衆議院

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第2号 平成25年1月24日(木曜日)

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平成二十五年一月二十四日(木曜日)

    午前九時十分開議

 出席委員

   委員長 森山  裕君

   理事 伊藤 忠彦君 理事 小里 泰弘君

   理事 北村 誠吾君 理事 葉梨 康弘君

   理事 宮腰 光寛君 理事 大串 博志君

   理事 村岡 敏英君 理事 石田 祝稔君

      井野 俊郎君    池田 道孝君

      加藤 寛治君    川田  隆君

      菅家 一郎君    清水 誠一君

      末吉 光徳君    鈴木 憲和君

      武井 俊輔君    武部  新君

      津島  淳君    中川 郁子君

      長島 忠美君    西銘恒三郎君

      橋本 英教君    福山  守君

      堀井  学君    簗  和生君

      山本  拓君    渡辺 孝一君

      後藤  斎君    玉木雄一郎君

      寺島 義幸君    鷲尾英一郎君

      鈴木 義弘君    高橋 みほ君

      山之内 毅君    稲津  久君

      佐藤 英道君    林  宙紀君

      畑  浩治君

    …………………………………

   農林水産大臣       林  芳正君

   農林水産副大臣      江藤  拓君

   農林水産副大臣      加治屋義人君

   農林水産大臣政務官    稲津  久君

   農林水産大臣政務官    長島 忠美君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            針原 寿朗君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  佐藤 一雄君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            實重 重実君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   梶原 成元君

   農林水産委員会専門員   栗田 郁美君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月十七日

 辞任         補欠選任

  岸本 周平君     後藤  斎君

  階   猛君     寺島 義幸君

  福田 昭夫君     鷲尾英一郎君

  山井 和則君     玉木雄一郎君

  笠  浩史君     大串 博志君

同月十八日

 辞任         補欠選任

  田沼 隆志君     鈴木 義弘君

  中田  宏君     高橋 みほ君

  中丸  啓君     百瀬 智之君

  中山 成彬君     村岡 敏英君

同月二十二日

 辞任         補欠選任

  赤澤 亮正君     長島 忠美君

  伊東 良孝君     清水 誠一君

  今村 雅弘君     葉梨 康弘君

  江藤  拓君     山本  拓君

  黄川田仁志君     井野 俊郎君

  谷川 弥一君     橋本 英教君

  土屋 正忠君     加藤 寛治君

  寺田  稔君     武部  新君

  土井  亨君     伊藤 忠彦君

  冨樫 博之君     鈴木 憲和君

  渡海紀三朗君     池田 道孝君

  東郷 哲也君     渡辺 孝一君

  冨岡  勉君     菅家 一郎君

  豊田真由子君     末吉 光徳君

  中川 俊直君     福山  守君

  中谷 真一君     堀井  学君

  中根 一幸君     津島  淳君

  中村 裕之君     武井 俊輔君

  藤原  崇君     川田  隆君

  保利 耕輔君     西銘恒三郎君

  盛山 正仁君     簗  和生君

同月二十四日

 辞任         補欠選任

  百瀬 智之君     山之内 毅君

  輿水 恵一君     佐藤 英道君

同日

 辞任         補欠選任

  山之内 毅君     百瀬 智之君

同日

 理事笠浩史君同月十七日委員辞任につき、その補欠として大串博志君が理事に当選した。

同日

 理事田沼隆志君同月十八日委員辞任につき、その補欠として村岡敏英君が理事に当選した。

同日

 理事今村雅弘君及び土井亨君同月二十二日委員辞任につき、その補欠として葉梨康弘君及び伊藤忠彦君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

平成二十四年十二月二十八日

 一、農林水産関係の基本施策に関する件

 二、食料の安定供給に関する件

 三、農林水産業の発展に関する件

 四、農林漁業者の福祉に関する件

 五、農山漁村の振興に関する件

の閉会中審査を本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件(畜産問題等)

 平成二十五年度畜産物価格等に関する件


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     ――――◇―――――

森山委員長 これより会議を開きます。

 理事の補欠選任の件についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴いまして、現在理事が四名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名することに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に

      伊藤 忠彦君    葉梨 康弘君

      大串 博志君 及び 村岡 敏英君

を指名いたします。

     ――――◇―――――

森山委員長 この際、農林水産大臣、農林水産副大臣及び農林水産大臣政務官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許可します。農林水産大臣林芳正君。

林国務大臣 おはようございます。農林水産大臣を拝命いたしました林芳正でございます。

 農林水産業は国のもとであり、食料生産はもとより、多面的機能の発揮といった重要な役割を担っている一方、農業生産額の減少や担い手の高齢化など、課題が山積していると認識しております。

 今月の十三日でございますが、就任後最初の出張ということで、被災地の宮城、福島両県を訪れてまいりました。東日本大震災で被災地の復旧復興の状況を直接視察し、また被災された方々の生の声を聞いて改めて感じましたのは、現場あっての農林水産業だということでございます。私自身、農林水産が非常に盛んである山口県の出身でございまして、一人の政治家としても、これまで現場を大事にしてまいったところでございますが、引き続き、現場を重視する、この姿勢で農林水産行政を展開してまいりたい、こういうふうに思っております。

 また、年の瀬、十二月二十六日の組閣ということもありまして、大変慌ただしい中でございましたが、年末年始返上で、補正予算や二十五年度予算の編成などをしてまいったところでございます。

 まずは、防災、減災対策の推進、また、急激な経営環境の悪化への対応などに取り組み、その上で、農林水産業が持つ大きなポテンシャルを最大限に引き出す攻めの農林水産業を展開してまいりたいと思っております。具体的には、現場のニーズが高い基盤整備、施設整備予算の復活、現場の使いやすさに配慮した基金制度の導入、日本型直接支払い等の制度設計に向けた調査などを盛り込んだところでございます。

 このような政策の実現のためには、何よりも組織が一丸となり取り組むことが重要だと考えております。両副大臣、両政務官そして職員全員と一つのチームになりまして、諸課題に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 森山委員長を初め委員各位におかれましては、今後とも一層の御指導、御鞭撻を賜りますよう、お願いを申し上げます。(拍手)

森山委員長 次に、農林水産副大臣江藤拓君。

江藤副大臣 皆様、こんにちは。このたび、副大臣を拝命しました江藤拓でございます。

 林大臣をしっかり補佐させていただきたいと思います。加治屋副大臣、それから稲津政務官、長島政務官とともに、チームとして頑張ってまいります。

 委員長を初め委員の皆様方には、厳しい中にも温かい御指導を賜りますように、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。(拍手)

森山委員長 次に、農林水産副大臣加治屋義人君。

加治屋副大臣 おはようございます。副大臣を拝命させていただきました加治屋でございます。

 ただいま林大臣が申し上げました、私どもは一つのチームとなって、その推進に努めてまいりたいと思っております。

 森山委員長を初め委員の皆様方の御指導、御支援を心からお願い申し上げまして、御挨拶といたします。ありがとうございます。(拍手)

森山委員長 次に、農林水産大臣政務官長島忠美君。

長島大臣政務官 おはようございます。このたび、農林水産大臣政務官を拝命いたしました長島忠美でございます。

 林大臣のもと、江藤副大臣、加治屋副大臣、稲津政務官とともに、チーム一体となって、我が国農林水産業の発展のために全力を尽くす所存でございます。

 委員長を初め先生方の御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げて、御挨拶とさせていただきます。よろしくお願いをいたします。(拍手)

森山委員長 次に、農林水産大臣政務官稲津久君。

稲津大臣政務官 皆さん、おはようございます。このたび、農林水産大臣政務官を拝命いたしました稲津久でございます。

 林大臣、江藤副大臣、加治屋副大臣、長島政務官とともに、農林水産行政の推進のために誠心誠意努力してまいります。

 委員長を初め御出席の委員各位の御指導を切にお願い申し上げまして、御挨拶にかえさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)

     ――――◇―――――

森山委員長 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省食料産業局長針原寿朗君、生産局長佐藤一雄君、農村振興局長實重重実君及び環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長梶原成元君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

森山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。葉梨康弘君。

葉梨委員 おはようございます。

 冒頭、林大臣、江藤副大臣、加治屋副大臣、長島政務官、稲津政務官、それぞれ御就任おめでとうございます。今後とも御指導をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 私も三年三カ月ぶりに国会に戻ってまいりましたけれども、本日は風邪を引いておりまして、ちょっと聞き苦しいかもわかりませんので、御容赦を願いたいと思います。

 実は私自身は、今回理事を拝命いたしましたけれども、農林水産委員会は初めてなんです。ただ、自民党の、当時は与党でございまして、与党時代の自民党で農林関係、本日も畜産関係その他の基本的事項ということですが、畜産、酪農対策の委員長を平成十八年、十九年、二十年と三年連続で務めさせていただいた経緯もございます。

 そういうことで、本日は自民党から二名の発言者ということですが、今現場で大変大きな関心と問題となっておりますTPPの問題については新進気鋭の武部議員の方から御発言があろうかと思いますけれども、私からは畜産関係それから酪農関係の幾つかの点についてお話を申し上げたいというふうに思っています。

 さて、先ほど、平成十八年から二十年まで畜産、酪農対策の小委員長というのに自民党でつかせていただいたというふうに申し上げましたが、私自身は茨城の選挙区でございまして、就任したときに数えてみたんですけれども、茨城三区でございますが、票としては、畜産、酪農農家というのは二百票ぐらいしかないんです。ですから、そういった意味では、決して畜産、酪農が盛んな地帯でもないわけです。また、本日もいろいろな形で皆さん御協議されるかとは思いますけれども、この畜産、酪農関係の制度というのは非常に複雑多岐にわたるし、これはのみ込むのには大変時間がかかる。

 何でそういうところで汗をかいたのかということをまた思い返してみますと、幾つかやはり理由があるわけです。なぜこの日本の畜産業それから酪農業というのをしっかりと守っていかなければならないんだということを、私自身は、決して選挙区は畜産、酪農業が盛んな選挙区ではないものですから、それを常に考えながら、当時、畜産、酪農政策に携わっていたというような記憶がございます。

 そこで、話し出すと長くなってしまうんですけれども、簡単にかいつまんで申し上げます。四点ほど御指摘を申し上げたいと思うんです。

 一つは、やはり日本人に対して安全で安心で栄養価の高い食料を供給する産業である、これはもう間違いありません。これは生産者のためというよりはどちらかというと消費者のため、良質なたんぱく源である。それから、安心な食料が提供できるのは、やはり国内でしっかりとした管理のもとでつくられたもの、生産されたものを提供してあげなければいけない、これが一つだと思います。

 それからもう一つ、これも極めて大事なことなんですけれども、やはり農地と国土の環境の保全に非常に資する産業であるし、またそうしていかなければならないということ。農地ということについては、特に北海道等の草地でありますと、牛が草を食べる、それがたんぱくに変わってくれる、これは非常にわかりやすいわけですけれども、例えば中小家畜であります豚ですとか鳥についても、お米を食べさせるということで農地の保全に資するような形になってくる。さらには、国土の保全という意味で申し上げますと、離島あるいは北方の地、そういった地域で実際に国土の活用ということに家畜が非常に役立っている。さらには、最近は環境という面が出てまいりました、エコフィードとかそういった面。ですから、農地、国土それから環境、そういった面を保全する方向に畜産、酪農業もまた持っていかなければならないし、それを国としてもやはり支援してあげなければいけないというところが二点。

 それから、三点目ですが、私は余り六次産業化という言葉は好きではないんですけれども、当時からやはり農商工連携というのがお話としてございました。農業だけの粗生産額ですと八兆か九兆、その程度しかありませんけれども、これを地域において加工して流通させる、その核となっているのが、やはり一つは畜産、酪農業、これがいろいろな農業の中でも最先端を行っているというような印象を持ちました、あとはサトウキビなんかもそうですけれども。ですから、その地域においてのまさに地域経済の核としての役割が、畜産、酪農業はむしろ他の農業分野よりも相当進んでいるというような印象を持ちましたし、またそういう方向に、やはり政策としてもこの畜産、酪農業を保護して、守って、そして育成するためには進めていかなければならないんだという、そんなような私自身なりの考え方を持たせていただきました。

 そして、四点目でございますけれども、これからの農業経営を進める意味では、単に農家を守るということも大事かもわからないんですけれども、やはりしっかり農家に努力をしていただくということが非常に大切だ。その意味では、産業としてやっていけるようなビジネスモデルというのをしっかりつくっていかなければならない。私は、いろいろな形で、実はせんだっても北海道へ行ってきたんですが、毎年毎年、北海道もあるいは南九州も視察をさせていただいて、沖縄の方にも行ってまいりましたけれども、畜産、酪農業の場合は、やはり先人がずっと組み立てていただいた基礎があって、同じ農業経営体の中でも企業経営として一つのモデルをつくりつつあるというか、もうある程度できているんですけれども、つくりつつある。ですから、この畜産、酪農業でチャレンジングな農業経営というビジネスモデルをつくることが他の耕種農業についても大変な刺激になりますし、また、最先端を行く、先鞭をつけて日本の農業をより戦略的なものに変えていく、そういうような一つの起爆剤になり得るかなと。

 ほかにもいろいろあるわけですが、そのような四点をいろいろ考えまして、そして、大体そういうような方向に畜産、酪農業というのを改革していくということが一つの大切なこと、そして、そのためにいろいろな政策を動員して誘導していかなければならないなというような考え方を持ちながら、三年間、党の方で畜産・酪農小委員会に私も携わらせていただいたわけでございます。

 ただ、そうはいいましても、世の中の状況が物すごく変わるわけですね。物すごく変わってしまって、例えば、きょうもちょっとお話をいたします飼料、餌ですが、餌についても、平成十九年から二十年にかけて極めて高い高騰を示した。そういう中で、余りの激変に対しては畜産、酪農業自体が耐えていけないということもあるわけです。ですから、そういうようなまさに今動いている状況について、では、一体どういう形で政府として、国として救いの手というか保護の手を差し伸べるかということも極めて大事なことだし、さらには、どのような長期展望を持っていくかということも極めて大事なことであろうというふうに思っております。

 そこで、先ほど平成十九年から二十年までというふうに申し上げましたけれども、聞くところによりますと、トウモロコシですね、非常にアメリカで高くなっています。あるいは円安に進んでいるということもあります。円安というのは、日本の多くの産業にとっては非常にいい要素ではあるわけですけれども、輸入するトウモロコシは非常に高くなってくるということもございます。

 私も、配合飼料の高騰、燃油の高騰の問題もあるわけですが、まず配合飼料について、相当価格が高騰している、あるいは将来の見通しがなかなかつかない、そういうことで、現場の畜産、酪農家から大変な不安の声が上がっているということを直接耳にしております。

