衆議院

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第3号 平成26年3月18日(火曜日)

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平成二十六年三月十八日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 坂本 哲志君

   理事 北村 誠吾君 理事 齋藤  健君

   理事 谷川 弥一君 理事 宮腰 光寛君

   理事 森山  裕君 理事 大串 博志君

   理事 村岡 敏英君 理事 石田 祝稔君

      井野 俊郎君    池田 道孝君

      小里 泰弘君    大野敬太郎君

      加藤 寛治君    川田  隆君

      菅家 一郎君    笹川 博義君

      末吉 光徳君    鈴木 憲和君

      武井 俊輔君    武部  新君

      津島  淳君    中川 郁子君

      橋本 英教君    福山  守君

      堀井  学君    簗  和生君

      山本  拓君    渡辺 孝一君

      後藤  斎君    玉木雄一郎君

      寺島 義幸君    鷲尾英一郎君

      岩永 裕貴君    小熊 慎司君

      鈴木 義弘君    村上 政俊君

      稲津  久君    樋口 尚也君

      林  宙紀君    畑  浩治君

    …………………………………

   農林水産大臣       林  芳正君

   内閣府副大臣       西村 康稔君

   文部科学副大臣      西川 京子君

   農林水産副大臣      江藤  拓君

   農林水産大臣政務官    小里 泰弘君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    川口 康裕君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 青木 信之君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 森  健良君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房統計部長)          坂井 眞樹君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           小林 裕幸君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  佐藤 一雄君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  奥原 正明君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局長)           雨宮 宏司君

   政府参考人

   (林野庁長官)      沼田 正俊君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         森  昌文君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  徳山日出男君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   梶原 成元君

   農林水産委員会専門員   栗田 郁美君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十八日

 委員徳田毅君が退職された。

三月十八日

 辞任         補欠選任

  清水 誠一君     笹川 博義君

  武部  新君     大野敬太郎君

  村上 政俊君     小熊 慎司君

同日

 辞任         補欠選任

  大野敬太郎君     武部  新君

  笹川 博義君     清水 誠一君

  小熊 慎司君     村上 政俊君

    ―――――――――――――

三月十七日

 森林国営保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 森林国営保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四三号)

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

坂本委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房統計部長坂井眞樹君、消費・安全局長小林裕幸君、生産局長佐藤一雄君、経営局長奥原正明君、農林水産技術会議事務局長雨宮宏司君、林野庁長官沼田正俊君、消費者庁審議官川口康裕君、総務省大臣官房審議官青木信之君、外務省大臣官房参事官森健良君、国土交通省大臣官房技術審議官森昌文君、道路局長徳山日出男君及び環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長梶原成元君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

坂本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玉木雄一郎君。

玉木委員 おはようございます。民主党の玉木雄一郎です。

 きょうは、四十分お時間をいただきましたので、先般、二月の末にシンガポールで行われましたTPPの閣僚会合、私もそれに合わせて現地に行きましたけれども、現地では宮腰先生や森山先生に大変お世話になりましたこと、御礼申し上げたいと思います。そこでいろいろ情報収集、意見交換をした中で幾つか感じたことがありますので、まず、そのことを中心に質問をしたいと思います。

 一つは、当委員会でもしばしば話題になりますTPAについてであります。

 アメリカは、合衆国憲法上、外交交渉権限が原則的に議会にあります。それを、例外的にといいますか、法律で行政府に移譲して、その中で交渉していくというのが基本的な枠組みであります。日本が日本国憲法の中で内閣に外交権限があるということとは少し様相が違っております。

 その意味で、現在、TPP交渉が行われておりますけれども、アメリカ政府、オバマ政権は、TPAの権限の取得なく、今日まで交渉してきております。心配なのは、要は、せっかく苦労して妥結をしても、後で議会に持って帰ったらひっくり返されてしまうということがやはり常に可能性として残っているのではないのか、その中で交渉を進めていくことが、日本の強い交渉力を発揮する上ではむしろマイナスになってしまうのではないかという問題点であります。

 これに関して、まず質問したいのは、米韓FTAの際に、これは私の理解では、妥結をした際には、二〇〇七年だったと思いますが、このときにはTPAがあったんですけれども、その後、議会で最終的にこれを批准するという手続の中ではTPAが失効して、その中で、実は、妥結の後に追加交渉が行われ、そして、いわば韓国側には貨物自動車や豚肉で追加の譲歩が求められたというふうに私は理解をしております。

 日本についても、TPP、今交渉が進んでおりますけれども、TPAをアメリカ政府が議会から取得しないまま交渉が行われ、仮に妥結したとしても、その後に追加の交渉あるいは追加の譲歩といったようなものを、これは理論的には求められる可能性があると思います。

 まず、TPAなくしてTPPが妥結した際に、追加の交渉や追加の譲歩といったようなことが求められる可能性があるのかないのか、この点についてお答えください。

西村副大臣 お答えを申し上げたいと思います。

 TPA法案、これは米国の国内の法案でありまして、審議もこれからということでありますけれども、これは米国内の話でありますが、引き続き注視をしていきたいと思います。

 今回、十二カ国が交渉しておりまして、基本的に、それぞれの国の国内手続はそれぞれの国が責任を持ってやるということで臨んでおります。我が国におきましても、この決議を踏まえながら、国会でしっかりと御承認いただけるように我々も交渉に臨んでいるところでありますけれども、妥結後に他国の事情で再交渉を求められた場合にも、基本的には応じないという姿勢で臨んでおります。

 これは、バイの会談、二カ国の交渉ではなくて、十二カ国あります。各国の利害がいろいろ入りまじる中で、いわば積み木細工のような形で最後の収束に向かってでき上がるものでありますから、どこか一つが崩れると、全部崩れてしまうことになりかねませんので、基本的には再交渉なんかあり得ないというふうに考えております。

玉木委員 西村副大臣、ありがとうございました。

 交渉にかかわることなので言えないと思うんですが、これは甘利大臣も同じような言い方をされていますが、今、再交渉はあり得ないという姿勢で交渉に臨んでいるということなんですが、再交渉は認めませんよという我が国としての明確なメッセージは交渉の中で伝えているのかどうか、この点についてはいかがですか。

西村副大臣 具体的なやりとりは控えさせていただきたいと思いますが、TPAについても、時々はアメリカとの間でも議題になりますし、意見交換、さまざまな形でやりとりはしています。ただ、具体的なやりとりはここでは控えさせていただきたいと思いますが、基本的には再交渉はあり得ないというふうに考えております。

玉木委員 ぜひ、そういう姿勢で臨んでいただきたい。

 甘利大臣もおっしゃっていましたが、そろそろ最終的にいくときにはお互いカードを切り合わなければいけないということだと思うんですが、日本側は幾つか切るカードをちらちら見せているような気がします、報道からすれば。

 ただ、アメリカ側は、TPAがありませんので、中途半端な妥結、あるいはカードを切っても、そんなカードを切るなよと後ろから議会に言われると、実は、切るべきカードの数がアメリカ側は極めて少ないんじゃないのか。日本側はむしろ、比較的柔軟性を持って交渉に臨んでいるので、カードの数が多い。

 そういう中で無理に妥結をしようとすると、日本側からのカードの数が多くて、アメリカは一枚か、それこそ一枚も切らないというようなことで妥結してしまう可能性もあると思いますので、そういうことがないように、ぜひ、アメリカ側のTPA法案の進捗状況、こういったこともよく見ながら交渉を進めていっていただきたいなと思います。

 その意味で、林大臣にお伺いしたいんですが、私は、アメリカの政府がTPAの取得がないまま、むしろ日本から急いで妥結をする必要はないと思っています。TPAを取得していないアメリカ政府とは拙速な交渉は避けて、日本側としては、じっくりと腰を落ちつけて、まさに国益を確保できているのかどうかをきっちりと確認しながら交渉を進めていくべきであり、交渉を急ぐべきではないと思いますけれども、大臣のお考えを聞かせてください。

林国務大臣 今、内閣府からもお話がありましたように、TPAをどうするかというのは向こうの国内事情ということですが、まさに我が国としては基本的に再交渉に応じない、こういうことでやっていきたいと思っております。

 常に私がお経のように言うのは、衆参両院の決議を踏まえて、交渉の早期妥結に向けて政府一体となってやる、こう申し上げております。

 しかし、それは、どこかの期限を切って、閣僚会合があるから、それまでに何とかまとめなきゃいけないとか、どなたかがいらっしゃるので、それまでにまとめなきゃいけない、これは総理も答弁されておられますように、そこまでにまとめよう、こういうふうに言えば交渉のポジションがどうなるのかというのは、少しなりとも交渉に携わった経験のある方ならわかるように、我々はここまでにやると決めて、向こうがそうでなければ、交渉のポジションというのは悪くなる。

 こういうことが考えられると思いますので、どこどこまでにということではなくて、早期妥結に向けて努力をする、こういうことでしっかりとやってまいりたいと思っております。

玉木委員 予算委員会で安倍総理にも質問をいたしましたが、同様の趣旨のお答えをいただいておりますので、ぜひ、焦ることなく、急ぐことなく、しっかりと国益を見定めた交渉をしていただきたいというふうに思います。

 そういう意味で、今大臣から決議の話が少し出ましたので、その点について質問したいと思います。

 決議を守るということは、何度も、総理も大臣もおっしゃっていただいております。このことを我々は信じております。

 ただ、決議を守るというときに、重要五項目についての文脈の中で守るというふうに言いますけれども、きょう質問したいのは、お手元に配っておりますが、資料一、平成二十五年四月十九日のTPPに関する決議でありますけれども、この項目の七番目の手続規定のところであります。五項目についてはぜひ守って交渉していただきたいんですけれども、この決議の情報公開に関する部分については、これもあわせて守られているのか、あるいはこれから守っていく方針なのかということをぜひ確認させていただきたいと思うんです。

 ここに書いておりますように、「交渉により収集した情報については、国会に速やかに報告するとともに、国民への十分な情報提供を行い、幅広い国民的議論を行うよう措置すること。」と書いてあります。このことは、今現在において守られているのか、あるいはこれからも守っていこうとしているのか、このことの認識を問いたいと思います。

 というのは、これまでも記者会見等々で一部情報は出てきておりますけれども、国会に速やかに報告が行われているのか、あるいは、幅広い国民的議論を行うよう措置することということは、ちょっと私はまだ不十分なのかなというふうに思っております。その意味では、TPP交渉に関する情報公開について、この決議の遵守状況といいますか、守っているのかいないのか、十分なのか不十分なのか、政府の現在の認識を教えてください。

西村副大臣 お答えを申し上げます。

 まず、これは委員も御案内のことだと思いますけれども、TPP交渉へ参加する際に、我が国を含めた各国が署名をしております秘密保持契約というものがありまして、交渉の具体的内容に関する情報については公表しない、秘密にしなければならないというふうにされております。我が国もこれにサインをして参加したわけであります。

 その交渉上のいわば守秘義務の遵守と情報提供のあり方については、各国とも悩みながら工夫をしてやってきているところだというふうに思っております。政府としても、これまで、交渉の基本姿勢であるとか共同声明、あるいは結果報告など、公表された文書についてはその内容も含めて、いろいろな場面で、これは関係団体も含めて説明をしてきているところでありまして、我々としては、守らなきゃいけないルールの中で精いっぱいの説明はしてきているという認識であります。

 今後、交渉が妥結した後には、その段階で、ここまでの範囲については公表しようということで、これも参加国の中で決めることになると思いますので、そうした決められたいわば共通理解の範囲内で中身を説明することになります。

 また、妥結後、協定文について、文言上の整理を行って、日本の場合には、さらに日本語訳を行って、法制局にも行って、きちんと同じ用語が同じ意味で使われているか等々の整理をして、署名に至るわけですけれども、その後に、国会審議において、そうした事柄について、協定文あるいはその附属書、譲許表、こうしたことについて提出をさせていただいて、その解釈等についてでき得る限り丁寧に御説明を申し上げて、国会に御審議いただくということになると思います。

 したがいまして、今、交渉の途中ではありますけれども、その段階でできる限りの情報提供を、一定のルールの中で各国とも工夫しながらやっておりまして、我が国も精いっぱいの情報提供をしているという状況だと思います。

玉木委員 私の印象は、我々民主党政権のときも、ちっとも情報を出さないというような御批判を随分いただきましたけれども、むしろ交渉に入ってからの方が余り情報が出てこなくなったなというような印象もあります。

 もちろん、交渉参加国としての義務を果たさなければいけませんから、出せないということだとは思うんです。ただ、ちらほらメディアで漏れてくるような情報を聞きながら、一体どうなっているのかなというような不安だけが非常に募る、そういった日々を送っているような気がいたしております。

 その意味では、先ほど西村副大臣からありましたけれども、各国との共通認識を持ちながら、多分、お互い、自分たちもこの辺まで出すから、この辺まで出そうというような情報公開についての多少のコーディネーションみたいなことが各国で行われているんだと思いますけれども、今副大臣がおっしゃったように、妥結した後はいろいろなルールを決めて出していくんですが、交渉中の情報については、基本的には一切出さないということなのかなと思います。

 ただ、こういったやり方については、実は、各国に不満が結構あります。

 私は、先般、アメリカの議員ともその他の関係国の関係者とも話をしたんですが、特に、アメリカの議員が言っていて印象的だったのは、自分たちもいろいろな交渉、NAFTAとかをしてきたけれども、このTPPの交渉ほど自分たちも情報を得られない交渉はないと、情報の出てこないことの特殊性について話をしていたことが極めて印象的だったんです。

 そういう文脈の中で、先ほど来少し取り上げておりますTPA法案、これは資料の二にあります。いろいろなことがTPA法案には書かれてあるんですけれども、情報公開について、議会に対してもう少し強化をするべきだというようなことが、実はこのTPA法案の中に書かれております。

 少し我が事務所で仮訳のようなことをしておりますけれども、議会及び国民との協議の強化ということで書いていますが、一番最初を見ていただくと、エンシュアーズ・アクセス・ツー・テキストと書いています。ここは、テキストへのアクセスの保証というふうに直訳していますが、要は、交渉内容のテキストを議員が見られるということを、TPA法案が通った際にはこういうことを可能にしようということが書かれてあるわけですね。

 ポイントは、ネゴシエーティングテキストと書いていまして、つまり、交渉中のテキストについての議会からのアクセスを認めてください、認めましょうということが書いてあるわけであります。

 多分、アメリカも、いろいろ情報が得られない中で、議会としてのきちんとした判断をするためにも、最低限の情報はやはり必要なんだと。これは、裏返せば、そういった判断ができるための十分な情報がUSTR、アメリカの行政当局からまだ議会には行っていないことをある種示唆しているのかなというふうに私は思います。

 こういう情報公開を求めるようなことが法案の中に書かれている。私は、当事務所で訳したんですけれども、まず、この事実関係について、これは外務省か、少しファクトの確認をさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

森(健)政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のTPA法案でございますが、本年一月九日に三名の連邦議会議員によって議会に提出され、一月十六日に公聴会が開かれた、それ以外につきましては審議はこれから、こういう状況でございます。

 したがいまして、外国の法律の草案の内容ということで、政府として確定的なことは申し上げるのを差し控えたいと思いますけれども、私どもが法律案の内容を見る限り、議員、議会への情報提供という意味では、次のような規定がございます。

 まず、交渉の過程において、米国通商代表は、連邦議会議員から要求がある場合には、交渉目標あるいは交渉の進捗状況について、当該議員と会合しなければならない。それから、同じく要求がある場合には、交渉に関連する適切な文書へのアクセスを、これは秘密のものも含めまして、提供しなければならない。さらに、米国通商代表は、下院歳入委員会、上院財政委員会などの所管の委員会等と交渉について緊密かつ適時に協議し、十分に知らせなければならない、こういう規定が設けられておると承知しております。

玉木委員 重要な答弁をいただいたと思います。

 一番最初におっしゃられた、これは、私の資料二には二番目のポツのところに、いついかなるときもUSTRは議員との面会、協議に応じる必要がある、協議すべき対象は、交渉の前、交渉中、交渉の後、いずれにも拡大されるというふうに書いていますけれども、ぜひ我々は日本政府にも説明していただきたいなというふうに思うんですね。

 ただ、これもこの間ずっと議論してきましたけれども、国会議員には国家公務員法に規定するような守秘義務はかかっていないので、説明したら、そこから漏れてしまって、交渉の秘密を維持することができないというようなことも言われました。

 なので、このTPPに関する決議の七つ目の項目に情報公開のことがありますけれども、場合によっては、この農水委員会の委員の与野党の先生方にも御協力をいただきながら、例えば、我々自身に国家公務員法と同じぐらいのレベルの守秘義務をかけた上で、まさに我々はインタレストメンバーなので、農林水産委員会とか関係する国会の議員に対しては、ここでアメリカ側が言っているような、必要なテキストへのアクセス、あるいは、TPP本部あるいは関係の当局からいついかなるときもしっかりとした御説明をいただく、そういったことを可能とするような議員立法を出していくことも、これは我々立法府の立場として考えていくべきではないのかなと実は私は思っております。

 なかなかアメリカとは、外交交渉権限が議会にある、行政府にある、違いがありますけれども、最終的には我々立法府が批准するという手続を踏まなければいけません。ですから、そのための責任ある判断をするためにも、こういったTPA法案にあるような、立法府側に情報公開を求めていくような措置を日本の国会の中でもやっていってはどうかというふうに私は思っておりますので、これは与野党の先生方とも相談をさせていただきながら、こういったこともぜひ検討していきたいなというふうに思っております。

 次に、関連して一つ、最近話題の日豪EPAについて質問させていただきたいと思います。

 ここ数日出ておりますけれども、きょうの新聞にも、日豪EPAの中で、例えば、牛肉の関税を、三八・五%を三〇%前後まで引き下げようというような交渉が行われている、こういう報道がなされています。

 私は、日豪の間でしっかりとした合理的な交渉を妥結させて、その中でTPPにも、余り極端ではない、その合理的な交渉の中身をそこに反映させていくのも一つの戦略かなとは思います。

 よく私は例で申し上げるんですが、カレーを全く食べたことがない人が、いきなりTPPという激辛カレーは食べられないので、少し甘口カレーを食べられる準備をしてからこういうものを持ち込む。だって、二国間でもできないことを、いきなりマルチで、しかもハイスタンダードでやるというのは、いきなり激辛カレーを一度もカレーを食べたことがない人が食べるようなものなので、バイの中で、お互いの合意できる範囲で到達点を探るというのは、私は戦略としては間違っていないと思います。

 ただ、その中で一つ気になるのは、三八・五%の関税を三〇%前後に下げていこうということが報道されていますけれども、牛肉、これは日豪のEPAに関する国会決議がありますね。二〇〇六年の十二月だったと思いますが、この中では、牛肉については、重要品目として、除外または再交渉の対象にするべきものというふうにされております。

 そんな中で、TPPという非常に高いものを今見ているので、この三八・五を三〇に下げるのは、何かすごく甘口カレーに見えるんですが、ただ、原点に返って、二〇〇六年の決議からすれば、本来、牛肉という重要項目については除外か再交渉の対象にするというのがそもそもの原点だったのではないのかなと思います。

