衆議院

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第8号 平成25年5月16日(木曜日)

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平成二十五年五月十六日(木曜日)

    午前八時三十分開議

 出席委員

   委員長 森山  裕君

   理事 伊藤 忠彦君 理事 小里 泰弘君

   理事 北村 誠吾君 理事 葉梨 康弘君

   理事 宮腰 光寛君 理事 大串 博志君

   理事 村岡 敏英君 理事 石田 祝稔君

      安藤  裕君    井野 俊郎君

      池田 道孝君    小倉 將信君

      加藤 寛治君    川田  隆君

      菅家 一郎君    木内  均君

      國場幸之助君    清水 誠一君

      末吉 光徳君    鈴木 憲和君

      武井 俊輔君    武部  新君

      津島  淳君    中川 郁子君

      長島 忠美君    西銘恒三郎君

      橋本 英教君    福山  守君

      堀井  学君    簗  和生君

      山田 美樹君    山本  拓君

      渡辺 孝一君    後藤  斎君

      寺島 義幸君    福田 昭夫君

      鷲尾英一郎君    鈴木 義弘君

      高橋 みほ君    百瀬 智之君

      稲津  久君    佐藤 英道君

      林  宙紀君    青木  愛君

      畑  浩治君

    …………………………………

   農林水産大臣       林  芳正君

   農林水産副大臣      江藤  拓君

   農林水産大臣政務官    稲津  久君

   農林水産大臣政務官    長島 忠美君

   経済産業大臣政務官    平  将明君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 黒田武一郎君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            針原 寿朗君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  奥原 正明君

   政府参考人

   (林野庁長官)      沼田 正俊君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           後藤  収君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          鈴木 英夫君

   農林水産委員会専門員   栗田 郁美君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十六日

 辞任         補欠選任

  清水 誠一君     木内  均君

  鈴木 憲和君     小倉 將信君

  武部  新君     山田 美樹君

  橋本 英教君     國場幸之助君

  畑  浩治君     青木  愛君

同日

 辞任         補欠選任

  小倉 將信君     鈴木 憲和君

  木内  均君     清水 誠一君

  國場幸之助君     安藤  裕君

  山田 美樹君     武部  新君

  青木  愛君     畑  浩治君

同日

 辞任         補欠選任

  安藤  裕君     橋本 英教君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 森林の間伐等の実施の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第二一号)


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     ――――◇―――――

森山委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、森林の間伐等の実施の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本法案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省食料産業局長針原寿朗君、経営局長奥原正明君、林野庁長官沼田正俊君、総務省大臣官房審議官黒田武一郎君、経済産業省大臣官房審議官後藤収君及び産業技術環境局長鈴木英夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

森山委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武井俊輔君。

武井委員 おはようございます。自民党、宮崎一区、武井俊輔でございます。

 きょうは、このような形で、農林水産委員会で初質問できますことを大変光栄に思っております。また、我が宏池会の座長であります林大臣、そしてまたふるさとの大先輩であります江藤副大臣、本当にお支えをいただきまして、大変ありがたく思っております。胸をかりるつもりで率直にお伺いをしてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、宮崎県でございますので、口蹄疫のことを一点だけ話をさせていただきたいと思います。

 口蹄疫から三年がたちまして、埋却地がちょうど再生にかかってまいりました。先日、再生の第一歩ということで式典がございまして、江藤副大臣とともに伺わせていただいたんですけれども、改めて、国の復興に対する決意、また責任を持って取り組んでいただくということについて、これは地元でございますので、副大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

江藤副大臣 武井委員、頑張ってください。あなたが宮崎県で一番若い政治家であります。私が一番年寄りになってしまいました。ぜひ一緒に頑張っていきたいと思います。

 宮崎の口蹄疫についても、武井委員には大変心を砕いていただいて、私の選挙区が主でありますので、大変感謝をいたしております。

 これから、いよいよ農地として再生していかなければなりません。いろいろな埋却の仕方をしました。最初のころは、もうパニック状態でしたから、畜舎にある機械から長靴からかっぱから、何からかにまで投げ込んでしまって、とにかく埋めろということで埋めましたので、埋却地によってもばらつきがありました。

 ですから、これからきちっとした再生に向かって、そこできちっと営農が再開されて、再生産が可能になることが真の意味での再興でありますので、ぜひ、委員におかれましても、地元に足を運んでいただいて、これからも御意見をいただければありがたいと思います。

武井委員 ありがとうございます。また、御指導をいただきながら、一緒に頑張ってまいりたいと思います。

 さて、今回の質問でございますが、森林の間伐の実施の促進に関する特措法の一部を改正する法律案ということでございます。先ほどもございましたが、私どものふるさとの宮崎県は、非常に豊かな森林に囲まれておりまして、杉の生産量が日本一であります。多くの方が木とかかわりながら生活をしてまいりました。そういった意味でも、林業の振興は大変重要でありまして、今回こういう機会をいただいたこともございまして、今週の月曜日でございましたが、江藤副大臣の選挙区であるんですが、東臼杵郡諸塚村、人口が千八百人という林業を中心とした小さな村に参りまして、夜なべで林業関係者の皆様といろいろと語ってまいりました。

 その中で改めて感じましたのは、非常に経済的にも厳しく、また不安を感じながらも、実直に、誠実に山を愛し、自然を愛し、生きている多くの人々の姿でございました。政治は、さまざまな立場の人、さまざまな思いの人が持つ、やわらかいひだのようなものにしっかり思いをいたして、常に政治家はそれに配慮しながら発言していかなければいけないんだということを改めて感じました。そういう思いを乗せまして、質問をさせていただきたいと思います。

 この調査室からいただいた資料なんですが、これを見ておりますと、まず、我が国の森林による二酸化炭素の吸収作用の保全強化の重要性に鑑みというようなところから始まっていくわけでございまして、二酸化炭素の吸収の保全を図るために平成三十二年度まで支援措置を延長するとございます。

 これは、京都議定書を踏まえた環境対策が主眼の法律でありますから、それ自体に否やがあるわけでもありませんし、反対するものでももちろんありません。ただ、率直な思いとしてありますのは、これが農林水産省から出てくる法律なのかということであります。

 ここまで環境問題が主眼のものであるのであれば、これは環境委員会なり、環境大臣なり、そちらの方で審議されてもいいのかなと非常に素朴に思ったところでございました。林業関係者の方とも話をしておりますが、多面的機能とか環境政策と言われてもというのが本当に率直な気持ちでありました。

 山の営みというのは、それこそ太古の昔からありました。

 先日、昭和最後の宮大工と言われた西岡常一さんと農学博士の小原二郎さんの共著である「法隆寺を支えた木」という本を読みまして、この中に、木を買わずに山を買えという話があるんですね。同じ建物は同じ山の木を、北向きに植わっていた木は北に、南向きに植わっていた木は南に、それぞれ用途に合わせて使うんだというようなことが対談であるわけですが、奈良時代の昔から、これほどさように日本人は山を知り尽くして、世界に例のない木造建築をつくってきたわけであります。まさに、日本人は木とともに生きてきたと言っても過言ではありませんし、それが林業という産業であろうかと思います。

 そういった意味で、産業である以上は、やはり生活の糧でありますから、平たく言えば、従事者の皆さんからすれば、最大の関心は木材が一円でも高く売れるかどうかということに尽きるわけであります。確かに、農林水産業における多面的機能は極めて重要でありますが、林業も役割を担っているのも事実でありますが、従事をされる方は、多面的機能の保持のために林業をやっているわけではなくて、あくまでも生計を立てる過程の中の結果として、副産物のようなものとしてあるという捉まえ方でございます。

 ですから、そういう思いを鑑みるに、この法律案を見ますと、つまり、今後、国は、この林業というものを環境対策を主眼にやっていくのか、それともきちんと産業政策として、もちろん、両輪だと言われるんでしょうけれども、やはり非常にそこがわかりにくいのではないかと思うんです。

 まず、これは大臣にお伺いしたいんですけれども、農林水産省として、そういった意味で環境政策と産業政策というものを、農林水産省ですから、私はきちんとまず産業政策というものの中から常に立脚していかなければいけないと思うのですが、どういう軸足を置いて臨んでいこうとされるのか、お伺いをしたいと思います。

林国務大臣 きょうは、武井委員はデビュー戦ということで、今後の御活躍を御期待したいと思います。

 今、大変本質的な御質問だったと思いますが、森林・林業基本法というものがございまして、今まさにおっしゃっていただいたように、多面的機能、これは、例えば国土の保全ですとか水源の涵養、地球温暖化の防止などなど、将来にわたって持続的に発揮されるようにと法律にも書いてございますが、一方で、林業の持続的かつ健全な発展を図っていく必要がある。そのために総合的に施策を推進しているところでございます。これが基本法に定める基本的な立場ということです。

 その上で、今ちょうど、戦後からずっとはげ山があって、木をなるべく使わないようにというような時代を経て、先輩方のおかげで、ずっと植林が進んできました。今、我が国の森林資源というのは本格的に利用可能な段階を迎えておりまして、百メートル四方の土地にスカイツリー十六個分の高さをずうっと積み上げたぐらい、毎年木が育っている。したがって、それぐらいは使っても持続可能な段階まで今来ている、こういう本格的に利用可能な段階を迎えておりますので、新たな成長産業として林業の再生に取り組んでいきたい、こういうふうに考えておるところでございます。

武井委員 ありがとうございます。

 成長産業というお話が今ございました。しかし、現状というものを踏まえたときに、では、実際にどうなのかということには非常に不安があるわけであります。

 これは、多分皆様にもお配りになられている、林野庁の森林・林業・木材産業の現状と課題という資料でございますけれども、この中にもあるんですが、人工林の齢級別面積、一齢級を五年と見ますと、大体、伐期が来ております四十五年前後、九齢級、このあたりが百六十五万ヘクタールあるわけですけれども、一方で、十年前後の二齢級になると十七ヘクタール、一齢級になるともう九ヘクタールしかないわけであります。

 ですから、木は当然、伐期が来れば切っていかなければいけない。今まさにおっしゃったような切るべき木がたくさんある。しかし、逆に言えば若い木が非常に少ない。要は、切ったところが植えられていないからそういうふうになるわけでございます。林業は単年物の農業とは違いますから、あるとき突然、急に植えたからといって、では、伐期が来るには、それこそ四十年ぐらいかかるわけです。森林組合なんかとも話をしていますけれども、こういうことであれば確実に、将来的に森林組合などの経営は立ち行かなくなるわけで、本当に林業が産業として継続し得ないのではないかと思うわけです。

 こういった人工林の状況等を踏まえて、では、日本の農業というものに今後持続可能性というものがあるのか。また、持続可能性を維持していくためにはどのような方策が必要だとお考えでいらっしゃるか、お伺いをいたします。

長島大臣政務官 おはようございます。私の方からお答えをさせていただきます。

 武井先生御指摘のとおり、森林に対する思いというのはかなり深いものがあって、もともとは、やはり世代を超えて森や林を伝える、そのことによって木材を使用し、地域をつくってきたんだと思うんです。

 今おっしゃられたとおり、人工林が、植林、それから造林、下草刈りから、少し使えるようになってきて、間伐利用あるいは主伐というところに移りつつあるときに、そもそも、我々が支援する方向も、下草刈りだとか間伐から、少し木材利用の方向に、その技術習得も含めて支援をしていく必要があるんだと思います。つまり、世代を超えて、あるいは年限を超えて、例えば五十年、八十年というサイクルに応えられるような支援の方法を農林水産省としても支援をしてまいりたいと考えているところでございます。

武井委員 ありがとうございます。

 ですから、やはりそういう意味でも、今回の法律も、間伐をしていくことで、結果として主伐にとっても資するという意味になりますから、そういう意味があるということもわかるわけなんですが、実際、この話をいろいろ地元で聞きますと、やはり間伐よりも皆伐。ですから、間伐は間を抜くわけで、皆伐は全部切ることですけれども、やはり皆伐をやらせてほしいという意見が非常に強くあります。

 現在の補助金の仕組みは、前政権時代に要件が見直されたこともありまして、基本的には間伐を主体として補助金の制度が組み立てられております。しかし、では、何で間伐が進まないかといえば、間伐をして、しかもそれを搬出するというのはやはりコストが合わない。路網の整備というのはもう限界もある。もともと急峻なところであれば、道路から近いところでも搬出するのがなかなか大変だ、せいぜいクレーンが届く範囲ぐらいで、二百メーター、三百メーターぐらいは合うんだけれどもといったような話が多くあります。ロープウインチをつくって、活用してやるともう即赤字になると言われております。

 ですから、まず、皆伐で一気に切るということに対しての要望も強くあるわけでございます。ただ、まずその前に、間伐したものでも、結局、今の制度というのは、間伐をして、それを搬出しなければいけないわけですが、いわゆる林地残材で、もうとにかく間伐を主として、とりあえず切っておく、切る、山に残すということですが、そういうことが前提になれば、また大分変わってくるのではないかと思うわけです。そういった意味でも、今回は、そういったさまざまな方策を検討していかなければいけないのではないかと思っております。

 この間伐なんですけれども、今非常にコストが悪くて、悪循環になっているというところもございます。ですが、今回の法律は、あくまでもCO2の吸収強化ということを支援するという法律なわけですから、その意味では、林地残材になったとしても、間伐をきちんと促進できる方向で検討する。すなわち、林地残材を置くものであっても、補助金なりの要件を緩和して、積極的に対応していくという形での政策を検討できないのか。農水省の見解を求めます。

江藤副大臣 おっしゃるとおりだと思います。

 間伐して、搬出しなければだめだということが非常に評判が悪くて、二十三年度にこの法律ができたときに、私もこの委員会に立ちまして、かなりがんがんこのことはやらせていただきました。その後、民主党さんの中におきましても、かなり御努力をされて、運用については、かなり弾力的に運用されるようになっております。

 ですから、一カ所で五ヘクタール、集約が困難な人工林、そういうところもあるわけですから、複数箇所を合わせて、複数箇所がちょっとばらばらに点在していて、これはもう道路でつながっていればいいという、非常に日本語としてなかなか難しい解釈なんですけれども、道路口としてつながっていれば認めましょうというような、若干条件の緩和をしたり、切り捨て間伐についても、もう原理原則論的に絶対だめだということではないよという運用も一部されてはおります。それから、十立方以上の補助要件を満たせば、それでもいいでしょうということをやったり、小径木、間伐しているのは細くなりますから、この小径木についても、これはさっき言いましたように、切り捨ててもしようがないでしょうというふうにしているわけです。

 ですから、政権交代がされて、私たちは、施業計画から経営計画への移行は非常に無理があるということをずっと言ってきたわけでありますから、今度、マニフェストが党内でまとめられると思います。政権公約ですか、我々は。その中で、やはり全国一律ではない、その地域地域に合った施業の仕方。もちろん、高性能林業機械を否定するものではありません。これが効果を発揮している現場もたくさんあります。しかし、それが入らないところ、それから、道路についても、十二メートルで旋回できなきゃいけないような道路じゃなくて、作業道のつけ方、林道のつけ方にしても、少し段階的なつけ方をしなければならないだろう。

 委員の御指摘を受けて、林野庁の中でも検討を進めてまいりたいと思います。

武井委員 どうもありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 では、続きまして、皆伐のお話、先ほど少し触れたんですが、これは今月号のウェッジという雑誌で、新幹線の中によく置いてあって、時代の先端を行く雑誌とかいうふうにPRをしているものでございますが、この中に間伐の話が非常に出ております。

 間伐は、一立米当たり大体七千円から八千円かかる。一方で、この皆伐、つまり全部切れば三千五百円から五千円、非常にコストが安く済むということでございます。林野庁の今までの見解としては、皆伐、全部切るのは個人が収入を得る行為で、国はお金は出せないというふうにコメントしたとありますが、もちろん、その部分はそうにしても、やはり国として、もうちょっと皆伐を積極的に認めていく方向に転換していくということはできるのではないだろうかと思っております。

 確かに、皆伐、全部切って、植えなければ、これははげ山になるわけですよね。ですから、今回の法律案でも出ておりますが、いわゆるポットで杉の木を栽培するなんという技術も非常に出ていますけれども、こういったようなものも活用して、再造林なり、また、今、環境林とか観光林といって、桜を植えたりという活動も非常に進んでおりますが、いわゆる非経済林も含めて、これは森林組合でやっているところもたくさんあるんです。

 ですから、こういったようなことも活用しながら、環境林も助成制度は非常に厳しいという声があるわけですが、こういったようなものも含めて、コストの安い皆伐で、しっかり皆伐をして、その上で再造林をする、また、新しい形での森づくりをしていく、そういったような形の方向性というものを見出していくことは必要ではないかと考えますが、見解を求めます。

江藤副大臣 皆伐できる山は皆伐したらいいと思うんですよ。ただ、間伐をしないと木は太らない、日が当たりませんからね。やはり、除伐をして、下草刈りをして、そして間伐をして、風通しのいい光の当たる山にして、木を太らせるための間伐という政策も、また一方では必要なんだろうと思います。

 我が宮崎県では、拡大造林の時代から木を植えまして、長伐期で対応しろと言われても、一斉に今伐期を迎えていますから、武井委員が言われるように、皆伐をすべきだということはまさに的を得た御指摘だと思いますよ。

 ですから、おとといの委員会でも若干御答弁させていただきましたけれども、七割補助というのはあるんですね、国と都道府県が力を合わせれば。しかし、これについてもいろいろ縛りがありますし、三割の部分が自分たちの負担ということであれば、切って、木が安い、さらに、苗木を植えるのには人手も要る、そこまでの金を出すには、とてもじゃないけれども合わないよということで、はげ山が私の地元でもふえているのが現状です。それも、県外の業者が来て、ばっさり刈って、いいかげんな作業道をつけて、それで去っていってしまう、これが災害を引き起こす原因にもなっている、こういうような現実もあります。

 市町村が事業主体になってくれれば九割補助というのもありますが、この間言いましたように、これはまた、主伐はだめよという縛りがついておりますので、今回の法案とは若干、趣旨的には少し違いますけれども、拡大造林政策の時代から一気に太ってきた山を、これからどのように守り、そして環境を守っていくのか、大胆な政策転換が必要だろうというふうに考えています。

武井委員 ありがとうございます。

 今議論をさせていただきましたけれども、今まさにおっしゃったんですが、やはり林業政策というのは、本当は地域地域によって違うんですね。私どものような南九州は、雨も多くて、気候も温暖ですから、八齢級ぐらいになれば十分搬出できるわけであります。

 しかし、東北などは寒冷地ですから、当然、生育のスピードも違っている。かつ、やはり現在、もちろん太らせていかなければいけないというのはあるんですが、現在のニーズを見ますと、非常に集成材の使用もふえていまして、昔は、現地で家もハウジングメーカー、大工さんが建てていましたけれども、今は、大体工場でつくって、もう現地では組み合わせるみたいな形の家つくりが主流になってきております。

 また、いわゆる大径材、太いもの、昔は銘木なんていって非常に高く売れたわけですけれども、あとは、弁甲材という、船を昔はつくったりとか、そういうものもあったんですが、そういうものも今はなくなってきておりまして、大径材、大きいものは結局パルプ工場のチップになってしまうんだよみたいな話もよく聞かれております。かつ、製材所がもう大きいものをひくものを持っていないところもたくさんあるわけであります。

