第1号 平成26年2月19日(水曜日)
本国会召集日(平成二十六年一月二十四日)(金曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。委員長 坂本 哲志君
理事 北村 誠吾君 理事 齋藤 健君
理事 谷川 弥一君 理事 宮腰 光寛君
理事 森山 裕君 理事 大串 博志君
理事 村岡 敏英君 理事 石田 祝稔君
井野 俊郎君 池田 道孝君
小里 泰弘君 加藤 寛治君
川田 隆君 菅家 一郎君
清水 誠一君 末吉 光徳君
鈴木 憲和君 武井 俊輔君
武部 新君 津島 淳君
中川 郁子君 橋本 英教君
福山 守君 堀井 学君
簗 和生君 山本 拓君
渡辺 孝一君 後藤 斎君
玉木雄一郎君 寺島 義幸君
鷲尾英一郎君 岩永 裕貴君
鈴木 義弘君 村上 政俊君
稲津 久君 樋口 尚也君
柏倉 祐司君 畑 浩治君
徳田 毅君
平成二十六年二月十九日(水曜日)
午後零時十分開議
出席委員
委員長 坂本 哲志君
理事 北村 誠吾君 理事 齋藤 健君
理事 谷川 弥一君 理事 宮腰 光寛君
理事 森山 裕君 理事 大串 博志君
理事 村岡 敏英君 理事 石田 祝稔君
井野 俊郎君 池田 道孝君
小里 泰弘君 加藤 寛治君
川田 隆君 菅家 一郎君
末吉 光徳君 鈴木 憲和君
武井 俊輔君 武部 新君
津島 淳君 中川 郁子君
中村 裕之君 橋本 英教君
福山 守君 堀井 学君
簗 和生君 山本 拓君
渡辺 孝一君 後藤 斎君
玉木雄一郎君 寺島 義幸君
鷲尾英一郎君 岩永 裕貴君
鈴木 義弘君 村上 政俊君
稲津 久君 樋口 尚也君
林 宙紀君 畑 浩治君
…………………………………
農林水産大臣 林 芳正君
農林水産副大臣 江藤 拓君
農林水産大臣政務官 小里 泰弘君
農林水産委員会専門員 栗田 郁美君
―――――――――――――
委員の異動
一月二十七日
辞任
柏倉 祐司君
同日
補欠選任
林 宙紀君
二月十九日
辞任 補欠選任
清水 誠一君 中村 裕之君
同日
辞任 補欠選任
中村 裕之君 清水 誠一君
―――――――――――――
一月二十四日
国有林野事業に従事する職員の労働関係を円滑に調整するための特定独立行政法人の労働関係に関する法律の一部を改正する法律案(中川正春君外五名提出、第百八十三回国会衆法第五号)
国有林野事業に従事する職員の給与等に関する特例法案(中川正春君外五名提出、第百八十三回国会衆法第六号)
農業者戸別所得補償法案(大串博志君外六名提出、第百八十三回国会衆法第二六号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
国政調査承認要求に関する件
農林水産関係の基本施策に関する件
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○坂本委員長 これより会議を開きます。
国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
農林水産関係の基本施策に関する事項
食料の安定供給に関する事項
農林水産業の発展に関する事項
農林漁業者の福祉に関する事項
農山漁村の振興に関する事項
以上の各事項について、実情を調査し、その対策を樹立するため、本会期中調査をいたしたいと存じます。
つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
――――◇―――――
○坂本委員長 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、農林水産大臣から所信を聴取いたします。農林水産大臣林芳正君。
○林国務大臣 農林水産委員会の開催に当たりまして、私の所信の一端を申し上げさせていただきます。
まず、先般の雪害により被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。今回の雪害では、農林水産関係の被害もかなり生じている模様であり、関係自治体と連携して、被害状況を早期に把握するとともに、被災農林漁業者等に対する経営支援や生産施設の早期復旧にしっかり取り組みます。また、今後も降雪が予想されていることから、気象状況を注視しながら、引き続き緊張感を持って警戒監視を行ってまいります。
