第12号 平成24年8月2日(木曜日)
平成二十四年八月二日(木曜日)午前八時三十一分開議
出席委員
委員長 吉田 公一君
理事 石津 政雄君 理事 梶原 康弘君
理事 田名部匡代君 理事 野田 国義君
理事 小里 泰弘君 理事 宮腰 光寛君
理事 石田 三示君 理事 石田 祝稔君
石山 敬貴君 今井 雅人君
打越あかし君 金森 正君
工藤 仁美君 小山 展弘君
近藤 和也君 佐々木隆博君
坂口 岳洋君 阪口 直人君
高橋 英行君 玉木雄一郎君
道休誠一郎君 富岡 芳忠君
仲野 博子君 福島 伸享君
藤田 大助君 森本 和義君
谷田川 元君 山岡 達丸君
山田 正彦君 和嶋 未希君
伊東 良孝君 稲田 朋美君
江藤 拓君 小野寺五典君
北村 茂男君 北村 誠吾君
武部 勤君 橘 慶一郎君
谷川 弥一君 古川 禎久君
保利 耕輔君 山本 拓君
金子 健一君 菊池長右ェ門君
京野 公子君 中野渡詔子君
稲津 久君 西 博義君
吉泉 秀男君 石川 知裕君
…………………………………
農林水産大臣 郡司 彰君
財務副大臣 五十嵐文彦君
農林水産副大臣 佐々木隆博君
農林水産副大臣 岩本 司君
総務大臣政務官 加賀谷 健君
外務大臣政務官 中野 譲君
厚生労働大臣政務官 藤田 一枝君
農林水産大臣政務官 仲野 博子君
経済産業大臣政務官 北神 圭朗君
政府参考人
(内閣府食品安全委員会事務局長) 栗本まさ子君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 萩本 修君
政府参考人
(厚生労働省医薬食品局食品安全部長) 三浦 公嗣君
政府参考人
(農林水産省大臣官房長) 本川 一善君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 佐藤 一雄君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 山下 正行君
政府参考人
(農林水産省消費・安全局長) 高橋 博君
政府参考人
(農林水産省食料産業局長) 針原 寿朗君
政府参考人
(中小企業庁次長) 富田 健介君
農林水産委員会専門員 栗田 郁美君
―――――――――――――
委員の異動
八月二日
辞任 補欠選任
近藤 和也君 工藤 仁美君
森本 哲生君 谷田川 元君
今村 雅弘君 北村 茂男君
谷川 弥一君 稲田 朋美君
山本 拓君 小野寺五典君
西 博義君 稲津 久君
同日
辞任 補欠選任
工藤 仁美君 阪口 直人君
谷田川 元君 金森 正君
稲田 朋美君 谷川 弥一君
小野寺五典君 山本 拓君
北村 茂男君 古川 禎久君
稲津 久君 西 博義君
同日
辞任 補欠選任
金森 正君 坂口 岳洋君
阪口 直人君 近藤 和也君
古川 禎久君 橘 慶一郎君
同日
辞任 補欠選任
坂口 岳洋君 森本 和義君
橘 慶一郎君 今村 雅弘君
同日
辞任 補欠選任
森本 和義君 藤田 大助君
同日
辞任 補欠選任
藤田 大助君 森本 哲生君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
株式会社農林漁業成長産業化支援機構法案(内閣提出第二〇号)
農林水産関係の基本施策に関する件(農産物貿易(農林水産物等中国輸出促進協議会、TPPを含む)等)
――――◇―――――
○吉田委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、株式会社農林漁業成長産業化支援機構法案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官山下正行君及び食料産業局長針原寿朗君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○吉田委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。富岡芳忠君。
○富岡委員 おはようございます。民主党の富岡芳忠でございます。
本日質問の機会をお与えいただきました関係の皆様に、心より感謝を申し上げます。
それでは、早速質問に入らせていただきます。
今回の仕組みは、就業人口や所得の大きな減少、こういうことに歯どめのかからない今の農林漁業の大変厳しい現状や、また農山漁村の衰退に対して、そうした状況を打開することが狙いだというふうに認識をしております。六次産業化をきっかけとして、生産や加工、流通、こういう全体の改革にもつながるというふうにも期待していますし、同時に、国の支援のあり方も変わるということによって農林漁業の構造転換というものが図られる、そして農林漁業再生にしっかりつながってほしい、こういう期待を私もしているところでございます。
しかし、一方で、六次産業化だけで今の農林漁業は再生しないといったような冷めた見方もあると思っています。もちろん、国が多少出資しただけで何かが大きく変わるというような生易しい状況にはないということも事実だと思いますけれども、一方で、これまでの農政にはなかった画期的な取り組みで、私は、しっかりとした再生が図られるということを期待してやまない一人でございます。
そこで、まず大臣にお伺いさせていただきます。
農林漁業再生戦略の全体像の中における本件の位置づけだとか、また、その期待などについて御所見を伺いたいと思います。
○郡司国務大臣 富岡委員にお答えをさせていただきたいと思います。
御指摘のように、一つの政策で全てがよくなるということではないだろうというふうに思っておりまして、総合的な中に今回はファンド法ということを織り込ませていただいて、現在の農林漁業、御指摘がございましたように就業人口が減っております、所得が半減をしております、高齢化しておりまして、ひいては農山漁村そのものが疲弊をしているということがございました。企業の誘致もままならないようなところに、雇用の場、所得の増というものを図る、このようなことが切実な声だろうというふうに思っております。
このような状況に対応するために、農山漁村が持っております強み、それは、農林水産物というものを生産している、あるいはまた、生産活動そのものが価値を持っているということを高めていくということ、そしてそれが、消費者に届ける六次産業化という取り組みを育成する必要があるのではないか、このように思ったところでございます。このため、政府と民間が共同で出資をするファンドを設立しまして、農林漁業者が事業体を立ち上げて六次産業化の取り組みを展開する際に必要となる資本力を補うことを目的として、本法案を提出させていただきました。
この施策の内容についてはこれから御議論いただきますけれども、昨年十月に決定をしました再生のための基本方針・行動計画、農林漁業再生のための七つの戦略におきましても、競争力、体質強化の施策の大きな柱として位置づけられているものである。また、その中では、これまで以上に農村の持つ女性の力を引き出すということが大事であり、そのためにはこのファンドというものが大変役に立つのではないか、こういうような位置づけもしておりまして、地域の再生、つまりは農山漁村、農山漁業の再生の原動力となるように、このことを期待しているところでございます。
○富岡委員 ありがとうございます。
今回のファンドによって、政府としては、現在の六次産業の一兆円という市場規模を五年間で三兆円までふやす、こういうふうにしていると思います。また、現在の一次産業の十兆円という市場と、二次、三次の九十兆円を合わせた百兆円という食品関連全体の市場規模を十年間で百二十兆円にふやす、こうも言っているわけであります。だから、今回のことによって農林漁業者の所得がふえても、決してそれは、その分、二次、三次の方々の実入りが減るというものではなくて、ふえた二十兆円の分を分かち合うというような、ある意味ウイン・ウインのような関係を目指すということだと私は思っております。
しかし、実際にそういう市場全体をふやすということが果たして可能なのかということが大きな問題だと思います。人口が減少している中で国内の総需要を伸ばすというのはなかなか厳しいというのが現実だと思っていますが、そうしたふやすという目標を達成するためには、例えば、新たな国内でのマーケットを創出するだとか、輸入しているものを代替するだとか、もしくは輸出を伸ばすとか、いろいろ組み合わせをすることが必要だと思っておりますが、具体的にどういうマーケットをどうやってふやしていくのか、また本件がそのことに対してどういう役割を果たすことを期待しているか、こういうことについて御所見を伺わせていただきたいと思います。
○仲野大臣政務官 おはようございます。
それでは、お答えさせていただきます。
農林漁業成長産業化ファンドは、輸出マーケットの拡大、新規市場の創出と相まって、六次産業の市場規模拡大を実現する大きな手段と考えているところでございます。
二十四年度予算で措置されている二百億円を機構が出資するとすれば、末端の合弁事業体で八百億円の資本が形成され、これを核に工場等の資産を形成すれば、総資産で四千億円、その売り上げは事業が順調に展開していけば数年後に六千億円と試算をされているところでございます。
仮に機構が着実に成果を上げ、二千億円規模の出資を行ったとすると、六兆円規模の市場創出効果が見込まれ、この場合には十兆円の政策目標にも大きく貢献できるものと考えているところでございます。
○富岡委員 ありがとうございます。
本案件の目指す姿というか理想像といったものは、私はすばらしいものがあるというふうに感じております。しかしながら、現実的には、そのようになかなかならない可能性も大きいんじゃないかと思います。既に全国各地で六次産業への取り組みというものが数多く行われていますけれども、何とかしっかり形になっているというものはやはりほんの一握りでありまして、大半は、なかなか思うようにいかないというものもあると思っております。
従来の農政では補助金等がその施策の中心でしたけれども、補助金を実行していた当時であっても、これをやれば非常に大きな効果が上がるんじゃないかというふうに必ずもくろんでいたわけでありますけれども、しかし、例えば結果として過剰設備になってしまったとか、こういうような、見立てと違ったケースもやはり多くあったのではないかと思います。
今回は、補助金のような、上げたらおしまいというものではなくて、出資なので、しっかりマーケットメカニズムが働くからそうじゃないんだということかもしれません。しかしながら、仮に事業者側が、受け取ったらもうそれで終わり、そういう意識だったならば、結果として同じようになってしまうこともあり得ると思っています。
そこでやはり鍵を握るのは、案件を審査して、実際に出資の判断をする機構の人材の質というものが非常に重要になってくると私は考えております。その人が、例えばどこかから一時的に出向したような腰かけ的な人じゃもちろん困りますし、能力的にも、一次、二次、三次産業によく精通した人であることも必要だと思いますし、また、金融のそういう能力というものも求められる、こういうふうに思っております。
ですので、単に支援基準というものを満たしたからそれで出資していいというものであってはいけないと思います。私も前職は銀行員でしたので、まず一番最初に教えられたのは、人、物、金、この順番でしっかり中身を見ることだと。特に人というのは、いわゆる経営者でありまして、経営者の資質を見きわめることが最重要な鍵であって、逆に、お金の問題、いわゆる財務の分析などというのは人よりも後に考えるべき問題だ、こういうふうに金融の世界では教えられていると思っております。
一方で、ある意味、農林漁業者が経営者になるんだから、そもそもそんな事業主体に高い経営力を求めるというのは難しいんじゃないか、だからこそハンズオン支援があるんだというふうに言うかもしれませんけれども、そうはいっても、やはり経営者には一定以上の資質があることが必要だ、こう私は思っております。
また、案件審査のルールも、実際にこの審査の過程の中で、機構で判断する側の人間が経営者をしっかり見るというプロセスが織り込まれていることも重要ではないか、こう思っております。
そこで、質問させていただきますのは、この機構に充てる人材というものにどういう人を充てるのかということと、実際の審査のルール、プロセスというものについてお聞かせいただきたいと思います。
○針原政府参考人 お答えいたします。
ただいま御指摘のとおりでございます。まず人材ということでございますが、この機構の人材としては、各産業分野で事業経営の経験を有する方、それで、一次産業、二次産業、三次産業をつなぐような、そういう案件の目ききができる方。もう片方は、金融機関等で投資に実際に携わった経験をして、判断能力にすぐれているお方。それから、地域活性化に一生懸命取り組んでおられる経験があり、地域のことをよく知っているお方。そういう方々で構成して、まさに出資後の経営支援も含めて当たっていきたいと思います。
出資に当たりましては、支援基準への適合性を基本として、経営能力あるいは政策への合致性などを総合的に判断いたします。その上で、経営者の資質を見きわめた上で、機構による多面的な出資審査、いわゆるデューデリジェンス審査でございますが、それを経て、最終的に支援を決定する、そのような運用を考えているところでございます。
○富岡委員 ありがとうございます。
今回のスキームにおいては、機構による経営支援ということが一つの非常に大きなポイントだと思っております。民間企業に経営の主導権を握られることなく、しかし一方で、民間のいろいろなノウハウや活力を吸収しながら、こういう難しい前提であるわけであります。
そこで、企業経営に対して経験値が必ずしも高くない農林漁業者が相手ということでありますし、そういう前提に立つならば、ハンズオン支援をする人材の質というものも当然高くなければいけないと私は考えております。そういう高いアドバイス能力を持つ人間を囲い込むには、当然対価も高いものを用意しなきゃいけないと思っております。
そうだとすると、例えば五千万、六千万という小口の案件ばかりがぞろぞろ積み上がってしまうと、それぞれに対してハンズオン支援するような人の数をそろえなきゃいけないとなると、結果として、なかなかいい人材がそろわず、数だけそろえるみたいことになりかねないと思っております。
そこでお伺いしますが、このスキームでイメージしておられる、取り上げる案件の一件当たりの規模だとか数というものはどのぐらいのものをイメージしておられるか教えてください。
○針原政府参考人 ただいま御指摘のとおり、ハンズオン支援を継続的にやるためには、一人当たりの抱える案件はそう大きくは構成できないわけでございます。一人当たり五件から十件というのが一つの目安になるかと思います。
実際の規模でございますが、地域に根差した小口で地味な案件も対象としたいと思いますが、また、輸出を志向する大きな案件も手がけたいと思います。自由な資金を提供する出資という仕組みでございますので、こういう規模であってほしいということは、あえて私どもから指定するといいますか、想定するような仕組みはとっていないわけでございます。
○富岡委員 やはり選択と集中ということをしっかりと行うことが重要だと思っております。
最後の質問をさせていただきます。
将来的な六次産業化のイメージについてお伺いしたいと思います。
機構も、二十年後にはこれを解散するという前提になっておりまして、それまでにはこの六次産業化というものが全国各地で、しかも、できれば大きな規模で、自律的に自発的に行われていく、そして、もっと言えば、国の支援などもう必要ないんだというぐらいな、そういう姿になってもらえればいいというふうに私は願ってやまないわけであります。
そもそも、今回の仕組みも、いわゆる意欲のある経営主体に資金を提供して、販路の拡大や他産業とのコーディネート、こういうものが盛り込まれているわけですけれども、こういう役割というのは、そもそも金融機関にとってみると本業といってもいいと思いますし、私もそういうことを実は実際にやってまいりました。
既に、このスキームに対して幾つかの地域金融機関が名乗りを上げて、出資の意欲を示している、こういうことも伺っておりますけれども、私は、ぜひ積極的に、こういう地域の金融機関に参画していただくように呼びかけていただくことが望ましい、こう思っております。そして、なるべく一刻も早く、金融機関の側から、もう国とタイアップする必要なんかないんだ、自分たちで全部やらせてくれ、こういうような強い経営の事業体をたくさんつくることがやはり重要だと思っております。
そこで、最後、大臣にお伺いしますが、地域金融機関などに対して期待する役割ですとか、また、最終的な六次産業化の将来像のイメージについて御所見をお伺いしたいと思います。
○郡司国務大臣 今委員から御指摘がありました内容からもそうでありますけれども、今回のファンド、やはり基本的には呼び水というようなことになろうかというふうに思っております。将来的には、この民間の資金市場というものが形成をされる、それで、機構がなくともそうしたノウハウが活用されて、六次産業化というような事業活動が成長できる、こういうような環境をつくるということが一番大事なのだ、そんなふうに思っております。
また、本来、地域の金融機関というのは、先ほどありましたように、委員がお勤めになっていた銀行などはまさにそうだったのかもしれませんけれども、日本全体はちょっと世界の中でも特異な、間接金融の比率が大変高い市場を形成しておりますので、そういうことではなくて、事業活動に対して円滑な資金供給の役割を担う、そういうような形をとっていきたい。結果として、地域金融機関が新たな取り組みの芽を育て、将来の六次産業化に向けた資金市場を十分活用していく、つくっていく、そういう役割を期待したいとともに、このファンドへの積極的な参加というものも呼びかけていきたい、そのように思っているところでございます。
○富岡委員 ありがとうございました。
これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○吉田委員長 次に、玉木雄一郎君。
○玉木(雄)委員 民主党の玉木雄一郎です。
時間がありませんので、一点だけ確認したくて質問に立たせていただきました。
今回の六次産業化は、農業の産業化を進めていくということであります。ですから、それを支援する枠組みも、今までの補助金を中心としたものよりも、産業金融的なものを生かしていくという思想でこういうファンド法案ができているんだと理解しています。これは、ある種合致していると思います。
ですから、一つ確認したいのは、このファンドは、ある意味、ファンドですから損失が出る可能性があります。そのときに、もし損失が出たときに、事後的にその損失の穴を国が埋めようとしたのでは、マーケットの機能とか、お金を出した人が損したくないから必死になってその貸出先とか出資先をチェックして事業の成功可能性を上げていくという、ファンドが求めたこの思想が変に崩れてしまうんじゃないかということを心配しているんですが、一点御質問します。
失敗したときに、損失補填的な形で国が財政支援するようなことがあるのかないのか、お答えください。
○郡司国務大臣 これは、ただいまもお話をしておりましたけれども、基本的に、このファンドの設立の目的というものは御理解をいただいているというふうに思っております。
出資という新たな手法を導入して、民間の資金、ノウハウを活用することによって農林漁業の成長産業化を支援する。結果として政府が損失の補填を行うということになりますれば、これは、民間の投資の判断をゆがめるということにもなりましょうし、民間資金を活用するという本法案の本来の趣旨に反するというふうにも考えております。
したがいまして、本法の運用に当たりましては、その透明性を確保して、出資の手法を活用する仕組みの趣旨に沿った形で行うということが肝要であろう、私どもはそのように考えております。
○玉木(雄)委員 農業の政策というのは、やはり地域政策的な面と産業政策的な面が常にまざっていると思うんですね。そのうち、どちらを重視して制度設計をしていくのかというところが大事で、今回の六次産業化あるいはファンド法案というのは、より産業政策的なところに寄っていくという形の新しい支援策に踏み込んだ政策だと私は思うんですね。だったら、踏み込んだ以上はそっちの特性が生かされるように、その思想を貫いていくことが大事だと思っています。
農業を育てるのは、国も県も市町村も育てていかなければならないんですが、市場やお客様も農業を育てていかなければならないと思っているんです。今回は、その意味で、そういった市場の機能もフルに発揮できるように、柔軟性が阻害されないような配慮をしていただいて、この法律の運用をしていただきたいということを最後にお願い申し上げまして、私の短い質問を終わりたいと思います。
○吉田委員長 次に、伊東良孝君。
○伊東委員 おはようございます。
それでは、株式会社農林漁業成長産業化支援機構法案、いわゆるファンド法とこれから呼ばせていただきますけれども、質問をさせていただきます。
農村、漁村の持続的な発展との関係についてお伺いするわけであります。まず、農林水産漁業者は単なる生産者ではない、こう思います。農林水産漁業者は、里山、里海の精神に沿って、この生産活動、あるいはまた自然環境との調和を図る、さらには国土と食料資源を守り育てる、この持続的な農林水産業を通じて農村、漁村の発展を実現するという極めて重要な役割を果たしてまいりました。
また、日本各地の農村、漁村には、生産活動と密接な関係のある地域固有の伝統文化や生活習慣がありまして、これらが日本社会の多様性、豊かさ、日本人の価値の根幹をなしていると言っても過言ではありません。
昨年、一昨年と、多面的、多機能、いわゆる農村の持つその重要性が法案としても指摘されてきたところでありますけれども、今回のファンド法案に基づいて設立されます事業主体において、このような農林漁業が地域社会の中で今日まで果たしてきた多面的な役割を理解、実践することが必ずしも期待できるというふうには私は思っておりません。商売第一ということにならざるを得ないのかな、そんな気もいたすわけであります。
今回のファンド法案の目的の中に、地域社会との調和に事業主体が配慮しなければならないような、こうした規定を設ける必要があるのではないか、こう思いますが、大臣、いかがお考えでしょうか。
○郡司国務大臣 今回のファンド、六次産業化の取り組みが成長という形になるまで長期性を持ったものである、そうした農林漁業者の少ない資本の性格というものに着目をしてつくっていこうというものであります。したがいまして、一般的なファンドの出資期間、長くても五年、あるいは七年、八年というところでありますけれども、出資期間を最大で十五年として設計をいたしました。また、地域ファンドを通じた出資を中心としつつ、資本性劣後ローンの直接提供を適宜組み合わせて支援をする、あるいはまた、ファンドがかけ橋となって、農林漁業者と二次産業、三次産業の事業者の合弁を実現するといった、独自の性格を有しているものであります。
例えば、それぞれの地域で、女性のグループなどがいろいろな取り組みをしているけれども、なかなか資本その他のことの壁にぶち当たって立ち上げができないということについてお手伝いをしよう。一方で、御懸念のように、いざというときには民間がさっさと引き揚げてしまう、これまでも、例えば根保証とか根担保とか根抵当とか、財産全てを、あるいはまた、借金を背負うと、その方だけではなくて親戚までもそういう目に遭うようなことがあったではないか、こういうようなことを地域の金融機関とともにこの国の中で変えていくというような取り組みになればというふうに思っているところでございます。
今回のファンド、加工、流通等の合弁事業体の取り組みに限定をして支援するものでありまして、主に農業法人を対象とし、その育成を図ることを目的とするアグリビジネス投資育成の株式とは根本的に目的や支援という対象が異なるというふうに思っております。
したがいまして、出資期間、金融手法、支援対象等の基本的性格におきまして、今回のファンドが担うところとこれまでの組織ではバッティングしない、そういうところのお手伝いをきちんとしていきたいなというふうに思っております。
○伊東委員 趣旨は同様にわかります。ただ、そこにさまざまな問題も生ずるだろうなということでありますので、順次、質問をさせていただきたいと思います。
この株式会社農林漁業成長産業化支援機構、これ以後、支援機構というふうに言わせていただきますが、提案される以前から、国や自治体におきまして、農林漁業者の経営多角化あるいは販路拡大、さらには六次産業化や農商工連携の推進施策がさまざま講じられてきた。私も承知しているところであります。地元の金融機関が中心となって、農林漁業と関連産業を対象としたファンドを設立する、そして、投資の実行と経営支援が行われている例もこれまでもあるわけであります。また、独立行政法人中小企業基盤整備機構の出資事業、株式会社産業革新機構や株式会社企業再生支援機構など、官民ファンドによる事業者支援スキームは既に幾つか創設されており、農林漁業者も活用することができているわけであります。
これらを踏まえて、新たにこの支援機構を設立するその意義、今、大臣もおっしゃられましたけれども、しかし、これまでのさまざまな支援、いわゆるファンドやあるいは機構、この既存のスキームと今回のこの支援機構がどのような連携をするのか、あるいはまた、役割分担がどのようになされるのかという点について、いま一度お聞かせをいただきたいと思います。
○郡司国務大臣 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、今回のものは、基本的に、これまでのすき間があるようなところをきちんと埋めていって、意欲のある方々が参加できるようなスキームを全体としてつくっていこうということでございます。
したがいまして、繰り返しになりますけれども、出資期間、金融手法、支援対象等の基本的性格におきまして、今回のファンドが担うにふさわしい既存組織というものは存在をしていないというふうに認識をしております。
したがいまして、今回のところの範囲を埋めていくということが地域の活性化、雇用、女性の力を引き出す、このような形になるというふうに理解をしております。
○伊東委員 農業法人に対する投資の円滑化に関する特別措置法、農業法人投資円滑化法といいますが、これに基づきまして、平成十四年十月、JAグループと農林漁業金融公庫の出資により、アグリビジネス投資育成株式会社が設立をされております。さまざまな実績もあるわけであります。
このアグリ社と支援機構は、何がどう違うのか。ファンド法案がなくても農業法人投資円滑化法の改正で十分対応できるのではないかという話もありますが、これにつきまして、農業者の側もよくおわかりでない部分もありますので、端的に御説明をいただきたいと思います。
○郡司国務大臣 端的にということでございますので。
このアグリビジネス投資育成の方は、主に農業法人を対象としているということでございます。したがいまして、今回のような、地域の方々、農林漁業者そのものが二次、三次のところまでかかわっていこうというものとは異なるところがあるというふうに思っておりまして、これまでの、例えば農商工連携と言われたような感じの会社対会社というようなものではなくて、地域の人たちがよって立つものをつくるときにお手伝いをするということで、そこのところは、支援目的、対象が異なるものだというふうに思っております。
○伊東委員 それで、支援機構は、この支援対象事業者の決定等、重要事項の決定を中立的に行う農林漁業成長産業化委員会、以下、委員会と省略しますが、この委員会を設置することとされております。この委員会が実際は支援対象事業者、これらを選定する、決定する、あるいは重要事項を決めるということであります。
この委員会の権限には、委員会がいわゆる支援対象事業者あるいは支援内容を決定した後、サブファンドが国の策定する支援基準に沿って適正な事業を執行しようとしているのかどうか、指導監督する権限が含まれてはおりません。この委員会の中にこういう指導監督する権限が含まれていないという、このような偏った権限の中で委員会が十分その責任を果たすことができるのかどうか、これが疑問であります。
支援対象事業者の活動状況を把握、評価し、その結果に基づく指導監督を行う権限を委員会に付与すべきではないか、私はこう考えますが、見解をお伺いいたします。
○佐々木副大臣 お答えさせていただきます。
委員から今御指摘をいただきました委員会でありますが、委員も御指摘ありましたように、中立的、客観的に支援決定を行うという合議制の決定機関でございます。現場を指導することまで踏み込むということになれば、それは執行部門と切り離して設置した委員会の趣旨とは違ってくるということ、それから、全国に根差した取り組みに対して指導、勧告を行うというようなことは物理的に不可能ということから、不適切と考えてございます。
また、委員会のメンバーは、中立的、客観的な支援決定を行う等のために、農林漁業に対する知見も含めて、さまざまな知見を持つ外部有識者を委員として農林水産大臣が認可を行うということにさせていただいているところでございます。
○伊東委員 知見を有する有識者の方々を含めて、この委員会が農林漁業者あるいは支援対象事業者を決定するわけでありますけれども、それでは、この支援対象事業者の活動状況あるいはその把握、評価、指導、勧告、こうしたものはサブファンドの方に委ねられるということになるのでしょうか。どうでしょうか。
○佐々木副大臣 実際的に、自主的に運営をしていただくというのが今回の趣旨でありますから、自主的に事業体として立ち上がったところの主体性というものを重視しなければこの本来の趣旨は生かされないというふうに思ってございますので、どちらかというと、指導監督というよりは、ただ、おかしな出資者とかいうのがあらわれないようなことは必要だというふうに思いますが、基本的には自主的な事業体の運営ということになろうかと思います。
○伊東委員 相当額出すわけでありますから、指導監督をどこかがきちっとしなければならないわけであります。
支援機構の支援基準についてお尋ねしますけれども、このファンド法案では、支援機構が支援の対象となる事業者や支援内容を決定するための支援基準は農林水産大臣が定めるとされているわけであります。
農林漁業者の経営の安定向上等を実現させるためには、この支援基準に農林漁業者や関係団体の意見を反映させる仕組みを設ける必要があるというふうに考えますが、この点についてはいかがでございましょうか。
○佐々木副大臣 お答えさせていただきます。
今御指摘をいただきましたが、農林漁業者の意見というものがここに十分に反映されていくということは、委員の御指摘のとおり、重要なことだというふうに思ってございます。
このような観点から、機構が支援の対象となる事業者と支援内容を決定するに当たって従うべき基準である支援基準の策定に当たっては、意見公募手続の実施等により、農林漁業者の意見が反映されるというふうに存じてございます。また、サブファンドについても、合弁事業体の意見決定において農林漁業者の主導性が確保されるように配慮すべき旨を支援基準に規定させていただいているところでございます。
○伊東委員 具体的に言いますれば、農林漁業者の主導性を確保するための基準、あるいはサブファンドの選定、監督に関する基準を盛り込むべきではないか、こう思うわけであります。また、支援基準は農林漁業の健全な発展に配慮して策定されなければならないということでございますが、この点につきましての見解をお伺いいたします。
○佐々木副大臣 できるだけ農林漁業者の主体性をまず確保するということ、その中でそうした事業がスムーズに運営できるという意味でいうと、サブファンドの存在というのは極めて重要だというふうに思っておりますので、委員御指摘の点、十分に考慮しなければならないというふうに思ってございます。
○伊東委員 サブファンドについて、もう一つお伺いします。
サブファンドが将来的には経営支援をするような話になるわけであります。先ほどちょっと御例示もありましたが、私のイメージでは、この法案をお聞きしたときから思うんですけれども、生産者である農林漁業者が経営者となる、自分の預金から例えば一千万円を拠出して資本を自分が出す、それと同額出してくれるであろう製造業者もしくは販売業者など、パートナーを探すわけであります。それで、パートナーを口説いて、説得して、パートナーに一千万円を同額出してもらう。これで二千万円の事業主体ができ上がるわけであります。ここで支援機構に申請をすることになる。その支援機構が成長産業化委員会でこれを審議し、これが妥当かどうかを見きわめる。そして、一方、それがオーケーということになると、今度はサブファンドが同額協力できるかどうかを審査するような話になってくるわけであります。
事業者がサブファンドにこれを申し込むのか、あるいは支援機構がサブファンドに声をかけるのかは別といたしまして、地元のサブファンドが、いわゆる自治体や、あるいは農協、漁協、さらには地元金融機関などなどの出資者を募ったサブファンドをもってしてその二千万円のいわゆる出資ができるかどうか、これはもちろん支援機構の一千万円が入っての話でありましょうけれども、そうした話になるわけです。
ですから、生産者が一千万、パートナーが一千万、そして支援機構が一千万の、恐らくサブファンドが一千万、この四者の二五%ずつの持ち合いになるのではないか、こういうふうに思います。
このイメージで間違いありませんかどうか、大臣、お聞かせください。
○佐々木副大臣 お答えさせていただきます。
今の、どういう関与をそれぞれがしていくかということになるわけであります。官民共同の出資になるわけでありますが、民間のノウハウを生かすように、サブファンドには直接の監督規定は設けておりませんが、不適切なサブファンドにより政策目的が損なわれるというようなことがないようにしなければなりません。
そのためには、農林水産大臣が定める、機構が支援対象のサブファンド等を決定するに当たって従うべき基準、支援基準というものをまず決めなければなりません。もう一つは、機構がサブファンドに出資しようとする際の農林水産大臣の意見等、農林水産大臣による関与を規定しているところでございます。
また、サブファンドの形成後は、機構を通じて恒常的な業務状況の把握等を行うことによって、サブファンドの適切な業務執行を確保していくというふうに考えているところでございます。
○伊東委員 国会で、あるいはまた農林水産省の中でこうした法案をつくるとき、さまざまなことはお考えのことだというふうに思います。しかし、現実には、現場のその地域の、あるいは生産者の皆さんやそのパートナーの皆さんの商売への取り組み、仕事への取り組み姿勢を含めた環境の把握というのが大事だというふうに思うんです。
これは例えばの話ですよ、農林漁業者が自分のお金を出して、一千万でパートナーを見つけて、その時点で支援機構にこれを申請するわけですよ。申請された支援機構は、その中にある委員会の中でそれが妥当かどうかを審査されるわけでしょう、専門家を含めて。そこでいいということになったものが、今度、地元において、地元のサブファンドにまた一方委ねられるわけであります。サブファンドは、その事業主体に果たして出資していいかどうかを、またそこで審査する形になります。
サブファンドを指導監督するのは支援機構でありますし、サブファンドに金を出すのも支援機構であります。支援機構は、委員会で事業主体の事業審査をしてオーケーを出しておきながら、今度、サブファンドにまた一方その出資の是非を委ねてしまうという、本当に、私から見ますと、どうしてこんな三重四重の手かせ足かせをつけてしまうのかなという思いがしてなりません。
そして、この法案の中に、サブファンドがこれをオーケーしない場合、これに出資しない場合、支援機構の出資は取り消すというか認められないという条文があるわけでありますけれども、こうしたことを考えると、もっと現実に即した、本当に農林漁業者が製造業者、販売業者と一緒になって拡大をする、あるいは販路を拡大する、新製品をつくる、こうした事業に対する取り組みのしやすさというかわかりやすさというものをしっかりしていかなければならないのではないかというふうに、どうしてもそう思えてなりません。