 ですから、やはり、そういったようなさまざまな状況、それから市場のニーズ、そういったものに的確に対応していただきたいと思います。

 この前、諸塚村に行っておりましたら、議長さんが、自民党のJ―ファイルを持ってみえて、画一的な森林経営の抜本改正と書いてあるじゃないかというふうなお話を向こうからされたわけであります。

 そういった意味で、農水省として、地域地域に合った政策づくりというものに、よりきめ細かく臨んでいく必要があるのではないかと思いますが、見解を求めます。

江藤副大臣 まさに、私の選挙区に来ていただいて、私の選挙区には三つ村があるわけですから、特に諸塚村は手入れの行き届いた山なんですよ、非常に。手をかけているのに金にならない。そして、高性能林業機械も入らない。そして、今言われたように、百年杉というと皆さん注目をされますが、百年たっちゃうと製材所は受け入れてくれない、なかなか。四十から四十五口径ぐらいのものじゃないと製材所ではなかなか引き受けていただけない。

 そういったことを考えると、これから、集成材、日向駅でおりていただいたと思うんですけれども、あそこは大口径集成材を使って木造の駅舎ができているわけですよね。先生、これから技術開発というのが物すごく必要になってくると思います。後々の答弁で出てきます、もう時間もないので長く話しませんけれども。

 やはり国産材を、チップとかバイオ燃料とかいうことではなくて、木材としていかに木育の精神も入れながら生かしていくかということは、これからの政策課題だなというふうに認識いたしております。

武井委員 まさに、ニーズをしっかり捉まえて対応していただきたいと思っております。

 最近、昨今は公共施設への積極的な活用なども進んでおるわけでございますし、また、ハウスメーカーのページなどを見ると、うちは国産材を使っていますみたいなことを非常にPRしているわけです。でも、実際、平成二十三年度ですが、国内の木材供給量七千二百七十三万立米のうち、国産材は、一千九百三十四万立米ということでございまして、二六・六%、あとが輸入材ということになっております。

 ですから、国産材の需要をどう上げていくかということがまさに不可欠であるわけですが、住宅メーカーの人なんかに話を聞くと、やはり安定納入というものに懸念があるということを非常に言われます。あとは、やはり乾燥ですね。しかし、この辺も大分技術は向上してきているのではないかと思うんです。

 そういった意味でも、国はこれから輸出にも力を入れるというんですけれども、輸出に力を入れるのも大事なんですが、国内需要が三割に満たないところをどう改善していくかということが大事ではないかと思っております。

 先日も、家を建てた友達の家に行ったんですけれども、食べ物とかはどこでできたと非常に気にするんですけれども、木がどこでできているかというのは意外と知らなかったり、非常におもしろいなと思ったんです。

 そういった意味でも、やはり、一番使うのは住宅メーカーなわけですから、そういったようなところが家を建てるのに、例えば、輸入材、国産材の使用率を、義務づけるというところまではできないかもしれませんけれども、明示してもらう。そういったような形で、一番使うところが、どれぐらいうちは使っていますよみたいなことをPRしてもらうことで、いい意味で国産材の需要の競争みたいな形になっていけば、この二六・六%が大分改善をしていくのではないかと思いますけれども、そのようなことを国産の住宅メーカーなりに働きかけをしていくということはできないのか、お伺いをいたしたいと思います。

沼田政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、平成二十四年度補正予算により創設されました木材利用ポイント事業、こういう事業がございますけれども、このポイント付与の対象となります木造住宅につきまして、実は、主要構造部に使用する木材の産地、それから樹種を看板等により表示するということにしているところでございます。

 また、森林所有者、工務店など、川上、川下の関係者が一体となって、地域材を活用して、消費者の納得する家づくりに取り組みます顔の見える木材での家づくり、こういったものを推進しているところでございます。

 国産材の利用の意義でありますとか、国産材のよさを認めている消費者も多いというふうに認識しておりまして、こういった木材利用ポイント事業の成果といったものを踏まえながら、表示のあり方も含めて、国産材の需要の拡大につながる方策をさらに検討してまいりたいと考えているところでございます。

武井委員 ぜひ、数値目標というところまではいかないにせよ、やはりそういったような形で、実際に、メーカーがPRしている割には割合が低いという非常に残念なところがありますので、ぜひとも積極的な取り組みをお願いしたいと思います。

 最後に、これは大臣にぜひお答えをいただきたいと思うんです。

 今回、こういう形で間伐の法律が出てまいりました。きょう、林業についてのいろいろな課題を副大臣を中心にお話をしてきたわけですが、やはり日本の目指すべき林業、例えて言うなら、これを一枚の絵としたときに、今回のこの法律が、では、この絵のどの部分を構成して、林業が産業として活性化して、その結果として環境政策にも資していくというな形をしっかり示していくこと、あっ、こういう法律ができたんだな、では、我々ももっと頑張ろうかな、息子に跡を継がせようかな、人も雇おうかな、そういうふうに思ってもらえる、林業従事者のモチベーションを高めていく、それが大事ではないかと思うんです。

 最後にいたしますが、今回の法律が今後の林業行政にどのように資して、また、活性化につなげていこうとされていらっしゃるのか、最後にお伺いしたいと思います。

林国務大臣 本法案、これは間伐等の実施に対する財政的な支援、こういうことですから、この法案によりまして、財政的な支援が引き続き講じられる、こういうことになります。

 この支援措置の延長も相まって、大事なことは、今御議論いただいたように、戦後造林された森林資源が本格的に利用可能になってきておりますので、森林整備が進んで、森林・林業の活性化、成長産業化、大いに資することになると考えております。

 森林は、例えば森林浴という言葉がありますが、やはり森の中に入るということ自体に非常に効用があって、そして、林業そのもの、木材、今御議論いただいたようなものがあって、さらに、例えばバイオマス、木材チップ等で、最終的にはエネルギーとして活用もできるということで、非常に大きなポテンシャルがある。しかし、今御議論いただいたように、いろいろな課題もある。

 したがって、これは、一つの財政的な支援措置が引き続き講じられるということもあわせて、全体として成長産業として育てていく、こういうことで努めてまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。

武井委員 それぞれ御答弁ありがとうございました。

 林業県の一員として、私も一緒に、一生懸命頑張っていくことをお誓い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

森山委員長 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 おはようございます。

 昨日は、平成二十五年度の予算が成立をいたしまして、また、きょうは大変朝早くからということで、皆さん、御苦労さまでございます。

 私の生まれ育った高知県は、日本一の林野率、いわば一番の緑の宝庫ということでありますが、御多分に漏れず、非常に林業経営も厳しい、こういう状況でございますので、この法律が通ることによって、森林整備が進み、やはり林業経営者のプラスになるように、こういう思いで質問もさせていただきたいと思います。

 まず、大臣にお伺いをいたしたいと思うんですが、森林というものは、経済的な側面も当然あるわけですけれども、それと同時に、環境を守る、こういう側面も最近とみに注目をされているわけであります。特に、地球温暖化の観点で、大臣にまずお伺いしたいんですが、平成十九年から、なかなか当初予算では確保できない予算を補正予算等で、やはり地球温暖化対策での森林吸収源、こういう形で、日本の約束したうちの三・八%を森林整備で確保しよう、こういうことで進めてまいりましたが、これについてどのように評価をなさっているのか。まず、お伺いをいたしたいと思います。

林国務大臣 森林吸収源対策は、御案内のように、京都議定書第一約束期間が平成二十年から二十四年であったわけでございますが、この温室効果ガスの目標の六%のうちの三・八%ということで、非常に大事な位置づけにある、こういうことでございます。

 現行の間伐特措法でやっていただく支援措置も活用して、森林吸収源対策の目標達成に向け取り組んでまいりました結果、確実に成果を上げてきているということでございます。

 二十五年以降の第二約束期間は、削減義務は負わないということでございますが、しかし、引き続き地球温暖化対策に積極的に取り組むということが大事だと考えておりまして、森林吸収源対策についても、国際的に合意された算入の上限値が三・五%でございますから、これを最大限に確保できるように取り組んでまいりたい、こういうふうに思っております。

 間伐や造林などを通じた森林の適切な整備、それから、公共建築物や木質バイオマスなど、木材の利用拡大、こういったことを、関係省庁と連携しながら、積極的に推進していく必要があると考えております。

石田(祝)委員 今御答弁がありましたように、京都議定書、これは名前のとおり、京都で議定書が結ばれたわけでありますが、それを日本としてもしっかりやっていこうということでやってきましたけれども、どうしても予算が要る。特に、先ほど申し上げたように、当初予算ではなかなか確保できない。これは、補正予算で熱心に取り組んできた、林野庁も大変御苦労されたと思いますが。

 それで、私も党の環境部会長を務めたことがございまして、そのときから、何とか吸収源対策への安定的な財源が必要ではないか、こういうことで随分努力をいたしました。税制改正のたびに、検討事項、こういうことでやってまいりましたが、昨年ですか、一昨年ですか、石油石炭税の上乗せという形で、いわゆる環境に資するということで税源を確保したわけです。

 ところが、これが排出源対策だということで吸収源対策には使えない、こういうことで、これは、ことしの末の来年度の税制改正の大きな議題であります。

 きょうは、まず、大臣にお聞きする前に、経済産業省に来ていただいておりますので、お伺いいたしたいんです。

 この石油石炭税は、去年の十月から課税をされておりますが、税率も年を追って上がっていく。そして、二十四年度は十月からということで半分ですね。これが平年度になってくると相当な金額になると思うんですが、この石油石炭税の上乗せの部分、いわゆる排出源対策として使うという前提の部分は、平年度で一体幾らになるのか。そしてそれは、例えばその金額を示していただいて、現在は幾ら使われているのか、このことをお示しいただきたいと思います。

後藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のように、地球温暖化対策のための税というのは、石油石炭税の特例という形で二十四年十月から導入され、二十六年四月、それから二十八年四月と段階的に拡大させていただくという方向で、一応法律として成立してございます。

 今お話がありましたように、税収では、実は石油石炭税と温対税の部分を区分して出てこないものでございますけれども、予算ベースでいきますと、総額では、二十四年度で五千四百六十億円、二十五年度では六千五百億円を見込んでございます。

 また、歳出の方で申し上げますと、二十五年度予算におきましては、エネルギー特別会計のエネルギー需給勘定に五千百九十六億円を繰り入れることになっているという状況でございます。

石田(祝)委員 これはもう一度お答えいただきたいんですけれども、エネルギー特会に入れているわけですよね。しかし、全部使われていないんでしょう。要するに、これから先を見ても、収入に当たる石油石炭税の特例措置、上乗せの部分、それが排出源対策だけで、足りないだとか、いっぱいいっぱいだとか、そういうことはないんでしょう。すき間があるんでしょう。ちょっとそれだけ答えてください。

後藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のとおり、税収とそれからエネルギー特別会計への繰り入れ分というものにつきましては、差がございます。

 平成二十五年度予算におきましては、一般会計に留保されている部分は一千三百億円という状況になってございます。

石田(祝)委員 今お答えいただきましたように、排出源ということで理解をいただいて上乗せしているんだ、こういう理屈だろうと思いますけれども、現状は、温暖化対策を考えたときに、これだけお金をお預かりして、足りないというんじゃないんですね。余っているわけですね。

 それで、なぜ吸収源に使うことを認めないのか。これは、先ほど申し上げたように、ことしの暮れの税制改正の大きなテーマでありますので、細かい数字のことはこれ以上申し上げませんが、暮れの税制改正、何としても、いわゆる森林、地球環境を守るため、そういう環境を守る観点も含めまして、大臣にぜひ、吸収源対策として今年度はしっかり税制改正に書き込む、そういう努力というんですか、果実をかち取るべく頑張っていただけると思いますが、その決意をお述べいただきたいと思います。

林国務大臣 昨年末もといいますか、昨年末からことしの頭にかけて税の議論をしたときも随分やらせていただいたんですが、与党の御議論を大変やっていただいたこともあって、税制改正大綱にも、地球温暖化対策については、排出抑制対策と森林吸収源対策の両面から推進する必要がある。それから、森林整備を推進することが必要であるということ。そして法律の七条、これは消費税のものですが、これに、規定に基づき、森林吸収源対策及び地方の地球温暖化対策に関する財源の確保について早急に総合的な検討を行う。

 総合的なということですから、もちろん森林吸収源対策も含めて、こういうことで決めていただいておりますので、この検討をしっかりと進めていくことによりまして、先ほど、今の石石税の使途の状況については経産省から御答弁があったとおりの状況でもございますので、去年も、去年というかことしの頭も御要望させていただいたように、森林吸収源対策、これを追加することを含めて、財源の確保にしっかりと取り組んでまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。

石田(祝)委員 もう一点お伺いしたいんですが、これは財源ということでお伺いしますけれども、一つは、京都議定書、二〇一二年に第一約束期間が終わりまして、第二約束期間に日本は入らなかった。米国、中国は入っていないということもございまして、削減義務を負わない、こういうことになりました。

 そういう中で、第一約束期間の間に、とにかく日本の中だけではできないということで、これをクレジットで、外国からいわゆるその部分を買う、こういうことで予算措置もされてきておりまして、私がきのう、経済産業省からですか、いただきますと、十八年度から二十五年度の要求額も入れまして千六百億、クレジットを取得している。千六百億円分ですね。ですから、極端に言えば、これが要らなくなるわけですね、この予算が。

 一番多いのが、平成二十一年度に六百三十七億も、四千四百九十八万CO2トン買っているんですね。ですから、これが要らなくなるということは、当然、私は、この分は吸収源対策、これはしっかりと確保するべきだと思うんですが、この使い道も含めて、経産省としてはどういうお考えなのか、お答えをお願いしたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生の御指摘のとおり、過去五年間で、排出ガス削減の一・六%分を政府が購入するということで、約一億トン購入することを京都議定書目標達成計画に決定しておりまして、それに基づきまして、七年間で一千五百億円を執行し、実績として九千三百六十五万トンのクレジットを取得しております。

 なお、本年度も、国連による各国の目標達成状況に係る審査等が行われる、いわゆる調整期間にございます今年度予算においても、引き続きクレジットの取得が認められておりますので、百億円の予算を計上し、三百八十七万トンのクレジットの購入を予定しております。

 なお、来年度以降については、京都議定書の約束に基づくクレジットの購入は想定をしておりませんが、現在国会で御審議をお願いしております地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案に基づきまして、新たな地球温暖化対策計画を策定する予定になっておりまして、これに基づいて、先ほど御指摘がありましたとおり、我が国の国内で最大限の努力を行ってもなお不足すると見込まれる場合に、海外からのクレジットの取得をするという計画が盛り込まれる可能性もございますので、もしもそういうことになりましたら、また必要な予算についてはお願いをしていくということになると考えております。

石田(祝)委員 どちらにしろ、この問題は排出、吸収、両面でやっていく以外ないわけですから、経済産業省も、この石油石炭税の上乗せ分を含めて、自分の役所の金だなんて思わないで、ぜひお願いをしたいなと思っております。

 続きまして、本題の質問に入りたいと思うんですが、今回、新しく、母樹の増殖、こういうことでやろうということで考えているようですけれども、その中に、杉、ヒノキが入っているんですね。やっと私も杉の花粉症の状態からだんだんと脱してきて、非常に楽になってきているんですが、これはまた来年来るんですね。私は程度が余りよくないので、杉なんですが、もうちょっと程度のいいと言ったら失礼ですけれども、ヒノキの方もいらっしゃるわけですね。

 そうすると、毎年毎年繰り返している、そういう中で、樹種をかえるのはいいんだけれども、また杉ですか、またアレルギーのもとですか、こういう議論も出てきはしないかと心配しているんですが、新しくやる樹種について、そういう点をどういうふうに配慮されているのか、簡単にお答えいただきたいと思います。

沼田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法律で予定しております特定母樹でございますけれども、この特定母樹に指定して、増殖を促進する主な樹種といたしましては、我が国における主要な造林樹種でございます杉、ヒノキ、カラマツ、こういったものを想定しております。

 ただ、この特定母樹の指定に当たりましては、いわゆるすぐれた成長量、こういう特性に着目するだけでなくて、花粉の発生量が少ないもの、こういったものを指定していく考えでございます。

 また、地域に合った多様な森林整備を進めていく上でも、広葉樹の造林というのも重要だと考えておりまして、最近では、シイタケ原木のクヌギ、コナラでありますとか、バイオマス利用のための柳やポプラについても、成長にすぐれた特性を有する樹木の選抜ないし成長試験が進められております。

 こういったことで、広葉樹の開発を進めて、できるだけ早く特定母樹にも指定できるよう、こういった取り組みを進めてまいりたいと考えているところでございます。

石田(祝)委員 これはぜひ、そういう点に配慮してお願いをいたしたいと思います。

 続いて、きょうは総務省にも来ていただいておりますので、間伐の、いわゆる地方のお金をどう工面するか、こういうことでお伺いをいたしたいと思います。

 今回の法律で、都道府県が、最低ですか、まず二割、それを負担する義務的経費を構えれば、国が五割お金を出しますよ、残りの三割は森林所有者が負担をしてください、しかし、森林所有者が負担をする三割については任意で上乗せができますよ、その都道府県分の二割と任意の上乗せ部分を合わせたものを起債して、元利償還の三〇%を特交で措置をする、こういうことになっております。

 やはり、森林所有者が三割負担するというのはなかなか大変だなというふうに実感をいたしておりまして、この任意の上乗せの部分は、当然これは最大限御努力いただくと思うんですが、この森林所有者の持つ三割のところを、今回の法律で、三割の元利償還じゃなくて、山というのは基本的には過疎地ですから、過疎債、辺地債、こういうものをこの三割のところに使うと、過疎債で出せば、これは元利償還分の七〇%、辺地債だと八〇%、こういうふうになりますけれども、この部分にこれを何とか、私は使えるんじゃないかなと思っておりますけれども、総務省の方から御答弁をお願いしたいと思います。

黒田政府参考人 ただいま御指摘の過疎対策事業債でございますが、これにつきましては、根拠法であります過疎地域自立促進特別措置法の改正によりまして、平成二十二年から新たにソフト事業についても対象とされております。

 したがいまして、任意の上乗せ補助を行う市町村が過疎団体であり、その上乗せ補助が過疎地域自立促進計画に位置づけられておりましたら、この過疎対策事業債の対象となり得るものでございます。

 一方、辺地対策事業債でございますが、これにつきましては、根拠法におきまして、公共的施設の整備の関連経費のみを対象としておりますので、これについては現行法上は対象になり得ない、そういう状況でございます。

石田(祝)委員 これからやられる市町村、都道府県も、これは二割は出さなくちゃいけない。しかし、残りのところの森林所有者が三割持つというのはなかなか、申し上げたように、今の経営状態では非常に厳しいと思うんですね。

 そこに、先ほど申し上げたように、森林というのは大体山の方、当然山ですから、どちらかというと、過疎債、過疎地域の指定、こういうところが多いと思います。そういうところに、今も御答弁があったように、これは過疎債のいわゆる法律改正をして、ソフトというのが使えるようになりましたので、これが充当できるということでありますから、ここのところをぜひ林野庁も積極的にPRしていただきたいなと思います。

 実は、きのう私のところに説明に来ていただいたんですが、結局、過疎債をまだハードしか使えないと思っているんですね。林野庁自体が、まだ知識が古い、三年前の知識しかない、こういうことなんですね。それは、その人がどなたかということはもちろん申し上げませんが、全員が全員とは思いませんけれども、やはり大もとの役所がそういう認識であると、これは当然、県や市町村に行きますと、さらにそこまでの認識に至らない場合があるんじゃないか。

