第5号 平成24年4月18日(水曜日)
平成二十四年四月十八日(水曜日)午前九時三十一分開議
出席委員
委員長 吉田 公一君
理事 石津 政雄君 理事 梶原 康弘君
理事 菊池長右ェ門君 理事 佐々木隆博君
理事 野田 国義君 理事 小里 泰弘君
理事 宮腰 光寛君 理事 石田 祝稔君
網屋 信介君 石山 敬貴君
磯谷香代子君 今井 雅人君
打越あかし君 緒方林太郎君
大谷 啓君 大西 健介君
大西 孝典君 奥野総一郎君
笠原多見子君 勝又恒一郎君
金子 健一君 川口 博君
京野 公子君 小山 展弘君
田名部匡代君 高井 崇志君
高橋 英行君 橘 秀徳君
玉木雄一郎君 筒井 信隆君
道休誠一郎君 富岡 芳忠君
中野渡詔子君 仲野 博子君
浜本 宏君 福島 伸享君
藤田 大助君 向山 好一君
森本 哲生君 山田 正彦君
伊東 良孝君 今村 雅弘君
江藤 拓君 小野寺五典君
北村 誠吾君 坂本 哲志君
武部 勤君 谷川 弥一君
徳田 毅君 保利 耕輔君
山本 拓君 西 博義君
石田 三示君 吉泉 秀男君
松木けんこう君
…………………………………
農林水産大臣 鹿野 道彦君
内閣府副大臣 石田 勝之君
文部科学副大臣 奥村 展三君
農林水産副大臣 筒井 信隆君
経済産業副大臣 柳澤 光美君
外務大臣政務官 中野 譲君
農林水産大臣政務官 仲野 博子君
農林水産大臣政務官 森本 哲生君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 片上 慶一君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 篠田 幸昌君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長) 實重 重実君
政府参考人
(林野庁長官) 皆川 芳嗣君
農林水産委員会専門員 栗田 郁美君
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委員の異動
四月十八日
辞任 補欠選任
今井 雅人君 大西 孝典君
打越あかし君 網屋 信介君
大谷 啓君 橘 秀徳君
小山 展弘君 大西 健介君
高橋 英行君 藤田 大助君
玉木雄一郎君 向山 好一君
中野渡詔子君 川口 博君
伊東 良孝君 坂本 哲志君
江藤 拓君 小野寺五典君
谷川 弥一君 徳田 毅君
石川 知裕君 松木けんこう君
同日
辞任 補欠選任
網屋 信介君 浜本 宏君
大西 健介君 小山 展弘君
大西 孝典君 奥野総一郎君
川口 博君 中野渡詔子君
橘 秀徳君 高井 崇志君
藤田 大助君 高橋 英行君
向山 好一君 磯谷香代子君
小野寺五典君 江藤 拓君
坂本 哲志君 伊東 良孝君
徳田 毅君 谷川 弥一君
松木けんこう君 石川 知裕君
同日
辞任 補欠選任
磯谷香代子君 玉木雄一郎君
奥野総一郎君 勝又恒一郎君
高井 崇志君 大谷 啓君
浜本 宏君 緒方林太郎君
同日
辞任 補欠選任
緒方林太郎君 打越あかし君
勝又恒一郎君 今井 雅人君
―――――――――――――
四月十六日
国有林野の有する公益的機能の維持増進を図るための国有林野の管理経営に関する法律等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第五〇号)(参議院送付)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
国有林野の有する公益的機能の維持増進を図るための国有林野の管理経営に関する法律等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第五〇号)(参議院送付)
農林水産関係の基本施策に関する件
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○吉田委員長 これより会議を開きます。
農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省農村振興局長實重重実君、林野庁長官皆川芳嗣君、外務省大臣官房審議官片上慶一君及び厚生労働省大臣官房審議官篠田幸昌君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○吉田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高橋英行君。
○高橋(英)委員 おはようございます。民主党、愛媛四区の高橋英行でございます。
まずは、質問の機会を与えていただきまして、関係各位に御礼を申し上げたいというふうに思います。
私は、我が党の政調の水産政策ワーキングチームの座長も拝命をいたしているということもございまして、本日は、貴重な二十分間を頂戴いたしまして、水産業発展のために、水産関連についての質問をさせていただきたいというふうに思います。
朝一の時間帯でございますけれども、水産業の朝は早いものでございますので、今の時間はむしろ、一仕事を終えた、そういった方が、ネット中継を見られている漁業者の方もおられると思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
まずは、御承知のとおり、我が国の面積は世界で六十位、小さな島国であるわけでありますが、二百海里の排他的経済水域は世界六位ということでございます。また、日本が位置する北太平洋西部の海域におきましては、世界三大漁場と言われている非常に優良な豊かな漁場が形成されておりまして、我が国の漁業、養殖業の生産量は、これは世界五位ということでございます。
したがいまして、我が国にとりましての水産業は、日本人の生活にとってはなくてはならない、そういう身近なもので、産業として発展をしてきた次第でございます。
昨年の三・一一東日本大震災におきましても、水産業の復興が東北の復興、さらには日本の復興につながるということを考えましても、やはり日本の水産業といたしましては、なくてはならない産業であるということは間違いございません。
一方、世界におきましては、将来におきまして、途上国を中心に、急激な人口増加、それに伴う食料危機が予測されており、我が国の安定した食料確保、いわゆる食料安保と言われているものでございますけれども、そういった観点からも、水産業を守るということは日本を守るということと言っても過言ではない、これは毎回申し上げているところでございます。
しかし、そのような中で、漁業者の自助努力のみでは資源、漁場の管理と経営の安定を両立させるということは大変難しい現状があることを踏まえまして、総合的な漁業版の所得補償制度と言われる、資源管理・漁業所得補償対策が昨年度導入されました。現場の漁業者からは、大変いい制度であるというふうに評価をいただいております。
なお、一昨年、まだ入る前の三月末で五四%であったそれらの共済の加入率は、先月末時点で、東北の被災三県を除きまして六六%まで伸長している。さらに、資源管理計画については、もう全国の全漁港を網羅する千四百六十一計画が作成されたというふうに伺っております。
また、先般閣議決定されました新たな水産基本計画にも、我が国の水産物の自給率を維持強化していくことが不可欠であり、資源管理・漁業所得補償対策によって行うというふうに明文化をされているところでございます。
となりますと、この制度の対象となっていない魚種につきましては、資源管理も経営安定も必要がないかというような理屈になるわけでございます。具体的な対象外魚種を申し上げますと、例えば、サザエそしてナマコ等の採貝藻漁業や潜水器漁業、養殖におきましてはクエ、イサキ、あと一年魚のクロマグロ、そして陸上養殖で行うヒラメ。実は、これらの魚種というのは各地域にとって非常に優良な魚種となっておりまして、水産業の活性とか地域の振興化とか、そういう面におきましても、所得補償対策の対応魚種としてやはり積極的に前向きに検討すべきではないかというふうに私は思うところでございます。
例えば、水産物の年間輸出金額、実に百二十億円という、これは二番目の成績でありますが、干しナマコです。これは私も大変好きな好物の一つで、ナマコ酢はこりこりして大変おいしいわけでありますけれども、高級食材として、中国向けの輸出乾燥ナマコが近年非常に高値で推移しているというような状況がございます。
その背景を踏まえて、ナマコの養殖、加工技術を確立しようと、地元の愛媛県におきましては、昨年十一月、ナマコ利用研究会を創設いたしまして、八幡浜市で実証事業に乗り出されているというところでございます。高付加価値化で漁業経営の安定化や加工産業の創出による地域雇用の拡大、さらには、この養殖研究施設というのは、八幡浜市の大島というところがあるんですけれども、そこの廃校になった校舎施設を活用して水槽を設置して、離島振興にもつながるという、一石二鳥どころか、いや、もう三鳥の大変よい事業になっております。
したがいまして、このナマコというのは、今後の愛媛の水産振興の成功例になるのではないかというふうに期待を寄せているところでございます。
ここで質問となるわけでありますけれども、これら、各地域によっては重要とも言われる、制度の対象となっていない魚種について、今後どのようにお考えになっておられるのか、まずはこの御見解をお聞かせいただきたいと思います。
○仲野大臣政務官 おはようございます。
ただいまの高橋委員の御質問にお答えしてまいりたいと思います。
高橋議員におかれましては、水産のワーキングチーム座長ということで、日ごろより高い見識でもって水産政策に非常に御貢献いただいていること、まずもって、我々といたしましても心から敬意を表させていただきたいと思います。
ただいまナマコについてのお話がありましたように、私ごとでありますけれども、青森県の陸奥湾に面している横浜町というところが横浜ナマコということで非常に有名な地域でありまして、中国料理等に食材として使われている非常に貴重な魚種でございます。そういったことを踏まえまして、今回は、漁業共済の対象にぜひともということで御指摘いただきました。
いずれにいたしましても、先生の言われました、養殖についての技術が安定していることなどの条件をクリアしたものについて順次対象に追加してきたところでありますし、また、今、先生の御地元の愛媛県等の漁業者からの要望を踏まえ、これまで共済対象となっていなかった三年魚のスズキや三年魚シマアジ等について、平成二十四年四月から新たに共済対象へ追加したところであります。
一方、サザエやナマコをとる漁業や一部の養殖業は、これまで、これらの条件を満たしていないと考えられておりまして、非常に残念なことでありましたが、漁業共済の対象となっていないところであります。
これら御指摘の魚種については、まずはその実態を十分把握する必要があることから、漁業者からの要望も踏まえつつ、漁業共済団体と連携いたしまして調査研究してまいりたい、そのように考えているところでございますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
○高橋(英)委員 答弁ありがとうございます。
例えば技術が確立したりとか、その実態が、調査してこれは使えるということであるならば、漁業共済の対象、今年度からもホヤとかふえておりますけれども、そういった形でふえていくというような認識で理解をさせていただきたいと思いますので、ぜひ地元の皆さんにもそれをお伝えさせていただきたいというふうに思います。
続きまして、漁業経営にとって最も重要なのはやはり燃油、高騰対策についてお伺いをしたいというふうに思います。
原油価格につきましては、平成二十年夏の高騰以来、比較的安定をしてまいりましたけれども、昨年同様に不安定な中東情勢、イラン危機とも言われておりますけれども、そういった危機を受けまして、原油価格は四月現在で一リットル当たり六十三円、漁業用A重油は九十七円と、上昇が続いているところでございます。
燃油を大量に使用する漁業におきましては、燃油高騰は死活問題でございますので、漁業経営を脅かす大きな要因となっているところでございます。水産基本計画におきましても、これは初めて記載をされたわけでありますが、漁業においてはコストに占めるA重油、軽油等の燃油の割合が高く、燃油の負担を軽減することが重要であることを踏まえ、漁業用燃油の価格高騰対策を適切に実施するというふうに記載をされているわけであります。
実は、先週、本当に非常に残念な話でありますが、地元のまき網漁業者が廃業する予定という情報が入ってきました。この業者は、八十トンの本船ほか四隻を持ちまして、約三十名の雇用を持ち、数年前には年間一千トンに近い水揚げ高を誇る、非常に優良な企業でございましたが、その社長いわく、油代が払えるうちにやめたい、そういったことを言われているようでございます。水産業が基幹産業である地元にとりまして非常にショッキングな話でありまして、油代がいかに重要であるかということがわかる一つの話であるわけでございます。
そしてまた、記憶に新しい平成二十年夏の燃油高騰時につきましては、秋の補正予算に省燃油操業実証事業が基金を積んで実施されたわけでありますけれども、その後の燃油価格の急落等により、ほとんどの漁業者がその助成の対象とならなかったというふうにお聞きをいたしております。
この当時の反省を踏まえまして、漁業者と国が基金を積み立てた、燃油価格高騰時に備えている漁業経営セーフティーネット構築事業、これも昨年度創設されたわけでありますけれども、この事業では賄い切れない、例えば、投資の対象でありますから、異常に原油価格高騰が仮に発生した場合、どのように対処されるのか。漁業者の油代の重要性を踏まえた中で、これはぜひ大臣の御見解をお聞かせいただきたいというふうに思います。
○筒井副大臣 漁業において燃油代が生産コストに占める比重は極めて大きいわけでございますから、今先生の方で言われたように、まさに漁業経営を左右する極めて重要な問題だ、こう認識をしております。
今言われましたセーフティーネットもその観点から始めたところでございまして、それをきちんとやっていかなければいけないというふうに考えているのにプラスして、二十四年度からは、補填基準も変更して、燃油の高騰、そしてその高どまり、それらに対応できるような基準に変更することにしたものでございます。
○高橋(英)委員 答弁ありがとうございます。
それ以上に、やはり賄い切れない緊急事態というのはいつ起こっても私はおかしくないと思いますし、想定外というのはもう通用しないような状態でもありますので、漁業経営者の方にとりまして、いつ何どきそういうことがあったとしても歯を食いしばって耐えられるような、そういうメッセージも含めて今後お願いしたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
続きまして、水産物の消費拡大についてお聞きをしたいというふうに思います。
漁業の経営の安定化が図られましても、これは需要と供給のバランスというものがございますので、需要拡大、つまり水産物の消費拡大の政策はセットで検討していかなくてはならないというふうに思います。
現在の水産物の消費量というのは、一人当たりの食用魚介類で年間約三十キロというふうに言われておりまして、近年減少が続いております。しかしながら、米、魚を中心とした食生活を営んできました我が国は世界有数の魚食大国でございまして、魚を食べなくなったとはいえ、一人当たりの魚介類供給量は世界一なんですね。平均寿命との関係を見ると、供給量が多い国ほど寿命が長いという傾向が見られまして、我が国が世界一の長寿国となっているのも、やはり魚食が大きな影響を与えていると私は思うわけであります。
したがいまして、水産物の消費を推進していくということは、やはり肉類と比較いたしましても成人病予防を含む国民の健康面でも有益な効果をもたらしまして、ひいては医療費の抑制、さらには、今現在社会問題となっている将来的な社会保障費の抑制、これにもつながっていくものと私は思うところでございます。
こうした中、水産基本計画にも、水産物消費に関しまして、たんぱく質やカルシウム等のミネラル、DHAやEPAを多く含む栄養特性を理解し適正な栄養バランスの実現に取り組む、またさらには、世界有数の漁場が身近にあることを生かして国産の水産物を中心とした消費を心がけていくことが課題である、このように記載をされており、関係者が連携をして消費拡大に取り組むことが非常に重要なことと言われておるわけでございます。
ここで質問でございますけれども、例えば、学校給食や魚食による食育の推進等、そういったものを含め、今後どのような考え方で水産物の消費を図っていくか、できましたら具体的な取り組みについてお聞かせいただきたいと思います。
○仲野大臣政務官 御指摘のとおり、今、国民の魚離れに歯どめをかけるために、魚食に関する消費者への情報提供を積極的に行うとともに、関係者が一丸となって消費拡大に取り組むことが重要と認識をいたしております。
このため、本年三月に閣議決定されました水産基本計画においても、水産物のすぐれた栄養特性や、栄養バランスにすぐれた日本型食生活など、消費者への的確かつ幅広い情報提供を推進すること、そしてまた、学校給食や食に関連する教育関係者を初めとする、食育にかかわる幅広い関係者の情報共有や活動の連携を促進することが明記されたところでございます。
当省といたしましても、この基本計画に基づき、水産業界はもちろんのこと、教育関係者、スーパー等の小売業界、消費者団体など、幅広い関係者と連携しながら、日本の食文化の一翼を担っている魚食の普及をさらに推進してまいる所存でございますので、ぜひ委員におかれましては御理解をいただきたいと思います。
○高橋(英)委員 ぜひとも積極的にPRしていくということをお願いしたいと思いますし、事実、肉食に変わってから日本人の体型も変わりましたし、病院にメタボとか、私はまだですけれども、そういったような時代にもなってまいりました。そういった面からでも、魚食を普及することによって、ひいては社会保障費が本当に削減されていくという問題にも直結しますので、ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。
ここまで、水産業発展の課題でありました経営安定化対策、さらには消費の拡大をお聞きしましたけれども、水産業者が今現在最も不安視をしているという問題といたしまして、実は、福島原発事故における放射能汚染について質問をさせていただきたいというふうに思います。
四月一日より、魚介類を含む一般食品放射能基準値が暫定五百から百ベクレルに引き下げられました。これを受けまして、漁業界はみずから、基準値を超えるものは市場に流通させないという取り組みを行うために、モニタリングを強化しつつ、検出値を見ながら自主規制をとられています。
一方、流通、小売業界では、ゼロベクレルを目指すとか、五十ベクレル以下なんですということで、百ベクレルよりも厳しい自主基準を設定するなどの対応をとっているケースも多く見られ、これではもう二重基準となりまして、逆に消費者に混乱をもたらし、漁業者の取り組みを無にするものであるというふうに私は思うところでございます。
事実、昨年四月のコウナゴ以来一年ぶりとなる先週の十二日には、稼ぎ頭である仙台湾のスズキ、翌十三日茨城沖のシロメバルが出荷停止に追い込まれ、漁業関係者は悲鳴の声を上げておられるわけであります。
これらは、新基準値以下の五十ベクレルという自主基準をもう既に先月の三月に設けまして出荷自粛をしていたにもかかわらず、出荷停止という措置をとられ、これを皮切りに風評被害が発生するのではないかとさらなる懸念を持たれているところでございます。
このような事態を踏まえまして、漁業者の真摯な取り組みを無にしないように、農水省としてはこの規制値の変更をどう捉えているか、その辺についての御見解をお聞きしたいというふうに思います。
○筒井副大臣 原発事故の結果、漁業者の皆さんが、今言われましたように、出荷制限、出荷自粛、さらには操業自粛も余儀なくされて、本当に精神的、経済的に大変な御苦労をされている、このことを本当に申しわけないものだというふうに思っております。
農水省としては、新しい基準値に基づいて、各県そして厚生労働省とも連携協力をしながらきちんとした調査をやって、それを消費者の皆さん、国民の皆さんに可能な限りの方法で周知徹底を図っていくということに全力を挙げております。
さらに、その上でも、今言われましたような出荷制限等々の措置が出されているわけでございまして、これらに関しましては、万全の損害賠償をきちんと実行をしなければならないということで、農水省主催で連絡会議を設けて、そこには東電の担当者にも参加してもらって、常務がほとんどでございますが、それらきちんと早期に万全の補償をする、このためにも全力を挙げているところでございます。
○高橋(英)委員 今後こういった状態がどんどん一気に拡大する可能性もあります。出たものは事実として仕方ありませんから、これは歯を食いしばるしかない。ただ、今後の問題としては、やはり風評被害をどうやって食いとめていくのか。やはりこれは、正確な情報を発信していく、安心、安全だということを消費者に訴えていく、ぜひそういう努力を引き続きよろしくお願いしたいというふうに思います。
そもそもの海産物における放射性物質の原因といたしましては、福島原発事故による放射能汚染水の海洋汚染水であるということは、もう事実明白であります。東京電力の報告におきますと、汚染水の放水または漏水の量、これは大小さまざまありますが、過去に六回、一万一千百六十三キロリットルに上ります。
つきましては、原発事故によって窮地に追い込まれている全国の漁業者の思いを強く重く受けとめていただきまして、海洋への汚染水放出を可能性からも抹消するとともに、放出しない前提に立った方針というものをぜひとも東京電力に強く求めていただきたいというふうに思います。
最後になりますけれども、ぜひ大臣の方から、放射能汚染水は絶対に海に流さない、そういった強い御決意をぜひお聞かせいただきたいというふうに思います。
○鹿野国務大臣 漁業者の方々が大変厳しい状況に置かれている中におきまして、今お話しのとおりに、数度にわたりましていわゆる漏水が発生したというふうなことは、本当に遺憾なことでございます。こういうようなことから、東京電力に対しまして再発防止を強く申し入れてきたところでございます。また、汚染水を放出しないように、これも厳しく強く求めてきたところでございます。
そういう意味で、これからも、漁業というもの、資源をしっかり守る、また、漁業者の思いというものを受けとめながら、東京電力に対しましても厳しく強く働きかけてまいりたいと思います。
○高橋(英)委員 ありがとうございました。ぜひともよろしくお願いしたいと思います。
本日はありがとうございました。
○吉田委員長 次に、京野公子君。
○京野委員 民主党の京野公子と申します。
鹿野大臣、三月に私の地元、湯沢市秋ノ宮に雪害被害農家の御視察においでいただきまして、ありがとうございます。また、早速新たな対応策をお示しいただきまして、本当に感謝しております。
さて、きょうは、内閣府から石田国家戦略担当副大臣にお越しいただいております。
実は、先週の土曜日、古川国家戦略担当大臣が、私の地元、大仙市の農事組合法人を訪れました。ここは、水田百八十ヘクタール、大豆八十一ヘクタール、ほかにも野菜をかなりの面積やっておりますが、さらに自前のライスセンターを持ち、二十代、三十代の若者たちを雇用し、ボーナスも支給しております。
お手元にお配りした資料に、フランスの例ですが、農業従事者が企業幹部に次いで二番目に自分の仕事に誇りを持っているということを示すグラフがありますが、この地元の法人で農業に従事する若者たちと話をしますと、まさに農業がディーセントワークになっているということを感じます。また、効率化の阻害要因となる分散錯圃というものを全く含まない、見事に連担化した、理想的な平場の形態であります。生産費は、秋田県の平均生産費を三六から三九%も下回っています。
しかし、こういう優良法人でも、TPPは自分たちの努力の限界を超える、関税撤廃などという乱暴な話は農業の現場がわかっている人間の言うことではないと、厳しい意見を頂戴しております。これは大臣のいない席での御意見でしたので、お聞かせできなかったのはいかにも残念でした。
さて、私はその後、全ての農業経営があの法人のようだったらどんなにいいだろうかと思いながら、川に挟まれ山が迫る条件不利地を歩きました。大規模化しようにも、十ヘクタールとまとまった田んぼがない地域、山また山の地域です。篠原前副大臣が作成した、丸太や製材の関税撤廃によって我が国の林業及び地方がいかに疲弊し、材木の自給率が低下していったかという悲劇的な資料、そのままの姿であります。
TPPに加盟すれば、たとえ直接支払いがあっても、日本の農村は、あのときの山村と同じ荒廃への道をたどってしまう。直接支払い制度は適切な関税措置を補完するものであって、関税撤廃を可能にするものではないと私は考えます。日本の地方に生きる者として、このTPP参加は死力を尽くしてでも阻止しなければ、ふるさとの山や川、これから生まれてくる新しい世代に顔向けができない、そういう思いがふつふつと湧き上がってまいりました。
さて、石田副大臣への御質問です。
TPPをともに考える地域シンポジウムが全国九カ所で開催されまして、あと、ほかのいろいろな意見交換会も含めたものとして、TPPに関する意見取りまとめ、中間報告というものが出ております。これについては、日本農業新聞等で、賛成意見の水増しがあったのではないかというような指摘等もありますが、秋田県の例を私も見てみましたら、それほどでもないなという印象は受けました。この中間報告の総括をお聞かせ願いたいということが一点です。
そしてもう一点は、石田副大臣は精力的に地方の地域シンポジウムに参加していただきました。その場で、真剣に生きる地方の方々のさまざまな御意見というものをお聞きして、TPPについての認識に変化があったのかどうかお聞かせください。
○石田副大臣 御質問にお答えをいたします。
このTPPをともに考える地方フォーラムは、委員御指摘のとおり、共同通信社そして全国地方新聞社連合会の主催によりまして、九カ所で開催をいたしたところでございます。
私も、委員の御地元である秋田を初め四つのシンポジウムに参加をしてまいりました。そして、お話にありましたように、有識者や専門家の御意見等々をお聞かせいただき、お越しいただいた皆さん方からも疑問点、御意見等々も伺いながら、十分な議論、意見交換を行ってきたところでございます。
政務三役も手分けをして参加をいたしまして、政府からの説明は、あくまでもTPPに関する現状の情報不足を埋める趣旨で行ってきたところでもあります。まず、TPPとはどういうものであるか、また、現時点ではどういう状況であるか、あるいは今後の日程等々、三点について極力中立公正な情報提供に努めてきたところであります。
また、会場におきましては、TPPを推進すべきとの御意見もある一方で、食の安全が脅かされるのではないか、あるいは医療制度が崩れるのではないか、あるいは農業対策が不十分ではないか、政府からの情報提供が不足をしているのではないか等々、さまざまな御指摘をいただいたところであります。
本件地方シンポジウムは国民的議論の喚起へ向けた一定の意義があったと考えておりますが、私としても、TPPについては、賛成やあるいは慎重な対応を求める声まで、国民間に多様な御意見があることを改めて実感いたしたところであります。また、政府を挙げて一層の説明や情報提供に努めていくことの重要性を再認識したところでございます。
以上でございます。
○京野委員 今、副大臣の方から中立公正な情報提供というふうな一言がありましたので、私、きょうは余りそういうことは言いたくない気持ちでおりましたが、中間報告を見る限り、それから石田副大臣の動画も拝見させていただきました。秋田には経産省の、佐々木審議官もいらっしゃいました。とても、中立公正な情報を提供するとか、国民に広く議論に資する情報を提供するというよりは、やはり一定の方向に向けようとするような、私どもも国会内のさまざまなワーキングチームで何度も何度も、もう聞き飽きているような、GDPがどうだとか人口減がどうだとかいうふうなお話を恐らくどの地域シンポジウムでも、九カ所でしょうか、おやりになったんだと思いますが、これを繰り返していくことで国民的議論というものをどこに収れんしようとしているのか。
それから、国益というような御質問も地域シンポジウムで出ますけれども、これはなかなか明確にお答えいただいていなかったという印象を私は受けます。それで、一つだけ、秋田会場でのことで、国益に関して質問させていただきたいと思います。
議事録を見ますと、国益の観点から二つ質問がありました。一つは国民皆保険についてですが、副大臣、これについてはお答えをしておりましたが、適切な関税措置というものは国益に合致するものなのかどうかという質問に対して、多分お忙しくてお答えにならなかったんだと思います。今、この場で改めてお答えいただければと思います。
○石田副大臣 国益に関しての御質問でございます。
昨年の十一月に野田総理も発言いたしておりますが、国益は、世界に誇れる日本の医療制度、そして日本の伝統文化、美しい農村、こういったものについては断固として守り抜き、分厚い中間層によって支えられる安定した社会の再構築を目指す、それと同時に、貿易立国として今日まで繁栄を築き上げてきたこの豊かさを次世代に、活力ある社会につなげていくためにはアジア太平洋地域の成長力を取り入れていく必要があると。私も、こうした我が国のあり方を実現することが国益と考えております。
委員も御案内のとおり、今十三カ国で日本が結んでおりますEPAでありますが、これは二国間または複数国間で実質上全ての貿易について関税を撤廃する取り組みでありますが、それぞれの相手国との交渉は、生産、輸出余力を考慮しながら、センシティブ品目について配慮しつつ交渉をしてきたところであります。
TPPの協定については、基本的には全ての関税を十年以内に撤廃することが原則とされておりますが、最終的に、即時撤廃がどの程度になるのか、段階的にどのぐらいの時間をかけて撤廃をするのか、また関税撤廃の例外がどの程度認められるのか等については現時点では明らかになっておりません。
先日、玄葉外務大臣とアメリカのカーク通商代表との会談においては、物品の関税の最終的な扱いについては交渉プロセスの中で決まっていくものであるということが確認をされたところであります。