この点につきまして、佐々木副大臣、もう一度、御自分も、自分の周りにいらっしゃるそうした方々の取り組み、あるいは事業化のしやすさなどということをちょっと想定しながらお答えいただけませんでしょうか。
先ほどから言っているのはちょっとおかしいですよ。委員会がこの事業を認めたら支援機構はオーケーだ、しかし、一方では、地元のサブファンドがこれをまた決定するかどうかわからないという話になってくるわけでありますので、こうした点をもう少し整理をつけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○佐々木副大臣 いわゆる合弁事業者ですが、事業者が申請するときには、今委員は機構の方から御質問をされましたが、事業者の側というか申請者の側から見ると、サブファンドにまず申請がなされるということになります。そのサブファンドがまたそれを機構に申請するということを今想定しているわけでありまして、事業者が直接機構に申請するということではありませんので、サブファンドにまず申請をして、サブファンドから機構に申請をするというシステムになっております。そういうことからすると、その時点で機構に対して大臣が関与をするということになってございますから、そのところで、今のような場合には認可がなされるというふうに思います。
○伊東委員 そういう話になりますと、全く本当に話がおかしくなりますよ。
私が説明を受けたスキームがありますね。農林漁業成長産業化支援機構、いわゆる今回つくろうとしている支援機構ですよ。国の二百億、三百億の受け皿になる支援機構。これが六次産業化事業体に出資するに当たって、地域サブファンド、テーマファンド、ここを通すということになるわけですよ。
では、そこの地域ファンドに申し込まなきゃならないとしたら、地域ファンドというのはどこにあるんですか。どんな町にもこれがあるんですか。ないじゃないですか。一番最初にあるのは、支援機構ですよ。支援機構と事業体の間に地域ファンドなんてないんですよ、どこにも。地域ファンドはあくまでも、その地域で事業体に出資を求められて初めて、そのとき地方自治体、JA、金融機関、地元企業等々が出資をして、支援機構と一緒になってこのファンドをつくるということになっているじゃないですか。
これが一番最初に窓口として、地域ファンド、テーマファンドが日本全国の津々浦々に、事務局含めて、経営支援もできるような出資能力のある地域ファンドが日本全国にあるということですか。
○佐々木副大臣 お答えさせていただきます。
まずは、農林漁業者を含めた合弁事業者が事業を計画しますから、そういうものを受けてこのサブファンドというのはでき上がっていくわけです、当然のことながら。
ただし、今御指摘いただいたように、機構というのは既にでき上がっているわけですから、そこからの直接支援というのも考慮をしなければいけないというふうに思いますが、既にサブファンドができ上がっているというのではなくて、そこの事業というものが成り立たないとサブファンドというのは現実的には誰も出資をしてくれませんから、そういう仕組みだということであって、直接支援ということも考慮はしなければいけないというふうに思っております。
○伊東委員 サブファンドの問題なんです。サブファンドがなきゃこの話はなかなかできないものですから、お話しするんです。
百歩譲って、これは、地方自治体あるいは農協、漁協、地元金融機関、地元企業が出資するということになっていますけれども、近年、第三セクターで嫌なほど懲りている自治体などはこういう民間に対する出資というのは極めて限定的なものになってきているのは、農業者あるいは農協関係者から聞いたお話でありまして、これが失敗すると、あるいは十年、十五年後これが事業として失敗すると、出資決定したその当時の組合長が責任を負わされるとか、あるいは現執行部が責任を負わなければならないということになるわけです。そして、自治体だって、民間企業に出資して、第三セクターあるいはそうしたものがことごとく失敗しているものでありますから、今、地方自治体は、一々こんな民間に出資なんてなかなかしませんよ。
こうした中で、地域ファンドというのが簡単にできるようなお話をされたって、これはうまくいかないと私は思う。銀行は出資するより金を貸した方がいいと思っているわけでありますし。
今、事業体ができ上がったら地域ファンドができるような話でありますけれども、それは全然違うというふうに私は思えてなりません。地域ファンドは、本当にこれをつくるのは、今の状況の中で物すごく難しいと私は思う。しかし、私は、百歩譲って、この法案の中にこれがなければこの話が成り立たないから、あえて認めているわけでありますよ。だけれども、この事業体が、申し込み先が地元の地域ファンドだ、サブファンドだという話をされたら、これは現実にそんな話には全然ならないわけでありますから。
これは、今既に全国の市町村、あるいは主要都市でもいいです、主要地域でもいいですよ、その中にこの地域ファンドができ上がっているのであれば私は何も言いませんけれども、この事業体ができ上がったら地域ファンドをつくらなきゃならないという話になるわけですから、それはなかなか難しいと思う。
では、一市町村に三カ所、五カ所のサブファンドの必要性というか、あるいは事業主体ができ上がってきたとき、その申請窓口が、地域ファンドが三件も四件ものお話を受けるような形になるのかどうか、こうしたこともぜひお答えいただきたいと思います。
○佐々木副大臣 先ほどの答弁で少し誤解をいただいてしまったかもしれませんが、合弁事業体というものは、先ほど委員も最初の質問のところでおっしゃっておられたように、農林漁業者とパートナー企業とサブファンドとが一緒に出資をして事業体というものができ上がるわけですから、ある種、事業というものがある程度明確になってこないと、サブファンドももちろんですが、合弁事業体そのものができ上がらないわけです。そのでき上がった合弁事業体に対して機構から出資するという仕組みでありますので、事業がやや確定をするということと、この合弁事業体というものができ上がるというのは、ほぼ同時にでき上がっていくことになるというふうに思います。
○伊東委員 私はちょっと違うというふうに思います。農家があって、漁業でもいいです、農林水産漁業者、生産者がいて、販売あるいは製造に携わる別な全く違う人たちがいて、この人らがパートナーを組んで事業を起こそうというところからこれは始まるわけですよ。
では、ここに、今お話しの地元自治体、金融機関、その他企業、地域のいわゆるサブファンドが同時にこれに加わるなんていう話は、今できますか、こんな話。その地域ファンド、サブファンドたる根本がどこかもわからないじゃないですか。支援機構が乗り出すのならいいんですよ、支援機構の出先があって、私たちがサブファンドをつくりますという話だったらわかります。しかし、そうじゃないじゃないですか。支援機構はでき上がった合弁事業体にお金を出資するんだという話じゃないですか。全然違うんですよ、これは。私は、そのサブファンドの扱いというのは全く、今副大臣がおっしゃられたことを地域で実践するなんていうのは、これは不可能だというふうに思います。
この点、もう少しわかりやすく。生産者とそのパートナーが事業を決める、そこにサブファンドが、どういう形で誰がつくるのか、そして、支援機構がそこに対してサブファンドを通じて出資する、あるいは直接の資本性劣後ローンを組むことができる、こうなるわけでありますから、私は、一番大事なのは地域のサブファンドだというふうに思います。そのサブファンドが、自治体やJAや、あるいは金融機関や地元の出資金を集めてしかできないとしたら、そんな簡単な話ではないだろうという話になるんです。
サブファンドができなきゃ、このスキームは全部崩れる話でありますから、この法律の中でも、そこは、いわゆる支援の撤回という話になって、法律上もちゃんと明記されてきているわけでありますから、一番大事なサブファンドについて、もう少し明確な、設立のあり方やあるいは役割というものを明示していただきたいと思います。
○佐々木副大臣 委員と認識は一緒のつもりで私はお話をしていたのでありますけれども、事業者とパートナー、そして、先ほど委員からありましたサブファンドというところが一緒に事業を組むわけですから、計画の段階から一緒に立ち上がっていくことになるわけですね。
ですから、先ほど御指摘があった、自治体、JAというお話がありましたが、そこは幅広く呼びかけていかなきゃいけないというふうに思いますが、事業の設立と同時に三者がそれぞれノウハウを持ち寄ってやっていくということになるわけですので、そこは同じ認識で私はお答えしているつもりでありますが。
○伊東委員 何回言ってもわかりませんので、困ったなというふうに思います。
ただ一言、地域ファンドは、そんなに簡単に、誰かが中心になってできるものじゃないですよ。事業者、いわゆる生産者とパートナーが組んで事業を起こそうとしたときに、地域ファンドなんという組織がなくて、誰がこれにくっついていくんですか。誰がこれを事業主体として認める。これは支援機構の委員会が最終的に認める、大臣が認可するものですよ。その手前の段階で、生産者とパートナーが商売をやろうとして金を用意した。国と、いわゆる支援機構と地域ファンドがそれと同額出資するわけですよ。その出資するサブファンドが、その時点でその町にないんですよ。誰がつくるんですか、これ。
サブファンドという組織があるのなら、今おっしゃられたとおり、サブファンドに申請すればいいんですよ。サブファンドなんてないんですよ、これ、誰も。農協も漁協も自治体も金融機関も、みんな単独なんですよ、ばらばらで。サブファンドをつくるなんという合意を誰がするんですか。支援機構が、おまえたちサブファンドをつくれ、地域でこういう事業計画があるからつくれと言うのならつくるかもしれない、しかしそうなっていないじゃないですか。
もう少し丁寧にやらないと、こんなの、事業者、パートナーと一緒に計画があちこちで立ち上がって、それに対応できるサブファンドなんというのは全然話が進まなくてできなくて、そして全部対象外の話になってしまうと私は思います。
先ほど、仲野政務官の方から、その効果についてありました。ことし二百億、これが八百億の出資を集めることができればと。こんなことをやっていたらできるわけないじゃないですか。サブファンドという窓口とパートナーが、日本全国で、まだどこにもないんですよ。これからどうやってつくるか、どうやったらできると思うんですか、副大臣。
サブファンドというのは、ぱっとこれが組織化されて、形成されて、出資をできるような、国からのお金を、支援機構からの金を預かって、そして事業者に公的な金を出すんですよ。この組織がサブファンドなんですよ。そのサブファンドは、その地域の中に全くないんですよ。
事業者が決まったからといってサブファンドができるなんて、こんなことが言えるわけがないじゃないですか。農林中金とかあるいは何か金融機関の窓口だったら、これはいいかもしれません。だけれども、このサブファンドはそんな簡単にできるようなものでないし、あるいは、事業主体ができたからといってサブファンドがすぐ形成されるようなものでは全くないというふうに私は思います。
一番の懸念はここだと私は思っておりますので、この点、もう一度、ぜひ理解していただいて、御答弁をいただきたいと思います。
○佐々木副大臣 お答えさせていただきます。
私どもも、そんな簡単にでき上がるというふうに思っているわけではありません。もちろん、農業者とパートナーとサブファンドというのは一緒に事業計画を組んで一緒にやっていくので、今までの融資とは違って、出資という形でお互いが出資するわけですから、そういう形で新しい事業に取り組んでいく、あるいは地域の活性化にも寄与するという目的でやっていくわけです。
ただし、そんなに簡単にこの事業体ができ上がるというふうには思っておりませんが、最大限の支援、助言はしていかなければならないというふうに思ってございます。
○伊東委員 この問題ばかりしゃべっていて、あと、たくさんあったんですけれども、時間がなくなってしまいました。
いずれにしても、この後、江藤議員に残り時間で詰めていただきますけれども。農林漁業者にとって自分のせっかく生産したものが高付加価値化がなされる、あるいは販路が大きく拡大できる、こうしたことに資本の増強が必要だということからこのファンド法案があるというふうに思いますので、生産者たちが本当にこの制度を十二分に活用できる方策を法案にしていただきたい、こういうふうに思います。
私は、その最大のネックが地域ファンドにあるというのは、前々から、この話を聞いたときからそれを思っておりまして、ちょっとこだわっていたものでありますから。先ほどの答弁、一緒につくり上げていくというのは、私は違うと思う。
農業者がパートナーと事業化をしたときに、それとこの地域ファンドが一緒に組んでという話でありますけれども、地域ファンドがそこにあるのなら、相談しながら一緒に、金を出してくれるか、あるいは、事業化するのに相談に乗ってくれるかという話になるんですけれども、そのとき、地域ファンドというのはないんですよ。漠然としたものなんですよ、地域ファンドというのは。これは自治体も出すだろう、農協も出すだろう、漁協も出すかもしれない、地元の金融機関も金を出してくれるかもしれない、全部これは不確定な、極めて不安定なお話で推移しているというふうに私は思います。
ですから、これを当てにしなきゃできない、これがなければ認可されない、この地域ファンドがなければ話が進まないというこの法案については、この地域ファンドのところだけが最大の問題だというふうに指摘をし、そしてまた、これについての改善というか使いやすさをもう少し御研究いただいて、私の質問を終わりたいというふうに思います。
ありがとうございました。
○吉田委員長 次に、江藤拓君。
○江藤委員 自由民主党の江藤拓でございます。
伊東委員に続きまして、本日は、株式会社農林漁業成長産業化支援機構法案、いわゆる六次化ファンド法案について、集中的な質疑をさせていただきます。
農林漁業者がこれまで果たしてきた役割につきましては、伊東委員が極めて精緻にお話をしていただきました。この方々が伝統文化をきちっと守って、根づくスキームの一つとして、このファンド法はできるべきだというのが私の認識であります。
これを最初に私が聞いたのは二月でした。農林水産省から局長、課長さんがたくさん来られて、いろいろ説明を精緻にしていただいたわけでありますけれども、そのときに私の耳に強く残った言葉があります。それは、これは出資ですから、出資した、いわゆる主たる経営者である農林漁業者の方々にも当然リスクを負っていただきます、出資ですからリスクは当然あるのですということを、繰り返し繰り返し私に言いました。
普通に営農していても、畜産でも林業でも漁業でも園芸でも、それはリスクはあります。別に、出資をしなくても、自分で投資をする場面も、借金する場面もあるわけですから。だけれども、こういう出資とかファンドという、ハゲタカファンドとかいろいろな言葉があるじゃないですか、こういうものが農林水産業のいわゆる世界になじむのかどうか、私は最初のときからちょっと不安な気持ちを持ったということであります。
そしてまた、先ほど伊東委員からお話ありましたけれども、平成十四年に、これは法律によってきちっと担保をされているアグリビジネス投資株式会社があるわけで、そしてまた投資円滑化法というものがあるわけですね。こちらをもっと充実、補完して使いやすい制度に改めていけば、政策金融公庫ももっと生かすとか、そうすればもっとうまくいくんじゃないか、私はそういうふうに思ったわけであります。
しかし、正直、私は大反対からこの議論に入っていったわけでありますけれども、いろいろ気持ちが変わるわけであります。というのは、まあ、聞いてください。東北のようなところ、全て被災してしまったところ、こういったところは、新たな農業の形態をつくるには一つのモデル的な地区になり得る場所であります。ですから、こういうところで、もしかしたら使えるかもしれない。ただ、それを見たときに、ポンチ絵の一番右のこの主たる農業者の方々は、根こそぎやられてしまったわけですから、資金的から農地から何から、こんな人たちに出資できるお金があるはずがない。となると、やはり東北でも使えないのかなという気がします。
しかし、企業経営的な農業をやっている方のところも、私、大分現場を見に行ってきました。そうしたら、これからいい農業をするにはやはり資金が必要なんですね。ある方は百四十カ所の農地を持っています。集約できていないわけです。だけれども、最低限の人間で管理をしなきゃいけない。だから、ITを導入しています。農地に動画が見られるカメラをつけて、そして、畑には、pH値も出る、水分量も出る、施肥した農薬、どれぐらい土中に伝播しているかも、そういったものが全部数値としてグラフとして出る。それが本部の会社に全部集積されて、これが次の経営ノウハウに伝わっていくんです。
これはすばらしいと思いました。すばらしいけれども、やはりネックは金なんですね。さらに出資者を募らないと、これ以上の設備投資は苦しいと。そして、これは何がいいかというと、農業というのはやはり職人の世界で、どうしてもいい技術を持っている人間じゃないといい品物はつくれない、そういうものであります。
しかし、クラウドの中にこの農業技術をデータ化して蓄積していけば、今、新規就農支援事業をやっておられるでしょう、そういった方々にこれを利用していただくことで、それほど農業経験が豊富でない方も、なるべく早い時期からいい生産物をつくれるような農業ができるんじゃないか。こういうところには、もしかしたらこういうスキームはいいのかもしれない。ですから、前の委員会のときに私は六十点と言ったんですよ。本当は三十点と言いたかったんですけれども。ぎりぎり、赤点すれすれ。ただ、伊東先生も今言われたように、これにはいろいろとやはり直すべき点、懸念すべき点がたくさんあると思います。
我々は、この六次化法案について、党内で二月二十九日から議論を始めました。九回やりました。大体一回二時間ですから、もうこれで十八時間やっているわけですね。これは、農林部会だけでやったわけではありません。財政金融部会の正副にも入ってもらって、財政金融の観点から見た場合、この法案はどういうものなのかと。かなりやはり農林族と財政金融族では見方は違いますよ。でも、それはとても大事なことだと思います。
かなり対立する議論もありましたけれども、我々はようやく、その後、農林部会で、役人は一切入れないで、農林幹部だけで十回以上さらに会議を重ねて、そして、先週、修正案をお示しさせていただいたわけであります。そして、七月二十六日、平場の農林部会、これは全員、誰でも議員は参加できるわけですけれども、そこでもう一回議論をして、説明をして、自民党所属議員の承認を得て、昨日の火曜日、党内手続が終わったということであります。
ですから、精緻に精緻を加えて、ある方は、修正されると聞いたけれども何か答案用紙で言うと真っ赤っかになって返ってきちゃったと言われましたけれども、意地悪でやっているんじゃないんですよ。真面目に取り組もうと思って頑張ったから、これだけ修正の部分がふえているということですから、その点は、評価してくれとは言いませんが、私はきちっと受けとめていただきたいと思います。四カ月かかりましたから、ここに至るまで。
これは、私たちは地域政策の一つのツール、民主党の議員の方からも先ほどありました、地域政策と産業政策、このバランスはとても大事です。地域がだめになってしまったら、話にならない。これは、やはり地域政策の一つのツールとして私たちはやっていきたいというふうに思っております。この法案が、やはり多様な農業の一助となれば、これは大変結構なことです。
ただ、さっきの繰り返しになりますけれども、リスクを負ってもらいます、リスクを負ってもらいます、リスクを負ってもらいます。片っ方では戸別所得補償なんでしょう。片っ方にはリスクを負ってもらいますよというスキームでしょう。この政策の一貫性がなじみますか。私は考え方がおかしいと思いますよ。片っ方にリスクを負ってくれ、片っ方は所得補償すると。何かちょっと変だなと、やはり違和感がいまだに私からは拭われないわけであります。
ちょっと、きょうは農水省も来ているようですから、三役にも言っておきますけれども、白書もひどいですよ。どうして、二〇一一年度の白書に、これがあたかももうこの委員会の審議も終わって国会の承認も得たような書き方をするんですか。どれだけ農林水産省、そして今の政府が、この法案を何が何でもごり押しでも通してしまおうという強い意志が私はここには見えます。何でそこまでやるのかと思いますよ。これは閣議決定するんですよね、白書って。閣議決定をして出した白書を訂正しなきゃならなかったんですよ。販売中止しなきゃならなかったんですよ。当然お金も余計にかかっちゃったんです。啓蒙活動にもお金がかかりましたね。この責任は大変重大だということも指摘をさせていただきたいと思います。
嫌みったらしいことはこれぐらいにしまして、では、条文に従って若干質問させていただきたいと思います。
まずは、第一条の「機構の目的」、これは大事です。機構は何を目指すのか。何のために機構が立ち上がるのか。この部分の書きぶりというのはこの法案の肝となる部分でありますので、大臣のお考え、短くですよ、何のためにこの機構が立ち上げられるのか、この目的についてのお考えをお述べください。
○佐々木副大臣 機構について、何のためにというお話をいただきました。自民党の中におかれても大変熱心に御議論いただいたということは私も承知をしてございます。
今委員からもいろいろ御指摘をいただきましたが、一つには、農林水産物の付加価値をどう上げていくかということと、もう一つは、地域での生産活動というものをどう広めていくかという、やはり両面のところにしっかり配慮しなければいけないというふうに思ってございます。
民間の資金ノウハウというものを活用してやっていこうという支援機構でありますので、具体的には、政府と民間が共同して投資を行うということを通じて、加工、製造、販売、観光その他産業の販路ノウハウを活用した、農業者が主導して行う加工、販売の新たな事業を育成するというものであって、地域の農林水産業を軸とした産業興しを進めるということで、農林漁業者の所得向上と農山漁村の雇用創出を図るということを目的とさせていただいているところであります。
○江藤委員 今副大臣が言ったことは、法案を読んでいただいたということですね。そういうことを聞いたんじゃないんですよ。法案を朗読してくださいという質問ではありませんので。
ただ、やはりこの「機構の目的」は、きちっともっと内容を私は濃くすべきだと思います。その目的の中には、今言われました農山漁村の活性化や我が国農林業の安定的な成長、発展を図ると。これはイメージ的な感じですよ、何となく。何となくイメージだけ雑駁に書いてあるなという感じが私は否めません。ですから、きっちりと、農林漁業者の経営の安定、そして向上を図るために機構が立ち上がるのだということを、この第一条の一項にきちっと書いた方がいい。
そして、先ほど伊東先生もお話がありました地域との調和、これは大事です。アグリ社法に基づいてやった人もいます。例えばお茶農家だったら、自分で製造して加工して販売までやっている人はたくさんいますよ。そういう人はトマトでもいます。そして今度は、新規就農支援で新しく農業に参入する人たちも地域に生まれてくるわけじゃないですか。そういう人たちとその地域の中でうまく調和してお互い高め合っていくようなものにならないといけない。機構が支援する人たちだけがどんどん伸びていけばよいのだというような考え方は、私はまずいと思いますので、地域との調和への配慮という文言はとても私は大事だと思っております。
それから、農林漁業者の所得の確保、一次産業、二次産業、三次産業、全てウイン・ウインの関係にならなければなりませんが、やはり主体は農林漁業者であるということがやはり基本であることを忘れてはならないので、こういった文言も入れてほしいというふうに思っております。
そしてまた、二十二条の支援基準、ここには、「農山漁村における雇用機会の創出その他農山漁村の活性化に資するよう配慮されたものでなければならない。」というふうに記されておりますけれども、これは支援基準なんです。支援基準というよりも、この「機構の目的」の中にこれは入れてしまった方がもっとすっきりとするというふうに私は考えております。
大臣、御感想があればお聞かせください。
○郡司国務大臣 目的のところを読んでいただきましたから余り繰り返しをいたしませんけれども、「農山漁村の活性化を図る」というような文言がございます。その中に、御指摘をいただいたような農林漁業者の経営の安定あるいは向上、地域との調和というようなことを入れておいた方がよろしいだろう、また、その支援基準でありましたか、その中にも「農山漁村」というような記載があるけれども、農林漁業というような形の言い回しの方がより即するのではないか、こういうような御意見だというふうに思っています。
私どもも思いは同じでございますけれども、このような形で提案をさせていただいて、それぞれの各党の間の御協議の中でその趣旨に沿ったような形を残していただければ、私どもとしては異存がないところでございます。
○江藤委員 大変ありがとうございます。そのように、よろしくお取り計らいをお願いしたいと思います。
それから、機構の目的について、もう一つだけちょっと指摘をさせていただきたいんですが、昨日も福島におきまして、原発問題、意見の聴取会が開かれましたね。やはりこの問題は我々も、農林水産委員会といえ、真っ向から向かっていかなきゃいけないと思うんですよ。原子力発電に過度に依存しないということに、我々も一助とならなきゃいけない。これも私は生かされると思うんですよ、この法案の中で。
七月から新エネルギーの買い取り制度もスタートしたわけでありますから、そしてまた、農林漁業を成長産業というふうにこの法案の中では書いてありますね、成長産業なんだということであれば、バイオマス発電とか、それから小水力発電とか、農山漁村にある、いわゆる材であるとか、そういう再生可能な資源を生かすんだということを目的の中にやはり書き込んでおいた方が私はいいんだろうというふうに思います。いわゆる再生エネルギーの開発、供給または需要の開拓、こういう文言が適切だと思っておりますので、特に答弁がなければいいですけれども、ありますか。
○郡司国務大臣 御指摘いただいたことは、一つ一つ、私どもも理解ができるところであります。
問題は、法文にする場合に列記をするような形になりますと、逆な意味で、漏れるものがあったときに大変複雑な形になる。それよりは、大くくりの文言でもって全てが包含されるような形がこれまでも多かったというようなことがありましたけれども、一つ一つ、必要なものについて列記をする、そのことによって他への影響が及ばないというようなことがあれば、それはまた国会の中で御理解をいただければというふうに思っております。
○江藤委員 法律をつくる上で第一条の第一項というのはこれはもう顔ですから、この部分にきちっと書いてあると、何とか等の中で読んでくださいというのときちっと書いてあるのでは全然、受けとめる方の受けとめ方は全く違いますからね。確かに大臣の御指摘もわかりますけれども、私は書いた方がよいというふうに思っております。
そして、機構は会社法の特例に基づいて設置される株式会社ですね。素朴な質問をさせていただきます。代表取締役は当然いるわけですけれども、この代表取締役というのは誰がなりそうな感じですか。そういうイメージをお持ちですか。お答えください。
○針原政府参考人 お答えいたします。
代表取締役につきましては、地域の振興をよく考え、金融の知識があるような立派な方を、これから大臣の御指示のもとで選んでいきたいと思いますが、一つだけ。民間から出資を仰ぐということでございますので、天下りというようなことになりますと、なかなか誰もお金を出していただけない、そういうことだけは避けていきたいと思っております。
○江藤委員 取締役と社外取締役もつくらなきゃいけないわけです。これは、委員会の構成メンバーも取締役から構成されるように法案上なっていますからね。やはり株式会社というのは、トップに誰が立つかによって方向性が大きく変わるじゃないですか。
いわゆる、このポンチ絵で見ていただくと、この農林漁業者の方々に対して理解のかたい方がなるのか、それとも下のパートナー企業に対して極めて理解が深い人になるのか。もっと言っちゃうと、パートナー企業とこの一番左側の民間の出資、食品企業が同じである可能性も、これは否定できないわけですよ。そういった場合に、この代表取締役、これを誰が選ぶかというのはとても大事ですよ。
九条のところと十二条のところに、機構の取締役及び監査役の選任及び解任の決議は農林水産大臣の許可を得なければその効力は生じないと書いてあるんです、はっきり。大臣の責任は重大なんですよ。上がってきたからといって、めくら判なんか押しちゃだめなんですよ。よっぽど精緻に一人一人、検査をしてやらないと。もしかしたら、私の推測ですけれども、農林水産省の中に準備室みたいなのができて、そのままずっと来て、これは天下りだなんという話になったら、もう世間からもぶったたかれますよ、こんな機構なんて。大変なことになりますよ。そういうことにならないように、きちっとしなければなりません。
ですから、大臣、大臣の責任は極めて大事なんです。何事も入り口を間違えるとどうにもなりませんので、機構の代表取締役、社外取締役、それから取締役、この選任については重大な決意を持って臨んでください。
それでは、第三条の一項、政府は、常時、機構が発行している株式の二分の一以上に当たる数の株式を保有しなければならないというふうに書いてあります、三条の一項にですね。
しかし、このポンチ絵をまた見ていただきたいんですけれども、これだといかにも国がたくさん出して、民間等はほんのちょっとしか出さないように見えますが、二分の一以上ということしか書いていないわけですから、これは五〇対五〇でもいいんですよ、法律上は。だから、これが同じ大きさでもいいんですよ。
そうなると、同じ大きさになれば、機構に対する影響力、意見発信力、物すごくここの出資者は強くなるわけです。金融機関になるのか食品産業になるかわかりませんけれども。やはり、ここはきちっとバランスをとらないとまずいと思いますよ。国と民間企業が五分五分の出資比率だ、それを許す法案になっていますから。二分の一以上に当たる株式を保有しなければならないしか書いていないんですから。
この点について私は若干不安を持っておりますけれども、このことについて、私の指摘に対する大臣の御所見があればお答えください。
○郡司国務大臣 五〇、五〇というようなこともできるではないかということでございますけれども、一応決まりの上では、機構の株式の二分の一以上を国が保有をするということがございます。
加えまして、支援決定等の重要な意思決定は、出資構成とは独立をして、いわゆる第三者委員会、農林漁業成長産業化委員会において、その委員によってなされるという予定でございまして、機構に出資をした民間事業者が機構の中でその持ち分に応じた役割を果たすということにはなろうかと思いますけれども、かといいまして、完全に五〇、五〇、あるいはその決定権がというようなことではないようにしていきたいというふうに思っております。
○江藤委員 大臣、そういうことを言っているんじゃないんですよ。さっきの話にこれは戻るんです。
多額のお金を民間企業が機構に出資した、そうすれば、企業としては当然取締役を受け入れろと言いますよ、出資しているんですから。民間の株式会社は、これはもう営利企業ですから、これだけの、例えば百億なりの金をどんと出資もして、それで役員も要りません、ただ黙ってお金だけ出しますなんて、そんな、生っちょろい世界じゃないじゃないですか、ビジネスの世界は。
そして、このことについてはもういいです、もう一つ聞きたいことがあります。
この出資についてお聞きをします。この一番左の「民間等」というところ、これは法律に全く規定がないと私は思うんですけれども、そういうことであれば、外国の企業であっても、これは出資するというふうに手を挙げればオーケーということで理解していいですか。
○針原政府参考人 機構への出資に関しましては、今御指摘のとおり、法律上は特段、外国企業からの出資を制限しておりません。
ただ、国内の六次産業育成という、こういう高度な公益的な、高い政策性に基づくファンドでございますので、外国企業による出資は私ども想定していないところでございます。
○江藤委員 では、局長、認めないということですね。
○針原政府参考人 この構成につきましても、大臣の監督下にございますので、そのようなことは想定しておりません。
○江藤委員 想定していないことが起こらないように法律はきちっと書かなきゃいけないんですよ。我々は立法府の人間ですから、こういう法律をつくっちゃったけれども網を抜けられた、それでは我々の責任ですよ。そのことを一応ここでは指摘するまでにとどめておきたいと思います。
次に、二十一条、ここが一番の問題です。委員の方々も二十一条を読んで、もう何だか意味がわからなくて頭が混乱された方が多いのではないか。特に、この一項なんかは非常に難しいですね。出資する対象事業者の定義についてお聞きをしたいと思います。
条文によりますと、民法や商法などさまざまな法令に基づいて設立された団体に出資するということになっております。この対象事業者というのは、この配っているポンチ絵でいうところの、黄色のサブファンドをあらわしているのか、それとも、ブルーの六次産業事業体を指しているんですか。これは念のための質問ですけれども、御答弁ください。
○針原政府参考人 二十一条第一項第一号の括弧の中の、いろいろ今御指摘の、列記されているところ、これはサブファンドを想定しております。
○江藤委員 今、局長が言ったとおりなんですけれども、委員の皆さんも見ていただくといいんですが、括弧の中に書いている部分がサブファンドを指しているんですよ。そういうふうに素直に読めますか、皆さん。私が法律に疎いから読めないのかもしれませんけれども。私、三十回ぐらい読んだけれども、うまく理解できませんでした。だから、二十一条はもうちょっときちっとした直し方をした方がいいです。
そして、言いますけれども、農林水産関係事業体とサブファンドは別のものですね。これだと一くくりみたいな書き方になっちゃっているわけですよ。ですから、法律を書くときには、これは別々に立てた方が私はすっきりすると思います。
どうも、内閣法制局、ここを通らなきゃいけませんので。いわゆる産活法がありますね、産活法の条文にそっくりなんです。そのまま移植してきたかのように、生き写しのような条文になっています。ですから、もうちょっと法律をつくるときには知恵を出してつくらないと、こういうわかりづらいものになるということを指摘させていただきたいと思います。
第二十一条の一項は、対象者に対して出資することになっております。またこのポンチ絵を見ていただきたいんですけれども、機構からサブファンドに出資はできますけれども、六次産業事業体に対しては、伊東先生もおっしゃいましたように、資本性劣後ローンしか出せないというふうにこの絵はなっていますよね。先ほども言いましたけれども、第二十一条一項の定義では、農林水産関係事業体なのかサブファンドなのかよくわからない書きぶりになっているんですよ、政府原案は。
副大臣、結局、機構は、先ほどいろいろ議論になりましたけれども、農林水産関係事業体に直接出資できるんですか。さっき、できるかのようなことをおっしゃった。できるんですか。確認のために答えてください。
○佐々木副大臣 法律上は直接出資もできるということでございます。
○江藤委員 そのとおりです。二十一条を素直に読めば、直接出資がこれは可能なんですよ。
ですから、極端な形をいえば、サブファンドなんかなくても、直接出資を行えばできてしまうというような法文の書きぶりになっているんです。二本立てですね。
ただ、ここで問題なのは、法律上は農林水産関係団体にも直接出資できる、副大臣の言うとおり。だけれども、平成二十四年度の予算二百億については、財務と話をされたでしょう。そうしたら、六次産業事業体に直接出資するようなお金は準備するつもりはないということではないですか。
法案では直接出資ができる法案を閣議決定して提出しておきながら、でも、法律が国会を通ったら、お金はありませんと。委員の皆さん方、これは何かおかしいと思いませんか。変ですよ。
