衆議院

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第9号 平成24年6月20日(水曜日)

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平成二十四年六月二十日(水曜日)

    午前八時三十三分開議

 出席委員

   委員長 吉田 公一君

   理事 石津 政雄君 理事 梶原 康弘君

   理事 菊池長右ェ門君 理事 田名部匡代君

   理事 野田 国義君 理事 小里 泰弘君

   理事 宮腰 光寛君 理事 石田 祝稔君

      石井登志郎君    石山 敬貴君

      今井 雅人君    打越あかし君

      大谷  啓君    笠原多見子君

      金子 健一君    京野 公子君

      小山 展弘君    佐々木隆博君

      高橋 英行君    玉木雄一郎君

      筒井 信隆君    道休誠一郎君

      富岡 芳忠君    中野渡詔子君

      仲野 博子君    福島 伸享君

      森本 哲生君    山田 正彦君

      伊東 良孝君    今村 雅弘君

      江藤  拓君    小野寺五典君

      北村 誠吾君    武部  勤君

      谷川 弥一君    永岡 桂子君

      保利 耕輔君    山本  拓君

      吉野 正芳君    西  博義君

      石田 三示君    吉泉 秀男君

      石川 知裕君

    …………………………………

   農林水産大臣       郡司  彰君

   復興副大臣        末松 義規君

   復興副大臣        吉田  泉君

   文部科学副大臣      奥村 展三君

   農林水産副大臣      佐々木隆博君

   経済産業副大臣      牧野 聖修君

   経済産業副大臣      柳澤 光美君

   環境副大臣        横光 克彦君

   内閣府大臣政務官     園田 康博君

   農林水産大臣政務官    仲野 博子君

   農林水産大臣政務官    森本 哲生君

   国土交通大臣政務官    室井 邦彦君

   環境大臣政務官      高山 智司君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    西村 善嗣君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       三浦 公嗣君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  今井  敏君

   政府参考人

   (林野庁長官)      皆川 芳嗣君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            徳増 有治君

   政府参考人

   (観光庁審議官)     志村  格君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   伊藤 哲夫君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            鷺坂 長美君

   参考人

   (東京電力株式会社常務取締役)          廣瀬 直己君

   農林水産委員会専門員   栗田 郁美君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月二十日

 辞任         補欠選任

  玉木雄一郎君     石井登志郎君

  伊東 良孝君     永岡 桂子君

  谷川 弥一君     吉野 正芳君

  山本  拓君     小野寺五典君

同日

 辞任         補欠選任

  石井登志郎君     玉木雄一郎君

  小野寺五典君     山本  拓君

  永岡 桂子君     伊東 良孝君

  吉野 正芳君     谷川 弥一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国有林野の有する公益的機能の維持増進を図るための国有林野の管理経営に関する法律等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第五〇号)(参議院送付)

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

吉田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、国有林野の有する公益的機能の維持増進を図るための国有林野の管理経営に関する法律等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省生産局長今井敏君及び林野庁長官皆川芳嗣君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

吉田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。今村雅弘君。

今村委員 おはようございます。

 昨晩の台風の騒ぎで皆さんお疲れかと思いますが、時間の関係で、早速でございますが、質疑に入らせていただきます。

 まず最初に、大臣にお伺いしたいと思います。

 私が言うまでもなく、今、民主党は、国民に約束したことをなかなか守らない、約束したことのないことをどんどんやっていく、そういう批判があることはよく御存じかと思います。首をかしげていますけれども、そうでしょう。それで、その一環として、きょうの質問に関係しますが、まず諫早干拓の開門の問題です。

 これは、当然のことながら、海の森という言葉もありますとおり、山があって豊かな有明海があったわけです。ところが、最近、御案内のような大変厳しい状況になっている。それに向けて、とにかく開門調査をしようじゃないかということでやってきたわけですね。そして、皆さん方の代表であります菅総理が、これについては上告を断念して、開門調査に踏み切るということをはっきりと明言されたわけですよ。にもかかわらず、全くその具体的な姿が見えてこないということでございます。

 先般も、鹿野大臣以下、政務官あるいは役所の方々が、まさに大名行列といってもいいくらいのたくさんで佐賀にお見えになりました。皆さん、大臣が来たから何か動きがあるんだろうと思っておりましたが、全くないということであります。地元の皆さんは、もう怒りを通り越して笑っていますよ。何だ、大臣なんかへみたいなものじゃないかと。これだけ政治の信頼をなくしているということにもこれはつながっているわけでございます。

 就任早々、大臣には厳しい話で申しわけございませんが、これは非常に重大な問題であります。まさに民主党政権が背負った大きな課題であるということを認識の上、どういうふうにこれからやっていかれるのか。時間が余りないんですよ。九月からはノリの時期に入りますから、工事はできません。これもつとに指摘をしておったわけでございますが、こういったことにつきまして具体的にどうするのか、所信あるいは決意のほどをお聞かせください。

郡司国務大臣 御指摘をいただきましたような裁判の経過がありました。したがいまして、開門を行うことについては国の責務であるというふうに私どもも認識をしております。民主党の責任かどうかという話よりも、国全体として、これまでの公共事業の中で見直すべきを見直していこう、こういうような形の中で私どもは取り組んでいきたいなというふうに思っております。

 そして、今問題になっておりますのは、私自身も以前に検討委員会の座長をさせていただきましたけれども、やはり開門をすべきではないかということ、しかしながら、その場合に、防災あるいは営農、あるいはまた逆の意味での漁業に対する影響というものも考慮しなければいけないだろうということも言っておきました。

 今回の場合、もうこれは委員は御存じのとおりでありますから、つけ加えることは本当はないのかもしれませんけれども、アセスメントの準備書の関係がございます。五月十一日の日までに意見を各県がということになっております。それの取りまとめが今後あるかもしれません。もし、ない場合でも、どういう形でか、その上に立って行うことを私どもは決めていかなければいけないというふうに思っております。

 具体的にはいつからどういうふうにするんだということの御懸念も今まで示されておりますけれども、私は、まず関係するところと、これはいつも大臣がかわったりしたときにこのようなところから始まるということが大変申しわけなくは思うわけでありますけれども、まず何よりも長崎や佐賀や関係をする方々にお会いをして、一定のお話を聞いた上でやっていきたい。しかし、そのときに、今御指摘がありましたようなノリの漁期でありますとか、そういうことに影響がないような形で進めていきたいというふうに思っているところでございます。

今村委員 大臣、のんきなことを言わぬでくださいよ。時間がないんですよ。はっきりしているじゃないですか、あけるということは、調査をするということは。なぜもっと長崎県なりなんなりに積極的にアプローチをしてやらないんですか。いろいろ今言われた、防災の問題だ何だかんだというのは我々も聞いていますよ。再三言われ尽くしたことを、あとは実行あるのみじゃないですか。

 もう一つ言っておきますけれども、大臣も御存じかと思いますけれども、もともと農水省の役人はこれについては否定的なんです。そうでしょう。それを菅総理のときに、意に反してと言ったらなんでございますが、彼らの意に反して、上告しない、あけるということになった。根っこにはそういう、役人自体がこれは反対だということがあることは頭に置いておいてくださいよ。

 ですから、時間稼ぎにボーリング調査でも何でも格好だけつけて、地元が反対しているからやらない、そういうことにして、ずるずるずるずるおくれているじゃないですか。そういうことじゃなくて、まさに政治主導でぱしっとやっていくんだということ。これは決意はあるんですか、どうなんですか。もう一回確認します。

郡司国務大臣 菅総理が上告を断念するという決断をしたのはそのとおりでございます。それに先立つ四月の段階で、私自身、先ほど言いましたように、検討委員会の座長を務めさせていただきました。その中で、開門をすべきだという結論を出しております。

 その後、内々でございますけれども、実際に開門をする場合にどのようなことが障害となり、具体的にやるためにはどういう形でしなければいけないか、そのことについて実際に検討してきたつもりでもありますので、ただ単に十二月の菅総理の決断まで待っていたということではなくて、そのつもりで私どもも準備をしてきた、その意思にのっとってこれからも進めていきたいというふうに思っております。

今村委員 我々が見てみると、民主党政権、政府は全然だめじゃないかということは、これからもはっきりと言わせていただきます。今みたいな姿勢が続く限りは。

 では、次に移ります。

 今回は林野の問題でございますが、この法案の前に、昨年来やっています、いわゆる森林・林業再生プランの問題点でございます。これについてはいろいろな議論を尽くしてきたわけでございますが、やはり実施してみるといろいろな問題が起きてきている。

 きょう、答弁しやすいようにと言ったらなんでございますが、通告でも問題点を挙げています。例えば、所有者がどこにいるかわからない、その同意取りつけが非常に難しい。あるいは、木材価格が低落する。これが、マーケットメカニズムだけじゃなくて、どうしてもやはり一定程度の立木を切り出すということが条件になっているから、ついつい供給過剰になっている嫌いがあるんじゃないかとか、そういう問題。あるいはもう一つは、こういった取り組みがきちんとできるところと、できないところの産地間の格差の問題。こういったものが起きてきているような気がいたしております。

 こういったことについて総括的に、あるいは個別でもいいですから、実施後の問題点をどういうふうに認識しているのか、お答えください。

郡司国務大臣 今御指摘をいただいた三点がございました。

 そのほかにも、これは御存じのように、森林の場合には施業という独特の言葉を使っておりましたように、ただ単に作業するだけではなくて計画的に行う、その場合にはやはり人というものを育てなければいけないとか、あるいはまた、これまで、ほかの国に比べて先ほど御指摘の不在村の方々が多いということも含めてでありますけれども、集約化あるいは路網の整備ということも一体的な形で進めるようなことができなかった、そうしたもろもろのことを鑑みまして、七つぐらいの点をしっかりやっていこう、こういう形でまとめたところでございまして、そうしたことについて一つ一つ取り組みながらやっていく。

 しかし、まだ地籍の関係でいうと四二%、実際にはそれよりも若干わかっているところもあるということでございますけれども、大変厳しい現状でございます。したがって、そういうところも今後は、これまでと同じような、人を探してどうのこうのということではなくて、一体的な計画を持って、それで公のところで明らかにして参加をいただくような形をとるとか、いろいろこれまでと違ったような形をとるということにしております。そのための最終的な仕上げが今回の法案でございますので、御成立をいただきました後、実行策についてしっかりと進めていきたいと思っております。

今村委員 それだけですか。先ほど言いました木材価格の低落あるいは産地間の格差等々、そういったものにはお答えがいただけませんが、どうなっているんですか。

仲野大臣政務官 今般、非常にこの価格について、円高の傾向あるいはまた輸入材との競合による影響が考えられるところでありまして、当省といたしましては、何とかこの需要拡大にしっかりと努めてまいりたい、そのように思っております。

 引き続き、情報の収集に努め、価格や在庫量の動向等を注視してまいりたいと思っております。

今村委員 質問をよく聞いてからやってくださいよ。

 全般的な話はわかるけれども、この森林・林業再生プランによって一定程度の出荷をしなきゃいけないということを私は言ったでしょう。そういったことが影響しているんじゃないかということを聞いているんですよ。円高の話なんか聞いていませんよ。

仲野大臣政務官 御指摘の、森林管理・環境保全直接支払い制度等においてさまざまな取り組みを行っている中で、その価格動向は、平成二十二年度では中期的な平均価格は大きく変わっていないところもありますが、全体的に木材の価格は大きく変わっておらず、その要因等をしっかりと注視してまいたいと思っております。

今村委員 まあ、女性の政務官ですから、少し私もやわらかく言うつもりではありますけれども。

 ただ、この問題は、何でこんなことを言うかというと、今後この一兆円なり何がしのこれを売却して、債務を償還していきますよね。そういうことでしょう、国有林の林野については。そのときにこれは非常に影響してくるんですよ。国有林の林材をどの程度出荷するのかしないのか、それは債務償還の話とリンクしてくる、そこにまた市場動向が絡んでくる、ある意味では需給をどう調整していくかということもかかわってくるから、私は今こういうことを言っているんですよ。無関係なことを言っているわけじゃないんですよ。

 ですから、この再生プランによって市場に今どういう影響を与えているかということは、もうちょっと詰めて、深く突っ込んで、また次回、回答ください。いかがですか。

郡司国務大臣 現在、ヒノキも価格が相当下がってきております。全体でいうと、丸太そのものが九千二百円ぐらいというような価格で二十二年度は来ておりますけれども、いずれにしても、これからこの再生プランを行うことによって、どれだけコストを下げることができるかということが一つの問題になってくるだろうというふうに思っております。

 今まで主伐については二千六百円ぐらいからでありましたけれども、十年後には四千円ぐらいまで要するにプラス分を出していこう。間伐についても、二十二年度実績のところが今二千円でありますけれども、ここについても一定程度の流用、流用といいますか、ほかに使うところを見つけて、お金になるようなところをつくっていこう。そういうような形で全体の収益というものが上がるように、これから再生プランの中で、積み上げの中の結果としてコストが下がるようなことをやっていきたいなというふうに思っております。

今村委員 もう一つ、さっき暗示をしましたけれども、ヒントと言ったらなんですけれども、産地間格差の拡大の問題についても答えがないですね。

 これはどういうことかというと、新しい大きな機械を入れるとか、そういうことができるところと、そうじゃないところがあるんですよ。あるいは、消費地に遠い本当の山奥ですね。そういうところで、いわゆる非常に、広い意味でいえば条件不利地ということなんでしょうが、そのところについての手当てを十分にしないと、どんどんどんどん格差が拡大していきますよ。あるいは、裕福な自治体だったら地方でもって補助金を積むことができる、そうじゃないところはそうもいかない、そうすると余計にコストの面で競争力の差が拡大していくという、非常にアンバランスなことを今生み出しつつあるんじゃないかという気がしますが、いかがですか。

郡司国務大臣 森林の経営計画をつくっていこうというときに、やはり、それぞれの地域の特性というものは考えていかなければいけないというふうに思っております。

 例えば、委員の御出身のところでございますと、規模的には若干小さな形の団地にせざるを得ないだろうし、場合によっては、ほかのところよりも急峻な場合も出てくる。だとすると、ただ単に路網を整備するということだけではなくて、それ以外の、タワーヤーダーみたいな形の収穫というような方法も考えていかなければいけない。

 いずれにしましても、それぞれの地域の計画をつくる際に、しっかりとその辺のところの特性というものを生かした形で、無理のない作業ができるような形のものをつくるということにしていきたいというふうに思っております。

今村委員 さっきから答弁を聞いていますと、非常に危機感というか問題意識が薄いような感じがしますよ、はっきり言って。答弁もばらばらだし、そういった危機感がないような気がします。

 なぜ私はこんなことを言うかというと、今回、国有林についても仕組みを変えるわけでしょう。よくも悪くも、これはある意味では、今までの国有林における一つの企業会計というものを事実上なくすわけですよ。そうすると、その一つの枠の中で一生懸命コストを下げてやっていく、あるいはいい木材をつくる、そういった意欲が薄れてくるおそれがあるんです、はっきり言って。

 ですから、それは国有林の改革にもつながるし、まず、民間で今この再生プランでやっていることについてどういう問題があるかということをよく検証して、その対策を立てていかないと、国有林をこういうふうにやっても、一つの独立会計の縛りといいますか、それがなくなった中で、金は使い放題、木材をどう売るかについても、早く借金返せや、どんどん売っちゃえ、安くてもいいじゃないかみたいな話になりかねないわけでしょう。

 だから、そういう意味で、まず、民間で先行してやってきたものについての検証をしっかりやって、今、日本の林野全体のどこに問題があるかという対策を立てていかなきゃいけないということで、これは、さっき言ったように、もう一回よく検証してください。

 次に、早速、本来であります今回の法案についての云々でございます。これははっきり言って、今も言いましたけれども、いろいろな経緯はあった。しかし、一つの独立会計、特別会計という縛りの中でそれぞれの企業マインドを持ってやってきたような感じがしますけれども、これから先は、いわゆる管理だの保全だのは一般会計でやります、売った分は債務の償還に充てますということになりますね。そうすると、今までの企業マインド的な要素ははっきり言って失われる、まさにこれは行政改革の流れに逆行するというふうに私は思いますが、いかがですか。

佐々木副大臣 お答えさせていただきます。

 今、今村委員から御指摘をいただいたように、効率化といいますか、企業的な感覚というのが必要であることは言うまでもないというふうに思います。

 ただ、今までの国有林野事業と今回改定するところの大きな違いの一つが、いわゆる公益的機能というものをどう発揮させるか。もちろん効率化は十分に配慮しなければいけませんが、そこをどう発揮させていくかということももう一つの大きな理由でありますので、そういったことを同時にしっかりやっていくというようなことをやっていかなきゃいけない。

 そのためには、一般会計になった後も国民の負担というものは求めない、そういう仕組みをしっかりつくっていかなきゃいけないというふうに思っております。債務返済の部分についても、林産物収入というものをしっかり特別会計の中へ繰り入れるというような仕組みも考えているところでございます。

今村委員 今、公益的機能と言われましたね。この言葉は、ある意味では非常に便利な言葉なんですよ。私は昔、国鉄にいました。ローカル線を維持するのがまさに公益だということでやって、しかし、どんどんどんどん赤字が膨らんだじゃないですか。まさに政治とのはざまに置かれ、そうなってきた。

 だから、今回の話は、確かに公益的機能云々ということは結構ですよ。しかしその反面、垂れ流しになる可能性もあるということじゃないですか。それを言っているわけですよ。ですから、国有林の管理にしても、どうやって規律性をきちっと持たせるかということです。そこをどういうふうに詰めるのか。今後いろいろなことは出てくるんでしょうが、これもさっき言ったように、いわゆる一般会計で金を出していく、どこにどの程度をどうするのかということです。これが一つ。これはなかなか算定は難しいと思いますよ。しかし、ともすれば、一つの企業会計の中からはみ出てしまったわけで、これは垂れ流し、尻抜けになっていく可能性があるということを言っているわけですよ。

 それともう一つ、くどいようですが、林野の債務償還に充てる木材の売却、こういったものについても、先ほど言ったような問題点を認識しながら、一般の皆さん方が、民間の所有の林材の価格に悪影響を与えないようなことでやっていってもらわないと、お上はこうやって税金を使ってどんどんやってくるわ、民間は険しい山の中で汗水垂らしてやって、どんどんどんどんこれまた競争力に差がついていくと、本当に民間の林野の所有者はお手上げですよ。今だって、私の地元はかなり人工林が整備されたところなんだけれども、それでも、もう手放したい、国とか市町村で買い上げてくれないかと言う人もいるんです。ですから、垂れ流しにならないように、そういったところの歯どめをどういうふうにかけるかということについて、どうお考えですか。

佐々木副大臣 今の御指摘、我々もこれから、一般会計になった後もしっかりやっていかなきゃいけない大きな論点だという意識は十分に持っているつもりであります。その一方で、今村委員がかつて民営化のために大変御努力をいただいたという経験を生かしての御提言でありますけれども、森林が持っている公益的機能というものもやはり同時に生かしていかなきゃいけない。

 今、御存じで御指摘をいただいたというふうに思いますが、効率性と公益性という二つのものを同時に生かすことにやはり十分留意していかなきゃいけないというふうに思っています。

 同時にまた、地域的な特徴、地域間格差みたいなものにも配慮をするということでいえば、かつて施業の基本計画、プランに基づいた基本計画を国がつくりますが、それに基づいて、都道府県、市町村それぞれに基本方針などを計画していただくことになってございますから、今はそれも計画が相当でき上がっていますが、それらも生かしながら、地域の特性というものも十分に配慮していきたいというふうに思っているところでございます。

今村委員 今回こういう仕組みをやるということで、これはこれでいろいろな経緯のあった話ですからよしとしても、とにかく後のフォローをしっかりやってもらわないととんでもないことになる。

 もう一つ言っておきますけれども、先ほど来、公益的機能云々と言っておりますけれども、公益的機能の話というのは何も国有林だけじゃないですからね。その大部分を占める民有林、これについても大きな働きがあるということについて認識はしてあると思いますから、そこのところのバランスを欠かないようにいろいろな形で取り組んでいただきたい。しかも、また、これについては財政の垂れ流しにならないようにという両面、難しい面があるかと思いますが、ひとつ今後の検討課題としてください。

 次に、時間の関係も出てきましたが、今度はいわゆる働く人の関係ですけれども、公務員の労働基本権です。

 今回、このままやると、林野の方の従来の仕組みはなくなる。その反面、今度は御党では、あるいは政府では、新しい労働基本権、協約締結権を付与するような話をやっていますよね。そうすると、何か朝令暮改と言ったら恐縮ですけれども、片一方ではこういうことで今までの話はなしよと言いながら、今度の新しい法律ではまたそれを上げますという話になっている。この辺はえらく迷走ぎみだという気がしますが、どうなんですか。

 既に政府の方からこういう案が出てきているなら、今回提案している労働基本権、協約締結権等々についてもちょっとストップしよう、ストップというのは、見直しは従来のままにしておこうかという話になりませんか。いかがですか。

佐々木副大臣 お答えさせていただきます。

 今御指摘いただいた点はこれからの大きな課題の一つであります。今回の国有林野事業の改正と、もう一つは国家公務員法とのタイムラグが生じてくることになりますから、そういったものについては、関係する省、政府全体としてしっかりと連携をしていかなければそういったことに対応できないというふうに思っておりますので、しっかりとした連携をつくっていきたいというふうに思っているところでございます。

今村委員 交渉に当たる人の立場を考えてみてください。今回はこれでなくしますよと言いながら、政府の方では、また新しくつけますよと言っている。どうやって交渉すればいいんですか。この辺はもう少し大胆な取り組みをされた方がいいんじゃないかというふうに思いますけれども、当面この部分については凍結するのかどうかを含めて、これは問題提起だけしておきます。

 次に、もう時間の関係がございますが、先ほども言いましたけれども、非常に今、日本の山が荒れている。そして、所有者もどうなっているかわからない。特に、相続の問題が非常に曖昧になってしまっていますから。そういう中で、今話題になっていますけれども、とにかくいろいろな、外国が山を買うような話があちこちでおもしろおかしく言われているわけでございます。

 先ほど私もちょっと言いましたように、現実に山はもう維持できない、しかし、先祖代々の山を荒らすわけにはいかないから、これを市町村なり国で買ってくれないか、ただでいいよという声さえあるんですよ。こういった取り組みについて、少し大胆な取り組みをして、国でもって管理を全部もらう、あるいは所有権をもらう。その値段がどうかは別にして、そういったことをやって、とにかく管理をきちっとしないと大変なことになっていくと思います。こういったものについて今後どういう取り組みをされるのか、考え方があれば聞かせてください。

郡司国務大臣 その問題は本当に大変大事な話だろうというふうに思っておりまして、私ども政府というよりは、以前、党の中でも、そのようなことを考えていかなければいけない時期が来るのではないかというような話もいたしました。その前に、まず、誰の土地がどこまであって、のり面等も現実と相当違っているようなところがございます。したがって、そこを先にやらなければいけないのかとか、いろいろな議論がございました。

 まだ結論が出ておりませんけれども、今後のことを考えれば、その方向性は、私どもの検討の課題の一つとして、これから十分に具体的な話をしなければいけないというふうに思っております。

今村委員 とにかく今は、山が荒れて目印の岩が崩れたり、あるいは地形が変わったりして、所有者だってわからなくなってきているようなところがありますから、これはもうどんどんどんどん悪くなります。ぜひ緊急に対応をしていただくように、これはまさにみんなで協力してやることだと思いますので、ひとつよろしくお願いいたします。

 いずれにしろ、私もいろいろな勉強をする中で、日本の林野というのは、特に南北に非常に長いし、雨が多い、そういうところで、私は非常に恵まれた資源だと思います。こんなことを言ってはなんですけれども、お隣の韓国なんかへ行くと、同じような地形にあるけれども、結局、松があるぐらいの話で、日本みたいな灌木林、あるいはきれいな木材を出す、そういったものがない。これは、ほかの国々を見ても、非常に希有な例だと思います。

 やはりそういう日本の山の持っているすばらしさというものを、ぜひもう一回みんなで国民的に評価していただいて、しっかり守って、そして、それを守っていく林家の人、あるいは林業をやっている人が生活が維持できるということを最重要に置いて、今回のこの法案がその第一歩になるということで、お願いをしておきたいというふうに思います。

 質疑を終わります。

吉田委員長 次に、江藤拓君。

江藤委員 大臣、先週に引き続きまして、江藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、台風が通過いたしましたが、大変な被害が出ているようでありますので、迅速な対応をお願いします。五号もまた来ていますから、対応を早くするように、それぞれの機関、基礎的自治体も含めて連携をとっていただくことを、まず冒頭にお願いしておきたいというふうに思います。

 きょうは、国有林野に関する四つの法律案の一部を改正する法律案についての質疑ということでありますので、これをやらせていただきますが、参議院先議ということで全会一致で可決いたしておりますので、そのことも踏まえた上で、若干易し目の質問をさせていただきたいと思います。

 今回の法律改正案のうち、特別会計に関する法律の一部改正、これは、林野のいわゆる特別会計を廃止して、二十五年から国有林野事業を一般会計とすると今お話がありました。そして、現在の特別会計の債務を国民の負担としない、その返済については林産物の収入等で充てるのだというのが今の今村先輩の話でありました。現在の特別会計の債務を国民の負担とせずというのは実はそんなに特別な話ではなくて、我々がやった平成十年の抜本改革と基本的には全く同じスキームですから、その継続だというふうに理解をいたしております。

 ただ、ここで私が一つ気になったのは、林産物収入、これが本当に思ったとおりに上がればいいですよ。随分先の話です。平成五十五年から五十九年、私、生きているかどうかもわかりませんけれども。その五年間で集中して大体五百四十億円出るのだという試算をされているようですけれども、この試算の根拠がどのようなものであるのか、ぜひ御説明を簡略にいただきたいと思います。

郡司国務大臣 平成十年のときの基本的な考え方をしっかり残していこうということでございます。

 その組み立ての根拠でございますけれども、まず収穫量でございますが、平成十年の抜本的改革のときの収支試算に用いた収穫量というものがございます。平成十一年度以降の収穫量の実績を踏まえて調整した量、つまり平成十年の試算の九八%というような数字になっております。

 製品、丸太の販売価格、平成二十二年度実績で九千二百円でございますけれども、これで一定させていこう。

 しかし、立木の販売の単価でございますけれども、主伐については、平成二十二年度実績の二千六百円から、森林・林業再生プランの実施による生産コストの低下を踏まえ、十年後に四千円まで上昇するという計算をさせていただいております。間伐については、二十二年度実績の二千円というようなことで一定化をしているところでございます。

 済みません、申しわけございません。台風の関係。本当に今、心配なところでございまして、またあすも来るというようなこともございますけれども、事前に技術的な指導については発出をいたしました。被害が出たということになれば、早急に対応していけるようにしたいと思います。

江藤委員 我々も林政調査会で繰り返し議論してきて、基本的にこの方針については了としているわけではありますけれども、九千二百円でフィックスするのだと。我々は、年間で名目GDP三%成長を目指してこれから頑張らなきゃいけないわけであります。そうなれば当然、インフレ率も掛けていかなきゃいけない。平成五十五年ということになると、そのときに九千二百円というのはどうもちょっと数字的に合わない。考えてみると、それでフィックスするならば、搬出量を二倍にしなければつじつまが合わない。主伐の場合はコストを二千六百円から四千円に、まあまあ意欲的な数字ですけれども、本当にそうなるのかどうかはわかりません。こうなってくれたらいいなという数字ですよね。

