衆議院

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第4号 平成24年3月27日(火曜日)

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平成二十四年三月二十七日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 吉田 公一君

   理事 石津 政雄君 理事 梶原 康弘君

   理事 菊池長右ェ門君 理事 佐々木隆博君

   理事 野田 国義君 理事 小里 泰弘君

   理事 宮腰 光寛君 理事 石田 祝稔君

      石山 敬貴君    今井 雅人君

      打越あかし君    大谷  啓君

      奥野総一郎君    笠原多見子君

      金子 健一君    川越 孝洋君

      京野 公子君    小山 展弘君

      田名部匡代君    高橋 英行君

      玉木雄一郎君    筒井 信隆君

      道休誠一郎君    富岡 芳忠君

      中野渡詔子君    仲野 博子君

      畑  浩治君    福島 伸享君

      森本 哲生君    山崎 摩耶君

      山田 正彦君    山田 良司君

      伊東 良孝君    今村 雅弘君

      江藤  拓君    北村 誠吾君

      平  将明君    谷川 弥一君

      永岡 桂子君    保利 耕輔君

      山本  拓君    西  博義君

      石田 三示君    渡辺 義彦君

      吉泉 秀男君    石川 知裕君

    …………………………………

   参議院農林水産委員長   小川 勝也君

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   農林水産副大臣      筒井 信隆君

   農林水産大臣政務官    仲野 博子君

   農林水産大臣政務官    森本 哲生君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  今井  敏君

   参考人

   (日本中央競馬会理事長) 土川 健之君

   農林水産委員会専門員   栗田 郁美君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十七日

 辞任         補欠選任

  打越あかし君     山田 良司君

  田名部匡代君     畑  浩治君

  玉木雄一郎君     山崎 摩耶君

  山田 正彦君     川越 孝洋君

  北村 誠吾君     平  将明君

  武部  勤君     永岡 桂子君

  石田 三示君     渡辺 義彦君

同日

 辞任         補欠選任

  川越 孝洋君     山田 正彦君

  畑  浩治君     田名部匡代君

  山崎 摩耶君     奥野総一郎君

  山田 良司君     打越あかし君

  平  将明君     北村 誠吾君

  永岡 桂子君     武部  勤君

  渡辺 義彦君     石田 三示君

同日

 辞任         補欠選任

  奥野総一郎君     玉木雄一郎君

    ―――――――――――――

三月二十二日

 鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律の一部を改正する法律案(農林水産委員長提出、参法第一一号)(予)

同月二十三日

 鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律の一部を改正する法律案(参議院提出、参法第一一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 競馬法の一部を改正する法律案(内閣提出第四二号)

 鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律の一部を改正する法律案(参議院提出、参法第一一号)


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     ――――◇―――――

吉田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、競馬法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本中央競馬会理事長土川健之君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として農林水産省生産局長今井敏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

吉田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田名部匡代君。

田名部委員 民主党の田名部匡代でございます。

 きょうは二十分という質問の時間をいただいておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 競馬法の改正でありますが、もう申し上げるまでもないと思いますけれども、中央競馬においては、平成九年を境に、売り上げも、入る人の数も減ってきているということであります。ピーク時と比べて六一%の売り上げになっています。また、地方競馬においても平成三年を境に売り上げが落ちていまして、ピーク時と比べて三四%という水準になっているわけであります。これまで、競馬というのはまさに畜産の振興、そして地方経済、雇用、こういったことに貢献をしてきたわけでありますけれども、今申し上げたように大変厳しい状況の中にあるわけです。

 昨年でありますけれども、赤字が膨らんで八十三年の歴史に幕をおろした荒尾競馬場においては、これは馬主の方々を除いた数字でありますけれども、三百人程度いた競馬関係者の雇用が失われたということであります。騎手の方であるとかまた調教師の方というのはほかのところに行ったケースもあるんですけれども、雇用に関しても非常に大きな役割を担ってきたわけであります。

 このことについてまずはお伺いをしたいと思うんですけれども、全体でどのぐらいの雇用がこれまで競馬の中で守られているのか、今現在あるのか。そして、競馬が危機的な状況にある中、この存続について農林水産省としてどのようにお考えなのか、お答えをいただきたいと思います。

筒井副大臣 地方競馬を中心とした質問かと思いますが、おっしゃるとおり、雇用効果が非常に大きいものでございまして、今三百人という話がありましたが、全国的に平均を見ますと、一地方競馬で大体千人ぐらいを雇用している。その中身は、もちろん先生御存じのとおりでございますが、騎手とか調教師とか厩務員とかいう競馬そのものに直接関与する者だけではなくて、売店等々に雇用される人を含めて一カ所平均で千人います。今現在十六カ所ありますから、一万六千人の雇用を確保しているという状況でございます。

 さらに、それだけではなくて、地方競馬の参加者が延べで四百万人ぐらいになるわけでございまして、周辺の商店街等々の活性化、商店における雇用等々にも貢献をしているところでございますから、今先生がおっしゃった雇用の観点からも極めて重要な産業であるというふうに考えております。

田名部委員 今、副大臣から御説明いただきましたけれども、平均で一カ所千人の雇用を確保している、そして周辺の商店街も大きいですけれども、さらには、みんな家族を抱えているわけで、本当に重要な役割を果たしているということになろうと思います。それを考えると、今回の法改正、またその法改正のみならず、どうやって中央競馬も地方競馬もしっかりと売り上げを伸ばして頑張ってもらうのか、このことを真剣に考えていかなければならないんだろうと思っています。

 そういう中で、この危機的な状況を踏まえ、過去にも法改正が行われました。平成十六年と平成十九年であります。この中でもさまざまな新たな事業が実施をされているわけですが、例えば、平成十六年で地方競馬連携事業を創設して、平成十九年には地方競馬活性化事業としてその事業を拡充、強化してきました。

 これらの成果が一体どういうふうに出ているのか、この事業のチェックなりをきちんと行っているのかどうか、このことについて教えていただきたいと思いますし、これまでの法改正と違って、今回、法改正をすることによってどういう支援が行われるのか、さらにはどういう成果が期待されるのか、そのことについてお答えをいただきたいと思います。

筒井副大臣 バブル崩壊後、中央競馬を含めまして非常に厳しい状況になったわけでございますが、平成十六年と十九年の改正によりまして、それまではほぼ毎年地方競馬の撤退が続いていたわけでございますが、その後撤退がなくなりまして、先ほど先生がおっしゃいました荒尾競馬場、あれが六年ぶりの撤退でございます。

 その意味では、毎年撤退が続いていたのがずっとなくなった、今度久方ぶりに出たという形では、顕著と言っていいぐらいの効果がこの前の二回の法改正の成果として出ているのではないかというふうに思っております。

田名部委員 成果が出ているということでありますが、ただ新たな事業を実施するということだけではなくて、その事業の成果というものもぜひしっかりとチェックをしていただきたいと思います。

 副大臣、一つお答えが漏れていたのでお答えを願いたいと思うんですが、今回の法改正で、どのような効果、成果が見込まれているとお考えなのか、教えていただけますか。

筒井副大臣 今回の法改正で、地方競馬の魅力を高めることができるように主催者がいろいろな工夫ができるというふうな形にしたり、それから、地方競馬同士の交流や地方競馬と中央競馬との交流をより活発にしていくことができるようにしたり、あるいは、地方競馬に対する支援措置の延長を今回の法改正の目的にしているわけでございまして、それは以前の二度の改正以上の成果が上がるのではないかと期待をしているところでございます。

田名部委員 これまでの競馬ファンをしっかりと大事にしていくということも大事だと思うんですけれども、いかに新しい競馬ファンをつくっていくかということも大事だろうと思うんですね。年々入場者数が減っているということの原因の一つには、携帯であるとかネットで馬券を購入できるということもあろうと思います。また、経済の悪化というのも大きな要因の一つだろうと思います。

 そういう中で、もう一つの要因として、多様な娯楽が身近なところにあるということもあると思うんです。いかにそれらに打ちかって競馬場に足を運んでもらうか、こういうことに知恵を出していかなきゃならないのではないかなと思うんですが、この間、あるニュース番組を見ていましたら、高齢者の方々が、最近はゲームセンターに通っていらっしゃる。メダルゲームで楽しんでいるようなんですね。私も地元なんかで若い人たちに、ふだんどういうところに遊びに行くのと言うと、余りお金のかからないように、レンタルビデオを借りて家にいたり、ドライブをしたりというようなお話でありました。

 こういう方々にぜひとも競馬場に足を運んでもらいたいと思うんですが、競馬でも最近は、家族連れの方だとか若い方々にも来てもらおうとさまざまな取り組みをしているようであります。遊具を置いたり、レディース席を設けたり、こういう取り組みによって新しいファン層を取り込んでいこう、こういうことはよくわかるんですが、私はもうちょっと発信の仕方に工夫が必要なんじゃないかなと思うんですね。

 実は、私も、政務官時代に東京競馬場にオークスの表彰式で行かせていただきました。本当に景色もきれいで、施設の中も大変美しいですし、馬券を買わなくとも、あの美しい馬が走る姿を見ているだけでも何か気持ちがいいなと思ったんです。できればすてきな彼氏を連れてデートで行きたいなと思うわけですが、私の場合、彼氏を見つけるところから始めなきゃなりませんのであれなんですけれども、そういうイメージが実は若い人たちの中にはないのではないか。あくまでギャンブルで、どちらかというと施設も余りきれいではなくてというイメージ。そうではなくて、今申し上げたように、本当に施設も清潔で安心して遊べる。また、馬券を買わなくたって、景色を見るだけでも楽しめる。

 こういうことを、ターゲットを絞るのであれば、若い人が見るような無料の雑誌なんかもありますから、そういうものに掲載してもらうだとか、観光関係の皆さんと連携するだとか、先ほど副大臣が、主催者同士でさまざま取り組みをして交流なんかもしているんだということでありましたけれども、内輪の中だけではなくて、他産業ともしっかりと連携をしながら観光にもつなげていけるものだと思うんです。ぜひとも、さまざまな意見を聞いてそういったことに取り組んでいただきたいなというふうに思っています。

 また、馬券の種類をふやすなど、こういう工夫もなされてきたわけですけれども、今では馬券の種類が十種類あるというふうに聞いています。なかなか素人ではこういうことはわかりにくいし、買っても余り当たらないんだろうなというような思いもあって、走る馬の数が減れば当たる確率も上がる、払い戻しの金額は高くなくてもいいので、少し当たる楽しみがわかるようなレースも工夫してみるだとか、そういういろいろな視点から、何とか新しいファンを取り込む、そんなことを考えていただきたいなというふうに思うんですけれども、現時点で、若者やまた高齢者の方々に対してどういうような対策をされているのか。

 また、利用者の要望ですとか、競馬に行ったことのない人たちの競馬に対するイメージ、どうしたら競馬場に来てくれるのか、こういったことの意識調査というかリサーチなんかはしたことがあるんでしょうか。

仲野大臣政務官 ただいまの田名部委員の質問にお答えさせていただきます。

 田名部委員も政務官のときにオークスに行かれて、最高の景色を拝見することによってわくわくとしてきたというお話を聞かせていただいて、実は私も去年の十月、ジャパンカップに行かせていただいて、ちょうど秋晴れの本当にすばらしい景色と観衆を目の当たりにしたら、あれは聞くだけではなくて、やはり一度足を運んでいただいて、その興奮のるつぼをしっかり味わわなきゃならないのかな、そういう認識をさせていただいたところでございます。

 そして、新しいファンの取り込みもぜひ必要ではないかという御指摘に、まさにそのとおりだと思っております。そういったことで、農水省といたしましても、若者や女性の競馬ファンをいかに取り込むかということが大変重要なことだと思っております。

 そこで、主催者において、インターネット投票の普及、あるいはまた子供の遊び場や授乳室の設置、そしてまた、レディースデーを設け、女性限定競馬教室など女性向けイベントの実施、あるいは、高齢者の方々も最近多いわけでありますので、そういった方たちが不自由しないように表示文字の拡大等の取り組みを実施しております。そしてまた、競馬場で投票の仕方を説明する係等を設けたりする取り組みも今実施をいたしております。

 いずれにいたしましても、今、さまざまな意見を聞くということを大事にしながら、これからも、いかに地方競馬の主催者が競馬の魅力をアピールし、若者や女性、家族連れの来場をふやし、高齢者も参加しやすい取り組みを積極的に進めていくように、そのことがまた観光にも波及できるようにしっかりと取り組んでまいりたい、そのように思っております。

田名部委員 さまざまな取り組みをしているんですが、その情報が余り発信されていないんですね。ですから、本当に今、仲野政務官おっしゃっていただいたように、足を運んでもらったらあのすばらしさがわかるんですが、そこまでいかないという現状を踏まえて、ぜひとも、さまざまな、子供用の遊具もあるし、レディース席もあるし、デートで行っても、ボックス席で、お金を払えば食べ放題、ジュースも飲み放題、美しい景色を見ながらそういうこともあるよという情報を発信していただきたいんです。

 調べたら、さらには、レースに命名できるというようなこともやっているんですね。大好きな人の記念に残るプレゼントがしたい、そんな方にお勧めしたいのが地方競馬場デートです。例えば、田名部匡代を一生幸せにすると誓う記念とか、田名部匡代さん、俺とつき合ってくれ杯だとか、こういうメッセージを送れるような、レースに名前がつけられるという楽しみもあるんです。

 ぜひとも、こういうことを発信するためのさまざまな知恵を出して、そして、より広い、いろいろな立場の方から御意見を聞くような場も設けていただいて、取り組みを進めていただきたいと思います。

 今回の法改正で、新しいファンの取り込みも大事なんですけれども、今まで競馬を支えてきた方々、この根強いファンが離れていかないような対応も必要だと思うんですが、今回、払戻金の算出方法の改正で、競馬ファンの方々が逆に払戻金が少なくなっちゃって魅力が減少するんじゃないか、こういう御懸念の声もあるんですけれども、そのことについてどのようにお考えでしょうか。

筒井副大臣 下限を引き下げた結果、もし主催者が全ての支払いについて今現在より下げてしまったならば、かえって魅力は減ってしまうわけでございますから、主催者がそういうことをすることは考えにくいと思っています。

 何で下限を下げたかといえば、それぞれ特徴を、主催者ができるようにする。場合によって、一定の部分について下限を下げながら、一定の部分については大きく上げていくというふうな形で、選択と集中といいますか、柔軟に考えて、競馬の魅力を高めていく。それが可能な方向での改正を考えているということでございます。

田名部委員 ぜひ、副大臣から御説明いただきましたように、魅力がなくならないように、しっかり取り組んでいただくよう、農水省としてもちゃんと目配りをしていただきたいなというふうに思います。

 かつて競馬人気では、なかなか競馬をやる機会のない私でもよく名前を聞いたことがあるのはオグリキャップ。地方競馬から東京に行って大活躍をして、多くのサラリーマンや女性や若い人たちにも人気が出た。いろいろな、オグリキャップのグッズなんかも相当売られたのではないかなというふうに思いますけれども、やはり地方競馬に頑張ってもらう、そのことが競馬全体を活性化していくことであろうと思いますし、しっかりと存続させていくために重要なことだと考えています。

 そういう中で、生産者の方々に対してもこれまで以上に充実した支援をしなければならないと思っていますし、また、主催者の方々には、できるだけコスト削減に取り組みをいただく、そして、より魅力的な競馬運営をしていただくということが重要だと思っています。

