衆議院

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第11号 平成24年8月1日(水曜日)

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平成二十四年八月一日(水曜日)

    午前九時三十一分開議

 出席委員

   委員長 吉田 公一君

   理事 石津 政雄君 理事 梶原 康弘君

   理事 田名部匡代君 理事 野田 国義君

   理事 小里 泰弘君 理事 宮腰 光寛君

   理事 石田 三示君

      石井登志郎君    石山 敬貴君

      打越あかし君    金森  正君

      小山 展弘君    近藤 和也君

      佐々木隆博君    高橋 英行君

      玉木雄一郎君    道休誠一郎君

      富岡 芳忠君    仲野 博子君

      橋本  勉君    福島 伸享君

      藤田 大助君    山岡 達丸君

      山田 正彦君    山本 剛正君

      和嶋 未希君    伊東 良孝君

      江藤  拓君    北村 誠吾君

      武部  勤君    谷川 弥一君

      保利 耕輔君    森山  裕君

      山本  拓君    金子 健一君

      菊池長右ェ門君    京野 公子君

      中野渡詔子君    西  博義君

      石川 知裕君

    …………………………………

   農林水産大臣       郡司  彰君

   内閣官房副長官      齋藤  勁君

   農林水産副大臣      佐々木隆博君

   農林水産大臣政務官    仲野 博子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  高田  潔君

   政府参考人

   (内閣官房内閣情報調査室内閣審議官)       兼原 信克君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    神宮司史彦君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 新美  潤君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         佐藤 一雄君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           高橋  博君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            針原 寿朗君

   政府参考人

   (水産庁長官)      佐藤 正典君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官)   中村幸一郎君

   農林水産委員会専門員   栗田 郁美君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月一日

 辞任         補欠選任

  今井 雅人君     山本 剛正君

  打越あかし君     藤田 大助君

  近藤 和也君     橋本  勉君

  森本 哲生君     金森  正君

  今村 雅弘君     森山  裕君

同日

 辞任         補欠選任

  金森  正君     石井登志郎君

  橋本  勉君     近藤 和也君

  藤田 大助君     打越あかし君

  山本 剛正君     今井 雅人君

  森山  裕君     今村 雅弘君

同日

 辞任         補欠選任

  石井登志郎君     森本 哲生君

    ―――――――――――――

八月一日

 株式会社農林漁業成長産業化支援機構法案(内閣提出第二〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 株式会社農林漁業成長産業化支援機構法案(内閣提出第二〇号)

 農林水産関係の基本施策に関する件(農産物貿易(農林水産物等中国輸出促進協議会、TPPを含む)等)


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     ――――◇―――――

吉田委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件、特に農産物貿易(農林水産物等中国輸出促進協議会、TPPを含む)等について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官佐藤一雄君、消費・安全局長高橋博君、食料産業局長針原寿朗君、水産庁長官佐藤正典君、内閣官房内閣参事官高田潔君、内閣情報調査室内閣審議官兼原信克君、消費者庁審議官神宮司史彦君、外務省大臣官房参事官新美潤君及び資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官中村幸一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

吉田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高橋英行君。

高橋(英)委員 おはようございます。民主党、愛媛四区の高橋英行でございます。

 まずは、質問の機会を与えていただきました関係各位に御礼を申し上げたいというふうに思います。

 時間も少しでございますので、早速質問に入らせていただきますが、私の地元である愛媛県の西部に位置する宇和海におきまして六月中旬ごろから発生をいたしました赤潮による養殖漁業の被害対策についてでありますけれども、これは水産物の輸出にも影響してくるということでございますので、今回、関連ということで御質問させていただきたいというふうに思います。

 愛媛県は、養殖漁業の生産高は、タイ、真珠を初めといたしまして、全国一位を誇っております。私のこのブローチもタイと真珠をモチーフにしたものでございますけれども。我が国の水産物の事実上の食料生産基地であるわけでございますが、今回の赤潮被害により立ち直れない養殖漁業者が出てくる可能性が非常に高くて、南予地域の基幹産業である水産業の衰退は、漁村地域の崩壊だけではなく、我が国の食料安保の面でも大変大きな問題であるというふうに認識をしているところでございます。

 私は、今回の赤潮被害を受けまして、先月の十五日と十六日、地元の漁業者の船に乗せていただきまして、現場視察と、若手の後継者を含む被害に遭った漁業者との意見交換もさせていただいたわけでございます。現在の養殖業の経営につきましては、魚価の低迷であったり、餌料の高騰等の荒波にさらされ、浜値は生産原価さえも確保できない状態でございまして、もはや生産者の努力や創意工夫ではもう既に乗り切れない、そういった養殖漁業の状況でございました。

 このような中で、その愛媛県養殖業の中心である八幡浜、宇和島地域等の広域にわたりまして、特異性のある有害プランクトン、カレニアミキモトイ、色がついていないというような話もちょっとありましたけれども、上下に移動するものですから、下に下がってしまうと色がなかなか見えてこないというような特異性があるのではないかと思います。さらに、本来、赤潮というのは沿岸に近い方、海岸に近い方から発生して沖に行くんですけれども、いきなり沖から発生して徐々に沿岸に来ている、そういったような、通常とは違う、特異性の高い被害でございました。

 現在の正確な被害状況はまだ調査中ということでございますけれども、マダイ、ハマチ、カンパチ等で死魚が百七十万尾以上、被害総額十億円以上というふうに言われておりまして、これは宇和海で過去最大で、極めて深刻な事態である。経営は危機的局面に立たされまして、もう本当に養殖業者の自助努力により解決できる範囲ははるかに超えている、既存の救済対策だけでは再建は困難である、そういった事態であるということをぜひ御認識いただきたいというふうに思います。

 したがいまして、地域の基幹産業を存続させて、さらには若手後継者を守るためにも、ぜひとも今回の赤潮被害で発生した漁業損失、非常に大きいものでありますけれども、共済金額相当額を超える部分を直接補填するような、そういった救済措置は講じられないか。

 また、事業の再開には、新たな種苗だったり餌の購入等の運転資金が必要になるわけでありますけれども、現在の厳しい経営状況では有利子での資金借り入れは大きな負担となりますので、既存制度の弾力的な運用のほか、新たな無利子の融資制度の創設等がぜひ検討できないか。

 そして、赤潮被害といえば、二年前の鹿児島県のシャトネラによる甚大な被害が思い出されるわけでありますけれども、当時の緊急な救済措置といたしましては、再建支援緊急対策事業、さらには、種苗や餌代に、非常に多くにわたり活用できました内閣府の地域活性化交付金、これが当時の補正予算で計上されて、多くの養殖漁業者が救われたというふうに聞いております。

 そこで、郡司大臣に質問というか要望でありますけれども、我が国の食料生産基地の存続を図るため、また地区によっては担い手も育ちつつある宇和海地域の救済措置として、どのような対策が検討できるか。まだ早いかもしれませんが、秋の補正予算で検討できないか。それから、死魚の処理費用等も対象となる総務省の特交、特別交付税も活用して、地方自治体がどこまでできるのか。とにかく、現実的で実効性のある、スピーディーな対策が急務であります。

 過去の赤潮対策を含め、被害状況の現状認識と救済案について、本日は地元の漁業者も見守っておりますので、ぜひとも前向きな御意見をお聞かせいただけたらと思います。

郡司国務大臣 高橋委員から被害の実情をお話をいただきました。それぞれ全国津々浦々、いろいろな種類の被害があるのだなというふうなことを認識させられましたし、また、このたびの赤潮によりまして漁業被害に遭われました養殖業者の皆様方に、心からお見舞いも申し上げたいなというふうに思っております。

 今お話ありましたように、六月下旬から七月にかけましての、宇和海、豊後水道、日向灘におきまする養殖魚介類がへい死をする赤潮被害でございますけれども、七月三十日現在、被害が大きかった愛媛県におきまして、ハマチ、マダイ、スズキ、カンパチなど約百七十万尾がへい死をしたという報告を受けているところであります。

 このため、農林水産省としましては、七月の二十四日、これは通常の災害のときいつも最初に行うことでございますけれども、今回でありますれば、漁業共済金の早期支払いが行われるよう関係団体への指導を行いましたし、さらに資金の円滑な融通、あるいは既に貸付金としてあるものの償還猶予等が図られるように、関係金融機関への依頼を行ったところであります。

 これに加えまして、無保証人型の漁業融資促進事業の活用でありますとか、あるいは赤潮発生メカニズム解明及び防除技術への支援を行うということにしておりますし、さらにまた赤潮被害を回避するための施設整備に対する支援についても行っていきたいというふうに思っているところでもあります。

 まだ具体的な地元からの要望が届いているわけではございませんけれども、地元の方に私どもが入りまして要望をお聞きをし、若い担い手が積極的に養殖に今後とも取り組めるように、どのようなことができるのか対応を検討してまいりたいと思っております。

 それからまた、地方公共団体が行ういわゆる特交の関係についてもお尋ねがございましたけれども、これは総務省の見解を申し述べますと、赤潮発生後に地方公共団体が赤潮対策に要した経費の二分の一について特別交付税措置がされている。過去に行われました事例は申し上げられましたけれども、具体的な経費としましては、へい死魚の処理、あるいは共済掛金の補助、種苗の購入の補助等というようなことだそうであります。

 今後、総務省とも連携をいたしますし、先ほど十億と言われましたが、まだ被害は調査中のところでもございますので、それらの結果を見ながら、先ほど申し上げましたように、地元の方と具体的な対応策について話し合いをしていきたいというふうに思っております。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 漁業者の悲痛な叫びでございます。魚価の低迷をあわせてダブルパンチでありますので、ぜひとも、救済措置を御検討いただきたいと思いますし、私も、与党の水産ワーキングの座長として全力を尽くしてまいりたいと思います。

 それでもう一点、共済の件でちょっと質問したいんですが、今回共済に加入できなかった漁業者からかなりのSOSが出ています。

 事実、愛媛県は加入率五三%で非常に未加入者が多いわけでありますけれども、なぜ加入できなかったのか、養殖業者にいろいろ確認をいたしましたところ、例えば全員がそろって共済に加入する必要性があるような条件があったり、ですから、ほかの者の賛同が得られない。また、資源管理・漁業所得補償対策加入者については、共済掛金助成の上乗せもあることから、本当は掛金負担が軽減されたはずであったにもかかわらず、例えばスズキとかアジとかサバのような青物、年によって養殖する魚種が変化するようなケースにおいては漁場改善計画が策定できない、そういった実態もあるというふうにも聞いております。