 ですから、今村先輩も御指摘をされましたけれども、地元でもよく言われるんですよ、国有林から材が出てくると、俺の山から出してきた材の値段が下がると。材価を下げる一番の原因は、国有林が需要と供給のバランスも考えずにばかばか材を出すからこうなるんだという指摘がありますので、我々はこれから林政については、スパンの長い政策ですから、注意深くやっていかなきゃならぬなという問題提起だけさせていただきたいと思います。

 次に、国有林野の管理経営に関する法律の一部改正、国有林と一体として整備及び保全を行うことが相当と認められる民有林についても整備及び保全を行うことができる、これは非常に画期的な取り組みだということで高く評価をいたします。境界線が明らかでないということで手が出せない部分を、そこら辺はいいじゃないか、やってあげるよということで、幅広にのり面、のり代をとってやるということですから、私は現実に即したいい政策だというふうに思っております。

 ただ、これを読んで、ちょっと地元のことで恐縮なんですが、林野のことばかりに限るんじゃなくて、私の延岡に長浜地区というところがあるんですよ。これは国有林なんですけれども、いわゆる防潮保安林なんです。これの隣にくっついて、財産区の所有林なんですけれども、民有林があるんです。その区の所有ですね。これが非常に減災という防潮林としての役割を果たしているんですが、維持管理が大変難しくなっているんですね。

 ということであれば、この法律にひっかけて、法律というのはいかに運用するかということが一番大事ですから、これを幅広に理解して、こういったものもやれないかなということを私はちょっと考えました。実は、宮崎県は環境税というのを独自の県税として取っておりまして、六月の七日に長浜地区の住民に対して、森林づくり活動支援事業ということで若干の補助をすることも内示をしたばかりなのであります。ですから、県もそういった努力をしておりますので、防潮林の整備をこの法律にひっかけて、ひっかけてというと言い過ぎかもしれませんが、うまく利用してできないか。

 というのは、野田総理大臣も百四十キロの防潮林をつくるという話をされたじゃないですか。防潮林には民主党さんも非常に着目をされているわけですよ。ですから、私のこういう考え方について、簡略に、いいんじゃないとか、検討してみるとか御答弁いただければ。大臣、お願いします。

皆川政府参考人 お答えいたします。

 こういった民有林、国有林一体となって森林整備をするということを意味する国有林の法案が出ております。そういった機でございますので、御指摘の延岡の地区、これは海岸林のいろいろな整備をするということでございますので、協定締結というやり方もございますので、そういった手法を含めまして積極的に対応してまいりたいというふうに思っております。

江藤委員 百点でございます。長官、ありがとうございます。この議事録は地元の地区の人に届けちゃいますから、できなかったら、あなた、責任問題になりますよ。よろしくお願いします。

 それから、分収林特措法の見直しについて若干触れさせていただきます。

 同じく国有林野の管理経営に関する法律の一部改正で、分収林制度について長伐期施業の推進のため契約の期間を延長する、これは必要なことですよね。国有林の中にぽつぽつぽつと民有林があるわけですから、これは必要なことで、特にこのことについて異議を唱えるものではありません。必要な措置だというふうに理解をしております。

 ただ、若干話がそれるかもしれませんが、この際、民間の方にも目を向けるべきだという問題提起だけさせてください。

 昭和三十三年に分収林特措法ができました。もう五十年たっちゃっているわけですよ。ということになれば、当然、そのときに契約を結んだ人も大分御高齢になられて、お亡くなりになった方もいるし、相続が下手すると二回あった場合もあるわけでありますね。そういうことになりますと、立木を伐採したときの分収交付金の交付のときにさらに契約を延長しようとしたら、現行の法律では土地所有者の全員の合意がないと延長できないんですよ。これは現実問題無理でしょう。

 ですから、このことは答弁は求めません。今回の法律とは直接はかかわっておりませんから。一つの問題提起として、次の段階として、いわゆる民間の分収林特措法についてぜひ御党でも御議論いただきたいし、我々の林政調査会でもきちっとした方向を示していきたいというふうに思っておりますので、御検討のほどよろしくお願いをいたします。

 大体、法律についての質問は、何といっても参議院先議で合意をしておりますので、なかなかこれ以上はないので、林野関係について引き続きやらせていただきます。

 グリーンツーリズム交付金というのがあります。いわゆる田舎の民家に都会の人が行って、都市と田舎が交流する、中山間地と交流する、観光資源にもなる、そういうことでやってきたわけでありますが、どういうわけか、農林水産省は省内版の事業仕分けでこれを廃止という判定をされたというような報道を私は見たわけであります。

 これは、子供が体験宿泊をしたりして、いかにして水は山でつくられるのか、いかにして空気が山でつくられるのか、都会の子供たちにも経験させる上で非常にいい制度だと私は思うんですよ。これが何で仕分けでなくなってしまうのかと理解に苦しむんですが、理由があれば御答弁ください。

仲野大臣政務官 江藤委員の御指摘にお答えいたします。

 江藤委員が、何でこの事業を仕分けられたのか、すばらしい事業であるのにということでありますけれども、このたび、外部有識者による事業の評価が行われたところであります。

 その内容というのは、目的が曖昧である、地方が行うべき事業である、客観的な成果を示せていないというコメントがあったところでありまして、外部有識者六名の評価として、二名が一部改善、一名が抜本的改善、三名が廃止であり、廃止するとの意見が最も多く、そのうち、期限を決めて終わらせたらどうかとの意見もあり、このため、抜本的に検討し、その上で期限を決めて廃止することとして取りまとめたところであります。

 しかしながら、この評価結果を受け、委員からいただいた御意見などもよく考慮して、今後、この交付金のあり方について抜本的な検討を進めてまいりたい、そのように考えているところでございます。

江藤委員 では、政務官の御答弁によりますと、第三者委員会からそう言っても、政治主導でこれは覆ることがあるというふうに理解していいですね。そういうことだと思います。今そう言いましたからね。そう言いましたよ。

 ですから、第三者委員会、有識者が果たして本当に現場のことを知っているかというと、私は、怪しい場面が多々あると思いますよ。ですから、民主党さんは政治主導の政党なんですから、そこら辺はきちっと仕切っていただきたいと思います。

 それから次に、森林整備加速化事業について、目的が変わってしまっておりますね。このことについて触れたいのですが、どうも時間が足りそうもないので、これはちょっと飛ばします。

 次に、先ほどもちょっと指摘がありましたけれども、二十立米を加速化事業では出さなきゃいけない。自公政権にはこんな数字目標はありませんでした。一ヘクタール当たり二十立米の搬出をしなさい、こんなのをつけるのはおかしいんじゃないかということをやろうかとも思っておりましたけれども、ちょっとたどり着きそうもないので、これも飛ばします。問題提起だけしておきます。これはおかしいですよ。

 それでは、先日の本委員会でもやりましたので、これはやります。その加速化事業について、なぜ公共建築物がメニューから外れたのか。

 平成二十二年五月に公共建築物の木材利用促進法が当委員会で成立して、十月に施行したわけです。先ほど佐々木副大臣からも御指摘がありましたけれども、それを受けて、全ての省庁と都道府県で木材利用計画と木材利用方針をつくることが始まっているわけですよね。もう四百ぐらいの市町村が利用方針をつくっていますし、年度内には千できるんでしょう。どんどんどんどん進んでいるわけじゃないですか。

 地方の市町村にはそういう利用計画とかをつくらせておいて、それで公共建築物のメニューを外すというのは私は矛盾していると思うんですが、いかがですか、大臣。副大臣でいいです。

佐々木副大臣 今、メニューから外れているではないかという御指摘をいただきました。

 実は、御存じだと思いますが、二十三年度の補正で、震災の復旧復興ということで、必要な木材を供給するということで三年間延長してきた、基金の積み増しを措置してきたわけでありますが、その中での木造の公共施設整備への支援については別事業として取り組みをさせていただきたいということで、二十三年度の四次補正ですが、再生緊急対策事業で措置をさせていただいたのと、二十四年度の予算で木材産業づくり交付金で措置をさせていただいているところであります。

 今、委員に御指摘いただいたそれぞれの国の基本計画から地方の方針に至るまで作成をされてございますので、木材利用についてはそういった中でしっかり取り組んでいけるように、しっかりと受けとめていきたいというふうに思います。

江藤委員 よくわかっていますよ。三次補正は復興対策ですからね。だからといって、外さなくてもいいじゃないですか。そこが政治の知恵ですよ。復興対策ということで、三年たったらやめちゃうんですか。三年後もこの事業を続けた方がいいですよ。地方の市町村にはそうやって計画を立てさせているんだから。三年で終わる計画ですか。山は三年でなくなりませんよ、木材はなくなりませんよ。ですから、それは余りにも苦しい。

 四次補正のことも理解していますし、二十四年度予算のこともわかっておりますけれども、私は、これはちょっと工夫が足りなかったということは、しつこいようですが言わせていただきたいと思います。

 集約化施業については、これもやりたいのですが、今村委員もおっしゃったように、不在村者が森林面積の四分の一を占める現状においては非常に集約化は難しいです。このこともやりたいんですけれども、ただ、大臣の御認識がちょっと違うのは、一つだけ言っておきます。言いっ放しで申しわけないんですが。

 これは農林省の担当ではありませんけれども、いわゆる地籍調査の結果、全国平均で四十数%です。だけれども、例えば私の地元の西都市というところがあるんですが、ここも林業が盛んなんですよ。ここは三%ですからね。何と三%ですよ。ですから、物すごくでこぼこがあるのだ、全くできていないところもあるのだということをこの機会にぜひ御認識いただきたいというふうに思います。

 では、あと十分ですから、次もちょっと飛ばしまして、森林・林業再生プランについては今村委員も御指摘をされました。コストを下げる努力をせにゃいかぬのだという御答弁も聞いておりました。そういうことでありますので、このことについてはもうこれ以上深掘りはいたしませんが、私は路網についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 路網の整備というのは気をつけてやらぬとだめです。よく宮崎県にも県外の大資本が入ってきて、いいかげんな路網をつくって、皆伐してやると山は総崩れですよ。山から鉄砲水が出てくる。ですから、路網の整備というのは慎重にやらないと山を崩す、そして川下の人にも迷惑をかけるということを我々はよく考えて路網の整備をしなきゃいかぬ。

 何が言いたいかというと、この再生プランには、読むと、どうもまず路網の整備ありきなんですよ。路網の整備をやって、高性能林業機械を入れて、コストを下げてやるのだと。でも、私はそれは間違いだと思いますよ。私の田舎にぜひ来てください、とんでもないところへ連れていきますから。転がり落ちるようなところですよ、四十度傾斜の山ですからね。そんなところへ高性能林業機械が入るわけがないということでありますので、この再生プランもぜひ御党でも見直しをいただいて、やはり昔ながらの架線集材、ああいったものをこうやってやるとか、今は高性能林業機械でも移動式のタワーヤーダーとかがあるじゃないですか。ああいったものを私は利用すべきだというふうに考えますが、コメントを一言だけ。

郡司国務大臣 画一的に物事は進まないだろうというふうに思っております。急峻なところ、それから、団地化をするにもその規模が限られているようなところもございます。今おっしゃったように、どこに道をつくるかというのも、よく熟知をしている人に聞かなければ、先ほど言ったような、災害を逆に起こすような事例もこれまでも見ております。したがいまして、地元の方々の御意見をお聞きしながら、タワーヤーダー等、画一的な形にならないように、そこは肝に銘じて進めていきたいというふうに思っております。

江藤委員 大臣は、所信の中でも、地域の実態を踏まえてその特性を生かしということをおっしゃっているわけでありますから、林政にもその精神はぜひ生かしていただきたい。よろしくお願いをいたします。

 次に、緑の雇用についてお尋ねをさせていただきます。

 これは自公政権時代に平成十五年からスタートしまして、七年間で一万人の新規就農者を目指しました。なかなか、一万人は少ないという人もいるかもしれませんが、山での作業というのは三K、四K、五Kと言われるぐらいの大変な重労働で、収入も多くありません。これで一万人の新規就農を生み出せたというのは大きな成果だ、自画自賛するわけではありませんが、私はいい政策だったと思っております。

 しかし、これは根拠法がないんですよ。毎年度の予算確保が不安定で、地域の方々には非常に、来年はどうなるのかという声もあります。自民党としては今PTをつくって法制化に向けた作業をしておりますので、御党の方でもぜひ御検討いただきたいというふうに思います。

 ただ、これは、平成十五年、九十五億円でスタートをしたんです。ところが、今年度は五十五億円なんですよね、ざっくり半分。なぜ予算を減らしてしまったんですか。

佐々木副大臣 今御指摘をいただきました緑の雇用でありますが、二十三年度は名称も少し変わりました。緑の雇用現場技能者育成対策事業ということで二十三年度からやらせていただいてございますが、二十四年度は確かに五十五億円になってございます。これは特に雇用というだけではなくて、いわゆるキャリアアップも同時に図っていきたいということでそういう名称にさせていただいたんですが。

 四次補正において、例の森林・林業人材育成加速化事業というものを創設し、基金の中に積み増しをさせていただきまして、三年間で四十四億円ということで、こちらの方は地域で特に必要とされる人材を重点的に育成していただこうという趣旨で、両面で進めさせていただきたいということで、二つの事業を活用して緑の雇用を維持していきたいと思ってございます。

江藤委員 大臣も先ほど、人を育てなければいけないんだと。施業班なんというのはプロ集団ですよ。命がけですから、本当にこれは。そして今も佐々木副大臣が、キャリアアップしなきゃいけないんだと。そのとおりなんですよ。新しい機械が出てくれば、それを習得しなきゃいけない。だから、我々は、当初、研修期間を二年で始めたものを、平成二十一年、この研修期間を三年に延ばしたんです。

 キャリアアップしなきゃいけないということであれば、四次補正で三年間で四十四億円つけましたからといったって、三で割ったら十四でしょう。少ないですよ。やはり後づけじゃだめなんですよ。ですから、そこは一つの反省材料としてよく考えていただきたいというふうに私は思います。この緑の雇用は、山で特殊な能力を身につけるための一つの入り口ですから、事業は拡大すべきものだということを私は指摘させていただきたいと思います。

 次に、林業再生プランのモデル事業についてやりたいんですが、もうあと五分ありませんので、これはちょっと次回に回させていただきます。

 それから、木材自給率は、鹿野大臣のときに、最初の所信にはあったんですよ。二回目の所信から消えてしまいまして、郡司大臣のにもありません。これもやろうかなと思いましたけれども、ちょっとまだやりたいことがあるので、きょうは私は三十分しかないので、次に行かせていただきます。

 では、森林経営計画についてやらせていただきます。

 森林再生プランとともに、平成二十三年四月に森林法改正を我々はやりました。そして七月には、五年ごとに策定する森林・林業基本計画、これをつくったわけであります。これを受けて、森林組合と森林所有者で森林経営計画をつくることになる。

 経営計画、これが非常にくせ者でございまして、今は施業計画なわけですけれども、そのための説明会が私の地元でも行われています。どういう状況か聞いて歩くと、これが悲惨な状況でございまして、出席者は何人だったか、二人、たった二人。来ない方が悪いと言われればそのままですよ。だけれども、それはちょっと問題ですよ。

 そして、行った人に話を聞いたんですが、その人の御意見では、搬出間伐は原則げなと。搬出間伐が。だけれども、路網もないし、作業道もないし、大体、それほどの人材も、人的資源もないぞ、そんげなこと言われたって無理ばいという御意見もありますし、もっと極端な話がある。随分難しい話を長々聞かされたけれども、ようわからぬというのが結論だというようなことなんですよね。

 とにかく行って説明したからそれでよいのだというんじゃ、やはりだめなんですよ。地域の人に十分理解をしていただかないと。こういったふうに施業計画から経営計画に移る、施業計画が終わった後に経営計画ですけれども、これについてなかなか周知徹底もできていないし、現場では混乱があるということは、大臣の耳には届いていらっしゃいますか。

佐々木副大臣 まだそこまで正確なデータが届いているわけではありませんけれども、今御指摘をいただいたその合意形成をどうつくっていくかというのは非常に重要な作業だというふうに思っておりますので、ここのところをやはり丁寧にやっていかなければ、これからの森林法に基づく計画はしっかりと推進することができないというふうに認識をしてございます。御指摘を踏まえて、しっかり取り組みたいと思います。

江藤委員 やはり、投げたらそのはね返りを見ないと。現場主義というものを前大臣もおっしゃっていましたけれども、現場で、施業計画から経営計画に移ることについて、森林所有者、森林組合等、現場の人たちがどのように受けとめているのか、そのことは、霞が関に座っているんじゃなくて、聴取する努力はしなきゃいかぬ。していないとすれば、済みません、怠慢だと私は思いますよ。やっていただきたいと思います。

 次に、先週の委員会で、既存の施設のエネルギー買い取りの話、早速ありがとうございます。一昨日、既存の施設も対象になるということになったんですね。ほっといたしました。これについては感謝を申し上げておきたいと思います。

 申し上げましたように、宮崎県は、いい材ばかりじゃなくて、B材、C材、間伐材等ありますので、これから再生エネルギーのことも考えれば、ペレットでやはり再生エネルギーの方にどんとシフトしていきたいんですよ。ですから、これからは林野全体の予算を大きくふやす努力をしなきゃいかぬ。林野の予算として経産省が今、一部、金を出していますけれども、林野の直接の補助事業として、ペレットのいわゆる一連の流れを支援できるような体制をつくっていくことも必要だと思います。

 それから、繰り返しで申しわけないんですが、ビニールハウスの電気の話、これはよろしくお願いします。済みません、もう時間がないので御答弁は、なかなかお答えできる話じゃありませんので、今お答えいただこうと思いませんから、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 次に、鳥獣被害について、山というと鹿とかイノシシとかいっぱいおるわけでありますので、この交付についてちょっと質問させていただきます。

 昨年度の交付実績、長崎県七億四千万、佐賀県七億六百万、大分県三億六千万、なぜか宮崎県は八千五百三十九万円。これだけ中山間地域が多いのに何でやねんと。そして、ことしはどうなったかと見てみましたら、宮崎県一億三千万、長崎県六億円、福岡県が六億円。何か、やっと一億円台に乗ったけれども、どうも納得がいかないんですよ。

 去年ですけれども、農水省の担当に聞いたときに、全国の要望額に対して大体三分の一の交付金を交付しました、宮崎県は要望額が低かったから交付金額が低かったんですと。何だ、割り算かい、要望の三分の一をパソコンでぱぱんとやって、ぽんと金を配るのかいと、ちょっとむかっときたのを思い出すんですけれども。

 それで、また改めて、この交付についての基準というのはどういうふうになっているんだ、説明しろと言ったら、私は野党で農林省に雑に扱われていますから、ファクスが一枚ぺらっと送られてきまして、誰も説明には来てくれませんでしたけれども、それによりますと、客観的な指標に基づく配分、事業計画の評価ポイントに基づく配分というふうに事務的に書いてありました。よくわかりませんので、生産局長、これを簡単に御説明いただけますか。短くね、時間がないから。

今井政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生から御指摘のありましたように、鳥獣の交付金につきましては、各県からの要望を踏まえまして、全体の半分の額を農作物の被害金額等の客観的な指標に基づき各県に配分をする、残りの半分につきましては、実施隊の設置状況等、各事業計画の評価ポイントに基づいて配分するということで、配分をしているものでございます。

江藤委員 時間が来たという紙が来ちゃいましたけれども、私なりに研究してみたところ、所得補償との関連性を考えるんだというようなことがどうもあるらしいんですよ、この評価額を決めるときに。そうなりますと、前回言いましたように、宮崎は米が六%しかない、畜産が五七%、野菜、果樹が二七%ということであれば、それは帰って勉強してください、必ず書いてありますから、私はうそは言いませんから、こういうのではこういう差が出る、おかしいな、全国一律の政策がやはりゆがめているというふうに思います。

 終わりましたからもうやめますが、TPPは木材産業にも大きな影響を与えます。木材も関税ゼロではありません、一部はかかっています。最後はTPPで締めくくらせていただきますけれども、このことについては世間の声は、木材はもうとっくの昔に関税ゼロになったんだから関係ないんだと平気でテレビで言っていますけれども、全くのうそですからね。松、モミ製材は四・八%の関税、ホワイトラワン材、熱帯木材十四種は八・五%から一〇%の関税がかかっていますから、このことはぜひ御党でも御認識をいただきたいということを申し上げて、きょうの質問を終わります。

 ありがとうございました。

吉田委員長 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 おはようございます。公明党の石田祝稔です。早速質問に入らせていただきたいと思います。

 今回、国有林野事業会計、こういうものをどうするか、公益的機能を維持しながらやっていくということでありますけれども、まずお伺いをいたします。

 まず、累積債務、これは大変な金額があるわけでありますが、この返還状況と平成六十年までの見通し、こういうものをまずお伺いをいたしたいと思います。よろしくお願いします。

皆川政府参考人 お答えいたします。

 国有林野事業の債務でございますが、今、二十三年度末で一兆二千八百億ございます。これにつきまして、平成二十二年度から返済を開始しておりまして、十億円。二十三年度には二十一億円。二十四年度予算でございますが、二十五億円の債務返済額を計上しております。

 今回の法案では、債務管理特別会計を設置しまして当該債務を承継するということにしております。具体的には、林産物収入をもって、所要経費を控除した額を債務管理特別会計に繰り入れて、これによって債務を計画的に返済をしていく、平成六十年までに完済すべく取り組んでいくということでございます。

石田(祝)委員 林産物収入でということでございますけれども、この返すときにどういう木を切っていくかということについて、詳しくは聞かないから答弁で先に答えてくださいね、こういうことを申し上げておったはずでありますけれども、どうでしょうか。

皆川政府参考人 大変失礼をいたしました。

 今回の資源といいますのは、主に人工林資源が中心でございます。そういった意味で、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたけれども、人工林資源が充実するということを踏まえまして、伐採量等も計画的に増大していく、そういったものを中心に切っていくということでございます。

 なお、天然林でございますけれども、自然環境保全上、大変重要なものでございますので、原則として、伐採を行わない保護林などに設定をすることが多うございます。

 ただ、保護林以外の天然林につきましては、維持、育成の観点から、必要に応じて、天然力による更新を促進するという意味での抜き切り等の森林施業を行う場合には、若干出てくる。さらには、民有林では供給できないような木曽ヒノキですとか青森ヒバといったような高品質のものについては、一部計画的に供給する場合があるということでございますので、ほとんどは人工林からのものを見込んでいるということでございます。

石田(祝)委員 これは大変御心配なさっている方がおりまして、やはりもう天然林がだんだん少なくなってきている、そういうことで、今回木を切って債務返済に充てていく、では、この天然林をぜひ守ってほしいという声もあるわけでして、あえてお聞きをしたところでございます。

 それで、一般会計化することに対する意義、これはもうどなたかがお尋ねになっただろうと思いますけれども、これは戦後、やはり、特別会計にしたときには特別会計にした理由が当然あったわけで、それをやめるということでありますから、その変更することの意義ですね、どういうふうなことに意義があるのか、これは大臣からお聞きをいたします。

郡司国務大臣 長い歴史の中で役割も相当変わってまいりました。昔、営林署と言っていたように、材を売って収入を得るというようなことを目的にしているところから、公益的な機能としての森林の管理というものをやっていこう、こういうようなところもあったわけであります。

 今現在のところ、国有林野事業の一般会計化によりまして、国有林野の有します公益的機能の発揮のための事業、あるいはまた民有林への指導、サポート等の事業を一層計画的に行える、こういう目的で今回しているところでございます。

石田(祝)委員 これは戦後、一般会計のときに国有林をどんどんどんどん切って、お金が足りないときにそっちに回していっていたわけです。ですが、これじゃいけないということで、別会計にして守ろうというのが特別会計にした理由だ、私の以前調べたときにこういうことでありましたが、またさらにこれが一般会計に戻るということですから、そういう戦後をくぐり抜けたこの会計が変化をするということで、ぜひ、もともとの今回の趣旨が貫徹されるように御努力をいただきたいというふうに思います。

 それでは、引き続いて、外国からどう見られているかということでちょっとお伺いをいたします。

 米国通商代表部の二〇一二年外国貿易障壁報告書、ここで農林水産関係を中心としたというものを私はちょっと資料でいただいたんです。ここには余り木材のことは書いていませんが、一カ所だけ書かれているところがありまして、これは、「木材製品及び建築資材」というくくりになっております。少ない分量ですからちょっと読み上げますと、「日本は、タリフ・エスカレーション(木材製品の加工のレベルに応じて累進的に関税が高くなること)を通じて、いくつかの木材製品の輸入を制限し続けている。 木材製品に対する関税の撤廃は、かねてより米国政府の長期にわたる目標となっている。」こういう記述がございます。

 この記述について農林水産省は当然承知をしていると思いますけれども、この記述について、これはちゃんと合っているのかどうか、これはどういう評価ですか。

皆川政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の林産物の関税につきましては、先ほど江藤委員からも御指摘ございましたけれども、丸太等については無税ということがございますが、一部製材品、合板等については関税があるということでございます。

 ただ一方で、それはどういう考え方で設定しているかといいますと、国産品との競合の観点ということで設定をしておりまして、この報告書にございますような、いわゆる加工度に応じて累進的に関税が高くなるタリフエスカレーションと言われるような観点ということではない。例えば、家具とか紙製品といったような加工度のかなり高いものについても無税であるといったようなことがございますので、こういった指摘は当たらないのではないかというふうに考えてございます。

石田(祝)委員 これはそのとおりだと思いますが、では、ここに書かれていることとは本当は違うんですよ、こういうことですね。

 それで、私が今読み上げたのが二〇一二年のものなんですが、二〇一一年も全く同じ記述になっているんです。これは、林野庁長官が今お答えいただきましたけれども、二〇一一年の米国通商代表部の報告書、これも御存じであれば、二〇一一年の段階でこれは記述が間違っていると、また同じものが二〇一二年に出ておりますけれども、これに対して、間違っているものは間違っていると正確に抗議をすべきだ、こう思いますけれども、今後そのお考えがあるかどうか、お聞きをいたします。

皆川政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の点につきましては、事実の指摘ということでございますが、それがそうではないということであれば、やはりしかるべきルートで、こういった問題、我々がこう考えているということについてはお伝えをさせていただくようにさせていただきたいと思っております。

石田(祝)委員 長官、ちょっと言葉尻を捉えるようで悪いんですけれども、我々の考えじゃないですよね。事実の話をしているわけで、評価をしているわけじゃないので。これについては明確に、間違っていますよ、事実はこうです、ですから記述を改めてもらいたい、こういうふうにおっしゃるべきじゃないでしょうか。

 だから、あとは、どういうルートでやられるのか、そういうこともお答えいただければ、あわせてもう一度お答えをください。

皆川政府参考人 お答え申し上げます。

 米国との間ではいろいろなさまざまなルートがあろうかと思いますので、適切なルートを選択しまして、私どもから伝えたいと思います。

石田(祝)委員 これは、間違った記述が流布してしまうと誤った認識が定着をしてしまいますので、やはり、間違っているものについては、間違っている、事実はこうである、こういうことをぜひそれぞれの部署の方が声を上げるべきだし、また、ひいては農林水産省全体でこういうものにも目配りをしていただいて、間違っている記述が連年続くことのないように、ぜひお取り組みをいただきたいというふうに私は思います。

 続きまして、この木材の地域産材、はっきり言えば国産材ということですね、これについての需要拡大ということでお伺いをいたしたいと思います。

 きょうは国土交通省にも来ていただいております。国土交通省で、ことしから地域型住宅ブランド化事業、こういうものをお始めになったようでありますけれども、これを簡単に御説明いただけますか。

室井大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 先生にはこの事業に対して非常に御理解をいただいておりまして、御礼を申し上げます。これからも、ぜひお力添えのほどお願い申し上げたいと思います。