 資料四に、これはあえてその当時の、決議をしたときの議事録をつけております。ちなみに、これは実は、西川委員長が担当委員長だったわけであります。

 ここに書いてあるように、日豪EPAの交渉開始に関する件ということで決議がありますけれども、一番最初にこう書いています。「米、小麦、牛肉、乳製品、砂糖などの農林水産物の重要品目が、除外又は再協議の対象となるよう、政府一体となって全力を挙げて交渉すること。」となっております。これが原点だと思います。

 しかし、繰り返しになりますが、TPPという激辛カレーをなまじっか見ているばかりに、この関税引き下げについては、余り譲っていないといいますか、随分しっかりと日本側が立場を主張しているように見えるんですけれども、この平成十八年の決議から踏まえれば、今牛肉の関税引き下げ交渉をしていることは、この決議に関して言うと、反しているんじゃないのかなと思うんです。その点についての認識はいかがでしょうか、大臣。

林国務大臣 日豪EPA交渉ですが、この農林水産委員会での決議を踏まえて交渉に取り組むというのは、前から申し上げているとおりでございます。

 今、牛肉の話がありましたが、個別の品目の交渉状況について、報道でございました。報道は承知しておりますが、中身については差し控えたい、こういうふうに思っております。

 これは、TPPの決議についてもいつも同じようなことを申し上げているんですが、決議は、立法府であるこの委員会と参議院の農水委員会ということになりましょうが、その意思表示でございますので、決議の定義なり意味するところというのは両委員会で御判断をいただく、こういうふうに考えております。

玉木委員 そういうお答えになるのかもしれませんけれども、これは、やはりもう一度、この二〇〇六年、平成十八年に決議した原点に立ち返って交渉は進めていただきたいと思います。

 TPPというものに比べれば甘口カレーのようには見えますけれども、ただ、辛いのは辛いので、やはりここは、しっかりと守るべきものをもう一度見定めた上で、日豪の二国間の交渉もしっかりとやっていただきたいなと思います。

 なぜなら、日豪できちんと妥結したもの、関税引き下げ三〇%前後がもし仮に成って、これをTPPに持ち込む、そうなると、完全な、フル撤廃ではありませんから、何かよかったなというふうな感じがするんですが、しかし、TPPの決議も、やはり重要五項目についてはしっかりと国益を守るということを言っているわけで、聖域を守るということでありますから、これは、持ち込んだら持ち込んだで、TPPも、結局は関税の引き下げを牛肉については容認するということになってしまうので、第一関門を簡単に突破されないように、こういうのもTPP交渉を厳しく進めていく上でも大事だと思うのです。両者は極めて密接に関連していると思いますので、日豪の二国間の交渉にも、国益を見据えたしっかりとした態度で臨んでいただきたい、このことを改めて要求したいと思います。

 次に、少し話をかえまして、これもシンガポールに行ってきた際に気づいたので、きょう取り上げたいと思うんですが、資料三をちょっとごらんいただきたいと思います。奮発して、少しいいレストランで食事をしてきたんですが、そのときのメニューを私は写真に撮ってきました。オーストラリア産和牛について、少し質問をしたいと思います。

 これはメニューなんですけれども、はっきり言って、よくできているなと私は思ったんですね。きのう、一部のある新聞社の社説に、オーストラリア産の和牛が広まっていて、ある種、こういう偽りの和牛が広がっているのはけしからぬというような論調だったと思うんです。確かに、和牛というのはもともと日本語でありますけれども、単なるおかしなもの、にせものを売っているのではなくて、オーストラリア産和牛自体のブランディングが極めてよくできていると実は私は思ったんです。

 ここに書いているように、江藤副大臣は専門家だと思うので、あれなんですが、例えば、一番上にオーストラリアン・フルブラッド和牛と書いてあって、いわゆる交雑種ではない、純血種ですよということが書かれてありますし、マーブルスコアというふうにも言われますが、MS、いわゆる霜降り度合いをあらわすスコアリングがあって、これが一体どれぐらいになっているのかということも書かれています。その後、オーストラリア産のアンガス牛のところに書いていますが、肥育日数ですね、二百日、その下には百五十日が出てきますし、百日が出てくる。さらに、グレーンフェッドといって、何を食べさせて肥育したものなのかも、これは全てメニューに書いてあるわけです。

 実は、そのブランディングといいますか、どういうものを消費者に提供していくのかということについては、オーストラリアの和牛は極めて戦略的にやっていると私は感じました。

 もちろん日本も、例えば、佐賀牛とかいろいろなブランド牛を出していますし、A5の十一とかA5の十二とか、こういうのがあります。各産地があるので、皆さんのを挙げていると切りがないので、私のところはオリーブ牛なんですけれども、こういうものがいろいろ出ていますね。

 ただ、統一的なある種の基準とかルールをきちんと定めて、それをまた消費者にもこうしてわかりやすく伝えていくということをやっているオーストラリアの和牛は侮れないと思ったんです。単なるにせものではなくて、これから日本の和牛を国際展開、輸出していこうとすると、日本の和牛はオーストラリアの英語で書くWAGYUに負けてしまうんじゃないのか。日本ももっと徹底したブランド戦略や海外展開戦略を講じていかないと、オーストラリア産和牛に負けてしまうのではないのかなということを感じたんですけれども、この点について、あえてプロの江藤副大臣にちょっとお伺いしたいと思います。

江藤副大臣 私は、家畜商でもないし、肥育農家でもありませんので、プロではありませんが、ただ、委員のおっしゃることは極めて的を得ていると思います。

 我々は、トレーサビリティーを導入していますから、生産者履歴から含めて、どういう肥育状況をしているかも、全てリアルタイムでさかのぼれるシステムはつくっています。ただ、どうも、いいものさえつくれば売れるんだというような考えが我々にはあったんじゃないかという反省があります。

 それから、やはりオーストラリアの人たちはレストランに品物を持ち込んだんだと思うんですよ、うちのを使ってくれと。どうも日本の場合は、香港に日本の焼き肉レストランをつくろうというような発想じゃないですか。

 テレビを見たら、日本のステーキ用のナイフをつくっている業者さんが、うちのナイフは切れますと言って、一流のレストランを一軒一軒回って売り込んでいるのをドキュメンタリーで一回見ました、たくみのわざか何かで。やはりこれからは、世界で名の通った、ミシュランとか賞をとっているようなレストランに和牛を入れていただく努力、個別撃破的な輸出戦略といいますか、そういうものを考えていかないとだめだと思います。

 委員がおっしゃるように、決してにせものではなくて、これは、一九九八年にアメリカ経由で入ってきた純血和牛ですから、遺伝子学的には、日本の和牛であることは間違いがないんですよ。ただ、我々がつくったロゴに後乗っかりをされたという非常に不愉快な思いがありますので、将来的には、今度はこのメニューの上に日本の和牛が載って、その下にオーストラリア和牛が載っかるような、そういう戦略もこれからしっかり一生懸命考えていきたいと思います。

玉木委員 これは私は本当に大事だと思うんですね。

 西村副大臣が行かれたときの十二月のシンガポール会合も、私も現地に行って、そのとき、大使館主催で日本の食文化を紹介するようなイベントをしていましたけれども、実は、私の資料三の右下にあるのは、そのときに撮ってきた写真なんです。

 日本のJAとか農家も、先ほど言った、各県ごとのブランドを売り込んでも、外国人からしたら、何のことかわからぬので、ひとつWAGYUに統一したブランドでやろうという動きをやっております。ただ、これは、非常に皮肉なのは、日本がお金をかけて和牛のブランドを上げれば上げるほど、そこにフリーライドして、オーストラリア産の和牛が売れるようになるんです。

 ですから、こういうことについても、先ほど副大臣から少しお答えいただきましたけれども、やはりマーケティングとかブランディングとか、こういうものをもっと、あるいは個別にレストランに入れていく、こういうことも含めて戦略的に攻めていかないと、日本の努力がかえって相手を利するような、そういったことにつながっていく可能性もあると思うのです。ここは、輸出を拡大していくことは我々も大賛成でありますので、少し戦略の見直しといいますか、敵を知るということは極めて大事だと思うので、もう一度、このオーストラリア和牛の戦略についてもしっかりと分析をして、対策を講じていただきたいなというふうに思います。

 ちなみに、十二月に行ったときは、シンガポール大使館主催の天皇誕生日のレセプションでありまして、そこに非常に日本の豊かな食材が出されておりましたけれども、こういう試みも、戦略的にもっと攻めてもらいたいなというふうに思っております。

 表示に関してもう一点質問をしたいんですが、ノリです。

 これは、ちょっと国内の話に戻しますが、ノリの産地表示は、実は、ノリを単品で、板ノリで売ると、どこの国だというのは書く義務があるんですけれども、おにぎりとか加工食品の一部にノリを使うと、そこについては特段産地を書かなくていいというようなルールになっていると理解をしておるんです。

 ノリというのは極めて大事な要素ですね、例えばおにぎりにすれば。でも、加工品の一部であれば、特にどこのものかわからない。例えば、中国産かもしれませんし、韓国産かもしれませんが、それを消費者は知ることはできないわけですね、コンビニで売っているようなおにぎりのノリが一体どこの産地なのか。

 私は、こういうルールになっているのか、ちょっとそこは後で事実関係を確認したいんですが、もしそうだとしたら、やはりこういうところにも表示をちゃんと求めて、国内産のノリの推進をもっと進めたらいいと思うんです。

 まず、ちょっと事実関係だけ、おにぎりのノリについては表示の義務が課されていないかどうか、これを端的にお答えください。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 おにぎりのノリにつきましては、原料原産地表示の対象品目の選定要件を満たさないため、現在、原料原産地表示を義務づけてはございません。

玉木委員 実は、おにぎりのノリは原産地の表示の義務から外れているんですね。

 ですから、私は、これもやはりちゃんと表示をするようにしていった方がいいと思うんですけれども、大臣、これはいかがでしょうか。国内のノリの振興とか水産振興に非常にいいと思うので、いかがでしょうか。

林国務大臣 この話は、前にもしかしたら玉木委員からもお話があったかなと思っておりますが、やはり加工食品のそれぞれの原料原産地表示は、消費者が適切に商品を選ぶことに資するということと、それから、消費者の需要に即した農林水産物の生産を振興するという意味で非常に重要だ、こういうふうに思っておりまして、食料・農業・農村基本計画においても、義務づけを着実に拡大する、こういうふうに方針が示されております。

 今、消費者庁から現行のお話がありましたけれども、我々としても、やはり生産、流通、消費に関する業務を所掌する立場から、実態や業界の意見を踏まえながら、消費者庁とともに検討を進めてまいりたいと思っております。

玉木委員 これは、農林水産省から、水産振興を図るという観点から、ぜひ関係省庁の協議を進めていただきたいと思いますので、大臣のリーダーシップを期待したいと思います。

 最後に一問、産地資金、産地交付金について質問をしたいと思います。

 これはいろいろなものに使えるということで理解をしておるんですけれども、新しく出てくるような作物もあって、そういったものに柔軟に対応できるような仕組みにすることが、地域の特徴を生かした農作物の振興あるいは地域の活性化につながるのではないのかなと思っております。

 その点に関して、少し具体例を挙げて一問お伺いしたいのは、私の地元の香川県では、最近、希少糖というものを地域の活性化とか産業の振興の大きな柱にしております。

 これは、糖というものの中で極めて珍しい糖で、血糖値の上昇を抑制したりする効果があるので、糖尿病とかそういったことを防ぐ効果もあると言われています。これは自然界にはほとんど存在しないと言われていたんですが、ズイナという植物の中に微量に含まれているということが言われています。

 これを例えば耕作放棄地とかそういったところに植えることによって、産業の活性化にもなりますし、地域の農業の振興にも役立つと思うので、こういったズイナのような作物を産地交付金の対象として推進していくこと、これは地方が決めれば可能なのかどうか、この点について、最後にお伺いしたいと思います。

林国務大臣 水田活用の直接支払交付金ですが、全国一律の戦略作物助成と、それから、あらかじめ各都道府県に示した配分枠の中で地域が取り組み内容、作物、単価等を設定する産地交付金、二階建てになっております。

 したがって、水田で生産されるものであれば、御指摘のズイナ、それからお地元のオリーブ、こういうものも支援対象とすることが可能であるということでございます。

玉木委員 終わります。ありがとうございました。

坂本委員長 次に、後藤斎君。

後藤(斎)委員 環境省さん、おいでになっていますか。

 せんだってもこの委員会でお尋ねをしましたが、今回の豪雪の被害に係る環境省災害等廃棄物処理事業で、いろいろ市町村にもお出かけいただいて対応が進められるというふうに承知していますが、あの豪雪からもう一カ月が経過をして、現在、私の当初の見立ては、これは大臣にはちょっと失礼かもしれませんが、農水省よりも、キャップ、定額でもありませんし、また、市町村が主体になるという前提はあるものの、農業者にも基本的にはコストがかからず、壊れたビニールハウスの撤去ができるというふうに、結構すぐれものだと思うんですが、一カ月たっても、少なくとも報道等では、市町村が環境省の災害等廃棄物補助金、補助制度を使ってハウスの撤去をやっているという話をなかなかお聞きしないんです。

 環境省の方に、今どの程度の市町村がこれから対応を、調整中も含めてでも結構なんですが、環境省の仕組みを使ってやろうとしているのか。それとあわせて、環境省は、いろいろな仕組みが農水省の補助金とは違うんですが、いつまでにこの制度を使えば対応が進めていけるかという方向感も含めて、まず環境省の方から御答弁をお願いしたいというふうに思います。

梶原政府参考人 環境省におきましては、先生御指摘のように、災害により住家等から発生します廃棄物につきまして、市町村が生活環境保全上の観点から行う収集、運搬、処分に関しまして、災害等廃棄物処理事業費補助金により財政的な支援を行っているということでございます。

 ことしの冬の大雪の被害に係ります対応につきましては、三月三日に公表いたしまして、農業用ハウス等につきましても、その撤去を含めて、市町村が行う処理につきましては補助の対象にするということで周知の徹底を図ってございます。

 現在、三月三日に発表したその日から、例えばその日は山梨県の甲州市とかあるいは東京都の青梅市といったようなところに職員を派遣しますとともに、また、甚大な被害があった自治体を中心にいたしまして、市町村の担当者向けの説明会を実施し、ぜひこの制度を使っていただけるようにお願いをしているところでございます。

 例えば、山梨県におきましては、これは個別の指導とは別に、三月十一日に、山梨県庁で二十八市町村の御担当者の方に出ていただいて説明会を行っているところでございます。その場では、被害状況の把握をお願いするとともに、この制度が使いやすいようにということで、事務手続の方法等について説明を行っているところでございます。

 現時点においてどれぐらい使われるかについては、必ずしも明らかではありませんけれども、このような説明会の内容等を踏まえまして、各市町村で補助金の活用について御検討いただいている、そういうところでございます。

後藤(斎)委員 部長、いろいろ対応してもらっているのはよく理解をします。市町村からも大変感謝をされています。

 これは豪雪の撤去を何とかしなきゃいけないというときにはかなり盛り上がっていたんですが、今部長からも御答弁があったように、まだまだ正式に決めている市町村は明確にはないということ。この委員会でもお話をさせていただいたように、使い勝手について、市町村長は理解をしても、部長さんや課長さんが見れば、ちょっと業務量が多くなるし、何かまとめるのが大変だ、やはり事務手続の簡素化、それに対するアドバイス、指導をきちっとこれからもしていただきたい。そうでなければやはり引いてしまう。むしろ、個々の農家の方がそれぞれの部分で対応して、農水省の補助制度を使った方がいいやというふうなことに何となくなりつつあるので、ちょっと僕は違うなと本当に思っています。

 県を通じてでも結構ですから、事務手続はそんなに難しくないし、この中でやれば、次のステージに向けて、復旧復興に向けて、いい形での制度だということは、私も今でもそう思っていますので、事務手続の簡素化という視点も含めて、これからも市町村への指導、周知をしていただきたいというふうに思います。

 環境省の部長に一点だけ。

 もし今の時点で、市町村が対象を決められていなければ、どのくらいの経費がかかるかというのは、まだ全然わからないということですよね。ですから、その点については、どの程度の予算をこれから計上していかなきゃならないというのは、ぜひあわせて検討しておいていただきたいというふうに思います。

 次に、国交省の方にお尋ねをしたいと思います。

 予算委員会の分科会でもちょっとお尋ねをしたんですが、国道、県道、市町村道、それぞれによって、除雪の単価が同じ重機を使っても違うというのが明確になりました、そうではないという指摘も実はあるんですが。実際、小さな市が対応した除雪の単価と、県や国の除雪単価というのは、若干いろいろな、整理の仕方が違うかもしれませんが、一日にすると、倍半分違うというのが実はあります。

 これは分科会でも御答弁をいただきましたけれども、この不平等感とか不公平感というのはこの際なくしておかないと、次に新たな、どういう災害が来るかわかりませんし、そのときに、では、単価の高い国道、県道、これは幹線道路だからそちらがメーンになるのかもしれませんが、同じエリアでいえば、県道にしても市町村道にしても、同じ生活道路としては大変重要な部分もありますから、やはりその部分については不公平感がないように、今調査をしながら最終的な取りまとめをしてもらっているところはよく理解をしていますけれども、ぜひそういうふうに、不平等感、不公平感がないように対応していただくことを改めてお願いしたいと思います。

 国交省のお考えをお尋ねしたいというふうに思います。

森(昌)政府参考人 お答えいたします。

 私ども、今回の除雪に関しましては、なかなか今まで降ったことのないエリアでの工事でございます。通常、雪寒地域というんでしょうか、たくさん雪の降るエリアにおきましては、一般的に使われます機械に対して、どのぐらいの費用がかかるかという標準歩掛かりというものをつくっております。

 ただ、当地におきましては、そもそも除雪の専門の機械を使って除雪をするということはほとんどできない状態でございます。その結果、実際には発注者でありますが、国、県、市町村、どういう費用がかかったかというのは、実際には現地では見積もりという、どのぐらいお金がかかりましたかという調査を行って、その費用を算出している、そういう状況にあるということでございます。

 私ども、実際、自治体におきましてどのような対応をされていますかというお話をさせていただきましたが、今現在見積もりをとっているところということでございまして、最終的には、その見積もりをとったところからどのぐらい業者の方々にお支払いがされるかどうかというところが、多分一つの大きなポイントだろうというふうに思っております。

 私ども、国、県、市町村等々の、実際の発注をしている者たちで集まった協議会という全体の意見交換会を実際に現地で持っておりますので、その場の中でも情報共有をお互いしながら、大きな違いがあって実際に携わられた業者の方々に大きな損失を与えることのないように、そこはしっかりと情報共有をしていきたいというふうに思っております。

