第9号 平成26年4月15日(火曜日)
平成二十六年四月十五日(火曜日)午前九時一分開議
出席委員
委員長 坂本 哲志君
理事 北村 誠吾君 理事 齋藤 健君
理事 谷川 弥一君 理事 宮腰 光寛君
理事 大串 博志君 理事 村岡 敏英君
理事 石田 祝稔君
井野 俊郎君 池田 道孝君
小里 泰弘君 加藤 寛治君
勝沼 栄明君 門山 宏哲君
川田 隆君 菅家 一郎君
清水 誠一君 末吉 光徳君
鈴木 憲和君 高木 宏壽君
武井 俊輔君 武部 新君
津島 淳君 中川 郁子君
中谷 真一君 橋本 英教君
福山 守君 堀井 学君
宮川 典子君 宮崎 謙介君
簗 和生君 山本 拓君
吉川 赳君 渡辺 孝一君
後藤 斎君 玉木雄一郎君
寺島 義幸君 鷲尾英一郎君
岩永 裕貴君 小熊 慎司君
鈴木 義弘君 村上 政俊君
稲津 久君 樋口 尚也君
林 宙紀君 畑 浩治君
…………………………………
議員 大串 博志君
議員 鷲尾英一郎君
議員 玉木雄一郎君
農林水産大臣 林 芳正君
内閣官房副長官 加藤 勝信君
農林水産副大臣 江藤 拓君
農林水産大臣政務官 小里 泰弘君
政府参考人
(内閣官房内閣参事官) 村井 正親君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 荒川 隆君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 松島 浩道君
政府参考人
(農林水産省消費・安全局長) 小林 裕幸君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 奥原 正明君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長) 三浦 進君
政府参考人
(水産庁長官) 本川 一善君
農林水産委員会専門員 栗田 郁美君
―――――――――――――
委員の異動
四月十五日
辞任 補欠選任
井野 俊郎君 宮崎 謙介君
武部 新君 勝沼 栄明君
中川 郁子君 中谷 真一君
簗 和生君 宮川 典子君
鈴木 義弘君 小熊 慎司君
同日
辞任 補欠選任
勝沼 栄明君 高木 宏壽君
中谷 真一君 中川 郁子君
宮川 典子君 門山 宏哲君
宮崎 謙介君 井野 俊郎君
小熊 慎司君 鈴木 義弘君
同日
辞任 補欠選任
門山 宏哲君 吉川 赳君
高木 宏壽君 武部 新君
同日
辞任 補欠選任
吉川 赳君 簗 和生君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四九号)
農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案(内閣提出第五〇号)
農業者戸別所得補償法案(大串博志君外六名提出、第百八十三回国会衆法第二六号)
農地・水等共同活動の促進に関する法律案(大串博志君外六名提出、衆法第六号)
中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進に関する法律案(大串博志君外六名提出、衆法第七号)
環境保全型農業の促進を図るための交付金の交付に関する法律案(大串博志君外六名提出、衆法第八号)
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○坂本委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案及び農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案並びに第百八十三回国会、大串博志君外六名提出、農業者戸別所得補償法案及び大串博志君外六名提出、農地・水等共同活動の促進に関する法律案、中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進に関する法律案、環境保全型農業の促進を図るための交付金の交付に関する法律案の各案を一括して議題といたします。
この際、お諮りいたします。
各案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官荒川隆君、大臣官房総括審議官松島浩道君、消費・安全局長小林裕幸君、経営局長奥原正明君、農村振興局長三浦進君、水産庁長官本川一善君及び内閣官房内閣参事官村井正親君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○坂本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。池田道孝君。
○池田(道)委員 おはようございます。自由民主党の池田道孝でございます。よろしくお願いをいたします。
まず冒頭に、先日、熊本県で発生をいたしました鳥インフルエンザでございますが、あってはならないことでございますけれども、今回が三年ぶりということで、地元でも大変な御苦労をなされておられると思います。私の地元岡山県でも、以前ございました。ちょうど私も県議会議員をやっておったんですが、大変な苦労をしたことを経験として思い出しております。一刻も早い終息宣言を出せるように、地元熊本県を初めとして、関係の皆さん方と御協議していただきながら、政府としては万全の体制をとっていただきたいと強く要望をいたしておきます。
四月中旬になりますと、もう早いところでは田植えが始まります。そしてまた、これからゴールデンウイークにかけまして、水路の清掃あるいは草刈りという田植えの準備が始まります。特にことしは、農政の大改革ということで、そうした作業の合間には、これからの農政についての話が必ずどの地域でも出てまいります。
そこで、まず、衆法の農業者戸別所得補償法案からお尋ねをいたします。
提案理由にも書いてありますが、この農業者戸別所得補償制度というのは、もう書いてあるとおり、農家の皆さんからも高い評価を得てきた、なおかつ、猫の目農政の脱却を図って、何の変更もなく安定的に続けられてきた農政はほかになかった、この点につきましては非常に評価をいたしております。
その中で、何点かお尋ねをいたします。
まず、米の固定支払い制度についてでございますが、民主党の案でございますが、生産調整を前提としておりますが、逆に言えば、幾らでも作付できる、そしてまた、安倍総理が四十年ぶりに減反制度を廃止したと言うのは全く事実に反するという御趣旨でございますけれども、農家の方々は、四十年以上にわたって減反制度に協力をいたしております。
後半につきましてはなかなかそこまでいっておりませんけれども、その中で、片方では必ず生産調整をした方々に交付金を払うということでございますので、農家の方々にとりましてはあくまでも生産調整ということでございます。
いわゆる、総理がおっしゃっておられることは事実に反するということにつきましては、農家の方々にとっては疑念を感じるところでございますけれども、その点についての御所見をお伺いいたします。
○玉木議員 お答え申し上げます。
池田先生は、瀬戸内海を挟んでお隣の県でございますので、御質問をいただきまして、ありがとうございます。
ペナルティー型の減反制度が、我々民主党政権の中で、初めてここは廃止されたという認識でおります。というのは、それまでのいわゆる減反制度に関して言えば、減反に参加しなければ補助をもらえなかったり、あるいは次年度の生産調整枠が、その割り振りから非常に不利な扱いがあったりという形で、参加しなければ何らかのマイナス、ペナルティーがあるというのがこれまでのいわゆる減反でありました。
ただ、民主党政権になって、生産調整は残しましたけれども、その生産調整に参加することによって戸別所得補償をもらえるという、これはいわばメリット措置に変えたところが大きな差でありまして、逆に言えば、選択的な減反制度に変わったというふうに認識をしております。
ですから、逆に言えば、戸別所得補償制度に基づく交付金を放棄すれば、幾らでも生産ができるし、幾らでもまた輸出ができる、そのことをしたことによって何らかのペナルティーを受けることはなくなったという意味で、ペナルティー型の減反制度は民主党政権の戸別所得補償制度の導入を機に廃止された、こういう認識を申し上げた次第でございます。
○池田(道)委員 ありがとうございます。
農家の方々にとりましては、実感としては、それがなかなかそこまで、今御答弁のような感じには受け取れないと思います。
いわゆる生産調整をした方々に対しては、十アール当たり一万五千円。我々の岡山県のように、零細農家の多いところ、耕作面積が一戸当たり〇・七ヘクタールでございますが、百ヘクタール以上の話というのはとてもできないんですけれども、百ヘクタールを耕作されておられるところでは、当然、一万五千円で、四十ヘクタール生産調整すれば、六十ヘクタール分で九百万円というのが、ただで、ボーナス的にもらえるわけでございます。
我々地域にとりましては、平均十ヘクタールぐらいの大規模農家、十ヘクタールでも、六ヘクタールで九十万円、半分、五ヘクタールで四十五万円、これが何もしなくてももらえるわけでございますから、その実質的な収入分についてはいいんです。
それともう一点は、いわゆる耕作面積の多い方々については八割ぐらいの方々が恩恵を受けておられますけれども、実際の零細農家を含めた農家の割合、いわゆる水稲の共済の引き受け戸数の割合でいくと、六割程度でございます。ということは、ほとんど利用ができない。
例えば、先ほど言いました岡山県では、〇・七ヘクタールの標準農家の方々であっても四十アール、四十アールから十アール引きますので三十アール、四万五千円ですと、それに参加するつもりはないということになろうかと思います。
その点と、もう一点は、先ほど申し上げましたように、どうしても生産調整というのが農家の方々は頭にありますから、それに参加されておられる方々は、参加しなくてもWCSあるいは飼料用米を作付すれば八万円という金額の支払いが可能でございます。それがやはり、生産調整しなくても、つくりさえすれば八万円いただけるというのはいかがかなと。
それと関連して、酒造メーカーの方々からもお話が出たわけでございますけれども、酒米をつくってもらえない、片や、稲か草かわからないような水田の耕作でも八万円もらえるというような厳しい御意見も伺ったことがあるわけでございますが、その点につきましてはいかがお考えでございましょうか。
○玉木議員 池田先生の質問にお答え申し上げます。
岡山県と香川県はほぼ同じ平均耕作面積でありまして、香川県は六反強だったと思います。ですから、岡山県とほぼ同じ感じで、私も、戸別所得補償制度を導入したときに、我々にはメリットがないなと正直思ったんですね。
ただ、この委員会でも何度も議論がありましたけれども、戸別に小さな農家に対して販売価格と生産費の差額を全部埋めようとすると、やはりそこは構造改革を阻害する面があるのではないかということで、全国一律の平均的な販売価格と平均的なコストの差である反当たり一万五千円を全国一律で交付することに決めたわけであります。
その結果、確かに大きなところに有利でありまして、五ヘクタール以上の農家でありますと九八%以上の加入実績があります。それに対して、五反未満でありますと五十数%台の加入ということで、今先生がおっしゃったとおり、確かに大きくなればなるほどメリットがあるので、みんな入るわけですね。小さい、いわゆる五反百姓みたいなところは、入っても余りメリットがないので、先ほど申し上げたように加入率が半分強、まさにそこに出ていると思います。
ただこれは、構造改革を進めていくことと、そして岩盤対策として農家の所得を補償していくことと、この二つの要請のバランスをとる中で決めた一つの制度でありまして、二ヘクタール以上の農家であると、もらうと収益が何とか出る、二ヘクタール未満であると、これはもらってもなかなか収益が出ないということで、この境にあるところに何とか構造改革を促して、収益のある世界に早く移行していってもらう。そのためには、面的集積を補う他の制度もあわせながら、できるだけ構造改革もあわせ持って進めていきたいということで、制度を設計したものであります。
また、二つ目の質問でありますけれども、それでは、飼料用米やホールクロップサイレージなどは生産調整の条件がかかっていないじゃないか、これはそのとおりでございます。
これも、制度設計をするときに悩んだ一つの問題ではありますけれども、ただ、既に一〇〇%の自給率を達成している主食用米と異なり、いわゆる戦略作物として今後その自給率や生産を拡大していかなければならないといった飼料用米等については、生産調整の枠をかけずに、ある意味、さらに自由につくっていただくということで、生産調整の枠は外した次第でございます。
○池田(道)委員 ありがとうございました。
玉木先生のところも、全国で有数な、ため池の多い、逆に言うと水の少ない地域でございます。私どものところも、農業用水に非常に困るという地域でございます。そのわずかな、貴重な水を利用しながら水田農業をやっているわけですが、そのためには水利の清掃、そしてまた草刈り等が当然重要になってまいります。
その中で、これは農地・水・環境保全の事業が始まった時点からでございますが、非常にいい制度だということで、地域にその組織をつくっていただきましてやっているわけでございます。私も非常にいい組織だと思うんですけれども、中山間地域直接支払制度の対象地域は別といたしまして、なかなか組織率が上がらないというのが事実だろうと思います。これは政府、そして民主党さんの両者にお尋ねをいたします。
○三浦政府参考人 お答え申し上げます。
農地・水保全管理支払いが伸び悩んでいる理由ということでございます。
農地・水保全管理支払いの活動組織数は全国で約一万九千組織で、近年横ばいとなっておりますけれども、これにつきましては、農業者以外の地域住民の参加というのを要件としているということ、それから、良好な景観の形成のための植栽などの地域における環境保全活動を要件としていることなどによりまして、地域によっては取り組みにくい面があるということなどによると考えております。
このため、今回創設いたしました農地維持支払いにつきましては、より取り組みやすい制度とする観点から、非農業者の参加を要件とせず、農業者のみの活動組織でも取り組めるようにするとともに、農地のり面の草刈りですとか水路の泥上げといった農業生産を営むために不可欠な基礎的な保全活動も支援対象とするということとしたところでございます。
○大串(博)議員 お答え申し上げます。
農地・水保全管理支払い、確かに、カバー率が全国三四%、いい制度というふうに言われている割にはなかなか伸び悩んでいるというのは御指摘のとおりでございまして、政府の方からも今その要因等々に関して説明がありましたけれども、私たちも、その内容に関しては理解するところであります。
さらには、私たちの方でいろいろ分析した中でも、例えば事務手続の煩瑣な面、農村において高齢化が進む中で、なかなかこれを事務として担ってくれる方がいらっしゃらないんだ、こういった御指摘もいただきました。
こういったことも含めまして、私たちとしても、提出案におきまして改善の内容を盛り込んでおりまして、例えば、事務手続の一層の簡素化を図る、それによって実務上の負担を軽減する。さらには、さらに活用していただきやすくするように、農地・水等共同活動支払いにおいて農用地区域内以外の農用地における共同活動も対象とするとか、あるいは、年度をまたぐとどうしても使いにくいというようなことを御指摘される方もいらっしゃいました。こういった方々に対して、数年分を交付金として積み立てて計画的に使えるようにするようなことの配慮規定を盛り込むといった改善点も考えているところでございます。
○池田(道)委員 ありがとうございました。
続いて、今、政府案では、農家のみの団体の方々にも支給するという制度が新たにできましたけれども、これは、これから中間管理機構等を使いまして農地の集約が進んでまいります。進んでいきますと、現状でもあるわけですが、農地を貸しておられる方々は、水路の清掃には参加しない、農業をやっている方だけでやってほしいという地域も出てきているわけでございます。従来の地域、いわゆる住民協議会、町内会等いろいろな団体を通じて一緒にやっている場合と、そうでない、いわゆる農業に従事しておられる方々だけでやるとした場合には、この制度が非常に重要でございます。
その点につきまして、お考えをお尋ねいたします。衆法の方で批判をされておられますので、まず、その点についてお尋ねをいたします。
○玉木議員 お答え申し上げます。
今、池田先生がおっしゃった点は大変重要でありまして、この点については、政府・与党案も我々の案も同じだと思っております。多少名前は違いますけれども、我々も農地・水の制度は極めて大事だと思いますし、非農家の方にもいろいろな意味で地域の農家の方との共同作業に加わっていただいて、水路や農道の整備にいろいろな形で御協力をいただく、そのことを後押しするといった制度として、我々は、今回、農地・水、これまで予算措置で行ってきたものを法律化するということで、関連の三法として提出しているものでございます。
○池田(道)委員 時間が参りましたので、最後に一点だけお尋ねをいたします。
今いろいろな形でお尋ねをいたしましたけれども、戸別所得補償制度、非常にいい制度ということを冒頭に申し上げました。そうした中で、四年の間、水路の改修であるとか土地区画整理事業、いわゆる圃場整備等のハード事業が停滞をいたしました。そのことにつきましては、農業に従事されておられる方々の生産性の向上であるとか、あるいは生産意欲というものを阻害してきたというふうに思っておりますけれども、両面はなかなかできないんだということかどうかわかりませんけれども、その点について、最後にお尋ねをいたします。
○玉木議員 お答え申し上げます。
大変重要な御指摘をいただきました。
限られた財源の中で、経営の安定を図るための戸別所得補償を入れたときに、その財源をどこから持ってくるのかというときに、ペイ・アズ・ユー・ゴーということで、いわゆるNN予算、農業農村整備の予算を、前年度に比べて、一部削ったことは事実でございます。
ただ、我々は、例えば野球でいうと、選手を育成する話とグラウンド整備をきちんとやることは、一緒になってやらないと強いチームはできないというのはそのとおりだと思いますので、苦しい中でこのNN予算の確保にも努めてきたわけであります。ただ、二十二年度、政権交代した一番最初の予算の当初予算では大きく減りましたけれども、その後の予備費、補正予算、そういったことを苦労してかき集めて、何とか苦しい中でその維持を図ってきたわけであります。