 今お尋ねのところでございますが、住宅を初めといたします建築物への地域材の利用促進は、適切な森林整備や地球環境の温暖化の防止に資するだけではなく、地域の住宅産業、また、木材産業の活性化や雇用創出に貢献するなど、さまざまな効果が期待できると認識をさせていただいております。

 このため、平成二十四年より、原木供給者、また、製造工場、プレカット工場、さらに、建築士、中小工務店等の地域の木造住宅関連事業者が連携体制を構築し、その上で地域材を活用し、地域の気候風土に合った木造の長期優良住宅を建設する場合に、その工事費の一部に対して支援を行う、これが地域型住宅ブランド化事業でありまして、今積極的に実施をしておるところであります。

 さらに、これにより、地域における木造住宅生産、また、維持管理体制を将来にわたって継続させる体制の構築、また、品質、性能の確かな地域型住宅のブランド化による消費者の信頼の獲得、さらに、部材の規格化や調達の合理化を通じた、長期にわたって活用される質の高い住宅の低価格の供給など、それぞれが可能になる、このように考えております。

 どうか今後とも、この事業に対しましても積極的に推進をしてまいりたい、このように考えておるところであります。

 以上でございます。

石田(祝)委員 これは二十四年からということで、地域型住宅ブランド化事業、先ほど御答弁がありましたように、これは地域の原木供給者から川下の中小工務店、最終的にその原木を利用して家を建てる、こういうところがグループになって仕事を受けていく、その場合にお金を補助しよう、こういうことであります。

 なぜこれが大事かなということでありますけれども、例えばハウスメーカーは、大量に、ある意味でいえば工場的なところで部品的にたくさんつくる。ですから、調達の関係でどうしても外材を使うことが多い、こういうことも言われております。我々が木材の自給率、何とかこれを五〇%にしよう、こういうことで、当初は、法律をつくったときに木材の自給率という言葉は入っていなかったんですね、自給力ということでなっていましたけれども、それはわかりにくいということで、自給率をあえて数字として入れてもらった、こういうことであります。

 そうすると、どうしても地域材を、私があえて地域材と言うのは、国産材と言うといろいろと問題があるから地域材というふうに申し上げますけれども、この地域材を使って家を建てていただく、そういう政策誘導をしないと、なかなかこれはかなわない。特に今、テレビを見ると、ハウスメーカーの宣伝はすごいわけですね、全国的な規模で展開しているわけですから。それから、モデルハウスなんかをたくさん建てているところへ行くと、非常にきれいな家がたくさん建ち並んで、御夫婦で子供を連れていったりすると大体奥さんが決定権を持っているわけですね、そうすると、こんなきれいな家がいい、こうなるわけです。

 ですから、やはり地域材を大事にする、そして、そこで地域での経済の問題も当然出てまいりますから、これは非常にいい政策じゃないかな、こういうことで、これをぜひ進めていくべきだ、私はこのように思っております。

 そこで、このブランド化事業で、これはことし予算が九十億円なんですね。それも九十億の内数ということですから、これはひょっとしたら人気が出てきてお金が足りなくなったらどうするんだろう。お金がなくなっちゃったからもうこの事業は年度の途中だけれども終わりですよ、私はそうであってはならないと思いますので、きょうは室井政務官に来ていただいておりますけれども、ぜひそのときは省内の予算をかき集めて、これはいろいろな例があるんですよ、その事業でお金がなくなっても、いろいろなお金をかき集めてきて事業を進めていくというのをやっておりますから、それについて、そこまでの御決意もぜひしていただきたいと思いますが、いかがですか。

室井大臣政務官 先生の力強いお言葉、ありがとうございます。感謝申し上げます。

 今、予算額は九十億と。確かに九十億でございますが、第一回の公募をさせていただきまして、約五百九十二グループの希望、応募がございまして、今それを精査しておるところであります。確かに、この事業に対しましても、補助金の配分に当たっては、九十億の内数の範囲内で適切に執行に努めてまいりたいと思っておりますが、この五百九十二グループの分析を終了次第、またいろいろと積極的に、もし予算内でオーバーするようなことがございましたら検討をしていきたい、このように前向きに考えております。

石田(祝)委員 これは、予算が足りないから何とか省内で工面をしよう、そういうところまでなるようにぜひ御努力をいただきたいと思います。

 それで、私は残念なのは、こういう政策が林野庁からどうして出なかったのかなということも思うんです。これは国交省が、住宅局がやられているということですから、これはぜひ協力もしていただきたいというふうに思うんですけれども。

 これは、長官、どうですか。どういう感じで一緒にコラボレーションでやっていけますか。

皆川政府参考人 お答えいたします。

 地域型の住宅ブランド化事業は、我々にとっても大変にありがたい、地域材の需要拡大ということにつながる事業と思っております。ただ、これをやるためにも、私ども、森林所有者から木材業界、それを合わせた形で、例えば適切な部材開発ですとか、そういったことをやっていかなきゃいかぬということでございます。

 そういった部分について特に我々もよく連携をさせていただいて、この地域型ブランド事業の、もう手がどんどん挙がってくるといったような形、そういったものをつくれるように我々も十分に支援してまいりたいというふうに考えてございます。また、連携をよくとっていきたいというふうに思っております。

石田(祝)委員 これはぜひよろしくお願いしたいと思います。

 国土交通省からいただいた資料は、グループにするのが原木供給者から中小工務店までありますけれども、その半分以上は林野庁の関係のところなんですね、原木供給者だとか製材事業者だとか。ですから、これはもう当然しっかりと連携して進めていただくべき政策じゃないか、こう思っております。

 それで、あと一点お伺いをしたいのは、地元の建材店が材木を使う場合、例えば今回のブランド化事業でも、一戸当たり建築費の一割以内かつ百万円を限度に支援する、また、上記に加えて、二十万円を限度に地域材の問題で支援をする、こういうのがあるんですが、そこで材木の合法証明というのが要るというんですね。

 私は、勉強不足ですけれども、初めて合法証明。これは、輸入の木材にはちゃんと証明が要るんだろうというのはよくわかるんですけれども、国内の地域材で合法証明をつけなくちゃいけないという。それが非常に苦労しているという建材店の声も実はあるんですが、これについてどのように認識されているのか、またこれからどうなさるのか、お答えをお願いします。

皆川政府参考人 お答え申し上げます。

 合法証明でございますけれども、平成十八年度に、グリーン購入法という法律ができまして政府それからそういった準ずる機関が購入する際の合法性といいますか、そういったものを求めていくということになってございます。また、これを民間にも広げていこうということで、実は、「木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドライン」ということを林野庁で設けまして、その供給体制の整備を進めてございます。

 ただ、なかなか、証明ということになりますと、いろいろな手間がかかります。そういったものにつきまして、なるべく簡素でコスト負担がかからないような形の、取り組みやすい方法ということを旨としてやっておりますけれども、まだまだ普及が途上でございます。

 そういったものにつきまして、事業者がこれを認定する、認定団体がやっていただくということもございますので、認定団体に対する研修ですとか、また、やっていない事業者の方々に対する合法証明制度についての普及といったものについて、より一層取り組んでいかなきゃいかぬというふうに思ってございます。

石田(祝)委員 ここの点、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 せっかくいい政策だと思ってやっても、一番の最先端のところがどう受けとめているか、実際に動いているかということをやはり確認しないと、上で我々が決めて流したから、ホームページに載せたから、それでもう終わりじゃなくて、どんな政策でも、やったときに、ある一定の期間が過ぎたら、最先端のところにどう届いているかということはよく見ておかないと、どこかで目詰まりを起こしているんですよ。その点、よろしくお願いをいたしたいと思います。

 国土交通省、非常にいい政策だと思いますので、ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。室井政務官、もう結構でございますので、いたければそこにいていただいても構いませんが、お忙しいようでしたら、どうぞ御退席いただければと思います。

 それで、続いて、CO2の吸収源対策、温暖化対策の財源の問題であります。

 私はまことに申しわけない思いもするんですが、この吸収源対策で、本来は、石油石炭税の上乗せの部分、これはもう当然、COP10、京都議定書の問題からいっても、吸収源対策として名乗りを上げて、こちらの方にもしかるべく配分があってやらなきゃいけないのが、どうもこれは経産省と環境省に排出源対策でやられちゃった、こういうことが本当のところじゃないかな。ですから、残念ながら、我が農林水産省、林野庁は一歩出おくれた、こういうことは正直に認めざるを得ないと私は思います。

 しかし、この吸収源対策は、京都議定書で、ちゃんと森林整備をして、その当時は三・八%分はそれでカウントできますよ、今は若干下がったようでありますけれども。そういう大きな役割を担っているところを外して、排出源対策だけだと。これはいかにもおかしい、こういうふうに私は思います。

 それで、きょう、農林水産大臣と、環境省から横光副大臣にも来ていただいておりますので、これはぜひ、二十五年度の税制改正でしっかりと吸収源対策を入れるようにすべきだ、こう私は思います。これはまず農林水産大臣にお答えをいただいて、それから横光副大臣にもお答えいただきたいと思います。

郡司国務大臣 ありがとうございます。

 石田委員からありましたように、昨年のCOP17におきまして、森林吸収量、これまでと違って三・五%ということでございますけれども、認めていただくような形になりました。

 また、その後の税制の議論の中で、これは党内の話で恐縮でございますけれども、党の税制のPTで同じような意見をまとめていただきました。それを受ける形で、政府税調でございますけれども、税制改正大綱におきまして、森林吸収源対策について、二十五年以降の地球温暖化対策の国内対策の策定に向けて検討する中で国全体としての財源確保を引き続き検討するというような文言を決めたということでございます。

 したがいまして、これを踏まえまして、私ども、対策に必要な財源が確保されるように、鋭意取り組んでいくつもりでございます。

横光副大臣 お答えを申し上げます。

 CO2吸収源対策、これは、地球温暖化対策として非常に重要な施策であるということは、もう申すまでもございません。

 この財源でございますが、今大臣がお話しになりましたように、二十四年度の税制大綱においても、二十五年度以降、国全体として財源を確保するということを引き続き検討するということになっております。二十五年度の税制改正ではまた大きな議論になろうかと思いますが、現在においてはこういった状況になっているわけですので、御指摘の点につきましては、この方針を踏まえて今後検討を行っていくということになるものと考えております。

 先ほど委員は、農水省と環境省と経産省の意見の食い違いみたいなことをおっしゃいましたが、我々環境省としては、全くバッティングしているわけではなくて、ともに、農林水産関係の分野のものは活用して温暖化対策に取り組みたいというふうに考えております。例えば、これから再生可能エネルギーというのが温暖化対策において非常に重要になってまいります。さまざまな再生可能エネルギーがあるわけでございますが、その中でも、農林水産分野におけるバイオマス発電、これは国の政策として非常に重要な取り組みであると思っておりますので、これはことしから、初めて、環境省と農水省、連携してやる事業として推進しているところでございますので、今後ともこのような取り組みを一層充実してまいりたい、このように考えております。

石田(祝)委員 環境副大臣、ぜひよろしくお願いします。反対しないでね。吸収源対策の場合に。

 続いて、これは総理の御発言でありますが、瓦れきで盛り土、沿岸百四十キロを海岸防災林にする、こういうことを野田総理がおっしゃいました。これは実は、この法案が当然もうちょっと前に審議をされる予定だったものですから、そのときが一番いいと思ったんですが、今でも大事なことでありますので、あえてお聞きをいたしたいんです。

 それで、この事業を一体何年間でやろうとしているのか。私がちょっといろいろ説明をお聞きしましたときに、非常にそごがあるのではないかと思ったのが、瓦れきについては、基本的な考え方として、去年の三月十一日発災の日から三年間で瓦れきを処分しちゃうんだ、ちゃんとやるんだ、こういうことですから、ある意味では今からいえば二年切っているわけですね。

 そういうタイムスケジュールの問題と、この瓦れきを利用した海岸防災林百四十キロですか、これをやるのが、それよりさらに先までの計画になっているんですね。そうすると、国として瓦れきを処理する期間が終わった後も、瓦れきを使ってこの事業をやりましょう、こうなっているものですから、ここのところ、調整をされている復興の副大臣、来ていただいております。また、環境省が瓦れきの担当、また海岸防災林については当然これは農林水産省が木を植えていくわけですから、どうもそこのところが、うまく意思が疎通されているのか、その点を含めて、もう時間が余りありませんので、それぞれ端的にお答えをお願いいたします。

横光副大臣 総理が言われた海岸防災林を整備する計画、これは林野庁のみどりのきずな再生プロジェクトであろうと思いますが、これは、林野庁を中心として、林野庁だけでなく政府を挙げて取り組む課題であると思っております。環境省としても、このプロジェクトは、再生資材の利用という観点から非常に重要な取り組みだと思っておりますので、林野庁との間でしっかりと調整、連携をして、取り組みを進めてまいりたいと思っております。

 今委員お尋ねの、処理と活用の期間が矛盾しているではないかという御質問でございますが、これは二十三年の五月に策定しましたマスタープラン、ここにおいて、二十六年三月末までに災害廃棄物の処理を完了するということに確かになっております。しかし、コンクリートくず等で再生利用を予定しているものにつきましては、劣化あるいは腐敗等が生じない期間で再生利用の需要を踏まえつつ適切な期間を設定することができるとなっております。

 ですから、廃棄物としての処理は確かに二十六年三月末までに完了することとなっておりますけれども、本当に再生利用として利用計画、利用先、そういったものがはっきりしているものについては二十六年三月を過ぎても活用できるということになっておりますので、決してそごをするようなことはありません。

 なお、環境省としては、五月の二十五日に、公共工事における災害廃棄物由来の再生資材の活用について関係自治体に対して通知したところでございます。被災地の一日も早い復旧復興に向けて、災害廃棄物の迅速な処理や再生利用の推進に向けて取り組んでまいりたいと思っております。

吉田委員長 続いて、末松復興副大臣。

 時間が来ていますので、済みません。

末松副大臣 短くお答えいたします。

 今、横光環境副大臣がおっしゃられたように、三年で、環境省の方、災害廃棄物を今度は復興の再生資材にすると。資材にすると、もうそれは廃棄物とは呼ばずに資材なんですね。それを今度は、海岸防災林を含めて、そういうところにきちんと使っていく。

 だから、今、再生資材を一時保管をして、それを使っていくということでございますので、その点では調整はうまくいっているところでございます。

石田(祝)委員 ちょっと、最後に一言、済みません。

 これは、私がいただいた絵では、コンクリートくずとか津波堆積物も入っているんですよ、瓦とか。そういうものも含めてその上に盛り土をしてということになっているから、横光副大臣がおっしゃるようにコンクリートだけじゃないから私はあえて聞いているわけで、そのところはもう一度御検討をお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。

吉田委員長 次に、石田三示君。

石田(三)委員 新党きづなの石田三示でございます。よろしくお願いを申し上げます。

 与党・民主党の皆さんは連日の御議論の中でお疲れのことと思いますが、しばらくおつき合いをお願いしたいというふうに思います。

 まず冒頭に、今回の国有林野法改正に関して、平成二十一年の森林・林業再生プランでは、森林の有する多面的機能の持続的発揮等を三つの基本理念として、目指すべき姿として十年後の木材自給率を五〇%以上、えらく五〇%にこだわりますけれども、五〇%以上と考えております。これに対して、本法律案では木材供給機能以外の公益的機能の維持増進を柱としているということでありますが、今法律案と再生プランの目指す十年後の木材自給率五〇%以上をどのように関連づけ、あるいは両者の整合をどのように図っていくのか、お伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、梶原委員長代理着席〕

郡司国務大臣 今回の法の改正の大きな目的の一つは、民有林、国有林一体で管理をしていこう、また国有林からすればサポートなどを十分にやっていけるような体制をつくっていこう、こういうようなことでございます。そういう形の中で全体の活力を取り出すために、先ほど申し上げましたけれども、一つずつ申し上げる時間はございませんが、路網の整備でありますとか人材の育成でありますとか、七つほどのことを重点的に取り組んでいこうというような形にしております。

 今、木材の五〇%という話がございましたけれども、木材の五〇%といいます場合には、おおよそ三つぐらいの組み立てを考えられるのかなというふうに思っております。一般的な木材、それからいわゆる合板、それからパルプチップ等の関係ということでございまして、これは今までも、木材の関係は五〇%に近いような自給率がございました。合板は三〇%台、四〇%を切るような形でございましたけれども、ここに来て大変に技術の発展度合いもありまして、すばらしいものができるようになって、これは六五%ぐらいまでもう既に来ているということでございます。

 そうしますと、一番低かったのは計画当初のところで一三%内外だったパルプチップ等ということがございますけれども、これについても、バイオマス再生エネルギーその他の関係でしっかり生かしていこう、こういうところの組み合わせを行った上で五〇%というものを達成しようということで考えているところでございます。

石田(三)委員 公益的機能の維持増進、これは非常に大切なことだろうというふうに思いますので、それも踏まえながらそこを目指すということで、ぜひお願いをしたいと思うんです。

 それでは、森林・林業再生プランの内容についてお伺いをしたいというふうに思います。

 本年の四月から改正森林法が施行されているわけでございますが、そのもとになったのが平成二十一年の森林・林業再生プランである。それについて質問させていただきますが、本計画のいわゆる本筋は、伐採から製材業までの分野の強化、改革だろうというふうに思われるわけでございます。具体的には大規模化と集約化でございますが、機械化による木材生産のスピードアップと安定供給であろうというふうに思います。

 しかしながら、林業を多様な観点で眺めてみれば、それは林業のほんの一部に手をつけたにすぎないというふうに考えます。プランには、木材生産の前にあるいわゆる森林づくりに向ける意識が大変希薄であろうというふうに認識するところであります。また、製材、加工した以降の国産材需要の喚起にも十分触れていないというふうに思います。木材を、鉄や石油と同じようなマテリアルの一つとして、質より量と考えているように思われます。

 プランはあくまでマクロな日本林業の再生を目指しており、ミクロの地域社会の視点が抜け落ちているのではないか、要は、森林づくりの観点あるいは地域づくりの観点といったものが抜け落ちているのではないかというふうに考えるわけでございます。林業を活性化することに熱心でも、やはり地域振興とは一線を画しているように思えます。そのために、私は、山村地域の疲弊はとまらないのではないか、いや、逆にその促進をするのではないかなというふうに思います。

 林業の再生は、伐採、運搬、加工のみで達成されるものではなくて、山村に暮らす人々の暮らしが成り立ってこそ再生だ、私はそういうふうに考えるものであります。山村地域の疲弊をとめるための政策、この再生プランには加えられていないわけでございますが、見解をお伺いしたいと思います。

皆川政府参考人 再生プランの基本理念は大臣が申し上げたとおりでございますけれども、私ども、日本林業が今いかに苦境にあるかというその主な原因ということを考えましたときに、やはり外材に市場を奪われている。

 その基本的要因は何かということでありますが、やはり国産材が、例えば川下の需要に対応した安定供給ができているのか、そこのところの循環が途切れているということによって、山村経済も回らなくなっているということではないかということで、まずその部分の徹底した集約化ですとか路網整備ということが大事だということは、やはりその安定供給体制ができないと、大きな循環が保てない。循環をしませんと、例えば森林づくりということにも、山元でお金が残りませんので、そういった形のお金がそこに出てこない。

 そういったことが大きな苦境の原因であろうという認識に立ったものですから、今回、再生プランでも、その部分の一番大事なところ、集約化ですとか路網整備、そういったことを通じて国産材の安定供給体制を構築するということに大きな重きを置いた政策展開をしている。また、昨年の森林法の改正でも、そういったことを旨とした改正をさせていただいたということではないかと思います。

 また、そういったことで大きな循環を果たしていくということによって、持続可能な森林、例えば、切った後にちゃんと植えられるということを通じて山村の方々にお仕事もできてくるということではないかと。また、今いろいろな動きの中で、例えば、今まで木材加工業も海浜部の立地が多かったわけですが、それが最近、山地型の立地への転換ということも動きがございます。例えば大きな製材工場が山間地に立地するといったような動きも出てございます。

 そういった安定供給体制と相まって、そういった木材産業の方々の立地も変わってくるということを通じて、山村経済が循環をしていくということに必ずやつなげられるのではないかと思います。そういった意味では、山村経済への目配りといったものも、主に国産材の安定供給体制ができることによって展望が開けてくるのではないかというふうに認識をしております。

石田(三)委員 安定供給ができるということは大前提としましても、それによって集約的に単価が下がって、供給ができるということはあるにせよ、それを推進するために、先ほど路網整備に関しても非常に注意をしなきゃいけないよという話がありました。それから、今回の事業の中で間伐を進めていく中で、路網をつくっていく中で、必要以外の木も切ってできるだけ集材率を上げていくという、現場ではなかなか制御ができないことが起きているようであります。

 ですから、その辺をしっかり確認しながら、間違いのないようにひとつよろしくお願いをしたいというふうに思います。

 もう一つは、今おっしゃられたように、林業、業を活性化させれば山村経済の振興になるんだ、地域も活性化するというような論理だというふうに思うんですが、それで山村地域が元気になれば、山の手入れをする人もふえて、森林の健全化につながるとおっしゃっているんだろうというふうに思うんです。

 そこで、もう一つ私は提案をさせていただいていたんですが、今少し動きが出ているんです。その一つの可能性が、小規模林業、自伐林業、これがまだまだ少し残っているようであります。小規模林業は林業だけで暮らしているわけではありませんので、その土地で農業をやりつつ畑をやり、林業もやっている、そういう農家であると思うんですが、そういう林家こそ、先ほど申し上げました、長い目で森をつくっていくという視点に立てる人たちだろうというふうに思います。そこが大規模林業と違うところであろうというふうに思うんですが、結局、自分の山で稼がなきゃいけないのでしっかり丁寧に森を見ていく、こうした人たちであります。また、この人たちは村にしっかり生活の基盤があるわけでございますし、また、農地も守りつつ暮らしていくということであります。ですから、地域の維持あるいは振興にもつながっていくんだというふうに思っています。

 そこで、具体的な小規模林家への支援体制はあるのかどうか、また、森林・林業再生プランに規定されていないんですが、具体的には、小規模林業は廃業して大規模林業に統合させるんだ、そういった方向で考えているのか、その辺を伺いたいと思います。

皆川政府参考人 山村経済の安定という観点で見ても、小規模の方々とともに回っていかないといかぬという基本的な認識でございます。

 ただ一方で、どうしても施業の集約化、個々の作業を一つとってみましても、やはり例えば大きな機械を入れて施業するということになりますと、ある程度の単位での施業のまとまりは要るんだというふうにも思ってございます。これはきょうの御議論の中でも大臣と各委員との間で議論があったかと思います。そういったことで、施業の集約化ということ自体はやはり避けて通れない部分もございますので、そういったものが果たしていけるように、例えばやはり所有者の方々の合意形成といったようなものが図られるように、また、そういった施業の集約化ということについての推進役という方々になり得る森林施業プランナーという方々がいらっしゃいますので、その育成ということを支援していきたいというふうに思ってもございます。

 また、やはり境界の問題でございます。そういったものについての解決をしていかなきゃいけない。そういったものへのソフトの支援というものについても、しっかりとやっていきたいというふうに考えているところでございます。

 いずれにしましても、小規模の方々というものが何か山から出ていくといったようなことではなくて、その方々と一緒に持続可能な森林というものをつくっていくということが大事だろうというふうに思っているところでございます。

石田(三)委員 先ほど江藤議員もおっしゃっておりましたけれども、急峻なところもあって機械化が十分できない、そういったところもあるわけですね。ですから、小規模林家が残る道、これも私は模索をしていくべきだ。いろいろな観点から、そういった小規模林家の生きる道をしっかりつくっていかなきゃいけないなというふうに思っております。

 今回、この森林・林業再生プランの中に、一般の農家のあれでしたら、例えば国があり、地方公共団体があり、そういった組合があり、農家があるんですが、このプランの中には、林地所有者なんですね。林家という考え方がない。所有者というところになっています。私は、そういった部分で、森を守る観点、あるいは、実際そういった現場にある、そこで暮らしておられる林家の立場に立った施策がもう一つ必要ではないかなというふうに思って、御指摘をさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

梶原委員長代理 次に、吉泉秀男君。

吉泉委員 社民党の吉泉秀男です。

 最後の質問バッターでございます。よろしくお願いを申し上げたいと存じます。

 冒頭、今村委員の方から、再生プランの進め方等の問題についての質問の中で、大臣は、七つの柱について強調しながら答弁があったわけでございます。私自身、そのことについてはそのとおりだというふうに思っておりますけれども、特に、これからの再生エネルギー、この課題が、林業の活性化に向けて非常に大きな位置づけを持つものなんだろうというふうに思っております。

 そして、今、各地でバイオマス発電の取り組みが進んでおりますし、さらにはまた検討もなされているところでございます。しかし、その反面、やはり森林の所有者の方々に対するいわゆる還元、このことに私は非常に疑問を持っているところでもございます。今、現状において、このバイオマス発電を進めていく際に、やはり生産をする森林の所有者、林業、この方々に対してしっかり還元をしなきゃならない、私はこういう思いを持っているところでございます。

 そうした反面、この買い取り制度が始まっていく、そういう中において、今後の再生にどう連動していく、そしてまた林業の方にどうきちっと還元をさせていく、そういう状況がやられているんだろうというふうに思っておりますけれども、その辺の今の進捗状況、そのことをお伺いさせていただきます。

皆川政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の固定価格買い取り制度、七月からスタートするということでございまして、今までは、林内に放置されていた二千万立米とも言われる未利用の材が、活用の道ができたということかと思います。そういった意味で、それをよく活用いたしまして、山側への還元ということが果たされていくということが大事だというふうに思ってございます。

 今回の価格でございますけれども、六月十八日に経済産業省の方から告示をされておりますけれども、間伐材等の未利用木材で発電した電力でございますが、一キロワット時当たり三十三・六円といった価格が提示されてございます。これは、今までの水準があったわけでございますが、それよりは相当に高い水準かと思います。

 そういった意味で、これをしっかりと、未利用の材を出してくる体制をつくる、また、極力効率的にそれを発電所に届ける、またチップ化をするといったようなことができますれば、相当程度、今までよりも山側への還元が図られるというふうな価格水準ではないかというふうに思ってございますので、これをやはり積極的に活用いたしまして、森林・林業の再生等、山村への還元ということが図られていくように努めてまいりたい。また、国有林においても、今回、間伐材をよりよく、低コストで搬出できるような体制づくりの確立といったものも含めまして、このバイオマスの供給、利用の推進ということに貢献をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。

吉泉委員 今、いわゆる間伐材の利用、このことについて、しっかり還元をするという状況があったわけですけれども、まだまだ路網の整備、これがきちっとなっていない限り、これはやはり活用、再活用というのはできない、こういう課題がこの間も指摘をされてきましたし、しっかりこの路網の整備について、重点的にこれからも急速に進めていくよう要望をさせていただきたい、こう思っているところでございます。

 それと同時に、今、人材の問題についても指摘をされてまいりましたし、答弁もなされてきたところでございます。

 ただ、林業に関する人材、このことからいうならば、一番大きなところについては、私は、やはり職員、このところをしっかりしていかなければ目配りも何も進まない、こういうふうに思っております。この間、職員については、それぞれ適材適所も含めながらも、さらには、今の財政の問題の中で非常にスリム化されてきたんだろうというふうにも思っております。

 この国有林の事業について、一九五二年以降、特労法に基づいて労使交渉を進め、労働条件については、それぞれ労使で協議が整って進んできた、こういうふうになっているわけでございます。

