衆議院

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第7号 平成24年6月14日(木曜日)

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平成二十四年六月十四日(木曜日)

    午後一時三分開議

 出席委員

   委員長 吉田 公一君

   理事 石津 政雄君 理事 梶原 康弘君

   理事 菊池長右ェ門君 理事 田名部匡代君

   理事 野田 国義君 理事 小里 泰弘君

   理事 宮腰 光寛君 理事 石田 祝稔君

      相原 史乃君    石原洋三郎君

      石森 久嗣君    石山 敬貴君

      今井 雅人君    打越あかし君

      大谷  啓君    柿沼 正明君

      笠原多見子君    金子 健一君

      川口  博君    小山 展弘君

      佐々木隆博君    高橋 英行君

      玉木雄一郎君    玉城デニー君

      道休誠一郎君    富岡 芳忠君

      中野渡詔子君    仲野 博子君

      福島 伸享君    藤田 大助君

      三日月大造君    水野 智彦君

      皆吉 稲生君    向山 好一君

      森本 哲生君    山岡 達丸君

      山田 正彦君    山田 良司君

      伊東 良孝君    今村 雅弘君

      江藤  拓君    北村 誠吾君

      武部  勤君    谷川 弥一君

      保利 耕輔君    山本  拓君

      西  博義君    石田 三示君

      吉泉 秀男君    石川 知裕君

    …………………………………

   農林水産大臣       郡司  彰君

   内閣官房副長官      齋藤  勁君

   内閣府副大臣       石田 勝之君

   外務副大臣        山口  壯君

   農林水産副大臣      佐々木隆博君

   農林水産副大臣      岩本  司君

   農林水産大臣政務官    仲野 博子君

   農林水産大臣政務官    森本 哲生君

   経済産業大臣政務官    中根 康浩君

   政府参考人

   (内閣官房内閣総務官室内閣審議官)        河内  隆君

   政府参考人

   (内閣官房内閣情報調査室内閣審議官)       兼原 信克君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    西村 泰彦君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 田中 順一君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    稲田 伸夫君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局長)            杉山 晋輔君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       三浦 公嗣君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         佐藤 一雄君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           高橋  博君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            針原 寿朗君

   政府参考人

   (林野庁長官)      皆川 芳嗣君

   政府参考人

   (水産庁長官)      佐藤 正典君

   農林水産委員会専門員   栗田 郁美君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十四日

 辞任         補欠選任

  打越あかし君     山田 良司君

  大谷  啓君     皆吉 稲生君

  京野 公子君     山岡 達丸君

  筒井 信隆君     三日月大造君

  福島 伸享君     向山 好一君

  森本 哲生君     石原洋三郎君

同日

 辞任         補欠選任

  石原洋三郎君     藤田 大助君

  三日月大造君     筒井 信隆君

  皆吉 稲生君     大谷  啓君

  向山 好一君     水野 智彦君

  山岡 達丸君     相原 史乃君

  山田 良司君     川口  博君

同日

 辞任         補欠選任

  相原 史乃君     玉城デニー君

  川口  博君     柿沼 正明君

  藤田 大助君     森本 哲生君

  水野 智彦君     福島 伸享君

同日

 辞任         補欠選任

  柿沼 正明君     石森 久嗣君

  玉城デニー君     京野 公子君

同日

 辞任         補欠選任

  石森 久嗣君     打越あかし君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

吉田委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官佐藤一雄君、消費・安全局長高橋博君、食料産業局長針原寿朗君、林野庁長官皆川芳嗣君、水産庁長官佐藤正典君、内閣官房内閣総務官室内閣審議官河内隆君、内閣情報調査室内閣審議官兼原信克君、警察庁警備局長西村泰彦君、総務省人事・恩給局長田中順一君、法務省刑事局長稲田伸夫君、外務省アジア大洋州局長杉山晋輔君及び厚生労働省医薬食品局食品安全部長三浦公嗣君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

吉田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。道休誠一郎君。

道休委員 民主党の道休誠一郎でございます。きょうは、農水委員会、新しい体制のもとにこのような時間をいただきましたことを御礼申し上げます。

 まずは、郡司大臣、そして佐々木副大臣、本当に御就任おめでとうございます。

 そして、ここにいらっしゃる、今笑顔でお応えいただいた仲野政務官、岩本副大臣、そして森本政務官、御尽力いただいたことに本当に敬意を表しますとともに、私ども、農水委員会のメンバーとしてしっかりと、大臣が所信表明の中でおっしゃったことを支えていくという観点から、私はきょう質問をさせていただこうと思っております。

 また、私は、本当に、日本の一次産業が日本の再生にとって、地方の活性化にとって不可欠であると確信をしておりますので、そういうところもちょっと力点を置かせていただきながら、お話をさせていただこうと思っています。

 昨日、大臣は所信表明の中で、当面の課題として、当然のことですけれども、東日本大震災からの復旧復興というのが第一義、そしてそれに加えて、近年多発しておりますいろいろな災害についてしっかりと取り組んでいくということをおっしゃっていました。

 加えて、食と農林漁業の再生、これも本当に大切なことだと思いますし、宮崎県、森の県でございますけれども、豊かな森林と林業の再生も大きな課題でございます。また、島国日本でございますから、海洋国家として水産業をどのように再生していくのか、こういう点について大臣は所信の中で力点を置かれておっしゃっていました。

 私自身やはり、大臣が所信の中でおっしゃった農林水産業の再生こそが、先ほども申し上げましたけれども、日本の活性化を取り戻し、活力ある日本社会をつくっていくことにとって本当に不可欠であると信じています。

 せっかくいただいた機会でしたので、私、議員になりましてから三年弱の時間がたとうとする中で、自分がきょうこの場で質問をさせていただく経緯になったことをちょっと振り返ってみたんです。

 私も二十数年間、高校生までは宮崎の地で育ったんですが、その後金融機関で仕事をしまして、世界のいろいろなところを見てまいりました。本当に金融市場の厳しさ。今、ユーロの危機、今回はスペインの危機が叫ばれていますけれども、金融の世界で仕事をする者として、格付機関があのリーマン・ショックで非常に信頼性を失ったかと私は思っていたんですが、あの格付機関が再度、スペインの格付を、トリプルBといいまして、ぎりぎりもうこれ以下のものは投資できないというところまで下げてきている。

 本当にそのことが日本の金融機関にも大きな影響を与えているという現実を顧みながら、やはり、今私どもがやるべきは、そして私がやるべきは、自分がどうして二〇〇九年の政権交代を実現した選挙に、全くそれまで政治に関係していなかった者が政治に関係させていただいた、そして、今、その政権交代から三年弱がたとうとしていますけれども、我々の置かれている位置は何なのかというものを再度検討させていただきました。

 やはり、疲弊する地方ですね。私はよく申し上げますけれども、一九八九年にバブルがはじけまして、日本の社会がおかしくなり始めるきっかけができた。しかしながら、それまでは、大都市、大企業そして製造業を中心とする日本の成長路線が非常にうまくいった。そしてそれから、失われた二十年という今現在に至っています。

 その一九九一年以降、二十年の間に日本の国の借金が四倍以上になったけれども、くしくもGDPが二十年前とほとんど同じレベルである。私は、これは明らかに政策的な誤りがあったのではないかなということを真摯に受けとめなければいけないことであると思っています。

 私、宮崎県の出身で、今、江藤先生のいらっしゃる宮崎二区で活動させていただいております。そして、小選挙区では江藤先生に負けまして、比例で通させていただきました。いろいろお世話になっておりますので、先生、よろしくお願いします。

 選挙戦のときに江藤先生とよく並んでいろいろ議論をしたんですが、江藤先生がお父様の代から宮崎の道路をつくるということについて非常に御尽力されて、政権交代して、恐らく皆さん難しいであろうと思われたんでしょうけれども、おかげさまで、東九州自動車道、予定の一年前倒しで、前倒しですよ、でき上がるという道筋が開けてきました。私は、この一つから、政治に意思があればできるんだ、本当にしっかりと政治が意思を持ってその政策を遂行していかなきゃいけないと思っています。

 私ども、やはり、先ほど申しましたが、これまでの大都市、大企業そして製造業だけを日本の成長エンジンとしてきたもの、それから、地方と零細中小企業、そして一次産業を六次産業にすることによってエンジンを二つ持つ、これが日本再生の契機であるというふうに確信しています。

 ですから、大臣におかれましても、やはり、民主党が政権をとって何をしようとしていたのかということを、私が申し上げる必要もないんですけれども、常にお心に置いていただいて、政策の実行をお願いしたいと思っています。

 まず、私どもはやはり戸別所得補償制度、これですね、民主党がこれをやるんだと。いわゆる民主党の意思として、政治の意思として、政権交代後着実に、二十二年度にはモデル事業としてやって、水田利活用向上事業とセットで実施して、そして二十三年度から、水田事業に加えて畑作物を加える、本格的に実施している。

 そして、今、現場からは、この制度が導入されて、やはり現場の皆さん、いろいろな評価はございますけれども、大方、この制度というのはしっかりやってほしいと高く評価していただいているということは事実であると思っています。そして、皆さんはこの政策の継続性、安定性を望んでいらっしゃる。それには法制化をしてほしいというお声もございますけれども、この制度についての現時点の評価とこれからの考え方について、副大臣の方からお答えいただければと思っています。よろしくお願いします。

佐々木副大臣 道休さんから思いを込めた質問をいただきました。戸別所得補償制度は、今、党のワーキングチームでも熱心に御論議をいただいているというふうに承知をしてございます。

 今、現状についてという御質問をいただきました。これまでの実施状況について申し上げたいというふうに思います。

 加入者でございますが、従来政策と比べて大幅に増加をしております。特に五ヘクタール以上層では九八%がこの制度に加入をしていただいてございます。規模の大きい農業者含めて、経営状況が改善しているというふうに認識をしてございます。さらにまた、過剰作付でございますが、米の過剰作付は二・二万ヘクタールでございまして、制度導入前が四・九万ヘクタールでしたから、半減をいたしてございます。それから、新規需要米の作付ですが、六・四万ヘクタールということで、制度導入前一・八万ヘクタールですから、これまた大幅に増加をしているところでございます。農業所得も前年に比べ一七・四%というふうに増加をさせていただいているところでございます。

 今、委員からも御指摘がございましたが、早期の法制化ということも求められているところでございますが、各党の御理解もいただきながら、できるだけ早く法制化を目指していきたいというふうに考えているところでございます。

 以上です。

道休委員 佐々木副大臣、どうもありがとうございます。

 この制度についてはしっかりと法制化をする方向で動いていただき、将来的には農業全般、今役所の方でも非常にいい制度をおつくりいただいているんですけれども、これなども将来的には対象となればいいのかなと私は個人的には思っておりますので、御検討していただければと思っています。

 加えまして、この戸別所得補償制度によって経営の安定化というものが進んでくれば、昨年の十月に決定された我が国の食と農林漁業の再生のための基本方針・行動計画というものがございますけれども、それに沿って、今後五年間、やはり競争力のある、そして体力のある地域振興が集中的に展開していただけるのではないかと思っています。また、それができれば、政策を実際に目に見える形にしていくということができるはずでございますので、ぜひともよろしくお願いしたいと思っています。

 人・農地プランの中で、新規就農、特に青年新規就農者をふやすための青年就農給付金なる制度がございますけれども、この制度についていろいろなお話を農家の皆さんから聞くのも事実でございます。ちょっと使いにくいところがあるんじゃないかとか、そういうお話もございますので、せっかくでございますので、制度のチューンナップといいますか、制度をより現場の人が使いやすいような方向に持っていっていただくようなことについて、この点についても、副大臣からお話が伺えればと思います。よろしくお願い申し上げます。

佐々木副大臣 青年就農給付金について御質問をいただきました。

 今御指摘いただいた点は、青年就農給付金に二つの制度があることは御案内のとおりでございまして、いわゆる準備型と言われているものと開始型と言われている二つの制度がございます。そうした中で、両方をしっかりとそれぞれの地域で活用していただければというふうに思ってございます。

 独立・自営就農する場合、これは新規就農者だけではなくて農家子弟の場合も、親から独立するというような形態をとった場合には対象になるわけでありますし、継承する場合であっても、親元での従事期間が五年以内であれば、これまた対象になるということであります。今御指摘をいただいたように、まだまだ改善しなければならない点はあるというふうに思ってございますが、例えば、準備型は二年間、そして開始型が五年間、これをうまく組み合わせるというような方法もございます。

 こうしたことのもとで、実は大変人気が高くて、都道府県からの要望人数が当初予定した人数を大幅に上回っている状況にございまして、ことしについては既に予算を各都道府県に配分させていただいたところでございますが、御指摘のようなこともございますので、しっかりこれから把握をして、改善しなければならない点については改善をしていきたいというふうに思っているところでございます。

道休委員 どうもありがとうございます。

 もう時間が半分なくなってしまって、質問を六枚ぐらい用意してきて、まだ一枚終わっていないんです。それでは、ちょっと早めていきます。申しわけございません。

 次に、TPPに行く前に、六次産業化の中で。

 制度の中で、言われているこの産業化をサポートする人材というのを設けて、いわゆる六次産業化プランナーというものを加えていただいているんですが、私は、そのプランナーの中で、やはり女性の役割というのが非常に大事なのではないかと思ったりしています。私、この質問は仲野政務官にお答えいただきたいんですけれども、先生は女性であられますので、感性がすばらしい。そして、女性の慈しみというのが、やはり販売する中でも大事になるわけですね。

 ですから、このプランナーの制度を定着させる、あるいは、六次産業化を本当に出口で成功させる時点で、女性の果たすべき役割というのは非常に多いと思いますけれども、政務官、これはいかがお考えでございましょうか。

仲野大臣政務官 道休委員の御質問にお答えしたいと思います。

 今、女性のプランナーでありますけれども、昨年度は、全国で二百二十二名のうち女性が三十二人となっており、まだまだ少ないのでありますが、またボランタリープランナー、現在、全国で五百五十名のうち百四十八名が女性となっているところでございます。

 この六次産業の推進に当たっては、やはり女性の感性、視点が非常に大事だと思っております。このことは重要ということで、当省といたしましても、女性の皆様にその能力を発揮していただきながら、新商品開発、あるいは施設整備を推進する事業のうち一割程度を女性起業家枠として設定し、六次産業化にチャレンジする女性をこれからもどんどん優先的に支援してまいるところでございます。より一層後押ししてまいりますので、また委員からも今後ともいろいろ御指導をいただきたいと思っております。

道休委員 ありがとうございます。

 女性のこれからの社会における役割も言わずもがなでございます。女性の能力を最大限に利用させていただく。宮崎県におきましても、農業委員会、非常に女性の割合が高うございまして、宮崎の農業委員会の女性の方が全国の女性部の会長をやっていただいているというようなこともございますので、日向の女性も頑張っていますから、よろしくお願いします。

 続きまして、もう時間が大分なくなってきてしまっているんですけれども、TPPについての御質問をさせていただきたいと思っています。

 私自身は、貿易は絶対自由化すべきだと思っているんですけれども、国際的な経済関係というのを深化させることなしに、やはり資源のない日本はやっていくことはできないんですね。しかしながら、状況が変わっていく中で、食料の安全保障とかあるいは国土の保全ということを考えていきますと、日本の農業の存在並びに発展というのは、多様な農業の共存という面から必要になってくると私は確信しております。

 現在、昨年以降、TPPの事前協議に臨んでいただいているわけですけれども、やはり、このTPPと将来的には関係してくるであろう食料の自給率の問題、いろいろな、TPPを含む経済連携条約、これをどうやって実現していくのかということを常に念頭に置いていただきながら外交交渉をお願いしたいと思うんです。

 そこで、山口外務副大臣にお伺いしたいと思っています。

 昨日の、副大臣からいただきましたTPP協定に関する最近の状況に関する報告というのを読ませていただきましたが、ことしの一月中旬以降、政府は参加に向けた関係国との協議を精力的に行っていらっしゃいます。

 その中で、現在、メンバーであるP9のうちの六カ国については、日本の加入については基本的な支持を得ていらっしゃると。オーストラリア、ニュージーランドについては、引き続き検討の要ありと。加えて、アメリカについては、四月三十日の日米首脳会談においても、協議を前進させる努力をするという一致を見たわけです。その際に、オバマ大統領から、自動車、保険、そして従来から取り上げてきた牛肉についての関心表明があったということなんですけれども、この点について御説明をいただきたいんですが、お願いいたします。

山口副大臣 このTPP、これがどういうふうな位置づけということは、もう道休委員御存じだと思うんですけれども。

 先日、私はAPECの貿易大臣会合に出てきたときに、ここには、中国あるいは韓国を含め、ロシア、香港も入れて、太平洋を囲む二十一の、エコノミーと呼んでいます。全員がFTAAPという言い方をしていましたけれども、いわゆるアジア太平洋のFTA、この場合のAはエリアという意味で、アグリーメントじゃないんですけれども、それに向けてのいろいろな道筋があるだろう、その中でTPPがその道筋であることには違いないということにおいては、実は私も正直びっくりしたんですけれども、中国もロシアも含めてその共有がされているということがありました。

 ただ、ロシアからは、特にトランスペアレンス、透明性を持ってくれ、何が行われているかということをもっと共有してくれというような問題意識もあり、そういうことで、まず、このTPPというのが、FTAAPに向けての大きな道筋としてアジア太平洋地域ではかなり市民権を得てしまっているのかなという感じがしました。

 このインパクトについて、いろいろな数字があることは御存じのとおりです。切り口によって、農水省の行った数字、あるいは経産省を中心にして行った数字、あるいは内閣府で行った数字。だけれども、内閣府で行ったいわゆるGTAPと言われている数字についても、余りモデルというものが、開かれた国際経済の中では、正直、モデルといっても、そのとおりになるのかという気持ちが私はしています。ですから、プラスと出ていますけれども、本当にそれがその程度のプラスなのか、あるいはもっと大きいのか、あるいは場合によっては少ないのかということは、余りその数字でもって議論すべきではないのかなという気はしています。

 今、道休委員がお尋ねになった中で、少し大き目な話をしていますけれども、中国についても、今はこのTPPについては関心はありますけれども、入るつもりはありません。それは、特に知的財産権等について体制が整っていないということが一つの大きな理由です。他方、知的財産権について、法的枠組みから見てみれば、中国の法律についてはそんなにおくれたものではないようです。私は、もっともっとおくれていると思っていたんですけれども、そんなにおくれていません。執行体制が整っていない。したがって、まだ中国はTPPにはついていけないということですね。

 ただ、我々が注意しておかなきゃいけないのは、米中戦略対話とかいろいろやっていますから、米国は、何としてでも中国から、そういう知的財産権等の仕組みを含めて近づけようとしている。したがって、体制が整ったときには、彼らはもっと関心を示すだろうという気はしています。我々は、日中FTAとかほかの枠組みでもって、いろいろなつながりをつけようとしているというのが今の状況です。

 ちなみに、EUとは、できれば七月に日・EU・EPAの交渉開始を合意したかったわけですけれども、今、フランスの方からは、鉄道についてもう少し入れさせてくれ、あるいはドイツについては、これだけベンツあるいはBMWが東京あるいは私の地元でも走り回っている中で、やはり自動車について心配だというので、ちょっとおくれそうですけれども、ただ、これも秋には交渉開始できると私は思っています。

 ちなみに、今、道休委員がいろいろおっしゃった中で、保険の分野では、この間の郵政民営化法の改正法についていろいろ、アメリカ側からはいろいろな機会に、大丈夫か、要するに、対等な競争条件の確保について本当にやってくれているのかということはありましたけれども、我々からは、対等な競争条件というのはきちっと確保しているということはよく説明してあります。

 特に、がん保険について、今七割から八割、いわゆるアメリカの会社が持っている中で、今度の郵政の方で少し入りやすくなるんじゃないかということを心配していたわけですけれども、私、先般、齋藤次郎社長がああいうことを言われたことによって、実質その問題は当面凍結するということを言われたわけですから、がん保険について新たな参入があるということは多分ないだろうということで手当てされているんじゃないかなという気はしています。

 だけれども、アメリカ側から、どの部分が条件だ、この部分とこの部分とこの部分をやったらTPPについてはオーケーしたいということは一切条件として示されていないので、我々は、非常にフラストレーションを感じています。

 それから、自動車についても、よく新聞等で六項目とかありますけれども、これとこれとこれだというふうな条件は一切示されていないことに、我々は非常にフラストレーションを持っています。例えば、よく言われることですけれども、アメリカで安全基準をパスしたものは日本でも安全と認めてくれ、これは一切受け入れられないわけですね。

 だから、そういう意味で、我々、そういうことを含めて今議論しているわけですけれども、条件がはっきりしていない中で、これから関係国との協議の中でどこまで詰められるかということを今やっています。

 それから、ISDSについても御存じのとおりです。これはもろ刃のやいばがあるわけですけれども、日本から外国に進出した企業が、ある日突然収用されたりするということを予防的に防ぐ意味で、こういう規定を、我々はこれまで投資関連協定をいろいろ結んでいる中で、全部これを入れています。ただ、この中で、当手続で訴えられた例は今のところありません。

 それから、米についてですけれども、今進んでいるものというのが、アメリカの大統領選挙がこれだけある中で、アメリカはもう自動車業界について物すごくセンシティブになっていますから、オバマさんが大統領選挙を必ずしも優位に進めていない中で、アメリカの自動車業界が、何があっても反対なんだというところをかなりはっきり言っているんです。

 だから、そういう意味で、いろいろ議論はしているものの、結局、大統領選挙が終わるまでひょっとしてこれは進まないんじゃないのかというふうなことを、私自身は、済みません、危機感を持っています。

 だから、そんな中で、もしも交渉がまとまってしまって、例えば九カ国ある中で米をセンシティブ品目として考えている国というのは、私は、申しわけない、見つからないんです。そうすると、米がセンシティブ品目から除外された形で、入るかどうかということを突きつけられるということを、私は、正直言って、恐れています。

 今、アメリカ等が、一%の枠の中で認めてくれと。例えば、我々が一%といったら、日本でいえば九十品目になるわけですけれども、米は三十四品目ですから、本当だったら、私は、何か交渉次第でいけるんじゃないかなという気はしているんですけれども、それは何とか間に合うように交渉参加ができれば私自身はいいかなというふうに思っています。

道休委員 山口副大臣、どうもありがとうございました。まだいろいろお聞きしたいこともございますので、また改めまして時間を設けさせていただければと思います。

 今おっしゃったように、TPP、いろいろな状況がございます。私は個人的には、正直言って、TPPというのは過去の日米構造協議の延長線上にあると私自身は思っているという側面もございますので、過去の構造協議の中での金融、保険分野あるいは郵政の面で犯したような間違いはないように注意深く交渉に臨んでいただきたいと思います。

 もうほとんど時間がなくなりました。あと、BSEの問題、せっかくきょう食品安全部長も来ていただいておりますので、BSEのプリオン部会の動向についてちょっと状況の御説明をお願いしたいと思います。

三浦政府参考人 BSE対策についてお尋ねをいただきました。

 日本で対策を開始してから十年が経過いたしまして、国内、国外双方のリスクが低下したということがございまして、国内の検査体制、輸入条件といった対策全般について、最新の科学的知見に基づく再評価を行うことといたしまして、昨年十二月に食品安全委員会への諮問を行ったところでございます。

 食品安全委員会での議論でございますが、現在、プリオン専門調査会を五回開催し、国内、国外のBSEの発生状況、屠畜場の安全対策、欧州で行われた感染実験結果などについて審議されていると理解しております。

