第6号 平成26年4月2日(水曜日)
平成二十六年四月二日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 坂本 哲志君
理事 北村 誠吾君 理事 齋藤 健君
理事 谷川 弥一君 理事 宮腰 光寛君
理事 森山 裕君 理事 大串 博志君
理事 村岡 敏英君 理事 石田 祝稔君
赤澤 亮正君 安藤 裕君
井野 俊郎君 池田 道孝君
岩田 和親君 小倉 將信君
小里 泰弘君 加藤 寛治君
川田 隆君 菅家 一郎君
國場幸之助君 清水 誠一君
末吉 光徳君 鈴木 憲和君
武井 俊輔君 武部 新君
津島 淳君 中川 郁子君
中山 展宏君 福山 守君
藤丸 敏君 堀井 学君
簗 和生君 山本 拓君
渡辺 孝一君 後藤 斎君
玉木雄一郎君 寺島 義幸君
鷲尾英一郎君 岩永 裕貴君
鈴木 義弘君 村上 政俊君
稲津 久君 樋口 尚也君
林 宙紀君 畑 浩治君
…………………………………
議員 大串 博志君
議員 鷲尾英一郎君
議員 玉木雄一郎君
農林水産大臣 林 芳正君
農林水産副大臣 江藤 拓君
農林水産大臣政務官 小里 泰弘君
政府参考人
(消費者庁審議官) 岡田 憲和君
政府参考人
(消費者庁審議官) 菅久 修一君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 正木 靖君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 松島 浩道君
政府参考人
(農林水産省大臣官房生産振興審議官) 西郷 正道君
政府参考人
(農林水産省食料産業局長) 山下 正行君
政府参考人
(農林水産省生産局長) 佐藤 一雄君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 奥原 正明君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長) 三浦 進君
農林水産委員会専門員 栗田 郁美君
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委員の異動
四月二日
辞任 補欠選任
武井 俊輔君 藤丸 敏君
中川 郁子君 小倉 將信君
橋本 英教君 赤澤 亮正君
同日
辞任 補欠選任
赤澤 亮正君 安藤 裕君
小倉 將信君 中川 郁子君
藤丸 敏君 岩田 和親君
同日
辞任 補欠選任
安藤 裕君 國場幸之助君
岩田 和親君 武井 俊輔君
同日
辞任 補欠選任
國場幸之助君 中山 展宏君
同日
辞任 補欠選任
中山 展宏君 橋本 英教君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
委員派遣承認申請に関する件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四九号)
農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案(内閣提出第五〇号)
農業者戸別所得補償法案(大串博志君外六名提出、第百八十三回国会衆法第二六号)
農地・水等共同活動の促進に関する法律案(大串博志君外六名提出、衆法第六号)
中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進に関する法律案(大串博志君外六名提出、衆法第七号)
環境保全型農業の促進を図るための交付金の交付に関する法律案(大串博志君外六名提出、衆法第八号)
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○坂本委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案及び農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案並びに第百八十三回国会、大串博志君外六名提出、農業者戸別所得補償法案及び大串博志君外六名提出、農地・水等共同活動の促進に関する法律案、中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進に関する法律案、環境保全型農業の促進を図るための交付金の交付に関する法律案の各案を一括して議題といたします。
この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りをいたします。
各案審査のため、来る八日火曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○坂本委員長 次に、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。
各案審査の参考に資するため、来る九日水曜日、佐賀県及び新潟県に委員を派遣いたしたいと存じます。
つきましては、議長に対し、委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
なお、派遣委員の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○坂本委員長 次に、政府参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
各案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官松島浩道君、大臣官房生産振興審議官西郷正道君、食料産業局長山下正行君、生産局長佐藤一雄君、経営局長奥原正明君、農村振興局長三浦進君、消費者庁審議官岡田憲和君、消費者庁審議官菅久修一君及び外務省大臣官房参事官正木靖君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○坂本委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤澤亮正君。
○赤澤委員 おはようございます。
農地中間管理機構の法案に続きまして、非常に重要な法案の審議ということで、質問の機会をまた賜りまして、まことにありがとうございます。法案の名前も、読み上げるだけで一分も二分もかかってしまうので、あえて読み上げませんが、早速質問に入らせていただきたいと思います。
私は、主に野党の法案提出者に質問をさせていただきたいと思っています。
私自身の感じるところは、よく指摘をされています。我が党の齋藤農林部会長も、本会議場で指摘をしました。政権の座にあった三年余りの間、全く法案を一度も国会に提出しなかったということです。しかも、野党になった途端に、また法案を出す。しかも、これは、徐々に見ていきますけれども、自分たちが政権当時にやっていたものより要件を緩めて出す、こういうことであります。ちょっとあり得ないぐらい無責任だなというのが、まず最初の第一印象であります。
繰り返しますが、政権当時は法案を一切出さず、財源の手当てができなかったのか、とにかく予算措置でずっとしのいできて、野党になった途端、もう肩の荷がおりたかのように、要件を緩めた法案を出して、選挙対策なのか何かわからないけれども、本当に無責任な感じがいたします。という点を、冒頭、ちょっと指摘をさせていただきます。
それで、二つ法案がありますけれども、一つは戸別所得補償制度に係るもので、これは資料をきょう配付させていただいておりますが、私は野党当時に自由民主党の農業者戸別所得補償制度検証チームの座長というのをやっておりまして、野党時代、何とか国民の信頼を取り戻して政権に戻りたいということで、当時の与党民主党政権がやっていたことについていろいろ検証を加えたもの、そのときの成果物の抜粋が、この「民主党の農業者戸別所得補償制度の問題点(抄)」というもので、当時は、三十ぐらい、いろいろ指摘した覚えが私はありますが、ちょっと抜粋をしています。
指摘しておきたいのは、これを全部聞いておくわけにいかないんですけれども、一言で言えば、構造改革に逆行するばらまきであるという我が党の主張は、現在も出てきた法案にも当てはまるだろうということで、いろいろな意味で納税者全体の理解を得るにはちょっと難しいんじゃないかというのが率直なところです。
農家自体も、当初は個々の農家が赤字を全部埋めてもらえると思って大変喜んで熱狂したけれども、いざやってみたら、それほどじゃなかったというのが農家の率直な感想だが、お金をもらえるからこれはいい制度だ、こういう感覚であって、なぜ農家だけが所得補償してもらえるのだという商工関係者の声とか、そういうものに相変わらず全く応えるものになっていないということで、これも、本会議場で齋藤農林部会長が指摘した、我が党の農政の考え方とは基本的な哲学の違いがある、こういうことだと思います。
総括的に、農業者戸別所得補償制度に言わせてもらえば、そういうことでありますし、あらかじめ大きな質問の流れを御理解いただくために、多面的機能関係、民主党を初め野党共同で三本法律を出されておりますけれども、これも今から質問の中で明らかにしていきたいと思いますが、一言で言えば、ばらまきという感じがいたします。
自分たちが、特に民主党について言えば、まあ、生活の党の皆さんは元民主党だったわけでありますから、与党であり、政権を担っていた当時にやっていたものより基準を緩めた法案を出してきているということで、本当に大きな問題であるというふうに思います。
質問に入りますが、まず聞かせていただきたいのは、民主党が三年余り政権を担ったにもかかわらず、この間に法案を一度も国会に提出しなかった理由をお尋ねいたします。
○大串(博)議員 お答え申し上げます。
法案を与党時代に提出せず、野党時代になってから提出している、無責任だというお言葉をいただきましたが、心外でございます。
と申しますのは、戸別所得補償制度につきましては、御案内のように、政権交代が行われた二十一年度直後、まずはモデル事業ということで、二十二年度に米から始めさせていただきました。その結果をもとに、翌二十三年度から米以外に広げて本格的な実施を行ってきたところでございます。
その段階で、赤澤委員も御記憶とは思いますけれども、二十三年度予算を議論したときに、特例公債法の議論がございました。当時、私たちはこれを通すのに非常に苦労いたしまして、三党合意というものを与野党で結ばせていただきました。三党の中には御党も入っていらっしゃいます。
その中で、戸別所得補償制度については、一二年度以降の制度のあり方については、政策効果の検証をもとに必要な見直しを検討するということを三党で合意した経緯がございます。この合意に基づいて、三党で話し合いを行い続けました。
一方で、私たちとしては、党内に、農林水産部門会議のもとに、戸別所得補償制度ワーキングチームを設けて、七回にわたり議論を行うなどして、法案の準備作業を行っていました。
一方で、先ほど申し上げた三党合意に基づく政策効果の検証をもとに必要な見直しを検討する、この検討作業を一生懸命三党で行ってきたことはよく御記憶だろうというふうに思います。
その中で、残念ながら、三党で一生懸命真摯な検討を行ってきたけれども、相調わず、提出には至らなかったというのが事実関係でございまして、この経緯はぜひ御留意いただきたいというふうに思います。
○赤澤委員 噴飯物の議論ですね、今のは。本当に、党としてこれは謝罪しなきゃいけないぐらいのものですよ。
大串さんは全く事情を知らない。三党合意に基づいて検証しようという話になったけれども、あなたたちは、予算に反映することも検討するというようなことを言っていながら、十二月七日まで検証の結果を出さなかったんですよ。民主党が検証の結果を出してきたのは十二月七日ですよ。我々がさんざん催促したのに、十二月七日まで、自分たちの党の戸別所得補償制度の検証の結果を出さなかったんですよ。何を言っているんですか。
あなたたちが、予算に間に合わないタイミングまで、検証の結果に基づいて見直しを検討すると言ったのに、出さなかったんだよ。今みたいなうそをついちゃだめだよ、本当に。政治家としての資質が問われるぞ、本当に。いいかげんにしろという話ですよ。
もう全く、本当に噴飯物の議論をされるから、これはちょっといきなり出だしから脱線してしまうんだけれども、三党協議は、落ちついていきます、三党合意は、あなたたちがまともな検証結果を出さなかったから、それで不調に終わったんですよ。これは当時、その場にいた郡司さんからみんな知っている話で、わびたんだよ、あなたたちの党の代表者は。
そういう経緯がありながら、真摯に協議をしてきたけれども調わなかったから出せませんでしたなんてことをよく言えたものだと私は思います。ちょっと、余りに今の答弁はひど過ぎると思います。
しかしながら、ちょっと時間もあるので、きょうは聞きたいことがいっぱいありますから、やればやるほどひどさがわかると思うので、先に進ませていただきたいと思います。
ちょっと今の件もあるので……
○坂本委員長 赤澤君、ちょっと答弁があるそうですので。
○赤澤委員 いやいや、答弁は要りません。今のはもう、彼が言ったことに対して私は答えていますから。質問者が質問してよろしいですかね。
それで、次の問いに移ります。まともな答えはなかったということです。
そして、次の問いは、順番をちょっと変えさせていただきたいんです。
野党が出している農地・水等共同活動促進事業について、北海道と都府県の支援単価を区分することを差別と批判する理由を教えてください。
○大串(博)議員 今回私たちが提案しました農地・水等共同活動促進事業に関しまして、これまで、北海道と都府県の支援単価には差がございました。
これに関して、私たちとしては、もう一回見直しを行った上で、今回、配慮規定として、この差について、それをどのぐらい考えるべきなのかということに関して、もう一度北海道にどれだけ支援が必要なのかということを真摯に考えようということで配慮規定に書いたわけでございます。
この理由としましては、確かに、北海道においてコスト等が低いのではないかという声もございます。ただ一方で、北海道は、地理的にも非常に広い、あるいは、水路や植栽の整備に係る単価自体が、本当に面積が広ければそれだけ安いということが単純に言えるのかというようなこともございました。一人当たりの作業量も当然に増大するのではないか、こういったこともあり、耕作面積によって差別することは適当ではないというふうに考えて、配慮事項として位置づけることにしたということでございます。
○赤澤委員 引き続き、本当におかしな議論であります。
そのことをちょっと話したいんですが、配った資料の一番最後につけてあるものを見ていただきたいんですね。これは何かというと、三月二十六日の民主、生活、社民共同記者発表資料です。三つほどありますが、最初の丸の農地・水保全管理支払い関係ですね。目的のところを見ていただいて、「北海道に対する単価等の差別禁止」と書いてあるんですよ。政府と与党がやっていることについて、差別とまで言うからには、よほど何か根拠がなきゃ私はおかしいと思うんです。
我々は、合理的な根拠に基づいて、きちっとした調査を行った結果に基づいて、この北海道と都府県の単価の違いを出しているというのを、私が配付した二つ目の資料に基づいて政府参考人に説明してほしいと思います。これは政府がやった調査の関係でありますから、政府参考人に説明を求めます。簡潔にお願いします。
○三浦政府参考人 お答え申し上げます。
農地・水保全管理支払いの支援単価につきましては、制度創設の前の平成十七年度に農林水産省が行いました全国約四百地区の実態調査の結果に基づきまして、地域共同による水路、農道等の施設の日常管理に要する活動量をもとに、地目別、地域別に設定しているものでございます。
この交付単価の設定に当たりましては、北海道は、府県と比較して総じて農地の区画が大きく、単位面積当たりの水路や農道の延長が短いということから、単位面積当たりの共同活動量が小さいということを踏まえまして、府県と区分して北海道の単価を設定したものでございます。
なお、多面的機能支払いにつきましても、同様の考え方で、平成二十五年度に行った調査結果に基づいて交付単価の設定を行っているところでございます。
○赤澤委員 お配りした資料の二ページですよ。この棒グラフにあるように、きちっとした調査をやった結果、北海道と都府県で明確に農地を維持するための基礎的保全活動の活動量に違いがある。この時間、例えば田であれば、府県二・六時間、北海道二時間というのに、一時間当たりの労賃に当たるものを掛けてみて、そしてそれをベースとして計算をしたのが今の単価であります。だから、都府県と北海道は差がついている。
この調査についてまともな反論もなしに、先ほど、ただ北海道は面積が広いから、何か、単価に差をつけるのはやはり差別だというような、また大串さんのいいかげんな答弁がありましたけれども、これだけの調査に基づいてやっているんです。これに時間当たりの労賃を掛けて単価を算出しているんです、基本的に。
そういうことをきちっとやっているものに対して、極めて拙速に何かの目的で法案を出してきて、そしてそれを差別と呼ぶというのは、一体どういうことなんだということですね。ちゃんと調査をしているのか。これに対する反論がなければ、差別なんて言葉遣いはとても許されないし、こんな記者発表をしたことについて謝罪してくださいよ。
○大串(博)議員 お答えいたします。
この農地・水保全管理支払いに関する資料、これは私たちも理解するところであります。
一方で、私たちは、北海道の皆様からいろいろな議論も聞かせていただきました。ここに書かれている数字が全てをあらわしているのかといった点も、私たちは政策責任者として考えなければならないと思います。
例えば、北海道の方々からいろいろな話を聞く中で、この農地・水保全管理を行う中で、実は、いろいろな、私たちが今理解している中で、それ以外のコストも生じているんだ。例えば、一定の場所から一定の場所に動くのも大変な距離を動かなければならない。あるいは、一つの活動区域、そしてもう一つの活動区域の間にある区域に関しても、何ら手を加えないでおいておいたままで農地・水保全管理の実態が上がるわけではないので、その部分に関しても手を加えなければならない、こういった実態もございました。
こういった実態もあることを認識した上で、配慮事項として加えたわけでございます。
○赤澤委員 聞くにたえないですね。そういうことも含めて時間を計算して調査しているわけですから、それが全体としてこの調査結果になって、我々が単価設定しているので、今言ったようなことは、当然織り込み済みなんだと思います。
次の資料を見てください。これは赤澤事務所で作成させてもらいました。
これを見てもらうと、北海道の水路、農道の百メートル当たりの交付額ですね、百メートル当たり府県の一・七倍ですというように、これを見る限り、私どもは合理的な理由があって単価に差を設けているのであって、しかも、実際、百メートル当たりは府県より多くお払いしているんです。
これをわざわざ、余り根拠もないようなことを、北海道の人から聞いた話といって、ろくな調査もしないで、特定の人から聞いた話で制度をいじられたら、それはもうたまったものじゃありませんけれども、こういった状況がありながら、何か差別禁止とかいう非常に浮かれ騒いだような広報をやりながら制度をいじられると、どちらかといえば、むしろ、逆差別なんて言葉を使うと野党の方たちと同じ政治姿勢まで落ちていくような気もしますが、かえって不公平にならないかということについて見解を求めたいと思います。これは政府にお願いをいたします。
○小里大臣政務官 御指摘のとおり、大分成熟をした北海道の農業とそれ以外の地域をその施策において同一に論ずることは、なかなか困難であるなと思います。
最近では、平成二十五年度に、全国から五百十八地区を抽出して、共同組織の活動状況を調査しております。それに基づきまして計算をしておるわけでありますが、特に北海道は、御指摘のとおりに、農地の区画が大きく、単位面積当たりの水路、農道の延長が短いことから、単位面積当たりの共同活動量が府県と比較して小さいものになっております。
したがって、その交付単価を単位面積当たりの単価により設定するのであれば、全国一律の単価とするのではなくて、共同活動量に応じた差を設けるのが妥当であろうと思います。
○赤澤委員 紳士の小里政務官でありますから、余り断定的な言葉は使われませんけれども、妥当な差を設けなければならぬということは、合理的な根拠があるということだと思います。
我々は調査の結果に基づいてそれをやっているのであって、これは繰り返させてもらいますけれども、北海道と都府県の単価を区分すること、あるいは、きょうはここは質問にしませんけれども、対象農用地を農振農用地に限ること、これは民主党政権下でまさにやっていたものなんですよ。
自分たちが政権の当時はやっていたことについて、政権当時は法案を出さず、私の記憶している限り、法案を出させてくれという話も三党協議の場で聞いたことはありませんよ。そういった状態でありながら、野党になった途端に、しかも今言った要件を緩めて法案を出してきている。北海道と都府県の単価をなくしましょう、あるいは対象農用地を農振農用地に限るのをやめましょう、もうばらまき的な姿勢しか見られないんですよ。本当に無責任だと思います。
ということを指摘させていただいて、次の質問に移りたいと思います。
次に、農業の有する多面的機能を副次的なものとして取り扱うとおっしゃっているわけですけれども、これは、多面的機能の重要性を十分に理解していないんじゃないですか。私どもは、多面的機能を、非常に重要なもので、食料の安定供給、食料自給率の向上と並んで、二大政策目的の一つだと思っています。
御案内のとおり、ここは農林水産委員会ですから先生方は見識があって、農産物の供給機能に加えて、多面的機能には当然のことながら、レクリエーションとかコミュニティーの維持とか、さらには福祉のような機能もあれば、環境保全あるいは教育、そして歴史的な文化、そういったものを守ったり、景観を形成したり、ありとあらゆる重要な機能があります。貯水機能とかいったようなことも、防災といったことであるわけであります。
そういう極めて重要な多面的機能を副次的なものとして取り扱うとおっしゃっている理由は一体何なんですか。
○大串(博)議員 お答え申し上げます。
多面的機能は、おっしゃるとおり、極めて重要な機能であるし、政策目的、政策目標として私たちも大きな力を注いで追求しなければならないというふうに思います。その追求の仕方が、恐らく与党が提出されている案と私たちの案が違うということだと思います。
すなわち、私たちは、まず戸別所得補償制度をもってして農家戸別の再生産を可能とする所得を確保することにより、営農を継続できるようにする。営農を継続できるようにすることによって、その営農活動の中で多面的機能も、もって維持が図られるようにする、こういう考え方でございます。
産業政策と地域政策を分けるという与党のお考えのようでございますけれども、それを截然と分けたときに、多面的機能を維持する地域政策を行おうとして、そこに農家はいなかったというようなことがあってはならない、こういう思いがありますので、営農を継続できるような形を維持し、守っていく、それは戸別所得補償制度をベースとして行っていく。それに加えて、多面的機能を守っていくための集団に対する支援として、これらの多面的機能を守るための政策を付加していく、こういう考え方でございます。
○赤澤委員 考え方を述べられましたけれども、先ほどのこの資料を見てみてほしいんですね。
共同記者発表資料です。「北海道に対する単価等の差別禁止」というのの右側を見ていっていただいて、その上を見ると、副次的に多面的機能の発揮にも資するということで、言うまでもなく、戸別所得補償も直接の目的は多面的機能ではないということでありますし、我々は多面的機能法案というものを出していますが、その対案であるはずのものは、副次的にしか多面的機能の発揮というものを目的にしていないということ。
これは、大串さんが極めて重要とかいろいろ言われましたけれども、自分たちが記者発表の中で、多面的機能の発揮に資するのは副次的だ、こう言っているわけですから、やはり何となく言行不一致というか、考え方がきちっと整理されているのかなと思います。
我々は、きちっと多面的機能の発揮ということについて正面から取り上げて政策を進めていきたいと思います。(発言する者あり)いやいや、不規則発言が多いけれども、広報ですよ、これは記者発表資料ですよ。国民はこれを見るんですよ。
ちょっと言いたくはないけれども、あなたたちは、選挙前に戸別所得補償制度について、白菜のイラストが描いてあるビラを配って、農業を続けたいなら民主党とやった、前科のある人たちですよ。野菜なんかについて所得補償を検討したことは民主党は一回もないはずですよ。なのに、ビラには白菜が出ている。
そういうようなことをやってきて、またここで差別とか、何か広報のやり方が本当におかしいということは、我々、野党時代から一貫して言わせてもらっていますから、そこはきちっと受けとめてやっていただきたいと思います。
そして、次に質問をさせていただきたいのは、では、今度は、戸別所得補償の方に行きたいんです。
これについては盛んに、今、野党の方で、自民党の日本的直接支払い、これの名称がどうだこうだというような議論があります。ただ、名称について問題のある政策を出されたのは、私は本家は、もう言うまでもなく民主党だと思っています。
農業者戸別所得補償制度ですね。これは何が起きたか。まちまちの思いで地元で説明されたから、農家は、個々の農家が赤字を補填されると相当誤解していまして、これは私の地元でいろいろな農家に聞いても、いざ制度が行われると、全国一律単価だ、必ずしもうちの赤字は埋まらぬ、期待を裏切られたと。熱狂的に支持したけれども、熱狂はちょっとさめたというところがあります。
名称の問題を議論するんだったら、戸別所得補償といいながら、全国一律単価、戸別の農家ごとの所得を補償する仕組みでないという、この名称に偽りありの方がよっぽど問題ではありませんか。
○玉木議員 赤澤先生にお答えをいたします。
戸別所得補償の名称についてでありますけれども、確かに、戸別という名前、私も、与党時代に実は予算委員会で私自身指摘をいたしましたけれども、個々の農家の、戸別の赤字を補填するというふうに誤解を与える面があることについては、当時から、名称はむしろ変更した方がいいんじゃないかということを提案させていただいておりました。
ただ、当時、党内あるいは政府の中で整理をした一つの考え方は、戸別にそれぞれ直接交付金が口座に支払われるということでここは整理をするし、広くそういった名称が認知をされているということで、このまま制度の名称として継続をしようということになった経緯があると承知をしております。
ただ、いずれにしても、個々の農家を補償するということについて誤解を与えているというような点がまだあるとすれば、そういった点については改めていく必要があると思いますし、そもそも制度が目指した趣旨をしっかりと理解、説明をしていく、このことが必要だと思いますし、きょうのような審議を通じて、そういった理解を深めていくことが必要だというふうに思っております。
○赤澤委員 玉木議員の答弁で、確かに私も覚えています。玉木議員とは、比較的、質問するたびに何か一緒になる御縁があって、TPPの質問をしようが、戸別所得補償の質問をしようが、常に何か相前後して質問をしますので、彼がそれを言っていたのはわかるんです。
ただ、いかにも苦しいでしょう。だって、今回、あなたは法案提出者なんだから。法案提出者が自分は名前を変えた方がいいと個人的には思っていると言いながら、変わっていないものが出てくるというところに、私は民主党の問題があるんじゃないかと。非常に難しいな、きちっと議論がかみ合わないなというのが率直なところです。今の答弁は極めて苦しかったということは、聞いておられる方、皆さんわかるだろうと思います。なぜ自分でもおかしいと思う点についてきちっと整理をされないんだろうかということであります。
それから、次にお伺いをしたいのは、生産調整目標を達成したら十アール当たり一・五万円を交付するという米の所得補償を、我々は過大なメリット措置だと思っています。
コスト割れがあるということを認識しているからやっておられると言っている以上、この戸別所得補償に手を挙げない限り、農家はコスト割れ。ですから、これも本会議場で民主党が展開された議論で、選択的な減反というか、選択的生産調整ですか、とにかく減反を廃止したのは自分たちが本家本元だというようなことをおっしゃっていますけれども、効果としては、コスト割れの農家、生産調整に手を挙げない限り、十アール当たり一・五万円もらえない、これはもう事実上生産調整を維持しているのに等しくないかと私は思います。それぐらいの過大なメリット措置ではないかと思いますけれども、いかがですか。
○玉木議員 まず、一万五千円の根拠でありますけれども、これは標準的な生産費と標準的な販売価格の差を全国一律の水準の中で埋めていこうということであります。ちなみに、標準的な生産費は、当時、六十キロ一万三千七百円、標準的な販売価格はそれを下回る六十キロ一万二千円ということで、恒常的なコスト割れ部分が六十キロ当たり約千七百円あるという前提で計算をし、それを十アール当たりに換算して約一万五千円ということで計算をしたものであります。
これは、もちろん、このことによって、既にコスト割れが生じていないところにも交付をされる。一方で、この一万五千円を、交付を受けてもなおコスト割れが継続をするというようなところがあるのも事実でありますけれども、これは、逆に言えば、大規模にしていけばしていくほど交付を受けるメリットが出ていくということで、構造改革を促していくような、そういったインセンティブも制度に入っているということで、構造改革にも資する制度だというふうに認識をしております。
○赤澤委員 では、今の玉木議員の答弁を聞いて、ちょっとまた質問の順番を変えます。
構造改革に資すると言ったけれども、本当でしょうか。というのは、民主党政権が登場される前は自公政権だったわけです。そのときと比べると、明らかに規模の小さい農家に手厚くなっているんです。そのことの数字を一つ挙げますが、これは野党時代に、予算委員会で、私はパネルを持ってあれしたので、玉木議員は恐らく覚えておられると思います。私が言いたいことはもうわかっているんだろうと思います。
二ヘクタール以上の一割の農家に交付金の六割が支払われていると言うけれども、その一方で、その棒グラフの反対側の方を見れば、二ヘクタール未満の農家に交付金の四割、額にすると六百億円、これが支払われています。自民党、自公政権当時には、二ヘクタール未満の農家に払っていたものは一割前後、あるいはそれより少なかったぐらいだと私は記憶をしています。そういう自公政権の農政の後で、民主党が出てきて、民主党政権になって、二ヘクタール未満の農家に四割、六百億を支払うようになって、それで構造改革が進むと言われても、それは明らかに逆行しますよということが一つあります。
その点を含めて、民主党は、米の所得補償を全国一律単価、静かな構造改革というけれども、私どもは、それはとても期待外れなことだろうと思います。
実際にお配りした資料の中で、民主党の問題点ということを書きましたけれども、その中の構造改革関連のところ、私は、少なくともそこの、全ての販売農家を対象とするのはばらまき、全ての販売農家を対象としたことで零細農家の農地の集約が阻害される、担い手が集約したものが貸し剥がされる、集落営農から脱退が発生する、どれも現に生じていると認識をしています。
そういったことを考えれば、静かな構造改革、本当ですかと、玉木議員にもう一回お尋ねをいたします。
○玉木議員 赤澤議員から大変重要な質問をいただきました。ここが、実は我が党あるいは我々の出している法案と政府・与党案が一番異なるところだと思います。
まず、二ヘクタール未満の農家に払う六百億については、我々は無駄だと思っておりません。二つ理由があります。
一つは、我々は産業政策と地域政策を必ずしも明確に峻別して、それを政策体系の中に分けて入れるということをしておりません。いわば米のゲタの部分と名づけてもいいかもしれませんけれども、この固定払いの部分については、それをもって、水田を水田として維持する機能もその中にあると思っております。
ですから、小さな面積の農家であってもあるいは農地であっても、この交付を受けることによって、その交付がなかりせば営農継続できなかったところが一つでも多く残っていくとすれば、これは、今後構造改革を進めていくということは、ユニットである農地を集めていく作業です、一つ一つのユニットが今高齢化やいろいろな理由の中で死んでしまうと、死んだ細胞を幾ら集めても健康な肉体はできません。ですから、今の状況の中で一つ一つの農地をまずきっちりと維持していこう。
その意味では、この感覚は、御党あるいは政府が出されておられる日本型直接支払いの感覚と、その意図を、我々はこの米の直接支払いの岩盤部分で一定程度実現しようというのが一つの趣旨であります。
もう一つは、こういった静かな改革を進めていくに当たって、どういうイメージかというと、我々が一番問題にしたのは、構造改革は当然必要です。ただ、生産性の向上、つまり、コストダウンのスピードを超えて、あるいはそれを先行して米価が下落することを招いてしまうと、その意図する構造改革も進まないのではないか。
つまり、緩やかに、特に二ヘクタール未満の農家を収益の出る二ヘクタール以上に振り向けていくことによって、徐々に生産コストを下げて、生産コストが下がりますから、販売価格との埋めるべきギャップもだんだん少なくなってまいります。そうすると、交付単価は、今一万五千円ですけれども、これが将来的には一万円あるいは七千五百円、五千円と下がっていく。そうすると、生産調整に入っていくメリット自体がだんだん薄れてきて、生産調整の中でしか生きていけない人はだんだん減っていて、いわゆる生産調整によらなくてもいい農家の数がふえていく。そのことによって、緩やかに構造改革を促していく、そういう法的な、あるいは政策的な目的であります。
○赤澤委員 承りましたが、私からすると、基本的な哲学の違いということは指摘したとおりありますし、ちょっと危機意識が足らぬだろうと思います。今のお話で本当に物が動いていくと考えられるほど、農業の構造を見ていると、非常に問題が大きい、待ったなしであるということを指摘せざるを得ないと思います。
言うまでもなく、主食用米の需要というのは、毎年八・四万トンですか、一%以上減っているということです。十年たてば一割以上需要がなくなっちゃうようなところで価格を維持するというのは容易なことではありません。そこに、十アール一・五万円というような過大なメリット措置をつけてやっていれば、これはもう価格の維持は極めて難しいことだ、あるいは財政負担が膨大に膨らんでいくということになりかねないと思います。
我が党について言えば、そういうことなので、主食用米については、メリット措置を減らしていって、補助金によって、今は日本の家畜が米を飼料として食べていませんので、そちらの方を生産することで米農家には所得を上げてもらう。農家の所得も維持され、今休ませている田んぼにも飼料用米等が埋まり、水田はほぼ稲で埋まって、そして食料自給率の向上にも資するということを考えています。
急いでやらなきゃいけないと思うものでありますので、相当なドライブをかけるという意味では、危機意識を持って、我が党がやろうとしていることにぜひ御理解を賜って、協力者になっていただきたいものだなというふうに思います。
いずれ、御指摘してきたことは、過大なメリット措置あるいはばらまきではないかということなんですが、その並びでもう一つ聞きます。
民主党法案の収入減少緩和交付金、品目的相殺がありません。これは何でですか。経営全体で収入増となっても、作物ごとに収入減があれば支払われることになっております。これは農家は喜ぶと思います。
ただ、我々の党がいつも議論していることは、納税者全体の理解が得られないとその制度は維持できないということですよ。必ず、おかしいと指摘を受けて、最後は削っていかざるを得なくなるということです。納税者の理解を本当に得られますか。その点も含めて、お尋ねをいたします。
○玉木議員 お答えいたします。
その点は、まさに、我々党内で議論したときに、大きな論点となった一つであります。先ほど大串委員からも話がありましたけれども、党内に戸別所得補償制度ワーキングチームを設けまして、七回にわたってこの法案の、我々の案の議論をしたときの大きなテーマの一つがその点でありました。
全部合算して、その合算した所得が下がったときだけ補償するというのも、これは一つの考えだと思いますし、おっしゃるとおり、納税者の理解は得やすいと思いますけれども、ただ、我々は、農家にとって、わかりやすくてシンプルで、そしてメリットがある制度にしようということで、品目ごとの価格の変化あるいは所得の変化を見るということが農家にとってわかりやすいということで、そういう制度にしました。
例えば、麦は下がったけれども、ほかのものが上がったら、そもそも全体で合算すると、もらえるのかもらえないのか、全て締めてしまうまで農家にとっては交付が受けられるかどうかわからないというのでは、農家にとっても極めて不安ですし、作物によっては作付の時期も年間を通じて違いますので、一体、いつの時点で締めて全体の所得を把握するのか、そういったことも難しいのではないかという議論の中で、個別に見ていくという結論に至ったものであります。
○赤澤委員 販売農家であれば全て戸別所得補償の対象にするとか、とにかくわかりやすくお金をばらまくという感じに私には聞こえます。
少なくとも、納税者の理解を得ようと思えば、今みたいな説明はあるんですが、確かに、手続的にいろいろ工夫をして、農家がもらえるのかもらえないのか、そういったようなことを少しでも早くわかるようにする、あるいは実際に支払いをする、そういったようなことは行政の努力として不断にやっていかなきゃいけないことは認めますけれども、経営全体で収入増となっても、作物ごとに収入減があれば支払うぞというような制度は、私はやはり納税者の理解は得られないだろうというふうに思います。
そういう意味で、やはりここも哲学の違いというか、農家を喜ばせるだけでいいのだということには農政はならないのだというふうに私は思います。税金の使い道を全国民にきちっと理解してもらえるように説明して、初めて責任ある公党の政策だろうと私は思います。
最後に、多面的機能を維持する法案まで提出しています。全農家を対象にした戸別所得補償制度も、そのまま維持するとしています。予算関連の、野党法案ですから、当然これは幾らかかるかが提出されていますが、全部合計すると幾らですか。
○大串(博)議員 お答えします。