仮に交渉に参加する場合には、守るべきものは守り、かち取るべきものはかち取る、まさに国益を最大限に実現するために全力を尽くす所存でございます。
○京野委員 国益とお聞きすると、美しい農村を守る、あるいは貿易立国として豊かな果実を次世代に残していくというふうな、いつも大体そういうお答えですので、国益について、時間も時間ですのでこれ以上はもうあれですが、私は一言だけ、石田副大臣に、総理と古川国家戦略担当大臣にぜひお伝えしていただきたいことがあるんです。
私どもの政権は、国民に望まれて誕生した政権でした。まだ過去形ではありません、国民に望まれて誕生した政権です。それが、農業分野は言うに及ばず、国内の制度に対しても、関税自主権、国家主権を失いかねないような懸念が増大している。そのようなTPPに無定見に、TPP交渉参加に前のめりになっていく、こういう姿勢を続けていけば、望まれて誕生した政権が呪われて退場する結果になりかねないと、私は非常に懸念をしております。
国民の生活を守るための政治ですので、これは京野、おまえの個人的な意見ではないかと思われるかもしれませんが、私は地方に生きて非常にそのことを痛感しますので、ぜひ、石田副大臣におかれましてはお伝えいただきたいと存じます。
お忙しいと思いますので、これは私の一方的な意見と御依頼でした。では、伝えていただけるかどうかだけお答えください。
○石田副大臣 委員の委員会での発言でありますのでそれは伝えますが、委員も民主党の議員でありますから、委員は委員なりにお伝えいただきたいというふうに思います。
○京野委員 きょうは外務省をお呼びしているんですが、ちょっと時間の関係で、済みません。
それでは、野田総理が四月二十八日に訪米し、TPPへの参加表明をするのではないかという推測が流れております。それに対しまして、鹿野大臣、筒井副大臣はそろって、交渉参加を表明することは時期尚早との認識をさまざまな場所で示しておられますが、その御認識に間違いありませんでしょうか。副大臣、大臣と続いてお答えいただければと思います。
○筒井副大臣 野田総理自身が、国民に情報を提供して、国民的議論をして、そして国益の観点から判断をする、こう言われております。しかし、今のところ情報がきちんと出されているかというと、アメリカはパブリックコメントの分析中ということで、何を日本に求めるかがまだ明確ではありません。
情報がきちんと出されていない段階ですから、国民的議論もきちんとやられたということが言えない状況でございますから、野田総理のそういう方針から見ても、現時点では国益の観点から判断できない、だから私は、近々の訪米の際には参加表明はないと確信しているというふうに申し上げたところでございます。
○京野委員 ありがとうございます。
鹿野大臣にもお願いいたします。
○鹿野国務大臣 時期が早いとか早くないとかというような議論も非常に大事でございますけれども、私は、やはりプロセスというものが非常に重要だ、重視しなきゃならないと。これは民主主義の基本であります。
野田総理の表明の際も、交渉参加に向けて協議を始めますというときには、いろいろ、関係国がどういう考え方を持って、何を求めるかというふうなことをしっかりと受けとめて、それを情報提供して、議論して、そして判断をしていきたい、こういうことでありますから、そういう過程にあるもの、私はそういう認識でございます。
○京野委員 ありがとうございます。
私は、TPPというのは、関税撤廃至上主義ともいうべきイデオロギーの産物ではないかと思います。農業、農村の持続可能性や多様性には何の関心も払わず、自然環境に左右される一次産品を際限ない価格競争にさらす無謀な試みだというふうに思います。こんなものが二十一世紀の新しいルールになってはならない、それが私の思いです。農業の多様性と、開発途上国をも含む多様な国々の食料主権を保障し、共存共生に資するルールこそ、二十一世紀のルールでなければならないと考えます。
鹿野大臣、先日、韓国におかれまして、日中韓農相会合での共同声明に、持続可能な農業を目指しつつ農産物貿易を促進する、また、農地保全や生物多様性の保護を含む多面的機能を持つ重要な産業と農業を位置づけたというふうに盛り込まれておりまして、私は大変評価できると思います。それで、今回の共同声明によってどんな展望が開かれる可能性があるのか、ぜひ御所見をお聞かせいただきたいと思います。
○鹿野国務大臣 初めての日中韓三国の農業担当大臣会合でございまして、こういう中で一堂に会して話し合ったということは私はよかったと思っております。これは定例化することにいたしました。来年は日本でございますけれども、やはり、責任者が忌憚のない意見交換をすることが大変重要だなということを私は認識したところでございます。
そういう中から、食料安全保障の問題なり、あるいはまた動植物の伝染病をいかにして防止するかというふうなこと等々、あるいは経済連携の問題その他、全般にわたっていろいろな話し合いがなされていくというふうなことはやはりこれからも非常に重要なことだ。こういうことを重ねて改めて認識をいたし、そういう中から今後、具体的な形での施策というものにつなげていくというふうなことになるものと思っております。
○京野委員 ありがとうございました。
時間が終了しましたので、終わらせていただきます。どうもありがとうございます。
○吉田委員長 次に、松木けんこう君。
○松木委員 新党大地・真民主の松木けんこうでございます。
久しぶりに野党の方から質問するというのもなかなかいいものだなという感じがしておりますけれども、別に、我々は野党でも与党でもないんですけれどもね。
今、京野さんが私の聞きたいことも大分聞いてくれたかなという感じはするんですけれども、野田総理が連休中に訪米をするということで、農業者だけじゃなくて、病院の関係の方もそうでしょうし、国内のいろいろな方に不安が大変広がっているというふうに私は思います。それは、野田総理が日米首脳会談でTPPの参加表明をするのではないかという疑念が出ているからなんですね。
筒井副大臣は、四月十二日のJAグループとの意見交換会で、五月連休中の参加表明はないと確信をしているという発言をされています。先ほどもこの質問はあったんですけれども、きょうは石川君の代理で私もやっているものですから、一応、参加表明はないと確信するに至ったその経緯というんですか、そういうところを少しお話をいただければありがたいと思います。
○筒井副大臣 野田総理が言われている方針自体から考えても、今回その表明はないというふうに確信をしているところでございまして、先ほども申し上げましたが、国民に情報を提供して、国民的議論をして、その上で国益の視点から判断をする、その情報が既に提供されているかといえば、アメリカ自身がまだパブリックコメントを分析中で、日本に何を求めるかが明確でありません。日本の交渉参加を支持するかどうかもまだ明確ではありません。
その段階ですから、もちろん情報が出されているとは言えないし、国民的議論というのも情報が出されていることを前提にして行われるものですから、では、それも判断できるほどに議論されているかというと、そうは言えないというふうに言えるかとも思いますので、先ほど申し上げたとおり、今の時点で交渉参加表明はないと確信しているというふうに申し上げたところでございます。
○松木委員 わかりました。
それでは、鹿野大臣にも質問しますけれども、訪米時の参加表明はないと確信しているのかということが一つと、TPPについてもう一つ質問をさせていただきたいんです。
四月十一日に、玄葉外務大臣とカーク米通商代表部代表との会談で、カーク代表の、物品の関税の最終的な扱いは交渉のプロセスの中で決まっていくという発言に対して、先ほどいた石田内閣府副大臣は、全品目をテーブルの上にのせているという今までの言い方から変化したと、重要品目の例外を容認と捉えておるような感じのことをお話をされたような気がします。
鹿野大臣と筒井副大臣は、仲野政務官もそうですけれども、多分、変化とは受けとめていないというふうに思います。大臣、副大臣はもうちゃんとおわかりなんですけれども、どうも政府が変な方向に向いていってしまうのではないかというようなことを感じるんですね。そうであれば、わからない人には物を教えなきゃいけませんから、やはりお三方がちゃんと教えてやらなきゃいけないというふうに思うんですよ。変な方向に行かれたら困りますので、ぜひそこら辺。
もともとこのTPPなんというのは、名前は伏せますけれども、前の総理大臣だか何だかが突然言った、わけのわからない話ですから、早くやめちゃった方がいいんですよ、早い話が。だから、アメリカが日本なんかを入れる必要はないと言うんなら、ああ、ありがとうございますと言えばいい話で、ぜひそういう方向で。
閣議決定で署名だとか、これはそれとは別ですけれども、いろいろなことがあっても、やはりお三方が政府の内部でがっちり、私みたくやめてしまうのも一つの手ですけれども、やめないで、鹿野先生は特に農水は昔からの本当のプロですから、ぜひお三方で政府の内部をしっかりきゅっと締めていただいて、早くこのことに手じまいをしてもらいたいなというふうに思うんですけれども、大臣、いかがですか。
○鹿野国務大臣 今、筒井副大臣から話もいたしたところですけれども、TPPに関しましては、同じような答弁になりますけれども、交渉参加に向けて協議を始めますということで、いろいろ協議を始めておる、こういうことでございます。
これはどういうことかといえば、日本の国に対して、交渉参加というふうなことの場合、どういうふうなことを我が国が求められるのかというようなこと、一つの判断材料というものをしっかりと受けとめてというふうなことの中で、国民の人にもいろいろと議論していただいて判断をしていくということでありますから、私、先ほどの京野議員の答弁でも申し上げましたけれども、あくまでも、交渉参加に向けての協議を始めますという、そういう中での経緯というふうな、まだ途中である、こういう認識に立っておるということでございます。
○松木委員 途中であるということですけれども、早いうちにきゅっと潰していただくことを望みますので、ぜひよろしくお願いします。
それと、私はずっと、予算委員会なんかでも大臣とちょっとお話をしたことがありますけれども、このTPPに関して何で反対をするのかということをちょっとお話をしたいと思うんです。TPPそのものがいいか悪いか、評論はしません。しかし、民主党が二年半前に政権交代をするときに、一つ大きなテーマというのがあったと思うんですね。
それは何かというと、大きな政策で、農業者への戸別所得補償というのがありました。これは要するに、農業をもう一度、農業イコール食、こういうところをもう一度、何となく、経済でいえば代打みたくなっているところをもう一回レギュラーになってもらおうというぐらいの話だったと思うし、ですから、自給率も上げようという話もあったんですね。四〇%を五〇%に上げていこうということになっていたはずです。
そして、食料・農業・農村基本計画というのがあって、それは、政権交代した次の年の三月三十日ですか、鳩山政権のときに決まった計画です。この中にもやはり、十年間で四〇%を五〇%に、あのときは四一%だったんですかね、四一%を五〇%に上げていこう、こういうお話が間違いなくあったはずなんです。
そしてもう一つ、世界の人口が七十億人を超えてきた。日本は、きょうの新聞にも出ていますけれども、二十五、六万人減ったようで、これからどんどんどんどん減っていくみたいですね。だから、減らないように子育て支援とかも頑張ろうと言っていたんですけれども、これも何かおかしくなりました。
とにかく、天候不順だとかCO2の問題だとかいろいろなことを考えたときに、国際マーケットで物を買える、だから大丈夫なんだ、こういう思想も捨てようじゃないかというのが中には書いてあったはずなんです。自給率はどんどん上げましょうという方向性ですね。
そして、TPPというのは、どんなことがあるかは別にして、TPPで食の自給率が上がるんだと言う人はやはりいないんですよ。外務省の方に一回来てもらいまして、TPPで食の自給率はどのぐらい上がるのと僕が言ったら、はあっというような顔をしているんですね。
それはもう全く逆なんです。アクセルを踏もう、四〇%を五〇%にしようと言いながら、TPPというのは逆の方向なんです。ということは、マニフェスト違反にもなるし、やはりおかしいなというふうに思います。
しかし、大臣、副大臣、政務官も、皆さんやはり、農業のこと、食のことをしっかり考えていらっしゃる。ですから、今回は麦乾施設なんかも予算がついたり、いろいろなものにちゃんと一生懸命予算をつけていただいています。私の選挙区も小麦なんかをつくる大変なところなんですけれども、きたほなみという新しい品種ができて、いっぱいとれるようになった、今までの施設じゃ賄い切れない、そうしたら、ちゃんと大臣、副大臣、政務官はそのことをお考えいただいて、新しいものをつくっていただくことになりました。本当にありがとうございます。
ということは、そういうことをやりながらTPPということになると、アクセルを踏みながらブレーキを踏むことになる、これはもう何の役にも立たなくなるというふうに私は思うんですよね。ですから、ぜひ、このTPPに関しては、早く手じまいをしていただくように再度お願いをしたいというふうに思います。これは私の意見ですから。
TPPの話をすると辛気臭くなりますから、ちょっと違う話に移りたいと思うんですけれども、世の中、このごろ小水力発電なんというのがあります。原発がこんなことになって、誰もそんなふうにしようと思った人はいないと思うけれども、こうなりました。そうしたらやはり、エネルギーというのはこれからどうしたらいいんだろうかと、いろいろな考えが出てくるわけですね。
その中で、一つのメニューとして、小水力発電ということが出てきております。私は、いいなと思っているんです。そして、農林水産省も、食に関してだけじゃなくて、これからは俺たちはエネルギーもつくるぞというぐらい、ビッグな役所になっていただいたらいいんじゃないかなというふうに私は思っているんです。
その中で、ぜひこの小水力発電に関して国民にわかりやすく、こんなものだよと。コストなんかも大体どのぐらいかかるのかとか、これは原発と比較してでも結構ですし、どのぐらいの期間をかけて取り組めば大体こういうものができるとか、発電量はどのぐらい、全体的には賄えるのか。賄える可能性があるのかでも結構でございますけれども、そこら辺をぜひ前向きに、嫌な質問ばかりでしょうから、こういうこともちょっとお答えいただけたらありがたいと思います。
○筒井副大臣 まさに、小水力発電、農業用水等を活用して新しい事業を起こすという、農山漁村の振興のために非常に大きな手段になるというふうに期待をしているところでございます。
小水力発電もバイオマス発電も地熱発電も、あるいは太陽光発電も、さらには風力発電等も含めた再生可能エネルギー、農山漁村においてどのぐらいのポテンシャルがあるか、農水省で試算をしたことがございます。それによりますと、現在の総発電量の四三%を賄えるポテンシャルがあるというふうな試算を公表しております。
そして、今度の土地改良長期計画において、小水力発電について、千地域の小水力発電事業を支援していくという計画も決定をしたところでございます。昔、水車がエネルギーとして結構活用されていた、それを現在の高度な技術のもとに復活するということが可能だし、これはやはり大きく推進していくべきだというふうに考えております。
それから、今先生が言われましたコストの点では、いろいろな場合があるわけでございますが、エネルギー・環境会議のコスト等検証委員会の計算によりますと、原発に関しては損害賠償を含めてキロワットアワー当たり約九円という計算結果を出しておりますが、小水力発電はキロワットアワー当たり二十円前後で、少し幅があるというふうな計算結果を出していると聞いております。
○松木委員 結構そんなに安くはないんですね。これからいろいろな技術革新だとか、こういうことをどんどん手がけていけば、多分またコストも下がりますよね。
ぜひ大臣を中心として、小水力発電だとかいろいろな、農山漁村でというお話でありましたが、こういうことを強力に進めていただきたいと思うんですけれども、大臣、いかがですか。
○鹿野国務大臣 地域分散型のシステムというふうなものをどう地域に定着させていくか、これからのエネルギー政策にとって大変重要な課題であると思っております。
そういう中で、小水力発電というふうなものは、農林水産省として、本当に重要だという認識の中に取り組んでいくというふうな考え方に立っておるところでございます。
○松木委員 食べるものも地産地消とかいろいろなことを言われていますけれども、エネルギーも地産地消できるというような時代が本当に来ればいいですね。
大きなところで大きくエネルギーをつくって、そこがどかんとなったらみんなが困る、こういうのは本当にだめですよね。何でも大規模化するとだめなんだなと時々思いますね、一つのところから多くとろうとか。例えば、鳥インフルエンザだってそうだったじゃないですか。一つのところで四十万羽も飼っているものだから、そうしたらもう全部殺処分という、内容は全然違いますけれどもね。やはり若干、日本もちょっと自然に戻った方がいいかなというような、そんな感じもします。
それともう一つ、将来これが活用されて実用化されればガソリンが一リッター五十円ぐらいになるんじゃないかという夢のような話があるんですけれども、いわゆる藻類ですね。オーランチオキトリウムなんかもそうなんですけれども、これは仙台の方で実証実験が始まるというふうに私は聞いております。これも農水省がどんどんこういうところにコミットしていって、やはり農水省がイニシアチブを握るというぐらいが私はいいと思うんですけれども、仲野政務官、このオーランチオキトリウムの将来性も、できたら少し説明していただけたらありがたいというふうに思います。
○仲野大臣政務官 松木委員から多岐にわたり御質問いただきました。
私の方には、微細藻類ということでのバイオ燃料の御質問だと思います。
微細藻類におきまして、将来的にバイオ燃料の原料としての活用が期待されるが、現時点では、微細藻類の生産性や油分の回収効率などのさまざまな技術的課題があり、実用化には至っていないという実態にあります。
しかし、当省といたしましては、平成二十二年度から、油分などの有用物質について高い生産能力を有する微細藻類の探索と育種、大量培養技術の開発等を実施しております。
また、今後におきましても、油分等の有用物質を低コストで回収、利用する技術の研究開発、あるいは採算性等を明らかにするための事業化可能性調査などへの支援を行っており、産業化に向けて引き続き技術的課題解消の取り組みを推進して、将来に向かって研究をしっかりとしてまいりたいというふうに思っておりますので、御理解をいただきたいと思います。
○松木委員 TPPの話をすると、どうも辛気臭くなります。しかし、農水の方ではこういう新しい試みもできる可能性を大いに秘めているというふうに私は思いますので、ぜひ大臣、こういうところを力強く推し進めてください。
TPPは早く手じまいをして、新しい農水というのは、食じゃなくて、農業だけじゃなくて、もう我々はエネルギーもつくるんだと、経産省もあるけれども、まあ、やつらはやつらだというぐらい、立派になっていただきたいというふうに思いますので、最後に大臣、ちょっと御所見をいただけたらありがたいと思います。
○鹿野国務大臣 再生可能エネルギーというものを国民生活の中にどう位置づけしていくかということは、エネルギー政策にとって根本的な問題でございますので、そういう中で、農山漁村におけるいわゆる未利用の資源を活用して、地域分散型のエネルギーシステムをつくるというふうなことに農林水産省としても全力を挙げて取り組んでいきたいと思っております。
○松木委員 時間ですので、これで終わりますけれども、本当にエネルギーを自国でかなり賄えるようになったら、ホルムズ海峡がどうなってもいいとは言いませんけれども、ああいうことに余りとらわれないで、そして、ひょっとしたら、それこそTPPなんて余計なことを言われなくて、我々、もっと自由にできたのかもしれません。そう思いますので、ぜひ頑張ってください。
以上です。
○吉田委員長 次に、小里泰弘君。
○小里委員 自民党の小里泰弘でございます。
質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
きょうは食料安保またTPPについてお伺いをしたいと思っておりますが、その前に、いわゆる対中国ビジネス、社団法人農林水産物等中国輸出促進協議会をめぐる問題についてお伺いをしたいと思います。
本来、私は、こういったスキャンダルめいた問題を取り上げますのは本意とするところではありません。ただ、役目柄、事実関係をただしてまいりたいと思います。
この委員会でこの問題を取り上げますのは初めてでありますから、まず、概要について確認をさせていただきたいと思います。
平成二十二年十二月、民主党の樋口俊一衆議院議員の公設第一秘書の田中公男氏を、公設秘書兼務のまま、鹿野農水大臣が農水省の顧問に任命をいたしました。極めて異例な形で顧問に任命をいたしました。そして、時を同じくして、田中氏とともに筒井副大臣が訪中をしまして、中国の国有企業、中農集団との間で、日本の農林水産物の輸入と北京市内の全国農業博覧館の中の常設展示場の設置運営に関して覚書を取り交わした。
農水省顧問となった田中公男氏は、中国側と交渉しながら、日本側の窓口であるくだんの農林水産物等中国輸出促進協議会を平成二十三年七月に設立しまして、みずから代表理事に就任をいたしました。この後、この社団法人、協議会が中国側の子会社と協議書を取り交わしまして、あたかも展示品であれば検疫手続における特例措置を受けられるかのような文句で、国内企業から会費や基金を集めた。しかしながら、アリバイづくりのようなサンプル出荷を一回行った限りで、輸出の具体的成果は今のところ出ていないとされるものであります。
以上の経緯についてまずお伺いします。
○筒井副大臣 日本の農林水産物の外国への輸出、今回取り組んでいる中国への輸出、これは極めて大きな意義があることは先生も御同意、御理解をいただけるものと思っております。
今、スキャンダルめいたという表現がございましたが、この業務に関してそういう問題は全くありません。ぜひ、先生にも中に入っていただいて、それらのことについて確認をしていただきたいし、この事業が成功するために御協力、御理解をいただきたいというふうに思っているところでございます。
そして、輸出業務として当初の予定より大幅におくれたことは事実でございます。これは福島原発事故が大きな理由となって、規制が特に中国においては強化されて、そのために大幅におくれたことは事実でございますが、しかし、展示館開設事業、輸出事業、これらはその後も継続して、今一生懸命取り組んでいるところでございます。
展示館開設事業につきましては、中国の農業部、日本でいうと農林水産省でございますが、そこが所有している建物、約五千平方メートルの広さの大きな建物でございますが、これを農業部から借りて、そこで開設する、こういう準備を今しているところでございます。
そして、一番最初に、これは極めて少量でございますが、この前、第一陣を出しました。その際に、米に関しては、今、中国に輸出する際には薫蒸が必要でございます。中国政府に登録した精米工場において精米し、中国政府に登録した薫蒸倉庫において薫蒸すること、これが必要な規制の中身となっておりますが、今度、第一陣として出した米に関しては、薫蒸なしの米でございます。さらに、粉ミルクに関しましても、これは口蹄疫以来、輸入禁止品としてなされていたものでございますが、これも展示館用として輸出することができたわけでございます。
今、促進協議会の方で第二陣を送ることに全力を挙げて取り組んでいるところでございまして、現時点では約二千品目の大量の品物がそろって、その二千品目のリストを中国側の方に送ったというふうに聞いております。それで、中国側の方でその二千品目をそれぞれ精査して、それでオーケーだという返事が来た時点で今度は船で運ぶ、こういう準備をしているところだというふうに聞いております。
今のところ、予定としては、できるならば第二陣を早急に送って、四月中に業者相手の内覧会を開いて、五月中にまさに中国の一般消費者向けのグランドオープンをしたいというふうな予定で努力をしている、こういうところでございます。
○小里委員 確かに、対中国を中心とする農林水産物の輸出、これは自民党政権時代から大きな課題として取り組んでまいりました。その中で、正規の協議会、まさにオール・ジャパンの協議会をつくって一生懸命取り組んできたところであります。
そこに今回、新たな協議会が発足をいたしました。私は、その方法として、またその協議会の性格として、今疑念の目が向けられているんじゃないか、そういったことを聞き及びまして、きょうは、その正当性について、特に事実関係を確認させていただきたいということでございますから、よろしくお答えをお願いしたいと思います。
今いみじくも副大臣がおっしゃいましたように、第一陣としてごく少量の輸出がなされたところであります。これについては、説明にありましたように、薫蒸なしの米、また輸出禁止であった粉ミルクが入っております。これを一つの成果として挙げておられるわけでありますが、この輸出に当たりましては、中国の質検総局、国家品質監督検験検疫総局のことでありますが、ここの了解、確認はとってあるんでしょうか。
○筒井副大臣 この品物は北京空港経由で送ったものでございまして、その検疫を受ける対象は、北京検疫当局と北京の通関当局でございます。そこで認められたものでございます。
だから、北京検疫で認められたものをさらに質検総局の方に、それでいいのかというふうな照会は、当然のことながら、こちらの方ではしておりません。
さらに、北京検疫で通る前に、中国政府の日本代表であります中国大使館から、これらの品物は検疫、通関、通ることになっているので送ってほしいという書面による要請文があった上で送ったものでございます。
○小里委員 御案内のとおり、中国は非常に複雑な構造であります。後でまた中国の法的な関係についてはただしたいと思いますが、本来、この質検総局が元締めでありまして、ここの了解を得ないと中国側は輸入ができない、そういう制度にもなっております。
事実、そのことは副大臣も気にされて、去年の十二月に質検総局に交渉されておると思うんですね。それは断られていたんじゃないですか、質検総局からは。そしてまた、その質検総局から、ことし三月十三日から三日間にわたって、いわば抗議とも思える照会が届いております。
すなわち、米が薫蒸なしで輸出できるようになったとの副大臣の記者会見が事実であるかどうか、あるいは米、粉ミルク等が輸出されたことについての事実関係、あるいは副大臣が米の薫蒸が必要ないと発言した理由等について、質検総局から問い合わせが来ておるんですね。事実ですか。
○筒井副大臣 照会、問い合わせの公電が日本大使館を経て来ていることは事実でございます。
しかし、これは、こちらとしては北京検疫と中国大使館で認められたものを出したわけでございますから、北京検疫に聞くべき問題で、中国の国内問題だというふうに思っております。
だから、回答としてははっきり、薫蒸なしで展示館用として運んだ、輸出した、こういう事実関係だけを、そういう事実はありましたという回答を送っているところでございます。
○小里委員 本当に腑に落ちないんですね。極めて無責任な対応であるとしか思えないわけであります。これは日中双方とも無責任な対応であろうと思います。
農発食品、向こう側の代理店ともいうべき存在でありますが、この農発食品は質検総局から検疫許可証を取得しておりますか。
○筒井副大臣 農発食品は、中農集団の一〇〇%子会社のやはり国有企業でございますが、北京検疫から許可証をもらって、そして品物を受け取っております。
○小里委員 中国の出入国動植物検疫法の中で、輸入業者は貿易契約を締結する前にあらかじめ質検総局から検疫許可証を取得する必要があるとされております。これを得ていないわけでありますから、これは中国国内における違法状態にあるということが指摘できると思いますが、どうですか。
○筒井副大臣 北京検疫と中国大使館が認めて農発食品に品物を渡したわけでございますから、違法状態とは考えておりません。
○小里委員 では、その点は後々また、法的な問題を含めてお伺いをしたいと思います。
展示館は五月にグランドオープンの予定でしょうか。どの程度できているのか。まだ展示はされていないんですかね。
○筒井副大臣 もちろん展示はまだされておりません。ただ、展示館としての内装工事は終了した、完了したというふうに聞いております。
○小里委員 大臣、副大臣、このグランドオープンに招待を受けておられますか。受けているとすれば出席をされますか。
○筒井副大臣 まだ時期も明確に決まったわけではなくて、グランドオープンの予定でございますから、正式な招待状は受けておりません。もし来たら、私自身としては行きたいなという気持ちを持っております。
○小里委員 慎重に対応すべきであると思いますが、その行方をしっかり見てまいりたいと思います。
薫蒸なしの米輸出、また粉ミルクの輸出も、これはとりあえず顔を立てただけじゃないかな、そういう色彩があります。これは今回限りですか。それとも今後の保証はあるのか、その辺の状況。また、その点について質検総局に確認をしたのかどうか。お伺いします。
○筒井副大臣 先ほど申し上げたように、北京検疫で認めたものでございますから、それをさらに質検総局の方に確認手続はとっておりません。ただ、そういう事実があったということは、薫蒸なしで出したという事実は公電への回答文として言っております。
そして、この前の少量の、これが今回限りのものであるのかどうか。これは、第二陣がまさに薫蒸なしで出す予定でございますから、そこで明確に、客観的にはっきりすることだというふうに思っております。
現在のところ、促進協議会等から聞いている限りでは、薫蒸なしで認められるという方向であることと聞いております。
○小里委員 本当にますますわからなくなってくるわけでありますが、この第二陣はいつごろ送るんですか。
○筒井副大臣 先ほど申し上げたように、今二千品目余りのリストを農発食品、中農集団の方に送っていて、それについてそれぞれ一つずつ確認をした上で、オーケーの連絡が来てから送るということでありますから、まだ期日は、日付は決まっていないというふうに聞いております。ただ、四月中の内覧会に間に合うようにする予定のようでございますから、その前であることは確かだと思います。