 この配合飼料価格の今の現状と見通しにつきまして、副大臣あるいは政務官、どちらでも結構でございますので、お答えいただきたいと思います。

長島大臣政務官 御質問いただきましてありがとうございます。

 私の方から、配合飼料価格について率直にお答えをさせていただきたいと思います。最初の答弁者として立たせていただくことを心から感謝を申し上げたいと思います。

 葉梨先生には、私が一年生当時、農業、畜産、酪農のことについて随分御指導をいただいたなと思いながら、ただいまのお話をお伺いさせていただいておりました。

 私も牛を飼っている一人として、大変現在の状況を憂える一人でありますけれども、配合飼料価格については、仰せのとおり、昨年十月から十二月期以降、アメリカで五十六年ぶりの大干ばつが発生をしたことによって、トウモロコシ価格の高騰、そして昨年十一月中旬以降の円安の進行によって、大きな要因として高騰しているのが現状でございます。

 このような中で、二十五年四月以降の配合飼料価格については、その主原料であるトウモロコシのシカゴ相場が比較的落ちついて推移しているものの、円安の急激な進展などもあり、現時点で予断を許すことはできない状況であるということをお答えさせていただきたいと思います。

葉梨委員 今お話がありましたとおり、一ブッシェルで平成二十年当時に七・五ドルになった。それで物すごくびっくりいたしまして、自民党の中でも、今回の畜産、酪農の価格決定以外に、やはり飼料価格の高騰についてどのような体制を組んでいくべきか。通常であれば、畜産、酪農の関係の議論というのは大体二月ないし三月だけで済んでいたわけですけれども、それをずっと六月まで、たしか十数回にわたって会議を持ったことをまた思い出させていただいております。

 ただ、それが今、ブッシェルでトウモロコシも八ドルになっているような状況でございます。途中、少し安くなったのと、あるいは円高が進んだという関係で、畜産、酪農家も大分息をついたわけですけれども、今度は円安、それからトウモロコシの高騰とまさにダブルパンチで、平成二十年以上に大変厳しい状況が来ているんじゃないかと思います。

 今、畜審の方でも畜産価格の決定というのが並行して行われているというふうに伺っていますけれども、特に補給金の単価については、酪農家にとって非常に関心が高い状況ですが、配合飼料の価格、今の価格なのか、あるいは将来高騰する価格なのか、どのような形で反映していただけるのかどうかということが極めて大きな関心を呼んでいる事項でございます。

 そして、現在の価格の、単価の算定ということだけではなくて、将来にわたって、この配合飼料価格の安定制度、通常補填、異常補填とありますけれども、これが財政基盤の面だけではなくて、農家の負担の面においても安定的な運用ができるのか、あるいは、将来にわたって農家が借金という形で負担を抱え込まないで本当に済むものなんだろうか、そういうことも含めて、まさにこの高騰という状況の中で、極めて大きな不安が現場では広がっている、そういう状況でございます。

 そこで、単価算定に当たってどのような形で今の配合飼料の高騰というのを算定しているのかということ、それとあわせて、今後の配合飼料の安定制度、これについての安定的な運用に向けてどのような工夫を凝らしていくのかということ、これにつきまして、今度は副大臣から御答弁をお願いしたいと思います。

江藤副大臣 葉梨委員、大変ありがとうございます。問題点については大変整理をしていただいたというふうに考えております。

 この補給金単価については、それこそ畜酪の委員長をしていただいたとき、平成二十年にやったときに、前代未聞の期中改定というものを自民党は行いました。ですから、直近三カ月ということであらゆるものを差し込んでいく制度になっておりますけれども、しかし、それでは足りないということであれば、今、期中改定をやりますよということを前もってアナウンスメントすることはできませんけれども、しかし、そういうこともあり得べしということを考えながら、この単価の設定については行っていきたいというふうに思っております。

 それから、特に御関心の高い飼料の高騰対策でありますね。

 通常基金については、生産者が一、メーカーが二、これで積み立てて、四百三十二億円が入ってくる予定にはなっておりますが、平成二十一年、葉梨先生が一番よく御存じですが、非常に苦しい状況に追い込まれて、市中銀行から九百億円の借入金を行いました。これは今返済が始まっております。ですから、毎年、収入はあっても、収入から百八十億円を真水で返さなければならないというのが非常に機構のお財布を軽くしてしまっているという現状があります。

 それで、異常補填の方も、これは民主党政権下でありましたけれども、予備費で百四十八億円を入れていただいて一息ついたとはいえ、全体で合わせても三百九十六億円しかない。大体、過去実績を見ますと、六百億円ぐらいないとこの機構の事業というのはうまく回っていかないわけですよ。ですから、ここを見ると大体二百億ぐらいのギャップがある。ということであれば、市中銀行に返す百八十億円、これは約束事ではありますけれども、ここを何とか工夫するか、ほかの方策で考えるかやらないと、生産者の方々の御不安というものは払拭できないんだろうというふうに思っております。

 ですから、機構に対して十分な資金が担保されるように、この段階でこういたしますというものをまだきちっとお答えできないことは、委員には大変申しわけないんですが、支援事業の実施にそごを来さないように、財源を確保することに、大臣の御指導のもと、省を挙げて努力をさせていただきたい、そういうふうに思っております。

葉梨委員 今のお話のとおりしっかりやっていただきたいと思うんですが、この配合飼料の高騰というのはあくまで激変緩和という形の措置でございます。でも、将来的にはトウモロコシも足りなくなりますから、高い価格で高どまりするということも十分に考えられるわけだし、またその可能性が高いと思います。

 ですから、そういう中で、さっきも申し上げましたような戦略的産業であるこの畜産、酪農業がしっかりと自立をできるような形、そのための長期展望というのを、今、現場の農家も本当にそれを求めているところがあります。

 やはり我々も、別に政府だけにやっていただきたいということじゃなくて、党の立場でも、どういうようなビジネスモデルをつくらなければならないということをしっかり考えていかなければならないと思うんです。例えば、この自給飼料の基盤強化ということで、さっき言ったように、密接に農地に立脚した畜産、酪農業をつくる、あるいは食の安全を確保する、さらには地域経済として農商工の連携を図る、さらにはしっかりもうかる農業のビジネスモデルを提示する、そういうような長期展望、これについての畜産、酪農業の今後のチャレンジするあるべき姿、これをしっかりと、農水省としても、また我々与党としてもつくっていかなければいけない、そのように思っております。

 その意味で、今後の畜産、酪農業の長期的な展望をつくらなければならない、そのためにともに作業しなければならないというふうに思っています。

 大臣から御所見を伺いまして、私の質問を閉じさせていただきたいと思います。

林国務大臣 ありがとうございます。

 葉梨先生は畜酪の小委員もやっておられまして、当時からいろいろなところで御活躍でしたので、農水委員会が初めてだ、理事が初めてだと、今びっくりして聞いておったような次第でございますが、先ほど冒頭で御整理をいただいたような機能というものをそれぞれ押さえながら長期展望をやっていくということが大事だと思っております。

 動物性たんぱく質の供給源であるということ、それから、先ほど幾つか御整理をいただきましたが、地域を支えるという意味で非常に重要であるということ、そして、農地の有効活用や食育等という意味でも非常に多様な役割、機能というものを担っていると思っております。

 したがって、こういう今御整理をいただいたような役割や機能を維持、そして、特に攻めということで発展をさせていくということを考えていく場合に、輸入飼料への依存体質からどうやって脱却していくか。そのための自給飼料基盤強化の対策ということがあるわけでございますし、また、経営安定対策、やる気のある、特に若い方が畜産経営を将来展望を持ってやっていける、こういうものが大事であるというふうに思っております。

 したがって、農商工連携といいますか六次産業化といいますか、そういうものもしっかりと押さえて、また厳しい現状、足元もしっかり認識した上で、生産者の創意工夫、主体性、現場と先ほど申し上げましたけれども、これを生かしたいろいろな多様な経営ということで、中長期的な視点に立って畜産、酪農政策というのは推進していくべきだと思っておりますので、与党でもまた活発な御議論をいただいて、一緒になってつくってまいりたいというふうに思っておるところでございます。

 ありがとうございました。

葉梨委員 ありがとうございました。終わります。

森山委員長 次に、武部新君。

武部委員 自民党の武部新でございます。

 まず、一年生議員の私に所属してすぐに質問の機会を与えていただきまして、心からお礼を申し上げます。新人らしく元気に質問させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 私の主な質問は、TPP交渉参加への政府並びに農林水産省の基本的な考えについてであります。

 まず、野田前政権におきまして、TPP交渉参加に向けて関係国との協議に入るということが表明されました。当委員会におきましても、一昨年の十二月六日に、協議に入ることに関しまして、情報提供、国益尊重、農林水産業への対応、戦略的な自由貿易の推進と国境措置を決議しております。

 また、我が党は、TPPにつきまして、林大臣が当時中心となっていただきまして、聖域なき関税撤廃を前提とする限り交渉参加には反対する、そういう政権公約をつくっていただきました。この政権公約によって我々は政権の奪還を果たしたというふうに思います。生産者の皆様方の大変な危機感を選挙中も感じておりました。

 我が党ではまた、森山委員長が会長となっていただいて、TPP即時撤回を求める会に所属議員の六割を超える議員が参加しています。

 関税撤廃が原則であるTPPに参加すれば、我が国の農林水産業、畜産、酪農におきましても壊滅的な打撃を受けます。生産者の皆様にとってみれば、まさに死活問題であります。また、畜産、酪農は大変裾野の広い産業でありますので、関連する産業、それから、先ほども葉梨先生からのお話にあったとおり、地域産業の核となっているものでもあります。地域社会の崩壊にもつながりかねない、そういう危機感もございます。

 大臣には、TPP交渉参加に対するお考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。

林国務大臣 ありがとうございます。

 まずは、当選おめでとうございました。

 先ほど武部委員からもお触れいただきましたように、我々、野党時代に政権公約をまとめまして、それで特に皆様方には最初の選挙を戦っていただいたわけでございますが、それに先立つ三月九日、二十四年、昨年の三月九日ですが、お触れいただきましたように、党におきまして政調の中に外交・経済連携調査会というものを置きまして、そこにTPPについての小委員会を置いて、かなりの議論をさせていただきました。

 私が当時小委員長ということで、三月九日付で考え方をまとめさせていただいたところでございます。そこに幾つか、六項目に及ぶ条件、判断基準というふうに書いてありますが、示させていただいたわけでございまして、今委員にお触れいただきました、聖域なき関税撤廃を前提にする限り交渉参加に反対という考え方をここで明示させていただいたということでありまして、その考え方をそのまま政権公約に書かせていただいた、こういうことでございますので、私といたしましても、その考え方を基本的な考え方ということでやってまいりたいと思っているところでございます。

 交渉の進展状況とか関係国との協議の状況等を把握して、国民へしっかりと情報提供を行うということが大切だというふうに思いますし、そういうことを行いながら、この委員会での御議論を踏まえて十分な検討を行っていくということが必要だというふうに考えております。

武部委員 ありがとうございます。

 私の地元でございます北海道は、専業農家中心の農業経営で、なおかつ非常に食品産業と結びついた、日本でも有数の、最大の食料供給地域であります。特に米、小麦、砂糖、でん粉や乳製品などの重要品目を産出しておりまして、生乳生産は全国の五割を占める生産地であります。

 これは北海道の試算になるんですけれども、TPPに参加いたしますと、北海道の影響ですが、経済全体で二兆一千億、それから農業生産高でいいますと五千六百億円程度、農家の戸数でいいますと、今四万五千戸あるんですけれども、これが三万三千戸減少して一万二千戸しか農業をやっていけなくなるというような、本当にTPPにこのまま関税撤廃されてしまって参加するということになれば、非常に大きな打撃を受けます。

 それから、先ほども申し上げましたけれども、特に食品工業が多くて、北海道全製造業の中に占める食品工業は大体四割近くあります。さらに、私の地域でいえば、私の選挙区である宗谷は製造業の九割が食品工業ですし、オホーツクは食品工業が製造業の中で六割を占めているということですから、まさにTPP参加で地域ごとなくなってしまう、地域経済が吹っ飛んでしまうと言っても過言ではない状態になってしまいます。それだけに、北海道の皆様方は、生産者だけではなくて、第一次産業だけではなくて、全ての産業において非常に強い危機感を持っております。

 もちろん消費者や大企業、輸出産業というのも大切ではありますけれども、やはり安全でおいしい食物、食料をつくり、そしておいしい空気や水をつくっているのは地方でありますので、地方が成り立たないと国は成り立たないというふうに思っております。

 地域に与える影響も含めて、農水省のお考えをお聞かせいただければというふうに思います。

江藤副大臣 武部委員、お父様には大変お世話になりました。ありがとうございました。

 大変切実なお訴えをいただきました。葉梨委員と同じで、私も三年ほど畜酪の委員長をやりましたので、ずっと毎年北海道に年に二回ぐらい行かせていただいて、大体全域歩かせていただいたというふうに思っております。この影響についても、道としての基本的な試算もお聞きをしておりました。

 TPPに仮に参加をしたらという話をするのは、ある意味、私は危険だと思っているんですよ。TPPとは何ぞや、EPAとは何ぞや、FTAとは何ぞや。TPPとEPAをどうも混在されている方がいる。日本の今までの経済連携交渉の歴史を見てみると、EPAを幾つも結んでまいりましたが、それでも大体一〇%ぐらいは守ってきているわけです。

 しかし、TPPということであれば、基本的に全ての関税を、十年後か十五年後かそれはわかりませんけれども、全て撤廃ということでありますから、それは北海道にとってはかなり厳しいことになるという認識は、私も、それから農林水産省も同じように持っております。

 そして、今まさにきょうの委員会は畜産対策を議論しているわけですね。きのうも自民党本部で、畜産物の、いわゆる補給金単価をどうするのか、限度数量をどうするのか。ビートのことでも、先生方は私のところまで押しかけてこられました。沖縄では、サトウキビの問題で、三百二十円、いろいろやってまいりました。こういう努力というものは、その地域で、その地域がなくならないように、まず自民党の政策は自助そして共助でありますけれども、それだけではやっていけないので、やはり国として公助が必要だねという部分の議論を、今まさに我々は党を挙げてやっているわけであります。

 その部分で、酪農、畜産を中心とする北海道の皆様方にとって、TPPがどれだけ厳しい影響があるか。壊滅的だというお言葉もありました。壊滅するとまではわかりませんけれども、かなり深刻な、極めて極めて深刻なダメージがもたらされるであろうということは、私ども十分に認識いたしております。

武部委員 ありがとうございます。

 江藤副大臣おっしゃるとおり、我が国はこれまで、EPAにおいても、いわゆるセンシティブ品目をしっかりと守ってきているわけですね、一〇%ほど守っているというお話がありましたけれども。特に、米ですとか小麦、先ほど言いましたでん粉、砂糖や、脱脂粉乳、バター、加工原料乳を使う乳製品などはしっかりと守ってきているわけであります。今回のTPPは果たしてそのセンシティブ品目を守ることが可能なのか。

 先ほど、参加したことを前提にという話は非常に危険だと。私もそのとおりだと思いますけれども、しかし、やはり生産者の皆様方は、その聖域と言われる部分はどこに当たるんだ、ここまでは入るのかということを非常に心配もしているわけであります。聖域を確保することができるのか、あるいは、できるとすればどこまでを対象範囲とするのかということは、本当に心配の種でもあると思います。同様に、EPAのように、できるのかできないのか、できないんだったら当然参加しないということになると思います。