道休委員 どうもありがとうございます。

 プリオン部会の状況を我々は本当に注意深く見守っています。そして、私が厚労省のホームページを見るだけでも、去年混載事例が三件も掲載されていたり、果たしてアメリカ側の検査体制というのは本当に大丈夫なんだろうかと疑問を持ってしまうようなこともございます。日本の国民の安心、安全な食品の確保、これはもう絶対に必要でございますので、慎重に状況の分析等も願って、禍根を残さない判断をしていただきたいと思います。

 本当にお聞きしたいことがたくさんあって、きのうもいろいろな方に来ていただいて質問を詰めたんですが、ちょっと時間がなくなってきたので、私の私見ということで、あとのお時間をいただきます。

 農業を輸出産業として、本当に世界に誇るべき品質そして競争力があると私は思っています。特に東南アジア、私は一昨日アラブの大使十人とお話をしたんですが、何で日本からどんどん持ってこないんだ、もうこんなにおいしいんだよ、我々は東京にいてこんなものを食べさせていただいているというのは国の大統領や首相よりもぜいたくしているんだというようなこともおっしゃっていました。本当に、農産品の輸出というのは、我々もしっかりやっていきたいと思っています。

 それから、今大きなテーマとして、地方の畜産も含めまして、皆さん、燃料費の高騰や飼料の高騰、一方で、販売量の低下とか価格の低下というのがございます。できるだけ現場の皆さんが新たな気持ちでいろいろな施策に取り組めるような政策、例えば省エネの助成の制度とか、いろいろあると思います。

 しかしながら、現場の皆さんが、自分の施設ではどういう制度が使えるんだろうかとか、せっかく政府がつくっていただいた制度も使わないままに、現場で苦しんでいらっしゃるケースもございますので、その辺についても、農水省の皆さん、政務三役以下、できるだけいろいろな制度の周知徹底、本当に広報活動についてはお願いを最後にいたしまして、私は今回の質問を終わらせていただきますが、民主党の政策、基本に返って、何を守っていかなきゃいけないかというのを、大臣、本当に心に置いていただいて、私どもの大臣に対する御支援を形にしていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 ありがとうございました。

吉田委員長 次に、江藤拓君。

江藤委員 引き続きまして宮崎県でございます。江藤拓でございます。

 大臣、御就任おめでとうございます。副大臣、私が政務官を引き継いだのはあなたですからね。副大臣になられたのかと。両名とも非常にTPPでは同志だと思っていますから。もちろん政務官もそうですよ。一緒に頑張ってまいりましょう。

 私はきょう、所信についての質問をしろという御命令を受けておりますので、これについて沿ってやらせていただきます。

 まず、全体的な感想を述べさせてもらいます。がっかりいたしました。正直言います。その日の午前中の参議院の予算委員会、山本一太委員の質問に対して、米の話でしたけれども、大分踏み込んだ発言をされた。おお、気合いが入った発言をされているな、では大臣所信でもTPPの問題に関しては思い切った発言をされるのかなと。後でページに沿ってやりますけれども、ちょっとがっかりしましたよ。

 それから、今や畜産というのは日本の農業生産の四分の一。副大臣、政務官、両方とも北海道ですよ。畜産というのはもう総農業生産の四分の一を占めている。このことについて全く所信で触れていないというのは、これは私は片手落ちだと思いますよ。

 それからもう一つ、事件が起こったからかもしれませんが、輸出促進について一行も触れていない。攻めの農政なんだ、外に打って出るんだということをあれほど今まで歴代の大臣がおっしゃっていたのに、大臣の所信の中には輸出のユの字も出てこない。これは、やはり特殊な事情があったからこうなっちゃったのかな、言い過ぎかもしれませんが、そういうふうに思いますよ。

 ただ、一ページ目から見ていきますと、いろいろ注目すべき点があるなというふうに思いました。まず最初に、「大きな転換期にある」と。この御認識は正しいと思います。高齢化も進んでいますし外圧もありますし、いろいろな政治的な要素もあります。大きな転換期、そのとおりでございます。私もそう思います。

 そして、ずっとページをめくっていきますと、五ページに、きょうの農業新聞にも指摘をされていたようでありますが、「地域の実情に応じた的確な取組が円滑に進むよう取り組んでまいります。」というふうにおっしゃいました。そして、さらに進んで十ページ、「現場に赴き、」これは前大臣もよくやられていたことで、非常に評価をしております。現場主義、大事です。

 そして、その次のくだりが「地域の実情を踏まえ、その特性を活かした農林水産行政を行ってまいる所存です。」、こうおっしゃっています。これは我々がやってきたことなんですよ、実は。これは我々の政策なんですよ。地域の特性を生かし、きめ細やかな農政をやろうというのは。それが、政権交代をして、全国一律単価という、戸別所得補償という理念を持ち込んできて、大きく変わったんだというのは、これは間違いない事実じゃないですか。大きな農政の大転換でした、この政権交代は。

 この所信を読むと、議論が進んでいるというふうに今お話を伺いましたけれども、党内議論の中で、やはり地域の特性を生かした農政、地域産業、産業政策と地域政策という着目点を持った政策に変えていかなきゃいけないんだと。つまり、自民党が政権時代にやっていた農政も、反省すべき点があることは私は重々承知をしておりますよ、わかっておりますよ、たくさんあると思いますが、しかし、基本理念は自民党農政は間違っていなかったんだということをこの言葉の行間に込められたのではないかという感想を私は持ったんですが、私の認識は間違いでしょうか。大臣、お願いします。

郡司国務大臣 江藤委員から、所信を読んでいただいて、その思いについての発言をいただいたというふうに思っております。

 まず、若干説明をさせていただければ、今回の、かわった時期がございます。したがって、全ての大臣がこの一年間フルの長さでもってやろうとするような形の所信ではなくて、挨拶を含めたようなこと、しかも、今国会の中で残された法案等の課題を加える等々の制約の中で、若干そういう部分があったということはお許しをいただきたいと思います。

 地域ということを考えてということをいただきましたけれども、私ども、これは民主党、自民党ということではなくて、やはりそれぞれ地域の特性を生かそうというのは、さほど違いとしてはないのではないかなというふうに思っております。

 今、時間軸がございますから、高齢化の進展も相当早まってきました。それだけではなくて、例えば宮崎でいいますと、畜産というものが大変盛んな県であります。その中では、これまで規模拡大というような形の中の経営の安定ということもやってまいりました。しかし、本当に規模拡大ということだけで経営が成り立つようなことができ上がってきたのかというと、これは必ずしもそうでないようなことがございます。

 ならば、その地域の中で、規模拡大、頭数だけではなくて、生き残れるような新しい農業のやり方、その意欲を持った人たちに対して、最低限の、国がやるべき基盤整備というもの、その部分のところをきちんと行う。そして、あとは、意欲がある方々が、それぞれの意欲と努力と、そのことによって地域に合った、特性を生かした農業ができるということについては、同じような思いでこれから取り組んでいきたいというふうに思っております。

江藤委員 大臣、よくわかりました。よくわかりましたが、おっしゃっていることと内容が大変食い違っております。今度はページを追ってやらせていただきますので、これ以上は言いません。ここでスタックしてしまうと、先に全く進めませんから。

 挨拶程度なんだから、これでいいんだと。別に、大臣所信は長々しゃべってもいいんですよ。ページ数に制限があるわけじゃありませんし。それで、基盤整備の話をされましたけれども、では、きょうは基盤整備の話も、後、じっくりさせていただきたいと思います。

 それでは、この所信表明について、まず二ページのところで、東日本大震災からの復旧復興に取り組むと、冒頭に述べておられます。これはとても大事。党派を超えて取り組んでまいりましょう。協力を惜しみません。前大臣も、我々の声には十分耳を傾けてくださるいい大臣だったというふうに私は思っております。このことをやりますと東日本のことでもう終わってしまいますので、一点だけ、きょうはやらせていただきます。除染について。

 二ページに、「農地・森林の除染を進める」というふうにあります。これはとても大事なことです。これは、私、今、影の内閣の環境副大臣をやっておりますが、環境省所管であることを承知の上でやります。しかし、林野ということであれば、農地ということであれば農林水産省管轄ですから、それをわきまえた上で質問させていただきますが、この農地、森林に対する除染について、政府として、内閣として、大臣として、どのようなプラン、計画、お考えをお持ちなのか、ざっくりでいいですから、お聞かせをいただきたいと思います。

佐々木副大臣 今、森林の除染について御質問をいただきました。現状と、そしてモニタリングやスケジュールなどを含めて御質問をいただきました。

 環境省所管であることは今御指摘のとおりでございますが、今、農水省としては、農地土壌のセシウムのモニタリングや技術開発をさせていただいております。さらにまた、福島環境再生事務所に農地、森林の専門家を八十人程度、職員、OBを派遣させていただいてございます。さらにまた、仮置き場の提供のために、国有林野の提供もさせていただいているところでございます。

 スケジュールについてでございますが、放射性物質汚染対処特措法において国が除染すべき地域についてでありますが、これは、被曝線量が特に高い地域以外については、二十六年三月までに措置を行うというめどを立てさせていただいておりますが……(江藤委員「山と農地の話をしているので。ホットスポットとかの話をしているんじゃないんですよ」と呼ぶ」)はい。国が除染するべき地域と、市町村が除染をすべき地域がそれぞれございますので、これは連携をして、農水省としても、迅速な除染のために協力をさせていただきたいというふうに思っているところでございます。

江藤委員 副大臣、きょうはこれでよしとしましょう。

 ただ、幾ら農地の除染をしても、雨は山に降る。水源は山ですから、山の除染を積極的にまずやらないと、イタチごっこになるんですよ。ですから、極端な場合、思いっきり予算をつけて皆伐をして、これも瓦れきとして処理しなきゃならないかもしれない、材も全て国が買い取ると、思い切ったことを考えないと、いつまでたっても農地、森林の再生はできないということは御認識をいただきたいと、わかっていると思いますけれども、改めてよろしくお願いをしたいと思います。

 それでは次に、三ページ、大雪や竜巻、降ひょう被害に取り組んでいくというふうに述べられました。非常に結構なことでございます。

 実は私、この質疑が終わりましたらすぐ中座をさせていただいて、災害対策特別委員会で竜巻の集中質疑でまた質問に立ちます。そのときには森本政務官にお出ましをいただくことになっておりますので、そのときに森本政務官にお願いをしますが、実は宮崎県は、去年、新燃岳がありました。非常に甚大な被害があったわけで、この所信の中に降灰という言葉が入っていないことも、実はちょっと残念だったんです。

 今回の所信の中で入っていなくて、しかしページ三には、「被害への対応にもしっかり取り組んでまいります。」と。ですから、竜巻もひょうも取り組むんだということでありますから、私の理解では、当然、もし新燃岳が、今は小康状態ですけれども、再び被害をもたらすようなことがあれば、これは国が何らかの対応をしてくれるのかなという期待を持たせる文章なんです。

 それはなぜかというと、前回の場合は、ホウレンソウとか大根、これが共済事業の対象外で、全く国からもお金が出ない、共済の金も出ない、泣き寝入りだったんですよ。ですから、この文章を読んで、前向きな取り組みを新たにお考えになっているのかなというふうに私は考えました。

 お考えがあれば、大臣、お願いします。

佐々木副大臣 お答えさせていただきます。

 新燃を含めた火山の対策でございますが、一つには、国と県の助成という形で、防災営農対策ということで、土壌の矯正、それから野菜、花卉、果樹などの被覆対策などについては助成をさせていただいているところでありますが、その他の分については、地域自主戦略交付金の方で対応をさせていただいているところでございます。

 さらにまた、野菜等の被害を受けた場合、昨年の新燃の噴火とかそうでありますが、長期低利の運転資金などについても利用可能でありますことと同時に、新燃については特別相談窓口を設置して対応させていただいているところでございます。

江藤委員 やはり、結局何もないということですね。まあ、低利の融資を御紹介させていただきますと。借金は借金ですから。私がさっき言ったのは、やられてしまって売り物にならなくて共済の対象にならなかったものも今後考えることがあり得るのかという回答に対しては、ないという回答だったということで一応締めさせていただきたいと思います。

 次に、三ページの、先ほども取り上げられました「戸別所得補償制度の着実な実施」と、「法制化に向けて検討を進めている」と。きょうの農業新聞には、中間報告が出たということが出ておりました。内容は読ませていただきました、新聞記事ではありますけれども。民主党さんは、マニフェストの中では、全ての販売農家に戸別所得補償を行いますということを明言したことを、まず忘れないでください。さっき、道休委員も原点を忘れるなということをおっしゃいましたけれども、原点はそこですからね。これは全くできていないということであります。

 しかし、片方において、私のところは、例えば米なんというのはそんなに比重が重くないんですよ。先ほど大臣も言われましたように、畜産が大体五六、七%、野菜、果樹を合わせると二七%です、米は一桁なんです。

 ですから、地域によっては非常に恩恵の薄い制度なんですよ。米、麦、大豆、てん菜、バレイショと言われて。もちろん、私のところでも、米をつくっている人たちも立派な農業経営者ですし、大事にしなきゃいけない。この人たちは喜んでいます。我々の政権になっても、これをやめようなんということは思っておりません。我々は幅広にもうちょっとやろうと。

 このことは余り話すと長くなるのでやめますけれども、ぜひこの議論をやるについては、税と社会保障の一体改革、今この時間もいろいろな胸襟を開いた議論がなされております、もし出されるのであれば、我々と意見交換をもっと密にした方が私はよいと、法律を出すのであれば。意地の張り合いということではなくて、いいところは持ち寄って、直すべきところは直して出すということの方が建設的だと私は思いますが、大臣、短くコメントをお願いします。

郡司国務大臣 貴重な御意見を伺ったというふうに思っております。

 基本的な考え方をまとめたということであります。そして、既に御党からは二つの法案が提出をされております。そことのやはり話し合い、すり合わせ、協議というものは当然出てくるということも私ども考えておりまして、逆に、御党から二つの法案が出されている以上、私どもの与党としても、対案という形を含めて出したその中での協議ということが当然これから起こり得るだろうという意味で、基本的な考え方をまとめたということに私は理解をしているところでございます。

江藤委員 ありがとうございます。

 ですが、我々は平成二十二年にもう法律を出しているんですよ、一本目は。政権をとられてもう三年たった。これでまだ法案が出てこない。おかしいじゃないですか、野党時代に出てきたのに、与党になったら出せないと。いかに制度設計がいいかげんであったかということですよ。厳しい言い方かもしれませんけれども、このことは私は反省をしてほしいと思います。

 一つ、要望だけしておきます。

 私も九州電力さんとはこのことを随分話をしたんです。ちょっと所信から漏れますけれども。実は、ビニールハウスなんかで使う電気代、これが井戸用のポンプについては低価格な電気料金が適用されるんだけれども、それ以外の電気については一般電気料金なんですね。もし、ポンプに認めている部分を照明だとかいろいろなところ、加温機だとかヒートポンプ、自動開閉装置に使えたら、農家の電気代が下がりますから、このことも、我々も動きますけれども、御党でもぜひ御努力をいただきたいというふうに思います。

 私がいつも考えることは民主党さんたちも一生懸命考えておられることは評価をいたしますが、例えば、野菜、果樹については恒常的に赤字だとは認識していないから戸別所得補償の対象にしないという答弁を何度も何度もこの委員会でいただきました。でも、本当にそうなんですか、本当に。

 例えばA重油でも、去年も高かったけれども、ことしはさらに一割上がりました。肥料の値段も上がりました。ビニールハウスのビニールの値段も上がりました。骨材の値段も上がりました。我々が着目すべきは、販売価格がなんぼであったかではなくて、農家の手取りが幾らになったのか、手取りの変化に着目した農政をやらないと担い手は育ちません。そのところの意識をぜひ共有してほしいというふうに私はお願いをいたします。

 ですから、私たちが出しています多面的機能直接支払い制度、これをぜひ御党でも御検討いただいて、対案を出すのも結構ですけれども、私はこの案がベストの案だというふうに思っております。

 次に、三ページ。戸別所得補償、食品の安全性向上、農山漁村の六次産業化の三本柱、これは前大臣のときにも出てきた言葉でありますけれども、郡司大臣は、このことによって食料自給率五〇%達成を目指すのだというふうに所信で述べられました。

 この三つの政策がどのようにして五〇%につながるのか、私にはなかなか理解が難しいので、ちょっと簡単に御説明いただけませんか。

郡司国務大臣 直接的に一つ一つが自給率に直ちにかかわるということの理解というのはなかなか難しいかもしれません。

 戸別所得補償制度そのものは、基本的には土地利用型をまず最初にという形で今始めさせていただいて、そこのところを基本のところで、どれだけの人がどれだけのコストになるような形でどれだけの生産をしていくか、つまり、今持っている耕地、農地、そうしたものをいかに活用できるかというようなことにこのことはかかわってくるというふうにも思っております。

 そして、その政策を進めるためには、やはり、生産者だけの理解ではなくて、国全体、消費者という方々の支えというものがなければこれからの農政というものは難しいだろう、私はそのように思っておりまして、常に生産者と一緒に消費者という言葉を使うように、そのような形でやっているところでありますから、この制度そのものもやはり国民的な理解を得るということが必要だということ。

 それから、六次産業化そのものは、何といいましても、これから二〇五〇年までに、たった二カ所を除いて、ほとんどの地域が人口が半減をするというふうに言われています。そして、その最初に消滅をするであろう集落ということを考えれば、まさに農村であり、漁村であり、山村であると。

 こういうようなことを考えると、先ほど言ったような最初のところに戻って、そこでしっかり農業をするような地域の力というものを持続させていく、こういうことが重なり合って自給率ということに結びついてくる、私はそのような思いで使わせていただいたということでございます。

江藤委員 思いはよくわかりました。

 地域政策というお言葉も大臣の口から出てきました。地域政策は、民主党の政策には欠けているんですよ。そのことを大臣が認識をされているということは、非常に私はよいことだと思います。鹿野大臣は何とおっしゃったかというと、この三本柱で食と地域の再生に全力を傾けますとおっしゃったんですよ。これが正しいんですよ。これで食料自給率五〇%を目指しますというのは、これは間違いですから、言い方として。ちょっと意地悪な言い方かもしれませんけれども、私はそういうふうに思います。

 次に、六ページ。株式会社農林漁業成長産業化支援機構法案、いわゆるファンド法ですね。これを御党でもどれほど御議論されたか、私は甚だ疑問なんですが、私たちは、宮腰先生、保利先生、伊東先生も今村先生もメンバーに入っておりますけれども、限られた人数ですけれども、もう十数回、長いときは二時間以上、議論してきました。いわゆる先進的な農業をやっている人、そうした人たちも呼んで、やってまいりました。そして、平場の議論も、もう一回やってきました。

 我が党内でも、これはいいねと言う人もいます。経産省出身の人とか、いろいろな人たち。しかし、私はどうしても、泥臭い人間ですから、土で生きる、農地を守る、そこに生きて、そこに張りついて頑張っている人間を応援するというのが農政の基本理念であれば、この投資的な理念、考え方というのは、どうもまだしっくりこないんですよ。そして、農林省のお役人が私のところに説明に来て何と言うかというと、投資ですからと、農家の方々にも当然リスクはとっていただきますと。投資というものは、あとは相手さん任せですよね。その後、ファンドが成功すればいいけれども、成功しなかったらどうするのか。

 この議論をしたら長くなりますので、この法案が出てきたときにがっつり議論させていただきたいと思います。我が党もさらに、平場の議論も含めて、この議論を深めてまいります。ですから、出席の委員の先生方も、ほかの党の先生方も、これはまさに一ページであった、本当に大転換ですよ、農地法の改正ぐらいの大きな大転換の法案だと私は思っているんです、ですから、このことについてはしっかり時間をとって議論をしていただきますようにお願いしたいと思います。きょうは答弁は求めませんので、よろしくお願いいたします。

 次に、四ページ。「再生可能エネルギーの導入促進など具体的施策を五年間で集中展開する」というふうにあります。そして、六ページには、農山漁村における再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律案の速やかな御審議をお願いいたしますというふうにおっしゃっておられます。

 宮崎県は、ペレットをつくっています。森林組合がペレットをつくって、これを長崎県にある電源開発の松島火力発電所に出して利用していただいている。そして、宮崎県は、御存じのように、全国一の杉生産県、そして一斉に伐期を迎えているわけですよ、拡大造林でやっていますから。だから、急いで、間伐もしなきゃいけないし、伐採もしなきゃいけない。長伐期なんという理念はだめですよ、また改めてやりますけれども。ですから、このペレットにも一つの活路を見出したいというふうに我々は思っております。

 そしてまた、宮崎市の大淀川の左岸土地改良区は、ダムからの水を利用しまして発電をしております。これを九州電力に現在供給しております。土地改良区が発電をしていることですね。こういう例は全国にたくさんあるじゃありませんか。

 ここで私が一つ問題だなと思うのは、再生エネルギー買い取り法、私は今環境の方をやっていると言いましたけれども、これにずっとかかわってきたんですが、七月一日からですね。にもかかわらず、これは経産マターなのはわかって聞いていますから、済みません、申しわけないんですけれども、所信に書いてあるから聞いているんですからね。七月一日からこの買い取り法が始まるというのに、一部の施設は、つくってからきょうまで運転した期間はこの二十年からは削除すると。二十年間は買い取りを約束していますね。例えば、十年も先に稼働した分は十年分しか約束しないよと。ましてや、二十年を超えて稼働している分については頭から対象にしないんじゃないかと。これはまだ決まっていないからわかりませんが、そういうような話が仄聞されるわけでございます。

 農水省として、閣内、大臣同士、まだ日が浅いのでなかなか難しいかもしれませんが、これは大事な問題です。七月一日ですからね。もう日にちがありませんので、どのような状況なのか、大臣、御答弁をお願いします。

郡司国務大臣 七月一日から、そして厳密に言えば、三月三十一日まで。しかし、このことについては、少なくとも何年かやろうというような話がまとまっているというのは、これは御存じのことだというふうに思っております。

 そして、これまでのところはどうするんだというと、これはまだ結論が出ておりません。経産省の中でこれから議論をするというようなところが残っているわけであります。ただ、お尋ねの、関係の閣僚の会合その他でこの問題が出されたかというと、私が就任してからはまだそうした機会がございません。

 今後、今のような考え方、私どもの省としても大事にしなければいけない、そのように思っているところでございます。

江藤委員 ありがとうございます。

 とても大事なことです。これから小水力発電というものを農政の中にはどんどん取り入れていかなきゃなりません。だけれども、先行していた人間がばかを見るというのでは、これは割に合わない話でありますから、先んじて頑張っていた人たちもきちっとこの買い取り法によって適正な価格で電力は買い取っていただけるということに御尽力いただくことを改めてお願いしておきたいと思います。

 それでは、五ページ。「農地の集積を進めるための規模拡大加算や農地集積協力金、」長いですからあとは省略させていただきます、と述べておられますね。

 しかし、政権交代直後に何が起こったかということをもう一回思い出していただきたいと思います。平成二十一年度補正予算、執行停止をいたしました。この農林水産省の予算も、補正予算でせっかく我々一兆三百二億円つけておりましたけれども、農林水産省が国庫に一番お金を返納いたしました。四六%に当たる四千七百六十三億円を返してしまいました。そして、九十四事業あった中の、一部執行停止を含めれば、何と五十九事業ができなくなってしまった。途中でとまってしまったわけです。

