衆議院

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第3号 平成24年3月21日(水曜日)

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平成二十四年三月二十一日(水曜日)

    午前九時三十一分開議

 出席委員

   委員長 吉田 公一君

   理事 石津 政雄君 理事 梶原 康弘君

   理事 菊池長右ェ門君 理事 佐々木隆博君

   理事 野田 国義君 理事 小里 泰弘君

   理事 宮腰 光寛君 理事 石田 祝稔君

      石山 敬貴君    今井 雅人君

      打越あかし君    大谷  啓君

      岡本 英子君    加藤  学君

      柿沼 正明君    笠原多見子君

      金森  正君    金子 健一君

      京野 公子君    小山 展弘君

      坂口 岳洋君    田名部匡代君

      高橋 英行君    玉木雄一郎君

      玉城デニー君    筒井 信隆君

      道休誠一郎君    富岡 芳忠君

      中野渡詔子君    仲野 博子君

      橋本 博明君    橋本  勉君

      福島 伸享君    松岡 広隆君

      宮島 大典君    本村賢太郎君

      森本 哲生君    山岡 達丸君

      山田 正彦君    伊東 良孝君

      今村 雅弘君    江藤  拓君

      北村 誠吾君    武部  勤君

      谷  公一君    谷川 弥一君

      保利 耕輔君    山本  拓君

      稲津  久君    西  博義君

      石田 三示君    吉泉 秀男君

      石川 知裕君

    …………………………………

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   農林水産副大臣      筒井 信隆君

   総務大臣政務官      福田 昭夫君

   財務大臣政務官      吉田  泉君

   農林水産大臣政務官    仲野 博子君

   農林水産大臣政務官    森本 哲生君

   環境大臣政務官      高山 智司君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  大杉 武博君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    神宮司史彦君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 米田耕一郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 片上 慶一君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 塚越 保祐君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       三浦 公嗣君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         佐藤 一雄君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  今井  敏君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局長)            佐々木伸彦君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      糟谷 敏秀君

   農林水産委員会専門員   栗田 郁美君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十一日

 辞任         補欠選任

  大谷  啓君     加藤  学君

  笠原多見子君     岡本 英子君

  高橋 英行君     山岡 達丸君

  玉木雄一郎君     柿沼 正明君

  山田 正彦君     宮島 大典君

  山本  拓君     谷  公一君

  西  博義君     稲津  久君

同日

 辞任         補欠選任

  岡本 英子君     橋本  勉君

  加藤  学君     大谷  啓君

  柿沼 正明君     橋本 博明君

  宮島 大典君     山田 正彦君

  山岡 達丸君     坂口 岳洋君

  谷  公一君     山本  拓君

  稲津  久君     西  博義君

同日

 辞任         補欠選任

  坂口 岳洋君     松岡 広隆君

  橋本 博明君     玉城デニー君

  橋本  勉君     金森  正君

同日

 辞任         補欠選任

  金森  正君     笠原多見子君

  玉城デニー君     玉木雄一郎君

  松岡 広隆君     本村賢太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  本村賢太郎君     高橋 英行君

    ―――――――――――――

三月十六日

 競馬法の一部を改正する法律案(内閣提出第四二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 競馬法の一部を改正する法律案(内閣提出第四二号)

 農林水産関係の基本施策に関する件

 平成二十四年度畜産物価格等に関する件


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     ――――◇―――――

吉田委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官佐藤一雄君、生産局長今井敏君、内閣官房内閣参事官大杉武博君、消費者庁審議官神宮司史彦君、総務省大臣官房審議官米田耕一郎君、外務省大臣官房審議官片上慶一君、財務省大臣官房審議官塚越保祐君、厚生労働省医薬食品局食品安全部長三浦公嗣君、経済産業省通商政策局長佐々木伸彦君及び資源エネルギー庁電力・ガス事業部長糟谷敏秀君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

吉田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。梶原康弘君。

梶原委員 おはようございます。民主党の梶原康弘でございます。大臣所信に対して質問させていただきたいと思います。

 まず、大臣、先日体調を崩されたということを伺いました。大変な激務でありますから、十分体には留意をいただいて、農政推進のために頑張っていただきたいというふうに思います。

 先日の大臣所信では、大臣の自信を感じました。分量も大変多かったと思いますし、内容も充実していたと思いますし、民主党については、とかく政策について言われますけれども、事農政に関しては大変うまくいっているんじゃないかというふうに思います。

 将来の農山漁村のあり方あるいはその道筋、明らかになりつつあるんじゃないかというふうに思います。簡単で結構でございますから、それに向けての大臣の決意を改めてお願いしたいと思います。

鹿野国務大臣 昨年の東日本大震災、その後におきまして、国民生活にとって食料供給というものがいかに大事であるかというふうなことが、改めて国民の人たちからも再認識されたんじゃないかと思っております。

 そういう中で、平成二十四年度の予算編成におきましても、野田総理自身の基本的な重点項目五つの中に、食と農林漁業の再生というふうな項目がそこに入っております。そういうことを考えたときに、私どもといたしましては、特に、今日の第一次産業の実態というものを踏まえて、五年間の集中展開ということの中で新しい第一次産業の姿を描くべく取り組んでいく、このスタートが平成二十四年度になるものと思っております。

 そういう意味で、我が国の国民生活の安定のためにも、地域生活、地域経済においていかに第一次産業というものを新たに定着させていくかというふうなことが、これからの日本の国民生活にとっても非常に重要な問題である、こういう認識のもとに、私どもは、政務三役、農林水産省一丸となって農林水産業の発展、推進のために全力を尽くしてまいりたい、このように考えておるところでございます。農林水産委員会の先生方のさらなる御指導を心からお願い申させていただきます。

梶原委員 ありがとうございます。私どもも全面的に応援をしていきたいと思いますので、ぜひ、次代の農山漁村のあり方をしっかりと築いていただきたいというふうに思います。

 少しTPPの問題について触れさせていただきたいと思います。

 今各地で、TPPをともに考える地域シンポジウムというのが行われています。これが共同通信の主催で行われている、どういうことかなというふうに思います。本来は政府が責任を持って情報開示をすべきではないか、政府主催で行うべきではないか、こういうふうに思いますけれども、新聞記事にもありますけれども、参加者からは、実態がなかなか見えないとか、情報が不足しているんではないかというようなことが言われております。また、この中身も、例えば、これは医療の問題で恐縮なんですが、公的医療は対象外だから国民皆保険は守れるんだというような、多少ごまかしというか、そんな話があるんじゃないかというふうに思います。

 一方で、こうやって会を重ねたから情報開示は十分なんだ、こういうことを言いたいのかなという気がいたします。私は、やはり政府が責任を持って、国民に対して情報を開示していくべきではないかというふうに思っておりますけれども、大臣の御所見をお願いしたいと思います。

筒井副大臣 地域シンポジウムは、おっしゃるとおり共同通信社の主催。ただ、もう一つ、都道府県が主催の説明会がありまして、さらには国が主催の、関係団体との説明会があります。それらいろいろな多層的な説明会を開くわけでございますが、その中で国が責任を持って情報を公開していく、全面的に公開していく、こういうことをやらなければいけないのは、まさにおっしゃるとおりだというふうに思っております。

 ただ、現在のところ、例えば一番重要なアメリカからの情報も、アメリカの方もまだパブリックコメントの分析中だということを言ったりして、完全な情報が来ているとは言えないという状況がある中で、今のところ、情報を国の方として可能な限り公開していくという方針で臨んでいるところでございます。

梶原委員 ぜひ積極的に情報開示をしていただきたいというふうに思います。

 先日ちょっとおもしろい記事を見たんです。先月二十四日の読売新聞なんですけれども、これは事前協議に関する記事で、ちょっと読ませていただきたいと思います。「農水省の代表が「都道府県議会の多くがTPP交渉参加への反対決議がある」「関税全廃とは一度も言っていない」などと国内政治の困難さを並べたてた。」中略ですけれども、「米政府だけでなく、他の日本側出席者も突然の大演説にあっけに取られた様子だった」こういう記事が載っておりました。

 日本の立場をしっかりと主張する、あっぱれあっぱれというふうに思ったわけですけれども、この最後に、「国内の意見がまとまらないままでは、米国や豪州などの理解は得にくい。」というふうに結んであるんです。

 これは、農水省の代表の方が本当に義憤に耐えかねてその思いを訴えた、こういうふうなことというよりも、外交交渉でありますからルールもあるし、これだけの大演説があったのかなと。当然これは誰かがリークしたわけですし、むしろ外務省が農水省に対して牽制をしているんじゃないかなというふうにも感じたところであります。

 こんなことについて、御報告を受けておられるのかどうか、大臣にお伺いしたいと思います。

筒井副大臣 先生の、極めて妥当なというか、そういう分析をお聞きいたしました。ただ、今、政府の方として協議の内容の公表をどういうふうにするか、各府省間での整理をした上で、整理したものについて徐々に公表していくという申し合わせになっておりますので、今現在公表しているもの以上のものは、今後さらに公表していくという段階に入っているところを御理解いただきたいと思います。

梶原委員 こうした場でやはり日本の立場、考え方というものを積極的に訴えていってほしいな、これはいろいろな圧力とか、そんなものがあるんだろうと思いますけれども、そういったことに屈せずにぜひ頑張っていただきたいというふうに思っております。

 これも事前協議に関することであります。今、アメリカ等からだと思いますけれども、日本の意思が問われている、高い経済連携に参加をするその覚悟が問われているというような言い方がされております。これに対して、先日も外務省の幹部が、この二十四日の回じゃなかったかと思いますけれども、全品目をテーブルにのせる用意があるという発言をした、こう言われております。本来は包括的経済連携に関する基本方針ではそうなっていないわけでありまして、これを明らかに逸脱した発言ではなかったかというふうに思います。

 さらに、アメリカからは、もう既に、牛肉であるとか自動車であるとか保険であるとか厳しい要求があるというふうに思いますけれども、こうした要求を受け入れなければTPPには入れてやらないよというようなことを言われている。

 私は、その事前交渉の中でもう既にその言質をとられているというか、本交渉に入ったときに厄介な問題については事前に話をつけておこう、こういう意図があるんじゃないかというふうに思いますけれども、その点についての御見解をお願いしたいと思います。

筒井副大臣 日本の方針は、センシティブ品目に配慮しつつ全品目をテーブルにのせるというところまででございまして、それ以上の踏み込んだ発言はしていないというふうに聞いております。そして、アメリカ側からの要求については、プロジェクトで外務省が一定の発言をしたということも承知をしております。

梶原委員 本当に国益のかかった大変な問題だと思います。政府としてのお立場はあろうかと思いますけれども、私は、最善の努力をしていただきたいというふうに思っております。

 それからもう一つ。先日、中国の陳商務相が記者会見の中で、TPPが東アジア地域における他の自由貿易協定に影響を与えるべきではないという発言をして、日本のTPP参加に牽制をしたと言われております。一方で、日本が主張しているASEANプラス3とか6に対して大変前向きな発言をされている。これは日本にとって大きなチャンスではないかというふうに思っております。

 ASEANを初めとするこの東アジアに対して、日本が主導権を持って、日本の資金であるとか人材であるとか技術であるとかそれを提供して、地政学的にもこの地域の経済連携をしっかりと進めていく、中国のこうした前向きな発言を捉えて、今積極的にそれに取り組んでいかなくちゃいけないんじゃないかというふうに思っておりますが、その辺について御見解をお願いしたいと思います。

鹿野国務大臣 もう既に我が国はASEAN諸国やインドとの間でEPAを締結、発効しております。今後とも、農林水産省といたしましても、市場として大変有望なる地域であるアジア諸国を中心としてEPAを進めていくというふうなことには積極的に取り組んでいくことが大事なことだと思っております。

 そういう意味で、日中韓のEPAとかあるいはASEANプラス3とかASEANプラス6とか、そういうことに対する取り組みというふうなものは当然進めていかなきゃならないことだ、こんなふうに考えておるところでございます。

梶原委員 ぜひ、こうした取り組みを進めていっていただきたいというふうに思います。

 質問というよりは要望であります。これまで私たちは、TPPを慎重に考える会でいろいろな情報を収集してまいりました。TPPのモデルと言われている米韓FTA、そして、そのさらにモデルと言われるNAFTA、これによってどういう状況になったのか。今、韓国国内でも大変な反対運動も起こっている、こういう状況であるわけですけれども、私たちは、これを研究したり情報収集をする中で、本当にTPPというのは問題がある、農業だけではなくて、日本の国の存立というか主権にかかわる問題だというふうに思っておりまして、本当にTPPの問題は慎重に判断をしていかなくちゃいけないというふうに思っております。党内にも推進派の方がたくさんいらっしゃって議論をするわけですけれども、残念ながら、理論的な説得力のある議論というのは聞かれないように思います。

 私は、もう一度、TPPというのはどんなものなのか、特に関係閣僚会議の中で情報とか研究とかしっかりとテーマに挙げて議論をしていただきたい、本当に日本にとってそれが正しいことなのかどうなのかということを、いま一度きちっとやっていただきたいというふうに思っておりますけれども、そのことについて少し見解をお尋ねしたいというふうに思います。

鹿野国務大臣 今、御承知のとおり、先生が言われた、やはりしっかりと情報を国民の人たちにも提供していくということは非常に大事なことだと思っております。

 とりわけ、国論を二分する、こういうふうに言われておるこのTPPに関しましては、国民の人たちがどういう判断をしていくかという上においても、やはり情報がなければなかなか判断しにくい面もあるわけでありますから、そういう意味で、私は常々情報の開示、できるだけ情報をお示ししていくというふうなことの重要性を関係閣僚会合におきましても発言をしてきたところでございまして、そういう意味では、今、副大臣会合等々の幹事会を中心として、情報をどういう形で提示していくかということも検討をしていただきながら情報を開示しておるわけでありますけれども、引き続いて、関係閣僚会議におきましても情報の提示についての重要性というものを私からも問題提起を常にしていきたい、こんなふうに思っております。

梶原委員 よろしくお願いいたします。

 最後に一つだけ、人・農地プランについてちょっとお尋ねをしたいというふうに思います。

 今、農業人口の低下とか高齢化、あるいは耕作放棄地の増加、こうした中で、五年、十年後の農業、農地、あるいは人のあり方、しっかりとここで議論をしていかなくちゃいけないということであります。

 さまざまなメニューをつくってそれに取り組んでいく、本当に積極的な取り組みは評価するわけでありますけれども、議論をしていくというのは現地で、現場でやっていかなくちゃいけない。いずれも、いずれもというか多くが兼業の小規模な農家でありますから、これをしっかりと議論していくというのは大変なことだと思うんですね。誰がどうやって進めていくのか、ここにもかかっているというふうに思います。ぜひ、積極的にお取り組みいただきたいわけでありますけれども、その辺について最後にお尋ねをしたいというふうに思います。

仲野大臣政務官 梶原委員の御指摘にお答えさせていただきたいと思います。

 今先生から言われました今日の農業をめぐる状況を見ますと、高齢化の進行、あるいは担い手不足、耕作放棄地の増加など、五年後、十年後の展望が描けない集落、地域が存在しているというところで、我々といたしましては、この人と農地のプランは、人と農地の問題を解決する未来の設計図ということでこの事業を手がけさせていただきました。

 こういった地域、集落の人と農地の問題をセットで解決していくことが極めて重要であり、平成二十四年度から、集落、地域の関係者が話し合いを行って、今後の中心となる経営体はどこか、そこへどうやって農地を集めるかといったことを明確にして人・農地プランを作成していただき、これをベースにして、新規就農対策あるいは農地集積対策を進めることとしているわけでございます。

 そして、一番の心配であります現場説明など、職員を派遣するとともに、本省と地域センター等に設けた人・農地相談窓口においても、農林水産省といたしましては、しっかり対応することとしており、地方自治体と一体となった取り組みを積極的に進めていき、この人・農地プランを進めてまいりたいと思っております。

梶原委員 ぜひ積極的に取り組んでいただいて、将来の農業を支えていただきたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

吉田委員長 次に、大谷啓君。

大谷(啓)委員 民主党の大谷啓でございます。

 本日は質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。

 私も当選してからもう二年半たちます。これまで農林水産関係は半ば門外漢だったんですが、私の地元大阪十五区というところは、大阪の中でもいわゆる山間地域で農業が盛んなところでございます。

 農業政策というのはどうしても専業農家、大規模な方に向いているんですけれども、やはり都市農家には特有のさまざまな問題があり、また、ある種、消費地に近いということで潜在力もある。私は、やはりそういったところの再生もしっかりとしていかないといけないな、こういう思いで今回この委員会にも入らせていただきました。またしっかりと勉強してまいりたいと思っておりますので、御指導をいただきたいというふうに思っております。

 きょうは所信に対する質問ということです。先ほど梶原先生からのお話もありましたが、今回の大臣の所信は非常に内容盛りだくさんで、まさに日本再生のために農林漁業の再生がある、そういう強い決意が盛り込まれた所信だったというふうに理解しております。

 そして、何より、ちょうど一年前にあの東日本大震災、原発事故というものが起こりまして、それにしっかりと対応していかなければいけない、その復旧復興を果たさなければいけないという強いメッセージを感じたところでございます。

 特にあの地域はやはり農林水産、漁業、そういったものがいわゆる産業の柱でございますから、これの再生なくして被災地の再生はない、私自身もそのように考えておりまして、きょうは、まずその点について御質問させていただきたいと思います。

 質問させていただきたいのは塩害の対策です。あれだけの大津波で、かなりの規模の土地が塩害に遭ったと当時報道されました。恐らく塩害対策、進んではいると思うんですけれども、最近余り報道されていないところがございまして、まず、この塩害にかかわる被害の規模、そして今どういうような復旧の現状になっているのか、それについて確認させていただきたいと思います。

鹿野国務大臣 津波によりまして被災した農地のうち、復旧を必要とする農地は二万一千四百八十ヘクタールということでございます。農林水産省といたしましては、農業・農村復興マスタープランに基づきまして、何とかおおむね三年間くらいで復旧してまいりたい、こういう目標を掲げておるところでございます。

 平成二十四年度までに営農再開を目指す農地は、その中で八千五百五十ヘクタールの九割に相当する約七千八百二十ヘクタールにおいて、除塩や災害復旧工事等を完了または実施いたしているところでございます。このほか約四百ヘクタールにおきましては、除塩事業等の契約手続を準備中でございます。

 我が省といたしまして、引き続き農地の除塩事業等を着実に実施いたしまして、二十四年度に営農再開を予定している農業者の方々の作付に何とか間に合うように、早期の復旧にこれからも全力を尽くしていきたいと思っております。

大谷(啓)委員 ありがとうございます。

 ただ、一方で、やはり気持ち的にも、農業に早く従事しよう、そう思っていらっしゃる方とそうじゃない方がいらっしゃると。そういう中で、やはり当初想定していたよりも進みが遅いんではないかというような御指摘もされているわけです。ですから、やはりもう少し政府が主導してこの塩害からの復旧を図って、もう農地はすぐに使えますよと、そういう環境をつくって被災地の皆さんを勇気づける、こういう取り組みをぜひお願いしたいというふうに思っております。

 そして、その一方で、塩害対策、いわゆる除塩というものはするんだけれども、やはりこれから将来の農業を考えたときに、いわゆるもう露地でやるということは諦めて、ある種、水耕栽培ですとか砂栽培、そういったいわゆる施設園芸を積極的にやっていこうと。特に福島でもそういう動きがあるやに聞いておりますが、被災地全体でこういった水耕栽培等の施設園芸をやっていこうという前向きな取り組みをしている農家もいらっしゃるというふうに聞いております。

 こういった施設園芸は、将来的には植物工場のようなものにつながっていくものになるかもしれませんが、なかなか、やはり初期投資がかさむ分、復旧がおくれていると。ただ、実際にやってみると、雇用の創出にもつながるし、さらには農業としての生産性が上がる、こういうようなことも実際に示されているわけですが、こういった施設園芸に対する国のスタンス、あるいは、今後、被災地あるいはそれ以外のところも含めて、そういった施設園芸に対する補助のあり方、こういったものについて、農林水産省としてどのように取り組まれているかについて教えていただきたいと思います。

仲野大臣政務官 大谷委員の質問にお答えいたします。

 まず、被災された地域におきまして一日も早い従事をしていただくということでありまして、まずは失われた生産基盤を取り戻していくことが極めて重要なことだと思っております。

 今、水耕栽培につきまして見解をお尋ねしたいということでありますのでお答えさせていただきますが、本当に、今、津波によって土壌が塩害を受けている地域に当たっては、土を使わない水耕栽培などの方法等により新たな園芸施設として発展させていくことも復興の有力な手段の一つであるものと、我々といたしましては認識しております。

 今後、農林水産省といたしましては、こうした水耕栽培などの導入を検討している生産者に対し、コスト面や技術面での助言、あるいは情報提供等を積極的に行い、強い農業づくり交付金などの補助事業の活用により施設の整備を支援してまいりたいと思っております。

 もう既に、岩手県の陸前高田市におきましてもそういった計画がおありであるということだとか、あるいは福島県においても六つの市町村が手を挙げているという状況の中で、こういった積極的な地域に対しましては、我が省といたしましては、もう全面的に協力を惜しみなくさせていただきたい、そのように思っております。

大谷(啓)委員 ありがとうございます。

 これは、本当に被災地のみならず、ある種日本の農業の一つの先進的な取り組みになる。そして、生産力を強めるという意味でも、あるいは雇用をふやすという意味でも非常に有力な手段だと思いますので、今後またいろいろと協議させていただきながら、こういったものの復旧についてまたいろいろと議論させていただきたい、このように思っております。

 先ほど梶原委員の方からはTPPに関する質問もありました。私からも幾つか確認させていただきたいと思います。

 政府としては、TPP交渉参加に向けた事前協議、これが今の現状でございます。私もいろいろな会議に出させていただいて、状況の確認等させていただいております。主には外務省の担当官との話で、今の事前協議の状況についてヒアリングをさせていただいているんですが、やはりこのTPPの問題というのは、農業以外の問題もいろいろなものがありますけれども、やはり一番大きな影響を受けるのが農林水産漁業、この一次産業だというふうに私は理解しております。

 しかし、外務省からヒアリングしている限りは、一体、今の事前協議において農林水産省がどういう立ち位置で、どういうポジションでその協議に参加しているのかというところが正直言って見えないんですね。

 まず、今の事前協議における農林水産省としてのかかわり方、チームとしてどういうふうにかかわっているのか、これについて御確認させていただきたいと思います。

筒井副大臣 TPPに関しては、現在、関係閣僚会議がありますし、それに副大臣レベルの幹事会がありますが、それらに農水省の政務三役、それから事務方、いずれも必ず出席をし、そこで参加をしております。そして、実際の協議においても各レベルの事務方が必ず参加をしているわけでございまして、全ての協議が問題になる場面において農水省は参加をして、積極的に行動しているということでございます。

大谷(啓)委員 ありがとうございます。

 このTPPに参加するとなると、やはり、食と農林漁業の再生のための基本方針・行動計画に書かれておりますいわゆる我々が目標とする食料自給率五〇%、こことの相関関係というのがやはりどうしても問題になってくると思っております。

 その辺、実際、なかなか中の話は明らかにはできないと思いますが、我々から見えないのは、その交渉参加の可否をいずれ判断するわけですけれども、そのときには何をボトムにするのか、いわゆる日本の農林水産漁業を守るボトムラインというのがどこなのか、そこがやはり一向に我々の方に見えてこない。

 特に、この交渉参加事前協議に向けた議論の中では、米は守れるんだとか、そういう中途半端な政府からの答弁もございましたが、実際の今の事前協議に当たって何を守らないといけないのかというのが我々には見えないんです。そのセンシティブ品目には配慮しつつという文言だけはひとり歩きするんですけれども、その中身について、やはりしっかりと我々認識を共有しなければ、いろいろな議論をしても最終的に参加の可否についての判断ができない、国民の方も参加の可否の判断ができない、そのように思っております。

 その辺、今明かせる部分、明かせない部分はあると思いますが、農水省として何をボトムにするのか、どういう考え方でこの事前協議に臨んでいるのか、それについてお示しいただければと思います。

筒井副大臣 野田総理自身が、美しい農村を守る、そして国益の視点から判断をするというふうに言われているわけでございまして、今は、国益の点からいって総合的にプラスなのかどうか、それを判断するために情報を収集して、国民に提供して、国民的議論をした上でその判断をする、まさに農林水産業含めた国益全体から判断をするんだというのが現在の政府の基準という、大ざっぱな基準ですが、そういう判断基準だというふうに思っております。

大谷(啓)委員 よくわかるようなわからないような答弁でしたが、要は、国益全体を考えて判断をするだと、場合によったら農林水産業を見捨ててもいいということにもなりかねないんですね。

 私は、やはり農林水産省の立場としては、農林水産業、一次産業を守るんだ、食と農林漁業の再生に向けた行動計画をつくったわけですから、これはしっかりとやって、TPPがどういうことになろうとも、そこだけはしっかりとやる、こういうメッセージが私は必要だと思うんですが、いかがですか。

筒井副大臣 それはおっしゃるとおりで、今農水省が、世界規模での関税ゼロにした場合に自給率が一三%になるという試算をしております。今五〇%を目標にしているわけですから、TPPの参加いかんにかかわらず、自給率の向上のための措置は、いずれにしてもやっていかなければいけないし強化しなければいけない。

 そのためには、担い手をきちんと、青年の担い手を含めて確保する、そして、生産コスト等の削減のために規模拡大を図っていく、さらには、付加価値を高めるための努力をする。その中心として六次産業化を大きな柱として出しているわけでございまして、そういう努力はいずれにしても必要なわけで、現在もそれをやっているところでございます。

大谷(啓)委員 私も与党の立場ですから余り強くは申し上げませんが、やはり、これからの交渉参加の可否を判断するということになっていくわけですから、そのために日本の農業を守る、一次産業を守る、そうしなければ、せっかく今行動計画に基づいて、いわゆる新規就農者をつくったり、あるいは集約化をしたり、活性化をするために頑張っても、それが無駄になりかねない。そういうこともあり得ますから、やはりその辺は、農水省は農水省の立場で、我々がやることが国益なんだ、この立場を守ってしっかりと政府部内で議論をしていただきたい、そのことをお願い申し上げます。

 今、六次産業化のお話が出てまいりました。私も、この民主党政権になって一番の成果は、こういった六次産業化というものを示して、そこに対してしっかりと手当てをしていくことで強い農業をつくっていく、このことに尽きるんだというふうに思っています。

 ただ、実際、我々が描いているビジョンはかなり大きいもので、ことしの予算でも、いわゆるファンドについても計画されている、こういうことで私自身も強く評価しておりますし、これの推進をしっかりと進めてまいりたいと思っておりますが、一方で、私の地元のような都市ですと、なかなか集約化も進みませんし、あるいは法人化というものも、いわゆる専業農家のある大規模なところに比べると非常におくれている。いろいろと個別の農家の話を聞いても、六次産業化の趣旨はわかるんだけれどもなかなかそこに取り組める環境にないというようなお話を聞いております。

 特に、やはり農業生産法人の設立というのが難しくて、個別の農家でそういう六次産業化に取り組みたい、ただ、その形だとなかなか補助がおりないとか認定されないとか、そういう問題があるというふうに聞いておるんです。ただ、一方で、消費地に近い分、私は、そういった六次産業化をもっともっと進められる潜在力はあるというふうに思っているんですけれども、その辺、都市近郊農家に対して、六次産業化に関するメッセージですとか施策、そういったものがあれば、ぜひ御教示いただきたいというふうに思います。

筒井副大臣 六次産業化は、まさに付加価値を高める、安全性とか食味のよさを含めた付加価値を高めるということが一番の主眼でございまして、都市近郊農家の場合にそれが売りになるんだろうと思うんです。しかも、輸送料や何かが、遠くからに比べたら案外節約できる。たとえ小規模でも、そういう強みを発揮して、農業を持続的な経営可能にしていくというのが都市近郊の重要な柱だと思います。

 面積を拡大することによってコストを削減する。これは、都市近郊ではなおさら難しいですし、あるいは農村地帯においても、平場において二十から三十と言いますが、その二十から三十を大宗とすることが実現できたとしても、それで他の先進国と比べて強い農業になるかというと、そうも言えないわけでございますから、やはり六次産業化による付加価値の増大、これを最大限活用していくことが日本農業全体にとっても必要だというふうに考えております。

大谷(啓)委員 ありがとうございます。

 まだまだ私も個別に調べないといけないと思っておりますが、都市近郊農家というのは、やはりなかなか光が当てられていないなというふうな思いをずっと持っているんですね。戸別所得補償とか、そういった我々の政策については十分理解している、ただ、本当に我々のことを考えてくれているのというような意見がまだまだあるんです。

 そういったものを払拭して、やはり都市近郊といえども農業をしっかりと守るということがこれから必要ですし、この辺にもっともっと重点を置かなきゃいけない。そういう意味で、この六次産業化の施策についても、私の方からもしっかりと農家に伝えて、よりその潜在力を引き出す、こういった取り組みはしていきたいと思っております。

 ただ、新規就農者というか若手の就農者がなかなか育ってこないということも事実でございまして、そういった次の世代、いわゆる若手の農家あるいは農業経営者、こういった者を育成するために、ぜひ政府としても力を入れていただきたいというふうに思っておりますし、間違っても専業農家を見ているというメッセージにならないように、都市近郊農家もしっかりと見ますよ、こういうような取り組みを今後ますますしていただきたいと思っておりますし、私も微力ながらそういったところでお手伝いをさせていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

吉田委員長 次に、今井雅人君。

今井委員 おはようございます。民主党の今井雅人でございます。

 きょうは、質問の時間をいただきまして、どうもありがとうございます。

 私は、きょうは酪農、畜産関係について質問させていただきたいと思います。

 先日、民主党の農林水産部会それから酪農・畜産ワーキングチーム合同で、鹿野大臣の方に、二十四年度の酪農・畜産価格等についての御要望をさせていただきました折には、大変真摯に聞いていただきまして、丁寧な対応をしていただいたこと、改めて感謝を申し上げたいと思います。

 その提言の中でも申し上げているんですが、先ほど梶原委員あるいは大谷委員からも話がありましたけれども、TPPに関しては、やはり酪農、畜産の皆さんに対しても非常に大きな影響があるということで大変懸念をされております。また、牛肉の輸入規制の緩和についても、これも我々が承知している限り、まだ科学的知見というのがしっかりと確立されていない状況にあるというふうに思っております。また、放射性物質の暫定規制の強化に対しての対応というのも、いろいろな懸念事項が酪農、畜産関係もありますので、しっかりと対応していただきたいということをここで改めて御要望させていただいた上で、質問の方に移らせていただきたいと思います。

 最初に、酪農関係なんですけれども、生乳の需要に関しましては、牛乳離れということもありまして、平成八年ごろからずっと需要が一貫して減少してきているということで、この需要面での、牛乳をどうやって飲んでいただくかとか、あるいは乳製品をどうやって食べていただくかとか、こういうことの対応は当然必要ではありますけれども、一方で、供給サイドにもさまざまな問題が今起きているわけであります。

 生乳の生産量を見てみますと、平成二十二年度、これは前年度で、三・二%減少しています。それから、二十三年度ですけれども、これは四月から十二月の実績ですが、これもやはり前年同期比で二・七%の減少ということで、減少がとまらない状況になっているわけです。

 その原因としましては、一つは猛暑ですね。猛暑によって一頭当たりの生産量が減ってきているという季節的な問題もありますし、それから東日本の大震災の影響というのも当然ありますし、そういうことも受けまして、担い手が減少してきている。いろいろな面が今生産基盤を縮小させているということだと思います。

 さらには、先日発表になっていましたけれども、配合飼料の価格がここのところ高どまりしているんですけれども、四月―六月は前期に比べまして二%増加するということで、飼料の面でも大変経営を圧迫している。また、軽油、灯油、この価格も上がっています。それから、初生牛の価格が下落していますから、特に乳用種で前年比四割近く下落しているというふうに承知しておりますけれども、これによって副産物の収入も減少しているということで、まさに酪農に携わっている方にとってみれば、四重苦、五重苦ということで、大変今厳しい状況にあります。

 このまま放っておきますと、担い手がますます減っていって、さらに生産が減っていく悪循環に入ってしまうということが非常に懸念されているということだと思います。

 その担い手を確保するためには、やはり国としても十分な支援をする必要があるということだと思います。私ども、先日の提言でもお願いしましたけれども、二十四年度の加工原料乳の生産者補給金の単価、これは二十二年度から二十三年度十銭上げていただきまして、現行一キロ当たり十一円九十五銭ということでありますけれども、その状況のときよりもさらに今厳しくなっていますので、この価格をぜひ二十四年度は引き上げていただきたいということをお願いしています。また、限度数量についても、現行の百八十五万トン、これを何とか確保していただきたいということをお願いしています。

 これは酪農の生産者を守るためにぜひ必要なことだと思いますけれども、この点についての御見解をいただきたいと思います。

仲野大臣政務官 今井委員の昨今の畜産、酪農経営状況に関する大変厳しい環境であるという御指摘を踏まえまして、農林水産省といたしましても、まずは酪農経営の安定対策が極めて重要であろうということで、その生産コストの削減努力により経営の合理化を図り、そしてまた、需給の安定化を通じ、適切な生乳販売価格を形成していくことが重要である。

 そして、御指摘いただきました、二十四年度の加工原料乳生産者補給金につきましても、コスト削減努力のみでは対応し切れない生産コスト変動を適切に反映した単価と、そしてまた乳製品、バターなどでありますが、必要量に見合った限度数量の設定を通じて酪農家の経営を間接的に支援してまいりたい、そういうふうに思っております。

