工しなきゃいけないというふうに思っていますか。

筒井副大臣 その点につきましても、今、その着工等々についての御理解を得る、この努力をしているわけでございますから、その最終期限をこちらの方から切る、こういうことは差し控えさせていただきたいと思います。

今村委員 ちょっと副大臣、ごまかさぬでくださいよ。こういうことで三年以内にあける、工事も竣工しなきゃいけないと言われたでしょう。そのためにはいつから工事を始めなきゃいけないんだと言っているんですよ。これは物理的なことを聞いているわけですから、きちっと答えてください。

筒井副大臣 いつから工事をやらなければいけないかは、今言ったケース、四つのうちどれをとるかによっても違ってくるわけでございます。そして、いずれにしても、結論として、この時期までにはもう着工すると言うことは、今話し合いをしている最中に、その最終時期をこちらの方から設定することになります。それは話し合いをさらに難しくすることになりますから、差し控えさせていただきたい、こういうふうに申し上げているんです。

今村委員 ちょっとくどいようですけれども、要するに、刺激するとかなんとかそういうことは抜きにして、単純に、例えば最大限のあけ方をしたときに、一番工事も多くかかるわけでしょう、たくさん。そのときに、さかのぼって云々すれば、遅くともここまでには始めなきゃいけないという客観的な基準がないと、あるいはデータがないとおかしいでしょう。それを何か、地元がああだこうだと言ったって、それでごまかすわけにはいかないですよ。

 やはりきちっと決められた工期に竣工しなきゃいけないというのなら、遅くともこの時期にやらなきゃいけないんだということがはっきりしていないとだめじゃないですか。そこでやるかどうかは別ですよ。少なくともその考え方を持っているんですか。

筒井副大臣 だから、来年度の当初予算のための概算要求、これはしなければならない、それでないと三年以内には間に合わないだろうというふうなことは申し上げているわけでございまして、あと、さらにそれを具体的に、何月までに決めなければいけないと言うのは、今の理解を求める話し合いをさらに難しくすることははっきりしておりますから、その点は御理解をいただきたいと思います。

今村委員 正直言って理解できないですね。

 私は、単純に、要するに、この必要な工事をやる、それには遅くともいつまでに始めなきゃいけないんだ、そういうことぐらいはきちっとしているんですかと言っているんですよ。それがなかなか出てこないということは、そういう考え方も持っていないということじゃないですか。

 菅内閣は結局、菅さんもそうだし、皆さん方も、もう逃げの一手ですか。もう後の内閣に任せようと。そういうことにしかとれませんよ、今の言い方を聞いていると。

筒井副大臣 環境アセスで四つの開門方法を提示したわけでございまして、そのいずれをとるか、それらを一つ一つ、やはりこれも話し合いをしていかなければいけない問題でございますから、それを今やっているところです。

 四つの具体的な開門方法を提示したわけでございますから、逃げるとか、そんなことは全く考えておりません。

今村委員 もう時間がないのでやめますが、とにかく、上告を断念されたわけですから、その判決に従ってきちっと行動するということをやはりやってください。そうしないと、さっき言ったように、国が国に対して代執行をするような漫画みたいなことをやって、皆さん方の恥になりますよ。

 この問題はこれでやめます。

 次に、時間がないので申しますが、米の問題でございます。

 昨日、例の米の先物の試験上場ということでやりました。もう結果は御存じかと思いますが、とにかく東京の穀物取引所では値がつかないということになりました。関西は、何と一万九千円を超す金額がついたということでございます。

 この時期、これはなぜこうなったかということでしょうが、とにかく今、震災によって非常に米が心配だ、大丈夫なんだろうかという不安心理がある中でこういうことが起きたんじゃないか。しかも、その以前から、この五月、六月、七月ぐらいにかけて、いわゆる市中の米の供給というのが非常に細って、小さなお米屋さんとかなんとかは本当に悲鳴を上げているわけでございます。

 そういった供給不安に対しての一つの反応だというふうに思っておりますが、大臣、この問題は、我々がつとに、この時期に何でこんなことをまた強引にやるんだということで、これはやめろと随分言ったつもりでございますが、きのうのこういった結果を見て、どういうふうに思われますか。

鹿野国務大臣 昨日、東京、関西におきまして、米の試験上場の取引が開始され、値段が高値に張りつくというふうな状況が見られたのは、今の御説明のとおりであります。

 市場の価格というふうなもの、あるいは需給状況や将来の需給予測等をベースにしてこの価格というのは形成されているものと思うわけでございまして、この価格動向に対する、どう思うかということにつきましては、今後、取引に影響する可能性もありますので、私からは差し控えさせていただきたいと思っておりますが、農林水産省といたしましては、この二つの取引所におけるところの取引の動向というものはしっかりと注視してまいりたいと思っております。

今村委員 先般も言ったように、今回のこの原発の被災がある中で、非常に米に対する不安感がある中で、こういう上場をやれば投機筋が必ずこれに飛びついて、そしてこういう法外な値段をつける、あるいは値がつかないというようなことは当然予想されていたわけですよ。しかもこれが、後でまたいろいろ言いますが、仮にこういう高値でもって本当に落ちついてしまうような、定着してしまうようなことになったときに、これはどういうことになるんですか。

 農家は、特に、これで上がってよかったと思うかもしれませんが、例えば、生産調整に参加しないでどんどんつくっていた人なんかは、それ見たことか、やはりつくった者が勝ちだということにもなる。そしてまた、この価格を見て、これがこのままいけばいいけれども、暴落したりする。とにかくこういう不安定な投機にさらすようなことをやって、いろいろな混乱が起きると思うんですね。

 例えば、この値段と現実の相対取引の値段は今でもかなり差があるはずでございますが、この高値を見て、では、もっとおれも高く売るよという話になってくる。そうすると、いわゆる全農なりなんなり大口の供給者のところにも、もっと高く買ってくれ、こうやって値段が高くついているからもっと高く買わなきゃおかしいじゃないかという話になってくる。そうすると、仮渡金もたくさん払えというふうになってくる。そうしたあげく、今度は市場ががくんと下がったら、これはまた大損するわけですね。そういうことが現実の問題として今起きているわけですよ。

 ですから、大臣は、私が言うといろいろと言われましたけれども、しかし、大臣がいろいろ言ったから、これが何か相場に関係するんですか。

鹿野国務大臣 当然、先物取引でございますので、いろいろな意味で、私どもとしては、具体的なコメントというふうなものは差し控えなければならないところは差し控えていかなきゃならないと思っておるのであります。

 ただ、重ねて申し上げますけれども、今後の二つの取引所におけるところの動向というものはしっかりと注視をしていきたい。この注視をしていくというようなところに、すべていろいろな問題が、この考え方が含まれているもの、このように御理解をいただければと思っております。

今村委員 これをいつか言ったときに、実験だからということを言われましたよ。しかし、フラスコの中で実験するのと違うわけですからね、これは。(発言する者あり)一種の社会実験でしょう。現実にこうやって、米のいろいろな生産から農家の経営に大きくやはり今影響を与えてきているわけじゃないですか。あるいは米価の動向に、あるいは売り惜しみとか、そういったものに。

 ですから、これについてはもっと真剣に考えて、そして今後どうするのかという対策を考えなくていいんですか。これはちょっと大事な話ですよ。後で申しますが、いわゆる食糧法との関係も出てきますから、これはきちっと責任を持った答弁をしてください。

筒井副大臣 今度、試験上場を認可するに当たって、生産、流通に著しい支障を与えるとは言えない、こういう判断をしたわけでございます。

 そして、そういう判断をした理由は、今の民間在庫とか政府在庫もありますが、この取引所の制度そのもので、乱高下が起こらないようにする仕組みもあるわけでございまして、一つは値幅制限、一つは建て玉制限、そしてさらには取引停止、これらを農水大臣の方で出すことができる、こういう仕組みになっているわけでございます。農水大臣もそれにまさに関与できるということになって、乱高下を防ぐ仕組みがその中に入っている。

 そして、きのう東穀の方で契約が成立しなかった最大の理由としては、値幅制限が発動されたわけでございまして、それでこういう結果になった。きょうの時点では一部契約が成立しているようでございます。これは、その値幅の範囲を少し変えた等々も影響しているかと思いますが、そういう形で、乱高下はきちんと防ぐ、防止する、その仕組みもある。

 実際に、きのう東穀で契約が成立しなかったことは、その仕組みの結果もあるというふうに考えているわけでございますから、先生がおっしゃるような、そういう、乱高下が起こって非常に混乱する、こういうことはこれからも防いでいくし、防いでいくことができる、こう考えております。

今村委員 現実にとんでもないことが今起きているじゃないですか。そういう問題認識はないんですか。

 では、もう一つ確認しますけれども、今、値幅制限云々と言いましたけれども、基準価値というのは今幾らですか。答えてください。副大臣、どうぞ。(筒井副大臣「ちょっともう一回、何」と呼ぶ)基準値ですよ、基準値。

