第7号 平成25年5月14日(火曜日)
平成二十五年五月十四日(火曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 森山 裕君
理事 伊藤 忠彦君 理事 小里 泰弘君
理事 北村 誠吾君 理事 葉梨 康弘君
理事 宮腰 光寛君 理事 大串 博志君
理事 村岡 敏英君 理事 石田 祝稔君
井野 俊郎君 池田 道孝君
加藤 寛治君 川田 隆君
菅家 一郎君 清水 誠一君
末吉 光徳君 鈴木 憲和君
武部 新君 津島 淳君
中川 郁子君 中谷 真一君
長島 忠美君 西銘恒三郎君
橋本 英教君 福山 守君
堀井 学君 宮内 秀樹君
簗 和生君 山本 拓君
渡辺 孝一君 後藤 斎君
寺島 義幸君 福田 昭夫君
鷲尾英一郎君 鈴木 義弘君
高橋 みほ君 百瀬 智之君
稲津 久君 佐藤 英道君
林 宙紀君 畑 浩治君
…………………………………
農林水産大臣 林 芳正君
農林水産副大臣 江藤 拓君
農林水産大臣政務官 稲津 久君
農林水産大臣政務官 長島 忠美君
政府参考人
(文部科学省国際統括官) 加藤 重治君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 荒川 隆君
政府参考人
(農林水産省大臣官房統計部長) 坂井 眞樹君
政府参考人
(農林水産省消費・安全局長) 藤本 潔君
政府参考人
(農林水産省食料産業局長) 針原 寿朗君
政府参考人
(農林水産省生産局長) 佐藤 一雄君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 奥原 正明君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長) 實重 重実君
政府参考人
(農林水産技術会議事務局長) 小林 裕幸君
政府参考人
(水産庁長官) 本川 一善君
政府参考人
(環境省自然環境局長) 伊藤 哲夫君
農林水産委員会専門員 栗田 郁美君
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委員の異動
五月十四日
辞任 補欠選任
武井 俊輔君 宮内 秀樹君
同日
辞任 補欠選任
宮内 秀樹君 中谷 真一君
同日
辞任 補欠選任
中谷 真一君 武井 俊輔君
―――――――――――――
五月十三日
森林の間伐等の実施の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第二一号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
森林の間伐等の実施の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第二一号)
農林水産関係の基本施策に関する件
――――◇―――――
○森山委員長 これより会議を開きます。
農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官荒川隆君、大臣官房統計部長坂井眞樹君、消費・安全局長藤本潔君、食料産業局長針原寿朗君、生産局長佐藤一雄君、経営局長奥原正明君、農村振興局長實重重実君、農林水産技術会議事務局長小林裕幸君、水産庁長官本川一善君、文部科学省国際統括官加藤重治君及び環境省自然環境局長伊藤哲夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○森山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○森山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。津島淳君。
○津島委員 皆さん、おはようございます。青森一区選出の一年生議員、自民党の津島淳でございます。
このたび、委員会での質問の機会をいただきまして、心より感謝申し上げます。ありがとうございます。ふなれな点もあろうかと存じますが、何とぞよろしくお願い申し上げます。
さて、私の祖父、太宰治は、ふるさと青森の魚をこよなく愛し、食べなれた郷土の味覚を渇望しておりました。そのため、太宰の妻は、戦中戦後の混乱期、食料調達に奔走させられたと回顧録に記しております。現在の日本の農林水産業の姿を、あの世から太宰はどう見ているでしょうか。私たちに、ふるさとの食を支える日本の農林水産業を守り育てるために奔走してほしいと言っているような気がしてなりません。私は、今こそ農林水産業の新たな担い手を育て、生産性の向上を図り、加工、販売の一体化した六次産業化を推進するなど、攻めの農林水産業を展開していかなければならないと考えます。
それでは、これより質問に入らせていただきます。
まず、林大臣にお尋ね申し上げます。
攻めの農林水産業により、構造改革を図り、かつ、我が国の農林水産物の販売、消費も拡大させる必要があると考えます。
そこで、産業界に我が国の農林水産物の購入や販売取り扱いなどを働きかけ、官民一体で我が国の農林水産業を成長させていくお考えはございますでしょうか、御所見をお聞かせください。よろしくお願いします。
○林国務大臣 津島先生、きょうは初めてでしょうか、御質問に立たれるということで、今後の御活躍を期待したいと思います。おじい様は太宰治先生であられたということで、私も小学校、中学校、高校ぐらいに、随分、お世話になったというんでしょうか、「走れメロス」、「人間失格」等々、人格形成に多大な影響を受けたな、こういうふうに思っております。もちろん、お父上には、この国会で大変お世話になったわけでございます。
今お尋ねのように、おじい様が生きておられたらどう思われるかな、こういうようなことでございますけれども、まさに、今から、攻めの農林水産業ということであれば、そういう時代とは違いまして、日本、一億三千万人、購買力も高いですし、ある意味では非常に成熟した消費者市場、こういうことであろうと思いますので、こうした目の肥えた消費者や、そういう消費者にどういうものをつくっていくかと日夜考えておられる加工業者、こういう方々が実需者でございますから、そういう方々にどうやって農林水産物を売っていくか、これを官民一体となって考えていかなければこの成長もおぼつかない、こういうふうに思っておるわけでございます。
一月に我が省につくりました攻めの農林水産業推進本部においても、これは当たり前のことでありますけれども、需要サイド、それから供給サイド、その両者をばらばらにせずに、これをつなぐバリューチェーン、それぞれについて横串を刺して全省的に検討していこうということで、検討をしておるところでございます。
生産現場においては、担い手への農地集積、それから、耕作放棄地解消の加速化、新しい方が入っていただくための対策、こういうことをしながら、需要の方は、六次産業化による付加価値増大や消費、それから、一億三千万の我が国の外側には、インド、中国を含め、ASEANまで入れますと四十億人になると言われておりますアジアの成長する市場があるわけでございまして、そういうところへの日本の農林水産物や食品の売り込み、こういうことを積極的に進めていく、これが農林水産業の成長化に欠かせないポイントである、こういうふうに考えておるところでございます。
○津島委員 大臣、ありがとうございました。
私の地元青森県では、攻めの農林水産業を平成十六年度より進めておりまして、ことし十周年ということになります。ですので、国の施策と合致するところは多々ございますし、また、先んじて進めておるところもございます。その点、協力しながら相進めてまいりたい、そのことで日本農業の底上げ、そして成長につなげてまいりたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
さて、話題をかえまして、この冬は、北日本において、記録的な風雪により、とうとい人命が損なわれ、積雪により多大な被害が生じました。ここで改めて、亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。
我が青森県でも、主力果樹であるリンゴの深刻な被害状況が明らかになりました。五月の八日、青森県農林水産部が取りまとめたリンゴ等の果樹被害の調査によりますと、被害総額百七億円、樹体損傷面積五千四百七十四ヘクタールと、大きな被害があった昨年をも上回るものとなっております。加えて、北日本では今もって異常低温の状況が続いており、リンゴの花芽の生育おくれが懸念されております。
本県のように多大な被害が生じた地域に対して、国の適切な対策が望まれますが、農林水産省の御見解をお伺いしたいと思います。お願いします。
○佐藤政府参考人 津島先生の御質問にお答えいたします。
今先生御指摘していただきましたように、この冬の大雪等によりまして、東北地方等で農作物等への被害が発生しておりまして、昨年に続く二年連続の豪雪となった青森県では、リンゴにつきまして、先生御指摘のような被害額あるいは被害面積と相なっているところでございます。
これに対しまして、私ども農林水産省といたしましては、大きく分けて三つの対策で対応したいと考えておりまして、まず一つは、枝折れ等の被害を受けた果樹農家に対しましては、被害樹の改植や、これにより生じます未収益期間に要する経費に対する支援を行う事業がございますので、これによりリンゴ園の復旧に努めてまいりたいというふうに考えております。
また、自然災害による農作物被害につきましては、いわゆる農業共済に加入している農業者に対しましては、農業共済の迅速な損害評価と早期の共済金の支払い、そして、農業共済に加入していない農業者も含めまして、農林漁業セーフティーネット資金等の長期、低利の融資、こうしたものにより支援していく考えでございます。
先ほど先生の方からお話ございましたように、ことしの天候は非常に不順というふうに考えておりまして、関係県あるいは関係市町村と連携を密にしまして、農業関係の被害状況の把握と被害農家に対する支援に努めてまいりたい、このように考えているところでございます。
以上でございます。
○津島委員 ありがとうございました。
意欲を持って取り組んでいるリンゴ農家さんも、今のこの状況、木の修復に取り組み、なおかつ低温の影響によるおくれを少しでも取り戻すべく全面的な努力をしているところでございますので、国の御支援を何とぞよろしくお願いいたします。
さて、続きまして、先日、私は、地元津軽の若手農業者と意見交換をさせていただきました。ここからは、その場で頂戴しました御意見をもとに質問させていただきます。
経営規模拡大のため農地を借り受けたいけれども、なかなかよい貸し手が見つからないで困っているという状況がございます。担い手への農地集積を加速するため、貸し手、借り手を結びつける機能を強化する必要がございます。
この点について、先月二十三日、政府の産業競争力会議で、中間的受け皿により農地集積を加速するという提案がなされました。この中間的受け皿について、来年度予算の概算要求にはどのように反映をさせていくお考えか、お聞かせ願いたいと存じます。
○奥原政府参考人 農地の中間的な受け皿の件でございます。
今回、担い手への農地の集積、あるいは担い手ごとの農地の集約化、こういったものをさらに進めるために、県段階に、農地の中間的な受け皿といたしまして農地中間管理機構、仮称でございますが、これを本格的に整備をし、活用することを検討しております。
具体的には、地域内の分散し錯綜した農地利用を整理して、担い手ごとに集約化する必要がある場合ですとか、あるいは受け手がすぐに見つからない場合、こういった場合に、この農地中間管理機構が借り受けまして、必要な場合にはこの機構の負担で基盤整備等も行った上で、法人経営体や大規模経営あるいは企業などの担い手に集約化した農地を貸し付ける、こういったスキームを整備したいというふうに考えております。
この際、受け手が見つかるまでの間は、この機構が当該農地を農地として管理するということになります。
これからこの構想の具体化を図っていくことになりますけれども、現時点で詳細が詰まっているわけではございませんが、農地の中間管理機構が地域内の農地を借り受けるための賃料ですとか、あるいは機構が借り受けた農地につきまして基盤整備などを行うのに要する経費、あるいは受け手が見つかるまでの間に機構が農地として管理するために要する経費、こういったものにつきましては国費を投入する必要があるものと考えております。
いずれにいたしましても、新たなスキームが十分な効果を発揮しないといけませんので、今後、法制度の中身を詰めますとともに、必要な予算の確保に努めていく考えでございます。
○津島委員 ありがとうございました。
今後スキームを考えていかれる段階では、現場の声をしっかり反映させていく必要があろうかと思います。今後も現場の声をしっかり私が把握をいたしまして、今後の推進に反映させていきたいと考えております。
次の質問に移らせていただきます。
水あっての農業、特に稲作には盤石な水利施設が欠かせません。しかし、今、水利施設の老朽化が深刻化しております。
国では、二十五年度予算に農業水利施設保全合理化事業を盛り込んでいらっしゃいますけれども、今後も保全合理化のニーズというものは続くものと考えます。来年度の概算要求及び予算編成に対する農林水産省側のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○實重政府参考人 農業水利施設保全合理化事業についてお答えをいたします。
社会資本の老朽化に対する対応は我が国全体としての課題でございますが、農業水利施設についても、基幹的な施設だけを見ましても約二割が既に耐用年数を経過しているところでございます。このようなことから、点検、補修を行うことによって施設の長寿命化を図ること、それから、老朽化が著しく、緊急を要する施設については新しい施設に更新していくこと、これらが重要な課題となっております。
このため、二十四年度の補正予算におきまして、農業水利施設保全合理化事業を創設いたしました。これは、水利施設の点検、補修や、必要な場合には管理省力化やゲートの自動化などを含めまして、更新整備を行うことができるように措置したものでございます。二十五年度予算においても所要の予算を計上しているところであります。
今後も、委員御指摘のとおり、水利施設の老朽化は時間とともに進んでいくものであります。したがって、保全、整備についてのニーズは今後も見込まれているところでございますので、適切に予算を確保する方向で検討してまいりたいと考えております。
○津島委員 ありがとうございました。
地元でも自治体独自に、この水利施設については計画的な長寿命化ということを検討している自治体もございますので、今後とも適切な予算確保を何とぞお願い申し上げます。
では、話題をかえまして、今度は果実の輸出促進策についてお尋ねをさせていただきます。
地元での意見交換の場で、若手のリンゴ生産者から、新たな輸出先の確保をし、リンゴの輸出拡大に努めてほしいとの御意見を頂戴いたしました。そこで、私、果実の輸出先として今後有望と思われる東南アジア二カ国について調べてみましたところ、相手国側に輸入障壁が存在をし、現在、日本と相手国との政府間の交渉中であるとのことがわかりました。
そこで、林大臣にお尋ねをいたします。
まず、ベトナムでは、平成十九年のWTO加盟後、果実、野菜に対する食品安全法関係及び植物検疫関係のリスク管理を制度化し、最近はその運用が厳格化されております。その結果、輸入業者が輸入許可証を取得できない状況にございます。
農林水産省では、平成二十四年に申請を行い、現在も相手国政府と協議中とのことでございますが、その交渉の状況及び今後の展望をお聞かせ願いたいと思います。
○針原政府参考人 ベトナムへの果実の輸出の状況でございます。
ベトナムにおきましては、平成十九年一月に、植物検疫法で病害虫のリスクアナリシスを行った上で、輸入植物検疫許可証を与えることを規定しております。日本産のリンゴ生果実については、二十三年九月からこの許可証の発行が停止され、輸出ができなくなっているという状況にございます。現在、輸出再開に必要な病害虫のリスクアナリシスに必要な情報を提出して、専門家間で協議しているという状態でございます。
もう一つ、二十三年七月には、これは食品安全法に基づく細則が制定されております。植物由来の食品、野菜も含めてでございますが、輸出するためには、まず、ベトナムの食品安全上の要件を満たしている国として認定される必要がございます。このため、二十四年一月以降、厚生労働省と協力して、認定に向けて技術的な協議を行っているということでございます。
先日、五月の四日に、林大臣がベトナムを訪問された際にも、先方、ファット・ベトナム農業・農村開発大臣との会談の中で、この規制緩和の働きかけをしております。ファット大臣からは、リンゴそれから放射性物質規制の緩和、牛、豚については、持ち帰った上で、当方で関係者に通知して、担当者で検討し、貴省と意見交換し、できるだけ日本側の期待する形に沿って行いたいと、できるだけということでございますが、そういう御回答が、大臣みずから熱心に取り組んでいるところでございます。よろしくお願いいたします。
○津島委員 ありがとうございました。
ベトナムは非常に親日的な国でございますし、発展著しい国でもございます。大変有望な市場と思えますが、一日も早く交渉が進展をして、これは、リンゴのみならず、日本の農産物にとっても福音となることでございますので、何とぞ今後の御努力をよろしくお願い申し上げます。
次に、インドネシアについてお尋ねいたします。
同国では、生鮮食品の輸入に当たって、生産国認定などの条件をクリアしなければ輸入港を制限するという措置が講じられております。
例えば、青森リンゴは、首都ジャカルタまで八百キロ離れたスラバヤでの陸揚げを余儀なくされております。この生産国認定を受けるための協議の進展状況、これについて、そしてまた展望について、いかがお考えでしょうか。お尋ね申し上げます。
○長島大臣政務官 私の方からお答えをさせていただきたいと思います。
御指摘のとおり、インドネシアでは、輸出国に対して安全性が確認された場合に生産国認定を行うという制度、その生産国認定がなされると、港の使用、輸入港の限定がなくなるという制度がございます。そのことを目指して、青森県の要請を受けて、ただいま申請の協議を開始いたしまして、申請をさせていただくことにいたしました。
間もなく、当省の担当官をインドネシアに派遣して、インドネシア側担当官による青森県でのリンゴ産地の現地調査に係る日程調整等をさせていただいた上で、申請が実現できるようにさせてまいりたいと思います。これからも積極的に働きかけてまいりたいと思いますので、御理解を賜りたいと思います。
○津島委員 ありがとうございました。
質疑の持ち時間が終了いたしましたので、これで終わらせていただきますが、今後も、林大臣初め皆様に一層の御尽力をお願い申し上げ、また、私も地元の声をしっかり届けてまいります。よろしくお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○森山委員長 次に、堀井学君。
○堀井委員 おはようございます。自由民主党の堀井学でございます。
本日は、当委員会において質問の機会を与えていただきましたことに心から感謝を申し上げます。