○小里委員 質検総局には当たっているんですか。
○筒井副大臣 だから、その後は当たっておりません。
○小里委員 事務方にお伺いします。
中国では、法に基づいて、輸出入食品安全管理方法がこの三月一日から新たに実施をされておりますが、その中で、中国に輸出する業者は質検総局に対してどのような手続をとるようになっておりますか。
○筒井副大臣 事前通告はなかったようですね。事務方は、そのための準備としては来ていないようでございます。
○小里委員 事前通告も何も、この問題についてお伺いすることは前もって通告をしておるわけですから、その中でこれは最も大事な部分なんですよ。日本の輸出に係る動きが中国において適法か違法か、そこはまさに問われることでありまして、当然知っておく、確認しておくべきことであろうと思います。
中国に輸出する業者または代理人は事前に質検総局に届け出をしなければならないとなっておるんです。これを怠れば、あるいはこれがないまま第二陣を送るとすれば、まさに違法状態になるんですよ。その認識はおありじゃなかったですか。
○筒井副大臣 今言われたような情報は聞いていないそうでございます。
そして、今回送ったこと、それから今後送るものに関しては、中国大使館の方から、そういう方法で送っていただいて、責任を持って受け入れるという書面による通知を受けておりますから、中国側の要請に応じて送ることは何ら違法ではないというふうに考えております。
○小里委員 出入国動植物検疫法、これは一九九二年四月一日から実施をされておりますが、これに基づきまして、輸出入食品安全管理方法がまさに本年三月一日から実施をされております。
その中で、中国に輸出する業者またはその代理人は事前に国家品質監督検験検疫総局に届け出をしておかなければならない、こうなっておるんですが、これは改めて確認をいただきたいと思います。私どもの方でももう一回これは確認をしたいと思います。
そこで、関連してお伺いをいたします。
鹿野大臣、昨年の二月四日、中国の中農集団に宛てて声明文を発出しておられます。この中身はどんなものでしょうか。また、そのものは明らかにしていただけますか。
○鹿野国務大臣 一昨年、筒井副大臣が中国に参りまして、中農集団と輸出について協力していこうという合意がなされたわけでありまして、それを受けて、中農集団側の方から、大臣としてもそういう考え方であるかどうかということをやはりきちっと確認したい、こういうふうなことでございますので、私からも、筒井副大臣と中農集団との間に取り交わされたそういう合意文書を基本にいたしまして、私の考え方をお出しいたしたというふうなことでございます。
そして、明らかにしてくれ、こういうことでございますけれども、これは相手方のある話でございますから、私どもの考え方としてお出しを申し上げた、こういうふうなことであるということを申させていただきたいと思います。
○小里委員 まさに、さらに不透明な御答弁であります。
私どもが把握するところによりますと、この声明文の中で、日本農水省は、所掌及び利用可能な予算の範囲で、日本における農業団体、地方公共団体、民間企業から成る中国輸出促進協議会を設立しこの活動を支援する、こういった内容のことが書いてあります。うなずかれたので、内容を御承知であり、また今認められたんだろうと思います。
その前提でお伺いをいたしますが、今回つくった協議会の中に全農は入っておりますか。あるいは地方公共団体は入っておりますか。
○筒井副大臣 全農さんは入っておりません、今のところ。
そして、地方公共団体については、一つが出品をする予定で参加しているというふうに聞いておりますが、しかし、固有名詞を挙げていいかどうか、ちょっと了解をもらっていませんので、それは差し控えます。
○小里委員 それは会員に入っているんですか。
○筒井副大臣 そう聞いておりますが、明確にその点、確認しておりません。
○小里委員 極めて心もとない御答弁であります。これだけオール・ジャパン的なものであることをうたいながら、肝心の全農が入っておりません。あるいは、地方公共団体は入っていない、少なくとも今までは入っていないという状況でございます。
こういうオール・ジャパン、また公的な色彩があるからこそ、農水省は当初、乗り出したんだろうと思うんですよ。そしてその結果が、実態は、田中さん一個人の知り合いの集まりであると言わざるを得ないような状況であります。まさに当初のもくろみというか見込みと、天と地ほどの状況における差異があるんじゃないか、そんなふうに思うところであります。
そこで大臣にお伺いしますが、まさに名前が似ております。今回の協議会は、農林水産物等中国輸出促進協議会であります。これに対しまして、農林水産物等輸出促進全国協議会というものがありますが、これはどういう協議会でありますか。
御存じないようであります。
○鹿野国務大臣 二つ今言われましたけれども、後段の件は、以前につくられた協議会じゃないかなと思っております。
○小里委員 しっかりと事務方もフォローしていただきたいと思います。
この今申し上げました農林水産物等輸出促進全国協議会、農林水産省の肝いりでつくられました。これは、平成十七年四月に設立をされまして、まさに農林水産物、食品の輸出を一層促進するために、関係者が一体となった取り組みを行っていこうということで設立をされております。
このメンバーを見ていきますと、農業関係団体、もちろん全農も入っております。さまざまな農業関係団体、林業関係団体、水産業関係団体、食品産業関係、流通関係、外食・食文化、観光関係まで、さらに経済界は、経団連を初め大どころが入っております。そして、全国四十七都道府県の知事もこれに入っております。まさに重厚な、堂々たるオール・ジャパンの協議会であります。
その活動方針というものは、輸出額を平成二十五年までに一兆円規模とする、輸出環境の整備、品目別の戦略的な輸出促進、意欲ある農林漁業者に対する支援、日本食、日本食材等の海外への情報発信ということが柱になっております。
具体的な活動におきましても、まさに、検疫協議を加速化する、輸出証明書発行体制の整備、あるいは商談機会の提供、海外での事業活動への支援、イベントの開催等々、実に多岐にわたって有効な活動を行ってきております。
こういった正規の協議会がありながら、まさにこういった公明正大な協議会がありながら、どうして今回のような、まだもってえたいの知れない協議会ともいうべき協議会を設立されたのか。お聞かせをください。
○鹿野国務大臣 小泉総理のときの農林水産物等輸出促進全国協議会というのは、全ての国を対象にした、こういうふうなことでございまして、今回の協議会はいわゆる中国ということでございます。そして、当然のことながら、オール・ジャパンというような考え方で、農業団体等々にも、そういうふうな申し入れ等々、いわゆる情報も提供させていただいておるということでございます。
そして、これは予算委員会でも私答弁をさせていただいておるところでございますけれども、昨年の三月十九日から、私も中国に参りまして、その際、三県の知事さんも一緒に同行して、その他百名を超すところの団体、関係の人たちも一緒にデレゲーションを組んでいく、そういうような取り組みをしておったわけでありますが、三月十一日の震災によって一旦中断した、こういうことでございます。
その後、やはり原発事故というふうなこと等々からいろいろなハードルの高い問題等々も起きておるということ、そういう中で協議会が設置されて事業が進んできておるわけでありますから、今後、そういう取り組みの中で、都道府県なりも、あるいはいろいろな関係団体の人も、関心を呼んでこられるというふうな、そういう可能性も持っておるのではないかな、こう思っております。
○小里委員 全国協議会、これは正規の協議会でありますが、中国だけじゃなくて全世界を相手にするということであります。それは当然ですね。
ただ、この設立の経緯を見ましたときに、我々もかつての政権時代から、対中国輸出というものはイの一番に重点を置いて取り組んできたわけでありまして、当然、この全国協議会も中国輸出が第一にある、中心になっておるのは、その中身を見ていただければおわかりをいただけると思います。そういった中に、今回の、失礼ながら、いかがわしい協議会が設立をされたわけであります。
本来の全国協議会は、平成二十三年は総会を開いておりますか。
○筒井副大臣 いつ、どこで、どのような総会を開いているかは、確かめないとわかりません。私は別に、そこに参加している会員ではありませんから。
○小里委員 私が確認したところでは、二十三年は総会を開いておりません。
まさに二十三年、おっしゃったように、震災が発生をして、輸出環境が大きく変わりました。だからこそ、オール・ジャパンで、関係団体が一堂に会して、知恵を絞って対応すべきときでありましょう。その肝心なときに、このまさに公明正大な正規の協議会が総会を開いていない。いかにも不思議なことではないでしょうか。期を同じくして新たな協議会が現出をしたわけであります。これは誰が見たっておかしいと思うんですよね。まずそのことは指摘を申し上げておきたいと思います。
○吉田委員長 答弁がありますが、小里委員、いいですか。(小里委員「よかったらどうぞ」と呼ぶ)
○鹿野国務大臣 輸出の促進をする場合は、さまざまなルートを通して輸出をするということによって、輸出の拡大というものが、その道が開けてくるわけですよ。
ですから、何も私どもが、今いろいろなことを先生おっしゃいますけれども、いろいろなルートを通じてこの日本のすばらしい農産品を外国の人たちが口にしていただければというようなことは、農林水産業の発展にもつながるわけでありますから、そういうさまざまなルートを通してこれからも輸出促進の道を開いていきたい、これが基本的な私どもの考え方です。(発言する者あり)
○小里委員 今の大臣の御答弁では、誰も納得できないと思います。
新たな協議会は、会員の構成におきましても、実は、ほとんどが製薬業界とかサプリメント関連の、ごく限られた業界で構成をされております。そして、一方の協議会、まさに申し上げたようなオール・ジャパンの、重厚な、公明正大な協議会であります。これが事実上活動を停止したとしか思えないような状況の中で、一方のこの協議会が出てきておる。これは今後、引き続きお伺いをしてまいりたいと思います。
そこで、大臣、昨年七月二十日、基本合意書を交わしております。日中農林水産品合作基本合意書、これを公開するよう柴山議員から要求があったと思います。農水省はこれを拒否しております。なぜ提出できないんでしょうか。
○筒井副大臣 まず、今の前段のことでございますが、促進協議会の参加募集、これは多くの農業団体、農家、地方自治体、企業に出しているところでございます。それらについて、一部のものに限ったものでは全くなかった。サプリメント業界がほとんどだと言われましたが、この前も私ほかのところで答弁いたしましたが、今度の金を出しているところが、二十社中六社がサプリメント業界だというふうなことは聞いております。
ただ、これが、あの原発事故で非常に参加者が少なくなってしまったこと、それがまだ解決しておりませんから。それと同時に、今、宮腰筆頭がやじで、これだけ問題になれば誰も参加しないよということを言われましたが、まさにこういう促進協議会の業務に対するいろいろな非難、攻撃、これも参加を抑えている大きな原因だというふうに思っております。
だから、先ほどから話題になっております全農さんにも、参加をしていただきたいというふうなことをずっと促進協議会の方では要請し、私も中野会長にそういう要請をしたわけでございますが、全農さんは何か、中国の方では、中農集団の方に二回ほど訪れて、その中で参加したいという意向も示されたようでございますが、日本においてはそういう参加の手続は全くとっていない、現在のところ、そういう状況でございます。
それから、最後に、今言われました点と、何でしたっけ、二回目のもの……(小里委員「昨年七月二十日の基本合意書」と呼ぶ)基本合意書についての公開の点ですね。
これは、農水省が公開を拒否したわけではありません。一般社団法人、民間の団体でございます促進協議会の作成した基本合意書でございますから、その民間の促進協議会の方に、これは公開しても構わないかということを問い合わせしたところが、公開はだめだと。そこでそういうふうに言われたから、公開をしなかったわけでございます。
○小里委員 二十社中六社とおっしゃいましたか。この出資金、会費総額は一億八千万と情報をいただいております。その中で、サプリメント業界が一億七千万という認識をしております。その点については改めてお伺いをいたします。
それと、震災が発生をして、検疫の問題も含めて、こういった極めて困難な環境において、くだんの協議会を無理やり突っ走らせようとされた、このことが今、特にまた疑問を持って見られているわけであります。
その一方で、申し上げましたように、まさに長年かけてオール・ジャパンで取り組んできた正規の協議会があるんですから、特に中国を念頭に置いた協議会があるんだから、これを何で活用されないのか。そのことは、どう考えても疑念が拭えないわけであります。
それと、この基本合意書、これは筒井副大臣は署名捺印はされたんですか、されていないんですか。
○筒井副大臣 基本合意書は促進協議会と農発食品との間の交換書面でございますから、全く、私の方はそれに署名しているはずがありません。
○小里委員 今の答弁をまた前提にして、今後お伺いをしてまいります。
このように、申し上げてまいりましたように、薫蒸処理なし、輸出が禁止されているはずの粉ミルクが輸出できるように、これを一つのうたい文句にして進められつつあります。これが本当に今後とも通用していくのか、結果としてはこれは、表現は本当に悪いですけれども、詐欺まがいの商法につながっていくんじゃないか、そういうことが今指摘をされております。
それと、この協議会を通さないと中国貿易ができないかのような受けとめられ方もしておりますが、その中で、入会金、会費、あるいは商標使用料というんですね、売り上げの一%を取るということであります。事実上の手数料でありましょう。こういったところから、どうもよくないにおいを感じているわけであります。
自民党政権時代も輸出促進を図ってまいりました。議連をつくって一生懸命やってまいりました。一方で、申し上げたような正規の協議会を設立して、中国貿易を初め輸出促進を図ってきたわけでありまして、そこには一線を画しておるんですよ。だから、どこから見ても、そういう不信の目で見られないように、まさに李下に冠を正さずでありますから、そこはしっかりと襟を正して臨まれるべきであったろうと思います。これは今後とも、追及と申しますか、ただしてまいりたいと思います。
そこで、委員長、三輪芳弘氏、くだんの協議会の理事であります。また、会費を一億円納めております。第一弾の輸出の送り主でもあります。この経緯をよく知る人物であると目されているところでありますが、ぜひ、参考人としてお呼びをいただきますように、よろしくお願いをしたいと思います。
○吉田委員長 では、理事会で協議をさせていただきます。
○小里委員 最後に、TPPに関連して、どうしてもお伺いしたいことを、一つだけお伺いいたします。
昨今の報道によりますと、アメリカ側から米についての例外扱いを示唆するような発言があったという報道でありますが、その事実関係について、外務省、把握をしておりますか。お答えをください。
○中野大臣政務官 委員にお答え申し上げます。
私もいろいろな報道がなされているのは存じ上げているわけでございますけれども、恐らく委員がおっしゃっているのは、先般の玄葉外務大臣とカーク通商代表の会談の中で何が話されたのかということだと思うんですね。
私たちの方で理解をしていますことは、この十日に行われました会談では、TPP交渉に関しまして、カーク通商代表より、TPP交渉参加を希望する国は全て、現交渉参加国がコミットしている高いスタンダードを達成するとのコミットメントを示さないといけないということについて、そして、双方は、物品の最終的な扱いについては、TPP交渉のプロセスの中で決まっていくものであるということを確認したということでございまして、それ以上でもそれ以下でもないということでございます。
○小里委員 要するに、全ての品目をその交渉のテーブルにのせる、関税撤廃を目指していくという今の答弁でありまして、報道にあるような事実は全くないということを今確認したわけであります。
以上で終わります。
○中野大臣政務官 今委員の方から、全ての関税を撤廃していくというふうな御発言がありましたけれども、御案内のとおり、交渉に入った際に、最終的に、即時撤廃がどの程度となるかとか、段階的にどれくらいの時間をかけて撤廃をするのかとか、あるいは関税撤廃の例外がどの程度認められるかということは交渉のテーブルに着いてみないとわからないということでございまして、今委員がおっしゃいました、全ての関税を撤廃するというふうな断定的な物申しは、政府としても、外務省としてもしていないということは御指摘をさせていただきたいと思っております。
○小里委員 以上で終わります。
○吉田委員長 次に、小野寺五典君。
○小野寺委員 自由民主党の小野寺五典です。よろしくお願いいたします。
今、小里委員からお話がありましたTPPについて、冒頭触れたいと思います。
先ほど来のお話にありますように、米を初めとする例外品目が認められる可能性があるということ、これは報道で出ております。大臣にお伺いしますが、このような例外についての可能性、これは農林水産省としても、あるとお考えでしょうか。
〔委員長退席、梶原委員長代理着席〕
○鹿野国務大臣 今月の十一日か十二日に、訪米した玄葉外務大臣が米国のカークUSTR代表とのお話の中で、関税の最終的な扱いについてはTPP交渉プロセスの中で決まっていくということを確認したというようなことであったということは承知しておりますが、基本的にこの考え方は、これまでもいろいろと、関係国の協議でも各国の間でも確認されておる、いわば一般的な認識、こういうふうに私どもは受けとめておるわけでございますので、今、小野寺議員から言われたようなことについて、こうだというようなことを今の段階で私から申し上げるというようなことまでの、カーク代表と玄葉大臣の話ではなかったのではないかな、こういう思いであります。
○小野寺委員 今、米を含めた例外品目についてのことはなかったんじゃないかという大臣のお話だと思いますが、それでは筒井副大臣にお伺いいたします。
実は、四月十二日、官邸で関係副大臣会議がありまして、ここで外務省の片上経済外交担当大使が説明を行った。そして、この説明を受けて、実は、この米が例外になるかもしれないということを世間に言いふらしたのはTPP担当の石田内閣府副大臣、これは報道機関で確認をしております。
この会議に筒井さんも出ていたと思いますが、実際にどのような説明があって、皆さん方には内々、実は片上大使からは、いや、米についての例外の可能性はありますよというお話があったんでしょうか、教えてください。
○筒井副大臣 幹事会での発言だと思いますが、石田内閣府副大臣は、先ほどここでも答弁したように、今までと違った言い方、対応になっているというふうな見解を述べておられましたし、その後も述べている、こういう状況です。
○小野寺委員 これが実は、何かいかにも例外品目がどしどしできそうだ、だから交渉に入っても大丈夫だよという、非常に曖昧なミスリードになっているんじゃないかと私は思います。
副大臣に改めてお伺いしますが、副大臣の印象では、この片上さんからの説明で、これはどうも例外品目は多くとれそうだ、そういう実感をお持ちになったかどうか、お伺いします。
○筒井副大臣 関税撤廃の除外が認められたというふうに断定できない、そういうカークさんの発言だったというふうに理解をしております。
○小野寺委員 そうなんですよ。外務省に聞いても、実は今、筒井副大臣のお話を聞いても、恐らく片上さんのお話でも、例外品目がとれるなんということは、これは言えない、ないということを向こうは言っているのに、それをなぜか、どうも違ったメッセージで伝わっている。だから、どうも新聞紙上を見ると、多くの日本人は、何か例外品目がたくさん出てくるんじゃないか、交渉に入っても大丈夫なんじゃないかと。もしこういうミスリードをあえてしているとすれば、大変な、これは犯罪だと思いますよ。
ですから、ぜひ、きょうこの石田副大臣は来ていないと思いますけれども、このようなミスリードの記者会見をしないように、しっかりと、農水省としては事実関係を伝えるように指示していただきたいと思っております。
○筒井副大臣 例外が認められると断定できないと先ほど私申し上げましたが、そういうカークさんの発言だったと思いますが、例外が認められない、全然だめなんだという断定もできるようなものではありません。今までのアメリカの説明とそんなに違ったというふうにはなかなか判断できないなというものでございますから、例外が認められる、認められない、これを完全に断定できるような発言とは考えていないということでございます。
○小野寺委員 そのとおりなんですよ。ですから、この微妙な言い回しを何か過大解釈して、これはいろいろな例外品目をとれるぞというふうに勝手に解釈されたら困るから、今、筒井副大臣がおっしゃったように、正確な話を石田副大臣にも対外的にきちっとしていただかないと国民をミスリードする、そういう心配があるということです。
もう一点ちょっと確認しますと、三十日に野田総理とオバマ大統領がお会いをされる、首脳会談があるということがもう報じられておりますが、この際にTPPについて当然言及をされると思います。私どもは、交渉に参加するということについて、どのような手続で行いますかと国会で再度聞いているんですが、閣議決定、閣議了解、このような性質ではないということを何度もお話しされていました。
では、皆さん、内閣として、政府としての確認をする会議というのは恐らく関係閣僚委員会ということになるんだと思います。関係閣僚委員会が当然訪米する前に開かれると思いますが、ここでもし総理からTPPの交渉参加についての言及があった場合、鹿野農水大臣にお伺いいたしますが、そのときに農水大臣としては反対をされますか、賛成をされますか、お伺いしたいと思います。
○鹿野国務大臣 関係閣僚会合が開かれるかどうかということも何も決まっておりません。
訪米ということについては、きょうの十一時に発表されたというようなことでございますので、きょう初めて、この委員会が開かれている中で総理の訪米というものが発表された、こういうことを今情報として受けとめたところでございます。
総理がオバマ大統領との話し合いの中で、どういう話し合いになるかどうかということは私どももまだ具体的な形で言及するという段階ではございませんけれども、いわばこの交渉参加に向けて協議を始めますというふうなことを、野田総理としては昨年十一月に表明されたわけです。
今、関係の国といろいろと協議を行いながら、日本の国に対してどういうものを求めるかというふうなことの情報収集がなされている。そういう中で、例えば、アメリカ側からは、パブリックコメントというものを受けてどういうことを日本に求めるかということは今分析をしております、こういうことでございまして、まだアメリカ側からはそういうような話がないという段階でございますので、私の認識といたしましては、交渉参加に向けて協議を始めます、そういうプロセスの中に今はある、こういうふうなことでございますので、まだ交渉参加に向けてどうするかというふうなところには至っていない今の段階ではないか、こういう認識でございます。
〔梶原委員長代理退席、委員長着席〕
○小野寺委員 これは、大臣がTPPについて私どもと同じ気持ちを共有して、このことに対しては、特に農業に対しての強い懸念を共有されていらっしゃるので、あえてお伺いをしているんですが。
関係閣僚委員会。当然、訪米してTPPについて交渉参加をすると総理が言う場合、これは一人で勝手に言われたら困りますから、やはり前から総理が答弁されているように、関係閣僚委員会というのを開いて、ここの中で、このような交渉参加を表明する。仮にですね。やるとすれば、そういう手順を踏むんだと思います。
ですから、これをもし飛ばしてしまったら、これは内閣としての意思ではなくて総理が一人でやってしまったと、私どもはこれを指摘しますし、もしこの関係閣僚委員会が開かれた場合、このときに農林水産大臣はどのような発言をされ、それでも総理が参加表明すると言った場合にはどのような態度をとられるか、改めてお伺いしたいと思います。
○鹿野国務大臣 関係閣僚委員会、閣僚会合が開かれるかどうかというふうなものも定まっておりませんし、きょう総理の日程が正式に発表されたということでございますから、予見を持って私が今の段階で云々というふうなことを申し上げるのは、まだその段階ではないと思っております。
私は、もし、そういう中で関係閣僚委員会が開かれるということで、今小野寺議員が言及したようなことが、行く過程の中におきましては当然幹事会等々もございますので、また、いろいろなその他の議論もございますから、そういうものの中で関係閣僚委員会が開かれるかどうかということにもなるでしょうから、そういう経過というふうなものを踏まえた中での会合であるものと私は認識を持っております。
○小野寺委員 きょうここに集っている農林水産の委員は、ほとんどの皆さんがこのTPPについては農業者、漁業者の関係で大変懸念を持っている、そして農林水産大臣も同じような懸念を抱いている、共通の気持ちを持っている同志だと思って、この審議をずっとさせていただいております。ですから、もしその関係閣僚委員会が開かれたら、これは頼りになるのは大臣しかないんですよ。大臣がそこで、総理、ちょっと時期は尚早だ、あるいは、アメリカの情報がまだまだ入っていない、いろいろなことで、ここは大臣に体を張って頑張っていただくしかない。そういう思いで、私たちはここで今質疑をさせていただいています。
決して与党、野党ではないんです。私たちの意見を官邸の中で、総理が訪米する前に伝えていただける最後のとりでは大臣だから、あえてお話を伺っています。覚悟をもう一度お伺いしたいと思います。
○鹿野国務大臣 小野寺議員の今の質疑等々というか思いというものは当然私自身も、また農林水産委員会の皆様方からの御指導というものは真摯に受けとめていきたいと思っております。
○小野寺委員 ぜひ、私どもの期待を裏切らないように、よろしくお願いしたいと思っております。
さて、一つ、震災復興のことについて触れさせていただきます。
今回、被災地、特に漁場、漁港の中心のエリアに関しては、地盤沈下して水没をしている、このかさ上げが必要だ、このかさ上げの予算が実はなかなか出てこない。この中で、今回、水産庁は大変努力をしていただきました。そして、かさ上げができないエリアも漁港エリアということで広げていただいて、漁港エリアが広がるということで、漁港予算の中でこのかさ上げをする、このような予算措置を進めていただいて、今進んでいるんです。これは私どもも大変感謝します。
ところが、漁港エリアが広がってかさ上げが進む中で、いろいろな不安が出てきました。実は、漁港漁場整備法という法律の三条で、漁港につくっていいものが決まっています。細かく見ていくと、当然、岸壁をつくっていい、あるいは水産加工場をつくっていい、冷蔵庫をつくっていい。こういういろいろなものをつくっていいんですが、つくっちゃだめなものがあるわけです。例えば水産会社の事務所、あるいは船の無線をすぐに修理するための無線会社、さまざま、実は今まで想定していない、つくっちゃいけないものがたくさんこの中にあります。
ところが、私どもが漁港を歩いてみると、これは一体なんですよ。当然、港に船が入ったら、その乗組員の皆さんとすぐに入札のコンタクトをする漁業会社がそばになきゃいけない。あるいは、水揚げするそのわずかな期間に、壊れた無線をすぐ直すための会社がそばになきゃいけない。いろいろなものが実は漁港にはあります。
この漁港漁場整備法の三条の漁港施設という部分をぜひ拡大して見ていただいて、今回の漁港に関連するもの、それは漁業の会社でもいいだろう、あるいは船舶の会社でもいいだろう、そういうふうに広げて、実態に合う形で今回対応していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○鹿野国務大臣 円滑な漁業活動の再生のためには、漁港区域内に漁船の修理や通信に必要な部品の調達等ができる体制を整備しておく必要がございます。漁港区域内には、漁港施設以外のこうした関連施設も立地可能というふうなことでございます。
○小野寺委員 単純に、可能というふうに今伺いました。鹿野大臣だからそう言ったわけではないんですが。
今、現場の市町村はそれで大変困っております。この条文を読むと、これは大変だと。ですが、今おっしゃったように、できるんだということであれば、これは、地域の計画に沿って、では、ここは工場をつくってもいい、ここは会社をつくってもいい、事務所をつくってもいい。せっかく漁港エリアを広げていただいてかさ上げをしてもらう、これは私どもは評価をしております。ですから、ぜひ大臣として、実態に合う形で弾力的な運用をお願いしたい、そう思っております。
さて、もう一点、実は、福島原発におけるさまざまな放射能の被害というのが、実被害も風評被害も出ているということになりますが、ここに参りまして、沿岸部でも今さまざまな不安の声が出てまいりました。
例えば、三陸沿岸でも、既に三つの魚種について放射能の基準値を超えるものが出てまいりました。もっとも、この基準値を超えるというのは、もともと五百ベクレルだったものが、四月一日から百ベクレルまで下がりました。したがって、今までであれば基準値の問題には影響なかったものが、実は基準に抵触する。百数十ベクレルで以前は問題なかったものが、今回は規制が厳しくなったということで対象になった、それで操業ができなくなった、こういうこともございます。
これに対しての支援もしっかりやっていただきたいと思うんですが、それだけではないんです。実は、風評被害も同時に大きく広がっております。
例えば三陸沖のイサダ、これは小さいエビのものです。よく釣りのまき餌に使ったり養殖魚の餌に使ったりします。このイサダ漁というのは実は、三陸沿岸の、岩手県もそうですが、春の大変重要な漁業種になっています。
これが実は、放射能の風評被害で、西日本の養殖業者からこのイサダは使わないということを言われて、今、操業停止になっています。調べても放射能は出てこない。ですが、このイサダを与えることは養殖業としては私たちは適当でないと思うということで、今、私ども、出荷停止にされています。したがって、これは漁ができないという状況になっています。