 しかし、今回、国家公務員制度の改革関連四法案が今審議になっているわけでございますけれども、これが成立した場合については、自律的労使関係のもとでそれぞれこれまでと違った中での労働条件について協議をする、こういう状況になるわけでございますけれども、これの成立がおくれた場合については、特労法に基づいてやってきたこの間の状況からするならば、労使関係そのものに対して非常に損なわれる状況もいわゆる職員側からすればあるんだろう、そういうふうに思っております。

 そうした面で、関連四法案の成立について、それぞれ努力はお互いにしなきゃならない、こういうふうに思っております。時間差にかかわる問題、特に関係する各省、さらには人事院と政府の全体との調整、これが私は必要と考えられるというふうに思っておりますけれども、今のこの時間との関係、そしてこの特労法から今度変わっていく一つの労使の進め方、この関係について、どういうふうに理解を今しているのか、さらにはどうしようとしているのか、そのことについてお伺いさせていただきます。

    〔梶原委員長代理退席、委員長着席〕

園田大臣政務官 国家公務員制度改革四法案の担当でございますので、まず私からお答えをさせていただきたいと思っております。

 今先生が御指摘のように、これまで国有林野事業の職員の皆さん方については特労法が適用されてきて、それによって勤務条件が決定をされてきたという形になっております。

 今般、私ども政府として提出をさせていただきました国家公務員法関連改革の四法案、これについては、自律的労使関係制度の措置でございますけれども、一般職の非現業国家公務員に協約締結権を付与するという形にさせていただいています。これによって、労使交渉を通じて、労使が勤務条件についてはきちっと自律的に決定し得る、そういう制度となっているところでございます。

 先生今御指摘のように、公務員制度改革関連四法案の成立がおくれたらというお話でございますけれども、私ども、提出をさせていただいている政府の立場からいたしますと、この関連四法案、早期の成立に向けて最大限努力をさせていただきたいというふうに思っておりますし、また、先生初め国会の御支援あるいは御指導を賜れればなというふうに考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、先生御指摘のように、国有林野の事業の職員を含めた職員の勤務条件については、関係府省等の政府全体において適切に対処をしていただけるものであるというふうに私どもは考えているところでございます。

佐々木副大臣 重複するところは避けさせていただきます。

 昭和二十八年から六十年間にわたって、今の労使関係をつくり上げて、労働協約をつくり上げてきているわけでありますが、今、もしも国家公務員法の関連四法案とのタイムラグが生じた場合どうするのかというのは、そこに働く人たちにとっては大変大きな課題でございます。

 私ども、その点の認識はしっかり受けとめているつもりではございますが、タイムラグが生じた場合には、やはり我々は、今、園田政務官がお答えいただきましたが、関係府省がしっかり連携をとらなければならない、とりわけ人事院に対しても丁寧に説明をしていかなければならない、そういう認識は持っているところでございます。

吉泉委員 今の、調整、時間のずれについては佐々木副大臣の方からあったわけでございますけれども、このところについては、内閣府さらには農林省、どちらが責任を持ってその辺のところ、何か、今の内閣府の園田政務官の方からは、その関係についてははっきり聞こえなかったわけでございますけれども、内閣府でやるということでいいんですか。今の、佐々木副大臣の答弁を、責任を持って進めるについては、内閣府という捉え方でいいですか。

園田大臣政務官 大変恐縮でございますけれども、国有林野の職員の皆さん方の処遇、勤務条件に関しましては、これは一義的には、当然、農林水産省が所管をいたしているところでございますので、そういった面では、農林水産省がきちっとこの件については対処していただけるものであるというふうに認識をいたしております。また、給与の面については、今、総務省が一義的に管理をさせていただいているところでございますので、総務省であるというふうになっていくと思います。

 いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、私どもの内閣府といたしましては、国家公務員制度関連の改革の四法案を提出させていただいておりますので、これをまずきちっと、早期成立に向けて全力を尽くさせていただくということでございます。そして、その上で、先ほど佐々木副大臣からも御答弁がありましたように、もしもといいますか、そういったタイムラグが生じるような事態になったときには、当然ながら、関係府省において連携をさせていただいて、しっかりと対処していただけるものであるというふうに認識をいたしているところでございます。

吉泉委員 私は、今、内閣府政務官の園田さんから、関連法案は内閣府が責任を持って提出をしている、だから時間差があった場合は、それぞれ関係省庁についての連携、そういう調整はやはりしっかり内閣府がやるという答弁があってしかるべきだというふうに思っておりますので、その辺については、今後ぜひ、逃げないで、調整を図るようよろしくお願いを申し上げたいと存じます。

 それと同時に、今、職員の問題はそうであるわけでございますけれども、まさに現場を扱っていく技術者等については、各県、自治体において非常に苦労がなされている、こういう現状にあるんだろうというふうに私は思っております。

 今回の再生プランに基づいて、やはり現行の基幹作業職員が持っている知的な技術等々の活用をするについても、新たな技士制度なんかを設けながら国有林の現場管理機能をしっかり確保していくことが必要なんだろうというふうに思っておりますけれども、その点についての考え方をお伺いさせていただきたいと存じます。

仲野大臣政務官 お答えいたします。

 御指摘のありました基幹作業職員については、国有林の現場業務に従事する職員でありますので、長年の現場での作業経験を通じて地域ごとの国有林の詳細な森林情報とか施業履歴などに精通している、あるいはまた、こうした情報を森林官等に提供することを通じて国有林の現場管理に大きな役割を果たしているところであります。

 そのことをしっかりと大事にしながら、このたびの法律改正でもって特別会計から一般会計ということでありますので、一般会計化後の基幹作業職員制度の取り扱いについても。木材生産を直営、直接雇用で実施。事業収入を考慮して職員規模を設定するなど。さまざまいろいろ工夫しながら。

 そしてまた、基幹作業職員の雇用を維持し、これらの知見を一般会計化後も最大限生かすことを前提として、障害のないように。その職員制度のあり方について関係府省とも密に調整しつつ、またより一層充実してまいりたいと思っております。

吉泉委員 質疑時間が終わったわけでございますけれども、ぜひ要望をさせていただきたい、こういうふうに思います。

 一般会計移行後はまさに、国有林、民有林、それぞれしっかり国の責任でもって機能を守りながら国土の発展に寄与していかなきゃならない、そのためにも、職員の位置づけ、作業職員の果たす役割は大変大きなものがある、そういうふうに思っております。そんな中で、人材育成も含めてしっかり対応をお願い申し上げながら、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

吉田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

吉田委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、国有林野の有する公益的機能の維持増進を図るための国有林野の管理経営に関する法律等の一部を改正する等の法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

吉田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

吉田委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、野田国義君外五名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、公明党、新党きづな、社会民主党・市民連合及び新党大地・真民主の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。野田国義君。

野田(国)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文を朗読して趣旨の説明にかえさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

    国有林野の有する公益的機能の維持増進を図るための国有林野の管理経営に関する法律等の一部を改正する等の法律案に対する附帯決議(案)

  我が国の森林面積の三割を占める国有林野は、森林の有する多面的機能の持続的な発揮を図り、厳しい状況に置かれている林業を活性化するとともに、東日本大震災からの復旧・復興の円滑かつ迅速な推進を図る上で、その果たすべき役割は極めて重要である。

  よって政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。

      記

 一 国有林野事業の一般会計化に伴い、新たに設置する国有林野事業債務管理特別会計において既存債務の処理を経理するに当たっては、新たな国民負担を生じさせないとの基本的な方針の下、従前どおり、毎年度、利子補給に係る必要な予算措置を講ずること。

 二 国有林野事業債務管理特別会計が承継する債務については、林産物収入等により着実な償還が図られるよう、国有林野事業の一層効率的かつ適正な運営に取り組むこと。その際、国有林野の有する公益的機能の維持増進に十分配意すること。

 三 公益的機能の維持増進、民有林との一体的な整備及び保全の推進等国有林野事業に求められる多様な役割が確実に果たされるよう、厳しい財政状況や国有林野事業の現場管理の実情を踏まえた適正な定員規模等の確保、組織体制の構築、人材の育成、技術の継承等を図るとともに、国有林野事業の職員の労働条件を整備すること。

 四 新たに創設される国有林と民有林の一体的な整備及び保全を推進する仕組みについては、森林の有する公益的機能の維持増進が図られるよう、地域の実情に応じて適切に活用すること。また、森林の整備・水源林の保全に係る施策については、国と地方公共団体・森林組合・林業事業体・森林所有者等の連携を一層深めることにより、着実に推進するとともに、必要な地籍調査への取組を強化すること。

 五 平成二十五年から開始される京都議定書第二約束期間への参加の有無に関わらず、平成二十五年以降の森林吸収源対策に必要な財源を確保すること。併せて、石油石炭税に係る「地球温暖化対策のための課税の特例」による税収の使途に、森林吸収源対策が位置付けられるよう検討を進めること。

 六 木材価格が安定的に推移し、山元への収益の還元が図られるよう、外材価格及び為替レートにも留意しつつ、地域ごとの木材価格や需給動向を把握、分析し、木材供給の調整を図ること。また、間伐材の活用や公共建築物等における木材利用の促進など国産材の需要拡大に全力を挙げること。

 七 東日本大震災からの復旧・復興に向け、海岸防災林の再生、復興需要に応じた木材の安定供給、地域雇用の創出、森林の除染等を着実に進めるため、国有林野事業の組織・技術・資源を積極的に活用すること。

 八 多額の累積債務を抱える都道府県林業公社について、都道府県の要望、厳しい財政状況や低迷する木材価格の動向を踏まえ、着実な債務返済が図られるよう、その一層効率的かつ効果的な森林経営の推進に必要な対策を検討すること。また、平成二十五年以降の温室効果ガス削減目標を確実に達成するため、森林の間伐等の実施の促進に関する特別措置法による地方財政措置の継続について、速やかに検討の上、法的措置を講ずること。

  右決議する。

以上でございます。

 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますよう、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。(拍手)

吉田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

吉田委員長 起立総員。よって、本法律案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣郡司彰君。

郡司国務大臣 ただいまは法案を可決いただき、ありがとうございました。附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、関係省庁とも連携を図りつつ、適切に対応してまいりたいと存じております。ありがとうございました。

    ―――――――――――――

吉田委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

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吉田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十時四十六分休憩

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    午後一時開議

吉田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として林野庁長官皆川芳嗣君、国税庁課税部長西村善嗣君、厚生労働省医薬食品局食品安全部長三浦公嗣君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長糟谷敏秀君、中小企業庁経営支援部長徳増有治君、観光庁審議官志村格君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長伊藤哲夫君及び水・大気環境局長鷺坂長美君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、本日は、参考人として東京電力株式会社常務取締役廣瀬直己君に御出席をいただいております。

    ―――――――――――――

吉田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉野正芳君。

吉野委員 自由民主党の吉野正芳でございます。

 きょうは、農林水産委員会で質問する機会を与えていただきました。感謝を申し上げます。ありがとうございます。

 早速、東電の廣瀬常務にお伺いをいたします。

 福島県の再生、一番の関心事は賠償であります。そして、それに伴う福島県のもろもろの復興事業を行っていかねばなりません。そういう中で、次期社長になる廣瀬常務、本当に大いに期待をするとともに、福島県のことをきちんと考えて行動していってほしい、このように要望いたします。

 さて、突然ですけれども、きのうの台風四号です。これは第一原発直撃のコース、私はテレビでしか見ていませんけれども。被害はなかったと思いますけれども、どういう状況だったのか教えていただきたいと思います。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 大変御心配いただきまして、本当にありがとうございます。

 おっしゃったように、ほぼ真上を通っておりますけれども、幸い大きな障害等々は発生しておりませんで、一部計測機器にふぐあいが出たり、カメラを幾つか設置しておりますけれども、そのカメラが映らなくなったりということはございましたけれども、台風の大きさの割には比較的軽微な障害だったというふうに今報告を受けております。

 ありがとうございました。

吉野委員 ありがとうございます。冷却水を注入するポンプ等に支障がなかったということで、一安心でございます。

 さて、昨年十二月にステップ2が達成をしました。でも、野田総理はこのことを事故の収束というふうにおっしゃいました。東電の認識はいかがでしょうか。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 私どもといたしましては、ステップ2の完了は、これから長く廃止措置に向けて進んでいく、本当の一つ目の一里塚というふうに認識しておりまして、今後ともこの長い道のりをしっかりやっていかなければいけないというふうに認識をしております。

吉野委員 そうなんです。長い道のりの一段階なんです。階段を一歩上がった、こういう認識なんです。

 では、東京電力は、いわゆる階段の上り詰め、事故の収束はどの段階なんだという認識でおられますか。

廣瀬参考人 ステップ2は、冷温停止状態が達成されたということでステップ2の完了を認識いたしましたけれども、これからいわゆる中長期的な課題としてかなりたくさんの項目が残っておりますし、何より福島の皆様、避難していただいている皆様が一日でも早くそれぞれのところに戻っていただくというような、まだまだたくさんのステップがあると思っております。

 したがいまして、収束の定義といいますか、それにかかわることなく、私どもとしてしっかりやっていかなければいけないことはまだまだたくさんあるというふうに認識しております。

吉野委員 これから、賠償のお金は莫大な金額になろうかと思います。それに加えて廃炉、これも大きなお金がかかります。今、東京電力は特別事業計画で資産売却をしております。

 私は、清算するから売却するんだという考え方ではなくて、今現在の資産が、将来この資産がある限り、どれだけのものを稼ぐのか。やはり、たくさんの金は稼いで返すんです。これが一番大事な点なんです。稼いで返す、この基本的な考え方を持つ。稼ぐであろう資産をむやみやたらに今売っちゃう、こういうことはないんでしょうか。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 私どもが今現在進めております資産の売却は、いわゆる電気事業の遂行に不可欠でないもの、いわゆる遊休的な資産を中心に売却をしておりまして、先生御指摘のように、しっかりこれからのキャッシュフローを稼いでいくための資産は売却しておりません。

 なお、売却に当たりましては、入札を使って少しでも高く買っていただけるような努力もあわせてさせていただいているところでございます。

吉野委員 発電施設は当然なんですけれども、いわゆる株式投資をして、収益が上がるものに投資をしている。開発等にも投資をしている。この辺の資産売却はしていないんでしょうか。

廣瀬参考人 そういたしました今までの資産につきましても、一つ一つを精査いたしまして、今後の成長にも資するようなものについては残させていただき、そうでないものについては売却させていただくという吟味をさせていただいております。

吉野委員 稼いで返すというこの大前提、これを忘れないで、売却の方をお願いしたいと思います。

 賠償の基本、東電にとっての憲法とでもいいますか、昨年の十一月四日に東電は五つの約束を発表しました。言ってみてください。

廣瀬参考人 五つのお約束、申し上げます。

 迅速な賠償のお支払い。それから、きめ細やかな賠償のお支払い。これは、合意したものをまずどんどん払っていくとか、全部まとまらないと払わないということになりますとおくれてしまいますので、少しでも早く、きめ細やかにお支払いをしていくという意味でございます。

 三つ目は、ADR等で和解仲介案が示されてまいりますけれども、それをしっかり尊重していくということです。

 それと四つ目が、親切な賠償手続、書類の手続。これは一部、当初、厚い、お年寄りにはわからないというお叱りを大変いただきましたけれども、こういうことのないように、そういう手続、書類の面についても親切な対応をしていこうということでございます。

 そして五つ目は、被災者の方からさまざまな御要望が寄せられてまいりますけれども、それらに対して誠実に対応していくという五つのお約束でございます。

吉野委員 この五つのお約束が、賠償をする東京電力の担当者のいわゆる根本になければなりません。

 実は私、大分前ですけれども、いわき市の相談センターへ突然行ってまいりました。社員の方々に五つの約束を言ってみてくださいと。誰も言えませんでした。

 でも、その日のうちにきちんと、こんな大きな紙に五つの約束を張り出して、相談の各ブースごとにも張り出した。私はそこまで求めていませんでした。何で知らないのか、こう言って帰ってきたんですけれども、その日のうちに全部、五つの約束を張り出してくれた。これは東電の皆様方は私たち被災者に対して本気になって賠償する心があるな、こんな感じを持ったところです。

 今、私が突然参っても、全ての相談窓口の方々は五つの約束を言えるようになっていますか。

廣瀬参考人 先生に御指摘いただいた際に、本当に、お答えできなくてまことにお恥ずかしいところでございます。

 以降、御指摘にありましたように、大きな紙を張り出す、さらには、小さくして、それを各自が携帯して手帳等々に挟んでおくというようなこともさせていただいておりまして、今それを徹底して、みんながすぐに言えるように、さらに、言えるだけではいけませんので、その精神に基づいてしっかり被災者の方々に対応できるようにというふうに指導しております。

吉野委員 賠償の心は五つの約束です。

 今、福島県で農産物の風評被害が大変です。

 一つ、畜産です。これは福島県の和牛の雌、A5ランクで、平成二十二年では二千十一円でした。ことしは千五百四十八円で大暴落です。和牛の去勢牛、A5ランクで、事故前ですが、平成二十二年は二千六十五円していたんです。平成二十四年は千六百七十一円です。

 園芸、野菜も大変です。これはことしの例ですけれども、サヤエンドウ、全国平均だと六百二十円。福島県は四百十八円。ブロッコリー、これは全国的に売れています、二百六十三円。福島県産は百七十二円、六五・四%です。アスパラガス、全国平均千五円。福島産は七百八十六円、七八・二%です。

 全部が風評被害です。ここには百ベクレルを超えたものは一つもありません。この風評被害に対して、東京電力と紛争審査会が定期的に会合を持っていると聞いております。特に風評被害だけについては、もっと迅速な、この五つの約束の中にあるような体制をとるべきだと思うんですけれども、常務さん、いかがでしょうか。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 風評被害につきましては、今御指摘のように、農産物それからお魚、いろいろなところに広がっております。

 ただ、なかなか、本来売れるべき価格というものの設定が少し難しいものがございます。それぞれの野菜の種類あるいはお魚の種類、それぞれによって、季節によっても動いてしまいます。そうしたことで、関係の当局の御指導もいただきながらそうした仕組みを検討させていただいて、そうしたものによって迅速にスピードアップして、風評被害に対して対応ができるようにというのをこれからも検討していかなければいけないというふうに認識しております。

吉野委員 もう一年三カ月たっております。賠償の姿勢は今までと同じなんだ、そういうことで今答弁なさったのか。これからは違うんだ、風評被害に対して、特に農産物の風評被害に対してはもっと前向きに、例えばこうやって値段が出ているわけですから、ここの部分については一発で賠償する、そういうふうに改めていくのか。その辺のところをお聞きしたいと思います。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますが、品物あるいは生産地域等々で値段がかなりばらけてきておりますので、そうしたものをしっかりデータをとって、それを賠償に生かしていくということは本当にこれからも真剣にやっていかなければいけませんし、私も社長として、これからの賠償のことについてはしっかりと見ていこうというふうに思っておりますので、何とぞ御理解いただきたいというふうに思います。

吉野委員 JA関係、また漁連、これは賠償が今始まっております。

 木材関係なんですが、昨年十二月に、県木連といういわゆる素材業者そして製材業者がまとまった一つの窓口、県木材組合連合会、ここを通して業界の損害を出すには、東京電力の請求書ではなじまないんです。ですから、県木連で木材業界の請求書をつくりました。そしてADRに持っていったんです。

 これは、もっと早く賠償が進むのかなという期待感のもとでADRに持っていったんです。でも、今現在まだ払われていないんです。これは地元の地方紙にも載りました。もう裁判と同じようなことをやっているんです。あれがない、これがない、そちらで立証しろと、全く裁判と同じようなことをやっているんです。

 なぜ、先ほど言った五つの約束、この原点に返っていないんでしょうか。昨年の十二月ですよ、申請したのは。

廣瀬参考人 福島県木連さんが十二月以降にADRに申し立てをされた件数は二十七件と承知しております。そのうち既に一件、まだ一件だけですけれども、和解が成立しているという状況でございます。

 県木連さんに所属していらっしゃるそれぞれの事業者様は、木を切る事業者様であったり、材木をつくる方であったりということで、その中も、それぞれの業種が、かなりたくさんの業種が入っているというふうに伺っております。

 したがって、ADRの中での手続について私どもの方から述べる立場には全くございませんが、私どもとしては、ADRの方からいろいろお問い合わせ等々を受けた場合には、なるべく私どもの方で抱えないように、少しでも早くお返しするというような姿勢でやらせていただこうと思っておりますし、今後ともやっていきたいと思っております。

 以上でございます。

吉野委員 今後とも取り組みますということでは、ある程度期限を切ってください。ここ二週間後とか、一カ月かかるとか。でないと、本当にもう一年三カ月。迅速な支払い、これは一番目なんです。ここが約束されていないんです。お願いします。

廣瀬参考人 ADRからの和解案をいただいて、私どもとしてその和解案について尊重するということでございますので、今後ともしっかり、きょうの段階で期限を切るのはなかなか難しいところがございますが、引き続きしっかりやらせていただきたいというふうに思っておりますので、何とぞ御理解いただきたいというふうに思います。

吉野委員 ブランド価値の喪失なんですけれども、飯舘牛、また伊達地方のあんぽ柿など、ブランド価値が毀損をいたしました。このブランド価値について賠償をせねばならないと私は思いますけれども、東京電力の考え方をお願いします。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 ブランド価値、いわゆる無形資産でございますけれども、無形資産そのものに対して賠償するということはさせていただいておりませんが、当然、あんぽ柿は、ほかの干し柿に比べれば高いブランド価値を持って高く売れているはずでございますし、また、各種ブランド牛についても同様のことが考えられますので、それが並のもの、あるいはそれ以下になってしか取引ができないという実態が生じていれば、その差分をしっかり営業損害として賠償させていただくということでやらせていただいております。

 以上でございます。

吉野委員 双葉郡でも、帰れる町と帰れない町に大きく分かれます。帰れる町も大変なんです。まず、農村地帯ですから、農業ができなければ、帰っても意味がないです。でも、双葉郡でつくったお米ですというと、一ベクレルも入っていなくても、基準をきちんと下回っていても、なかなか販売するに困難が予想されます。そういう意味で、私は、食料生産の農業からエネルギー生産の農業にできないかと常々考えております。

 この一番の効果は農家の皆さんです。耕作禁止、補償するんだからそれでいいだろう。確かに、お金は一番安く済むと思います。でも、国家として、働く意欲を失う、こういう国民をつくるんです。自立する喜びを味わうことのできない人々をつくるんです。このことが国家として本当にいいのか。お金が一番安く済むから今は耕作禁止にしておりますけれども、そうではなくて、バイオの技術を使えば、汚れている、汚染されているところであっても、食料からエネルギーに。働く意欲、そしてそれを売って自立する当然の喜び。自立は当たり前のことです。でも、そのことが物をつくることによってできると私は思うんです。

 その効果として、例えば、田んぼをつくらなければミミズも出ません。つくることによってミミズが出てきます。それを食べる昆虫があります。それを食べる野鳥もあるんです。生態系が維持されるんです。

 もう一つは、ふるさとの文化なんです。山あり谷あり川あり田園あり、これがふるさとの文化をつくるんです。今、田んぼに行くと二メートルのかやんぼです。これがふるさとの風景ではありません。

 ふるさとの文化をつくった原風景が守られ、生態系が守られ、一番大事な働く喜びを持つことのできる国民をつくるという一石三鳥くらいの効果があろうかと思いますけれども、この点について農林省としてどう考えているのか、お答え願いたいと思います。

郡司国務大臣 委員の方は福島県浜通りが主な活動ということで聞いておりまして、私も隣の北茨城でございますので、本当に今までの話、身につまされてお聞きをしておりました。

 今のお問いかけでございますけれども、大変に実は難しいところがあるのを、委員の方もよく御存じのことだろうというふうに思っております。

 一つは、生態系を守るということ、このことに関してはおっしゃるとおりだろうというふうに思っております。それだけではなくて、田んぼそのものは二、三年放っておきますとなかなかもとに戻すことが難しいようなことになることも事実でございますから、何とか生産を続けていく中で再び当たり前の生産活動に戻れるように、そのためには除染やその他ということが当然かかわってくるというふうに思いますけれども、なかなかかなわないとすれば、それをエタノールにというような話でございました。

 このエタノールにというのは、一般的に言うと、これはトウモロコシその他で世界じゅうでも行われております。私どもの国でも、農水省でも、国内に幾つかのところを限って、例えばサトウキビでありますとか、ほかの作物も使って、そういうものができるかどうかというような実証実験を行っております。

 お米も含めてではありますけれども、ただ、基本的に、世界的には口に入れる食べ物が足りないということがあるから、そこをどうしようかという大きな議論はあります。でも、その問題ではないんだというようなことでございます。福島のことに限って言えばそういうことが許されてもいいのではないかということでございますけれども、これもまた委員よく御存じのように、福島の中にもいろいろな御意見があるというようなことも聞いております。

 一つの袋でも、やはり福島から一定以上の数値が出るということになれば、それが全体のところに及ぼすというのが先ほどの風評被害で、それを防ぐためにはもうちょっといろいろな知恵が出せないかと、県の中でも市町村の中でも御議論をいただいているというふうに聞いております。私どもも、できるだけ、県、市町村の皆様方のその議論に耳を傾けながら、全体として合意ができるような形の中で、取り組むべきがあれば取り組んでいきたいなというふうに思っているところでございます。

吉野委員 平時のルールといわゆる異常時のルールは違います。働く意欲を失う国民をつくっていいのか。これは国家の問題でありますので、何とぞ、今検討しているということですので、検討していただきたいと思います。

 前の予算委員会で、私、枝野経産大臣にこのようなことをお話ししました。再生エネルギー固定買い取り制度に乗せられないかということを言ったんですけれども、そのとき枝野大臣には、検討しますという答弁をいただきました。どういう検討状況になっているのか、お聞かせを願いたいと思います。

柳澤副大臣 冒頭に、私、九月から原子力災害の現地対策本部長を務めさせていただいて、吉野先生には火災の問題も含めていろいろな御指導をいただいておりますことを、この場をかりてお礼を申し上げたいと思います。

 質問の件ですが、実は、枝野大臣の方からも、固定価格買い取り制度の買い取り価格の中で議論するようにということで、専門家のいわゆる第三者の皆さんに検討いただきました。

 大変申しわけございませんが、これは法律上は、効率的に実施される場合に通常要する費用を基礎に、利潤等を勘案して決めるというふうに定められておりまして、このために、特定の地域に着目し特別の買い取り価格を設定することは制度上難しいという結論に達しまして、今月十八日に告示された価格の中では、通常のバイオマスの税込み二十五・二円が適用されるという結果になってしまいました。

 ただ、先生がおっしゃられるように、大臣も私も、農業の再生をどうするかということは、除染もありますし、試験栽培もありますし、この後また農水省ともいろいろな意味で御協力はさせていただきたいんですが、価格制度の中には組み込めなかったということで、御理解をいただければと思います。

吉野委員 廣瀬常務、今の国のお答えを聞いたと思います。

 私は、東京電力は電力会社ですから、発電が仕事ですから、今の食料生産の農業からバイオマスを使ったエネルギー生産の農業へ、いわゆるエタノール発電をまず東京電力がやるべきだなと。そして農村に人を戻すんです。これが一番なんです、農村なんですから。ここに人を戻す、帰ることができる。仕事がなければ帰れません。

 新たな問題だと思いますけれども、人を戻すためにも、今のエタノール発電を東京電力でやる。このように要請をしたいんですけれども、いかがでしょうか。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 私どもの方でも、エタノール燃料を発電設備、すなわち我々の火力発電所で燃やせないかという技術的な検討をさせていただきました。ただ、残念ながら、今のままの発電設備にすぐそのままエタノール燃料というのを使うことはできません。したがって、新たな追加的な投資をして、設備をいじって、当然その間、工期がかかりますけれども、そうしたことがあるというのが現実でございます。