 そうすると、せっかくの今回の仕組みでありますから、最大限国の補助を利用して、やはり森林所有者が事業をしやすいように私はすべきだと思う。ですから、今審議官から御答弁いただいたように、しっかりそれを使っていく、こういうこともあわせて、私は、大いに森林整備が進むようにお願いをしたいと思います。

 最後になりますけれども、これは江藤副大臣にちょっとお聞きしたいんですが、これは、私は言葉尻を捉えるわけじゃないんですが、誤解をされるんじゃないかと思うので再度お聞きしますが、先ほどの委員の質問で、皆伐できるところは皆伐すればいいんだ、こういう御答弁でしたが、それがそのとおりの、その部分だけ文字になって誤解を受けることはないですか。私は、お聞きをしていてちょっとひっかかったものですから、再度御答弁を、補足を含めてしていただければと思います。

江藤副大臣 フォローしていただいたようで大変ありがとうございます。

 皆伐ありきということでは決してなくて、ただ、林家として、もう伐期を迎えている、ぜひ次の経営のために、この山については、再植林も含めて、搬出したいんだということであれば、全て出さなくてももちろんいいと思いますが、それは民有林であれば特に、それぞれの経営体の御判断によって皆伐するところもあるかもしれませんが、先ほど申し上げましたように、そのままはげ山になりますと、これは災害が起こる原因の一番の大きなものになりますので、その上では、再植林も含めたきちんとした計画を立てることが必要だというふうに考えております。

石田(祝)委員 ありがとうございました。

 終わります。

森山委員長 次に、鷲尾英一郎君。

鷲尾委員 おはようございます。

 早速でありますが、質問に移りたいと思います。

 先ほど石田委員から鋭く切り込んでいただきましたけれども、森林吸収源対策の財源確保について、まず質問させていただきたいと思います。

 先ほど石田委員の質問でも、すき間があるというお話がありましたけれども、また大臣からも、しっかりと取り組むという発言をいただきましたが、かなり石田委員のコメントの中に本質をつく表現がありましたね。経産省は自分の役所の金だと思うな、たしかそういう表現があったと思うんですけれども、私どもの政権で、ある意味、特例を設けまして、地球温暖化対策ということでやってまいりましたけれども、森林吸収源ということで吸収目標を立てて、随分とお金をかけてやっているというところに鑑みれば、やはり、それこそ間伐の予算として、安定的な財源として広く使われるという考え方もあろうかと思います。

 先ほどは政府参考人が、ある意味、すき間があるよということを答弁されただけでありましたので、きょうは平政務官に来ていただいておりますから、その点につきまして御答弁をいただきたいと思います。

平大臣政務官 お答え申し上げます。

 そもそも温対税は、昨年の十月、民主党政権下において導入をされています。そして、森林の吸収源の対策に使うべきだという議論は、導入時から議論をされていたと思います。その議論を踏まえて、エネルギー起源のCO2排出の抑制対策ということでこの税が導入をされた。今、石田委員を初め、この委員会での議論を聞いておりましたけれども、そういった考え方も当然あるわけでありまして、今後これは議論をされるべきことであろう、そのように思います。

 昨年の八月に可決、成立をした税制抜本改革法においても、消費税率の引き上げを踏まえて検討することとされておりますから、当然、与党、そして別途政府内で検討されるべきものと考えております。

鷲尾委員 当時は産業界から随分声がありまして、これを排出源対策以外に使うのはまかりならぬという声も一方でかなり強くありまして、全然歯が立たなかったというのが我々の状況でありました。ですから、政権もかわったことですし、何かこういうことを言うと敵に塩を送るみたいで嫌なんですけれども、やはり、少しそこは、改めるべきは改めて使っていっていただきたいなというふうに思っております。

 大臣から先ほど、かなり穏やかな形で、しっかり取り組むとおっしゃっていましたから、ぜひ、これは断固確保するんだという一言をいただきたいと思います。

林国務大臣 私、性格がちょっと穏やかなものですから、言い方が少し穏やかだったかもしれませんが、今経産省の方から御答弁をいただきましたけれども、長い経緯がある話で、委員もよく御存じだと思います。我々が政権交代の前の与党時代も、環境、農林、経産、国交、がっぷり四つに組んでずっと議論して、当時、私も税制調査会の役員をやっておりましたので、よくその経緯を存じておりますが、なかなか結論が出なかった話でございます。

 したがって、税制の議論というのは、実は細かい文言に全エネルギーを注入して、どういう文言をどういうところに書き込むかというところに、最後、この大綱をつくるときは全精力を注入するわけでございまして、そういう意味では、先ほど申し上げましたように、大綱、それから税法そのものにもきちっと明記をされたということでございますから、こういうものを足がかりにして、この吸収源対策に必要な財源の確保をしっかりと取り組んでまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。

鷲尾委員 思いが伝わりました。ありがとうございます。

 それで、これは一般的に流布されているイメージですけれども、産業界といわゆる農林水産業との対立の構図、時として政治もそれをあおったりするわけでありますけれども、一般的に申し上げますと、国内でかなり予算の分捕り合いをしている、その中で、産業界から、農林水産業はお金が、要するに過保護だ、保護され過ぎていると。つまり、言葉をかえれば、予算をかけ過ぎているんじゃないかという言い方をされることがよくあります。

 よくある一例として、余り言いたくはないですが、私も当時、与党にいたときに、かなり心中複雑な思いがありましたので。たしか、ある議員の方から、農林水産業がGDPに占める割合というのは大体一・五%そこそこで、九八・五%の相当の部分が犠牲になっているよという発言があったんです。

 相当いろいろな思いが私もありまして、調べました。きょう、その資料を皆さんにお配りをしております。ちょっとごらんになっていただきたいんですけれども、一枚目、農業の経済的位置づけに関する国際比較ということで、これはたしか二〇一〇年と一一年、そこら辺のデータだと思いますけれども、名目GDPに占める農林水産業総生産額の割合で見ますと、そんなに日本が突出して低いわけじゃないよねというのがわかると思うんですよ。

 その次の段ですけれども、国家予算に占める農業関係予算の割合。これはどうしてこういうことを調べたかというと、要するに、この図でいきますと、一・二%の日本の農林水産業に対してどれだけ予算をかけているのかということなんです。ですから、日本の場合は、農業関係予算が二・〇%ですから、一・二%に対して二・〇%の予算をかけているということであります。

 ちょっと韓国をごらんになっていただきたいんです。そうしますと、韓国は、二・三%ですから約二倍なんですね。それに対して、農業予算でいきますと、日本に比べると約三倍なんです。ちょっとわかりにくいかもしれませんが、わかりますかね。

 つまり、韓国は、どっちかというと、自由貿易協定もかなり、アメリカやそれからヨーロッパとも結んでいますから、非常に貿易立国であるがゆえに農林水産業は犠牲になっているというイメージで捉えられている向きが多いと思います。ところが、割合で見ると、日本の約三倍の農業関係予算を組んでいるわけであります。もちろん、そのもととなる農林水産業の占める割合でいくと日本の二倍なわけですから、常識的に考えると、韓国の方がやはり予算をとっていると言えますよね。

 これを見て、えっと思いまして、二枚目以降をごらんになっていただくと、これはどれぐらいのトレンドがあるんだろうと思いまして時系列でこれも調べてもらったんですけれども、日本はどんどん下がっているわけですね。大体そんなところです。ちょっと飛ばしますけれども、最後のページが韓国になっているんですけれども、韓国も同様に若干下がっていますけれども、やはりかなりの程度の予算を組んでいる、少なくとも日本よりは多いんじゃないかな。

 これは、一般に広がっているイメージ、あるいは、いろいろな場所で言われる、いや、農家は保護され過ぎだというイメージとは少し、データとしては異なっていると思うんです。保護され過ぎだという言い方が、もし国内の予算の分捕り合いの中で言うならばそうかもしれません。それは経済産業省の予算と農林水産省の予算を比べてみれば一目瞭然ですから、どっちがお金をかけていますかと国内で見るならば、それは農林水産省の方がお金をとっているわけでしょう。ただ、それは国内の予算の分捕り合いで済む話なんですかと。

 これから、例えばTPPに条件交渉、参加して、さまざま交渉して、私は個人的には、当然、国益の確保が大前提ですから、不利な条件であれば毅然として席を立ってもらいたいという思いはありますけれども、何にせよ、農林水産業に対していろいろな影響があることは不可避だと思います。

 そういう中にあって、ある意味、これは俗っぽい言い方をすれば、グローバルスタンダードで日本も、それは三本の矢というか成長戦略というかわかりませんけれども、グローバルスタンダードに合わせながらより成長力を高めていきましょうということなのかもしれない。グローバルスタンダードに合わせていくということなんでしょう。であるならば、日本国内で予算の分捕り合いをしている場合かと私は申し上げたいわけです。もし、貿易でグローバルスタンダードに合わせるということをさらに推し進めていくならば、農林水産業に対する目線も世界基準でやってもらわなければ困ります。その世界基準というのが、まさしくこの表に示した観点ではないかと思うわけです。

 ですから、農業は保護され過ぎだよと言うのはいいけれども、それはね、国内の予算の分捕り合いでそんなことをずっと言っていないでくださいよ、世界に貿易立国でやっていくんでしょう、もっと成長するためにグローバルスタンダードに合わせる方向性を言っているわけでしょう、だったら、農林水産業に対する目線もグローバルスタンダードで見てください、そんな御都合主義はだめですよと私は申し上げたいんです。

 ということで、でも、これは農林水産省につくってもらった資料なんです。これは我々もTPPの議論でさんざん議論しましたけれども、これは内閣府が出した資料なのか、経産省が出した資料なのか、農水省が出した資料なのかで全然試算結果が違う、全然資料のつくり方が違うという話が出るわけですよ。

 今までの話も踏まえた上で、平政務官、どうでしょうかね、経産省でちょっと資料をつくって、こういった議論をしたらどうでしょうかね。

平大臣政務官 まず、この資料については、極めてシンプルな資料でありますから、前提条件をいろいろ恣意的に置き直してやる試算ではありませんので、これをトレースして経産省が試算をもう一回やるというのは、予算の無駄なのでやりません。

 もう一つは、民主党政権下において、TPPの交渉に参加する参加しないという議論の中で、農水省の資料、経産省の資料、内閣府の資料がそれぞれ出てまいりました。こういった資料については、あらかじめ政府が、その前提の置き方が合理的かどうかも含めて統一見解を出すべきである、そのように考えております。

鷲尾委員 公表されているデータでシンプルですから、そんなに予算もかからぬと思いますよ。一度ちょっと、ぜひ御自身でお調べになっていただけたら幸いでございます。

 今の議論を踏まえた上で、これからの農業予算の確保、やはり今のような、それこそグローバルスタンダードな農業予算の確保が必要になってくると思います。ぜひ、その点、大臣とそれから平政務官にお伺いしたいと思います。

林国務大臣 大変いい紙をいただいたな、こういうふうに思っております。

 グローバルスタンダードということを言われると、先ほど委員がちょっとおっしゃったようなことで、何となく農林水産の分野はそれでないようなイメージというのがある場合があるんですが、堂々とこういうことを出していって、それぞれの国がどういう事情でこういうことになっているのかということももう少し読み込みながら、EUが、もともと、アメリカといろいろな通商交渉をやる中でデカップリングという方向性が出たということを読んだことがありますが、そういうところもいろいろ、どういう農業政策をやっていたかという変遷も見ながら、しかし、こういう時系列的に、また各国比較でマクロでつかむということは大変大事なことではないか、こういうふうに思っております。

 我が国は我が国の財政事情がございますから、大枠というものが多分シーリングという形であるわけでございますが、そういう議論をするときに当たっても、こういう各国比較等々を我々の戦うための材料にしていければ、こういうふうに思っております。

平大臣政務官 お答え申し上げます。

 まず、農業予算がGDPの比率に比べて多いじゃないかという発言が出たと。決して私が言ったわけではありませんけれども、これはいろいろな見方があるわけでありまして、中小企業予算も、少ないと言われますが、例えばセーフティーネット保証とか信用保証とか、十兆、二十兆やるわけでありまして、そういうのは予算に入っていないわけでありますから、単純に比較はできない。

 もう一つは、各国、さまざまな状況、気候の状況もありますし、さまざまな農業の環境も違いますので、単純に比較はできないと思います。

 その上で、委員からいただいた資料を拝見すると、韓国は国家予算も物すごい勢いで伸びています。結局は、FTA、EPAなどに積極的に取り組み、経済が伸び、そのGDPに占めるシェアは落ち、その反面、農業関連予算はふえているという構図なのかなと思います。

 たしか、チリとFTAをやったときに、チリのブドウと韓国のブドウが競合するのではないかといって、ブドウ農家に大変補助金をつけたという話がありましたが、結果としては、チリから安い、おいしいブドウが入ってきて、ブドウの需要がふえて、韓国のブドウ農家も収入が上がったといった事例もあったやに聞いております。

 今後、TPPに限らず自由貿易をやって、マクロで経済成長をし、メリットを享受する産業がある一方で、デメリットもしくは競争強化などにさらされる業界は激変緩和措置や必要な対策を打つ。さらには、構造改革や競争強化のために予算を打っていく。結果として、私は、一時的にはふえるんだというふうに認識をしております。グローバルスタンダードの政策で考えれば、そういうことになろうかと思います。

鷲尾委員 ありがとうございました。

 それでは、続いての質問でありますけれども、TPPに関連しまして、我が国の林産物関税、ありますね。幾つか、合板材とかありますけれども、最大で約一〇%あるわけですけれども、林産物全体の影響額が、きのう教えてもらいましたけれども、約五百億程度だと聞いております。少なからぬ影響があるわけでありますけれども、農林水産委員会の決議でも、十分に配慮するようにと求めているところであります。

 一方で、この合板材ですけれども、近年、国産材の割合が高まってきておりまして、大変頼もしい結果があるわけでありますけれども、これは何が功を奏した要因なのかということをお聞きしたいなというふうに思います。

沼田政府参考人 合板に使われます国産針葉樹の丸太でございますけれども、平成十四年には二十八万立方使われておりましたけれども、平成二十四年でございますが、これが急速に伸びまして、二百六十万立方ということで、国産材が使われるようになってきております。

 この背景でございますけれども、間伐材を初めとした国産材を有効に活用するために、例えば細い材ですとか曲がった材を効率よく加工できる合板の製造技術、こういったものの開発が進んだということが一番大きいと思っております。

 合板を製造する際には、丸太を回しながら、いわゆるかつらむきの状態で薄い単板をつくっていって、それを重ねるわけでございますが、残った芯があるのでございますが、昔は六センチとか八センチとか、そういうところまでしかむけなかったんですけれども、今では、残る芯が一センチ、そのぐらいまでむけるというようなことがございます。

 また、そういった技術開発とあわせまして、合板メーカーと私どもも協力をさせていただいて、合板の用途拡大に取り組んできた。

 こういったものが主な要因ではないかというふうに考えているところでございます。

鷲尾委員 そこで、そういった技術革新もあったということでありますけれども、もしですけれども、関税撤廃といったことが実際に行われた場合に、行われた場合と言うとまたちょっと、そんな場合は想定していませんと言われそうですけれども、関税撤廃による影響。

 例えば、関税がなくなった場合、これは今技術革新で伸びてきている部分です、せっかく伸びてきている部分が、関税撤廃によってこれまたしゅっと縮小してしまうということでは好ましくないなと思っております。それを回避するということが技術革新で可能なんですよと言われたら、それはそれで頼もしいなと思いますけれども、そこら辺、どうでしょうか。

江藤副大臣 委員のおっしゃるとおりだと思います。せっかく努力したものが無駄になってしまうということであれば、この技術開発については農林水産省としても予算をつぎ込んできた経緯もございますので、きちっとやっていかなきゃならないと思います。

 特に合板については、TPPの議論になれば、関税は残っておりますので直接影響を受けるわけでありますが、昨今の為替の状況を見るとその部分は吸収されるのかもしれませんけれども、いずれにしましても、これまでの技術革新の成果が無駄になってしまうような状況が生まれることにならないように、さらに政策を推進してまいらなければならないというふうに考えております。

鷲尾委員 続きまして、国産材、特に構造用集成材などは、一方で合板材が成功しているんですけれども、これは国産材の割合が低いわけです。これは何でなんですかという問いと、この先、ぜひ国産材を高めるというところにおいて、構造用集成材の供給量の国産材の割合ももっともっとふやしていくというところで今お考えになっている政策等も教えていただきたいと思います。

沼田政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる構造用集成材の件でございますけれども、合板の場合は、先ほど触れなくて申しわけございませんでしたが、構造用合板の場合、七割ぐらいが国産材というふうになっております。

 構造用集成材の場合は、今のところ、国産材の割合は一五%ぐらいということで、相対的に低い状況にあるわけでございますけれども、私どもとしては、集成材の分野におきまして国産材の割合を高めていくために、加工するための集成材工場の整備でありますとか、あるいは地域材を使用した耐火・耐震性能のすぐれた集成材の技術開発、こういったものを支援しているところでございます。

 特に、中高層建築物、こういったものの木造化を飛躍的に進めるということで、クロス・ラミネーテッド・ティンバー、CLTと申しますけれども、こういった国産の新たな木材製品の開発でありますとか、杉と米松で構成されるような、はりに使うものがほとんどでございますけれども、強度の高いハイブリッドの集成材、こういった開発普及にも取り組んでいるところでございまして、私どもといたしましても、こういった取り組みを積極的に推進してまいりたいと考えているところでございます。

鷲尾委員 続きまして、国産材ですけれども、国産材といっても、国産材利用、国産材利用といいますが、用途に応じて産地のブランドを開発するとか、さまざまな、地元であれば越後杉とか、越後杉だったらこの部分に使うと絶対ほかの産地に負けないとか、そういう形で差別化が図られれば図られるほど実は市場がどんどん生まれていくということもあろうかと思うんです。

 そういった、単に国産材を利用するよということではない、さらに新たな市場を創造するという意味における政策的支援、こういうことをやっていったらいいと思うんですが、どうお考えになっているかということをお聞かせいただきたいと思います。

長島大臣政務官 鷲尾先生の地元も私の地元も越後杉でございます。もともと、越後杉をブランド化するとき、多分、私どもの中越大地震と先生のお地元の中越沖地震、そのときに住宅再建の問題が非常に大きな問題として実は出てまいりました。そのときに、どんな形の住宅再建をするのが好ましいのかということを議論した。

 先ほどのいわゆる構造用のCLTとは少し違ったところの議論で、最初、武井委員からも御指摘があったように、やはり地域に根差した在来工法の構造を持った住宅が地域の気候風土に合った材木ではないかということに着目をして、越後杉というブランドが我々の災害復興には随分役立ってきたんだと思うんです。

 これはやはり全国的に言えることで、宮崎県は宮崎県の個性があり、岩手には岩手の個性があり、そこの気候風土の中で育ってきたことによる個性を住宅の構造としてあらわしていただくということは、やはり、林業家としての特性、そしてもう一つは、そのことを、林から、そして製材から工務店というラインでつないでいくことによって地域の活性化へつながりができるという観点があったと思うんです。

 私は、そんな意味で、地域ブランドに注目をした構造材あるいは外壁材とかというものに対する支援をこれからも検討していくことは大事なことだと思っております。

鷲尾委員 おっしゃるとおりでありまして、構造材の、例えば、柱に使うんだったら日本全国で越後杉が一番だみたいなところになると、これもまた非常にいいのかなと。地域地域も大事だと思うんです。地域地域も大事なんですけれども、そこまで来ると、例えば魚沼産コシヒカリが世界的なブランドたり得るように、そういうことも可能になってくるのかなと思っておりますので、ぜひ推し進めていただきたいなというふうに思っております。

