衆議院

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第5号 平成25年4月10日(水曜日)

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平成二十五年四月十日(水曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 森山  裕君

   理事 伊藤 忠彦君 理事 小里 泰弘君

   理事 北村 誠吾君 理事 葉梨 康弘君

   理事 宮腰 光寛君 理事 大串 博志君

   理事 村岡 敏英君 理事 石田 祝稔君

      井野 俊郎君    池田 道孝君

      加藤 寛治君    菅家 一郎君

      清水 誠一君    新谷 正義君

      鈴木 憲和君    高橋ひなこ君

      武井 俊輔君    武部  新君

      中川 郁子君    中谷 真一君

      永山 文雄君    長島 忠美君

      橋本 英教君    比嘉奈津美君

      福山  守君    堀井  学君

      簗  和生君    山本  拓君

      湯川 一行君    渡辺 孝一君

      後藤  斎君    玉木雄一郎君

      寺島 義幸君    鷲尾英一郎君

      鈴木 義弘君    高橋 みほ君

      百瀬 智之君    稲津  久君

      佐藤 英道君    林  宙紀君

      畑  浩治君

    …………………………………

   農林水産大臣       林  芳正君

   農林水産副大臣      江藤  拓君

   外務大臣政務官      あべ 俊子君

   農林水産大臣政務官    稲津  久君

   農林水産大臣政務官    長島 忠美君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局アフリカ部長)       岡村 善文君

   政府参考人

   (外務省国際協力局長)  梅田 邦夫君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           藤本  潔君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  佐藤 一雄君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  奥原 正明君

   農林水産委員会専門員   栗田 郁美君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十日

 辞任         補欠選任

  川田  隆君     永山 文雄君

  末吉 光徳君     湯川 一行君

  津島  淳君     新谷 正義君

  西銘恒三郎君     比嘉奈津美君

同日

 辞任         補欠選任

  新谷 正義君     高橋ひなこ君

  永山 文雄君     中谷 真一君

  比嘉奈津美君     西銘恒三郎君

  湯川 一行君     末吉 光徳君

同日

 辞任         補欠選任

  高橋ひなこ君     津島  淳君

  中谷 真一君     川田  隆君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 外国政府に対して有する米穀の売渡しに係る債権の免除に関する特別措置法案(内閣提出第一五号)


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     ――――◇―――――

森山委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、外国政府に対して有する米穀の売渡しに係る債権の免除に関する特別措置法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省消費・安全局長藤本潔君、生産局長佐藤一雄君、経営局長奥原正明君、外務省中東アフリカ局アフリカ部長岡村善文君、国際協力局長梅田邦夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

森山委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木憲和君。

鈴木(憲)委員 おはようございます。自由民主党の山形二区、鈴木憲和といいます。

 本日が初めての質問になりますが、大臣初め政府の関係者の皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。

 私は、昨年二月まで農林水産省で働いてきましたので、これまでは政府の側で答弁を作成するという立場にあったわけですが、その経験も踏まえて、あと、現場の声というのもしっかりと踏まえた上で、これから質問をし、また議論をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、法案についての質問の前に、米ということに関連をして、基本的なことについて伺いたいと思います。

 私の地元は山形ですが、ようやく雪が解けて、これから田植えをしよう、ことしもいい米をつくろうというふうな雰囲気になってまいりました。

 その中で、先日、東根市というところの認定農業者の方と意見交換する機会がありました。東根市というところですが、山形新幹線の駅でさくらんぼ東根という駅があるぐらい、サクランボをつくっている果樹地帯です。果樹がたくさんある一方で、水田農業というのも地域によってはしっかりとあるところなんです。

 その中で、農家の方と話をしていたんですが、農業の後継者というのがどういう状況になっているのかということについて議論をしてきました。

 サクランボとかラ・フランスといった果樹は、一年を通じて作業がある、そして贈答用に直接販売をして高い利益を得ることができるというところから、二十代、三十代の顧客もいますし、後継者の割合が比較的多い、こういう作物になっています。

 一方で、同じ地域の中で水田農業を中心とする地域、これは担い手と呼ばれる農業者にどんどん水田が集まってきていて、その一方で、次の世代の後継者というのが、残念ながら大変少ないというのが、これは山形に限らず、全国各地そういう状況だというふうに私は認識をしています。

 その中で、米を二十四町歩、サクランボを二反分つくっている三十八歳の認定農業者の方からお話を伺ったんですが、彼が言うには、農家として経営努力をする、規模拡大や効率化を図っていくという努力は当たり前のこととしてやっていきます、ただその一方で、TPP交渉参加や戸別所得補償の見直し、これから議論があるわけですが、そういうことで、将来まで水田農業を安心して続けていけるのかどうか、大変不安だ、こういうお話がありました。

 日本の大部分では、米というのは一年一作しかできません。その方が五十八歳になるときに二十回しか新米というのがとれないんだと思います。

 そんな水田農業の特性を考えたときに、攻めの農政、そしてもうかる農業、こういううたい文句は、私は大切だというふうに思っていますが、まず、それよりも以前の根本的なこととして、これから二十年、三十年と地域の水田をしっかりと支えていって、私たちの主食である米をつくり続けていく、こういう方々に対して、十年スパンでぶれない政策、そして、農業で将来も安心して暮らしていけるんだという国家としての強い意思が今必要なんじゃないか、私はそういうふうに現場で感じておりますが、ここについて、ぜひ、林大臣の思いも含めて、お考えをいただけたらと思います。

林国務大臣 鈴木先生、きょうは最初の御質問ということで、張り切ってやっていただけたらというふうに思いますし、昨年の二月まで我が省にいらっしゃったということで、多分、我が省の若手職員は、きょうは一生懸命この映像を見ているんじゃないかな、こういうふうに思います。

 今、お地元のお話がありました。上杉鷹山公を大変尊敬していらっしゃるということでございまして、いろいろないい言葉を残されておられますので、私も好きな方でございますが、ぜひ、参考にしながら活動していただいたらというふうに思います。

 米に対する、また水田に対する基本的な考え方ということですが、瑞穂の国、私も好きな言葉ですし、総理もよくおっしゃいますが、そういう言葉があります。また、我々の社会の中で、いろいろなところに、気がついてみると、そもそも、そういう米、水田からくる言葉というのがございまして、たわけ者というのもその一つの例でございます。

 そういう意味で、もう長年の間、我が国の主食、そもそも主食になったのも、我が国の気候風土等々にこれが合っていたということから、多分そういうことになっているんだろうなというふうに私も思うわけですが、非常に狭い国土で、農地面積が限られているという中で、この米を主食として安定供給をしていくということ、自給率、自給力の向上、多面的機能の維持強化を図るという意味では、この水田を最大限に活用して、水田農業を発展させていくということがやはり基本であり、重要である、こういうふうに考えております。

 したがって、今申し上げましたように、アジア・モンスーン地帯に位置する我が国の気候風土、これに最も適した作物の一つであるということも踏まえて、これをやるという中で、まずは需要に即した主食用の米の生産を進める。それに加えて、ちょうど私が生まれたころと比べて、今、一人当たりの米の消費量は大体半分ということでございますから、こういうことにも対応していくという意味もありまして、加工用米、飼料用米、多様な米の生産振興を図るということと、それから、小麦ですとか大豆ですとか、国産需要は固定的にあるんですけれども、海外からの輸入に依存している品目、こういうものについての作付を拡大していく等々の取り組みをあわせてやっていく必要があると思います。

 こうした方向で、今後も、我が国の主食である米、そして水田農業をしっかりと守って発展をさせていく、こういうふうに考えております。

鈴木(憲)委員 大臣、ありがとうございました。ぜひ、力強く取り組んでいただけたらというふうに思います。

 一点だけ、農水省の皆さんにお願いがあります。これから戸別所得補償の見直しが本格化すると思います。この中で、私が農水省にいて、政策見直しの議論をしているときに、いつも違和感があったことが、見直した後に、地元に対して、地域に対してしっかりと丁寧に説明していく、これは今までよくやってきたやり方ですが、実はそれだけではもうだめで、これから必要なのは、見直しのプロセスの中で、これはアウトラインの段階で結構ですので、その段階で、地域の、できればこれは集落ごとにきめ細かくそういう声をしっかりと聞いて、少しでもそれを新しい政策に反映させていく、こういうことが私は必要だというふうに思っています。

 私自身も与党の議員ですから、これについて、地域で、新しい制度が始まる前にこのような活動を積極的に一緒になってやっていきたいというふうに思っています。これが農政全般に対する不信感の払拭に私はつながるというふうに考えていますが、これについて、ぜひ、江藤副大臣、お考えをいただけたらと思います。

江藤副大臣 きょうは、初デビュー、本当に御苦労さまでございます。私なんかが見ると、せっかくすばらしい役所に入られて、そしてこの苦しい政治の世界に出てこられるというのは、私はとても東大に入れませんし、その正義感というか、やはり、確かにこの政治の世界でしかできないことがありますから、この世界に入ったからには、思いをぜひ成就させていただきたいと思います。

 言われるとおりだと思います。私も地元でよく言っているのは、何とかしてくれというのはやめてくれと。何とかしてくれ、苦しいとじゃとか、どもこもならぬと言われてもだめだと。どうしてほしいんだ、どういう制度があったら自分たちは助かるんだ、どういうことを国に期待しているんだ、それをアウトラインでいいからぜひ聞かせてほしいと。そして、それを議員立法でも、農林部会の中でも議論をした上で、ある程度の形になったら青年部のみんなにもまた話をするから、その上で法律という形で国会で成立させるのが立法府の人間としての責任だねということは、私も実は言っていることでありまして、ステレオタイプの日本ではありません。

 前回の委員会でも、先生の方から、一ヘクタールでは志が低いという御質問をいただきました。しかし、一ヘクタールでさえ集約できない地区もあり、確かに、十、二十を目指しているところもあり、それぞれの地域が何を望んでいるのか。

 これから我々は新たな戸別所得補償の見直しもやっていくわけでありますけれども、我々が平成十六年に産地づくり交付金をつくったときのポリシーと、今は二階建ての制度に変わっているわけですけれども、両方のいいところを生かしながら、地域の強みが生かされる、それが攻めの農業、強い日本の成長力を引き出すということになると思いますので、先生の御指摘をいただいて、これをつくったから使ってちょうだいという政策立案プロセスじゃなくて、全青協、全国の青年たちがいますから、彼らとも意思疎通を図りながら政策立案をする必要があるということは、同じ気持ちを持っております。

鈴木(憲)委員 ありがとうございました。ぜひ丁寧に、政府・与党一体となって、全国の一人でも多くの農業に携わる方に納得していただけるような政策を実現できたらなというふうに思います。

 それでは、米債権免除法案について質問をさせていただきます。

 私が農水省に入省したのが平成十七年でした。最初に配属された局が、実は、まさにこの米債権免除の担当の局でした。残念ながら、私は直接の担当ではありませんでしたが、そういう意味では、ようやくこれが実現するのかと思うと、大変感慨深いなという思いでいっぱいです。

 一方で、平成十一年にケルン・サミットで米債権の免除が合意されて、既に十年が経過してしまいました。その結果、十四年間で百四十四億円の利子が生じて、これについても処理をしなければいけない。これは食料特会で穴埋めするというふうに伺っています。

 もっと早くすべきだったと私は個人的には思っていますが、私自身も農水省にいた者として反省もしておりますし、やはり財源をどこから手当てするのか、政府内でどこの部局がしっかりと担当するのか、これについて調整がなかなか難しいというのもよくわかります。