 以上でございます。

後藤(斎)委員 森審議官からお答えいただいたように、ぜひ不公平がないようにということは徹底していただきたいのです。

 実際、私も単価表を幾つかの市と県からいただいてみました。先ほどもお話をしましたように、一日当たりにすると倍くらい、同じ重機を使ったり、普通作業員みたいなものでも違ってくるというのはちょっとかわいそうだなと思うのです。そこは出てきた表をきちっと比較すれば分析ができると思いますので、今、森審議官から御答弁をいただいたように、また、次の災害に向けてのいろいろな対応もあるでしょうから、そのときに、やはりこっちの方が優先だみたいなことではなく、通常の生活が一日も早く取り戻せるという同じ目的でやっているわけですから、ぜひその点については徹底をしていただきたいというふうに思います。

 あわせて、今回の除雪にかかわる部分では、基本的には、先ほど森審議官からもお話をいただいたように、いわゆる雪寒地域でないところの豪雪の除雪だったということです。

 これも分科会で確認をしてありますけれども、基本的には、特別交付税の部分についても、県道については二分の一まで、そして、市町村道については四分の三までが特別交付税の対象になるということで、これだけでは地方負担というものはどうしても多いので、むしろ、そういうことがあるから単価の設定というのが抑制をされているのではないかなと、裏返しの議論のような感じが私はしています。

 二年前の豪雪、大雪対策のときに、市町村道については、社会資本整備総合交付金の配分を特例措置という形で対応して市町村の除雪費用の対応を国交省が後押しをしましたし、あわせて、県道については、この特例措置の対象になかなかできないというふうなことが実は二年前もありました。仮に、できないのであれば、この特例措置というのは、法的な根拠というよりも、関係閣僚会議できちっと確認をすれば、二年前はできたものであります。

 ぜひ国交省で特例措置を、県道、市町村道についても、雪寒地域以外の部分について、今回の部分は、本当に農産物被害だけでも一千二百億を超えるという大きな被害が出て、それだけの雪を除雪したということでありますから、ぜひ地方の負担の部分の軽減について特段の対応をお願いしたいと思うのですが、その点について、国交省の方から御答弁をお願いしたいというふうに思います。

徳山政府参考人 先生御指摘のとおり、いわゆる雪寒法に基づく除雪の補助とは別に、臨時特例の措置を、特に最近では三年連続で講じてまいりました豪雪年であります。

 全国的な豪雪の年で地方財政措置だけで間に合わないような場合に、幹線市町村道の除雪費について、こちらは積雪地域であるかどうかにかかわらず、このような措置を講じたわけでございまして、今までは、都道府県管理道路に対しては措置を行った前例がないという状況でございます。

 ただ、今年度の雪は、ふだん雪の降らない地域に大きな積雪があったという特殊なものであるということにも鑑みまして、三月五日から措置の検討に必要な降雪状況や除雪費の執行状況を把握する調査をしておりますけれども、今回の調査は、この中で市町村道のみならず、都道府県道についても対象として調べております。

 なお、これは三月五日から三月十日を調査期限として調べておりましたけれども、実は雪の降る地域の市町村は、大変なれておられたのか、期限までに全ての資料をいただきましたけれども、ふなれな地域あるいは今回大変な雪でてんやわんやだったところは、なかなか期限までにお出しいただけませんでした。これは切ってしまうわけにはいきませんので、御相談をしながらデータの再確認を行って、やっと出そろったところでございます。

 この調査結果を踏まえて、臨時特例措置について検討しているところでございます。

後藤(斎)委員 局長、最後に御答弁いただいたように、きちっと前向きに対応ができるように、ぜひ最終的な調整をお願いしたいと思います。

 あわせて、先ほども触れましたように、特別交付税について、どうしても上限の壁があるという形であります。ぜひ、この点についても、前倒しの繰り上げを二月にしていただいた部分については御評価をしますが、特別交付税の予定を、もう三月の、きょうは十八日ですから、そろそろいろいろな検討が最終盤に入っていると思うんですが、県、市町村の負担軽減というのが、国交省の特例措置もあわせて、やはり特交できちっとサポートするということが必要だと思うので、その点についてどのような状況になっているのか、総務省の方から御答弁をお願いしたいというふうに思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 地方団体の除排雪経費につきましては、実際の所要見込み額が普通交付税措置額を超える場合には、三月分の特別交付税により措置することとしております。

 これまでの特別交付税措置は、除排雪経費の所要見込み額が普通交付税措置額を超える額の二分の一を措置することを基本とするとともに、市町村については、除排雪経費の所要見込み額に対して、普通交付税と特別交付税を合わせて少なくとも七五%を措置することとしております。

 しかしながら、今回大雪に見舞われた地方団体、平年の積雪が少ないことから、標準的な除排雪経費としての普通交付税措置額が少額であり、この冬の除排雪経費の所要見込み額が極めて多額に上る結果、特に道府県で特別交付税の対象とならない額が多額になる、そういう懸念がございました。

 そこで、例年は積雪が少ないが、ことしの大雪により多額の除排雪経費を要した道府県について、原則、普通交付税と特別交付税を合わせて所要見込み額の七〇%以上を措置する、そういうこととしたところでございます。

 この措置を盛り込んだ三月分の特別交付税の交付額を、本日交付決定をし、明日現金交付をする、そういう予定でございます。

後藤(斎)委員 七〇%まで引き上げてもらったということについては本当にありがたいと思います。最終的にどういうふうな被害の、除雪の部分は、先ほど道路局の方の数字の最終調整とあわせて、地方の皆さんがこれからの地方行政の推進にマイナスにならないように、ぜひ連携して対応をこれからもしていただきたいというふうに思います。

 総務省、国交省、環境省、どうぞお帰りになってください。

 大臣、次なんですが、今回、豪雪も二月は特にあって、この場でも、コンビニやスーパーから、生鮮食品だけじゃなくて、全ての食料品が全部売り切れちゃったということで、去年の豪雨等いろいろな天候不順というのは、農産物は当然いたし方ない部分がたくさんあると思うんですが、この危機をどうくぐり抜けて新しいステージに持っていくのかというのが、これからまさに林大臣の手腕の見せどころだというふうに思うんです。

 今回の支援策については、二弾にわたって、一弾目を大きく二弾目は乗り越えていただいて対応を進めてもらっているんですが、その際に一番大切なのは、例えば、次世代施設園芸導入加速化支援事業というのが補正予算でも六地域で対応が決定をされ、それぞれの事業費がおよそ二十億程度、四ヘクタールでかかって、次世代型の生産、これはイチゴとトマトというのが大体共通して、今回の豪雪でやられた地域と同じような部分の作物になるんですけれども、こういう部分を今回の豪雪で被害を受けた地域にも本来であれば導入をしていかなければいけないのではないかなというふうに私は思うんです。

 ちょっと順番を変えますけれども、今回の豪雪の、撤去とか修繕とか、要するにもとへ戻すまでの、復興に向けての対策の事業費というのは、一応被害額が一千二百億円を超えるという数字は先週農水省の方でお出しになりましたけれども、復旧復興に向けての撤去、修繕にどのくらいの事業費を見込んでいるのか。

 まず、事務的で結構ですから、どの程度の事業費になるのか、見込みをどのように見ているのか、農水省の方にお尋ねをしたいというふうに思います。

小里大臣政務官 今回の大雪による農業用のハウスあるいは畜舎の損壊等を合わせた被害額としましては、三月十四日現在の各都道府県からの報告によりますと、二万七千四百二十四件、被害金額は約八百十六億円となっております。

 こういった被害に対して、例えば撤去については、国がその二分の一を定額助成する、残る部分は地方公共団体が必ず負担をして、その八割を特交で措置します。再建、修繕につきましては、国が二分の一を助成して、残るうち、地方公共団体が負担する分の七割を特交で対応するとなっております。

 また、先ほどありましたように、環境省からも撤去については同じような、こっちは定額助成ではありませんが、通常の助成として措置があるわけであります。

 そういった中で、農水省の、特に経営体育成支援事業による助成額がどのぐらいになるかということでありますが、これにつきましては、再建がどの程度行われるか、再建を縮小して行う場合もある、あるいはまた露地野菜に転向する場合もある、そういったところがどの程度になるのか、まだ見積もりがとれないところであります。撤去についても、環境省の事業との兼ね合いがございます。

 そういったところで、現時点では対応額としては明らかではないわけでありますけれども、いずれにしましても、現場のニーズをよく把握しながら、経営体が引き続き意欲を持って営農していけるようにしっかり対応してまいります。

後藤(斎)委員 小里さんがおっしゃる部分はよくわかるんですけれども。

 これは概算で、例えば八百億なのか一千億なのか、実際に農業被害があって、要するに、今回、当初、残存価額で農業被害のものを評価していただいて、一律で、その後、再取得価格で調査をして、少しずつというかかなり急速に、山梨なんかは七十億から百七十億円に被害額が上がりましたけれども、例えば一千億の被害というのを一つの前提にすると、補正でつくった先ほどの次世代施設園芸導入加速支援事業というのは、三十億六カ所、一カ所五億という形で、これは一ヘクタールにすると大体五億円という形になります。

 ですから、例えば一千億、いろいろな形で、国費、県費、市町村、そして農家の方みずからという形になると、二百ヘクタール、今回の補正の部分だと二十四ヘクタールですから、その十倍以上の効果を、きちっと同じような事業をもし市町村や県に提案しておけば、要するに同じコストは再建に向けてかかるわけですから。

 私は、この次世代型の加速支援事業というものをもっと、今回の特に野菜農家の方は、確かに小里政務官がおっしゃるように、再建するかどうか迷っているという方も含めて、やはり産地化、そしてエネルギーの低コスト化という、今農家を取り巻くコスト増というものの部分を少しでも低減して、収量も非常にたくさんとれるというふうな仕組みをこの支援事業は持っていますから、環境省も今市町村をいろいろ回ってやっていると先ほども御答弁がありましたけれども、農水省もいろいろなところで相談や説明会をやっていると思うんですけれども、こういう、きちっと次のステージに向けた支援策というものもあわせて提案をしていくべきだと私は思うんです。

 大臣は、その点をどのようにお考えになりますでしょうか。

林国務大臣 今、後藤先生がおっしゃったように、単にもとに戻すということ、東北の話をするときに、復旧にとどまらず復興だ、よくこういうふうに言うんですが、やはり今回の雪害を受けた地域でもそういう考え方が非常に大事だと思っておりまして、高度な園芸施設の整備など次世代に向けた新しい生産システムを導入する視点、こういうものを持ちながらやっていきたいと思っております。

 次世代施設園芸は、御紹介いただいたように、補正が三十、それから御審議いただいている当初予算案が二十ということで、合わせて五十億なんですが、その手前と言ってはちょっと語弊があるかもしれませんけれども、園芸施設の高度化には、再建ではなくて、災害に強い低コスト耐候性ハウスの整備のための強い農業づくり交付金というのがございます。これは二十六年度の予算案で二百三十四億なんですが、そのうち雪害対応優先枠というのがございまして、これは二十億ほどございます。

 それに加えて、この次世代施設園芸の推進、先ほど御紹介いただいたように、木質バイオマスなど地域資源を活用したりして、ICTを使った高度な環境制御を行う、民間企業も参入していただくような新しいタイプということで支援事業を創設しておるところでございまして、これは昨年の十月から十一月にかけて、農業界、経済界の関係者が集まってもらって全国的なセミナーを行ったり、全国八カ所で地域セミナーを開催して周知を行ってきまして、補正の方は、先ほどおっしゃっていただいたように、既に決まってきている、こういう状況でございます。

 したがって、今後は、これらの施策を利用して、関係者と十分相談しながら、現場の状況を踏まえて、産地の復旧、そしてその先の復興ということをしっかりとやってまいりたいと思っております。

後藤(斎)委員 大臣、先ほどもちょっと触れさせてもらったんですけれども、今回、二月の豪雪のときにも、イチゴやトマト、収穫直前、収穫をしている農家は、潰れて、輸送経路も四日寸断をされて、食べるものもなくなっちゃったということで、当然そういうときには、国内で代替の部分を市場の皆さん方もスーパーの皆さん方も集めて消費者の方に提供していくということで、それもだめな場合は輸入という手段になるわけです。

 そういう中で、加工野菜も含めれば、前にもこれは大臣と御議論をさせてもらいましたが、年間二百万トン輸入をしている。私は、自給率が一〇〇を切っているものは国産で代替可能性がある。多分、需要という部分では、まだ国内に国産の野菜や果物がもっと頑張れるベースがお米も含めてあるというふうな前提で見ていかなければいけないと思っているんです。

 どうしても、加工野菜や輸入野菜というのは、量の確保もあるものの、価格について、スーパーや消費者の皆さんから見れば、安いものという、一つの価格を指標にした消費選択の行動というものがベースに当然あると思うんです。

 先ほど大臣がおっしゃっていただいた次世代施設園芸加速支援事業も、実は需要というものを、契約栽培的にして価格を安定したり、量についても、通常のビニールハウスでつくるよりも、いわゆるオランダ型のICTも含めた下支えをしているものですから、量が三倍、四倍とれるというのは、単価的に見ても、輸入品をもう一度国産へ戻すような形にしても、次世代施設園芸的なものをベースにつくっていかなければいけないというふうに本当に痛切に感じるんです。

 先ほど小里政務官、総額はわからないといっても、普通、農家の皆さん方が、それを全部戻して、同じビニールハウスを建てかえれば、総事業費として大体一千億近くかかるはずなんです。それをうまく、今ゼロになっているわけですから、逆に新しいものを、もとに戻すということだけじゃなくて、次のステージに持っていくということをしていかなきゃいけない。

 そういう部分でいえば、加工・業務用野菜生産基盤強化事業というのを、補正で十億円で、出荷量の増加というのを目指してやってもらっていますし、あわせて、二十六年度の予算案、今はまだ参議院で議論中ではありますけれども、これから広域、大規模生産に対応する業務、加工用作物品種の開発という形で研究面でもかなり後押しをして、これが連携をしていくというのがすごく大切だと思うし、私も十年間こういうことを言い続けて、ようやく具体化してもらって、非常に私はうれしく思っているんです。

 ぜひ、こういうものをメニューとして、先ほどの環境省の補助事業を使うにしても、やはり使い勝手にしても、市町村の担当課の方は初めてのことですからよくわからないし、どうしてもJAの皆さん方と、例えば市町村の農業担当の皆さん方の、それを専門でなかなかやり切っていないということもあるかもしれませんけれども、農水省が直接いろいろなアイデア、メニューを提示してあげるということは、僕は知の拠点としての霞が関の大きな役割だと昔から本当に思っていたんです。

 そういう意味で、これからの天候不順なんというのは、当然のことながら、今まで以上に天候不順になったケースを想定して対応していかなければいけませんし、やはり国内でつくれるものはというのは、食料自給力なのか率なのかは別としても、これも二〇年、三〇年代の食料安全保障の一つの大きい原点でもありますけれども、価格、品質競争からいって、それを放棄してしまったというのが加工野菜も含めた二百万トンの実際の野菜の輸入だというふうに思うんです。ですから、そういうことを総合的に、やはり国産の生産力の強化というものを。

 私もいっぱいファクスでもらって、これはいいじゃないかと思って、ぜひ大臣も、お読みになっていない細かな部分かもしれませんけれども、こういうもの全体を融合、連携してメニューとして出していくということが、たくさんの、私ども議員ももちろんですけれども、首長さんや地方議会の皆さん、そして農業者の皆さん方が、ああ、こういうことであれば違ったステージに行けるなということをみんなで思いながらやらなければ、きちっと収入もとれませんし、天候に常に左右をされて、つくって市場に出せばそれでいいと、先ほど江藤副大臣がおっしゃったように、ずっと先まで行って販売努力をするかどうかは別としても、つくって出しておしまいみたいな、まだまだたくさんそういう農家の方もいらっしゃるという地域もあると思うんです。

 やはりそういうふうな生産力の強化というものを、研究や品種改良、そしてネットワークづくりや基盤強化事業というものを、局が違えばなかなか連携ができないというのは、これは政務か大臣官房がきちっとまとめなきゃいけないので、ぜひ、そういうふうなことで生産力の強化というものをしていただきたいと私は思いますけれども、大臣の御所見を改めてお伺いしたいと思います。

林国務大臣 まさに後藤先生おっしゃるように、やはり供給サイドと需要サイドと両方を強くしていく、そのことが非常に大事であろうということで、省内に、まさに局別にならないように、本部を立ち上げて、私みずから本部長になりまして、ここでいろいろな議論をして、その結果を踏まえてあの官邸のプランというのができたわけでございます。それで、そこにも、今後十年間で出荷量五割ということを目標にして、ただ数字だけを言わずに、具体的にどうするかということをいろいろ考える中で、今委員からお褒めにあずかったようなことをそれぞれやっていこう、こういうことになったわけでございます。

 まさに後藤先生ずっとおっしゃっておられるように、輸入の生鮮の方が平成二十年の六十万トンから八十三万トン、加工品は百二十八から百四十四ということで増加しておるわけでございまして、天候不順ということがやはりあるのかな、こういうふうに思っております。

 したがって、今御紹介もいただきましたけれども、国産原材料供給力強化支援事業でマッチングをするとか、それからタマネギを、細長いものをつくって、そうするとカットして残る部分がふえるというような品種改良をするとか、キャベツの収穫機等の導入への支援とか、それから、異常気象対応で、土壌改良、被覆資材等の導入支援、いろいろな今御紹介もいただいたようなことをやって、契約取引を推進して、やはり需要に応じて生産をする、このことが非常に大事ではないか、こういうふうに思っておるわけでございます。

 そういった意味で、このプランをつくらせていただきましたので、しっかりとそれに基づいて現場の強化にも取り組んでいきたい、こういうふうに思っております。

後藤(斎)委員 大臣、もう一つ、やはり外食産業というのがまだまだこれから成長の一つの大きな柱になっていくと思うんですけれども、吉野家さんにしても、すかいらーくさんにしても、タマネギなんか全部中国産だというのはちょっと寂しいじゃないですか。主な輸入品目というのは、かさで勝負みたいなのがどうしてもあるような感じがしますけれども、やはり収量を高めるということも一つの大きな研究、品種改良の視点にしていただいていますから、そういうものをやっていけば、この部分については国産に切りかわっていくというふうなことに絶対なると思うので、それはぜひお願いをしたいと思います。

 あわせて、植物防疫というのが、一つの輸出をするときのボトルネックというか非常に難しい条件です。

 これも何度もお話をさせてもらいましたけれども、なかなか一朝一夕に検疫条件が改善されるとは私も思っていませんけれども、昨年、大臣が夏、秋にかけて品目別、輸出国別のターゲットをつくっていただいたんです。やはり植物検疫の協議というものを加速していかなければならないということも去年何度も御指摘をさせてもらったんですが、今はまだ六カ国二十品目というふうな解禁要請をしているということなんです。

 これは、めどがつくのかつかないのか、何が本当に問題なのか、十年も十五年もたったものは協議が進んでいないだけなのか、それとも何か本質的な問題があるのかというのは、大臣、もうそろそろ精査をして、違うものに転換をしていくとかやっていかないといけないと私は思うんです。それが、定期協議だけじゃなくて臨時協議みたいなことも植防でやって、本当に詰めるという作業をもうそろそろやらないと、輸出戦略の部分では、現在解禁になっていないものは除いて整理をしたという御説明を受けていますが、それはそうかなと思うけれども、では、それを解禁できたらもっと拡大の余地があるじゃないかということだと思うんです。