 上流、中流、下流の話が、今、長島政務官からありましたけれども、地域の活性化という意味において、下流でいろいろな用途が広がっていくということがやはり上流の雇用につながるという観点があります。

 最近は本当にふえてきていると思うんですけれども、ペレットストーブとかまきストーブとか、単に製材として使うということに加えまして、そういった端材をどう利用していくかとか、さまざまなそういった部分での市場が広がっているというふうに考えておりますけれども、その状況と、それをさらに推し進めていくための政策についてもお伺いしたいと思います。

沼田政府参考人 ペレットストーブやまきストーブの件でございますけれども、こういったものを普及して木材の有効利用に活用していくということは大変大切なことだというふうに考えております。

 こういったストーブでございますけれども、最近、一般家庭などへの普及が進みまして、例えば、木質のペレットストーブでございますが、北日本を中心に年間二千五百台が導入されているというふうに承知しておりますし、また、まきストーブなんかも、いろいろな統計があるのでございますけれども、一万台という方もいらっしゃいますし、二万台という方もいらっしゃるということでございます。

 私どもといたしましては、こういった木質系のストーブのさらなる普及に向けまして、例えば、木質ペレットの製造施設の整備への支援でありますとか、今回、二十四年度補正予算におきまして木材利用ポイントの制度を措置させていただきましたけれども、こういった中で、木質ペレットストーブ等の購入の際にポイントを付与する、こういった対策も講じさせていただいているというところでございます。

鷲尾委員 そういう用途がふえればふえるほど、結局、山の価値も高まりますし、日本は山の価値がどんどんどんどん減少しておりますから、山がお荷物にならぬように、その価値をさらに高めるような政策を推進していっていただきたいというふうに思います。

 先ほど、武井委員でしたか、たしか、国産材の消費をできる限りふやすということで、輸出よりは国産材の消費をと。もちろん私もそうだと思っておりますが、だからといって、輸出振興をしなくてもいいというわけでもないわけでありまして、使えるところはどんどん使っていこうという考え方のもと、林産物の輸出促進も、それはできればやるにこしたことはないと思っております。大臣に見解を求めたいと思います。

林国務大臣 国産材の国内需要を拡大していく、先ほど武井委員との中でお答えもしましたが、これをやるとともに、今お話がありましたように、海外から買いたいというのを断る理由もないわけですから、輸出をどんどん促進していく、これも大事だ、こういうふうに思っております。

 この輸出拡大に向けましては、例えば、中国や韓国で見本市をやっておりますので、こういうところへ出展をするとか、いろいろなことを民間企業、団体等が行っておられますので、こういう市場開拓やPR活動に支援をしているところでございます。

 もう一つ、市場開拓に向けた取り組み例としては、中国に日本の建築基準法に相当する木構造設計規範というのがあるんだそうでございますが、ここにおいて位置づけてもらう。そうすると、向こうの建築基準に入っていくわけですね。この規範の中に国産杉やヒノキ等が位置づけられるようにずっと働きかけを行ってきておりまして、その結果、今、中国で、この規範の改正のためのパブコメが行われているというところまでこぎつけたということでございます。

 こういった活動をあわせて、輸出を積極的に支援してまいりたい、こう思っておるところでございます。

鷲尾委員 先ほどというかちょっと前の大臣の答弁で、林業も成長産業化していくんだというお話がありましたけれども、ちょっと時間もなくなりましたので、まとめながら質問させていただきたいと思います。

 成長産業化していく上で、林業のいわゆるインフラでございますけれども、路網密度を高めていくとか、あるいはその担い手をどうしていくかということが密接にかかわってくるわけであります。

 きのう林野庁さんから資料を見せていただきましたら、平成二十二年の速報値で、林業従事者数が五万人だ、高齢化率も下がってきているし、それから若者の雇用もふえていますよというお話をいただいたんですが、では、直近のデータはどうですかと聞きましたら、平成十七年のデータが最新だというんですよね。十七年ですから。今、二十五年ですから。

 何か国勢調査をベースにしているとは聞きましたが、もうちょっといい情報を提供していただかないと、政策を考えるにしても、八年前を見てどうこうという話じゃないですよね。ちょっとその点についてコメントをいただきたいと思います。

沼田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生が今御指摘になったやりとりがあったというのを私も聞きましたけれども、私どもとしても、こういった公式な統計というものはもちろんございますけれども、そういったものを踏まえながら、できる限り、先ほど先生、速報値ということをおっしゃいましたけれども、そういったものも活用させていただきながら、より新しいデータを踏まえて、施策に反映させていきたいというふうに考えているところでございます。

 そういった意味で、いわゆる林業関係の担い手の数も、いろいろな事業をやっております関係で、定性的かもしれませんけれども何とか下げどまっておりますし、若者の、比較的若い方の数も改善してきたのではないかなという感触は持っておりますけれども、そういった裏づけができるデータをきちんと整備させていただきたいというふうに考えているところでございます。

鷲尾委員 ちょっと時間もなくなっておりますので、最後の質問になろうかと思いますが、ちょっといろいろまとめます。

 路網密度というのがあります。この路網密度を高めていくということが一つ目標としてあろうかと思いますけれども、間伐を行うという意味において、では、路網密度をどう高めていくのか。間伐の目標というのは、六年間で三百三十万ヘクタール。これも、京都議定書の第一約束期間で、年平均で約二十万ヘクタールを上増しして間伐を行わなければいけない。こういう格好で、では、路網密度をどうする、こういう目標の設定の仕方をしているわけですよね、聞くところによると。

 私は、林業を成長産業化するというのであれば、もっと積極的な目標設定をしていただきたいと思います。国際的な約束があるから、実現できるのは大体これぐらいなものだろう、そして、実現できました、拍手というような世界じゃなくて、やはりそれは、林業を成長産業化するのだったら、積極的に国産材の割合をどう高めていく、どう高めていくためには路網整備はどういうところまで必要だ、最新機材の導入はどうしていく、あるいはこれはゾーニングして、それこそ直接支払いをやっていますけれども、これは物すごいいい取り組みだと思っていますけれども、各地域の事情、それから地権者の状況も含めて徹底的に話し合いをして、そこにもコストをかけながら効率的な路網の整備をしていく。要するに、全て戦略的にやっていってもらいたい。そのスタートアップが国際的な約束であっては余りにも消極的過ぎやしませんかと思っております。

 大臣のコメントをいただきたいと思います。

林国務大臣 この路網密度また路網整備、二十三年の七月ですからもう二年近く前になりますが、全国森林計画というもので目指すべき密度を定めて、これは林地の傾斜と作業システムの区分に応じて設定をするということで決めてまいりましたが、そのもとになる数字というのがどの辺にありや、こういう御議論でございます。

 したがって、成長産業、先ほど武井さんのときも申し上げましたけれども、やはり積極的に攻めていくという観点、今後もこの設定を考えていかなければならない、こう思っておりますし、そのためには、供給サイドの、今、路網というような話だと思いますが、きょう先生からも御議論いただいた需要サイドの話、切り出していけば売れるんだ、それもなるべくいい値段で売れていくんだ、こちらもやっていかないと、供給サイドばかりやっていても、先ほどちょっとこういう議論があったと御紹介いただいたように、何で予算ばかり食ってと、こういうところも出てくるわけですから、供給サイドと需要サイド両方あわせて、拡大均衡といいますか、これを目指していくような、戦略的な施策の運営を心がけてまいりたいと思っております。

鷲尾委員 ありがとうございました。

 質問を終わります。

森山委員長 次に、寺島義幸君。

寺島委員 民主党の寺島義幸でございます。

 本題に入ります前に、急を要しますので、関連ということでお許しをいただきまして、凍霜害被害対策について質問をさせていただきたいと存じます。

 ことしは、二月ごろまでは割と寒かったわけでありますが、三月は例年になく暖かかったわけでありまして、春の芽吹きも進んだわけであります。しかしながら、四月の中旬ごろになりまして、強風あるいは低温、寒暖の極端な差、そして降雪等、異常気象が発生してしまったわけであります。

 特に、私の地元の長野県におきましては、四月の二十一日から二十二日にかけまして、平たん部で十五センチぐらい積もった。雪が降ったわけであります。明けまして、翌二十二日の未明でありますけれども、標高六百メーター前後のところが多かったと思うわけでありますが、氷点下六度から七度まで下がりまして、これが約十時間ほど続いた、こういうことでございます。

 資料を配付させていただいたとおりでありまして、四月の二十日過ぎにこのような雪の状態ということで、大変驚いたわけでございます。リンゴ、梨、市田柿、ブドウ、あるいはアスパラだとかアンズ、葉物など、ことしは桜の開花が早かったことに見られるように、果樹の花も実は進んだわけであります。そんなところに、雪と低温に襲われ、凍霜被害が非常に大きくなり、災害も大きくなったわけであります。

 私は、四月の二十七日でありますけれども、実は私の選挙区ではないんですが、友人の県議の皆様の要請をいただきまして、松本市、塩尻市、安曇野市等に調査に行ってまいりました。農協の皆様等に御案内をいただいて被害状況をつぶさに見てまいりましたが、大変驚きを禁じ得なかったわけであります。

 ある塩尻の農家のお父さんは、こんな凍霜害は、かつて、二十年以来初めてである、こんなことは初めてで、ことしの収入はほとんどない。梨というのは、棚を同じレベルでつくりますので、一カ所だめになると面的にだめになってしまうという状況がありまして、ほとんど収入が得られない、どうしたらいいかわからないということでございます。

 収穫が見込めなくても例年どおりの作業はしなければなりませんし、実がならないと木が暴れますので、薬剤注入等、そういった管理作業等もしていかなければならない。余分な手間と費用が実はかかるわけでございまして、年をとってきて元気もないから、この際だからやめてしまおうか、こう思ってしまうんだということで、大変肩を落としておられました。

 また、安曇野市のリンゴ農家の方は、「ふじ」の中心果が八割ぐらいだめだということで、側果を利用するわけでありますが、側果ではいいリンゴはできないわけであります。これも余り収入が見込めない。リンゴは、これから時期がたたないと、どの程度の被害なのかも実ははっきりわかってこないわけでありますが、無駄な消毒等もしていかなければならないし、踏んだり蹴ったりだというようなことで、何とかしてほしいという懇願を大変受けたわけであります。

 四月の二十日ごろで、平たん地でも十五センチほど雪が降るなんということ、なおかつ、氷点下六度から七度が十時間も続く。通常でありますれば、防霜ファンで飛ばせばそれでいいわけでありますが、このときは、逆に、防霜ファンを回せば、むしろ冷たい空気を呼び込んでしまうというふうな状況で大変役に立たない、もちろん役に立たなかったわけであります。

 県が公表しました調査結果によれば、五月八日現在時点でありまして、果樹、野菜など被害面積約二千ヘクタール余、そして、被害金額でこの日現在で十七億六千万円に及んだということであります。今後、調査が進むにつれて、当然、リンゴ等を中心にして被害は拡大するものと思われるわけでありまして、極めて大きな課題であろうというふうに思っています。

 そこで、お伺いをいたすわけでありますけれども、ことしの四月の十日過ぎぐらいから低温気象などの異常気象による農作物への影響が全国的にもあったんであろうというふうに思うわけでございまして、まず初めに、その辺の、全国的にはどのような状況になっておられたのか、お伺いいたします。

奥原政府参考人 お答えをいたします。

 四月以降の低温等の異常気象によりまして、御指摘のとおり、農作物の被害が発生をしております。

 これにつきましては、毎日、各都道府県から報告を受けているところでございますが、昨日、五月の十五日までのところ、受けている報告では十県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、山梨県、長野県、和歌山県、広島県、大分県、鹿児島県、この十県から、果樹の着果数の減少ですとか野菜の生育のおくれの報告を受けております。現在の報告を集計いたしますと、被害面積は全国で約三千五百ヘクタール、こういう状況でございます。

 引き続きまして、関係県、関係の市町村と連携を密にいたしまして、被害状況の的確な把握に努めていく考えでございます。

寺島委員 十県の地域で今の答弁のような状況であったということで、長野県に限らず、本当に大変な状況であったんだなというふうに思っております。

 果樹、野菜とかで災害が起きますと、当然、共済ということに相なるわけであります。そこで、次にお伺いをしたいんですが、果樹共済の損害評価についてであります。

 御案内のように、国の制度で、もともとの利益配分を除いて再生産に係る部分で損害の評価をしているわけでありますけれども、これではなかなか実態に即した評価にはなっていないというふうに、農家の皆様方からは以前からもこれは指摘をいただいているわけであります。

 そこで、こうした状況を鑑み、特例措置等も考えられるのでありましょうけれども、もともとの利益配分を除いて再生産に係る部分での損害の評価ということではなくて、本当に災害の実態に即した評価をすべきであるというふうに考えておるんですが、その点についての見解をお伺いします。

奥原政府参考人 農業共済制度、この制度は、加入者の方々が相応の損害防止措置を講じていただくということを前提といたしまして、それでも生じた被害の一部について、加入者が出し合った掛金で補填をするという保険の仕組みでございます。

 このために、農業共済におきましては、引き受けの方式がいろいろございますけれども、引き受けの方式ごとに補償水準というのを決めておりまして、一定割合以下の被害については補償の対象外となる、こういう仕組みでございます。

 これにつきまして、その減収量全てを補償の対象にするという御意見もございますけれども、これをやってしまいました場合には、損害防止の努力を怠るというモラルハザードが発生するというおそれがありますし、それから、共済金の支払いの額がふえます。その結果、農家の払う共済掛金が増加をする、こういうこともございますので、なかなかそこは難しいことだというふうに考えております。

 また、果樹共済の場合の補償の水準につきましては、引き受けの方式によっていろいろございますけれども、方式ごとに六割、七割、八割とございます。この中で、どの方式をとるかは農業者が選択をできるということになっておりますので、各農業者の経営判断で引き受け方式、それから補償の水準が決まっている、こういうことでございます。

寺島委員 モラルハザードという話ですけれども、恐らく農家の方々は純粋な方が多いわけでありまして、余りそのような配慮は必要ないのではないかというふうに思います。

 また、この共済の加入率が、長野県だけなのかどうかわかりませんが、余りよくないわけですね。長野県なんかは多分三〇%ぐらいなんですね。つまり、農家にとってメリットを感じていないわけなんですね。やはり、災害を受けた部分ぐらいは、保険を掛けているんだから、それに近い部分の補償をしてほしいんだ、それがなければ共済を掛けている意味がないということだろうと思うわけですね。

 今の答弁ですと、そうなると当然のことながら掛金も上がりますよというようなお話でございました。

 だとすれば、次にお伺いしたいのは、農業共済掛金の国の負担というのがございまして、現行、国の負担の割合が二分の一になっておるわけですけれども、では、これを例えば三分の二に上げていただくということになれば、農家の皆様方の負担も減ってくるわけでありますし、その分、農家の皆様方も、それでは共済に入ろうかということにもなれば、共済組合の経営もよくなってくるのではないかな、こんなふうに思うわけでございます。

 現行の二分の一から引き上げられないのかどうか、三分の二にするとか、その検討をしていただきたいと思うわけでございますが、いかがでございますか。

奥原政府参考人 先ほどもお答えいたしましたが、共済制度は一種の保険制度でございます。したがいまして、農業者の方が掛金を負担する、これが基本でございますが、この共済制度は、農業経営安定のためのセーフティーネットといたしまして、農業振興上重要な役割を果たしているということに鑑みまして、農業災害補償法、これが根拠法でございますが、この中で、掛金の一定割合を国が負担するということが明記をされてございます。

 共済はいろいろな種類がございますが、果樹共済につきましても、昭和四十七年の事業の開始当初から、これはほかの作物と率は同じでございますけれども、国が掛金の二分の一を負担するということが法律上明記をされている、こういうことでございます。

 国庫負担割合を引き上げる、これにつきましては、作物間のバランスもございますし、現下の財政状況を考慮した場合に、なかなかこれは難しいというふうに判断をしております。

寺島委員 今、形の答弁とすればそういうことなんでしょうけれども、例えば特例措置で、こういう災害があったとき、災害があるから共済なんでしょうけれども、特に果樹共済なんかの場合は加入率が悪いんですよね。そういうことを鑑みたときに、きちんともう一度検討していただきたい。

 もっと言うと、一方で、共済組合の事務費は実は減らされてきているわけであります。ということを考えても、やはり、であるならば、むしろ国負担の二分の一を改善していただくという方向で国の支援の意思をしっかりと示していただきたいなということを申し上げておきたいと思います。

 そして、農家にとりましては、収入がないわけであります。余分な作業で費用もかかり、共済を掛けていらっしゃる皆様方は、その支払いを早くいただかなければ年も越せないとか、それは別問題にしても、大変な状況であるわけであります。

 そこで、共済金の年内支払いについて、スピーディーに事務手続をしていただきたいと思うわけでありますが、できる限り早急に支払いができるように、その点はいかがなものでしょうか。

奥原政府参考人 共済金の支払いにつきましては、これはできるだけ早い方がいいのはもう当たり前のことでございます。

 ただ、保険でございますので、適正に損害の評価をしなければいけない、こういう問題もございまして、現在の通常の手続は、まず共済組合の、自分の地域内の被害申告のあった全ての農家、この場合は果樹園ということになりますが、ここにおきまして、共済組合が損害評価を行って共済金の額を算定する、こういうことになります。

 そこを精査した上で、共済連合会あるいは再保険をやっております国との手続を経まして共済金の支払いということになるわけでございまして、果樹の場合には、これまでの通例でございますと、その地域の収穫期が終わった時点から大体二カ月から三カ月ぐらいかかるのが通例でございます。

 長野県を例にとって見てみますと、例えば梨ですとか桃、これの場合には、収穫期が大体十月の上旬ぐらいまでかかるというふうに承知をしておりますが、これですと、通常は年内、十二月の下旬までに共済金が払われるということになると思います。

 一方で、リンゴの場合には、収穫期が十一月の中旬までかかっているようでございますので、この場合には、通常ですと翌年の一月の下旬から二月の中旬ぐらいに支払いが行われる、これが通例かと思います。

 ただ、いずれにいたしましても、できるだけ早く払った方がいいというのは間違いございませんので、今回の低温、凍霜害による農業者に早期に共済金が払われますように、迅速かつ適切な損害評価の実施とそれから共済金の早期の支払い体制を確立するようにということで、農林水産省の方から数度にわたって通知を出しておりまして、共済団体を指導しているところでございます。

 それからもう一つ、凍霜害によりまして花ですとかつぼみが枯れてしまって、ほとんど収穫が見込めないというケースが中にはございます。この場合には、収穫期を待たないでも収量が大きく減るということはもう明らかでございますので、このときは通常のものとは別に、共済金の仮渡しをするという制度もございますので、これも活用いたしまして、できるだけ早期に農家に補填がされるようにということで指導してまいりたいというふうに考えております。

寺島委員 ありがとうございます。

 仮払い等、早期支払いも含めて、御努力をいただきたいと思います。これは県を通じてやることですので、連携も深められて、お願いをいたしたいと思います。

 こうした災害が起きますと、私どももいろいろな御要望をいただくわけであります。JAあるいは農業会議を中心にして、長野県にも長野県農業災害対策協議会等、八団体で構成する団体等もあるわけでありまして、そういうところからも強力な要請もいただいております。