 これについて、経緯を含めて、農水省から簡潔に説明をお願いいたします。

佐藤政府参考人 鈴木先生の御質問にお答えいたします。

 先生今御指摘の米債権の免除でございますが、これを免除するに当たりましては、法律あるいは条約で名実ともに免除という措置をするのか、あるいは債務救済無償方式、これは、相手国から一旦債務を弁済してもらい、その後に同額の無償資金を交付する方式でございますが、この債務救済無償方式で実質免除するかといったことと、先ほど先生からお話ございましたように、財源をどのように手当てするかといったことについて、関係省庁間での調整が行われてきたところでございます。

 平成十一年のケルン・サミット直後は、いわゆる債務救済無償方式で実質的な免除といったような方向で対応する方針であったわけですが、平成十四年にはこの方式が廃止されてしまったということから、食糧法等の改正の機会を捉えて対応することも含めて検討が行われてきたところでございます。

 こうした中、昨年の二月に、債務国の一つでございますモザンビークの首相から、首脳会談の場におきまして、米債権を正式に免除するような要請があったところでございます。

 さらに、これに加えまして、ことしの六月一日から三日でございますが、我が国においてアフリカ開発会議が開催されまして、米債権の債務国からも首脳レベルの参加が見込まれておりますものですから、このため、本件の解決を図るべく、鋭意調整を加速させた結果、米債権免除法案について本日審議をしていただく、こういうふうに至ったところでございます。

鈴木(憲)委員 私の元上司でもあります佐藤局長、どうもありがとうございました。

 結果として、一刻も早く債権放棄すべき、処理すべきであったところですが、今回前進したということについて、これは評価できることだというふうに私は思っています。

 本件、今、佐藤局長からもありましたが、ことし六月に開催されるアフリカ開発会議に向けて、今回の債務免除というのが、日本のアフリカに対する支援の一つなんだということ、そして国際貢献の一環なんだということ、これは、アフリカ諸国との外交政策上、しっかりと前向きに捉えてもらうべきだというふうに私は思いますが、これについてどのように評価できるんでしょうか。ぜひ、外務省のあべ政務官に伺います。

あべ大臣政務官 アフリカ諸国との外交政策上の評価ということでございますが、本件の米債権の免除は、一九九九年のケルン・サミットに基づいて、我が国として、包括的な債務救済措置を行うという国際的な約束を果たすものでございます。

 また、今回対象となるアフリカ五カ国は、依然として後発開発途上国でございまして、一人当たりの国民総収入、GNIでございますが、三百から六百ドルでございます。

 したがって、本件の債権を免除することは、これらの諸国に開発努力を支援することでございまして、また、二国間の関係上、非常に大きな意義を有するところでございます。

 本法案を政府として国会に提出いたしまして、国会で審議されることにつきまして、既にこれら諸国にも説明をしているところでございまして、先方からは感謝と期待の意が寄せられているところでございます。

 本年六月にはTICAD5が開催されるところでございますが、債務免除対象国要人との二国間会談が想定されているところでございまして、本件の債務免除は、二国間会談の成功にも資するものだと私ども考えております。

鈴木(憲)委員 政務官、どうもありがとうございました。

 ぜひ、私たち日本人がそういう国に出かけていったときにも、しっかりとそういうことが伝わるようにしていただけたらなというふうに思います。

 最後の質問になりますが、国連の人口予測によると、今回の対象国であるタンザニアの人口は、現在四千四百万人ですが、二〇五〇年には約一億三千八百万人、世界第五位の人口を持つ国になります。日本を初めとする先進国、これはもう人口減少する一方で、アフリカ諸国はこれから人口が伸びていって、そして日本よりも人口的に上位に位置する国がたくさん出る、そういう世界が実現するわけです。

 私が思うところ、日本は、戦前にはパン食というものがほとんどなかった。それにもかかわらず、戦後数十年の間で、日本人の食生活というのは大きく変わって、パン食がここまでふえるようになりました。我が国でそんなに長い期間を経ずに食生活がこれほど変わったということを考えると、米の食料援助についても、これは大変難しいことはよくわかっておりますが、現在は援助物資、そういう位置づけですが、将来、そのような国にジャポニカ種の米のマーケットを形成することを視野にして、少しずつで結構ですが、日本産米を用いた援助のあり方を再検討すべきかというふうに私は思いますが、これについて大臣のお考えを伺えたらと思います。

林国務大臣 今委員がおっしゃいましたように、食料援助、米を活用してやるものについては、被援助国とかWFPの要請を踏まえて、FAO余剰処理原則というものの整合性に留意しながらやってきているわけですが、まさにおっしゃられたように、短粒種を求める被援助国のニーズが少ない、それから、MA米と比べて、国産米の場合は財政負担が必要になること等々で、国産米は年間二、三万トン程度になっております。

 したがって、逆に言えば、今委員がおっしゃられたように、被援助国のニーズがふえていけば、またこれは展開も変わってくる。まさにおっしゃるように、そういう国でも、今、攻めの農林水産業本部で、輸出、それから日本食の海外展開ということで、メード・イン・ジャパンを輸出するということに加えて、メード・バイ・ジャパンということも入れておりますので、そういうことも図りながら、被援助国のニーズをふやしていくということも、攻めの農政からいえば非常に大事なことである、こういうふうに考えております。

鈴木(憲)委員 ニーズはこれからつくっていくものだ、そういう時代だというふうに私は思いますので、ぜひ積極的にやっていただけたらと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

森山委員長 次に、佐藤英道君。

佐藤(英)委員 おはようございます。公明党の佐藤英道でございます。

 まず、本年三月三十一日に中国で三名の感染が公表されましたH7N9型鳥インフルエンザの問題について、冒頭お伺いをさせていただきたいと思います。

 厚生労働省によれば、このH7N9型は、これまで人への感染は確認されていなかったものでありますけれども、本年二月十九日以来、中国においては、現在までに二十一名が感染、うち六名が死亡されております。患者との濃厚接触者が六百二十一名確認されておりますけれども、発症は今のところ確認をされていないということであります。人から人への感染は今のところはないのではないかということでありますけれども、人への感染経路はまだ特定できているわけではございません。しかし、鶏との接触があった方に発症者が多いということが報道されているところであります。

 既に渡り鳥が中国から日本に来る時期は過ぎていますので、今回のこのH7N9型鳥インフルエンザが渡り鳥などの野鳥を通じて日本に入ってくるというのは考えにくいとは思いますけれども、しかし、どのような経路で入ってくるかわからない、決して油断してはならないと思っております。

 また、一昨年もそうでありますけれども、たびたび国内で鳥インフルの感染事例があり、養鶏などの農家さんは、鳥インフルと聞いただけでぴりぴりと緊張しておられると思います。

 また、鳥インフルエンザだけにとどまらず、さまざまな家畜伝染病に対して万全の防疫体制を構じていただきたいと思いますが、現在の対応状況について、家畜伝染病予防法の改正後の状況も含めて、消費・安全局長にお伺いをさせていただきたいと思います。

藤本政府参考人 お答えをいたします。

 御心配をいただいております、中国における鳥インフルエンザの人への感染事例に関してでございますけれども、農林水産省といたしましては、家禽におけるH7N9亜型鳥インフルエンザの発生状況等につきまして、国際獣疫事務局、OIEなどを通じまして情報収集を行っているところでございます。

 これまで、ハトと鶏での発生について、中国からOIEに対し通報があったということを承知しておるところでございます。

 農林水産省におきましては、これまでも、家畜衛生の観点から、家畜伝染病予防法に基づきまして、今回の発生以前、二〇〇四年からでございますけれども、水際対策といたしまして、高病原性鳥インフルエンザの発生国でございます中国からの生きた家禽、また生鮮家禽肉、卵の輸入を禁じるとともに、最近は入国者の靴底消毒なども実施しているところでございます。

 さらに、国内におきましては、防鳥ネットの適切な設置など飼養衛生管理基準の遵守を指導しておりまして、それを都道府県の家畜保健衛生所による立入検査により確認をしているところでございます。

 また、年間を通じまして、低病原性の鳥インフルエンザも含めまして発生を監視するため、全国五百戸以上の家禽飼養農場での家畜防疫員によるモニタリングを実施しております。特に、十月から五月までの渡り鳥の飛来シーズンには、これに加えまして、二千戸以上を追加いたしまして実施しているところでございます。

 さらに、今般、ハトにおける鳥インフルエンザの発生という事態を受けまして、新たにモニタリングの対象となる鳥の種類といたしまして、レース用のハトなど、飼われておりますハトを追加したところでございます。

 引き続き、こうした措置を確実に実施するとともに、公衆衛生を所管する厚生労働省、それから野鳥の監視を行っております環境省、こうしたところと連携しながら情報共有を行い、我が国への侵入及び蔓延の防止に万全を期してまいりたいというふうに考えているところでございます。

佐藤(英)委員 次に、法案についてですが、平成十四年まで重債務貧困国向けの債権放棄の方式として採用されていた債務救済無償方式についてでありますけれども、この方式の中身と採用してきた理由、平成十四年にこの方式をやめているわけでありますけれども、そのやめた理由についても、外務省から御説明をいただければと思います。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 まず、債務救済無償方式でございますが、この方式は、相手国に一旦約束どおりの債務の返済を求めた上で、返済額に相当する金額を無償で供与する方式でございます。

 このような方式を採用した理由でございますが、途上国の自助努力を促し、また、モラルハザードを防止するとの観点から、まず、相手国に約束どおりに返還してもらうという考えをとっていたということでございます。

 次に、この方式をやめた背景でございますが、まず第一に、この方式によれば、返済のために外貨を調達する必要性が相手国にございます。国によっては、それが非常に困難な国があったということで、その点の改善が非常に強く求められたということがまず第一にございます。

 次に、平成十四年当時でございますけれども、国際的に、債務救済に際しては、事務的な負担も含めて、債務国の負担をできるだけ軽減するようにというような動きが求められておりました。その当時の決定に際しましては、このような事情を勘案して決定したものだというふうに承知しております。

 以上でございます。

佐藤(英)委員 最後に、大臣にお伺いをさせていただきます。

 今回、債権放棄の対象となる昭和五十四年から五十七年の売り渡し米について、またしかりかなと思いますけれども、時代は大きく変わって、今は与野党の別なく、攻めの農林水産業を打ち出して戦っていこうという機運が高まっていると思います。私は、本当に攻めの農林水産業と銘打った以上、米、この日本が誇る主要品目でも戦える環境づくりが何とかできないものかと思っているところであります。

 大臣におかれましては、米も、何か新しい視点で積極果敢に取り組んでいただきたいと思いますけれども、今どのような戦略で勝負しようとお考えになられているのか、ぜひ決意とあわせてお伺いをしたいです。

林国務大臣 お答え申し上げます。

 先生のお地元では、これは米ではなくて小麦ですが、ゆめちからというのができまして、この間、それでつくったパンをちょっといただいて食べてみましたけれども、ああ、こういうものができるんだな、こういうふうに思いました。まさに新しい視点、非常にいろいろな可能性があるなと思っております。

 やはり、マクロでいいますと、食文化、主食でありますから、日本食がいろいろなところで発信することによって世界に広がっていくということをまずやらなきゃいかぬだろうな、先ほど鈴木先生のときにもメード・バイ・ジャパンと申し上げましたが。