 一昨年の猛暑、あるいはまたさまざまな配合飼料等の高騰などありました。二十三年度は、乳価は多少上がったものの、乳量は、今私が申し上げました猛暑等の回復をいまだしておらず、二十三年度の加工原料乳は、本年度の限度数量、百八十五万トンを設定いたしておりましたが、これを大幅に今下回る見込みとなっております。こういったことから、乳製品などのバター在庫も低水準にあると認識しております。

 二十四年度の加工原料乳生産者補給金単価及び限度数量については、生乳の生産費や需給事情その他の経済事情を考慮し、あす食料・農業・農村政策審議会がございます、その方たちの意見をしっかり聞いた上で、適切に決定してまいる所存でありますので、ぜひとも御理解をいただきたいと思います。

今井委員 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 ちょっときょうは時間がありませんので、ほかのところに触れられませんけれども、まだ肉用子牛とかあるいは牛肉の枝肉の価格も震災前までの価格に回復しておりませんので、畜産関係の方も非常に大変苦しんでおられますから、そちらの方の支援策もしっかりやっていただきたい。これは御要望にとどめさせていただきたいと思いますが、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に、これは古くて新しい問題なんですけれども、豚肉に関する脱税の問題についてちょっとお伺いしたいと思うんです。

 ここのところ、また豚肉に関しての脱税の事件が多発しておりまして、昨年のことに関する裁判ですけれども、ことしの二月には神戸の方の地裁で一つ、脱税に関しての判決が有罪という形で出ました。三月の七日には、これは東京地検特捜部の方ですけれども、こちらの方でも十二億円ぐらいの所得隠しということが起きております。何と翌日、三月八日には、今度は千葉の方でもそういう事件が起きているということです。脱税というのは犯罪ですから、本当に大変な問題で、これはやはり看過できない、このまま放置しておけない問題だと思います。

 国税庁さん、きょう来ていただいていますか。今回、どうしてこういうことが起きてしまったのか。それから、これに対して、今どういう対応をしているか、あるいはこれからどういう対応をしていくのか、その点についてお伺いしたいと思います。

塚越政府参考人 関税局を担当しています塚越でございます。

 御指摘の差額関税制度を悪用しました不正につきましては、一例を挙げれば、実際の取引価格より高価に偽ったインボイスを作成いたしまして、これを税関に提出して高価申告を行うことにより関税を免れるといったものがございます。

 税関におきましては、豚肉の輸入申告にかかわる審査、検査に際しましては、申告価格の妥当性を確認するため、インボイスに加えまして契約書などの関係書類の提出を求め、これらを照合し価格の確認を行うとともに、必要に応じて現品検査を行うなど、慎重な審査、検査を行っているところでございます。

 また、輸入の後にもなりますが、いわゆる事後調査ということで、随時、輸入者のもとに赴いて、契約書などの関係書類の提出を求めるとともに、豚肉卸業者などへの調査も念入りに行うことで、仕入れ価格の妥当性についてチェックしているところでございます。こうした審査、検査や調査などにおきまして不正行為の事実があると考えられる場合には、徹底した犯則調査を実施するとしているところでございます。

今井委員 ありがとうございました。

 現実問題として、肉、現物を調査して、これがどれぐらいの価格であるかというのを判定するのはなかなか専門家じゃないと難しいという部分もあると思いますし、正確にこれを全部きちっと見るというのが難しいことだということは承知はしておりますけれども、それでもやはり、この問題を放置しておきますと、結局、安い豚肉が市場に出回って、その結果、豚肉の市場自体を下げてしまって、国内の養豚の生産者の方にも影響が出る、そういう悪循環も起きるということが懸念されると思いますから、農水省としても、ぜひ、ここは国税あるいは財務省にしっかりと強い要望をしていただきたいと思っておるんですが、その点について、もし御見解がありましたら、農水の方からお願いします。

今井政府参考人 差額関税制度に関係します農林水産省の取り組みについてお答え申し上げます。

 豚肉の差額関税制度を悪用した脱税行為につきましては許しがたい反社会的行為でございますので、これまでも関係団体に対する指導文書の発出など、コンプライアンス体制の確立とその徹底ということを強く指導してきたところでございます。

 農林水産省といたしまして、今後とも、税務当局と連携しながら、食肉関係業界に対しまして法令遵守の指導をさらに徹底してまいりたいと考えております。

今井委員 ぜひよろしくお願いします。

 では、次の質問に移りたいと思います。

 お手元に資料をお渡ししているかと思うんですけれども、これは原発関係の農林漁業者への損害賠償の実績なんですが、平成二十四年の三月一日現在で、農林漁を合わせまして千八百二十二億円の請求がなされているのに対しまして、支払われているのは千百九十六億円ということで、実績が六六%ということになっております。

 お伺いしましたところ、十一月の十五日までの請求分に関しましては九割を支払った、残り一割はまだ支払われていない。これは十二月二日に払われているはずですね。十一月十五日以降に関しましては、全く支払われていないという状況になっているというふうに伺っておりますが、これで正しいでしょうか。

糟谷政府参考人 御指摘の農林漁業者への損害賠償についてでございますが、請求額は、三月十八日現在、千九百八億円に少しふえております。

 御指摘のように、十二月二日に十一月十五日までの請求額の約九割を内払い申し上げた後、生産費の算定方法についての調整協議を行っていた結果、これがまだ、その後の支払いがなされていないということで承知をしております。

今井委員 その上でぜひ、お願いというか御要望なんですが、農業、農林畜産をやっていらっしゃる方は日々生きていらっしゃるわけで、本当に毎日毎日かつかつでやっているわけですね。私はこの間、これは本当かどうかわかりませんけれども、畜産の方では、マルキンを月払いにして政府の方でしっかり御対応していただいて、これは大変感謝しておりますが、マルキンで支払われているから賠償はいいんだろうみたいな、そういうけしからぬような話もちらっとお伺いをしたりしていますけれども、これはとんでもない話で、できるだけ早くこの賠償に関しては支払いをしていただきたいと思うんです。

 今後どういうめどでやられるか、東電の方にもしっかり経産省の方から指導していただきたいと思うんですけれども、その辺についての御所見をいただきたいと思います。

糟谷政府参考人 御指摘のように、損害賠償の迅速かつ適正な支払いが非常に大事だと思っております。

 先ほど、調整協議をやっていたために時間がかかっていたと申し上げました生産費の算定、それからあと、消費税も含めた御請求も一部にあったということで、それをどうやって除くか、そんなお話をやっていたということでありますが、確認いたしましたところ、三月初めの協議でほぼこうした問題が解決をしたということでありまして、今後、順次賠償を申し上げるというふうに承知をしております。

 具体的には、三月末までに、今までの未払い分のうち、農林漁業を合わせて約百十億円余りの支払いができるようにしたいということでありまして、その後も、書類の確認が終わったものから順次支払いを行う予定であると聞いております。

 我々は、一般的にその迅速かつ適正な賠償というだけではなくて、特に年度末の資金繰りでいろいろ厳しい御事情もございましょうから、東京電力に対しましては、改めて、請求者の皆様の御要望を丁寧に伺い、要望に応じて、確認ができたものから部分払いを行うというようなことをぜひやってほしいということを指導しておるところでございます。引き続きちゃんとやってまいります。

今井委員 ありがとうございます。

 部分払いとかこの辺大事ですから、少しでも少しでも払っていくということが大事だと思いますので、その辺の推進をぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。

 最後の質問になると思いますけれども、先日、鶏卵協会の皆さんとお話をしておりましたら、震災後、パウダー状の鶏卵が海外からの輸入がふえていて、大変心配しているというようなお話がありました。

 農水省の方からデータをいただきましたら、前年比二割ぐらいの増加だというふうに伺いましたけれども、一方で、関税ベースでいろいろデータをとると四割、五割ぐらいふえているというようなものがありまして、ぜひこれはまた農水省の方でも確認をしていただきたいと思うんです。

 それで、本来であればこういうのもトレーサビリティーということでやっていただきたいと思うんですが、TBT協定の関係やら何やらで非常に難しいと思うんですね。一つその対応として、加工品に原料原産地表示をしっかりしてもらえれば、日本の消費者は賢いので、そういうのを見ながらちゃんと判定をするので、トレーサビリティーができないのであれば、そういう原料原産地表示をしていただけないかというような話もありました。

 今、JAS法で二十二種類ぐらいそういう加工品についての原産地表示が義務づけられていると思いますけれども、これは、今このパウダーも含めていろいろなものに少し拡大をする、こういうことを検討していただけないかなというふうに思います。この点について、これは消費者庁さんになるんですかね、御見解をいただきたいと思うんですが。

神宮司政府参考人 お答えを申し上げます。

 現在、消費者庁のもとでの検討会といたしまして、食品表示の一元化に向けて食品表示一元化検討会というのを開催しておりますけれども、この中で、加工食品の原料原産地表示の考え方についても議論を行っております。

 ちょうど去る三月の五日に検討会での中間的な論点整理を公表して、その中で、原料原産地表示の対象となるべき加工食品の範囲についても、考え方としてさまざまな考え方、例えば加工度といった要件を重視する考え方、これは従前の考え方なんですけれども、あるいは、消費者の誤認というものを重視するという考え方まで、さまざまな考え方を示した上で、現在、広く皆さんの御意見を求めているというところでございます。

 先生御指摘のように、加工食品の原料原産地につきましては、現在、二十二食品群及び個別の品目四品目につきまして義務づけがなされておりまして、現状のこの制度につきましては、消費者基本計画でも、加工食品における原料の原産地表示の義務づけを着実に拡大することを具体的施策に挙げておりまして、食品表示の一元化とあわせまして、この問題につきましても検討の上で継続的に取り組んでいくということとしているところでございます。

今井委員 時間が来ましたので、これで終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

吉田委員長 次に、小里泰弘君。

小里委員 自由民主党の小里泰弘でございます。質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず、TPPについてなんですが、TPPを奇貨として農業の構造改革を図れば輸出競争力をつけられると、TPP推進論拠の一つになっておるわけであります。

 実は、この問題を先般予算委員会で、稲作農家を例にとって質問をいたしました。農水省の資料をもとにしてお伺いをしたわけであります。

 農水省の資料によりますと、規模拡大を図っていけば確かにコストは下がっていきます。しかし、幾ら規模拡大を図っても、五、六ヘクタールあたりから余りコストが下がらなくなるんですね。そして、十五ヘクタール以上は幾らつくってもほとんどコストは変わらないという例をとって、大臣に質問を申し上げました。すなわち、規模拡大を図ってもコスト削減というのは限界があるんじゃないかと。

 その問いに対して、大臣は、確かにこの十五ヘクタールあたりに限界があるということは認められつつも、それ以上であっても機械をふやしていけば生産性を上げられるんだという答弁でありました。どうもその真意が私はわからなかったんですが、そのときは時間がなかったので、それ以上はお伺いしませんでした。

 機械をふやせばコストは上がると思うんですね。機械をふやせば、またそれに伴って人件費も上がっていくでありましょう。どうして生産性が上がるのか、その真意をお伺いしたいと思います。

鹿野国務大臣 今日までの取り組みの中で、過般も先生から質問いただきましたけれども、一つの一回りということを考えたときには、大体十五ヘクタールくらいが一つの機械を基準とした一つの取り組みということになって、その辺が生産性向上の一つのピークという状況じゃないかというようなことの議論もあるわけでありますが、それ以上さらに集約化を図っていけば、当然そこに新たな機械が導入されるということでございますから、確かにその点のコストは高くなりますけれども、それによる生産性の向上というものは、効率性が高められていくわけでありますから、当然そこから二十―三十というふうなことになっていけば、またさらに生産性の向上が図られるというふうなことだ、こういう考え方に立っておるところでございます。

小里委員 私の理解が間違っているのか。確かに、生産量は上がるんですよね。大臣は、生産量と生産性をごっちゃにしておられるんじゃないですか。生産性というのは、分子に生産量が来る。そして分母にコストが来ると思うんですね、人件費とか機械とか。したがって、機械をふやせば生産性は下がるんじゃないんですか。

鹿野国務大臣 当然、一つの機械というふうなものの効率性というものを考えたときに、いわば十五ヘクタールくらいのところがぎりぎりだ、それ以上の場合は二台必要だというふうなことになってくるわけですね。ですから、そこに導入すれば、また新たに生産性の向上が図られるということで、そしてまた、必要経費というふうなものも、当然その分、集約化を図っていけばそれは削減されるということもございますし、共通経費というふうなものもそのことによって削減されるということでありますから、いわば今日まで十五ヘクタールくらいのところが一つの限界ではないかというふうに言われてきたわけでありますけれども、現実、それ以上の集約を進めていけば、重ねて申し上げますけれども、生産性の向上がさらに高められるというふうなことだ、そういう認識に立つところでございます。

小里委員 わかりません。(発言する者あり)共通経費の部分はわずかに下がるだろうと、今、他の委員から発言がありました。そういった面はあるでしょうけれども、確かに、十五ヘクタールを一つのセットとして考えると、例えば十八ヘクタールになったときに機械を一つふやせば、格段にコストは上がりますよね。機械を一つふやして人をふやせば、さらに上がるだろうと思います。

 これ以上ちょっとその議論をしておる価値もないだろうと思いますが、筒井副大臣は明確にこの点は答弁しておられるんですよ。規模拡大によるコスト削減で輸出競争力を図れるということはあり得ないということを明確に答弁しておられます。やはりそういった素直な答弁というか、毅然とした答弁でないと、間違ったメッセージを国民に送っていくと私は思うんですよ。

 そもそも、中山間地に行った場合に、二十ヘクタールから三十ヘクタールとか、そんな農地はないところがほとんどであって、十五ヘクタールであってもなかなか難しいんだろうと思います。先般、私の地元の説明会で、二十ヘクタールから三十ヘクタールが大宗を占める農業経営についての農水省関係による説明会があったそうであります。ところが、どこにそんな農地があるんだということで、どんどん人が抜けていきまして、最後はほとんど残っていなかったそうでありますよ。

 やはりそういった現場に即した対応をしていく必要があるだろうと思いますし、例えば、北海道は規模拡大のモデル地域でありますが、北海道における稲作、平均作付面積はどのぐらいでありましょうか。

 結構です。規模拡大のモデル地域ですよ。その北海道の平均作付面積ぐらい御存じでなくて、何の議論ができるんでしょうか。

 すなわち、北海道は平均七ヘクタールぐらいですよ。(鹿野国務大臣「八」と呼ぶ)七・何町歩ですよ、北海道の場合は。あたかも構造改革を図れば国際競争力をつけられるんだ、こういった幻想を振りまいていては、やはりこの問題、議論の混乱を来すばかりであると思います。

 農業の本質を明らかにする、そして国策の方向が間違った方向に行かないようにしていく、これがやはり現場を知る者の、私どもの責務だろうと思いますよ。ましてや農政の責任者、農林水産大臣であります。国民の食料をしっかり確保していく、食料安保の観点からも極めて大事な職務を預かっておられる農林水産大臣であります。

 改めてお伺いをいたします。

 規模拡大を中心とする農業の構造改革を図っていけば輸出競争力をつけられるんだ、だからTPPをやっても大丈夫なんだ、そういった意見があります。これは間違っておると思いますが、農林水産大臣、改めてお伺いいたします。

鹿野国務大臣 TPPにつきましては、もう何遍も申し上げましたけれども、交渉参加に向けて、今、事前的な形で、いかに、どういうふうな国々が我が国に何を求めるかというふうなことの情報をしっかりと把握するということの中で、そして情報を提供して、判断をしていくということでございます。

 しかし、そういう中で、まず別途の問題として、国民生活に安定した食料供給を行うという意味におきましては、当然、生産性の向上というものは常に追い求めていかなきゃならないことでありまして、そういう意味で、今先生が言われた、単なる数字の上で二十から三十を目標とするというような、そういう机上論的な考え方でなしに、それを一つの目標に掲げて、そして現場の人たちとよく話し合って、じっくりと協力し合っていくというようなことでなければならない、今の現状がそういう状況に置かれているというふうなことだと思っております。

 そういう意味では、都道府県、市町村そしてそれぞれの集落の人たちと、土地、人、農地の件についてしっかりと話し合って、こういう集約化を進めていくというふうなことは大変重要なことだ、こう思っております。

小里委員 現場の実態に即していくという今の答弁は評価をしたいと思います。

 ただ、農業の本質がどこにあるのか、間違ったメッセージが国民に伝わっていかないように、無理なことは無理なんですから、そこははっきりと責任ある立場としてメッセージを発していただきたいと思います。

 それと、民主党政権、従来、規模拡大には余り熱心じゃなかったと思わざるを得ません。TPPを進めるに当たって、規模拡大を突然言い出したという感は否めないわけであります。あまつさえ、二十ヘクタールから三十ヘクタールの農業経営が大宗を占める、そんな構造を目指していくということでございますが、その二十町歩―三十町歩の対象というのは個人経営なのか、集落営農も含むのか、確認をさせてください。

筒井副大臣 二十から三十ヘクタールは、その地域においてそういう経営体が大宗となることを目指すという趣旨で、その中では、個人経営、法人経営、それから集落営農、それら全てを含んだ農業経営体のことを言っているわけでございます。

小里委員 そこがしっかりと現場に伝わっていないんですよ。恐らく農水省官僚の間でもそこは曖昧になっているんじゃないでしょうか、私の印象としては。

 地元の集落の皆さん、集落営農の皆さんと先般意見交換をいたしました。この二十町歩―三十町歩の農業経営についておびえているんですよ。その集落は、三十人ぐらいだったかな、集落営農で四十町歩耕作をしております。もし二十町歩―三十町歩が個人経営ということであれば、二人しか残れない。これでは、米づくりはできるでしょう、しかし、あぜ払いができなくなる、農道の維持ができなくなる、あるいは用排水路の維持ができなくなる。そういったことで、非常に心配して、現場は混乱しているんです。

 そこはしっかりと打ち出していくべきであろう。集落営農もしっかりやっていくんですよ、そこを打ち出していただきたいと思いますが、どうでしょうか。

筒井副大臣 先ほども先生も強調されましたように、規模の点、コストの点でアメリカや豪州と競争力を持てるようになる、これは自然条件の違いからいってあり得ないわけでございまして、日本の農業の強みは付加価値、品質、その点で強みがあるわけで、この点では競争力を持つことができるし、それをさらに強調していかなければいけないというふうに思っています。

 ただ、そういう中でも、規模を拡大して、コストを削減する努力はやらなければいけないわけでございまして、その規模拡大の努力はこの所得補償制度自体にもそれに対するインセンティブを与えているし、規模拡大を今まで強調していなかったということはありません。そして、今度、初めて強調し始めたということもありません。

 それは、規模拡大の意味をちゃんとつかんで、規模拡大すればもう十分再生できるんだとか、諸外国と競争できるんだとか、こういう一部のメディアや学者の言っていることに対しての反論は十分やってきたわけでございますが、その意味をつかんだ上で、しかし、規模拡大の努力をしなければいけない。

 今度の二十から三十ヘクタールも、その努力の一環としてそういうものを目標にするわけでございまして、個々の農家が二十から三十ヘクタールの中に入れなければもう支援の対象からは外すなんということも全くあり得ないことでございまして、その点は御理解をいただきたいと思います。

小里委員 自民党の四町歩、二十町歩の規模拡大策、これを小規模農家切り捨てだと批判してきたのは民主党であります。それと、集落営農も規模拡大にとっては極めて有効なツールでありますが、これも余り熱心じゃなかった。あるいは、自民党時代につくった、農地の貸し手に交付金を払う仕組み、三千億円だったかな、これを廃止したのも民主党でありました。そして、規模拡大にとってまさに表裏一体である土地改良予算をあれだけ削ったのもまた民主党でありまして、どう考えても規模拡大策に従来は熱心じゃなかった、これはしっかりと申し上げておきたいと思います。

 その集落営農に対しても熱心ではなかったわけでありますが、集落営農とは、御案内のとおり、若い人も、高齢農家も、あるいは兼業農家も、専業農家も、さらには大規模農家も、小規模農家も、みんなで一緒になって、集落で効率のいい経営をやっていこう。そうやっていきますと、機械がまさに二十台、三十台必要であったものが、三台、四台で済むかもしれない。共同で飼料とか資材を購入するから、また安く仕入れられるでありましょう。

 そういったことで、効率的な経営が軌道に乗っていきますと、では、加工もやってみようか、販売もやってみようかということで、六次産業化にもまたつながっていくわけであります。そうなっていくとまた、若い人がそこに飛び込んでみようと、若い担い手の受け皿にもなっていくわけでありまして、私は、この集落営農というのはまさにこれから農政の大きな柱になっていくんだろうと思っておりますが、そういった理解でよろしいですか。

鹿野国務大臣 政権交代によって、戸別所得補償制度を導入するときにいろいろ言われたのが、集落営農はどうなのかということでありました。

 そのときに、私も、党員の一人として党の議論に参加したときに、集落営農だけは大事にしなきゃいかぬ、せっかくそういうそれぞれの地域の人たちが仲間意識を持って集約化に向けて取り組んでいく、それはもう本当に大事にしなきゃいけない、こういうようなことから、御承知のとおりに、この新たな制度導入の際も、集落営農というものをきちっとインセンティブを与えながら位置づけしたということでございますので、この点は、やはり集落営農というものがいかに重要であるかというふうなことを、今日の私どもの政府にとっても注視しているということだけは御理解をいただきたいと思います。

小里委員 集落営農につきましても、政権交代前から民主党の方々とは議論をしてまいりました。民主党は従来、自然発生的というか自律発生的な集落営農は否定はしませんでした。しかし、国みずからがそこに具体的に手を差し伸べていこう、具体的に関与していこうという姿勢はなかったんですよ。そして、政権交代後、いろいろな集落営農支援のための施策を削っていったのもまた民主党政権なんです。そのことは指摘をしておきたいと思います。

 集落営農は、農家が抱える一方の大きな悩み、これを解消する手だてでもあります。すなわち、大規模化を図りたい、しかし、大規模化を図れば小規模農家がなくなって集落が維持できなくなる、あるいは、小規模農家に配慮し過ぎると今度は規模拡大が進まないというジレンマであります。この双方を解消するのがまさに集落営農でありまして、そこに我々は光明を見出したわけであります。

 民主党は、そういった自民党の規模拡大策を、小規模農家切り捨てだと言って批判をされました。集落営農があるから、我々は決して小規模農家を切り捨てるわけじゃなくて、しっかりとそこは同じ集落の構成員として、農業の担い手として取り上げていこうということで集落営農を進めてきたわけであります。

 その集落営農、なかなか進んでおりません。残念ながら、私の鹿児島などは顕著な例であります。集落営農が進まない理由というのはどこにあるのか、お答えをいただきたいと思います。

鹿野国務大臣 なかなか進まないというようなお話でございますけれども、ちょっと具体的な数字は後ほど示させていただきますが、この戸別所得補償制度導入に際して集落営農への参加も相当ふえてきておる、こういうふうなことは御理解をいただきたいと思います。

小里委員 自民党時代に集落営農を相当進めてまいりましたから、その延長線上でふえてきた分はあるんだろうと思います。しかし、現場をよく見ていただきたいと思います。なかなか難しいんですよ。

 集落営農が進まない大きな理由としては、やはり、地域のリーダー、コーディネーターの不在だと思います。しっかりと全体の利害を取りまとめして、これを企画して進めていく、そういったコーディネーターが必要なんですが、そのコーディネーターがいないところが多い、なかなか進まない。したがって、もっと国がそこに手を差し伸べる必要があるだろうと思うし、あるいは農協とか自治体主体でもいいでしょうから、コーディネーターをしっかりと養成していく必要があるんだろうと思います。

 その点における現在の施策はどうなっているのか、また、今後どのように取り組もうとしておられるか、お伺いをしたいと思います。

鹿野国務大臣 具体的な数字でありますけれども、平成二十二年度におけるところの集落営農数は一万三千五百七十七でありましたが、平成二十三年になりまして一万四千六百四十三、こういうことでございますから、数は相当ふえておるということでございます。

 そういう中で、先ほど副大臣からも答弁がありましたけれども、いわゆる規模拡大をすることによってインセンティブが与えられているんですよというようなこと、このことによって集落営農というものがふえていくというふうなことになりますれば、それだけ農家は個々の収入がふえるということでありますから、そういうような意識を農家自身が自分自身で判断していただくことができるように、そういう意味で、私どもとしては、戸別所得補償制度の意味というふうなものをよりよく理解してもらうべくの、そういうことに対して、農政局等々からも、あるいはまた市町村に対しても明確に説明をさせていただいている、そういう努力もさせていただいておるところでございます。(小里委員「コーディネーターはどうですか」と呼ぶ)

 実質的にはコーディネーターというふうな制度は設けておりませんけれども、これから六次産業化を進める上で、プランナーというようなことの育成もしておるわけでありますから、そういう一体的な取り組みはしていかなきゃならないと思っております。

小里委員 具体的には取り組んでいないという今の答弁でありました。

 全く現場の実態と離れているんですよ。現場を回ってください。私も集落営農をつくろうと思って地域を一生懸命回っておりますが、やはりぶつかる壁はそこなんです。地域の人たちが、なかなか取りまとめ役がいませんからねと。高齢農家が多いし、なかなかそこを粘り強く一生懸命やってくださるコーディネーターがいない、リーダーがいない、そこを何とかしてほしい。これが現場の切なる声ですよ。そこをしっかりやっていただきたいと思います。

鹿野国務大臣 何もやっていないというわけではなしに、農政局等々からも、相当に現場主義で、特に私が就任してからは、とにかく現場に足を運んで、こういうふうなことで、今申し上げたような制度の説明なり、新たな具体的な予算措置についての説明はできるだけさせていただいております。さらにこれからも、よりよく理解してもらうように、現場と農業の政策推進というものは一体的取り組みが非常に大事でありますから、そういう考え方をさらにこれからも持って取り組んでいきたいと思っております。

小里委員 説明がたまにある程度では済まないんですよ。私が言っているのは、具体的に地域を取りまとめて集落営農をつくり上げていくコーディネーターを育成していく、その方策を講じていただきたいということでありますから、そこはぜひよろしくお願いしたいと思います。

 民主党政権になって、集落営農はむしろ滞っていると私は思います。むしろ壊れているという意見も、やじとして先ほどございました。

 民主党政権による農政というのは、今までの地域に対する支援とは違って、個人に特化して、個人に対する支払いの制度であります。

 従来、例えば転作奨励制度で見ましたときに、地域にお金を渡して、地域で話し合って、地域で特産物を決めて、振興作目を決めてみんなで頑張っていこう、そういった中から地域のきずなが生まれ、またそれが集落営農にも育っていったわけであります。

 今の民主党の個人単位、個人本位の政策では、地域での話し合いがなくなってしまう、地域がばらばらになってしまう、地域のきずなが失われてしまうわけでありまして、ここにもやはり私は集落営農が進んでいかない原因があるんだろうと思うんです。

 そこで、これも先般、地域の意見交換会で要望として受けた話であります。集落営農補助事業というものがあります。コンバイン等を取得価格の二分の一まで助成しますということであります。ところが、要件、成果目標というものをしっかり定めないといけないということになっております。

 例えば、農業の六次産業化を図っていく、なかなかこれはにわかには、高齢農家が多いから難しいですねという意見でありました。六次産業化は大事ですよ。しかし、それがどうしてもできないところはあるんですよ。

 あるいは、経営面積の拡大というものがあります。地域が一〇〇%加入しているのに、一体どうやってこれ以上拡大していくんだという話でありました。

 あるいは、新規作物の導入であります。地域で振興作目を決めて、ネギとかゴボウとか、それを一生懸命やってきたのに、それをまた変えなくちゃいけないのかという話になってまいります。

 あるいは、集落営農組織の育成。もとよりでき上がっておりますよという話であります。

 本来地域を守っていくための集落営農組合が、助成を受けたくても受けられない仕組みになってしまっているんじゃないですか。

筒井副大臣 集落営農を積極的に支援し推進していく、これは現在の農政の大きな柱の一つでございまして、先ほどから大臣も強調しておりますが、所得補償制度そのものの仕組みにそのことが入っている。

 これは私から言うまでもないことでございますが、十戸の農家があった場合に、戸別にやっていた場合に、各農家が十アールずつ所得補償の支援対象から外れるわけですが、集落営農になった場合に、全体として十アールだけしか引かれない。これは極めて大きなインセンティブになるわけでございまして、だから、集落営農を当初から今の政権が推進していることはそのことにもあらわれているかと思います。

 それと、集落営農は二十ヘクタール以上でなければ支援対象にしないという面積要件、これをかけることは小規模農家の切り捨てであるというふうに言っていたわけでございまして、そういう面積要件をかけていない現在の所得補償制度を初めとした農政は、小規模農家の切り捨てにはなっていないわけでございます。

 そしてさらには、今質問もあったところでございますが、いろいろなそれらのものを推奨していく。

 それから、地域におけるいろいろな話し合いを何か余り重視していないんじゃないかというふうな話がありましたが、今度の新規就農支援制度を初めとして、今、人・農地プランを各市町村で作成する、これを重点的に取り組んでいるわけでございまして、この人・農地プランの作成に当たっては、まさに地域の徹底した話し合いをやることを勧めているわけでございます。まさに先生のおっしゃるような、地域での徹底した話し合い、みんなが参加した話し合い、これらを推奨していくということで今取り組んでいるわけでございまして、先生の御懸念はそれらのことを理解していただければ解消されるかと思います。

小里委員 もっと現場を見ていただきたいと思います。地域重視の施策から個人本位の施策に変わってきた、これは転作奨励制度にも顕著に明らかでありますが、そういった制度がやはり、地域でなかなか話し合いができなくなったね、あるいは所得補償にしても、その影響でなかなか農地を出してくれなくなったね、地域でまとまってやっていこうという話し合いがなかなかしづらくなった、そういった声はそれぞれの地域で現に聞かれるわけでありますから、ぜひ現地を歩いていただきたいと思います。

 それと、自民党時代の集落営農は確かに、二十町歩以上という一つの基準でありました。しかし、中山間地であれば十二町歩でもいいよとか、あるいは、生産調整をちゃんとやっておれば四町歩でもいいよ、さらには、最後は地域の取り決めで、自治体の取り決めで実質的に規模要件というものは外していったわけでありまして、柔軟に現場を見ながら自民党はやってきたんだということは、ぜひわかっていていただきたいなと思います。

 それと、副大臣、先ほど、農業の付加価値をつけていくことができるのが日本の農業の真骨頂である、そういった御答弁でありました。確かにそのとおりであります。そこはしっかり頑張っていきたいと思いますが、ただ、日本の農産品は非常に品質がいいから、これをしっかりやっていけば海外産品には負けないんだ、だからTPPをやっていいんだ、そういうことにもこれはつながっていっているわけでありまして、そこはやはり注意すべきであろうと思うんですよ。

 例えば、北海道のてん菜農家のたゆまぬ努力で、規模拡大を図って、効率化を図って、生産性を上げてきました。このてん菜について、品質を上げて海外産品と差別化をするということが可能でしょうか。

筒井副大臣 砂糖に関しては、差別化は極めて難しいというふうに聞いております。

小里委員 明快な答弁であります。製品としての砂糖、この差別化というのは極めて困難であります。関税撤廃により、てん菜などの砂糖の原料が海外産品に取ってかわられますと、例えば北海道農業はてん菜とともに麦とかジャガイモ、豆などを輪作体系としてやっております、そこに組み込まれているてん菜がだめになってしまうと、全体の体系が壊れてしまうわけでありますね。

 差別化が困難という意味では、同じ甘味資源のサトウキビでも一緒であろうと思います。また、麦も同様であります。米も、ごく一部のブランド米以外は差別化がなかなか難しい、肉牛も三等級以下は難しいんだろう、これは御案内のとおりであります。日本の農産品は品質がいいから海外産品に負けないんだ、だからTPPをやればいいんだ、そういった一方の論拠、これは全くの幻想である、これも幻想であるということをしっかりと認識しておかないといけないと思います。

 こういった農産品についてもきちんと日本でつくり続けていくことが大切であると思いますが、いかがでありましょうか。大臣、お伺いします。

鹿野国務大臣 そういうそれぞれの地域におけるところの特産品というものを続けて農業にいそしんでもらうというふうなことは、大変重要なことだと思っております。

小里委員 同様に、農産品の輸出をふやしていけば自給率が向上する、これも一方の論拠であります。輸出が期待できるのは一部の品目に限られます。これも限界があると思います。確かに輸出をふやしていくことは大事でありますが、これも限界があるということをぜひ御答弁いただきたいと思います。

筒井副大臣 日本の農産品の輸出をふやすことは、日本の農林水産業の維持発展のために必要だというふうに思っております。しかし、これがそのまま、TPPだから大丈夫だとか、あるいは自給率を高めることにイコールになるんだという論拠には全くならないこともまた確かでございます。

小里委員 まさに御答弁のとおりであります。

 二〇一〇年の農林水産物の輸出額は四千九百二十億円であります。二〇二〇年までに一兆円にこれをふやすという計画であります。これが達成できたとしても、一方の農林水産物の輸入額は七兆円超であります。TPPをやればさらにこれがふえていくのは自明であって、要するに、焼け石に水とは言いませんけれども、輸出をふやしていっても、それでもって自給率を上げていくというのは限界があるということを、しっかりと我々共有の認識として持っておきたいと思うところであります。

 さらに、所得補償関係でお伺いをしてまいります。

 構造改革を図っても、海外産とのコスト、これを解消するのは難しいと冒頭の質疑でありました。日本の米が一生懸命頑張っても、全算入で一万一千五百三十一円、ここが一つの限界であるということが農水省の統計資料にもあらわれております。これに対して、米国産のコストは二千円であります。この差を埋めようとすれば、所得補償ということになるんだろうと思います。

 以前も申し上げましたように、関税支持額からいって四兆三千五百億円、一方で関税収入が八千億円、これも失われるということを考えると、五兆円以上の財源が必要ということになります。

