第4号 平成26年3月26日(水曜日)
平成二十六年三月二十六日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 坂本 哲志君
理事 北村 誠吾君 理事 齋藤 健君
理事 谷川 弥一君 理事 宮腰 光寛君
理事 森山 裕君 理事 大串 博志君
理事 村岡 敏英君 理事 石田 祝稔君
井野 俊郎君 池田 道孝君
岩田 和親君 小里 泰弘君
加藤 寛治君 神山 佐市君
川田 隆君 菅家 一郎君
笹川 博義君 清水 誠一君
島田 佳和君 末吉 光徳君
鈴木 憲和君 田野瀬太道君
武井 俊輔君 武部 新君
中川 郁子君 中村 裕之君
橋本 英教君 福山 守君
堀井 学君 八木 哲也君
簗 和生君 山本 拓君
湯川 一行君 渡辺 孝一君
後藤 斎君 玉木雄一郎君
寺島 義幸君 鷲尾英一郎君
岩永 裕貴君 上西小百合君
鈴木 義弘君 村上 政俊君
稲津 久君 樋口 尚也君
林 宙紀君 畑 浩治君
…………………………………
農林水産大臣 林 芳正君
内閣府副大臣 後藤田正純君
農林水産副大臣 江藤 拓君
農林水産大臣政務官 小里 泰弘君
経済産業大臣政務官 磯崎 仁彦君
政府参考人
(林野庁長官) 沼田 正俊君
政府参考人
(資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長) 木村 陽一君
政府参考人
(環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長) 梶原 成元君
参考人
(独立行政法人森林総合研究所理事長) 鈴木 和夫君
参考人
(独立行政法人森林総合研究所理事) 城土 裕君
農林水産委員会専門員 栗田 郁美君
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委員の異動
三月二十六日
辞任 補欠選任
川田 隆君 湯川 一行君
末吉 光徳君 岩田 和親君
武井 俊輔君 島田 佳和君
津島 淳君 中村 裕之君
福山 守君 神山 佐市君
岩永 裕貴君 上西小百合君
同日
辞任 補欠選任
岩田 和親君 八木 哲也君
神山 佐市君 福山 守君
島田 佳和君 武井 俊輔君
中村 裕之君 笹川 博義君
湯川 一行君 川田 隆君
上西小百合君 岩永 裕貴君
同日
辞任 補欠選任
笹川 博義君 田野瀬太道君
八木 哲也君 末吉 光徳君
同日
辞任 補欠選任
田野瀬太道君 津島 淳君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
森林国営保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四三号)
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○坂本委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、森林国営保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、参考人として独立行政法人森林総合研究所理事長鈴木和夫君及び理事城土裕君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として林野庁長官沼田正俊君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長木村陽一君及び環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長梶原成元君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○坂本委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。菅家一郎君。
○菅家委員 おはようございます。自由民主党の菅家一郎でございます。よろしくお願いいたします。
森林国営保険法等の一部を改正する法律案について、何点かお聞きしたいと存じます。
まず初めに、森林保険事業を政府から独立行政法人森林総合研究所に移管することになるわけでありますが、森林総合研究所にする根拠についてお示しをいただきたいと存じます。
○林国務大臣 経済財政運営と改革の基本方針が二十五年六月十四日に閣議決定されておりますが、ここにおいて、特別会計改革については、国がみずから事業を行う必要性の検証等の方針のもとで改革を実現する、こういうふうにされております。その後、国以外のものに事業を移管した上で特別会計を廃止するということについて検討を進めてきたところでございます。
昨年の十二月二十四日、独立行政法人改革等に関する基本的な方針が閣議決定されまして、そこにおいて、森林保険特別会計を平成二十六年度末までに廃止しまして、森林保険事業は独立行政法人森林総合研究所に移管することとされたところでございます。
森林総合研究所は、委員御案内のように、森林・林業分野で唯一の独立行政法人でございまして、森林災害に関する研究開発を業務として、森林の自然災害に関する専門的知見を有しているということと、それから、全国をカバーする地方の出先機関を持っております、そういう意味で、異常災害が発生した場合の損害査定等に対する基本的な体制が整っている、こういうことなどから、森林保険業務の移管先としてここが適切だ、こういうふうに考えておるところでございます。
○菅家委員 今までは国から、今度は外郭団体に移管するわけであります。そこで一点、対象とする損害があるわけですが、特に気象災とか噴火災ですか、これらに今限定されているわけですね。
ただ、いろいろな要望が今後、例えば鹿害なんかは深刻なので、これはどうするんだという議論があるわけですが、今までは国の方ですから、国会でいろいろ審議しながら法律の改正を云々されるわけです。
今度は、研究所に移管されたときに、保険者からいろいろな要望が上がったときに、法律は国会で審議されるわけですが、実際行っている研究所との整合性というんですか、今後どのような手続をもって保険者の要望に応えていくような要素があるのか、この損害はある程度固定されるのか、今後ある程度柔軟に対応する可能性があるのか、その場合の研究所と国の関係といいますか、この辺はどのようにされるのか、お伺いしたいと思います。
○沼田政府参考人 お答え申し上げます。
先生おっしゃられるとおり、現在の森林国営保険でございますけれども、火災と気象災と噴火災、こういったものを対象にしているわけでございます。
今御指摘ございました鳥獣害でございますけれども、被害の地域格差が大きいでありますとか、防護施設の有無によって被害の大きさが異なる、こういった特徴がございまして、私どもとしては、保険の制度設計が不完全なまま保険対象ということになりますと、なかなか難しいのかなというふうには思っているところでございます。
対象をどうするかということについては、独立行政法人に移管後でありましても、やはり法律として対象をどうするかというのを明確にしなければならないということがございますので、私どもとしては、鳥獣害につきましては、今後、例えば保険に追加するための検討に必要な基礎データの蓄積、こういったものの調査研究というものを進めていきたいというふうに考えております。
いずれにしても、鳥獣被害、深刻な問題であるというふうに認識はしておりますので、例えば補助事業の実施、そういったものとあわせて、きちんとした対応をとってまいりたいというふうに考えているところでございます。
○菅家委員 保険で対応すると保険料も上がってくるという課題があるわけですから、そこは理解しないわけではありませんが、それは別個にしても、研究所と国の方でそういった対策も、連携を図って、しっかりとお願いしたい、このように思うわけであります。
次は、やはり平時の場合と、有事と言ってはおかしいですけれども、予想をはるかに上回るような災害に万が一見舞われた場合というのも想定しなくてはならないのかなと思うんですね。資料を見ますと、平成十七年、十八年、十九年、三カ年で百億円を超える支払いが行われているわけですね。現在、二百九億円積み立てがあるわけですが、いかなる災害というか、そういうものも想定する場合に、本当に大丈夫かということなんです。
甚大な森林災害の場合は、研究所が、保険金支払いのための長期借入金、債券発行等を財源に対応することになるんですね。この債務を政府が保証する仕組みであるわけですが、二百九億円を超えるような場合、これは本当に、現実かどうかは別にしても、そういう場合はお金を借りられるということになるんですが、国であれば保険者も安心、国営であれば安心なんですけれども、やはり外郭団体となると大丈夫なのか、借金になってしまう面があるものですから。
今後、研究所の高リスクになってしまうんじゃないかなと危惧するわけですが、この点についてお考えをお示しいただきたいと思います。
○沼田政府参考人 お答え申し上げます。
今先生御指摘のとおり、異常災害が発生する、ないしはこういった災害が連続して発生する、そういった場合で、積立金を上回る保険金の支払い額が必要となった場合は、森林総合研究所が、必要に応じて、政府の債務保証のもとで、長期借入金や債券発行により、民間金融機関から資金を調達するということにしております。
それでもなお必要額の調達が困難な場合には、政府が必要な財政上の措置を講ずることにしているということでございます。
今回の法改正に当たりましては、まず、森林保険業務の移管に当たりましては、既存の森林総合研究所の研究開発等の業務とは区分して経理する、これが一つございます。移管後は、他の金融関係の独立行政法人と同様に、外部有識者等により構成されるリスク管理のための委員会を設置して、法人の財務状況やリスク管理の状況を定期的かつ専門的に点検する体制というものを整備していく考えでおります。
こういった措置を講ずることによりまして、森林保険そのものを適切かつ効率的に運営いたしまして、森林総合研究所の、例えば経営でありますとか森林保険のリスク、こういったものを高めることがないように努めてまいりたいと考えているところでございます。
○菅家委員 そこは、どういう災害が起こるかわかりませんけれども、しっかりと対応してほしいと思います。
次に、森林国営保険制度では、都道府県、森林組合連合会、森林組合、市町村に対して、保険事務の一部を委任して実施してきたわけであります。当然、国営保険ですから国が事業主体で、市町村も都道府県も、これはやはり信頼関係を持って、しっかりやってきた。
今度はどのような体制で対応されるかというのがちょっと気になるんですが、この点についてお示しをいただきたいと思います。
○小里大臣政務官 御指摘のとおり、現在は、国及び都道府県に職員を配置しまして、保険事務の大半を都道府県に委託しております。それをさらに、その事務の大半を森林組合連合会に再委託しておる、そういう体制でやっております。
今後のことでございますが、森林総合研究所において、現行制度下での国の業務、そして都道府県の業務を一元化して行う体制を整備する、これがまず第一であります。
そして、現在、森林組合連合会等が行っている事業、すなわち、森林所有者からの加入申し込みの受け付け、保険料の受領、都道府県からの委託による現場の損害調査等については、今後、森林総合研究所から直接森林組合連合会等に委託をする、そういう形をとることになります。
また一方で、大規模な災害が発生した場合には、短期間で集中的に損害調査等を行う必要があります。そのために、森林総合研究所の職員のうち保険業務を担う職員を現場に派遣する、あるいは、被災地の森林総合研究所の出先機関の職員を森林調査を含む森林保険業務に従事させる、あるいはまた、森林総合研究所としてのこういった対応に加えて、従来の都道府県への委託、これも必要に応じて行うということにしておりまして、また、そのことは新たな新法に規定をされるところであります。
こういったことで、総合的にしっかり実施体制を組んでいきたいと思います。
○菅家委員 今までの、平成元年から二十四年度までの保険金支払いの推移、災害の実態を見てみますと、会計、予算の範囲内で推移しているわけでありますから、こういう状況であれば何ら問題はないと思うんですが、これから温暖化になると、豪雨だとか台風とか、想定外の災害というか、そこが僕は心配でして。確かに、人件費も少しは削減されるというふうにお聞きしたんですけれども、人件費削減もいいんですけれども、やはり、いざ災害のときに、しっかりと保険者の被害を補償する、そして守るということが主な仕事でありますから、そういった意味で、しっかりと、国から研究所に移管されても大丈夫だというような、そういった体制でお願いしたい、このように思うわけであります。
ですから、政府はみずから森林保険を実施しないということで、いわゆる行政のスリム化には国はなるわけです。しかし、もう一方では、研究所においては、職員も引き継いで、あるいはある程度の直接雇用をしていくんだ、直接対応するという御答弁だったわけでありますが、この辺の人件費等、これらは削減になるわけですけれども、実際、そういう想定外の深刻な災害時に適切に対応できるのかどうか。今の御答弁で、県がまたがったり、そういうときに、今までの都道府県に委託して対応してきたのと、今度、新たなそういう体制でしっかりと対応できるのかというのが恐らく不安かなと思うんですけれども、この辺についてのお考えと、それから、研究所においての人件費、この辺がリスクになるのかどうか、この辺もお示しをいただきたいと思います。
○小里大臣政務官 申し上げましたような総合的な体制、直接森林総合研究所が行う部分、また、これを森林組合に委託して行う部分、そして、いざ大規模な災害が発生したときには森林総合研究所から直接派遣をする、あるいは出先機関の職員をしっかりと使っていくといったことに加えて、都道府県に従来委託をしてきた部分も必要に応じて生かしていくということでクリアしていけると思いますが、人件費につきましては、事務方からお答え申し上げます。
○沼田政府参考人 人件費の関係につきましてお答え申し上げます。
先ほど申し上げましたけれども、森林保険業務を実施するに当たりまして、他の業務と経理を区分することとしております。現在の森林国営保険と同様に、保険に係る人件費を含めて保険料収入のみを財源として運営していくというふうにしているところでございまして、そういった意味で、既存の森林総合研究所の人件費には何ら影響を及ぼすものではないというふうに考えております。
そういった中ではありますけれども、やはり、国と都道府県がいわゆる役割分担して今森林保険の業務を行っておりますけれども、そういったものを森林総合研究所に一元化して実施するわけでございまして、そういった中で、人件費、事務管理費をスリム化することによりまして、一割程度削減したい、効率化を図りたいというふうに考えております。
そういった意味で、効果を生み出して、最終的には、例えば保険料率の引き下げといったようなものにもつながるような工夫をしていきたいというふうに考えているところでございます。
○菅家委員 それでは、ぜひ、いかなる災害でも対応できるように、一年ありますから、しっかりと、よろしくお願い申し上げたいと思います。
次に、研究所の役割は、当然、研究開発業務、これを主にするところであるわけであります。しかし、研究の内容の中にも、松くい虫とかカシノナガキクイムシ、これによる森林の被害は深刻でして、松くい虫などは、なかなか抜本的な駆除の方法というのは見つかっていない。伐倒して薫蒸したり、あるいは、耐えられる苗木、そういったものを開発しているわけですけれども、研究所としても一日も早く解決策を研究開発していただかなきゃならない、極めて重要な機関だと思うんですね。
また、木質バイオマスの総合利用技術の開発とか、最近はCLT、これは加工技術の開発をされてこられたわけでありますから、これらについても積極的に取り組んでいただかなくてはならぬ、このように思うわけです。
そういう研究開発業務を主にしているわけでありますから、ここに新たに森林保険業務が加わってくるというわけでありますので、当然ながら、研究所のいわゆる本来の研究業務、これに支障を来すわけにはいかないし、当然来さないような対応をしていかなくてはならないと思うわけでありますが、この辺について、対応についてお示しをいただきたいと思います。
○小里大臣政務官 おっしゃるとおり、従来、森林総合研究所の業務がございます。これはしっかりと確保をしてまいりたいと思います。
今回の改正に伴いまして、森林保険業務を担う内部組織というものを既存の研究開発等の組織とは別に設置いたします。また、その経理も明確に区分をいたします。また、森林保険に関する知見を有する林野庁の職員を出向させますとともに、損害保険会社、森林組合系統からの出向の受け入れも行います。また、外部有識者等によるリスク管理委員会を設置して、財務状況等を定期的かつ専門的に点検いたします。こういった措置を講ずることによりまして、森林総合研究所の研究開発業務に支障のないようにやっていきたいと思います。
また、御指摘のありました森林病害虫対策、木材の加工、利用技術の開発等につきましては、本来の重要な課題でありますから、農林水産省としましても、森林総合研究所とよく連携を図りながら体制をとっていきたいと思います。
○菅家委員 どうもありがとうございます。
それでは、時間もなくなってきたのであれですけれども、異常災害時等のリスクに備えるために、資金調達なんですけれども、これが、研究所が困難であると認められるときは、国が財政上の措置を講ずるわけであります。どのような場合にそういうものを導入というか対応されるのかということをお示しいただきたいと思います。
時間になりましたので、最後に、研究所に移管されても、予想を超える甚大な森林災害等に見舞われても、迅速かつ的確に業務を遂行していかなくてはならぬと思います。国としても、林業経営者が安心して林業施業に取り組めるように、この保険制度を維持するために国も責任を持って対応すべきと考えますが、最後に大臣の御所見を賜りたいと存じます。
○林国務大臣 まず異常災害の場合ですが、連続して異常災害が発生する場合、先ほどちょっと御答弁したように、長期借り入れまたは債券発行、これをやってもなお、なかなか支払い額が調達できない場合は、予算で定める範囲において、国が森林総研に対して財政上の措置を講ずる、こういうことにしております。
まさに、こういうことにしておることに加えて、政府は、引き続き、森林保険の企画立案業務を行うことにしております。したがって、これがまずあるということと、それから適切な保険料率の設定など森林総研が行う保険業務の運営に対する監督も行う、こういうことになっておりますので、しっかりと安定的に運営できるように関与をしなければならない、こういうふうに思っております。
こういった措置を適切に講ずることによって、森林総研に移管された後も森林所有者の皆さんが安心して林業経営に取り組んでいけるようにしっかりと対応してまいりたい、こういうふうに思っております。
○菅家委員 どうもありがとうございました。終わります。
○坂本委員長 次に、石田祝稔君。
○石田(祝)委員 おはようございます。公明党の石田祝稔です。
きょうは、森林国営保険の審査でありますけれども、その審査に入る前にちょっと大臣にお伺いをいたしたいんです。
きょうは、野党の皆さんの御理解もいただいて、非常に変則的な委員会の時間帯になりました。これは、大臣がオーストラリアのロブ貿易相とお会いになる、こういうことでございます。
それで、この時期においでになって、大臣また経産大臣ともお会いになるようですけれども、当然これは日豪EPAのことであろう。それで、向こうの首相が四月に来られる。そういう時系列の中で、きょう大臣がお会いになるということでありますから、当然、日豪EPAをどうするのかというお話だ、これはもう誰が考えてもそういうことになります。