 もちろん、魚価の低迷で経営が非常に厳しくて、そもそも負担金が払えない、また、補償額は浜値よりも非常に安いものですから、魚種ごとに全国一律で決まっているために魅力的ではないというような意見もあります。

 さらに、宇和海の漁場というのは、二年前のチリ沖地震、東日本大震災の津波にも一切被害を受けませんでしたし、この十年間は赤潮被害もさほど出ていない非常に優良な漁場でありますから、この共済保険は、被害に対する補償額が見合わない、いわゆる掛け捨てだけになっている。宇和海の漁業者がほかの全国の漁業者の赤潮被害を救っているような関係があるわけであります。

 しかしながら、今後においては、今回のような赤潮とか台風、集中豪雨、そして南海トラフ地震等の津波というのは確実に起こってきますので、やはり共済加入の促進が必要になってくるというふうに考えるところでございます。

 水産庁として、具体的な加入促進の方法、これについてちょっとお答えいただきたいというふうに思います。

佐藤(正)政府参考人 御説明いたします。

 委員よりお話ございました養殖共済でございますけれども、これは養殖期間中に死亡したもの、あるいは滅失した魚の養殖に要した経費を補填するという保険でございます。この保険につきましては、損害のつけかえ等のモラルリスクの発生を防ぐ観点から、加入区ごとに、養殖業を営む者全員が、共済目的たる養殖魚の全てを共済に付すということとしているところでございます。

 加入区内の一人が加入しないために全員が加入できないという面はございますけれども、一方で、こうした制度が相互扶助意識の向上を図り、加入促進に役立っているという意見もございまして、今後の制度運用に当たりましては、漁業者の方々や共済団体等の関係の方々の意見を聞きながら、よく考えてまいりたいというふうに思っております。

 それから、養殖対象魚種を変更する場合でございますが、これは制度をつくりますときにさまざま議論いたしまして、そういう場合もあるということで、変更前の魚種の適正養殖可能数量を、換算係数をつくっていただきまして、その換算係数で変更後の魚種の数量に置きかえるという方法がございまして、このような方法を魚種変更に適用して、対応できるようにしております。これにつきましては、県や共済団体ともよく協力いたしまして、関係の養殖業者の方に御心配のないようによく説明してまいりたいというふうに思っているところでございます。

 それから、委員ございましたように、自然災害等々、大変多くなっております。この機会にさらに漁業共済に加入をしていただくように、促進を図るよう努力してまいりたいというふうに思っているところでございます。

吉田委員長 高橋委員、時間が来ていますから、短く。

高橋(英)委員 ありがとうございました。

 漁業者の方は非常に困っておりますので、どうぞ救済措置、何とぞよろしくお願いします。

 本日はありがとうございました。

吉田委員長 次に、小山展弘君。

小山委員 政務三役の皆様におかれましては、連日の御公務、お疲れさまでございます。

 質問に先立ちまして、私ども、民主党農水部会、戸別所得補償ワーキングチームにおきまして、本日、先ほど皆様の手元に配付いたしました、青年就農給付金の速やかなる予算拡充への提言を決議いたしました。詳細はこちらの紙の方をごらんいただきたいと思いますが、ぜひ政府におかれましては、青年就農給付金の予算拡充を、平成二十四年度第一次補正予算の編成、または、平成二十四年度政府予算、経済危機対応・地域活性化予備費をもって速やかに行うことを強く要望いたしたいと思います。

 それでは、早速質問に移らせていただきます。

 まず、TPP協定についてでございます。

 TPP協定の交渉内容について、本年一月の衆議院本会議の答弁において野田総理も認めているところですが、このTPP協定の本交渉については、交渉締結後数年間、交渉情報を秘匿する、情報公開しないという秘密協定を結ばなければならないということになっているということでございます。どの部分をこの情報秘匿の対象とするのか、隠すのかということについて、もう少し具体的に教えていただきたいと思います。

佐々木副大臣 お答えさせていただきます。

 TPPにおける情報の取り扱いでありますが、これは、主体的な役割を果たしていただいておりますニュージーランド外務貿易省のホームページによりますと、TPP交渉中の文書を秘密扱いとする旨の記述がホームページに記載をされてございます。

 そのホームページによりますと、一つには交渉中のテキスト、二つ目には各国の提案及びそれに伴う説明資料、三つ目には交渉内容に関連するEメールなど、TPP協定発効後四年間は秘密扱いにすることなどについて記載されているところでございます。

小山委員 今お話もございましたが、TPPは言うまでもなく、単なる貿易交渉ではなくて、国民生活に深くかかわり、日本の国の形が変わってしまいかねない経済連携協定交渉であります。批准の際に内容が公開されて、え、こんな内容まで含まれていたのかと驚かされる、あるいは、批准拒否したいけれども、交渉参加を見送るよりもハードルが高くなっているというようなことになってしまってはいけない。まさにアメリカからどんな提案がなされているかがわからないというようなことだと思います。

 私は、郡司大臣がお話しになられておりますように、十分な情報公開がなされて、メリット、デメリットについて国民的な議論がなされ、メリットが多いと判断される、そのように国民の多くの皆様が認めて、それでも生じるデメリットに対して当事者の方々が合意するようなフォローがなければ、交渉参加すべきではないと考えておりますが、その大前提は情報公開であります。

 軍事機密にかかわるようなものではありません。むしろ国民生活、国の文化にかかわるようなものですから、可能な限りの情報公開は当然ですし、外交当局には、事前交渉で得られた情報について、たとえ都合の悪いものであったとしても十分に公開するよう強く求めていきたいと思います。

 次に、農地法、農振法についてお伺いをいたします。

 津波被害危険区域からの移住や、あるいは工場の移転については大変強い要望がございます。しかしながら、急には工場用地、住宅用地を確保できていない。これらの津波被害危険区域からの移転、移住につきましては、農地転用や農振法の両方を弾力的に取り扱うべき、あるいは除外をすべきだというような要望が、静岡県内では多くの市町村から要望書として多く提出をされております。

 私は、もちろん、農地法、農振法の存在意義については理解しているつもりでございますし、野方図な規制緩和はすべきではない、また、特区を乱発して、この特区をアリの一穴のようにして日本の農林水産業の秩序を崩壊させ、一部の市場原理主義的な勢力のみを利するようなことになってはいけないと考えております。

 しかしながら、これらの津波対策、災害対策は緊急を要するものでありますし、一定の条件、一定の範囲については、この農地法、農振法の弾力的運用もぜひ検討いただき、速やかな用地の確保が必要だと考えております。また、浜松市ではものづくり特区として申請もなされておりますが、これらについてどのように政府は対応されたのか、御答弁願います。

佐々木副大臣 今、農地法、農振法についての御質問をいただきました。

 通常、私も小山委員と同じ考え方を持ってございますが、ただ、大規模な津波、災害等においての集団移転ということについての想定はやはりしておかなければならないというふうに思ってございます。

 言うまでもなく、優良な農地というのは保全されなければいけないというふうに思ってございます。そこで、農地法及び農振法では、地域でどうしても必要な農地の転用需要というものに応えながら優良な農地を保全していくという仕組みをとっているところでございます。このために、集団的な優良農地ではない農地から順次転用するというような誘導をさせていただいているというのが一つございます。

 それと、さらに浜松市の例を取り上げられましたが、浜松市からは大規模な工業用地を確保するための総合特区提案があったところでございますが、これについては、大規模な土地利用の変更であるということから、農振計画と都市計画、いわゆる線引きの見直しを検討するということ。それから、迅速な対応が必要な個別事案が発生した場合には、国、県、市の三者による話し合いの場というものをセットして、そこで具体的な調整を進めるというふうにしたところでございます。

小山委員 特に最後の、現行法制度の中での最大限の運用について御検討いただきましたことは大変ありがたく思っておりますし、これは現行法制度の中での運用ということですので、浜松市に限らず、他の市町村につきましても、こういった緊急を要する場合、ぜひ弾力的な運用をお願いしたいと思います。

 次に、協同組合のことについて質問をいたしたいと思います。

 ことしは国連の定めた国際協同組合年でございます。民間でも国際協同組合年実行委員会が組織され、一月には協同組合憲章草案が作成されました。私もあっちこっちの委員会で質問しまして、ようやく、鳩山内閣のときにつくられた新しい公共におきまして、協同組合全体のことについては対応していただけるということになりました。

 内閣官房におきましても協同組合の活動を後押しするということを明言していただきまして、政府広報も作成していただいたり、七月七日には国際協同組合デーでの藤村官房長官談話の発表など、大変御支援をいただいている点については大変評価させていただきたいというふうに考えております。

 ただ、一方で、協同組合憲章草案については、本年一月、藤村官房長官より憲章の制定は困難であると回答がなされたというふうに伺っております。中小企業憲章は既に閣議決定されておりますが、協同組合憲章を閣議決定できない、何がネックとなっているのかということについて御答弁いただきたいと思います。

高田政府参考人 お答えいたします。

 二〇一二国際協同組合年全国実行委員会が作成されました協同組合憲章草案につきましては、大変多岐にわたる政府の取り組みについて記載したものとなっており、関係省庁も多岐にわたっております。このため、政府としては、これを取りまとめるに当たっては、まず各協同組合がそれぞれの関係省庁とよく相談をして、関係省庁が了解する形にしていただく必要があると考えております。

小山委員 国連が求めているのは、政府の大変熱心な協同組合に対する活動ということでございます。各協同組合もそれぞれの省庁に求めることも大事ですし、内閣府としても、また内閣、政治主導で、ぜひこれは各省庁にも調整を強く求めていただきたい。そして、できればことしのうちにこの憲章が制定されるように、ぜひ検討いただきたいと思います。

 それと、憲章の閣議決定が仮に困難だということであれば、七月に政府広報において発表されている内容をもとに、例えば協同組合を発展させる基本的な考え方の方針、こういった既にもう合意できているような部分について閣議決定を行う、こういうことは可能であると思いますが、いかがでしょうか。

高田政府参考人 お答えいたします。

 政府といたしましては、本年の国際協同組合年が協同組合の認知度向上につながることを期待いたしまして、「協同組合がよりよい社会を築きます 二〇一二年は国連の定めた国際協同組合年」と題しました、先生御指摘の政府広報オンラインの記事を掲載したところでございます。この記事の中には、協同組合を後押しするに当たっての留意事項などの政府の基本的考え方を示しているところでございます。