 実は、このとまってしまった事業の中に農地集積加速化事業も含まれているんですよ。それなのに、今年度予算でだめ出しをしたはずの農地集積協力金として六十五億円を計上している。やはり農地集積は必要だということにようやく気がつかれたということだと思いますけれども。

 大臣、私見でも結構です。なかなか私見というのは難しいかもしれませんが、補正予算でこれを切ったのは間違いだったというふうにお感じになりませんか。

郡司国務大臣 政権交代があった秋にそのことが行われました。私もかかわっていた本人でございますから、若干お話をさせていただきますと、三千億円という予算でございました。

 これは江藤委員も御存じだと思いますけれども、それまでの三十数年間で時の政権が積み重ねてきたその関係の予算というのが、そのときの三千億と同じ約三千億というのを三十数年間でそれまで使ってまいりました。その結果、集積をした面積というのがとりあえず三十万ヘクタールということで、そのときにはカウントされておりましたけれども、ピーク時の六百八万ヘクタールというのが我が国の最大の耕地面積でございました。今現在、大体四百六十万ぐらいでございますけれども、さらに加えて、六百八万のときには、利用率が百三十数%、今現在は九三%というようなことで、この関係というのは非常に難しい関係にある。

 私どもは、一旦そこをもう一度見直すという機会をつくろう、そして、そのときには、出し手と受け手という関係からいえば、一方の形の中での三千億ということでございましたので、その辺の見直しを行っていこう、適正な形というものがどのようになるんだろうか、まさに先ほど来申し上げております高齢化の時間軸の問題もございまして、改めて私ども今回のような形で提出をさせていただいたということで、これはまた大いに議論をさせていただければというふうに思っております。

江藤委員 この議論をすると、またこれで一時間ぐらいかかってしまいますので、きょうのところはこれぐらいにしておきますけれども。

 ただ、地域の特性を生かした農産物の生産が定着しつつあったんですよ。平成二十一年、私、最後、政務官を佐々木さんにお譲りいたしましたけれども、そのとき。それで、農地もだんだん集積をされて、参議院の野村先生からさんざんお話を伺っていらっしゃるでしょう。農地が集積して、カボチャをつくったけれども、戸別所得補償でお金をくれるんだったら土地を返してくれと貸し剥がしが起こって、せっかく団地化されたのにそれがだめになったという話を野村先生から随分お聞きになったんじゃないですか。そういう事実が起こってしまったんですよ。それで、慌てて三年目になってこういうことをやってしまった。

 私は、決して正しい政治判断だったとはやはり思いません。昔の話で、一三〇%だったという話をしても、それはちょっと数字で私を言いくるめようとしているとしか思えません。そういう統計は、私もちゃんと手元に持っておりますから。

 次に、五ページです。「農地の大区画化等の農業生産基盤の整備」というふうにあります。

 本委員会でも私は繰り返し言っていますので、簡略に言いますけれども、自公時代、平成二十一年度の農業農村整備事業の当初予算は五千七百七十二億円でした。政権交代後、二十二年、二十三年、そしてことし、当初予算の予算は、なぜか判で押したように同じ数字、二千百二十九億円。数字で見れば、六三・一%減っているということであります。

 大臣は、所信の中で、農地の大区画化等の農業生産基盤の整備を初め、きちっとやるのだ、農業の足腰を強くするのだということを高らかに述べられたわけでありますけれども、このような予算の状況で、大臣のお考えが実現できるというふうにお考えになっていらっしゃいますか。お願いします。

佐々木副大臣 その点については、江藤議員初め皆さん方から何度か御指摘をいただいてございます。

 いわゆる公共的な事業、あるいはハード、基盤的な事業というものが額でいろいろ比較をされるんですが、実際には、強い農業づくり交付金とか、あるいはまた一括交付金とかいろいろな形で、実質的には、それらの事業も、今まで取り組んできたような事業もできるような部分もつくってございます。だから、昔のように、一本で全部を計上するというような形ではなくなっているということでございます。

 そのことなども含めて、都道府県とそれから国と市町村とがそれぞれの事業を使い分けるというようなことも含めて、これからも基盤の整備は必要でございますから、そういった意味で、連携した事業にしていく必要があるというふうに思ってございます。

江藤委員 何度もこの質疑はしていますから。今、くしくも副大臣の方から強い農業づくり交付金の話が出ましたので、では、この話をします。

 このことも、五ページの「地域の実情に応じた的確な取組が円滑に進むよう取り組んでまいります。」、このために必要な金なんですよ。今、副大臣もそうおっしゃいましたね、それぞれがメニューを選んで、それぞれの地域の特性に合わせてやるんだと。

 ところが、これを大幅に我々は増額しなきゃいけないということを、二十四年度の予算要求の組み替え、詳細の図を出しました。私もPTのメンバーでやった人間ですから。これを五百億円、強い農業づくり交付金で求めました。私はそうすることの方がいいと思いますよ。

 実際、ではどうなっているのかというと、平成十七年に四百七十億円の当初予算で始まったものが、今年度の当初予算ではわずか二十一億円じゃないですか。前の年でも三十一億円でしょう。前の年からさらに十億円減っちゃったって、どういうことですか。

 このことを強力に推進しようという意欲を持っている政府が、金額ベースだけで見ているのはおかしいというような御指摘も先ほどされましたけれども、しかし、先生の御地元でも北海道でも、暗渠排水をやったところは大雨でも野菜はやられなかった、だけれども、まだ基盤整備が進んでいないところは野菜が全滅した、そういう悲惨な声を副大臣も政務官も聞かれていらっしゃるでしょう。

 ですから、ここをこういう予算の立て方をするというのは、やはり余りにもこの戸別所得補償に金を持っていかれ過ぎて、本来やるべきところに回す金がなくなっちゃっているんですよ。しかも、さらに言えば、農林水産省で使える総額の予算全体も減っちゃっているじゃないですか。

 大臣、大臣がいかに農政の、私以上のエキスパートであるかということはよく存じ上げております。副大臣も政務官もそうです。ですから、ぜひこのことについてはよくよくお考えをいただきたいと思います。何かおっしゃりたいことがあれば、今度は大臣からお願いします。

郡司国務大臣 予算としてできればもう少しふやしたいものだなというところが毎年の中で出てくることも事実でございます。全体の予算を今後どうするかというような議論はまた別なところでもされているようでありますから、そのことには言及をいたしませんけれども、しかしながら、昨年は、結果として大震災の関連をする補正等もございまして、今の二十一億円だけではなくて、それ以外の、同じような使い勝手のいい内容のものが補正の方でもつくられたということもまた事実でございます。

 しかしながら、予算全体から見れば徐々に縮減をしてきている、これでこれから本当に元気な農業になるかということについては、また皆様方の御意見、そして議論をしながら私どもも考えていきたいというふうに思っております。

江藤委員 大臣が言われたとおりなんですね。四次補正で二百四十五億円つきました。ですから、皆さん方としては、総額で見てほしいというふうにおっしゃりたいと思います。

 だけれども、東日本関連であったということと、やはり地方自治体は、基礎的自治体も県も当初予算を見るわけですよ。国がどっちの方を向いているのかというのは、当初予算を見るわけですよ。当初予算が減額になれば、このことについてはやる気がないんだなと。裏負担が生じますからね、当然のことながら。ですから、当初予算でやはりきちっと立てないと、なかなか地方と足並みがそろいませんよ、副大臣。地方と一緒になってやっていきたいということもおっしゃいましたけれども。

 このことは、これ以上やっても、もう時間が大分たちましたので、きょうはこれぐらいにさせていただきたいと思います。

 続きまして、七ページのTPPについて、伊東先生が後ほど詳細にわたって御質問をしていただけるようですから、私からは余り大きいことは言いませんが、さっき言いました、これを読んで、がっかりしました、正直言って。もうちょっと頑張ってほしかったですね。大臣所信ですから。政治家になって、大臣になって、そして所信を委員会で述べる。そこで自分の進むべき方向、姿勢を示す。この所信はもっと私は大事にしてほしかったなというふうに思います。

 文章を読んでみますと、いろいろありますけれども、ちょっと鹿野大臣と違うところというと、「関係国との協議を進めるとの方針を決めたところであります。」と鹿野大臣はおっしゃったんです、前大臣は。ここを、「関係国との協議を進めるとの方針に基づき、」と、ちょこっと変わりました。決めたからそれに基づいているということですね。全く鹿野大臣のときと、一歩の前進も見られないということであります。

 参考までに申し上げます。大臣は聞いたことがないんでしょうけれども、私がいつも尊敬申し上げている島村宜伸先生、郵政民営化法案のときの大臣でした、だけれども、小泉純一郎総理大臣に、こんなの間違っている、俺は署名しないぞと言って、島村先生は閣僚を首になりました。更迭されてしまいました。それでもその信念を曲げなかった。非常に尊敬すべきその姿を、背中を追っていきたいというふうに私は個人的に思っております。

 最近、テレビなんかを見ていると、随分橋下さんの人気がいいじゃないですか。それから、石原都知事の人気が高い。どうしてかなと思うと、やはり頑固一徹やり抜くという姿勢が国民の閉塞感を、この人なら何かやってくれるんじゃないかということでありますので、大臣、大臣になったからこうなっちゃったは、勘弁してくださいよ。今、もうこれ以上、あなたは職をかけてこの問題に立ち向かいますかみたいなことを、決意表明をあえて求めません。お三人とも、しようかなと思っておったんだけれども、しません。ただ、懐にそういう覚悟をきっちり持って、農林水産行政のトップとして、大臣も副大臣も、そして政務官も、今後、この問題については取り組んでいっていただきたいと思います。

 先ほど、外務副大臣の話を聞いておりましたけれども、わけがわかりません。情報開示も全然していないくせに、よくも長々としゃべるものだなと、帰っちゃったから言うわけじゃないですけれども。本当に、これは日米構造協議の延長なんかじゃありませんから、全く別の話ですから。そこら辺の誤解がないように、くれぐれもよろしくお願いをしたいと思います。

 次に、林業の問題について、八ページをちょっと。

 来週、国有林野関連四法案の質疑がありますね。まだ決まっていませんけれども、あるんですよ。また私が質問いたしますので。筆頭、済みません、来週やるでしょう。そのときにやらせてもらいますので、そのときにちょっと林業問題については詰めた質問をさせていただきたいと思います。この四法案については我々も賛成の立場ですから、時間が余りますので、やらせていただきたいと思います。

 ただ、一つだけ指摘させていただきますが、八ページ、「公共建築物等への地域材の利用拡大、」というふうにありますね。とても大事なことです。とても大事なこと。ところが、森林整備加速化・林業再生事業がまた復活をしたわけであります、継続という形になったわけでありますけれども、なぜか、我々の時代にあった公共建築物というものがメニューから外れているんですよ。目的が、いわゆる東日本大震災への木材の供給を円滑化させるためだと。

 自民党のときは、目的が若干違っておりまして、使い勝手はそれぞれ基金にして県に任せました。間伐したい人は間伐したらいい、植林したい人はしたらいい、作業道をつくりたい人はそうしたらいい。使い勝手がよかったんですけれども。この間、北海道えりも町へ行ってきました。そこでも、新しい再生事業について、加速化事業について意見が出たわけですが、北海道の人たちも使い勝手が悪いと言っていますよ。あんな条件のいいところでさえ、私のような、急峻な山じゃないところでさえもそう言っていますから、これはもうやってしまいましたけれども、これの是非についてはぜひ政府内で議論が必要だろうというふうに私は思っております。

 ちょっと御答弁を求めると時間が足りませんので、先に進ませていただきます。

 では、漁業についてやらせていただきます。漁業の一発目は、時間がないので、飛ばさせていただきます。

 現在の燃油高騰対策は、いわゆる漁業者と国が一対一でやっている。これは私はいいと思いますよ。よいものはよいのであります。よいと思います。

 これがスタートしたときは平成二十年度、最初の加入率は四〇%を目指そうということでこれが始まりました。ところが、これは、ただ、全部燃油対策ではなくて、配合飼料分も含めて十九億五千五百万円ですから。やってみたら、加入率が三割にしかならなかった。そうしたら、次の二十三年度になってしまったら、予算が何と半分以下の八億一千七百万円にいきなり切られた。財務からけちをつけられたら、一言も反論できないのかなというふうに思いますよ。

 いい事業がスタートして、加入率が低かったら、どうして加入してもらえなかったのかということを、事業の検証をして、現場でフィードバックをして、そして事業加入促進を一生懸命やって、次年度も予算の規模を確保する、それぐらいの思い入れがないとだめだと私は思いますよ。

 そして平成二十三年度、どうなっているかというと、今、加入率がやっと六割弱、五八%まで上がってきました。結構なことでございます。

 私の指摘を踏まえて、この加入率が上がってきたことについて、大臣から御所見、コメントをいただきたいと思います。

仲野大臣政務官 お答えいたします。

 今、江藤委員から、大変この事業はいい事業であるという評価をいただきました。その江藤委員の御指導もいただきながら、漁業者の負担軽減のため、積立単価の選択制や分割払いを導入することによって、漁業者おのおの、経営に応じた積み立てが可能となるように運用改善を行ってきておりますし、今後とも、燃油価格の動向を注視しつつ、本事業が漁業経営の安定を支える基盤として、前向きにしっかりと、また江藤委員の御指導をいただきながら対処してまいる所存でございます。

江藤委員 確かに、運用の面で改善していただくことはとても大事なことです。

 我が宮崎県は非常に加入率が高いんですよ。これはとてもよいことなんですね。地元でいいことだから、いいことなんですよ。ただ、どうしてよくなったかということだけ御紹介をしておきます。

 入りたい人はたくさんいたんです。でも、手持ちに加入するだけのお金の準備がないから、一対一の掛け率であっても入れないという人がたくさんいたんですよ。三年間の無事戻しがあっても入れない人がいっぱいいたんです。そこで何を宮崎県ではやったかというと、宮崎の信漁連と県が二億五千万円ずつ出して、漁業者に、無利子、無期限、お金を貸しましょう、だから入ってくださいと。そういうことであれば漁民の皆さん方はリスクがないので、それなら入ろうということで一斉に加入率が上がったんですよ。

 ですから、こういったことを、やはり現場に目を向けてください。どうして五八%まで上がったのか。もちろん、運用の改善をした部分も評価をします。しかし、各都道府県ではきっと私の地元と同じような工夫をしているはずですよ。ぜひこれを支援することを考えてほしい。

 これは総務省マターだということを承知の上で申し上げますけれども、例えば、こういう基金を組むときに、県が二億五千万、県債を発行して、そして次年度は総務省が面倒を見ますよというようなことにすれば、このセーフティーネットはもっともっと加入率は上がりますよ。ぜひ、内閣の中で総務大臣とも御検討いただいて、この制度が漁業者の経営安定につながるように御努力いただきたいと思います。時間が来ましたけれども、コメントをいただけますか。

郡司国務大臣 いろいろな要因があって上がったという中で、一つの事例として紹介をされました。

 私どもも、もう少し事例をたくさん調べまして、何によってそういう効果が上がったのか、その検証をしっかりさせていただきたいというふうに思います。

江藤委員 それでは、これで終わります。ありがとうございました。

吉田委員長 次に、小里泰弘君。

小里委員 自由民主党の小里泰弘でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 本日は、対中国ビジネス、そしていわゆるスパイ疑惑についてただしてまいります。

 自民党政権時代から、農産物の対中国輸出は最重要課題として位置づけてまいりました。しかしながら、なかなかうまくいかない。その最大のネックは、中国における口蹄疫やBSEに起因する輸入禁止措置、そして検疫措置であります。その結果、牛肉、鳥肉、乳製品等の中国向けの輸出はほとんど禁止をされまして、生鮮農作物でも、輸出をされているのはリンゴと梨、そしてわずかな、まさに薫蒸済みの米ぐらいであります。

 この検疫や輸入禁止措置において特別措置を受けられるというふれ込みで勧誘を行ったことが今回の事件のまさに核心部分であると思いますが、大臣、そのような認識がありますか。

郡司国務大臣 中国との輸出入というのは大変難しい側面を持っているというようなことも認識をした上で、今お話がありました、その国が、例えば中国以外の国ではなかなかない薫蒸というものを求めている、そのことをやはりしっかりと事務的にも積み上げていく、こういうことが少し、問題を今回起こしたことの原因だなというふうには思っているところでございます。

小里委員 冒頭申し忘れておりました。大臣、副大臣、それぞれ御就任おめでとうございます。

 非常に難事の多い環境下でのお務めであります。特にTPP等、大変な大臣の働きが期待をされるところでありまして、心から期待をしておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 さて、予算委員会で明らかになりましたように、中国の検疫当局が再三にわたり、薫蒸なし等の特別措置を却下してまいりました。一貫して却下をしてきたにもかかわらず、二月二十五日、第一陣とされる粉ミルクあるいは米、日本酒が輸出をされました。ところが、中国の検疫当局、まさに検疫の元締めである質検総局からこの輸出について抗議を受けまして、最終的には廃棄処分になったのであります。なぜ廃棄処分になったのか、その理由をお答えください。

佐々木副大臣 激励をいただきまして、ありがとうございます。

 この課題、少し入り組んだ話でありますので、できるだけ正確にお答えをさせていただきたいというふうに思います。

 今御指摘いただきましたように、輸出検査については、原則として輸入国側からの伝染病の侵入防止のための求めに応じて実施するということにされており、中国の場合には薫蒸等の検査証明というものが求められているところであります。

 それで、今御質問がございました、本年二月に展示会用として中国に輸出された米でありますが、昨年の十二月に中国質検総局から展示会用であっても検疫が必要との見解が示されていたというのは、今御指摘をいただいたとおり事実でございます。でありますが、税関に当該荷口が持ち込まれて輸出申請が行われた際、在京中国大使館から、当該荷口について責任を持って受け入れる旨の確認の書簡が発出されたということで、薫蒸等の検査証明を求めなかったということでございます。

 その書簡についてでありますが、在日中国大使館の一等書記官名ではあるものの……(小里委員「経緯を聞いたんじゃないです。廃棄処分の理由だけまず答えてください」と呼ぶ)はい。経過と絡むものですから、では、経過を少しはしょります。この米については個別特定の取り扱いということにして、日本側としてはそう考えていたわけでありますが、先ほど申し上げました質検総局の方からは、四月十九日に返還手続という公電が入り、そして五月二十五日には廃棄処分をしましたという公電が日本側に入ったという、途中を少しはしょりましたけれども、事実的にはそういうことでございます。(小里委員「いや、だから、廃棄処分の理由を聞いているんですよ」と呼ぶ)それはわかりません。向こうの方から一方的に公電が入ったということであります。

 未薫蒸のものであるということで、廃棄処分という連絡があったということでございます。

小里委員 冒頭から恐縮ですが、質問に対して的確に答えてください。今あった経緯については、これからそれぞれのポイントをただしてまいりますから。

 廃棄処分の理由をお伺いしておるんです。薫蒸なしの米であったということだけですか。証明書類はどうですか。

佐々木副大臣 原因は、原産地証明書と検疫証明書の未提出、そして未薫蒸ということでございます。

小里委員 証明書類が不備であった、そしてまさに薫蒸なしの米であったという理由で廃棄処分になったわけであります。

 では、なぜ、こういった証明書類が不備である、そして薫蒸なしの米であるということをわかっていながら当局は輸出を承認したんでしょうか。

佐々木副大臣 お答えさせていただきます。

 先ほど申し上げましたように、在京の中国大使館から、責任を持って受け入れる旨の確認の書簡が提出されたということで、薫蒸の検査証明書を求めなかったということでございます。

 この書簡の内容でありますが、個別特定の荷口の扱いであることや、中国側の実際の通関や検疫を担当する北京海関、北京検疫の了解を得ているとの内容であったというようなことから、現場の実際の検疫機関を飛び越えて、中央の質検総局まで確認するという対応を行うことなく、よって薫蒸等の検査証明を求めなかったというものでございます。

小里委員 要するに、その文書は李春光が出した文書ですね。

佐々木副大臣 はい、そういうことであります。

小里委員 一貫して検疫当局が却下をしてきた。にもかかわらず輸出を強行した。その唯一のよりどころが、スパイと目される李春光の文書であったということであります。

 この文書の中で、展示会に出品される米等の受け入れについては、農発食品が通関当局であります北京海関及び北京検疫と協議して了解を得ており、責任を持って受け入れるのでお送りくださいというものでありました。これを頼りにして送ったんだという、まさに今の答弁でありました。

 質検総局というのはまさに検疫の大元締めであります。そこの了解を得ていない。一方で、北京検疫が了承したと今の答弁でありました。了承したといっても、これはただ単に、この李春光文書なるものに書いてあるだけの話であります。確認をしたんでしょうか。もともと、北京検疫の上部組織が質検総局であります。そこの了解を得ていない。

 あるいは、個別特定の荷口である、特別の取り扱いだったと理解をしたという答弁であります。質検総局は、展示品であっても検疫が必要だと、この特別管轄の申し入れをきっぱりと却下してきたわけであります。まさに、個別特定のものであっても特別扱いはしないと質検総局から言われていたわけですよ。

 たかだか一等書記官の文書、これを信じた。今まで長年かかって崩せなかった検疫の壁でありますが、たかだか一等書記官、それもスパイもどきの人間の文書でもってこれを越えられる、崩せると思ったんですか。

佐々木副大臣 当時の判断としては、個別特定の荷口の取り扱いという判断をさせていただいて、先ほど委員からも御指摘がありました、海関あるいは検疫の了解を得ているという、そのことを信用したということでございます。

小里委員 予算委員会の答弁で、この文書は通常の書式をとったものではない、一等書記官の名義であるということを認めております。怪しいと思ったはずですよ。そして、この文書の正当性というものを確認したんでしょうか。

佐々木副大臣 当時の判断としては、一等書記官の自筆のサインがあるということで、事務方がそのように判断をしたということでございます。

小里委員 本当にでたらめな話であります。

 では、この文書は誰から誰に交付されたのか。そして、この文書の存在を、農水省当局はどの時点で、どのように確認をしたんですか。

佐々木副大臣 経過でございますので、正確にお伝えをしなければならないというふうに思います。

 本年の二月二十四日、成田税関に当該荷口の輸出申請がなされ、その際、米の取り扱い等を確認するということで、農林水産省に連絡がなされてございます。

 この連絡情報を受けて、事務方としては、当該荷口がどのようなものであるかを確認するとともに、当該荷口の輸出に当たっては、例えば米は薫蒸の検査証明が必要等の旨を筒井副大臣に説明をしてございます。

 筒井副大臣からは事務方に対し、当該荷口について、実際の通関、検疫を担当する北京海関、北京検疫の了承を得ているとの情報提供がなされました。

 これに対して、事務方としては、当該荷口について、中国側の了承が得られているとしても、その旨中国側の文書による確認が必要と説明をいたしました。

 以上の経緯の後、事務方と筒井副大臣との間で文書の提出タイミング等についてやりとりをした上で、同日中に本件書簡が筒井副大臣から事務方に手渡されたという経過でございます。

小里委員 まず、情報提供は、その根拠は李春光であったということであります。そして、その李春光なる者の文書は、要するに、筒井副大臣から手渡されたという今の答弁だったですね。

 ということは、通常のルートを経ずに、いつの間にかその外交文書なるものが副大臣の手元にあったということであります。まさにこの文書は筒井副大臣と李春光なる者が結託をしてつくったと疑われても仕方ない今の答弁ではないですか。怪しいと思いながら、副大臣に言われて仕方なく送ったというのが真相じゃないんですか。

