衆議院

メインへスキップ



第11号 平成25年6月19日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十五年六月十九日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 森山  裕君

   理事 伊藤 忠彦君 理事 小里 泰弘君

   理事 北村 誠吾君 理事 葉梨 康弘君

   理事 宮腰 光寛君 理事 大串 博志君

   理事 村岡 敏英君 理事 石田 祝稔君

      安藤  裕君    井野 俊郎君

      池田 道孝君    加藤 寛治君

      川田  隆君    菅家 一郎君

      古賀  篤君    清水 誠一君

      末吉 光徳君    武井 俊輔君

      武部  新君    津島  淳君

      中川 郁子君    長島 忠美君

      西銘恒三郎君    橋本 英教君

      福山  守君    堀井  学君

      簗  和生君    山本  拓君

      渡辺 孝一君    後藤  斎君

      玉木雄一郎君    寺島 義幸君

      福田 昭夫君    鷲尾英一郎君

      鈴木 義弘君    高橋 みほ君

      百瀬 智之君    稲津  久君

      佐藤 英道君    林  宙紀君

      畑  浩治君

    …………………………………

   農林水産大臣       林  芳正君

   農林水産大臣政務官    稲津  久君

   農林水産大臣政務官    長島 忠美君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  石井喜三郎君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    菅久 修一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 正木  靖君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房統計部長)          坂井 眞樹君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           藤本  潔君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  佐藤 一雄君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  奥原 正明君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            實重 重実君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局長)           小林 裕幸君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  伊藤 哲夫君

   農林水産委員会専門員   栗田 郁美君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十九日

 辞任         補欠選任

  鈴木 憲和君     古賀  篤君

  寺島 義幸君     玉木雄一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  古賀  篤君     安藤  裕君

  玉木雄一郎君     寺島 義幸君

同日

 辞任         補欠選任

  安藤  裕君     鈴木 憲和君

    ―――――――――――――

六月七日

 我が国漁業の存続に関する請願(小林史明君紹介)(第八二八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件

 我が国の農林水産物・食品の輸出拡大に関する件

 派遣委員からの報告聴取


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

森山委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 中山間地域における農業の取組等の実情調査のため、去る十日から十一日までの二日間、佐賀県に委員を派遣いたしましたので、派遣委員を代表して、私から調査の概要について御報告いたします。

 派遣委員は、自由民主党の宮腰光寛君、北村誠吾君、小里泰弘君、伊藤忠彦君、民主党・無所属クラブの大串博志君、日本維新の会の村岡敏英君、公明党の石田祝稔君、みんなの党の林宙紀君、生活の党の畑浩治君、そして私、森山裕の十名であります。

 調査は、まず、佐賀県唐津市に向かう車中において、農林水産省九州農政局より、佐賀県農業の概況及び管内の六次産業化・地産地消法に基づく事業計画の認定状況について、説明を聴取いたしました。

 次いで、直売所、レストラン、交流研修施設等から成る複合拠点施設、ファーマーズマーケット唐津うまかもん市場を視察し、事業実施主体である唐津農業協同組合より事業概要等について説明を聴取するとともに、施設を利用されている生産者、加工業者と意見交換を行いました。

 唐津うまかもん市場では、高齢農家、小規模農家、直売所から遠い出荷者を対象に、毎日訪問集荷をするとともに、販売状況や、欠品、品薄となっている青果物についての情報を出荷者の携帯電話に随時発信する取り組みを実施されているとのことです。このような取り組みは、出荷者の所得増や意欲の増進につながると同時に、出荷者の確保や品ぞろえを課題とする各地の直売所にとっても大いに参考になると感じた次第であります。

 次に、唐津市相知町に向かう車中において、佐賀県及び唐津市より、中山間地域等直接支払い制度の実施状況について説明を聴取いたしました。

 続いて、平成十一年に農林水産省の日本の棚田百選に、平成二十年に文化庁の重要文化的景観に選定をされた蕨野の棚田を視察いたしました。七百枚に及ぶ石積みの棚田のすばらしい景観を眼前にし、日本農業の原点を見たような思いがいたしました。

 その後、蕨野公民館において、中山間地域等直接支払交付金を活用し、棚田の保全活動のほか、都市農村交流活動等に取り組んでおられる蕨野集落協定の概要等の説明を聴取し、関係者と意見交換を行いました。その際、中山間地域等直接支払い制度の継続について要望をいただきました。

 次に、佐賀県多久市に向かう車中において、佐賀県及び社団法人佐賀県畜産公社より、佐賀県食肉センターの概要について説明を聴取いたしました。

 続いて、佐賀県食肉センターにおいて、牛解体室や牛枝肉冷蔵庫等を視察した後、佐賀県の畜産情勢や佐賀牛のブランド化の取り組みについて説明を聴取し、関係者と意見交換を行いました。

 佐賀県食肉センターは、畜産農家と消費者のかけ橋として、高品質で安全、安心な食肉を消費者に提供されているとのことです。

 意見交換会では、世界人口の四分の一弱を占めるイスラム圏向けのハラール屠畜を行う条件を満たした施設の整備について要望をいただきました。

 以上が調査の概要でございます。

 最後に、今回の調査に御協力をいただきました皆様に心から御礼を申し上げ、派遣の報告とさせていただきます。

    ―――――――――――――

森山委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房統計部長坂井眞樹君、消費・安全局長藤本潔君、生産局長佐藤一雄君、経営局長奥原正明君、農村振興局長實重重実君、農林水産技術会議事務局長小林裕幸君、内閣官房内閣審議官石井喜三郎君、消費者庁審議官菅久修一君、外務省大臣官房参事官正木靖君及び環境省自然環境局長伊藤哲夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

森山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。橋本英教君。

橋本(英)委員 自民党の橋本英教です。

 本日は、質問の時間をいただきまして、本当にありがとうございます。

 私は、岩手県の出身、玉沢徳一郎元農林水産大臣のもとで勉強させていただきました。このたびは、農林水産委員会、デビュー戦でございまして、大変緊張しておりますが、御容赦ください。

 さて、私は、新人でございますので、毎週毎週、当然帰ります。新幹線に乗りまして盛岡に向かいまして、右側の席になると、北上山地が見えてまいります。そうしますと、冬の間は気がつかなかったんですが、最近は新緑の季節になっておりまして、枯れている木がすごく目立つのであります。何かなと思っておりまして、地元の方に聞きましたら、松くい虫にやられている松の木だと。それが大変な量、大変なエリアに広がっているということに最近気がつきました。

 先日、遠野市に参りました。遠野の方々が、今は北上、花巻まで松くい虫が来ている、遠野で食いとめなければ、岩手県の木であるナンブアカマツ、これは三陸海岸にずっと広がっているのでありますが、そこまでいってしまって大変なことになるというふうなお話がございました。

 昨日、農水省の方々から、被害の実態とエリアの地図を見せられましたけれども、どうも私、毎週帰っているところを見ますと、もっと広がっている印象が実はございます。予算は十分に確保している、木を切ったり、あるいは薬をかけたり、切った木を別なところで燃やしたり、そういうふうな予算は確保しているというお話でございましたが、現実的には作業が進んでいないという印象がございます。

 きのうの説明によりますと、作業のマンパワーが足りないとか、答えはわかっているようでありましたので、それを実際どのように進めていくか、お伺いしたいと思っております。

長島大臣政務官 私の方からお答えをさせていただきたいと思います。

 私も、復興大臣政務官として実は岩手に出張することが多くなっておりまして、先生御指摘のとおり、緑が濃くなるに従って、立ち枯れの松の木が随分目立つようになったなと。私も、車で高速道路を通ったり、海岸林の道路を通りながら、そんな実感を実は受けているところであります。

 実は、岩手県の松くい虫の被害、四万立米程度で横ばいをしていたところでありますけれども、少し深刻な状況ではないかということで、一昨日、農水省から担当官を派遣いたしまして、平泉、一関、そして紫波町で少し現地調査をさせていただきました。

 そのことを受けまして、今までどおり、やはり県や市町村と連携をしながら、きちんと薬剤散布、伐採あるいは薬剤注入という予防をすることはもちろん、被害の実態調査にも鋭意取り組んでまいりたいと思いますし、特に先端地域においては、実は国の直轄事業として松くい虫防除に取り組んでいるところでございますので、連携をより深めながら、松くい虫がこれ以上広がらないように、おっしゃるとおり、岩手県はアカマツの非常に多い県でございますので、この松林を守るためにも鋭意取り組んでまいりたいと思うところでございますので、どうぞよろしく御理解を賜りたいと思います。

橋本(英)委員 繰り返しになりますが、ナンブアカマツというのは岩手の木であります。被災地も、昔からずっと松の木で防潮林、防砂林をつくってまいりましたので、どうかその取り組みをお願いしたいと思っております。

 次の質問に参ります。

 先日、岩手県の土地改良区の方々が上京してまいりました。その方々といろいろな懇談をしている中で、実は小規模水力発電を結構あちこちで導入しているんだ、しかしながら、水利権の関係で三カ月とか四カ月ぐらいしか水車を回すことができない、そういう問題がある、年じゅう運転できれば大変大きな副収入になるんだ、いろいろなことに使えるというお話がございました。水は最終的には川に戻しますから、何とか年じゅう水を融通してもらえないかという要望がございました。

 これは、農水省と国交省で話をしていただいて、調整をつければうまくいく話じゃないかなと思っておりますが、いかがでしょうか。

實重政府参考人 小水力発電についてお答えをさせていただきます。

 農業水利施設を活用した小水力発電につきましては、水力エネルギーの有効活用ということになりますし、また、土地改良施設の維持管理費を節減いたします。ひいては農村の活性化につながるということで、重要なものと認識しておりまして、積極的に推進しているところでございます。

 この中で、小水力発電のための水利権でございます。

 まず、農業用水としての水利権の範囲で従属的に発電を行うということについてでございますけれども、これは、先般河川法が改正されまして、従来はこのような場合でも河川管理者の許可を要するということになっておったわけでございますけれども、今後は登録でよいということとされました。

 また、委員御指摘のような農業用水としての利用がない期間でございますが、こういう期間に小水力発電のために水利権を取得したいという要請がございます。これにつきましては、水利権の新規の取得ということに該当いたしますので、河川管理者が、一つは、必要な河川の流量があるかどうか、それからもう一つは、他の利水者や河川環境への影響がないかどうかといった観点から、個別に許可を行うということになっているわけでございます。

 国土交通省におきましては、こうした場合の水利権の取得につきましても簡素化を図る方向でございまして、平成二十五年度の早期に検討して結論を得て措置するという方針とされております。農林水産省といたしましても、手続の簡素化と円滑な運用について要請してまいりたいと思います。

 また、農林水産省としては、農業水利施設の管理者等につきましていろいろ支援を行っているところでございますが、導入適地の調査や発電施設の設計に加えまして、今の手続面では河川法などの法令手続に必要となる書類の作成などもございますので、こういうものについて助成、支援を行っているところでございまして、小水力発電の促進が図られるよう努めてまいりたいと思っております。

橋本(英)委員 小規模ではありますけれども、全国でやれば大きな発電量になります。環境にも実によいということでありますので、ぜひ国交省とお話をして進めていただきたいというふうに思っております。

 もう一つ、私の選挙区に遠野市、釜石市というのがございます。釜石は、御存じのとおり、被災地であります。その釜石と遠野の間に和山牧場という牧場がございまして、そこに一基一千キロワットの風力発電機が今四十三基ありまして、そこに追加で二十基つくりたいというお話が実はございました。

 この間、釜石に参りまして、釜石の副市長さん、議長さんとお話をしましたら、ぜひやりたいんだけれども、平成二十一年ですかね、農地転用の手続が厳しくなってなかなかうまくいかないんだ、何とかならないかと。

 実は、釜石は新エネルギーで復興したいという思いがございまして、ぜひ進めたいということであります。被災地でもあるし、新エネルギーで町おこしを目指しておりますので、その農地転用の手続、前の四十三基は許可が出ているわけですから、この後の二十基がなかなか出ないというのはちょっとおかしな話かなと思いまして、この辺についてお伺いしたいと思います。

實重政府参考人 釜石市の案件についてのお尋ねでございますので、釜石市の件についてお答えさせていただきます。

 岩手県釜石市は、平成二十三年の東日本大震災による津波被災市町村でございますので、東日本大震災復興特別区域法の適用がございます。市が復興整備計画を定めまして、その中に発電施設を位置づけました場合には、農地法の特例として、農地転用が認められることになっております。

 釜石市は、復興整備計画の中に風力発電施設を位置づけたいという意向を示していらっしゃるところでございまして、関係機関である釜石市それから県、国で打ち合わせを行いまして、そういった方向で調整を進めていきたいというぐあいに考えております。

橋本(英)委員 ありがとうございます。

 新しい町おこしのために、ぜひ関係機関で協議を進めていただきたいというふうに思っております。

 さて、岩手県は、福島、間に宮城、岩手ですから、ちょっと福島から遠いような気がするんですが、ホットスポットで、実は放射性セシウムが高い地域がございます。それで、今、賠償金の請求などを行っているのでありますが、ここにちょっと一覧表がございまして、例えば、牧草が六三%、稲わらはまだ四三なんですが、子牛は九五、賠償金の支払いは大分進んでおります。

 ただ、賠償金の支払いは大分進んでいるのでありますが、私、田舎に帰るたびに言われることがございまして、牛を飼っている方々に、餌はずっと大丈夫なのか、餌はずっと続くのかと。見ますと、このぐらいの大きさの、厚さがこのぐらいの乾燥した稲わらが農家に配られているのでありますが、それがなくなると、牛が死んじゃうわけであります。

 そして、昨日、農水省の方にお伺いしましたら、この稲わらは、稲わら等緊急供給支援対策事業、農畜産業振興機構が出しているんだと。今回、六月末で本来切れるはずだったのが、農水省と財務省と話をして、一年延長になった。これはこれでいい話なのでありますが、例えば、来年、また六月が近づくと、六月が近づけば近づくほど、農家の方々は騒ぐわけです、また稲わらが切れるんじゃないかと。これを一年ごとに繰り返していいものか。農家の方々に安定的に仕事ができるんだというふうに思っていただくには、やはり、除染が終わるまでは稲わらは大丈夫だというメッセージをぜひ政府が出しておかなきゃならないんじゃないかと私は思っているのでありますが、いかがでしょうか。

長島大臣政務官 御指摘のとおり、放射性物質に汚染された牧草地については、除染が終了するまでの間、代替飼料を確保することは必要であることから、二十三年八月以来、畜産農家に飼料の現物を供給する民間団体に対して、東京電力から賠償が行われるまでの間、農畜産業振興機構から代替飼料の購入に必要な経費を支援してきております。

 この事業が一年ごとに見直すということで御指摘をいただきましたけれども、きのう私も、盛岡の家畜センターで牧草地の除染の状況を見てまいりました。済んだところは、ことし牧草が、新たな種子をまいて、今ちょうど、もう少しで収穫ができるところに来ていますが、まずモニタリングをして、それが実際にきちんと牛に与えることができるのかどうかということもやらなきゃいけません。その上で、一年ごとに除染する面積を拡大しながら、確保をしていくということでございますので、復興庁にとっても、やはり一年ごとに終わらせるという宿命を背負いながら、農家の皆さんには、一年という延長だから、来年になったらやめてしまうということでは決してなくて、一年ごとに我々が再確認をするという意味もあって一年の延長だというふうにぜひ御理解をいただきたいなと思います。

 私も含めて、復興庁、農水省一丸となって、現場に出向きながら、除染の推進状況、あるいは飼料の確保の状況を踏まえつつ、飼料供給が安定的になされるように努力をしてまいりたいと思いますので、ぜひ御支援、御理解を賜りたいと思います。

橋本(英)委員 やはり、政府がずっと支援するんだと、確かに、放射性セシウムが下がったらもとの牧草地に戻すのは、それは当たり前の話でありますが、それまでやるんだということをぜひお話ししていただきたいなというふうに思っております。

 さて、もう一つ、また除染の関係でありますが、地元に帰りますと、土を掘っくり返したり表土を剥いだりとか、いろいろなことをやっております。地元の方々は、一生懸命やっています。役所の方々も、一生懸命考えて、いろいろな方法をやっている。努力はよく理解できます。しかしながら、残念なことに、やはり結果が出ていないところがございます。四十センチ掘ったけれども、まだ放射性セシウムが高いとかですね。

 私は考えるのでありますが、これは農水省だけの問題ではないんですけれども、技術的に新しい方法をどんどんどんどん研究すべきじゃないか。例えば、表土を剥いで、それをどこかに置いておいて、それをずうっと永遠に置くのかという話に当然なってまいります。では、例えばその土を洗うことというのはできないのかとか、そういうような技術的なことを、環境省に任せるんじゃなくて、農水省も環境省もいろいろなところでやるべきじゃないかというふうに思っておりますので、それについての御所見を伺いたいと思っております。

林国務大臣 農林水産省では、なるべく早く営農を再開していただけるように、事故の直後から、今委員がおっしゃったように、表土の削り取りや草地更新、どうやったら効果的に、また効率的に除染ができるのかという技術の開発に取り組んできておりまして、基本的な技術というのはそういう取り組みの中で実証、確立をされてきておる。こういうところでございますが、今まさに橋本先生がおっしゃったように、特に牧草地などについてはまだ効果が不十分でないかという意見が出ております。

 我々もそれを聞いておりますので、どうしてそういうことになるのかという原因の分析、これをきちっとやらなきゃいけないということで、今その原因の分析をしておるところでございまして、来月、七月の上旬にも取りまとめて公表しよう、こういうふうに思っております。本年度、引き続き除染技術の開発、予算もいただいておりますので、取り組んでいかなければならないと思っております。

 今後とも、今のお話のようなきめ細かい現場の声を聞きまして、今先生がおっしゃっていただいたように、複数の技術を組み合わせる、そういうことをやることによって、営農再開に向けて、実態に即した効果的な対策、こういうものを普及していきたいと考えておるところでございます。

橋本(英)委員 やはり、これは環境省に任せるのではなくて、環境省も農水省もあるいは経済産業省も、いろいろなところが、政府一体となっていろいろなことをやって、その中でどういう答えが出てくるかわかりませんけれども、それはやはり試すべきだと私は思っておりますので、ぜひ政府としての取り組みをお願いしたいというふうに思っております。

 これは、御答弁は求めないのでありますが、最後に一言だけ意見を申し上げたいと思っております。

 私の地元、岩手県一関市に旧藤沢町というところがございます。実は、そこに安愚楽牧場がありまして、人間より牛の方が多いというぐらいの町でありまして、私の多くの仲間が住んでいるところでありますけれども、経営破綻した後に牛だけが残されて、そして、新しい経営者の方にかわってその後は運営していたのでありますが、現場は大混乱になりました。今いろいろなことで世間をお騒がせしているようでありますけれども、真相の解明にやはり農水省もぜひ積極的にかかわるべきじゃないかなというふうに思っております。これは、お金を出した人だけの話ではなくて、現場で飼っている人たちも大変な御苦労をなさっておりますので、ぜひそれをお考えいただきたいなと思っております。

 また、最後になりましたので、TPPについても一言意見を申し上げたいのであります。

 いろいろな技術的な話をする方がいます。これが立てばこれが立たないとか、いろいろな話をする方がおりますが、結局のところ、強い交渉能力を持った政権がなければこのTPPは交渉できないんじゃないかと私は思っております。

 実は、ここに、私の恩師の玉沢徳一郎先生が記した「WTOからTPPへの経緯」という冊子がございます。林大臣はもちろんこの経緯については御存じだと思いますが、委員会が終わりましたらぜひ進呈させていただきたいと思っておりますので、我が国が今後発展していくように、ぜひ強い政権でこのTPPを乗り切っていただきたいと思っております。

 私の意見を勝手に申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

森山委員長 次に、清水誠一君。

清水委員 今TPPの話がありましたが、私は北海道という立場でありますけれども、北海道の開拓をひもときましたら、明治の時代から、それぞれ民間開拓あるいは屯田兵開拓、それは全ては、やはりあの広大な北海道の土地に息吹を与えるための開拓をして、そして農業を中心として今まで開けてきたというのが北海道の歴史であります。

 また、その歴史の中から、日本では有数の食料供給基地、そういう自負を持ちながら、地域それぞれが努力をしながら、いろいろな産業と連携しながら、今日の北海道をつくり出してきているわけです。

 その中から、中心的存在であります農業がもしも今後不安な形に陥られるということになりましたら、地域そのものも、産業が崩壊するというようなことで、本TPPの交渉入り、あるいは交渉したとしても、重要品目については守っていかなければ、地域、北海道そのものがなくなるということをぜひこの場で発言させていただきたい、そういうふうに思います。