 昨年いろいろ御指摘がありましたJRAの随意契約、これは、中央競馬のみならず地方においても、そういう無駄な高いコストを払って契約が行われていないかどうか、これらをしっかりチェックする。また、人件費の問題等も含めてしっかりと、現場が頑張っていけるような体制づくりに農水省にも責任を持ってもらいたいと思います。

 さらには、海外にも魅力を発信していく必要があると思います。そのことによって観光客を呼び込む、まさにこれは経産省や外務省、こういった横のつながりも大事にしながら取り組んでいただきたいと思いますが、競走馬の輸出についてもしっかりと推進していく必要があると思うんです。ぜひ、これについては、今回も盛り込まれているようでありますが、輸出関連施設の体制についてしっかり整備していく必要があると思います。

 時間がなくなりました。副大臣、一言、これについての意欲をお伝えしていただけますでしょうか。

筒井副大臣 先生のおっしゃるとおり、全く同感でございます。

 今、年間で百頭ぐらいの競走馬の輸出でございますが、これを大幅に拡充していくこと、これを最大限支援していきたいというふうに考えております。

田名部委員 あっという間の二十分でした。大変ありがとうございました。

吉田委員長 次に、石川知裕君。

石川委員 新党大地・真民主の石川知裕です。

 競馬法改正の質問の前に、一点だけ、別のことをちょっとお尋ねしたいと思います。

 韓国のソウル市が一月二十六日に、米韓FTAを締結した場合にソウル市の条例と衝突するものが三十あるというふうにソウル市長が発表しました。きのう、農林水産省を通して外務省に調査をしていただいたところ、韓国の外務省は、ソウル市の発表には誤解も多く、抵触はしないということを発表したということでした。

 私も総務省に問い合わせをしたら、総務省の方では把握をしていないということだったんですが、仮にTPPが交渉入りになった場合に、農林水産省が所管している法律と関係ある自治体の条例にどの程度影響があるかというのを研究しているかどうか、お尋ねをしたいと思います。

筒井副大臣 TPPで議論になり得るのは、関税の問題だけではなくて、食の安全規制の問題とか、規制等々、いわゆる非関税障壁と言われるような、そういうものが議論の対象になるわけでございまして、これらが各地方自治体の条例と矛盾するのかしないのか、これは大きな課題になるかと思います。

 しかし、その中身が、食の安全基準がどういうふうになるのかわからない段階では具体的なことは申し上げられないわけでございますが、韓国においては、そういう議論をして、結局、結論的には、先生が今おっしゃったように矛盾しないんだというふうな結論になりそうだということでございます。

 ただ、そこでは、例えば給食を無償で提供していることが非関税障壁になるとかいうふうなことも問題になったところでございまして、農林水産省としてもそれらの問題には関心を持ってこれから検討していきたいというふうに考えております。

石川委員 遺伝子組み換え食品の問題ですとか、各自治体それぞれ、自分たちの地方の思いを込めて条例をつくっておりますので、これから意見交換を通じて研究をしてもらいたいと思います。

 それでは、競馬法の改正の質問に入りたいと思います。

 大臣、「大地のファンファーレ」を見る時間はありましたでしょうか。もしなければ、またビデオをお届けいたします。

 地方競馬の役割というのは、賭博行為を公的に認めるかわりとして、畜産の振興や社会福祉の増進、先ほど田名部先生からも地方競馬の振興策について質問があったところです。しかしながら、帯広市のばんえい競馬もかなりの額の繰り出し金を地域の発展のために入れてきましたけれども、平成十七年以降は、昨年の浦和競馬を除いて、自治体への繰り出し金がない状況が続いております。地方競馬の大変厳しい状況は、先ほど田名部委員からの質問にもありました。

 ただ、北海道競馬を仮に例にとってみますと、経済波及効果は直接支出で百十億円になります。やはり昔は、自治体の財政支援、地方の活性化、そのために地方競馬は存在していましたし、競艇また競輪、オート、それぞれの公営ギャンブルというものの役割がありました。しかしながら、今は、それをもし廃止した場合に、地方に与える雇用の問題また経済波及効果、こうしたことが大きいことから、廃止すると大変だということで、何とか存続させなきゃいけないということが今議論の柱になっていると思います。今回の法改正でも、何とか地方競馬を活性化していこうという趣旨であります。

 ただ、一点、これは大臣にお尋ねをしたいんですけれども、ばんえい競馬の場合は北海道遺産にもなっています。引き馬競走としては世界で唯一の引き馬の競馬であります。ほかの地方競馬は交流競走ができます。だけれども、ばんえいの場合は、交流競走は馬自体が違いますから無理ですし、騎手も体重制限が違います。普通の競馬は五十キロ、ばんえいの場合は七十キロ以上ですから。そうすると、どうしても人的交流または競走馬の交流もできません。

 しかしながら、先ほど申し上げましたように、文化的な遺産、そして世界唯一ということですから、ほかの地方競馬とは違う位置づけだと考えておりますけれども、大臣の見解はいかがでしょうか。

鹿野国務大臣 「大地のファンファーレ」というふうなことは、NHKで三月の十三日、三月の二十日に放送されたものでありまして、ばんえい競馬を取り上げたものでございます。見ていなかったのでございますけれども……(石川委員「お届けしますから大丈夫です」と呼ぶ)はい、ありがとうございます。

 そこで、ばんえい競馬の件につきましては、今お話しのとおりに、北海道遺産として登録されているということでございまして、北海道の文化の一つである、こういうようなことから、次の世代に対してもきちっと引き継いでいかなければならない貴重な文化的遺産である、こういう認識でございます。

 地方競馬全国協会が公益貢献のための事業として実施している畜産振興補助事業では、ばんえい競馬に用いられる馬種である農用馬の改良増殖に約二億円を充当いたしておるところでございます。これは二十三年度でございますけれども。

 農林水産省としても、ばんえい競馬の継続に資するように、家畜改良センターにおけるところの農用馬の改良増殖を引き続き支援していきたい、このようなことから、次の世代にもこの文化的遺産が引き継がれるように農林水産省も引き続いて努力をしていきたい、こう思っております。

石川委員 ばんえい競馬も独自の努力は当然必要ですし、していかなければいけませんが、先ほど申し上げたような特殊事情と、そして、文化的に見ても非常に価値のあるものですので、その点を考慮して、今後、農林水産省としても支援に取り組んでもらいたい、このように改めてお願いをするところでございます。

 次に、競馬の活性化。田名部匡代を応援する杯、いい人を見つける杯ですか、これは先生、言ったら絶対やっておかぬといかぬですよ。ばんえい競馬は懸賞金がそんなに高くないですから、ぜひ申し込んでおいてください。

 今回の法改正でも、中央競馬と地方競馬の相互の支援、これがやはり活性化に資するものだと思いますし、不可欠だと思います。ダートグレード競走をふやしたり、騎手同士の交流をふやしていく、それによってファンにおもしろいレースを提供していく、これは大事だと思います。ことしの秋から中央のファンが地方の競馬の馬券を買えるようになるということでしたので、たしか三百万人ぐらい電話投票の方が地方競馬に乗り入れられるということになっておりますので、さらにこういう交流が進んでいくことによって、地方競馬の活性化に努力してもらいたいと思います。

 そこで、ただ、荒尾競馬は、先ほど田名部委員からの質問にもありましたように、廃止になりました。十六あったのが十五と。二〇〇〇年以降、十一の地方競馬が廃止されている、大変厳しい状況です。

 もちろん、競馬場に足を運ぶということも大事です。先ほども質疑の中でありました。ただ、ばんえいも実は入場者数はふえています。でも、やはり景気の低迷等がありまして、売得金の額は減っておりますし、また、ほかの地方競馬も、どうやっておもしろくするかということを考えていくことも大切だと思います。

 もう一点は、やはり、効率的に運営をしていくということも大切だと思います。

 今、中央と地方で、二種類の免許と二つの競馬学校が存在しています。これからもし荒尾みたいに地方競馬が廃止になった場合に、厩務員だとか騎手を今後どうするかという問題も出てくるのが一点と、もう一つは、やはり、新人ジョッキーの機会をふやしていく、地方で乗ってこれから中央に、また逆もできるようにすることを考えていくことも必要だと思うんです。

 今、中央競馬では日本中央競馬会競馬学校、地方競馬では地方競馬教養センター、この二つの競馬学校と二つの騎手免許が存在しておりますけれども、先ほど申し上げましたような今後のことをいろいろ考慮すると、競馬学校の統一、もう一つは騎手免許の統一、これは競馬法の改正だけでできることですから、あとは農林水産省とJRAが相談して決断すればできることですから、これについてもっと踏み込んで議論をしていく、そして決断をしていくということが必要なのではないかと思います。

 大臣の見解はいかがでしょうか。

筒井副大臣 騎手の免許の統一、現在は中央競馬と地方競馬の二本立てで行っているわけでございますが、それを統一した場合に、もちろんメリットもあるんですが、さまざまなデメリットもある。例えば、中央競馬の方に集中してしまって、地方競馬の方の衰退を招くおそれがないのかという問題点も議論をしなければいけないものでございます。

 それで、競馬のあり方に係る有識者懇談会というものが開かれまして、そこから報告も出されているわけでございますが、そこでは、それらのことを考えると慎重に今後検討していかなければならないという結論が出ているわけでございまして、農林水産省としても現在そう考えているところです。

石川委員 衰退を招くとは余り考えないんですけれども、むしろ切磋琢磨したり、新人ジョッキーの騎乗機会をふやしたり、やり方はいろいろあると思いますので、ぜひ今後、もっと踏み込んだ議論をしてもらいたいと思います。

 時間がないので、次の質問に移りたいと思います。

 地方の競馬関係者と意見交換をしたときに、地方競馬の賞金への支援策として、ダートグレード競走や条件クラスの交流競走、認定競走について、JRAの競走協力金交付制度があると承知をしております。北海道競馬を例にとると、記録を取り寄せましたら、平成十一年度が八億八千三百万円、平成十二年度が八億七千万円、ぐっと下がって平成十七年度には四億八千万、去年は三億五百万と相当額減少しております。

 北海道競馬の位置づけというのは、きょうは理事長がおいででございますけれども、これは中央、地方含めて七割が、もともと北海道競馬で走らせて、それから全国に散っていくということですから、もう位置づけについては御案内のとおりでありますが、競走馬の安定供給と円滑な流通のためにも、こうした協力金の拡充がお互いの発展のためにも必要と考えておりますけれども、いろいろ要件が狭まったり、使い勝手がなかなか厳しいという声も地方競馬からあるようであります。

 今後、見直し、拡充を含めて、もう半減以下になっていますが、どのように考えているのか、お尋ねをしたいと思います。

土川参考人 ただいまの先生のことにお答えをしたいと思います。

 今お話のありましたように、中央競馬と地方競馬の交流競走は、中央、地方の共存共栄を目指しまして、競馬全体の振興を図るということから、平成七年から本格的に実施をしております。

 JRAでは、今お話ありましたように、交流競走の協力金として、地方競馬でのダートの交流重賞及び条件の低い条件交流に対しまして、本賞金総額の五〇%を上限に、また、地方の二歳馬による認定競走というのがございますが、それにつきましては、本賞金の九〇%を上限に地方競馬主催者に交付をしている状況でございます。

 今後の交流競走協力金についても、競馬を取り巻く環境は依然厳しいものではありますけれども、今お話のありましたように、当然、馬産地ということは中央競馬も考えております。したがいまして、JRAの予算全体の中で、その枠組みの中で、中央、地方、馬産地も含めまして実効性のある取り組みを検討してまいりたい、そのように思っております。

石川委員 大変期待が高いので、ぜひ見直し、また拡充、支援に努力をしてもらいたいと思います。

 きょうは時間厳守ということなので、最後の質問にしたいと思います。払い戻し率の見直しについて。

 私、きのうも競馬場に行ってまいりましたら、やはり期待感は大きいです。二五%から、運営の厳しいところは二六、二七にしてもらいたいという気持ちもあるようですし、また、それぞれ、やはり魅力ある競馬づくりのためにいろいろな組み合わせをしていくということについては、ファンへの期待感もあるのだろうと思います。

 一方で、ファンに対するお金が少なくなれば、競馬離れというものも懸念されますので、そこはやはりある程度一律でやっていかざるを、お互い横を見ながらやっていくところもあるんだろうと思いますけれども、きょうは時間がないので、その点について突っ込んだ質問は行いません。

 運営側の方について、主催者ごとに異なる払い戻し率に対応するためにプログラム整備が必要になるということで、物理的に大変と思われておりますけれども、このプログラムづくりについてどういう支援策を考えているのか。最後に政府に御質問したいと思います。

仲野大臣政務官 石川委員の質問にお答えいたします。

 払戻金の算出方法の改正に当たっては、主催者において具体的な設定方法を決めた後、それに合わせて馬券の発払いシステムのプログラムの改修が必要であります。

 現在、地方競馬主催者において、競馬活性化事業において共同の馬券発払いシステムを整備し運用しているところでありますが、算出方法の改正の際には、これを主催者の決定内容に合わせて改修していくことになると思います。

 この改修に要する経費については、地方競馬主催者が連携して競馬の活性化のために実施する事業であることから、今回の改正案により延長されることとなる競馬活性化事業の対象となるものでありますので、本支援措置により財政的に支援してまいりたいと思っております。

石川委員 運営側も大変気にしているところでありますので、これは早急に示して、支援をしていただきたいと思います。

 では、委員長、終わります。

吉田委員長 次に、伊東良孝君。

伊東委員 自由民主党の伊東良孝でございます。

 私は北海道でありますので、今回の競馬法の改正は地方競馬への支援措置の延長でありまして、地方競馬活性化事業あるいはまた競走馬生産振興事業、これらを充実される、延長されるということは大変ありがたいことだ、このように思うところでありますが、最近の売り上げの減少等々によりまして、軽種馬産地が大変に疲弊してきております。これらに対する対策も含めてお伺いをするものであります。

 それぞれ、田名部委員からも、また石川委員からもお話が出ておりました。中央競馬の売り上げが、平成九年をピークにいたしまして、当時は四兆七億でありましたが、減少の一途をたどっておりまして、平成二十二年度には二兆四千億円、これはピーク時の六割まで落ち込んでいるのであります。また同時に、地方競馬の売り上げも、平成三年の九千八百六十二億円をピークに、平成二十二年には三千三百三十二億円、ピーク時の三分の一にまで落ち込んでおりました。

 このような競馬事業の売り上げ減少の要因というのはさまざまでありましょうけれども、農水省として、どのようにこれを分析しておられるのか、この見解につきましてお伺いしたいと思います。

筒井副大臣 複数の原因があるというふうに考えておりますが、何といっても大きいのは景気でございまして、バブル崩壊後、大幅に厳しい経営にいずれもなっているわけでございまして、この失われた二十年ということが一番大きな原因であろうかと考えております。

 それにさらにプラスしますと、インターネットを活用したような新しい娯楽手段ができてきた、その娯楽の多様化が地方競馬を含めた経営の厳しさの原因になっているというふうに思っております。しかも、多様な娯楽の出現と同時に、さっきの景気の問題と相まって、パチンコあるいはゲームセンター、交通の便においても極めて簡便な、簡易な娯楽がやはり前面に出てきた、これらのことが原因かというふうに考えております。

伊東委員 副大臣お話しのとおり、公営ギャンブルと称するものが、競馬のみならず、競輪もオートレースも競艇も含めて、全部、右肩下がりで売り上げが減少になっておりました。一概に景気だけではないものもちょっと感ずるところでありますけれども、嗜好の変化などなどでありましょう。