それで、大臣には、当然これから話をするわけですから、こうだということはなかなか言いにくいだろうと思いますが、ロブさんと会うときの大臣のスタンス、これについて、まずお聞きをしたいと思います。
○林国務大臣 まず、委員会の先生方に御配慮をいただいたことを感謝申し上げたい、こういうふうに思っております。
ロブ大臣、貿易・投資大臣ですが、来日をきのうからされておりまして、本日の午前十一時過ぎから会談を行う予定にしております。会談では、今石田先生からお話がありましたように、日豪EPAを含む二国間経済関係について議論をする予定にしております。
今まさにおっしゃっていただいたように、具体的な中身について言及することは差し控えたいと思いますが、ロブさんとは、昨年十一月に東京でお会いしております。一月にも実はダボス会議でお会いをしておりまして、今回も大臣同士で率直な意見交換ができることを期待しておるところでございます。
この日豪EPAについては、もう私から申し上げるまでもなく、衆参農林水産委員会の国会決議がございますので、日豪EPAについてはこの決議を踏まえて真摯に交渉に取り組んでまいりたい、こういうふうに思っております。
○石田(祝)委員 国会決議を踏まえてということでありますから、それはぜひよろしくお願いをしたいと思います。
では、この国営保険についてお聞きをいたします。
まず、今回、特別会計を整理するということで独立行政法人に移管をすることになりましたが、森林国営保険の果たしてきた役割についての率直な大臣の評価と、今後、運営主体がかわる、ある意味では保険の引き受け主体がかわるわけです、それについてのさまざま課題もあろうかと思いますが、役割と今後の課題について、大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
○林国務大臣 我が国におきましては、台風、豪雪といった自然災害の発生の可能性が大変広範に存在しております。また、実際、発生頻度も高いということに加えまして、こういった災害が起こったときには巨額の損害が発生するおそれがあるということでございまして、こういう自然災害リスクへの対処というのは森林・林業政策上の大変重要な課題である、こういうふうに思っております。
したがって、この森林国営保険は、こういう自然災害リスクを分散して損害を填補する制度として昭和十二年に発足をしております。保険の対象となる災害の範囲を逐次拡充しながら、現在は火災、気象災、噴火災、こういった損害を填補する総合的な保険ということで、森林の所有者の皆さんがみずから災害に備える唯一のセーフティーネット手段になっておるところでございます。
直近では、平成十六年、観測史上最多の十個の台風が上陸した年でありますが、この年からその後三年間にわたって百一億円の保険金が支払われたということ等、林業経営の安定と再造林の促進に大きく寄与してきたところでございます。
課題ということでございますが、近年、林業生産活動の低迷に伴って造林面積がちょっと減っておるということ、そして森林保険の加入率が高い幼齢林の面積が減少している。これは全体の加入率が一一・四に比べて、一から五年生の加入率は九三・五ということで、幼齢林の加入率は非常に高いわけでございますが、この幼齢林の面積が減っているということで、結果として全体の加入率が低下をしておるところでございます。
したがって、今、林業を成長産業化しようといろいろな施策に取り組んでおるところでございますし、森林を伐採して積極的に木材を利用しながら、その後に植えて育てるという循環をつくっていくことが大事でございますので、こういった施策とあわせて、森林保険の加入率向上に取り組んでまいりたい、こういうふうに思っております。
○石田(祝)委員 森林国営保険は、三月にも全国森連会長会議、こういうものがありまして、そこでも、森林所有者の林業経営を支える唯一のセーフティーネット手段であり、森林所有者の協同組織である森林組合系統が積極的に取り組むことは大変重要である、こういう決議もなされているんですね。
そういう中で、大臣が今おっしゃったように、幼齢林の加入率は高いんだけれども、面積そのものが減ってきている。これはある意味でいえば、結局、伐期を過ぎたものがなかなか切れない、そうすると、いわゆる交代がなかなか進んでいないということだろうと思います。これは最後に、私は森林産業全体についてお聞きしたいと思っているんですけれども。
ですから、そういう課題がはっきりしておりますので、加入率を上げるためには幼齢林を植えてもらわないと誰も入らないわけですから、植えるためには伐期の適したものを切って、そこに新しく植えていくという好サイクル、いわゆる好循環をこれもしないとやはり進んでいかない、こういうことだろうというふうに思います。
そういう中で、今回、独立行政法人森林総合研究所に移管をする、こういうことになったわけでありますけれども、きょうは理事長にも来ていただいております。これはちょっと失礼な言い方になるかもしれませんが、ある意味では、今までやっていなかった全国的な仕事を、今度、保険という中で始められる、引き受ける、こういうことでありますけれども、これは杞憂だと私は思いますが、きょうは理事長に来ていただいておりますので、これからの運営について、どのような御決意と体制、しっかりした体制がとれるか、そういうことも含めて御答弁をお願いしたいと思います。
○鈴木参考人 お答えいたします。
森林総合研究所は、森林・林業・木材産業にかかわる研究を通じて社会に貢献することをミッションとした森林・林業分野で唯一の独立行政法人でございまして、茨城県つくば市に本所を置き、全国に地方出先機関を配置してございます。
森林保険については、昨年十二月二十四日に閣議決定された独立行政法人改革等に関する基本的な方針において、森林総合研究所に移管されることとされたと承知しており、重たく受けとめてございます。
森林保険業務は、森林の火災、気象災、噴火災による損害を補填する、森林災害に関する総合的な保険であり、森林所有者みずからが災害に備える唯一のセーフティーネットとして、林業経営の安定と被災後の森林の再生のために必要不可欠なものであると認識してございます。
当研究所としては、森林保険業務の実施に当たっては、林野庁とも十分に相談しながら、林野庁職員の出向を受け入れ、森林国営保険の有する保険料率等の算定方法を継承して、民間からの出向を受け入れ、民間ノウハウの活用を図る等の措置を講じて、森林所有者が安心して森林保険を利用できるような組織体制を整備してまいりたいと考えてございます。
○石田(祝)委員 今理事長から御答弁をいただきましたが、それでは、理事長、森林総研で引き受けても心配ない、大丈夫、こういうことをもう一度力強く言ってもらいたいと思います。
○鈴木参考人 森林総合研究所は、我が国の森林・林業・木材産業にかかわる研究を通じて社会に貢献することをミッションとしてございますので、森林総合研究所の研究開発分野、水源林造成等の公共事業、さらに森林保険を含めて、それぞれの分野において精いっぱい努力したいというふうに考えてございます。
○石田(祝)委員 今、何か一抹の不安をちょっと覚えました。努力してまいりたいというのはいいんですけれども、やはり、全国の森連会長会議でも、林業経営を支える唯一のセーフティーネット手段である、こういうことでありますから。保険は、まさしくまさかのときのためにお金を掛けているわけでございますので、今までやってこられたことと若干違う業務が入ってくるわけですので、これについてはもうこれ以上申し上げませんが、理事長以下、しっかりとした体制で、ぜひ遺漏なきようにお願いをいたしたいというふうに思います。
引き続いて、きょうはせっかくですから、森林といえば、林業そのものを材にする産業ということもあるんですけれども、やはり最近は、環境だとかバイオマスを含めての再生可能エネルギー、こういうことも大きな役割になっておりますが、林野庁に、木質バイオマス発電の現状について、まず簡単にお伺いをいたしたいと思います。
○沼田政府参考人 お答え申し上げます。
我が国におきましては、毎年、伐採される立木の約半分に相当する約二千万立方メートルが、森林の中にそのまま放置されまして未利用となっております。
こういった利用されていない間伐材等の木質バイオマスを発電等に有効利用していくことは、エネルギーの安定供給や林業の再生、地域の活性化、森林の整備に寄与するというふうに認識しているところでございます。
未利用間伐材を主な原料といたします発電施設は、現在二カ所ございます。この四月からさらにもう一カ所、本格稼働が開始される見込みでございます。このほか、計画が具体化しているものが全国に四十カ所ほどございます。
私どもといたしましては、木質バイオマス発電施設の整備を推進するために、未利用木質バイオマスの安定的、効率的な収集に必要な路網整備でありますとか森林施業の集約化に対する支援、さらには木質バイオマス関連施設の整備への支援、こういったことを行っているところでございます。
こういった取り組みを通じまして、一層の木質バイオマスの利用というものを推進してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○石田(祝)委員 我が国は、国土面積の六六%が山だ、森林だ、こういうことですよね。それで、森林の材積も一年で二、三%は確実にふえている。ある意味でいえば、ちゃんと定量的に使っていけば、無尽蔵に使っていけるエネルギー源だと思うんですね。ですから、これを利用しない手はないわけですから、これについては、計画はもうちょっとスピードアップできないかな、私はこういう気が率直にいたします。
そういう中で、これからは、当然適地に材を集めてこなくちゃいけないので、そのときに未利用残材を集める手段、当初は、当然近所で集めるわけですけれども、近くの、バイオマスの、そういう工場からだんだん遠くなってくるわけですね。そうすると、非常に効率の面でも、今お話があったように、路網の整備を含めて、そういう附帯のことも考えていかなきゃならない。これをぜひ私は進めていただきたいというふうに思います。
それで、エネルギーの基本計画を今与党の中でも議論しております。きょうは、経産省資源エネルギー庁にも来ていただいておりますけれども、木質バイオマス発電と、例えば太陽光発電、これはエネルギー基本計画でどういう位置づけになっているのか、御答弁をお願いします。
○磯崎大臣政務官 お答えをさせていただきたいと思います。
政府の原案につきましては、二月二十五日に取りまとめをされておりまして、この中で、各エネルギー源の位置づけというものが記載をされております。
木質バイオマス、それから太陽光につきましては、大きな意味では再生可能エネルギーに該当するということで、再生可能エネルギーにつきましては、温室効果ガスを排出しないということ、国内で生産できるためにエネルギー安全保障に寄与できる有望かつ多様な国産エネルギー源である、そういう大きな位置づけがなされております。
木質バイオマスにつきましては、バイオマス全般ということで位置づけが記載をされておりまして、恐らく性格としては、地域活性化にも資するエネルギー源という役割と、分散型エネルギーシステムの位置づけを担う、これが非常に大きな役割だろうというふうに思っております。
記載としましては、「未利用材による木質バイオマスを始めとしたバイオマス発電は、安定的に発電を行うことが可能な電源となりうる、地域活性化にも資するエネルギー源である。」というふうにした上で、「木質や廃棄物など材料や形態が様々であり、コスト等の課題を抱えることから、既存の利用形態との競合の調整、原材料の安定供給の確保等を踏まえ、分散型エネルギーシステムの中の位置付けも勘案しつつ、規模のメリットの追求、既存火力発電所における混焼など、導入の拡大を図っていくことが期待される。」これがバイオマスの位置づけということでございます。
もう一つの太陽光につきましては、「個人を含めた需要家に近接したところで中小規模の発電を行うことも可能で、系統負担も抑えられる上に、非常用電源としても利用可能である。」ということがまずうたわれております。そうした上で、「発電コストが高く、出力不安定性などの安定供給上の問題があることから、更なる技術革新が必要である。中長期的には、コスト低減が達成されることで、分散型エネルギーシステムにおける昼間のピーク需要を補い、消費者参加型のエネルギーマネジメントの実現等に貢献するエネルギー源としての位置付けも踏まえた導入が進むことが期待される。」こういう記述がなされております。まさに今、与党プロセスが進行中ということで、閣議決定をさせていただく予定になっております。
いずれにしましても、国民生活と経済活動に非常に大きな影響を与える問題でございますので、丁寧なプロセスを経て決定をしていきたいというふうに思っております。
以上でございます。
○石田(祝)委員 これは今与党の中でも議論をしていますけれども、特に再生可能エネルギーについてどう書かれているかといいますと、「二〇一三年から三年程度、導入を最大限加速していき、その後も積極的に推進していく。」こういう書き方になっているんですね。
そういう中で、私は、一つ問題提起をしたいのは、太陽光発電の、特に、十キロワット以上、非住宅用の太陽光の固定価格買い取り制度、これが、二十四年度が四十円、二十五年度が三十六円、二十六年度が三十二円の予定だと。そうすると、毎年一割以上下がってきている。これは、「最大限加速していき、」ということと反するような話ではないのか、ブレーキをかけるような話じゃありませんか、こういうことを私は申し上げたいんですが、これについて、どういうお答えになりますか。
○木村政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、エネルギー基本計画の政府原案におきましては、再生可能エネルギーについては積極的に推進していくという旨明記をしてございます。
再生可能エネルギーの積極的な推進の原動力になりますのは、固定価格買い取り制度であるということでございます。
固定価格買い取り制度におきましては、再生可能エネルギーの導入に十分な推進力が与えられるように、買い取り価格の算定に当たりましては、再生可能エネルギーの供給が効率的に実施される場合に通常要すると認められる費用というのを基礎にして、適正な利潤を勘案して決定するということが法定されてございます。すなわち、コストがきちんと回収でき、かつ適正な利潤も確保できるということが法律上前提にされておるわけでございます。
この利潤につきましては、非住宅の太陽光につきましては、制度導入以来、来年度におきましても、一貫して同じ水準を維持してきております。
買い取り価格は毎年度定めておりますけれども、コストにつきましては、法令に基づいてデータを取得してチェックしてございまして、御指摘のとおり、二十六年度の非住宅太陽光の買い取り価格は税抜き三十二円ということでございますけれども、これについては、発電コストの低下あるいは稼働率の向上というものに伴って、通常要すると認められる費用が下がったということが実際のデータで確認をできたということによるものでございます。
引き続き、二十六年度におきましても、再生可能エネルギーの導入に伴うコストを補って、かつ適正な利潤を確保するに十分な水準になっているということで考えてございます。
○石田(祝)委員 最後に、一つだけお聞きします。
この中身を見ますと、さまざまあるんですが、きょうは時間がないのでこれ以上言いませんけれども、一つだけ、土地造成費を見ている中で、いわゆる平均のお金をとらないで中央値をとったということで、キロワット当たり〇・四万円、こうなっていますけれども、これは加重平均をとるべきではなかったんですか。これについて、最後にそれだけお答えをお願いします。
○木村政府参考人 土地造成費につきましては、固定価格買い取り制度でカバーするコストの要素であると考えてございまして、その推移をしっかりと判断して、現実に、平成二十六年度の買い取り価格の決定におきましては、土地造成費用が足元で上昇傾向にあるということを踏まえまして、価格算定の基礎にその上昇分を盛り込んでおります。
具体的に、価格の平均値をとるか、中央値をとるかといった判断につきましては、データの分布等を見まして、これを調達価格等算定委員会できちんと御議論していただいた上で、それが適切であるという判断のもとに入れさせていただいたものでございますが、指摘も踏まえまして、さらに今後検討してまいりたいというふうに考えてございます。
○石田(祝)委員 ありがとうございました。終わります。
○坂本委員長 次に、寺島義幸君。
○寺島委員 民主党の寺島義幸でございます。
順次質問をいたします。
旧自公政権、民主党政権、そして現政権という流れの中で、さまざまな議論がなされた結果、二十六年には特会を廃止して、保険業務は森林総合研究所に移管をして、政府が債務保証をするという結論でただいま審議が行われる、こういうことであります。
私は、森林経営の安定、ひいては林業振興という観点からすれば、まさしく、森林保険は大変重要な、必要なことであるというふうに考えています。そういう立場から質問をさせていただきたいと思います。
初めに、私も、素朴な問いとして、なぜ森林総合研究所なのかと承りたかったわけでありますが、もう既に菅家先生の方から御質問があられまして、唯一の独法である、そして全国にネットワークがあるというようなお話でございましたので、ここは飛ばさせていただきます。
次に、林業経営は、林業というのは自然相手であるわけでありまして、災害は突然やってくるわけであります。新法の目的にもあるように、災害によって林業の再生産が阻害されることを防止し、林業経営の安定を図り、林業経営意欲を持っていただくということでありました。したがいまして、森林保険の重要性をうたっているわけであります。そうすることによって、多面的機能であるとか、ひいては国土保全ということにつながっていく重要なことであります。したがいまして、大きな役割があろうというふうに思うわけであります。
森林保険がどこに移管されようが、国と、保険契約が円滑に継承されて、そして従来どおり、もっと言えば従来以上に被保険者の利便性を確保して、しっかりと保険業務をしていただかなければならないと考えています。それには、森林総合研究所に覚悟を持っていただくというか、森林総合研究所は主体性を持って、経理を別にするというわけですから、主体性を持って保険業務をしていただかなければならないわけであります。
そこで、きょうは鈴木理事長にもおいでいただいておるわけなんですが、先ほどの答弁をお聞きいたしておりまして、私も一抹の心配を覚えたわけでございます。
鈴木理事長にお伺いいたしますけれども、このたび、新たに森林保険業務を政府から引き受けるに当たり、引き受け可能かどうかというようなことに関してどのような検討をされてこられたのか、まずお伺いをいたします。
○鈴木参考人 お答えいたします。
当研究所への森林保険業務の移管については、昨年十二月二十四日に閣議決定された独立行政法人改革等に関する基本的な方針において決定されたものであり、このことは森林総合研究所として重く受けとめているところでございます。
今後、本法案の成立により、森林保険業務が当研究所に移管された場合、当研究所としては、森林所有者へのサービスの低下を来さないようにするとともに、引き続き安心して保険に加入できるよう、林野庁職員の出向を受け入れ、森林国営保険の有する保険料率等の算定方法等を継承し、民間からの出向を受け入れ、民間ノウハウの活用を図る等の措置を講ずることにより、森林保険業務の円滑な実施に向けた組織体制の整備については、林野庁とも十分相談しながら適切に対応してまいりたいと考えてございます。