 改めてお伺いします。こういった財源はどうなるんでしょうか。

筒井副大臣 今、金額の問題を含めて先生が言われたことは、一般的な理論としてまさにそういうことが考えられるわけでございます。しかし、今現在はまだ交渉参加さえ決めていない段階でございますから、具体的に、交渉参加して、さらにTPPに参加した段階での財源とかあるいは金額とか、そのことについては答弁は差し控えさせていただきたいというふうに思います。

小里委員 もういいかげん、そういった逃げの答弁はやめていただきたいと思います。やはり、現場を知る人間として、農政の責任者として、国民の食料安保を守っていくべき立場として、もうそろそろそこら辺はしっかりと、正面から国民に向いた議論をお願いしたいと思います。

 膨大な財政負担を国民に求めるとすれば、その財源を明確にして国民に説明をする必要があろうと思います。もしこれが空手形になれば、国民は大変なリスクを背負うということになります。リスクをもたらすということになります。そして、まさに戦略のない国家、そういったそしりを免れないだろうと思います。とりあえずTPPに参加表明をして、例外品目が認められなければそのとき考えればいい、あたかもそういった今の答弁でありまして、そういった安易な対応は許されないと思います。そうでないと思われるんだったら、答弁をお願いします。

筒井副大臣 交渉参加が決まっている段階ではないわけでございまして、TPP参加も決まっている段階ではない。その段階で、参加を前提としたそういう具体的な数字を出すとか、その財源の根拠を言ってくるとか、それは適切ではないというふうに考えている。先ほど申し上げたのはそういう趣旨でございます。

小里委員 今まで、貿易自由化の歴史の中で、EUにしても韓国にしても、早い時期からちゃんと国内対策を打ち出していましたよ。しっかりと国境措置と国内農業対策をセットにして臨んできたんですよ。もうそろそろこれを出すべきだと申し上げているわけであります。当然のことだろうと私は思うんですね。

 そこで、関連してお伺いをいたしますが、現行の所得補償制度の変動部分、これはどういった基準で補填がなされているか、また、今後どういった基準で補填をしようとしていくのか。お聞かせをください。

筒井副大臣 米価の過去の平均価格から下がった部分、これを補填するというのが米価下落変動部分でございますから、二十二年度においては、それに基づいて交付したわけでございます。

 二十三年度、今年度分については、米価下落ではない段階でございますから、今の状況から見ますと、米価下落変動部分の交付金は、支払い金はないのではないかというふうに見込んでいる、こういう状況でございます。

 そして、さらには、これを今、三党協議で所得補償の見直しの協議がなされておりますが、その中で、米価変動部分についても意見が出されている。これらについてぜひ三党間で真摯な議論をしていただいて、合意を成立させていただきたい、こう考えているところでございます。

小里委員 ちょっと詳しい説明がなかったわけでありますが、過去三年平均に対して下がった分というのが一つの原則になっておりますね。ただ、今は十八年産から二十年産を基準にして一つの固定式になっておるわけでありますが、これが今後どうなっていくかということをお尋ねしたわけであります。

 そして、それで関税撤廃による値下がりに対応できるのかどうか、そこをお聞かせいただきたいと思います。

筒井副大臣 今先生がおっしゃったように、現在は固定しているわけでございまして、ただ、今の先生の質問は、TPPに参加した場合はどうなんだという先ほどの質問と同じ質問でございまして、まさに今は交渉にさえ参加するかどうか決めていない段階、その段階ではそういうことを、今先生の質問に答えることは適切ではないというふうに考えます。

小里委員 もうそのうち決まっちゃうんですよ、下手をすると。下手をするとね。

 今後これを進めていかないためにも、どういった影響が考えられるのか、そこにどう対応していくのか。しかし、対応できないんですよ、どんな国内対策を打っても。そこをしっかりと認識する必要があるんです。そのために申し上げているんです。どんな農業対策を打ってもTPPには対応できないですよ。そこを私は申し上げているんですよ。

 要するに、今の政府の姿勢からは、TPPでどういうルールを目指すのか全くわかりません。あるいは、どのような財源で、どのような対策を打つのかも全く見えてきません。これでは本来、交渉には入れませんよ。入っちゃいけないんです。そこを私は申し上げているわけであります。

 各国とも、国境措置の緩和、国内助成、これをセットで対応してきたんじゃないですか。日本だけ、日本が国境措置だけ裸にして、国内農業対策もビジョンも何もない、これでは農家は不安でたまりません。被災地の農業など、どんどん離れていってしまう一方じゃないですか。

 しっかりと、毅然として、今回のTPPにどう対応していくんだ、これだけは守っていくんだ、さっきも与党から質問がありましたけれども、そこをまずしっかりとしていただきたい。そして、関税撤廃をやれば国内農業対策は打ちようがないということを、ぜひ明確に正直に説明していただきたい。そのことを申し上げたいわけであります。

 限られた土地条件の中で一生懸命努力して、いいものをつくって、それが消費者に正当に評価されて初めて、あしたからも、来年からもつくっていこう、そういう現場の意識があると思うんですよ。仮に補填できたとしても、補填まみれの農業経営でもって、農家はつくっていこうという気になると思いますか。大臣、いかがでしょうか。

鹿野国務大臣 基本的に、この四十数分間、いろいろな意味で小里議員からの基本的な考え方をお示しいただいたわけでありますけれども、このTPPに関しましては、いわゆる市場アクセスだけではなしに、二十一分野においてのことでございますし、ましてや第一次産業にとっては大きな影響を及ぼす、こういうようなことでもございますから、関係国が我が国に対して何を求めてくるのかというふうなことをしっかりと把握して、それを国民の人に情報提供して、議論してもらって、そして国益に沿ってどうするかということを判断していく、こういうふうなことが大変重要なことだというふうなことで、私どもも、関係国のこの求め方というものを、これからも各国に対して求めながら把握をするということは大変大切なことだと思っております。(小里委員「補填まみれで農家はつくるんですか」と呼ぶ)

 補填まみれでというふうなことで、農業者がどういうふうなことになるかどうかというのは、まだTPPに関して具体的にどうするかということが決まっていない段階で私が軽々に申し上げるというふうなことは控えさせていただきたいと思っております。

小里委員 もう最後ですから、一言だけ申し上げておきます。

 これも意見交換会で私は聞いたんですよ、もしそうなった場合にあなた方はつくりますかと。つくるんですよ、農地を守りたいから。たたかれてもたたかれてもつくるんですよ、現場の人たちは。そういった状況に追い込んじゃいけない。そのことをしっかり申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

吉田委員長 次に、江藤拓君。

江藤委員 自由民主党の江藤拓でございます。

 あした、政府の食料・農業・農村政策審議会畜産部会が開催されまして答申が決定するわけであります。ですから、きょうは畜産、酪農について中心的に質問しますけれども、小里先生に続いて、酪農とTPPを絡めまして御質問させていただきますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 加工原料乳の補給金単価とか限度数量、それは伊東先生から、北海道御出身、一緒に、先週、先々週でしたか、北海道に二泊で行ってまいりました。現場の声もたくさん聞いておりますので、その点については伊東先生からぜひ細かく議論をしていただきたいというふうに思います。

 ただ、申し上げておきたいのは、今非常に大変な状況だというお話は与党の先生方からもありましたけれども、自民党時代には期中改定というのをやったんですよね。こういう単価、補給金単価の限度数量とは年に一回決めるものだというのがルールでしたけれども、余りにも畜産農家、酪農経営が厳しければ期中であっても改定をすることが必要だということで、一回やったんですよ、自民党政権下で。そういうお考えが今の段階で、まだそういう状況に至っていませんけれども、そういう状況になったら果断な対応をするというお考えはありますか。

鹿野国務大臣 農畜産物価格の決定の時期がことしもやってまいりまして、過般も、伊東先生初め自民党の主なる方々からいろいろ御要請もいただいておるところでございます。

 そういう中で、あす三月二十二日に、いわゆる審議会に向けて、諸物価等の動向もぎりぎりまで注視しているというようなことで算定しているところでございますけれども、そういう中で、今、期中改定のことがございましたが、今後、いわゆる加工原料乳の生産者補給金等暫定措置法等によると、「物価その他の経済事情に著しい変動が生じ又は生ずるおそれがある場合において、特に必要があると認めるときは、補給金単価等を改定することができる。」こういうふうにされているわけでありますから、そのことは頭に入れているところでございます。

江藤委員 大臣、ありがとうございます。ぜひ後追いにならないように、細かく情勢を把握して、そして後追いの政策にならないようになることだけをお願いしておきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 それでは、都府県の酪農対策についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 環境への配慮をすれば飼料作物面積に応じて奨励金を交付する酪農環境負荷軽減支援事業、これは都府県の酪農家も参加しやすいように要件緩和をしましたので、非常に私はよいことだというふうに評価をいたしております。

 しかし、都府県では面積が狭いじゃないですか、北海道と違って。表作でトウモロコシをつくって、裏作でイタリアンライグラスをつくっても、せいぜい五ヘクタールですよ。五ヘクタールが二回、だから十ヘクタールですね。大体十五万円ぐらいなんです。ありがたいですよ、十五万円。ありがたいけれども、手厚いとまではなかなかこれは言えないということだろうと思います。

 私はここで大変問題だなと思うのは、二十四年度の予算額を見たら、要件緩和もして都府県の酪農家も参加しやすくなった、この大変いい政策が減額になっているんですよね、一億一千八百万円。どうして減額になったんですか。お答えください。

仲野大臣政務官 江藤委員の御質問にお答えをさせていただきます。

 まず、都府県における経産牛一頭当たり十アールの基準面積は、家畜排せつ物の適正な還元に必要な飼料作物の作付面積に基づいて設定しておりますが、平成二十三年度から、二期作における裏作利用面積等を加算できるよう、既に緩和を行ったところであります。

 そこで、本事業について、昨年十一月の提言型政策仕分けにおいて、「経営安定対策と環境保全を混然一体として財政支出を行うことはやめるべき」などの意見がありまして、「環境保全の支援は目的に沿った簡素な制度とすべき」との提言を受けたところであります。

 この仕分けを受けて、本事業については、二十五年度に向けてしっかりと、また江藤委員の御指摘を踏まえながら、経営安定対策という目的に沿った仕組みを検討してまいりたいと思っております。

江藤委員 非常に物わかりがよ過ぎるんですよ。そういう指摘を受けたから減らしちゃったというようなことでは、これは答弁になっていないですよ。

 都府県対策と言いましたけれども、北海道は非常に恩恵がでかいでしょう、面積が広いんだから。これは先生の御地元の大事な事業ですよ。先生が閣内におられて、どうしてこういう予算要求になっちゃうんですか。私は、酪農が厳しい、そして北海道でも年間二百軒が離農しているでしょう、こういう状況だからこそ逆に、支払いの金額を見直すとか、面積要件を見直すとか、条件緩和をして酪農家にインセンティブを与えるのが政治じゃないですか。方針が間違っていますよ。大臣、どう思われますか。

鹿野国務大臣 今、政務官から答弁がございましたけれども、経営安定対策と環境保全を混然一体として財政支出を行うことはやめるべきだと、いわゆる提言型政策仕分けにおきましてそういう御提言がございました。

 そういうふうな意味で、私どもも、内閣一体としての取り組みでございますから、そういうものを受けたところでございますけれども、この事業につきましては、二十五年度に向けまして、経営安定対策という目的に沿った仕組みが果たしてどういう形でできるかというふうなことを検討してまいりたいというのがいわば仲野政務官からの答弁でございまして、そういう線に沿って私どもも検討していきたいということを御理解いただきたいと思います。

江藤委員 大臣、この指摘というものは各省が受けているわけですよ。厚生労働省も受けているし、いろいろな省が受けているけれども、ほかのところはゼロ回答していますよ。なぜ農林水産省だけこんなに物わかりがいいんですか。そこで頑張らなきゃ、何と指摘をされても。これは、都府県も北海道の酪農も、基盤整備を含めて大切な事業だということであれば、金額で示さなきゃ、国の覚悟を。そのことは反省してください。そして、さらにこれから、当初予算はこういうことになってしまいましたけれども、反省していただけるのであれば、補正等でちゃんと補っていただくということをしていただきたいと私は思います。

 それでは、TPPに絡めて、先ほど小里先生に大分やっていただきましたけれども、質問させていただきます。

 ざっくりと大臣にお聞きをしますが、国内対策を幾ら打ったって、畜産にかかわらず、関税撤廃を完全にしてしまえば日本の農業は厳しいんだ、それでも作付をするんだ、そこに追い込んじゃいけないと、悲痛な、本当の現場に即した御意見がありました。

 そもそも、私は畜産、酪農についてだけ聞いておりますけれども、これらの関税等が完全になくなった場合、七年後、原則的に廃止になった場合、それでも和牛生産とか酪農とかは日本で生き残っていけるというふうにお考えですか。

鹿野国務大臣 実質的にどういうような形になっていくかというふうなことは、正直、私どもも想定しにくいところがございます。農家の人たちの心理というふうなものがやはりございますから。しかし、少なくとも、関税撤廃というような形というふうなものは心理的な影響を相当及ぼすのではないかということは、私は個人的な考え方として持っておるところでございます。

江藤委員 大臣、想定しづらくないですよ、想定しづらくないです。

 今、牛肉は三八・五%の関税がかかっていますね。牛肉・オレンジ自由化のときに七〇%の関税から始まって、どんどん下がって、三八・五%まで下がっている。トリガーを引けば、関税も五〇%に上げられる、四割安の牛肉が入ってくる。そして、米も安くなる。吉野家の牛丼が百円になるかもしれませんね。それが国民にとって幸せなのか、国家として目指すべきところはそこなのかということですよ。

 私は、大臣がおっしゃるように想定しづらいというのは、想定していらっしゃる、大臣は聡明な方ですから。答弁は結構です。聡明な方ですから、想定していらっしゃるでしょう。

鹿野国務大臣 私が申し上げるのは、何もしないというようなことの中で申し上げているわけじゃなしに、例えば、何らかの具体的な措置を講じた場合でも、なかなか心理的な、そういう農家の心理というふうなものは私どもからするとなかなか想定しにくいところがあるんじゃないか、こういうふうなことを申し上げたところでございます。

江藤委員 わかりました。大臣をこれ以上あれするのは、私は本意ではありませんので。

 御参考までに申し上げておきますが、平成二十二年度の農業総産出額、肉用牛が四千六百三十九億円、乳用牛が七千七百二十五億円、豚が五千二百九十一億円、鳥が七千三百五十二億円、畜産の総生産額は二兆五千五百二十五億円ですから、これについて戸別所得補償で対応するということであれば、どえらいことになるということだけ指摘して、次に移らせていただきます。

 私は、一月にアメリカに行ってまいりました、ワシントンまで。カトラーさんとか大統領補佐官とか、いろいろな方に会って嫌われてきたわけでありますけれども。

 そこで非常に驚いたのは、野田総理がTPPの交渉参加に向け関係各国との事前協議を開始すると言ったことはすばらしい、すばらしい総理大臣だ、鳩山さん、菅さんのときは日本はどうなってしまうんだと思ったけれども、野田さんが出てきて、こういう英断を下す日本はすばらしい総理大臣が出てきた、江藤議員、あなたも誇りに思うべきだ、ところで、あなたは何党だと。自民党だと言われたら、がっかりされましたけれども。アメリカ中心で進んでいるこのTPP、そこに行って絶賛される総理大臣というのは、私はいかがなものかと思いますよ。

 相手の国から褒められちゃうということが日本の国益だと私は思いません。案の定、表明した途端に、牛肉の輸入の条件緩和、三十カ月月齢、それから自動車の市場開放、日本郵政の簡易生命保険の見直し、三つの要件がぽんと出てきたじゃないですか。

 牛肉に関して言えば、平成二十二年九月、当時の前原外務大臣がクリントン国務長官に、一つの可能性として検討する、できるだけ早く方向性を示したいと、唐突に勝手に言い出しちゃったんですね。勝手に。(発言する者あり)まあ、言うだけ番長だか何だか、私は知りませんけれども。言うだけ番長ならいいですよ。言うだけじゃないじゃないですか。

 こんな中で、厚生労働省は、昨年十二月、食品安全委員会に、輸入を認める牛肉の月齢や国内の検査対象月齢の引き上げなどを諮問しましたね。どうしてこのタイミングで諮問しなきゃならないんですか。TPPへの足ならしですか、地ならし。

 日本は、BSEに関するOIE基準では、管理されたリスクの国ですよ。管理されたリスクの国。来年の一月には、米国と同様の、無視できるリスクの国になるわけです。その節目を迎えた時点で、国民の皆さん方ときちっと議論した上で、日本の独自の判断で、あくまで科学的知見に基づいて月齢緩和を考えるのが自然な流れじゃないですか。どうしてこのタイミングで食品安全委員会に諮問なんかしなきゃいけないんですか。お答えください。

鹿野国務大臣 いわゆる米国産の牛肉の輸入条件を含むBSE対策の再評価については、厚生労働省がBSE対策を開始してから十年が経過したという中で、国内の検査体制や輸入条件といういわゆる対策全般を対象といたしまして、最新の科学的知見に基づいて再評価を行うこととして、昨年十二月に食品安全委員会に諮問という形に決まったもの、このように承知をいたしておるところでございます。

江藤委員 ですから、大臣、諮問すること自体がけしからぬと言っているんじゃないんですよ。

 何で今なのか。民主党内でもいろいろな議論がある。ここにおられる委員の方々は、私は一〇〇%反対の方々がそろっていると信じております。何といったって、委員会で全会一致で決議までしているわけですから。そういう状況の中にあって、こういう神経を逆なでするような、あたかもアメリカの追随をしているような、こういう諮問は、私は決して日本国として誇るべき姿ではないというふうに思いますので、このことは指摘をさせていただきたいと思います。

 それから、TPPに関連して、関税以外の問題、これをお聞きしたいと思います。

 食の安心、安全の問題です。輸入牛肉の月齢緩和のほかにも、遺伝子組み換え食品の問題とか、ポストハーベスト農業とか、食品添加物の問題とか、いろいろとアメリカの、アメリカンスタンダードの基準、これが国際基準だといって押しつけられるんじゃないかという懸念を皆さん持っていらっしゃいますよね。

 例えば、アメリカの農務省が、ピンクスライムと言われる肉を学校給食で使用するに当たっては安全性は問題ないというふうに示したという報道がありました。ピンクスライム、御存じですよね。御存じです。そして、参考までに申し上げますけれども、このピンクスライムは、アンモニア水で防腐処理された加工肉のことですよ。アンモニアですよ。日本じゃ冗談じゃない、こんなもの。学校給食には出せません。

 そして、アメリカでは、ラクトパミンというものの使用も認めます。ラクトパミンは御存じですか。御存じだということにしておきましょう。ラクトパミンは、肉の赤身を増す、おいしそうに見せるわけですよ、色あせした肉を。こういった赤身を増すため、これは飼料にまぜちゃうんですよ。肉色をよくするわけですね。飼料添加物です。これは日本じゃ当然だめですよ。

 台湾が、ラクトパミンを使用した米国産牛肉の輸入を解禁する方針を表明しました。一万人規模の大デモが発生したじゃないですか。まさに食の安心、安全が脅かされるということですよ。こういった問題が、TPP参加によって食の安心、安全が脅かされるんじゃないかと非常に私は心配しています。

 加えて、一発でお答えをしていただいて申しわけないんですが、これは通告しておりますけれども、アニマルウエルフェア、AW問題についてです。これもTPPに参加をすると大変な問題が出るというふうに承知をしておりますが、副大臣ですか、あわせて御答弁をよろしくお願いします。

筒井副大臣 食の安全の問題は、先生のおっしゃるとおり、極めて重要な問題だし、強い関心を持っております。特に、米韓FTAの実例を見てみますと、それを本当に心配していかなければいけない。

 しかし、この食の安全問題は、先ほども答弁で強調いたしましたが、日本産食品のまさに強みの最大のものでございまして、安全性、食味のよさ、これらがあるから日本産のものが、価格の問題を別にすれば外国でも競争できるし、国内的にも消費者が安心感を持って購入してくれる、極めて重要なものでございますから、たとえTPP交渉に参加ということであったとしても、その点はきちんと守っていかなければいけない、極めて大きな重要な問題だというふうに思います。

 それから、最後に言われました動物福祉の件に関しては、今のところ、事前協議の中では議題に上っていないというふうに聞いております。そして、その具体的な方向性は、OIEでもまだ国際基準をつくっていないものですから、具体的に日本の方でもそのことについて言及は全くしていないという状況でございます。

 それから、さらにもう一点だけ、先ほどの先生との関係でも申し上げれば、今、TPPは事前協議の段階ですよね。その次に今度は、交渉参加するかどうかを決めるという段階ですよね。もし交渉参加するとしても、交渉した上で、TPPそのものに参加という三段階があるわけでございまして、今現在はその第一段階目ですから、TPPに参加を前提とした具体的な議論を農水省の方からしろ、その対策を含めてしろというのは、先ほどから何回も強調しておりますように、そのことについてお答えすることは適切でない、その点は御理解をいただきたいと思います。

江藤委員 副大臣、よくわかるんですよ、お気持ちは。気持ちは同じですからよくわかるんですが、私がアメリカに行って非常にショックだったのは、日本がこの段階まで踏み出して後退するなんということはあり得ないだろう、もう交渉参加するための交渉に入った段階で、TPPに参加する以外の選択肢が、江藤議員、日本にあるのかいと、一〇〇%の確率で言われましたよ。一〇〇%の確率で。それは、基地問題とか安全保障の問題とか、いろいろなこととリンクしても一〇〇%入ってくるものだというふうにアメリカは少なくとも受け取っている。上院議員もそう、下院議員もそう、役人もそう、カトラーみたいな外にいる人間もそう、みんなそうですよ。婚約したようなものですよ。婚約破棄する勇気を持たなきゃいけないということです。もうこれ以上は申し上げませんけれども。

 アニマルウエルフェア問題ですけれども、確かにOIEの御認識は間違っていない。間違っておりません。だけれども、EUでは、二〇〇六年一月にAW行動計画ができて、ブロイラーの飼養基準が二〇〇七年六月に定められています。ことしの一月から、もう既に、ルールに適合した環境でなければ飼育できなくなっているんですよ。アメリカでも、昨年七月に、十五年後に一羽当たり飼育面積を八百から九百二十九平方センチメートルにしないと飼育してはいけないということになっている。これはアメリカンスタンダードじゃないですか。

 日本の、採卵でも養鶏でもそうですが、地鶏とか、いろいろな飼い方がありますけれども、採卵農家だったら、団地みたいに並べて卵をとっていますよ、採卵していますよ。それがかわいそうだという意見も確かにあります。だけれども、その片一方で、卵の値段だけは戦後全く値上がりをしなかった。畜産、酪農にかかわっている人間だったら、卵がいかに物価の優等生で国民生活に貢献したか、それはみんな知っていることじゃないですか。

 TPPに参加すれば、この基準を絶対に押しつけられますからね。三役の皆さん方は、ぜひこのことも頭に入れておいてください。

 それで、追い詰めるようなことをして申しわけないんですけれども、前回も申し上げました。郵政民営化のときに、こんな解散は間違っていると言って、島村宜伸先生が解散詔書の署名を断って、小泉純一郎さんに罷免されました。もし無謀なTPPへの突入を現政権が決断したら、三役の皆さん、自分の職責をかけて反対していただけますか、三人とも、お覚悟を一人ずつお述べください。

鹿野国務大臣 今日の状況は、内閣としての基本的な考え方は、交渉参加に向けて協議を始めます、こういうことでありますから、私自身が、今、江藤先生が言われたようなことに対して、予断を持って申し上げるというのは控えさせていただきたいと思います。

江藤委員 それでは、もう、副大臣、いいです。同じでしょう。もういいです。

 期待するような答えが出てきそうもないので、もうこれ以上はやめさせていただきます。(発言する者あり)わかっていて聞いておるんだ。聞かなきゃいかぬこともあるでしょう。

 それでは、詳細にわたった質問に移らせていただきますが、子牛のいわゆる繁殖の対策ですね。この対策は、平成二十二年、政権交代をして新たな制度に変わったわけでありますけれども、これは繁殖農家にとっては自公政権時代よりも手厚い制度になったというふうに大臣は御認識していらっしゃいますか。手厚くなったか、そうでないか。

鹿野国務大臣 手厚くなったか薄くなったかというふうなことについては、その状況に応じて対処するというようなことでございますけれども、現在は、いわゆる我が国の繁殖農家の生産コストの低減を図り、経営体質の強化を促進していくためには、全国一律に交付金が支払われる、そういう現行の仕組みというふうなことの中で行われているもの、こんなふうに認識を持っております。

江藤委員 大臣、申しわけないんですけれども、非常に認識を誤っていらっしゃると思いますよ。

 まず、牛の世界は、全国一律という考え方が間違っています。政務官、わかるでしょう。北海道と私の宮崎が一緒なわけないですよね。そんなわけがない。マイナス十度でしたよ、寒かったですよ。そのとき、宮崎は十五度ですよ。それぐらい違うわけですから。

 自公政権時代には三段構えだったんですね。三段構えでわかりづらいという批判は確かにありました。

 それで、発動実績を見てみますと、肉用子牛生産者補給金制度とか子牛生産拡大奨励事業、この発動実績は、平成五年から七年と、BSEが発生した十三年度のみに実は限られちゃっている。ですから、これを統合しなきゃいけないというのは、自公政権時代から党内で議論はしていたんです。そのときに、私のおやじと、それから山中貞則先生、堀之内久男先生で、米国産牛肉の輸入数量を制限する外国産牛肉輸入調整法案を議員立法で提出しているんです。もう随分昔の話ですけれども、鹿野大臣はよく御存じだと思います。

 肉用子牛資質向上緊急支援事業の平成二十一年度の交付実績は、優良な繁殖雌牛へ更新した場合、一頭当たり五万円交付する事業とあわせて、鹿児島県が九億六千三百五十万円いただいております。宮崎県も六億五千六百五十七万円いただいております。

 では、平成二十二年度はどうなったかというと、肉用牛繁殖経営支援事業は、口蹄疫の発生時のみこれは出ましたよ。口蹄疫発生時のときだけですね。しかし、通常時の交付実績はゼロなんですよ。ゼロになっちゃったんです、ゼロ。これは大変な衝撃ですよ。

 原因は、自公政権時代の肉用子牛資質向上緊急支援事業が、個体ごとの販売価格が都道府県ごとの平均価格を下回った場合、全国一律じゃないんですよ、個体ごとが都道府県ごとの平均価格を下回った場合に交付していたというのが、全国一律になっちゃった。基準価格の三十八万円を下回った場合に、その価格の四分の三だけ支給するというような制度に変わっちゃったから、これは支援が薄くなったんです。

 先ほど小里先生が言われたように、現場の地域の実情が反映されていないんですよ。これでは地域の特性のある農林業の構築というのは私は難しいと思う。畜産は特にそうです。与那国島に行っても、宮崎とか鹿児島の優秀な繁殖雌牛がいますよ。我々は南九州にあって日本の畜産の基盤を支えているという自負を持っていますから、そういう地域の実情を私はわかっていただきたいというふうに思っております。

 ですから、大臣、ここで御相談なんですけれども、今の私の意見を聞いた上で、全国一律という考え方をぜひやめていただいて、都道府県ごとの売買平均価格に改めた上で、個体ごとの取引価格が発動基準を下回った場合に全額を交付する、せめてこのぐらいまでに直すというお気持ちはありませんか。検討しますということでも結構です。

    〔委員長退席、佐々木(隆)委員長代理着席〕

鹿野国務大臣 今の江藤先生のお話を聞いて、お父さんのことを思い起こしながら、私どももいろいろと農畜産のことについて勉強させていただきました。そういう中で、山中先生初め、江藤隆美先生たちが肉用の子牛対策というふうなものを三段階に分けてやられてきた、それをいわば、いろいろなそれに対する評価もありますけれども、全国一本のシンプルな仕組みに見直した、こういうふうな状況でございます。

 そういうふうな中で、何とか改めて検討する必要があるんじゃないか、こういうような御指摘でございますけれども、仮に、地域ごとに販売価格を基準に補填するというふうなことの場合に、高い価格で販売した地域に補填金が支払われないというようなことにもなるわけでありまして、そういう場合に、より高く売ろうとする努力度というふうなものとのかかわりがどうなってくるのかというようなこともあるのではないかという面もございます。

 そういう意味では、全体的に今申し上げたようなことの中で勉強する必要を感じておるところでございます。

    〔佐々木(隆)委員長代理退席、委員長着席〕

江藤委員 大臣の言っていることも全く的外れとは申しません。細かい、非常にちょっとマニアックな話になりますからこれ以上はもう言いませんけれども、とにかく今私が心配しているのは、繁殖農家の数がやたらに減っているんですよ、子牛の生産をしようという。これが基本ですからね。子牛がいて肥育があるわけですから、ここが薄くなってしまうというのは非常に大問題です。

 検討する余地があるとおっしゃっていただいたんですから、全国一律という民主党の物の考え方というものから一歩離れていただいて、現場主義で、ぜひ三役の皆さんが力を合わせて御検討いただきたいと思います。

 済みません、次に移らせてください。

 飼料の放射線基準厳格化、これについてお尋ねをさせていただきます。

 農水省が発表した平成二十三年度の飼料作物の作付面積は、前年度から二%ふえています。九十三万三千ヘクタール、これはいいことですよ。そのうちの青刈りのトウモロコシは都道府県で三%減。東北で震災等いろいろありましたから、これは仕方がない。

 その上に、四月から適用される牛肉や牛乳などの食品の基準値の引き下げに伴い、牧草や稲わらなどの牛の飼料の放射性セシウムの暫定許容量を、一キロ当たり三百ベクレルから百ベクレルに引き下げられました。これは農水がやったことではないと言われるかもしれませんけれども。乳牛は三月十六日、その他の牛は四月一日から新基準で餌をやらなきゃいけないということが義務づけられているんですよ。こうしてくださいという指導じゃありません。義務です。義務づけられているんですよ。

 これを受けて、福島の方にも私は行ってまいりましたけれども、福島の畜産農家からは、これでは自給飼料の利用、ましてや放牧なんかできない、補償するからいいじゃないかというような問題じゃないといった声がたくさん上がっているんですよ。こういった方々の声、それから消費者の方々の不安、こういったものをあわせて、東電、東電と言わずに、何らかの配慮をこれは政府としてすべきだと思いますが、大臣、どのようにお考えですか。

筒井副大臣 おっしゃるとおり、今度は百になるわけでございまして、これが極めて飼料の確保に困難さを生じさせているし、またその可能性も強い。そのために、まずは輸入業者への飼料の協力要請。それから、業者に対して、業者と畜産農家との間のあっせんにも農水省は積極的に協力してやっていきたい。さらには、牧草地における除染活動についても農水省は積極的に取り組んでいきたいというふうなことを考えて、取り組んでいるところでございます。

江藤委員 あわせて、そういう御指導はぜひせにゃいかぬのですよ。

 ただ、輸入業者、価格は安定しているという時期もありましたけれども、今、若干上昇傾向でしょう。しかも、円が動いている。そして、原油価格が上がれば、海上運送料金、フレートも上がりますよね。これは真っすぐ畜産農家の懐に響きますから、そのことを御認識ください。

 それで、牧草の話ですからちょっと飛ばして話しますけれども、いわゆる瓦れき、八千ベクレル以下は埋却をするんだという方針が決まりました。そうしたら、農林水産省の方では、この汚染された稲わらも、いわゆる自分の所有している農地、牧草地にすき込みなさいということですね。政務官、どうですか、北海道、酪農を抱えている身として。

 八千ベクレルといったら、素人はわかりませんよ。例えば、その牧草をすき込んだ、福島の話ですけれども、すき込んだところでできた牧草を食べた牛でございますと。これは農家の気持ちは大変なことですよ。こういったことを、瓦れきが八千だから汚染された稲わらも八千でいいのだ、そういう横並びの考え方は私は間違いだと思いますが、大臣、いかがですか。

鹿野国務大臣 こうした状況の中で、今申された八千ベクレル以下の処理については、焼却なり埋却なり圃場へのすき込み等が可能であるという周知はいたしておりますけれども、今のお話のとおりに、生産者の人たちが非常に不安な気持ちである、また、汚染稲わらについては高濃度のものが多いというふうなことから、実質的にすき込みが進んでおりませんというのが実態だ、こういうふうに承知をいたしております。

 そういう状況の中で、焼却等の方法による処分を推進するとともに、すき込みの安全性が現場において十分認識されるように、実際にすき込んだ場合の牧草等への影響、科学的データ等、わかりやすい情報というふうなものについては当然これからも提供に努めてまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。

江藤委員 ですから、大臣、そういったことは、すき込んでも可能だと言う前にやることなんですよ。大丈夫ですよというきちっとした説明とか、科学的知見に基づいた判断は。そういうことを可能ですよと国が言っておいて、後から、ああ、ちょっと研究しましょうという話は無責任じゃないですか。私はそう思いますよ。

 大臣は、昨年十二月に宮城県知事から、汚染稲わらと堆肥の処分方針を国が明確にして、国としての統一基準を示してほしいと要請を受けられましたね。それに対して、大臣は、環境大臣とも連携をとって対処方針を検討したいというふうに述べられています。

 あれから三カ月がたちました。私、自民党のシャドーキャビネットで環境副大臣を実は今やっておるわけでありますけれども、私が不勉強なのかもしれません、私のところにまだ何の報告もないわけでありますけれども、三カ月たった今、何らかのことが示されていれば、ここでお話しください。簡潔にお願いします。