 特に、競馬の場合、私は前に北海道議会におりまして、北海道競馬の振興策で随分いろいろ論議をさせていただいた経緯がありまして、公営ギャンブルそのものが利益を生み出して、地域にあるいは公共の福祉に還元されてこそその存在意義、存立の意義があるわけでありますけれども、近年、その公営ギャンブルを維持するために税金が投入されるという、本来あってはならない、本末転倒の事態もあるわけであります。

 だからこそ、やはりこの公営ギャンブルのあり方、特に地方競馬も中央競馬も含めてしっかりした利益が出る、そしてそこから地方の公共団体等々の社会の福祉、さらにはまた馬産地振興ほか競馬関係者の雇用、あるいは産業としての競馬というものが大事になってくる、このように思うのであります。

 さて、その減少を受けて、競馬事業の収支の改善、活性化ということでの法改正であります。

 直近の平成十九年の競馬法の改正では、JRAの経営に関する重要事項を意思決定する機関として経営委員会が新設をされたところでもありました。役員の責任を明確化する仕組みが導入されるなど、民間的経営手法が導入された、このように認識しております。

 また、地方競馬全国協会につきましても、平成十九年の法改正によりまして、重要事項の決定機関として地方競馬主催者を代表する方々から成る運営委員会が新設されたほか、地方競馬主催者の相互連携と地方競馬の活性化を図る競馬活性化計画を位置づけるなど、事業の収支を改善する取り組みが行われてきたところであります。しかしながら、平成十九年の法改正以降も売上額の減少に歯どめがかかっていないわけであります。

 また、競馬主催者の経営は依然として厳しい状況が続いておりまして、先ほどからも質問の中に出ておりましたが、平成二十三年度には、全国に十六団体ある地方競馬のうち、荒尾競馬組合が、八十三年もの歴史を持っているところでありますけれども、幕を閉じる予定になっております。これまでもたくさんの地方競馬が消えてきたわけであります。

 平成三年度以降、売り上げが下げどまらず、ピーク時の四割を下回る水準にまでなっているわけでありまして、こうしたことがもちろん今回の法改正の大きな提案理由でありましょうけれども、十九年の法改正の目的と、その後の、十九年、五年前の法改正の成果、これが一体どうであったのかということもやはり検証しなければならないと思います。

 この点につきまして、農水省の見解をお伺いします。

筒井副大臣 先ほど申し上げましたが、十六年、十九年の改正が成果を上げたというふうに考えております。

 その具体的な成果の姿としては、それまでは毎年のように地方競馬が撤退、廃止となってきたわけでございますが、十六年、十九年の改正以降はずっと撤退がなかった。今先生も言われました荒尾の撤退が六年ぶりの撤退でございまして、それだけ撤退、廃止が減ったということは十六年、十九年の改正による成果だというふうに考えております。

伊東委員 やはり、中央競馬が地方競馬を支える、これは産地からしましても、本当に地方競馬がどんどんなくなっていくと、馬の生産量がどんどん落ち込んでくるわけであります。それに比例して、いい馬も少なくなってくるということであります。これはもう、運命共同体という思いの中でこの法改正が実効あらしめられるように、そして地方競馬の活性化を図っていただきたい、こう思う次第であります。

 そこで、地方競馬の発展を考えたときに、優秀な競走馬の所属も欠かせないわけでありまして、新たな馬主をふやすことも必要であろうというふうに思います。既にJRAで実施しております海外居住者の馬主資格付与を地方も考えるべきだ、こういう声が生産者からも上がっているわけでありまして、これについての政府の見解及び取り組みの状況についてお伺いするものであります。

鹿野国務大臣 地方競馬の馬主登録は、競馬法等の規定に基づきまして、地方競馬全国協会が実施をいたしております。

 海外に居住している馬主については、地方競馬全国協会においては犯罪歴等の身元調査が困難でもございまして、公正確保というものが担保されないおそれのあることから、現在は登録を認めておりません。

 そういう中で、今先生言われたとおりに、地方競馬の振興のためには、公正な競走の実施を確保しながらJRAと同様に馬主をふやすことが肝要であるという考え方から、地方競馬全国協会では、JRAで登録を受けた海外居住者の馬主に限定する形で馬主登録を認める方向で検討しておりまして、現在、中央競馬主催者や馬主と調整を行っているということを聞いているところでございます。

伊東委員 中央競馬で認められた海外の馬主さんに対する地方競馬の門戸を開くということでありまして、これはぜひお願いを申し上げたい、こう思う次第であります。そういう方針を立てられたら、さまざまなこれまでの危惧される問題等々もありましょうけれども、速やかなる、できるだけ早くそうしたことが中央競馬と同様にできるように、ぜひまた農水省の方の御指導や支援もお願いしたい、こう思う次第であります。

 さて、それでは、日高地域。私が先ほどからちょっとお話をさせていただいておりますけれども、生産の主たる産地であります北海道の日高地方でありまして、明治以降、新冠の御料牧場、また日高の種馬牧場が整備された歴史がありまして、農業経営の規模拡大が困難な土地条件等もありまして、軽種馬生産に特化するということで、この地域の生産性を高めてきているわけであります。

 平成二十二年の全国の軽種馬生産頭数は七千百二十二頭でありますけれども、この八割に相当する五千七百二十四頭を日高地方で生産しておりまして、その隣の胆振地域の生産頭数千百五頭を合わせると、北海道で全国の軽種馬の九六%を生産しているわけであります。

 中央競馬の売り上げがピークだった平成九年の軽種馬生産頭数は一万八百六十五頭でありますから、大変な数、一万頭を超えていたわけであります。ちなみに、売り上げの金額が六十億円、平均価格が六百六十七万円と当時はなっておりました。過去最大のときは平成四年の一万二千八百七十四頭というのを記録しているところでもありますけれども、現在は、その平成四年のピーク時の五割、六割くらいになってしまったでありましょうか、もう本当に六千頭ちょっとでありまして、七千頭を切っている状況でもあります。

 また、農業生産額という観点からいきますと、この軽種馬生産額というのは二百九十五億円、これは、全体の農業生産額が四百六十九億円でありますから、約六割の軽種馬生産で日高の農業が支えられているわけであります。加えて、先ほどもお話が出ております関連産業、育成産業あるいは種牡馬産業、飼料、馬具産業、装蹄あるいは削蹄業、馬の輸送業など、軽種馬の販売額に匹敵する規模で軽種馬関連産業が形成をされております。

 このように、北海道日高地方の農業、経済にとって極めて重要な役割を果たしているものの、生産縮小、地方競馬の廃止によりまして、これに比例する形で生産が落ちてきております。

 農林水産大臣は、日本の軽種馬生産のいわゆる意義あるいは馬産地経済の現状をどのように認識し、その振興対策をこれまで講じてきているのか、お伺いをするものであります。

鹿野国務大臣 軽種馬生産農家は、平成二十二年度現在で一千六十七戸、そのうち八割が北海道日高地域に存在している、こういうことでございます。日高地域の軽種馬生産を専業としている農家のうち九割が負債を抱えておる、そのうち四割は一戸当たり四千万円を超える負債があるという大変厳しい状況にあることも承知をいたしております。

 また、軽種馬の需要というものが減少している、これに伴いまして軽種馬の生産頭数も減少している。

 こういうような状況を踏まえて、平成十七年度にJRA及び地方競馬全国協会の資金を財源とするところの競走馬生産振興事業を創設して、品質のよい馬づくりや輸出等の販売促進策を進めてまいりました。平成二十一年度の補正予算によりまして、馬産地再活性化緊急対策事業を創設いたしまして、軽種馬生産農家の経営を支援いたしております。

 今般も、馬産地再活性化緊急対策事業を三年間延長するとともに、今回の法改正によりまして、競走馬生産振興事業の実施期間も延長するということになるわけであります。これらの事業を有効に活用して、馬産地の活性化に努めていかなきゃならない、このように考えておるところでございます。

伊東委員 私も、一万頭を生産していたころ、わかるのでありますけれども、この中で、いい馬がJRAに行く、その次の段階が地方競馬にそれぞれ行くという形の中で、国産のいい競走馬が育ってくるわけであります。これは全体が少なくなりますと、いい馬の割合も少なくなってくるわけでありますので、この軽種馬生産というのは本当に大事なものだという思いがいたします。

 今回の法改正でも生産者に対する施策が盛り込まれているところでありまして、ぜひ、この競走馬生産振興事業、こうしたもののいわゆる柔軟なる、それぞれの地域あるいは生産者の実情に応じたものをお願いしたい、こう思う次第であります。

 実は、この軽種馬生産農家でありますけれども、戸数からいきますと、平成十九年度末時点で八百七十五戸あったものが、その三年後の平成二十二年度末で、この間、五十三戸が離農し、三十戸は経営転換を図り、七百九十二戸まで実は減少しているのであります。

 また一方、軽種馬競り市場の動向を見ますと、市場における売却総額、平成十三年には六十九億円あったものが、平成二十三年、十年たって百五十八億まで数字は拡大しているものの、軽種馬市場で最も取引の多いいわゆるサマーセール、一歳でありますけれども、これを見ますと、平成十三年の価格は一頭約六百四十万円でありましたけれども、平成二十三年には三百九十万円まで下落をしているのであります。

 また、生産費につきましては、おおむねこの間、六百万円くらいで推移しているのでありますから、一頭当たりの価格が落ち込んでくる、こうなりますと、今大臣がお話しのように、九割の農家が負債を抱える、四割が一千万円以上の負債に苦しむということになるわけでもございます。

 一戸当たりの平均負債を見ますと、四千七百二十五万円。これは四割が一千万円以上というより、本当に、七百三戸の軽種馬農家の負債総額は三百三十二億円ということになっておりまして、単純に割り返しますと、一戸当たり四千七百二十五万円となっているわけであります。

 現在、利息と元金を全て支払えない農家が百六十四戸、利息の一部と元金の全てを支払えない農家が百六戸。これらの農家は、全体戸数の実に三八%、約四割にもなっているわけでもあります。

 このように厳しさを増す軽種馬経営の状況、あるいは軽種馬競り市場の低迷について、農水省としてどのような対策を講じてきたのか、そしてまた、二十四年度予算や今回の法改正によってどのような対策を行おうとしているのか、お伺いをするものであります。

筒井副大臣 先生がおっしゃるように、軽種馬生産農家が非常に大変に厳しい状況にあることは先ほど大臣も強調したところでございまして、しかも、その生産農家は八割ぐらいは小規模のもので、たくさんの負債を抱えているという状況であります。

 大臣も言われました馬産地再活性化緊急対策事業等でそれらの借金等に関する長期低利の融資等々もその中で取り組んでいるところでございまして、この改正により、こういう事業も延長してこれからもやっていきたいというふうに思っているところでございます。

 軽種馬の場合には、非常にリスクが大きくて大変な状況にあるわけでございます。優勝したり人気馬を生産した場合には一挙にそれらの借金を返せるかもしれませんが、その確率は非常に少ないわけでございますから、これからも大変多くの生産農家は厳しい状況が続くかというふうに予測されるところでございまして、これらの対策事業をこれからも充実しながら、一生懸命取り組んでいきたいというふうに思っております。

伊東委員 先ほどから大臣、副大臣がお話しされておりますいわゆる馬産地再活性化緊急対策事業、今、ここの中でも負債対応ができるというお話でありました。これは確かに負債を借りかえるための融資メニューもあるわけでありますけれども、軽種馬農家の負債総額、先ほど言いましたように、七百三戸で三百三十二億円ということでもあります。

 二十四年から二十六年までの三年間で用意されている融資枠というのは十分な規模になっているのか、額として大丈夫なのか、これについてお伺いいたします。

筒井副大臣 基金が五十億の対策事業かと思いますが、十分であるかどうか、さらに厳密に検討していきたいというふうに思います。

伊東委員 その五十億の枠についてちょっとお伺いいたします。

 馬産地再活性化緊急対策事業、これは二十一年に創設されたものでありますけれども、地方競馬全国協会にこの五十億の基金が造成されたということになっておりまして、三カ年で、いわゆる生産経営の体質強化事業、あるいは馬流通の活性化事業、これらが行われてきたわけであります。

 さて、いよいよその最終年度の二十三年度末を間近に控えまして、五十億の予算の執行状況についてお伺いするものであります。また、執行残があれば、その額と理由についてお聞かせをいただきたいと思います。

筒井副大臣 執行残が二十二億というふうに聞いております。執行残が出た理由も幾つかあるわけでございますが、これは今後も執行残のものも延長ということになりますので、さらに軽種馬の生産農家支援のために充実をしていきたいというふうに考えております。

伊東委員 五十億用意して、二十二億の執行残ということになりますと、本当に大きなお金が残ってしまった。この使い勝手、あるいはそのメニュー等々に改善の余地があるのではないかというふうに私は思うところでもあります。せっかくこうした再活性化の対策事業ということで予算を用意しながらも、残念ながら、このうち半分ちょっとしか、六割も使えなかったということは少し見直す必要がある、反省する必要がある、このように思うものであります。

 日高地域の軽種馬生産農家のほとんどは、馬生産と他作物の生産を組み合わせる複合経営を実は望んでいないわけであります。むしろ、中央競馬あるいは地方競馬のレースでしっかりと勝てる競走馬づくりに専念をしたい、このように望んでいるわけでありまして、こうした農家のニーズも踏まえまして、この馬産地再活性化緊急対策事業が真の馬産地の構造改革を実現できるような事業でなければならない、こう思うわけでありますけれども、これについて、政府の見解、農水省の見解をお伺いしたいと思います。

筒井副大臣 二十二億が執行残になった理由としては、この農水省関連の基金だけではなくて、全ての予算における基金の問題の執行停止とか見直しとかという問題が起こりまして、それらでなかなか執行がおくれた点と、大震災の直接間接の影響を受けた、これらのことがあるわけでございます。ですから、生産農家への支援について意識が十分でなかったということからの執行残ではないことを御理解いただきたいと思います。

 それと、さらに、これも基金ですが、一般会計から出している予算ではないわけでございますが、しかし、もう一つの事業が競走馬生産振興事業、これが一般会計から出している国の予算を競馬関係の支援に使うという唯一の事業でございまして、これを出したという趣旨は、やはり、競走馬生産、軽種馬生産事業者が非常に大変厳しい状況にある、これを何としてでも再生、そして盛んにしていきたいという意識のあらわれだというふうに御理解をいただきたいと思います。

伊東委員 馬産地の声というのはさまざまあるんですけれども、例えば、農家が協業、協同、分業により経営改善を進めていく場合に補助率のかさ上げをしてほしいという馬産地の声も私どもは聞いております。

 そのほか、これまで新品の機械、施設のみが適用可能なリース事業でありましたけれども、例えば、中古の機械あるいは中古の施設をこのリースの対象に加えてみてはどうかというお話もありました。また、軽種馬農家の利息負担を軽減するためにリース期間の短縮を可能としてはどうか。これは長期化してはどうかという声も一方ではあるようでありますけれども、こうした柔軟性を持たせる。

 さらに、海外販路開拓に向けたプロモーションの活動の強化なども必要ではないかというお話がありました。

 効果的に馬産地の構造改革を推進するため、このような事業の運用改善を図るべきではないか、こう思うわけでありますけれども、この点につきまして、それでは、副大臣の見解を再度お伺いします。

筒井副大臣 先生がおっしゃるように、使い勝手のいいものにしていきたい。機械のリースに関しても、耐用年数が残っているものであれば中古のものでもいいとするとか、そういう形で柔軟な取り組みをしていきたいというふうに考えております。