 そういったことも含めて、畜産、酪農ですから、北海道でいいますと、やはりバター、脱脂粉乳、それから牛肉、豚肉、この辺をしっかりと守ることができるかどうか、そういったことをやはり皆様方は大変心配しておりますので、その聖域について、なかなか御答弁は難しいかもしれませんけれども、どんなふうにお考えなのかもお聞きしたいと思います。

江藤副大臣 今委員がおっしゃるように、聖域とはかくかくしかじかでございますということは、これはTPP交渉参加の準備というふうに受け取られかねないのであります。

 私たちの今のスタンスとしては、まだ私もこの職について一カ月たっておりませんけれども、アメリカから例外を認めますなんというインフォメーションは一切いただいておりません。原則論は曲がっておりません。

 ですから、私どもの理解としては、TPPというものは、例外は認めないということであれば、これは林大臣とも私は見解を同じとしているものでありますけれども、いわゆる全ての関税自主権を失い、そしてISDのようなことで、むちゃな、民間から政府へのいわゆる訴訟合戦というようなことにもなれば、それは自治権に対する、いわゆる日本の自主自立に対する毀損にも値するようなことも起こり得るということでありますから、今の段階でこれが聖域だという議論については、私は少し慎重にしておいた方がいいというふうに思います。

武部委員 副大臣、ありがとうございます。ぜひとも、大変厳しい地域の実情をよくわかっていただきたいというふうに思います。

 それと、葉梨先生とちょっと重複するところになるんですけれども、TPPとは関係なくなるんですけれども、配合飼料の高騰が進んでおりまして、また円安が進んでいるというお話がございました。

 私も視察をしてまいりまして、現場の声で、大変頑張っている農家の皆様方、酪農家の皆様方が、本当に先行きが見えなくて、どうしようかと。北海道においても、三%ぐらい、農家をやめていらっしゃる方がふえております。

 これはやはりしっかりと、今のこの配合飼料の価格高騰、それから、緊急経済対策と成長戦略で円高を脱却するということで、円安が予想されておりますので、そういったことを十分考慮していただいて、補給金単価のかさ上げ、それから配合飼料価格の安定的な対策、こちらの方を講じることが、やはり新政権になって、生産者の皆様に対する強いメッセージになると思いますので、その辺もぜひお願いしたいというふうに思います。

佐藤政府参考人 武部先生のただいまの御質問にお答えいたします。

 平成二十五年度の加工原料乳生産者補給金の単価でございますが、算定ルールにのっとりまして、配合飼料価格等の生産コストの変化を適切に反映させて算定しまして、食料・農業・農村政策審議会の意見を聞いて、適切に決定してまいりたいというふうに考えております。

 なお、今先生の方からお話ございましたように、非常に配合飼料価格等の変動が著しいということでございますので、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法によりますと、「物価その他の経済事情に著しい変動が生じ又は生ずるおそれがある場合において、特に必要があると認めるときは、補給金単価等を改定することができる。」というふうに規定されているところでございます。

 以上でございます。

武部委員 期中もぜひとも機動的にやっていただきたいというふうに思います。

 それと、攻めの農業ということ、攻めの第一次産業、農林水産業ということで先ほど大臣の御発言もありました。畜産、酪農で、輸出というのは価格差があるものですからなかなか厳しいところはあるんですけれども、しかし、チーズですとか我々のつくったおいしい乳製品なんかは、アジアに向けて輸出可能な製品でもあります。攻めの農林水産業で、輸出促進にかかわる、乳製品だけに限らず、我々のおいしくて安全な作物、水産物も含めて展開していくということがこれから大事なことになると思いますけれども、攻めの農林水産業の中身を、少しお考えを聞かせていただければというふうに思います。

針原政府参考人 農林水産物の輸出についての御質問にお答えいたします。

 途上国を中心に、食生活が改善され人口もふえるということで、食のマーケットは拡大しておりますので、これを日本の成長なり地域の活性化に結びつける、農業の発展に結びつけるというのは非常に重要だと考えております。

 私ども、平成十八年から、農林水産物の輸出額、当時三千億円ぐらいだったんですけれども、一兆円を目指して拡大していこうということで取り組んでおります。一時期、平成十九年、二十年には五千億を超える水準まで伸びたのでございますが、リーマン・ショックあるいは円高、それから原発事故ということで、一昨年は四千五百億円の水準にとどまっております。

 このような輸出をまず回復させ、それで拡大するということを進めるためには、まず、原発事故を受けて各国の輸入規制がとられております、これを緩和、撤廃していただく、こういう努力をやる必要があります。また、輸出に取り組む事業者の裾野を広げるとともに、多くの輸出機会を創出していくことが必要だと考えております。このたびの補正予算におきましても、事業者支援と日本食文化の発信の予算も計上させていただいたところでございます。

 新年度におきましては、これに加えまして、まず、ジェトロと連携した取り組みを進めたらどうか、ビジネスサポート体制を構築したらどうか、あるいは、マーケティングを強化したらどうか、日本食文化の海外展開をさらに強めたらどうか、こういうようなことを今要求しております。このような取り組みを通じて、戦略的な輸出拡大に取り組んでまいりたいと考えている次第でございます。

武部委員 ありがとうございます。

 これは畜産、酪農ではないんですけれども、水産加工は非常に、オホーツク海のホタテですとかアキアジですとか、輸出で価格を安定させている側面もありますので、やはりこれから広がっていくアジアのマーケット、海外マーケットで攻めていくことがまた価格の安定にもつながっていくのかなというふうに思いますので、ぜひとも政府として御努力をいただきたいというふうに思います。

 最後に、今大変、酪農家の方々、経営はいいんですけれども、将来に向かっての見通しが立たないということで、投資を思いとどまっているというような、増設をしたくても、拡大したくても、なかなか投資までいかない、そこまで踏ん切りがつかないというような悩みをお持ちの方がたくさんいらっしゃいます。

 農業基盤整備も、これは補正予算も含めて、自公政権になりまして、大変な予算をつけていただきましたけれども、やはりちゃんと、生産性を上げるために投資をしていく、土地整備をしていく、草地もそうですけれども、草地の更新を進めていく、そういったことが、まさに投資が富を生むということが一番大事な政策だというふうに思います。

 どうぞ、大臣におかれましては、農業、農村の現状をぜひとも御賢察いただいて、後継者や意欲のある若い人が、農業は天職だ、これが俺の仕事なんだというふうに自信と誇りを持って頑張っていただけるように、政策を展開していただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

森山委員長 次に、佐藤英道君。

佐藤(英)委員 公明党の佐藤英道でございます。

 国会での初質問が地元北海道とえにしの深い酪農、畜産に関するものになることに非常に感謝もしておりますし、大変に緊張もしております。どうかよろしくお願いをいたします。

 今月十九日の土曜日に、稲津政務官また北海道議会議員の皆さんと一緒に、北海道内の酪農家、畜産農家を訪問し、農家の方々から直接生の声を伺ってまいりました。また、JA北海道を初め、たくさんの農業関係者の方々からも御要望、御意見をいただいておりますので、それらに基づいてお話をさせていただきたいと思います。

 まず初めに、何といってもTPPの問題についてであります。

 北海道の農業産出額で五千五百六十三億円、十七万三千人の雇用、農家戸数三万三千戸の減少という試算から見ても、私は、現在懸念されている例外なき関税撤廃のTPP参加には断固反対の立場であります。地元の農家の方々も非常に強い不安を感じております。

 まず、TPPに対する大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

林国務大臣 ありがとうございます。

 先ほど武部委員にもお答えしたところでございますが、我が党のことで恐縮でございますけれども、そういう紙をまとめ、そしてそれを公約に掲げさせていただきました。

 したがいまして、その公約に基づいてこの間の衆議院選挙が行われたということでありますから、しっかりとこの公約、すなわち、聖域なき関税撤廃を前提にする限りは交渉参加に反対である、今委員にお触れいただいたとおりでございますが、これを基本的な考え方として堅持してまいりたい、こういうふうに思っております。

佐藤(英)委員 明快な御答弁、ありがとうございます。

 次に、喫緊の課題であります加工原料乳の補給金単価についてお伺いをしていきます。

 現在の酪農を取り巻く状況を考えれば、結論として、補給金の単価は引き上げるべきであると私は考えます。大臣も同じような考え方と思いますけれども、いかがでしょうか。

林国務大臣 ありがとうございます。

 同じような考え方であると申し上げたいところでございますが、この単価、もう委員もよく御案内のように、算定ルールというのがございます。ここで、配合飼料価格等の生産コストの変化というものを、いろいろな難しい式があるようでございますが、これを反映させて算定をするということで、食料・農業・農村政策審議会というところの意見を聞いて決定をするということになってございますので、そういう手続をきちっと踏まえて適切に決定していきたい、こういうふうに考えております。

佐藤(英)委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 昨年、配合飼料の主原料である米国産のトウモロコシが高騰し、今後も決して安心できる状況ではないと思います。これは十分に手当てをしていただく。また、自公政権になり、安倍内閣が発足してから、円安基調はますます着実なものになっております。先々を考えれば、輸入物品、そして輸入品目のかかり増しは考慮に入れるべきであります。

 こうしたことを踏まえて、飼料費、物財費が上がっても大丈夫なように、十分対応できる単価設定になっている、そういう認識でよろしいのかどうか、確認をさせていただきたいと思います。

江藤副大臣 先ほどの御質問と若干重複いたしますが、直近三カ月ということで、安倍政権になって、急に十円、円が変動したじゃないか、そして燃料も上がっているじゃないか、電気代も上がっているぞ、ですから、将来のものを見越してぜひやってほしいという委員のお気持ちだろうと私は理解をいたします。

 しかし、これは審議会もあり、算定式もあって、ルールに基づいて決定をいたしますので、一応それはそれできちっと示させていただいて、しかし私は、この場で申し上げるのはいかがかと思いますが、それプラス皆様方のお声を反映させた数字が何とかできないかなということで、きのうの夜からもずっと努力をさせていただいております。

 そのようなことでありますので、先ほど申し上げましたように、その後、激変的に、さらにやばい、このままじゃとても無理だ、今度この単価ではということであれば、平成二十年度に続いて、ぜひとも期中改定を行って、その時期の苦しい状況にお応えするような、そういう一つの流れとしてお受けとめいただければありがたいというふうに思います。

佐藤(英)委員 よろしくお願いをしたいと思います。

 あわせて、限度数量については、現状維持ということでぜひともお願いをしたいと思います。地元の農業関係者の方々からのたっての要望でありますので、生産者の方々のお気持ちを酌み取っていただいて、生産意欲を持って取り組めるようしっかりと現状維持すべきだと考えますが、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

林国務大臣 佐藤先生から、限度数量を現状維持とすべきではないかというお尋ねでございました。

 二十四年度の酪農情勢というのを見ますと、生産者の皆さんが増産に取り組んでいただいて、生産量が堅調に推移をしているというところでございますが、加工原料乳は、本年度の限度数量である百八十三万トンをかなり下回る見込みである、百七十三ぐらいかなということであります。

 したがって、二十五年度の加工原料乳の限度数量は、二十五年度に見込まれます脱脂粉乳ですとかバター等の需要を踏まえて、先ほど申し上げました審議会がございます、そこの意見をきちっと聞いた上で決定してまいる、こういうふうに考えております。

佐藤(英)委員 ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 次に、チーズ向け生乳供給安定対策ですが、二十四年度は八十八億円がついております。しかし、助成金の単価は、キログラム当たり十四・六円です。十四・六円というと、取引乳価と合わせても六十円弱。加工原料乳の取引価格が七十円、生クリームが七十五円ですので、まだ十円及ばないというのが実際のところですので、チーズの供給拡大を目指すという観点から、さらに拡充していただく必要があるのではないかと考えますが、どのようなお考えか、お聞かせいただければと思います。

佐藤政府参考人 佐藤先生の御質問にお答えいたします。

 先生今お尋ねのチーズ向け生乳供給安定対策事業でございますが、需要の伸びが期待できますが、国際競争にさらされまして乳価が低いチーズ向け生乳の供給の拡大を図るということから、平成二十三年度より措置している事業でございまして、実はこの事業につきましては、生産者の方々から、もうちょっと使いやすくしてほしいといったような声も聞かされているところでございます。

 このため、二十四年度からでございますが、国産乳製品の安定供給を図るため、生産者団体の皆さんが行うバター等の乳製品の委託製造経費の一部を支援するといったようなメニューを追加して使いやすくしたといったようなことがございます。

 二十五年度につきましては、この予算につきましては二十五年度当初予算でございますので、まさに今予算要求をしているところでございますので、その予算の確保に努める、こういったことがまず我々の責務かというふうに思っております。

 その上で、使いやすくしてほしいといったようないろいろな声がございますので、どのような工夫ができるか検討していく問題かというふうに考えているところでございます。

佐藤(英)委員 よろしくお願いをしたいと思います。

 酪農を取り巻く環境は年々厳しくなっております。牛乳離れ、需要の下落、先ほど申し上げたような生産費の増加、何にも増して、担い手の急速な減少は一向に歯どめがかからない現状であります。酪農家はこの十年で一万戸も減っています。現在、全国約二万戸。実に三分の一が離農してしまったわけです。北海道でも、毎年おおむね二百戸が離農し続けております。

 私ども公明党は、昨年の総選挙で、攻めの農林水産業と重点政策を掲げて選挙戦を戦ってまいりました。同じように、自民党さんも攻めの農林水産業と高らかに公約を掲げられておりました。攻めの農林水産業を実行するには、まず担い手対策だと考え、新規就業者に対して、就業前研修の充実、農地確保の支援、ビジネス展開支援と切れ目のない支援を行うことによって、新規就業者の環境整備を行い、定着を実現していきたいと政策を発表させていただいたところでございます。

 今回の補正、二十五年度の概算要求を通じて、この切れ目のない新規就業支援策はどのようになるのか、教えていただければと思います。

長島大臣政務官 ありがとうございます。

 担い手の問題について、私の方からお答えをさせていただきたいと思います。

 我が国農業の高齢化が進展をしておりまして、六十五歳以上が約六割、四十歳未満が五%という非常に厳しい状況の中にあることは御承知のとおりでございます。持続可能な力強い農業を実現していくために、青年の新規就農や経営継承を促進していくことは重要だというふうに認識をしております。

 手短にお答えをさせていただきますと、就農準備段階においては、新規就農相談センターでの情報提供や就農相談、農業経営者を育成するための教育のレベルアップへの支援、就農に向けた研修を受けている者に対する青年就農給付金、年間百五十万円を最長二年間。また、就農段階においては、経営開始直後の青年就農者の所得確保を図るために、青年就農給付金、年間百五十万円を最長五年間、無利子の就農支援資金や、機械、施設等の整備支援。農業法人等への雇用就農に対する農の雇用事業による支援、最大百二十万円を最長二年間。

 私も農業県に暮らす者として日本の農業を考えるときに、多面的な国土の保全、そしてやはり農村を維持発展していくために、農業の果たす役割は非常に大きなものがある、そのために、新しいビジネスもきちんと踏まえて支援をしていく必要があると思いますので、これからもきちんと必要な予算を確保し、支援をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