 県、農政部、あるいはまた農業改良普及センター等では、県単事業でありまするけれども、農作物被害緊急対策事業等を通じまして、受粉の花粉代の助成であるとか経営資金の利子補給の助成等をやっておるわけであります。市町村でもそれなりの利子補給等、支援をしているわけでありますけれども、何といいましても、国の支援というのがありがたいというか大事なことだなというふうに思っているわけであります。

 特に、御案内のように、農業の高齢化であるとか担い手不足が深刻な状況が続いているわけであります。特に、このような予期せぬ災害に見舞われますと、農家はますますやる気をなくしてしまって、こういう非常事態にもかかわらず、営農を継続する意欲がなくなって、もう離農してしまうのではないかということが大変危惧されるわけであります。

 そこで、林大臣の所見をお聞かせいただきたいわけでありまするけれども、こういう農業、特に私ども、地元は中山間地農業農村が多うございます。農家の数も全国一位というのは、ほんの小さな農家も多いわけでございますし、かといって、そういう農家あるいはその農家が住まいする部落をきちんと守っていかなければ、維持していかなければならないということも大事な課題であろうと思っております。

 そうした観点から、こういうときこそ国がしっかりと支援するということが必要ではなかろうかと考えておりますけれども、林大臣の思いをお聞かせいただきたいと思います。

林国務大臣 まさに農業者の方々のお話を、今委員から冒頭お話をいただきまして、こんなことがあるとそろそろ畳むかなみたいな、それは、私も山口県で、中山間地は多いものですから、たまに一杯やるとそういう話も聞くこともございます。

 したがって、こういう自然災害による被害というもので意欲を失うということがないようにする、これが非常に大事だと思っておりますし、また、やはり自然と向き合って、自然と調和しながらやるという、これは農業の特性でもございまして、先ほど鷲尾委員ともやりとりさせていただきましたが、このあたりは、工業とは違った視点というのは必要だろうと改めて思うわけでございます。

 今回も、気象庁から低温予報がありましたので、四月五日以来、三度にわたって、五日、二十二日、五月一日、被害防止に向けた技術指導を徹底するよう、都道府県に対しては通知をいたしました。

 また、五月十四日に、農林水産省から担当官を長野県に派遣させていただきまして、被害状況の調査、それから当面の技術的対策として、確実に果実を収穫できるように、枯れないで残った花へ人工授粉を徹底するようなこと、こういうことを県や農業団体と確認させていただいたところでございます。

 今御議論いただきましたが、共済に加入していらっしゃる方は、迅速な損害評価と早期の共済金の支払いと先ほど局長から答弁させていただきましたが、それから、加入していない農業者の方も含めて、政策金融公庫のセーフティーネット資金等の長期、低利の融資、こういうことによって支援をしていきたいと考えております。

 委員からお話がありましたように、県それから市町村等々と連携を密にして、この被害の防止、それから支援をやっていくということで、我々が支えてまいりますので、ぜひ営農を続けていきたい、こういうふうに申し上げたいと思います。

寺島委員 ありがとうございました。

 一方で、農家の人というのはなかなか歴史的にもしんがら強いところがあるので、頑張っていただきたいなと。そしてまた、その意欲が発揮できるように、本当に国としても万全の措置を講じていただきますように、お願いをいたしたいと存じます。

 それでは、本題に入らせていただきます。

 まず、これまでの森林吸収源対策に対する評価についてであります。

 地球温暖化は人類の生存基盤にかかわる最も重要な環境問題の一つでございまして、二〇〇七年に公表されました気候変動に関する政府間パネル第四次評価報告によりますと、世界の気温は二〇〇五年までの百年間で〇・七四度上昇しているとされております。我が国においても、一九九〇年代以降、気温の高い年があるわけでありまして、近年発生する異常気象も地球温暖化が要因ではないかとの指摘もございます。

 また、農作物、先ほどではありませんけれども、温暖化障害の影響として、高温の障害の影響として水稲の白未熟粒や果樹の着色不良など、目に見える被害もあらわれているところであります。

 こうした中、我が国は、二〇〇二年六月に、温室効果ガス排出の削減目標が法的拘束力を有するものとして国際的に約束されました、京都議定書を締結されたわけであります。

 このため、二〇〇八年から二〇一二年までの温室効果ガスの排出量削減に係る目標期間である第一次約束期間におきまして、我が国では、温室効果ガスを一九九〇年の基準年の排出量から六%削減するとされました。

 京都議定書目標達成計画によりまして、先ほどのお話のように、そのうち三・八%程度を森林による吸収量で確保することが目標とされてまいりました。林野庁も、森林吸収源対策を金科玉条として、森林の保全整備等に関するさまざまな施策を集中的に講じてきたと承知をいたしております。

 そこで、大臣にお伺いいたしますが、これまで講じられた森林吸収源対策について、どれくらいの予算を費やして、どれくらいの効果があったのか。特に、森林吸収目標の三・八%につきましては、数字目標はおおむね達成されているのでありましょうけれども、目に見える成果として地球温暖化の防止にどのように貢献をしたとのお考えをお持ちなのか。まず、お伺いさせていただきます。

林国務大臣 間伐等の支援を行う森林整備事業、平成十九年度から二十四年度の六年間で、民有林と国有林を合わせまして、約一兆円を措置してきたところでございます。

 六年間に三百三十万ヘクタールですから、年平均五十五万ヘクタールを目標として間伐を推進してきたということでございまして、二十三年度までの五年間で見ますと、実績ベースで五十五・二万ヘクタールと目標を上回って実施ができたということでございます。

 こういうような間伐等に対する支援措置を活用して目標に取り組んでまいりましたので、先ほどどなたかの御質問にお答えしたように、この基準をきちっと達成できたということでございます。具体的には、森林吸収量が、平成十九年度は四千万トンで基準年比で三・二%であったわけですが、平成二十三年度には五千百万トンで四・〇%、これは三・二、三・四、三・六、三・八、四・〇、こうやって計画を立てておったんですが、これに対して三・二、三・五、三・六、三・九、四・〇と、非常に上回りながら目標を達成してきたところでございます。

 この四・〇%、二酸化炭素換算で五千百万トンということなんですが、なかなかイメージが湧かないので、例えばということで、五千百万トンは、自家用車に換算しますと大体二千二百十七万台分の年間排出量に相当するということでありますし、一般家庭で申しますと七百八十五万世帯分の年間排出量を吸収した、こういうことになるということでございます。

寺島委員 車で二千二百十七万台、家庭で七百八十五万世帯分、そう言われますと、なかなか自然の力というのは大きなものがあるなというふうに思っております。ありがとうございます。

 次に、森林吸収源対策の中核をなすものは、間伐等の森林整備の推進とされているわけでございます。森林吸収源対策の名のもとで行われる間伐等の森林整備が、地球温暖化防止対策としては一定の効果を上げたとしても、業としての林業において必ずしも十分な成果を得ているかどうか、疑問を持っているわけでございます。

 そこで、これまで講じられてまいりました森林吸収源対策は我が国の林業にどのような成果があったとお考えになられているのか、お伺いをいたします。

長島大臣政務官 私の方からお答えをさせていただきたいと思います。

 先生とともに、私は農村に住んでおりますので、温暖化をしているという実感をしております。そのことの対策が急がれることも、実は非常に強い意識として持っている一人でございます。

 今ほど大臣からお答えをさせていただいたように、森林の温暖化対策の効果はそれなりに大きなものがあるというふうに認識をしておりますので、森林吸収量の目標達成を図ることが肝要なことだと我々は思っております。

 六年間に合計三百三十万ヘクタール、年平均五十五万ヘクタールを目標として間伐を推進してきたところでありますが、二十三年度までの五年間の間伐実績は年平均五十五・二万ヘクタールということで、目標を若干上回って実施をしているところでございます。

 この効果として、間伐が進んで森林の健全性が向上したということ、間伐材の利用量が増加をし、国産材の供給が増加をしたということ、そして林業就業者の雇用創出等のあわせた効果もあったというふうに自負をしているところでございます。

寺島委員 次に、今後の森林吸収源対策への取り組みの姿勢についてであります。

 我が国は、森林吸収源対策につきまして、二〇一三年から二〇二〇年までの間、国際的に合意されたルールにのっとり、算入上限値三・五%分の吸収量の確保を目指すことなどの方針が示されております。しかしながら、我が国における温室効果ガス削減について、国際約束としての義務の履行が求められないこととなると、今後、予算とか税制を初めとする森林吸収源対策の政策的な優先順位の低下や、それに伴う間伐等の取り組みの停滞が生じることが懸念をされるわけであります。

 そこで、地球温暖化の防止に向け、国際約束としていた第一約束期間と比肩し得る取り組みが求められる中で、今後、我が国として森林吸収源対策をどのように進めていくのか、お伺いいたします。

長島大臣政務官 私の方からお答えをさせていただきたいと思います。

 二十五年度以降の京都議定書の第二約束期間について温室効果ガスの削減義務は負っていないところでありますけれども、三十二年時点の温室効果ガス削減の自主目標を立てることが国際的に合意をされているところでございます。そのため、新たな国際枠組みをリードしていくために、引き続き、森林吸収作用の保全、強化に取り組んでいく必要があるというふうに認識をしているところでございます。

 このため、二十五年度以降の森林吸収源対策については、国際的に合意をされた算入の上限値三・五%を確保できるように取り組んでまいりたいと思います。

 また一方では、森林の適切な整備保全を図った上で、木材利用の拡大等を積極的に推進し、出口対策を図りながら、森林の必要性を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

寺島委員 だとするのであれば、第二約束期間に参加した方が、同じような気がすると思います、目標は同じなんでしょうから。だとするのであれば、その方が農林水産省として、予算はとりやすく、大義名分もできてくるのではないかなというふうに素人ながら思うわけでありますが、その辺のコメントはございますか。

林国務大臣 まことにそのとおりだと言いたいところでございますが、やはり政府全体として、どういうふうにこれに取り組んでいくかというのは、農林水産省の立場、それから環境省の立場、経産省の立場等々いろいろあるんだろう、こういうふうに思います。したがって、どういうふうになっても、少なくともこの農林水産業の分野ではきちっとやっていくことがまずは必要だろうということで、先ほど政務官から御答弁させていただきましたような取り組みをしていこう、こういうことでございます。

 所管外でございますが、やはりエネルギーのいろいろなことを考えますと、果たして今までどおりのやり方でいいのかということもあるでしょうし、また、世界じゅうの国の中の排出量はたしか二パーか四パーかそれぐらいでございました。そういう状況の中で、大きな排出国がまだ入っていないという状況の中で、全体をどうしていくのかという戦略的な取り組みの中で政府全体としての立場は決まっていく、こういうことではないかというふうに考えております。

寺島委員 お話は理解できますが、農林水産省としては、例えば育林としては、間伐がいかに大事だ、間伐をちゃんとするためにはそういうことも大事なことなのかなということは感じておりますので、申し上げさせていただきました。

 次に、森林吸収源対策のための安定的な財源の確保についてであります。

 平成二十四年十月から地球温暖化対策のための税が実施されております。これは、エネルギー起源CO2の排出抑制対策として創設されているため、森林吸収源対策は使途としては位置づけられていないわけであります。しかし、これに対し、昨年七月、全国知事会からも、地球温暖化対策のための税の使途について、森林吸収源対策の新たな位置づけについて、間伐等の実施、作業道の整備、林業機械等の導入による森林整備を着実に進めるために必要な財源を安定的に確保するという内容の決議がされておるわけでございます。地方自治体を初め、各方面からも地球温暖化対策のための税の使途に森林吸収源対策を位置づけるべきであるとの要請があるところでございます。

 そうした中で、平成二十五年一月の与党の平成二十五年度税制改正大綱、先ほどもお話ししたと思いますけれども、排出抑制対策、森林吸収源対策の両面から推進する必要があり、また、森林吸収源対策については、森林・林業を国家戦略として位置づけ、森林吸収源対策及び地方の地球温暖化対策に関する財源の確保について早急に総合的な検討を行う旨がうたわれているわけであります。

 そこでお伺いしますが、森林吸収源対策及び地方の地球温暖化対策に関する安定的な財源の確保に関し、ちょっと先ほどの議論につながると思いますけれども、今後どのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。

江藤副大臣 このことは大変大事な問題でございまして、年末にかけてもう一回一勝負やり直さなければならないと思っております。非常に残念な結果に、私としても残念な結果であったと思っています。

 もともと昭和六十年の水源税のころからずっとこれはもう始まった議論でありまして、このころはまだ京都議定書とかはありませんでしたけれども、それでも、その上に京都議定書が乗っかってきたわけですから、森林がCO2を吸収するという義務を負うのであれば、先ほどの石田先生の議論の中でありましたように、排出にのみ使えるんだ、吸収はだめなんだ、これは非常にけしからぬし、特会に金が残っていてそれでもよこさないというのは、非常に私としては、言い過ぎかもしれませんが、政府として、これはもうちょっと工夫をすべき案件であるというふうに自覚をしておりますので、ぜひ年末に向けて、また大臣を先頭に立てて、年末の税制のときには頑張りたいというふうに思っています。

寺島委員 頑張っていただきたいと申し上げざるを得ないわけでありますが、間伐を進めるためには、私は川下対策が本当に大事だというふうに思っています。

 特に、最近は、列状間伐だとか、あるいはタワーヤーダーとか機械ができまして、非常に効率も上がりました。その意味においては進んでまいったのでありましょうけれども、いかんせん、川下対策というのが本当に大事だというふうに思っています。

 そして、くいを打って、そういう液状化なんかに対する研究等も進んでいるやに聞いておるわけでございますが、何といっても、間伐を進めるためには川下対策、それにつながる予算というのもしっかりと確保していただくことが、先ほどの農業のお話ではありません、林業の皆さん方も、業として成り立たなければ、なかなか意欲も出てこないわけでございまして、その点を十分考慮いただいて、予算確保等に御努力いただきますことをお願い申し上げて、残余の質問は、大変失礼でございますけれども、時間がなくなりましたのでお許しをいただきまして、これで質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

森山委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 おはようございます。日本維新の会、鈴木義弘です。

 先ほど質問に立たれたのは義幸先輩ですけれども、私は義弘で、よろしくお願いします。少し肩の荷をおろして御質問をさせていただければと思います。

 まず初めに、法案について。

 森林は、国土の保全、水資源の涵養、自然環境の保全、地球温暖化の防止など、多面的機能と公益的機能を有しているのは御案内のとおりであります。

 現在、林業行政の根拠の一つになっている指標を目にいたしました。森林の有する多面的機能を貨幣評価する一覧表です。地球温暖化の緩和、CO2吸収で約一兆二千四百億、土砂災害防止機能、表面侵食防止で約二十八兆二千六百億、水源涵養機能、洪水緩和で約六兆四千七百億、水資源貯留で約八兆七千四百億など、一定の仮定の範囲においての数字で一例を挙げたにすぎないと説明書きが付されておりました。しかし、膨大な費用がかかることは認識できます。

 国や自治体が森林整備に手を入れず、民間の経済活動に任せた森林管理の場合、経済的損失という言い方が合っているかどうかわかりませんが、国土の保全、治水、利水などに係る維持コスト、使用コストが全体でどのぐらいかかるのかお尋ねをしたいと思います。

沼田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生御指摘のように、森林の多面的機能の評価額、いろいろ日本学術会議の答申でもって出ておりますけれども、そういった多面的機能を維持していくためのコストということでございますが、明確に申し上げることはなかなか困難でございますけれども、例えば林野庁予算がそれに当たるものということで申し上げますと、平成二十五年度の当初予算でございますが、二千八百九十九億ございます。そして、ことしの場合は、平成二十四年度の補正予算でございますけれども、これが二千七百五十九億円、こういった予算が措置されているところでございます。

鈴木(義)委員 ありがとうございました。

 要するに、それだけの予算をかけて、私たちの暮らしの安全と安心を一部では守っていただいているんだと思っております。

 それだけの多面的機能と公益的機能を有しているのが森林事業だというふうに認識はしているんですけれども、片や、ここ昨今、京都議定書以来、地球温暖化、それの防止は森林整備だけすれば何とかなるようなところに変質してしまっているのかなというふうに私自身は思っておりますし、本来、化石燃料を使って私たちの産業活動を支えているCO2だけが悪者にされているように思うんです。

 地球全体の面積からいくと、森林というより、陸地の部分というのは三割しかないわけですね。その中で森林整備といっても、限られた面積。日本は、全体の森林の面積では、七割を国土の中では占めているんですけれども、CO2の削減を森林だけに負荷すること自体は限界値があるかなというふうに私自身は思っております。

 地球温暖化の防止策は、今申し上げましたように、CO2の排出抑制や排出削減、CO2の吸収が必要であるということで先ほどから議論が行われているわけであります。ただし、陸地に住む私たち人間がCO2をコントロールできるのは、私たちが出すCO2の排出を抑制するか、あとは、植物の光合成に頼るCO2の吸収を促進させる、このことに今取り組んでいるんだと思っています。

 IPCCの第四次評価報告書で示されている地球上の炭素循環の資料から推計すると、これは地球全体でありますけれども、森林における吸収は年間二十六億トン、逆に土地利用変化による排出、逆に森林を伐採したり緑を切ったりして排出する量は年間で十六億トンというふうに言われているわけであります。

 我が国は、先ほど申し上げましたように、国土の七割を森林が占めているんですけれども、新規の植林や再植林をする、新たな森林をつくることが、対象地としてごくわずかであることから、今行われているように、二酸化炭素を、森林経営して吸収量を確保しようとして実施されているのは御承知のとおりだと思います。

 二〇一〇年時点で、我が国の二千五百万ヘクタールの森林面積のうち、育成林が千百四十万ヘクタールで四六%、天然林が千三百六十万ヘクタールで五四%となっています。育成林については、間伐等の整備を推進し、森林経営対策森林の割合をふやすこと、天然生林については、保安林指定を推進して、保護、保全措置がとられる天然生林をふやしていくとされています。

 国土が限られている中で、育成林と天然生林を何年かけてどのようにふやしていく考えなのか、お尋ねしたいと思います。また、戦後の復興期の時代で、森林や雑木林を開墾して田畑に土地利用を変化させた土地を育成林だとか天然林に戻していく考えは今のところお持ちなのか、お尋ねしたいと思います。

沼田政府参考人 お答え申し上げます。

 地球温暖化防止の観点で、いわゆる気候変動枠組み条約のもとで行われておりますけれども、地球温暖化は人間活動によって引き起こされたものである、そういったことで、二酸化炭素の排出削減でありますとか吸収、固定、こういった地球温暖化対策についても、人為活動に着目してその効果を評価しているということでございます。

 そういった意味で、私ども、森林吸収源対策を実施しておりますけれども、一つは、いわゆる適切な森林経営を行っている育成林を確保していくということ、そしてまた、保安林等を初めとした森林の保全措置を講じている天然生林を確保していくということを実施していく考えでございまして、今までも取り組んできたわけでございますが、これから、第二約束期間におきましても、その比率を高めていきたいというふうに考えているところでございます。

 ただ、天然生林につきましては、いわゆる保安林の新規指定とかそういったもので若干難しい面はあろうかと思っておりますけれども、そういった意味で、間伐の推進を中心にやっていく必要があろうかと思っております。