 先ほど私ちょっと、基金の方が予算措置でございまして、もう一つの方の競走馬生産振興事業の方は予算措置ではないものでございましたが、逆に言ったかもしれませんので、もしそう言ったとすれば、訂正をさせていただきたいと思います。

伊東委員 先ほど、これは石川議員でしたか、軽種馬の海外輸出についてのお話が出ました。筒井副大臣からも、これから進めたいというお話が出た話でありましたけれども、やはり国内需要が縮小している中で、競走馬の海外輸出は需要拡大を図る上で重要であるというふうに私は思っております。

 平成二十二年三月以降、百五十七頭の軽種馬が中国と取引され、うち百二十四頭が輸出をされたところであります。中国が軽種馬の輸入国として台頭し、中国への輸出機運が高まる中で、政府としてもこれを支援する必要があるのではないか、こう思います。

 中国以外に軽種馬を輸出する場合、家畜伝染病予防法で規定をされております輸出時の検疫検査期間、これは五日間となっております。ところが、中国へ軽種馬を輸出する場合、牧場での農場検疫が三十日、国が指定した隔離検疫所での本検疫が三十日、これらを合わせて六十日間が国内で必要とされます。さらに、到着後、中国側で着地検査は四十五日。これを足し合わせますと、トータルで百五日間の検疫期間が必要となるわけであります。

 輸出国が当該国内で必要とする検疫期間について、その他の国の例を見ますと、イギリスで三十五日。シンガポールで十四日間、プラスアルファ、およそ七日間、一週間ぐらいであろうと言われております。アメリカで五日間、プラスアルファで約一週間。韓国で約一週間、七日間くらいとなっております。

 日中の二国間貿易協定に基づく輸出検査の許可基準につきましては、一概に他の国の状況と一致しなきゃだめだという話をするつもりはありませんけれども、ほかの国と比べると非常にこれが長いわけであります。これは中国への輸出促進を図る上での大きな課題となっているわけであります。

 この点につきまして、中国政府に対する二国間貿易協定の見直し要請を含めて、農水省の現在の取り組み状況についてお伺いするものであります。

筒井副大臣 例えば、平成二十三年度を見ますと約百頭が輸出されているわけでございますが、その半分近くが中国でございます。

 中国は、香港はちょっと別ですが、本土においてはまだ競馬が認められていない国でありながら、断トツの第一位の日本からの競馬馬の輸入国でございます。もし競馬が中国で認められたら、まさに大きな競馬の輸出の市場になるというふうに考えております。

 実際に、中国の国有企業の中農集団というところがありますが、その社長が訪日した際に、府中の競馬場をぜひ見たいということで、そこも案内して視察してもらったところでございまして、競馬のシステムを含めて輸入をしたいというふうな意向でございますが、それができた時点では、競馬馬自体、軽種馬自体、大量な輸出が可能になるというふうに期待をしているところでございます。

 そして、今先生が言われました検疫期間、中国が極めて長いことは事実でございまして、これを何としてでも他の国並みに短縮してほしい、これは私、去年の十二月に訪中した際にも向こうの検疫当局に強く要請をしてきたところでございまして、その後、事務方の方からもその要請に行ったところでございますが、現在はまだ、そういう要求をして、協議をしているという段階でございます。

 何としてでも先生のおっしゃるような方向での見直しを早くしてもらいたいということを、今後も強力に要求していきたいというふうに思っております。

伊東委員 筒井副大臣の答弁の中で、私は、期待以上のお話をお聞かせいただきました。

 実は私、台湾及び中国等々の国々に、日本の競馬システムそのものを含めた、馬も数百頭、数千頭単位でありましょうけれども、こうしたものを輸出すべきだというのが昔からの持論でありまして、ただ、そこの国でそれぞれ、公営ギャンブルあるいは競馬というものに対する考え方というのはさまざまありましょうから、そう簡単な話ではないというふうに思いますけれども。日本のこのすぐれた競馬システムが、恐らく数千億から一兆円を超えるようなものになるのではないかと思いますが、システム単位で輸出される、あるいは、原発ですらそんな話が、あちこちに日本は原発輸出をやっているわけでありますので、原発の輸出よりは競馬の輸出の方がいいだろうな、こう思うわけでもあります。

 ぜひ、きょうはJRAの理事長もお見えでございますので、日本の競馬システムそのものを海外に広めていただきたいというふうに思う次第であります。

 さて、中国のお話、若干、阻害要因として挙げられているものについてお聞きしますけれども、実は、馬パラチフスの判定基準が中国に輸出する場合に出てくるわけであります。

 馬パラチフスの診断方法であります試験管凝集試験は、ネズミチフス等にも反応する精度の低い検査方法でありまして、高齢馬ほどネズミチフス等の抗体を保有している可能性が高いことから、馬パラチフスに感染していない軽種馬を陽性と判定することがしばしば出てまいります。しかしながら、二国間貿易協定による判定基準は、日本国内の判定基準と比べて一段階厳しい基準となっているということでありまして、馬パラチフス陽性判定が出るリスクがさらに高まる可能性があるわけであります。

 日中の二国間貿易協定による馬パラチフスの判定基準を日本国内の判定基準と同様に改定するよう、あわせてこれは中国政府に要請すべきではないか、このように思うところでありまして、この点につきましても御見解をお伺いします。

筒井副大臣 先生おっしゃるとおり、日本側が中国に求めている基準、それよりも厳しい基準を中国は日本側に現在求めている、こういう段階でございまして、これはやはり何としてでも同じ基準にしてもらわなければ困るということで、先ほど申し上げた、去年の年末に訪中した際に中国の検疫当局にその点も要請をしたところでございますし、その後で事務方が訪中した際にもそのことを重ねて要求したところでございます。

 今まさにその点が協議中なものでございまして、それをさらに強めて、一日も早くその点を解決していきたいというふうに考えております。

伊東委員 中国に輸出する場合の検疫施設あるいは輸送手段が十分にされていないという問題も一方であります。

 また、日本から中国へ輸出する場合、おおむね六頭の軽種馬を収容できるホースストール、これは家畜用の海上または航空用のコンテナでありますけれども、このホースストールを神戸港まで国内輸送し、神戸港から天津港までが中国への最短ルートでありまして、三日間の日数、そして一頭当たり約八十六万円の経費がかかっているのであります。また、神戸港から大連港までは六日間かかり、一頭当たり七十四万円から八十万円のコストがかかります。

 この輸送中の適切な軽種馬管理に必要なホースストールが日本では不足していると言われておりまして、馬産地の関係者や輸出業者が自分たちの手でホースストールを製作する場合があると聞いております。また、軽種馬を船ではなく航空機専用ホースストールに収容し空路で輸出する場合もありますけれども、例えば、アイルランドから日本に輸入する場合は、一頭当たり約百三十二万円。日本からアイルランドに輸出する場合は、一頭当たり二百万円と随分高くなっているわけであります。

 これによりまして、ホースストールが不足しているから割高になっている、こう言われておりますので、海上輸送、航空輸送、いずれにつきましてもホースストールの製作または購入を支援する必要がある、このように思うわけでありますけれども、最後に、政府の取り組みをお伺い申し上げる次第であります。

筒井副大臣 ホースストールにつきましては、これからますます軽種馬の輸出が増加するに従って極めて重要な手段になるかというふうに考えておりますので、現在ある事業の中での支援を検討していきたいというふうに思っております。

伊東委員 時間でありますので、これで質問を終了させていただきます。ありがとうございました。

    〔委員長退席、佐々木(隆)委員長代理着席〕

佐々木(隆)委員長代理 次に、平将明君。

平(将)委員 自由民主党の平将明です。

 農水委員会は初めて質問させていただきます。よろしくお願いします。

 我が国の競馬の施行は、刑法における富くじの発売罪の特例として扱われています。そのため、我が国が監督をする特殊法人日本中央競馬会、都道府県、市町村及びそれらの地方自治体によって組織される事務組合などの公的な機関が運営をするとともに、不正を防止する措置を法律で定めることにより公正確保が図られていることになっています。

 競馬法には競馬そのものの目的は規定をされていませんが、政府答弁によれば、まず第一に国民及び地方公共団体の財政への寄与、第二に馬の改良増殖その他の畜産の振興、第三に国民への健全な娯楽の提供が競馬の目的とされています。

 競馬に対する国民の認識は社会経済情勢を背景として変化をしてきており、競馬はギャンブルとしての側面が強調され、長い間、余り健全でないイメージがつきまとっていたことも否定はできません。公営競技全般で社会的な問題が発生をしていた昭和三十年代には、政府の審議会等において、社会の雰囲気を考慮して、公営競技の存在を認めるが現状以上には奨励しないことを基本とする答申等が出されており、その存在意義を積極的に認める状況とは言えませんでした。

 その後、日本中央競馬会が運営する中央競馬において、昭和四十年代のハイセイコーの登場による競馬ブーム等を経て、時代が平成に変わったころから、オグリキャップを初めとするスターホースやスター騎手の登場により、若い世代を中心として新規のファンの参入が続き、競馬ブームが発生をいたしました。

 また、競馬場の施設の増改築、場外馬券発売設備の整備、電話やインターネットによる新たな投票システムの充実、競馬情報メディアの創設等によって、売り上げが増加しただけではなくて、若年層や女性にもファン層が拡大をし、今日では、広く競馬場に家族連れの姿も見られるようになっています。このような時代を経て、競馬は着実に国民の間に浸透し、健全な娯楽の一つとして定着をしてきていると思います。

 さらに、農林水産省生産局長主催の懇談会である地方競馬のあり方に係る研究会中間報告においては、「競馬の今日的意義は変化しており、競馬を単なるギャンブルから高度な知的ゲームとしてとらえたり、観戦型プロスポーツであるとする見方等国民の競馬に対する考え方が変化している。」としています。また、地域社会では、雇用の創出、地域の重要産業としての軽種馬産地の形成、馬事文化の継承等、生産地からファンまで幅広く、経済的にも文化的にも重要な役割を果たしてきていると言えます。さらには、最近では、ホースセラピーなど、馬に関連した新たな機能も注目をされています。

 しかしながら、バブル崩壊以降の景気の低迷や娯楽、レジャーの多様化の中で、中央競馬、地方競馬とも売り上げの減少が続いています。今後、いかに競馬の魅力を高めて、ファンの支持を得られるような事業運営を行っていくかが課題となっておりますが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

筒井副大臣 まさにバブル崩壊以降のこういう厳しい経営状況への変化があるわけでございますから、根本的には、やはり景気の回復、失われた二十年からの脱却が重要なことかと思いますが、これは全体的な問題でございます。

 競馬自体としては、今度の競馬法の改正によって、地方競馬に対する支援を継続して、さらには地方競馬の魅力を、中央競馬を含めた競馬の魅力を高めていく。このためには、地方競馬同士の交流、中央競馬と地方競馬の交流、さらには女性あるいは子供も含めた、参加がしやすいような環境を整備する、これらのことの努力をしていかなければいけないというふうに考えております。

平(将)委員 景気をよくするというのはまさにそのとおりなので、できるだけ景気の足を引っ張る政策はやめていただきたいと思います。

 次の質問に移ります。

 中央競馬は、その開催が全国的に展開される中で、競馬場の整備、幅広い情報提供システム、勝馬投票券の販売網の整備を行い、売り上げを伸ばしてきました。その売り上げは平成二年から平成十五年までに三兆円を超える水準で推移をして、国民にさまざまな楽しみを提供するとともに、国庫納付金の納付を通じて継続的に国家財政にも貢献をし、この国庫納付金は畜産振興の事業や社会福祉の事業にも活用をされているところでございます。

 中央競馬では、他の公営競技の売り上げが減少する中、それらに比べ、平成三年から九年の六年間にわたり売り上げを伸ばしてきました。その理由としては、スタンドや場外馬券売り場の改修等を積極的に進めた結果、施設が快適になっているということ、競馬専用テレビであるグリーンチャンネルの放送開始等により情報提供が拡大をしてきたこと、テレビコマーシャルに有名なタレントを起用し、ファンサービスや広報の実施を積極的に行ってきたことなどが挙げられます。また、レースの体系化がうまく行われ、魅力ある番組の提供がなされるとともに、メジロマックイーン等の名馬の出走によりファンの支持を得たということも挙げられると思います。

 しかしながら、バブル景気崩壊後の景気の低迷の影響を受けまして、平成十年には一転して売り上げが減少し、それ以降の減少傾向が続いているわけであります。また、費用収益の状況について見ると、費用については、競馬場の増改築等に伴い、平成十二年までの費用が増加しましたが、支出の見直しを図ったことにより、平成二十二年度には、平成十二年度に比べて約二八%減少をしております。

 しかし、利益が大幅に減少していますので、平成三年の利益は二千八十三億円ありましたが、それに比較すると、平成二十二年の利益は約四十億円にまで減少をしているところでございます。利益を計上することも難しくなりつつあります。

 二〇一一年の純損益は約六十三億四千四百二十万円となり、収支が一九五七年度以来、五十四年ぶりの赤字になっています。

 そこで、お尋ねをいたしますが、この中央競馬の売り上げが落ち込んでいる現状について、どのように認識をし、その原因についてどのように分析をしているのか、お伺いをいたします。

    〔佐々木(隆)委員長代理退席、委員長着席〕

仲野大臣政務官 先ほど来、委員を初め多くの委員からも御指摘があるように、非常に競馬に対する売り上げが減少するということで、さまざまな工夫をしていながらも、本当に昨今の景気の悪化により非常に売り上げが減少しているということが大きな要因でないのかな、そのように思っているわけであります。

 そしてまた、インターネットゲームなど、娯楽や趣味が多様化していることや、あるいはパチンコやスポーツくじなど、時間的にも交通アクセス的にも手軽な娯楽との競合が激しくなっていることなどが、売り上げ減少の原因でないのかなと分析をいたしているところであります。

 なお、JRAの平成二十三年度決算が当期純損失六十三億円という、五十年ぶりの赤字決算となりましたが、これは、東日本大震災による被害関係等の損失百二十五億円を特別損失として計上せざるを得なかったことにもよりますし、また、競馬事業本体の収支については、前年度に比べて売り上げが千三百四十億円減少、対前年比五・五%減少する中で、事業運営の効率化等により赤字額を二十八億円から十九億円に縮小させているところではあります。

 いずれにいたしましても、委員の御指摘等踏まえながら、しっかり経営を見直ししていかなくてはならないのかなというところでございます。

土川参考人 それでは、競馬会の方からも見解を述べたいと思います。

 先ほど来皆さんからお話ありますように、平成十年以降、十四年連続、売り上げが減少しております。この間の売り上げの動向を少し詳しく見てみますと、平成十七年と平成二十年には、ほぼ前年並みの売り上げを確保しております。九八・八%、九九・六%ということでございます。しかし、ここ三年、平成二十一年、二十二年、二十三年と、平成十年、平成十二年が、対前年比で九五%を下回る極めて厳しい状況になっております。

 こうした売り上げの減少の要因の一つは、やはり景気の低迷によりまして、雇用の不安定、家計収入の減少等がもたらしているのではないか、そのように思っております。

 例えば、JRAが毎年、定点定時に実施しております調査、御来場いただいたお客様への月収調査によりますと、平成九年ピーク時と昨年を比べてみますと、約五万八千円の減少となっております。