例えば、私は、地元のことを言って申しわけないんですが、香川用水の予算は、それまで二億円ベースだったんですけれども、その後二年間は十億円ぐらいまで伸ばして、本当に必要なところは頑張ってつけてきた、こういう苦労もあったということも御理解いただければと存じます。
○池田(道)委員 ありがとうございました。時間が参りましたので、質問を終了させていただきます。
○坂本委員長 次に、玉木雄一郎君。
○玉木委員 民主党の玉木雄一郎です。所変わって、今度は質問者として、よろしくお願いいたします。
まず、法案の審議に入る前に、家畜防疫に関して何点か確認をさせていただいてから法案の内容に入りたいと思いますけれども、冒頭お伺いしたいのは、熊本県で発生をいたしました高病原性鳥インフルエンザへの対応について伺いたいと思います。
きょうは、大変お忙しい中、加藤副長官にお越しをいただきましたので、まず伺いたいと思います。
十三日の午前八時に正式に疑似患畜と判明したというふうに事務方から伺っておりますけれども、この十三日の午前中、総理はゴルフをされていたというふうに認識をしております。新聞の首相動静を見ると、その旨書かれておりました。
確認をしたいのは、農林水産省としては、疑似患畜であることを午前八時に確認したときに、すぐに総理に報告をしたというふうに聞いておりますけれども、総理に報告した際、総理はどこで何をされていたのか、改めてお答えをいただきたいと思います。
○加藤内閣官房副長官 玉木委員にお答えいたしたいと思います。
午前八時に、遺伝子結果を踏まえて農水省が疑似患畜と判定して、直ちに秘書官から総理に報告をしたところでございます。それは、クラブハウス内でございます。
○玉木委員 ということは、そのときは総理はプレー中ではなかったということですね。
○加藤内閣官房副長官 そのとおりであります。
○玉木委員 次に伺いたいのは、そういう情報を総理は秘書官経由で聞いて、その後、結局、プレーを続行するわけですね。プレーをされるわけであります。
この後、九時半からは林大臣も参加して対策本部を開かれますし、十一時からは関係閣僚会議が開かれるということになるわけでありますけれども、こういった疑似患畜の確認がされた中で、総理がその後のプレーをやめずにゴルフを続行するという判断をされたその根拠、理由は何でしょうか。
○加藤内閣官房副長官 正確に言うと、続行というか、判断をした上で、そこからスタートしたということであります。
今回の事案については、その検査結果の報告の中で、昨年来中国で発生している、人への感染が確認されているH7型の鳥インフルエンザではなくて、感染リスクがかなり低いH5型の鳥インフルエンザであったこと、また、その段階では一つの鶏舎に感染状況がとどまっていたことなどを総合的に勘案して、関係閣僚会議の開催ということになったところでございます。
○玉木委員 まだこれからどういうふうな展開をするのか、あってはならないことですけれども、二例目、三例目、可能性が全くゼロではないわけですね。
実際、こうして緊急の関係閣僚会議も開かれております。私は、ゴルフをするなとは言いませんけれども、やはり関係閣僚が緊急に集まってこうした対策をしている中で、そのままゴルフを続けられたという判断は、これは総理の判断ではあろうかと思いますけれども、今副長官がおっしゃったように、人への影響がないので、特にゴルフをやめるような話ではないと判断をされたというふうに、私はそういう印象を受けました。では、農家や農業に対して甚大な影響があっても、人の生命等々に影響がなければ、それは軽微だと判断をされたということなんでしょうか。
今、TPPもそうですし、後に少し質問しますが、豚のPEDの問題も出ております。農家はいろいろな意味で不安を抱えている中で、これは常識的な判断として、常識というのはいろいろな考えがありますけれども、一方で、国家のトップがゴルフを楽しまれ、その一方で、生活がかかり、地域の産業はどうなるのかと真剣に心配されている方もいるわけですね。
今、人命に影響がないからそのままゴルフをしたというのは、私は少し御答弁としてはいかがなものかなと思いますけれども、改めて、いかがでしょうか。
○加藤内閣官房副長官 ゴルフをするかしないかという判断ではなくて、どういう対応が必要かという判断の中で、先ほど申し上げた理由の中で、この状況であれば、関係閣僚会議で対応すべき、こういう判断をしたところであります。
○玉木委員 それが総理の判断だったというふうに理解しております。
八時に話を聞いて判断すれば、十一時の会議に戻ってくることも可能だったと思います。ただ、そのことをされなかったということについては、それが総理のお考えだし、ある意味、今回の鳥インフルエンザに対する思いだというふうに理解をさせていただきたいと思います。
加藤副長官、お忙しいと思うので、こちらで結構でございます。
次に、まだ判明していないというふうに承知をしているんですが、現時点において、この朝の時点において、最新の情報を教えていただきたいんです。この感染経路、どういうルートで今回の鳥インフルエンザが発生したのか、最新の情報を教えてください。
○小林政府参考人 鳥インフルエンザの感染経路のことについてお尋ねでございます。
感染経路を究明することは、今後の効果的な防除措置をとる上でも大変重要な課題であるというふうに考えております。
このため、四月十三日に、家禽疾病の専門家の協力のもとで、疫学調査チームを設置して、現地で感染経路等に係る調査を実施しております。また、ウイルスの分離検査、遺伝子解析等を進めているところでございます。
今後、こうした調査結果及びウイルス分析結果を踏まえつつ、引き続き、熊本県と連携して感染経路の究明に努めてまいりたいと考えておりますが、現時点では確定的な究明はまだされておりません。
○玉木委員 口蹄疫のときもそうだったんですけれども、感染経路を正確に把握するのは難しいと思います。私の理解では、あの宮崎県の口蹄疫も、いまだにどういうルートだったのかは判明していないというふうに理解しております。ただ、感染ルートがある程度わからないと、少なくとも幾つかの選択肢に絞り込まないと、効果的な対策は打てないと思うんですね。
報道によると、渡り鳥が今回はその一つの要因ではないかというふうに言われておりますけれども、それが渡り鳥経由だった場合と、例えば、誰か人間がそういったウイルスを持って、船やあるいは航空機を通じて国内に持ち込んだというパターンも考えられるわけであります。
わからないのであれば、その全ての可能性に対して明確に対応を具体的に打っていくことが今の時点では大切だというふうに思いますけれども、そこでお伺いしたいのは、水際対策であります。
口蹄疫のときもそうでありましたし、前回の鳥フルのときもそうだったと思いますけれども、外国との直接航路を持っている空港なんかでは、よく玄関マットに液を浸したようなものを置いて、ここを踏んでくださいというふうにやっているんです。私もそういうところを通ったことがありますが、それこそ玄関マットぐらいな小さなものを置いていて、またいでいけたりするわけですね。あるいは、確実に踏んでいるかどうかを検査している人も特に置いているような感じではありません。
とにかく、都道府県に指示して、何かやったよという実績だけ残すような対応になっていることが現場でありはしないかということでありますので、改めて確認したいのは、現時点において、感染ルートが不明な中で、この水際対策に対して、農林水産省としてどういった対応をしているのか、また各都道府県等に対して指示を出しているのか、お答えください。
○小林政府参考人 今先生の御指摘で、感染経路がはっきりしていない以上、徹底的な対策をとるべきだ、特に水際対策が重要だという御指摘でございます。
先生御指摘のとおりでございまして、まず、この菌は外から来ておりますので、水際対策、野鳥の監視、それから国内での広がりを防止するということがいずれも重要でございます。
水際対策につきましては、今御指摘いただきましたように、例えば、マットを置く、入国者について検疫をしっかりする。あるいは、検疫探知犬というものも配置しております。こういったものでしっかりやっていくということでございます。
各県にはしっかりとした対応を呼びかけておりますし、空港の協力も得ておりますけれども、今後、さらにしっかりと、緩まないように対応していきたいというふうに思っております。
○玉木委員 しっかりと現場で何が行われているかを確認してください。
それに関して一つ、豚の流行性下痢のことについて少し確認したいと思います。
これは前回、前々回ですか、大串委員からも質問がありましたけれども、今全国で、去年の秋から広がっている。しっかりとした対応はします、セーフティーネットの対策もします、いろいろな答弁をいただきましたけれども、皆さんも、地元に帰って、そういった感染の実例が出ているところの話を聞いている方もいらっしゃると思いますが、ワクチンが足りないというんですね。私のところにも、二者から、ワクチンがなくて困っていると。
この委員会でも聞きましたが、いや、国としては万全の対策を打って、ワクチンの安定供給体制も組んでいる、そういうふうにペーパーに書いている。でも、実際、今現場で起こっていることは、ワクチンが足りない、入手が困難、そういう話を現場で聞きます。
このPEDへの対応について、ワクチンの安定供給体制、とりわけ現場で不足しているという問題に対してどういうふうに考えているのか、どう対応を打つのか、お答えください。
○小林政府参考人 PED、豚の流行性下痢につきまして、ワクチンの対策についてお尋ねでございます。
少し技術的な説明も加わりますけれども、御説明させていただきたいと思います。
まず、ワクチンを接種しますのは繁殖用の雌豚でございます。子豚に接種するわけではございません。この雌豚は、国内に九十万頭飼われております。子供を産む前にワクチンを二回接種いたします。
豚流行性下痢が七年ぶりに昨年発生いたしまして、ワクチンに対する需要が急増したというふうなことでございます。そのため、昨年秋、ワクチンメーカーに対して増産をお願いして、昨年度は百万回分、すなわち、分娩雌に換算いたしますと五十万頭分のワクチンを既に出荷しております。
ただ、今御指摘いただきましたように、ワクチンが十分に行き渡っていないという声もありますことから、本年度については、約二百万回分のワクチンを順次出荷する予定にしております。したがいまして、全体としての量とすれば、当面の必要な量は確保されるのではないかというふうに考えております。
その一方、仮に量があるとしても、行き渡っていないのではないかというお話も御指摘いただいているというふうに考えております。
これにつきましては、一時期に、ワクチンが欲しいということで一斉に皆さんが求められるというふうなことで、十分に隅々まで満遍なく行き渡っていないという可能性もございます。
この点につきましては、都道府県や生産者団体の子豚の生産計画というものをまず片方で確認し、片方でワクチンメーカーの供給計画というものを確認し、両方の情報を交換させて、できるだけスムーズに全国にワクチンが行き渡るようにということを今後ともやっていきたいというふうに考えております。
○玉木委員 とにかく、スピーディーな対応と、現場で何が起こっているのかの実態把握を早急にやっていただきたいと思います。
相当心配をしております。もちろん母豚に打つということですけれども、何かあったら困るということで、まさに予防をしたい、防止をしたいと思っている養豚農家さんは多いわけであります。その中で、手だてが見えているのに、そのための具体的な手段、つまりワクチンが手に入らないというのは、かえって不安を広げることにもなると思いますので、ぜひもう一度確認してください、現場で起こっていることを。万全な対応をお願いしたいと思います。
動物に関して、最後に一点だけ伺います。
六月十二日に薬事法が改正をされます。これは私も別の委員会で質問をしたんですけれども、いわゆる医薬品のインターネット販売ということが、人間に関しては一部これが解禁になるということなんですけれども、実は、私も認識が余りなかったんですが、動物用の医薬品についても薬事法の改正が読みかえて適用されるということなので、動物用の医薬品もインターネット販売が可能になるというふうに言われております。ただ、よく情報が行き渡っていないこともあって、現場の獣医さんの中には、非常に心配したり、混乱が生じる懸念も指摘をされております。
質問は、今後、要指示医薬品については誰でもインターネットで購入できるようになるんでしょうか。この点について、方針を少し明確に、わかりやすく説明いただければと思います。
○小林政府参考人 ただいま、薬事法改正と、それから動物用の医薬品の販売ルートにつきましてお尋ねをいただきました。
今お話しいただきましたように、薬事法の中には動物用の医薬品も含まれているということでございます。そして、従来、人のものについてはネット販売できなかったのが、今後、できるようになるということになっております。
ただ一方で、動物用の医薬品につきましては、従来からプロしか買わないという仕組みでございますので、獣医師から指示書を受けた者に対しては、指示書を確認した上でのネット販売は従来から可能となってきております。そういった意味で、今回の薬事法改正に伴って、動物用医薬品については枠組みの変更はございませんというのが実態でございます。
そういったことなのでございますが、ことしの二月からパブリックコメントを求めるなど、周知を図ってきたつもりではございますが、一部、獣医師の方の中に誤解が生じているという御指摘でございます。今後、動物の医薬品の関係者、それから獣医師、そういった関係者がおられますので、そういったところにしっかりと丁寧な説明をして、誤解が生じないようにしていきたいというふうに思っております。
○玉木委員 先ほど豚のPEDでワクチンの不足の話をしましたけれども、なぜこういう質問をしたかというと、では、インターネットで注文できるのかな、例えば、検索をしてみて、売りますというところがあったら、とにかく、その中身が正しいかどうか別として、ワクチンだと書いてあったら、そこに振り込んだりクレジットカードで買えるんだったら、そっちでいこうと今後は考えてくるような人もいると思います。
今話があったように、基本的な枠組みは変わっていないというふうな説明でありましたけれども、何か随分大きく変わるような印象で広がっている、現実にそういう問題もあるわけでありますね。
ですから、今回の法改正がどういう影響を与えるのか、この情報提供については、日本獣医師会などを通じても結構だと思いますが、しっかりと現場に正確な情報が伝わるように、ぜひ周知徹底をお願いしたいと思います。
それでは、本題の法案の話に移りたいと思います。
先ほど池田先生からもお話がありましたけれども、今、閣法が提出をされ、我々も衆法提出をして、少し対立軸のようになっているところはありますけれども、私は、逆に共通しているところもすごく大きいと思うんですね。
ただ、一つだけあえて差を取り上げるとすれば、やはり規模のいかんにかかわらず、やる気のある全ての販売農家は応援していこうというのが大きな基本的な我々の哲学であります。その中で、競争を促したり構造改革を促したりして、あるべき方向に近づけていく、静かな構造改革を促していくというのが我々の考えであります。
一方で、かつての品目横断のときに、まさに全国から批判もありましたけれども、一定の面積で切ったり一定の要件で切ることによって、支援を受けられる人と受けられない人を制度上明確に分けて、そして、受けられない人は済みませんがもう諦めてくださいね、こういう政策のメッセージ、これは、私はある意味大きく異なると思うんです。
もちろん、甘く、全てのやる気もない人に対して何か支援を及ぼすようなことをすべきではないと思います。ただ、日本はさまざまな地形があり、さまざまな農業形態がある中で、面積なり、ある一つの法人のカテゴリーなりで切ってしまうと、やる気があるにもかかわらず、そこからこぼれてしまう人が出てくるのではないのか、これが我々の懸念であり、我々のさまざまな政策を導入するに至った一つのある意味での背景、根拠であります。
そこで、質問をしたいのは、ゲタ、ナラシの対策についてであります。
これは、二十七年度以降、規模要件は課さない。あるいは、今回の法律の中でも、かつてのような規模要件は課さない。認定農業者や認定新規就農者、集落営農組織、こういったところに支援を及ぼしていく、そのかわり、面積要件は課しませんよ、こういう説明をいただいておりましたけれども、ただ、いずれにしても、我々の政権で進めてきた、全ての販売農家を対象とするという仕組みは変わるわけでありますね。
そこで、質問したいのは、特定農業団体の扱いについてであります。
これは、当初、法人化の計画をしっかり立てて、五年間で何とか法人化してください、その間は少し猶予措置みたいなものを設けますということで、最初は五年間設けたんですが、なかなか、あれは平成十八年からですか、そこから五年たってもやはりできないということで、五年を期限として、さらにある種再延長を認めてきた経緯がございます。
ですから、その意味では、最初に施行してから十年間の猶予ということが与えられてきたのでありますけれども、これがいよいよ外れていくわけでございます。
私の地元の香川県では、讃岐うどんが有名なので、これをほとんどASWでつくっているのはいかがなものかということもあって、県産の小麦でつくる讃岐うどんを何とか出したいというニーズは常にあるし、需要もあるわけですね。そこで、麦はしっかりとつくってもらいたいということで、推奨してきたわけであります。
実は、香川県では担い手要件に該当しない五十八の特定農業団体がありまして、作付面積が約七百八十ヘクタール。特定農業団体にも至らない個人の小規模生産者が二百六十戸ほどありまして、この小規模生産者が生産している麦の総面積が約百七十ヘクタールでございます。二百六十戸ぐらいで百七十ヘクタールやっていますから、一戸当たり大体六反ぐらいの面積を作付しているわけです。これを小さいと呼ぶかどうか。北海道、東北の方からすると、六反というのは極めてちっちゃいと思いますけれども、先ほど話があったように、実は、六反ぐらいは香川県の平均であります。この平均的な農家がこれから支援の対象から外れていく。あるいは、特定農業団体についても、なかなか法人化ができないところについては今後支援の対象から外れていくということになるわけですね。