筒井副大臣 きのうの基準価格は一万三千五百円で、値幅制限の幅は三百円というふうに聞いております。

今村委員 それはもうきのうの話でしょう。何を言っているんですか、寝ぼけたことを。(筒井副大臣「きょうのことですか」と呼ぶ)いや、きのうでもきょうでもいいですよ、両方言えばいいじゃないですか。

筒井副大臣 先ほどは、きのうの値段について言ったんです。きょうのことについてですね。

今村委員 今、きのうのことを言われました。しかし、当然きょうもそういうことになっているでしょう。基準値が変わっているでしょう。当然その両方を答えるべきじゃないですか。

筒井副大臣 きょうは基準値が一万六千四百円で、値幅はプラスマイナス五百円というふうに聞いております。

今村委員 今、聞いておりますと言われましたね。先ほど副大臣は、これはきちっと役所で監督するんだと言われたんじゃないんですか。聞いておりますということでいいんですか。それでは全部任せきりじゃないですか。どうなんですか。

筒井副大臣 値幅制限は商品取引所の方で最終決定はいたします。だから、私の方は、先ほど言ったように、聞いておりますというふうに申し上げたんです。

今村委員 副大臣、その前の答弁で、ちゃんと自分たちがこれをよく見ていきますと言われたじゃないですか。それと全然矛盾するじゃないですか。

筒井副大臣 私は先ほど申し上げたんですが、取引停止は大臣が直接指示をいたします。しかし、大臣が直接関与したり関係したりというふうに先ほど申し上げたはずでございまして、値幅制限も建て玉制限もそうだと思いますが、取引所が最終決定する、それに対して取引停止の方は大臣が最終場面で指示を出す、こういう関係になっておりますから、双方がそういうふうなことを検討して乱高下が起こらないようにする、こういう仕組みでございます。

今村委員 この基準値の策定ですけれども、要するに、一万三千五百円、これがきょうになって一万六千四百円になったということですよね、一万四千百円をさらに超して。ここでもってぐっと上がっているわけですが、こうなってくると、この基準値とかなんとかはそもそも意味があるんですか。全然これは当初予想したことよりもはるかに違うわけだから、いかに試験上場といえども、このやり方についてはずさんだ、いいかげんだという感じがしますが、それはどう考えられますか。

 これは取引を成立させるためにここにまで持ってきたということでしょう。つまり、どういうことなんですか、この基準値の性格というのは。答えてください。

筒井副大臣 基準値はその都度決めるわけでございますから、全く今回の場合もその都度決めたわけでございます。そして、一日目はそのために契約が成立しなかった。これはまさにそういう仕組みが効果を発揮した場合だというふうにも考えられるわけでございまして、基準値はその都度判断をして決めることに何の問題もないかと思います。

今村委員 その都度好き勝手に決めていいんですか。本当ですか。もう一回確認します。

筒井副大臣 一日目に基準値を決めて、それを大幅に超えるようなものはだめだというふうにして、そして契約は成立しなかった。次の日に、その基準値を参考にしながらさらに新しい基準値を決めて、値幅の範囲も少し変えた。今度は契約が、きょうはもう既に一部成立しているようでございますが、それがどうして問題があるのか。それが取引の通常起こることではありませんか。

今村委員 副大臣、いつか私があなたに、この仕組みを本当によく御存じなんですかと言ったとき、失礼なことを言うなと言われましたね。だけれども、今の答えぶりなんかを聞いていると、何か後ろでちょこちょこちょこちょこやって、全然、あなたは、自分で頭の中に入っているという感じじゃないじゃないですか。

 とにかく、この問題は、今言ったように、基準値がこんなに大幅に変わっていくということについては、ちょっと異常だと思いますよ、投機筋そのものがやはり絡んでいるんだと思いますが。しかし、投機であっても、やはり全体に影響を与えるわけですよ。今、アメリカの国債だってそうじゃないですか。S&Pなんというちっちゃな一私企業がちょっと言っただけで、アメリカの国債、株式がどんと下がるわけですから。この辺の問題認識はもうちょっと持ってくださいよ。

 それで、ちょっと時間が、いろいろあるので先へ行きますが、今後、これについては我々もよくウオッチして、いろいろな質問なり要求をやっていきたいというふうに思っております。

 それで、ちょっと確認したいんですが、実は東京穀物商品取引所は、昨年の十二月ぐらいから、いわゆる東京工業商品取引所と合併をするということでやってきていたわけですよ。そうでしょう。それがことしになって、米を上場することをネタにしてか何か知りませんが、それを破談にしてしまった、なぜだという声が上がっているわけですね。これはどうしてですか。

 要するに、これは、穀物商品取引所、そしてまた、そこにいる農水省の権益、OBを守るためじゃないんですか。どうですか、そこは。

筒井副大臣 穀物についてとそれから工業品について、いずれも一次産品でございますが、それの統合の話し合いに入るということが白紙に戻りました。

 しかし、これはいずれも民間の株式会社のやることでございまして、こちらの方がそれについて、今回のことについてですよ、何らかの関与をしたということは全くありません。

 ただ、東穀の渡辺社長は、今度の試験上場も含めてしっかりと検証した上でその総合化、合併、これを検討していきたいというふうに国会の方で答弁しているようでございますから、そういう理由なんだろうというふうに思うわけです。

 それからもう一点、強調しておきたいのは、今、総合取引所構想、これは一次産品に限らずすべてのものについての総合取引所構想がございますが、そこで、農水省は、農水省の既得権益を守るという主張は全くしていないという点でございます。

 専門性と独立性を備えた証券監視委員会、三条委員会、これを設置して、そこに監視、監督業務を全面的に移す、これが農水省の現在の正式な提案の中身でございます。農水省のもとにその監視、監督権限を、農産物に関してきちんと権限として保持する、こういう姿勢は全くとっていないことをぜひ御理解いただきたいというふうに思います。

    〔委員長退席、津島委員長代理着席〕

今村委員 もう本音の話をしましょうよ、本音の話を。

 例えば、きょうの日経新聞にもはっきり書いてございますけれども、要するに、こう書いてあるんですよ。「コメ先物が映す農水省の思惑 東工取との統合撤回、牙城を死守」ということまで書かれちゃっているんですよ。

 そしてまた御丁寧に、ことしの三月の事業報告書では、きちっと、「「組織再編などは不可避と判断して東工取と協議を行い」「本取引所から東工取へ一括移管を行う予定」と、はっきり書かれている。」と。ここまでなっているんですよ。それを何でこうやってやるんですか。

 しかも、この上場云々については、二カ月間の期間があったはずなのに、もうぽんとやっちゃったわけでしょう。だから、そういうのが非常に不自然なんですよ。

 しかも、もう一つ言います。

 今回のこの質問に当たって、農水省にも、ではこの取引所の関係に農水省のOBとかなんとか、天下りはどうなっているんだ、資料を持ってこいと言ったけれども、持ってきませんよ。あるいは監理官という人がいるけれども、彼に聞いても、さっき言ったように、これは民間の会社のことだから私たちはタッチできません、どういう経緯であったかわかりませんと言うんですね。では、そんな監理官なりなんなりが、仕事、何もならぬじゃないですか。そんなところは早くなくしてくださいよ。どういうことになっているんですか、この辺のことは。

筒井副大臣 天下りはやめなければならない、それは私も先生と同じ認識です。だから、今天下っている人の氏名を出さないとすれば、出すように私の方からも言っておきたいと思います。

 しかし、先ほど申し上げましたように、農水省が今方針として農水省の今の既得権益を守るという姿勢には全く立っていない。先ほど、三条委員会の、独立の専門性を持った証券監視委員会にすべてをゆだねるというふうな提案をしていると言いました。さらに、それが正式に決定した段階で、今農水省が農産物に対して持っている監視、監督権限、これは三条委員会の設立が正式に決定した段階でもう移していい、金融庁にでも移していい、直ちにそれをだから実行する、こういう提案も同時にしている。その姿勢からも、農水省が今既得権益を確保しようとしているということは全く事実と違うということがはっきりすると思います。

 しかし、そういう新聞、マスコミは、いろいろな思惑からいろいろな報道をするんだと思いますが、それをそのまま真に受けないでいただきたいと思います。(発言する者あり)

今村委員 こっちからも声が出ていますけれども、野党のころと全然言うことが違うじゃないかと言っていますよ、隣で。

 とにかく、そんな後ろめたいことはないというなら、きちっと資料でも何でも出して、そしてまた、今度の合併をつぶした経緯はどういうことだということをきちっと説明すればいいじゃないですか。そういうことをやらないから、こうやっていろいろ言われるんですよ。

 ぜひこれは、きょうは時間がございませんが、次回またやりますので、そのときには関係者の参考人招致等も含めてこれはお願いしたい、解明を進めていきたいというふうに思います。よろしくお願いします。委員長、お願いします。