 この間、ジェトロがやった調査では、中国、香港、台湾、韓国、米国、フランス、イタリアのうち、米国を除いては日本食がトップになりました。その中で、日本食の一番好きなメニューはどれですかとお聞きしますと、おすしなんですね。あと、カツ丼ですとか牛丼ですとかおにぎりというのが出てくるんですが、やはり、こういう米を使った日本食のメニューというものを日本食文化ということでどんどん出していって、その中で食文化が普及することによって、その食材として出ていく、こういうことが非常に大事ではないかというふうに考えております。

 また、地道なようですが、それぞれの国に出す場合のいろいろな手続等を地道に一つずつ潰していく、こういうことが相まって、輸出の拡大、今大分ふえてきておりますが、まだまだ伸びる余地はあると思っておりますので、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

佐藤(英)委員 ありがとうございました。終わります。

森山委員長 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 民主党の玉木雄一郎です。

 きょうは、まず、米の債権の免除に関する法案について質問させていただきたいと思います。

 これまでの質疑者からもあったと思いますけれども、平成十一年のケルン・サミットで債務免除するということが決まり、その方法として、当初は債務救済無償という形で行うということでやっておったんですが、これが、平成十五年に債務救済無償を廃止して、円借款については債権放棄をするということで対応が行われたんですが、米債権については国内法の整備がないということで今日までそれを放置してきたと思います。その結果、百四十四億円の利子が発生していて、これも含めて今回対応しなければいけないということになっておるんです。

 そもそも、なぜ今日まで、とりわけ平成十五年度以降この問題が放置されてきたのか、改めて大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

林国務大臣 お答え申し上げます。

 今委員が少し触れていただきましたが、法律や条約で名実ともに免除をするということをするか、もしくは債務救済無償方式、要するに、一旦債務を弁済してもらって同額の無償資金を供与する、こういうことをどうするか、それから、その場合、財源をどのように手当てするかということで、ずっと関係省庁間で調整が行われてきた。今まで御質疑があったとおりでございます。

 ケルン・サミット直後は、おっしゃられたように、債務救済無償方式で対応する方針であったんですが、平成十四年にこの方式が廃止をされたということで、その後、食糧法の改正の機会を捉えて対応するということも検討されたようでございますが、きょうに至ってしまった、こういうことでございます。

 昨年の二月ですから野田総理のときだと思いますが、債務国の一つであるモザンビークの首相から、両国首脳会談の場で、正式に免除してもらいたいと要請があったということ、そして、六月の一日から三日にかけてTICADがございますので、やはりこの機会を捉えてきちっとやろうということで調整を加速させたということで、この法案を国会に提出させていただくことになったというような経緯でございます。

玉木委員 これは、民主党政権も一定の責任があると思って、その自覚を持ちながら質問をさせていただいておるんですが、債務救済無償で仮にずっとやり続けることができていたとすれば、返済するお金を支援してあげるというスキームですから、これは多分外務省のお金で、ODAの一環として、全額一般会計のお金でやっていたし、やるはずだったと思うんですね。

 次にお聞きをしたいのは、何とかこういう政治的決断をして処理に向けた方向性が出ているんですが、元本というかこの四百三十三億円については補正で一般会計で対応しているんですが、なぜゆえに百四十四億円は食料安定供給特会で対応しなければいけないのか。ここは私は釈然としないところがありまして、債務救済無償であれば一般会計で全部面倒を見てくれる話だと思うんですけれども、こういうふうに四百三十三億円と百四十四億を分割して、利子分については農水省の特会でやれというのは、少し私は筋が違うのかなと思うんですが、こういった処理にした理由を教えてください。

佐藤政府参考人 玉木先生の御質問にお答えいたします。

 今先生御指摘ございましたように、債権総額五百七十七億円でございまして、それが平成十一年のケルン・サミットのときは四百三十三億円だったわけでございます。

 いずれにいたしましても、この五百七十七億円の財政負担をどうするかということで、財政当局の方ともいろいろと調整いたしまして、特別会計そして一般会計の負担のあり方はどうするかといったようなことを総合的に勘案しまして、当時、債権免除を公表しましたケルン・サミットのときの四百三十三億円はやはり一般会計からの負担でお願いして、残りの金額につきましては、たまたま食料特会の方で差益といいますか、運用益といいますか、そうしたものが見込まれましたものですから、これによって充当することによって一般会計からの負担はできるだけ少なくするといったようなことも相まって、今回のような措置にしたというのがこれまでの経緯でございます。

玉木委員 苦しい答弁なんですね。

 私は、農水省の特会のお金は農業政策の推進のために使うべきだと思うんですよ。だって、そのために存在している特会であるし、外交政策の一環のその肩がわりを、お金があるから、そこにたまり金があるから使おうという発想は、まさにこういうことを特別会計は行ってきたので批判されてきたんですよ。

 特別会計は特別会計の目的があるんですね。特に、農水省にとって、この食料安定供給特会は大変大事な特会であります。そこに何かお金が生じたからといって、ALICもそうですよ、こういうお金を使って丁寧に丁寧に農業政策を推進してきたわけであります。それが、まさに今、財政当局という名前を出されましたけれども、そこに何かあるから、では、ちょっと利子分はつき合えというようなことをやっていたのでは、私は、国家の財政管理のあり方としては間違っていると指摘をしたいと思います。

 ただ、財政事情も厳しい中で、こういうふうな各省で痛み分けをしながらやっていくということは仕方がないのかもしれませんけれども、これは農林水産省としてももっとしっかり言うべきだと思います。こっちに持ってくるな、ちゃんと一般会計で全部面倒見ろということをきちんと実はやるべきだと私は思っております。これは指摘にとどめたいというふうに思っております。

 問題は、今回のことから我々は何を学んで今後に生かすかでありまして、同様のこうした回収できていない債権、こういうものが他に存在しないのか。そのことが潜在的な不良債権として、会社で資産計上されているけれどもどこからどう見てもこれは不良債権じゃないのかという、将来同じようなこういう債務処理をしなきゃいけないような可能性のある同種の米債権のようなものがあるのかないのか、このことについて教えてください。

長島大臣政務官 先生の御質問に私の方からお答えをさせていただきます。

 御指摘の我が国の外国政府に対する政府米の延べ払い輸出でございますけれども、アフリカ五カ国以外に、九カ国に対して約四百三十万トンの輸出を行っております。債権残高は二百一億円になっております。

 この九カ国のうち、三カ国については返済が完了しております。五カ国は計画どおりに返済中であります。残り一カ国が、初回の利息だけ返済が行われた後、滞っているという状況でございます。

 以上でございます。

玉木委員 滞っている一カ国はどこの国ですか。

長島大臣政務官 国名については控えさせていただきましたが、北朝鮮でございます。

玉木委員 大変これは高度に外交的な問題だと思いますが、個人的な感想を言わせてもらうと、返ってきませんよね、そんなお金は。

 私がきょう申し上げたいのは、そうはいっても、これは利子も多分また同じようについていると思いますね。そのことを、またある時期、国民の税金か、あるいは特会があればそういった一部の拠出金なんかを使って処理するということに将来なろうかと思うんですが、こういうことについて、やはり関係省庁もまたがりますので、なかなか誰かが音頭をとって決めることが難しい問題です。今回も、外国の首脳が来て、例えば世銀とか、ほかからお金を借りるときに債権が残っていると借りられないから何とかしてくれないかと言って初めて始まった話ですから。

 外から言われてやるよりも、やはりこういう問題があるということを、たとえ北朝鮮であっても、しっかりと認識をした上で、関係省庁間で取り扱いについて事前に協議をし、しっかりと対応するといったようなことを、いろいろなシミュレーションも含めて積極的にやっておくべきだと私は考えるんですけれども、それについてはいかがでしょうか。

林国務大臣 今委員が大変大事な御指摘をしていただいたと思いますのは、これは要するに、今度免除する相手の国に例えば金利分百四十四億円差し上げるとか、そういう話じゃないわけですね。したがって、ずっとこの十年間、金利が入ってくるものだというふうに経理上やってきたことが積み重なっているので、実は、委員がおっしゃったように、十年前にもう免除したのなら金利が入ってこないんですよというようなことになっていれば、そもそもその分計上していなかった。したがって、多分、財政がその年々で、金利はそんなにないと思いますが、その分少しずつ締まっていく、こういうことなわけですね。

 したがって、ある意味では、そういうことができないのかどうかということ、特に、今回のようなケースは、サミットである程度そういうことが決まっていたわけですから、どういう法律的なことが必要になるのかも含めて、やはり、委員がおっしゃられたように、いろいろなことを考える必要がある、こういうふうに思います。

 その前にまだ、北朝鮮の話も今ありましたけれども、今のアフリカの数カ国についても、米を出したときにこういう事態があると想定されていたわけではありませんので、まずはその債権の回収に万全を期す。

 二重の意味で、関係省庁と定期的に情報交換を行って、連携して適切に対処していきたい、これは農水省一省にとどまる問題ではないというふうに認識しております。

玉木委員 この処理も、債務が立っている、会計上、バランスシートの両方を落とすとか、そういうことで、実質上余り影響はないとか、会計上の処理にとどまるところもあると思うんですが、例えば想定金利をすごく低くしておくとか、借りかえをするとか、多分、昔の高い金利で計算していたりするところがあると思うので、少なくとも、そういうところはきちんと、やれることはやった上で対応しておくことも一つの方策なのかなというふうに私は思います。

 いずれにしても、行政あるいは政治の不作為ということで単に問題を先送りするようなことがないようにしていただきたいなということを指摘して、この米債権の放棄の法案についての質問を終わりたいと思います。

 次に、TPPについて話を移したいと思います。

 最近の新聞の報道を見ていますと、毎日いろいろなことが書かれてあってどきどきするのでありますけれども、まず一つ、TPPについて、前回の農水委員会でも質問をさせていただきましたが、自動車や保険で日米の事前協議が合意をした、そういった報道があって、しかも、関係国、オーストラリアやニュージーランドといったこれまで必ずしも態度を示していなかったところについても大筋同意をするんじゃないのか、こんなことが報道されております。

 とりわけ、アメリカとの関係でいえば、私も、入れてもらうために事前にいろいろなものを譲り過ぎているんじゃないのかという指摘を申し上げましたけれども、報道によりますと、例えば、日本車をアメリカに輸出するときに日本車にかかる関税についてはその撤廃を先送りする、当面維持するということ、あるいは、簡単な手続で日本に入ってくる米国車の数の上限を年二千台から五千台に上げる、これはもうよく言われてきました。こういうことがもう決まったというふうなことが言われていて、我々からすれば、かなり高い入場料を払っている、あるいは前払いをしているということが報道されているんですけれども、事実関係を教えてください。

あべ大臣政務官 事実関係ということでございますが、日米間の協議、引き続き今継続中でございまして、我が国のTPP交渉参加に対する米国の同意が可能な限り速やかに得られるよう、引き続き取り組んでいくところでございます。

 これは交渉でございますので、相手国との関係で、公表できること、また、できないことがございますけれども、公開できることは状況の進展に応じてしっかりと国民の皆様に提供していくところでございます。

玉木委員 ずっとそういう答弁を聞いているんです。

 これは、何でアメリカと事前協議する必要があるんですか。そもそも論を教えてください。

あべ大臣政務官 TPP交渉に参加するためには、今、その参加国の議論が必要だということでございます。

玉木委員 アメリカの例えばUSTR、オバマ政権がオーケーを出すための条件は何なんですか。

あべ大臣政務官 日米間の協議は引き続き継続中でございまして、我が国のTPP交渉参加に対する米国の同意が可能な限り速やかに得られるよう、引き続き取り組んでいるところでございます。