これが軽微ならいいんです。ただ、今、七百八十ヘクタール、百七十ヘクタール。それぞれ、特定農業団体、担い手要件に該当していない五十八団体の作付が七百八十、個人が百七十と言いましたけれども、実は、これを足し合わせますと、香川県における麦の作付面積の約四割にも至るんですよ。
小さいけれども、集まって、全体の作付の四割も頑張ってやっておられる方が支援から外れてしまうと、これは単に、小さいところにはもうやめてもらいましょう、農地バンクに預けてもらいましょうという話ではなくて、生産振興そのものが決定的な打撃を受けてしまうということが考えられます。
少し長くなりましたけれども、担い手要件のある意味での厳格化、このことによって、やはり小規模切り捨てになってしまうのではないのか。規模要件は外したというけれども、やはり小さな農家は今後営農継続が難しくなるのではないのか。この点についてどう考えているのか、お答えをいただきたいと思います。
○奥原政府参考人 今回の法改正後のゲタとナラシの対象者でございますが、先生から今御指摘ございましたように、認定農業者、認定を受けた新規就農者、それから任意組織の集落営農、これは、いずれにつきましても規模要件は今回は課さないということで整理をしております。
小さい農家の方も当然いらっしゃると思いますけれども、そういう方々は、できるだけ、この法律が施行されるまでの間に集落営農をうまく組織していただきたいなというふうに思っております。
集落営農につきまして、従来の担い手経営安定法の集落営農を対象にするときの要件は、実は五要件ございます。組織の規約を定めていること、共同販売経理を行っているということ、これのほかに、法人化計画を持っている、農用地の利用集積の目標を決めている、それから、主たる従事者の所得目標を決めているという五つの要件をクリアしないと、ゲタ、ナラシの対象にならないという制約がございました。
ですが、今回の法改正に伴いまして、ここの集落営農の要件についても緩和をすることにしておりまして、二つだけ、規約を決めているということと、それから共同販売経理を行っている、この二つの要件を満たしていただければ、あとは、法人化につきましては、市町村の方が、ここが法人化することは確実であるということを判断していただければ対象にするということで、緩和をしております。
ぜひ、そういうことを御活用いただきまして、この法律が施行されるまでに集落営農をうまく組織していただきたいというふうに考えております。
○玉木委員 今局長から話があったように、もともと法律では五要件ですよね。これは、十年間やって、サボっていたわけじゃなくて、やろうとしたんだけれども、なかなか五要件を満たせないので二要件に限定して、あとは、今おっしゃった、市町村が確実と判断する場合には他の要件はいいですよということなんですけれども、確実に法人化されるというふうに市町村が思うときの具体的な判断基準というのはまだ示されていないと思うんです。
そのことによって、現場は結局、勝手にやって、後で法律違反になっては困るので、非常に保守的に、コンサーバティブに、もとの五要件でやはりやろうとするし、仮に市町村が認めようとしたって、厳し目にそれをやりますよ。だって、それに税金がついてくるわけですから、交付金とか補助金がついてくるわけですから、それは簡単にいきませんよ。
では、お伺いしたいのは、市町村が確実に判断するというその判断材料については、今現在、具体的に例示されていますか。
○奥原政府参考人 これまでは、法人化計画をつくっていただくということを必ず要件にしておりましたので、これで判断をしておりましたけれども、集落営農の経営を発展させるということを考えますと、法人化していただくことは必要なことだというふうに我々は思っておりますが、地域の事情もいろいろでございます。計画をつくれば確実に法人化ができるということでも必ずしもない。実績を見ましても、計画はつくれていても、実際にそれまでに法人化ができなかった、こういうケースもいろいろございます。
そういう意味で、今回は画一的な、計画をつくるということはもう判断基準にしないということで判断をいたしまして、先ほど御説明いたしましたように、規約をつくるということと、それから共同販売経理の二つがあればいいということで、あとは市町村がそれぞれの実態に応じて判断をしていただけばいいということにいたしました。
ここについて具体的なメルクマールを決めれば決めるほど、現場が動かなくなりますので、ここにつきましてさらなるものを示すことは今のところ考えておりません。
○玉木委員 これは大事な話だと思うんですよ。
思い出してくださいよ。品目横断を入れたときに、四ヘクタールとかで切って、小規模切り捨てかという話になって、都道府県の特例とかいろいろなことを入れて、少し緩和をしてきた。
今回も、我々民主党が全ての販売農家を対象にしたことも多分いろいろ考慮されたんでしょう。その中で、ゲタ、ナラシについては、規模要件は課さずに、小さいところでもできますよというような説明をしていますけれども、実際はそうならない可能性が高いですよ。早いところでは、この秋の秋まきの麦から適用になりますから、適用になるということは、補助が受けられなくなる可能性がある。
これは、大臣、ぜひ現場の実態も踏まえた上で柔軟な対応をお願いしたいと思います。今、市町村には明確なメルクマールを示すつもりはない、それは逆に市町村の自由度を縛るからということでおっしゃいましたけれども、それでは結局うまくいかないと私は思います。ここは我々の法案と大きく違うところだし、むしろ我々の法案をうまく取り入れてもらいたいんですけれども、やはり一定程度、規模にかかわらず、やる気のある個人にしても、あるいはこの十年間何とか頑張ってこられた特団、特定農業団体についてもよくよく現状を見て、これが離農を促進するようなことにならないように、ぜひ配慮をいただきたいと思うんです。
何でかというと、さっき申し上げたように、全体の面積で、例えば香川県の麦だったら、そういう人たちがちょっとならいいんです。離農して、やめて、もう農地は誰かに出します、でも、実際には、そういった方々が作付している面積は全体の四割弱という実態ですよ。何とか残りの時間で法人化したり認定農業者になったり、いろいろなことを工夫してそっちに誘導していっても、多分救えるのは半分ぐらいですよ。ということは、四〇%やっている方々で、半分救えても、二割はもう作付しないような農地になってしまう可能性があるわけです。
ですから、やはりこの間進めてきた、一定の規模でばしっと切るということ、あるいは、厳格な法人化を求めていって、それができないんだったら、済みませんけれども補助の対象から外れてください、こういうことはぜひやめてもらいたいし、改善をしてもらいたいというふうに思います。こういうところをしっかりと守りながら、次なる構造改革に緩やかに促していくということが、私は現実的な農政の改革だと思います。
ここは、我々の畑作物の直接支払いと、ゲタ、ナラシ、多少の要件は違いますけれども、折り合えるところの一つだと思いますし、現場はこれを求めています。ですから、私は、ぜひ、建設的な議論の中で、こういったことは何らかの見直しを講じていくべきだということを改めてお願いをしておきたいというふうに思います。大臣、もし何かあれば。
○林国務大臣 大変ごもっともな御議論だと思って、今聞かせていただいておりました。
委員から、最初のところで、やる気のない人にまで全部配るというのはよくない、しかし、今具体的な例を挙げて、こういうところはと、こういうふうにおっしゃった。
制度を論じるときは、では、やる気のない人とこういうところ、これをどういうふうにしていくか、これが大変大事だ、こういうふうに思っております。局長から答弁いたしましたように、それを一番よく知っているのは多分市町村であろうということで、こういう要件緩和をいたした、こういうことでございますので、我々としては、市町村の判断を信頼して、今委員が個別的な例として出されましたけれども、全国に当てはまるルールづくりになりますので、そういうところも踏まえながらしっかりとやってまいりたい、こういうふうに思います。
○玉木委員 例えば、香川県の例を申し上げますと、JAの一支店一農場みたいな一つのイメージでやろうとしてきましたけれども、できるところもあるし、やはりいろいろ、分散錯圃していたりして、難しいところは難しいんですね、五年たっても十年たっても。
だから、一定の柔軟性の中で、今大臣から大事な御答弁をいただきましたけれども、実際に作付したり営農を継続しようとしている人の思いややる気、こういったことも勘案しながら制度の運用をしていかないと、本当にやる気のある人の芽を摘んでしまうようなことになってしまうと、やはり本末転倒かなと思いますので、その点は重々御配慮いただくことをお願い申し上げたいというふうに思います。
もう一つだけ。
これは、資料をいただきました。秋田県等四県ぐらいで、米の直接支払交付金に地方単独事業で上乗せしてやっているようなところもあります。
農水省の資料なんかを見ますと、戸別所得補償制度は政策的誤りだとかと書いているわけですよ、パンフレットとかQアンドAに。私は、我々が与野党の対立の中で批判されるのは甘んじて受けます。ただ、生産費と販売価格の差額を何らかの形で埋めて、そして安定的な所得を維持し、よってもって営農の継続と生産の安定を図っていく、また多面的機能を守っていくというようなことをやろうとしている地方の取り組みについても否定するようなことになる、あるいはそういったメッセージを発してしまうことは、私は非常に問題だと思うんですね。
ですから、こうして地方で独自に取り組んでおられるような、そういったことについてまで何か否定するようなメッセージを発することは、私は慎むべきだというふうに思いますけれども、その点、いかがでしょうか。
○奥原政府参考人 先生の方に資料はお出しをさせていただきましたけれども、米の直接支払交付金に地方自治体の方で上乗せをしている事例、これは二十六年度にやっているところということで調査をしておりますが、全部で四つございます。
四県の四つの町村でございますけれども、この中で、ことしだけではなくて、以前からやっていたところは、青森県の南部町でございます。それから、ことしはやっておりませんけれども、新潟県におきましては、二十一年度から二十五年度にかけまして、モデル事業という形で、これは全ての市町村ということではなくて、一部の地区で上乗せをやっていたというふうに承知をしております。
我々が今承知をしている限りでは、従来の一万五千円を出しているときでも上乗せをしていたのはこの二つでございますので、これが大きく広がっているというふうには考えておりません。
今後、こういうことをやられるところがあれば、それはそれでやっていただくことは全然差し支えないというふうに考えております。
○玉木委員 そういう御答弁だと思いますが、ただ、やはり、実際、営農継続ができる所得を何とか補償しようというその方向性、コンセプトは間違っていないと私は思うし、多くの都道府県、市町村で農政にかかわっている方もそういう思いはあると思うんですね。
ですから、国の政策がどうしても、与野党の対立が激しくて、いいなと思っても、だめだと言わざるを得ないときもあれば、悪いなと思っても、いいと言わざるを得ないときもあるんですけれども、やはりもっと現場の本当の思いにしっかりと寄り添っていくような、そこは我々も心がけたいと思います。地方での取り組みを何か阻害するような、そういうメッセージは、国としても、注意深く一つ一つの言葉を選んだり、メッセージを発信するときには気をつけていただきたいなと思います。
外交関係の問題を二つ聞いて、最後にしたいと思います。
一つは、日豪EPAについてであります。
これは、いろいろな議論がありましたし、これからもあると思いますけれども、大臣に確認をしたいのは、日豪EPAについても国会決議がありました。今回、例えば米については、明確に除外と書いていますから、これはまさに除外ですね。私は、これはよく頑張ったと思います。ただ、牛肉です。米について明確に除外というふうに書いてあるということは、牛肉は除外じゃないということだと思うんです。
私が今質問したいのは、農林水産委員会の決議の中の除外に当たるかどうか、このことを聞くのではありません。それはもう大臣から過去に御答弁いただいていますけれども、院でお決めになったことなので、それは当てはまるかどうかは院が判断してください、そういう答弁になると思いますので。
私が伺いたいのは、およそ経済連携交渉あるいはWTO、こういった経済連携の世界において、いわゆる除外といえば、除外なんですよ。今回の日豪EPAの牛肉に関する関税の引き下げ、これが除外に当たるのかどうか、明確な答弁をいただきたいと思います。
○林国務大臣 これは、この間どなたかにお答えしたところでございますが、まず、我が国がこれまで締結した一般的なEPAというお話がありましたが、これにおける物品市場アクセスの約束の中で、確立した除外、再協議の定義はないということでございます。
事実関係を申し上げますと、日豪EPAの中で、関税の撤廃、引き下げに関する約束等の対象から除外される、こういう区分があります。それから、合意された年等に再交渉される、こういう区分もあります。牛肉は、関税削減を行っておりますので、これらの区分には該当しないということでございます。
○玉木委員 要は、除外ではないということなんですね。多分、いわゆる除外に当たらないということと、決議の中の除外に当たらないのは別物だという説明なんですけれども、それは一緒ですよ。
そういう意味では、私は、この日豪EPA、全体としてのパッケージの評価は必ずしも、よく頑張ったという面も認めます。ただ、やはり日豪EPAの国会決議の除外、再協議というところには、これは外れてしまったということについては、国民に対して一定程度丁寧に、正直に説明した上で、しかるべき対策を打っていく、こういうことが真摯な農政、農業への向き合い方だというふうに私は思いますので、この点は大臣にもお願いをしたいと思います。
最後に、鯨について伺いたいと思います。
大臣は地元でもあるので、私も、地元は鯨は全然関係ないんですけれども、日本の捕鯨文化、食文化も含めて、思い入れがあります。
先般、三月三十一日に、ICJ、国際司法裁判所で、南極海における調査捕鯨、JARPA2についてはだめだと、いわばこれを禁止する判決が出たわけでありますけれども、資料の四をごらんいただきたいと思います。
判決のポイントは幾つか書いておりますが、私が聞きたい点は一点だけです。今回のICJの判決は、南極海におけるJARPA2にのみ適用すべきものであって、他の調査捕鯨、すなわち沿岸捕鯨やあるいは北西太平洋でやっている調査捕鯨に影響を及ぼすものではない、少なくとも日本国政府の意思としてはそういう方針だということをぜひ大臣に明確にお答えいただきたいんです。
なぜなら、四月の二十二日に、宮城県の石巻・鮎川で、次なる沿岸捕鯨に向けて、もう出港の準備が整っております。ただ、そんな中でこの判決が出て、自分たちは果たして沿岸捕鯨が今後継続できるのか、四月二十二日に出港できるのかどうか、固唾をのんで、不安の中で見守っております。
主張すべきところは主張するのが日本外交の本旨だと私は思っておりますので、今回のICJ判決は他の調査捕鯨には影響を与えない、あくまでこれは南極海におけるものだ、この点について大臣の明確な答弁を求めます。
○林国務大臣 まず、捕鯨問題について御関心を持っていただきまして、本当に感謝を申し上げる次第でございます。
本件訴訟における紛争の主題は第二期南極海鯨類捕獲調査、いわゆるJARPA2である、こういうふうに認識をしているものの、判決の内容及び今後の対応に与え得る影響については、かなり分厚い判決でございますので、現在、慎重に精査をしておるところでございます。委員がおっしゃったように、今後のスケジュールの中に四月二十二日があるということを念頭に置いて、しっかりと対応してまいりたいと思います。
○玉木委員 私は、これは大事な問題だと思うんですよ。
シーシェパードの問題がありました。よく、武力による現状変更は認めない、そのとおりであります。しかし、今回、シーシェパードが妨害行為を働き、その結果、十分な数の調査捕鯨ができなくて、そして、判決の一つの理由は、計画した捕鯨頭数を全然満たしていないじゃないか、調査が十分できないのに、これは調査捕鯨と呼べないじゃないかということが判決の大きな一つの理由になっていますね。ということは、妨害をされたことによって我々は敗訴に至っているという面は否めないと思うんです。
このままだと、我々が長く維持してきた鯨の文化、そして調査捕鯨も含めて、日本が悪いことをしていて、暴力、武力を用いて妨害してきたシーシェパードを初めとした彼らが正しい、こういうことが世界に広がっていくことは、我が国のイメージや、また日本外交のイメージを損ねることにもなると思います。
我々としては、必要であれば、当委員会でも、与野党の先生の御理解もいただきながら、このICJの判決は他の捕鯨には影響を与えないんだというような趣旨の決議もぜひ検討していきたいと思いますし、我が国としてのメッセージを世界にしっかりと発信していきたいというふうに思っておりますので、ぜひ政府としてもそういった方向で検討していただきたいと思いますし、水産庁を所管している林大臣には特に頑張っていただいて、そのことを世界に発信していただくことをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○坂本委員長 次に、寺島義幸君。
○寺島委員 民主党の寺島義幸でございます。
先ほど、玉木先生とのやりとりを承っておりまして、私も安倍総理の危機管理意識は薄いんだなと改めて感じたわけであります。御案内のように、危機管理というのは、トップみずからが行動することによってスタートするわけでありますから、やはりこの点は問題があったのかなと。そしてまた、鳥インフルエンザは初めてのことではないわけでありまして、特に危機管理意識というものが重要になってくると思うわけでありますが、大変残念であったわけであります。
けさのニュースでは、殺処分が終わったというようなニュースも流れてまいりました。現場では、一生懸命やられているわけであります。風評被害等もあるわけでありまして、政府においては、本当に万全の体制を組んでお取り組みをいただくように、私の立場からも強く御要請を申し上げさせていただきたいと思うわけであります。
それでは、質問に入らせていただきます。