筒井副大臣 稲わらについては、今までの実績の質問かと思いますが、十万ベクレルを超えたものについては、農水省が、国が直接処理に取り組んでおりまして、十万ベクレルを超えた稲わらを持っていた四十三戸の農家のうち四十戸について、数字を間違うとあれなので、もう一回確認しますが、(江藤委員「いい、大丈夫ですよ、合っています」と呼ぶ)ああ、そうですか。四十三戸のうち四十戸について既に処理済みという段階でございます。

 それから、八千ベクレルを超えたものを含めて十万以下のものについては、今のところ実績は……(江藤委員「だから、対処方針を出したんですか」と呼ぶ)出しました。出して……(江藤委員「いつ出したんですか」と呼ぶ)日付はちょっと後で調べた上で答えますが……(江藤委員「いや、出していないんですよ」と呼ぶ)いや、今までのところ、実績の質問ということで答えますか。(江藤委員「いや、もういいです」と呼ぶ)いいですか。

江藤委員 そこの後ろに座っている農林水産省の畜産のプロの諸君がこの四十三戸に出向いてどれほど頑張ったかということは、私も報告を受けて聞いております。

 農水の、霞が関にふだん座っている人間が現場に行ってその処理をやるという姿勢は私は高く評価したいと思いますが、余りにも長い期間、高濃度に汚染されたものが本当にそこら辺にあるんですよ。子供もいるんですよ、そういった畜産農家には。さわることもできない、出すこともできない。最初のうちは、ベニヤ板を立てて隔離すればいいじゃないかという、わけのわからぬような話が出てきまして、私も非常に農水の諸君にはどなり声を上げて失礼なこともしたかなと思いますけれども、私が怒らないで済むように、やはり与党としてきちっとやっていただきたいと私は思うわけであります。

 それでは、半径二十キロ圏内の家畜の処分についてお伺いします。

 二月二十日の予算委員会で、千二百頭を処分したというふうにおっしゃっていますね、千二百頭。警戒地域で野生化した牛と車の衝突事故とか、いろいろなことを報告されて、これは数十件発生しております。大変危険な状況。自然交配で牛が生まれるんじゃないかと私も委員会で質問しました。相当いると思いますし、最近はイノブタがふえていますよ。イノシシと豚の交配したもの。めちゃくちゃ足が速いですよ。追いかけたって、人間は絶対追いつきません。すばしこいし。これは繁殖力も強いですから、どんどんふえますよ。

 これの現状をどの程度把握していらっしゃって、いつまでにきちっと対処される御予定なのか、御答弁ください。

筒井副大臣 非常に難しい課題というふうに聞いていますが、放れ畜の捕獲、これをまず最優先して取り組んでいるところでございます。

 どういうふうに取り組んでいるかということに関しては、農水省の職員を現地に派遣して、現地の人間と一緒になってそのことに取り組んでいるわけでございますが、なかなかそれが進捗が思ったとおりに進まないことも確かでございます。常時そのために派遣している職員は、当省から三名でございます。

江藤委員 ですから、やはり物事はタイムスケジュールを示さないと。これから春になって、だんだん雪が解けて暖かくなってくる、そうなると恋の季節ですよ。さらに繁殖をするわけでございます。食べ物も豊富にあるわけでございますから、こういう状況の中では事態はさらに悪化をする、そういう認識はやはり持たなければ。急がないと。そういう御認識をお持ちください。

 それから、廃用牛の滞留について次に御質問をさせていただきます。

 福島県などでは、屠畜制限とか成牛市の中止によって廃用牛の出荷が滞っています。繁殖雌牛を更新できない。雌牛を更新できないということはゆゆしきことなんですよ、畜産農家にとっては。これは餌代もかかりますし、管理費もかかって、農家の経営を直接圧迫するということになっているわけです。

 これはホルスタインの方も同じ状況です。同じ状況ですよ。

 中には、仕方がなくて、本当はもう更新時期を迎えているのに、もう十一産、十二産しているのに、さらに種つけして子供を産むことを期待する農家もいますけれども、まず受胎率が低い。かなり高齢化していますからね。そして、子供が生まれても、母牛が高齢だと値段が安い。非常に苦しいそういう選択を農家にさせてしまっているのは、これは国の責任ですよ。東電にももちろん責任がありますけれども。

 宮城県は独自で県内数カ所に廃用牛を集めて管理する方針、これはいいでしょう。では、福島県はどうするんですか、福島県は。国が責任を持って、こういった廃用牛、さっきは放れ牛の話をしましたけれども、廃用牛に関しては把握ができているわけだから、きちっと一括管理する施設をつくることは私は最低限の責任だと思いますが、どうお考えになりますか。

筒井副大臣 廃用牛については、輸入飼料で今まで飼育されたものについてはできる限り屠畜して出荷をするという方針で、そして、そうでないものについては、今先生が言われました、飼い直しをして放射能の濃度を下げて、同じように屠畜して出荷をするという方向で考えて、それを今実行しているところでございます。

 今、先生の方の御提案ですと、それを全体に一つに集めて、それも農水省あるいは県の責任においてやれという趣旨を含んでいるかと思いますが、それをそこでやったらどうかという提言については検討をさせていただきたいというふうに思います。

江藤委員 副大臣、ありがとうございます。

 これは私の要望ではなくて、地域の畜産農家の方々がぜひそうしてほしいとおっしゃっているから私がかわりに言っているだけですから、このことを御認識いただきたいと思います。

 先ほど子牛の補給金の話をしましたけれども、今度は肥育の話を若干させていただきます。

 新マルキン、このマルキンも政権交代して変わりましたね。肥育農家、非常に今厳しいですよ。子牛の値段は非常に高いです。これは繁殖農家にとってはいいことですけれども、肥育農家にとっては導入価格が高いわけですから、非常に厳しいという状況の中にあります。

 新マルキンも、今、毎月払いを続けていただいているわけでありますけれども、私はもうしばらく続けるべきだと農水省には何度も何度も言っているけれども、どうもなかなか首を縦に振ってくれない。三月までは延ばしたかな、そこまでは延ばした。本当は来年でやめちゃうような話でしたけれども、それはよしとしましょう。

 二十八市場に加えて、十三道県の相対取引価格を導入して、新マルキンは八〇%はカバーしている。これは何度も何度も議論したことでありますけれども、これまた全国一律なんですよ。全国一律。

 各県ごとに算定していた自公政権時代の平成二十一年度の肉専用種、鹿児島県、小里先生のところは一頭当たり五万九千五百円、宮崎県が五万六百円でした。非常にたくさんいただいていた、平たく言えば。全国一律になった二十二年度は一気に下がって四万五千四百円、そして第二・四半期は三万六千四百円とがんと下がって、非常に肥育農家は経営が苦しくなっています。

 肥育農家がだめになれば当然買いにも行けなくなるんだから、繁殖と肥育というのはセットなんですよ。どっちかが傷んでもだめなんですよ。高過ぎてもいかぬという意見もありますしね。

 ですから、東北三県と栃木県が出荷制限されている影響もあって、全国一律であっても、一月は六万九千五百円交付をされました。これはあくまでも出荷制限の影響ですよ。しかし、先ほどの子牛の話と同じように、各県ごとの事情を反映するために、希望するですよ、さっき大臣はいろいろ問題も出るというふうに言われましたからあえて言いましたけれども、希望する都道府県については地域産と認める、そして地域の特性を生かした畜産を育成するという考えはいかがですか。御答弁をもう一回お願いします。

仲野大臣政務官 委員の御質問にお答えさせていただきます。

 このマルキン事業で、十五県において県独自の算定、いわゆる地域算定を行っておりましたが、データのとり方に細かな違いがあるなど、県ごとの補填金単価に不公平感があったところでありまして、一方、飼料高騰に伴う緊急対策として、平成二十年度及び二十一年に実施した補完マルキン事業について、全国一本で算定したところであります。

 このため、平成二十二年度からの肉用牛肥育経営安定特別対策事業、新マルキン事業でありますが、マルキン事業と補完マルキン事業を一本化し、肉用牛肥育農家の経営安定対策として、全国一律のシンプルでわかりやすい仕組みとしたところであります。

 なお、この新マルキン事業のもとにおいても地域の取引実態を反映した粗収益の算定を求める意見があることを踏まえて、平成二十三年度から、肉専用種について、従来から利用している二十八食肉卸売市場のデータに加えて、地域の相対取引等のデータも利用し、適切な運用が図られるよう改善したところであり、引き続き適切に事業を実施してまいりたいと思っております。

 決してこれは否定されているものでもないということを、一部あるということは御理解いただきたいと思います。

江藤委員 一生懸命御答弁いただきましたけれども、もうちょっと政務官、大変失礼ですけれども、もう一回勉強してください。

 やはり、宮崎、鹿児島はいかにもインチキしていたみたいな言い方をされると、非常に私は腹立たしく思います。

 もう時間が来ましたからこれでやめますけれども、本当はもっといっぱい質問があったんですよ。配合飼料価格安定制度。来年、商系だと千二百円上がりますよ、来期。全農、全中系でもトン当たり九百円上がりますよ。大変ですよ、補給金が出ませんよ、このままでいいんですか。このこともすぐ政府として対応しないと、すぐに畜産、酪農農家は経営に窮しますから。このことは時間が来たので答弁を求めませんけれども、すぐに検討に入っていただきますことを最後にお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

吉田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

吉田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。今村雅弘君。

今村委員 スピード第一ということで、早速質問に入らせていただきます。ひとつ、皆様方にもてきぱきとお答えを願いたいと思います。

 先般の大臣の所信表明を伺いました。確かに立派なことを言っておられます。すばらしいとも思っておりますが、どうも言っていることと実態とは大分違うんじゃないかな、これが一つ。そしてまたもう一つは、理念と現場でのいろいろな実態とがなかなか合わない。特に、後段の部分は、これはもう我々の時代からも反省しなきゃいけない事柄であったわけでございますが、非常に政策としてはよく見えるけれども、なかなか現場の実態に合わないで進んでいかない、それで、結果的には予算も余ってしまうというような話が結構多いような感じがするんですね。きょうはそういったことを中心に質問させていただきます。

 まず第一に、今言いました、言われることと実態と違う一番大きな問題は、これはまず予算の問題です。我々自民党が最後に請け負った二十一年度の予算から今年度の二十四年度の予算、これを具体的にいいますと、農林水産省の予算が全体で二兆五千六百五億から二兆一千七百二十七億、これはもう御存じかと思います。実に三千八百七十八億、率にして約一五%少ないんですね。だからやはり、農林水産業を本当にしっかりやっていくんだということになれば、まず何よりも、全体の予算をこう減らしてしまったんじゃ、言っていることとやっていることと違うじゃないかということがはっきりしているわけですけれども、これについてどうお考えですか。

鹿野国務大臣 確かに、先生がおっしゃるとおりに、一五%減ということでございます。

 これは、いろいろな事情がございます。やはり財政的事情というふうなことが一番大きいと思いますが、そういう中で、例えば具体的に、いわゆる俗称一括交付金の方に回すというようなお金も一千億を超すものがあるわけでございまして、できるだけ農林水産省として国の施策を推進できる、そういうようなことの中で、一つ一つ精査をさせていただいて、判断をさせていただいたというふうなことでございます。

今村委員 今、一括交付金等で一千億以上を見ていると言われましたけれども、それを見たって、結局、三千八百七十八億も減っておいて一千億ちょっとでは、明らかに誰が考えたって少ないわけでしょう。しかも、御案内のように、戸別所得補償ということで金が行っているわけですけれども、何のことはない、タコの足食いみたいな話でありまして、そして、そのタコの足もそもそもどんどん細っていっているわけですよ。これでは日本の農林水産業はやはり成り立たないと思います。特に今TPPの話もいろいろある中で、どうやって体質を強化するかという中で、これについてこんなに減らされるということはおかしいんじゃないかというふうに思いますが、もう一度、御答弁願えますか。

鹿野国務大臣 それぞれ政権交代によって新しい施策の導入というふうなこと、これはもう御承知のとおりに、農林水産省内で調整をさせていただいたというようなことから、他の予算に影響を及ぼした、これは事実でございます。

 今日までの取り組みの中で、新たに二十四年度予算におきましても新規の予算もその中には加えさせていただいておるわけでございまして、厳しい財政事情の中でも、我々とすれば、今の第一次産業の実態というものを踏まえた中で、ぎりぎりやはりこれだけはやっていかなきゃならないというようなことだけは盛り込ませていただいておるところでございまして、今後も、そういうふうな予算措置というものを着実に実行していくことによって、地域経済の活性化に結びつくようにしていきたいと思っております。

今村委員 我々自民党も、よく、対案を出せと言われております。今、我々の方でも、少なくともいろいろな今の仕組みを見直して、例えばこの一万五千円の定額補助の問題にしても、一律にやるんじゃなくて、もう少しやはり地域別に、あるいはいろいろな作物別にめり張りをつけてやろうじゃないかといったような話とか、あるいは、一番大きいのは基盤整備のお金、そういったものが大幅に減らされている、これが一年や二年だったらそれでしのげるんでしょうけれども、三年、四年、五年となってくるともたないわけですから、そういったものを踏まえて我々対案を今考えておりますので、ぜひそれを参考にして、今後農政を進めていただきたいと思います。どうですか。

鹿野国務大臣 私も、今村先生が今言われた自由民主党の農業、第一次産業政策についての概略だけ目を通させていただきましたが、とりわけ戸別所得補償等々については三党で協議をしていただく、こういうようなことで今調整していただいているということも承知しておりますので、そういうことも含めて、今後いろいろと私自身も勉強してまいりたいと思っております。

今村委員 しっかりやってください。

 時間の関係で、次に参ります。

 もう一つ、言っていることとやっていることと違うじゃないかという中で、諫早干拓の開門調査の問題。今いみじくも大臣が一瞬顔をゆがめられましたけれども、また嫌な質問だなというふうに思っておられると思いますよ。しかし、正直言って、今から言うまでもなく、これはあなた方が選んだ菅前総理が上告しないということでこの開門調査については判決確定したわけですから、それをきちっと守ってやってもらわぬといかぬわけでしょう。

 いつまでですか、これは。もう来年の十二月までに開門調査をするということになっているでしょう。それについてはいろいろな工事だ何だが必要ですよね。そういったことを考えていくと、もう時間がほとんどないんですよ。どうされるんですか。この考え方を示してください。

筒井副大臣 おっしゃるとおり、来年の十二月までに開門する、これが、確定した高裁判決に従う農水省、国においての法的な義務でございます。

 そのために一番最初にやらなければいけないのが地下水調査ということで、取り組んだところでございますが、その地下水調査、資材搬入等について現地の皆さん方から阻止をされまして、今その現地の皆さんを一生懸命、個別に説得活動を必死になって行っているところでございます。(発言する者あり)そうですか。

 地下水調査は、まさに現地の皆さんが心配している、井戸を掘って地盤沈下がないのか、あるいは本当に農業用水に必要な水量が確保されるのかという心配をされているわけでございますから、そのことを調査するためのものでございますから、何とか理解をしていただきたい、また、いただけるものというふうな確信のもとに、今一生懸命そのための行動をしているところでございます。

今村委員 今、一生懸命説得していると言われましたけれども、大臣、全然現地に行かないじゃないですか。副大臣、この間行ったばかりでしょう。もっと徹底的にやったらどうですか。そういった本当にひたむきな、やはりこれはやらなければいけないんだという気持ちが伝わらないから、長崎県も、ちょっとごねれば、ああ、農水省は資材搬入もやめたよ、ストップしたよ、そういうふうになってきているわけでしょう。

 ですから、今ちょっと話が出ましたけれども、場合によっては、これを決めた菅前総理にも行ってもらったらどうですか。そのぐらいの気迫はないんですか。

筒井副大臣 大臣は長崎県に三回行って、そして長時間、皆さんにその説明をしてきたところでございまして、私もその現場に同行いたしました。佐賀県の方には私が行って、現地視察と同時に、そのお話し合いもしてきたところでございまして、まさに法的な義務を履行するために必死にやっていることは事実でございます。

今村委員 三回じゃなくて三十回ぐらい行ってくださいよ。そのぐらいのことをやらないと、なかなか伝わりませんよ。

 それと、これはまさかと思いますけれども、もともと農水省は、お役人さんたちは、開門調査に反対だったんですよ。私は随分言いました。しかし、ああだのこうだの、だから開門調査は難しいんだ何だかんだと言っていましたよ。

 だから、うがって考えると、長崎県がこうやってごねているから、反対しているから、それをいいことに皆さん方はずるけているんじゃないですか。どうですか、それは。

筒井副大臣 それは全くありませんから。開門義務はもう高裁判決で確定したんですから。

 その開門の仕方に関しては、あるいは佐賀県の皆さんと意見が少し違うかもしれませんが、開門する義務自体はもうはっきり確定しておりますから、農水省としても、はっきり開門するという対応を決断して、そのために今必死になって動いていることは事実でございます。

今村委員 では、そういう気があるなら私は要求しますが、もう余り時間がないんですよ。いろいろな工事もやらなきゃいけないでしょう。その工程表、工程管理、どうなっているんですか。これは、前回の委員会でも、これはどうなっているんだと言いましたけれども、なかなか返事がもらえない。しかし、もう現実に、来年の十二月だったら時間がないでしょう。その辺の工程表を示してくれますか。どうですか。

筒井副大臣 具体的な工程表を出すことが、長崎県に対する関係でどういうふうな影響を与えるかとか、いろいろな考慮しなければならない問題点があります。しかし、先生のおっしゃるとおり、時期がもう切迫しておりますから、その一定の時期において、そういうことをせざるを得ない時期が来るかというふうには思っております。

今村委員 長崎県のことを言われますけれども、しかし、客観的に見て、やはりこれだけの物理的な時間が必要なんだと示すことによって、それでもって交渉が、長崎県との話し合いがまた進むという可能性もあるわけでしょう。だからそれが、要するに出さないということは、もうやる気がないということですよ。

 もう一つ言っておきますけれども、これをやるときには、ノリの時期があるんですよ。御存じですか。これは、ノリをとるときにはなかなか大きな工事はできない、やってくれるなという話もあるんですよ。だから、そういったことを考えた場合に、もうこれは早くやらないと、本当に時間がありませんよ。

 ですから、要求しますが、この工程表をぜひ示してください。それを示すことが刺激するとかなんとかじゃなくて、これは客観的な事実でしょうが。それを示すことがどうしてできないんですか。

筒井副大臣 理由は先ほど申し上げたとおりでございますが、先生のおっしゃる、その示せという要求に対してはぜひ検討をさせていただきたいと思います。

 それで、その際に、ノリの養殖に悪影響を及ぼさないようにやる。これは、有明ノリ、佐賀県のノリはまさに全国一の評価を受けているノリでございますから、それに悪影響を与えない形でやらなければいけない、これは十分承知しております。

今村委員 これは佐賀県だけじゃないんですよ。福岡県も熊本県もみんな、ノリをやっているところは非常にナーバスになっていますから。ですから、そういったノリの関係もあるから、そういったことも頭に入れながらこの工程表をきちっと管理してやらなきゃいけませんよ、もうその時期が来ているんですよということで言ったつもりです。

 冒頭言われましたように、検討すると言われましたので、前向きに私は受け取って進めたいと思います。もしそれで、今その検討するという話がなかったら、実は私はここで質問をやめようかと思ったんですよ。ぜひ、そういうことで前向きに進めていただきたいと思います。ぜひお示ししてください。

筒井副大臣 先生のおっしゃることはわかるんです。

 それで、しかし、先ほど言った長崎県がやはり現場でございますから、その理解を得なければいけない、それに対する配慮もきちんと考えながら総合判断していかなければいけないという状況にあることも御理解をいただきたいと思います。

 しかし、一定の時期においてそうせざるを得ないと私も思っておりますから、検討させていただきたいと思います。

今村委員 後ろから何か言われたからといって答弁を変えないでくださいよ。(筒井副大臣「いや、後ろで今全然違うことを言った」と呼ぶ)そうですか。それだったら、わかりましたと言えばいいじゃないですか。後ろで余計なことを言って返事が変わったような感じがしたから言っているんですよ。(筒井副大臣「いやいや、私、今、違うことを言っていないです。変わっていないじゃないですか。さっきと同じことを言っています」と呼ぶ)いや、さっきの返事でよかったんですよ。まあ、いいでしょう、とにかく検討するということで。(筒井副大臣「今、一緒の話です」と呼ぶ)はい、じゃあ、そういうことで受けとめます。

 次に、もう時間の関係で移りますが、さっき言った、なかなか上で決めたことと現場とが合わないという実態の中で、幾つか事例を示します。

 一つは、農地・水・環境保全、この関係。それからあと、担い手育成と、それに関連しての農地集積、この辺の問題にちょっと移っていきたいと思っております。

 まず、農地・水・環境ですね。

 これは、もういろいろな基盤整備の事業が大幅に削られている中で、現場では非常にこれが頼りという要素があって、また現場の皆さん方も大変評価をしてもらっております。しかし、これを見ていますと、現実には、現場で、あぜ道にコンクリートを使っちゃだめだとかいろいろな話で、かなり指導がきついというか、そういうことでなかなか進んでいかない実態もあるんですよ。

 この五年間でやるわけですが、二十二年度までの進捗状況というのは非常に悪いですね。この状況はつかんでおられますか。

筒井副大臣 これは進捗しておりまして、予算額のうち、残存額が〇・五%の額だというふうに聞いておりますから、進捗はしているものというふうな判断をしております。

 ただしかし、なかなか各地域において、硬直的と言われるような姿勢が全くなかったかというと、そうではないというふうに思っておりますので、それよりは、本当に各地域の実情に合わせた柔軟な取り組みをさらに強めていかなければいけないなということは承知をしております。

今村委員 今副大臣言われますけれども、今年度末で見込みが、被災地を除いて、あと残りが〇・五%、こういうことなんですよ。二十二年度末にはかなり残っているんです。だから、これでは返さなきゃいけないからというので、慌ててこの一年間で使っちゃえということでやったと思いますが、もう少し平準化してやれるような指導をやはりやってください。お金は生かして使わないと。余り建前だけで、役人さんがこれはだめだ、あれではだめだと言ったら、なかなか現場は進みませんよ。

 この関係で、きょうは総務省も来てもらっていますが、地方負担が約半分。大まかに言うと、県が四分の一、市町村が四分の一という格好ですね。交付税の問題、これに限りませんけれども、いわゆる特定性がないわけですよ。だから、地方自治体にしてみれば、いや、そんな金を使うよりはほかに使いたいというようなことで、流用することだって理論的には可能なわけです。

 それでもって、例えばあるところで、わかりやすく言えば、百万円かかる事業あるいは一千万かかる事業、この四分の一だとすると、例えば二十五万なり二百五十万円、市町村が負担する。それはもう俺は出さないから、七百五十万でやってくれよというような話はありませんか。また、あるとしたら、それについてはどういうふうにお考えですか。そういうことは許されるんですか。これは総務省で結構です。

米田政府参考人 お答えいたします。

 今、今村先生御指摘のとおり、この農地・水保全管理支払交付金の共同活動支援交付金につきましては、地方財政措置が入っております。地方団体、都道府県、それから市町村が、地域の実情に応じた自主的な判断に基づいて国費による支援と協調して支援を行う事業について、国の支援金額と同額を地方財政計画上に計上いたしまして、実際は普通交付税と特別交付税を通じて措置をしているというところでございます。

 今、農水省さんの方からこの事業についての実績を頂戴しましたところ、平成十九年度から二十三年度末、この五年間の事業でございましたが、五年間に、地方財政措置額、大体一千五十億円措置をしておりますが、これとほぼ同額が支出されている。国費と同額が地方費においても措置をされているということで、この事業につきましては、地方の方も、この事業の性格を理解した上で、同額を交付しているものというふうに考えております。

今村委員 とにかく、冒頭申しましたように、これは非常に皆さん喜んでおられる制度ですから、ぜひ円滑にこれからも運用できるように、御指導のほどお願いしたいと思います。

 次に、いわゆる担い手の育成に関連して、特に新規就農の問題あるいは農地集積の問題、これについてちょっとお伺いしたいと思います。

 まず、この担い手育成の関係でございますが、きょう、お手元にも、こういった青年就農給付金の給付要件というのを挙げております。

 しかし、これは、もう時間がないので端的に申しますが、どうも今まで、農水省のこの新規就農を進める話は、例えは悪いですけれども、町にいるお兄ちゃんを、仕事もない、ちょっといらっしゃいよと集めて、教育をやって研修をやって、そしてやる、そういうことにちょっと傾き過ぎているんじゃないか。しかし、そうじゃなくて、私が思うのは、やはり親子の関係で、親の背中を見ながら、俺もやるぞ、あるいは、おやじもやはり俺の息子に継がせたい、そこにいくときに非常にうまくいかない面があるんですよ。

 この辺のこの新規就農のあり方について、総論かもしれませんが、どうですか。親子の間でもうちょっとすんなりいけるような仕組みをつくるということにはなりませんか。どうぞ。

鹿野国務大臣 この新規就農給付金というものを今回初めて二十四年の予算に計上させていただいたわけでありますけれども、やはり、今、先生触れたとおりに、誰でも、どなたでもというわけにもいかない。やはり農業そのものに自分の人生をかけてみる、こういうふうな方に対して、その準備期間とその後の五年間というふうな形で給付というものを考えているわけでございます。

 そういう中で、やはり大事なことは、親、子という関係がやはり最も期待できるのではないかというようなこと等々について先生の御指摘もあったわけでありますけれども、親と子の関係といえども、やはり独立した形で、しっかりとリスクを負うというような覚悟のほどを示していく人に対してきちっと給付をしていく、そういう基本的な考え方に立たせていただいたということでございます。

今村委員 大臣、その辺が非常に官僚的なんですよ。

 いいですか。例えば、おやじは自分の息子に継がせたい、しかし、息子が会社に勤めていて、そして、休み、夜勤明けに手伝う、そういったことを通してやっていくとしますね。その場合に、結局、例えば、ここのどこかにもありましたけれども、二百五十万円以上収入があったらだめだとか、それから、そもそも論として、やはり、会社をやめてでも俺のところの後を継いでくれと言ったときに、その分の給料を出さなきゃいけないわけでしょう。しかし、言ってみれば、自分のおやじだってもうやっとこさ飯を食っているのに、そこに息子を連れてきて給料をやってやるかというのは、よっぽどのところじゃないとやはりできないんですよ。

 ですから、リレーですね。その中で、バトンタッチするバトンのゾーンというのがあります。だから、親が子供に引き継がせるときには、その間ちょっと、要するに子供でいえばだっこしている間、あるいはよちよち歩きの間でも金を見るというような仕組みをつくってやらないと、これを今、自立要件で、ここにも幾つかありますけれども、例えば、こういった農地の所有権とかなんとかいろいろありますが、農家なんかはもう農協に借金して担保に入れたりなんかしているわけですよ。だから、なかなかそう簡単に、こういった生計を、大体、資産を分離するということはできないんですよ。

 そういったことをぜひ認識してもらいたいんですけれども、その辺の現状認識というのは、大臣、どうなんですか。きょう初めて見られたんじゃないですか、経営開始型の要件みたいなものは。どうぞ。

鹿野国務大臣 私、決して初めて見るわけじゃありませんけれども。新しい予算ですから、私も、どういうふうな形で制度設計をするかというところに対しては、当然、私の意向というものが含まれているわけであります。

 ですから、やはり基本的には、先生のおっしゃるとおりに、リスクを負っていく、独立する、そういう体制ならば五年間はきちっと対象にします。少なくとも、五年間、実質的にそういう農業にかかわっていくならばある程度一人前でしょうというような判断にも立たせていただくというふうなこともあるわけであります。

 ですから、五年間という期間を設けさせていただいたということは、そこにおいてやはりしっかりと取り組んでいただく、そういう体制をつくっていく。そしてその場合は、あくまでも独立した一つの姿、リスクを負っていくんだというその心意気というふうなものがその対象の前提になるんだ、こんな考え方で制度設計をさせていただいたということでございます。

今村委員 ではもう簡単に言いますけれども、ここの資料に、括弧二番目の下の方に、「親元に就農する場合であっても、親の経営に従事してから五年以内に経営を継承する場合や、親の経営から独立した部門経営を行う場合は、その時点から対象とする。」ということになっているんですよ。だから、それを継承させられるか、できるかどうか、その見定める期間については全くただ働きで、あるいは親が金を出してそこまでやれということを言うんですか。

 そこはそうではなくて、私はむしろ、本当にそういう気がある、そういう親子をもっと支援すればいいじゃないかと。町のあんちゃんを連れてきて、おい、集まれと教育してやって、ああだこうだ、こうやって教育をやって、いろいろな一般の農家と関係ない人を集めてやったその定着率というのは非常に悪いわけでしょう。だからそこをもっと農家の実態に合った、本当に農家が求めている、そこにいけるように、もう少しこの要件を緩和してくださいよ。

鹿野国務大臣 ここに書いてある親と子の関係というのは、今も私が基本的な考え方を申し上げました、いわゆる町の云々という話を先生されましたけれども、基本的に新規就農の対象者というものについては人と農地プランという形で市町村にしっかりとした取り組みをしていただいて、そしてそういう中で本当に農業に人生をかける人に対してそういう手当てをする、給付をするというような考え方でございますので、半端な気持ちで私どもも取り組んでいるわけではございませんで、やはりそこにはきちっとした厳しい条件というふうなものが求められるんじゃないかな、こんな思いをいたしてのこともあるんだということだけはぜひ御理解をいただきたいと思います。

今村委員 よくもう一度、本当に心を開いて、実態はどうなんだということで見ていただきたいと思います。このままではこれは本当に失対事業でしか終わりませんよ。時間がないので次へ移ります。ひとつぜひ検討してみてください。いいですか、何か。

鹿野国務大臣 市町村で人と農地のプランというものを作成する上で、いろいろな形でいろいろな要求なり要望なり、あるいは考え方が出てくると思います。そういうふうなものも我々としても耳を立てながらきちっと受けとめていくという姿勢だけは持ち続けていきたいと思っています。

今村委員 では、もう一つの問題で、次に農地集積の問題に移ります。

 これについてはもう二十三年度からもそうですが、一つにはいわゆる規模拡大加算、そしてまた今度の予算で農地集積協力金、それぞれ百億あるいは六十五億、組まれていますね。それで、この二十三年度の規模拡大加算、これでいきますと、実は計画が十アール当たり二万円ですから、これで五万ヘクタールやるつもりだった。しかし、十一月の時点ではこれが七千ヘクタールにしかいっていない。全然進んでいないわけですよ。恐らく今もそう変わらないと思いますよ。なぜだと思いますか。

鹿野国務大臣 なかなか進んでいないという理由として、一つは農林水産省のそういういわゆる制度のあり方についてよく周知されていなかったというようなところもあると思います。

 それからもう一点は、二十四年度からは両方に対しての施策も行うということもあって、少々様子を見ていただくというふうなこともあったのかな、こんな思いもいたしているところでございますが、やはり周知していなかったというところが一番の進んでいない理由かな、こんな捉え方をさせていただいております。

今村委員 大臣、申しわけないですけれども、それは認識が違いますね。これは周知はしているんですよ。周知していたら、何のことない、利用権設定が必要だから法人化しないとだめだというような要件があるんですよ。法人化がそんなに簡単にできますか。集落営農を維持するんだって大変なんですよ。そういったことを官僚的にやって、利用権設定だから権利の主体は法人じゃないとだめという理屈をこねるからおかしくなっていると思いますよ。これが一つ。

 次に移ります。(鹿野国務大臣「今のことでいいですか」と呼ぶ)はい、どうぞ。

鹿野国務大臣 集落営農というふうなものの実態、実情というものは、非常に私らも大事にしなきゃならないということは先ほどの答弁でも申し上げたところでありますけれども、受け皿というふうな、こういういわゆる利用権設定というものを最初に受けた時点で受け手に対し助成を行うという制度でありますから、利用権設定というものをするためにやはり法人化が必要じゃないかな、こういうふうな思いがそこにはあるんだということもぜひ御理解をいただければと思っております。

今村委員 ですから言っているんですよ、そういう理屈をこねぬでくださいと。それはわかりますよ、利用権という権利を設定するのは法人格がないとだめだということは。しかし、そこが非常に問題だと言っているわけです。

 これは次の質問に関連しますけれども、今度、集積協力金は集落営農を認めるわけでしょう、これについては。例えば新たに、俺にも集積金を入れてくれと来た場合には、この協力金を認めるということですね。だから、さっきの拡大のあれとはちょっと違うわけですよ。だから、そこにもう矛盾がある、集落営農をどう見るかということについて。

 それでもう一つ、集落営農の中でのやりとりというのはだめだと言っているわけでしょう。これは何でかというと、集落営農が担い手だから担い手の中でのやりとりは認められません、それはもう集積しているじゃないかという話なんですね。そういうことは御存じですね。

 そうしますと、どういうことが起きるかというと、これは、担い手というのをどう見るかということなんですよ。いいですか。集落営農はあくまで過渡的な存在でしょう。これをやはり、今、例えば二十人でやっているなら、そのうち、高齢化の七十代、八十代のおじいちゃんたちは、もう俺はやれない、おまえらに任せるよと言って、そうしたら若い人はそれを受けて、それがずっと収れんしてくるんです。そういったプロセスを経てやっていかなきゃいけない。そういう中で、せっかくこうやって俺は任せるよと言ったのに、あなたの集落営農の中のやりとりはだめよと言ったら、やはりそれはある意味では集落営農を収れん化する促進剤にはならないじゃないですか。その辺、どうお考えですか。

鹿野国務大臣 基本的には、今後安定した形で経営規模の拡大を進めていくというふうなことを考えたときに、やはり利用権設定というものは法人化というふうな形にした方がいいな、そういう考え方から私どもとしては制度設計させていただいたわけであります。