 ぜひ、植防の協議のあり方というのをちょっと整理をしていただいて、対応を進めるようにお願いをしたいと思うのです、一言だけで結構ですから。

小林政府参考人 植物検疫の協議状況ということでございます。

 農産物の輸出を促進するためには、需要サイド、供給サイド、両方の事情をよく踏まえて戦略を立てるということが重要でございます。そういった中で、青果物を重点品目として、十二カ国・地域を対象の重点国あるいは重点地域として戦略を立てております。

 先生お話しいただきましたように、今までに輸出検疫で検疫が可能な地域、品目というのもありますし、まだそこが協議中というのもございます。協議中のところにつきましては、鋭意精査をして戦略を立てて取り組んでまいりたいというふうに思っております。

後藤(斎)委員 大臣、一点だけ。済みません、すぐに終わります。

 これもずっとお話をしている収入保険の仕組み、四月から調査開始になると思うんですけれども、これが、いつ、どういう内容で大体決まっていくのかという、その時期の明示と、ある程度内容の概略のイメージというのがわかれば、農業共済の不十分さというのは今回の豪雪でよくわかりましたので、ぜひその辺の導入の時期の明示と、あわせて、大まかな内容というものはこうなるんだということを、私はできるだけ早く大臣のメッセージを発したいと思うんですけれども、その点について、簡潔で結構ですから御答弁をお願いします。

坂本委員長 林大臣、時間が過ぎていますので、簡潔に御答弁をお願いします。

林国務大臣 これは、宮腰先生の御質問に一度お答えしたことがあるわけですが、調査費を計上いたしました。

 したがって、この調査費でやった調査に基づいて制度設計を行って、二十七年産について、作付前の加入、それから作付していただいて納税する、二十七年産は、二十六年に加入して、二十七年に作付して、二十八年に納税申告、この三年をフィージビリティースタディーということで制度を固めていきたい、こういうふうに思っておりますので、まだ中身について、この調査によるところはありますが、調査検討が順調に進めば、二十九年の通常国会に関連法案を提出することになると考えております。

 農業共済制度の、要するに、価格低下が対象になっていないところとか、それから対象品目が品目ごとになっている、こういう問題点、これのために収入保険という検討に出ていくわけですから、そういうところを踏まえた中身にしていきたい、こういうふうに思っております。

後藤(斎)委員 ありがとうございます。

 以上で終わります。

坂本委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 日本維新の会の小熊慎司です。

 まず初めに、森林の件についてお伺いをいたします。

 私の地元も、福島県で、北海道、岩手に次ぐ面積を抱えて、森林面積も多数抱えていますけれども、今、大変森林も荒廃をしていて、鹿やイノシシや猿や熊が頻繁に出て、農産物や、また人にも危害を与えています。熊が出るたびに、私も小熊ですけれども、熊が出た、熊が出たと言われて、私は何か悪いなという気にもなってくるんです。

 これはやはり、手つかずの自然というのもありますけれども、古来、人間がかかわっていって、森林の環境が保たれていた、循環がしっかりとなされていたということですから、人がしっかりとかかわっていく、入っていく、環境整備をしていく、そしてまた林業を活性化していくということが非常に重要なことだというふうに思っています。

 そういった中で、御承知のとおり、森林環境税というのが各県、今三十三県に上っていますけれども、導入をされています。また、国においては、今、林野庁が新たな税の創設ということで要望を出されたところでもあります。

 私は、ちょうど福島県で導入するときに県会議員で、議論をしたんですが、森林をどうするかということは、これはやはり日本国全体のみならず、地球規模の環境にかかわる問題でありますから、県としての取り組みというより、国がしっかりやって、森林面積に応じて税を戻して事業をしっかりやっていくという方が本来的にはいいんじゃないかな、そんな議論もさせていただいたところであります。

 今、これは国で導入を目指しておりますけれども、大事なことは、今までこの三十三県で積み上げてきたさまざまなハード、ソフトの事業とどう連携をとっていくかということと、あわせて、やはり国だ県だということでばらばらになってもしようがないんですね。山や森林というのは自然のものですから、県とか国という線引きなんかは本来ないんですよ。国有林とか県有林とか市有林という区別はないんですね。やはり全体として捉えて、どう守っていくか、どう活用していくかということが非常に重要です。

 森林環境税について、今、国においてはそこは考えておられないようですけれども、やはり私は、しっかりこれを国の税にして、なおかつ森林面積でこれを地方に任せて、県ごとに一体的に森林整備事業をしてもらうということの方が、税の使い道として有効的になってくるんじゃないかというふうに思っています。

 国が森林税を導入したときに、国が直接事業をやるのではなくて、それぞれの現場現場において有効的に事業を行っていく、交付税のように戻していくという考え方について、御見解を求めます。

林国務大臣 小熊委員も農水委員会にお見えいただいて、大変にありがたく思っております。

 私は、名前は林ですが、シルエットは熊に似ている、よくこう言われるので、出ていくと、何か熊が出たとか言われることもあるので、今の話を親しみを持って聞かせていただいたわけでございますが、吸収源対策は、単に林業という意味にとどまらず、地球温暖化対策において大変に重要な役割を果たしておりまして、やはり安定的な財源の確保は大変重要だ、こういうふうに思っております。

 農林水産省としては、従来から、環境税、地球温暖化対策税を森林吸収源対策に活用できるものとして要望してきておりまして、二十六年度の税制改正要望においても、地球温暖化対策のための税の使途拡大、これに加えまして、既に地方の独自課税として、今お話にあったように、三十三県で導入されている森林環境税等の国税版の創設を要望しました。

 二十六年の税制改正大綱を与党で昨年の十二月十二日に決めていただいておりますが、ここに、安定的な財源が森林吸収源対策について確保されていないので、財政面での対応、森林整備等に要する費用を国民全体で負担する措置等、新たな仕組みについて総合的な検討を行う、こういうふうに書いていただいております。

 今度、森林吸収源対策の財源を確保した場合に、仮に、委員が御指摘のように、森林整備等に要する費用を国民全体で負担する場合、やはり地域の実情に応じた森林整備が図られる仕組みとすることが基本であります。今も、御案内のように、基金を使って、実際にはかなり用途を幅広く使えるようなことにして、県に基金を設置していただいたりしておりますが、そういう意味で、地域の実情に応じた森林整備等が図られる仕組みにすることが基本だ、こういうふうに考えております。

小熊委員 大臣には、参議院時代に、大変御指導いただきまして、親しくさせていただいたところでありますけれども、私は会津で、大臣は長州であります。これは本当は余り言いたくないんですが、国有林の割合も、実は、明治維新以来の西軍、東軍の禍根が残っていて、西日本は国有林は少ないんです。払い下げて、それなりに明治維新の立て役者たちが財をなしているんですね。白河以北百文の扱いというのはここにもあらわれているんですけれども、東北、北海道は国有林が四割近く残されたままですよ。

 となると、地域の実情に応じてと言われました。国有林が大変占めている東北のやり方と西日本のやり方でもやはり変わってくるというふうに思いますし、今おっしゃられた、三十三県でもう導入して、それなりにいろいろな事業をやっています、国有林には手をつけていませんけれども。これをしっかり有機的に連携していくためには、やはり一体性を持たせなきゃいけないというふうに思うんですね。

 同じような目的で、県税と国税を三十三県では取ることになります。となると、国民的な理解も求めなければなりません、とりわけその三十三県においては。となると、二重行政のように事業が行われてはだめだということで、どうせやるなら、事業主たる国が県に委託してやらせた方がいいんじゃないか。そのために、森林面積に応じて予算をつけていくという考え方が非常に素直じゃないか。

 この県との一体性、とりわけ、今もう導入してしまっている、説明責任と今後の導入されたときの事業の一体性ということを、これは注意をして取り組んでいかなければいけない点ですけれども、この連携、一体性ということに関してはどうでしょうか。

林国務大臣 これは、今、税が取れる前から中身について余りあれこれ申し上げられないところもあるんですが、先ほど御披露した与党の大綱には、「財政面での対応、森林整備等に要する費用を国民全体で負担する措置等、新たな仕組みについて専門の検討チームを設置し早急に総合的な検討を行う。」こうなっております。

 したがって、今まさに委員がおっしゃっていただいたように、三十三県にはあるわけですが、今度、国が税を取ると一律にいただくということになりますから、ないところも国税としてはできる。そういうところも出てくるわけでありますので、そういうところのバランスをどうするのか。

 そこのバランスをどうするのかというところが入る方の議論ですが、そこの議論と、それから出るところの、では、それをどういうふうな使い方をするのかということは、この検討チームにおいて議論をしていただく上で重要な論点になり得るんじゃないか、こういうふうに思っております。

小熊委員 まだ導入が決まっておりませんけれども、導入の際に、導入している県との事業の一体性、連携性といったものにしっかり取り組んでいかなければならないというふうに思います。

 それから、森林は、その県においての受益、その県民、地域の人の受益もありますけれども、水や空気、また電気といったものを考えれば、森林の多くを有している地域から、逆に都会の方に恩恵があるということであります。福島県も、今原発はとまっていますけれども、実際は、我々の水を使って、いまだにこの関東に電気が送られているんですよ。やはり、森林を有する地域の都会に対する貢献といったもの、しっかりこれを考慮に入れて、今後、導入、そしてその事業といったものに取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 さらに、次の課題に移ります。

 今、いろいろなエネルギーの問題があって、バイオマスとかいろいろな部分に取り組んでいるところでありますけれども、バイオマスの材料も端材です。実際、木材が有効に利用されて、バイオマスの原料がとれるということですから、では、木材の利活用をしていかなければいけないわけですね。

 そういう中で、大型集成材、クロス・ラミネーテッド・ティンバー、いわゆるCLT、これは、予算化もして、これから使っていくんだと。それで、これはいろいろな法整備もしなければならないというふうに思っています。

 諸外国では、もう五階建てだとか、CLTを使った高層の建物も建っているところでありますけれども、日本の建築技術とか能力でいえば、これは恐らく今取り組んでいる諸外国に負けない、まして、木の文化のある日本においては、世界の最先端を行かなければいけないというふうに思っています。

 そういう意味では、いろいろな関係法令を早急に改正していって、これはもちろん安全を担保しながらですけれども、利活用の促進に努めていかなければならないところではありますけれども、あわせて人材育成もしていかなければならない。

 森林の教育、これについては、御承知のとおり、オーストリアが一日の長がありまして、マイスター制度とかも導入して、長期にわたる、森林にかかわる人材の育成をしているんですね。こういったことも、このCLTの利活用、今取り組んで、予算化もしていますけれども、これから、こういった人材育成といった観点からも取り組んでいかなければ、CLTの普及というのは成らないというふうに思いますし、林業の発展も望めないというふうに思っています。

 こうした人材育成、国として、全くまねる必要もないのかもしれませんけれども、こうしたマイスター制度みたいなものを検討して、取り組んでいく必要があるんじゃないんでしょうか。どうでしょうか、御見解を。

沼田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、私ども、今林業の成長産業化ということを目指して取り組んでおりますけれども、そういった中で、川上から川下に至るまで、人材の育成確保というのは極めて重要な課題だというふうに認識しております。

 そういった意味で、私どもとしては、地域の森づくりや地域の林業、木材産業の活性化を専門的な立場から市町村等を支援する森林総合監理士、フォレスターと呼んでおりますけれども、そういった制度、そして、施業の集約化や木材の安定供給に必要となる森林経営計画の作成の中核を担う技術者でございます森林施業プランナー、こういった制度も運用しております。

 また、そういったものに加えまして、川下の木材利用を効率的かつ効果的に行うために、CLT等の中高層建築物の設計者、施工者等の育成、そして木造公共建築物の設計にかかわる方々への技術指導、こういったものを予算も含めて措置させていただいているところでございます。

 私どもは、このような施策を通じて、森林の利活用を推進するための高い技術力を持った人材育成に努めてまいりたいと考えているところでございます。

小熊委員 その人材育成は、広く、これからもっとしっかりやっていかなければいけない分野でありますけれども、まず、このCLTの普及促進においては、象徴的な建物に使っていくということが、広く世間的にも認知を上げていく、また、かかわっていく技術者も集めやすいということになってくるというふうに思っています。

 そういう意味では、今、東北の被災地において復興関係の公営住宅が建っておりますけれども、こうしたものに活用して、その有用性を明らかにしていく、訴えていくことが私は必要だというふうにちょっと思うんです。

 御提案申し上げますけれども、こうした復興関連のものにCLTを使っていく、そうした取り組みについてはどうでしょうか。

小里大臣政務官 御指摘のように、国産材の有効活用の有力なツールとして、このCLTを政府としても位置づけております。そのために、例えば、JASの規格を昨年十二月に制定するとともに、JAS規格に適合したCLT製品が早期に生産、流通されるように、促進を図っているところであります。

 高知県大豊町で、国土交通大臣の認定を受けた、我が国で初めてのCLT建築物が、本年三月六日に竣工したところであります。また、CLTを活用しやすい環境の早期実現に向けまして、建築関係の一般的な基準の策定に必要となる強度データの収集、CLTを用いた建築物を実証する取り組みの支援等を行っているところであります。

 御指摘の災害関連につきましても、このCLTを活用することができれば、CLT普及の強力な後押しになるものと考えております。被災地を含めた我が国の森林の整備の促進、また雇用の確保等にも大きく貢献するものと期待をするところでありまして、しっかり推進を図ってまいりたいと思います。

小熊委員 これは具体的に取り組んでいってくださいね、公営住宅、復興住宅はどんどん建っていますから。しかも、なるべくなら被災地のCLTを使ってやっていただきたいというふうに思います。

 また、さらに、二〇二〇年の東京オリンピックの際にも、これはある意味では、政府も被災地の復興なくして日本の再生なしというふうにもうたっているわけですから、それを世界に知らしめるためにも、オリンピック関連の施設にもこうしたCLTを積極的に使う、そうした取り組みが必要だと思いますし、その際には、復興のあかしとして、とりわけ被災地の材を使っていく、この二点が必要だというふうに思うんですけれども、そのための法整備も、それにあわせてこれから早急にやっていかなければいけないというふうに思います。

 このオリンピックに対するCLTの取り組みはどうでしょうか。

小里大臣政務官 全く御指摘のとおりであると思います。

 同じく、CLT普及を強力に後押しする、そのまた有力な手段になっていくと思います。今後とも、関係機関に対してCLTの活用を働きかけながら、御指摘の趣旨に沿った取り組みをしてまいりたいと思います。

小熊委員 抽象的に、御指摘の趣旨に沿ったということは、では、被災地の木材をとりわけ意識していただいて、復興の象徴にしていただくという理解でよろしいでしょうか。

小里大臣政務官 はい。先ほど申し上げたように、災害公営住宅等を含めて、東京オリンピック・パラリンピックもまた含めて、被災地の資材をしっかり使いながら、CLTの普及を図ってまいりたいと存じます。

小熊委員 ありがとうございます。

 そういうことであれば、私も、このCLT関連の予算、しっかりと応援をしてまいりたいというふうに思いますので、今後とも積極的な取り組みをお願い申し上げまして、次の質問に移ります。

 今、TPPでいろいろ、この委員会でも、予算委員会やほかの委員会、私は通常は外務委員会にいますけれども、外務委員会等でも盛んに議論してきました。それぞれ、地元からもいろいろな、農業団体からはとりわけ強力な反対の要望も日々いただいているところであります。

 一方で、私はそういうときに言うんですけれども、今日本の農政が非常に難しいところに立っているなというのは感じますし、大臣もひところより大分痩せたのはそのせいかなとも思ったんですけれども、TPPばかりで、ほかの、例えば日中韓のFTAとか東アジアのRCEPとか、全然議論が国民的にはされていないんですね。

 私は、TPPは我が党は賛成ですけれども、それで反対の意見書をもらいますけれども、逆に、RCEPに対する皆さんの見解はどうですかと農業関係の団体の人に聞くと、RCEPとは何ですか、こう薬か何かで、張るものですかなんて言われちゃうんです。いや、本気で農業を考えているんだったら、賛成でも反対でも、そういう意見をくださいよと言うと、ないと言うんですよ。知らなかったと言うんです。

 実際、貿易額とか対象の人口からすれば、RCEPの方が大きいわけですね。

 私の地元の県議会でもTPPの反対の意見書が議会で可決されているんですが、これは何でと聞いたら、今、福島県は原発事故を抱えていますから、風評被害も国内外ともにあると。

 過日の消費者庁の消費者の意識調査を見れば、これは政府においても風評被害対策をやっているんですけれども、昨年からことしにかけては改善が見られていないんですね。やはり一定程度は、福島だからということで、だめになってしまっている。あと、対外的にも、科学的エビデンスのない判断で禁輸をしている国も多数あるんですね。

 そうした状況だから、今農業の開放なんて許せないんだということの判断で、県議会はそういうことを賛成多数で可決しているんですけれども、実際、禁輸の措置をとっている国は、TPPの参加国よりもRCEPの参加国の方が多いんですよ。だから、その反対している県議会の人にも、では、RCEPの決議もしたらと言ったら、それは何という話になるんですよ。これでは真っ当な議論なんかできないんです、本当はね。

 しっかりと攻めの農業と大臣も言っておられますけれども、冷静な議論の背景が国民的にない。賛成、反対、それぞれの理屈もあります。だけれども、今貿易の開放に対しての、片方だけの、バランスの悪い議論になってしまっていることは大変残念なことだというふうに思っています。

 そうした意味では、まず初めに、RCEPの国民的理解、説明、議論が高まっていないという現状について、どういうふうに取り組んでいくのか、お伺いいたします。

    〔委員長退席、齋藤(健)委員長代理着席〕

江藤副大臣 委員もよく御存じのとおり、まだ三回しか会合が開かれておりません。ことしの一月に一回ありましたけれども、始まったばかりで、その内容の、例えば自由化率をどの程度に引き上げるかとか、そういう議論が全くなされておりません。ですから、やはりニュースとしてのバリューが低いんだろうと思うんですね。

 しかし、おっしゃるとおり、私も海外出張をしたときに、韓国の、向こうの農水大臣とバイ会談をやりましたけれども、エビデンスのない、特に、水産物に対する輸入禁止措置、総理がロシアに行かれたときも、プーチン大統領に直接お話を総理がされました。そういった努力も含めて、RCEPにはロシアは関係ありませんけれども、韓国が入っておりますから、こういったことはやはり我々としてももうちょっと発信せないかぬのかなと、委員の御質問を聞いて、今感じたところであります。

小熊委員 三回しか開かれていないからというのは理由にならないと思う。TPPは交渉参加の前に大変な議論があったわけですよね。だから、情報発信が足りていないんじゃないかなというふうに思うんです。そうですよね。TPPは交渉参加の前に報道等、まあ、報道もやらないからかもしれませんけれども、そういった努力は必要なんじゃないですか。