 こうした中で、さらに、娯楽の多様化、あるいはライフスタイルの変化もあって、お客様の馬券購入額が減少しているものと推測をしております。

 一方、ほぼ平年並みの売り上げを確保した平成十七年と平成二十年を見てみますと、厳しい環境下にはあるものの、平成十七年にはディープインパクトの三冠達成、あるいは、新しい賭式であります三連単の発売の下四レースの通年化などを行いました。また、平成二十年には、これも御存じの方は多いと思いますが、牝馬のウオッカの活躍、あるいは払戻金への上乗せ措置、すなわちJRAプレミアム、JRAプラス10のような施策を実施し、また三連単の全レースの発売を開始したといいますように、社会的に知名度の高いスターホースの出現あるいは活躍があったり、馬券に直接かかわる施策が売り上げの確保に相応の効果をもたらしたものと考えております。

 また、昨年、東日本大震災の影響によりまして、春の発売金は大幅に落ち込みました。夏以降には回復傾向が見られまして、秋からは発売金が前年比を上回るときもございました。ことしは、昨年の四月に導入いたしました五重勝単勝式という、いわゆるウインファイブという新しい賭式を発売し、これが話題となりまして、これまで実施した施策がある程度売り上げの下支えになっているのではないかと思います。

 いずれにいたしましても、競馬界としても努力をしていくことは覚悟しておりますけれども、国民の趣味あるいは娯楽、消費の動向を見据えながら、また少子高齢化も踏まえながら、競馬についてわかりやすく、あるいは参加しやすい、あるいは身近に感じられるような施策を行いながら、既存のお客さんはもちろんのこと、今、競馬に参加したい、あるいはスリーピングをされているファンの方は統計で見ますと大体七百二十万の方が推測されるわけでございますので、そうした方々に参加していただけるような魅力ある競馬をやってまいりたい、そのように思っております。

平(将)委員 中央競馬の施行者である日本中央競馬会については、特殊法人等の改革の一環として、特殊法人等改革推進本部参与会議等においてその組織形態や事業のあり方について検討が行われました。平成十七年十二月二十四日、行政改革の重要方針が閣議決定され、その中で、現行の組織形態のもとで、みずから経営目標を設定、評価し、経営に反映させるなどの民間的経営手法の導入、競馬の公正中立確保に支障のない範囲での国の関与及び規制緩和等の改革を実施するということが求められました。

 これを踏まえて、平成十九年の法改正では、競馬の公正中立性の確保上支障のない範囲での主務大臣の関与及び規制の緩和、経営に関する重要事項の意思決定機関、経営委員会などを言いますが、それの新設、役員の責任を明確化する仕組みの導入が行われました。

 経営委員会については、国の関与や規制を緩和する中で日本中央競馬会の適正な業務運営を確保するため、また、外部の知見や活力を中央競馬会の中に反映させ、一層効率的でファンにとって魅力的な競馬がなされるように設置をされたものでございます。

 経営委員会は、経営の基本方針や目標、予算、事業計画等経営に関する重要事項を決定し、さらに役員の職務執行を監督する組織であり、その委員には、日本中央競馬会の経営に関して公正な判断をすることができ、広い経験と知見を有する者のうちから、農林水産大臣が任命することとされています。

 この平成十九年の法改正による日本中央競馬会の改革によりまして、どのように効果が得られたのかをお伺いいたします。

仲野大臣政務官 平成十九年の法改正において、民間からの委員六名とJRA理事長で構成される経営委員会を設置することとされました。

 これは、JRAの経営に外部の民間の知見と活力を反映することにより、組織運営の一層の効率化を図ることを目的としたものでありまして、この経営委員会は、おおむね月一回の頻度で開催され、各界のトップクラスの有識者である委員により、専門的、総合的見地から幅広く審議が行われているところでありまして、JRAとしては、これらの経営委員会としての判断や、委員各位からの新規ファンの獲得方策やあるいはコスト削減等の提言、指摘等を踏まえ、魅力ある競馬の提供や経営体質の改善の実現に努めてきているところであります。

 今後とも、この経営委員会の提言あるいは指摘を具体化することによって、より一層、競馬ファンの参加拡大を通じた売り上げの増加、また経営基盤の強化につながることを期待しておりますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

平(将)委員 続いて質問をさせていただきます。

 この法案は、地方競馬への支援措置の延長及び払戻金の算出方法の見直しの二点を柱としていますが、この法案の意義を教えてください。また、この法案の競馬関係者や競馬ファンに与える影響、効果についてもどのようなものが考えられるのか、お願いいたします。

筒井副大臣 先生おっしゃるとおり、二点がこの法改正の目的でございますが、支援措置の延長、これについては、まさに地方競馬自体が強く望んでいるところでございますので、撤退というふうなことがなるべくないように、そのための成果を上げるということが期待をされるところでございます。

 払い戻し率の算出方法についての改正は、これは、それぞれの主催者の経営判断が今までよりも柔軟にできるようになるということと同時に、馬券を買う人、購入者から見ても払い戻し率が今まで以上にわかりやすくなるということが言えますし、また、その主催者の払い戻し率の設定によっては魅力ある競馬になり得るというふうに考えているところでございます。

平(将)委員 政府は、第百八十回国会に、競輪及びオートレースの売上額の継続的な減少による施行者の収支の悪化及び競輪に関する事業仕分けの指摘を踏まえ、交付金制度の改革、一番として、特定交付金還付制度は廃止をし交付金率を下げること、二番目として、利益ベースによる交付金納付を行うとともに、事業規制の見直しを通じて施行者の事業運営の自主性及び自由度を高めることなど、競輪等の事業運営及び経営の改善に資するための制度改正を行う自転車競技法及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案を提出しています。

 自転車競技法及び小型自動車競走法の改正案では、交付金制度について、施行者から振興法人に対する交付金負担が実質的に軽減されるように、交付金率の引き下げを行うとともに、赤字施行者が一号並びに二号交付金を実質的に負担しない制度の導入を行おうとしています。

 地方競馬においても、売り上げが連続して減少し、各主催者の経営状況が厳しい中で、馬の改良増殖その他畜産振興に対する補助事業に活用されている一号交付金の減免等を要望する意見も少なくありません。これに対して、畜産振興補助事業は、勝馬投票券発売を伴う競馬開催の刑法における富くじ発売等の違法性を阻却する理由づけ、いわゆる違法性阻却事由となっているため、一号交付金の引き下げの水準や使途についても限界があるとの見方もございます。

 一方で、一号交付金は、畜産振興ではなく、認定競馬活性化計画に基づいて地方競馬主催者の行う事業につき、その経費を補助する業務に使う制度や、日本中央競馬会から資金を交付する制度があり、主催者の側、特に事業収支の厳しい主催者に交付金が戻っていき、場合によっては、みずから支払った交付金よりも多くの支援を受けているという実態もございます。地方競馬については、交付金の納付率や中央競馬の存在等、競輪、オートレースとは異なる部分もございますが、地方競馬における一号交付金の減免等に関する考え方についてはこれらと比較してどのように考えるのか、質問させていただきます。

今井政府参考人 一号交付金の減免に関する考え方につきましてお答え申し上げたいと思います。

 先生御指摘のとおり、競輪及びオートレースに関しましては、今国会に、赤字主催者から公益目的の事業に充てるための交付金を実質的に徴収しないことを内容といたします自転車競技法及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案が提出されております。

 それとの関連で、地方競馬についてどう考えるかという御質問だと思いますけれども、地方競馬につきましては、平成十六年の法改正におきまして、赤字主催者に対してJRAや地全協が資金を援助し、地方競馬主催者の収支改善の取り組みを支援する地方競馬活性化事業が措置されております。

 この十六年の措置は、他の公営競技にはない競馬独自の支援措置でございまして、みずから支払う交付金よりも多額の補助金を受けているという赤字主催者も多く存在するなど、交付金の免除よりもメリットが大きいとも考えられます。このため、地方競馬におきましては、今回の法改正では、この支援措置の期間を延長することにより、経営状況の厳しい主催者を支援していくこととしたところでございます。

平(将)委員 地方競馬の経営は危機的な状況にございます。実効性のある対策を講じるために、各地方主催者の相当の意識改革、努力が必要となっています。

 このため、現行法では四つの措置が講じられております。一番目として、単独の地方競馬主催者で事業収支の改善を図る場合には地方競馬全国協会への交付金の一部の交付を猶予する措置、二番目としては、複数の地方競馬主催者で事業収支改善のために連携をする場合に地方競馬全国協会から必要な資金を補助する措置、三番目といたしましては、事業収支が著しく不均衡になった主催者については地方競馬全国協会に納付した交付金の一部が還付される措置、四番目としては、先ほど申し上げた二番目の項目の財源の確保のための措置が講じられています。

 改正案では、地方競馬における事業収支の改善を引き続き促進するために、平成二十四年度までの措置とされている、先ほど三番目に申し上げた、地方競馬主催者に対する交付金の還付措置及び平成二十四年度十二月または平成二十四年度までの措置とされている財源の確保のための措置について、五年間延長を行うこととしています。このうち、一号交付金は馬の改良、増殖、その他畜産振興のための事業の経費に、二号交付金は馬主及び馬の登録、騎手の免許等の地方競馬の運営に必要な経費に充てられています。

 平成十九年の法改正では、地方競馬主催者がその競馬事業の収支が著しく不均衡な状況等にあるため、特定事業収支改善措置の実施以外の方法によって競馬事業の収支改善が困難であると農林水産大臣が認めた場合においては、特定事業収支改善措置を実施したときには、平成二十年度から平成二十四年度までの時限的措置として、地方競馬全国協会は納付された一号交付金の三分の一の範囲内において当該主催者に還付しなければならないこととされています。

 この還付措置の条件として特定事業収支改善措置の実施が必要とされているが、特定事業収支の改善措置とは二つありまして、一番が競馬場の改修その他の整備、二番目が、今申し上げた競馬場の改修その他の整備のほか、競馬の事業に供する施設または設備の設置または整備であって競馬の事業の収支の改善に直接寄与するものとされています。

 これまでのところ、地方競馬主催者に対する地方競馬全国協会からの一号交付金の還付措置について、利用実績がありません。改正案においては、この措置の期限を五年間延長することとしています。

 そこで、競馬場の改修等の施設整備の実施を前提とした一号交付金の還付措置の利用がなされていない理由、及び、利用実績がないものを、改正案において、この措置の期限を五年間延長するという理由をお聞かせください。

今井政府参考人 お答え申し上げます。

 一号交付金の還付措置は、競馬事業の収支が著しく不均衡などの状況にある地方競馬主催者が競馬場の改修等を行う場合に、当該整備に要した費用の五分の一を限度に、前年度交付した一号交付金の還付を受けられる制度でございます。

 これまで、主催者は、単独で事業を実施し交付金の還付を受けるよりも、他の事業者と連携して助成を受ける競馬活性化事業の方がメリットが大きいことから、還付措置の利用実績はないところでございます。

 一方、今後、景気の低迷等によりまして、単独でみずからの事業収支を改善するための対策が必要になる主催者があらわれることも十分想定されますので、そのような場合に主催者を支援できるよう、今回、さらにこの五年間の延長措置を講ずることとしたところでございます。

平(将)委員 現行法では、地方競馬全国協会が行う、地方競馬主催者が共同して利用する競馬の事業のための施設または設備の設置または整備を行う業務、認定競馬活性化計画に基づいて地方競馬主催者の行う事業につきその経費を補助する業務及びこれに附帯する業務に必要な経費の財源に充てるため、平成十七年度から平成二十四年度までに限り、地方競馬全国協会の勘定間の繰り入れが認められています。

 また、日本中央競馬会は、地方競馬全国協会が行う、一、地方競馬主催者が共同して利用する競馬の事業のための施設または設備の設置または整備を行う業務、及び認定競馬活性化計画に基づいて地方競馬主催者の行う事業につきその経費を補助する業務、二番目としては競走馬生産振興業務に必要な経費の財源に充てるため、平成十七年度から平成二十四年度までに限り、特別振興資金から地方競馬全国協会への資金の交付を行うこととされています。

 改正案は、地方競馬全国協会が行う業務に必要な資金の確保のための措置について、さらに五年間延長することとしています。

 日本中央競馬会から地方競馬全国協会に対して、平成十七年度から平成二十二年度までの業務実施に当たり、一、認定競馬活性化計画に基づいて地方競馬主催者の行う事業につきその経費を補助する業務等に必要な経費の財源として約三十六億円、二番目として、競走馬生産振興業務に必要な経費の財源として約百十億円の資金の交付が行われています。

 そこで、地方競馬全国協会が行うこれらの業務による地方競馬の収支改善等への効果を明らかにするとともに、地方競馬全国協会が行う業務に必要な資金の確保のための措置について、さらに五年間延長することとした理由をお伺いいたします。

筒井副大臣 今先生がおっしゃった二つの事業、地方競馬活性化事業と競走馬生産振興事業については、先生がおっしゃるとおり、これを延長するわけでございます。このことによって、地方競馬の中に例えばナイター設備をつくることによって、地方競馬同士が同じ時間に開催をしないでそれぞれ別々に開催することができるようにするとか、地方競馬活性化のための整備を図っていきたいというふうに思っているところでございますし、競走馬の生産の方に関しては、先ほどから話が出ております競走馬の輸出事業、海外での流通、促進を含めた取り組みをやっていくということでございます。

 今挙げたのはほんの一例でございますが、それらを通じて全体として地方競馬がさらに活性化していく、こういう効果が出ることを期待しているところでございます。

平(将)委員 続いて質問をさせていただきます。

 地方競馬全体の売り上げが減少していますが、地方競馬主催者から地方競馬全国協会への交付金額は減少している一方で、中央競馬についても売り上げは減少をしています。平成二十二年には事業損益が赤字になるなど、厳しい状況になっています。こうした状況の中で、地方競馬主催者への支援業務のために十分な財源が確保されているのかどうか、お尋ねをいたします。

筒井副大臣 完全に十分と言えるかどうかというと、極めて難しいところでございますが、現在の状況の中では最大限可能な限りの財源を確保しているということだろうと思います。

平(将)委員 日本中央競馬会は経費の削減に努めてきていますが、売り上げ減少傾向はより一層大きくなっています。平成二十二年度には競馬事業で損失を計上するなど、利益を上げることが困難になってきていると思われます。

 しかしながら、これ以上の経費削減は、ファンサービスの低下など競馬の魅力を減じ、売り上げのさらなる低下を招きかねず、このような状況下で、今後、中央競馬の売り上げの維持向上、収支の改善に向けて日本中央競馬会の事業をどのように進めていけばよいと考えるのか、お尋ねを申し上げます。

仲野大臣政務官 JRAでは、近年の売り上げの減少を踏まえ、競馬ファンへのサービス低下につながらないように配慮しつつ、経費削減の取り組みとして、競馬の公正中立性の確保上支障のない契約については競争入札に移行するなどの見直しを行っているところであります。

 また、昨今の景気の低迷、東日本大震災の影響により、平成二十三年度は赤字決算となったことを受け、平成二十四年度収支予算では、例年以上に競馬開催等における経費を大幅に削減をいたしました。

 一方で、これらのコスト削減策とともに、魅力あるレースの提供や販売ネットワークの拡充など、いわゆる競馬ファンのニーズを商品やサービスに反映させる取り組みについては、このめり張りを積極的に実施し、売り上げの向上につなげていく必要がある、そのように思っております。

 今回の払戻金の算出方法の改正についても、経営ツールの一つとして、売り上げの向上につなげることを期待しているところであります。今まで、現行のこの算出方法では、例えば払い戻し率がファンにわかりづらいだとかあるいは主催者が関与できないなど、これら問題点があって、そういったことを踏まえて、今回、この払い戻し算出方法を規制緩和措置をしてやられたところでありますので、さまざまな工夫を凝らしながらしっかりやっていきたい、そのように思っております。