私は、大臣就任以来、農林水産業を成長産業とするため、攻めの農林水産業の推進に向けた検討を進め、昨年、今後推進すべき政策改革の内容を示す農林水産業・地域の活力創造プランを取りまとめました。また、これらの施策を着実に実行するため、平成二十五年度補正予算及び平成二十六年度予算案において、必要な予算を盛り込みました。
本年は、攻めの農林水産業の実行元年であります。今後は、このプランに基づき、あらゆる施策を総動員し、強い農林水産業と美しく活力ある農山漁村をつくり上げてまいります。
また、今後の農政の中長期的ビジョンを示すため、食料・農業・農村基本計画の見直しに着手いたしました。今回の見直しでは、これまでの施策を検証しつつ、食料自給率目標及び食料自給力の取り扱いや、農業、農村の所得倍増目標に向けた道筋、農業構造の展望と具体的な経営発展の姿等について検討してまいります。
以下、農林水産行政に関する主要な取り組みについて申し述べます。
第一に、農業の競争力強化であります。
農業の構造改革を進め、経営感覚にすぐれた農業経営体が大宗を占める強い農業を実現するため、人・農地プランの作成、見直しや、昨年関連法が成立した農地中間管理機構の設立等の体制整備と円滑な制度実施、新規就農者を初め多様な担い手の育成確保、女性の能力の積極的な活用を図ります。
また、農業の競争力強化に資する農地の大区画化や、国土強靱化のための水利施設の整備、経済界の知識やノウハウを活用した先端モデル農業の確立等を推進いたします。
さらに、経営所得安定対策の見直しや多面的機能の発揮のための地域活動を支援する日本型直接支払制度の創設に加え、これら制度の安定的な実施に資するよう、関連法案を本国会に提出いたします。また、麦、大豆、飼料用米等の戦略作物の本作化により、水田のフル活用を図るとともに、米の生産調整の見直しを含む米政策の改革を実行します。これにより、意欲ある農業者がみずからの経営判断に基づく生産が行える環境整備や、農業、農村の多面的機能の維持発揮、食料自給率、食料自給力の維持向上を図ります。
第二に、日本の農林水産物、食品の強みを生かせる市場の創造であります。
和食のユネスコ無形文化遺産登録を契機として、二〇一五年のミラノ万博や二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック東京大会も見据えて、日本食、食文化の発信を強化し、国内外の需要を積極的に取り込みます。このため、農林水産物・食品の国別・品目別輸出戦略に基づく輸出拡大等を図るとともに、学校給食、食育等を通じた消費拡大や、薬用作物や介護食品を初め、新たな国内需要に対応した農林水産物、食品の生産、開発、普及を推進します。また、付加価値の高い農林水産物、食品の需要拡大等を図るため、新たな機能性表示制度について、関係省庁とも連携し、検討してまいります。
さらに、これら施策を推進するためには、食の安全と消費者の信頼の確保が重要であります。このため、有害化学物質・微生物のリスク管理や生産資材の安全の確保、家畜・農作物に対する防疫の強化、食品表示の適正化等を図ってまいります。
第三に、六次産業化等の推進及び農山漁村の活性化であります。
農林水産物の高付加価値化を図るため、農林漁業者みずからが生産だけでなく加工、販売等に取り組む六次産業化を推進します。また、異分野融合研究の推進、次世代施設園芸の振興等により、生産・流通システムの高度化を図るとともに、強みのある農畜産物を生み出す新品種、新技術の開発普及や、知的財産の戦略的な活用、農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギーの導入を推進してまいります。
また、地域で育まれた伝統と特性を有する農林水産物、食品について、産地と結びついた名称を登録し、ブランドの価値を保護する地理的表示保護制度を創設するため、関連法案を本国会に提出いたします。
さらに、我が国固有の歴史、文化、伝統、自然を育んできた美しい農山漁村を次世代に継承するため、福祉、教育、観光、まちづくり等とも連携し、都市と農山漁村の交流等による農山漁村の活性化を図ります。また、関係省庁とも連携し、都市農業の振興や被害が深刻な鳥獣被害対策を推進いたします。
第四に、経済連携への対応であります。