 この基本的考え方が政府の重要政策として閣議決定になじむかについては慎重に考えたいと思いますが、引き続き、関係省庁が連携して、適切な協同組合の支援に努めてまいりたいと考えております。

小山委員 政府広報に出たということは各省庁の調整ができたということだと思いますので、ぜひ、できる範囲の中で、何らかの形でもう一段この政府広報を高めていただくようなことをしていただきたい。

 また、協同組合は言うまでもなく、この場は農水委員会ですので、農協さん、漁協さんというのがすぐイメージできるわけですが、全労済、労金、あるいは中小企業協同組合など、さまざまな協同組合が日本にはございます。この協同組合組織は、まさに国連が評価しましたように、世界的には貧困の解消、また、先進国でも中山間地域の格差の是正に貢献をし、マネーゲームに踊ることなく、リーマン・ショック後の世界経済の回復にも大きく寄与いたしました。

 本年、まさに協同組合全体を振興していく必要があります。新自由主義や市場原理主義ではない、野党の皆様にもぜひとも御理解をいただきまして、国際協同組合憲章の国会での決議、あるいは、憲章が政府内で調整に時間がかかるならば、基本方針の国会決議等についてもぜひとも行っていくべきではないかと考えておりますし、強くこれを訴えたいと思います。早口で済みません。

 次に、最大クラスの津波に対する対策について伺います。

 国は、最大クラスの津波に対してどのような考え方で対処する方針でありますでしょうか。また、津波堤防について言えば、所管省庁が複数にまたがるために、所管省庁が異なるところで堤防の高さが段違いになって異なるというような、住民の方からは縦割り行政の象徴のように批判を浴びるところもありますが、どのような対策を立てておられますでしょうか。

佐々木副大臣 震災というような大災害に備えてのお話を小山議員からいただきました。

 二十三年六月に、中央防災会議専門調査会の中間取りまとめということで、農水省、国交省等を含めて、この中間取りまとめが行われてございますが、海岸堤防の高さの設定基準というものを策定しております。

 この中で、海岸堤防の高さについては、比較的発生頻度の高い津波というものを対象に、堤防前面での津波のせり上がりを加味した海岸の利用、あるいは環境、景観等を総合的に考慮して、一連のまとまりのある海岸ごと、例えば行政を越えた湾のような場合ですが、海岸ごとに設定するような手法を示したところであります。

 今後、海岸管理者が、この手法に沿って、既存の施設が基準を満たしているかどうかを検証して、必要に応じて整備していくことが重要と認識してございます。

 農水省としては、所管する漁港、農地の海岸堤防について、関係府省と密接な連携をとって、鋭意整備を推進していきたいと考えているところでございます。

小山委員 ぜひここで申し上げたいのは、今御答弁いただきましたが、津波対策というのは、全国一律で行うということではないと思っております。被害予測に基づきまして、地域の実情に合わせて行う必要があるということでございます。

 静岡県の遠州灘でございますと、最大クラスの津波でも、揺れがおさまってから二、三分、現在の被害予測でも、五分で津波が接岸すると予測されております。特に避難するところのない平野部については、逃げろと言われても逃げるところがない。避難タワーに逃げるといっても、五分で走って出てというのは、健常な方でもかなりこれはきついと思います。

 一方で、三月三十一日の新たな津波予測の発表でも、その高さは、最大クラスの津波でも十一メーターから二十一メーターということで、三十メーター、四十メーターというような津波は想定されておりません。最大クラスの津波に対しても、十メータークラスの堤防をつくればかなり防ぐことができるのではないかと考えられます。

 費用がかかるから無理だと言われますけれども、津波被害がもしあって、除塩や復興費用あるいは失われる資産のことも考えますと、決して、堤防をつくるコスト、今ある堤防をかさ上げする、つくりかえる、あるいは国道百五十号線のかさ上げをするコストが高いとは私は思いません。

 特に、静岡県は、菅総理が八七%の確率で東海地震が起こると発言したことで大変大きな不安がございます。この八七%の確率で大地震が発生すると時の総理が発言した、事の重さも考慮しまして、ぜひとも、地域の実情に合わせた津波対策、東海地震財特法の津波堤防構築の際の予算支援も含めて、御検討いただきたいと考えております。

 もう一つ、防災につきまして、静岡県天竜川におきましては、佐久間、秋葉、船明の三つの大きなダムがありますが、これらのダムの耐震に関する国の評価について御答弁いただきたいと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の佐久間、秋葉、船明の発電用ダムについてでございますけれども、設置者がこれらダムを電気事業法に基づく技術基準に適合させる義務を負ってございます。この技術基準につきましては、ダムが地域に応じて想定される地震力に耐えられるものであるということを求めてございます。

 天竜川水系の御指摘のダムにつきましても、この技術基準を満たしているということを我々として確認しておりまして、したがいまして、その耐震性に問題はないというふうに考えております。

小山委員 今御答弁をいただきましたが、今お話しになられた耐震性があるという基準は、実は、昭和五十六年の策定とのことでございます。現状、ダムが壊れた事例はないということですが、それはたまたま震源地に近いダムがなかったからかもしれないです。

 東日本大震災でも、農業用のため池が決壊をして多くの人が、実は、津波被害の陰で亡くなっているということも発生をいたしております。

 私は、ダムの老朽化が進んでいることも考えまして、ダムの耐震性について、いま一度検討し直す、算定の式なんかももう一度見直す時期に来ているのではないか。

 また、きょうはあえて答弁を要求しませんでしたが、河川堤防を管理する国土交通省では、経産省さんの今のダムの安全性の答弁に基づいて、ダムが決壊するということを全く想定していないのだそうであります。そういう想定の甘さがまさに大きな災害を招く。私は、ダムが決壊する場合の洪水、あるいは津波と洪水の相互作用、まさにワーストシナリオをつくって対策を講じる必要もあると考えております。

 それでは、最後に、本年の茶価低迷の原因についてお尋ねしたいと思います。

 静岡県では、二年前の凍霜害、昨年の原発風評被害に引き続きまして、茶業者は大変厳しい状況となっております。ぜひ、お茶振興法にも基づいた経営支援策あるいは原発風評被害対策について、どのように御検討いただいておりますか、御答弁いただきたいと思います。

佐々木副大臣 お答えさせていただきます。

 お茶の価格でございますが、特に静岡県産のお茶については、前年に比べて一一%低下をしてございまして、過去十年の比較でも最も低い水準になっているところでございます。

 要因はいろいろあるわけでありますが、原発の事故の影響で茶商の皆さん方が九州の方から買い始めたというようなことだとか、あるいは、連休の時期、いわゆる収穫の時期と降雨が重なって収穫ができず、連休明けに一斉に出荷されたというようなことがあるようであります。

 このような中、農水省としては、昨年お決めをいただきましたお茶振興法、そして、本年策定いたしましたお茶基本方針等を踏まえて、改植の促進等の品質向上とお茶の販売環境をより良好なものにするように努めてまいりたい。

 さらに、風評被害についてもお尋ねがございました。

 枝葉の刈り落としなど、昨年から技術指導をさせていただいてございまして、生産段階における放射性セシウム濃度の低減のための取り組みを適切に実施する、あるいは、モニタリングの検査結果を消費者へ速やかに提供する等の対策を適切に行っていくことが重要であると考えてございます。

 こうした取り組みを通じて、静岡県でもイベント等も計画をされているようでありますが、お茶に対する信頼回復に努めてまいりたいと思ってございます。

小山委員 今御答弁いただきましたが、その中でも非常に、ことしの茶価低迷の原因の一つに、原発風評被害というものがございました。昨年の厚労省による暫定基準値、これはまさにお茶も飲料も同じ基準でやると非常に乱暴なことが行われ、これについては農水省さんも一緒になって反対をしていただきましたが、あのことがこれだけ大きな被害を、生産者を泣かせるようなことになっている。チェルノブイリでも、キノコ、乾燥キノコ、それから加工したキノコは全部規制値が違う。規制値が違うことが本来であるのに、お茶については茶葉と飲むものが一緒になって、しかも、飲む部分についてはペットボトルの飲用水よりも厳しくなった。こういうことが非常に後まで尾を引くわけでございます。

 また、きょうは申し上げなかったですが、民間スーパーなどでも、店頭販売などで、風評被害を助長しかねないような広告などもございます。こういったものに対する指導もぜひ今後行っていただきたいということを最後に申し上げ、また、一番冒頭に申し上げた、この青年就農給付金の提案書、最後に(案)というふうに入っておりますが、ここに斜線を引いたものをお配りすればよかったんですが、ちょっと引き忘れたものですから、(案)というところをぜひ消していただくことも最後に一言つけ加えまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

吉田委員長 次に、小里泰弘君。

小里委員 自由民主党の小里泰弘でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 きょうは、いわゆる対中国不正輸出問題についてお伺いをしてまいります。

 従来、自民党政権時代から、農産物の対中国輸出というものは、国家的戦略として捉えまして、その促進に苦労をしてまいりました。この対中国、特に農産物輸出におけるネック、障害というものは何でしょうか。大臣、お伺いします。

郡司国務大臣 中国に対しては、大変魅力がある市場であるというふうにまず認識をしております。そして、これまでの中国への輸出そのものは、どちらかというと、直接的な物の流れよりは、例えば香港を経由するなどというような形の方が実質的には多かったというふうに思っております。

 したがいまして、直接中国と取引ができるような体制をつくる、こういうことは大変重要な仕事であろうというふうに思っておりまして、そのために必要な団体をきちんとつくる、それから、向こうの国のやり方というものがそれぞれに違うものでありますから、その国のやり方をしっかりと頭に入れた中で行っていく、そうした中で相互の信頼関係を醸成する、こういうことの積み重ねがしっかりとした形になっていくのではないかというふうに思っております。

小里委員 きょうは、申し上げましたように、対中国不正輸出問題をただしているわけでありますから、それに沿った形で御答弁いただきたいと思います。

 当然のことながら、対中国農産物輸出が進んでいかない。その大きな問題は、まずは中国における牛肉や乳製品等の輸入禁止措置です。そしてまた、厳しい検疫措置が存在をするわけであります。特に米は、中国が認めた精米場で精米をして、中国が認めた薫蒸倉庫で薫蒸、つまり、いぶしたり蒸したりした米でないと輸出ができない、そういうところがまた大きなネックになっているわけであります。