まず初めに、政府が日本型直接支払制度の一つとして創設をした、新設ということでありますけれども、農地維持支払いについてであります。
農林水産省の平成二十四年度農地・水保全管理支払交付金の取り組み状況によれば、先ほど池田先生からも御議論がありまして、若干かぶるとは思いますが、お許しをいただきたいと思うわけでありますが、そうは申せ、共同活動の取り組み面積は、平成十九年度の約百十六万ヘクタールから平成二十四年度の約百四十六万ヘクタールへと、一・二五倍に増加をしているわけであります。全国の共同活動のカバー率、これは対象の農用地面積に対する取り組み面積の割合でありますけれども、平成十九年度の二七%から平成二十四年度の三四%へと増加はしているわけです。組織率は悪いんですけれども、増加していることには変わりはないわけであります。
そこで、農地維持支払いについて、活動組織に非農業者の参加を要件とせず、農業生産を営むために不可欠な基礎的な保全活動を支援する、農業者が取り組みやすい制度である、こう説明がされているわけであります。
そこで伺いますが、新制度実施による取り組み面積、対象の農用地に対する取り組みの面積の割合をどの程度と見込んでいるのか。これは予算で見ますと、昨年よりも実はふえているわけであります。明らかな根拠があろうと思うわけでありますので、どの程度を見込んでいるのか。そして、その理由等もお聞かせをいただきたいと思います。
○三浦政府参考人 お答え申し上げます。
農地維持支払いでございますけれども、それを含む多面的機能支払交付金の平成二十六年度予算につきましては、新たな制度を導入する初年度であるということも踏まえまして、創設いたします農地維持支払いを、これまでの農地・水保全管理支払交付金から約百万ヘクタール増の約二百五十万ヘクタールないし最大二倍程度で約三百万ヘクタールの農用地で取り組むことができる予算額を計上したところでございます。
この約二百五十万ヘクタールでございますが、これに対しまして交付すると見込んだ場合に、地目別で見ますと、農振農用地区域内の農用地面積、田の面積でございますが、この農用地区域内の田の面積に対しまして、交付対象面積は約三分の二を占めるというふうに見込んでいるものでございます。
これは、中山間地域等直接支払いの初年度、平成十二年度でございますけれども、中山間地直接支払いの初年度の交付実績が、府県の田で対象面積の約六割であったということを踏まえまして、その後、特に田についてはこうした直接支払いの仕組みが浸透してきたということを加味しまして、多面的機能支払いはそれを超える実施率となるということを想定したものでございます。
また、畑につきましては、農振農用地区域内の農用地面積、畑の面積に対しまして、交付対象面積が約二分の一を占めるというふうに見込んでおりますけれども、これは中山間地域等直接支払いの初年度の畑の実施率と同程度を想定したものでございます。
○寺島委員 前向きな取り組みということであろうと思うわけでございまして、しっかりと注視をしてまいりたいというふうに思っています。
次に、現行の農地・水保全管理支払制度は、その要綱において、先ほどのお話もあるんですが、地域共同による取り組みの促進が、食料の安定供給のみならず、農業の有する多面的機能の適切かつ十分な発揮につながるとして、地域の農業者を中心に、地域住民や都市住民等のできるだけ多様な主体の参画を得られるように取り組む、そして、取り組みの実行状況の点検、施策の効果の評価等を実施することによって、農地、農業用水路等の資源の適切な保全及び管理に資する活動に関して、国民の理解の増進に努めることが必要であるとされているわけであります。
税金を投入する以上、国民の理解を得ることが必要だ。そして、保全管理、砂利を敷いたり、泥を上げたりということは、都市部であるならば、市町村とか行政がやっているわけでありますけれども、こういったものは、地域で、みんなでやっているんだから税金をいただいてもいいだろうという、その国民の理解の増進ということになるわけであろうと思います。
その取り組みの実行状況の点検、そして、施策の効果の評価等の実施に関しては、これまでどおり実施するという理解でよろしいのか。まず、お伺いいたします。
○三浦政府参考人 お答えいたします。
農業、農村が有する多面的機能は、広く国民がその利益を享受しているものでございまして、農地や水路等の地域資源を保全する地域の共同活動などを支援することは、多面的機能の発揮の促進につながるものでございます。
こうした観点から、御指摘のとおり、多面的機能支払いによる取り組みの推進に当たりましては、広く国民の理解を得ながら施策を実施していく必要があると考えております。
このため、これまで農地・水保全管理支払いにおきましても、評価の方法等について第三者委員会の助言をいただきながら、実施状況の分析を行いますとともに、遊休農地の発生防止の効果ですとか、水路や農道等の施設の機能維持の効果、景観、生態系等の地域環境の向上の効果、地域のつながりを通じた活性化の効果といった観点から、集落や市町村に対するアンケート方式によりまして調査、分析等を行いまして、施策の効果の評価を行ってきたところでございます。
多面的機能支払いにつきましても、農地・水保全管理支払いと同様に、第三者委員会の設置を予定しておりまして、その助言をいただきながら、施策の評価方法等に関する検討を行うこととしているところでございます。
○寺島委員 そして、地域の農業者を中心に、地域住民や都市住民等のできるだけ多様な主体の参画を得られるように取り組むという共同活動は、平成十九年度から開始されているわけでありますが、本制度の根幹ともいうべきものではないかというふうに考えているわけであります。
閣法の農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案では、その基本理念において、「地域における貴重な資源である農用地の保全に資する各種の取組が、長年にわたって農業者その他の地域住民による共同活動により営まれ、良好な地域社会の維持及び形成に重要な役割を果たしてきている」としております。現行制度で続けられてきた共同活動の意義の捉え方は継承されているところである、そう考えるわけであります。
しかしながら、農林水産省は、農地維持支払いの対象となる活動を行う組織について、非農業者の参加を要件とせず、農業者のみの活動組織でも可能であるとして、農業者が取り組みやすい制度であると自画自賛というか、新しく創設をしているんだよ、こういうことであろうと思います。地域にとって取り組みやすい制度とすることはもちろん重要でありますけれども、今般の活動組織の要件の緩和は、共同活動の意義の捉え方とちょっと矛盾するのではないかというふうにも思えるわけであります。
そこで、農地維持支払いについて、農業者のみの活動組織も支援対象とした理由と、これによって期待する効果、特に、活動組織の要件緩和が新たな制度に対する国民の理解の増進、先ほど申し上げました国民の理解の増進に与える影響についても御説明をいただきたいというふうに思います。
○小里大臣政務官 御指摘のとおりでございますが、新たな農地維持支払いにおいては、農業者だけでも取り組めるようになっているところでございます。
例えば、先般、新潟で地方公聴会が開催をされました。その場で参考人の方が、従来の制度であれば、非農家が入ることで、なかなか協定が結びにくい、共同活動がしにくい、新たな維持支払制度ではこれが緩和されたのでやりやすい、そういった御指摘もあったところでございます。
そのように、地域住民の参加を要件としていること、あるいは景観作物の植栽等の環境保全活動を要件としていることが、地域によっては取り組みにくい面であったということは否めないところであろうと思います。
農村における集落機能の低下などが進行する中で、こういった多面的機能を将来にわたって適切に十分に発揮をさせる、そのために、この支払制度が幅広く全国各地で行われていく必要があります。
このような観点から、今回新たに創設をした農地維持支払制度におきましては、取り組みやすい制度になりますように、農業者のみの活動組織でも取り組めるようにするとともに、農業生産の維持に必要な水路の泥上げ、農道の草刈りといった基礎的な保全活動等を支援するとしたところでございます。
また、農地維持支払制度においては、こういった、広く取り組めるようにするだけでなくて、地域資源の保全管理を行っていくための体制の拡充強化等に取り組む中で、なるべく非農家も含めて地域住民の参画が得られるように努力をしていくことで、広く国民の理解を得ていきたいとしているところであります。
○寺島委員 取り組みやすい方法を用いた、こういうことであるんですけれども、それは結構なことなんですが、一方で、そのことによって農業関係者団体だけということになりますと、遠くから見ていると、国民の理解がなかなか得にくいという部分もあろうというふうに思うわけでありまして、その辺のバランスが非常に難しいのかな、こんなふうに思うわけであります。その辺も、ある程度ちゃんと運用の面で意識をされてやっていただくことを要望しておきたいというふうに思います。
次に、交付金の交付ルートについてであります。
現行制度の共同活動支援交付金については、都道府県、市町村、農業団体等により構成される地域協議会が、活動組織に交付金を交付する事業実施団体となることができるとされているわけであります。また、地域協議会は交付金に関する事務手続を適切に行うため、各種規約、規程を定め、適切に運営されるよう地方農政局長の監督下にあり、平成二十五年三月三十一日現在で、四十六道府県において百二十一の地域協議会が設置され、制度の円滑な組織のために活動されているというふうに伺っているわけであります。
農林水産省の今般の施策の見直しに係るQアンドAによれば、平成二十六年度からは、農地維持支払い、資源向上支払いともに、国から地域協議会を通じて活動組織へ交付するルートに一本化する。また、法施行後の二十七年度、来年度からは地域協議会を経由せず、国から都道府県及び市町村を通じて活動組織へ交付するルートに変更する予定であるというふうに聞いているわけであります。
こうした交付ルートの変更は、現場の混乱を来さないかとちょっと心配があるわけですが、その辺はいかがですか。
○三浦政府参考人 お答えいたします。
多面的機能支払交付金につきましては、農地・水保全管理支払交付金におきまして、二ルートあった交付ルートを、国、都道府県、市町村から、地域協議会を経由して活動組織に交付するルートに一本化して、申請手続の簡素化を図ったところでございます。
また、二十七年度の法施行後は、中山間地域等直接支払交付金あるいは環境保全型農業直接支援と共通のルートといたしまして、国から都道府県及び市町村を通じて活動組織に対して交付するルートとするということとしております。
このような変更に当たりまして、御指摘のような現場に混乱を来すということがないように、きめ細かな情報提供を進めることとしたいと考えております。
○寺島委員 そうなりますと、二十七年度以降は、地域協議会は交付金の交付に余り関与しなくなるわけだろうと思うわけでありますが、本制度運用に当たって、地域協議会はどのような役割を果たしていくおつもりなんでしょうか。
○三浦政府参考人 お答えいたします。
地域協議会につきましては、一つは、都道府県や市町村が行います、活動組織から提出された申請書類等の審査について支援を行うといったこととか、それから活動組織に対する説明会ですとか、あるいは活動組織に対する指導助言といった重要な役割を担う組織として位置づけるということなど、本施策の円滑な推進を図る上で重要な役割を果たしていただくことを考えておりまして、そのような方向で検討していく考えでございます。
○寺島委員 次に、農林水産省の説明によれば、活動組織が農地維持支払いの支援対象となるためには、地域資源の基礎的保全活動と地域資源の適切な保全管理のための推進活動の双方に取り組む必要があると示されています。
構造変化に対応した体制の充実強化や保全管理構想の作成等が掲げられているわけでありますが、これは具体的にどのような活動を行わなければならないのか。そしてまた、必須の活動とした理由についてお伺いいたします。
○三浦政府参考人 お答え申し上げます。
農地維持支払いにおけます地域資源の適切な保全管理のための推進活動につきましては、まず、構造変化に対応した体制の充実強化といたしまして、地域資源の保全管理を行っていくための担い手を含む地域内の協力、役割分担を明確にいたしまして、水路、農道等の保全管理を将来にわたって支えていく体制を構築していただくということとしておりまして、こうした取り組みを支援対象とするものでございます。
また、保全管理構想の作成につきましては、地域において、今後目指すべき地域資源の保全管理の姿ですとか、それに向けて取り組むべき活動などを、活動期間中に地域資源保全管理構想として取りまとめていただくことといたしまして、こうした取り組みを支援対象とするものでございます。
これらの活動は、将来にわたって地域の共同活動を継続的に実施しまして、農業の多面的機能が今後とも適切に発揮されるようにいたしますとともに、担い手への農地集積という構造改革を後押しするという面でも必要な活動でございますので、必須の活動として位置づけたものでございます。
○寺島委員 今の説明は、今までも研修とかという形でいろいろと似たようなことをやってこられたですよね。そことの違いというのは、何かあれば、ちょっと教えていただけますか。
○三浦政府参考人 研修との違いという点で申しますと、将来にわたって地域資源の保全管理が継続できるような、そういう地域における体制の構築といったことを考えていただく、それに向けて話し合っていただくというような地域の取り組みということが一つございます。
それから、五年間の活動期間を通じまして、それをその後どういうふうにやっていくのか、どういう形で地域資源の保全管理を目指すのかという姿ですとか、それに向けてどういう取り組みをするのかといったことを取りまとめていただくというようなことをこの活動として考えておりまして、そういったことをやる上で必要な研修といったことも取り組んでいただくというのは重要なことだと考えておりますけれども、研修それ自体ということではなく、体制の構築ですとか構想の取りまとめといったことをやっていただくものであるということでございます。
○寺島委員 次に、農地中間管理機構についてであります。
政府が四つの改革として打ち出しているわけでありますけれども、農地中間管理機構の創設、経営所得安定対策の見直し、水田フル活用と米政策の見直し、そして日本型直接支払いの創設、この四つが今回の農政改革のポイントだ、こういうふうに言われているわけであります。
特に、農地中間管理機構については、これは、一歩先んじて、昨年の臨時国会でも審議が行われまして、与野党でさまざまな議論があったわけでありますが、我が党も修正案の提出会派になって、附帯決議等もした中で、私たちも責任ある立場として、農地中間管理機構の事業は適切に実施をしていかなければならないというふうに思っていますし、重要な事業であるし、農地中間管理機構は本当にうまくいっていただかなければ困るというふうに私自身も思っている一人であります。
そこで、先日、玉木先生からも質問がありました、農地中間管理機構の設立の状況、四十七都道府県でまだ立ち上がっていないところも九県ぐらいあるというふうにお聞きしたわけですけれども、その理由と、いつ設立できるのかというのが、ちょっと興味があるというか、大事なことであろうと思うわけでございます。まず、その辺をお伺いさせてください。
○奥原政府参考人 農地中間管理機構の関係でございます。
現在までに農地中間管理機構、県が指定をしておりますところ、全部で三十九県でございます。
これは、機構は県ごとに指定をするわけでございますが、指定するに当たりましては、その前に、都道府県知事が農地中間管理事業の推進に関する基本方針、まずこれを決めていただきまして、それから、それに基づいて機構を指定していくことになりますけれども、その対象となる法人が、事業をどういうふうに行っていくのか、機構の人員とか体制をどうするのか、あるいは運営が本当に公正に行えるかどうか、こういった点、さまざまな検討を経て指定を行うということになります。そういった意味で、都道府県が機構を指定するためには一定の準備期間が必要でございます。
現時点で指定がなされていない県、八県ございますけれども、鋭意この指定に向けて準備を進めていただいているところでございます。
現在まで指定ができていない理由といたしましては、基本方針をきちんと決めるために県の中で正式な検討会を複数回開催して時間をかけているというところもございますし、中には、大雪の被害の関係で少し事務処理がおくれたというところもございます。それから、知事選が絡んで方針決定が少しおくれたといったところもございまして、それぞれやむを得ない事情によりまして若干おくれておりますが、多くの県におきまして、この四月から六月にかけて機構が指定される見込みでございます。
○寺島委員 理由はそういうことだとすれば、指導をしっかりとやっていただきたいというふうに思うわけであります。
そして、四つの改革については、新たな農業の始まりですというパンフレットが、資料でちょっとお配りをいたしましたけれども、実は私の家も農家でありますので、先々週、私の家にも同じようなパンフレットが配られてまいりました。正直申し上げまして、ちょっとびっくりしたんです。もう既に、あなたは農地中間管理機構に貸すお気持ちがありますかとか、アンケートもとっているんですね、これはなかなか結構なことだなと思ったんですけれども。
そのダイジェスト版、関東農政局と右側に書いてあったのは、七ページのコンパクトなものであります。きょうは、資料としてお示ししたのは表紙だけなんですけれども、一、経営所得安定対策の見直し、二、水田フル活用と米政策の見直し、三、農地中間管理機構の創設、四、日本型直接支払制度の創設、こうなっているんですね。
ちょっと違和感を覚えたものですから、農林省のホームページを見てみましたら、お示しのように、本省のパンフレットでは、一番上に、農地中間管理機構の創設が挙げられています。関東農政局のダイジェスト版は、七ページのうち実に六ページが、経営所得安定対策の見直しと水田フル活用、米政策の見直しの説明となっているわけであります。残りの一ページの半分ずつを使って、農地中間管理機構と日本型直接支払制度の説明がなされていました。かなりこれは偏っているというか統一されていないわけで、私的には非常に違和感があったわけであります。