正式に放射能の基準値以上に出て出荷停止になったものに関しては、今回、賠償請求として請求できます。ですが、基準以下、ほとんど放射能が出ていない、ですが、これを扱うことは控えたい、こういうことで漁ができなくなっている、こういう漁業者に対して補償ができるのかどうか。
きょうは経産省からおいでだと思いますので、補償ができるかどうか、お伺いしたいと思います。
○柳澤副大臣 お答えさせていただきます。
私、今、九月から原子力災害現地本部長を務めさせていただいているのと、原子力損害賠償円滑化会議のメンバーでも参加をさせていただいております。
本年四月より、食品中の放射性物質の基準が厳格化された。この基準により、出荷制限対象品目に追加されたものや、あるいは、県等から出荷自粛要請がなされたものについては、その損害について賠償の対象になるというふうになっております。
しかし、政府としては、基準の厳格化による賠償の増加についても適切な支払いがきちんと……(小野寺委員「聞いたことに答えてください。イサダは補償になるんですか」と呼ぶ)基準以下ということであれば、今のところは、県からきちんと認定がされないと補償にはならない状態にあります。
○小野寺委員 そうなんですよ。補償にならないんです。流通関係でこれは扱わないと言われたら、補償にならない。では、イサダの漁業で生計を成り立てている三陸の漁業者はどうしたらいいんですか。どこにこの支援を求めたらいいのか。
私は、こういうときに、本来であればきょうは東京電力に来ていただいて、そこで厳しくこの話を追及したかった。ですが、残念ながら、我が党の理事が申し込んでも、与党の理事が東京電力は呼ばないということで、断られました。ですから、経産省にこうやって聞くしかない。
どうして私たちは、このイサダ漁の漁業者、恐らく、これからいろいろなところにこういう風評被害、漁業者に向けては広がってくると思います、その対応ができるのか。対応してくれる最後の頼みは農林水産省なんですよ。もし、今回、補償対処ができないというのであれば、何らかの支援、それを考えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○筒井副大臣 基準値を超えないものが価格が下がったり売れなかったりした場合は、まさに風評被害そのものでございますから、風評被害として補償の対象になることははっきりしていると思います。
紛争審査会が、その点で、これらの風評被害は損害賠償の対象になるというふうなことを言いましたが、その対象に入っていないものでも、この原発事故と因果関係がある風評被害については、やはり補償の対象になる。
ですから、東電さんも、さんをつけるのがいいかどうかは別にして、東電もその風評被害について既に賠償に着手しておりますし、もし、それらについて東電と話がつかなかった場合には、紛争審査会の中で仲介の機能がございますから、そこでやることになるし、それでも話がつかなかったら裁判所での判断という形になるかと思います。
○小野寺委員 なぜこんなことを取り上げるかというと、後でやりますけれども、既に皆さん、牛の方で経験しているじゃないですか。補償になる、補償になると国会で何度も答弁していただいて、そして、請求を出したら、値切られるわ支払いが遅いわ。
今回のイサダ漁業者なんて、多分もっと弱い立場ですよ。裁判まで持っていって、一年、二年しているうちに潰れますよ、漁業者みんな。漁業者は、あしたの糧で生きているんですよ。そんな、東電と損害賠償の請求なんか。漁師は魚をとることが仕事であって、損害賠償を求めるのが仕事じゃない。そこを手当てするのが政治の仕事だと私は思っております。
もう一つちょっとお伺いしたいと思うんですが、今のお話の中で、実は、この風評被害に関しては、例えば損害賠償における中間指針がいろいろな県を対象にしています。ですから、福島県や茨城県、そういう県は対象になっているんですが、実は、前々から指摘していますが、宮城県以北、岩手県も含めて対象になっていないんですよ、この中間指針の地域に関しては。これは文科省が所管だと思うんですが、この中間指針の見直しというのを速やかにしていただいて、なぜ、実際被害が出ている宮城や岩手に広げてくれないのか。
この中間指針の見直しを早急にしていただきたいとお願いしたいと思いますが、担当の文科省にお伺いしたいと思います。
○奥村副大臣 お答えいたします。
今御指摘のとおり、イサダの問題につきましては対象外になっております。ですから、中間指針の中で見直しも、いろいろ今日までやってまいりましたが、二十一回、会合を開きました。
そして、その中でいろいろやってきたんですが、今申し上げましたとおり、指針の中には入っておりません。しかし、先ほど筒井副大臣が御答弁されましたように、因果関係等によりましては損害賠償の対象になるということも中間指針の中でも言われておりますので、今委員が御指摘をいただきましたように、賠償の対象になるということであります。
文科省といたしましても、担当といたしましても、今後、東京電力にしっかり対応していくように進めていきたいというように思っているところでございます。
○小野寺委員 実は、従前、東京電力の賠償の担当者に、瀬踏みというか、ちょっとお話を聞いたら、イサダについては難しい、そういう御答弁がございました。
ですから、基準値以下でほとんど検出されていないけれども、そういう餌になるようなイサダは買いたくないという、これが風評被害。そして、これを東電へ請求するかというと、これは東電はなかなか難しい。では、誰がこれを補償するのか。これを支援するのは、農林水産省がまず手を差し伸べるべきだと私は思います。
せっかく、もうかる漁業とかもうかる養殖業とか、ある一定期間のこういうところを支える制度があるわけですから、この拡大的な運用とかさまざまな対応で、この春の時期に漁ができない漁業者に対して手を差し伸べることができると私は思います。そんなに多くの予算もかからない。
ですから、この問題については真剣に。全て東電の責任だ。東電に持っていくと、それは賠償できない。返ってくる。では、裁判したらいいじゃないか。裁判するのに何年もかかる、そんなお金もない。こういう零細な漁業者にこそ、私は手を差し伸べていただきたいと思います。
大臣の対応についてお伺いしたいと思います。
○鹿野国務大臣 いろいろやりとりがあったわけでございますけれども、中間指針で対象とされなかったものにつきましては、具体的な事情に応じて、相当な因果関係のある損害というものは、やはり認められるものは認められるということにしていかなきゃならないと思いますので、賠償の対象にしていくということで、私どもは東電に対しましても強く働きかけをしてまいりたいと思っております。
○小野寺委員 その東電が袖にする可能性が高い、だから、ここでこういう時間をとってお話をしているんですよ。
では、見捨てるんですか。東電に任せ、東電にだめと言われたら、ああ、東電がだめなんだから私たちも責任はありませんね、そういう心の通わないことを私たちは要求していないし、大臣もそういうお方じゃないと思いますよ。
ぜひ、水産庁として、農水省として、何らかの手当てをするということ、それをあえて考えていただきたいと思います。
○鹿野国務大臣 小野寺先生から、私ども農林水産省が見捨てるとかというふうな言葉をお出しになられるとは思いもしませんでした。
私どもとしては、今日まで、あの大震災以後、誠心誠意、精いっぱい取り組んできた、その気持ちは私は多くの方々にも御理解していただいておりますので。しかし、基本的には、やはりこれは風評被害だというようなことで賠償請求をして、そしてそれに対して、東電に対して私どもがその後押しをしていくというふうなことは当然農林水産省等の役目でございます。
そういう中で、時間がかかるというようなこと等々、お話もございました。そういうのは、そういう推移を見ながら、私どもとしてどうあるべきかというふうなことは当然勉強もしていかなきゃならないと思いますが、まず一刻も早く、相当な因果関係があるものについては風評被害として賠償の対象になるんだというようなことを強く働きかけていくということが大事なことだと思っております。
○小野寺委員 今のお話で、イサダについては、農林水産省を挙げて東電にこれは賠償しろということを後押ししていただけるということを確認して、とにかくそのすき間がないように、日々の資金繰りに困っている方々ですから、速やかに対応していただきたいと思います。
それから、実は、今検査をたくさん魚市場でやるために、その魚とかサンプルを毎日毎日買い上げているわけですよ。ですから、量がたくさんになってしまうと、市場がこれを全部かぶるとなると大変です。ですから、このサンプルについてもしっかり、東京電力が払うのか、あるいは国が支援するのか、この検査のサンプルについても対応するということをお伺いしたいと思うんですが。
○仲野大臣政務官 お答えいたします。
農水省といたしましては、この放射性物質調査について、平成二十四年度予算において二億九千万円を計上し、サンプルの買い取り費用あるいは郵送料、分析費用等について支援しているところでありますし、また、独立行政法人水産総合研究センターにおいても調査の支援を行っているところでございます。
今、先生の先ほどからの御指摘のとおり、やはり一番の、生産者はもとより、国民の水産物への不安が昨今増大している中で、いかなる影響を受けるかを調査していくことは日本の水産業にとって極めて重要であるという認識のもとに、今後とも、関係自治体及び関係分析機関と連携し、調査に万全を期してまいりたい、そういうように思っております。
○小野寺委員 平成二十四年度予算ですね。(仲野大臣政務官「はい」と呼ぶ)二十四年度予算において今回のそのサンプルについての買い上げの費用を国がしっかり払っていく、現地の漁業者、漁協や魚市場には迷惑をかけないということでよろしいわけですね。
○仲野大臣政務官 これは新たな新規予算として計上させていただいておりますので、生産者もとよりまた関係機関に、我が省として責任を持って果たさせていただきたい、そういうように思っております。
○小野寺委員 ぜひしっかり対策をお願いしたいと思います。
それでは、今度は同じような被害を受けております農畜産業についてお伺いしたいと思います。
前々から、被災県の例えば牛肉に関しての下落についてはしっかり東京電力が損害賠償を補償するということで話が進んでおりますが、直近の支払い状況、例えば宮城県の農畜産業に関する賠償金の直近の支払い状況について教えてください。
○柳澤副大臣 お答え申し上げます。
JA宮城県協議会から東京電力に出された肉牛、子牛に関する請求のうち、本年一月までに請求された計約四十四億円については、これまで約三十七億円支払い済みになっております。未払い分につきましては、ブランド牛への特別加算や子牛の算定方法について現在協議をしているというふうに確認をいたしております。
○小野寺委員 今のお話でわかりますように、実は払われたのは、去年の十二月分までなんです。ことしの一月、二月、三月、そして今、四月です、この分については払われない、そして、十二月まで払われた分に関しても、実は値切られているというのが今の現状です。農家は、日々のお金のやりとりで大変苦労している。そして、東京電力が補償するということで安心するけれども、待てど暮らせどお金が出てこない、そして、ようやく出てきたら値切られる、こういうことが実は現場では起きているんです。
だから、先ほど来、漁業の問題でも私ども心配だ心配だと言っているのは、東電任せにすると、結局、農家が泣くことになる。東京電力の社員は、一月も二月も三月も四月も恐らく給料が出るんでしょう、遅配がないんでしょう。ですが、その被害を受けている農家は、十二月までのお金がようやく、ことしの四月の十二日に払われたんですよ。一月、二月、三月は、またこれからの協議だと。こんなことを許さないで、しっかり対応していただきたいと思いますが、農林水産大臣、しっかり、早く払うように、きょうここに東電がいればその方に言えるんですが、来ないものですからまた大臣に聞くしかないんですが、ぜひ、農林水産省として、農家の味方として、一日も早く満額払うように指示していただきたいと思いますが。
○鹿野国務大臣 東京電力に対しまして、証拠書類の確認作業を急ぐとともに、確認作業を終えたものから順次支払うなど、被害者の速やかな救済を最優先に取り組むよう申し入れているところでございますけれども、さらに強く申し入れをしていきたいと思っております。
また、県協議会等による賠償請求の実施体制の強化に向けた必要ないろいろな助言も行っているところでございますけれども、そういうことをやりながら、今後とも、一日も早い賠償の実現に向けて、引き続き強く働きかけをしてまいりたいと思います。
○小野寺委員 本当に農家は毎月毎月の、肥育して牛を出荷して、その清算を受けて子牛を買って、その毎日毎日の、毎月毎月の循環で実は畜産業というのは成り立っています。お金がショートしちゃったら子牛も買えない、子牛を買えなければ子牛の市場にも影響が出る、子牛をつくっている農家は大変だと、全てが循環しているんですよ。ぜひ、一日も早い賠償というのをしっかりしていただきたいと思っています。
さて、もう一つ、私ども心配しているのは、基準が厳しくなって、実は、例えば繁殖あるいは酪農に主に使っている牧草、宮城ではほとんどの農地で、岩手では約四割の農地で、この牧草が実は使用できなくなりました。そして、この牧草の支援についてはしっかり国が責任を持ってやってくれということで、今、餌の手当ては国が一生懸命やっていただいていると思います。ようやくこの餌も回ってまいりました。
問題は、この使えなくなった牧草、これが汚染稲わらと同じように、今、野積みになっているんですよ。この間見てきて驚きました。あれだけ大きな問題になった汚染稲わら、あの約二倍から三倍。これから宮城ではこの使えない牧草が出てくると言われています。この処理について、農水省としてはどのようなお考えをお持ちでしょうか。
○鹿野国務大臣 牧草は、汚染濃度が低いことから、その処理につきましては、焼却、埋却、圃場へのすき込み等を指導いたしているところでございます。
焼却につきましては、岩手県の一関市で本年二月六日から本格的に着手いたしました。また、環境省と一緒に現地に赴きまして、既存の廃棄物処理施設や仮設焼却炉で焼却について提案したり、協議を行っているところでございます。
また、圃場へのすき込みにつきましては、その安全性が十分認識されるよう、わかりやすい情報の提供に努めているところでございます。
すなわち、やはり御理解をいただくことが大変重要だというふうなことから、今申し上げましたとおりに、現場に参りながら、いろいろ関係者とも話し合いを進めていきたい。もちろん、環境省、県、市町村関係者と連携をしながら取り組んでいくというふうなことを、これからもさらに拍車をかけていきたいと思っております。
○小野寺委員 今のお話だと、焼却してもいいし、それからすき込んでもいいというお話なんですが、牛に食べさせちゃいけないというものを、では、もう一回農地にすき込んでいいと。農地の基準も、そこからとれる作物の基準も、今までに比べて五倍厳しくなっているんですよ。当然、農家は、牛に食べさせちゃだめなものを農地にすき込んでいいと言われて、そうですかなんて。
もし、そこで、出た作物から新たに検出されたり、あるいは風評被害。今、環境保全で、一生懸命農家は気を使ってやっていますよ。もし消費者の方が、これは少し汚染された牧草で、牛に食べさせちゃだめだけれども畑にすき込んでいいと言われたからすき込んだよと言われたら、これは買わないですよ。だから、そういう基本的な認識を共有していただきたい。
この対策について再度お伺いしたいと思います。
○鹿野国務大臣 いわゆる牧草のすき込みにつきましては、まさしく、そういう農家の人たちの気持ちというふうなものを当然大事にしなきゃいかぬというふうに思っております。今、牧草のすき込み試験の実施ということもやっております。二十四年の四月十二日に牧草のすき込み試験を開始いたしまして、これは農研機構でございます。そしてもう一つは、家畜改良センターにおきましても、四月下旬より、堆肥化した牧草のすき込み試験の開始を予定いたしておるところでございます。
そういう意味で、御理解をいただくということは今の段階ではなかなか難しいというところもございますけれども、よく説明をしながら、試験結果を受けて説明をしていかなきゃならないと思いますが、その間は焼却あるいはその他の施策によって取り組んでいくということにつきまして、関係省庁とも連携をとりながら、市町村なり県とも連携をとって取り組んでいきたいと思っております。
○小野寺委員 汚染稲わらは、いまだに全く処理をされずに野積みになっています。そして、これを焼却すれば灰が出る、その灰については高濃度になる可能性が高い、これは細野環境大臣が言っていました。ですからどうにもできない、すき込んでくれ。いいかげんにしてくれよと。農家は誰も悪いことをしていないですよ。原子力事故の被害者じゃないですか。なぜ、その被害者が、こうしてまた国の十分な手当てや方針も決まらずに、あなた方の責任ですき込んでくれと。これは余りにむごい話だと私は思っています。
もう一つお伺いをします。
牧草、ぜひきちっと反転耕なりして来年には対応したい、多くの農家がそう思っています。何倍もする牧草をわざわざ買ってきて、これが税金になる将来の東電の補償で支払われる、これを農家は望んでいないですよ。もう一度自分たちの農地でしっかり牧草をつくって、そして行いたい。そのために必要なのは、反転をして、反転耕といいます、それであれば大丈夫だと農水省は言っています。
ところが、この反転耕をする補助予算、前回の質問のときに大臣は、十分の十、これは国が対応するというお話でした。ところが、あれから一カ月たって、私、現地で聞いても、全然前に進んでいない。なぜかというと、県が、どうも国の言うことは当てにならない、言っている話が二転三転する、どうなっているかわからない、だから、おっかなくてやれない、こういう答弁が返ってきました。
ぜひ改めて大臣に、これは全部国が責任を持ってお金を負担する、そして、面積当たり幾らちゃんとお金を出すからこれをもって反転耕をちゃんとやってくれと。その面積当たりの費用は国が全部出す。そして、最終的には東京電力に請求するのもいいでしょう。ですが、一義的には国が全部対応するということを言っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○鹿野国務大臣 追加被曝線量が年間一ミリシーベルト以上の地域である汚染状況重点調査地域におきましては、環境省の除染事業によりまして、それ以外の牧草で百ベクレルを超える地域のうち、先行的に実施するところにつきましては、農林水産省の東日本大震災農業生産対策交付金によりまして、さらに、これら以外で県の指導に基づいて除染を行う場合は、中間指針二次追補に明記されたとおり、必要かつ合理的な範囲の除染費用について、東京電力による賠償対応によりまして、農家の負担なしに実施することということが、これが基本的な考え方でございます。
これまでも、関係県には、事業内容等につきまして情報の提供をしてきたところでございますけれども、さらにこれからも具体的な情報の提供を行いまして、農家の負担がないことを示しつつ、周知徹底して取り組んでいきたいと思っております。
○小野寺委員 皆さん、今の言い方を農家に言えますか。反転耕してくれ、国が全部責任を持つよということで、理由は、一定基準以上は環境省の事業で、それ以下については今回の東日本の震災対応で、でもそれは、二十数億しか実は予算ないんですよ。ですから、大部分は東電への請求で対応しますと。本当にお金は出てくるの。幾らこの面積当たり費用をかけていいの。この指針が全く出てこない。
今と同じことを、実は県と農家は説明を受けているわけですよ。農家はわからないですよ、これでは。本当にこれをお金かけてやって、後で国から出てきたお金は、実際のわずかしかない。そうしたら、これを全部農家がかぶるのか。
私が、政治家として大臣に期待しているのは、安心してやってくれよ反転耕。そして、そのお金は責任を持って国が全部出すから。後で環境省の予算なり東電の賠償なり、そこは俺たちが内部で調整するから、全部出すから安心してやってくれ。この一言なんですよ。お願いします。
○鹿野国務大臣 基本的には、今、私の答弁で、農家の負担なしで行っていくということが基本でございます。こういうふうなことで、いろいろと具体的な取り組みにつきまして周知徹底するようにしている、そして一体的な取り組みをしていきます、こう申し上げたところでございます。
○小野寺委員 そして、実は、よく文章を見ると、一定額という言葉が一言入っているんです。一定額、国が全部出しますよ。一定額って、一体幾らなのか。その一定額は幾らなんですか。
○鹿野国務大臣 一ヘクタール百万円でございます。
○小野寺委員 一ヘクタール当たり百万円。今この基準を初めて私伺いました。では、これで農家の方ができるかどうか。それをあえて、私ども、地元でまた確認をして。
そして、このお金は、間違いなく国が全て負担をし、そして農家には請求はいかないということでよろしいんでしょうか。
○鹿野国務大臣 基本的に農家の負担がないというようなことで取り組んでいくということでございます。
○小野寺委員 もう一つ、技術的な細かいことをお伺いします。
実際に反転をする場合、プラウという機械が必要だ。このプラウを十分手当てできるかということでお話を聞いたら、前回の大臣は、しっかり対応するということで答弁をいただきました。そして、私、採用されているのかなと思って地元に聞いたら、実は、地元では、いや、さっぱりそういう話は出てこない。では、何が出たんですかと聞いたら、一つの、これは課長名の通達なんでしょうか、その文書が出てまいりました。その文書は、最近報道機関であったように、改めて機材の融通については関係団体及び関係者に協力をお願いしたいと考えておりますと。自分でやるんじゃないんですよ。関係団体及び関係者に協力をお願いしている。もし県内で融通できる方がいたら当方へ御連絡ください。非常に他人事。
こういう通達が出て、これで農家は、いや、プラウ、どこに頼んだらいいの。出てきた文書は、関係機関でそれぞれ協議してください、相談してください、何かあったら当方へ、不足があったら当方へ御連絡くださいという通知でありました。
大臣にお伺いします。当方と言われる、この農水省で持っているプラウは何台ありますか。
○鹿野国務大臣 独立行政法人の家畜改良センターのプラウ十六基の対応を受け付けしている、こういうことでございます。
○小野寺委員 きょう、皆さん、畜産農家がどれだけの数があって、宮城県はほぼ全域、あの広い岩手県は四割、これを反転耕しなきゃいけない。その反転をするための機械がない。そして、それをお願いしたら、政府は、十分に対応します。出てきた通知、通達は、何のことはない、関係機関で協力してください。それでもらちが明かないときは、うちに相談してください。うちは何台持っているかというと、十六台ですよ。
これで一体、今から、これだけ広い農地を反転できるのか。そして、反転して、今頑張らなければ、実は秋の種まきに間に合わない。来年の春の牧草も同じくまた全量買わなきゃいけないんですよ。
こんな税金の無駄遣いをするんだったら、なぜ農水省は一刻も早くこの手当てをしないのか。もう一カ月前からこの質問をしているんですよ。いいかげんに、きっちりやってください。
○鹿野国務大臣 四月の三日には、各県に対しまして改めてプラウ等の機材の県内での融通、調整を進めるとともに、不足する機材等の確保に対する要望があれば農林水産省にぜひ連絡していただきたい、こういうふうな通知も出しておるところでございます。
また、四月九日の日には、機材メーカーを招集いたしまして、除染の実施に必要な機材の調達への協力要請も行っているというふうなことでございまして、そういう取り組みをしておりますということを申し上げたいと思います。
○小野寺委員 この広い耕地を農家が一生懸命反転耕するわけですよ。そして、その機材がない。機材はどうしたかというと、結局、県内で調整しろと。県全部でやっているんですよ、宮城県全部でやっているんですよ。県内でどこか貸してくれといったって、みんな使っているに決まっているじゃないですか。そして、困って国に言うと、国は、今あるのは十六台ですよと。そして、ようやく最近になって農機具メーカーにどうしたものかいなと相談をかける。もういいかげんにしてほしい。なぜこんなに対応が後手後手になるのか。
私、何回もこの問題を国会で取り上げているわけですよ。そうしたら、普通は、先、先に回ってやってほしい。農家にこれ以上負担をかけたくない、そして、最終的には税金に行くこの牧草の東電の補償、こういうことを未然に防ぎたい。だからこういう細かいところまで質疑をさせていただいております。
そろそろ時間になりましたので、改めて最後に大臣にお話を伺いますが、今回、いろいろなもの、これは、原因をつくったのは東京電力です。ですが、東北の農家は東京電力の電気を一つも使っておりません。純粋に被害者です。そして、この純粋な被害者が、今、訴訟ということで、東京電力から厳しい査定を受け、厳しい指摘を受け、頭を痛めながら日々この補償の請求に苦労している。私は、こういうときに中間に立ってしっかり対応して、農家に、漁業者に安心だと伝えるのが農林水産省の役割だと思っています。今が出番です。よろしくお願いします。
○鹿野国務大臣 それは、今小野寺先生から言われた思いを持って、私ども農林水産省といたしましても、連絡会をもう数回にわたって農林水産省で取り組んでまいりました。それは、東電にも来てもらって、そして、生産者の方々のこの実情というものを踏まえた形で、ぜひその賠償に当たって早速取り組んでもらいたいというようなことを強く求めてきた、こういうことでございます。
そういうことをこれからも引き続きやってまいりたい。そして、農林水産業の人たちに少しでも不安感を払拭していただくことができるように、私どもとしては、東電に対しまして強く賠償、早期支払いということについて求めていきたいと思っております。
○小野寺委員 最後に、委員長にお願いいたします。
ぜひ、東京電力、当事者でございます、この場に来ていただきまして、ここでの声を、農林漁業者の声を直接聞いていただける機会をこの委員会でつくっていただきたいと思います。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○吉田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時三分休憩
――――◇―――――
午後一時一分開議
○吉田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。北村誠吾君。
○北村(誠)委員 自由民主党の北村誠吾でございます。
きょうは、質問の機会を与えていただき、本当にありがとうございます。
質問に入ります前に、きょうは大変難しい諫早湾干拓及び有明海の事柄について質問をさせていただくつもりでおりますので、大臣初め委員の皆様方に、難しい話ばかりじゃなくて、まず、いい話を感謝の気持ちというものも込めて報告させていただきたいと思います。
たびたび大臣、副大臣、政務官にもお目にかかっている小長井町の漁業協同組合が、ついせんだって、これまでも御支援をいただいて頑張ってまいりましたカキの養殖の事業、これは普通の垂下式のものじゃなくして、かごに入れて一個一個の稚貝を育てるという特別のやり方で育てた、まさに箱入り娘ならぬ、かご入り娘のカキ、この名称も華漣という大変可憐な名前をネーミングとして与えております。可憐なカキが小長井で誕生し、つくられまして、それが殻つきカキの生食の第一回目の全国大会で、見事トップということで評価をいただきました。これは本当にありがたいことであります。
諫早湾、有明海というと大変難しい事柄ばかりで、眉にしわを寄せるというふうなことが多いわけですけれども、やはり御指導や御援助、協力があって、そして粘り強く頑張った人たちにはこういう成果が恵まれるということもございます。よって、これから大変難しい事柄について御質問させていただきますけれども、まず、このカキにつきましては、アサリにつきましても、いろいろな努力が重ねられていることは、大臣、副大臣、政務官、御存じのとおりであります。
さて、ことしの有明海のノリの生産量につきまして、どのように御認識でありますかということ。
平成十二年に非常にノリの不作ということがあって、諫早湾干拓の問題が大きくクローズアップされ、今日に至っております。私どもが聞きますのは、ことしもノリ養殖は、当初は余りよろしくないということでありましたけれども、少し回復しているというふうに聞いております。
今申し上げた生ガキといい、日本一の佐賀県のノリといい、それぞれ養殖ということでありますけれども、いかがでございますか。どのように評価していますか。
○筒井副大臣 ノリに関しましては、今先生が言われました平成十二年の大不作であったわけでございますが、これがその後大幅に上昇いたしまして、昨年度は倍増の大豊作となったというふうに聞いております。平成十二年度が二十四億枚で、昨年度が五十億枚というふうに聞いております。
今年度に関して、これも今先生が既に言われましたが、当初やはり大幅な不作だというふうな形で予想されていたわけでございますが、今は昨年度の八割方までは回復している状況だというふうに聞いております。
○北村(誠)委員 さらに、有明海の貝類の漁獲量の推移については、統計の数値を見れば、諫早湾干拓が本格的に着工する十年ほど前の昭和五十年代の後半から六十年代の前半にかけて大幅に減少しています。その原因は何であると捉えておられますか。
○筒井副大臣 アサリについては、先生が今おっしゃったようにその時期で減少しておりますが、サルボウについては、逆に生産量を伸ばしております。タイラギについては、やはり生産量が落ち込んでいる。種類によって、こういうちょっと違った傾向が出ているわけでございます。
そして、特に一番減少が大きかったアサリについてでございますが、有明海・八代海総合調査評価委員会が平成十八年にまとめた報告書によりますと、過剰な漁獲圧、それと底質環境の悪化、これらが原因でアサリがそういうふうに大幅に不作となったというふうな報告をまとめているところでございます。