 以上です。

佐藤(英)委員 ありがとうございます。よろしくお願いをしたいと思います。

 担い手育成とともに、大規模化、集積加速化も進めていかなければならないと思います。新しい農水省予算の大きな目玉は、半減されたために農家が苦しんできた公共を再び復活させるという点もあるのではないかと思います。土地改良事業の大切さは、農家なら皆わかります。その前提として圃場の大区画化を進める際には、耕作期間も含めた通年施行がしっかりとできるような支援もお願いしたいと思います。ぜひとも御推進のほど、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 また、積雪寒冷の北海道ですので、酪農、畜産には燃油が欠かせませんが、平成二十一年の高騰以来、燃油は高どまりして、この土曜日に酪農家に会ってお話を伺ってきたところ、もとの一・五倍もかかっていると嘆いておられました。この燃油対策について。

 それから、先ほど触れましたが、飼料の対策。自給飼料をしっかりとこれから拡大していかなければなりませんが、これについては十分に予算措置ができていると伺っております。お金は十分についてきたわけでありますから、あとはどれだけ実効性を担保できるかどうか。草地の管理、TMRセンター、コントラクター、デントコーン、エコフィード、そして機械整備も含めて、実際に事業が進むよう万全の対策をお願いしたいのでございます。

 燃油と自給飼料対策について、大変に重要なところでございますので、ぜひ御見解をお聞かせいただければと思います。

江藤副大臣 大変重要な質問をありがとうございます。

 この燃油の問題は、私のところも、宮崎県は施設園芸をやっておりますので、大変深刻な状況は同じでございます。非常に熱い要望が寄せられております。

 ですから、これは、予算を確保することが一番大事であることは御指摘のとおりでありますが、北海道においては、先ほども、重複しますけれども、補給金単価、これに直接織り込んでいるとは言いがたい部分はありますが、一部、その部分は燃油高騰を織り込んだ形で単価の設定をさせていただくということであります。

 そしてまた、補正予算、皆様方の御協力をいただいて、一兆円超えをさせていただきました。この中で新たに我々の自公政権でつくっていったのは、いろいろと設備をかえていかなければならない、北海道酪農は下手をすれば一軒で一億円ぐらい軽く設備投資がかかる、非常にお金のかかる経営体であります。ですから、リース事業をやはり充実させていきたい。

 ですから、ヒートポンプなんかは皆様方のところでも大分充実しているというふうに聞いておりますけれども、いわゆるバルククーラーに入れる前の生乳、これは四十度ぐらい温度があるわけですから、この熱を利用して省エネ化を図っていく、そういった先進的なお取り組みも北海道はされております。こういったものについても新たに三分の一の補助リース事業を導入させていただいて、現場の御要望に沿った政策にこれから順次変更させていただきたいというふうに思っておりますので、ぜひ、また委員の厳しい御指摘をいただければありがたいというふうに思います。

 また、飼料拡大につきましては、これは前政権からも含めて大変大きな目標になっております。濃厚飼料はもちろんですけれども、粗飼料についても、牧草についても、やはり自給率が余りにも低過ぎる。今現在では二六%ぐらいしかありませんので、これを何としても、せめて四〇%ぐらいに上げていく必要があるのだろう。そのためには、草地の更新とか、北海道はちょっと更新がおくれているという御指摘もありますので、そういった予算もつけていかなければならないというふうに思っております。

 そして、やはり栄養価の高い餌を給餌することも大切でありますから、北海道では大変大規模なTMRセンターもありますので、これも、民主党さんには悪いけれども、前政権のときに予算がばっさり切られて足踏みをしてしまっておりますので、これもきちっと予算をつけて、みんなが協力して草地を管理して、TMRセンターで付加価値をつけて、そして、農家の庭先まで餌が届いて効率的な経営ができるような、そういう支援体制を築いていきたい。

 それから、コントラクターとかヘルパーとか、ヘルパーも二十五年で切れてしまうんじゃないかという御不安があるのも承知をしております。このことも、きちっとまた意見交換をしながらやらせていただきたいと思っております。

 いずれにしましても、委員の御指摘は北海道の実情を踏まえた大変大切な指摘でありますので、私どもとしては、しっかりと受けとめさせていただいて、御要望にできるだけ応えられるような政策立案に努めてまいります。

佐藤(英)委員 ありがとうございます。よろしくお願いしたいと思います。

 最後の質問にさせていただきたいと思います。

 雪の問題であります。北海道は、ことしは例年にないぐらい大雪でございます。大変に懸念されるのは、昨年も大雪で道内の農業被害が大きな問題となったわけでありまして、ことしもそのような状況になるのではないか、どうなるんであろうかと、やはり北海道の農業の関係者、私たちも含めて不安に思っているところでございます。

 そこで、お伺いをさせていただきますけれども、現在におきまして、被害状況はつぶさには把握できていないかもしれませんけれども、可能な限り迅速に、確実に把握をしていただき、対策をとっていただければと思っております。

 これも御決意をお伺いさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。

林国務大臣 この間も東京でも雪が降りまして、報道を見ておりますと、東京の人は雪になれていないからなんという報道があって、まさに先生のように北海道の方がそういうニュースを聞いてどう思われるのかなと思いながらも見ておったわけでございますが、まさに昨冬の大雪、これは農業被害、大きな状況があったわけでございまして、十二月以来、被害防止に向けた技術指導というものも徹底しているところでございます。

 既に、一月二十三日現在でございますが、都道府県からの報告ということで申し上げると、ビニールハウス等の損壊が十九都道府県、ですから北海道ももちろん入っているわけでございますが、約二千棟ということでございます。それから、農作物の損傷が、十三道府県で六十ヘクタールぐらいということでございます。

 したがいまして、こういう被害について、共済に加入していらっしゃる農業者の皆様に対しては、なるべく早く、迅速な損害評価と早期の共済金の支払い、こういうことになりますし、加入していない農業者の方も含めて、農林漁業のセーフティーネット資金等の長期、低利の融資等々ございますので、こういうものを活用して、復旧をしっかりと支援していきたいというふうに考えておるところでございます。

佐藤(英)委員 ありがとうございます。終わります。

森山委員長 次に、大串博志君。

大串(博)委員 ありがとうございます。民主党の大串博志でございます。

 きょうは、閉会中ということでございますけれども、農林水産委員会を開催いただきまして、基本施策に関する件、畜産問題等ということで議論させていただく機会をいただきました。

 林大臣とはこれまでも、私もいろいろな場面、いろいろな課題でいろいろな意見交換をさせていただいてきたところでございます。今回、農林水産大臣に御就任されて、私、意外と申し上げるつもりはありませんけれども、政策通でいらっしゃいますから、いろいろな課題に精通していらっしゃることはよく存じておりますので、この農林水産の件に関しましても、これからもしっかり議論をさせていただければなというふうに思います。

 本来であれば、新大臣、そして副大臣、政務官、御就任いただきましたので、所信をいただいて、それに対して農林水産政策全般に関してしっかりと議論を深めさせていただくところが筋ではございますが、今回、農林水産省の審議会、畜産部会において、畜産価格の決定といった流れがあるというふうに聞いております。現下の、先ほど来お話がありました配合飼料価格の高騰等々もこれあり、畜産、酪農、大変皆さん全国で頑張っていただいておりますけれども、大変厳しい状況にございます。

 こういった中で、今、酪農、畜産の皆様を支えるという姿勢を示していくということは、この農林水産委員会としても大変重要なことだろうというふうに思いました。閉会中ということの中でもこういう委員会を私たちも開くべきだということで今回臨ませていただいて、また、これに引き続きいろいろな審議をさせていただけたらというふうに思います。

 さて、その農林水産に関する基本施策の中で、まず、酪農、畜産に入る前に幾つか、最近、御就任後起こりました重要な課題について御確認をさせていただきたいというふうに思います。

 まずは、報道等々でも見ましたけれども、諫早湾干拓の問題についてお問い合わせさせていただきたいというふうに思います。

 先般、一月に入って、この諫早湾干拓の問題、私は佐賀県でありますけれども、開門に向けた道筋を求めてきております。諫早湾干拓の潮受け堤防の締め切り以降、有明海において、漁家の方々は大変大きな苦労をされております。その中で、開門判決というものが二年ちょっと前にありました。これを受けて、私たちの政権では、高裁判決を上に上げることなく判決を確定させて、開門を政府の義務としてやっていこうという形になっております。もちろん、長崎の皆様の御理解を得ていくという真摯な努力を続けていく必要があるというのは存じておりますし、重要なことだというふうに思っております。

 その中で、ことしの一月の冒頭、大臣は、佐賀、長崎両県知事と面会をされております。どのような内容だったか、御披瀝いただけたらと思います。

林国務大臣 ありがとうございます。

 大串委員がまだ与党時代で、たしか最後は総理補佐官という大役にいらっしゃって、いろいろなお話をさせていただいたことを今思い出しております。ただ、そのときは農林水産でこういう質疑のやりとりということは余り想定していなかったかなと思っておりましたが、きょうはせっかくの御質問でございます。私、ちょっと一人になって寂しい感じがいたしますが、逐次お答えしてまいりたいというふうに思います。

 お地元が佐賀県ということでございますが、この問題は佐賀、長崎、また近隣にまたがる大変に大きな、かつ複雑な難しい問題であるというふうに認識をしております。

 一月の八日、火曜日でございます、佐賀県の知事ほか佐賀県の関係者の皆様とお会いをいたしました。その際、ノリ漁期を避けた早期に開門をし、最終的には全開門とすることにつきまして、知事の方から要請がございました。一方、一月十日の木曜日でございますが、今度は長崎県の知事ほか関係者とお会いをいたしまして、開門には反対である、したがって開門方針を見直すべきであるというような要請があったところであります。

 もう御案内のとおりでございますし、委員もよく御承知のことだと思いますけれども、今申し上げましたように、両県の関係者の考え方にはかなり大きな隔たりがある、こういうことでありまして、冒頭申し上げましたように、非常に難しい問題であると思いますけれども、やはり、まずは関係者との対話を深め、理解を得られるということが大事であるというふうに思いますので、そういうことで誠心誠意努力をしてまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。

大串(博)委員 はい、わかりました。

 そこで、確定判決となっている判決の中で言われておるのは、三年間の中で開門への準備を行う、いろいろな被害等々が起こらないように準備が必要だ、これをしっかり行った上で三年の後に開門しなさいというのが確定判決でございました。

 開門を準備する、いろいろなマイナスの影響が起こらないように、長崎の皆様の理解も得られるようにしっかりとした準備を行う、これは絶対に必要なことだというふうに思います。私たちの政権下でも、それは全力を尽くしてやっていかなければならないというふうに思ってやってきたところでございます。

 この開門に向けた準備のための費用、具体的には、農業を新しく行っていらっしゃる方も多々いらっしゃいますので、水源対策等々も含めて、開門の準備のための費用というのがかかります。これをどの程度と見込んでいらっしゃるのか。

 そしてまた、それは、私自身は、ことしの十二月までの開門期限ということになっておりますので、今回補正予算が提出されました、この補正予算の中に盛り込まれるのではないかというふうに思っておりました。実は、私たちの政権時代に、私も事務方といろいろな議論をさせていただく中で、このタイミングを前提とすると、通年度予算に盛り込むというのはなかなか難しい可能性、あるいは遅くなるということも考えると、補正予算に盛り込むのが妥当ではないかということで議論をしていた経緯もあります。

 そういった中で、なぜ補正予算に盛り込まれなかったのか、ここを教えていただきたいと思います。

林国務大臣 お答えいたします。

 開門のための対策工事ということでございますが、今委員がおっしゃいましたように、営農をやっていただくということがございますので、まず、営農用水を確保するための海水淡水化施設、これが施設が六カ所、ため池が三カ所ということになろうかと思います。それから、塩水が農地に浸入するのを防止しなければなりませんので、このための常時排水ポンプといったものの設置、これは九カ所ぐらい。それから、既存の堤防や排水樋門の改修、これは改修でございまして、百カ所程度ぐらいを実施することが必要だというふうに考えております。

 二十五年度は、編成の途中で政権交代ということになりましたので、今、入れかえ要求という形でこれをやらせていただいておるところでございますが、入れかえ要求の段階で事項要求というふうにさせていただいておりまして、予算の編成過程で検討していく。これは大串委員が一番よく御存じの手続だと思いますが、そういうことになっておりますので、今から詰めを行っていくということでございまして、今の段階でちょっと具体的な数字を申し上げることが難しいということでございます。

 補正予算にこの開門準備経費を計上しなかった理由ということでございますが、諫早湾の干拓堤防排水門の開門ということにつきましては、先ほどお答えさせていただきましたように、長崎、佐賀両県の関係者の考え方にまだ大きな隔たりがあるということでございます。

 そういった意味で、二十四年度補正予算ということになりますと、重点を三分野にいたしまして、復興・防災対策、成長による富の創出、それから暮らしの安心・地域活性化、こういう三分野を重点として緊急経済対策を策定し、それに基づく補正予算という位置づけにいたしましたので、そういう趣旨から考えまして、この開門対策工事に要する経費ということはちょっと趣旨が違うのではないかという御批判も一方で浴びる可能性があるのではないかというふうに考えたところでございます。

 また、これも釈迦に説法でございますけれども、補正予算は年度内に執行するというのが一応原則であるということでございますから、補正予算ということになりますと、その対策工事の実施につきまして、あらぬ臆測や誤解を招きかねない、そういうことが今度は、先ほど私が申し上げました、現地の方と意見を交換して誠心誠意いろいろなお話を聞きながらやっていくということに支障を来しかねないということも鑑みまして、補正予算での計上は見送ろうということにさせていただいたところでございます。

 以上でございます。

大串(博)委員 補正に盛り込まれなかった理由を今言われました。補正の幾つかの重点項目に合致しないんじゃないかというふうなこともありました。私も長年予算をつくってまいりましたけれども、今回、先ほどの補正の項目の中に、暮らしの安心、安全といった項目もありました。これは実はかなり幅広くいろいろな安心、安全を取り込めるような形にもこれまでもやってきています。ですので、まさにこの開門に関する準備費用などは、お地元の皆様の暮らしの安心と安全を守るというのと合致するのではないかというふうに思います。

 あと、補正の年度内執行、これは原則でございます。それはもちろん国会との関係でもそうでありますけれども、十二月までの開門ということを考えると、やはり一定のペースをもって執行を行っていくというのは、そちらの方からも求められると思うんですね。十二月の開門です。ですから、その前に対策工事は行っておく必要があります。当然、長崎の皆様の理解を得ていく必要もあります。

 一方で、裁判のいろいろな動きもあります。福岡高等裁判所における裁判もありますし、長崎地裁における差しとめの裁判も逆に行われている、こういうふうなこともあります。

 こういったことも含め、かつ、先般、佐賀県知事が参ったときには、最終的な全開門と同時に、ノリの漁期に影響を与えない開門方法をぜひ実現してほしいという声もあったと思います。これは非常に強い声です。