 ただ、先生がおっしゃったように、生態系の維持であるとか皆様の働く意欲であるとかということは本当に大事なことだと思っておりますけれども、私どもも、今とにかくお金を、新たな設備投資をとにかく削りに削って、電気料金の値上げ等々もお願いしているところでございますので、その辺につきましては何とぞ御理解をいただきたいというふうに思っております。

吉野委員 今の答弁はちょっと、地元の方々が聞けば、悲しい答弁です。

 電気料金は首都圏で上げるんです。そして、上げた電気料金で、双葉郡、福島県にきちんと暮らすことのできるような施策をとるのが当たり前でしょう。だから、エタノール発電、今の既存の発電炉で燃やすことじゃなくて、全く新しいエタノール発電所をつくることを検討してください。お願いします。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 新たな発電所の設備建設ということでございますが、今後の私どもの発電設備の建設につきましても、入札を採用するとかといったようなことで、徹底的な効率化を図ってやっていこうというふうに思っております。

 御指摘のように、今の話を福島の県民の方がお聞きになって悲しいというのはごもっともだと思います。私どもとしては、地元に雇用をふやすとか、あるいは活性化させるというようなことについても、また別の観点から、これからも頭をひねって努力をしていきたいというふうに考えております。御理解いただきたいと思います。

吉野委員 時間が参りましたので、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

吉田委員長 次に、小野寺五典君。

小野寺委員 自由民主党の小野寺五典です。新大臣、御就任おめでとうございます。早速宮城を訪問していただきまして、ありがとうございました。

 きょうは、次期社長に内定されています東京電力の廣瀬常務においでいただいています。よろしくお願いいたします。

 まず、廣瀬常務にお伺いをいたします。

 今回、私どもは宮城ですが、原子力発電所の事故の後、実は、セシウムを含んだ放射能に汚染をされている地域がたくさんございます。特に、震災直後、牛に食べさせる餌の稲わらにこのセシウムが付着をして、残念なことに、国としてはこの稲わらの検査を行わなかった、そしてまた規制を行わなかったということで被害が広がってしまいました。この補償ということを今求めております。

 特に、震災直後、このセシウム汚染の問題が出た直後は、例えば宮城の牛の価格というのは、ひどいものになりますと三分の一以下に下落をしてしまいました。今でも価格の下落というのは続いておりますし、宮城だけではなくて、被災地全体としてこういう状況が続いていると思います。

 そんな中、実は、価格の下落分を東京電力が補償してくださるということで、今、累次の請求をしております。一次から九次まで今まで請求をされておりますが、残念ながら五次までの請求分しか払われておりません。

 きょういらっしゃる委員の皆さんにも聞いていただきたいんですが、五次までといいますと、去年の十二月までの分しか実は補償になっていないんです。一月、二月、三月、四月、五月、もう六月に入っていますが、この分については補償として支払われていない。ですから、農家の方はことしになってからの補償金を受けていない。出荷して値段は下がったのに補償を受けられない。

 今、何が行われているかといいますと、もともとこういう農家は大変零細な農家です。補償が入らないと、例えば、肥育した牛を売って、その後に子牛を買うんですが、子牛を買うお金もない。ということで、今度は子牛の価格も下がっています。それで子牛の農家も苦しんでいる。全般にこれが広がっています。

 補償すると認めていただいたのであれば、ぜひ速やかにこの補償を、幾ら何でも、ことしの一月以降の分、ひどい方になりますと去年の十二月分から補償がされていないという状況があります。速やかな補償の支払いをお願いしたいと思いますが、見通しについて教えてください。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、本当に時間がかかっておりまして、大変申しわけなく思っております。毎日毎日おまとめいただいているJAの皆様等々のお力を最大限におかりしまして、今、本当に取り組んでいるところでございます。

 今後の見通しとしましては、六次請求分の子牛の分ですけれども、それを七月上旬にとりあえずお支払いできるという見通しが今立っております。これを一つに、どんどんどんどん今後もしっかりとやってまいらなければいけないというふうに考えておりますので、よろしく御理解いただきたいというふうに思います。

小野寺委員 理解できないから質問しているのであって、では、例えば、東京電力は給料が遅配とか支払われないということが今まであったんでしょうか。

廣瀬参考人 そういったことはございません。

小野寺委員 加害者の方は毎月給料が十分出て、被害者の方が全然支払ってもらえないというのは本末転倒で、初めに早く被害者の方に手当てをするのが普通じゃないですか。この状況をおかしいと思われませんか。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 本当に、手間取っていること、まことに申しわけございません。総力を挙げて、一日でも早くお支払いできるように努力をしてまいりたいというふうに思っております。

小野寺委員 毎回の委員会で同じことをさせていただいています。早く早くとお願いしているんですが、逆にどんどんどんどん遅くなっているような実感があります。

 それから、もう一つお伺いしたいのは、これは前からもありますが、せっかく、例えば宮城や岩手や福島、こういうところはブランドをつくろうと思って一生懸命努力されていました。このブランドについての加算、ブランドについての評価、これを東京電力と今でもなかなか詰め切れないということを伺っております。このブランド加算について今後どのような方向になるのか。ぜひこれも早く認めていただきたいと思うんですが。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 ブランド牛につきましても、しっかり勉強させていただきまして、お話を伺って、しっかり対応していきたいというふうに思っております。

小野寺委員 東京電力は、例えばいろいろな問題があっても、国が支援したり、さまざまな支援が多分受けられるんでしょう。ですが、被害を受けている農家の方というのは、みんな、自分の家で十頭、二十頭の牛を飼って、とにかく毎月一頭、二頭それを出荷して、そのお金で生計を立てて、子供を学校に行かせて生活しているんです。

 こういう方々がいるのに、皆さんがそうやって出し渋りをするということは、逆に弱い者いじめ、むしろ被害者いじめだと思います。ぜひしっかり対応していただきたいと思っています。何度もこの委員会で取り上げるのは本当に委員長もうんざりされていると思うんですが、ぜひ国としてもしっかり後押しをしていただきたいと思います。

 さて、実は、もう一つ問題がございまして、今、汚染稲わらのお話をしましたが、その後に、今度は牧草が、これも宮城県内、岩手県の一部もそうですが、現実には使えないという状況になっています。今、この牧草についても国から支援をしていただき、また東京電力も支援をしているんですが、これはいつまでも支援を受けるだけじゃなくて、基本的には、例えば農地の反転耕を行って新しい牧草を植えて、きれいな牧草をこれから牛に食べさせる、こういう前向きな政策が必要だと思います。

 草地の除染について、従来から農水省にお話をしたら、農水省は、前回、一ヘクタール当たり最大百万まで支援を出すというお話でありました。ところが、金額を積み上げていくと、農水省の予算ではとても足りない。どうするんですかと聞いたら、足りない部分は東京電力にしっかり負担を求めてもらう、調整して行うんだということで、この草地の除染についても不足分は東京電力が支払うというふうに国会でお話が出ているんです。

 常務にお伺いいたします。これも、国としっかり相談をされて、東京電力の負担分ということが明確なんでしょうか。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 草地のいわゆる回復につきましても、まさに今先生御指摘のように農林水産省さんと協議をさせていただいておりまして、しっかり私どもの役割を果たしていかなければいけないと思っておりますので、その方向で今協議をさせていただいております。

小野寺委員 この全体像は、牧草地も汚染されて、そこを反転してきれいにしなきゃいけないんだけれども、当初その作業に農水省が見積もった金額というのは、実際に調べてみたらはるかに少ない金額で、これだけの金額ではとても今回の被災農地を反転することができない。国はどうするんですかと前回お伺いしたら、鹿野農水大臣はそこは東京電力にも負担を求めていくということなので、東京電力がちゃんと残りを負担していただかないと、希望する農地が全部反転できない。

 今、反転できないということはどういうことかというと、ことしの夏に種まきができない。そうすると、ことしの秋に収穫ができない。ということは、来年までまた牧草を全部、東京電力の補償から買って輸入して、そして農家に支給をする。私、こういう税金の無駄遣いはしちゃいけないと思うんですよ。少なくとも早く反転をする、その政策をしていただきたい、そう思っております。

 さて、もう一つちょっとお伺いしたいのは、今回のさまざまな除染の問題の中で、汚染堆肥の処分、これが実はなかなか前に進んでおりません。

 またちょっと東京電力の常務にお伺いしたいんですが、どうしても汚染堆肥の処分がなかなか進まないので、どんどん堆肥はたまっていきます。この堆肥がたまっていくために、仕方ないので、もうこれ以上置く場所がないので、農家の方は独自に堆肥の小屋をどんどん増築して、そこに今でもどんどんどんどん堆肥をためているんです。

 ところが、この増築分の賠償というのを東京電力に請求したら、当初、応じられないという回答がありました。今でも、汚染堆肥の対処のために自分で堆肥舎を大きくした場合の補償というのはしない方向なんでしょうか。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 汚染堆肥の処分といいますか、保管管理の問題につきましては、本当にたくさんの御迷惑をおかけしております。

 今先生御指摘のありましたように、処分できなくて保管をしているとか、そのために建屋を増築する、改築するといったようなことにつきましても私どもの賠償の範囲に入ってくるというふうに思っておりますので、合理的な範囲でということになりますけれども、今まさに個別のお話を伺って、こういうことだということをお聞きしているところでございまして、それに基づいて賠償させていただくということになっていくと思います。

小野寺委員 東電の中で賠償の検討をしている間にも、牛は毎日餌を食べて堆肥を出しているわけです。ですから、農家は、とにかく毎日毎日のことに追われて、独自でどんどんやらざるを得ない。ぜひ、先に堆肥舎をつくってしまったことに関しても、後追いでこれは対象になるということで、しっかり見ていただきたいと思います。

 それから、農家のことだけをお話ししていますが、地域によっては、事業者が逆にこういう堆肥を主に扱っている場所もあります。畜産、牛の堆肥だけじゃなくて、実は、先ほど吉野先生のお話にもありましたが、木材の皮、あれを集めて、バーク堆肥というふうに使っているところもあります。実はここもかなり堆肥以上に濃度が高くなっていまして、こういう企業も非常に補償を求めております。今、なかなかこれも、東電側の弁護士さんと話をしても前に進まないというお話があります。これは要望ですが、ぜひこういうさまざまな声にしっかり対応していただくようにお願いをしたいと思っております。

 さて、今後、こういう堆肥その他の処理ですが、きょうは横光環境副大臣に来ていただいています。前回、村井知事とお話しされて、今、宮城に残っています汚染稲わらの処理、このことについてある程度最終処分に向けた工程を説明されたというふうに報道で知っておりますが、この工程について、どういう方法で、どのぐらいの期間でこの汚染稲わらの処理というのが行えるか、ぜひ教えていただければと思います。

横光副大臣 お答えを申し上げます。

 今委員のお話をお聞きしておりまして、本当に、稲わらや堆肥、こういったことの保管の限界に来ているんだという現状のお話がございました。

 こういうことで、八千ベクレルを超える指定廃棄物については、一月一日に施行されました特措法で、これは国が責任を持つということになっております。しかし、処分する場合は、そういった指定廃棄物が排出された都道府県内で処理することになっておりまして、そのために、宮城県内のことにつきましては、先般、私、村井知事にお会いをいたしまして、最終処分場の設置について御協力をお願いいたしました。

 この工程でございますが、指定廃棄物の最終処分場をつくっていくということは非常に容易ではないと私も感じております。県の御協力をいただきながら、市町村や地域住民の御理解をいただかなければならないわけですから、非常に難しい問題であると思っております。しかし、今委員のお話にございましたように、八千ベクレルを超えるような指定廃棄物を宮城県内の各所に保管している状況をこのまま放置しておくわけにはまいりませんし、そういった意味から、一元管理する最終処分場の設置がぜひ必要である、このように考えております。

 工程表に示されておりますのは、この九月までに候補地をまず選定するということ。そしてまた、ことしの秋から設計に着手する、周辺住民へ説明を始める。平成二十五年度以降、用地の造成建設工事に着手すること。そして、平成二十六年度中に工事を完了して、完成工区から順次搬入を開始する。これが現在の全体計画でございます。

小野寺委員 横光副大臣にぜひ知っていただきたいのは、今回、食品の基準は厳しくしたんです。ですから、例えば麦とか豆とか野菜とかの放射能基準は五倍厳しくなりました。

 ところが、今でも国は、八千ベクレル以下のものは田んぼにすき込んでもいい、こう言っているんですよ。片方で基準を厳しくしたら、八千ベクレル以下の汚染稲わら、これだって本来、田んぼにすき込めと普通は言えないと思います。でも、今でも方針は変わっていないわけじゃないですか。だから農家は戸惑っています。

 そして、八千ベクレル以上だけじゃないんです。八千ベクレル以下の汚染稲わらもみんな積んで、今でも残っています。この処理、数が物すごくあります。さらに、今回、牧草の基準も厳しくされました。ということは、牧草だって山ほど残っているわけです。汚染稲わらの三倍と言われています。これだけのものを一体どうやって処理するのか。環境省の考えを伺わせてください。

横光副大臣 国の法律で八千ベクレル以上と八千ベクレル以下ということを一応区別しているわけで、八千ベクレル以上は国が責任を持つ、八千ベクレル以下はそれぞれの自治体で処分するということになっているわけです。しかし、今言われましたように、稲わら等は膨大な量があるわけですね。ですから、これはまず減容化することが第一だと私ども考えております。

 そこで、農水省と共同で、宮城県やその他の県の市町村を個別にお訪ねして、今後の処理の仕方にどのような方法があるか、今協議をいたしております。

 そこで環境省として提案しておりますのが、それぞれの自治体の中で小型の仮設焼却場を設置したい、そこで稲わら等を減容化するために焼却したいということ、これをまずお願いしているんですね。八千ベクレル以上はもちろんそこで焼却するわけですが、そのときに委員の言われる八千ベクレル以下の稲わらや堆肥も一緒に焼却することを今提案しております。ですから、焼却する分野において、仮設焼却炉がもしできれば、そこで一緒に焼却することは考えております。

 ただ、焼却した後の焼却灰、これは八千ベクレル以上と八千ベクレル以下はやはり分けざるを得ませんので、そのときは、八千ベクレル以下はやはり地方自治体で民間等の協力を仰ぎながら処分場で処分していただきたい、このように考えております。

小野寺委員 ぜひ、今これは農家の農地に二年という一つの区切りの中で置かせていただいていますので、速やかにその処理の方を国の責任でお願いをしたいと思っております。

 さて、今までは農畜産のお話をさせていただきましたが、実は水産物にも大きな影響が出ております。大臣の御地元でも、沿岸部は大変なことになっているというふうに推察させていただきます。

 ちょっと宮城県の例をお話しさせていただきますと、例えば宮城県漁協、六月十二日に、仙台湾のマダラ、スズキ、ヒガンフグの三、四月分と、昨年漁を自粛した福島県沖でのマダラはえ縄漁、約二億円の請求を東電にしている。そして、県漁連は五月分以降も、新たに自粛対象になりましたアイナメやヒラメ、そしてまたイサダ、これは風評被害ということになりますが、これも請求する方向だということになっています。今、沿岸部にかなりこういう被害が広がり、その状況というのが、これからまた風評も含めて拡大していく状況がございます。

 まず東京電力にお伺いしたいんですが、水産物に関して、今後これは自粛も含め、また風評被害も出てくると思います。その補償についてのお考えを聞かせてください。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 水産物につきましても、出漁制限であるとか、あるいは出荷制限であるとか、あるいは風評被害であるとか、それぞれにつきまして賠償の対象とさせていただきます。

 今先生のお話がありました六月十二日の分でございますけれども、たまたまきのうですけれども、二億円弱になりますが、お支払いをさせていただいたところでございます。

 また、今後も、イサダの話も承って、協議をさせていただいているというところでございます。

小野寺委員 魚というのは、魚の種類を選んで一匹一匹とるわけではなくて、例えば底びき網で一気にとる。そうすると、その中に入っている例えばマダラとかヒガンフグとか、そういうものはだめですよと。でも、ほかの魚種も一緒に網の中にかかっているわけですよ。それを市場で競りをかけるときに、買う方はやはり買い渋る、どうしても値段が下がる、こういうことが現場で起きています。

 実際、沿岸部の漁業者の方は、特に今回は津波被害を受けている方が多いので、ようやく魚で生計を立てて復興しようかと思うやさきに、こういう状況で出ばなをくじかれてしまう。本当に二重に失望されている方がおります。いずれこういう風評被害はおさまるものだと私どもは信じておりますので、それまで漁業者が希望を捨てないように、しっかり支えていただくようにお願いをしたいと思います。

 さらに、環境省にちょっとお伺いをしたいんですが、実は、ここで出荷規制になった魚、これは海岸の冷蔵庫で保管して凍結しているわけです。これが今どんどんどんどん満杯になって、どう処理していいかわからない。汚染稲わらとか堆肥のお話はあるんですが、これから、出荷自粛になった魚の処理の方法、これも検討していただきたいと思います。いかがでしょうか。

横光副大臣 現地の状況等をしっかり承りながら対応してまいりたいと考えております。

小野寺委員 ここまで漁業のお話をさせていただきましたが、ちょうど郡司大臣が六月九日に沿岸部を視察していただきました。そのとき、宮城県の漁連の会長からも、損害賠償について政府からも東電にしっかり働きかけをしていただきたいということのお話がございました。

 ぜひ大臣、今まで補償の問題を少しさせていただきました。畜産に関して、農業に関して、そしてまた今後は漁業の問題、この問題についての大臣としての取り組み、そのお考えを聞かせてください。

郡司国務大臣 大変長い間かかって、まだ支払いがされていないという実情をお聞きいたしました。

 これまで農林水産省として、東電との間に九回ぐらい連絡会議を持ちながら、できるだけ円滑に進むようにという話し合いをしてきました。その中でやはり問題になってきておりますのは、中間指針に載っているものと、それから、載っていないものは今のところ個別に対応する、その個別に対応するということがなかなか進まないのではないか。それよりも、中間指針で、今後検討しなければいけないというものが幾つかありました。それについて今検討しているというような状況。だとすると、さらにまたおくれるのではないかというような懸念がありますので、今の話も含めて、私どももやはり省として、東電の方としっかりと話し合いをするようにしたいなというふうに思っております。

小野寺委員 なぜこういう風評被害についてもお話しするかというと、大臣も御承知のとおり、実はこの中間指針、いわゆる風評被害を含めた対象の中で、農林水産物で牛肉については宮城や岩手も入っていますが、それ以外の農産物は実は入っていないんです。中間指針の中でこういうさまざまな風評被害の対象になるのは福島から南の方。ですから、千葉とか群馬とか向こうは対象になるんですが、岩手、青森、ここは対象になっていないんです。

 ですから、一つ一つの個別項目でこうして東京電力にお話しするのは、実はそういう事情がございます。本当を言えば、中間指針の中に宮城や岩手、青森も入れていただいて、実際に被害も出ておりますから、それが本来の解決だと思います。

 農水省の所管ではないと思いますが、ぜひ政府として、中間指針をもう一度見直して、早く対象域を広げていただくようにお願いをしたい、そう思っております。

 さて、今までのお話の中でしているのは、ある面では農協とか漁協とか大きなところがバックにいて、そしてかわりに東京電力と交渉ができる、こういうような方々ですが、実はそういう恩恵にあずかれない方もたくさんおります。

 今回、牧草も使えないということになって、調べてみたら、例えば春先の山菜、秋のキノコ、あるいは原木シイタケ、こういうものを生活の糧にしている農家、あるいは農山村に住むおじいさん、おばあさんがたくさんいるわけです。こういう方々は今までどうやって生計を立てていたかというと、春になったら山に入って山菜とりをして、そして秋にはキノコをとって、それを例えば産直のお店で売って、金額は少ないかもしれないけれども、一カ月ここで、自分が汗して働いてとってきた山菜やキノコを並べて、そして五万とか十万とかそういう収入を得て、プラス年金で生計を立てている。こういうお年寄りや農業者の方が実際いらっしゃいます。

 こういう方は、今回、東京電力に補償をお願いしようとしても手が届かないわけです。ましてや、農協の系統組織にも入っていませんから、一体どこに私たちが出荷できないことを訴えたらいいのか、そういう小さな声が実はたくさんあります。本来、こういうことに目を向けるのが私は政治の仕事だと思っています。

 自分たちが毎日毎日額に汗して山に入ってとってくる山菜を売る、これがことしは一切できなくなりました。ことしの秋もこのキノコを売ることはできなくなります。こういう方々にどういう形で、東京電力は、補償について、むしろ皆さんから手を差し伸べるおつもりがあるかどうか、お伺いしたいと思います。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、まとまって団体を通じてお申し込みをしていただけている方々につきましては、団体様がこれまで使っていらした書類の類いですとか、そうしたものをそのまま使わせていただくような形にしておりまして、個人の皆様には、私どもがつくった定番のものでございますけれども、それを御利用いただくということをさせていただいておりますが、おっしゃるように、例えば山間部の小さな農家であれば、なかなかそうした証明書もないというケースはあると思います。

 例えばですけれども、そうしたところに対しては、私どもの方にまずは一声かけていただかないと、私どもの方からどこにいらっしゃるかというのを探すのは難しいところがございます。これは福島の例ですけれども、山間部まで私どもの担当者が伺って農地を見せていただいて、そこでつくっていらっしゃるものの写真を撮ったり、そうしたことをさせていただいて、これはこれで、確かに書類はないんですけれども、そうしたことも損害として実際に出ているということで賠償させていただいたケースもございます。

 なかなかこうした、まさにきめ細かい対応をたくさんやるというのは難しいところがございますけれども、とにかく一つ一つでもそうしたケースを積み重ねていかなければいけないというふうに考えております。

小野寺委員 そんなに難しいことじゃないと思います。

 実際、私どもも政治家ですから、地元を回って、そういう産直のお店とか、そこに出している山菜とりのおじさんとかおばさんの話をいつも聞いているわけですよ。市町村に聞けば、どこにそういう産直の方がいて、そこに出荷されている方はどこの方で、その方にその産直のお店に集まっていただいて、どういう状況でしょうかと、こういうことを東電の社員の方が現地を回ってやればすぐ済むことなんです。

 仙台の真ん中に大きな事務所があって、そこに来てくださいというお話はありますが、私はむしろ、そこに行きたくても行けないような方のところに社員の方が回っていただきたい。そして、ぜひ市町村を通じて、どこにそういう被害者が実は潜在的にいるのか、それを至急調べていただくことをお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。

廣瀬参考人 そうしたきめ細かい対応を、私どもも本当にしていかなければいけないというふうに考えております。

 限られたマンパワーで今やらせていただいて、先ほど来の御指摘のとおり、賠償の方もなかなか進んでおらないところもありまして、本当にいろいろなところで全力でやっていかなければいけないというふうに思っておりますので、今後とも御指導いただければというふうに思います。

小野寺委員 御指導というか、私どもとしては、決して東京電力の皆さんを攻撃するわけではないんです。

 ただ、皆さんの今回のさまざまな事故の問題で、実は声に出せない、声なき声の被害者がたくさんいて、その人たちを私たち政治はしっかり支えるというのが仕事。その人たちは恐らく怖くて言えないんだと思うんですよ。東京電力の事務所に行って、私のこの山菜をどうしてくれるんだと。それを言えないようなおじいちゃん、おばあちゃんのかわりに私たちが皆さんにお話をする。そして、それに丁寧に応えていただければ、私は東京電力を見直します。

 新社長、今まで賠償の担当をされていたのもよく知っております。今度新しく社長になられますから、今回、どういう形でしっかり体制を立て直して賠償を早くするか、きめ細かい対応をするか、こういうことをじっと注視させていただきます。ぜひ私どもの期待に沿うような形で対応していただきたい、そう思っております。

 さて、農水大臣、改めて御就任おめでとうございます。私どもは、言い方は悪いんですが、同じ土臭さを感じる、そういうお人柄だと思っております。褒め言葉になっていなかったらお許しいただければと思うんですが、ただ、こういう肌身感覚は大事だと思います。農家の方も、だからこそ頼りにするんだと思います。

 今回、いろいろな面で農家は非常に疲弊をしております。ぜひ、震災そして放射能、その被災に対してのしっかりとした支援を行うということ。

 それから、時間になりますので、最後にお伺いしたいのは、こういう状況でTPPにいきなりかじを切られたら、これらの農家は大変なことになります。そのTPPについての基本的なお考えをお伺いして、質問とさせていただきます。

郡司国務大臣 昨年は、震災で大変な被害に遭われた方がいっぱいいらっしゃいます。お亡くなりになった方もいらっしゃって、その中で生き残った方々が元気を出そう、もう一回農林水産業を頑張ろう、その気持ちだけは大事にしていくことが大事なのではないかなというふうに思っております。

 TPPも同じことでございます。それぞれの地域が疲弊をしているということもあります。ただ、農林水産業からいえば、関税をゼロにするのは大変厳しいという結果がもう予測をされているわけでありますから、その場合にはこれは大変なことを招来しますよということを、私は常に口に出して取り組んでいきたいなというふうに思っております。

小野寺委員 ありがとうございます。終わります。

吉田委員長 次に、永岡桂子君。

永岡委員 自由民主党の永岡桂子でございます。どうもこんにちは。

 郡司大臣、このたびは大臣就任、大変おめでとうございます。私も茨城県の国会議員として、郡司大臣も同じように茨城県の国会議員として、茨城県人としましては本当に頼りにしております。よろしくお願いしたいと思います。

 では、質問に移らせていただきます。

 四月から、食品中の放射性物質の基準値が、暫定基準の一キログラム当たり五百ベクレルから、これは当初の厚生労働省の案のとおり、一般百ベクレル、そして乳児用が五十ベクレルの新しい基準に移行いたしました。

 昨年の十月の末でしたか、一般百と乳児用五十、そういう基準を厚生労働大臣が記者会見で発表して以来、これは正式なものではなかったと私は記憶しているんですが、地元の大手スーパーはいち早く反応いたしまして、新聞記事になっておりました。記者会見で、百以下のものは百以下、当然ですけれども、百じゃなくて五十以下のものじゃなきゃ受け取れないよ、そういうことをスーパー側がお話ししているんですね。つまり、百であっても百以下であっても五十以下じゃなきゃ受け取らない、そういうお話でございました。

 そんな混乱が予想される中、私も、二月の予算委員会、そして三月の厚生労働委員会で、この新しい基準になってから懸念されますいろいろな事態、生産者が実質的な出荷停止に追い込まれるような大変な事態というものを指摘して、質問してまいりました。

 この四月二十日、農水省から食品産業界に対しまして、食品に含まれます放射性物質について過剰に厳しい独自の安全基準を設けないよう要請されたようでございますけれども、その直後、民間がやっていることを邪魔するなというような趣旨の抗議が農水省に相次いだということでございます。そこで、鹿野前大臣でございますが、四月二十四日には記者会見で、これは強制ではないと釈明される事態になったと報道されております。

 郡司大臣も私と同じ気持ちだと思いますよ、本当に。新しい基準と自主基準にかかわりますスーパーや小売業界、流通業界、生産者を取り巻きます悲喜劇、悲喜こもごもの事態をよく御存じだとは思います。