私のお国自慢をちょっとさせていただきたいと思います。
私の選挙区、北海道九区は、北海道の南側に位置しておりまして、東西に約二百五十キロ、太平洋に面しており、北海道の中では比較的温暖で雪の少ない地域であります。
地域の経済を支える産業は多種多様に広がっておりまして、農業では、温暖な気候を生かした果樹園から、全国シェア九八%を占める軽種馬の生産、酪農、畜産、鶏卵、さらには稲作、畑作、甘味資源作物を初め、製糖工場、中山間地域では寒暖の差を利用した畑作物もある、北海道でも大変特徴に富んだ地域であります。さらには、日高山脈の雄大な自然の恵みを生かし、道内二位を誇る林業が集積をしております。
水産業においては、東西約二百五十キロの太平洋沿岸に、第一種から第四種まで合わせて三十四の漁港があり、主に沿岸漁業を中心に、サケ、スケソウダラ、ホタテ、昆布、ホッキ、カニ、ツブ、ウニ、シシャモと、日々豊富で新鮮な魚介類が水揚げされております。
本日は、山積する農林水産行政の諸課題の中で、先ほど津島先生が農業分野について御質問をされておりますので、私からは、特に水産分野について、年々水揚げ量が減少するサケの回帰率、また、近年その被害がふえ続ける、漁業者の皆さんにとって大変深刻な問題となっている海獣対策、また、さらには、円安が一層追い打ちをかけている燃油高騰対策について、以上三点についてお伺いいたしますが、時間が限られておりますので、はしょっていく可能性がございますので、御了承いただきたいと思います。
まず、北海道、東北の特に太平洋沿岸のサケの回帰率が悪く、水揚げ量も年々深刻な状況になっておることに関してなんですけれども、温暖化による海水温の上昇、放流時の稚魚の発育状況、稚魚にとっての外敵がふえたことなど、さまざまな要因が考えられるのですが、独立行政法人水産総合研究センター北海道区水産研究所が原因究明に全力を挙げて取り組んでいることは、私も承知をしております。
水産庁の現状の認識と原因分析はどのようなものになっているのか、最初にお伺いをいたします。
○本川政府参考人 御指摘のとおり、我が国に回遊するサケについて、特に北海道、東北の太平洋側で回帰率が減少しております。北海道の太平洋側でありますと、二十一年までは四%程度の回帰率があったわけでありますが、これが今はもう二%弱という形になっております。
回帰率の低下の原因について、十分に解明をされてはいないんですが、研究者がいろいろ議論をしている中では、回遊して帰ってくる場合に、稚魚のふ化放流時、それから、一旦沿岸にとどまって、沿岸からオホーツク海に移動するという時期、それからもう一つは、さらにベーリング海、そういう沖合に行く時期、そこから帰ってくる時期、こういう四つの時期に分けますと、沿岸にとどまっておってオホーツク海に移動する時期の減耗率が非常に大きいといったようなところまでは今わかっておるところでございますが、これからさらにその分析をしなければいけないといった状況でございます。
○堀井委員 私の北海道選挙区の同僚議員で、農林水産委員でもある武部先生の地元、オホーツク沿岸では、太平洋沿岸とは大変対照的に、サケの回帰率が好調であるわけであります。その陰には、地元自治体や漁業関係者の皆様の御努力、御尽力が実ったものでありますし、また、約十年近くにも及んで、水産庁を初め北水研において、研究に研究を重ね、施設整備の強化を図って取り組んできた成果があらわれた、全国にも誇れる成功例だと思っております。
その成功例と高い研究成果、類いまれな技術を今最も欲し、必要とし、求めているのが、北海道、東北の太平洋沿岸の地域であります。
もう既にその計画が進められていることは推察いたしますが、深刻なサケの回帰率を回復させるためにも、オホーツク海沿岸の取り組みを早急に取り入れる必要があると考えますが、政務官の御所見をお伺いいたします。
○長島大臣政務官 私の方からお答えをさせていただきたいと思います。
武部先生の地元の先進事例がすばらしい成果を上げていらして、オホーツクではシロザケの回帰率が六%から一〇%という高水準を維持しているということは、我々も認識をしております。
一方、太平洋側の回帰率が非常に下がっているということとサケが小型化をしているという状況、私も岩手県を復興大臣政務官の立場としても歩かせていただいて、つい先日もサケのふ化場を視察させていただいて、回帰率が下がっている原因等についていろいろお聞かせいただきました。
原因が特定できているわけではございませんけれども、何らかの理由で、回遊に出る間に生命体が少なくなっているのではないかというようなお話をされている方もおりましたし、温暖化の影響で帰りにくくなっているのではないかというお話をされている方も実はいらして、農水省は、やはりこの低下傾向を研究して、北海道・オホーツクの事例に倣えるように、ことし、太平洋サケ資源回復調査事業というのを二十五年度予算に計上させていただきました。その中で、小型化、そして回帰率の減少等、三陸から北海道、太平洋側の一大産地を守るべく努力をしてまいりたいと思いますので、ぜひ御理解を賜りたいと思います。
○堀井委員 農林水産省の皆様方においては、サケの回帰率向上に向けて、引き続き施策の推進にお取り組みいただきますようにお願いを申し上げたいと思います。
次に、問題となっている海獣被害対策について、水産庁にお伺いをいたします。
近年、トド、キタオットセイ、ゼニガタアザラシによる漁業被害が深刻であります。先ほど申し上げましたように、ただでさえ水揚げ量が減少しているサケが、さらに海獣たちによって食い荒らされているのであります。私たち人間と違って、頭と卵しか食べないゼニガタアザラシは、極めて乱暴で横暴、かつ、お行儀の悪い食べ方をしております。
そこで、これらの海獣による漁業被害の現状とその対策について、まず水産庁にお伺いしたいと思います。
○本川政府参考人 御指摘のように、トドによる被害が見られているところでございまして、私どもとして、まずはこの被害を防止するという考え方で取り組んでおります。
一定の捕獲頭数を設定いたしまして、これにつきましては順次拡大をするというような形で、例えば、平成六年百十六頭でありましたが、これを平成十九年に百三十二頭、さらに順次拡大をして今二百五十七頭の捕獲枠を設定して捕獲をお願いしているところでございます。
それに加えまして、先ほどおっしゃったように、トドが定置網の中に入っている魚を食べて網を破ってしまうとか、そういうような被害がありますので、トドが少々さわっても破れないような強化網を開発いたしまして、それを定置網の方で導入していただくようなことをしておりますし、さらには、刺し網というものにつきましてもこの強化網を使った刺し網というものを開発する、そのようなことで被害防止対策に取り組んでいるところでございます。
○堀井委員 次に、環境省に御所見をお尋ねしたいと思いますが、各種アザラシ、中でもゼニガタアザラシの漁業被害は、地元のえりも町とその周辺で極めて深刻な問題となっております。頭や卵のない形で水揚げされたサケ、つまり、目に見えてはっきり被害が確認されただけで、その被害額は年三千二百万から三千三百万円に上ると言われております。
えりも周辺の漁業者の皆さんとお目にかかると、決まって被害の惨状をお訴えになりますし、一日も早く対策を講じるようなお話をいただいております。これまでたび重なる会議や議論の結果、昨年に四十頭を上限に調査捕獲するとされていながら、実は一頭も捕獲されていなかったことから、漁業者の皆さんは、ことしは去年の分と合わせて八十頭やってくれるんだろうと私に願い出るところもあります。
そこで、環境省にお尋ねいたしますが、ゼニガタアザラシについては、その後の調査の進捗並びに今年度の対策方針はどのようになっているのか、お伺いをいたします。
○伊藤政府参考人 近年、ゼニガタアザラシによる北海道の漁業被害が非常に深刻化しているということは、我々も重々承知しているところでございます。このため、環境省では、捕獲による個体数調整も含めた保護管理対策の検討というのはこれまで行ってまいりました。
しかしながら、ゼニガタアザラシにつきましては、環境省が作成しておりますレッドリストにおきまして我が国における絶滅危惧種に選定している動物であるということで、個体数調整そのものについては慎重に検討していく必要があるのではないかということ、さらには、一定数捕獲したとしても被害が本当に減少するのかどうか、こういったことの確実性が低いのではないか、こういった御議論もございます。
こういったことから、環境省としましては、当面、被害防除を中心とした保護管理対策を行うということにしているということでございます。個体数調整につきましては、当面見送ろうということにしております。
このことにつきましては、本日、担当官を現地に派遣いたしまして、地元説明を行い、具体的な調整を行っていきたいというふうに思っておりますけれども、具体的には、音波による網への侵入回避等の防除対策、これをぜひとも地元の漁協の皆様とも、私どもの思いとしましては、一緒に協力をいただきながら、こういった対策をしっかり新しい事業として取り組むことによって被害防止対策についてしっかり取り組んでまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
○堀井委員 地元の漁業者の気持ちを考えると、私もすぐに、はい、そうですかと引き下がるわけにはいきません。ちょっと腑に落ちない部分もありますので、漁業者の気持ちを、声を反映させたいというふうに思っております。
並大抵の防除では今まで成果が上がらなかったことは、行政に携わる皆さんも十分承知をしていると思います。漁業関係者の皆さんは、昨年二月に環境省を訪問し、要望書を提出されております。皆さんもごらんになったことと思います。もちろん、どの御要望も簡単に実現できる内容でないことは承知をしております。
ただ、環境省も、これらの状況を深刻に受けとめた上でゼニガタアザラシ保護管理検討会を設置されましたし、専門的な見地からまず四十頭を上限に調査捕獲するとの結論を導かれ、地元と合意をなさってきたはずであります。その後、どこで、どのような議論がなされ防除という方針に変更されたのか不明であり、また、いま一度、どのような経緯で防除という方針に変更されたのか、重ねてちょっとお尋ねしたいと思います。
○伊藤政府参考人 先生御指摘のとおり、私ども、捕獲による個体数調整も含めた保護管理対策の検討を行ってきた、これは事実でございます。
いろいろ検討を重ねる中で、先ほど申しましたようなことで、レッドリストにおいて我が国における絶滅危惧種に選定している動物であるといったこと、それから、一定数捕獲して本当に被害が減少するのかということをまた総合的に検討しまして、先ほど申し上げたような結論に現段階で至っているということでございます。これは大変申しわけございませんけれども、ぜひ御理解を賜りたいというふうに思います。
ただ、しかしながら、しっかりとした防除対策、これは先ほども申し上げましたけれども、地元の漁業者の皆さんとも十分協議した上で講じていきたいというふうに考えている次第でございます。
○堀井委員 ありがとうございます。
あくまで防除という方針で臨まれていくということであります。
去る四月二十四日に、環境省北海道事務所の主催で、干潮時期となる五月二十五日前後に銃による捕獲を実施する協議を、北海道庁、えりも町役場、北海道警察、海上保安庁、猟友会、そして漁連の関係者が集まって、具体的な協議をし、話し合ったやさきでありますから、このような方針転換に関して、地元の皆さんの理解が得られるように、何か、きょう、行っていらっしゃるということでありますから、御説明をしていただければというふうに思っております。
このように地元の漁業者の皆さんは大変生活が苦しく、大変厳しい状況を余儀なくされております。今回の北海道内の事例に限らず、国が保護すべきとして指定する鳥獣や海獣による被害は、やはり国が責任を持って補償するものであると考えます。保護と補償はセットではないかと考えます。
既に、このことについて検討がなされてきておる、その時期が訪れていると思いますが、この問題には政府を挙げて取り組んでいただかねばならないと考えますが、直接補償制度の創設について、副大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○江藤副大臣 おっしゃることはよくわかります。私のところもイルカがいるわけですけれども、イカを食うんですけれども、ゲソだけ食うんですよ、身の部分は食わずに。だから、潮目のところにイカがいっぱい、だんごになって浮いている。それを網ですくって漁師が食うという情けない状況が今ありますので、よくお気持ちはわかります。
しかし、有害鳥獣全般の話ですけれども、被害が出た分を、では、国が補償するのかというのは、気持ちは私はそっち寄りなんですよ、正直なところ。しかしそれは、では、トウモロコシから何から、シイタケから全部見るのかという話になると、これはなかなか厳しい話になります。
ただ、環境省さんの話を聞いておって、やはり一度決めたのであれば、きちっと捕獲はして、やらなきゃいけないこともありますし、私どもとしても、ハンターの皆さん方も、今まで、とったら、北海道でやったら、本州に逃げていっちゃうわけですよ。ですから、これからは、本州と北海道と一体的に一斉駆除をやる。本州の人たちにも、それにかかわる費用はお出しをして、言い方はきついですけれども、逃げ場のない、一時避難したところもやっつけてしまうというような、これはトドですけれども、という対策もやっていきますので、その補償については、また党内でぜひ、宮腰先生、よろしくお願いいたします。
○堀井委員 副大臣、大変わかりやすい答弁、ありがとうございました。
ぜひともこの問題、皆さんで一致協力して取り組んでいきましょう。ぜひ、解決に向けて、皆様方の御尽力をお願い申し上げる次第でございます。
最後に、大臣に、燃油高騰対策についてお伺いをいたします。
安倍内閣が最優先課題として取り組む円高デフレからの脱却、強い日本経済の回復は、着々とその成果を見せ始めています。きのうの円相場は、実に四年七カ月ぶり、一ドル百二円台をつけました。何と、昨年十一月の衆議院解散のころと比べますと約二十円も円安が進んでおり、経済界からは、ようやくスタートラインに立てるという安堵の声も聞かれております。その一方で、短期間で過度に円安が進むことについては、国民生活への影響に十分な注意を払うことも必要であります。
多くの漁業関係者の方々も、円安による一層の燃油高騰に打撃を受けていらっしゃる方もおります。水産物の消費者物価が下落し続ける中で、また、先ほど来のお話のように、個別の漁業者にとっては、今までとれていた魚がとれなくなるという中で、漁にとっては不可欠な燃油が高騰しているということは、まさに二重三重の打撃を受けていることになります。
従来から、燃油の高騰対策には漁業経営セーフティーネット構築事業を実施していただき、ことしも、一月期―三月期に購入した燃油については、一キロリットル当たり一万四千二百四十円の補填の実施を決めていただいております。一日も早く加入者に補填金をお支払いいただきますようにお願いを申し上げますとともに、同時に、基金の十分な確保と、今後、予期し得ない異常高騰となった際には異常高騰分についての特段の措置をお願いしたいと存じますが、最後に大臣にお伺いして、質問を終わりたいと思います。
○林国務大臣 今委員から、漁業経営セーフティーネット構築事業の御披露がございました。まさにこれをきちっと運用していく、これが基本でありまして、二十四年度の補正では三十九億、それから、今御審議いただいております二十五年度の当初予算案は三十五億円積み立てておりまして、今、残高が百億円ということでございますので、今後の高騰に対しても一定の対応は可能である、まずそれだけのものはあるということで、浜の皆様には、その分、安心感を持ってやっていただきたいと思います。
今委員から御指摘があったように、行き過ぎた円高の修正局面ということではありますが、スピードが少し速いのではないかというような方もいらっしゃいます。この後どういうことになるか、これは為替ですから判断が難しいところではあるでしょうけれども、今お話しになったように、予期しない異常高騰というのになった場合には、まさにこの異常高騰分について何らかの対応をしていかなければならないということでございますので、急いで、もう六月中には一定の方向を得られるように今後の検討を詰めていきたい、こういうふうに思っておるところでございます。
○堀井委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○森山委員長 次に、佐藤英道君。
○佐藤(英)委員 公明党の佐藤英道でございます。
初めに、TPPについて伺います。
先日、超党派の豪日若手国会議員交流プログラムの一員として、オーストラリアを訪問させていただきました。
オーストラリアは、人口約二千三百万人、面積は日本の約二十倍、農業が国の主要な輸出産業であります。農地面積は日本の約九十倍、農家一戸当たりの農地面積は実に一千九百倍にもなります。そのオーストラリアも年々農業生産量が減少しており、また、気候に影響されやすい麦が主要産品であることから、たびたびの不作に見舞われるなど、苦労して農業を守っているようでございました。
そのような中でTPPの交渉に参加しているわけですので、私が訪問先で会う人ごとに言われたのは、日本の交渉参加は大歓迎だということになるわけであります。日本の自給率は三九%、豪州の自給率は何と四〇〇%にもなるわけであります。このオーストラリアから農作物が関税なしで入ってきたらどうなるか、これまで政府から受けた影響試算についての説明は少々楽観的過ぎではないのかと心配せざるを得なくなったわけでございます。
まず、自給率四〇〇%の背景である広大な農地は、日本の農地になれ親しんだ私どもから見れば、余りにもスケール感が違います。また、オーストラリアは農作物の輸出拡大のためによく研究しておりました。オーストラリアにとって最大の農業輸出先は日本であります。その日本人の食味をよく研究していると実感しました。
滞在中、食事をしようとお店に入るたびに、驚いたことに、和牛に出会うわけであります。ジャパニーズ・ハイクオリティービーフ、WAGYU、この場合、ローマ字表記のWAGYUでありますけれども、オーストラリアでは決して特異な存在ではありませんでした。
これまで影響試算の説明のたびに、日本の国産和牛は高品質であり、安い輸入牛肉は食卓に並ぶかもしれないけれども、それとは別に、二極分化された一方の高級品として国産ブランド牛が残ると聞かされてきたわけであります。しかし、本当に残るのかどうかというのが私の偽らざる実感でございました。我が国も、これから攻めの農業を本格化させていくに当たって、相当な研究、努力が求められると強く感じた次第であります。
大臣を中心に農林水産省に頑張っていただかなくてはならないし、国会の側も最大限に努力をしなければならないと思いますけれども、御決意も含めて、大臣の御見解をまずお伺いしたいと思います。
○林国務大臣 お答え申し上げます。