玉木委員 いや、答えてくれていません。

 米国の同意とは何ですか。

あべ大臣政務官 米国の同意という御質問でございますが、その米国の同意も含めまして、継続的に審議中でございます。

玉木委員 そこはさすがに丁寧に答えてほしかったんですけれども。

 九十日ルールのことをずっと我々も気にしてきて、今日まで早く急ぐ必要があるのという話を我々も聞いてきたんですけれども、米国議会の一定の御理解が得られないと、エグゼクティブとしてのアメリカ政府も簡単に日本の参加にオーケーを出せないということですね。

 私は、構造的にこのTPP交渉の問題があるとずっと言ってきたのは、私は実は経済連携は進めるべきだという立場です、その立場から、TPPは問題があるんじゃないかとずっと言い続けてきたんですが、米国の議会の、彼らの立法府の御理解を得るために何で事前にいっぱい譲らなきゃいけないのかという、その構造そのものが理解できないんです。

 今の情報もそうです、説明してくださいと。報道にいっぱい漏れてきていますね。アメリカ議会を気にする前に、我が国の議会を気にしてくださいよ。我々一人一人、たくさんの有権者に選ばれて出てきているわけですね。他国の立法府に気を使うより、自国の立法府に気を使ってほしいんです。これは根本的な私の思想です。みんなもそう思っているはずですよ。

 少し考えを申し上げますと、WTOについてあえて少し話をしたいんですが、WTOとTPPの関係というのはどうなっていますか。

江藤副大臣 私の方から十分なお答えができるかどうかわかりませんが、私も、ことし、大臣の代理でスイスのダボスの方に行ってまいりました。やはり、WTOこそが世界のルールを決める、これはもう保守本流というか、本流である……(発言する者あり)保守はまずかったですけれども、本流である、大筋、ここはやはり基本として持っていかなきゃならないんだということは感じます。

 正直、議論を朝から夕方までやっていて、厭戦感もあって、なかなか進まないねと。中国、インド、ブラジル、それからアメリカの対立があって、これが転がっていかないということはよく御存じですけれども、それでもやはり合意形成に向けて努力をしていかなければならない。

 それと、TPPとかEPA、FTAとの互換性、関連性ですけれども、これは連立方程式ではあるとは思うんですよ、日中韓FTAも含めて。しかし、中心としてあるべきはやはりWTOで、しかし、TPPに参加したから例えばWTOが前に転んでいくとかいうようなことには多分ならないんじゃないか。ただ、多くのマルチの合意とかバイの合意とかが世界じゅうで形成されていけば、WTOでの合意形成に資するものには将来的にはなっていくのかなと、これは私見で申しわけないんですが、そう思います。

玉木委員 もしお答えいただけるんだったら、技術的なことは多分外務省だと思うのでお答えいただきたいんですが、TPPは、例えば何か新しくつくる、これからできていくとなったときに、その情報の通報義務、WTOへ何か情報を提供する義務はありますか。

あべ大臣政務官 EPAなどに参加するときに関しましては、きちんとルールにのっとって私どもは報告をしているところでございます。

玉木委員 TPPについては。

あべ大臣政務官 TPPに参加するときに、きちんとルールにのっとって報告をしているところでございます。

 EPAに参加する場合には……(玉木委員「TPPです、私が聞いているのは」と呼ぶ)

 TPPはまだ参加しておりませんので。それでよろしいですか。

玉木委員 済みません。私の質問が不明確だったと思うんですが、TPPの枠組みは既にもう始まっていますよね。交渉参加国の間で、最初のP4から始まって、TPPの枠組みはある種できています。それをどうするのか。最終的なルールを決めるということなんですが、ああいうことを今始めていること自体のWTOへの通報義務、情報提供義務はありますか。

あべ大臣政務官 今の質問でございますが、日本はまだ参加をしておりませんので、義務はございません。

玉木委員 日本がじゃなくて、TPP事務局として、そういうことをもくろむ人たちがあるのかどうか。

 ちょっと時間がなくなるので、もうその質問をするのはやめたいと思いますが、なぜ私がこういう質問をするかというと、TPPも、例えばFTAもEPAも、いろいろなものがあります。例えば、きょうちょっと御質問しようと思った、日豪EPAについては妥結にということが今言われていますけれども、TPPがあってEPAがあって、何かいろいろなものがあって、その相互の関係がどうなっているのかというのを皆さんは御理解されていますか。どちらが優先され、違うことが決まったときにはどちらをとっていくのか、そういうことが極めてわかりにくいと私は思うんですよ。

 私の理解が間違っていたら訂正していただきたいんですが、実は、TPPも含めてそうなんですが、ある特定の地域を限定し、特定の国だけで結んでいく経済連携協定は全部、ガット協定上、二十四条八項において、関税同盟、カスタムユニオンの一つだと思うんですね、名前はいろいろありますけれども。

 もともと、これは歴史の反省というか、ブロック経済が第二次世界大戦前に生まれて、それぞれ囲い込んでいくということをして、そのことによって世界経済が縮小したり、いろいろな政治的な摩擦があることによって、戦後、ガット、WTO体制ということで、ある種スーパーマルチな自由貿易の仕組みをつくろうといってやってきたんです。

 我々も、ウルグアイ・ラウンド、これは自民党政権下でしたけれども、相当苦労して、いろいろなことを譲ったり、政治的な摩擦を経ながら今日まで、ある種、WTOの優等生として日本はここまで来たと私は思うんです。しかし、WTOが動かなくなっています、ドーハ・ラウンド。特に、アメリカと、新興国の中国、ブラジル、インド、こういったところとの深刻な対立の中で、もうWTOが動かないから、では、動いているのはTPPだからとか、ほかのEPAだからといって、我々はこういう議論をしているんです。

 でも、先ほど申し上げたように、全てそういうリージョナルな枠組みは、ある種、亜流なんですよ、WTOからいえば。それで、関税協定は、二十四条の八項に、カスタムユニオンというのは例外的に認められるという書き方になっていて、例外的に認めるかわりに、その関係国の中で、原則、実質上、全ての関税をエリミネート、撤廃するということが書いてあるんです。

 だから、TPPがとりわけ取り出されて、原則全ての関税を撤廃するといって大騒ぎをしているんですが、そもそも、WTOのガット協定上の二十四条八項では、そういう地域的な、特別なカスタムユニオンが認められるときのある種の条件が、事実上全ての関税を撤廃することに一応なっているんです。英語で言うと、サブスタンシャリーオールと書いています。

 ただ、サブスタンシャリーオールなので、裏からいえば、全部撤廃しなくてもいいんですよ。ただ、できるだけハイスタンダードにしようということで交渉してきて、TPPもある種その中にあるんですね。だから、例外が認められるといって、鬼の首をとったように言うのも間違っていて、そもそも、ハイスタンダードでコンプリヘンシブだと言っているのも、ある種、原則からいえば当たり前の当たり前で、例外が一部認められることも当たり前なんですよ。

 ただ、TPPが問題だなと思うのは、先ほど申し上げたような、入れてもらうために、マルチでいろいろなことを、同じルールの中でやるものにもかかわらず、それぞれの国の事情を聞いて、その国には議会の何か都合があるから事前に譲らないとここの同意は得られない、こっちはまた何か譲歩しないと認めてくれないからといって、何かとても不利な条件で物事を進めなければいけない。とりわけ、後から入ろうとするものにとって極めて不利な枠組みになっていることが、私はTPPの本質的な問題ではないのかなとずっと言ってきたわけなのであります。

 ですから、あえて申し上げたいのは、アプリオリに、いや、もうWTOは動きませんから、こっちでとにかく動かしていって、これをアジアのルールにしていかなきゃいけないんですという半分諦めモードでやるんじゃなくて、日本がWTOの、戦後、引っ張ってきたある種の優等生として、アメリカを動かし、中国やブラジルやインドも動かして、もう一度、新しい世界の秩序をWTOを中心につくっていこう、それを日本がイニシアチブをとってやっていこう、これぐらいの大きな世界戦略を描いて、世界の自由貿易の枠組みを日本からつくっていく、私はそういうことを柱に置きながらTPPとかEPAの話をしていくべきだと思っているんです。

 私は、林大臣は大変尊敬する大臣で、将来総理大臣になると思っていますから、そういう、我が国がこれまで歩んできた歴史とか大きな世界観の中での自由貿易をどう捉えるのかという観点から、とりわけWTOについての一つの見識を持った上で、個別の、その中の一つの手段でしかないTPPを含めた関税同盟のありようについて、カスタムユニオンのありようについては考えていくようなことをどこかで必ず持っておいていただきたいんです。そうじゃないと、何か、TPPに入れてもらうためにどうするんだ、あれを譲るんだ、これを譲るんだ。でも、今度、日豪の間では、自動車について、オーストラリアが関税を残してもらうために、日本は小麦については少し譲ってもらったとか、何かこう、言葉は悪いですけれども、ちまちまちまちましたような細かいそういうものをやっても、やはり大きなグランドデザインを常に持ち続けることが我が国にとって本当の国益を確保することだというふうに思っているんです。

 その意味で、改めてお伺いしたいと思うんですが、WTOについて、現状と今後についての大臣の見通し、見識をお伺いしたいと思います。

林国務大臣 玉木先生から、今、大変包括的に整理をしていただきました。そのとおりだと思います。

 WTOの一条に、基本原則で、最恵国待遇、どの加盟国に対しても同条件で関税などの通商規則を適用、これがあるわけですね。今御説明いただいたように、二十四条五項、八項等で書いてあるのは、例外的にこれを認めているということであります。先ほど江藤副大臣からもありました、本流はやはりWTOである。

 私は、大蔵政務次官、まだ政務官、副大臣の前でございましたので、宮沢大臣にお仕えしたころですから九九年から二〇〇〇年なんですが、初めてこの例外の方に日本が踏み出すとき、これは実はシンガポールなんです。韓国とはその前にも研究ベースでやっておりましたが、シンガポールがそれを追い抜く形で実際には初のFTAになったときに、シンガポールに実は出張がありまして、たまたま行ったときに、現地の大使館経由で、今度、ゴー・チョクトン首相がいらっしゃるときに、訪日されたときにその話を持ち出してくるんだという情報を得たものですから、少し事前に準備をする期間がありまして、実は随分議論をいたしました、亜流といいますか本流でないところに行っていいものだろうかと。優等生という意識があったかどうかは別として。

 しかし、WTOの状況が非常に進捗が見込めないような状況であったということと、それから、多分、記憶が曖昧ですが、NAFTAというのが既にあって、それから、ヨーロッパを見てもEUの動きというのが既に出てきている。ですから、アジア太平洋を中心に、そのときはまだFTAAPという言葉がありませんでしたけれども、少し我々も、こういうことをてこにしてWTOを動かしていくということはあり得るのではないかということになって、初めてバイの例外的なシンガポールとのFTAというところに踏み出したというのが、九九年から二〇〇〇年の経過でありまして、やはり、基本としてはWTOが基本であって、これはあくまで例外であるということであります。

 そういった意味では、総理もおっしゃっておられるように、今度は、より広いFTAAPを考えたときに、TPPというのは一つの大きなビルディングブロックになるであろうと。しかし、それに加えて、RCEP、これはASEANプラス6と言っておりましたが、このTPPの我が国の動きもあって、多分、中国は、今までASEANプラス3に固執していたものがASEANプラス6でもいい、こういうことになってきた。こういうことでありますから、やはり、ここできちっと入っていって、ルールづくりをきちっと、アメリカ一〇〇%のようなものにならないように我が国としてはしていく。返す刀で、RCEP、そしてEU。こういうことを多面的にやっていくということでしっかりと我が国の国益を確保していくことが必要である、こういうふうに考えております。