先ほど、財源に関する議論がございました。ふるさと維持三法案は、現在予算措置で行われている三つの直接支払制度、これを基本的には踏襲して法制化したものでございます。一方で、戸別所得補償政策は、私たち政権のときに、ペイ・アズ・ユー・ゴー原則を厳密に守った上で、農林水産省予算の組み替えの中で財源を捻出してきたものでございます。
よって、これらの政策に必要な財源も、現在の予算額と大きく異ならないというふうに考えておりますが、まず農地・水等共同活動の促進に関する法律に関しては、必要な経費は平年度三百二十億円の見込みです。中山間につきましては、平年度約三百四十億円の見通しです。環境保全につきましては、平年度約五十億円の見通しです。農業者戸別所得補償制度につきましては、七千六百億円の見込みでございます。
以上です。
○赤澤委員 それぐらい頭に入れておいてほしいと思うんですが、合計すれば八千三百十億円であります。この財源は一体どこから出てくるんだと。
ペイ・アズ・ユー・ゴー原則と胸を張られました。それは胸を張る話じゃないですよ。民主党政権当時、土地改良事業を切りまくって、米の所得補償だったから、米をつくっているところはそれでもほかに来るものがあったけれども、米作中心でないような、例えば北海道、九州、そういう農家は、ただ予算を削られて、かんがいの施設が何年後かに来ると思ったら、もう当分来なくなった、十年かかるみたいなことで、本当に怨嗟の声が上がったんです。
最後に、これは指摘にとどめますけれども、財源をペイ・アズ・ユー・ゴーで確保したと言いながら、あなたたちはできなかったんですよ。無駄を省けば財源は幾らでもあると、今でもみんな覚えていますよ、できなかったんだから。それについて、ペイ・アズ・ユー・ゴーで胸を張って、切ったものの成果は、結局、農業の生産性の向上を非常に害したというのが我々の認識です。
なので、これは最後、もう質問時間が終わりましたので、まとめますけれども、戸別所得補償制度については、先ほど玉木議員も一部名称などで認めました。政権当時に指摘した問題点そのままの、構造改革に逆行するばらまきであります。納税者の理解が得られない。基本的な哲学の違いという以上に、政策としてなっていないんじゃないかと私は思いますし、多面的機能の方も、北海道の差別禁止とか、とんでもない、合理的な理由のない、どういう目的でやっているのかわからないようなものが含まれています。そういったものを、野党になった途端、要件を緩めて出してくるのは本当に無責任だということを指摘して、我が党の政策を自信を持って進めていきたいと思います。
以上でございます。
○坂本委員長 次に、樋口尚也君。
○樋口委員 おはようございます。公明党の樋口尚也でございます。
初めに、今回の法案に先立ちまして、国家戦略特区について、一つだけ大臣にお伺いをしたいと思います。
成長戦略のかなめである国家戦略特区、三月二十八日に六カ所、六地域を指定されましたが、御承知のとおり、そのうち二カ所、二地域については農業ということでございます。
一つは、私の地元でありますが、兵庫県の養父市につきましては、朝倉サンショウや轟大根が有名でありまして、過疎の農村が生き残るモデルということで、関西でも非常に注目を集めております。
この養父市が入ったこと、また新潟県の新潟市が入ったこと、この二つの指定があったことにつきまして、大臣に御所見をいただきたいと思います。
○林国務大臣 二十八日の金曜日でありましたが、国家戦略特別区域諮問会議が開催されまして、農業関係で、今お話があったように、国家戦略特区ワーキンググループによる自治体ヒアリング結果を踏まえて、新潟市と兵庫県の養父市、二地域が決定をされたところであります。新潟については大規模な農業の展開、養父市については中山間地における展開ということで、農地流動化を強力に推し進める突破口となることが期待された結果、こういう決定がされた、こういうふうに聞いております。
特区については、農業関係では四つの特例を措置しておりますが、これらを通じて国家戦略特区の取り組みの推進に協力するとともに、特区になったからといって、ほかの政策の適用はないわけではありません。したがって、農林水産業・地域の活力創造プランを昨年決めさせていただきましたが、これに基づく取り組みもあわせて実行していくことで、各地域の取り組みを強力にバックアップしてまいりたい、こういうふうに思っております。
○樋口委員 成長戦略の一丁目一番地である国家戦略特区でございますので、六個のうち二つ入ったということについて、非常にうれしく思いましたし、これからしっかりこれをフォローアップしていくことが大事だなというふうにまず思いました。
続きまして、今回提出の法案、内閣提出法案二案についてお伺いをしたいと思います。
まず、担い手経営安定法改正についてお伺いをいたします。
一つ目には、本法案ですけれども、交付金の対象者は認定農業者、集落営農、認定就農者というふうになりますけれども、施策の対象とならない農業者について、今後、政策上どのように位置づけて、どのように対処をしていくのか、お伺いをしたいと思います。
○奥原政府参考人 今般の経営所得安定対策の見直しにおきましては、対象農業者につきまして、認定農業者それから集落営農に加えて、認定を受けた新規就農者も対象に加えております。それから、面積の規模要件は設けないということにしておりまして、意欲のある地域の多様な担い手の方々を制度の対象にするということを考えているところでございます。
一方で、担い手以外の農業者の方々につきましては、経営所得安定対策の対象にはなりませんけれども、今後とも営農を続けていただいて、例えば、自家消費用の農産物をつくっていただく、あるいは直売所に出していただく、こういったことも当然あり得ますし、さらには、農地中間管理機構を活用していただいて、担い手への農地の集積、集約を進めていただく、あるいは、日本型直接支払制度を活用して、農業の多面的な機能の維持発揮のための地域活動に参加をしていただく、こういった形で地域農業の発展に貢献をしていただきたいというふうに考えております。
このように、意欲と能力のある農家の方々が創意工夫でもって経営を発展させることができるようにするという意味での農業の成長産業化に向けた産業政策と、それから農業、農村の持っている多面的機能の発揮を図る地域政策を明確に分けて、それぞれの目的に応じた政策体系を整えた上で、車の両輪として進めていきたいというふうに考えております。
○樋口委員 加えて、現在対象とならない農業者であっても、今お話がありましたように、意欲がある方、また能力がある方については、幅広く今後の認定農業者や集落営農に移行するようにすべきだというふうに思います。この認定に当たっては、現場の実態を踏まえた運用に配慮すべきであります。
特に、集落営農については法人化に時間がかかるなどという課題が指摘をされておりますが、これについて要件を見直すことも考えることが必要かと思いますけれども、いかがでしょうか。
○奥原政府参考人 集落営農の関係でございます。
地域によりましては、大規模な家族経営ですとかあるいは法人経営といった、核となる担い手の方々が存在しないといった地域もございます。こういった地域におきまして地域農業を発展させていくためには、集落営農を組織化し、さらに法人化をしていくということが非常に重要だというふうに考えております。
このために、任意組織の集落営農につきましても今回の経営所得安定対策の対象にしているわけでございますが、従来は、この対策の対象にする場合に要件がございました。組織の規約を定めていること、それから対象作物の共同販売経理を行っていること、さらには法人化計画をきちんと作成していること、こういった要件を満たすもののみが対象になるということにしてきたところでございます。
ただ、現場の方の状況を見ていますと、経営を発展させるためには法人化していくことは必要だというふうに考えておりますけれども、地域の事情もいろいろでございまして、計画をつくれば法人化が当然できるというものでもございません。そういった観点で、今度の対策の対象にするための集落営農につきましては、この要件を見直していきたいというふうに考えております。
具体的には、従来からありました、組織の規約をつくっていただくということと、それから対象作物の共同販売経理を実施していただく、この二つの要件はきちんとやっていただく必要があるというふうに思っておりますが、特に、集落営農の法人化につきましては、市町村の指導力等を信頼するということもございますので、市町村がその集落営農が将来法人化していくということが確実であるという判断をすれば、それで対象にするというふうに考えております。
○樋口委員 見直しについて、よくわかりました。
続きまして、今後、農業者として、農産物の生産だけでなくて、もちろん加工、販売への取り組みも重要になってくるわけであります。また、規模の拡大や多角化に応じて農業経営を適切に管理運営するためには、簿記記帳を基礎とする計数管理はもちろん、運転資金を含めた財務管理、また雇用者に対する労務管理などが不可欠と考えますが、いかがでしょうか。
あわせまして、農業の担い手も、経営者としての資質や能力がこれまで以上に求められる時代になったというわけであります。産業としての農業確立に向けて、農業者みずからの経営改善の取り組みを助長するような支援策も考えるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○奥原政府参考人 先生御指摘のとおりだと思います。
農業経営を発展させていくということを考えますと、やはり生産面でのコストダウンといったことだけではなくて、加工ですとか販売、こういった六次産業化に取り組んでいただいて付加価値を高める、こういうことが非常に重要でございます。
それから、経営の基礎であります財務管理あるいは労務管理、これをしっかりやるということも必要不可欠でございます。
さらに、本格的な経営体制を整えていくということを考えますと、経営の法人化を図っていく、これは、家族経営を法人化する、あるいは集落営農を法人化するということがありますが、これも重要でございます。
法人化を図ることで、役員の権限が明確になって機動的な経営判断ができるようになる、あるいは、雇用保険、労災保険といった福利厚生が整いますので、雇用の安定ですとか労働環境の改善を図ることができる、あるいは社会的な信頼も得られる、こういったメリットがあるというふうに思っております。
そういう意味で、経営体制の強化ですとか法人化に向けて、融資なり税制、あるいは法人経営に必要となる労務や財務管理についてのいろいろな研修事業の支援をする、あるいは集落営農の法人化のための助成をする、こういったことをさらに進めていきたいというふうに考えてございます。
それから、もう一点いただきましたが、農業者みずからが経営者としての資質を向上させていく、これが非常に重要なことでございます。経営者としての意識、経営マインドをきちんと持っていただいて経営をするということが非常に重要でございます。
このために、農林省の方では、農家の方々が自分の経営改善に取り組むためのツールといたしまして、経営改善のためのチェックリストから成ります経営指標をつくって公表しておりまして、これに基づいて農家の方に自己点検をしていただいているところでございます。
例えば、販売に関しまして、複数の販路を比較検討して販売先を決めているかどうかとか、あるいは、生産資材に関しましては、複数の取引先の価格を比較検討して調達先を決めているかどうかとか、こういったことをチェックする仕組みになっております。
こういった指標の活用によりまして、経営らしい経営を育成して、さらに発展していけるように指導していきたいと考えております。
○樋口委員 次に、政府は、新規就農や企業参入の促進など、担い手の確保には大変力を入れていらっしゃるところですが、担い手の育成について、新たな取り組みがなかなか見受けられないというふうに感じるところであります。
この担い手の育成について、もっと積極的に取り組むべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○林国務大臣 農業の発展のために、農業構造を、やはり効率的かつ安定的な農業経営が生産の相当部分を担うようにしていく、これが大事だというふうに思っております。
したがって、新規就農、企業参入に加えて、既存の農業者が経営改善をする、複数の個人経営が法人化をする、それから集落営農が組織をされ、さらに法人化をする、こういうことを進めていく必要がある、こういうふうに考えております。
したがって、こういう対象者に対して、農地中間管理機構を活用して農地の集積、集約化をする。
それから、スーパーL資金というのが公庫融資でございますが、これは低利融資を、法人への貸付限度額を個人より高く設定しております。個人は三億円、複数部門をやっていらっしゃる方は六億円ですが、法人は十億円にしてあります。それから、常時従事者数に応じて二十億円まで上がるようになっています。
それからもう一つ、農業経営基盤強化準備金制度によります税制上の優遇措置ということがございます。
さらに、アグリビジネス投資育成会社による出資が法人に対しては行われるということ。
そして、複数の個人経営の法人化、集落営農の組織化、法人化への支援、こういうものも事業としてやっておるということで、こういうものを積極的に推進しておるところでございます。
○樋口委員 続きまして、いわゆるゲタ対策について伺います。
諸外国との生産条件格差を補うこのゲタ対策、過去の耕作実績と数量払いを併用する制度から、数量払いを基本とする制度に変更されるわけであります。
このゲタ対策の交付基準を変更する理由と、ゲタ対策の交付基準を変更した場合に生産現場にどのような影響があると見られているか、お答えをください。
○奥原政府参考人 いわゆるゲタ対策の関係でございます。
平成十九年度から実施をされた生産条件不利補正交付金、ゲタ対策でございますが、これにつきましては、過去の一定期間の生産実績、実際には平成十六年から十八年産の平均の面積をとっておりましたけれども、この過去の実績に基づく面積支払い、これが七割、それから、毎年の生産量、品質に基づく成績支払い、これが三割という組み合わせで当時はやってきたわけでございます。
過去の一定期間の生産面積に基づく面積支払いにつきましては、過去の生産実績がない農業者の方ですとか、あるいは従来よりも規模を拡大して麦、大豆等を生産するという方には、その分について支払いが行われない、こういうことになります。当時は、別途予算措置で、新たに始められる方、拡大する方についての予算をとっている、こういった状況もございました。それから、過去実績の方式ですと、生産の拡大に向けたインセンティブが十分働かない、こういった問題もございました。
このために、今回の法改正におきましては、生産拡大に向けたインセンティブがきちんと働くようにということで、当年産の数量払い、これを基本にして、面積払いについては収穫前に内金として払う、こういう方式に変更することにしているところでございます。
これが現場に与える影響でございますが、数量払いを基本とした仕組みにつきましては、既に二十三年度より予算措置ではそういう形で実施をしているということでございますので、現場で特に混乱は生じないものというふうに考えております。
○樋口委員 続きまして、WTO農業交渉の補助金に関する議論の中で、今般の制度変更をどのように整理しているのか、政府の見解を教えてください。
○林国務大臣 国内補助金のWTOルールでございますが、緑の政策、青の政策、黄の政策、デミニミスに分けて通報することになっておりまして、黄の政策については約束水準の範囲内におさめる必要があるわけでございます。
国内補助金のWTOルール上の位置づけについては、政府としてWTOに通報を行う際に正式に決まるということでございますので、本対策のWTOルールにおける位置づけについては今後検討していくことになりますが、いかなる区分の政策に位置づけたとしても、平成二十四年の我が国における黄の政策、削減対象とされる施策の合計額は六千億であります。これに対して、現行のWTOルールで許容されている水準、約束水準とありまして、これは四兆円でございますので、まだ相当の余裕があるということで、現行のWTO農業協定との整合性は確保し得るもの、こういうふうに考えております。
○樋口委員 ありがとうございます。
続いて、多面的機能発揮促進法案についてお伺いをしたいと思います。
多面的機能支払いについて、交付金の交付状況の点検及び効果の評価などを行う中立的な第三者機関を設置すべきではないかと思いますが、お答えをお願いします。
○三浦政府参考人 お答えいたします。
多面的機能につきましては、広く国民がその利益を享受しているものでありまして、地域の共同活動などを支援することは、その発揮の促進につながるものでございます。
こういった観点から、日本型直接支払いによる取り組みの推進に当たりましては、広く国民の理解を得ながら施策を実施していく必要があると考えております。
このため、日本型直接支払いにつきましては、交付金の交付が計画的、効果的に実施されるように、交付状況の点検及び効果の評価を行うこととしておりまして、これに当たりましては、第三者機関を設置して、その助言、指導をいただきながら進めることとしているところでございます。
○樋口委員 続きまして、この多面的機能発揮促進法案には、大きく分けて三つの取り組みがございます。
このうち、中山間地域等直接支払いは、これまで通算十五年実施されてきましたが、今回これを法律に位置づけることになります。これまでの取り組みをどのように評価されているのか。
また、あわせて、従来のように予算措置で実施し、実施状況を評価する方が実効性が確保されるという声も聞かれますけれども、法制化する必要性についてお答えください。
○小里大臣政務官 まず、法制化について、私の方からお答えをいたします。
地域を歩いておりますと、いろいろな要望をいただきますが、例えば、農地・水管理交付金あるいは中山間地域払いの制度、これがこれからも続くんだろうかという不安の声が、実はTPPに次いで多いんじゃないかと私は認識をしております。
この制度につきましては、御指摘のとおり、従来は予算措置でもってやってきたわけでありますが、これをさらに安定化を図る、これが地域の要望に応えるものになるものと認識をいたします。
なお、一方で法制化を図ると同時に、支払いの詳細は、予算事業として、毎年の実施状況を勘案しながら柔軟に見直すということにしております。そういったことで、実効性の高いものにしていきたいと考えます。
○三浦政府参考人 私から、中山間地域等直接支払制度の取り組みの評価についてお答え申し上げます。
この中山間地域等直接支払制度は、平成十二年度に創設して、三期十四年にわたりまして取り組んできたところでございます。平成二十五年度には、全国で二万八千の協定が締結されて、六十八万ヘクタールの農地で実施されております。
平成二十四年度に第三期対策の中間年評価を行いましたところ、本制度に取り組む集落の九割が、耕作放棄地の発生防止ですとか、集落、地域の活性化に効果があると回答をいただいております。また、本制度の継続を強く求める集落、市町村の声が多いといったことで、農業者等の皆様から肯定的な評価をいただいているものと認識をしております。
○樋口委員 最後の質問であります。
米の生産調整について伺います。
昨年末に政府・与党でそれぞれ議論を行い、五年後をめどに、行政が生産数量目標を配分せず、生産者等が需要に応じた生産を行える状況とすることとしたところでございます。
この議論の過程で、三年後に米の生産調整を廃止するなどという性急な提案も浮上したものの、農業経営への急激な影響へ配慮を求める意見なども踏まえて現在の案になったことについては、一定の評価をしているところでございます。
しかし、今般の米政策の見直しは、減反廃止、また生産調整の見直しなど、さまざまな報道がなされており、その趣旨が正確に伝わっているかどうかは疑問の残るところでございます。改めて、この生産調整について、政府の見解を確認させてください。
○林国務大臣 まず、我が国の食生活の変化がございまして、一人当たりの主食用の米の消費量が最大のピーク時に比べて半分になるなど、消費量は減少傾向が続いております。一方で、水田は重要な貴重な生産装置でありますので、これはフル活用したい。こういうことから、加工用米とか飼料用米といった多様な米の生産振興を図る。それから、小麦、大豆など、国産需要がありながら、まだ自給率が低い、輸入に依存している品目について、作付の拡大をする必要がある。
こういう背景で米政策の見直しを行いまして、農業者がマーケットを見ながらみずからの経営判断で作物をつくれるようにするということで、麦、大豆、飼料用米の生産振興を図ることで農地のフル活用を図って、食料自給率、自給力の向上をあわせて図っていくこととしております。
特に、生産数量目標は行政が配分を今までやってきたところでございますが、五年後を目途に、行政による生産数量目標の配分に頼らずとも、国が策定する需給見通し等を踏まえつつ、生産者や集荷業者、団体が中心となって円滑に需要に応じた生産が行える状況となるように、各般の環境整備を進めることとしております。
この五年後を目途という時期的イメージをみんなが共有して、こうした状況になるように、行政、生産者団体、現場が一体となって、毎年定着状況を見ながら、需要に応じてしっかりと進めていきたい、こういうふうに思っております。
○樋口委員 終わります。ありがとうございました。
○坂本委員長 次に、大串博志君。
○大串(博)委員 おはようございます。民主党の大串博志でございます。
きのうに引き続き、質問をさせていただきたいというふうに思います。
まず冒頭、委員長にお願いでございます。
先ほどの赤澤委員の質疑の中で、今いらっしゃいませんけれども、我が党の政策に対して、前科という言葉での表現がございました。
この委員会、政府案と野党案とを相並べて建設的な議論をしていこうということを、委員長そして与党の理事の皆様の御協力を得て行わせていただいております。しかし、一つの政策に関して前科というような言葉、しかも委員会においてということになると、なかなか円滑な議論というのも難しかろうか、支障を来すのではないかと危惧もします。
ですので、委員長におかれまして、善処、御検討をよろしくお願いします。
○坂本委員長 理事会で諮ってまいりたいと思います。
○大串(博)委員 よろしくお願い申し上げます。
まず、冒頭に意見を述べさせていただきますと、きのう私が指摘させていただきました豚流行性下痢の問題ですけれども、その後も広がりを見せているのが現状だというふうに思います。実際、私の県でも、きのうからきょうにかけてまた新しい例が、しかも、飛んだところで発生しているという状況にございます。
きのう、江藤副大臣からも知見に基づいて披瀝をしていただきましたが、非常にそのフォローは難しいところがあろうかというふうに思います。この原因、感染源を特定する等、非常に難しいのが現状じゃないかと思います。
この広がりがなかなか、気温が上がってくる中でも難しいという状況にございますので、きょう、全国会議、緊急会議を開かれるということでございますけれども、ぜひ、大臣におかれましても万端の対応を、きのうに続きましてお願い申し上げたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。
さて、質問に入らせていただきますが、私の方からは、きょうのいろいろな農政改革六法につきまして、大きな視点から少し議論させていただきたいというふうに思います。
まず、これに大きな影響を与え得る貿易自由化との関係でありますけれども、このいわゆる貿易自由化、TPPあるいは日豪EPA、きのうもいろいろな議論がございました。これが大きく関心対象として上るんですけれども、御案内のように、その双方につきまして、決議が衆議院においてございます。重要品目について、除外、再協議の対象とすること、これは、TPPにも日豪EPAにもそういう言葉が入ってございます。
事実関係を確認させていただきたいと思いますが、外務省の方にきょう来ていただいております。
これまでの貿易交渉の結果の中で、除外という結果になったもの、そして再協議という結果になったもの、これについては、関税率が全く変わらなかったという結果になったときのみ、この除外及び再協議という言葉が使われてきているという事実関係を確認したいと思います。
○正木政府参考人 お答えいたします。
まずは一般論として申し上げさせていただきたいのは、除外あるいは再協議の定義については確立しているものではございませんで、それぞれの交渉の中で決められているものでございます。ちなみに、今まで日本が締結したEPAを通じて、除外あるいは再協議という言葉の統一的な定義があるわけではございません。
その上で、例えば日本とマレーシアのEPAにおける例を申し上げれば、関税の撤廃、引き下げに関する約束などの対象から除外される区分の品目、あるいは、合意された年などに市場アクセスの条件の改善などについて改めて再交渉する区分の品目などが規定されております。
ただし、これは日本とマレーシアのEPAにおける規定ぶりでございまして、先ほど申し上げましたとおり、それぞれのEPAにおいて規定ぶりは異なり、統一的な定義があるわけではございません。
○大串(博)委員 統一的な定義を聞いているわけじゃないんです。よく質問を聞いてください。過去の実績を聞いているんです。これはレクのときにも申し上げました。
過去の貿易交渉の中で、除外、再協議となったもの、これは、その定義からすると、関税率が全く下がらない、変わらないという結果になったもののみが除外及び再協議となっているというふうに理解しますが、除外、再協議という名前がつきながら関税率が下がったといった結果になったことが過去あったのかという事実関係をお尋ねしているので、事実関係をお答えください。
○正木政府参考人 お答えいたします。
大変恐縮でございますが、除外あるいは再協議という名前の定義が確立した形で過去のEPAにあるわけではございません。
私は先ほどマレーシアの例を申し上げましたけれども、繰り返しになりますが、例えば、マレーシアとのEPAでは、関税の撤廃または引き下げ及び合意された年などの再交渉の対象から除外されるというカテゴリーがございますし、またメキシコとのEPAでは、関税の撤廃または引き下げの対象から除外されるものというカテゴリーはございますが、除外あるいは再協議ということで定義はございませんので、そういう意味で、御質問については、今申し上げた以上のお答えはできないということでございます。
○大串(博)委員 質問レクのときに同じ質問をしました。
質問レクのときの回答は、これまで、除外、再協議という言葉で、日本政府が使っている言葉をもってしてあらわした結果については、関税が下がったものは一つもないという説明でありました。私は念を押しまして、それは答弁のときもそういうふうに言いますねということを問いました。そうですということでした。さらに念を押しまして、もう一回役所に持って帰って検討してください、それで、もし答えが違うようであれば事前に言ってください、結果をこの質問の事前に教えてくださいということを申し上げておきました。その答えに際しても、自分が言ったことに関しては間違いございません、除外、再協議の過去の例で、関税が下がった例は一つもない、こういうふうな答弁になりますという答えをいただいたので、それをもとに私はきょう質問を構築し、ここに至っております。
これが崩れるとなると、国会の質問は成り立ちません。今、外務省の皆さんの答えがそごしている理由を説明してください。そうじゃなければ、私は質問を続行することができません。
○正木政府参考人 たびたび恐縮でございます。
先ほど申し上げましたことを繰り返させていただければ、除外、再協議の定義を確立したものはございませんということを申し上げました。(大串(博)委員「いや、だから、そのことを問うているんじゃないんです。なぜ違うか」と呼ぶ)はい。
それで、先ほどのレクのやりとりのことも踏まえて、今までの、例えば関税の撤廃、引き下げに関する約束等の対象から除外される区分の品目というのは、マレーシアとの間に規定もございますし、除外される区分の品目というのは協定ごとに異なります。
ただ、私どもがレクのときに御説明申し上げましたのは、今までの、そういった除外される区分の品目というふうに規定されているものの中では、関税の撤廃、引き下げ、あるいは再交渉するということ以外のものはないという趣旨で御説明したと思いますので、もし誤解があれば、大変申しわけございませんでした。
○大串(博)委員 私が聞いた答えもそういうことでございました。
除外というふうに区分されたもの、Xとかそういうふうな記号を通じて表記されるそうでございます。これは、関税が変わっていない。再協議、これは例えばR、リネゴシエーションですね、こういった区分で表記されることが多いそうです。これも、再協議ですから、関税が変わることがない。これがこれまでの過去の例だそうでございます。
それを前提に大臣にお尋ねしますけれども、大臣、昨日、前もそうですけれども、再協議、除外という我々の決議の内容に関しては院が解釈権を持つことというふうにおっしゃっていますけれども、さはさりながら、私はそれはちょっと論理的におかしいと思うんです。
というのは、大臣は、踏まえますというふうにおっしゃっています。踏まえるというふうにおっしゃっているからには、何がしかの対象物を理解した上で、何を踏まえているのか御自分で理解された上で、踏まえるというふうにおっしゃっているんだろうというふうに思います。内容に関しては院が最終的な解釈権を持つというのは、それはそうかもしれません。すなわち、政府がとった行動に対して、それが決議に合っているかどうかということを最終的に物を言うのは院の権能かもしれませんけれども、大臣の理解として、踏まえるというふうにおっしゃったとき、除外、再協議の対象とすること、これはどういうことなのかというのを確認したいと思うんです。
しかも、そのときには、今、外務省から答弁があったように、過去の例は、除外、再協議に関しては全て関税が変わっていない、こういう過去の実例があります。これを踏まえると、自然に考えれば、重要品目に関しては除外、再協議というふうに書かれている以上、それを踏まえるというふうにおっしゃっている以上、これらの品目に関しては、交渉の結果、関税が変わらないということにならないとおかしなことになるのではないかと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○林国務大臣 今、外務省と委員がやりとりをしていただいて、過去の実例はそういうことであったということでございますので、そういう事実関係も含めて、農林水産委員会でこういう決議をされておられるということが今よくわかったわけでございますし、それは我々は、当然、交渉をやる身として頭に入れておかなければいけない過去の事例だ、こういうふうに思います。
そういうもろもろのことを踏まえてこの決議ができておられるということを踏まえて、この決議全体として受けとめて、これを踏まえて交渉しなければならない、こういうふうに思っておるところでございます。
○大串(博)委員 そのとおりです。私たち院において、過去の事例なんかもしっかり踏まえながらこの決議を起案して決めてきたという経緯がございます。それを踏まえていただくとすると、この除外、再協議、過去の例をしっかり踏まえていただく必要があります。
となるとすると、今報道等々で言われております、例えば日豪EPAに関して、牛肉に関して三八・五%の関税が二〇%台に下がってしまうのではないか等々の報道もあります。交渉の中身を教えてくださいとは申し上げません。先ほど大臣が踏まえるというふうにおっしゃったことに相照らせば、牛肉に関して関税が三八・五から二〇に下がってしまうことは、除外、再協議の対象とすることを踏まえたという結論にはならないのではないかというふうに思いますけれども、大臣の御所見をお願いします。
○林国務大臣 まさに決議には、「米、小麦、牛肉、乳製品、砂糖などの農林水産物の重要品目が、除外又は再協議の対象となるよう、政府一体となって全力を挙げて交渉すること。」と明記をされております。今やりとりをしていただいたように、除外、再協議ということは、過去にそういう意味で使われていたということも事実としてあるわけでございます。
したがって、そういうことも踏まえながら、いただいた決議、この文書をきちっと踏まえてしっかりと対応していきたい、こういうふうに思っております。
○大串(博)委員 ぜひよろしくお願いします。
過去の事例はそうです。過去の事例がそうであるということを踏まえて、この決議を踏まえるというふうに今御発言がありました。であるとすると、今回の日豪EPAあるいはTPP交渉、導き出される結果はある程度見えてこざるを得ないというふうに思います。ぜひ、心してお願い申し上げたいというふうに思います。
それから、農政改革の六法に関して質問させていただきます。
これは、一度ぜひ大臣に私はお聞きしたいと思っていたんですけれども、今回の政府・与党が示された農政改革案、昨年の秋に私たちはこの委員会で議論していても、私たちでさえ、かなり唐突に出てきたなという感覚を覚えます。数週間のうちにばたばたと決まって、しかも、それが総理が言うところの四十年ぶりの減反廃止、また、これまで何十年とできなかった減反廃止をやるんだというような、高らかに宣言されるような大きなものである。とすると、なおさら唐突な政策変更であったのではないかなという気がしてなりません。
ある時期、江藤副大臣が、この委員会でしたか、どこかの委員会だったと思いますけれども、この政策変更に関しては、改革案に関しては大臣から、やろうじゃないかということで、去年の冬ごろから議論をしていたんだというような発言もされていたやに記憶しております。
大臣にお尋ねしたいと思うんですけれども、非常に唐突感を持って私たちは見ています。今回の農政改革案は、一体どういう経緯で、どういう時間をかけられて議論をされてきたんでしょうか。それとも、本当に数週間での結論だったんでしょうか。
○林国務大臣 手元の資料によりますと、江藤副大臣は昨年の春ごろというふうに言ったのではないかと思います。
いずれにしても、まず申し上げなきゃいけないのは、二十四年の十二月十六日に総選挙がございました。そこで、実は、我々のというか自民党の選挙公約に、戸別所得補償制度の見直しと、それから日本型直接支払いの創設を行う、これは、それぞれ項目を分けて明記をさせていただいております。
選挙後の平成二十五年度予算ですが、これは私もここで何度か答弁しておると思いますが、既に農業者が営農準備を始めておられるということで、現場を混乱させてはいけないということですので、戸別所得補償については、当時の体系を維持しながら、経営所得安定対策という名称にして、そして、日本型直接支払いの創設、経営所得安定対策の見直し、これは公約をしておりますので、検討に向けて調査費を計上しております。
これを踏まえて農水省として具体的な検討を進めてきたところでありまして、昨年二月以降、自民党の農業基本政策検討PTにおいて、断続的に議論がなされてきたところでございます。
○大串(博)委員 私は、その議論の過程が十分に世の中に開示されるべきだったんじゃないかというふうに思うんです。農家の皆さんに、やはり突然な猫の目農政だというふうに理解され、そして混乱を招くというのは、政策のよしあしは別として、非常に大きな問題を抱えるのではないかというふうに思いますので、やはり政策をつくる過程の問題というのは極めて実は重要ではないかというふうに思っています。
そういう観点からすると、先ほどおっしゃいましたように、選挙公約の中に、戸別所得補償の見直しと日本型直接支払いの創設は書かれていました。もし、国民にわかりやすく議論を示していくということであれば、かつ、今回のもう一つの改革であるいわゆる減反廃止と言われているところが、巷間言われているように、何十年ぶりという大改革なのであるとすれば、これもあわせて選挙公約に盛り込んだ上で、国民の皆さんに理解を得るべきぐらいの大きなものではなかったかというふうに思うんです。それがなかったがゆえに、農業の皆さんは、えっというような思いになられているのではないかというふうに私は思います。
この点に関して、減反廃止が本当に、今回、何十年ぶりの大きな政策変更だということであれば、政権公約に載せるべきではなかったかというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○林国務大臣 衆議院選挙の公約とも関連して、経営所得安定対策の見直しを書かせていただきました。これは当然、米の生産調整には大きく関連をする、こういうことでございまして、あわせて、日本型直接支払いについて、先ほど申し上げたように、二月から時間をかけて議論を進めてきたところであります。
先ほどやりとりがあったように、実質的には選択制になっていたということでございますが、公約に基づいて議論していく中で、農家みずからの経営判断により、需要に応じた生産を行える環境をさらに整えていくべきではないか、こういうことになりまして、そういう方向性で結論が出た、こういうことでございます。
実は、昨年六月に、参議院選挙の前に自民党がつくったJ―ファイル二〇一三でございますが、ここには、米に特化した戸別所得補償制度を見直すということについては書かせていただいている、こういう経緯でございます。
○大串(博)委員 ですので、戸別所得の見直し、日本型直接支払いということは、それに対する意見は別として、国民の皆さんも理解されていました。しかし、今言われているような大きな減反廃止、過去なかったような減反廃止なんだというようなことに関しては、必ずしも理解が十分ではなかったというふうに思うんですね。
だから、この点が今回、まず、これからの審議の中を通じて一つ一つの個別の政策の論点に関しても議論させていただきますけれども、しっかりした議論の足取りがなかったところは非常に残念だと私は思うんです。
というのは、次回、また質疑の機会があれば議論させていただきたいというふうに思いますけれども、例えば減反の廃止に関しては、大きな変更を平成十四年の秋に提言されています。米の政策改革大綱ということで、減反を自主的にやっていくとかそういうふうなことを打ち出されています。
そのときには、一月から議論されて、年末に結果を出されているんです。しかも、中間取りまとめをされている。そして、本取りまとめをされている。インターネット中継もされている。前回はこういったこともやられた上での改革だった。それでも、実は前回、うまくいかなかったのではないか。この辺は後で議論させていただきますけれども、そういう経緯もございます。