○北村(誠)委員 ということは、少なくとも、五十年代後半から六十年代前半の有明海の異変の要因は諫早湾干拓と直接関係はないというふうに確認していいですね。
○筒井副大臣 農水省としては、そういうふうに考えて、裁判等でもそういう主張を展開したところでございます。
○北村(誠)委員 ありがとうございます。
そして、諫早湾干拓事業は、直接関係する長崎県内の諫早湾内それから島原半島沿岸の漁協のほか、佐賀県、福岡県、熊本県の三つの県の漁業協同組合連合会等に対しても御承知のとおり莫大な漁業補償を行って、その上で了解を得て開始されていますけれども、大臣、そのことにつきましては御認識ですね。
○鹿野国務大臣 今先生から御指摘の、諫早湾の干拓事業に伴う漁業補償につきましては、昭和六十一年度には、諫早湾内十二の漁協に対して二百四十三億五千万円、昭和六十二年度、六十三年度には、長崎県島原、佐賀、福岡、熊本県の漁協等に対して三十五億七千万円、合計で二百七十九億二千万円の漁業補償を行ったということを承知いたしております。
○北村(誠)委員 ありがとうございます。
先ほどお答えいただいたとおり、有明海全体のノリの生産量は平成十二年度以降は全体的に増加の傾向である、そして、その年により環境の状況による多少のぶれはあっても、いい傾向をたどっている。そして、先ほど確認されたように、貝類の漁獲量の減少要因も諫早湾干拓ではなくて、既に事業の影響についても漁業補償をした上で事業にかかったのに、なぜここへ来て開門ということになるのか。
また、アセスの準備書の結果から見ても、開門しても有明海への影響はなく、有明海の再生につながらない、地元の住民、農業、漁業者は被害をこうむることが確実だ。このアセス準備書がそう示しております。
これらに対して万全の対策もなく開門する意義はないと私は思うんですよ。ですから、取りやめるべきではないかと認識するものですけれども、大臣、副大臣、いかがでございますか。
○筒井副大臣 開門の方法三―二を基本とするという形で、いろいろな被害が生じないような方法を考えている。
同時にまた、しかし、開門三―二でやった場合にも、調整池が全部塩水化をして、諫早湾内の流速も少しふえるところでございますから、環境にいい結果が出てくる可能性はあるというふうに考えております。
ただ、それらの問題と同時に、今度の開門はまさに確定判決に基づく国の義務となっているわけでございますから、国がその確定判決に違反するような行動はとることができない、そういう状況に今なっているわけでございます。
○北村(誠)委員 今、副大臣の御答弁の件につきましては、これまでもお聞かせをいただいておりますから、私も認識いたしております。
ただ、そのことは踏まえた上で、開門すれば有明海の再生の可能性があるとおっしゃいますけれども、アセスの準備書では、これを裏づけるシミュレーションなどの科学的あるいは客観的な根拠はないと私は認識しています。
どんな開門方法をとっても有明海への影響はなく、諫早湾では、濁りなどの発生によって、漁獲の減少あるいは漁場の変化、こういう環境影響、被害が予測されているわけです。総合的な見地に立てば、漁場環境がよくなるとはとても考えられない、私はそう認識しています。
さて、大臣、過ぎたことでありますけれども、過ぐる三月二十二日、参議院の農林水産委員会で、菅前総理のインタビューに関する福岡議員の質問に関して、福岡議員の質問にいうところの、今までもケース一、ケース二とあって、ケース三が一、二に分かれているのがおかしいと思っていたんですが、菅前総理のインタビューからすると、当初の案にはなかったものを菅総理自身が指示して無理やり入れたみたいな書き方がなされていると。大した知恵もないのに、いきなり御自身の指示で物事を変えていくのが本当にあるべき姿なのか疑問である、反論があればおっしゃってくださいと福岡議員は質問されて、記録によれば、大臣はそのとき、反論も何もない、そのようにお答えになっておられます。
福岡高裁の開門判決の受け入れの判断そのものも、明らかに間違った判断と受けとめられるが、大臣はこの点についてどう思っておられますか。御認識を示してください。
○鹿野国務大臣 あの三月二十二日の参議院の農林水産委員会で、反論も何もないと申し上げましたのは、インタビューに発言されていることは事実でございますので、そのように申し上げたということでございます。
そして、今先生から言及がありましたケース三―一、三―二というものは、調整池の水位や流速を制限する、いわゆる制限開門というふうな意味でございまして、制限開門のやり方で分けたということでございます。そういう認識を私は持っておるところでございます。
なお、政府部内におけるところのやりとりについては、詳細については発言を控えさせていただきたい、こう考えておるところでございます。
○北村(誠)委員 開門の義務があるということで上告しなかった、そのことによって生じたこと、結果、これらの総理大臣の判断について、その義務を負ったというけれども、そもそも、アセスの結果を見てから開門を検討すると言っていたにもかかわらず、菅前総理は、有明海の再生を目指すためであるとして、アセスの結果が出る前に、地元の反対も聞き入れずに、あるいは地元の意見を細かく聞くこともせず、一方的に受け入れを決めてしまったと言わざるを得ない。
しかしながら、先ほども申しておりますように、その後に出されたアセスの準備書では、開門しても有明海への影響はほとんどなく、再生につながらないということが科学的、客観的に明らかにされ、菅総理は間違った判断を犯したということが明確であると言わざるを得ない。
大臣も、菅前総理の判断は間違っていたとお思いになりませんか。
○鹿野国務大臣 平成二十二年十二月十五日、官邸におきまして菅前総理にお話をした際に、農林水産省としては、防災、営農、漁業への影響等の問題もあるということから、上告した上で和解による解決を求めていくという方針を当時の総理大臣に申し上げたところでございました。
当時の総理大臣は、問題点を十分に理解された上で、開門の方法、時期、期間について、防災、営農、漁業への影響に十分配慮し、万全の事前対策を実施するというようなことを前提といたしまして上告断念の方針を判断した、こういうふうなことでございます。
このことを前提に進めることが確認をすることができましたので、総理の方針に私どもも従うということにしたものでございまして、そういう意味で、今後とも、開門の義務を負っておるというような考え方の中で地元関係者と誠心誠意話し合っていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
○北村(誠)委員 お答えありがとうございます。
ただ、有明海の再生を裏づけるシミュレーションなどの科学的、客観的な根拠はどこにもない。単なる臆測であると指摘せざるを得ない。繰り返しになりますけれども、明らかに菅前総理の誤った判断であると私は申し上げざるを得ない。
繰り返しになって恐縮でありますけれども、三月二十二日の参議院農林水産委員会での福岡議員の、「農水省の巨大利権の象徴的な事業、我々から見れば事業そのものが目的」であるがと述べられた菅総理、このときにおっしゃられる「我々から見れば」、その我々の中に菅前総理から任命された大臣も、そういう御認識ですかと福岡議員はお尋ねになっていますね。そして、前総理とは見解が違うと大臣はおっしゃられて、前総理の間違った先入観で、重大な間違った判断をした、しかし、このことの経過を、発言を見て、農水大臣は良識を持っておられるというふうに私は判断するものです。
そこで、間違った判断によって国自身が福岡高裁の開門判決を担ってしまうということになった、義務を負ってしまうということになった。地元の皆さんが開門による影響、被害を強いられるような危機的な状況に陥っています。大臣は直ちに、繰り返しになりますが、前総理の間違った判断であることが明らかである以上、開門を見直すべきではありませんか。いかがですか。
○鹿野国務大臣 私自身、過般の福岡先生の質問に答えまして、この諫早干拓事業というのは、洪水防止等の防災効果を有するものということから推進をしてきた、また、集団的な優良農地を創出するというふうな意味もある、こういうふうな考え方を頭に持ちまして発言をさせていただいたところでございます。
そういう中で、今、経緯につきまして私からも説明をさせていただいたところでございますけれども、いわば防災上、そして営農上、そして漁業上、支障ないように万全を尽くしてやっていくということを前提として判断したということから、判決上、国が平成二十五年の十二月までに開門の義務を負うというふうなことに相なったわけでございまして、諫早干拓事業の本来の目的というふうなものに支障がないようにしていかなきゃならない、こういうふうなことで策を講じながら、地元関係者の方々と引き続いて誠心誠意お話し合いをさせていただきたい、こう思っておるところでございます。
○北村(誠)委員 誠心誠意進めていかれる、あるいは地元の関係者に対して不利益が生じないようにというふうなことを念頭に置いて取り組んでおられることは、私もお認めします。
しかし、国がいかに不誠実であり、万全の対策と言いつつも困難であるかということについて、例えば地下水の取水ということが取り上げられていますけれども、地下水の取水によって地盤の沈下、井戸の枯渇、これらが生じたことがある地域であるにもかかわらず、事前に十分な調査もしないまま、開門の代替水源として大量の地下水取水を先に決めてしまい、後から地下水調査を行うという間違った判断がここでもなされていると言わざるを得ない。間違った判断です。
地下水取水により、地元の貴重な生活用水を奪い、地盤沈下等を生じさせるということを実際に佐賀大学の調査等の結果でも確認できておりますし、地盤沈下で家屋が傾き、宅地、道路等の沈下、井戸水の減少等の被害をこうむってきたことのある地元は到底納得できるものでもなく、地域を挙げて不本意ながら阻止行動を行っている。
国会においても、地下水を国民共通の貴重な財産として守るため、地下水の利用の規制に関する法案が御承知のとおり審議にかけられ、また、当該地元であります諫早市におきましても、市議会で全会一致で地下水を規制する条例を制定いたしたところであることは御存じのとおりであります。
同じ地下水取水で地盤の沈下を来している佐賀県、白石平野等は新たな水源開発で地下水取水から切りかえているのに、なぜ今、諫早地域だけが逆に、開門のための代替水源として、再び地下水取水で地盤の沈下のおそれや井戸の枯渇等の苦渋を受け入れなければならないのか。
これでも地下水取水を進めることが誠意ある対応と言えるか。撤回すべきであると私は思いますが、いかがですか。
○筒井副大臣 地下水取水を最終的に決定しておりませんよ。今先生が言われました懸念、地盤沈下、ほかの井戸の枯渇、さらには水量が本当にあるのか、これらの懸念がどうなのか、それを調査するために、今、取り上げる地下水の調査をしたいということを申し上げているところでございます。
地盤沈下はほとんどが百メートルぐらいの深度の洪積層の井戸で起こっているのが多いわけでございますが、今、調査するのは三百メートル深度の岩盤層、これの亀裂の中に入っている水を取水したら地盤沈下は起こらないという説、そういう調査もあるものでございますから、それらが本当にそうなのかどうか実際に調査して、確定をしてから実際の工事を行いたいというふうに考えているところでございます。
○北村(誠)委員 細かい話になって恐縮ですけれども、三百メートルの深井戸なら大丈夫だ、そういう話は一体、確たる根拠はありますか。何で今さら地下水の調査ボーリングをする必要があるのか、全く私は理解ができません。
しかし、いずれにしましても、地元の理解が、あるいは協力が得られるまでそういう努力をお続けになる。このごろ、いろいろな場面で同意と理解、協力という言葉遣いの区別がとても大事になっていますけれども、この際は地元の理解が得られるまでということでおやりになるのか、そういうことなんですか。お尋ねします。
○筒井副大臣 確定判決で来年の十二月までに開門する、その義務が国にはございます。それに間に合わなければいけない。同時にまた、特に長崎県の皆さんの理解を得なければいけないというので、今それらを並行して、一生懸命、全力を挙げて取り組んでいるところでございます。
○北村(誠)委員 さらにもう一項目お尋ねしたいのですけれども、塩害あるいは潮風害、これらについても、ケース三―二と同じような開門方法で一カ月の海水導入を行った平成十四年度の短期開門調査では、堤防の亀裂あるいは基礎の付近から背後地の水路等に塩水が浸入しまして、半年の間も農業用水に使えなかった、こういう事実と結果がある。これらのことを踏まえた上で、抜本的な塩水の浸入防止対策は何ら示されておりません。塩害対策が述べられていない。
また、アセスの準備書では、調整池が海水化されれば周辺の農地で台風等の強風で潮風害が発生するが、まともな対策は何ら示されていない。
農業者に対して、対策もない塩害、潮風害、これらを受忍せよということでありますか。お尋ねします。
○筒井副大臣 こういう対策を示しております。
まず、調整池が塩水化するわけでございますが、その高さを、海水圧をそんなにふやさないために、現在と全く同じマイナス一・〇からマイナス一・二の水位を保つということが一つ。それと、樋門や既存の堤防の補修をするのが二つ目。三つ目としては、水路等に海水が浸入したりして、それが農地に被害を及ぼす可能性があるものですから、排水ポンプを、排水機場を何カ所も設けてそれらの海水を排水する。これらの対策を示しているところでございます。
それともう一点、今先生が言われました台風等による潮風被害が起こった場合には、散水によってそれらの海水を除去するという方法も示しているところでございますが、いずれにしろ、これらの対策の問題については、今示したもの以外も含めて地元の皆さんとさらに協議をして、それを進めていきたいというふうに考えているところです。
○北村(誠)委員 次に、漁業についての影響をお尋ねします。
アセスの準備書では、いずれの開門方法であっても、程度の差はあれ、漁業生産に影響、被害が出るとなっていますけれども、何も有効な対策は示されていません。
その点について、大臣、副大臣、どのように御認識でありますか。
○筒井副大臣 ケース三―二にすることも、漁業被害をなくす、あるいは減少するために役に立つというふうに考えて、訴えているところでございます。
ケース一とか二とか、全面開門になりますと、非常に大きな洗掘や濁りが生じたりして、護床工という大規模な工事をしなければならない、それでないと漁業被害が生じてしまうというふうな状況でございますが、ケース三―二ですと、諫早湾内の流速が少し上昇するという程度でございまして、漁業被害が生じないような方法をとっているところでございます。
○北村(誠)委員 アセスの準備書では、先ほど副大臣が申された護床工、さらに初期の排水門操作方法などによっても濁りを抑えることはできませんし、漁業被害は回避ができません。
さらに、開門準備対策についてお尋ねをしますけれども、現在アセスメントの手続の途中でありますから、近く重大な日々が来るということも予想されるわけですけれども、万全な事前対策もないまま、国は一方的に開門義務を負ったということで、地元の意向や意見を無視して開門準備を進めておられる。
これは地元に対する冒涜であり、地元の理解と協力が得られるよう誠意を持って取り組むというお言葉に対して、全く言葉に行動が伴っていないと言わざるを得ない。決して許されるべきものではない。これに地元は一体となって抗議を続けているというところです。
今回のアセスの準備書は、準備書素案の段階での多数の意見を、科学的、客観的な検討もなく、具体的な回答は示されず、国の誠意が全く認められないアセス準備書と言わざるを得ない。
現在アセス準備書への意見を求めている段階にもかかわらず、なぜ開門準備を進めるのか。これこそ間違った判断であり、直ちにとめるべきではないかというふうに思いますが、いかがですか。
○筒井副大臣 まさに先生おっしゃるように、防災上、農業上、漁業上の被害が生じないための事前準備、そういう工事が必要なわけでございます。そういう工事が必要である上に、もう開門時期が特定されております。先ほどから申し上げているように、来年の十二月までに開門しなければ判決の義務に違反することになってしまって、それは国として絶対に起こしてはならないことだというふうに考えております。
そういう状況で、今先生がおっしゃったいろいろな被害が生じないための準備手続、準備の工事を含めて、そのための工事の準備等々もやっていかなければ来年の十二月に間に合わなくなってしまう。それと地元長崎県の皆さんの理解を得るためのいろいろな努力を並行してやらざるを得ないというのは、客観情勢から見ると御理解いただけることだというふうに思っております。
○北村(誠)委員 そう簡単に理解できるものにはならぬというふうに私は認識しております。
それで、先ほど来申しておりますように、地元の皆さん方はこれまで、国を信頼し、互いに、完成した諫早湾干拓事業の効果をまさに受益いたしております。大変助かっておりますし、感謝もしていますし、その成果は極めて著しいものであります。ですから、この諫早湾干拓事業の効果について高く評価をし、感謝もしているというところであります。
また、国が受け入れた福岡高裁の判決が出された後に、長崎地裁では諫早湾干拓事業の公共性が認められまして、開門を棄却する裁判の結果が出されていることは御存じのとおりです。
それにもかかわらず、国が一方的に開門判決を盾に、開門、開門ということを押しつけてくる。これこそ苦渋以外の何物でもない。開門差しとめ訴訟に踏み切らざるを得なかった地元のみんなの心情を真っすぐに受けとめてくれるのであれば、国もともどもに開門棄却判決を堅持すべきであると私は考えます。
そして、司法、立法、行政の独立性というもの、裁判を尊重する、そういった意味合いもあって裁判、裁判というのであれば、福岡高裁で係争中の長崎地裁の控訴審において、開門を棄却した判決を守るため、アセスの準備書で明らかになった、開門しても有明海に影響はない、万全の対策は不可能という科学的、客観的な成果をもって、この控訴審に主張、立証を国もともに尽くすべきではないかというふうに思うのですが、御見解を伺いたい。
○鹿野国務大臣 諫早湾の干拓事業につきましては、防災上、営農上、漁業上、しっかりとした対策を講じていかなきゃならない、こういうふうに考えております。
そして、昨年の六月、今先生のお話がありました長崎地方裁判所におきましては、全面開門を求める原告に対しまして、全面開門は棄却した上で損害賠償を認めるという判決が示されたところでございますが、これにつきましては控訴をいたしまして、現在、福岡高裁において係争中となっているところでございます。
一方におきましては、平成二十二年十二月の福岡高裁の判決によりまして、二十五年の十二月までには開門義務を負うということが確定しているわけでございますので、何遍も同じようなことの繰り返しで恐縮でございますけれども、本当に誠心誠意お話し合いをさせていただきながら、この義務を履行してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○北村(誠)委員 大臣、副大臣、誠実に御答弁をいただきました。そして、今後も国民と地域の活性化のために誠実に国の行政に当たっていただけるものと信じております。
そこで、先ほど、大変恐縮でありましたが、参議院における福岡議員の質問等々を引用させていただきました。確認もいただきました。
どうも私の推測するところ、上告をしてくださいということで、私ども、長崎県知事、県議会、地元の関係者の皆さん、また本県選出の国会議員、ことごとく打ちそろって総理官邸にお邪魔をいたしたあの日のことを忘れません。今申し上げましたように、福岡議員の質問等に対する大臣、副大臣のお答え、あるいはあの日、官邸における菅総理大臣のお話、お答え、またその後行われた言動、それらから私なりに勝手に推測をさせていただきますと、必ずしも、菅総理の上告をしないという決定は、官邸の中で関係閣僚、大臣等々がきちんと閣議まで開いて決めていただきたいというほど私ども長崎県民にとっては極めて大事な事業でありますけれども、それほど重い事柄ではないとお考えであったのか。閣議は開かれず、また、閣議決定どころか閣議の了解、そういったものがあったことも寡聞にして聞いておりません。
しかし、このことについては、今も、結果的に、福岡高裁が判決を下している、その判決によって国が縛られているから開門しなければいけないんだ、あたかも裁判所の判決が国を縛っているから、自分たちは、そのことの可否、あるいは理屈があるかないか、そんなことは別にして、裁判所の確定判決があるからしなきゃいけないんだと。素直に考えれば、裁判所のせいで農林水産省は政府の一員として望まぬことをしなければいけない状況になっていると、何か悲しい話に私は聞こえてならない。
最後に、ともかく、上告するかしないかということについては、どうも総理大臣が決めたということのようであります。内閣総理大臣は内閣を組織し、内閣は連帯して国民に対して責任を負う義務がある。さらに、内閣総理大臣は、国の行政府の公務員が仕事をする際の最高責任者の地位にあります。
国家公務員の職務、その最高の責任者である内閣総理大臣が、今のような、閣議も開かず、そして十分に関係閣僚等々の知見あるいは見解もそんたくせず、上告しないという結論を導いた、結論を出したというふうなことについては、今の非常な混乱を見たときに、どうしても私は納得がいきません。
委員長、大変恐縮でありますけれども、このことについては、菅直人という国会議員がいらっしゃるのでありますから、ぜひ機会をつくっていただいて、できれば当委員会に参考人としておいでをいただき、そして、どうだということについてよりはっきりと国民が納得でき、また、誠心誠意仕事に携わっておられる大臣、副大臣、政務官また農水省の職員の皆さん方の名誉のためにもはっきりさせなければいけないことがある、そう思いますから、ぜひ理事会においてお諮りをいただくよう要請をして、私の質問を終わります。
○吉田委員長 わかりました。理事会でお諮りいたします。
○北村(誠)委員 よろしくお願いします。
ありがとうございました。
○吉田委員長 次に、徳田毅君。
○徳田委員 自由民主党の徳田毅でございます。
本日は、質問の機会をいただきましたことに、委員会の理事の先生方に感謝を申し上げます。
本日は、サトウキビについて質問をさせていただきます。
サトウキビは、強風であっても立ち上がり、また水不足で枯れても雨が降れば新しい葉を出すというように、自然災害に強い作物でありまして、台風など自然災害の常襲地帯である沖縄県や鹿児島県南西諸島における基幹作物であり、離島農業や地域経済の振興を図る上で重要な役割を担っています。
このサトウキビの二十三年産が、たび重なる台風や干ばつ、日照不足、メイ虫などの病害虫の被害、鳥獣の食害などにより、沖縄県、鹿児島県ともに大凶作になっております。政府では、こうした事態に対処するために、平成二十四年度の当初予算において、七億円の防除費用と四・三億円のハーベスター等の農業機械導入促進事業など支援策を講じていただいてはおりますが、現状は予算編成をした昨年の十二月の予想をはるかに上回り、大変深刻な状況であります。
そうした事態を受けて、我が党では、我が党の農林部会または野菜・果樹・畑作小委員会では、春植えのための種苗の確保、肥料の確保や株出し管理の徹底に対する支援、サトウキビ共済への加入促進、緊急支援のための基金の創設など、九項目にわたるさとうきび緊急対策を決議いたしまして、三月六日には大臣に直接申し入れもさせていただきました。また、農水省には、部会を通じて幾度となく、追加的な支援を行い万全の措置を講ずるようにということで求めてまいりました。
まず、今般のサトウキビの不作に対しまして、大臣はどのような認識を持たれているのか。また、我が党の申し入れに対する政府の反応、検討状況をお答えいただきたいと思います。
○鹿野国務大臣 今徳田先生から言及をされました、二十三年産のサトウキビが大変な不作であるということにつきましては、昨年の十二月の交付金決定の時点で私も事務方から報告を受けました。そういう意味では、そういう状況というものは自分なりに承知をしておったというふうに思っておるところでございます。
そういう中で、今お話しのとおりに、具体的な対策、被害を受けたことに対しての対策も含めて施策をとらせていただいたわけでありますけれども、三月の六日の日でございますが、先生を初め、自民党の先生方からも申し入れを受けまして、私が頭に描いておった被害よりも上回る状況だ、こういうような感じを受けたものですから、ことしの被害は想像以上にひどいぞというようなことで事務方に対しまして伝えながら、島ごとの状況というものをきめ細かく把握するように指示をいたしました。
その結果、鹿児島県のサトウキビ生産量は、平年に比べまして二三%の減、過去最悪の水準。それから、沖縄県のサトウキビ生産につきましては、平年に比べて三〇%の減、沖縄県復帰後、最悪の水準となる見込みであるということを改めて承知をしたところでございます。
こういうようなことから、かけがえのない重要作物であるというサトウキビの大不作は、生産者だけではなしに、生産者を支える製糖業者の経営も含めて地域経済全体に与える影響が大きいということから、対策を講じなきゃならない、こういうふうな考え方に立ちまして、自民党から九項目にわたる申し入れも受けたところでございます。とにかく、今年度の大不作というものを来年度以降に引きずらないように対策をとるべきだ、こういうような申し入れじゃなかったか、こういう捉え方をさせていただきました。
そして、二十四年度の当初予算におきましても、防除対策とハーベスター等の機械導入支援を措置するということに、追加対策といたしまして、生産者を支援する製糖工場の施設整備等の支援、それから災害関連資金について五年間の金利の実質無利子化という措置を講じさせていただいたところでございます。
今後、このことにつきまして、これからも状況というものを捉えさせていただきながら事に当たっていきたい、こういう考え方に立っているところでございます。
○徳田委員 これまで、部会などでも、具体的な春植えに向けた支援策であったり、また今回、農家の方は本当に手取りが少なくて、そうした中で、やはり農家の経営が悪化していることからそうした支援というものを求めてまいりましたが、今回新たに、製糖施設緊急整備対策事業、そして被災地農業者特別利子助成事業に奄美や沖縄のサトウキビ農家を対象にしていただきましたことに、まずは感謝を申し上げたいと思います。
民主党の皆さんも四月の十六日になってから大臣に申し入れを行っていただいたと聞いておりますが、残念ながら、春植えというのは三月と四月いっぱいまでなんです。昨日、徳之島などに確認をしましたところ、新たな春植えそして株出しともに、前年度同期に比べても作付の目標を大幅に下回っています。ということは、先ほど大臣から、来年度以降に引きずらないようにというお言葉もいただきましたが、来年度以降やはり大幅に生産も落ち込んでいるというのは確実な状況になっています。
今この大きな要因になっているのは、春植えも、苗は一株四十円、半分は町から助成が出るわけですが、その苗代であったり肥料であったりというものにやはりお金がかかってしまう。植えても、例えばメイ虫などが大量に発生している。植えて大丈夫なのか。七億円で防除対策をしたとしても、どこまで被害が広がるのかまだわからない。だから、植えてもどれだけ収穫ができるのかわからない。
さらに申し上げれば、TPPに加盟すればサトウキビは全部なくなるということなので、このTPPに今政府が大変前のめりになっていることを受けて、砂糖はいつまでつくれるんだという声まで上がっている。そのように、生産意欲が本当に損なわれている。これが大きな要因になっているんだということを思います。
そこで、二つについて要望させていただきたいと思います。
まず一つ目に、先ほど大臣からもお話をいただいた交付金単価であります。昨年の十二月二十二日に決定したこの交付金単価は、多分今の話では、昨年末において本年度の不作というのはもう予想されていたと思うんですが、にもかかわらず、一昨年に比べ三百二十円の減額、トン当たり一万六千円になっています。
二十三年度は大変厳しい状況だ、または来年度以降この不作の影響を引きずらないようにというのであれば、やはり、今年度春植えした、また夏植えしたものについてはしっかりと収入が得られますよと、そのことをどうか約束していただきたい。この交付金単価は必ず上げますよ、増額しますよということをお約束していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○鹿野国務大臣 二十三年度産のサトウキビが未曽有の大不作、こういうふうなことでございまして、生産者の方はもちろんでございますけれども、関係の方々の心労というふうなものを思いますと、私どもも本当にしっかりと取り組んでいかなきゃならないという思いでございます。
サトウキビのことにつきましては、民主党の方でもいろいろと議論をしていただいてまいりまして、また、私に対しましても、それぞれの議員関係の人たちからも御助言もいただいてまいりました。そういう中で、先ほども、自由民主党からも民主党からもということで申し入れもいただいているところでございます。
基本的には、九月の末に国内産のいわゆる事業者向けの交付金が決まる、こういうふうなスケジュールでございます。そして、十二月の末には甘味資源の作物に対しての交付金というものが決まる、これは生産者向けでございますけれども、こういうふうなことでございますので、事業者向け、生産者向け、両方にわたって、私どもとしては、これは大変重要なことだというふうに考えておるところでございます。
重ねて申し上げますけれども、今年度の不作というふうなものを来年度以降に引きずらないようにということで、将来の生産回復に向けて予算の着実な執行をやっていくというふうなこと、それから、交付金単価の算定プロセスに向けて今年産の作況等の的確なる把握というふうなものを行っていく、こういうふうなことで、生産者の方々が引き続いて安心してサトウキビの生産にいそしんでいただくことができるように、これからもできるだけの努力をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
○徳田委員 ありがとうございます。