 それから、集落営農というのは、これは何遍も言いますけれども、非常に大事なことでありますが、その集落営農というものをむしろ維持していくためにおいても、個々のそういうふうな貸し借りというものをやるよりは、やはり法人化を目指している集落にとって、進めていった方がより集落営農を守っていくというふうなことにもつながるんではないかな、こういう考え方に立つところでございます。

今村委員 大臣、何回も言いますけれども、法人化というのはそんな簡単なものじゃありませんよ。集落営農の経営だって大変なのに、法人化すれば税法から何から全部やらなきゃいけない。一体誰がやるんですか、これを。そういった認識をしてください。

 しかし、大臣が言われるように、いずれはそう持っていかなきゃいけない。だから、集落営農をずっと収れん化していけば自然と本当の担い手が、例えば二十人いる中でも二人、三人なり、あるいは一人になって法人化になっていくわけじゃないですか。だから、そういったプロセスを大事にするには、今、農地集積をやはり円滑に進めるように、具体的に言えば、集落営農の中でもこのやりとりを認めなさいよ、そういうことを私は言いたいんですよ。

 例えばこういうことなんですよ。私の地元でも一生懸命やっているところがある。ところが、この間、九州農政局長が来ていろいろ話を聞いた。九州の局長が来るから少しはいい話があるのかなと思ったら、何のことはない、答えは全く官僚的で、何だ、これでは子供の使いじゃないかと言って、みんな笑っているわけですよ。

 例えばどういうことかというと、集落営農というのは、特に、今、戸別所得補償をやり出してから求心力がなくなってきているんです。それはいつまでも続くかどうかわかりませんよ、現実問題。みんな苦労しながら、リーダーが頑張ってやっているんですよ。そのリーダーを応援するにも、やはりサポート、いろいろな仕組みをつくってやらなきゃいけない。

 いいですか。具体的に言いますけれども、例えば二十人いる中で、そこのうちの一人のおじいさんが俺はもうやめたよということで、例えば二ヘクタールぐらい持っている、そのときにそこの息子が出てきて、では、俺がやるよと。だけれども、やるけれども、俺は、もう米、麦、大豆じゃもうからないから、ハウスをおっ建ててそこでやるよというケースが出てくるんです。そうしたら、ブロックローテーションをやっていますね、そのど真ん中にハウスを建てられてやったら、集落営農はできませんよ。そういう問題がありますから、できるだけ担い手に収れんしていくような仕組みをやはり応援してやらないとだめなんですよ。

 政策目的は何なのか。担い手をずっと育成して、そしてそれをさっき言ったように将来法人化するんだなんだというのなら、そのように政策目的に沿って運用をやってくださいということなんですよ。いかがですか。

鹿野国務大臣 現地、現場というふうな声を大事にするということは、具体的にこの集約を進める上においても、先ほど申し上げた新規就農者のことを進める上においても大事なことだと思っています。そういう意味では、徹底的に話し合ってやっていただく、そして、市町村ごとに農地と人のプランというふうなものに取り組んでいただくということになります。

 例えば、先生が今申されたことについてもう一度別の視点から言うと、集落営農の中で、Aさんという人がBさんに土地を預けたというふうになってくると、すると今度Bさんは、それを預けられたから、俺、独立するよというような考え方に立つという場合もあり得るということ。そうしますと、そこから集落営農が崩れてくることもあるのではないかということも考えられることでございますので、そういう意味では、現地、現場の声というふうなものを、徹底的に話し合う中で、どういうふうな声があるかということは当然私どもも重大な関心を持って取り組んでいかなきゃならないと思っております。

今村委員 いや、これは、大臣らしくない異なことをおっしゃいますよ。今言った、AからBさんに行きますね、そういうことを通してこの集落営農が一つの法人化、担い手に固まっていくんじゃないですか。(鹿野国務大臣「逆の」と呼ぶ)いや、逆のことというのはあり得ないですよ。皆さん、集落の中で一生懸命やろうとしている人ばかりですから、こっちのものをもらったから、じゃ、こいつをもらって大きくなったから俺は出ていくぜ、それは集落営農の人をばかにする話ですよ。そんなことはありません。

 そうでなくて、基本的に、やはりどうやって土地を集約して担い手をつくっていくかという、そこのところですから、それをもうちょっとやっていかないと。何か役所に聞くと、こう言うんですよ、集落営農がもう既に担い手だから、担い手の中でのやりとりはもう認めませんと。集落営農はまだ担い手じゃないんですよ。途中経過なんです、これは。そこの認識をしっかりしてもらっていないと。

 そういうことですよ。どうですか。

鹿野国務大臣 集落営農というものは、確かにおっしゃるとおりに、理想的な形でいえば法人化等々に進んでいく一つの過程だ、こういうふうなことになるかもしれません。そういう位置づけを私どもはさせていただいています。それだけに、集落営農をしっかりと固めていくということも大事なことだというのも、先生がおっしゃるとおりです。

 でも、今私が申し上げたようなことも現実にある話なんですよね。ですから、先生がおっしゃるには、今私が申し上げたようなことはありませんよということですけれども、いろいろ、その実態、実情において、地域によっても違いますから、まさしく、人・農地プランというものを作成する中において、よく地域で話し合ってという、そういう現場の声というものを大事にしていくということの必要性を私どもは申させていただきたいと思っております。

今村委員 山形ではそういう例があるのかもしれませんけれども、佐賀ではそんなことはありませんよ。それは、そういうごく一部の例をとって言わないで、全体の流れとして、何回も言うように、とにかく将来の高齢化に向けて担い手を育成しなきゃいけない、そのための農地集積も必要だ、この大きな流れの中で、その政策目的に従っていろいろな制度をつくってくださいよ。

 そうしないと、さっき言ったように、もう具体的に言いますけれども、この百億、拡大をやったこの金を使えなかったらどうするんですか。返すんですか。あるいは、今度の六十五億も、このままでおったら、使えないで返すことになりますよ。何のことはない、この百億なり六十五億は単なる見せ金じゃないか、使えない金を出して何だと。だから、最初言った、何だ口だけじゃないかという話につながっていくんですよ。

 ちゃんと予算を使えるようにしてくださいよ、組んだのなら。

鹿野国務大臣 予算が余ったときに返す返さないの問題よりも、もっと大事なことは、実質的にこの予算という措置が執行されるようにしていく。そういう意味では、その地域地域においての現状というものを捉まえて、そしてどうやって集約化をしていくかということを実行に移していくことが大事でありますので、今後とも人・農地プランというふうなものの作成の中において、我が省としても積極的に関与をしながら、現場の声を大事にして、いかにして集約を進めていくかというところに全力を尽くしていきたいと思っています。

今村委員 とにかく、せっかくこうやって目的はいいわけですから、それに沿うことにもうちょっと柔軟に対応してください。

 具体的に言うと、今言われましたこの百億、残っちゃったらどうするんですか。今、五万ヘクタールで仮に七千ヘクタールとすると、一四%しか使っていないんですかね。あと八割近くの金、八十億はどうなるんですか。具体的に答えてください。

鹿野国務大臣 そういう実情というものの、執行されていないような状況というものは、私どもとしても一つの反省材料にしながら、二十四年度の予算措置というものがきちっとそれに使われるようにしていく。そういうふうな意味で、現場、現地の声を大事にしていきたいと思っております。

今村委員 くどいようですけれども、とにかく、せっかくのお金をしっかり生かして、貴重な国民の税金ですから、そういったことをやはり柔軟にやってください。それが本当に農家のためになるというふうに思っております。

 これで終わります。

吉田委員長 次に、伊東良孝君。

伊東委員 それでは、私は四点、きょうは時間が四十分ですので、間に合うかどうかわかりませんけれども、酪農経営問題あるいは補給金単価、さらに、豪雪被害を受けた農業施設の復旧支援、南氷洋鯨類捕獲調査、また鯨の話をちょっとさせていただきます。その後、時間があれば、日豪EPAの話に入りたいと思うところであります。

 先ほどから酪農問題、畜産問題、皆さんからお話が出ておりました。生乳の生産費が大変に上昇をしておりまして、飼料価格がこの円高にもかかわらず高どまりしている。また、軽油、灯油、農業機械、輸送車両の値上がり、こうしたものがあるために、生乳一リットル当たり、農家に言わせると三円ないし四円くらいの赤字になっているんだ、こういう話を聞くわけであります。

 この酪農というのは、畜産も同じでしょうけれども、生き物を飼う、家族労働に頼りがちな経営者が多いわけでありますけれども、農水省の統計によりますと、北海道の場合、平成二十二年の一戸当たりの農業所得は九百五万円となっておりました。これまた農業団体から言わせると、少し規模が大きいところで千二百万くらい、こうなるわけであります。

 九百万あるいは千二百万、この所得から、平均すると一戸当たり四、五百万の借金を払っているということでありますから、実質上の農業所得は四百万から七百万前後でありまして、平均二・四、五人、少し人を使っているところで二・七人くらいの規模になろうかと思いますけれども、二・五、六人で大体、年収五百万ないし、ちょっといいところでも七百万、一人当たり二百万から二百七十万ぐらい、こう言われているわけであります。多少この幅があるのは、統計のとり方が、農水省の統計のとり方と生産者団体のとり方でちょっと違うわけであります。

 お話のように、これは一日、朝三時、四時から、晩の八時、九時まで牛の世話をする。三百六十五日全く休む暇がない。この割には所得が低いなというのが正直な感想であります。

 働いている時間、では何時間ぐらいかといいますと、約三千時間。これは、農水省の統計によりますと三千二百時間ということになりますから、一般労働者が千八百時間から多くても二千時間ちょっとということを考えますと、普通の人の一・五倍も働く、それもほとんど休みなく働いているという現状にあるわけであります。

 北海道の指定生乳生産者団体、ホクレンというのが農家から生乳を集めます。受託する戸数は、平成七年、十五年前で一万百三十二戸ありました。ところが、毎年百五十件以上の離農が相次ぎ、平成二十二年、十五年たってみますと六千八百六戸でありますから、これはもう大変な数字でありまして、三千三百世帯が離農しているわけであります。さらに、この二十二年だけをとってみても、もう六千八百六戸まで減少しておりまして、この一年間で二百戸以上減っているわけであります。

 これは恐らく、二年ほど前から出てきたTPPの話、あるいは五、六年前から出ている日豪EPAの問題等々もあわせて、将来に対する不安、あるいは、若い酪農経営者が、本当に後を継いでいいんだろうか、本当に農業に多額の借金をして入っていいんだろうか、私はこう考えている結果ではないのかなという気がしてなりません。

 酪農は大きな投資を伴うものでありまして、少なくても一億、二億、少し規模が大きくなると三億、四億の投資がなされるものであります。ですから、そう簡単に、一軒の家を建てたりという話ではなくて、これは一生をかけた選択になるわけであります。相当な覚悟がなければ、自分の代で返せるなんということにはなかなかならない、こうした酪農業であろうかと思います。こうした中で、特に去年あたりは廃業が、それまでの平均百五十戸から、二百戸を超える、二百十二戸が酪農経営をおやめになっているわけであります。

 そこで、お聞きしたいのでありますけれども、大規模な酪農経営を行う北海道でさえ、この離農問題というのは相当深刻な状況であります。先ほどから、今村先生もそうでありますし、また江藤さんも民主党の今井さんもこうしたお話をされていたわけでありますけれども、酪農経営者の離農問題、特に最近ふえてきている原因について、農水大臣、どのように認識され、農水省として捉えられているか、まずお伺いをいたします。

鹿野国務大臣 今先生からのお話のとおりに、北海道におきまして、農協の調査によりますならば毎年二百戸程度が酪農経営を中止している、こういうふうなことも承知をしております。

 その中で、なぜなのかというと、酪農経営も大変だというようなことから、畑作物へのいわゆる経営転換というふうなものは約半数、こういうふうに聞いておるところでございます。そしてまた、もう一つは、やはり、第一次産業全般に言えることでありますけれども、高齢化なりあるいは後継者難というふうなものによって廃業する人が三割というようなことからいたしますと、そういう問題が根底にあるのではないかな、こういうふうな深刻な受けとめ方をさせていただいております。

伊東委員 いや、もちろん、若い人たちが農家を継がない。これは、休みがない、朝から晩まで働かなければならない、子供ができても嫁さんをもらっても、休みをとってどこか遊園地に連れていくこともできない、さまざまなこともあります。そして、医者は少ない、子供はなかなか産める環境に、小児科がない、産科がなくてできない、こうしたことも含めて、子供の教育環境などなどもあわせ、恐らく若い方々は、こんなに苦労してまで将来先行きの見えない農業につくのは嫌だとお考えの人もたくさんいるんだろうと思います。ですから、これは農水省だけの問題ではなくて、厚労省も含め文科省も含め、さまざまな問題があるのでありますけれども、それでも、そこを乗り越えて、では、我が国の基幹産業である農業、そしてまた酪農に携わりたい、頑張りたい、そういう思いを若い人たちにさせないと、これはなかなか続くものではないというふうに思います。

 先ほどから後継者対策あるいは新規就農者対策のお話が出ておりましたけれども、私は、新規就農者は、もちろん、夢と希望を持って入ってくる人には、それはきちっとした制度やあるいは手厚い補助や、いろいろなものが必要だと思います。しかし、農家の後を継ごう、そういう後継者対策にも、新規就農者と同様あるいはそれ以上の補助やあるいは後押しがなければならないというふうに私は思うんです。

 新規就業者は比較的自分で開業しやすいけれども、後継ぎは、借金も何も全部一緒になって、親の分を引きずって抱えて後継ぎしなきゃならないということも随分あるわけでありますので、どうか、この点につきましても、これまでの考え方プラス後継者対策ということについて、新たな政策、あるいは意欲を持って後継ぎできるような政策が必要だと私は思いますけれども、この点につきまして、大臣、いかがでしょうか。

鹿野国務大臣 これは大事な御指摘だと思っておりますけれども、そういう意味では、まず、今日の酪農家の人たちに対してどういう具体的な施策をさらに進めていくかというふうなことだと思っております。

 酪農家の皆様方へ飼料供給するところ、いわゆる餌センターや、あるいは子牛育成施設の整備なり、あるいは休日を確保するための酪農ヘルパー制度の推進、そして比較的規模の小さい家族経営の酪農家に対しても支援をしていくということ等々がやはり具体的な施策として当面重要な支援策ではないかな、こんな認識をいたしているところでございます。

伊東委員 先ほどの江藤先生もお話がありました。この間、私どもの地元、北海道でずっと酪農家の皆さんのお話を聞いてきました。TMRセンターをつくって、牧草管理から手を放して牛にかかりきりになれる、あるいは、高濃度な栄養価の高い飼料を食べさせることによって、乳量がそれまで年間八トンだったのが九トンを超えるようになった。しかし、一方では、そういう高濃度飼料を食べさせることによって、牛の寿命が短くなったり、あるいは病気に弱くなったりすることもあるという話もあります。牧草地で放し飼いにした方が、乳量は少なくても、牛の丈夫さ、長もちがするんだというお話も一方であったところであります。

 先ほどから言いますように、酪農経営には相当多額の投資が伴うものであります。ですから、先を見通して、日豪のEPAあるいはTPPの問題というのが頭をよぎると、これは先行き厳しいことになるのなら自分の子供や孫に継がせられないなと思ってやめてしまう、そういうこともあるわけであります。

 こうしたいわゆる廃業をした、離農した酪農経営者が所有していた装置あるいは農業機械あるいは牛舎等の施設、これらを活用することがますます重要になってくる、こう思うわけでありますが、例えば離農牧場を研修牧場や新規就農の場として活用する取り組みなど、もう少し積極的な活用を図っていけなければ、耕作放棄地が本当にあちらこちらに点在するようなことになってきておりますので、この点についての政府の取り組みをお伺いするものであります。

筒井副大臣 先生のおっしゃるとおり、離農された場合に、それらの施設を整備して別の人にその経営を継続してもらうような、そういうことに対するインセンティブ、支援をしなければならないというふうに考えておりまして、農場リース支援事業というのを今やっておりますが、それがまさに先生がおっしゃったようなものに対する支援制度でございます。

 さらには、先ほどから議題になっております新規就農者支援制度、これももちろん農業、酪農を含めてでございますから、その支援の仕組みを受けて、離農農場の方でさらに酪農経営してもらう、こういうことを目指しているところでございます。

 そして、今、先生もおっしゃいましたように、先ほど今村先生もおっしゃいましたが、農業後継者との関係でございますが、先ほど、親元の農業に就農している人も五年以内であれば対象にすると。これは五年以内というのはどういうことだというふうに言われましたが、これはそもそも新規就農者に対する支援制度なんです。既に就農している人は新規就農と言えないわけでございますが、しかし、親元で就農している場合には五年以内なら対象にするという大幅な緩和でございまして、後継者に対する大きな支援制度としてこれを打ち出しているわけでございますから、その点の御理解をいただきたい。新規就農という概念を物すごく広げているわけでございまして、その点では、柔軟な取り組みをしているものだというふうに思います。

 ただ、それにしても、今後、新規就農者の制度についても、今の農場リース支援事業についても、手続の簡素化と、それぞれの現場の実情に合わせた柔軟な取り組みをしなければならない。これは私もそう思いますので、さらにそれは強めていきたいというふうに思っております。

伊東委員 ぜひ、新規就農者同様、後継者対策にも力を入れていただきたいというふうにお願いをする次第であります。

 また、先ほどから、酪農経営は大変厳しいというお話がありました。去年の猛暑の影響を今なお引きずっているわけであります。これは経産牛の授精時期のずれが解消されていないということが一つあります。

 また、家畜改良事業団の資料によりますと、昭和六十年ころから過去二十五年ほどの分娩間隔の推移を見てみますと、年々、分娩間隔が徐々に長くなってきております。搾乳可能な乳牛の妊娠期間二百八十日に変わりがないとすれば、これは効率的な搾乳ができない期間が延びていることを意味するわけでもあります。

 このように、授精時期のずれや分娩間隔の延びによって、乳用牛の飼養頭数が減少し、生産費が上昇する傾向が続いている、こう読めるわけであります。

 近年、さらに飼料価格の高騰、高どまりが経営を圧迫しているわけでありますが、今後、為替相場、ここ最近円安にちょっと振れてきているわけでありまして、こうなると、円高のときはそんなに安くならないのに、円安になるとすぐ上がってくるのがこの手のものの話でありまして、酪農経営をさらに圧迫する、これからしていくのではないかと危惧されるわけであります。加えての、福島の原発事故による肉牛価格の低下に起因すると思われる、ぬれ子価格の低下が農業所得を押し下げているわけであります。

 こうした酪農経営の厳しい現況を認識した上で、この補給金単価あるいは限度数量というものもあわせ考えていただきたいと思うものであります。

 北海道の生乳生産量、平成二十三年度実績見込みで三百八十五万五千トンであります。本州、府県もこれは三百六十万でほぼ同量ではありますが、本州の生乳は約七割が飲用牛乳向けでありまして、一キロ当たり百円から百十円ぐらい生産収入があるわけであります。

 一方、北海道の生乳は、府県産の飲用乳の不足分を補う形で、約一キログラム二十円の輸送コストをかけて北海道から本州に送っているわけでありまして、八十円ぐらいの収入にしかならないということであります。全体の生産量の二割が北海道産飲用乳に向けられているわけであります。

 では、残り八割はどうするかというと、これは約三百二万トンであります、この中で、いわゆる加工原料乳、バターや脱脂粉乳に加工するもの、これが限度数量百八十五万トンと言われているわけでありますけれども、これに振り向けられるのが、北海道分として百三十七万三千トン、また生クリーム向けに百十一万七千トン、さらにチーズ向けに四十五万九千トン。こう需要に応じまして、北海道産の三百万トンは振り向けられるわけであります。

 近年、特に昨年、府県産では、暑さや、あるいはふん尿対策などの環境対策、さらにまた飼料の高どまり等々もございまして、府県の方でも離農者がふえているということであります。したがいまして、全国に占める北海道の生乳生産量は、三年ほど前から五割を超えるに至りました。加えての大震災の影響もあり、去年は飲用乳向けが北海道から多くなったのであります。

 その結果、では、加工原料乳の限度数量百八十五万トンでありましたけれども、これは実際は百六十五万トンの実績しか見込めませんでした。二十万トン、枠を余した。これが、十一円九十五銭掛けるわけでありますから、約二十四億くらいになろう、こう思うのであります。ことしも百八十五万トンあるいは十一円九十五銭の枠取りはされていますけれども、実際はあすの単価決定でこれがはっきりしてくるわけであります。

 また一方で、六十万トン、そして八十八億、キログラム当たり十四円六十銭つけておりましたチーズ向けのこの補給金も、実際、六十万トンのうち四十六万七千トンしかこれは消化できなかった。合わせまして二十万トンと十三万トン、これは加工乳向けとチーズ向けで三十三万トンの生乳が未消化、五十六億円の予算が未消化、不用額となったところでありました。ちょっともったいないなという声が多いわけでありますが。

 さて、あす発表になるその補給金と限度数量でありますが、昨年の実績を見るならば、特殊な例でありますから必ずしも当たっているかどうかは別として、中には、少し限度数量を下げてでも単価アップの方を優先してほしいという声も一部あります。

 しかし、百八十五万トンという数字は、将来のいわゆる夢、希望、酪農家の夢、希望につながってくるものでありまして、この限度数量を下げるということは、自分たちの仕事あるいは生産量を後々下げていくんだ、もう下がっていくんだ、減っていくんだということを酪農家がどう受けとめるかの話でありまして、非常に意欲やあるいは夢がなくなってしまう数字だ、このように言われているところでもあります。ぜひ、百八十五万トンという将来目標は維持したまま、補給金は何とか自分たちの生活が成り立つように頑張ってほしいというのが酪農家の切なる願いであります。

 私は、ここでもう一つ知恵を絞っていただいて、毎年毎年消化できない予算と量をたくさん残してもったいなかったなというのは、本当に何となくこれは申しわけないなという気も一方に酪農家に対して持ちますし、日本の国の政策としての予算の立て方としても、本当にこれでいいのかなという思いがするわけであります。これは虫のいい話に聞こえるかもしれませんけれども、営農継続を必死で図ろうとする酪農家のためにも、どうか限度数量を維持しながら、きちんとした、予算の可能な限りの補給金単価額設定をぜひお願いしたいということであります。

 具体的な話が、何ぼ何ぼが幾らだという話はできるものではありませんけれども、この補給金と限度数量についての基本的な大臣のお考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。

鹿野国務大臣 いろいろと今伊東先生から、今日の酪農の実態、事情についてお考えをお示しいただきました。

 私どもも、そういう現場、生の声というふうなものはこれからも大事にしていかなきゃならないと思っておりますが、やはり酪農経営の安定には生産コスト削減と需給の安定化が重要だ、こういうことにもなるわけでございまして、補給金は、生産コストの変動を適切に反映した単価と乳製品の必要量に見合った限度数量の設定を通じて酪農経営の安定を間接的に支援する、こういうことでございますから、二十四年度の補給金の単価及び限度数量は、食料・農業・農村政策審議会、明日開かれるわけでありますけれども、それを聞いた上、そしてまたきょうの先生方のいろいろな議論というものを踏まえて適切に決定してまいりたいと思っております。

伊東委員 この補給金と限度数量の件につきましては、ぜひよろしくお願いを申し上げる次第であります。

 次に、豪雪による農業施設の被害対策についてお伺いします。

 ことしは大変な豪雪でありまして、日本海側あるいは北海道中南部、北部にかけて大変な雪害がありました。過日、私は予算委員会分科会等々で国土交通省には質問したのでありますけれども、実は、空知地区というところ、岩見沢市あるいは美唄市、滝川市など、北海道の最大の米どころで記録的な大雪でございまして、農業施設の被害が拡大をいたしております。農機具の格納庫あるいは農業用ビニールハウスが多数損壊しておりまして、岩見沢市で実は千三百棟、美唄市でも六百棟、月形町で六百棟、幌延地区で五百棟、合わせて三千棟のハウスが損壊をいたしまして、その被害額は約二十億円に及ぶと推計をされております。

 中でも、水稲用の育苗ハウス、これから苗をつくっていくハウスがかなり、半分ぐらい被害を受けておりまして、このままでは本当に春の田植えに間に合うかどうかという心配があるわけであります。全道随一の米どころである水稲作付面積が減るおそれも出てきているわけであります。

 現地でこれを修復しようと思っても、まだ雪は一メーター五十センチも残っているわけでありまして、四月ないしは五月に入らなければ、雪解け、除雪その他ができない、建て直し修復ができないということでもございました。

 国道やその他施設であれば、国交省も相当のお話が出ておりますし、総務省も特交で措置したり、あるいは内閣府もこれに対する陳情などを受けているわけでありますけれども、農水省として、今冬の豪雪がこれらのビニールハウス、農業施設に与えた被害の状況、これは規模や金額も含めてでありますけれども、しっかり把握しているのだろうかということ。そしてまた、豪雪被害に対する、農業施設に対する復旧支援対策というのはどのようにお考えで取り組まれようとしているのか。この点、お聞かせください。

筒井副大臣 まず、被害の現状については、今先生がおっしゃいましたとおりでございますし、さらに詳しく、農水省としても、各地域ごと、市町村ごとに把握をしているところでございます。

 さらに、それに対する復旧の問題ですが、共済それから融資制度、これは詳しく説明するまでもなく、先生が御存じのとおりでございますが、それを活用していただくと同時に、低コスト耐候性ハウスについての支援制度がございます。これは、普通のビニールハウスはすぐ豪雪で潰れてしまう、鉄骨のものは物すごい丈夫でございますが大変な費用がかかる、その中間の低コスト耐候性ハウス、これを共同利用施設としてつくる場合にはそれを支援対象の事業とするということを設けておりますので、それをぜひ活用していただきたいというふうに今申し上げているところでございます。

伊東委員 いつもいつものことではありませんけれども、そうした対策をしっかりとって、米どころとしての生産量を維持する、これは大事なことだと思いますので、ぜひ農水省の積極的な支援もお願いしたいと思う次第であります。

 それでは、時間も時間でございますので、次に、南氷洋鯨類捕獲調査、鯨についてお伺いいたします。

 今般の調査期間中も、反捕鯨団体シーシェパードの活動家が、水産庁の監視船に乗り込んだり、また調査船に執拗にロープを垂れ流し、スクリューに絡ませようとしたり、あるいは発煙筒や酪酸入りの瓶を調査船団に投げ入れるなど、まさにテロ行為というような妨害活動を続けたのであります。

 今回は、水産庁の監視船を派遣し、海上保安庁の職員も制服を着て乗船していただきましたし、大変御苦労をいただいたこともありまして、調査母船は直接被害は受けなかったわけであります。しかしながら、調査船は妨害対策に追われ、捕獲調査そのものに従事できたのは、三隻の調査船のうちただ一隻であったと聞いております。

 それも、妨害を避けるため毎日移動しながらの調査であったと聞いておりまして、その結果、捕獲調査計画は、ミンククジラでプラマイ八百五十頭、ナガスクジラで五十頭の予定であるわけでありますけれども、毎年、ここまではとれないにしてもそこそこ、六百頭、七百頭はとれていたわけでありますが、今回はその計画を大きく下回る、ミンク二百六十六頭、ナガス一頭ということでありまして、昨年、途中で引き返してきたあの調査のときで百七十二頭でありますから、そう変わる数字ではなかった、こう思うわけであります。

 水産庁は、この捕獲調査は直接妨害を受けず、計画どおりの日程で調査を実施できた、このようなことを言っておりますし、乗組員に負傷はなく、船体にも大きな損傷も確認されていないなどと、淡々と、あたかも何事もなかったかのごとく、あるいは無事調査が終了したかのような発表をしているところでもありますけれども、私は、この発表は実際、こうした妨害あるいは実績からいきましても、去年と同様、引き続き重大な影響を受けたというふうに思って、怒りを禁じ得ないところであります。

 乗組員が酪酸の瓶をぶつけられたり、あるいは船体にそれが当たって飛び散ったり、これを顔面に浴びた船員もいるわけでありますし、調査母船の位置は、どこにいるかがなぜかシーシェパード側に常に正確に把握されているという事実もあり、妨害を回避するために逃げ回り、一歩間違えば重大な事故になった可能性もあるわけであります。水産庁のように、計画どおりなんという話ではないというふうに私は思います。これは甘い見方であると思いますし、調査船団は妨害対策のためにわざわざ南極海に妨害されに行ったわけではないわけであります。

 そもそも、シーシェパードのテロ的妨害活動によって、極めてこの調査が重大な影響を受けたわけであります。国際条約で認められている鯨類捕獲調査等、調査体制に決定的な支障が生じたと認識すべきであり、国の内外に妨害活動の影響と不法性というものをやはりしっかり訴えなければならない。

 今回の妨害、調査結果に対する鹿野大臣の基本的な御認識、あるいはことしと去年の受けとめ方、これについてお伺いするものであります。

筒井副大臣 計画どおりにできたというのは期間の点でございまして、その点が、去年は途中で引き返したわけでございますが、今回は計画どおり活動を続けたということを強調しているところでございます。

 去年の場合と違って、今先生がおっしゃいましたように、海上保安庁は今度は制服を着て前面に出てもらった、漁業取り締まり船も一隻出した、母船に対して直接の妨害行為はシーシェパードから受けないで済んだというふうな点が、去年と違うところでございます。しかし、確かにおっしゃるとおり、漁獲量はこちらの目標よりも非常に下回ったことは確かでございます。

 漁獲量がなぜ大幅に下回ったのか。一つは、これも今先生がおっしゃいましたが、シーシェパードに捕まらないためにいろいろな移動を繰り返した、その移動時間に大分消費をしてしまったということが一つでございますが、もう一つは、天候不順ということはございました。非常に天候不順の期間が長かったものですから、実際の捕鯨をする期間が短くなってしまったというふうなところがあったわけでございます。

 ただ、それにしても、大幅に目標量を下回った原因の一つにシーシェパードの妨害行為があることは確かでございますから、この不当性、しかもその暴力性は以前と変わらない形で、漁業取り締まり船に対してでございますが行われたわけでございますから、これはきちんと周知を図って、抗議をして、これらの行動を今後続けないような、そういう努力をしていかなければいけないというふうに考えております。

伊東委員 最近ちょっとまた、これだけではなくて、シーシェパードもなかなかうるさい団体だなと思うのは、海上だけで反対運動を行っているわけではなくて、我が国の水産会社あるいは流通業者に対して、鯨製品の製造や取り扱いをやめるよう、圧力を一生懸命かけているわけであります。大手の水産会社は、これによって鯨肉のいわゆる缶詰とかその他製品をつくらなくなりました。

 さて、大手のイオングループやあるいは通信販売業者アマゾンなどが鯨製品の販売を中止することを関係者に通告したという話があります。これは、反捕鯨団体がみずからの活動の成果であると発表をしておりまして、大手スーパー等々、あるいは海外に進出しているマルハなど大手水産会社も鯨製品の取り扱いをやめております。

 商業活動でありますから、基本的には何をどういうふうに売ろうと売るまいと自由でありますけれども、鯨肉を食べたいと思っている消費者が手軽に買えないという事態が生じているのであります。これは、販売ルートの縮小が反捕鯨団体の活動を助長していることを強力に我が国としても広報すべきであろう、このように思うものであります。

 このままで日本の伝統ある食文化が外国の反捕鯨活動によって奪われる、失われる、まことに不本意な事態であろうというふうに思うところでもあります。鯨も他の動物と同様に、資源として大事にしながら利用していくことが正しいことだと、私は何度も何度もこれまでも言ってきておりますが、政府として堂々と内外にこれはお訴えをすべきだろう、こう思いますけれども、大臣、いかがでしょう。

筒井副大臣 これも、先生のおっしゃるとおり、賛成でございます。

 ただ、今、スーパー等々が鯨肉を取り扱わないというふうな声明を出したその原因がシーシェパードによるものだということは明示しておりません。これも事情はわかるわけでございまして、その中で、シーシェパードの妨害行動を阻止するために、農水省としても、ちょっとその点で難しさはあるわけでございますが、最大限これから努力をしていきたいというふうに思っております。

伊東委員 時間も限られておりますので、最後の質問にさせていただきます。

 鯨の輸入問題、これはいろいろこれからありますので、アイスランド、ノルウエー等々からの鯨肉の輸入、安売りされているわけでありますから日本のが売れなくなる、せっかく二百六十六頭とってきても、コストが高くて、調査コストをここから捻出するということになりますとなかなか難しい場面が出てまいります。

 そこで、調査体制について再度お伺いをいたします。

 私、毎回お話しさせていただいておりますけれども、こうした妨害工作を受けながら調査活動を続ける、そして、そこで得た副産物、鯨の肉をもってして、その販売収入を次の年の調査活動費に充てる、これはもう到底成り立たない話になってきているということはこれまでも再三お話をしてきているところでもあります。

 これは、鯨類捕獲調査につきましては、国の科学的調査として明確に位置づける。具体的には、国の予算をつけて、前にも提案させていただきましたけれども、水産総合研究センターの事業としてこれを行い、副産物につきましては、これは外国からも入ってくるわけでありますし、こういう不売運動などをやっているのもいるものでありますから、需要に合わせた価格で売り、そしてまた学校給食等々を含めて鯨肉というものが日本の長い間の伝統文化、食文化の基本を昔からなしてきたんだということをしっかり子供たちを含めて国民に知らしめるべきだ、このように私は思うものであります。

 需要に合わせた価格で販売し、その収益は国庫に入れるという体制に再構築すべきだ、これは、毎回毎回、何回もお話しさせていただいておりますけれども、これだけの妨害活動がこの先も続きましょうし、あるいは十分な捕獲調査もまだできないということでありましょうから、ぜひこの点について、いよいよことしの結果を見て、大臣の御決断をいただきたいというふうに思う次第でもあります。