 それで、ただいまお話がありました安愚楽牧場の件、先に話をさせていただきたいと思います。

 これは二年前に破綻したわけでありますけれども、この安愚楽牧場、私どもの北海道十勝管内も安愚楽牧場という看板がすごいんですね。その安愚楽牧場の看板につられて預託を受けた牧場もありますし、また、安愚楽牧場さんに投資をしよう、そういうようなことで、今、特定商品預託法、その中での預託をした人が七万人もいる、こういうような話です。

 かつて豊田商事事件というのがありましたけれども、豊田商事事件は二千億ですね。あの豊田商事事件の二千億でも、日本国内が相当な不信と、それから預託商法という商法に対してのやはり不信感、そして最後には殺人事件、そういうような、事件化した問題なんですね。

 そういうことがあるにもかかわらず、安愚楽牧場は子牛を育成、肥育して、そして会員となった人たちに数%、最終的には八%、こういう聞こえのいいような形での、まさに豊田商事を大きく上回る預託商法であったということです。

 二年前にこれが破綻をしたときに四千二百億、昨日ようやく経営者がこの事件で逮捕された、こういうことでありますが、四年前から、この預託法については消費者庁が監督をするというようなことで、消費者庁が設立をした平成二十一年、この後、預託に関しては消費者庁ということであります。

 しかし、消費者庁に移る前は農水省も管轄をしていたというようなことでありますので、きょう、消費者庁ということにはなりませんけれども、この安愚楽牧場の問題について、農水省として、どういうように当時取り組み、そして今現在は、どのように対応してきたのかということを最初にお聞きしたいというように思います。

林国務大臣 いわゆる和牛商法、これを行う安愚楽牧場を規制、監督する特定商品預託法、今委員からお話がありましたように、この所管が、四年前に消費者庁ができましたので、経産省、農水省等から消費者庁に完全に移管をされております。平成二十一年九月でございます。

 移管前の対応ということですが、平成二十一年の一月に立入検査を実施しておりまして、三月に、検査結果をもとに財務諸表等を適正に作成し、かつ、その結果を定期的に報告するようにと指示をしておりまして、同年の七月に第一回目の現状報告を受けたというところまでやっております。

 その後、その九月に消費者庁が発足をしたということでありまして、その際には、農林水産省から消費者庁に、立入検査の状況は当然でございますが、フォローアップの必要性など、関係資料も含めて一切を引き継いで、念のため、安愚楽牧場に対しても、所管が消費者庁に移って、今後の定期報告は消費者庁に行ってほしいという旨を連絡したということでございます。

 今、そのほか詳しいことは、特定商品預託法を所管している消費者庁において対応していただくということが基本でございまして、農林水産省から消費者庁に資料を一切移管しておりますので、詳細を正確にお答えするというのは難しいところもあるかもしれませんが、今後とも、消費者庁の対応に協力してまいりたい、これが農水省の立場でございます。

清水委員 全ての書類ともどもに消費者庁に移管したということです。

 聞くところによりますと、消費者庁に移管する時点で、安愚楽牧場の方からも、内容の説明をしたい、そういうような話があったというふうに聞いておりますけれども、そのときには、消費者庁では、その説明を聞く気がなかったのか、機会がなかったのか、残念ながら、そういうようなやりとりはなかったというような話を聞いております。

 この破綻は二年前でありますけれども、預託牧場は三百四十六牧場、先ほど、岩手の話もあります。

 ですから、預託されて、では、預託された牛を全部返して済むんじゃなくて、牧場自体が本当に経営が不安定な中、そしてまた、その負債を抱えることでやむなく牧場もやめざるを得なかった、そういう事例もかなりある、そのように聞いておりますので、今、こういうような逮捕されるという、本当に事件化したわけでありますけれども、やはり、努力をされてこられた牧場が、このまま、この事件で、二年たったとはいえ、本当にやめざるを得ない、あるいは経営不振、そういうような状況になれば、何らかの形で、地域ぐるみででも助けるような、何かそんなようなことも考えていただきたいなということだけ申し上げさせていただきたいと思います。

 それでは次に、酪農、畜産家の自給飼料作物ということで質問をさせていただきたいと思います。

 配合飼料が高騰しているということで、今、このままでいけば基金残額が不足して新たな方策を考えなければいけない、こう言われているぐらい、配合飼料の高どまりというのは日本全国の畜産、酪農農家にとっては大変な状況である、そのように思います。

 その中で、国内での自給飼料対策というようなことで、草地生産性向上対策事業というのがあります。しかし、これは北海道でありますけれども、北海道の牧草の更新率というのは三%しかない。大体、七、八年に一回ぐらい草地を全部変えていかなければ、雑草が生えるとか、あるいは栄養価が失われてくるというようなことで、草地生産性向上対策事業という事業がありますけれども、今三%にしかならないという状況の中で、この今の事業を活用しやすいような事業にならないのかというようなことです。

 このことについては、昨日、ちょっとヒアリングをしましたけれども、今の制度を脱却するということになると非常に厳しい状況であるというように言われております。

 その内容は、草地から草地に更新する場合、これは補助事業としては認められます。それから、草地からデントコーン、飼料用のトウモロコシにする場合、これも認められています。しかし、飼料用の例えば小麦ですとか、あるいは小麦から牧草の草地にする、あるいは、てん菜から、要するに、畑の作物から牧草、草地にする場合にはこの事業が認められていない。今、北海道の場合、やはり輪作体系という中に、酪農の持っている農地も、畑作で持っている農地も、それが効率よく小麦あるいはてん菜から牧草にする、ちょうど収穫が終わった後に種をまく、そういうようなケースが現実的にあるわけです。しかし、この事業が認められていない。

 飼料の自給率のアップをするという政策はこれから一番必要なことでありますから、今の既存の政策ではなくて、もう少し幅広く考えられないのかというような質問ですけれども、いかがでしょうか。

佐藤政府参考人 清水先生の御質問にお答えします。

 今先生御指摘いただきましたように、昨今の配合飼料価格の高騰の中で、自給飼料の基盤を強化していくといったことは非常に大事な喫緊の課題というふうに私ども認識しておるところでございます。

 それで、今先生の方からお話がございましたように、飼料作物作付面積の八割という大宗を占める牧草地の更新の問題でございますが、先生御案内のように、牧草地というのは、とにかく時間が経過しますと雑草が入ってきまして次第に生産性が低下する、こういうようなことになっておりますので、やはり何とか定期的に更新が必要というふうな状態になっております。

 そうした趣旨から、先生から御指摘ございました草地生産性向上対策事業といったものにおきまして、まずは牧草地を必ず更新する、そういったことを支援するということで、生産性の低い牧草地を対象としてこの更新のための支援をしてきているところでございます。

 そういう中で、先生おっしゃっていただいたような、ほかの、例えば小麦畑あるいは違うものからの転換というのができないかということなんですが、やはり我々としては、草地生産性向上対策事業というのは、これはこれで一つのメニューで必要かと思っておりますが、先生の御指摘いただいたようなことも踏まえまして、二十四年度の補正予算におきましては、自給飼料の生産を緊急に拡大しようということで、飼料自給力強化支援事業ということで、百三十一億円の事業でございますが、これを措置しまして、コントラクターあるいは農協さんなどが牧草やトウモロコシの生産を拡大するといったような場合には、前作といいますか、前の作が草地以外であっても助成対象としたところでございまして、本事業が現場で活用されるよう関係者に積極的に働きかけていきたい、このように考えているところでございます。

清水委員 高生産のトウモロコシから低カロリーの牧草にする場合には、この事業に当てはまらないからだめだという今お答えだったんですね。

 そこで、事例として、北海道の道東地方の場合でしたら、小麦が大体お盆ごろまで、ちょうど刈り取りが全部終わる、その後に今の牧草の種をまいている、そして草地にしていこう、牧草畑にしていこう、こういうようにしている事例があるんですね。

 それはやはり、畑作をやっている人たちに、牧草であろうとデントコーンであろうと、それの専門家に任すということは非常に効率がいいということなんですね。それと、これは輪作体系の一環として、牧草ですとかデントコーンというのも組み入れていこうという思想があるんです。

 それから、道北、天北、寒い地域です。ここはやはり小麦とかということにならない。ですから、そういう場合にはビートですね、寒冷地作物のビート。ビートを植えて、ビートを刈り取った後に牧草の種をまいて、そして来年にする。それが今の草地生産性向上対策事業の、炭カルを入れるなり、そして最後は、成長して、その種をまく播種まで、そういうことを一環としてやっていこうというように、耕畜連携で今やろうとしているんです。

 ですから、そういうことで、今、生産性があるかないかという議論ではなくて、そういうような酪農、畜産の飼料の自給力あるいは自給率のアップにつながる、これはこれから新しい政策だというような考え方の中で、ぜひ来年度に向けて考えていただきたい、そのように思います。

 そこで、牧草とデントコーン、これは今の畑作経営安定対策には該当しません。あくまでもジャガイモですとか、ビートですとか、小麦、豆とか、こういうものについては今の畑作経営安定対策というようなことで生産面積に応じて交付金があります。

 ですから、これと同じように、これは今後我が党の方で部会でも議論しなければいけないとは思いますけれども、こういうような畑作専業農家も、牧草ですとかデントコーン、輪作体系の一環としてこれを効率的にやっていこう、そういうような観点からいった場合に、畑作とは違う飼料作物ではありますけれども、経営安定対策、いわゆる所得政策の中にこれもぜひ組み込んでいただきたい。そして、飼料の自給率が上がるように、さらに、やはり道内の農家同士の連携の中でこれをふやしていくというようなことを考えていただきたいと思いますけれども、いかがお考えでしょうか。

林国務大臣 今委員からお話のあった飼料作物、これは、畜産の経営の中で自給的に生産をして、餌として家畜に摂取され、最終的には畜産物の形で国民に供給されるという意味で、中間生産物ということでございますので、販売価格が生産費を下回っている作物を対象とする、いわゆる今やっている経営所得安定対策、これにはなかなかなじみにくいかなというふうに考えております。

 他方で、今少し御議論もいただきましたが、国産飼料の増産をするということによって、きちっとした飼料の基盤に立脚した足腰の強い畜産経営、これが大変大事なことであるということは今御指摘のあったとおりでありますので、草地の基盤整備の推進や、それから飼料作物の優良品種の導入、こういうものをやって草地を改良する、それからコントラクターの育成をやる、こういうことを推進しておるところでございます。

 また、飼料の生産の基盤の強化とあわせて、やはり最終製品である畜産物についての支援策を講じることが重要であるということで、加工原料乳とかチーズ向け生乳に対する補給金、それから生乳の取引価格が低落した場合の補填、こういう支援策を講じておるところでございまして、こういう総合的な取り組みによって、飼料基盤にきちっと立脚した足腰の強い酪農経営の実現、これをやっていかなければならないと思っておるところでございます。

清水委員 いい答えにはならないと思いますけれども、総合的な形で、畜産全体、酪農全体、そしてまたその基盤となる今の飼料作物の更新などについては、来年度に向けまして、また地域の実態を踏まえて、我々自身も研究しながら、新しいその取り組みとしてまた提言できるようにさせていただきたいと思います。

 ただ、実態は、そういうように現実的に今はもう輪作体系の中に組み入れられている。そういうようなことで、畑作でいくのか、飼料の安定対策でいくのか、それはどちらの政策ということではなくて、そのことについては留意をしていただきたいと思います。私ども、努力をさせていただきます。

 ありがとうございました。

森山委員長 次に、後藤斎君。

後藤(斎)委員 民主党の後藤でございます。

 大臣、もしかしたら最後の一般質疑になるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします。

 まず冒頭、大臣、今、六次産業化とかTPPの問題、そして農産物の輸出の問題、いろいろな行政課題が、この十年間、それまで以上に、対応が、課題がたくさん大臣の周りにあると思います。

 そういう中で、実は、平成十九年の通常国会の際に、総務委員会が中心になって議論をしましたが、統計法という法律を議論いたしました。当時、それが、戦後ほとんど修正されず、六十年ぶりの大改正ということで、いわゆる片仮名法律から普通の今の漢字、平仮名の法律に変えたということで、それをちょっと思い出しながら、今の官房長官の菅さんが総務大臣をやられていろいろな議論をしましたけれども、やはり数字というものをきちっと冷静に見て、その数字の信頼性をベースに、多分、経済政策や農業政策もしていかなければいけないということを、実は五年前に強く思っていました。

 それから、統計法が改正されて五年たっているわけですけれども、お話をお聞きしましたら、この五年間、農林省も、統計情報部門、当時四千人を超す人数から半減をして二千三百人くらいに、地方の職員の方も含めて人数が減少した中で、これからの行政ニーズに応えるためにも、きちっとした統計という、ある意味では、分析をする、収集をするということよりも、情報という部分もきちっと強化をしながら、やはりこれから海外へということも当然大きな行政ウエートになってくるはずなので、そういうことも含めて考える時期だというふうに私は今考えています。

 特に、六次産業化ということでいえば、六次産業化は、農家の方が直接御自身で加工をしたり農産物直販所でお売りになったりということで、これもいわゆる市場統計と、これは山梨の方で単独でやったかどうかは知りませんけれども、行政統計の部分で、直販所を経由する販売額がどうなったかというのを過去十年くらいを見ると、例えば、甲府の地方卸売市場で、十年ちょっとで三十億から四十億、流通量が減少しています。一方で、農産物直販所を経由する部分が、たしか二十億から五十億、二・五倍になっているというふうなことで、例えば、このクロスをするだけでも、六次産業化というものはどういう意味を持つのか、そして、農林行政の一つの役割でもある市場というものをこれからどう取り扱うのかという数字が、大臣、多分見えてくると思うんです。

 今、農産物の所得の倍増とか輸出を一兆円にするとかいうこともあるんですけれども、やはり、数字は曲げてはいけませんし、中立公平であるべきというものをベースにしながら、それを基本的な指標として行政をきちっと推進するという姿勢が今まで以上に重要だと私は思います。

 海外の情報の収集のあり方も含めて、統計情報部門を半減をしたといっても効率性は上がっているわけでしょうから、少なくともこれ以上、人数はともかく、もっといい意味で、行政担当部署の局とももっと連携をさせながら対応させるべきだというふうに私は考えますけれども、大臣、御見解をお願いいたします。

林国務大臣 これは農林水産の統計だけではないかもしれませんが、特に農林水産統計は、経営所得安定対策を初めとするいろいろな施策の適切な実施のために必要不可欠なデータでありまして、農政を支える、ある意味で情報インフラである、こういうふうに考えております。

 今お話がありましたように、統計職員、これはかなり減ってきておりまして、この減少に応じて調査の効率化、これをやってきたところでございます。今まさに後藤先生がおっしゃったように、統計部局と行政の担当部局、これを連携することによって、信頼性、正確性のある統計データを引き続き整備してきたところでございます。

 また、今お話のありました六次産業化についても、平成二十三年度から農業、農村の六次産業化、それから、二十四年度からは漁業、漁村の六次産業化に関する統計調査を開始したところでございます。

 さっきお話しいただいたように、平成十七年度末に比べますと、この統計自体を担う職員が半減をしているということで、大変厳しい状況ではありますけれども、まずは、統計職員が持っている専門知識を活用する。先ほどちょっと申し上げましたように、そこと行政担当部局が連携することによって、やはりきちっとした、政策ニーズに応じた統計、こういうものはしっかりととっていけるように、必要な整備をしてまいりたいと思っておるところでございます。

後藤(斎)委員 大臣、ある御専門家の本によると、今まで政治の中で、特に総理大臣経験者の中では、統計に非常に関心があって、それをベースにどういうふうな国づくりをしようかというふうにお考えになったのは、大隈重信公と吉田茂さんだというふうに言われています。吉田茂さんは、当時はGHQの部分で、ちょうど統計法ができた六十五年前のたしか総理だというふうに承知しています。

 やはり、数字という厳然たるものをベースに考えていかないと、一時期、我が国ではありませんけれども、幾つかの国で、数字をある意味では違った形で恣意的に公表して、当時の政権の部分をプラスに評価をしたというふうなことも、これは実は、もちろんあってはいけないことなので、ぜひ、そういうふうなことで、大臣にも、統計そして情報という部分に御理解を今まで以上にいただきたいというふうに思っています。

 質問を次に移らせてもらいますけれども、農産物の輸出という点についても、私もそうだと実は思っています。せんだっての委員会でも、ちょっと尻切れトンボになっちゃったんですが、例えば、今、輸出解禁要請を行っている主な果物等、野菜の品目が、中国では平成十六年に十品目、輸出解禁要請をし、柿は、昭和六十一年からアメリカに対する検疫の解禁の要請をして、これは三十年以上たって全然進まないじゃないかという話も指摘をさせてもらいました。

 やはりこれも、大臣、三十年間協議が進まなかったら違ったものを考えるとか、そういうことをしなければおかしいですし、当然、植防担当部局は都道府県や担当の地域の自治体の方々ともきちっと情報共有はしているから、余り腹も立たないのかもしれませんけれども、三十年とか十年とか放置をされれば、普通、何をやっているんだろうなというふうに思うはずなんですね。

 これは、大臣、輸出ということについても、きょう決議も委員会でなされるということをお聞きしていますけれども、これからの日本という国は、少なくとも、急に人口がふえたり、少子化がとまって、若い人たちがおなかがはち切れんばかりに食べる層がふえるということはやはり近未来では考えにくく、これも粘り強い時間軸がかかると思うんです。

 そういう中で、輸出、植防上の検疫がどうなるかというのは、私の地元の山梨でもそうですけれども、やはり果樹地帯にとってみたら、今の果樹の生産では、これも価格の部分で繰り返し大臣とも御議論をさせてもらいましたけれども、二十年、三十年前、大臣や私たちが子供のころ、おなかいっぱいおいしい果物を食べたいなという時代から、輸入品も含めてたくさんのものがスーパーへ行けば三百六十五日あるわけですから、やはり需要が減少し、供給はそれほど変わりませんから、少なくとも単価が減るということで、果物農家の方もある意味では将来不安を抱えて、農家経営の部分でいえば、今の平均の経営者は、山梨なんかはもう七十を超すような勢いで、後継者も全く育たないというふうな負の循環に入っている、これは大臣御案内のとおりです。

 ですから、大臣、この輸出解禁を要請しているものもいいんですけれども、それ以上に、やはり、どんなものを相手の国が、相手の国のもう少し限定をした、ある意味では富裕層が多いと言われている地域で、日本の果物や野菜やお米も含めて、農産物を欲しているか、そういう需要に基づいたマーケティングというか調査をしないとこれは進まないと思うんですよ。

 輸出解禁要請というのは、リストを拝見させてもらっていると、ある意味では、日本で生産余力もあるし、何となく、これが海外に、市場で出たら、国内の需給がタイトになって、価格も上がっていくだろうというような感じのものもあると思うんです。

 ですから、やはり、需要をどう捉まえるかというのは、さっきの統計情報じゃありませんけれども、そこをまずベースにして、この解禁の部分も、どうしても、もうにっちもさっちもいかないものは次の品目に行くみたいなことを考えていかなきゃいけないと思うんですけれども、大臣、その辺の植防や輸出解禁要請をしている品目の実態も含めて、どのようにこれからの輸出戦略というのをお考えなんでしょうか。

林国務大臣 やはり、輸出拡大ということをやるに当たって、ビジネスを拡大させる、要するに、今委員がおっしゃっていただいたように、向こうが欲しい、もしくは需要が今からふえていく、こういうものの見通しを持って、そこに重点的に、限られた資源、検疫の交渉の人材もそうですが、そういうことをやっていく必要がある、こういうふうに思っております。

 二十五年度予算では、ジェトロとの連携強化を通じて、海外コーディネーター、中小企業の相談、それから商社OB等の輸出プロモーター、いろいろなことをやって、まさに今委員がおっしゃったように、どういうものがニーズがあるのか、やはりこれをやる。普通の商売では当たり前なんですけれども、マーケティングの調査、これをやろうということでございます。

 それと組み合わせて、オール・ジャパンで水産物の輸出拡大、こういうことをやっていこうということで、国別、品目別に輸出戦略を定めて、全部、押しなべてやるということではなくて、やはりニーズの強い国からやっていく必要があるということで、さらに、五月の末からブロック別に会合を開きまして、実際の現場の声を聞いて、この輸出戦略の計画、戦略をさらに詰めていこう、こういうふうに思っておるところでございますので、そういう戦略に従ってやはり検疫というものもやっていかなければならないと考えておるところでございます。

後藤(斎)委員 ちょっと個別で、一点聞いてよろしいでしょうか。

 藤本局長がおいでになっているので、平成十六年に、中国に十品目、輸出解禁要請をしていますけれども、そのうち、例えば桃、ブドウで結構ですから、今どんな協議状況になっているのか、そして、見通しが、いつまでに解禁が、何とかなるということがわかれば、短くで結構ですから教えてください。