津島委員長代理 理事会で協議します。

今村委員 次に、いわゆる原発汚染米対策も含めてでございますが、とにかくその前に、今流通が、中小の卸は大変困っている。農水省に言うと、全体の需給は間に合っているんだというんですね。確かにそうでしょう。しかし、言ってみれば、米の大きな、水でいえば、タンクの中には水がいっぱいあるけれども、そこから水を具体的に出す蛇口、そこが締まっちゃっているんだ、だから泣いちゃっているんだということだと思いますが、その辺の認識をどういうふうに思っているのか、いや、大したことじゃないと今も思っておられるのか、ここはちょっと認識を、大臣でもいいからどうぞ。

篠原副大臣 今村委員は、今、二十二年産米のスポット価格が非常に高騰しているじゃないかという御指摘だろうと思います。我々はその部分を承知しております。

 なぜそういうことが起きているのかなという原因でございますけれども、二十二年産米の場合は、全国出荷団体と卸売業者との契約がもう済んでおります。しかし一方で、卸売業者の中には、ほかの卸売業者から必要な米を手当てしている皆さんもおられまして、そういった方々が、二十三年産米が、安全な米が原発事故の後非常に不足してくるんじゃないか、そういった思惑があったのではないかと思います。そして、スポット買いに集中しておる、そういったことで価格が上がっているのではないかと思っております。

 我々は、こういった事態を余り長く放置しておくわけにはいきません。ただ、今御指摘のとおり、量はわずかでございます。ですけれども、今後はきちんとしなければならないということでございまして、まずは消費者の皆さんの不安を取り除くということで、先刻、関係者に来てもらって説明会をいたしました。検査を非常にきちんとして、そしてその結果が早場米地帯からどんどん判明してくるだろうと思います。

 望むらくはというか、多分そうなると思いますが、食肉のような場合はちょっと特殊なケースであって、米の場合については既に四月八日に五千ベクレル以上に汚染された地域は作付制限してあります。ですから、そういったことを皆、消費者に伝えて安心をしていただくことが一番の対策ではないかと考えております。

今村委員 今までのことは今までとして、これからもこういうことは恐らくかなり厳しい状況が起きてくるんじゃないかと思っています。というのは、やはり、この汚染米に対する不安ですね。

 そこでちょっと確認したいんですが、食糧法の二条と三条にありますが、それから備蓄と放出。ここは、いわゆる「米穀の生産量の減少」とか、そういった言い方になっているんですね。ですからこれは、基本的には天災だとかなんとか、そういったことを基本にしているのですが、原発の関係で、こういうことを言っては失礼ですが、仮に、万が一にでも、不幸にも何か問題が出てきたときに、供給ができなくなる、あるいは皆さん方がやはり嫌がって買わない、そうなってくると、結局、米はあるけれども、必要な、例えばほかの地域の米だけを買う。

 そうすると、非常に値段が、さっき言ったように、こっちは売れない、こっちはぎゅっと高騰する、そういう破衡的な現象も出るけれども、そのときには、しかし、全体としては量はあるんだから、備蓄の放出ということにはならぬよということが法的な理論なんでしょうが、この辺は今後どうされるんですか。仮にそういうことが起きた場合、備蓄の放出をされますか。端的に答えてください。

篠原副大臣 仮に価格が非常に高騰したような場合、我々もそういう事態を想定しないわけではございません。そのときは、いきなり備蓄米に行くかというとそうではございませんでして、今村委員も御記憶かと思いますけれども、団体等、米穀機構等が手当ていたしました十七万トン、そのうちの十二万トンが残っておりますので、そういったものを手当てするなりの方法をまず考えているところでございます。

今村委員 それでも足りないときは。

篠原副大臣 そういう事態は想定したくはございませんけれども、そのときはまた別途対策を考えなければいけないと思います。

今村委員 それは、この食糧法の考え方でできるんですか。今言ったような、今回想像されるようなことについては。どうなんですか。

篠原副大臣 今村委員の御指摘だと、例えば、端的に言いますと、汚染地域じゃないところの米は足りなくなって価格が大変上がっている。しかし、福島県の米等は余っている。そういう事態のときはどうするのか。そういうときはちゃんと備蓄米は放出できるのかという御質問だと思いますけれども、我々といたしましては、そういった風評被害がないように、きちんと消費者の皆さんにも説明して、今、我々、食べて応援ということを言っておりますけれども、そういったことでもってまずは対処していくべきではないかと考えております。

今村委員 これはちょっとよく検討してください。今、想定していないと言われましたけれども、まさに想定外の起きる時代でありますから。しかも、今、既に米の先物から何から含めて、具体的なそういう動きがやはり出てきているわけですから、私は、これについてきちっと対応した方がいい、準備をしておいた方がいいと思っているんですよ。

 それで、最後に、先ほどから汚染米云々の話をしていますが、お手元に今資料を配っております。八月三日の、農水省が、米の放射性物質調査の仕組みということでございますが、こうやってずっと順序を踏んでやった。例えば、五千ベクレル以上のところはもう作付はだめよということで、一万ヘクタール、最初からこれはオフにしてある。しかし、残ったところはどうするんだということで、収穫前、予備調査、あるいは収穫後の本調査ということでやられるわけですね。

 それで私、これを見た瞬間思ったのは、例えば、資料を見ればわかると思いますが、建前的にはこれはいいんでしょうが、実際問題として、このサンプル調査の標本数なりなんなりがもう極めて少ないという感じがするんですよ。これでは、幾らこのサンプル調査を大々的にやっても、果たして国民の皆さん方に安心ということを与えることができるかどうかとか、非常に私は疑問に思うんですけれども、どうですか。

 大臣、これ、ちょっと正直に、印象でもいいですから答えてください。ありますよね、広いところから何カ所かとるというようなイメージですけれども。どうぞ。

鹿野国務大臣 米ということに対する国民の思いということからすると、この検査体制だけは何よりもしっかりとしなきゃならぬということで取り組んできて、そして、具体的な考え方をとらせていただいておるわけでございまして、そういう意味では、とにかくこの米の出回りの前に、適切なる米の流通に対して体制を整えるというふうなことが極めて重要だというふうなことから、こういう考え方を示させていただいたということでございます。

今村委員 ですから、こういう考え方で本当にいいのかねということですよ。余りにも目が粗過ぎるんじゃないかという感じがしますが、ほかの皆さんはどうでしょうか。

田名部大臣政務官 先生の御指摘は非常に重要だと思っておりまして、まさに国民の主食でありますし、多数の農家の皆さんがお米を生産されているわけですので、まさに、市場に出回っているものは安全だという、その体制をつくっていく必要があると思います。

 そういう中で、これまでとは違って、予備調査と本調査、二度の調査をするということ、そして、おおむね一つの集落ごとに一カ所調査をするわけでありまして、万が一の、本当に万々が一のことがあれば、集落ごと、市町村、また旧市町村ごとに出荷の制限をかけるという体制で調査を進めてまいりますので、しっかりとした調査を踏まえて、また正確な情報を国民の皆さんに発信しながら体制をつくっていきたい、そのように考えています。

今村委員 これは起きてからでは遅いですからね。これはもう大変なことになりますよ。ですから私は、あえて言いますが、確かにこういうことが出なきゃいいです。出なきゃいいにこしたことはない、またそういうことを考えたくもない。しかし、現実問題として、放射能の積もりぐあいといいますか、非常にアンバランスがありますよね。例えば、農地じゃなくても、農地もそうですが、吹きだまりといったら変ですが、そういうところに放射能が集まりやすいとか、地域的な問題、箇所的な問題もあります。

 ですから、これは私の提言でございますが、ひとつ、一番は恐らく福島県が、そういった、危険じゃないかなという認識を皆さん持っているかと思いますが、せめて福島県だけでも、大変でしょうが全量検査をやったらどうですか、思い切って。福島県で大丈夫だったら、ほかも大丈夫だろうということになるはずですよ。

 しかし、こういうふうに蓋然とした、その少ない標本とそれから推測に基づいてやっても、果たして消費者の人たちが、危険じゃないかもしれぬけれども、やはり嫌だなということで、売れなきゃ困っちゃうわけでしょう。その場合、それは風評被害になるのかどうか、そこの見きわめは難しいし、しかもさっき議論しているように、これが、備蓄を放出するかという話も非常に微妙な問題であって、なかなか難しいんじゃないかなというふうに思っております。

 そうなってくると、米は上がるわ、福島の人たちは、あるいは被災地の人たちや農家はやっぱり困るわ、大変なことになりますから、思い切って、もっと挑戦的にこれに挑んでみようじゃないかということをやられた方がいいんじゃないかと私は思うんですが、そこはどうですか。