今回の改革が農家に受け入れられるようなものになるとすると、かなり拙速、猫の目行政ではなかったのかなというふうに思います。このことを御指摘申し上げて、さらなる議論をさせていただくということをお願い申し上げて、質疑を終わります。
ありがとうございました。
○坂本委員長 次に、鷲尾英一郎君。
○鷲尾委員 民主党の鷲尾でございます。
時間が二十分ということでございますので、早速質疑に入りたいというふうに思います。
まず、農林水産業・地域の活力創造プランにおきまして、米政策について四つの改革を進める、その中で、構造改革にそぐわない米の直払いや米価変動補填交付金を廃止することとなった。政府が考えられることですから、我々は与党でもありませんので、それはそれで仕方ないと思いますけれども、構造改革にそぐわない、構造改革に逆行しているんだという理由について、政府がどう考えているかということをコメントいただきたいと思います。
○奥原政府参考人 平成二十二年度から導入をされました戸別所得補償制度におきましては、米の生産数量目標に従った生産を行うことを条件といたしまして、全ての販売農家に対して、主食用の米の作付面積十アール当たり一万五千円を支払う、これと同時に、当年産の販売価格が標準的な販売価格を下回った場合には、その差額の分を全額国費で支払うということをやってきたわけでございます。
これらの交付金につきましては、規模の小さい方を含めて、全ての販売農家が対象ということになっておりまして、もうそろそろリタイアしようというふうに思われている方々を思いとどまらせまして、農地を人に貸さずに自分で耕作しようという方も出てくるといった意味で、農地の流動化のペースをおくらせる面があったのではないかというふうに考えております。
それから、米の直接支払交付金、例えば十ヘクタールの米を生産する農業者でありますと、生産数量目標に従って生産をしていれば百五十万円を固定部分として受け取るということになりますが、この場合、生産数量目標を守ることに専念をして、実需者のニーズに合った品質ですとか価格の米の生産がなかなか行われないですとか、あるいは取引先の方から取引数量の拡大の要請があってもなかなか応えられない、こういった意味で、需要に応じた生産が行われないといった面もあったのではないかというふうに考えております。
こういったことから、これらの交付金につきましては、構造改革にそぐわない、そういう側面があるのではないかということで、政策の変更を行ったということでございます。
○鷲尾委員 今の理由ということなんですけれども、突っ込みどころはあるんですが、それはちょっとおいておいて、せっかく赤澤先生がいい資料を持ってきていただいたので。
これは赤澤先生の資料ですけれども、おられないので残念ですけれども、全ての販売農家を対象とするのはばらまきではないかと。私は、これは後で議論したいと思いますが、何がばらまきなのと。ばらまきの定義がはっきりしないまま、ばらまきという言葉だけがひとり歩きしているのではないかと思うんです。政策の目標があるからこそ政策が行われるわけで、それが、例えば全ての販売農家等を対象とすることをもってして、何がばらまきなのかということなんです。
例えば、平成二十一年に、麻生政権でありましたけれども、国民全員に、全ての国民に一万二千円払いますよという政策があった。これはばらまきなのかといったら、当時の政権与党は政権与党で、ばらまきではないと。それはそういう政策目標が何がしかあったんでしょう。
だから、全てのというものがつくからといって、それが直ちにばらまきとなるのかというと、私は違うと思います。あくまでも政策効果をもって税金の無駄遣いかどうかというところに、その評価が本質であって、ただ言葉でばらまきといえば、それがひとり歩きして批判できるというような、安易なばらまきという使い方は、政策立案をゆがめるし、政策評価もゆがめますから、そこは与野党なり政府もよく考えなきゃいけないということをまず申し上げたいというふうに思います。
その上で、今の奥原局長の答弁だと、零細農家の農地の集約が阻害されたかどうかというのは、これは税金の無駄遣いの観点だなというふうに思いますけれども、例えば、後でまた話しますけれども、「集落営農からの脱退が発生するのではないか。」とここに書いてあるけれども、集落営農はふえているんですから、戸別所得補償で、ふえている。これは江藤副大臣もどこかで答弁していたと記憶しておりますけれども、農地の貸し剥がしがされるかというところも、調べたら、思ったより少なかったという話もどこかで答弁されていると思うんですよね。
ですから、局長の、何が構造改革に逆行するとしているのかというところについては、また後で、また後でというか、これは次回に回して突っ込もうと思いますけれども、構造改革というのは何なのか、これを政府に私は問いたいと思うんです。
構造改革とは、私がいろいろ公表されている資料をそんたくすれば、経営感覚あふれる農業経営体を育成し、農業経営体がみずからの経営判断に基づき作物を選択できる環境の整備を図るということなんでしょうか。どうでしょうか。
○奥原政府参考人 我が国農業を安定的に発展させて、国民に対する食料の安定供給を確保していくためには、効率的かつ安定的な農業経営が生産の大宗を占める農業構造を確立する必要があるというふうに考えております。これは食料・農業・農村基本法の三十一条にもそういうことが書いてございますが、これが構造改革の意味するところというふうに認識をしております。
効率的かつ安定的な経営体、すなわち担い手でありますれば、経営者マインドを持って、自分の経営判断で作物を選択したり、あるいは、六次産業化、販売、加工に取り組んだり、輸出に取り組んだりということになりますので、こうしたことによって構造改革の成果が上がって、担い手に集中をしていけば、農業の成長産業化が図られる、こういうふうに考えております。
○鷲尾委員 効率的、安定的な経営が大半を担う、これはもうちょっと確認させてください。
では、経営面積は関係ありますか。
○奥原政府参考人 基本的には、構造改革というのは、人と農地の関係だと思います。現在でも、担い手が扱っている農地の面積は全体の中の五割まで来ておりますが、これを十年間で八割に上げていくというのが今の目標でございますけれども、この人と農地の関係というのが一つの構造改革のポイントだというふうに思っております。
○鷲尾委員 必ずしも経営面積というのは関係してくるわけではなくて、あくまでも人と農地の関係だ。だから、人・農地プランをしっかりやっていただいていると思うんですね。それは明らかになりました。
では、経営感覚にあふれる農業経営体の定義とは何でしょうか。
○奥原政府参考人 明確な定義がどこかにあるということではございませんけれども、農業者が経営を発展させて所得を向上させていくということを考えますと、やはり経営者としての意識、すなわち経営者マインド、経営感覚、これを持つことが極めて重要であるというふうに考えております。
この場合の経営マインドを持つ農業経営体といいますのは、例えば、どこから資材を仕入れるか、これは、いろいろな調達先を比べて一番有利なところから仕入れる。いわゆる販売につきましても、どこに対して農産物を販売するか、いろいろ比較をしながら有利なものを選択していく。あるいは、自分たちの従業員につきまして、どのように活用するか、こういったことを常に意識しながら、経営上の工夫を繰り返していく、こういう経営体をいうものというふうに考えております。
○鷲尾委員 そういう経営体をふやすということが目標のようですけれども、では、逆に、今そういう形で経営判断されている農家さんが少ない、そういう認識なんでしょうか、大臣。
○江藤副大臣 申しわけありませんが、私の方から。きょうは、まだ何も答弁しておりませんので、初めて答弁させていただきます。
決してそういう認識ではありません。私の地元でも、バランスシートをきちっと持って経営している農家は本当に確実にふえてきています。しかし、もっと努力すればもっとよくなるなという人たちがその後ろにいることも間違いないことであります。ですから、今そういう経営感覚を持った農業経営者が本当に少ないからだめなんだと言っているんじゃなくて、確実にいらっしゃいますが、もっとこの人たちが大宗を占めるように政策的な後押しをすることがさらに必要だということを考えているわけであります。
○鷲尾委員 それを政策で支援するというのはなかなか難しいと思いますよ。
今、では、農家さんは経営判断されていないかといったら、それぞれいろいろな意味で経営判断されていると思います。政策を見て判断することもあるだろう、人間関係を見て判断することはあるだろう。それは農業を経営する上での農家さんの経営判断だと私は思うんですね。より効率的、安定的というけれども、経営判断をどうこうしようと政策で果たして本当にできるんだろうかというふうに私は思うんです。
私は、制度があれこれ変わる中で、逆に農家さんは、今経営判断がなかなかしづらくなっているんじゃないかという認識です、政策が変わるから。政策が猫の目農政のように変わって変わって変わってしまうがゆえに、それがゆえに、なかなか農家は経営判断できないんじゃないかという認識です。
先ほど手を挙げられていたので、大臣、どうぞ。
○林国務大臣 まず、猫の目農政とか、いろいろころころ変わるのでというのは、今経営判断と言われましたけれども、経営判断という議論と、先ほどから言っている、経営感覚がある人を育てていく、これは一つ別のことだと思います。経営判断が中長期的にできるように、経営判断の中に設備投資等もあると思いますが、そういうことが中長期的にできるように法制化をしようということで、今法案をお出ししてお願いをしているというのがまず一つでございます。
それから、もう少し定性的な話として、経営感覚を持った人をどれだけつくっていくか。これは、まさに委員がおっしゃるように、国が学校か何かをつくって、農業大学校というのをやっておりますけれども、そこで全部を教えてつくる、こういうものではなくて、基本的には、経営者がみずから研さんをして、いろいろな経験の中でできてくるものだ、こういうふうに思うわけでございます。
ただ、こういう方々がそういうところへ行こうとしていろいろな取り組みをされているということを国が支援する、こういう政策はあっていいと思いますし、そういうことですばらしい経営者になっていくことを加速するということは可能である、こういうふうに思っております。例えば、認定農業者に対する公庫のスーパーL資金とか、農業経営基盤強化準備金、これは税ですが、それから、ナラシ対策の経営安定のためのセーフティーネット、法人化の支援、こういうものでそういうことをやっていくということは意味があるのではないかというふうに考えております。
○鷲尾委員 大臣が冒頭おっしゃっていました経営感覚と経営判断、私は一緒だと思いますね、経営感覚がなければ経営判断はできませんから。一緒だと思いますけれども、まあ、そこの議論は別にいいです。そこの議論をしたいわけではないんです。
やはり私は、国ができる限り政策を継続していくことで、それこそ農家の皆さんは、現場にどういう政策が落ちてきているかというところを皆さんなりに考えて、農家として判断をしていくんだ、それが農家の経営判断だと思うんです。果たして、それが毎年毎年変わってしまうとか二、三年ごとに変わってしまうという状況になってしまったら、では、今後の見通しはどうするんだ。これはもう判断のしようがないじゃないかという、そういう立場に今置かれているということの方が、私はそちらの方が問題だと言っているわけです。
経営感覚あふれる農業経営体を育成するというけれども、それだったら、政策をもうちょっと現場で安定的に継続してやっていった方が、よほどそういう感覚がある経営体が育成されるんじゃないですかという問題点なんですよ。それが私の現場感覚だし、その認識を問いたいわけです、どう思われますかと。
○林国務大臣 まさに、先ほど申し上げたように、そのために今回の法制化をして、制度を安定的に、中長期的にやっていきますよということをきちっとした形で示す必要がある、こういうふうに思っております。
委員から見れば、今回は、政権交代をして、我々の公約に基づいて新しい政策をしたというふうにごらんになって、そこが変わっているではないか、こういうことになるんでございましょうが、三年前を振り返っていただければ、二十一年には、我々も平成の農地改革と銘打っていろいろなことをやって補正にも入れて、それが今度は、政権交代したので、委員たちがつくられた政策になった。こういうことは、あの政権交代に伴って、いろいろな政策を訴えて、そして政権をとったところがその政策を実現するという意味では、ある程度あり得べきことでありますので、そういうところをなるべく超えて安定的な制度をつくっていくということが一つ大事なことでありまして、法制化というのは、そういう意味ではその方向に資するもの、こういうふうに考えておるところでございます。
○鷲尾委員 今申し上げたことに御賛同いただいているんだと思います、大臣が。
ですから、簡単に言ってしまえば、現場に混乱が生じないようにと言いますけれども、それはまさしく、日本再興戦略でも、政府としても話をしておられる、さまざまなところで総理も答弁しております、経営感覚あふれる農業経営体、みずからの判断をと。みずから判断するというのは、いろいろな情報に基づいて判断するということだと思いますけれども、それはあくまでも政策の継続性があってこそ初めてなされるものなんだということはぜひ肝に銘じていただきたいし、仰々しく、経営感覚あふれる農業経営体を育成するといったって、現場の政策がこれだけ混乱しているんだから、それについていくのでやっとですよ。そんなのは現場がわかっていない議論だと私は思います。
それで、もう一度だけ確認をしていきたいんです。
我々が戸別所得補償という形で全ての販売農家を対象としたというのは、面積に限らず、やはりやる気がある農家さんもいるんだよ。そして、それこそ経営感覚あふれる農業経営体は面積に限らずいるんだぞ、そういうことが前提となっているわけでございます。
今回、政府の提出でも、ナラシ対策では、面積要件をある意味なくして、新規就農者とかそういった形で要件をかけられている。ある意味これは政策の転換だと私は思いますし、そういう意味では、今私が申し上げた、面積にこだわらずに農家を支援する、そういう意思のあらわれだと思っておりますけれども、いかがでしょうか。
○奥原政府参考人 今回の法改正案におきましては、対象者のところの面積の規模要件をなくしております。これは、市町村の認定を受けている認定農業者、あるいは新規就農者で市町村の認定を受ける方も、必ずしも面積だけではなくて、その方の経営全体をきちんと評価をして認定する、こういうことでございますので、面積だけで、数字で一律に足を切るのは適当ではないというふうに考えているということでございます。
○鷲尾委員 そうしたら、今、その方々の経営を見てということでありますけれども、認定されていなくたって、経営的にしっかりやっているぞという農家さんはいるかもしれませんけれども、どうですか。
○奥原政府参考人 それは中にはいらっしゃるかもしれませんが、認定農家になれば、要するに、市町村の認定を経営改善計画をつくって受ければ、いろいろなメリットが受けられます。本当に、日本政策公庫のスーパーL資金も受けられますし、税制の特典もございます。
そういう意味で、いろいろメリットを受けてやっていこうという方については、幅広くこの認定を受けられるものというふうに思っております。
○鷲尾委員 では、それは全て認定できますよということだと思いますので、その認定の仕方についてはよくよく考えていただきたいというふうに思います。やる気のある方が認定から阻害されるようなことがないようにということを私は申し上げたつもりであります。
それで、時間がなくなってしまったので、最後です。
自民党の平成二十二年の政策集、何か赤澤先生みたいになっちゃいますけれども、においては、戸別所得補償を一過性のばらまきと断じて、再生産可能な適正価格と安定した所得の両方につながる制度をつくるとされているわけでございます。
再生産可能な適正価格と安定した所得につながる制度をつくるということですが、それを目指す制度だということでよろしいですか。
○林国務大臣 これは、当時野党でありましたが、平成二十二年に、自民党としては、民主党政権の米に対する固定支払いについては、米価を引き下げつつ、所得を補償する制度であるという認識のもとに政策集を作成した、こういうふうに認識をしております。
その後、自民党は与党となった後、それまでの政策集等を踏まえながら、政権与党として、先ほど大串先生と御議論させていただきましたけれども、一年間かけて十分に議論を行って、それをもとにして、政府として昨年末に農林水産業・地域の活力創造プランをまとめたということでございます。
したがって、政策集をさらに議論してプランをつくって、そしてそのプランをもとにこの法案をつくった、こういう順番でございます。
○鷲尾委員 再生産可能な適正価格というのがちょっとどういうものなのかなと。安定した所得というのは、農業経営のいろいろな統計が出ていますからわかりますけれども、再生産可能な適正価格というのはどういうものを意味しているんでしょうか。
○小里大臣政務官 当時、自民党は野党であったわけでありますが、民主党の当時のビラに、例えば完全自由化、貿易自由化、完全所得補償、あるいは完全自給率の達成という言葉が躍っておりました。これが意味するところは、関税を引き下げて、一方で直払いをする、消費者負担から納税者負担に切りかえるということが根底にあったと思います。すなわち、米の固定支払いは価格値下げにつながるという認識があったはずであります。
したがって、こういう政策をやめること、そしてまた、関税でもってしっかりと米を守るということ、あるいはまた、新たなプランにおいては、地域主体で生産調整が機能することを期待しておるところでございまして、そのような意味において、再生産可能な適正価格ということを申し上げておったと思います。
○鷲尾委員 ちょっと苦しいので、また今度、質問させていただきたいと思います。答弁がちょっと苦しげに聞こえたということでございます。
以上で終わります。ありがとうございました。
○坂本委員長 次に、寺島義幸君。
○寺島委員 民主党の寺島義幸でございます。
法案議論の前に、一点だけお願いをいたします。
ことし二月の大雪で、地元は、農林業は大変大きな被害を受けたわけであります。農業生産施設や共同利用施設の倒壊、破損等、いろいろ被害が発生したんですけれども、それだけではなくて、鳥獣害対策用の侵入防止柵、これも実は被害が多かったわけであります。
特に、私の地元長野県は、野生鳥獣による農林業、要するに林業の被害が最も多い県でもあるわけであります。二十四年の被害は十二億六千万円余に及んだわけでありまして、その三割以上は実はニホンジカが原因でありました。長野県では、国の支援を受けながら、県、市町村、地域協議会がそれぞれ役割分担をして、連携して捕獲活動や侵入防止柵の設置等に取り組んでいるわけであります。
しかし、ことしの冬の大雪で侵入防止柵が破損しました。その破損したところから鹿等の野生鳥獣が自由に行き来しちゃうわけでありまして、野生鳥獣による農業、林業被害が今までより広がるおそれがあるわけであります。
一方で、積雪のため、侵入防止柵の状況把握というのはなかなか難しいわけでありまして、さはさりとて、侵入防止策の破損を確認した後では、その被害はまさに大きくなっちゃうんじゃないかなというふうに思っています。
大雪でさまざまな被害があったわけでありますが、さらに追い打ちをかけるような、野生鳥獣が農地や森林を荒らす、被災農家は二重のダメージを受けているわけであります。
地元では調査もしているわけでありますが、県が柵の破損状況等を把握しましたら、侵入防止柵の設置、補修について迅速に対応できるよう、国からも、鳥獣被害防止総合対策交付金等を初めとして、万全の支援をしていただきたいと思いますが、所見を伺います。
そして、柵の破損状況を迅速に把握するためにも、国からも支援をしていただきたいと思うわけでありますが、政府の方針をお願いいたします。
○佐藤政府参考人 寺島先生の御質問にお答えいたします。
今先生御指摘いただきましたように、今回の豪雪によりまして、野生鳥獣による被害の防止のために設置した侵入防止柵が破損しているといった地域があることにつきましては、県からの報告、また、当方も被災県に職員を派遣しまして現地を調査しておりまして、そのような報告を受けているところでございます。
破損した侵入防止柵の復旧でございますが、やはり、破損状況の把握も含めまして、地域の実情に応じてきめ細かく対応していく必要があるんじゃないかというふうに考えております。
例えば、被災の程度が比較的小規模で、市町村みずからが対応するような場合には、鳥獣被害防止特別措置法に基づきます特別交付税の手当てが可能でございます。
また、県として基金を取り崩してすぐに対応するといったような場合には、平成二十四年度の補正予算で百二十九億円の基金がございまして、これを活用しました鳥獣被害防止緊急捕獲等対策による対応といったものが可能かというふうに考えております。
さらに、被災の程度が比較的大規模である場合には、先ほど先生から御指摘ございました、鳥獣被害防止総合対策交付金ということで、二十六年度の予算は九十五億円と相なっておりますが、この活用によって復旧を図っていくことができることになっておりますが、いろいろとまた県の方ともよく連絡をとりながら、しっかり対応していきたい、このように考えているところでございます。
○寺島委員 ぜひよろしくお願いいたします。
それでは、先週の二十七日も本会議で質問させていただいたわけでありますが、閣法については、総理、農林大臣よりそれぞれ御答弁をいただきましたが、何分私は余り能力がないものですから、大変よくわからなかったというか、わかりにくかったという実感があるわけでございます。繰り返しになるかもしれませんけれども、確認を含め、お聞きをしますので、明確なお答えをお願いいたします。
生産調整制度、いわゆる減反制度の見直しは、戦後農政の大改革であるかのように報じられたわけであります。
安倍総理は、一月二十四日の衆参本会議における施政方針演説で、「四十年以上続いてきた米の生産調整を見直します。いわゆる減反を廃止します。」と述べられました。その後、三月二十日の記者会見においても、総理は減反政策の見直しに触れ、強い農業をつくっていくための一方策のように語られたわけであります。
しかし、農林水産業・地域の活力創造プランの内容を見ますと、減反については、定着状況を見ながら、五年後を目途に、行政による生産数量目標の配分によらずとも、国が策定する需給見通し等を踏まえつつ、生産者や集荷業者、団体が中心となって円滑に需要に応じた生産が行える状況になるよう、行政、生産者団体、現場が一体となって取り組むとされているわけであります。これも極めてわかりづらい部分があるわけであります。
本会議においても、減反は廃止なのか、継続なのか、五年後にそもそも何がなされるのか、明確な答弁を求めたところでありますが、これに対する総理の答弁は、これまで、行政が配分する米の生産数量目標に従って農業者が作物をつくっていたものを、五年後を目途に、農業者がマーケットを見ながらみずからの経営判断で作物をつくれるようにするとともに、需要のある麦、大豆、飼料用米等の生産振興を図ることを内容とする、米の生産調整の見直しを行うこととしているというものでありました。
また、総理は続けて、施政方針演説などにおいて、こうした施策の内容を一般の方々が理解しやすいよう、いわゆる減反の廃止と述べたと答弁されまして、ここでまた、結局のところ、よくわからなくなっちゃったということであります。
総理が、いわゆるとしつつも、減反の廃止と言ったことによって、かつて新聞報道等で減反廃止の見直しの記事が躍り、一般の方々が理解しやすいというよりは、むしろ生産現場の不安をあおったのではないかというふうに思うわけです。
それを説明し直す形で、総理は先ほど紹介したような答弁をされ、農水大臣からは、国による、きめ細かな需給・価格情報、販売進捗、在庫情報等の提供等を行うことによって、行政による生産数量目標の配分に頼らずとも、農業者みずからの経営判断によって、需要に応じた生産を行える環境をさらに整えていくとしていると答弁をされましたが、これもちょっとよくわからないような実感を持ったわけであります。
そこで、五年後にどのような姿を目指しているかということなんですね。私ども地元に帰りますと、減反と七千五百円になっちゃうのかいという話ばかりでして、実はまだ農地バンクまでは説明がいかないんですね。話が、減反はどうなるんだ、どうするんだ、私自身も説明がなかなかできにくいわけであります。
そこで、もう一度大臣にわかりやすく、五年後はどのような姿でどうするのかということをお話しいただきたいと思います。
○林国務大臣 先ほどどなたかのときに申し上げましたように、まず、やはり主食用の米の消費が減ってきているということで、それをどうするかということで、狭い意味での減反というのをやっていたときは、実際につくるなということで、つくったのを倒したり、まさに面積を減らすということをやっておりましたが、その後、水田をフル活用しようということで、なるべく水田はつくって、主食用の米は需要が減りますから、ほかのものを植えましょうね、これをやって、先ほど大串先生かどなたかのときに、民主党のときに、今度は、ペナルティーはなくして一万五千円を配ります、もらう人はこれに従ってください、事実上それが続いていた。
したがって、生産数量の目標を国が決めてそれを配分する。だんだん生産数量目標は減っていきます。これがあると、実は、もう売り先が決まっているような方、自分のところはもう契約して売り先は決まっているという人が、例えば売り先の方から、では、せっかくだから、五年間契約してくれというふうに言われたとしても、そう言われた農家がどういう状況に置かれるかというと、来年同じ量の目標が配分されるかどうかわからないわけですね。したがって、五年間、せっかくのお申し出ですけれども、一万五千円をやめてそちらへ行くか、そういうことになる。
今度我々がこういうことを考えましたのは、なるべく水田は売れるものをいろいろな形で、餌米や米粉用米や麦、大豆も含めてフル活用していただきたい。ただ、米は残念ながら消費が減っていきますので、そこを数量目標を毎年毎年減らしていきながら配分するというよりは、もう少し、需要のある方は、もう五年間、水田を、売り先に基づいた需要があるわけですから、米をつくっていいですよ、そういうところは個々の判断に委ねられるようにしよう、これが大きな肝のところであります。
生産数量目標の配分をしてしまいますと、一律にそれがかかっていってしまう、こういうことが起きてしまうということもありまして、いろいろな条件を整備しながら、水田活用の直接支払交付金を充実するとか産地交付金を充実しながら、どれを使って自分の生産装置である水田をフル活用するのかということは、みずからお考えになっていただけるような仕組み、それは来年からぽんとやれといっても難しいわけでございますので、五年後にそうなるようにしましょうということで、それまで、毎年施策の中で、きちっと団体等も我々も一緒になってやっていこうと。
したがって、今度は目標の配分はなくなりますけれども、では、国は何もしないのかといえばそうではなくて、こういう需要、こういう価格状況がありますという情報は出します。実はこれは野菜ではやっていることでございまして、そういうイメージで御説明していただくと、よりわかりやすいのではないかな、こういうふうに思いますし、またそういうことを資料にした、ポンチ絵等も入ったものもございますので御活用いただければ、こういうふうに思います。
○寺島委員 農林水産省のホームページを見ますと、平成二十五年産米相対取引価格・数量、契約・販売状況、民間在庫の推移等について公表されています。内容は、品種銘柄別の相対取引価格、数量や産地別契約・販売状況、民間在庫の推移を出荷段階、販売段階でそれぞれ地域別に見たものとなっています。
これが、生産者や集荷業者、団体が主体的な経営判断に基づいて、需要に応じた米生産ができるようにするために政府が提供するという、よりきめ細かな情報だというのがちょっと疑問なんですね。この情報に基づいて生産者がみずから生産量を判断するというふうに言われているわけですが、あのホームページを見る限り、農家の皆さん、大丈夫かいなという率直な思いがするわけであります。
そこで、生産者がみずから生産を判断するという、ホームページのようなことでできるんでしょうかということが一点。そして、政府の説明では、定着状況を見ながらとの文言が使われていますけれども、では、定着状況を見た上で生産調整の見直しを実施しないという可能性もあるのか、お伺いいたします。
○佐藤政府参考人 寺島先生からの御質問でございますが、まず、情報提供の関係でございます。
先生御指摘のように、去る三月二十八日に、新しい情報提供といったことをさせていただいております。これまで農林省でも、毎年、全国ベースの米の需給見通しを公表するとともに、毎月、主たる銘柄の相対取引価格や、あるいは全国レベルの在庫量といったものを公表してきたところでございます。
先ほど大臣の方からありましたように、今後、経営者が判断に基づいて経営を行っていくといったときに、やはり情報といったものが非常に大事でございますので、できるだけきめ細かにやろうということで、三月二十八日が手始めになりましたが、まず、相対取引価格の公表銘柄数、これは四十四銘柄でございましたが、これを九十四銘柄ということにいたしました。さらに、先ほど申しました、どうしても全国ベースになっておりましたが、県産別あるいは銘柄別の契約、販売の進捗状況、そして収穫前に契約される県産別の事前契約数量、あるいは県産別の出荷業者、卸業者段階の在庫状況といったようなことで、情報内容というものを大幅に拡充して公表したところでございます。今後、毎月、この情報といったものを更新していくというふうに考えているところでございます。
これが現場の皆さんに、まだやったばかりでございますので、浸透はまだまだ不十分だと思いますので、しっかり浸透していくように努めていきたいというふうに考えているところでございます。
こうしたことによりまして、できるだけ生産者の皆さんが、自分のつくっている米の売れ行きがいいのか悪いのかといったようなことで、二十六年産米の作付はどうしていこうかといったような判断が可能となっていくというふうに考えておりまして、こうした環境整備をしっかりやっていきたいというふうに考えているところでございます。
○寺島委員 大臣、ちょっと確認をさせていただきたいんですが、政府によって数量を配分するということはやめる。したがって、今までのような減反政策はやめる。そのかわり、水田フル活用ということで、飼料米だとか加工米だとかをつくっていただくことを強力に誘導することによって、主食用米をある程度調整していくんだという理解でよろしいんですか。
○林国務大臣 誘導するというよりも、餌米は何と競争するか、これはトウモロコシと競争するということになりますので、やはりそれなりの、間を埋めるようなことをやらないと選択肢がなかなか成り立ちにくいということで、これをやってまいりましたが、今回も、今までやってきた八万円をプラス・マイナス二・五、こういうことで、数量払いも入れて団地化を促進しようというようなことも念頭に置いているわけです。
そういうことをすることによって、今説明があったように、価格を細かく見ていただくことになります。したがって、例えば、中小企業とか工場をやっていらっしゃる方も、いろいろな市況を見ながら、仕入れをどうするか、生産をどうするか。これが、先ほど鷲尾委員とやったような経営ということだと思いますので、そういう経営感覚をさらに持ってもらって、将来の需給を見ながら、水田は自分のいわば工場でございます、したがって、自分が持っている生産のうちのどの部分を主食用に回して、どの部分を餌米に回してということをやったら、トータルとしての自分のアウトプット、すなわち売り上げが最大化されるか、こういうことを考えていただく、こういうことが基本的にあるわけでございます。
政府として、こちらですよ、こういうことを言ってしまうと、それはある意味では、生産数量目標の配分をするということと変わらなくなってしまいますので、政府が一元的に数量目標を決めるということから、それぞれがいろいろな御事情があると思うんですね、先ほど言ったような大手等と複数年の取引をやるような方もいらっしゃるしということでございますので、そういうことがやれることによって、結果として、皆さんが需要を見ながら生産をするということで、需給のバランスがとれていくということを五年間でやっていこう、基本的にはそういう考え方でございます。
○寺島委員 ということは、いわゆる、私がいわゆると言ってはいけないんだけれども、今までのような生産調整はやめるというふうに捉えてよろしいわけですよね。そこだけを。
○林国務大臣 したがって、生産数量目標を配分して、それに従う方に一万五千円が配られていたということが、一万五千が半減して、なくなるということと、生産数量目標の配分がなくなるということで、生産調整という言葉のある意味では定義のような話ですけれども、全く何もしないというふうにとられると何だか放任みたいになってしまいますので、情報は提供しますけれども、肝である生産数量の目標、これぐらいしかつくれませんよという意味での生産数量の目標の配分はやめましょう、こういうことであります。
○寺島委員 また議論をさせていただきます。
そして、大変失礼ですが、次の質問を時間の都合でカットさせていただきますので、配慮のほどをよろしくお願いします。
日本型直接支払いの概念についてであります。
平成十九年度から、土地利用型農業の担い手を対象とした水田・畑作経営所得安定対策、つまり品目横断的経営安定対策が導入されたわけであります。その際、農林水産省は、同対策のうち、緑の政策、黄の政策ということで組み合わせて、生産条件不利補正対策を、当時、日本型直接支払いと銘打っていましたが、このとおりの理解でよろしいでしょうか。
○奥原政府参考人 平成十九年度から、担い手経営安定法に基づきまして、当時は品目横断的な経営安定対策というふうに言っておりましたが、その一部として、この生産条件格差是正対策、いわゆるゲタ対策を実施しております。
この中身は、補助金に関しますWTOのルールを参考にしながら、過去の生産実績に基づく面積の支払いを基本にしておりました。ですが、これを七割にした上で、日本の場合には麦、大豆の自給率が低いということがございますので、これの生産を拡大することも重要な課題ということで、生産量に応じた成績払い、これを三割組み合わせていたところでございます。
このように、ゲタ対策につきましては、我が国農業の実情に応じた工夫を行っておりましたので、当時、このことを日本型の直接支払いという言葉で説明を行っていたのは事実でございます。
○寺島委員 そうですね。
ところで、政府提出の農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案には日本型直接支払いの文言はないわけでありますが、二十六年予算の資料、政策パンフレットとかがありまして、「新たな農業・農村政策が始まります!!」等がありまして、農業の有する多面的機能の維持、発揮を図るための政策として、「日本型直接支払」という文言が用いられています。
このように、同じ日本型直接支払いとの文言が使われているんですが、産業政策である経営所得安定対策と地域政策である本支払制度は、その目的、内容において大きく異なるものでありましょう。異なる政策の別称として同じ文言を使用した意図というか理由について、もう一度、大臣からお聞きをしたいと思います。
○林国務大臣 過去の経緯は今説明があったとおりでありますが、この品目横断的経営安定対策の方は、その後、事情が変化しまして、制度設計をたびたびしてきたということで、きょう現在では、日本型直接支払いという呼称を使っておらないところであります。
一方で、今度新しくつくる制度でございますが、地域的まとまりを持った共同活動に対して支援するという、いわば我が国の水田農業に非常に固有の事情を踏まえたものであることに着目して、日本型の直接支払制度というふうに命名をして、今回はこの新しい制度を日本型直接支払制度ということでやっていこうということにしたところでございます。
○寺島委員 そこで、議員提出法案の提出者にも伺いたいというふうに思います。
先ほどの議論を聞かれていて、政府・与党案の日本型直接支払制度について、感想も含め、どのようにお考えになっておられるのか、お伺いいたします。
○鷲尾議員 今大臣からも御答弁がありましたけれども、政権交代時の政策変更にかかわらず、さまざまな政策変更があったというところの中で、今般の日本型直接支払いですけれども、民主党政権で実施していた戸別所得補償制度、現在の経営所得安定対策を縮減、将来的に廃止する中で、農家の所得が減少することに対応して導入するという形で答えられてきたものだと認識しております。
既に、今お答えがあったとおりでございますけれども、直接支払うという形で所得代替の機能を持っているかというと、持っておらないのではないか、我々はそういう認識でございまして、そういう意味では、将来の農家の経営の見通しの面では大変不十分だという認識でおります。
以上です。
○寺島委員 次に、先日の本会議に続いて、本日も政府の農政改革について質問させていただきますけれども、やはり何度聞いてもよくわからないという部分も、私の能力もあるんですが、あるわけでございます。
私は、政策というのはシンプル・イズ・ベストであり、それが一番だというふうに思っています。農業者にわかりやすく、将来を見通せる政策こそが必要とされているというふうに思っています。
地元でいろいろと懇談をしていますと、よくわからない、一体どうなんだ、おまえ、ちゃんと説明しろ、こういうふうに言われるんですけれども、やはり今、先ほども申し上げたように、減反だとか、一万五千円はどうなっちゃうんだとかという、直接農家にかかわることというのは関心がありまして、そういうことがどうしても話題になる。だから、結局、農家の皆様にわかりやすく政策を出してあげるということがやはり大事なのかなと日ごろ思っている一人であります。
そんなような意味において、民主党政権時代に導入された、四年間にわたり安定的に実施されてきた農業者の戸別所得補償制度を恒久化するこのたびの農業者戸別所得補償法案、これを成立させることが一番いい選択だというふうに考えています。
また、先日、我々が提出いたしました、いわゆるふるさと維持支払い三法案についても、現行制度を恒久化することとともに、より農業者にとって活用しやすく、わかりやすい仕組みとしているところでもあろうというふうに考えています。