江藤副大臣 TPPの場合は、先行している国々がいて、その中でも、高い自由化率を目指すのだという一つの目指すべき目標がはっきり示されていたわけですね。RCEPの場合は用意ドンでありますので、若干そこら辺は事情が違うことは御理解いただきたいと思います。

小熊委員 わかりました。

 では、先ほども答弁で努力していますということですが、実際、この交渉の中で、科学的根拠のない、エビデンスのない禁輸措置をとっている国に対しては、強く言っていただかなければいけないというふうに思います。

 これはまた、広く農業関係者の意見も集約をしていかなければならないところでありますから、国民的議論はこれからなのでありましょうけれども、とりわけ、私も議論をしていますけれども、TPP反対、賛成、どちらでも構わないですが、そういう農業関係団体がTPPのことについて言ってきたら、RCEPも議論しましょうよと農水省もやはりやっていかなきゃいけないというふうに思います。ぜひこれはしっかりやっていかないと、日本の国益にかなわない貿易協定になっていきます。

 また、その後の国内対策も、かつてのガット・ウルグアイ・ラウンド対策費で六兆円以上使って、その後どうなったか。農業が発展したか。全然ないわけですよ。六兆もあったら、極端な話をすれば、あのカーギルみたいな穀物メジャーを二つぐらい買えたんですよ。そのぐらいの予算ですよ。

 今後もTPPやRCEPの対策を国内的に整備していかなければいけない、事業をやっていかなければいけないというわけでありますから、これはしっかりと国民的議論が起こるように、農水省の努力が必要だというふうに思いますし、事あるごとに情報も開示してもらわなければ、交渉事ですからできないものもありますけれども、できる限りの情報開示もあわせてお願いをしたいというふうに思いますし、その交渉の過程では、必ずこの風評被害対策をしっかりと念頭に置いて当たっていただきたいということをお伝え申し上げて、次の質問に移ります。

 これからいろいろな農業の開放といった話題になってくると、やはり攻めの農業をしていかなければならないというふうになっていきます。減反の政策についてもこれから大転換をしていくという中で、いわゆる攻めの農業というと、集約化という話が出てきます。今、農業の従事者の高齢化が言われてはいるんですけれども、集約化していくということは、農業従事者を減らしていっていいということにもなってくるわけですね。

 とりわけ稲作の部分に特化してやっていきますけれども、稲作に従事する昨今のあらあらの人口でいえば、百十万人程度ですね。現時点での稲作面積、これは一町歩、二町歩の耕作をしている人がもうほとんどを占めるわけですよ。では、集約化とは何町歩なんですかという話なんですね。やはりこれは数量的に示さないと、ただ集約化、集約化といったって、一町歩が二町歩になりましたといったって集約化なんですよ。でも、実際、攻めの農業の集約化というのは、一つの経営体がどのぐらいの面積を有することがその攻めの農業に値する集約化になっていくかというのは、農水省としてはどういう数値を掲げていますか。

    〔齋藤(健)委員長代理退席、委員長着席〕

江藤副大臣 これについては、担い手に八割を集約する、それから、生産コストを四割削減するという目標は定めております。

 ことしの一月からいよいよ食料・農業・農村基本計画の見直しが始まるわけでありますから、この中で具体的なことは決めていくことになるということになります。

 農地によっても、私のような中山間地域ばかりの地域もあれば、非常に開かれた、集約がしやすいような、地勢的な違いが地域によって大変ありますので、西日本と北海道では全く違うということであります。そういった細かい点にも目配りしながらこの基本計画の見直しをやる中で、あるべき姿のシミュレーションというか、そういった規模というものも検討されていくことになるということでございます。

小熊委員 それは地域によって変わっていくんですけれども、今言っているのは、攻めの農業、もうかる農業ということですよ。

 となれば、大潟村だと大体二十町歩が一つの経営体ですから、二十町歩が一つのモデルとしましょう。

 それはできないところもありますよ、もちろん。でも、集約化と言っている以上は、集約化してもうけられるという一つの基準を示さなければなりませんから。それで日本全国やるというわけじゃないですよ、もちろん。それぞれ二十町歩として、今の稲作面積をあとどの程度集約化、それはできないところもあるんです、言われたとおり。やはり日本の稲作面積の何割程度を目指すとかも示さなければ、かけ声だけで、集約化だ、攻めの農業だと言っているだけで、抽象的なことから具体化していくということに落とし込めないんですよね。

 だから、ちょっと計算しやすいように、単純に言えば、日本の稲作面積の半分を二十町歩にしちゃうと、今の稲作農家は、私の試算でいうと、九八%ぐらいは離農してもらわなきゃいけないんですね、今百十万戸あって、稲作面積の半分を二十町歩に集約化すると。今出た、担い手だ、高齢化して大変だと言っている話なんですが、実際、集約化をどんどん進めていくと、農家戸数を絞り込んでいかなきゃいけないという事実にも実は直面していくんですね。

 そういった試算を今していますか、何割程度を目指すんだと。それは地域によって違いますから。日本全体の面積の中で、稲作面積は二町歩以下がほとんどなんですから。半分が一町歩以下ですよ。やはり、これをどのように変えていくかという数値目標を数量的に立てなければ、いろいろな制度も決まっていかないし、農家の方に対して、もうかる農業、攻めの農業というものを示せませんよ。

 全体的な集約化の目標を立てるという、実は、今ないのは知っているんです。立てるべきじゃないですか、稲作面積の何割をどうするとか。どうでしょうか。

江藤副大臣 ですから、先ほど申し上げさせていただきましたように、この一月から始まった基本計画の見直しの中で、より具体的なものになっていくことが必要だと思っています。

 九八%が離農しなければならないという非常にドラスチックなお話も今いただきましたけれども、委員も御承知のとおり、大変高齢化が進んでいて、ほっておいてもどんどん離れていく。ですから、我々としては、年間二万人、何としても新規就農しようということで、前政権から始まったことでありますが、新規就農支援事業、これも拡大をしてやっていく。

 そして、九十万人はどうしても、農業を主たる所得として農業をやってくれる人を確保しなきゃならない。それにプラスして、農業生産法人であるとか農業法人、その他アグリビジネス、いろいろなところで、土日はきちっと休んで、いわゆるサラリーマンというような形であっても、農業に従事していただく方々を確保していかなきゃならない。

 ですから、決して農業集約化イコール離農を進めるものではありません。しかし、やはり私の友人なんかでも、農地がばらばらで、面積は広げたいけれども、こんなばらばらの状態では、もうこれ以上は引き受けられないという声がたくさんありますので、今回つくりました中間管理機構を活用して、農家の所得が上がるように、そして農業従事者も新規就農支援事業を通じて確保するように、車の両輪で努力をしていきたいと考えております。

小熊委員 そういう意味では、ちょっと米ばかり話しているのは、福島県でいうと、全体で米の生産高は農業生産高の四割弱なんですけれども、同僚の村岡議員のところの秋田とか私の地域の会津なんかは七割近くが米なんですね。

 米でもうかるかと二十町歩で計算すると、一反当たり十俵、私のところはとれるんですけれども、とれないのがほとんどなんですが、計算しやすいように、一反当たり十俵とれて、では、二十町歩で、こう計算していくと、いろいろな経費とか差っ引くと、一人当たりの収入というのは三百万程度なんですよ。

 だから、効率化、集約化してスケールメリットを働かせて、これでもうかる農業にしましょうといっても、米の価格次第ですけれども、それはブランド米にすればもうかりますよ。でも、普通の、B級米ぐらいのところでこのぐらいの収入になりますというのも描けなければ、単に農家の安定収入ということは言えないと思うんです。六次化をしていろいろな収入を得ていくということはプラスアルファですから、基本は、農産物を生産して農家所得をしっかり確保するという計算式が出なければ、非常に難しいと思うんです。

 私なりにいろいろ考えているんですけれども、やはり稲作中心では、もうこれからの時代は難しいというふうに思います。もちろん、今言ったように、兼業農家といった部分も残っていきますから、こうしたものをどうしていくかということは、対策の検討をしていかなければならない分野で一つ残っていきます。

 また、集約化できていかない中山間地域の対策もどうしていくか。これは、環境的なことを考えて、多面的機能ということでお金をどんどん入れていくしかないのかもしれませんけれども、それも一方であります。

 では、農業で自立していくといっても、米一本じゃやはり難しいので、複合農業にかえていかなければいけないということもしっかり農水省としては打ち出していくべきだというふうに思いますし、六次化というのは、チャレンジすべき分野ではありますけれども、確定的なことは言えない部分もありますから、これは、農業を主体としてどのような経営をしていくことが日本の農業を発展させていくことになっていくのか。

 あわせて、これは地域によっていろいろ出てきますけれども、ちっちゃい集落であれば、そこで二十町歩ぐらい集めちゃえば、集落の中で一軒だけで済むという場合も出てきちゃうんですね、場合によっては。となると、農村の変化といったものも、これはあわせてやっていかなければいけないというふうに思っています。

 これは、一つの相関関係があるかどうか、今調べているところなんですが、いわゆる稲作に取り組んでいない農村地域ほど限界集落が多いんですね。

 というのは、御承知のとおり、幾ら機械化しているといっても、稲作の場合は、水の管理とかあぜ道の整備とか堰上げとか、集団でやる作業が結構いろいろあります。野菜とか酪農とかだと、それは協力し合ってやる部分もありますけれども、いわゆる一経営体で自立するというか自己完結できるんですけれども、やはり田んぼといったものは、水利といったものも含めれば、これは多少集団の作業が残るんですね。ところが、田んぼがなくなった地域というのは、集団といったあり方がやはり変わってくる。だから、限界集落は米をつくらない地域が多いんじゃないかということを、今ちょっと相関関係があるんじゃないかということを調べている最中、研究している最中なんです。

 そういう意味では、稲作が集約化されてくるということは、田んぼから離れてしまうということになってくると、農村のあり方が変わってくるということも、しっかりこれはシミュレーションして、見据えて対策をとっていかなければならないというふうに私は思っています。

 なおかつ、離農したときの労働力をどう地方に残していくか。土地はあって、人に貸しちゃって、自分はかかわることがなくなったから、では、働き場を求めて都会に出ようとなると、ますます都市集中が起きてしまうということが起きかねません。

 こうした人口動態、労働移転の問題といったものも、農業のあり方、集約化のあり方とあわせて検討すべき視点だと思うんですけれども、大臣、どうでしょうか。

林国務大臣 今副大臣から詳しくお話をさせていただきましたが、基本的な考え方は、やはり、お話が委員からもありましたように、地域によっていろいろさまざまな違いがあるということですので、余り国が細かく一律に決め過ぎて、こうしますというような、昔の生産調整なり、その前の減反のようなことではなくて、水田は非常に大事な生産設備である、したがって、これはフル活用しよう。しかし、逆に、日本人が米を食わなくなったので、今まさに委員がおっしゃっていただいたように、米だけつくっていてもなかなか需要に見合っていかない。したがって、この両方に対する答えが水田フル活用ビジョンで、麦なり大豆なり、また餌米、米粉用米といった需要のあるものを本作化していく、こういう大きな方向を打ち出したわけでございます。

 それに加えて、農地維持支払い等の直接支払い、多面的機能支払いというのを組み合わせて、確かに、若い中心的な人に集約していって、最初から二十ヘクタールまで行ければいいですが、段階的にそういうふうになっていくとしましても、集落の分析を今されておられるということですが、みんなで水路の掃除をする、水の管理をする、草を刈る、やはりこれは残るわけです。それをまさに多面的機能支払いでサポートしながら、作付、つくること自体に担い手が集中できるように、いわば、多面的機能というのは、地域政策であると同時に構造改革の方も後押しするという両面性がある、こういうふうに考えておりまして、そういうことを、それぞれの地域地域で水田フル活用ビジョンをつくってもらう。この生産装置をどれぐらいのものにどれぐらい使っていけば一番アウトプットを最大化できるか、これは、なかなか全国平均モデルというのは難しいと思いますので、それぞれの地域でそういうものをつくっていただく。

 これも、最初から、一回つくったらおしまいということではなくて、いろいろな状況に応じて常につくりかえていくということであろうかと思いますし、その前提として、人・農地プランというのをずっと地域地域でやっていただいて、どういう人に集約していくのかということも含めて話し合いをしていただいている、こういうふうに思っておりますので、そういう中で、やはり農家の方が自分で経営者的な考え方を持ってアウトプットを最大化していくということを考えていただくことが、マクロでは需要に合った生産ということになっていく、こういうふうに持っていきたいと考えておるところでございます。

小熊委員 最後に、今、農水省もいろいろ取り組んではいるんですが、これまでの取り組みでも大幅な改善というのはなかなか出ていないというのが実態です。

 大幅な改善がされていないというのが実態ですから、やはりもっと抜本的なところに手を突っ込んでいかないと、農業が衰退してしまうということにもなりかねませんから、ぜひ今後、まさに、国際社会の中でTPPとかRCEPとか結んでいけば、いろいろな背景が変わってきます。ですから、ぜひとも、今の質問で提案をさせていただいたとおり、一つの指標なり、モデルケースとかを出して、こうやるともうかりますという一つの基準を示さなければならないというふうに思います。

 あわせて、やはり農村のコミュニティーのあり方の部分もどう変化していくのか、それに対する対策といったものを真剣に考えていかないと、これはますます地方から人が出ていってしまって、農村が疲弊していくことになりかねません。

 でも、それをするために農業をめちゃくちゃ保護していくということではなくて、やはり攻めの農業、しっかりとした経営ができる農業に変えていかなければいけないんですけれども、その負の部分もしっかりと推測をして、対策をとっていくということが重要ですから、そういった視点に立ってやっていただきたいと思います。

 大臣も、米の消費が減っている、本当に衝撃的なんですよ。TPPとかそんなものが来る前に、二〇一一年には、消費額でいえばパンが米を抜いた。米の国日本が何をやっているんだというところもありますから、そういう意味では、何を食べるかというのは個人的な世界ではあるんですけれども、やはり食育といった観点、日本人の食文化、和食もユネスコの世界文化遺産に選ばれたところでもありますから、そういったアプローチも、米の消費拡大、大臣も炭水化物ダイエットして痩せたわけじゃないですよね、米を食べてここまで痩せたというふうに思いますから、ぜひ、そういった米の消費拡大も、食べなくなっていますという言及ではなく、食べるようにどうしていくかということもあわせて努力していただくことをお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

坂本委員長 次に、村岡敏英君。

村岡委員 日本維新の会、村岡敏英でございます。

 きょうは、一般質疑ということで、多岐にわたって質問させていただきますけれども、中心は、次世代の新規就農者に対して、国、農林省が取り組んでいただきたいということを質問していきたいと思います。

 まず前段で、今回の雪害は、東北地方も、私の地元秋田も豪雪で大変だったわけですけれども、関東そして甲信越と、本当に大きな被害が今回はありました。その中で、私も予算委員会また農水委員会でもお話しさせていただきましたけれども、我が日本維新の会は、一月二十二日には秋田の方に、三月三日には群馬県の方に視察に行きました。

 関東甲信越は雪になれていない、雪が降る想定をしていないので、ビニールハウスを張ったままにしていた。秋田や豪雪地帯だと、それをもちろん取り外して、パイプが崩れるということはあり得ないんですけれども、ここはやはり初めてと言っていいほどの豪雪なので、そのままビニールを張ってあるので、その重みで全て倒壊してしまった、これは大変なことだ、こう思っております。

 災害担当の西村副大臣にも来ていただいていますけれども、秋田にも二度来ていただきまして、そこは本当に感謝いたしております。

 それで、今回の対策は、非常に速いスピードで、災害関連資金の無利子化や農業ハウスの再建、修繕など、いろいろな意味できめ細かく対策をしっかりとっていただいている、こう思っております。

 しかしながら、豪雪の東北地方は、まだ雪が解けておりませんので、最終的な被害というのはこれからであります。その点は、最終的な被害に関してもしっかり取り組んでいただきたい。さらには、今回の関東甲信越の農家の方々は、初めての経験で相当心が折れているという状況も、この前行ったときに視察でわかりました。そういう意味では、関東甲信越の農家の方々にも、再生産していただくために、しっかりと農林省が対策を立てていく、こういう形で取り組んでいただきたいと思います。

 まずは林大臣、そして西村副大臣とお答え願えればと思います。

林国務大臣 まさに今回の大雪、今、村岡先生がおっしゃっていただいたように、ふだん雪の降る地区だったら、いろいろなことになれておられるので、いろいろなことができていたかもしれない。しかし、今回、通常、降雪量の少ない地域で、まさにハウスの倒壊、そして果樹、野菜の損傷、こういうことが起こったということでございまして、ハウスの倒壊だけで二万六千件を超えておるわけでございます。平成二十四年は、一万件、百六十二億円、これに比べますと、二万六千件、千二百四十億円ということで、大変な被害であるわけでございます。

 まさに、私も山梨県に視察に入らせていただきまして、大変うれしかったのは、そこの農家の方とお話をしたときに、自分たちも歯を食いしばって再建に向けて頑張るのでいろいろ応援してくれと、もうやめてしまうという話ではなくて、そういう声が聞かれたということが、大変力強い、私の方が励まされたような思いがいたしました。

 そういう声に応えるためにも、通常のペースで雪が全部解けて、金額がわかって、では、それからこういうことをやりますということではなくて、決められることはもう早く決めて、そして、第一弾を決めたときに申し上げたんですが、これはまた、被害の状況がどんどん明らかになってきたり、いろいろな御要望が出てきたりすれば、追加的な検討を行うとはっきり申し添えて出させていただいて、結果的に一週間後になりましたけれども、第二弾を出させていただいた、こういうふうに特例的な対策を集中的に出させていただいたところでございます。

 今後とも、そういった考え方で、とにかく営農を継続してもらう、気持ちが折れないようにしっかりと支えていく、こういうことでやってまいりたいと思っております。

西村副大臣 私も秋田をことしの早い段階で見させていただきました。大変な大雪、特に南の方、御地元は大変な被害を受けられて、また、今回、関東甲信越で大変な被害ということで、今、林大臣の方から御答弁がありましたけれども、非常に柔軟に対応していただいております。

 私も、さらに群馬あるいは長野を回ってきまして、それぞれ若干の違い、それぞれの地域の事情もありますので、引き続き、農水省におかれては柔軟にやっていただいておりますので、それぞれの事情に応じて適切に対応していただいて、それぞれの地域の農業基盤を継続して維持できるように、内閣府としても精いっぱい応援をしてまいりたいというふうに思います。

村岡委員 大臣、副大臣とお答えいただきましたけれども、今回の災害、営農を継続できるような形で、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。

 そして、一つだけお願いしておきたいのが、ハウスというのは需要と供給のバランスでつくっていますので、実は非常に足りないんです。東北から九州まで仕様が違います。雪の降らないところは当然パイプも細いということでありますし、やはりハウスで再建したいと思っても、ハウスがないという現状があるんです。当然、注文生産でハウスはつくっておりますので、多分関東甲信越、もちろん秋田、東北もそうですけれども、特に関東甲信越は大変じゃないかな、こう思いますので、そこは農林省の方でしっかりとメーカー側にその部分を早急につくっていただくような形で、大臣の方で対策をお願いしたいと思います。