玉木委員 ありがとうございます。

 私は、究極は、大国中国をどうやって世界の秩序の中にきちんと入れていくのか、我が国ときちんとハーモナイズしたルールの中に中国を取り込んでくるのか、これが究極の目的だと思っています。

 FTAAPも北極星だというふうに言うんですが、もっと大きな北極星は私はやはりWTOだと思っていて、あくまでFTAAPもリージョナルな枠組みなので、そこの最大の、本当の北極星を忘れないでこれからもやっていくことが必要だということを指摘したいと思います。

 最後に一問。

 民主党政権下で、農山漁村における再生可能エネルギーの活用促進の法案というのをつくりました。今、安倍政権になってからも、地域の活性化、あるいはそういう再生可能エネルギーの推進については三年間集中的にやるというふうに言っています。

 この法律は、農地を有効活用して、あるいは耕作放棄地になっているようなところをうまく入れかえて利用を促進していこう、ウイン・ウインの関係をつくろうという法案なんです。この法案、ぜひやってほしいなと思うんですけれども、今回国会に提出されるかどうかわからないというふうに聞いています。ぜひこれは進めるべきだと思うんですけれども、お考えをお聞かせいただければと思います。

江藤副大臣 委員のおっしゃることは十分理解をいたしております。

 我々がこの法案を見たときに最初に懸念したのは、農転、いわゆる太陽光パネルをつけるには非常に面的な集約ができているところ、公的なお金も入れて、そういうところにやはりつくのではないかということを我々は恐れたという経緯があります。現在は、田んぼの真ん中に柱を立ててパネルを立てるとか、畜舎の天井に、牛舎の天井にパネルをつけるとか、いろいろな新しい方式も出てきています。

 そして、ファンド法の議論をしたときに、やはり再生可能エネルギーという項目を本則の中に修正で入れたのは我々自民党の方からの提案だったんですよね。ですから、このことについて我が党は、私は今政府側の人間ですけれども、決して後ろ向きではないというふうに思っております。

 これはやはり、農地は農地として維持管理をして、食料自給率とか自給力を横目で見ながら、これは地域に還元される一つの新しい方式として議論されるべき法案だというふうに理解をしております。

玉木委員 時間が参りましたので終わりたいと思いますが、これは手続の特例の法案なので、農地法は農地法としてルールはきちんと守れということをやっていますから、これはぜひ進めていただきたいと思います。

 終わります。

森山委員長 次に、高橋みほ君。

高橋(み)委員 北海道選出、日本維新の会の高橋みほでございます。きょうもよろしくお願いいたします。

 一つ目の質問といたしまして、外国政府に対して有する米穀の売渡しに係る債権の免除に係る特別措置法案につきまして、御質問いたします。前の御質問の方とダブる点が多々あることはございますが、御容赦ください。

 まずは、債権免除しました平成二十五年度末時点で五百七十七億円の妥当性をお尋ねしたいと思います。

 当該五カ国に対する債権のうち、マリは一部返済したとのことですが、ほかの国は全く弁済をしていないとのことです。困っている国であっても、もともと全く返せないような国に貸したというのは、当時の判断として妥当だったのでしょうか。また、日本政府は、返してもらえるように回収の努力を少しでもしたのでしょうか。五百七十七億円はかなりの額で、国民の税金でもあります。この五百七十七億円に加えて、国内価格と国際価格との価格差を国民の税金で直接補填している案件でもありますので、お尋ねいたします。

長島大臣政務官 高橋先生の御質問に、まず、私の方からお答えをさせていただきたいと思います。

 今回、債権免除の対象となるアフリカ五カ国に対する政府米の売り渡しは、昭和五十四年から五十八年、外国政府等に対する米穀の売渡しに関する暫定措置法、延べ払い法によって、長期、最長三十年、低利、二から三%の延べ払いによる優遇された条件で、その当時の政府保有過剰米、昭和五十年から五十三年産米を利用して行ったものでございます。

 その輸出価格は、古米としての評価価格を適用したもので、約九万円・精米トンでございました。その当時のタイ米の価格水準とほぼ同等の価格でありましたし、決して高価格で売り渡したものでは実はございません。

 なお、延べ払い輸出を行った当時、これらのアフリカ五カ国は、その延べ払い輸出によって、やはり国として力をつけていただいて、きちんと返していただける援助的な役割を担ってきたということも我々は認めなければいけないんだと思うんですが、当時、重債務貧困国として今日のように認定されることを我々は想定しておりませんでしたので、そのようにお答えをさせていただきたいと思います。

高橋(み)委員 その当時はそのような御認識であったということではありますが、ほとんどの国が全く返していただけないということは、その認定にかなり疑義があると思わざるを得ないと私は思っております。

 では、平成十一年のケルン・サミットで、G7各国は重債務貧困国に対して有するODA債権を放棄しましたが、なぜ今まで免除の手続を放置したのでしょうか。最初に免除の方式として検討していた債務救済無償方式が平成十四年に廃止され、その後、条約によるべきか、法律によるべきか、検討をしていたとのことですが、優秀な日本の官僚さんがそれほど検討しなければいけないような理由があったのでしょうか。免除手続を放置した理由をお聞かせください。

長島大臣政務官 先ほど来、各先生方にもお答えをしておりますけれども、免除に当たって、免除ということと実質免除ということ、両面から検討してまいりました。そして、そのことについて、財源をどう手当てしていくのかということも関係省庁間で調整が行われておりました。

 今日までということでございますけれども、平成十一年、ケルン・サミット直後は、債務救済無償方式で対応する、つまり実質免除という方向で検討してまいりましたけれども、平成十四年にこの方式が廃止をされました。その結果、食糧法等の改正の機会を捉えて対応することも踏まえて検討を実はしてまいったところでございます。

 こうした中、昨年二月に、債務国の一つであるモザンビークの首相から、両国首脳会談の場において、米債権を正式に免除していただきたいという要請があったところでございます。

 今年六月一日から三日、我が国においてアフリカ開発会議が開催をされますので、この機会に、米債権の債務国から首脳の参加が見込まれるところでございますので、本件の解決を図るべく調整を加速させていただいた結果、この法案の提出になったということでございますので、御理解を賜りたいと思います。

高橋(み)委員 経過につきましては、先ほど来の方たちからの御質問と同じように、流れとしては理解はしておりますけれども、債務救済無償方式が十四年に廃止されたといって、それからもう十年以上たっております。優秀な日本の官僚さんがそんな十年間も検討していたというのは、何かあったんじゃないかと邪推をしたくなるような時間でもあります。そのことをちょっと述べさせていただきたいと思います。

 次に行きますが、日本国民といたしましては、実際、本当に困っているアフリカの人たちに血税を援助するということ自体は構わないかなと思っている面もあると思います。ただ、そのお米が本当に困っている人たちの方にちゃんと届いているんだろうか、関心があるのではないでしょうか。

 これら援助米は、例えば武装勢力などに渡らず、必要としている国民にきちんと届いていたのか、その点、きちんと監視していらっしゃるのか、そこをお尋ねしたいと思います。

江藤副大臣 非常に大切な御指摘だと思います。

 やはり、港に着いて、一部の特権階級ががめてしまうとか、そういうことは本来的には絶対あってはならないことではあります。

 しかしながら、その当時の契約でございますけれども、これは、船に積み込んだ時点で、一応日本国としてのハンドリングから外れる。ですから、もっと言えば、港から出港して、途中で沈んでしまったとしても、これはもう日本の責任ではない。ましてや、港に着いて、そこから荷がおろされてどこに運ばれたかという、トレーサビリティーというかモニタリングというか、正直なところ、そういった調査等は行われておりませんでした。戦闘が行われていたり、国内事情が非常に混乱しておったりして、それは非常に困難だったという事情もあったんだろうと思います。

 そういう反省を踏まえて、現在では無償方式ということでやっているわけでありますけれども、これについては、外務省さんがきょうお見えですけれども、モニタリング調査をして、その援助米、まあビスケットとかいろいろな形がありますけれども、そういったものが本当に、そういったキャンプとかそういうところに届いているかどうかの調査等は行っているというふうに承知をしております。

高橋(み)委員 大分昔のことでありますので、今さらほじくり返してもとは思うんですけれども、港から出ていったら、それ以後は日本政府が全く関知しないというのは、その当時の判断としてはやはり妥当ではなかったと思わざるを得ないと思います。ただ、今副大臣の方から、今は実際、きちんと監視していらっしゃるという心強いお言葉をいただきましたので、それを信じたいと思っております。

 次にちょっと行きまして、免除したということですが、その後、これらの国で米穀等の食糧などは足りているのかということをお尋ねしたいと思います。

 つまり、さらなる援助が必要ではないかということです。特にマダガスカルでは、バッタが大量発生し、再び食料危機に陥る可能性が高いとも言われております。政府としては、再度の援助の可能性に関しましては、どういう見解をとっていらっしゃいますでしょうか。

 今でいう先進各国も、バッタとの戦いをしてきたという歴史もございます。北海道の開拓もまたバッタとの戦いでした。北海道選出の議員であります私としましても、とても関心のあるところでございます。

 バッタを駆除する能力を日本は持っていると思っておりますが、防虫の技術等の援助などの必要性を日本国政府はどう認識していらっしゃるのか、お尋ねしたいと思います。

岡村政府参考人 委員御指摘のとおり、マダガスカルではバッタが大量発生しております。

 国連食糧農業機関、FAOでは、マダガスカルの米生産の約六〇%が被害に遭い、食糧供給に大きな影響が出ていると予測しております。

 この事態に対処するため、FAO、そしてマダガスカル政府は、殺虫を初めとして、具体的な対応計画を作成しておるところでございます。

 FAOは、本年六月までに約二千二百万ドルの支援が必要だと見積もりまして、その旨、声明を発出しております。ただ、必要な資金の半分以上については、既に手当てのめどがつきつつあるというふうに私どもとしては承知してございます。

 我が国としては、この問題は非常に重要でございますので、今後とも、現地情勢を十分注視し、我が国の支援が必要な場合には、その可能性等をきちっと精査し、検討していく考えにございます。

高橋(み)委員 ありがとうございます。

 必要かどうかは、まだ今のところはちょっとわからないということなのかもしれませんけれども、本当に必要だとわかったときは、日本も頑張って援助をしていただきたいと思っております。

 次に、同じような米穀の援助を日本政府は他国に対してしていると思いますが、今回免除をした以外の国に対する米穀等の債権は幾らぐらいあるのか、債権回収の見通しはあるのか、お尋ねいたします。

長島大臣政務官 私の方からお答えをさせていただきます。

 先ほども少しお答えをさせていただきました。当時、お米を延べ払い輸出したという背景には、その当時、その国の政府が、自国民をやはり飢えさせてはいけないというつらい思いの中で、日本に援助を求めてきたことの結果だと私は思っています。ですから、そのことに対する、確かに我々は債権を回収する責務はあるわけでありますけれども、そのことだけで議論ができない一面はあるんだろうというふうに受けとめているところでございます。

 今、先ほどもお答えをさせていただきましたけれども、五カ国以外に九カ国ございます。四百三十万トンを輸出させていただきまして、現在、債権残高は二百一億円になっております。

 九カ国に対する債権の回収状況でございますけれども、韓国、バングラデシュ及びポーランドの三カ国は返済が完了していただいております。また、インドネシア、パキスタン、フィリピン、ケニア及びペルーの五カ国は、計画どおりに返済をしていただいているところでございます。