土川参考人 先ほど申し上げましたように、競馬会といたしましては、今の景気低迷により、まだ明るい見通しに至っていない状況ではございますが、売り上げの増進策につきましては、既存のお客様はもとより、一般の方々にもインパクトのある売り上げ増進策の実行が不可欠である、そのように考えております。

 例えば、開催日割りの工夫あるいは祝日開催日の増加、また、先ほど来お話ありますように、地方競馬との相互発売の実施によりまして販売ネットワークの拡充に取り組むほか、今般の払い戻し率を勝馬投票法別で主催者がみずから決定できるという法律改正にも期待をしているところでございます。

 また一方、経費の見直しについては、これまでのように内部での経費を一律カットということだけではなく、中長期的に見て収益には結びつかない資産あるいは事業等のあり方を検討してまいり、事業全体の抜本的な見直しを行ってまいりたい、そのように思っておる次第でございます。

 お客様に対しては、やはり大事な支えでございますので、中央競馬を楽しんでいただけるよう、競馬場、ウインズ等の環境の整備、ソフト面を含めたサービスには重点的に取り組んでまいる所存でございます。

平(将)委員 地方競馬についてですが、地方公共団体の収入確保を目的として開催運営され、地方財政に貢献するとともに、結果として地元の雇用などにも寄与をしてまいりました。しかしながら、平成三年度をピークに、売り上げも入場者数も減少をしております。今かなりの団体が赤字という状況になっています。

 こうした状況を見ると、地方競馬場と中央競馬の連携がなかなかうまくいっていないのではないかと思われます。この要因をどう考えるか、お尋ねいたします。

鹿野国務大臣 地方競馬の状況につきましては、平成十六年と十九年に競馬法を改正いたしまして、JRAからの支援等の仕組みなども創設をいたしました。これらの支援措置によりまして、平成十七年度から売り上げの減少に一定の歯どめがかかりまして、平成十六年度に地方競馬十六主催者の単年度収支が赤字であったものが、平成二十年度には単年度収支が赤字の主催者が二つの主催者まで減少するなど、一定の効果があったというふうに思っておるところでございます。

 しかし、平成二十年のリーマン・ショック後、さらに景気の悪化等によりまして、再び地方競馬が厳しい状況になりまして、平成二十二年度には八つの主催者が赤字になる、こういう状況になってきておるところでございます。

 こういうことを考えたときに、地方競馬主催者の収支を改善していくためには、地方競馬主催者間の連携の強化に加えまして、JRAのネット投票システムを活用した地方競馬の馬券の発売、あるいは地方競馬施設を活用したJRAの馬券発売などによりまして、すなわちJRAとの連携、協調という取り組みを強化していくというふうなことが必要ではないか、このように考えておるところでございます。

平(将)委員 質問通告した質問がまだ残っておりますが、時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

吉田委員長 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。

 時間も限られておりますので、早速質問に入りたいと思いますが、きょうは日本中央競馬会の理事長にも参考人として出席をしていただきまして、ありがとうございます。後ほど質問をさせていただきたいと思います。

 まず、競馬法とはちょっと違いますが、二つほどお聞きをしたいんです。

 大臣、ちょっとお伺いをいたしますが、きょうの日本農業新聞に、TPPの件で野田総理がビートルズに例えて発言をした、こういうことであります。

 総理の発言を新聞に沿ってかいつまんで申し上げますと、TPPについては、日本がポール・マッカートニーだ、それで米国がジョン・レノンだ、この二人がきちっとハーモニーしなきゃならない、こういうことでTPP交渉参加への意欲を語った、こういうことであります。全くどういう脈絡なのか、私はよくわかりませんが、これについては参議院の予算委員会でも追及をされたようであります。

 御存じのように、ジョン・レノンさんは不幸な最期を迎えているんですね。結局ビートルズ自体は解散もしていますし、私は、例えとして一体何をおっしゃりたいのかよくわかりませんが、これはきょうは総理に聞くわけにいきませんので、農林水産委員会としては、大臣として、このTPPという大変大事な課題を、そういうことの例えで何をしようとしているのか、大臣の率直な御感想をお伺いいたしたい。そして総理には、チャンスがあれば、真摯な議論をしなきゃいけないときにどういうことか、こういうことぐらい言ってほしいと思いますが、いかがでしょうか。

鹿野国務大臣 ビートルズの件につきまして、ジョン・レノンという人と何とかさんという人がどういう立場にあるかというのは、私、そちらのことは余り関心がなかったものですから承知しておりませんが、昨日の質疑を聞いておりまして、私の頭に残っておりますのが、総理自身が、予断を持ってお話を申し上げることではないということを前提としてお話ししているんだと。こういうふうなことだけは頭の中に残っているところでございます。

石田(祝)委員 これは大臣の御発言ではありませんからこれ以上申し上げませんが、ビートルズの歌に「レット・イット・ビー」という歌があるんですよ。これは民主党の玉木さんに教えてもらったんですけれども、そのままにしておけとか、なすがままにとか、こんなことのようであります。私からいったら、これはもう、うまくいくかいかないかということ以上に、総理のお心の中にTPPがどう位置づけされているのか、何かかいま見たような気がいたします。私としては、非常に残念な御発言ではなかったか、例えが悪い、こういうふうに申し上げておきたいと思います。

 続いて、これも競馬法とは関係ありませんが、今回、サトウキビ、ここで取り上げられたかもしれませんけれども、大変厳しい状況である。特にこのサトウキビについては、もともとTPPの中でも、それしかつくれないところが、日本の国土としては大変重要な位置を占めている地域がそういう作物の生産地だ、だから、TPPをやって、砂糖のように品質の差がないものがどんどん入ってきたときに、そういう地域を守っている人がそこで住んで生産をして暮らしている、そういうものがなくなったら、日本の外周地というんですか、外縁地の地域に住む人たちがいなくなったらどうなるか、こういう問題もTPPではあったわけでありますが、そのTPPの前に、大変な不作が来ている。

 この点について、大臣はどのように状況を認識なさっておりますか。

筒井副大臣 先生おっしゃるとおり、沖縄、鹿児島が未曽有の不作となりました。そして今、先生が言われましたように、特に沖縄においては、もうそれ以外のものはつくれる可能性が極めて難しいという状況の中での、まさに最悪の不作でございますから、大きな問題だというふうに思っております。

 この不作の原因としては、春先の低温、それからたび重なる台風の襲来、それから夏の干ばつ、さらには病害虫の発生、これらが重なって起こったことによるものだというふうに思っております。その見込み、完全にはまだ、見込みでございますが、鹿児島、沖縄を総計しますと二七%の収穫量の減少という、過去最悪、沖縄返還後最悪の結果が今見込まれているところでございます。

石田(祝)委員 今、副大臣から御報告ございましたけれども、二七%の減少というのは大変なことですね。それで、さらに糖度も非常に下がっている。こういうことですから、ダブルパンチと言ったらいいと思いますが、そういう状況であります。

 ですから、私は、この状況を踏まえて、地元の沖縄の県議会の皆さんにもちょっとお聞きをいたしまして、具体的にどういう緊急の生産回復対策をお考えになっているかと御意見をお伺いいたしました。何点かありますので、まとめて申し上げたいと思います。後ほどまとめてお答えをいただきたいと思います。

 一つは、本年のような凶作年に備え、かつ、そのような状況下においても、農家の生産意欲を喚起し、生産量の回復、増産に向けた対策を支援するサトウキビ緊急生産回復対策基金事業(仮称)を創設、推進すること、これが一つであります。二つ目には、沖縄県や関係団体等、生産者団体、糖業団体との密接な連携のもと、肥料の確保や株出し管理の徹底に対する支援策を講じること。三つ目が、イネヨトウ等の病害虫防除を地域一体となって実施するとともに、肥培管理、担い手対策、ハーベスター、株出し管理機等導入の支援策を講じること。四つ目として、製糖企業等に対する万全な経営支援対策を緊急に講じること。こういう四項目の提案をいただきました。

 私は、住んでいるところは南の高知県とはいえ、サトウキビ生産とはほとんど縁のない地域でありますので、なかなか実感として湧きませんが、それしかできない、そういう地域でこういうことになっておりますので、私は、先ほど申し上げたような日本の安全保障という観点からも、そういう地域で頑張っていただいている方、これはもう十全に、十二分に支援をすべきである、こういう観点から、現地の沖縄県とも連携をとりまして、今申し上げたような要望事項がある、こういうことをお聞きしたわけであります。

 四点申し上げましたが、それぞれ、まとめてで結構でございますので、御答弁をお願いいたしたいと思います。

筒井副大臣 先生がおっしゃるように、サトウキビ生産対策、これが緊急に必要なことは事実でございまして、今農水省としては、春植えの苗の確保とか、それから病害虫に対する予防措置等を具体的に始めようとしているところでございますが、今先生がおっしゃったこと、四つを含めて、全てについて検討して、早急にそのことを打ち出していきたいというふうに思っております。

石田(祝)委員 もうちょっと具体的な御答弁をいただきたいと思うんですけれども。

 副大臣、昨日、質問通告もいたしておりまして、それでこの文章そのものもお見せをして、やはり、これは抽象的なお話じゃなくて、そういう現状がはっきりしているわけですから。将来的にこうなるかもしれないからというふうな話ではなくて、もう二七%減収だ、いわゆるとれる量が二七%減っていると。私もそれに加えて、糖度も下がっている、こういうことも申し上げましたので、そして、ちゃんときのう渡しているわけですから、ある程度具体的なものをぜひお示しいただきたいと思います。

筒井副大臣 金額を含めて、具体的に先生の要請に応じたいと思いますが、二十四年度予算において、サトウキビ生産回復対策として、一つ目は、地域の特性に応じた防除への支援に七億円、二つ目には、ハーベスターや防除機械等の導入支援に四億三千億円を……(発言する者あり)四億三千万ですね、失礼しました、盛り込んでおります。

 各島における生産が一刻も早く回復基調になるよう、現場とよく連絡をとり合いつつ、速やかな予算執行の準備を今進めている、そういうところでございます。

石田(祝)委員 要するに予算は、今二十四年度予算、七億と四億三千万ですか、その前に大変大きな金額を言っていただいたのでびっくりしたんでありますけれども。これは、要するに、去年の八月の概算要求の段階、それから十二月の政府原案決定の段階、そういうことがわかってこの予算を組まれているんじゃないと思うんです。さらにひどい状況になっているわけですから、予定どおり予算を執行しますということでいいのか。特に株出し管理をすると収量が若干減ってくるそうでありますから、そういう点も踏まえて、やはり、既定の路線でちゃんと進めますよというんじゃなくて、これだけの被害が出ているということがわかってきたわけですから、これは予算を組んだ時点と若干違ってきているという前提でお考えいただかないと、先ほど申し上げたように、八月の概算や、そして十二月の政府原案決定の予算のときの状況のままでいいということではないと私は思うんですね。

 るる、そういう地域の特性、日本にとっての安全保障上の問題、大事な点、こういうことを申し上げましたので、副大臣、ちょっと、それは既定のお話をなさっていたら困ると思うんですね。こういうことを受けてどうだということを、もう一言お願いします。

筒井副大臣 具体的な数字を含めて挙げろという御指摘かと思って、二十四年度を言ったわけでございますが、今まさに収穫の最中でございまして、先ほど、二七%の減収量というのも見込みでございまして、これらにつきまして、先ほどの、前に答弁させていただいたように、先生の言われた四つの事業、四つの対策を含めて、早急に検討して打ち出していきたいというふうに思っているところでございます。

石田(祝)委員 それでは、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、競馬法の質問をさせていただきたいと思います。

 公営競技はたくさんあるわけですが、例えばモーターボート、競輪、オートレース、こういうものが、実は平成三年がピークなんですね。そして、この競馬については、平成九年まで何とかそのピークを引っ張ってこられた。これは、私は、中央競馬会の皆さん、また地方競馬の皆さん、御努力をなさったのではないかな、こういうふうに思います。

 それでは、まず理事長にお伺いをしたいんですけれども。中央競馬会の平成二十三年の決算が五十四年ぶりの赤字、先日私、これは日本経済新聞で見たんですが、見た後、もう一度見ようと思って一生懸命探してもなかなか見つからないんですね、その記事が。なぜ見つからないかと思ったら、スポーツ欄に載っているんですよ。スポーツとして位置づけられているということであるんでしょうけれども、やはりこれだけの二兆以上の売り上げの決算がそういうところで載っているというのはちょっと寂しいな、通常の企業のところで載せてほしいなという気もいたしました。

 この決算について、数字はもうわかっておりますから余り詳しく必要ありませんが、理事長はどういうふうにこの決算についてはお考えでしょうか。

土川参考人 お答えをさせていただきます。

 残念ながら、おっしゃるとおり、昭和三十二年以来の当期の純損益六十三億円の計上となりました。

 これにつきましては、先ほど仲野政務官から話がありましたように、東日本大震災の影響によりまして、当然、去年の今ごろは開催をどうするかということでございましたので、全体的に売り上げが落ちたということは一つあります。

 また、それによりまして、私どもの持っております福島競馬場の施設がダメージを受けましたり、中山の競馬場もダメージを受けました。そういうものの復興のための施設工事としての特別損失、それと義援金約五十億等のことがございまして、特別損失として約百六億円の計上をしたということになります。したがいまして、通常の経常利益は約六十億の計上をしておりますけれども、差し引きマイナス六十三億となった、こういうことでございます。

 しかしながら、競馬会といたしましては、現状を厳しく受けとめまして、先ほど来申しましたように、事業の改革を実行していくことはもちろんのこと、お客様により一層いい競馬をお見せするということに尽きるかな、そのように思っています。

 それと、私どもの決算につきましては、記者会見をしたわけでございますが、なぜかスポーツの記者の方しかお見えにならない。共同通信の記事で一部の一般紙にもそういう決算の報告はあったやに思っております。

 以上でございます。

石田(祝)委員 昨年は、ちょっと、大震災という思わぬこともあって、そういうものの支出、また義援金も五十億円を計上していただいた。これは大変なことだというふうに私は評価をいたしたいと思いますが、しかし、赤字になってしまったということです。それで、平成九年の約四兆円から現在六一%のところまで下がってきている、こういうことでありますが、今後、取り組みとしてどういうふうなことをお考えになっているのか。

 私は、特に、女性のファンの獲得についてどういうふうにお考えになっているかお聞きをしたいと思うんです。

 大体、競馬に男性から女性を誘っても余り行かないと思うんですね。逆に、女性が行こうよと言ったら多分男はついていくんじゃないかと思います。ですから、こういう特に女性のファンを獲得する。いろいろな公共施設、そういうところで女性がふえているところは、まずはトイレがきれいらしいんですよ。トイレの汚いところは女性は絶対行きませんから。そういう点では御努力もなさっていると思いますが、なお私は女性ファンの獲得について特化してお聞きをしたいと思うんですが、何か具体的にお考えのことがありましたら、御答弁をお願いします。

土川参考人 委員のおっしゃるとおり、女性が男性を競馬場にお誘いいただける、そういうことは競馬会も考えておりまして、そのためには、最近ではございますけれども、三月三日に中京競馬場がグランドオープンいたしました。八日間ともおかげさまで大勢のお客様にお見えいただきました。競馬場のリニューアル、あるいはさまざまなウインズの環境整備、それと、おっしゃいましたように、インターネットを活用した情報提供などに取り組んでまいりたい、現在進めていることもやってまいりたいと思います。