そこで、どういうお考えなのか、どういう意図があるのか、本省とのパンフレットの違い。四つの改革の、私が先ほど言ったように、農林水産省のパンフレットどおり、農地中間管理機構は大事ですから一番上に来ているのはそのとおりだ、こう理解をしているんですが、関東農政局は違うというふうに私は理解をしたわけであります。その辺の優先度、どのような意図があったのか、まずお聞かせをいただけますか。
○荒川政府参考人 お答え申し上げます。
今先生御指摘ございましたように、私ども本省で三十ページぐらいの、四つの改革についての概括的なパンフレットというのを作成いたしておりまして、本年一月以降、全都道府県、それから市町村にも入りまして、これまで四千百回、十七万人の方々に対して直接御説明をするという機会を持ってきたところでございます。はい、そのパンフレットでございます。関東農政局でも、同じパンフレットを使いまして、管内で五百八十八回にわたる御説明をしておるということでございます。
一方で、先生御指摘ございました七ページ物の関東農政局がつくりましたパンフレットでございますが、これはそういった概括的な説明をするパンフレットとは別に、特に、今先生御指摘ございました経営安定対策、それから水田活用の直接支払交付金の部分につきまして、この二つにつきましては農業者の方から六月末までに申請手続をしていただく必要があるということで、その申請手続の円滑化に資するという観点で、この二つの対策に重点を置きましたパンフレット、ダイジェスト版というものをつくらせていただいたところでございます。
もちろん、私どもは、今般の四つの改革につきましては、農業を強い産業としていくという産業政策としての三つの部分と、それから地域政策としての日本型直接支払制度というものを車の両輪として進めていくということに変わりはございません。
御参集いただく、あるいは説明対象とする方々がどういう方々か、あるいは説明させていただく内容がどういうものかに応じて、資料を適宜作成して御説明をしておるところでございます。
○寺島委員 ということは、ダイジェスト版というのは、農地中間管理機構をメーンとしたダイジェスト版もあるということですね。
○荒川政府参考人 各農政局でいろいろ工夫をしながらつくらせていただいておりますけれども、例えば、中間管理機構の関係者に集まっていただいて御説明をする機会には、そこに重点を置いた御説明をする。あるいは、多面的機能については土地改良区の方々とか、対象者が若干変わる場合には、そういうものに重点を置いた御説明をするという対応をしてきているところでございます。
○寺島委員 こちらの農林本省の方のパンフレットで十七万人に説明をして、局の方でも五百八十八回にわたってこれを使い、そして、関東農政局でダイジェスト版と称して、六月までにいろいろ届け出をというお話がありました。うちにも来ていました。書類もありましたけれども、先ほど申し上げたように、農地中間管理機構は新しい制度で大事なのでということもあるんですよ。
つまり、大臣か副大臣にお聞きしたいんですけれども、本省サイドからすれば、この四つの改革の中で、農地中間管理機構というのは私は大事だと思っているんです。
ここで、仮定の話で恐縮ですけれども、生産調整をやめていく、戸別所得補償をやめていく、離農がふえるであろう、農地中間管理機構、要するに農地バンクでそれを受けてやっていこう。高齢化も進んでいるから、農業もできない人たちの農地を農地中間管理機構が借りて管理をして、新たな貸し手をつくっていこうということだろうと思うんです。そのことによって構造改革を進めよう、その意味において、農地中間管理機構というのはとても大事なことだ。だから、本省から見れば、それは大事なことだと私は思っているんです。
でも、関東農政局からすれば、農地中間管理機構は県に一個ずつつくらせて、責任が余りないんだ、もっと経営所得安定対策あるいは水田フル活用の方をちゃんとやらなければいけないんだというふうに私には思えるんですけれども、いかがでしょうか。
○林国務大臣 そういうことはないというふうに思います。
今総括審議官から御答弁したように、まず関東農政局においても同じパンフレットをつくって配っておりまして、説明会もそれでやっている。申し上げましたように、申請手続が迫っている、この部分について、絞って、ダイジェスト版というのをつくったということでございますので、先ほどの答弁どおりになります。やはり、その時々に応じて、来られる方はどういう対象で、どこを絞ってやるかということをこれからはやっていかなきゃいけませんが、まずは、先ほどお示しいただいたトータルのものをしっかりと説明するということが大事でありますし、関東農政局においても、そういう方針でやっているということでございます。
○寺島委員 前にも申し上げましたけれども、私は単純なもので、シンプル・イズ・ベストということが一番いいと思いまして、特にこういうパンフレットは、統一したものを何回も何回も御提示することによって、農業者にも理解がしやすくなるんであろうというふうにも思っています。そんなことも意識しながらやっていただきたいなということで、御指摘をさせていただきました。
ちょっと時間がありませんので、飛ばせていただきます。恐縮であります。
担い手経営安定法の改正について三問通告をいたしておったわけでありますけれども、時間があればまた戻るといたしまして、三問目の、政府提出法案における、対象農業者要件の変更、生産条件の不利補正交付金の交付基準の変更、そして対象農産物へのソバ、菜種の追加に対する見解を伺いたいわけであります。
ソバ、菜種は、農業者戸別所得補償制度において対象農産物としてきた経緯が過去にあるわけであります。面積規模要件は外すとの提案でございまして、畑作物の所得補償交付金の手法を引き継ぐとの提案も含めて、いずれも農業者戸別所得補償制度に対して一定の理解というか評価をいただいたものと私は受けとめているわけであります。
このことについて、大臣並びに衆法提出者の見解を改めてお伺いいたしたいと思います。
○林国務大臣 それでは、まず私からお答えいたします。
政府・与党は、農業者戸別所得補償制度、これは民主党の政権下で行われてきたわけですが、これについて、実績、データをもとに検証を進めてまいりまして、こうした検証を踏まえて、全ての販売農家を対象とするのではなくて、意欲と能力のある担い手を対象とすること。それから、十分な国境措置があり、諸外国との生産条件の格差から生じる不利がない米について、交付金の経過期間を設けた上で廃止するという見直しを行ったところであります。
一方で、今委員がおっしゃった農業者戸別所得補償の中のもので、対象者について、意欲と能力ある担い手が対象となるように、新規の認定就農者を加えるとともに、面積規模要件を課さないことにいたしました。それから、今お話しのあったゲタですが、生産拡大に向けたインセンティブが働くように、数量払いを基本とする方式にすること。それから、対象農産物について、平成二十二年の食料・農業・農村基本計画で増産目標が掲げられまして、作付面積も着実に拡大し、国民に対する熱量供給上の重要性も高まっているソバ、菜種を追加すること、こういうところを農業者戸別所得補償制度を参考として見直しを行わせていただいた、こういうことでございます。
○鷲尾議員 お答えいたします。
戸別所得補償は、我々が提案しているものは、いわゆる直接払い方式でございまして、先ほど大臣からも御答弁がありましたが、その中でも、我々が政権与党時代からやっておりました、面積要件ではなくて、また違った形での要件設定並びに対象者ということでありますので、我々が実施してきた面も、いい点は取り入れていただいているというところは評価をさせていただきたいと思いますが、対象作物並びにその交付方法に一定の差が生じるのは仕方がないと思いますけれども、できれば現場の混乱なきようにしていただきたいというふうに思います。
我々としては、営農を継続していくんだ、担い手がいなければ、政府がおっしゃっておられる多面的機能維持並びに農業、農村の活性化というのはできないだろうという観点に立ちまして我々は提案をさせていただいておりますので、その点もぜひお含みいただきたいというふうに思います。
以上です。
○寺島委員 時間です。ありがとうございました。
○坂本委員長 次に、小熊慎司君。
○小熊委員 日本維新の会の小熊慎司です。
今、農業のこれからについては、大きく社会が変化をして、またグローバル化をしている中で、今後の農業のあり方が問われていますし、また農村をいかに維持していくかということも非常に重要な課題であります。
そこで、今回提出されています法案、政府案と民主党案をそれぞれ比べますと、同じようなところもあったりしているわけではありますけれども、その対象者が大きく違うというふうに、これはこれまでの委員会の議論でもありました。
まず初めに、民主党案の戸別所得補償法案の対象者の範囲が販売農家までというところで、広くなっておりますが、その理由についてお答えをお願いいたします。
○大串(博)議員 お答え申し上げます。
私たちに関しては、対象者の範囲を全ての販売農家というふうにしてきたわけでありますけれども、これは、できる限りシンプルな制度とすることとして、農業者の規模や形態を区別せずに、農業者が抱える恒常的なコスト割れの部分の問題を解決するという考え方であります。
ただ一方、全ての販売農家ということの中で、より厳密に言うと、自家消費相当分としての十アールを控除して行う、こういうふうに一律の単価を用いて行うことによって、先ほど来議論の中で出ていますけれども、規模を大きくされた農家の方であればあるほど戸別所得補償によるメリットが大きくなる、それによって、規模を拡大しようという自然なインセンティブがそこに盛り込まれることになる。
逆に言うと、二ヘクタール以下の作付面積であると、恒常的なコスト割れ部分を補えない形の単価設定になっている。さすれば、規模が小さい中ではなかなかやっていけないから、大きくしていこうというインセンティブを小規模な農家の方々にも持っていただける。
そういった自然な形で規模拡大、集約に向けたインセンティブを持ってもらえるような、シンプルで、かつ公平、透明な形の制度としたつもりでございます。
○小熊委員 今これから聞こうと思っていた集約化に対しては、販売農家まで広げても、これはさお差すわけではないと。
今答弁席に座っています玉木委員の先ほどの質疑の中で小麦の話が出ていましたけれども、私が調査してみたら、実際は販売農家の八割が稲作農家なんですね。
稲作の話はこの後政府といろいろやりとりしますけれども、販売農家で稲作が八割を占めている、小規模農家が多い、これから集約化をしていく、攻めの農業、もうかる農業にしていくというところでいうと、販売農家まで広げて、集約化していくことのインセンティブが入っていますよといいながら、まだ私の中では、言葉は悪いですが、ばらまきになって、集約化、効率を上げていくというところになっていかないんじゃないかという懸念がどうしても払拭できていないというのが私の現時点の判断であります。
販売農家の中の八割を稲作が占めるということを想定して、こういったたてつけにしたのか。先ほどの小麦とか、確かに多様な農作物に対応していくことが重要ではあるんですけれども、相対的にはこれだけの、販売戸数の中で稲作が八割を占めていますから、やはりそこは意識していかなきゃいけなかったと思います。
細かなことを言えば、先ほどの玉木委員の質疑であったように、小麦のことをどうするんだとか、何々をどうするんだという議論があってもいいとは思いますけれども、稲作について意識されてそこはやられましたか。
○大串(博)議員 おっしゃるとおり、稲作経営の皆さんが販売農家のかなりの部分を占められている、それは事実でございます。それも含めた上で、私たちは今回提唱している、あるいはこれまでやってきたような制度で行ってきておりまして、やはり経済の原則からすると、一律の価格で、公正かつ透明な形で、いわゆる農家の方々もマーケットの参加者でいらっしゃいますから、マーケットの参加者のインセンティブに働きかけることによって、市場をゆがめることなく集約を行っていく。
政府の方では、集約のためのいろいろな措置をつくられていらっしゃいます。それもそれで、否定するものではありません。しかし、そこにはやはり行政裁量的な意味合いがどうしても出てくる。それが本当にターゲットに合ったものになるかという問題も生じてくる可能性がある。
これに対して、私たちの制度は、一律の単価を用いて、一人一人のマーケット参加者たる農家のインセンティブに働きかけて、大規模化を自然と促進していくような制度にしております。かつ、先ほどのような制度にしておりますものですから、やはり規模の大きい農家の方々、例えば五ヘクタール以上の方々であれば、戸別所得補償制度に関しては九八%の加入率なんですけれども、規模の小さい参加者の方におかれましては、例えば〇・五ヘクタール未満の方では加入率は五割ちょっとしかないということでございますので、ばらまきにならないように配意もしたインセンティブの制度を持ち込んでいると御理解いただけたらというふうに思います。
○小熊委員 今、農業従事者の高齢化の問題、またいろいろな貿易の関係の課題、そういうことを考えると、私は、集約化というのはスピードアップしていかなければいけない問題だと思っています。
そういう意味では、今回、販売農家まで広げているということは、インセンティブを働かせるとはいうんですけれども、そこはなかなか現実、もちろんハードランディングすることはないんですけれども、しっかり激変緩和していかなければいけないんですが、ちょっとこれでは、集約化とかそういう新しい農業のあり方を目指す上では、少しブレーキがかかるんじゃないかなという考えに立たざるを得ないというふうに思っています。
民主党さんは、もう質疑がありませんから結構です。ありがとうございました。
政府案の方なんですが、今、対象者の範囲を民主党案についてお聞きしましたけれども、今回、量とかあれは緩和していますが、対象者を絞り込んだ理由について、改めてお聞きをいたします。
○林国務大臣 今委員からもお話がありましたように、農業を安定的に発展させて、変わり行く環境の中で食料の安定供給を確保するということは、基本法に規定するとおり、やはり効率的かつ安定的な農業経営が農業生産の相当部分を担う農業構造を確立することが大変重要であると思っております。
そういう意味で、経営所得安定対策についても、今御議論いただきましたように、全ての販売農家を一律に対象とするという施策体系ではなくて、経営意欲、それから能力がある担い手を対象としていくことが必要であるというのが我々の基本的な考え方であります。
今回の制度改正においては、そういう考え方のもとで、ゲタ、ナラシ対策の対象者要件については、現行の認定農業者、集落営農に加えて、認定の新規就農者も対象とすることとして、規模要件は課さないことにいたしました。
これによって、効率的かつ安定的な経営体となることを目指して経営改善に取り組む農業者は、市町村の認定を受けて認定農業者となることで、また、新たに農業に取り組もうとする青年等については、市町村の認定を受けて、今度追加しました認定新規就農者となることで、それから、複数の農業者が参加して集落営農を組織して、規約を明らかにし、共同販売経理を行うことで、それぞれゲタ、ナラシ対策の対象となれるということでございます。
将来に向けて農業で生計を立てていこうという農業者であれば、経営規模、年齢にかかわらず、この対策に加入できるようになる、こういうふうにしておりまして、こういうことで、みずからの創意工夫で経営を発展させて、農業、農村の活性化が図られるようにしていきたい、こういうふうに思っております。
○小熊委員 大臣の御答弁のとおり、やる気とか集約化ということを考えていけば、やはり焦点を当てて、フォーカスして対象者を絞り込んだ方が、よりこの狙いというのは発揮される、目的が達成されるというふうには思います。一方で、農村社会の維持という意味では、小規模農家、兼業農家というものの位置づけをしておかないと、農村社会の維持安定というのは図られないというところがあります。
この制度はこの制度で、私は焦点を当てて結構だと思うんですけれども、農村社会についてはまた後で質疑をさせていただきますが、よりこの目的が発揮をされて、やる気のある人たちが安定的な農業を営めるようにしていくという意味では、この制度をしっかり運用していただきたいなというふうに思っている次第であります。
次に移りますけれども、いわゆる多面的機能の支払いの部分で農地の維持支払いで、田んぼなんかは、一部地域は別として、十アール当たり三千円という金額が出ています。これは、いろいろ農水省にお聞きしたら、時間給では千四百円というのをもとにして、作業の中身だとか面積だというのをいろいろ勘案してこの値段が出ていますということをお聞きいたしました。
そういったことでいうと、非農業者が対象にもなってくるわけです。ちょっと細かな点ですが、それぞれ農水省とこの委員会の前に議論させていただいたら、その集落で人数が足りなければ隣の集落に頼んでもいいという話も聞きましたけれども、全くの第三者、シルバー人材センターとか建設会社に頼むとか、こういうことも可能ではあるんでしょうか。お聞きいたします。
○三浦政府参考人 お答えいたします。
農地維持支払いは、地域共同で行う農地、水路、農道等の地域資源の保全管理活動を支援するものでございますけれども、それらの活動に対する交付金の用途につきましては、地域の自主的な判断で決定できるということになっております。
その場合、例えば、個人が活動に参加した場合の日当として支払うですとか、あるいは、共同活動に必要な機械のリースに充てるといったこと、それから、地域で担い切れない作業等がある場合に外部に委託して行うといったことも可能であるというふうに位置づけております。
なお、農地維持支払いでは、地域資源の保全管理を行っていく体制の拡充強化のための活動といったことも支援対象としているものでございまして、その中で、今後、地域における共同活動の実施体制をどのように確保していくのかといったことについても地域で議論していただくことが重要であると考えておりますけれども、御質問の、外部に委託することができるのかということについては、できるということがお答えでございます。