御感想があれば、お聞かせください。
○針原政府参考人 事実関係を短く御説明いたします。
この条文は、先ほど御指摘のとおり、例文を参考にしております。その例文は産業革新機構等々がございますが、産業革新機構の場合も、この機構とは逆に、両方読めるような規定を法律上置きながら、実際の当初の予算は直接出資を想定した予算を講じている、この逆の例がございます。
私どものファンドがなぜサブファンドを主体にするかというと、地域の細やかな、地域に根差した案件を一つずつつくっていきたい、こういう思いから、サブファンドを通した出資が企業とは違って望ましいだろうということでそうさせていただいたわけでございます。
○江藤委員 伊東委員との質疑の中で副大臣が、機構からの直接出資も考慮すべきだということを先ほどはっきり言われましたね。そして、サブファンドもそう簡単にできるとは思わない、伊東委員の追及に対してそうお答えになりましたでしょう。ですから、直接出資というものがやはりどうしても必要になってくるんですよ。
もっと言ってしまえば、民間企業がこの地域サブファンドにお金を出すんじゃなくて、民間企業も六次産業化事業体に直接お金を出した方がすっきりするんですよ、この絵でいえば。サブファンドの下に出すよりも横に出した方が、そうしたら、営農指導もしやすいし、経営指導もしやすいし、関与もしやすい。
この話をしていると全然先に進みませんので、次に移らせていただきます。
引き続き、第二十一条の一項についてお聞きをしますけれども、条文の中に「外国の法令に基づいて設立された団体」というふうにありますけれども、これは、国から出資とか貸し付けを受ける機構が外国の法令に基づいて設立された団体と一緒にやるということですか。これはちょっと違和感を感じるんですが、これについて御答弁をお願いします。
○針原政府参考人 ただいまの御指摘でございますが、その列記の中に、外国企業、外国の法令に基づいて設立された団体も含まれております。これも類似の制度に倣ったものであり、外国企業を殊さら位置づけている、そういうものではございません。
したがいまして、サブファンドに対する政策目標に合致しないような外国企業は、当然出資の対象にはならないと考えております。
○江藤委員 局長の答弁は役所の答弁で、理解はしますけれども、こういう法案が通るのであれば、我々はTPPに対してさらに慎重にならなきゃなりませんよ。
最初に言いましたけれども、このスキームの中で、ここになるべく入れることは想定していないと言っていました。そして、今、このサブファンドに対して入ってくることも想定していないような答弁でしたね。だけれども、TPPが通ればISD条項があるんですから。我々を排除するのかとやられたら、訴訟を起こされたら、日本はすぐ負けますよ。
このことは、この法案を通すということであれば、我々は、さらにTPPに対して慎重に対応していかないと、どえらいことになる。日本の一次産業、二次産業、三次産業のためにつくったはずのこの法案、新しい法律が、受益者が外資であったということでは、お話にならない、笑い話にもなりませんからね。このことは、指摘するにとどめさせていただきたいと思います。
サブファンドがどのような組織が対象になるのか、伊東先生がおっしゃるとおり、いまだにはっきりしてこないですね。こうなると、純粋に農林水産業を頑張っている人たち、このポンチ絵の右の農林漁業者の方々が、何となく時間がたつにつれてないがしろにされてしまうんじゃないか。大体、農業をやっている人、漁業をやっている人、林業をやっている人、みんな善人ですから、企業家のようにビジネスの世界で切った張ったはやっておりませんから、土とともに生きるとか、そういう人たちですよ。そういうことにならないかという懸念がやはり私たちの中にはあります。
法律には、機構がサブファンドに対して指導や勧告をする権限、これは書いてありません。しかし、機構がサブファンドに対して出資を行っておるわけでありますから、これはサブファンドが暴走しないようにしなきゃいけない。指導、勧告、そういったものを法律にきちっと書いた方がいい。これは伊東先生も先ほど述べられましたが、私も思っているわけであります。
そしてまた、国がサブファンドに対して、報告徴収とか立入検査、こういったものも必要に応じてはきちっとやれる体制を整えたような法律にすべきだと考えますが、御答弁があればどうぞ。
○郡司国務大臣 いろいろと御指摘をいただいております。
また、その中で、今の御指摘でございますけれども、農林水産大臣の関与の部分というのが相当多いわけでありますから、そこのところはきちんとした判断で行うようにしなければいけないということを、これまでの中の話として申し上げたいと思います。
今回の監督の関係でございますけれども、不適切なサブファンドにより政策目的が損なわれることのないように、農林水産大臣が、機構が支援対象のサブファンド等を決定するに当たって従うべき基準を、いわゆる支援基準でございますけれども、定めるということにしております。さらにまた、機構がサブファンドに出資をしようとする際の農林水産大臣の意見等の関与を規定しているところでございます。
また、サブファンドの形成後、機構を通じて恒常的な業務状況の把握を行うことなどによりまして、サブファンドの適切な業務執行を確保していくという考え方、これに立って行っていきたいというふうに思っております。
○江藤委員 大臣の答弁は正しいんですが、私たちが考えている修正は、さらに大臣には頑張ってもらわなければいけないという内容になっております、御存じのとおりだと思いますが。
まだ言いたいことがありますけれども、次に移らせていただきます。
これだけはちょっと申し上げておきます。
私がどうしてこうやってしつこくこういうことを言うかといいますと、独立行政法人の中小企業基盤整備機構、これが五つの投資ファンドをつくって中小企業の支援を行ってきた歴史があります。これは農水じゃありませんけれども。それで結局どうなったかというと、効率化を図るために平成二十二年七月に事業の再編を行いました。五つ立ったファンドのうちの三つを一つに統合しちゃおうと統合しちゃったんです、運用がうまくいかないから。そして、一つだけが現状のまま生き残りました。そして、一個はポシャっちゃったんです。ポシャる確率が二〇%だったということですね、五つのうちの一個が潰れちゃったわけですから。
これが名前を何と言うかというと、地域中小企業応援ファンドというんですよ。名前が似ているでしょう。地域ファンド、地域中小企業応援ファンド。何か嫌な感じがするわけですね、名前がよく似ているので。まあ、分野が違いますから、それを名前が似ているからといって一くくりにするのはおかしいというふうに思われるかもしれませんけれども、我々は立法府の人間として、こういった過去の失敗例にもきっちりと目を向けて、だから、監督とか報告徴収とか運用の是正とか、そういったものに国がやはり目を光らせなきゃいけない。全ての事業体に対してやるのは難しいと思いますよ、たくさんできれば。でも、その責任から逃げてはいけないということを私は言いたいわけであります。
原案の中では、支援対象先の事業状況の評価、検証するシステムが法律上では担保されておりませんね。私は、例えば、委員会では評価、査定をきちっと行った方がいい。どんな事業でも、補助事業でも何でもそうですけれども、それがどれだけの政策効果が上がっているのか、その評価を行って、今後の支援、それから次に立ってくるであろうサブファンドとか事業体の立ち上げのときの一つの参考に使うように、反映されやすいような、そういう条文を法案の中に書いておくべきだと私は考えますが、いかがでしょうか。
○佐々木副大臣 お答えいたします。
大変重要な指摘だというふうに思ってございます。活動状況が適切に評価をされて、それが次の業務執行に反映されるという御指摘であります。
我々は、委員会が中立的、客観的な立場、しかも合議制の決定機関ということから、その中立性というものに鑑みて、活動状況の評価がそこで適切に行われるというふうに考えたところでございます。
○江藤委員 そういうことで今回はよしとさせていただいて、ちょっと時間が厳しくなってきたので、次に移らせていただきます。
二十二条の一項、支援の対象について触れたところです。これについては伊東委員が大分精緻にやっていただきましたので深くは申しませんけれども、「農山漁村の活性化に資するよう配慮されたものでなければならない。」というのは、これは努力義務なんですね。努力義務でありますから、私は若干これは内容が薄いかなという懸念が条文を読んでいてあります。
ですから、やはり、伊東先生が言われたように、指導者の確保とかファンドの選定、監督、この部分についてはきちっと二十二条の一項に入れておいた方が丁寧だろうというふうに私は思います。これはもう答弁は求めません、さっき伊東先生にお答えになられたので。
先ほども言いましたとおり、二十二条の今度は二項ですけれども、「配慮されたものでなければならない。」という部分があるわけでありますけれども、その中で、農林漁業の健全な発展に資するものであること、このことにも配慮しなきゃいけないと思います。それから、前とちょっとかぶりますけれども、農林漁業者の所得の確保に資するもの、この部分にも配慮すべきです。
そして、支援が農林漁業者の意向を尊重するもの。ポンチ絵でいうと、時間がたつにつれてだんだんだんだんこの六次産業化パートナーの意向が強くなってくるんです。こういったものをつくれ、品目を変えろ、これぐらいのコストでつくれ。ここの意向が強く強く働くようなことじゃなくて、あくまでもこの人たちが主体となって事業体の中でやって、この六次産業化パートナーの皆さん方は、善意の方々、金もうけでやるのではないのだ、社会貢献の一環ぐらいの気持ちを持って六次産業化パートナーになってもらわないと、私は、これで一もうけしてやろうという考えで入ってきてほしくないんですよ。企業のためのものではありませんからね。その部分をきちっと担保していただきたいと私は思います。ここも御答弁いただきたいですけれども、ちょっとあと何分しかありませんので、次に移らせていただきます。
このポンチ絵では、サブファンドには市町村も出資することになっておりますけれども、伊東先生が指摘をされました。私、地元に帰って、農協もずっと回りましたし、いろいろな方の意見を聞きました、市町村長の意見も聞きましたけれども、これはやはり金は集まらないですよ、そう簡単には。そうなりますと、どういうことになるかというと、伊東先生の御指摘のとおり、今はないわけですから、地域ファンドができないという事態が起こってしまうわけですね。このポンチ絵の右側はできたけれどもここができないという事態が起こるわけです。そのときに何が残るかというと、ポンチ絵にあるテーマファンドというものが残るんですね、地域ファンドの下に書いてあるテーマファンド。
このテーマファンドというものは、どういうものを大臣はイメージしていらっしゃいますか。とても大事です。
○佐々木副大臣 先ほど来御質問をいただいてございますが、一つには地域性と、もう一つには、地域特産といいますか、テーマファンド的なものを想定しているわけであります。特定の高付加価値農産物の全国リレー出荷、あるいは輸出などの国際事業展開など、地域の枠を超えて特定のテーマを推進する、専門性の高い人材やネットワークを有するファンドというものを想定しております。
○江藤委員 副大臣の言うとおりなんです。地域に密着していないんです。全国規模なんですよ。
例えば大麦若葉であれば、どこでつくられてもいいわけです、品質さえ保たれれば。地域の特性を生かした農業を我々はやりたいわけです。ということであれば、サブファンドはやはり地域の人たちが中心となって出資してくれないと、私はスキームとしてすごくおかしくなると思いますよ。テーマファンドを中心に組み立てるんだったら、多分このスキームは立ちます、全国規模のものですから、枠を超えているわけですから。今副大臣が言ったとおりですよ。
これは、大臣、法律が施行された後、どういう人たちがここに入るのか。これがテーマファンドばっかりだったら地域の特性が生かされた農業には決してならないのではないかという懸念が私はありますので、ここの点は指摘にとどめさせていただきたいと思います。
ここで、ちょっと法律から離れて申しわけないんですが、私が頭の中にひっかかっていることがありますので、一つ聞いておきたいと思います、この機会ですから。
これは、農林水産関係事業体、この青のところが利益を上げた場合には、サブファンドも農林漁業者も六次産業化パートナーも出資をしているわけですから、何らかの見返りを求めますよね。農林漁業者については六次化法の中で特典があるわけです、十分に農産物等を買い上げるという項目があるじゃないですか。だけれども、この人たちに対して、途中の期間で出資に見合った配当とか、そういったことというのはあり得るんですか。念のため教えてください。
○針原政府参考人 利益が出たときにそれをどう配分するかというのは、この会社の決定でございます。
その際に、議決権の過半以上を原則この農林漁業者が持つということで、それを原料価格に上乗せするのか配当にするのか、これはこの会社の独自の判断になるわけでございますが、事業設計上、成長段階でなかなか資金需要が高いような時期は配当を抑えて、安定した場合に配当をふやしていくような、そういうような指導の仕方をしていきたいと思っております。
○江藤委員 ですから、今言われたとおり、ファンドとはいっても、利益追求型のファンドになっちゃいけないんですよ。とにかく運用利回りを上げていくんだ、そういう趣旨でやっちゃいけないんです。利益が上がったら、もっと高く農産物を買ってあげましょうとか、そして、もっとお金が出てきたら、もうちょっと農地をふやすであるとか機械に投資をするとか、そういった運営の仕方をしていかないと、私は問題が出てくるのではないかなというふうに思います。
あと、もうちょっとになってしまいましたので、お尋ねをさせていただきたい点はまだいっぱいあるんですが、では、この点をお聞きします。
前に農水省の局長から説明を聞いたときに、この主たる農業者、東北の話をしましたけれども、そんな、キャッシュをフローで持っている人というのはそういないですよ、現金なのかという話をしたら、現物出資でもオーケーですという説明を私は何度も受けましたけれども、今でもそれは変わっていませんか。
○針原政府参考人 現物出資も想定されるところでございます。
○江藤委員 現物出資であれば、それをどう評価するかという問題がまず出てきますね。果樹園であったり畑であったり施設園芸であったり、どれだけの投資をして今日まで至ったか、それを誰がどのように評価をして、幾らとして出資金額として評価するのか。現物出資であれば、ここもきちっと考えておかなきゃだめですよ。
そして、もっと私が心配するのは、現物出資をしてしまうと、先ほど民主党の委員の方からも質問がありましたけれども、ポシャることもあるわけですよ。ポシャったときは、現物出資した先祖伝来から受け継いできた農地とか畑とか、そういったものがとられちゃうわけですよ。とられちゃうというか、パアになっちゃうわけですよ。出資分がパアになるのは当たり前ですから。そうなると、地域の崩壊の引き金を引く一つの原因になる可能性、可能性ですよ、そうならないようにしなければなりません。
先ほど言いますように、このファンドというのは営利目的のファンドではなくて、あくまでも地域の皆さん方が力を合わせて、地域全体で盛り上がっていこうという理念を持った事業体と一体となったものでなければならないわけですから、そのことは指摘をさせていただきたいと思います。
終わりの時間が来てしまいましたので、しようがないですね、これで終わりにしますけれども、とにかく、この新しい法律をつくるということは、立法府に身を置く人間としては、非常にだいご味があるというか、非常にやりがいのある仕事だと思います。ただ、つくってしまったらあとは知らぬよということでは、これは大問題です。つくった人間は責任をとらなければなりません。いろいろなリスクもあります。
短い質疑時間ではありましたけれども、いろいろな問題点も浮き彫りになったと私は思います。何のための法律なのか、誰のための、何を目的としたものなのか、そういったことを我々は忘れずにいかなきゃならないと思います。
そして、附則のところに五年間というふうに原案は書いてありますけれども、五年は長いですよ。新しい取り組みをするときには、やはり問題が起こったら、例えば一年目であっても二年目であっても、果断に直すべきところは直していくんだという姿勢が必要だと思いますので、我々の考えとしては三年を目途ということになっておりますので、その点も指摘をさせていただきます。
どうもありがとうございました。
○吉田委員長 次に、菊池長右ェ門君。
○菊池委員 国民の生活が第一・きづなの菊池長右ェ門であります。
きょうは、株式会社農林漁業成長産業化支援機構法案、いわゆるファンド法案につき若干質問をさせていただきます。
もちろん、私は法律家でもありませんし、金融マンでもございません。まさに市民感覚の素朴な、小さな疑問をお聞きしますので、答弁は、特に指名しない限り政府参考人で結構でございますので、余り専門用語を使わず、平易な言い回しでお答えをいただくようお願いを申し上げます。また、今までの御質問と重複をする部分があるかもしれませんが、その点は御容赦をいただきたいと思います。
まず第一に、そもそも今度の支援機構を二十年間の時限組織とした理由をお聞かせいただきたいと思います。
〔委員長退席、田名部委員長代理着席〕
○針原政府参考人 お答えいたします。
先ほど大臣からも御答弁申し上げましたとおり、この機構は、長期の出資というところが特徴でございます。
農林漁業は長い期間をかけて黒字化していくということでございますので、普通のファンドですと七年から八年で回収するのを、農業に根差した取り組みということで、十五年で出資金を回収していこうと。そうすると、募集期間が五年ぐらいあるとして、五年後の出資を十五年後に回収すると、やはり二十年ぐらいはこの機構は存続していなければならないだろうということで、二十年間という期間を設定したわけでございます。
○菊池委員 ありがとうございます。
民間の投資ファンドの参入が難しい事業者に、より踏み込んだ投資を行うためには、投資期間はある程度長期に設定した方が有効ということは考えられます。
今回、サブファンドの投資期間が十五年ということになってございます。そして、ファンドの投資期間というのは、今お答えにもありましたように、通常五年間ぐらいというのが常識的な期間であると聞かされております。
この地域サブファンドの十五年、今御説明があったように、長期にわたって息長くやっていくんだ、こういうことは結構なことだと思いますが、そうしますと、十五年という長期にわたる事業計画を策定して、これをフォローしていくには、相当高度な投資判断力とモニタリング体制の構築がなければならないと思います。
十五年の投資期間について、対象事業者にどのようなシナリオで事業を展開することを求めるものか、これをお示しいただければ幸いです。
○針原政府参考人 今の御質問は、十五年という期間を設定した根拠にもかかわる大きな問題でございますが、私ども、六次産業化の先進の農家の方の事例を研究いたしまして、平均的な姿を見ると、大体四年から五年で、最初は赤字のところをようやく単年度の黒字に持っていく。その後、少しずつ規模が大きくなり、十年ぐらいで利益が安定してくる。それで、十年から十五年ぐらいの間には利益がたまってきて、十五年ぐらいで資本の蓄積ができる。そういうような実例が平均的でございます。そういうようなモデルを念頭に、十五年という出資期間を設定したわけでございます。
○菊池委員 ありがとうございました。
このサブファンドに対する出資割合についてでございますが、サブファンドの実績をどういう基準で評価していくか。いわゆる対象事業者をつくった実績件数を重視するならば、支援機構の出資比率を五〇%以上と高く設定する、つまり、民間負担を低くすることによってリスクテークをしやすくすることが有効ではないか、このように感じます。また、官民の共同ファンド形式とすれば、官による政策的判断と民の意思が相反し、事業展開がスムースにいかないことも想定をされるのではないでしょうか。
こうした観点から、支援機構の投資方針と、想定している出資比率を確認させていただきたいと思います。五〇%というのはどっちつかずになるんじゃないのかな、そういう気持ちがありますけれども、いかがでしょうか。
○針原政府参考人 支援対象事業体に対する出資でございますが、御指摘のとおり、半々ということにしております。また、サブファンドも、機構から五〇%、地元の資本から五〇%ということで、どっちつかずという御指摘もあるわけでございますが、いろいろな関係者がパートナーとして参画をして、それでプラスの効果を出すためには、やはり、最初から強弱の関係を想定するのではなく、対等なパートナーが協調しながら新しい事業展開をすることがふさわしいのではないか、こういう思いも込めて、原則五〇、五〇ということで設定させていただいているわけでございます。
○菊池委員 それと、修正案のフローチャートによりますと、支援機構から対象事業者に対する直接出資ができるように明示されております。もし直接出資が可能であるならば、地域ファンドの設立の必要性について根拠が薄れてくるのではないでしょうか。サブファンドにどのような役割、働きを期待されているのでしょうか。
○針原政府参考人 間接的な出資と直接的な出資の関係でございますが、直接出資する場合、予算ではないんですが、法律上は想定しておりますけれども、例えば、地域ファンドがない地域で案件形成をするような場合がまず一つ想定されると思います。それから、地域ファンドでは対応できない大型の案件を育成していく、そういうような場合も想定されるということでございます。
予算におきましては、まずは地域に根差したきめ細やかな取り組みから入ろうということで、地域ファンドを通じた間接出資、入り口の段階はそこから始めようということで編成をしているということでございます。
○菊池委員 そうしますと、たまたま地域ファンドが設立されていない地域の事業者が直接融資を申し込むということも可能になるわけでございますね。
○針原政府参考人 法律上は可能でございますが、二十四年度予算の手当てにつきましては、間接出資ということにさせていただいています。
ただ、この点につきましては、先ほどのテーマファンド論とも関係してございます。テーマファンドについて、例えばですが、漁業ファンド、あるいは畜産ファンド、あるいは林業ファンド、こういうようなものを一つつくって、林業の専門家が、林業の専門性に応じて、地域の林業事業体と川下のメーカーがタイアップしたような場合は、地域ファンドがそこにないとしても、その林業者の方は、例えて言う場合でございますが、林業ファンドに出資を要請するという場合も想定されるかと思っております。
○菊池委員 地域サブファンドの見通しについてお伺いいたします。
農水省は、機構に対し毎年四百億円規模の追加出資を行い、地域サブファンドの段階で五年間で総額四千億円規模のファンド組成を目指すとのことですが、ファンドの運営希望者は、民間のファンド会社を初め、さまざまな業界から応募があると想定されます。また、先ほどの御答弁で、海外のファンドやパートナー企業はこれに参入することを難しくするような御答弁がありましたので、それはそれですが、可能性ということではまだ残っておるわけですね。
ファンドの運営希望者の募集及び審査、さらに運営の際の指導監督は具体的にどこがどのようにしていくのか、お伺いをいたします。
○針原政府参考人 機構からファンドに出資する際におきまして、サブファンドそれぞれの趣旨、目的が支援基準に合っている、また、当面こういう投資案件を自分たちは抱えている、その投資案件は確実に実行が可能である、そういうものも出していただきまして、そういうものとあわせて適正な審査を行って、サブファンドへの出資を決めたいと考えております。
○菊池委員 こういう言い方は大変不遜なのかもしれませんが、私はこの法案を見たときに、何か大変おいしい法案だなと。おいしいというのは、悪いことをするのにも随分活用できるのではないかと。
乱暴に言いますと、例えば、私が人格を変えて、二つのファンドを地域内でも地域別でも持って、片一方はどんどん赤字を出していく、そして政府からの追加融資をじゃんじゃんもらう。片一方は、それを迂回する受け皿として活用していく。それで、大赤字のところは、ある年数がたって、とてもできませんと清算をしてしまう。こういうことも可能になってくるということを考えますと、ある意味、悪い連中には大変おいしい案件なのかなと。ただ、修正案を拝見しますと、その中の第三の二項でその辺への配慮がなされておるようでございますので、この点は了としておきます。
ただ、私は、できれば委員会のメンバーの中に金融のプロを入れていただいて、厳正な指導監督を行っていただきたい、これを特に付言させていただきたいと思います。
それから次に、出資事業の成功の可否、これは経営支援を行うサブファンドによるところが極めて大きいと思いますが、本事業の核となるサブファンドにおけるすぐれた人材の確保、これも今申し上げたと同じように何よりも重要だと考えます。農林漁業、加工、流通にそれぞれ精通しながらも、経営感覚のすぐれた、しかも金融的な知識も豊富な人材をどのように確保していかれるのでしょうか。六次産業化プランナーあるいはボランタリープランナーの位置づけ、活用策もどのように考えておられるか、お伺いをいたします。
○針原政府参考人 御指摘のとおり、地域ファンドの人材確保というのは、一つ、この事業の成功の鍵を握るキーポイントだと思っております。
地域ファンドには、金融実務あるいは経営支援に精通する方、それから地域の事情をよく知っておられる方、農林漁業に詳しい方、それから加工、流通、販売に精通される方、いろいろな知識が必要になるかと思います。
したがいまして、金融機関の方も相当の知識量はあるわけでございますが、そういう方に限らず、自治体あるいはJAの方、現場の企業の方、コンサルの会社、そういうところから経験者を受け入れたり、今御指摘がありました六次産業化プランナーなどの外部機関との連携も図りながら対応していかなければならないのではないかと考えております。
○菊池委員 ぜひ、その点に注意をお払いいただいて運営していただきたいと思います。
それから、閣法、修正案、双方ともに、機構から六次産業化事業体に資本性劣後ローンを直接供与することができる仕組みとなっておりますが、なぜこれが必要となってくるんでしょうか。
当初案のように、民間金融機関からの融資の導入円滑化のためであれば、ファンドを通じて十分な資本が提供されれば資本性劣後ローンは不要ではなかろうか。換言すれば、資本性劣後ローンが必要になるということは、資本が必要かつ十分に供与されていなかったということになるのではないでしょうか。
○針原政府参考人 資本性劣後ローンは、出資で自己資本を形成した後、それを核に融資を仰ぐ、その融資を円滑に行う、そういう意味があります。また、出資構成による農林漁業者の主導性を維持できるというような面もございます。
そういう面で、資本金を形成して、それを核に、例えば自己資本比率が二割ということは、その四倍の資金が銀行から融資されるわけですが、その際に、その四倍の資金を劣後ローンを少し入れることにより借りやすくしてあげる、そういうような効果を狙っているわけでございます。
○菊池委員 時間もありますので、次に参ります。
ここからは佐々木副大臣にお願いをしたいと思います。
副大臣はもう重々御承知のように、これまで、一次産業あるいは二次産業の事業者は、資金繰り等を、例えば日本政策金融公庫、農林中金、農協、漁協など、いわゆる系統金融機関に依存してまいりました。本スキームと系統金融機関とのすみ分けをどのように整理していかれるのでしょうか。
また、本スキームがJA等を投資主体として想定していることは、本スキームと系統金融機関が場合によっては競合関係になることも想定されます。そうした矛盾が生ずるのではなかろうかと危惧するものでありますが、相互理解は十分になされていると理解してよろしゅうございますか。
○佐々木副大臣 お答えさせていただきます。
今お尋ねがございましたが、このファンドは、農山漁村の活性化ということを大きな目標にして、六次産業化事業体に出資するというものでございます。既存の金融機関にはない機能でございます。
いわゆる出資と融資は異なる性格を有しているわけでありまして、相互補完し合うというようなことに配意をしなければならないというふうに思ってございます。各地域ごとに、地域ファンドを通じて地元の自治体、農協、企業等と協力した出資ということが一つ。それから、既存の金融機関と協調するということで、六次産業化事業体に対して出融資を一体的に提供するというような仕組みを想定しているところでございます。
こうした仕組みを通じて、既存の系統金融機関と役割分担のもとにそれぞれの機能を発揮していくということを促進してまいりたいと存じているところでございます。
○菊池委員 それぞれ円満、円滑にいくように、ぜひ御努力をお願いしたいと思います。
それから、支援機構や地域ファンド、今後これが公正かつ的確な運営をしていくためには、それを監督指導する支援機構において、農林漁業について幅広く的確な識見を持つ人材が長期にわたって強いリーダーシップを発揮し続けてくれることが不可欠と考えます。さもなければ、単なる天下り先を一つつくり、国民の貴重な税金を垂れ流す蛇口をふやすだけで終わってしまう危惧を感じておりますが、具体的にどのような展望をお持ちか、副大臣の所見をお伺いいたします。
○佐々木副大臣 お答えをさせていただきます。
この六次産業化ファンドは全く新しい取り組みでありますので、それぞれ委員の皆さん方からも、御懸念の点についてさまざま御指摘がございました。そうした中で、これを進めていく役職員というのは大変重要な役割を担うということになるわけであります。
具体的にどのような人材がいいかということについては、例えば、地域の農林漁業の振興の知見を有する者、公庫、農林漁業団体の皆さん、それから二次、三次産業に関する経験豊かな事業の目きき力のある方、食品企業のOBや現役出向、そして三つ目には金融、会計等の専門性を有する者、金融機関経験者等の人材を想定しているところでありまして、こうした人材に幅広く民間から参画いただきたいというふうに思っているところでございます。
○菊池委員 ぜひそのようにお願いをいたします。
次に、野田内閣が昨年十二月に閣議決定した日本再生の基本戦略では、「企業の成長、事業の再生・再編及び起業等をファイナンスする成長マネーの供給を拡大し、事業の目利きを適切に行いつつ、必要な資金が新たな成長産業・市場に提供されるよう、金融資本市場の機能強化を推進する。」とあります。このような市場主義的な考え方あるいは資金を農山漁村あるいは農林漁業に持ち込んだ場合に、我が国の家族経営を中心とする農家に対して悪影響を及ぼす結果になりはしないかと、大変強い懸念を持つものであります。
さらに、ついこの前の新聞に出ておりましたが、三十日、政府がまとめた日本再生戦略の中に、健康、環境と並んで農林水産業の三つの分野に優先的に取り組むとされています。
この法案の成立が急がれるということは、こういうものが政府の成長戦略のバックアップに使われるのではなかろうかと。急いでおられるような雰囲気が感じられるんですが、そのためにこの法案には生煮えの部分が残っているのではないかということがちょっと気になっております。
この辺、大臣に所見をお伺いできればと思います。
○郡司国務大臣 言うまでもないことでございますけれども、日本全体が高齢化をしてきました。一方で、人口も都市に集中をするというような形を生み出してきました。結果として、農山漁村は疲弊をする、所得も少ない、若い人たちがいないというような状況になってまいりまして、そこに雇用と所得を何とか取り戻したいというのが六次産業化だということでございます。
ことしの六月二十九日、最近の一番新しいものでいいますと、六次産業化の事業計画を認定したものが九百三十九と大変にふえております。そういう意味では、六次産業化という言葉自体も、取り組みも広がってきたなというふうに思っております。
例えば、これを実際に見に行っていただくと、それほど大きな取り組みというものはないかもしれませんが、しかし、その取り組みを主に担っているのは、おおよそ女性が絡んでいるところが元気があるということなんです。これまで日本の農業というのは、男性よりも女性の方が従事をする方は多いのでありますけれども、しかし、意思決定をする際には、女性というものはほとんど参画ができなかった。
私は、これから雇用を、そして地域を元気にするというのは、この女性の人たちの力を引き出すということが一番の眼目だろうというふうに思っております。そのためには、その女性の方々が、何とか出資というもののめどがつけば自分たちのアイデアを実際にやりたいんだ、こういうような形のお手伝いをすることが本当の眼目だというふうに御理解をいただきまして、私ども、成長戦略の中でもしもほかのところよりも多く予算やその他が来るというのなら、それはそれで十分使わせていただきますけれども、基本のところは、地域の疲弊というものを何とかクリアする、そのための一助として今回も考えているということを御理解いただければと思います。
○菊池委員 時間が迫ってきましたので、ちょっと飛ばして、最後に大臣に、お答えしにくいことだと思いますが、TPPについて、私の所見も申し述べながらお伺いをしたいと思います。
私が今回のTPPの問題で一番懸念しておりますことは、このTPP協定において、我が国政府が特にこの農林水産部門において当事者能力をなくしてしまいはしないか、こういうことでございます。
といいますのは、特に、WTO発足後の関係諸国の紛争案件をずっと見てみました。対象となり得るケースは、例えば所得補償のための補助金とか、販売奨励金とか、輸入促進や経営安定のための各種補助金、あるいは優遇税制、それからトレーサビリティーや遺伝子組み換え、放射線照射のステッカーの貼付、食品衛生に関する規則等々、多岐にわたってまいります。現に、アメリカのロン・カーク通商代表ですか、彼が言っていたのは、牛肉、米、小麦に対する我が国の輸入制度そのものにもこれは大変な非関税障壁だ、こういう言行をされております。
日本政府は今、国民の健康や食の安心、安全、そして食料自給率を高めるためにこのファンド法案も含めていろいろと策を練っておられますが、こういうものが非関税障壁としてやり玉に上げられる可能性があります。このような状態を防ぐために、TPPに参加ということは絶対認めるわけにはまいらないと考えております。
ただ、これは皆さん御承知のとおり条約でありますので、我々議員がこの間の法案のように反対投票をするわけにいかない。結局、力を出せるのは条約を締結した後、批准のときの国会でしか我々は力を出し得ない。
そこで、私は、農林水産大臣にお願いをしたいんです。
農林水産大臣の職掌というのは、我が国の農林水産業の保護、育成、一にかかってそれにあると思います。そうしたときに、内閣の一員であるから反対表明はなかなか難しいよと御遠慮の部分もあろうかと思いますけれども、農水大臣が今、御自分の職掌の中の農林水産業の痛手はこういうことなんですよと、閣内で総理に、あるいは閣外ででも直訴をして、今回のあれがどんなに日本の農林水産業に痛手であるかということをアピールしていただきたい。私は、最後のとりでだと考えてございます。
時間が来てあれですが、一言で結構です、御意向をいただきたいと思います。
〔田名部委員長代理退席、委員長着席〕
○郡司国務大臣 私は、農林水産委員会でも、例えば予算委員会その他の、全閣僚がいらっしゃる、総理がいらっしゃるときでも同じ発言をさせていただいております。
まさに言われましたように、地域やあるいはそこに従事する人たちの不安の声というものを発信するのが私の役目だというふうに思っておりますので、このことについてはこれからもしっかりやらせていただきたいと思っております。
○菊池委員 ありがとうございました。終わります。
○吉田委員長 次に、石田祝稔君。
○石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。