 今回の事件の概要を申し上げますと、民主党の研究会が発端となりました。中国への農産物輸出の推進を図る農林水産物等中国輸出促進協議会なる団体をつくって、民主党ゆかりの、民主党の国会議員の秘書を務めた田中公男氏がその代表につきまして、中国側の窓口を中国の国有企業の中農集団と定めたわけであります。そして、検疫と輸入禁止措置におきまして特別措置を受けられるというふれ込みで、企業や団体に出資を募る。そして、薫蒸なしの米などの不正輸出を強行しましたが、これが中国側に受け入れられずに廃棄処分になったとされるものであります。その事件、経緯の終始、至るところで、李春光なるスパイもどき、スパイと目される人物が絡んでいたという話であります。

 以上、経緯につきましては相違ございませんか。

郡司国務大臣 研究会がつくられました。そのことについてはそのとおりでございますけれども、そのときの代表が田中さんとおっしゃいましたでしょうか。だとすると、それはちょっと違うのかもしれないというふうに思っておりますけれども。

 全体の流れとして、省と連携をとりながら、その協議会というものが中国との関係をつくり、第一便を送り、そして結果としてはそのものが廃棄処分というような形になったということでございまして、今、私どもも、その辺のところをはっきりとさせて、何がいけなかったのか、中国側との協議もしているところでございます。

小里委員 正確にお答えいただきたいと思います。協議会です。私は、対中国農産物等輸出促進協議会の代表に田中氏がついたと申し上げたわけであります。

 そこで、くだんの民主党の研究会です。今回のビジネスは、この民主党の研究会において中国側から提案されたという理解でよろしいですか。

佐々木副大臣 今御指摘のとおりでございます。

小里委員 中国側とは誰ですか。

佐々木副大臣 中国側の提案者でありますが、中国系シンクタンク副会長と、中国系の貿易会社社長というふうに認識してございます。

小里委員 中国系シンクタンク、中国系貿易会社とは、どんな会社ですか。

針原政府参考人 事実関係でございますので、御説明させていただきます。

 その研究会への当省の出席者からの聞き取りによりますと、今、副大臣が申しましたとおり、中国系シンクタンクの副会長と、貿易会社ではなくて我が国の広告代理店の社員、これが中国の方だったようでございます。その方から、日本側は農林水産省が行政指導及び後援、中農集団が主導して、販売促進活動を目的とする常設店舗、アンテナショップを構想するというような提案があったということと承知しております。

小里委員 質問に答えてください。どんな会社ですか。

針原政府参考人 申しわけございません。個別の企業名につきましては、相手もございますので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

小里委員 別に会社名を聞いているんじゃないですよ。どんな会社ですか。概要を答えてください。

針原政府参考人 我が国の広告代理店ということでございます。

小里委員 ちゃんと答えてください。中国系シンクタンク、中国系貿易会社とはどういう会社ですかと聞いているんです。

針原政府参考人 中国系シンクタンクの副会長と、貿易会社ではございません、我が国広告代理店の社員が提案をしたというふうに承知しております。

小里委員 要は実態をつかんでいないんですよ。事前にもいろいろ聞きましたけれども、農水省も実態はわかっていないんですよ。中国系シンクタンクとは何とかかんとか研究会という会社であって、日本にありますが、その実態はわからない。ホームページも持っていないんですよ。中国系貿易会社に至っては、あるらしいというくらいの小さな会社でしょう。

 中国側と大仰な言い方をしていますが、本当に心もとない中国側なんですよ。しかも、スパイと目される李春光なる人物がそこに絡んでおったという話でありまして、もうこのスタートの時点で非常に怪しいんですよ。余りにも不用意だと思いませんか。

佐藤(一)政府参考人 小里先生の御質問にお答えいたします。

 今回取りまとめました論点整理、あるいは漏えい問題の中間報告につきまして私どもの方で取りまとめたわけでございますが、その中で、今先生からお話がございました中国側との研究会でございますが、これにつきましては、事務局長を先ほどからお話がございました田中元顧問がお務めになった、その際、中国に向けての貿易問題を語っていく上で、どのような方が適切かどうかということを中国側の大使館の方に打診したところ、今先生の方からお話がありましたような方々が参加した、こういうふうにこの前の聞き取りでは聞いておるところでございます。

小里委員 大使館側と言いますが、要は李春光が紹介したという話でしょう、えたいの知れない会社を。そんなところからスタートをしているわけですよ。

 そして、第五回目の研究会は平成二十二年十一月五日に開催をされております。第一回、第四回は李春光が出席をしたと農水省の報告書にあります。しかしながら、五回目に李春光が出席したことが記されておりません。そこの第五回目の研究会で全農も呼ばれまして、李春光から事情を聞かれておる、ヒアリングを受けておるわけであります。この事実は確認しましたか。

佐々木副大臣 今のお尋ねでございますが、第五回の研究会の案内には李元書記官の名前が記載されておりました。しかし、当時農水省において作成された議事録には、中国側の出席者として、中国系シンクタンク副会長及び我が国広告代理店の二名しか記載がないということでございます。

 会議に出席していたJA全農の職員は、中国側は年配と若い、合計二人の出席者がいた、面識はなかったと証言しておりまして、記録上の二人と符合するということでございます。

 また、当省の職員が、会議中にJA全農職員と中国側の二名との、先ほど申し上げましたシンクタンク副会長と広告代理店の社員でありますが、やりとりはあったものの、李元書記官とのものではなかったと証言していることから、李元書記官は第五回研究会には参加していなかったというふうに考えているところでございます。

小里委員 そんな上っ面の弁解を聞いているんじゃないんです。

 全農に確認をしたんじゃないですか。全農はどう答えていますか。

佐々木副大臣 JA全農職員は、中国側の出席者は年配と若い、合計二人というふうに答えております。その二人は農水省が記録をした記録上の二人というのと符合しますので、JAへの聞き取りでは、そのように職員から聞き取っているところでございます。

小里委員 要するに、全農は、李春光から第五回目の研究会で、香港向けの米も薫蒸するのかとか、香港経由で中国に持っていくのかとか聞かれておるわけですよ。それはないということを答えておるわけですが、それを全農に確認されたでしょう。どうしてその結果を報告書に記さないんですか。報告書を訂正しないんですか。

針原政府参考人 お答えいたします。

 七月十二日に、衆議院予算委員会におきまして、平沢勝栄先生からただいまの件で御指摘がございました。それを踏まえて、七月十三日に、当時、第五回の研究会に出席しておりました全農の職員に確認をいたしました。

 その結果、先ほど副大臣が御答弁されたように、案内紙が机上に置いてあり、李春光と書いてあったのは覚えている、ただ、中国側は二人いた、年配の人と若い人であったということを、確認した際にお答えになっております。

 そのお二人というのは、私どもの議事録によりますと、シンクタンクの方と中国人の我が国広告代理店の社員、この二人と符合いたしますので、全農に確認した結果、それと当時出席していた当省の複数の職員との証言を突き合わせると、先ほど副大臣がお答えになったことが事実であろうと推測しております。

小里委員 全く食い違うんです。私は、全農からきちんと、李春光から事情を聞かれたということを再三確認をとっております。

 会議録をぜひ提出いただきたいと思います。この第五回目の研究会というのは、中農集団と協力をして常設店舗を設置するという、具体的な提案が初めてなされた研究会であります。決め手となった研究会であります。その中身において、メンバーにおいて、見解が食い違ってきております。ぜひそこを明らかにしていただきたいと思います。

 もう一回、会議録の提出を要求します、委員長。

吉田委員長 今、小里委員から会議録の提出ということでございますが、これは中国もかんでいることでございますし……。いいんですか。

 では、針原局長、会議録について。

針原政府参考人 この会議録につきましては、これまでも国会の場で、提出するようにとの御指摘がございましたが、私ども、この研究会は民主党サイドの研究会であるということで、民主党の当時の出席されていた先生方にお聞きしましたが、これはあくまでも私的な研究会であるので、会議録の提出をすることは控えてほしいというお返事でございました。

 ただ、私どもの論点調査におきましては、第五回研究会の概要につきまして、できる限りそのときの概要を明らかにしているところでございます。

小里委員 民主党の隠蔽体質というものがここにも出ております。

 前大臣、副大臣の参考人招致にも、一切、今に至るまで応じておりません。過去三年間の中でも、一切、参考人招致、証人喚問にも応じていないのが民主党でございます。そういった中で、今回も出さない。せめて第五回目の研究会だけは会議録を出していただきますように要請をしたいと思います。

吉田委員長 今お話がありまして、理事会で取り扱うということの要請がございましたので、理事会で議論をさせていただきたいと思います。

小里委員 平成二十三年十二月九日、十二月二十日、十二月二十六日と、中国の検疫当局、質検総局が、日本側からの検疫特別措置の申し出あるいは照会に対して、再三、一貫して却下をしてまいりました。にもかかわらず、本年二月二十四日、薫蒸なしの米等の不正輸出が強行をされたわけであります。相違ないですね。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 本年二月に我が国から米が中国に輸出されたわけでございますけれども、この件につきましては、御指摘のとおり、展示会用でございましても検疫が必要であるという質検総局、中国側の検疫の中央部局の見解は示されておりましたけれども、過去にも個別案件について逐一、個々の状況に応じて許認可が行われている事例もございましたし、現に、単に貿易一般の荷物ではなくて、一つの個別の案件であるということでございました。

 それについて、在京の大使館の一等書記官ではございましたけれども、中国を代表する大使館の職員の、責任を持って受け入れるという書面がございましたので、もともとお米の輸出は相手国の要望に応じて行うというのが原則でございますので、相手国から不要であるという意思が示されたということで、検疫なしで輸出が行われたものでございます。

小里委員 検疫なしで輸出が強行されたという事実が存在をいたします。

 今局長がおっしゃったような問題は、この後、存分に詰めていき、存分にお答えをいただきますから、質問に対して正確にお答えください。

 この二月二十四日というものは、実に不可解な出来事が連続をしております。

 まず、成田税関から、薫蒸処理済みの証明書や輸出手続が必要である、こういう指摘がありましたが、筒井副大臣が成田税関に対して、今回の農産品については中国が検疫手続は不要と言っている旨の電話をしております。

 申し上げましたように、質検総局は、再三にわたり、個別の荷口であっても検疫特別措置はだめだと再三却下しているわけですよ。今回の案件もだめだと却下しているわけですよ。にもかかわらず、これが強行された。その背景に、副大臣の不可解な電話があるわけです。