○寺島委員 先ほどの答弁と全く一緒だと思うわけであります。
私は森林総合研究所のホームページを拝見させていただきました。本当に、やや心配になったわけであります。
林野庁が森林保険制度等の検討室を設置して、それを受けて、森林保険について検討室との調整を図るため、森林保険受け入れ検討チームを設置したのが昨年の十月一日だと理事会の議事概要に出ておりました。十一月八日に第六回の理事会が開かれておるんですけれども、十二月二十四日に政府が閣議決定をしているわけであります。
では、どこで新しい保険業務を主体性を持ってやるんだと決めたかということがよくわからないんですね、そのホームページでは、まだ中間報告みたいな形がありまして。本来、会社でいえば、新しい事業を始めようとするときには、取締役会でさまざまな角度からいろいろな議論をして、将来に向けて大丈夫だろう、これならやろうという決定がされて、初めてというふうにも思うわけであります。
月に一度ぐらい理事会が行われているようでありまするけれども、今回のこの移行に当たっての議事はたった一度だけ、十一月八日の理事会の議事概要、それも中間的な報告ということで出ているわけでありまして、それを拝見させていただきまして、私は、先ほど申し上げたように、実は本当に心配にもなったわけであります。
もう一度お伺いしますが、このような重要な案件を決定するときに、どこの時点で、どの理事会で御決定になられたのかをお伺いいたします。
○城土参考人 お答え申し上げます。
森林保険事業の移管につきましては、これまでの政府御答弁にもございますとおり、昨年の十二月二十四日の閣議決定に基づくものでございまして、当所の理事会で審議し決定すべきものではないというふうに考えているところでございます。
しかしながら、本法案が成立をした後、森林保険業務を効率的、効果的に実施をするための体制整備等具体的な対応につきましては、林野庁とも十分相談をしながら、必要に応じ理事会に諮ってまいる考えでございます。
○寺島委員 では、どこに森林総合研究所の主体性がおありになるんでしょうか。これだけのことをやるのに理事会に諮らないということはいかがなものかなと思うわけでありますし、理事会に諮るべきものでもないということは、林野庁から押しつけられたからやりますか、そういうことなんですか。
○城土参考人 お答えをいたします。
先ほど寺島委員の方からも御言及がございましたとおり、森林保険の受け入れに当たりましては、私ども、内部的には受け入れ検討チームを発足させ、昨年の秋ごろから、内容について十分相談をしているというところでございます。ただ、最終的に、森林保険特会を廃止して、その業務をどこに移管するかということについては政府で決定されるべきものというふうに考えてございます。
さはさりながら、これまでの答弁にございましたとおり、森林保険業務を今後引き続き円滑に実施をしてまいるためには、内部的には検討している。ただ、その内容について、理事会という公式な場ではございませんけれども、私どもなりには十分検討させていただいているということを御理解賜りたいと思います。
○寺島委員 林野庁にお伺いします。
事前に、森林総合研究所から了解は得ていないんですか。
○沼田政府参考人 お答え申し上げます。
私ども、今回の森林国営保険の移管につきましては、全体の特別会計改革の流れの中で、政府としてどう判断していくかということで、さまざまな検討がなされたところでございます。
政府全体で決定されるということでございますので、その時々の状況等につきましては森林総合研究所にお話はさせていただいているということではございますけれども、私どもとして、森林総合研究所にこうしろ、ああしろというところまでは申し上げていないというところでございます。
私どもとしても、森林国営保険を森林保険としてきちんと今後ともやっていくというのは極めて大切だというふうに思っておりますので、この法案を提出させていただいているわけでございますけれども、こういった法案を成立させていただければ、きちんとした形で、森林総合研究所ともよく相談をし、密接に連携し、今後の森林保険の運営が、遺漏なきよう、きちんと対応させていただきたいというふうに考えているところでございます。
○寺島委員 林野庁も押しつけてはいないし、森林総合研究所も林野庁と相談してやる。では、実はどこに主体性があるのかと思わざるを得ないわけであります。
ホームページを見ても、これも中間報告でありまして、「林野庁の取組については、特別会計の見直しで「森林保険制度等検討室」が設置されて、所要の法改正」云々、「検討が始まっています。 また、森林総合研究所が森林国営保険業務の受け入れ先になるわけですが、どのような問題点があるのか等について検討室等との調整を行うための「森林保険受け入れ検討チーム」を十月一日に設置したところです。」「行革会議等への当所としての対応ですが、」とありまして、「特別会計見直しに係る検討の深化の中で、名称の問題、ガバナンスの問題が議論される可能性が残っています。」「時間の関係もあり、国の監督能力や水源林造成事業を保険対象としないこと等に対する追加的な四つの質問に対して文書で回答するよう指示がありました。現時点では林野庁からの文書回答はまだなされておりません。」これが議事概要の中の一部なんですね。
ということは、まだ中間段階で煮詰まっていないと私は思ったわけであります。にもかかわらず、十一月八日の理事会以降、十二月二十四日に閣議決定されているわけですから、私が単純なのでいけないのかもしれないんですけれども、当然、森林総合研究所も、よし、わかりました、やりましょうというふうになっているのかなと思っておりましたら、それ以降の理事会の議論も何もない。
これで果たして、しっかりと取り組んで、先ほど重く受けとめてと、重く受けとめているというのをどういうふうにとったらいいのか、よくわかりませんけれども、実は一抹の不安が残るわけでありますが、城土理事、大丈夫ですか。
○城土参考人 お答えをいたします。
先ほど先生の方から御指摘ございましたとおり、私ども、受け入れに当たりましては、十月の段階で内部的に検討チームを発足させ、林野庁の検討室等といろいろなやりとりをさせていただいております。
確かに、その後の理事会の議事録の公開という点においては十分でなかった点もございますけれども、十、十一、十二と、この三カ月の間にいろいろな内部的な検討を取り進めさせていただいておりまして、私どもとしても、今後、森林保険の重要性等に鑑み、これをしっかりとやっていく必要があるという判断のもとに閣議決定がなされたというふうに受けとめているところでございます。
○寺島委員 それでは、一点だけ、森林総合研究所に具体的にお伺いをいたします。
森林総合研究所は、森林保険業務の移管に当たって、既存の保険契約を円滑に継承することはもちろんでありますが、移管される業務を安定的に運営することができるよう、必要な人材の確保を初め、業務委託等の事業実施体制の整備を速やかに行うことが必要だと考えています。
本法律案では、森林総合研究所の目的に、「森林保険を効率的かつ効果的に行うこと」という文言が追加されているわけであります。これは抽象的な文言であるわけであります。
そこでお伺いします。
今後、森林総合研究所におかれては、どのように効率的かつ効果的な業務運営を行っていこうとされているのか、理事長にお伺いします。
○城土参考人 今、理事長へのお求めでございますが、その前に、効果的、効率的な実施の中身について私の方から御答弁を申し上げます。
今回、森林保険に関する業務を当法人に移管することにより、国は森林保険業務にかかわる企画立案業務に注力をできるということでございます。
一方、当法人におきましては、農林水産大臣の一定の関与のもとで組織運営上の裁量、自律性を可能な限り拡大すること等によりまして、効率的かつ効果的な業務が確保されるのではないかというふうに考えております。
具体的には、地域や時期で発生にばらつきのございます損害調査に係る業務につきましては、関係する各都道府県に職員を配置している現行の体制から、当法人に森林保険業務を担当する別の組織を設置させていただき、一元的に対応することによる業務運営の効率化を図りますとともに、損害保険会社等、広く民間からの出向等の受け入れにより、職員個々の専門性をこれまで以上に高めるなどによる森林保険サービスの向上を通じた効果的な事業の実施等が期待をされるというふうに考えているところでございます。
○寺島委員 今までの森林総合研究所の研究開発とかという業務と違って、新たな保険業務をされるということであります。一部いろいろなところに委託をされるのかもしれませんけれども、結局、森林保険業務というのは、今後は森林総合研究所が責任を持ってやっていただかなければならないわけであります。
森林総合研究所におかれては、もう一度お伺いしますが、これは理事長にしっかりと答弁をしていただきたいんですが、日本の林業振興、発展のためにも、本当に私は大事なことだと思っておるんですね。ですから、本当に森林総合研究所で主体性を持って、逆に言えば、時には林野庁のけつをはたくというふうなこともあってもいいと思うわけであります。主体性を持ってやっていただきたいと思っているわけであります。
重く受けとめられているだけでは困るわけでありまして、もう一度、決意をお伺いいたします。
○鈴木参考人 お答えいたします。
森林総合研究所においては、業務ごとに担当理事を設けて、各担当理事の役割のもとで適切な業務運営を行っているところでございますが、最終的な判断は理事長が担っていると考えてございます。
森林保険業務が当研究所に移管された場合に、森林保険業務を適切に運営し、森林所有者等、国民へのサービスの向上につながるよう全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。
よろしくお願いいたします。
○寺島委員 ありがとうございました。
森林の蓄積というのは、聞きましたら、人工林等を中心にして、総蓄積が約四十九億立米あるんだそうであります。日本の年間の木材需要量が一億立米とすると、毎年一億立米ずつふえているということだそうであります。
国土の三分の二を占める森林、これはまさに日本の財産であろうというふうに思うわけであります。森林所有者が森を守り育てて、そして林業を安定的に経営し続けるためには、森林保険というのはまさに重要であるというふうに思っています。
大変失礼な物言いもあったのかもしれません、お許しをいただきますけれども、森林総合研究所におかれては、その重要性を十分認識されまして、被保険者の利便性を確保しつつ、効率的、効果的な保険業務の運営をしていただきますことを切望させていただきたいと思います。ありがとうございました。
次に、ちょっと時間があれなので、都道府県の役割も先ほど若干答弁がありましたので飛ばさせていただきまして、都道府県との情報の共有のあり方についてお伺いしたいと思います。
これは今まで県が法定受託事務でやってきたわけですけれども、それがなくなってしまう。先ほどの答弁だと、必要に応じてということはやらなくてもいいということになってしまうんでしょうけれども。今まで補助事業で森林整備をして、そうしたところに、都道府県が森林保険に入ってくださいよと加入促進をしやすいわけなんですね。そういうこともしてきた。また、みどりのイベントのときにも、軍手を配ったりして、加入促進も図ってきた。行政だから、法定受託事務という形の中でできてきたわけであります。と同時に、災害情報というのを共有できた。それが、例えば県の将来の林業の施策に大きく役立ってきたはずであります。
そういうことを考えると、法定受託事務もなくなってしまって、都道府県にも委託されなくなってしまうとすると、情報共有ができなくなってしまうのではないかと懸念をするわけであります。その辺について、御所見をお伺いいたします。
○沼田政府参考人 現在の森林国営保険制度におきましては、森林国営保険の現場業務でございます損害調査、この大半は、各都道府県からの委託を受けて、都道府県の森林組合連合会等が実施しているところでございます。
そういったことで、森林保険に関する現場の災害情報につきましては、現在は都道府県、それから都道府県の森林組合連合会、そして地域の森林組合、こういったものが共有しているという状況になっていると考えております。
先生御指摘のように、森林保険でございますけれども、新制度発足以降ということになりますと、いわゆる法定受託事務が外れるということでございまして、基本的には都道府県の関与がなくなるということにはなろうかと思っておりますが、一つは、異常災害時につきましては県の役割というのは極めて大事だというふうに思っておりますので、そういった意味で都道府県の支援が必要と考えておりますので、引き続き都道府県に委託できるというものを条文上も明記させていただいております。それが一点ございます。
もう一つは、いわゆる災害情報につきまして、やはり都道府県はちゃんと取りまとめて把握していくということも非常に大切でございますので、私どもとしては、都道府県の森林組合連合会や森林組合が入手した災害情報につきましては、これまでどおり都道府県がきちんと把握できるように、適切に対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○寺島委員 今まで法定受託事務ということで、県がいろいろなことができて、それが有益に県行政、県の林業振興にも役立ってきたわけであります。それがなくなっちゃうと、あからさまに申し上げますと、予算もなくなるわけであります。予算措置等も含めて、しっかりと検討していただきたいということを要望しておきたいと思います。
もう一つ、できるということはやらなくてもいいということになるわけで、そこで差も出てくるわけですから、森林行政は大変重要と考えますので、その辺の検討もしっかりとお願いをしたいというふうに思います。
多分最後になろうと思います。失礼します。
本法律案では、新たに目的規定、「森林保険の制度を確立することにより、災害によって林業の再生産が阻害されることを防止するとともに、林業経営の安定を図る」とされています。
我が国の森林資源は、人工林を中心に、本格的に利用可能な段階に入っているわけであります。しかしながら、林業産出額や林業所得の減少、森林所有者の経営意欲の低迷、国産材の流通構造の改革のおくれなどによりまして、森林・林業は依然として厳しい状況にあるというふうに思っています。現下の林業採算性の悪化という状況は、災害によらずとも林業の再生産を阻害するという結果をもたらしているということも、見方によっては見られるわけであります。
本法律に基づく森林保険は、林業経営の安定に一定の効果を発揮することがもちろん期待されるわけでありますが、林業の採算性悪化というそのものの問題に対処しなければ、十分な効果を発揮し得ないと考えるわけであります。
そこで、林業の再生産確保と林業経営の安定に向けた本法の位置づけ、本法と関連施策との連携のあり方について、林大臣のお考えをお伺いいたします。
○林国務大臣 まさに先生がおっしゃるとおりでございまして、林業の再生産確保、それから林業経営の安定、このためには、まさに本格的利用段階を迎えている豊富な森林資源の循環利用ということが大事であります。それに加えて、この森林保険制度の適切な運営によって、再生産が阻害されるようなことを防止していく、これは両々相まってやっていく必要があると思っております。
昨年十二月に官邸で農林水産業・地域の活力創造プランを決めさせてきましたが、ここで書きましたように、CLTのような新たな製品や技術の早期実用化、それから木造公共建築物の整備といった、まず需要をつくり出していくということ、そして、需要者のニーズに応じた国産材の安定供給体制、これは路網等々ということ、それから森林所有者の零細性を克服するための施業の集約化、高性能林業機械の導入などによる生産性の向上、それからコストの縮減、それらを担う人材の育成、こういうような施策に総合的に取り組んでいくことにしております。
まさに、こういう施策を通じて成長産業化を実現するということと、森林保険制度、これを車の両輪として適切に運営するということで林業経営の安定を図ってまいりたい、こういうふうに思っております。
○寺島委員 ありがとうございました。
○坂本委員長 次に、大串博志君。
○大串(博)委員 おはようございます。民主党の大串博志でございます。
きょうは森林保険法の改正の議論ということで、私の方からは、先ほど来、森林保険法等々にかなり集中した質疑もございましたが、その中で少し幅を広げて、森林・林業政策等々も含めての視野から質問させていただけたらというふうに思います。
といいますのは、民主党政権、三年三カ月ございました。農林漁業政策の中で、ややもすると戸別所得補償政策といったような農業政策の方にかなり注目が行ったんじゃないかと思います。しかし、林業においても水産業に関しても、私たちは非常にいろいろなことを野党時代から考えてき、提言もし、与党時代にはそれを打ち出し、実現してきたつもりであります。
この森林・林業政策もその一端でございまして、野党時代から森と里プランというのを長い時間かけてつくり上げてきました。それを、政権を担った後、森林・林業再生プランということで、政府・与党の中で構築してきたわけでございます。
その大きな考え方としては、路網の整備、それから施業の集約、あるいは効率的な作業ヤードの構築等々を含めて、できる限り業として成り立つ森林・林業政策を全体としてつくっていこう、こういった面的集積に非常に力を入れていこう、そのためにはインセンティブ政策もどんどんとっていこうといった政策でございました。こういったことから森林・林業再生プランをつくり、この考え方自体に関しては、現政権になってもある程度引き継いでいただいているというふうに思います。
こういった中で、日本の森そして林業全体をどう活性化させていくのかというのが現在の大きな課題ではないかというふうに思っています。しかるに、これらが動き出して、現状はどうなっているのかというのを少し顧みてみる必要があるところに来ているんじゃないかなという気がしているんですね。
例えば、森林経営計画というものがございます。これは個人さん、あるいは共同でも、どういうふうにこれから森林経営をやっていくのかということに関してつくってください、認定を受けてくださいと。それに応じて認定を受けていただいた方には、金融上の措置とかいろいろなものがございます。
これが進んでいるかというと、なかなかまだ進んでいないようなんですね。政府の目標で、二十四年度末では大体二五%程度の面積率を誇るようなところまで行っているべきものであるにもかかわらず、現状は二割弱、約一七%というふうにお聞き及びしておりますけれども、このくらいしか達成できていないということなんですね。
これなんかが一つ全体的な進みぐあいをはかるバロメーターではないかなと思うんですけれども、この森林経営計画の認定率もまだ低位にとどまっていること、これらに関して、今、政府としての御認識等々があれば、いただきたいと思います。
○小里大臣政務官 森林経営計画制度は、面的なまとまりの確保による施業の集約化、また計画的な路網整備を進めていくことを目的とするものであります。ところが、今御指摘にありましたとおり、民有林の面積に対して目標値二五%というものに対して、現状は一七%の計画作成面積となっているところであります。
農林水産省としましては、制度創設以降、本制度の定着を図るため、また昨今の状況をよく勘案して、改善策を打ち出しているところでございます。