やっとこの法律案の審議ということで、ここまで大変時間がかかりました。これから中身につきましてお伺いをいたしたいと思います。
まず、ちょっと確認をいたしたいんです。これは針原局長の答弁なんですが、先ほど江藤議員の質問について、いわゆる利益が出たときの分配についてお話しのときに、農林漁業者が過半の議決権を持つ、こういうお答えがありましたが、それでよろしいですか。
○針原政府参考人 ちょっと言葉足らずで申しわけございませんでした。
出資の申請時に農林漁業者が過半の議決権を持つということでございます。
○石田(祝)委員 江藤議員の質問のことに触れて恐縮でありますけれども、質問は、利益を分配するときにどうやってやるんですかと。そのときに農林漁業者が議決権の半分を持つということは、いわゆる農林水産関連事業体、これに対する出資は農林漁業者が半分以上ということですか。
○針原政府参考人 申請時において議決権の半分を持つということは、半分資本が足されますと二五%以上になります。
詳しく申しますと、その際に、ファンドからの出資につきましては、農林漁業者の経営の安定あるいは農山漁村の活性化に資するような行動をとるということを前提にしておりますので、農林漁業者の味方として行動してもらうということを想定して、先ほどの御説明をさせていただいたわけでございます。
○石田(祝)委員 なぜこういうことを質問するかといいますと、私がいろいろ説明を聞いたときには、地域ファンドもお金を出資します、そしてパートナー企業もお金を出します、農林漁業者も出資をします、そういう中で農林漁業者は二五%だと。そうすると、議決権が二五%じゃないですか。
だから、私は、答弁を聞いていまして、議決権の過半を持つということがそのまま会議録に残ってしまう、議決権を半分持つという答弁はちょっとそごが生じているんじゃないか、こういうことでお聞きをしているんです。間違いであれば直していただきたいし、そうでなければそのままの、議決権を半分持つということでいいと私は思いますが、いかがですか。
○針原政府参考人 先ほど御説明しましたとおり、出資申請時において議決権の過半でございますので、最終的には二五%以上になります。おわびして訂正させていただきます。
○石田(祝)委員 ですから、これは今お答えになったとおり、我々がこの点についてお聞きをしたときに、四分の一だ、そして地域ファンドとパートナー企業が同じ根っこの場合があり得ると。そういうことで、これから修正案がこの委員会の最後で出されると思いますけれども、そこにはやはり農林漁業者の意見がしっかり反映されるような仕組みを入れなきゃいけない、こういう修正が自民党の中で議論されて、大変な数の回数を重ねた議論の上に出てくるようになっております。
そういうことで我々も聞いておりましたが、ちょっと、私は言葉尻を捉えたつもりはありませんけれども、議決権とおっしゃいましたので、これは正確にしておいた方がいいんじゃないか、こういうことでお聞きをいたしました。
それでは、続きまして、本来の質問をさせていただきたいと思うんです。
これは他の委員からも御質問があったと思いますが、この法律をつくらないと絶対にできないことがあるのか。今まで、例えば政府系の金融機関だとかがいろいろな形で、出資や融資とかそういう手段で、我々の時代ではいわゆる農商工連携と言っておりましたけれども、今は六次産業化だ、こういうことであります。
やはり法律は、あればいいではなくて、これがないと困る、これがないとこういうことができない、そういうことに限定しないと、どんどん法律だけができてしまって、前にある法律との関係性はどうなるのか、こういう複雑なことも出てきます。今回これを、この法律でなければ絶対にできない、今までの中ではできないということで提案されているのかどうか。既存のファンド等もありますけれども、今回、新しく法律をつくって機構を設立する意義とか必要性、こういうことについて御答弁をお願いします。
○郡司国務大臣 ファンド法の目的そのものは、先ほど言いましたように、やはり、六次産業化等を通じて地域の雇用それから所得を上げていこうというようなことでございますけれども、これまで、先ほど委員が言われました農商工連携というような取り組みもございました。これは、経産省を主管として、主に法人会社同士の取り組みの中で、一次産業の部分と二次、三次のところが一緒に事業を行うような枠組みだったというふうに思っております。
そういうことから、六次産業化法というものをつくりましたときに、これまでのいわゆる第一次産業との連携について、すき間の部分を埋めるというような法律をまずつくらせていただきました。その中で、大きく言えば、先ほどのアグリの関係もそうでありますけれども、対法人同士のことではなくて、地域の方々が立ち上がるときに、その出資という形でもって手伝いをさせていただきたい、こういうようなことでございます。
したがいまして、若干違いますのは、出資期間を十五年というような形にさせていただきました。また、資本性劣後ローンの直接提供を適宜組み合わせて支援をする、あるいはまた、ファンドがかけ橋となって、農林漁業者と二次、三次産業、この辺の合弁という形を実現する、これらについては新しい取り組みとして取り組んできているということでございます。
また、今回のファンドでございますけれども、加工、流通等の合弁事業体の取り組みに限定して支援をするものでありまして、先ほど言いましたような法人のものとは異なるところにおいてつくられていたというふうに理解をしております。
○石田(祝)委員 続いて、きょうはいろいろと確認という意味で質問をさせていただきたいと思いますが、農林漁業成長産業化と六次産業化、これは具体的にどう違うのか。法案の中でも、成長産業化、どういう趣旨であるのか、これが余り明確ではないように思います。今回はそういう目的でやろう、こういうことですけれども、もとになる成長産業化ということの意義が一体何なのか。
六次産業化と全く同じだったら、もう既に六次産業化という法律があるわけですから、私は、あえて屋上屋を架すような法案は必要ないと思います。これは特別、全く新しい概念で、新しく第一次産業、農林水産業を伸ばしていこう、こういうことだろうとは思いますけれども。
定義と言ったらちょっと厳密になるかもしれませんが、どういうことを意味しているのか、お答えをいただきたいと思います。
○郡司国務大臣 厳密な意味で、例えば政府等が成長戦略と六次産業化というものを位置づけているような文書は確かに出ていないかもしれません。
これまで、六次産業化というものは一次プラス二、三をみずからが行うんだ、こういうようなことでございましたけれども、このことによって、例えば成長産業という場合には、それ自体の規模が今の何倍かになるようなことについてイメージをしているというふうに思っております。
今現在でありますと、ざくっと言えば一兆円の六次産業化の取り組みというものを今回のことも含めまして三倍程度のものに育てていこう、こういうような、潜在力をきちんと発揮するような分野としての位置づけということで、六次産業化、そしてそれを成長産業へというような使い方をさせていただいているというふうに思っております。
○石田(祝)委員 掛け算ですか、足し算ですか。
○郡司国務大臣 済みません、掛け算でございます。
○石田(祝)委員 どっちでも私は同じだと思うんですけれども。
続いてお聞きしたいんですが、機構に対して政府が二分の一以上を出資する、二分の一以上の株式というんですか、それを持つ、こういうことにしているようであります。そうすると、国というか政府がそれだけのものを持って、例えば、農林漁業成長産業化支援機構というのは株式会社ですよね、ここに人を派遣したりするんですか。この二分の一以上を保有するというのは何か特別な理由がありますか。それとも、明確に支配をするということなんですか。
○針原政府参考人 お答えいたします。
株式会社農林漁業成長産業化支援機構は、我が国農林漁業が成長産業になる、そういうような事業を長期的、安定的に実施しようとする機関でございます。
したがいまして、株主構成の変化によって、今まで支援したところが支援の対象からちょっと外れるとか、そのような運営方針の変更がされ、政策目的の遂行に支障を来すことは厳に避ける必要がございます。したがいまして、常に二分の一以上を政府が保有し、安定して業務を遂行できる、そのような目的のために義務づけているものでございます。
○石田(祝)委員 これは具体的に細かく質問通告していない部分なんですが、二分の一以上を持つということで、例えば、株式会社ですから、株主総会を当然やらなきゃいけないですね。そういうときに、国として出ていって議決権を行使する、それはいわゆる会社の執行部の提案をそのままオーケーということも当然あるでしょうけれども、誰がこういう株主総会に出ていってしゃべったりするんですか。
○針原政府参考人 議決権の行使は大臣の権限でございますが、実際に株主総会に出る者は、大臣から事前に方針を決定していただいた上で、例えば担当課長なり担当部長がそこの場に出て議決権を行使するという形が自然だろうと思っております。
○石田(祝)委員 そういうことだということでお聞きをいたしました。
それで、この農林漁業成長産業化支援機構はこれから設立をされるわけですね、法律が通った後。そして国が半分以上を持つ、こういうことになっています。今回の予算でいきますと、百億円は貸し付け、二百億円は二十四年度の当初予算で出資をする、こういうことですね。
これは、どんなに大きくしたいと思っても、国が半分以上を持ちますよとなると、民間等、食品企業、金融機関等々とこのスキーム図では書かれておりますけれども、国が二百億円だったら、二百億円以上は民間からは集められないということです。五〇%以上を国が持つということですから。そうすると、合わせて、最大でも四百億だ。これが多いか少ないか。
サブファンドまで行って、さらにそこでも民間からお金を集める、地方自治体からもお金を集める、こういう仕組みのようですから、もうちょっと実際のお金としてはふえるかもしれませんが、国が関与する部分についてのいわゆるボリュームというんですか、これは結局、ある意味でいえば、国の予算の二倍までしか支援機構はお金が持てない、こういうことになります。
それともう一点は、これは通常言われていることでありますけれども、例えば、出資を仰ぐとなると、既存の株主からしたら、どんどん株数がふえていって、自分の持ち分が減ってくる話になります。通常、株式の世界では、増資をすると株の値段が下がる、こういうこともあるんです。
これはあれですか、二十四年度はさっき言ったように国が二百、そして民間からどんなに集めても二百だ、最大限四百億でスタートする、それから先は一体どういう目標でお金の面はやっていくのか。これは下手したら、今いろいろ説明を聞くと、どうも初年度は民間から二十億ぐらいだ、こういう話も聞いているんです。そうすると、ほとんどこれは国営会社じゃないのか、こんな色合いにもなってきますけれども。
そのあたり、予算の来年度以降の考え方、そして、それが出資となって株式会社の基本財産になる、そこのところの民間の方の持つ割合だとかはどういうふうにお考えですか。
○針原政府参考人 今御指摘のとおり、二十四年度の予算では、国から二百億円の産投出資を確保しております。予算設計でございますが、想定している民間からの出資は二十億円程度となっております。
ですから、中央の段階では国の出資割合がほとんどであるということでございますが、この事業はサブファンドを通じて出資するということで、サブファンド段階で民間資金により二倍に薄められるということを想定しておりますので、中央とサブファンドを通じて民間資金を確保する、そういう事業設計にしております。
○石田(祝)委員 これは、いろいろとお聞きをし出すと、いろいろな具体的な疑問も出てくるんです。
局長、支援機構には国が二分の一以上を持つと。これからどうするのかというお話はちょっとなかったというふうに思いますが、二十四年は二百億ということで。
だから、これから例えば十五年、二十年やるわけでしょう、このあたりで、国のお金というのはしっかり毎年これだけのものが確保されて、支援機構自体、足腰をしっかりとしたものにする、そういう見通しのもとでやっているのか。当面、二十四年度はスタートしますよ、後は予算措置だとかいろいろ財務当局から査定を受けつつやる、だから確たることははっきりしない、こういうことなのか。その辺の見通しはどうですか。
○仲野大臣政務官 お答えいたします。
まず、初年度の二百億円は、農林漁業の成長産業化を進めていく上での第一歩として位置づけております。
今後どういう計画になっていくのかという先生の御質問でありますが、来年度以降についても、農水省といたしましては、出資状況等を勘案しながら、農林漁業者のニーズに対応できるよう、ファンドの財源の確保に努め、農林漁業の成長産業化を推進してまいりたいと思っておりますので、とりあえず、まず初年度は二百億円ということで、来年度以降はしっかりと勘案しながら努めてまいりたいと思っております。
○石田(祝)委員 要するに、今の答弁では、来年以降ははっきりしない、こういうことですね。
これは民間の人にも乗り出してきてくれというわけですから、民間の方が政策の見通しをある程度立てられるようにしないと、国の予算は単年度主義でやっておりますけれども、民間の場合だったら、中期、長期の経営計画を立てておやりになるわけです。ですから、ある一定の年数のものはないと、ことしは当面これで出発しますけれども後は頑張りますでは、これは民間のお金を募る方の意見としてはやや心もとないんじゃないのか、こういうふうに思いますが、その件をもうちょっと明確にお答えいただきたいということ。
それから今度は、支援機構が地域のファンド、テーマファンドについては、これは質問通告にはちょっと漏れていたかもしれませんが、もう質問する機会がありませんからお答えいただきたいんですが、機構の出資割合は五〇%以下、こういうふうになっていますね。
五〇%以下というのは、これは幾らでも下がるわけで、具体的には、地域ファンドに対する出資というのは、目安として五〇%以下と言われればまあそうかなとも思うんですけれども、では、一体、支援機構として地域ファンドに対して発言力を持てるだけのお金になるのか。その他の出資者と横並びの、その他の一つですよ、ワン・オブ・ゼムですよ、こういうことになるのか。ちょっとわかりにくいんです。
もう一度、政務官ですか、将来の見通しを明確におっしゃっていただきたいのと、それから五〇%以下という機構の出資割合、これは一体どのぐらいを考えているのか、両方お答えいただきたいと思います。
○仲野大臣政務官 先生にお答えさせていただきます。
まず、六次産業化の取り組みの推進が今後の日本経済の成長、発展にとって重要なものと認識しており、当省においては、この六次産業の市場規模を現行の一兆円規模から十年間で十兆円まで拡大することを政策目標と掲げております。
そして、農林漁業成長産業化ファンドは、輸出マーケットの拡大、新規市場の創出と相まって、六次産業の市場規模拡大を実現する大きな手段と考えております。
そこで、先ほど申し上げました今年度の措置されている予算でありますが、二百億円を機構が出資するとすれば、末端の合弁事業体では八百億円の資本が形成され、これを核に工場等の資産を形成すれば総資産で四千億円、その売り上げは事業が順調に展開していけば数年後に六千億円と試算されております。
仮に、機構が着実に成果を上げ、二千億円規模の出資を行ったとすると、六兆円規模の市場創出効果が見込まれ、この場合には、十兆円の政策目標にも大きく貢献できるものと考えているところでございます。
○針原政府参考人 出資割合の点でございますが、国の影響力を確保するということと出資者の主体性を維持するという両面から二分の一以下としておりますが、一対一というのが望ましいというふうに考えておりまして、そのような運用を図っていきたいと考えております。
○石田(祝)委員 政務官、もう一度お聞きしたいんですけれども、二百億円でやっていたものが何で急に四千億になるんですか。およそ四倍になるだとかいうのは、どこで四倍になるんですか。
要するに、国が成長産業化支援機構には半分以上出せますよと。だから、二百億円だったら四百億でしょう。これが地域テーマファンドになったら、全額出しちゃって八百億ということですか。それがどこでどうして四千億になるんですか。その計算を、掛け算でも足し算でもいいですから、ちょっと言ってくれませんか。
○吉田委員長 では、針原局長に答弁させます。
○針原政府参考人 補足して御説明いたします。
二百億円は国の段階でございます。地域ファンドで二倍に薄められて四百億円でございます。それが、出資事業体のところで資本形成ということで八百億円。ですから、株主の額としては八百億円でございます。
これが自己資本に当たる額でございますので、自己資本比率を例えば二割とすると、八百億円の資本に対してその四倍ということで、三千二百億円の、地域の金融機関からの借り入れができる。そうすると、工場などの資産というのが大体四千億円ぐらいにまで届く可能性がある。食品企業の総資本と単年度の売り上げの比率は大体一・五倍ということでございます。これは企業統計から出てくるわけでございますが。そうすると、四千億円の全体の工場の資産からいうと、大体六千億円ぐらいの売り上げが出てくるだろう、こういうような試算をしているわけでございます。
○石田(祝)委員 改めてその数字のお話をお聞きしまして、大臣、また副大臣、これは、単純に掛け算していってこういうふうになるだろう、どうもそういう話にしか聞こえないんですよ。
そうすると、局長がおっしゃったように、資本金の大体一・五倍の売り上げになりますよと。それは、自分たちはそういう新しい分野に乗り出すでしょうけれども、結局ほかのところの分野にも入っていくわけでしょう。
全くゼロから、今までに全くない分野で新しい六千億円の売り上げをつくるのか。結局、今まであったところの市場を奪ってとなると、今までの市場が縮小する、これは単に入れかえただけ、こういうことになりはしないのか。局長の御答弁、単純な掛け算をしちゃって、これはそのとおりになるんですか。
それで、さっきいろいろ、今まで他の議員さんの質問等を聞いておりましても、やはりこの地域ファンドをつくるのは非常に難しいんじゃないのか、こういう御質問も続いたように思います。私はそうだろうなと。金融機関と地元企業等も含めて、もうからないところにはなかなか手を出さないというのは当然のことでございまして、それを出資という形で出すと、うまくいかない場合は出資金も戻ってこない、こういうことになりかねないわけですね。
ですから、余り倍々ゲームで、雪を転がして下で大きくなりますよみたいな話はもうちょっと慎重にお考えになった方がいいんじゃないのかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○針原政府参考人 ちょっと私のお答えに端を発しておりますので、御説明させていただきます。
先ほどは、将来的な可能性といいますか、試算として、こういう試算ということでお示ししたわけですが、当然、そこに至るまでには地道な活動を一つ一つ積み上げなければいけないわけでございます。
私ども、当面二百億円で出発しておりますのは、そういう将来の新しいマーケット、例えばアジアの食のマーケットとか、国内における健康に関する新しいマーケットを見据えながら、高い目標を持ちつつも、当面はやはり二百億円という小さな取り組みを一つずつ育てながら、しかも、その次のステップにつきましては、この実績を踏まえて、さらなる需要があれば追加の要求をしていく、そういうものを積み上げる、ここが一番大事だろうということは十分承知しております。
○石田(祝)委員 私は、この法案については反対じゃないんですよ。当初から我が党では、財務金融部会長にも入ってもらって、こういうスキームでもいいのではないかということで、部会では、賛成をするという方向は決めておりました。
しかし、余り安易に、安易と言うと失礼ですけれども、倍々ゲームで、上から小さい雪の玉を投げたら、下でこんなにでっかくなって戻ってきますよ、ちょっとそれは余りそういう前提で考えない方がいいんじゃないのか、こういうことだけは申し上げておきたいというふうに思います。
それで、一番大事な点は、常にこういう民間資本を入れるときに言われることは、農林漁業者の主体性、主導性、こういうものが担保されるか。これは、経営となるとなかなか難しいと私は思いますよ。現実には、おっしゃるように、それぞれ一つの事業体がどれだけの大きさになるかわかりませんけれども、今のお話だと、膨らんで膨らんでいって八百億の資本になって、それが自己資本は二割だからその五倍の四千億だ、そういう計算になりますよね。一つの事業体、どれだけ事業体ができるかわかりませんが、億を超えるようなお金を資本としての事業になってくる。
そうすると、もともとの趣旨である、農林漁業をしっかりと成長産業にする、そこに農林漁業者の意見も主体的に反映がされるような仕組みにしたい、こういうことだろうと思いますけれども、これはどういうふうに意見の反映ができるのか、それが担保できるか。ここについてはどうお考えですか。
○佐々木副大臣 お答えさせていただきます。
意思決定における主導性の確保ということでございますが、サブファンドから出資を受ける合弁事業体については、六次産業化法の認定事業者であることを支援基準に規定してございます。そして、その意思決定において農林漁業者がパートナー企業を上回る議決権を保有するということを制度的に担保していかなければなりません。
また、サブファンドについては、合弁事業者の意思決定において農林漁業者の主導性が確保されるよう配慮すべき旨を支援基準に規定することとしております。支援基準に従って、農林漁業者の意見を反映し、その意思決定に協力をさせていただきたいと思っています。
また、このために、サブファンドからの出資後においても、農林漁業者サイドがサブファンドの保有する議決権と合わせて確実に合弁事業者の過半の議決権を保有し、その意思決定を主導するものとして運用する方針でございます。
○石田(祝)委員 もう時間もありませんので、最後に一言申し上げます。
内閣で提出されたもともとのスキームでは、確かに農林漁業者はパートナー企業と同等の議決権を持っておりますけれども、自民党さんも心配なさっていたように、我々もそうでありますけれども、地域ファンドといわゆるパートナー企業が実は根っこが一体であった場合は、具体的に言えば四分の三をそっちが持つようになるわけですね。
ですから、パートナー企業に対しては遜色のない議決権でありますけれども、事業体全体を見ると過半の議決権はないということでありますから、議決権の構成は数字でいえばそうなっておりますから、サブファンドは協力してくれるはずだ、サブファンドはそういう趣旨でやってもらっている、やってくれるはずだとかいう、はずだとか、そのつもりだというのは最後のところで担保される話でもありませんので、議決権という数字の厳しいものがあるということをぜひ再度御認識いただいて、主たる目的の、農林漁業者のためになるファンドになるように努力をお願いいたしたいと思います。
後ほど自民党の修正案も出るようでありますけれども、修正案に対しても私どもは賛成をするつもりでございます。
以上です。
○吉田委員長 次に、吉泉秀男君。
○吉泉委員 社民党の吉泉です。
最後の質問バッターでございますので、よろしくお願いを申し上げたいと存じます。
この法案、それぞれ生産者サイドの中でも、非常に期待と、裏腹に不安、そのところが今ごっちゃになっている、こういう状況だというふうに思っています。それは、誰が主導してこれをやっていくのかということなんだろうというふうに思っています。
例えば、生産者がそれぞれ、これに臨みたい、挑みたい、こういう考え方の中において、これまでのつながりのある企業の方にお話をする、それでまとまる。そして今度は、もう一つの地域ファンド、ここのところにどういうふうにして持っていくのか。例えば銀行さんとお話もしている、そういう状況がございます。これをまとめていくということについて、三者が一体でなければこの事業体が進まない。
このことに対して、また、今相当質問が出された地域ファンドを誰が主導してつくっていくのか。そして、生産者は誰に、この地域ファンドの、こういう事業体を考えているんだけれどもというお話を持っていくのか。これがまとまらないと事業の認定の申請ができない、こういうスキームになっているのかどうか。このことをまず一つお伺いさせていただきたいというふうに思います。
それから二つ目は、生産者が非常に悩んでいるのは、十五年なり二十年、それぞれ同じパートナーとしてやっていく。しかし、そういう中において、とりわけ企業の方の力が、経営手腕なりいろいろな面で大きくなってくる。企業がやはり口を出していく。
そういう中において、当初の狙いが少し薄れていく状況のときに、自分はおりたいと。そのときに、株式会社ですから株を持っているわけですけれども、その途中において株を譲渡する、そして新たな生産者にかわる。さらには、企業も同じだろうというふうに思っておりますけれども、企業がなかなか、うち方の思うようにいかない、そういうことになれば、その企業が持っている株をほかの企業の方に譲渡する、こういうことが可能なのか。
こういうふうなものなんかを含めて、特に生産者サイドから言わせれば、まさにかけをするような大きな事業体に挑む、こういう状況になるわけでございますから、まずこの二つ、質問をさせていただきます。よろしくお願いします。
○佐々木副大臣 六次化の認定については、先ほど来いろいろ御意見をいただいてございますが、そもそも今回のファンド法について言えば、地域の中で特色のある産品などに付加価値をつけていく、そういうものをできるだけ応援していきたいと。よって、事業者に特別な要件を課しているわけではありませんので、そういった意味での御心配もまたいろいろいただいているところでございます。
よって、まず事業を起こすところでありますが、農林漁業者とパートナー、そしてファンドというところが計画を組む段階から一体になって、いわゆる合弁事業体というものをつくっていくという形で事業をまず推進していくということであります。
よって、その合弁事業体の中で、合弁事業体というものを農林漁業者が主導するということについても、そういった原則をしっかり守っていかなければならないというふうに思ってございます。
事業の継承については、事務方の方から答弁させていただきます。
○針原政府参考人 合弁事業体への出資者がその事業から撤退するという場合は、この法律で特段の規制はございません。したがいまして、一般の会社法の規定に沿って、株式の譲渡は可能でございます。
今回のファンドの出資は、十五年という長期にわたる資金のもとに企業を育成していこう、取り組みを育成していこうということでございますので、その長い期間の間では、各事業者の撤退、それから事業環境の変化でさまざまな事態が起こり、機動的に対応しなければいけないということも起こってくるかと思います。
例えばこのような場合には、新たな事業者に円滑な事業承継を支援して事業の継続を図るというような、買い手の紹介といいますか、そういうようなマッチングというものもやっていかなければいけない。ですから、単にそういう道がありますよというだけじゃなくて、そういう場合には新しい担い手をファンドが紹介してあげるということも必要になってくるのかなと思っております。
○吉泉委員 それでは、地域のファンドの受け皿なんだけれども、これは地元の金融機関一社、さらには市町村一自治体、こういうことでも可能なんですか。地域ファンドの捉え方。
○針原政府参考人 地域ファンドにつきましては、今御指摘がございました地域の金融機関という例もございます。それから、自治体が出資してファンドをつくるという場合もあるかと思います。そのほか、JAが出資するような場合等々、さまざまな例を想定しているわけでございます。
法案が成立した後は、そういう地域ファンドに関心をお持ちの方々にこの仕組みを説明いたしまして、地域ファンド起こしへの協力を求めていきたいと考えておるわけでございます。
○吉泉委員 わかりました。
しかし、今回のファンド法の事業体、資本等も非常に大きくなるんじゃないかなというふうに自分は実は思っています。
六次産業化の中においてこれまで認定をされた事業計画は六百九十八件というふうに聞いています。それから、農商工連携で認定を受けている事業計画が去年の段階までで四百九十件、合わせて千百八十八件、こういうふうにお聞きをしています。それから、いわゆるアグリビジネス投資育成から投資を受けている法人は九十三、そして投資額として約二十三億、こういうふうに聞いております。
これらの人たちが、自分自身もこの人方に、このファンド法のお話もさせていただいています。その結果が、今お話しになった中身の不安、このことが非常に多いわけでございます。そしてまた、今の資本金、新しく法人を株式会社でつくる、そういった形から見ると、法務省の統計でいえば一千万未満の資本が圧倒的だ、もう九割を超えている、こういう状況にあるわけでございます。
だとするならば、今までのいわゆる事業計画を今遂行している、それぞれ千百八十八件、この人方のいわゆる事業の進捗、これらを、このファンド法の段階には一切関係ない、こういう捉え方でいいのか。このことはこのことで進みながら、もう一つ新たに、今の事業計画をさらに強化するということで新たな会社を起こす、さらには、個人であるならば、法人を起こすために新たにまた出資をして事業計画を継承する、こういうことも可能なのか。この二つ、お願いします。
○針原政府参考人 六次産業化を開始して、だんだん事業が大きくなる過程で、さまざまな取り組みを推進していかなければいけないと私どもは考えております。
最初は、不安に思っている農家の方の目線に立っていろいろな指導を行うような、ボランタリープランナーといった方の指導層の育成。それから、小さな規模の工場をつくる、そのための助成措置、いわゆる補助金。それから、運転資金については無担保、無保証の融資。ここまでは私どもが用意しておりますが、さらに大きな取り組みをする際には、パートナー企業と連携した新しい会社起こし、そのための資本形成、そういう段階になってこのファンドが生きてくるものかとも思います。このファンドだけが全てのツールではないと考えております。
二点目の御質問でございますが、合弁事業体に限定するのかということかと承知しておりますが、合弁事業体ということになりますと、販路を持っている方と農産物を生産する生産者がしっかりと手を結ぶ、生産から流通、消費まで一体的な取り組みをやっていくということが、健全な経営にとって、出資にふさわしいだろうということで、そのようなことを中心に考えておりますが、ある農家の方が自分で生産、流通、加工、そういうバリューチェーンが一貫した取り組みをやられるような場合におきましては、やはり同様に出資する余地もあるのかと思います。
ファンドの性格上、これがだめであれがいいというようなことをあらかじめ決めておるということではないと承知しております。
○吉泉委員 では、もう少し具体的にお聞きいたします。
ある農業法人が食品加工をやっている、その中において、アグリ会社の方から投資を受けて今やっている。それぞれ取引をする商社の方とのつながりもあって、今度このファンドの中で事業を拡大したい、こういうふうな希望を持った。その中で、それぞれ商社の方も、了解、こういうふうになった。
そういうふうになった場合に、新たな会社をつくるわけでございますから、今までやっている、いわゆる六次産業化の中で認定を受けている計画は計画としながら、そのところをもっと大きくするというふうになれば、そのままやりながら新たに持っていかなきゃならないわけでございますけれども、そういうことは可能なのかどうか。
さらには、そういった面について、それぞれ地域ファンドにどういうふうにして了解を得られるような仕組みをつくっていくのか。ここのところはどうでしょうか。
○針原政府参考人 具体的な案件につきましては、どういうものが対象で、どういう地域でやられるかということを個別具体に判断しなければいけないと思いますが、今のような場合ですと、むしろ、その商社の方をパートナーとした新しい会社を起こした方が、出資する立場の方からいうと、出資の見返りが幾らになったかということを区別して、区分して計算できる、そういう独立した形態が必要かと思いますので、今のお話の場合には、せっかくそういうパートナーさんがいらっしゃるのなら、そういうことでお進めになったらいいのかなと思います。
ただ、具体的に、品目によっても地域によっても、それから商社との結びつき方、契約の仕方によってもいろいろな判断が可能かと思いますので、一概にはそういうことは言い切れないと思います。
○吉泉委員 時間がなくなりました。
規模拡大なり事業を進めていく際には、やはり農家、生産者団体のところと、もう一つは受け手の民間のパートナーの企業、この力が非常に大きくなっていくのではないかなというふうに思っております。そういう中において、地域ファンドの役割、さらには国の役割、いろいろな面で、会社に対する一つの意見なり、さらには考え方を出していく機会は、長年、五年から十年やっていく中で、それぞれの思いが違ってくる場面というのは相当あるんだろう、そういうふうに思います。
会社は生き物でございますから、法的な問題なんかも含めて、その辺の対応について、私は、法的にもう少しきちっとやっていかなきゃならないのではないかなというふうに思っております。その面での要望なり意見を申し上げまして、質問時間が終わりましたので、終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○吉田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○吉田委員長 この際、本案に対し、田名部匡代君外六名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、国民の生活が第一・きづな、社会民主党・市民連合及び新党大地・真民主の五派共同提案による修正案が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。宮腰光寛君。
―――――――――――――
株式会社農林漁業成長産業化支援機構法案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○宮腰委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
修正案は、お手元に配付したとおりであります。
以下、その内容を申し上げます。
第一に、株式会社農林漁業成長産業化支援機構の目的に、農林漁業者の経営の安定向上、地域との調和への配慮、農林漁業者の所得の確保及び農山漁村における雇用機会の創出、農林漁業者の主体性、農山漁村における再生可能エネルギーの開発、供給または需要の開拓の事項を追加することとしております。
第二に、農林漁業者等の意向を反映させるため、農林漁業成長産業化委員会の支援決定、農林水産大臣による支援基準の策定及び支援決定に係る農林水産大臣の認可の各手続において、農林漁業者等の意見聴取等の手続を追加することとしております。また、委員会の委員には、農業、林業または漁業に関して専門的な知識と経験を有する者が含まれるようにしなければならないこととしております。
第三に、対象事業者と対象事業活動支援団体との区別の明確化等を図ることとしております。また、機構及び委員会による対象事業活動支援団体に対する指導、委員会による支援対象事業者及び支援対象事業活動支援団体の事業活動の状況に対する評価、農林水産大臣による支援対象事業活動支援団体に対する報告の徴収等の措置に関する規定を追加することとしております。
第四に、農林水産大臣が定める支援基準の明確化を図ることとしております。
第五に、機構の支援決定等における農林水産大臣の関与の強化を図ることとしております。
第六に、国による財政上の措置等に関する規定を設けることとしております。
第七に、地方公共団体及び農林漁業関係団体による支援に関する規定を設けることとしております。
第八に、関係者相互の連携及び協力に関する規定を設けることとしております。