グローバルな経済活動のベースとなる経済連携を進めてまいります。このため、交渉相手国等の実質的な輸出関心の把握に努めつつ、農林水産業への影響や食の安全の確保に十分に配慮し、交渉を行ってまいります。
TPP交渉については、米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物等の重要品目の聖域を確保すること等の衆参両院の農林水産委員会での決議も踏まえ、国益を守り抜くよう引き続き全力で交渉を進めます。
また、日豪EPA交渉についても衆参両院の農林水産委員会での決議を踏まえるとともに、日中韓FTA、日・EU・EPA、RCEP等の交渉についても、農林水産業のセンシティビティーに配慮しながら取り組んでまいります。
第五に、東日本大震災からの復旧復興への対応であります。
食料供給基地である東北地方を再生し、創造と可能性のある新しい東北を実現するため、引き続き、復旧に向けた取り組みを進めるとともに、将来を見据えた復興となるよう、農地の大区画化や先端技術の大規模実証研究等を推進してまいります。
原発事故への対応についても、一刻も早い営農再開を支援するとともに、放射性物質の吸収抑制対策や検査実施への支援、風評被害対策を通じて、被災地産の農林水産物、食品の信頼回復を図ります。
第六に、林業の成長産業化であります。
世界第三位の森林率を誇る我が国の豊かな森林資源を循環活用して林業の成長産業化を実現し、美しく伝統ある山村を次世代へと継承してまいります。
このため、中高層建築等での使用が期待されるCLTと呼ばれる直交集成板等の新たな製品、技術の開発普及、公共建築物の木質化の支援等により、木材利用を推進します。また、需要に応じた国産材の安定供給体制の確立や、人材の育成確保、施業集約化を推進するとともに、間伐や路網整備等の森林整備、保全等を通じた森林吸収源対策や森林の多面的機能の維持向上に取り組んでまいります。
第七は、水産日本の復活であります。
我が国は、豊富な水産資源に恵まれた世界的好漁場を有する水産資源大国です。世界の人口増加等により世界の水産物需要が拡大傾向にあることをチャンスと捉え、収益性の高い持続可能な漁業、養殖業を展開し、かつては世界一を誇った日本の水産業を復活させます。
具体的には、浜の活力再生プランや、収入安定対策と燃油等の価格高騰対策を組み合わせた資源管理・漁業経営安定対策の実施、省エネ、協業化等を推進するとともに、水産関連施設のHACCP対応等による輸出体制強化や、ファストフィッシュ商品の選定等による国産水産物の消費拡大を図ってまいります。
以上、農林水産政策に関する基本的な考え方を申し上げました。また、施策の展開に必要な法整備については、今後、御審議をよろしくお願いいたします。
農林水産政策の推進に当たっては、言うまでもなく、現場の生産者を初めとする多くの関係者の御理解と御協力が不可欠であります。現場の宝、現場の声を大切にしながら、地域の実態を踏まえた活力ある農林水産業を実現してまいります。
委員長を初め委員各位の一層の御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
以上でございます。(拍手)
○坂本委員長 次に、平成二十六年度農林水産関係予算の概要について説明を聴取いたします。農林水産副大臣江藤拓君。
○江藤副大臣 平成二十六年度農林水産予算の概要を御説明申し上げます。
平成二十六年度農林水産予算の総額は、関係府省計上分を含めて、二兆三千二百六十七億円、その内訳は、公共事業費が六千五百七十八億円、非公共事業費が一兆六千六百八十九億円となっております。農林水産予算の編成に当たっては、農林水産業・地域の活力創造プランに基づき、強い農林水産業、美しく活力ある農山漁村の実現に向けた施策に予算を重点的に措置したところであります。
以下、予算の重点事項について御説明申し上げます。
第一は、担い手への農地集積、集約化、担い手の育成等による構造改革の推進であります。
担い手への農地集積、集約化を加速するため、農地中間管理機構による事業運営や農地の出し手に対する協力金の交付等を支援してまいります。あわせて、農地の大区画化等の基盤整備や耕作放棄地の再生利用を進めてまいります。また、担い手を育成するため、就農前後の青年就農者、経営継承者への給付金の給付、法人での実践研修等を支援してまいります。