そしてもう一点、これは我が党の申し入れにも盛り込んであります「さとうきび農家の生産意欲向上のため、目標を高く掲げた新たな「さとうきび増産対策」を創設・推進すること。」このことをお願いしたいと思います。
このモデルになっているのは、そこにおられる宮腰先生が農水副大臣当時に平成十八年から行ったさとうきび増産プロジェクトであります。平成十七年にさとうきび増産プロジェクト会議を立ち上げて、各地域の意見を踏まえた上で、さとうきび増産プロジェクト基本方針を決定しました。
これを受けて、鹿児島県、沖縄県では、各県、各島において、生産団体、糖業者、研究機関、行政等で構成される増産プロジェクト会議が設置されて、経営基盤の強化、生産基盤の強化、技術対策など、関係者が一体となって取り組む体制をつくり、また、毎年度末に取り組みの実施状況や効果を検証することにより、増産計画を着実に推進した結果、鹿児島では、十八年に五十六・七万トンだったのに対し、十九年は六十五万トン、二十年度は十七年ぶりに七十万トンを超えて、七十一万五千トンを達成しました。これは沖縄においてもです。平成十八年が七十四・三万トンだったのに対して、十九年は八十五万トン、二十年は八十八万トン、二十一年も八十八万トン、こうした実績があります。
今、農水省もこうした実績もノウハウもあるというのであれば、今般のように、鹿児島は四十六・八万トン、沖縄は五十五・三万トンに落ち込んでいる、こうした危機的状況のときにこそ、やはり農家の生産意欲、そして生産量そのものを、確実に回復を果たすためにも国が手厚く支援をするという必要があるのではないかということを思います。収穫は来年になるんですが、この八月、九月に夏植えを控えているんです。そのときまでにやはりしっかりとした支援策を講じる必要があるんだと思います。
もう時間もありませんが、改めて、サトウキビ生産回復に向けた大臣の決意をお聞かせいただきまして、そしてサトウキビにかかわる関係者を勇気づけるメッセージをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○鹿野国務大臣 サトウキビの生産を維持拡大させていくためには、今般のような台風なり病虫害の発生による不作があった場合に、その影響を断ち切り、一刻も早く回復基調に乗せる、土づくりや防除、堆肥の管理など基本技術を励行していく、そして収穫作業の共同化など効率的な生産体制をつくっていく、こういうことが課題であると思っております。
サトウキビの産地である沖縄、鹿児島の南西諸島は、島ごとに気象条件や土壌の条件、水利施設の整備状況等が異なることから、そのような島ごとの状況に応じて課題を解決していく必要があるという認識に立っております。
鹿児島県あるいは沖縄県の南西諸島において、まさしくかけがえのないサトウキビにつきまして、先生が申されたさとうきび増産対策というふうなことを私どもも頭に入れさせていただきながら、その生産の維持拡大を図っていくというようなことが重要だと思っておりまして、今後とも、生産者の皆さん方に、引き続いて、頑張ってサトウキビの生産に励んでいただくように、これからもできるだけの万全の対策を講じていきたい、このように考えておるところでございます。
○徳田委員 大臣、よろしくお願いします。
ありがとうございました。
○吉田委員長 次に、坂本哲志君。
○坂本委員 自由民主党の坂本哲志でございます。
きょうは、大臣と、農業や農村の捉え方あるいは考え方、これについての根本的な論議をお互いにしてまいりたいというふうに思っております。
まず、六次産業化という用語についてでございます。この言葉は、一九九四年に、今、東大の名誉教授でございますけれども、今村奈良臣教授が使用をされました。一次産業、二次産業、三次産業、当初は一プラス二プラス三だったわけですけれども、一次産業がゼロになってはいけないということで、一掛ける二掛ける三、それぞれが有機的に結びついて農村社会を活性化させるというような意味で使ってこられまして、それを民主党政権になってそのまま六次産業化ということで取り入れたというふうに私は理解しております。
私は、学会で使われた言葉とか学者が使う言葉、あるいはマスコミで使う言葉、これはわかりやすさはわかりやすいんですけれども正確ではない、ですから、法律や政策にそのまま政治が取り入れるということは適当でないというふうに思っております。私自身、マスコミの中にいましたので、十分言葉の危うさというのがわかります。
典型的なのは、地域主権という言葉であります。民主党政権になりまして、地域主権という用語を使い、そしてその法案まで提出をいたしました。しかし、憲法には国民主権という言葉があります。そして、主権である以上、国家間の競争で、あるいは国家間の協調、それも考えるならば、やはり国家主権、こういったものがあるのが当然であります。それを地域あるいは地方におもねる、へつらう形で地域主権という言葉をそのまま法律用語にするということは、これは非常に危険、あるいは本末転倒な考え方であるということで、総務委員会では法案からその用語を全て削除いたしました。地域主権戦略会議とかいう俗称で言う会議はありますけれども、地域主権という法律用語は、少なくとも今はなくなりました。
六次産業化というのも、私は全く一緒であるというふうに思います。
六次産業というのが本当に政策として位置づけられているならば、では四次産業は何か、五次産業は何かということもやはりきちっとしてそこに位置づけられて、そして六次産業というものがなければなりません。六次産業化というのは、農業のあり方、その姿を一つの言葉としてあらわしたものであって、それは政策として、あるいは法律として、今村先生もそれを考えながら使用された言葉ではない。
私は、この六次産業化という言葉、用語の使い方に非常に誤ったものがあるというふうに思いますし、これを多様化することで農業そのもののあり方というのも変質してしまうというふうに思いますが、いかがですか。
○鹿野国務大臣 基本的にいろいろな考え方があると思いますけれども、この六次産業化ということにつきましては、いろいろとこの法案を議論していただく、審議していただく過程におきましては、六次産業という具体的な名前はついていない、こういうふうなことは先生御承知のとおりであります。いわば俗称というんでしょうか。
ただ、施策というものは国民の人に理解をしてもらう、わかってもらう、わかりやすいことで、いろいろなことで推進をしていくというふうなことも非常に重要だ。こういう考え方から、第一次産業の人たちが二次にも三次にも進出をして一体的な取り組みをしていただくんですよという説明をするときには、一足す二と三を足せば六、そして掛けても六というふうな意味で御説明させていただくということも一つの考え方ではないかな、こんなふうに思っているところでございます。
○坂本委員 そのことがわかりにくいんですね。そして、やはり農業の本来のあり方というものを変質させていく危険性があるというふうに私は思います。
私たちは、やはりまず一次産業があり、そしてその中で農村あるいは農業そして共同体としての社会がある、しかしそれだけではやはり経営という面からいえば動いていかない、所得ということからも動いていかない、だから加工あるいは流通をそれにいかに乗せていくかというようなことで農業の産業化というのもある程度考えていく、そういう根本的な理念に立ってこれまで政策を展開してまいりました。ですから、あくまでも一次、農村、農業あるいは共同体、これが主流なわけでありまして、あえて産業ということで名称をつけるならば、生命社会産業というようなものがやはり農業であるというふうに思っております。
そういう中で、二次産業、三次産業を加えてまいりますと、これが、だんだんだんだん二次産業、三次産業がひとり歩きしてしまいます。どうしてもやはり、資本の論理で動く二次産業、加工、あるいは流通、こういったものが強くなってきて、最終的には二次産業、三次産業のもとに契約栽培というような形で一次産業、農業がぶら下がらざるを得ないというようなことになりかねません。それを防ぐために私たちは、これまで先人は知恵を働かせて農業の協同組合というものをつくり上げてきた。小さい弱い農家が、あるいは農村が集まって協同組合をつくって、そして、そこでやはり付加価値をできるだけ高める、あるいは買いたたかれないようにする、そういうような知恵を一次産業が生み出してきたのであろうというふうに私自身は思います。
しかし、その考え方が民主党政権になって、スタートはそういうスタートでよかったわけでしょうけれども、最近の準備されている法案などを見ますと、どうしても農村社会中心、あるいは生産者からスタートした六次産業化、それにはなっていないというふうに思います。
近々提出されるようなことを聞いております株式会社農林漁業成長産業化支援機構法案、まさにこれなどは、生産者が二五%の株を持つということで、そこに生産者という言葉ははめられておりますけれども、現実的にこれを運用していった場合には、パートナー企業あるいは認定事業体、その中の流通、加工、こういったものがやはり非常に力を持ってきて、その中で農業を行わざるを得ないということに陥ってしまう危険性が強いというふうに私は思っております。
どうしても、やはり、本来の農業のあり方、そして、当初今村先生も考えておられた六次産業というものが変質してきているというふうに私自身は思いますけれども、大臣、いかがですか。
○鹿野国務大臣 私は、坂本先生の考え方と根本、根幹は、決して考え方は違っていないと思っています。
それはどういうことかといいますと、私は、いわゆる通称六次産業化というふうなことを言わせていただきますけれども、今回の法案提出につきましても、一次産業の強化だ、これが私の基本的な考えなんです。一次産業の強化。今、非常に高齢化なり後継者不足等々どうなるんだろうかというふうな状況の中で、果たして、では、このままの状況でいいのかといえば、何らか具体的な施策を講じていかなきゃならない。
一次産業というものは、これは当然魅力のあるものでありますけれども、さらに多くの人材がこの一次産業を軸としたところの農林水産業に参加をしていただくということの必要性、こういうことを考えたときには、やはり家族の中におきましても、俺は加工の分野に取り組んでみたい、いやいや、俺は販売というふうなところをやってみたい、そういう人たちがいるわけです。
そうしますと、自分たちが一生懸命丹念につくった一次産業の食材等々をきちっと評価をしていただくということになれば、当然付加価値をつけて加工に、そしてそれをきちっと理解してもらうために流通に乗せるというようなことにも一次産業の人たちが一体的に取り組むというふうなことは、私は一次の強化につながる、こういうふうなことにしていかなければならないと思っているのであります。
そして、もう一つは、私も、長い間というわけではございませんけれどもいろいろ農家の人と話しますと、農家の人たちにとってやはり一番の思いは、自分たちで値をつけたい、値段を自分たちでつけたい、人様に値段をつけられるのはこれは本当に納得できない、一生懸命自分がつくったものが人様で評価されるということよりは、自分たちで何とか評価につなげていきたい。それは、立派なものをつくって付加価値がつけられて、それの販売で理解をしてもらうようになれば、自分たちが値段をつけられるからというふうなことで、そこにまた一体的な取り組みをしていく意味というものもつながってくるんじゃないか。
そういう意味で、今回法案を提出させていただいたということも、なかなか資金力というものについても資本力ということについても限界があるという状況の中で、いろいろな一つの施策を講ずることによって、まさしく地域に新たな活力を生み出し、また人材の育成にもつながり、そしてそのことが雇用の場の創造にもなり、そこに収益が上がれば収入の向上にもつながるというふうなことで地域の活性化につながるのではないか、このような考え方に立って法案も提出をさせていただいているということでございます。
○坂本委員 一次産業強化は私たちも考えるところです。そのためには、やはり農村社会がしっかりしておかなければなりません。では、ファンドで株式会社をつくって、それで本当に自分たちで値段を決められるか、そういうことではないはずです。
今、例えば、今村先生が六次産業の事例を挙げていらっしゃるのは、農村の女性たちが、一生懸命つくった安心で安全でおいしいものを直売所で売ろう、直売所で売るならばこれだけの値段をつけよう、そしてどれだけの消費者が来てくれるか、こういう素朴な形の六次産業、これでやるならば、農村は一体化するし、生産者もそれなりに励みがあるし、そしてさまざまな知恵も生産者ベースで生まれてくるというふうに思いますけれども、いきなりこういう法律でやるということになるならば、それは私は、農村社会をそのまま維持し強くすることにはつながらないというふうに思います。
実際、私自身のところにもそういった企業的農業の方がいらっしゃいます。しかし、考えてみてください。企業の経営で一番大事なことは、人件費をいかに削減するか、人件費をいかに低コストに結びつけるかということであります。どうしても、集落の方々ではなくて、学生のアルバイトや、あっちからこっちからさまざまな非正規労働者の方々を連れてきてさまざまな農作業をさせるというような実態になっておりますので、私は、やはりもっと農村集落や、あるいは農業者や、こういったものにしっかりと視点を移して、そこから政策を考えるべきだということで、こういう根本的な論議をしているところであります。
具体的に、次の質問に移ります。こういう論争をしても神学論争になりますので……(鹿野国務大臣「ちょっと一つだけ、先生、いいですか」と呼ぶ)はい、どうぞ。
○鹿野国務大臣 先生の御指摘された、今村先生の言われた女性に関する評価については、これは全く先生と同じで、実際に農業を支えてくださっているのは、農家においては五〇%台が女性の方です。この女性の人たちにやはりもっと輝いてもらいたい、こういうふうなことから、今回のこの法案につきましても、きめ細かく、予算額の一割程度を女性起業者枠として設定するとか、あるいは六次産業化にチャレンジする女性を優先的に支援していくとか、そういう今村先生の思いもその中に含ませていただいておりますということだけは申させていただきたいと思います。
○坂本委員 大臣の気持ちはよくわかりましたけれども、では、具体的にどういう方向に今の農村が進んでいるかという具体的な事例を一つ、今度は、人・農地プランの作成をこれからしなければならない時期において、どういう現象が出ているかということを御報告いたします。
私の地域には水田地帯で十七の集落営農組織があります。そのうちの一つは株式会社として法人化をしております。残り十六は任意の集落営農です。今、人・農地プランというのが出たということもありまして、このプランが出る出ないにかかわらず、この十七の集落営農を一本化しようということで、地域の中堅あるいは農協の若い幹部、こういった方々が努力をしてまいりました。今、盛んに各地域で、十七の集落営農を一本化して一つの法人にしようということで呼びかけておりますけれども、この二年間、せっかくまとまりかけていた集落の集団化、あるいはみんなで一緒になって決める作付状況、こういったものが、戸別所得補償制度のせいでやはりばらばらになりつつある、ばらばらになっている。それで、人・農地プランということで一体化する、あるいは一つの法人にするということが非常に難しくなってきているということが、今、現実となってあらわれてきております。
考えてもみてください。米について、食用米は食用米としてそれだけの一定の価格を補償しますよ、あるいは、飼料用米や、米粉用米や、そしてホールクロップサイレージ用の稲につきましては反当たり八万円上げますよ、あるいは、麦、大豆につきましては三万五千円交付いたしますよ、菜種等につきましては二万円交付しますよというような基準で農家にそれを示すならば、農家の方は、やはり食用米以外はホールクロップサイレージが主流になるのは当たり前です、少なくとも私たちのところでは。八万円もらえるわけですから。一町つくって八十万円もらえるわけですから。
しかも、ホールクロップサイレージというのは、穂が出るか出ないうちに刈り取って、それは畜産農家がホールクロップにしてもらいます、カントリーエレベーターに出す必要もありません、そして、農薬やあるいは施肥についても非常に軽いもので済みます、やはり手取りの収入というのが食用米やほかの穀物に比べて非常に多くなるというようなことが出てくるわけですね。
そうすると、やはり集団で、集落で今まで作付していたようなものが、やはり個人個人で、俺はホールクロップをつくる、俺は飼料用米をつくる、俺は牧草をつくる、こういうふうになってしまってきているんですよ。ですから、やはり農家の共同体というのが崩れてきている。
一方で、カントリーエレベーターにも出さなくていいから、カントリーエレベーターの運営、経営も非常に厳しくなっているというような状況にあります。
実際、私のところの町の食用米の米の作付割り当ては四百六十ヘクタールです。しかし、現実的に百六十ヘクタール足りません。そのうちの百ヘクタールは、全て飼料稲、ホールクロップサイレージ用の稲の方に行っております。
これだけ一方で農村社会をばらばらにしながら、個人主義的な発想にしながら、一方で、今、人・農地プランを各地域でつくりなさい。しかも、人・農地プランというのは非常に重要なことで、本来ならば一年間ぐらいの周知期間を置いて、そしてお互いの理念というのを共有した上でスタートしなければいけないわけですけれども、これが、私はこの前予算委員会でも質問しましたように、二十三年度の補正から人・農地プランの予算がつき、そして、今慌てて各町村に人・農地プランをつくりなさいというようなものが出ている。
これは、全くその理念を共有しないままに見切り発車する。そして、結局、ただ単に、それぞれの市町村がプランをつくるだけというような状況になっているし、現実的に、一方で、さっき言いましたように、一旦ばらばらになりつつある農業、農村がもう戻れなくなるような状況になっているというような現実に対して、どう思われますか。
○鹿野国務大臣 今先生から、戸別所得補償制度というものの導入によって地域社会がばらばらになってしまう可能性がある、そういう方向に行っているのではないか、個々優先ということになってしまうのではないか、こういうような話でございました。
そういう中で、先生の地域の方々が集落営農ということに対して大変意欲的に取り組んでいただいているというのはありがたいなと思っております。
そして、民主党として政権を担わせていただくときから、戸別所得補償導入のときには、集落営農をどうするかというときに、せっかく懸命になって地域の方々が頑張ってつくっていただいた集落営農を大事にしなきゃならない、集落営農はどうしてもこれからも継続するようにしていかなきゃならない、こういうような施策から、集落営農というものを一つの経営体として捉えながらの施策も講じてきたということであります。
今日、御承知のとおりに、統計上は集落営農というふうなもの、参加をされている中におきまして増加をしているわけでございますので、このことについては、集落営農ということによっての取り組みがいかに今後の農業のあり方というものに理解をしていただいているのかな、一面、こんな思いもするところでございます。
そういう意味で、まさしく戸別所得補償制度というものを導入するということは農業政策の基礎となる。すなわち、農村社会の基礎というものは、基盤というものをしっかり確立して、そして地域社会全体を盛り上げていく必要がある、その基盤が戸別所得補償制度だ、私どもはそういう認識を捉えているわけであります。
そういう中で、しかし、生産性の向上を図りながら、地域の一体化というものも目指していかなきゃなりませんので、人と農地の問題というものをセットで取り組んでいく、このためにやはり関係者の話し合いが必要だ。こういうふうなことから、二十四年度から、集落地域の関係者によってよく話し合っていただいて、今後の中心となる経営体はどこなのか、あるいはまたそこはどうやって農地を集約していくのか、こういったことを明確にしていただく人と農地プランを作成していただき、そして、それに沿って具体的な施策を講じていきたい、こういうふうなことでございます。
そういう中で、戸別所得補償制度というものが、個々の意欲ある農業者の経営安定を図るということが基本になって、地域社会全体のいわば活力を生み出すというふうなところにつなげ、持続可能な農業というものに結びついていったらいいのではないかな、こんな考え方に立っておるところでございます。
○坂本委員 経営安定になっていないんですよ。ばらばらになっているんですよ。
そして、今大臣は、集落営農、強く力説をされましたけれども、前の衆議院選挙のときの民主党のチラシには、自民党が進める集落営農政策はコルホーズやソホーズと一緒、農業全体の推進力を、力を、エネルギーを弱めていく、そういうような文言が入っているんですよ。ですから、いつこれだけ集落営農を重点化されていったのかなというふうなことで、不思議でなりません。
しかし、それはそれとして、人・農地マスタープランの具体的な問題についてお伺いをいたします。
これは、いつまで、どういう形でマスタープランをつくるんですか。そして、市町村がつくるわけですけれども、市町村にそれだけのマンパワーが今ありますか。
○筒井副大臣 去年の十二月に食と農林漁業再生基本方針・行動計画が策定されたわけでございますが、その中で、この人・農地プランの作成ということも位置づけられております。そこで、今後二年間程度をかけて、これを、人と農地問題を抱える全ての市町村等で作成していく、こういう方針で今取り組み始めたところでございます。
そして、その内容というのは、今大臣も申し上げましたが、その地域において中心となる経営体、個人でも集落営農でも法人でも含むわけでございますし、複数も考えられるわけでございますが、それらはどこなのか。そして、それらの経営体にどういうふうに農地集積を進めていくか。それと、その地域において、農業専業それから兼業農家等々を含めた全体の農業政策のあり方等についてプランをつくっていくということでございます。
しかも、これは二年間程度ということを言っていることからもわかりますように、直ちに全部完全なものを最初からつくるということを想定しているものではありません。一年かけて、あるいは半年かけて、あるいは二年かけて、それぞれの地域の実情に応じてつくっていくものというふうに柔軟に考えているところでございます。
そして、これをつくっていく中心はやはり、先生がおっしゃるように市町村になるわけでございますが、市町村にそういう人材があるのかという点に関しましては、もちろん完全にそろっているということは必ずしも言えないわけでございまして、そのためには、市町村職員のOBとかあるいは農業団体のOBとか、それらの人たちにも参加していただいてつくっていく必要があるというふうに考えて、それらのOBの人たち、あるいは知見を有する人たちを活用するための予算措置もとっているところでございます。
○坂本委員 マスタープランをいつまでにどうやってつくるのか、そしてどのようなものに仕上げるのか、そういうものが非常に不明確。二年間程度をかけてと言われても、どういう順序でやっていくのかわかりませんよ。
それから、用語の使い方も非常に私は曖昧であるというふうに思います。本当に泥縄式で、こういうのを後づけで持ってきたというふうにしか思えません。
例えば、今からつくっていくのなら、それは役場はもちろん中心になっていくでしょう、市役所中心になっていくでしょう、ここで書いてあるように、検討会議とか各地域の方々に聞くというふうに言われておりますけれども、これから農家にとって一番忙しい時期なんですよ。代かき、苗床、そして田植え。あるいは畑作においては、私たちのところは食用のカライモから何から、今からが最も忙しい時期。少なくとも、これから七月までは動けません。その間、何をどういうふうにしていくのか。
そして、私は、マスタープランの経営体がどれだけだというような何か記入表みたいなものを見ましたけれども、こういったものも、ただ単に記入すればいいのか、記入することで地域のマスタープランができるのかどうか、非常に曖昧模糊として、どういうものになるかというのがわかりません。
それから、今、大臣も副大臣も、中心的経営体というふうに言われました。あのパンフレットにはたしか、担い手がいるかどうかというふうなことが書いてあったと思います。そして、担い手からスタートして、最終的には中心的経営体という言葉にすり変わっております。担い手と中心的経営体はどう違うんですか。その言葉のことと、それから、どういう形でどういう順序でつくっていくのか、最終的に検討会というのは今の農業再生協議会あたりとどう違うのか、これをもう少しはっきりさせていただかないと、市町村も地域農業の農家の方々もJAも動きがとれません。
○筒井副大臣 つくる時期は二年程度と言っているのは、まさに柔軟に考えていかなければいけない。今言われましたように、田植えの時期、忙しいときに全部つくれなんて言ったら、かえってその方が画一的で、各地域の実情を無視したことになるわけでございまして。つくり方の順序に関しても、それぞれの地域の実情に応じた形のものが可能なように、その点は、がちがちに最初から決めておく方が、かえって弊害が生じてくるというふうに思うわけでございます。
中心的経営体と担い手の違いでございますが、以前から担い手ということが言われているわけでございますが、先ほど申し上げた基本方針と行動計画においても、二十から三十ヘクタール、中山間地においては十から二十でございますが、それが中心となることを目指していくというふうに今度新たに打ち出したわけでございますが、それとの関係において中心的経営体ということを言っている、こういうことでございます。
○坂本委員 人・農地マスタープラン、六次産業化と一緒、やはり根本的なところで、これからの農業のあり方をどうするかということを、行政も農家の方々も、そして自治体も共有した上でスタートする。おおむね二年程度といっても、一方でマスタープランと言っていながら、おおむね二年程度、こんないいかげんな政策はないというふうに思います。要するにマスタープランが成功するかしないかというのは、これからの農業あるいは地域農業が成功するかしないかということにかかっているというふうにも思いますので、私は政策としてもう少し詰めてもらいたいというふうに思っております。
最後に、もう質問時間がなくなりましたので、一つだけ御紹介をしておきます。アルゼンチンから私の方にメールが届きました。このメールを紹介いたしまして質問を終わりたいと思います。時間がなくなりましたけれども、お許しください。
TPPについて私は反対です、ぜひ自民党として参加することの阻止をお願いいたしますというような書き出しから始まります。そして、
日本全国においては農村集落というものは今後も残されてゆくべきものだと考えています。こういう農村集落、共同体が雇用、あるいは心の受け皿となるものと確信をしております。アルゼンチンに三年になりますが、こちらのような大規模・集約農業が日本にそのままTPP参加という形でもたらされるなら、日本らしさを破壊するやり方で導入されてしまっては基も子もなくなります。アルゼンチンの例ですが、世界有数の穀物輸出国ではありますが、それは国としてであって、アルゼンチン国民に恩恵があるとはあまり思えません。また、この国の土地はスペイン植民地時代のままの大規模でやる方法だけで、小さな自営農の人々は土地を追われ、自殺者がでたことも聞いています。農業国家といわれますが、国民の受け皿的なものを農村というものに求めることが出来ません。
ぜひ、日本の農業としての農村、そして心の受け皿としての農業農村をつくり上げていただきたいと思います、頑張ってくださいというようなメールが、アルゼンチンから、地球の反対側から参りましたので、今進められている農業政策が、こういった日本が持っている本当のよき農業集落のものをばらばらにしていくことがないようにお願いを申し上げまして、質問を終わります。
○吉田委員長 次に、西博義君。
〔委員長退席、菊池委員長代理着席〕
○西委員 公明党の西博義でございます。
昨年の九月、台風十二号が和歌山県など我々の地元に襲来をして、大変な被害をもたらしました。農水省ももちろん大変な努力をしていただき、復旧復興に向けて今一生懸命に、地元としては頑張っているところでございます。さまざまな措置について、農水省の皆さん、また地元の県等とも議論をさせていただきましたが、その間に気がついたことを若干議論させていただきたいと思います。
そのきっかけとして、仁坂和歌山県知事が県庁のホームページで「県庁 仕事百景」というコーナーを設けて書いておりまして、非常に詳細な実情を訴えております。このことを引用させていただいて始めさせていただきたいと思いますが、これは、現場がどれだけ大変な思いで今回の復旧作業に取り組んだか、この内容が書かれておりますので、紹介をさせていただきたいと思います。
「仕事百景」ではこのように書かれております。
台風十二号による記録的な豪雨により、土石流や地すべり、畦畔の崩壊、河川の氾濫による土砂の堆積、農地の流出など、農地や農業用施設にも甚大な被害が生じました。
農地被害は八千二百三十二カ所、農業用施設被害は、農業用用排水路、農道、ため池被害など二千五百五十九カ所で、ここ近年にはない甚大な被害でした。
今回の災害は、被害が多岐にわたり、かつ甚大であったため、ライフラインの確保が優先され、農地や農業用施設被害の状況把握が遅れていました。
特に東牟婁地域
ずっと南の方ですね、新宮を中心とした南の方です、
特に東牟婁地域では、市町村職員の手が回らない状況が明らかでありました。
農地の復旧のためには、国の災害査定を受ける必要があります。査定設計書を作成するため、現地での調査、測量が必要となりますが、すでに復旧に取りかかっている道路、河川といった公共施設の復旧のため、県内測量業者等が至る所で作業に入っていたので、農地復旧に関しては業者の確保が困難でした。
そこで、県職員の応援を更に増員し、農地の畦畔崩壊等、簡易な測量は県で進め大規模で専門的な箇所は業者に任すといった分担を行い、人海戦術で取り組んでもらうことにしました。
こういう記事が出ております。また後ほど、記事の続編を紹介しますが。
ここで、災害復旧事業では、会計年度内に補助率を決定して予算の手当てを行う、つまり三月末、こういうことになっていますので、災害の起こった年、年度じゃなくて年に査定を終わらせるということが原則になっております。