第九に、政府がこの法律の施行状況について検討を加える時期を、法律の施行後五年以内から、三年を目途とすることに改めることとしております。
その他、所要の規定の整理を行うこととしております。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
○吉田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
―――――――――――――
○吉田委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
内閣提出、株式会社農林漁業成長産業化支援機構法案及びこれに対する修正案について採決いたします。
まず、田名部匡代君外六名提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○吉田委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。
次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○吉田委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
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○吉田委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、石津政雄君外五名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、国民の生活が第一・きづな、公明党、社会民主党・市民連合及び新党大地・真民主の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。石津政雄君。
○石津委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
案文を朗読して、趣旨の説明にかえさせていただきます。
株式会社農林漁業成長産業化支援機構法案に対する附帯決議(案)
我が国の農林漁業・農山漁村をめぐる厳しい状況に対処し、食と農林漁業を再生するため、民間の資金・ノウハウを十分に生かし、官民が連携した新たな資金循環等による農林漁業の成長産業化が求められている。同時に、農林漁業者の所得の向上、農山漁村における雇用機会の創出と拡大、若い世代も定住できる地域社会の構築により、農山漁村の活性化とその持続可能な発展を図ることが重要である。
よって政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。
記
一 我が国農林漁業は、家族経営及び地域に根差した法人等による経営が中心であり、これらの農林漁業者の経営の安定と所得の向上が農山漁村の活性化に必要不可欠であることを十分認識し、本法に基づく制度の運用に当たること。
二 本法に基づく制度については、関連対策の活用も含め、特に、東日本大震災からの農林漁業・農山漁村の復興に向けた被災地域における取組が円滑かつ着実に進むよう、その運用に十分配慮すること。
三 農林漁業成長産業化委員会の支援決定及び支援決定に係る農林水産大臣の認可を行う際には、本法の運用の透明性を確保し、民間の資金・ノウハウを生かすことによって農林漁業の成長産業化を支援するという本法の趣旨に即し、農山漁村における意欲ある新たな取組の成長発展を促すよう努めること。
四 機構が行う支援対象事業者又は支援対象事業活動支援団体に対する出資については、支援対象事業活動支援団体に対する民間等の出資の意向、対象事業活動を行おうとする地域の実情、事業分野をめぐる状況等を十分把握するとともに、必要な財源を確保し、支援対象事業者の資金需要に的確に対応すること。
五 機構の支援決定等を農林水産大臣の認可に係らしめること及び六次産業化・地産地消法の認定事業者に支援対象を限定することについて、民間資金を活用して新しい政策を行うという本法の趣旨に即し、農山漁村の活性化に資する創意工夫を生かした新しい取組が支援の対象となるよう、その運用に配慮すること。
六 修正後の本法第二十七条の運用に当たっては、対象事業者及び対象事業活動支援団体に対し、政府が損失補償の責任を負うことなどのないよう、本法の趣旨に即した適切な対応を図ること。
七 修正後の本法第四十条に規定する地方公共団体及び農林漁業関係団体による対象事業者及び対象事業活動支援団体に対する必要な支援が適切に行われるよう、環境整備に努めること。
八 本法の施行後三年以内に施行状況について検討を行うに当たっては、本附帯決議に即した運用が行われているか十分に確認するとともに、機構等に関する国の関与の在り方等を含め、総合的な検討を行うこと。
右決議する。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
○吉田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○吉田委員長 起立総員。よって、本法律案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣郡司彰君。
○郡司国務大臣 ただいまは法案を可決いただき、ありがとうございました。
附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
―――――――――――――
○吉田委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――
○吉田委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十一時四十九分休憩
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午後一時三十分開議
○吉田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
農林水産関係の基本施策に関する件、特に農産物貿易(農林水産物等中国輸出促進協議会、TPPを含む)等について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房長本川一善君、大臣官房総括審議官佐藤一雄君、消費・安全局長高橋博君、食料産業局長針原寿朗君、内閣府食品安全委員会事務局長栗本まさ子君、法務省大臣官房審議官萩本修君、厚生労働省医薬食品局食品安全部長三浦公嗣君及び中小企業庁次長富田健介君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○吉田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。稲田朋美君。
○稲田委員 自由民主党の稲田朋美です。
昨日、小里委員から、対中不正輸出貿易事業について、かなり詳細な質疑がございました。それに対して、大臣は、一度ゆっくりと落ちついて、おさらいをして考えてみたいというような御答弁をなさったわけですが、一夜明けて、この事業についてどのような方向性を考えておられるか、お伺いをいたします。
○郡司国務大臣 昨日は、いろいろな御質問をいただく中で、正直なところ、私自身がまだ頭の中に入っていなかった事柄等が出てまいりました。それらについて、省に戻りましてから、この間の経過についての時系列的なものをきちんと出していただいて、それらを読んだり、あるいはまた、ほかの方々のブログ等も含めて、目を通せるものについては目を通させていただきました。
まだ昨日のきょうで、これといった形での発言をするというところまで至っておりませんけれども、なかなかに、いろいろな曲折があって今回のことにつながっているということについて理解をしたところでございます。
○稲田委員 私は、昨日の小里委員の質疑を聞きながら、これは本当に大変なことだなと。農水省の名誉がかかっているんですよ。こういった事業に農水省が深く関与をして、いわばこの協議会を通じて北京の展示場で展示販売をすれば検疫で優遇をされて、普通だったら要る薫蒸処理も要らない、そして展示販売だからという理由で検疫を免れるんだと。私、これを聞いただけで、本当に不道徳だと思うんです。
本来なら正式な手続が要るけれども、協議会を通しさえすれば展示販売ということになって、輸入ではなくて、薫蒸処理も要らないし、検疫処理も要らない。その特別扱いを受けるためには協議会にお金を払わなきゃいけなくて、そういう事実を言って、全国からお金を集めた。しかも、その事業に、農水省の機密文書が流れている、スパイ疑惑のかかっている中国大使館の一等書記官が深くかかわっていた。
私は、これだけでも、この不道徳な事業は即刻やめるべきだと思いますが、大臣、いかがですか。
○郡司国務大臣 中国という大きな市場に対して、私たちの国でとれている農林水産物を輸出するということは、これは私は考えていかなければいけないというふうに思っております。
しかし、今回のこの事例に関してということになりますれば、今御指摘をいただいたようなことがございましたが、その経過の中では、結果として特別というような言い方をしているとおりに、向こうの国からも一定程度それが許可できているような形があり、一度は船荷が届いた、こういうようなこともあったようでございます。
したがいまして、私どもはこれから、私どもの国の農林水産省がほかの国と貿易を行う際に、その国の適正な、私どもの相手でありまする、例えば中国の場合には農業部というところとしっかりと連携をする中で、今後の輸出ということをやっていかなければいけないだろう。今回のこの協議会のことにつきましては今報告をさせていただいて、それから第三者の評価をいただくところになっておりますから、そのことも含めて、その辺のところについては改めて省としての考え方を出していきたいというふうに思っております。
○稲田委員 ということは、大臣は現時点で、この事業をやめるのか推進するのか、決めていないということですか。
○郡司国務大臣 先ほど申し上げましたように、報告を含めて、今後のあり方についてはまだ検討しているところでございますけれども、その評価をいただくということもあわせて、私として、省としての考え方をまとめていきたいというふうに思っております。
○稲田委員 国民から見たら、スパイ疑惑のかかっている中国大使館の一等書記官の証明書でもって、農水省が支援をして、輸出をして、廃棄処分にされたということだけでも、即刻この事業はやめるべきだというのが国民的な意見だと思います。それをいまだに、やるかもわからない、まだ検討しているというのは余りにも遅過ぎるし、感覚がおかしいと思います。
また、農水省はこの事業に大変積極的にかかわってきたということが昨日の質疑でも明らかになりましたが、農水省は当事者であるという認識が大臣におありですか。
○郡司国務大臣 農林水産省は、ほかの国との貿易を行う際にそのルールづくりをきちんと行う、それからのことについては民間に委ねる、こういう役割のもとで行うということがあろうかというふうに思っておりまして、私自身は、今回のことにつきましても、その役割を果たすということ自体は農林水産省の役目だというふうに思っております。
○稲田委員 私が聞いている当事者という意味は、私も会員になった方ですとか基金を拠出した方にお話を伺いますと、皆さん、農水省がやっている事業だからということでお金を払っているんですよ。そういう意味での、この事業が頓挫した場合の責任は農水省が果たすんですかという質問です。
○郡司国務大臣 この事業そのものの存続、それは基本的には、協議会そしてまた中国の中農集団その他の関係をきちんとみずからが決めるというようなことがございます。
そうした意味におきまして、私どものこのかかわりというものが、これまでの関係において、今委員の方からは頓挫をしたというふうなお言葉がございましたけれども、先ほど言いましたように、これからどうするかということをまだ検討中でございますし、そしてまた第三者の評価ということをしっかりと受けとめるというような段階だというふうに思っておりますから、頓挫をしたというようなことではなくて、これからのことについてはまた若干考えさせていただきたいというふうに思っております。
○稲田委員 農水大臣がそのような認識だと、まだまだ被害者がふえる可能性がありますよ。私は全くおかしいと思います。
昨日の小里委員の質疑の中で、ことしの三月以降、農水省は異常とも思える熱心さで積極的に推進したという事実が明らかになったんですが、その中で、三月二十八日に、筒井副大臣と町田事務次官、そして齋藤官房副長官の秘書官である松本秘書官が会合を開いたという事実が明らかになりました。私は、この中で話し合われた内容について、事務次官の当委員会への出席を求めましたけれども、農水省から拒否されて、針原局長がかわりにお答えになるということです。針原局長、どうして事務次官は出席できないんですか。
○佐藤政府参考人 稲田先生のお問い合わせにお答えいたします。
事務次官は、一応、事務的に統括している立場でございまして、いわば危機管理的な立場で本省において事務をつかさどるというようなことになっておりまして、今回、そのような対応措置をさせていただいたところでございます。
○稲田委員 危機管理的な立場で本省にいなきゃいけないと言われる事務次官が、筒井副大臣に呼ばれて会館事務所には行くんじゃないですか。会館事務所に行けて、この国会の当委員会に出席できないというのは、私は、今の答弁、矛盾しているし、全く理由にならないと思います。
針原局長にお伺いをいたします。
齋藤副長官の秘書官である松本秘書官、昨日の質疑では副長官は松本さんが出席したかどうかも知らないということでしたけれども、どういった立場でこの会議に出席されたんですか。
○針原政府参考人 お答えいたします。
本年の三月二十八日、筒井副大臣から町田次官が呼ばれました。そのときには、同席が誰かということはわからないということで、通常の業務命令といいますか、業務の指示があるものとして、筒井前副大臣の会館の事務室を訪れたということでございます。そこでその松本氏が同席したと。その場で、町田次官は筒井前副大臣から、一部の農林水産省職員の北京常設展示館事業に対する後ろ向きの対応を指摘する資料を受け取り、調査をするよう指示を受けたということでございます。
松本氏がどのような立場で同席していたかということにつきましては、私どもは承知はしておりません。
○稲田委員 だから、私は、事務次官に来てくださいとお願いしたんですよ。別に、農水省を代表する立場の見解を述べよと言ったんじゃなくて、この会議に町田事務次官と筒井副大臣と松本さんの三名しかいなくて、筒井副大臣は当委員会に出席をされておりませんので、当日出席した人として事務次官の出席を求めたんです。針原さんが、幾ら聞かれても、当日の中のことについては伝聞でしかなくて、私の質問に今も答えられていない。ですから、私は事務次官の出席を求めているわけです。
松本さんがどういう立場で出席されているかはわからないと。副長官の代理として出席されたんですか。
○針原政府参考人 お答えいたします。
事務次官からは、齋藤副長官の代理として出席したのではなく、松本氏として出席したというふうには聞いております。
○稲田委員 そんな不自然なことがあるわけないじゃないですか。副大臣と事務次官の会議の中に、副長官の代理でもない松本氏個人の出席が許されるというのはどうしてですか。なぜそんなことが許されるんですか。
○針原政府参考人 お答えいたします。
松本氏は、本件に限らず、副長官の秘書官一般として、中国への輸出拡大ということに、かねてから私どもはアドバイスを受けておりました。そういうことで、個別の事案につきましてどうのこうのということではなく、一般論として、対中輸出の拡大等をアドバイスしていただいている立場としてその場に同席していたという理解ではないかと思います。
したがいまして、町田次官からは、齋藤副長官の指示で同席したというふうには私どもは聞いてはおりません。
○稲田委員 答弁が全く意味不明なんですが、官邸の立場を話すために松本氏はその場にいたのではないんですか。松本さんからはどういう発言があったんですか。
○針原政府参考人 具体的な発言につきましては承知しておりませんが、同席して、筒井副大臣と次官のやりとりを横で見ておられたというふうに承知しております。
○稲田委員 針原局長、いいかげんなことを言わないでください。あなたはいなかったんだから、そんなことがわかるわけないじゃないですか。私は、その場にいた事務次官じゃないと、針原さんでは答えられないので出席してくださいという要請をしているのに、拒否されて、全て聞いておりますという答弁が、今の全く意味不明の答弁なんです。
そして、昨日の答弁では、そのときに筒井副大臣から、一部後ろ向きの対応をしている職員がいるので調査してくれと言って、資料を渡されたということであります。
昨日、農水省にその資料の提出を要求いたしましたら、昨日は調整がつかないと。きょうの質問直前になってお渡しをいただきましたが、ほとんど黒塗りなんです。ほとんど何が書いてあるかわからない黒塗りなんですが、これは一体誰がつくった「事実経過確認」と題する書面で、一体どういう趣旨で、誰から誰に手渡されて、その後この指示に基づいてどういう調査をし、どうなったのか、お伺いいたします。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま先生の方から御指摘がありましたように、筒井副大臣から町田次官に対して、展示館事業について後ろ向きの者がおるといったようなことの資料として提出されたというふうに聞いておるところでございます。これを受けて当方で調査をいたしまして、そうした事実があったかどうか確認したところでございます。
あと、黒塗りのお話でございますが、私どもといたしましては、情報公開法といったものにのっとりまして国会資料や何かについても対応させていただいておりまして、個人あるいは企業名、こうしたものについては資料の中では黒塗りといったようなことで対応させていただいていることにつきまして、どうか御理解を賜れればというふうに思っております。
○稲田委員 この書類の中に「本年度分予算からの調査費支出」という項があって、「調査費の支出は大臣の指示であれば実行するのか。また、調査費支出については暫定予算からの支出も可能。」であるというふうに記載をしてありますが、この部分について、事務次官からどういう指示を受けて、どういう回答をしているんですか。
○針原政府参考人 私ども、この文書を見たときに、これはどういう根拠かというのははっきりとわからなかったわけでございます。事務次官からは、できること、できないことがあるだろうということで、ルールに従ってしっかり処理するようにという指示をいただいております。
○稲田委員 この調査指示書ですか、私は異常だと思います。この調査指示書を見ただけでも、この事業がいかにおかしい、いかがわしいものかということが明らかになると思うんです。
官房長、お見えですけれども、事務次官から指示をされて、積極的に取り組むよう、四月十日付の書面を幹部職員に回されたんですか。
○本川政府参考人 私、四月十日に案ができまして、十一日付でその文書を発出しておりますけれども、省内の職員に対して常設展示館事業の意義と進捗状況について改めて周知をするということで、文書を発出しております。
これについては、筒井副大臣に御相談をして指示もいただきながら出したものでございますけれども、展示館向けの第一便が出まして、その後、第二便がもうすぐ出るという状況の中で、全国の出展をしたい方々からいろいろと御相談を受ける、これは検疫でもありましょうし、物理的ないろいろな相談を私どもの出先が受けるというようなことも想定をされましたので、改めて省内における取り組み体制を確認するという意味で、私の名義で出させていただいた文書でございます。
○稲田委員 この書面の中では、対中輸出が農林水産行政の中で非常に重要な位置を占めている、そして官民一体になって推進していくんだと。また、この中に第二便のことが書かれておりまして、その第二便も二千品目程度が集められて近々中国へ送られる状況となっておりますということですが、このもとになる、昨日の委員会の中で第二の李春光文書というものが指摘されておりましたが、これはどういうものですか。
○針原政府参考人 お答えいたします。
三月十五日付で、李春光書記官のところから、筒井副大臣がファクスで文書を受け取りました。
その内容は、第二陣以降の輸出に関しまして、常設展示館展示品、豚や羊、鳥肉を除くということでございますが、その受け入れについて農発食品が北京海関、北京検疫と協議し、了解を得ており、責任を持って受け入れるので、早く送るよう求める、そういう内容のものでございました。
○稲田委員 これも、きょうになって書面が来ましたけれども、二ページ以降、真っ黒の黒塗りなんです。そして、これがまた李春光の手書きの署名のある、責任を持って受け入れるので、早く送りますようお願いしますと。こんないいかげんな書面でもって第二便を用意していたんですか、官房長。
○本川政府参考人 そういう文書はいただいておりますけれども、検疫に関しましてはやはり相手国が求めるものをきちんと私どもが措置して出すという前提で、もちろん検疫が必要ないものもございます、お酒でありますとかいろいろな加工食品、そういったものを二陣として準備しておられる、そういうものは、我々として、この時点では、きちんと御相談にあずかり、真摯に応援をしていきたいというふうに考えておった次第であります。
○稲田委員 質問に答えていないんです、官房長。
昨年の十二月に宮原審議官が北京に行かれて、そして質検総局に、七項目の詳細な、展示販売だったら検疫は要らないのかとか、お米の薫蒸処理は要らないのかとか、いろいろなことを質問されております。それに対して、展示販売でも特別扱いはできないんだ、ちゃんと薫蒸処理もしてもらわなきゃいけないし、きちんと北京の検疫に従ってもらわなきゃいけないということを公電で回答をもらっているんです。
にもかかわらず、こういった李春光の署名の証明書、また第二便もファクスで農水副大臣に来た証明書でもって輸出するということについて、おかしいとか、危ないとか、いかがわしいとか、あり得ないとか思わなかったんですか。
○本川政府参考人 当時の、四月の上旬の時点のことを想定していただければと思いますが、二月二十四日に第一便が李春光書記官の書類によって輸出されて、それが北京の海関を通って、通関して、本国の中に入って倉庫にあるという状態が四月の上旬の状態でございます。
それについて、三月十五日にそういう文書が参りまして、その上で、私どもとして、第二陣を送ろうとする動き、その時点では、まさに今御指摘があったような、いかがわしいとか、そのような思いを抱かないのが自然ではないかなというふうに思っておるところでございます。
○稲田委員 しかし、北京の検疫当局からは、特別扱いしませんよという公電が返ってきているわけです。
今となっては、李春光の証明書で輸出をした薫蒸処理なしのお米は廃棄処分にされて、李春光さんは、外登法違反ということで逮捕しようと思ったら、中国に逃げ帰ってしまっているわけです。そして、先ほど官房長は四月の上旬時点ではとおっしゃいましたが、今になって、あなたが発出された四月十日の案、十一日付のこれは非常に重要な位置を持っていて、推進をすべきものなんだというこの書面、これは間違っていると思いませんか、訂正すべきだと思いませんか。
○本川政府参考人 三月の十四日から十六日にかけて、北京の質検総局のいろいろなレベルから日本国に対しまして、どのような事情で二月二十四日に輸出をしたのか、そういう問い合わせは来ておりました。それに対しまして、私どもは、三月二十六日でありますが、現地の方に、北京の方に文書を送りまして、それを質検総局に届ける。それに対して全く何の反応もないというのが、当時、四月上旬の時点の事柄でございました。したがって、そういうような事情に当時はあったということでございます。
それから、私の出した文書でございますが、その当時のものとしてお出しを申し上げております。ただ、五月の二十九日、三十日にこういう問題が起こりまして、その後いろいろな調査をし、あり方についても、まさに先ほど大臣もお答えになったように、いろいろなレベルでチェックをしながらあり方を検討して判断をするという状況でございますので、改めて取り下げたり出し直すということをせずとも職員は状況を十分に理解してくれている、そのように考えているところでございます。
○稲田委員 それでは、官房長にお伺いしますが、いまだに、この協議会を通じての、展示館を通しての対中輸出貿易、これを推進することもあり得べしというのが農水省の立場ですか。
○本川政府参考人 先ほど大臣が御答弁申し上げたとおりであります。
○稲田委員 大臣はかわったばかりじゃないですか。
ずっとこの問題をやってきて、官民一体で農水省も挙げて推進しろという書面を四月十日付で出して、第二便も用意しているけれども、第二便は結局出ませんよね。李春光さんの証明書で送ったものも全部廃棄されているわけですから。この期に及んで、この協議会を通じた対中輸出を推進すべきだ、推進する場合もあり得るというのが農水省の立場ですか。
○本川政府参考人 恐縮でございますが、先ほど大臣が御答弁申し上げたとおりでございます。
○稲田委員 一体、農水省の矜持はどこに行ったんですか。日本の農業を守るという農水省の矜持はどこに行ったんですか。このようないいかげんな事業は殿、御乱心と言ってとめなきゃいけないけれども、ここまで来てもまだ、やめると言えないというのは本当に情けないと思いますよ。
この協議会がいかにいいかげんか。まず、三月三十一日の決算の収支報告書や事業報告、定時総会、どうなっているんですか。これは私、何カ月も前から農水省に問い合わせをいたしております。どうなっているんですか。
○針原政府参考人 当該協議会に確認しましたところ、同協議会の定款上、事業年度終了後三カ月以内に開催する旨定められている定時社員総会はまだ開催できておらず、したがいまして、その場での承認を経て公告すべき貸借対照表も公告できていないということでございます。
○稲田委員 定款で定められた期間内に定時総会も開かない、そして、収支報告書もないし、事業報告書もないし、来年度の事業の計画もないし、予算もない。全くもって、こんないいかげんな協議会を通じて、しかも、展示場を通せば普通の輸出ではなくて検疫が優遇されるというようなふれ込みで会員を募集している、こんな事業をまだ推進することがあり得べしというふうにお考えですか、官房長。
○本川政府参考人 再三にわたり恐縮でございますが、先ほど大臣が御答弁を申し上げたとおりであります。
○稲田委員 情けないですね。こんな事業は本当に不道徳だし、しかも、優遇されるからと言って会員を集めた。会員の人たちは、今、大変不安な思いでいると私は思います。また、中国に対しても、検疫というのは主権ですから、裏口でその主権を侵害するような、こんな事業を日本国の政府がやるべきじゃないと思います。
大臣、いかがですか。
○郡司国務大臣 国によりまして、それぞれ検疫の仕組みも方法も違います。それぞれの国が主権を持って行っていることに対して、それはそれとして、しっかりと守るべきことだろうというふうに思っております。
したがいまして、私どもも今、中国の農業部それから質検総局と、今後の日中の貿易の関係についてどういう形をとるべきなのか、そのことについても話し合いをさせていただいております。
○稲田委員 そんな一般論を聞いているんじゃなくて、この事業のことについて聞いているんです。
では、七月二十日付の基本合意書、そして中国に対して一体どれだけの債務が今この協議会に残っているのか、お伺いをいたします。
○針原政府参考人 まず、基本合意書及びその附属書である経費負担の覚書によりますと、経費負担につきまして、初年度の協議会の負担は、敷金、家賃が千百六十万人民元、大体十二円で計算しますと一億三千九百二十万円、これからは円だけで表現いたしますが、内装費、設備費が一億八千万円、宣伝費等が八千四十万円ということでございます。第二年度、第三年度は協議会負担分が一億七千二百八万円、第四年度、第五年度は一億七千七百二十四万円ということでございます。
別途、協議会の文書によりますと、千百六十万人民元、一億三千九百二十万円なり内装費の三千万円はもう支払ったということでございますので、この合意書によると、一年度で二億円余りのお金がまだ残っているという計算になろうかと思っております。
○稲田委員 今の計算根拠がわからなかったんですけれども、賃料と内装費と宣伝費、二年度、三年度、四年度、五年度の賃料を合わせたものから今支払い済みのものを引いたら、あとどれだけ債務残高が残っているんですか。
○針原政府参考人 私が今御説明いたしましたのは、初年度の分で引き算して二億円余りと言っております。二年度、三年度、四年度、五年度につきましては入れておりません。(稲田委員「入れて」と呼ぶ)単純に計算いたしますと、それに六億八千万ぐらいがプラスになりますので、九億ぐらいになるということになります。
ただ、二年度以降の事業につきまして、どういう計画かというのは私どもは聞いておりませんので、これをもって債務が発生しているかどうかというのは確定できませんので、これは、これから事実行為の確認なり意向の確認をする中で固めていくべきものと考えております。
○稲田委員 今の針原局長の御答弁で、この基本合意書とそれに附属している書類でもって、五年間の契約ですから、現時点で九億ぐらいの債務残高があると。それが支払えなかった場合はどうするんですか、大臣。
○郡司国務大臣 今、どの段階までの関係で、どのような中国側からの正式の請求ということになるのか、そのことについても問い合わせをしている最中でございます。当面、協議会に対しましては、ここまでの間の契約書とかそうしたものを出しなさいと。それから、中国に対しては、中国の方でそうしたことに関してはどのようなお考えなのですかという問い合わせをしておりまして、九億円という、五年間という幅ではなくて、とりあえず、今までのことについてどのような関係を中国側としてとろうとしているのか、そのことの確認をしているところでございます。
○稲田委員 中国側は日本の農水省と契約をしたと思っている。そして、会員も、農水省がやっている事業だからといって、お金を協議会に振り込んでいる。そして、書面での債務残高が九億あって、これを協議会が支払えない場合には、農水省の責任として中国に支払わなきゃいけなくなるんじゃないんですか。その覚悟はあるんですか。
○郡司国務大臣 先ほど来申し上げましたように、今、そこのところを中国と話し合いが始まったところでございます。中国の方では五年間の九億円についてというような話をしているわけではありませんで、基本的には、中農集団との関係をきちんとしてください、こういうようなことでございますから、今後また、今御指摘の点についてしっかり私どもも詰めていきたいなというふうに思っております。
○稲田委員 これは日本の政府の信用問題にかかわるんですよ。九億もの債務を支払わないような国ということになるわけですから、私はこれは農水省の責任になると思いますよ。また、会員も、お金を払って会員になっている人、基金を拠出している人、みんな、農水省の事業だから信用して支払っているんですよ。その人たちへの頓挫した場合の返金はどうするんですか。
○郡司国務大臣 余り前提として、頓挫をしたとかなんとかということではなくて、今現在、協議会に出資をした、あるいは出展をしようとしていた、その人たちとできる限り面談を持って、これからの意向、今現在の意向というものを確認させていただいております。
その中で若干、鑑みて、今回はちゅうちょをする、考えを直すというところももちろんありますけれども、逆の意味で、早く再開をしてくれという願いを持っているところもあるというふうに聞いておりまして、それらの総体をきっちりと把握する中で行いたいというふうに思っております。
○稲田委員 全く大臣に危機感がありませんね。
まず、これは、検疫で優遇できる、薫蒸処理が要らないという虚偽の事実を申し向けて会員からお金を集めた詐欺的な行為なんです。そして、この詐欺的な行為に農水省がどっぷりつかって、農水省の信用でもって集めたんですから、農水省が詐欺したのと同じことになるんですよ。その責任をどうとられるんですかという質問です。
大臣、もう一度答弁してください。
○郡司国務大臣 中国の関係については今申し上げたとおりで、そのことの関係をやっております。
そして、私どもは、二十九日の報告でも申し上げましたけれども、そうした意見があることもお聞きをして、そして、できるだけ重複する時間を避けるように、第三者評価という形で今お願いをしているところでございまして、そこのところの御意見をいただく中で判断をしたいというふうに思います。それは当たり前のことでございますけれども、これまでの省としての捉え方、考え方そのものでいいのかどうかということも含めての検証をしっかりとさせていただきたいと思っております。
○稲田委員 第三者評価の問題じゃないんです。事実の問題なんです。そして、それが法的にどういう評価、例えば刑事的な詐欺罪にまではならないとしても、全体として、虚偽の事実を申し向けて会員からお金を集めて、それを農水省が積極的に推進してきたことの責任はあると私は思います。一刻も早くこの事業をやめにして、その責任のとり方を農水省の中で検討されるべきだと私は思います。
農水省の若い職員が、薫蒸が要らないとか、そういう募集の案内を記載していたことについて、その上司の監督責任を問うたということをおっしゃっていましたけれども、全く違っていますよ。これは、事務次官、官房長以下、農水省トップが指示をして若い職員にやらせていたわけですから。若い職員を尻尾切りしてどうするんですか。
きちんと責任の所在を明らかにして、一日も早く、この詐欺的な、日本の名誉、農水省の名誉を失墜するような事業に終わりを告げて、清算をしていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。
○吉田委員長 次に、小野寺五典君。
○小野寺委員 自由民主党の小野寺五典です。
冒頭、震災復興のことについて一つお伺いをしたいと思います。
おかげさまで、農水省、特に水産庁のお力で、さまざま今、復興がようやく前に進みつつあります。昨日も気仙沼で、漁港区域を拡大しまして、今回、そこのかさ上げ事業というのがきのうスタートいたしました。おかげさまで、ようやくかさ上げができて、そしてその後に冷蔵庫をつくったり水産加工場をつくるということになっております。
ただ、そこで、地元で大きな懸念が出ております。実は、きのうからスタートしました漁港区域のかさ上げ事業、このかさ上げ事業が最終的に終わるのは来年の秋だということです。来年の秋になって、ようやくかさ上げされます。かさ上げされた後に、初めて上に冷蔵庫をつくったり水産加工場をつくるということになります。
ところが、冷蔵庫をつくったり水産加工場をつくるような水産庁の補助事業あるいは経産省のグループ補助金については基本的に、これをみんな当てにして新たに工場をつくったり水産加工場をつくったりしようとしているんです、二十三年度の補正予算でほとんど出ています。ということは、どういうことかというと、二十三年度の補正予算で内示をいただいて、うちの工場はこれで復旧するんだ、うちの冷蔵庫はこれでできるんだと思って、今待っているんです。ところが、去年の段階では、かさ上げが終わりませんでした。ということで、残念ながら、二十三年度予算は明許繰り越しということで、二十四年度予算に繰り越されました。
ところが、きのう現地で説明を受けたら、このかさ上げは来年の秋に終わるんだと。来年の秋に終わったら、その後に今度工事が始まる。ということは、もう一年この予算を繰り越さないといけないということになります。
きょうは財務省が来ております。副大臣にお伺いしますが、もう一年、このグループ補助金なり、あるいはさまざま水産庁も含めた補助金というのが繰り越しできるのかどうか、それをお伺いしたいと思います。
○五十嵐副大臣 お答えをいたします。
財政法の趣旨と、その条文から見て……(小野寺委員「できるかできないかだけ、イエスかノーかだけでいいです」と呼ぶ)はい。
基本的に難しいです。困難です。