 また、もう一つ御質問がございましたけれども、いろいろな意味で有効に活用されていない場所におきまして、例えば森林化していくだとか、あるいは、いろいろな意味での、天然生林をきちんと管理していくということは非常に大切なことだというふうに思っておりまして、そういったものにつきましては、やはり地域の実情に応じて、きちんとできるものをやっていく必要があろうかというふうに考えているところでございます。

鈴木(義)委員 先ほど冒頭で御説明をいただきました、森林整備事業で約二千八百億とか二千九百億近く予算を割いて整備に当たっていただいているんですけれども、多いか少ないかは個人の感覚の差はあろうかと思うんですけれども、やはりこれだけの税金を投入してやっていく中で、今お尋ねした、何年かけてどういうふうにしていくのかといったときに、五十年かけるのか、百年かけるのか、二百年かけるのか、その辺の大まかな年数で結構ですから。

 それと、戦後の復興期の時代に、戦地からお帰りになった人たちの職をどういう形で確保させればいいのかといったときに、森林をある程度伐採したり雑木林を開墾して畑をつくったり田んぼをつくったりして、今日それを活用しているんだと思うんですけれども、逆に不耕作地だったり耕作放棄地だったりした場合には、どうしてもそこで農業できないんだということであれば、自然に戻す意味でも、また森林に戻していってもいいんじゃないかという考え方を持ってもいいんじゃないかと思うんですね。

 その辺のことをもう一度お尋ねしたいと思います。

沼田政府参考人 お答え申し上げます。

 天然生林をもとに戻すといいますか、きちんとした管理の状態にするということは大切なことでございます。ただ、そういった森林をもとに戻すといいますか、そういったものにつきましては、若干の人手と、それから大きないわゆる天然力が必要でございますので、相当な時間はかかるのではないかなというふうに考えております。

 あともう一つは、戦後復興の関係で、例えば開拓跡地でありますとか、そういったものとなった箇所について、そういったものを自然に復旧するといいますか、森林化していくということもあろうかと思っておりまして、そういったものにつきましては、私どもとしても、いろいろな支援制度、例えば農山漁村地域整備交付金を使って森林の造成を支援するでありますとか、あるいは、一旦森林化したものにつきまして、私ども、森林整備の関係で保育等への支援を行う、そういったことも可能でございますので、そういった箇所につきましてきちんと対応していきたいというふうに考えているところでございます。

鈴木(義)委員 先ほど年数のお尋ねをしたんですけれども、とりあえず先に進ませていただきます。

 この間伐等の法律を施行して、育成単層林や育成複層林をコストをかけて整備していくという御説明をいただいたんですけれども、片や、年々、森林や雑木林などを含む緑が喪失している面積がふえていっているのが現実なんですね。その中で、何年かけてこの育成林事業に取り組んでいけばCO2が好循環になっていくと。

 間伐をしたり主伐をしたりして木を切って、商売として使うか使わないかは別にして、また新しい苗を植えて、それでCO2の吸収量を高めていくんだというのが間伐の一つの目的であったり主伐の一つの目的で、新しく森林事業を活性化させていくという考え方であれば、どのぐらいの年数を見込んでいる中でこの育成林事業を進めていけばCO2が目標に達成するのか、もしくはそれ以上に吸収することができるというふうな考え方でおやりになっているのか、お尋ねしたいと思います。

沼田政府参考人 お答え申し上げます。

 基本的には、森林吸収の関係でございますと、気候変動枠組み条約がございまして、そのもとに京都議定書がございます。我が国は、京都議定書には入っております。離脱はしておりません。ただ、京都議定書の第二約束期間における削減義務は負わないということになっております。

 そういった中で、自主的にきちんと削減目標を掲げて先進国の一員として行動していくということになろうかと思っておりまして、そういった意味で、森林吸収源につきましては、今国際ルールで認められております上限値でございます三・五%というものを二〇一三年から二〇二〇年までの間にきちんと達成していくということが必要だろうと思っております。

 そういった意味で、そこに必要なものということで、上限値三・五%を達成できるようないわゆる取り組みということを今後八年間ということで考えさせていただいているところでございまして、具体的には、例えば間伐でありますと年間五十二万ヘクタール、そういったものの実施が必要になってくるのではないかというふうに考えているところでございます。

鈴木(義)委員 では、続きまして、二〇一〇年度の森林面積のうち、私有林が千四百五十八万ヘクタールあって五八%、国有林が七百六十九万ヘクタールで三一%、公有林が二百八十三万ヘクタールで一一%とお聞きしています。

 現在、このうち、森林経営として維持管理している割合は、各所有者ごと、どのくらいの割合で年間管理しているのか、お知らせいただきたいと思います。

沼田政府参考人 詳細な資料を今手元に持っておりませんので正確な数字というのは申し上げられない状態でございますので、大変恐縮でございますが、基本的には、経営対象森林につきましては、国有林でありますとか公有林というのは、相当程度の割合、もう九割以上になっているかと思いますが、いわゆる算入対象、カウント対象ということになっているというふうに考えております。

 ただ、一般の私有林といいますか民有林でございます個人とか会社の所有森林でございますけれども、そういったものの対象になっている割合というのは、若干といいますか、五、六割ぐらいではないのかなと。感覚的な数字で大変恐縮でございますけれども、そういった状態ではないかというふうに考えているところでございます。

鈴木(義)委員 先ほどからずっと、前の方も質問されていたと思うんですけれども、地球温暖化が大事なんだというふうに政府全体で言うんですね。

 そういうふうに声を高々に叫ぶのであれば、私有林を国有林に買い入れなどして、国が責任を持ってCO2の吸収措置をきちっと図っていけば、今回の法案で出ている、森林所有者に三割負担を強いるということをしなくても、今申し上げたように、私有林だとか公有林、公有林も一部国だといえば半分、六割近いのが私有林であるわけですよね。CO2の削減を本当に声高々に叫んでいくのであれば、国が責任を持ってそれを買い入れるなら買い入れて、きちっと計画に基づいて間伐するなり主伐するなり植えかえをしていって、その目標を達成できるようにしていったらどうかなと思うんですけれども、その辺を、お考えをお聞かせいただければと思います。

長島大臣政務官 そのことについて私の方からちょっとお答えをさせていただきたいと思います。

 今、林野庁長官の方から、三十二年時点の温室効果ガス削減の目標、あるいはそのことに対する方向性についてはるるお答えをさせていただきました。

 先生御指摘の、やはり農地が天然林に返っていくとかということも理解をさせていただいた上でお答えをさせていただきたいと思うんですが、政府としては、地方公共団体、事業者及び国民による取り組みを政府が支援するという立場をとっているつもりでございまして、今御指摘の、急傾斜地や路網整備が不十分である条件不利地であって、森林所有者の自助努力ではなかなか適正な整備が見込めない森林については、地方公共団体による森林整備を国が支援するなどして国としての役割を果たして、森林としての機能を果たしていただきたいというふうに考えておりますので、どうぞよろしくお願いをしたいと思います。

鈴木(義)委員 先ほども質問が出たと思うんですけれども、林業を主業にしている人たちというのは、別にCO2の削減は関係ない話なんですね。何でそれを、林業者の方に三割も結局負担をさせながら、まあまあそれは、もしかしたら使い勝手のいい補助金なのかもしれませんけれども。

 でも、国が声高々に、京都議定書に責任を持って加盟して、その目標達成をやっていくと言っていながら、片や、本当は後段でお聞きしたかったんですけれども、土地をもう放したいという人も中にはいるという話なんです。そういう中で、三割も金を出せといったって、それは出す人はいないと思うんですね。

 だったら、京都議定書を批准したんだ、三・五%を削減していくんだ、八年間でというんだったら、国が責任を持ってやった方がいいじゃないかという考え方なんです。そこのところをもう一度、再答弁をお願いしたいんですが。

林国務大臣 先ほどどなたかの御質問の中で、やはり吸収源対策をどう位置づけるかということがございました。今、長島政務官からも答弁をしていただきましたが、やはり吸収源対策というのは全体として非常に大事なことであり、世界全体として、特に先進国は取り組んでいかなきゃいけない。

 しかし、そのために林業をやっているというよりは、林業をやっていく中でそういう効果もある、したがって、その効果に着目していろいろな施策を打つことによって、林業の方がそれを選択していただければ、ますますそれが相まって進んでいく、こういうことではないのかな、こういうふうに思っております。国が約束をしたから、嫌がる人を無理やり、これをやれやれということになっては、やはりちょっと本末転倒のところはあるんだろうな、こういうふうに思っております。

 先ほどどなたかの御質問のときにも申し上げたように、したがって、サプライサイドといいますか、供給サイドでいろいろなことをやることと同時に、需要サイドもきちっと施策を打っていって、いろいろなことをやっていく中で林業が業として回っていく、その中でこの施策をやることによってさらにプラスアルファになるということが一番いい形ではないか、こういうふうに思っております。

 また、吸収源ということ以外の多面的機能というのも、先ほど議論があったように、いろいろあるわけでございます。したがって、自助努力が見込めない場合には、森林所有者との協定に基づいて地方公共団体が整備をするという意味での環境林整備事業というのがございますし、また、地方公共団体が森林を取得する、ある意味では公的なところが引き受けるということについての地方財政措置、こういうことによって適正な整備保全が図られて、民と官の間のバランスがいいものになっていくように、きちっとやっていかなければならないというふうに思っておるところでございます。

鈴木(義)委員 そうしますと、CO2の削減の関係はよくわかったんですけれども、長年、林業の経営悪化の要因の一つになっているのは、高度成長期に住宅供給をするために、供給する材木の生産が追いつかなくなってしまった、そのかわりに外材を入れて、今日になってきてしまった。先ほども質問があったように、約七割近いのは外材、もっといっているんですかね。

 その後もなかなか、対策がとられていたのかいられないのかわかりませんけれども、材木の安定供給体制が整っていなかったのと、それと、品質の確保がきちっとできなかった、価格競争に負けるだけ、価格を低減する努力が、取り組めなかった。それで、今日、大変厳しい価格競争を強いられているんだというふうに思っています。

 先ほどから議論があったように、川上、川中、川下と。私は、川下というのは工務店さんじゃなくて、エンドユーザーだと思っているんです。エンドユーザーにどうやって国産材を使ってもらうかというところを農林行政だけで考えるんじゃなくて、例えば住宅減税を、国産材を使ったら、それは八割、九割使ったら十万円減額しちゃうとか、住宅ローンを、二%で借りられるところ、国産材を使ったら〇・五%まけちゃうとか、そのぐらいの手だてをしない限り、国産材をどんどんふやしていくというのはなかなか難しいと思うんですね。

 だから、そういう意味では、やはり川上の補助金、サポートばかりじゃなくて、中間加工するとか、流通をもう少しきちっと見るとか。ある住宅メーカーさんなんかは、外材を主体にしていますから、港湾のそばにプレカット工場を持っているわけです。それに対抗していくには、やはり、供給する側のところにきちっとした整備体制も必要だろうし、今度は、使っていただく方も、これで買えというんじゃなくて、そこにどうやって競争力を持たせてやるかといったときには、エンドユーザーの方のサポートも考えていくなり、農林水産省の方から情報発信していった方がよろしいのではないかなというふうに思っておりますが、その辺のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

江藤副大臣 若干歴史的なことを考えますと、価格競争的に負けていたという部分はあるかもしれませんが、それよりも、やはりホワイトウッドの方が、目が細かくて、かたくて、曲がらない、そして、定数、定量、安定的に輸入されるということで、やはり国内の林業というのは競争力がなかったというところがあるんですよ。

 ですから、先生言われるように、川上、川中、流通ですよね、そしてエンドユーザーである住宅を買う人、これが一体となった流れをつくらないと、今伐期を迎えている国産材はなかなか有効に利用されないんだろうと思います。平成二十一年、麻生政権のときに、加速化事業なんかもやりました。いろいろやりましたけれども、なかなかうまくいかない。林業構造改善事業なんかもやりましたけれども、これは協同組合でやらなければならないというような縛りがあって、なかなかうまくいかなかったということが確かにあります。

 だから、これから、山を持っている人たちが材を快く出してくれるためには、やはり山の木を売り出してもうかったとならなきゃなりませんので、プランナーの制度もありますから、エンドユーザーと山主と流通と、ちゃんとそこを結びつけて、プランナー、そういう人たちの力もかりながら、流れのいい流通形態というものをつくっていくことが一番大切になってくるんじゃないかなというふうに考えております。

鈴木(義)委員 ありがとうございました。

 先ほどとちょっと質問がかぶるんですけれども、これからも林業を継続していくといったときに、やはり、現在の材木の取引価格から、農業もそうだし、商業も何でもそうだと思うんですけれども、損益分岐点というのが必ずあるはずなんですね。そこに従事している人の割合でどれだけ、一人当たりの出来高というのが決まってきているから、大体損益分岐点というのは出てくるはずなんです。

 そういう観点からいったときに、大体、一経営体が森林面積をどのぐらいの規模にすればいいか。これは農業行政も同じだと思います。水稲だとか麦作で、ある程度大規模化していって、コストを下げながら競争力を持たせるのと同じように、森林の方も、小さい経営体よりは、ある程度の規模、それが百ヘクタールなのか五百ヘクタールなのか千ヘクタールなのかは、私は素人だからわかりませんけれども、それを集約化させていく中で、やはり利益が出せる経営体に主導していくように、国がやはり主導しないと、森林組合に任せる、農協さんに任せるとか、そういう悠長なことを言っていて、今日、五十年、六十年たっちゃったのかなと私は思うんですけれども、その辺の考えを。

 先ほど林大臣から御答弁いただいたんですけれども、財政的に逼迫している状況の中で、市町村や都道府県がその森林を、わかったといって買い取って、維持管理するのにコストがかかるようなものを採納する、受けるというのを、何も国が手だてしなくてやれるかといったら、どこの市町村もちょっと待ってくださいというのが現実の話だと思うんです。

 ですから、先ほど申し上げたように、CO2の削減で予算をどんどんとってやっていくということであれば、公有地化しながらきちっとした管理をしていく。また、国が一つの指針を出して、経営規模はこのぐらいでやっていく、それには、五年先、十年先を見越した中で、少しずつ集約化していってくださいよというのを提言なり主導していかなければ、林業で生業として食べていかれる後継者もふえていかないんじゃないかなと思うんですが、その辺、まとめて御答弁いただきたいと思います。

林国務大臣 平成二十三年に、森林・林業基本計画を策定しておりますが、このときに、林業構造の展望ということを公表しております。十年後に向けて目指すべき姿ということと、いろいろな施策をやって、これが達成された場合に、こういうモデルになるといいですね、これを目指していきましょうと、こういうモデルを明らかにしております。例えば、森林所有者が、その杉人工林六百ヘクタールを対象に森林経営計画を作成して、施業を外注することなどをして、年間六百万円の収益を上げるモデルというのを一つ掲げております。また、組合が、所有者、地区内にいらっしゃいますから、この方々の杉人工林七千二百ヘクタールを集約化して、大部分の施業を外注して、森林所有者に一定の利益を還元するモデル、こういうものをお示ししておるところでございます。

 こういう施業集約化を推進したり、それからコストをいろいろな施策によって縮減する、それから人材育成等の施策、こういうことをやっていって、こういう理想的なモデルに近づけていって、やはりなるべく業としてきちっとやっていく、これを原則といたしたい、こういうふうに思っております。非常に条件の悪いところなど、なかなかそうならないところについては、先ほどお答えしたように、地方公共団体、ただ、どうぞということではなくて、地方財政措置できちっと見ていくということも含めて、支援をしてまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。

鈴木(義)委員 ありがとうございました。

 以上で終わります。

森山委員長 次に、百瀬智之君。

百瀬委員 長野県出身の百瀬智之でございます。

 まず冒頭に、同じ長野県の大先輩であります寺島議員からも御紹介がありました凍霜害、霜の被害でございますけれども、私からも一言、言及させていただくことをお許しいただきたいと思っております。

 寺島議員から御紹介いただいたこの資料でございますけれども、あづみ農業協同組合とありますけれども、まさに私の地元かと思っております。松本、安曇野は私の選挙区でございますけれども、寺島議員から深く質問していただきましたので、重複いたしますので深く立ち入ることはしませんけれども、県の調査によりますと、五月八日の時点で、十七億の被害が見込まれております。また、算出の中にはブドウ等が入っておりませんし、これから被害の拡大が見込まれるところでございます。ぜひ、セーフティーネットを充実して、突発的な自然災害によって営農継続を断念する農家が出てこないように、適切かつ迅速な対応を私からも重ね重ねお願いしたいと思っております。

 さて、早速、本題に入らせていただきます。

 このたびの間伐特措法の一部改正でございますけれども、当該法律の目的は、森林吸収源の確保及び森林の適正な整備の推進でございます。

 森林吸収源対策というと、私なんかは、何か大きいことをやっている、そういう感覚にも陥るわけでございますけれども、実際には、山の中で木を切ったり木を植えたりと、地道な作業をしていらっしゃる方々の積み重ねによるところが大きいんだろうと思っております。

 私、山村部出身でございますけれども、山村部の方々に聞くと、補助金というのも大事だけれども、ちゃんと木材が売れる仕組みをつくってくれることが一番ありがたいとよく言われます。地元長野県では、産学官の連携したプロジェクトにより、集中型の木材加工施設と、木質バイオマス発電施設の併設計画を進めております。また、あわせて、木造住宅や公共建築物、土木用材、家具、木質バイオマスなど、さまざまな用途での県産材の需要拡大に向けた方策に取り組んでおります。

 そこで、まず初めに、全国的な木材の需要拡大のためにどのような推進方策を考えておられるのか、また、今後の木質バイオマス利用の推進方策をどう考えていらっしゃるのか、二点、林野庁の方にお伺いしたいと思っております。よろしくお願いいたします。

沼田政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の森林・林業、こういったものを活性化していくためには、木材の需要拡大を進めていくということは大変大切なことだと思っております。

 そういった意味で、国といたしましては、公共建築物の木造化、木材加工施設の整備に対する支援、それから、昨年度の補正予算でございますけれども、木造住宅の建築等の際にポイントを付与する木材利用ポイント制度の実施、あるいは木材の用途拡大のための技術開発、そして未利用間伐材等を利用した木質バイオマスの利用施設の整備に対する支援、こういった措置を講じているところでございます。

 こういった支援とあわせまして、公共建築物等木材利用促進法に基づく市町村木材利用方針、こういったものの作成への働きかけでありますとか、木づかい運動を通じました地域材の利用推進、そして、公共建築物の施設整備主体に対しまして地域の木材を利用促進していただくために必要な情報発信とか各種の支援、こういったものにも取り組ませていただいているところでございます。

 今後とも、こういった木材の需要拡大に向けた施策を積極的に展開してまいりたいと考えているところでございます。

百瀬委員 木材利用ポイントというお話も出ましたけれども、木材利用ポイント制度、始まっておりますけれども、一般的な認知度ということでは、家電ポイントと比べてもまだまだだと思っております。木材需要拡大のために、その辺も含めて周知徹底をよろしくお願いいたします。

 さて、先ほど、ちゃんと木材が売れる仕組みをつくるべきだと申し上げましたけれども、一方で、供給サイドにはこのような問題もございます。

 若干古いですけれども、平成十九年の林野庁業務資料によりますと、林業従事者の平均年間所得は二百九十五万円となっております。

 一方、今回の間伐特措法でも、すぐれた苗木を提供するため、また、林業の技術向上のために、独立行政法人森林総合研究所が役割を担っているわけでございますけれども、当研究所に勤務する方々の平均給与は、常勤職員の方は七百五十万を超えて、また、役員報酬は一千万円を超える方々もいるということでございます。