第二は、新たな経営所得安定対策の実施であります。
従来の経営所得安定対策を見直し、飼料用米、麦、大豆等の戦略作物の本作化による水田フル活用を推進するため、飼料用米等について数量払いを導入するとともに、産地交付金を大幅に拡充し、多収性専用品種の導入や麦、大豆を含む産地づくりに向けた取り組みを支援してまいります。
第三は、強い農林水産業のための基盤づくりであります。
水田の大区画化・汎用化、老朽化した農業水利施設や漁港施設等の長寿命化、耐震化対策、山地災害対策等を進めてまいります。また、農畜水産物の安定供給のための施設や木造公共建築物の整備等を支援するとともに、産地の構造改革を進めるため、新たに次世代施設園芸の導入、加工・業務用野菜の安定生産等の施策を講じてまいります。
鳥獣被害対策については、捕獲の抜本強化に向けた取り組みなどを進めてまいります。
第四は、農林水産物、食品の高付加価値化等の推進であります。
農林漁業成長産業化ファンドの活用や医療、福祉など多様な異業種との連携による六次産業化を進めてまいります。また、生産者、実需者と連携した新品種、新技術の開発普及、薬用作物の産地形成等、強みのある農林水産物づくりを支援してまいります。
第五は、日本食、食文化の魅力発信と輸出の促進であります。
和食のユネスコ無形文化遺産登録を契機として、国内外における催事の開催等により、日本食、食文化の魅力を国内外に発信してまいります。あわせて、国別・品目別輸出戦略を着実に実行するため、輸出促進に関する司令塔を設置するとともに、輸出対応型施設の整備等を支援してまいります。
第六は、生産振興対策であります。
畜産・酪農、野菜、果樹・茶、甘味資源作物について、品目ごとの特性に応じた対策を講じてまいります。
第七は、日本型直接支払いの創設であります。
農業、農村の多面的機能の維持発揮を図るため、農地を農地として維持する地域活動や地域資源の質的向上を図る共同活動を支援する多面的機能支払交付金を新たに創設します。あわせて、中山間地域等直接支払交付金、環境保全型農業直接支援対策を引き続き講じてまいります。
第八は、活力ある農山漁村の構築であります。
都市と農山漁村の共生・対流等を促進する取り組みに加え、新たに棚田、疎水など将来に残すべき農村景観、資源を保全、復元する取り組みを支援してまいります。
また、農山漁村に豊富に存在する土地、水、風、バイオマス等の地域資源を活用した再生可能エネルギーの導入等を進めてまいります。
第九は、食の安全、消費者の信頼確保であります。
国産農畜水産物の安全性の向上や、家畜の伝染病の発生予防等の取り組みを推進してまいります。また、食育の推進により食や農林水産業への理解を深めるとともに、食品ロス削減のための国民運動等を実施してまいります。
第十は、新たな木材需要の創出と強い林業づくりであります。
中高層建築に活用できるCLT、直交集成板など新製品、新技術の開発普及等を支援してまいります。また、森林における二酸化炭素吸収量を確保するため、間伐や路網整備等の森林施業を進めてまいります。さらに、森林の有する多面的機能の発揮や山村地域の活性化のための取り組みを支援するとともに、人材の確保育成を進めてまいります。
第十一は、強い水産業づくりのための総合対策であります。
資源管理に取り組む漁業者に対する収入安定対策や燃油価格高騰対策等を講じるとともに、人材の確保育成を進めてまいります。また、水産業、漁村が有する多面的機能の発揮のための取り組みに加え、新たに漁村の課題と解決策等を示した浜の活力再生プランの作成を支援してまいります。さらに、漁業取り締まり船の増隻等により、外国漁船の取り締まり体制を強化してまいります。
次に、特別会計については、先般の臨時国会で成立した特別会計法の改正を受けて、食料安定供給特別会計等に所要の予算を計上しております。
最後に、財政投融資計画については、株式会社日本政策金融公庫による財政融資資金の借り入れ、株式会社農林漁業成長産業化支援機構への出資など、総額一千九百八十三億円を予定しております。
以上で、平成二十六年度農林水産予算の概要の説明を終わります。(拍手)
○坂本委員長 以上で説明は終わりました。
次回は、明二十日木曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時二十六分散会