今委員がおっしゃられました統一試算でございますが、これは、農林水産物への影響につきましては、余りいろいろな細かい前提を置かずにごくごく単純化して、つくった時点も二月、三月ぐらいだったと思いますから、その時点で余り細かな前提というものを置かずに単純化して試算した。したがって、全ての関税が全部なくなって追加的な対策を全く講じないということですから、こういうふうには絶対ならないように交渉に全力を挙げるということですが、幅を持ってこの数字は捉える必要がある、こういうことだと思っております。
その中で、今委員がおっしゃったように、どの部分が置きかわってどの部分が残るかというところも、したがって、非常に単純化されておりますので、我々も、ある意味では交渉もそうですが、置きかわらないようなものを中でしっかりとつくっていくということが非常に大事ではないか、こういうふうに思っております。
そういう意味では、今、和牛のお話がありましたが、私も連休中にインドネシアに行ったときも和牛という言葉に接したんですが、よくよく聞いてみると、必ずしも日本から持ってきたものではなくて、何といいましょうか、一般名詞のようになっていて、サシが入って非常にジューシーなという意味でどうも使われているようでございますので、逆に言えば、スーパーを視察いたしましたけれども、日本のいろいろなもの、例えばワサビなんかが日本語でそのまま表記をされたパッケージで売っているということでありますから、きちっと日本のブランドというものを確立していけば、アジア太平洋地域における日本食や日本の食材に対する需要は非常に強い、こういうふうに実感をしてまいりました。
やはり、オーストラリアでつくったいわゆるローマ字の和牛よりは、日本できちっとつくった日本の和牛、片仮名ではなくて、ローマ字ではなくて、漢字で書いた和牛をしっかりとつくって、負けないものをつくっていく、こういうことも含めて、しっかりと攻めの農林水産業ということで取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
○佐藤(英)委員 次に、今回、安倍総理のロシア、中東への訪問は、文字どおりのトップセールスに総理みずから打って出られたという意味でも、大変に注目が集まりました。
日本食のPRについて説明を受けましたけれども、おすしや日本酒などの代表的な日本の食をレセプションなどのさまざまな機会を通じて御紹介され、大変に高い評価を受けたと伺いました。また、マンゴーやブドウ、メロンといったフレッシュフルーツなど、素材そのものの品質の高さも理解を広げられたとも伺っております。
また、中東では、江藤副大臣の御地元、宮崎の牛肉も並んだということでありますけれども、口蹄疫で大変に御苦労されながら二年連続で品評会に優勝されたという農家の方々の御苦労が今回の訪問で報われたのではないかと、心から喝采を送りたいと思います。
また、経済ミッションでは農業分野に関しての協議も行われたと聞いておりますけれども、日本の農業、特に北海道の農業は寒冷地の農業として大健闘してきました。また、その成果も昨今さまざま見られるようになってきました。そうした中での今回の経済ミッションの話でありますので、これも大いに期待が広がるわけであります。
多角的に日本の食と農をアイテムにしていこうという点、そして経済ミッションで日本の寒冷地農業の高い技術を活用していこうという点を踏まえて、このたびのロシア、中東訪問に同行されました江藤副大臣に御所見をお伺いしたいと思います。
あわせて、ちょっと一点、もう一つお聞きしたいんですけれども、これは通告していなかったんですけれども、北海道の地元では、日ロのサケ・マス漁業協定、まだ妥結されておりませんで、今か今かと大変に注目をしているところでありますし、一日も早い協定の妥結を強く望んでいるわけでありますけれども、おわかりになる範囲で結構ですので、教えていただければと思います。
○江藤副大臣 今回は、非常に驚いたのは、新聞とかテレビの報道では、やたら経済界の例えば原発の売り込みであるとかそういうことが主に報道されておられますけれども、首脳会談に同席しておりますと、半分近い時間を農産物の売り込みに総理は使われたんですよ。食事中も相当熱心に細かくお話をされていました。プチトマトとかイチゴとかいろいろな日本酒とか、日本酒だけで十数種類持っていきましたので、大変好評でした。
私のところの牛肉も持っていきましたけれども、アブダビのムハンマド皇太子も非常に喜んでくれたんですが、彼らにとってはサシの入っている牛肉はちょっと気味が悪いんですね、ハラールというきちっとした処理の仕方もしなきゃならないので。食べたことがない。びっくりしたんですよ、お金持ちのところだから当然食べたことがあるだろうと思ったら、初めての体験で、最初は恐る恐る食べた人が、食べてみたら、あっという間にぱっとなくなってしまう。ですから、やはりトップセールスの力というのはすごいなということを感じました。
そして、この経済ミッションの全体の中で、北海道銀行がアムール州との協定を結んだその場にも同席をさせていただきましたけれども、非常に有効だと思います。気候も風土も似ている。そして、土地をいわゆるブロックローテーションをしたり反転耕をさせたり、土地の地力を落とさないような農業のやり方というものは日本独特のものですから、ほかの外国の企業も大分入ってきたようですけれども、若干収奪型の農業を展開していて、土地が痩せると捨ててしまうということをしているようですから、北海道に対する期待は非常に大きいということも感じました。
それから、サケ・マスについてでありますけれども、私も、総理と離れて、バイの会談で、農水次官と向こうで協議をいたしました。二十一億ですか、入漁料を払わなければいけない。しかし、今の状態であれば、漁獲高の九五%を向こうに払ってしまうような状態になりますので、これでは、伝統あるサケ・マスという流れもなくなってしまうよ、だれも漁に行かなくなるよ、そうなるとロシアとしても得じゃないだろう、だからこれは理解のできる範囲まで下げてくださいということは率直にお願いをしました。プーチン大統領には、総理みずから申し上げてもいただきました。
それから、漁期についても、なかなか腰が重いんですけれども、五月、六月、一日も早く漁期を再開しませんと、開いたはいいけれども漁期は終わっているということもあり得ますので、本当はもう今週中にでも、何とか糸口をつかむように今鋭意努力中でございます。
○佐藤(英)委員 どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。
次に、国内農作物の需要拡大についてお伺いをしたいと思います。
これから攻めの農業、打って出る農業を実現するためには、やはり研究の重要性、それに加えて戦略の必要性は絶対不可欠だと思います。
海外という広い市場を相手に、つぶさに情報を収集し、分析し、勝てるために一体的で大胆な戦略を立て、一気呵成に実行していくということがこれからますます求められていきます。
それを実現していくためには、ALICや民間の企業、団体が日ごろ収集している情報や戦略を国も共有する、その逆もやっていく、官民の一体的かつ双方性を持った関係をより強固に構築して、いわばスクラムを組んで、守るべきところは守り、攻めるべきところは攻めていかなければならないと思います。
日本が誇るべきすぐれたブランド、すぐれた技術をフル活用するための国内対策の状況と今後の展開についてお伺いをしたいと思います。
○江藤副大臣 おっしゃるとおりだと思います。
前にもこの委員会で御答弁させていただきましたけれども、四千五百億円の輸出総額を一兆円にするという目標を掲げておるわけですが、それによって農家の収入等が上がらなければ意味がないので、しかし、フードバリュー全体として、これはスクラムを組んでやるべきことだと思います。一次産業だけが突出するのではなくて、二次、三次もパッケージとして戦略を持って輸出していくことがこれから大事になってくるんだろうと思います。
そしてまた、先ほど言いそびれましたけれども、総理も必ずどの国に行っても言われたことは、福島原発における、福島はまだ輸入規制が、いわゆる受け入れの規制ががっちりかかっていますし、その他の県でも証明書をつけなきゃだめだよというところがたくさんありますので、こういった原発にかかわる輸出制限、輸入制限について何とかしてほしいということは、必ず総理は御自身の口で言われておりました。
先ほどは、その受け入れ、ベトナム、インドネシアの話もありましたけれども、各国には各国の動植物検疫の基準があって、我が国にもあるわけですから、つぶさに情報を収集して、少しでも門戸が開けるように、今後努力をしていきたいというふうに思っております。
○佐藤(英)委員 北海道の農家、農業関係者の方々の努力で実現した一〇〇%国産小麦のパンが、ゆめちから、もう前回の委員会で大臣にお触れいただきました。本当にありがとうございました。このゆめちからは、ラーメン用小麦としての可能性も秘めておりまして、今後の国産小麦の飛躍的な需要拡大の夢を実現する力があると私は信じております。それを現実にするために、何といっても、需要が伸びる必要があります。
私の地元で、国産大豆にこだわった納豆を製造、販売しておられる方がおられます。最近は納豆自体の需要も低い中で、全国納豆協同組合連合会もPRに努力されているわけですが、そうした納豆の中にも、国産原材料を使っているというサインであるフードアクション・ニッポンのマークが表示されたものもふえてきているようであります。
どんどん応援をしていきたいと思っていますけれども、一体どうしたら国産農水産品がもっと国内で食べてもらえるようになるだろうか、大変悩ましい問題でもあります。国として、給食などを通じて小さいうちから国産原材料を食べてもらおうという取り組みもしておりますけれども、自分の国でつくられたものを積極的に食べてもらうためには、何といっても、効果的なPRをするかが大変重要なウエートを占めるのではないかと思うのであります。
そこで、一つの提案でありますけれども、この際、思い切って、国産農産品、水産品の需要拡大キャンペーンに、総理や林大臣初め知名度が高い著名な方々に御登場をお願いして、最大限の効果を期待できないものかと提案するものであります。
例えば北海道においては、北海道知事みずからがテレビ出演して、北海道産の米を食べよう、北海道産の麦を食べようと、北海道米にチェンジする運動、いわゆる米チェン運動や麦チェン運動の先頭に立ち、功を奏したと思います。
国産品にこだわっている加工業者、新たな分野の開拓に取り組んでおられる農家の方々にとっても大変に心強い応援になるのではないかと思っているのであります。いかがでしょうか。
○林国務大臣 この間の委員会でゆめちからのお話をさせていただきました。四月一日からの発売に先立ってちょっといただいたものですから、私も食べさせていただきまして、大変おいしい、ああ、これは国産を使っているんだなと思って感心したわけでございます。
私も、事あるごとに、こういうゆめちからという、パンをつくるのがあるんだよと。それから、ラーメンにもお使いになれるというお話もありましたが、今度、福岡の方ではラー麦という、あの辺は豚骨ラーメンが盛んでございますので、そのために品種開発をした小麦、こういうものを使ってやっておられるということもあるようでございますので、やはりいろいろなこういう力を、総力を結集して、消費者の認知を向上させていくものが必要になってくる、こういうふうに思っております。
二十五年度から、予算規模四十億円で、日本の食を広げるプロジェクトということで、ソフトな予算ですが、モデル地域五十地区ぐらいを想定して、消費拡大に向けた取り組みをやったり、また、全国的な消費拡大のイベントというものもやっておるところでございますので、今先生おっしゃったように、私の知名度がどれぐらいあるかわかりませんが、総理やいろいろな方のお力をかりていろいろな展開をしてまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。
○佐藤(英)委員 ぜひ御検討のほど、よろしくお願いしたいと思います。
最後に、堀井委員もお話しされておりましたけれども、燃油の問題でございます。
円安の影響で燃油が高騰し、先日、対策が発動されました。それでも漁業の対象魚種によっては追いつかないケースも出ているようであります。イカ釣りなど、一層の支援ができないものでしょうか。
また、飼料高騰も懸念されているところであります。
状況をお伺いしますとともに、今後の対策のいかんについてお伺いし、質問を終えたいと思います。
○本川政府参考人 まず、私の方から、漁業の燃油対策についてお答えをさせていただきます。
先ほど来議論が出ておりますけれども、漁業経営セーフティーネット構築事業というものを平成二十二年度から実施させていただいております。
これにつきましては、この一―三月の補填額が一万四千二百四十円になっておりますが、補填の基準価格はA重油で八万円でございます。これを超えるものについては全て補填がなされるといったようなことでございます。
先ほど大臣からもお答えがございましたが、積み増しをした結果、百億円の基金が、国費分残高がございますので、今後の高騰に対しましても、八十円を超える部分について一定の補填が実施できるということでございますので、漁業者の方々には安心して漁に出ていただきたいというふうに考えております。
ただ、先ほど来ありましたように、異常高騰となりましたときには対応が難しくなる可能性もございますので、今後、六月中にも一定の方向を得られるように検討しておる、そんな状況でございます。
○佐藤政府参考人 燃油あるいは飼料の価格の高騰に伴います農業分野への対策でございますが、先ほど先生の方からお話がございましたが、施設園芸用のA重油でございますが、昨年十一月の価格ですが、これが一リットル八十八・四円が三月には九十七・九円、それと、配合飼料価格につきましては、七―九月期にトン当たり五万八千五百円だったものが、本年四―六月期に六万六千四百五十円というふうに上昇しておるところでございます。
こうした状況の中で、燃油、飼料の価格高騰が農業経営に与える影響を緩和するということで、施設園芸につきましては、二十四年度の補正予算で燃油価格高騰緊急対策ということで四百二十五億円の事業を予算計上しておりまして、これによりまして、ヒートポンプあるいは木質バイオマス利用加温設備、こうした省エネ設備のリース方式による導入への支援と、そしてまた、燃油価格が高騰した際に、生産者に対して上昇分を補填するセーフティーネット措置、こうしたものを講じているところでございます。
また、畜産につきましては、配合飼料価格安定制度といったものがございまして、直前一カ年の平均価格を超えた部分について補填しているところでございまして、平成二十五年四―六月期においても、畜産経営の負担が軽減されるよう、合計いたしまして約三百四十八億円を補填するというようなことにしているところでございます。
今後とも、こうした動向等について注視しまして、適宜適切に対応していきたいというふうに考えておるところでございます。
以上でございます。
○佐藤(英)委員 ありがとうございます。
終わります。
○森山委員長 次に、後藤斎君。
○後藤(斎)委員 大臣、おはようございます。どうぞよろしくお願いします。
まず、四月三十日に、ICOMOSから、富士山の世界文化遺産登録のユネスコへの勧告が決まりました。若干条件がついているものの、私も山梨県民でありますから非常にうれしく思っていますし、これから、保存という大きな課題はあるものの、これが地域の活性化につながっていくことを一つ大きく私たちも期待をし、希望もしているところであります。
私の選挙区でもあります南アルプスという、富士山と並んで山梨県では大きな自然を今でもきちっと守っている地域がありまして、三県十市町村で、ユネスコへのエコパーク構想ということで、自治体が連携をし、今、申請に向けての手続をしているというふうに承知しています。
まず、南アルプスのユネスコエコパーク申請に関する現状と、政府の自治体への指導等も含めて、現状について、まず、文科省にお伺いをしたいというふうに思います。
○加藤政府参考人 御説明申し上げます。
委員御質問のユネスコエコパーク事業でございますが、これは生態系の保全と持続可能な利活用の調和を目的として、地域をユネスコが登録するというものでございまして、現在、世界百十七カ国で六百十地域が指定されてございます。
この登録に向けた申請につきましては、地元の自治体などが申請書を作成されまして、日本ユネスコ国内委員会に提出いただきまして、国内委員会の中の人間と生物圏計画分科会で専門的見地から審議の上、国内委員会からユネスコ事務局に申請書を提出するという運びになるものでございます。
先生のお地元の南アルプスユネスコエコパークの申請につきましては、関係自治体において、南アルプス市が事務局となって、三県十市町村から構成される南アルプスユネスコエコパーク登録検討委員会というものを設置されまして、申請書の作成に向けた準備が進められていると承知してございます。
国内委員会の事務局を務めてございます文部科学省におきましては、地元からの御相談を受けまして、現在、農林水産省、環境省といった関係省庁とも連携いたしまして、関係自治体からヒアリング、また、申請書の作成に係る助言を行うなどいたしまして、本年九月末のユネスコ事務局への申請書の提出に向けまして、鋭意検討を進めているところでございます。
今後、地元から正式に申請書が提出されてまいりますれば、国内委員会の人間と生物圏分科会で専門的見地から審議の上、基準が満たされているということであれば、ユネスコ事務局に申請書を提出するという予定でございます。
○後藤(斎)委員 林大臣、今、文科省がこのユネスコエコパークの政府の窓口になって調整をしていただいているということですが、環境省も農林省もこのメンバーの一員になっています。
そういう意味で、冒頭申し上げましたように、世界遺産という部分では非常に難関性はあるものの、ユネスコエコパークというのは、ある意味では、景観保持というものが実際の産業活動と上手にバランスをとって対応ができるという手法にもなっているというふうにお聞きをしています。
そういう意味で、九月の申請ということを考えて、残された期間が四カ月余りという形で、時間もそんなにございません。地元的には、三県十市町村も非常に熱心に申請に向けての協議会等の議論を進めているようであります。
南アルプスは、大臣も御案内だと思いますけれども、ほとんど山ばかりと言うと失礼ですが、当然、山、木を主体とした自然環境の保持という形と、それにエコパークのいろいろな教育とか研修とか、そういうものを上手にバランスをとりながら、その周辺である産業活動も支援をしていくというふうな、ある意味では結構すぐれものであります。
先ほど六百十地域ということを文科省からもお答えいただいたように、日本ではまだ五カ所しか登録がされていない、六カ所目という、まだそんなにたくさん日本全体にこのユネスコエコパークというものが認知をされているわけではありませんけれども、ぜひ農林水産省としても、文科省と協力をしながら、自治体の要請を上手に酌み取って、九月の申請、そして来年、例年ですと五月か六月にユネスコ本部での国際調整理事会というものが開かれて、推薦があった地域について審議をするという日程だというふうにお聞きをしておりますので、ぜひ九月に向けての政府の中でのさらなる自治体への協力と、農林水産省としても文科省と連携をしながら力強くバックアップしていただきたいと思いますけれども、その点について、大臣、いかがでしょうか。