林国務大臣 まさに今委員がおっしゃっていただいたように、全国で物すごく雪が降るところと、今回のような甲信、それから九州、パイプのスペックがそれぞれ異なるということでございます。

 さらに、現地に行っていろいろ話してみますと、実は四月から消費税が引き上げられるということもあって、その前にいろいろな手当てをしておこうということで、ハウスを建てかえられたりとかパイプ等も事前に買っておこうと。ですから、なかなか川上の方に在庫がないということが例年よりもあるのではないか、こういうこともお聞きをしたところでございます。

 一方で、まだ全貌は明らかになっていないのでさらなる増加もあり得るんですが、現時点でも、被災したハウスを全部再建すると、通常年の年間需要量と合算して約二倍のパイプ需要が見込まれている、こういうことで、非常に逼迫した状況にあるということでございます。

 そういう意味で、二月二十四日付で国内の主要なパイプメーカーにはパイプ等の骨材の円滑供給について協力を要請いたしました。パイプメーカーの皆さんにおかれても、四月から六月にかけての需要に応えるべく、三月、四月は通常年の六割増の増産、こういうものに協力をいただける見込みであります。

 増産分のパイプ等が現場に円滑に供給されるように、各県それから農協組織、こういうものを通じて、可能な限り規格を統一してもらって、早期に発注をしていただく、それから優先的に調達すべき資材の特定、こういうものをお願いしておるところでございまして、この間をきちっとつないでいくことによって、資材の円滑な供給を全力でやってまいりたいと思っております。

村岡委員 ぜひ、きめ細かい対策と、それから先ほど申し上げたように、営農の意欲を持てる対策をとっていただきたいと思います。

 次の質問に移らせていただきます。

 TPPの論議は、この農水委員会でも、また予算委員会でも、林大臣とも安倍総理ともやっております。TPPは、秘密保持契約があり、なかなか中身は言えないということですから、これ以上聞いても同じ答弁だと思います。

 ただ、予算委員会で安倍総理に申し上げたとき、できる限りの情報はと、こういうお話でした。それで、先ほど玉木議員にもありましたけれども、アメリカのTPAであったり、いろいろな情報公開があるということですけれども、その答えにも、いや、限られた情報だけだという答弁もいただいています。

 私が思うには、このTPPは、農業分野に限らず、医療や保険やいろいろな分野がかかわっております。そういう意味で、妥結してから、結果的に、これは国会で承認されなきゃいけない。

 そういう問題であれば、よく安倍総理が言われる言葉に責任野党とあります。責任野党という言葉が、安倍総理の方針に従う人が責任野党というのでは虫のいい話でありまして、我々にも責任を持たせてください。TPPという、これぐらいの大きな交渉であれば、与野党一緒に責任を持って、この貿易交渉に臨もうではありませんか。そこの中には、秘密的な、秘密会でもいいです。これは、最終的に国会で承認するときに、与党の中ももめるんじゃないかと思っているわけです。

 そういう意味では、各党は責任者を出して、しっかりとこの分野を検討していく。そういう部分に関しては、西村副大臣はどう思われますでしょうか。

西村副大臣 この点は本当に我々も苦慮しているところでありまして、各国ともに一定の秘密保持契約、ルールの中で情報提供をしようという約束のもとにやっておるものですから、悩みながら、工夫しながらやっているところであります。

 もう既に説明会を、関係する団体、民間の団体の方々あるいは地方自治体、こうしたところにできる限り状況については御説明をしてきているところでありますけれども、御指摘のとおり、最終的には国会で御承認いただかなきゃいけません。

 これは、最終的には、妥結をした段階で、協定文等を日本語に訳して、法制局もしっかり審議してもらって、同じ意味の単語がちゃんと同じように使われているかというようなことまで含めて整理した上で国会に提出させていただいて、その段階で丁寧に御説明をし、できる限りの情報を提供しながら国会で御審議いただいて、最終的に御承認いただけるように我々としては努力をしていくということでございますので、今の段階では一定のルールのもとで限られたものしか出せないというということはぜひ御理解をいただいて、その範囲でもできる限りの情報提供はしてまいりたいというふうに考えております。

村岡委員 林大臣に一言ですけれども、閣議でぜひ提案してください、野党にも、この問題は一緒になって、責任を持ってこの交渉事に代表者を出して、秘密会でやろうということを。まあ、それはなかなかできないとは思いますが、一応、この私の考えをどう思いますか。

林国務大臣 閣議というよりも、担当の甘利大臣や総理といろいろなお話をする機会に、こういうやりとりが委員会では行われているということを御紹介したいと思いますし、また、今西村副大臣がお話をされたように、ほかの国がどういうふうな工夫をされておられるのか、こういうことも参考にしながら、今心情を吐露していただきましたけれども、情報公開については工夫をするんだけれども、守秘義務というのがあって大変に苦慮しておられる、こういうことでございましたので、何ができるのか、常にこれは工夫を続けていくということが大事ではないかと思っております。

村岡委員 これからもTPPの関連の質問はありますが、きょうは、TPPに関してはここで終わらせていただきます。西村副大臣、どうぞ。

 では、次の質問ですけれども、先ほど言った次世代にということで、よく注目されるのがオランダの農業です。

 オランダは、ヨーロッパの中心にあり、巨大な購買力のあるEUを近くに持っておりますから、日本とは条件が違うということはあります。平たんな土地も多いですし、至近距離に四億五千万人もの消費者の食料の市場がある。そして、半径わずか五百キロ以内で日帰り可能なところに一億六千万人の消費者がいる。ヨーロッパの海運業の五分の一を占めているロッテルダムが国際港としてある。このことからも、オランダがアメリカに次いで世界第二位の農業輸出国となっていることは、世界でオランダの農業を参考にということで、特に日本にとって、高付加価値な新しい農業という意味では、オランダを参考にしていかなきゃいけない、こう思っております。

 その中で、大臣は、昨年、オランダに行かれたということで、オランダ農業を視察して、オランダ農業の学ぶべき点、そしてまた日本の農業と違う点、そういう部分をどう感じていらっしゃったか。オランダ訪問のことを教えていただければと思います。

林国務大臣 まさに今委員がおっしゃっていただいたように、まずオランダの面積は我が国の九分の一ということでございますが、それにもかかわらず、アメリカに次いで世界第二位の農産物輸出国ということになっているということでございます。

 今おっしゃっていただいたように、EU域内の輸出ということも当然あるとは思いますけれども、やはりこの狭い国土を有効に活用して、畜産、施設園芸、ホーティカルチャーと言っておりましたけれども、花卉、野菜等の生産を中心に、小さい面積で高い収益を上げる。八割がEU加盟国向けの輸出なんでございます。

 私が見に行ったところも、グラスハウスと言っておりましたけれども、要するにビニールのかわりにグラス、ガラスなのでグラスハウスと言っているんですが、とてつもなくでかいハウスをつくっておられて、一つのハウスが、たしか敷地面積が四ヘクタールぐらい、高さが八メートル、その大きな空間の中に、一面全部パプリカがだあっと五、六メートルの高さで植わっていて、私も少し、危ないからよせと言われたんですが、エレベーターみたいなものに乗って上がって上から見たら、一番向こうの方はもうかすんで見えるぐらいの大きな中にパプリカが一面にどっと生えて、何となくジャックと豆の木みたいな、こんな感じなのかなと思ったぐらいでございます。

 ここを全自動化して、生産もほとんど機械化、IT化、ロッテルダムからパイプでCO2を引いてきて、CO2をわざわざ買って、CO2をたくさん出すことによって光合成を促進させる、こういうところまで全部機械化をされておられました。

 ちょっと聞いたら、最後の選果のところはどうしても人手がかかるというので、そのときだけ御近所の方を含めて手伝っていただいているんですが、それ以外は、この大きな規模のものを家族四、五人ぐらいでやっておられる。もうこれはパックしてそのまま輸出の港へ、こういうことなんだろうなと思いましたけれども、こういうところが輸出の大きなところの一つの力になっているんだろうな、こう思いました。

 やはり行ってみなきゃいけないなと思った一つは、こういうものがある一方で、全部こうなっているわけではなくて、この大きなものの近くに、露地で昔ながらのことをやっておられる方もいらっしゃるということも申し上げておかなきゃいけない、こう思っております。

 まさに、こういったいろいろな条件の違いはあるわけでございますけれども、国土面積、特に耕作面積の狭い我が国の農業政策にとってもいろいろ学ぶべき点が多いな、こういうふうに思っておるところでございます。

村岡委員 今、大臣に話していただいたような、私もオランダ大使館の農業担当の方にいろいろお話を聞かせていただいたんですけれども、大臣が言われたとおり、国土の面積は日本でいけば九州と同じぐらい、そして、農地面積は百九十万ヘクタールですから、日本は四百五十万ヘクタールありますから、日本より小さい。農業生産額は七・五兆円、日本が八・五兆円ですから、それは少し落ちますけれども、農業者人口が七十万人ですから、日本は二百五十万人近くいるということで、農家数も六万九千戸、二百五十三万戸、こういうふうになっています。

 もちろん、今、日本の農家の人が激減するというわけにはいかないんですが、先ほど江藤副大臣が、九十万人ぐらい、こういうふうな想定を言われておりましたけれども、日本にとって、先ほどうちの小熊議員も話しておりましたけれども、離農しても離村しないという中で、やはり、こういうオランダ型の農業は、機械化も進んでいますけれども、しっかりとそこに雇用も生まれています。例えば、千六百万人の人口の中で、六百万人以上、食の関連で従事している人がいる。もう食が、農業を含めて、しっかりとした雇用を生んでいる。そして、農家の近くにしっかりと加工の工場もある。

 こういうような形を参考にしながら、時間的なスパンはかかると思います、しかしながら、そこを目指していかなければ日本の農業が攻めの農業という本当のものにはならない、こういうふうに思っているんですけれども、先ほど江藤副大臣が話されましたので、ちょっとお伺いします。

江藤副大臣 全くおっしゃるとおりだと思います。

 九十万人と先ほども申し上げましたけれども、収入の主たるものを農業生産に依存しているという言い方は悪いですけれども、そういう農業のプロの人たちを九十万人確保して、そして、法人であるとか企業経営のところにも従事して、自民党としては、地域政策として農業政策を今まで展開してまいりましたので、地域としての所得を倍増させていくということも国民の皆様方に申し上げているわけでありますから、時間はかかるかもしれません、今委員のおっしゃるとおり。しかし、離農しない、その地域から離れない、そういうふうな、流出人口を減らしていくということもこれから考えていきたいと思います。

村岡委員 そして、オランダの農業で大事な点が、先ほど大臣も言いました、施設園芸ですばらしいハウスと、近くには露地でやっている方もいる。この辺が大変難しいんですが、オランダの方に聞くと、露地の方にお金がかかっているというんです。ハウスの方は、例えば融資だとかそういうのはあっても、直接の補助金はほとんど行っていない。その辺の兼ね合いを、十年後、二十年後を目指すときに、ただ最初にハウスを建てる、それから農業技術を開発するというイノベーションには非常にお金をかけているそうです。イノベーションにお金をかけるという戦略で長年やってきた結果、施設園芸で輸出をするという方向に行く。

 それで、オランダの農業で一番大事なのが、もちろん輸出が多いわけですから、市場が望んでいるものを常に研究しているそうです。その研究機関もある。そこがまず第一番目にあり、二番目には、農業の技術開発のイノベーションということを大切にする。その二点が一番の中心の柱になっている。

 残念ながら、まだ我が国では、目の前の農業がありますから、次世代までのものを大々的に発表しながらやっていくことはできないわけですけれども、やはりそのメッセージはやっていかなきゃいけない、こう思っているんですが、大臣はどう思っていますか。

林国務大臣 大変大事なポイントでございまして、私は着任早々、攻めの農林水産業本部というのを農水省の中につくったときも、産業政策の方の成長産業化は、特にサプライサイドにとどまらずに、やはりディマンドサイド、需要と供給を両方強くして、需要に合った供給をしていく、これが基本にないと、なかなか売り上げにつながっていかないだろうということを申し上げて、そういう間を取り持つバリューチェーンというのを加えて三本柱、そして多面的機能の四本柱、こうなってきたわけでございまして、まさに、そこが非常に大事な、今から目指すべき方向だ、こういうふうに思っております。

 オランダも、たしかワーヘニンゲン大学というのがございまして、そこで、小間を小さく切って、一つ当たりは十メーター四方ぐらいだったと思いますが、実験農場みたいなのがわあっとたくさんあって、ずっと見せていただきましたが、三つか四つはビニールがかけてあって、これは申しわけないけれども、企業との守秘契約でお見せできないんだというので、いろいろな、水をどれぐらい出すとか、温度をどれぐらいとか、やってみて、うまくいったものだけを実際にやる。多分、それは、何を試してみるかというところの手前に何をつくるか、何をつくるかというのは、どこへ売るか、誰に買ってもらうかという、フードバレーのところのいろいろなマッチングの機能もあって、そういうところがつながっている。そこが、ある意味では科学的にマーケット・インをした上で、実際に大規模につくる前のところをしっかりと試して、落とし込んでやっておられるなというのが非常に印象的でありました。

 これは、実は我々、製造業とか、日本の企業もそういうところは強いところでありますので、そこを農林水産業にもしっかりと生かしていけるようにやっていきたいと思っております。

村岡委員 ぜひ、このオランダの農業を参考にしながら、新しい農業を目指すという方向性も打ち出していただきたい、こう思っています。

 今大臣の言われたフードバレーのビジネスというのは、これは国内のお金だけじゃなくて、このフードバレーに海外の資本まで、食料のところでお金を投資する人がたくさんいるということが現実です。本当の攻めの農業といったら、日本の農業関連に海外からも投資が出てくるような形のものを目指していく、そういうことが大切じゃないか、こう思っております。

 それに関連して、私が冒頭言ったように、こういうメッセージが、やはり若い人たちが就農すると思うんです、二万人の新規就農を目指してということで、八千人ぐらいに百五十万円ずつというのも、これももちろん大事です。しかし、農業の行き先のイメージがなければ、若い人たちは、成長する産業、そして新しい世界に向かっていく産業じゃなければ就農してこない、こういうものだと思っております。

 そういう意味では、農業のIT化ということも大変大切なことだと思っております。今現在、農業の転換期ですから、今打ち出している中間管理機構や経営所得安定対策の見直しや水田フル活用など、日本型直接支払いももちろん大事です。しかし、次の世代のためにという対策がなかなか見えてこない、こう思っております。

 例えば、農林省も一緒に研究している準天頂衛星というのが一機だけあります。一〇年代末には四機、そしてその後は八機となって、この準天頂衛星は日本の上でとまっている時間が長いということの中で、例えば天候の部分でもあり、トラクターから稲刈りから全部ロボット化してやっていこうと、当然、だんだん人数が減って大型化してくるわけですから。

 この準天頂衛星に関しても、農林省としてどのような実験をして、これをどう農業に生かしていくか、お答え願えればと思います。

小里大臣政務官 次世代、新たな青年就農者がしっかりと意欲を持ってやっていく、そのためにITを農業分野でしっかり活用していくことが必要であるという御指摘でございます。そのためにさまざまな施策を講じているところでございます。

 特に、当省所管の独法や大学等による研究を支援していく。その中で、多数の圃場を効率的、一元的に管理するための作業計画・管理支援システムの開発を行っているところであります。

 また、篤農家が持つ技能を若者など新たな担い手に継承するシステムの開発も行っております。

 そこに加えて、今御指摘の準天頂衛星を初め、GPSも含めまして、衛星測位を活用した農作業の自動化技術の開発等を実施しているところでございます。特に、準天頂衛星等の衛星測位を活用した農作業の自動化、これは特に申し上げれば、稲、麦、大豆作等の土地利用型農業における各種農作業を自動で行う農作業ロボットを開発しようというところにその本質がございます。例えば、自律走行が可能な農作業ロボットの開発であります。トラクター、田植え機、コンバイン、施肥機等のロボット化等を図ってまいります。

 準天頂衛星の活用につきましては、その中にありまして、障害物があっても高精度に測位できる、そういうツールとして非常に有望な方策でございまして、しっかり活用を図ってまいりたい、そのように思っております。

村岡委員 ぜひ新しい世代に、この準天頂衛星を使う、先ほどの機械化の、ロボットもありますけれども、ほかにも、例えば作付だとかそういう状況を衛星の中で全部地図に写して、そして自分がパソコン上で見られる、天候も見られる。さらには、今まで農業というのは職人肌で、ノウハウはだんだん伝えるものだったわけですけれども、それがしっかりとパソコンの中にある。

 さらには、今現在、例えば同じ作物で、埼玉で何かを植えていた、それを九州でも植えている、そういう状況も見られるという中で、若い人たちが、今の農業の需要や供給も含めて、また天候の状況、そういうのを見られるような形で、こういう農業を十年後、二十年後目指しているんだということを農林省の方でぜひ示していただきたい、こう思っております。

 さらには、先ほどの災害の話もありましたが、例えば、今、農業者がいろいろな助成をもらうとき、大変書類が複雑だというんですね。そういう部分もしっかりと理解できるようにしていかなきゃいけない、そういう形のものを示してほしいと思っています。

 そこで大事なのが、前回の一般質疑で同僚の岩永議員が聞きました農業高校ですね。農業高校をどうやって生かして、また新しい世代の農業者の方々の姿をつくっていくかということが大切だ、こう思っております。

 この前岩永議員が指摘したように、今現在、農業高校の卒業生が二万人ちょっとですか、その中で農業につかれる方は七百五十人、五・二%という状況ですけれども、きょう西川副大臣が来られていますので、その状況を把握し、農業高校に対して何かいろいろな取り組みはされているでしょうか。

西川副大臣 村岡先生、御質問ありがとうございます。お父様にも大変お世話になっていまして、ありがとうございました。

 今委員がおっしゃいました農業高校の現状ということでございますけれども、農業高校は、いわゆる実践あるいは研修その他で農業の基礎的知識をつけるということが基本的なことでございます。先ほどからずっとおっしゃっていらっしゃいますように、農業の六次産業化、そういうことに向けて農業高校がこれからどうやっていくんだということの御指摘だと思います。

 その中で、先ほど委員がおっしゃいました、卒業生の五%しか農業には従事していないじゃないかというお話でございましたが、二十五年三月の卒業者二万七千六百五名中、高校卒で就業する者が一万四千四百六名、そのうちの七百五十名、これが農業に就業した人たち、五%ということでございますが、それ以外に、先ほど申し上げましたように、六次産業化ということで、食品関係、あるいは生産工程のいろいろな工夫その他、生産工程、労務作業者、この辺の方についていらっしゃる方が五千百八十一名、三六%ほどいらっしゃいます。

 そういうことを踏まえまして、今年度から実施されております新しい高等学校学習指導要領、これを今の現状に少しでも合わせていこうということで改訂させていただいております。