 所管官庁につきましては、農水省がいいのか、あるいは、産業官庁である水産庁ではなくて文部科学省あるいは環境省の所管にすべきなのか等々の議題はありましょうけれども、この点につきまして、我が国の国益をいかにしてしっかり守るかという重要な問題にもかかわりますので、この点につきまして、ぜひ毅然たる方針をお示しいただきたい、このように最後に申し上げまして、私の質問を終わります。

鹿野国務大臣 調査捕鯨の今後の実施体制につきましては、具体的な今年度の調査の実施状況あるいは鯨肉の販売動向、調査実施主体の財務状況等について分析を行った上で、調査を安定的に実施していくためにどういう体制が適切か、さまざまな選択肢について検討を進めてまいりたいと思います。

伊東委員 終わります。ありがとうございました。

吉田委員長 次に、谷公一君。

谷委員 自由民主党の谷公一でございます。

 四十分の時間をいただきました。幾つかの点について、鹿野大臣を初め関係の皆さん方に御質問をさせていただきたいと思います。

 大きく分けて四点あります。一つは、予算の全体的な話、二つは、このたびの三・一一からの水産業の復旧復興、三つは、森林・林業の三・一一とも絡む海岸防災林の話と林業公社の経営の問題、最後が福島関連でございます。

 まず、お手元に資料をお配りしているかと思います。実は、昨年の三月も同じ表を出させていただきました。

 一枚目が農林水産関係の予算。予算は政府の施策の姿をあらわしています。本当に力を入れているのは何なのか、どの程度なのか。見事なくらいに確実に農林水産関係の予算は落ちています。二十一年度、我々の自公政権のときでございましたが、一五%も落ちているところであります。ついに二十四年度は、子ども手当ではなくて、今度また児童手当に戻りますけれども、児童手当を下回る予算にすぎない、そうなってしまいました。

 中でも、公共事業関係は五〇・八%、約五一%です。驚くべき数字です。国土交通省の公共事業の関係の予算の落ち込みは、大臣を初め皆さん方が御存じかどうかあれでございますけれども、二七%です。その倍なんです、農林水産の公共事業の落ち込み。

 公共事業といいましても、基盤整備あるいは林野、水産、惨たんたるものであります。内訳をその下に、一ページに書いています。林業、水産業、泣きます。関係の皆さん方は泣いています。

 二ページ目が林野関係予算です。トータルで三割も落ちています。治山事業、これほど安全、安心ということを言われながら四二%です。かつて一千億近くあった治山事業は五百億強、六百億弱というのか、いずれにしても大幅な落ちであります。

 三ページ目が水産関係。これも激しい落ちであります。漁港海岸はもうゼロに等しくなりました。小さい漁港は必要ないという政府の姿勢が、予算には如実にあらわれていると思います。口でどんなに上手に言ってもだめです。だって、予算は、時の政権が何に力を入れるかということをそのままあらわしているわけでありますから。

 四ページ目をお開きください。

 こういう表を大臣なり筒井副大臣は見られたことがありますか。四ページ目の表を見られるのは初めてですか。まずそれをお尋ねします。(鹿野国務大臣「この表ですか」と呼ぶ)はい。

鹿野国務大臣 こうやって、数字の上では公表されていましたけれども、こういう表にしてというのは初めてでございます。

谷委員 初めてだと思います。私は内閣府に要求して、二十三年度、いわゆる一括交付金五千百二十億、これを出すために、各省庁から金を出させたんですね、出させて、実際の配分は各都道府県が自主的に決めるということで、各都道府県において配分して、配分したあれをまとめたのがこれなんです。

 これはどう見るか。農山漁村整備は予算編成のときに一千九十億しか出さなかったけれども、その五〇%増ぐらい使われていると単純に喜ぶのは大間違いです。それは、地域の実情を、声を聞いていないから。

 なぜこういうことがあったかというと、結局、先ほどの一ページから三ページまでのように、国土交通省とは比較にならないぐらい大きく落とされたんです。落とされて、現場の自治体は継続事業を切るわけにいかないでしょう、大臣。いかないんですわ。だから、本当はいろいろやりたかった。社会資本整備は何も、必要性が少ないということで国土交通省の思いより少なくなったんじゃないんですよ。そうではなくて、やらざるを得なかった。それほどきつい、減額幅の激しい予算だったからなんです。大臣、どう受けとめられますか。

鹿野国務大臣 まさにそういう意味では、今先生おっしゃるとおりに、地方、地域の自治体の要求、要望というものがどこにあるかというふうなことを示しておる一つの数字でもあるもの、こういう考え方でございます。

谷委員 いやいや、地方の要望を示している、それは、大臣、そのとおりなんです、各都道府県が決めたんですから。ただ、こうせざるを得なくなった背景についてお尋ねしたんですけれども、まあ、立場上なかなか難しいでしょうから、これ以上私は言いません。

 ただ、私がいろいろな方々に聞いてみて、何も、五千億の自由に使える金をいただいたら農林水産を最優先にしたい、そんないいものじゃないですよ。せざるを得ないというんです、継続だから。地元に説明できないでしょう。いやいや、国の予算が激減したんですわ。それで、何年もかけてやっと積み上げた圃場整備とか水路の改修とか、できないですよ、実際問題。そういう実情を厳しくまず指摘させていただいておきます。

 さて、五ページ目をお開きください。

 これも、昨年、私が、戸別所得補償制度関係予算ということで、二十二年度、二十三年度本格実施で予算は八千億を超えましたというのが、いかに間違いであるかということを指摘して整理した資料なんです。

 昨年の平成二十三年度の八千三億というのは、実は二十四年度計上分も入っている。それを除けば六千六百十二億だ。そして、なぜか、昨年、農林水産予算の概要の中に、この下段にありますいわゆるナラシの八百四十二億もの水田・畑作経営所得安定対策は全くすぽっと抜けている。抜けている。これが問題じゃないかということで、もう一度これを全部やり直していただきました。この場で指摘しました。

 ことしはさすがに、二十四年度、委員会でまた谷に言われるとかなわぬということなのか、二十七ページにやっと初めから出ました。当然です、これだけの予算があれば。しかし、ちゃっかりと予算は減らしていますけれども。

 さて、そうなると、昨年は本格実施で八千三億だと、翌年度計上分も入れて対外的には発表していた。予算はそうなんです。委員長がうなずいておられますけれども、そのとおりなんです、政府の発表は。ことしになると、なぜか予算計上額の六千九百一億しか説明していない。

 どういうことですか。なぜ二十五年度予算計上額を言わないんですか。昨年は、モデルじゃなくて本格実施だからと言って入れて、ことしは言わない。何か時々、都合のいいように数字を発表しているように思いますが。

 なぜ来年度予算計上額を含めて発表しないのかということが一つと、発表したら数字は幾らになるんですか。お答えください、お願いします。

筒井副大臣 米価変動補填部分についての御指摘だと思いますが、同じような計算でやった場合に、数字をちょっと、私、記憶から忘れてしまったものですから、ちょっと待ってください。米価変動の来年度の予算から出したら幾らになるかという質問ですね。(谷委員「それと、なぜそれも含めて発表しないのかという二つです」と呼ぶ)

 まず、なぜ発表しないのかという点に関しましては、現在、米価が去年と違いまして上昇していることから、ちょっとその成り行きがはっきりしない。この前発表したときは既に減少傾向にあることがはっきりしておりましたから、それを出したものでございまして、そういう事情の変化がございます。

 ただ、それをまた同じような計算で金額を出したら幾らになるか、ちょっと金額は忘れましたが、後ほど連絡をしたいと思います。

 失礼。所要額は七千九百九十八億円でございます。(発言する者あり)

谷委員 公明党の石田先生が計算していただきまして、一千九十七億ということですか、二十四年度分の見込みが。(筒井副大臣「一千三百九十一億円でございます」と呼ぶ)何かもう一つ数字がよくわかりません。ちょっと、どうしますかね。

 委員長、後で理事会の方にきちんとした資料をお願いいたします。

吉田委員長 はい、わかりました。理事会で検討させていただきます。

谷委員 いや、委員長、検討ではなくて、理事会に提出してくださいということです。よろしいですか。

吉田委員長 はい。

谷委員 要は、私は、本格実施のときは、我々の目から見ると、予算を計上していない翌年度分も含めて八千億と言い、そしてまた、それは米価が上がっているからとかいう理由で、そういう理由じゃなかったですよ、去年の説明は。八千三億、なぜ六千六百十二億ではなくて八千三億かという説明は。その時々で便宜的に言わないでくださいということです。そのことだけを強く指摘させていただきたいと思います。では、何かコメントがあるのでしたらどうぞ。

筒井副大臣 米価変動補填金はその時々の状況によって金額も全然違ってまいりますから、それはその時々の事情によって出すしかないわけでございます。

 もう先生も御承知のとおり、去年とことしの米価の変動部分は全く異なるわけでございますから、状況が違う、その結果、数字の出し方も違ってくるということは理解をしていただけるものと思っております。

谷委員 全然理由になっていないですよ。このことではもう副大臣はよろしいですわ。

 要は、それぞれ年度年度によって金額が違う。だって、去年は、二十四年度は一千三百九十一億だとずっと説明してきたんですよ、計上予定。それが現実には二百九十四億、それだけ下がった。そういう変動があるということは私はわかりますよ。わかりますけれども、この戸別所得補償制度関係の予算の説明をするときは、年によっては来年度の計上予定額も入れ、そして年によっては入れない、そういうことはやめていただきたい、そういう意味でございます。(筒井副大臣「委員長」と呼ぶ)いや、もう結構です。恐らく副大臣はやめるとは言わないでしょうから。その点だけはまず、委員会の場で指摘して、議事録に残させていただきますので。

 次の質問に移ります。水産業の復旧復興であります。

 水産関係の被害額は、農林水産省の公的な資料によれば一兆二千六百三十七億、こうなっています。一兆三千億弱です。

 しかし、私は前から指摘しているんですけれども、実は水産加工の大きな被害を受けたものが全く入っていないんです。民間だから入っていないのか。どうもその辺の発想が、農林水産省あるいは水産庁は漁港ばかり見ている、漁協ばかり見ている、水産加工の方の施策が大変薄いということはかねてより言われていたところでありますけれども、こういう非常時に、危機のときに大変あらわになったように思います。

 確かに施策も、水産加工業者の方が結局期待していたのは水産庁の施策ではありませんでした。中小企業庁のグループ補助金です。そのグループ補助金の半分以上は水産加工業者だったんです。ですから、それはそれとして、もっと本腰を入れて、水産加工分野について力を入れていただきたいんです。

 ただ、その前提として、水産は漁業だけじゃないですよ、加工も含めてですよと言葉では言う。言葉では言いますけれども、この一兆二千六百三十七億の中に水産加工業者の被害額は入っていますか。お答えください。

仲野大臣政務官 谷委員の御質問にお答えさせていただきたいと思います。

 谷委員が今おっしゃられました、どうしても、水産業となった場合に、どうも水産加工業施設においては……(谷委員「いや、入っているかいないか、端的に答えてください」と呼ぶ)はい。

 まず、この被害額が一兆二千六百三十七億円で、この数字の中には、民間企業が所有する水産加工施設の被害額は含まれておりません。

 したがいまして、昨年六月の段階で、全国水産加工業協同組合連合会から聞き取ったところでは、七道県における水産加工業協同組合や民間の水産加工業者が所有する水産加工施設の被害額の概数は約一千六百億円と承知をいたしております。

谷委員 お手元の資料の六ページ目は、私の方で全国水産加工業協同組合連合会の役員の皆さんにお願いして、一月末現在で送っていただいた資料です。これは箇所数だけでありまして、六ページ目の一番右の割合というのは、再建の割合という意味であります。

 さて、一千六百億ですか、今、政務官が言われたのは。そうしたら、そういう数字を入れていただければいいのと違うんですか。

 私の知る限り、やはり向こうも大変ですわ。水産加工も、どれぐらいの被害額かというのをここに積み上げるのは大変です。だから、そういう点、やはりふだんから、いろいろなおつき合いというか、そういう団体との関係がやや手薄、もっと言うと密接でない。ですから、早い段階できちっとそういうのを、きちっとというか大ざっぱでも、そして、それらも含めて、水産関係の被害が一千六百億なり七百億ということであれば、一兆五千億近いんじゃないですか、水産関係。そういうことを要望いたしておきます。

 では、一兆二千六百三十七億の被害額のうち、民間の部分は入っていない、水産加工業は入っていないということを確認させていただきました。今後とも、それらも含めた被害額というのをぜひ公表していただくように、概算でもいいんですよ。私は、政務官と思いは一緒だと思いますよ。本当に水産関係の被害がどれぐらいかというのをトータルで見ないと。漁港とかJFだけじゃなくて、トータルでぜひ見ていただきたいということを要望しておきます。

 さて、水産の復興の進捗状況であります。

 私の手元に、三月七日現在、水産庁がまとめました「東日本大震災による水産への影響と今後の対応」、こういう資料がございます。その資料を見ながら質問をさせていただくわけでありますけれども、今年度、相当の総額、幾らですか、七千五百億ほどですか。一次補正、二次補正、三次補正、二千億、二百億、五千億。約七千五百億近い予算が計上をされました。

 さて、その執行です。幾つかお尋ねします。

 漁港関係の復旧事業、一次、三次含めて二千六百億、予算は計上しています。この執行、内示はどれぐらいになりそうですか、もう年度末ですけれども。漁港の復旧、二千六百億、どれぐらい今年度末までに内示されるんですか。残りはどうするんですか。

仲野大臣政務官 ただいまの御指摘でありますけれども、漁港関係については、漁港関係等災害復旧事業及び水産基盤整備事業を措置し、漁港関係災害復旧事業では、予算額二千五百九十六億円に対して三月末で割り当て内示一千七百八十二億円の見込みであります。水産基盤整備事業につきましては予算額二百五十七億円全額を割り当て内示済みでありまして、未執行額は予算を繰り越して、四月以降も引き続き執行予定になっているところでございます。

谷委員 水産基盤整備事業は聞いていないんですけれども、答えていただきました。

 漁港について言うと、二千六百億の予算があって、今の政務官の御答弁ですと一千七百億ぐらい割り当て内示した、要は箇所づけしたということですね。そうしたら、九百億ぐらいは箇所づけもしていない、しかし水産庁で繰り越す、そういうことであろうかと思います。そういうことでよろしいですね。(仲野大臣政務官「はい、よろしいです」と呼ぶ)はい、わかりました。

 では、そうなると、なかなか思ったようには進んでいないというふうに受けとめるのか。だって、普通は、予算が二千六百億計上したら、年度末までには箇所づけはするんですよ。箇所づけできないところは不用額で落ちるんです。予算の原則というか、イロハだと思うんですけれども。

 今回は、二千六百億のうち一千七百億しか箇所づけができません。九百億は箇所づけはできないけれども繰り越す、これをどう見たらいいのか。予定よりおくれているのか、それとも予想されたことなのか。受けとめ方をお尋ねします。

仲野大臣政務官 谷委員にお答えいたします。

 工程表がございまして、拠点となる漁港について、甚大な被害のあった一部の漁港を除き、平成二十五年度末までに漁港施設等の復旧にめどをつけることとしているところでありまして、これまで、災害復旧の応急工事をフル活用し、航路等の瓦れきの撤去、水産物の陸揚げに使う岸壁や道路等の応急的なかさ上げなどを、必要とする漁港について実施してきたところであります。

 それで、平成二十三年度の第一次補正予算及び第三次補正予算においても、漁港等の復旧復興の経費として先ほど来お答えいたしております二千八百五十七億円を計上し、防波堤、岸壁等の本格復旧工事を実施するとともに、地盤沈下、これは今大変な状況になっておりますので、その対応として、漁港、背後地の水産加工用施設等の一体的なかさ上げ等に取り組んでおりますし、本年二月末時点で、ほぼ全ての漁港において水産物の陸揚げが可能となっておりまして、まだまだ不十分なところはあるかと思いますけれども、引き続き精力的に取り組んでまいりたいと思っております。

谷委員 全然答弁がすれ違っています。そんなことは聞いていません。

 一生懸命取り組んでいるのは、政務官、立場上当たり前です。取り組んでくれなきゃ困ります。関係者が泣きますから。そうではなくて、予算が二千六百億で、箇所づけが一千七百億というのは想定されていたことですか、どうですかということをお尋ねしたんですけれども、もう結構です。

 要は、私の見るところ、予想されていたと思います。ある面では予想以上におくれているということで、極めてイレギュラーですけれども、しかし、一日でも早い復興のために、でき得れば、私は二千六百億の大部分は内示をしてほしかった、それぐらいの速度で漁港の復旧に取り組んでいただきたかったということだけを、そのことをお伝えさせていただきます。だって、被害が漁港だけで八千億を超えているでしょう。一千七百億といったら、まだ二割しか箇所づけしていないということですよ。まだまだ復興への道は遠い、そのことを指摘させていただいておきます。

 もう一つ、海底の土の汚染の話をお聞きしたかったんですけれども、福田政務官と高山政務官がおられますので、次の問題に移らせていただきます。

 林業公社の問題です。

 全国三十八の公社が現在ございますけれども、累積の債務、借金は大変な額であります。約九千億であります。もちろん、この問題は、きのう、きょうの話ではなくて、以前からさまざまに問題視され、また、全国知事会を初め、関係の全国の協議会も問題視して、森林整備法人全国協議会という団体があるんですけれども、国に対して支援の強化ということも何度も要望をしてきたところであります。

 さて、今度の国会で、国有林野を一般会計化するという法案を出そうとされておりますけれども、その横並びで考えると、やはり地方、都道府県の公社についても、もっとしっかりした抜本的な強化策を講じるべきだと私は思っています。

 具体的には、例えば政策金融公庫の繰り上げ償還を思い切って農林水産省が本腰になってやるとか、できないはずはないんです。全国の自治体の高金利については、福田政務官はよく御存じですけれども、既に総務省が数年前にやったんです。やろうと思ったらできるんです。そのかわり、財務省とぎりぎりした交渉をしなきゃならないですよ。問題はそれだけの意気込みと力があるかということでありますが、そういう政策金融公庫資金の繰り上げ償還あるいは交付税措置、きょうはそのために福田総務大臣政務官に来ていただきました。

 今も特別交付税で措置していますということは知っています。ただ、極めて不十分です。政務官も知事をやられたからこの問題はよく御存じかと思いますけれども、年間四十億か五十億の特別交付税措置ですか、そういうことで、九千億の債務の大きな解消というか、道筋が見えないんじゃないですか。

 まず福田政務官に、地方財政措置の抜本的な強化にぜひ取り組んでいただくよう、福田政務官よりも、まず農林水産省から聞くのが筋でしょうかね。農林水産省、この問題についてどうですか。

筒井副大臣 繰り上げ償還については、既に交付もされて、だから、以前は三・五%以上の金利だったのが、今は二%足らずになっているというふうに聞いております。地方財政措置による交付は、今、福田政務官の方から具体的な話があるかと思います。

 そして、今度の法律でも出されておりますが、植林、造林等に対する支援はまさに農水省の担当のものでございますから、それらはこれからもさらに強化をしてやっていきたいというふうに思っております。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 谷委員は全て御承知の上での質問でございますが、林業公社の経営は、木材価格の低下とか借入金の累増、そうしたことで非常に厳しい状況にありましたので、平成二十一年度に、総務省と林野庁において、林業公社への利子補給等に対する特別交付税措置の拡充を含めた経営対策を取りまとめたところでありまして、こうした措置を活用しながら林業公社の経営改革に取り組んでいただいているところでございます。

 それでもなお、先ほど御指摘のとおり、平成二十二年度末の債務残高は、三十五都道府県、三十八公社の合計で九千億円を超えるということで、依然として厳しい環境にあるということは承知をいたしております。

 総務省といたしましては、今後とも、林野庁から林業公社の経営状況等をよくお伺いしながら、その経営安定化のため、林野庁が講ずる施策と相まって、先ほどお話がありましたような公庫の資金の繰り上げ償還などもよく相談をしながら、必要な対応を検討してまいりたい、そのように考えております。

谷委員 筒井副大臣の、何かこう、繰り上げ償還は既に終わっているかのような……(筒井副大臣「終わっているとは言っていない、一部はやっているんです」と呼ぶ)一部はやっているという話は聞いていますけれども。

 しかし、それぐらいの思い切った対応を早いうちにとらないと、この問題はずっと尾を引いて、自治体が大変ですよ。国の方も、国有林野特会を廃止して一般会計にして、そうはいっても債務は別勘定で経理するということですが、そういう流れの中から考えると、農林水産省と総務省がいま一度これをどういうふうにして解決していくのか、この債務を。それをぜひ、総務省はいわば受け身ですから、まず農林水産省としてもっと積極的に取り組んでいただきたい、そういう思いでございますけれども、鹿野大臣、どうでしょうか。

鹿野国務大臣 今の先生からの御指摘は、二十一年の六月に取りまとめた林業公社の経営対策等に関する検討会報告に基づきまして、解散手続を進める公社がある一方、経営立て直しに向けた取り組みを進めている公社もあるなど、それぞれの実態に応じた対応が行われているところでございまして、そういうことを私どもといたしましても注視しながら、必要な支援は継続するとともに、森林管理・環境保全直接支払い制度などによりまして支援を行ってまいりたい、こんなふうに考えておるところでございます。

谷委員 何かもう一つ意気込みを感じられない答弁で、残念でありました。

 私は、早目早目にこの問題はやはり思い切って政治が、文字どおり政治主導でやらないと、ボディーブローのように自治体の財政にも響きますし、ぜひもう少し踏み込んだ前向きな対応を求めたいと思います。

 時間も少なくなってまいりました。ちょっと福島関連に飛びます。

 三月末で政府は、避難指示解除準備区域、居住制限区域、帰還困難区域、こういうふうに新たな三区分を決めようということであります。一部に四月にずれるんじゃないかという声もありますけれども、政府は三月末と言っているようであります。

 さて、居住制限区域からまず除染をする、そして避難指示解除準備区域がその次という順序だと環境省の方からお聞きしています。そうなると、高山環境大臣政務官、森林の除染というのはやるんですか、森林の山は。福島県の県土の七割、約一万平方キロですか。百キロ掛ける百キロが一万平方キロですからね、それが森林です。本当に行うのか。世界的にも例がないと思います。チェルノブイリもやっていません。余りにも事業費がかさんで、また膨大な汚染された土が出ます。費用負担の問題も、東電等いろいろございます。

 森林の除染はどうするのか、政府としての考えをお尋ねします。

高山大臣政務官 谷委員にお答えいたします。

 今回、除染に関しましては、昨年の八月に議員立法でつくっていただきました特措法に基づきまして去年の十一月十一日に基本方針が出ておりまして、この基本方針に基づいて今除染は進められております。

 この中では、まず人の健康の保護の観点から必要である地域を優先的に除染するということにしておりまして、森林につきましては、住居等の近隣における除染を最優先に行うものとしております。具体的には、住居等近隣から二十メーターの森林の除染を行うようにということで、現在計画を進めております。

谷委員 全然、そういうことはわかっているんです、そんなことは。公表されているんですから。

 では、住居から二十メートル以上の森林はやらない、そう理解していいんですか。

高山大臣政務官 今、谷委員の御指摘は、二十メーター以上のところをどうするかということだと思うんですが、当面の除染計画には入っておりませんが、現在、農林水産省とも技術的に協力をいたしまして、その技術的ないろいろな検討が出てきたら、また見直しも含めて今考えているところですが、当面は二十メーター以内のところまでの除染を今の除染の計画としております。

谷委員 当面は当面はということで、すぐ逃げます。そういうことが住民の方に無用な不安を与えています。はっきりしないから、考え方が。

 実証実験を農林水産省とやっている。では、実証実験で得られて判断するときに、何がポイントなんですか。政務官、それぐらいはあるでしょう、国として。何もないんですか、考え方は。私が言うのは、できないことをできるかのように幻想を振りまいてはいけないということです。答弁を求めます。

高山大臣政務官 谷委員御指摘のとおり、森林の除染が非常に困難であるということは我々も認識をしております。

 ただ、この実証実験の結果を得まして、こういう方法をとれば効果的だということがだんだん今わかってきている部分も、もちろんこれは森林以外の除染でもございますので、そういった知見を取り入れて、基本方針の改定をしたり、除染計画そのものを見直していくということを今後考えていきたいと思っております。

谷委員 答弁ありがとうございます。何かよくわかりませんでした。

 結局、福島の方は、国はどういう考えなのかな、政府はどういう考えなのかと。実証実験をやっているから、その結果を踏まえてということで、いつまでも問題先送りはだめだと思います。いつまでに決めるとか、そういうめどを政府として、国としてしっかり決めていただくような腹づもりというのを持っていただきたいと思います。いつまでもこんなにだらだらと先送りしていいことはないと思いますので、そのことを指摘させていただきます。

 最後に、海岸防災林のことを一つだけ大臣にお尋ねします。

 この三・一一により、百四十キロの海岸防災林が被災をしたということであります。一説によれば、一千四百億ぐらいかかるのではないかという説もあります。これをどう再生するかということは、林野庁の検討会報告も私も読ませていただきましたが、取り組みが十年をめどに完了するというふうに、何か非常にちまちましているといいますか、もっと大きな国家プロジェクトとして、長いスパンで、例えば三十年、四十年かけて東北の海岸防災林も再生するんだ、平成の松原をつくるんだとか、そういう大きなスケールでぜひ取り組んでいただきたいと思います。

 大臣の決意をお尋ねします。

鹿野国務大臣 大震災によるところの海岸防災林の被害がかつてない規模であるということから、その復旧、再生に向けて、学識経験者から成る検討会を設置して、本年の一月に技術的な方針について取りまとめいたしたところでございます。

 この中で、特に、林帯幅を確保することや、樹木の根の健全な成長のために盛り土を実施することが津波対策として有効であるという旨の提言がされました。

 そういう意味で、検討会の結果を踏まえて、復興基本方針を踏まえつつ、樹木の根の生育基盤をおおむね五年で、その後の植栽をおおむね十年で行うということを目指しているところでございます。

谷委員 ぜひ、積極的な国家プロジェクトとしての、大きな、長い視点での取り組みを期待いたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

吉田委員長 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。

 鹿野大臣、先週は大変だったと思います。お元気で復活されたと思いますけれども、どうぞ頑張っていただきたいと思います。しかし、どうも答弁をお聞きしていると、いま一つ声に力がないかなと思ったりもしますので、そういう点も踏まえて、ぜひお体に気をつけていただきたいと思います。

 時間も短いわけですから、順次御質問をいたします。

 一つは、畜産のマルキンの問題でありますが、これは今、震災そして放射能の影響で毎月払いをしていただいていると思います。私も先日、愛媛県の西予市の肥育農家の方とお話しする機会がありましたが、これを毎月ぜひ続けてほしいと。いつまでもということではありませんが、当面、三月で切るとか、そういうことではなくて、毎月払いを継続してほしい、こういう強い要望もいただきました。この点について、要望も含めての質問になりますけれども、どのようにお考えか、御答弁をお願いします。

仲野大臣政務官 マルキンの毎月払いについての御質問でありますけれども、本事業の毎月払いについては、汚染稲わらの給与による牛肉の出荷制限や枝肉価格の下落に対応し、緊急的な特例措置として、昨年七月から実施しているところであります。

 平成二十四年度については、原則、四半期ごとの支払いに戻すことが基本と考えているところではありますが、引き続き、牛枝肉価格の動向等を注視して考えてまいりたいと思います。

    〔委員長退席、佐々木(隆)委員長代理着席〕

石田(祝)委員 まだ原発の影響も当然残っているわけですから、そういうものが終わって、その上さらに枝肉の価格の動向を見てということならわかるんですけれども、まだ影響が残っているわけですから、それを年度が来たからもとに戻しますということは政治の判断としてはいかがなものか、私はこのように思いますので、この点ぜひ御検討をお願いいたしたい。

 いいお答えが出るんだったら、もう一度答えていただきますが、いかがでしょうか。

仲野大臣政務官 石田委員の御懸念は私どもといたしましても十分認識をさせていただいておりますので、生産者の声だとかさまざまな団体の声に耳を傾けながら、しっかりと見きわめていきたいと思っております。

石田(祝)委員 では、その点はよろしくお願いします。

 続きまして、これは急な質問ということで恐縮でありますけれども、新潟県の上越市板倉区国川地区ですか、ここの地すべりの件でちょっとお伺いをいたしたいんです。

 全体的にはここは国土交通省が今いろいろとやっていただいているようでありますけれども、ここのところに、上江用水、約二千三百ヘクタールに影響が出てくる、こういうことでございます。ここの上江幹線用水路は、結局、今回の地すべりで寸断をされている。ですから、そこから下流の水について非常に大きな影響が出てくる、こういうことが心配をされております。きょうはもう三月の二十一日。どうもお聞きをすると、四月の二十五日ぐらいに代かきもやって、水が必要だと。

 これをどういうふうにするか。これは大臣でもいいんですけれども、筒井副大臣の地元ということですから、筒井副大臣にお答えをいただきましょうか。

筒井副大臣 先生のおっしゃるとおり、上江用水が、二千三百ヘクタールの水田に水を供給している幹線水路でございますが、そこが土砂で被害を受けました。土砂で被害を受ける前に、中に管を設置して、管を通す作業をやったわけでございますが、管自体が潰れてしまいまして、ですから今は、その用水に水が流入することを、上流において排水をしているという状況でございます。

 この復旧の方法としては、被害を受けた場所とは別な形での迂回路をつくってその水を流すというふうなことも今検討しているところでございまして、これも先生がおっしゃるとおり、四月二十五日から通常ですと水を流して代かき等に入るわけでございますが、今のところ豪雪等々で作付もちょっとおくれそうだということで、五日や六日あるいは一週間ぐらいのおくれならば何とかそんなに大きな影響がなく作付ができるかなと思っているところでございますので、今は何とかそれに間に合うように、土砂自体も今動いていますから、その土砂の動きをとめることと並行しながらそういう復旧作業の検討もやっている、こういう状況でございます。

石田(祝)委員 農業者の方は固唾をのんで、どうなるか心配していると思います。ですから、これは国交省も全力でやっていると思いますけれども、ある意味でいえば、ここまでは絶対来ないだろうというところを管を通すとか、そういうことを考えて、とまるのを待っていて、どこから工事しましょうかというのではなくて、もう絶対大丈夫だよという地点まで迂回をさせて通水ができるように、ぜひ取り組みをしていただきたい。

筒井副大臣 それも先生おっしゃるとおりで、とまってから工事では遅いですから、今、先ほど申し上げましたように、とめる作業と同時に並行しながらそれもやっているところでございます。

 そして、国交省ももちろん常時そちらの方に詰めておりますが、農水省の本省から農村振興局の職員、それから北陸農政局の職員、これらが常時そこに詰めて対策をとっているところでございます。

石田(祝)委員 では、この点よろしくお願いをいたしたいと思います。

 それでは、きょうは私は、大臣の所信に対する質疑をさせていただきたいと思います。同僚議員が畜産、酪農についてはまたお聞きをするようになっております。

 大臣の所信を先日拝聴いたしまして、お聞きをいたしますが、大臣の主要な農林水産政策、まず第一に震災からの復興、これは私は当然だと思うんですね。これはイの一番に主要政策として掲げていただいておりますから、まずお聞きをしたいと思います。私は何度も予算の執行状況等について今までもお聞きをしてまいりましたが、一次から三次までの補正予算、これの農林水産省分の執行状況をまず簡単にお示しいただきたいと思います。

仲野大臣政務官 平成二十三年度補正予算の二月末現在の国からの支出済み額の予算額に対する割合は、一次補正で三五%、二次補正で三%、三次補正で九%、補正予算全体で一六%になっております。

 現場においては、国からの支出に先立ち事業を実施しているほか、補助金などの交付決定前に事業を実施しているものもあることから、支出済み額の実績以上に事業は進展しているものと思っております。

 また、被災地の迅速かつ円滑な復旧復興を図るため、被災地で施工される公共工事については、工事代金の前払い割合を契約金額の四割から五割に引き上げる特例措置により、少しでも早く現場に資金が届くように今努めているところであります。

 現在、既に着手している事業の年度内実施分等に対する支出を、請求のあったものから順次進めており、また、公共事業や施設整備などの事業については、予算を次年度に繰り越した上で、引き続き執行する予定であります。

 先ほど来から申し上げておりますように、一日も早い被災地の復興を目指して、復興予算を円滑に、また石田委員の御指摘、御意見等を踏まえながら、しっかりやってまいりたいと思っております。

石田(祝)委員 一次から三次までの補正をやったわけですが、私がいただいた資料をちょっと申し上げますと、一次補正、昨年の五月二日に成立をしました。予算額が三千八百十七億、そして支出済み額が千三百五十二億、これは執行率三五%。二次補正は七月二十五日に成立をしました。予算額二百七億、支出済み額が六億円。三次補正、十一月二十一日に成立、予算額が一兆一千二百六十五億円、支出済み額は一千四十億。一次から三次まで合計で、予算額一兆五千二百八十九億円、支出済み額二千三百九十八億円、一六%の支出済み、こういうことであります。

 それで、私はまた個々の事業についてもこの後お伺いをいたしたいと思いますけれども、大臣、執行状況を数字で政務官からもお示しいただきましたし、私がさらに再度申し上げたわけでありますけれども、この進捗状況というのは大臣から見て順調なのか。

 私はこの後ちょっと質問もさらにいたしますけれども、率直な、復興に全力を挙げる、まず第一が復興だ、こういうお気持ちはよくわかるんですが、現実にお金がおりていないんじゃないのか、現地に行っていないんじゃないか。この数字であらわれているわけですが、大臣、どのように御感想をお持ちですか。

    〔佐々木(隆)委員長代理退席、委員長着席〕

鹿野国務大臣 率直に申し上げまして、この実施率が一六%というようなこと、この数字があらわれていることからいたしますと、実質的にはおくれておるなというのは率直なる思いがいたします。