佐々木副大臣 先ほど来申し上げておりますように、この場合、一般の取り扱いではなくて、個別特定の取り扱いということで、一等書記官の直筆の署名があったということでそのように取り計らったものというふうに伺ってございます。

小里委員 何の説明にもなっていないんですよ。

 だから、個別の話だとか特別の話だからいいんだと思ったという話だけれども、質検総局は、今回のこの荷物を指して、これを却下しているわけですよ、許していないんですよ。まさにこの質検総局から、個別特定のものであっても特別扱いしないという旨の決定を受けているわけじゃないですか。これはまた、この後ただしてまいりますが。

 そこで、今回の事件には農業団体も巻き込まれて、大変迷惑をこうむっております。

 くだんの協議会、農林水産物等中国輸出促進協議会は、農業団体、地方団体なども幅広く入ったオール・ジャパン的なものであるというふれ込みでありましたが、実態は極めて私的な協議会でありました。

 前回の当委員会で私が全農はこの協議会に入っているのかとただしましたところ、筒井副大臣は、全農は中農集団を二回ほど訪れて、参加したいとの意向を示したようだとの答弁でありました。ところが、全農側は、中農集団を訪問したことも参加の意思を伝えたこともないと言明をしております。まさに虚偽答弁ではないですか。

郡司国務大臣 前回、筒井副大臣がそのようにお答えをしたということでございますけれども、中農集団そのものではなくて、全農が伺ったのは、中農集団のもとにつくられました農発食品というところに伺ったんだというようなことで、全農の方がおっしゃっているということをお聞きしております。

 食い違いが出ているということで、このことに関しましては、今のところ、全農が言っていることの方が正しいのかなというふうに私も理解をしております。

小里委員 今の大臣の答弁をもってしても若干の誤りがあります。全農のために訂正を申し上げておきます。

 本年二十四年の三月、全農の北京事務所の職員が工事中の展示館を訪問しました。そこに中農集団の子会社である農発食品の東京代表の関氏がおりまして、この関氏にたまたま会いまして、儀礼的に名刺交換をしたというだけであります。決して参加するとか展示するとかいった言葉は発していないということであります。よろしいですか。

郡司国務大臣 先ほど委員からありましたように、中農集団ではないということを申し上げましたけれども、その中でさらに、全農の方から先ほど言ったような話があったということについても、全農が否定をしているということについて承知をいたしております。

小里委員 筒井副大臣は、再三、全農に協議会に入るように勧誘を行っております。しかしながら、当初から全農はこの協議会に極めて懐疑的でありました。

 本来、全農は、中国の商務部管轄の国営企業であるCOFCO、ここを正規の受け手として、正規の窓口として対中国輸出を行っております。そこに、検疫の特別措置をうたいながらこっちの方が甘いよと言われても、本当に困ってしまうわけであります。あれほど厳しかった検疫が急になくなったと言われても、本当なのということになるわけであります。従来のCOFCOとの信義則にもかかわる問題でありまして、また、民間対民間の話にここまで官が干渉することに違和感を覚えたとも言っているわけであります。大臣、いかがですか。

郡司国務大臣 最後のところの話を含めて、ちょっとそこまでの話は、私どもも、全農から詳しくお聞きをしたというような記録を見ておりません。何とも言えませんけれども、そのような発言があったとすれば、私どもの方でも再度、全農の方に確かめてみたいというふうに思っております。

小里委員 平成二十三年の九月には、全農は筒井副大臣室に呼ばれております。田中氏も同席をしまして、協議会の話を聞いて、そして特別措置の話も聞いております。全農は、COFCOのアンダーであれば、COFCOのもとであれば検討しますがという話をいたしました。その一週間後に、議員会館に筒井氏を改めて全農は訪ねまして、ここでも田中氏同席の中で断っております。副大臣が特定の民間の協議会に入るようにここまで勧誘をするという、この経緯は妥当なものでありますか。大臣、お答えください。

郡司国務大臣 大変恐縮でございます。そのことについても、今、私どもで確認をするところまで至っておりません。今後、調査をしている範囲をさらに広げなければいけないのかなというふうな思いをしておりましたけれども、改めて調査をさせていただきたいと思います。

小里委員 全農は、本年四月、COFCO向けに十四トンの米を輸出しております。まさに協議会の話もどこ吹く風であります。これは確認をしておりますね。

郡司国務大臣 これまでの間に、少ない量をそれぞれが頑張ってやっている中で、全農がそのようなことをしているということはお聞きをしております。

小里委員 申し上げてまいりましたように、従来、中国向けの農産物輸出の受け皿としては、COFCOというれっきとした受け皿があります。

 中農集団と比較をしますと、まず、COFCOは歴史が古い。農産物の輸出入を主体とする、商務部系列の中国最大の穀物商社であります。片や、中農集団は歴史も浅い、まだ十年ぐらいですかね。水産物をもともと主な対象としておりまして、総資産もCOFCOの八分の一。そして、農業部系列のために、本来は中国の国内農業を保護する立場であります。貿易促進を旨とするCOFCOとは立ち位置も異なるし、筋違いだと思いますが、大臣、いかがですか。

郡司国務大臣 それぞれの設立あるいは規模等についてお話をいただきましたことは、そのとおりの概要であるなというふうに思っております。

 私どもとしましても、これまでいろいろな国と輸出を拡大していこうという取り組みを積極的に、前向きにというような思いがある中で、このようなことにそれぞれの窓口をふやしていこうというようなことに至ったというふうには理解をしておりますけれども、今御指摘がありましたことも踏まえて、改めてこちらの側として、これまでの経過について検証をしていきたい、そのように思っております。

小里委員 この農林水産物等中国輸出促進協議会なるものは、実態は、サプリメント業界を中心とする、田中さんの知り合い企業の一集まりともいうべきものでありました。

 これに対して、従来、農林水産物等輸出促進全国協議会という正規の協議会があります。まさに農林水産物、食品の輸出を促進するために、平成十七年に設立をされております。

 メンバーを見ると、全農を初め農業関係団体、あるいは経団連とか経済団体、さらに流通、外食・食文化、観光関係、そして全国四十七都道府県知事もこれに入るという、まさに堂々たる布陣、オール・ジャパンの協議会であります。その協議会は、まさに検疫協議の加速化、そして商談機会の提供などを主な活動としてまいったところであります。

 このような公明正大な協議会がありながら、なぜ一方であんないかがわしい協議会をつくったんだと思いますか。(発言する者あり)

郡司国務大臣 設立の考え方その他については、つまり、先ほど言いましたように、全世界に向けました協議会というよりも、やはり中国というところに特化をした、そういう事業の展開ということを今後の日本のあり方として目指していったんだろう、このようには思っております。そして、全国協議会そのものが、この間、年に一回、しかし昨年は震災等があって開かれなかったということでありますけれども、六回それが続いてきた、そのことも理解をしておりますけれども、今回の場合には、やはり特化をした国に対する働きかけということであったのかなというふうに思っております。

小里委員 今、大臣から説明がありましたように、この正規の協議会は去年は総会を開いていないんですね。そして、震災があったからという今の説明でありました。

 まさに震災があったから、みんなが対外輸出について心配をしておるわけです。だからこそ、この正規の協議会が稼働すべきであった。むしろ、以前にも増して方針を出して活動を展開すべきであったと思いますが、どうでしょうか。そして、この正規の協議会は、まさにこの間、活動を停止していたのでしょうか。

郡司国務大臣 正規のといいますか、もともとありました全国協議会、これは先ほど言いました原発事故等も絡んで昨年は行いませんでしたけれども、しかし、事務局から、規制緩和にかかわる情報でありますとか、そうしたことについては会員のところに情報を送っていたということでありますから、活動そのものはきちんと行われていた、そのように思っております。

小里委員 きちんと活動が行われていたという今の大臣の答弁、本当に私は残念に思います。

 総会を開いて、その年度の活動方針を示すんでしょう。それに基づいて活動すべきものが、総会がなかった。したがって、どんな活動を行っているのかわからないはずですよね。ただ単に農水省の事務局が形ばかりの情報を発信していた、そんなふうにしか思えないわけであります。

 それと、やはり、くだんの協議会の正当性、相変わらず正当化するようなことをおっしゃいますが、残念です。当事者としての前の大臣の答弁を繰り返される、そんな郡司大臣ではないんじゃないか、そのように期待をしております。もっとしっかりと素直に答弁をいただきたいと思います。

 もう一度お伺いします。筋違いの中農集団、そして私的ないかがわしい協議会、正規のルートがありながら、どうしてこんなルートを新たにつくってこのビジネスを進めようとしたのか。もう一度お伺いをいたします。

郡司国務大臣 前大臣からこのことに関して、全てではございませんけれども、調査をするようにというチームがありまして、その中で調査をしておりました範囲というものは、後ほど触れられるのかもしれませんけれども、機密性の文書の流出、漏えいがあったかというようなところが中心だったというふうに聞いておりまして、私もその観点から調査をしている。しかし、それ以外の御指摘を予算委員会等でも受けておりまして、なかなか、そのことだけではないかもしれない。

 したがって、その調査の範囲を広げて、全容を私どもとしてもしっかりつかむ必要があるだろうというふうに思っておりますので、今いただいたことも含めて、私どもとしてもできる限りのことをやっていく、そのつもりでおるところでございます。

小里委員 先ほど周辺の議員からも発言がありますように、まさにこの新たなルートは商売のためではなかったかな、そう疑われているのであります。入会金や会費を取って、商標使用料として、マージンとして輸出額の一%を取るという。二〇一六年には年間五千億円の輸出を目標としていたそうでありますから、年間五十億円がこの周辺に入る仕組みになっております。まさに巨大な利権ビジネスではないのでしょうか。

 大臣、副大臣の肩書を濫用して企業、団体を勧誘して、中国の一企業とビジネスを進めた、その責任は強く追及をされないといけない、そのように思いますが、いかがですか。

郡司国務大臣 繰り返して恐縮でございますけれども、今御指摘がありましたことも含めて再度検証をしたいなというふうに思っております。

 五千億という目標があった、そして、だとすれば五十億円の手数料というものが入るということもあったようでございますけれども、何というんでしょうか、目標を大きく掲げて、そこに向かって努力をするということ自体はいろいろなところであるのかもしれません。しかし、それが全国協議会の持っていた精神と、その後のところについて、経済活動という部分が違うのではないか、こういう御指摘でございますので、その点も今改めて感じさせていただきましたので、検証したいというふうに思っております。

小里委員 従来の文書の漏えいに限らず、このビジネスの仕組みをしっかり調査する。今の表明にありましたから、しっかり頼みたいと思います。

 BSEの発生のときには、まさに武部大臣のときでありますが、第三者委員会を設置して調査を進めました。そのような考えはありますか。

郡司国務大臣 はい、そのこともこれから考えていきたいと思います。とりあえず、前大臣のときに与えた、そのことだけは一旦返してもらうようにします。そしてその後、私どもも含めた判断で、今の第三者というものがどういう形をとれば一番公平にできるのか、検討させていただきたいと思います。

小里委員 これは絶対にお願いしたいと思います。

 そこで、従来、米の輸出の条件として、中国当局に認められた精米場で精米をして、中国当局に認められた薫蒸倉庫で薫蒸をするという条件があります。それぞれ国内に一カ所ずつしかありません。これをふやすべく、今、農林省予算で進めております。こっちの兼ね合いはどうなるんでしょうか。薫蒸なしということであれば、まずこっちの、正規のルートの方からしっかりそこを心がけないといけないと思うわけであります。輸出条件の整備を図りながら、正規の政府間交渉で、正規のルートの中で検疫の改善を図っていくのが筋だと思いますが、どうですか。

郡司国務大臣 それぞれの国にそれぞれのルールがあるわけでありますから、それにのっとった形で行われるようにするということについては、そのとおりだというふうに思っております。

小里委員 まさに利権絡みの私的なルートをつくって、できないことをできると言って出資金を集めましたが、中国当局がこれを認めず、廃棄処分となっております。事実上、今後の輸出も不可能となったんでしょう。出資者らに被害を与えました。まさに詐欺まがいの事業となったわけでありますが、大臣、どう考えますか。

郡司国務大臣 大変に深刻な状態だという認識をしております。

 その上に立ちまして、今、私どもがやらなければいけないのは、一方で協議会というのがまだ存在をしておるわけでありますから、協議会そのものとして、何をどう考えているのかということをきちんとただすということを一方でやらなければいけません。それから、出資者がおりました、出展者がおりました。この方々の思い、今現在どのような問題を抱えているのか、そのことについても調べさせていただきたいというふうに思っております。

 それからもう一つは、相手方の中農集団、これは先ほど御指摘がありましたように、いろいろなことを御発言いただきましたけれども、しかしながら、そこのところの意向、今後もこうしたことについてどのような考えを持っているのか、そのことについてもあわせてとりあえずのところ検証した上で、それからのことを考えなければいけないというふうに思っております。

小里委員 国家的詐欺だと言われておりますが、そのことはどうですか。

郡司国務大臣 今本当にそのことを、私自身まだ、報告という形も含めて、全容をつかむに至っておりません。これから、いろいろな御指摘をいただいているところについて、先ほど来から言われておりますけれども、しっかりと検証できるようにしていきたい、その中で判断をするべきことだというふうに思っております。

小里委員 ちなみに、詐欺の構成要件というものは何ですか。法務省ですか、お伺いします。

稲田政府参考人 御指摘のございました詐欺罪は、人を欺いて財物を交付させ、または財産上不法の利益を得、もしくは他人にこれを得させた場合に成立し得るというふうに解されているところでございます。

小里委員 人を欺いて財物を交付させること、これが端的に申し上げた場合の詐欺の要件であろうと思います。

 まさに、中国検疫当局から特別措置を否定する見解は再三示されておりました。筒井氏らは、不正輸出であることを十分認識しておったはずであります。筒井氏らは、特別措置が実施不能であることを知っていたにもかかわらず、これを実施可能であると出資者らに説明をしております。そして、特別措置が実施をされると誤信した企業等から資金を集めております。そして、輸出農産物が廃棄をされ、事業が頓挫をしたことで、多大な損害が発生をしつつあります。

 そしてまた、きのう予算委員会で触れられましたように、首脳外交まで利用してこのビジネスを進めようとしたわけであります。悪質であると思います。詐欺の構成要件を十分に満たしております。今までの経緯、経験からいっても通らないとわかっていながら強行をした、お金をもらっていたから強行せざるを得なかったというのがまた実情ではないかなと思います。

 国家的詐欺とまで言われている。農水省の威信がかかっております。もう一度、大臣、ここは体を張って調査を進めるという決意を明らかにしていただきたいと思います。

郡司国務大臣 先ほども申し上げましたように、前大臣からの指示ということの範疇だけでは全容ということには至らないだろうということの認識をいたしております。

 したがいまして、どうした分野にどのような形ででき得るのか、さらにまた、私どもの及ばないところがあるとすれば、どのような形で行うかを含めてしっかりと検証をする、その中で私どももしっかり考えさせていただきたいと思います。

小里委員 今回、農水省の関与が随所に見られるわけであります。大臣、副大臣の間違った政治主導のもとで従わざるを得なかったというのが真相でありましょう。

 例えば、平成二十二年十二月九日、筒井副大臣名義で中農集団と覚書を交わしておりますが、ここに多数の農水省の審議官等が出席をしております。昨年一月には、農水省国際部輸出促進室の作成のビラで、鹿野農林水産大臣の強いリーダーシップにより、中国の農業分野で最大規模を誇る国営企業の中農集団と連携を進める大きな機会が生まれようとしているとあります。これがまた各団体への勧誘に使われております。同様の文書は、三月、またその後も発出をされております。五月には、ある畜産団体を農林水産省の顧問としての田中公男氏と農水省国際部の官僚が一緒に訪れまして、この協議会を通せば検疫で特別措置を受けられると勧誘をしております。

 農水省もこのいかがわしいビジネスに当初から深くかかわってきたんじゃないかと思いますが、どういう見解ですか。

佐々木副大臣 お答えさせていただきます。

 当時、田中さんが農水省の顧問をされていた時代の話だというふうに思いますので、その顧問に職員として随行したという事実はあるようでございます。

小里委員 顧問になる経緯も予算委員会で追及をされたところであります。その点はここでは触れません。

 一方で、昨年一月二十八日、日本青年館で中国輸出促進会議なるものが開催をされました。農業団体や企業を集めて、今回の中国ビジネスについて説明し、勧誘を行っております。この事実をつかんでおりますか。認識がありますか。

佐々木副大臣 二十三年の一月二十八日にあった青年館での会議については、その事実もあり、出席もしているということでございます。

小里委員 まさに今回の中国ビジネスについて説明をされ、勧誘を行っておりますが、この会議の主催はどこですか。

佐々木副大臣 お答えさせていただきます。

 農林水産省でございます。

小里委員 中農集団、薫蒸の問題、乳製品の輸出解禁、当面二十万トン、将来百万トンの輸出、展示館で展示販売をする、こういった説明がなされ、勧誘を行った。その主催が農林省であるという、まさに今の答弁でありました。これは決定的に、このビジネスを当初から農林水産省がむしろ主導をしてきたと言われても仕方のない今回の事案でありますが、どう考えますか、大臣。

佐々木副大臣 先ほど申し上げましたように、これは二十三年一月二十八日の話でありまして、それはまだ協議会ができる前の話であって、一般的な話として、中国の輸出促進を農水省として主催をしたというものでございます。

小里委員 答弁にもなっておりません。

 ここで、御省のホームページに載っているんですよ。会議録もね。読んでください。そこに、中農集団のこと、薫蒸の問題、乳製品の輸出解禁、当面二十万トン、将来百万トン、展示館の展示販売、こういったことが説明をされておるんですよ、農水省の主催のもとで。まさに今回のビジネスを説明しているじゃないですか、勧誘をしているじゃないですか。

 大臣、なおさら第三者委員会を設置して、こういった問題を含めてきっちりと調査をし、公表することをお約束ください。

郡司国務大臣 先ほどからお答えをしておりますように、私どもが今やっていること、その一応の結果は見ます。そして、これまで加えてのいろいろな御指摘をいただいております。そのことについて、どのような形で行えばそのことがきちんと解明できるかについてもあわせて今後しっかりと検討をさせていただきます。

小里委員 第三者委員会はどうですか。やりますか。

郡司国務大臣 いろいろな可能性がありますから、検討する材料の中から省くというようなことを考えているわけではありません。

小里委員 今回のこのビジネスにかかわっては、いろいろな債務の問題が発生をしてきております。展示館の家賃、この事業に係る費用についての協議会負担金の問題等々あります。この債務が幾らあるか、支払い条件はどうなっておるのか、どのように支払いを履行するのか。大臣にお伺いします。

郡司国務大臣 中農集団の方にも問い合わせをしているということが幾つかございますが、企画書やその他のこと、今の財務の問題も含めて問い合わせをしている最中でございまして、まだ返事がないということで、確たるような形でのことが出てきておりません。調査中ということでございます。

小里委員 平成二十三年二月四日に、鹿野大臣が中農集団に宛てた声明が問題になっております。すなわち、日本国農林水産省は、所掌及び利用可能な予算の範囲内で、日本における農業団体、地方公共団体、民間企業等から成る中国輸出促進協議会を設立しその活動を支援するといったような内容であります。

 中国側はこれを盾にとって、いわば事実上の政府保証を得ているものとしてその履行を求めてきていると思いますが、いかがですか。

郡司国務大臣 中国側からそのような保証を求められているということについては、今のところ、私の方でも確認をしておりません。

 この声明そのものが省の債務というような形を保証しているということには私どもは直ちには受け取っておりませんけれども、そしてまた、中国からの要求ということについても確認をしておらないというところでございます。

小里委員 本年二月二十九日、農発食品から田中氏に、鹿野大臣への伝言の要請がありました。この伝言は、本年三月七日付で文書にして、協議会から鹿野大臣宛てに出されました。その中で、鹿野大臣のこの声明の履行を迫っております。これは事実ですか。この文書を把握しておりますか。

郡司国務大臣 ここを見ますと、田中メモというようなことで、その文書があるというようなことでございます。今、ちょっと内容まで細かく承知をしておりませんが、そのメモがあるということについては承知をいたしました。

小里委員 大臣もまだ新任ですから把握をし切っておらないんだろうと思います。事務方はしっかりとフォローをしてください。

 文書は存在するという話であります。では、その文書を出してください。

針原政府参考人 事実関係だけを御説明させていただきます。

 御指摘があったメモにつきましては、私ども、三月九日に筒井前副大臣の部屋におきまして、次官、官房長及び我が局の審議官、食料産業局審議官に筒井前副大臣から渡されたメモのことだろうと思います。中国農発食品からの要請を受けまして、田中元顧問が作成したものでございます。宛先は、鹿野前大臣宛てのものと、筒井前副大臣宛てのものがございました。

 その際に、筒井前副大臣からは、鹿野大臣には自分から話をしておく、私信であるので、事務方は特段の対応を行う必要はないが、承知してほしいという御発言がありました。

 その上で、その後、三月十九日に中国農発食品が来日し、鹿野前大臣と面会することになりましたが、その際に、鹿野前大臣との事前打ち合わせの際に、前大臣に対しましてこのメモをお見せした上で、あくまでもお答えしていただくとすれば、農水省の施策とマッチするものであれば、所掌予算の範囲内で支援するというふうなことでお答えいただけたらというふうに説明しております。

 実際に、三月十九日の面会の際には、鹿野前大臣からは、役所なので限界がある、支援してほしいという要請に対しては限界があるんだ、そういう範囲で何ができるか検討したいというふうにお答えになっていると承知しております。

 事実関係の御説明でございます。

小里委員 ちょっと何かごちゃごちゃしてまいりましたが、その文書は出していただけますか。

郡司国務大臣 私もまだ見ておりません。ただ、私信というので、どういう形、プライベートなものなのかどうか。ちょっと、個人的なものだとすると、どなたかに了解を得なければいけないのかなというふうに思っております。

 今のところ、はっきりと申し上げることができない、恐縮でございます。

小里委員 私信ではないんですよ。公職としての農林水産大臣宛てに協議会から出されたものであります。これだけ国家ぐるみの詐欺行為とまで言われて問題になっている案件の、まさに核心に迫る部分なんですよ。これはしっかりと公開をしていただきたいと思います。

 その文書と同一のものとされるものを実はここに持っております。

 ここには、中農食品は、鹿野農水大臣が中農集団に声明をもって約束くださいました、農水省は所掌及び利用可能な予算の範囲内で促進協議会の活動を支援するとの日本国農林水産省の役割は、一切の条件を付することなく、鹿野農林水産大臣の指揮により完全実行されるものと信じております、鹿野農水大臣の指揮により、農水省による全面的、積極的、具体的支援が速やかに実施されることを切に望んでおりますとあります。間違いないですか。

郡司国務大臣 直ちに確認のしようがありませんので、私の方で後ほど、先ほどのような答弁をしているわけでありますから、その所在について、私の方でも、まず自分で確認をします。

小里委員 しっかりとその文書を出していただきたい。

 針原局長、内容はどうですか。私の述べたことは間違いありますか。

針原政府参考人 今、大臣が調査すると申し上げましたものですから、事務方としてはそれに従いたいと思います。

小里委員 鹿野大臣が実質的な政府保証をして、これをもとに中国側が農水省にその履行を迫っているという事実であります。これがまさに明らかになりつつあります。しっかりとそこは説明をしていただきたいと思います。