藤本政府参考人 お答えを申し上げます。

 今御指摘のとおり、中国に対しては、イチゴ、柿、ブドウほか全部で十品目の輸出解禁要請をしているわけでございまして、我が国におけます各品目の病害虫の発生状況でございますとか病害対策のデータの提出を行って、現在、中国側による病害虫のリスクアナリシスが行われている段階というふうに承知をしているところでございます。

後藤(斎)委員 大臣、局長たちの御努力もよくわかるんです。

 ただ、もう十年近くたって、どこにそのおくれている原因があるのか、そういうものを、やはり、見通しを持ってやっていかないと、果樹生産地域ではそれを期待しますし、本当にできないのであれば、違ったものだったらいいよという代替案を示す。これは、大臣、先ほどお話をされたように、普通の民民ベースだと当たり前のことなんですが、植物防疫の検疫というのは当然民民では解決できないので、そういうところに注力していただきたいというふうに前回もお願いしましたけれども、ぜひ、きちっとフォローしていただいて、やはり、めどというのを立てながらやっていただきたいというふうに思いますので、これは要請にしておきたいと思います。

 あと五分しかないので。たくさん済みません。

 私たちの政権の当時でも、戸別所得補償という方式を導入して、農家の方々の経営安定をさせるということで、大臣たちも、いろいろな違った仕組みも考えているようでありますけれども、一番大切なことは、これだけ限られた財政状況と、そしてたくさんの品目が当然あって、土地利用型の作物だけそういう対象にしても、私の地元は、ほとんど果物と野菜だけで農家の方が生計を立てている、米はほとんどつくれない地域なので。

 そういうことから考えれば、私は、収入保険という方式が、日本の農家の方々の、それも、たくさんの品目を対象にしたものに一番当たっていると実は十年以上前から思っていて、党内でも議論をさせてもらいましたし、いろいろな委員会でもさせてもらっていますが、なかなか進まないんです。

 確かに、複雑でありますし、価格が下落をしたときにそれをどう発動するのか、そして基準額は幾らにするのかというふうなこと、いろいろあるんですが、今の農業共済の仕組みというのも、大臣、ほとんどは、基本的には、収量が災害等で減ったときにそれを補填するというふうな共済の仕組みに、税も含めて投入をしながら、上手に回している。それは、単価も含めて対応すると、基本的には、収入というのはPとQの掛け算ですから、経営体それぞれを考えれば、品目横断になっていくはずなんです。これはカナダでも一部導入をしていますし、アメリカでも、二〇〇二年以降の新農業法の部分で、いろいろな議論は今あるようですけれども。

 そういう形で、やはり経営安定というのは、大臣、繰り返しなんですが、農家の方から見れば、自分が夫婦で、二人で所得で一千万取りたいわけですよ。二人で一千万取れれば、そのお子さんや、新しい方も含めてかもしれませんけれども、その経営体は持続可能になります。そして、収入保険方式にすると、規模の大小ということではなくなるわけです。当然、生産性をもっと高めようというところは大規模化をすればいいわけですし、そして、小さく、食いぶちプラス農産物直販所プラス市場に出すということであっても、規模の大小、例えば、十ヘクタールで切るのか、二ヘクタールで切るかという議論がなくなるはずなんです。

 ですから、二〇〇二年当時、ちょうどアメリカの新農業法の議論が進んだときには、農水省もかなり議論をしてくれましたけれども、この十年間くらいは、私たちの政権のときにもお願いをしたんですが、やはりなかなか議論が進まないんです。

 収入保険という方式は、私は、類いまれな、日本のように、お米から畜産から果物から野菜から、いろいろなものを多品種でつくっている、そういう経営体も規模もばらばらだというところに対しては、やはり一番いい方式だと思うんです。ぜひ、私は、これから大臣が明確に指示を出していただいて、早くその検討の結果をお示しいただけるようにお願いをしたいんですが、いかがでしょうか。

林国務大臣 今お話をいただいたように、経営の安定を図るためのセーフティーネット、これは保険の仕組みが一つ大変有力であるというふうに考えております。

 共済は昭和二十二年から実施しておりますし、それから、担い手経営安定法は平成十九年からということで、加入者の拠出を伴う保険的な仕組みということでやってきたわけでございますが、今まさに委員がおっしゃったように、自然災害による収穫量の減少が対象になっておりまして、価格下落の分が対象となっていないということと、それから、品目が限定されて、品目ごとの加入単位になっているということで、経営全体になっていない。こういう問題があるわけでございまして、まさに今委員がおっしゃったように、農業経営全体の収入に着目して収入保険というものを導入する、これは大変必要なことだと思っておりまして、調査検討を進めていきたい、こういうふうに思っております。

 この設計をするに当たっては、やはり、収入の捕捉、それから、過去のデータからどうやって保険料それから保険金を水準設定していくか、こういうものに十分な検討が必要になってくると思いますので、実は、今度認めていただいた十六億の調査費で調査をするわけですが、そういう調査を通じてこういうデータを蓄積した上で、一定の期間をかけてしっかりとしたものを検討していきたいと考えておるところでございます。

後藤(斎)委員 大臣、これから輸出をもっと積極的にやろうであるとか、六次産業化をしようであるとか、例えば太陽光を耕作放棄地に敷いて副収入を得るであるとか、いろいろなことは、全てその経営体全体の所得がどういうふうに確保できるかということが前提になければ当然長続きはしませんし、輸出も、今までは、やはり余ったものとかそういうものを輸出しようという気持ちも、多分あながちなかったわけではないと思うんです。

 そうでなくて、輸出するというのは、圃場の管理も含めて、農産物の集荷も、まとめて持っていくということも含めて、やはり経営体同士の、これはJAさんがまとめるかどうかは別としても、そういう連携がなければ、幾ら輸出、輸出といっても、結局は、自分のところから隔離をすれば市場で価格が上がるみたいなことでは、それは絶対長続きしないはずなんです。

 そういう意味では、冒頭もちょっとお願いをしたように、統計情報という一つのベースというものをもう少し信頼してあげて、ひとつ、そういう情報に基づいてこれからの行政課題にぜひ応えていただくその一環として、解禁の問題もそうですけれども、スピードアップというよりも精査をして、本当にだめだったら代替の案を示してあげないとその地域はやはり納得しませんから、ぜひそういうふうなリーダーシップもあわせてお願いして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

森山委員長 次に、大串博志君。

大串(博)委員 民主党の大串博志でございます。

 先ほど後藤委員からもありましたけれども、本国会、恐らく最後の一般質疑という形になろうかと思います。林大臣とも議論をさせていただきましたけれども、次につながるような議論をきょうもして、夏、秋というふうにつなげていきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 早速質問に入らせていただきます。

 まず、諫早湾干拓の問題に関して、二年半前の福岡高裁の判決確定を受けて、十二月という期限が近づきつつあります。私は、現状を見ていて、本当に物事が進んでいるのか、長崎の皆様のしっかりした御理解を得ないとこの問題は進まないというのが現実でございます。そういった中で、農水省として、政府として、本当に全力を尽くした作業がなされているのかと非常に疑問に思っています。

 十二月というと、先般、この委員会でも申し上げました、ノリの漁期の秋芽から冷凍ノリに変わる非常に重要な時期。ノリの漁期に影響しない開門方法をということを私たちはずっと申し上げておりますし、このスタンスは変わりません。ですから、前倒しをぜひお願いしたいというスタンスは全く変わらないのですけれども、その私たちの目から見ても、十二月の開門でさえ、今のような政府の取り組み方では危ないのではないか、大丈夫なのかという危惧を持つ人もおられますので、大臣に、開門に向けた道筋をどう構想されているのか、お聞きをさせていただきたいと思います。

林国務大臣 諫早湾干拓の排水門につきましては、今委員からもお話がありましたように、二十二年の十二月の福岡高裁判決、これが確定をしておりますので、国が本年十二月までに開門すべき義務を負っておるということでございまして、そのために、地元の防災上、農業上、漁業上の懸念に対応するため、万全の対策工事を行う必要があると考えております。

 長崎県の関係者の皆様は開門に反対するという姿勢で、今委員からお話がありましたように、まだ理解をいただくということに至っていないわけでございますが、一方で、国は、強制的に工事を行う権限を有しておるわけではないわけでございますので、粘り強く説得を行って理解を得るということが必要である、こういうふうに考えております。

 対策工事の実施については、三月に入札のための業者募集を行って、五月に所定の手続を経ておおむね業者は決定させていただいたところでございます。五月に平成二十五年度予算が成立をいたしましたので、工事に入るための準備を行っているというのが現在のところでございます。

 現在、地元関係者に対して説明を行っているところでありまして、今後とも、対策工事について地元の皆様の御理解を得られるような努力を行ってまいるというふうに考えております。

大串(博)委員 今説明を聞きましたが、確かに、しっかりとした対策をとるためにも、対策工事は、入札も終わり準備が整っているということでありますけれども、それを行わせていただくために長崎の皆さんに理解をいただく、その努力が足りないのではないかというふうにみんな心配しているわけであります。

 十二月というのが法律上の期限ですね。これを、一体いつごろまでに本当に工事に取りかかれればぎりぎり間に合うのか、それをみんな気にしているわけなんです。一体いつごろまでに本当に工事に取りかかれれば、大臣、十二月の開門、繰り返しになりますけれども、前倒し開門、これが私たちの旗印なんです。けれども、その中でも、十二月でさえ危ないのではないかという声のある中で、本当にぎりぎり、いつ工事を始められれば十二月の開門は大丈夫なのか。これは大臣、もし技術的にお答えにくかったらば局長からでも結構ですけれども、御答弁をお願いしたいと思います。

林国務大臣 対策工事のスケジュールは、十二月までの開門に間に合うように、まず淡水化施設ですが、十二月の段階で必要となる畑作用の営農用水を確保する、それから来年の稲の作付時期までに水田用の営農用水を確保する、その他の工事は並行して進める、こういうことで地元への説明を行っておるところでございます。

 工事に要する期間ですが、これは、工事の方法、それから地元の皆さんの御理解と協力、これによって伸縮をする、こういうことでございますので、今の段階で確たることが申し上げにくい状況であるということでございます。

 本省、それから特に九州農政局の事務方が、地元関係者を個別にお訪ねしまして、資料を持っていきまして、説明する努力を行っております。

 また、先日、六月十二日でございますが、長崎県の知事が大臣室にもお見えになりまして、約百項目の意見書というのをいただきました。これに対して、その場で事務方にも御説明をいただいて、お会いしていただいておりますが、この百項目の意見書に対する回答を今作成しているところでございまして、今度はその回答を地元に御説明するということを通じて、やはりこれは粘り強く説得に当たっていきたい、こういうふうに考えております。

大串(博)委員 今説得に向けて活動を行っているという話がありましたけれども、大臣は二月の初めに現地に行かれましたね。お話をされました。その後、どういうふうな取り組みをされているのかというのを私も調べてみました。見てみるところ、農政局の事務所長さんが行かれているケース、これは大多数あります。それは当然でしょう、農政局の事務所長さんですから、現地ですから。あとは、九州農政局の方々がちらちらと行かれている。本省の局幹部の方で行かれているのは一回、課長クラスでもたった四回しかない。政務の方のプレゼンスはここにはない。

 この問題は、これだけの多くの方々の利害関係が絡む問題ですから、やはり政務の方々も含めて、高いレベルの方々も含めて、現地に小まめに入っていただいて、意見を聞いていただき説得していただく、それがないと私は進まないと思うんです。ですから、十二月に向けても非常に心配だというのはまさにそこにあって、現地の方だけがマンデートを持たない中で行かれているだけでは、私は進まないと思うんです。

 大臣あるいは政務の方々の力強い関与が私は必要だと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

林国務大臣 実は、二月にお邪魔したときに、大串先生にも立ち会っていただきましたが、本件は江藤副大臣に担当していただくということで、一緒に行っていただきました。その後も、実は事務方も通じて、江藤副大臣にまず行っていただいてというお願いもしておるところでございますが、では、お話を聞きましょうという段階にまだ至っていないというふうに聞いておりまして、そういう努力もあわせて行いながら、事務方にお任せということではなくて、我々もできる限りの努力をしたいと思っておるところでございます。

大串(博)委員 今申し上げたように、前倒しの開門でなければだめだと思っている私たちの目にも、十二月でさえ非常に心配だという声が出てきているような状況であります。ぜひ政治として責任を果たすような取り組みをしていただきたい、これは、今国会、繰り返しになりますけれども、あえてこの場でもう一回繰り返させていただきたいと思います。

 次に移らせていただきます。

 農業・農村所得倍増、十年間、この目標です。これは、具体的な内容を聞かせていただいて、非常に具体性のない目標だというふうに私たちは遺憾に思っています。

 前にこのことも問題になりましたけれども、今進めようとされているTPPに関して影響を勘案してない中での倍増目標というふうになっています。今、農家の方々は、全国どこに行っても、TPPによってこれからどうなるんだろうということを非常に心配されている中で、TPPの問題を全く勘案しないで、十年後には農業、農村所得は倍増する、この具体的な問題点は後ほど玉木委員にも指摘してもらいますけれども。

 TPPをこれだけ全国の皆さんが心配されている中で、全くそれを勘案しないで、十年後には倍増だという極めて、ある意味数字も含んだ具体的ともとれてしまう目標をつくっていること、これはいかがかと思うんですけれども、大臣、その辺に関して、どうですか。

林国務大臣 所得の増大を含めた農業、農村の活性化、これはTPP交渉いかんにかかわらず待ったなしに進めるべき課題だ、こういうふうに考えておりまして、したがって、この目標にはTPPの影響は織り込んでおりません。

 TPPの交渉は、まだ、七月二十三日に正式加盟の予定だということでありますが、それからということでございますので、しっかりと聖域の確保に向けて交渉に全力を挙げるということでございまして、逆に、今の段階で、活性化、所得の増大の方にこうこうこういう影響があるのでという数字を例えば掲げたとしますと、交渉に予断を与える、もしくは、交渉でここを譲るのではないかという懸念を逆に招きかねない、こういうこともございますので、したがって、この倍増目標にはTPPの影響を織り込んでいないというところでございます。

大串(博)委員 TPPの影響には政府も試算を出されました。ラフな計算とここでおっしゃいましたけれども、農業生産に与える影響は三兆円マイナスと政府は認めていらっしゃる。学者の先生方が、農業生産三・数兆円、全体で十・五兆減というようなことも計算されている方もいらっしゃいます。それぐらい影響の大きいものを全く勘案しない中で、それが、先ほどおっしゃったように、交渉に予断を与えるというのが仮に百歩譲って理解できたとしても、であるとすれば、影響があるものに関して、それを踏まえられないのであれば、十年間で所得倍増という、農家の方々に一定の具体性を持って印象を与えてしまう目標を掲げるのは、極めて私は無責任じゃないかというふうに思うんですね。

 この点に関しては、大臣はどう考えていらっしゃるんですか。

林国務大臣 先ほどの繰り返しになるかもしれませんが、さきに出したTPPの試算というのは、今ちょっと触れていただいたように、極端な前提といいますか、全ての関税が即時撤廃になる、それから何らの対策も打たない、こういうことで出したものでございまして、まさにこの委員会でも御決議をいただいたように、そうならないようにきちっとやってこい、こういう決議もいただいているところでございまして、その決議をもとに交渉していくわけでございます。

 したがって、今の段階で、先ほど申し上げたように、TPPいかんにかかわらず、やるべきことをやって、こういうところを目指していこう、そういう意味でこういう倍増目標ということを掲げた、こういうことでございます。

大串(博)委員 自民党さんは、農政の大きな柱の一つとして、日本型直接支払い制度をつくっていく、私たちの戸別所得補償制度を見直して、こういうふうにおっしゃっています。これは農家の方々も相当気にしていらっしゃいます、どうなるんだろうと。この戸別所得補償政策が変わっていくとするとどうなってしまうんだろう、大きな影響を自分たちに与える、これもそう思っていらっしゃいます。

 この日本型直接支払い制度がどういう影響を与えるかというのは、この十年間所得倍増目標に関しては織り込んでいらっしゃるんですか。

林国務大臣 先週の金曜日に閣議決定をいたしました日本再興戦略、いわゆる成長戦略ですが、ここに、「経営所得安定対策を適切に見直し、あわせて、農林水産業の多面的機能の発揮を図る取組を進め、新たな直接支払制度の創設の検討を行う。」こういうふうにしておるところでございます。

 経営所得安定対策の見直しにつきましては、今後、その具体的施策の検討を進めるということにしておりまして、農業、農村の所得を倍増させる目標達成の手段としては織り込んでいないところでございます。

 所得倍増のための具体的な施策、これは、五月二十一日付で官邸に設置されました農林水産業・地域の活力創造本部等で検討をしていく、こういうことになっております。

大串(博)委員 大臣、私は、今の農政は非常に整合性を欠いているというふうに思うんですね。農家の方々もそういうふうに見られていると思います。一方で、TPPが進む、これからどうなるんだろうという不安感がある。戸別所得補償政策、定着してきているものが見直される。しかし、その内容はまだよくわからない。

 そういう中で、目標だけが、十年間で倍増というのを前に掲げられた。一体、私たちはどこにどうやって向かわせられるんだろうという非常な、整合性の中での不安感を持たれている方は相当多いんじゃないかというふうに思うんですね。だから、これを申し上げているんです。

 農政は、私は地に足のついたものでなければいけないと思います、やはり自然との営みですから。農家の方々は、毎年毎年、先を見ながらやっていらっしゃいます。毎回毎回、猫の目農政のように変わるものだといけないと私は思います。そういった中ですから、政府が掲げる目標なり提言なりも、一定の先行きを農家の方々が得心を持った上で受け取れるようなものでないと、責任を持った農政にならないというふうに私は思います。

 ですから、先ほどから申し上げているように、所得倍増十年間というものとTPPあるいは日本型直接支払いがまだはっきりしないということが、非常に整合性がないということ。この問題は、今、私たち民主党も参議院選に向けたマニフェストのことも議論しております。そういう中でもそういう声はたくさん出てきました。

 私たちは、地に足のついた戸別所得補償政策を一つ柱にやっていこうというふうに思っているんですけれども、先ほど来、後藤委員からもありました、戸別所得補償政策を見直していく。これは一体、いつ具体策がつくられるんですか。

 というのは、農家の方々は、来年度といっても、もうすぐですよ。私のところは二毛作ですけれども、麦を秋につくる場合の播種前の契約なんというのは年度内に行います。ですから、見直し策が出てくるのが本当に秋の早い段階でないと、周知徹底や営農指導も含めて、とてもできない。先のことを考えられない。

 こういう観点からすると、非常に足取りが遅いような感じがするんですけれども、検討状況、どのくらい急がれるんですか。

林国務大臣 経営所得安定対策の見直し、これは与党と十分に協議しながら進めていっておるところでございます。それはやはり、今お話があったように、現場の声、どういう方がどういうスケジュール感を持って現場でやっておられるか、また今後やろうとしておられるか、これと歩調を合わせるといいますか、歩みを同じにしないといけないという思いでございます。

 自民党の農業基本政策検討PT、宮腰先生がおられますが、これまで十数回開催しておりまして、関連する制度などについて検討を深められておられると聞いております。また、現場の農業者の方や地方公共団体からの意見聴取も行われたというふうに聞いております。

 現時点で見直しのスケジュールをはっきり決めているわけではございませんけれども、まさに冒頭申し上げましたように、やはり現場の声、それから地方公共団体等の意向をよく把握しながら、しっかりと与党と協議をして進めていきたいと考えておるところでございます。

大串(博)委員 さっき後藤先生がおっしゃったように、しっかりとした数字に基づいた検討をしていただかなければなりません。その上で、農家の皆さんの先を見通せるというニーズにも絶対に応えなきゃならぬと私は思うんですね。ですから、検討スケジュールは極めて重要だというふうに思いますので、御留意をいただきたいというふうに思います。

 私たちは、繰り返しになりますけれども、今、マニフェストの議論の中でも、やはり地に足のついた政策ということで、戸別所得補償政策を法律化して先が見える形をつくっていくべきだ、こういうふうな主張をこれまでもしてまいりましたし、今後もしていきたいというふうに思っています。これが、農家の方々の安心感にとっては極めて大切だろうというふうに思っております。

 最後に、今回、委員派遣をさせていただきました。直売所、そして中山間農業、さらには食肉加工施設等々を視察させていただきました。直売所における極めてイノベーティブな取り組み、これは参考になりましたし、政府としてさらに支援していただきたいと思います。