篠原副大臣 今村委員の御指摘はごもっともだと思います。

 我々は今、検査地点でございますけれども、なるべくふやそうと思っております。検査機器の問題等もありますし、収穫時期が各県によって違います。

 今、福島県重点ということでございますけれども、おおむね今のところ五千カ所以上をチェックすることにしております。そのうちの約三千カ所以上が福島県でございます。ですから、福島県を重点的にチェックするという体制に今現在もなっておりまして、まずそういったことで安心していただくということが大事じゃないかと考えております。

 今のところは早場米地帯でございますけれども、行く行くは福島県を重点に検査することになっておりますので、御懸念の点はこういったことによって解消できるのではないかと思っております。

今村委員 三千カ所でも、全体のカバー率がどのくらいなのかよくわかりません。むしろ、この際は、言葉は悪いんですが、シラミつぶしという言葉がありますけれども、とりあえず全部、福島県なら福島県に絞ってやってみようじゃないかと。そういうことぐらいの検討をやられたらどうですか。それでもって大丈夫だということになれば、ほかの県も大丈夫だということになりますよ、繰り返しになりますが。

 ひとつ、そういうもっとアクティブな行動をとっていかないと、このままでは、ちょっと抜けたところから何かぽんと出てくると、もうそれ自体で壊滅的な打撃を受けるような気が私はしますので、あえて申したつもりでございます。

 きょうは時間がなかったので、いろいろ失礼なことも言いましたし、言い足りないこともございますが、今後、この問題はいろいろこれからまたやっていかなきゃいけないことになると思いますので、またよろしくお願いいたします。

 きょうはこれで質問を終わります。

津島委員長代理 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。

 では、早速質問に入りたいと思います。

 先週、水産関係についてお聞きをする予定でしたが、時間の関係でお聞きをできませんでしたので、まずお聞きをしたいと思います。

 それは、東日本大震災からの復興の基本方針、七月の二十九日に決定して発表されましたが、そこのところ、たくさんの課題もあって、いろいろと網羅をされておりますが、私は、特にきょうは水産の中でも一点だけ、漁港についてお伺いをいたしたいと思います。

 この基本方針の中で、「漁港については、拠点漁港の流通機能等の高度化、漁港間での機能集約と役割分担の取組みを図りつつ、地域一体として必要な機能を早期に確保する。」こういう中で、一つは、「全国的な水産物の生産・流通の拠点となる漁港については、流通・加工機能の強化等を推進する。」そして「地域水産業の生産・流通の拠点となる漁港については、周辺漁港の機能の一部を補完することに留意しつつ、市場施設や増養殖関連施設等の集約・強化等を推進する。」そして「その他の漁港については、漁船の係留場所の確保など必要性の高い機能から事業を実施する。」

 だれが見ても、全国的なところ、また地域の拠点となるところ、そして「その他の漁港」という書かれ方をして、「漁船の係留場所の確保」、こういう、ある意味でいえば非常に差のついた書き方になっておりますけれども、具体的に、これの三つをどういうふうに整備されるか。これはだれが見ても、全国的なところから順番に力を入れていくのではないのかと。

 そうすると、三陸沖で今回被災を受けた漁港、関係者の皆さん、自分のところの漁港は一体どういう扱いになるのか、ちゃんと力を入れて復旧、復興してくれるのか、こういう、あらぬ思いも抱かせる結果になりやしないか、大変私は老婆心ながらこういう心配もしております。

 これは、長官、この三つに分けた、それぞれ、例えばこういう漁港だとか、この漁港が対象だとか、これは言える範囲もあろうかと思いますけれども、ある程度地元の方もイメージができるようなことも必要ではないかというふうに思います。

 また、それと同時に、希望を失わせてもいけませんので、具体的にどういうふうにこの基本方針にのっとってお取り組みをなさるか、お伺いしたいと思います。

佐藤政府参考人 御説明をいたします。

 漁港の復旧、復興につきましては、漁港間で機能の集約あるいは分担を図りつつ、地域一体として、必要な機能を早期かつ計画的に確保していく観点から、現在、県、市町村におきまして、全国的な拠点漁港、地域の拠点漁港、その他の漁港といった類型ごとに復興方策を検討しているところであるというふうに承知をしているところでございます。

 まず、全国的な拠点となる漁港でございますが、気仙沼漁港や石巻漁港等の特定第三種漁港を初めといたしまして、こうした全国の水産業や水産物の安定供給に及ぼす影響が大きい漁港でございます。早期再開を目指しまして緊急に復旧、復興を行うこととしているところでございます。こうした漁港の復旧に当たりましては、水産物の輸出強化にも対応した市場施設等の流通、加工機能の強化や、あるいは地震、津波等対策に対しての、災害に対する安全性の向上を推進することといたしているところでございます。

 それから、地域の拠点となる漁港でございますが、委員からも御指摘ございましたように、陸揚げ量あるいは漁船利用が多い漁港の復興ということになりますけれども、周辺の漁港の機能の一部を補完するために、地域の実情に応じて漁港施設の集約、強化を推進するということでございます。

 具体的な漁港名につきましては、現在、各地域で現場といろいろ意見交換をしているところでございますので、具体名は控えさせていただきたいというふうに存じます。

 それから、その他の漁港につきましても、漁船の係留場所の確保など、復旧、復興の必要性の高い機能から優先して整備していくこととしておりますが、その際にも、地域水産業の早期復興、早期開発に向けまして、地域漁業者の方々の意向を十分にお聞きしながら、漁港の被災状況などを配慮いたしまして、丁寧に対応していく考えでございます。

石田(祝)委員 今回の東日本大震災、大変大きな被害であることはもう論をまちませんが、特に漁港の被害が大きくて、まずそこの復旧、復興を早くしなくちゃいけない、これは私はそのとおりだと思います。

 そういう中で、私の住所のある高知県も、実は三陸沖で水揚げをしているわけです。東北の被災地であるようだけれども、全国に大変大きな影響がある、こういう漁港もたくさんあるわけですから、地元の意見を最大限に尊重しつつ、全力投球でぜひお取り組みをいただきたい、このことを最後にお願い申し上げたいと思います。

 長官、お忙しいでしょうから、もうこれで質問はございませんので、引き揚げていただいて結構でございます。

 続きまして、原子力賠償紛争審査会の中間指針についてお伺いをいたしたいと思います。

 まず、文部科学省も来ていただいていると思いますが、この中間指針、これについて、この中間指針の基本的な考え方、はっきり言えばこれでもう最後なのか、それとも、新しい事態が出てくればまた指針を出すのか、そういう点についてまずお聞きをいたしたいと思います。

笠大臣政務官 今石田委員から御指摘のございました中間指針でございますけれども、原子力損害の賠償が円滑かつ適切に進められるためには、その対象となる原子力損害の範囲等が明確にされることがまず重要である。その上で、本件事故との相当因果関係のある原子力損害の範囲の全体像を示すものでございまして、類型化できる原子力損害については賠償すべき損害としてその範囲を明らかにする一方で、類型化できずに本指針の対象としてまだ明記をされていない損害についても、委員御指摘のとおり、個別に相当因果関係が明らかにされることによって損害賠償の対象となることが明示をされております。

 この点については、中間指針の冒頭においても、はっきりと「中間指針に明記されない個別の損害が賠償されないということのないよう留意されることが必要である。」ということを言及しておりますし、私どもとしても、東京電力に対して、的確な賠償が進められるようにしっかりと対処していきたいというふうに思っておりますので、今後も新たな補償の対象になり得るものはあるということで私どもは理解しております。

石田(祝)委員 これは、八月の五日、本来七月の二十九日に出る予定でしたけれども、セシウムの稲わらの問題、それを給与された牛の問題が出て延びた、こういう中で、本来、紛争が起きたときの指針を示す、こういうことでやられていると思いますが、この中間指針でも、今御答弁ありましたけれども、「対象とされなかったものが直ちに賠償の対象とならないというものではなく、個別具体的な事情に応じて相当因果関係のある損害と認められることがあり得る。」「必要に応じて改めて指針で示すべき事項について検討する。」こういうことも中に書かれております。

 ですから、ある意味でいえば、これにのっとっているものは東京電力も対応するだろう。しかし、ここに載っていないもの、ある意味では行間を読んでもらわなきゃならないもの、そういうものについては、なかなか、裁判を起こしてくださいみたいな話になると大変な時間がかかりますから、そういう例が出てきたら、中間指針という位置づけの後の指針もやはり私は検討すべきだ。

 このことについて、いま一度御答弁をお願いします。

笠大臣政務官 今御指摘ございましたように、この指針は原子力損害の範囲の全体像を取りまとめたものでございますけれども、まだ示されなかったものが直ちに賠償の対象とならないというものではなくて、個別具体的な事情に応じて相当因果関係のある損害と認められ得るものでございますので、今後も、事故の収束あるいは避難区域の見直し等状況変化に伴って、必要に応じて、指針で示すべき事項について検討をしていくということで臨んでまいりたいと思います。