 先ほどお答えをさせていただいたように、北朝鮮については、初回利息の一部をお支払いいただいた後、滞っているという状況でございます。

高橋(み)委員 ありがとうございます。

 私も、本当に困っている人たちに援助をするというのは、日本国民の方々と同じように、構わないと思っていると思うんですけれども、それならば、なぜ無償援助にしなかったのかというような問題は今もあるとは思っております。

 この問題につきまして最後になるんですけれども、現在、中国は援助大国となっていると言われておりますが、中国のプレゼンス、動向と今後の見通しにつきまして、日本政府はどう考えているのか、お答えください。

あべ大臣政務官 高橋委員の質問にお答えいたします。

 今、中国の援助の現状でございますが、中国政府の発表によりますと、二〇一一年、対外援助予算として約百五十九・一億元、これは日本円に換算しますと二千六十八億円になりますけれども、計上されております。ただしでございますが、中国は、経済協力開発機構の開発援助委員会、DACと私ども言っておりますが、に加盟していないために、DACのODAの定義に基づく数値は不透明なところでございます。

 中国が途上国の貧困削減等のための支援を行うこと自体は、国際社会にとって必要な、望ましいことだと思っておりますが、中国の援助については、その実態が不透明であることに加えて、人権、社会、環境への配慮が欠如しているという問題が指摘されているところでございます。

 我が国といたしましては、中国が国際的な取り決めと整合的な形で援助を行い、関連情報、これを一層公開するよう今後も働きかけていく考えでございます。

高橋(み)委員 ありがとうございました。

 それでは、次の質問に移りたいと思っております。

 日本の農業の屋台骨を支えている農協についてお尋ねいたします。

 農協は、農家の方々に対しまして、農業技術の指導から肥料の調達、資金の融通のお世話までしております。農家の方が農協を頼りにしているのは、地方であればあるほど大きいと思われます。

 このような重大な責任のある農協が一たび経営不振になれば、地域の農家の方々の生活に多大な影響を及ぼすことになりますので、私は危惧しております。

 そこで、農協の経営状態に関してお聞きします。

 例えば、北海道日高管内の新冠農協が、財務健全化のため、新冠町に十億円の損失補償を要請しております。なぜそのような支援を求めるようになったのか、お聞きしたいと思います。このケースに関しまして、新冠町に最終的に損失が発生した場合には、どこが責任を果たすのでしょうか。お答えください。

江藤副大臣 十億円を町の方に支援要請したのはなぜかということを本省の農林水産省に所属する私に聞かれても、ちょっとなかなかお答えしづらいところが正直あります。

 正直ありますが、ただ新冠町は、私も行ったことがあります。いわゆる軽種馬の産地で、今は大変資産価値が落ちて、そういう意味で、担保物件がだんだん下がってきて、非常に苦しい状況になっている。しかし、JAの信用事業については、BIS規制では普通は四%ですね、市中銀行は。これを農協さんは八%に設定しているわけです、さらにハードルをわざと高くして。現状は、まだ一〇%を超える自己資本比率を保有されているわけでありますから。そうはいっても、このままでは危ないので、予防的に経営改善をやっていこうということで、やはり、最終的というか、一義的に処理する主体というのは系統ですよ、本当は。

 町に支援要請したことがけしからぬと私は言っているんじゃないんですよ。地域は一体ですから、いろいろ人間関係もこれあり、そういう支援要請したこと自体が悪いと言っているのではないんですけれども、セーフティーネットはJA系統の中で、道の中にあり、全国系統の中で支援はあるわけですから、そういった形の中で私は整理をされていくものとは思いますけれども、まずは経営改善の努力をきちっとやっていくことが一番大事だというふうに考えております。

高橋(み)委員 ありがとうございます。

 きのう、役所の方とのレクチャーでは、この件に関しましては農林水産省が一番妥当であるというお答えをいただきましたので御質問させていただきましたけれども、余り関係ないということなので、私としましてはちょっと疑問な点がございます。

 続きまして、この新冠町農協と同様の経営状況にあります要改善とされた農協は、北海道などにはあるんでしょうか。特徴的には、比較的貸出比率の高い農協がそうではないかと思うんですが、要改善とされた農協があるならば、その数と要改善となった原因をお答えください。

 また、農林水産省所管ということで、金融庁ではないということですが、担保はしっかりと適正な評価をされているんだろうかと心配になるところではございます。

 このような組織というか、金融機関と言える組織は金融庁所管であるべきではないかと思いますが、新冠町の農協の経営の悪化は馬産業の景気低迷が根底にあるのではないかと思ってはいるのですけれども、この貸出担保の評価は市場価格とかけ離れたところにはないでしょうか。一連の状況の中で、モラルハザードも起こっているのではないかというような危惧もあります。お答えください。

江藤副大臣 まず、ほかにもそういう厳しい状況に追い込まれた農協があるんじゃないかという御質問ですが、新聞報道では書いてありました。ただ、ここは非常に公的な場でありますので、ここが危ないということを私の口から言うことは、多分適切ではないんだろうと思います。

 農林水産省の所管ではないと言っているのではないんです、農協法とかきちっとした法律があるわけですから。ただ、私が申し上げたかったのは、農水産業協同組合貯金保険機構というものが別建てでありますし、それから農協系統拠出金によるセーフティーネット、そういうセーフティーネットワークは構築されておりますから、決して私に質問したことが筋違いだというようなことを申し上げているつもりはありません。

 それから、担保価値につきましては、軽種馬の資産が下がれば、当然、担保割れということであれば、さらに担保を出しなさいということを農家の方が言われれば、非常に厳しい。最初の方に、オーバーエスティメートというか、高く試算し過ぎたかと言われれば、私はそんなことは決してないと思うんですよ。最近の状況の変化によって資産価値が下がったということでありますので。

 ですから、農協さんに対する支援も必要ですけれども、そこに対して担保を差し出している農家さん、いわゆる馬を生産されている農家さんたちに対する支援も、これは一つ農業政策の一環として私たちは考えていく必要があるんだろうと思います。

 十分な答弁ではないかもしれませんが、答弁漏れがあったら、またいたします。

高橋(み)委員 ありがとうございます。

 きのうの役所の方のお話では、自分のところではない、自分のところではないかもしれないというような、いろいろな省庁間の縦割りの弊害が少し出ているのではないかなと私は危惧したところでございます。

 次に、その件はおいておきまして、私は、TPP交渉参加に対する農業向け対策事業の資金が、こういった農協の不良債権処理に使われることがあってはいけないと思うところでございますが、しっかりとした処理をお願いしたいと思うのですけれども、その件に関しましてはいかがでしょうか。

江藤副大臣 TPP交渉参加と農協のいわゆる経営の悪化、自己資本比率割れに対応するということを直接リンクさせるということは、この委員会でもちょっと避けた方がいいんだろうと思います。

 TPPの交渉参加は表明しました。ただ、まだ本格的な参加をいたしておりません。玉木議員から、大分その入場料の話もされましたけれども、これは、強い外交力を持って安倍総理には頑張っていただくことが一義的には大事だろうと思うんですよ。

 しかし、そのときに、何でもかんでもやるぞと。多分、御念頭にあるのは、牛肉・オレンジ交渉のときに、例えば温泉センターをつくっちゃったとか、本来目的とは違うところにお金を使ったじゃないか、そういうお金の使い方は不適切だと。逆に、委員のお考えからすれば、これを国の力で資本注入してもらったりすることの方が、多分御地元的にはありがたいんだろうと思います。それもしない方がいいという御意見を言われることは、非常に正義感の強い御意見だと思います。

 ですから、これは、TPPの話と農協の経営の健全化の話は、例えば私のところは、農協はたくさんあります。例えば熊本なんかに行くと、もう一農協になっているわけですよ。ですから、この話は、ぜひまたしっかり時間をとって議論を深めていく内容だろうというふうに思います。

高橋(み)委員 ありがとうございます。

 ところで、先ほど鈴木憲和議員が山形のお米の自慢をされていました。自慢、失礼いたしました。自慢ではなかったでしょうか。

 私の選挙区であります北海道、昔はまずい米の代名詞だったんですけれども、現在はゆめぴりかとかななつぼしなど、新潟のコシヒカリに負けないほどおいしいお米がとれます。北海道は、本州の米農家さんに比べて、耕地面積が大きいので大規模化しています。攻めの農業をやりやすい地域ではございますけれども、しかし、もしTPPに参加することになってどうなってしまうんだろうというような心配のとても大きいところでございます。ですから、これから政府の方にはぜひ丁寧な御説明をしていただければと思っております。

 お米に関しまして、質問を続けさせていただいております。

 現在、米の生産調整をしております。現在は、米の需要が乏しくなって、米を使っての製品づくりが行われておりますが、その中の一つである米粉パンについてお尋ねいたします。

 私の乏しい味覚では、小麦パンも米粉パンも変わらない、おいしいパンである、そんなふうな印象があるのでございますけれども、それを知ってもらうには、学校給食で採用してもらうのが一番ではないでしょうか。私が小さいころ、学校給食で鯨の大和煮というものが出まして、それがおいしかったなという印象が今もございます。米粉パンもそうであったらうれしいなと個人的には思っているところでございます。学校で食べたな、おいしかったなという流れで米粉の需要がふえたらいいんじゃないかと思うところでございます。

 米粉は、小麦粉に比べカロリーも低く、良質なアミノ酸が小麦粉と比較してバランスよく含まれると言われております。かつては、米粉を利用してパンやケーキをふっくらと仕上げることはできないと言われていたこともありましたが、現在は、加工法を変えることによって、ふっくらとしたパンやケーキができるようになったと聞いております。また、米粉は、小麦粉よりもカロリーが低いだけではなく、小麦粉に比べ、油の吸収率が低く抑えられることができるので、カロリーが抑えられ、ヘルシーな食材であるとも言われております。

 そこで、お尋ねしたいと思います。

 平成十六年度は四千六十七校で、給食実施校の一三%が導入しているということでしたが、平成二十二年には一万六千百六十六校と、給食実施校の五割にも増加しているとのことです。週五日の給食のうち、小麦パンと米粉パンの比率は幾らなんだろうかなと思うところでもあります。恐らく、農林水産省では把握していないかとも思われるのですけれども、これから、このような細かい比率を把握していくことが米粉の需要の増加につながるものではないかなと考えております。その点、いかがでございましょうか。

長島大臣政務官 新潟のお米のことも言っていただいたので、私の方からお答えをさせていただきたいと思います。

 私も、お米の農家、水田農業をやっておりますし、新潟県は実は米粉を結構多くつくっている先進県でもあると思って、実は自負をしております。ですから、私は、原則的には米飯給食をやってほしいなと思いながらいる一人の人間なんです。でも、嗜好とかいろいろな関係で、多様化してきたことで、やはりパン給食ということを戦後ずっとやってこられたこともあって、なかなかそこから抜け出せない人たちもいる。

 その中で、米粉パンの給食をということで、農水省としても積極的に取り組んでほしいなと思っております。

 ただ、学校数の調査については、今ほど委員の方から御指摘をいただいたとおりなんですが、週何回というところまでは、まだ調査が実は済んでおりません。普及等を含めてこれから調査をしていきたいなと思います。

 私も、この前、岩手へ行ったら、鯨の大和煮の缶詰があったので買ってきて、お米と一緒に食べたら、私が子供のころ、まさにああいうことで育ったんだなと。やはり、お米のよさと日本の食のよさを再実感した次第でございますので、米粉の普及とあわせてやってまいりたいと思いますから、どうぞよろしくお願いをしたいと思います。