○林国務大臣 今先生からお話がありましたように、ユネスコの方のエコパーク、私もきょう、この答弁の資料を見させていただいて、世界自然遺産というのと別にこのユネスコエコパーク、それからユネスコがかかわる登録制度としてはもう一つ、世界ジオパーク、この三つがあるわけですが、まさに、今委員からお話があったように、人とそれから自然が調和をするという意味では、我が省の成り立ちに非常に近いものだろうなと。世界遺産は、手つかずの自然をそのまま守るということに比して、生態系の保全と持続的な利活用の調和ということですから、非常に意義あるものだ、こういうふうに思っております。
今、お地元の山梨、静岡、長野にまたがる南アルプスの十市町村、登録申請を目指した取り組みが行われているということでございます。この区域は、国有林野内の南アルプス南部光岳森林生態系保護地域や、それから民有林内でございますが、山梨県自然保存地区、こういうものに設定された地域でもございます。
したがって、我が省としても、文科省中心にやっていただきますが、しっかりと連携して、登録申請に向けた取り組みに対し、申請書の作成に当たっていろいろな助言をする等、積極的に協力をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
○後藤(斎)委員 大臣としても、文科大臣そして環境大臣も含めて、ぜひ強力なバックアップをして、九月に本申請が確実にできるように、よろしく御指導を賜りたいというふうに思います。
大臣、きのう久方ぶりに為替レートが一ドル百二円台ということで、確実な円安という状況になったことは、いろいろなプラスマイナスが私はあるというふうに実は思っています。
後ほど幾つか確認をしていきたいというふうに思っていますが、大臣、この四カ月余りで二十円以上円安傾向になり、百円の壁がなかなか越せないというふうなエコノミストの見方もつい最近までありましたけれども、それが一挙に百二円ぐらいまでいったという、この為替レートの水準について、政府内でも、それぞれの担当大臣も含めていろいろな御議論があるようですが、これは私は所管ではないと言わずに、大臣の、この水準についての素直な御評価をまずお尋ねしたいというふうに思います。
○林国務大臣 先ほどの質問の中でも少し触れさせていただきましたが、私が、財務省というか大蔵省で政務次官をしておったころは、まだ非常にかたくて、為替については、経済のファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが望ましいとしか言っちゃいかぬ、こういう時代だったわけですが、今はそれよりも少し、いろいろな御意見等はそれぞれおっしゃっておられるようですが。
農林水産省の立場でいいますと、やはりトウモロコシとか麦の穀物や燃油等の生産資材、これは輸入している方が多いものですから、当然国際価格もあるんですが、為替の変動の影響を受けやすい、こういうことであろうかというふうに思います。
そういう意味では、この為替相場、先ほど申し上げましたように、過度な円高の修正局面、こういうことではあろうか、こういうふうに思っておりますので、方向性そのものについて、全般的にどうかということは申し上げませんけれども、しかし、さっきちょっと申し上げたように、スピードが少し急ピッチかな、こういうふうに思っております。
今、委員からも、百円を抜けた、こういうお話でございましたが、多分、相場をずっと見ておりますと、百円を抜けるまでに少し時間があったのかなというふうに見ておったんですが、この時間がかかるところも抜けたということですから、今後もここは注視をして見ていかなければならない。特に、我が省でいいますと、先ほど申し上げたようなところ、農林漁業者への影響は非常に注視をするべきところだ、こういうふうに思います。
先ほど来議論がありますが、いろいろな制度がございますから、しっかりと、浜の方また農業者の方が心配されないような対応を図っていきたい、こういうふうに思っておるところでございます。
○後藤(斎)委員 つい去年くらいまでは、去年というかことしの初めまでは、円高というのが日本経済の、特にデフレ状況を脱却する一つの大きなハードルだと言われ続けてまいりました。
二十八年前の、一九八五年のあのプラザ合意のときに、当時は為替レートは一ドル二百五十円から二百六十円だったものが、プラザ合意という一つの大きな政治的、経済的な節目の中で、これは一年、二年かけてですが、半分くらいまで、百二、三十円まで一ドルが下がっていった、上がっていったと言ったらいいか、どちらかは別としても、円高に振れたということだったというふうに記憶をしています。
それ以降の農林水産業を取り巻く状況というのは、当然のことながら、まだ三十年前までは、いろいろな輸入障壁、国境保護措置というものが今以上に手厚い状況だったというふうなことは現実だというふうに思っています。当時はまだウルグアイ・ラウンドの前ですから、関税も今の水準よりも当然高く、なおかつ、輸入制限の品目が、かなりの品目で数量制限をしながら日本の農業を守ってきたというふうなことだったというふうに記憶をしています。
そういう意味では、これからちょっと幾つかの局面というか部分でお尋ねをしますが、今回の円安という部分が、まず一次産業のメーンである農林水産業本体にどのような影響を今与えているのか、そして、これからも、さっき大臣が、注視をしたいということが、まあ、それしかないんですが、これ以上仮に円安方向に振れた場合、マイナスの部分が仮にあるとすれば、そのマイナスの局面が非常に強くなっていくというふうに当然想定をしますが、農林水産業にはまずどのような影響を与えているのか、簡潔に御答弁をお願いしたいというふうに思います。
○佐藤政府参考人 後藤先生の御質問にお答えいたします。
先ほども御答弁申し上げたところでございますが、この燃油あるいは飼料の価格につきましては、先生御指摘の為替相場の動向といったものも一つの原因でございますが、いわゆる干ばつ等による国際的な商品市況の変動、こうしたものなどによりまして変動するということになっておりまして、今回、先ほど申し上げましたが、施設園芸用A重油でございますが、昨年十一月の価格が一リットル当たり八十八・四円だったものが、本年三月には九十七・九円、配合飼料価格につきましては、昨年七―九月期に一トン当たり五万八千五百円だったものが、本年四―六月期に六万六千四百五十円というふうに上昇したところでございます。
こうした状況のもとで、私どもといたしましては、施設園芸につきましては、二十四年度の補正予算で燃油価格高騰緊急対策といったものを講じまして、ヒートポンプの導入、あるいは燃油価格が高騰した際の上昇部分の補填をするセーフティーネット措置、こうしたものを講じておるところでございます。
また、畜産についても、配合飼料価格安定制度、こうしたものによりまして、上昇した部分について補填をしておるといったような状況に相なっているところでございます。
以上でございます。
○後藤(斎)委員 局長、今の部分は資材価格の面なんですが、一方で、内外価格差が縮小して、輸入価格が、特に生もので輸入されるものは内外価格差が縮小する、すなわち輸入価格が上がっていくということで、卸、小売段階で、国内産にその需要がシフトするという状況は今のところあらわれていますか、いませんか。
○佐藤政府参考人 今の後藤先生の御質問でございますが、国内価格や何かについても注視していかなきゃいかぬかと思っていますが、今のところ、それによって輸入がとまったとかいうようなことまではちょっと把握しておりません。また、そうしたものについて把握していきたいと思っております。
ただ、私ども非常に懸念しておりますのは、畜産にしろ、施設園芸にいたしましても、燃油あるいは餌代といったものが、相当な要因といいますか、経営費の中の割合が高うなっておりますので、こうした点についてやはり丁寧に対応していく必要があるというふうに考えているところでございます。
○後藤(斎)委員 それでは、いわゆる食品産業部分、油をつくったり、小麦粉をつくりパンをつくったりといういわゆる食品加工の部分については、どのような影響がございますでしょうか。
○針原政府参考人 食品産業への影響でございますが、麦、大豆等の加工食品の原材料、燃油、そのような生産資材の多くを海外からの輸入に依存している我が国の食品産業の現状から見て、業態ごとに原材料費の割合は異なるわけでございますが、一般的には、国際価格の動向、為替の変動の影響を受けやすい、そういうような傾向にございます。
特に、近時におきましては、円安の影響もございまして、加工食品の原材料や燃油の価格上昇によって、一部の食品メーカーが製品価格の値上げの表明を行うなどの動きが見られるという状態でございます。
ただし、実際に値上げが実現するかどうかということにつきましては、メーカーさんと個々の売り渡し先、小売さんなどとの交渉次第で決まるものですから、その値上げ交渉は一部難航しているということも聞いております。
また、外食産業でございますが、円安の影響で原材料の価格が上昇したものがございますが、販売価格については個々の事業者の戦略によりそれぞれ設定されている。値上げしたものもあれば、今、値下げしている業態もございます。
そういうような影響につきましては、引き続き、情報を収集しながら、動向を注視して丁寧に対応していきたいと考えております。
○後藤(斎)委員 大臣、今両局長から、生産の現場、そして加工の面で、少なくともプラス面よりもマイナス面の方が大きいというふうなことだと私は基本的には思っています。
ただし、先ほどちょっと触れさせていただいたように、前の円安局面に触れた状況では、果物、野菜の輸入額が実際に減った、輸入価格の上昇でその輸入の実量が減ったというふうな分析も、これは少し時間がたたないとできないかもしれませんが、あったというふうにもお聞きをしております。
ただ、これまで国境措置というものをできるだけフリーにしてきたという現状を鑑みれば、マイナス局面の方が多いということについて、大臣もう少し、確かに、いろいろな燃油、燃料の補填というのは、農業についても水産業にしてもそういうサポートをする体制はあるものの、やはり円安だけが全ていいという部分が、何となく今、時代の流れかもしれませんが、先行し過ぎているのかなというふうに私は思っています。
そして、先ほど加工食品の部分でも価格転嫁が実際できないと。そこまで小売の現場というのは、今、別の委員会で消費税の転嫁法案について議論が進められていますが、税という国内措置だけではなくて、国際市況や為替レートの水準でいろいろな値段が当然変わってくるんです。
それが、国民の皆さん方、特に消費者の方々に、そういうものが前提で食料品、農産物というものは価格が値決めをされていて、それが、後で触れますけれども、お互い適正なものでない限り、先ほどのユネスコエコパークではありませんが、持続可能なものになっていかないというこの現状についてもう少し、食育というのは最近いろいろな学校現場でもやっているんですが、消費者団体の方々も含めて、その辺の値決めのあり方や、今の円安というものは、マイナスになったときにこういうふうになっているけれども、やはり適正な部分は消費者にのみ込んでもらわなければいけないということも含めた対話というものは、大臣、率先してやっていただく必要があると私は思うんですけれども、その点についていかがでしょうか。
○林国務大臣 おっしゃるとおりだと私も思っておりまして、今、先生のお話を聞きながら、子供のころ、御飯を食べる前に手を合わせて、食卓に並ぶまでに、特にお百姓さんが丹精込めてつくってくれたんだから、こういうようなことで手を合わせてから、いただきます、こうやっていたわけでございます。
やはり大事に大事にするという基本的な気持ちがあって、その上で、商売ですから、いろいろな値決めはしていくということはあろうか、こういうふうに思いますが、そこのところも、食育等も通じて、きっちり我々から発信していく必要があると思っております。
それから、もう一つは、中長期的に展望しますと、大豆やトウモロコシが史上最高値をつけているということは、やはり世界的に需給が今から逼迫していくであろうということであれば、これは単に為替相場というだけではなくて、こういう中長期的な、構造的な問題に対応して、そういうものに余り左右されないような、いろいろな、強い体質もつくっていくということもあわせてやっていく必要がある、こういうふうに考えておるところでございます。
○後藤(斎)委員 少し話題をかえたいと思います。
大臣は多分ウナギが大好きだと思うんですが、私も好きであります。ただし、きのうも水産庁の方から、現状についていろいろお話を。
昨年、過剰なまでにと言っていいかどうかは別としても、もう日本のウナギはなくなってしまうということで、メディアがいろいろな報道をして、多分なかなかウナギを、うしの日でも、ウナギ屋さんに行っても、普通よりも、倍まではいかないんでしょうけれども、高過ぎて食べられなかったとか、今はコンビニでもうしの日にかけていろいろなキャンペーンを張りますから、七百五十円とか八百円とか手ごろなんですが、そういうものもオーダーが早目にストップしてしまったとか、いろいろなことが去年ありました。
そういう意味で、逆に言えば、うしの日というのがウナギ消費のピーク、ケーキでいえば、クリスマスイブかクリスマスの日がケーキの消費量のピークになると思いますが、それを過ぎた後、私もそうなんですが、今でもウナギは高いというイメージがやはりあるんですよね。それが消費者の心理として残り続けると、やはりウナギは食べられないよなということになると、去年のうしの日以降に起こったことは、生産者価格、要するに活鰻というんですか、生きウナギの出荷量が非常に抑制をされてしまった。それは、たくさん買っても、消費者、お店も含めて、なかなか買ってくれないという状況が一時期起こったそうであります。
ただ、今でも言われているのは、赤ちゃんである稚魚のシラスウナギが、量的に世界じゅうで足りない、足りないと、本当に足りないのかどうか、僕もよくわからないんですが。
まず、ウナギの価格、そして自給の、特に国内で結構ですから、今、どのような状況になっているのか。そして、もしことしの見通しがわかれば、あわせてお尋ねをしたいと思います。
○本川政府参考人 ウナギの生産量あるいは輸入量について、状況を申し上げたいと思います。
まず、国内生産量でありますが、近年、二万トン程度の生産でございます。これは横ばいで推移をしておりましたが、御指摘のようなシラスウナギの漁獲量の減少を主な要因として、平成二十四年の生産量は一万七千トンに減少しております。二万トンが一万七千トンということでございます。
一方、輸入量につきましては、これも、近隣国におけるシラスウナギの漁獲量の減少とか、あるいは中国産ウナギについて禁止薬品が検出をされたといったようなことを背景として減少傾向にありまして、平成十九年には八万トンが輸入されておりました。これが二十四年には二万トンということで、大きく減少しております。輸入元は中国と台湾がほとんどでありまして、最近、アメリカとかインドネシア、マダガスカルといったようなところから輸入はされておりますけれども、ほんの微量でありまして、主たる輸入元は依然として中国それから台湾であるといったような状況でございます。
こんな状況を反映して、御指摘のかば焼きウナギの価格でございますけれども、これは上昇傾向にありまして、平成二十二年には一キログラム当たり二千円だったものが、二十三年には三千円程度、平成二十四年には四千円程度に値上がりしておる、そんな状況でございます。
○後藤(斎)委員 これは大臣にお尋ねをしたいんですが、今、長官がお話をされたように、国内生産は大体二万トン程度で推移、韓国、中国から、いわゆるニホンウナギと称するものらしいですけれども、活魚で二万トン弱、生きたまま輸入して、残りの四万トンくらいを調製、要するにさばいて輸入している。大体八万トンくらいが現状ということは、これは人口で割ると、一匹が大体二百グラムということらしいですから、年間に一人三匹食べているということのようであります。もし、大臣が三匹以上食べているんだったら、平均よりも多いということになります。
実は大臣、今長官から御指摘いただいたように、今大体八万トン弱くらいで国内の消費になっているんですが、二〇〇〇年、これは一様に安い時期であって、このときは今よりも倍、二〇〇〇年、二〇〇一年は十六万トンくらい、特に中国産のものが多かったということもあったようでありますけれども、輸入をした。ですから、十年ちょっと前までは倍の量で賄っていて、平均すると六匹くらい食べていたかもしれません。
ですから、余り高くなり過ぎると、消費というのは当然ブレーキがかかりますし、余り安過ぎると、それを生産されちゃ困る、このバランスを常にどうするかということで、これは流通業者、商社の方が御熱心で、今やられているのは、商社の方がウナギをインドネシアで養殖する。これは日本産ウナギでなくて、いわゆるインドネシアウナギ、片仮名でインドネシアウナギだそうで、味もそんなに悪くない。そして、アフリカウナギもアメリカウナギもあるというようなことで、要すれば、ウナギと称するものも、国によってそれぞれ成長のスピードもちょっと違うようであります。
ただ、マリアナ海溝を中心に、そこで産卵をしてまた戻ってくる、サケ以上に何か類いまれなお魚だそうで、つい最近まで、今でもそうかもしれませんけれども、本当にマリアナ海溝で卵を産んでという生態自体がわかっていないということだと思っています。
ある意味では、需要があるものについては流通業者の方も熱心に、商社も含めて世界じゅうから、日本にもし需要がある、マーケットがあると思えば、この夏に向けて、世界じゅうからあらゆるウナギを多分輸入して、上手にその量と価格の適正化というのを図るのでしょうし、もう一つ言えば、本当にウナギの養殖ができないのかどうかというのは、水産研がウナギの完全養殖に成功した、ただコストがかかり過ぎるということが指摘をされています。
ただ、やはり私は、以前、内閣府のときに科学技術も担当させてもらったときに、やはり海洋機構、この間、アトランティス大陸を発見したかどうかは別としても、大西洋で昔の大陸かどうかみたいなことを、あそこもそうですし、東京大学でもウナギの研究家というのがいらっしゃいますから、本当に稚魚が足りないことが国産のウナギの生産者の方や消費者の方にもし負担をかけているのであれば、もっとそこは生態の部分を研究されて、今少なくとも水産研がやっているようなウナギの完全養殖ができるようなものをもっとバックアップしなければ、多分需要が、ウナギは一食千円くらいであったら、私もウナギを食べたいなと、でも、これは毎日食べるものじゃありませんから、時々食べるのがいいのかもしれませんけれども。
そういう部分で私は取り組んでいくべきだと思うんですけれども、大臣、その点についてどのようにお考えになりますか。
○林国務大臣 ありがとうございます。
私は本当にウナギは大好きでございまして、多分、今委員がおっしゃった一人平均三匹というのは、一月でそれぐらいかなというぐらいのペースで、シーズンがありますから、毎月食っているわけじゃないですが、年に三匹というのじゃとてもおさまらないぐらいでございます。