 そういう中で、それぞれの地域においてもばらつきがあるようなところもございまして、マッチングがうまくいったところは早く執行がなされておるというところもございますので、私どもとしては、石田先生から何回かにわたりましてこの執行状況というふうなものについての督励を受ける、そういう励ましの御質疑もいただいておるわけでありまして、そのたびごとに私自身も事務方にも指示し、また私自身も現地に行ったときもいろいろと話し合いをさせていただいておるところでございますけれども、率直なところ、この数字からいたしますと、おくれているというふうな、そういう状況であるということは否めないところがあるのかな、こんな思いであります。

石田(祝)委員 先ほど申し上げましたように、一次補正というのは去年の五月の二日に成立しているんですね。私たちも、野党の立場でありますけれども、この補正予算には賛成をして、早く執行すべきだ、こういうことで協力もしてきたわけでありますが、五月の二日に成立した予算が、執行済み、いわゆる支出済みがまだ三五%なんですね。三分の一しか使われていない。

 今は何月ですか。もう三月の半ばを過ぎていますよ。もう十カ月以上たっている。復興予算である、急いでいる。政策的に我々が反対するわけでは当然ないわけで、予算が成立した後は、いわゆる行政府の執行の問題なんですね。

 ですから、私は大臣にも共同漁船の問題で何度か、おくれているではないですか、おくれているというのは何か問題があるんじゃないのか、例えば手続が煩雑であるとか、そういう問題があるんじゃないですか、こういうことを、一つの事業の執行状況を何度にわたり質問しまして、私も、ある意味で言えば失礼でありますが、督励と言ったら失礼でありますけれども、熱心にやっていただいているのはわかるけれども現場ではお金が来ない、こういうお話があるわけですから、質問を通して申し上げてまいりました。当然、我々が直接執行するわけにいきませんから、これは行政でしっかりやっていただかなきゃいけないと、こういう数字をお示ししてやってきたつもりであります。

 またさらに、二次補正が七月の二十五日に成立しているんだけれども、執行率が三%というんですね。これはどういうことでしょうか。三十三分の一ですよ。七月二十五日ですから、これだってもう八カ月過ぎているわけですね。三%の執行で、これは政務三役はそれでよろしいんですか。せっかく予算が成立しているのに、実際お金が出ていっているのが三%だというんですね。これは極端に言えば、仕事が進んでいないか、ただ働きさせているか、どっちかですよ。仕事が進んでいるんだったら、お金を払っていない、ただ働きさせているわけですね。そうじゃなかったら、仕事が進んでいない、こういうことでしょう。

 当然、これは必要な経費だから出してきているわけですよね。こういう仕事をやらなきゃいけない、それで出してきている割には、この執行については、私はいささか、農林水産省の執行体制がどうであるのか、こういうことにどうも行き着かざるを得ない、こういうふうに思います。

 それで、あと、さらにお聞きをいたしますと、こればかりやっていると時間がなくなるんですけれども、実は、きょうは復興庁は呼んでおりませんが、復興庁は二月の二十二日付で、各省から、予算の執行状況、こういうものを私のところにもペーパーで持ってまいりまして、これも数字が非常に違うんですね。持ってきた数字が、農林水産省分、予算額一兆四千八十二億円、執行額六千二百四十四億円、執行率四四・三%。こういう数字を復興庁は取りまとめて、私は復興特の理事もしておりますから、持ってまいりました。だから、全然数字が違うんですよ。

 執行ということは、普通、私たちが想像する執行というのは、いわゆる支出された、それが使われたという意味で、私は当然それが正しいと思いますけれども、どうもそうじゃない。この乖離は一体どうなっているのか。これは農林水産省が報告をしたということで復興庁が上げてきている数字ですから、この数字と、一六%、四四%の違い、一体これは何なんですか。

仲野大臣政務官 平成二十四年一月三十一日現在で、執行率が農林水産省にかかわっては四四・三%ということであります。これは日付がちょっと違って……(石田(祝)委員「そんなことないよ、後の方が少ないということはないでしょうが。後の方の執行率が一六%なんだから、それはどこかが間違っているんですよ」と呼ぶ)ちょっと待ってください。(石田(祝)委員「ちゃんと通告もしているんだから、ちゃんと答えてくださいよ。何を後ろでごちゃごちゃ言っているんですか。ちゃんと委員会の前に言っておかなきゃ。先週の金曜日にもう言っているんだよ」と呼ぶ)

吉田委員長 石田君。

石田(祝)委員 もう先週の金曜日に言っているんですよ、このことは。それで、さらに月曜日にも重ねて、丁寧にやっているんですよ。何でこんなに時間がかかっているの。

吉田委員長 ちょっと速記とめて。

    〔速記中止〕

吉田委員長 速記を起こして。

 仲野政務官。

仲野大臣政務官 大変申しわけありません。

 内示額で六〇%でありまして、支出済みが一六%であります。

石田(祝)委員 この復興庁に報告をした数字、これが執行されていないということが朝日新聞で出たものだから、慌てて取りまとめたと思いますけれども、そこで予算額と執行額と書くから、ちゃんとやられているなというふうに思うけれども、実際は金は出ていっていないんですよ。そういうことを私は言っているわけです。

 世間では、執行したといったら、ああ、使ったねということなんですよ。お金が現地に落ちたね、ちゃんと払われているねと。そこのところをいわゆるごまかして、誤解をあえてするような数字になっているんですよ。だから、それを言っているわけです。

 大臣が、とにかく第一が震災からの復興と書いているから、当然だと私は思いますよ。我々は協力しているわけで、全然足を引っ張っているわけじゃないんですから。そこのところを、どうしてこんなことになっているのかというのを申し上げております。

 それで、さらにおかしいことは、要するに、私がいただいたペーパーは、二十四年二月末、ここで予算額が一兆五千二百八十九億の数字なんですよ。これを見たら、予算額は一兆四千億じゃないですか。何でこんなに違うんですか、同じ役所から出てきたペーパーで。

 予算額だから、もう終わっている話ですから、一次から三次はもう成立しているわけですから、こんなに千二百億も変わったらおかしいですよ。この辺も全部数字が違うんですよ。

 この復興庁に出した数字、私がもらった数字、それから先ほど、さらにこれから言おうと思っていますけれども、さっき谷先生にお答えをされた数字、これは全部違っています、もらったものと。

 ですから、委員長、これはもうちょっと精査して、ちゃんとしたものをしっかりお出しいただかないと。これは、大臣がまず第一とおっしゃっている割には、それを支える体制がなっていないんじゃないか。

 ぜひこれは理事会でお示しをいただくように、委員長、お取り計らいをお願いしたいと思います。

吉田委員長 はい、わかりました。

石田(祝)委員 私はこれだけやるつもりじゃなかったんですが、余りにも数字が違っているので申し上げますと、さっき谷さんの質問のときに、約二千八百億ですか、九百億ですか、何か予算をやっているけれども、はっきり申し上げて、その執行の数字も、私がいただいた数字とは違っていますよ。だから、どこでどういうふうに数字がああなっているか、これはお答えいただけるということですから、お答えをいただきたいというふうに思います。

 それで、水産庁の関係の共同利用漁船等復旧支援対策事業について、先ほどの全体の話も当然あるんですけれども、これは事業として私も何回かお聞きをしてまいりました。これは、特に漁業の関係の方が、船があれば魚がいるということで、共同利用漁船の復旧支援事業、これで予算額が一次補正で二百七十四億、三次補正で百十三億、こういう予算を組んでおります。

 それで、私が驚いたのは、宮城県は支出額がゼロですよ、今。十カ月たって、一円も宮城県には支出されておりません。宮城の知事は、漁業権の問題とか、我々とちょっと考え方が若干違うところもありましたけれども、それにしても、三月十四日現在で、この共同利用漁船、宮城県に対しては支出額はゼロ、こういうことであります。

 大臣、ゼロということは、一円も出されていないということですよね。これは一体どういうことでしょうか。御説明をお願いします。

鹿野国務大臣 まさに今先生おっしゃるとおりに、宮城県においてはゼロということでございまして、そういう実態、実情というふうなものが、なぜこういうことになっているのかということを、引き続き、各都道府県におきまして、いわゆる請求事務等々を進めるに当たっていろいろな問題点があるのかどうかというふうなことに対して十分相談に乗りながら、なぜこういうふうな状況にあるかというふうなことをしっかりと捉まえて対処していかなきゃならない、こういうふうに思っているところでございます。

石田(祝)委員 大臣、私、非常に残念なのは、私はこの事業を、去年の夏ぐらいからずっと、もう今度で三回目ぐらいだと思うんですよ。

 これはなぜかといいますと、我々は野党の立場ですけれども、法律、復興基本法を初め、復興特区、復興庁設置法、二重ローンの問題、あらゆる問題で、私たちはみずからも提案をしつつ、そして、いいものをつくっていかなきゃいけないということで、法律にも我々なりに努力をしました。

 また、予算も、一次から四次まで、私たち公明党も全て賛成をいたしております。賛成した後は、行政府がどう執行するかということですから、私は、現地の声も聞いて、やはりその執行が適正に迅速にされているかどうか、これは私たち野党がしっかりと見ていく必要がある、こういうことで何度か大臣にも申し上げてまいりました。

 しかし、残念ながら、大臣、いまだにゼロなんということで私のところに資料が上がってきております。余り後ろでごちょごちょ言わない方がいいよ、もうすぐ時間は終わるんだから。そういうことですから、これはぜひ、私、そのときに、前にも申し上げたんですけれども、ゼロということは、サボっているとは思いません。しかし、数字が物語っているわけですから、手続が煩雑過ぎるんじゃないかとか、ほかの問題があるんじゃないですかということも私は申し上げたはずであります。

 そういうものも含めて、震災からの復興が第一、この大臣の御決意をしっかりとやっていただくために、最後に御答弁をお願いします。

鹿野国務大臣 何遍かにわたりまして先生から御指摘をいただいてまいりましたが、この共同利用漁船等復旧支援対策事業の執行状況につきましては、三月十四日現在でございますけれども、宮城県におきましては八十五億の交付決定額が行われておりますが、まだ、支出額につきましては、現在二億円の決裁中ということでございまして、ゼロということでございます。

 そういう状況を踏まえたときに、なぜこの請求がおくれているのか等々、本当に現場の声というふうなものについて、何回かにわたりまして私も督励をいたしてきたところでございますけれども、こういう状況というふうなものをさらに踏まえる中で、事務方に対しましても、また政務三役としても、県当局とも連携をとりながら、執行状況というものがさらにスピードアップされるようにしていきたいと思っております。

石田(祝)委員 最後に申し上げたいと思いますが、大臣が熱心にやっていただいたことは私も否定いたしませんが、これだけのことが十カ月たってそういう状況であるということは、今回の予算執行、またそういうものについて構造的に問題があるのではないか。このことを最後に申し上げて、終わりたいと思います。

吉田委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 公明党の稲津久でございます。

 通告に従いまして、以下、順次質問をさせていただきたいと思います。

 さきの予算委員会の分科会でも、TPPに関連して、特に酪農の経営改善ということで質問させていただきました。きょうは、酪農の補給金単価等を含めて、酪農、畜産経営について具体的に議論させていただきたいと思っておりますが、既に質問された方々と一部重複すると思いますけれども、そこは確認の意味も含めてということでお許しをいただきたいと思います。

 質問に入ります前に、先ほど伊東委員からも質問、指摘がありましたけれども、ことしの豪雪の被害というのは、全国各地が大変な状況ということを私も認識しております。とりわけ、私の住んでおります北海道の空知管内が観測史上最高の積雪、降雪ということで、大変甚大な農業被害等が発生しました。ビニールハウス等についても三千棟が倒壊ということで、私も各自治体の首長さんからもさまざま、そして厳しい状況について要望等をいただいております。

 この管内は、米が年間三十万トン生産されるという、日本の中でも今や米の一大生産地と言っても過言でないと思いますけれども、そこに、この春の作付等々、非常にいろいろな問題点がこれから出てくるかなと思っていますが、いずれにしても、先ほどの御答弁の中でも共同利用施設の話もございました、ぜひそうした点にしっかり取り組んでいただきたいということを、まず私の方からも要望させていただきます。

 そこで、これから質問に入ってまいりますけれども、酪農、畜産の農業経営について、これも御指摘のとおりですけれども、大変厳しい経営環境にあるということは言うまでもございません。生産コストの高どまり、それから乳価の問題、あるいはぬれ子、肉の卸売価格も低下している、さらに昨年の東日本の大震災、それから福島の東電の事故のこと、さらにTPP参加の不安と、まさに四重、五重と言っていいほどの、酪農、畜産経営者の方々にとっては、そういった苦悩の中、経営ははっきり申し上げて大変危機的な状況に来ているのではないか、このように言っても過言でないと思います。

 その上で順次質問させていただきますけれども、まず第一番目の質問は、福島の東電の第一原発の事故との関連からということで、放射性物質の暫定規制値の見直し対策ということについてお伺いさせていただきたいと思います。

 四月から新たな規制値、牛乳は四月からで、牛肉については九月の末まで暫定措置をとられるということでございますけれども、これが適用される。一部いろいろな声をいただいているんですけれども、検査に必要な体制が十分整備されているのか、そういう懸念の声。それから、基準値を超えた農産物が生産されないための支援策、さらに除染の実施の支援策、こういったものが具体的にどうなっているのかということについて、きょうは厚労省からも政府参考人に来ていただいておりますので、含めて御答弁いただきたいと思います。まず厚労省さんから。

三浦政府参考人 各地方自治体におけます食品中の放射性物質の検査体制につきまして、昨年末に、食品衛生法に基づく検査を担当している各自治体の衛生部局に対しましてその内容を照会した結果では、食品専用でないというものも含めまして、ゲルマニウム半導体検出器が百四十一台、簡易測定器が百七十一台設置されておりまして、この三月十九日現在では、約十二万七千件の検査が行われております。

 厚生労働省といたしましては、地方自治体が行う検査につきまして、これまでもさまざまな支援を行ってきたところでございますけれども、新しい検査値の施行後も検査が円滑に実施できますよう、スクリーニング検査法や検査計画のガイドラインを見直しました。また、厚生労働省として、新たにゲルマニウム半導体検出器や簡易測定機器の導入費用を助成するなど、支援を強化しているところでございます。

 現在、新基準値の施行に向けまして、新たな検査計画のガイドラインに基づいて、各自治体で検査計画の策定を行っているところでございます。

 引き続き、地方自治体のニーズを十分に把握しつつ、関係省庁と連携して、必要な検査体制の整備の支援にきめ細かく対応していきたいと考えております。

今井政府参考人 食品の暫定規制値の見直しと畜産物生産の御質問にお答えいたします。

 食品の新たな基準値を超えない畜産物を生産するためには、それに対応しました飼料に早く切りかえることが重要であります。

 このため、農林水産省といたしましては、食品の新たな基準値の施行を待たずに、二月三日の時点で、牛の餌の暫定許容値を三百ベクレルから百ベクレルに改定いたしました。

 そして、その改定の内容につきましては、県に対する説明会はもちろんのことですけれども、市町村、農協あるいは普及センター、さらには飼料の団体ですとか獣医師会等、あらゆるルートを使って、できる限り広範に周知徹底を図ってきているところでございます。

 また、新たな暫定許容値を下回る粗飼料の円滑な供給のためには、基準の見直しによりまして使えなくなる飼料の代替飼料の確保に向けた取り組みも重要でございますので、輸入業者への協力要請ですとか、国内におけます余剰飼料のあっせん等の支援のほか、利用できなくなった飼料につきましては、環境省とも連携をして、焼却等による処分を推進しているところでございます。

 さらに、牧草地などでの除染対策の推進を図ることですとか、東京電力に対します賠償金の迅速な支払いの要請ですとか、各般の対策につきまして、関係省庁、県、関連機関とも連携しまして一生懸命今取り組んでいるところでございます。

稲津委員 新たな規制値の導入ということで、相当不安の声が寄せられていまして、私が今質問させていただいた趣旨というのは、ある意味で、この規制値を新たに設定するということについて、いろいろな体制がちゃんと整えられていないと、そこからまた新たな風評被害が生まれてくる可能性がある。そういうことで、ただいま御答弁いただきましたけれども、いずれにしても、万全の体制で臨んでいただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 次は、原発の風評被害への賠償金の支払いとマルキンについて触れておきたいと思うんです。

 農家に対する出荷制限、風評被害、これは、東電の賠償金の支払いが適切に行われたかどうかが一番大事なことですので、当然ですけれども、徹底した対策を講じるべきと思っております。まずそのことについて所見を伺いたい。

 それから、先ほど石田議員からも話がありましたけれども、損害賠償が支払われるまでの間の、畜産農家への資金繰りとしてのマルキン、この月払いを延長すべきということで、先ほどこれは御答弁いただきましたので、ぜひそういう形で進めていただきたいと思います。基本的なことですけれども、現状、畜産農家を取り巻く経営状況から考えたときに、マルキン事業の拡充というのはやはり必須のものであろう、私はこう思っています。このマルキン事業について、基本的な認識についてどうお考えか。

 この二点、お伺いしたいと思います。

佐藤政府参考人 稲津先生の、損害賠償金の関係の御質問にお答えいたします。

 東京電力からの賠償金のお支払いにつきましては、関係県あるいは関係団体の方から当方の方で聞き取りにより把握していますところによりますと、農業関係では、三月一日現在でございますが、約千六百六十三億円の損害賠償請求がなされておりまして、そのうち請求額の六四%に当たります千六十二億円の支払いが行われているという状況でございます。

 私どもといたしましては、被害者の早期救済の観点から、関係県あるいは関係団体そして東京電力に集まっていただきまして、連絡会議といったものを八回開催するといったようなことをいたしまして、できるだけ早く東京電力から賠償金の早期支払いがなされるよう求めてきているところでございまして、今後とも引き続き取り組んでいく所存でございます。

今井政府参考人 新マルキン事業につきまして御答弁させていただきます。

 新マルキン事業の毎月払いにつきましては、汚染稲わらの給与による牛肉の出荷制限ですとか枝肉価格の低落、そういう状況に対応いたしまして、農家の資金繰りの役に立つ対策として、昨年七月から毎月払いを実施しているところでございます。

 この一―三月につきましても、出荷制限となりました四県を中心に、枝肉価格が回復していない一方で、生産者の方から、東電からの賠償が軌道に乗らずに資金繰りが厳しいという声が強く寄せられていることも踏まえまして、毎月払いを実施することとしたところでございます。

稲津委員 済みません、ちょっとこれは大臣にぜひとも確認の意味でお伺いさせていただきたいと思うんですけれども、今私が申し上げたような状況を踏まえて、このマルキンの拡充に向けて、基本的に現段階での大臣のお考えがあったらお聞かせいただきたいと思うんです。

鹿野国務大臣 今、今井局長から御答弁させていただきましたけれども、いわゆる一つの、なかなか価格が回復していないことから毎月払いというものを実施するというふうなことにしたわけでありますけれども、今後のそういう価格の動向というふうなものを注視しながら対処していかなきゃならないな、こう思っております。

稲津委員 これまで、口蹄疫のことがありました。それから、原発の被害、これは風評被害を含めてもそうですけれども、ここは滞留している肉を年度内に処分という話も出ていまして、ちょっとこれは少し一歩前進かなと思っております。それから、安愚楽の牧場問題等があって、いずれにしても、価格はもとの水準に戻っていないんじゃないのかということが一番指摘されるところでございますので、ぜひこういった視点でのマルキン事業への取り組みということを要望させていただきます。

 次は、BSEの問題との関連です。私は、安易な牛肉の輸入規制緩和を行うべきでない、このように考えていますけれども、そのことについての見解を伺いたいと思うんです。

 牛肉の輸入規制の緩和は、一般報道によるところですけれども、アメリカからの圧力ではなくて、科学的な根拠に基づいていくべきである、したがって安易な緩和は行うべきではない、こう思っておりますけれども、このことについて御答弁いただきたいと思います。

筒井副大臣 基本的に先生と同じ認識でございますが、厚生労働省にもお聞きされるんですね。

 今、年齢制限、二十カ月齢の問題等々について諮問をするということを聞いているところでございまして、それらを注視していかなければいけないというふうに思っております。

三浦政府参考人 今、筒井副大臣からお話ございましたとおり、BSE対策につきましては、我が国で対策を開始してから十年が経過し、国内、国外の双方においてリスクが低下したこと、また、そういうことがございまして、国内の検査体制、輸入条件といった対策全般につきまして最新の科学的知見に基づく再評価を行うことといたしまして、昨年の十二月に食品安全委員会への諮問を行ったところでございます。

 厚生労働省といたしましては、今後、食品安全委員会における科学的なリスク評価の結果を踏まえまして、必要なリスク管理措置の見直しを行う方針でございます。

稲津委員 副大臣の御答弁には、今後の方向について基本的なお考えをお答えいただきましたけれども、厚労省の説明を聞いていますと、随分淡泊で、なおかつ何がどうなのか、自分もよく理解できないんですが。

 米国産牛肉、特にBSEのことに関しては、もちろん日本の生産農家も非常に不安ですけれども、消費者も非常に不安がっている。国内のBSEの月齢、頭数、いろいろ厚生労働省さんの調べの中からでも、一般的にBSEは高月齢で発症するということはある意味で定説になっている。したがって、二十カ月から三十カ月にいくということがどういうことなのかという、大いなる疑問と不安があるわけですね。ここをやはりきちんと払拭しない限りは、安易なそういうことはいかぬというふうに私は思っておるわけでございます。

 特に、最近、アメリカの肉牛業界の団体でありますNCBAというんですか、ここが、日本がTPP交渉に参加する際には米国産牛肉の月齢制限の撤廃を条件とするようアメリカの政府に求める決議を行ったということで、これはある意味で日本に対する牽制球ですね。今、TPPのことについてさまざまな御意見があって、そういう環境の中で、まさにアメリカでそういうことが実際に行われているということ、そう考えていきますと、本当に不安は広がっていく。

 なおかつ、この団体が何を言っているかというと、三十カ月齢未満は、脊髄や脊柱、そういったものを除去しない方式で、見直しが既に諮問委員会に出されている。こういう状況の中ですから、きょう御参加の議員の方々も含めて、ぜひこういうことをお互いに認識していかなければならないだろう、こういうことをぜひ申し上げたいと思います。

 時間が大分参りましたので次の問題に入らせていただきますが、次は、来年度の酪農、畜産の経営安定対策に関する施策についてお伺いしたいと思います。

 酪農、畜産の厳しい経営状況、特に酪農について触れさせていただきますと、離農が非常にふえている。先ほどこれは伊東議員からも御指摘がありました。

 一つ例をとってみますと、繰り返しになりますが、北海道においては、この十年間、毎年のように二百戸近くの酪農家が離農しているという現実があります。したがって、これは十年で二千戸ですから、相当な数ですね。今は大体、六千六百戸数ぐらいで推移しているということですけれども、なぜこれほど離農が進むのかという現実。いろいろなことが挙げられるかもしれませんけれども、私はやはり、経営にかかるコストが年々上がっているという厳しい現実があると思います。いわゆる生産費が高どまりしている、あるいはまだふえていっているという現実。

 少し北海道的なことで恐縮かもしれませんけれども申し上げますと、特に困っているのが油の問題です。先般も少し触れさせていただきました。例えば軽油で見ますと、一リッター当たり百二十六円五十銭から百二十九円四十銭ぐらい。これは一月の時点の数字ですけれども、対前年同月比で七%から九%ふえています。灯油も同じ状況で、九・五から一六・六%上がっている。これは円高で多少抑えられている。昨今、為替の相場が少し変わってきて、円高基調について変化が出てきた。これが円安の方に転じていくとどうなるか。恐らくもう相当な状況になる、これは火を見るよりも明らか。

 私は、こういう状況の中で、補給金の単価についてなんですけれども、これはもう引き上げるのが不可欠だろうと。このことについての見解を伺いたいんですが、特に、平成二十四年度加工原料乳生産者補給金の単価は一キロ十二円以上に引き上げるべき、私はこう思いますけれども、このことについての御意見等がありましたらいただきたいと思います。

鹿野国務大臣 過般の予算委員会分科会におきましても、稲津先生からは、酪農の実態、実情についていろいろ御指摘も言及をしていただきました。ただいまもいろいろと酪農の非常に大変な状況につきましてもお話をいただいたわけでありますけれども、基本的には、明日決めさせていただきたい、こう思っておるところでございます。

 何といっても、コスト削減努力のみで対応し切れない生産コストの変動というものをどうやって適切に反映した単価とするか、あるいは乳製品の質、量に見合った限度数量の設定を通じて酪農家の経営を間接的に支援していくというふうなこと等々が非常に大事なことだと思っておりまして、きょうの委員会におけるところの審議、そしてあすの食料・農業・農村政策審議会の意見というものを聞いた上で適切に決定してまいりたいと思っております。

稲津委員 ありがとうございました。

 もう一点は、加工原料乳の限度数量について、本当は一緒に聞けばいいことなのかもしれませんけれども、あえて別建てで聞かせていただきます。百八十五万トンの維持が必要と考えますけれどもどうでしょうかということについて伺いたいと思います。

 加工原料乳の限度数量に本年度は達していないんじゃないか、そういう需給見通しがあって、最終的にどこまで行くかわかりませんけれども、百八十五万トンが百七十万トンぐらいになるのかどうか、これはまだわかりませんが。これは、あくまでも東日本大震災の影響によるものと。特に、北海道の生乳が、この震災の影響で都府県の方に飲用として回ったんだ、飲む方に回ったんだ、こういう考えですね。したがって、この限度数量も、現行の百八十五万トンの維持はしっかり守っていただきたい、こういうことですけれども、この点についての御見解をいただきたいと思います。

鹿野国務大臣 二十三年度は、乳価が上がったものの、乳量は、一昨年の猛暑の影響等によりまして、低下からいまだ回復しておりません。二十三年度の加工原料乳は本年度の限度数量百八十五万トンを大幅に下回る見込みでございまして、乳製品等のバター在庫も低水準にあると認識いたしております。

 しかし、そういうふうな中におきまして、生乳の生産費や需給状況、その他の経済事情というものを考慮いたしまして、ただいま申し上げましたけれども、きょうの委員会におけるところの御審議、またあすの審議会の意見というものを聞いた上で決定してまいりたいと思っております。

稲津委員 ぜひ、ここのところは、そういった現場の声や酪農家の方々の経営状況を踏まえて、しっかりした対応をお願いしたいと思います。

 今、大臣からもお話がありましたように、猛暑の影響、これは平成二十二年度もそうでしたけれども、二十三年度も、増産を図ったんですが、結果的にはまた猛暑ということで相当な打撃を受けています。特に、東日本大震災の影響によって全体として牛乳の生産量が落ちてしまったという中で、乳製品の在庫も減少し、特にバターについてはそれが顕著であるということ、このようなことからも、この加工原料乳の限度数量というのは、ぜひ現行百八十五万トンの維持を何としても堅持していただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 もう一点、これは質問しようと思っておりましたが、要望だけで終わらせていただきますけれども、肉用子牛の生産者補給金の保証基準価格、これについては下げるような環境に今はない、私はこう思っております。これは質問ではございませんけれども、ぜひ要望させていただきます。そして、この肉用子牛の生産が可能な水準に必ず設定をしていただきたいということもあわせて申し上げたいと思います。

 質問時間が参りましたので、最後に一点だけ伺います。

 これは消費拡大というテーマですけれども、牛乳・乳製品の消費拡大、これに向けてどのようにお考えなのか。私は、ある意味では、酪農、畜産、特に酪農関係でいうと、ここの消費拡大というものがもう一歩、二歩進んでいくならば、大幅な経営改善につながっていくだろうというふうに思っております。一説には、事業仕分けで仕切られちゃって、切られちゃった事業もある、こう聞いておりますので、その点も含めて最後に質問させていただいて、終わりたいと思います。

仲野大臣政務官 稲津先生の御質問にお答えさせていただきたいと思います。

 御指摘のとおり、この消費拡大でありますが、牛乳のほかに、チーズやヨーグルトなどの乳製品の消費は事実伸びております。国としても、二十三年度予算から、学校給食用牛乳等供給推進事業のメニューとして、ヨーグルト及びチーズを対象に加えるとともに、チーズ向け生乳の供給量に応じて一律に助成金を交付し、国産チーズの需要の拡大を支援しているところであります。

 今後とも、生産者団体等の自主的な取り組みと連携しつつ、牛乳・乳製品の消費拡大に積極的に取り組んでまいりたい、そのように思っております。

稲津委員 終わります。

吉田委員長 次に、石田三示君。

石田(三)委員 新党きづなの石田でございます。

 農水委員会には、新党きづなで初めて質問させていただきます。よろしくお願いいたします。

 私は、人・農地プランとそれからTPPに関して質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、基盤強化法との整合性について御質問させていただきたいと思うんです。

 人・農地プランの取り組みと類似の仕組みとして、農業経営基盤強化促進法に基づいて、基本構想に関して農業者が経営改善計画を作成し、それを認定するという認定農業者制度があるわけでございますが、人・農地プランと基盤強化法の仕組みの決定的な違いというのは、私は、集落が一生懸命話し合いに基づいて決めるのか、あるいは市町村が主体なのかというところなのかなというふうに一つ思うんです。このように手法が異なる仕組みが併存すると、私は、結構現場は混乱するんだろうというふうに思っております。

 この基盤強化法の仕組みを活用しないで、人・農地プランを作成するということにした理由をお聞かせいただきたいと思います。

仲野大臣政務官 お答えいたします。

 まず、認定農業者制度は、農業経営基盤強化促進法に基づき、市町村の基本構想を踏まえて、認定申請者が作成する経営改善計画を市町村が認定する、認定を受けるとスーパーL資金等のメリットが受けられる制度であります。

 本制度が、農業者の申請を前提としており、当該農業者の経営改善計画のみが審査されるため、地域内での位置づけが非常に不明確である、農地集積の可能性等は考慮されていないもの。

 そしてまた、このため、認定農業者制度とは別に、平成二十四年度からは、集落、地域の話し合いにより、今後の地域の中心となる経営体というものを定めて、そこへの農地集積を進めるため、この人・農地プランを作成することとしたものであります。

 認定農業者制度についても、極力、人・農地プランとの整合性を図ることが重要でないのかなということで、その辺を考えておりまして、人・農地プランが策定された市町村においては、中心となる経営体が認定農業者として認定されるような方向で運用の見直しを行うということで御理解いただきたいと思います。

石田(三)委員 現場が混乱しないように、十分な説明をしてお進めいただきたいというふうに思います。

 それから、では次に、人・農地プランの作成についてお伺いをしたいと思うんです。

 大臣所信では、農業者戸別所得補償制度により経営安定の基礎を確保した上で、各地域における人と農地の問題を解決し、五年先、十年先までも世代交代しながら安定的な農業を続けていける体制を構築していくことが重要ですという認識を示しております。

 そのために講ずる措置の冒頭に、各地域における農業者等の徹底した話し合いによる人・農地プランの作成を掲げている。これは、集落レベルでの話し合いに基づいて、地域の中心となる経営体を定め、その経営体の農地への集積が円滑に進むように地域農業のあり方を記載したプランであると説明されています。

 まず、この人・農地プランの作成エリアはどの程度の規模を想定されているのか、お伺いしたいと思います。

仲野大臣政務官 このエリアについては、集落や自治会等の営農活動の単位となることが多いと考えられるが、いずれにいたしましても、地域の事情というものもありますので、そのことに応じて、複数集落やより広いエリア、例えば小学校区、旧町村単位を対象とすることが適当なケースであると考えることから、地域の実情、いわゆる地域に住んでいる方たちの声をしっかりと受けとめながら、適切に設定することが重要であると考えております。

石田(三)委員 では、今のお答えであれば、ちっちゃな一つの集落でもいいし、あるいは小学校区、あるいはもう少し広いエリアでもいいんだということでしょうかね。はい、ありがとうございます。

 そういうことになりますと、七億円の予算をつけて人・農地プランの作成について支援をするということになっておりますが、本当に、農業の形態あるいは農業者あるいはその地域の農地の状況、さまざまであるわけでございます。そういったことをきめ細かく、ぜひ指導していただきたいというふうに思います。

 私もそういった農村地にいますから、そういった地域の考えをまとめていくにはなかなか時間がかかるんですね。そういったリーダーがいなきゃいけないということもありますが、時間がかかります。私は、都会に来てといいますか、代議士になってこちらに来て、時間の流れが非常に速い。田舎の流れとはもう全然違いますので、地方というのは、そういったゆっくりした時間の中で十分に議論がされていくということもあるわけでございますので、時間がかかるんだということだというふうに思います。

 それから、私の知り合いが、実は新規就農者でいきたいんだというふうなことで市町村に行きましたら、まだ全く県の方から説明も受けていないし状況がわからぬというふうなことでございましたので、できるだけスピーディーに、県あるいは市町村の方に状況を説明して、施策の説明をよろしくお願いをしたいというふうに思います。

 続きまして、今話しました青年就農給付金について質問させていただきたいと思います。

 我が国の農業は、二十三年度概数で農業就業人口が大体二百六十万人、そのうちの基幹的農業従事者の数が百八十六万人でございます。また、基幹的農業従事者の平均年齢が六十六・一歳と非常に高いわけでございます。

 そういった中で、持続可能な力強い農業を実現していくという中では、毎年二万人の青年新規就農者を定着させようということでございますが、その二万人の根拠をお示しいただきたい。

筒井副大臣 現在、高齢化しているわけでございますが、将来的に二十歳から六十五歳までの間で安定的に農業経営を担うことができるというためには年二万人が新規就農で定着をしないと、どうしてもそのことが不可能になるという計算から出てきたわけでございますが、計算は非常に難しい上、細かいものをやっているわけでございます。農地面積等がふえたとしても、九十万人のそういう人たちが、二十歳から六十五歳までの人が農業経営に継続的に従事しているということが最低でも必要になる、そのためには毎年二万人が定着しなければならない、そういう計算結果でございました。