高橋(み)委員 心強いお答え、どうもありがとうございました。

 これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

森山委員長 次に、林宙紀君。

林(宙)委員 みんなの党の林宙紀です。

 本日対象となっている法案の趣旨そのものには大変賛同いたしているところですが、その国内手続については、これまでの質問者の皆様の御質問にもありましたとおり、いろいろと問題点があるということが、我々みんなの党の調査でも明らかになっております。この場で政府側の見解を確認させていただきたいと存じます。

 まず、ケルン・サミットから十四年もたってからの国内手続、その法案の提出となった、結果として百四十四億円の利子が国民負担とならざるを得ない状況である、これについては、ここまでの質問で幾つか皆様がお聞きになったところでございます。

 理屈としてはわからないでもないところはありますが、いずれにしても、これだけの利子が生じてしまうということはわかっている上で、なぜもっと可及的速やかな措置というのがこれまでとれなかったのかというのは大変疑念が残るところでございまして、その上でちょっとお伺いをしたいなというものがございます。

 この米債権と同様に、国際会議で、米債権以外も含めてなんですけれども、債権免除を我が国が同様に表明しつつ、まだ手続がとられていない、そういった債権がほかにもあるのかということ。これは先ほど質問でも幾つか出ていますが、この米債権以外でもという意味で、改めてお伺いしたいなと思います。

 これは外務大臣政務官にお伺いしたいと思います。

あべ大臣政務官 林委員にお答えいたします。

 今議員がおっしゃった債権はないものというふうに私ども承知しておりまして、我が国がサミットを含む国際的な枠組みのもとで債権免除した国は、アジア四カ国、実はこれまでございまして、中南米四カ国、中東など三カ国、アフリカ二十七カ国の、合計三十八カ国でございます。

林(宙)委員 ということは、全てのそういった債権に関して、結局これだけができなかったということになります。いろいろと先ほど理由はお伺いしました。でもですよ、国民からしてみたら、ほかのことができているのになぜこれだけできなかったんだ、ある意味では、ちょっと言葉は悪いですが、言いわけにしか聞こえないととられてしまってもこれはいたし方ないんじゃないかなと私は思うんです。

 実は、これはもっと大きな問題があります。今回、この法案はまだ成立しておりませんね。しかしながら、この債権免除に必要な財源五百七十七億円の手当ては、既に前年度、二十四年度の補正予算で行われてしまっているんです。補正予算、通りましたね。先にお金を払う、これを決めてしまった。

 たしか財政法の八条だと思いますが、債権免除を裏づける法案が成立して初めて債権免除に係る財政負担が実行できるというようなことになっていると思うんですね。

 ということで、これは大臣にお伺いします。

 この法案が成立する前であるにもかかわらず、しかも前年度の予算措置であるにもかかわらず、これを認めることにした。それはなぜでしょうか。お願いします。

江藤副大臣 私の方からお答えをさせていただきたいと思います。

 私は正直な人間ですから、若い正義感に満ちた先生に対しては、言われることは極めてきれいな流れ、であればそうすべきものであったのではないかという気持ちは、確かに私の中には正直あります。

 しかし、今までの、朝からの議論を聞いていただいて、これはもう、野田政権の時代に御要請を受けて、そして毎年毎年、返ってくる当てもない請求書を送って、債務だけ立って、金利もつきましたけれども、これも帳簿上のもので、帳簿上は金利が上がっておりますけれども、向こうの国に払うという筋合いのお金じゃありません。

 ただ、確かに、補正予算で組んだことについては、若干、国民の皆様方に対しても、疑義がある、この法案がこの委員会で通って、そして通った後やるべきだということについては、委員の御指摘について、本当は農水の方からもうちょっと抵抗しろというふうに言われたんですけれども、私は余り抵抗する気がありません。

 しかしながら、TICADが行われるというタイムリミットがありますので、そのときに気持ちよくアフリカの各国首脳級のレベルの方々に日本に来ていただいて、そして、その場で強い日本の外交に資するということであるならば、私はそう悪いことではなかったのではないかというふうには考えているようなことでございます。

林(宙)委員 せんだっての予算委員会で、麻生財務大臣には、先生、現実を見なさいと御指導いただいた部分もあるんです。これが現実なんだろうなと私は思いますよ。ただし、では、法律とは何なんでしょうか、こういう話になってくるわけです。

 しかも、今回、たしか法案提出は三月の初め、五日だったと記憶していますが、間違っていたら申しわけございません。もし、この法案をやはり補正予算で通したいんだというお気持ちがあったなら、きょうだって二時間の質疑を経て採決、できないことはなかったんじゃないかなと思うんです。

 いろいろお手続があったと思うんですよ。でも、こんな、六月にアフリカ開発会議が横浜で開かれるから急いでやりましょう、そういうことは皆さんわかっているわけです。これが二、三日前に出された法案ですと言われたら、それは難しいなと私も思います。でも、およそ一カ月あった。これは、やる気があるんだったらできたじゃないですかというのが私の率直な感想です。

 申しわけございません、私は議員になってまだ数カ月ですから、いろいろわからない部分がございます。でも、普通に考えたら、やりましょうよというお話なんですよ。今後こういうことがあってはいけないから、この点はやはり、これは我々、今議員という身分にいる人間は、自覚しなきゃいけないと思うんですね。

 法律という建前がなかったらできなかったということでおくれてきたという説明もさっきあったじゃないですか。なのに、今回、その法律を無視して先に入れちゃった。これは私は大きな問題だと思いますよ。

 これについて、質問するつもりはなかったんですが、何かもしお答えいただけるのであれば、ぜひお願いします。

林国務大臣 今副大臣から答弁させていただきましたが、財政法八条との関係は、一応、国の債権の免除は法律に基づく必要がある、こういうふうにされております。

 本法案の成立した暁には債権が免除できるよう準備したものということでありまして、法律の解釈論としては、債権の免除そのものは行っていないということで、予算はあくまで予算で枠取りをしておくということですので。ただ、補正予算でやっておいたということは、なるべく早くということがあったというのは先ほど副大臣から答弁させていただいたとおりであります。

 それから、三月五日に閣議決定をさせていただいて、政府としては、それで国会へ出させていただいた、こういうことになります。

 私のように十八年も国会議員をやっておりますと、閣議決定したものをすぐにでもやっちゃえばいいじゃないかというのは、本当におっしゃられるとおりだなと思いつつも、なかなか国会というのは、まず所信の表明をさせていただいて、所信に対する質疑をやってと、順番がいろいろございまして、なるべく早い順番でということで、三月中にやらなければいけないこの間の水産加工をやらせていただきました。これは三月を過ぎると切れてしまうということがありましたので、その次の順番ということで、なるべく早い順番では委員会の方でも御配慮いただいている、こういうふうに思いますが、きょうになってしまったということは、何といいましょうか、もう少し早くできなかったのかという御指摘はやはりちゃんと受けとめて。

 大事なことは、委員も今おっしゃっていただいたように、今後こういうことが起きないようにするということが非常に大事なことだ、こういうふうに思っております。

 先ほど玉木委員とのやりとりでも少し述べさせていただきましたが、そもそも江藤副大臣から今答弁いたしましたように、この利息分が、相手の国に支払うとか、それから十一年の前も利息はたまってきていたわけですね。したがって、帳簿上、ある意味で基本的に合意をした債権免除についてのものが同じように利子として入っていくという仕組みそのもの、これも見直していく必要があるんではないか、そのためには法律が必要になる場合もあろうか、先ほど私はそういう趣旨で答弁させていただきました。

 そのことも制度的にやるとともに、先ほどどなたかがおっしゃったように、そういうところに延べ払いなんかで出すことは、そもそもおかしいんではないか。したがって、無償で最初からやるとか、いろいろなこと、出すところをやる。それから、もし延べ払いというようなことであれば、ちゃんと債権を回収するような努力をする。もし、そういうことができなくなった今回のケースのような場合は、帳簿上きちっと、利息が同じように積み上がらないようにいろいろなことを検討する。

 やはり、いろいろなことをこれを踏まえてやっていく必要がある、こういうふうに考えております。

林(宙)委員 要は、突っ込むようなすきを与えないでくださいという話です。

 先ほど玉木議員からもありましたけれども、食料特会、ここから今回、利子分、百四十四億円が処理されまして、それ以外、四百三十三億円については一般会計。確かに、私もずっと気持ち悪いと思っていました。

 先ほどの玉木議員とはちょっと立場が違うというか、考え方が違う、もしくは私が知らないから言うということになるのかもしれませんが、食料特会は毎年、剰余金という名目で二千億円前後ぐらい発生するんですけれども、それなら、これは剰余金という名前なんだったら、これで四百三十三億円充てるのもありだったのかなと思ったんですが、なぜ一般会計から繰り入れる必要があったのかという点について、御説明をお願いいたします。

江藤副大臣 これは非常に根本的な議論になりますが、この特会については、やはり遊びというか、その部分はどうしても必要なんですよ。農産物に対する補填を行ったりする、価格の変動が激しかったり、作況が変わったり、不確定要素が余りにも多い、そして守備範囲が広いものですから。確かに、この二千億円という数字だけを見ると、何でこんなに剰余金が出ちゃうんだという批判を持たれる、疑問を持たれる気持ちは、私も理解できます。理解できますが、では、これをかつかつでやることが果たして農業の政策を実行する上で適切かというと、私はそうではないんだろうと思います。

 ただ、その利子分についてここから回したということについては、委員の御指摘、先ほど私も言いましたとおり、どうして特会から回すんだ、一般会計から回せばいいじゃないか、それが筋じゃないかというのは理解できますが、いろいろな勘定を機動的に活用させていただいて、処理をさせていただいた。苦しい答弁でございますが、そういうことでございます。

林(宙)委員 済みません。今の御答弁は、多分逆だったんじゃないかなと思うんですよね。ただ、時間がないのであれなんですけれども。

 剰余金という名前は変えてもいいんじゃないですかと私は思います。そんな変な疑念を抱かれるぐらいだったら、別の何かもっと前向きな名前にしちゃった方がいいんじゃないかなと私は思ったりしますよ。

 いろいろお伺いしてきましたけれども、結局のところ、私は、これを全体的に見たら、やはりまずかったですよねという総括になると思うんです。

 そう考えると、大臣は、五日の記者会見で、手続がおくれたことを反省するという旨のことをおっしゃっていました。私ごときが申し上げていいのかわかりませんが、この場合は、もちろんこの政権だけの責任じゃなくて、前からずっと続いていることですけれども、これは反省じゃなくて、例えば陳謝というところまでいってもいいんじゃないかなと私は思ったんですが、それは大臣、いかがお考えでしょうか。お願いします。

林国務大臣 委員が謝れということであれば、陳謝をいたしたいと思います。反省とか陳謝とかというのは、それを私がどこまで言ったからどうなるものということではないというふうに思っておりますので。

 ただ、今まで一生懸命調整をずっとしてくれて、なかなかいろいろな省庁間の壁も越えられなかった皆さんのことを思えば、余り一方的にこれが悪いことをしていたということになることは、ちょっと私としても心外ですが、しかし、結果としてこういうことになっているというのは事実でございます。

 実は、金利というのは、先ほど玉木委員とのやりとりでお話ししたように、別に相手に払うものではなくて、そもそも、返ってくるべきものとしてずっと計上はしてあったわけですね。要するに、未収の債権が立っていて、そして、未収の債権が立っているので利息が入ってくるだろうということで積み上げていた。そこでは収入として見ていたものがあります。その収入がどこに立っていたかというと、この特会なんですね。