 中山間地においては、通常の中山間地というよりも急傾斜地以上というものに近い形の中で、中山間地直接支払い制度を受けながらやられている。これは、中山間地直接支払い制度をもう少しきめ細やかに、斜度が二十分の一とか、それをはるかに超えるようなものに関しては、もう少しきめ細やかな制度をつくっていかなければならないのかなというような知見も得ることができました。

 さらには、攻めの農業ということで、輸出拡大をしていくためには、例えば、食肉の加工なんかにおいては、地方だけじゃなくて、国としても施設面の整備も含めて支援をしていかなければならないというような状況も非常にあることがよくわかりました。

 こういったことも、私たちの委員会の知見としてまとめていきたいというふうに思っておりますので、ぜひ、政府の方においても、これからしっかり受けとめていただくことをお願い申し上げ、私からの質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

森山委員長 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 民主党の玉木雄一郎です。

 ゆえあって農水委員会をしばらく離れておりましたけれども、きょうは、質問の機会をいただきまして、関係の皆様に感謝を申し上げたいと思います。

 農政をこよなく愛する立場から、きょうは十五分間、短い間ではありますけれども、質問をさせていただきたいと思っております。

 最近、週末は私も地元に帰りまして、農家の方々と話をしたり、歩いていますと、先ほど来話が出ております農業、農村所得倍増計画について、農家の皆さんの期待は非常に高いものがあります。この前、柿農家の方と話しておりましたら、政府・与党の言っているあの倍増計画は非常に期待しているんだという声を聞きました。私も、農家の所得がふえてほしいと思って、これまでも与党時代に農政に携わってまいりましたし、そういうふうに心から願っている一人であります。

 その立場からきょうは質問をさせていただきたいんですが、まず、五月二十九日の我が党の篠原孝議員の質問に対して、今回の農業・農村所得倍増目標は、農家個人の所得を倍増させるものではなくて、あくまで農業、農村全体の倍増なんだという答弁を大臣がされたというふうに、議事録を読みましたけれども、改めてこの点について確認させていただきたいと思います。

 というのは、本当に期待が高くて、我々の個々の農家の所得がふえるんだというふうに思っておられる方がいらっしゃるので、改めて、農業者の所得を倍にするということを目標にしているのではない、広く農業、農村全体の所得の倍増計画なんだということについて、まず確認させていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

林国務大臣 基本的にはおっしゃるとおりでございまして、現在、生産額が食料関連産業を入れて大体百兆円ございます。このうちの農業の生産額が大体十兆円、それから農業の所得が三兆円ということでございます。

 経済成長が二%、これは実質二%ということですが、で前提を置きまして、十年後どうなるかということで、いろいろな努力も伴って、十年後の農業生産額が約十二兆円、これに伴って農業所得の伸びが見込まれるということがまず一つあります。それに加えて、規模拡大それから農地集積、水田フル活用等々、施策を総動員して、生産拡大と高収益化、すなわちコストも下げていく、こういうことをやることによって、農業所得の伸びを約四兆円というふうに見込んでおります。

 今度は六次産業化の方ですが、市場規模が現在約一兆円、関連所得が〇・二兆円、こういうふうに見込まれておりますが、今後、輸出の倍増ですとか付加価値の増大、それから観光業とか、医療、福祉との連携等々で六次産業化を推進しまして、この六次産業の市場規模を十兆円に拡大して、関連所得が二兆円ということを見込んでおります。

 そういうものを合わせて倍増していこうというのが農業・農村所得倍増戦略、こういうことでございます。

玉木委員 自民党の部会でおまとめになられた十カ年戦略の中には、「担い手の所得が倍増」という、誰の所得がふえるかということが明確に書き込まれています。

 その意味で、今いろいろと、るる大臣御説明いただきましたけれども、では、担い手の所得は倍になるんですか。このことはいかがでしょうか。

林国務大臣 今申し上げましたように、農業の所得の方は三兆円から四兆円になるというのが我々の計算でございます。

玉木委員 ちょっとよく理解ができなかったんですが、お手元に、今大臣が御説明いただいたことを、役所の皆さんからも御説明をいただいたのでちょっと参考資料で配付をしておりますが、二つのパーツに分かれていて、農業所得自体は三兆円から四兆円に一兆円ふえる。六次産業化で一兆が十兆になるうちの関連所得というものが二〇%分あるので、それが二兆円になる。農業所得本体で一兆円、六次産業化関連で二兆円、合わせて三兆円ふえて今の三兆円が六兆円になる、こういうことが倍増の中身だと思います。

 では、最初の農業所得についてお聞きをしたいんですけれども、三兆円が四兆円にふえるということなんですが、ベースとして農業生産額が十兆から十二兆にふえるということなんですが、この十兆から十二兆、あるいは三兆から四兆にふえる根拠を教えてください。

林国務大臣 先ほどちょっと申し上げましたが、経済成長二%の前提で単純に推計をいたしますと、一・二二倍ということになります。こうしますと三・六六兆円、こういうことなんですが、そこに、先ほど申し上げました規模拡大、農地集積それから水田フル活用、流通合理化、こういう施策をその上に総動員していくということによって、生産拡大やそれから高収益化、コストの低減、いわゆる生産性の向上という分も足してということで、四兆円の農業所得を見込んでいこうということでございます。

玉木委員 ますますよくわからなくなったんですが、前半のことはよくわかりました。二%毎年成長していくので、それを算数的に言うと、一・〇二を十回掛ける、十乗したものを三兆円に掛ければ三・六六兆円なんで、三・七兆円ぐらいになる。残りの〇・三とか〇・四兆円分があるいは生産性の向上等々でできるということなんでしょうか。

 私は、申し上げたいのは、内閣府がそもそも、実質二%成長するという計算で今回の再興計画も出しておられます。これは実は民主党政権下も、名目三パー、実質二パーということを言っていました。私は極めて懐疑的でした。

 なぜかというと、ごらんになっていただければわかるんですが、内閣府が計算するときの実質二%を達成するときの前提条件で幾つか書かれているのを読んでいただきたいんです。人口が減っていきます。生産は、もう大臣御存じのとおり、成長は三つの要素で成り立ちます。労働力があって、資本があって、そして生産性の向上、いわゆるイノベーション等々で起きていく。この三つの要素が成長を支える三要素ですけれども、我が国は人口が減少していきます。その意味では、人口減少、労働力、レーバーのところを補う、補って余りある生産性の向上がなければ、プラスの成長は達成できないんですね。

 内閣府が計算している、なぜ二%も達成できるかというと、数字のトリックがありまして、生産性の向上のところをいじっているんです。いじっているというか、どういう前提になっているかというと、一九八三年から一九九三年の、日本において最も成長したあのバブルの時期、あの時期の生産性の拡大を前提に計算しております。

 我々、これから人口が減って、そういう中で生産性の向上を、あの八〇年代の後半から九〇年代の前半を前提にして、これから十年本当にできるのかということについては、私、与党時代から疑問を投げかけていました。加えて、農業においては、もっと、いわゆる生産年齢人口といいますか労働力が減っていきます。その中でこの二%を達成しようとするには、多分、生産性の伸びは、二%どころか三パー、四パー、五パーなければ、ここで掲げている生産性の増加は見込めないと思うんですね。

 ですから、機械的に計算するのはいいんですけれども、今、農家の皆さんは、本当にどうなるんだという不安の中で、これからの営農計画、あるいは、息子に継いでいいのか、孫に継いでいいのか、心配しているので、ここについては、単に数字を置いたということではなくて、品目ごとに、では、米はどうなんだ、畜産物はどうなんだ、野菜はどうなんだ、それぞれの生産額はどれだけ伸びていくのか、コストの減少についてはどれぐらいできるのか、そういったことをもっと正確に計算して国民の皆さんにお示しをするのが誠実なやり方だと私は思っているんです。

 もう一つ申し上げますと、三兆から六兆にするのもいいんですが、私は、唯一もしできるとしたら、一人当たりの農家の所得を倍にするという目標は現実性があると思っております。集約を進めて、つまり、GDPに占める農業の生産額の割合を変えなくても、それを担う人がある程度集約されて、一人当たりの取り分、一人当たりの農業GDPというものを上昇させることはこれからの政策の一つの整合性の中でできると思っているので、とにかく三を六にしましょうとか、そういう粗っぽい倍増計画ではなくて、一人当たりの所得を本当に倍増していくんだ、あるいは生産性を、例えばイスラエルは日本の農業の生産性の四倍から五倍あります。ですから、農業技術をもっと革新的なことを入れれば、日本の農業の生産性を高めることは可能だと思っています。

 ですから、再興戦略の中にも、キー・パフォーマンス・インディケーターということをよく入れていますけれども、そのパフォーマンス・インディケーターに一体何を選ぶのかということについては農業の分野でよくよく考えていただいて、単に倍になりますよというような粗っぽい議論ではなくて、誠実な数字に基づいた議論をやっていただきたいというふうに思っています。

 もう一つ、これに関して質問をさせていただきたいのは、輸出についてであります。

 輸出も、今の約五千億程度のものを倍増するということを言っておりますけれども、お手元に配っている数字をちょっと見ていただきたいんですが、グラフです。これも農水省にいただいた資料をもとにつくったんですが、現在の約五千億弱の農林水産物の輸出というのは青で書いています。実は、リンゴとかお米がどんどん輸出されているというイメージとは違って、現在においても、そもそも輸出の四割は水産物が占めるというカウントになっています。

 そんな中でこれから何を伸ばしていくんだ、トータル一兆円に倍増させていくためには何を伸ばすんだというところに、加工食品が圧倒的に伸びるようになっているんですが、ここにも例示がありますけれども、みそ、しょうゆ、菓子類あるいは清涼飲料水、こういったものがここにカウントされるんです。

 ここで質問なんですが、ここで言うみそ、しょうゆ、例えばみそに絞りましょうか。一〇〇%輸入大豆でつくられたみその輸出が倍増することも、ここで言う輸出の倍増にカウントされるのか、あるいは六次産業化のGDP上のカウントに入るのかどうか。この点、イエス、ノーでお答えいただければと思います。

長島大臣政務官 ただいまの質問に端的に答えたいと思います。

 六次産業化には輸出も含まれます。輸入原料を使用するケースも、例えば、加工メーカーが農村地域に存在し、地域の雇用を創出する場合は、農村の所得向上に貢献したり、あわせて国産原料を使用される場合には、国産農産物の使用が増加し、最終的には農業者の所得に貢献すると考えております。あわせてと言いましたけれども、輸入食品を加工しても所得倍増につながると思っています。

玉木委員 今、大切な答弁をいただきまして、食品産業で考えればそれでもオーケーだと思います。ただ、我々が今心配している、日本の農家の皆さんが心配しているのは、国内の農家の所得がどうふえるんだということを心配しているし、冒頭申し上げたように、政府・与党が出しておられるその倍増計画に期待をしているんですね。

 ただ、輸出をとってみても、皆さんおわかりのように、一〇〇%輸入大豆、例えば、うちだと讃岐うどんが有名なんですけれども、一〇〇%ASWですよ。輸入のオーストラリアからの小麦でつくっても、それは多分、この食品関連六次産業に入るわけですね。ただ、国内の農家の所得の向上には多分ほとんどつながらないでしょう。

 ですから、私が申し上げたいのは、きょう冒頭、後藤委員からも話がありましたけれども、単なる数字遊びみたいなことではなくて、絵に描いた餅にならないように、農家の皆さんの所得の増加、そして経営の安定、将来展望が描ける農業、こういったものにつながるような目標をきちんと定めて誠実に農政を進めていくことが、我々農政にかかわる者、与野党を問いません、その者の責任だというふうに思っておりますので、この点、これから進めていくに当たって、先ほどの目標の設定を何にするかも含めて、大臣、国内の農家の所得がふえるということにとりわけ配慮を置いて目標の設定や施策の推進をお願いしたいと思いますが、最後にお願いします。

林国務大臣 大変大事な御指摘だと思います。

 そういう意味で、農業所得と六次産業化を分けてきちっと数字を出すということと、それから、六次産業の方は、一兆円に対して関連所得〇・二兆円、その中で農村にどれだけ還元されるかというのを、さらに細分化をしてやっております。したがって、十兆円がそのまま来るという計算にはしておりません。

 例えば、今お話のあったASWでうどん県のうどんはできているということですが、これも何とか国産の小麦に、これだけ有名なうどんですから、振りかえていけないのか。

 例えば、北海道でゆめちからができたり、福岡でラー麦ができているような形で、しっかりとそういうものもやっていくということも努力目標としては入れていかなければなりませんが、やはり、足元、現実性を持たなければなりませんので、先ほど申し上げたような十兆のうち二兆、また、そのうちの農村の還元分が幾ら、こういうふうに試算をして、それをいわゆるKPIにして、しっかりと現実的な数字にしていく努力をしていきたい。その中で、農村の還元分をいかにしてふやしていくか、これが一番大きなポイントだと思っております。

玉木委員 本当に農家の皆さんの不安とか思いにしっかりと寄り添う、そんな農政を進めていただきますことをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

森山委員長 次に、村岡敏英君。

村岡委員 農林水産委員会で質問するのは大変久しぶりのような気がいたしておりますけれども、質問したいことが満載で、大臣、政務官にはよろしくお願いしたいと思います。

 まず最初に、農林関係というよりも、ちょっと国会内のことで質問したいんです。

 新聞に出た話題なんですが、大臣は参議院議員なので余り行かれたことはないと思いますけれども、中庭の軽食堂が、今度、吉野家が入るようになりました。今まで四十三年間、ロリアンというところが定食屋でやっていたそうですけれども、私も、秘書をやっていた十六年間を合わせれば二十五年前にそこで食べながら、今回初当選して、懐かしいなという感じで食べていましたが、吉野家になることは、これは別に問題ではありません。

 ちょっと衆議院の事務局の方にお聞きしましたら、選定委員というのがいるそうなんですが、事務方で四名、それから秘書の中の協議会で会長を含めて三名、七名で、食堂を出したい、レストランを出したいというところに、基本方針、店舗メニュー、運営、安全衛生、その他ということで点数をつけるそうです。点数で吉野家さんが上になったから、最終的にその点数を議運の理事が検討して決めるということになっているそうであります。

 ただ、ここでいろいろ問題が出たわけです。吉野家さんはいいですよ。吉野家さんというのは、実はアメリカ産の牛肉なんです。そして、お米も日本産じゃないんじゃないか、こう言われているわけです。

 もちろん、今、自由主義経済ですから、そういう入札結果で吉野家さんになったのはいいんですが、農林大臣として、国産の牛肉、国産の米を勧めている、それが国会の中のそこに入ってくる、このことに関してはどう思われるか、大臣とそれから政務官の御意見をお伺いしたいと思います。

林国務大臣 ちょっと私、衆議院の食堂に余り行く機会がないものですから、吉野家が入ったというのは今初めてお聞きをしたわけですが、たしか参議院では、議院運営委員会の中に庶務小と、自治委員会とかいうのがあって、そこで決めていたなと、当時議運の理事をやっていたときの記憶をたどっておりました。

 そういう手続を経てきちっと議運の方でお決めになる、こういうことだと思いますので、余り私がこの立場でそれについていい悪いというのを申し上げる立場にはないと思いますが、一般論として申し上げれば、多分、吉野家さんはお米は国産だろうと思いますけれども、いろいろないい国産のものがございますので、国産の農産物をできるだけ活用していただきたいというふうには思っております。

長島大臣政務官 私もロリアンさんには随分お世話になりまして、特に時間のないときに有効ですから大変お世話になってまいりましたけれども、つい先日、議運の理事さんから、入札によって、かなり点数の開きもあったこともあって吉野家さんが入るということをお聞きしました。

 大臣がお答えをしたとおり米は国産だろうと思いますが、牛肉は御指摘のとおりだろうと思います。できれば、国会バージョンで国産の牛肉も使っていただけるような形にできればありがたいなとは思っておりますが、私は、公平な入札のもとで行われたことですので、受け入れて、またお世話になろうと思っております。

村岡委員 私も大学時代から吉野家さんにはお世話になっている方なので、そうとは言えないんですが、ただ、実はこういうことがあるんです。私も農業地帯の出身ですけれども、例えば、午前中に米拡大の話をしたり、それから国産のものをたくさん食べようというお話をして、お昼、ではどこかへ出ていこうかと農家の方々と行ったら、村岡さん、ここがおいしいよと、ラーメン屋に連れていかれるという笑い話みたいなところがあるわけです。やはりここというのは、もう多様化した中でなかなか、国産のものを食べよう、国産が安心だということが伝わっているかというと、例えばスーパーに行って、中国産と書いてあった、何と書いてあったら気をつけられる方もいると思います。でも、加工品になったらほとんどわからないというのが現実なんです。

 そういう意味でいくと、農業全般、しっかりと日本の農業者に対して安心で安全でつくったものを宣伝していくというのは、やはり農林省が主導をとってやっていかなきゃいけない。その部分は、多分どんな対策よりも、まずそこの認識を国民全体に広めるということが一番大切だと思っておりますけれども、どう思っていらっしゃるでしょうか。

林国務大臣 内容物の表示のところに、例えばコンビニで売っているおにぎりのお米がどこのものかとか、それから、この間九州へ行きましたときは、これは佐賀の方だったと思いますが、ノリの産地をきちっと表示してもらえないだろうか、こういうこともございましたので、義務づけるかどうかも含めて、自主的にこれはどこどこのノリですと言うことは宣伝でしょうから全く構わないということでございましょうから、そういうことも含めて、情報を発信していくということと、それから、やはり国産のものをうまく活用して、国産ですよと言わなくても、これはいいじゃないですか、おいしいですかと、この間いただいた青豆のドラジェなんというのはまさにそういう典型的なものではないかと思いますが、やはりそういう努力を六次産業化等々で後押ししていく。やはり、こういうものが相まって成果を出していくということが大事ではないかと思っております。

 政策金融公庫だったと思いますが、消費者の調査をしますと、大体、国産と輸入物で同じような物であると、価格が二割ぐらい国産の方が高くてもやはり国産を選ぶという方が、たしか二割高で五〇%を超えておったと思いますので、やはりそういったところをきちっと踏まえていろいろな施策を展開していくことが大事だと考えております。

村岡委員 ぜひそのことには、国内の農産物また国内の食品というのを、宣伝のために頑張っていただきたいと思います。

 では、本題に入りたいと思います。

 日本再興戦略ということで、ジャパン・イズ・バック、非常にいいネーミングだ、こう思っておりますが、まず最初に、これを進めていく上で、やはりあのときの、ガット・ウルグアイ・ラウンドの関連対策というのをどういうふうな検証をしているか、そのことに触れなければならない、こう思っております。

 平成六年に十一兆であった農業生産額というのは、現在では八兆、七〇%になってしまっている。対策では六兆ぐらいかけたといいながら、それがなかなかうまくいっていない。この検証については、農林省ではどのように検証されているか、また、結果としてどのような効果があったと思っているのか、大臣からお答え願えればと思います。

林国務大臣 いわゆるウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策でございますが、これは、同合意による国内農業への影響を緩和するために、事業費で六兆百億円、国費はそのうち二兆六千七百億円ということで実施をいたしたところでございまして、実施期間が平成七年から十四年度までの八年間、こういうことでございます。

 十二年の七月に同対策の中間評価というものを農林水産省で行っておりまして、稲作の労働時間、これは担い手の人の労働時間が六割短縮されたということで、やはり効果が生じているところがあるという一方で、担い手に農地の過半を集積するという目標、当時は七十六万ヘクタール増加させようという目標だったようですが、これは目標に対して四六%しか達成できなかった、非常に低いところでございまして、反省すべき点があった、こういうふうに認識をしております。

 今後は、こういう評価を踏まえて、農業の体質強化を図っていくに当たっては、こうした反省も踏まえた、体験を踏まえて、いろいろ必要な施策の検討をする必要があると考えております。

村岡委員 大臣、この達成率というのは、例えば八割といっても、また四六%担い手にといっていても、それぞれのパーセンテージの達成率だけで評価しては、これはやはり数値が違うんじゃないかと。ウルグアイ・ラウンドで六兆かけて、最終的な目標は、農地の集積であり、そして農家の所得がアップするということが結果的にできなかった、そのことを、どうしてできなかったのかという検証をやはりするべきだ、こう思うんです。

 私は、きょう資料を提出しましたけれども、この前も質問の中でお話ししましたけれども、二の下の方です。ドイツ、日本、オランダ、アメリカとありますけれども、やはり減反対策とそれからウルグアイ・ラウンドの対策の二つ、これが、日本の農業を輸出の方に転換しなかった、それからまた、減反政策の見直しというのをしっかりしなかったことによって、やはり日本の農業は衰退し、なかなか立ち上がれないような状況に今なっている、こう思うんです。