先ほど来、ゆめちからを使ったパンとかウナギの話があって、もうお昼前なので随分おなかがすいてきちゃったなと思いながら聞いておったわけですが、非常にいいポイントを御指摘いただいたのは、この技術ですね。この間、アトランティス大陸のニュースを私も見て、こういうことができるようになるというのは、やはりある程度持続的に深いところに潜っていって、底のものをつぶさに見る技術というのが日本ではかなり進んでいるようでございまして、その前も、ほかの国の方と協力して大きなイカの撮影に成功したというのも見させていただきました。
したがって、そういう進んだ技術を使って、一番消費も多いところでございますので、今聞いてみますと、まだシラスウナギの人工生産は年間数百尾ぐらいしかできていない、こういうことで、これを強化していかなきゃいけないということがまず一番根っこのところにあると思います。
さらに、先ほど水産庁長官からあったように、シラスウナギがやはり漁獲が低迷しているということでありますので、こういう養殖業者向けの金融支援、中国や台湾との資源管理協力の枠組み構築、それから国内の地域ごとの話し合い、こういうことをやるということ。それから、ウナギ資源の回復と安定供給を図るための予算、これは二十五年度では増額をさせていただきまして、前年度の四千百万円から一億八千三百万までふやしていただいたところでございます。
今、うしの日というお話がありましたけれども、私も、自分がうし年なものですから、最初子供のときに聞いたときに、何でうしでウナギなのかなと思ったことがあるぐらいでございます。しかし、江戸時代から続く、先ほどちょっと御飯に手を合わせるというお話をしましたが、やはり長らく続く食文化。食文化になっているということはすなわち理由があるということで、当時は多分それほど手に入りにくいものでなかったのかもしれませんが、きちっと夏ばてに効く栄養ということが多分あったんだろうな、こういうふうに思います。
そういうこともありますので、しっかりと安定供給に最初のところから流通のところまで取り組んでまいりたい、こういうふうに思っております。
○後藤(斎)委員 大臣、多分流通業者の方は、何でこんなに熱心にやるかというと、当然、日本の国内に輸入してもまだ、例えばニホンウナギ、要するに国産のウナギと、インドネシアやアフリカから輸入したものは、多分若干値段を下げてお売りになるんでしょうけれども、それでもペイをしていく、要するに需要がそこにきちっとあるということが大前提だと思うんです。
そこで、同じウナギという一つの商品というか名前でも、そこに幾つかの層が、国産や外国産でも、中国、韓国は日本の養鰻業者とあわせて何かいろいろやってきたそうですから日本産ウナギという形で、これからインドネシアとか多様なウナギを食することになりますので、それが多分、これからの日本の農業や食料品を、例えば海外に向けて売っていくかどうか、輸出をするか、どうできるかという、実は一つのキーワードだと僕は思って聞いているわけなんですね、ちょっとこれは後で触れますけれども。
その前に、今の日本の食料自給率と北朝鮮の食料自給率、あわせて、もし、御答弁される方が同一であれば、日本、中国、フランス、北朝鮮の平均の一日の食料のカロリー摂取量について数字を教えていただきたいというふうに思います。
○荒川政府参考人 お答え申し上げます。
食料自給率につきましては、我が国の自給率につきましては御案内のとおりでございますが、直近、平成二十三年度で、カロリーベースで三九%、生産額ベースで六六%となっているところでございます。
一方、諸外国の食料自給率につきましては、諸外国がFAOに提出しております統計データをベースに私ども農林水産省で試算を行って出しておるものでございまして、先生御指摘ございました北朝鮮につきましては、必要なデータが整っておりませんので、カロリーベースでの試算は行っておりません。一方、データがそろっております穀物自給率については試算を行っておりまして、これは七七%ということになっておるところでございます。
それから、もう一つ御指摘がございました、日本、中国、フランス、北朝鮮の一人当たりの一日の平均熱量でございますけれども、これも同じ統計データをベースに見ますと、平成二十一年の、これは統計上アルコール類などを含めたものしかございませんのでそれで申し上げますが、日本につきましては二千七百二十三キロカロリー、中国が三千三十六キロカロリー、フランスが三千五百三十一キロカロリー、北朝鮮は二千七十八キロカロリーとなっております。
○後藤(斎)委員 数字が北朝鮮はないということですが、私が読んだ本の中では、日本国際問題研究所の研究員の方によると、北朝鮮のカロリーの食料自給率は七二%、これは十年くらい前だそうですけれども、あるというふうに言われています。日本の倍まではありませんけれども、基本的には自給に頼っている。
ただ、後者でお尋ねをしたように、カロリーの摂取量というのは国によって違いますし、日本は、ダイエットや高齢化ということもあって、カロリー摂取量というのは、通常ですと多分下がりつつあるというふうなことだと思っています。
そういう意味で、大臣、私はこう思っているんです。一〇〇%自給率がない農産物については、国内でいろいろな工夫をすれば、国内でマーケットがあるというふうなことを多分考えていかなければいけないというふうに思っているんです。それは当然価格との関係で、それが実はうまく今までいってこなかった。
もう一つは、戦後の食料増産から転作といった、四十年間の米から他農産物への土地利用の変化も含めて、そういうもので、大臣、やはり量をたくさんつくってはいけないというものがあったと思うんですね。
ですから、先ほどのウナギの研究開発についてもそうなんですが、何をメーンに研究開発をしていくかというテーマ設定を、今、内閣府の総合科学技術会議メーンでいろいろな調整をしていますが、私も担当してつくづく感じたのは、なかなかそれぞれの各省との連携が上手にとれていないなと。本当に今必要だというものよりも、やはり研究者の方は、基礎研究をした方がノーベル賞もとれる可能性もあるし、評価も大学内で上がるしというふうなことだと私は何となく思うんですよね。もちろん全てではありません、名誉のために発言をさせていただくと。
では、大臣、これから国内の需要が伸びるものというのは何があるというふうにまずお考えになりますか。
○林国務大臣 今、科学技術のお話もありましたが、これから需要が伸びていくものというのが、これとこれとこれと最初からわかっていれば、何かそっちの商売でも始めた方がいいのかななんて思ったりもしますけれども。
今、我々が攻めの農林水産業の中でやっている中で、過去を振り返れば、主食の米が、百キロを超えているところから五十キロちょっとまで、半分に減って、その分パン食が普及した、こういうこともありますが、今後は、これは私の個人的な感じにもなるかもしれませんけれども、逆に日本食が見直されてきている。
それは、先ほどカロリーの数字を先生から出していただきましたけれども、アメリカとかフランスと比べてカロリーが少ないのは、高齢化やダイエットだけではなくて、やはり基本的な料理、これはだしでうまみをとるという料理と、それから、フランス料理は、今ではそうではなくなったかもしれませんが、やはりこってりとしたソースを油、塩を使ってやる。こういう料理から、やはりさっぱりとした、健康にもいい日本食への関心というのは高まってきている。
こういうところを見ながら、自分も、ちょっと年をとったせいかもしれませんが、余りカロリー、カロリーというよりは、赤肉みたいなものをエージングして食うという方がちょっとおいしいかなと思ったりもいたしますので、そういう健康志向。
それから、先ほどのユネスコではありませんが、本当に自然と調和した、ロハスだったりスローフードだったりというのもありますけれども、そういうところ。
こういうところが需要サイドには出てくるのではないかなということでありますので、そういうものも含めて、この需要サイドのニーズを敏感に酌み取って、それを結びつけていくということが大変重要ではないかというふうに考えております。
○後藤(斎)委員 済みません。質問通告とちょっと飛びますけれども、今まで、輸出戦略というふうにこの委員会でも何度か大臣がおっしゃって、それを一兆円にしたい、これは加工品も含めてですけれども、それはもう十年以上言い続けてきたことなんですが、農産物、加工品も含めて、なぜこの輸出戦略というものは今までなかなかうまくいかなかったのか。もう一つ質問したいので、なぜ成功しなかったのか、端的に教えてください。
○江藤副大臣 それでは端的にお答えします。
やはり、紹介の仕方も足りなかったと思います。今回外遊をしてみて、こんなに日本の果物がうまいというのを知らなかったという声をたくさん聞きました。
それから、米を売るにしても、松岡大臣のときに経験しましたけれども、おいしい日本の米を食べてもらうためには、ちゃんとした炊飯器がないと日本の米のよさは出ませんので、やはり連携した輸出の仕方が大事だというふうに思います。
○後藤(斎)委員 江藤副大臣、そこも僕はあると思います。
ただ、例えば、輸出戦略をするときに、国ができること、民間ができること、各自治体やその地域で努力する、いろいろなカテゴリーに僕は分かれると思うんです。その最たるものが、米もそうですけれども、植物防疫に係る部分だと思います。
今、輸出解禁要請を行っているという部分の、これは韓国、中国、インド、オーストラリア、アメリカですけれども、一番古いものは、昭和六十一年から、アメリカの柿については、実は日米間で協議中と。昭和六十一年だと今から三十年くらい前なんですが、大臣、実はこういうことが行われているんです。
ですから、三十年たったものを、何をどうやって輸出をしていくのかというものがなかなか、この当時の人を別に責めるわけでもないし、今の人を責めるわけでもないんですけれども、まず政府がしなければいけないことは政府で絞るべきだと思うんです。流通業者は、先ほどのウナギじゃありませんけれども、マーケットがそこにあれば自由に行くんです。
大臣、ごらんになったかどうかはあれですけれども、五月八日に、宣伝をするとよくないかもしれませんが、ある運輸会社さんがある日本の飛行機会社と組んで、農畜産物の海外輸出も何々とというのを全面広告を出しているんです。これによると、夕方、午後、例えば宮崎県から出荷した場合だと、翌日、アジアであれば配送をされると。生鮮の野菜や果物の移動の時間軸の短縮ということは、もう民間はやっているんですね。
でも、植防とか安全性の部分とかいうのは、大臣、まず政府がやらなきゃいけないということで、もう時間がなくなったからこれでやめますけれども、ぜひそれを整理して、民間でやるべきこと、政府でやるべきことということを分離してまず検討して、三十年続けてきたアメリカの柿みたいなものがなぜそうなっているのか、もう一回担当とよく現状について把握していただいて、対応を進めてほしいと私は思うんですが、簡潔に、三十秒でいいですから、どのようにお考えか。
○林国務大臣 連休にインドネシアへ行ってちょっとスーパーを見たときに、いろいろなことに気がついたんですが、今の関連でいうと、イチゴが、アメリカと韓国から来ていて日本から来ていなかったということです。日本のイチゴも欲しいと担当者は言っておられました。
したがって、今、国別、品目別に輸出戦略ということで、米、水産物、畜産物、品目ごと、加工品も含めてやる中で、まさに今お話があった検疫、それから表示などの規格、それからHACCPなどの製造工程の認証といった、まずやはりGツーGでやらなきゃいけないこと、これを品目と国別に一つずつ詰めていくという地道な作業がまずないと、そこから先のマーケティング等につながっていかない、こういうふうに思っておりますので、しっかりと対応していきたいと思っております。
○後藤(斎)委員 これで終わりますが、柿の検疫の問題についても、つい最近の報道によると、CO2を使って致死率一〇〇%の検疫体制の開発をしたと。
ですから、先ほど大臣にお願いをしたように、政府でもいっぱい研究機関があります、大学もあります、そのハードルになって、政府が絶対というか一番やらなきゃいけないものについて、まずその指示を、品目別につけるのもいいんですけれども、やはり地方に行くと、その品目というのが、うちはこれだというふうなことでなかなかうまくまとまらないと思うので、そこはある程度自由に任せながら、検疫の問題とかGAPの問題みたいなものについては、必ず政府が後押しをしなければ評価されませんから、ぜひそれをまずやってほしいというお願いをして、済みません、たくさんの方に来ていただいて、残りはまた次の機会に譲ります。どうぞよろしくお願いします。
ありがとうございました。
○森山委員長 次に、村岡敏英君。
○村岡委員 日本維新の会の村岡敏英でございます。
農水委員会も何か久しぶりのような感じがしまして、連休が明けてクールビズになっている方も、また、大臣は、きょうは爽やかなスカイブルーのスーツにピンクのネクタイということで、これから日本が大変明るくなっていくことを目指すためには、服装も明るくなければならない、こういうふうに思っております。
さて、連休中、私も沖縄に二日間行ってまいりました。沖縄は二十七度、秋田に帰りましたら二度で、みぞれまじりということで、やはり日本は広いなと。沖縄では、泡盛で、シマラッキョウやゴーヤーチャンプルーを食べながら、沖縄の食材を楽しみました。
やはり、それを考えると、気温も風土も、北海道から沖縄まで、日本は大変広い地域だなとつくづく感じます。いつもこの委員会でも言っていますが、農業というのは全国一律でやってはいけない、地域性をしっかり考えて農林省が取り組んでいただきたい、そして、林大臣初め政治家がしっかりと今までの農業の点を変えていかなければならない、こう思っております。
大臣は、この地域性の問題、そして地域に合った農業対策をしっかり打っていかなきゃいけないということに関しては、どのようにお思いでしょうか。
○林国務大臣 まさに先生おっしゃるとおりでありまして、私のところの山口は、中山間地が多くて、平均の耕作面積も二ヘクタールに届かない。美祢市というところに大田というところがあるんですが、その大田ですら二ヘクタールに届かない、こういうところでございます。
北海道に行けば、平均で二十ヘクタール、こういうことから始まって、今先生おっしゃっていただいたように、沖縄で、やはり三十度のところで飲むから泡盛はおいしいわけでありまして、秋田で、二度のところで果たしてゴーヤーチャンプルーと泡盛がうまいだろうか、こういうことを考えますと、そこで育った農産物からできたいろいろなものを食べ、飲むということが食文化としてあって、そういうところも実は農林水産業を考える意味では非常に大事だ、こういうことでありますから、地域のそれぞれの特性に応じたきめの細かい施策をやっていくということは非常に大事なことだと思っております。
○村岡委員 この問題は後の質問に譲りますけれども、まずは連休中、大臣も海外視察ということで、ベトナムとインドネシアに行かれたということです。
インドネシアは、特に人口もふえておりますし、また経済成長もしている。そういう中で、日本の食材をどのような形で求めているのか。また、日本の工場とかいうのは非常に進出しておりますけれども、日本人がたくさんインドネシアへ行っていますので、そういう方々にも御協力を願って、やはり日本食というのは広げなきゃいけない、こう思っております。
そしてまた、ベトナムに関しては、TPP参加国でありますから、どのようなお話をされたか、お教え願えればと思います。
○林国務大臣 五月の三日から七日にかけまして、最後は機中泊で、七日の早朝、東京に帰ってまいりましたが、ベトナムとインドネシア、二カ国に行ってまいりました。
やはり先ほどから、インド、中国を含めたASEANで四十億、ここが伸びてくるというお話をいたしておりましたが、その中でもこの二カ国というのは、いろいろな意味で、人口も結構大きいですし、それから、ベトナムはまだ平均年齢が二十代、こういうことでありますし、日本に対しても非常にいろいろなつながりと親密さを持っているということで、今から日本の食品、農林水産物の輸出展開ということを考えた場合に欠かせないだろうと思って、行かせていただいたわけでございますし、もちろん、ベトナムはTPPも加盟しているということでございます。
ベトナムでは、ファット農業・農村開発大臣、それからカイン商工副大臣、この方はTPPの首席交渉官でもあるわけですが、面談をいたしました。インドネシアでは、ススウォノ農業大臣ほか政府要人と会見をしてきたわけでございます。
まず、ファット・ベトナム大臣とは、食品関連産業、先ほども後藤委員からもいろいろありましたが、やはりこの輸出、それからメード・イン・ジャパンの輸出、メード・バイ・ジャパン、日本食の発信、そしてもう一つ、メード・フロム・ジャパン、日本食材のいろいろな国の料理への利用をしてもらうという、いろいろな意味でこういう食料関連産業の進出円滑化をやっていただくために、やはり官民が一緒になって意見交換を両国でする必要があろう、こう思いまして、その交換の場をつくろうということで合意をいたしました。
先ほどもありましたが、検疫制度とか、それから、まだやはり原発事故の影響で放射性物質規制が残っておりますので、この緩和もお願いしたところでございますし、それから、農業全般に関する協力と交流。私はびっくりしたと言うとあれかもしれませんが、日本の高い農業技術について非常に知識も持っておりますし、これと一緒になって協力をしてもらって、ベトナムの農業生産を高めて、まだまだ農業者の所得はかなり低いということで、非常に熱意を感じたわけでございますので、こういう必要性を確認する議事録に署名ということも行ってまいりました。
それから、カイン商工副大臣とは、進出円滑化を商工省としても応援してくださいということも含めて、TPPについて、今後我々も入っていくので、できるだけ情報提供をお願いしたいということもお願いをいたしたとともに、向こうからは改めて、これはファット大臣からもありましたけれども、日本のTPP参加を歓迎するという言葉もあったところでございます。
それから、ススウォノ・インドネシア農業大臣、これも同じような、官民の意見交換の場をつくろうということで提案をいたしまして、それも含めて、こちらの農業の全体的な協力の枠組みについては事務レベルで一緒にやっていくということで、その大きな枠組みの中でそういう食品についても検討していこうということで一致を見たところでございます。また、こちらからは、原子力事故の後の規制の緩和や、それから輸出、投資の際の諸課題、結構港が限られているという問題がありまして、そういうことについても、さらに使いやすさ、また規制緩和をお願いしたいということでございました。
特に両国で、先ほどちょっと申し上げたように、スーパー等に視察に行きまして、ベトナムの日本食材を扱っているところも、実は今委員もおっしゃったように、七割は日本人なんですが、三割は既にベトナム人が日本の食材を買っていらっしゃる。しかも、日本の食材を、これはインドネシアもそうでありましたが、パッケージをベトナム語、またインドネシア語に直さずに、そのまま、例えば日本語で、平仮名でわさびと書いたパッケージのままで売っている。日本のスナックも、そのまま、ドラえもんの漫画がついたままで、日本のタイトルで売っている。その方が売れるということをお聞きしまして、やはりこういうところは日本ブランドの強みということで大切にして、今後の展開に生かしていきたい、こういうふうに考えたところでございます。