郡司国務大臣 今、目にしないで耳にいたしました。その内容は、先方から大臣に対する要望というような文言だったのかなというふうに思いまして、それに対して、先ほどの、大臣の方からはその予算の範囲内のできるところでしかやれないというような話があったということでございますから、その辺のことについても、事実関係、しっかりと調査をさせていただきます。

小里委員 まずは大臣のもとでしっかりと調査をすべき問題、そして第三者委員会を設置して根本的に調査をしていくべき問題、いろいろな問題が出てまいっております。しっかりとそこは頼みたいと思います。

 実は、きょう、スパイ行為についてもお伺いをする予定でおりました。内閣官房、総務省、あるいは法務省等を含めて来ていただいておりますが、ちょっと時間がなくなりましたので、また次回にお願いしたいと思います。おわびをしたいと思います。

 そこで、きょうは齋藤副長官に事実関係を確認したいと思います。

 きのうの参議院予算委員会の西田議員の質問に対して、要するに、田中公男氏と会ったことがあるかとの質問に、会っていないと答弁をされました。では、松本秘書官は田中氏と会っておりますか。

齋藤内閣官房副長官 お答えいたします。

 聞いたことはありません。訪ねたことはございません。

小里委員 これは、ひょっとすれば官邸がこのビジネスにかかわっていたかもしれない、それにつながるおそれのある事案でありますから、ぜひそこはよく調査の上、お答えをいただきたいと思います。

 まさにスパイに唆されて、大臣、副大臣の名のもとに、できもしないことをできると言って、利権絡みの対中国ビジネスを強行して破綻をした、詐欺まがいの商法と言われても仕方のない、さらに国家的詐欺であると言われても仕方のない今回の事案であります。しかも、総理まで加担をさせられていたという話であります。副長官、このことはどう認識をしておりますか。

齋藤内閣官房副長官 昨日、私も参議院の予算委員会に呼ばれて答弁したとおりでございまして、このことに関しましては、昨年末の日中首脳会談の前段のいろいろな日程協議の中で展示館の訪問という案件が出てきたのを、それは半年前のことですから、私も強く記憶をしているところでございます。

 そして、先ほどお尋ねのお名前の方については私自身も会ったことがございませんし、そして総理自身はこの間、たびたび昨日の予算委員会でも答弁させていただいたとおり、日本の農産品の輸出拡大に向けて強い農業をつくっていきたい、そういう全体的な立場に立って、日中首脳会談において、席上、話されているわけでありまして、個別の案件について首脳会談で、私自身も同席しておりましたけれども、案件として具体的に出ているわけではございません。

 そういうことについて改めて申し上げさせていただきながら、きょう委員と農水大臣等のやりとりを伺っておりましたけれども、大臣から、この件についてしっかり検証していきたいということでもございましたので、官邸におきましても、この農水省の検証等について注視をさせていただきたいというふうに思います。

小里委員 今答弁をいただきましたが、総理が展示館を視察に行った、その経緯についていろいろまた疑問点があります。その点はまた説明をいただきたいし、今後また追及をしていかざるを得ないなと思うところであります。

 総理が筒井副大臣とともに展示館を視察しました。これは、当時、特別措置が本当にあるのかどうかと動揺が広がっていた出資者らを抑えるために、そしてまた特別措置を一貫して却下してきた中国当局に対してプレッシャーを加える意味で企てられたと見るのが順当であろうと思います。そしてまた、事実、この首脳会談のその翌日、首脳会談でまた総理はこのことに触れておるわけでありますが、その翌日、筒井副大臣は質検総局と会って、重ねて特別措置を要求して、これまた却下をされております。

 さらに、本年一月十二日、筒井副大臣が記者会見で述べましたように、日中首脳会談でこのプロジェクトのいろいろな問題が確認をされた、この首脳会談がプロジェクトの発火点になったと言っておるわけでありまして、総理がフルに利用された、加担をさせられたという厳然たる事実があるわけであります。まさにスパイ絡みの利権ビジネスという、日本の国家の威信が問われる今回の事案であります。

 再三申し上げますが、まずは、大臣のもとの調査だけじゃなくて、しっかりと第三者委員会をつくって真相解明をされていきますように、切に要望しながら、質問を閉じたいと思います。

 ありがとうございました。

吉田委員長 次に、伊東良孝君。

伊東委員 自民党の伊東でございます。

 郡司大臣、そしてまた佐々木副大臣、就任おめでとうございます。どうぞよろしくお願いします。

 私は、TPPに関する基本的な考え方からお伺いしたいと思います。

 一昨年来、国論を二分してまいりましたこのTPPにつきましては、我が国が交渉参加国でない上に、極めて秘匿性の高い交渉ルールがあること等から、いまだTPPが日本の国益に及ぼす影響について十分な分析あるいはその情報開示というものがなされておりません。国民的な議論も一向に深まっておりません。

 このような中で、二〇一一年十一月のハワイ・APEC首脳会議、そして二〇一二年、本年四月末の野田総理の訪米、そして本年五月の主要八カ国首脳会議、G8のたびに、野田総理はなし崩し的にTPP交渉参加を正式表明するのではないか、このような懸念が全国に広がっておりました。そしてまた、TPP交渉参加を断固阻止するための国民集会などが数多く各地で開催をされるに至っております。

 郡司大臣も、TPPを慎重に考える会の副会長として、民主党を代表し、例えば日比谷公園の野外音楽堂に、全国各地から、また各界から三千人が集結をいたしました、TPP交渉参加に反対し日本の食と暮らし・いのちを守る全国決起集会に御出席をされております。私はそのすぐ後ろにいたものでありますから記憶に残っているのでありますけれども、壇上でただ一人、TPP交渉断固反対と書いた、みんなが締めている鉢巻きを郡司さんだけが締めないで御挨拶をされたことが思い出されるのであります。

 メキシコで開催される主要二十カ国首脳会議、いわゆるG20を間近に控えまして、野田総理がTPP交渉への参加を表明するのではないかという懸念が再び高まってきております。つい最近の六月九日、私の地元の釧路市でも、交渉参加断固阻止総決起大会というものが開催されまして、仲野政務官ともども大会に参加をさせていただいたところであります。

 また、全国有数の酪農地域であります根室地域からは、JA道東あさひ、JA計根別、JA中春別の青年部と根室地区青年部協議会の若者、酪農家四十三名が、このTPP交渉参加によって我が国の農業なかんずく酪農業が壊滅的な打撃を受けるのではないか、自分たちの家族の生計が成り立たなくなるのではないかと、悲痛な思いを国会に届けるために、一昨日、六月十二日、小雨降りしきる中でありますけれども、朝から晩まで第二議員会館の前で座り込み行動をされておりました。

 その十二日当日でありますけれども、予算委員会でTPP交渉参加に関する郡司大臣のスタンスが問われたところでありまして、慎重派と言われる郡司大臣からは、TPPに対する明確な御答弁がなかったように思います。

 農林大臣に就任したこの機会に、郡司大臣のTPP交渉参加に対する基本的な考え方、あるいはまた大臣就任前のこれまでの言動や行動、また、今後TPPに対してどのように取り組もうとされているのか、まずその御認識をお伺いします。

    〔委員長退席、菊池委員長代理着席〕

郡司国務大臣 TPPに対する基本的な認識というお尋ねがあったというふうに思っております。

 昨年の十一月でございますけれども、私ども、党内の話で恐縮でございますが、経済連携のプロジェクトチームというものがございました。その中でいろいろと議論をして、それを受ける形で政府の方もその時点での基本的な考え方を決め、その考え方は今現在まで続いているというふうに思っております。

 その内容は、もう御存じのことだというふうに思いますけれども、交渉参加に向けて関係国との協議を進める、そして、その中で得た情報について開示をしながら国民的な議論を進めていこう、こういうような内容でございました。

 それから、今日に至るまで、党は党としての議論を続けておりますし、総理については、先ほど御紹介がありましたそれぞれの国際会議において、その十一月に決めたのりを越える発言という形のものはなかったというふうに私どもは認識をしております。

 今後のことについて言えば、G20等がございまして、直近にまた出かけるようなことでございますけれども、これは、総理自身が、昨日の参議院の予算委員会でも、今そのことを検討している段階であるということでありますから、今のところ新しい展開ということにはなっていないというふうに私自身は了解をしております。

 私自身は、ずっと変わらぬことを言ってきたつもりであります。集会での鉢巻きの点もございましたけれども、あれは個人的に参加をしたのではなくて、党の代表として、政権与党として参加をしてくれということでございましたから、政権与党としては、残念ながら、鉢巻きをするという内容の決め方はしていないということで、鉢巻きは遠慮をさせていただきました。

 私自身、農林水産大臣になりまして以降、同じことを同じように申し上げております。農林水産業に関して言えば、TPPという現実が今あった場合、巷間言われているような関税がゼロというようなことが起こった場合には大変厳しい影響を及ぼすだろう、だからして、今の状態の中で、与えられた条件の情報、あるいは、今のような、参加各国の意見等が関税がゼロだということであれば、私、農林水産大臣としては大変厳しいということを再三申し上げているところでございます。

伊東委員 今、郡司大臣のお話の内容は、これまでも、これは一昨年十月以降、郡司大臣のブログにTPPに関する書き込みが数えてみると十四回あるわけでありまして、昨年の十一月のブログにも、今のお話と同様の、「農業団体等は厳しい反応ですが、」ということで、「情報開示や国民的議論を進め、誤った判断とならないようにしっかり対応していきます。」こうお話しになっております。私は、その認識は御立派だというふうに思います。

 しかしながら、一方で、野田総理も、四月十八日の参議院の予算委員会におきまして、国民の理解が進んでいないとか、きちっと国会の中で審議していないという状況の中で何でもかんでも進めるということにはならないと思っている、こう発言をいたしているのであります。

 しかし、こう発言はしているのでありますけれども、TPP交渉参加に向けた、前のめりの姿勢とよく言われるわけでありますけれども、そういうイメージがずっとついて回っているところでもありますし、だからこそ、全国各地の農業団体を初め関係団体の皆さんが、訪米するあるいはG20に行く、どこに行くというたびに、総理はその行った先で表明するのではないか、こう心配するのであります。これは、交渉参加の可否を決定するまでの手順が明らかになっていないということが大きな原因だろう、私はこういうふうに思うわけであります。

 そこで、大臣にお伺いするわけでありますけれども、TPP交渉参加の是非を表明する以前の手順として、国益に即した交渉参加の判断基準を明示することが大事であろうと思います。もう一つ、十分かつ正確な情報開示を行うこと、これは大臣がおっしゃられたとおりであろうというふうに思います。残念ながら、今、十分な情報開示がなされているとは言えない状況であります。そして三番目には、やはり国会において公平公正で広範な国民的議論を徹底して行うということになろうかと思います。

 以上三点、私は、TPP交渉参加の是非を表明する前にきちっとやはりなすべきことだろう、こう思いますけれども、国民との約束としてこういう手順を踏んでいただきたいという観点からお願いを申し上げるところでありますけれども、大臣の見解をお伺いいたします。

郡司国務大臣 これからのこと、どういう手順で進むんだということになれば、やはり、今言われましたように、情報の開示が十分か不十分かということがあるかと思います。これまで出されたものだけで、判断ができるというほどの懸念を払拭することには至っていないという認識は、私、これまでも述べさせていただきましたから、そのことについてはこれからもやっていかなければいけない。

 国民的な議論というのは、どこで誰が行うのかということもあろうかと思います。私ども国会議員は国民の中から選ばれたそのものでございますから、この中で議論をするということも、まさに国民的な議論ということにもなり得るわけであります。しかし、それだけでいいのかという声もあろうかと思います。地域やあるいは団体や産業の方々の意見を聞くことも、場合によってはやらなければいけないというふうに思いますけれども、そうしたこととあわせまして、政府の中で例えばどこで本当に議論をするんだと。

 これも、私もまだ一員になって浅いわけでありますけれども、これまで参加をしておりません、これからも多分、参加をする機会がないのかもしれませんけれども、実質的には、副大臣によるその協議のための幹事会というものも開かれる、こんなことも聞いているわけでありますから、そこに参加をする農水省の副大臣は、やはり農水省として懸念すべき事項をしっかりと訴えていく、そのような形で私どもとしては進めていきたいなというふうに思っております。

伊東委員 今おっしゃられたところでありますけれども、政府内で大体どう協議するかというところを私どもは一番問題にしたいわけであります。

 といいますのは、一昨年十月、菅元首相が表明されて以来、農水省は農水省でこの影響額を試算いたしました。TPPによる農林水産物の生産減少額四・五兆円、農業及び関連産業GDPの損失額は八・四兆円。この試算では、関税率が一〇%以上かつ生産額が十億円以上の三十三品目への影響しか考慮されていないのでありまして、実際の影響額は多少これとはまた変わる可能性がありますし、大きくなる可能性もあります。

 一方、内閣府及び経済産業省も、全く前提の異なるTPPの影響試算を公表しているわけであります。しかし、三者が全くばらばらな影響額を公表しておきながら、政府統一で、それではこういうものだということが今日まで示されておりません。

 これにつきまして、TPPの予測を一番最初に出した農水省としての郡司大臣の見解をお聞きしたいと思います。

佐々木副大臣 事実関係でございますので、私の方から答弁をさせていただきます。

 今、委員御指摘をいただきましたが、我々も、論議をしてきた一人として、それぞれの試算が違うということは随分論議をしてまいりました。しかし一方で、これは前提条件がそれぞれ違う試算、もっと極端に言えば、極端な試算をお互いにするわけですが、それを、例えばもうちょっと違う試算をした途端に、省庁としてはそういう姿勢なのかということが問われてくるというようなことを考えると、今の農水省の試算、経産省の試算、それからGTAPの試算というのは、ある種やむを得ないところがあるのかな、その中からどういうふうに影響というものを読み取っていくのかというようなことで検討する以外にないのかなというふうに私は思っているところであります。

伊東委員 当初のうちであれば、TPPに入ろうかどうしようかなどというスタート時点の話であれば、当時つくられたこの試算というのは、もちろん当時の一つの目安、こういう話になろうかと思いますけれども、あれからもう一年半ですよ。そして、これだけ多くの各分野にわたっての影響などが心配されるようになってきているわけであります。

 当時、農水省の試算では、米の九〇%、あるいは乳製品の五六%、牛肉七五%、豚肉七〇%、甘味資源作物は一〇〇%、小麦九九%というものも海外産に変わるだろう、こう言われたのであります。この数値は今でも基本的には唯一公表されたものになっているわけでありまして、そして、三十三品目の関税が全世界において撤廃されることを前提としている、こういうことになるわけであります。

 では、一年半たって、TPP九カ国、今これにカナダやメキシコが入ろうかどうかということで日本同様の協議が続いているわけでありますけれども、ここまで来たら、やはりTPP加盟国九カ国プラス、カナダ、メキシコぐらいの、実際、日本がここに加わったら今どれぐらいの影響が生ずるんだと。全世界だったらこれだけの影響が予測されたけれども、今、実際、九カ国、あるいはプラス二カ国にしても、環太平洋の国々だけであればこのぐらいの影響額ですよということをやはり示すぐらいやらなければ、農水省、一年半何をやっていたという話になるわけであります。

 最新の情報をもとに、ぜひこの影響試算を行っていただきたいと思います。

佐々木副大臣 今、伊東委員から御指摘をいただきました。今の伊東委員のような御提案があって、条件を限定するというようなことで試算をするということについては、どういう前提をこれから置いていくかということも検討しなきゃいけませんが、検討させていただきたいというふうに思います。

伊東委員 郡司大臣が今ちょっと席を外しておられましたので私は質問を抜かしたのでありますけれども、実は、ことしの二月七日の大臣のブログで、「何処かの時点で国内生産、地域等への影響について政府として統一した評価を示すべきと考えています。」このように明言されているわけであります。

 大臣自身がつづったことを実現するために、今、閣僚になられたわけでありますので、その言葉に私も実現性を感ずるわけでありますけれども、今後、どのように統一した評価、大臣の目指しておるものを示すため努力されるのか、具体的なスケジュールを含めて、おわかりになる範囲でお答えいただきたいと思います。

郡司国務大臣 ありがとうございます。

 やはり、どこかの時点で出さなければいけないというのは、これまで関係する各大臣がいろいろなところで発言している内容を見ましても、どれをとればこの国の平均的な数値になるんだということを、議論する際に大変疑問を持つんだろうというふうに思っております。

 したがいまして、私は、やはり内閣がきちんと窓口になるというような形が望ましいんだろうというふうには思っておりますけれども、実際の数値そのものは、やはりそれぞれの専門がありますから、そこのところが同じような影響を評価するような形で出すようにしたいというふうに思っております。

 どこで取っかかりをつけるかということになりますけれども、一つは、大変恐縮な言い方でありますけれども、与党内のプロジェクトチームがありますから、そこでの議論というものもお願いをしなければいけません。直接的には、先ほど言いましたような幹事会を通して私どもの意見というものを反映させていきたい、そのように思っているところでございます。

    〔菊池委員長代理退席、委員長着席〕

伊東委員 統一的な数字というか評価でありますので、それがプロジェクトになじむかどうかはちょっと別でありますけれども、そういったものをおつくりになられるということであれば、ぜひお願いをしたいと思います。

 また、大臣、昨日の所信演説の中で、「環太平洋パートナーシップ協定については、政府として交渉参加に向けた関係国との協議を進めるとの方針に基づき、関係国が我が国に何を求めるのかをしっかりと把握し、国民の皆さんへの情報提供を行い、国民的議論が行われるよう努めてまいります。」きのう、所信の演説の中でこのように述べられたのであります。これはごもっともなお話でありまして、そう願いたい、今まで何回もお願いをしてきた話であります。

 国民への公平で正しい情報提供、これは菅政権時代から、この経過、一年半を振り返ってみても、国民はともかくとして、国会に対してもなかなかこれがスムーズに行われてきていないという実態にあるわけであります。きのう、山口外務副大臣のTPP協定に関する状況報告で、あれで国民に納得せいと言ってもなかなか難しいのではないか、こう思うわけであります。

 これから具体的にどのような情報提供の取り組みを行うのか、大臣のお考えをお聞きします。

郡司国務大臣 この情報というものは、大変複雑な観を呈しているなというふうに思っております。

 実は、TPPそのものの交渉の中で話される内容と、例えばアメリカの場合ですと、その前段の三カ月間、九十日間をかけて行う際に、その前段でこのことについては日本は考えてきてくださいねというようなものもあるわけであります。それらが総じて、今TPPの関連というような形での話をされていることもございます。その辺の区分けを厳密にすることがいいのかどうかということの議論もまずしなければいけないというふうに思っています。

 TPPそのものの交渉では既に終わっていることかもしれないけれども、その前段で私たちの国が越えなければいけないとすれば、やはりそこは関連をもって捉えるということもあり得るわけでありますから、その辺のところのどの情報、どの問題がTPPなんだ、どの問題までが関係をするんだというようなところの整理をまず明確にさせていただきたいなというふうに思っているところでございます。

伊東委員 TPPの交渉項目でないものももちろんその前段階としてあるのは、最近の事例でよく我々はわかるわけであります。しかしながら、情報公開あるいは情報開示がなされていない、大臣みずからもそうおっしゃるわけでありまして、多くの国会議員もそのように感じているものでありますから、やはりここは政府としてその情報を可能な限り開示していくべきもの、このように私は思います。

 きょうは、内閣府の石田副大臣、そして経済産業大臣政務官の中根政務官がおいででありますので、お二人にちょっとお伺いしたいんでありますけれども、農水省がつくった影響額、影響評価、このほかにも、内閣府が、昨年十月でしたでしょうか、二・七兆円のGDP効果というのを出しておりますし、経産省は経産省で、またもう一方、独自の資料、影響額というものを出しているものであります。

 いずれも年数というか月数もたっておりますし、交渉入りにかけた事前協議の中で、さまざまな影響の度合いも細かくわかってきていると思いますので、これらを改めて、公表できる範囲の中で結構でありますので、国民、国会に知らせるその影響額というものをお出しできないか、こういう質問であります。それぞれお答えいただきたい。

石田副大臣 先ほどから農水大臣に伊東委員から御質問がございまして、内閣官房としては、御案内のとおり、GTAPで試算を出しております。先ほど委員おっしゃったように、九カ国と我が国がTPPの協定に参加し、物品貿易について一〇〇%自由化した場合、GDPが二・七兆円分底上げされる、こういう試算を出させていただきました。

 先ほど御質問の中で、カナダ、メキシコの点にも触れられましたが、このカナダ、メキシコも関心を示しておるところでありまして、これらの国を加えるとさらに数字は大きくなるものと私ども試算をいたしております。

 いずれにいたしましても、農水省それから経済産業省、異なる試算が出ているという点は委員御指摘のとおりだというふうに思っております。それぞれ異なる視点から、一定の前提を置いて特定の分野を影響分析しているものでありまして、内閣官房で出しているのは、国際ルールに基づいた中で出させていただいておるわけでございまして、そういう中において、日本経済全体に対する効果については、内閣官房による分析によって見ていくことが適当であるというふうに私どもとしては考えております。

中根大臣政務官 伊東委員にお答えを申し上げます。

 ただいま内閣府の方から御説明があったことと同様でございますけれども、先生御指摘のように、新しい状況も生じておりますので、国会あるいは国民的な議論に付すために試算のやり直しというものが必要であれば、それは必要に応じて新しい数字を計算し直していくということであろうと考えております。

伊東委員 情報開示を進めるというお話でありますので、内閣府も経産省も新しい数字を示して国民に理解を求める、ぜひそうすべきではないか、このように思います。

 それでは、もう一つ、デフレとの関係をちょっとお聞きしたいと思います。

 TPPにより関税が撤廃され、輸入農産物等の価格がもし低下するようなことになれば、国内の物価水準が押し下げられる、あるいは、デフレ経済の真っただ中の日本では、国内消費が拡大することはなかなか期待できないのではないかと思います。そして、農業生産額の減少は直ちに農業分野の雇用機会を奪い、失業率が増加するのではないか。仮に、労働力の流動性が十分に発揮されて、農業から生産性の高い産業にシフトできたとしても、供給過剰、需要不足の需給ギャップを拡大させるだけにしかならない、こう言われるわけでもあります。すなわち、TPP交渉参加は強力なデフレ圧力を発生するのではないか、こう心配されているわけであります。

 TPP交渉参加と、デフレ脱却を目指すこの経済政策との両立について、石田副大臣の見解をお伺いします。

石田副大臣 お答えいたします。

 委員御案内のとおり、デフレは一般物価が持続的に下落する状況であります。その根本原因は、国全体の需給のバランス、需要の不足であって、個々の品目の価格の一時的な低下が問題ではないというふうに思っております。

 TPPを含めたEPAによる一部の関税の削減、撤廃は、一部商品の一時的価格下落に限られるのであって、デフレを促進するものではないかとの指摘は当たらないというふうに考えております。

伊東委員 こういう時代でありますから、さまざまな感じ方をする方がいらっしゃるわけでありまして、農業生産額が大幅に落ちていく、あるいは農業の就業人口が大幅にほかにシフトしていく、それについて随分心配する方もいるわけであります。

 前にもお話ししましたけれども、関税撤廃により四・五兆円の農業生産額が減少すると言われ、GDP損失額が八・四兆円に及ぶとされております。

 加えて、心配なのは砂糖の原料であります。これは、北海道はビートであったりでん粉であったりするわけでありますが、南の方に行きますとこれはサトウキビになるわけであります。サトウキビを生産している南の沖縄方面の島々、この国境離島を含む国土保全という観点からも非常に心配をされておりますし、小さな集落、村落では地域産業、地域社会が崩壊しかねない、このように思われているものであります。