 御案内のように、ノリの漁期、最近、開門にならない今のこの有明海の非常に厳しい状況を受けて、ノリの漁家の皆さんは大変な苦労をされて、漁期も春先まで少々延ばされたりしてやっております。このノリの漁期が終わった後で、次のノリの漁期が始まる前に開門が行われるのが望ましいというのがやはり切実な声なんですね。こういったことも考えると、やはり補正予算という形で一定のペースをもって工事を行っていくというのが合致するのではないかというふうに思います。

 また、通常予算で対策工事の予算、先ほど聞きました内容をざっと聞いても、恐らく数百億のオーダーになる可能性は私は十分あると思っています。そういったものを通年度予算に、ある一定、一時期的に支出されるものとして盛り込むことが現下の厳しい財政状況の中で可能かというと、非常に難しいんじゃないかと思うんですね。

 そういった中で、今、事項要求として通年度予算に盛り込んでいこうとされている中で、一体どういうふうな工程なり、これからの見通しなり、具体的にいつ何をどう行っていこうということを考えた上で、ノリの漁期に影響を与えない開門、そして最終的には十二月までには絶対開門が行われているということを達成しようとされているのか、そこをお聞かせいただきたいと思います。

林国務大臣 ありがとうございます。

 今委員から御指摘がありましたように、十二月までの開門、こういうことで、これが司法の判断ということで今確定をしておるわけでございます。

 したがって、これに間に合いますようにやるということであれば、対策工事の大まかなスケジュールというものが、先ほど申し上げました淡水化施設については、十二月段階で畑作用の営農用水が必要となってくるということで、これを確保するということがまず一点でございます。それから今度は、稲作の方の来年の作付時期までに水田用の営農用水が必要となる、これが出てくるわけでございます。その二点を前提として、その他の工事を並行して進める、こういった大まかなスケジュールでございますが、こういうことをお示しして地元への説明を行っているところでございます。

 これはもう委員もよく御承知だと思いますが、ただ、長崎県の方がまだ全く、理解が得られるという状況には遠い状況にございますので、この今申し上げたような工事を実際に行っていくということになりますと、長崎県の地元の関係者の御協力というものなしでは工事を進めていくということは事実上非常に難しいということでございますので、そういった意味で、早期に納得いただけるように努力をしてまいるということが非常に肝要だというふうに考えておるところでございます。

大串(博)委員 今、大臣から、大臣なりの今後の工程に関するお話をいただきました。

 佐賀県知事も申したように、私たちは最終的には全開門を果たしてほしい。これは、確定判決の中では開門という言葉でのみ語られております。これは、開門というからには私たちは全開門だというふうに思っておりますし、そこを目指していただきたいというふうに強く思っております。

 さらには、先ほど申しましたように、ノリの漁期に影響を与えない。これは本当に、特に有明海の南西部の皆様方は、この数年来、冷凍ノリの季節、この一月、二月ですけれども、大変な赤潮にさらされていらっしゃいます。これはいろいろな原因が、分析、検討していかなきゃなりませんけれども、年末にかけて、諫早湾の方からの海流といいますか、これの影響を受けて赤潮が発生しているのではないか。これで非常に、連年ですけれども、ノリの不作の厳しい状況を迎えています。こういった中で、ノリの漁期に絶対に影響を与えない形の開門をしていただきたい、これは切な願いなんです。

 これらを頭に置いていただきながら、先ほどお話しいただいたような、地元の理解を得ていくということに全力を尽くす。私たちのときにもやってまいりました。私たちのときの担当大臣も、地元に足を運びながら、話を聞かせていただきながら、説得も行いながらやってきました。

 大臣、先ほどの工程の中に、佐賀、長崎、また、足を運んで、理解を直接得ていこうというようなことも考えておいでですか。

林国務大臣 ありがとうございます。

 先ほど、答弁の中で、ノリの漁期についてのところをちょっとお答えを漏らしておりました。

 委員が御指摘のとおり、非常にそこが大事であるということは、佐賀県の知事また関係者の皆様がいらっしゃったときに重々お話をいただいたところでございまして、そこは、私も山口県、下関でございますので、浜の方との話というのを常々やっておりますので、非常に理解ができます。そこの組合長さんも御同席をされておられました。

 したがって、そういうふうになったとして、しかし、ノリの漁期には非常にまずいときになってしまったというのでは非常によろしくないですなということを申し上げた上で、ただ同時に、ですから、前倒しというようなお話もそこでいただいたところでございますが、先ほど委員にお話しさせていただいたような状況をいろいろ加味しますと、ちょっと前倒しというのは現時点では難しいのではないかということは、この間、知事がいらっしゃったときに率直に申し上げさせていただいたところでございます。

 そういう話も含めて一時間にわたるお話をさせていただいたところでございますが、現地の様子を写真なんかで、また地図では見せていただいておるわけでございますが、やはり現地にお邪魔をして、きちっとこの現地の状況を自分の目で確かめるということと、それから、もう少し時間をとって、こちらから出向いていきまして、地元の皆様のお話をじっくり聞くという機会を設けたいと思っておりまして、両県お訪ねしたいと思っておりまして、今、なるべく早く参るように調整を進めておるところでございます。

大串(博)委員 今、ノリの漁期の話をいただきましたけれども、ぜひ現場を見ていただきたいというふうに思います。見ていただくと、今本当にノリの皆さん、一生懸命頑張っていらっしゃいます。ことしも赤潮の問題がございまして、非常に苦労しながらやられています。そういった中でありますので、ぜひ現場を早く見ていただいて、声を直接に聞いていただいて、そしてタイミングの件も含めて考えていただけたらというふうに切にお願い申し上げておきます。

 さて、酪農、畜産の問題に移らせていただきますけれども、先ほども申しましたように、今、配合飼料価格の高騰なども含めて非常に、将来的にどうしていくんだということを、酪農、畜産業界の方々、頑張っていらっしゃいます。

 九州は畜産の盛んなところでございます。数年前に他界しましたけれども、実は私のおじも肉牛を飼っておりまして、私も子供のころからいろいろな作業を一緒にやらせていただいた、そういった経緯もございます。

 そういった中で、現下の畜産、酪農をめぐる課題の中でやはりみんなが一番心配しているのは、先ほど来御指摘もありましたようなTPPの問題なんです。今後これがどうなるかということが非常に見えない。これは私たちが政権のときにも非常に大きな問題として抱えてまいりました。

 私たちの政権のときには、TPPに向けて、常に一定の言葉で説明するようにしておりました。すなわち、交渉参加に向けて各国と協議を行う、その上で、各国は日本に何を求めるのかを明らかにし、それを国民の皆さんに情報開示した上で、国益の観点から最終的な判断をしていく、この言葉を繰り返し繰り返し申しておりました。

 さらには、経済連携全体のことを問われれば、このTPPのみならず、TPP、そして日中韓FTA、さらにはRCEP、東アジア全体の包括的な経済連携、これらを同時並行的に、TPPだけというのではなくて同時並行的に全体をやっていくんだ、こういったことを繰り返し申しておりました。

 足元ぶらさずそれを言ってきたつもりでありますけれども、それでも、一体どういうスタンスなんだ、よくわからない、不安だという声を常日ごろから受けておりました。

 今、政権交代になった後、いろいろな政府あるいは与党の要人の皆様の発言を聞いていると若干、これは報道でしか私たちは知り得ない、国民の皆さんも報道を通じて見られるわけですけれども、そこがはっきりしない感じがするんですね。

 林大臣も先ほど、状況分析が十分でないので精査、分析をしていきたいというふうにもおっしゃっていますし、安倍総理も、我々は聖域なき関税撤廃を前提条件とする限り反対と言ってきた、国益にかなう最善の道を求めていく、こういうふうな発言もされています。少し違うわけですね。また、林農水大臣は、ほかの発言でも、あらゆる関税を撤廃するという条件が除外できるなら、その時点からの検討はあり得る、この条件をクリアできるかが大事だ、こういうふうにも言われている記事もありました。さらには、高市政調会長は、守るべき条件をあらゆる方面から準備しておく必要がある、こういうふうな発言もある。幾つかの発言があって、農家の方々は非常に、一体どうなるんだろうというところの、そういう意味での不安感があります。

 そういう意味で、政府の閣僚でいらっしゃいます、政府としてどうなんだという立場から、TPPに関するスタンスを教えていただきたいと思います。

林国務大臣 ありがとうございます。

 御質問に入る前に、佐賀でおじ様が畜産をやっていらっしゃった、ちょっと初耳でございましたが。佐賀はたしか佐賀牛というブランド化がかなり早くから進められておりまして、私の結構好きだったお笑いのタレントがそれを担いでいろいろCMをしておったな、大串家もそういうところに一枚かんでおられたんだなと思って聞かせていただいたわけでございますが、おっしゃるとおり、政府におられていろいろ御苦労をした上での御質問だというふうに聞かせていただきました。

 したがって、我々も、先ほど与党の委員の御質問にも答えたように、三月九日、ですから約十カ月ぐらい前になりましょうか、ここで紙をやはりまとめておいた方がいいだろうということで、小委員会でTPPについての考え方ということをまとめまして、我が党内の手続でございますが、これは政務調査会の中の小委員会ということでしたので、小委員会、それから政調、そして総務会まで手続をしまして、党議決定という形にさせていただいたということでございます。それを政権公約にも掲げたということでございます。

 インタビューそれからテレビ番組等いろいろなやりとりがありますので、いろいろな質問に対する答えの一言一句まで全部そろえるというようなことはなかなか事実上難しいのかもしれませんけれども、基本的に、この紙が我が党の考え方であるということをしっかりとこれからも堅持してまいりたい、こういうふうに思っております。

 委員が今御指摘があったように、そこの紙は、六条件の中の一つ目、聖域なき関税撤廃のところがよくクローズアップされるところでございますが、その前段で、基本的な認識として、「アジア太平洋地域における経済連携については、様々なオプション・進め方(例えば、ASEAN+3/+6など)が考えられ、わが党もその構築の必要性については、関係各国、国内各層と共有してきたところである。更に、日・EUや日・中・韓の経済連携も着実に進めていくことが重要である。」こういうこともまた同時に書かせていただいております。この当時は、ASEANプラス6というふうに言っておりました。まだRCEPという言葉が余り人口に膾炙していなかった時期でございますが、そういう書き方もそこで同様の考え方として書かせていただいているところでございます。

 したがって、政府といたしましては、先ほど来申し上げておりますように、聖域なき関税撤廃を前提とする限り交渉参加に反対というのが基本的な考え方であるということでございます。

大串(博)委員 三月九日の党での決定の話、先ほど来聞きました。政権公約の中でもその六項目を掲げられたのは、私も存じております。

 その上で、要するに国民の皆さんあるいは農家の皆さんが知りたいのは、今何をやっている状況なのかというのが非常に気になられているわけです。私たちも聞かれました、今何をやっているんだと。それに対して、私たちは、交渉参加に向けた各国との協議を行っているんですと。そして、その協議は何のためかというと、日本がもし交渉に参加したいと思ったときには何を求められるのかというのをまず入り口できちんと確認をしよう、そして、その情報を得た上で、それを国民の皆さんにきちんと開示した上で、国民的な議論を経て、国益の観点から判断をしていこうと。

 だから、スタンスと同時に、今何をやっているんだということも御説明しておりました。実際に各国に調査団も派遣し、いろいろな議論もしながら、その都度情報も開示しながらやってまいりました。しかし、それでもやはり、農家の立場からしてみると一体どうなっているんだと非常に不安になるのがTPP、そういうものだというふうに思います。

 そういう中で、スタンスはわかりました。では、今何をやられているところなのか。先ほど大臣、情報提供を今後行いながら十分な検討を行っていきたいと。十分な検討とおっしゃいました。では、今、情報提供をするための情報収集をなされているのか。あるいは、情報提供を行えた暁には、十分な検討を行うとおっしゃいましたが、何がしかの検討を行っていらっしゃるのか。

 今何を行っていらっしゃるのかというところを教えていただきたいと思います。

林国務大臣 ありがとうございます。

 先ほどのやりとりで少し与党の委員にお答えしたように、交渉の進展状況や関係国との協議の状況等を把握して、国民への情報提供を行いながら、本委員会での御議論を踏まえて検討を行う、こういうふうに申し上げたところでございます。

 したがって、さきの政権で協議をどこまでされておられたのかということも含めて、きちっと把握をした上で、なるべく国民へ情報を提供しようということでございます。

 それにあわせて、影響試算というものをさきの政権でもお出しになっておられたところでございますので、これを、委員もうお詳しいと思いますが、内閣府のGTAPというようなモデルを使ったもの、それから経産省がお出しになっていたもの、農林水産省で出していたもの、こういうものがあったわけでございますので、これを統一して、立体としてどういうふうになるのかというものを、試算というのは前提条件がいろいろ出てまいります、したがって、前提条件そのものを明らかにする。それから、でき得れば、前提条件も、一つということではなくて複数の前提条件というのもあり得るのかな、こう思っております。

 そういうことで、しっかりとした試算というものも同時に出していくことによって、情報提供、そして試算等に基づく議論を、これはこの委員会ももちろんでございますし、国民的な議論をきっちりとやっていく、そういう段階にあるというふうに考えております。

大串(博)委員 今、影響試算の話もございましたけれども、私たちのときにも、経産省が出した試算と農水省が出した試算が違うじゃないか、わかりづらい、どっちなんだ、こういうふうに非常に言われました。非常に難しい問題です。

 先ほどおっしゃったように、前提条件がかなり違うのが根本の原因でありました。それを、統一していこう、場合によっては幾つかの前提条件もベースに試算をしていこうと。そういう幾つかの前提条件をベースとすると、また幾つかの試算になっちゃうんですね。これは非常に難しいところ。だから、農家の皆さんにとってわかりやすい形にしていきたいというのが実は私たちの思いで、これは苦労してきたんです。だから、結局、GTAPのモデル一本だったんです。わかりやすいモデルにしていくということをぜひ御加味いただきたいと思います。

 あと、そういう影響試算を受けて、農家の立場からすると、もし万が一、TPPに交渉参加という話になった場合に、ちゃんと農業対策、畜産、酪農対策を同時に打ち出してくれるのか、将来不安がない形にしてくれるのか、非常にそこは気にされています。いわゆる交渉参加にもし仮になった場合に、どういうふうな農業対策をとっていくのか、酪農、畜産対策をとっていくのかということは検討されているのか。交渉参加のときにそういう対策も含めて発表されるおつもりなのか、それとも、交渉参加はまずしておいて、対策はその後ですよということなのか。その辺を非常に酪農、畜産農家の方が心配されているわけですね。その辺はいかがでしょうか。

林国務大臣 ありがとうございます。

 委員おっしゃるように、この試算を出すときには、まず、わかりやすいと。何かもう、前提が二十も三十もあって最後までたどり着かないような、そういうことをするつもりはございません。むしろ、試算をするときの前提が一つで、それが余り極端過ぎるのではないかというような御議論も出てくることもあるわけですから、では、こういう前提にしたらこうなるということをわかりやすくするということも、今御指摘がございましたので、頭に入れてやってまいりたいというふうに思っております。