 今回の鹿野大臣の通知に至ります経緯と、通知の趣旨、考え方、これを農水省にお伺いしたいと思います。

佐々木副大臣 お答えさせていただきます。

 まず、通知の中身についてであります。

 自主検査についてでありますけれども、科学的に信頼できる分析結果ということで、客観的、科学的に検証された分析法を使用するということが一つであります。それから、もう一つは食品衛生法でございます。食品衛生法では、基準値以内の食品は安全性が確保されたものとして流通が認められておりますが、これと異なる独自の新基準をもって取引相手に負担をかけるというような食品流通上の支障を来すことがないように、食品衛生法の基準値に基づいた判断をお願いするということについて、それぞれ通知をさせていただいたところでございます。

 しかし、今委員も御指摘のように、基準を踏まえた上で自主的な取引を行うということであって、お願いをするという、食品衛生法上の規制の範囲内でしかできないことであるということで、大変そういった意味では、今御指摘されたようなところは残っているというふうに考えてございます。

永岡委員 今回の通知によります四月からの新しい基準というのは、これは副大臣がおっしゃるとおりに、世界基準から見ても本当に厳しい、一桁違う、小さいものだと思っております。厳しいわけですから、リスクはほとんどないということもあるわけですね。本当にしっかりとした基準だと思っております。

 私は、独自基準を設けるべきではないという農水省の考えを実はこの会見で示されたのではないかなと思うんですね。新基準を下回ります数字、これを小売サイド、流通サイドが求めること自体、過剰な独自基準に当たるとお考えかどうか。私はそう思っているんですけれども、大臣にお聞きしたいと思います。

郡司国務大臣 原則的なことについては、先ほど副大臣の方から申し述べたとおりでございます。

 自主的な基準を設けるというようなことが行われてきておりまして、ただ、今現在は、生産をする側、出荷をする側でも自主的な基準を設けてしているというところも出てまいりました。そして、全国の方々の中で、特に小さなお子さんをお持ちのお母さんなどが、自分の判断、流通のところでいろいろな判断をしたものを自分で選ぶようなことはいけないのか、こういうような意見もあるところだというふうに思っております。まず何よりも安全を全国民の方々に保証するということが厚労省としての仕事であり、私どもとしても、生産者の立場からそうだというふうに思っております。

 したがいまして、コーデックスの基準その他から、私どもの新しい基準で示している内容は、食べていただいても安全だということについて、私どもも説明をしていくことが必要だろうというふうに思っているところでございます。

永岡委員 ありがとうございます。確かにそのとおりだとは思います。

 しかしながら、消費者というのは、今回の場合、放射性物質が含まれている量が少なければ少ないほどいいんですよね。これが消費者の偽らざる気持ちでございます。そこに、安全だよ、絶対これは安全なんだという百ベクレルの基準があり、そしてまた赤ちゃん用の基準が五十ということで、消費者も生産者も非常に混乱している、そういうふうに私は感じます。

 ですから、そういうことについて何とかもう少し混乱がおさまるような形で農水省も指導していただければなと実は思っているわけですけれども、これは、安全であるというよりも安心を皆さんに担保する基準を認めるということでよろしいのでしょうか。

郡司国務大臣 やはり、理解をしていただくよう、適切に何度も繰り返すということが必要なんだろうと思っています。

 その意味で、永岡委員が二月、三月、それぞれの委員会、それからいろいろなところでこうした発信をしていただいておりますけれども、そうした発信の度合いが、もしかすると私どもももう少し努力をしなければいけない、足りないのかなというようなことも考えさせていただきました。今のような国の基準を決めたわけでございますから、そのことについて私どもも、より以上、発信をしていきたいなというふうに思っているところでございます。

永岡委員 では、それはしっかりと対応していただきたいと思います。

 また、私が一人で委員会で二月、三月と騒いでまいりましたときと、そして四月初め、非常に皆さんがまだ新しい基準になれなかったとき、もうそれから二カ月たちます。やはりそのときそのときで消費者の対応そしてまた生産者の対応も変わってきているかと思いますが、その点について大臣はどういうふうにお考えでしょう。

 大変失礼いたしました。これは厚生労働省にお聞きをしようと思っておりました。申しわけありません。でも、できたら後で大臣にも答えていただいてもよろしゅうございますが。

三浦政府参考人 新基準値でございますけれども、これは先ほどから委員おっしゃっていただきましたように、年齢区分別の食品摂取量や代謝、体格などを考慮した線量係数を用いて計算を行うなど、十分に安全側の立場で設定しております。新基準値に適合している食品の安全性は、子供を含めて十分に確保されているということでございます。

 一方で、やはり、消費者、生産者、事業者の皆様方に放射線あるいは食品中の放射性物質について正確で最新の知識を持っていただき、それに基づいて適切な行動をとっていただくことが何よりも重要だと考えております。

 そのため、新基準値の内容、考え方や、基準値を下回る食品は安全であるというようなことなどについて、関連省庁とも連携しまして、福島県を初め全国各地での説明会の開催、新聞、ラジオ、インターネットなど多様な媒体を活用した政府広報により周知に努めているところでございます。今後ともそのような努力をしてまいりたいと考えております。

永岡委員 厚生労働省の御返答をいただきました。

 しかしながら、本当に国民の方々が新しい基準値の意味を正確にわかっているかというと、全然わかっていないんじゃないか。何しろ、百じゃだめよ、五十でもだめ、不検出じゃなきゃだめだ、そういう声が聞かれるわけですから、なお徹底したメッセージの発信をお願いしたいと思います。

 いたずらに生産者であるとか消費者が混乱したり、また誤解を生じたりして、経済的損失というものがやはり生産者にとっては大変大きい、それが現状だと思っております。そういうことを考えますと、新しい基準値そのものを厚生労働省としては見直すことはないのかなと実は思ってしまうんですね。

 そういうことについて、農水省としても、厚生労働省としっかりと意見交換をして、生産者側また消費者側、そして何よりも国民の体の安心、安全のための基準値の策定というものを新たにもう一度考え直すということはないでしょうか。いかがでしょう。

三浦政府参考人 食品中の放射性物質に関する基準値でございますが、これは専門家の集まる委員会で十分に議論いただき、また最新の情報を盛り込んだものとして、いわゆる科学的知見に基づいて定められたというふうに理解しております。

 そういう意味で、今私どもに必要なことは、この基準値の考え方を初め、先ほど申し上げたような、国民の皆様の理解をどうやって進めていくかということが今現在での課題だというふうに考えております。

永岡委員 コーデックスの基準に従いまして決められたのは百ベクレルという値だけでございまして、その後の乳児用の五十というのは気分的につくられたものではないか。農水省も、審議会などを通しまして四月の最終的な結論が出るまでは、大分大きな議論があったと伺っております。そういう点では、厚生労働省のお返答を伺いながら、大臣としてはどういうような対応をしていくおつもりか、お聞きしたいと思います。

郡司国務大臣 これまでの五百というところを基準にしたものについて暫定的に決めたということは、これはもう御承知のとおり。それから、一定の期間がたって、今のような専門のところで、中長期的な、より一層の安全を確保するためにということで百ベクレルというものが決められたというふうに思っております。

 私どもはこれまで消費者あるいはそういうところにきちんと発信をするということを言いましたけれども、やはりもう一つ大事なのは、食品加工でありますとか流通の団体の方々にもその意味をきちんと理解してもらう。先ほど委員の方から御指摘があった、百というもののほかにつけていることの意味についても、そうした流通、加工の方々、こういうところにしっかりと伝えていくということが大事だろうというふうに思っております。

永岡委員 これからの対応をどうぞよろしくお願いいたします。いつまでも不安がってばかりいないで、消費者の方が安心して買える、もうこれならば安心だというような基準というものも考えていただければと思っております。

 それでは、きょうは、東京電力の方も来ていらっしゃいますので、ちょっと東京電力関連のお話をさせていただきたいと思います。

 福島の原子力発電所の事故が発生いたしましてから、もう一年三カ月が過ぎようとしております。今なお農家の方々は、本当に被害が拡大いたしております。まだまだ拡大しております。暫定基準であれ、四月からの新基準であれ、基準を超えた食品は出荷停止命令によりまして市場には流通させていない。そういうことで、安心して食べていいということに消費者の理解を得ることは大変重要だと思っております。

 また、他方、原発事故によりまして、今までどおりの生産や出荷が突然できなくなった生産者などへ、風評被害を含めてなんですけれども、損害を賠償することは当然のことだと思います。

 また、幾つかのことにつきまして東京電力の常務さんにはお聞きしたいと思います。

 ことしの五月九日に認定されました東京電力の総合特別事業計画というのがございますが、四月二十日時点の東京電力からの賠償の進捗状況は、避難をしました個人の方々ですとか、また地方公共団体、中小企業者など全ての関係者に対しまして、本賠償が約六千三百二十三億円、そして仮払いの賠償金が千四百四十二億円で、合計ですと七千七百六十五億円が支払われているということでございます。

 その後、この六月八日の時点では九千三百二十四億円の支払いが実施されているということでございますが、事業計画で示されております賠償の予定額、ちょっと桁が違うので驚いちゃうんですけれども、今お支払いしたという実績をもとに考えますと、二兆五千四百六十二億七千百万円の予定があるということでございますが、実施している賠償金というのがまだ四割弱でございますね。賠償支払いがこれだけおくれている原因というのはどういうことと認識されているか、お聞きしたいと思います。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 まず、最新の数字でございますけれども、今先生がおっしゃいました数字から、またさらに毎日毎日お支払いが進んでおります。六月十五日現在でございますけれども、トータルが九千五百億でございます。これは仮払いも含めた、先ほど先生が七千七百とおっしゃった数字が今は九千五百まで来ているということでございます。

 決して私どもの賠償の支払いが早く順調にいっているという認識は全くございませんので、今、引き続き一生懸命やらせていただいているところでございます。ここについては本当にこれからも努力していかなければいけないと思っております。

 ただ、一方で、総合特別事業計画で、これからの賠償も含めて二兆四千五百億という、先ほどの二兆五千億円に近い金額が挙げられておりますが、これは今後の被害も、例えば、すぐにまだ御帰宅できない方々への精神的損害であるとか、これからの就労損害であるとか、あるいは今まさに賠償を進めようとしております不動産に対する賠償であるとか、あるいは農林水産部門についても、今後まだ風評被害が続くのではないか、あるいは出荷制限が続くのではないかということを三月三十一日の時点である程度想定いたしまして、合理的に見積もった金額が二兆五千億弱でございます。

 したがって、これはまだ今後、残念なことですが、きっとこういう被害が続いてしまうのではないかということで、原子力損害賠償機構の方に賠償の総額の三月三十一日時点での枠みたいなものをお示ししたということでございまして、そのうち現在まで九千五百億の支払いが終わっているわけでございますけれども、そうしたことになっておりますので、御理解いただきたいと思います。

永岡委員 それでは、農水関係の方に御質問を移らせていただきます。

 各県別の支払い状況にはかなりの差があるようでございます。実務でいろいろと書類の確認ですとか実態の把握、損害の査定などを行っている中で、支払いをすべきではないとか、また相当減額をせざるを得ないというような事態があるかとは思うんですけれども、そういうときの具体的な理由などはどういうことなのか、教えていただきたいと思います。

 例えば、私が伺いましたところはお茶屋さんだったんですが、私は、そこのおうちのお茶屋さんはお茶の畑があるとずっと思っていたんですが、そうじゃなくて、茶畑はない小売店だったんですね。そこに東電の方がいらっしゃいまして、査定する書類の書き込み方から何からしっかりと御指導いただいた。しかしながら、しっかりと指導いただいた中で、これを東電の方に上げてくださいと言われて帰られたけれども、残念ながら、東電からの賠償の支払いというのは請求額の一割にしかならなかった。大変泣いていらっしゃいまして、とてもこれでは生活できないと、風評被害から何から受けているお茶屋さんの中ではそういうことをおっしゃっている方もいらっしゃるので、ぜひ具体的に、だめな理由とか、そういうことを教えていただければと思います。実務的な捉え方でございます。

廣瀬参考人 私ども、お支払いを拒否するというものは基本的にはないと思っております。基本的には、御請求をいただいて、ただ、その御請求金額に対しての確認の書類等々をあわせていただいております。したがって、今先生の御指摘のケースについてはちょっとわかりかねますけれども、一般論としては、請求書が示す金額と、あわせて御提出いただく書類とが例えば合わなかったとか、あるいは一部足りなかったとかといったようなことで、何度か、ここがまだ足りないのでこの部分をあわせて請求書の提出をお願いしますといったようなことで、時間がかかっているケースがございます。

 そうしたことに対しても、できれば確定した部分だけでも先にお支払いするとか、そういったようなことで少しでもスピードアップを図っていきたいと思っておりますし、特に農業、漁業につきましては団体の専門の窓口をつくりまして、そこがほかのものとは別に、専門特化して賠償のスピードアップを図るという組織をつくるなどしておりまして、一日でも早く賠償ができるように今努めているところでございます。

永岡委員 しっかりと対応していただきたいと思います。せっかく東電の方が一緒になって書類を書いてくださったものに対しての支払いですから、そういうところも、それだけ細やかなことをしていただいているのですから、それが裏切られるような賠償の金額というのでは、なかなか被害者の方々も納得しないかと思います。よろしくお願いしたいと思います。

 先ほどからいろいろお話を伺っているんですけれども、茨城県は以前、もう十年以上前になりますが、ジェー・シー・オーの事故がありまして、原子力損害賠償紛争審査会が新たに、昔ですけれどもできまして、その経過がありまして、随分と茨城県の協議会として、東電さんと協議を始めるのが非常に早かったわけですね。

 よく見てみますと、茨城県の損害賠償の補償というのは、ほかの県に比べましても大分進んでおります。私の中では、そのときそのときでしっかりと対応ができていないということで、八〇%台でございますから、なかなかすばらしいと言うわけにはまいりませんが、ほかの県の方々からしますと大分進んでいるようだというのが実感でございます。

 やはり、それぞれ農家の方々は日々の生活のために一生懸命ずっと農業そして水産業をやっていらっしゃった方ばかりでございますので、そういう点につきまして、ぜひほかの県の方々に対しても、何が必要かというのを、ほかの県がおくれている理由を教えてあげられることがあれば対応して、ここのところでこういうふうに対応した方がいいんだよということがあれば言っていただければいいかと思いますが、いかがでしょう。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、茨城県の協議会様はいち早く御請求をいただいて、その結果、一番に処理ができたということもございまして、かなり先行してやらせていただいております。

 そうしたことも踏まえて、また各県とも今、第五次、第六次、第七次と請求が続いてきておりますので、そうした中で、繰り返す部分もございますので、書類の確認あるいは電子化、そういったようなことをあわせてやって、スピードアップを図っていきたいというふうに思っております。

永岡委員 どうもありがとうございます。

 それでは、これは茨城県だけのことかなとも思うんですけれども、ちょっと質問させていただきます。

 この四月からは新しい基準で、出荷できる基準値というものが非常に厳しくなりました。そこで、茨城県は、タケノコと露地栽培の原木シイタケというのが相次ぎまして出荷停止を食らっております。風評被害が重なりまして、シイタケ生産者の中には、もう廃業もやむを得ないんじゃないか、そういう悲痛な叫びも聞こえてまいります。

 そこで、農水省にお伺いしたいんですけれども、原木シイタケにつきまして、現時点で出荷停止が指示されている地域は今どのようになっているかをお聞きします。

仲野大臣政務官 永岡委員の質問にお答えさせていただきます。

 原木シイタケについて、今、国の出荷制限が指示されている地域は、全体で六県九十四市町村であります。

 その内訳は、茨城県十一市町、岩手県十四市町、宮城県二十一市町、福島県十八市町村、栃木県二十一市町、千葉県九市となっているところでございます。

 いずれにいたしましても、こうした地域においては、生産者の方々が丹精込められて育てたシイタケの出荷がかなわないという大変残念な状況でありますので、その生産に向けた原木の確保に支障が生じているという状況にもありますし、多大な苦労をされているものと承知をしております。

 農林水産省といたしまして、こういった生産者の方々のために全面的な支援を惜しみなくしてまいりたいと思っております。

永岡委員 今、政務官からお話がありました六県九十四市町村、本当に非常に広域的な原木シイタケの出荷停止がされているわけですけれども、一生懸命で意欲ある生産者であっても、これでは将来の不安というのは想像に余りあるものだと思っております。

 今、政務官にお話しいただきましたように、原木が不足しておりますし、また、その原木を遠くから購入しなければならないなどということもありますので、生産者の経営環境というのは非常に悪化しております。生産者の皆様がこうむった損害につきましては、東京電力による損害賠償が速やかに行われること、そして確実に行われることというのは当然なんですけれども、農水省の方も、ぜひともシイタケ農家の支援にしっかりとした対応をお願いしたいと思います。

 いろいろとお話がありますけれども、実は、シイタケを栽培している農家だけではなくて、シイタケ栽培にかかわりますほだ木、原木ですが、その原木をとってくる農林関係者というのが非常に多いわけですね。特に、茨城県の中では、福島県の原木が一番であると。もちろん隣の栃木県から搬入しますほだ木もいいものはあるんですが、実は福島県の原木がピカ一であったという話を伺っているんですよ。そういうことを考えますと、今、汚染されている福島県のほだ木はもう使えないということですから、ぜひぜひ、新しいほだ木の確保に向かいまして、農水省も万全の力を注いでいただきますように、どうぞよろしくお願いします。

 ありがとうございます。

 大臣、どうぞよろしくお願いします。

吉田委員長 では、大臣、一言。

郡司国務大臣 ちょうど伏せ込みの時期から今度は秋の収穫の時期に向かいますので、そのとき、その後の伏せ込みに間に合うような形で、西日本を中心に、今、原木がきちんとマッチできるように手配をいたしたいと思っております。

永岡委員 ありがとうございます。

吉田委員長 次に、石田祝稔君。

    〔委員長退席、菊池委員長代理着席〕

石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。

 きょうは、参考人の廣瀬さん、大変御苦労さまでございます。また後ほど御質問をさせていただきますので、よろしくお願いしたいと思います。

 まず、農林漁業者等への原子力損害賠償の状況について、請求額、支払い額、支払い率について、冒頭御報告をお願いしたいと思います。

柳澤副大臣 お答えさせていただきます。

 六月十五日現在で、農業については、請求額約二千三百三十六億円に対し、仮払いを含む支払い額約一千五百四十八億円、漁業については、請求額約二百五十三億円に対し、仮払いを含む支払い額二百八億円、林業については、請求額約六億円に対し、仮払いを含む支払い額約二億円。支払い率は、農業約六六%、漁業約八二%、林業約三三%となっております。

石田(祝)委員 まず、請求及び支払い状況について確認をさせていただきました。

 今お述べになったとおりでございますが、この支払い率についてどういう御評価をなさっているのか。これは経済産業省と東京電力、それぞれからお伺いをいたします。

柳澤副大臣 決してスムーズにはいっていないというふうに思っていますし、個々個別の課題になってきておりまして、できるだけ早めなければいけないと痛感をいたしております。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 私どもも、本当にもう少しスピードアップをして、一日でも早くお支払いをしていかなければいけないというふうに本当に痛切に感じているところでございます。

石田(祝)委員 それで、私も状況をいただきましたが、この中で非常にばらつきがあるんですね、請求と支払いの割合について。非常に高いところは八〇%、八七%、そういうところもありますけれども、低いところは二二%とか、そういうところもあるんですね。それで、ちょっとここは低いのではないかというところを何件か申し上げたいんですが、それに共通する要因があれば教えていただきたいんです。

 北海道が六〇%だ、これは農業だけですけれども。それから秋田が三三%。それから、あとは埼玉が二九、神奈川が二八、静岡が三一%。そういうところがありますけれども、これについて、全体の支払い率についてはお聞きいたしましたが、特に低いところは何か理由があるのかなと。非常にこの差が、五〇%以上の差がありますので、これについて、全てではなくても結構ですから、その中で、特にここはこういうことであるとはっきりおっしゃれる理由がありましたら、経済産業省、東京電力、それぞれからお聞きをいたします。

柳澤副大臣 詳しくは東京電力の方からもお答えいただきたいと思いますが、酪農における銘柄による加算等の協議が非常に長引いてしまう、あるいは三月、四月に請求額が多額になった団体がある、あるいは請求の中に中間指針に明示されていない損害賠償が含まれていた、個々の問題がいろいろ出てきているという状況にあります。

 各県についての状況は東京電力の方から答えていただきたいと思います。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 今先生が御指摘していただいた各県の中で、特に幾つかおくれているのが顕著なところは宮城県がございまして、この県の特徴は、いわゆるブランド牛であるとかといった、そういったブランド価値について御請求をいただいておりまして、そこの協議が今若干滞っております。あと、死亡した牛の取り扱いについても今時間を要しておりますが、これらについては、近日中に合意できるところまでもう来ておりますので、もう少しだなというふうに思っております。

 あと、例えば静岡県であるとか埼玉県は、ごく最近、急に大変大きな請求書をいただきまして、そこはまだ支払いが終わっていないということがございまして、パーセンテージが今非常に少なくなっておりますが、これもしっかりやって、支払い率をしっかり高く保っていきたいというふうに思っております。

石田(祝)委員 今、柳澤副大臣も、いみじくも御答弁の中にありましたけれども、中間指針に載っていない、こういうところで滞っている場合があると。これは、個別の案件については中間指針に載っておりませんから、原子力損害賠償紛争センター、ここで和解の仲介をやっていると思いますが、農林水産業の業種ごとで、どのくらいの仲介の件数があるのか。これは文部科学省が紛争センターを多分所管されていると思いますので、文部科学省からお答えいただきたいと思います。

奥村副大臣 お答えをいたします。

 昨日現在でございますが、件数としては二千七百九十九件でございます。そして、和解成立は、今申し上げました昨日までですが、二百二十八件でございます。そして、全部和解できたのが百九十六件、一部和解というのが二十三件、仮払い和解というのが九件でございます。

 今委員からのお尋ねでございますが、大変申しわけございませんが、この和解の仲介処理に当たっておりまして、農業関係の、農業あるいは林業、水産業等のデータを分けていないというのが現実でございます。申しわけなく思っておりますが、できるだけそういう処理ができるように努力をしてまいりたいというように思っているところでございます。

石田(祝)委員 これにつきまして、今数字をお答えいただいたんですが、昨日、私が質問をするということで来ていただきましたときは、分けていないということで言わなかったね。答えられないと。要するに、個々の問題についてお答えはできませんと。今の副大臣の答弁と、まあ、当然、副大臣の答弁の方が正確だと思いますけれども。いろいろとそういうことでお話をしているのに、それは何か個別の案件だから答えられないと。だけれども、件数を答えるのに何で個別の案件で答えられないのか、私はそのやりとりをしていて非常に不思議に思いました。

 今お聞きすると、分けていないと。それは答えられないよね、当然。そっちの方が正しいんでしょう。しかし、質問をとりに来て、これは、ある意味でいえば質問を充実させる、だから事前にある程度数字的なものについては調べておいてきていただかないと、ぽんと聞いても、いや、わかりませんと、それは当然だと思うので。できるだけ我々も丁寧にやらせていただいておりますけれども、ちょっと今の副大臣の答弁と、趣旨というんでしょうか、全く聞いていることと違うということで、非常に残念であります。

 これは副大臣の御答弁の方が正確でしょうから、ぜひ、これはわかるようにとられておった方がいいんじゃないのかな、こういうことを一言だけ申し上げておきたいと思います。

 それで、今まで何人かの同僚の議員もお聞きになられましたけれども、迅速な支払いということですね。これは、ことしになって非常におくれてきているというお声がどうも多いようなんです。ですから、一生懸命にやっていらっしゃるのは当然だろうと思いますけれども、やはり、ことしになっておくれてきていると。これは、どなたかもそういうことで、ことしになって一度も支払いを受けていない、そういうふうなお話も先ほどお聞きしたように思います。

 これは中間指針に迅速な支払いということが述べられておりますけれども、これについて、文字どおりそういうことでいいのか、これは文部科学省と東京電力それぞれに、迅速な支払いについてどう考えているか、お聞きをいたしたいと思います。

奥村副大臣 お答えいたします。

 委員先ほど御指摘をいただきましたように、しっかりデータをとるように進めていきたいと思います。

 そして、今の件の答弁でございますが、これにも関連するわけでございますが、現在、御承知のとおり、郡山と新橋にADRのセンターがあるわけでございますが、七月一日付で、実は福島県の方も四カ所増設をさせていただきます。そして、新橋の方も、ちょっと手狭になっておりますので、そちらの方も場所を変えまして今後対応していきたいというように思っているところでございます。

 そして、御質問の趣旨でございますが、私も地元へ帰ったときに、東電の社長さんなりあるいは関係の皆さんが余りにも態度が大きくテレビに映っておられるということを聞きました。廣瀬さんも、実は当時の副社長も私の部屋へ来ていただきまして、神本政務官とともに、言葉はよかったかどうかわかりませんが、私は、関西弁でいえば、頭が高い、なんちゅう態度で対応しとるんだということで、相当きつく廣瀬さんにも副社長にも申し上げました。これはやはり公正で迅速にしっかりやっていただかなければ、被災者の立場に立ってやってくださいということを申し上げました。そういうことも踏まえて、平野大臣も社長さんをお呼びになって、そして同じようなことも叱責をされたわけでございます。半ば、ある意味では文科省が何か足を引っ張っているような言い方をされていたというふうなことも聞いたものですから、余計に私も理解ができなかったものですから。

 今委員が御指摘いただいたように、これはやはり被災者の皆さん方の立場に立ってしっかりとおやりをいただくようにしていきたいし、我々、省といたしましては、先ほど申し上げましたように、解決センターをしっかり充実させてお応えをしていきたいというように思っておりますので、また御指導よろしくお願いをいたします。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、私どもの支払いがおくれておりまして、事業者の皆様、さらには、おまとめいただいているJAの皆様であるとか漁連の皆様には本当に大変御迷惑をおかけしております。

 私ども、一生懸命やってまいります。そうした農業、漁業を中心に、専門にそれを受け付けて確認作業を行ってお支払いに結びつけるというグループ、組織をつくりまして、今後とも一生懸命やっていく次第でございます。よろしくお願いいたします。

石田(祝)委員 先ほど経済産業省の副大臣も、中間指針に載っていないということがおくれている理由ではないかとおっしゃったと思いますが、奥村副大臣、これは、個別の案件で和解の仲介に持ち込むのも、それは当然早くやってもらうのもいいんですけれども、やはり、中間指針で明確な指針がない、漏れている、そういうことで和解の仲介センターに持ち込まざるを得ないというのもあるんですね。

 ですから、これは当然指針の見直しをしていただいて、いろいろと事態が動くことによって新たな、特に風評被害がその中に入ると思いますけれども、やはりそういうものを指針の中に入れないと、次々に個別案件という形での解決を迫られるということにもなりかねないと私は思います。

 それで、これは経済産業副大臣にお伺いしたいんです。支払いが遅い理由を先ほど言っていただきましたけれども、迅速な支払いのところで、理由は先ほどと同じだろうと思いますが、なおもう一度、支払いが遅くなっている理由について、何かつけ加えることがありましたらおっしゃっていただきたいと思います。

柳澤副大臣 実は、昨年の十二月に原子力損害賠償円滑化会議を立ち上げまして、経産省と文科省、そこに支援機構、そしてADRも入れて、特に東電にも入っていただいて、早く進めるということで取り組んできました。特に年明けのところからは、自主避難の五十七万世帯にわたる賠償、これは量的にこなすのが非常に大変で、これも何とかきちんと処理が終わる。その中で出てきているテーマがいよいよ個々個別の課題になってきておりまして、それを一つ一つきちんと把握するというのにちょっと時間がかかっているというのが現状だと思います。