○小野寺委員 今の言葉を聞きましたか。できないということなんですよ。
もう一回財務省に聞きます。
できないということは、内示を受けたこのグループ補助金なり水産加工場の補助金はどうなりますか。
○五十嵐副大臣 二十四年度中に使っていただく、そうでない場合はもう一度要求をし直していただくことになるかなと思います。
○小野寺委員 再度確認しますが、内示のあった予算は取り上げられるということでよろしいんでしょうか。
○五十嵐副大臣 繰越明許は一年だけでございますので、大事故、自然災害等が明許した後にあった場合を除いては、これはできません。
○小野寺委員 もう一度財務省にお伺いします。
これは、今お話しされた、もう一度繰り越しができる事故繰り越しに当たる内容でしょうか。
○五十嵐副大臣 繰越明許があった後に大災害等の事故があった場合に二年目が認められるということですので、これは現時点では当たらないということです。
○小野寺委員 郡司大臣にお伺いします。
せっかくこうして私ども、地域の皆さんが、ようやくこうやって復旧できるんだ、復興できるんだ、そういう思いで予算をとっているわけですよ。これで計画をつくっているわけです。従業員の雇用もこれで維持しているわけです。
ところが、国の復旧復興が遅くて、かさ上げが遅いために、結果として、ここには恐らく同じ被災地の議員が多いと思います、この内示を受けた予算がなくなっちゃうんですよ。取り上げられちゃうんですよ。こんなことがあっていいんですか。
私は、この財務省の見解を、逆に言えば農水省が乗り越える、きょうは経産省に来ていただいていると思いますが、中小企業庁、乗り越えていただいて、被災地の心を踏みにじるような、こんなことをさせない、これが大事だと思うんですが、いかがでしょうか。
○郡司国務大臣 今、財務省からの答弁ということでございましたけれども、私ども、現地の方でやらなければいけない一番の大事は今は復興復旧だというようなことで、農林水産全体を考えております。
したがいまして、かさ上げ、そしてその後に加工場、製氷場、あるいはまた場所によってはドックの話なども出ておりますけれども、それらを順を追ってしっかりとやっていくということが私どもの務めだというふうに思っておりますので、その考え方のもとにこれからまたしっかりとやっていきたいと思います。財務省とも話をしていきたいというふうに思います。
○小野寺委員 グループ補助金を担当している中小企業庁、お願いいたします。
○富田政府参考人 お答えを申し上げます。
グループ補助金等を活用して復興事業をしっかり進めていくというのは、中小企業庁の大変重要な責任だと思っております。
議員御指摘がございましたような、個々の案件において被災事業者の方々の復旧整備が円滑に進まないような事情がある、そういう案件につきましては、私ども、まず個々の案件を丁寧に実情をお聞かせいただいて、どういった解決策があるのかということをしっかり相談しながら検討させていただいた上で、関係省庁とも御協議をさせていただいて、必要な対策をとっていきたい、このように考えているところでございます。
○小野寺委員 冷蔵庫も水産加工場も、空中につくるわけじゃないんですよ。かさ上げができた後に初めて、そこにくいを打って、工場をつくれるわけですよ。ところが、そのかさ上げをする水産庁の事業が来年の秋にしか完成しない。
これは国の事業ですよ。そして、国の今回の水産加工場なりあるいはグループ補助金で出す予算、復旧事業というのは、繰り越しは一年しかできない、だから来年はもう没収だと。ようやく建てられる状況になったら、かさ上げが終わったときに、実はもう工場を建てる予算がないんですよ。これでは、せっかくかさ上げしたただの空き地が広がって、失業者がただあふれてしまって、こんなばかなことがありますか。
きょう、わざわざ五十嵐副大臣に来ていただきました。実は当初、役人の方の答弁だと聞いたので、お断りをしました。お互い政治家ですよ。私たちの後ろには国民が控えています。日本国民は誰だって、こんな理不尽な話はおかしいと言いますよ。どんな納税者の方だって、今回は震災復興に力をかしてくれると言っています。その方々からしたら、一年繰り越してだめだから二年目は全部取り上げようとは。しかも、そのかさ上げができないのは、国の事業がまだ進んでいないからだと。普通は、こんな財政法のことを乗り越えて知恵を出すのが政治家じゃないかと私は思います。
もう一度、政治家としてお伺いします。ぜひ、このような理不尽なことはやめさせる、内部で知恵を出す、そのことを約束してください。
○五十嵐副大臣 要は、地元のグループ補助金を利用される方々が目的が達せられればいいわけですから、それはいろいろな知恵の出し方があると思います。ただ、財政法の趣旨は、これは財政民主主義の本地にもかかわりますので、曲げることはできないと思います。知恵の出し方はいろいろあるだろうと思います。
○小野寺委員 五十嵐副大臣、その根拠になっているのは、財政法の中で、第十四条の三、ここに書いてあります。これは、翌年一年間だけ明許繰り越しができるということなんですが、一年だけと書いている文章一文なんですよ。これは、事情によって複数年もできると一言変えればできるわけですよ。
皆さんが政府であって、なぜこういう提案をしようと思わないのか。もう一度お答えください。
○五十嵐副大臣 日本の予算は、財政は単年度主義でできております。その都度議会の承諾を得るということになっています。やむを得ない事情がある場合は議会の承諾を得て繰越明許をする、そういう仕組みになっているわけですから、翌年度また必要というときは、それはそこで措置をするということができるわけですから、そういう趣旨から見て、それは、取り上げるという言い方をされますけれども、ほかのやり方が、当然、カバーできるやり方を関係省庁と協議をしてとり得るということだろうと思います。
○小野寺委員 今、国会の議決ということ、そのとおりなんです。
きょうここに同僚の議員、皆さんいらっしゃいます。恐らくこの中で、もう一年繰り越すことには反対だという方はいないんだと思います。個人の理由じゃないんですよ。国の事業でかさ上げがおくれているから、結果的に来年の秋にしか実は着工できない。こういう人に対して、同じ国の法律で、財務省がだめだと引っ込める。これは申しわけないけれども、財務大臣の地元で一番多い事例なんですよ。
政治主導というなら、恐らく同僚議員、皆さんいらっしゃいます、みんなの気持ちでこれを塗りかえる、もう一度議決が必要だったらさせていただく、そういうことをぜひお願いをしたいと思っております。
さて、次から、ちょっとまたこの農水省の疑惑についてお伺いをしたいと思っています。
ただ、私、個人的な感想を言うと、例えば鹿野前農水大臣あるいは筒井副大臣、震災復興には大変努力をいただきました。国会答弁でも真摯にお答えをいただきました。私は、そういう意味で、この両お二人は信頼できる方だと思っておりますが、郡司大臣にお伺いします。郡司大臣も、このお二人の政治的なスタンス、発言、これは信用できるとお考えでしょうか。
○郡司国務大臣 私の前任者、鹿野大臣、二度目の農林水産大臣でございまして、一度目は二十三年前でございました。私は、そのころから、例えばお米の値段をどうするかというときに、当時の自民党の大臣でございましたけれども、鹿野大臣のもとに要請などを届けるようなこともやってきた経過がございました。そういう意味で、大変経歴も長く、慎重な発言をなさって、責任を持つというような方だというふうに思っております。
筒井副大臣も、やはり農業のことに関しましては本当に鋭意真面目に取り組んでおられて、私は、何というんでしょうか、本当にやってきたことがこれからの日本の、特に農家のあるいは食品産業の方々のためになるというふうに思ってやってきたことだ、そのように思っています。
○小野寺委員 私も、この鹿野大臣、筒井副大臣、決してうそを言う方ではないと、今でも信じたいと思っております。
であれば、改めてお伺いしますが、今回の機密性三の漏えい事件、この内部の調査において、鹿野大臣、筒井副大臣はこの文書の漏えいについてどのようなことをおっしゃっていますか。
○佐藤政府参考人 小野寺先生の御質問にお答えいたします。
今先生から御指摘ありました当省の機密漏えいの関係でございますが、その中で、特に機密性が高い、秘密の可能性があるんじゃないかと言われたものが米の需給の資料でございました。(小野寺委員「だから、どう言っているかだけ言って、機密三の」と呼ぶ)
その中で、現実として、マスコミ等に漏れておったのが、筒井副大臣に説明したときの資料が漏れていたということが……(小野寺委員「いや、お二人が何を言っているかを聞いているんです」と呼ぶ)それで、鹿野大臣は、当然代表には渡していない、筒井副大臣も、渡していない、こういうことでございます。
○小野寺委員 そうなんですよ。鹿野大臣も筒井副大臣も、これを渡していないと言っているんです。私はそうなんだと思います、渡していないんだと。では、渡していなかったら、この文書はなぜ渡ったか。
農水省の内部の調査によると、これを配付されたのは、この副大臣、大臣以外は、前副大臣の秘書官、今井生産局長、今城農産部長、総務課長、そしてこれを作成した農産企画課長と食糧調査官。この六名のうちの誰かになるわけです。この誰かというのは、全員一般職の国家公務員。しかも、農水省の報告でも、一般職の公務員がこの機密性三の情報を漏らした場合、国家公務員法百条の一項に違反する、こう言っています。
総務省に確認します。一般職の公務員がこの機密に当たる文書を漏えいした場合、これはどのような量刑に当たりますか。
○加賀谷大臣政務官 お答えいたします。
一般論として申し上げますと、一般職国家公務員は、今おっしゃいました国家公務員法第百条の規定によって、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならないこととされております。また、その職を退いた後も同様であるとされているところでございます。
ここに言う秘密とは、一般に知られていない事実であって、実質的にも、それを秘密として保護するに値すると認められるものをいい、秘密に当たるか否かについては、具体的な事実に基づき、個別に判断されるものであります。また、最終的には、司法により判断されるものであります。
以上です。
○小野寺委員 農水省の調査では、私、この調査報告書を見たら、機密性三のこの文書は当然、百条の一項に適用するという結果が出ております。そして、これ自体は、農水省の内部、農水省の一般職員の問題になります。間違いなくこの話は農水省として告発すべき事案だと思いますが、大臣にお答え願います。
ここまでの事案が明らかであれば、当然これは直ちに告発すべきと思いますが、いかがでしょうか。
○郡司国務大臣 今、総務省からのお答えもありましたけれども、機密三という文書が現実に最大の機密ということになるかという、その内容のことも一つ含まれます。
それから、告発をする場合には、相応の調べがついた上で行うというのも、これまたこれまでのとおりでございますので、私ども今、こうした事案に相当するかどうか、総務省あるいは人事院あるいは警察庁と検討をしておるところでございます。あわせまして、第三者の評価からの意見というものも参考にしよう、そのように思っているところでございます。
○小野寺委員 大臣にお伺いしますが、機密三以上の文書というのはあるんですか。
○郡司国務大臣 これは、この後、農水省の中で改めさせていただきましたが、機密三あるいは二、一、そういうものがあって、誰がそのランクづけをしたんだということになりますと、これまで、大変恐縮でございますけれども、担当のところでつけていたということもあったようであります。したがいまして、これからは局長のレベルのところで、きちんとその機密性に当たるかどうかという判断をするということに改めました。
それから、時間的なものがありまして、例えばお米の需給のお話でありますと、それがいつ、そういうような状態で漏えいをしたか、それが外部に流出をしたときに、既にその機密性を失っているということもあり得るわけでありまして、その辺のことを先ほど言いましたところと検討しているということでございます。
○小野寺委員 済みません、五十嵐さん、それから富田さん、質問は終わりましたので、どうぞお戻りください。ありがとうございました。
今のお話でよくわからないのは、急に漏れちゃったけれども、漏れたものをもう一度見直して、これは実は機密性三だけれども大したことないんだよということをわざわざ強弁されているとしか思えないんですよ。
鹿野さんあるいは筒井さんからこれは出ていないんだから、そうすれば役所の中から出たんだ。役人の中から出たということは、国家公務員法の百条違反なんですよ。それをきちっと政治が正さなければ、この国のきちっとしたガバナンスがきかない、ここにかかっているんですよ。もう与党、野党じゃないんです。
今、政府にいる大臣にお願いしたいのは、役人から漏れたんだからちゃんと告発して、これを精査してくれ、じゃないと、これからどんなものが漏れるかわからない。お願いいたします。
○郡司国務大臣 理解をしているつもりでございます。
その上で、先ほど申し上げましたのは、機密性三のものが漏れた、それ以外に六十数点という文書が協議会から渡されました。その中にも実は機密性の三という文書があったのであります。それを調べましたところ、実は、協議会に参加をするという意思があったのかどうか、要するに、団体の住所、名前、電話番号、代表者等が書いてあるものだったんです。これは、機密性というよりは、プライバシーの問題としてどう扱うかということで、機密性というものが違うということで、今回の報告からも外したという経過がございまして、それは報告の中にも書いてありますけれども、そういうような事実もあったということで、先ほどお話をさせていただきました。
おっしゃっていることについては、十分そのとおりで、そういう意味で、しかるべく、関係をするところと今検討をさせていただいているというところでございます。
○小野寺委員 最後にぜひ大臣にお話ししておきたいのは、刑事訴訟法の中で、二百三十九条二項には、「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」というのがあるんですよ。ですから、今までは、これは前大臣のときの事件ですよ、でも、今ここまで国会で明らかになっていて、もしこの問題をきちっと告発しないということになれば、これは郡司大臣自身がこの刑事訴訟法の二百三十九条に抵触するということになります。
そのことを深く考えて、やはり今大事なのは、政治主導といえば役所の中の規律ですよ。こんなずぶずぶで、しかも、申しわけないけれども、外務省が誰が見たってこれは外交上おかしいと言う文書を、局長がこれなら大丈夫と言って大臣にブレーキもかけない、こんなガバナンスもきかない役所にしてはいけない。だから、ここはしっかり内部を締めていただきたい、そう思っています。
○郡司国務大臣 今の御意見に対して、私は何も申し上げるつもりはございません。そのようにやるべきだろうというふうに思っております。
ただ、先ほど言いましたように、二百三十九条もございますけれども、一方で、公的機関による告発の場合には、犯罪の構成要件に該当するかを精査しなければいけないということになっておりまして、それが、結果として捜査が効果的、円滑的に行われるようになることである。
今回の場合には、先ほど言いましたように、関係をする総務省、人事院、警察の方々と今相談をさせていただいているということでございます。
○小野寺委員 第三者評価も今月中には出てくるということですから、私どもそれをしっかり注視をしていきたい、そう思っております。
次に、問題となっております一般社団法人農林水産物等中国輸出促進協議会についてお伺いをしたいと思うんですが、まず、先ほどの稲田委員の質問でもありましたが、貸借対照表の公告をしていないということ、また、社員総会ですか、これも行っていないということ。通常、一般社団法人であれば、これは法令に違反する内容だと思いますが、政府としていかがでしょうか。
一般社団法人の所管はどちらの役所になりますか。
○萩本政府参考人 所管は法務省でございます。
○小野寺委員 だから、私は法務省に聞いたんですよ。
では、なぜここまでこの報告がおくれている、これ自体が非常に異常だと思います。通常、財務諸表についてはホームページで公開するか官報に出さなきゃいけない。三月の決済ですから、もう既に出ていなきゃいけない。ここまで遅くなっている、これは明らかに、この一般社団法人のさまざまな規則に照らし合わせて違反ですか。
○萩本政府参考人 違反しているか違反していないかということであれば、違反しているということになろうかと思います。
○小野寺委員 違反しているんですよ、ここの協議会は。これだけ違反して、契約書もよく見えていない。こういう協議会、一般社団法人が実際存続していて、そこが、農水省、今でも何か関係がずぶずぶになっていると。これはおかしいでしょう、普通考えたら。普通、もしこういう社団法人だったら、まず初めに何らかの指導をする、指示をする、それから初めて前に進むということだと思いますが、先ほど来、稲田先生のお話を聞いても全然その話が出てこない。
ちなみに、この一般社団法人に関する法律を見ると、当然、今回のようなこのような遅延については過料にすべき行為ということで、百万円以下の過料ということでちゃんと書いてあるわけですよ。普通は、こういうことをもっと促進するように指示すべきだと思います。
では、農水省に伺います。今回、設立当時から大変深くかかわっております。この理事長は元農水省顧問。農水省顧問のときにさまざまな下準備をしたと伺っております。ここまでさまざまな報告がおくれている、世の中に対して非常に不安であるとなった場合に、農水省としては当然指示をしているんですね、指導しているんですね。
○針原政府参考人 今御指摘のとおり、事業年度終了後三カ月が経過しましたが、定時社員総会をいまだ開催できておりません。したがいまして、定時社員総会での承認を経て公告すべき貸借対照表も公告できていないということでございます。これは法人運営上問題があると、私ども考えております。
○小野寺委員 問題があるんですよ。
さらにちょっとお伺いをすると、この協議会が、一回目、中国の見本館でしょうか、あそこに出された、そしてこれは五月に廃棄されたというふうに伺っていますが、今、二次募集をかけて、二回目の、実は検疫総局の方にこれを持っていっているということなんですが、その事実は本当でしょうか。
○郡司国務大臣 私もそのことを後で聞きましたけれども、事実として行われております。先ほど言いましたように、二月のときに送って五月のときに、その間に二次の募集というものが行われていたということに時系列的にはなるようであります。
○小野寺委員 実は、皆さんも見られるこの協議会のホームページを見ると、きちっと、今募集中ということと、それから会費はこのぐらいですねということと、それから今、二次の検疫の途中に入っていますというようなことがちゃんとホームページ上に書いてあるわけですよ。
では、ちょっと農水省にお伺いしますが、一次で出したときにはこれは廃棄されましたね。ですから、ここに出した農家の方、廃棄されてしまったから、損害を受けた。今回、二次募集でまた出しているわけですよ。当然、一次は廃棄されたわけだから、もう一回出した方に、農家の方を含めていろいろな方に影響が出ないように、今度は大丈夫なんですねということを中国側に確認する、この作業を普通はやると思うんですが、確認されていますか。
○佐々木副大臣 お答えさせていただきます。
今の、中国側との確認の関係でありますが、先週、事務方を派遣して、二十四日に中国農業部と、そして二十五日には中国農業発展集団及び中国農発食品と、それぞれ会談をさせていただきました。その会談で、今後の事業のあり方を検討するということもあって、第一便の経過と第二便の受け入れの調整状況と中国側のスタンスについて聴取をさせていただきましたが、その際、中農集団は、第二便の輸入品リストを質検総局に提出し許可を申請している旨述べられたんですが、許可の見通しについては明らかにしなかったということであります。
質検総局に対して先方の日程の都合で会談を行えなかったわけでありますけれども、引き続き確認のために努力を払っていきたいと考えております。
○小野寺委員 大臣にお伺いしたいんですが、中国に関する検疫の特別措置、協議会が当初うたっている特別な検疫措置、これは今でも、第二便はちゃんと受けられるんだ、大丈夫なんだ、そういう確証をお持ちでしょうか。
○郡司国務大臣 当たり前のことでございます。日本は日本の検疫のシステムがあります。中国には中国のシステムがあって、それを、今ありましたように農業部と確認をし、そしてその後、質検総局と確認をする手はずになっております。まだ、残念ながら質検総局の担当者がちょっと不在がちのために連絡がとれておりませんけれども、しっかりと確認をした上で行うということになろうかというふうに思っております。
○小野寺委員 これは誰が冷静に見ても、この協議会は、財務諸表、貸借対照表も報告をしていない、社員総会もやっていない、これは設立当時から一回もやっていないわけです、そして国会でさまざまな質疑をしても、実際資料は出てこない。そして、ここが大丈夫といって出した農産物やその他の食品については、第一便は中国側が検疫はだめということで廃棄をされた。ここまで見たら、普通だったら、おいおい、これは大丈夫かよと、もう一度ゼロから戻って考えるのが普通の常識だと思うんですよ。
ところが、先ほど来聞いていると、いまだに農水省は、そこまできちっとした指導もしていなければ、例えば多くの農産品を扱っている方に、ここはちょっと注意ですからちょっと待ってくださいよ、そういう指導も指示も出していないでしょう。再度確認いたします。
○郡司国務大臣 第二便が、サンプルといいますか、名称はともかく、集められたのは大分早い時期にもなっているようであります。今、質検総局からのそれの返答を待っているという段階でございますので、品物そのものを集めるに際して注意喚起というか、そのこと自体は時系列的に、今回の二次募集の場合には、あり得ないというような時間的な経過がございます。
しかし、私どもとして、先ほど言いましたように、第一便廃棄といいますけれども、実は、廃棄をされたか、今どうなっているかもまだわからないんです。そのことも今確認をしている最中でございますが、いずれにしましても、滞ったということが現実にあるわけでありますから、前回と同じような形で、私どもだけの判断でそのようなことをするようなことがないように、今、中国の方と確認をしてからでなければそれはできないという形になっております。
○小野寺委員 普通の団体であれば、例えばここまで法令違反を犯して、さまざま内容については公表していない、これだけでも普通はアウトですよ。さらに加えて、第一便で集めたものが、中国側の発表ですからね、中国側がこれを廃棄したと言っているわけですから、そうすると、集めたものは廃棄されている。これは普通、出した方にしては損害ですよ。そして、さらにまた募集をかけている。
現時点でも、実は、ホームページを見てください、先ほど見ていたんですが、今でも募集して、会費をちゃんと集めて、そこに何と書いているかというと、「日中両国政府が後援する事業です」と明確に書いてあって、そこにちゃんと農水省のホームページのリンク先があって、このリンク先を開くと、総理大臣が、見本館ですか、あそこを視察している写真とか、これは堂々と全部載っているわけですよ。これは普通、誰が見たって、農水省が支援しているんだな、そう思う。だけれども、実態としては、今までさまざま出ているように、非常に、これは内容としてどうなのか。
こういう状況ですから、ぜひお願いしたいのは、まず、一般社団法人として、先ほど法務省も言いましたが、これは違法である、そこまで指示を受けているところに関して、当然ホームページを削除し、あるいは、日中の両国政府が応援しているなんということは趣旨とは違いますとか、まずそういうしっかりとした対応をしないと、ますます勘違いされる方が多いと私は思うんですが、いかがでしょうか。
○郡司国務大臣 今の御指摘は重く受けとめさせていただきます。きちんとした関係でございます。
それから、一つ申し上げておかなければいけないのは、私どもがやらなければいけないことは、今、中国農業部を含めてしっかりとやりたいというふうに思っております。ただ、協議会そのものは、先ほど来から言われているような一般社団法人でございまして、いわば民間でございます。ここのところに国の農水省が何をしろ、かにをしろと言うことが、これが、正規にそういうことを行える形かどうかということも考えなければいけないというふうに思いますけれども、ただ、今までの関係を含めて、そのホームページの関係を含めて、少し重く受けとめさせていただきたいと思います。
○小野寺委員 私は、一般社団法人ですから何をしろ、かにをしろということを言っているわけじゃなくて、何をしてあげる、これをしてあげているということはやめてほしい。一般なんだから、何もこうやって、総理と一緒に見本市を見ているところをわざわざ今でもホームページに載せて、だからこの協議会のホームページからリンクですぐ行けるわけですよ。誰が見たって、これはまだ日本政府が応援している、そう見える。
数ある、いろいろな一般社団法人ありますよ。真面目にやっているところはたくさんありますよ。普通ここまで支援を受けませんよ。ここは法令違反をしていて、みんなにこれだけ指摘されているのに、ここまで応援すること自体をまずやめて、しっかり距離感をとっていただいて、そしてしかるべき、例えば法務省なりが、ここはちゃんと財務諸表を含めて、貸借対照表を含めて出してくれよ、そういう適正な指示をぜひお願いする、そういう中で適正な形で貿易を行わなければ、何か、日中貿易自体が非常にグレーなものになってしまう、これを私は心配しています。
最後にもう一度お伺いしますが、ぜひ、きちっとした距離感をとっていただいて、そして、正すべきところは正すように、しっかりと政府として考えていただきたいと思います。
○郡司国務大臣 しっかりした距離感を持って、どこの団体とも冷静にそのような関係を築きたいと思います。
ホームページのことに関しまして、重く受けとめます。しかし、どちらが勝手にリンクを張ったのかどうかということも含めて、その辺のところも調べさせていただきます。
それから、これからの中国との関係というものは、やはり大事にしなければいけないというふうに思っておりますし、まだ、出展者あるいは出資者の中で、この事業がきちんと行われるならば参加をしたいというところもございます。私ども、先ほど言いました適宜な距離感と冷静な判断でもって、これからの中国の輸出のことについて取り組んでいきたいというふうに思います。
○小野寺委員 このような、中国を含めたさまざまな輸出をしたいという、貿易関係の一般社団法人はたくさんあります。ですから、もし、このような、検疫に関しての特別な措置が受けられるということがここに限ってということであれば、逆にそれ自体がおかしい話だし、それができるところがあるんですか、裏口があるんですかというふうに中国側に聞くこと自体が、私は中国のプライドをひどく傷つける話だと思いますよ。今皆さんがやろうとしているのは、中国に行って、ここだけ裏口があるんですか、それをこっそり確認している話じゃないですか。普通の国であれば、適正なルールのもとで検疫というのは行われる。逆に中国を侮辱する形をとらないでいただきたい、そう思っております。
さて、最後に、きょうは貿易関係の集中ですので、TPPについてお伺いをしたいと思います。
TPPについて、郡司大臣の基本的な姿勢をお伺いしたいと思います。
○郡司国務大臣 戦後の私たちの国は、貿易立国という形でこの国を興してまいりました。そのことによって、大変世界的にも珍しい成長を遂げることもできましたし、国民の生活もより豊かになったということの側面は大きいだろうというふうに思っております。
これからも、基本的な姿勢として、世界に開かれた国として行っていくということはそのとおりでありますし、逆に言えば、私どもの国は食料自給率四〇%、つまり、しっかり生産をすることはやりながらも、なおかつ世界の中から適宜の量をきちんと輸入ができるという体制をとることも、これもまた国の責務だろうというふうに思っております。
しかし、このTPPということに関しましては、それ以外の選択肢も含めまして、どういう方向がいいのか、どのあり方が日本のこれからの貿易のあり方としてより多く国益にかなうのか、そういうような判断をするべきだろうというふうに思っています。
ただ、農業の分野だけでいいますと、懸念を示す声が非常に大きい。それは産業ということだけではなくて、地域政策としてもそのようなことが言われております。そのことを私は農林水産大臣として内閣の中でも発信をしていきたい、そのように思っております。
○小野寺委員 三十一日閣議決定されました日本再生戦略、この中で、農林漁業の自給率五〇%という数字が入っています。閣議ですから大臣も当然入っていらっしゃいますが、この五〇%という数字は、TPPに加入することを前提にした数字なのか、加入しないことを前提にした数字なのか、どちらでしょうか。
○郡司国務大臣 二つの質問ということになりますと難しいですけれども、一つの方のお答えだけ差し上げれば、加入をするということを前提にした数字としてつくられたものではありません。
○小野寺委員 きょうは中野外務政務官が来ておりますが、この再生戦略の数字、今大臣からお話しですが、そのとおり、当然これはTPP加入を前提にした五〇%という数字ではないと考えてよろしいんでしょうか。
○中野大臣政務官 お答え申し上げます。
今、総理の方針は、TPPについてはまだ参加をするともしないとも表明しているわけではなくて、参加をする、交渉のテーブルにのるかどうかについて、今関係各国と協議をしているということでございますから、その前提に立ちますと、その五〇%という数字は参加が前提ということではないというふうに私は理解しております。
○小野寺委員 なぜこの質問をするかというと、農水省で、TPPに入ると、今三九%の自給率が一四%になるという厳しい見方を出しています。ですから、今回、内閣で出した再生戦略の五〇%という数字は、当然、常識からいったら、TPPに入らないで、いろいろな農業支援をして、強い農業をつくって、それで五〇%というのが一般的な考え方であって、TPPに入っても五〇%できるということではないと思いますので。
ということは、この再生戦略、これは内閣で閣議で決めた話です、ここで五〇%をうたっているということは、基本的に政府はTPPはやらないということを逆にうたっている。じゃなければ、再生戦略自体が根本から壊れるということですが、大臣、それでよろしいでしょうか。
○郡司国務大臣 やる、やらないということの前に、TPPの議論をする前に決めたことでございます。ですから、かかわりなくしっかりとやっていくということになります。
恐縮でございますが、少しお時間をいただきたいと思います。先ほどの、もしTPPに入ったらという自給率の数字がございました。あの数字は、TPPということではなくて、全ての国に関税がゼロになった場合に、なおかつ国内の対策を何も行わなかった場合という想定でございますので、御承知おきいただければと思います。
○小野寺委員 それはもう何度も伺っております。
再度確認したいのは、この再生戦略で五〇%という数字、これは大変重いです。これを目指してこれから農業を皆さん頑張るわけです。その中で、当然TPPがないからこれでできるんだ、もしTPPになった場合、今、関税の問題が出てまいりますが、今後関税のさまざまな状況で相当自給率が下がる可能性は、当然誰もが常識的に考えます。
ですから、もし政府がこの再生戦略を重きに思うんだったら、再生戦略が大事だと思うんだったら、当然、TPP議論には触れていただきたくない。じゃないと、再生戦略自体の根幹が崩れてしまって、一体この政府は何をやっているんだということになりますから、大臣、それはしっかり閣議の中でこれからも訴えていただきたいと思います。
質問を終わります。ありがとうございました。
○吉田委員長 次に、吉泉秀男君。
○吉泉委員 社民党の吉泉です。
質問の順番を配慮していただいたことに感謝を申し上げながら、早速質問に入らせていただきます。
TPPについての質問を冒頭させていただきたい、こう思います。
菅前総理がこのTPPに触れていたのが二十二年の十月ですから、相当の期間がたちます。それに向けて、それぞれ農林の関係なんかも含めながら、このTPPに対応する施策、さらにはいろいろな交渉等の関係についても進めてきたんだろうというふうに思っております。今の段階において、今大臣もお話しされたわけでございますけれども、大臣としては、このTPPについては慎重にあるべきだ、こういう立場で私ども受けとめているわけでございますけれども、この慎重にあるべきだという、大臣としての一つの根拠的な、なぜ慎重にあるべきだという一つの論理的な部分について、率直なところをお伺いさせていただきます。
○郡司国務大臣 私自身のこれまで議員活動をさせていただいた中で随分前から、つまりNAFTAができ上がったころから、この自由貿易協定というものがどういう影響を及ぼすのかということについて、その時々の経済産業委員会でありますとか、あるいは農林水産委員会で質問をさせていただきました。そのときの関心事項は、これまでのWTOや何かと違うものが出てきますよ、例えば投資環境ということがございました。
今問題になっておりますけれども、例えば、TPPを結んだときに、NAFTAもそうでありますけれども、アメリカの企業がほかの国を訴えることができるというようなことがこのNAFTAのときにも起こってまいりました。つまり、例えば、その国のCO2の排出というものがこの程度の量でよかったものが、そこに進出をした企業が何年かたったらば厳しくなった、これは投資環境の変化で、入っていった企業に対する新たな障害をつくったんだからあなたの国はその分を支払いなさいというような訴えをアメリカが起こしたということが多発したのであります。そしてそのことによって、ある国は相当なダメージを受けました。私はそのときに、こういうNAFTAというようなものが世界的にでき上がったらば、日本はそれに対する備えはあるんだろうかということを随分と申し上げてまいりました。
今回、TPPの中でも同じような議論が随分起こりまして、ようやく私たちの国の中でもそのような議論になったなというふうに思っておりますけれども、ただ単に、農業だけではなくて、貿易をするという際には自分の国のそれに対応するような制度というものを持ち得なければ、ただ単に貿易のためにという御旗だけでやってしまってはいけないんだ、こういうような思いでTPPの問題も感じてきたところであります。
○吉泉委員 今のTPPの進展状況ということについては、私どもに何も知らされないまま、参加に向けたそれぞれの対応が水面下で非常に進んでいるんだなというふうに率直に私は感じています。間違いだというふうになれば、それは誤解だというふうになるのかどうなのかわからないんですけれども、私どもとしては相当進んできているんだなというふうに思っています。
というのは、やはり一年半以上たっているわけでございますから、その中において、政府として、農業の問題については持続可能、それぞれ両立をさせるとか、いろいろな形で方針がきちっと前向きに、TPPに参加をしていくために、その条件整備をそれぞれつくるという方向で動いているんだろうなという思いを私は持っているわけでございます。
これからの状況についてマスコミは、十二月だとか八月とかいろいろな、日本としての態度が問われる時期がもう近いのではないか、こういうようなマスコミとしての流し方をやっているわけでございますけれども、今、大臣として、この判断というものについて、いつごろの時期に問われる状況が来るんだ、こういうふうに、時期についての大臣としての考え方がどうなのか、ちょっとお伺いさせていただきます。
○郡司国務大臣 大変難しい、厳しい質問だなというふうに思っております。
これは、もちろん御存じのことだというふうに思いますけれども、外交の案件そのものは政府の専権事項ということになります。したがって、政府が決断をすればそれは行えるのかもしれません。しかし、自分の国の状況と、そしてまた取り巻く状況があります。外交は内政だということがありますから、まさに内政ということを考えれば、今判断すべき時期ではないと私自身は思っております。