○小熊委員 農村の共同活動については、今まではやれていたんですよ。お金の問題ではなく、それは多分、お金はもらった方がいいんですけれども、でも、田んぼの周りの草刈りとか堰上げとか、普通に地域活動としてやっていた。農地を持ちながらも勤め人になって、農地を委託している人でも、休日には、季節ごとには一緒になって共同作業していたのが、全国的にいろいろなところでこれが崩壊しつつある、それでこういう制度が出てきたというふうに思います。
今までやっていたんですよ、お金が出ていなくても。でも、問題は、やはりこれが維持されなくなってきたというところであって、そこにこういう制度を入れて維持しましょうというところはあるんですけれども、結局、外部に委託できるというのは、もちろんそうしていかないと多分成り立たない地域もありますから、当然必要なんですが、本来的な問題の、農村の共同活動、農村社会の維持ということに関しては、やはりこれだけではまだ足りないと思うんですね。
今すぐ答えは出ないと思いますけれども、そもそも、本来、農村社会のあり方が変わっているということの危機感をしっかり持っていなきゃいけないというふうに思いますし、それがなければ、交付金を上げるから、何を上げるからといっても、作業自体はほかにこうやって頼めるわけですから、本来の集落のコミュニティー、きずなといったものが維持されるということは達成されないんですね。
作業としては達成されます。多面的機能を維持していくという意味では達成されるんですが、そういった問題意識についてはどうですか。とりわけ考慮に入れていましたか。
○小里大臣政務官 農村社会、集落のコミュニティーがこれで維持されていくのかというお問い合わせであろうと思います。
多面的機能支払いは、地域の共同活動に対する支援であります。支援水準も、共同活動に要する活動量をもとに設定をしております。それゆえに、地域の農村社会、コミュニティーの維持に大いに貢献をするものと認識いたします。
同時に、こういった農村社会を将来にわたって維持していくためには、こういった多面的機能支払いによる支援に加えて、日常生活機能、住環境の整備といったこと、あるいは農業の経営基盤の強化や六次産業化による他産業への取り組み、さらには、所得や雇用の場の確保といったこと等が総合的に必要になってくるであろうと思います。そのために、関係各省庁としっかり連携をしながら取り組んでまいりたいと認識いたします。
○小熊委員 ちょっと認識が甘いと私は思うのは、確かにこれは支援していくことで維持されていくと思いますけれども、御地元でも今までやっていたわけですよ。しかも、お金は出ないけれども、逆に、地域によっては、堰上げのときに参加しなければ罰金五千円ねとか一万円ねとかとやっているわけですよ。お金は出ないよりは出た方が多分いいんでしょうけれども、それでは抜本的な解決にならないんですよ、人がいなくなっているという事実として。
だから、すぐ答えは出ませんけれども、農村の維持というものに関しては、これは決して抜本的な有効策ではないです、ないよりはあった方がいいんですけれども。そのぐらいの状況だという危機意識を持って、これからいろいろな現状を把握して対策を打っていくことが重要だと思いますから、その意識はしっかり持っていただきたいというふうに思っています。
次に移りますけれども、先月のこの委員会でもいろいろ質疑をさせていただきました。まさに農村の維持ということに関して、とりわけ稲作に焦点を絞って先月の委員会でも議論をさせていただきましたけれども、今言った農村の維持という一方で、集約化していくと農業から離れていく人も集落の中で出てくるわけですね。
まず最初に、集約化についてです。集約化していくんですけれども、稲作に絞って考えると、なかなか稲作単体でもうかる方程式が私はどうしても描けないんですね。規模をどんどん拡大していって、アメリカみたいな、一人で何百町歩もやるなんていうことは日本では考えにくいわけですし、家族でやれば、一経営体であれば、やはり大体二十町歩ぐらいが一つの壁かなというふうに、私もいろいろ研究して、思っています。
とりあえず、農水省の方として、稲作単体で収益を確保していくという方程式があれば、お示しください。
○江藤副大臣 前回に引き続きましてまた質疑をさせていただきまして、ありがとうございます。
農水省が公表しております営農類型別の経営統計調査、これによりますと、いわゆる粗収益、水田の経営における農業所得は全国平均六十二万円、先生御存じのとおりでございます。これはまた、規模が大きくなれば、どんどん大きくなる。今先生御指摘があった二十ヘクタールという例を引きますと、二十ヘクタール以上の階層では一千四百五十万円ということになっております。
ですから、稲作だけの一経営体当たりの所得についても、米生産費調査から試算した場合でも、全国平均七十六万円、稲作規模で七から十ヘクタールの階層では五百九十万円、最大規模階層と今現在なっております十五ヘクタール以上の階層では一千三百七十万円となっておりますので、水田作経営の農業所得とほぼ同じ水準となっているという結果が出ております。
○小熊委員 副大臣、一千三百七十万円は、これは純利益ですか、売り上げですか。
○江藤副大臣 先ほど申し上げました、粗収益から経営費を引きました農業の所得でございます。
○小熊委員 これは、一俵当たり幾らの計算だとそれになりますか。一俵当たり幾らでそういうふうになっていますか。一反当たり何俵とれるという計算でそういうふうな積み上げになっていますか。
○江藤副大臣 一万六千五百円ぐらいになります。
○小熊委員 今、お米は一万六千円もしないわけですよね、ブランド米とかはもっとしたりしますけれども。その計算だと、やはり甘い計算になっています。
今いろいろな資材が高騰しているところでもありますし、実際、私も現場を歩いていろいろ意見を聞くと、やはり年によっては、米の値段によっては赤字になったり、経費がかかったり、機械代の問題、いろいろな問題がありますけれども、十五町歩で一千万プレーヤーなんて見たことないですよ、実際は。
これは本当に、数字として、もう今、米の値段は一万六千円じゃないですよね。副大臣、違いますよね。去年の値段でやると、もっと下がるわけですよ。そうすると、今言ったとおり、資材代も上がっているということで考えれば、その計算は甘いと思うんですけれども、もう一回、今すぐにというのはできませんが、これはちょっと見直していただきたいんですけれども、どうですか。
○江藤副大臣 米価につきましては、不幸なことではありますが、東日本大震災等もあって、このところ数年間は大きく変動しております。ですから、どの年を基準にとって数値を出すかによって所得が違うわけであります。
また、私のところでは、大体一万二千円ぐらいしかしないわけですよ。ただ、今言われました十五ヘクタールというような、いわゆるそういうプレーヤーは余りいないというような特色もありますので、地域によって違うという御指摘は、そのとおりだと思います。
米だけで今まで営農所得を上げてきた農家にとっては、今回のことについては極めて注目度というか関心の高い点であると思いますので、委員の御指摘もいただいて、直近の数字をどういうとり方をするのか、去年をとるのがいいのか、七中五をとるのがいいのか。しかし、今申し上げましたように、異常な米の価格変動の時期がありますので、この数字のとり方については検討をさせていただきますが、御意見をいただいた上での検討をさせていただきたいと思います。
○小熊委員 さらに、今後TPPがどうなるか、まだ決まってはいませんけれども、こうやって大きく情勢変化もしていく、減反政策も転換をしていく中で、非主食用もふやしていくというところもありますし、これはしっかり、稲作だけで、単体でやれていくかどうかというのは、やれていないというのが事実で、複合農業になっていないと、農家だけで食べていけない。実際、稲作農家でいえば、兼業農家の方が、まだほかの収入があるということで安定的になっているというのが現状ですよ、これははっきり言って。
だから、先ほど言ったように、さっきの担い手の安定の法案に対しても、集約化をしていくといいながら、兼業農家の位置づけというのも今まで明確じゃないんですね。これをどうやっていくかということを、集約化の一方で、兼業農家もどう維持していくか。
先ほど議論させていただいた農村のあり方というものも、多様な担い手がいてこそ農村は安定していくというところもあります。でも、一方で、集約化をしていって、効率化を図っていく、いいものをつくっていく、コストダウンをしていくということもやはりやっていかなきゃいけない。一見矛盾するようなこの二つの要素をしっかり結びつけておかないと、農村社会が壊れることになってくるというふうに思います。
今後は、農業でどうやって食っていくんだという一方で、兼業農家のあり方、先ほど言った、販売戸数の八割が稲作ですから、ここをどうしていくかということは今後の課題として大きく残ると思います。農業そのものの話だけではなくて、農村社会の維持の仕方としてもです。
完全な農業従事者だけでは、私は農村社会は保たれないというふうに思っています。そういう意味では、農地を持っているけれども農作業をしない人、また兼業農家でやっている人といったものも、ここをどう維持していくか。ただ単に補助金をつければばらまきになりますから、安易なことはしちゃいけないというふうには思っていますけれども、この課題については、これからしっかり大臣のもとで取り組んでいただきたいというふうに思います。
一方で、これは集約化していく、そこでお金もいっぱいというか、予算もついておりますけれども、とりわけ稲作に関しては、先月も議論させていただきましたけれども、数値目標みたいなものがないというふうにお聞きはしているんです。そうなると、毎年、集約化のためのいろいろな予算を使っている中で、評価をするときに、どのぐらい集約されたから効果があったとかないとかという一つの判断基準として、数値目標みたいなものがないと判断できないという側面もあります。
この集約の目標値について、明確なものはなくても、大体このぐらい、最終的にはこのぐらいというのがなければいけないというふうに思うんですが、そこについてはどうでしょう。
○江藤副大臣 先月とまた同じ答弁になって大変恐縮なんですが、担い手に八割を集約する、生産コストを四割削減する。
しかし、先生の言われることは非常に相通ずるものがありまして、集約をしていけば、そこで営農する頭数は減っていくわけですよね。広大な面積を極めて限られた人数で維持できることは、経営面においては極めて効率的である反面、ただ、集落を守っていく、地域コミュニティーを守るということは、頭数が減るということは決していいことではない、この相反するものを何とか整理しなければならないと思っています。
それに加えて、今まで、我々の品目横断のときからそうなんですけれども、いわゆる兼業農家の位置づけというのは何なんだと。兼業農家というのは本当に片手間でやっているのか。そうじゃないだろう。この人たちがある程度早目にリタイアをして、五十代とかそれぐらいで、おやじがまだ働けるうちに専業農家に移っていく、いわゆる専業農家の予備軍としての位置づけはできないのか、こういう議論も我々は随分長い間やってまいりました。
今回の政策の転換に当たって、コミュニティーの守り方と、それから兼業農家の位置づけというものが大きな課題になっているということは、大臣も私どもも十分認識をいたしておりますので、これからも一緒にまた議論を深めてまいりたいと考えております。
○小熊委員 ですから、その認識のもとで、やはり状況を把握するためには数値を、目標じゃなくてもいいです。例えば、今の稲作の面積は、一町歩、二町歩の農家がほとんどですよ。でも、これを先ほど言った十五町とか二十町に変えていくと、どのぐらいやればどのぐらいの就業者で済むという話が出てくるわけですよ。
先月、私は、極端な例として、稲作面積の半分を二十町歩にしてしまったら、農業従事者は二%で足りるという数値も出てくるわけですよね。今、稲作だけじゃなくて、四十歳以下の就農者が六%、七%で大変だと言っているんですけれども、稲作に限っては、それでも逆に多いということになっちゃうんですよ、稲作面積の半分をそこまで持っていけば。
だから、これは、どう目標にするかは別として、例えば日本の稲作面積の二割を大規模化するとこうなる、三割やるとこうなるというのは単純に計算で出てきますね。そうしたときに、では、農業から離れてもらう人がこれだけ出るから雇用対策をしなきゃいけない、その上で、また農村に張りついてもらうためにはこうしなきゃいけないということが、しっかり問題がフォーカスされていくわけですよ。逆に、ただ何となく集約化します、集約化が思ったより進んだら、離農者がふえていく、農村が破壊されていく、ああ、どうしようとなるわけですよ。
いろいろなパターンはもう既に計算上は成り立つわけですから、それによって政策の選択肢も用意しておかなきゃいけないというふうに思うんですけれども、政府として何割目指しますと言わなくても、何割だとこうなる、何割だとこうなる、就労者のあり方とかも含めて計算が出ますから、そのもとに、そうなったときにどうすべきだというのは打ち出していくべきじゃないですか。
○林国務大臣 今、江藤副大臣からお答えしたように、目標というものは、コストの削減と、それから担い手にどれだけ集中するかということは出しております。
今後、食料・農業・農村基本計画の見直しについて諮問しておりますので、この新しくつくった施策のもとにどういう形になってくるのか、また、自給率、自給力の取り扱い、こういうものをあわせて、具体的な経営発展の姿について、そこで検討を深めていきたい。今までも、かつての基本計画の中にもそういうことを書いてきたわけでございます。
今お話のあった、頭の体操という意味では、いろいろなケースを想定して準備するということは当然やらなきゃいけません。
ただ、最終的に、例えば、貸すという判断、これは、政府が貸せと言うのではなくて、農家の方が、では、人・農地プランで、あるいはみんなで話し合って、こういう人に貸していこう、個々の判断であります。それから、水田フル活用ビジョンをつくっていって、なるべく自分の経営判断、集落の皆さんの経営判断の積み重ねということをやっていけるような仕組みに五年間でやっていこう、こういうふうにいたしましたので、余り政府で数字を決めて、それに当てはめていくということになりますと、かえって今回の基本的な変革の方向性との整合性が問われかねないことになりますので、そこは注意をしながら、自主性を尊重しながら、しかし、起こり得るいろいろな事態に対していろいろな準備を検討、頭の体操、こういうことをしておくということになろうか、こういうふうに思っております。
○小熊委員 そのとおりです。
現状で集約化、今のこの状況でさえ、ちょっと立ち戻りますけれども、農地維持支払い、多面的機能の支払いについても、お金を出していなかったからやらないんじゃなくて、やる人がいなくなって足りていないというのがあるわけですよね、農地を維持していくという意味では。
これがどのぐらいの割合かは個々人の判断、そのとおりです、大臣の言うとおりです。だけれども、進んでいくということになるわけですよね。今より厳しい状況になってくるわけであります、農業に従事する人がいなくなってくるから、農村の中での人とのあり方が変わってくるという意味では。ですから、そういう意味において、集約化を進めていくのは非常に大事なことだというふうには思うんですけれども、一方で、その反作用の部分を、もっととりわけ政策を打ち出していかないといけないというところを、問題提起を先ほどさせていただいたんです。
お金を払ってそれを維持していく、それはもちろん効果があると思いますけれども、先ほど御紹介させていただいたとおり、今まで集落ごとの取り決めで罰金を取ったりしていても足りなくなっているというのが現状です。これから、もちろん政府は目標値は決めませんが、そういう集約化に向かっていくということであれば、ますますそこの農村社会の担い手が欠けていくということになっていきますので、そこをしっかりやっていかなきゃいけないというのが先ほどの前段での質問だったわけであります。
私も、だから、これは集約化をして、しっかり農業で経営が成り立つ、そういう農業、攻める農業にしていかなければいけないというふうに訴えている反面、やはり農村の維持のためには多様な担い手がいていいというふうに思います。
補助を出せということではないんですが、兼業農家のあり方、存在の意義、そしてその人たちを、農村にきちっと住んでもらって、環境を維持していくという担い手にしていくというところが何となくぼやけてしまっているところがありますから、これはしっかり対策をとってほしい。また戻りますと、とりわけ、集約化していけばそういう人たちがなおふえていくということですから、しっかり取り組んでいただきたい。大臣、御見解を。
○林国務大臣 まさにそこが一番大事になってくる、こう思います。
これはあくまでも一つのモデル的な考え方ということですけれども、一万五千円を配り続けていくと、やっている人がもらえるということでありますが、今回はそれをやめて、集約化をして、そして多面的機能支払いというものは集落にお支払いして、その中で分けてもらう、こういうふうにいたしました。
貸してしまって自分がつくらなくなると、もう何もなくなるということではなくて、貸し出して、しかし、さっきの多面的機能の対象になるような活動は、一緒に住んで、一緒にやっていこう。せっかく人・農地プランでこいつにまとめていこうじゃないかという方向が出たので、自分たちもとどまって、ああいう活動は一緒にやっていこう、こういう人に対して、今までの制度ですと、何もない、もしくは限られているというところに上乗せをすることによって、そういう人はそういう活動をしていただく。さらには、六次産業化等で、農家レストランやいろいろなものができていく。
これは集落、集落によっていろいろ工夫をしていただかなければいけませんが、そういうことをやることによって、なるべく耕作自体は集約していく、しかし、農村全体として、コミュニティーはみんなで維持していける、これを両立させるような仕組みとして今回やらせていただきました。
多面的機能は、一義的には地域政策ということでありますが、しかし、そういう方向性を持って、担い手に集めやすくしてみんなで後押しをするという意味では、構造改革を集約化が後押しするという側面も持っている。これをあわせて、しっかりとバランスのとれた地域政策と産業政策を車の両輪としてやっていきたい、こういうふうに考えております。