    〔津島委員長代理退席、委員長着席〕

石田(祝)委員 東京電力の福島第一原子力発電所の事故はまだ収束はしておりませんので、今後新たな事態が起き得る、そのときにはしっかりと指針もまた出していただく、こういうことだろうというふうに思います。

 それで、今回、特に私が申し上げたように、本来七月の二十九日に中間指針を出す予定が一週間延びた、セシウムに汚染された稲わらを給与された牛の問題、これで延びたと私は理解をしておるんですが、それを受けて中間指針が出た、このことについて農林水産省はどういうふうに評価をされておりますか。

鹿野国務大臣 中間指針におきまして、セシウム汚染牛肉等による被害を含めて、政府による出荷制限あるいは作付制限等による損害や、いわゆる風評被害など、幅広く農林水産業なり食品産業の損害というものが賠償の対象として位置づけられたものではないか、こういうふうな評価をいたしておるところでございます。

 このことを受けて、明日でございますけれども、農林水産省で、関係県や団体等と東京電力との連絡会議を開催いたす、こういうふうなことでございますので、今先生が触れられた、中間指針に明記されなかった損害、こういうことにつきましても東京電力に対して支払いを求める、できるだけ早い、適切なる措置を講ずる、こういうようなことでこれからも取り組んでいきたいと思っております。

石田(祝)委員 この支払いの問題、私たち野党も仮払い法案を提出して、これも成立をいたしました。また、政府が出した支援機構法、これも成立をしたわけですから、そういう点も踏まえて、いち早い賠償の支払い、こういうものはぜひやっていただきたいというふうに思います。

 八月の五日に、同じ日に、セシウムの汚染稲わらを給与した牛に対する新しい対策を発表なさいました。

 前の対策を七月の二十六日ですか、そこでお決めになったんですが、それ以後も、政府の対応としてはやはりこれはいま一歩ではないか、もっと踏み込んだ対応をすべきではないか、私たちは、鹿野大臣のところにも、提言という形で、福島県の県会議員、県の代表にも来ていただいて、生のお声もお伝えしたところでございます。それで、我々は、全頭検査、全頭買い入れ、こういうことをそのときにも提案し、また出荷できないときのえさ代をどうするんだ、こういうことも申し上げたところでございます。

 この八月の五日の新たに決定をされたもの、これが本当に十二分なものかどうかというのは、これから現地の畜産農家の方がどういう思いをされて受けとめられるか、このことにもよると思いますが、まず、簡単に、八月五日の方針について御説明をいただきたいと思います。

田名部大臣政務官 八月五日に公表された方針でございますけれども、まず個別の対策を申し上げます。

 一つは、汚染稲わらを食べた牛の肉について、暫定規制値を上回ったものについてだけではなくて、汚染稲わらを食べた牛のすべてを対象として買い上げるということ。そしてもう一点、肉用牛肥育農家の支援策でありますけれども、肥育農家が飼育するすべての肥育牛を対象として一頭五万円のえさ代を支給するという点。そして、出荷された牛の価格が下落をしたときに、その価格下落分を新たに支援するという点。そしてもう一点、福島県など、政府による出荷制限のかかっている県については、県の畜産関係団体が出荷遅延牛を実質的に買い上げる場合、これは国からも支援をするということであります。

 そして、今回の対策は、事業に必要な原資について、これは予備費を要求して対応をしていきたい、そのように考えているところでございます。

石田(祝)委員 中身について若干お伺いをいたしたいと思いますが、今政務官は、一頭五万円のえさ代を、支給するとおっしゃいましたね。それでよろしいんですか。

田名部大臣政務官 一頭五万円のえさ代を支援するということでございます。

石田(祝)委員 支援するということですね。支給じゃないですよね。

 では、お伺いをいたしたいと思います。

 今回、国産牛の信頼回復対策新スキーム約二十六億、肉用牛肥育農家支援対策新スキーム約七百五十五億、そして稲わら等緊急供給支援対策新スキーム約七十六億、合わせて大体八百六十億だろうと思います。私は、七月二十六日からは一歩前進だとは当然思います。しかし、ちょっとこのスキームが変わっておりまして、それについてお伺いをいたしたいんです。

 まず、ポンチ絵をいただいていろいろ見ましたが、もとあったところと変わっているのは、この絵の中から、いわゆる融資をするところ、金融機関、これが消えております。そして、東京電力が損害賠償する、こういう図も消えております。これは、簡略化するということでなさったんでしょうが。

 ここで、金融機関の融資、そして返還、それに対して、食肉流通団体にALICが利子補給をする、そういう仕組みになっておりましたが、これは金融機関が外れておりますけれども、何か理由がありますか。

田名部大臣政務官 失礼をいたしました。

 先ほども少し触れさせていただきましたけれども、金融機関から借り入れるという方式から、今回は、予備費を要求いたしまして、ALICを通じて事業実施主体に国費を供給する形に変更したところでございます。

石田(祝)委員 そうすると、金融機関からの融資という方法はもうとらないんだ、独法の農畜産業振興機構、そこからじかに貸す、こういう形になりましたね。

 これは、この振興機構に、今金額八百六十億というふうに私は計算しましたが、これはお聞きをしたので多分間違いないと思いますが、これは八百六十億を、予備費ということをおっしゃったというように思いますけれども、今、それだけのお金はないんですよね。ですから、これは予備費が入らないとできない事業ということですか。

田名部大臣政務官 先生の御指摘のとおりでございます。

 予備費を要求いたしていきますけれども、それまでの間はALICが保有する保有資金で対応をしてまいりたいと考えています。

石田(祝)委員 そうすると、私は昨日いろいろとお聞きをしたときに、幾らあるんだというお話はなかったんですが、これは今幾らあるんですか、お金が。数字の問題ですから、通告していなくてもお答えできると思いますけれども。

田名部大臣政務官 現在、三百億超の保有資金がございます。

石田(祝)委員 三百億強ある、こういうことですね。当然足りないわけですね、五百六十億。全部出しても足りない、こういうことです。

 それで、肉用牛肥育農家支援対策の新スキーム約七百五十五億、この中で、まず、飼育するすべての肥育牛掛ける一頭当たり五万を支援する、これで約二百三十二億だ、そして出荷遅延牛の買い上げ、こういう支援が約三百七十億、そして価格下落分を支援、百五十二億、こういうことで七百五十五億ということですが、この新スキームの肉用牛の支援にも足りないお金ですね。

 予備費でやるということですが、きょうは財務省から来ていただいておりますが、副大臣、いつ予備費をこの独法に入れてくれるんですか。

五十嵐副大臣 お答えいたします。

 石田議員におかれましては、災害対策で大変御指導いただいておりまして、ありがとうございます。

 この予備費については、実は、まだ正式には農水省から要求をいただいておりません。正式な予備費使用の理由、所要額、要求の時期等を伺って判断をさせていただきますが、基本的に、今般の震災対応においては、必要性に応じてしっかりと活用していくという基本方針がございます。その上で、今先生御指摘のとおり、ALICの資金回りをよく精査させていただいた上で、今回の支援策について予備費の必要性を適切に判断して実施をしてまいりたい、こう考えております。

石田(祝)委員 いや、これは驚きました。予備費を使う、予備費を使うと言いながら、まだ要求もしていないじゃないですか。これはどういうことでしょうか。三百億強あるということはよくわかりましたが、予備費を使いますよ、そう言いつつ、これは財務省に対して要望もしていないし、一体どういうことになっているんでしょうか。財務省としても困るわね、何も要望されていないのに、いつ出しますなんてことは当然言えないわけですね。

 いや、ちょっと待ってください。これは一体、いつ要望するんですか。八百六十億出しますよという話だけ進んで、実は三百億しかないよ、残りは予備費でお願いしますよ、予備費で出しますよと。しかし、現時点で要望もしていないというのは、これはいかがなものでしょうか。

 大臣、これはどういう理屈になっていますか。要望もしていないのに、出しますよということでやっているんですか。

鹿野国務大臣 このことにつきましてはもう既に財務省とも話をいたしておりまして、現実的に予備費から出されるという状況が来たときには、当然これは予備費に、出すということで請求をするということでございます。この間、緊急を要するということでありますのでALICからまず当面具体的な措置を講じさせていただくということでございまして、このことにつきましてはもう具体的に財務当局とも話をさせていただいているということでございます。

石田(祝)委員 そうすると、五十嵐副大臣は、全然要望もされておりません、こう言っていますけれども、大臣は、もう話はしているんだと。ちょっと矛盾していないですか。

五十嵐副大臣 事務的なお話はいただいているものですから、ですから先ほど前向きな御答弁をさせていただいたということでございますが、まだ数字の精査が残っている部分があって、正式な、紙として、要求書として、調書としていただいていないということで、方向としては、財務省も農水省と、内々といいますか、事務的な打ち合わせはさせていただいている、こういうことでございます。