 申し上げましたように、向こう側が却下をしている中で、政権中枢にある者が虚偽により行政を動かそうとしたということになります。向こうが受け入れると表明をしておると虚偽を申し立てて、行政を動かそうとしたということになります。いかがですか。

高橋政府参考人 二月二十四日の件でございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、米の輸出検疫につきましては、相手国、輸入先国から要望があって検疫を行うということになります。

 確かに、中央におけます質検総局からの拒否ということはございましたけれども、過去におきましても、個別荷口については特例の措置を講ずるというような事例もございました。

 それから、一つには、中国側、確かに一等書記官の名義ではございますけれども、中国側の大使館から、検疫は不要である、責任を持って受け入れるという文書がございましたので、先ほど来申し上げますように、中国側として検疫を求めていないということを判断いたしまして、私どもとしては輸出を行うとしたということではございます。現に、北京におきまして一度は通関をしているという事実がございます。

小里委員 本当に、壊れたテープみたいに苦しい答弁をずっと続けておられるわけであります。

 米輸出の届け出書というもの、これは本来、関東農政局が受理すべきものでありますが、これが筒井副大臣によって受理されております。そして、成田税関にファクスをされております。しかも、この届け出書には、送り主たる法人代表者名も会社印もないんですね。にもかかわらず、これが通ってしまいました。行政庁として疑問は持たなかったんでしょうか。

佐々木副大臣 今の御質問でありますが、この届け出書でございますが、筒井副大臣がみずから、「米穀の輸出に関する届出書を受理しました。」と署名したものであります。

 代表者名と印がないというのは、省令に定める届け出の様式に沿ったものとは言えないわけでありますが、筒井前副大臣が受理しており、既に行政庁としての受理の意思が決定されていたために、この届け出を受け取った関東農政局も受理をしたものであります。

 なお、いずれにしても、代表者名と印がなくても、届け出者は明確であることから、特段の支障は生じないと考えられているところでございます。

小里委員 余りにもむちゃくちゃな話です。本来の行政手続というものを無視して、しかも、判こもない、代表者名もない、すかすかなんですね。要するに、筒井前副大臣に押し切られたということじゃないんですか。筒井氏は相当急いでいたとみえまして、そういう肝心なものが抜けている書類を受理した形をとった。これは、筒井氏の自作と言われても仕方がないと思うんですよ。

 また、中国への輸出は、原産地証明書、植物検疫証明書、薫蒸処理が必要であります。これらがないことを知りながら、不正輸出を強行いたしました。

 そこで、先ほどから高橋局長が何回も同じ答弁をされますように、その根拠は何かというと、在京の中国大使館から文書が出されたということであります。この書簡、文書というものは、誰から誰に、どのような経緯で発せられた文書でありますか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 本件文書につきましては、在京の中国大使館の李春光一等書記官から、当時の鹿野農林水産大臣宛ての文書でございます。

 経緯につきましては、二十四日の日に米が輸出される際に、これについては中国側の検疫を必要としない旨の意思表示について、必要としないという情報はもたらされていたわけでございますけれども、きちんと文書でそういったものが示される必要があるということで、私どもの検疫当局宛て、副大臣を経由してもたらされたものでございます。

小里委員 再三、中国当局に却下をされてきた、にもかかわらず、不正輸出を強行した。その唯一のよりどころが、スパイとも目される李春光なる人物が書いた文書であったという今の答弁であります。

 この種の外交文書というものは、通常、一等書記官から大臣宛てに出されるものでありますか。あるいは、差出人、押印、宛名、通し番号、中国語なのか、日本語なのか。通常の書式というのは、どんな書式になっているのか。外務省、お答えください。

新美政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、私ども外務省といたしましては、今御議論になっております書簡が在京中国大使館から農林水産省宛てに発出されたということは事後的に承知したわけでございます。

 そして、今の御質問につきまして、通常、外務省が在京中国大使館から受領しております正式の口上書でございますけれども、これは、公印あるいは通し番号等が入っておりますほか、先方の大使館から日本国外務省に宛てた形式となっております。

 御指摘の書簡は、このような口上書といった形式の外交上の文書とは異なりまして、公印あるいは通し番号がございませんほか、当該一等書記官から農水大臣に宛てた書簡であるなど、事後的に私どもとして見た際には、外交上のやりとりに通常用いられるものとは異なると見られまして、そのような意味において、不自然であるとの印象を持つものと思われます。

小里委員 通常は、中国語ですか、日本語ですか。

新美政府参考人 特に言葉の決まりはございませんが、中国から来る口上書の場合は、中国語の場合が多うございます。

小里委員 今答弁にありましたように、通常の書式とは全く異なっております。要するに、大使名も大使館印もない、あるいは外務省宛てでもない、通し番号もない、中国語でもない、でたらめな文書であります。

 しかも、事務方が文書が必要だと言ったら、通常の外交ルートも経ずに、その日のうちに出されたと今の局長の答弁からもうかがわれるわけであります。本当に不可思議な話なんですね、局長。

 これは、まさに筒井氏と李春光がいかにツーカーの間であったか、あるいは、事務方から言われて慌てて、間に合わせに、田中氏とか、あるいは李春光と筒井氏が結託をしてつくった文書ではないかということも疑われるわけであります。

 先ほどから申し上げましたように、筒井氏から成田税関に入った電話にしても、届け出書の受理の仕方にしても、本当におかしな動きの中で、こんな文書を信用して不正輸出を許したわけであります。これは行政として正しい判断だと思いますか。大臣、お答えください。

郡司国務大臣 正しいか正しくないかというようなお尋ねでございますけれども、これが法的に違法なものであったのかということと、手続上の正規の形をとっていないこと等々については、若干の解釈の違いが出てくるのかもしれません。

 しかし、結果としては、第一便が廃棄をされ、その後のことについても今現在は滞っているという状況からしますと、もう少し丁寧なやりとりをすべきところはあったというふうにも思っておるところでございます。

小里委員 大臣、もっと農水省としてこれは恥を知るべきだと思うんですよ。大臣としての良心に照らして、もっと素直に、誠実に答弁ください。

 たかだか一等書記官、スパイもどきの人物から発せられたでたらめの文書を信用して、不正輸出を許してしまったわけであります。この文書の正当性というものをまずは質検総局なりに確認すべきではなかったんですか。大臣、どうでしょう。

郡司国務大臣 先ほど来から申し上げておりますように、結果として滞るような形になったことを鑑みて、やはり一つ一つそのような丁寧な対応をすべきだった、そのことについては私もそう思っております。

小里委員 そして、案の定と申しますか、この不正輸出につきましては、中国当局から抗議を受けまして、送られた農産物等は廃棄処分になったという話であります。この一連の手続において、筒井副大臣が中心となって調整が行われた、そういう認識でよろしいですか。

郡司国務大臣 二十九日に二つの報告書を出させていただきました。そこにおいて、事実関係について、調べられるところについては記載をさせていただきました。そして、いろいろな御指摘もいただく中で、やはり第三者の評価を受ける方がいいだろうということで、今、お読みをいただいたり、いろいろな問い合わせについてはお答えをするような段階であります。

 したがって、そこの評価をまずいただいて、私どもも考えさせていただきたいというふうに思います。

小里委員 いや、その点はもう評価してあるんですよ。報告書に書いてあるんですよ。この一連の手続は筒井副大臣が中心になって調整をした。書いてありますね。どうですか。

高橋政府参考人 御指摘の案件の調査結果の報告書の部分について、ちょっと恐縮でございますけれども、正確に読ませていただきたいと思います。「平成二十四年二月二十四日に輸出された米等の輸出検査等について、筒井副大臣が中心となって調整が行われたことが確認された。また、」……(小里委員「はい、わかりました」と呼ぶ)はい。

小里委員 ということであります。今回のこの不正輸出疑惑のまさに核心に触れるところでありますから、特に政務三役におかれては、その点をしっかりと認識して対応いただきたいと思います。

 検疫特別措置ができないことはわかっておりました。役所も一応抵抗は試みたのでありましょう。それでも、筒井副大臣は、スパイもどき、スパイと目される人物の出した文書を振りかざして、しゃにむに突っ込んでいったわけであります。官僚は、鹿野大臣が言うから、筒井副大臣が言うから、仕方なく従ったということでありましょう。

 この点はどうですか。これは局長からお伺いしましょうか。端的にお答えください。

高橋政府参考人 輸出検疫につきましては、植物防疫法等の法律に基づく措置を行うのが私ども検疫当局の業務でございます。したがいまして、今回の場合におきましても、中国側の要望ということの判断に基づいてこのような措置を講じたわけでございますが、その手続におきまして、先ほど来大臣からも御答弁させていただきましたとおり、もう少し丁寧な措置を講ずべきであったというふうには考えております。

小里委員 丁寧な措置を講ずるべきであったと。今の大臣の答弁は、まあ、半歩踏み込んだ答弁でありましょう。しかし、そんなものでは済まされないんです。もっと誠実に、この経緯の核心、本質部分というものを見きわめて、しっかりと対応いただきたいと思います。

 第一陣の不正輸出のどたばた劇、そして、中国の質検総局から抗議を受けたにもかかわらず、第二陣の準備が性懲りもなく進められました。その根拠はどこにあったんですか。

 わからないようでありますから。

 平成二十四年三月十五日、李春光から、第二陣以降の輸出に関して、北京検疫等の了解を得ているので早く送るよう求める文書が発せられている、達していると思いますが、その点どうですか。

針原政府参考人 今、日付は正確に思い出せませんが、そのような文書が発出されております。

小里委員 ここでも李春光なんですね。第二の李春光文書と言える文書。この李春光の文書を根拠にして、また性懲りもなく第二陣以降も作業を進めた、そういう事実であります。

 中国は、薫蒸処理を日本以外のどういう国に課しておりますか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 中国におきましては、海外からの米の輸入に関しては、日本のみならず、輸出する国、タイ等でございますけれども、そういったところに我が国と同様の条件を求めているところでございます。

小里委員 ベトナム、パキスタン、パラグアイ、タイなど、ほかの国に対しても同様の措置を中国は課しております。そういった中で、日本にこういった検疫の特別措置を許したら、他の国々も当然求めてくるでありましょう。その結果、中国は、中国の貿易秩序というものが崩壊をしかねないわけであります。

 さらに、本来、この種の交渉というのは双方向であります。中国側が中国への輸出条件を緩和したら、今度は日本側が輸入条件の緩和を求められる、これは当然のことでありまして、今までも、自民党政権時代もそうでありました。