○小熊委員 一点御指摘をして次の質問に移りますけれども、今までも農家の人たちは、農業から離れても、集落に住んでいれば、この共同体を維持しよう、この農村を維持しようということでやっていたんですよ。お金が出ていなくても、やっていたんですよ。お金が出ないから、農村には住んでいるけれども、実際は田んぼも作業をしないから、やらないということではないんですよね。ほとんどの農家の方が、心優しき人たちですから、しっかり集落社会を守るために作業をしていたんですけれども、それができなくなっているということでは、お金で解決できませんよということ。
お金で解決できる部分ももちろんあります。それでインセンティブも働いて、より一層活動がされるところもありますけれども、もっと深いところに大きな課題があるということでありますから、この制度をしっかり活用していって、その推移を見守りながらも、もっと深いところでの、何でこういう共同作業もできなくなっているのかというのは、引き続き、しっかり検証して、深掘りをして、しっかりとした対策をとっていただかないと、激変する、さまざまな農業のこれからの変革の中で、さらに取りこぼしが出てきますから、ぜひそこはしっかり検証していただきたい。問題点の本質をつかんでいただくことを御要望して、次に移ります。
農の雇用事業というのを農水省が推進して、これは非常にいい制度だというふうには思うんですけれども、もう少し弾力的な活用をしていただけないかという質問に移ります。
この農の雇用事業、農業のいろいろなチャレンジ、新しい人たちを農業に参入させていくという意味では非常にいい制度なんですが、三カ月以上従事すればいいということになっているんですけれども、農水省はそういうふうに言っていませんよ、言っていないんですが、都道府県単位の窓口においては、一年でないとだめだということで、私の地元ではこの申請を諦めた人がいるんですよ。
雪の降らない地域では、通年でいろいろな農作業もありますけれども、雪の降る地域では、農業に従事しない期間というのはあります。
あと、週三十五時間というのもありますが、先ほど来お話ししている米でいうと、やはり労働が、ほかの農作業と違って時間が偏るわけですよね。
そういう意味では、実際、週三十五時間という枠をはめないと、ほかのアルバイトに行ったりして、その目標が達成されない、モラルハザードになってしまうという懸念もありますが、まず最初に、一年じゃなきゃだめだと窓口で言われちゃうこの現状、農水省はそういうことを言っていないんですけれども、やはりこの狙いが現場、現場で徹底指導されていないんじゃないですか。
○奥原政府参考人 農の雇用事業の関係でございます。
この事業は、新規就農者を雇用した農業法人等が行う農業技術あるいは経営ノウハウ等を習得させるための実践的な研修を支援するというものでございまして、この法人等が青年就農者を雇っていく、雇用就農を拡大する、こういう趣旨の事業でございます。
この研修の対象になっておりますのは、必ずしも農作業の技術、ノウハウということだけではありませんで、販売ですとか加工を含めた農業経営全体の技術、ノウハウに関するものでございます。
したがいまして、冬場の農作業はなかなか降雪地帯は難しいわけでございますけれども、そういったところでも、例えば、米をやっている法人につきまして、冬場は販売なりあるいは餅の加工をやっているということであれば、それを含めて通年の研修は可能ということでございます。
それから、運用上、研修生は通年雇用されていることが条件になっておりますので、一年を通して雇用されていなきゃいけませんけれども、研修期間は必ずしも通年である必要はございません。例えば夏場だけを助成対象の研修期間として運用することも可能になっておりますので、この点はさらに周知徹底をきちんと図っていきたいと考えております。
○小熊委員 今言ったのでいうと、研修生は通年じゃないんですけれども、現場では逆に、本省の顔色をうかがってかどうかわからないですけれども、一年と言っているんですよ。
なおかつ、今の実績でいうと、ほとんどが研修生は通年じゃないですか。三カ月以上であればいいということになっているんですけれども、実際、短期のは見受けられないということは、やはり現場では一年にしてくださいねというのが、私の地元での数例の話でしかないんですけれども、実績を見れば、やはり全国的にそういう窓口の対応になっているという意味では、せっかくこれはいい事業なのに、その目的が達成されていないということになりますから、しっかりそこは今言われたように周知徹底を図っていただいて、この事業の目的がしっかり達成されることをお願い申し上げます。
また、六次化していれば、いろいろなことがそれはあるんですけれども、実際、普通の農家の人でも、農業でやっているんですけれども、冬は何もすることがないから、スキー場にアルバイトに行く、どこかにアルバイトに行くとやっているのが現状です、雪国では。
そういう意味では、弾力的な運用、地域によってのあり方、品目に、先ほどの稲作だと、またいろいろなことがありますから、労働時間の分配が、いろいろな季節性がありますから。なるべく弾力的に、しっかり狙いが達成されるように弾力的な運用も今後引き続き検討していただくことをお願い申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございました。
○坂本委員長 次に、岩永裕貴君。
○岩永委員 日本維新の会の岩永裕貴でございます。本日も、どうぞよろしくお願いをいたします。
きょうは、具体的な本法案の質問に入らせていただく前に、私は少し頭が混乱をしておりまして、そのあたりについてちょっとお伺いをしたいなというふうに思っております。
なぜ頭が混乱しているのかと申し上げますと、今、国土交通委員会で三十分間質問をしてまいりました。国土交通委員会では、いわゆるコンパクトシティーというのを議論して、きょう委員会で採決をされるというようなことなんです。
それで、両法案を、この委員会の質問と、国交省の上げているコンパクトシティーの法案の質問を、きのう、おとといとずっと考えている中で、政府として、これは本当に同じベクトルを向いているのかなというのが大きな疑問として浮上をしてきまして、そのあたりについて、質問の冒頭、お時間をいただきまして、お伺いをさせていただきたいと思います。
この都市再生特措法の一部を改正する法律案、いわゆるコンパクトシティーなんですけれども、その背景にあるのが、人口の減少、高齢化が増加する、そして、これからの環境面を考えて、居住の集積、都市機能を再配置していかなければならないというような背景で提出をされている法案でございます。
この法案の中身を読み込んでみると、中心市街地を活性をしていこう、福祉または医療、そして商業施設等をコンパクトに町中に集めていこう、できれば駅周辺にというような話なんですけれども、この中に、特徴としては、居住を誘導していくというような中身があるんですね。
ということは、できるだけ居住地についても集積を図っていくというようなことなんですけれども、この考え方について、これまで農林水産委員会では、やはり集落機能をしっかりと守っていかなければならないという方向が一つありました。そして、大臣も御答弁されているように、農地集約バンクというか、中間管理機構は集約をどんどんしていくんですけれども、集約をしていって、農業に携わらなくなった人たちもまだその集落に残っていただけるように、さまざまな支援、施策、方法を考えるというようなことで、やはり集落というものをいかに維持していくのかが大切だというような方向についても御答弁をされていたところでございます。
この国土交通省の推進しているコンパクトシティーというものについて、まず大臣はどのように見解を持たれているかということについて、御答弁をいただければと思います。
○林国務大臣 住居とか生活機能を町中へ誘導する、空きビル等活用を推進するということで、コンパクトシティーをつくっていくということは人口減少社会における都市の活性化のあり方として大変重要だと思っております。
このコンパクトシティーというのは、そもそも基本的に都市における機能、今委員がおっしゃったように、医療とか福祉とか住宅、こういうものの集約化とネットワーク化を進めるということでありますが、こういうことをやっていきますと、都市周辺の農村についてもネットワークで結ばれることによって、集約化された都市機能を活用し得ること、それから、都市的な土地利用が市街地の方に集約されていきますと、周辺の農村部においては効率的な農業をより展開しやすくなること、こういう効果が農業、農村に及ぶこととなるのではないか、こういうふうに考えております。
○岩永委員 ということは、集落からとにかく人が出ていく、そして中心市街地に居住をしていくという方向性は、農林水産省にとっても意義のあることだという御見解でよろしいんでしょうか。
○林国務大臣 集落から人が出ていくということはそもそもコンパクトシティーに書いていなくて、都市の中で町中の方に集約化をするということです。
今都市が、人口がふえているときはだんだん膨張していきましたので、広いところに都市として皆さんは住まわれておられる。例えば、お年寄りになられて、なかなか病院へのアクセスが遠い。それから、あれはたしか青森の例だったと思いますが、これは雪かきがなかなか全部行き渡らない、若い人がいれば雪かきができるんだけれどもということで、お年寄りの方がコンパクトシティーの中に住んでいただく、こういう例もあったと思います。
都市の中でいわゆる都市機能というものをちゃんと発揮させるために、都市の中で真ん中に、真ん中というか一つのところに入っていただくという意味で、都市の活性化のあり方として重要である、こういうことでございます。
○岩永委員 私の地元なんかを見ても、結構、小学校区単位で集落というのが成り立っているところが、恐らく皆さんの地元でも多いと思うんですけれども、その小学校区単位の集落機能というものが、どうも、このコンパクトシティーの話を聞いていると、そのあたりも、地域に各々はつくっていくんだけれども、いわゆる合併前の旧町単位に一つぐらいをイメージしているというようなお話なんですね。
それを一つにされると、そこに居住を誘導していくとなると、小学校区単位で成り立っていた集落というのが、本当に人が減らずに機能を維持できるのかということを非常に疑問にも思うところでございます。
いずれにしても、これは、国交省はそうですけれども、農林水産省と余り、生活の現場を考えたときに、政策同士が綱引きにならないように、ぜひ地元の現状に即した中で、恐らく時間も、これから二十年、三十年というスパンの中で考えていかなければならないことだとも思いますし、人口減少の中で、特に地方部、中山間地域と呼ばれる地域については直面している課題でもありますので、足並みをそろえて、実態に沿った施策の運営をお願いさせていただきまして、以下、法案についての質問に移らせていただきたいと思います。
今回の閣法は、これまで三本あった法律を一本化されて提出をされているということですけれども、恐らく、そういう提出の仕方には、私はかなりの哲学とか思いとかがあってしかるべきだというふうに考えているんですけれども、これを一本の法律として提出をされた意味、意義について、まずお答えください。
○小里大臣政務官 政府提出の法案では、農地維持支払い、資源向上支払い、中山間地域直払い、環境保全型農業の四つの支払制度を一本に法制化をするものであります。
本法案が、四つの支払いを一つの法案に盛り込んだその理由につきましては、多面的機能の発揮を促進する取り組みを行う農業者等に対する支援を行うものであること、多面的機能の維持の基礎となる農地に着目をしまして、その面積に応じて支払いを行うものであるという理由によるものであります。
今まで三つが独立をした予算事業でありましたけれども、これを一本の法律に集約をし、位置づけをすることによりまして、国、県、市が指針、計画等を作成する過程で、どうやってこの四つを組み合わせて効率的な、安定的な運用を図っていくか、非常に取り組みやすくなる、そのように考えているところであります。
○岩永委員 これまでそれぞれにまたがっていたものを一本化することによって、わかりやすく安定的に、効率的に現場が運用できるようにというようなお話でしたが、衆法の方では、これを一本化せずに、それぞれにという提案の仕方をされておりますけれども、ここについての考え方を教えてください。
○玉木議員 お答え申し上げます。
我々は、まず多面的機能は、農地・水や中山間の直払いあるいは環境支払いだけで発揮できるものではないと思っておりまして、この委員会でもるる話があったように、例えば、戸別所得補償制度でしっかりと経営が安定する、営農継続ができる、そのことをもって、要は多面的機能が発揮できるということなので、政策的に産業政策と地域政策を、ある政策でぱっちり分けているわけではございません。
我々があえて三つの法案にしたのは、対象者を見たら、例えば、農地・水については、原則、共同事業に対して払われます。中山間の直払いは、共同事業にも払われますけれども、農業者にも払われます。環境支払いについては、昔と少し制度を変えて、農業者個人に対する支払いという基本的な位置づけにしておりますので、制度が対象とするものが、共同事業のものと個々の農家のものが混在していますから、むしろ、現行の制度をそのままにしながら、それを法制化して、それぞれに安定的な制度にするということで、三本の法律にそれぞれ仕立てているということでございます。
○岩永委員 ありがとうございます。
引き続きまして、閣法の方でお伺いをさせていただくんですけれども、資源向上支払い、これは五年後には二五%オフというか七五%に削減をするというような方針がございますけれども、これは平成十九年から始まっておりますので、既にその七五%単価が適用されているところもあろうかと思います。
二五%オフにする理由と、今現在、そうしたところからどのような声が上がってきているのかということについて、御説明をいただきたいと思います。
○三浦政府参考人 お答え申し上げます。
多面的機能支払いのうち、資源向上支払いの地域資源の質的向上を図る共同活動の取り組みを五年間以上継続した地区につきましては、地域住民を含めた農村環境保全活動などが、本制度の活用によって活動が定着して効率的な実施が可能となっていると考えられますことから、基本単価の七五%を交付するということとしているところでございます。
これは、資源向上支払いにつきましては、基本的に、これまで実施してまいりました農地・水保全管理支払いの組みかえ、名称変更という位置づけでございまして、五年以上の取り組みを継続した地区の交付単価の取り扱いにつきましても、農地・水保全管理支払いの考え方を引き継いでいるものでございます。
また、もう一つのお尋ねでございます、どういった意見等が出ているのかということでございますけれども、今回の多面的機能支払いの創設に当たりまして、いろいろな御意見等をいただいておりますけれども、その中で、一部の県からではございますが、一〇〇%単価にしてほしいという要望も見られたところでございます。
ただ、私どもといたしましては、先ほど申しましたように、資源向上支払いにつきましては、取り組みを五年間以上継続したということによりまして、支援対象となります水路、農道等の軽微な補修ですとか農村環境の保全活動ですとか、そういった活動が定着することによりまして効率的な実施が可能となっていると考えられますこと、それから、例えば、地域資源の質的向上を図る共同活動と施設の長寿命化のための活動をあわせて取り組むといったような場合に、軽微な補修等に単独で取り組むよりも効率的に行えるというようなことから、これらの場合につきましては七五%の単価を適用するということとしているところでございます。
○岩永委員 ありがとうございます。
五年、ずっと維持継続をすれば効率的に取り組めるようになるだろう、恐らくそこに要する機具等もしっかり再利用しながらできるのでというようなことだとは思うんです。
一方で、農地維持支払いはそういった規定を設けていないということなんですが、そこの理由もあわせて教えてください。
○三浦政府参考人 お答えいたします。
先生の御指摘のように、資源向上支払いの活動につきましては、これを五年間継続するということで効率化が図れる、そういう性質のものであろうと考えております。
一方で、農地維持支払いにつきましては、支援対象の活動が農地のり面の草刈りですとか水路の泥上げですとか、農業生産活動に伴って行われる非常に基礎的な保全活動でございまして、活動が数年間行われて定着することによって、それに要する時間が低減するといった性格のものではないと考えておりまして、資源向上支払いのように、基本単価の七五%にするといった補正を行うこととはしていないところでございます。
○岩永委員 ありがとうございます。
一方で、衆法の方では、農地・水等共同活動の促進に関する法律の四条三の三で、「農地・水等共同活動の促進は、」云々というところがございますけれども、今の閣法の考え方について何か意味していらっしゃるのか、この中身について少し意味を教えていただきたいんです。
○大串(博)議員 お答え申し上げます。
今、私たちの規定ぶりを御指摘いただきました。適切に評価され、適切に反映されるように行わなければならないということでございますけれども、先ほど来、政府の方から答弁のありました農地・水、これまで五年間継続したところは七割五分という単価になっていく、今回、農地維持と資源向上では変わるということでありました。
私たちの法案においては、この農地・水活動に関して、一律、五年間の継続の結果として七割五分になるというようなことではなくて、そういう一律的な考え方ではなくて、私たちも現場をいろいろ歩かせていただいて声を聞かせていただく中で、いろいろな農地・水に関する活動がなされているのがよくわかります。あるところによっては、毎年毎年いろいろな話し合いをみんなで持ちながら、工夫を加え、展開を加え、改善を加えながらやられているところもある。もちろん、場所によってはそういうことがなかなか難しいところもありましょう。そういった取り組み方にそれなりの差異があるものだというふうに思っております。
そういった差異の中で、場所によって、ことしはこうだ、来年はこうだということで、工夫、改善を加えながら行っていただいているところにまで、五年間たったからという一律的な考えで七割五分に単価を落とすというのはいかがなものかということで、その取り組みのあり方をしっかり評価して、それが、それに値するものであれば、単価を落とすことなく、今後も支援を続けていけるというようなことも続けていけるようにということで、適切に評価し、適切に反映される、こういうふうな考え方をしたためたわけでございます。