 その大きな三つの柱が、生産、流通、経営の多様化や技術の高度化への対応、それと環境保全の必要性、このことについての高まり、安全な食料の安定的供給への要請への対応、この辺の三つの大きな柱を新しい学習指導要領に加えまして、特に、農業の情報処理や農業経営などの専門科目にITの活用や経営感覚の育成に関する学習などが行われております。

 そして、一つ具体的な例といたしまして、先生の御地元の秋田県立金足農業高等学校におきましては、県の農政部などとも連携いたしまして、県内の農家に十日間ほど宿泊を行う農作業実習、あわせて、地域農業の動向を把握する経営感覚を身につけさせるために、地域のいろいろな商店その他、そういう方々との交流なども含めた意識啓発を図る指導、そんなことも実際にやっております。

 以上でございます。

村岡委員 いろいろな取り組みはされていると思うんですが、これは文部科学省だけの問題じゃなくて、若い人たちに、先ほど言った将来の農業を支える人たちに、IT化なりいろいろな知識を得てもらうということでいけば、農林省がもう少し文部科学省と一緒になって、農業高校の取り組みに対してしっかりとした対策も立てていただきたい、こう思っております。

 農林省の予算というのは農業高校には行っているのでしょうか。

小里大臣政務官 御指摘のとおり、農業高校は、これからの農業を担う人材の育成機関として大変重要な位置づけに捉えております。そういった中で、五、六%程度しか就農していないというのは非常に心もとない状況であります。

 そういったところも勘案しながら、農水省としましては、まず就業体験、高校生の農業インターンシップへの助成を行っております。また、全国の農業高校生、職員が参加する日本学校農業クラブの活動に対する後援や表彰等を行っております。また、全国農業高校校長会に対する農政情報の提供を行っているほか、農業高校と農業大学校等との連携を進めるように都道府県に働きかけているところでございます。

 こういった取り組みを進めながら、文科省と連携して、農業高校のさらなる活用を図っていきたいと思うところでございます。

 ただ、御指摘のとおり、やはり若い人たちが、農業高校を含めて、しっかりと就農していけるような環境をつくっていく、これが大事なことであろうと思います。魅力ある農業と申しますか、所得も上がって、希望と安心を持って取り組んでいける、そういう営農環境をつくっていくことが何より大事なことであろうと思っております。

 そういった観点から、農業・農村所得倍増目標十カ年戦略、またこれをもとにした活力創造プランを策定したところでありまして、施策を総動員して、しっかりと意欲を持って営農に取り組んでいける、就農していける、そういう環境をつくっていきたいと思います。

村岡委員 もう時間がないので、最後になりますけれども、今政務官が言われたように、農業高校の実態に対してしっかり取り組んでいただきたい。もちろん、二万七千人のうち、一三・八%は大学に行っていたり、また専門学校に行っていたりします。ところが、農業関連に行っていないということがありますので、やはり十五から十八の大事な時期に農業高校に入ったということになって、むしろ農業が成長産業だ、これから伸びていくんだと本当に感じられる、農業の教育のプログラムをつくってほしい、そこにはお金も支援してほしい、こう思っているわけであります。

 青年就農金は二百億ありますけれども、その一部なのか、ほかから予算を持ってくるのか、それはいろいろな検討があるでしょうけれども、農業高校に対して、農林省がしっかりと予算もつけて、これからの将来を担う子供たちだ、農業を支える人たちだという意識を持って頑張っていただきたい、こう思っております。

 そしてまた、今、日本の大学生や高校生を含めて、海外との交流というので、留学も進めています。そういうときに、農業高校や農業大学校の人たちがオランダやいろいろなところに、日本が将来目指すべきところに、留学も考えてみてください。やはり、次世代の人たちにしっかり農業の部分を託していく、そして成長していただくために頑張る、こういうことを、農林省が絵を描いて、農業高校の生徒たち、農業大学校の生徒たちにぜひ発信していただきたい。また、日本全体にも、農業はこういう状況になれば伸びていくんだというものをぜひ林大臣のもとでつくって発表していただきたい、こう思っておりますが、最後に林大臣に。

林国務大臣 この間、岩永委員だったと思いますが、やりとりをさせていただいたときに、「銀の匙」の映画を農水省でも見てみようというのを企画していると申し上げましたが、実際に三月七日に試写会をやらせていただきまして、私も見せていただきました。大変感動的な映画で、これがヒットするといいなと思って見せていただいたんです。

 やはり、こういう現場、そういうところばかりではないかもしれませんけれども、今先生がおっしゃったように、多感な十五歳から十八歳、そこでこういうところへ来ていただいているというのは、そもそも非常に大きな就農に向けてのポテンシャルがある方々でありますので、そういう方々にしっかりと、まずは在学中にそういう意識を強く持っていただくような取り組み、それから、まさに委員がきょうずっとおっしゃっていただいたように、なるほど、自分が入っていってでかくもうけてやろう、こういうふうに思えるような農業の環境、こういうものをあわせてつくっていくことが大変に大事ではないかと思っておりますので、文科省と連携してしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

村岡委員 時間が参りましたので、これで終わりますけれども、ぜひその取り組みをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

坂本委員長 この際、休憩いたします。

    午前十一時四十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時五十一分開議

坂本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。林宙紀君。

林(宙)委員 結いの党の林宙紀です。

 本日も、大変細かいところの質問をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 国会が開いていなかった時期に、農業のこと、あるいはその経営がどうなっているのかというのをいろいろと自分なりに勉強してみたいということもあって、いろいろ調べてみました。

 それで、私も地元に農場を借りていろいろやっているものですから、私のところは収支はどうなっているのかなと自分で計算してみると、意外と薄く利益が出ている。何とか黒字を達成したということで、大きな規模でやっているわけではないので、そんなに大きな影響があるかといえば、そうではないんですけれども、そんな中で、ちょっといろいろと気づいたところ、気になったところがあったので、きょうは、それを中心にお話をお伺いしたいと思っています。

 日本の農政におきましては、まあ、農政にかかわらず、経営をしていこうというと、必ず最終的に、収入それから費用というものが大事になってくるわけですが、まず、農家、農業のコストといったときに、どういうふうに計算するんだろうということをいろいろと調べてみました。そうすると、農家というか農業においては、基本的に、コストというと、いわゆる全額算入生産費というものをその一つの考え方にしているということなんです。

 まずお伺いしたいのは、農業においてコスト、費用というのはどういうものなんですかと聞いたら、基本的に全て全額算入生産費ということで考えるということでよろしいんでしょうか。お答えをお願いします。

奥原政府参考人 一般的に農業のコストがどうかというときはいろいろあるかもしれませんが、これまでの農産物につきましての価格政策あるいは経営安定政策、これにおきまして生産費の概念をどういうふうにとっているかということで見てみますと、これは、連続性の問題それから経緯の問題もございますし、算定の方式がこの水準と密接に絡んでいるという問題もございますけれども、現在に至るまでの価格政策あるいは経営安定政策の原型をつくったのは、昭和十七年に制定をされまして平成七年まで続いた食糧管理法時代の米の政府の買い入れ価格であろうというふうに思っております。

 このときの政府の買い入れ米価ですけれども、終戦直後から米が足らない状況でありましたので、米を増産する、それから再生産を確保するといったことを旨として政府の買い入れ米価が決められておりまして、当初は、前の年の価格に物価の変動率を掛けるというやり方をとっておりましたが、その後、昭和三十五年から食管法がなくなります平成七年までの間は、いわゆる全算入生産費というものをとって政府の買い入れ米価を決定しております。

 この全算入生産費といいますのは、農家の方が実際に払う経営費のほかに、家族労働費を入れる、自己資本の利子を入れる、それから自作地の地代を入れる、これを含めたものを全算入生産費といっておりますが、これを使って、生産費所得補償方式と呼んでおりましたけれども、この方式で政府の買い入れ米価を算定してやっていたという経緯がございます。

 これが、その後のいろいろな、ほかの作物の価格政策なりあるいは経営安定政策の一つのベースになっておりまして、物によっていろいろ違いはございますけれども、これを参考にしているものはかなりあるというふうに思っております。

林(宙)委員 歴史的なところから、ありがとうございます。

 今お話にありましたとおり、この全額算入生産費というものは、家族労働費とか自作地地代、自己資本利子といったものが含まれているということです。

 基本的に、物財費とか、実際にキャッシュフローとして出てくるもののほかに、実は、この家族労働費ですとか自作地地代といったものは、農家のキャッシュフローとして支払いが発生しているものではないものを算入しているということになると思います。

 経済学的には、考え方として、私は間違ったものであるとは全く思っていません。というか、基本的に、こういう考え方を経済学的にはするものだと思います。ただ、これについては、費用という考え方をするのがいいのかどうか、私は少し気持ち悪いところがあります。

 というのは、これは、何か農産物を生産するのに投入した経済価値という形で捉えるのは、私は間違いではないと思っています。一方で、私も自営業的な形で仕事をしていた時期が数年ありましたので、当然、確定申告とかをやるわけです。そのときに、言ってみれば、さっきの家族労働費というのは、家族が仮に一人だとしたら、それは自分の手取りのお給料だよというものになるはずなんですが、自営業というか個人事業でやっている場合は、基本的に、当然、費用の中に自分の手取りになるはずの労働費というのは算入できないということになっています。会計的にはそのとおりですね。そうなると、この家族労働費が費用というものの中に入れられている、例えば補償などを計算する際にそれを費用として考慮するというのは、一体どういう合理性があるのかなというのが物すごく気になっています。

 今回お渡しした資料で、表が白書の方、「(3)農家経済関係」と書いてありますけれども、今の全額算入生産費というのが下の方に図でわかりやすく描いてあります。これは本当にこのとおりだと思うんです。

 ちょっと米の例がどうなっているのかなと、最初のきっかけがこれだったので、その裏を見ていただいて、これは米の直接支払交付金の計算の仕方ですよということなんです。

 政府の方におかれましては、この一万五千円の支払交付金は今度から半額になりますというような方針だそうですので、これは従来のという形になりますが、これを見ていただくと、真ん中辺に「標準的な販売価格(農家手取り)」と書いてありますが、その上に「標準的な生産に要する費用」というものがあります。

 当然、費用の方が農家の手取りより上回っていますので、これはコストをカバーできていない、赤字になっているよということで、補償というものをしていくんだなというふうに、正直ここまで私は思っていました。

 一般的にもそうだと思うんですよ。農家の皆さんというのは、どれだけ農産物をつくっても、その市場価格が非常に高いとは言えない、安いということで、生産費に追いつかない、だからこそ補償が必要であるというようなことなんだろうなと一般的には思われているはずなんです。

 そのときに、では、費用というのはどういう構成なんですかというので、米の場合は上の二つの箱、「実際の支払経費(経営費)」というのが九千八百二十八円ありますが、その上に「家族労働費」三千八百七十五円というものが計算されています。

 米に関しては、この家族労働費は八割掛けになっていますよという話なんですが、それはちょっとおいておいて、要は、収入から費用を引いて、それが個人事業主の場合は自分の手取りになるわけです。そのときに、自分の手取りと個人事業では呼ぶはずのこの家族労働費が既に費用に入って引いているというのは、やはり一般的に考えると、ちょっとおかしいんじゃないかという感覚にはなるんですが、これはどのようにこれまで説明をされているか、あるいはどのように合理的に説明をしてここに算入をしているのか、そこのあたりの御説明をいただきたいと思います。

奥原政府参考人 御自分の経営を見るときには、実際に、どれだけの収入があって、払った経費がどうであったか、これを見て、残りが自分の手元に残るというのが普通の発想だと思います。

 ですが、先ほど申し上げましたように、価格政策の価格を幾らにするか、あるいは経営安定対策の補填金額を幾らにするか、この政策目的との関係ではじくときには、やはり、例えば麦、大豆であれば、それの再生産をきちんと確保するためにどれだけの水準にするかという話がございます。

 そういった意味で、算定するときの根拠としては、実際に払った物財費だけではなくて、その方が実際に家族労働を使って働かれたのは事実でございますので、その分の所得もきちんと確保できるようにしないと再生産が確保できないという考え方で算定をしているものがあるということでございます。

林(宙)委員 私も、最初にこれを見たときに物すごく混乱して、どういうことなんだろうと思っていたんですが、いろいろと調べるうちに、そもそも利潤がなかなか出せない状況なので、それはやはり家族労働費まで含めて補償の対象にしないと、生産に使った実際の費用だけ埋めても利益が出ないわけですから、続けていくことはできない、だからこそ、そこを対象にしているんだ、それは納得しました。というか、それは当たり前のことだと思うんです。

 ただ、そうなると、一般的にどう思われているかというと、さっき私が申し上げたとおりで、要は、農家手取りに対して費用が上回っている、だから所得補償が必要なんだと、多分皆さんはそう思っていると思うんですよ。実際に私も、政治を志す前に、こういうスキームがあると思ったときに、そんなふうに思っていましたし、やはり周りで、何でこういう補償というのがあるのと聞かれたときに、細かく説明すれば納得はしていただけますが、結局、農家の方というのは、手取りよりも実際に使っている費用の方が多いから、だから補償しているんでしょうとみんな言いますよ。

 要は、この全額算入生産費的な考え方が農業という業界における代表的な費用だと一般的には思われているので、普通に自分で仕事、経営をしている人にとっては、これは一体何なんだろうという混乱は非常に大きいわけですね。

 では、そうすると、やはりそこに対するきちんとした説明というのはちゃんとしなきゃいけないんじゃないのかなと私は思っているんです。

 まず、例えば物財費とか、いわゆる経営費に入るものについては、これはちゃんと補償しましょうよ、それは見てあげましょう。その上に、労働費も補償してあげないと、実際は手取りがないわけだから、労働費も補償してあげなきゃいけないんだけれども、では、その労働費をどういう基準で、どのぐらいに設定したら適正なんでしょうかという話をやはりちゃんとしないといけないんじゃないかと思うんですね。

 今、もちろんそういう基準があって決められていると思います。例えば、この白書、もう一回先ほどの表の方に戻っていただくと、家族労働費というのはちゃんと定義がありまして、簡単に言うと、勤労統計調査の建設業と製造業と運輸業・郵便業というところに属する五人から二十九人規模の事業所の賃金データ、これをもとに算出しているんだということになるわけなんですが、なぜこれを基準にしているのかというのは、多分わかっている人はほとんどちまたにはいらっしゃらないと思うんです。

 これについての説明をいただきたいなと思うんですが、よろしいでしょうか。

坂井政府参考人 お答えいたします。

 農林水産省の生産費統計におきましては、委員御指摘のように、家族労働費は、調査の結果出てくる家族労働時間に、毎月勤労統計調査のデータを活用して出した平均賃金を掛けて算出しております。

 この際、毎月勤労統計調査の中でどのようなデータを活用するかは、農業労働との類似性に着目してデータを選んでおります。

 具体的には、農業労働が物を生産する労働であり、また、農業機械の運転操作を伴う、こういった点に着目をいたしまして、こうしたことと類似する要素がある製造業、建設業、運輸・郵便業の三業種をまず対象といたします。

 次に、農業が家族労働が主体であるということから、毎月勤労統計調査における最小の階層である、従業者が一番少ない層の五人から二十九人規模の事業所を対象といたします。

 その上で、農業は経営者夫婦によって営まれるという場合が多うございますので、毎月勤労統計調査のうち、男女全体の平均賃金、こうしたデータを活用して平均賃金データを算出しているところでございます。

林(宙)委員 根拠はそういったことなんだなと思うんです。

 それでは、実際、どのぐらいの額を参考にしてやっているのかなと思って、その統計の中に入っている月間現金給与額というものを見てみたんですが、実は、今挙げていただいた建設業、製造業、運輸業・郵便業というのは、ほかの業種に比べると、比較的高い方の賃金のものなんですね。高かったらだめだとは言いませんよ、私も。だけれども、今のような御説明の中で、例えば、基本的に物をつくる産業だとおっしゃっていましたけれども、運輸業・郵便業というのはそういうことになるんですか。

 なので、やはり一度これはちゃんと見直して、国民の皆さんに、こういう理由でやっていますよということを、見直すというのは、別に変わらなくてもいいんですけれども、こういう理由で労働費を計算しているんですというのをちゃんとわかるようにしなければいけないんじゃないかなと思うんです。

 究極的には、私は、労働費をここに算入して、その分を補償しましょうというのは賛成です。賛成なんです、それがないと成り立ちませんから。ただ、一つだけ、先ほどの全算入生産費の中で、これは入れて計算しちゃいけないんじゃないのかなという要素が私は二つあると思っているんです。それが、自作地地代と自己資本利子です。

 これは、言ってみれば、水田で考えましょうか、自分の田んぼを人に貸していたらこのぐらいの収入があるだろうとか、そういう意味で算入されている費用なんです。だからこそ、投入した経済価値だと私は申し上げているんです。しかしながら、実際に、自作で農業をしている人は、田んぼを貸しているわけじゃありませんし、その分のお金がキャッシュフローで入ってくることもない。ほかの、機械なんかと違いますので、減価償却とかして費用が発生するような類いでもない。

 これを実際に、では、畑作なんかでどのぐらい自己資本利子とか自作地地代とかは入っているんですかというと、結構な額が入っているんですよね。一割ぐらいだとは聞きましたけれども、例えば小麦の場合は、六十キロ当たりの収量で全算入生産費九千七百七十円だということなんですが、自己資本利子と自作地地代はそのうち千四百八十円です。結構な額だと思うんですね。一方、大豆の方も、一万九千六百十七円、六十キロ当たりの生産費です。このうち、では、自己資本利子、自作地地代はどのぐらいですかというと、四千四百円ほどになります。結構な額がここに入っている。

 投入した経済価値としてこのぐらいですよというのは、私はいいと思います。だけれども、実際の所得、収入、それを考えて補償するといったときに、こういう要素、実際に自分はいつまでも払うわけではない、払っていないんです。私も、自営業をやっていたときのことを考えれば、自分の家を事務所と兼用していますといって、そういえば、三分の一までは何か家賃に算入していいと言われましたので、していましたけれども、それも毎月払っているんですね、基本的には。払っているうちのこれだけ経営費として認めてくださいということなので、この農地に関しては、基本的にキャッシュフローが起きていない。

 これを今後も所得補償の計算をするときに経営費として算入するのが是か非かというところは、やはり一度お考えいただいた方がいいのではないのかなと思うんですが、時間もなくなりましたので、最後に大臣、そのあたりの御答弁をお願いします。

林国務大臣 委員のお考えは、多分、コストとして、経営費を採用して、経営費と販売価格、この差額をまず出した上で、その上でどうするかという順番の方がわかりやすいのではないかと、聞いていてそういうふうに思ったんですが、一方で、冒頭におっしゃったように、経済学上はこれは正しいんだと。

 まさに、自分が持っている土地、それから自分自身の労働力というか時間というか、これをどういうふうにするか。ほかの産業に従事した場合には給料がもらえる、ほかの用途に使った場合にはそこから収入が得られる可能性がある、逸失利益ということだと思いますが、そういうこともきちっと考えた上でやっていかないと、そこは自分が持っていて、もう使わないでほっておく、自分も何もしないで何も稼がないという前提なら、おっしゃることもあるのかもしれませんが、そこはよく考えてみなければいけない。