 独法の方々の給料が高過ぎるからすぐ減らせとか、そういうことを言っているわけではなくて、やはりこういう独法も現場の方々の努力の上にあると思っておりますから。

 林野庁の職員と、また林業従事者の給与を比較したとき、大臣としてはどのような感想を持たれるでしょうか。また、景気も上向いておりますけれども、この分野に成長戦略はあるのか。林業従事者のモチベーションをどうバックアップしていくおつもりか。経済効果に期待する林業従事者も多いと思いますから、ぜひ一言お願いいたします。

林国務大臣 やはり、どういう仕事でもそうですが、仕事自体やりがいがあって、仕事をやっていくことの中で自己実現を図っていくということがまずあると思います。しかし、その中で、やはり所得が多ければ多いほどいいということでもあろうかというふうに思いますので、林業においても、従事者の所得を向上させるということが非常に大事であると思っております。

 これは、今まさに委員おっしゃっていただいたように、需要サイドと供給サイドを分けて考えるよりも、やはり、需要サイドのこともやりながら、需要をふやしていく中で供給サイドを効率化していく、そういう循環の中で所得が上がっていく、こういうことが大事であろう、こういうふうに思っておりまして、サプライサイドとしては、やはり施業の集約化や低コスト化、こういうことを図ってまいらなければならない、こういうふうに思っております。

 森林整備の実施や、それから集約化に必要な一連の活動の実施等々いろいろな取り組みを支援しておるところでございまして、こういうことを通じて林業従事者の所得の向上を一生懸命図っていく。独立行政法人の皆さんや林野庁の皆さんも、そのことを一生懸命自分の仕事としてやるということで、よもやその従事者の方から、自分たちよりも何か高い給料をもらっているなというふうに思われないように、しっかりと仕事をしていただきたい、こういうふうに思っておるところでございます。

百瀬委員 需給バランスの御指摘をいただきましたけれども、ぜひ林業に活気を与えるような施策を打っていただくことをお願いしたいと思っております。

 もう一つ、活気ある林業ということで、次は鳥獣被害対策をお伺いいたします。

 言わずもがなでございますけれども、本法律に基づいて新たにすぐれた種苗を植えたくても、鳥獣被害が深刻では、効果的な施策とはなり得ません。

 地元でもニホンジカによる被害がございまして、林業、農業、それから自然公園やさまざまなところに被害がわたっておるわけでございます。県のさまざまな関係機関が連携して、防除対策や捕獲対策、また、緩衝帯整備などの生息環境対策であったり、ちょっと趣向は違いますけれども、ジビエ振興策など、さまざまなものに取り組んでおるわけでございます。

 農林水産省では、生産局を中心に鳥獣被害対策を活発化させていただいていると思いますけれども、生産局と林野庁、またそのほかの部局では、どのような連携を今までとられて、おのおのがどのような対策を講じてきているのでしょうか。森林ですとか山全体に対しての省内における横断的な取り組みを、鳥獣被害対策を中心に、連携のあり方や取り組みの実績、また今後の見通し等について、御見解をお願いいたします。

林国務大臣 委員おっしゃるように、最近、農山村における過疎化や高齢化の進行というもの、それから野生鳥獣の生息分布域の拡大ということがありまして、野生鳥獣による農林水産業被害が大変深刻化、また広域化している、こういうふうに思っております。この間の予算の分科会のときも、各党の先生方からこのことを随分取り上げていただいたところでございます。被害面積も、森林の方でも全国で九千四百ヘクタールということで、今お話のありました鹿による被害がこの中の六、七割、こういうことでございます。

 したがって、まさに今委員がおっしゃったように、森林・林業部門だけで対応する、また、農業、環境部門がばらばらでやるということではなくて、相手は同じですから、連携をして対応するということが必要であろう、こういうふうに思っております。

 鳥獣被害防止特措法に基づいて市町村に地域協議会というのが設置されております。ここで、農協、森林組合、それから地元の猟友会等々の関係者の皆さんに話し合いを行ってもらうということ、それから、被害防止や個体数の管理、生息環境管理等の観点から総合的な対策を行っていただいて、連携をしていただいて、分野を超えて地域ぐるみでこの問題に当たってもらうよう、そういう取り組みを推進しておるところでございます。

 森林整備と一体となった防護柵を設置するとか、鹿等の隠れ場所を排除できる緩衝帯の整備など、農業部門と連携した被害防止対策をやるとか、それから、生息調査等を踏まえて、猟友会や市町村の実施隊と連携した上で国有林の職員みずからが捕獲を行う、こういう連携の取り組みをやってまいらなければならないと思いますし、需要サイドと言うかどうかわかりませんが、今委員がお話しになったジビエというのも、今からの取り組みとして非常に注目をされておるところだというふうに思っております。

 たまたま、私の地元の下関で、この間、ジビエセンターというものをつくりまして、話を聞いてみますと、ただイノシシを捕獲してその場で殺処分してということに加えて、イノシシを生きたままとって、これをジビエセンターで飼うということでございます。

 飼うと観光にもなるということですが、なるほどなと思いましたのは、やはり一番おいしい時期というのがあって、とった時期イコール一番おいしい時期であることがなかなかないそうでございます。やはり、おなかがすいているから出てきて、とられるということですから、そういうときよりも、その後丸々太って、豚は太らせて食えという言葉もありますが、イノシシもやはり太らせて食った方がうまいということで、そこで飼って、適度に太らせてからジビエで食す、こういうことを目指してやるという取り組みも進んでおる。

 こういうことでございますので、委員がおっしゃるように、いろいろな取り組みを総合的にやっていくことが非常に大事だと考えておるところでございます。

百瀬委員 実家の近くにもイノシシが出ますので、あれはおいしくないイノシシだということを勉強させていただいて、ありがとうございます。

 また、省内では、横断的な議論がなされ、また有効な対策をとられることを重ね重ねお願いしたいと思っております。

 さて、先ほどから、林業の成長産業化、もしくは木材の海外輸出を促進するというお話が何度か出てきておりますけれども、以下、輸出力の強化をテーマにお話をさせていただきたいと思っております。ここでは、ひとまず農業を題材にして、今後の林業を考えるきっかけにしたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 輸出力強化対策において、政府は、年一兆円の輸出額を目指すと力強く打ち出されたわけでございますけれども、これに期待を、胸を膨らませている農家は少なくないと思っております。青果、とりわけシソなど和の野菜に限って見ても、輸出力が伸ばせそうなものはたくさんあると思っております。信州特産の和野菜で、かつこれから海外に向けて輸出を伸ばせそうなものを私も二品探してみました。

 一つは、長芋。長芋は、二〇〇五年に輸出が本格化して、二〇一〇年実績で輸出額二十億円、重量で五千トンを超えたということでございます。野菜類の輸出品目ではトップクラス、市場は中国やマレーシア、アメリカにも広がっているが、特に台湾などは、健康志向の高まりによって日本の長芋に対する需要は伸びているということでございます。

 また、二点目はワサビでございます。台湾や韓国、香港、さらに中国でも必需品になりつつあり、ほとんどはチューブ入りのものなので、本ワサビは間違いなく喜ばれるということでございます。一昨日、林大臣がベトナムに渡航されたときのお話にも出てまいりましたけれども、潜在需要というのはかなり大きいんだろうと思っております。

 現場の宝というわけではございませんけれども、当然、全国には世界に誇る和の野菜というものがごろごろしているんだと思っております。ここで、何が輸出に適しているかわかれば問題はないという回答をいただくかもしれませんけれども、改めて、何が、これは輸出していけばおもしろいなと思っていらっしゃるか、大臣の答弁をいただきたいと思います。

林国務大臣 長芋もワサビも先ほどおっしゃったシソも、大きなポテンシャルがあるんではないかというふうに思っております。この間、インドネシア、ベトナムに行ったときのワサビのお話をいたしましたが、わさびと平仮名で書いて、そのまま日本で売っているのと同じパッケージで、輸入品ですからシールを張って、そのまま出しておる。ですから、パッケージも平仮名でわさびと書いた方が売れるというように、非常に日本食や日本の食材に対してニーズが強いということがそれを見てもわかるわけでございます。

 幾つか今、展開をする上で、考え方を整理しておりますが、FBIと言っておりまして、メード・フロム・ジャパン、メード・バイ・ジャパン、メード・イン・ジャパンということで海外戦略を展開していこうというふうに考えております。

 メード・イン・ジャパンというのは、日本でつくったものを輸出するということでございますが、メード・バイ・ジャパン、メード・バイ・ジャパニーズと言ってもいいのかもしれませんが、日本食というものをやはり世界に発信していく。ジェトロの調査でも、主要七カ国で、六カ国ではもう既に、食べてみたい外国料理で日本料理がトップになってきている、こういうことでございますから、やはり日本食が人気が出てくるという中で取り組みをさらに拡張していく。

 メード・フロム・ジャパンというのは、まさに今ちょっとお触れいただいたように、和の野菜なり日本のものを外国の料理の食材として位置づけてもらう。日本から行ったものが、例えば、今幾つも星を持っているようなパリのフランス・レストランで一番はやりの食材の中の一つはユズだというふうに言われております。例えば中華料理では、ナマコとかフカひれというものは食材としてしっかりと中華料理として使われている、こういうことでございますから、そういう行き方もあわせて考えていく必要があろうか、こういうふうに思っておりまして、メード・フロム・ジャパン、メード・バイ・ジャパン、メード・イン・ジャパン、それぞれ、ばらばらというよりも連携して、総合的な戦略として、日本の食材や食品、全体的な輸出や海外展開、これをふやしていきたいというふうに思っておるところでございます。

百瀬委員 日本にはまだまだ海外に輸出できる貴重な価値のある野菜というものがたくさん転がっているんだろうと思って、地元でも、友人たちに、政府はこれから輸出を伸ばそうとしているから、頑張っていろいろつくっていこうよというお話をするんですけれども、やはり、現場の農家さんたちは、どうやったら自分が、販売、海外に売り込めるのか、そういうことを結構気にしていらっしゃいます。

 そこで、海外に対してのマーケティングの強化という点で輸出促進策をどのようにお考えでいらっしゃるか、これを次にテーマとさせていただきたいと思っております。

 まずここで話題にさせていただきたいのが、農家による作物別の全国組合、これの設立と促進でございます。世界的には、米国ポテト協会、デンマーク酪農協会、英国ニンジン協議会などが有名であると思うんですけれども、これの日本版でございます。日本はこれまで、地域単位の農協が中心になってきまして、我が長野県であれば、長野県産のリンゴに対してどこどこ県産のリンゴ、もしくは長野県産のブドウに対してどこどこ県産のブドウというような意識が高くて、日本国内においては、そういう地域間の切磋琢磨というのは有効なんだろうと思っておるんですけれども、一方で、値下げ競争による消耗戦が繰り広げられてきた、そういう側面もあると思っております。

 また、日本では、市場機能は農水省認可の公設卸売市場が中心でありまして、また、研究部門は国や県がどうしても中心となっており、本来のユーザーである農家の主体的意思というものは必ずしも反映されてこなかったのではないかと思っている節がございます。

 そこで、調べたところによりますと、米国ポテト協会では、概略、このような活動をしているということでございます。日本の学校給食マーケット参入をもくろみ、献立に影響力を持つ日本の栄養学の権威を米国に招待し、米国産ジャガイモのすばらしさを畑から伝えていく。最近では、日本のファストフードやファミレスでのフレンチフライの市場が飽和してきたと見てとるや、コンビニや和食チェーンにも攻勢をかける。具体的なメニュー提案をするにとどまらず、小売単価から利益額、準備するまでの時間と人件費まで算出し、いかにお店がもうかるか商談で提示する。しかも、日本人の雇われマーケッターが、異国で米国農家にかわって営業しているということでございます。

 このように、マーケティング調査から研究調査、また、価格策定からブランディングに至るまで、日本でも一作物メーカーとしての骨太のビジョンと行動力を持ったこういう農家組織が必要になってくるのではないかと思っております。

 先ほど、例えとして長芋やワサビを例にいたしましたけれども、例えば日本長芋協会とか日本ワサビ連盟とか、名前は何でもいいんですけれども、欧米では一般的な生産者団体としての形態を日本としても推進していく、こういう国の施策をどうお考えでしょうか。

林国務大臣 大変大事な御指摘だと思います。やはり、海外市場において我が国の産品のシェアを維持拡大するためには、それぞれの産地が取り組む、また、それぞれ競合してばらばらに取り組むということではなくて、やはりジャパン・ブランド全体として確立していくということが重要だ、こういうふうに思っております。

 したがって、二十四年度の補正予算、それからこの二十五年度の予算においても、牛肉だとかお茶とかいった品目別の全国的な団体、こういうものが輸出振興を図るための取り組みを支援していくということを既に盛り込んでおるところでございます。

 委員が今お話しになったように、それぞれが価格競争になるということもございますし、それからもう一つは、やはり、商売をするということになりますと、向こうが考えるのは、果たして、約束したロット、供給をきちっと持続的にしてくれるだろうか、こういうところもあるわけでございます。単一の産地や単一の農家ということになりますと、そういうロットをまとまって持続的に輸出、供給するということはなかなか難しいということになれば、なおさら全国的に、よくリレー出荷といいますけれども、こういうことをやりながら大きなロットを確保して安定的に供給をしていく、こういうことが大きな商売につながっていく、こういうこともあろうか、こういうふうに思っております。

 その上で、やはり、まずは売り込みをしなければなりませんので、農水省は、ジェトロとの連携強化をして、事業者を育成する、それから、そういう方が海外見本市へ出展していくのを助ける、それから、国内外で見本市で知り合った方も含めた商談会を開催していく、こういうこと等、総合的なビジネスサポート体制の構築等の取り組みを積極的に進めていきまして、こういう取り組みをどんどん応援していきたいと思っておるところでございます。

百瀬委員 ぜひ、全国の作物別の組合の考え方を進めていただきたいと思っております。

 海外マーケティング力の強化ということに関しましては、中堅企業でも、輸出手続や決済やもろもろで、また言葉の壁等もございますので、苦労していることと思っております。農家が本当にできるのかという懸念はまだまだあると思っております。

 農水省も輸出促進策に邁進されているかと思いますけれども、ここで確認の意味も込めまして、輸出促進対策として今年度は幾ら計上して、そして、今後どれくらい増額していくおつもりか、御見解をお願いいたします。

針原政府参考人 輸出促進のための予算に関するお尋ねでございます。

 二十五年度におきましては、輸出倍増プロジェクトということで十一億五千万計上しております。その中身は、今大臣が答弁しましたように、ジェトロを通じて、有望な輸出事業者の発掘、育成、それから海外見本市への出展、それから商談会の開催、これは国内、国外でございますが、これに関しては十億円。そのほか、市場調査、マーケティング、それから、原発事故による輸入規制の緩和の働きかけに向けたデータ整備、これで一億五千万円。

 このほかに、ミラノ国際博覧会、これは食がテーマでございますので、日本館の設計や広報活動のために六億円。

 そのほか、日本の食を広げるプロジェクトとして、日本食、食文化の海外発信や現場発の自由な発想に基づく輸出の取り組み支援等、これは三十九億八千四百万、約四十億でございますが、その内数の中で輸出の取り組みができます。

 また、補正予算、今執行しておりますが、品目別の全国的な輸出振興を盛り込んでおります輸出拡大及び日本食・食文化発信緊急対策として、七億円計上しているところでございます。

百瀬委員 それとあわせて、ぜひ、海外のバイヤー企業の誘致を国を挙げてやってほしいと思っているわけでございます。日本国内で調達してもらって、気に入ったものを本国に輸出してもらえばいい。メリットは幾つかあると思っております。まずは、実際にバイヤーに農場に来てもらって、農家と直接コミュニケーションをとって、そして、その国専用の新商品の開発にもつながりますし、商機があれば日本の農場への投資も促進されるだろうと思っております。

 また、青果に関しては国内に六百カ所くらいの地方卸売市場があるということでございますけれども、海外企業が買参権を持っているところはほとんどありません。

 現状、輸出促進補助金は、海外での展示会出展料、また、旅費、宿泊費、こういうところにかなりが消えているのではないかと推測するわけでございますけれども、バイヤーを呼べば、そのような出張費や手間もかかってこないのではないでしょうか。その国のニーズは、その国の青果のプロの目で確かめてもらって選んでもらった方が確かかと思っております。

 また、このモデルは、日本が海外の農村でやってきたことでもあると思っております。農水省や各県の市町村の農政課にせっかく何万人もの農業関連職員がいるのですから、公務員が海外バイヤーの案内とかアテンド業務をしてもいいのではないのかなと思っているところでございます。

 ぜひ、有効活用されていない補助金等を洗い直して、海外マネーを呼び込むバイヤー企業誘致にお金を回してほしいし、そういうことは未来志向ではないかなと考えるところでございます。いかがお考えでしょうか。

針原政府参考人 先生御指摘のとおり、海外で活動するだけじゃなくて、有力なバイヤーさんを日本の産地に招聘して、その産地を見ていただくということは、非常に重要なポイントだと思っております。

 先ほど御説明いたしました補正予算の七億円の中身にも、国内産地への海外バイヤーの招聘のための予算を計上しております。また、二十五年度予算におきましても、国内商談会をやる際には、海外のバイヤーさんを呼びますので、その際に産地を見ていただくような機会も設けたいと思っております。当然、その産地を見ていただくときには、現地の市町村あるいは農協の方々とのタイアップといいますか、御協力を得ながら、その産地のすばらしさも紹介してまいりたいと思っております。

百瀬委員 ぜひ大臣か副大臣の御見解もお伺いできればと思っておりますけれども。

林国務大臣 今局長から答弁いたしましたように、バイヤーが来るというのは非常に大事なことであると思っております。今委員が御指摘のように、現地のニーズを一番よくわかっているということと、商談がまとまればそこで買ってくれるわけですから、こちらから売り込みに行くということとあわせてこれは大事だと思います。

 私、インドネシアをお邪魔したときも、現地のバイヤーの皆さんと懇談する機会がありまして、やはり具体的なんですね、要望が。ですから、こういうところでこういうものをというのを、やはり全ての品目について、全ての国に対してというと、非常に散漫なことになりますが、この国にこれをというのをやはり絞って、限られた予算、人員を効率的に投入していくという意味でも、このバイヤーとのかかわりというのは大切にしていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。

百瀬委員 ありがとうございます。

 時間も差し迫ってまいりましたけれども、もう一つ、自分の行ったことのある国としてフランスを引き合いに出して、輸出力を題材にしたいと思っております。

 フランス農業の強みは輸出力だと言われております。農業生産額の約半分を輸出が占め、その額は世界ランキング五位以内をキープしています。この強みの背後には、政府の支援策がやはりあるということでございます。

 釈迦に説法になってしまいますけれども、原産地呼称統制というものがございます。チーズ、ワイン、農産食品など、特産品については、特定の地方で定められた製法で一定品質を保つ製品に対して、国が審査して、品質を保証する制度でございます。ワインであれば、ボルドーやブルゴーニュというところが有名になってくるのではないかと思うわけでございますけれども、この制度が国内外の顧客に対する信頼のあかしにもなって、農家にとっても品質基準のよりどころとなっております。ある意味、厳しい最低基準でして、それ以上は、それぞれのワイナリーや工房が品質競争するという仕組みになっているわけでございます。