 したがって、そういう意味もあって、最終的な調整の結果、こういうふうに、この金利の部分はこちらでも見ようということにはなっているわけでございます。

 やはり、そういうことが今後余り、見た感じでも、今おっしゃったように、突っ込みどころ満載だということでございますから、そうならないようにするために、先ほど申し上げたように、まずは、経理の仕組みそのものをどうするかということをやはり検討する必要もあると思いますし、そもそも論として、無償でやるとか、それから、債権の回収努力をするということをあわせてやっていく必要がある、こういうふうに思っております。

林(宙)委員 会計上については、いろいろとまだ問題を見出してはいるんですけれども、きょうは時間が参りましたので、これで質疑を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

森山委員長 次に、畑浩治君。

畑委員 生活の党の畑浩治でございます。

 法案については、私の質問したいことが網羅的に質問されましたので、ちょっと別件の、個別論で議論させていただきたいと思います。

 きょう議論したいのは、人・農地プランの関係の、農地の集積であります。

 農地の集積の推進と経営規模の拡大が当然必要で、喫緊の課題ですが、このために農地流動化の推進をどうやってやっていくか。この人・農地プランでは、中心経営体に農地集積を行うための支援が行われておりますが、これは、利用権設定、賃貸とか農作業委託による場合に対して支援がされているということなわけですね。

 これから、いろいろな集積をする場合には、いろいろな考えられる手段を使う必要があると私は思いまして、これは議論があるところだろうと思いますが、売買によるような、所有権が移転するような農地移転に対して何らかの支援ができないか、すべきではないかという思いはあるんですが、その点、いかがでしょうか。

林国務大臣 今委員からお話がありました、農地集積に際して、出し手、受け手へいろいろな支援をするということで、受け手に対しては規模拡大交付金というものがございます。また、出し手に対しては農地集積協力金、こういうものがございます。

 今お話がありましたように、貸借による農地集積というものを対象としておりまして、売買は対象としていないということですが、幾つか理由がございまして、出し手については、売買の場合、売却代金が入りますから、これに加えてさらに交付金を上乗せするかということ、それから、受け手については、個人の資産形成への支援につながる、こういうこともありまして、今のような状況になっているということでございます。

 したがって、直接の補助金はないんですが、ただ、御案内のように、譲渡した場合の譲渡所得税の特別控除、これは八百万円の枠でやっております。それから、取得した場合の登免税、不動産取得税、これも軽減措置をやっている。さらには、人・農地プランで位置づけた中心経営体の場合は、スーパーL資金等の融通があるということで、こういうところで支援をしていこう、こういうことでございます。

畑委員 そういうお答えなんだろうと思います。

 個人資産形成に対する支援というのは、例えば復興の場合でもかなり議論しまして、現行の制度のもとでは難しい、どこまで突破できるかという、災害の場合にはかなり、集約化して、共同してお金が出せるというスキームも出たわけですが。ただ、ここは、農地の公的性格に鑑みて、個人資産なんですが、どこまで支援できるかというのは、哲学的な課題ですが、恐らく議論をしていかなきゃいけない課題なんだろうと思います。これは、一つ農地の生産性だけではなくて、国土保全とかいろいろ言っておりますので。

 さはさりながら、そういうお答えでありますが、であれば、例えば、単純に個人資産に応援してくれというのは言えないとすれば、現行の制度の深掘りでいくか、あるいは、受け手が単純な個人ではなくて一定の公的主体である場合に、そこを突破して認めるか、いろいろ今後の行き方は、恐らく頭の体操としてはあるんだろうなと思います。

 そういうことでいうと、例えば税制上の措置が現行ありますが、これは、さらに深掘り、控除の額をもっとふやすというのが考えられないかとか、あるいは、民間の場合は融資なんですが、融資の場合は現行の融資よりもさらに有利な制度をつくるとか、ちょっと私も深いところを知らないで聞いているんですが、低利子融資であればそこを無利子にするとか、いろいろあるのか、その辺の検討というのもあるとは思うんですが、ちょっとお願いします。

林国務大臣 実は、今おっしゃっていただいた八百万円の特別控除、これは、たしか予算委員会でもどなたかが御質疑をされて、議論になりました。

 実は、八百万円は今の段階なんですが、これは自民党の中の話で恐縮なんですけれども、一応、税制の要望としては、たしか千二百万円だったと思いますが、これを引き上げる方向で要望はして、ただ、自民党の税調は、御案内のように、一年、出したらすぐ認められるというのはなかなかなくて、引き続き粘り強くこれはやっていくということではないのかな、こういうふうに思っております。今、ほかの、融資の話もされましたが、税の方については、既に千二百万円までの要望は出させていただいているという過去の経緯はございます。

畑委員 いい要望だと思います。そこはしっかりやっていただきたいと、自民党に言うのも変ですが、我々の立場としては、これはこれでしっかりバックアップしなきゃいけないというか、意義があると私は思います。

 あと、受け手が単純な個人ではなくて、例えば都道府県公社のような団体、そういうところに売るとした場合、その公社みたいなのが最終的に持っていることでもいいんですが、また第三者に売る場合の集約なり中間受け手として機能することもあるんだろうと思いますが、こういう公的なものに対して売る場合に、そういう税制もあるんでしょうが、あるいは融資なのか、補助金までいけるのか、ちょっとそこは別の類型で検討するというのも私は意義があると思うんですが、その点はいかがでしょうか。

奥原政府参考人 お答えをいたします。

 県の公社の関係でございますが、農業経営基盤強化促進法という法律がございまして、この中に農地保有合理化事業というものがございます。この事業として、都道府県の農業公社が農地の利用集積を図るために、離農農家等から農地を買い入れて中間保有をして、担い手に売り渡すという事業をやっております。

 これにつきましては、国の支援措置を講じておりまして、公社が農地の買い入れ資金を借り入れる場合の利子助成、それから売り渡しまでに農地の価格が下落した場合の差損の一部を補填する、こういったことを行っているところでございます。

畑委員 人・農地プランに位置づけられた場合、もっと深掘りというか、有利な支援があるかどうかも含めてという、ちょっと私は問題意識はあるんですが、現行、そういう制度があるのは理解しました。集積に必要であれば、その辺の深掘りも含めて検討すべきじゃないかなということは、ちょっと問題意識として申し上げておきたいと思います。

 こういう話が出るのは、集積の多様化ということもあるんですが、地元で実は言われたのが、人・農地プランで十年間の白紙委任がありますけれども、十年たった後に、実際に出し手が死亡したりして相続になることがある。その場合に、相続になった場合、相続人が多数いて、都会なんかに息子とか孫がいたりして、共有で大変になってくるわけですが、十年たった後、そういう人たちがまた、受け手が相続人に対していろいろ了解を得て判こをもらうとか、そういうのが面倒くさいんじゃないかな、そういうこともあって、であれば、この人・農地プランでも、単純な売買という形ですっきりした移転に対して支援をしてもいいんじゃないか、そういうことも聞いたものですから、そういうことも含めてきょうは議論させていただいているんです。

 そういう観点からいうと、今言ったように、相続があって大変になるということがあると思うんですが、そこに対しては、手続上、何か配慮がとられているんでしょうか。お伺いしたいと思います。

奥原政府参考人 確かに、相続が発生いたしまして、農地が共有状態となることはあるというふうに思います。これにつきましては、平成二十一年の農地制度の改正によりまして、共有持ち分の二分の一を超える者の同意があれば利用権の設定ができる、五年以内と限られておりますが、利用権の設定ができるということになっております。それからもう一つ、所有者がわからないという場合には、公告の手続を経まして、最終的に都道府県知事の裁定によって特定利用権を設定できる、こういう制度も設けられております。

 いずれにいたしましても、農地の所有権が細分化された場合も含めまして、農地の集積あるいは耕作放棄地の解消、これを加速化していく必要があるというふうに考えておりますので、県段階の農地の中間的な受け皿、こういったものの一層の活用を含めまして、対策の強化を検討しているところでございます。

畑委員 ありがとうございました。

 五年以内とあって、恐らくこれは、手続の特例をとるのに余り長いと問題だということで五年になったのかなと思いますが、であれば、五年をもっと延ばしていくとか、六年ということもあったのかわかりません、七年とか、そこの検討も今後必要でしょう。

 この農地の集積、今おっしゃったように、細分化を防いでやっていくというのは、何も人・農地プランの話ではなくて、根源的な課題だと思います。特に、これから少子高齢化、少子だとあれですが、高齢化で、田舎の人が、おじいさん、おばあさんが亡くなられて、都会にいるような人たちに対して相続がどんどん出てくる。そういう場合にどうやって円滑化していくかというのは、これは本当に根源的な課題となってくると思いますので、そこの簡素化、手続の範囲も含めて、引き続き御検討をお願いしたいと思います。

 そのことをちょっと問題意識として申し上げて、時間が参りましたので、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

森山委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

森山委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。林宙紀君。

林(宙)委員 改めまして、みんなの党の林宙紀です。

 私は、本日の議題である外国政府に対して有する米穀の売渡しに係る債権の免除に関する特別措置法案、通称米債権免除法案の採決に当たり、みんなの党を代表して、賛成の立場から討論をさせていただきます。

 G7各国が重債務貧困国に対するODA債権の免除に合意した平成十一年のケルン・サミットに基づく本法案については、国際協力、国際協調という背景、そして重債務貧困国の債務負担の軽減という趣旨に鑑みて、その採決に当たっては賛成すべきものと考えております。

 しかしながら、この法案についての一連の国内手続には、本日の質疑でお示ししましたとおり幾つか問題点も存在するため、改めて指摘をした上で、政府関係者にはぜひとも猛省を促したく存じ上げます。

 第一に、ケルン・サミットから十四年もたってからの法案提出となったことで、米債権には百四十四億円の利子が生じ、それは国民が負担するところとなっています。この十四年間、政府及び役所が対応を遅延させてきたツケを国民が払うという結果ととられても仕方がありません。十四年もかかったことについては真摯に反省をお願いし、今後このようなことが決して起こらぬよう、万全を期していただきたいと要望いたします。

 第二に、米債権免除に必要な財源五百七十七億円のうち、ケルン・サミット以降の利子分百四十四億円を除く四百三十三億円については、国民負担の度合いが特別会計よりもさらに直接的とも考えられる一般会計での負担となっている点です。食料安定供給特別会計には毎年二千億円前後の剰余金というものが生じている一方で、一般会計による四百三十三億円の負担がなぜ必要か、少なくとも、より明快に国民に説明できるものにすべきです。

 第三に、米債権の免除に必要な予算措置が昨年度の補正予算で既にとられているということです。今回の法案は、国が有する債権を免除するには法律に基づくことが必要だという財政法八条に基づいて提出されていますが、その趣旨からすれば、債権免除の法整備とそのための予算措置は同時に行うべきであって、国会軽視、国民軽視ともとられかねない今回のようなやり方は、今後は許されるべきではないと考えます。

 我が国は、依然として深刻な経済状況にあり、国際協力といったテーマにおいても、国民からは予算の無駄遣いはないのかという厳しい視線が向けられています。

 政府関係者の皆様におかれましては、今回のこの法案を教訓として、職務に今後も一段と御精進いただくことを強く要望いたしまして、法案賛成の討論とさせていただきます。

 以上です。

 ありがとうございました。(拍手)

森山委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

森山委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、外国政府に対して有する米穀の売渡しに係る債権の免除に関する特別措置法案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

森山委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決をいたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森山委員長 御異議なしと認め、よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

森山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


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