災害復旧に関するスケジュールについて、いつの災害までその年度の災害復旧事業の対象とするのか。今回は九月の初めに台風が来たわけですが、そういうところの関連です。県内、農政局、本省の審査、そして決定に至るまでの日程について、説明をお願いしたいと思います。
○實重政府参考人 御説明させていただきます。
農地、農業用施設の災害復旧事業は、特定のある年の一月から十二月に発生した災害を対象として補助金を設定いたしまして交付することを原則としております。
そういう意味で、例えば翌年の一月から三月までに災害が発生したような場合になりますと、その月の属する年度の翌年度ということになりますが、その翌年度中にこのような手続を行うことになります。一月から十二月というのが基本的な単位でございます。
また、複数年かけて工事を行うような大きな工事が必要な場合もございますので、そういった場合には、工事の進捗に応じまして何年度かに分けまして補助金が交付されるようになっているところでございます。
災害が発生いたしますと、県は、市町村が事業主体となっている場合には市町村とも協議をいたしまして、県で災害復旧事業計画書を作成いたします。そして、県は、これは農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律施行規則第一条に基づくわけでございますが、災害発生後六十日以内に災害復旧事業計画書を農林水産大臣に提出することとなっております。この農林水産大臣というのは、具体的には地方農政局長に権限が委任されております。また、六十日以内に提出というルールでございますが、これは現場の状況等に応じまして弾力的に運用しているところでございます。
こうした県からの災害復旧事業計画書が提出されますと、これを受けまして、地方農政局が査定を実施いたしまして、大きなものについては本省とも協議をいたします。この査定の結果を県に対して通知をいたします。その後、県が補助金の交付を申請して交付を受ける、このような手続になっているところでございます。
○西委員 災害はいつ起こるかわからない。一月から十二月ということはわかるんですが、年末に締め切るということで、今回九月の初めですから、大きい被害でしたけれども、時間は若干あったんですが、このことについては非常に窮屈な部分があるというふうに思います。
続いて、これも知事の「仕事百景」という中からですが、
農地の復旧には、農地がどのような被害を受け、どのような復旧工法を採るかを明らかにし、査定申請を行う必要があります。土石流で埋没した農地は、土石の厚さなど被害の状況が把握できず、また、元の区画などもわかりません。本来であれば、穴を掘って埋没土砂の厚さを確認する必要がありますが、こういったことが困難なため、県では近畿農政局や近畿財務局の方に現状を訴え、地理情報(GIS)を活用した査定設計書の作成や、事務の簡素化などを要望し、早急な対応ができるよう了解を頂きました。
こういう文面がございました。
今紹介したように、査定設計書の簡便な作成それから机上査定の対象緩和など、柔軟な対応をいただいて、今回、事務手続がかなり軽減された、こういうふうに知事が評価をしております。こういう意味では、早急な査定のためにさまざまな対応をされたと聞いておりますが、このことについての御説明をお願いしたいと思います。
○實重政府参考人 御説明させていただきます。
災害復旧事業につきましては、二次災害の防止あるいは被害の拡大の防止といった観点から、まず、査定の前に応急的な工事を実施する、いわゆる査定前着工の仕組みを活用してきているのが一点でございます。
昨年九月に発生いたしました台風十二号災害の査定に当たりましては、この査定前着工の仕組みを運用上活用することに加えまして、今委員御指摘のように、測量や図面の作成についての作業を軽減するために、従来、現地での実測を行っておりますが、これにかえまして、GIS、位置情報による地理情報システムを活用できることといたしました。これは、特に今回の台風十二号災害につきましては、こうしたGIS情報が整備されていたために活用することができたものでございます。
また、このほかの災害査定に係る事務手続を簡素化するために、三点の簡素化をさせていただきました。
一つは、総合単価で積算ができる一カ所当たりの事業費の申請額を五百万円から二千万円に拡大いたしました。この総合単価と申しますのは、あらかじめ設定されているモデル的な単価でございます。それから二点目といたしまして、災害査定について、現場での実地の査定ではなくて、書面により行うことができる机上査定というやり方がございますが、これについて、一カ所当たりの事業費の申請額の範囲を二百万円から八百万円に拡大をさせていただきました。それから三点目といたしまして、本省協議を行わないで、地方農政局限りで査定を行うことができるという申請額の範囲がございます、いわゆる現場査定というように現場では言っておりますけれども、そういう範囲を、一カ所当たりの事業費の申請額の範囲でございますが、千二百万円から二億円に拡大したところでございます。
今申し上げました三点の事務手続の簡素化につきましては、市町村の被害状況が大きい場合に、市町村ごとにこのような簡素化を適用するかどうかを決定する必要がございます。
なお、こういった簡素化につきましては、東日本大震災あるいは台風十五号の被害についても適用したところでございます。
○西委員 同じく「仕事百景」からです。
西牟婁、東牟婁地域は、振興局職員だけでは対応が出来ないということで、有田
これは和歌山の真ん中あたりですね、
有田以北の振興局及び本庁の農業工学職員を応援に行かせることとし、これまで延べ約百名近い職員を入れ替わり派遣しています。
一週間を単位として、西牟婁、東牟婁振興局に派遣し、県で人員の手当てができない期間は農林水産省からの応援も頂きました。
災害査定を年末までに受けてしまうため、他の市町村にも声をかけ、紀の川市、九度山町、広川町、串本町から那智勝浦町へ応援に行ってくれることとなり、まさに寄ってたかって農地復旧の査定設計書作成に取り組みました。
その結果、現在、なんとか、年内に国の災害査定が完了する見込みとなったところです。
こういう言葉でございました。
基本的には、十二月までに発生した災害については、年内に県内の審査を終え、地方農政局、そして本省ということで、翌年三月に最終的に額が決定される。こんな日程だと、年末に起きた災害、実際は余り年末には起きることが少ないというお話でしたけれども、年末に起きた災害や大規模な災害が発生した場合、この日程では事務作業に要する時間が十分でないというふうに思うわけです。事務を軽減する措置などで対応いただいたことは大変評価をさせていただきたいと思いますが、これらも、裏を返せば、そうしなければ事務的には間に合わないという逆の状況があるのではないかと思います。
台風十二号は、幾つかの自治体では、単独で対応するには手に余るほどの被害が生じ、それこそ和歌山県下の専門家総動員と言ってもよい形で、年内の災害査定に間に合わせたという実態が、知事のホームページからも浮かび上がっております。
一日も早く復旧するためには、被災者の立場に立って災害対策は速やかにという基本的な考えは、これはもちろんのことです。よく理解できます。しかし、大規模な災害が発生した場合などでは、予算のスケジュールに無理に合わせているという実態が出てきているんではないかという考えもいたします。そのために、査定も粗っぽくなり、後々まで地元に不満が残るというケースも、私も実際にお聞きをしました。
予算のスケジュールに合わせるのではなくて、場合によっては災害の状況に合わせて、会計年度を超えても対応できるように工夫すべきではないか、このように考えますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○鹿野国務大臣 台風十二号によりまして大変大きな被害をこうむりました市町村におかれましては、いわゆる被害の調査なり、あるいは復旧工法の検討、あるいは査定設計書というふうなものをつくる上において大変な御苦労があったということも承知をさせていただいております。
そういう迅速なる中で迅速なる災害査定を図るために、農林省といたしましても、災害査定に関する事務について大幅に簡素化する、こういうふうなこと、それから、市町村からの要請を受けまして、地方農政局の技術職員を事実確認ということで田辺市等に派遣をいたしまして、災害査定に必要な書類の作成、お手伝いもさせていただきました。
こういうようなことで、和歌山県におきましては、結果として、今先生お話しのとおりに、農地、農業用施設に係る災害査定を一月十三日までに終えることができたわけでございます。このように、地元の要請を受けて、台風十二号の早期復旧に向けて支援を講じてきたところでございますけれども、やむを得ず農地の被害状況が確認できないなどの事情がある場合につきましては、査定設計書の提出期間を延長するなど、柔軟な対応に努めていくというふうなことも考えているところでございます。
○西委員 ありがとうございます。現実、そういう側面があるんだと思うんです。
そして、私も先ほど申し上げましたように、早急にということで簡略化しますと、それぞれの権利者、その土地を持っている方だとか、家が浸水した、壊れた、さまざまな人たちの思いが通らないケースがありまして、やはり、ある意味では丁寧にするということも地元の納得の上では必要、この二つの間のバランスをどうするかということだと思いますので、大臣は、十分にスピード感を持ってやっても、それでもできない場合は別途対応する、そういう御答弁でしたので、ぜひとも今後そのようにお取り計らいをお願い申し上げたいと思います。
次に、急傾斜の農地に関する政令改正についてお伺いをいたします。
農林水産省は、農地等の災害復旧事業を進めるに当たり、災害復旧に要する事業費等が一定の基準を満たす場合に、これはなかなか長い法律ですが、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律に基づき、農地等の復旧に要する費用を国が都道府県に補助しております。
これまで、その傾斜が二十度を超える農地に係る災害復旧事業については、復旧しても経済効果が少ないというふうにみなして、国庫補助の対象外となっておりました。しかし、昨年九月の台風十二号で大きな被害を受けた和歌山県が、かなりの傾斜地、和歌山県の重要な農産物でございます梅それからミカンの農地として重用され収穫性もよい、そういう農地が今回災害に遭ったということで、この法律の政令改正を強く要望しておりました。
昨年の十二月二十二日、政令改正の閣議決定が行われて、大臣の御努力にもよりまして、傾斜が二十度を超える農地であっても、農地の傾斜による生産条件の著しい格差がない、つまりそれ以下の傾斜と同じ生産条件だと認められるときには、大臣が定める農産物を栽培する場合は災害復旧事業に係る国庫補助の対象になる、こういうふうに御決断をいただきました。この政令改正については大変評価をさせていただきたいと思います。
今回災害に遭わなかったところでも、まだまだ急傾斜で立派に農業をやっているところがたくさんあるということも御理解をいただきたいと思います。
台風十二号による被害を受けた和歌山県の急傾斜農地に関して、この政令改正はどのような適用状況であったのか、どれだけ生かされたのかということについて報告をお願いしたいと思います。
○筒井副大臣 今先生おっしゃったように、和歌山県から強い要請があって、傾斜二十度以上の場合でも対象にするという政令改正をしたところでございます。
そして、その結果、二十度を超えるところでこの事業の対象になっているのが和歌山県だけで四件というふうに聞いております。ただし、被害額が四十万円を超えない場合には県の単独事業になるわけでございますが、県、市の単独事業になっているところが十七件であるという報告を受けております。
○西委員 先ほど申し上げましたが、十二月二十二日、年末に決定をいただきまして、十二月の二十八日から施行するということで、そのときには平成二十三年八月二十九日以降に発生した災害に係る災害復旧事業について適用する、いわばこの台風十二号に合わせて遡及をしていただいたというふうになっております。
しかし、残念ながら、改正の時期が台風発生から三カ月もたっていたということもあって、急傾斜の畑地が崩れたわけですから、その復旧を待てないということで、台風十二号における適用については、私側の感覚では思ったより少ないのではないかという、そんな結果になってしまいました。
政令改正が災害発生から既に三カ月ということで、その間に国の補助を受けることなく、自力または自治体の補助事業で災害復旧を行った場合にはどういうふうな扱いとなるのかということ、それから、遡及するということであるならば、こうした自力でやった方、それから自治体の補助を利用した災害復旧についても、事後的ではあるけれども対象とすべきではないのか、こういうことをお伺いしたいと思います。
遡及適用の意味を理解していただくために、自治体や被災者に対して十分な徹底が図られたのかなという疑問も実は持っております。年末の忙しい時期、年末年始にかかる時期でもありましたし、このことについてどのような周知徹底を図られたのか、このことについても御答弁をお願いしたいと思います。
○筒井副大臣 これも先生おっしゃるとおり、遡及適用をすることにしたわけでございますが、その遡及適用を含めた周知徹底は、和歌山県に対してもそうでございますし、また農水省の方から直接御説明を申し上げたところでございますし、農水省のホームページにおいても一般的に公表をして周知徹底を図っているところでございます。
○西委員 そうしますと、この遡及適用については今後はもう、要するに締め切ったと。さまざまな御努力をいただいたんですが、今はこれでおしまいということでしょうか。年度がもう明けちゃいましたので、このことについての確認もしておきたいと思います。
○實重政府参考人 改正政令につきましては遡及適用することとしたところでございますが、通常ですと改正政令が施行された後に発生した災害について対象といたしますけれども、今回は、政令の附則を置くことによりまして、それ以前に発生した災害でございましたが対象としたということでございます。
その上で、事業の適用状況については、先ほど副大臣からお話があったとおりでございますけれども、割と仕分けがされていると思います。
比較的被害額が大きな箇所につきましては、この改正政令で対象となったものが先ほど四件というぐあいに申し上げさせていただいたところでございますが、このほか、国の補正予算で農業体質強化基盤整備促進事業というものがございまして、こういうもので予定しているところ、あるいは県単独の復旧事業の対象となっているようなところ、こういうような整理がされていると聞いております。
また、今委員御指摘の、市町村や農業者が独自に復旧したようなところは比較的被害額が小さな箇所でございまして、これにつきましては県や市の単独事業の対象となっているというように聞いているところでございます。
〔菊池委員長代理退席、委員長着席〕
○西委員 そうしますと、最終的には、県単独事業という範囲や個人が全部自分の負担でやるというケースは、ごく小さなところは除いて、ないというふうに理解していいわけですね。ごく小さなところは除いて。
○實重政府参考人 県や市の単独事業につきましては、それぞれ補助率等の要件がございまして、そういった形で個々の農業者の方と御相談をする中で整理されているものと思います。
○西委員 わかりました。
次いで、復旧事業の事業費の単価については、農林水産大臣は、傾斜度別一アール当たりの事業費というふうにして毎年定めておられます。この単価は、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律施行令に規定される、これまた長いんですが、農地にかわる農地を造成するのに要する標準的な費用の額という考え方に基づいて算定される。要するに代替地の費用ですね。田や畑、果樹園など農地の種類によって単価は異なると思いますが、この一覧表は都府県と北海道という二種類の価格になっておりまして、そのほかは一律となっております。
災害復旧は原状回復が原則ということになっていますが、この単価の考え方は原状回復ではなくて代替地の造成であり、考え方に整合性がとれていないのではないかというふうに思います。代替地の造成ということを基本とするならば、代替地を造成するに必要な換地や土地改良などの手続も緩和もしくは簡素化すべきだと思いますが、実際はそうもなっておりません。
原状回復を基本とするのであれば、その趣旨に従って単価を設定すべきではないかというふうに思います。代替地の造成を基本とするならば、換地や土地改良の手続等に関して緩和もしくはもっと簡素化をするべきではないかというふうに思いますが、この点についての御見解をお願いいたします。
○筒井副大臣 限度額四百六十万円についての御意見だと思いますが、これは、農地造成をするに当たって標準的な費用を基準に算出しているものでございます。代替地の場合には、さらにそれに耕作放棄地についての回復の助成とかあっせんとか、そういう別の助成措置、支援措置も含めて考えていただきたいというふうに思っております。
○西委員 これから少し厚生労働省の方にお伺いをしたいと思います。
簡易水道の災害復旧ですが、台風十二号では簡易水道施設も大きな被害を受けました。国の簡易水道の災害復旧については二分の一補助ということになっておりますが、ある町では簡易水道に関する復旧工事費だけで五、六億円ということで、大変な被害が起きました。この財政負担がどうなるかということが懸念されております。
三月末、新潟・福島豪雨等に係る水道施設災害復旧費補助に関する通知というのがありまして、簡易水道の災害復旧に関して補助率を引き上げるということになり、自治体の負担を軽減するものとして歓迎をしたいと思います。豪雨に関して初めて補助率を引き上げたというふうに聞いておりますが、この措置について説明をいただきたいと思います。
この通知は被災した自治体だけに通知されているということですが、今後の参考のためにネット等でも公表していただいて、各自治体でもこの内容について情報をぜひとも共有できるようにお願いしたいと思いますが、このことについてもあわせて御答弁をお願いしたいと思います。
○篠田政府参考人 一般的に申し上げまして、先生御指摘ございましたように、これまで豪雨によりまして被害を受けた水道施設の災害復旧事業というのがあったわけでございますけれども、そちらにつきましては補助率は二分の一となってきたという経過がございます。しかしながら、今回、昨年の新潟・福島豪雨でございますとか、あるいは台風十二号による豪雨等がございまして、水道施設が各地におきまして、広範囲にわたりますけれども、大きな被害を受けたという結果がこれまたございました。一部の水道施設におきましては、過去の豪雨災害による被害状況と比べましても甚大な被害が生じていたということだと思います。
そのために、通常の災害復旧事業費の交付要綱とは別に、今回は、新潟・福島豪雨等に係る水道施設災害復旧費補助金交付要綱というのを改めて定めまして、一定の条件を満たした事業体につきましては、補助率を二分の一ではなくて三分の二にするというかさ上げ措置を行ったところでございます。
こちらはもちろん関係の都道府県には通知をしてございますけれども、御指摘ございましたこともございますし、今後、厚生労働省のホームページとか、いろいろやり方はあるかと思いますけれども、全国的な自治体の方にも情報として提供させていただきたいというふうに考えているところでございます。
○西委員 災害復旧において、水道というのは大変貴重なライフラインです。一つの自治体で五億、六億という被害はなかなか復旧に大変な苦労が伴うという意味で、今回の措置は大変ありがたいことだというふうに思っております。
しかし、水道に関しては、激甚災害の対象とは残念ながらなっておりませんね。今回の補助率引き上げは、予算上理解をいただいたという次元ですが、災害により大規模な被害が発生した場合には、水道の復旧事業についてぜひとも激甚災害の対象にすべきではないか、私はこう思っております。政府に検討を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
○篠田政府参考人 激甚災害法によりまして、災害復旧の国庫補助事業費のかさ上げ措置の対象ということでございますけれども、こちらの対象になりますのは、地方公共団体が一般会計から支出して整備をいたします道路あるいは河川などの公共土木施設でございますとか、あるいは公立学校といったものが対象になるわけでございます。
一方、水道はどういう位置づけかということになりますけれども、地方公営企業という位置づけになりまして、料金収入を使用者の方々からいただきまして、それに基づいて経営をしていくというのがこれまた基本だろうと思います。その点に関しまして、ほかの施設と比べますと、公共土木施設等とはやや趣を異にするのではないかということがありまして、激甚災害法の対象とはされていない、こういう経過があるのだろうというふうに考えております。
激甚災害法は、私どもから申し上げることでもございませんけれども、総合的かつ計画的な防災行政の推進を目的とする災害対策基本法に基づきまして制定をされているということでございます。それまで個別的に対応してきたものを、災害時の援助でございますとか助成を統一的に整理されたものということでございます。
したがいまして、その見直しにつきましても、これまでの災害に対する措置とのバランス等がまた問題になろうかと思いますし、総合的、多角的な見地から慎重、十分な検討をお願いすることが必要であるというふうに考えているところでございます。
○西委員 総合的というお話でしたが、もちろん水道代はいただいているんですが、営利を目的としてやっているわけではなくて、ほとんど自治体の実情というのはぎりぎりのところでやっているわけでございまして、むしろ赤字で苦労しているという実態のところが多いかと思います。そんな意味で、ぜひともこのことについても激甚災害の対象とするよう議論をしていただきたい、このことを強く要望しておきたいと思います。
先日、宮城県の亘理町へ行って、漁業関係者の話を聞いてまいりました。先ほども宮城県の漁業の話がございました。私も同じ観点からのお話ですが、そこでは、暫定規制値と新しい基準値という二つの安全基準の間で大変苦しんでいる状況を私も聞いてまいりました。
御存じのように、四月一日から食品中の放射性物質の新たな基準値が設定されて、今までの五百ベクレル・パー・キログラムの暫定規制値から百ベクレル・パー・キログラムの新しい基準値に変更された。基準値が厳格化されたことを受けて、この地方で初めて出荷制限がかかったということです。スズキが出荷制限を受けることになりました。マダラ、ヒガンフグについては地元の方で出荷を自粛している。こんな現状で、さらに五月からカレイ、ヒラメの解禁を控えて大変な不安が広がっている。こういう現状をお聞きしてまいりました。
新しい基準を超える魚種は今のところ限定されておりまして、他の魚種は問題がないので、全面的な自粛ということについてもなかなか踏み込みにくいという実情のようでした。私が伺ったときには、せっかく漁をしても七、八割は出荷できない魚になっている、漁獲量を調査した後、一部を放射性物質の検体として提供して、あとは海に戻さなければならない、一部の魚はもう既に死んでいる、こんな悲痛なお話を伺いました。
安全な魚にも買い控えなどで風評被害が発生をしている。現場では、新しい基準値に関して、どうして百ベクレルになったのか理解できない、また、今まで問題がなかったのにどうしてこうなったのか納得できないというような、漁師さんの困惑する声がたくさん聞かれました。
津波で、漁船が流され、漁港が破壊され、漁業関係者は大変な被害をこうむった。この上に、懸命な努力でようやく漁業再開にこぎつけた、復興に向かって大きな一歩を踏み出したやさきにこういうことになったということでございます。漁業の再開は復興への大きな支えだったんですが、それだけに、今回の出荷制限また出荷自粛は復興に大きな影を落としていると、私は暗い気持ちになって帰ってきたんですが、こうした状況において、少しでも先の見通しを示すことが重要であると思います。
そんな意味で、東京電力と漁業協同組合との間で行われる賠償に関する交渉が今後の方向性を大きく左右していくものだ、こんなふうに思っております。
その交渉の準備も始まったというふうに聞いておりますけれども、農水省では、東京電力と漁業協同組合との間で行われる賠償に関する交渉、また見通しについて、把握をしていればぜひとも御報告をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○仲野大臣政務官 ただいまの委員の御質問にお答えさせていただきたいと思います。
委員は、先般、宮城県亘理町を訪問して漁業者から切実なお声を聞いたということで、非常に胸を痛くしているところだと思います。
今回の原発事故による漁業関係者の損害については、東電により早急に賠償金がまず支払われることが重要であると思います。したがって、原子力損害賠償紛争審査会が策定した中間指針において、出荷制限あるいは操業自粛等による損害や、いわゆる風評被害など、幅広く水産業関係者の損害が賠償の対象として位置づけられているところでございます。
宮城県においては、新基準値の施行に伴い、宮城県漁業協同組合が、原子力損害賠償請求に向けて、漁業者の損害の取りまとめ及び東電との交渉を開始しているということで今承知をいたしております。
当省といたしましても、被害者の早期救済の観点から、これまでも関係者や漁協、漁連を含む団体、東電が出席する連絡会議を八回開催するなど、関係者への情報提供を行うとともに、東電に対する賠償金の早期支払い等を求めてきたところでございます。
東電による適切かつ速やかな賠償が実施されるように、引き続き積極的に取り組んでまいるところでございますので、御理解をいただきたいと思います。
○西委員 先ほどもお話ありましたように、本当に、毎日毎日切実な思いで漁に取り組んでいる。漁をしても、出荷の自粛をしなければいけない、または制限のかかっている魚しか、しかと言ってはいけませんけれども、多くとれてしまう。そんな中で、先が見えない、日々の暮らしが本当に立たないという状況になっていますので、ぜひとも賠償を早く、協議を早くということを農水省の方からも強く求めていただきたい、このように思います。
時間がもう近づいてきましたが、最後に、その中に遊漁船を営んでいる方もいらっしゃいました。もちろん、趣味で釣りに出られる方の案内をしていくわけですが、その魚がこういう状態では、まずお客さんが来ない。釣った魚も、食べられないといいますか、普通は出荷していない魚ということになりますと、もう急速にお客さんが減ってしまっている、こんなお話も伺ってまいりました。その中で、漁業の本体部分は結構交渉が積極的なんだけれども、遊漁船のいわば風評被害のような形で、本来の漁獲量とかそういうものではない形のものがどうしても後回しにされてしまう、こういう意見が強く出ておりました。
このことについて、どういう実態になっているのか、農水省はどのような対応をしようとしているのか。もちろん、賠償の対象になっているということはわかっているんですが、今後の見通しについて最後にお伺いをしたいと思います。
○仲野大臣政務官 遊漁船業者の損害についても、これは、本当に釣りを楽しみにしているお客様のためのいわゆる観光や、そしてまた、釣った魚を持ち帰っておいしくいただくというふうな、そういった位置づけの中で、今原発によって被害を受けられたということで、これにつきましても、東電に早急に賠償金を請求しているということももちろん重要でありますし、そしてまた、県漁連による漁業者等の損害の取りまとめの中で請求した遊漁船業者については、もう既に賠償金が支払われた実績があると聞いているところでございます。
しかしながら、まだまだ不十分なことでありますので、これについてもしっかりと、農水省といたしましても、情報について、県を通じて情報提供を行うなど、東電により適切かつ速やかな賠償が実施されるように、引き続き積極的に取り組んでまいりたいと思っておりますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
○西委員 いつも後回しにされるということをおっしゃっていましたので、ぜひとも、そんなことのないようにお取り組みをいただきたいと思います。
終わります。
○吉田委員長 次に、石田三示君。
○石田(三)委員 新党きづなの石田三示でございます。
本日は、質問の機会をいただきましてありがとうございます。
早速質問に入りたいと思います。
日本の林業界は、一九六四年に関税撤廃されて自由化されましてから現在に至っているわけでございます。今、TPP議論が盛んにされているわけでありますけれども、米の自由化というのは、林業のたどってきた道を見ると明らかだというふうに私は感じている一人でございます。
きょうは、本年の四月から、十年後の木材自給率五〇%を目指して森林・林業再生プランが始まったわけでございます。その中で、森林管理・環境保全直接支払い制度について、制度趣旨を伺いたいと思います。
○仲野大臣政務官 お答えいたします。
平成二十三年度に創設した森林管理・環境保全直接支払い制度について、ハード対策といたしましては、集約化施業の実施の根拠となる森林経営計画の認定を受けた森林において、路網整備をしつつ搬出間伐等を行う者を直接支援しておりますし、また、ソフト対策といたしましては、森林経営計画の作成に必要な森林情報の収集あるいは森林所有者との合意形成などの活動を行う方についても直接支援をさせていただいております。
これらによって、将来にわたって持続可能な森林経営を実現し、森林の多面的機能の持続的な発揮を図るとともに、まとまったロットで間伐材を搬出し、採算性を向上させ、安定供給を確保することにより、平成三十二年に木材自給率五〇%以上の目標達成を目指す考えでおりますので、ぜひ、委員におかれましても御理解をいただきたいと思います。
○石田(三)委員 新しく創設された森林経営計画制度の内容としては、森林の面的なまとまりを持った集約化ですとか路網整備が挙げられているわけでございますけれども、林業も、今回農業で、大規模化して集約すれば効率が上がるんだ、また経営的に安定するんだというようなことの中で行われているというふうに考えますが、これは一面的な捉え方であろうというふうに私は考えています。