 話は戻りますけれども、もちろん地元の信州の和野菜、農産物、間違いなくおいしいんですけれども、農家の人は結構シャイでございますから、国のお墨つきをいただくとうれしいし、また自信が持てると思うんです。特に、和の農産品、特産品、きょうテーマになっている林業においてもそうかもしれませんけれども、原産地呼称統制のような仕組みを設けて、これが日本だ、ジス・イズ・ジャパンだということを世界にPRするという方策もあるのではないかと思うのですが、この点について、一言、御見解をいただければと思っております。

針原政府参考人 今お話がありましたとおり、EUにおきましては、いわゆるGI制度、地理的表示保護制度というのが制度化されております。この制度を、日本では地域団体商標制度というものが商標の中に位置づけられているわけでございますが、それをさらに発展させて、日本版のGI制度というものが位置づけられないかという研究を、今、実務的に行っているところでございます。

百瀬委員 済みません。こちらも大臣か副大臣もしくは政務官の御見解をいただけるとありがたいです。

林国務大臣 今、GIの話を局長から答えていただきましたが、やはりそういうことをきちっとやっていって、例えば私の地元ですと下関のフグというのがあるんですが、別にGIをとらなくてもブランドとしては確立している。ところが、外国へ行った場合は、やはり世界的に通用するものというものがありますし、法的にどう保護していくか、こういう観点もあるのではないかと思っておりますので、やはりこういった取り組みをしっかりとやっていくということは非常に大事なことであると思っております。

 例えば、山形だったと思いますが、つや姫というお米のブランド、これは品種の改良のときからブランド化を目指して、パッケージのデザインともども全て登録をして、ある一定のつくり方をしていないとこれは使えないということを最初から考えていらっしゃる。

 それから、福岡の小麦ですが、出口を見据えて品種改良をして、ラーメン用の小麦というのをつくって、ラー麦というブランド、これもデザインもトータルにやって、こういうふうにつくってきているということもございます。

 やはり制度をつくっていくときに大事なことは、その制度を活用してどういうものがその中から育っていくかということをしっかりと総合的に視野に入れながらやっていくということが大事だと思っておりますので、そういう方向で取り組んでいきたいと思っております。

百瀬委員 そろそろまとめに入りたいと思っておりますけれども、先日、我が方の村岡議員から、これまで日本がどうして海外に対して輸出策を促進、強力に発信していけなかったのかという質問に対して、輸出が伸びなかったのは、やはり紹介の仕方が下手だったという意見を頂戴いたしました。そのほかにも幾つか挙げていただいたんですけれども、やはり根幹は、国が輸出促進の青写真を明確に描けなかった、そして現場のやる気に着火する、火をつけることができなかったのではないかと思っております。

 私ども、特に我々若い世代は、勝ち負けは二の次で、挑戦することに意味があると考えておりますから、いろいろな輸出促進策を用意していただいて、やる気に火をつける、こういう施策をぜひ力強く発信していただきたい、こう思っているわけでございます。

 最後に、大臣、副大臣それぞれに、この見解に対してメッセージをいただければと思っております。

江藤副大臣 引き続き大変建設的な御意見、本当にありがとうございます。

 認証については、牛肉でいえば和牛というシールを張って輸出しておりますし、UAEとかサウジ、あっちの方に出そうとすれば、ハラールという特別な食肉の処理も必要です。そして、余り言うとよくないかもしれませんが、豚と牛とを同じところで屠殺していることに対してちょっと抵抗があるという意見もありますから、輸出向けの施設とは何ぞやということもやはり考えていかなきゃいけないと思います。

 余計なことですけれども、この間、私は本を読んでおりましたら、北欧の方がフランス料理は何か一流だそうで、フランスじゃなくて。何かコンペティションが二年に一回あって、国がバックアップをして、フランス料理のコンペティションでチャンピオンをとる。そうすると、世界じゅうからセレブが来て、レストランでその地域の食材を使ったフランス料理を食べる。

 いろいろな切り口はあると思うんですよ。ぜひ、先生の若い御意見をこれからもいただきたいと思います。

林国務大臣 今副大臣からもハラルのお話もございました。

 やはり大事なことは、今までこうだったからということに余りとらわれずに、新しくチャレンジをしていくということで、私は、旗を振りたいと思って、FBIというようなことを先ほど申し上げました。

 例えば、お地元の長野か、山梨だったか、ちょっと記憶が曖昧ですが、今までつくれないと言われていたワイン用のきちっとしたブドウをつくるということをずっと長い間取り組まれて、今、非常にいいワインをつくっておられる方々の本が「ウスケボーイズ」という形で出版をされておりましたけれども、やはり、若い方だけではないと思いますが、中年も含めて、失敗を恐れずに、きちっとチャレンジをする、その取り組みをしっかりと我々、一緒になって取り組んで支援をしてまいりたい、こういうふうに思っております。

百瀬委員 ありがとうございます。

 これで終わります。

森山委員長 次に、林宙紀君。

林(宙)委員 みんなの党の林宙紀です。

 皆さん、大変お疲れさまのところだと思いますが、本日、私が最後の質疑者でございますので、どうぞ最後までおつき合いいただきますように、お願いいたします。

 きょうの法案に関する質疑の前に、先日の報道でも取り上げられました森林整備加速化・林業再生基金、こちらについて、本法案も多少関係しているところもあるかもしれませんので、数点、先にお伺いをしたいなというふうに思っております。

 御承知のとおり、こちらの基金については、平成二十三年度の第三次補正予算におきまして、復興予算ということで千四百億円ほど手当てされた。それが東北の被災地以外にも使われているのではないか、ありていに言うと、流用されているのではないかという問題提起だったわけですが、それについては、今、関係各所がより詳しい調査などもしているところだと思いますので、特にきょう、糾弾しようと思ってそういう話をするわけではないんです。あくまで、この基金が行っていた事業の姿について正しく聞かせていただきたいというのが趣旨でございます。

 まず、この基金の趣旨であった、東北の被災地向けに使う木材を調達するためにというところもあったと思うんですけれども、それならば、ストレートに毎年度の予算に復興予算として計上するというのも、見た目としてはわかりやすかったのかなと思うんですが、まずは基金というところに積んで運用しようということになった、その形をとった理由というのをお聞かせいただきたいと思います。

沼田政府参考人 東日本大震災によりまして、百万戸を超える住宅が全半壊等の被害を受けております。これらの住宅の復旧に必要な木材需要、こういったものは数年にわたって生じると考えられるところでございます。

 一方、復興に必要な木材を安定供給できる川上から川下に至る体制を整備するということになりますと、これもやはり複数年を要しますし、かつ、原木供給対策と加工流通対策の実施時期、そういったものの調整を図りながら、復興の進捗状況、そして経済情勢を見ながら進める必要があるというふうに考えているところでございます。

 こういったことで、国が継続的な支援方策をあらかじめ示して、予算措置が継続されるということを明確にできて、かつ、弾力的、機動的な対応が可能な基金の仕組みを採用したところでございまして、平成二十三年度の第三次補正予算で千三百九十九億円を措置して、道府県に交付したというところでございます。

林(宙)委員 今回、報道で問題になっていたことの大きな要素というのは、この基金から九州地方での林道整備などが行われていたりとか、要は、東北への木材の出荷実績がない地域でも、この基金によって手当てされていたというようなところなんじゃないかなと思うんですね。こう考えると、報道では九州と書かれていましたが、調べてみれば、九州以外、全国でも同様のことがやはり行われていたようであるというところだと思います。

 これは、状況をよく考えてみますと、実は岩手とか宮城の沿岸部にあった、とても規模の大きい木材加工場というのが津波で被災したわけなんですが、これが、例えば合板だと、全国で三割分ぐらい加工しているところだ、結構大きなシェアだということなので、この機能が回復するまで、被災地で必要な木材というものもほかの地域の加工場から調達してもらう、増産していただくということはもちろんあったわけです。

 ただ、現実として、では、離れた地域から木材を東北まで運搬するのか、これはもうコストの面ではなかなか現実的ではないというところもありまして、それならば、全国的にというよりは、東北の、例えば隣の秋田なんというのは本当に木材もたくさん産出しておりますし、せいぜい関東とか東日本にある工場なんかで賄っていただけるように、限定してお金を使えばよかったんじゃないかなどという考え方ももちろんございます。

 その意味で、東北被災地の復興に必要な木材の供給という政策目標にどの程度合致した使われ方だったのか、国としてはその効果をどのように分析されているかというのをぜひお伺いしたいなというふうに思います。

沼田政府参考人 お答え申し上げます。

 この事業でございますけれども、木材を利用するための間伐、そして路網整備や高性能林業機械の導入、そして木材の加工流通施設の整備、こういった川上から川下に至る総合的な木材増産への取り組みを支援するものということでございます。

 私どもとしても、被災地域に対して相当量の復興用の木材が必要だろう、全体で見ると五百万立方とかそういった数字が必要なのではないかなというふうに思っておりまして、そういった復興用の木材を全国規模で安定的に供給できる体制を早急に構築する、こういった政策目標に私どもとしては合致しているものと考えております。

 また、二十四年度でございますけれども、岩手、宮城、福島の住宅着工数でございますが、震災前の一・五倍になっております。そういった増加する中で、本事業によりまして国産材が全国的に増産されまして、被災地において、木材不足や価格の高騰等を招くことなくこの木材需要が円滑に賄われておりまして、住宅等の復旧復興が進んでいる、こういった効果も発揮されているのではないかというふうに考えているところでございます。

林(宙)委員 それで、私もいろいろと関係各所でお話を聞いてみたら、先ほど、東北とかせいぜい関東なんかに供給先を限定してお金を使えばまだよかったんじゃないかなんというお話をしたんですが、実は、木材というのは、増産しようにも、計画に沿って木を切っているというところもあって、なかなか単年度にどんとふやすこともできないんだというところで、全国的に協力をいただく必要があったということもわかってきたところはあります。

 簡単に言うと、東北の加工場が被災をしたわけなので、では、その近くの、例えば先ほど言った関東の方から少し、いつも違う地域に回している分をこちらに若干回していただきましょうということをやると、いつも関東の加工場がほかの地域に回している分というのがやはり手薄になるわけで、それを、では、今度は隣のところから少し供給していただきましょうというような、いわゆる玉突き方式というかところてん方式というか、そんな形で木材が供給されていたということです。

 これはなかなかおもしろい結果だなと思ったんですが、今、被災地では、御存じのとおり、生コンですとか石材、石関係、そういった資材価格が大変高騰している、これはもう有名な話なんですが、木材に関しては、輸入などもしていたとは思うんですけれども、実はここまで、震災の後、比較的一定の価格を保って、もちろん変動はあったんですが、押しなべて見れば、かなり安定した価格を保ってきた、そういう量を木材は確保できたんだという結果になっているということがわかってきました。

 ということは、今回、いろいろと問題は指摘されていたのかもしれませんが、この基金の使い方については一定の評価をしていいんじゃないかなというふうに私は思っているところもございます。

 東北六県の知事が、震災後の夏だったと思いますが、木材供給については全国的な協力を求めないと被災地ではなかなか供給が立ち回らないということも要望されておりましたし、うまくそれが機能したのかなというふうに思っております。

 実は、あの先日の報道だけですと、一般にはこの事業の意義というか、そこが理解されないんじゃないかなと思うところもありまして、私もマスコミ関係にいたこともあって、この辺はすごく考えるところがあるんです。

 一般的に、報道機関というのは、問題と言われるものに対して、これはまずいんじゃないかというようなものに関しては、どんと出すんですよ、やはりそれは耳目を集めるというのが大事ですので。ただ、その後詳しく調べていったら、実はこれは合理的になされているものだったなということがたとえわかったとしても、それを後から丁寧に説明するということはほとんどなされないんですね。

 これは、ひとつ、ある意味では事業の正当性というのがうまく伝わらない。その報道に触れた人たちはほとんど、この先ずっと、あれはまずかった、流用されたんだ、そういう意識でいってしまいますので、そうなりますと、国益といったらかなり言い過ぎかもしれませんが、でも、やはり一種そういったものを損なう結果につながりかねないなと大変危惧しております。

 やはりそれを防ぐには、できれば事前にこういった事業についての丁寧な説明というのを何とか皆さんに周知していく必要があるのかなと思っているんですが、ひとまず今回の件に関して、林野庁としては、今後どのような対応をとっていこうとお考えかというのが、もしあればお聞かせいただきたいと思います。

江藤副大臣 極めて精緻に検討を加えていただきまして、まことにありがとうございます。

 とにかくあのときは、プレハブ、非常に暑い、寒い、できることなら木造でできた仮設住宅に住みたい、仮設じゃなくてそのまま住み続けられるような住宅に住みたい、そういう御要望は、民主党政権の皆さん方、たくさんいただいて、全国規模で協力をしようということでやったことでありまして、あのときは緊急事態でもありましたから、前政権の説明が足りなかったという批判はいたしません。いたしませんが、今後は、この事業について、きちっとした説明をしていく努力はしようと思います。

 その上で、九州でも路網の整備等その他やりましたけれども、ただ、九州等から、例えばシイタケの原木を無償で差し上げるとか、そのような協力もさせていただいておりますので、とにかく復興については、もう日本人全員で、全国規模で支えていくんだという姿勢でこれから臨んでいきたいと考えております。

林(宙)委員 復興はまだ道半ばというところは、確かにそのとおりでございますので、全国の皆さんに引き続きお願いをしたいというところもありますが、もちろん透明性というものを保った上で、評価されるべき事業というのはきちんと評価されるように、そういう情報発信というのも、今後ぜひお考えいただきたいなというふうに思っております。

 それでは、きょうの法案についてちょっとお聞きしたいなと思うんです。

 時間の関係上、限られた質問になってしまうと思うんですが、まず、いただいていた情報によりますと、森林での二酸化炭素吸収量というのを見ますと、第一約束期間の間には、三・二%から、二十三年度でいうと四%まで、吸収量は増加しています。まず、この増加した〇・八%分ということになると思うんですが、〇・八%増加した分のうち、どのぐらいが間伐による効果だというふうに計算されているかというのを教えてください。

沼田政府参考人 我が国では、京都議定書のルールに基づきまして、間伐などの適切な森林施業を行った森林を対象として森林吸収量を算定しておるところでございます。

 平成二十三年度の森林吸収量は約五千百万二酸化炭素トンでございます、基準年比で四%でございますが。このうち、間伐等による森林の吸収量というのが四千三十万二酸化炭素トン、三・二%ということでございまして、約八割を占めております。

 ただ、十九年度から平成二十三年度までの間に増加した森林吸収量が千百八万トン、〇・八%分でございますが、このうち、間伐等の増加分と比較してみますと、八百十一万二酸化炭素トン、約〇・五%相当ということでございまして、増加分で比べれば、約七割ということになっているところでございます。

林(宙)委員 非常に間伐の効果というものが、一応計算上という形になるかもしれませんが、出ているのかなというふうに受けとめさせていただいております。

 今後なんですけれども、ことしが平成二十五年ですから、ことしから先、第二約束期間までの間というのは、先ほどもありましたとおり、国際的に認められる森林吸収量というのは、一律三・五%上限というふうに決められております。平成二十三年度の日本の実績値としては、森林吸収量、九〇年比でということですが、四%ということなんです。

 何となく素人思考で考えていきますと、日本は、四%に相当する分を森林吸収量で達成してきたわけです。しかしながら、今後は、同じ努力を続けていって、もしかしたらこれは四・二%とかもうちょっとふえるかもしれないのに、カウントできるのは三・五%であるということになるわけですね。

 そうすると、二十三年度の四%から考えれば、一応、〇・五%分の余裕というものがあるのかななどと考えてしまいますと、場合によっては、〇・五%余裕があるわけだから、予算をかけて、その分ぐらいはちょっとやる必要もないのかなと考える向きがあってもおかしくないかなというふうに思うところがあります。これについて、国はどのようにお考えかというのをお聞かせください。

沼田政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の森林の吸収量でございますけれども、戦後造林をいたしました人工林が高齢級化といいますか、だんだん高齢の方に移ってまいります。森林の場合、植えてから二十年、三十年ぐらいのものの一年当たりの成長量というのがかなりございまして、それが植えてから五、六十年生になりますと、二、三十年の場合の三分の一ぐらい、そういった成長量でございます。

 そういった意味で、こういった戦後造林した人工林の高齢級化に伴って、単位面積当たりの吸収量が全体として低下してまいります。今後、全体の吸収量は大幅に減少する見込みでございまして、これはあくまで試算でございますけれども、対策を講じない場合は、二〇二〇年水準で、例えば三%だとか三%を切るくらいだとか、そういったところまで低下するおそれはあるのではないかというふうに思っております。

 そういった意味で、平成二十五年度から平成三十二年度までの間、平均三・五%というものがいわゆる上限値として認められておりますので、そういったものを確保するためには、やはり引き続き、間伐等を着実に実施して、吸収量の算入の対象となる森林を拡大していく、こういったことが必要になろうかと考えているところでございます。

林(宙)委員 そうしますと、今のお話をさせていただいたときに、三・五%というものは、一応報告義務があるというふうには聞いていますが、約束期間ではないので、これをもしやめてしまった場合はどうなるんだろうというところから考えてきて、最終的に今のような質問になったわけなんです。

 そもそも、森林吸収量については、実際に排出している量でカウントというよりは、国によって森林面積ですとかそういったところには大きな差があるわけで、それを有利、不利がないように、ひとつ、その国の、日本の場合は、間伐という形でしっかりと森林整備をしているんだよ、そういう努力に鑑みて、このぐらいにしましょうと決められてきた経緯があるということだったので、大変おもしろいスキームだなと思って、今回、法案の質疑に際して勉強させていただきました。

 ということは、今後、この三・五%を第二約束期間までカウントしていただくに当たっては、やはり間伐をする、森林整備をするということが当然、大前提の条件だということは理解するんです。

 最後の質問として、そもそも、第二約束期間、次の約束期間までのこの三・五%の目標、あるいはその目標を達成するということについて、これは義務というか、日本はやっていくんだという考えだと思うんですけれども、改めて、やる義務は負っていない期間において、かたくなにこの三・五%をしっかり達成していくということに、日本としてどのような意味や意義があるのかということをお伺いしたいと思います。

林国務大臣 今委員がおっしゃるように、義務は第二約束期間については負っていないということでございますが、しかし、削減の自主目標を立てるということは合意をされておるということでございまして、やはりこの問題は非常に大事なことである。先ほど、雪とかそういう冷害のお話もありましたけれども、気候変動によっていろいろなことが起きている。これを国際社会で全体として取り組んでいくということは非常に意義のあることだ、こういうふうに思っております。

 我が国が、先進国の一人、また七〇年代以来公害等を克服してきた環境先進国として国際枠組みをリードしていくという意識は非常に大事なことだ、こういうふうに思っておりますので、この個々の枠組みの中での議論というのがどういうふうになっていくか。これは、先ほどどなたかの質問にお答えしたように、いろいろな要素はありますけれども、しかし、国際的に合意された算入上限の三・五%は確保できるように、しっかりと先進国としての責任を果たす意味からも取り組んでいく、こういうふうに考えております。

林(宙)委員 今後、もしまた義務というものが発生したときに、日本は義務がなかったのにこれだけやってきたんだという一つの戦略的なカードにもなり得ると思いますので、ぜひ、透明性を保った上で継続していただきたいなというふうに思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

森山委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

森山委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、森林の間伐等の実施の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

森山委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

森山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


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