 TPPが領土、領海問題、ここにも直結する危険性を十分に認識する必要があると思いますけれども、この点につきまして政府の見解を問いたいと思います。

郡司国務大臣 大変重要な御指摘ではないかなというふうに思っております。

 今言われました、ちょっと前まで国家貿易品目とか重要品目とかという、いろいろな言い方がありました。それぞれの国にとりまして最低限守らなければいけないというようなものが、日本の場合には、例えば今言いました糖業の関係につきましては、やはり両方の国境に位置する産物だということがあります。沖縄で見れば大体七割ぐらいの方々が、先島の方では、経済に、生活に影響を与えるような作物にもなっているわけでありますから、そうした地域のありよう、そしてまた日本の場合には国境という問題も含めて、今のような御指摘というものは十分に考慮しなければいけない問題だろうというふうに思っております。

伊東委員 自由貿易協定、FTA、日本はEPAでずっと来たわけでありますけれども、十三の国とこのEPAを締結する中で、乳製品、砂糖、でん粉、小麦、牛肉、豚肉、米などのセンシティブ品目、これらを堅持してきたわけであります。

 平成十八年の衆議院、参議院のそれぞれの農林水産委員会ではこれら重要品目に関する決議を行い、これを踏まえた中で日豪EPA交渉を進めるようにというお話でありました。

 郡司大臣は農林水産大臣として、このTPPの関税撤廃圧力からこれら重要品目を堅持する、そういう意思、覚悟がおありなのかどうか、お伺いいたします。

郡司国務大臣 委員、大変恐縮な言い方をいたしますけれども、まだ、全部撤廃をするとか、この数を守ろうとかというような議論に私どもの国として立ち至っているとは思っておりません。したがって、今の段階で、いわゆるタリフラインをどこにするかというような議論というものもまだ当然行っておらないということは、御了解をした上でだというふうに思っております。

 一般的にEPAの中で、これまでやってきた中では約九千品目のうちの一割ぐらいというような数字、具体的には八百三十四プラスお酒などの関係する、税の関係の七品目というようなものについて日本はやってきたということがございます。それはこれまでのということがあって、これからはもう少し高いレベルというような話がある中で私たちはどうするかというのは、これから私たちがまさに議論をする内容であるというふうに理解をしております。

伊東委員 と言いますけれども、やはりこれまで十三カ国とのEPAがあり、守り抜いてきた品目があるわけであります。ですから、一番心配されるのは、TPP交渉の中でこれらの重要品目、センシティブ品目が守られるかどうかということが、日本の農業界も含めた一番の関心事でありまして、せめてここを守る、これだけは死守したいという決意なくして、これはTPPなんて、それでは守るものを持たないで交渉するような話になるんじゃないでしょうか。それは、大臣、ちょっと、やはり農水大臣としては少し問題である、このように思いますが、いかがですか。

郡司国務大臣 昨日の予算委員会でもお話をさせていただきましたが、私は農林水産大臣として、二十一分野の中の農林水産ということを考えれば、関税をゼロにする、完全に撤廃をするということは、私たちの農林水産業にとって厳しいというような認識を持っておりますので、まさにセンシティブな品目、あるいは今までの中でこの国にとって重要な品目だと思ってきたものについて、それをきちんとしていくということについての考え方は一緒でございます。

 ただ、その議論を、TPPに関してどこまでという議論を今すべき段階ではないという認識を申し上げたということでございます。

伊東委員 外務大臣とか経産大臣、その他の大臣がそのようなお話をされるんであれば、それは役柄、しようがないな、こう思うわけでありますけれども、せめて農水大臣ぐらいは、我が国の農業を守る、この今まで守り抜いてきた重要品目をしっかり守っていくんだという、一人ぐらいはそういう大臣がいなければ、やはり日本の農業が浮かばれない話になってくるわけであります。

 ぜひ、そういった決意をお持ちいただいて、閣議の中でも抵抗できるところは抵抗していただきたい、こういうふうに思うものであります。

 さて、このアメリカからのいわゆる要求であります自動車、保険、牛肉の三品がオバマさんの口からも出るわけでありますけれども、この規制緩和を日本政府に要求し、日本が自由貿易交渉に加わる資格があるのか、あるいは市場開放の姿勢を見たい、こういう、さも入社試験というか入会資格を問われるような条件を突きつけられているわけであります。これは、表向き、そういう条件は突きつけられているわけでないというお話がありますけれども、現実にこれはそうなわけです。

 特に、BSEは、これは去年の十月ぐらいでしたでしょうか、二十カ月月齢を三十カ月にしてくれないかというような話になってまいりました。これは昔、二十四カ月の月齢の牛からBSEが発症したものですから、二十カ月に引き下げたという経緯があっての話であります。

 先ほども論議の中で、科学的知見に基づいて再審査をと、十年たったのでという話が食品安全委員会であるようでありますけれども、しかし、これは、表向きそういう形をとっているとしか、私どもには見えません。TPPに入る一つの条件として、この月齢の緩和をアメリカは求めてきたわけであります。国民の手前、このTPPに入るためにこれを規制緩和したら何と思われるだろうと思うから、食品安全委員会に回してしまっているとしか、我々には見えないわけであります。

 食の安全性の確保の面からやはりこれは問題でないかと思いますし、これはまた、アメリカからの圧力に屈したという形をとるというのは、私は間違いだというふうに思いますけれども、大臣、これはいかがお考えですか。

佐々木副大臣 お答えをさせていただきます。

 私自身は、伊東委員と全く同じ考えです。

 ただ、この三つ、今取り上げられましたが、自動車と保険とそしてこの牛肉というふうに言われていますが、牛肉問題をこの条件にするなどということではないと。

 先ほど山口副大臣もそういうお話をしてございましたが、これは全く別個の課題として今委員会で検討していただいていますから、これをTPPの問題と絡めるなどということの条件にすべきではないというふうに私も思っていますし、これからもそのような形で、全く別個の問題として対応していくべきだというふうに思っていますし、そのように政府内でも申し上げていきたいというふうに思っております。

伊東委員 TPPのアメリカ以外の国は、その政府の判断で日本の交渉参加を認めることができるんです。しかし、アメリカだけは、外交交渉に加わる国があれば、アメリカの議会がそれを承認するという。アメリカの議会はバックに圧力団体を山ほど抱えていて、各団体がみんな、そのアメリカの議会にせっつく、ロビー活動をするわけであります。ですから、それがめぐりめぐって、自動車の問題にも、あるいは牛肉の問題にも、そのほかの問題にもなってくるわけでありまして、ほかの国と決定的にアメリカは違う、そこを認識しながら、その背景を持って圧力がかかって、これに屈することがあってはならないという話であります。

 自動車なんというのはとんでもない話で、輸入枠を認めるような話が最近ある。排気量別の税制が悪いとか軽自動車制度をなくせなどという話が出てきているなんというのは、これはとんでもない話でありまして、こうしたことにしっかり、やはり政府は対応をしていかなければならないというふうに思うわけであります。これはまた別な機会にがっちりやりましょう。

 さて、農水省の試算では、現在三九%の自給率が、TPP完全実施によって一三%になるとされているわけであります。しかし、きのう大臣は、大臣所信の中で、平成二十二年三月三十日に閣議決定をされました食料・農業・農村基本計画の中での自給率を平成三十二年までに五〇%に向上させる、きのう、そう明言されたわけであります。

 本来、二十二年、一昨年でありますけれども、あの当時、自給率は四〇%でした。ところが、去年それが三九%に下がっている。本当であれば、十年で一〇%上げるとすれば、毎年一%ずつ上げていかなければならない。去年は四一%、あるいはことしは四二%を目指してやらなければならないのに、残念ながら、それに逆行して三九%になっている。

 年に何%も自給率なんて上がるわけがないから、十年後の五〇%なんというのは非常に難しくなってきていると思いますけれども、この自給率の低下と、TPPによって一三%になる自給率と、ここら辺についてどう整合性をとった説明ができますか。大臣にお伺いします。

郡司国務大臣 五〇%を目指すというのは、自給力、それから基盤整備等のものも含めた力をまずつける、そして、そこに働く農業者というものが、地域にも偏在をせずに全国にそういう力が残るような形で若い人たちを取り入れていこう、こういうようなことがまずなければならないものであります。

 そこに関しまして、TPPで一三%というのは、まさに前提条件とか対策をなすというようなことはあるにせよ、このままの形で結べば壊滅的な打撃を受けるということでありますから、そこのところはきちんと、TPPに対する問題は先ほどのような形でやっていく。

 一方で、自給率の問題というものは、それは抜きにしても、しっかりとした政策としてやっていかなければいけない問題。基本計画でありますとか、あるいは昨年の基本方針・行動計画、これらに基づいて着実に進める。

 ただ、一年ごとの工程表というようなものにはなかなかなりづらいかもしれません。十年後を見据えて、今進めている政策の中で、例えば麦でありますとかお米も、違う用途のものについても具体的な売り先をきちんと確保するなどしながら、新しい形の力をつけていくようにしっかりと取り組んでいきたいなというふうに思っております。

伊東委員 そろそろ時間でありますので、あと一、二問お願いします。

 農水省は、今年度の予算も例えば来年度の予算も、TPPの交渉参加が決まっていないのにそれに対する予算をつけるわけにはいかないという、基本的な姿勢はこういうところにあります。

 我々は、もう一昨年から、TPP交渉に参加しようとするならば、それに向けてまずは基礎体力をつけてあげる、あるいは強い農業をつくるために予算を増額していく、そうしたことをして初めてその成果があらわれてきて、少しは自由貿易もいいじゃないかという話になってくるのなら話はわかるんですけれども、TPPに参加することがまだ決まっていないから一切予算をつけない、事業はつけないというお話であれば、これはおかしな話ではないかというふうに、私は逆のことだろうというふうに思うところでもあります。

 私の地元も、仲野政務官の地元も、佐々木副大臣もそうでありますけれども、北海道の基本的なところはお米でもあり、あるいは我々は酪農であります。一般の国民の皆さんが二千時間働くところを、朝から夜遅くまで年間三千時間は働く、そんな中でTPPの話が出てきたら、若い人たちは、もう将来に対する不安で、後を継ごうとも、あるいはこの先借金をしょって苦しい思いをして営農していこうとも思わなくなって、意欲のなくなってしまう話であります。もうそれが一年半も続いています。

 ですから、これをいつまでもいつまでも引きずることなく、どこかですぱっと決断をして、やらないのならやらないということを、あるいは守るべき農業はここだということをぜひお示しいただかなければ、これは、農業の将来、そしてまた毎年毎年ふえ続ける離農を食いとめるということはできないというふうに私は思いますので、この点につきまして大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

郡司国務大臣 TPPに今から備えるかどうかという議論は、これから、なかなか難しい議論としてまた続けていかなければいけないというふうに思っております。

 しかし、全体として、私たちの国の農業というものをしっかりと残すんだ。これはやはり、命の産業、そして生態系の源という言い方をさせていただいておりますけれども、何があろうとこの国にとってなくてはならない、残さなければいけない、そして、そのことをなりわいとする人たちがいるということを忘れずに、しっかりと取り組んでいきたいなというふうに思っております。

伊東委員 ぜひよろしくお願いします。

 私はいつも言うんですけれども、昨年十月、地球の人口が七十億になりました。毎年八千万人ずつ、相変わらずふえていくわけであります。十二、三年すると、恐らく八十億、二十五年もたつと九十億になっていくでありましょう。七十億のうち九億二千五百万人が、今飢えに苦しんでいる飢餓人口であります。毎日二万五千人が餓死をしております。

 そんな中で、では、七十億の人口のうち九億が飢えているということは、この地球には約六十億人分の食料を生産する能力しかないということであります。これからの異常気象と温暖化の中で、農作物の生産量が、これから飛躍的にふえていく八十億、九十億を満足させるだけのものが果たして生産できるかというと、これは極めて厳しいと思います。

 将来、食料の争奪戦が起きることももう避けて通れないとしたら、我が国でつくる能力があるのに、それを失わせしめるようなことは、私は、日本の国としてすべきでないというふうに思うところでありまして、どうぞ、日本の農業を守るという、あるいは、これはもちろん林業も水産業もそうでありますけれども、一次産業を守るという観点で、大臣のこれからの御活動をお願いいたしたいと思います。

 以上で、私の意見は終わります。ありがとうございました。

吉田委員長 次に、石田三示君。

石田(三)委員 新党きづなの石田三示でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず冒頭、郡司大臣、また佐々木副大臣、御就任おめでとうございます。いわゆる農業分野の専門家ということで、これからますます御期待を申し上げておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 まず冒頭に、大臣は所信の中で、平成二十二年三月に閣議決定された食料・農業・農村基本計画に即して、三つのことを多分言われました。戸別所得補償制度の着実な実施、それから食品安全と消費者の信頼の確保、それから農山漁村の六次産業化による所得の増大、この三本柱によって、食料自給率を平成三十二年までに五〇%の達成を目指す。

 私は、委員会のたびに、食料自給率五〇%達成ということをずっと言っているんですけれども、これは多分ここにいらっしゃる皆さんが、なかなか難しいんだろう、これは絵に描いた餅じゃないかというのはイメージとしてお持ちになっているんだろうと思います。私は、これはまずいと思っているんですね。ですから、前大臣のときも、私は、工程表をしっかりつくるべきだ、つくって、しっかりそれに向かってやるべきだということを訴えてきたわけでございますけれども。

 現政権は、次世代にツケを回さないということで今消費増税議論もしておりますし、そんな中で大飯原発の再稼働も認める方向に行っています。あれこそ、私は次世代にツケを回す大きな問題だというふうに思っています。

 一つは、農業問題について言えば、国民の命を育んでいく、今、伊東委員もおっしゃっておりましたけれども、食料を国がしっかり確保するというような政策を、次世代にしっかりそういったものを回していくんだ、伝えていくんだということをやらなければならないというふうに私は思っております。

 今回、TPP参加交渉にも政府としては意欲を示しているわけでございますけれども、今関税撤廃を前提にしております。そういった中で、これからどういった交渉になるかということはあるわけでございますけれども、少なくとも、関税撤廃をしていくという交渉であるならば、私は、この食料自給率の向上というのは、前政権からもずっと目標としてやってきたんですよね、ここ十何年やってきて、やってきても上がらなかった。これほど難しいことだというふうに私は思っています。

 そんな中で、TPPなんというのは私はもってのほかだというふうに思っていますが、これはかなりの覚悟を持って進めなければならないというふうなことだというふうに私は思っております。

 その中で、郡司大臣にお伺いをしたいと思うんですが、食料自給率を絵に描いた餅にしない、そういった強い決意のほどをお伺いしたいというふうに思います。

郡司国務大臣 石田先生、みずからいろいろな農業に従事をされてきておりますから、現場のことはよく御存じのことだろうというふうに思っております。

 これまで十数年、二十年の間を見ましても、農業の所得というのは半減をいたしました。若い人が、これから結婚をしよう、子供を育てよう、そして、そのときに農業で食べていけるかどうかというのはやはり大きな岐路になってきたんだというふうに思っております。そして、これまでのような兼業でということではなくて、まさに農業を産業として見るためには、そこの所得というものを一定程度安定したものにしなければいけない。私どもは、少なくても、土地利用型のところから始めまして、所得補償というものをきちんと行うことによって最低限の岩盤というものをつくっていこう、こういう政策をとらせていただいております。

 一方で、そのこととも関係をいたしますけれども、この制度は、御存じのように、例えばアメリカでも二〇〇四年から導入をしまして、それから六、七年後には、結果としての規模拡大や、あるいは構造改善というものを伴うようなことが起こっております。これは時間の関係で省きますけれども、やはりその時代性によって、高齢化をしているときに新たな制度を生むことによって、規模拡大にチャレンジをしようとする人がそれをチャンスと捉えるような施策として機能したんだということもあるんだというふうに思っております。

 そういう意味で、六次産業化等の、地域の中でのこれまでにあった資源、これにさらに付加価値をつけるようなこととあわせて、やはり農業の魅力というものを訴えて、そしてそれを、消費者の方々もこの国の農業というものの生産がやはり大事なんだということを理解していただくような、そんな積み重ねが必要だということが、これは理念的には申せるわけであります。

 ただ、問題は、私どもも、三十何年後のときに農地の利用率についてはこのようにしよう、こういうものをこれだけつくれば自給率が五〇%になるだろうというような、大きな目標はつくりました。そして、今転換をしていく中で、餌用のお米でありますとか、あるいは米粉用でありますとかというものについては、新たな取り組みが始まっておりますけれども、まだそれも道半ばであります。

 これまでは誘導でした。しかし、これからは、それが実際にどういう形で消費をされるかという、売り先をきちんとつくるということがあります。それに合った品種をつくって、それに合った栽培をしてもらうということ、地道な積み上げをこれからきちんとやっていくということが結果としてつながることだというふうに思っておりますので、これまで定められたものをしっかりと年ごとに推進できるようにというふうに取り組んでまいります。

石田(三)委員 総合的に取り組むんだというふうなお話だと思いますけれども、そうであるならば余計、私は工程表というのはつくれるような気がするんですね。これをこういうふうにして、これとこれと、消費者のことも考えて、こうやっていったら毎年何%上げていくんだよというのは、私はつくれるような気がします。また、それをつくらない限り、これは私は絶対無理だというふうに思います。ぜひ御検討いただきたい。

 それから、次にちょっとかえますが、今、私たちは海外から六〇%の食料を調達しているわけでございますが、食品廃棄物の多さが非常に話題になっているところであります。過日もNHKで放送されたところでございます。

 今、どれくらい食品ロスが出ているのか、御説明いただきたいと思います。

佐々木副大臣 お答えいたします。

 現在、先ほど来言われておりますように、自給率四〇%、年間で約九千万トンの農林水産物が食用に向けられてございます。その一方で、年間およそ五百から九百万トン、約一割の食品ロスが発生しております。生産面と消費者の両面からロスを削減するということは非常に重要だというふうに考えております。

石田(三)委員 今御説明いただきましたように、九千万トン供給して、その中の大体一割が廃棄をされている。六〇%を海外に依存している国としては、これは大変問題だなというふうに私は思っております。

 この中で、フードバンク、これはアメリカで始まった事業でございますけれども、使えるものはいろいろな福祉の施設ですとかそういったところに回していくというふうなこともあるわけでございますけれども、九百万トンのうちそういったふうに使われているのは一%ぐらいというふうに言われております。まだまだそういった事業が緒についていないということだというふうに思いますが。

 食品廃棄物の減少をしていく、この対策についてお伺いをしたいと思います。

佐々木副大臣 先ほど、自給率のところでも委員に御指摘をいただきましたが、まさに目標値を設定するということが大切だというふうに思ってございます。発生抑制の目標値というものを設定して、それを先ほど御提起がありましたフードチェーンなどを通じて、それぞれの場面で発生抑制の取り組みというものを実施していただくというようなことを、ぜひ関係する消費者庁や環境省と連携して進めていかなければならないというふうに思ってございます。

石田(三)委員 これについては、企業、流通、あるいは消費する家庭、多分、家庭の問題もかなり大きな問題があります。これは多分、一般の国民の私たちの暮らし方、そういったところも問われてくるものだというふうに思いますので、今消費者庁というようなお話もありましたけれども、ぜひ広域的に、そういったところにまで広げていただいて、せっかく大事な食料でございますので、無駄を出さないようなそういった取り組みをひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。

 それでは、過日の農業新聞の六月九日号でしたが、これは大変私にとってはありがたい記事だったんですが、国産小麦、パン向けの小麦、新品種ゆめちからが秋まき面積で六倍にという記事がございました。

 私は、地元で子供たちの体験をやっているときに、子供たちに、けさ御飯を食べてきた人というのを聞くんですが、大体五五%が御飯、四五%がパンなんですね。そういった家庭環境の中で日本の米を守っていくというのも大変だな、日本の食文化がそれだけ変わってきちゃったんだというふうに考えていたわけでございます。

 また、給食で、全食をお米でやるというような活動もしてまいりましたけれども、その中で、伺いますと、パンを食べたいと言う子がいるんだそうです。全食お米にするという問題の中で、子供たちの中で、パンを食べたいんだと。それについては、やはり御飯を強制していくということもできないということだと思います。

 また、私が給食を何で大事にするかというと、やはりそこで子供たちの舌がつくられていく、食がつくられていくということだというふうに思いますので、国産小麦を全量給食でぜひお願いしたい。給食で使っていただいて、やはり日本の小麦でつくったパンを子供たちに食べさせるということをぜひお願いしたいというふうに思っています。

 学校給食のパンに使われる輸入小麦というのは、年間三から四万トンだそうでございます。これをぜひ国産小麦で置きかえたいというようなことを全日本パン協同組合連合会は述べているというような記事がありましたので、そういったところへの御支援をぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。大臣の見解をちょっと伺いたいと思います。

佐々木副大臣 今大変貴重な御指摘をいただきました。

 学校給食で国産小麦のパンの利用というのは、平成二十二年のデータでありますが、二十九道府県で取り組まれてございます。ちなみに、委員の千葉県においては、平成十四年に取り組みが始まり、二十三年では国産小麦を一〇〇%使用したパンの供給を開始したというふうに伺ってございます。

 いずれにしても、学校給食会というところとしっかり連携をしなければこれを進めることができませんので、そうした連携を深めていきたいというふうに思ってございます。

石田(三)委員 小麦を増産することによって自給率のアップもあるわけでございますので、ぜひ積極的な推進をお願いしたいというふうに思います。

 次に、先ほどちょっとお話も出ておりましたが、人・農地プランの進捗状況、私は、これは大いに期待をしているところでございます。食料を確保していくというところには、優良農地とそこにかかわる人が必要なわけであります。非常に高齢化をして人がいなくなったという中で、外から、あるいはIターンでも結構だと思うんですが、そこに入る人を迎えていこうということでございますので、その事業の進捗状況をちょっとお伺いしたいと思います。

仲野大臣政務官 お答えいたします。

 まず、人・農地プランの進捗状況でありますが、十二月の概算決定以降、国から都道府県や市町村に対する説明を行ってきたところであり、現在は、市町村から集落、地域への説明が進められているところであります。ただ、多くの地域では、田植え作業後に取り組みが本格化するものとなっているところであります。

 また、人が入っていただいてということでありますので、ここは、青年就農給付金等を、今、二十四年の当初予算で想定した規模を大幅に上回っているという状況でもありますので、ぜひまた、今後、農水省といたしましては、都道府県の状況等を精査しながら、必要な場合には的確に対応してまいりたいと思っております。

石田(三)委員 当初、青年就農給付金の対象者というのは八千二百人というふうに私は聞いているんですが、今、現状でこれを超えているということでしょうか。

仲野大臣政務官 ええ。大幅に超えておりまして、今後、超えたところにつきましても、予算等をしっかりと、まず都道府県からの状況等もしっかりお聞きしながら対応してまいりたいと思っております。

石田(三)委員 大変これはありがたい話だろうというふうに思っています。

 希望されたところは皆さんが全部受けられるように、ぜひひとつよろしく予算措置をしていただいて、せっかくの卵でございますので大事にして、農業者をふやしていくということをひとつよろしくお願いします。とにかく、優良農地と人がいない限りだめなわけでございますので、そういった若い人の中で就農しようという人に対しては、しっかりした手当てをお願いしたいというふうに思います。