 従前から女性の来場につきましては、施設の整備、洗面所、トイレなどにつきましては美しくするということで取り組んでおるところでございます。昨年の女性の入場者を見ますと、全国ではございますけれども、八十二万八千人余、総入場人員の一三・五%ということでございますので、特に、ダービー等のG1競走の当日はカップルでお見えの女性も多いというふうに私も場内を歩いて見ておりますので、そういう雰囲気をつくってまいりたい、そのように思います。

 いろいろな趣味、嗜好が国民にはございますけれども、やはり若年層、女性層の開拓には、社会情勢あるいは競馬会の持っておるホームページ等で競馬の魅力を伝えてまいりたい、そのように思っておる次第でございます。女性の方には、話題性のあるコマーシャル、あるいは、わかりやすく参加しやすい、初心者といいますか、競馬教室などの実施もやっておりますので、何とか女性から競馬場にお誘いいただくようなことで頑張ってまいりたい、そのように思っております。

石田(祝)委員 大臣にもお伺いをいたしたいと思うんですけれども、今回の法改正で、そういう趣旨と、それから、開催地における地域の雇用と就業、これは大変大事だと思うんですね。

 私の住んでいる高知県にも、中央競馬ではありません、地方競馬がありますけれども、そこでも雇用されている方も当然いらっしゃる。ですから、これはやめていっているところもあるようでありますけれども、できるだけ地方競馬も含めて今の体制でぜひ頑張ってもらいたいなという気がいたしております。

 雇用とか就業の確保、こういう点も踏まえて、今回のこの法改正について大臣はどのようにお考えか、御答弁をお願いします。

筒井副大臣 まさに地方競馬の目的といいますか、そして、地方財政に大きく貢献すると同時に、雇用をきちんと確保していくというのがあるわけでございまして、そのためにはやはり地方競馬の廃止とか撤退がないようにしなければならないということでございます。その観点から、三つの事業を中心としたこの事業を延長するという方向性をここで出しているわけでございます。

 そして同時に、払い戻し率の算出方法について、主催者の自由裁量といいますか柔軟な判断を尊重するということをこの法律の中に規定しているわけでございますが、それもやはり競馬の魅力を高めていくということが目的で行われるものでございますし、また、競馬の魅力を高めるために、払い戻し率等々を、競馬のことに詳しくない人から見てもわかりやすくするということも必要なことでございまして、それらも目的に、この法律改正を今提出しているところでございます。

 さらにもう一つ、今の、女性との点でいいますと、この延長する事業の中には、地方競馬全体が共同しながら広報をしていく、その広報に対する支援事業も含まれているわけでございまして、やはり女性を含めた新しい参加が行われるような、そういう努力も支援をしていきたいというふうに思っているところでございます。

石田(祝)委員 それで、今回、払い戻しについては、主催者がある一定の範囲まで決められるということになるわけですが、下限が七〇%と、それで、上限は大臣が決めるということになっているようであります。

 これはぜひ大臣にお答えをいただきたいんですが、これは、いつごろ、そして上限はどのくらいで決めようとしているのか、御答弁をお願いいたします。

鹿野国務大臣 今回の改正案でございますが、先生おっしゃるとおりに、他の公営競技と同様に、主催者が一定の範囲内で払い戻し率を定めることとしておりまして、その下限については法定七〇%、こう決めておりますが、上限については、農林水産大臣告示で定めるというふうにしているところでございます。

 払い戻し率の上限につきましては、現行の払い戻し率の水準、今、約七五%を基準として柔軟性を持たせるということができるようにすることが基本でございまして、他の公営競技の状況も踏まえて、八〇%を一つの目安として、法改正の成立後施行までの三年以内の間に主催者の意見も聞きながら検討して定めるという予定をいたしているところでございます。

石田(祝)委員 期間については三年以内にということで、上限の率は八〇%を目安にと、こういうお答えをいただきました。

 大臣、積極的に御答弁いただきましたので、私はこれ以上申し上げることはありません。法律改正をする場合、今回、特に二つの大きな柱があって、その一つが払い戻し率の問題、そこのところは、二つの大きな柱の改正なのに、通常、それはもう政令だとか省令であとは決めますというのは非常に私は不満があったんですが、きょう、ある程度明確なお答えをいただきましたので、これは了としたいというふうに思います。

 せっかく中央競馬会の理事長さんに来ていただいていますので、最後に、当事者として、今回のこの法改正、地方競馬協会の方にはきょう来ていただいておりませんが、過日、中央競馬会、地方競馬会、両方から御意見もお聞きをいたしましたが、それを代表する形で今回の改正についての評価、通るか通らないかはこれからでありますけれども、この法律の現実の評価についての理事長の御感想をお聞きして、質問を終わりたいと思います。

土川参考人 今般の競馬法の改正につきましては、引き続き厳しい状況にあります地方競馬の活性化を図るために、JRAからの資金交付の期限が平成二十四年までを平成二十九年までとし、当該期間を五年間延長するということは承知しております。

 JRAではこれまでも、農林水産大臣が認定いたしました地方競馬活性化計画に基づいての事業に関しまして、地方全国協会に対しましてJRAの利益の一部から農林水産大臣が定める金額を交付してきたところでございます。平成二十五年以降につきましても、我が国の競馬の全体的な活性化の観点から、可能な限り協力してまいりたい、そういうふうに考えております。

 御指摘のとおり、競馬会にとって、二十三年度決算は赤字ということでございます。東日本の影響があるとはいえ、今後、競馬会もその資金の交付につきましても積極的にできますように努力してまいる所存でございます。

 今回の払い戻しの弾力化につきましては、やはり勝馬投票法ごとに払い戻しの設定が可能となりますので、お客様にとっては、馬券の購入時に、当たりやすさといわゆる払い戻し率を比較して式別を選択できるなどのメリットはございますので、これが地方競馬の売り上げにもよい影響を及ぼすものと確信して、大いに期待をしているところでございます。

石田(祝)委員 これは質問ではありませんが、私が見るところ、今は中央競馬も地方競馬もスター馬が余りいないんじゃないのか、こういう気がいたします。子供でも口の端にのせるようなスター馬がいたわけですね。最近ちょっともうプロじゃないとわからないようなことになってきていますから。

 強い馬、スターの馬、そういうものと、私の高知競馬にハルウララというのがいたんですよ、百十何連敗して、負けることで有名になったというものもあります。負け続けているということでありますけれども、長く元気で走っているということでもありまして、非常に人気があったんですね。

 ですから、そういう馬の発掘もぜひお願いをいたしまして、質問といたします。ありがとうございました。

吉田委員長 次に、渡辺義彦君。

渡辺(義)委員 新党きづなの渡辺義彦でございます。質問の時間をいただきまして、大変感謝を申し上げます。

 私は、以前でございますが、競走馬を所有しておった時期がございます。ですから、競馬サークルの皆さんと一番親交があったというか、いろいろ現場のお話をたくさん賜っております。その辺のところから、まずは質問をさせていただきます。

 大臣、済みません、競馬というものに今まで何か御関心があったり勝馬投票券を購入したりというような御経験はございますでしょうか。

鹿野国務大臣 競馬に関しては、関心を特に持っておったときもございました。電話投票も私も行っておりました、大分赤字でございましたけれども。そういう意味では、農林水産大臣になりましてから馬券が買えないということに対しては、寂しさを感じておるところでございます。

渡辺(義)委員 ありがとうございます。

 大臣の御地元では上山競馬場というのが昔ございまして、今は廃止になって、昔はそこで映画の撮影があったりとか、大変にぎわったわけでございます。

 私が馬主になったころには、三十場、地方競馬の競馬場がございました。今は約半分になってしまった。その原因は何にあるんやというようなことがきょうの質問の趣旨になっていくんですけれども。

 地方競馬というのは、財政、戦後の復興に大変貢献をした公営のギャンブルでございます。このおかげで大きな復興の足がかりになったことはもう認めるところでもございます。

 中央競馬というものと地方競馬という二つの競馬がございますが、これを一本化すること、税収云々、その辺の角度から見るとなかなか難しい部分がございます。都道府県、市町村がやるという部分と中央競馬会が主催するということで違うんですけれども、これを一本化することのメリット、デメリットというものは、大臣、どうお考えでございますか。

仲野大臣政務官 渡辺委員にお答えを申し上げます。

 渡辺委員、競走馬を所有していたということで、競馬について、馬に対して非常に御関心が高いのかな、そういうふうに思いました。

 ただいまの質問にお答えさせていただきますが、中央競馬と地方競馬の一本化については、実施主体がJRAと地方公共団体と異なること、また、財政への貢献先も国庫と地方財政と異なることなどから、一本化にはなじまないと考えるところでありまして、仮に一本化するとした場合には、経営状況の悪化している地方競馬の主催者にとっては存続が可能となるというメリットも考えられるところではあります。しかし、JRA自体の売り上げも最近低下傾向にある中では、JRAが地方競馬の競馬場やあるいは競走馬を引き継ぐことによってJRAの経営が圧迫され、経常的に赤字になることにより、国庫納付金が大きく減少し、ひいては、JRA、地方競馬が共倒れするリスクも考えられるところではないのかなと。

 以上のように、このJRAと地方競馬の一本化は困難な課題であると考えられることから、現下の競馬をめぐる厳しい情勢のもとでは、JRAと地方競馬主催者が相互に連携して交流競走や馬券の相互発売などを実施するなど、ファンにとって魅力あるレースやサービスを提供することにより、お互いの収支を改善させることが重要ではないのかと思います。

 したがいまして、農水省といたしましても、競馬主催者の要請を踏まえた今般の法改正により、収支の改善に向けた主催者の努力を支援することにより、新たな魅力あるその活力を生み出していただきたいと考えているところでございます。

渡辺(義)委員 ありがとうございます。まさに、いつも聞くというか、そういうことだと思います。

 日本の競馬というのは、最初は軍馬の生産といいますか、そのところから始まりまして、戦前は公認競馬と草競馬というのがあって、全国には百十六カ所草競馬はあったそうでございます。その後、戦後になって闇市ならぬ闇競馬等々が行われて、昭和二十一年に地方競馬法が上程されて、馬券が公認になった。一カ月足らずで二十五場の競馬場ができたそうであります。そういう歴史の中で、GHQが、独占禁止法に抵触する、民主的じゃないぞということで、その危機を乗り切るというか、競馬というものを存続させるために国営化と公営化ということに相なったわけであります。

 ここで大切なことは、競馬というのは、一番走るもとになる競走馬の生産につながっていくということになると思うんです。地方競馬を活性化すること、これはすなわち、売り上げが云々、財源に云々ということだけでなしに、生産農家の安定化にもつながるという部分で、地方競馬というものは私は大変重要だと思っております。

 馬の生産に、今大体、一頭の馬、競走馬になるまで、販売するまでに約二年ぐらいかかるんですけれども、その間に大まかアベレージで六百万くらいかかるという統計というか数字が出ております。ほとんどこれは種つけ料というのが一番高いんですけれども。今売れている販売価格というものもアベレージすると六百万ぐらいなんですけれども、これは、一億円する馬とか何千万する馬、たくさん血統のいい高い馬というものがおって、合わせてアベレージでありますから。現実、私なんかが、毎年競り市がございますけれども、一番最後のウインターセールとかオータムセール等に行きますと、大体百万円とか二百万円ぐらいの販売価格です。六百万かけて、百万、二百万でしか売れない。これで生産農家がしっかりと経営というものが成り立つかというと、これは不可能に近いわけであります。

 ですから、この生産農家をもっともっと支援するということが大変地方競馬の活性化にもつながると私は思っておりますが、その辺は大臣、御所見はいかがでございましょうか。

筒井副大臣 先生、今のところがまさに農林水産省の対象の中心になるわけでございまして、畜産振興の観点からも、競走馬の生産農家への支援事業が必要であると同時に、今先生がおっしゃった、競馬を盛んにするためにもそのことが必要でございまして、そのための事業として、二つの事業を行っているところでございます。

 一つは、先ほども申し上げました競走馬生産振興事業、そしてもう一つが、国の予算の基金の中からでございますが、馬産地再活性化緊急対策事業、この二つの事業で競走馬生産農家の支援事業を行っているところでございます。

渡辺(義)委員 こういうことを行っているということで、それが細かくどう生産農家に生かされているかというところ、そこの実態が大変問題になっているんだと私は思います。

 先ほど申しましたように、一生懸命育てた馬が買いたたかれるというか、ほとんど売れない。競りに行きますと、最後の競りなんて、終わってしまいますと、どうぞもう持って帰ってください、ただで結構ですよというようなことが日常のように年末になると行われているという実態を見ますと、しっかりとした支援ができていないんじゃないかというのが私の考えであります。

 日本の生産農家というのは、御家族中心というか零細でありますし、五頭ぐらいの繁殖牝馬等々を何頭か持っている、そういうところがほとんどであります。一九五〇年代は副業的にやっておられた農家が、六〇年代になると複合的な農家になり、そして、七〇年代には競走馬を生産するということの専業の農家になっていく、こういうことであります。それは、競馬というもののニーズ、また、走る原資であります馬を生産するというところで、これは何とかいい事業になるなということで、どんどん転換されていったんだと思います。

 しかし、今の状況を見ると、なかなか馬というものが売れない。なぜかというと、それは馬主さんが馬を持とうとするということも、この不景気の中といいますか、そういう原因もあると思います。長期の不景気というのもありますし、レジャーの多様化というのもありますし、また、ファンの世代交代といいますか、生産年齢というか、お仕事をされるとすれば十六ぐらいですか、から六十五までの方の年代の構図がどんどん変わってきた。高齢者の方ということイコール若い方のファンというものを生んでこられなかったので、結局はファンが高齢化して、なかなか売り上げももとへ戻らなくなってきたということに原因があると思います。

 余り時間がございませんので、私なりに考えますけれども、欧米を見ますともっともっと大規模な、大きな農場でたくさんの馬を育てるというのが主流でありますけれども、日本の生産というのは、先ほど申しましたように、狭い土地で少ない馬を育てるという、なかなか効率の悪いやり方であります。

 ですから、今の主流は、企業的な経営で馬を生産していくということに転化していかなければ、生産農家、小さい生産農家を守っていくことがなかなかできないんじゃないかと私は思っております。

 そういう中で、それじゃ、もっと馬が売れるように、またファンをふやすようにということでいろいろな施策があると思うんですけれども、例えば、競りのあり方なんというのは、先ほど申しましたように、適正価格で売るような方法をもっと考えていただかないかぬと思いますし、先ほどの売れ残り云々ということを考えますと、昔は、中央競馬では抽せん馬というのがあって、中央競馬会がお買いになってそれを馬主さんに安く供給するというようなことがございました。こういうことも、地方競馬、NARさんになるのかもしれませんが、共同でたくさんの馬をお買いになってそれをお配りするとか、そういう方法で売れ残りをなくしていく、また適正な価格で販売していくということも大変重要なんじゃないかなと私は思っております。

 また、海外へのアプローチ。今、中国が競馬を始めようということでやっておられます。私は、日本の競馬のノウハウであるとか血統云々ということを考えますと、もっともっと中国の競馬というものに対して協力をし支援をすることによって、日本で生産された馬の販売先のルートももっともっと拡大するんだと思います。競りになりましても、今は韓国の方であるとか中国の方も買いに来ておられますし、その辺の、海外へのアプローチというものにしっかりと取り組んでいただきたいなと思います。