 見返りなしの、こんなうまい話があると思ったんですか。後が怖いとは思わなかったんですか。

高橋政府参考人 植物防疫等の措置に関しましては、科学的な根拠に基づきまして、それぞれの国において海外からの輸入に対する検疫条件等を定めております。

 この際、今回の輸出の問題につきましては、輸入条件とは異なりまして、当該輸入国においてこのような特別の措置を求めないという意思表示が行われたものでございますので、輸出国たる我が国といたしましては、相手国が求めない条件を付さなかったということでございます。

 そういった意味で、交渉上は私どもの方からこの特別措置を求めたという形にはなっておりませんし、また、私ども日本の検疫に関しましては、科学的根拠に基づいて行うという方針については何ら変わりがないものでございます。

小里委員 相手方が求めないという意思表示そのものがおかしいんですよ。それ以前の問題なんですよ。そもそも、今回のスキーム自体がもう崩壊しておるわけなんですよ。最初から怪しいんです。例えば、見返りに、日本が稲わらを輸入する際に薫蒸なしを認めろとか、あるいは、日本にも展示館を設置して、えたいの知れない中国産物を展示して販売を認めろとか、そういったことを求められかねないわけですよ、大臣。

 これは、貿易交渉に携わってきた農水省であれば一番わかっているところですよ。政府間交渉も経ていない、何より特定のいかがわしい団体にだけ特別の便宜を図ろうという、こういったでたらめなスキーム、経緯に何の疑問も持たなかったんでしょうか。まず、担当部局が特別措置の有効性というものをチェックすべきであったと思いますが、どうですか。

高橋政府参考人 本件の二月の米の輸出に関してでございますけれども、私ども検疫担当部局にこの情報がもたらされましたのは、成田税関を通じまして、当日の午後でございました。この関係で、先ほど来申し上げておりますけれども、従来から、一般的な米の輸出ルールとは異なりまして、個々特定の荷口について特別の取り扱いをその時々の状況に応じて行うという例もございましたので、本件の特定の問題ということに関しまして、輸出検疫を必要としないという旨の中国側の確認書があればこれを認めるということで対応したものでございます。

小里委員 そんな当日のせっぱ詰まった段階での話を聞いているんじゃないんです。

 今回の不正輸出疑惑、その計画がなされた当初から検疫特別措置というのはにおわされてきたわけですよ。農水省は、その検疫特別措置を怪しいなと思ったはずですよ。何でそれをチェックしなかったんですか、何で中国当局にもっと早い時期に聞かなかったんですかということです。どうですか。

高橋政府参考人 委員御指摘のとおり、米の中国輸出につきましては、過去の長い経緯がございます。その経緯の中で現行の薫蒸条件等が定められているわけでございまして、薫蒸条件そのものの設定あるいは運用につきましても、私ども検疫当局といたしましては、質検総局との間で逐一やりとりを積み重ねてきたところでございます。

 このような形で築き上げておりますので、これの例えば条件変更でございますとか緩和等についてはなかなか非常に難しい案件であるということにつきましては、従来から私どもは省内で、必要に応じまして大臣政務官、副大臣を含めまして説明をしてきておりますし、現にこの協議会の活動が行われる段階におきましても、私どもといたしましては、中国側との間で、具体的な薫蒸施設の設定、あるいはコンテナ薫蒸の拡充みたいな形での現行条件の運用について、逐一対応を重ねてきております。

 そういった意味で、特例的な取り扱いについて簡易、安易にできるというようなことで対応してきたものではございません。

小里委員 要するに、従来、精米場であるとか薫蒸倉庫であるとかコンテナ薫蒸であるとか、正規の方法における確認はしてきたし、交渉はしてきた、しかし、今回の案件におけるような検疫特別措置については確認はしていなかったということですね。

 この特別措置は、本来、政府間で詰めるべき問題であったはずです。これを政府間で初めて確認したのはいつですか。今回のスキームにおいてですよ。

高橋政府参考人 先ほど来申し上げておりますけれども、米の中国輸出に関します一般ルールにつきましては、基本的に、従来設定をしております二国間における薫蒸等の条件、これの運用ということで行ってきております。協議も行ってきております。

 特別の今回の、いわゆる展示館向けということにつきまして、特例的な取り扱いができるかどうかということにつきましては、昨年の十二月に、私どもの方から三回ほど質検総局の方に尋ねたという経緯がございます。

小里委員 昨年の暮れなんですよね。それまでやっていないんですよ。余りにも遅いと思いませんか。最初からこの案件では特別措置が危ぶまれてきたはずです。その確認を農水省はやっていないんですよ、昨年の暮れまで。もっと早く行うべきであったと申し上げたいんです。しかも、その後も、特別措置はないということがわかっていながら、検疫なしの不正輸出の強行を許しているんです。

 本来政府が対応すべきは政府間交渉による検疫措置の改善であって、特定の団体への特別の便宜の供与ではないはずなんですよ。どうですか。大臣、お答えください。

郡司国務大臣 それぞれのところが対応する部局というものを抱えているというふうに思っておりますから、私どもからすると、国の農林水産省が中国の農業部に対してきちんと話をした上で、そうした質検総局との話し合いも重ねるということが当たり前のやり方ではなかったかなというふうに思っております。

 したがいまして、御指摘の点については真摯に受けとめさせていただきたいと思います。

小里委員 今後が問題ですよ。本来は政府間交渉で行うべきであったという今の御答弁ですね。今後どうしていくかですよ。これからまだ、今回の質問の中でも、許される限りそこを詰めてまいりたいと思います。

 中国の検疫条件の緩和というものは一挙にできるものではありません。自民党は、何年もかけて着実に交渉を積み上げて、信頼を得て、段階段階の実績を積み上げてまいりました。それを台なしにしかねない今回の一件であります。日本の農産物輸出戦略というものに大きな傷を残してしまいかねない話であります。

 民主党の思いつきの無理な政策の象徴だと私は思うんです。問題点に気づいていながら政務三役の暴走をとめられなかった農水省の責任も大きいと思います。この点は、答弁を求めても詮ないことと思います。

 続きまして、前回までの質疑で、従来は、中国向けの農産物輸出の受け皿としてCOFCOというものがあった、このCOFCOと比較して、中農集団というものは、設立の経緯、規模等からしても疑問がある、筋違いであるということを指摘してまいりました。

 さらに、従来、農林水産物等輸出促進全国協議会という正規の協議会がありながら、農林水産物等中国輸出促進協議会という紛らわしい協議会をつくって、しかも、全国協議会は事実上活動を停止している。

 なぜ、正規の協議会がありながら、今回のような協議会をつくったんでしょうか。大臣、お答えください。

郡司国務大臣 先につくられました全国的なものに対しては、各国に門戸を開いて行っている、そして、主に交流の手助けでありますとか広報関係を担っていたというふうにも理解をしております。そういう中で、特定の中国という国に対して一定の経済活動を伴うものを行うという形で協議会というものができたんだろうというふうには思っております。

 ただし、全体の国に対しての広報、交流というものがもしおろそかになっていたとすれば、これは反省をしなければいけません。震災等があってその年の総会ができなかったということもお聞きをしておりますけれども、資料等の提供については行ってきたということもこれまた聞いておるところでございます。

 したがいまして、双方が、どちらかがということではなくて、それぞれの分野において適切な活動をするということは、それはそれで、私はあってよかったのではないかなというふうに思っているところでございます。

小里委員 まさに残念な答弁であります。

 特に、今、経済活動をやるためにつくったという旨の答弁であります。報告書でも、今回の協議会は契約、販売などの具体的な経済活動をやるということが記されております。そのような、契約とか販売とか、具体的な経済活動をやるところに利権が生じるのではないんでしょうか。政務三役、政府が民間の経済活動をここまで支援する、ここまで関与するということにそもそも問題があるんじゃないですか。契約、販売というものは、そういった経済活動というものは民間がやればいいんですよ。国が関与する必要はないんだ。

 申し上げたように、自民党政権時代に全国協議会というものをつくりました。この全国協議会も、あれは自民党自身も応援団に徹してきたんですよ。商売とは一線を画してきたんです。今回はそこに問題があるんだ。官僚も、金のにおいのするところには近づかないという、日ごろの心得というものがあったんじゃないですか。まさに、政務三役、官僚一体となってこんな事業を推進するところに問題があるんじゃないですか。

 今回のやり方は、特定のいわば商社に国が特別の便宜を与えて支援をするものであります。しかも、後ほど触れますが、事実上の政府保証までしております。民業圧迫にも通ずる話であります。

 大臣、再三申し上げますように、国は、検疫の改善とか輸出環境の改善、整備というものを図るところに役割があると思いますが、どうですか。

郡司国務大臣 先ほどもお答えをさせていただきましたが、私どもが、例えば農林水産省という立場が行うべきは、中国の場合でいいますと農業部というところとの正規のルールというものを改善していく、そのことだろうというふうに思っておりまして、今の御質問に答えるには、そのとおりだというふうに思っております。

小里委員 しっかり対応いただきたいと思います。

 正規の協議会と紛らわしい名称の協議会をつくって、民主党関係者がそれを支配して、ここを通せば特別措置を受けられる、そういった文句で勧誘して、出資金を募って、そして手数料として輸出額の一%を取る。二〇一六年には年間五千億円の輸出を目標としていたそうでありますから、締めて五十億円もの利益が筒井副大臣とか民主党周辺に入る仕組みになっていた、そういうことであります。

 まさに、大臣、副大臣の肩書を濫用した利権ビジネスであるというのが今回の問題の本質であると思います。この責任、政治責任というものは、特に大臣、副大臣に大きく問われると思いますが、郡司大臣、いかがですか。

郡司国務大臣 その途中の経過のことについては報告をし、第三者の評価をいただくことにしておりますので、それを私どもは今待っておるところでございますし、その結果をきちんと受けとめるような姿勢で待ちたいというふうに思っております。

 さらに、その上で、これまでのことを鑑みて正すべきことはないのかということでありますれば、私どもも、これから、行うについての新しい仕組み、考え方をやらなければいけないというふうに思っておりますし、その際に、私自身のことも含めて、もう一度考えさせていただきたいと思っております。

小里委員 今回の事件に関連しまして、先ほど申し上げましたように、政府保証もどきのやりとりが行われております。

 平成二十三年二月四日、当時の鹿野農水大臣が中農集団に宛てた声明が問題になっております。すなわち、日本国農林水産省は、所掌及び利用可能な予算の範囲内で、中国輸出促進協議会の設立、活動を支援するというものであります。これは事実上の政府保証と受けとめられるわけであります。