 それから、農地のことについて伺いたいと思うんです。中山間地域の農地についてもちょっとお伺いしたいところがあるんですが、きょうは平場の農地に限ってお伺いをしたいというふうに思います。

 平場では、一生産団体の目標面積を二十から三十ヘクタールということにしておりますけれども、これは実際、私も農業をやっておりましたので、田んぼの大きさが非常に問題になります。例えば、基盤整備が終わってあっても、昔の一反歩のままで三十町歩やるというのは、これはなかなか至難のわざでございますので、その辺で、国としては、二十から三十ヘクタールをイメージしたときの一枚の田んぼというのは、どのくらいの区画を想定されていらっしゃるんでしょうか。

仲野大臣政務官 今、大区画化ということ、農業の体質強化を進めていく上で、水田を一ヘクタール程度以上に大区画化するということであります。これは、言うまでもないんですが、農地の生産性を高めるとともに、地域の中心となる経営体への集積を図る上で極めて重要と考えております。

石田(三)委員 ありがとうございました。

 一ヘクタールを目標にということだろうというふうに思いますが。五反歩でも何とかなるのかもしれませんけれども、多分、昔やった一反歩、二反歩というのは、これは無理ですよね。そういった中で、そういった、いわゆる全く最初から未整備の田んぼもあって、それもやらなきゃいけない、それはどのくらいあるかわかりませんが、それもお伺いしたいと思うんです。

 それから、昔やった田んぼ、ちっちゃな一反歩区画の田んぼ、二反歩とか、三反歩はやらなきゃいけないかもしれませんけれども、そういう田んぼも、今のお話であればもう一度再整備をする必要があるということだというふうに思うんですが、その辺の面積というのは押さえられておられるでしょうか。ちょっとお伺いをしたいと思います。

仲野大臣政務官 委員の御指摘のところでありますが、今、整備済みのところが百三十四万、まだ未整備の、手をつけていないところが九十六万という状況でございます。

石田(三)委員 わかりました。

 その整備済みというのは、多分、一ヘクタールになっていない、違う、もっとちっちゃな面積のことだというふうに思います。ですから、この二十から三十ヘクタールを、国が考えているような面積に整備するには、まだまだいっぱいやらなきゃいけないことがあるんだろう。

 民主党政権は、コンクリートから人へということで、今回、農水では戸別所得補償をやるために基盤整備の予算を切ったわけですけれども、多分これをやっていくためには、またかなりの予算計上をしていかなきゃいけないんだろうというふうに思います。

 これも国がやるとなかなか金がかかったり、私はもう少し地方で知恵を絞ってやることもできるというふうに思いますので、いろいろ知恵を絞りながら、優良農地の確保をやっていかなきゃいけないんだろうというふうに思います。

 しつこく言いますが、国民の食料を守っていくというのは国の責務でありますので、その基盤をしっかりつくる、これも責務でありますので、ひとつよろしくお願いをしたいと思います。

 以上で質問を終わります。

仲野大臣政務官 済みません、先ほど、整備済みのところを百三十四万と言ったんですが、百五十四万ヘクタールということで、訂正させていただきたいと思います。

 大変失礼いたしました。

吉田委員長 次に、吉泉秀男君。

吉泉委員 社民党・市民連合の吉泉秀男です。

 まず、大臣の方に最初からお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 大臣に対する期待、そういうものが非常に大きいんだろうというふうに思っております。きょうもありましたけれども、あのJAの決起集会で、みんなが鉢巻きをしながら集会をやっているわけですけれども、自分自身だけがやらなかった。非常に筋が一本通っている人だなというふうに思っております。それ以上の期待というものについては、私はやはり、TPPを慎重に進める会の中で副会長ということで、それぞれ全体的な部分をリードしながらの取り組みといったところについて多くの生産者団体の方から期待が出ている、そういうふうなものなんだろうというふうに思っております。

 実は、きのうの所信表明のところにおいて、委員会の理事会の中で、G20のところの中においてなし崩しといった部分の意向もある、非常に農協団体を含めてそういったところに懸念の声があって、そういう状況の中において、この間の経過をまずは聞かなきゃならないのではないかというふうなことで、きのう山口外務副大臣の方からそれぞれ報告をいただいたわけでございますけれども、率直に言ってがっかりいたしました。

 きょうも、その中身についてはそれぞれ質問の中にも触れられたわけでありますけれども、まさに形どおり。

 これの報告、そういう面の中では、野田政権がこのTPPそのものに対しては、情報は的確に幅広く開示をして、それぞれ国民の合意を得ると。こういう立場からするならば、今回のこの報告の中において、アメリカから取り上げられている牛肉の問題なり、さらには十三日に開かれた日豪のEPAの四品目の関税の問題等々多くの進んでいる状況があるんだろうというふうに思うんですけれども、その辺についても何も触れられないで、形どおり終わった。

 それぞれ答弁がなされたわけですけれども、きょうの答弁の中においても、このTPPに対しての私たちの聞きたい内容は一切触れられてこなかった、こういう思いを私はしております。

 そんな面で、大臣として今の外務副大臣の報告なりをお聞きし、この間の流れなんかも含めながら、外務副大臣の報告に対する大臣としての感想みたいなものを少しまずお聞きしたい、そういうふうに思います。

郡司国務大臣 委員の方から、いろいろとこの間の情勢についても述べられました。

 日豪の話し合いもされているではないか、こういうことでございますけれども、基本的に日豪の場合には、今回の中で、例えばセンシティブな品目についてはお互いもう触れませんよ、こういうような合意の中で話し合いがされていて、実質的な進展はほとんどないというような形であったということでありますので、あえて触れなかったようなこともございます。

 それから、私自身は前々から同じようなことを言っております。例えば、今は農林水産大臣として、農林水産にかかわる影響については、私はやはり声を出していかなければいけないというふうに思っております。

 私自身は、議員の中で、今から例えば六、七年前もその前もそうでありますけれども、今度の二十一分野の中で問題になっている投資条項でありますとか、そういうものが大変大きな問題をはらんでいるというようなことについては、時の平沼経産大臣でありますとか中川大臣に対しまして何度も質問をしながら、このままでいくと大変なことになるぞということについては、議員としての発言は続けてまいりました。

 しかし、今改めて皆さん方がそうしたことに対しての意見も活発になされる中で、私自身は特にそうしたことについての発言を声高にするということはしてきませんでした。

 しかし、今、農林水産大臣になったということを鑑みて、先ほど来から申し上げているように、このまま関税がゼロというようなことは大変な影響を及ぼす、これは農林漁業の関係としては看過するわけにはいかない。もちろん、それ以外のことに関しましても、それだけではなくて、地域の問題、雇用の問題、そうしたことに絡むものについてはしっかりと閣内の中でも意見を申し述べていくということが私自身の責務だろうというふうに思っておりますので、そのことについてはしっかりとやっていきたいというふうに思っております。

吉泉委員 私どもと思いはほぼ共有している、そういうふうに思っております。

 しかし、サミット前に、経団連、ここのところについてはもう決めて参加するべきだというふうな圧力なんかも今なされていて、政府の方として板挟みになっているんだろうというふうに思っております。そういう中においても、筋を通す大臣としてぜひ私方をリードしていただきたいというふうに思いますし、あらゆる面の中において、やはりそれぞれ経団連等を含めながらの合意が得られるような何らかの対応というものについて、あらゆる機会を通じながらお願いを申し上げたい、そういうふうに思っております。

 次に、生産数量の割り当ての問題で少しお聞きをさせていただきたい、そういうふうに思います。

 先般、農林の理事会の人たちが、茨城を含めて視察に行きました。私どもも有数な米どころでございますけれども、その中でびっくりしたのが、茨城の方の中において転作等の水田がなかなか見つからない、そういう状況でもございました。

 その中で、何をどうのこうのというものではないわけでございますけれども、今の二十三年度の全体的な部分からいえば、副大臣から冒頭ありましたように、過剰作付、この部分については相当減っている。今現在二・二万ヘクタールという状況まで、昨年の場合は戸別所得補償の問題なんかも含めてここまで進んだという状況が報告なされました。

 しかし、前々からの自分の持論なんですけれども、日本の胃袋がどんどん少なくなっていく中で、需要と供給のバランス、こういう状況からいくならば、どんどん生産目標というものは少なくなってくる。これをやはりどうしていくのか、全て生産者の方にそのところを負ってもらうのか、こういう一つの課題が非常にあるというふうに思っております。その見返りとして、不耕作農地を見ると非常に多くなっているわけですね、農地そのものが。やはりこれは、今の生産数量の目標の部分がどんどんどんどんエスカレートしていく、その一つの反比例としていわゆる不耕作農地が相当急速に進んできている、そういうふうにも見受けられる、こう思っております。

 そして、全体的なところから目標の達成というふうに見ますと、各県別に見ますと、やはり茨城、千葉、ここのところが非常に、いわゆる作付のところについて、戸別所得補償が入っても多くつくっている。さすがだなと、逆に言えば。いわゆる背後地に東京なり大消費地を抱えているわけですね。ですから、その面からいえば、つくれば売れる、そういうものなんかもあるんだろうというふうに思っているわけでございますけれども、こういう面の中で、今までずっと、それぞれの米の生産数量のいわゆる計画そのもののところについて、禁止から、それから米どころ、そういうところでないところ、いろいろな面でパーセントをそれぞれ政府の方として考慮もしてきた、こういう経過があるわけでございます。

 しかし、今の現状から見て、生産数量の達成状況というものを見ながら、これから、今までの基本的な生産数量の各県に配分するものについての見直しなり、さらには今後の計画、考え方、そういうものを大臣としてどういうふうに考えているのか、見解をお伺いさせていただきたいと思います。

郡司国務大臣 私の選挙区は茨城でございますので、大変頭が痛いところでございます。何とか御三家と言われているところで、大変そのような問題がこれまで起こってまいりました。しかし、全体から見ると、先ほどおっしゃっていただきましたように、半減をするような形で来ておりまして、これは一つの成果が出てきているのだろうというふうに思っております。

 今までの減反というものが、ほかのヨーロッパの国で行われていますように、例えば乳製品だったらば、乳製品で完結をする。しかし、日本の場合にはそうではなくて、ほかのところにペナルティーを設けるなどした関係もございましたけれども、結果として、日本の国の農政の方針とは別個にやっていくという方を大変に多く生み出してしまったこともございました。こういうような反省から、今のような制度をつくる中で、徐々にそちらの方にインセンティブが働かなくなるようにしようと。

 それをやる一方で、先ほど石田さんがおっしゃいましたように、これからの需給の関係からいうと、人口の減少があるだろう、それから、嗜好の違いというものがこれまで以上に出てくるかもしれない。こういう中で、水田を使う、しかし、それ以外の用途というものを考えていかなければいけないだろうというような中で、飼料用米という作付も大変多く出てまいりました。これもまだ、大きな転換の前の試行の段階かなというふうに思っております。

 例えば、モミロマンというような大変多収穫のものも、これは堆肥を一定量以上入れれば収量がどんと上がる、しかし管理そのものは結構時間がかかるとかいろいろなことがあって、一定のところまで来て、それからどんというところまでは行っていない。米粉の利用につきましても、同じような形で目標は五十万トン。しかし、それにはまだまだ遠く及ばないようなところがありますから、先ほどのパンの利用も含めて、どんなふうにするかということがあるんだろうというふうに思っております。

 こういうような施策そのものを一つずつ行うということの中で、これからの県の割り当てというものをどうするか。これについては、原則的には、先ほど言いましたが、大原則のペナルティーはなくす。その中で、今、県間調整等を原発の関係なんかで行っているところもありますけれども、基本のところの考え方はこれまでと同じような割り当ての中で、しかし、実態としてそこにオーバーするものがなくなるような施策という形でもう少し様子を見させていただきたい、そのように思っているところでございます。

吉泉委員 基本的な原則は変えないという今の答弁であったわけです。

 しかし、私は、せっかくの農地が一年間そのままになっている、そういう中で遊休農地がふえている、ここのところをどう考えるのかという問題なんかも含めて、そしてまた、各県の段階について振り分けても、非常に不公平感みたいなものがやはり出てきている。ここのところのものをもう少し、今、米粉の問題なんかも含めてそれぞれ生産者は頑張っているわけでございますから、その点についてはぜひ、原則は原則としながらも、また秋になればそういうふうに示さなきゃならない状況ですから、今から検討をお願いしたい、こういう希望だけさせていただきたいというふうに思います。

 今、消費税増税の問題についていろいろな議論というものがなされて、審議もなされているわけですけれども、非常に、自分自身が東北出身なものですから、福島、さらに宮城、そしてまた岩手。岩手の場合は、二十五の放牧場が閉鎖なんですよ。タケノコもだめ、全部だめ、何をどうするんだ、牛をどうするんだ、こういう状況が、生産者の諦め的な、さらには怒りみたいなものが相当頂点に上っているというふうに思っています。

 そうした中において、これから農業に取り組んでいくというふうになれば、ゼロではなくてマイナスからのスタートになるわけですよね。農機具なり全て買わなきゃならない、そしてまたそれぞれの格納庫も含めて建てなきゃならない、こういう状況の中において、今の増税問題。そして、今の五%でもきつい、こういう状況の中に置かれている現状というものについて、被災地における消費税というものについて農林省としてどういうふうに検証をしているのか、そしてまたどういうふうに捉えているのか、まずお伺いさせていただきます。

佐々木副大臣 私も、消費税の論議を党で随分させていただいてまいりました。消費税は御案内のように極めて逆進性の高い税金でありますから、そういった中で、低所得者の皆さん方とか個人事業主の皆さん方をどうするかというようなことも論議をさせていただいてまいりました。

 その中で、被災地の問題でありますが、ここだけをどうするかというのは実は非常に難しい問題。論議をさせていただきましたが、結局は、転嫁の場合も同じなんですが、まずルールに基づいてやっていただいて、その後にどう対策をしていくかという方法でやる以外にないのではないのかというのが、我々が党で論議をしてきた結論でありました。ですから、消費税そのものをどうするというよりも、その後の対策で何かしていくというような方法を、やはりそれは何か考えなきゃいけないんだろうというふうに思っています。

吉泉委員 今、現状からいえばそうなんだろうというふうには思うわけでございますけれども、しかし、そんな簡単な数字ではないんですよね、お金は。その中で、それぞれもう一度再建に向けてやっていくというふうな、そういう人方の意欲もあるわけですね。

 そういうところについて、まずは納めてもらう、そして、その後のところについてはこれから考えていくというのは、政府答弁という捉え方でいいんですか。民主党というふうな、そういうことによる議論だというふうに今受けとめたわけですけれども、副大臣として、いわゆる政府として、どういうふうに対応していこうとしているのか、その対策的な案を考えるのかどうか、そこを確認します。

佐々木副大臣 済みません、少し踏み込み過ぎたかもしれません。それは三党協議で今やっていただいているさなかでもありますので、余り踏み込みますと、そちらの論議に影響を与えることになるかもしれませんので、慎重に発言をさせていただきたいと思います。

 いずれかにしても、与野党協議であっても、それから政府であっても、何らかの対策が、転嫁対策とは別に被災地の対策というのが必要になってくるということについては、政府としてもしっかり取り組んでいかなきゃならないというふうに思っております。

吉泉委員 もう時間がなくなったんですけれども、それぞれ通告している部分、三分の二ぐらいしかできないということに対して謝りたいというふうに思います。

 ただ、今、米の需要、さらにはいわゆる供給の問題をどうしていくのか。そういう中において、やはり輸出の問題は当然考えていかなきゃならないし、そこに力を入れていかなきゃならないものなんだろう、こういうふうに私自身も思っておりますし、これからここのところは非常に強く求めていかなきゃならない、こういうふうにも思っております。

 ただ、今の中国の輸出促進協議会、ここのところに当初、冒頭質問があったわけでございますけれども、やはり検疫の問題が一つの根底にある。ここのところの絡みの問題。そうした中で、昨年の段階から、薫蒸、さらには精米センターの関係、このことについて、それぞれ私どもも山形の中でも努力をしてきたわけでございます。

 現在、中国に輸出をしていく、検疫を通る、そういう施設、中国からも認めてもらっている精米センターと倉庫はどのぐらいあるのか。そしてまた、そのことの中で、どのぐらいの米は中国に輸出でき得る体制になっているのか。お伺いをさせていただきます。

佐々木副大臣 お答えさせていただきます。

 中国への輸出についてでありますが、大変大切な輸出先であります。現状は、指定精米工場が一カ所であり、登録薫蒸の倉庫は二カ所でございますが、これらの輸出をふやしていくというような視点から、今後これらについては、今、全国で二十五カ所の精米工場と三十八カ所の薫蒸倉庫においてトラップ調査を行っているところでございまして、中国側の検疫条件に即したものにしていくべく調査をさせていただいているところでございます。

吉田委員長 もう時間が来ていますから、短く。

吉泉委員 時間が来たということで。大変ありがとうございました。

 ただ、言いたいというふうに思うのは、きちっと農林省の方としての構え方を含めながら、今の輸出の問題も含めて、供給がいっぱいできる、生産者が安心してつくれる、この体制をつくってもらうことを希望を申し上げまして、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

吉田委員長 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。

 郡司大臣、佐々木副大臣、御就任まことにおめでとうございます。

 大変な中の御就任ですから、いろいろと厳しいこともあると思います。私たちも厳しい質問もいたしますが、御就任を心からお喜び申し上げたいと思います。

 まず、昨日、大臣の所信的挨拶をお伺いいたしました。それで、私、ことしの初めの鹿野大臣の所信とちょっと照らし合わせてみたんです。新しい大臣としての政策とかが何か入っているかなと思ったら、残念ながら余りなかった。それで、文章もずっと見てみましたけれども、全く同じ文章になっているところが何行もあるんですね。これは大臣が、余りこういうチャンスはないと思いますので、もうちょっと御自身のやりたいことを書かれたらよかったのではないかというふうに私は率直に思いましたけれども、大臣、いかがですか、御感想は。

郡司国務大臣 これからまたよろしくお願いをしたいと思います。

 実は、この所信的な挨拶という中身についてでございますけれども、御存じのように、政権交代がありましたときに、私と、今度一緒に副大臣になりました佐々木さんは、副大臣、政務官をしておりました。最初の政権交代のときに、これまでと違う機軸を出さなければいけない、これから新しい制度をつくっていかなければいけないというような思いで、例えば今回もいろいろと出させていただいております戸別所得補償でありますとか、あるいは六次化の問題でありますとか、あるいはまたその後でき上がりました森林・林業再生プランでありますとか、水産の方の積立ぷらすの新しい設計でありますとか、その辺のところについては、時間的には若干かかったもの、かからないものがありますけれども、一通り自分たちでやってきたというような思いがございました。

 したがいまして、私がこの任を受けるときに思ったのは、新しいキャッチフレーズとか新しいことというよりも、これまで政権交代で決めたことを確実に一歩ずつ進めることがやはり私の任務なのかなというような思いをいたしまして、そういう意味では、新しい機軸ということではなくて、大臣がそれぞれかわりながらまだ道半ばでございますので、これまでのことをしっかりとやりたいという思いでこのような形にさせていただいたというふうに私自身は考えているところでございます。

石田(祝)委員 そうすると、今回、所信的挨拶をなさって、私は非常に、これから一年間、一年もこの後はないわけですけれども、やっていかれるのが全部入っていないんじゃないのかと。ですから、これはあれですか、鹿野大臣がやりたいとおっしゃった所信、それを自分もやっていく、こういうことで新機軸を入れていないということでいいんですか。

郡司国務大臣 言葉がそれぞれ足らない部分はあるかもしれませんけれども、とりあえず、私どもが抱えることについては網羅をしているというような認識はございます。

 先ほど申し上げましたように、政権交代以降のそれぞれの課題についてしっかりと取り組む。そして、先ほど来、畜産、酪農の関係はどうしたというような御意見もいただきましたけれども、農林水産業というくくりにして大変恐縮かもしれませんけれども、全てのことについてしっかりやっていこう、その思いは私どもとして持っているつもりでございます。

石田(祝)委員 それでは、TPPの問題についてお伺いをいたしたいというふうに思います。

 私も、あらゆる会合で、TPPについては、交渉参加は反対である、こういうことは申し上げてまいりました。

 それで、大臣も慎重に考える会の副会長をなさっておって、今まで、大臣に就任なさった後の記者会見だとか、またきょうまでの委員会でのいろいろな質問を受けて、私の見るところ、やはり大臣としては、農林水産大臣として非常に心配である、これは直ちに入ることにはならない、こういうお答えをなさっていると思いますけれども、これについてはそういう受けとめ方でよろしいんですか。

郡司国務大臣 やはり、ほかでも申し上げてきたところでございますけれども、大変に幅が広い交渉分野にわたっているというのもTPPの一つの特徴だろうというふうに思っております。

 しかし、その中で、事農林水産に関して言えば、私は、その部分を受け持つという観点からすれば、関税を例えばゼロにするとかというようなことを含めて、厳しい環境に農林水産業が落ち込んでいくだろう、こういうような認識を持っておりますから、そのことについてはしっかりと発信をしていきたい、その部分について、やはり守るべきところはきちんと守るというようなつもりでこれから臨んでいきたいというふうに思っております。

石田(祝)委員 これは、今までずっと、例えば一昨年の十月に当時の菅総理が、我々からしたら唐突に、参加表明みたいなものをなさって今日まで来たわけですね。

 当初は、農林水産業対輸出産業。ですから、農林水産業に何か手当てをすればいいのではないか、こういう議論も多かったように思いますけれども、だんだんと、いや、そうじゃないねと。やはり、医療の関係、保険の関係、またISDS条項の問題、いろいろな問題が出てきた。

 それで、三日前、要するにアメリカが、日本が民主党も自民党も議員団を派遣したときだと思いますけれども、米韓FTAをよく研究した方がいい、こういうことをおっしゃったと私はどこかの報道で見ました。今度は、農業新聞を見ますと、「米企業、韓国政府に通告」「初訴訟か」という記事が出ておりまして、会社に数十億ユーロ、数千億円の損害を与えた、こういうことで韓国政府を訴えると。こういうことが現実に出てきているわけですね。

 ですから、このTPPについては、先ほど申し上げたように、いろいろな、二十一分野あって、それはそれぞれにあると思うんですよ。しかし、全体として日本にとってどうか、そういう問題も当然あるでしょうけれども、今まで余りなかった、想定していない、企業が政府を訴える、これが法定化されている、そしてそれぞれの国の法律よりも上位に来ている、こういうことがだんだんとわかってきた。

 こういうことについて、大臣は、農業分野では関税率がゼロになると大変厳しいけれども、二十一分野あるからというところに何か含みが非常にあるんですよ。トータルでプラスならいいんじゃないのか、そういうお考えがひょっとしたらないですか。このISD等も含めてちょっとお答えください。

郡司国務大臣 具体的には、例えばISDSの話が出されました。北米の自由貿易協定、NAFTAが締結をされまして、そのちょうど十年後に、当時の世界のNPO、NGOの方々が検証をしたようなことがございました。結論は、自由貿易は高くつくというような題名をつけたまとめになっておりました。その中で一番問題にされたのは今申し上げたような条項のことでございまして、時のカナダあるいはメキシコとのやりとりの中で大変なことが起こっている。

 例えばその当時は、日本はシンガポールかどこかとやるような時期でございましたけれども、これからこういう投資条項が入ってきて、投資環境の変更というようなことの裁定を受ければ、国自体が相当なダメージを受けますよというようなことについて、たびたび私も質問をしてまいりましたし、そのことの危惧に対しては、随分前から抱いてきたことでございます。