 やはり、農業の政策をきちんと、どちらの方向に向くかというのを今回はやることが大切だ、こう思っています。

 その中で、日本再興計画なんかも相当な輸出とともに攻めの戦略をとっているので、そこが大切だと思うんですけれども、私は、先ほど申したように、検証の中で、達成率を一つずつ挙げて、よくやったとかそんなことよりも、実質的に、何を間違えて農業が衰退したのかということを考えなければならないと思っていますが、大臣は、何で六兆もつぎ込んだのに日本の農業が衰退した、こう思われているでしょうか。

林国務大臣 平成六年から二十三年までで見ますと、農業の総産出額が十一・三兆から八・二兆円ということで、三・一兆円減少ということです。それから、生産農業所得ということでいきますと、五・一兆から二・八兆ということで、約半分になっている。

 それから、経営規模の変化、これは一・五から二・〇ということで、三割ですが、〇・五ヘクタール増加。それから、平均労働時間も、これは水稲ですが、三十八から二十六で十二時間の短縮。

 こういうことでありまして、総体的にマクロで見ると、今委員がおっしゃったように、農業の総産出額、自給率、それから耕作放棄地の規模を見ますと、かなり縮小になっているということは否めないわけでございます。その中で、先ほど申し上げたように、経営規模が若干ながら増加をしてきている。

 したがって、今まで、今おっしゃったようなことも御議論として聞いたこともございますし、それから、一つは、大きく見ると、それ以前からずうっと長い間、五十年かけて起こっている主食の米に対する需要の急激な変化、これにどう対応するか。五十年間で半分になってしまった最も大きな主食の米の需要の減というものに対する対応、これが余り先を見た対応になっていなかったのではないか、こういうことが一つ大きなこととしてあるのではないか、こういうふうに思います。主食の米が減ってきている傾向、これはもう大体おさまってきて定常状態にある。最近ですと、肉と魚が逆転するとか、いろいろなことはありますが。

 したがって、今の状況、先ほどの御議論でもあったように、人口も減っていくという中でどうやって活路を見出していくかという中では、国産の価値を増大する、付加価値をふやすということもありますが、やはり伸び行くアジアを中心として外に打って出るということで輸出を増大していこうというところに戦略の一つの柱を立てたわけでございまして、そういうものも相まって、しっかりと今後は対策を立てていく、こういう必要があると思っております。

村岡委員 大臣から重要なお話をしていただきました。

 これは、農業のいろいろな大きな問題の主要な部分を占めているのが、やはり稲作なんですね。この稲作をどう対策するかということが農業全体の大きな変化につながる、大臣もこう思っていらっしゃると思います。

 そこで、先ほど言った減反の見直しとか、また、輸出の点だとか、そういう形の中で、何かというと、やはり政策の中で、消費者に対しても高価格を維持し、そして、農業者にも高価格で買い上げるという、この根本的なところを変えていかなきゃいけない。消費者に対してはある程度安く米というものが入るようにしながら、生産者に対しては、直接支払いという中で主食をつくるという中をしっかり変えていかなきゃいけない。

 両方とも維持しながらやっていくという政策に大きな間違いが、その時代は全てが間違いではなかったかもしれませんが、それを維持するために、例えば四割の減反というのをやっております。結局、集約しても、四割も減反していたら、それは収益が上がりません。もちろん転作もしますけれども、地域によっては、転作したものというのは補助金としてはもらえるけれども、全くそれは市場では売れないものであったりする。そういう状況ですから、ここで大胆な見直しをしながら農業者の方々に安心してやってもらうという政策を出していかなければいけないんじゃないか、こう思っております。

 そこで、先ほど言った政府の日本再興戦略で挙げられた目標数値についてお伺いしていきたいと思います。

 成果目標として、今後十年間で全農地の面積の八割が担い手によって利用される、また、二〇二〇年に六次産業の市場規模を十兆円とする、それとまた、農林水産物、食品の輸出額を一兆円とするとか、非常に目標は大きく、目標が大きいのはすばらしいことだと思っています。

 しかしながら、現実的にこれができるのかどうかということを農家の方々がやはり心配されていますし、そして私も、この対策の中身はこれから具体的に詰めていくということですから、全てまだ具体的な策はないとは思いますけれども、まず最初に、担い手の農地利用率ということがありますけれども、五割から八割にするということは、一ヘクタール未満の人を相当集約していかなきゃいけない。そこにもう七十万人、八十万人の人が働いている、これを集約して、結果、農家ではなくなる人が多いわけですけれども、その人たちにはどのような対策をとろうと思っているのか、教えていただければと思います。

林国務大臣 集約化自体の政策は、県段階に農地中間管理機構、これは仮称ですが、本格的に整備してやっていこう、こういうことで、後ほどまた御質問があるかもしれませんが、今までよりさらに加速をして、ここを使ってやっていきたいと思っております。

 その集約によって農家でなくなるという方、これは、基本的には、中間管理機構においては、今までどちらかというと売買、売り手と買い手の間を取り持つ、こういうことで、なかなか見つからないものですから、したがって、余り例がないということもありまして、リースを最大限に活用してやっていこう、こういうことでございますので、一つ言えるのは、農地をリースするということになれば地代が入ってくる、こういうことでございます。

 さらに、六次産業化等々でいろいろな取り組みが進みますと、例えば直売所やそういった六次産業をやっている場で、直接耕作はしないんだけれども、そういう場所で、同じ地域の中で働き場所を確保して、そこでいろいろな活動をしていただく、こういうこともあろうか、こういうふうに思います。

 この間、オランダに視察に行ったときも、非常に先端的なグリーンハウス、向こうはガラスでできているわけですが、物すごく大規模にした上で、最終的にパッキングの手前で選果をするところがあります。この選果の作業は高齢の方にやっていただく、余り筋肉労働がないものですから。こういうこともあるのかなと思って聞かせていただいたんですが、いろいろなことで集落の中のいろいろな方の働き場というものは確保していくということが必要だと思っております。

村岡委員 大臣、多分、この集積と米の生産コストというのは結びつくことになるという計画だと思います。

 それで、私の出した資料の一の下の段の方ですけれども、二〇一〇年の資料ですけれども、一ヘクタール未満の農業経営体が八十四・七万戸あります。その中で、例えば自分で作付してやった場合には赤字になる。それで、仮に、地代を収入にした場合は八万五千円。でも、これは八万五千円なんですよ。これでは生活はできないわけです。

 これを仮に、全部が集積されたと考えると、五百五十億ぐらいの地代です。そして、この五百五十億の地代を、まとめた二十ヘクタールとか三十ヘクタールの人が借りたとすると、一番下にありますが、現時点ですけれども、農業の収益が四千万ぐらいありますから、二百万ぐらいで大体借りられる。確かに計算は合います。

 しかし、では、二十ヘクタール以上の人が何人ぐらいになるかというと、三万四、五千人です。三万四、五千人の人が一ヘクタール未満のものを全部集約して、五百五十何億払っても、ちゃんと経営としては合いますけれども、ただ、人数は極端に少なくなります。そうなったときの対策というのは、この計算でいけば、集積して、ある程度農業者の戸数は少なくていいという結果に、普通、計算すればなるんですけれども、そうではないんでしょうか。

林国務大臣 いただいたこの表によりますと、現在、水田をやっておられることによる所得が五万円の赤字ということでございますので、まさに、それは委員が御指摘いただいたように、五万円の赤字と比べてどうなるか、こういうことだと思うんです。

 したがって、五万円の赤字が八万五千円の収入になった場合に、その方が、では、今、五万円の赤字だけで果たして生計を立てておられるのか、こういうことがある、こういうふうに思いまして、多分、その方は、ほかのこともやっていらして、いろいろなことでなりわいを立てていらっしゃる。

 こういうことになりますと、先ほどの、ウルグアイ・ラウンド対策のときに時間が短縮したということは申し上げましたが、さらに、地代収入が入ってくるということは、すなわち、水田の耕作の時間からは解放されるということですので、さらにそれ以外のなりわいにそれだけの時間が割けるようになる、こういうことであろう、こういうふうに思います。

 もう一つは、今の農業の従事者の平均年齢六十六歳という話がよく出ますが、そろそろ御引退、第一線から引くというようなこともあるいはあるのかな、こういうふうに思いますので、個別のいろいろなケースに対応して、先ほど申し上げたようなことも含めて対応していく必要があると思っております。

村岡委員 大臣、私も同じ方向性なんです。別にマイナス五万円で生活しているわけじゃないですし、もちろん兼業しているのはわかっています。それで、地代でプラス八万五千円になる。それは一年間で八万五千円ですから、ほかで兼業で働いていたのにプラス八万五千円。それが五百五十四億あって、集積すれば、当然、三万三千人になったとして、成り立つような計算になるんですけれども、兼業の人が全く農地を離れた場合は、実は農村を離れる可能性があるんです、全くそこにかかわらないということになると。

 その辺のところが、目標の中で、農村社会の所得を上げようとしているわけですけれども、どんなかかわり方をしていくかは、所得の、お金の問題だけじゃなくて、やはり考えていかないと、きめ細かい、私が前の質問でも言っている、成長産業としての農業と、農村社会という社会的な側面といいますか、環境保全という側面と、この二つがないと、確かにほかの仕事をやっているけれども、農村にいる意味が少なくなってくるというか、そういう部分もあるので、そういう配慮もしながら政策はやはりしていかなきゃいけないんじゃないか、こう思いますけれども、どう思いますでしょうか。

林国務大臣 まさに委員おっしゃったように、よく言われているのは、社会的な意義を持った農業と、産業的な農業というようなこと。頭の整理をいたしますと、多面的機能を維持するため、多面的機能の中には集落の維持というのも入ってくる、こういうふうに思っておりまして、今、農業のための共用的な作業、すなわち下刈りをしたり、水回りをやったり、こういうことに対しての支払いということもやっておるわけでございますので、こういうことや、先ほどちょっと佐賀の御議論がありましたが、中山間地の支払い等々を多面的機能の支払いということで位置づけていくことによって、やはり社会的な農業とでもいうべき側面をきちっと守っていく。やはりこれが、集約化して産業的にやっていくところと両々相まっていきませんと、トータルな農業施策にはならないのではないかというふうに考えております。

村岡委員 これはやはり、離農しても離村しないようにということが農業の集落というのには大切なことなんだと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは次の、法人経営体数について、数に関してですけれども、一万二千五百十一法人を五万法人にするということです。今現在、十九万ヘクタール、法人で耕地面積を持っていまして、六・二%ということですけれども、単純に五倍で三〇%から四〇%を法人が持つということになるわけですけれども、この法人が持つという意味をどういうふうにお考えなんでしょうか。

奥原政府参考人 法人経営体数につきましては、この十年間で大体二倍以上に拡大しておりまして、今御指摘ありましたように、現在、一万二千五百十一法人ということになっております。

 この法人は、必ずしも稲作とかこういった土地利用型だけではございませんので、野菜ですとか、いろいろなタイプの法人がございます。それから、この一万二千五百十一は、いわゆる家族経営が一戸一法人になったものはカウントしておりません。したがいまして、法人らしい法人をカウントしたものが現在はこの一万二千五百十一、こういうことでございます。

 農業の発展を考えるという場合には、やはり的確かつ機動的な経営判断をきちんとする。例えば、資材をできるだけ安く買ったり、販路につきましてもできるだけ有利なところに売るということを、やはり機動的にきちんと判断しなければいけません。こういった役員体制をきちんとする。あるいは投資財源をきちんと確保するですとか、あるいは雇用関係をきちんと安定させるといったことからいいましても、やはり法人経営が伸びていくことが非常に望ましいというふうに我々は判断をしております。

 その場合に、これから法人をどうやって育てていくかですけれども、例えば複数の個人経営を一つの法人にまとめていくということもありますし、集落営農を組織してそれを法人にするといったパターンもございます。それから、それに加えまして、最近見られますのは、かなり大きい法人の方が、若い方を自分の従業員としてまず雇って、訓練をした上で、何年かたったところで、のれん分けのような形で法人をふやすという形もございます。それから、場合によっては、先ほどの一戸一法人の経営の方が雇用者をふやしたりして、だんだん本格的な法人になっていく、こういうこともあるかと思いますし、それから、企業が農業に参入をしてやっていく、こういうケースもあると思います。

 こういったいずれのパターンにつきましても、やはり法人化をきちんと推進していくということが必要でございますので、これは農地の中間管理機構の問題もございますけれども、それに加えまして、日本政策公庫のスーパーL資金を融通するとか、それから、税制の面では、農業経営基盤強化準備金制度、これがございますので、これを活用する。あるいは、法人ですと、出資も可能になりますので、アグリビジネス投資育成会社による出資制度、こういったものを活用しながら、この法人化をさらに推進していきたいというふうに思っております。

村岡委員 今御説明いただいたとおり、もちろん、法人で、ある程度大規模化して、新しい従業員を雇って、農業にかかわりながらというのは、その地域の雇用も生まれますし、すばらしいことだと思います。

 そこでなんですけれども、大臣、企業参入ということで、前も、企業の所有ということは、リースで十分それは対応できるということをお話しされていました。

 私は、何か、企業に所有させることがイコール農業者の排除のように思っているところが間違いじゃないか、こう思っているわけです。企業も、農業地帯に入っていったら、その地域に合わせて、地域の人たちと一緒にやらなきゃ、農業なんてできないはずなんです。

 だから、企業者も、もちろん、入っていくときに、乗り込んでいくときに、その集落に対しては、新入社員というような、新しくそこに転勤してきたというような気持ちを持って、そして、経営のノウハウは、やはりそれは企業の方が経営のノウハウというのはあるはずですから、そういう組み合わせを持っていくためには、何か、土地も所有させないという法律が、どうしても、一方で、農業者の人も企業が来るのを排除しよう、企業者の人も何か農業地帯に入っていくのを我々は阻害されていると。自由にした上できちんと、もちろん、それを勝手に宅地化したり、そういうのは規制をかけなきゃいけないと思いますけれども、企業参入というイメージをもうちょっと打ち出した方が、やはり攻めの農業、そして将来の農業というのが伸びていく、こう思っておりますけれども、大臣はどう思われていますでしょうか。

林国務大臣 この問題は、産業競争力会議等でも議論になってきたところでありますが、私の考え方は、この間ここで述べさせていただいたとおりでございます。さらに、平成二十一年の農地法改正で、リース方式が自由化されて、先ほどお話があったように、かなり入ってきておりまして、実際に入ってこられて、農業を既に始められた企業の皆様というのが大分ふえてきておられまして、いわゆる産業界といいますか、そういうところにも、このリース方式というのでいこうということが少し出てきておるなというふうに感じております。

 きのうもたまたま官邸での会議があって、ローソンの新浪CEOが来られて、自分のところは随分やっているけれども、リースしか考えていないんだと。大体、農地の場合は、普通の土地よりも、通常賃料の二十五年分ということで、非常に割高になっておりますので、彼がおっしゃっておられて、なるほどなと思ったのは、むしろ、所有をすると、かなりデッドストックになってしまって、資本の回転効率が悪くなる、したがって、リースで全く問題ないというようなことをきのうおっしゃっておられました。

 したがって、だんだんそういうことで、かたくなに議論しないということではございませんので、課題としてはあり得るというふうに思っておりますが、まず、今そういう動きが出てきておる中で、一方で、先ほどちょっとお話で触れていただいたように、周りの方がやはり少し懸念があると。それほど多くないかもしれませんが、買って入ってこられた方が、新入生で入ってこられて、一年生の途中ぐらいでいなくなっちゃったというようなこともあるということであります。

 今、リース方式で、そういうところに対する御懸念が余りないような形でうまく現場が進んでいるということでございますので、そういう方式で進めていくことによって、さらに、そういう、よそから来た人か、もとからいた人かという区別が余り意識されなくなってくる。そういう段階になれば、余りこういう難しい議論をしなくてもあるいは新しい解が見つかっていくのかなと思っておりますが、現状を見ますとまだ、せっかくリースでここまで来ておりますので、これを推進していく、先ほど申し上げた中間管理機構を活用して、このリース方式で推進していきたいというのが現在の考え方でございます。

村岡委員 もちろん、今リースで入ってやっているところは、それはリースでいいからリースで入っていると思うんです。それはまたちょっと別問題だなとは思いますけれども。

 やはり、自由に農業に参入していく、規制はなるべく緩和しながら。ただ、農地としてしっかりやっていただくという部分はやっていかないと、大企業ばかりが乗り込んでくるわけではありませんので、やはり自分の財産というものがきちんと企業に、土地というものであったり、そういうものを求めてくる企業も、特に、でかい大企業が中央から来るというよりも、同じ地域に住んでいる企業をやっている人たちも農業に参加がどんどんできるような形を考えていくとなれば、それはやはり少し考えていかなきゃいけないんじゃないか。むしろ、そういう姿勢を出すことによって、農業に企業のノウハウがあり、そして地域の農村社会も守られると私は思っておりますので、そのことは話しておきます。

 そして、対策の中で、六次産業の市場規模についてということで、二〇二〇年までに一兆円から十兆円にする、こうなっております。それからまた、食品関連全体が百兆から百二十兆、こういうふうに目標を立てております。

 先ほど、お話を聞いていますと、実質経済成長率が二%だと百二十兆に行くと。それは、経済対策、ほかのも含めてやっていきながらその目標を達成しようということですけれども、でも、実際にこの食品関連の百兆円というのは、先ほど大臣も言ったように、農業は十兆円に満たないわけですね。流通であったり、加工の製造業であったり、飲食店であったりと。

 これを考えると、百兆を百二十兆にすると言いますけれども、今現在、だんだん下がってきているわけですね。人口も減っていくときに、例えば、この百兆を百二十兆の達成も難しいと思いますけれども、プラス農業の分野で一兆円が十兆円とかになるということは、例えば六次産業化というのは、今の計算でいくと、直売所であったり、それから、この前、青豆のドラジェもありますけれども、ああいう形だったりしますけれども、ところが、直売所やそんなものをどんどんふやしていくということは、今まで売っていた大きなスーパーや何かがなくなるということになるわけですね。

 これは食い合いなんですけれども、実際に、一兆円のものを二〇二〇年までに十兆円にすると言っておりますけれども、その具体的な策はまだないということでよろしいんでしょうか、それとも、何か対策があるということなんでしょうか。

林国務大臣 今委員がおっしゃったように、食料関連産業まで入れますと、農業と関連産業で九十五兆円で、全産業の一一%ということであります。

 今、ファンドをつくって六次産業化の支援をしていこうということで、経営指導、補助事業、融資等々をやっていく、こういうことでありますし、それから、今ある市場を食い合うということではなくて、新しいニーズをやはり掘り起こしていく、これがファンドの一つの大きな趣旨であろう、こういうふうに思っております。

 青豆のドラジェばかり言って恐縮ですが、あれを買うと何かの消費が減るか、あれを食べた分何かを減らすかというと、そうではないのではないのかなと。あの分、青豆とチョコレートの消費を減らすということではないと思いますので、やはりああいう工夫をされて新しく付加価値をつける。多分、青豆代とチョコレート代を足したよりはお高いものではないかというふうに思いますので、やはりそういう付加価値をつけていくということが意味が大きいと思っていまして、特に今後は、医食農連携ということを私は申し上げているんですが、例えば、介護等の現場で、それから障害者の施設なんかで、簡単に農場をつくって、そこで作業をやってもらって非常に回復が進んだという事例もあるようでございますし、それから、機能性の食品ということで、例えば、ミカンの中に入っている物質をちょっと強化したものをつくるとか、そういうことをしていくことによって新たに市場をつくっていく。

 これは、食品、農業にかかわらず、あらゆる産業において言えることですが、イノベーションによって付加価値を増大していく、このことによってマーケットを広げていく、こういう方向をしっかりとつくっていくことが大切であるというふうに思っております。

村岡委員 大臣、私も、新しい六次化ということですから、市場が生まれてきて大きくなっていく、その方向性を目指すことが正しいと思います。

 しかし、そのためにどういう対策をするかという具体的なものがやはり見えてきていないわけです。それは何かというと、先ほど言った新しい商品をつくる、新しい形をつくるということだけじゃなくて、やはり農業者と農協、二つが相当変わらなきゃいけないんです。変わっていかなきゃいけない。今までの、生産者から生産物を集めて、それをそのまま商社にやって手数料というだけでは、とてもこういう六次化の流れで、その町村やその県なんかで潤っていくような産業として伸びていかないと思うんです。

 ですから、私の言っている対策は、そういう商品化するという対策だけじゃなくて、やはり政府は、農業者の方や、そしてまた農協の方に、どういうふうに具体化をしていくのか、もっといろいろな対策を立てていかなければ、やはり実際の農協や農業者が変わらない限り、そう簡単には、この六次産業化が大きな市場を、新しい市場を生むとは思えないんです。