 あとは、売り上げを上げるということですから、販売方法ですね。ネットの競馬といいますか、それが主流にはなっております。逆に、競馬場へ行かなくなったから売り上げが落ちる。痛しかゆしのところがありますけれども、ネットというものも活用する。その大きな援軍になるのは、今、モバイル、携帯電話も、今は、アイフォンに代表されるように、ああいう機器を使うことによって、ヨーロッパもそうです、アメリカもそうです、販売実績というものが大変上がっておるようでございます。ですから、その辺のソフトの開発でございますとか、そういうことにも多く取り組んでいただけたらと思っております。

 あとは、地方競馬、中央競馬と共同した場外の馬券場というものを、大きいビルを建てて販売するというようなことではなしに、もっと気軽に買える小さい販売所のようなもの、ネットワークを使えば家庭で馬券が買えるわけですから、そういうことも十分に可能だと私は思いますので、そういうことであるとか、もっともっと御活用いただけたらと思います。

 あと、時間が来てしまいましたので、もっともっとお伝えしたいことがあるんですが。

 一番最初に公営ギャンブルの中で人気があったのは競輪であります。何でかいうたら、控除の率が低かったからです。だから、地方競馬より競輪の方が上に出てしまった。次、いっときボートが抜く。これは何でかいうたら、施設を美しくした。先ほど石田先生がおっしゃいましたように、女性が来やすい、また一般の方が来やすい、家族連れで行けるというような施設をお考えになった。だから、これで競艇というものが抜いた。

 しかし、平成二年ごろ、その少し前ぐらいから、スターの誕生によって、ハイセイコーという馬が出てきてからどんどんどんどん、また、三冠馬というものが時期同じくして、ミスターシービー、シンボリルドルフ、そして武豊というスターの騎手が出てきた。そこによって大きく大きく売り上げが上がったわけです。そこに上手にJRAさんは宣伝された。市民権を得たということだと思います。

吉田委員長 渡辺委員、発言中ですが、時間が過ぎておりますので。

渡辺(義)委員 ですから、その市民権を得るための施策をもっともっとお考えいただけたら、私はありがたいなと思います。

 超過して申しわけございませんでした。以上、質問を終わります。

吉田委員長 次に、吉泉秀男君。

吉泉委員 社民党の吉泉秀男です。

 最後の質問でございますので、事前に質問通告していた内容についてこの中で多くの答弁がそれぞれなされておりますので、事前通告に沿った形での質問はさせていただきたいというふうに思いますけれども、少し角度を変えさせていただきたい、こう思っております。

 筒井副大臣の方から、いわゆる十八年度以降の段階で地方競馬がこれまで廃止されなかった、法改正がそれぞれ生かされてきた、こういう答弁がなされていたわけでございますけれども、しかし、私として、政府の方からそれぞれ資料を取り寄せてみた段階については、やはりそうではないだろう、こういうふうに率直に思います。

 とりわけ地方については、ピーク時に比べまして六六・二%という状況、そしてまた大変な累積赤字を抱えている。この中において、それぞれ地方の自治体も含めて、どういうふうに存続するのか、この議論は、相当に累積赤字を抱えている主催者並びに関係する自治体等の中で多くの悩みがなされているんだろうというふうに私は思っています。

 山形県の上山市、十五年度で廃止になりました。累積赤字が当時は約四十八億でございます。上山の競馬の段階で市にそれぞれ貢献できたのが二百億を超えております。これを存続するのかどうか、相当の議論がございました。厩務員は約二百人、そして上山の競馬新聞、さらには売店、予想屋、さらには商店街、そういう状況の中において廃止をする、そのことに対する相当の反対意見がございました。そしてまた、それぞれ反対するのは当然という議論もあったわけでございます。廃止するまでには相当の月日がかかった、こういう状況でございます。

 そういうところの中で、今、単に半分が赤字だ、こういうことの中で、今の法改正の部分、地方に対する中央競馬会からの交付金等も含めて大変いいことだというふうに思っておりますけれども、まさに、十六団体、今残っているのは十五団体ですけれども、八団体のところが累積赤字を相当多く抱えている。このところについて、各自治体、さらには地方競馬の主催者がこの点について、存続さらには廃止、こういう議論をなされているんだというふうに思うわけでございます。

 まず、この辺の認識をどういうふうに捉えているのかお聞きをしたい、こういうふうに思います。

筒井副大臣 バブル崩壊後、地方競馬の撤退、廃止が続出した。その経営の厳しさ自体は現在も続いておりまして、以前の二度の法改正によってそういう厳しさが解消したとは、私は全然、先ほども答弁しておりません。

 ただ、厳しさは今も相変わらず続いているんですが、二度の改正後において、その後ずっと六年間、一つも廃止、撤退が出ていないことにあらわれているように、全体として厳しさの状況は変わらない中でも、二つの法改正によった成果は、廃止、撤退がほとんどゼロ、そして最近一つ出た、こういう状況の中でも出ているのではないかというふうに先ほど答弁したところでございます。

吉泉委員 それぞれ同じ認識はしているんだろうというふうに思っておりますけれども、相当抱えている自治体のところについても、厳しい、そしてまた悩みが多いものだというふうに思っておりますので、その辺について、農林省サイドの中で的確な御指導の方をお願い申し上げたいなというふうに思っております。

 今回の改正案の中の二つの柱の中において、私ども社民党としていろいろな意見がございます。そして、その点について一番大きい部分が、平均七五%のファン投票の還元金、ここのところが七〇%。いわゆる五%が、ファン投票の人方に対して還元金が少なくなるんじゃないか、こういう思いを一つは持つわけでございます。

 平均的なところについて、今、方針としては最低七〇以上、こういう法律ではございますけれども、現在のこれまでの七五平均を戻してきた、今回こういう法改正の中で、ファンに対して還元金というのはどのぐらい平均的に戻っていくのか。ここのところが予想される部分についてありましたらば、お願いを申し上げます。

筒井副大臣 今度の改正によって下限がさらに低まったわけでございまして、そして、上限については大臣告示において定めるという形になりました。

 要するに、上限、下限の幅が広がったわけでございまして、幅が広がったことによる結果というのは、主催者側の経営判断の幅が広がったということでございます。その幅が広がったことの結果として、全体として還元率を下げてしまったならば、さらにファンは減ってしまうわけでございますから、そんな首を絞めるようなことは主催者側としても非常にやりにくいし、やらないという確信があるわけでございます。

 その結果出てくるのは、一部について今までよりも下げて、一部について今までよりも上げてという、要するに集中と選択が経営判断として可能になったわけでございますから、そのやり方によって、かえって地方競馬が魅力あるものになるということを期待しているところでございます。

吉泉委員 これまで、還元の平均が七五。そうすると、今、新しいこの還元の法改正の中で、政府としては大体どのぐらいの率で還元になるんだという答えはないんですか。

筒井副大臣 先ほど答弁を申し上げなかったのは、明確にそのことを断定することはできないことと、大臣告示も必要でございます。ただ、農水省としては、目安としては八〇%前後を、程度を考えております。

吉泉委員 ぜひその辺、中央競馬会との関係について、よろしく御指導の方も含めて情報交換をお願い申し上げたい、そういうふうに思います。

 しかし、ファンから見ると、今現在、種類が十五種類あるんですよね、単式から複式からいろいろな投票の仕方が。これを事前に、そのレース、さらに言えばレースごとになるのかわからないわけですけれども、今回のレースは払い戻しの部分を七三だとか八五だとかいうふうに事前に公言する、こういうことが果たしてできるのかどうか、私はちょっと疑問を持っているわけでございます。石川委員の方からもお話ありましたように、一つのいわゆるソフトの開発もまた必要になってくるんだろう。

 そういう中において、今、場外馬券の方の投票が多い。そういう状況の中において、七五まで還元ができたものが下がるのではないかと、ファンの人方は率直な疑問を持っているわけでございます。その辺について、もう一度答弁をお願いできないでしょうか。

鹿野国務大臣 今も副大臣の方から答弁させていただきましたけれども、今回の改正によりまして、ある程度、払い戻し率の柔軟性によって、ファンに対してのサービス向上、そしてまた主催者側の基盤整備をしていく、こういうことであります。

 例えば、馬券にもいろいろ種類がございますけれども、一つの考え方として、複勝式とかワイドとかというのは、確かに払い戻しのあれは低いわけですけれども、しかし、当たる率が多いわけでございますから、そういうところにファンサービスとしてより重きをなしていくというのも一つの考え方でありましょう。三連単とかというふうになれば相当高価な払い戻し金ということになるわけでありますけれども、それはある程度、そこはそことして、三連単の特徴というものを生かしながらやっていくということで。

 それぞれ競馬の主催者側によっていろいろ検討の中で、そういうファンサービスなり、そして主催者の基盤整備をしていくということによって、より魅力ある地方競馬につながっていけば、こんな思いがこの法改正の中にも盛り込まれておるということだけは申させていただきたいと思います。

筒井副大臣 ちょっと訂正させてください。

 先ほど申し上げた八〇という数字は、上限についての目安でございます。そして、主催者の自由裁量を広げた趣旨から、平均についての目安は現在のところ持っておりません。

吉泉委員 今、ファンの関係についてでございますけれども、状況を見ますと、中央は、競馬場に行って入場料を払ってファン投票するのが四・二%、場外馬券が三七・一%、電話投票が五八・七%。圧倒的に中央競馬は電話投票が多いわけですね。地方の競馬は、場内に入場料を払って入るということの中で二〇・五%、それから場外馬券が四七・四%、電話投票が三二・一%、こういう状況になっています。

 その中で、場外馬券場の設置の部分、今、私の地元、庄内にも一カ所あるわけでございますけれども、やはり大変な状況になっております。中央競馬の場外馬券場は四十七、地方競馬は八十三、全部合わせて百三十、これだけあるわけでございます。それぞれ、還元率の計算方法、そういうものが変わっていく。いろいろな部分から、今度は場外馬券場のそれぞれ機械なりシステムというものも変わっていくんだろうなというふうに思うわけでございますけれども、この場外馬券場に対する一つの手だて、そういった部分については何か考えているのか、お伺いさせていただきます。

土川参考人 今おっしゃったように、その手当てにつきましては、先ほど大臣がおっしゃったように、かけ式ごとに決めますので、それをつなぐお金につきましては、先ほど言っております活性化事業の中で見ていくことになろうか、そのように思います。

吉泉委員 時間になりました。

 ぜひ、ファンの期待、その部分が大きくなる、そういう競馬になりますことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

吉田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

吉田委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、競馬法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

吉田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

吉田委員長 次に、参議院提出、鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。参議院農林水産委員長小川勝也君。

    ―――――――――――――

 鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

小川(勝)参議院議員 ただいま議題となりました鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨及び主な内容を御説明申し上げます。

 鳥獣による農林水産業の被害については、平成十九年に制定された鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律に基づき、農林水産大臣による基本指針の策定等により、鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための施策が推進されております。

 しかしながら、農山漁村では鳥獣による農林水産業の被害が拡大しており、これが農業者の営農意欲を減退させ、耕作放棄地を拡大させるなど、農林水産業の衰退と地域の荒廃につながりかねない事態が生じております。そして、そのような事態がさらなる鳥獣の増加と被害の拡大を招くという悪循環が生じております。また、人の居住地域への熊、イノシシ等の進入が頻発し、人の生命身体への危険も現実のものとなっております。一方で、鳥獣の駆除の担い手である狩猟者は減少、高齢化が進んでおり、鳥獣の捕獲等にかかわる人材の確保が急務となっております。

 この法律案は、このような現状に鑑み、鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止に関する施策の効果的な推進に資することを目的とするものであります。

 以下、この法律案の主な内容を御説明申し上げます。

 第一に、市町村の被害防止計画において定める事項として、対象鳥獣による住民の生命等に係る被害が生じ、または生じるおそれがある場合の対処に関する事項を加えることとしております。また、鳥獣被害対策実施隊員の職務として、市町村長の指示を受け、農林水産業等に係る被害の原因となっている鳥獣の捕獲等で住民の生命等に係る被害を防止するため緊急に行う必要があるものに従事することを明記することとしております。

 第二に、市町村長は、市町村が行う被害防止施策のみによっては被害を十分に防止することが困難であると認めるときは、都道府県知事に対して必要な措置を講ずるよう要請することができるとともに、要請を受けた都道府県知事は、必要な調査を行い、その調査の結果に基づき特定鳥獣保護管理計画の作成等の措置等を講ずるよう努めることとしております。

 第三に、国等が講ずる財政上の措置として、対象鳥獣の捕獲等に要する費用に対する補助その他被害防止施策の実施に要する費用に対する補助を明記することとしております。また、国等は、被害防止施策を講ずるために必要な予算の確保に努めるほか、都道府県は、狩猟税の収入につき課税目的を踏まえた適切かつ効果的な活用に配意することとしております。

 第四に、捕獲した鳥獣を無駄にせず、国産の貴重な食材として有効活用を図ることを通じ、新たな特産物や産業の掘り起こしなどにつなげるため、国等が講ずる措置として、食品としての利用等を図るため必要な施設の整備充実、食品としての利用に係る技術の普及、加工品の流通の円滑化を明記することとしております。

 第五に、国等は、農林水産業等に係る被害の原因となっている鳥獣の捕獲等にかかわる人材の確保に資するため、狩猟免許及び猟銃所持許可を受けようとする者の利便の増進に係る措置を講ずるよう努めるとともに、当該捕獲等への貢献に対する報償金の交付、射撃場の整備等の措置を講ずるよう努めることとしております。

 第六に、鳥獣被害対策実施隊員については当分の間、それ以外の被害防止計画に基づく対象鳥獣の捕獲等に従事する者については平成二十六年十二月三日までの間に、銃砲刀剣類所持等取締法の猟銃所持許可の更新等の申請をした場合には、同法の技能講習に係る規定の適用を除外することとしております。

 なお、この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。ただし、第六については、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案の趣旨及び主な内容であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。

吉田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

吉田委員長 本案につきましては、質疑及び討論ともに申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 参議院提出、鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

吉田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

吉田委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、中野渡詔子君外五名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、公明党、新党きづな、社会民主党・市民連合及び新党大地・真民主の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。中野渡詔子君。

中野渡委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文を朗読して、趣旨の説明にかえさせていただきます。

    鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。

      記

 一 鳥獣による農林水産業等に係る被害を一層効果的に防止するため、鳥獣被害対策実施隊の設置を促進するとともに、鳥獣保護事業計画等に基づく捕獲隊その他の狩猟者の鳥獣被害対策実施隊への移行・加入を促進すること。

 二 猟銃の操作及び射撃の技能向上・安全確保を図るため、各都道府県における射撃場の整備・拡充を促進すること。また、鳥獣の捕獲に従事する者の育成及び技術の向上を図るため、必要な施策を検討すること。

 三 鳥獣の生息状況及び生息環境等に関する調査を徹底することにより、鳥獣の個体数等の正確な把握に努めるとともに、その調査結果を被害防止対策に活用できるようにすること。

 四 シカ・イノシシ等の鳥獣について、周囲の安全を確保した上で、夜間に駆除できる仕組みを更に検討すること。

 五 猟銃等の所持許可の運用について、厳に国民の安全の確保や危害の防止等に留意しつつ、実態に即した見直しを検討すること。

  右決議する。

以上です。

 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)

吉田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

吉田委員長 起立総員。よって、本法律案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣鹿野道彦君。

鹿野国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重させていただき、関係省庁との連携を図りつつ、今後、最善の努力をしてまいる所存でございます。

    ―――――――――――――

吉田委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

吉田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十分散会


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