一つには、計画作成要件の緩和等ということがございます。特に、御案内のとおり、今、林班ごとに、一山ごとに五〇%を施業対象とするという要件がありますけれども、これを、いわば集落単位で三〇%でいいよ、そういった要件の緩和等の運用改善を行ってまいります。また、地域における森林所有者等の合意形成活動への支援、また、計画作成を担う森林施業プランナー等の人材の育成にもさらに取り組んでいくところでございます。
こうした取り組みを通じて、森林経営計画の作成をさらに進めてまいりたいと思います。
○大串(博)委員 通告していた質問を幾つかまとめてお尋ねしたいと思うんですけれども、まさに面的集約を図っていく際に必要なこと、今、幾つかの認定要件の緩和みたいな話もいただきました。これも聞いております。ただ、ここはなかなか難しくて、認定要件を余りに緩和していくと、では、面的集積をどうやってやっていくのかということと相対峙してしまうことになってしまう。
ということから考えると、先ほど後段でおっしゃったような人的支援、例えば、市町村への国の職員による技術支援あるいはプランナーの育成、こういったところは非常に大切になっていくでしょう。
あと、面的集積をやっていくときにどうしても問題になっていくのが、どうも境界がはっきりしないな、あそこの土地は誰の土地だっただろうなと。もう持ち主の方々がほとんどいらっしゃらない、在村されないような場合には特に難しくなってしまう。それがほっておかれている状況にあるわけですね。
これらをどういうふうに確定していくのかというところに対して、なかなか一つのもともとの村ではできない、地域ではできないというところに対して、国としてどういうふうな支援をしていくのかという集約化促進の支援みたいなものがあると思うんですね。
この辺に関して、もう少し具体的に、国としてどのようなことをやっていこうとされているのか、お聞かせいただけたらと思います。
○小里大臣政務官 今、大きく二つ御質問をいただきました。
まず、市町村への支援でございますが、市町村は、市町村の森林整備計画の策定、そして森林経営計画の認定を行うといった重要な役割を果たしております。そのため、森林経営計画の認定、市町村森林整備計画の策定、さらには、地域の森林づくり、地域の林業、木材産業の活性化等を専門的な立場から支援をするフォレスター制度の充実、フォレスターは、都道府県の職員あるいは国有林の職員がこれに当たるわけであります。そしてまた、森林経営計画の作成の中核を担う施業プランナー制度、こういったところを運用しているところでありまして、さらに充実強化を図ってまいりたいと思います。
また、境界確定の問題等の御指摘がございました。実は、私も森林経営者の端くれにはなっておりますが、ほとんど私自身が不在村地主でありまして、ただ、年に一回ぐらい、山の境界、これをずっと見て通って、くいを打つ作業はやっております。ただ、えてして、雨が降ったりすると土手が崩れたりして、境界は常に動いておるんですね。そういったところから、境界の確定というのは非常に難しいし、また大事な作業であるなということも認識をしておるところでございます。
農水省としましては、平成二十三年に森林法を改正しまして、新たに森林の所有者となった方の市町村長への事後届け出の規定、また、森林所有者情報を行政機関や部局ごとに共有をする、例えば都道府県登記所等が当たるわけであります。こういった措置を規定しております。
また、森林整備地域活動支援交付金あるいは加速化基金等によりまして、所有者の所在確認、境界の確認活動など、施業の集約化に必要な取り組みに対して支援を行っているところであります。
さらにまた、平成二十六年度から、不在村森林所有者等の境界確定のための現地立ち会いに必要な経費等に対しても支援を行っているところでございまして、こういった総合的な取り組みを、さらに充実強化を図ってまいりたいと思います。
○大串(博)委員 私は、やはり今の支援策はとても大切なことだと思うんですね。森林というのは、今の段階から考えると、面的集積を図っていって、路網を整備して、できるだけ効率的な形で、最終的な利益が山元に返ってくるような形をつくっていくのが一番大事だと思うんですね。
そういった中で、先ほどの要件緩和の話に戻りますけれども、あめとむちという言葉はよくないですけれども、インセンティブにつながる措置に関してはできるだけ維持していただきながら、面的集積を後押ししていただきながら、ただ、それを乗り越えていく苦しみに関しては、人的に、あるいはいろいろな技術的な支援を国として最大限に行っていくというのが、今一つのハードルを越えていく山場だと思うんですね。
木材価格も国際的な競争力を回復してきている中で、山元にどうやってこの利益を還元していくかというのが非常に重要なところになってきているので、今そのハードルを越えていく支援策を政府としてしっかりやっていただくのが大切だというふうに思いますので、ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。
それで、森林の持つ機能としてよく言われるのが、地球温暖化対策に対して、吸収源としての非常に強い機能を果たしてくれている森林というもの、これも含めて、日本の山村、森林を守っていくことは非常に大切な視点だと思うんですね。
それで、幾つかあわせてお尋ねさせていただきますけれども、御案内のように、第二約束期間、日本は批准しているわけじゃないですけれども、政府の考え方として、この間、三・五%、森林吸収源を守っていくという形を決めています。このために年間五十二万ヘクタールの間伐が必要であるという考え方に基づいて、今施策が行われている。
ここに間伐というのが、この間、間伐促進法もつくりました。これが非常に大きな推進力になっているわけでありますけれども、私、思うのは、間伐というものもしっかりやっていかなければなりません。お願いしていかなければならない。しかし、間伐のみならず、できるだけ若い木をつくって、温暖化ガスの吸収力のある林をつくっていくという観点からすると、小規模な面積から始めてもいいので、皆伐をして、全伐をして、新たに再造林していくといったこともやはりそれぞれ少しずつ考えていく時期に来ているのではないかなという感じもするんですね。
こういったことも考えていくとすると、いろいろな施策を打っていかなきゃならない。例えば、まさに苗木の安定供給だとか、あるいは種苗の事業体の育成対策だとか、こういったことをいろいろやっていかなきゃならないと思います。
あわせて質問させていただくと、財源も必要になってくると思うんですね。温暖化対策税というものがありますけれども、温暖化対策税の中に、その使途として吸収源対策をどう位置づけていくかという年来の課題もございます。即にそれが難しいとしても、それらも踏まえながら財源をしっかり確保していくというのは、長い意味で、三・五%を達成していく、国際的責務を果たしていく日本の責務ではないかと思うんですね。
この辺に関して、政府としてどういうふうな取り組みをされていくのか、御答弁をいただきたいというふうに思います。
○小里大臣政務官 大変恐縮ですが、最初に訂正をさせてください。
施業対象の要件緩和のところで、集落単位で三〇%と申し上げたかもしれません。これは三十ヘクタールの間違いでございますので、よろしくお願いします。
御指摘のとおり、間伐に限らず、むしろ若い木の方がCO2吸収力が大きいわけでありまして、こういった観点からの取り組みが必要であります。森林整備事業によりまして、再造林に対して国と都道府県で合わせて七割を補助するという制度があります。また、種をとる採種園等の造成、苗木の生産拡大に必要となる育苗機械、また種苗生産施設等の整備などの苗木生産体制の確立に取り組んでいるところであります。
また、鳥獣被害であります。鹿等による食害被害を防ぐための侵入防止柵、食害防止チューブの設置、鳥獣の誘引捕獲等への支援等を行っているところであります。
こういった取り組みによりまして、森林の若返りを進めてまいりたいと存じます。
また、財源のところでございます。
御指摘のとおり、地球温暖化対策において極めて大事な役割を果たしておる森林吸収源対策であります。そこで、農林水産省としましては、従来から、森林吸収源対策に活用できる環境税、地球温暖化対策税を要望してきております。
平成二十六年度税制改正要望におきましても、CO2排出抑制対策に使途が限定をされている地球温暖化対策のための税、いわゆる石油石炭税の使途に森林吸収源対策を追加すること、これに加えまして、地方の独自課税として三十三県で導入をされておりますが、森林環境税等の国税版なるものの創設を要望したところでございます。
この結果、税制改正大綱におきまして、「安定的な財源が確保されていない。」といたしまして、「財政面での対応、森林整備等に要する費用を国民全体で負担する措置等、新たな仕組みについて」「早急に総合的な検討を行う」ように盛り込んだところでございます。
当省としましては、森林吸収源対策を推進するための安定財源の確保に向けて、さらに全力で取り組んでまいります。
○大串(博)委員 財源も含めた対策というのは、最終的に非常に大切になってくると思います。必要な額もある程度見越されているところでありますので、ぜひよろしくお願いします。私たちもしっかり支えていきたいというふうに思います。
ちょっと質問の順序を変えて、山村振興法のことをお伺いした後、大臣に森林全体政策に関するお伺いをしたいと思います。
山村振興法というのがあって、昭和四十年に議員立法として、「山村における経済力の培養と住民の福祉の向上を図り、併せて地域格差の是正と国民経済の発展に寄与すること」ということを目的につくられました。その後、累次改定を加えられ、それぞれ少しずつ内容を豊富にしながら来ておりまして、実は二十七年、来年が、この改定をするかどうか、議員立法ですから、そういった時期に達してきています。
これまで山村の振興を図ってきて、この立法に従っていただいているわけでありますけれども、なかなかやはり山村の現状は厳しいものがあるというのは、皆さん御存じのとおりであります。
そういう中で、やはり山村というと農業、林業。農業を通じても一生懸命いろいろなことをやってきていただいておりますけれども、一方で、やはり林がある、森があるということで、地域の森林資源を活用して、そこから雇用を生み出し、そして若者をそこに吸収しあるいは定着していただき、それによって山村を維持し守っていくというのが非常に視点として大切だと思うんですけれども、現在、私たちも、反省として、いろいろ次に向けて考えなきゃならないと思うんですね。
現在の山村振興法を前提にいろいろな行政をやってきていただいています。十分な効果が得られるようなものになってきているのか、現状の評価について、私たちの参考にもなりますので、政府のお考えを聞かせていただきたいというふうに思います。
○江藤副大臣 委員のおっしゃるとおり、山村振興法に基づいてやってきましたが、現状を見れば、それが十分に機能してきて、水源の涵養も含めて山村が守られてきている十分な体制であるというふうには正直考えてはおりません。最近は、三・一一後、例えばシイタケなんかも、西日本でも言われているじゃないですか、干しシイタケの暴落とか。
ですから、山村振興というのは、そういった特用林産物については補正で若干手当てをしましたけれども、そういうことも含めて、人口の流出であるとか、それから買い物に行くまで距離が遠いであるとか、そういったことも総合的に考えて、やはりこれからの林業政策を見直す上で必要なことだろうというふうに考えておりますので、ぜひまたお知恵を拝借したいと考えております。
○大串(博)委員 恐らく、政府の中でもいろいろ悩みながらやっていただいていることと思います。それ以上に、山村に暮らす皆さんは悩んでいらっしゃいます。これらを踏まえて、私たちも、議員立法ですから、次に向けてしっかり議会としての英知を集めていかなければならないのではないかというふうに、お呼びかけを申し上げさせていただいておきたいというふうに思います。
大臣に少しまとめて御答弁いただけると思うんですけれども、今申し上げたような森林そして林業をどう活性化させていくのか。森林・林業基本計画を私たちはつくってやってきました。これをどう実質的に動かしていくのかという点に関しての、今私が申し上げたような問題意識からの大臣の御決意をお伺いしたいのが一つ。
もう一つ、森林国営保険法に関して、先ほど来、独法にお願いするという形になったこと。私たちも、これは実は、与党時代も、どこにこれを担っていただくのか、特会を廃止していくことも非常に悩みました。確かに森連ではなかなか難しい。民間でも難しい。
実は損保業界、民間に私はいろいろな友人もいるものですから、いろいろ聞いてみると、なかなか難しいということは返ってきました。しかし、おもしろいなと思ったのは、事故率のストックがないので民間ではできないと。それは言われてみるとそうだなと。アクチュアリー計算ができないと、保険というのはとても引き受けられませんよね。それを国が今まで独占していたわけだから、なかなか、今ぽっと民間の方にお願いしますと言っても、アクチュアリー計算ができるような事故率のストックがないから、それはできないですよね。
そういった中で、それを今言ってもあれなので、総研の皆さんにお願いするということになるとして、やはり、総研の皆さんにしっかり担ってもらう体制を国としてもバックアップしていく必要がある。
この二点について、大臣の御決意をこの委員会の場でお伺いしておきたいと思います。
○林国務大臣 まずは、森林・林業基本計画、現行のものは民主党政権時代におつくりいただいたものでございまして、これは参議院でもたしか小川委員にお答えしております。しっかりとバトンを受け継いで走っていきたい、こういうことを申し上げておりますが、多面的機能の発揮や持続的かつ健全な発展などを図るために、川上から川下まで総合的に展開するということがそこにまさに書かれているわけでございます。
これを踏まえて、昨年の十二月の官邸の農林水産業・地域の活力創造プランにも、先ほど来御議論ありますように、今本格的な利用期を先輩方のおかげで迎えているということですから、木を使って循環させて、成長産業化を図るということ、それにあわせて、吸収源対策を推進する、そのための財源の重要性についても今御議論いただいたとおりでございます。
クロス・ラミネーテッド・ティンバーですとか木造公共建築物、供給体制の整備、森林施業や路網の整備、それから人材の育成、こういったことに総合的に取り組んでいくことによって、成長産業化を実現していきたいというふうに思っておりますし、このことが、林業の資源というのは山村にあるわけでございますので、山村の振興にもつながっていく、こういうふうに考えておるわけでございます。
森林総研に保険事業を移管する、これに当たっては、総研が保険業務を適切に実施できるように、国としてもいろいろな措置を講じていきたい、こういうふうに思っております。
森林保険に関する知見、これは今民間にはなかなかない、こういうことでありました。まさにやっていなかったわけでございます。逆に言えば、林野庁にその知見を有する職員がおるわけでございますので、こういう職員を森林総研に出向させるということ。
そしてまさに、今アクチュアリーという御指摘がありましたけれども、森林国営保険が持っている保険料率等の算定関連データ、それから算定方法、これをきちっと承継する、こういった措置を講じたいということで、検討をしているところでございます。
法律を成立させていただきますれば、保険事業の移管準備、これを森林総研と密接に連携して行って、移管後にきちっと、支障なく業務が実施をしていけるよう万全を期していきたい、こういうふうに考えております。
○大串(博)委員 では、最後の質問を行わせていただきたいと思いますが、後藤田副大臣、大変恐縮でございます。最後になりまして恐縮でございますけれども、国有林の事業に従事する職員の労働環境、労働条件に関することでございますけれども、かねてより議論してまいりました。
後藤田副大臣に一問と、大臣にあわせてお尋ねしたいと思いますけれども、国家公務員に関する労働基本権の回復、付与、この問題に関しては、御案内のように、与野党で当時合意をして成った基本法の中で、自律的労使関係に関して措置をするというのが十二条に書かれている。その基本方針に基づいて措置を行っていくというのが、法律的なものに関しては三年、それ以外のものについては五年というのが決まっていて、その五年は去年の六月に徒過している、こういう状況にあります。
新たにこの法律の議論をしたときに、先般、衆議院では附帯決議がなされて、労働関係者とも議論をして、速やかに議論を行うということが附帯決議でも衆議院ではなっている。これに関して、どういう議論がこれまで行われてきて、今行われているのかということに関する、副大臣、御説明とそして決意を。
そして、大臣には、国有林野事業に関して、勤務の実態が変わっていないにもかかわらず一般会計化したことをもってして、給特法、特労法が適用されない状況になっているというこの状況、国家公務員全体の見直しも行われなければならない中で、国有林野事業の方々が、勤務の実態が変わらない中でこういうふうな状況になっている。これに対して、改めて、どういうふうに大臣として実質頑張っていこうとされているのか。
この両点について、御両名から御答弁いただきたいと思います。
○後藤田副大臣 委員御指摘の国家公務員の自律的労使関係制度の考え方、また取り組みについてでございますけれども、先ほどお話ありましたとおり、政府といたしましては、国家公務員制度改革基本法第十二条に基づきまして、自律的労使関係制度を措置する責務を引き続き有している、こういう考え方に立っております。
しかしながら、一方で、前政権下の法律が廃案になったという経緯、またその後の状況、環境の変化を踏まえれば、まだまだ多岐にわたる課題があるというふうに考えております。
このため、現時点で具体的なスケジュールは申し上げられませんが、さきの委員会における附帯決議も踏まえ、職員団体を含む関係者の御意見を伺いながら対応を検討してまいりたい、このように思っておりますけれども、平成二十五年二月より開催している、今後の公務員制度改革の在り方に関する意見交換会、こういったところでも、自律的労使関係制度についても議題といたしまして、労働組合側も含む関係者からヒアリングなどを行っているという現状でございます。
引き続き、しっかりと検討してまいりたいと思います。
○林国務大臣 国家公務員法に関することは今副大臣から御答弁があったとおりでありますが、国有林野事業の職員については、二十五年四月一日から非現業の国家公務員ということで、国家公務員法や人事院規則の世界に入ってくる、こういうことになったわけでございます。
したがって、その新制度の切りかえ時において、国有林野事業職員の給与等の待遇について、関係府省等と適切に連携して、まず、職責に応じた級別定数の設定ということを行って、勤務環境を踏まえた特殊勤務手当等を措置しまして、一人当たりの給与についても適切な水準が維持されるように措置をさせていただきました。これを現在も適切に対応を続けているところでございます。
大事なことは、やはり職員の現場の方が元気でしっかりと重要な役割を果たしていただいているわけですから、それをまず第一に考えて、そのことが国民等からも評価されるというような職場づくりに向けた環境整備に今後もしっかりと取り組んでまいりたい、こういうふうに思っております。
○大串(博)委員 では、諸般よろしくお願い申し上げ、質疑を終わらせていただきます。
○坂本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十時三十八分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○坂本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。鈴木義弘君。
○鈴木(義)委員 日本維新の会、鈴木義弘です。