そこで、提出者の方にお伺いをいたします。
全ての販売農家を交付対象とすることで、戸別所得補償の導入によって過剰作付はどの程度減ったのかなど、実績も踏まえて基本的な考え方をお示しいただきたいというふうに思います。
そして、固定払いは米の増産に対する支援策なのか、それとも水田という生産装置を維持するための支援策なのか、その目的を明らかにしていただきたいと思います。
三つ目として、収入保険制度ということをうたっておられますが、どのような制度を考えられているのか、アイデア等を伺いたいと思います。
あわせて、このたびの法案の特徴、政府案とも比較してすぐれているんだ、こういう点についてわかりやすく説明をお願いいたします。
○鷲尾議員 最初の二つの問いは、私からお答えをさせていただきたいと思います。
先ほど私からも政府に対して質問させていただいた中で話をしたところでございますけれども、戸別所得補償制度が導入されましてから、集落営農数は増加傾向にございます。具体的には、政権交代前の平成二十年の約一万三千から千七百程度増加しております。
これは、制度の中に、交付対象面積について、主食用米の作付面積から自家消費相当分として一律十アールを控除する算定方法ということも一因としてあるのじゃないか。ですから、集落営農が非常に取り組みやすいということで、これもふえました。ですから、集落営農から離れまして農地集積が阻害されたという一般的な批判もございますけれども、我々は、そういう批判は当たらないという認識でございます。
米の過剰作付面積も、平成二十年には五・四万ヘクタールでしたけれども、平成二十三年には二・二万ヘクタールまで減少いたしております。
ですから、規模を条件としない戸別所得補償制度の導入で、経営体の規模の集約化、需給に応じた生産が可能になったものと考えているところでございます。
また、固定払いにつきまして御質問がありましたけれども、戸別所得補償制度の目的につきましては、標準的な生産費用と標準的な販売価格との差額のコスト割れ部分を補償するということでございまして、再生産可能な農家の所得を直接補償する。もって農業経営の安定を図りまして、あわせて多面的機能の維持を図るという認識でございます。
以上です。
○玉木議員 収入保険制度についてお尋ねがありましたけれども、法律の附則に、施行後三年をめどに検討を加えて、必要な法制上の措置を講ずるということを書いております。
保険制度の設計には大きく三つあると思っています。一つは、いわゆる価格の変化に着目して、それをならしていこうという一つの考え方。例えば、指定野菜の価格の安定制度はこれだと思います。もう一つは、今の農業共済がそうでありますけれども、収量、つまりクオンティティーの変化に着目して、それをならしていこうというのが一つ。もう一つは、これをぜひやりたいと思うのは、いわゆるPQ保険と言われる、プライスとクオンティティーを掛け合わせた所得に着目をして、それが安定的に推移するように、生産者の拠出を求めながら、また国の関与も適切に講じながら行っていく。こういった収入保険を講じていきたい、検討していきたいと考えております。
○寺島委員 時間ですので、以上です。ありがとうございました。
○坂本委員長 次に、玉木雄一郎君。
○玉木委員 民主党の玉木雄一郎です。よろしくお願いいたします。
時間が短いので、早速、まず農地バンクについてお伺いしたいと思います。
各県でそれぞれ設立に向けて立ち上がっていっていると思いますけれども、この設立準備状況についてお伺いしたいと思います。
その中で、特に賃料の設定です。これは、私はこの委員会でも何度も申し上げましたけれども、まず、予算上、現行、全国平均で反当たりどれぐらいの賃料をイメージしているのか。加えて、今既に設定されている、幾つかもう走り出しているものの中で、では、そういった想定したものに比べて、どれぐらいの賃料を設定して動き始めようとしているのか。まず、この点を教えてください。
○奥原政府参考人 農地中間管理機構の関係でございます。
昨年の臨時国会で法律をつくっていただきまして、この三月一日から施行されているところでございます。
機構につきましては、これまでも、都道府県とは相当濃密な意見交換を昨年からしてきておりまして、各県とも前向きに取り組んでいただいております。
その結果として、本日までに機構が立ち上がった県は、都道府県の数で三十九ございます。残りの県につきましても、速やかに立ち上げるようにお願いをしているところでございます。
それから、賃料の関係でございますけれども、賃料の水準につきましては、基本的に各県の機構の事業規程の中で決められるということになります。
各県、機構を指定するときにこの規程もつくっていただいておりますが、これは順次見せていただいておりますけれども、基本的には、一律に幾らということではなくて、その地域における同程度の整備状況の農地と同程度の水準で借りたり貸したりする、これが基本的なルールとして書かれております。
ただ一方で、地域の相場がありましても、個々のケースにおいて、既に担い手の方に相当低い賃料で貸しているような実態もございますので、そういう場合に機構が高い賃料で借りれば、ある意味、貸し剥がしが起こるということもございますので、そういうときは実態の賃料に応じて設定をするということも多くの県のルールの中に書いてございます。
○玉木委員 予算上想定される、積算するときの賃料はどれぐらいで設定されていますか。
○奥原政府参考人 これは予算上でございますから、各県に予算を配分するための前提として積算している数字でございますが、これですと、十アール当たり一万五千円程度でございます。
○玉木委員 私は、一万五千円は相当高いなと思います。
はっきり言って、うちの地元もそうなんですけれども、ある意味、農地は受け手市場ですよ。うちもそうなんですけれども、前にも申し上げましたが、賃料をもらって農地を出すというよりも、お歳暮とお中元にビールを持っていって、耕してください、お願いしますといって、むしろ出し手の方が何らかの負担をして受けていただいているという実態もあります。
ですから、そういったものもある。あと、ゼロ賃料の場合もあります。こういう中に、今おっしゃったような一万五千円で賃料設定なんかになると、当然、剥がしてしまうようなことも起こるので、局長がおっしゃったような、やはり地域の現状をよく踏まえて、ここは重々注意をしていただきたいということであります。
もう一つ、受けるものと出すものがありますけれども、いわゆる中間管理機構という名前にあるように、一定期間滞留する、中間管理をすることになると思うんですが、余り長く持っていると、出ていかないし、非常に管理費ばかりかかってしまうということになるんです。
今設定されているルール、三十九でもう始まっているということなんですが、大体何年ぐらいは中間で持っていいというように定めているのか、具体例があれば教えていただければと思います。
○奥原政府参考人 農地の中間管理機構につきましては、農地の滞留をできるだけ防止するということも必要でございまして、この法律の第二十条というところでは、機構が農地を借りた後、相当の期間が経過しても受け手が見つからないときには賃貸借契約を解除するという規定が書かれております。
法律はあくまで相当の期間という書き方でございますけれども、この期間を具体的にどうするかは、これも先ほどと同じでございますが、各県の機構の事業規程の中で決めるということになります。
現在まで都道府県から報告を受けている事業規程を見てみますと、この相当の期間としては、一年から三年程度を決めているところが多いという感じでございます。一番多いのは二年でございまして、一部に一年なり三年を決めている県もある、こういう状況でございます。
○玉木委員 一年から二年というのは、私も適当だなと思います。その点についても、それぞれ、必ずしも全国一律で二年とか一年と決める必要はないと思うんですが、余り長くならないように、そこはよく見て、むしろ、受け手に速やかに渡るような、そういうインセンティブが働くような仕組みにぜひなるようにお願いしたいというふうに思います。
続きまして、先ほど鷲尾委員の方からも質問がありましたけれども、このパンフレットの中でちょっと気になる点があります。
これは、新たな農業、農村政策が始まりますということで、私もこれで地域で説明して回っていますけれども、この中のQアンドAの、米の直接支払交付金はなぜ削減、廃止するんでしょうかというところの中に、交付金を受け取ることで、安定的な販路を切り開いて経営を発展させる道を閉ざしてしまっているということ、また、農業者の高齢化により進みつつある農地の流動化のペースをおくらせる面があることということを書いています。
先ほど、いみじくも局長がお答えになったように、高齢になって農地を手放そうとしたのに、お金が入ってくるので、では、自分でやろうかといって、頑張ってやることによって、本来ならやっちゃいけない、もっと担い手に預けなきゃいけない高齢者がそこでお金をもらうばかりに頑張ってやってしまう、よってもって流動化が阻害される、こういうお答えあるいはこのQアンドAだと思いますけれども、私は、これはちょっとどうかなと思うんですね。まず、そもそもそんな実態がどれだけあるのかということと、私は、高齢者の人が豊かな生産装置たる水田を維持しようと思って頑張ることは、それはマイナスではないというふうに思います。
伺いたいのは、こういうことが一体どれぐらいのケース、どれぐらいの頻度であるのかといった具体的な数字はございますか。
○林国務大臣 まず、政策の立て方として、一万五千円を支給して、本来ならば、それがなければリタイアを決断していたような方が持続するということと、それから、これを例えば農地中間管理機構等にかえていくことによって、本来、そろそろリタイアしようかなという方がリタイアをされて、そして耕作放棄地になってしまう手前のところで、しっかりとやる気のあるところへ集積していく、この比較だと思います。
したがって、農地をフル活用してなるべく農地を守っていくという意味では、手段は違っても同じ目的だということかもしれませんが、一方で、先ほど来局長からも答弁をしておりますように、生産数量目標さえ守っていれば、例えば十ヘクタールで百五十万円ということになりますと、実需者のニーズに合った品質、価格の米生産をやるとか、それから、取引数量の拡大の要請、先ほどちょっと寺島委員のときに申し上げましたけれども、そういうこと等に尻込みするというような、需要に応じた生産が行われない状況になりがちであった、こういうことであります。これは、食料・農業・農村政策審議会で、関係者から、所得補償制度のもとで、外食産業等の使いやすい米が供給されにくいという御発言も実際にあったところでございます。
それから、流動化についても、実は、農地の権利移動面積の推移というのがございます。それで、担い手経営安定法に基づく経営安定対策を導入した平成十九年は権利移動面積が十三万ヘクタールほどございましたが、この交付金を入れた平成二十二年は九万ヘクタールというふうになっております。
そういう意味で、先ほどの記述につながっている、こういうことでございます。
〔委員長退席、齋藤(健)委員長代理着席〕
○玉木委員 理論的、理念的にはいろいろなことが考えられると思うんですけれども、実際、私も地元で結構いろいろな農家と話もしますし、うちの周りも高齢者が多いんですけれども、所得補償が入ったからといって、では、それを目指して、本来なら出すべきものをやめて自分でやり始めたという例は、少なくとも私は余り聞いたことがありません。
ですから、もしそれが本当に、実際にそうであれば、私は、やはり事実に基づいて政策を進めていかなければいけないと思うし、先ほどいみじくも、予算上、農地中間管理機構の賃料支払いは反当たり一万五千円ですね。ある種、偶然の一致ですけれども、戸別所得補償の岩盤部分、つまり固定払いも反当たり一万五千円。耕して一万五千円をもらうよりも、耕さないで一万五千円をもらうこと、そちらに誘導をかけていくという政策は、確かにそれは、特定の流動化を進めていく、担い手に集約を促していくことかもしれませんけれども、我々は、この岩盤部分に、必ずしも構造改革あるいは産業政策の側面だけではなくて、水田を水田として維持する機能をこの一万五千円の中に見ています。ですから、仮に小さくても、そこで営農を継続する、放棄をしないということによって、水田が水田として維持されることで果たされる、まさに多面的機能があるんだろうというふうに思っております。
その点については、何か構造改革の阻害要因、マイナス要因、ましてや高齢者が行っている小規模な農業を蔑視するような印象を与えることは、与野党を超えて、農政にかかわっている我々は、そういうメッセージの発信はやはり控えるべきではないか。慎重に、言葉も選び、発表する。そういった印象もコントロールしていかなければいけないのかなというふうに思っております。
そういう意味で、大臣にあわせてお伺いしたいのは、いわゆる構造改革を進めていって、今度、岩盤部分が半分になります。七千五百円ですけれども、五年後には廃止です。こういった政策をなくしたときに、では、一体どれぐらいの面積になれば米農家としてペイしていくのか。
今、地元に帰って一番聞かれるのは、玉木さん、では、何をつくったらいいの、どれぐらい面積を集めれば我々はやっていけるんだということを一番聞かれるんです。四つの大きな政策の柱が出てくるので、それはもちろん利用してください、そういう話も私もしますけれども、米農家に関して言うと、一体どれぐらいの面積を集めればペイしていけるのか。
ここは、今米農家としてやっている方々に明確なメッセージを出す、至るべき目標としての面的集積の目標は示すべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○林国務大臣 まず、先ほど農地中間管理機構の地代一万五千円の話がありましたが、あれは局長が答弁しましたように予算上の積算根拠でありまして、実際の運営では、それをやみくもに配りなさいということではなくて、付近の事情を反映して、割高にならないようにきちっとやるということがまず一点でございます。
それから、玉木委員も、静かな構造改革、よくこういうふうに称しておられます。
高齢者の方が小さいところを頑張ってやろうというのを阻害する、我々もそういうことは全く考えておりませんが、本来ならばもうリタイアしようと思っていらっしゃる方が、これがあるがためにもう少しやるというところを、水田をきちっと維持しようと。
それから、この方々が例えばリースアウトして担い手に集積されたときに、実は、多面的機能支払いというものは集落に払われます。それは何に対して払われるかというと、草刈りをしたり水路の補修をしたり、こういういろいろな共同活動に対して支払われるということになりますから、御案内のように、平均で四割、五割は個人にも配分されておられるわけです。これは、使い方は集落に任せてあります。そういうことをすることによって、一緒になってそういう作業をやりながら担い手を応援していこうという集落のあり方もあるのではないかなと我々は思っております。
静かな構造改革で一万五千円をもらったとしても、その小規模の高齢者の方はいつかは、永遠にやり続けるわけにはいかないわけでございますので、やはり中長期的な構造改革ということを考えますと、多面的機能は多面的機能でしっかりお支払いして、そして水田は、一万五千円の今の交付金は主食用の米だけでございます。したがって、需要がどんどんふえていくときなら、あるいはあり得るかもしれませんが、残念ながら、トレンドとして、やはり八万トンぐらいは今から減っていくだろうという中で、主食用の米の需要は減るけれども、水田をフル活用するためにどうするかということで今の我々の体系ができているということを申し上げておきたいと思います。
済みません。ちょっと長くなってしまいましたが、面積でございます。
静かな構造改革で玉木委員御自身もおっしゃっておられるように、当然、作付規模が大きくなるに従って米の生産コストは低下するわけでございますので、二十四年産をベースにしますと、二ヘクタール以上の階層で収益が出てきまして、五ヘクタール以上の階層ですと、六十キログラム当たり三千円程度の収益が生じております。
単収差を考慮して計算しますと、五ヘクタール以上の階層の収益は、十ヘクタールで二百六十五万円程度、二十ヘクタールで五百三十万円程度、こういうふうになっておりますが、これはあくまで平均値でございますので、個々の経営体の収益というのは、どんなものと複合経営するか、それから六次産業をどういうふうにやっていくか、経営内容によって異なっておるということは申し上げておきたいと思います。
○玉木委員 資料の一をちょっと見ていただきたい。何度もこの委員会でも出していますけれども、今の一万五千円を払うと、ここでいうと、二ヘクタール以上の農家では利潤が出る形になっているんですが、これを半額にしますと、この黒の線まで下がってくるので、理論上、五ヘクタール以上でも利潤が消えてしまうということになっていて、もっと集積を進めなきゃいけなくなるというふうに思うんですね。
ですから、私が聞きたかったのは、全部なくしてしまったときに、五年後の姿のときに、五年間のある種猶予があるとしたら、この五年間でどこまでの面積を集積しておかないと利潤が出る姿にならないのか、その点をちょっと改めてお答えいただきたいんです。
○林国務大臣 お配りいただいたものは二十二年度のベースで、私が先ほどお話ししたのは二十四年産のベースでございます。
よく玉木委員に叱られるんですが、試算のシミュレーションに集落に配られる多面的機能を入れるのはおかしいじゃないか、こういうことでございます。
先ほど申し上げましたように、その分、農家が別途やっていることが引かれたり、それから、先ほど四割、五割と申し上げましたが、所得が分配をされておられますので、今度は、この一の図でいいますと、この下にあれが入るということもあるわけでございます。
したがって、先ほど申し上げたような、二ヘクタール以上の階層では収益が生じていく。これは、販売価格から経営費と家族労働を減じたもので計算をしておりますが、先ほど申し上げたような数字になる、こういうことでございます。
○玉木委員 大臣、ここはちょっと明確に、例えば、十年間で二十ヘクタール以上じゃないと、米専業でやるんだったらもうできませんよとか、あるいは八十ヘクタール以上にしないとだめですよとか、私は、ある程度これは示すべきだと思うんです。岩盤部分をなくしていくという計画が立っているわけであります。ですから、ここはもう少し、ぜひ具体的にお示しをすべきだと思います。
例えば、今一万六千円ぐらいかかっている生産コストを十年間で四割削減というのを出しておられますね。単純計算すると、九千六百円です。ですから、九千六百円でつくれるぐらいコストを下げないといけませんよというメッセージは一部いただいておりますけれども、販売価格との関係の中で、どれぐらいの面積で集約し、生産性の向上をしておかないと、米農家としてはやっていけませんよというような姿は、私はこれはシミュレーションで出すのが誠実な姿ではないかなというふうに思っております。
大臣、あわせてお伺いしたいのは、今回、米の固定払いが半額になりますから、あるいは五年後にはなくなりますので、この分はやはり減収になりますね。これを一体どれぐらい新たな政策で補えるのか。百減るけれども、八割、九割は戻るのか。百減ったうちの五割ぐらいは新たな政策で戻ってきて、残りの半分ぐらいは六次化とか新たな取り組みで埋めてくださいということなのか。減収分に対して、新しい政策はどの程度補填あるいはそれを補う効果があるのか、その点をあわせてお答えいただけますか。
○林国務大臣 まさにこれが、先ほどちょっと申し上げたシミュレーションは、いろいろな地域別、どういうことをやられるかという典型的な例を挙げて、申し上げるように、個別の農家はいろいろなことをやっておられますので、あくまでモデルということでございますが、シミュレーションはやっております。
ここは玉木委員とは考え方が違うかもしれませんが、我々は農地維持向上支払いをやるということですから、お示しいただいた一の上か下か、どこかにそれは乗っかる、こういうことなんです。
全国平均の耕地面積三十四ヘクタールの集落をモデルとして、営農活動からの所得と地域活動への支援の総額の変化について、農家の皆さんが飼料用米に取り組んだり不作付地を解消するなどの努力をするという一定の前提、全部注記で書いておりますが、これをもとに試算を行ったということで、集落全体の合計額が、八百八十八万一千円であったものが、見直し後は一千一万一千円ということで一三%増、これが我々がやったシミュレーションのものでございます。
あえて非農家も含めた地域の共同組織に交付される日本型直接支払いを除きますと、見直し前が八百四万五千円、見直し後が八百六十八万五千円、見直し前に比べて八%増、これも前回お示したとおりでございます。
〔齋藤(健)委員長代理退席、委員長着席〕
○玉木委員 このシミュレーションについては、出していただきたいという話をずっとやって、一定のシミュレーションは農林水産省からいただきました。
私が基本的に違うと思うのは、三つのシナリオを前提にしていますね。需給が緩む場合と、同じような場合と、引き締まる場合、大きく言うとこういう形だと思いますが、ただ、動かす変数がそもそも、つまり外生要因として置くものが異なっていて、何を言っているかというと、この資料二を見ていただきたいと思います。私が時折言及し、そして、戸別所得補償制度をつくるときも、政策をやるときに実は極めて参考にしたのが、平成二十一年に出た石破シミュレーションであります。これは非常によくできていると私は思っておりますし、誠実にいろいろなことを農家や国民に伝えようとしている、その意図が非常に感じられます。
ここは、一部抜粋をしましたけれども、私が申し上げたいのは、まず右下。「それ以来、このような客観的かつ科学的な予測が行われてこなかったこと自体が、現在の状況を招来した大きな要因であると認識している。」ということで、やはりきちんとした数字を、もちろん、シミュレーションですから、未来を全部予想することはできませんけれども、できる限りの、しかも、農家に関係する情報については誠実に出していくということがやはり大事だと思いますし、この理念はぜひ林大臣も受け継いでいただきたいと思います。
具体的に申し上げますと、左下です。何を欲しいかというと、米価の数字と生産量の変化の数字と、これは一部、よく結いの党の林議員がおっしゃりますけれども、消費者余剰を、価格が下がることによって消費者がメリットを受けるところがあります。これも一応計算しています。あとは、水田面積の変化。
最低でも、石破シミュレーションで出したこの四つの要素がどうなるのかについては、同じようなベースのもとで今回の大きな四つの改革を入れたときにどうなるかを、これは、今この法案が審議をされておりますけれども、採決までにぜひ出していただきたいということをお願いしたいんですけれども、委員長、いかがでしょうか。
○坂本委員長 理事会で協議いたします。
○玉木委員 お願いいたします。
農政の大改革ですから、林シミュレーションと言われるような、そういったものをぜひ、この二十一年の石破シミュレーションも参考にして出していただきたい。やはりそのことをもとに議論するのが私は大事だと思います。
その上で、一つだけちょっと追加で質問したいのは、例の飼料米の数量払いの件であります。
平均単収から、単収が上がれば最大十万五千円、最低五万五千円、こういう支払いに変えるわけでありますけれども、この最大の十万五千円をもらえるのは、ある種、地域における成績優秀者ですね。これはたしか、市町村ごとの平均をとって、市町村ごとの平均より、その地域の中でよかった人は最大十万五千円をもらえる、成績が悪かったら五万五千円しかもらえないということなんです。
予算の積算もやったと思いますが、この最大値の十万五千円をもらえるという農家は、全国でいうとどれぐらいの比率いらっしゃるのか。パーセンテージ等、わかれば教えていただきたいと思います。
○江藤副大臣 率直にお答えします。
今の段階で、何%になるということは、申し上げることは不可能であります。数字は持っておりません。
○玉木委員 では、副大臣、これだけ。全員が全員十万五千円もらえるわけではないということは、そのとおりですね。
○江藤副大臣 私は地元を歩いておりますけれども、少し時間がたって説明をした結果、非常に意欲は高まっております。
私のところは、宮崎県の場合は四百九十八キロなんですよ。そういうところは、もうこれはクリアできる、頑張ればできるという農家が非常に多い。ですから、私のようなところの畜産県は、飼料米をつくって、稲わらもつくって、そして最高金額の十万五千円をもらって、さらに耕畜連携ももらって、多収性品種の分のお金ももらって、できることなら二毛作助成ももらって、がっつりいただくぞという意欲も高まっております。
○玉木委員 私も、最初これを聞いたときに、頑張れば報われるのかなと思ったんですが、市町村単位の平均値をもとに正規分布すると思うんですよね。平均値があって、その人たちが多分一番多いんだと思うんです。全員が全員頑張ると平均値が上がりますから、全国の絶対的な平均値からたくさんとれればもらえるんじゃなくて、地域ごとの平均と比較して、よりすぐれている人がもらえるという制度になっています。そうですね、たしか。そうなんです。
ですから、例えば、既に単収が極めて高い地域があるとします。その中で、さらに頑張って、もう限界いっぱいまでみんな単収を上げているのに、そこからさらに頑張らないと十万五千円もらえなくなるというふうに思うのです。
いずれにせよ、この最大値をそれぞれの地域でもらえる人は非常に限られるというふうに理解するのが正しいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○江藤副大臣 確かに、毎年見直しを行いますので、頑張ればこのハードルは上がっていくのはもちろんです。
しかし、私たちが申し上げているのは、我々日本人は米をつくるのがやはり得意、農地の特質もそういう方に向いております。そして、畜産にとって一番問題なのは、輸入飼料に頼らなければならない。それによって経営がいつも圧迫されている。だから、何としても飼料の自給率を上げていきたい。
ですから、このハードルがだんだん上がっていっても、多収性品種を使えば一千キロとか、そういうことも技術的にはもう可能になってきておりますので、これはやはり頑張れば報われるという制度で持続していく。潜在的需要が四百五十万トンあるとは言っておりますけれども、いきなりそこに行くとは思っておりません。しかし、できる限り輸入に頼らない畜産経営を目指して、この制度を有効に活用していきたいと考えております。
○玉木委員 この話はもうこれでやめますけれども、このパンフレットの十二ページの注書きのところに、各地域への適用に当たっては市町村等が当該地域に応じて定めている単収を適用しますということが、つまり、八万円の標準単収値というのは市町村ごとに決まるということになっていますね。
ですから、みんなが頑張ると、市町村ごとの平均値自体が上がっていくので、どれだけ多くの人にこの十万五千円が適用されるのかについては、もちろん予算の枠を全体にふやせばそういったことも可能かもしれませんけれども、やはりこの十万五千円をもらえる人は非常に限られた農家になってしまうのではないかということを、ちょっと懸念を表明しておきたいというふうに思います。
続きまして、いわゆる日本型直接支払いの話をしたいと思います。
資料の三を見ていただきたいと思います。これは、先ほど寺島委員からもありましたけれども、七年前の農水省のパンフレットであります。
これは、先ほど言ったように、いわゆるゲタ、ナラシのところの政策に「生産条件不利補正対策(日本型直接支払)」と書いてありまして、私は、世界的な直接支払いの言葉の使われ方としては、こちらが極めて自然なのかなというふうに思っております。ダイレクトペイメントということで、条件不利補正というか、ギャップ、販売価格とコストの差を埋めていくということで、非常に自然な使われ方かなと思っているんですが、それが今回、右側の現在のパンフによりますと、多面的機能に着目した今回の支払制度、農地・水の改善版だと思いますけれども、これが日本型直接支払いというふうに呼ばれているわけであります。
これは今から言ってももう時遅しなんですが、与党時代も、また野党になってからも、さっきちょっと赤澤委員の質問にあえて答えて、私は、名前なんかは農家のためだったら幾らでも変えていいと思うんですね、こんなことを言うのも法案提出者としていかがかと思いますが。
ただ、いわゆるダイレクトペイメント的な発想で日本型直接支払いを設計するのであれば、米の岩盤部分と畑作物の営農継続支払いの二万円の部分、こういうものを少し統合して日本型直接支払いと呼んで、きちんとした岩盤が入っていくんだという、ここでいうと緑の政策の部分を少し手直しして、日本型直接支払いと呼んでいただければ、現場の農家にも混乱が生じないし、我々としてもそこは折り合えるところなのかなとひそかに私は実は思っていたわけであります。
ただ、それが、出てきたら、農地・水の方を一部とって、それを日本型直接支払いというふうに名づけてしまっているので、正直、若干無理が生じているのかなというふうに私自身は思っているわけです。
質問なんですが、こういう過去からの経緯、名前も、日本型直接支払いというものが別のものを指し示すことになっておるんですけれども、今回の法案を見ますと、日本型直接支払いの法案なんですが、私の調べた範囲で、法案のタイトルにも、あらゆる条文のどこにも、直接あるいは直接支払いという言葉は一言も出てこないんですけれども、これは事実関係はいかがでしょうか。
○三浦政府参考人 お答え申し上げます。
今回の日本型直接支払いの法制化についてでございますけれども、この法律上、日本型直接支払いという名称は規定しておりません。(玉木委員「直接支払いという言葉は」と呼ぶ)失礼いたしました。直接支払いという文言も、規定はございません。
○玉木委員 私は、これが本当に直接支払いであれば、法律上明確に直接支払いを定義し、そして、これが直接支払いだということを法律の中に明確にやはり書き込むべきだと思います。
ただ、今申し上げたように、いわゆるダイレクトペイメントという形で、生産条件不利補正の中には多分書けるかもしれませんけれども、共同作業、共同事業に対して払っていくというこれまでの農地・水等を改めた法律の中には、やはり正直、法制的には書きづらかったというのが実態なのかなというふうに想像いたします。
ですから、農家に対しての説明も、戸別所得補償の固定払いの部分がなくなったものが新たな直接支払制度で補填されるかのごとく説明するのは、これはやはり極めてミスリーディングではないかなというふうに思っております。
その意味で、次に質問したいのは、日本型直接支払制度のうち、今回新たに創設されたとする農地維持支払いでございますけれども、私は、これも何か創設というような感じがすごくしないんですね。
私の説明が下手かもしれませんけれども、地元で新しい農政を政府にかわって説明するときに、今の農地・水で、単価がちょっとアップします、あと、五年やって〇・七五掛けになるところが、一部これはちゃんと減りませんとか、現在の農地・水を前提に、農地・水がこういうふうに改善しました、よくなりました、交付単価がふえます、交付要件が少し緩和されます、こういう説明をします。
実際、農地維持支払いなんですけれども、農水省の資料の中に農地維持支払いの例示として挙げている、農地ののり面の草刈り、水路の泥上げ、ため池の草刈り、農道の砂利の補充の典型四類型ですけれども、これは全て、現行の農地・水の制度における、国が定める活動指針及び活動要件の中での基礎活動の取り組みにまさに例示されているんです。
だから私は、単価が少しふえたり、農業をやっている方だけの団体にも払われる、これもある種の交付要件の緩和であって、現行制度と基本的にはほとんど変わっていない、何か大きく、戸別所得補償をやめた代替案として新しいのができましたというのは、ちょっと説明としてどうなのかなというふうに思っております。この創設した新たな農地維持支払いは、単なる現行の農地・水の交付要件の見直しと緩和にすぎないのではないのかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○三浦政府参考人 お答え申し上げます。
今回の多面的機能支払いの中の農地維持支払いでございますけれども、農地のり面の草刈りですとか水路の泥上げですとか、先生のおっしゃるような、従来、農地・水保全管理支払交付金の対象としていた活動を対象としている面があるのは、おっしゃるとおりでございます。
また、これまで農地・水保全管理支払交付金では、そういった活動のみで支払いの対象になるかというと、そうではなくて、そういった活動とあわせて農村環境の保全のための活動ですとか、一定の要件がございまして、それらと一体として行われる場合に対象としていたものでございます。
農地・水保全管理支払いにつきまして、例えば、畑地帯などでは水田地帯と違って共同活動が常態的に行われているとは言いがたい面もあって、なかなか取り組みにくい面もあるといったようなお話があったりいたしましたし、また、農地・水保全管理支払いで、農家のみならず、非農家、地域住民も含めた活動ということになっておりますけれども、農業者だけで取り組める、農業者の集団で取り組めるというようなことにできないかといったようなお話もございました。
そういうことも勘案いたしまして、今回、農地のり面の草刈りですとか水路の泥上げですとか、そういった基礎的な活動のみでも、それから、農業者、非農業者を含めた集団でなくても、農業者のみの集団であっても取り組めるような、そういう支払いを農地維持支払いとして創設することとしたものでございます。それに伴って制度を整理いたしまして、今回の多面的機能支払いとしたものでございます。
なお、恐縮でございます、先生のお話の中で、日本型直接支払いについて、農地・水に相当するところを少し形を変えて対象とすることにしたという趣旨のお話がございましたけれども、日本型直接支払いと称しておりますのは、多面的機能支払いに加えまして、中山間直接支払い、それから環境支払い、これらも包括して日本型直接支払いというふうに称しておりますので、そこは事実関係として付言させていただきます。
○玉木委員 局長、今最後にお答えになったところというのは重要な話で、我々は、個々の農家に対する支援策と共同作業に対する支援策というのは、ある意味、分けて考える必要があると思っているんです。
例えば、戸別所得補償の岩盤部分というのは、個々の農家に対する支援ですね。我々は、この中にも多面的機能の支援が入っていると申し上げました。中山間の直払いも、もちろん共同事業にも払われますけれども、個々の農家にも払われることが可能です。かつ、環境支払いも個々の農家に払われます。ですから、我々は、個々の農家に払われるものは直接支払いと呼んでもいいと思うんですが、共同事業、共同作業に基本的に払われることを前提にしているものについては、ちょっと直接支払いと呼ぶのはいかがなものかということは、我々はこれは明確に峻別をしております。
ですから、中山間の直払いとか環境支払いを一緒に込めれば、その部分はまさに直接支払いですから、全体を込めたら直接支払いと呼ぶのは、それは当たり前ですよ。ただ、私がずっと言っているのは、この農地・水をもって、それを少し改めたからといって、これが日本型直接支払いというのは、ちょっとというか、大分ミスリーディングだなというふうに私は思うわけであります。
先ほど来少し話がありましたけれども、つまり、農家の団体だけを無理につくってそこに流すんだったら、農家に流したらいいんですよ、それは。それが、我々の多面的機能支払いの機能を持っている戸別所得補償の岩盤部分の考えなんです。
加えて、我々は農地・水は否定しませんよ。共同作業は共同作業で応援して、その中から発揮される多面的機能はしっかり応援していこう、ただ、個々の農家としても、それは、やめてしまったらその個々の農家の営農活動から発揮されている多面的機能が発揮できなくなりますから、そこを支えていくというのが我々の考えなんです。
さっき、お金をもらうから継続する、お金をもらうからやめて人に出すというのは、私はこれも間違っていると思う。今実際、農家が現場でやっているのは、採算に合わなくても営農継続している人はいっぱいいます。まして、自分の年金を自己戸別所得補償として、年金を突っ込んでまで営農継続されている高齢者もたくさんいますよ。そういった方に対して、いつまでも年金を入れてまで営農継続できない、そういう中で、少しそこをお支えしようという観点も我々の戸別所得補償にはあったわけであります。ですから、これを一律にばらまきと断じるのではなくて、よりよい今後の姿を、こういった議論を通じてぜひ見つけていければなというふうに思っております。
もう時間が参りましたので、引き続きこれは議論をさせていただきたいと思いますけれども、私は、こういう議論ができるのは非常にいいと思います。いろいろな御批判もいただいて、若干不快に思うところもあるんですけれども、ただ、本当にこれは大事なことだと思います。大きな農政の転換について建設的な議論をこれからも続けていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げますということを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○坂本委員長 午後零時五十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十一時五十九分休憩
――――◇―――――
午後零時五十分開議
○坂本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。村岡敏英君。
○村岡委員 維新の会、村岡敏英でございます。よろしくお願いいたします。
午後からの農水委員会のスタートですけれども、この前、本会議で、林大臣にもお聞きをいたしました。
我々日本維新の会、個別の政策はそれぞれ多少考え方は違うんですけれども、やはりふるさとを再生するということが大切なことである。その一番重要なポイントは農業であると我々は思っております。そして、農業がしっかりと成長産業になり、担い手もしっかりできることによって、ふるさとにもう一度人を呼び戻して成長させる。それを、田園からの産業革命を起こそう、こういうような形で我々は思っております。