 改めて見解をお伺いします。大臣、いかがですか。

郡司国務大臣 この覚書でございますけれども、十二月に北京を筒井副大臣が訪問し、基本的な考え方を中農集団と打ち合わせをした上でという……(小里委員「大臣の声明」と呼ぶ)声明の方ですね。済みません。

 声明についてでありますけれども、先ほど言いました覚書が作成されたのを受けて、大臣からも意思を明らかにしてほしいとの中農集団からの求めに応じて発出をしたというふうに報告の中で理解をしております。経費は、あくまでも民間事業体でありますので、協議会が負担をすることというふうに私どもは理解をしております。

 一応、声明についてはそのように理解をしておるところでございます。

小里委員 従来、この覚書も声明も法的拘束力はない、国際約束ではないという整理が確認をされたと答弁、強弁をしてこられましたが、そんなことでは済まない事態になっていると思うんですよ。まず、その声明を結ぶに当たって、中国側の意思というものが確認をされていないと思うんですね、これが拘束力を持つかどうかといったようなことは。

 そして、本年三月七日付で、農発食品から協議会経由で鹿野大臣への伝言が文書にして出されております。

 すなわち、中農食品は、鹿野農水大臣が中農集団に声明をもって約束くださいました、農水省は所掌及び利用可能な予算の範囲内で促進協議会の活動を支援するとの日本国農林水産省の役割は、一切の条件を付することなく、鹿野農水大臣の指揮により完全実行されるものと信じております、鹿野農水大臣の指揮により、農水省による全面的、積極的、具体的支援が速やかに実施されることを切に望んでおりますとあります。

 この内容に関しては相違ないですね。間違いではないですね。

針原政府参考人 その書簡でございますが、三月七日付で発せられておりまして、私どものところに届いたのは三月九日でございます。内容はそのとおりでございます。

小里委員 内容を認められました。

 すなわち、中国側は、鹿野大臣の声明を事実上の政府保証として受けとめて、その履行を迫っているんですよ。鹿野大臣の政治責任というものが大きく問われると思いますが、大臣、いかがですか。

郡司国務大臣 私ども、これから、どういうふうな形で中国との関係を結んでいくかということについても真剣に考えていかなければいけない。この協議会だけではなくて、日本全国の輸出をしようとする意欲のある方々に対してもそれをやらなければ大変申しわけないなという思いがございます。そういう意味で、改めて中国の農業部と連絡をとらせていただいて、そこで今のようなことについても話し合いをしていかなければいけないというふうに思っております。

 まだ経過のところでございまして、相手の方との相互のやりとり、そしてお互いが理解をするというところには至っておりませんけれども、そうした形でのやりとりをきちんとさせていただきたいというふうに思っております。

小里委員 本会のビジネス、その経緯におきましては、例えば、農水省国際部作成のビラが各団体への勧誘に使われております。

 あるいは、農水省顧問としての田中公男氏と農水省の官僚が団体等を訪れて、この協議会を通せば検疫で特別措置を受けられるといった文句で勧誘をしたという事実もあります。こういったことは前回までの質疑で明らかにしたところであります。

 さらに、昨年一月二十八日、日本青年館で農水省主催で中国輸出促進会議が開催をされたということも指摘をし、明らかになっております。すなわち、農業団体や企業を集めて中国向けビジネスについて説明をし、勧誘を行ったということであります。

 相違ないですね。

針原政府参考人 農林水産省といたしましては、民間の執行母体ができるまでの間、新しい取り組みでございますので、レールづくりをしております。

 そういう中で、論点調査にも書いてございますように、協議会の設立準備、発足後の事務局体制が十分でなかったということで、協議会設立に向けた紹介活動や定款案の作成、案内文書の作成等々に農水省の職員が携わっていたことが確認されております。

 このことに関しましては、監督が不十分であったということで、当該職員の上司に対しては、既に厳重注意が行われているところでございます。

小里委員 協議会の設立準備にかけては農水省として応援をしてきた、ただ、その過程において過度な関与があった、そのことは責任を感じていると今の答弁でありました。

 農水省の内部文書というものが明らかになっております。本年四月十日、農水省の官房長名で、幹部職員に宛てまして、「中国常設展示館事業の推進について」という文書が配付をされております。まず、それは事実ですか。

針原政府参考人 日付は正確に記憶しておりませんが、四月にそのような文書が官房長名で出されたことは記憶しております。

小里委員 事実であるということであります。

 この文書の中身を見ていきますと、本当に驚いてしまったんですが、まず、常設展示館事業については、これまでも農林水産省政務三役と事務方が一体となって進めてきているところだ、今後とも農水省として積極的に支援していく方針である、したがって、幹部職員におかれてはその徹底を図ること、問い合わせに対しては親切かつ丁寧な対応をとるというようなことが書いてあるんです。

 先ほどは、設立の準備までは応援をしたけれども、しかし、過度な介入があったから注意処分をしたというような答弁でありました。にもかかわらず、この期に及んでも、まるっきりどっぷりと農水省がこの事業につかっている、推進しているという事実であります。大臣、この事実をどう思われますか。

郡司国務大臣 一般論として言えば、一つの政策を行うに当たって、省が一体となって行うというようなことについての周知というものはあり得るだろうというふうに思っております。

 今回の事業につきましては、国としてやるべきことと、民間団体としてやるべきことと、その辺のところの境というものが少し不明確な形でというような御指摘をいただいているんだというふうに思っております。

 私自身も、ちょっとまだ全文を読ませていただいておりませんが、委員がお読みいただきました最後の部分を今読ませていただきました。少し、何というんでしょうか……(小里委員「少し」と呼ぶ)いや、少しというのは、私の方でこのことについてもう少しよく考えさせていただく時間をいただきたいと思います。

小里委員 謙虚に考えてください。

 しかも、この文書の最初の方で、一昨年十二月に筒井副大臣が訪中して覚書を締結した、また、大臣の声明も引用しながら、農林水産省は、所掌及び利用可能な予算の範囲内で、本覚書また声明に記された事項の早期実現のために協力することになっている、こう書いてあるんですね。

 声明、覚書、これは国際約束ではない、法的拘束力はないと説明をしながら、その声明、覚書を前提にして、その推進方を農水省職員に周知を図っているわけであります。大臣、矛盾しませんか。

郡司国務大臣 今も御指摘をいただいた文書を読ませていただいております。

 省としてのかかわりという範囲をどこまでに捉えるか。文書の関係について、どのような、発するものについての責任の範囲というものがあろうかと思います。その辺のところについて、ちょっと先ほどから恐縮でございますけれども、少しお時間をいただいて、考えさせていただければというふうに思います。

小里委員 先ほど局長も認めましたように、昨年暮れになってやっと向こうの質検総局にこの特別措置について確認をして、それから農水省はこの事業に対して抑制的になったはずであります。

 この四月十日の文書を見ますと、その農水省の姿勢がまたがらっと変わっておるんですね。卑屈なほどに政務三役に恭順姿勢を示しているんですよ。中身はまさに全面降伏なんですね。なぜこんなに急に方針を変えたんですか、姿勢を変えたんですか。何があったんですか。

針原政府参考人 今の御質問で、抑制的だったのが方針転換という御指摘がございましたが、私どもは、中国輸出の拡大のために、いい取り組みなら積極的に支援しようという基本的な立場でございます。そういう中で、この事業は、初めての常設展示館をつくるという事業でございます。

 この官房長名の文書、日付は四月十一日になっていることを今確認しておりますが、覚書をまず出したのは、そもそも一定の債務保証を負うというようなことではなく、省全体の意図を確認したということで、これを引用しているわけでございます。そういう姿勢については、私どもは、一貫して、政務三役と事務方が一体となって取り組んでいたと記憶しております。

 ただ、その際にも、やはり中国政府との確認をしっかりしないと、ついてきていただける方々に御迷惑がかかるということで、しっかりとした確認を開始したのが昨年の十二月でございます。

小里委員 お察しはしますけれども、もうそんなつじつま合わせ、苦しい答弁はやめていただきたいと思います。

 文書を見ると、明らかに、農林水産省は所掌及び利用可能な予算の範囲内で、本覚書に記された事項の早期実現のために協力することになっておりますと書いてあるじゃないですか。本当に、何とも言いがたいこの文書でありますが、何でこんなことになったのかということを今お尋ねしておるんです。

 例えば、本年三月二十八日、齋藤官房副長官の松本秘書官、筒井副大臣、そして町田事務次官とで話し合いが持たれたという情報があるんですが、その真偽はいかがですか。

齋藤内閣官房副長官 お答えさせていただきます。

 委員から、本日の委員会に先立ちまして、三月二十八日の会合ということについての記載があったペーパーを農水省からもいただきました。そして、私自身、つぶさに日々の行動をチェックしておりませんので、改めて、三月二十八日の会合といいましょうか、農水省関係があったのかどうかチェックをいたしまして、私自身、農水省と官邸、あるいはそのほかも含めまして、会合という案件はございません。(小里委員「いや、松本秘書官ですよ」と呼ぶ)そこは確認をしておりません。

小里委員 ちゃんと事前に通知をしていますよ。何で確認をしないんですか、副長官。通りませんよ。

齋藤内閣官房副長官 二十八日にどういう会合があって、私自身も出席をしていないとか、会合、農水省関係はないというのをお答えさせていただいていますが、松本秘書官が出席したかどうかについても承知をしておりません。

小里委員 何のために私は質問通告をしたんですか。何のためにあなたはここに来たんですか。ちゃんと正確に答えるべきでしょう。

齋藤内閣官房副長官 もう少し三月二十八日の内容について御指摘いただければ、さらに問い合わせはできると思うんですが、三月二十八日、昨日御指摘いただきましたように、私自身の日程、そして参加、それらについてはないということ、そして松本秘書官について、それについての承知をしていないということについてお答えさせていただきましたので、具体的に御提起いただければ、さらにまた調査については可能であるというふうに思いますけれども。

小里委員 この会合で何があったか知らせてもらえれば、教えてもらえればという今の答弁なんですが、そこを解明したいんですよ。だから、お聞きをしておるわけであります。

針原政府参考人 昨日、先生の方から通告を受けまして、私どもも調べておりますが、本年三月二十八日に筒井副大臣から町田次官が呼ばれました。それで、議員会館の副大臣の事務室を訪れましたところ、松本氏が同席していたということでございます。その場で、町田次官は筒井前副大臣から、一部の農林水産省職員の北京常設展示館事業に対する後ろ向きの対応を指摘する資料を受け取り、調査を行うよう指示を受けたというふうに聞いております。