 だから、これから参議院選挙もあります。大臣も参議院選挙が控えられていますけれども、もうそれは当然のことなので、余り選挙じゃなくこちらの方を一生懸命やられていると思いますが、やはり農協の方々とももっとざっくばらんに話して、先ほど言った中山間地域とか、そういう環境保全はしっかりと守ってもらう。

 しかしながら、やはり攻めの農業のところは、農協の人も変わってもらわなきゃいけない。そこのところは、選挙での怖さだけじゃなくて、本当に農業をよくしよう、それから、食料の産業をよくしようと思ったら、やはりざっくばらんに話しながら、実際の六次産業化に向かうということは、今までより余計なことをやらなきゃいけないわけですから、農業者の方も農協の方も大変ですよ、これまでそれをやらなくてもよかったわけですから。

 だから、ぜひ、その部分で、これから農協や農業者の人たちの経営、マネジメントができるような形になるための対策、そういうものはどのように取り組んでいこうと思っていらっしゃいますでしょうか。

林国務大臣 大変大事なポイントだ、こう思います。やはり、経営者といいますか、経営の感覚というものを持っていただくということが大変大事でありまして、この間、九州の方に参りましたときも、これは農協の方なんですが、全農協に六次化を義務づけてほしいというような勇ましい方もおられまして、やはりそれぞれの地区で、いろいろな工夫をされた取り組みというのは既に出てきておるようでございます。

 それから、私の地元の例でちょっと恐縮なんですが、これは漁協と漁業者の間で、若い漁業者が何人かで船の上で、とったお魚をそのまま詰める。そうすると、鮮度が非常に高いわけですね。何々丸の魚箱ということで、そのまま宅急便で消費地へ送る、こういう取り組みをやっておられます。これも六次産業化ということなんですが、これは最初やるときは、やはり漁業協同組合とかなりいろいろな話をして、少し時間はかかりましたけれども、若いやつらがやるんだからやってみろ、こういうことになってそういう取り組みが始まった、こういうふうにも聞いております。

 したがって、やはり、一般論としてというよりも、こういう取り組みをやるから一緒にやらないかとか、ある意味では認めてくれという話をしていく例、こういうものを実は攻めの農水本部で集めまして、現場の宝と呼んでおりますが、どうしてそこはうまくいったのかということを少し整理して、いろいろな共通点があるようでございますので、そういうものをほかのところにも似たような取り組みとして横展開で波及していけるように、一体どういう政策で後押しをしていったらよいか、こういう順番で今施策を展開しておるところでございます。

 したがって、誰々だからという余り固定された概念にとらわれずに、いい取り組みをどんどんと伸ばしていくような展開ということを積極的に推進して、先ほどちょっと申し上げました、二月から始まりましたファンド等も活用して、いろいろな小さい芽を大きく育てていけたら、こういうふうに考えておるところでございます。

村岡委員 ぜひ、そういう成功事例もどんどん農業者の方々に情報として出して、マッチングもやっていただきたい、こういうふうに思っています。

 ですから、先ほどの企業所有というのは実は何かというと、農業者が例えば半分、企業者が半分、両方リスクを背負いながら一緒にやっていくというような形もあっていいんじゃないか、こう思っているわけです。全部企業者に、一〇〇%じゃなくても、農業者は生産というプロです、経営者は経営というプロです、一緒にお互いを補完しながらいくときに、お互いに出資をするという意味での、それが、土地も出資して、リスクも当然あります、しかし一緒にやっていこうという中で、私は、どんどんそういう形で進んでいくのがやはりこれからの農業じゃないか、そういうふうにしていかなければ、これまでの対策を幾ら積み重ねても、なかなかうまくいかないんじゃないかという懸念を持っています。これは我々、また主張していきますので、次に移ります。

 それから、大臣も言われていますけれども、農林水産物、食品の輸出ということで、四千五百億から一兆円、そして、農林省の予想でも、世界の食市場規模は三百四十兆から十年後は六百八十兆と、どんどん伸びていく。しっかりと日本食を売り込んでいくということだと思うんですけれども、FTA締結国の比率を上げるというのは、その目的のために一九%から七〇%にしよう、こういう目標なんでしょうか。

林国務大臣 今、我が国の貿易の中で、FTA締結国との間での貿易量が占める割合というのは他国に比べて低い、こういうことでございます。

 やはり、少なくとも同じ条件で競い合っていくという、条件を整備して、ただ、条件が同じになったからこっちのものがどんどん出ていくか、そんな甘い話ではないわけでございますが、少なくともそういうところはそろえていこうということで、必ずしも、我が省、関連部分ということではありませんけれども、政府全体としてそういうことを決めた、こういうことではないかというふうに考えております。

村岡委員 その中で、農林水産省にかかわるのは四千五百億から一兆円の目標で農産物、加工品をふやしていこうということですけれども、この前の大臣のお答えの中でも、今売れている輸出の農産物以外にいろいろこれから考えていくということを、またこれから、農業者も派遣して、加工品とか出ていくと言いましたけれども、やはりこれも、ターゲットを決めていかないと、なかなか一兆円にはいかないと思うんです。

 この対策を立てるときに、農林省として何を一番ふやそうという、品目なり、また加工品なりがあるのかどうか、それともまだこれからなのか、お聞かせ願いたいと思います。

林国務大臣 この間発表いたしました中に戦略というのを書かせていただいて、加工品も、ここにございますように、例えば重点品目として、日本の食を特徴づけるコンテンツであるみそ、しょうゆ等の調味料、菓子類、清涼飲料水等々、重点品目は書かせていただいております。

 先ほど後藤委員とのやりとりでもお話をさせていただきましたように、あらゆる品目についてあらゆる国ということになりますと非常に手薄になってしまいますので、やはり品目を絞って、それから仕向け先の国も絞って、しっかりと重点的にやっていく。

 その意味では、マーケティングをして、そこにそもそもニーズがあるのかということをきちっと見きわめてから重点化していくということが大事だと考えておりますので、先ほども少し申し上げましたが、この戦略案をつくった上で、今各ブロックで、実際にそういうことをやっておられる、もしくは今からやろうとされている方を含めて、御意見を聞く会をずっと全国縦断でやっておりまして、そういうことも踏まえて、さらにこれを精緻なものにしていきたいと考えておるところでございます。

村岡委員 ぜひとも、ある程度ターゲットを絞っていかないと、十年後というのは、長そうであって、例えば一年に一遍とれる農産物だともう九回しかないんです、それを加工品にしていくにしても。やはり、ここは農林省がスピードアップしながら、どの品目なのか、またどの国に対して日本食を売り出していくのか、これを絞ってやっていっていただきたい、こういうふうに思っております。

 次に移らせていただきますが、先ほど民主党の議員の先生も御質問しましたけれども、農業、農村全体の所得についてということで、三兆円倍増、それは農村社会全体だ、こういうふうな形で言っておりましたけれども、これもやはり先ほどの先生が言われたように、メッセージを間違えちゃうんですね。自分の所得が倍になるとやはり感じてしまうんです。やはり書き方の問題だと思うんです。農村社会の所得をふやしましょう、また、生産額をふやしましょう、こういうことならいいんですけれども、最初に、所得倍増と書いてしまうからこれは勘違いすると思いますが、どう思われますか、政務官。

長島大臣政務官 御指摘の点について私の方から少しお答えをさせていただきたいと思います。

 確かに、私も農家で、農村に住んでいます、だから、農村全体で農業所得をふやしていただくということは、農村にとってはやはり大きな意義のあることだと思っています。そのことと農家一戸一戸の所得が倍増するということは、少し分けて考えなければいけないんだと思うんです。

 一つは、六次産業化によって自分たちの産品が付加価値をつけて、どれだけ所得がふえていくことができるのか、あるいはまた、そのことによって雇用の場所を得ることができて、どういった所得を得ることができるのか、そういうことを総合的に評価をした上で農村の所得がふえていくことを私は期待をしていきたいと思っています。その中にはもちろん輸出産業も含めて、ふえていってほしいなと思っております。

村岡委員 ですから、やはりそこは農村社会の全体の収入がふえていくような形で、農村社会を守っていけるんだ、また発展していくんだということの、もうネーミングを変えた方がいいと思うんです。所得倍増といったら、やはり普通は所得倍増だと思ってしまうんです。そこはやはり変えるべきだと。百五十万円の収入、上がるというのは、それは経済的になるのはいいんですけれども、もう、農業者の所得が倍増というのは、やはりネーミングの問題は、勘違いされちゃいけない、信じられなくなってしまうということだと思いますので、そこは説明をしっかりしていくべきだと思っております。どうぞ、お答えを。

長島大臣政務官 舌足らずだったらごめんなさい。私は、農村の所得が倍増すること、それがすなわち農家が潤っていくことだと思いますから、農村所得倍増ということでいいんじゃないかなと思っている一人であります。

村岡委員 これはやりとりしても始まりませんのであれですけれども、やはり説明をきちんとしないと、農業者の人はそう思っているということを私は言っているわけで、その説明はしっかりとして、全体で生産また所得を上げていこうということだということをしっかりとそれは伝えなければ、せっかくの目標が、後になって、何だ、俺の所得は全然上がっていないじゃないか、こういうことになりますので、そこは、目標をちゃんと定めたらそれを説明していっていただきたい、こう思います。

 もう時間もなくなってきましたけれども、アベノミクスで三本の矢で、これは大変株価が乱高下しているといっても、いっときよりは株も高いですし、いっときよりはそれは円安でありますし、それから経済的な期待も、例えば夜の町に出ても、私も、余り行きませんけれども、非常に人がふえてきたような気がしています。そういう意味では景気がよくなってきたんだなというのは国民も感じていると思います。

 よく、閣僚の人たちがテレビに出てくると、異次元の対策とか異次元のスピードでこのアベノミクスは進んでいる、世界にも発信していると。何でしょうか、異次元というのは。何か、民主党さんがいると申しわけないですけれども、昔、宇宙人という人がいましたけれども、異次元という言葉を使い過ぎのような感じがするんです。しっかりとした対策をとって日本の経済を立て直す。そして、特に農業に異次元なんて使って、農業者はそれはわかりません。先ほど、スピードアップしてやるべきだと言いましたけれども、でも、異次元のスピードでは農業はよくなりません。やはり、地道な対策をとって、そしてスピーディーに、その上で、異次元ではなく現実社会の中で農業は直していかなきゃいけない、こう思っていますけれども、大臣はどう思われるでしょうか。

林国務大臣 私は余り異次元というのは使っていないんですが、やはり、子供のころ、ウルトラマンとかウルトラセブンとか、ああいうのを見ていますと、異次元というのは、何か倒される側の人たちのことを言っているようなイメージがどうしてもあるのかもしれませんが、私は、金融政策でこれまでの金融政策とある意味で非連続的な政策の転換を行った、こういうことが一つあるのではないかな、こう思っておりまして、ある意味では、そういうところは、それを形容する言葉として異次元というのがあるのかなというふうには聞いております。

 今おっしゃっていただいたように、農業、農村の場合は、やはり地道に、先ほどおっしゃっていただいたように、毎年一作ずつ丁寧に積み重ねていく、現場が余り混乱しないように、仕組みもじっくりと時間をかけてやっていく、やはりこのことは忘れてはならない、こういうふうに思っておりますので、少なくとも、今までと不連続にがらっと何かを物すごく速いスピードで変えるということは、この農業、農政の場面では余りないのかなというふうに考えておるところでございます。

村岡委員 質問時間が終わりましたので、きょうはありがとうございました。

森山委員長 次に、林宙紀君。

林(宙)委員 みんなの党の林宙紀でございます。

 二週間ほど前になるんですが、うちの農林水産部会といった、部会ではないんですけれども、私と、あと参議院の農林水産委員の議員と、秋田県の大潟村というところにお邪魔をいたしました。これは皆さんも恐らく御存じのとおりかと思うんですが、昭和三十九年、当時、琵琶湖に次ぐ国内二位の面積を誇った八郎潟を干拓してできた村だということで、百七十平方キロメートルを干拓、これはどのぐらいかと私も物すごく驚いたんですが、山手線がすっぽり入るんだというぐらい大きな農村だということなんですね。水田が一枚、一区画というんでしょうか、二・五ヘクタールもあるという非常に、まさしく大規模農業の先駆地なんじゃないかなというふうに思いながら拝見してきたわけなんですけれども、農家一世帯当たりの配分農地が十五ヘクタールもあるということで、これはかなり参考になる情報があるんじゃないかなと思って見てきたわけです。

 ただ、驚いたことが一つありました。今、政権でも農地集約、大型化というのを進めていると思うんですが、意外と、コストは大きく下がらないんですよねというのが現地の皆さんの感想だったということです。

 先日発表になりましたけれども、骨太の方針の中でも、生産費を四割削減するんだとかそういう議論があったそうですが、大潟村の場合、十五ヘクタール以上になると、一六%ぐらいコストを下げてやっとなんだよというようなお話でした。一台の農機具ではカバーできる面積が限られているということで、結果として、広くなればなるほど、また追加で農機具を買わなきゃいけないとか、そういったこともあって、コストをこれ以上下げるのがなかなか難しいので、何とか考えなきゃいかぬなというようなお話でございました。

 この点は、私たちも、農地を集約するあるいは大規模化していくというところは、党の方針としても大賛成のところではあるんですけれども、新たな課題を見つけたなというところで、これはもうきっと政府の方でも認識されていると思いますが、ぜひこういったところも含めて、今後の政策を打っていっていただきたいなというふうに思いました。

 きょうは、質問はこの件ではなくて、もう一つ、地元の農家の方々から提起されたものについてお伺いしようかなと思います。何かというと、農産物検査を通っていない未検査米の流通についてということでございます。

 これは、委員の皆様は御存じのとおりかと思うんですが、簡単に言ってしまえば、農家の皆さんがつくった米を出荷する際に、一定の規格に満たない米というのが一定量以上まざっていると米の値段が下がってしまうということがあって、あらかじめより分けて、規格を満たしているものは農産物検査にそのまま出す。ただ、規格に満たないものは検査をせずに未検査という状態になるということなんですね。

 基本的に、検査を通っていない未検査米というのは、大体その農家の御家族あるいは御親戚、御近所の皆さんで食べられたりするということだったんですが、一方で、相当な量、これは年間に大体六十万トンほどだと言われていますが、流通はしているそうなんですね。その中の大体三十万から四十万トンほどは、実は一般米、普通に流通しているお米にまぜて売られているということが結構な問題であるということを地元の方々にお伺いしました。

 この点について、国としてはどのように実態把握されているのかというのをまずお伺いしたいと思います。

林国務大臣 農林水産省におきましては、主食用に活用できるものとして、一・七ミリメートル以上のふるい目によって収穫量の調査を行っておりまして、これが二十三年産では八百四十万トン、こういうことでございます。

 このうちで、今委員がお話のあった農産物検査を受けて出荷、販売されているものは五百五万トン、こういうことでございますので、この八百四十と五百五の差に当たります三百三十五万トンは検査を受けていない、こういうことでございます。

 したがって、国は、その流通の詳細というのは把握をしておりませんが、主に、今委員がおっしゃっていただいたように、農家自身の家庭内での消費とか親類縁者等への無償の譲渡のほか、中食とか外食等の業務用となっているものが多いというふうに推測をされております。

林(宙)委員 ということで、業務用でも出回っている。それは全然悪いことではないんですが、消費者向けには、基本的にはこの未検査米というのはなかなか売られていない。

 私もひとり暮らしが長かったです。十六年ぐらいひとり暮らしをしたと思うんですけれども、そのときはお米を自分でちょこちょこ買いに行くものですから、やはり、袋に入った米をどこ産なのかなとか見るわけですよね。そうすると、きょう、お手元に一枚だけ資料をお渡ししておりますが、ここに、こういった形で、原料米とか販売者、こういったことが書いてあるわけなんです。

 例えば、未検査米というのは売れないわけではないということなので、そのときはどうやって売っているんですかというのを、この資料を見ますと右側の一番下の箱になると思うんですが、一応未検査米と書かれて売っているということでございました。ただ、私自身はこれを見たことがありません。役所の方も、基本的に未検査米は消費者が余り買わないから、なかなか流通というか仕入れもされないんじゃないでしょうかねというお話だったわけなんですね。

 これは一つ確認させていただきたいんですが、こういった形で消費者向けに袋詰めして販売する際には、未検査米であるということを表示しなければならないという義務という理解でよろしいんでしょうか。お伺いします。

菅久政府参考人 お答えいたします。

 まず、農産物検査による証明は義務ではなく任意の制度でございますので、農産物検査を受けていない未検査米でありましても、販売は可能ということでございます。

 この際に、玄米及び精米品質表示基準というのがございます。これによりますと、産地、品種及び産年について証明を受けました単一原料米というものがございます。これでないもの、こういうものにつきましては、複数原料米といった表示によりまして、原料玄米の産地、品種及び産年が同一でないということ、または産地、品種または産年の全部または一部が証明を受けていない旨を記載しまして、その産地及び使用割合を併記するということにされております。したがいまして、必ずしも未検査米という文言を用いる必要はないということでございます。

 もちろん、全て未検査米の場合に未検査米と書いたり、また、一部未検査米の場合に一部未検査米と記載するということは可能ということでございます。

林(宙)委員 ありがとうございます。

 この関係のお話というのは、これまでも何度か農林水産委員会で取り上げられているんじゃないかなと思います。今御答弁の中にありましたように、未検査の米については、もちろんその品種ですとか何年産ですよとかいったものは表示ができないことになっていますし、また、生産者の名前、誰々さんがつくりました、これを表示する、それを義務づけるような法律も当然ございません。

 ただ、もしこれを、未検査であるとはいえ、私の田んぼの、ここでつくったほかの農産物検査を通った米と同じ条件でつくりましたよという場合に、やはり、たまに農家の方がこれを表示してしまう、どこどこ産のコシヒカリですとか書いてしまった場合は違反になるということになるわけですね。

 何でそういうふうに違反という形にしているんでしょうかと聞いてみたら、これは産地や品種の偽装というのを防ぐためなんだと。それはそうですよね。こういった検査をしていないものにもどこどこ産と自由に書いていいですよというお話になれば、どこから持ってきたかわからない米についても、例えば非常に高いブランド米と言われているような表示ができてしまう。それはそのとおりだと思うんですね。

 資料の、先ほどの未検査米という表示の一個上になるんですが、複数原料米というのがございます。これはブレンド米ですね。これはひとつ問題なんじゃないかなと思っているんです。未検査米であるという、一〇〇%未検査米のときは下のように表示をする、あるいは書かなくていいようなことになっているんじゃないかなと思うんですが、この複数原料米というのはちょっと問題だなと思っていて、ここに未検査米が入ってしまった場合、当然未検査米と書かなくていいということになっているんだそうです。

 ここが、実はこの未検査米流通の、闇と言ったらちょっと問題ですけれども、一番まずい部分なんじゃないか。要は、未検査米というのは非常に安い価格で流通しているわけです。ただ、ここにはどういったお米が何割入っていますよという、別に表示を義務づけているわけじゃなくて、ここの括弧書きの中は、これは農産物検査をしたお米が何割入っているというのは表示してもいいですよというたてつけなので、別に書かなくていいわけですね。そうなると、要は、複数原料米、国内産十割と表示しておけば、未検査米がどれだけ入っていてもわからないというシステムになっております。

 一方で、未検査米がまざっている米というのを、そうはいってもそんなに流通させていないんじゃないのかと私は最初思ったんですが、そもそも地元の方が、いや、未検査米で大分もうかっている人もいるんだよねなんてわざわざ言うぐらいですから、もうかっていなければそんな問題になるはずもないので、やはりあるんだろうなと私自身はちょっと確証しているところがあるんですね。

 こういったところが一番隠れみのになっているんじゃないかなと思うんですけれども、済みません、これはきのう通告に入れ忘れてしまったので大変申しわけないんですが、ここに表示をしないことで、未検査米が事実上幾らでもブレンドできてしまうようなたてつけになっている。これについては、今後何か対応していこうかなとか、いや、今の現状維持なんですということがあるのかどうかだけ、ちょっとお聞かせいただきたいと思うんですが、よろしいでしょうか。

菅久政府参考人 お答えいたします。

 現在のところ、今の表示のこの仕組みというのを直ちに変更するというようなことの検討をしているということはございません。

林(宙)委員 今まで、これでそんなに大きな問題があったわけじゃないだろう、一部そういったお米を扱っている業者さんが利益を上げているということだけだという判断であれば、私はもうそれで仕方がないのかなと思います。

 しかしながら、一方では、農産物検査、これはコストがかかりますから、これをしっかりとやって、未検査米については、売るのであればしっかりとしたルールにのっとって売る、あるいは自家用で消費するんだというようなことをしっかりやっている農家さんも非常に多い中で、大変納得のいかないお話なんじゃないかなという意味での問題提起だったんじゃないかなと私は思うわけです。