○村岡委員 やはり海外への売り込みで、ベトナムとインドネシアというのはこれから大きな市場だと思いますので、引き続いてこの二カ国は注目していかなければならない、こう思っております。
私も、香港や台湾に日本食の売り込みということで、秋田の農産物を中心に売り込んできましたけれども、やはり日本の商社の方とか、そういう方々がたくさん買います。しかし、その方々が本当に広めてくれるんです。ニューヨークもそうだと思います。そして、そのときにはイベントで、商社で香港に住んでいる方、台湾に住んでいる方、奥さんたちを呼んで、いろいろな料理をつくってもらって、それでその国のお友達を呼んでいただいて広めたというようなこともやっておりますので、ぜひいろいろなアイデアで、やはり日本食は高品質で、そして安心なものだということをぜひとも率先してやっていただきたい、こう思っております。
そのときには、秋田のなまはげを連れていったわけですけれども、もう香港人や台湾人の子供たちは泣き叫びました。ただ、印象に残りながらその後おいしいものを食べたということで、将来ともに覚えているんじゃないか、こう思っております。
それでは、江藤副大臣も海外を視察されているということで、ロシアと聞くと、私はロシアは行ったことがないんですけれども、あれだけ広大な土地。私は、ロシアの食料自給率というのはどのぐらいに考えればいいのか、そして、日本食なんというのは、ロシアではどのような要望といいますか、日本食に興味があって、何か感触をつかんできたものかどうか、副大臣に聞きたいと思います。
○江藤副大臣 行ってみて驚いたんですけれども、ロシア国内には、もう一千百以上の日本食のお店が、急にこのところふえて、どんどんふえているということでございました。これは、国際問題になったら困るので、私の意見じゃないということで前もって申し上げますが、ロシアの方がおっしゃるには、これぞ日本食というのは一桁ぐらいしかないそうですよ、その中で。なんちゃって日本食という言葉を使っていらっしゃいました。私が言っているのではありません。ですから、本当の意味での日本食のよさというものは、まだロシアには伝わっていないと思います。
私も、ロシアでは、サケ・マス交渉もありましたので、バイの交渉もやったんですが、その帰り道に、スーパーに二軒寄ってまいりました。最初は大型店舗をばあっと見て、その後、今度は日本食の食材を主に扱っているところへ行ったんですが、とんでもなく値段が高いんですよ、二倍とか三倍とか。それでも非常に売れている。お米もありましたし、調味料から何から、ワサビから何でも、こんな値段で誰が買うんかいなという値段でも売っておりました。
ですから、やはりきちっとしたマーケティングをして、本当の食のよさ、総理も、日本の食文化というのは低カロリーで、健康的で、だから日本人は長寿なんですよということをおっしゃっていましたので、この文化と調理法とフードバリューチェーンと農業技術、そういったものをパッケージで売り込んでいけば、ロシアには広大な市場があるなと。
それは、トルコでも年間三億円ぐらいしか農産物の輸出はありませんので、ほとんど日本食のことは知りません、トルコの方々は。サウジでもしかりでございますので、これからやることはたくさんあるなというのが感想でございます。
○村岡委員 実は、お聞きしたのは、秋田港に木材の輸出入で結構ロシアの方が来られます。やはり日本、秋田県人と同じと言った方がいいでしょうか、大変お酒が好きで、日本酒も飲んで、日本の食材とかを食べていますので、ロシアの方々にお酒、日本酒を売り込むチャンスじゃないかなと。
アメリカやEUにも行っていますけれども、まだまだロシアには日本酒は少ないということの中、来た方々は、来た方々ですから飲んだというのもあるでしょうけれども、私は、その方々にいろいろ聞いても、日本酒はおいしい、これをロシアで売ってくれればというようなことを言っています。ロシアに行かれたということで、日本酒は一つの海外戦略の大きな重要な柱になると思いますので、そこのところも考えていただければ、このように思っております。
さて、通告いたしておりました農業の輸出促進策について、今、五千億を切っている中で、二〇二〇年まで一兆円、これからやりますから、なかなか厳しいことだと思っております。
まず、先に振り返ってみると、一九七一年ごろというのは、ドイツ、オランダ、アメリカと、日本の輸出の量というのは、輸出額というのは、ほとんど世界には同じでした。しかしながら、今は全く差をつけられている。このことはなぜなのか、大臣、どういうふうに思っているでしょうか。
○林国務大臣 ジェトロでやっていただいた最近の調査ですと、ついにフランス料理、イタリア料理を抜いて、日本食がトップに躍り出ている国が、調査した国のうちのほとんどで、アメリカだけは三位なんですが。したがって、輸出という意味では、まず日本食がそれだけ人気があって、先ほど言ったように、日本食材を使ってもらうということもあるんですが、ポテンシャルはある。
しかし、今おっしゃったような数字ということで、一方、イタリア、フランスを見ますと、我が国と一桁違う額のものが出ているということで、直近は、多分リーマン・ショック後、景気が落ちたとか、それから、我が国の三・一一後の原子力事故の影響、こういうものがあるというふうに認識しておりますが、それ以前の話になりますと、やはり売り込み方、先ほど後藤委員とも少し議論しましたが、まだまだ改善の余地はあるんじゃないかな、こういうふうに考えております。
○村岡委員 もちろん、売り込み方は海外に対して取り組んでいなかったということもあるでしょうけれども、やはり考えると、この一九七〇年というのは、実は減反政策の始まりなんです。世界は、農業の技術、生産力というのは飛躍的になって、アメリカを初めいろいろな国は、自国以上に農産物ができるようになったんです。そのときに、援助であったり、また自分の国の農産物を売り込んだり、そういう方法を戦略的にとっていった国が今伸びているわけです。日本は、自国の消費量ということだけを考えて、自国にとどまってしまったということがやはり大きな問題ではないか、こう思っています。
そして、例えば、農林省はこれまで自給率を気にしてきました。それは、自給率というのは国内の自給力なんです。アメリカやそちらは輸出して、自給力は結果的に百何十%となっているわけです。その辺が変わらない限り、日本の農業というのは、国内の人口が減っていく時代、もちろん少子化のための対策はしなければなりません、しかしながら簡単にはとまりません。
そして、私のような、背も大きくかっぷくもいい、大臣も、副大臣も、長島政務官も、そして委員長も、こういう方々は、お米もたくさん食べる、お酒もいっぱい飲む、日本じゅうそういう方ばかりならば、消費量はふえます。
やはり、最初の根本のところをもう一度振り返ってみないと日本の農政というのは変わらない、こう思っておりますけれども、大臣、どう思われますでしょうか。
○林国務大臣 まさに、自給率を考えますと、ゴールが一〇〇というような考え方に陥りやすいということはあるかもしれません。したがって、あくまでそこは最終的なゴールということではなくて、先ほどウナギの話で、一〇〇までは国内に需要があるんだという話でありましたけれども、まさにそこを超えて、外にも需要があるし、それをきちっと、ただ日本食が人気があるからほっといてもいいということでは決してないということをよく踏まえていかなければなりません。
また、今、かっぷくがいいというお話がありましたが、幾らかっぷくがよくても胃袋は一つでありまして、かっぷくがそれほどよくない方の三倍も五倍も食うかというと、そういう大会はあるようですが、ああいうところを見ていると、余りかっぷくがよくない人でもたくさん食っている人もいらっしゃるので。胃袋の数ということで考えて、中長期的にいきますと、日本の国内だけでは胃袋は減っていく、人口は減っていくということですから。
したがって、インド、中国、ASEANを含めた四十億の市場、このアジアの成長というものを我々の分野でもいかに取り込んでいくかということがやはり大きな課題になっていく、こういうふうに考えております。
○村岡委員 食べるのはできないですけれども、お酒だと三、四倍飲む人もいると思いますが、それは別にしまして、江藤副大臣にもお聞きします。
私は、自給率を満たして、国内だけのことで農政をやっていくのは、むしろ、これは発展途上国の農政ではないかと思っているわけです。それは、発展途上国の場合には、やはり、食料というのをきちんと国民に対して供給していかなきゃいけないということで、そこに重きを置きます。ところが、アメリカやドイツやカナダやイタリアや、そういうところは先進国型農業。自分の食材を、生産技術力がアップして、そしておいしいものであれば海外の人に食べてもらうという戦略をとった。
そういう意味では、先ほど、減反政策の始まりと、もう一つ、ガット・ウルグアイ・ラウンドの対策の中で、そこからもまた差がついているわけです。やはり、農政が全て国内に向かってしまったんです。
今後、TPPをやるときには、海外に向かうというときには、どのような対策を立てていけばいいと江藤副大臣はお考えでしょうか。
○江藤副大臣 今すぐお答えするには非常に難しい問題ですけれども、確かに、ラウンド対策費五兆数千億、そのうちの、構造改善に使われた金が、大体六割弱ぐらいしか使われないで、用途が不適切であったという反省もあります、これはもう自民党政権ばりばりの時代の話ですから。
これからTPPその他があれば、当然、輸出力、それから農地を確保する、そして後継者を確保する、人、農地、競争力、付加価値、そしてフードバリューチェーン、そういった、もっと多角的な物の見方をしなければならないというのは、もう委員のおっしゃるとおりだと思いますよ。
しかも、今回、総理について海外を歩かせていただいて、はっきり言って、外国のリンゴなんてちっちゃいんですよね、こんな握り拳ぐらいで。そういうのを見ると、確かに日本の果物はうまいですよ。(発言する者あり)若干やじが入っていますけれども、確かに、食文化というのは、助け船かもしれませんが、本当に、食材だけではなくて、どう調理するのか、どのように食べるのか、その文化も含めて輸出することが、これから、我々、新しい農政を目指す者の課題になっていくのかなということを考えております。
○村岡委員 具体策の方に行ってしまいましたけれども、やはり、先ほど言った、発展途上国型農業じゃなく、先進国型の農業を目指さなければ農業の成長はなかなか難しい、こう思っています。
日本は、十兆ぐらいから、今、八兆ということで、二兆一千億、三兆減っているわけです、これは米の価格が一番大きいわけです。米にしても、例えば飼料米だけでは、とてもじゃないけれども米を消費できない、それは海外に輸出しなきゃいけない。
そういう中で考えていきますと、例えば、今、ジェトロに農林省の方々は何人行っていらっしゃるでしょうか。どなたでも。
○針原政府参考人 正確な数字ではないですが、出向という面から見ますと、三月までは理事で行っておりましたが、今、理事は各省交代制になっております。今、部長クラスが一人、確実におります。
○村岡委員 お聞きしますと、ジェトロには七、八人ということなんですね。
農業は国の基だといって、ジェトロに対して、輸出倍増プロジェクトに十一億円。十一億円も少ないです。やはり、世界各国に日本食、日本の文化を売ろう、農産物を輸出しようと思ったら、これは少な過ぎませんか。確かに、農業土木者は援助という中で百人以上が行かれていると思いますけれども、これは少ないと思わないでしょうか。
○針原政府参考人 先ほど私が御説明したのは、ジェトロの本部に一人行っておりますが、海外の事務所には、主要な都市を含めて、七、八人は行っているんじゃないかと思っております。
○村岡委員 大臣にお聞きしますけれども、七、八人というのは、これは少ないと思わないでしょうか、これから農業を世界に広めていこう、農産物を広めていこうというのに。どうお考えでしょうか。
○林国務大臣 ジェトロ全体に比べてどうかという御議論は確かにあると思いますが、一方で、今回、初めてジェトロにも予算をお預けというか、ジェトロを委託先にして全面的にやってもらおうということで、これは、全く経験のない者がすぐ行ってというよりは、やはりジェトロ全体としてやっていただくということもあろうかと思いますし、それから私の、自分の社会人の経験からいくと、ジェトロだけではなくて、やはり商社ですとか、それから大使館にも、農水省からいろいろ人が行っております。
今度も、インドネシア、ベトナムのときも、現地に農水省から行っている連中が随分張り切ってくれまして、いろいろなネットワークを地元の方々と持っていただいて、そういう方々との意見交換する場も持っていただいたわけですが、こういう総合力というものを、資源、人と予算に限りがある中で発揮していくということが大事であろうと思いますし、全世界に向けて、全品目ということではなくて、どういうところが向こうにニーズがあって、どういうところはニーズがあるのにいろいろなものでとまっているかという、具体的な戦略をつくって、やはり資源を集中的に投入していく、こういうことが大事でなかろうか、こういうふうに考えております。
○村岡委員 大臣、そのとおりだと思うんです。ジェトロも、ふやしていけば、予算の限りがあります。それから、外務省もいます。ところが、外務省が、では、真剣に農産物を売ろうと考えているかというと、私はそう感じられないところがあるわけです。それとまた、内閣もしっかりそれを受けとめているかというと、そうも感じられないところがあるわけです。
例えば、これは技術のプロジェクトですけれども、経済協力インフラ戦略会議というのがあります。この中で、会議の構成員は、議長が内閣官房長官で、総務大臣、外務大臣、経済産業大臣、国土交通大臣、経済再生担当大臣。農林大臣は入っていないんですよ。やはり経済協力だとかいろいろな分野で、これは内閣にほかにもあると思いますけれども、どうしても、農業は後に来る会議が結構多いんです。
私も秘書をやっていた当時、例えばODAなんかで援助をするときに、財務省、外務省は入っていて、あとは、何かオブザーバーで国交省が入っていたり、農林省が入っていたり。結果、どういうことがその当時あったかというと、川に橋をかけて、堤防がないものですから、川がかわって橋だけあるとか、そういうのは、農林省や国交省が入っていれば、ちゃんとできるわけですね。
経済協力のものでも、土地改良や技術を初め、この経済協力インフラ戦略会議なんかも、農林大臣が入っていないということ自体がやはり問題があるのじゃないかな、こう思いますけれども、大臣はどう思われますか。
○林国務大臣 先ほどちょっとベトナムの出張の御報告をさせていただきましたが、向こうからも非常に強い要望があって、いろいろな農業のやり方、技術について今後協力をしていこうということになったところでございます。
したがって、発展途上国といいますか、経済の発展段階にあるところでは、やはり一次産業、中でも、農業が国内の産業に占める割合というのは非常に大きいところがございますので、したがって、経済協力等々を考える場合でも、そういうところと整合的に物を進めていくという必要があると改めて認識をしたところでございます。
今お話のあったインフラの会議についても、たしか、何回目かに、私はちょっと都合が悪くて、江藤副大臣にかわりに御出席いただいたこともありましたし、今度も、また関連のところがございますので、私が、できれば出席しようと思っております。
したがって、常に、例えば新幹線みたいなものとか、全く関係のないインフラのところまで、レギュラーでということまでする必要はないと思いますけれども、今申し上げましたように、大きな部分でかかわってきますので、かかわってくる部分について、必ず我々と一緒になって、今までもそうだったと思いますが、今後はさらに、インフラのところにとどまらず、ODAにとどまらず、いろいろな、海外戦略みたいなものをつくるときには積極的に我々も政府部内で発言をしていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
○村岡委員 大臣、新幹線や道路建設や、そういうのがあると思うんですけれども、私は、農林大臣はそういうところでも常に出た方がいいと思っているんです。やはりその国の実情というのは、新幹線を求めていればどういう事情で、また、高速道路を求めていればどういう事情でと。
そして、日本は、先ほど言った発展途上国型農業という中でいけば、日本の高品質な食料を、援助の中でやはり積極的に、他国との関係があることはわかっています。しかし、日本のおいしい食材を子供のころから食べたら、またずっと食べたくなるんです。そういう意味では、援助という部分の中で、日本の安心な食材をぜひ各国に届ける。
そういう中では、新幹線だから農業に関係ない、高速道路だから関係ないと言わず、やはり農林大臣はそういう日本でつくった国際的な会議には全て参加するような形の中で、農林大臣が国際派であるからこそ、農林大臣の時代にぜひともこういう会議に入っていただきたい、こう思っております。
江藤副大臣、どのように思われますか。
○江藤副大臣 私は大臣の部下ですから、いろいろな場面があるんですよ、官邸で行われるいろいろな会議。個別具体的に言うと問題がありますから言いませんけれども、私が見ても、何でうちの親分が入っていないんだと思うのは、正直あります。そういう感想を持っております。
○村岡委員 やはり江藤副大臣に聞いた方がよかったですね。
私も感じているのは、俺の省庁が主導権を握って、構成員はこのぐらいだという会議が実はまだまだたくさんあるんです。私も秘書官のときに、ODAの中で、海外建設協力なのに国交省がオブザーバーであった。財務省と外務省。そして、外務省に出向してアタッシェで行くと、全然農業のことを中心にやれないんですよ。
そういう状況をそろそろ直さないと、農林省の場合も、多分農林省の方は一人も言わないでしょうし、あれなんですが、大臣も国際派であり、将来総理大臣になる方ですから、なるでしょうから、農林省の改革を進めてほしいわけです。
政策的なものは、日本の食文化、そして日本をどんどん広めていくためには、やはり食文化というのは一番早いんです。だから、国際的に日本が取り組む会議には、農林大臣が必ず入るようにぜひとも努力をしていただきたいと思っていますが、どのように思っていらっしゃいますか。大臣にお願いします。
○林国務大臣 江藤副大臣からもまだもっと入っていくところがあるというお話もありましたので、どういうものに、先ほど言ったように、限りある時間の中で、どこを集中的にやっていくかという戦略も必要になるかと思います。
まさに委員おっしゃったように、お父上のときはそういう状況があったということを肌身で感じていらっしゃると思いますし、私も、私だからということではなくて、農林水産大臣がということで、いろいろな国際的な取り組みを含めて、国の戦略的な政策づくりにはしっかりと参画をしていく、こういう方向で今までもやってきたつもりでありますけれども、今後もさらにそういう努力をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