委員長にお許しをいただきましたので、順次質問をしたいと思っております。
今後の森林及び林業政策について、まずお尋ねをしたいと思います。
先日、林野事業、狂った見通しと題した新聞の記事を目にしました。
戦後しばらくは国有林野事業はドル箱でした。焼け野原になった日本を再建するため、木材を切っても切っても追いつかない。伐採後は建築用材に適した杉やヒノキを植えました。しかし、一九六四年の木材輸入自由化や一九七三年の石油危機を経て、需要は落ち込んでいます。背景の一つは建築様式の変化、日本の木材の一番の売りは日本家屋に合ったヒノキや杉の美しい柱でした。でも、戦後普及した新工法では、柱は壁の裏に隠れて見えません。構造材として丈夫であればよく、安価で、外材で十分でありましたというものでした。
現在でも、在来工法よりも新しい工法が多く生み出されています。外壁材で杉板を使った家を目にすることも珍しくなったこのごろです。建築様式も変化しましたが、地球温暖化や省エネなどエコな生活、すなわち生活様式そのものが変化してしまったのではないかというふうに思っております。
そこで、お尋ねしたいと思います。
日本人のライフスタイルの中の一つである食事が、昨年、日本食として世界遺産になりました。これからも、それとは違って、日本の生活の中では建築様式や生活スタイルの西洋化がもっともっと進んでいくと思われています。その中で、日本の建築様式や生活スタイルの変遷と今後の森林及び林業の振興との関係をどのように捉えていくのか、まず大臣にお尋ねしたいと思います。
○林国務大臣 我が国の人口は、今後、減少傾向で推移する、こういうふうに見込まれておりまして、そういう中で、成長産業化を林業として実現していくためには、やはり豊かな森林資源、利用期を迎えているわけですから、これをしっかりと使っていく。そのためには、木材需要の創出を図る、これが大事であると思っております。
委員が御指摘のように、ライフスタイルがいろいろ変わってきているということを念頭に置きながら、どういうところに新たな需要をつくっていくか、これが大変大事だと思っておりまして、その一つとして、やはり中高層建築ですね。人口が減っていきますと、戸建ての住宅というのはなかなか伸びが期待できない中で、中高層建築で構造材にも使えるCLT、こういった新たな製品、技術が早く実用化になるように支援していくこと。
それから、学校等の公共建築物、こういうところに木造を使っていく。実際に、木でつくった教室に変えたところ、非常にインフルエンザの流行が減ったというデータも出ておりますし、また、大変、木の教室だと落ちつくので、学習効率が上がった、こういうようなことも聞かれているわけでございますから、そういった木のよさを木造の公共建築物に生かしていくための支援をする。
それから、住宅についても、御案内のように、木材利用ポイントということを実施しまして、さらに促進を図っていくということ。そしてさらに、カスケード利用ということですが、バイオマスとして使っていくために、全国的に相談、サポート体制、こういうことをきちっとやっていく。さらには、国内の需要にとどまらず、中国、韓国等へ木材や木製品の輸出をしていく、こういう事例も出てきておりますので、こういうことに対する支援をする。
こういった需要サイドの政策を総合的に今取り組んでおるところでございまして、こういうことを通じて、やはり需要を創出して、林業の成長産業化を実現してまいりたい、こういうふうに思っております。
○鈴木(義)委員 ありがとうございました。
今お答えいただいたことも含めて、平成二十三年七月二十六日、前々の内閣ですか、民主党政権のときに閣議決定した内容の中で、森林及び林業に関し、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策というのが今大臣がお答えになったことだと思うんです。
それも踏まえて、前々の内閣なんだと思うんですけれども、今の内閣として閣議決定したことを踏襲しているのか、それと、今これから進めようとしていることが整合性がとれているのか、再度お尋ねしたいと思います。
○林国務大臣 平成二十三年七月に現行の森林・林業基本計画が定められております。そこには、森林の有する多面的機能の発揮、林業の持続的かつ健全な発展などを図るため、川上から川下まで総合的に施策を展開するということが書かれておりまして、先ほど大串先生の御質問だったかと思いますが、基本的には、これを踏まえて、バトンをきちっと受け取ってやっていきたいと考えております。
昨年の十二月に官邸本部で決定されました農林水産業・地域の活力創造プランでも、この基本計画を踏まえながら、林業の成長産業化のために、木を使っていく、森林資源を循環利用するということや、森林吸収源対策を整備保全を通じて推進する、こういうことを書かせていただいております。
先ほど申し上げた需要サイドの政策に加えて、間伐等の森林施業や路網の整備等の推進、いわば供給サイドの方の施策にも総合的に取り組んでおるのも、森林・林業基本計画と活力創造プランに基づいてという位置づけになっておるところでございます。
○鈴木(義)委員 そもそも、国の責務というのが、農林業というよりも、農業も同じだと思うんですね。産業政策として捉えていくのか。農業でも、多面的機能という言い方をされると思うんですね。
そこで、大臣からの答弁は大体こんなものかなというふうに想像がつくんですけれども、結局、林業も同じだと思うんですね。産業政策でやっていこうとするのか。多面的機能といいながら、水源の涵養だとか、環境保全だとか、国土の保全だとかというふうに大体おっしゃられると思うんですけれども、国の責務というのはどこまでの範囲を責務として捉えるのか、大臣にお答えいただければと思います。
○林国務大臣 大体予想された範囲内での御答弁になるかもしれませんが、国土の七割を森林が占めておりまして、まさに今委員がおっしゃっていただいたように、水源の涵養とか地球温暖化の防止等の多面的機能、これが持続的に発揮されることは大変に大事でございます。林業が産業政策をやることによって発展していくということも、多面的機能の発揮という意味でも大変に大事である、こういうふうに思っております。
森林・林業基本法でも、国の責務について、森林・林業に関する施策を総合的に策定、実施する責務を有し、森林・林業・木材産業関係の事業者の自主的な努力を支援する、それから、地方公共団体は、地域の諸事情に応じた施策を策定、実施する、森林所有者を初め林業者は、森林の整備保全が図られるよう努める、こういう書き方をしておりまして、この基本法のもとで、おおむね五年ごとに、先ほど御指摘のあった森林・林業基本計画を策定して、具体的な施策の方向性を明らかにしているところでございます。
したがって、国は当然でございますが、地方公共団体や森林の所有者、それから森林組合、民間事業体である林業事業体、木材産業関係者など、森林・林業に関係するさまざまな組織や関係者の皆さんが、適切に役割分担をしながら、相互の連携を図りつつ、一体となって努力していくことが重要である、こういうふうに考えております。
○鈴木(義)委員 やはり大臣の御答弁は想定していたとおりだなというふうに思っているんです。
ただ、そうはいいながらも、やはりもうからないと、林業を続けていっていただけないんじゃないかというふうに思うんです。
そこでお尋ねしたいのは、農業も同じですし、畜産業も同じだと思うんですけれども、やはりもうかって何ぼだと思うんですね。結局、三年前ですか、四年前ですか、世界に先駆けてCO2の削減を日本国が約束するんだ、二五%削減する、六・何%が森林にそれを負荷するというような話だったと思うんですけれども、実際、林業者にしてみれば、それは別に関係ない話なんですよね、だって産業でやろうとしているわけですから。もうからなければ山から切り出さないというのは、私がもし林業者だったら同じことを考えると思うんです。
そこで、お尋ねしたいんですけれども、そもそも、今、林業というのがもうかっているのかどうなのか。赤字だけれども仕方なくやっているのかどうか。事業を継続しているということであれば、多少なりとも赤字は我慢しながらやっているのかなというふうに推察はできるんですけれども、林業としての位置づけ、それと、どこまでの、職種という言い方が合っているかどうかはわかりませんけれども、今御答弁いただいた中で、広範囲にわたって国の責務なんですと言われてしまうと、全部がそうなんだとお答えいただくと、それで終わってしまうんです。
結局、産業政策としてのサポートをしなければ林業自体が成り立たないんだったら、逆に国がやらなくちゃいけないことというのは、国土の保全であったり環境保全であったりというふうにならざるを得ないんじゃないかと思うんですね。そこのところをもう一度大臣にお尋ねしたいと思います。
○林国務大臣 林業がもうかっているんだろうか、こういうことでございますが、林業の所得ですね。木材価格が低迷しているということを背景に、二千億程度で横ばいということでございまして、委員が御案内のとおり、大変厳しい状況にある、こういうふうに思っております。
森林所有者が、やはり十ヘクタール未満の小規模零細な方で九割ということでございまして、森林施業を意欲的にやっていこうという傾向がなかなか出てこないということで、多くの森林所有者の皆様は林業以外で生計を立てていらっしゃるケースが多い、こういうことでございます。森林経営を行う場合も、森林施業については森林組合それから林業事業体に委託する、こういうことが一般的になっております。
一方で、これは繰り返しになりますが、先輩方のおかげで造成された人工林、本格的な利用期を迎えておりまして、十四年には一八%だった自給率が、平成二十四年に二八%まで回復はしてきているということでございますので、こういう状況の中で、しっかりと産業政策としても努力をしていかなければいけないと思っております。
どの職種までを指すのか、こういうことでございましたけれども、林業は、樹木の苗を植えて育ててという造林、育林から、間伐、主伐という素材生産までが林業ということだと思いますけれども、森林・林業基本法において規定がありますように、施策の対象としては、木材産業等が林産物の供給に果たす重要な役割に鑑みまして、木材の流通、加工の分野まで一体的に対象としている、こういうことでございます。
○鈴木(義)委員 ありがとうございます。
続きまして、林業を産業政策として捉えたときに、何点かお尋ねをしていきたいと思っております。
国産材の使用減少は、日本の建築様式の変化だけではなく、過去は、繰り返しになりますけれども、ヒノキ、杉は建築用材として一定の需要があったんだそうです。輸入材とは、工事現場で使われる合板材等の一定のすみ分けがされていたんですけれども、ツーバイフォー工法や集成材、プレカット工法などの使用により、柱や構造材としての需要が減少して、合板や集成材に生産が移行できなかったとお聞きしています。その原因として、年間を通しての質と量の確保が、安定的に材木の供給をすることができなかったためという話も聞いております。
では、なぜ今までそれを、住宅メーカーの需要に応えられるように、林業関係者の方々に、指導という言い方が合っているかどうかはわかりませんけれども、協力してもらうようなお願いをしてこなかったのか。そこが今日の問題点の根幹になっているのかなと思うんですが、御答弁いただければと思います。
○江藤副大臣 先生の御指摘は、私も、初当選以来ずっと実は思ってきたことです。
住宅メーカーの方々を呼んで、ホワイトウッド集成材なんかを使わずに国産材を使ってくれという個別具体的な要請も林政調査会を中心に随分やってきました、私が記憶している中でも。最近は大分応えてくれるようになってまいりました。そしてまた、日本のユネスコ文化、いわゆるそういう日本文化に対する回帰もまた起こっているということはありますけれども、ただ、非常に流通系統が煩雑で、大手になればなるほど、定数、定量、定時に必ず来てほしい、材を納めてほしいという要求になかなかマッチングができなかった、川上と川下で、それが一番の原因だったと思います。
それからもう一つは、阪神・淡路大震災の後に、日本の在来工法だと家はもちませんというような、本当に科学的な根拠に欠けるような宣伝が一部では実はなされて、ツーバイフォー工法なら安心ですとか、そういうような宣伝もなされて、在来工法が非常に隅に追いやられたということもあって、そういう現状になっているわけでありますけれども、そういったことをもう一回見直して、これから我々、大臣が今御答弁いただいたように、いろいろな施策を細かく打っておりますので、やはりもうかって何ぼというようなことで、川上から川下まで一気通貫で業として成り立つような林業政策を考えていきたいと考えております。
○鈴木(義)委員 ありがとうございます。
次に、新流通・加工システムという名称とか新生産システムということで、今お答えいただいたようなことを解消できるような取り組みを林野庁が中心になってスタートしたんだと思っています。そのために、森林所有者の合意形成や製材工場の大規模化、中間流通の削減等、量の確保に努められました。質の確保にも、A材、B材、C材の中でも需要が薄かったB材を合板原料として使用できる技術開発を行ったともお聞きしています。
しかし、難しいなというふうに思うのは、今御答弁いただいたように、川上から川下まで一貫をするとか、大量に仕入れて大量に加工して一定供給量を出すということは、逆に言えば、規模が大きくなればなるほど、中山間地域にある中規模の製材所、中規模の製材所というのは、大体山のそばにあるんだと思うんですね。私が聞いている話では、埼玉に本社を置く建て売り専門にやっている住宅メーカーさんですけれども、東京湾の東京港のところにプレカット工場までつくって、外材で入ってきたものはそこで加工して、各住宅の現場に供給している。それに対抗してやろうということなんだと思うんですね。でも、結局、集めれば集めるほど中小の零細のところの製材所には物が集まらなくなってしまう。
そうすると、山村というのは、やはり林業者と加工する製材所と、一体となってその地域を形成しているんだと思うんです。それが大規模化になればなるほど平場の方で製材しなければ、山間地域というのは平地がたくさんあるわけじゃないですから、逆に平野のところに持ってきて大規模化していくんだと思うんですね、流通の関係もあるでしょうし。そうなったときに、結局、山村の維持ができなくなっちゃうんじゃないかという懸念が出てくると思います。
大規模なところと中小の製材所との、事業者というんですか、すみ分けをどういうふうに今後考えていこうとするのか。大規模化にすればするほど、同じことの繰り返しになりますけれども、やはり中小で、山合いにある製材所が商売にならなければ、そこで雇用も創出されないだろうし、そこのところの、ちょっと厳しいところに立たざるを得ないのかなと思うんですが、どなたでも結構ですから、御答弁いただきたいと思います。
○沼田政府参考人 お答え申し上げます。
特に製材工場の関係でございますが、現在、全国で五千九百二十七ございますけれども、そのうち、いわゆる大規模工場と言われているもの、出力が三百キロワット以上の工場でございますが、これは年間にしますと一万立方メートルの丸太消費量があるというような工場でございまして、これが全体の八%に当たります四百四十二工場でございます。ほかの九二%というのがいわゆる中小規模の工場ということになっております。
御指摘ございましたように、大規模の工場は、いわゆる一工場当たりの消費量は大きいわけでございますので、丸太の消費量全体に占める割合は六割を超えております。年々増加傾向にございまして、主に大手住宅メーカー等の大口需要者に向けた供給の役割を担っているところでございまして、私どもとしても、地域合意のもとに安定的な供給体制の整備のための施設整備に対して支援をしているというところでございます。
他方、中小の工場につきましては、主に地域の大工、工務店向けに木材を供給するということでございまして、特に、私どもいろいろと施策を打たせていただいておるのは、地域の中核工場とその周辺の中小の製材工場との連携、私ども水平連携と言っておりますけれども、そういった形で、品質、性能の確保された製品を供給するために必要な施設整備というものを支援しております。こういった地域の実情に応じた供給体制の構築を目指していきたいと思っております。
先生御指摘のように、割と従来は港湾部に大規模な工場が立地していたという傾向はございますけれども、実は最近でございますけれども、日本国内の資源が豊かになったというようなこともございまして、いわゆる内陸部、例えば岐阜の方に合板工場ができたり、例えば東北の方でも内陸部に大きな製材工場ないし合板とかLVLの工場ができつつあるといいますか、着手してきているというようなこともございます。
山間地に立地してきているという、そういったことも踏まえながら、それぞれの地域の工場が、地域の資源を背景に、従来以上に活発に活動できるように、特色に応じて活動できるように、私どもとしても努力していきたいと考えているところでございます。
○鈴木(義)委員 昔、私は埼玉の出身ですから、秩父の製材所に視察に行ったことがありまして、丸太のところというより、角材に住宅メーカーの刻印が押してあるんですね。プレカットだけをそこの製材所でやる。それはほとんど、申しわけないんですけれども、外材なんですね。それが現実の話であります。だから、今御答弁いただいたように、全体で八%の大型規模を集約化させていってすみ分けしていくというんですけれども、逆に、国がやっているポイント制度なんかは中小の製材所を経由したものだけ対象にするとか、少しそちらにげたを履かせてあげない限り、成り立たなくなっちゃうんじゃないかと思うんですよね。
全部、公平公正にやろうとすると、国内で製造している、外材中心じゃない、国産材を中心にやっている関係者の人たちはどんどん先細りになってしまって、今は、前にも農業のところでお尋ねしたんですけれども、価格決定をする消費者の方は、プライスとクオリティーとサービス、この三つの組み合わせをどうするかでその商品を選ぶか選ばないかというふうになってきますから、どちらかというと、建築様式が変わるとか生活スタイルが変わるということは、お客様のニーズが変わっちゃっているわけですよね。
それは、一つはプライスの部分があって、そのプライスを安くして、でもクオリティーは違う形で重視するとか、サービスを求めるとかというふうな時代になっているのに、従来以前のすみ分けの仕方をしていただけでは、やはり国内の林業関係者が成り立たなくなってしまうんじゃないかなと思うんですけれども、その辺、もし、再度御答弁いただければ。
○沼田政府参考人 私どもとしては、従来型というのももちろんあろうかと思うんですけれども、例えば、先ほど大臣の答弁の中でも、自給率がここ十年で一八%から二八%に上がったということを申し上げましたけれども、そういった国産材の自給率の一番大きなものは、実は合板に国産材が使われるようになった。これは、従来、丸太をかつらむきにするときに八センチぐらいまでしかむけなかったんですけれども、技術革新で一センチ、二センチの直径までむけるようになった。そうすると、国産材も有効利用できるようになって、結局、コスト的にも合うというようなことがございまして、国内の合板だけでも、十年ぐらい前はほとんど使われていなかったんですが、現在は三百万立方メートル近く国産材が合板に使われているところでございます。
そういった技術革新とあわせて、また新たな木材の製品開発をしていく。CLTでありますとか耐火集成材でありますとか、従来、国産材が使われていなかったような分野にどんどん進出していく。