石田(祝)委員 これ以上申し上げませんけれども、予備費をやりますよといったら、当然、財務省と話が進んで、もうこれはいつ出すのかというところまで来ておりますとか、何日に予備費を出していただけるようになっているだとか、だからお金は心配ないからというメッセージが出ないと、残念ながら今の段階だと、下話はしているけれども正式な要請は来ていないよ、お金の金額も詰まっていませんよ、こういうことでありますから、そこのところ、せっかく一歩前進の対応をしていただいておりますので、これは遺漏なきをぜひお願いいたしたいと思います。

 それで、これは私の前の委員も御指摘がありましたが、これには五万円を支援、こういうことが書いてありまして、そして販売時に返還、このことも書かれておりますけれども、これは大臣、いかんともしがたい話なんでしょうか。

 今回、畜産農家の方、いろいろな心労もあると思うんですね。そういうことも含めて、私もいろいろとお聞きをすると、飼っている牛全頭にぜひ五万円というものの支援をしてほしい、応援をしてもらいたい、こういうお声もございました。確かに、前年か一昨年の実績で出すということになっていたようでありますけれども、今回、すべての飼っている牛について五万円出すよと。

 そこまではよかったんですけれども、その次は、そのかわり売ったときに返してね、こういう、おまけというか要らぬ付録がついているわけですね。大臣、これはほかに何か工夫のしようがないんでしょうか、この五万円については。

鹿野国務大臣 先ほど来から御質疑もございますけれども、農林水産省といたしましては、とにかく、資金繰り等々、今日の畜産農家の人たちの精神的な苦しい状況ということも含めて、まず緊急措置を講じさせていただく、こういうふうなことから、一頭当たり五万円、そのためには、まさしく前年度の取引、出荷の状況に合わせてというようなことではなしに、思い切った取り組みもさせていただいたわけでございますので、そういう意味では、緊急的に支援をさせていただく、こういうふうな措置を講じさせていただくことにしたところでございます。

石田(祝)委員 私は、一歩前進と評価をさせていただきましたけれども、なお最後の画竜点睛を欠くようなところがあったんじゃないかな。五万円を返してねと言わなきゃなおよかったと思いますけれども、今の状況ではなかなか大臣からはその御答弁はいただけないようでございます。

 ですから、この問題につきましては、どうしてもお金がかかりますので、予備費ということ、これはぜひ私の方も五十嵐副大臣に、早急にその精査ができて、要求が出たら即座にお願いをいたしたい。そして、この問題については、十二分にお金はあるよ、しっかり対応ができる、こういうことがメッセージとして畜産農家の方に伝わるようにお願いをしたいと思います。

 それでは、財務省と文科省は結構でございます。ありがとうございました。

 引き続きまして、米の先物市場の問題についてお伺いをいたしたいというふうに思います。

 先ほど来いろいろと御指摘もありましたが、昨日から先物市場の取引が始まった、こういうことでございます。

 大臣、私、前にもお伺いをしたんですが、やはりいまだに腑に落ちないというんですか、これはさかのぼっての話、もう終わった話にもなりますけれども、なぜ大臣が、七月の二十五日までできるところを七月の一日、三週間以上も日を余して認可をなさったのか、いまだによくわからない。もうちょっといろいろな意見を聞いてもよかったんじゃないのか。

 これは、私が申し上げたように、三月八日に申請があって、十一日に震災があった、それから我々もまた与党の皆さんも、ほとんど地震の対応、震災対応で熱心に取り組んでいて、この米の先物の問題についてはやはり少々注意ができなかった、こういう嫌いはあると思いますが、その間隙をついたような形で早く認可された。私はいまだにもってよくわからない。

 大臣に、昨日のスタートを受けて、一日の認可は一体どうしてそんなに早かったのか、いま一度御答弁をお願いします。

鹿野国務大臣 二つの取引所から申請が出されたわけでありまして、六月の二十五日が縦覧の期限日、こういうふうなことでありました。そういう中で、五月、六月と、食糧部会の方々からも意見もお聞きし、また四月、六月と、米の有識者の懇談会の関係の方々からも御意見を伺い、そして、もちろん各政党の代表の方々からも御意見を伺う、また米関係の団体の人たちからもいろいろと御議論いただく中で、私自身もいろいろとお話を伺ってまいりました。

 そういう中で、まさしく七月二十五日まで、こういうふうなことでありますけれども、前にも答弁したわけでございますけれども、このような経緯を踏まえて、今回の試験上場ということの申請につきましては関係者の関心も高いというふうなこともありましたゆえに、本当に何のその他の意味もなしに、縦覧期間が過ぎたわけでございますので、また関係の方々からも御意見もお聞きしたというふうなことも踏まえて、私自身としては、もうできるだけ速やかに考え方をお示しした方がいいのではないか、こういうふうな判断に立って結論を出させていただいた、こういうことでございます。

石田(祝)委員 答弁は全く同じ答弁のようですから、これ以上お聞きしても新しい答弁はないでしょうけれども、私としては、やはり、三週間を余してなぜ、前にもお話ししましたけれども、普通の状況だったら、何もなくて、十二分に、縦覧期間も含めて、各党、いろいろな方が検討できる期間があればよかったんですけれども、こういう大震災を受けてという特殊な事情の中で、そこでもそうしなきゃならなかったのかなという率直な疑問はいまだに晴れません。

 しかし、大臣が御自分の権限として認可をなさった。そして、私は、きのう初日、きょう二日目ということで、一つは、これは冷静に見守っていく以外にないな、そのように思います。

 この先物の試験上場は、私は慎重であるべきだったということは変わりません。これについてはそういう意見は変わりませんけれども、もう上場なさって、これからは、ある意味では、大臣がおっしゃったように、一つ一つの発言がいろいろなことに影響を与えてはまずいという大臣の御発言もそのとおりだろうと私は思いますので、大臣が責任を持って認可されたわけですから、当然、二年後どういうようになるのか、これについては農林水産省としても責任を持った判断をしていただかなきゃいけない、このように思っております。

 そういう中で、やはり、きのう東穀では一万三千五百円の基準値で結局値がつかなかった。それで、きょうは基準値を一万六千四百円にして、私のお聞きしたところ、どうも一万七千二百円ちょっとで取引が成立した、こういうこともお聞きをいたしましたが、一日で基準値が二千九百円上げている、値幅も制限になっている。

 さっき副大臣が、建て玉制限もあるんだ、値幅制限もあるんだ、こうおっしゃっておりましたけれども、基準値が二千九百円も一日でぽんと上がって、値幅制限もぼんと広がっている。これは、ですから、建て玉も値幅制限も実際乱高下の歯どめになっていないんじゃないのか。一日でこれだけ、そこの取引所の決定で二千九百円、約三千円も基準のものをぼんと上げられる、こういう仕組みそのもの、これに農水省が何も言えないということは当然であると思いますけれども、それをもってして乱高下の対処ができているということはとても言えない、このように私は思います。

 それで、大臣、先ほど、答弁については慎重でなきゃならん、こういうお話もございましたけれども、例えば東穀の一万三千五百円、一万六千四百円、この関東コシヒカリ、これは、去年の、二十二年産米の相対取引の値段を見ますと、茨城も栃木も千葉も大体一万三千円前後なんですよ、実際の取引の値段というのは。それが一万六千四百円を基準にしてやっと値がつく、これはどう考えても、現実の米の現物の問題とは相当乖離したところで、別の思惑があって動いているとしか私は思えないんですよ。これが先物の仕組みなんだといえばそのとおりなんでしょうけれども、余りにも現物との乖離があり過ぎるのではないか。

 これが何カ月後かにどういう影響が出てくるかということですね。これについては、例えばきょう、私が申し上げた一万七千二百円ちょっとで値段がついた、これはどこかで決済しなきゃいけないわけですね。そうすると、その値段と、現物の取引は一体どういう関係になってくるのか。これが当初いろいろ言われていたリスクヘッジなんですか、本当の。これは私は非常に疑問があります。

 大臣、このことについて、値段にいろいろと影響を与えてはまずいということもよくわかりますので、その範囲の中で、大臣として、初日の問題、そして、二日目は私が申し上げた数字は大臣のお手元に行っているかと思いますけれども、率直に、どういう御感想ですか。

鹿野国務大臣 どういう感想ですかというふうに先生から言われますと、私も、ちょっとという表現で、率直に申し上げたらいいかということも戸惑うところがございます。

 というのは、私の立場というものが、やはり自分が思っているように重いものがあるんではないか、正直、こういうふうな思いもいたしまして、そういう意味では、まことに恐縮でございますけれども、今後の動きというものをしっかりと注視していく、これが私にとって最も重要なことではないか、こういうふうに考えさせていただいております。