○村岡委員 ぜひそれはお願いしたい、こう思っております。林大臣がしっかりと確立して、林大臣が終わったらまたもとに戻るということじゃなく、ぜひお願いしたいと思います。
それで、話がちょっとそれましたけれども、先ほどの先進国型農業で、もう一つの例があります。お米を輸出するとか果樹を輸出するとかという以外に、イタリアの例です。
マカロニなんですけれども、イタリアは、生産量が一九六二年に九百四十万トン、それが二〇一〇年には六百八十万トン。しかしながら、輸出額は、六二年に七百十万ドル、それが二〇一〇年に十八億四千八百万ドル、ふえているんです。もちろん、大変技術が上がっているということはあります。それは何かというと、むしろ、小麦を輸入しているんです。小麦を輸入してマカロニをつくって売っているんです。だから、生産量は減ってもマカロニの輸出額はどんどんふえているわけです。
日本というのは、戦後得意なのは、いろいろな原料を買って、自動車や電気製品やいろいろなものを輸出して、成長してきました。そういう意味では、先ほど言った、そのまま農産物を売るというのもありますが、他国のものを輸入して、それを日本のすぐれた工業技術力で加工して、逆に世界に売ってやるという戦略もあるんです。そうすると、何かそれはただの工場生産かと思いますけれども、ところが、それは農業地帯の、例えば兼業という中でそういう工場を持っていったり、いろいろなことを考えないと、やはり農業というのは成長しない。
イタリアの例は非常におもしろい例だと思っているんですけれども、大臣、どのように思いますでしょうか。
○林国務大臣 先ほどちょっと、日本食の人気がイタリアとフランスを上回っているにもかかわらず、一桁違うというお話をしましたが、まさにそういう中にそういうものがあるんだろうなと思って今お聞きをしておりました。
先ほど、FBIという話を少ししましたが、メード・イン・ジャパンのものを輸出するということに加えて、メード・バイ・ジャパン、メード・バイ・ジャパニーズといいましょうか、日本食そのものを発信していくという取り組み。そしてもう一つ、メード・フロム・ジャパンというのは、最近、三つ星をとったりするパリのフランス料理屋の中では、新しい食材としてユズが大変に好評である。少しさかのぼれば、中華料理でもナマコやフカヒレというのはこちらから出しているということでありますから、メード・フロム・ジャパンでそういうものの中に組み込んでいく。
こういういろいろなことがあろうかと思って、その三つそれぞれを有機的に結合しながら戦略を展開していきたいと思っておりますので、例えば、イタリアが小麦を輸入してマカロニをやるのなら、我々も、なるべくならさっきのゆめちからのような国産がいいですが、国産、輸入を合わせて、今度はうどんとして、食文化として出していく、こういうことは大いにあり得るべきことだ、こういうふうに考えております。
○村岡委員 大臣、まさにそう考えていまして、イタリアが、一九六一年ですけれども、農産物の輸出でトップはアップル、リンゴだったんです。それで、二位がアーモンド、そしてトマト、オリーブ、このような形が、二〇一〇年には一位がワイン、二位がソーセージ、そしてチーズ、マカロニ、ペストリーと、やはり加工品でどんどん成長してきているんです。
一方で、米のように、日本は自国の供給が過剰になっていますから、それは原材料と加工品と一緒になって輸出するという戦略はいいでしょうけれども、ほかにも、日本で足りないものでも、日本の技術がありますから、むしろ、アメリカでよく売れる食材、ヨーロッパでよく売れる食材を考えて、日本でその原料を輸入して輸出する、日本が一番得意な分野です、そこをぜひ考えていただきたい、こう思います。
江藤副大臣にも、そのことについてお伺いします。
○江藤副大臣 私は、とかく農政についてはドメスティックに考えがちな人間でありますので、今回外遊させていただいて、いろいろなところの食文化を見てまいりました。とにかくどっさり出るんですよね、びっくりするほど、絶対に食べ切れないほど。
日本の場合は、ある程度、一定のロットの食材を出したって、それを小さく切って出すわけでありますから、同じグラム数でも付加価値はそれだけでも高く上がるわけでありまして、確かに、先進型の農業、加工して付加価値をつけるというのはファンド法の中にも生かされていますし、我々でいえば農商工連携、それから民主党政権でいえばファンド法の中に生かされてきているわけでありますから、そういった取り組みはぜひ考えていきたいと思います。
○村岡委員 そこを考えていくと、例えば六次産業化であったり農商工連携であったり、いろいろな基準を少しずつ変えなきゃいけないんです。地産地消であったり、国産物に限るだとか、いろいろなものが出てきちゃうわけです。
やはり日本というのは、いろいろな、国際的なものと日本のものとを融合させてすばらしいものをつくっていくからこそ、日本はこれだけ成長してきたと思うんです。国内産に余り縛られちゃうと、日本はいいものができないということもあり得ますので、その辺は考えながら柔軟にいかなきゃいけないと思っています。
もちろん、私も秋田ですから、農業者の多い地域ですから、そこだけを売れば一番いいと考えるのが当然でしょうけれども、しかし、これは自民党が出して、まだ政府がやっていませんけれども、農産物だけで一挙に所得倍増といったって、例えば百万のものは所得倍増しても二百万です。これでは生活できません。やはり、加工品をつくる工場だとかそういうのを農業地帯に張りつかせながら、農業もやって農地も守っていく、そういう形でなければできない。だからこそ、少し柔軟に考えなきゃいけない。やはり地域のいろいろな要望にそのまま応えていると、何か、縛って地産地消、そして、その上、国産物じゃなければだめだ。いや、それは融合して、日本にとって一番いいというものをやっていかなきゃいけない、こう考えております。
そういう意味で、大臣、いろいろな条件とかそういうのも、余り縛られていないかどうか、もう一回見直してみてください。せっかく成長するためのものを縛っていないか、ちょっと見直していただきたいと思いますけれども、どのように思われますか。
○林国務大臣 第二次産業で代表的な自動車や電機というところを見ますと、まさに原材料を輸入して、加工して、出していく、ずっとそれで多額の外貨を獲得してきたわけですが、やはり注意しなければならないのは、石油ですとか必要な燃料、それから化学産業の場合は原料にもなるわけですけれども、それから鉄鉱石といったものは、国内では余り生産がないということで、そういうものを輸入してやってきたという側面もあるか、こういうふうに思います。
一方、農業は、多面的機能まで頭に入れますと、やはり生産そのものを維持していくという、これについて、ある意味で大きな意義があるわけですから、そこと、今委員がおっしゃった、加工して付加価値をつけて、また、原料というか農産物のままでも付加価値をつけるやり方、いろいろあると思います。
これを両立させるということが、ちょっと工業とは違ったところがあるのかな、こういうふうに思っておりますので、余り無意味な制約というのは検討していく必要があると思いますけれども、それぞれに理由のあるいろいろな制度については、今言った両方の観点からしっかりと見て、そしてベストの組み合わせというものを考えていく必要があろうか、こういうふうに考えております。
○村岡委員 実は、きのう、農水委員会の理事会で、秋田の青豆のドラジェというチョコレートなんですが、委員長初め皆さんに食べていただきました。枝豆をフリーズドライして、そこに、中目黒にあります、野菜のいろいろなものをお菓子にする、パティシエの柿沢さんという有名な方がいるんです。その方に秋田県が頼んで、そしてでき上がったのが青豆のドラジェですけれども、コーティングしているのはベルギー産のチョコレートなんです。食べると、チョコレートと枝豆の非常にいい感触なんですけれども、後で枝豆のにおいが広がってくる。後で大臣、副大臣、政務官にもお届けしますので。
そうなると、これは融合しているんです。チョコレートはベルギー産なんです。だから、そういうことによって、枝豆が五、六十個、チョコレートをデザインした、これが幾らだと思いますか。千二百六十円なんです。実は売れているんです。ですから、やはりそういうのは余りこだわっちゃいけないんです。チョコレートといったって、チョコレートはベルギー産チョコレートの方がやはり売れるんです。ですから、そういう組み合わせというのは必要なので、そういうこともぜひ考えていただきたいと思います。
最後になりますけれども、ぜひとも、日本の農業を再生させるためには、先進国型の農業です。国内の生産はきちんと維持しなければならないですが、攻めの農業というのは、やはり輸出に重きを置く、そこに予算も配分していくということを、ぜひ大臣の時代に、農業を変えるチャンスだと思いますので、最後のチャンスをやっていただきたいと思います。最後に大臣から。
○林国務大臣 大変勉強になるお話をいただきましたし、さらに枝豆チョコまでいただけるということで、ありがたい気持ちでいっぱいでございますが。
まさに、おっしゃったように、いろいろな今までの既成概念にとらわれずに、コロンブスの卵という言葉がありますが、やってみたらできたというようなことが次々に現場で起こるように、輸出、これはさっき言ったように胃袋の数から考えても当然の進むべき方向だと思いますので、そのことを含めてしっかりと取り組んでまいりたい、こういうふうに思います。
○村岡委員 ありがとうございました。
○森山委員長 次に、林宙紀君。
○林(宙)委員 みんなの党の林宙紀です。
きょうは、復興に関することについてちょっとお伺いしていきたいなというふうに思っております。もちろん農林水産の分野でございます。
最近、結構報道をにぎわせていたこと、私の宮城県については、例の水産業復興特区というものがございます。石巻市にあります桃浦地区というところで、かき生産者合同会社ということで、簡単に言うと、今まで漁業協同組合、漁協が一元的に管理してきました漁業権といったものを民間企業にも付与をして、株式会社の参入を認めようじゃないか、簡単に言えばこういう内容です。
みんなの党としては、こういった、民間企業が今までに入ってこなかった分野でいろいろと知恵を出していく、付加価値をつけていく、そういう方向については、これ自体、非常に歓迎されることなんじゃないかというふうに考えているところはあるんですが、ただし、これは私も地元をつぶさに聞いて回っておりますと、意外と地元の漁業関係者を含む地元の皆さんの評価は、ちょっと早かったんじゃないかなという声が結構多く出ております。
これは、もう報道でもたくさん報じられていることなので、あえてどうだということはございませんが、ただ、やはり印象として、まだ地元が折り合えるポイントというのがなかなか見えていないところで進んでしまったなというところは拭えないというのは正直感じます。
当然、私は、民間企業の参入というところは必要だと思っていますが、その前に、あくまで地域のことは地域で決めるということが先に来るんじゃないかなと思っていまして、今回の特区申請というのは宮城県から出されていますから、その段階で、地元ではうまくそういう形でまとまったというふうに判断されたのかもしれないなとは推測いたします。
ただ、一方で、報道でたびたび取り上げられていたこともあって、農林水産省の皆さんあるいは大臣、このいろいろと地元から問題の声が上がっていたことについては御存じであったはずなのではないかなと思うんです。
そこで、お伺いしたいんですが、もちろん復興庁の事業ではあるわけなんですけれども、当然、水産に関しては農林水産大臣がゴーサインを出すというプロセスがあるわけで、これは、十分に地元の漁業者、漁業関係者の方あるいはその他の人々の声を聞いた上で宮城県がそのように判断したというふうに考えてゴーサインを出されたのか、それとも、いろいろと賛否両論、まだまだ激論がある、しかしながら、政府としてはこの方向でやるんだという意思決定のもとに出したゴーサインだったのか、その辺についてお伺いしたいなというふうに思います。
○長島大臣政務官 私の方からお答えをさせていただきたいと思います。
林先生は、認定申請後一週間ぐらいで結論が出たので拙速ではないかという御指摘も多分あるんだろうと思うんですが、農林水産省は、去年の十月から十一月にかけて担当者を現地に派遣して、復興庁と連携をしながら、国として必要な情報収集は行ってまいりました。そして、復興庁から同意協議を受けた後も、復興庁が収集した審査情報の確認に加えて、当省が独自で県に対し追加資料を求めるなど、精査を重ねてきたところでございます。
もちろん、復興特区法の基本方針で、関係者の合意は同意要件とは実はなっていないんですが、宮城県庁は、特区法に基づく申請主体であることから、昨年十一月下旬から地域協議会直前の本年三月下旬まで、県漁協や地元漁業者に赴き、粘り強く説明をされてきたということも把握をしております。
その間、村井知事さんみずからも浜に赴き、直接、地元漁業者と話し合いを行ってきた。そして、その上で、復興に、ある意味加速をするため、理解を得るための努力を最善に尽くしてきたという姿勢は、復興庁としても受けとめておりました。
その上で、復興庁は認定申請をいただいて、農林水産省に十五日に同意協議をいただいたわけでございますけれども、その後、十七日に復興大臣、水産庁長官に陳情をいただき、当省から復興庁へ同意をすることについて四月十九日に回答をさせていただいたところでございます。
一〇〇%ということではないにしろ、知事さんは最大限努力をされて、復興の加速にこの復興特区を使っていきたいという意思をあらわされたということだと受けとめております。
○林(宙)委員 今政務官から最初に、異例のスピードだ、スピードが速かったんじゃないかというお話を伺ったんですが、私の方で調べてみたら、実は、一週間や二週間でこれまで復興特区の申請が認可されているというのは、そんなに珍しいことではないんです。私が申し上げているのはそういったことではなくて、まだまだ地元で議論が尽くされていないと感じられている方が多数いらっしゃる中で地元から申請が上がってきた、それを国としてはどのように受けとめていたのかということなんですね。
地元が上げてきたからもうそれはしようがないという判断だったのか、それとも、いや、国も問題は認識しているけれども、それはもうゴーしましょうということだったのかという問い合わせだったわけなんですが、いずれにしても、そこについては恐らく宮城県の申請内容に基づいて判断されたということだと思いますので、ちょっと時間の関係もありますので、そこはそこでそのように理解をさせていただきます。
ただ、これまでの議論で、特に復興事業に関しては、何となく地元の意向というのはなかなか通らなくて、国がこれだったらいいよというような事業は優先的に認可してもらえるみたいな印象がやはり地元では拭えないこともありまして、だからこそ今回はこれだけ問題になっているんじゃないかなと私は思っています。
あえてここでお伺いしたいなと思うのは、では、今回、こういう問題というのは、復興特区だから農林水産省としてもちょっとやってみようかなというレベルなのか、それとも、この結果を見て、これはいいかもしれないとなれば全国に広げていってもいい、ある意味試金石というふうに考えられているのかというあたりは、ちょっと御意向だけでも、御意向というか今の段階でのイメージだけでも教えていただきたいなというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。
○林国務大臣 これは復興特区ということで、そもそも、特区の制度自体も、この復興のために特別に区域を定めてやっていこうということでスタートしたところでございますし、今政務官からお答えさせていただきましたように、我が省としても、最初から復興庁といろいろやりながら、かつ、地元で知事さんも随分地元の皆さんと話をしながらやってきたということを踏まえて同意をしたという経緯がございます。
一般的に言いますと、現行の漁業法の枠内でも、別に特区法によらずとも企業が漁業に参入するということは可能になっておる、こういうことでございまして、クロマグロやブリ、カンパチ、こういったものの養殖業では既に企業参入の例もございます。
地元漁協と調整した上で、直接、漁業権を取得していただく方法、それから、企業が地元漁協の組合員になるということで漁業権を行使する、こういうことが可能でございますので、今後とも、そういう場合は地元との調整を図りながら、企業による漁業の参入を円滑に進められるように努めてまいりたいと考えております。
○林(宙)委員 今の枠組みでも企業が参入できるという方法はもちろんあるわけなんですけれども、例えば、今回この復興特区でとった方法と同じスキームを使おうとすると、また全国に同じような問題が広がっていく、このおそれは十分にあると思います。
ですので、もしこれを例えば試金石、一つのトライと思ってやっていらっしゃるのであれば、そこの解決方法というか、地元の皆さんも、漁業権を付与するとか会社参入自体というのは特に最初から反対なわけじゃないんだ、ただ、もうちょっと自分たちの言い分を聞いた上でうまい妥協点が見つけられなかったのかというところで紛糾しているわけであって、それはプロセスの問題だと思うんですね。
そうすると、結果的にいいことをやっているのに、何だか地元の理解が得られずにそのまま進んでいってしまって、こじれてしまうなんということになると、非常にこれはもったいないんじゃないかなというふうに思っているんです。
このプロセスというのを、これは地元の自治体のこともあるとは思うんですけれども、国としても、これは国が一つ、認定のプロセスに入っているわけですから、こういったところにも何となく心を砕いていただけると、もっとスムーズに進んでいくのかなというふうには思います。ぜひ、そのあたりも、また今後御協力をいただきたいなというふうに思っております。
少し違う質問に移らせていただきたいなと思うんですけれども、農地転用ということについては、私も復興に絡めて何度かこちらでも質問させていただきました。
特に、震災被災地の中でも仙台市などの平野部の津波浸水域というのは、そちらで営農されていた方が、例えば御高齢で、さすがにこの農地をもう一回復活させて営農しようというような気力がなくなってしまった、だからほかに何か使えないか、あるいは、広いところを除塩するのは非常に時間もかかるしということで、今言われているのは、太陽光発電設備とかメガソーラーみたいなことができないかなんというのは、もともと地元で議論としてあるんです。ただ、当然、農地を簡単にほかのものに転用するわけにはいかないということは私も理解しているところであります。
皆さんにお配りをしております資料、これは両面刷りになっております。その両面刷りのうち「水田に太陽光発電設備」と写真が載っている方の資料なんですけれども、これは何か非常におもしろい取り組みが出てきたなということで注目していたわけなんですが、これは姫路市の企業さんが姫路市と共同で研究をするというものだそうです。