実は私は、十年間ぐらい浪人中だったんですけれども、十年前から田園からの産業革命ということを言っておりまして、そのころ、十年前は、田園からの産業革命というと、そんなものはとてもできるわけないじゃないかと。しかし今、政府の方針も含めて、六次産業化、そして海外にも売っていこうという戦略、この方向性は我々と一緒だ、こういうふうに思っております。
しかしながら、農業というのは、振り返ってみると、林農林大臣ももう一年三カ月ぐらいになったと思いますが、私も、国会議員をやらせてもらって一年三カ月、この農林水産委員会に所属していますけれども、ことごとく、農業にしても林業にしても水産業にしても、災害があったり病気があったり、いろいろな面で、自然を相手にしながら国民の大事な食料であったり環境、こういうのを守っているということで、大変広い分野であり、そして難しい分野である、こう思っております。
その上、なかなか生産者が価格決定能力を持てない。その大きな原因の一つに、米にしてみれば、需給のバランスが崩れているということがあります、ほかの作物にしてみれば、やはり世界的な、グローバルの中で値段が決まっているというのが食料の値段の決め方だ、こう思っております。
そう見据えたときに、米が今、需要が大変少ないから供給を減らさなきゃいけない。この視点は、国内だけを見れば正しいことかもしれません。しかし、国内だけ見ているというのじゃなく、やはり、海外に二億トン以上の米の市場があるわけですから、そこを見据えていかなければならない、こう思っております。
また、野菜や何かにしても、では、海外はそれぞれの国が需給のバランスがとれていて、日本はもうこれ以上つくったからといって海外にできないかというよりも、前向きに考えれば、世界市場で、食料はこれからどんどんふえていきます。人口がどんどんふえるわけですから食料の需要はますますふえるという視点の中で、農業者にやはりやる気を出してもらわなきゃいけない、そして、経営として、しっかりと、若い人たちも農業や林業や水産業に行くことを、我々が新しい未来をつくるんだ、そういう気持ちになっていただくことが大切だ、こう思っております。
その中で考えてみると、自民党の、政府案も民主党案も、個別の中で政権をとられて、選挙目当てだとかという責めた議論も午前中ありましたけれども、選挙目当てでもいいんですという言い方はおかしいですけれども、それが、農業者がしっかりと将来農業を担っていって、成長産業につなげるというならいいわけでありますけれども、個別個別の対応だけで、全体の姿がなかなか見えてこないというのがあります。
そして、政府案の中で今回の経営安定大綱、さらには日本型直接支払い、これが構造改革につながるということを言っておりますけれども、果たして、構造改革につなげようとするのは、この四つの中で、農地中間管理機構が大規模を目指すということで、構造改革にはつながると思います。
その中で考えると、経営安定対策、水田フル活用、日本型直接支払制度の創設、この三つのリンクはどのように構造改革につながると大臣は考えていらっしゃるでしょうか。
○林国務大臣 まず、中間管理機構については、集積、集約を進めるということで構造改革ということである、こういうことで今言っていただきました。
さらに、米政策の見直しで、先ほど来、午前中もやりとりがありましたように、一万五千円を規模にかかわらず一律の単価で交付するということによって集積が進まない要因になっているのではないかという意味で、米の政策の見直しというのも、構造改革と整合性を持って進めなければいけないという考え方が一つあって、こういう考え方になったということだと理解をしております。
それから、多面的機能法案については、まさに地域政策である農村の多面的機能、集落の維持、こういうことに資するということでありますが、一方で、多面的機能支払いをすることによって、多面的機能支払いをお受けになって農村の水回りとか草刈りをする、こういうことをやってくださる方が農村に残っていただいて、集約が進んだ後の担い手の負担がその分軽減されるというところがあるわけでございまして、そういった意味で、この多面的機能支払いについても構造改革に資するもの、こういうふうに考えておるところでございます。
○村岡委員 この対象の農業者は、面積要件は外れましたけれども、一応は対象者は絞っております。その中で考えて、今大臣が言われました、それぞれ集落の中で、一緒に共同活動をしよう、そして農地を守っていこうという姿勢は、確かにそれができ得ればいいです。
しかしながら、離農して、最初、その方がまだ御存命のときはある程度お手伝いをしていただけるかもしれませんけれども、新しい人たちが、農業をしない人が果たしてそこの農村に住み続けていただけるかどうか。この問題は、将来に対してどのように考えていらっしゃるでしょうか。
○林国務大臣 やはり、これは政策でございますので、多面的機能支払いをしない場合とした場合でどうか、こういうことになるかというふうに思います。
やはり、これがないと考えますと、もう農地を中間管理機構によって出してしまった後、やることがないわけですね。したがって、そういうところを、この多面的機能支払いということを加えることによって、共同で活動しようと。共同で活動するということを集落で話していただいて、それで契約を結んでお支払いする。お支払いした後は、大体四割から五割、今の実例でいうと分配されている、こういうことでございます。
やはり、その前に、人・農地プランというのが位置づけられているところと連動して、みんなで今後この集落はどうしていくかという話し合いをしていただいて、その結果として、担い手に集約されて、集約された後も、地代が入ってくるだけではなくて、そういう活動を一緒にすることによって支払いがある。
これは、ないときと比べればやはり集落が維持されるということは、政策として生じる結果が出てくるのではないか、こういうふうに思っております。
○村岡委員 そうしますと、段階的な政策と考えてよろしいんでしょうか。
それぞれが、離農しないように、今、リタイアしたときに、中間管理機構に土地を貸してお金が入ってくる、そのお金が入ってきて、することがないということもあるでしょうし、そこにちゃんと、離農しても離村しないようにしていただけると。でも、それはその世代だけと考えているのか、段階的な対策だと考えて将来はまた一つ農村社会のプランは考えていくという、段階的に考えていらっしゃるかどうか、お答え願えればと思います。
○江藤副大臣 大変大事な御指摘だと思います。
今でも、土地を持っていて耕作をしていない方は百七十万ぐらいおられますので、中間管理機構に土地を出してしまったらその後は知らぬということも可能性としては出てくると思います。
しかし、大臣が言われるように、できるだけ定着していただく努力をしなければなりませんが、管理機構から借りたものに対して、維持支払いと資源向上支払いが支払われるようになりますので、多面的機能を維持するような支払いは、現在、土地を借り受けて耕作している者に対して支払われることになりますので、次世代につながる政策だというふうに考えております。
○村岡委員 確かに五年ぐらいで、米の直接支払い一万五千円が、七千五百円になって、なくなるということですから、いろいろなことを五年単位で考えていかなきゃいけないとは思います。
しかし、今の世代での農村、そして農業者に対する対策と、前もここでお話ししましたけれども、十年後、二十年後の農村社会というのを描くのがないと、若い人たちが入ってこないということがあるんです。
今、対策の全ては五年、十年。もちろん、見直しながら十年間のスパンというのは大切ですけれども、二十年後、どういうふうにやっていくのか。若い人たちが農業に参入するのには、例えば中学生や高校生が入ってきて、しっかりと農業者に定着というのは大分先なんです。その部分をやはり描くべきじゃないか、こう思っておりますけれども、どう思われますか。
○林国務大臣 まさにそのために、先ほど申し上げたように、担い手に集約をしていくということをやります。法人が入ってくるということもやる。そういうふうにして、ある程度、構造改革をして、業として成り立っていくという姿がないと、ずっと一人でリタイアするまで細々と続けていくというところに、果たして、後継ぎ、それはその御家族であってもそうでないにしても、入ってこられるだろうかということを考えますと、やはりそうではなくて、一定の、農地中間管理機構等で集約したところにしたり、高付加価値をしたり、六次産業化をしたりして、業として成り立っていく。
先ほど、経営感覚という議論もいたしましたけれども、そういうところになって初めて、次の後継ぎ、それは子供ということにかかわらず、後をやっていく人、新規就農者、若いやる気のある人ということが入ってくるであろう、こういうことでございますので、やはりそういう意味でも、今回の改革を進めていく必要がある、こういうふうに考えております。
○村岡委員 もちろん、政府案の方は、いろいろな生産をして、そこのきちんとした成績を上げた人になるべくしっかりとした対策をしていこうということを掲げていると思います。
一方、民主党の方は、全体的に農業を一つと考えて支えていこうと。中身を見ると、戸別所得補償以外はそんなに変わりはない、ネーミングのみというような感じもするんですけれども。戸別所得補償は違います。我々も戸別所得補償は賛成しておりませんので、これは違いますけれども。例えば、ゲタ、ナラシにしても、日本型直接支払いといいますけれども、それから中山間地の問題にしても、そんなに中身が違うような気がしないんです。
大臣は今説明していただきましたから、民主党の大串議員に、どこが違うのかちょっと説明していただけば。戸別所得補償はいいです。
○大串(博)議員 戸別所得補償はいいというのは、戸別所得補償の説明はいいということですね。
私たちは、ふるさと維持支払いということで、今回、三法案まとめて法制化の提案をさせていただきました。基本的には、これまで定着化してきた農地・水、そして中山間、そして環境支払い、こういったものを法制化して、安定化していきたいということでございますが、その中でも、これまでの経験に基づいて、少々改善するべきところがあるのではないかなというふうに思っております。
幾つかございまして、一つは、農振農用地以外のところでもこれを使えるようにしていくこと、あるいは中山間におきましては、中山間、斜度に応じた支援以外の場所でも、分散錯圃等になっている等々で条件不利というところがあるんではないかとか、あるいは、農地・水につきましては、五年をもってして、一律に七割五分の単価になるというようなこともございましたが、連年連年、いろいろなことを考えて議論をし、やってくださっているようなところに関してはしっかりそれを評価した上で、一定の支援を盛り込んでいくようなことも含めて考える。
さらには、事務手続が非常に煩瑣であるという声もございましたので、これを軽減していくようなことも考えるといったようなことを盛り込み、改善をしていきたいというふうな提案でございます。
○村岡委員 予算づけとしては、全く自民党と民主党とは違うと思います。
例えば自民党であれば、一万五千円のものを七千五百円にして、しっかりと中間管理機構であったり日本型直接支払いに行っている。民主党の方は、一万五千円のままですから、予算は当然ふえてしまう。その財源をどこから持ってくるのかというのはお聞きしないとわかりませんけれども、農業予算がまたふえるということになる、こう思っています。
そこが、では、全く違うかというと、方向性としては、農業者、農村社会をしっかり守っていこうという中のどこに予算をかけるかという違いなわけですけれども、農業者は、先ほど江藤副大臣が、飼料米の件で、がっちりもうけてもらいましょう、こう言っておりましたけれども、がっちりですか、がっつりですか、どちらかわかりませんが。
前回も一回出させていただいたんですけれども、秋田県の農業者の、五ヘクタール、十ヘクタール、それぞれどんな感じで経営を考えているかというので、シミュレーションしてつくったわけですけれども、基本的には、農業者であればこのぐらいの試算はしないと、それは経営として全く成り立たないわけですから。
例えば、五ヘクタールのところを見ていただければ、五ヘクタールのところで、主食用米が三ヘクタール、転作作物が二ヘクタールで、加工用米だと、つくるとこのぐらいの収入になるな、備蓄米だとこのぐらいになるな、今度は、飼料用米だとか、いろいろな、ソバ、菜種とかかわってきていますので、こういうのをつくりながら、自分は、何ヘクタール持っていて、収入計はどのぐらいあって、所得がどのぐらいあるかということは、このぐらいは計算していると思っているわけです、していない人も中にはいるかもしれませんが。
しかし、これから、ナラシやゲタも含め、日本型直接支払いはこれには入っていませんけれども、そういうシミュレーションをもう少し県ごとに、一回モデル的なもので出していただけないかな、こう思っているわけです。自分自身ではやっていると思います。しかし、余り正確じゃないと思うんです。私も、これが全部正確かは自信がありません。
ですから、そういう意味では、モデルケースというのを、例えば稲作をやっている農家、畜産をやっている農家、いろいろな部分で、今の対策の中で、どのぐらいの規模で、どれを選べば、選択も自由ですから、そういう意味のものをつくっていただけるということはできないでしょうか。大臣、どうですか。
○林国務大臣 各県というよりも、先ほど玉木委員とのやりとりで申し上げたシミュレーション、このシミュレーションは実は二種類あって、今の単価を改定したことによってビフォー、アフターでどう変わるかというものと、それから、ごく最近出したものは、これに基づいて少し中長期的に米がどうなっていくか、これは別のものでございますが、最初の方のシミュレーションは、地域ごとのモデル的経営別の所得というのは既にお示しをしておるところでございます。
したがって、例えば北海道で、水稲と野菜の複合という類型をつくりまして、水田二十四ヘクタールで、主食用米が十四、小麦六、大豆三、キャベツ一というような類型を置いて、これを十種類弱ぐらいお示ししております。
やはり、こういう類型の方が、各県でというよりは、今回はもう水田フル活用ビジョンをしていただく、みずからの経営判断でやっていただくということになりますので、県の平均というよりも、こういう類型でお示しした方がよりわかりやすいのではないか、こういう考え方に基づいて、こういうものをお示ししております。
それの全国の集落平均ということが、この間申し上げた一一三%という数字になっておるところでございます。
○村岡委員 全体的なシミュレーションは出されているわけですけれども、比較的、地域というのは大体同じものをつくるといいますか、いろいろなノウハウから何から、ある程度の選択はあるにしても、やはり各県でそれぞれ適地適産のものがありますので、できればこれよりちょっと詳しいぐらいは簡単にできると思うんです。
ですから、農業者に、これから政策が変わっていったときに、この政策では結果的にどういうふうな収入になります、どういう生産高をとればこうなりますというのをやはり出していただければありがたいと思っています。
○林国務大臣 逆に、単価は全て決まって、これを法律でやらせていただくことになりますから、そういうものを見ながら、むしろ水田フル活用ビジョンというのをつくっていただこう。
まさに委員がおっしゃったように、個々の農家でというよりはまとまりを持った市町村とか集落ということになろうかと思いますが、むしろ逆に、国がこれがモデルですよ、おたくはこういう地域ですからこれが一番いいですよということではなくて、先ほど申し上げました、毎年、細かい毎月のような情報を出しながら、自分で考えていただくということがベースになって、それは自分でというのは個人でということではなくて、集落でということで水田フル活用ビジョンということでございますが、そういうものをつくってアウトプットを最大限やっていただくということが、まさにみずからの経営判断でやっていただくということにつながっていくだろう、こういうふうに思っておりまして、余り我々としてこれが一番モデルですよというのを示すことについては、若干、私は消極的な感じがしているところでございます。
○村岡委員 これまで余り出し過ぎて政策がうまくいかなかったということがあるかもしれませんが、別に県までのところで全部を出せと言っているわけじゃないですけれども、パソコン上でいろいろなものが、こういう場合はこうだというのをなるべく多く選択して自分で考えられるような形はぜひお願いしたい、こう思っています。
ただ、これはあくまでも個別の対策ですけれども、私が農業の中で現場に行ってよく言われるのが、こういう対策、ナラシでもゲタでも米の直接支払いでも何でも、交付金であったり補助金であったり、いろいろなものをもらっています。それが例えば都会に行ったときに理解できないという中で、そんなにもらっているのに何で収入がふえないんだということをやはり都会で言われてしまう。
その中で、農業者の現場の人たちが言っているのが、現実にはできないことはわかっていますけれども、現場の声として、我々は直接、補助金をもらうというよりも、例えば農業機械というのが本当に高いんです、そしてすぐ壊れるんです、本当なんです。それはもう、例えば稲刈り機でいけば一年間にたった二週間しか使わないものに何百万もかけている、四、五年たつと何かがたがきてしまうというか、農業者によく言われます。そして、逆に大規模になったときはアメリカの農機具を買った方がいいとかと言われるんですよ。
その部分を考えたときに、農業者の現場の人たちが、農業機械や資材や肥料に補助金を出してくれ、それで安くしてくれ、我々に直接お金をもらったってそれをメーカーに吸い上げられちゃう、こういう御意見が結構あるんです。
それは、民間の企業にそういうことはできないことはわかっていますけれども、何かコストを下げるという中で、せっかく農林省がいろいろな分野に農業者がしっかりと自分で経営判断してコストダウンして、そして成長産業につなげるということを考えるんですけれども、どうも補助金が行くたびにそれがうまく吸い上げられて、価格に反映できないし、コスト削減にもならないということを聞くんですけれども、どう捉えていますでしょうか。
○林国務大臣 私は社会人のスタートで商社にいたときは、バイヤー・イズ・キングと言われて、自分でやっておってまことにそうだなと。やはり買う方が強いんですね、売る方よりも。
したがって、機械や飼料の場合は、誰が買っているかといえば、農家の方が買っておられるわけですので、バイヤーとしての力をどう発揮するか。まず、そんなすぐ壊れてしまうような機械を売りつけられたらもう二度とそこから買わないとか、補償をどうするとかという問題も個々にあるんでしょうが、やはり農協というのは、そもそも、そういうことを有利にやるために、農家の方が集まって協同組織としてつくって、そういうものの購入の交渉力をつくっていこう、こういうことでスタートしておるわけですね。
一つは、農協の改革を今議論されておりますけれども、こういうところのポイントの一つかな、こういうふうに思いますし、また、お金を出して買われるということであれば、しっかりとその辺は買う方の立場としての強さを基本的には発揮していただきたい、こういうふうに思っております。
それに加えて、いろいろな簡素な機能に特化したものをつくっていただくようにお願いをする等々で、そういうことを支援するということで、なるべく農家の需要に見合った農業機械というものをやる取り組みというのも一方で行っているということも申し添えておきたいと思います。
○村岡委員 大臣は、確かに商社にもおられましたから、バイヤー・イズ・キングというのはわかりますけれども、実は農業の場合はそうなっていないんです。
例えば、政府の方針でどこかの部分に補助金を出すというと、農機具メーカーがすぐさま、楽に機械化できるというような提案をしてきたり、ハウスを提案してきたり、いろいろなものが来るわけです。ところが、そこまで必要なかったりしているわけです、本当は。しかし、実際には、勧められると、いや、そうだな、これは小屋を建てなきゃいけないな、農業機械は大きくしなきゃいけないな。これは売る方の方がうまいんです、現実は。買う方が、かえって、その言葉で買ってしまうんですよ。
そういうものは自分でやれというのは確かなんですけれども、しかし、この政策をやっていくときに、経営感覚を持つというのが、先ほど言った、私も求めたシミュレーションもあるでしょうけれども、それから国の中で需要の予測だとかいろいろなものを出すことも大切です。しかし、根本的なところで、どのぐらいの投資をするかというときのものが、どうも経営感覚の中で、やはりそれは、初めのときはぜひ農林省の方で、別に買い方を教えてくれというわけじゃないです。こういう機具とか何かの投資だとかというのは、どのぐらいの投資の中でこういうものをつくっていった方がいいかとか、そういう部分はある程度出さないと、せっかく新しいものに挑戦したときに、投資し過ぎて赤字になっている例は非常に多いんです。
この辺を、大臣なのか江藤副大臣なのかわかりませんが。
○林国務大臣 まさにこのあたりが、先ほど来あるように、集積等を進めて、担い手と言われるような、経営感覚を持った方が大宗を占めるように今からしていこうというところの一つのポイントではないか、こういうふうに思っております。
そういう意味では、経営マインドを持っていただくという中で、そういうところ、実際にコストがどれぐらいかかるのか。これは売り上げとの見合いで、コストという中で、例えば、機械を買うということは設備投資ですから、何年で償却して、どれぐらいのコストになるのかということを見ながらやるということが経営ということであろうか、こういうふうに思います。
では、放っておいてそれが身につくかということも、先ほどやりとりしたとおりでございまして、最終的には御自身がそういう意識を十分に持っていただくということなのでございますけれども、やはりそのツールとして、経営改善のためのチェックリスト等から成る経営指標というのは実は公表しておりまして、こういうものに基づいて自己点検をされたらいかがでしょうかということをやっているわけでございます。
例えば、販売に関して、複数の販路を比較検討して販売先を決めているか。誰に売ったら一番もうかるか、こういうことですね。それから、資材等の購入に関しても、複数の取引先の価格を比較検討して調達先を決めているか。これは商売のイロハで、相見積もりと我々は言っておりましたけれども、こういうことを経営指標の中でチェックする仕組みになっております。
こういうことを活用していただいて、やはり経営らしい経営を育成していくということは、我々もしっかりと取り組んでいかなければならないと思っております。
○村岡委員 確かに、それはもう一番最初の段階で、経営するとはどういうことなのか、経営チェックリストは大切だ、こう思いますので、農家の方々にそういう感覚を持っていただくために、それはぜひ進めていただきたい、こう思っております。
しかしながら、先ほどの機械メーカーの投資であったり、ハウスメーカーの投資であったり、資材の投資は、その人たちも、チェックリストというか、これをこのぐらい投資してもこのぐらいもうけられますみたいな、シミュレーションみたいなものもやってくれるんですよ。それを見て信じると、そうではないんですよ、現実には。それは不動産投資とも一緒なんですよ。いろいろな企業で、証券会社に行っても、これは株と同じで、やはり売るときにはいいことを言うんですよ。だから、そのチェックリストでちょんとつけていっても、それはなかなか難しいんです。現実が、そういうことがなかなか経営感覚を持つということが難しいということは本当に思っておかなきゃいけない、こう思います。
それは、江藤副大臣、どうですか、農業県でありますから。
○江藤副大臣 突然言われて、何とお答えしようか今考えておりますが、ただ、私は、畜産県でありますけれども、ハウス農家もすごく多いんですよ。そして、結構耐候性ハウスが多いんです、いわゆる簡易なビニールハウスじゃなくて。そうすると、ヒートポンプとか、いろいろなものを今、化石燃料から電気にかえた方が安いというので切りかえが進んでいるんですけれども、結構相見積もりをとっています。
そして、同じ品物を買っている農家であっても、実は江藤と林では同じ品物を同じところから買ったのに値段が違うというような現象も起こっておりますので、やはり地域の農協の青年部なり、そこで情報を共有化して、俺は何ぼで買ったぞ、おまえは何ぼで見積もりが来ておるんじゃ、それはおかしいわい、そういう話し合いも、やはり地域のつながりというものは、人・農地プランじゃありませんけれども、地域がやはり一つになることによってバイヤー・イズ・キングというような世界も実現されていくのかなというような感覚を今、議論を聞いていて思いました。
○村岡委員 この議論を続けても、地域によってもなかなか違うかもしれません。
ただ、安く買ったら、なかなか言わないんですよ、実は。そんなに共有しないんですよ。例えば、この制度を使ったらこの農業でもうけたとか、ここでやったらよかったとかというのは、それはなかなか言わないんですよ、現実には。
だから、情報共有というのはこれから進めていかなきゃいけないとは思いますけれども、実は、もともと日本の文化の中に、隣のうちに蔵が建つとうらやましい、おもしろくないという文化があるわけですから、水のとり合いもあったわけですから、経営でうまくやっているところ、近くにもう御殿を建てている、あいつ、うまいことやりやがったというのもあるんです、それは。なかなか共有ができないことには、やはり農業は変わっていかないと思う。
そういう意味では、江藤副大臣の宮崎は畜産農家が多いので、情報も結構出ているのかもしれませんけれども、やはりこういう、全国いろいろな農家がいますけれども、共有する情報というのをもう少し何か、農協に指導した方がいいのかどうかわかりませんけれども、そういう部分の情報の共有というのはこれから本当に大切になってくると思います。
それは、政府が一定の値段を出すということだけじゃなくて、こういう事例が、例えば不動産なんかはこういう取引して、事例だとかというのはありますけれども、いろいろな情報をやはり出すということを、政府が出すのがいいのか、政府が出すというと、林農林大臣は商社にもおりましたから、経営は自分で考えるものだ、こういうふうに思うから、余り政府がかかわらないとすれば、そういう機能を農協にきちんと持たせるようにするという。
この情報共有が、今現在、余りできていないということに、経営に踏み込むとき、なかなか感覚的に、いや、俺らは生産者だよ、生産だけしていりゃいいじゃないかという感覚がいまだに残っている人たちがいるわけです。それは、ある程度の高齢者でリタイアする人はいいですよ。そうじゃない人も中にはいるわけで、ここはやはり情報をちゃんと共有するところを、政府にできないとすれば、これから農協改革も考えられているようですけれども、どう思われますでしょうか。
○林国務大臣 基本はやはり民間の取引ということですから、政府がどこまで介入というのか、情報をやるのかというのは、一定のおのずから限度があるのではないか、こういうふうに思います。
先ほど申し上げたように、個々の農家が、特に、これは販売の方がさらに大きいと思いますが、購入の面でも、一緒になって交渉上有利な地位をつくるための協同組織というのが農協であるということはもう当然でございますので、やはり個々の農家の方が農協を組織してそれをやるということがまずある。
それから、集落営農が法人化したり、法人化してだんだん大きくなっていけば、そういう農協としての組織とは別に、自分のところで経営マインドを持つ。
また、経営感覚を持って判断をするということと価格交渉力があるというのは、同じようで同じではないわけでありまして、やはり、ビジネスをやる場合に、価格交渉力というのは、規模が大きいというのが一つの大きなポイントになるところもあります。
したがって、規模が大きいということはたくさん買うということですから、ロットがふえれば単価は落ちるということがあるわけでございますので、そういうことがいろいろ相まって、きちっとやっていくためにも、担い手の方が大宗を占める農業構造、こういうものを目指していくことは大事ではないかというふうに考えております。
○村岡委員 ぜひ、経営感覚がなければ、この制度が、それぞれいろいろな納税の大きなお金を使ってやっているわけで、その中でいくと、先ほど、農協にも指導してくださいということですけれども、情報の共有、それともう一つあるのが、いろいろな機械とかいろいろな資材のメーカーの人たち、それからスーパーや、いろいろな食品を売っているところ、飲食をやっているところ、いろいろなマッチングを農協がどんどん農業者とやってほしいんですね。
価格交渉というのは、それは五十ヘクタール、百ヘクタール単位に全部なればいいですけれども、小さい単位で自分でやっていても、これはなかなか難しいです。やはり、農協の新しい役割の中で本来ならばやっていなきゃいけないんですけれども、そのまま集めて比較的大きな消費者に売っていた、流通業者に売っていたというのが現実ですから、もう少し農業者の人たちも感覚を持つとすれば、先ほど言った情報共有の部分も、農協でしっかりやる。
そして、さらには、民間の最終的な販売者となる人ともいろいろなマッチングで会うというような場を、異業種交流じゃないですけれども、消費者にかかわる場を農協がしっかりと農業者とつくるとか、いろいろな部分を農協が新しくやっていかなきゃいけない。
経営感覚を本当に持ってもらうという意欲を、政策の中で、例えば本会議場でも話しましたけれども、オランダがあれだけ先進的な農業になった最初は、先端的な技術開発や経営の感覚を学ぶところにお金をちゃんとかけているんです。
だから、そういう意味でいくと、それがどういう政策になるかというのは、もちろん、いろいろな例を考えなきゃいけないですけれども、その感覚のところにちょっとお金をかけながら農協が変わっていくポイントになれないものか、大臣はどう思われますか。
○林国務大臣 まさにおっしゃるとおりで、農業者の協同組織が農協でございますから、やはり農産物を有利に売る、ただ入ってきたものをぽんとやるだけではなくて、みずから販路を開拓する等のことをやるということと、それから、生産資材価格の引き下げ、売ったものとコストの差が所得になるわけですから、これがやはり重要であるわけでございます。
御案内のように、三月七日に全中が自己改革案というのを発表しておられまして、現在、組織内で討議をされておられる、こういうふうに思っておりますが、その中でも、担い手サポート型を主力とした営農、経済事業方式の確立ということが挙げられておりまして、例えば、担い手専任担当の増員とか、担い手のいない地域でのJA出資型法人の設立等々が書かれておりますし、新たな販売事業についても、経済界との連携によるバリューチェーンの構築ですとか、目標を設定して輸出を拡大するとか、そういうところが書かれておるところでございまして、今後具体化がされていくことを期待しているわけでございます。
やはり、こういう農業者の協同組織であるという原点に立ち返った農協の改革というのが望まれるということでございます。
○村岡委員 今、大臣が言っていただいたように、JAグループで、みずから自己改革をするということで、例えば企業買収だとか企業との連携だとか、そういうことでJAも、改革はまだまとまっていないと思いますけれども、そういう方向性に行くことが新聞の記事では書いております。
ただ、全農の一番上の人だけ経営感覚を持っても、これはまた同じことなんです。やはり、今大臣に私が話したのは、農家一人一人が、ある程度の経営感覚と、それから最終的に販売するときに、自分の農産物は幾らで売れているのか、どんな評価がされているのかとわかるためには、やはりいろいろな方々が集まったところで農家の人たちも参加する、これが大切なんです。そして、今は二百何十万人いますけれども、将来的には農家の人が何万人になると想定しているかわかりませんけれども、仮に二百万人だとしますけれども、二百万人の営業マンがいたらすごいですよ、この国に。そういう感覚を持った農家がいたら、日本の農業に対する、食に対するものが変わってきますよ。
今まで、つくっただけという中で、農協で預かって、幾らで売れているのか、どこで売っているのか、また、どんな評価を受けているのかというのはわからなかったわけですから、それを変えていくということになると、やはり農協が変わらなきゃいけない、一番、農業者と一緒になって農業を変えていくという気持ちにならなきゃいけない、こう思っています。
ぜひ大臣、JAがみずからの改革もすると思いますけれども、そういう改革は何が必要かという部分も、少し農林省の方で、またそういう形の御指導もいただきたい。やはり、初めて改革しようという気持ちになっているときに、何から手をつけていいのかわからない。一番は、農業者全員がこれからは経営感覚をきちんと身につけなきゃいけないんだということを、改革の中で、農協が農業者と一緒になってやっていくということをしっかりと考えなければならないと私は思います。それ以外にもいろいろな問題はあると思いますけれども、そこがまず一番だと思っております。
そして、農業、農協の改革のことで触れましたけれども、もう一つ大きな農業の問題が、消費者が現実には余り理解していないんです。何でこんなに農家にお金がかかるのか、二兆円以上も。それを多面的機能という中で、森から海までを含めて自然環境、そしてまた、世界の人口が爆発しているから、その中で考えると食料が不足する。いろいろな部分で農林省は頑張っているんですけれども、しかし、一般の人たちどころか、この国会の中の議員でも、都会の議員はなかなか理解していません。
その部分でいくと、大臣はまず国会から、政策の違いは別ですよ、本当は農業で、選挙目当てでお互いに争っているのはもうやめなきゃいけない、農業は食の中で一番大切なことですし、食の文化とそれから人間の命を守ることですから、そういう意味であって、国会議員全員にこの農業の二兆五千億を使いながらやっていく意味をどういうふうに大臣は御説明をこれまでもしていますか、それから、同僚の議員の方に言っていますでしょうか、都会の議員の方に。
○林国務大臣 私自身、山口県の選出でございますので、完全な農業、林業、水産業の県というよりは、工業も商業もある、よく言えばバランスのとれた、悪く言えば余り特色のない産業構造ということになるのかもしれませんが、したがって、常に工業に従事されている方と、それから農林水産業に従事されている方と、いろいろなところでしょっちゅう言っているわけでございまして、余り納税者という感覚で見て、農林水産業以外の方から、なぜあそこだけというのは、それほどしょっちゅう聞くわけでもありませんが、やはり根底には、自分の業と比較してどうかと。どうしても、それぞれの業を持っておられますので、そういう見方になるのかなというところはまず否めないところはある、こう思っております。
まずは食料を国民にきちっと供給するというのが国の大事な責務でありますから、食料自給率についても、カロリーベース、生産額、それから今度は自給力というのもあわせて議論することになっておりますが、こういうものを、あわせてしっかりと、この間とったアンケートには、かなりの方が将来不安があると答えていらっしゃるわけですから、なるべくそういうものがないように、きちっとしていくということ。
それに加えて、やはり多面的機能ということで、水を保全する、またCO2を吸収する、集落を維持する等、いろいろな機能があります。これは一言で、例えば多面的機能の方は、やはりああいう、うちの場合は棚田の風景というのがあるんですが、なくなっちゃっていいですかね、もう全部コンクリートの都会のビルだけに日本じゅうがなったらどう思われますかというのを、私はこの仕事になる前ですが、工業に従事されている方との懇談の中で申し上げたことがありますが、やはりどこかで、おじいちゃんはやっていらっしゃるとか、御親戚がやっていらっしゃるとか、山口県でございますので、そういうところがあって、そういう風景を体験されておられますので、そういう意味で必要なんだなという定性的な認識はやはり持っていただけるのではないか、こういうふうに思っております。
あとは、予算の水準、単価の水準等をきめ細かくきちっと御説明していく、こういうことが必要になってくるのでないか、そういうふうに考えております。
○村岡委員 ぜひ、先ほど言ったように、農業者自体の自己改革、農協の改革ということもあります。消費者とそれから農業者との関係も、これは大きく、やはりこれから農業がしっかりと成長産業に行くまでの間は相当投資もしなきゃいけないといいますか、国費も使わなきゃいけない。これが理解されないと、また制度を変えて、先ほど、午前中も出ていた猫の目政策、もうお金がないからやめるということで途中で政策が変わらざるを得ないということがありますので、やはり消費者からもしっかりと理解されるということの部分も努力していただきたいと思うんです。
午前中でしたか、昨日でしたか、「銀の匙」の話題も出ていましたけれども、それは、畜産というか、農業をやる人と、それから一般の見る人も、どちらを見ても、農業っておもしろいなという部分では大変いいことだ、こう思います。
そういう意味では、農林省も、農業というものをしっかりと、国の人間の命を預かるんだという部分の宣伝をもう少し積極的にやらなきゃいけない。
例えば、テレビ番組なんかで、農家を訪ねていって、女性のタレントが一緒に物をつくって、それで食べてみておいしいというような番組がいろいろあります。グルメ番組もあります。
そういう意味で、林農林大臣は、もう大変日本酒もおいしそうに飲みますし、ワインもおいしそうに飲むそうです。また食べ物も非常においしく食べられる方なので、積極的にテレビに出て、この前、総理は、いいともに出ておりましたけれども、いろいろな部分で、農業の理解、食の理解、そういうことをするのであれば、我々日本維新の会は、国会改革だということですから、大臣、どうぞ地方にも行って、農家に一泊して、そこの人たちと何かいろいろな話し合いをして、そういう映像を流しても、我々は、きょうは大臣はそういうことで行っているということであれば、ここに来られなくても全然大丈夫ですので、何かもう少し積極的に農業を考えてほしい、こう思っているんです。
やはり、大臣みずからが出向く、そして農家の方々と話しながら、大臣のこの雰囲気だと農家の人たちは喜ぶと思うんですよ。そして、食べ物もおいしそうに食べると思うんですよ。それをテレビで見てもらってやるぐらいの、やはり何かもう少し、ネガティブにこの政策を、何かこっちの方の政策は選挙目当てだとかこっちが選挙目当てだとかいう議論を、せっかくきょうは一緒に並んでいるわけですから、お互い、野党そして与党を経験した同士、もう少し、農業はこの農水委員会全体でしっかり考えよう、こういう雰囲気になってほしいわけです。もう農業を選挙で振り回すのだけはやめてほしい、これだけはもう本当に、お互い与党を経験した人たちはそれを考えていただきたい、こう思います。一言ずつ、大臣と。