 ただ、奥村副大臣からもありましたように、ADRの体制も整えてできるだけ早く進めるということは、再度これからも強い要請を出していきたいというふうに考えております。

石田(祝)委員 引き続いてお伺いをいたしたいと思います。

 ちょっと質問の順番を変えますが、風評被害に対する賠償について、これは先ほど永岡委員もお話がありましたが、この四月一日にいわゆる放射線量の基準が見直しになった。一キログラム五百ベクレルから百ベクレルへという形で一般の食品が変わりました。そうすると、三月三十一日まではオーケー、四月一日になった途端に五百から百の間のものは全部だめ、こういうことになるわけですね。ですから、ここの、いわゆる四月一日を境にして、今まではよかったんだけれども、これがだめですよと言われ出した。

 さらに、民間の事業者の方が、いや、百以下であっても我が店は五十じゃなきゃだめよ、こういうふうな独自の基準、これについては、農水省が心配をして、余り基準を独自で決めないでほしい、こういうお話をなさったと思います。

 四月一日を境にして放射線量基準が変わっていろいろな影響が出てきたもの、これについてはしっかりと賠償の対象になっているとも思いますけれども、その点と、民間事業者の独自基準によって出荷ができなくなった、出荷を自粛せざるを得なくなった、こういうものについてはどのような扱いになりますか。

柳澤副大臣 御指摘のとおり、実は、審査会の方で決まったのは、風評被害に関しては、農林水産物のうち、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県及び埼玉県というところは決まったんですが、その後広がった買い控え等について、被害については、原則として個別に確認をして行うという方向で議論をしております。

 今先生から御指摘の、基準が下がる、あるいは民間の業者関係の基準をつくる、これが本当に風評被害として売り上げに大きな影響が出ているかどうかというのは、きちんと把握して、私たちは、それが相当な因果関係があると判断がされれば賠償の対象になるというふうに考えております。それを個々にもう一度精査していくというような今状況にあるというふうに報告を受けていますが、原則は相当な因果関係、これは非常に難しいところがございまして、個々のケースによって変わってきますけれども、できるだけ東京電力の方には被害者の立場に立って賠償をする、審査会の方にもそんな要請を強く出していきたいというふうに考えております。

石田(祝)委員 東京電力に後で聞きます。

 これは文部科学省にお伺いしますけれども、こういうもの、指針にどうも入っていないのじゃないか。先ほど、福島から南の方は入っているということでしたけれども、そういう地域的な問題も含めて、四月一日の基準の変更によっていろいろと動きが出てきている、これについては指針に入っているんでしょうか。入っていなければ、私は入れるべきだと思うんですが、そこのところの見解を、奥村副大臣、お願いします。

奥村副大臣 お答えをいたします。

 確かに、そういう面では、今御指摘をいただいたように、指針の中に曖昧なといいますか、理解ができないところもあったと思います。しかし、従来の農林作物につきましても一定の範囲内の損害がしっかり明記をされてもおりますので、その点につきましては、今日までの中間指針の中で賠償されるものだというような指導も我々もしてきたところでございます。その点は、今御指摘いただいたように、しっかり進めていきたいというように思っているところでございます。

 特に、今日までの事故との因果関係そのものにつきましては、全て損害賠償法に基づいて適切な賠償が行われるということで、今申し上げたように進めてきたわけでございますが、指針に沿ってしっかりできるようにしていきたいと思っております。今御指摘いただいた件につきましても、見直されたところにつきましても、その問題もしっかり東電の方にやっていただけるように我々も働きかけてきているところでございます。

石田(祝)委員 奥村副大臣、もうちょっとお聞きしますけれども、指針をつくっているのは、文科省がやっているわけでしょう。そうすると、五百から百になったり、百以下でも、力関係で、どうしても五十じゃなきゃだめだ、受け入れないと言われたら、もうそれは従わなきゃいけない、そういう場合もあるわけですよね。だから、これは指針に入れるべきじゃないのかということを私は申し上げているわけなんですよ。

 だから、指針に沿って云々という話は、文科省が指針をつくって、それを東京電力がしっかり取り組む、こういうことでありますから、これを指針に入れ込むということについてはどういうふうになりますか。

奥村副大臣 お答えをいたします。

 その基準の見直しが行われた場合は、これは同じように理解をしているところでございます。数字につきましては厚労省の方で進めていただいておりましたので、我々は、それによってしっかりと指針の中に取り込んで、東電の方にもその連携をとっていくということでございます。

石田(祝)委員 副大臣、申しわけないんですけれども、もうちょっと明確にさせていただきたいと思うんです。

 五百から百にするというのは、厚労省と生産者側の農林水産省、四月一日から基準がある意味で五倍厳しくなった。五倍厳しくなった上に、さらにそれ以上のことを民間の力関係で求められることになっている。だから、そこのところも、これは明確に風評被害として賠償の対象である、そういうふうにしないと、必ず一件一件和解の話になってくるわけですね。特に、五百から百というのは、これは国が値を決めたわけですから。きのうまでよかったよ、これが一日たった四月一日からはもうだめよ、こういう話でありますから、これは指針に入れるべきであるし、入れないとかえって混乱をするんじゃないでしょうか。

 ですから、そこのところをもう一度、入れるのか入れないのか、そこはお答えできますか。

奥村副大臣 お答えいたします。

 今申し上げましたように、基準の見直しがあった場合には、同様に、今おっしゃったとおり、補償の対象になるということでございます。

石田(祝)委員 そういうことでよろしくお願いします。

 農林水産省にお伺いします。生産者を守るということではないとは思いますけれども、生産者のことも考えなきゃいけない立場として、現状の見解はどういう見解ですか。

 この風評被害というか、物すごく厳しくなってきて、さらに、厳しい値よりもなお厳しいことを求められている、そして実質的に、国の基準ではオーケーだけれども出荷ができない、引き取ってもらえない、こういうことがあって、それは十全の賠償ができているのかどうか、こういうことを私は今聞いているわけですから、農林水産省としては、このことについてどういう見解を持っているか、こういうことであります。どちらがお答えいただいても構いませんが、よろしく。

佐々木副大臣 先ほど大臣からも御答弁をさせていただいてございますが、これは流通段階においてそういうことが起きるということでありますから、生産者段階でも起きている話でありますが、いずれにしても、そういう流通段階も含めて、この新基準というものについて丁寧に説明をして、消費者の皆さん方にも理解していただけるような丁寧な説明がないと、そのことだけがひとり歩きして、結局、何といいますか、不正とまでは言いませんが、出荷するときにそういうことが言われるというような事態が起きているやにも聞いてございますので、両方、生産そして流通、消費、あらゆる面において丁寧に説明をしていかなければならないというふうに思っております。

石田(祝)委員 副大臣、これは説明の問題じゃないんですよ。説明はしなくちゃいけない、しかし、説明をしてどうこうという話と違う話なんですよ、現実に被害を受けている話ですから。それで説明をすることによって理解をされて風評被害をなくす方向、これは当然なんですけれども、残念ながら、現実に風評、これは一種の風評加害ですね、それで生産者また漁業者が被害を受けている、損害を受けている、こういうことをどう思うかということなんですよ。

 これから先の方向として、説明を尽くしてちゃんとその百という全くの安全基準を設けているわけですから、それ以下のところでも風評被害が起きているわけですから、そういうことを現実のいわゆる生産者、農業者、漁業者、そういう関係する農林水産省としてはどう考えているのかということを聞いているわけです。説明の問題じゃないんですよ、被害を受けていることをどう回復するかということで話しているんですから。

郡司国務大臣 とりあえずの指針というものが決められました。その後に、それにかかわらない新しい感じの被害というものも出てきております。あるいはまた、同じ被害でも、先ほど漁業の関係がありましたけれども、宮城県が入っていないというその地域的な、その当時の感覚ではよかったかもしれないけれども現実的には今はもうずれているとか、そういうようなものが出てきております。

 それに対して、先ほど言いましたように、追補というのは今まで二回行われておりますけれども、これは中間指針を決めたときのまだ決まっていない部分ということで、その後、今惹起されているような問題について、まだ明確に方向性が出ているわけではないというふうに思っております。

 したがいまして、きょうの議論も受けまして、見直しということがどういうふうな形で行われるのか、私どもも関心を持って、関係するところと話し合いをしていきたいなというふうに思っております。

石田(祝)委員 それでは、東京電力にお伺いしたいと思います。

 今までのやりとりの中で、東京電力はこのいわゆる風評被害、五百から百になったこと、百からさらに下がった部分でいろいろと被害を受けているところ、これについての賠償の対応ということと、もう一点、時間がありませんのでお伺いいたしますが、平野復興担当大臣と話したときに、水産物の市場での買い取り価格が下落しており、賠償スキームを早期に策定すべきだ、こういうことを言われていると思いますけれども、それについてどのような対応が進んでいるか、この二点をお伺いいたします。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 新しい食品基準が見直されることによって、風評被害が当然拡大してまいります。ただ、消費者の皆さんは、五百から百になると、たしかこれを発表されたというか巷間伝わったのは昨年の十二月ごろだったと思いますが、もうそこを受けて早速反応をされてしまいました。

 したがいまして、出荷制限等々は厳格にその基準をもってその日、四月一日から運用されることと存じますけれども、風評被害はそれに先行して既に発生してしまうということが考えられております。実際、そういう風評被害が出ております。

 したがって、私どもも、そうしたものについては風評被害として扱って賠償をしてまいる所存でありますし、現に、お米であるとか牛であるとかは、たしか五百から百になるのはことしの十月一日からでございますけれども、既に消費者の方は反応を示されておりますので、そうしたものはもう風評被害としての扱いをさせていただくということで、賠償の対象にしていくということでございます。

 それと、平野大臣に私呼ばれまして、御指摘の話をさせていただき、御指示をいただきました。その際、漁業の風評被害、今、出漁制限等々で漁に出ないということで全部丸々賠償の対象になってしまうんですが、漁に出てお魚を釣って、それでも本来売れるべき値段に達しない部分について何とかしなきゃいけないという御指示でございました。

 それで、お魚の種類であるとか季節であるとか、そうしたものでもともと売れるべき値段というのが大変変動する商品でございますので、農林水産省さん、関係各機関の御協力もいただきながら、そうした、本来ここの値段で、例えばスズキはここだ、タイはここだというふうなものを決めませんと、実際に売れた値段との差がわかりませんので、それらについて今後検討してまいろうということでお話を承った次第でございます。

石田(祝)委員 最後に一言申し上げますが、以前、去年震災が起きて原子力発電所の事故が起きたときに、政府の中でも、賠償ではなくて補償という言葉を使う大臣もいらっしゃいました。私はそれは厳しく注意をいたしました。補償じゃない、賠償だと。これは今はもう補償と言う方はいらっしゃいませんけれども、賠償という言葉の意味をよくよくお考えいただきまして、迅速にお取り組みをいただきたいと思います。

 ありがとうございます。終わります。

菊池委員長代理 次に、福島伸享君。

福島(伸)委員 民主党の福島伸享でございます。

 本日、このような機会をいただきましたこと、理事各位、委員各位に感謝を申し上げます。また、私の地元の茨城から郡司新大臣が誕生したということを本当にうれしく思っております。御活躍を期待したいと思っております。

 また、廣瀬常務におかれましては、新社長に就任予定ということで、一番、東京電力の中で被災者に多く接している常務でございますので、新しい新生東京電力の経営に全力で当たられることを期待したいというふうに思っております。

 郡司大臣が途中で出られるということなので、冒頭、お聞きしたいと思います。

 きょうは、私、今、石田委員がおっしゃったのとほぼ同じ趣旨の質問になってしまうんですけれども、もっと国が前に出てやるべきじゃないか。一つは中間指針の見直し、そして、賠償で賄えない、いろいろなもろもろのこともあるんですが、それが縦割りになっていたり使い勝手が悪いということで、そうしたことでもっと国が前に出るべきじゃないかという趣旨の質問をさせていただきます。

 郡司さんは地元で被災の状況をよくごらんになっておりますから、閣内で、どうしても事務方は仕事をやりたくなかったり自分の省の権限を守りたいから、あれができない、これができないと言いがちなんですね、ぜひ発言していただきたいと思っておりますので、この原子力の損害賠償にかかわる郡司大臣の御決意をまずお聞かせいただきたいと思っております。

    〔菊池委員長代理退席、委員長着席〕

郡司国務大臣 質問をいただきましてありがとうございます。

 福島議員は、この関係を、本当に私どもの県の窓口として取り組んでこられまして、先ほど石田委員の質問のときにも、八七%と高い県があるということでございましたが、多分茨城のことであろうかというふうに思っております。

 これは、一つは、ジェー・シー・オーという十数年前の事故があった。そのときに私どもは風評被害という洗礼を受け、覚えなくてもよかったかもしれないけれども、ノウハウをそこできちんとつくったというようなことがございます。その中で、今回と仕組みは違いますけれども、最後まで納得ができないということで裁判を行った方々がいらっしゃいまして、その決着を見たのは、ジェー・シー・オーの事故から十年を過ぎて、今回の震災のわずかに一、二年前というところが現実でございました。

 したがいまして、今回の場合も、それを鑑みれば、ちゃんと中間指針という形、あるいは第三者的なところの判断がきちんと行われて、それによって的確、迅速に支払われることがお互いの当事者にとってはプラスになるんだ、こういうようなことで、私ども見守ってきたつもりでございます。

 したがいまして、中間指針が出る、そのときには、とりあえず、いつまでもまとめることがおくれてはだめだから、まとめろと。しかし、そこでまだ確定がされないものについては、今後もそのことを行っていくべきだというような話し合いをしたということを今でも覚えております。

 その後、この中間指針の、そのときにまだ固まっていなかったけれども問題提起はされていたものが二つ、二回追補をされたということを聞いておりますが、全体の見直しということにはまだなっていないということでありますので、当初のジェー・シー・オーの事故に鑑みれば、相当程度速やかに行うということについては、やはり見直しそのものを見直すということが、私は、結果としてはお互いのためになるのではないかなというふうに思っているところでございます。

福島(伸)委員 ありがとうございます。ぜひ頑張ってください。

 どうぞ御退出ください。

 さて、私は、安易な東電たたきとかそういうのをやるつもりは毛頭ありません。今の賠償の仕組みというのは、我々国会議員にも責任があるわけでありまして、この国会で通した法律のスキームに従って行われております。それをもう一度確認させていただきたいと思っております。

 原子力損害賠償法というのは、第三条で「無過失責任、責任の集中等」というタイトルで、「原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によつて生じたものであるときは、この限りでない。」という条文になっております。つまり、過失があるかどうかは問わずに、とりあえず原子力事業者が全部責任を負ったことにして賠償するんだというのがこの法律のスキームであります。

 今回の事故では、地震と津波によって東電自体も発電所や送電網が大きな被害を受けて、経営が揺らいでおります。しかしながら、その東電自体に責任があるかどうかを問わずして、まず補償しなければならないというのがこの法律のスキームでございます。

 今回、原子力損害賠償支援機構法というのを成立させまして、これに基づいて今事業が進められております。

 このスキームは、物すごく乱暴に言えば、国が交付国債というものを機構に入れて、機構を通じて東電に国の資金を援助して、東電は、その援助されたお金、援助といっても貸し付けられるわけでございますけれども、その借りた金を返すのを、電気料金を回収することによってやっていくというスキームなんです。

 ここにおいて、国に責任があるかとか東電に責任があるかという、この責任はいまだうやむやなんです。東電に責任があるというのは、まだ誰も確定しているわけでもありません。しかし、とりあえず、東京電力の電気料金の収入をもって賠償を返していくんだ、国が金を貸すんだと。これは、私は国会で例えるのが適切かどうかわかりませんけれども、よく新聞で、どこぞやの国の女性が借金を背負わされて、日本に来てみたら売春させられて、借金を返すまで帰れなかったという報道があります、それとほぼ同じスキームなんですね。東電に国がお金を貸し付けて、電力料金を回収させて、その上前でまた国にお金を返させるというやり方で、恐らく、東京電力の皆さん、何となく割り切れない思いがあるんですよ。

 私が言いたいのは、だから東電は助けられるということではなくて、よって、このスキームをつくったのは国なわけですから、国もある程度の責任を分担しなければならないという思いにならなければならないという意味でこの話を申し上げさせていただいております。

 今回の質問に当たって、いろいろなところにお話を聞きました。先ほど郡司大臣もおっしゃったとおり、我が茨城県は結構順調というか、比較的整然と賠償の支払いが進んでおりまして、いろいろな団体の皆さんは、大きな不満はありますけれども、それなりにうまくいきつつありますよねという評価もしていただいております。

 ただ一方、直近ですと、先ほど小野寺先生もおっしゃっておりましたが、九回にわたって請求しているうちの、昨年の末に請求した部分ぐらいまでは支払われているんですが、一月請求分のものは、つい先月、五カ月後に支払われるとか、ここ最近になって急に支払いが停滞し始めているわけです。

 あるいは、新しい基準によって、先ほど来議論になっておりますシイタケ農家の補償なども、請求はしているけれどもいつやってくるかわからない、現に廃業した人も私の選挙区の中にはおります。しかも、今までと違ってやたら細かいことも査定されちゃったり、厳しくなっているということも聞きますので、ぜひともその点は東京電力の皆様方に努力をしていただきたいというふうに思っております。

 今、こうした損害賠償に対応するための、廣瀬常務の、東電の基本的な姿勢と体制、そして実績というのはどういうものになっているのかということを御紹介いただきたいと思います。お願いいたします。

廣瀬参考人 それではお答えさせていただきます。

 まず、賠償の実績でございますけれども、昨年の五月あたりから何度かの仮払いをさせていただき、いわゆる本賠償としては十月ごろからのお支払いをさせていただいております。それで、六月十五日時点で約九千五百億、九千四百八十八億のお金が被災者の皆様のお手元に届いているという状況でございます。

 一方、それをこれまでやってまいりました私どもの体制でございますけれども、社員が今三千六百名ほど、それから委託の方にお願いして、一万人を超えております。一時期、自主的避難のすごいオペレーションが四月、五月ごろありましたときには、一万三千人を超えるトータルの体制でやらせていただいておりますが、まだまだなかなか追いつかなく、御指摘のように賠償がおくれているという状況もございますので、引き続きしっかりとした体制をつくってやっていきたいというふうに思っております。

福島(伸)委員 今の数字を見て、一万人超ですよ。東京電力株式会社という名前ですけれども、この会社は電力を供給することをなりわいとするのではなくて、ほとんど賠償を返すための会社となっていると言ってもおかしくないような状況に今の東京電力がなっちゃっているわけです。これは、今の我々がつくった制度の結果そうなっているということであります。

 問題は、払っている方じゃなくて払っていない、いただいていない方なんですね。先ほど来、きょうずっと議論がありました。それは主に中間指針に例示されていない事業であります。中間指針に例示されていないと、その損害の立証責任というのは被害者側が負うことになります。

 例えば、茨城県の不動産というのは中間指針に記載されていませんから、きょうここにいらっしゃる石津さんの大洋村は、別荘を売って不動産屋さんは皆さんなりわいを立てております。でも、この別荘も、恐らく今買う人は誰もいないですね。みんな本当に首をつるかという状況です、不動産の人たちは。でも、これは指針にないということで、昨年の今ぐらいからいろいろ東電と折衝をしているところでありますけれども、まだ賠償が払われていない。あるいは、茨城の守谷のあたりのニュータウンも、小さなお子さんを持った家庭はなるべく放射能の少ないところに住みたいということで、マンションに入ったり新しく家を買ったりという人はいません。

 千葉の方もいらっしゃいますけれども、千葉県の観光業は、最初指針になかったからこれは大変な努力をして、ようやくことしの一月に新たに、指針の改定ではないですけれども、追加になったということでございます。

 さらに、シイタケも従来の農業と違う部分があるんですね。補償の額の基準というのは固定費と変動費というのを分けていて、その変動費に何%かを掛けるんです。休業すれば変動費が減るんだから、その部分は差っ引きましょうといって、今までの農業の例だと四〇%か五〇%カットされちゃうんです、変動費の部分は。だから、これはほだ木がなかったとしても、施設にかかる光熱費とか公租公課とか、そういうのはかかるわけで、実際は八〇%、九〇%は、シイタケの栽培をしようがしまいが、かからないんです。でも、指針に基づく賠償の基準だとこうなっていますからできませんといって、なかなかこれは進まないんですね。

 こうして中間指針から外れた途端に物すごい労力がかかります。あの書類を持ってこい、この書類を持ってこい。この書類を持ってきたら、次はこれが足りないから持ってきてください。では、いつになったら払ってくれるんですかと、先ほど来議論の。これはわかりませんと。では、今まで合意したことを文書で確認してくださいと言っても、なかなかこれは文書でも確認してくれないんですよ。社に帰って弁護士に相談しますと言って、弁護士に相談して帰ってくると、今まで認めていたことがゼロ回答になったりするという、物すごい労力をかけて今交渉しているのが実態であります。

 では、どうすればいいかというと、政府は原子力損害賠償紛争解決センター、準司法に行ってくださいとみんな言うんですよ。これは行きませんよ。シイタケを栽培している中山間地に住んでいる七十歳の老夫婦が、わざわざ東京、福島にもあるんでしょうけれども、そこに、裁判もどきのところに行って、その人は被害者なんですよ、何でそんなしち面倒くさいところに行かなければならないんだといって、その瞬間に大体諦めて、では、もう続けるのをやめようとなっちゃうんです。

 しかも、その原子力損害賠償紛争解決センターは遅過ぎるんです。先ほど来、件数がありました。一割ですよ。先ほどの申し立て件数、二千七百九十九件中二百二十八件ですから、解決されたのは一割にも満たないんです。奥村副大臣、もし御存じでしたら、これは解決するまでに大体どのぐらいかかっていると思われますか。

奥村副大臣 お答えいたします。

 先ほど二百二十八件と申し上げましたのは和解成立件数のことでございます。和解仲介手続が終了しているのは、三百九十五件あります。ですから、迅速にやっていかなければ……(福島(伸)委員「それはわかっているんです」と呼ぶ)今までは大体、法律ができたときには三カ月以内にこれを処理するということでございましたが、正直申し上げて、今御指摘いただいたように五カ月から六カ月、半年近くかかっていることがありますが、何とかしてこれを迅速に解決できるように努力をしていきたいというように思っているところでございます。

福島(伸)委員 半年です、半年。田舎の農家の皆さんは、こうした紛争解決の準司法に半年つき合っているだけの忍耐力は私はないと思っております。

 この準司法というのは何でもかんでも送る場じゃなくて、あくまでも最終的な解決手段だと思うんですね。その前に、ある程度いろいろな事例というのを類型化できるんですよ。先ほど言ったように、茨城の別荘地とかニュータウンとかあるいはシイタケ農家とか、いろいろな類型化ができるんですよ。そうしたものは、私はやはり中間指針をきっちりと小まめに、事例に応じて見直していかなければいけないと思っているんです。

 東京電力という会社は、事実上、国の管理下にあるんです。もう倒産していると同じ状況なんですよ。なるべく払いたくないという状況になるのはしようがないし、そこをたたいてたたいてやって、困るのは東京電力じゃなくて被災者なんですね。私は、そういう意味では中間指針をもっと小まめに改定していただきたいと思っているんですけれども、もう一度、奥村副大臣。これは事務方に聞くと、絶対やりたがらないんですよ。もう何度も、これは一年間言っているんですけれども、できませんできませんと言うんですけれども、私は、きちんとしたプロセスに基づいて中間指針の見直しをやりますということを、ぜひここで宣言していただけないかと思うんですけれども、どうかよろしくお願いいたします。

奥村副大臣 お答えいたします。

 今御指摘いただきましたように、千差万別で、いろいろなことがございます。ですから、指針の中に入っていないところも、拡大解釈をしたり、いろいろな人の知見のもとで進めてきていただいて、東電にも、個々に当たっていただいたこともございます。先日も、福島の知事さんがおいでになりまして、指針の見直しをまたぜひやってくれという御要望もいただきました。

 今、文科省といたしましても、福島委員がおっしゃっておられますとおり、しっかりと指針をそうした形で前向きに捉まえていけるように努力をしていきたいというように進めております。

福島(伸)委員 ぜひお願いします。

 くどいようでございますけれども、我が党でも、きょう参考資料としてお配りしておりますこの資料でございますけれども、原発事故収束対策プロジェクトチームという、荒井座長が務めているプロジェクトチームの第二次報告で五ページ目ですけれども、ここに線を引いております。「東電による賠償の進捗状況は、余りに遅く、余りに限定的であり、この事実が人々の困難を増加させ、復興を遅滞させている。実際、中間指針に記載されていないから払わないといった対応や指針を狭く解釈しようとする主張がみられると聞く。つまり、中間指針が迅速な賠償の足かせになっている側面もある。この状況を変えるためには、原子力損害賠償紛争審査会の策定する賠償の基準である「中間指針」について、実態に即して適宜見直しを行う必要があり、加えて、賠償機構自身による積極的な仮払制度の」云々ということで、この中間指針が見直されないことが、私は、諸悪の根源になっちゃっていると。

 個々具体的な例はあります。それは数限りなくあるんですよ。でも、多くの例は類型化が可能です。不動産業のこうした被害とか、シイタケ農家のこうした被害、さまざまな類型化が可能です。私は、その努力は国がやらなければ誰もやらないと思っているんです。

 ですから、ぜひ文部科学省の方でリーダーシップをとって。これはたまたま所掌上ぽこっと文部科学省にあるから、本来の俺の仕事じゃないよというふうに思いがちなんですよ。いや、決して奥村副大臣はそう思っていないと思いますけれども、今喫緊に取り組まなければならない仕事として、ぜひ取り組んでいただきたい。これは被災地全部の叫びです。今まで、みんなどの委員も同じことをおっしゃっておりますので、ぜひとも政治主導でこの点について取り組んでいただきたいと思っております。

 その上で、東京電力にお聞きいたしたいと思います。

 先ほどもありましたが、六月十四日、平野復興大臣が廣瀬常務と会談して、風評被害による水産価格の下落についての賠償基準を早急に策定するように要請しておりますが、その対応はどうなっているかというのをお聞きしたいと思います。

 というのも、水産の風評被害と一言で言いますけれども、これは定義が難しいんです。水はどこにでも移動します。お魚さんも移動します。外国の人にとってみたら、海はつながっているんだから、日本産というだけでもう誰も買わないんです。これも指針で、被災を受けた何県、何県、何県とやったって、長崎県のかまぼこ業者だって、輸出をすれば風評被害を受けるんですよ。そうしたのは個々あるんですけれども、大分類型化ができます。でも、中間指針にないからといって、一つ一つ、さっき言ったように、書類を出せとかなんとか、弁護士に相談しますとやったら、恐らく賠償が出るまでまた一年何年とかかってしまいます。

 ですから、ぜひ早くやっていただきたいという決意とともに、東電さんとしても、中間指針に明確にしてくれたらもっときちんと払えるのになという思いがあるのでしたら、その思いも含めてぜひ御答弁をいただきたいと思っております。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 先週、平野大臣に呼ばれまして、先生おっしゃった、水産業の風評被害についてお話をさせていただきました。

 大臣からの御指示もございまして、繰り返しになりますが、魚の種類であるとか、あるいは時期であるとか、そうした若干難しい部分がございますので、農林水産省さんの御協力もいただきながら、そうしたスキームといいますか、やり方について検討してまいろうということをお話し申し上げた次第でございます。

 指針につきましては、もとより我々も、指針、指針といって一歩も出ないという話を、随分お叱りを受けております。個別の事情をしっかりお聞きして、指針にとどまることなく、個々の事情についてしっかり対応していかなければいけないという思いをいつも強くしているところでございます。