では、全体の状況はどうなのかといいますと、これは、単純な話をすれば、大統領選挙があるときに、WTOその他のことでも、物事がよく進んだということはこれまでも余りありませんでした。そういうことが先例になるのかどうか、今回の場合にはわかりません。
しかしながら、TPPの場合に考えなければいけないのは、これまでと違って、先ほど委員が言われましたような、ここもTPPの問題か、これはどうなんだという、その境というものが非常に難しい様相を呈しているというふうに思っております。例えば自動車でありますとか、例えば牛肉の問題でありますとかというようなことに関しては、これはTPPそのものの議題なのか、いわゆる前払いとして、そこをクリアしてからTPPの判断をアメリカがするということなのか、この辺のところも、捉えようによっては不可分、しかし、厳密に言えばそれはTPPではないというようなことも言えるわけであります。
そういう意味からいうと、答えにならないかもしれませんけれども、あらゆる方面に目を配り、あらゆる方面の情報をとる中で、適宜な判断を自分たちが行えるようにしていくということが重要なのではないかなというふうに思っております。
○吉泉委員 率直に言って、私としては、大臣の方から、慎重ということではなくて、やはり内閣から出された試算の問題、さらには農林省で出した試算の問題、いろいろな形で、それぞれの思いなり、さらには日本のかじ取りの部分があるというふうに思うんです。やはり、今、きょうの午前中のファンドの問題なんかも含めても、TPPに参加をして、そして五〇%、それには足腰の強い農業を、さらには生産者をつくっていくということについてはまだまだやらなきゃならない、そういう立場だろうというふうに思っております。
そんな面の中では、慎重から、やはり今の段階では反対である、そして、もっともっと足腰の強い農業というものについて、さらには、全体的に、日本の農林業、水産業、みんな含めて、みんなできっちりとやっていくという構え方の中で、大臣の方としてTPP反対というところを今から打ち出すという考え方はないのか、お伺いします。
○郡司国務大臣 ただいまは、昨年十一月のところから時間は経過をしておりますけれども、協議をするためにいろいろな情報を収集する、そして、そのことを遺漏なく国民に開示をする、そして、大きな議論をした上で、大局的な国益というものがどちらにあるんだということを判断すべきだというふうに思っております。
したがいまして、ただ単に賛成、反対ということではなくて、より多く議論をする立場として、私は、慎重な意見をきちんと言わせていただく、そのようなスタンスで臨みたいと思っております。
○吉泉委員 大臣としてのそういう立場は十分わかります。それぞれの分野の段階において、それが日本にとって国益になる、ならない、いろいろな思い、立場であるというふうに思っておりますけれども、しかし、今の現状の中において、農業、さらには林業、水産業というふうな立場からいえば、そういうTPPに加わってやっていくということ自体はやはりまだまだ国益にならないのではないか、そういうふうに私は判断をしているんです。ですから、そういう立場で、それぞれの閣議の中においても積極的に、慎重というよりも、逆に言えば反対的な立場で、ぜひ意見を通していただければというふうに思っております。
そして、今、仮に、例えばTPP参加というふうな方向になった場合、今一生懸命やっている基本方針なり行動計画があるわけですけれども、まだまだ、今取り組んでいるばかりでございますけれども、これに加えて何かもっともっと強化をしていかなきゃならない、こういう一つの取り組みがあるのかどうか、大臣として、もっとここを強化していかなきゃならないというような思いがあるのかどうか、そのところについてお伺いします。
○郡司国務大臣 もしもTPPに加入をするならば国内対策は何を考えるかということになりますと、今現在、私どもは、TPPに参加をするということに対しての前提を持った対策というものは考えておりません。
ただ、TPPに入る入らないにかかわらず、日本の現状は四〇%という自給率、高齢化そして地域の疲弊というものがありますから、しっかりやらなければいけないというところについては、たくさんの思い、政策を持って取り組んでいきたいなというふうに思っておるところでございます。
○吉泉委員 それは私も同じです。
今、一生懸命、ファンドの問題なんかも含めて、さらには再生エネルギーの問題なんかも含めて取り組んでいるわけでございますけれども、その中で、不耕作農地の活用の問題について、政府の方としても、太陽光のところを積極的に取り組むという方針を出しているわけでございます。
その中において、非常に気になるところがあるわけでございます。それは、今のこの買い取り法ができてから、もう今実施されているわけでございますけれども、この中で、電気事業者が拒否することができる、これが特措法の中にあるわけでございます。
今の現状からいうと、この特措法の中において五条の第一項、電気事業者が恣意的にその接続を拒否する、そういう一つの案文があるわけでございますけれども、こういう中において、それぞれ、私ども、さらには農家の人たちが、再生エネルギーに参加をしようとする場合、これが断られる、拒否される、そういう懸念はないのかどうか、経産省にお伺いさせていただきます。
○北神大臣政務官 お答えします。
委員御指摘の再生可能エネルギーの特措法の第五条一項についてですが、これは、委員の御懸念とは違いまして、電気事業者は、基本的にはその接続の申請があった場合には受け入れないといけない、ただし例外があるということになっております。ですから、法律の書き方としては、この例外を除けば接続を拒否してはならない、こういうふうになっておりまして、その例外的な事由は何かといいますと、これは、系統に容量がないということが一つとか、あるいは再生可能エネルギーの発電事業者がその接続のための費用を負担しようとしていないとか、こういったことに限って限定的に例外を設けているところでございます。
ですから、恣意的に電気事業者が申請を拒否するとか接続を拒否することはあってはならないし、我々も、運用上、そういったことにならないようにしていきたいというふうに思っています。
恣意的に拒否しないように担保するために、もし仮に電気事業者が拒否をするといったときには、書面でその発電事業者に理由を出さないといけない、これが一つ。もう一つは、仮に政府としてちょっとおかしいなというふうに思ったときには、これも法律上規定しています、まずは電気事業者を指導することができる。それでもうまくいかなければ、勧告をすることができる。勧告も、それに従わない場合は命令をすることができる。これは、罰則もついておりますので、委員の御指摘の趣旨を踏まえて、我々も、恣意的に電気事業者が接続拒否をしないように運用してまいりたいというふうに思っています。
○吉泉委員 実は、きのう復興特で福島の方にお邪魔をさせていただきました。それぞれ、南相馬市初め多くの自治体は、再生エネルギーについて方針を出しながら具体的に取り組んでいきたい、こういう思いを持っておりますし、それには方針を出しているわけでございます。
その中で一番課題になっていくのが、農地を利用する場合に、やはり転用しなきゃならないわけですね。その中において手続上の問題が、農林サイドにおいて、もっと簡単にやれる方向を考えてほしいというお話もなされているわけでございます。農林の方としても、不耕作農地の問題なりファンドの問題を皆含めて、この再生エネルギーを強めていく、取り組んでいくという一つの方針を出しているわけですけれども、具体的になっていった場合に、今の転用の問題を含めながら、農林サイドの段階について、どういうふうにその辺の手助けができるのか、または手続上の問題、その点について具体的な部分を質問いたします。
○佐々木副大臣 お答えいたします。
農村地帯において、再生可能エネルギーを導入する場合に、一つには規制緩和といいますか土地利用の調整というものをスムーズにやらなければいけないということが必要になりますが、同時にまた、優良農地がそこで潰れてしまってはいけないということも課題があります。
そういったことを、できるだけこの機能が損なわれることのないようにやっていかなければならないということも含めて、今国会にその法案を提出させていただいているところでありますので、その中で優良農地の確保とそして土地利用の調整というものをぜひ御論議いただき、同時に成立をさせていただきたいと思っているところであります。
○吉泉委員 そのことはわかるわけですけれども、年々やはり不耕作農地がふえているわけですよ。そういう一つの残る中で、やはり山村が上の方からどんどん荒れてきている、そしてそれをもう一回戻すといっても人がいない、こういう状況であります。
ですから、優良農地という部分について、それを太陽光に充てる、それは難しい、反対であります。しかし、そういう遊んでいる休耕田について、今の手続上の問題なんかも含めて、ぜひスムーズにいくような手配をお願い申し上げたいと思います。
あと、もう時間がなくなったということでございますけれども、厚労省の方に最後にお伺いをさせていただきます。
TPP参加を前提とした、牛のいわゆる二十カ月から三十カ月に引き上げ、これはTPP参加を前提としたものとしての今の諮問、こういう捉え方でいいですか。
○三浦政府参考人 今回のBSEに関連して食品安全委員会に諮問したことにつきましては、我が国においてBSE対策が開始されてから十年たったということをもって諮問したものでございまして、TPPとの関係はございません。
○吉泉委員 今の答弁を信じさせていただきたいというふうに思います。しかし、アメリカ等の相当の業界から、一つの食の安全、この問題についての基準等が、やはり圧力がかかってくるんだろうというふうに思っておりますので、その辺について厚労省としてしっかり対応していただきたい、このことをお願いして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○吉田委員長 次に、京野公子君。
○京野委員 国民の生活が第一の京野公子でございます。
今回は違う場所から初めての質問で、どうぞよろしくお願いいたします。
さて、ちょっと農水大臣に一言御確認したいんですが、先ほど小野寺議員の質問に関連しまして、再生戦略を閣議決定した、それで食料の自給率五〇%を目指すと。必ずしも全てが五〇%ではなく、平均して五〇%でしょうけれども、その中には、何らかの食肉に関する目標といいますか、今よりもう少し上げていこうとか、そういうふうな意味合いは込められているんでしょうか。
〔委員長退席、梶原委員長代理着席〕
○郡司国務大臣 これは京野先生よく御存じのことだと思いますけれども、ただ単にお肉の部分だけをふやそうとすると自給率はかえって下がる、こういうようなことになるわけであります。したがいまして、水田の活用の中でも、WCS、飼料用の稲とかというものをつくっていこうということをあわせてやっております。
また、それ以外にも、例えば牛の場合には、思ったより傾斜の強いところでも草をはんで生きているようなことが平気でございますから、いろいろな意味での循環型の農業を取り入れて、そのような形で自給率を上げていくことにしたいというふうに思っております。
○京野委員 そうしますと、改めて確認しますが、自給率を上げるというよりは、飼料等の自給率を上げるということで周辺を上げていくと。しかし、畜産に関して自給率を下げることを容認するということではないですね。
○郡司国務大臣 例えばの話でございますけれども、ことしは、生乳が足らないといいますか、バターが少し窮屈になってきたというようなことがあって、クリスマスに向けてどうしようかというふうな話がされております。
その関係でいいますと、乳製品の中で、三百万トンのチーズの需要に対して、わずかに二割程度が国産ということになっております。私どもは、輸入されているチーズの代替としてということよりも、もっと日本人はこれからチーズの需要等が伸びてくるだろう、そういう形を含めても、これまでの規模拡大ということだけではなくて、まさに畜産の果たす役割は広がってくるのではないかなというふうに思っているところでございます。
○京野委員 ありがとうございます。
それでは、外務省の政務官、お忙しいところを来ていただいていますので、政務官に対する質問からさせていただきたいと思います。
本当に残念だったんですけれども、副大臣の記者会見の発言をめぐって、いろいろと副大臣は非常に率直なお話をしておりまして、その率直な内容が、私どもがかつて民主党に在籍していた当時の経済連携PTで外務省からお聞きしたり、官房からお聞きした内容と大分違う。違うけれども、非常に率直で、これが恐らく本音なのかなというふうな気持ちもあったんですね。ですから、そこをちょっと率直な意見交換をと思ったんですが、きょうはどうしても都合がつかないということで、副大臣の発言について政務官がいろいろ聞かれるというのは大変不自然なことかなと思いますけれども、お答えできる範囲でよろしくお願いしたいと思います。
まず最初に、副大臣の発言でもあり、また外務大臣の発言でもありますが、昨年の十一月の記者会見で、これは要旨ですが、野田総理自身が、自由化のテーブルに全ての関税対象分野も、全部テーブルにのせると言ったとか言わないとか、削除を求めるとか訂正は、違うということを米国側が認めたからそれ以上はいいんだというような、いろいろなやりとりがあったと思うんですね、去年、APECから帰ってきて。
その後の記者会見で、玄葉大臣が、野田総理自身は、あの場では自由化交渉のテーブルに全ての物品をのせるという発言はなかったと。あの場ではとおっしゃっているんですね。それで、同じ日の記者会見で、ただ、いわゆる政府関係者とか野田総理が公の場で発言されていること、そのことを米国側は発表したということなのだろうと思いますと。
私も、ふだんからもっと記者会見をよく見ておけばよかったんですが、これを見まして非常に意外に思ったんですね。公式の、公の場で野田総理が言ったと思われるような、このようなことを、野田総理、もしくはそれに次ぐ政府の非常に高い地位にある方がおっしゃったことがあるのかどうか。
それで、副大臣は同じようなことを、今度は本年度の五月におっしゃっているんですね。すごく私はびっくりしたんですけれども。日本は米国にボールを投げている、例えばグッズ・アンド・サービス、全部テーブルの上にのせていますということは伝わっているわけですから、それに向けて、あとは米国、豪州、ニュージーランドの返事待ちです、こうおっしゃっているんですね。
これも、私どもは民主党に所属していた当時、たびたびこの問題をめぐっていろいろな質疑をしてまいりましたが、本当に初耳といいますか、大分私どもの認識とは違う。ここまで外務省の方では進んでいるのかなと思いましたので、ちょっと御答弁願えますでしょうか。
○中野大臣政務官 京野委員におかれましては、昨日ですか、事務所開きをされたということで、残念ながら他党に行かれてしまいましたけれども、御活躍をお祈り申し上げたいと思います。
私も、正直なところ、大臣、副大臣の記者会見全てをフォローができているわけではございません。ただ、やはり忘れてはいけないことは、多少マスコミ批判になるかもしれませんが、いろいろなところで、てにをはが変わったりとか、報道の方で多少なりとも拡大解釈がされるというのは、お互い政治家で、いろいろな場面でそれは経験されていると思うんですね。一番大事なことは、国会の場で、議事録が残る場でどのような発言が総理からされているのか、そして外務省でいえば玄葉大臣がされているかということが一番大事だと私は思っております。
今いろいろなお話がありましたけれども、私の理解でいえば、今、参加ありきで物事が進んでいるというふうには、私自身は外務政務官としては理解はしておりません。あくまでも今は参加に向けての情報を収集していて、総理が昨年申し上げたとおり、国民的な議論をしっかりとして、最終的には結論を得るということは方針としては全く変わっていない。玄葉大臣におかれましても、そのラインの中で、ずっとこの間いろいろな委員会で答弁をされているというふうに私も理解をしております。
山口副大臣の記者会見での発言につきましても、山口副大臣は私もよく知っていますが、非常にストレートでフランクな方でございますので、いろいろな意味で、山口さんなりの表現はされると思うんです。
ただ、山口さんなりの表現イコールそれが真実かどうかというのはまた別の話であって、あくまでも、副大臣と外務政務官は大臣の方針に従って、私たちは補佐をする立場でございますから、大臣がどのような方針でいるか、その大臣の方針は内閣の方針でありまして、内閣の方針はどういうことかといえば、先ほど私が申し上げたとおり、総理の方針は昨年十一月に申し上げたとおりの方針でございますので、私はそのように理解をしております。
山口副大臣も、表現の仕方はいろいろあると思いますが、そのようなことで仕事をしているというふうに私は理解をしております。
○京野委員 政務官に大変申しわけないんですけれども、マスコミでニュアンス、てにをはが違って伝わるということもあるとおっしゃっていますが、今引用したものは外務省のホームページに載っているものなんです。てにをはを修正したというふうなことであれば、それはマスコミがしたのではなくて、外務省の責任においてなさっていると思うんですね。ですから、ちょっとそれは違うんじゃないのかなと。私が今引用したのは、外務省のホームページの大臣、副大臣の記者会見の要旨から引用をさせていただいたんです。
それと、補佐をする、方針に従って大臣、副大臣の補佐をするんだとおっしゃっていますけれども、その大臣と副大臣が、非常に率直でフランクだというお話でしたが、私どもが聞いている総理とかの、本会議あるいはさまざまな委員会で聞いている答弁とは明らかに違う内容についてこの記者会見でおっしゃっているということ自体は、世の中そういうものなんだということなんでしょうか。ちょっとお答え願います。
○中野大臣政務官 恐らく、交渉参加ありきかどうかというところが一番問題だと思うんです。
今ちょっと資料をいただきましたけれども、TPPの交渉参加に向けた関係国との協議においては、十一月に閣議決定をしているわけですが、その閣議決定では、包括的な経済連携に関する基本方針に基づいて、センシティブ品目について配慮を行いつつ、全ての品目を自由化交渉の対象とし、交渉を通じ、高いレベルの経済連携を目指すこととしている旨を説明してきていると。
ですから、恐らく、先ほどの大臣の記者会見での言動のラインは、ここのラインについて話されているということだと私は思っております。先ほど委員から御質問の、参加ありきで何事も進めているんじゃないかということは、またちょっとそれは違うのではないのかなと私は思っています。繰り返しになりますけれども、私たちは今、参加ありきで協議を進めているということではございません。
○京野委員 私は、参加ありきで外務省は進めているのではないかというふうなことは申し上げておりません。
ただ、大臣と副大臣が、全ての品目を、グッズ・アンド・サービス、全てを自由化のテーブルにのせる、記者会見でこうおっしゃっているんですね。それは私どもが経済連携PTであるとか、これまでの公式な議事録等で読んだものとはちょっと違うのではないか、こう申し上げたのであって、外務省が参加ありきで進んでいるというようなことは申し上げておりませんので、そこは認識をちょっと直していただきたいと思います。
引き続いて、記者会見の内容ですけれども、もう一つ。
参加ありきとか前のめりとか、そういうことをきょう私は申し上げたいのではなくて、これほど総理の発言をめぐって解釈があり過ぎるということを言っているんですよ。
私どもも百人百様ですよ。総理の発言、TPP参加に向けて関係国との協議を開始する、その向けてというのはどこにかかるのかとか、それは本当に百人百様なんですよ。
ですから、非常にその解釈に幅があるということを背景に、いろいろなレベルで、いろいろな閣僚がさまざまなことを言っている、こういうことで本当の国民的議論というものに資することができるんだろうか、やはり何か一筋の、はっきりとして揺るがないものというのはあってもいいんじゃないのかなということで申し上げているんです。
次に、私は、これも逆に副大臣らしい率直な発言だな、わかりやすいなと思って非常に印象に残ったんですけれども、総理の昨年の参加に向けてのスタンスは、自分の理解ではこうだけれども、閣僚の間では誤解されて伝わっている、こうおっしゃっているんですね。これはことしの七月の記者会見ですけれども、大変おもしろいというか、非常にストレートな発言なんですね。
これは、日本のそれこそマスコミが、八月に表明するんじゃないかとか、もう昨年以来何度も、今度は表明があるのではないかというような形で、私どももそれは阻止したいという思いでいろいろ動きましたが、国民運動を巻き込んでいろいろなことがあったということは御存じだと思うんですね。それで、参加表明をするかしないかというふうなことで、重大な副大臣の見解が述べられている。
私は、その後の政府の動きを見れば、やはり副大臣のおっしゃっているのが実際のところなんじゃないかと思うんですね。
どういうことをおっしゃっているかというと、皆さんにはもう今さら言うまでもないですが、米国の場合、日本の参加を認めるかどうか、その後に待っている米国のルールについてお話ししているわけです。副大臣は、言うなれば、参加するという表明は、参加ということはもう十分に相手に伝わっているんだ、だから、日本を入れるかどうかというのは、もはや日本の手を離れて米国が決めることなんだ、こうおっしゃっているんです。そして、そのとおりだと思うんですね。だから、事前協議や何かを開始しているんじゃないですか。
そして、事前協議で日本がどこまで譲歩してくるのかということを見て、言うなれば、日本の本気度を見て米国は議会に、その前にステークホルダーが議会にもいわゆる日本風に言えば調整、根回しをするんだと思いますが、それで大丈夫だという感触を得たときに初めて議会に通告する、そして九十日待って日本に、はい、どうぞということになるのではないか、はい、どうぞといったときに改めて参加に関する談話を発表するというのが当初からの考えだったというふうなことを副大臣はおっしゃっているんですけれども、それは外務省とは全く違う、個人的な見解なんでしょうか。
○中野大臣政務官 ちょっと、言葉の使い方で、事前協議と事前交渉がごっちゃになってはまずいのかなと思うんですね。
私たちが今やっていることは情報を集めるのが中心で、いろいろな意味で交渉はしているわけです。ただ、TPP参加ありきの協議をしているわけではないというふうに私は理解をしております。(発言する者あり)交渉はしていないけれども、協議はしている。ごめんなさい、済みません。
○京野委員 この問題は、何度お聞きしても、一説には霞が関文学というような言葉があるようですけれども、ともかく、私のように外の世界から、今ごろ出てきたような者にはなかなか理解できない。私自身が理解できないということは、一般国民も、さまざまな立場におられる、さまざまな利害関係を持っておられる方々にとっても非常に理解しづらいことだと思うんですね。
ですから、もう少ししっかりしたといいますか、やるならやる、やらないならやらないと。いつも玉虫色にして、のっぴきならないところにわざわざ入り込んでいくと言うとなんですけれども、このままいくと、今とまっているのは、米国の事情でとまっているだけなんじゃないですか。それと、日米お互いに自動車業界の調整がつかない、そういう外的要因でとまっているだけなんじゃないですか。どうなんでしょう。
○中野大臣政務官 私も霞が関用語というのはよくわからないので、私も政治家でございますので、私なりに読み解いてやらせていただいているつもりでございます。
今の御質問でございますけれども、確かにアメリカからは、自動車業界を中心に、業界の持っている関心というものがアメリカ政府に伝えられて、私たちが今いろいろな意味で交渉している中で、いろいろな話し合いが日米間であるというのは事実だと思うんですね。
ただ、その一方で、七月の十三日ですか、民主党の経済連携PT総会の櫻井PT座長から藤村官房長官に対して決議の申し入れがありまして、そういったことも含めて、今、与党と政府の中でまたいろいろなやりとりもされているのであるというふうに私は理解しております。
○京野委員 御本人がいないところでこれ以上というのもなんですから、もうやめますけれども、私が問題だと思うのは、やはり一貫性がない、それから解釈に幅があり過ぎるということなんですね。
この七月の同じ記者会見で副大臣がおっしゃっているのは、今までは、そういうふうにして米国がオーケーと、議会の九十日ルールで、はい、どうぞと言われたら改めて談話を出せばいいんだと自分は思っていたけれども、最近になってみたら、世論も国会もどうもそうではない、前は、九十日ルールで、スイッチを押したら、返事が出たら改めて言えばいいんだとおっしゃっていたのが、今は、その前に総理として何らかの表明をするとかしないとかということが必要なのかなと思っていると。さらにその後に、ただし、大統領選挙が近いことと、今、日本は、参議院で社会保障と税の一体改革、非常に重い法案です、だから政治的にそういう状況にない、こういうことをおっしゃっているんですね。
ですから、私は、TPPの総理のスタンスというものについても、表明はしているからもういいんだと言ってみたり、今になったら、いや、やはりもう一回表明が必要なんだみたいに余りにもぶれ過ぎている、こういうことがTPPに関する不信感のあらゆる源になっているということをお伝えしたかったんです。
そのことをお伝えして、政務官に対しては終わりにします。
〔梶原委員長代理退席、委員長着席〕
○中野大臣政務官 昨日、玄葉外務大臣が、これは共産党の笠井委員に対しての答弁でございますけれども、TPPにつきまして、二つ、この参加に向けて。一つは、我が国としての国内の合意形成をした上で、少なくとも国家として、政府として意思表明をするということを行うことが必要であると。もう一点は、六カ国については、アメリカとオーストラリアとニュージーランドを除く六カ国には参加に対しては前向きな意思表示をいただいているわけでございますが、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドが日本の交渉参加についてまだ支持を表明しておりませんので、そういった国々との事前協議で合意を得る必要があるということでございますということでございますから、単にアメリカだけではないということをまず指摘させていただきます。
それで、委員の御指摘は私たちも真摯に受けとめまして、少なくとも外務副大臣に対しましては、私の方からしっかりと今の委員の懸念についてはお伝えをさせていただきまして、余りコメントに誤解を招くような幅が出ないようにしていただきたいということは、私自身からもしっかりと申し上げさせていただきたいと思っております。
○京野委員 いや、発言を抑えられたら逆効果になるので、ちょっとそこのところは。
いずれにしても、政務官、お忙しいところをありがとうございました。お帰りいただいて結構です。本当に済みませんでした。暑いところを御苦労さまでした。
それでは、次に、厚労の政務官にいらしていただいていますので、お聞きをしたいと思います。
先ほど来、吉泉委員の質疑だったでしょうか、厚生労働省は、BSEの対策をとってから十年を経過した、あるいは六年を経過したというようなことがあって、純粋に科学的知見からする再評価を求めて諮問したんだ、こうおっしゃっています。私どもは、慎重に考える会でもそういう説明を聞きました。しかし、その説明で、そうなのかと思う人は極めてまれなのではないかと思います。
なぜなら、一昨年の九月、当時の前原外務大臣がクリントン国務長官とお会いしたときに、輸入規制の緩和について見直しをしたいような旨をおっしゃっているんですね。そして一年後に、今度は玄葉外務大臣がハワイで、現地時間で十一月十日、月齢制限の緩和ということを、私はその場に立ち会ったわけではないですが、報道によればみずからおっしゃっている。そして、その翌々日、今度は日米の首脳会談において、オバマ大統領との会談で野田総理が、米国産牛肉の輸入制限の緩和について、検討の準備を開始したという表現だったでしょうか、そういうふうにおっしゃっているんですね。
そして、今ここでこういう形で、しかも、この諮問が発令されたのは昨年の十二月十九日で、非常に時間的な近接感があり過ぎる。科学的な知見、あるいはたまたま見直しの時期に来ていたという説明では、なかなか説得力がないのではないかと思いますけれども、政務官、いかがでしょうか。
○藤田大臣政務官 ただいま委員の方からお話がございましたが、前の答弁のところでも、厚労省の立場、考え方というのはお答えをさせていただいていたということでございます。
今回、国内あるいは国外、双方でリスクが非常に低下をしてきているという事実がございまして、日本でBSEにかかった牛が最後に確認されてから三年が経過をしている、あるいは一年弱でOIEの無視できるリスクの国の要件を満たすということもございます。また、一九九二年には世界で約三万七千頭であった発生件数も、昨年の九月末の段階では十二頭にとどまっている、こういう状況もございまして、厚労省としては今回の再評価の諮問に至っているわけでございます。
今委員の方から御発言がありましたようないろいろな背景というのが、確かに発言として、あるいは動きとしてあったことは事実だと思いますけれども、厚労省としては、あくまでも特定の国の輸入条件の緩和を意図するとかいうことではなくて、しっかりと科学的知見に基づいて対応していきたい、それ以上でも以下でもないということだと思っています。
○京野委員 何度お聞きしても、その答弁は曲げられないというか、曲げるということはなかなかなさらないと思うんですが、私は、厚生労働省の姿勢といいますか、やはりよく考えていただきたいんですね。
東日本大震災があって、原発事故があった、それ以来、国民的な変化というものを把握していらっしゃるのかどうか。規制当局が、原発の規制だけではなく、厚労省も安全宣言であるとか基準の見直しとかさまざまな対応をしてきましたが、今、日本の最大の問題は、安全行政を担う、規制行政といいますか、本来ならば、やはりそこに信頼感がなくして国民生活は成り立たないと思うんですね。
ところが、今、日本の中で信頼が一番揺らいでいるのは、国の安全行政といいますか、安全にかかわる規制行政について、国が安全だと言えば、逆に、国が安全だと言うんだから、安全じゃないかもしれないと。本当にこれは冗談ではありません。多分、議員の皆様方もそういう声をお聞きになっていることと思います。
そういうふうな日本の地合いといいますか、国民的なマインドの中で、このBSEについて、確かに見直しあるいは再評価をする時期かもしれないです、しかし、もう少し、政治的判断というか、日本の規制行政に対する信頼を取り戻していくんだというような視点があってもいいのではないでしょうか。いかがでしょう。
○藤田大臣政務官 今委員のお話がございましたことは私もよくわかります。その御発言については共有する部分もたくさんございますし、しっかりと受けとめていきたいと思っております。
ただ、これは繰り返しで恐縮ですけれども、BSE対策の再評価については、国民の皆さんの関心も高い課題であって、官邸であるとか関係省庁とも十分相談した上で政府全体の判断として取り組むことになったと承知をしておりますので、厚労省としては、しっかりと食品の安全を担保するためにこれからも努力をしていくということだと思います。
○京野委員 それで、プリオン専門調査会、ここの委員の構成は、もちろん疫学上の専門家がそろっていらっしゃる。だから、疫学上の分析が中心になるのではないかと。感染に対するリスク評価という点では、確かにしっかりとした評価が行われるかもしれないけれども、区分というんですか、特に国境措置、これははっきり言って米国の対日輸出プログラムに関することだと思うんですが、処理方法とか区分管理に関する問題は置き去りになるのではないかというふうな指摘をなさる方々が相当数いらっしゃる。
そういう点についてはいかがですか。対日輸出プログラムというのはいろいろあるわけですけれども、月齢緩和、するともしないとも決まっておりませんが、月齢緩和というふうなことになった場合、その処理方法や区分管理に関する問題が起きるのではないかという懸念があるわけですね。これは政務官というよりも事務方の方がよろしいんでしょうか、余り時間がありませんので、ざっと、処理方法の違いとか、そうしたことについて簡単にちょっと触れていただければと思います。
○三浦政府参考人 リスク管理についてのお尋ねでございます。
御指摘がございましたように、米国からの輸入につきましては対日輸出プログラムに基づいて行われているわけでございますが、仮に今回、月齢の要件が変わったといたしました場合には、その要件に基づいて新たに必要な見直しをしていくということでございますし、また、あわせて、米国政府に対しまして対日輸出プログラムについての遵守を求めるということと、輸入時の検査などにより検証を継続していきたいと考えております。
○京野委員 今、対日輸出プログラムの話が出ました。ちょっとそのことでお聞きしたいのは、今はちょっと時間がありませんが、髄液の除去とか特定危険部位の処理方法とか、さまざま日本とは違う管理が行われている。正直言って、日本から見ると管理的に緩いというようなものはありますけれども、これは両国の了解のもとで行われているものですから、まずそれはそれとして。
ただ、現在の対日輸出プログラム、日本の消費者から見れば、ぎりぎり許容可能な措置だというふうに思うんですね。にもかかわらず、既に、平成十七年の輸入解禁以来、十六件の違反事例が発生している。
しかも、私は非常に驚いたのは、米国通商代表部から二〇一一年の外国貿易障壁報告書、毎年来ているわけですけれども、その中で、牛肉の輸入について、米国は、日本が課している衛生条件では、商業ベースで実行可能なものではない、このようにおっしゃっているわけですね。現在の衛生条件、しかも二十カ月月齢、それで商業ベースで実行可能ではないとおっしゃっているわけですよ。
そして、米国は、前は日本が最大の輸出相手国だったと思うんですけれども、もっともっと伸ばしたい。伸ばすには、やはり検査であるとか管理というものが、言うなれば、対日輸出プログラムの緩和も求めてくる可能性がある。
それから、非常に異質に感じるのは、確かに、食品の安全を確保するためには、コストと費用のバランスということも無視できないファクターだとは思います。しかし、商業ベースで合わないという表現というのはどうですか。日本の食品安全行政に携わる立場として、どのように感じられるか。これは事務方と政務官、どちらにもお聞きしたいと思います。
○藤田大臣政務官 先ほどから申しておりますように、食の安全ということは揺るぎないことでなければいけないというふうに思っておりますので、そうした要因とは関係なく、しっかりとその安全を守っていくために取り組みを進めなければいけないと考えております。
○三浦政府参考人 具体的な実務の話として御説明申し上げますと、対日輸出プログラムがございますが、それに基づいて、例えば、輸出施設に対しまして査察というのを行っております。こういうような査察を丹念に行うこと、そしてその遵守状況を確認していくということも非常に重要なことだと考えておりまして、そういうことも含めて、しっかり対日輸出プログラムが守られるように、そしてその中身が適切なものになるように私どもとしては努力していきたいと考えております。
○京野委員 大分時間もなくなってきましたが、米国産牛肉についてもう一つお聞きしたいんです。ちょっとBSEから離れて申しわけないんですが。月齢が緩和されれば、米国産牛肉には成長促進ホルモン剤の残留の問題があるという指摘もあるんですね。このことについてはいかがか。
それで、米国では、報道によりますと、乳牛の一五%から二〇%に遺伝子組み換えの牛成長ホルモン剤が使われている。これは発がん性があることが疫学的に実証されている。EU、ニュージーランド、豪州、カナダでは使用禁止。これは当然のことながら、EUでは長い間、輸入禁止措置で米国と紛争しているわけですね。