○林国務大臣 全くおっしゃるとおりだと思っておりますので、お呼びがあればいろいろなところへ出かけていって、テレビの前でおいしそうに食べるというか、もともとおいしいものですからそういう顔になっているんだと思いますけれども、やりたいと思います。
この間も実は、「食べて応援しよう!」ということで、福島産のヤナギダコだったと思いますが、農水省の食堂で根本復興大臣と一緒に試食させていただきました。
それ以外に、特に去年の秋には、うまいもの甲子園という、全国の農業高校の皆さんが御当地のいろいろなグルメをつくって全国一を争う、こういうものがありまして、そういうところに出かけていって一緒に食べるとか、いろいろなことをやってまいりましたので、今後も積極的にそういうものは続けていきたいと思いますし、「銀の匙」に続いて、今度は林業の映画、グッドジョブではなくて「WOOD JOB!」というのが、これは五月だったと思いますが、封切りされます。
きのうの農林水産省の入省式の訓示でも、ことし入省される若い皆さんに申し上げたんですが、こういう映画が相次いで封切りをされるということは、やはり若い方、これはコミックはもう爆発的に売れているわけですね、「銀の匙」なんか。ですから、そういうことの関心を持っていただけるという、一つの追い風と捉えて頑張っていこうではないかということも申し上げたわけでございます。
やはり、そういう国民の皆様全体の御理解、それから、何よりも、食文化が無形文化遺産に登録されましたので、やはり食べるもの、またそれをつくっていただいた自然から、農家に始まって流通、最後のところまで、食卓に届くまでの全ての皆さんに感謝をする、いただきますと手を合わせて食べる、これをしっかりと、日本食文化のいいところとして、我々自身ももう一度肝に銘じるべきではないかな、こういうふうに思っています。
こうした思いは、こちらにいらっしゃる民主党の提出者の皆さんと全く変わるところはない、こういうふうに思いますので、しっかりと、同じ目的に向かって力を合わせていけたら、こういうふうに思っております。
○大串(博)議員 ありがとうございます。
農政に与野党なしということ、全く同感でございます。
そのもとはどこにあるかというと、農業を行う方からしてみると、先の見える農業政策、それによって将来を見渡しながら安定的に農業をしていきたいということ、これが農業の特質なんだと思うんですね。そのことに向かって、私たち責任をみんなが負っていると思いますので、そういう使命感を持ちながら、議論に臨んでいきたいというふうに思います。ありがとうございます。
○村岡委員 最後になりましたけれども、ぜひ、本当に選挙目当てはやめて、この農水委員会で、農業の成長、そして環境保全ということでやっていきたい、こう思っています。
それはまた、TPPの問題にもかかわってくると思いますが、TPPが国益を守れて、しっかりとしたことができればいいんですけれども、交渉事によって、これは捕鯨の場合は司法でしたけれども、このときの新聞には、捕鯨だと、まさかの日本完敗とか書かれているわけです。
そんなことにはならないようにしなければいけないですし、それから、世界のグローバルの中で日本の農業がしっかり成長していくということのために、我々維新の会、与党を経験した人がなかなか意見がうまくいかない場合は我々が仲立ちますので、両者一緒になって農業の成長のために頑張りましょう。
ありがとうございました。
○坂本委員長 次に、鈴木義弘君。
○鈴木(義)委員 日本維新の会、鈴木義弘です。
先週に引き続きまして、きょうの議題は、ちょっとそもそものところから入らせていただければなというふうに思っております。
まず一番目に、農業の保護政策についてお尋ねしたいと思います。
先日、ある記事を目にしました。農業界では、農業の存在理由や政策の目的についての議論がなされないまま政策が論じられることが多い、つまり、なぜ日本に農業が必要なのか、なぜ農業を保護するのかという大もとのところがおざなりにされているのだ、農業だから保護するのは当然だというところから議論が始まるというものでありました。
今国会で、大きく戦後農政の転換点を迎えています。二十六年度予算では二・三兆円、経営安定のための制度の導入や多面的機能の維持として法案が出されています。そもそも、なぜ農業を保護するのかを問いたいと思います。
農業を保護する理由の一つは、食の安全保障を維持する必要があると言われています。他の物資と異なり、食料は人間の生命、身体の維持に不可欠で、わずかの不足でも人々はパニックに陥る。
一九九三年に起きた平成の米騒動の際、米が足りないということで、主婦がスーパーに押しかけた。一九一八年、ちょっと古い話ですけれども、大正の米騒動のときよりも、食生活に占める米の比重が大幅に低下しているにもかかわらず、またパンなどのほかの食料品は潤沢にあったにもかかわらず、起こっていると言われています。
私のところでも、当時、おじいさんとおばあさんが米が食べたいと言うので、ちょうど作況指数が七十幾つぐらいの時代だったと思うんです、そのときに、そばでもラーメンでも食べればいいじゃないかと言ったら、いや、米が食いたいんだと。茨城で譲ってもらったのが一俵四万五千円、新潟で譲ってもらったのは六万だったんです。翌年には普通に新米が出てきましたから、値段がぱっと下がったんですけれども、そういう状況が続いたこともあります。
日本が戦争に巻き込まれる可能性が小さく、想定外だからといって、防衛力を持つ必要がないという人は少ないだろうし、発生する可能性は低くても、生じたときに国民の生命そのものに危害が及ぶなど重大な事態であれば、想定外としてはならない。食料も同じである。日本のような食料輸入国で軍事的な危機が生じたときには、食料の輸入も途絶え、必ず食料危機が発生する。これに対処するためには、一定量の備蓄と国内の食料生産能力を確保しなければならない。
ところで、食の安全保障とは誰の主張なのかというのが問題なんだと思うんです。まず初めに、大臣にお尋ねしたいと思います。
○林国務大臣 委員のお聞きになったことは、委員みずから今おっしゃっていただいたところに入っていたのではないか、こういうふうに思いますが、基本的には、誰かといえば、これは食料・農業・農村基本法をおつくりになっていらっしゃる国会であり、それをもとに、この基本法に定められた基本計画をつくっている我々政府ということが一つあると思います。そこにそういうことが、条文として、また基本計画として書いてあるわけでございます。しかし、法律的に言えばそういうことでしょうけれども、それにとどまらずに、これは広く国民の間の共通理解ということではないんだろうか、こういうふうに思っております。
この間、アンケートについて、たしか九六%という非常に高い数字でございましたから、この数字が適当なのかどうなのかというのはおきましても、食料安保をきちっとやるということは国民全体の要請であり、それを反映して基本法ができ、それに基づいて基本計画がある、こういうふうに理解をしております。
○鈴木(義)委員 ごもっともだと思うんですね。
食料安保については、本来、消費者の主張なんだと思うんです、生産者側の農家や農業団体の主張ではなくて。今申し上げました米騒動のときにもありましたように、スーパーや小売店に殺到したのは主婦であって、農家ではなかったわけです。ですから、食料安保を言うのは、やはり国民の側から、私たちの安全を保障してほしいということなんだと思っています。
にもかかわらず、政府は、農業団体である農協の強い要請により、古い話ですけれども、現在の四〇%の食料自給率を今後十年間で四五%に引き上げるというのを二〇〇〇年に閣議決定して、それに基づいて行っているんだと思うんです。消費者団体よりも農協の方が食料自給率の向上を主張されて、食料安全保障の主張に熱心に取り組まれてきた事実があります。さらに、民主党政権では食料自給率の目標を五〇%に引き上げたということもあります。
では、今まで食料自給率は向上してきたのか。今までの政策をずっと、十五年余り続けてきたと思うんですけれども、それで自給率が上がったのかという問いかけにお答えいただければと思います。
○小里大臣政務官 御指摘のとおり、平成二十二年度に策定した現行の食料・農業・農村基本計画、ここにおきまして、食料自給率目標を平成三十二年度でカロリーベースで五〇%、生産額ベースで七〇%としているところであります。
その実績を見ますと、カロリーベースにつきましては、天候や東日本大震災の影響等もあったと思いますが、基準年である平成二十年度に四一%であったカロリーベースの自給率が、平成二十四年度には三九%となっております。一方で、生産額ベースにつきましては、平成二十年度に六五%であったものが、こちらの方は平成二十四年度で六八%と堅調に推移しているところであります。
いずれにしましても、民主党政権下において策定をしたものでありますが、現在は全体として見直しをして、食料自給力の理念、あるいは生産額ベースの自給率の再評価等をあわせて、新たな食料・農業・農村基本計画の改定に合わせて議論が進められているところであります。
○鈴木(義)委員 ありがとうございます。
長い間、食料自給率を向上させるという話で、たしか、私の記憶が間違っていなければ、今から二十九年ぐらい前に米の輸入自由化が叫ばれたときに、食料自給率を金額ベースからカロリーベースに置きかえて、そのときも、五〇%を切っているんだから、米は一粒たりとも日本には入れないという主張があったように覚えています。そのときからカロリーをベースにして、今いろいろな指標のとり方をしているんだと思うんです。
もう長い間、食料自給率はカロリーベースで目標数値を掲げてきたんですけれども、なぜ上がっていかなかったのか。そこの目標の未達にかかわる責任は誰にあったんだろうか。政策なのか、農林水産省なのか、私も含めて政治家に責任があるのか。
そこのところを、今回の法改正で、どの品目を何年ぐらいかけて向上させよう、ざっくり言って、四一%から三九%を三十二年までに五〇%にするんですというような御答弁も今いただいたんですけれども、その中には多種多様な農産物が入っているんだと思うんですね。でも、やはり個々の目標数値がなければ、五〇%は達成できないんじゃないかと思うんです。
今回の法改正をすることによって、どれだけ自給率が上がるのかというのをもう一度問いかけたいと思います。
○林国務大臣 自給率の進捗状況でございますが、今お話があったように、カロリーベースの目標は五〇%、足元三九%ということで、目標から乖離している状況にあるわけでございます。
この要因別にちょっと分析をしますと、生産面ですが、米粉用米、これは現行計画の三十二年の生産数量目標五十万トンとしておりますが、平成二十四年度、足元では三・三万トンでございます。それから、飼料用米、餌米ですが、これは七十万トンに対して十六・七万トンと、大きく目標から乖離をしております。
それから、消費面ですが、国産で賄うことのできる主食用米については、消費増、お米をみんな食べるだろうということを見込んでいたわけでございますが、平成三十二年度の予想消費量が一人一年当たり六十二・〇キログラムというふうに置いてあったわけでございますが、足元、平成二十四年度は五十六キロ、低落傾向に歯どめがかかっていない、こういうことであります。それから、米粉用米も消費増を見込んでいたわけですが、三・三キログラムに対して〇・三キログラムと、これも予測を下回っております。
一方、今度は小麦でございますが、輸入に大きく依存しております小麦については、消費減を見込んでおりましたが、これは予想消費量二十八・〇に対して三十二・九キログラムに既になっておる。それから、油脂、油でございますが、これも予想の十一・七に対して十三・六キロと、予測を上回ってこういうものが推移しているということで、生産面、消費面両方から、基本計画に定めた目標と乖離が生じている大きな要因がこういうところからきている、こういうことでございます。
生産額ベースの方は、数字どおりということでありますが、生産額への寄与が大きい牛肉、豚肉等が見込みに沿って推移をしているということがその数字の大きな理由である、こういうふうに思っております。
したがって、カロリーベースの食料自給率が乖離している状況というのは、今要因を申し上げましたように、米粉用米、飼料用米、麦、大豆等が目標から大きく乖離しているということでございます。
食育等ありますけれども、やはり消費の方を大きく変えていくというのはなかなか、国民のライフスタイルというところもございますので、生産のサイドで米粉用米、飼料用米の生産を上げていくということと、麦、大豆、油、こちらは消費が伸びている、目標というか想定よりも伸びているわけですから、ここの国産の率を上げていく。こういうことが大事であろうということで、今般の改革でも、水田活用の直接支払交付金で、麦、大豆、飼料用米など需要のある作物の本作化、これを進めていこうということで自給率の向上を図っていく、こういうことにしたところでございます。
○鈴木(義)委員 ありがとうございます。
先ほども村岡委員の方からも質問がありましたように、どの地域にどのぐらいつくっていけばいいのか。
今御説明いただいたように、米粉米を三・三万トンから五十万トンにふやしますとか、飼料米を十六・七万トンから七十万トンにふやします、こういう目標があるわけですね。
大臣が先ほどから答弁されているように、何をどのぐらいつくったらいいのかというのは、いろいろな指標を見ていただいて、経営者が判断してほしいというふうにおっしゃるわけです。去年も私もさんざん同じような質問をしてきたと思うんですけれども、それは国が決めることじゃなくて、経営体の、経営者の皆さんが自己判断でやってほしい、そういうふうにおっしゃるわけですね。
そうおっしゃりながらも、食料安全保障の観点からいって、食料自給率を上げますよというふうに国が目標を挙げるんです、掲げるわけです。それで七十万トン、五十万トンという数字が出てきているにもかかわらず、どこの地域で何をつくったらいいのかというのはきちっと示せないというのは、農家に混乱を及ぼさせるだけの話じゃないかと思うんですけれども、その辺の御見解をいただきたいと思います。
○林国務大臣 御案内のように、この計画自体は、たしか二〇〇七年だったと思いますが、その時点でつくられておりますから、当然そのときの政策体系というものが念頭にあって、その上でこういうことをやっていこうと。考えられる全ての政策的な努力をした場合に達成される数字、たしかそういうふうになっていた、こういうふうに思います。
したがって、今回大きな農政改革をやりまして、一つは、需要に応じたものをつくっていただこう、こういうことですから、これは必ず需要に応じたものに水田のフル活用が進んでいけば、先ほど申し上げたような施策と相まって自給率の向上に寄与する、こう思っておりますが、今回の新しい農政改革を踏まえて、自給率、これは生産額、カロリーベース、それから自給力、これについてどうしていくかということをまさに新しい食料・農業・農村基本計画でつくっていただく、この議論を、既に審議会に諮問をして、始めていただいたところでございます。
○鈴木(義)委員 ありがとうございます。
農林水産省は、食料自給率を上げますというふうに、私の記憶が間違っていなければ、三十年余りずっと続けてきたんだと思うんです。そう言いながら、自給率の低下につながっている政策をとってきたんじゃないかというふうに言われます。
一つは、国産米の政府売り渡し価格と外国産の麦の売り渡し価格を見れば一目瞭然で、価格差が、麦の方が安いんですよね、米の方が高い。国産米の価格維持の政策をとりながら、一方で、大豆や麦の価格は大きな開きがあったというのは事実だと思うんです。
そもそも、食料安全保障とは、海外から食料を輸入できなかったときに国民の生存を維持するための政策であり、必要な農業資源、特に農地が確保されていなければ飢餓が生じるというものであります。そのときに牛肉など食べられないんですよね。したがって、食料安全保障は米や芋などのカロリーを最大化できる農産物をどれだけ生産できるかという問題であり、飽食の限りを尽くしている現在、今の生活を前提とした食料自給率を云々すること自体が意味がないんじゃないかとも言われているんです。
今のこの飽食の時代、食の多様化の時代で、これから行う施策が本当に食料安全保障の面から見て必要と考えられるのか、お尋ねをしたいと思います。
○林国務大臣 将来にわたって食料の安定供給を確保する、これはやはり国家の基本的な責務である、こういうふうに思っておりまして、やはり国内農業生産の増大を図って、自給率、自給力をともに向上させていくことが重要である、こういうふうに思っております。
農業従事者の減少、高齢化、農地面積の減少、こういうものが進展していくということは、潜在的な供給能力というのは落ちている、こういうことになるわけでございますので、食料自給力の維持向上のために、農業生産の基本的な要素である農業従事者、農地面積というものをしっかりとサポートしていくことが大事ではないかということでございます。
そういった意味で、今般の改革において、産業政策と地域政策ということで、農地中間管理機構を制度化して、担い手へ農地利用の集積、集約化をする。それから、主食用米から需要のある麦、大豆、飼料用米に振興していくための米の直接支払交付金の見直し。
先ほど委員から御披露のあった千九百十何年の時代には、お米が大変貴重で、そういう値段になったということですが、一方、足元では、先ほど申し上げたような、数年前につくった計画にすら消費がいかない、こういう状況でございますので、そういう状況に対応して、需要のあるものを水田をフル活用しながらつくっていく、これによって自給力の向上、自給率の向上に努めていきたい、こういうふうに思っております。
○鈴木(義)委員 私のところも、今はやっていないんですけれども、農家でありまして、前にもお話ししたかもしれませんけれども、小さいころ、祖父によく懇々と言われたんですけれども、私のおじいさんの代まで屋根屋職人を、半分農家をやりながら、冬場、野菜物ができないときはカヤぶきの屋根のふきかえをなりわいにしていたんです。
そのカヤはどこからとってくるのかといったら、私は埼玉の一番東の外れですから、江戸川という一級河川が流れていて、そこにヨシがいっぱい生えている。当時、産業がそれほどなかったので、復興期の時代ですから、仕事がない。では、何をといったときに、国が、ヨシを刈っていいよという面積を、ある農家の人に権利を与えて、そこを刈って、そのカヤを私ども屋根屋の仕事をしている人間が買い取って、屋根をふきかえていたんです。村ごとに、どこのうちはことしはふきかえようと。
でも、今、屋根屋でカヤをふく人はいないんですね。需要がないからなのかもしれませんし、東北だとかほかの一部で、古民家でカヤでお住まいになっている、あとは記念館でカヤが残っているところがたまに見受けられるんですけれども、それでも、需要はなくなったから、それが仕事にならなくなった。
それと同じで、やはり食べる人がいなくなれば、一生懸命つくっても、買う人はいないということだと思うんです。そこのところが、次の議題に入っていくんです。
次に、農業を保護する根拠として、農業界は、農業の多面的機能、きょうも何度も、先週も何度も多面的機能という言葉が出ます。でも、多面的機能とは、特定の農業生産は、水資源の涵養や洪水の防止などが主な役割だと言われていますし、市場では取引されないプラスの外部経済効果を生んでいるから必要なんだというような主張をされます。
農業界が主張する我が国の多面的機能のほとんどは、水田が持つ水資源涵養、洪水防止機能で、くどいように申し上げています。しかし、政府は今まで減反政策をずっととってきたわけですから、水田を水田として利用していないどころか、水田を潰す減反政策を四十年近くとってきたんです。
だから、水資源の涵養だとか洪水防止機能というふうに言われながら、片や多面的機能が大事なんだと言いながら、水田を潰して減反政策をやってきて、ここになって多面的機能が大事なんだというふうにおっしゃるんですけれども、戦後一貫して、田んぼがどんどんふえてきた時代もあったし、減反政策をすることによって、現在ではちょっと数字が違うかもしれませんけれども、二百五十四万ヘクタールぐらいに減少してしまっているという数字が出ています。
これは、価格維持のためということで、逆のことを農家に強いてきて、多面的機能を弱める政策をとってきたんじゃないかと思えるところもあるんです。多面的機能という面から、今回の施策と今後の施策、どれだけの違いがあるのか、お尋ねしたいと思います。
○林国務大臣 まず、その減反という言葉が、いわゆる減反というような使われ方もされておりますが、いわゆるつくらせない、今委員がおっしゃった意味で、これは昭和の四十年代とか、ちょっと今資料が手元にございませんが、そのころ、確かにつくらせないということがありました。
多面的機能というのは、多分そのときに言われていたけれども、つくらせないということではなくて、多分、多面的機能というのが出てきて、やはり米はだんだん数量調整はしなきゃいけないけれども、逆に、水田には多面的機能があるという議論の中から水田フル活用というものが出てきて、転作奨励、こういうことになってきたのではないか、こういうふうに思っております。
そういう意味で、生産調整というのは、減反の後も生産調整をやってきたので、私はこの委員会で、大分前になりますが、正確に申し上げれば生産調整の見直しをするんですと言っていたのは、そういう意味で申し上げてきたわけでございます。
したがって、この多面的機能というのは、まさにそういう認識があって、米は需要がだんだん、この五十年間で半減するという、一国の主食がそれほど大きく変わるというのは余りないことなのではないかと諸外国を見ておっても思っておりまして、そのことにどう対応するかという中で、多面的機能を保持しながら転作奨励をすることによって、生産調整という手段でそれをやってきたというのが今までであったわけであります。
今回は、さらに、生産数量目標の配分というのを五年後になくてもいいような仕組みにしていこうということで、需要に合った作物をさらにつくっていただくということをやりながら、一方で、今までも申し上げてきた多面的機能、これは水資源支払いですか、それから、中山間地は条件不利ということですが、そこをさらに多面的機能支払いということで、農地の維持向上ということでお支払いをするということになってきたわけでございます。
したがって、やはり基本は、需要に合わせるということと水田のフル活用をする、これをどう両立させるかということが今回の改革の大きな基本的な論点である、こういうふうに認識をしております。
○鈴木(義)委員 ありがとうございます。
私の個人的な考え方なんですけれども、先ほど御答弁いただいたように、山合いに棚田があるからきれいだろう、これが日本の風景だから残しなさいというんですけれども、もともと棚田があったわけじゃないんですよね。人間が開墾して、そこに田んぼをつくった方が米が高く売れた時代があったわけですから、そのために田んぼをつくったんです。でも、平地のところと中山間地域とでどんなに競争しても、やはり、きれいな景観を残せたとしても、米が産業政策としてはもう成り立たないのはみんなわかっているわけですね。だったら、中山間地域であれば、そこでしかつくれないものをつくってもらうように誘導していった方がいいんじゃないかと思うんです。
だから、多面的機能というふうに雑駁に広い範囲の話をされてしまうと、山は山のいいところもあるし、平地は平地のいいところがあるんです。そこで同じように、山間地域でも田んぼをやっているから、麦をやっているから、それはサポートするんですという発想は、もうそろそろ成り立たなくなってきているんじゃないかなと私自身は思っているんです。
ですから、産業政策と地域政策をきちっとすみ分けをするのであれば、やはり、もうそこでどうするというところを、きちっと予算化するのも必要だろうし、切り分けた政策でやっていった方が現実に即するんじゃないかというふうに思っています。
多面的機能の中で水源の涵養がよく重視されるんですけれども、河川法に基づいて、川から水をくんだり、ダムから、ため池も同じだと思うんですけれども、いまだに水利権のうち五〇%が慣行水利権で運用されているというふうに聞きます。農業としてどのぐらいの水が必要なのか、どのぐらい使用されているのか、その記録もないという話なんですね。
用水を保全するんだとか水源を大事にするんだとかというふうに雑駁な言い方はするんですけれども、では、農業を支えていくために今どのぐらいの水が必要なのかといったときの根拠になるデータがない。いまだに水利権自体は慣行水利権で行っている。だから、今何度も繰り返し申し上げますけれども、多面的機能の中で水源の涵養が大事なんだという話になれば、これからどのぐらいの予算を措置して、多面的機能を維持しながら農業を次の時代にも送っていかれるかといったときに、このぐらい、一千億必要なのか、五千億必要なのか、そこはやはりきちっと提示するべきだと思うんですね。
農林業のときも、お話ししたように、林業なのか多面的機能なのかというのは、林業者にいつも多面的機能でやってくれというんじゃないんだと思うんですね。多面的機能が必要なんだったら、国が責任持ってやればいいので。
今回の、産業政策と地域政策の中で多面的機能というんだったら、農家の所得を補償するんなら、きちっともっと出したっていいと思うんです。でも、多面的機能を維持するためにどれだけのものを残さなくちゃいけないのかというのも、何かよくわからない議論で終わっちゃっているし、そこのところは、やはり今後、潤沢な予算があるわけじゃなくて、継続してやっていかなければ、またお世話にならなけりゃならないところがたくさんあるんだと思うんですけれども、そこのところをどう考えるか、お尋ねしたいと思います。
○林国務大臣 まず、水田で水がどれぐらい稲作のために、また耕作のために必要になるかということと、それから水田の多面的機能としての水源涵養機能というのは少し別の話として捉えなければならない、こういうふうに思っておりまして、これは委員も御存じだと思いますが、多面的機能について貨幣評価を試算したものが、少し古いんですけれども、平成十三年、日本学術会議においてやったものがございます。
これにどういう機能として書かれているかというと、例えば洪水防止機能、水田及び畑の大雨時における貯水能力を治水ダムの減価償却費及び年間維持費により評価をした代替法ですが、こうした場合に貨幣換算するとどれぐらいの価値があるか、こういうことで、一年当たり三兆五千億、こういう考え方でやっております。
同じように、河川流況安定機能ですとか地下水の涵養機能、こういう形で、多面的機能というのは日本学術会議で貨幣的価値を、評価を試算していただいているということでございますので、農業に必要な水を確保するというのは、この多面的機能とはまた別にしっかりと考えていかなければならない課題である、こういうふうに思っておるわけでございます。
したがって、御質問があったように、多面的機能をきちっと評価してやるということでありますが、産業政策を行ったところには多面的機能は行かないとか、逆に、地域政策で多面的機能をお配りしたところには経営所得安定対策は行かないということではなくて、それぞれきちっと、それぞれの政策目的に応じて、多面的機能はこれぐらいお支払いをします、しかし、それにプラスして経営所得安定対策のいろいろなものも行くということが当然の前提でございますが、内訳としてきちっとこれは明示をしようというところが我々の考え方でありまして、特に、今棚田のお話がありましたけれども、中山間地においては、今までお支払いしていた中山間地払いに加えて、今度はこの農地維持向上支払いというのがプラスされる、こういうことになるわけでございます。
したがって、冒頭で、何をつくるか示していくべきだというお話がありましたが、これも、どこの中山間地かによっても、日本全国、南北に長いですから、やはり地域で、今回交付金も増額をして使いでをよくしたということもございますし、そういうものもいろいろ活用しながらやっていくべきだ、こういうふうに思います。
新潟にお邪魔したときに、実は、例の魚沼産コシヒカリというものは、棚田で一番いいものができるんだ、こういうふうに教えていただきました。したがって、見ばえがよくて、この風景を守りたいというだけでやるということでは、やっていらっしゃる皆さんもなかなか力が入らない、こういうふうに思いますので、やはり棚田なら棚田のよさや、中山間地ならではの工夫ということもやっていただくということは当然あって、それを中山間地支払いで後押ししていく、こういうふうにやっていかなければならないと思っております。
○鈴木(義)委員 ありがとうございます。
では、次に、各国の農業保護政策についてお尋ねをいたします。
日本の農政は、アメリカやEUなど、世界の農政の潮流から二十年以上おくれていると言われています。アメリカやEUが農業保護を納税者負担に移行させているのに対して、日本も一部まだ残っていますけれども、消費者負担に依存しているというふうに言われています。
OECDが開発したPSE、生産者支持推定量という農業保護の指標は、納税者負担と消費者負担の部分から成り、納税者負担は、財政負担によって農家の所得を維持している部分で、消費者負担は、消費者が、安い国際価格ではなく、高い国内価格を受け入れることで農家に所得移転している部分ですというふうに言われています。国内価格と国際価格の差、内外価格差に生産量を乗じて算出すると言われています。
しかし、今まで、農業支援や農業保護がどの水準で実際に推移しているのか、諸外国と比べてどの程度の水準なのか、指標について余り語られてこなかったように思います。
そこで、お尋ねします。
現在の日本の農業支援や農業保護の水準がどの程度なのか、また、これだけ食料を海外に依存しながら、なぜもっと早く議論を起こしてこなかったのか、あわせてお伺いしたいと思います。
○林国務大臣 OECDの、各品目の内外価格差に生産量を乗じたものに農家への直接支払い額を加えたものをPSE、プロデューサー・サポート・エスティメートということで定義をされておられまして、農業政策から生じる、消費者、納税者から農業生産者への金銭に換算した価値移転の総額をあらわす指標ということで、毎年公表をしております。
農業生産額と農家への直接支払い額の合計に対するPSEの割合をパーセントPSEということで、農業をどれだけ支持、サポート、保護しているかという大きさの比較ということで使われているわけでございます。
二〇一二年のパーセントPSEの数値を見ますと、我が国は五六%ということで、EUの一九%、米国の七%と比較して、高い水準にあるということでございます。
これは、委員も御案内のように、当然、内外価格差を生産量で乗じておりますので、まさに日本のこういう国土で農産物をつくることから生じる生産条件の格差がそのまま出るということでございますから、アメリカやオーストラリア、百倍、千倍の土地でもってやるところとの比較ということになるわけでございまして、必ずしもこれが、アメリカの七%を目標として、七%にしていかなければいけないという性格のものではないというふうに認識をしております。
○鈴木(義)委員 なぜ今みたいなお話をするかといったときに、各国も農業の保護政策をとってきているわけですね。EUも含めて、アメリカも、ほかの国もそうだと思うんです。その中で、海外的にもそうかもしれませんし、国内でも、これからも税金を投入して農業を保護していこうというふうに考えるのであれば、きちっとした指標をやはり示していかなければならないんだと思うんです。
それで、今御説明、御答弁いただいたんですけれども、農業保護については、消費者負担だから、価格維持から、関税を課すことで、今まで国内では、お米は七七〇%、コンニャクだったら一四〇〇%の関税をかけて、海外から入ってこないようにしながら、また別の形で税金を投入して農業生産してもらっているわけですね。
それであれば、やはり、いずれ関税を下げる、上げるは別にして、TPPの話をお聞きしても、どこがどうなるか、基本的にほとんどお答えにならないんですけれども、でも、最終的には、結局、農家も保護するけれども、私たち消費者である国民も、海外と同じぐらい安いものが手に入るというので、一番理想型の形になるんだと思うんですね。言っている意味、わかりますかね。
農家に補助金を出して、頑張って生産してもらうんだったら、海外から入ってくるものと同じぐらいの安い価格でその食料、食品が手に入れば、国民とすれば、納税者負担というのはそういうことだと思うんです。消費者負担というのは、関税をかけることによって海外から入ってくるのをとめておきながら、消費者が農家の人の分を払ってあげているんですよという制度なわけですね。
それを、納税者負担で、税金をもっともっと導入してでも農業を保護していくんだという考え方であれば、逆に、関税を下げてでも、安いものと競争して、外国産より国産で、同じ価格だったら国産の方がいいよねというふうにしていかなければ、やはり本当の意味での農業保護にはなっていかないんじゃないかと思うんです。農家だけもうかればいいということじゃない。
だから、そこでお尋ねしたいのは、日本型直接支払いだとかをやっていく中で、PSEの割合をどのぐらいに下げていこうとする見込みなのかということですね。基本的な考え方も、消費者負担から納税者負担に移行していこうというふうに考えるのか、お尋ねしたいと思います。
○林国務大臣 先ほど申し上げましたように、内外の生産条件の格差、それから生じる価格差というのがPSEに入っているわけでございます。これを、例えばアメリカのようにするとかオーストラリアのようにすると、やはりそれぞれの国の地理的条件、気候的条件があって、価格差、生産条件というのが出てきておりますので、まさに、逆に言えば、農政の一つの基本であるゲタというのは、そこに着目してやっている政策であります。したがって、PSEをどういうふうにするかという目標は特にないわけでございます。
それから、委員が先ほどおっしゃった話は、たしか林委員からも、前回、ここだったか予算委員会だったかでお話があったところでございまして、確かに、水際措置で守って、価格ということでやりますと、消費者には高い価格で御負担いただくことになるということをこの間御議論させていただきました。
一方で、委員が今まさにおっしゃったように、どんどん税金をつぎ込んで、水際措置のかわりに所得補償をすれば、こういうふうなお話があったように、そういう考え方をとりますと、かなり財政の投入というのが必要になってくるわけでございます。
安くなった外から入ってきたものに比べて、対抗上、国産の農産物が下がって、そのものを今度は直接支払いで埋めていく、こういうことになりますと、どういうことが起こるかというと、まず、関税収入がなくなるということです。その関税収入がなくなった分、さらに所得につぎ込むものがふえるということで、行って来いで、農家につぎ込むもの以上に、実は財政上はいろいろな負担がふえるということです。
この財源をどうするかということもあって、考え方として全く世の中どこにもあり得ないと言うつもりはないわけでございますが、やはりそういうこともあわせて慎重に検討する必要があるということだと思います。
〔委員長退席、森山委員長代理着席〕
○鈴木(義)委員 結局、価格で勝てないものをいつまでつくっていくのかといったときに、小麦だとか大豆だとかというのは、もう輸入量が九割を超えちゃっているものもあるわけですよね。それをどこまで押し戻すのかといったときに、では、どこまで税金を投入して農家、農業を保護するのかというのは、やはりきちっと議論をしなくちゃいけない時代に入ってきているんだと思うんです。その辺の考え方を。
○林国務大臣 そこは、やはり小麦にしても大豆にしても、果たして単一の価格のコモディティーなのかという議論があるのではないかというふうに思っております。
いろいろなブランドがあって、いろいろな品質があって、今入ってくる小麦の中でも、いろいろな種類のものが入ってきているわけでございます。コモディティーとして、値段が、大きなところで大規模にやるところと生産条件の格差があるので、もうこれは諦めるということではなくて、例えば小麦でいいますと、北海道では、ゆめちからというブランド、品種を開発して、日本の小麦だけでおいしい食パンがつくれる。私も、先ほどのお話があったように、行って食べてきたわけでございますが、やはりおいしいものはできております。これが入っているパンということで、商品もブランド化を推進する、こういう取り組みがあります。
それから、福岡では、御案内のように、豚骨ラーメンというのが非常においしいわけでございますが、ラーメン専用の麦というのを、豚骨ラーメンの業者の皆さんと一緒になって協議会をつくって、品種開発をして、ラー麦という商標にして、このラーメンにはラー麦が入っております、ラー麦でつくったラーメンですということで差別化を図る、こういった行き方。今度は、讃岐うどん等にもこういう例が普及していく、横展開をしていかなければいけないと思っております。
やはり、あらゆるものでそういうことを、たゆまぬ努力をすることによって、差別化をすることによって付加価値をつけ、自給率を戻していく、こういう努力をやっていく。そのことと組み合わせて先ほどのゲタというものがあって、両々相まって、やはり冒頭委員からお話ありました大切な食料自給ということにつなげていく、こういうことが大事であるというふうに考えております。
○鈴木(義)委員 もう一つ、農業の環境政策の話題の中で、クロスコンプライアンスとレファレンスレベルという概念がよく使われるんだそうです。クロスコンプライアンスは、補助金等の受給に、直接的にそれを目的にしないものについて環境への配慮を要件化するということ、レファレンスレベルは、農家の任意負担により達成されるべき環境の質のレベルで、このレベルを超える環境の質の向上を農家に求める場合は、政府による政策の介入が正当化されるという概念であるというふうに聞きます。
これが、WTOだとかEPAだとかTPPでも同じような議論がこの中にあるんだと思うんですが、結局これは、海外との取引交渉の話ばかりじゃなくて、先ほどからお尋ねしている、多面的機能の維持だとか向上というふうにおっしゃられるのであれば、何かきちっとした、やはり環境評価指数みたいなのを出さなくちゃだめなんだと思うんです。
ただ水路の泥上げをすればお金を出します、それをちゃんとやっているのか、ちゃんとやっていないのか、それは全部、信用問題だからお任せしますという話なのか。補助金を、交付金を出すとか直接支払いをするという、公的なお金を出すということは、やはり使い道に関してはちょっとシビアにする基準を、国民にもわかりやすいような指標を出すということが必要なんじゃないかと思うんです。