そのためには、地域一体となって、先ほどいろいろな施設整備のお話もさせていただきましたが、私どもとしては、いろいろな工場整備、加工施設整備をする際には、地域の中でそういったものをつくるという合意をとってください、これが前提ですよということをお話しさせていただいているところでございまして、そういった意味で、地域が一体となって加工施設の整備なり木材の利用拡大というものに取り組んでいただければ、私どもとしても大変ありがたいと思っているところでございます。
○鈴木(義)委員 ありがとうございました。
今、一生懸命、一八、一九だったのが二八%ぐらいに国産材のシェアが伸びたというふうに御答弁いただいたんですけれども、これは日本木材総合情報センターというところの二十六年二月の中で、木材価格・需要動向によれば、国産材の北関東、栃木の丸太生産は好天が続き順調、入荷量は平年を上回る、特に年度末を控えて補助事業の間伐材が多い、群馬の製材工場はほぼフル活動が続く等々、好調を伝えています。米材は、米国丸太は、好調な住宅着工需要と中国向け輸出で、対日価格は四カ月連続で、千スクリブナー、私も聞いたことがない単位なんですけれども、二十ドルほど値上がっているというふうに書いてあります。南洋材は、丸太の入荷が減少し、製材品は円安と産地高のため、価格は少しずつ上昇、そういったことも含めて、国産材のシェアの拡大のチャンスと捉えています。しかし、引き合いは活発であるが、入荷が少なく対応に苦慮、この入荷が少ない状況を解消しないと国産材離れが進み、外材へのシフトに歯どめがかからなくなるおそれが大、こういうようなのが二月の情報センターの情報としてオープンになっているわけですね。
そうすると、長期的には垂直統合とか水平でいろいろなものをこれから改善してやっていこうというのはよしとしても、現時点でもなかなか入荷が来なくて、今、もう景気が少しずつ、アベノミクスの関係も含めて、住宅だとか建築、土木も含めて、仕事がやり切れないぐらいあって、公共事業でいえば不調、不落が続いちゃったりしているんです。
そういう状況の中で、量が一定量入ってこないのであれば、どんどん外国材でやっちゃえばもっと安価にできるし、量がそれだけ確保できるんだったら、わざわざ国産材を使わなくてもいいじゃないかというふうに、使う方の人が言い始めてしまったら、とりあえず長期的な展望に立つものと、ここ短期間で何か施策をとらない限り、国産材離れというのはやはり歯どめがかからないんじゃないかと思うんですけれども、その辺を御答弁いただければと思います。
○沼田政府参考人 国産材の価格でございますけれども、実は二年前、夏ですけれども、かなり下がった時期がございました。それから次第に回復してきたわけでございますけれども、昨年の夏以降、さらに上昇基調にございます。年が明けましてからは若干下落というような状況にございますけれども、ことしの二月の段階では、対前年の同月比で見ますと、二割ないし三割上がっているというような状況になっております。
ただいま先生の方から、値段は上がっているけれども、物が足りないんじゃないか、出てきていないんじゃないかというお話がございましたけれども、私どもとしても、質量ともに安定供給していく、山側の方が、川上側の方が安定供給していくというのは本当に大切なことというふうに思っております。
今いろいろな形で取り組ませていただいておりますのは、流通コストの削減というような観点もございまして、できるところは山側の方から、例えば工場に市場を経由せずに直送するとか、そういった形であれば、ある意味、協定なり契約でいきますので、かなり安定した量が確保できるのではないかというふうに考えておりまして、そういったものを重視させていただいて施策を展開しているところでございます。
そういった意味で、市場の方は、どちらかというと、そういう振れの幅がどうしても大きくなるのかもしれないかなというふうには思っているところでございます。
いずれにいたしましても、こういった人工林が本格的な利用期を迎えてきている中で、きちんとした産業としての振興をしていく、成長産業化をしていくということになりますと、川上、川中、川下の方々が、お互い信頼し合って、ちゃんと出してくれるんだ、質、量、時期ともに、安定的に原材料は確保でき、そして需要もきちんとしたものが確保されていくんだというような関係にならなければ、お互いが不幸になるだろうというふうに思っております。
そういった意味で、地域の中で、例えば短期的な価格変動を回避するためにも、いろいろな関係者が、需給でありますとか価格の現状について情報共有を進める、こういった取り組みも進めさせていただいているところでございますので、こういった取り組みをさらに強化しながら、木材の安定供給、そして需要拡大というものに取り組んでいきたいと思っております。
○鈴木(義)委員 ありがとうございます。
ちなみに、いただいた資料を見ますと、製材品価格で、国産の杉正角というんですか、二十五年の価格で、厚さ十・五センチ、幅十・五センチ、長さは三メーターで四万八千六百円。米松の平角というんですか、厚さ十・五センチから十二センチ、幅が二十四センチ、長さが三・六五メーターから四メーター物で六万五千七百円。約一万七千円ぐらいの開きがある、幅が全然違いますので、二本分ぐらいの長さというか大きさなのかなと思うんですけれども。
今はとりあえず、中国だとか韓国も含めて、アメリカの住宅事情があって、需要があるから供給側の値段が少し上がっているんだと思うんですけれども、もし、そこが景気が悪くなって、住宅をつくらなくなってしまった場合に、また国内に安い価格の材木が入ってくる可能性がなきにしもあらずだと思うんですね。そうなったときに、では、安定供給だけすれば国内の消費者の方が使ってくれるというのであればいいんですけれども、先ほども何回も繰り返しているように、価格が安い方がいいんだというお客様が多くなってしまうと、やはり外材にシフトしてしまう、それが、毎年毎年とは言わなくても、何年かのサイクルで来るんだと思うんです。
そのときに、材木価格が低下したときに、また同じようなことの議論にならないような仕組みをつくっていった方がいいんじゃないかなというふうに思うんですけれども、どなたでも結構ですから、御答弁をいただければと思います。
○沼田政府参考人 お答え申し上げます。
木材価格、木材自体が、いわゆる国際的な市場関係で値段が決まっていくという面が日本の場合は多々ございますので、そういった意味で、価格をどうこうするというのもなかなか難しい課題かなというふうには思っているところでございます。
そういった意味で、私どもとしては、今取り組ませていただいているのは、建築様式の洋風化という御指摘もございましたけれども、やはり国産材を皆様方に使っていただきたい、日本の木を使っていただきたいということで、木づかい運動を展開しているところでございます。
例えば、木造の教室、内装が木質化された教室なんかでは、インフルエンザによる学級閉鎖の数が少ないでありますとか、あるいは、木造率が高まれば高まるほどストレスを感じる比率が低くなる、そういったデータもあるわけでございますので、ぜひとも、健康という面も含めて、いわゆる消費者の方々に、日本の、自分の地域で生産された木材を使うのがいいんだというような気持ちになっていただく。
そして、そういった木材を、もし仮に家を建てられるような場合は、いろいろ地元の工場さん、地元の木材を使って建てていただくというような動きをしていただいている中小のメーカーさん、工場さんもおりますので、そういった方々をできるだけ支援しながら、全体として、日本の木材が住宅を初めとしたものに使えるような努力をしていきたいというふうに考えているところでございます。
○鈴木(義)委員 これは農林水産省でお話をすることじゃないかもしれないんですけれども、国産材を使った住宅を建ててもらえれば、住宅ローンの一%、二%を国が補填しちゃうよというぐらいな思い切った制度を使えば、国産の材木を使った住宅がふえるんじゃないかと思うんですね。ポイント制度でぽつぽつぽつぽつとやるんじゃなくて、財務省の方のオーケーをもらわなくちゃいけないのかわかりませんけれども、そのぐらい。埼玉県なんかは、りそな銀行さんが、県産材を使ってもらったら住宅ローンを組んだときに一%ぐらいまけますよという政策を打ってくれているんですね、今は継続してやっているかどうかわかりませんけれども。
やはり、国産材を使ってもらう、需要を喚起させると口で言うだけじゃなくて、どうすればお客様がそっちに向いてくれるかというのを、もうちょっと全体の制度を見直した中で、外国から入ってくるものをとめるということはまずできないでしょうから、そこのところを考えてやっていただければなと思います。
時間がないので、次に移らせていただきます。
では、どうすれば材木のコストを下げていくことができるかといったときに、よく引き合いに出されるのはヨーロッパの林業との違いというふうに言われます。
ヨーロッパの林業との違いは何といったときに、伐出費用のコストが安いんです。あえて数字は並べませんけれども、高性能の林業機械の利用のために路網の整備が日本より進んでいると言われています。午前中にも、路網の整備が大事なんだというのは答弁の中にもあったんですけれども、では、どうすれば路網の整備を進めていくことができるのかということだと思うんです。
路網の整備を進めていくのには熟練した人材が必要だとも言われています。国として、先ほどプランナーの話が出たり、午前中に出てきた森林管理の専門家、都道府県の職員さんにやってもらったり林野庁の職員さんがそれを兼ねたりする話は聞いているんですけれども、ある程度の整備計画の目標と年度をきちっと切った方がいいんじゃないかと思うんです。
それに向けて、それが三十年かかるのか五十年かかるのかわかりませんけれども、それをやるために、きちっと国の予算を手当てしていく。そのかわり、材木の価格はこのぐらい安くなったとしても競争力が担保できる、そういった目標数値を掲げた方が、ただ毎年毎年、一千五百億か二千億近いお金を林業行政に使って、少しずつ少しずつ整備していったとしても、やはり外材との競争には勝てないんだと思うんです。
そこのところを、もし計画、目標数値があればお答えいただきたいと思います。
○江藤副大臣 結論から申し上げますと、路網の整備等について年次を切って目標を立ててやるということは、なかなかこれは難しいです、正直なところ。私も気持ちは実は同じで、大体、林野庁自体の予算が少ないことに非常に私は憤慨している人間でありまして、国土のこれだけの面積を林野が占めているのに、何でこんなに予算が少ないんだ、与党の人間が言うことではありませんけれども、そういうふうにも思っております。
しかし、目標が全くないのかというと、そういうことではなくて、路網整備はやっていかなきゃなりません。先ほど先生がおっしゃったように、安くなっても競争力がある、手元にお金がどれだけ残るかの勝負ですから、今までと価格が全くフィックスされたとしても、搬出にかかる、いわゆる山から出す経費が落ちれば、山主にはお金が残るわけでありますから、路網の整備といわゆる作業の効率化、それからフォレスター、フォレストリーダーのような人たちの育成は大事だと思っています。
その中で、一応、一つだけお示しができるとすれば、全国森林計画の中で、傾斜率がどれぐらいであるか。ゼロから十五、十五から三十、三十から三十五、急峻な三十五以上については、路網の密度、これは延長ですけれども、どれだけの延長を目指すのかというのは数字を示してあります。ですから、これに基づいて路網の整備を行って、それによって材が出せる体制を整えていく、そういうことをやっていくことがまずは肝要ではないかと考えております。
○鈴木(義)委員 ありがとうございます。
これはいただいた資料にもう一度目を通し直したんですけれども、ちょっと古いんですね。平成二十二年時点で、育成単層林という、杉とかヒノキを出している、商売にしている山だと思うんです、それが一千三十万ヘクタール、育成複層林と言われているのが百万ヘクタール、天然生林というのは一千三百八十万ヘクタール。これを合わせて日本の国土の七割というふうに言われているんだと思うんです。これを、百年かけて、育成単層林六百六十万ヘクタール、それと育成複層林というのは六百八十万ヘクタール、天然生林を一千百七十万ヘクタール、こういう目標を掲げているわけですね。
ということは、全部とは言わなくても、百年かけて、育成単層林を約半分ぐらいの面積にしていく中で、産業としてそこから材木を切り出して使ってもらおうという計画なんだと思うんです。そうすると、それに基づいて路網整備はどこまでの年度でやった方がコストが下がるのかというのは、おのずと計画ができていいはずなんだと思うんです。
林野庁の方でお尋ねをすれば、最終的に山に戻していきたい面積と、産業政策として、林業として食べていかれるようにしようというのが、今数字を挙げさせてもらった育成単層林と複層林と天然生林だと。山を百年かけて天然に戻していくところ、それと複合的に使っていくところと、産業で使っていくところを分けていきましょう、こういう目標を掲げているわけでありますから、路網整備をするんだったら、きちっと年度を掲げて、そこに見合っただけの予算をつけて、産業としてひとり立ちしてもらうようなものをつくっていかなきゃならない時期に来ているんだと思います。
ですから、一番最初に御質問申し上げた、国の責務とは何ですかというところに立ち返るわけなんです。だから、産業政策でやろうとするのか、国土の保全、環境保全でやろうとするのか、そこのところをもう少し明確にすみ分けをしない限り、百年かけて山を再生させていく、まあ、戻すのが再生というのかどうかわかりませんけれども、そこに向かっていかないんじゃないかな、そういうふうに考えるんですけれども、お答えできれば、ぜひ。
○沼田政府参考人 お答え申し上げます。
そもそも、森林は、国土の保全でありますとか水源の涵養、地球温暖化の防止、もちろん林産物、木材の供給といったような多面的な機能があるわけでございますけれども、こういった機能を実は一つ一つの森林が重畳的に持っているというようなことがございまして、そういった意味で、森林の適切な整備保全ということで、将来にわたって、これらの機能を十全に発揮させていく必要があるというふうに思っております。
先生御指摘のように、私ども、森林・林業基本計画の中では、おおむね百年後の指向する森林の状態ということで、間伐なんかを推進するということが当然大前提としてあるわけでございますけれども、育成単層林一千三十万ヘクタールのうち、立地条件に応じて三百七十万ヘクタールを育成複層林でありますとか天然生林の状態に誘導するということにしているわけでございます。
こういった状態を目指してやっているということではございますけれども、事路網整備に関して、そういったスパンでどういった明確な目標を設定するかというのは、正直申し上げまして、なかなか難しいのが本音のところでございます。
路網整備のやり方につきましては、実は、一メートル当たりの単価が恐らく数万円ぐらいのものが、超えても十万ぐらいのものが今の一般的な林道でございますけれども、私どもは作業道と言っておりますけれども、一メートル当たりの単価が二千円程度のものから数千円程度のものまでというようなことで、簡易で丈夫な道づくりを推進しようということで、まさに二十四年ごろから取り組んだというようなことでございまして、そういったオペレーターといいますか、作業道をつくれるような技術者も今ようやく育ち始めてきたという段階でございます。
私どもとしても、そういった路網整備の実績なり、ある意味、高性能林業機械の導入の動向を見ながら、さらにどういったことが考えられるか、いろいろな角度から検討させていただきたいというふうに思っているところでございます。
○鈴木(義)委員 国費を使っていろいろな施策を打っていくのが国の役目であれば、国民からすれば、安い住宅が手に入るというのが一番究極だと思うんですね。外国から材木を買うよりは、国産材を使った方が安く住宅が建てられるといえば、税金を投入した意味合いが出てくるんだと思うんです。そういった時代にするように、やはり目標設定というのは必要じゃないかなというふうに思っています。
森林国営保険法について、一点だけお尋ねしたいんです。
これは先ほども申し上げましたように、二十三年七月の閣議決定で基本計画が策定されていて、災害損失にかかわる政策責任を負っているというのが国の責任であるんですよ、災害については国が直接的な責任を負うんですというのが基本計画の中にうたっているわけです。
今回、法改正に基づいて独法に移管するということは、国が直接責任を負うといいながら独法に行ってしまうということは、結局、そこのところがあやふやになっちゃうんじゃないですかということだけ、一点ちょっとお尋ねしたいんです。
○沼田政府参考人 森林・林業基本計画におきましては、政府が講ずべき施策として、「災害による損失の合理的な補填等の施策を講ずる。」こういうこととされているところでございます。今回提出させていただいている法案につきましては、こういった基本計画に掲げられた施策を具体化したものでございますけれども、特に、特別会計改革の要請も踏まえたという点がございます。
今回の法案におきましては、森林保険業務は森林総合研究所に移管ということでございますけれども、政府としては、引き続き、森林保険の企画立案業務、こういったものを行うこととしておりますし、独立行政法人の森林総合研究所の運営に対する監督、こういうものも行うこととしております。
また、法案の中で、保険業務を安定的に運営できるように、研究所が行う長期借り入れ等に対しまして、政府が債務保証するということや、資金の調達が困難になった場合に財政上の措置を講ずる、政府がこういった一定の関与をすることとしているところでございますので、こういった中できちんとした対応をしていきたいというふうに考えているところでございます。
○鈴木(義)委員 ありがとうございます。
ちょっと、もう一点だけ戻らせてもらいたいんです。
午前中でも、バイオマスの利活用の話が大臣の答弁の中で出たんですけれども、きょうはせっかく環境省の方がお見えいただいていると思います。
バイオマスを利活用した焼却施設では、関係省庁間で明確なルールづくり、事業の設置申請がワンストップサービスでスムーズに行える仕組みが必要と私は考えるんですけれども、現在の状況はどういうふうになっているのか、お尋ねしたいと思います。
○梶原政府参考人 お答え申し上げます。
木質バイオマスの発電、そこのボイラーということにつきましては、ちょっと古いデータでございますけれども、平成二十二年度に、実は、そこに使われております木質バイオマス燃料といったようなものがどういうものかというものをちょっと調査させていただいております。
その際に、多くの場合は、有価物という形で木質ボイラーを購入されて、それで発電をされている、そういうことで、廃棄物処理法の対象には実はなっていなかったんですけれども、例えば料金をお取りになられて、がんがん処理をされるといったような場合は、論理的には廃棄物処理法の規制がかかる、そういったような規制もございます。
ただ、環境省としましては、バイオマス発電事業、これにつきましては、温室効果ガスの排出抑制という観点からは極めて重要な地球温暖化対策の一つだというふうに認識しておりまして、実際にそういった規制に該当するのかどうかといったものも含めて、これは明確にしていかなければならないということで、実は、廃棄物になるかならないかの判断の材料となります明確化のための通知を出しておりまして、さらには、事業者の方々を支援するという意味で、連絡窓口というものを設けさせていただいておるところでございます。
いずれにいたしましても、本年度からは、農林水産省と連携いたしまして、木質バイオマスエネルギーを利用したモデル地域事業ということで、原木の加工あるいは燃料の運搬、木質バイオマスのエネルギー利用等を含むシステムの導入についてのモデル実証を共同でやらせていただいておるところでございます。