小里委員 今回のビジネスの、まさに本質的な部分がここに出てきたわけであります。官邸も関与しているんですよ。そして、農水省のこのビジネスに対する後ろ向きの姿勢に対して、そこで話が出されたということであります。

 よろしいですか。三月二十九日にもう一つ文書が出ております。「農林水産省における中国輸出促進への取組みについて」という文書であります。この中身、私の方から説明を申し上げましょう。

 常設展示館事業で新たなルートが開拓されたことは、これまでにない取り組みとして、農水省政務三役、事務方が一体となって支援する必要がある。今後の取り組み予定として、農水省全職員及び都道府県自治体への出向職員に、中国輸出促進の意義、常設展示館事業の趣旨等を周知徹底する。出向職員にまで周知を図っているわけですよ。そして、常設展示館への出品を業界団体等を通じて各企業、農業生産法人等に呼びかける、さらに、常設展示館事業への補助金の支出についても、事務手続を短縮して早期交付を目指す、こういう内容まで書いてあるわけですよ。

 要するに、今認められた三月二十八日の官邸側を交えての会合の翌日、この文書が出、そして四月十日の文書が出ているわけであります。大臣、これはどう捉えますか、今までのやりとり、事実の確認を通じて。

 要するに、農水省は、協議会の設立準備までは協力をした、しかし、そこにも過度な介入があったから処分を行った。その後、今度は年末に、検疫特別措置の不当性というものを確認されてから抑制的な動きになっていったはずであります。その抑制的な動きをなしている農水省に対して、官邸側がそこにまたハッパをかけたというか、叱ったんでしょう。官邸側が圧力をかけて、そして三月二十九日の文書、四月十日の文書となったという経緯であります。

 大臣、今のやりとりをずっと聞いておられて、良識のある政治家として、良識のある大臣として、どう受けとめられますか。大臣のお言葉でお答えください。大臣に聞いているんですよ。

郡司国務大臣 十二月から、そして三月と四月十日という文書までの流れの中の曲折というようなことについてお話をいただきました。

 私自身も、その辺のところの、文書だけではなくて、やはり、そこにおける政務の三役と役所の方々と、そして協議会との関係というものがどのようなものであったかということをもう少しつぶさに調べていかなければいけない、そのように思いました。

 ただ、お伺いをしている中で、政務三役の一定のリーダーシップのもとで政策を行う、それに対して職員がこれまでのノウハウや個々の能力を生かすというような形がとれていれば、文書化されなくてもよかったというような御指摘もあるかもしれません。

 私も、その間の経過についてもう一度おさらいをさせていただきたいと思っております。

小里委員 大臣の立場として、相手は官邸にかかわる話でありますから、なかなかいわく言いがたいところもあるのかもしれない。しかし、これは日本の農産物輸出戦略の根幹にかかわる話なんですよ。また、政治の姿勢に関する話、国民の信頼に関する話ですよ。もっと正直に、素直に答弁をし、対応いただきたいと思います。

 また、本件に関しましては、本年五月十七日に、松本秘書官が主宰して、筒井氏、町田事務次官、本川官房長、櫻庭審議官、田中公男氏らとの会合が行われたという情報も寄せられております。これは事実関係はどうですか。

針原政府参考人 事実関係をかいつまんで御説明いたします。

 先ほど御指摘いただきました三月二十九日の文書、私の記憶では、その前日の会合を受けたものではなくて、その前から準備していたいろいろな項目をまとめた資料でございますので、直接その前日の会合とは、私の記憶では因果関係はなかったと思っております。

 それから、今御指摘のその後の会合につきましても、たしかそういう会が設けられたというふうに記憶はしております。

小里委員 三月二十八日だけじゃなくて、その前からいろいろな圧力が農水省に加わっておるだろうということは容易に想像ができるわけであります。そして、今また五月十七日の会合を認めました。要するに、いろいろな形で力が働いておるんですよ。

 齋藤官房副長官、三月二十八日の会合、五月十七日の会合、松本秘書官が関与している、むしろ主宰をしておりますが、これは官房副長官の指示ですか。

齋藤内閣官房副長官 この間、委員の後半の方の質疑の中で、官邸の圧力とかいう御発言がございましたが、私自身、先般もこの委員会でお話しさせていただきましたけれども、昨年の十二月の総理の訪中の際に、我が国の農林水産物の輸出拡大に向けて、とりわけ三・一一以降、さまざまな被害を受けている中での我が国の状況を見ながら、輸入規制をかけられている国に対し積極的に拡大をしていこうという趣旨の中で訪中をし、そしてまた首脳会談があった中で、私もそれと一緒に展示館等に同行させていただきました。

 ある意味では、政府としてと申しましょうか、国として、この輸出拡大というのは、私は、大きな流れであろうかというふうに思っております。

 そして、今御指摘の幾つかの具体的な点について、私自身は承知をしておりません。

 ただ、承知をしていないからといって、全て、この輸出拡大に関して、私は政府の一員としてですから、逃げるというようなことを申し上げている意味ではなくて、承知をしていない、事実を承知していないことは承知をしていないということを申し上げるしかないわけでございまして、今回の質疑に関しまして農水省として調査をし、そして再びまた第三者評価をするという過程の中で、熱心な御質疑に対して本当に敬意を表しますが、今後、やはり疑惑は疑惑で徹底的に話し、そして基本的に輸出拡大という方向に、これは与野党かかわらず、それぞれの知見をぜひまた結集しながら進めていくということが大切ではないかというふうについて、若干、御質問に答えて、脱線した部分もございますが、私自身の答弁にさせていただきたいというふうに思います。

小里委員 全く脱線した答弁であります。

 要するに、松本秘書官という官邸側の人間がこれに深くかかわって、むしろ事態を動かしておるんですよ。その事実をしっかりと調査していただきたい。あなたが御存じかどうかにかかわらず、少なくとも官邸側の人間が官邸側の意向をかたってこの事態を動かしている、その疑いが濃厚であるんです。これはしっかりと追及をしていきたいと思いますし、特にこの五月十七日の会談等については、会議録があるはずですから、委員長、ぜひそれを出していただきたいと思います。

吉田委員長 理事会で検討させていただきます。

小里委員 今、官房副長官から話をいただきましたように、総理が、昨年十二月二十五日、日中首脳会談の前に常設展示館を視察いたしました。そこに至る経緯においては、筒井副大臣、李春光あるいは田中氏がこれを促した。そして、日中首脳会談でしっかりとこの問題に触れてほしい、そういったことを要請した経緯もあります。いわゆるそういう三人組の誘いにまんまと乗って、総理が常設展示館を視察したというのは事実であります。

 そして、報告書にありますように、常設展示館に立ち寄ったことに触れつつ、対中国農産物輸出の促進を総理が日中首脳会談において要請したという中身でありまして、まさに総理がこのビジネスの片棒を担がされたということが、これはもう誰が見ても、子供が見ても明らかになっているわけであります。

 そして、その日中首脳会談を受けて、たしかその翌日には、筒井副大臣が、質検総局に対してまたこの特別措置の相談をしております。また、その後、記者会見で、日中首脳会談でこのビジネスは出された、日中首脳会談が発火点となってこのビジネスが進んでいくんだ、そんなことを述べているわけであります。総理そのものがこの問題に関与しているんですよ。少なくとも利用されているんです。非常にこれは重大な、深刻な事態だと思います。

 きょうは時間が足りませんので、また次回に譲ります。またあした、同僚が質問をさせていただきます。どうか大臣におかれては、素直に、誠実に御答弁をいただきますようにお願いを申し上げて、質問を閉じたいと思います。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

吉田委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、株式会社農林漁業成長産業化支援機構法案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣郡司彰君。

    ―――――――――――――

 株式会社農林漁業成長産業化支援機構法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

郡司国務大臣 株式会社農林漁業成長産業化支援機構法案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。

 我が国の農林漁業、農山漁村をめぐる状況を見ますと、農林漁業の就業人口や所得が大きく減少し、農山漁村の活力も低下をしております。このような状況を打開するためには、農林漁業によって生み出された農林水産物や生産活動の価値を二次産業、三次産業につなぎ、大きく高めていく取り組みにより、農林漁業が持つ潜在的な成長力を顕在化させ、農山漁村における所得と雇用を拡大することが喫緊の課題となっております。

 株式会社農林漁業成長産業化支援機構は、このような取り組みを支援するため、政府と民間が共同で出資して設立するものであります。この機構による出資その他の支援を通じて、拡大するアジア市場への輸出を初め、消費者等のさまざまなニーズに対応した意欲的な取り組みを推進し、農林漁業の安定的な成長発展、農山漁村の活性化等を図ることを目的として、この法律案を提出した次第であります。

 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。

 この法律案は、株式会社である農林漁業成長産業化支援機構について、会社法に定められていない特別な規定等を整備するものであります。

 第一に、機構の設立等に関するものであります。機構は、農林水産大臣の認可により一を限って設立される株式会社とし、政府は、機構に対し出資することができることとするとともに、常時、機構の発行済み株式総数の二分の一以上を保有することとしております。

 第二に、機構の組織に関するものであります。支援の対象となる事業者や支援内容、株式や債権の処分等、機構の業務運営に関する重要事項の決定を客観的、中立的に行うため、機構に農林漁業成長産業化委員会を置くこととしております。

 第三に、機構の業務に関するものであります。機構は、出資や資金の貸し付け、専門家の派遣や助言等の業務を営み、農林水産大臣が定める支援基準に従って、支援の対象となる事業者や支援の内容を決定することとしております。また、機構は、平成四十五年三月三十一日までに、保有する全ての株式や債権の処分等を行うように努め、業務の完了により解散することとしております。

 第四に、機構の財務及び会計に関するものであります。政府は、機構に対し、資金の貸し付け等をすることができることとしております。

 第五に、機構の監督等に関するものであります。農林水産大臣は、機構の役員の選任や予算の認可等の必要な監督を行うこととしているほか、機構に対し、報告の徴収、立入検査等を行うことができる旨の規定、機構の役職員等による贈収賄や秘密漏えいに対する罰則規定等を措置しております。

 以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願いを申し上げます。

吉田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、明二日木曜日午前八時二十分理事会、午前八時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十二分散会


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