それが達成されているか、達成されていないか。達成されていないのはこれだけのものだというのをやはり後から足してあげるとか、多かったらこれは削らせてもらうというふうになるんですけれども、必ずそこのときに、もっとたくさん支給をするんだ、払うんだと言えば、みんな文句は言わないと思うんです。でも、一年ごとに見直しをかけたときに、これはちょっと要らないよねといったとき、要らないよといったときのきちっとした指標を設けて初めて、それに達していないんだから下げますとか、これはオーバーしている分だからいいでしょうというふうな議論をしない限り、やはり混乱を来すんだと思うんですね。その辺の影響とか効果の分析についての計量分析手法の開発など。
それと、もう一点、環境の質の向上というふうによくお使いになるんですね。質というのはどういうものなのかというのを、あわせてやはり指標を掲げた方がいいと思うんですけれども、その辺について御答弁いただきたいと思います。
○西郷政府参考人 例えば環境にいいことをしたときに支払うということにつきまして、その基準をきちんとした方がよろしいのではないか、こういう御議論でございました。
環境保全型農業と言われておりますけれども、我が国におきましては、きちんと守らなければいけない基準、例えば農薬取締法に基づきます農薬の使用基準、これは農薬の使い方が書いてございますが、そういった法令に基づく基準でございますとか、あるいは、法令では決まっていないけれども、それ以上に、例えば、肥料のやり方、農薬、防除の仕方などの適正化、あるいは土づくりの仕方だとか、基本的な取り組みとして農業環境規範といったものを国で定めておりますけれども、こういったものについて取り組んでいただく。これは、農業者みずからが推進していただくという営農活動であり、こういった水準というものが、今先生が御指摘になったところのレファレンスレベルと言われるところだと考えられると存じます。
そういった規範だとか、あるいは法令で求めた要求以上に取り組まれる、例えば、堆肥や緑肥を施用していただくことによって、土壌中に炭素をためて地球温暖化の防止に資する取り組みでございますとか、冬期湛水、有機農業などによる生物多様性の保全に関する取り組みといったことは、農業の自然環境の保全効果を一層高めるということを通じた農業生産活動でございまして、一定の社会的負担のもとで推進することがふさわしい営農活動でありますので、そういったレベルのものにつきましては国として一定の支援を、今もやっているところでございますけれども、今後とも推進してまいりたいと考えているところでございます。
それから、指標でちゃんと定量的な分析をすべきであるというお話がございました。
確かに、今、国際的には、OECDが開発いたしました農業環境指標といったところで、各国の農業政策の環境影響といったものを各国からデータを集めまして、肥料の使い方はどうだ、農薬はどうだ、あるいは温室効果ガスの発生はどうだといったことを公表してございます。我が国ももちろん提出してございます。
それに見合ったような指標セットそのものは我が国にはございませんけれども、OECDの指標を参照したり、あるいは、新たに環境に影響を与えそうな活動に取り組んでいただくような施策を導入する場合におきましては、そういった分析などをいたしまして把握に努めてまいりたいと存じておるところでございます。
○鈴木(義)委員 ここで問題があるんですけれども、農家の所得が不足しているから、直接支払いをして所得支持を行おうというのが今回の制度だと思うんです。レファレンスレベルを高く設定すれば、逆に農家にコストの増加を要求するようになって、矛盾が生じてしまうというふうにも言われていますし、直接支払いの目的が農業の多面的機能にあるならば、その矛盾が増大するというふうにも言われているわけです。
今回の法改正により、どこまで農家の負担を強いていくように考えていくのか、そこのところ、大臣でも政務官でもどちらでも、御答弁いただきたいと思います。
○小里大臣政務官 レファレンスレベルの効用につきましては、御指摘のとおりでございます。
まず、環境保全型農業直接支援につきましては、レファレンスレベル、すなわち営農における活動の水準の考え方に基づきまして、この水準を超えた取り組みのうち、一定の要件を満たすものを支援対象としております。
他方、多面的機能支払い、中山間地域等直接支払いについては、御指摘のような所得支持ではなくて、多面的機能の発揮を促進する観点から、地域の共同活動に対して行うものであります。営農の継続を目的とするものであります。したがって、個々の農業者に特別な営農活動の実施を求めるものではないと考えております。
このため、農業者の任意負担により達成されるべき水準という意味でのいわゆるレファレンスレベルを設定し、これを上回る水準の活動に対しての支援を行うことは考えておりません。
○鈴木(義)委員 今答弁いただいたんですけれども、もう時間がないので、最後に一つだけ。
私の知人が穀物商社に勤めておりまして、国産と輸入物を扱って、大豆なんですけれども、海外産は主にカナダから入れているんだそうです。輸入品はすごく、粒もそろっていないし、色もばらばらだし、それを一年に二回、船に分けて国内に持ってくるんだそうです。それで、大手の商社の施設を借りて、きちっと選別をして、商品として食料品の加工会社に納入するんですけれども、価格を聞いてびっくりしちゃったんです。トン一万円なんです。為替の影響があったりもするんですけれども、シカゴの市況、相場が輸入の価格になっているんだそうです。選別の費用だとかマージンだとか乗せて、キロ当たりにすると十二円で食品加工業者に納入する。
国産の大豆を全農さんから買い付けするんだそうですが、ことしの一月の価格が三十キロ当たり八千円、三月で一万三千円なんです。この価格差は、二十四年産が安くて、二十五年産は量が余りとれなかったので逆に高値になった、プレミアがついたという話なんです。
あるデパートでは、国産一〇〇%の大豆でつくった豆腐が八百円から千円で売っているんだそうです。私はまだ食べたことがないんですが、大変においしいんだそうです。でも、私なんかがたまに食べる豆腐というのは、一丁大体百三十円から百五十円だと思うんですね。(発言する者あり)それでも高いですか。千円の豆腐を食べる人というのは大金持ちか、豆腐が大好物の人なんだと思うんです。
二割、三割のコストダウンを努力しろというんだったら、農家の人たちも頑張ると思うんです。でも、この三十六倍の価格差、コストを下げるという以前の話だと思うんですね。
今回の、直接支払いだとかいろいろな、所得をサポートするような制度の法案が出てきて、お金を出しますよと言っているんですけれども、百三十円の豆腐と千円の豆腐のギャップが、この法案をスタートさせることによって埋まるのか、埋まらないのかということなんです。
それは、先ほど中盤でお尋ねしたように、やはり補助金をきちっと出すのは、私はどんどん出した方がいいと思うんです。そのかわり、ある程度の規模の農家の人だけはサポートするけれども、そこに土地を集約化して、大規模化をやって、なるべくコストを下げる努力はしてもらいたい。でも、海外からキロ十円とか十二円で入ってきている大豆と競争しろといっても、これはなかなかやはり厳しいものがあると思うんですね。
今回の法改正をすることによってそのギャップが埋まるのか、最後に大臣にお尋ねしたいと思います。
〔森山委員長代理退席、委員長着席〕
○奥原政府参考人 先生から大豆の価格について御指摘がございました。
今の先生のお話ですと、国産大豆が輸入品より三十六倍も高いものがあるというお話でございました。いろいろなものがあるのかもしれませんが、私どもの方で把握しておる大豆の価格でございますけれども、平成二十五年のシカゴの相場、これで見ますと、六十キロ当たり二千九百四十四円でございます。我が国に輸入される外国産の大豆の取引価格につきましては、これは製油用のものとそれから食品加工用、これに大きく分かれておりまして、製油用、こちらは遺伝子の組み換えが分別されていないものが主でございますが、これですと、六十キロ当たり三千八百八十二円。それから、食品加工用の方でございますが、こちらは遺伝子組み換えでないものが中心でございますので、六十キロ当たり六千百二十五円ということになっております。
一方で、国産の方の大豆の価格でございますが、国産の大豆は大部分が、油ではなくて、豆腐、煮豆、納豆といった食品用に向けられます。そういったことから、実需者の方からの品質面での国産についての評価も反映しておりまして、二十四年産の国産大豆の入札の平均価格は六十キロ当たり八千百四十五円ということになっております。輸入したもので食品加工用に仕向けられるもの、これと比べますと、大体三割ぐらい高いというのがこのときの数字でございます。
このように、国産の大豆につきましては、外国産に比べてやや高い価格で取引をされておりますけれども、やはり輸入の大豆の価格に引きずられておりまして、コストを下回る状況にございますので、これについては、ゲタ対策でコスト割れを補填する必要があるというふうに考えております。
○鈴木(義)委員 ギャップが埋まるかどうかというふうに聞いただけなので、丁寧な御説明をいただいて。
そこで、一番問題になってくるのは、いつもそうなんですけれども、国産と海外産の、価格が二割、三割高くても、ヨーロッパでは、国産を買おうというような食文化があるのだそうです。今、日本では、どちらかというとやはり価格に引きずられてしまうんだと思うんですけれども、その納入業者、穀物商社の人が言うには、国産という表示をしていなければ、外国産が何割入っていても、別に、不当表示法、今回、法律で改正案が出てきているんですけれども、結局、違反でも何でもないのだそうですね。そこで、結局、納豆をつくったり豆腐をつくったりして食品を売っている中で、国産という表示をしない限りは、別に違反でも何でもないわけです。
でも、片や、二割か三割かわかりません、私は三十六倍と聞いたんですけれども、高い納豆なり豆腐を買わざるを得ないというより、そのプライスになってしまうんですけれども、そこにきちっとした公平の競争の原理が働くのかというところなんですね。
その意味では、やはり農林水産省にお尋ねするよりも消費者庁の担当なんだと思うんですけれども、食品の表示をもう少し厳密にしてやった方が、お客様である消費者がきちっと見比べてもらえるんじゃないかと思うんです。そういうことをきちっとやっていかなければ、国産のものを、ちょっと高くても、でも、味もいいし、安全だよなといって買ってもらえないんじゃないかと思うんですけれども、その辺、最後にお尋ねして、御答弁を。
○林国務大臣 先ほど千円のお豆腐というのがありましたけれども、百貨店で千円の値がついているということは、多分、その値段で買ってくれる人がいる、こういうことだと思いますので、まさに国産のいい豆腐を食べたいという需要があるということのあらわれとも言えるわけでございます。政策金融公庫のデータによりましても、消費者のアンケートをとりますと、大体二、三割ぐらいまでは値段が高くても国産品を買いたい、こういう方が大体過半数を超えているというデータが出ております。
したがって、それぐらいのところでは、やはり国産を買っていただく。そのもとになるのは、今まさに委員が御指摘していただいたように、表示していなければわからないわけですから、例えば、ノリは国産というのがあるけれども、おにぎりにノリが巻いてあるときに、国産のノリを使っておにぎりをつくっていますというところまであるのかというような諸種の問題点、課題がございますので、こういうものをしっかりと、国産品を選好していただけるような観点で検討を進めてまいりたい、こういうふうに思っております。
○鈴木(義)委員 引き続き、また議論をしていきたいと思います。
本日は、ありがとうございました。
○坂本委員長 次に、林宙紀君。
○林(宙)委員 結いの党の林宙紀です。
きょうの議論は、いつも以上に大変興味深く聞かせていただいておりました。さすがに、農政においては大きな転換というか、方向性をこれから決めていこうという議論ですので、政府側の皆さんの御答弁もそうですし、また、今回は野党側から衆法の提出ということで、その皆さんの御答弁もなかなか興味深いなと思いながら聞かせていただいておりました。
質問に先立っては、ちょっと先ほど村岡委員の方からもお話があったように、これは私ぐらいの年代の世代だと特に多いのかなという感じがしたんですが、どうして農業に関してはそれほどまでに大きな支援をしていくのかということについては、先ほど副大臣は、副大臣の御地元では、その辺についてはそんなに大きなそごはないというような趣旨のことをおっしゃっていたんですけれども、私の周りでは、比較的若い世代と言っていいのかどうかわかりませんが、そういう方々に話を聞く機会が結構多いです。
私たちの世代というのは、先輩方のおかげで、食べるものに困るなどという瞬間がほぼなかった時代、そういう時代に生きてきているはずなので、だからこそ、食料に関して、そこまで危機感というか、そういうものを身近に感じたことがないんじゃないかなと思うんです。
だからこそ、例えば、今の時代でいうと、働き先、就職をするというのが少し難しくなっているところがあったりとか、そういう状況がある中で、要は、公金、国なり自治体なりがお金を出して支援をしていくようなものがあった場合には、そこには、なぜその人たちは支援をされるんだろうという疑問は常について回るんですね、それを私なりにもいろいろと説明をしていくわけなんですけれども。
それを一般化していいかどうかわかりませんが、やはりこれまでの時代は何となく理解をしていただいた、通用していたものでも、これから、なぜ農業について国が支援をするのかということをしっかりと改めて説明していくというのは、私たちに課せられた重要な役割なんじゃないかなと思っています。
ですので、きのうも申し上げましたが、私はかなりラジカルなことも言いますが、それはそれで、やはりこの委員会の中で納得できるところに収束していけば私はそれでいいと思っていますので、ぜひきょうのような議論を今後も続けていければなというふうに思っております。
先日、本会議の方でも、登壇して質疑をさせていただきました。かなり内容を絞って質問をさせていただいたわけなんですが、いただいた御答弁の中で、少し曖昧だな、もう少し詳しく御説明をいただきたいという点が何点かありましたので、これについて、最初に質問をさせていただきたいというふうに思います。
まず、衆法の方の提出者の方にお伺いをいたします。通告の番号でいうと、ちょっと済みません、前後しますが、十七番から順に行かせていただきたいと思います。
まず、私は、生産調整というものの果たす役割について、もちろん、一定理解はしているんですけれども、そういったものを戸別所得補償の交付条件というところにしている、これは私たちの考えとは少し異なっているということで、これについては削除した方がいいんじゃないのか、そういったことをお伺いしました。
それで、それに対して、答弁者は玉木議員だったわけなんですが、そのときにお答えいただいたのが、生産調整に加入することを要件に求めておりますけれども、こういったことを制度として行うことによって次第に生産コストが下がっていきますという文面になっているわけですね。
このこういったことというのは何かというと、その直前に御説明されていた、いわゆる強制的に規模要件を課さなくても、だんだんと大きな農家に集中していくというようなことがビルトインされている制度ですよということを指して述べられたと思うんですが、私が直接お伺いをしたかったのは、生産調整といったものを交付の要件から外した場合にどのようなことが起こり得るのかと想定されているのかということを、玉木議員の視点からお答えいただきたいと思います。
○玉木議員 御質問いただき、ありがとうございます。
生産調整を交付の要件に課しているということについては、これはいろいろな御質問をいただきました。
林委員もおっしゃっているように、直接支払いをしていくというときに、例えば一切生産調整の要件を課さないと、多分米価は下落をします。そうすると、埋めるべき販売価格とコストの差というのは、多分今よりも非常に大きいというふうに予想されます。
このことに対して、安いお米を提供できるということで、先ほど少し話がありましたけれども、消費者メリットが出るので、その分、税負担をしていただくということを納得いただければ、それも一つの方法かなと思ったんですが、我々は、多くの農家が望む所得補償を、過大な財政支出、つまり納税者負担を伴うことなく、かつ将来的にこれが少しずつ低減される形で実現していこうということが、生産調整をかけた大きな理由であります。
ただ、構造改革を否定しているものではなくて、時間をずっとかけて見ていきますと、経営規模の拡大の進展に合わせて、補填の基準となる平均生産費が低下していくということが予想されますので、それによって、生産費の低下が起これば交付すべき金額も下がっていく。そうすると、生産調整に入ってまで交付を受けようというそのメリットも下がっていくので、ある意味、規模を幾らでも拡大して自分で自由に売ってやろうということとの比較の中で、生産調整によらない農家が少しずつふえていくということで、財政的に過度な負担なく、構造改革を促していこうということで、当面、生産調整を交付要件に課すということで制度をスタートしたわけであります。
○林(宙)委員 その点については非常にクリアになりましたので、ありがとうございます。
この間の質疑でもう一つお伺いした中にあるんですけれども、この戸別所得補償制度というものを実行することによって集落営農数がふえた、促進されたというわけなんですが、そこで、二十五年度の場合は少し前年より減っているんじゃないか、百ほど減りましたねというようなお話をしました。そしてその前年というのは、つまり二十四年のことなんですが、この二十四年の場合は、では、そのさらに前年、二十三年から比較するとどのぐらいだったのかということを言いますと、増加したんですけれども、これは百なんですね。最初に導入した年、玉木議員もおっしゃったように、集落営農数が千ふえたというところは確かになかなかの効果なんじゃないかというふうに思うんですが、その翌年が今度は百という形で、これを激減と言っていいかどうかわかりません。いろいろな要素があると思います。だけれども、やはり、客観的に見ていると、最初だけだったんじゃないのかというふうに思ってしまうところはある。
実際に、玉木議員が、これは去年の臨時国会中だったと思いますが、この戸別所得補償について我が党に説明に来ていただいたときに、やはりこの部分については、後から、林さん、ここが百しかふえなかったのは何か特別な理由があるんだろうかと私に聞かれたんですけれども、ああ、そこはそういえば聞いたことないですねということで、そのときからずっと疑問に思っていたことなので、その千から増加数が百になったという要因は主に何をお考えになっているのかというところをお答え願います。
○玉木議員 厳しい質問、ありがとうございます。
まず、集落営農組織がふえるということは、実は制度に一つ仕掛けがありまして、十アール控除の制度がありまして、全ての自家用のお米を生産しているところまで全部一から配っているかというと、そうではございませんで、まず十アールを控除した上で支払っている。
これが集落営農組織になると、集落営農組織全体から十アールを控除すればいいので、単体でもらうよりは集落営農組織を組んだ方が一人当たりの農家に入ってくる額がふえるというメリットがあります。ですから、集落営農組織化をして、少しみんなで大きくやろうということがそもそも動機づけられているというか、誘導策が入っているということで、二十三年度はふえた要因もあったと思います。
その伸びが、二十四年度になると十分の一、千ふえたのが百になったということなんですけれども、まだ百もふえているということで、増加傾向は変わらないのかなということで、もちろん、さまざまな要因があると思いますけれども、前年度はかなり大きく伸びた、その反動もあるのかなというふうに分析しております。
○林(宙)委員 なかなか、いろいろな要素があったと思いますので、説明が難しいだろうなということはわかった上でお聞きしております。
私はもともと理系なものですから、千が百になったという状況を考えると、次の年はかなりゼロに近づくんじゃないかみたいな予想を勝手に頭でしてしまうんですけれども、申し上げたとおり、二十五年度はむしろ減ってしまったというところがあって、それはまた別の要因があると玉木議員もおっしゃっていましたので、そのとおりなんだろうなというふうに思います。
ですので、何を申し上げたいかといえば、やはりこのときは、この戸別所得補償制度というだけではなくて、要は、この制度があるにせよないにせよ、人・農地プランですとか、そういった形で、まず集落営農そのものをやっていきましょうよというような取り組みもあって、むしろそちらの効果の方が功を奏していたような要素としては大きいのではないのかなと思っている部分もあります。
このあたりは、ですからこそ、戸別所得補償制度によって集落営農が加速化されるとか、そういう説明になってしまうと、やはり違和感を抱いてしまう方もたくさんいるんじゃないかなと思いますので、制度として、それが目的だと言わなければいいんだと思うんですけれども、その辺はもう一度お考えをいただいた方が私はよろしいんじゃないのかなという提案でございます。
もう一問お伺いしますけれども、先ほど、究極的には、生産調整に頼らずに生産が行っていける農家、これを大宗にしていこう、これは本会議のときの答弁でもいただきました。
そうすると、なかなか予測というのは難しいと思うんですが、玉木議員あるいは提出された各党の皆さんの中で、大体どのくらいの年数をかけて、どういったタイミングでこの生産調整を事実上やらなくても大丈夫になるんじゃないかとお考えなのか、そういった見通しがあれば、ぜひお伺いしたいと思います。
○玉木議員 鋭い質問をいつもありがとうございます。
私は、静かな構造改革を促していくということをいつも説明しておりますけれども、この制度を導入するそのときに、今もそうですけれども、農家の平均年齢が六十六、七歳、水田作に限って言うと七十歳を超えているということでありますから、そういった方々が年々年をとっていくわけですね。
平成二十一年、二十二年ということで制度設計し、導入したときに、これから八十歳になるとなかなか難しくなるということで、おおむね十年をかけてそういった構造改革、次の永続的な農業ができる体制にしていこうということで考えておりました。あれからもう四年たったわけでありますから、残りあと五、六年ということであります。
その意味では、政府・与党が考えている、あと五年間でそういった、いわゆるこれまでの生産調整によらない形にしていくということを一つのめどにしておりますけれども、我々も五、六年をかけて、先ほど申し上げたような、構造改革を進める中で、交付単価のある種の引き下げや、あるいは生産調整が結果として緩和されていくというようなことを図っていきたいというイメージを持っております。
○林(宙)委員 どうもありがとうございます。
私たちも、私たちの場合は先ほど大臣の御答弁の中にもありましたが、欧米型の直接支払いというのを参考にして、そちらにシフトしていきたいというようなことを言うわけなんですが、それについても、例えば十年ぐらいの時間をかけて少しずつ入れていくのがいいんじゃないかとか、そういう議論も実は後ろではあったりするわけなんですね。
その意味では、これは政府の方も、それから民主党の方も、私たちも、農政において何か変えましょうというときには、やはりじっくり時間をかけるべきなんだという意識はしっかりと共通して持たせていただいているのかなというようなところは非常に感じます。
生産調整については、私も一年以上こういう議論をずっとさせていただいている中で、ある程度思想的なところも大きく影響するんだと思います。思想というか立場というか、そういったところもあるので、私たちも、これは民主党さんの案だけではなくて、政府・与党の考え方の方も含めてなんですけれども、やはりどこかで寄れるところはしっかりと寄りたいなというふうに思っていたりするところもあります。これについて。
○玉木議員 私は、一つだけポイントを申し上げたいのは、米価の下落のペースと生産性の向上によって実現できるコストの下落、この両者の数字の調和を図っていくことがポイントだと思うんです。
先に米価をどんと下げて、それに生産性の向上によるコストの減がついていけなくなると、そこで営農が不可能になるので、この二つの生産性の向上によるコスト削減と米価の下落ということをある種調和させながら、林委員がおっしゃったような、目指すべき姿は同じだと思うので、そこに近づけていくということがポイントだなということで、今回の制度そして将来の姿を今申し上げた次第であります。
○林(宙)委員 今御答弁いただいた中にもあったと思うんですけれども、恐らく、私たちもちょっと反省しなきゃいけないなと思うのは、選挙のときに、ばらまきだ、ばらまきだとさんざん申し上げたわけです。ところが、やはりそういった細かいところ、現場を踏まえた視点からいろいろと伺っていると、ああ、これは納得できる部分も多くあるだろうということで、御党の案もそうですけれども、今回提出されている政府の閣法の方ももちろん同じことです。
ですので、やはりこういった議論をしっかりと通して、どれが、どういったふうにするのが一番農政にとって、今後の農政にとってよいのかということを私たちもしっかりと真剣に考えさせていただきたいというふうに思っております。
提出者の方への質問は以上になりますので、どうもありがとうございました。
引き続きまして、同じく先日の本会議における答弁につきまして、今度は政府側にお伺いをしたいと思います。
最初に質問したいのは、総理大臣の御答弁ですので、これをお伺いするのがここでは適切かどうかというところなんですが、もしこういった考えじゃないかということがあればお答えいただきたい。
午前中に寺島委員も同じことをお伺いになっていたと思いますが、やはりいわゆる減反の廃止ということについて、総理の場合は、一般の人にお話しする際に理解しやすいようにというふうに述べられました。これだと、では、一体、総理というか政府側は、これが減反だと思っていて、それを廃止するという趣旨で使ったわけではないと。要は、私は、失礼ながらも、形を変えた減反政策じゃないかと聞いたら、そちらの方はきっぱりと否定されましたので、そういう意図ではない。だったらば、具体的にどういう意味なのかなと。
私なりに考えたのは、減反の廃止ではないにせよ、生産調整ということでこれまでやっていますので、生産調整を見直しとよく皆さんおっしゃいますから、結果として需要と供給のバランスをとっていくことには変わりがない、そのやり方を見直す、そんなようなイメージなんでしょうかということで受け取っておりますが、大臣、これについて一言いただければと思います。
○林国務大臣 本会議ではなかなか時間が、一問一答で限られておりますので、せっかくの機会でございます。私がここで従来申し上げている狭義の意味での生産調整の見直しということの意味をもう少し申し上げたいと思います。
先ほどもお話があったように、実際に減反の面積を配分していた時代があったわけでございます。反を減らすわけですね。これは昭和四十五年ということでございまして、そのときは、目標配分に合わせて、生産調整未達成に対するペナルティーと、それから生産調整に関する助成措置、この三種類があったんですね。目標を配分し、ペナルティーとインセンティブを科す、これが減反のスタートでございまして、それが、その後、転作作物の推進の時代ということで、要するに、水田はフル活用しよう、何も植えないというのは余りにもったいないではないか、こういうことになってきて、昭和五十三年には転作作物への助成を本格化したわけでございます。
玉木議員の御答弁か、委員としての御質問のときだったか、既に民主党の時代にペナルティーはやめたので実質選択制になっているとおっしゃっていたのは、その次の時代の選択制の時代で、ペナルティーがなくなって、助成措置と配分が残った、こういうことでございます。先ほどちょっとやりとりがあったように、一万五千円をもらうための要件として生産調整の目標配分に従う、こういうことがあったわけでございまして。まさに今回、その目標の配分をやめる、五年間で、こういうことを決めさせていただいたわけでございます。配る一万五千円もなくなる、こういうことでございます。
では、政府は何もしないのかというメッセージになってはいけませんので、先ほど寺島委員とのやりとりで申し上げたように、毎月需要の状況を出すとか、いろいろな情報は提供して、個々の経営体なり集落、市町村でつくっていただく水田フル活用ビジョンなりで、どの作物をどれぐらいつくってアウトプットを最大化しようか、これをつくっていただくような情報はできる限り提供しますという意味では、生産調整の見直しと言った方がわかりやすいだろう、こういうことで、狭義の意味で生産調整の見直しという言葉をずっと最初から一貫して使わせていただいたわけでございます。
私がここで専門家の委員の先生方にお話しするのと、総理が、海外の方も含めて、特に消費者、納税者の方にも、先ほど来御議論があったように、なぜこれだけ、農業だけやるのかというような御指摘もある中で、そういう方も含めてわかりやすく表現をするということで、米の生産調整の見直し、いわゆる減反の廃止、こういう言い方をされた、こういうふうに考えておるわけでございますので、総理自身も答弁されておられるように、我々がここで申し上げている中身と全く同じ考えでおっしゃっている、こういう整理でございます。
○林(宙)委員 今の御説明で、確かにわかったところと、何となく腑に落ちないところとという、済みません、私がもうちょっと理解が早い人間だったらよかったのかなとちょっと反省しますが、それでも、やはりこういう感覚で皆さん受けとめられる方が多いんじゃないでしょうかというのが私の率直な感想です。
その上に、やはり、わかりやすいから減反の廃止という言い方をされたというのは、それを責めるつもりもありませんが、ただ、言い方としては、やはり混乱を生じさせてしまっているというところは、これは間違いないことであって、御説明に際しては、もう少し丁寧なというか、そういったところにも気をつけていただけると大変ありがたいなというふうに思います。
総理御本人ではいらっしゃいませんので、ここで次の質問に行かせていただきたいと思います。
もう一つ、本会議では、これもまた聞くのかと言われたら、大変申しわけないんですけれども、本会議でも全算入生産費の方を聞かせていただきました。それは、その前の農林水産委員会でも聞かせていただいた件なんですけれども、そのときに、大臣の方からの御答弁で、この全算入生産費を生産に要したコストとして考える、これについては大変合理的な方法の一つであるというような御答弁がありました。一つということは、ほかにどんな方法が想定されているのかというのを教えていただけると助かります。
お願いします。
○林国務大臣 この全算入生産費ということでございますが、これは前も御答弁したように、この自作地地代等も含めたものを使ってきたということでございます。
一般論としてどういうやり方があるのか、こういうお尋ねだったと思いますが、我々がやっているのは、全算入生産費を用いて算定する方法や、それからもう一つ、前年の単価に、いわゆる物価スライドというようなことをやる、また生産コストの変動率を勘案する方法、こういうことが一般論としてはあり得るのではないか、こういうふうに思います。
○林(宙)委員 ありがとうございます。
そうしますと、前の委員会のとき、それから本会議のときと、御答弁の中で触れられていなかったので、要は、例えば自作地地代とか自己資本利子とか、そういったものを、私は、これに関しては入れるべきじゃないんじゃないかということを申し上げたわけなんですが、それに対しては、特に、そういう考え方もあり得るというか、別に間違っているわけではないんですよということでよろしいんでしょうか。
○林国務大臣 それは一般論として、算定方法としてどういうものがあるかといえば、それを入れないという方法も、何か間違っているということではないということではないかと思います。
自作地地代を含めない生産費を用いてコスト割れを算定して、その後、補償すべき所得水準を上乗せする、こういうことも一つの考えである、こういうふうに思います。
○林(宙)委員 前の委員会では、家族労働費についての考えというのももちろんお伺いしたわけなんですが、それについては、私は納得はしています。それを入れないと再生産が不可能になってしまうので、それはもう入れましょう、それは正しいと思います。
ただ、今御答弁いただいたように、その自作地地代並びに自己資本利子といったような要素を入れないというのも一つの考え方として間違いではないですよというふうにおっしゃっていただけるならば、では、それを入れない、なぜ私は入れない方がいいかというと、支出する税金というのは少しでも抑えられた方がいいんじゃないかという立場でそのように申し上げています。
一方で、いやいや、そうではなくて、全算入生産費として、自作地地代とそれから自己資本利子といったようなものも入れて計算するべきだというからには、何かそこには合理的な理由があるべきだと私は思っているんですが、大臣は、そこについては御見解はおありでしょうか。
○林国務大臣 今申し上げたように、算定方法には幾つか考え方があるわけでございます。その上で、価格政策とか経営安定政策というのは、経緯とかスタートしたときの状況、それから毎年やっておりますので、政策の連続性、こういうものがあるわけでございます。
先ほどどなたか、千九百十何年代の時代の、鈴木先生だったと思いますが、そこまでさかのぼらずとも、昭和四十五年に、狭義の意味での減反が始まる前、米が不足していた時代というのがあったわけでございまして、そのときは、食管法に基づいて米の増産をしようという時代があったわけです。委員はお生まれになる前だと思いますし、私も生まれる前でございますが、増産意欲を喚起するためにやっていた時代、その時代には、機会費用を入れた全算生を採用する。ほかのものじゃなくてお米をつくるという意味で、機会費用を入れる、こういう考え方であったんだ、こういうふうに思います。それが、その後もいろいろな場面で活用されてきたという経緯がございます。
申し上げたように、算定方式が変わりますと水準が変わってしまうのではないか、こういうこともあるので、農業者に毎年毎年ちゃんと納得をしてもらうという方式ということでやってきたというのが経緯でございます。
そういった意味で、自作地地代等を考慮することが、現時点では最も合理的な考え方ではないかというふうに考えておるところでございます。
○林(宙)委員 では、最初に申し上げたとおり、なぜ農業を保護するのかというところにちょっと戻ります。
そういうお話をしていくときに、やはりそういうことを言われるということは、十分な説明ができないと厳しい目にさらされたままになってしまう。これは、私も本意ではないんですね。ただ、そういったときに、では、コストというのはどういうふうに考えているんですか、いや、こういうものが入っているんですよ、でも、ここは普通に考えたらおかしくないですかというふうに言われることが強くなってくると、それは私自身も説明に窮してしまう。
今までやってきたから、それを引き継いでやっております、それも一つの考え方だと思いますが、財政に関して大変厳しい目線を向けられる時代なわけですから、そういったことも含めて、今すぐとは私も申し上げませんけれども、いずれかのタイミングで、私が申し上げたとおりではなくてもいいんですけれども、そういったところを削減できる部分があるのであれば、農政全体で見ていくというのは必要なことなんじゃないかなと思っています。
ちょっと質問がかわります。
直接、今回の法案に関係するわけじゃないんですけれども、ただ、今後、お米の安定供給、価格の安定とかそういったことをずっと考えていったときに、一つ、かねてから気になっていたものがあって、何かというと、米の先物取引なんですね。
今、試験上場という形でやっておられますが、なぜこれが気になっているかというと、私自身がサラリーマン時代に、財務で為替のようなことも業務としてやっていたことがあります。もちろん、為替と現物の先物というのは、物としては違いますが、思想としてはそんなに違うものではないと思っています。
米の価格、今は、そういった生産調整などもあって、少しずつ下落傾向にあるとはいえ、まあまあ、ある一定のところを保っているんじゃないかなと思いますが、今後、ある意味、農家の皆さんが、例えば生産調整に参加しないという道を選んで、ただ安定的な価格で米を売りたいとなったときには、一つ選択肢になり得るものだと思っていますので、ちょっとこの先物の現状についてお伺いをしたいと思うんです。
今、米の先物取引に関しての現状をちょっと教えていただけないでしょうか。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
米の先物取引についての現状でございますけれども、米の先物取引につきましては、平成二十三年八月に試験上場が開始されまして、昨年八月七日に、二年間の試験上場の延長が認可されているところでございます。
取引量についてでございますけれども、この延長認可の前、具体的には平成二十五年の七月でございますけれども、それと比較しますと、この取引量につきましては、減少傾向にあったんですけれども、ここ数カ月は横ばいの状況になっている、そういう状況でございます。
○林(宙)委員 ありがとうございます。
先物のメリット、デメリット、いろいろあると思うんですけれども、政府というか、今後、米の先物取引について、今試験上場の状況を見ながらということになるとは思うんですが、どのようにしていこうという展望があるのかというのをお聞かせいただけないでしょうか。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
昨年の試験上場の延長に際しまして、米の流通業者や中食事業者等から米先物取引の継続要望等が提出されたほか、先物市場の活用に向けての説明会の開催が要望されるなど、先物市場に対する期待も存在していると承知しています。
他方、昨年の試験上場の延長の認可に際しまして、十分な取引量が見込まれないとの懸念のほか、米の生産、流通に混乱が生じるのではないかといった意見もあったことから、農林水産省としては、試験上場が市場の成長性を見定める制度である、そういった内容の試験上場の制度の趣旨について、大阪堂島商品取引所に対して改めて通知をしたところでございます。