福島(伸)委員 ありがとうございます。

 それで、今度は、賠償が切れた後というか、それが終わった後もこれは苦しいんです。

 ジェー・シー・オーの事故の後に、茨城交通という茨城県で最大の公共交通機関があるんですけれども、そこは十年後に破綻をいたしました。それもジェー・シー・オーの事故の影響で、その会社が不動産開発をやっていたところの住宅地が売れなくなったことが大きな要因になったと言われているんですけれども、五年、十年とかかるんです。それは地域経済全体に重くのしかかる問題でありまして、これは賠償だけでは解決できないさまざまな問題があります。農林水産、観光、食品、不動産、あらゆる業種にわたって、この放射能の風評被害の影響というのは長い間出ることになります。

 こうしたことに対して、私は、地元の人のやる気に応じた総合的な支援をしていただきたいと思っているんです。地元にもいろいろな話があります。きょうは時間がないので、事務方の皆さんの答弁はちょっと失礼させていただきますけれども。

 例えば、観光物産協会の青年部という若手の人たちが、これは酒造業からドライブインから旅館業から、いろいろな業種が集まって、どうやったら茨城の観光を守り立てられるかと考えているんです。プランをつくります。商店街を利用した、何かそうしたアンテナショップをつくろうとか、六次産業化なんかを使った新しい農産品の開発を共同でしようとか、あるいは、よそから来る人に、観光バスで来たら、それに対してクーポン券を渡して観光バスの誘致を図ろうとか、いろいろなことを考えるんです。

 でも、それをやるに当たって、いろいろな省にまたがるんですよ。観光客の誘致だからと観光庁に行くんです。それはいい話ですね、お手伝いをしますと言うんですけれども、では、観光庁には何の予算があるんですかと言ったら、いや、観光庁は、観光という看板がかかっているけれども、そうした具体的な予算措置はないんですよと言われるわけですよ。

 では、商店街は商店街で、中小企業庁へ行こうというと、確かに中小企業庁にこういう制度があります、でも、応募の期間は来年です、来年になるまで応募できません、それまで待ってくださいとなるんですね。

 地域資源のために、古い町並みを生かした町並みにするために文部科学省に行こうといって行くと、これこれはこういう要件があってできませんとか、あるいは震災の対応のものがあって、そういう予算をやると、これは東北三県しかだめだから茨城県は対象でありませんとか、それぞれの役所でばらばらなんです。

 何度か陳情にも参ったんですけれども、一日がかりの霞が関ツアーです。階段の上りおりだけでもうへとへとになっちゃうんですよ。今それが実態でありまして、役所に聞くと、それぞれの役所は御丁寧に、こういう政策がありますと親切に皆さん説明していただきます。でも、それを、一つ一つの予算をとっていたら切りがないんですね。

 私は、こうした定食型のメニュー提示じゃなくて、アラカルトのオーダーメードをやっていただきたいんですよ。若い人たちがこういうプランを持ってやろうと言ったら、では、各省は、俺たちはこれができるよ、俺たちの省はこれができるよ、これは今ないから新しくつくりましょうというようなことを、ワンストップでやれるようなものをやっていただきたいんです。

 私は、それは、吉田副大臣、被災地の心が一番よくおわかりだと思いますけれども、復興庁の仕事じゃないかなと思っているんです。復興交付金とかいろいろな復興特区とか、ありがたい制度はあるんですけれども、それは主に行政機関を対象とするものであったり公共事業的なものであったり、風評被害対策のような、ブランドを守るとかイベントを開くとか、そうしたソフトな事業に対するものは余りないように思います。

 しかも、これは長い間にかかって、えも言われぬ被害を受けるんですね。そうした問題でありますので、ぜひ、復興庁にワンストップの窓口をまずつくっていただいて、各省のいろいろな政策を統合していただいて、場合によっては各省の予算をまぜ合わせて足し合わせて、それぞれ応募期間が違うのであれば、それを統一したりとか、そうした総合調整を行う部署をぜひ設けていただきたいんですが、吉田副大臣、いかがでしょうか。

吉田(泉)副大臣 御指摘の風評被害につきましては、もちろん、その一県のみならず、大変広範囲に影響が及んでおって、その対策は大変重要であると我々も考えております。そして、これを克服するためには、この放射線の状況をまず的確に把握して、それを正確に情報発信、これは国内外とも発信していくということが基本であるというふうに考えております。

 今先生御指摘のように、そういう考え方をベースに各省庁で風評被害対策、いろいろ施策を実施しているところでございますが、復興庁としても、当庁のホームページに各省の対策を取りまとめて公表したり、それを各自治体に伝えたり、極力、政府全体の施策をわかりやすく発信しようということでやっております。

 今議員から、オーダーメード的なメニューも考えるべしという御指摘もございました。そういう御指摘も念頭に置きながら、ワンストップの窓口としての機能を果たせるように、今後とも各省庁とよく連携してやってまいります。

福島(伸)委員 ありがとうございます。

 ホームページに出すとか、こういう制度がありますというのは、これは殿様商売なんですね。ぜひ営業マンとして行ってオーダーメードをやっていただきたいと思っておりますので、期待しておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 そこで、一番問題になっているのは、私の地元では、やはり東京電力の値上げと消費税の増税です。

 消費税の増税はけしからぬということを昨日夜遅くまでやらせていただきましたので、きょうは議論いたしませんけれども、茨城県は東京電力管内に不幸にして入ってしまっております。ある会社、ドライブインなんかをやっている会社は、電気代の値上げだけで年間一千五百万円アップする。これは雇用三人分ぐらいなんですよ。そこに、値上げしますと。

 これは自由化料金の話だから交渉ができるはずなのに、今ほかの電力会社にかえる状況がないから交渉もできなくて、みんな同じような値上げを受け入れなきゃならないというのは、私も電力自由化に携わっておりますけれども、こういう制度ではないはずなんです。自由化なんだから、被災者がかわいそうと思ったら割り引くという裁量が本来東京電力にはあるはずだと思うんですけれども、柔軟な料金設定をできる制度になっているかどうか、経産省、ぜひ御答弁をお願いいたします。

糟谷政府参考人 自由化料金といいながら、全然自由化、選べないじゃないか、そういう御批判は非常にいろいろなところからいただいております。その意味では、電力システムのあり方はさらに見直していかなければいけないというふうに考えております。

 他方で、現在の制度上、自由化料金でありますので、この値段ならいいとか悪いとかということを役所が言うわけにはまいりません。ただ、その中でも、東京電力に対しまして、ユーザー、需要家の方々の負担を最小にするために、徹底的な説明責任を果たしていただきたいということ、それから利用しやすい料金メニューを工夫していただきたいということ、それから個々のユーザーの方が置かれた状況を踏まえて柔軟かつ丁寧な対応をお願いしたい、こういう一般的な指導を行っているところでございます。

福島(伸)委員 もう一点だけ、はい、いいえで答えていただきたいんですけれども、例えば、補償を受けている被災した企業にだけ料金を割引することは制度上可能ですよね。イエスかノーかでお答えください。ほかの企業は平均一七%をお願いしているけれども、被災した企業だけ、この企業には、東電が賠償を支払っている企業であるから電気料金は値上げしませんとかということも、制度上は可能ですよね。

糟谷政府参考人 電力会社とユーザーとの相対のあれで決まりますので、制度上、それを妨げるものがあるわけではございません。

福島(伸)委員 ということなんですよ。私は、片や賠償を支払って、それで賠償を受け取っている企業は今度は値上げした電気料金を払うというのは、お金を渡して、そのまますっと、油揚げをトンビがとっていっちゃうような話であって、非常におかしな話だと思うんですよ。

 同じ経営をしている人は今どうなっているかというと、水戸の若手の経営者は、もう東電の電気を買うのは嫌だから自分たちで電力会社をつくろうと言ったり、茨城の福島県に接しているようなところについては、自分たちの供給区域を東北電力にしてくださいと言っている人もあらわれているんですよ。これは損なんですよ。これから自由料金なんですから、ここで東電のブランドイメージが崩れたら、茨城県の人は誰も東京電力の電力なんて買わなくなってしまうんです。

 私は、そうした意味では、東京電力が真の民間の企業としてこれから生きるのであれば、せめて今補償を受けている自由料金の企業については、別にそれを大っぴらにしろと言いませんよ、今回ちょっと値上げはまけてやりますよとか、補償が切れたら上げさせてもらうけれども、それまでの間は今までどおりの契約でいきましょうよとか、何でそういう契約ができないんですか。ぜひ、常務、お答えください。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 自由化部門の料金につきましては、このたび値上げをお願いしておりますけれども、御存じのとおり、原子力発電所の事故により火力発電に切りかえ、その分の燃料費が非常に上がってしまったという、まさにその一点に尽きているところがございます。したがいまして、電気をお使いいただいている皆様に広く御負担をいただくということを私どもとしては考えております。

 先生の御指摘のとおり、原子力被害に遭っていらっしゃる方に対して特別のというのは、非常にお気持ちはわかるのでございますけれども、大変心苦しく思いますが、賠償は賠償でしっかりやってということで御理解いただきたいというふうに思います。

吉田委員長 福島委員。時間が来ています。

福島(伸)委員 はい。ありがとうございます。

 その説明が一番被災者の怒りを買っているんです。燃料費の負担を被災者でも負うべきだ、平等に負うべきだと言ったら、それは誰も経営者でありますから、みんな切れてしまいますよ。ぜひともその点は柔軟に対応することをお願いいたしまして、質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

吉田委員長 次に、石田三示君。

石田(三)委員 新党きづなの石田三示でございます。

 論客の福島先生の後、大変やりづらいんですが、頑張ってやりますので、ひとつよろしくお願いします。

 まず、廣瀬参考人にお伺いをしたいと思うんです。私、国会事故調にたまにはちょっと出てみるんですが、その中で、清水前社長に対して、海江田さんあるいは枝野さんは全面撤退を意識していたということで、清水前社長は、いや、そうではないんだ、最悪の事態は十人ぐらい残すんだというようなコメントが、多分最終的には出たんだろうというふうに思うんです。

 私が考えるに、あの事故の状況の中で十人残して何ができるんだろうか。私は完全撤退だろうというふうに思うんですが、廣瀬社長、これから社長になるんですが、そういった考え方について今どう捉えていらっしゃるか、ここを伺いたいと思います。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 私どもの東京電力の社内でも、その一連のことについて、いわゆる事故調査委員会というのを立ち上げ、まさにきょうの三時から最終報告書ということで発表させていただいております。

 その中にも同様の記載がございますけれども、私どもとしては、いわゆる全面撤退をする意図というのは、発電所も含めてです、全くそうしたことを考えておりません。実際問題としては、七十一人の人間が決死の覚悟で守ったというのが実態でございますので、御理解いただきたいというふうに思います。

石田(三)委員 最終的には五十人の方が立派に活動されて今の状況にあるということは認識をしておりますけれども。

 私は菅さんの味方をするわけではないんですが、そういったことがあって、清水さんの話を聞いていまして、冒頭すごく、国民に迷惑かけて申しわけないという話だったんですが、その後のやりとりというのは非常に、誠意のないというか、のらりくらりという感じで。自分の責任を回避するような形で、余りはっきり物事を言わないという感じで。あの中で、海江田さんだとか枝野さんが認識をしっかりできなかったというようなこともあるのかなというようなイメージは私は持ったんですね。ですから、そういったことがないように、責任を持った発言をぜひひとつよろしくお願いをしたいというふうに思います。

 それから、次に、きょう中間報告じゃなくて最終的な報告が出たという話ですが、国会の事故調の中で、原発から飛び散った放射性物質は東電の所有物じゃないんだ、東電は除染に責任を持たないという、いわゆる無主物主張、その話について黒川委員長が問うたことに関してですけれども、山崎副社長は、放射性物質が無主物との主張は弁護士の見解で、私は深く存じ上げないので答えられないというふうに述べておられるんですが、今、どんなお考えでございますか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 御存じのように、ゴルフ場に降った放射能に対しての責任を争う訴訟の中での、私どもの弁護士から出た主張でございます。

 ただ、無主物という言葉が若干ひとり歩きをして、我々のものではないのだというような解釈で今言われておりますが、よく読むと、土や芝とくっついてしまっているので、放射能だけを取り除くというのは難しいという中でそうした主張をしておるところでございますので、その辺は御理解いただきたいというふうに思っております。

 私どものものではないということではなく、いわゆるゴルフ場の資産と放射性物質とを取り分けるのは難しいという主張だというふうに私は理解しております。

石田(三)委員 ちょっといまいちわかりが、私の頭が悪いんだか、わかりませんが。

 基本的に、事業を何かやっておって、そこから出る廃棄物というのは、流せば、それはその方の責任の中で処理するわけでございますので、そういった中では、これは東京電力に起因するものだというふうに私は認識をしておりますけれども、ぜひそういった観点からこれから先お伺いをしたいと思います。

 私は、今回の原発の事故に当たって一番大変だなというのは林地の汚染だというふうに認識をしているんですね。これは、いろいろなところで今除染が進んでいます。除染が進んで、高圧洗浄機で洗ったり、土を除去したり、やっているんですが、そのときには下がるけれども、またしばらくすると上がってしまう。これは、私は、やはり森林汚染、林地の汚染が手をつけられていないということだろうというふうに思うんですが、これは非常に長い時間引っ張っていくことだというふうに思っています。そういった中で、森林汚染についてどうお考えか、ちょっとお伺いをしたいと思います。

廣瀬参考人 お答えさせていただきます。

 森林の除染につきましても、その他の除染につきましても、私ども、今、国のモデル事業であるとか、あるいは市町村が除染を計画される中において、私ども、多少、放射能に関する、あるいは除染に関するノウハウを持っておりますので、そこに参加させていただいて、一緒になってやらせていただくという取り組みをしております。

 もとより、モニタリングであるとか、そうしたところに私どもしっかり入って、そうしたことでも役割を果たしていっているところでございます。

石田(三)委員 最終的に責任を持たれるということだというふうに思います。

 これは農水の方に伺いたいのですが、林地除染について、今の現状をお伺いしたいというふうに思います。

皆川政府参考人 お答えいたします。

 まず、森林の除染の問題でございますけれども、私どもも、本当に知見がなかった段階から、まずは森林内での放射性物質がどういうところにどれだけ賦存しているのかということについての調査等を行わせていただきました。また、技術的な問題として、どのぐらいそれを、例えば下層植生まで含めて取ったときにどうなるかというようなことについて、まずは生活圏の周辺でやってみて、それがどのぐらいの除染効果があるのかというようなことを技術的な指針としてまとめさせていただいて、これを環境省の方のガイドラインの中に反映していただきまして、今、そういった生活圏周辺での森林についての除染がまずは進んでいるというのが今までの実態でございます。

石田(三)委員 生活圏での除染というのは、これは林地の除染じゃないというふうに思っているんです。基本的に、チェルノブイリのときには森林除染はやっていないんですね。できないというのが私は本当のところ現状だろうというふうに思っているんです。

 今後どうされていくのか、実現可能性とか。まあ、やればできるんですよ。皆伐して、それを焼却してどうのこうのという話はあると思うんですが、なかなかこれは予算の関係等々でできないことだろうというふうに思ってはいるんです。実現可能性について伺いたいと思います。

皆川政府参考人 お答えいたします。

 私どもも、まずは生活圏ということで、そういった技術指針をつくらせていただきましたけれども、三次補正予算の方で、もう少し森林自体についてどういったことが可能なのかということにつきまして現場実証ということもさせていただきました。その結果、この四月二十七日に、森林全体においても、例えば間伐の手おくれで、場合によれば、下層の植生がなくて放射性物質の拡散のおそれがあるようなところにおいては、間伐といったようなことを森林の作業として行っていただいて、それが除染の効果もあるのではないかということを含めて、技術的な指針も出させていただきました。

 ただ、まだ、実証の段階としては、もう少し広範囲にまずはやってみるといったモデル事業をやらせていただいた上で、それを環境省さんのガイドラインの方に反映いただくような順番ではないかということで、まずは今年度において、もう少し、例えば数ヘクタールのオーダーのモデル的な実施。実際に本当に間伐をやってみてどうなるのか、また、それが、いろいろな意味で、下流にいろいろな放射性物質等が流出してくるということがないのかどうかといったようなことのモニタリングもさせていただきながら、まずはモデル実施ということをさせていただきたいということで、今取り進めているところでございます。

石田(三)委員 多分、森の中にかなり高いレベルのホットスポットだとかそういったところがあるんだろうというふうに私は思うんです。ですから、そういった作業をする上でも、そういった調査がしっかりなされる中でやはり進めていかなきゃいけないだろうというふうに思います。余分な汚染というか、放射能を浴びるというようなことがないように進めていただきたいなというふうに思っております。

 それでは、時間も迫ってまいりました。もう一つ質問させていただきたいんですが、未利用の木質バイオマスの固定価格買い取り制度のことについて伺いたいと思います。

 今回、十八日付で、未利用木質バイオマスの買い取り価格が、委員会案どおり、一キロワット当たり三十三・六円、三十三円六十銭と決定したということでございますが、その間、募集していたパブリックコメントの中には、未利用木質バイオマスの買い取り価格についてどのようなコメントがあったかどうか。

 これは、なぜこんなことを言っているかというと、FITでの価格が高過ぎると、いわゆる材が材として売られないという懸念が非常にあるだろうというふうに思っているわけであります。

 私は、この単価が高いのは大いに結構だと思うんですよ。バイオマス利用が進むということでございますのでいいと思うんですが、これはいわゆるカスケード利用、多段階利用、例えば、一段階は建材、次に古材、次にボード加工、さらには熱としての利用、こういったことがあると思うので、この辺をしっかりしていかないと、いわゆる材が熱源としていくということが非常に懸念をされる。森の方の、実際伐採をしたりしている方の話を聞きますと、そういった懸念が非常にあるようでございますので、その辺もしっかり御検討いただくということで、コメントをお願いします。

仲野大臣政務官 お答えいたします。

 いよいよもって、来月から固定価格買い取り制度が始まりまして、今の委員御指摘の、森林資源を有効に活用するためのカスケード利用などということでありますけれども、柱などの建築資材や紙など、製品として価値の高い順に利用し、最終的に燃焼させる、エネルギー利用をするといった、多段階な利用を行うことが重要であるということを認識しております。

 このエネルギー利用に当たっては、関係省庁とも十分連携をとる中で、木材のカスケード利用をしっかり進めていきたい、そのように前向きに考えてまいりたいと思います。

牧野副大臣 お答えさせていただきます。

 未利用木質のバイオマスの調達価格につきましては、パブリックコメントにおいて、低過ぎるという御意見もあれば、適切であるという御意見もいただいております。

 それで、五月の十六日から六月の一日までパブリックコメントをさせてもらって、五千七百四十三件ありました。制度について、価格について、そちらのいろいろな意見があったわけでございます。

 なお、調達価格等の算定委員会におきまして算定されました調達価格は、内閣官房のコスト等の検証委員会のデータに基づいて、法律の規定に沿って算定作業を行ったものでありまして、同委員会の御意見を尊重して決定することとした次第であります。

石田(三)委員 ありがとうございました。

 せっかくの資源でございますので有効利用していくということと、単価が高いのは私はいいことだというふうに思いますが、しっかりとそういった利用がされるように、ひとつよろしくお願いをしたいと思います。以上で終わります。

 ありがとうございました。

吉田委員長 次に、吉泉秀男君。

吉泉委員 社民党の吉泉秀男です。

 東電の方に集中して質問をさせていただきたいと存じます。

 まず、賠償の支払いの関係について、多くの委員からこれまで質疑が、さらには答弁があったところでございます。私、一番思うのは、何でこうなっているのかなというふうに率直に思います。

 というのは、昨年の八月、損害賠償の支援機構が立ち上がったわけです。立ち上がる前まで、私自身もその所管であった復興特別委員会、石田先生と一緒にはまっていたわけでございますけれども、いわゆる加害者というものについては東電であるんだけれども、国としても責任がある。余りにも多額な資金対応が必要である。これをどうするのか。私たちは、一日でも早く被害者が立ち直ってほしい、こういう思いの中で、資金対応の問題も含めてこの機構を立ち上げたわけです。

 しかし、今の現状を見ますと、農林水産にかかわる部分であっても、今お話ありましたようにまだ七〇%いっていない、こういう状況。そして、私が聞いているのは、十二月までの請求があった分についてはまず全部対応する。しかし、未解決の部分については九〇%支払う、そして支払っている。そして、一月から三月の分については仮払いとして五〇%払う。こういうふうにお聞きをしているわけでございますけれども、これは間違いないですか。ちょっとお伺いさせていただきます。

廣瀬参考人 農林水産関係の賠償がおくれているという御指摘につきましては、本当にまことに申しわけないというふうに思っております。

 今先生から御指摘いただいた件ですけれども、十二月時点で年を越せないという、もう本当に強いお申し出がございまして、一つ一つ確認作業をやっていると時間がたってしまうということから、九割部分を仮払いといいますか部分払いということでお支払いをさせていただいて、時間がかかる部分についてはしっかり後でやっていこうということをさせていただきました。

 その後、今お話しの一月から三月の五〇%のお支払いというのは、私どもはやらせていただいておりません。それ以降につきましては一つ一つ確認をして、一つ一つ、対象になるものについては一〇〇%お支払いを始めているということでございます。

吉泉委員 この支払いのいわゆる方法というのかな、これは誰が決めたんですか。どこの方針ですか。東電としての考え方として、九〇%、五〇%、こういうことを決めたんですか。

廣瀬参考人 九〇%の仮払いにつきましては、先ほども申しましたように、年を越すということに大変大きな意味がございますので、JAさん等とも相談させていただきまして、私どもが決めさせていただきました。

吉泉委員 それは余りにも被害者の立場に立っていないんじゃないか、そういうふうに率直に思います。資金がどうのこうのではないだろうというふうに思っています。

 東電と支援機構との関係がうまくいっているのかなというふうに率直に思います。

 私の手元にあるのは、文科省の一千二百億を含めて、支援機構の方から東電に支払われたのが約一兆円、それで、今現在、被害者に対して支払われているのが約一兆円、こういう状況でしょう。これは間違いないですか。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 支援機構の方に、原子力損害賠償の賠償資金がこのぐらい必要だということで、三月三十一日時点で、約二兆五千億のお金をお願いしてございます。ただ、それはあくまでも今後必要な部分ということで、枠という形でございます。

 一つ一つの資金繰りにつきましては、今二兆五千億をいただいても、まだそこまで、今後出ていく分でございますので、必要な資金をその都度その都度、比較的きめ細かくお願いをして、お支払いに結びつけているという状況でございます。

吉泉委員 二兆なり四兆、そういった部分はわかりますよ。私が今聞いているのは、国の一千五百億、それから、支援機構の方から約八千億を超えている分、これが東電の方に現金で、現金か何かわからないわけですけれども、行っていると。東電が被害者に支払ったのは一兆円弱、こういう状況だと。これは間違いないかということを聞いているんです。

廣瀬参考人 文部科学省の所管されている、いわゆる原子力損害の措置に関する千二百億プラス、支援機構の方からお金を一兆円近くいただいておりまして、その中から、今、九千五百億円程度が支払われております。

吉泉委員 だとするならば、今の現状の中からいえば、農林水産だけで受け付けたいわゆる請求、この金額が約二千六百億あるわけですね。支払っているのが一千七百億だ。いわゆる原資がないというものではないわけですね。今もう一年半にもなっているわけですよ。その中で、なぜ渋るんですか。

 今、それぞれの委員の方から指針の問題も出ました。しかし、福島委員の方から言われていましたように、被害者の場合は、それぞれ電力会社のお客様なんですよね。こういう状況を踏まえるならば、もっと手厚い、それから速やかに対応していかないと困る。お金がないというものではないわけですよ。どんどんどんどん、そんな五割とかそういうことでなくて、七割なり八割なり、支払いの方向は、今お聞きしたところ、東電で決めるんでしょう。東電の考え方なんでしょう。だから、それを改めれば、仮払いの部分はもっとどんどん進むはずじゃないですか。ちょっと私の理解は違いますかどうか、そのところを確認します。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、農林水産関係では二千六百億近くの請求を今いただいておりまして、その内容を確認させていただくプロセスが終わって、お支払いが済んでいるのが二千億弱ぐらいということでございます。

 したがって、その残りの部分についても、今、毎日毎日、本当に一日でも早くお支払いができるように書類の確認等々をさせていただいて、また新たにそうした専門の担当部署をつくるなどして、これからも一生懸命やって、とにかく御請求いただいたものをすぐ確認させていただいて、一日でも早くお支払いに結びつけるということを今後とも一生懸命やっていきたいというふうに思っております。

吉泉委員 ですから、そういう支払いを速やかにやるためには、それぞれ請求が来た分を、三月で終わっているわけですね、今の段階で。そして、その三月の分についても仮払いが五〇%、これは払っている、こういう状況でしょう。そうではないんですか。決まった分は全部払っている、決まっていない部分は五〇%でしょう。

 ですから、私は、そういう請求額、損害の請求が出たその受け付けの段階においても、例えば一カ月以内には幾ら払うとか、そういう方針は東電が決められるんじゃないですか、このことを言っているんですよ。だから、そこのところは、今の段階で、この間やってきたその支払い方法を変えることが適切なのではないですか、変える気はないんですか、私はこのことを聞きたいんです。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 これまで何度も何度もたくさんの御請求をいただいております。県の協議会によっては、もう九次、十次、十一次の御請求をいただいております。そうしたことも踏まえて、徐々にではございますけれども、書類の確認作業のスピードアップであるとか、書類そのものの様式であるとかあるいは電子化であるとか、そうしたようなことを今進めて、とにかく御請求いただいたものを早く確認してお支払いしていくということを一生懸命やっていきたいと思います。

吉泉委員 私たち、この賠償支援機構をなぜ立ち上げたのか、このことなんですよ。やはり、なるべく早くそれぞれ再建をしてほしい、こういう考え方で成っているわけですよね。それが、ああでもない、こうでもない。こういう状況の中でそれぞれ損害賠償を遅くすることに対しては、非常に、やはり被害者から見れば何ともならない。私たち国会の段階についても、そんな思いではない。

 東電としてこれだけ必要だ、それで支援機構に請求をお願いすればその分は支援機構として払う、支払いを断る状況はないわけですから。最近決めた部分が総枠の段階で二兆五千億、これを今年度の末までに払う、こういうふうに言っているわけですから、資金の対応ができているのにもかかわらず、それを東電がやらないということについては、何だかんだ理由があろうけれども、これはやはり被害者の立場に立って物事が進んでいない、こういうふうに私は言わざるを得ないと思います。

 それぞれ指針の問題もあります。しかし、それぞれの状況の中で、一カ月ぐらいたった段階の中では何らかの支払いをする、そういう東電の支払い方針というものについてやはり変えていく、そういうことについて私は求めたいというふうに思います。

 それともう一つ、時間がなくなってまいりましたけれども、海の問題でございます。

 海洋投棄の問題について、これまで、そういう、やむを得ず海に汚染水を放出した経緯があるわけですけれども、現在までにどのぐらいの汚染水を量として放出したのか、明らかにしてほしい。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 汚染水が海に行ってしまった量ですけれども、これまでで約一万トンでございます。

吉泉委員 それでは、このことに関係して、ロンドン条約を東電としてはどういうふうに理解をしていますか。この点についてお伺いします。

廣瀬参考人 御指摘の点につきましても、私ども、しっかり勉強してしっかり対応していきたいというふうに思っております。

吉泉委員 質問時間がなくなったということでございますけれども、このロンドン条約、漁師さんなりを含めながら、これからの水産業にかかわる大変な課題が残されている問題だというふうに思っています。

 そうした中で、この海に対する一つの捉え方、ロンドン条約等で決められているわけですから、このこともしっかり頭に入れながら対処をしてほしいという要望を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

吉田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時六分散会


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