 その上で、対策ということでございましたが、先ほど江藤副大臣からも少しあったように、対策を検討するということになりますと、もう入ることを前提としているのではないかというような、そういう懸念も逆に出てくることも予想されます。したがって、先ほど申し上げましたように、現段階では、聖域なき関税撤廃を前提とする限りTPP交渉参加に反対という基本的な考え方のもとで、先ほど申し上げたような、情報開示をし、議論を行うということがまず必要であるというふうに考えておりますので、参加を前提としたような国内対策の検討というのは行っておらないということでございます。

大串(博)委員 対策を検討するということは参加を前提としているんじゃないか、そういう危惧もある。それは、私たちのときにも本当にそこは悩みました。おっしゃるとおりであります。

 一方で、私が申し上げたいのは、農家の皆さんに不安を与えないようにしなきゃいけない。将来守られるのか、さらには、今何が行われているんだろうかということがわからないこと自体が、非常にやはり農家の方々に不安を招来します。そうならないように、今これをやっているんだ、だから次は、こういうステップで、こういうふうに皆さんに情報提供していきますということをぜひ今後も明らかにしていっていただきたいというのが、私のこのTPPに関する質問を通じての主張でございます。

 先ほど申しましたように、今、配合飼料価格の高騰、円安の問題もこれあり、非常に将来不安を畜産、酪農農家の方々はお持ちであります。そういう中であるがゆえに、この外的状況、外的要因による不安感というのを、円安の問題も含めて、そしてTPPの問題も含めて、ぜひ払拭していただくよう私の方からお願いして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

森山委員長 次に、村岡敏英君。

村岡委員 おはようございます。

 私は、秋田県出身の村岡敏英と申します。日本維新の会に所属し、我々新人は三十七人いますが、私が委員会での初質問となります。

 私自身、この国会には秘書として十六年おりましたけれども、伝統と歴史ある農水委員会での質問ということで、そして父も政治家をやっておりましたので、農水委員会というのは紳士的かつ質実剛健な委員会だと聞いておりますので、緊張感を持ってしっかりと質問させていただきたい、こう思っております。

 そして、林大臣、江藤副大臣、長島政務官、御就任おめでとうございます。

 特に、林大臣は三十六年一月生まれ、そして江藤副大臣は三十五年七月、私も三十五年七月ですので、同学年ということで、大変違いはありますが、ぜひ同学年の星として頑張っていただきたいと思います。

 そして、林大臣には、自民党の総裁選で、いろいろ論客で話していたのをお聞きいたしました。あの中では一番の論客だと私は信じておりますので、農水委員会でいろいろな質問をさせていただきますが、答えていただきたい、このように思っております。

 まず初めに我々が質問するのは、大臣と副大臣の日本の農業に対する認識をお聞きしたい、こう思っております。

 私の出身である秋田県は農業県であります。いろいろな議論があります。農業者がもっと努力するべきだ、もっと勉強するべきだという論議もあります。

 しかしながら、私は九年間浪人しておりましたので、幸いなのか、残念なことに、地域を徹底的に回りました。秋田三区は十四万軒ありますが、十四万軒全てを回っております。

 その中で、農家の方々にお聞きすると、我々農業というのは、戦後、食料不足のとき、稲作にしても、そしてまた畜産にしても、野菜にしても、果樹にしても、国からの、計画的にぜひ国民の食料を守ってくれという中で農業を行ってきた、そして、冬は秋田県は農業ができないという中、高度成長期のために東京に出稼ぎに来て、国のためにずっと尽くしてきた、その中で今さら努力しろと言っても、我々は精いっぱいの努力をいたしておる。そして、平均年齢が六十六歳以上になっている現状の中、簡単にその人たちが努力して新しい農業をつくるというのは難しい現状が現実にはあります。

 その中で私が考えるには、この日本の農業というのが、北海道から沖縄までありますけれども、やはり地域的にしっかりとした対策をとっていかなければならない、それぞれ地域に合った政策がないんじゃないか、こう思っております。確かに全国一律の公平性は必要だとは思っておりますが、やはり地域事情、そして四季折々のこの日本列島の現状を踏まえた上での農業対策が必要だと思っております。

 私の意見はここまでにいたしまして、大臣、副大臣に今の日本の農業の現状の認識についてお伺いしたい、このように思っております。

林国務大臣 ありがとうございます。

 きょうは村岡委員のデビュー戦ということで、おめでとうございます。国会が開会前にこうして質問に立たれる、私も答弁に立っておるわけでございますが、なかなか余りないことだ、こういうふうに思います。

 農林水産委員会は紳士的かつ質実剛健であると。今委員のお話を聞いておりまして、私は委員のお父上をそのまま思い出しておったところでございまして、本当に紳士的かつ質実剛健に我々も大変な御指導をいただいたということでございまして、改めて感謝を申し上げたい、こういうふうに思っております。

 委員も地元を全部回られたということでありますし、それから、たしか、私の記憶では、青年会議所の活動も随分活発にやっておられたということでございまして、現場を非常におわかりだということでありますから、大変釈迦に説法になりますが、私も、冒頭に申し上げましたように、やはり政策をつくるときに、現場がどうなっているのかという感覚が大事であろうということを常々頭に置いて政治活動をしてきたつもりでございます。

 自民党の話で恐縮でございますけれども、部会というものがございまして、一年生の方もお父上のような大長老も、同じ平場というところで、同じ説明を聞いて、朝早くから夕方遅い時間までいろいろな部会でかんかんがくがくの議論をして、そこで、政府がいわゆる原案として出してきたものをたたいて直して、そしてそれを国会に出していくということをやってきておるわけでございます。

 我々も新人議員のときは、いかに多くの部会に行ってたくさん勉強し、また、自分の意見を形づくって、その過程の中にどうやって反映させていくのかということを次第次第にやっていったという記憶がございます。

 したがって、農林水産というのは、政策の基本論ということではほかの分野とも同じということでありましょうけれども、さらに言えば、委員が御指摘のように、例えば私の地元は山口県というところで、中山間地が非常に多いわけでございますし、瀬戸内に行きますと、今度は沿岸には工場もいっぱいあるような、そういう県でございます。したがって、先ほどの御議論にあったような、例えば北海道の例とか九州の例といったものをそのまま持ってきますと、なかなか山口県の現状には合わないなということはございます。

 多分、委員がいろいろお回りになった中で、秋田も、そういういろいろな秋田特有のところというのが、単に地理的な条件ということにとどまらず、いろいろなものがある、こういうふうに思いますので、そういった現状をよく押さえた上で、国では統一的な基準をつくりますが、それを運用、執行していくときになるべく地域に合ったものにしていくということが非常に大事であろうというふうに思っております。

 その上で、攻めの農林水産業ということを中心にやっていきたいということを申し上げたわけでございますが、この農林水産業には大変大きな潜在的な成長力、力というものがあるというふうに私は思っておりまして、その力をどうやって引き出していくかということを農政の一つの大きな柱として頑張ってまいりたい、そういうふうに思っておるところでございます。

江藤副大臣 村岡委員、大変貴重な御質問をありがとうございます。全面的に御意見に賛同するものでございます。

 私が考える日本の農政、時間がないので余り長くはしゃべりませんが、私の地元で口蹄疫という惨事が起こりました。そのときに、復興を果たして、全共で日本一をまたとったわけでありますけれども、その原動力はやはり地域の力なんです。そして、そこに人がちゃんと残っていたから、家畜は全部殺処分されてしまったかもしれないけれども、人がそこに踏みとどまったからこの再生がなし遂げられたんだというふうに思います。

 今委員の御指摘のように、沖縄から北海道まで、私は与那国から北海道の端までずっと歩いてまいりましたけれども、やはり地域の特性が生かされた、そういった農業を、農業政策をやっていかなければならないんだろうと思います。

 戦後の御指摘もありました。食料を供給し、そして高度成長期には労働力を供給して、そして日本の屋台骨を支えてきたのはまさに地方だというふうに思います。

 よく言われますが、農家は勉強をしていない、毎年同じものを漫然とつくっている、市場のニーズに応えていないと。私も東京に来るとそういうことを言われます。しかし、私はそういう意見に対しては全く賛同するものではありません。特に、今地域で担い手として努力をしている若者たちは驚くほどよく勉強をしている、本当に。彼らはプロであります。酪農の世界でも畜産の世界でも、たくみの世界がそこにはあるんだろうと私は思います。

 ですから、これから私たちは、政策だけでできることじゃありません、地域の御協力、コミュニティーとしての地域政策を推進して、日本の農業が、大臣もおっしゃられましたように、世界に対しても伍していけるような、そして面的集約が全てだとも思っておりません。幾ら集約しても、オーストラリアやアメリカのような面積には到底ならないわけですから。そして、集積の不可能な中山間地域の棚田もこれまたあるわけですから。

 そういったことを語れば切りがありませんけれども、委員の御意見は非常に貴重な御意見として受けとめさせていただいて、これから、地域のニーズに合った、できる限りきめの細やかな農業政策ができればなということを考えております。

村岡委員 大臣、副大臣、ありがとうございました。

 一つお願いしておきたいのは、よく、攻めの農業、そして、新たに農業を変えていかなきゃいけない、この部分は大切なことだと思っております。

 もう一つ、六十六歳以上になった人たちも農地を支えています。そして、それはなかなか年齢構成が変わらないのが、地方ですと、会社を退職したり、そして市役所や役場を退職した人たちがまた農地を守りに参加していきます。この人たちは、地域の伝統や文化、お祭り、そしてまた防災での消防団、いろいろなことで守っております。

 そういう意味では、攻めの農業はしっかりと日本はやっていかなきゃいけないけれども、もう一つ、地域社会を守るという視点の部分も決して忘れてはいけない、こういうふうに思っております。その部分が足りないということになれば、地震や台風やいろいろなときに人災が起きるという結果につながるということもぜひお願いしたい、こう思っております。

 さて、質問は移りまして、TPPに参ります。

 先ほどの議論も聞いておりました。もちろん、新聞等の言葉なので大臣にお聞きしたいんですが、そのまま新聞の記事を読みます。

 アメリカのルース駐日大使に、TPPへの交渉参加表明は七月の参議院選前は難しいとの見通しを伝えた、こう書いております。参議院が非常に重要で、人口が少ない三十一の選挙区が勝敗を決すると伝えたと。この意味がよくわからないんですけれども、ぜひ大臣にお聞きしたい、こういうふうに思っております。

林国務大臣 ありがとうございます。

 その報道は、それに先立つBS朝日の番組でのやりとりを取材されたということでございます。

 時間の関係で、全部そこでどう言ったということを詳細には申し上げませんけれども、そこで私が申し上げたのは、まず、外交上のお話でありますので、こちらから相手に申し上げたことは申し上げていいところがございますけれども、相手が私にどう言ったかということは申し上げませんよということと、それから、公約ということに話がなりましたので、公約という意味では、参議院選挙はもう七月にあることが決まっているということで、その参議院選挙は、もう大使はもちろん御存じだと思うけれども、今度は一人を選ぶ小選挙区が三十一にふえるんです、こういうような説明もしましたということであります。

 それを番組の方が、そこに、では、その後でもいいのかというようなことだったのかと言うので、そんなことはありませんよというふうにそこではっきり否定をしておるのでございますが、報道はそういうような形になっているということでございます。

村岡委員 ありがとうございます。

 ただし、これは安倍総理が、選挙の前でしょうか、外交交渉がしっかりしていればTPPは、国益に反するものは反対できて、脱退、抜けることができるというようなことを言われていました。そういう意味で考えますと、今、衆議院は圧倒的多数ですけれども、参議院選挙を勝てば外交力ができる、このような御意見にも、またそういうふうにとれるような形なんですけれども、そうではないということでよろしいんでしょうか。

林国務大臣 衆議院で過半数であるとか参議院で過半数であるとかということと、それから、例えばアメリカとかEUとかそういうところと一般的に交渉するときに交渉力が変わるということではないというふうに思っておりますので、私のこのテレビでのやりとりも、参議院の選挙の制度の仕組みを説明したということでございます。

村岡委員 その言葉で御理解いたしました。

 私どもは、TPPには交渉参加、しかしながら、国益に反するときにはこれを脱退するということを表明しながら私は衆議院選挙を戦いました。先ほど言ったように、私は農業県の秋田県出身です。農協の集会やいろいろなところに行くと、ほかの党の方々はTPP断固阻止という鉢巻きを巻いているときに、私一人巻いていないという厳しい選挙もやってまいりました。

 農業は、TPPに限らずしっかりとした対策をとっていかなきゃいけない。よく、どこの政党かわかりませんが、TPPはだめでFTAやEPAなら大丈夫だと言いますが、これは別に二国間だって外交力がなければ、アメリカと韓国の場合の例を引いても、決してそうではないと思っています。やはり自由化の流れ、しっかりとした参加をしながら、そして自由貿易は守っていく、その上で農業は別問題としてしっかり対策をとっていかなければならない、こう思っています。

 先ほど、交渉参加の中で、対策をとれば、もう交渉に参加するのかと言われるという御意見がありました。しかし、それとは別じゃないでしょうか。日本の食料安保、地域社会を守る、そういう意味では、別にTPPに参加することを前提としなくても農業の対策はしっかりしていく、こういう心構えでぜひやっていただきたいと思いますが、大臣の認識をよろしくお願いします。

林国務大臣 ありがとうございます。

 今委員が御指摘になったとおりでございまして、TPP交渉参加協議等と全くかかわらず、農業について、先ほど来いろいろな御議論が、きょうは特に畜産、酪農を中心にございましたが、いろいろな施策を打ってやっていくということはもう当然のことであります。FTA等々があろうがなかろうが、冒頭に申し上げましたように、担い手の方の高齢化等々、我が国の農林水産業を取り巻く状況は非常に厳しいものがございますので、これに対して適切に対策を打っていくということはもう当然やらなければいけないというふうに理解しております。

村岡委員 ありがとうございます。

 時間がないので、あと一つだけ質問させていただきます。

 私は、実は農業者と、東京や香港や台湾にも秋田県の農産物を売りに行ったりしておりました。そして、さらには農商工連携の研修会なんかも行ったり、そういうのもやっておりました。その中で痛切に感じるのが、せっかく予算をつけて、いろいろな人たちが勉強します。その勉強の結果、これは制度として使いでが悪いなと言う人の方が圧倒的に多いんです。ここに問題がある。せっかく予算をつけていただいたのに、結局は使いでが悪い、こういうことをわかった研修会になったりしているんです。

 そういう部分というのは、やはり現場と、どの制度をとっても、成果がどのようにあらわれたか、その結果をしっかりと調べていくかどうかが大切だと思っています。

 いい制度がたくさん農林水産省にはあります。しかしながら、使いでが悪い結果、使えていないという現状がありますので、その点はどう考えておられるのか、最後の質問になりますが、よろしくお願いします。

林国務大臣 ありがとうございます。

 どんな制度でもそうでございますが、先ほどちょっと最初に申し上げさせていただきましたように、かなり与党の部会等でたたきながらつくるわけでございますが、でき上がってみて、どうも最初に考えていたことどおりにいっていないなと。それはどの段階、法律とか政省令とかいろいろとあると思いますし、最後の運用の部分もあると思いますので、これはもう原則論として、不断の見直しをして、私が冒頭申し上げましたように、現場の方が使いやすいということが非常に大事でございます。