こういったような事業を通じまして、農林水産省を初め、各省と連携して推進をしていきたいというふうに考えております。
○鈴木(義)委員 ありがとうございました。
もし木質バイオマスを発電に使うということになれば、環境省ばかりじゃなくて経産省も絡んでくるんですね、発電をして地域に売電をしていくということになれば。そうすると、今回の質問もそうなんですけれども、では、統括して、どこに相談をすればいいんですかと尋ねると、全部、ばらばらな省庁で聞いてくれということになるんです。それが今の縦割り行政の弊害なんだと思うんですね。
片や、地球の温暖化でCO2を削減するという環境省があって、木質バイオマスで、産業政策として、未利用の二分の一は山に捨てられちゃっているものを使おうじゃないか。そこで、農林水産省の考え方と、経産なら経産の考え方、環境省は環境省と。では、内閣府で、それを所管して、取りまとめてやってもらえるのかといったら、内閣府はそういうのは今やっていません、こういうお答えになってしまうんですね。
そういう状況で、これから、第三の矢なのか第四の矢なのかわかりませんけれども、結局、英知と国力を一点に集中して産業を再生していかなければ日本の再生につながらないんじゃないか。そういう意味合いで、ぜひ、垣根をどう取り除くかというところが次のステップに入ってくるんだと思うんです。そこのところを最後に大臣に御答弁いただいて、終わりにしたいと思います。
○林国務大臣 それぞれの省庁の政策がなるべくダブったり、ぽてんヒットが出ないように、結局、御利用なさる、事業の主体になられる市町村とか、そういうところと緊密に連絡をとって、やはり具体的なモデルに即して、きちっとやっていくということがまずあるのかなと思いまして、総務大臣が地域活性化担当大臣もやっておられまして、このモデル事業というのもやっていこうというのもそういう試みだと思っております。
いずれにしても、最終的に成長戦略を閣議決定していくプロセスの中で、しっかりとそこは詰めて、そういうぽてんヒットやダブりというものが出ないように、利用者本位に立って、政策のそれぞれの目的が推進されるようにやってまいりたい、こういうふうに思っております。
○鈴木(義)委員 ありがとうございました。
以上で終わります。
○坂本委員長 次に、林宙紀君。
○林(宙)委員 結いの党の林宙紀です。
きょうは、森林国営保険法についてということなので、この機会ですから、まず、森林の今後についてというところから改めてお伺いをしていきたいなというふうに思っております。
もちろん、森林の果たす役割、日本においては非常に大きな意味を持っている、これはどの方もひとしく御理解をいただいている、私も理解しているつもりでおります。
そうなりますと、森林が将来にわたって果たしていくべき役割というものを全うする上で、では、例えば十年なのか二十年なのか、将来にどのぐらいの森林が保持されていればその期待される役割が全うされるのかということをビジョンとして持っておくということは一つ重要なことなんじゃないかなというふうに思っておりますが、日本の森林についての将来に向けた目指す姿あるいは見通しというものについてまずお伺いしたいと思います。
○小里大臣政務官 森林は、国土の保全、水源の涵養、地球温暖化の防止、そして林産物の供給などの多面的な機能を有しております。森林の適切な整備保全によりまして、こういった機能を将来にわたって保持していくためにはいかなるビジョンを持って臨むか、そういう御質問であろうと思います。
平成二十三年七月に閣議決定をされました森林・林業基本計画において、次のような観点から述べております。
まず、木材生産機能を高度に発揮させるべき森林については効率的に循環利用を図る、すなわち、木材の有効利用によりまして林業の成長産業化を促すということであります。そして、人工林については、例えば、その一部を急傾斜地など、現地の立地条件に応じて針広混交林、針葉樹、広葉樹の混交林等の多様な森林へ誘導する。いわば国土保全の観点であります。さらには、希少な生態系、例えば知床とか屋久島とか、そういった希少な生態系等について、保全すべき森林はしっかり保全をしていく。
以上のような観点から述べているところであります。
今後とも、多様で健全な森林づくりを進めながら、我が国森林の大事な機能を保持していきたいと思います。
○林(宙)委員 ありがとうございます。
数字的なところは求めてもなかなか難しいかもしれませんが、農水省の方々の御説明によりますと、昭和四十一年から平成二十四年まで、面積的には大体二千五百万ヘクタールだということで、もちろん、そのうち人工林が二百万ヘクタールぐらいふえて、その分、天然林が減っているものの、総体として二千五百万ヘクタール、こういった形で保持されていますので、基本的にはこれをずっと維持していくんだろうなと。
一方で、森林蓄積というんだそうですけれども、要は、面積ではなくて、木の太さ、体積と言った方がわかりやすいのかもしれませんが、それは非常に伸びているという説明を受けました。特に人工林なんかは、六百万立米ぐらいだったのが昭和四十一年、それで、平成二十四年は三億ぐらいですか、かなり伸びている、六倍ぐらいに伸びているということなんですね。三千六百ぐらいですか。
いずれにしても、非常に人工林も育ってきていて、そろそろ育った材木が使いやすいというところになってきましたよというところで、先ほど鈴木議員からもお話があったかと思いますが、では、どうやって国内の林業を振興していくんだということで、改めて取り組みを伺いたいと思います。
○小里大臣政務官 国土の七割を占める森林であります。特に、戦後造成された人工林が本格的な利用期を迎えております。そういった中で、豊富な森林資源を循環利用して、林業の成長産業化を促していかなければなりません。
そのため、昨年、官邸の方で決定をされた農林水産業・地域の活力創造プラン、あるいはまた党の強い林業づくりビジョン等におきまして、林業の成長産業化を実現するために、例えば、新たな木材需要の創出、国産材の安定的、効率的な供給体制を構築していくとされたところであります。
こういったプラン等を踏まえまして、農林水産省では、CLT等の新たな製品、技術の早期実用化、木造公共建築物の整備等への支援、あるいはまた、先ほどありました木材利用ポイント制、あるいは木質バイオマスのエネルギー利用といったようなところの支援を図っているところであります。需要者ニーズに対応した、特に、加工、流通面での国産材供給体制、これを構築する取り組みも支援をしてまいります。そして、本来の間伐等の森林施業や路網の整備等の推進など、総合的に取り組んでいるところであります。
今後とも、林業の成長産業化の実現に取り組みますとともに、森林の持つ多面的機能の持続的な発揮を図ってまいりたいと思います。
○林(宙)委員 済みません。先ほどちょっと森林蓄積の話で数字を言いましたが、単位を私は間違っていました。多分、昭和四十一年が五億六千万立米ぐらいだと思うんですね。それが大体五倍から六倍になっていって三十億立米ということになっているということですが、細かいことは、もし気になったら、各自で御確認をいただければと思います。
今、お話の中で多面的機能というのが出てきたんですけれども、農業の話では多面的機能というのは非常にたくさん出てくるなと思っています。また、政府の方から提出されている今回の法案の中でも、多面的機能をという意味合いで直接支払いをやるんだというようなこともあるんですが、そう考えると、まさに林業というのは多面的機能という意味で果たす役割が大きいんじゃないか。
農業はそういった直接支払いとかいう保護の政策がある一方で、では、林業に対しては、そういうふうな形で保護していこうというような議論というのは過去にあったんでしょうかというところをお伺いしたいと思います。
○林国務大臣 森林は、今委員がおっしゃっていただいたように、国土の保全、水源の涵養、生物多様性の保全、地球温暖化の防止等の多面的な機能の発揮をしております。
そういうことのために、森林整備事業で植栽、間伐等の森林施業に対する支援を行うとか、それから、森林整備地域活動支援交付金というのがございますが、経営計画の作成や施業集約化に向けた境界明確化、森林情報の収集活動に対する支援、さらに、森林・山村多面的機能発揮対策というのがございまして、地域住民等が行う里山林の保全など日常的な管理活動に対する支援、こういうものを行ってきておるところでございます。
農業との比較というお話が今ございましたけれども、林業は、農業と比べますと、植えてから収穫するまで、収穫というか伐採ですが、長期にわたるということでございまして、生産活動が農業に比べると非常に疎なわけですね。したがって、経費の支出とか販売による収入というのが必ずしも毎年発生するとは限らないということと、それから、保育段階では収入がほとんどありません。したがって、経費が多くかかる年もあれば、収穫の段階で収入が経費を大きく上回る、こういう年もあるということで、農業の毎年やっている経営所得安定対策的な直接支払制度というものはちょっとなじまない。
一方で、先ほどちょっと申し上げましたように、植栽、下刈り、間伐等の負担に対してその都度支援する、こういうものはやっている、こういう仕分けになっておるところでございます。
○林(宙)委員 いずれにしても、支援すべき対象とその価値、支払うべき額はどのぐらいなんだというのをしっかり考えた上でなされているものだということは理解しました。
そうしますと、ここまでいろいろ、森林の全体像というか、一般的なことをちょっとお伺いしてきたんですが、国内の需要喚起という意味で先ほど御質問もあったと思いますけれども、むしろ、輸入製品が非常に多い中で、やはり日本の木材というのは、これも農産物と同じかもしれませんが、非常に品質がいいのではないかと私は主観的には思っていたりするわけです。
そうすると、では、海外に行って、多少、日本の木材というのは値段が高くてということになるのかもしれませんが、それでも、そういったところに高級志向で需要があったりするんじゃないのかなと思うところもあるんですけれども、例えば高品質の木材ということで、日本の木材をもっと積極的に外に輸出というか、売りに行こうというようなお考えはあるのかないのか。もしあるのであれば、どういった取り組みを考えられているのかというところを教えていただきたいと思います。
○林国務大臣 我が国の木材の輸出でございますが、近年、大体百億円程度で推移しております。平成二十五年は、円安の影響、それから中国における丸太需要の増加、こういうことがありまして、百二十三億円までふえております。林産物全体では百五十二億ということでございます。
したがって、二十五年八月に輸出戦略をつくらせていただきました、これはあらゆる、水産物も林産物も農産物も全部含めたものでございますが、この中で、木材を初めとする林産物の輸出額については、平成三十二年までに倍増しようということで、二百五十億円の目標を立てました。
中国、韓国に重点を置いて、現地での日本産木材の試験、評価、それから見本市への出展等を通じてまず認知度を向上する。さらに、平成二十六年度からは、現地の建築、家具業者と連携をしまして、日本産木材の普及活動を実施することとしているところでございます。
実は、中国に、日本の建築基準法に相当いたします木構造設計規範、これがございまして、ここに国産、日本の杉、ヒノキ等が位置づけられるように、関係者一体となって働きかけを行っておりまして、現在、パブリックコメントが終わった段階まで来ているということで、改定手続が進められているところでございます。
こういったことも含めて、先ほど申し上げた倍増目標を達成するために、ジェトロ等の関連団体と連携しながら、木材の輸出促進の取り組みを一層推進してまいりたいと思っております。
○林(宙)委員 ありがとうございます。
ここから保険のお話を具体的にちょっとお伺いしたいと思うんです。
まず最初に、三年たちましたが、東日本大震災がございました。当時の被害というか、山腹の崩壊や地すべり等によって林地荒廃した場所というのが四百五十八カ所あった、また、森林被害という意味では千六十五ヘクタール、こういった被害があったんですけれども、実は、今回の保険というか、基本的に保険というのはそういうものだと思っているんですが、地震というのは対象になる災害には含まれないということなんですが、震災において起きた先ほどのような被害についてはどういった対応がなされたのかというのを教えていただきたいと思います。
○沼田政府参考人 お答え申し上げます。
東日本大震災におきましては、ただいま御指摘がございましたように、山腹崩壊や地すべりなどの林地荒廃が四百五十八カ所で、あと、倒木などの森林被害も発生しております。また、津波によりまして青森県から千葉県に至る約百四十キロメートルの海岸防災林が被災した、こういったことがございました。
このうち、林地荒廃箇所につきましては、人家や公共施設等に被害を与えるおそれがある箇所を中心に、災害復旧事業等によりまして復旧への支援というものを実施しているところでございます。また、被災した海岸防災林につきましては、植栽基盤の造成をおおむね五年間で実施することとしておりまして、基盤整備の整った箇所から順次植栽を行う、全体の復旧をおおむね十年間で完了するということを目標に取り組んでいるところでございます。
○林(宙)委員 保険の対象ではないとはいえ、適切に対応していただいているということで、大変ありがたいことだなというふうに思います。
それで、今回、この保険に関しては、全く異論なしというか、今後も引き続きこういったものでしっかりと森林を保持していっていただきたいというふうに考えているところなんですけれども、ちょっと個人的に、保険料はどのぐらい適切になっているのかなというのを聞いてみたいというふうに思っています。
いただいた資料の中で、杉とかヒノキ、これを代表して、その林齢に応じて、例えば十年だと保険金額がこのぐらいで、払い込みの保険料が一年だとこのぐらいですよといったような表をもらいました。六十六年まで書いていますけれども、例えば十年だと保険金額二百七十二万円、払い込みの保険料は一万一千六百九十六円とか、こういった形で書いています。
この金額はきちんとした過去の事故率等々で計算をされているということなので、特にこれに疑義を持っているわけではないんですけれども、一方で、積立金として二百九億円、現在のところでは積み立てられているということもあって、例えば、基準によっては、ちょっと積立額が多くなってきたよという場合に、その保険料をちょっと引き下げるかといったようなことはあり得るんでしょうかということをお伺いします。
○沼田政府参考人 お答え申し上げます。
今回の法案によりまして、独立行政法人の方に森林保険業務を移管するということにさせていただいておりますけれども、法人の中では、内部ガバナンスの高度化に向けまして、外部有識者等により構成される統合的なリスク管理のための委員会等を設置して、例えば、積立金の妥当性などにつきましても、定期的かつ専門的に点検した結果をいわゆる保険料率の見直しに反映させるということを考えているところでございまして、そういった意味におきまして、現在二百九億の積立金がございますけれども、さまざまな角度から今後検討していくということになるのではないかと思っているところでございます。
○林(宙)委員 なぜ、今保険料の引き下げというのはあり得る話なのかどうかということをお伺いしたかというと、この保険に対する加入率というのが、いただいた資料だと、一一・四%だと。かなり低いなと正直思いました。
その理由はさまざまあって、そのようになっていくのも仕方がないのかなと、ある意味納得しているところもあるんですけれども、ちょっと思想を変えてみるというのも、ひとつ国としてはやっていいことなんじゃないかなと思うところがあって、それはどういうことかというと、もちろん、木を植えて最初の十年ぐらいは、多分被害を受ける可能性が高いですね、弱いという意味で。ですから、加入率が高い。でも、育ってくると木の耐久性というのも高くなってくるので、そうなると被害に遭うことも少なくなるので、そこは保険料を払ってまでやらなくてもいいよという人が多いというようなことらしいんです。
それというのは、要は、自分のところの森林は自分で守る、それは当然そういうことになるんですが、一方で、森林というのは、先ほども御答弁いただいていますように、やはり多面的機能というものが非常に大きく発揮され、ある意味ではこれは共有財産だ、そういうものだと思うんです。
そうなると、例えば、保険料がちょっと高いなと思って入らない人がもしいるんだとすれば、いやいや、やはりこれは林業をやっている皆さんで広くリスクをシェアして守っていくべき公共財なんだよというような思想があっても私はいいと思っていて、であれば、多少保険料を引き下げて入りやすくした上で、では、保険料もちょっと下がったことだし、みんなで守っていこう、リスクをシェアしていこうというようなことをやっていってもいいのではないかなというふうに思っているんです。
つまりは、保険料を引き下げて加入率を向上させることで森林をリスクシェアして守っていくということも、ひとつ方向としてはいいかなというふうに考えていますが、最後、そちらに御答弁いただいて、終わりにしたいと思います。
○林国務大臣 この保険料それから保険金額、これは実は樹種や林齢、所在地によって異なるわけでございまして、委員の御地元の宮城県ということでいいますと、杉の一年生の場合が、一ヘクタール当たり、保険金額百一万円に対して、保険料が四千三百四十三円。杉五十年生の場合は、一ヘクタール当たり、保険金額三百九万円に対して、保険料が一万一千七百四十二円ということでございます。
先ほど長官からも答弁いたしましたように、保険料の軽減の取り組みというのはやらなきゃいかぬ、こう思っておりまして、まずは今回の制度改正で、事務費を一割程度削減するということと、それから、民間ノウハウの活用と職員の専門性向上を図って業務の効率化をやるということと、先ほどあったような積立金の妥当性について点検する、こういうことで軽減に取り組んでいきたい、こういうふうに思っております。
今おっしゃっていただいたように、なるべく入りやすいようにして、保険でございますので大数の法則というのがございます。したがって、皆さんになるべく多く入っていただいて、この森林保険がさらに機能を発揮できるように働きかけをしてまいりたい、こういうふうに思っております。
○林(宙)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○坂本委員長 次に、畑浩治君。
○畑委員 生活の党の畑浩治でございます。
本日は、まず、地元の要望とかいろいろ踏まえまして、森林・林業に対する支援策ということで若干お聞きしたいと思います。
林業に対する支援ですが、これは先ほど、鈴木議員の質疑だったと思いますが、木が売れれば、それが産業として成り立つことが一番山を守ることになる、私もそう思っております。そういう中で、現状は、なかなか採算が厳しいために、山が荒れてしまうという部分がある。これに対する政策支援はいろいろやっておりますけれども、実は足りないと思いますのが、主伐に対する支援だと思います。
この議論をすると、以前も質問したことがありますが、主伐は経営活動、個人の利益活動なわけで、そこに対する支援は、若干否定的な感じがあったような気がいたします。
ただ、やはり山は、結局、先ほど来話があるように、国土保全とか酸素供給とか環境保全とか、そういう公益的機能を持っているということがございます。営業活動なんだけれども、そういう公益的側面がある。まさに農業とやはり似ているんだろうと思うんですね、もちろんすぐできるか、何年かかかってとるかという部分はありますが。営業活動なんだけれども、そこに公益的機能をあわせ持っている。