石田(祝)委員 きょうは二日目ということですから、これからどういうふうに落ちついていくのか、そういうことも見て、私は、この米の問題は徹底的に一度議論をした方がいいと思いますね。これは、大臣の御答弁がしにくいということも当然あるかもしれませんけれども、やはり主食を先物に試験上場した、こういうことが一体どういうことなのかということ、これは、私はもうちょっと議論をすべきだ。きょうはこの程度でとどめさせていただきたいと思います。

 最後になりますけれども、食と農林漁業の再生実現会議の中間提言も、これも八月に入って出ました。ですから、大変大事ないろいろな提言、中間報告、中間指針、こういうものが次々にここのところ出てきているわけですね。まあ、国会を延長しておいてよかったな、これは延長していなかったら議論するところがなかった、こういう思いもいたします。

 それで、時間の関係もありますので、内閣府から山口副大臣に来ていただいております。

 この中間提言の一番最後、「「包括的経済連携に関する基本方針」に定める六月基本方針、十月行動計画に代わる新たな工程を、日本再生全体のスケジュールや復旧・復興の進行状況を踏まえ、検討する。」。これは、去年の十一月の包括的経済連携に関する基本方針、十一月九日閣議決定、この中で明確に、先ほど申し上げた、六月をめどに基本方針を決定する、十月をめどに行動計画を策定し、早急に実施に移す、こういうことで進んできておりましたが、現在は、一体いつになるのか、こういうことになっております。

 これは、まさしく我が国の食と農林漁業の再生のための提言でありますから、こういうところがあやふやなままでは困るわけです。これについて、副大臣、一体いつごろをめどに基本方針、行動計画を決める予定なのか、明確な御答弁をお願いします。

山口副大臣 包括的経済連携については、昨年十一月に、食料自給率の向上というものと両立させるということを決めた次第ですけれども、確かに、六月に基本方針、それから十月には行動計画というふうに当初していたわけですけれども、三月十一日に、ああいう大きな衝撃の、東日本大震災も起こったことですから、ちょっとしばらく、そういう意味では我々も若干の作業を要していました。

 その中で、先日の、食と農林漁業の再生実現会議において中間提言をまとめさせていただきました。その中で、新規就農促進とか規模拡大の促進、あるいは六次産業化、輸出戦略の立て直し、いろいろあるわけですけれども、さらに我々は、これから日本再生全体のスケジュール、あるいは復旧、復興の進行状況を踏まえて、与野党のすべての知恵をいただきながら検討させていただきたいと思っています。

石田(祝)委員 済みません、そういうことは、いつという明示的なものはないということですね。

山口副大臣 特に明示的なものはなく、これからさらに検討させていただきます。

石田(祝)委員 この中間提言は、非常に大事なことがたくさん書かれていると私は思います。きょうは時間の関係でこれ以上お聞きすることはできませんけれども、この点も、もっともっとしっかりこれは議論をすべきだ。いろいろな提言がたくさん出るものですから、その中に埋もれちゃっていますけれども、大変大事なことがあります。

 この中で一つだけ、私、最後に指摘をしておきますと、「徹底的な話し合いを通じた合意形成により」「規模拡大を図り、平地で二十〜三十ヘクタール、中山間地域で十〜二十ヘクタールの規模の経営体が大宗を占める構造を目指す。」と。中山間地で十から二十ヘクタールの経営体なんて、できるんですか、これ。これは、書くのはいいんですけれども、実際、どうやってやるのか。中山間地を知らない人が書いたとは思いませんけれども。中山間地ですよ。

 私らも、中山間地の特別支払いをやるために、一ヘクタール要るというところを、いろいろなところを集めて一ヘクタールでいいですよというふうに直したんですよ。だって、一ヘクタールだって大変なんですから。それを、あちこちのものを一団という考え方で対象にするようにもしたんですよ。

 それをぽんと、こんな大きな数字を出されて、それがまた「大宗を占める」というんですから、ほとんどの経営体が十か二十になるんだよと。こんなことを言ったら、どうやってやるのかな。これはもっともっと私たちも、また与党の皆さんを含めて、本当に中山間地をどうするのかということを真剣に私は考えるべきではないのか。この問題はまた後日、時間をいただければやらせていただきたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

山田委員長 次に、吉泉秀男君。

吉泉委員 社会民主党の吉泉です。

 先週、畜産農家、とりわけ養豚なり酪農の人たちのし尿処理そして堆肥、このことに対して、いち早く対応をはっきりしてほしい、そういう質問をさせていただきまして、そして五日の日に、検査方法なり、政府の方として明らかにしていただいた、このことについては感謝を申し上げたいというふうに思っております。現場の段階でも胸をなでおろしている、そういう状況もありますけれども、やはりもっといち早く出してほしかったなということをまず申し上げさせていただきたい、そう思います。

 そして、きょうのマスコミで、東京電力の四月から六月期の決算、きょう発表がなされるというふうな報道でありますけれども、五千億円の特別損失を計上する見通しだ、そして、その原因が損害のいわゆる賠償費用、このことが発生するため、こういう報道がなされております。しかし、一方的に、前の東電の損害賠償、そのことを、新聞になっているのが、十月から本格的、こういうふうな報道もなされているわけでございます。

 現在東京電力の方に、賠償金を生産者側で請求している額、さらには現時点で支払った額、これはいわゆる農林水産関係なんですけれども、そのことについて、農林省は、東電さらには文科省等の方から、総額さらには現状についてお伺いをしているとすればお答えいただきたい、こう思います。

田名部大臣政務官 農林水産省で関係県やまた関係団体から聞き取りによりまして把握をしている金額をお伝えしたいと思います。

 きのう、八月八日まででございますけれども、五百四十億円の損害賠償請求、これに対して七十八億円、請求額の一四%であります、仮払金が支払われている状況でございます。

吉泉委員 今答弁で、請求済み額が五百四十億円、支払い済み額が七十八億円と。そうすると、二割にも満たない、そういう状況に今はなっているわけですね。五カ月を過ぎて、そして今お盆前、こういう状況のときに、五百四十億に対して七十八億しか支払われていない、そのおくれている理由というのはどういうふうにとらえておりますか。

田名部大臣政務官 一つは、確かに賠償の支払いはおくれておりますが、農林水産省の関係の団体には、仮払いとして、実は五月の三十一から出荷制限等に対して支払われておりますし、また、八月一日には風評被害に対しても開始をされているところでございます。

 先生が先ほどお話しになられたことは、まさに本払いが十月からと、先ほど経産副大臣からも御答弁がありましたけれども、本払いがなされるのがその時期になるだろうということでございます。

 そして、そこに向けて私どもといたしましてもしっかりと対応していかなければならないと考えておりますし、八月五日に、第一次、第二次に続きまして中間指針が策定をされましたので、この中では、幅広く農林水産業また食品産業、これらの損害、風評被害も含めて、こういったことが対象として位置づけられてきております。

 これまでも、農林水産省といたしましても、鹿野大臣、会議の場におきまして、あらゆるところで、風評被害も含めての賠償についてしっかりと対応をしていただくようにという御発言をしてきましたし、そのことに対しては、東京電力に対しても誠意ある対応を求めてきたところでございます。

 中間指針が出たことを踏まえて、先ほど大臣からも答弁ありましたが、あす、連絡会議を開催いたしまして、賠償の財源の確保に関する原子力損害賠償支援機構法の制定も踏まえ、中間指針に明記をされなかった損害賠償というものも含めながら、東京電力に対して一層の支払いをしっかりと求めてまいりたいと考えております。

吉泉委員 仮払いは半分なわけですね。では、五百四十億の請求額、これに今の風評被害なり、そういったところについては入っているんですか。そうでないんだろうというふうに思っていますけれども、そういう面で、その五百四十億が請求済みになって、仮払いだとするならば、半分は最低でも払っている、それが七十八億だと。

 では、この五百四十億の請求の中身というものについて、どういう請求の、被害の賠償の中身なのか、ちょっと教えていただきたい。

田名部大臣政務官 先ほど申し上げました金額の中には風評被害も含まれております。

 八月一日から風評被害についても仮払いが開始をされておりまして、その金額というものは現時点で十一億円、風評被害のみでございますけれども、支払いが、仮払いが行われているというような状況でございます。

吉泉委員 わかるわけですけれども、しかし、生産者から聞きますと、やはり遅いと。いろいろな面で、仮払いだとかそれから機構法だとか、そちらは言っているわけですけれども、その努力はわかるわけだけれども、私方に対しては全然その部分がおりてこない、いつまで待たせるんだ、こういう話なんですよ。

 ですから、それぞれ指針として今回もまた中間で出ましたけれども、そういったところについて、ぜひ、内容なんかも含めて、政府の方として、農林水産省として、しっかり内容を精査しながらお願いをしたい、早期支払いをお願いしたい。

 そして、JAグループそのものについては、各県段階でそれぞれ被害額を取りまとめて、そして、それぞれ委任を受けて、それで全中が責任を持ってやっている、そういう状況であるわけですから、そういう面なんかを見ても、全中さんなんかの意向を聞きますと、やはり正月前までにはすべて終わってほしい、そういう考え方もございますので、その点についてよろしくお願いを申し上げたいと存じます。