 これは今のところは対応されないということなので、ただ、こういった問題が起こっているということだけはぜひ御認識はいただきたいなというふうに思います。

 あと、米の検査という意味でいくと、今、農産物検査と先に言いましたが、私は最初に未検査米という表示を見たときに、安全性の検査なんじゃないかなと思ったんですよ。要は、変な化学物質がまざってないですよ、これは安全な米ですよというようなことを担保しているものなのかなと最初思ったんですが、実はそうじゃないんだそうですね。

 この農産物検査法に基づく検査というのはどういったものなのかというのを、簡単で結構なので教えてください。

佐藤政府参考人 林先生の御質問にお答えいたします。

 農産物検査でございますが、これは昭和二十六年に制定されました農産物検査法というものに基づきまして、米、麦、大豆等の農産物について、農林水産大臣の登録を受けた民間の検査機関が、国で定めます検査規格に基づき検査し、証明することにより、農産物の公正かつ円滑な取引と農産物の品質の改善を助長することを目的とした制度でございます。

 具体的に申し上げますと、米につきましては、まず生産された年、そして産地、あるいはコシヒカリとかササニシキとかいったような品種、それと品位等、こういうものを検査しているところでございまして、このうち、具体的に品位の検査につきましては、玄米を精米にした場合の歩どまりの判断の目安となります粒の成熟度、あるいは水分の含有率、あるいは病害虫被害を受けた粒の混入率等を鑑定いたしまして、そうしたものを分けまして、一等、二等、三等、規格外といったような等級の格付を行っているものでございます。

 以上でございます。

林(宙)委員 ということは、安全性についての考慮というのは基本的にはない、歩どまりが一番大きな問題だということなんですよね。

 ということは、多少米が小さい、先ほど大臣の方からは一・七ミリとおっしゃったと思いますが、そういった規格があると思うんですね。その規格に合わない小さな米だったとしても、その米については値段が多少安くはなるんだろうなと思いますが、値段が安ければ、多少小さい米、あるいは品質としてほかのお米よりは多少落ちるのかもしれないけれども、買ってみたいなという消費者、あるいは小さい、小粒なりの利用法などもあったりするはずなので、それはそれである程度の需要があったりするのかなというふうに想像はいたします。

 ただし、未検査と書かれたら、これは実際に地元で、私、周りの友人たち何十人かに聞いてみたんですけれども、何か未検査と書かれると、危ないんじゃないか、これは危ない米なんじゃないかというふうに思うよねというのがほぼ十割、ほぼ十割というか九割九分そういう意見だったわけです。

 となると、そもそも未検査米というのは主食用としては流通しないものなんだからということでいいのかもしれませんが、でも、こういったものを市場に出そうとしたときに、それは誰も買いませんよねという話になってきます。

 それが実際どのぐらいインパクトがあるのかはいいとして、こういう表示の仕方というのはもうちょっと考えていった方がいいんじゃないでしょうかというのが私の問題提起です。フェアじゃないというか、一見して、やはり中身がどういうものかある程度わかると誤解を招かないというのが、とにかく表示というものに関しては非常に重要なことだと思います。だから、この未検査というのを一度考え直していただいた方がいいんじゃないか。

 もちろん、それで安いお米が出たら、それはそれで、今売れている米からちょっと安い方にシェアがシフトしてしまうという可能性もありますので、そういった意味で反対される農家さんなんかも、もしかしたら、いるかもしれません。でも、その辺はやはり消費者の選択というところも入ってくると思います。

 そういった意味で、この未検査米、そもそも市場に流通しているという時点で、売る、あるいはそこに対する需要みたいなものがあるんだと考えれば、そこを、何となく、正しく売っていく、扱っていくという方法論は必要なんじゃないか、私自身はこのように考えております。

 先ほど申し上げましたが、少なくとも、消費者がわからない形で未検査米をまぜて売る、しかもそれが法には触れない、さらに、それで利益を得られるような構造があるというのは、これはやはりコストを負担して検査をしっかり行っている農家の皆さんにとって大変申しわけないというか、失礼なんじゃないかなというふうに私は思っております。

 ということで、例えば、これが一〇〇%正しい方法かわかりませんが、この農産物検査が安全のための検査ではない、歩どまりによる品質確保のためにやっておられるということであれば、今、未検査米と言ってきましたが、多分、砕粒米、細かい粒だということになるんだと思いますので、こういったものの混入割合による何らかの等級表示みたいなものがあってもいいのではないかなと私は思います。

 規格より小さい米がどの程度混入しているかによって、一等米とか二等米、三等米、もし、検査を通っていないですよというのであれば、それは等級表示なしとか、一番下、例えば五等米にするとか、そういうことをやっていけば、ある程度消費者が、どういった品質の米なんだなと。その場合には、米の品種とか生産年、あるいは生産者の名前をしっかりトレースするシステムにしておいて、五等級だけれども、一応ここの県のここでつくられたこういう品種ですよというのがわかれば、それは消費者が品質と値段に応じてしっかりと自分で判断して買っていくことができる。

 私はなぜこんなことを言うかというと、一時期、大変収入が少ない時代が三年ぐらいありまして、そのとき、米を買うのを非常にためらったんですよ。やはりお米はおいしい、そしてしっかりとそこそこの値段がするといったときに、ここまでの品質でなくても、とりあえずお米を食べたいという欲求を満たすには、もう少し安い米がないものかなと思った時代があったんです。

 そういった需要を、いいかどうかわからないですが、もしそういう需要があるんだったら、国産でそこが満たせるんだったらやるべきなんじゃないかなというところから発想した質問なのでございますが、こういった形で等級表示をしていくということに関しては、政府としてはどのようにお考えでしょうか。

菅久政府参考人 お答えいたします。

 砕粒米の混入割合に応じた何らかの等級表示ということでございますけれども、まず、ふるい目幅が一・七ミリ以上のふるい下米につきましては、現在も主食用といたしまして流通しておりますが、安全性において特段の問題はないものと考えております。

 また、消費者庁におきまして、通常の粒よりも小さい砕粒を含みます複数原料米につきまして、食味の検査を行ったことがございます。これによりますと、砕粒の混入率の違いによる食味の差というのは認められなかったという結果も出ているところでございます。

 また、さらに精米を袋詰めした後におきましても、流通の過程でその取り扱いによって砕粒が発生するということもあり得るということでございまして、このような点を踏まえますと、御提示いただいておりますいわゆる等級表示、これにつきましては、仮に検討するといたしましても、その必要性を含めまして、慎重に考えていく必要があるんじゃないかなというふうに今のところは思っているところでございます。

林(宙)委員 食味に差がないんだったら別にやってもいいんじゃないかなというのが私の考えですが、時間も来てしまいました。

 本日は、多少マニアックな質問で、大変失礼いたしました。ありがとうございます。

森山委員長 次に、畑浩治君。

畑委員 生活の党の畑浩治でございます。

 先般、佐賀県に委員派遣で行きまして、そこで私が感じたのは、攻めの農林水産業を過度に打ち出すことにちょっと違和感を感じたという感じです。

 というのは、唐津うまかもん市場で地産地消の取り組みをやっておられる、そして、蕨野の棚田という、条件の厳しい中で工夫して棚田をつくっておられる、こういうのを見るにつけて、ああ、農林水産業は地域に根差した産業であって、こうやって地域が頑張ってやっているんだなというふうに思って、国土を守っているということも非常に感じたわけでございます。

 そういう中で、結局、農業というのは、先ほど大串理事も話がありましたが、地に足をつけて安定的にやっていくことが大事だなとつくづく思いました。

 このような、個々の農林水産業者を大切にしながら地域に根差した安定的な農林水産業の維持発展を図っていく、これがやはり農林水産業の基本ではないかなと思った次第であります。

 こういう中で、蕨野では、中山間地直接払い、これについての継続と拡充について要望があったわけです。私のところも中山間地の権化みたいなところでございますので、そういうところをしっかり支えなきゃいかぬと思っております。

 この中で、もっときめの細かい基準があった方がいいとか、あるいは、単なる勾配ではなくて、田が狭ければ狭いほどこれはコストがかかるわけだから、そこに対する勘案も必要だと宮腰筆頭もおっしゃっておられましたが、こういうところを踏まえて、やはり中山間地直接払いの支援措置の継続と拡充は必要だと思いますが、政府としては、今どのように考えておられますでしょうか。

林国務大臣 中山間地の地域の直接支払い制度でございますが、条件不利地域における生産条件の格差を是正するための直接支払いということで、もう平成十二年度に導入をしておりますので、十三年を経過して、制度として定着しておりまして、中山間地域、我が山口県もそこは多いわけですが、大変に評価をいただいているところでございます。

 先ほどもちょっと議論になりましたが、二十分の一以上の急傾斜と百分の一以上の急傾斜、これを田の場合は分ける、それから、畑の場合は十五度以上の急傾斜と八度以上ということで、単価をそれに応じて分けている、こういうことでございますが、制度の導入時において、そのときにいろいろ調べて、データをとって、生産条件がこれぐらい変わるだろうということで、これを導入したわけでございます。

 今後どうしていくかということについては、今の実態をきちっと調べるということと、それから、従来こういうことでやってきて、どういう効果があったかということを調査するということで、今調査しておるところでございますので、この調査結果を踏まえて、適切に検討してまいりたいと思っております。

畑委員 ぜひとも適切に検討をいただいて、適切に措置をしていただくことを期待しております。適切にという意味は、当然、これはそれなりに続くし、それなりにしっかりと改善されるということだと思っております。

 こういう安定的な農林水産業をやっていくという観点で申し上げますと、現在施行されている経営所得安定対策、これは民主党政権の戸別所得補償でありますけれども、急激な方向転換はやめて、安定的に行ってほしいという声が実は圧倒的でありまして、私が聞いているところは。

 これは民主党さんもそうですが、私たち生活の党も、今度の参議院の選挙の公約に戸別所得補償制度の法制化と安定的な実施というのを盛り込もうと考えております。そういうことで、過日は、民主党、社民党とともに戸別所得補償法案を提出したというところでございます。

 この戸別所得補償制度、もちろんいろいろ指摘があって、不十分なところはありますが、その方向性はやはり正しいと思っております。

 というのは、これは全販売農家を対象にしながら、農家の生産者としての農業所得のミニマムな補償を可能な限り追求するというところと、食料自給率の向上を目指すというところで、基本線というのは本当に正しいと思います。あとは、至らぬところはどうやって運用改善というか、制度の改善も含めてやっていくかというところではないかと思いますが、ここはしっかり大事にすべきだと思っております。

 一方、政府・与党で検討されている、本日も議論がありましたが、日本型直接支払い制度、これはどういう制度になるかというのはまだはっきりこの国会で議論できる状況ではないので、私も詳細はわかりませんけれども、例えば、ちょっと危惧するところは、販売農業者を対象とするような戸別所得補償政策と違って、価格政策と異なって、農地を農地として維持するというのは、これは結構曖昧な概念だと思います。

 ですから、支払い対象の政策的な選別とか特定が可能であって、選別政策として用いられかねない部分があるんじゃないか。例えば、かつて品目横断的な面積要件というのもありましたが、販売農家とかそういうところの客観的な指標と違って、ちょっといろいろな政策的に切り分けられかねないような概念だと私は危惧しています。

 あと、直接支払いの額というのは、当然、戸別所得補償みたいな形で、生産費と、割れている費用との関係の間をとるという形の客観的な数字ではないのかもしれないという危惧を持っていまして、つまり、政策的に、透明か不透明かは別として、何か設定される額で思惑的なものになりかねないんじゃないかという思いを持っております。

 あと、直接支払いは、多面的機能を維持するというところで、これはこれで重要で、先ほど中山間地の議論がありましたが、それを加えて、戸別所得補償で一緒にして、制度を総合的に組むと、結局、支援ではあっても、本来の労働生産物に対する支払いではないような形の、要は誇りある農業者に対する支援という形じゃなくなってしまうんじゃないかなという危惧も持っております。

 したがって、現行の戸別所得補償制度から出発して、そこは合理的に見直していくというのはあってもいいのかもしれませんが、その概念を変えて日本型直接払い、多面的機能直接払いみたいな形にしていくと、今みたいな危惧を私は感じるんです。

 結局、制度の根幹というのは、まあ名前はいいですよ、これは旧政権なので、今の政権でやりたい名前はあるんでしょうけれども、制度の根幹を変えた形でやっていくということはふさわしくないと私は思うんですが、見直しに当たってどのような考え方をされるのか、そこの認識を含めて、ちょっと大臣にお伺いしたいと思います。

林国務大臣 名称については、今お話がありましたように、経営所得安定対策に変更した上で、現場の混乱を招いてはいけないということで、基本的には二十四年度と同様な仕組みをやっていこうということで、本格的な見直しは二十六年度に向けて行っていくということでございます。

 自民党の衆議院選挙のときの公約にも、多面的機能を評価した日本型直接支払いの創設ということで、水田のみならず、畑地も含め、農地を農地として維持することに対価を支払う日本型直接支払いの仕組みを法制化します、さらに、農業における中山間地域直接支払いや農地・水管理支払い、林業における云々、水産業における云々ということを充実強化します、こういうふうに書かせていただいておりまして、それと並んで、担い手総合支援新法、この二つのやり方でやっていこう、これが総選挙の公約でございますので、やはり考え方の基本はこの公約に基づいてということでございます。

 これを今から、調査費を計上して、詳細なデータをとって、先ほど収入保険の話もございましたけれども、いろいろなデータをとってみて詳細設計をしていく上で、今先生がおっしゃったいろいろな論点、当然踏まえてやっていかなければならないと思っておりますので、先ほどちょっと御議論があったように、異次元ではない、きちっとした連続性のある、現場が混乱しないようなものにしていく必要があるというふうに私も考えております。

畑委員 ぜひともよろしくお願いしたいと思います。

 結局、理屈の立て方が、どっちからいくかは別として、大体すり合うところは穏当なところに来るのではないかというふうに思ったんです。

 要は、農地を農地として維持するということを前面に出してやっていくと、結局、例えば支給する農家が広くなる、そういう場合には、かえって、ばらまきというそしりも逆に受けることになりますでしょうし、あるいは、例えば零細農家でも補助金をもらえるような形に拡充されるとすれば、今、政府がやろうとしている農地の集約の妨げになるという議論もあるところなので、そこは極端な形の変更はないし、やはり穏当なところに落ちついていくんだろうと思っていますので、そこはよろしくお願いを申し上げます。

 次に行きたいと思うんですが、食料自給力、これについてちょっとお伺いしたいと思います。

 私は、三月十九日の本委員会で、新聞に載っていましたので、食料自給率から食料自給力に政策目標を変える検討をしているんじゃないですかという質問をしたところ、これは、そのような事実はないという、そのときの答弁はいただきました。

 今回の食料・農業・農村白書を見てみますと、食料自給力というものの記載が復活したということであるわけです。これを見ていると、ちょっと勘ぐった見方をしてしまうんです。つまり、TPPに参加すると、食料自給率は、これはどんな対策を打ったって、今でもこの五〇パーという目標はかなりハードルの高い目標だと言われていますが、これはしなきゃいけませんが、食料自給率は、TPPに参加すると、農水省の出されている試算は、現行の四〇パーから二七%に低下すると試算されております。

 結局、これは、TPP参加を見据えて、自給率を目標とする政策からの転換を見据えて逃げを打ったのではないかというふうに勘ぐられても仕方がないというか、そう言う人がいるわけですが、自給力を打ち出したというのはどういう意図でしょうか。その点、お伺いしたいと思います。

長島大臣政務官 御心配の向きについては、私の方からお答えをさせていただきたいと思います。

 自給力の考え方は、平成十七年に策定した前回の食料・農業・農村基本計画などにおいても、農地、農業用水、担い手、農業技術などを構成要素として、不測時も含めた国内農業による食料の供給力を示すものでございます。

 今回公表した食料・農業・農村白書において、四年ぶりに食料自給力を取り上げさせていただきましたけれども、この背景として、我が国農林水産業において、農地面積の減少、農業従事者の高齢化などが進んでおり、中長期的な世界の食料需給が逼迫基調にある中で、食料安全保障の観点から、その向上が極めて重要であるとの認識を持っていたことに原因がございます。

 食料の安定供給を将来にわたって確保していくことは、国民に対する国家の最も基本的な責務であると認識をしているところでございます。自給率については、食料・農業・農村基本法に基づく目標としてその向上を図ることが重要であるとともに、食料自給力についても、国内農業生産の増大の観点とともに重要というふうに認識をしております。

 ですから、今回の白書で、自給率から自給力に軸足を移したということではなくて、将来における食料の供給力ということで自給力という表現を使わせていただいたということでございます。

畑委員 確かに、指標としては自給率を維持するというのが合理的だと思います。自給力というのは、確かに、数値として客観性というか、なかなか指標としてばほっとしているなという思いがあります。そこは政策的な必要性は認めます。そこはそういうことでよろしくお願いしたいと思います。

 結局、自給力は輸入もカウントしているというか換算しているわけで、国民に輸入して食わせるという意味では、その概念に入ってくるのかもしれませんが、ちょっと自給率とはそぐわないというか、そこの感覚も違和感を持っています。

 あと、まさに農地等の農業資源による潜在的な供給能力、これも結局、潜在的には、耕して、いざとなったら食料を供給できるとしても、耕作放棄地あり、あるいは休耕田を急に耕作に適するようにするというのはなかなか簡単なことではないので、あくまで概念上の整理なのかなという思いがしております。

 そういうことで、自給力を目指していくというのはいいんですが、明確な指標というのは、これはカロリーベースがいいのか生産額ベースがいいのかという議論はありますけれども、やはり自給率が数字としてはわかりやすいかなというふうに思っております。

 次に行かせていただきます。

 次に、一つ、自給率を上げるための施策というのを通告しておったんですが、時間の関係もありますので、飛ばさせていただきまして、最後になりますが、農業、農村全体の所得倍増について、きょうはかなり議論がありましたので、私もダブらないような形でお伺いしたいと思います。総論的な質問は前の方がされましたので、ちょっと踏み込んだというか、ちょっと違った観点の質問になるかもしれませんが、その点、お許しをいただきたいと思います。

 結局、所得を倍増させるというのは、個々の農家ではなくて農村全体だというお話でありますけれども、そういうことで、六次産業をカウントしているというのはわかりました。

 六次産業なり周辺産業を考えるという場合に、これは当然、食堂とかあるいは地産地消のそういうお店とかあるわけですし、また、場合によっては、グリーンツーリズムの民宿みたいなところで、地域でとったものを食べさせるということもあるのかもしれません、恐らくこういうのが入っているんだろうと思うんですが。それは、例えば、経営している人が農業をやっていない人、農村からとれたものを、農業をやっていない、そういう民宿経営者とか商店の経営者が売るということはあると思うんです。要は、直接農業に携わっていない人も、農村に住んでいる以上は、そこでそういう二次産業や三次産業で収益を上げたものは、この農村全体に入るのかどうか。

 細かい質問になって恐縮ですが、その点をちょっと確認させていただきたいと思います。

林国務大臣 先ほど少しその議論をさせていただいたところですが、この農業、農村全体の所得、これには、農村地域において六次産業に従事して、例えば今お話のあった加工とか直接販売等を行う人の所得、これも含まれるということでございます。

畑委員 そうすると、直接農業、一次産業そのものに携わっていない人が、農村から出てきた農産物をもとに、お店で三次産業者として売る場合も入るということですね。はい、わかりました。ちょっと議事録に、大臣、うなずいておられるので、そういうことだということで理解します。

 となると、私が思ったのは、農業を、実際に一次産業をやっている人が、あわせて売ることにも携わるとか、あるいは民宿を経営して、あわせてそこで出すとかということだったら入るかと思ったんですが、農村でとれたものを、本来、そもそも農業に携わっていない人が売ったり加工したりすることは、やはり六次産業に入って、そこは農村所得に入るということですね。今、大臣もうなずいておられますが、そういうことだとわかりました。その点は確認させていただきました。

 そういうところも広げながら、結局、先ほど来議論がありましたが、地域の人はちょっと勘違いしていると思います。農業をやっている人は、農業をやっている俺らの所得が倍になるんだと思っていますし、最大限譲ったとしても、二次産業、三次産業の人は農業に関係ある人、全く農業に関係ないで、その地域で住んで、売る人は関係ないだろうという話もあったんですが、関係あるということは、やはり、倍増というのは、かなりいろいろな、水増しと言っちゃ申しわけないですが、ちょっとそういう概念も含んだ概念なのかなと今思ったんですが、どうでしょうか。