いずれにしましても、延長されたこの二年間の期間内におきまして、市場の成長性を含めて、取引の状況をしっかりと注視してまいりたいと考えております。
○林(宙)委員 済みません。今のお答えの中に出てきた、先物をやることで流通取引はちょっと乱れるんじゃないかというようなお話があったというんですが、これはどういったところがそういう御意見を出されているかというのは教えていただくことができますか。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
この米の先物につきまして、懸念として、思惑により先物市場に大量の異常な投機資金が流入し、価格が乱高下した場合に、現物市場でも乱高下を招いて、先物取引に参加しない生産者も混乱しかねない、そういった懸念が表明されたということでございまして、先生お尋ねの点につきましては、これは、昨年の試験上場の延長の際に、生産者団体の方からそういった意見が出てきております。
○林(宙)委員 ありがとうございます。
この先物取引については、私も、今後の経過を見せていただきながら、いろいろ考えたいなと思うんですけれども、今、乱高下という話が出てきましたが、これについては私は実はそんなに心配をしていなくて、投機資金というのが入った場合は、最初に設定していた、先物価格として約定していた価格よりも、もし米の値段が下がった場合は、それは農家にとってはメリットになるわけですよね。
一方で、約定していた価格よりも米が少し高くなってしまったという場合においては、だったらやるんじゃなかったという話が出てくるんでしょうけれども、その場合においても、入ってくる収入を数カ月前にフィックスできるということは、それは経営の上では非常に安定要素にもなりますので、私は比較的これはポジティブに見ています。
ただ、もちろん、いろいろな問題が今後出てくる可能性もありますので、それはしっかり見せていただこうと思います。
時間が少なくなってまいりましたので、済みません、ちょっと飼料用米についてお伺いしたいと思います。通告で幾つか用意していたんですが、十二番の質問だけして終わらせていただこうかと思います。
飼料用米については、潜在需要量ということで、四百五十万トンということを数字として出されております。ただ、この潜在需要量というのが一体どういった類いのものなのかというのがいまいちわかりにくい。それから、どういった根拠で四百五十万トンと計算をなされておられるのかというところをお伺いしたいと思います。
○佐藤政府参考人 お答えいたします。
飼料米につきましては、畜産側におきまして、毎年約一千万トンのトウモロコシを輸入しておるわけでございますが、トウモロコシと同等の栄養価と評価されておりまして、輸入トウモロコシと遜色のない価格で供給できれば、四百五十万程度の潜在的な需要は見込めるものと考えているところでございます。
この四百五十万トンの根拠でございますが、畜産につきましては、鶏あるいは豚、牛といったような畜種があるわけでございますが、トウモロコシから飼料米に置きかわるときにいろいろな問題が出てくるということで、例えば、採卵鶏では卵の黄身の色が低下する、ブロイラーでは増体重が低下する、肥育豚では肉質が変化する、あるいは、牛ではでん粉質の急速な分解等によって食欲不振に陥るといったような、こうした配慮すべき事項がございます。
そうした場合にどのぐらい置きかえができるかということで、試験研究機関の研究報告や、あるいは、畜産栄養学の有識者等からの聞き取りを踏まえまして、広く安定して利用できる畜種別の配合可能割合といったものをもとにつくったものでございまして、採卵鶏では二〇%の置きかえが可能だということで百二十四万トン、ブロイラーでは五〇%で百九十三万トン、養豚では一五%で九十万トン、乳牛では一〇%で三十一万トン、肉牛では三%で十三万トンということで、合計いたしますと四百五十三万トンと試算したところでございます。
以上でございます。
○林(宙)委員 大変細かい試算なんだなということがわかりました。
もちろん、これは最大、やろうと思えばここまではいけます、やっても大丈夫ですよというお話だと思うので、いつぐらいになったら生産が追いつくのかということは、実際にその四百五十万トンが達成できるかということすらもちょっと、現状から考えると、今のところ、それは見えないところなんじゃないかなと思っております。ただ、それをふやしていくということでございますので、それについてはしっかりと今後も考えさせていただきたいなというふうに思います。
冒頭でも申し上げたとおりなんですけれども、本当に、この法案に関して議論はしっかりと重ねさせていただいて、できる限り私たちも、生産的なというか、そういった意見を出させていただけますように頑張りたいなというふうに思います。
それでは、以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○坂本委員長 次に、畑浩治君。
○畑委員 生活の党の畑浩治でございます。
まず、本日はいろいろ激しく、戸別所得補償あるいは経営安定対策の見直し、この経営二法をなされまして、朝一番の議論は大変激しかったなと思っております。批判について、間違っている部分もあるし、かなりいろいろあるんですが、冷静に議論させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
戸別所得補償制度については、全ての販売農家に交付金を交付する、ここのところで自民党さんの批判があるわけです。これが本会議のときには、総理から、担い手の農地の集積のペースをおくらせる面があったと。しかし、この認識は、私はやはり不正確だと考えております。もちろん、戸別所得補償が最終的な形態だとは思いませんで、これは午前中も議論があったように、集積していく中で、赤字幅が減っていく中で、この制度を維持するか、あるいはまた、全ての販売農家じゃなくて、いろいろな要件を設けていくかというのはあるんだろうと思いますが、現行は戸別所得補償でいくのが、やはり安定性からして、現実の状況を踏まえて、正しいのだと私は思います。
これは、全国一律の単価とすることで、現段階だと高コストで生産している農家は、全国標準単価とすることで、赤字解消額は少なくなる。低コストで生産している農家は、利益が既に大きくても、さらにボーナスとしてその分が入るということで、意識しない中でこういうところがかなりビルトインされている制度だと私は思っております。
こういう考え方は申し上げた上でですが、戸別所得補償制度の導入後の集落営農数がどうなったかという数字をまずお伺いしたいと思います。
○奥原政府参考人 集落営農の数でございます。
まず、平成二十二年の二月、この時点では一万三千五百七十七でございます。この数字は、任意組織の集落営農と法人化した集落営農が入っておりますので、分けて考えますと、任意組織の方が一万一千五百三十九、それから法人になっているものが二千三十八でございます。翌年、二十三年の二月は、トータルで一万四千六百四十三、この中で、任意組織が一万二千三百十一、法人が二千三百三十二。一年たちました二十四年の二月は、トータルが一万四千七百四十二で、任意組織が一万二千百四十九、法人が二千五百九十三でございます。二十五年二月は、トータルが一万四千六百三十四、任意組織が一万一千七百十八、法人が二千九百十六でございます。二十六年二月は、一万四千七百十七で、このうち、任意組織が一万一千四百六十二、法人が三千二百五十五というふうになっております。
○畑委員 制度導入の二十二年度から二十三年度が、一万三千五百七十七から一万四千六百三十七で、大幅に増加している。その後は微増、後でまた微減になっているという部分はあります。恐らく、後の方の微減は、これからの農政の先行き見通しなりいろいろなこともあって、なかなかふえない部分もあるんだろうと思いますが、いずれにしても、制度導入で大幅に増加しているということがあります。
こういうことを踏まえますと、ここで何をもって担い手の集積のペースをおくらせたというのか、あと、どのような政策と比べておくらせたというのか、あるいは、おくらせたというのであれば、あるべき農地集積のペースというのが想定されるわけですが、本来あるべき農地の集積のペースとはどのようなものと考えていたのか、ここの三点をお伺いしたいと思います。
○林国務大臣 これは、先ほど林委員と玉木答弁者の間でやりとりがあったところでございまして、玉木先生がおっしゃったように、十アール控除というのがあって、最初のところでずっと集落営農が進んだと。その後は、若干、それが済んだので、なかったというような御答弁だったと思います。
一方、私も午前中に、どなたかに御答弁をもう既にしておりますが、実際の農地の権利移動面積、ずっと推移を見ておりますが、担い手経営安定法に基づく経営安定対策を導入した平成十九年が十三万ヘクタールほど権利が移動しておりますが、戸別所得補償制度を導入した平成二十二年は九万ヘクタールということで、農地流動化のペースが鈍化をしております。
産業競争力会議の農業分科会で農業者のヒアリングというのをやっておりますが、農業者からも、戸別所得補償によって認定農業者や法人が貸し剥がしを受けた、こういう指摘もなされていたところでありまして、そういうところで流動化のペースをおくらせる面があった、こういうふうに考えておるところでございます。
○畑委員 そうすると、政府の今回の二法案で農地集積のペースが上がる根拠というのは何なんでしょうか。
つまり、今回の政府案というのは、これは野党案と比べて、理念の違いは別として、一番大きいのは米の直接交付金ですね。一万五千円が半減して、四年後にはなくなるということですが、これをなくすることで農地集積のペースが上がると考えておられるのか、あるいは別の要因、何か政策的な、この法律の中の制度でなると考えておられるのか、そこをお伺いしたいと思います。
○林国務大臣 もう委員が今まさに御示唆されたように、これはまずやめるということが一つでございます。支払交付金を七千五百円として、平成三十年には廃止する、こういうことをやりました。一方で、農地中間管理機構を創設するということで、昨年の臨時国会で法律を通していただいて、既に過半数の都道府県で今実際に農地中間管理機構がスタートもしておるところでございます。
やはりリタイアしようとする方々を思いとどまらせたという面がこの直接支払交付金にはあったということですが、今回の改正によってこういうおそれがなくなっていく、こういうふうに考えております。
一方で、機構の方でございますが、これは機構の法案のときにもお話をさせていただいたように、公的機関ということで、出し手の方から見れば、安心して貸すことができる、受け手から見ても、まとまった農地として貸してもらえる、また大区画化等、畦畔の除去等の改良を行った上で貸してもらえる、こういうことができるというメリットがあること、さらに、人・農地プランの作成、見直しとセットで取り組むこと、そして、予算もつけておりますので、こういう三点セットで農地集積、集約化の成果を上げられる、こういうふうに考えておるところでございます。
○畑委員 米の直接交付金をなくして、そこがやはり、離農した人が、年とった人がなかなか放さない原因だということなわけでしょうが、きょうの議論もありましたが、そこはちょっと認識が違うのと、あと、端的には、集積というのは中間管理機構でやるということ、これが一番大きい効果だと思いますが、そこと戸別所得補償政策、経営安定対策というか米の直接交付金が矛盾するのかどうか。私は、両方相まってもいいんだろうと思うし、人・農地プランで現地の実情に応じて集積していくならば、静かな構造改革と言っていましたが、戸別所得補償と組み合わせることは何ら矛盾していないとは思うんです。
ちょっとここの認識をお伺いしたいんですが、中間管理機構と米の直接交付金を含む経営安定対策というのは矛盾しているんでしょうか。これをなくすることと中間管理機構をつくることと相まってという話なんですが、そこをお伺いしたいと思います。
○林国務大臣 先ほど申し上げましたように、リタイアしようとする方々を思いとどまらせていた面があった。まさにこれが、出し手として出していただけるべき方が、この一万五千円によって、引き続きやっていこうかな。そこに対する評価は先ほど玉木委員とやりとりさせていただいたとおりでございますが、そういう意味で、今回の中間管理機構を初めとする構造改革となかなかこれは相入れないだろう、こういうことで、このパッケージになったということでございます。
ちなみに、この一万五千円が入る前の自公政権のときの、実は補正予算で組ませていただいた基金にはリースの補助というのをやって、やはり同じような発想でやらせていただいたこともあったわけでございますが、その後、この一万五千円が入ってきた、こういう経緯もあったということでございます。
○畑委員 これをお聞きしていると、集積を速めることをやるというのは、単に米の直接交付金をなくするということであって、恐らく、それ以外はこの法律とは別に中間管理機構を使うところだというお答えだと思うので、この法案は、言ってみるほど構造改革を、急激に集積のペースを速めるということとはちょっと違うのかなと思って聞いておりました。
北風政策と南風政策ですが、北風政策ということで、今まで渡していたものを渡さないことで、無理くり追い出すということなわけでしょう。何かちょっとそこは釈然としないものもあります。
結局、今の改革を見ていると、かなり急ごう、急激にやろうということでやっておられる気がするわけですが、私は、農業というのは、ふやすことができない土地を基盤にして、基本的には年一回しか生産できない、そして管理可能性が低い、自然を相手にしているということなわけですので、ソフトな手法で、漸進的に改革を進めるべきではないかなと思っております。
そういう意味で、米の直接交付金は、私は意義があると思っていますが、北風の政策として、集積のためになくしていくということで、急激に行おうとすることが恐らく農家に不安と混乱を与えているのではないか、そう思うんですが、そこの改革の進め方の認識、哲学をお伺いしたいと思います。
○林国務大臣 この一万五千円は、先ほど申し上げましたように、政権交代によって始まったということでございますので、その前はなかったわけでございます。これがまず一つでございます。
我々も、バトンタッチをしたときに、既に時期的なタイミングから、公約ではああいうことをうたっておりましたけれども、おととしの十二月に政権交代して、その公約に基づいて、あの時点で、去年の作から急激に何かを進めるということになれば、それは現場が混乱するだろうということで、名称を変えた上で政策を続行させていただいた、こういうことであります。したがって、この四年間、そういうものが続いた。集積加算というものも途中で入ったりはしておりましたが、そういうことが続いておりました。
今回、農政の転換をするに当たっても、五年間という暫定措置をとって、毎年一作であると今委員がおっしゃったように、あしたからやれと言われてもなかなか難しいということがございますので、その期間の中で、生産目標の配分をしなくてもいいところをみんなでつくっていこう、こういうふうにしたところでございます。
よく北風、太陽という議論もありますが、これは、シミュレーションでもお示ししているように、多面的機能支払い等々もあわせて考えていただければ、どちらが北風でどちらが太陽かというのはなかなか数字的には難しいところだ、こう思いますし、若い方、新しい方が入ってくるときに、どちらが将来性のある展望になっていくのかということもきちっと見ていく。
改革のスピード感というものもありますけれども、やはり、将来に向けて、担い手が大宗を占める農業構造、自分で経営感覚を持ってやっていけば、きちっと業として成り立っていく、こういう姿を見せていくということが、若者、女性等を引きつけて、新しい方が農業に従事してもらえるようになる、こういうふうに基本的に考えておるところでございます。
○畑委員 入るのはいいんですが、そうやって改革を進めていった場合に、当然、抜ける人が出てくるというのは、そういうことなわけですが、地域を歩いていると、農地の集積を進めた場合、その受け皿を、俺らはどうなるんだということを言われるんです。年をとったりしてやめようと思った人がやめるのはいいんですが、やりたかった人も、こういういろいろな支えがなくなって、できなくなってしまう。
これは、ハードランディングではなくてソフトランディングでやっていくことが必要だと思うんです。四年で徐々にやっていくというお話ですが、受け皿の整備というか、そこはどのような工程で、どんなものを考えておられるのか、伺いたいと思います。
○林国務大臣 必ずしも受け皿の整備というのを、御質問の意味を正確に捉えておるかどうかわかりませんが、基本的には、主食用の米の需要が落ちております。大体毎年八万トンずつ減っていく。したがって、主食用の米のみに着目した一万五千円ということで、規模にかかわらずこれをやっていった場合に、そのおつくりになった主食用の米を一体誰が消費するのか、こういう問題になっていくわけでございます。
一方、多面的機能の御議論もあったように、水田というのは多面的機能も持っておる大変重要な生産装置でありますから、したがって、その水田をフル活用しながら、どうやって需要のあるものにシフトしていくか、餌米、米粉米、麦、大豆といったものを本作化していくかということが大変大事なポイントであります。そういったところを水田フル活用ビジョンということでつくっていただくことも通じて、需要に合ったものをつくっていただく、こういうことにしていこうということでございます。
○畑委員 需要に合ったものをつくっていく、それはそうなんですけれども、農家の不安というのは、需要に合ったものをつくるために情報提供はしっかりやっていただくということがあって、生産調整もそうですね、五年後にそういう体制をつくる、ただ、そこがやはり実感としてわからないのですよね。
情報提供を受けて、そのとおりできればいいんですが、そこがまだまだよくわからないというのがあるのと、だからこそ、手放してやめるということはいいんですが、やめた場合、飼料米をやるのか、あるいは別途の農業ができるのか、違う職が見つかるのか、その辺のトータルのパッケージの見え方がやはりないというか、そこの不安はあるのだろうと思います。まあ、答弁はこれぐらいでいいんですが。
それで、情報がわからないという最大の不安は、やはりこの改革によって農家所得がどうなるかというところであります。
その試算ということで、きょうも議論がありました。試算の前提はいろいろありますが、集落全体としてこれぐらいふえるという試算はあります。一一三%でしたかね。ただ、個々の農家がどうなるのか、あるいは多面的機能支払いがどれぐらい個々に来るのかというのもよくわからない部分があります。
その議論をこれからしたいんですが、まず、この試算の前提としては、支援水準の単価の向上によって主食用米の一割が飼料用米に転換されると見込まれておりまして、これが一つの前提と。次に、不作付地の四分の三に飼料米が新たに作付されるというふうにされていますが、この根拠は何か、お伺いしたいと思います。
○江藤副大臣 根拠というふうなお尋ねになると、若干的を得たお答えにはならないかもしれませんけれども、もう何度も御質問にお答えしている内容ではありますが、一定の前提を置いて試算を行ったというものであります。
日本の平均的な一集落の耕地面積、すなわち、田の十九ヘクタール、畑で十五ヘクタールの三十四ヘクタールを有する農業集落を想定しております。
その当該集落のうち、田の十九ヘクタールは、現在の平均的な転作率四割を前提としまして、主食用米十・五ヘクタール、転作田七ヘクタール、これは余りいいことではありませんが、不作付地が一・五ヘクタールは発生するだろうということを想定しております。
飼料用米の支援単価向上によりまして、主食用米の作付面積の一割が、先ほど先生もおっしゃいましたけれども、飼料用米に転作されるだろう。そして、飼料用米の支援単価向上によりまして、これまで不作付地となっておりました田の四分の三、これも先生が今コメントされたとおりでございます。
日本型直接支払いの導入によりまして、従来、農地・水保全管理支払いの取り組みが進んでいなかった畑地におきましても、農地維持のための共同活動が促進されて、支援が適用される、このような前提条件を設けて出した数字でございます。
○畑委員 ちょっと早口で言っていただいて、よくわかったような、わからないような。決めの問題ですかね、一つの。うなずいておられますが、決めの問題だと思います。
この決めの問題の程度というのは、思い切りうまく転換した場合にこれぐらいなのか、自然体でこうなのかというのがちょっと今の答弁ではよくわからないわけですが、私が思ったのは、主食用米の一割がどうかというのは別として、不作付地の四分の三に飼料米が新たに作付されるのはかなり楽観的かなと思って、素人的に受けとめておいたんです。本当にこうなるかどうかというのは別として、かなり楽観的と言っては失礼ですが、一つの割り切りの前提を置いたのだろうと思います。そういう前提でやっておられるわけだと思うんです。
次にお伺いしたいんですが、きょう既に出ました、要は、最大限生産された場合の交付額が十アール当たり十万五千円であります。まず、最大限生産されることが、需要、栽培技術等から考えて、全ての農家がこのようになるとか、短期間に成るとは限らない、これは現実的なところだと思いますし、きょうの議論でありましたが、市町村の平均単収を超えれば超えるほど上がっていって十万五千円になるということで、頑張っていただくと、結局、平均が上がると、十万五千円が案外もらえないかもしれないと思って聞いておりました。
こういうことを考えると、十万五千円を試算の前提に置いて出すというのは、やはりこれも楽観的で、ミスリードさせるのかなと思っております。
実際に、最大限の交付金が交付される飼料用米農家は、江藤副大臣が午前中、答えることは不可能だと言われておりましたので、改めてこの点は質問しませんが、ちょっとここでお伺いしたいのは、最大限交付金が交付される飼料米農家はどの程度かというのは現時点ではわからないとしても、そこは試算としてこれぐらいだというのをお示ししていただかないと、やはり農家の不安は解消されないと思いますが、今後、試算するなり見積もるなり、見込む予定はありますでしょうか。
○江藤副大臣 シミュレーションについて、十万五千円で入れたというのは、確かに委員の御指摘のとおり、極めて楽観的な算出をしたかと言われればそうかもしれません。
しかし、これは不可能ではない。今いらっしゃいませんけれども、午前中お答えしたときに、頑張れば頑張るほど基準がだんだん上がってしまうじゃないかということがありましたけれども、これもきちっとお答えをすれば、主食用米の平均単収に百五十キロを乗じた数を基準といたしますので、そういうことであれば、十アール当たり八百とか九百とかとれても、そんなに基準が上にずれていくということもありません。
そして、不作付地四分の三についても楽観的かというふうに言われますけれども、確かに中山間地域の本当に谷間の田とかは無理だと思うんですよ、正直なところ。果たしてもう農地として、後継者もいないようなところ。しかし、このお話を地元でしてみますと、畜産県だからかもしれませんけれども、今まで休ませていたけれども、そういうことであれば、もう一回この土地を有効に水田フル活用でやってみようという声もかなり聞かれますので、私は大丈夫だと思います。
それで、念のために申し上げておきますけれども、午前中申し上げましたように、これに二毛作のプラスがありますし、多収性品種の加算もありますし、それから産地交付金で地域設定の部分もありますし、追加配分もありますので、これを入れていくと、主食用米と比べて、農家がかなり選択しやすい設定になっているというふうに考えております。
○畑委員 それで、実はきょう、岩手県が試算したものの資料をお出ししております。これでちょっと議論をしたいわけです。
二番目の「本県への交付金額の試算」、交付金額の試算で書いていると、これは本会議でも申し上げましたが、十六億円減少するということであります。
この十六億円をどうやって埋めるかというのは、今副大臣がおっしゃったように、多面的機能支払い等で埋めるなり、いろいろなものをやっていって埋まるかもしれないということだと思うんですが、(2)で書いていますのは、多面的機能支払いは、より多くの地域で取り組まれることを前提に試算していますと。現行よりもかなり一生懸命頑張らなきゃいけない。1で書いていますが、今四万ヘクタールで岩手県は取り組まれているそうなんです。農地維持支払い、二十五年度は農地・水保全管理支払いですが、これを四万ヘクタールから二万ヘクタールの拡大を見込む。ここまで拡大を見込まなきゃいけないということであります。
そういうことを踏まえて、この下の図で見ると、ここまで頑張れば十六億円ふえるんだけれども、しかし、これは地域に支払われる、これが個々の農家に来るとは限らないという前提で、地域、集落に来るものを加えて、トータルでとんとんという試算で、私は、これはなかなか農家にとってしんどいかなと思って見ておりました。
次のペーパーを見ていただきまして、岩手県は農家の類型別に試算しております。実は私は、また後で質問しますが、こういう類型別の試算をしてほしいな、ぜひとも農水省にお願いしたいと思っております。
類型でいいわけです。例えば、岩手県の県南、県央部の大規模な個別経営体、小麦を多くつくっているところは、大体見込めば、水稲は十四ヘクタール、小麦は八ヘクタールと置けばいいだろうとか、県南、県央部の大規模で飼料用米をつくっているところは、水稲十四ヘクタール、飼料用米八ヘクタールとか、あるいは一番下の方で、県北部、沿岸部で水稲が少ないところは、水稲は二ヘクタール、キュウリ六十五アール、そういうことになって、いろいろ類型ごとに検討してみる。
そうした場合に、やはり交付金の関係を見ていくと、二十五年度の現状から、二十五から二十九年度の、七千五百円になった場合のもので、それぞれの一番下の箱の「所得」というところを見ていただければ、網かけしているところが八四%とか八八%とか八九%とか九七%とかいって、要は、減ってしまうということを書いております。
さらには、次のページを見ていただいて、これは、まさに平均単収がどれぐらいになったらどれぐらいになるかという試算をしていまして、水稲十四ヘクタール、飼料用米八ヘクタールの農家だと、飼料用米単収は十アール当たり四百九十八キログラム、これは今の県平均の単収だそうですけれども、今の単収のままだと、当然所得は八八%まで減る。飼料用米の単収が高いほど所得への影響が小さいということで、飼料用米を頑張って米の平均単価並みにすれば、この真ん中ですが、それでもぎりぎり、とんとんぐらいですかね。そして、頑張って頑張っていって、まさに飼料用米最大限の単収の場合に一・三七倍にふえるということになります。
まさに、飼料用米の単収がどれぐらいふえるか、頑張れるかということにかかっているわけです。まさにここにかかっているということで、頑張ればいいんですが、そこの不安が払拭されないというところであります。
きょうは、このことよりも、これを踏まえてお聞きしたいのは、こういう一定の前提を置きながら、農水省も試算をすべきじゃないか。やはりそういうことをしていただかないと、農家にせっかくの、せっかくというか、大改革といいながら、そこの見通しが、霧が晴れないのではないかと思っております。
これは、岩手県でさえもやっておりますので、農水省がやらないということはあり得ないと私は思っていますが、そこに対するお考えをお伺いしたいと思います。
○江藤副大臣 この御議論は、きょう、朝からも何度かあった御議論だというふうに理解をしております。
岩手県がやりましたもの、前回御質問されたもの、これは三月十八日の農林水産委員会の議事録も読み返させていただいたんですけれども、エクセルシートで打ち込めば出るようなものを岩手県はやっておられるということであります。
これを見せていただいたんですけれども、これは先ほどいただいた資料とはちょっと違って、飼料用米とか不作付地についての入力項目が入っていないということもありますし、いわゆる個々の農家がどのような作物を選択して、どのような取り組みを行うかについては、農家と、それから地域ごとに余りにもその違いが大き過ぎるということでありまして、大臣からも午前中に答弁させていただきましたけれども、国が、こういうことでございますよというよりも、やはり各自治体、県なり市町村でこういう取り組みをしていただいていることは極めて有効なことだと思いますので、ぜひ国と地方が協力するような形で、このような算出の仕方、農家の方々にお示しできるような形がふさわしいのではないかというふうに考えております。
○畑委員 そうすると、試算ですから、確かにいろいろな前提があるわけで、ただ、恐らく、そういう個々の県の試算が出て、そこはいろいろな、正確、不正確もあって、ミスリードすることもあって、やはりそういう混乱することが不幸だと私は思っています。そこは、一つこういう前提を置いたんだと言いながらも、農林水産省、国でやるべきだと私は思っています。
ちなみに、岩手県は、確かにおっしゃるとおり、農業所得簡易試算ファイルというのを何か後日配付するのだそうでして、これに打ち込むと出てくるんでしょうね。一つの参考にはなると思います。
ちなみに、やはり国は、こういうことはやる予定というか、やるつもりはありませんよね。ちょっと確認をしたいと思います。
○林国務大臣 副大臣から今答弁があったとおりでございまして、単価が決まっておりますので、ここに、岩手県の出していただいたように、何をどれぐらいやるというのを置いていただければ、収入は出るわけですね。したがって、同じことを県と国でやる意味が、私はさっきから聞いていてよくわからないわけです。
県がばらばらのを出すとまずいので国が出せということであれば、逆に、どのものをどれぐらいつくるというのを類型で置くかというのをどうするかとか、先ほど来、前提で不作付地がこれぐらいなのはどうなのかとか、必ずそういう議論になります。
したがって、どういうモデルをつくるにしても、一定の前提を置くということはもう当然でございますが、そのモデルがひとり歩きをして、それが何か保障されているというような形になるのは、今回の改革の趣旨にはそぐわないのではないか。むしろ、自分で、集落で、県単位で、市町村単位で水田フル活用ビジョンという形で、実際にやるものをこの単価はもうお示ししているわけですので、おつくりになっていただくという方がより生産的なのではないか、こういうふうに考えております。
○畑委員 私は、一定の前提を置いて出せば出るのであれば、一定の前提と断った上で、国の試算もそうなっていますので、やることは害ではないし、むしろやった方がいいと思います。あとは、国がやるというよりも、例えば、典型的にはこういう類型で、こういう前提でというのを指導していただいてもいいのじゃないかと思いますが、混乱を与えるとか、ちょっと理解できません、国の情報公開に対する姿勢が。これは、いろいろな面でそうですが、ちょっと不満であります、農政大改革といいながら。
だから、よく言われる、頑張ればこれぐらい報われるとかふえるとか、そういった中で、誤解を与えるから試算を公表しないとか、これは前提を置けば各県でできるからいいんだとかというのは、ちょっと矛盾しているような気がしております。
ちなみに、ちょっと話をかえますが、五年後の生産調整の廃止というか、この案件です。
総理は、先般の本会議で、行政が配分する米の生産数量目標に従って農業者が作物をつくっていたものを、五年後をめどに、農業者がマーケットを見ながらみずからの経営判断で作物をつくれるようにすると。これが、従来から言っていたように、きめ細やかな、的確な情報提供でやっていくということだと思います。
そこで、確認したいんですが、そうするという理由は、今、あめの措置ということで、生産調整に参加することを条件でやっている米の直接支払交付金、五年後にはこれを廃止することをもって、みずからやれるようにするというふうにおっしゃっているのか、どういう補助制度をなくすることでそういうことを想定して言っておられるのか、お伺いしたいと思います。
○林国務大臣 先ほどのシミュレーションの件でございますが、情報公開という意味では、何かシミュレーションをやっていて、各県について細かくいろいろなことをやって、それを出さないということではなくて、そもそも、そういうことをやるということについて、一律に示すことが、示すというのは、持っているものを示すんじゃなくて、つくること自体ということで申し上げておりますので、そこは確認させていただきたいと思います。
五年後に、生産数量目標の配分に頼らずともやっていけることをつくるということとの関連でいえば、それと同時に、この半減したものがなくなっていくということとあわせて、今回の経営所得安定対策、それから多面的機能というのは、今度法制化していただければ、この法律に基づいた措置として、そういうものをあわせていく。この前提で、五年後には、目標数量を配分することから、需給情報の提供等によって水田フル活用ビジョンをつくってもらうことに、今の時点でそういうふうに決めて、五年間かけてそこに持っていこう、こういうことでございます。
○畑委員 確認したいんですが、生産調整とリンクしたような交付金はなくしていくことと情報提供だとして、林議員でしたかね、飼料用米や他の転作への補助金があって、これは主食用米の生産を自主的に調整する制度ではないかと。要は、制度上、要件としてリンクさせないとしても、そこに誘導するような補助金であることは確かなわけです、飼料用米へのお金を厚くしていくのは。
こういうことは、もちろん、私はこれを否定した立場で言っているわけではないんですが、そこのそういうリンクしない補助金、交付金という類いは、自主的に調整する制度というのは、これは残すというか、補助制度の一環では残るんだ、結局、生産調整とリンクした一万五千円をなくするんだということですね。もう一回、ちょっとこの確認をさせていただきます。
○林国務大臣 そういう意味では、この生産数量目標の配分に従うことを条件にしてやっているもの、すなわち、この一万五千円はなくなるということでございますが、それとリンクしないもの、これは誘導するというふうな表現を使われる方もいらっしゃいますが、私は午前中に申し上げたように、これはトウモロコシとどうやって価格で競っていくか、こういうことでございますので、一定の補助をすることによって、価格に遜色のないことにして初めて先ほどの四百五十万トンという潜在需要というところが顕在化してくる、こういうことでございますので、そういう意味で、そういう措置をやっている。
ちなみに、八万円プラスマイナス二・五万円で数量払いを導入したことは今回の改革の一環でございますが、八万円自体は、以前からやっていた水田のフル活用という中での一環である、こういうことでございます。
○畑委員 これは最後の質問になると思うんです。厳密には通告していないんですが、恐縮です。
情報提供をしっかりやることで、生産調整がなくても生産者が自主的な経営判断でつくれるようになるということはそうなんですが、そこは、情報提供をしっかりやるということに尽きるのでしょうか。あるいは、前に生産団体を通じて指導ということがあると思うし、そうしないと動かないと思うんですが、JAとか生産団体にする指導とか、情報提供とあわせたいわゆるソフトな行政指導は想定されているのか、されていないのか、済みません、そこは確認したいと思います。
○林国務大臣 申し上げておるとおり、需給見通しを全国ベース、それから主たる銘柄の相対取引価格や全国の在庫量、これはやってきたところでございますが、公表銘柄数をほぼ倍増以上に、四十四から九十四ということを三月二十八日から公表しましたが、さらに、県産別、銘柄別の契約、販売状況等々の情報内容を大幅に拡充していく、こういうことでございます。
委員がおっしゃっておられるソフトな行政指導というのが具体的にどういうことを指すかということでございますが、やはり生産数量目標の配分に頼らずともやっていけるということになるわけでございますので、基本的には、情報を提供して、経営判断に基づいて、どういうものを作付するかということを主体的に考えていただく、こういうことになろうかと思います。
○畑委員 私がイメージするソフトな行政指導は、きめ細かな需給状況とかこれからの見通し情報を出すとして、それで判断がつかない場合に、恐らく、生産団体なりあるいは生産者は、上部なりあるいは国、公的機関に相談してくる、この情報をもとに、生産調整じゃないですが、例えば、どれぐらい実際にはつくったらいいんでしょうかと。要は、今までの生産数量を割り振っている。割り振っていないんだけれども、生産者から聞いてくる形ですね。
そうした場合、国としては、この情報をもとにすれば、この地域はこれぐらいつくったらうまくいくんじゃないですかということを言うのではないか、そうすると、実質的な生産調整というのが残ってしまうと思うのですが、いかがでしょうか。
○林国務大臣 そこは、我々が申し上げています水田フル活用ビジョン、これはつくっていただこうと。
大きくなった法人とか集落営農では、そこだけでやるということは当然できる、こういうふうに思いますけれども、やはり個々の、規模がそれほどでない方々にとっては、地方行政が中心となって、地域における作物振興の設計図となる水田フル活用ビジョンをつくって、この状況を見ながら、この集落では主食用と餌米をどれぐらいやっていくかというものを、こうやってフル活用ビジョンの中でつくっていって、集落単位でそういうものをやっていく、これは当然やっていこうということになっております。それがソフトな行政指導に当たるかどうかはちょっとわかりませんが、そういうものはしっかりやっていこうということでございます。
○畑委員 確かに、単なる情報提供ではやはり不安だし、そこは立ち行かないと思っていますが、恐らく、生産調整が残るんだと言う人もいるでしょうし、そうじゃない立場の人もいて、そこは悩ましいところであります。ただ、必要な行政指導は必要だと私は思っております。
だから、余り生産調整の廃止とか言わぬ方がいいんじゃないかと。現実を踏まえて、ソフトな生産調整は的確に続けますとか、そんなことを言っておけばミスリードもなくなると思うんですが、時間がありませんので、そういうことを申し上げて、きょうの質問は終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○坂本委員長 次回は、来る八日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時四分散会