 それから、私は、今の請求額の中に、いわゆる支払い側の東京電力が認めない、支払うのに応じない、そういう請求もこれから出てくる、またはそれぞれ一致しない、そういう問題なんかも出てくるんだろうというふうにも思っています。

 そういう中に、和解センターとかなんとかかんとか、そういう機関をつくるとか、そういうお話が、文科省の方で言っているわけですけれども、その内容について教えていただきたい。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、東京電力福島原子力発電所事故は、過去に原賠法が適用された唯一の事例でありますジェー・シー・オー事故でございますけれども、それに比較しても極めて被害者が多数おられ、かつ、その範囲や内容も損害として大変多様でございます。

 そこで、先日、中間指針という形で、できるだけ損害賠償の類型を明確化するという形で、できるだけこの紛争の発生を最小限にするように努めているところでございますけれども、ただ、先生御指摘のとおり、やはり今回の事故では相当多くの紛争が出てくる可能性があるというふうに見込んでおります。

 そこで、そういった大量の紛争処理が出てきました場合に、被害者の方がどこに行っていいかわからないというようなことにならないように、文部科学省では、法務省を初めとした関係機関や、あるいは法曹界の方々との連携協力を得て、この中間指針をつくっていただきました紛争審査会に和解の仲介を専門に行う仲介委員という名前の方を、先月には政令改正いたしまして、置くことができるようにしたところでございまして、その人選を今早急に進めているところでございます。

 また、今月には、そうした仲介委員の方々が所属することとなる原子力損害賠償紛争解決センターと呼びますセンターを東京及び現地の福島に整備しようということで進めておりまして、そのための専任の事務局体制も、各省の協力も得て整備を進めているところでございます。

 現在、紛争が起こったときの手続、あるいはそのときのルール等を早急に検討しているところでございまして、今月中にはすべての準備を完了して、紛争の申し立てがありました際には、九月には、全きの形でそれに対応できるような体制を整備したいということで準備を進めているところでございます。

吉泉委員 それぞれ準備がなされているというふうに思うわけでございますけれども、ただ、私どもからすれば、農林水産の関係からいえば、和解をしなきゃならないとか、それから訴訟までいったとか、そういうふうにならないような、そういう面について、農林水産省としては、請求額の問題なり、さらには東電の今の現状とか、そういうものをやはりしっかり把握をしながらやっていかないと、それぞれ、農林の、特に生産現場の段階では大変困る、そういう状況にあるというふうに思っておりますので、その辺についてはそれぞれ横の連携を含めてしっかり対応をお願いしたい、そういうふうに思います。

 一カ月一カ月、それぞれ各県段階で東電に請求をしているわけですから、その請求額が一体どういうものであるのか、そういう部分なんかもやはり農林省として中身を見て、そして当然、仮払いなり、支払わなきゃならない、そういう状況の請求額が支払われていないというふうになるとするならば、それはやはりいち早く支払うように促していくとか、そういう部分が農林省のサイドの中においても任務があるというふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと存じます。

 そして今、先物の関係について、多くの先生方から意見が出されました。自分自身も、先週、この問題について意見を、さらには質問もさせていただきました。

 しかし、残念です、はっきり言って。今回のこのところについて、きのう先物が始まったわけですけれども、売り買い、これに参加をしたのは、ほとんどの人たちが投資家でしょう、いわゆる投機。そういう人たちが参加をして、そして、今の供給、需要、そういう部分がすごく心配だとか、いろいろな方が理由は言うわけですけれども、実際、JAグループなり全農さんなりは、ほとんどそれは入らない、こういうふうに決議をしているわけですから、まさしく投資、投機家、そういう人たちの中で米の価格が右往左往する。そして、その道を開いたのは農林省であるわけです。

 このことに対して、今回の、初日の値がつかなかったとかそういうことに対して大臣としてのコメント、こういうものを出すと、このことについては今後の取引に影響があるから差し控える、そして注視するしかない、こういう状況でこれまでの答弁がなされたわけでございます。

 しかし、私は、この先物取引というものについて、これからの相対取引なり、さらにはこれから米の戸別所得補償制度の変動部分なり、いろいろなところに非常に影響が出てくるんだろうというふうに思っております。そういう面の中で全然、ただ注視をする、こういう態度だけでは、私は、やはり生産者が、さらには消費者も納得できない、こういうふうに思っているところでもございます。

 そんな面の中で、この先物が始まった中で、今、JA関係なんかも、これからどうしていく、さらには、これから、今収穫時期を迎えて、農協一元化、組合員から米の販売委託をお願いする、そういう状況についても、大変な今の思いというものがあるだろうというふうに思っております。

 この点について大臣のコメントができないとするならば、農林省サイドとして、今回の、こういう事態になっているということについての見解をもう一度お伺いさせていただければありがたいというふうに思います。

鹿野国務大臣 何遍も申し上げますが、今、大事な御指摘もいただきました。すなわち、先物の取引によって、いわゆる米の価格の乱高下というふうなものを大変懸念されておるというようなことからの御意見をいろいろといただいておるわけであります。

 今後、この試験上場におきまして、私どもとしては注視をしていく、もちろん、注視をしていくということは、しっかりと市場の動向というものを常時監視していくというふうなことでございまして、いろいろな意味で今後支障を来すような事態というふうなことがありますならば農林水産大臣として措置を実施するというふうなことも、取引所に指示、措置を講ずることもできるということでございますから、これらの措置というふうなものを通じて、米の流通あるいは生産に支障を及ぼすことがないように今後は対処してまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。

吉泉委員 今、大臣の方からのコメントがあったわけですけれども、支障がというふうな言い方なんですけれども、もう完全に私は支障が出ているんだろうというふうに認識をしております。これについては前の先生方からも出されましたように、このことに限ってやはり参考人招致なり含みながらの委員会というものは私は開かせていただきたい、こういったことをまず要望させていただきたいと存じます。

 あと時間が一分しかございません。その中で、米の問題についても、これは前の委員の方からもお話がございました、一番心配しているのが、今の紛争委員会の中で出された六県と、今農林省が検査をしていく十四都道府県との違い、これの整合性というものについて一つお伺いさせていただきます。

 いわゆる損害賠償の紛争委員会の中には、その六県の風評被害も含めて県名が出されておるわけでございますけれども、これから農林省としてやっていく部分は十四都道府県でございます。そういう面の中では六県より多いわけですから、その辺についてどういうふうにとらえればいいのか、お伺いさせていただきます。

篠原副大臣 どういう県を対象にして検査をしたりあるいは補償をしたりというのは、すべて原子力災害対策本部の方で決まっております。吉泉委員御指摘の十四都県というのは、当初そうだったんですが、追加されまして、十七都県を検査することになっております。新たに追加されたのが岩手県、青森県、秋田県です。

 それで、先ほどちょっと触れられました補償の件で、風評被害の補償についてでございますけれども、六県、農林水産物について出荷制限指示等が行われた区域ということで、福島、茨城、栃木、群馬、千葉、埼玉ということになっております。

 ただ、先ほどもちょっとお答え申し上げましたけれども、この損害賠償すべき対象ということに入っていない県におきましても、今後風評被害等が生じた場合には原子力損害賠償審査会に必要な提起を行っていって認めていただく。先ほど、まことに済みませんが、私の地元の長野県等も、入っていないのですけれども、風評被害を受けているということで、提起をしていくことになっておりまして、随時つけ加えられることになっております。

 それから、そういうふうにつけ加えられていなくても損害賠償の方につきましては請求していってもいいことになっておりまして、その後から追加されてきちんと話し合われていくというようなこともあり得るのではないかと思っております。

吉泉委員 米はこれから収穫時期でございます。そういう前の中に、それぞれ、検査体制、国は県の方にお願いをする、さらには市町村、さらには農協、生産者段階が、非常に現場が苦労する、そういう状況だろうと思っております。

 そしてまた、検査の部分がいつわかるのか。この中で見ると、収穫前に前後二週間、そういったところの中でやるんだというふうな内容になっているわけでございますけれども、それならばその結果が出るまでこれは収穫できない、こういう問題なんかも出るわけでございます。やはり今の検査の要綱を見ましてもいろいろな課題があるんだろうというふうに私は思っております。そんなところを後でそれぞれ担当のメンバーと詰めながらお話もさせていただきながら、よりよい体制というものについて求めながらお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

山田委員長 この際、連合審査会開会申入れに関する件についてお諮りいたします。

 経済産業委員会において審査中の内閣提出、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案並びに電気事業法及びガス事業法の一部を改正する法律案の両案について、経済産業委員会に対し連合審査会の開会を申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、連合審査会の開会日時等につきましては、経済産業委員長と協議の上決定いたしますので、御了承願います。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十分散会


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