 委員せっかくの御指摘でございますので、また具体的な情報等を教えていただきまして、できる限り現場の意向に沿った見直しというものは不断に心がけていきたいと思っております。

村岡委員 ありがとうございました。

 我々の高橋みほ議員に質問を移らせていただきます。

森山委員長 次に、高橋みほ君。

高橋(み)委員 北海道選出、日本維新の会の高橋みほでございます。

 私は、日本維新の会、酪農、畜産王国北海道の代表というつもりで質問いたしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 このたびの総選挙におきまして、自民党と公明党が過半数を占め、そして、安倍政権が誕生したことによって、私は、日本の農業、北海道の農業が救われたと思っているところでございます。

 前の民主党政権は、農業団体からも多大な支援を受けて政権交代をしたのにもかかわらず、農業に携わる方たちだけではなく、有権者全体の期待、国民の期待を根底から裏切り続けたと私は理解をしております。特に、農業に携わる方たちとしては、二度と民主党に投票したくないと思っていることと思います。

 そこで、だまし討ちのように、北海道の酪農、畜産業を壊滅に追い込もうとした民主党政権のようなことは私たちはしないと、北海道が選挙区であり、農水委員としても北海道の酪農、畜産業に貢献をしてきた稲津政務官にそう断言をしていただきたい、そう思っているところでございますが、いかがでございましょうか。

稲津大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 高橋委員におかれましては、このたびの総選挙で初当選なされて、北海道の選出ということで、私もそうでございますけれども、生産者の現場のお声、また、さまざまな北海道の農業を取り巻く環境の中で、御要望とか御意見とか、それを踏まえた上での御質問ということでございまして、私も同じ北海道ということで、思いを共有するところでございます。

 そこで、民主党前政権の酪農、畜産に対する考え方ということについて御質問をいただいたと思います。

 例えば、畜産経営安定対策について全国一律のシンプルな仕組みの導入ですとか、あるいは事業仕分けによる飼料備蓄の削減等が実施をされてきた、このように承知をしております。一方で、一部の生産者からは、地域の実態に即した改善への要望があるということも認識をしているところでございます。

 私どもといたしましては、生産者の皆様が安心して経営に取り組んでいただけるよう、経営安定対策の充実強化、これを図るということと、またあわせて現場の声に即した施策を展開してまいりたい、このように考えているところでございます。

高橋(み)委員 稲津政務官、ありがとうございました。

 それでは、現政権の酪農、畜産業に対する考え方を質問させていただきます。

 前民主党政権と異なり、現政権も私の所属する日本維新の会も、安全保障という言葉が非常に好きな政党であると思っております。安全保障とは、私たちの国が、何らかの脅威が及ばぬよう何らかの手段を講じておくことが必要であると考えております。とすると、当然その中には、我が国国民にとって、食べるという生命にかかわる問題として、食料安全保障もそこに含まれていると思います。

 そこで、林大臣にお聞きをしたいんですけれども、我が国において、現在、食料安全保障はしっかりと担保されているかどうか、そして、今この委員会において議題となっております日本の酪農、畜産業は、日本の食料安全保障という枠組みに組み込まれているのかどうか、この二点に対して、手短で結構ですのでお答えください。

林国務大臣 ありがとうございます。

 手短にということでございましたので、食料安全保障、国民の生命の維持に不可欠であり、健康で充実した生活の基礎である食料について、供給が損なわれないように、安定供給を確保するということであるというふうに認識をしておりまして、そういう意味では、畜産、酪農もきちっとその中に含めて考えなければならないと思っておるところでございます。

 特に、この畜産、酪農につきましては、人間の食用にはなかなかならない粗飼料をもとに、牛乳ですとか乳製品ですとか食肉等の畜産物というものを供給することで、動物性のたんぱく質やカルシウムといった、国民にとって必要な栄養素の供給源として重要な役割を果たしておるというふうに考えておりまして、この分野におきます食料安全保障にもしっかりと取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。

高橋(み)委員 林大臣、ありがとうございました。

 それでは、個別具体的な話の酪農ヘルパー制度の話に移りたいと思っております。

 酪農といえば、朝の搾乳、夜の搾乳、それが毎日続いて、三百六十五日休みなし、もし休んだら牛が病気になってしまう、非常に過酷な労働として知られているところでございます。商売というのは、販売価格を上げる、仕入れを下げる、コストを下げる、生産性を上げるということに尽きると思うんですが、三百六十五日休みなく働くことが生産性を高めることと言えるかどうか、甚だ疑問なところであります。

 この酪農ヘルパー制度は、酪農家が農作業をできない日にヘルパーがかわって作業を行うものと理解しておりますが、酪農ヘルパーの委託日数は、北海道で平成二十三年度、平均十九・四九日となっているところです。勝手に休むことができない小規模の酪農家は、休む場合にはヘルパーを雇わざるを得ない。つまり、一月に酪農家は一・六日しか休みがないということになります。それも、休むのにお金がかかる。一回当たりのヘルパーの単価が北海道平均で二から四万円。一日休むのに二万円から四万円のお金がかかる。これでは酪農家はおちおち休むことはできないのではないかと思っております。ひっきょう、ヘルパー制度の利用をちゅうちょさせ、よって、労働生産性を著しく低下させているのではないかと考えております。

 酪農ヘルパーを傷病時に利用する場合、酪農経営安定対策補完事業によって、今現在、一定の補助があると伺っているところではございます。ただ、これを利用しても無料になるわけではございませんので、休むにはお金を払わなければいけないということは変わらないのではないかと思っております。

 だとすれば、ここは思い切って、酪農ヘルパーの稼働日数を大幅にふやすような政策、一般の国民と同じぐらいの休日数を国家目標として、国策として実行していく必要があるのではないかと思うところでございます。

 例えばの話で恐縮ですが、小さいとき、親に肩たたき券を上げるように、酪農ヘルパー制度をクーポン制にして、国策としてある程度割り当てる、配分するというような考え方はいかがでしょうか。こうすることによって、酪農家が休みを得ることができ、生産性が上がるとともに、ヘルパー制度のもう一つの趣旨、ヘルパーを通じて新規就農見込み者に技術を取得してもらうというような目的も達成することがまたできると考えますが、稲津政務官、いかがでございましょうか。

稲津大臣政務官 お答えさせていただきます。

 酪農ヘルパーは、酪農の生産基盤を維持していくためには大変重要なものである、このように認識をしております。

 いろいろ個別具体的な御提案もいただきましたが、いずれにしても、この酪農ヘルパー制度、今お話がございましたように、休日の確保ですとか、あるいは傷病時の経営の継続を支援するということを通じて、今の酪農の生産基盤を充実させていく。特に、生乳生産の半分以上を占めている北海道においては、この制度はなくてはならないものである、このように認識をしております。

 このために、酪農経営安定化支援ヘルパー事業によって、傷病時の利用や酪農ヘルパーの雇用環境の整備を支援する。そのこととともに、平成二年度から五年度に四十六都道府県に造成いたしました地方基金、これは酪農ヘルパー事業円滑化対策事業でございますけれども、これによって利用組合の運営経費の一部を助成しているところでございまして、二十五年度におきましても、これらの対策によりまして酪農ヘルパーを支援していく、このように考えているところでございます。

高橋(み)委員 稲津政務官、どうもありがとうございました。

 最後になりますが、新規の就農者をふやしていくというプロジェクトなど、新規の就農者、新しい、未来ある農業に向かって、私たち日本維新の会も頑張っていきたいと思いますので、皆様、いろいろ御協力をお願いしたいと思います。

 きょうは、初めての質問でしたので、不手際な点がございましたとは思いますが、どうもありがとうございました。

 それでは、質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございます。

森山委員長 次に、林宙紀君。

林(宙)委員 さきの総選挙におきまして、宮城より初めて当選をさせていただきました林宙紀、みんなの党所属でございます。

 おかげさまで、我が党も何とか議席を倍以上にふやさせていただくことができまして、この農林水産委員会にも初めて党から議員を出席させていただくことができるようになりました。大変ありがとうございます。

 そして、もちろん、私は本日が初めての質問ということになりまして、この機会を与えていただいたことにまずは感謝を申し上げます。党の新人議員としても、私がトップバッターということになりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 初めに、林芳正大臣にお伺いをいたします。

 まず、同じ林姓ということで、新人議員として、大変僣越ながら勝手に近しい、そんな感じを受けさせていただいております。

 また、先日、大臣は宮城県の山元町というところにございますイチゴ農家を御視察されたと思いますが、あのイチゴ農園を経営しているのは実は私の高校の同級生でございまして、そのときに、同級生にどうだった、こうお話を聞いてみましたら、あの林大臣のもとであればこれからの日本の農業は飛躍的に発展するだろう、その希望が現実のものになるんじゃないかというお話をされておりました。

 ということで、今後とも、ぜひともよろしくお願い申し上げます。

 さて、これまでもさきの質問者の皆様が触れられたことではあるんですが、私たちみんなの党、TPP推進派といたしましては、まず、やはりここにあえて触れさせていただきたいと存じます。

 さきの総選挙におきまして、もう皆さんこれは御案内のとおりですが、自民党さんの公約では、聖域なき関税撤廃を前提にする限りTPP交渉参加に反対とされておりました。これは、私は、裏を返すと、では、聖域として保護すべき品目、いわゆる例外というものを設けることができるなら交渉には積極的に参加していってもいいという御意向であるのではないかなと捉えることもできると思っております。

 実際に、さっきも皆さんから幾つか例示がございましたが、テレビ番組ですとか新聞等、報道等で、自民党の議員の皆様がそういった趣旨の御発言ととれる発言を何度かされていると認識をしております。

 また、実は先ほど大臣も少しだけ触れられましたが、BS朝日のあの番組におきましては、大臣が交渉参加国に例外を認めると言わせるといったような趣旨の御発言もされていたと私自身は記憶をしております。

 これにつきまして、まずお伺いをいたしますのは、それでは、この例外といったものが実際に設けられるならば積極的にTPPに参加をする御意向であるかどうか、これを姿勢として明らかにしていただけないかという点。加えまして、では、その例外が設けられたとして、例外を設けてから交渉に参加をするという順番なのか、それとも、交渉に参加をしてから例外をとるべく交渉していく、努力をしていく、そのような順番になるのか。まずはそこを大臣にお聞きいたします。お願い申し上げます。

林国務大臣 ありがとうございます。

 林委員におかれましては、今回がデビュー戦ということで、おめでとうございます。

 また、岩佐さんだと思いますが、御友人ということで、私もいろいろな会議等でも御一緒しておりまして、そこでお出会いしたときに、実は事前の資料で、写真でちっちゃく写っていたので顔がわかっていたはずなんですが、会ってみて初めて、ああ、岩佐君かというようなことで、非常にいろいろなお話を聞くことができました。

 大変印象的だったのは、大規模実証実験ということで、そういう実験としてやっておられて、いろいろな、とても甘いイチゴというのをつくっておられたんですが、その実証実験をやっておられる隣に、彼は実験として予算をいただいてやるというものではないものを既に自分でつくっておられる、この辺が非常に攻めの農林水産業という観点からもすばらしいなと思って、ぜひまたいろいろお知恵を下さいと言ってお別れしたところでございまして、ぜひよろしくお伝えをいただきたい、こういうふうに思います。

 御質問のTPPの件でございますが、先ほどもお話がありましたように、余り基本線から外れたことをいろいろ言うとまた心配する人が出るという御指摘もあったところでございますので、基本的な考え方は先ほどやりとりしたとおりでございますが、仮定の話として、どういう考え方、順番として持っておるのか、こういう御趣旨の御質問でございました。

 ほかのEPAと少し違いまして、TPPは、御案内のように、全ての品目の関税撤廃が原則であるということでありまして、交渉の参加に当たって高い水準の自由化に取り組む用意というのが求められている、こういうふうに言われております。したがって、こういうようなTPPに交渉すると仮定した場合に、委員が今おっしゃったように、参加した後で例外を主張するやり方ということは、参加前に例外を主張するというよりも有利な交渉ができるということは必ずしも言いがたいのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。

 したがって、そういう点も踏まえまして、最初に戻るわけでございますが、TPPについては、聖域なき関税撤廃を前提にする限り交渉参加に反対ということを、先ほど来、紙にまとめて公約にして、それを今基本的な考え方としておるというふうに申し上げましたが、そういう考え方でございます。

林(宙)委員 ありがとうございます。

 ということは、交渉に参加する前の段階で例外が設けられるかどうかということを探っていくということになると思うんですが、これは実は私たちはかなり難しいと考えています。

 というのも、我が党はかねてから、まず交渉のテーブルに着いて、ルールづくりに参加した上で、そのルールが日本にとって不利ならば批准しない、維新の会の方でも同じような考え方だと先ほどおっしゃっていましたけれども。これに関して、TPPに反対されている皆様は、最終的に参加しないかもしれないというその余地がある国を相手に本気で交渉するだろうかというようなことをおっしゃって、結局のところ、交渉に参加したら抜けられない、だからこそ交渉そのものに参加であるといった議論を展開されることが多々ございます。

 ということは、交渉に参加する前に例外を設けるべく努力をするという、それこそ交渉をすることなどは到底難しいのではないかと考えておりますが、その点では林大臣はどのようにお考えか、お伺いをいたします。

林国務大臣 ありがとうございます。

 先ほど比較を申し上げましたけれども、そのときに、これはむしろ、政府の統一見解というよりも、この三月九日につくりましたときの議論の御紹介ということの方がよろしいかと思いますが、具体的な項目について事前に例外をかち取るというようなことというよりも、この書き方は、「聖域なき関税撤廃」というところに実は括弧がついているんですね。したがって、そういう聖域なき関税撤廃ということが前提ですよということを、最初に包括的に前提として、そのことを言って交渉に参加する、こういう形になっているということですから、やはり先ほど言ったように、もしその前提で交渉に入ると弱くなってしまうのではないか、こういう御議論があったわけです。

 したがって、その前提がある限りは交渉に反対する、こういうような議論を経てこの文章ができておるということでございますので、今委員がおっしゃったことと、ちょっとこの条件のニュアンスというのが、我々が考えているのと若干違うところがあるかなと。そのためには、口頭で言うとちょっと伝わりにくいんですが、括弧でこの「聖域なき関税撤廃」が入っているということが大事になってくると考えております。

林(宙)委員 ありがとうございました。

 いずれにしましても、国益にかなう方向での御判断をぜひとも政府の皆様にはいただきたいというふうに考えます。

 では、次の質問です。

 さきの東日本大震災におきましては、御存じのとおり、東北の畜産業につきましても大変なダメージを与えたものになりました。私も、みんなの党の中では、東北でただ一人の衆議院議員ということになりますので、いかにして東北の畜産業に貢献をできるかという道を探っているところですが、まず、おかげさまで、私の住む宮城県並びに岩手県につきましては、生産、販売ともに、大分回復の方向に向かってまいりました。ただ一方で、いまだに放射性物質の影響等々が残ります福島県については、なお満足な回復には至っていないというのが現状です。