簡単に言えば、この写真は余り明瞭ではないんですが、水田の中に柱を一本立てて、その上に太陽光パネルをくっつけて、これだったら農地に余り影響を与えずに、かつ太陽光発電ができるでしょうというようなアイデアですね。いろいろなアイデアが出てくるものだなと思って、私は感心して見ていたわけなんです。
そこで、今度は裏をごらんいただきたいと思います。
こういった研究の動きがどのぐらいあったのかがわからないですが、ひとまず、先ほどの写真つきの記事から大体一週間後ぐらいの記事でしょうか、こちら全国農業新聞では、こういった柱を立てて太陽光発電しようというものに対して農村振興局長から通知が出されたということでの報道になっております。
先にちょっとお伺いしたいのは、実際、こういった柱を立ててやれるんだったらやっていこうみたいなお問い合わせというか、政府に対しての意向みたいな、そういったものというのはどの程度動きとしてあったのかというのを、もし御存じでしたら御教示いただきたいなというふうに思います。
○實重政府参考人 農地に支柱を立てまして、支柱の上に太陽光パネルなどを設置いたしまして発電を行うタイプの施設でございますが、これは支柱の下の農地では営農を継続することができる、こういうタイプのものでございまして、近年、技術開発をされて、実用段階になっております。
このようなケースにつきまして、いよいよ実用段階になるというものが数件ございました。農地法上どのような取り扱いとするかということについて明らかにする必要がありましたことから、農地法に基づく一時転用許可、この対象にするということといたしまして、本年三月三十一日付で農村振興局長通知として発出したところでございます。
具体的には、支柱の基礎部分につきまして一時転用許可の対象といたしまして、この一時転用許可の期間は三年間とする、問題がない場合には再許可が可能であるというような形で延長していくというようなことでございまして、技術開発段階にあった設備としては、現在、数事例程度を把握しているところでございます。
○林(宙)委員 ありがとうございます。
この通知自体は興味深く読ませていただいたんですけれども、何となく中途半端な感じがするなというのは、これは上から四段目のところに「要件は、」というふうに書いてあるんですね。1、2、3とあるんですが、そのうちの「1簡易な支柱で容易に撤去できるものであること、」と書いてあるわけなんです。
先ほどの写真をちょっとごらんいただきながらお話ししますと、割と太い柱が立てられているのかなと思うんですね。当然、技術的なことを考えれば、例えば、では、これは台風が来たらどのぐらいの強度を保っておけばいいのかなどなどいろいろ考えていくと、意外と、農地、特にこれは今水田ですから、決して地盤がそこまでかたいわけでもなさそうなところに立てるとすれば、かなり深く掘らないといけないんじゃないかとかいろいろ想像するわけです。そのときに、この「容易に撤去できるもの」というのはどのレベルなのかなというのが非常に気になっておりまして、これは、もし今お答えいただけるようであれば教えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。どの程度かということで、お願いします。
○實重政府参考人 こうした農地に支柱を立てて営農を継続するタイプの太陽光パネルでございますけれども、これは営農と両立することが前提でございますので、今委員御指摘の許可に当たっての要件でございますけれども、一時転用許可を行うに当たっては、その農地やあるいは周辺における営農に支障を及ぼすことがないかどうか、これをチェックいたしますとともに、この一時転用許可の後、一年に一回程度報告を受けまして、営農に支障が生じていないかといったようなことについてチェックをさせていただくことにしております。
この場合、今御指摘の一時転用許可の期間は三年間でございます。その際に、簡易な支柱で容易に撤去できるものであることというのを要件にしているところでありますけれども、これは、仮に施設によって営農に支障が生じているような場合には、このパネルを調節いたしましたりあるいは立地を変更するといったようなことによって改善をしていくことができるようにしておく必要がございます。
この支柱については、移動ができるということがポイントだと思っておりまして、一定の強度につきましては、我が国の気象条件等に対応して、メーカーの方で開発過程において考慮されているものと思っております。
今後とも、発電と営農の双方が適切に行われるようにこの方針を運用していきたいと思っております。
○林(宙)委員 メーカーさんの方でしっかり研究をされているということでしたら、そのとおりなんだろうと思います。
ただ、この「簡易な支柱で容易に撤去できるものであること、」とか、あとは、実は、支柱の部分に関してだけ農地転用の手続が必要だとか、何かいろいろ制約があるんだなと思って見ておりました。
この質問は物すごくトリッキーなお話で大変恐縮なんですけれども、例えば、ある程度の発電量を見込もうと思ったら、この記事に載っている写真だけで考えれば、これは何本か支柱を立ててある程度の規模にしなきゃいけないんだろうななどと考えると、では、その立てるものごとに農地転用のいろいろと申請をしてとかということにまたなるんじゃないかなとか、いろいろなことを考えていくと、技術は技術で非常にいいと思うんですが、何となく取り決めとしては中途半端な感じがして、私は非常に気持ち悪いなという感じがするのです、大変失礼な言い方なんですけれども。これがもし倒れてしまったら、パネルはだめになるわ、その下にある農作物もだめになるわで、本当に、やるんだったら、倒れないようにがっちりと施工するというぐらいのところまでやってしまってもよかったんじゃないのかなと思うんですけれども、それは、今後、一つ課題としてお考えいただけたら大変ありがたいなと思うんです。
いずれにしても、今回、こういったことをやろうということで、太陽光発電がこのぐらい増加するだろうとか、そういった見込みというのは今あるんでしょうか。
○實重政府参考人 こういった支柱を立てまして営農継続と並立して発電を行うものについては、先ほど申し上げましたとおり、技術開発をされまして、実用段階になっている、こういう状況を受けまして、これに対応するために一時転用許可の対象とするといった方針を打ち出したばかりでございます。
そういう意味では、現段階でこうした施設がどの程度普及していくか、これはメーカー、販売の関係の方々の御努力にもよると思いますし、予測することは困難でありますけれども、タイプとしては大きく二つございまして、一つは、何本も支柱を立てて、その上に、まばらではありますけれども、屋根のようにパネルを設置するタイプがございます。それからもう一つは、今写真で先生お示しいただきましたように、一本だけ支柱を立てて、その支柱で何枚かパネルを支えるタイプ、いわば一本足タイプといったような、こういったものがございます。
いずれにしましても、再生可能エネルギーの導入と営農が適切に両立できるよう、今回の方針に基づきまして、円滑な運用に努めてまいりたいと思っております。
○林(宙)委員 結局、何が言いたかったかというと、こういったところを認めていくんであれば、ある一定の条件のもとでは、より本格的な農地転用みたいなものを視野に入れてしまった方がいいんじゃないのかなと思うわけです。
今回、特に、被災した浸水域はある程度の広さがありますから、その中で、この部分に関しては農地転用を少し緩和しましょうとか、そういったことがあってもいいのではないかなというふうに思うところもあります。
いずれにしても、こういったところも今後いろいろと議論の中に入れていただけるとありがたいなというふうに思って、きょうは質問させていただきました。
以上で質問を終了させていただきます。ありがとうございました。
○森山委員長 次に、畑浩治君。
○畑委員 生活の党の畑浩治でございます。
時間の関係もありますので、早速質問に入らせていただきます。
本日は、林業関係について議論をさせていただきたいと思います。
林業については、森林・林業再生プラン以来、いろいろな政策が講じられております。ただ、間伐とか、そういう環境保全というところはわかるんですが、ちょっと足りないなというか、意外に議論になっていなかったなと思うのは、主伐とか再造林の部分も含めて、あるいは国産材の需要拡大の部分でありまして、そこの問題意識を踏まえながらお伺いしたいと思うんです。
地元の林業関係者からは、まさに、主伐について補助がないのはちょっとどうなのかということとか、あるいは再造林について補助がないというか不十分というのがあって、この部分についての支援策の拡充が必要じゃないかという声がありますが、その点、いかがでしょうか。
○江藤副大臣 委員のおっしゃることはごもっともでございまして、これだけ材価が安ければ、この後きちっと再植林をしなさいということは非常に厳しい状況にあります。
二十五年度予算が通れば、国と都道府県を合わせて七割補助という制度ができますけれども、それでもやはり三割の負担が残るわけで、私も日本一の杉生産県の宮崎ですから、では、三割の負担に林家が耐えられるかというと、耐えられないんですね。今も、市町村が主体となって、九割補助事業があります。ありますが、この場合は、主伐はしちゃいけない、間伐だけしかやっちゃいけないという縛りがかかっていて、林業政策については見直さなきゃいけない点がたくさんあるんですよ。
ですから、我が党の中でも中谷先生を中心に議論を進めておりますけれども、ぜひ御党においても、かくあるべきという議論を、次の委員会、また今度、間伐特別措置法案、これから趣旨説明も行われますけれども、また議論も深めていかなければなりませんので、ぜひ建設的な御意見をいただきたいと思います。
○畑委員 まさに今後議論しなきゃいけない分野だろうと思いますので、よろしくお願いいたします。
森林資源の循環的利用を通じて次世代へ健全な森林を引き継ぐだけではなくて、まさに木材需要を高めて国産材を利用していくということで、必要な施策だと思いまして、そういう観点からお伺いしたいと思います。
今、森林施業の集約化とか路網整備あるいは搬出間伐に対する直接払い制度とか、プランナー、フォレスター制度とか、考えてみると、供給側の施策が多いなと思っておりまして、まさにこれから、需要拡大の施策を国が率先して組んでいく必要があるんだろうと思います。その点の方針を大臣にお伺いしたいと思います。
○長島大臣政務官 私の方から少しお答えをさせていただきたいと思います。
おっしゃるとおり、川下対策、出口対策に力を入れなきゃいけないと思っておりまして、公共建築物の木造化や木材加工施設の整備に対する支援、木質バイオマス利用施設整備に対する支援、木材の用途拡大のための技術開発や普及のための支援、そして木材利用ポイント制度の実施などを農林水産省では掲げさせていただきたいと思っております。
先生のお地元の岩手を歩かせていただいて、木材、林業に対する思い入れが非常に強いところだ、まさに地元で育った杉やヒノキが地元の住宅に一番向いているんだということをやはりきちんと受けとめた。そういったことを我々も受けとめて、製材工場や大工さんの支援も含めてやっていく必要があるんだと思います。
ちなみに、我が家は地元の杉の木一〇〇%、建具枠から全部、杉の木でございます。機会があったらぜひ、新潟の我が家へお越しいただければ、住宅を見ていただければありがたいと思っております。
○畑委員 これから国産材、地元材をしっかりやっていくためには、恐らく、規制改革というか規制緩和の議論が必要になってくるんだろうと思います。
というのは、いろいろな地元材を生かして新製品を開発してくるわけですが、それをしっかり基準上、取り入れなければならないだろうと思います。
現行、御存じのとおり、JAS基準があって、これに適合するかどうかというところで、これに適合すれば建築用材としても建築確認にのってくるというふうな構成になっていると思うんですが、ここのJAS基準について、そういう新製品について柔軟に取り入れるということもありますし、あと新製品についてどのような支援をするということも、これは一つの観点として重要になってくるんだろうと思います。
というのは、私も実は地元を歩いていて、地元材の杉、カラマツですか、ナンブアカマツも含めて、そこの心材を使ったような集成材、集成土台というのを研究してつくった人たちもいたんですが、そこがどうしてもなかなか、厳密に言えば基準に乗ってこないというか、微妙にちょっと基準に足りないところがあるんだそうです。
例えば、こういう資材が出てくる必要性というのも、これまで、防腐措置と防蟻措置、腐らないことと、防蟻、アリを防ぐ、これについての基準が、JASで細かい性能規定まであるのかどうかはあれなんですが、実はこういうものの必要がないような、強度もある新製品をつくった。
これから環境の時代ですから、かなり高気密の家が多くなってくる、であれば、シックハウスを防ぐためにも、できるならば防蟻、防腐措置が要らないようなものがそれなりにできればいいという観点でいろいろ研究したらしいんですけれども、防蟻、防腐措置は、腐ったりアリが入ってきたりして質量が三%以上減らないこととかという基準があったりなんかして、実は五%ぐらいまでは満たしているんですけれども、微妙に数字は満たさない部分があったと。
こういうことを含めて考えますときには、やはり基準は、例えばかなり防蟻、防腐性能も、何も防腐剤、防蟻剤を使わなくても満たすところの近くまで来ているんだろうと思うんです。環境の時代になってくればなってくるほど、従来のようなぎりぎりした防蟻、防腐剤を使うことを求めないで、それは使わないで、ある程度の強度、性能が出ればいいのではないかなという議論も私はあるんだろうと思います。
そういうところも踏まえて、これからまさに民間の発想で工夫して新製品が出てきた場合に、ぎりぎりした数値性能での議論は余りしないでというか、要は、そこの数字ありきではなくて、その性能あるいは強度が認められるのであれば、大体はぎりぎり昔みたいな薬剤を使わなくても大丈夫な部分が多くなっているんですけれども、そういうことも含めて、JAS性能を緩和というか、JAS性能の適用を柔軟化するとか、あるいはJASに対する、基準の改定等をしていくとか、こういうことも含めて考えていただきたいなと思っております。
そこで、改めてお伺いしますけれども、新製品開発に対する農水省の国としての支援ということと、そういうものを踏まえていろいろな民間の工夫で新製品が出てきた場合に、従来の基準があって、これはぎりぎり適用した結果だめですよといってはなかなか進まないと思いますので、そこの柔軟な適用なりJASの改定という考え方について、ちょっとあわせてお伺いしたいと思います。
○林国務大臣 大変大事な、需要サイドをどう強くしていくかということの中で、新製品の供給というのがやはり非常に大事だ、こういうふうに思っております。
我々が今注目しておりますのは、少し高い、高いというのは中高層建築物も木造化をしていこうというような観点で、クロス・ラミネーテッド・ティンバー、CLTというのがございますが、国産のCLTの開発普及をしていこうということに取り組んでおります。
今お話があったように、この普及のためにはJAS規格が必要になってまいりますので、補助事業を活用してこの規格の整備に必要な強度データの収集等を進めてきたところでございまして、まずはJAS規格が早く制定されるようにしっかりと手続を進めるとともに、その手続が終わってJAS規格ができていきますと、また普及に取り組んでいく、新製品をまたさらにやっていく、こういうことになると思います。
さらに、JAS規格そのもの、何百年も前から木でつくった家に日本人は住んでおったわけでございまして、そのときに防蟻とか防腐みたいなことをチェックしてから家を建てていたかというと、そういうことではなかったわけでございます。
したがって、本当に必要な規格、基準なのかということを、不断の検証というのはあらゆる規格について必要だ、こういうふうに思っておりますので、さらに、我々がこういう新しい国産材の利用を拡大する上で、必要なJAS規格に対する検討というものもあわせて取り組んでまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。
○畑委員 ありがとうございました。
実は、結局、民間の需要をいかに喚起するかという部分がちょっと足りないという問題意識がこれまでありまして、大規模な公共施設については木材を使うという法律ができましたが、まさにその基準の部分を含めて、今後、民間をどんどん押していって、国産材を使うという方向でしっかりやっていただくことが大事だと思っていますので、よろしくお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
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○森山委員長 次に、内閣提出、森林の間伐等の実施の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣林芳正君。
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森林の間伐等の実施の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○林国務大臣 森林の間伐等の実施の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
森林は、国土の保全、水源の涵養等の多面的な機能を有しておりまして、また、二酸化炭素の吸収による地球温暖化の防止の機能の持続的な発揮を確保する上でも、適正な森林が整備されることが重要であります。
このような中、森林吸収源対策の重要性及び気候変動に関する国際連合枠組条約等をめぐる国際的な動向を踏まえると、森林による二酸化炭素の吸収作用を保全、強化するため、引き続き間伐等の実施を促進していく必要があるとともに、新たに成長にすぐれた種苗の確保を推進する必要があります。
このため、平成三十二年度までの間、間伐等に要する経費等に対する支援措置を引き続き講ずるとともに、あわせて成長にすぐれた種苗の母樹の増殖を促進するための措置を講ずるため、この法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。
第一に、間伐等の実施の促進に関する計画を作成した市町村に対する交付金の交付、当該計画に基づく間伐等の実施及び助成について地方公共団体の支出する経費に係る地方債の起債の特例等の支援措置を平成三十二年度まで引き続き講ずることとしております。
第二に、都道府県知事は、農林水産大臣が定めた基本指針に即して、成長にすぐれた種苗の母樹の増殖に関する基本方針を定めることができることとし、この基本方針に即して、当該母樹の増殖に取り組む計画を作成し都道府県知事の認定を受けた者は、林業・木材産業改善資金の償還期間及び据置期間の延長等の支援措置を受けることができることとしております。
以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
○森山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時八分散会