例えば、農業においても、平地の農業もあるわけですし、中山間地域の農業もあるわけでございます。林地においても、平たんな林地もあるわけで、非常に急峻なところもあるわけであります。これを一本化していくというのはなかなか難しいんだろうというふうに私は思っています。このように、いわゆる地形に基づく相違を同等的に考えていきますと、さまざまなひずみが出てくるんだろうというふうに思いますが、制度的にどのような対策をとっておられるのか、お伺いをしたいというふうに思います。
○鹿野国務大臣 何といっても、森林・林業再生ということを考えたときには、森林施業の集約化や路網整備等によりまして効率的な施業を推進していくという必要があります。このために、面的にまとまりを持った森林を対象として森林経営計画制度を創設いたしました。
そういう意味では、この森林経営計画におきましては、急傾斜はどうするのか、こういうふうなことでございますけれども、なかなか、実態を見ますと、こういうところに路網整備ができるのかというようなところも多々、先生も現地に行って思われたところもあると思いますが、私もそういう認識のところもございました。
そういう路網整備が困難な急傾斜の場合は、林内に架設したワイヤーロープによりまして木材を搬出する架線系の作業システムを使いまして、最小限の路網密度で間伐等の森林施業ができるように措置している、こういうふうなことでございまして、傾斜等の立地条件に応じた効率的な作業システムの導入と路網整備によりまして森林整備を推進しているところでございます。
○石田(三)委員 ぜひそういったところの間伐も進められるようにひとつお願いをしたいというふうに思います。
今回の森林環境保全直接支援事業でございますが、一ヘクタール十立米以上の搬出、流通が義務づけられているわけであります。例えば、切り捨て間伐の場合に、急傾斜地のいわゆる治山治水利用というようなことで、井桁に積んでそういった防災をしていくということも、これは切り出したものをあえて町場に出して、もう一度くいとして持ち込むとか、そういったことがもしあるとするならば、そこで切り出したものをそのままそういった治山事業に使っていく、そういったこともこの中にしっかり組み込めるのではないかなというふうに私は思うんですが、ぜひ、そんな融通といいますか、広く捉えていただいて、生かしていただければというふうに思いますが、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
次に、いわゆる零細林業家、いわゆる自伐林業家、今非常に少なくなっているとは思うんですが、農村を守っていくにはやはりそこに人が住んでいなきゃいけない。大規模化していく、効率化していくというのは、私は、そこに住む人がだんだん少なくなる、そういった農家を少なくさせていくということだろうというふうに思っているんですね。
ですから、私は、そういった零細林業家あるいは自伐林業家をどう地元で食べられるようにしていくかということが非常に大事だというふうに思っていますが、今回のこの事業の中で、森林経営計画の策定の中でそういった方たちを取り込んでいくといったことが必要だというふうに思いますが、進めていくのはなかなか困難だというようなお話を伺っています。これを、そういった人たちを巻き込んでいくために、インセンティブを働かせるための政策というのは行われているんでしょうか。
○皆川政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のように、日本の非常に零細な構造がございます。これをどうまとめていくかということにつきましては、私ども、森林経営計画を作成する際の森林整備地域活動支援交付金ということで、複数の森林所有者の同意の取りつけですとか、必要な活動に対して支援を行ってございます。
具体的に言いますと、当然、経営計画の作成に必要なさまざまな情報収集、さらには、森林経営計画に参画していただくための文書の送付ですとか地域で行う座談会、また現地案内などによる説明といったようなこと、さらには同意を取りつけていく際の、戸別訪問によっての同意取りつけといったようなことについて、その活動に対して支援をしているところでございまして、これらの支援内容についても、なるべく各地域で御理解をいただくように努力をしているところでございます。
今後とも、これらの取り組みを積極的に行いまして、森林経営計画の作成というものを着実に推進してまいりたいというふうに考えてございます。
○石田(三)委員 これは高知だと思いますが、山林所有者の数で、八百五十戸中七百四戸が所有をしていたということで、その中の四百人、山林所有者の中の六割の人が、自分の山で間伐、搬出あるいは収入を得たいというようなデータもございます。
ですから、集中をして、いわゆる林業組合とかそういった業者が請け負うということも必要だというふうに思うんですが、そういった個々の自伐林業家もしっかり育てていくという姿勢も私は必要だろうというふうに思っているところであります。
個人で行ういわゆる自伐林業家にとっては、年間五ヘクタールの実施面積というのは非常に広過ぎるんですね。また、農業と林業を一緒に兼業でやっている方にとっては、とてもじゃないけれども広過ぎるということでございますので、そういった人たちが集まって一つの計画がつくれるということであれば、これはやっていけるというふうに思うんですが、ぜひそういった御指導をひとつよろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。
さて、ここで、一ヘクタールのいわゆる間伐の搬出が義務づけられているわけですね、一ヘクタール当たり十立米ということで。これは、百立方までは倍々で単価が上がっていくということでございます。ですから、集約的に進めていく中では、できるだけ多く切りたいというのは当たり前だというふうに思います。
そういった中で、本来、林業者でしたら、いい森をつくりたい、いい木を育てたいということで進めるわけでございますが、そういった経済的な部分を余りに重くしてしまいますと、切り過ぎるという懸念も非常に出てくるんだろうというふうに思っていますが、そういったことへの対策というのはおとりになっているんでしょうか。お伺いしたいと思います。
○筒井副大臣 先ほどから話が出ております森林経営計画、市町村長等の認可が必要なわけでございますが、そこで伐採面積とか伐採率の記載がありまして、それを遵守している場合のみ直接支払いの支援対象になるという取り扱いをしているわけでございます。念のため、法令上は、立木の木材材積の三五%が間伐の上限というふうな規定もされております。
そして、それらをきちんと守っている、その範囲内で遵守しているということについては、都道府県の職員等が現地検査をしたり書類検査をしているところでございます。
○石田(三)委員 林道整備をしているときに、どうしても邪魔になる木がありますよね。それを切るのはその中に入っていないということでございまして、それを整備することによってその部分が非常にふえていくという懸念もあるようでございますので、ぜひ、その辺しっかりお願いをしたいというふうに思います。
次に、これが順調に進みまして、適切に間伐が進みましてその材が出てくるというようなことがありますと、その切り出された間伐材の使い道、いわゆる需要部分でございますが、それについて伸ばしていく対策、いわゆる川下対策についてお伺いをしたいと思います。
○仲野大臣政務官 お答えいたします。
まず、森林・林業基本計画の中に木材自給率五〇%以上という目標を掲げているわけでありますので、こういった間伐材等を利用し、これらを達成するためには、まずは、公共建築物、住宅や公共事業等における木材利用の促進、発電、熱供給等での木質バイオマスの利用促進、木材のよさについての国民の理解の醸成などにより、国産材の需要拡大をする取り組みを推進していくことが重要ではないかと思うところでございます。
このため、予算においては、平成二十三年度第三次補正予算では木質バイオマス利活用施設の整備、そしてまた第四次補正予算では木造公共建築物の整備、そしてまた本年度の二十四年度予算では、木造住宅、木育の推進を含む地域材の利用拡大に向けた取り組みを推進、支援する地域材供給倍増事業等を措置しているところでございます。
そして、最も大事なことは、公共建築物への木材利用に関し、市町村等の方針策定への働きかけや、そしてまた、国は公共建築物における木材の利用の促進のための計画を作成し、率先して公共建築物における木材の利用に努めることとしておりまして、今、各省の機関、二十二府省庁等全てでこの計画が策定済みでございます。
いずれにいたしましても、国交省や文科省としっかり連携して、事例等の情報発信をしていくことをさらに進めていく考えでございますので、ぜひ委員には御理解をいただきたいと思います。
○石田(三)委員 林業農家は多分大きな期待を持っていると思いますので、ひとつよろしくお願いをしたいと思います。
次に、いわゆる松くい虫の被害についてお伺いをしたいと思います。今の現状について、まずお伺いしたいと思います。
○皆川政府参考人 お答えいたします。
平成二十二年度の全国の松くい虫の被害量でございますが、前年度と比較しまして約一万立方の減、五十八万立方メートルの被害量ということでございまして、地域的に申しますと、北海道、青森県を除く四十五都府県で被害が発生しているということでございます。
しかし、東北地方等の高緯度それから高標高地域に被害が拡大する傾向にございまして、平成二十三年九月には青森においても被害木が発見された、今それを経過観察をさせていただいているということでございます。
松くい虫被害対策につきましては、三位一体改革を受けまして、平成十八年度に被害対策費の大半を都道府県に税源移譲したところでございますが、国の対策は、東北地方等の被害拡大地域に重点を移すということとともに、その他の地域につきましては、薬剤の樹幹注入等の、環境に配慮した手法に限定をして支援しているところでございます。
今後とも、都府県と密接に連携しながら被害対策を進める、また樹種転換等による保護樹林の造成といったようなことに努めてまいりたいというふうに考えてございます。
○石田(三)委員 長崎に始まって、今東北まで進もうというところでございますが、抜本的な対策がないと言ってもいいのかなというふうに思うんですが、これに対してしっかり研究をして、ぜひお願いをしたい。
と申しますのは、今回の津波を海岸の松林がとめたということもあるわけでございますので、ぜひ海岸の松に関しては、私ども南房総の海岸においても松林がずっとあって、それが松くい虫で枯れているところでありますので、それに対してしっかり対策をとっていかなきゃいけないなというふうに思っておりますので、ぜひ対策をひとつよろしくお願いしたいと思いますが、今後どういった形で推移していくのか、御見解をお伺いしたいと思います。
○皆川政府参考人 お答えいたします。
委員も御指摘のように、日本で松枯れの被害が出ましたのが、発見されたのが明治三十八年ということでございます。そのときには長崎で三十八本の松がやられたというところから発生したわけでございますが、その後、ずっと全国に広がってきたということでございます。
その後、一時期、戦後すぐには、当然枯れた松も燃料等として活用していたという時代がございまして、少し被害が軽減された時期もございますが、昭和四十年代以降、非常にまた被害が激烈になってきたということでございます。ただ、それを対策をとることによって何とか、一番最盛期にはもう二百万立米からの被害材積があったわけでございますが、それが五十万立米台になったということでは一定の効果が出てきているのかと思いますが、ただ、根絶がなかなか難しいということでございます。
そのためには、やはり今後とも、例えば抵抗性の樹種、そういったものの開発ですとか、あと当然に松林の整備ということもあわせてやりながら、なるべく松枯れということに侵されることのない健全な松林というものを保全していくということに全力で取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
○石田(三)委員 先ほども申しましたけれども、海岸線に関しては津波防災の意味も非常に強いわけでございますので、松に限らず、ほかの樹種にかえてもいいんでしょうけれども、そういった対策をぜひひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。
以上で終わります。
○吉田委員長 次に、吉泉秀男君。
○吉泉委員 社民党の吉泉秀男です。
今、私の地元では、朝からトラクターのエンジンが鳴り響きながら、まさに春作業の本番、こういう状況になっております。しかし、先日四日、あの暴風の中において、育苗ハウス、さらには野菜のハウスが物すごい風によって倒壊した。そして、その後始末がまだできていないままで、今、種まき作業というものが始まっております。
そうした中において感謝申し上げたいというふうに思っております。いち早く十七億の予算を講じていただきまして、農業ハウス等の修繕、再建に向けて予算化していただいたことについては感謝を申し上げたい、こう思っております。今、地元自治体さらには県自体として単独事業に上乗せをするという状況でございますから、国の方として十分の三という一つの方向を出していただいたことについて、本当に地元としてありがたく、そしてまた勇気づけられるものだというふうに思っております。
しかし、ハウスの問題だけでなく、今のTPPの問題、さらにはSBS米の問題を含めながら、ことしは非常に悩みの多い中での春作業のスタートとなっているというふうに思っております。生産者のその気持ちは非常に複雑なものがあるんだろうというふうに思っております。
そこで、備蓄米の問題について質問をさせていただきたい、こう思っております。
昨年から回転方式から棚上げ備蓄というふうに変わって、そして、不作が二年続いたならばこれは大変だというふうな、そういう状況で百万トン、この量を一つの基準にして毎年二十万トンずつ買い上げていく、こういう方針ということで、私たち自体、百万トンに対して量的に少し少ないのかなという思いを持ちながらも、棚上げ方式に変えていただいたということについては、うれしくも思っているところでございます。
しかし、今の在庫の備蓄米の放出の関係について少しお聞きをしたい、そういうふうに思います。
というのは、今回の大震災で大変な被害が出たわけでございますけれども、在庫の現状を見ますと、二十二年度産さらには二十三年度産の買い入れた米、さらには全体的に見ると、国内における震災において、備蓄米がこのところほとんど放出されていないようにも見受けられます。そういう状況の中で、備蓄米が放出をされる、さらには使われる、こういったところについては、災害等においてこの備蓄米は使えないのかどうなのか。そしてまた、今回の震災の中でやはり一部は使われているのかどうか。そのところを一回確認させていただきたいと思います。
○筒井副大臣 政府備蓄米は、食料不足に陥ったときにのみ主食米用として放出するということでございまして、今時点でそういう状態ではないと判断しております。
ですから、放出は、今先生が言われましたように、主食米以外のものに毎年二十万トンずつ放出して、その年の主食米を新たに二十万トン買い付けるという取り組みをしているところでございます。
○吉泉委員 資料を見ますと、災害時、大震災を踏まえての備蓄米の検討が今なされていると、副大臣の方から今答弁があったわけですけれども、私もそういう理解をしています。
しかし、あれだけの大震災の中で備蓄米がそれに使えない、こういうところについては、やはり国民的な一つの気持ちから見れば、あれっというふうに思うのではないか、そういうふうに思っております。
そうした中で、食糧部会で米の備蓄の運営についての議論がこの間ずっとなされてきた、そして一定程度整理がされてきているというふうな、そういう認識も自分自身持っているわけでございますけれども、今、大震災さらには災害時に備蓄米がやはり使える、そういう方向での議論がなされているのか、いや、そうではないという整理の仕方なのか。この食糧部会での議論についてお伺いさせていただきたいと思います。経過も含めてお願いします。
○筒井副大臣 先ほど申し上げたように、政府備蓄米の使い道は、食料危機に陥った場合の食料安全保障対策のためのものでございますが、今言われた部会等で、大震災等々の場合に、どういう場合にどのような政府備蓄米の使用ができるか、議論はされているという状況と聞いております。
○吉泉委員 やはり、緊急時でございますから、買い入れた一番新しい年の米は放出をして、そして災害時に備える、ここのところは私は筋が通っているものなんだろうというふうに思っております。
それぞれ、今の備蓄米の現状を見ますと、まさに昨年の現状の中では、十八年度産米が二十三年六月末で二十四万トン、そして、ことしの六月の見込みでは二十万トン。たった四万トン、これだけしか放出をされていない。あとは、十九年度、二十年度、二十一年度、二十二年度、ほとんど減っていない、こういう状況でもございます。
こういう状況の中において、やはり今の備蓄米というものについて高く、高くというのは、普通の値段で買って、五年間も六年間もそのまま置いて、もう食料に回せない状況の中で備蓄米は飼料米の方に移っていく、そういう一つの方向というもの、備蓄米の考え方について、やはり少し検討を要する課題があるのではないか、私はこういうふうに思っております。
そして、去年の段階でスタートしたわけでございますけれども、二十万トンといいながら、昨年は七万トンで終わっている、こういう状況に現状はなっているわけでございます。このことについて、二十万トンの一つの考え方に対して、政府がなぜ七万トンしか買い入れることができなかったのか、その理由をお聞かせ願います。
○筒井副大臣 二十三年産米に関しては、先生おっしゃるとおり、七万トンしか入札で買い入れておりません。
その理由としては、あの大震災によって、主食米の生産自身が、生産目標数量自体を達成することがなかなか難しくなったこと、それと、入札の時期があの大震災で大幅におくれてしまいまして、そういうのが理由となって、新しい二十三年産米の買い入れへの入札が七万トン程度に終わってしまったという状況だろうというふうに考えております。
○吉泉委員 大震災がそういう一つの影響というふうに言うわけでございますけれども、ただ単に百万トンあればいいというものではないんだろうというふうに思っております。それの放出をした部分を買うとか、そういう一つの考え方は、財政的なことから見ればそういう数式が成り立つんだろうというふうに思うわけでございますけれども、しかし、あくまでも非常時における備蓄米でございますから、古々米的なものについては余り備蓄米として適さない、なるべく早い段階で回転していかなきゃならない、こういうふうに思うわけでございます。
そうした中で、今副大臣の方から言われたわけでございますけれども、それでは、今の備蓄米の放出の考え方、基準、こういった部分は、どういうときにどういう考え方で放出をするのか。不作が二年続いたときでなければ備蓄米は放出をしないのかどうか、このことなども含めてお伺いをいたします。
○筒井副大臣 今の先生の質問は、五年に一回ずつ放出する、つまり、主食米以外に放出する際の話ではなくて、備蓄米の本来の目的である主食米として放出するのはどういう場合で、どのような量なのか、その基準の話だというふうに思っております。
それを先ほど、部会でも今も何か実証的な試験もやってみるという議論もしているようでございますが、やはり基本的に、食料危機に陥った場合、食料安全保障の観点から、主食米として放出するという基本的な考えに基づいて行っているところでございます。
○吉泉委員 というのは、私、少し整理をしていかなきゃならないなというふうに思うのは、前もお話をさせていただいたわけでございますけれども、需要と供給のバランスの中でそれぞれ生産、作付をするんだ、こういう方式でこの間、作付制限を受け入れてきた、生産者自体の気持ちはそうなっているわけでございます。
それでは、日本において、加工用米なり飼料米なり、さらには主食用米なり、そういった面の中で、日本でどのぐらいのお米というものが、MA米もあるわけでございますけれども、需要がどのぐらいあるんだろうか。いわゆる主食米は八百万トンということで制限をしているわけでございますけれども、それならば加工用の米というのはどのぐらい必要なのか、さらには飼料用の米というのはどのぐらい必要なのか、そういったところについて、政府としての考え方をお聞きしたいと思います。
○筒井副大臣 基本計画の中で、主食米だけではなくて、加工用米、新規需要米等々の生産目標を数字で示しておりますが、それは需要量の見込みともタイアップして示しているものでございまして、農水省としてもその方向に進んでいきたいというふうに考えているわけでございます。
ただ、毎年の需要量に関しては、需要拡大のためのマッチング等々の努力を農水省はやっておりますが、毎年その都度、加工用米がどのぐらいの需要量であるとか、そういう発表はしていないところでございます。
○吉泉委員 もう時間がなくなってきたわけですけれども、これからのMA米の場合はそれぞれ加工用、飼料米、こういうふうに動いている、さらには備蓄米も飼料米なり加工用米に使われているという話になっているわけでございますけれども、土地利用型農業という立場からいえば、全体的に米というものは本当にどのぐらい需要があるのか。このことについてはやはり一定程度、いつかの段階で明らかにして、それに向けてどういう一つの制度設計、計画をしていくのか。このことについては、もう一度整理をしていく時期にも来ているんだろうなというふうに思っております。
というのは、SBS米があれだけの状況の中から、西友の話を前回したわけでございますけれども、それ以降も混米を含めながら安いお米が出回っている。そういう現状の中において、やはり生産者から見ると、米というものに対してどういうふうに物事を捉えればいいのか、こういう一つの不安の気持ちも先立っておりますので、今後、このことについては議論をさせていただきたいと思っております。
そして、最後になりますけれども、今、木材の関係がありました。しかし、毎年毎年、今の現状からいえば、木材として使われる木がもう八千万立方メートル、これだけ育っている。この八千万という材木に利用される木がそのまま放置をされる、こういう状況であるならば、やはり山は荒れるわけでございます。
現状からいうと、私は数字を見ますと、やはり木材の需要は八千万立米ぐらいは、毎年の変化はあるわけですけれども、この部分はあるんだろう、そういうふうに数字的に見れば推察をされるわけでございます。しかし、それが、八千万のうち四分の一、二五%ぐらいしか国産材で使われていないという問題があって、今、五〇%まで持っていくんだという一つの方向ではございますけれども、八千万立方メートルの木がもう使える、そういう状況のときにこれを使わないというのはやはりおかしいのではないか、使う方向の中で努力をしていかなきゃならないのではないか、そういうふうに思っております。
公共の建設物に木材の利用促進、二年前にこの法律ができて、もう二年になるわけでございます。そうした中で、農林省と国交省のこれまでの検討のまとめが私の手元に送られてきたわけでございますけれども、各県さらには各自治体、そしてそれぞれ各省庁のところの中で方針は出されているわけでございますけれども、それを一定程度、今の公共物の段階から言わせれば床面積で七%台の使われ方しかないものについて、どういうふうにして、これをまとめていった場合に、目標としては二〇%、床面積で三〇%、そういったところまで公共物を上げていくのかどうなのか。
そういう一つの方向性というものは、この二年間の中で取り組んで、さらには各省庁にお願いをしてきた、そういう結果のところから見ると、どのぐらいまで伸びていくのか。その辺について、率直なお答えをお願い申し上げます。
○仲野大臣政務官 吉泉委員にお答えいたします。
公共建築物等木材利用促進法に基づく国の木材利用計画や地方公共団体の木材利用方針について、先ほどもお答えさせていただいたんですが、国では各省庁二十二機関全て、四十七都道府県全て、市町村では四百五で策定されている状況であります。
これに基づきまして、公共建築物の木造化を進めていくためには、より多くの市町村での木材利用方針策定に向けて都道府県等へ積極的な働きかけをする、また、木造公共建築物の整備に対する支援や、木造公共建築物の設計段階からの技術支援、各種会議、シンポジウム等を通じた公共施設の木造化等の意義の普及等を行ってきたところであり、今後とも、各省庁で連携しつつ、木材利用の取り組みを積極的に進めていく考えでございますので、ぜひとも委員には御理解をいただきたいと思います。
○吉泉委員 今の現状が、建築物全体での木造のパーセントは、二十年度の段階で三六・一ポイントになっているわけですね。それに対して、公共物の場合は七・五ポイントしかない。公共物の部分は相当低いわけですよ。そういう中において、法的な部分を整備して、この二年間、一生懸命になって一つ一つこの法律に基づいて進めてきた、そして、それを今ほぼまとめる状況なんだろうというふうに思うんですよ。
この木造率を七・五から引き上げなきゃならないわけですから、その数値をほぼ明らかにしていかなきゃならないだろう。民間の部分なりも含めてこれは三六・一なのに、公共の建物は七・五だ、こういう状況なんですから、その数字をやはり全体的に引き上げていく、こういう努力をしていかないとまずいだろう。だから、それに基づいて各省庁なり自治体なりが一生懸命にこの二年間取り組んできたんだろうというふうに私は思うんです。それを今まとめる時期に来ている。
では、そのまとめた結果は、どのぐらいの数字に引き上がっていくのか。または、その目標というものについて設定をしながら、今の各省庁間なり自治体の方におろしてきたのか。こういう一つの目標設定をしながらやらないと、ただ単に、法律ができた、頑張ってください、こういう状況の中では効果が上がらない、私はこういうふうに思うんです。
そうしたところを要望を申し上げまして、時間が終わっていますので、終わらせていただきたい、こういうふうに思います。ありがとうございました。
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○吉田委員長 次に、内閣提出、参議院送付、国有林野の有する公益的機能の維持増進を図るための国有林野の管理経営に関する法律等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。
これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣鹿野道彦君。
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国有林野の有する公益的機能の維持増進を図るための国有林野の管理経営に関する法律等の一部を改正する等の法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○鹿野国務大臣 国有林野の有する公益的機能の維持増進を図るための国有林野の管理経営に関する法律等の一部を改正する等の法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
国有林野事業は、これまで、奥地の水源地域などに多く所在する国有林野について、その公益的機能の維持増進を基本としつつ、特別会計により企業的に運営してきたところであります。
一方、我が国森林・林業の状況を見ると、国有林及び民有林を通じた森林の公益的機能の発揮が強く期待されております。また、地域によっては、国有林に隣接する民有林において十分な整備や保全が行われていない状況も見られます。
このような状況を踏まえ、国有林野事業について、国有林と民有林の一体的な整備及び保全を図るための仕組みを創設するとともに、特別会計により企業的に運営する事業から一般会計で実施する事業に見直すこととし、この法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、国有林野の管理経営に関する法律の一部改正であります。
国有林野事業について、国有林と一体として整備及び保全を行うことが相当と認められる民有林についても整備及び保全を行うことができることとし、農林水産大臣及び森林管理局長が定める国有林野の管理経営の計画に、国有林と民有林の一体的な整備及び保全に関する基本的な事項を定めることとしております。
また、分収造林及び分収育林の制度について、長伐期施業を推進するため、契約の存続期間を延長できるよう見直すとともに、共用林野制度について、国有林野内の林産物をエネルギー源として共同の利用に供するため、その採取を国有林所在市町村の住民が国との契約により行うことができるようにすることとしております。
第二に、森林法の一部改正であります。
森林管理局長は、国有林と一体として整備及び保全を行うことが相当と認められる民有林の森林所有者等と協定を締結し、森林の整備及び保全を行うことができる制度を創設することとしております。
第三に、特別会計に関する法律の一部改正であります。
企業的運営のための国有林野事業特別会計を廃止し、平成二十五年度から国有林野事業を一般会計の事業とするとともに、現在の特別会計の債務を国民の負担とせず、国有林野の林産物収入等によって処理することを明確にするため、その処理を経理するための暫定的な特別会計を設置することとしております。
第四に、特定独立行政法人等の労働関係に関する法律の一部改正等であります。
国有林野事業について企業的運営を廃止することに伴い、国有林野事業に係る労働関係や給与に関する特例等を廃止することとしております。
以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
○吉田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
――――◇―――――
○吉田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
農林水産関係の基本施策に関する件について調査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時五十六分散会