今、これはあしたの本会議で議論に入るわけですが、農政改革二法、直接払いの法律があります。あれも結局は、公益的機能に対して、農地を農地として維持することに対して払っているわけですけれども、ただ、それもやはり業活動なわけですよね。そこの業活動で売って成り立つ部分があるけれども、産業とは別ですが、あぜとか共同作業ですが、一応お金を入れている。
そういうことを考えたときに、やはりこの主伐に対しても、一概に否定するのではなくて、やはり何かの公益的機能という理由をつけて、入れる余地があるし、入れるべきじゃないかなと思うんですが、そこに対する支援についてお伺いします。
○林国務大臣 森林の有する多面的機能の維持増進、これを図ることは大変大事だということはもう言うまでもないことでございまして、循環利用、切って、使って、循環させて、したがって、森を守る、伐採した後に再造林を行うということは大変大事だ、こういうふうに思っております。
このため、農林水産省では、伐採後の再造林に対して、国と都道府県を合わせて七割の補助、それから、造林の低コスト化のためのコンテナ苗の導入と成長にすぐれた苗木の活用、こういうことをやっておるところでございます。
主伐についても、森林の有する多面的機能発揮の観点から、育成複層林を造成するための主伐に対しては、森林整備事業により、国と都道府県を合わせて七割補助ということになっておるところでございます。
こういう取り組みによりまして、主伐とその後の再造林への支援を適切に進めたいと思っております。
○畑委員 ありがとうございました。
今のお話で、主伐だからだめですというんじゃなくて、主伐の中の一定の要件を満たすもの、公益的機能に配慮してなされるようなものということで、そこに対する主伐の支援もあるし、その後の植林、造林に対する支援もあるということは理解いたしました。ぜひとも、そういうところも含めてしっかりPRしながら、そういう林業家を支援いただければと思います。
次の質問に入らせていただきます。
今度は間伐に対する支援ということをお伺いしたいわけですが、間伐に対しては、搬出間伐に対する支援ということで政策化されて、支援措置がございます。
ただ、実はよく言われますのは、搬出間伐は支援が出るんだけれども、いわゆる切り捨て間伐ですね、搬出しないで。間伐までお金が出る。そして、それを切り捨てて、そこに置いておく。これが有効活用されないのはなかなか問題である。実はこれも、切り捨てた後に、そこの枝をもう少し細かく打ったり、そこに対する支援があれば再利用の道が出てくるということだと思います。そこで価値を上げながら、できるだけそこを有効利用するという観点から、切り捨て間伐についても支援すべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
○林国務大臣 間伐は、森林の持つ機能を十全に発揮させる観点から大変に重要でございまして、これを、適切な実施をすることによって、個々の樹木の成長と根の発達が促進され、山腹崩壊とか風雪害等の自然災害に強い森林が造成され、しっかり根が張る、こういうことだと思います。それから、森林吸収源対策においても、京都議定書上、森林経営として吸収量が算入される森林面積を確保する、こういうことになるわけでございます。
したがって、森林整備事業の中では、搬出間伐のみならず、七齢級以下の森林、間伐木の平均の直径が十八センチ未満の森林、公的主体が行う場合は十二齢級以下の森林、こういうものに対する切り捨て間伐についても支援措置を講じておるところでございます。
こういった取り組みを通じて、地域の事情を踏まえながら、間伐の実施に対して支援をしたい、こういうふうに思っております。
○畑委員 間伐も、一定規模以上とか一定の要件ということで、切り捨て間伐も支援されているということだと思います。そのことも地域に訴えながら、あるいは別の観点なり、要件ということはあるかもしれませんが、切り捨て間伐も支援されているということは理解をいたしました。
次に、よく言われますのは、木材というのは、先ほども話がありましたが、木を植林して、育てて、切って、搬出、搬送して、乾燥させて、そして加工するという一連の過程なわけで、これによって初めて製品化されるということであります。
これを考えたときに、地域振興の観点で考えた場合、あるいは輸送コストとかCO2排出の抑制とか環境負荷の軽減という観点で考えた場合に、これらの木材産業が一体のものとしてできるだけ近接していることが望ましいんだろうと私は思います。
要は、木材産業の川上から川下、上下流の一連の過程が一体化して構成されるということでありまして、この点に対して、そのような認識はあるのかどうかというのと、それに対して、現行どのような政策、支援措置がなされているのかを伺います。
○林国務大臣 この人工林資源が、先輩方のおかげで、今本格的な利用期を迎えております。
したがって、成長産業化をこういう資源を活用して実現するために、需要の拡大、これは川下になりますが、あわせてやはりサプライサイド、国産材の安定的、効率的な供給体制を構築する必要があるという意味で、川上から川下に至る対策を、地域の実情に応じて、それぞれ一体的かつ総合的に進めることが大変重要であると思っております。
御案内の森林整備加速化・林業再生基金というのがございまして、これの事業によりまして、川上から川下に至る幅広い関係者による協議会を設置した上で、路網整備の推進、それから高性能な林業機械の導入等の川上側の取り組みと、それから国産材の製品の加工、流通体制を需要者ニーズに対応してやるといった川下側の取り組み、これを一体的かつ総合的に、それぞれの地域の森林資源、それから周りの木材需要の状況、これを踏まえながらやっていく取り組み、こういうものを支援していこうということになっておるところでございまして、まさに委員御指摘のように、川上から川下に至る総合的な対策ということが大事だと思っております。
○畑委員 これまで田舎はこういう素材を出して、売って、それによって利益を得るということでありましたが、まさに産業の維持、発想を転換して、そういう資源があるところにいろいろな産業を立地させていく、そういう観点からぜひともこれからもしっかりと御支援を賜りたいと思っております。
先ほど来バイオマス発電の話もありましたが、そういうこともそうでありまして、以前この委員会で申し上げたことがありますが、きょうは質問ではありませんが、やはりこういう素材を生かしたところに産業が立地する、それがこれからの地方の強みになっていく、そういう社会、仕組みをつくっていかなければいけないだろうと思っております。よろしくお願いいたします。
それでは、残りの時間で、法案について質問させていただきたいと思います。
きょうは、路網の整備のことを御質問する予定でしたが、前の人が質問しましたので、かぶりますので割愛させていただきます。済みません。失礼いたします。
法律についてであります。
今回、森林保険特別会計を廃止して、森林保険業務は森林総合研究所に移管するということでありまして、この理由は、本日の審議でるるお聞きしまして、議論があったところであります。
これを議論するときに、いろいろ政府保証があるから独立行政法人だということだったと思います。私は、それがあるから独立行政法人かどうかというのをアプリオリに考えるのはどうかという気もするわけですが、例えば、公的機関であれば、独法だけではなくて、政府が出資する民間会社もあるし特殊法人というのもあるわけです。
そこで、債務保証の有無というのはそういう独法じゃなければだめなのかどうかというのを検討した上でこうなったのかどうか。あるいは、市場規模が小さくて採算が厳しい森林保険を民間で行うことはなかなか厳しいということもありましたけれども、これは純粋民間ではないんだけれども、過去の全国森林組合連合会の森林共済事業、こういうところで引き受けるということもあるのか。当事者を支えるという観点であれば、共済事業なんかを利用するのも理屈としては合っているわけです。
まず、そういうことでお伺いしたいのは、全国森林組合連合会の森林共済事業に移管しなかった理由というのは何なのか、お伺いします。
○沼田政府参考人 お答え申し上げます。
私ども林野庁といたしましても、森林保険業務を民間に移管できないか、その中には、全国森林組合連合会も対象の一つとして意見交換を重ねてきたところでございます。
全国森林組合連合会は、昭和三十一年から実は森林共済事業というものを実施してきております。この事業につきまして、平成三年の台風災害に伴う共済金の支払いの影響によりまして財務状況が悪化いたしました。系統組織全体に負担を強いるとともに、平成十七年度には森林共済事業を停止するに至ったという経緯がございます。
こういったことで、再度、森林保険の実施主体となることについては、組合員を初めとする関係者等の理解が得られない、そういったことがございまして、平成二十五年十月でございますが、都道府県の森連の代表者会議の中で、森林保険について、やはり難しいということと、それから独立行政法人に委ねてほしい、そういった趣旨の決議がなされたというところでございまして、私どもとしても、こういったことからすると、全国森林組合連合会を対象にするということは難しいというふうに判断したということでございます。
○畑委員 ちょっとその関係でお聞きしたいんです。そういうことで独立行政法人になったということなわけです。これは厳密には通告していないというか、ちょっとお答えを賜れればと今の議論を聞いて思ったんですが、独法ではなくて、先ほど申し上げましたが、政府の関与のある公的機関であれば特殊会社もあるはずですが、そこを含めて検討された結果、独法だったんでしょうか。そこの経緯をお答え願いたいと思います。
○沼田政府参考人 私どもとしては、趣旨から申し上げますと、いわゆる行革なり特会改革の一環の中で検討してきたということでございますので、例えば特殊会社とかそういうことになりますと、全く新しい組織をつくらなければいけない、こういった点もあろうかと思っております。
そういった意味で、森林・林業関係で独立行政法人がある、また親和性もあるというようなこともございまして、森林総合研究所がいいのではないかというふうに考えたということでございます。
○畑委員 引き続き、通告の質問に戻らせていただきます。どうもありがとうございました。
結局、特殊法人とか政府出資の民間法人としないで独法にするという今の御説明ですが、要は、政府出資の民間法人、特殊法人じゃなくて独立行政法人に移管することで、現行制度と比べて、どういう点が独法にすることでよくなるのか、そこの御説明をいただきたいと思います。
○沼田政府参考人 お答え申し上げます。
私ども、森林保険業務を独立行政法人の森林総合研究所に移管する、こういったことによりまして、現在、国と都道府県が分担して行っております保険契約の引き受け、あるいは保険金の支払い等の業務、これを森林総合研究所に一元化するということができると思っております。そういった中で、人件費と事務管理費をスリム化して、事務費全体でいいますと約一割程度削減して、保険料率の削減につなげていくことができるのではないか。
また、予算面で申しますと、柔軟な執行が可能な独立行政法人への移管ということでございますので、異常災害時の保険金の支払いが迅速化されるという点がございます。
それから三点目は、国と都道府県の業務を一元化した新たな内部組織をつくってということになりますが、例えば、損保会社でありますとかいろいろな民間からの出向受け入れ、そういった民間のノウハウの活用でありますとか職員の専門性の向上、こういったものも図られるのではないかというふうに考えております。
こういったことによりまして、保険者の森林所有者へのサービス向上につながるのではないかと考えているところでございます。
○畑委員 今のお話をお伺いしますと、まず現行、独法である森林総合研究所があるというところで、そこを利用するのが合理的である、独法だから予算は柔軟な措置で対応できる、民間のノウハウも活用できる、中間的な主体ということも含めてということなお答えだと思います。
お伺いしていると、そこは、独法があってそれを有効利用するというのはわかりますが、独法じゃなきゃいけない理由というか、なぜ独法なのかというのは、よく、わかったような、わからないような御説明だったと思います。
実は私も、昔、役所にいて独法をつくったことがありまして、独立行政法人都市再生機構であります。あれが特殊法人から独法になった場合、なぜ独法じゃなきゃいけないかというのは、まさに公的権限の付与という点が問題でありました。要は、都市整備をやる場合に収用権を付与できるのが、特殊法人じゃだめで、たしか民間法人じゃだめで、独法じゃなきゃいけないというところがあったわけですが、その公的権限の付与という観点で、独法でなきゃいけない理由ということではないのか。
あるいは、今までの委員の議論を聞いていても、恐らくは、独法じゃなければ政府の債務保証がつけらないというところがポイントかなと思ったんですが、いわゆる政府が関与した民間なり特殊法人じゃだめで、やはり公的主体の独法じゃなきゃいけないんだというところは何かあるんでしょうか。ちょっとそこを補足してお答えいただければと思います。
○沼田政府参考人 お答え申し上げます。
今回、森林保険業務を森林総合研究所に移管するということであるわけでございますけれども、この点に関して、ある意味、いわゆる公的権限というものが特にあるとかそういうことでもございませんし、私どもとしては、やはり、これまで培ってきた森林・林業に関するノウハウがきちんとある、それから、全国にも地方組織があって、何か災害があったときには機動的に対応できる、そういったことを総合的に考え、検討させていただいて判断したというところでございます。
○畑委員 わかりましたというか、いろいろ検討すると、一番、全体の中で比較して、独法のこの森林総合研究所なんだろうなということだと思います。
それで、この独法に移管した後、まさにこれは採算が厳しいものでして、後は移管したからおしまいというわけにもいかないということなわけですが、移管した後に国はどのように関与してやっていくのか、そこの方針をお伺いしたいと思います。
○沼田政府参考人 お答え申し上げます。
今回の法案によりまして、森林保険業務そのものにつきましては森林総合研究所に移管されるということでございますけれども、政府としては、引き続き、森林保険の企画立案業務、これを行うことになっております。また、適正な保険料率の設定を初めといたしまして、森林総合研究所の運営に対する監督を行うということとしているところでございます。
また、森林総合研究所が保険業務を安定的に運営できるように、研究所が行う長期借り入れ等に対して政府が債務保証する、あるいは資金の調達が困難となった場合に財政上の措置を講ずる、こういった、政府が一定の関与をするということにしているところでございます。
こういった措置を適切に講ずることによりまして、私どもとしても、国としてきちんと責任を果たしながら、森林保険業務が安定的に運営されるように取り組んでまいりたい、かように考えているところでございます。
○畑委員 森林総合研究所は、まさにそういう森林保険、この保険機能がなかったところなので、確かにノウハウという点でも不安はありますし、また、そこのところが組織の中では小さい部分ですから、どうやって能力を高めていくかということもちょっと不安なところもありますので、きょうの議論もありましたが、国としても、そこの企画立案なり、しっかり関与を賜って、森林家が、地域の人が不安のないような形で運営されていくことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○坂本委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○坂本委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
内閣提出、森林国営保険法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○坂本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○坂本委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、宮腰光寛君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党、結いの党及び生活の党の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。寺島義幸君。
○寺島委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
案文を朗読して趣旨の説明にかえさせていただきます。
森林国営保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
森林保険は、火災、気象災及び噴火災による損害を填補する総合的な保険として、林業の再生産の阻害防止と林業経営の安定に重要な役割を担ってきたところであり、今後とも、その安定的で効率的・効果的な運営を確保することが求められている。
よって政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。
記
一 独立行政法人森林総合研究所が、移管される森林保険事業の業務を主体的かつ安定的・効率的に運営することができるよう、必要な人材の確保、業務委託等の事業実施体制の整備を速やかに図るべく、適切に指導・監督すること。その際、国との保険契約が円滑に承継され、被保険者の利便性の低下を招くことのないよう、十分留意すること。
二 新たな森林保険制度の実施に当たっては、施業の集約化、地域の条件に応じた低コスト・高効率な作業システムの構築及び国産材の安定供給の確保等、林業の成長産業化に向けた関連施策との連携を強化し、林業の再生産の確保及び林業経営の安定を図ること。その際、地球温暖化防止は国際社会にとり重要かつ喫緊の課題であることから、京都議定書の第二約束期間に係る目標の達成に向けて、間伐や植林等の森林吸収源対策を着実に推進するとともに、これに必要な安定的な財源を確保すること。
三 地球温暖化や厳しい自然条件の影響による災害発生リスクの増大等を踏まえ、適時適切に本法の施行状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。
右決議する。
以上です。
何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
○坂本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○坂本委員長 起立総員。よって、本法律案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣林芳正君。
○林国務大臣 ただいまは法案を可決いただき、ありがとうございました。附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、関係省庁とも連携を図りつつ、適切に対処してまいりたいと存じます。
―――――――――――――
○坂本委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任いただきたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――
○坂本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後二時四十分散会