林国務大臣 総理がこれを演説されたときも、農業、農村の所得は倍増できるはずであります、ここで正式に、農業、農村の所得倍増目標を掲げたいと思います、こういうふうにおっしゃっておられまして、先ほど私が申し上げたように、例えば賃貸で、農地を貸してしまって自分は耕作をされておられない方に賃料が入る、それに加えて、例えば、直売所に行くとか、今グリーンツーリズムというお話がありましたけれども、そういうことも、農業、農村があることによってグリーンツーリズムが成り立っているわけでございまして、全体として農業、農村の所得を倍増していこう、こういうことを申し上げているということでございます。

畑委員 もう一つ、この点についてお伺いしたいと思います。

 先ほど来、倍増の根拠というのは御説明があったので繰り返しませんが、端的には、安倍総理が話されているあれを私も読んでみると、かつて六兆が三兆に半減したということがありますので、本音を言うとこれを戻したい、これは少なくとも戻さなきゃいけないということがあるんだろうと思います。

 この倍増、他の産業との格差とかいろいろ考えながら、倍増でいいのかという議論をしなきゃいけませんが、大臣、農業、農村所得が倍増になって、もうこれでいいんだと思っておられるか、それとも他の産業との関係から見て倍増で十分ではない、これは一里塚の過程であって、もっと、倍増の次の段階を考えなきゃいかぬという相場観なのか、そこをばほっと言って済みませんが、お伺いしたいと思います。

林国務大臣 まだ、この大きな目標をどうやって達成していくかということがまず一番大きな課題だ、こういうふうに思っております。

 この十年といいますか、この目標でこれを達成すれば、そこでもうそのまま、あとは一円もふえないということは多分ないと思います。そこまで倍増していくということは、それだけの勢いを持っていろいろなことが進んでいくということでございますので、その後も、またそこになってから新しい目標を考えるというよりは、多分、その時点よりも少し前の時点でその到達時を踏まえてどうするかというのはつくっていくということになろうかと思いますが、今の段階では、まずはこの大きな目標をしっかりと達成していくということが大事だと考えております。

畑委員 先ほど玉木議員が、たしか一人当たりのあれをどうするんだという話もしましたが、ちょっと見てみると、確かにEUのドイツ、イギリスなんか、一人当たりで見ると、多分日本が倍増してもまだ上をちょっといっているかなという感じのデータがあるんですが、そういうのも含めて、やはり、倍増でいいということじゃなくて、その時々、その勢いを持って農業をしっかりと拡大していくということが必要だと思います。

 そのことを申し上げまして、終わらせていただきます。ありがとうございました。

森山委員長 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。

 多分、委員会の質疑者としては、私は最後になると思いますので、今国会、締めくくりということになろうかと思います。

 きょうは、私の都合で順序を調整していただきまして、御協力ありがとうございました。

 また、きょうは、先日視察に行った点につきましていろいろとお伺いをする、こういうことの委員会だというふうに承知しておりましたので、そういう点も踏まえて質問をさせていただきたいと思います。

 また、視察の際、現地でいろいろと御協力いただきました関係者にも心から感謝を申し上げたいというふうに思います。

 視察についての質問の前に、まずTPPのことでお伺いをいたしたいというふうに思います。

 きょうは、外務省と内閣官房に来ていただいておりますので、それぞれ質問をいたしますが、まず外務省にお伺いをしたいと思うんです。

 TPP交渉に参加をするという、総理が決断をなさって、そしてアメリカ、また関係各国に通知をして、アメリカは議会の九十日ルールというのがある、こういうことであります。

 それで、いろいろと聞くと、七月の二十三日、最短であれば、その日に協議に入れるのではないか、こういうことも言われておりますけれども、今度、マレーシアでやるようでありますが、七月の二十五日までの日程だということですから、七月の二十三日に入っても三日間しかない、こういう状況でありますが、ここの見通しについて、外務省はどういうふうに承知をしておりますか。

正木政府参考人 お答えいたします。

 先生今御指摘のとおり、先般第十七回の会合がペルーで行われました。その会合の終了後、交渉参加国は、次回、第十八回交渉会合は七月の十五日から二十五日までマレーシアで開催される旨の発表を行っております。

 先生御指摘のとおり、我が国につきましては、いわゆる九十日のアメリカの国内手続の完了を経まして、TPP交渉参加国間の手続、具体的に申し上げますと、寄託国であるニュージーランドによる各国国内手続終了の確認、あるいは日本への正式通報などがとられた後に、TPP交渉に正式に参加することになります。

 もちろん、こうした手続の完了時期は、現時点でまだ全て明確になっているわけではございませんが、単純計算で、米行政府が米国議会に通報した後九十日経過後である七月二十三日から交渉に参加した場合は、実質的に三日間交渉に参加することとなります。交渉の終盤ではございますが、特に二十五日は日本との協議のみに充てられるものと承知しておりまして、今回、会合の主催国であるペルーの発表でも、日本としては、実質的に意味のある形で交渉に参加できるというふうに考えております。

 もちろん、交渉のテキストを入手いたしますのは交渉の正式参加後にならざるを得ませんが、七月会合までに、関係府省の交渉官を交渉参加国に派遣し、可能な限り、TPP交渉の各分野の現状などについて情報収集を行い、得られた情報を分析し、方針を議論した上で、七月会合に臨む考えでございまして、交渉にもしっかり実質的に参画していきたいと考えております。

石田(祝)委員 七月二十三日、最短で入れば三日間は何とかできる、こういうことであります。

 私は、TPPについては、国益を守れないようなTPPには入るべきではない、こういう意見を持っておりますので、しかし、現時点で、総理が決断をして、外交交渉としてやると。国益の最大化ということは、これはぜひ努力をしていただきたいんですが、その結果出てきたものが国益を損なうようなものであれば、これは、国会の中で批准するということは、私は賛成はなかなかできない、こういうことは申し上げておきたいと思います。

 そういう中で、十七日に、内閣官房が説明会を各業界団体を呼んでやっているんですね。残念ながら、私たちにそういう説明というのはなかったわけで、そういう中で、業界団体を呼んで、意見があったら、七月の十七日までに出してくれ、こういうふうな話です。

 それで、これは日本農業新聞を見ますと、国会決議との関係はどうなっているんだ、五品目は守れ、こういうことを我々は決議したわけでありますけれども、そういう説明はなかった、こういうことも新聞記事では書かれておりますが、これは内閣官房として、どういう観点で説明会を持って、我々としたら、全くそういうことを関知せずにやられているわけですから、そういう点で、どういう趣旨でやられたのか、まずお聞きをしたいと思います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 七月にマレーシアで開催される会合から、正式に我が国が参加することになります。この交渉に当たって、関係各国の方で、我が国産業界が得るべきもの、あるいはこちらとして守るべきものといった観点から、産業界、農業界、消費者団体、市民団体代表等、百二十余りの関係業界団体に御参集をいただきまして、これらについて、参考となる御意見を頂戴したいということでお願いをしたところでございます。

 このような団体の方が意見を頂戴する際に参考となりますように、今までの交渉の事前の状況、あるいは今後の予定等について、私どもの方から説明をさせていただいたところでございます。

石田(祝)委員 きょうは、余り時間がありませんので、残念ながらそれ以上詳しくは聞けません。

 あと、大臣にお伺いをしたいんですが、この五品目、米、麦、それから乳製品、砂糖、そして牛肉・豚肉、これを守るんだという国会決議をいたしました。これを大臣にぜひ守ってほしいと思うんですが、最初に申し上げたように、どうも私が、今国会、この委員会の質疑としては最後になりそうですから、ぜひ御決意をお願いしたいと思います。

林国務大臣 TPP交渉につきましては、四月に、衆参両院の農林水産委員会で、米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物などの重要品目の聖域を確保することなどが決議をされております。

 我が国の農産品に関するセンシティビティーについては、まず二月の日米首脳会議で発出された日米共同声明、それから四月の日米合意の往復書簡の中で確認をされているところでございます。

 TPP交渉に当たっては、こうした日本の農産品のセンシティビティーについての日米間の共通認識や委員会決議を踏まえて、国益を守り抜き、聖域を確保するよう全力を尽くす考えであります。

石田(祝)委員 これは、七月の二十三日から三日間ということでありますけれども、そのときに、いろいろな資料、今までもらえなかったものがもらえるんだ、数千ページとかいういろいろな話もありますけれども。

 そういうものをもらって読み込んで、参議院選挙が終わって、臨時国会がいつ開かれるかということもありますけれども、閉会中にでも、その交渉に当たったしかるべき人にぜひ来てもらって、私が与党の立場で言うのもおかしいかもしれませんが、これは閉会中審査をやって、国会の中でしっかり議論をしていかないと、国会が閉会中だからそのまま役人だけでやっちゃいましょうなんということは許されないと私は思うんですね。

 これについては、ぜひ委員長にお取り計らいをお願いしたい、こう思っておりますので、よろしくお願いします。

森山委員長 理事会で御相談をさせていただきます。

石田(祝)委員 では、引き続きまして、今回の視察についていろいろとお伺いした点を質問したいと思います。

 私もうろ覚えでありましたが、調査室から立派な資料をいただきまして、その中に、意見交換したんですけれども、失念しておるようなこともありました。非常に大事なこともありましたので、そういう点を中心にお伺いをしたいと思うんです。

 中山間地の直接支払いについてです。

 一つは、傾斜地の要件ですね。これが、急傾斜と緩傾斜というんですか、その二つしかないのです。私が見たところ、棚田に行って、急傾斜地で、水田、二万一千円というところ以上のところもたくさんあるんですね。これは委員長もごらんになっておりますから、実感としてわかると思いますけれども。これは、もうちょっと上のクラスというんですか、二万一千円じゃない、もうちょっと出してやらないと、あの棚田の石垣をついているところを守れませんよ。

 こういう点で、見直しの機会があると思いますが、これはどなたがお答えいただけるんでしょうか、助成金額等についてどういうふうにこれから検討されるか、お伺いしたいと思います。

實重政府参考人 中山間地域等直接支払い制度についてでございますが、生産条件の格差が農地の傾斜度によって異なりますので、支払い単価につきましては、今委員御指摘のとおりでございますが、田で二十分の一以上の急傾斜の場合、十アール当たり二万一千円、百分の一以上の緩傾斜の場合、十アール当たり八千円としております。また、畑で十五度以上の急傾斜の場合、十アール当たり一万一千五百円、八度以上の緩傾斜の場合、十アール当たり三千五百円などとなっているところでございます。

 これらは、制度を導入した平成十二年度の時点におきまして、生産条件の格差を示すデータなどを踏まえまして導入されたものでありますが、今後の制度のあり方につきましては、現状における実態や従来の制度の効果などについて調査をしていくこととしておりまして、その調査結果も踏まえながら、適切に検討してまいりたいと思っております。

石田(祝)委員 私も、立派な棚田のところを見まして、今守ってくれている人たちは、とにかく自分の代でこの棚田を壊すわけにいかない、そういうお気持ちが非常に強くて、相当御無理をなさっているんじゃないかなという気はいたしました。

 ですから、代がかわったときに、こういう風景が本当にいつまでも守られるのかな、実は正直、こういう心配もしたところなんですね。ですから、これはお金をたくさん出せばいいというものでもないかもしれませんけれども、少なくとも必要条件の一つだろう、こういうふうに思いますので、ぜひ適切に御検討いただけるようにお願いをいたしたいというふうに思います。

 そういう中で、これは本当に具体的な話になると思いますが、棚田を守ろう会の方のお話で、トラクターの共同利用というお話がありました。そういうときに、一台で十町歩を賄うような、そういう共同利用が想定されているけれども、こういうところで十町歩は無理だ、せめて五町歩、中山間地域は五町歩でもいいというような、平たん部との差をつけてほしい、こういうお話がございました。

 一戸一戸がそれぞれ機械を持つよりも、当然、共同利用をすれば、それはコストの面でもいいわけですけれども、いわゆる平地と同じような面積要件で共同利用してくださいよというのはちょっと無理じゃないのか、こう思いますが、この点は、そういうお声がありましたが、いかがでしょうか。

佐藤政府参考人 石田先生の御質問にお答えいたします。

 今先生御指摘の農業機械の導入の支援でございますけれども、融資措置で行うことを原則としつつも、我が省におきましては、農畜産業機械等リース支援事業といった国の直接採択事業でリースの導入を支援しているところでございます。

 今、先生の御質問がありましたものですから、我々も佐賀の方にちょっと問い合わせをしているところでございますが、どうも、先生御指摘のように、農業機械の導入に当たりまして、佐賀県におきましては、高性能農業機械導入計画といったものを定めていまして、そこで定めております下限面積、受益面積を、平たん地域、山麓地域、山間地域といったように地域区分別に定めております。

 今先生がおっしゃっていただいたようなことにつきまして、我々といたしましても、具体的にどのような事業でどのような取り組みを行うのか、ちょっと現地の方にまた赴きまして、まずお話を聞きながら、どのような対応が可能か検討してまいりたい、このように考えておるところでございます。

石田(祝)委員 よく現地の状況もお聞きをいただきたいと思います。

 我々は、現場で聞いたことを、申しわけないんですけれども、全て精査をして質問しているわけではない、そういうお声があったということを紹介しつつ質問をしておりますので、ぜひその点も踏まえて、よろしく御対応をお願いしたいと思います。

 中山間地の直接支払いの最後でありますけれども、これは大臣にお伺いをいたしたいんです。

 これを法制化してくれという声は以前からあるわけです。予算措置ということ、これは非常に不安定だ。これは民主党政権でやられた農業の戸別所得補償、これも予算措置で、法制化ということを私もたびたび言ってきたんですが、農業者の立場からすると、いつも予算措置、予算措置だと非常に不安定である、こういうお声もありますが、法制化ということはどういうふうにお考えか。これは大臣、ぜひ御答弁をお願いします。

林国務大臣 中山間地域の直接支払い制度、これは、条件不利地域における生産条件の格差是正のための直接支払いということで、平成十二年度に導入して以来十三年を経過したということで、予算ということではありながらも定着化してきている、こういうことでございますし、農業者等から評価をいただいているところであります。

 さらに、これを安定的に継続していくために法制化してはどうかということでございますが、先ほどもちょっと議論がございましたけれども、多面的機能の発揮を図る取り組みを進めて、新たな直接支払い制度の創設を今検討している、こういうところでございますので、そういう中で、中山間地域等直接支払い制度を法制化するかどうかを含めて検討していく、こういうふうに考えております。

石田(祝)委員 最後に、視察の最後に行ったところでありますけれども、佐賀県の食肉センターに参りました。そこで、これからどうしていくかという中で、日本は人口がだんだん減ってくる、ですから外国の方に、例えば牛肉の輸出、これはどうしても目を向けていかなくちゃならない。

 そういう中で、例えばインドネシア、人口が日本より物すごく多い、しかし、イスラム教国であるということで、いろいろなお肉の処理についてもいろいろ難しい点があろうかと思います。

 もう時間もございませんので、大臣に、特に牛肉の輸出については、今五十億ですか、五十億のものを二百五十億に伸ばそう、こういうことであります。これは生産ラインの問題を含めて、またハラール認証ですか、こういうことも含めていろいろとやらなきゃいけないことが私はあると思うんです。国内でというよりも、ある意味では外に打って出ていく、国の輸出拡大という方向とも一致をしておりますが、そういうイスラム教国に出すときに非常に難しいところもありますので、これはぜひ国が運営しなきゃいけないと思っておりますが、そういう輸出拡大についてとそういう点、どういうふうにお考えか、お答えをお願いします。

林国務大臣 攻めの農林水産業推進本部で、牛肉の輸出については、今お話しいただいたように、平成二十四年度の輸出額五十七億円を平成三十二年までに二百五十億円まで拡大しようという目標案を出させていただいたところでございます。

 先生今おっしゃったように、イスラムの国向けの輸出、今はまだ微々たるものでございますが、今から富裕層における和牛肉の需要が見込めるだろうということで積極的に推進しようとしておりまして、五月に総理がアラブ首長国連邦へ行かれたときにも、総理と、それから同行した江藤副大臣から和牛肉を紹介していただくということで、トップセールスを行いまして、最初は余り手が伸びなかったようでございますが、誰かが一口食って、そこからは、だあっと、全部売り切れというんですか、売っていたわけじゃございませんが、全部平らげていただいたということでございます。

 ハラールやHACCPの輸出国の要件に対応した屠畜施設の整備、それからロゴマークの普及等による差別化、ブランド化の確立、それからまだ解禁していない国に対する検疫交渉の実施、こういう地道な取り組みを進めて輸出拡大を図ってまいりたいと思っておるところでございます。

石田(祝)委員 だんだんと国が豊かになってくるとそういう動物性たんぱくの方にいくということはどこの国も同じでございますので、和牛についての販路拡大、そういう点でぜひ御努力もいただきたいというふうに思います。

 私もハラール認証がどういうものかよくわかりませんけれども、なかなか難しいようですね。県でやれ、都市でやれ、市でやれといっても、難しいと思うんですね。ですから、これはやはり国がある意味ではガイドライン的なものを協力してやって販路拡大をしていく、こういうことも大事じゃないかな、こういうふうに思っております。

 きょうは、いろいろとお聞きをしましたが、過日の視察について、現地の御意見も踏まえて質問をさせていただきました。どうもありがとうございました。

森山委員長 以上で質疑は終局いたします。

     ――――◇―――――

森山委員長 この際、小里泰弘君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党、みんなの党及び生活の党の六派共同提案による我が国の農林水産物・食品の輸出拡大に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。小里泰弘君。

小里委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきたいと存じます。

    我が国の農林水産物・食品の輸出拡大に関する件(案)

  我が国では、少子高齢化等により農林水産物・食品市場が縮小傾向にある。一方、世界に目を転じると、我が国の農林水産物・食品は諸外国から高い評価を得ており、アジアを始めとした経済発展に伴う富裕層の増加や人口増加により、今後拡大が予想される有望なマーケットが広がっている。

  こうした中、我が国の農林水産業・食品産業を発展させていくためには、世界の経済成長を好機と捉え、日本食文化を広め、農林水産物・食品の輸出拡大に取り組んでいくことが喫緊の課題である。

  しかしながら、近年、我が国の農林水産物・食品の輸出額は頭打ちの状況にあることに加えて、一昨年の原発事故を受け、多くの国・地域において、日本産農林水産物・食品の輸入停止や放射性物質の検査証明書等の要求、検査強化といった輸入規制措置が実施されている等、厳しい状況にある。

  よって、政府は、農林水産物・食品の輸出拡大に取り組むに当たっては、左記事項の実現に万全を期すべきである。

      記

 一 関係者の長年の努力により、本年五月に牛海綿状脳症(BSE)の清浄性が国際的に認められたところであり、我が国の食肉の安全性を国際的に発信し、輸出解禁に向けた衛生協議を加速化するとともに、相手国の衛生条件に対応した食肉処理施設の整備に対する支援を充実すること。

 二 世界的に需要が増大している、養殖生産物を始めとする水産物の輸出については、日本の魚のブランド化を促進するとともに、対米・対EU向けHACCP取得の促進等品質管理体制の確立と迅速な衛生証明書発給体制の構築を図ること。

 三 日本産農林水産物・食品の利用拡大を円滑に進めるため、世界人口の四分の一弱を占める旺盛な食の市場であるイスラム圏においてハラール認証を取得しようとする取組のほか、GLOBAL G.A.P.等、世界の食市場において通用する認証を取得しようとする取組に対し、十分かつきめ細やかな支援措置を講ずること。

 四 野菜・果実等に対する検疫等の制限に対しては戦略的に対応することとし、現在、相手国においてリスク分析を実施中のものについては、科学的根拠に立ったリスク分析の促進を相手国に強く働きかけること。また、野菜・果実等の植物検疫等の輸出に必要な手続を卸売市場で行うことにより、迅速な輸出を実現するとともに、産地間連携による日本の農林水産物を年間を通じて安定的に供給できる体制の構築を実現すること。

 五 急成長する新興国等の市場への食品産業の更なる展開を推進するため、情報提供を始め、商談会、海外でのマッチングの場、各種イベントへの支援等総合的なサポート体制を充実・強化すること。また、原材料の国産化による付加価値の向上等国内農林漁業との連携強化を通じた食品産業の成長発展が図られるよう、日本産農林水産物・食品の地理的表示の保護制度を確立すること。

 六 原発事故に伴う輸入規制措置の緩和・撤廃に向けて、諸外国・地域に正確な情報を提供した上で、科学的根拠に立った対応を強く要請すること。

  右決議する。

以上です。

 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようよろしくお願い申し上げます。(拍手)

森山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

森山委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とすることに決しました。

 この際、ただいまの決議につきまして農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣林芳正君。

林国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨を踏まえ、関係府省とも連携を図りつつ、適切に対処してまいりたいと存じます。

森山委員長 お諮りいたします。

 ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十六分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.