 経済学上はそういう整理になるのではないかな、こういうふうに思いますが、どういうふうにしたら一番その説明がしやすいかという意味では、いろいろな角度から単価の算定方法というのはあり得るだろう、こういうふうに思いますので、対策の趣旨が農業者に正確に伝わるような工夫というのは常に心がけておらなければならない、こういうふうに思っております。

林(宙)委員 私は、どういう政策でも、合理的な根拠があればそれでいいといつでも思っていますので、説明が必要だというものがあれば、ぜひお願いをしたいなというふうに思っております。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

坂本委員長 次に、畑浩治君。

畑委員 生活の党の畑浩治でございます。

 まず、農政改革の関係で議論させていただきたいと思います。

 今回の農政改革、戸別所得補償の米の一万五千円の直接支払交付金を来年度半額にする。これは四年後には廃止するということでございます。これのかわりにというか、あわせて日本型直接払い、多面的機能払いということで、集落などの活動組織に対して支払われる交付金を創設していくということになります。

 こういう支援の形態が変わる中で、ただ、個々の農家に交付金という形で渡る部分が当然変わってきますので、それに伴って農業所得も変わってくる。端的には減ってくるわけですね。一万五千円の、やはり単価的に見て、集落に農地維持支払いだって十アール三千円が一つの例ですので、恐らく個々の農家に一万五千円が行くわけではないし、これは基本的には集落に払われる額であります。そういうことで、個々の農家の所得が変わってくるという危惧を、地元を歩いていると持っております。

 これは、制度が変わるからといえばそれまでですが、地元紙の新聞の例をお配りしましたが、例えば岩手県だと、岩手県が国の農政転換に伴ってどれぐらい農業所得が減るかという試算をまとめたということで、岩手県全体で十六億減るんだそうです。

 そして、この記事に細かく書いていますが、もちろん、稲作栽培が盛んなところや大規模生産者への影響が大きい。これは、例えば岩手県でいうと、県南、県央部がそういうところなんですが、水稲二十六ヘクタールと小麦十四ヘクタールの農家所得は、約千八百八十二万円から約千六百八十三万円に減少して、減少率は一一%だ。

 逆に、一方、岩手県の県北、沿岸部は、水稲はそれほど盛んではありませんが、そういうところはふえるのかというと、こういうところでさえも、水稲二ヘクタールと想定して、キュウリを六十五アールの生産者ということになりますが、これも五百五十四万円から五百三十九万円の減少で、三%の減少率ですが、交付金の算定の関係で減ってしまう。

 これは歩いていると、かなり不満というか不安が大きいわけです。例えば、被災地ですから、復旧復興の最中でこういう制度の激変は困ったものだ、あと集中復興期間も含めた二、三年、三年ぐらい待ってもらえれば、そういうことから、激変緩和をもっとしながらやった方がいいという話もあります。

 こういうことを申し上げた上でお伺いしたいんですが、農家の所得、特に米を中心とした主業農家ということですが、端的には交付金の額も含めたことになりますが、その所得というのはどういうふうに変わってくるんでしょうか。

林国務大臣 まさに、今回の改革は四つの改革ということで、経営所得安定対策の見直し、水田のフル活用と、米政策の見直し、それに加えて、中間管理機構をつくって、今御指摘いただいた日本型直接支払制度も始める、こういうことでございます。

 米の直接支払交付金、これは餌米などのような戦略作物の助成の充実や産地交付金の拡充とあわせて行う、こういうことでありまして、意欲ある農業者の方が、主食用米偏重ではなくて、みずからの経営判断で、午前中も御答弁申し上げましたように、水田という重要な生産装置を使って、需要のあるものを選択してフル活用をしていただくということに対して手厚い助成をしよう、こういう方向性になっております。

 それに加えて、今お話しになった日本型直接支払いですが、これは、御指摘のように、集落などの活動組織に対して支払われるわけでございますが、この交付金をまず活動組織の共同活動に充当するということですので、従来は農家自身が負担していた部分が軽減をされる。それから、これはもう集落の皆さんに任せてあるということですが、参加した農家に日当として支払うこともできる。今の中山間地等の支払いは、たしか四五%ぐらいは日当的に支払っておられる、こういうデータもございます。そういう意味で、農家の実質的な手取りの向上にもつながっていく、こういうことでございます。

 さらに、中間管理機構等によって農地集積等をしまして、生産性の向上、また流通の合理化、高付加価値化等を図って、農業本体からの所得をふやすとともに、六次産業化、ほかの産業、観光業、医療、福祉等との連携によって市場規模そのものもふやしていくということで、農業、農村の所得をふやしていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。

畑委員 来年度、飼料米にそういうふうに変えていくとした場合でも、需給が抜本的に急激に変わるとは思えなくて、そこは整備しながらやっていく。長期的にはふえるかもしれませんが、例えば、来年度という議論をした場合に、交付金が半額になる。そうした中で、飼料米への転換が急激に進まないとした場合に、ふやす努力は必要ですが、そこまでふえるのかという危惧を農家は持っているところであります。

 岩手県の方は、まさに数字で、十六億円減るという全体の試算をしておりますが、国の方は数字で試算していますでしょうか。

林国務大臣 これは県別に、統計があるものとないものといろいろございます。それから、どういうふうにそれぞれの農家の方が経営判断をしていかれて、水田フル活用ビジョンをどういうふうにつくっていくか、これと大きくかかわりますので、モデルケースとして、こういう組み合わせでやったらこういうふうになる、こういうものはつくっておりますが、実際に各県でこういう数字が出るというような試算はしておらないところでございます。

畑委員 今、モデルケースで、大体こうした場合はこうだというのは試算されているという話を伺いまして、そこはちょっとモデルケースで伺いたいところもありますが、通告していないので細かい数字はあれですが、これはまさに今後の農政改革二法案の議論になりますので、そこで数字を踏まえてモデルケースでちょっと議論させていただいて、農家に全体像を明らかにした方がいいと思っております。そこは議論させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 ちなみに、議論をかえてというか、この議論は後ほどというか、モデルケースでやっても、端的には米の直接払いの交付金が半額に減るという形になると思いますが、それはそれとして、次の議論をさせていただきたいと思います。

 TPA法案です。

 午前中、玉木議員の議論でもありましたので、重複にならない形で議論させていただきたいと思います。

 私も、資料二で、大体同趣旨の訳だと午前中に見ましたが、仮訳をしまして、これは二月二十七日の予算委員会の集中審議で実は準備してお配りさせていただいたものなんですが、十分議論できずに終わっておりました。

 これを見ると、かなり情報公開の規定があるということでありますが、ここで、米国のTPA法案については、当然、米国は、議会に交渉権限があるものを、政府が交渉権限を委ねてもらうためにこの法律をつくる。これが通れば、当然、政府に交渉権限が移って、日本のように、妥結した後、一括して議会にかけて、認めてもらうか否決かということになる、そういうことだと思います。

 ということは、当然、米国政府はこのTPA法案を通してほしいと思っているはずです。通してほしいということは、もちろん、情報公開のこの規定の部分も含めて、全体を通してほしいと思うわけであります。

 情報公開の規定がどうなのかというのは、外務省に通告して聞こうと思ったんですが、玉木委員がお聞きになりましたので、ちょっと違った質問をします、恐縮ですが。

 このTPA法案を、米国政府は成立してほしいという思いを持っていますでしょうか。ちょっとそこの確認をしたいと思います。

森(健)政府参考人 お答え申し上げます。

 米国行政府といたしましては、いろいろな公式の声明等におきまして、このTPA法案が議会に提出されたことにつきまして、歓迎の意を表明しているところでございます。

畑委員 ありがとうございました。

 おっしゃるとおりだと思います。歓迎して、これを通してほしいと思うのは当然です。

 ただ、この情報公開の規定でさえも生ぬるいということもあるようには聞いておりますが、いずれにしても、これぐらいのレベルは、アメリカ政府は、歓迎して、通さなければいけないと思っている。

 何が言いたいかといいますと、この情報公開の規定の部分、こういう規定があるわけです。一方、日本国はこれまで、我々の議論に対して、秘密保持契約、守秘義務があるから答えられないと言ってまいりました。ということは、米国政府はこの法案を歓迎して、通った場合に、ここの規定があるわけですが、全ての議員が交渉中のテキストにアクセスできるとか、そういう情報のアクセスの部分が明確に規定されている、ここを、アメリカ政府は守秘義務との関係をどう考えているのか、そこはクリアされたという前提でこの法案が通ることを歓迎しているのか。私は、そこはちょっと矛盾している法案をつくっているなと思いますし、日本政府よりも情報公開の考え方が、もしこれを歓迎しているとすれば、アメリカ政府は進んでいるなと思います。

 そこは、守秘義務との関係をどのように整理されているんでしょうか、この法律との関係で。

森(健)政府参考人 お答え申し上げます。

 このTPA法案でございますけれども、本年一月九日に議会に提出をされ、十六日に公聴会が行われ、その後、審議が行われていない、これから審議が本格化することが予想されるわけでございます。

 そういうものでございますので、その内容につきまして、個々の条文等について行政府がどのように考えているかということは、私どもとしてつまびらかに承知いたしておりません。

畑委員 交渉して、議会にかけられて、仮に通った場合は、まさに全議員がテキストにアクセスができる、そういうことが入った規定が法律になるということです。ということは、アメリカ政府は、これに対しては守秘義務がありますからといってアクセスさせないことにはならないということになります。

 日本国政府としては、このような法案が通った場合、アメリカ政府の整理に並びとすれば、我々がアクセスできるという法案は通るわけですが、そこは、そういう法律についてはどういうお考えになりますか、我が国としてこういう法案について。

西村副大臣 個別の法案で、個別の条項については、私どもの方からどうこう言うことは差し控えたいと思いますけれども、御案内のとおり、この交渉は、一定のルール、つまり秘密保持で、公開することはこの範囲だということを決めてやってきておりますので、十二カ国の信頼関係でそれが進んできております。

 一方、アメリカが議会から権限をとらなきゃいけないということも承知をしております。

 その中で、全体として、アメリカ政府として、議会から権限を受けなきゃいけないという部分は、アメリカ政府もそれを求めているんだと思いますけれども、個別の条項でどういうふうに考え、どういうふうに対応するかは、アメリカ政府が責任を持ってやっていただきたいと思いますし、基本的にはアメリカ政府内で対応していただく問題というふうに考えております。

畑委員 アメリカ政府のことを私は聞いているのではありません。

 アメリカでこういう法律が、通ることを前提に今かけられているわけですが、通った場合に、日本も並びの主張をしなければいけませんよね、議員が、我々が求めるわけですから。それに対して、守秘義務が要ると言っても始まらない、アメリカはこの守秘義務に対してアクセスできるような法律をつくろうとしているわけですから。それは、アメリカと並びが違うことを言って、我々日本国においては議員にアクセスさせないというのは、どう考えてもバランスが悪いわけです。

 ましてや、きょう午前中も玉木議員の議論でありましたが、情報公開の決議があるわけですね、速やかに情報公開をすると。情報公開をするということは大前提であるわけです。情報公開することが大前提であれば、守秘義務との関係で、工夫して、今まで努力しているとおっしゃいましたが、アメリカがここまで考えているならば、日本国の国会議員に対しても、日本国政府は何らかの公表方法を考えなければならない。

 それは、議員には守秘義務がかかりませんからできませんよというんだったら、まさに守秘義務をかけるなり、秘密会でもいいんだと思いますが、そういう努力さえもしていないというこの政府の姿勢は、私はいかがかなと思っております。

 そういうことでありますが、質問はちょっとダブるかもしれませんが、仮に、秘密保持契約というか、議員に守秘義務をかけたり、秘密会で議員に対して公開するとすれば、これはいわゆるTPPの守秘義務に反しますか。

西村副大臣 まず、アメリカの中での話はコメントは差し控えたいと思いますけれども、一般論で言えば、法案が提出されても、その後、議会の修文があり、あるいはいろいろなやりとりがある中で、最終的には法律の形になってきますので、このままの形でアメリカ政府が議会で成立することを求めているのかどうか、それを歓迎しているのかどうか、そのあたりはわかりませんので、これはアメリカに責任を持って対応していただきたいと思います。

 いずれにしても、十二カ国の間で信頼関係を持って、一定のルールのもとで、中身は公表しないという前提で議論を進めてきておりますので、我々としてはその方針にのっとって、十二カ国と信頼関係の中で妥結をし、その後にしっかりと中身をお示しして、国会で十分に御審議いただいて、そして御理解いただけるように努力をしたいというふうに思っております。

畑委員 ちょっと質問にお答えいただきたいんですが、秘密会なり、農水委員会なり、農水委員でもいいんですが、守秘義務をかけて公開することはTPPの秘密保持契約に反するんですかということをお聞きしているんですが、そこをお答えいただきたいと思います。

西村副大臣 十二カ国との信頼関係の中では、これは秘密保持契約に反するものというふうに考えます。

畑委員 秘密保持契約に反するということであれば、アメリカのTPA法案の情報公開規定部分は、守秘義務というか秘密保持契約に反するということですね。

西村副大臣 アメリカでまだこの法案が成立したわけでもありません、審議も行われておりませんので、仮定の質問にはお答えできかねます。

畑委員 今、話がありましたが、どう評価するかお聞きしたかったわけです、アメリカの法案に対する評価ということでお答えにならないんでしょうが。

 これは同じようにお答えにならないんでしょうが、であれば、議員立法で、例えば、論理的には、農林水産委員会でこういう情報公開を求める法案を出したとして、法案にすることについて政府は否定的でしょうけれども、これは国会決議をやっていますので、本当は与党だって乗らなきゃいかぬし、納得する話なんだと思うんですよ。

 これは決議を法案化するということも含めてやるとした場合に、ぜひとも御検討というか、やりたいと思いますが、これは農水委員会で検討をすべきだと思います。そういうこともちょっと問題提起をしておきたいと思います。

 いずれにしましても、これで明らかになったのは、米国は、情報公開の姿勢が、非常にやる気があるということです。だって、このTPA法案、これでさえも生ぬるいというのを私も聞きましたし、報道で読んでいるところですよ。情報公開をするだけではなくて、もっとがりがりと交渉に関与させよ、こういうことまでアメリカは言っている。

 日本の国会議員も、本当はおとなしくなくそういうことを言えばいいんですけれども、情報公開さえもしていただけない。だから、日本の情報公開に対する姿勢はおかしいと思いますし、以前、ニュージーランドの秘密保持契約のひな形を見たときには、明かせるんですよ、あれがそのとおり秘密保持契約になっているかどうかはわかりませんが。政府関係者はもちろんわかるけれども、それ以外のものでも、交渉について利害関係を有するものとか、必要なものについては明かせる、もちろん守秘義務がかかるようなことをちょっとにおわせる部分もありますので。

 私は、ぜひともここで、守秘義務をかけるかかけないか、そこはかけるということもあってもいいと思いますが、やはり農林水産委員なり関係委員にはしっかりお示しいただかなければいけないと思います。そういう立法措置も、ちょっと関係者でぜひとも、今、そうだと言っている方にも御期待をして、連携していきたいと思います。

 いろいろしゃべり過ぎましたが、時間もまだ大丈夫でしょうか。

 もう一つ、では、最後にお聞きいたしたいと思います。

 食料自給力、ちょっと質問だけきょうはしておきますが、農政改革の関係で、恐らく食料自給率というのも出てくる感じで議論されていますが、今までは食料自給率を目標にしていた。これからは、大臣の所信の中にもあるように、食料自給率及び食料自給力と並んで検討対象になっております。

 まずお聞きしたいのは、この食料自給力というのがよくわからないんですが、どのような概念なのか。そして、食料自給率に加えて、このような概念を検討対象としてきたのはなぜでしょうか。ちょっとそのことをお伺いして、質問を終わりたいと思います。

小里大臣政務官 食料安保を進める上で、まず、カロリーベースの食料自給率が一般的な指標であります。ただ、これも大事な指標でありますけれども、この食料自給率の概念だけでいきますと、例えば自給率の低い品目はなかなかつくりにくいということになってしまいます。

 やはり地域の実情に合ったものをしっかりと作付していく。たとえ、野菜であれ、果樹であれ、あるいはお茶であれ、カロリーの低いものであっても、しっかりと地域の実情に合ったものを作付していくことで農地が生かされ、担い手が確保され、そして技術が育成をされるわけであります。あるいはまた、地域の創意工夫、自主性を生かした営農というものが育成をされていくわけであります。

 そういった考え方に基づくものが、理念が食料自給力の考え方、これがまた本来の食料安保の基本であろうと思います。言いかえれば、農地、担い手、あるいは技術といった潜在的な食料供給力をいうものと理解をしております。

 従来の食料自給率の理念に加えて、食料供給力もあわせて理念として用いていく、これが所得倍増十カ年戦略でうたわれまして、これを受けた活力創造プランに載っております。

 さらに、これを踏まえて、このたびの食料・農業・農村基本計画の中で、この新たな理念をしっかり捉えていこうということになっております。

畑委員 定性的な御説明で、具体的な指標にどういう基準で数字になっていくのか、ちょっと今の話だとわからないのです。恐らくこれから検討されていくんだと思いますが、これは農政の改革の大玉になって、農地を農地として維持するということであれば、自給力という関係がどうリンクしてくるのか、そこの部分が議論のポイントになってくると思います。これも、また農政改革の法案のところできっちり議論させていただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

坂本委員長 次に、内閣提出、森林国営保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣林芳正君。

    ―――――――――――――

 森林国営保険法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

林国務大臣 森林国営保険法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。

 森林国営保険は、火災、気象災及び噴火災による損害を填補する総合的な保険として、林業の再生産の阻害防止と林業経営の安定に重要な役割を果たしてまいりました。

 この森林国営保険については、政府を実施主体とし、森林保険特別会計を設置して経理を行ってまいりましたが、昨年十二月二十四日に閣議決定された独立行政法人改革等に関する基本的な方針において、特別会計の改革を推進するため、森林保険特別会計を平成二十六年度末までに廃止し、森林保険事業は独立行政法人森林総合研究所に移管することとされたところです。

 この閣議決定を受け、森林保険の実施主体の変更その他必要な措置を講ずることとし、この法律案を提出した次第であります。

 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、森林国営保険法の一部改正であります。

 森林保険の実施主体を政府から独立行政法人森林総合研究所に改めるとともに、同研究所の自主性を発揮する観点から、これまで政令で規定していた保険料率等について、同研究所がこれを定め、農林水産大臣へ届け出ることとする等、所要の措置を講ずることとしております。

 第二に、独立行政法人森林総合研究所法の一部改正であります。

 独立行政法人森林総合研究所の目的及び業務の範囲に森林保険に係るものを追加するとともに、同研究所が森林保険の業務に要する費用に充てるための長期借入金、債券発行及びこれらについての政府による債務保証等、同研究所による森林保険の運営に必要な規定の整備を行うこととしております。

 第三に、特別会計に関する法律の一部改正であります。

 森林保険特別会計を廃止するため、森林保険特別会計に関する規定を削除することとしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。

坂本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時三十五分散会


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