 そこで、福島の畜産業へのダメージ、大きく分けると二つということになりますが、一つは、原発事故によって畜産農家の方々が避難を余儀なくされたということで、生産基盤そのものが壊れてしまったというような状況の場合、もう一つは、避難をする必要がなかった地域になりますが、生産自体には問題がないけれども、いわゆる風評被害等によって販売がうまく伸びていかない、この二つに分けられると思います。

 いずれのケースにおきましても、今後どのような対策を具体的に講じていかれるお考えか。政権もかわりましたので、そのあたりで意識が変わっている部分、また、具体策などを実際につくられているということであれば、一つずつでも結構ですので、それぞれにお教えいただけないかというふうに考えます。こちらはお詳しい方にお答えいただければと存じております。

 よろしくお願いいたします。

佐藤政府参考人 林先生の御質問にお答えいたします。

 今先生の方から二つほど御指摘があったわけでございますが、この前の原発事故によりまして、被災地域の畜産の農家でございますが、御指摘のように、経営の中断や、種牛といいますか種畜の更新、こういったものがおくれるということによりまして、せっかく築きました地域ブランドといったものが非常に大きな影響を受けているというふうに認識しているところでございます。

 このため、私どもといたしましては、被災地域の畜産経営の競争力を速やかに回復して、良質な畜産物を供給できるよう、優良な種畜の導入等を支援する予算を今度の平成二十五年度の一般予算において今要求しているところでございます。

 また、もう一つの具体的な取り組みでございますが、私どもの方に関係団体として独立行政法人家畜改良センターというものがございまして、そこでは家畜の改良を行っているわけでございますが、そこで所有しております優良な種畜につきまして、現地の方から要望があればこれについて積極的に提供していくといったようなことで、地域のブランド回復に向けて支援を図っていきたいというふうに考えているところでございます。

 それともう一つは、今度は風評被害の問題でございます。

 先生の方からお話がございましたように、福島県産の牛肉の枝肉価格、和牛の去勢でございますが、これにつきましては、平成二十二年に大体一キロ千七百五円ぐらいで売れておったんですが、二十三年には一千百九十円ということで、三割近く値段が落ちてしまったというような状況でございます。

 二十五年一月現在でも、東京市場における平均価格と比較しましても一割ぐらい福島県産は低い水準、こういうふうに相なっているところでございます。

 国産食肉の風評被害の防止につきましては、やはり何といっても飼育段階でしっかりとした適切な飼養管理を行っていただくほか、出荷する際には検査体制といったものを強化しまして、国民に安全な食肉しか出荷されないといったような体制を構築することが重要かと思っております。

 我々といたしましては、被災地の食品に対する消費者の不安を払拭して消費拡大を図るという観点から、食品安全委員会等々の関係省庁と連携しまして、放射性物質についての正確な知識の普及に努めているほか、いわゆる「食べて応援しよう!」というようなキャンペーンを行いましたり、あるいは都道府県や流通団体において、被災地の食品による特産品フェア、こういったものを行っておりまして、例えば、我々もこのようなことを唱えている以上、農林省の食堂では福島産牛肉を実際使った料理を扱う、こんなようなことをやっているところでございます。

 以上でございます。

林(宙)委員 ありがとうございました。

 いずれにしましても、東北の畜産業のみではなくて、東北の全体の復興という意味で、委員の皆様にもぜひとも今後とも一層の御協力を賜りますようお願い申し上げまして、質問を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

森山委員長 次に、畑浩治君。

畑委員 生活の党の畑浩治でございます。

 岩手選出でございまして、畜産の盛んな地域でございますので、引き続きまたよろしくお願いいたします。

 さて、早速質問に入らせていただきます。配合飼料価格安定制度について、きょうはちょっと議論したいと思っております。

 この制度の改革が必要だというのは、私、本当にそのとおり認識しております。これはいろいろ改革しなければいけない、財政負担も含めてあるわけですが、きょうは、個別論になりますが、発動条件のところをちょっと議論させていただきたいと思います。

 この制度の発動条件は、御存じのとおり、直近一年の平均価格をとっているということで、これを超えたかどうか、こういうことが基準となるわけであります。とすると、もう問題意識はお持ちだと思いますが、最近、価格が高値安定で続いております。そういうことを基準とするとすれば、本来の価格より高いのを基準にするから発動されにくい、あるいは発動しても補填額が減る、結局、生産者の負担がふえるというのがデータ的にもグラフであらわれているわけです。

 こういうことを考えますときに、私は、発動条件については、これは自然を相手にするものですから、一年というのではなくて、もっと中期、三年なら三年ぐらいということで考える、ここにまず手をつけて改革、変更すべきだと思うんですが、この点、いかがお考えでしょうか。

林国務大臣 ありがとうございます。

 畑委員は大変に制度にもお詳しいということで、制度の肝の部分の御質問であったというふうに思います。

 もう御案内のように、飼料価格の安定制度というものは、飼料価格の短期的であって急激な上昇というものが畜産経営に与える影響を緩和するということでできた制度であるということでございまして、そういった趣旨で、今お話がありましたように、直前一年間の平均価格を超える部分について補填を行うということでございます。

 したがって、今お話がありましたように、ずっと高い場合は直前一年間の平均価格をそんなに超えるわけではないんですが、こういうことも経営という意味では非常に影響を与えている、こういうことでございまして、中長期でだんだんと上がっていくような変動の影響ということは、今度は経営安定対策ということそのもので、飼料価格の上昇というものを生産コストの増加ということで価格の方に算定する場合に反映させていく、こういうことになっておるわけでございます。

 したがって、配合飼料の価格安定制度というものとそれから経営安定対策というものを総合的に両々相まって講じていくということで、今、私ちょっと申し上げましたけれども、配合飼料価格が高位安定するような場合でも、価格安定制度では補填が出にくい場合であっても、経営安定をもう一つの方で図っていく、こういうことでございます。

 なお、先ほどどなたかの質問でお答えさせていただきましたように、制度でございますので、これは村岡委員だったと思いますが、いろいろな制度を現場で使いやすいように不断の見直しをするということはもちろんでございますので、今申し上げた機能分担という点も考慮しながら、当委員会での御議論を踏まえて議論していく必要があるというふうに考えておるところでございます。

畑委員 ありがとうございました。

 これで、どの制度で見るか、制度趣旨でしっかりと対応していただくことが大事だと思っております。確かに、配合飼料が高くて地元が悲鳴を上げているわけで、そこのところの対応をお願いしたいという趣旨なんです。

 自民党さんの政権公約でも私は見ましたが、「配合飼料価格安定制度を抜本的に見直します。」とあります。恐らく、これは制度の分担という部分で、経営安定で対応するということも一つの方法だし、あるいは、この制度を抜本的に見直すとすれば、激変緩和措置ではない、本来想定される価格より高ければそれをしっかりこの制度で支援するんだという制度趣旨の変更ということも議論になっていく部分もあるのかなと思いますので、いずれにしましても、その辺の議論をしっかり引き続き期待する次第であります。

 次に、飼料についての自給率の向上という観点からお聞きしたいんですが、これは、価格が高くて、輸入に頼っていて、円安に振れて大変だというのはもちろんあって、これはこれで対応をとらなければいけませんが、中長期的課題としては、飼料の自給率を高めるということは当然必要なことだろうと思います。

 これについて、私は、民主党政権で始めた戸別所得補償制度の中の水田利活用自給力向上事業というのがありまして、これは、飼料米をつくる場合は十アール当たり八万円を支払う、こういう制度でありますが、回っていますと、これは実は地元でかなり評価されております。

 そこで、この点について、大臣のこの制度の評価、いわば穀物の飼料の自給率向上に果たした意義というか、その点についての評価と、これは来年度予算だと、これは当面このまま続けていくんだろうと思うんですが、そういうことでいいのかということと、あと、その先、これは検討していくので答えにくい部分もあると思うんですが、その基本的な認識ということも含めてお聞かせ願えればと思います。

江藤副大臣 八万円事業については、非常に評判がよくて、最初のうちはちょっと、余りちゃんとつくらずに八万円を取っている人がいるような御批判もあって、一時、制度そのものについての批判もありましたけれども、最近は、畜産農家とつくる農家との間できちっとした判こをついての契約体制が整ってまいりましたので、これは民主党政権下でできたいい政策であると私は思っております。

 ですから、これは、先ほどから申し上げておりますように、自給飼料の自給率を上げていかなければなりませんから、その上でも、青刈りをして、巻いて、発酵させてということでありますから、非常に有効な政策であって、これは続けていくべきものだというふうに私は思っております。

 しかし、私どもは、日本型の直接支払いということで法案をさきに提出いたしております。そして、この直接支払いのあり方も平成二十六年度にわたって見直していくわけでありますので、その中でまた制度そのものについては見直しを行いますが、しかし、今具体的にああします、こうしますということまで委員に御説明できないことは大変申しわけないんですけれども、これに遜色のないような制度設計をしたいということは、私というよりも、自民党の部会の中で議論が始まっております。

 それから、先ほどの配合飼料価格安定制度、一年じゃなくて期間を延ばせという御指摘がありました。これは、通常基金と異常基金を一括にした方がいい、こんな借り入れなんという形はおかしい、いろいろな御議論があることも承知をいたしております。

 ですから、この制度は全体的に見直さないと、高どまりしたときには確かにおっしゃるように出ませんので、この場合どうするかということについては、ただ機構にお金があってお金が農家に支払われないということでは全く意味がありませんので、ここのところは委員の皆様方の御意見を賜りながらきちっと対応させていただきたいというふうに思っております。

畑委員 心強い答弁、ありがとうございます。

 この分野は、本当に、教条主義的な、そういうプロパガンダの世界ではありませんので、まさに実務を踏まえて、そういう形で連携しながらやっていく分野だと思いますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 それで、私は地元が岩手でございますので、やはり風評被害というものについてかなり問題意識を持っています。というのは、かなり牛肉の問題が先ほど議論になったように改善されてきたんですが、これは実は地元の努力による部分もありまして、牧草の除染ということなんですが、実は岩手県は、国の基準、百なり五十ベクレルを下回る場合でも、県の単費で除染をしています。これがいいかどうかは別として、世間の評価、風評というのはそういうものだから、安心を与えるためにそこまでやっているということなわけです。だから、そこは、そういう努力もあってこういうふうになっている部分もあるということは御理解いただきたいと思うんです。

 しかし、費用の負担というのはなかなか東電が出さないわけですよね、五十ベクレル未満であれば。しかし、風評被害対策をやっていく上では、これは全部出すのか、どの程度の基準で切るのかというのは議論はありますが、やはり私は東電が出すべきだと思うし、出すような指導を農水省さんなり国にしていただきたいなと思うんですが、その点、いかがでしょうか。

佐藤政府参考人 ただいまの御質問にお答えいたします。

 東電に支払いの対象にするようにというようなことで働きかけるというのも一つの方法としてはあるかと思っておりますが、やはり早急にやっていく必要があろうかということで、実は、二十五年度の当初予算要求でございますが、東日本大震災農業生産対策交付金、この中におきまして、被災地域の自給飼料の生産、調製を支援するといったようなことになっておりまして、今先生の方からお話がございました、牧草が五十ベクレルを下回っている地区で、賠償対象外とされる地域で、いわゆる生産性を向上させるために牧草地の反転耕を行うといったような取り組みをした場合には、その費用について二分の一の補助をしようじゃないかということで、現在予算要求をしているところでございます。

畑委員 ありがとうございました。

 時間が来ましたので、終わります。引き続き、万全の御支援を賜りますようお願いを申し上げます。ありがとうございました。

森山委員長 以上をもちまして質疑は終了いたします。

     ――――◇―――――

森山委員長 この際、宮腰光寛君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び生活の党の四派共同提案による平成二十五年度畜産物価格等に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。大串博志君。

大串(博)委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきたいと存じます。

    平成二十五年度畜産物価格等に関する件(案)

  我が国の畜産・酪農経営は、配合飼料価格の高騰、畜産物の消費と価格の低迷、東京電力株式会社の原発事故に伴う風評被害など、これまでにない厳しい環境下にある。特に、配合飼料については、為替相場の円安傾向を背景に今後更なる価格の上昇が懸念されており、畜産・酪農経営の将来展望を一層困難なものとしている。

  よって政府は、こうした情勢を踏まえ、平成二十五年度の畜産物価格及び関連対策の決定に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。

      記

 一 加工原料乳生産者補給金単価については、生産者の努力が報われ、意欲を持って営農に取り組めるよう、飼料価格の高騰等に十分配慮し、再生産の確保を図ることを旨として適切に決定すること。加工原料乳限度数量については、生乳の安定供給を確保するとともに、生産意欲の増大を図るため、適切に決定すること。

   また、後継者の確保、酪農ヘルパーへの支援など生産基盤の強化を図るとともに、国産チーズの生産を拡大するための対策を講ずること。

 二 牛肉・豚肉の安定価格及び肉用子牛の保証基準価格等については、畜産農家の経営安定に資するよう、需給動向、価格の推移、飼料価格の高騰等に十分配慮し、再生産の確保を図ることを旨として適切に決定すること。

 三 畜産・酪農の経営安定対策については、畜種別・地域別・経営体ごとの特性に対応し、十分な所得を確保できる実効ある制度として確立するため、その見直しについて検討を進めること。

 四 配合飼料価格安定制度については、今後とも畜産・酪農経営の安定に寄与するよう補填財源の確保など十全の措置を講ずるとともに、配合飼料価格が高止まりする中、農家負担の軽減を図る観点から、制度の見直しについて検討を行うこと。

 五 飼料の輸入依存体質を転換し、国産飼料に立脚した畜産・酪農を確立する観点から、飼料用米・稲発酵粗飼料・稲わら・エコフィードの利用拡大、水田・耕作放棄地への放牧等の耕畜連携を強力に推進するとともに、草地更新や品種改善など国産飼料の生産基盤対策を充実・強化すること。

 六 原発事故に伴う放射性物質により汚染された牧草地の除染対策と汚染された稲わら、牧草及び堆肥の処理を迅速に進めること。

   また、原発事故に係る風評被害対策に徹底して取り組むとともに、東京電力による損害賠償が迅速かつ適切に行われるよう措置すること。

 七 地産地消や食育の取組を進め、国産畜産物の消費拡大を推進するとともに、諸外国に向けた国産畜産物の信頼回復等輸出促進対策を強化すること。

 八 BSEに係る輸入牛肉の規制緩和に当たっては、科学的知見に基づいた検証を十分に行い、消費者の理解を得られるよう努めること。

 九 EPA交渉及びTPP交渉参加に向けた関係国との協議に当たっては、我が国の畜産・酪農が今後とも安定的に発展できるよう、平成十八年十二月の本委員会決議「日豪EPAの交渉開始に関する件」及び平成二十三年十二月の本委員会決議「環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉参加に向けた関係国との協議に関する件」を十分に踏まえて臨むこと。

  右決議する。

以上です。

 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

森山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

森山委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とすることに決しました。

 この際、ただいまの決議につきまして農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣林芳正君。

林国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨に従いまして、最近の畜産をめぐる情勢を踏まえつつ、十分検討してまいる所存でございます。

森山委員長 お諮りいたします。

 ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十七分散会


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