石田(三)委員 では、毎年二万人を新規就農者で確保していけば、それが実現できるのであれば、将来九十万人を確保して継続的な農業経営ができるということでございましょうか。(筒井副大臣「はい」と呼ぶ)はい、結構です。

 それで、青年就農給付金の対象者は一応八千二百人程度となっておりますけれども、私は、その意味ではもう少し目標を大きくしていいのではないかなというふうに思っているので、いかがでしょうか。

筒井副大臣 現在、毎年一万三千人が新規に就農してそのうち定着するのが一万人、こういう状況の中で、今の数字を目標にすれば、そしてこの支援制度を始めれば、何とか二万人に達するのではないか、そういうもくろみがあるわけでございますが。

 ただ、この数値がたとえふえたにしても、現在の予算案で出ました金額で足らなくなったとしても、きちんといろいろな形でそれには対処していくということを決意しているところでございます。

石田(三)委員 ありがとうございました。では、できれば一万人を突破するような目標で、ぜひお願いをしたいというふうに思います。

 青年就農給付金の実施体制でございますけれども、準備型あるいは経営開始型というふうに分かれているわけでございますが、集落内で話し合いが持たれて、それに基づいて人・農地プランが作成をされる、そしてそのプランに位置づけられるということが条件になるわけでございます。

 この中に括弧書きで書かれている「(もしくは位置付けられることが確実であること)」というような記載があるんですが、この辺は、新規の就農者が参加をしたいよと、あるいは人・農地プランの作成がどれだけ進んでいるかということがあるかというふうに思うんですが、この辺の一定のガイドラインというか、そういうふうなものを示す御予定はございますか。

筒井副大臣 人・農地プランを市町村等において作成することがこの支援金を交付するための条件にしてあるわけでございますが、ただ、各地の状況によって、市町村がまだそういう計画をなかなか今すぐつくることができない、つくれたとしても、すごく総合的なきちんとしたものまでつくることができない、いろいろな地域の事情があるわけでございます。

 それらの地域の事情に応じて、あるいは、人・農地プランの中にその新規就農者の経営計画が載っているだけでもやはり支援対象にするべきではないか、あるいは、まだ人・農地プランができていなくても、市町村がはっきりこのことを表明する、約束するということでもやはり支援対象に含めて柔軟に対処していくべきではないかというようなことを言っているわけでございまして、ただ、それらを含めたガイドラインというのは、農水省の方として、もちろん出す予定をしているところでございます。

石田(三)委員 ありがとうございます。大変ありがたいお話を伺いました。

 もう一つ、前年の所得が二百五十万円あったらだめですよというのがあると思うんですが、これは、年末になって決算をして、所得が二百五十万あったかどうかということでございますので、例えば、今年度参加をして、来年の一月過ぎて、あなたは二百五十万円未満だから大丈夫ねと、それを一括で百五十万を支払う、こういうことですか。お伺いしたいと思います。

筒井副大臣 前年のもので二百五十万を超えていなければ今年度その支給をする、そういう基準値として二百五十万を出しているかと思いますが。

 質問の趣旨には答えていないのかな。

石田(三)委員 前年分の収入ということでございますが、では、今年度四月に参加をして、その給付金というのはいついただけるんですか。年度末、来年の三月。

筒井副大臣 その年度において申請書類が整い次第支給する、こういう体制です。

石田(三)委員 では、今年度、四月から始まって、プランができて、その中に参加をして、八月にプランが認定をされて、それでそのときに参加をしていれば、その時点で支払われるということですか。その時点で、では前年の収入が二百五十万以下であるということは条件になりますか。(筒井副大臣「そうですね」と呼ぶ)はい、わかりました。ありがとうございます。

 次に、経営開始型においては、青年就農給付金が、親元で就農する場合、親の経営に従事してから五年以内に経営を継承する場合はその時点から対象にするよということでございます。

 その新規就農の青年が四十から五十ぐらいであれば、これはお父さん、親の年齢も六十代を超えて、引退して子供に譲ろうかというころだと思うんですが、新規就農者が二十代、三十代の場合、これはまだまだ親が現役で頑張っておりますので、これに対して新規就農というのは、経営移譲していく、新しいことをやっていくということはあるかもしれませんが、そうでない限り、それを新規就農者としてこの百五十万というものはなかなか難しいのではないかなというふうに思います。要するに、経営移譲がされないだろう、経営移譲が難しいだろうというふうに思っています。

 と申しますのは、全く農業者以外が新規就農者で参加をしてくる、これは私は時代が絶対求めていると思うんですね。これは絶対必要なことだと思うんですが、今親が農業をやっていて、その子供が親の仕事を継ぐということにもしっかり目を向けなければならない。私はこれが一番、もともと基本だったわけですから、それが崩れてきて、今、しようがないので、まあしようがないのでという言い方はおかしいんですが、ほかの業態から農業に来ていただくということだというふうに思います。

 新規就農というと、いかにもほかの業態から来るというイメージなんですが、家業を継ぐという、二十代、三十代で本当にうちの家業を継いでいくよという人に対してこれが何か条件緩和で使えないものかなということで、お伺いをしたいと思います。

筒井副大臣 二十代の前半で、完全に経営移譲しないという段階でも、二年間の研修期間については百五十万ずつ支給するわけでございます。それから、親の農業に従事していても、それはもう新規就農にならないわけでございますが、五年以内ならば、親の経営を引き継いだ時点から五年間この交付金を支給するという形になっているわけでございます。それも農家の子弟が親の農業を承継しながらやっていくための支援制度になっているかと思います。

 さらには、まだ親も元気でやっていくといった場合に、親の農地を一部借りて、例えば半分でも借りて、自分がそこで独立の農業経営をやっていくという場合にも支給対象にするわけでございますから、いろいろな形のものに対処する仕組みにはなっているというふうに思っております。

石田(三)委員 済みません、ちょっと聞き逃したかもしれませんけれども、経営移譲しなくても出るんですか。

筒井副大臣 五年前以内だったら、経営移譲して、そしてそれからやればいいですし、経営移譲されなくても、例えば親の農地の一部を借り受けてそこで独立の農業経営をやっていけば、これもこの支援対象になるわけでございます。

石田(三)委員 ありがとうございました。給付金、私はこれは大変すばらしい政策だなというふうに思っていますので、ぜひしっかり取り組んでいただければというふうに思います。

 それでは、時間も少なくなりましたので、TPPに関して進めさせていただきたいと思います。

 TPPはFTAAPに向けた道筋であるというふうに伺っているわけでございますが、FTAAPを目指す道筋としてはASEANプラス3とかASEANプラス6、あるいは二国間FTAと別の手段もあるわけでございますが、二十三年の八月十五日の閣議決定の内容では、日EUあるいは日中韓FTAなどなど多くの経済連携を強化していくんだというふうにおっしゃっております。また、ASEANプラス3とかASEANプラス6というのは重要性が既に認識をされているところでありますけれども、その手段は私は多種多様だろうというふうに思っています。FTAAPは目的であり、TPPは目的ではないということであります。

 TPP以外が非常に膠着をしているんだということでありますけれども、やはりこれは、本来の目的を打破していくべきだというふうに私は思っていまして、今回のTPPの問題に関して、日中韓が少し話が進むとか、そういったこともあるようでございますけれども、私は、それに向けて精いっぱいやっていくべきだというふうに思っています。

 最後にお伺いをしたいと思うんですが、TPPを推進するということと、既に締結をしているFTA、EPAの整合性について、お伺いをしたいというふうに思います。

大杉政府参考人 お答え申し上げます。

 二国間EPAとTPPとの関係についてでございますが、TPP協定は、高い水準の自由化を求めるとともに、アジア太平洋地域に広がる多国間のルールづくりであります。日本が実現したいルールについて、共通利害を有する国とともに交渉し、それを多国間で適用することが可能となるといった意味で、二国間EPAとは異なるメリットがあるというふうに考えております。

 具体的には、例えば、高い関税が撤廃されることで、日本の輸出競争力を強化し産業の空洞化を回避する、すなわち、国内の雇用を守り、ふやすことが可能になる。また、模倣品、海賊版の拡散や技術流出を防止する仕組みをつくることで、海外における日本の正規品の販売を促すほか、日本からの技術の輸出を確保することができる。さらには、投資、サービスに関するさまざまな規制に対する制限禁止等により、日本企業のより自由な活動を確保することを通じまして、日本の所得収支が増大し、国内雇用の拡大に寄与するといった点が挙げられます。

石田(三)委員 ありがとうございました。

 国益というところで、やはり何を守るかということだろうというふうに私は思っているんですが。

 ここの農水委員会に関しては、私はここにいる人たちはみんな一緒だというふうに思っているんですが、TPPを推進することで日本の農業あるいは自給率が守られるというようなことは決してないというふうに私は思いますし、食料安全保障が脅かされる、これは確かでありますので、自給率を向上させることが即、食料安全保障につながるということはないというふうに思いますけれども、日本の食料安全保障をしっかり守っていくというのは最大の国益だというふうに私は認識をしておりますが、大臣の所見を伺いたいと思います。

鹿野国務大臣 二十数年前になりますけれども、五極の農林水産大臣の会議におきまして、私からも、初めてそういう国際の会議におきまして食料安全保障という問題を提起させていただいたことを思い起こすわけであります。

 まさしく食料安全保障というふうなものをどうやって確保していくか、これはやはり政府としても非常に重要なことでありまして、私どもも、そういう点を決して忘れることなく、今後、農林水産行政を推進する上できちっとした位置づけをしながら取り組んでいかなきゃならないと思っております。

石田(三)委員 よろしくお願いをしたいと思います。

 外務省の資料で、「「基本方針」に基づくEPAの追求」という中でこういうことが書いてあるんですね。「環太平洋パートナーシップ(TPP)については、被災地の農業の復興にも関係しており、」というところがあるんですが、TPPを進めることは被災地の復興に少しストップをかけるよということのように読めるんですが、その辺はどうお考えでしょうか。

鹿野国務大臣 いわゆる大震災からの復旧復興は、言うまでもなく、政府にとっての最大かつ最優先の課題でございます。

 そういうふうな中で、いわゆる復旧復興の状況などを配慮した上で、昨年の十一月に、交渉参加を前提とせず交渉参加に向けて協議を開始する、こういうふうなことになったところでございまして、これからも、関係国が日本の国に何を求めるかということをしっかりと把握しながら、その情報を提示して、そして、国民の間におきましても議論をしていただく中で判断をしていかなきゃならないことじゃないかなと思っております。

石田(三)委員 復興の足手まといになるということであれば、あるいは食料安全保障が侵されるということであれば、その中でTPPに参加するなんてことは全くあり得ないわけでございますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、大使がいらっしゃっていますから一つだけ聞きますが、第十一回の交渉会合の中で野心的なパッケージというのが出てくるんですが、これは一体何を指すのか、ちょっと御説明いただきたいと思います。

片上政府参考人 お答え申し上げます。

 御案内のとおり、オーストラリア・メルボルンで、三月一日から九日、第十一回交渉会合が開催されて、その交渉参加国の発表によりますと、市場アクセス、パッケージの協議で、鉱工業品、農産品、繊維製品に係る野心的な関税パッケージについても引き続き議論が行われた旨、言及されております。

 日本政府として、もとより交渉の条文案、各国の提案を入手しているわけではございませんので、交渉参加国の発表内容について確たることを申し上げる立場にはございませんが、以上申し上げた上で二点だけ申し上げますと、これまでの情報収集で、TPP交渉参加国からは、包括的かつ高いレベルの自由化の水準にコミットすること、あるいはこういった交渉参加国間で共有されている野心を共有すること、TPPの目指している高い野心へのコミットといった言及がなされています。

 野心的とは恐らくそういったことだと思いますけれども、具体的な基準が何なのかということについては特段言及はなされていませんし、そういった基準がないというふうに答えている国もあるところでございます。

 後半の関税パッケージについては、これまでも申し上げてきているとおりですが、TPP協定については、基本的には全ての関税を撤廃することが原則になるというふうにされていますが、最終的に即時撤廃がどの程度になるのか、段階的にどのぐらいの時間をかけて撤廃するのか、また関税撤廃の例外がどの程度認められるか等々については、現時点では明らかではないというのが現状だと思っています。

石田(三)委員 政府はいつからか、テーブルに全部のっけるよというようなことをおっしゃっているようですが、それは皆さんの認識の中では多分違っていると私は思っているんですが。

 最後に一つだけ。時間が過ぎているんですか、済みません。国民的な議論の推進についてということで、政府はTPPをともに考える地域フォーラムというのを開催しておりますが、これはマックス大体三百ぐらいなんですね、三百人ぐらいの参加。これを幾つかやっていて、今は多分全部で二千人ぐらいじゃないですか。国がやろうとしていることを地域に説明会をやっていこうという中で、全体で二千人ぐらいの人が集まった中で、これで十分説明しているというふうには私は思えません。

 これからもっともっとやっていくということでしょうが、また中身の内容についても非常に時間があればやりたいんですが、もう少し広げた中で議論をすべきだというふうに思っていますので、これは国が政府がしっかり約束していることでございますので、十分説明した中で国民的な議論を、議論を起こすということも一つ約束しているわけですから、そういうことをよろしくお願いしたいと思います。

 どうもありがとうございました。以上で質問を終わります。

吉田委員長 次に、吉泉秀男君。

吉泉委員 社会民主党の吉泉秀男です。

 きょうの朝日新聞にも載りました。五キロで千二百九十九円、純米の中国産でございます。関東を中心としながら、百四十九店舗で今販売をされている。このことに対して、私ども米どころの生産現場の段階において、TPP問題も絡んで、安売りというよりは、風袋で五キロ純米で販売をされている、恐らくこういうことはかつてこれまでなかったんだろうというふうに思っておりますけれども、大変脅威を感じています。まず、このことについて、大臣の感想をお伺いさせていただきます。

筒井副大臣 中国産のウルチ米、SBSで輸入したもの、これが小売段階で販売されたのは珍しいことというふうに記憶をしております。

 これがどういうふうになるのか、どういうふうな販売状況になるのか、極めて関心を強く持って注視をしているところでございます。感想としてはそういうことです。

吉泉委員 注視をしているというのが副大臣の答弁でございました、感想でもございました。しかし、私どものところについて、こういう認識をしているわけですね。ミニマムアクセス米は、まさに輸入量もそんなに多くない、そして国産米に影響をすることについてはあってはならない、そういう意味で、これまでも飼料米なり、さらには加工米そして食料援助米、こういうことの中で使われていた、こういうふうな認識を持っているわけでございます。

 しかし、その約七十七万トンの中のSBS米、これについては、それぞれの状況の中において、主に主食用として、それぞれ商社、そしてまた米穀販売、この二者が一体となって取り組んで、そしてまた輸入をしてきた。こういう状況の中で、毎年約十万トン、これは一つの基準の指針、ここのところで毎年毎年上限を決められているというふうに理解をしております。

 これまでも相当の量が入れられてきて、そしてまた主食用として、それぞれ混米なり、さらにはそれぞれのいわゆる飲食等のところの中に使われてきた、このことも事実なわけでございます。しかし、今回のように、千二百九十九円、こういうふうにしてはっきり出された、これは非常に脅威でございます。

 そんな中で、もしわかるものであるならば、ぜひ教えていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。特に、売買差益と言われるマークアップの上限は二百九十二円、こういうことでガットの合意の段階で決めてきた、そういう経過があるわけでございますけれども、今回のこの千二百九十九円の場合について、どのような価格で仕入れて販売をし、そしてマークアップが幾らなのか。このことについてわかる範囲で明らかにしてほしいと思います。

筒井副大臣 千二百九十幾らというのは、五キログラム当たりの値段かと思います。

 それで、今、ただ、政府買い入れ価格も言えということでございますから……(吉泉委員「いやいや」と呼ぶ)それはいいの。(吉泉委員「いいです。今回のこれでマークアップがどのぐらいの数字になっているのか。いわゆる国に差益がどのぐらい入ったのか」と呼ぶ)マークアップはキログラム当たり五十三円でございます。五キログラムで計算する場合には、それに五倍を掛けてください。

吉泉委員 五十三円という差益の部分、今大臣から答弁があったわけですけれども、この上限が、一つは二百九十二円というふうになっていますけれども、このマークアップの関係について、国として関与できる範囲なのか、その点についてはどうなのかお伺いさせていただきます。

筒井副大臣 申しわけないですが、適切な入札執行を確保する観点から、その内容に関しては公表できないということでございます。

吉泉委員 公表できない、今こういう答弁でございますけれども、しかし、私たちからいうならば、それぞれ国産米を守っていく、そして、供給過剰だからそれぞれ転作等含めてこの間やってきた。

 しかし、この五キロで千二百九十九円、一キロ当たり二百五十円、こういう価格なわけですね。そうすると、このマークアップの二百九十二円というのが上限でありますから、これに近い。そういう意味で、これを国で関与しながらそのSBS米をある程度抑えていく、そういう状況はあるんだろうというふうに思うんですけれども、これについては全然関与できない、そういう捉え方でいいんですか。

筒井副大臣 先ほど先生おっしゃったように、このSBS方式で輸入するのが十万トンというふうに言っているわけでございまして、その中でマークアップをどうするかは相場等を勘案して総合的に判断するという仕組みになっているようでございまして、その具体的な個々の場合にどういう計算で、例えば今回の場合は五十三円になったのか、それは今後の入札を適正にしなければならない観点から公表しないという方針になっているので、申しわけないですが、少なくとも、この場所においてはその点の説明は差し控えさせていただきたいと思います。

吉泉委員 今、TPPの問題含めて、特に米国を中心としながらも、この七十七万トンのうちのSBS米が十万トン、これをもっともっと、十万トンから二十万トン、三十万トン、こういう一つのいわゆる圧力等なんかもかかってくる、そういうふうにも思うんですよね。全て七十七万トンをSBS米でも大丈夫なわけだ、これはWTO違反でないわけですから。

 ですから、そういう面からいうと、私はもっともっとこの内容について国としてしっかりした態度を持ってもらわないと、私は、今まで十万トンだから微々たるものだというような問題ではないだろう、こういうふうに思うんですよ。

 ですから、この点についてぜひしっかり見解なり今後お願いを申し上げたいし、きょうの何か朝の大臣のぶら下がり等の記者会見の中では、この十万トン、拡大をするという考え方はないという言明をしているようでございますけれども、大臣の方からもう一度、それでいいのかどうなのか、このSBS米についての考え方、よろしく見解をお願いします。

鹿野国務大臣 SBS米につきましては、副大臣が答弁しましたとおりに今後の動向というものを注視していく、こういうことでありますけれども、現実におきまして、この枠を広げるという考え方は持っておりません。

吉泉委員 ありがとうございます。

 ただ、今の状況の中で、なるべくこういう状況についてもっともっと差益の問題を国が関与されるような一つの方向の中で、この点について扱っていただきたい、こういうふうに思っているところでございます。

 次に、環境保全型農業の関係についてお伺いをさせていただきます。

 これまで、十九年度から五年間、農地・水・環境保全向上対策、このことで、それぞれエコファーマーなり、さらには地域ぐるみで、それぞれ資源の回帰等を含めて、有機農業等々を一生懸命、安全、安心、そしてまた環境をきちっと守っていく、そういう取り組みがなされてきた、このことについては敬意を表させていただきたい、そういうふうに思います。

 しかし、このことについて、共同活動と、特に営農活動、いわゆる二階建て、この営農活動の関係でございますけれども、このことが、今回のところについて、環境保全型直接支援対策、こういう事業に変わったわけでございますけれども、しかし、大きく変わったというふうに思っております。

 このところの環境型の事業そのものを見ると、これまでの水・環境とは、相当ハードルが高いというふうになるんだろうと思うんですけれども、この点について、ぜひ、これまでの営農活動の問題と、そして、今回、なぜここまでハードルを高くしてこの事業を取り入れたのか、このことについてお伺いをさせていただきます。

仲野大臣政務官 お答えいたします。

 今委員がおっしゃったとおり、平成十九年度から二十二年度までの間、農地・水・環境保全向上対策の中で、地域ぐるみで、農地、農業用水等の保全活動と一体的に、化学肥料、農薬を原則五割以上低減する取り組みに対して支援を実施してまいりました。平成二十三年度に環境保全型農業直接支援対策として独立させたところであります。

 その際、従来の施策では、共同での農地の保全活動を行っている水稲で支援を受けやすい一方、野菜や果樹といった園芸作物では支援を受けにくいという意見があったことであります。二つ目には、五割低減の取り組み面積は着実に増加し、化学肥料、農薬の低減に取り組むエコファーマーの取り組み面積のうち、既に三分の二は五割低減を実践していることを踏まえ、支援対象となる取り組みについて農地等の保全活動を切り離す一方、要件を高度化するなどの見直しを行ってきたところであります。

 先ほど委員が言われましたように、営農活動に伴う環境負荷を軽減させる観点から、化学肥料、農薬の五割低減の取り組みを拡大していくことは大切であるが、地球温暖化防止や生物多様性保全等の新たな課題に対応するためには、カバークロップなど環境保全に積極的な効果を有する営農活動の促進をあわせて図っていく必要があると考えたところでございます。

吉泉委員 それぞれ、今、エコファーマーの三分の二というお話がございましたけれども、しかし、全体的に、今の農地の関係の中からいえば、こういう一つの化学肥料を減らす、農薬を減らす、そしてその努力をしている、そのところについては農地全体では三分の一ぐらいなんですよ。

 私は一番聞きたいわけなんですけれども、これまで、この事業が取り組みがなされていく中で、農畜産一体事業として取り組んでいる地域がいっぱいあるわけですね。いわゆる酪農、さらには養豚、このところのふん尿を、それぞれ堆肥センターというものを共同体でつくって、そしてその堆肥について、生の堆肥ではなくて、もっともっといい堆肥に研究をしながら、稲わらをそれぞれ敷いたり、いろんな部分でこの堆肥をつくってきている。そして、その堆肥を、それぞれ大体三千円から四千円、このぐらいでずっと散布をしてきた、こういう地域があるわけですね。このところが今度は、今の環境保全については入らない、こういう事業の段階ではこの事業は認められない、こういうふうに今言われているわけでございます。

 そして、カバークロップというのは一体何なのだ。いわゆる種ですね。種苗会社から買って、そしてその分をやるというふうになったらば、堆肥というものとそれから今の種苗、その問題なんかも含めて考えていったときに、何を向いているのだ、こういうふうに思うんですよ。

 やはりこれまでの状況の中において、今まで六千円もらって、有機堆肥をどんどんうまくつくって、そして地域一体でやってきた。その取り組みが今の状況の中で取り入れられない、こういう状況になれば大変です。そしてまた、そういう一つの環境型のこれまでやってきた米については、六十キロ、農協さんの中では大体五百円ぐらい高くして売っているわけなんですよ。

 ですから、そういう一つの状況が、今回の環境保全型というのは、何に向かって、どういうふうにして、畜産の問題なんかも含めながら考えていったときに、やはりこれはおかしいのではないか、こういうふうに思うんですけれども、その辺はどうなんですか。

仲野大臣政務官 畜産農家における家畜ふん尿の堆肥については、今の新しい事業についてはその部分では入っておりません。

 先ほどのカバークロップは、もう委員も御存じだと思うんですが、これは主作物の栽培期間の前後のいずれかに緑肥等を作付するという取り組みであります。

吉泉委員 ですから、私が言うのは、今の状況の中で、農地全体で三分の一ぐらいしかそういう環境保全型の取り組みはなされていないわけです。もっともっと広めなきゃならないわけですよ。そして、その三分の一の部分を、今までアイガモなりいろいろな形でやってきた。そのところについては、三分の二ぐらいになってきたからもっと高度なものをやってください、こういうことなわけですね。でないとこれは対象になりませんよ、こういう言い方なわけです。

 だとするならば、今まで一生懸命やってきて、それで堆肥づくりも、それぞれ堆肥組合をつくって、委員会をつくってやってきた。それを今度はどうするの。何も補助もない。そしてまた、今までのそういう米を消費者に届けてきた、こういう一つのスタイル、努力、このところをどういうふうにして、今、国として、これまでの五年間、この水・環境の中でやってきたことについて評価をしながら、もっともっと伸ばしていく、もっと拡大をしていく、そういう捉え方をしていかないとおかしいんじゃないですか。そのところをもう一回。

仲野大臣政務官 ただいま委員の御指摘について、これまで五年間行ってきた事業の検証をしながら、今の新しい環境保全型事業については、きょう委員のおっしゃられた御指摘等を踏まえながら、意見等を踏まえながら、十分研究させていただきたいと思います。

吉泉委員 これからというよりも、それぞれ、この半分は各自治体で出しているわけです。国が四千円ならば、それぞれ各自治体で、または県も含めて四千円を出している、こういう状況なんですよ。

 これから検討ということについては、やはりこれは大変な状況だというふうに思います。ですから、なるべく早い段階で、その一つの事業体というものについて、どういう部分が対応できるのか。今までのやってきたところと、そして、このことはこういうことでだめなんだよ、今回はこういうふうになったよというふうな部分について、少し見解をきちっと早目に出して、そして、もう生産現場の段階では徐々に種まきの作業も入る、そういう時期でございますから、よろしくお願いを申し上げたいと存じます。

 もう時間がなくなってきましたので、最後にお願いを申し上げたいと存じます。

 いわゆる放射性物質の低減の技術の開発、このことを今農林省でもうたっているわけでございます。復興庁との関係なんかも含めて、相当の計上をさせていただいているようでございます。これは待ったなしですね。この点について、それぞれ民間も含め、さらには大学等を含めながら、この開発、さらには研究がなされているんだろうというふうに私はお聞きをしています。そしてまた、農林省の方に、実証実験したらこうであったというふうな部分を含めて、それぞれの民間の団体の方から持ち込まれているんだろう、こういうふうに思っております。

 そうした面の中で、今後、この技術開発、さらには民間との関連、さらにはこの事業体をどう具体的にやっていくのか、どう進めていくのか。農林省サイドの中で、いわゆる農地だけでなくて、それぞれ森林も林業の関係があるわけでございますから、この点についてお伺いをさせていただきます。

仲野大臣政務官 お答えいたします。

 これまで、国や公的研究機関及び民間が連携して、例えば福島県の飯舘村などで実証実験を実施し、農地土壌の汚染レベルに応じたさまざまな除染技術を提示したところであります。また、民間においても、土壌の除染技術開発についてさまざまな個別の取り組みがあるということも承知しております。

 したがいまして、我が農水省といたしましては、例えば表土を削り取るなど土木工事的な手法を用いて農地を除染する技術開発については、大規模なプロジェクト研究により行う一方、放射性物質の吸収抑制のための資材の利用や、汚染土壌からの放射性物質を取り除く技術の開発等については、小規模のものも含め、すぐれた民間の取り組みに対する支援を行っておりますので、このことについても早急に、民間のよりいいものがありましたら積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

吉泉委員 今、民間の部分も、資材関係を含めて積極的に取り組みたいというお話であったわけでございますけれども、この概要を見ますと、農林省サイドの中にはこの具体的な事業はないんですね。あるんですか。あったら教えてください。

仲野大臣政務官 十三課題のうち九課題に民間がもう既に参画しているところでございます。

吉泉委員 それでは、今回の予算が通って、今年度はそういう事業があるんですか。今までのいわゆる二十三年度予算でそれをやってきたという捉え方ですか。二十四年度はどうなんですか。

仲野大臣政務官 二十四年度当初予算におきまして、民間を含めて一億九千百万、そして森林技術検証・開発は、これも民間を含めて二億四千三百万を計上させていただいております。

吉泉委員 時間がありませんので、押し問答をやる時間はありません。

 それはわかります。わかりますけれども、今、積極的に取り組む、こういうお話で答弁になっていたわけですね。その事業は具体的にどういうふうにあるんですか、こういうふうにお聞きをしたわけです。これを見る限りは、この事業が公募の問題なんかも含めてなかなか見えない、こういうことなんですよ。

 ですから、少ない金額であっても大きい金額であっても、どういうふうに進めようとしているのかということを、具体的な部分の中で、ぜひ予算が通った早い段階で、事業そのものについて明らかにさせていただきながら、そして、今、実証実験もそれぞれ、飯舘村なり多くのところでやっているわけですから、その人たちの努力がある程度実るような、そういうことをお願い申し上げまして、時間が終わりますので終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

     ――――◇―――――

吉田委員長 この際、石津政雄君外五名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、公明党、新党きづな、社会民主党・市民連合及び新党大地・真民主の六派共同提案による平成二十四年度畜産物価格等に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。伊東良孝君。

伊東委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。

    平成二十四年度畜産物価格等に関する件(案)

  我が国の畜産・酪農は、配合飼料価格の高止まり、畜産物の消費と価格の低迷に加え、東京電力株式会社の原発事故に伴う風評被害の発生という情勢の中で、その経営の悪化、生産基盤の縮小など、未曽有の危機に陥っている。

  また、本年四月一日から食品中の放射性物質の新基準値が施行されることに伴い、適切な対応が求められている。さらに、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定への参加の検討やBSEに係る輸入牛肉の月齢制限等の緩和の検討に対して、懸念が広がっている。

  よって政府は、こうした情勢を踏まえ、平成二十四年度の畜産物価格の決定に当たっては、再生産を確保し将来に希望が持てる価格を実現するとともに、平成二十四年度当初予算で講じようとする関連対策について、左記事項の実現に万全を期すべきである。

      記

 一 EPA交渉及びTPP交渉参加に向けた関係国との協議に当たっては、我が国の畜産・酪農が今後とも安定的に発展できるよう、平成十八年十二月の本委員会決議「日豪EPAの交渉開始に関する件」及び平成二十三年十二月の本委員会決議「環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉参加に向けた関係国との協議に関する件」を十分に踏まえて臨むこと。

 二 BSEに係る輸入牛肉の月齢制限等については、科学的知見に基づいた検証を十分に行い、拙速な緩和は行わないこと。

 三 酪農家の生産意欲を喚起し、生産基盤の回復を実現できるよう、加工限度数量及び補給金単価を適切に決定すること。

 四 都府県酪農について、生産基盤の強化のための対策を講じること。また、放射性物質による汚染地域における安全な粗飼料の確保に向けた支援措置を継続すること。

 五 肉用子牛の保証基準価格等については、畜産農家が十分な所得を確保できる水準となるよう適切に決定すること。

 六 指定食肉の牛肉安定価格及び豚肉安定価格については、現行価格を基本に適切に決定するとともに、相場の下落時には機動的・弾力的に調整保管を発動すること。

 七 肉用牛肥育経営安定特別対策事業(新マルキン)の毎月払いの継続については、枝肉価格の状況等を踏まえて引き続き適切に決定すること。

 八 配合飼料価格安定基金については、配合飼料価格高騰時の補てん財源が不足することのないよう、異常補てん基金の活用などにより、生産者への補てん金を確保すること。

 九 飼料穀物については、東日本大震災の経験を踏まえ、災害発生時や飼料穀物の高騰など不測の事態や急激な環境変化の発生時に畜産・酪農家に配合飼料を安定的に供給できるよう、その弾力的な備蓄の在り方について検討を行うこと。

 十 原発事故に伴う放射性物質の影響により出荷できない老廃牛の滞留並びに汚染された稲わら、牧草及び堆肥の滞留について、一刻も早く対策を確立すること。

 十一 食品中の放射性物質の新基準値が本年四月一日から施行されることに伴い、必要な検査体制を確立するとともに、生産対策、風評被害対策及び東京電力による損害賠償が迅速かつ適切に行われるよう措置すること。

   また、風評被害の払拭に向けて、牛乳・乳製品や食肉等の消費拡大を推進すること。

  右決議する。

以上です。

 何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

吉田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

吉田委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とするに決しました。

 この際、ただいまの決議につきまして農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣鹿野道彦君。

鹿野国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨に従いまして、最近の畜産をめぐる情勢を踏まえつつ、十分検討してまいる所存でございます。

吉田委員長 お諮りいたします。

 ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

吉田委員長 次に、内閣提出、競馬法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣鹿野道彦君。

    ―――――――――――――

 競馬法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

鹿野国務大臣 競馬法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。

 我が国の競馬は、近年の景気の低迷、趣味や娯楽の多様化等に伴い売り上げが継続して減少しており、競馬主催者の多くは事業収支が厳しい状況にあります。特に、地域の活性化に重要な役割を果たしている地方競馬については、平成三年度のピーク時に比べ売り上げが約三分の一の水準にまで減少するなど、大変厳しい状況となっております。さらに、平成二十三年度は、東日本大震災の影響もあり、売り上げが大きく減少しているところもございます。

 競馬をめぐるこのような状況に鑑み、競馬の振興を図るため、競馬主催者からの要望を踏まえ、地方競馬主催者に対する必要な支援の延長の措置を講ずるとともに、払戻金の算出方法を改めることとし、この法律案を提出した次第であります。

 次に、この法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。

 第一に、地方競馬主催者に対する必要な支援の延長についてであります。地方競馬全国協会が地方競馬の活性化や競走馬の生産振興のために行う補助業務に必要な資金を確保するため、日本中央競馬会から資金を交付する措置等の期限を五年間延長することとしております。また、競馬の事業の収支が著しく不均衡な状況にある地方競馬主催者に対し、競馬場の改修等の収支改善措置に要した費用に充てるため、当該主催者が地方競馬全国協会に交付した金額の一部を還付する措置の期限を五年間延長することとしております。

 第二に、払戻金の算出方法の改正であります。払戻金を、勝馬投票法の種類ごとに、売得金に百分の七十以上の一定の範囲内で競馬主催者が定める率を乗じて得た金額を的中した勝馬投票券に按分した金額とすることとしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。

吉田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十七日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十九分散会


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