 ただし、今申し上げたのは、私自身は、できるだけ農林水産というところをしっかりと認識して発言をすることが必要だろう、こういうようなことの言い方をさせていただいておりますけれども、それぞれの分野も含めて関心がないかといえば、非常に大きな関心を持っているというようなつもりでおります。

石田(祝)委員 この問題は、ある意味で私以上に大臣の方がお詳しいだろうというふうに思います。

 そういう中で、このTPPをどうするか。協議開始を宣告しそうだと言われている野田内閣にあえて入られているわけですよね。それは、野田内閣の方針ということ、要するに、野田総理のお考えがわかっていて農林水産大臣に今回なられた、こういうことですよね。ですから、その中で、今までの御自身のお考え、また農林水産業というものを背負って、どこまで郡司大臣がある意味では踏ん張っていただけるのか、こういうことになると思いますけれども、あえてそういうところに大臣として入っていかれた、そして農林水産業をどう守っていくのか。これはもう一度決意をお伺いいたしたいと思います。

郡司国務大臣 今の質問は、やはりお話を伺って、決断をするときには自分自身で考えなければいけない問題だろうというふうに思っておりました。私の考えそのものは、何があろうと、この国の農林水産をつかさどるということになった場合には、あくまでもそのところに立脚をした発言というものをする人がいなければいけないだろうと。私は、そのことをしっかりやっていくことが必要だろうというふうには思っております。

 よしんばという話、あるいは万が一という話は今ここで私がすべきことではないなというふうに思っておりますけれども、ただ一言だけ加えさせていただければ、何があろうと、私は、この国に農林水産業がなくなっていい日が来ることはあり得ないだろうというふうに思っておりますから、今の時点で最善できること、そして、いつの時点でも、その時点での最善できることを尽くそうという思いで受けさせていただいたということでございます。

石田(祝)委員 その御決意をお聞きいたしましたので、ぜひ御健闘、御奮闘をお願いいたしたいというふうに思います。

 この問題についてはいろいろな新たな状況もありますでしょうから、そのときにはまた御質問をさせていただきたいと思います。

 戸別所得補償制度についてお伺いをいたしたいと思います。

 大臣、所信でもお触れになっていると思いますけれども、これは法律にするんでしょうか、しないんでしょうか。どうでしょうか。

郡司国務大臣 これまでも、昨年来からの三党協議の中では、石田先生にも大変な御協力をいただいてまいりました。立場が違って、今、政府の一員となっておるということの状況を申し上げれば、昨日だったでしょうか、党の方のワーキングチームで基本的な考え方をまとめていただいたということを伺っております。その上で、まさに二十一日が国会の会期末という状況、そして昨日は参議院の中で魚住国対委員長からもどうするんだという問いかけがありましたけれども、私もまだそこのところは何ともわからないという状況でございます。

 したがいまして、法制化をするということになれば、私どもは私どもで、全力でその成案、成立を得るように働きかけをし、一生懸命胸襟を開いた協議を行いたいというふうに思っております。

 今現在のこの段階でそれを申し述べる国会の状況ではないのかもしれない、そのことを踏まえて、私どもの意思としてそのようなものを持ちながら今準備をしているということについて、御理解をいただければと思っております。

石田(祝)委員 この問題は、大臣、そんなに奥歯に物の挟まったような言い方をしなくていいんですよ。これは私は、歴代の農林水産大臣、赤松さん、それから山田、鹿野、全ての大臣に聞いているんですよ。皆さんが、法律にします、こう言っているんですよ。ですから、郡司大臣は別に遠慮する必要はないと思うんですよ。法律というのは、閣法もあるし、議員立法もあるし、委員長提案もあるんだから。これは、法律にしたいのか、したくないのか。閣法ということだけにとらわれる必要はないと私は思いますよ。いかがですか。

郡司国務大臣 法律にさせていただきたいというふうに思っております。今後ともまた御協議のほどをよろしくお願いを申し上げます。

石田(祝)委員 私もそういうスタンスで歴代の大臣にお伺いをしてきた。それは一つは、やはり安定させなきゃいけないということなんですね。

 これは、どうしても、予算措置でやっている限りは必ず査定を受けなくちゃならない。その査定をするところは財務省でしょう。当然、農林水産省の中でしっかりと考え方をまとめてやられるわけですけれども、どうしても査定が入ってくる。そうすると、予算の措置でやると非常に不安定だというのが農業者の意見なんですね。私はそれはそのとおりだと。少なくとも十年ぐらいは一つの政策でやってもらわないと、政策の予見性が立たない。ですから、法律にした方がいいのではないかと私はずっと申し上げているわけです。

 それで、まことに恐縮な言い方になるかもしれませんが、昨年、民主党、自民党、公明党の三党で、この戸別所得補償制度を何とか法律にしようじゃないか、こういうことで話し合いをしておりました。そのときの責任者が大臣と副大臣でしょう。もう一人、石山さんがいらっしゃったと私は思いますけれども。お二人が政府に入られて、そうしたらこの三党協議の枠組みで、私は閣法でもいいと思うんですよ、しかし、三党協議でやると、政権の形がどうなっても、安定的にこの法律そのものは続いていくのではないかと。そういう意味で、三党でよく話し合って法律を出せればいいな、こういうことで昨年も取り組みをしたわけですね。

 しかし、これは前にもお話ししたかもしれませんけれども、残念ながら、時系列的に申し上げると、夏のときに、八月の九日だったと思いますが、三党の幹事長で確認書を交わした、それから、正直なところ、我々に話があったのは十一月の末ですよ。それまで何ら働きかけがなくて、結局時間切れで、二十四年度の予算に反映ができない、こういうことがはっきりしたので、いわゆる協議が打ち切り的なことになって、終わってしまった。その後、再開のめども全く立たない。これはそれぞれ言い分もあると思いますけれども、現実はそうなっております。それで、このままいくと、二十五年度、大臣は意欲をお持ちのようでありますけれども、現実に間に合うかどうか、こういうところまで来ているわけであります。

 ですから、閣法でやるなら閣法で、もう出したらどうですか。私は、それは審議をさせていただくと思いますけれども、本来は三党でしっかりやった方がいいと思います。私は閣法でやったらどうかと申し上げましたけれども、本当はこれは三党でやった方がいいんですよ。大臣にこういうことを聞くのは恐縮でありますけれども、郡司大臣と佐々木副大臣が抜けた後が決まっていないでしょうが。俺たちにかわる人間がいないんだという自負があるんじゃないかとは思いますけれども。今の立場でおっしゃられるかどうかは別にして、これを具体的にどう進めていくのかということですね。これは、せっかくですから、佐々木副大臣に聞きましょうか。

佐々木副大臣 お答えをさせていただきます。

 昨年、三党協議をさせていただいて、残念ながら成立をさせることができなかったという意味で、我々も反省をさせていただきながら、その後、ワーキングチームでも熱心に御論議をいただいてきてございます。一定の共通認識もでき上がったというふうに聞いてございます。できれば、今委員に御提案をいただいたように、早急に三党でお話し合いができる場所がつくれるのであれば、ぜひ御論議をいただきたいというふうに思ってございますが、党の方と我々政府もしっかりと打ち合わせをして、法制化に向けての作業に我々としても取り組んでいかなければならないというふうに思ってございます。

 そうした三党協議の場ができ上がるのであれば、なお、我々としては、より強い法律にしていくことができるのではないかというふうに期待をしておりますので、ぜひまたよろしくお願いを申し上げます。

石田(祝)委員 これはこの程度できょうは終わりたいと思いますが、私は、我が党の考え方も以前より申し上げているとおり、岩盤部分はいい、しかし、変動については今のまま全部税金というのは納税者の理解が得られなくなるから、私らの言葉で言えば収入保険的に、ある一定の割合で農業者にも負担をしてもらう、それに国もお金を出す、そして下がったときに払えるような仕組み、これはどうかということは以前から申し上げております。こういう点もまた、農林水産業については与野党なく取り組んでいくべき課題だと私は思っておりますから、しっかりと私も取り組みをしてまいりたいと思います。

 それで、大臣、ちょっと別の角度でお伺いをしますが、今まさしく一体改革の法律が特別委員会で審議をされている。そして、修正協議も、民主、自民、公明三党で熱心に取り組みをされている。しかし、我々としても、二十一日が会期末ということを考えると、いつまでもやっていられない。これは新聞報道等にもありますけれども、十五日で協議は打ち切り、こういうことになっております。

 これは仮定の話に当然なるんですけれども、農家の方が非常に心配をされているのが、消費税が八%、一〇%に上がったとき、自分たちがその上がった分も含めて消費税を、いわゆる最終消費者にお渡しするときに価格への消費税の転嫁がちゃんとできるか、このことを大変心配しているわけです。これは商売をなさっている方はよくおわかりだし、お感じだろうと思いますけれども、ちょっとした端数が出たりしたら、それぐらいまけてよというやりとりに大体なるわけです。

 転嫁について完全にそういうことができるかどうか。これは与党というか政府の考え方を、増税しようと言っているわけですから当然お考えになっていると思いますが、特に農業分野での価格への転嫁、これについては大臣はどのようにお考えですか。

佐々木副大臣 お答えをさせていただきます。

 私も、党でずっとこのことにかかわりを持たせてきていただいたので、余り党の意見に踏み込まないように、政府として、注意をして発言をさせていただきたいというふうに思います。

 委員御案内のとおりでございますが、農業者は九割が免税業者でございます。そういった意味でいうと、農業者と個人事業主の皆さん方とは同じような状況に置かれていて、いわゆる川下サイドの価格支配力というらしいんですが、売り先の方の、流通側からの価格の圧力がかかって結局転嫁ができないというのは今も同じような状況にあるわけですが、これがもしも二桁台の消費税になったとすれば、それはもうのみ込める状況ではなくなるということで、大変重要なテーマだというふうに思ってございます。

 私どもも、幾つかの消費税にかかわるワーキングをつくった中の一つとして、この転嫁対策というものを取り上げさせていただいて論議をしてまいりましたが、それを政府が受けて、円滑で適正な転嫁に関する検討本部というところで、党の提言を踏まえて中間整理が行われてございます。

 三つほどあります。一つは広報や相談窓口。二つ目には、独禁法、下請法の積極的な活用。いわゆる導入部分は、そこのところをある程度認めていくということであります。それから三つ目に監視体制の強化。今のチェックする体制をさらに臨時にふやしてでも転嫁がきちっと行われるような仕組みをつくっていきたいということで、消費税は最終的に消費者が支払うためにはきちっと転嫁がされなければいけないということになる。

 転嫁をされた後どういう対策をとるかというのはまた別の問題としてあるわけですが、まずはしっかり転嫁される仕組みと、もう一つは、先ほど申し上げました零細個人事業主のような皆さん方に対する対策というものをどうするかという、二つの視点で考えていかなければならないというふうに思っているところでございます。

石田(祝)委員 この問題は、今いろいろと消費税の議論をなさっている中で、低所得者の方々への対策、これも非常に大事なことでありますけれども、この転嫁の問題が余り触れられていないのではないかなという気は正直しております。これは今、しっかり取り組む、こういうお答えでありますから、我々も別に、消費税増税を賛成と言って認めているわけでも何でもないんですが、課題として、転嫁の問題も大きな課題であるので、特に農業者の問題については大きな問題ですので、ぜひ目配りをお忘れなきようにお願いをいたしたいというふうに思います。

 それでは、続いて、木材価格の動向と国産材の需要喚起についてお伺いをしたいんです。

 私、先日、四国の愛媛県というところに参りましたときに、非常に木材の価格が下がってきていると。特にヒノキが下がってきて、ヒノキと杉がほぼ同じぐらいになっている。これはちょっと大げさだったかもしれませんが、非常に下がっていることは間違いないんですね。木材価格は大体、春先は低いというのが通例のようでありますけれども、例年以上に下がり方が大きいんじゃないか、こう思います。

 木材価格の動向と国産材の需要喚起策、これについてどのようにお考えか、まずお伺いをいたします。

皆川政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、通常の丸太価格でございますけれども、梅雨どきが一番低くて冬にかけて上がるというような動向をたどっておるわけでございますけれども、ことしの場合、例年以上に梅雨どきの落ち込みが大きいのかなというふうに見てございます。また、その中でも特にヒノキの丸太の価格がかなり大きく低落しているという状況でございます。私どもとしては、これは引き続き注視しなきゃいかぬということでございます。

 一方で、こういう中でありますので、やはり木材需要の拡大策というものをより強化しなきゃいかぬということで、一つには、二年前におつくりいただきました公共建築物の木材利用促進法がございます。これについては、全省庁さらには全都道府県でこの利用拡大の方針というのをおつくりいただいておりますけれども、市町村もかなり大きな公共発注の主体でございますので、市町村においてもこの利用拡大の方針を策定いただきたいということで働きかけをしておりまして、最近、急速にこの利用拡大方針をおつくりいただいている市町村がふえてございます。これをまずしっかりと広げていきたい。とにかく全市町村でこれをおつくりいただくということが大事かと思ってございます。

 それからもう一つは、出口対策という意味では大きな前進がありまして、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度がスタートするということでございますが、こういった中で、今まで山の中で未利用のものについても価格がついて、それが山元に戻るというような体制ができますので、これについてもその利活用がしっかり図られるようにしていきたい、また、当然、省庁連携のもとで、国土交通省等々とやはり木材利用の新しい局面を開いていく、また新しい部材開発といったものについてもしっかり取り組んでいきたいというふうに思ってございます。

石田(祝)委員 今、長官がちょっとお触れになったことをこれからお聞きしたいと思いますが、再生可能エネルギーを進めていこう、こういうことでありまして、特にバイオマスの関係で、未利用の木材を大いに利用していこうではないかということで、大変結構なことだと私は思います。

 その場合、現実の問題として、やはり、一体幾らで買ってくれるか、このことが大変大きな問題になるわけですね。これで、私も実は林業に関係しているある方から質問というか御相談、意見もいただいたのでありますが、いわゆる林地残材と言われて、バイオマスに使う未利用木材、間伐材と主伐材の値段が違っているんじゃないか、差をつけられて価格が決まるんじゃないかという心配をしているんですけれども、これについて、経済産業省にもきょう来ていただいておりますから、間伐材、主伐材、そういうものの値段を、はっきり言えば高い方でやってくれということなんですね。このことはどういうふうに決まりますか。

皆川政府参考人 再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度における発電区分ごとの価格でございますが、五月十六日に経済産業省よりパブリックコメントに付されております。

 木質バイオマスに関する電気については、一キロワット時当たり、間伐材等の未利用木材では三十三・六円、工場残材等の一般木材では二十五・二円、建廃、建設廃材等では十三・六五円ということになってございます。

 その中で、私どもとしても、これはまた経済産業省の方ともよく相談させていただいておりますけれども、当然、搬出コストの実態とか木材利用の必要性等を踏まえまして、森林の持続的な経営が可能となるような要件というものを満たす主伐材につきましては、いわゆる計画制度に基づいてしっかりと切って、またそれは再造林していただけるような主伐の形態ということになりますと、間伐材等の未利用木材と同じ区分に位置づけられるように、今の内容としてもそういった形での方向で調整が進められているということでございます。

石田(祝)委員 これは何か来週決まるように聞いていますけれども、それでよろしいんですか。

皆川政府参考人 いずれにせよ七月一日からの制度のスタートということでございますが、それに間に合う時期ということでございまして、もうじき決定されるということと聞いてございます。

石田(祝)委員 きょうは経済産業省からも政務官に来ていただいておりますので、補足する点とかございましたら、再生可能エネルギーの利用という観点でぜひお答えをいただきたいと思います。

中根大臣政務官 補足する点で申し上げますと、六月の十八日には告示をし、決定をする予定でございます。

 そのほか、先ほど未利用の間伐材あるいは皆伐材の価格については長官の方からお話がありましたけれども、そのほか、工場残材等の一般木材では税込み二十五・二〇円、建設廃材では十三・六五円という価格案を今お示しさせていただいているところでございます。これ、先ほどありましたかね。(石田(祝)委員「はい、もう大体、結構でございます」と呼ぶ)ありましたか。

 以上でございます。

石田(祝)委員 こういう制度で、山の方は大変期待をしております。特に、私が住んでいるところは高知県ですけれども、日本一の林野率、八四%が山だ、こうなっておりますから、未利用の資源も多いわけですので、山の方も、新しい分野で間伐材、主伐材が売れていくということで、非常に期待もいたしております。

 続いて、私はこれは何度かお聞きをいたしておりますが、きょうは水産庁長官にも来ていただいております。

 なぜ何回も何回も同じことを聞くのか。これは前にもお話ししましたけれども、やはり我々は、国会で法律を審査する、そして通す、修正する、予算を通す、その後、執行を行政府に全面的にお願いしなくちゃいけないわけですね。ですから、それを通した後、その事業の、いわゆる我々が予算に関与して、法律に関与してやったものがどう使われているのか、当初の目的どおり順調に進んでいるかということで、私は何度も何度もその執行状況についてお伺いをしております。ですから、きょうは共同利用漁船事業についてお伺いをいたしたいと思います。

 現実的に、二十三年度の第一次補正予算は五月二日に通過、そのときに二百七十四億、それから三次補正で百十三億、合計約三百八十七億、これだけのお金がついているわけですけれども、これが一体、今どのぐらい執行されているのか。まずその数字をお聞きいたします。

佐藤(正)政府参考人 御説明をいたします。

 今日まで各県で対応しております状況につきまして計算しましたところ、岩手県では約三千四百隻、それから宮城県では約六百隻、被災七道県で約四千百隻が本事業によりまして復旧されているところでございます。

 委員御指摘の予算の関係でございますが、交付決定額は三百七億円ということでございますけれども、支出につきましては、岩手県の二十億を筆頭に、全体で四十五億円にとどまっている状態でございます。

 以上でございます。

石田(祝)委員 第一次補正は去年の五月二日に通っているんですね。もう一年以上たっているわけです。それでなお、そのときも、それ以降も私も何度も申し上げておりますけれども、漁業者は船があれば魚がとれる、早く船が欲しいということで、当然私たちもそれはそうだということで、第一次補正予算にも協力をして早く通したというふうに思います。それが、三百八十億、約四百億近い予算があるのに、現実に支出されているのが約四十五億だ。一年以上たってですよ。いかにも遅いじゃないですか。そういう思いを私は禁じ得ないんですよ。

 私はこれが四回目だと思うんですよね、ここで取り上げるのは。時系列的にどうなっているかということを確認したいということでいつも取り上げて、担当の方には嫌な思いをさせているかもしれませんけれども、熱心にやっているのにと思っているかもしれませんが。やはり大臣、数字の話じゃないので、これはちょっと大臣の御決意もお伺いをぜひしたいんですよ。

 予算が通ってもう一年以上たっているのに、まだ一次補正の分の八分の一ぐらいなんですね、使われているのが。これはちょっと遅いんじゃないのか。八分の一じゃないですね、もうちょっと多いですね。これはいかがですか、大臣。

郡司国務大臣 今お聞きをしておりまして、執行の状況が芳しくないという話でございました。数字的に、本当にそのような数字になるんだろうなというふうに思っております。

 先週、宮城県の方に伺ってまいりまして、一つお話を聞かせていただいたのは、とにかく発注をするんだけれども、つくる方がキャパが狭くてなかなか建造までに至っていないんだ、こういう話をお聞きしました。構造的な問題があるんだろうというふうに思っておりまして、しかし、今だけつくるところを広げるということがなかなか簡単にできない要素があるのかもしれません。今のようなお話をお聞きしまして、つくり手の方にも、どういう状況なのか、私どもの方でもう一度働きかけをさせていただきたいというふうに思っております。

石田(祝)委員 これはぜひ前向きに進めてほしいという観点で、私は時系列でずっとお聞きをしております。別に嫌がらせを言っているわけじゃないですから。船がないと困ると言っているから予算を組んでやっているのに、まだ使われていないとなると、納税者の立場からしたら、何だ、補正まで組んでやっているのにどうしてだ、こういうことになりますから、これは御努力いただいていると思いますが、なお一層の御努力をお願いいたしたいと思います。

 もう時間もなくなりましたので、きょうは最後に一つだけお伺いしたいんです。今回、今まで同僚議員からも取り上げられておりましたけれども、農林水産省のいわゆる中国への輸出の問題で、時間がないので私、端的にお伺いをします。

 この報告を、岩本副大臣がチーム長で調査チームをつくられて、当初は、六月四日を目途に第一次の取りまとめをする、こういうことでスタートされたはずでありますが、いまだに、第一次か中間かわかりませんが、全く正式な報告がなされていないように思います。これは一体いつなさるのかが一つ。

 それで、いろいろなことをお聞きしようと思ったんですが、一つだけお聞きします。

 そのことと加えて、今回、田中さんという方を顧問にした。その顧問にした経緯。これは当然、私は決裁の文書があると思います、公文書で。顧問にするわけですから、農林水産省の顧問といったら大変なものだと思うんですよね、その顧問にした決裁文書があると思うんですよ、公文書として。何々発第何号何月何日付、それに誰の判こが押してあるわけです、全部。顧問にする理由も、当然、経歴も全部くっつけておかないとおかしな話ですから、私は、これをぜひこの委員会にお出しいただきたい。

 このことは、委員長にお取り計らいをお願いしたいと思います。

吉田委員長 それは、理事会でまた協議させていただきます。

石田(祝)委員 はい。

 では、最初の、いつ報告を出されるかだけお答えください。

岩本副大臣 石田委員にお答えをいたします。

 一日でも早く御報告申し上げたいと思っております。

 当初、四日にもという思いを込めて提出したいということだったんですけれども、今、石田委員御指摘の田中氏が海外に行っていて、また帰国されてアポイントをとったりとか、そういう時間のロスがございまして、先ほど、きょう新たな文書をとりに来てくれと電話がございまして、その文書もチェックして、もうこれ以上は田中氏のところに農水省の文書がない、間違いないと確認して、それから、誰がそれに接触して、誰が渡したかということも含めて今調査をいたしておりますので、一日も早く御報告申し上げたいというふうに思っております。

 また、田中氏の顧問の任命の件でございますけれども、これは、平成二十二年十二月の八日に大臣官房秘書課におきまして決裁文書を起案しまして、最終的に鹿野前農林水産大臣の決裁をいただいて任命したところでございますけれども、決裁文書には田中氏を顧問に任命した理由は記載をされておりません。と申しますのも、顧問の場合に限らず、通常、人事発令に関する決裁文書には任命理由は記載していないところでございます。

石田(祝)委員 済みません、時間が終わっておりますけれども、最後に一言だけ。

 この提出については、理事会で諮っていただけるということですから、よろしくお願いしたいんですが、だけれども、この田中さんという人、今までの農林水産省の歴史の中で、ああ、この人なら当然顧問になる人だなという人じゃないでしょう。どこかの議員さんの公設秘書さんを顧問にして、それが、理由も書かれておりません、起案をしたのは秘書課ですと。何で秘書課が勝手にそんなことをするんですか。秘書課なんかが田中さんを知っているはずがないですよ。

 どういう理由で、どういう経歴で顧問にするなどということをしない限り、では、私を顧問にしてくださいと言ったら、してくれますか。しないでしょうが。あなた、そんな大事な役職を、理由も書いておりません、秘書課が起案をして大臣が決裁しました、そんなことは通りませんよ。

 これはもうちょっと、通告もしているんだから、副大臣、チーム長として、それらしい答弁を私はしていただきたかったですね。

 終わります。

吉田委員長 次回は、来る十九日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十四分散会


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