日本国内ではこのホルモン剤は使用禁止だが、使用された乳製品の輸入は認められている、残留基準も設けられていない。しかし、月齢が緩和されれば、このホルモン剤を投与された牛が食用として入ってくる可能性があるのではないか。そのときに残留基準や何かについてはどのように取り扱うのかというふうなことについて、ちょっとお聞かせいただければと思います。
○三浦政府参考人 お尋ねがございましたホルモン剤の関係でございますけれども、中でも遺伝子組み換えのものにつきましては、牛に通常存在いたしますホルモンをもとにいたしまして、遺伝子組み換え技術によって製造されたものでございます。これにつきましては、天然型のホルモン剤と同様に、通常含まれる量を超えてはならないという基準が現在適用されているものでございます。
このホルモン剤につきましては、現在、国際的な食品の基準を作成いたしておりますコーデックス委員会で評価を行っているところでございます。
FAO・WHOの合同食品添加物専門家会議での議論といたしましては、適正に使用される場合、牛に通常存在するホルモンの量を超えることはないということ、また、このホルモンはたんぱく質でございますので、人が摂取しても消化管で速やかに消化されるということなどから、人の健康への影響はなく、基準値は必要ないということが国際的な専門家会議で指摘されているものでございまして、我が国の基準もほぼ同等のものというふうに考えております。
とはいえ、これからも、私どもといたしましては、食品の安全が損なわれることがないように、このホルモン剤などにつきまして、引き続き十分な情報を収集するように努めてまいりたいと考えております。
○京野委員 時間がないのですが、このホルモン剤について、今、コーデックスの基準についてというふうなことでいろいろお話がありましたけれども、これは残念です。政務官にちょっとだけお聞きしたいのは、今おっしゃった、コーデックス基準では大丈夫だというふうな話ですが、EUと米国の間で、ホルモン剤を使った牛肉の輸入をめぐって長い間紛争が起きている。そして、それはパネルに提訴され、また上級委員会にも提訴されて、非常に長年にわたって紛争を続けている。
この紛争が与えた教訓というか、与えている教訓というのは、やはり、国際的な貿易のルールと、自国が国民の安全あるいは国民の不安感というものに配慮して自国で独自に政策的な対応ができるのかどうか、いわゆる政策主権との両立といいますか、バランスといいますか、それが問われていると思うんですね。
ですから、これからグローバリゼーションになって、好むと好まざるとにかかわらずさまざまなものが入って、また日本も輸出入が激しくなっていくと思うんですが、今後のグローバリゼーション、TPPももちろん大きな問題を抱えていますけれども、このように、国際基準がこうだから、純粋科学的にこうだからというだけで、国民の安全について全て、国際基準はこうですよ、科学的知見がこうですよと言ったら、私は政治は要らないと思うんですね。行政と科学者と、あとは翻訳したりなんかする交渉官がいればいいと思うんですよ。
ですから、こういう問題について、やはり日本独自の政策主権というものをきちんと確保していきたいんだと。いけるかどうかわからないですよ、EUと米国も本当に厳しい紛争をしていますから。いけるかどうかわからないんだけれども、いくんだ、国民を守るためには闘わなきゃいけないときには闘うんだという姿勢があればいいと思うんですね。
そして、私は、民主党が国民の生活が第一というふうなことで政権交代をしたのは、やはり、そのような重要な判断をするときには誰を見て判断するのか、国民の方を見てくださいねという大きな意思表示があったと思うんです。そういうことを真っ向から受けとめていただきたいと思います。いかがでしょう。
○藤田大臣政務官 国際基準だとか科学的知見だとかということを抜きにというのはなかなか正直難しいことはあるんだと思いますけれども、しかしなおかつ、先ほど申しましたように、やはり食の安全と消費者の信頼の確保というのは大前提でございますし、食の安全というのはいかなることがあっても揺らいではいけないと私は常々思っております。
そういう意味で、例えば、安全性が確保できないということがはっきりしたというようなことであれば、国際基準よりもより厳しい措置というものを導入するということも当然必要だ、それは政治の判断としてやっていくことも大事だ、こういうふうに私自身は思っているところでございます。
○京野委員 ありがとうございます。
それでは、時間ですので、終了いたします。ありがとうございました。
○吉田委員長 次に、石田祝稔君。
○石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。
きょうは、農産物貿易、特に私は農林水産物等中国輸出促進協議会の問題についてお伺いをいたしたいと思います。
この問題につきましては、きょうも取り上げられましたし、また、きのうもそういう話が出たというふうにお伺いをいたしております。また、今までも何度もこの問題は取り上げられておりますけれども、やはり感じるのは、靴の上から足をかくような感じがするんですね。これはなぜかというと、本人に聞けないから。これは非常に歯がゆいような感じがいたします。先ほども、TPPの問題も、発言した本人じゃなくて違う政務官に聞いているわけですから、何となく、聞いているんだけれども、どこかずれているような気もいたします。
ですから、これは今後ぜひ各党で、この問題をどうするのかということは一回話し合った方がいいんじゃないかなということを私は思っておりますので、これは改めて、きょうは提案をいたしませんが、また理事会等でもお話もさせていただきたいなというふうに思っております。
それで、農産物の輸出は、私は非常に大事だというふうに思っています。ですから、農産物の輸出に関しては私は全面的に協力をしていきたい、そういう気持ちもありますけれども、何となく今回のこのことで水を差されたんじゃないかと、正直そういう感じがいたします。
ですから、これは早く決着をつけないと、もうずっとこれで引っ張っていて、農産物の輸出の本当に大事なことがなかなか進まないでは本末転倒になってしまうんじゃないか、こういうふうにも思っております。しかし、そういう不透明な部分はそのままにしておけというわけではありませんので、やはりそういうものを早く解明をして、決着をつけて、そして前へ進んでいかなきゃいけないんじゃないか、こういうふうに思います。
それで、きょうお伺いしたいのは、一応、農林水産省の省内の調査チームで、中間報告、こういうものが出されました。しかし、残念ながら、やはり強制的な捜査権、調査権がないということで、何となくもやもやとしたものも残っている。
それで、もともと、これは私は第三者を入れた調査をした方がいいのではないか、こういうふうに思っておりましたけれども、これについて、第三者を入れた調査ではなくて、この中間報告を第三者に評価をしてもらう、どうもこういうことで農林水産省はお考えのようでありますけれども、この第三者評価の依頼、そしてこの第三者評価を行う弁護士さんが実際何か調査をするのかどうか、この点、まずお聞きをしたいと思います。
○佐々木副大臣 お答えさせていただきます。
今、石田委員からもお話がございましたが、任意調査をさせていただきましたが、御案内のように、そこにはやはり限界があることは事実でございます。しかし、我々としてほぼやるべき調査を尽くしたというふうに考えておりますが、そこで議会からの御指摘もいろいろいただきました。第三者の専門家の意見を聞くべきとの御指摘をいただいたことから、検察官経験者を含む弁護士の方々に、法的観点から評価、助言をいただくということで第三者評価を実施することとしたところであります。
第三者評価にしたのは、我々としては、それは限界はありますけれども、調査は一定程度やっている、そして議会の方からも早く結論を出せというようなことも言われているというようなことを勘案した結果、第三者評価というシステムでこれを評価していただくというふうにさせていただいたところでございます。
現在、弁護士の方々に書類をお渡しして、御質問があれば回答していくという中で、中間報告の事実認定が適切であったか、法令違反の事実等があるかについて、精査をいただいているというところでございます。
○石田(祝)委員 これについては、八月中を目途に評価、助言をいただく、こういうことですね。しかし、その評価、助言をもらう中間報告そのものが、やはりある一定の任意の調査ということで、限界があってはっきりしないことがたくさんあるわけです。例えばその情報漏えいの問題。これも新聞等を拝見しますと、漏えいしたと思われる重大な情報、これを全部持っていたのは筒井さんだけだったと。しかし、本人は否定をしている、それ以上踏み込めない。また、財務内容についても、この協議会には詳しい数字もなかなか聞けない。
だから、そういうふうな中間報告をどう評価してもらっても、中間報告そのものが非常に曖昧な形でしか出てきていないわけですね。要するに、やり尽くした、徹底的に調べた、不明な点はない、こういう形での中間報告であれば、それをどう評価するかというのはあると思うんですけれども、中間報告そのものが、これは非常に限界がありまして強制権もありませんのでという形じゃないですか。その四件の大変な機密性の高いものについても、一体誰が漏らしたかは全くわからない。わからないという報告なんでしょう。そういうものを評価してもらって一体どうなるのかな、そういう気もいたしますが、百歩譲って、評価を八月中にやっていただくと。
では、この評価、助言を八月中にやって、これは我々も見せていただいて、なお不十分であったら、これはもう任意の調査、省内の調査では無理だ、こういう結論になると思いますけれども、そういう点はどういうふうにお考えでしょうか。
○佐々木副大臣 第三者評価でありますが、弁護士の方々には、中間報告はもちろんでありますが、事実認定にかかわる資料の一連の資料は提供させていただいておりますし、弁護士の方々から評価を行うために聞き取りを行いたいと要請されたときには、当事者の意向も踏まえ対応を検討しているということでございまして、できるだけそうした対応をしっかりさせていただいて、しっかりとした評価をいただきたいというふうに思っているところでございます。
○石田(祝)委員 中間報告が出されて、そして七月二十日付で弁護士の方のお名前も出されて第三者評価をやる、こういうことです。もう八月になりました。
ですから、中間報告の後の継続調査、これは農林水産省ももう中間報告を出して、あと第三者に評価してもらうので、中間報告それ以降は調査みたいなことはとまっているんですか。やっているんですか。これはどうなんでしょうか。
○佐藤政府参考人 石田先生の御質問にお答えします。
先ほど佐々木副大臣から御答弁ありましたように、今、第三者評価ということで、検察官出身の弁護士さんにいろいろと報告書あるいは議事録等、いろいろなものを見ていただいて、評価、助言を行っていただいているところでございまして、現時点ではそういう状況でございますので、待ちのような状態になっているわけでございます。
ただ、先ほどからもお話ございましたように、今、展示館事業のあり方の検討といったものもなされておりますので、この漏えいあるいは論点調査結果、こういったものも踏まえて、事実関係と関係者の意向の確認をするようなことをしておりまして、その関係から、協議会側との接触というのを持っているような状況でございます。
以上です。
○石田(祝)委員 これは非常に不透明だと私も思いますので、調査を続けていただくということと同時に、農産物を輸出する、そして相手の国、中国ですね、いろいろと働きかけをして、それは結果的には正規のルートではなかったかもしれません、展示館も今あるわけでしょう、このお金も払われていない、向こうからいったら約束の家賃みたいなものですか、これも滞っているようにも聞いておりますけれども、そういう真相の解明と同時に、もう現実に行われていること、これをどういうふうに始末をつけるか。いや、もう関係ないですよ、担当していたというか、促進に携わっていた副大臣も大臣もいなくなっちゃっているので、農林水産省という組織はあるんだけれどももうその関係者はいないんだから関係ないですよということで済むのかどうか。真実の解明と同時に、これのしまいのつけ方なんですよ。
これは下手したら、日本の農林水産省の大臣、副大臣、私は、全く関係なかったとは言いませんよ。要するに、ある意味で言えば、百歩譲って言えば、善意で農産物の輸出をしようというふうに思っていたかもしれませんよ。しかし、これが今のような結果になっていますから、これについてどうしまいをつけるかということも、これはしっかり考えていかなきゃいけないと思うんですよ。その辺のことを今後どうしていかれるおつもりですか。
○佐々木副大臣 大変貴重な御提言だというふうに思っております。
この課題、私は今度はあり方という形でこのチームを担当させていただくことにさせていただいて、今、二つの調査報告をもとに、あり方の方を担当させていただいています。
その中で、考えなければいけないことは、一つは、中国との関係をしっかりと政府間で、そのきずなといいますか、信頼関係をつくり上げていくということが一つ大事だと思います。もう一つは、出資者と出展予定者の皆さん方、この皆さん方に対してやはり丁寧な対応というものをやらなければいけない。その結果として、真ん中にある協議会をどうしていくのかというふうなことを検討していくというのが道筋だろうというふうに思っておりまして、まずはそこから、今、あり方について始めさせていただいたところでございます。
○石田(祝)委員 どちらにしろ、この第三者評価というのは八月中に一定の結論を出す、こういうことになっておりますから、これは八月中でできて、その間に何が起きるかわかりませんけれども、九月八日までが今国会の会期ですから、ゆめゆめ九月八日が終わってからまとまった報告を出すということのないようにお願いをしたいのが一つであります。
それで、最後になりますけれども、私が申し上げたいのは、私もこの問題で質問をさせていただいたことがありますが、一つは、やはり農水省の顧問に今までと全く違う人を起用した。それで、私は当然起用のときの起案文書というのがあるから見せてもらいたいと言ったら、もうただ一行、誰々さんを顧問にします、文書にそれしか書いていないんだ。どこの誰かわからない、どういう経歴の人かわからない、そういう文書をくっつけて起案をして、大臣のかわりに誰かがサインしたというふうに聞きましたけれども、その一事をもっても非常に不透明じゃないのか。
ですから、この霧をやはり晴らして、農産物の輸出に日本としてもしっかり力を入れていく、私は非常に大事だと思いますので、最初に申し上げましたように、やはり御本人に聞かないと隔靴掻痒の感を逃れない気もいたしますので、これは改めて、また適当な場で私も提案をさせていただくかもしれませんので、よろしくお願いをいたしたいと思います。
あとは、時間後、今度はTPPのことでお聞きをさせていただくようにいたしておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
○吉田委員長 次に、稲津久君。
○稲津委員 公明党の稲津でございます。
きょうは、TPPに関して数点お伺いしたいと思うんですけれども、さきに質問された方と一部重複するかもしれません。確認の意味も含めての質問になりますのでお許しいただきたいと思いますが、このTPPの質疑に入ります前に、配合飼料の価格高騰対策についてということで、まず一番最初にお伺いしたいと思います。
もう既に御案内ですけれども、アメリカで大変な干ばつが起きているということで、当然、世界有数の穀倉地帯ですから、トウモロコシ、大豆等々大きな影響を受けているということで、これは、アメリカの農務省の発表によりますと、近年、過去最大級の干ばつで農産物に影響が出るだろう、一九八八年の水準まで行きそうだ、こういうことです。
このことによってさまざまな影響が懸念されるんですけれども、もちろん、乳製品とかしょうゆとかマヨネーズとか、いわゆるトウモロコシや大豆を使った加工品、これは日本に大きな影響を与える。それともう一つは、当然これは配合飼料のところにも大きな影響を与えるだろうということで、この配合飼料の価格の変動対策ということ、これは今現在基金をつくっていただいて、これで対応していただいているんですけれども、今の現行制度で十分対応していけるのかどうか、これは農業関係者の方々から大いなる懸念の声もいただいていますので、この機会に改めて伺っておきたいと思います。
○郡司国務大臣 今委員の御指摘ありましたように、大変アメリカの干ばつが厳しい状況で、これまでの、つまり昨年までの例でいいますと、相当な影響が出るだろうというふうなことで言われております。
若干異なっておりますのは、これまで、多分オバマさんの前の大統領だったと思いますけれども、エタノールにこのぐらいの量を回しなさいというようなアメリカ政府の転換がありましたけれども、それを見直そうかという議論も出ているというような話があります。一方で、円高の関係それから運輸費がこれまでと違って割安な感じになっているということで、量だけでははかれない側面がありますけれども、そうはいっても大変なことだろうというふうに思っております。七月二十日の最高値からまだ下がっております。この後、八月の十日前後だと思いますけれども、アメリカにおきましてことしの収量の予測というものが出されます。こういったものを見ながら注視をしていきたいということが一つでございます。
このような中で、お尋ねの十月―十二月に対応可能な配合飼料の価格安定制度の補填財源でございますけれども、通常補填の基金は百七十億でございます。それから、異常補填の方が三百十億。合わせまして四百八十億円というような見込みでございます。仮に通常補填基金が不足をするような事態が生じた場合には、異常補填基金からの貸し付け等によりまして生産者に対する補填が円滑に行われるように努めていきたいというふうに思っておりますけれども、例えば、直近の関係でいいますと、補填金が今四百五十円ぐらいというような額になっております。こういうところから、今言ったようなところで最終的にどのぐらいの価格になるかわかりませんけれども、一定のところまでは今のところ賄えるのではないかというふうな予想を立てながら注視をしていきたいというふうに思っております。
○稲津委員 ありがとうございました。
大豆、トウモロコシ、これはシカゴの商品取引所でも過去最高の最高値、それからもう何日間も連続で高値を更新しているという状況であります。今、円高の話がありました。確かにそのとおりだと思います。ただ、これとて一方では、例えば、これはちょっと話は違いますけれども、原油なんかを見てみますと、円高で何とかかんとかおさまっているけれども、これも大変な、要するに原油の高騰というのが全然引かないわけですね。
今、酪農関係者の方々の不安というのは、例えば燃料等に対しても随分上がってきている、それから今度は配合飼料の高騰はどうなるんだと、大変な不安です。今、基金のお話もいただきまして、まずはこの範囲で何とかいけるだろうというふうに私も思うんですけれども。ただ、いずれにしましても、そういった農業者の不安、懸念を取り除いていくためにもしっかりやっていただきたいこと。
それから、これは当然この基金事業に対する酪農家の方々の、この基金事業の役割は大きくなっているんだということをまさに示していることだと思うんですね。したがって、例えばこの基金財源が枯渇することがないように、補填も含めてぜひ御検討いただきたいということを申し上げておきたいと思います。
それで、TPPのお話に移らせていただきたいと思います。
まず初めに、先ほども話のありました日本再生戦略についてです。これは七月の十一日に政府が原案ということで公表しました。日本再生戦略。環境、医療等々、全部で三十八の重要施策を挙げていらっしゃるんですけれども、この中で非常に違和感があったのは食と農の再生戦略。これは二〇二〇年までに食料自給率をカロリーベースで五〇%にするということで、目標自体は私は喜ばしいことだと思っているんですけれども、では、果たしてどういう方法でこれを具体的にしていくのか、この辺が不明なわけですね。ですから、この目標が達成できるというふうにお考えなのかどうか、このことも含めてお示しいただきたいと思います。
○仲野大臣政務官 お答えいたします。
平成三十二年度に、カロリーベースで五〇%、生産額ベースで七〇%という食料自給率目標を掲げ、国内の食料生産の増大を通じて食料自給率の向上を図っているところでございます。
そして、今先生の御指摘いただいた、果たしてこの目標を達成できるのかという御懸念についてでありますけれども、今回の策定されました日本再生戦略においても、食料自給率五〇%の達成を目指すとされており、それは、一つには戸別所得補償制度の適切な推進により、意欲ある全ての農業者が農業を継続し、経営発展できる環境を整備するとともに、二つ目におきましては、六次産業化の推進により、農山漁村に存在する豊富な地域資源を有効に活用すること、そして、若者の就農意欲を喚起し、新規就農を増大させていくなど、我が国の農林漁業を再生するためのさまざまな施策を複合的に推進することによって、国民の理解、協力を得ながら、この自給率の目標の達成に向けて全力で取り組んでまいりたいと思っております。
そしてまた、先生も北海道、私も北海道ということでありますので、本当に、北海道といえば食料供給政策基地と位置づけられている中で、先生は現場の声も相当熱心にお聞きされているので、先生の御意見、御指導いただきながら、また我々といたしましてもしっかり取り組んでまいりたいと思っております。
○稲津委員 何か抱きつかれているような気がしてあれですけれども。済みません、適切な表現ではありませんでした。
戸別所得補償制度で手を打ちます、六次化で手を打ちます、そして新規参入で手を打ちます。これって今までもずっとやってきているんじゃないですか、タイトルが変わったりなんかして。
質問はしませんけれども、戸別所得補償制度の話をさせていただくんだったら、今の品目以外のもので、具体的に、では本当に手を打つんですかどうかということも聞きたいんですけれども。決意発表じゃなくて、ではどれを決め手にしてやるのかということを明確にしないと、カロリーベースで一〇%上げるというのは、大変なやはり、これはそう簡単に、総合的にやりますなんという話ではないと私は思うんですよ。ですから、ここはあえてお聞きしませんけれども、これはしっかり、もう少し具体的にどうしていくのかということを明確にしていただきたいと思います。
これは、TPPに加入した場合ということで、今政務官から北海道の話がありましたから北海道の話を申し上げますけれども、北海道の場合、これは食料自給率、カロリーベースで現行二一一%ぐらいと言っていますけれども、これがTPPに加入をして関税撤廃という状況になったときに六四%ぐらいに下がるぞという試算がありますね。農水省は、全国ベースでいうと一三%ないし一四%ということで試算をしているわけです。
だから、このTPP参加、そして関税撤廃という状況を踏まえていくと、とてもじゃないですけれども、この再生戦略の食料自給率五〇%という目標は私は絶対不可能だと思うんですけれども、この辺との整合性というのはどんなふうに考えていらっしゃるのか。この点についても伺いたいと思います。
○仲野大臣政務官 昨年策定されました食と農林漁業の再生のための基本方針・行動計画においても、食料自給率の向上はTPP協定交渉参加の判断いかんにかかわらず進めていくべき課題との考えのもと、この基本計画に基づく食料自給率目標五〇%達成を目指し、高いレベルの経済連携と両立し得る持続可能な農林漁業を実現する旨を明記しており、戸別所得補償制度や六次産業化などのさまざまな施策を複合的に推進してまいりたいと思っております。
先ほど先生から、るるおっしゃられましたけれども、本当にTPPのこの言葉が出る前から、自給率五〇%ということは言ってまいりましたので、それについて、しっかり目標を定めて、その目標に向かっていくということが我々の取り組む基本方針だと思っておりますので、ぜひ先生、御理解をいただきたいと思います。
○稲津委員 目標に向かって取り組んでいくというのは、それは恐らくみんな同じなんですね。そこは御理解いただきたいというのは、もう理解は十分しているつもりなんですけれども、具体的にどうするかということなんですね。それで、今、私、TPPに加入した場合という話で比較させていただいたんですけれども、余りお答えになっていないんじゃないかと思うんですが。
それはともかくとして、要するに、この日本再生戦略というのは、片や、この中身を見てみますと、要するにEPAを結ぶ国、貿易を結ぶ国の割合をどうしますかということについても明確に書いているんですよ。二〇二〇年までに現行の二割ぐらいから八割ぐらいに引き上げるというんですよ。そうしたら、EPA八割で、この中にTPPはどういうふうに位置づけていくのかと考えていったら、かなり矛盾があります。
ですから、私、こういう日本再生戦略を出して、カロリーベース五〇%と書くのはいいんだけれども、やはり、これは本当になるほどなと信頼されるというか説得力のあるものでないと、今まさにこのTPPのことで国会などでも議論されているときにこういうものが出てくるというのは、私は非常に理解しがたいと思っています。きょう、時間が短いですから、これ以上このことについては触れませんけれども、別の機会にぜひ議論させていただきたいと思います。
次は、輸入農産物の価格についてということでお聞きしたいと思うんですけれども、北海道が、TPPによる北海道への農産物の影響試算というのを既に発表されました。影響の額ということで二兆一千億、それから、そのうち農業生産額が五千五百億ぐらいということで既に発表になっているんですけれども、この中で非常に私が関心を持ったのは対象品目についてなんです。米、小麦、てん菜、でん粉、酪農、肉用牛と。
この中で、例えば米。外国産が国内の米と競合した場合、価格面で優位なことから生産量は九割削減。小麦、これも同じです。外国産は価格面で優位なので生産壊滅。てん菜、これも同じく壊滅。でん粉も壊滅。酪農、これは、飲用向け以外は生産大幅減少。こういうことがうたわれておりまして、確かにそのとおりなんだろうな、こう思うんですけれども。
ここで、対象品目の全てが、例えばアメリカなどの国の農産物が価格面で優位だ、安いんだ、だからこれは大変なことになると。本当にそうなのかなという疑問があるんですね。というのは、それは、まず最初はそうでしょう。しかし、先ほど私が申し上げましたように、例えばアメリカで干ばつが起きた。トウモロコシ、大豆、価格が高騰した。だけれども、例えば、オーストラリアのサトウキビ畑も去年集中豪雨で相当やられまして、大体五年ぐらい前の砂糖の価格に比べると、今、オーストラリア産は三倍になっているという話。だから、まさに農産物というのは、価格がどうなるのかというのは、作況を見ないとわかってこない、こういう懸念があるわけです。
だから、TPPに加入して、日本の主要農産物が壊滅的な打撃を受けて、そして国内の生産が著しく減少したときに、外国から買わざるを得ない。最初は価格は安いかもしれないけれども、こういう干ばつ等の事態になったら価格は上がる。なおかつ、それがある一定程度の価格におさまっていっちゃったら、安い農産物が入ってきて壊滅的になるという問題の前に、これは、要するに本当に日本の国民に対して安定して食料を供給できるのかどうか、食料の安全保障の問題になってくる。私はそう思うわけなんですけれども、このことについてどういう見解をお持ちなのか、お聞かせいただきたいと思います。
○郡司国務大臣 先ほど来から貴重な御指摘をいただいております。
まず、ちょっと話を戻させていただきますけれども、具体的に自給率を上げるということになりますと、いかに農地を利用するか、そこに、基本的には、小麦でありますとか、先ほど言いました大豆でありますとか、そしてまた、飼料作物というものをきちんとふやしていくということが自給率を上げるということになるんだろうというふうに思っております。
ただ、今現在、そうした基本計画の中につくりました、この面積にこのものを植えていこうということが、必ずしも今同じような進捗にはなっておりませんから、そこのところについては、いろいろな制度を活用しながらしっかりと取り組むようなことをしたいということでございます。
それから、食料安全保障の関係でございますけれども、これはまさに大事なことでございまして、食料安全保障マニュアルというものを、大分前ですけれどもつくらせていただきました。昨年、震災がありましたので、緊急時のことについても加えさせていただきましたけれども、基本のところは、自給率を上げながら、安定的に世界の中から供給先を見つけるということになるわけであります。
しかし、世界が本当に安定的に供給をしてくれるのかということになりますと、近年の歴史を見ても、ソ連邦が潰れる前の何年か、二回の不作のとき一回は、アメリカは結果として輸出をしてくれませんでした。こういうようなことを鑑みると、幾ら安いからといっても、小麦を全部委ねるというようなことはやってはいけない。大豆を全部委ねるというようなこともやってはいけない。
例えば、この前、製粉業界の会長さんともお話をさせていただきましたが、私たちもやはり高くても国産のものを使いたいんです、だからそれに合うような、例えばパンに合うような、麺に合うような、そうしたきちんとした国産のものをつくってください、そうすれば私たちはきちんと買い上げていきます、こういうようなお話をいただきました。
私どもも、ひとりよがりに計画をつくって、いざとなったらばこういうものをつくれば自給率が一人当たり何キロカロリーまでやれるんだとかということだけではなくて、それぞれ、地域とかそれを担っている産業の方々と信頼関係を築く中で、しっかりとしたそういう食料安全保障について考えていきたいというふうに思っております。
○稲津委員 大臣、本当に大事なお話を御答弁としていただいたと思います。
私も全くそのとおりだと思っていまして、やはり、国内でどのようにして安定的に食料を生産供給できるか。そのために、食料自給率をきちんと目標を持って、そこに具体的な施策を当てはめていく。だからやはり、ここのところは、TPPとはどうしても相反する面が著しくあると思うんですよ。大事な御答弁をいただきましたので、ぜひその政治姿勢で貫いていただきたいとお願いしたいと思います。
そのことにあわせて、大臣のこれまでの御発言等についてお聞きしようと思ったんですが、時間の関係上、ちょっと先に行きまして、後でまた時間があればお聞きしたいと思うんですけれども、アメリカのTPPの対日本戦略ということについてちょっと伺いたいと思っております。
日米間の事前協議に関連して、これは、アメリカが日本の交渉参加を認める前に、保険、自動車、牛肉、この三分野で日本の譲歩を求めている、こういうことがいろいろと報道されていますけれども、TPP、これはいろいろな分野がありますけれども、アメリカから見た場合、どの分野に一番力点を置いているのか。
今私が申し上げましたような、保険だ、自動車だ、牛肉だ、こういうことはありますけれども、これは率直な思いで結構でございますので、日本のどの分野をターゲットに輸出を図ろうとしているのか。これはTPPの戦略だけではないかもしれませんけれども、このことについて簡潔にお答えいただければと思います。
○郡司国務大臣 委員よりも私の方が少し年上かもしれませんけれども、私ども、小さいときに、漫画、映画、テレビを見ますと、例えば、アメリカのうちには洗濯機があって自動車があって、いろいろなものがありました。それはアメリカでつくられたもので、日本人もそうしたものが欲しいなということがありました。ところが、今、アメリカのテレビを見て、欲しい、アメリカの車をそれほど欲しいと思う人はいなくなってきたと思うんです。
つまり、アメリカが今世界の中で主要な力を持つということを目指しているのは、やはり、金融に関する、あるいはそれに派生をする、もちろん、保険その他のことも含めてでありますけれども、そうした分野と、もう一つ申し上げれば、軍事的な部分、その部分ではないかというふうに思っております。
○稲津委員 軍事の方はあれですけれども、最初の方は全く意を同じくいたします。
要するに、アメリカの経済の実態というのは、五〇%ぐらいが金融機関の利益がなっているということですね。これは、一つは、原油価格の高騰なんかで世界経済の中で交易条件というのがどんどん変わっていった、だから、今大臣がおっしゃったように、かつてはアメリカで物をつくって売る、そういう実物経済から、今や完全に金融経済にかじを切ってしまったということ。
そう考えていくと、先ほど私が冒頭にいろいろ、アメリカのトウモロコシ、大豆等の農産物の干ばつによる価格高騰があると。要するに、そういうものさえも金融商品化するという話ですよ。これが本当に恐ろしい。だから、私は、TPPに安易に入っていくというのは本当に末恐ろしい話になってくると思うんです。
そこで、金融経済ということで申し上げたいと思うんですけれども、金融の自由化、それから石油製品の商品化、こういったものを通じてアメリカの経済をアメリカ自身がどんどん広げようとしている。ターゲットになってくるのは、もう一つ言わせていただくと、やはり、金融商品で考えると、保険も含めて、郵政の簡保ですとか農協の共済、これが言われるところです。
簡易保険とか農協の共済というのは、零細、小生産者、自営者、こういった方々にとってはもう生活防衛の一つになっている。それから、既にもう制度化されて、各地にある意味で定着している。ここが壊されるというのは地域そのものに非常に大きな影響を与えてきますので、規制緩和とか民営化の名のもとに、それはあっても必要なんですけれども、これが対アメリカの金融商品の拡大戦略の中における日本に対する内政干渉だとするととんでもない話ですので、ここはやはり意を強くして言っていただきたい。
現実に、米韓FTAではいろいろなことが我々にも聞こえてきています。このことは本当に注意していかなきゃいけないと思っているんですけれども、このことについて大臣はどのような所見、見解をお持ちなのか、お答えいただきたいと思います。
○郡司国務大臣 私も委員と同じような認識をさせていただいております。
文化の違いから生まれた制度の違いを自分の国の制度に全て当てはめようということに関しましては、やはり世界はもう少し慎重であらなければいけない。しかし、アメリカの場合には、往々にして自分たちの価値観というものを押しつける。それが表に出るか裏に出るか、いずれにしても、モンロー主義というような形の裏表をアメリカという国は相当持っているのではないかというふうに思っております。
それからもう一つ、アメリカの強さ、ドルの強さというのは、やはり決済を何によって行うかということでありますから、私どもはドルの決済の中でこれまで貿易を行ってまいりました。そこから一旦離脱をしたような形のEUというところが生まれて、ユーロというものができ上がりました。そこに対して、アジアを中心としてどのような貿易のブロックをつくるのか、あるいはつくらない方がいいのか、このようなところの判断ということも国益の中では大変重要な判断になってくるだろうというふうに思っております。
○稲津委員 時間が来ましたのでこれで終わりますけれども、大臣の御発言、この間、参議院の予算委員会をお聞きしましたけれども、関税撤廃に関して、TPPによる被害を懸念する声を発信するのが自分の仕事だとおっしゃった。それから、これは御就任のときですけれども、全ての関税が撤廃されることが国益になるという判断は、これは難しいと。全く正しくて、そして頼もしい御発言だと思っています。
きょうもTPPについて議論させていただきましたけれども、大臣の基本的な政治姿勢というのはよく理解できましたので、ぜひ、そういう政治姿勢を貫いていっていただいて、TPPについては断固、国益を損ねるということを、意思を強くしていただきたい、このことを申し上げて、終わらせていただきます。
○吉田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時三十四分散会