○岩永委員 これについても、いろいろな価値観、考え方、地域の実情等はあろうかと思うんですが、一律にしない場合の、やはり地域間の線引きというんですか、ルールを一定設けるというのはなかなか難しいのかなというふうにも思います。そのあたりについても、きめ細やかにという部分も理解はできるんですが、そういった一定のしっかりとした線引き、ルール等も必要になってくるのではないかなということを指摘させていただきたいと思います。
引き続きまして、中山間地等直接支払いの対象と単価を、改めてなんですけれども、農林水産省の方から、簡単で結構ですので、御説明をいただきたいと思います。
○三浦政府参考人 お答えいたします。
中山間地域等直接支払制度は、多面的機能の低下が特に懸念されます中山間地域等につきまして、農地の傾斜等地理的条件から生じる平地との生産コスト格差を補正するものでございます。
この中山間地域等直接支払いにおきましては、過疎法など地域振興立法八法の指定地域等におきまして、まず、田では二十分の一以上の急傾斜の場合、十アール当たり二万一千円、百分の一以上の緩傾斜の場合、十アール当たり八千円、それから、畑につきましては十五度以上の急傾斜の場合、十アール当たり一万一千五百円、八度以上の緩傾斜の場合、十アール当たり三千五百円等の単価を設定しているところでございます。
○岩永委員 そういったルールをしっかり定めて適用をしておられるというところなんですが、こちらについても、衆法の方で、それを受けてというようなことになろうかと思うんですが、この中山間地域に係る法律案の四条三の二で、「中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進は、」というような文章がございますけれども、この中が何を意味しているのかということについてお答えいただければと思います。
○玉木議員 お答え申し上げます。
我々の法案は、中山間地という名前がついていますけれども、総合的な条件不利補正対策というふうに考えていただいた方が正確かなというふうに思っております。
つまり、もちろん中山間地というのは条件不利な典型的地域でありますけれども、それを、例えば傾斜の度合いという物差しをもってひとつ判断して、それに着目しながら、例えば緩傾斜と急傾斜では単価が違うとか、そういうことをもちろん我々も織り込んでおりますけれども、条件不利地に対しての何らかの補正を加えていくということでいえば、理念的には、傾斜がゼロでも、つまり平地においても、分散錯圃あるいは地形の状態によっては、どうしても面的集積は難しいといったようなところがあると思います。
ですから、我々は、単に斜度、傾き度合いといったようなことのみに着目するのではなくて、広く、どうしても補い切れない条件不利性に着目をして、それを総合的に支援していこう、そのことによって多面的機能の発揮を維持し、また営農継続を下支えしていこうという観点でこういった規定にしているのでございます。
○岩永委員 続きまして、一点、日本型直接支払い、これは閣法の方では、五年後にその支払いの効果、取り組み、そして定着状況を鑑み、再評価をするということがうたわれております。
これも、このことだけにかかわらず、農政全般に言えることなんだと思うんですが、現場の皆さん百人が百人とも、とにかく制度や金額というのをころころ変えないでいただきたいということを強くおっしゃっております。それを、またここで、五年後の定着状況なんかを見ながらその金額や制度というのを考えていく。一つのタイミングとしてチェックをしていくということは必要だとは思うんですけれども、こういったことが、逆に現場、経営者にとっては混乱を来しているというような考え方があろうかとも思うんです。
そういった視点から、この五年後の支払いの効果や取り組み、定着状況を鑑み、再評価することの意味と、または、そういった現場からの声も踏まえて、どういうふうに考えておられるのかということについてお答えをいただきたいと思います。
○三浦政府参考人 まず、法律に規定しております附則第二項の「検討」という条文で、先生御指摘の点でございますけれども、「この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、この法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」というふうに規定しております。これは、この法律が多面的機能の発揮の促進を図るという明確な目的を有しておりまして、その実現のために特別な措置を講ずる法律であるということから、法目的の達成度合いですとか改善すべき点等について一定期間後に検証することが適当である、必要に応じて一定期間後に見直しを行うということを附則で定めているというものでございます。
他方、これまでの農地・水保全管理支払いですとか中山間地域等直接支払いにおきましては、五年を一つの区切りといたしまして、実施状況ですとか効果を評価いたしまして、地域の意見や要望等も踏まえて、施策の見直しに反映させてきたところでございます。
今回の日本型直接支払いの法制化に当たりましても、法律に基づく安定的な制度とするというのが一つの趣旨でございますが、そうしつつ、地域の実情等に的確に対応した仕組みとするという観点もございますので、五年後を目途に支払いの効果ですとか取り組みの実施状況等を検証いたしまして施策に反映させることとしておりますけれども、その際、先生の御指摘にありましたようなことも含めて、地域の御意見あるいは実態等を十分に把握いたしまして、それらを踏まえて、必要な見直しについて検討するという方針で取り組みたいと考えております。
○岩永委員 一定、見直しというものは常に必要になってこようかとは思うんですが、やはり、現場目線からいうと、これは、金額についても制度についても、できるだけ長く同じ制度をとにかく維持してもらいたいんだというような意見は、もう皆さんがおっしゃっているところでもあります。
こういった現場の声を受けて、衆法の方では、五年ごとの見直しというものについて、どのような考え方、理念を持っていらっしゃるのかということについてお答えをいただければと思います。
○大串(博)議員 私たちは、今回、中山間、農地・水、そして環境払い、これを法制化する提案をさせていただいております。
この意味は、今まさに岩永委員から言われたように、これまで予算措置としてやってきた、その中で五年後という見直しの概念がそこに盛り込まれていたものですから、各地域においては、ことしが最終年だな、来年はどうなるのかなと必ず尋ねられました。こういった先行きの不透明感が農業に対して悪影響を与えているとするとよくないということで、私たちは、法制化することで恒常化するという意味において、五年後見直しというのが農家の方々の頭に不安感としてちらつかないようにしたという意味での法制化ということで御理解いただければと思います。
○岩永委員 続いて、衆法であえて明記をされている、資金の積み立てを可能にするという部分について、現行の制度ではできないのかどうか、ちょっとお答えいただけますでしょうか、農水省の方から。
○三浦政府参考人 まず、従来の農地・水保全管理支払いにおきましては、活動期間、原則五年でございますけれども、その期間内での次年度への繰り越しは可能としておりましたけれども、活動期間の最終年度末における交付金の残額については返還するということとしておりました。
しかしながら、この場合ですと、活動期間が終了した後、次の活動期間においても引き続き取り組みを行うといった場合でも、交付金の残額を繰り越して使用することができないということから、改善を求める声が現場から寄せられていたところでございます。
このため、多面的機能支払いにおきましては、活動期間の最終年の年度末における交付金の残額につきまして、活動の円滑な継続のために次の活動期間に繰り越すことができることといたしまして、この場合は交付金残額を返還しなくてもよいということとしたところでございます。
○岩永委員 ありがとうございます。
そして、衆法の方、これをなぜあえて明記されているのかというところについて、意味をお伺いできればと思います。
○大串(博)議員 これも、地元で農家の方々の声を聞くとよく言われるのが、今のような制度になっているという政府の御答弁ではありましたけれども、いやいや、年度末が近づいてきました、この事業はなかなか終わらない可能性があります、そうすると召し上げられてしまうのではないかという思いから、非常に心配でありますという声を多々聞く。
そういう意味で、より明らかな形で多年度にわたる支出あるいは計画が可能であるということをしっかり理解していただいて、あるいは周知徹底させていただいて、それによって効果的でかつ柔軟な取り組みをやっていただけるようにということで、配慮規定で多年度にわたる積み立てを行えるようにすることを配慮していこう、こういうことを明記したところでございます。
○岩永委員 ちょっと足早になって申しわけないんですけれども、衆法の方で、環境保全、環境にかかわる部分の支払い方法を直接、国からダイレクトにというようなことを方針とされているようですけれども、なぜそういった支払い方法、環境だけダイレクトに国から現場に入れるのかということについても御説明をいただきたいと思います。
○玉木議員 お答え申し上げます。
経緯を申し上げますと、環境はもともと農地・水・環境支払いで一緒くたの制度だったんですけれども、例えば野菜なんかは典型ですけれども、環境に対する取り組み事業というのは、みんなで、集団でやるよりも、むしろ個々でやることが多かったので、交付対象者、支援対象を個々の農業者という制度に切り出して、環境保全支払いについてはつくったということがまずあるのと、我々は、先ほど言ったいろいろな岩盤制度とかがあって、安定的に営農継続する、例えば条件不利であれば、条件不利加算として中山間の直払いがあって、さらにそこで環境に優しい、そういうことをやるとしたら、ある種環境加算として乗せていくということなので、ある意味、戸別所得補償制度の一つの延長の中で、環境に配慮した農業の取り組みを位置づけていこうということで、国から直接、同じような形で交付するという制度的整理をした次第でございます。
○岩永委員 これまで、閣法と衆法の相違点というか考え方の違いについて幾つか質問をさせていただいたんですが、結構、向いている方向というのはそんなに変わらなくて、違いを見つけていくのも、こういう細かい点になればあるんですけれども、ベクトルとしてはやはり閣法も衆法も同じような方向性で考えていらっしゃるということでありますけれども、やはり一点、大きくなってくるのが、所得補償についてどういうふうな見解を持っていらっしゃるかというところでございます。
これまでも玉木委員の方からも何度も御説明がありましたけれども、とにかく米価の下落のペースと経費削減のペースというものをしっかりと国としてコントロールしていかなければ農家が潰れてしまうということ、だから、穏やかな、緩やかな構造改革ということをおっしゃっているんだと思いますけれども、ここの点について、少し詳しく教えていただけますでしょうか。
○玉木議員 岩永委員から今御指摘があったように、私も、この閣法、衆法、違いを探せばそれはあると思うんですが、むしろ同じところをどうやって見つけていくのか、こういう観点でいつも思っておりますし、答弁もそういう視点でやらせていただいておりますが、以前にもお答え申し上げましたけれども、一言で言うと、静かな構造改革を促す制度としてぜひ進めていきたいなというふうに我々は考えております。
今御指摘があったように、例えば面積でばさっと切る、ある要件でばさっと切る、これも構造改革を進めていく北風政策としては一つの考えだと思いますけれども、農業をやっている現状を見たときに、今しっかりと営農継続している人たちにまず頑張ってもらう、その上で構造改革やあるいは競争を促すような政策をそこに導入していく、このことが、農業という、例えば一年に一回しか作物をつくれない、こういう他の産業とは違う特徴を持っているような面もありますので、我々としては、その方が適切ではないのか。
ポイントは、やはり、構造改革を促して生産コストを下げていくペースと、例えば米価の下落のペースをある程度調和をとりながら、つまり、そのギャップということは収益ですから、営農継続ができるような実入りが極端に変わらないようにしながら、目指すべき方向に促していくということが我々のとっている考え方であるし、そういった考えに基づいて所得補償についても設計をしているということでございます。
○岩永委員 これまでも玉木委員の方からもそうした方向性について、我々もそうした国のサポートというものは必要であろうというふうにも考えているんですけれども、今の見解について、大臣はどういった意見をお持ちなのかということについてお答えいただけますでしょうか。
○林国務大臣 玉木委員がおっしゃったように、目指すべき方向、これは集約化をしていこうということであると同時に、来年から何か新しいことをやれと急に言われても、一年に一作でありますから、そういうところは共通をしているのではないか、こういうふうに思っております。
一方で、主食用の米の需要が毎年平均で八万トンずつ減っている、もう少したくさん減るときもあるわけでございまして、そういう状況に照らし合わせてみて、水田をフル活用する、しかし主食用の米の需要は減っていく、この二つのことをどう調和させていくのか。
こういう意味では、やはり我々としては、一万五千円を全ての販売農家に対してお支払いする、その要件は米の生産数量目標に従って生産を行う、今の直接支払交付金については我々の目指すべき方向と必ずしも一致しない、こういうふうな判断をしたわけでございます。
米については、十分な国境措置がございます。また、潜在的な生産力は、今申し上げたように、需要を上回っておりますので、今の交付金については平成二十二年度に導入されるまではなかったわけでございますので、これがないので農業の崩壊につながるかというと、必ずしもそうではないのではないかな、こういうふうに思っております。
冒頭申し上げたように、一年に一作というペースでございますし、この直接支払交付金を前提に機械、施設の投資を行ってきた農業者もいらっしゃるであろうということで、直ちに廃止ということではなくて、ことしから単価を半分にした上で、二十九年産までの四年間の経過措置を講ずることにしたところでございます。
○岩永委員 時間となりましたので、最後の質問に移らせていただきたいんですが、衆法の方の所得補償についてお伺いをしたいと思います。
前回の委員会で、たしか林委員の質問にお答えをされていたんだと思いますけれども、イメージとしては、この制度が始まったときには、できれば十年後ぐらいをめどにこれをなくしていくというか、集約化が進んで必要なくなっていくだろうというようなことをおっしゃっておりました。だから、今から考えると、タイミングとしては六年後ぐらいをめどにということでありますけれども、この所得補償をやめるロードマップというか、急にやめていくのか、徐々に、ソフトランディングというか、どういうふうにやめていくのかというようなところのロードマップを少し御説明いただけますでしょうか。
○玉木議員 前回もお答えを申し上げましたけれども、十年ぐらいでそういった目指すべき方向に近づけていきたいということで、もう四年ぐらいたちましたので、あと残り六年ぐらい今の制度を、岩永議員も今おっしゃいましたけれども、やはり安定的な制度をしばらく続けてみないと政策効果も出てこないので、ぜひ、この四年間安定的に行ってきた制度を行いながら、十年ぐらいかけて目指すべき方向に持っていきたい。
ロードマップでありますけれども、何か明確にばしっとそこで切るというよりも、いかに生産コストを下げていけるか、このこともまたポイントになると思いますので、この戸別所得補償だけではなくて、他の集約化を促進していくようなもの、例えば農地集積協力金でありますとか、あるいは、担い手を応援するような、新規就農を促していくような制度、さまざまなものを組み合わせながら、十年後をめどに目指すべき方向にぜひたどり着いていきたい。
このことは、政府・与党の案ともそれほどそごはないというふうに私は思っております。
○岩永委員 ありがとうございました。
またあさっても、四十分間お時間をいただけるということですので、きょう比較させていただいたことをもとに質問をさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
○坂本委員長 この際、休憩いたします。
午後零時四分休憩
――――◇―――――
午後四時二分開議
○坂本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。林宙紀君。
○林(宙)委員 結いの党の林宙紀でございます。
皆さん、長い本会議の後、お疲れのところ、もう少々だけおつき合いをいただきたいと思います。(発言する者あり)短目に。後ろの質疑者の方もいらっしゃいますので、なかなか難しいところですが、何とかコンパクトにやりたいなと思っております。
きょうは、政府の皆さんと、また同様に衆法提出者の皆さんにも質問をさせていただきたいというふうに思います。
まず最初に、政府側に御質問申し上げます。
今回の法案の中で、水田のフル活用ということで、飼料用米などを初めとしまして、主食用米をある程度生産をしっかりと需給調整というか、需給をしっかりと合わせていく中で、そのほかにも水田をちゃんと活用していきましょう、こういった方針をしっかりと入れていただいているというところはもう既に皆さん御承知のとおりかと思うんですけれども、その水田において、今まで、麦や大豆というところも非常に重要な作物だよということで、増産していきましょうということでやってこられたと思うんです。
済みません。きょうは資料を用意しませんでしたので、後ほど、皆さんの各自お持ちになっている資料をごらんいただければと思うんですけれども、水田の利用状況がどのような形で推移してきたかということで、農水省の方からもいろいろとデータが出ております。その中で、私がいただいているデータは平成二十年度から二十五年度までのデータということで、水稲の作付面積自体は大体百六十四、五万ヘクタールだということで、ほとんど変わっておりません。その中で、主食用米がだんだん減産してくる一方で、新規需要米などでその作付面積を守ってきた。
そうしますと、先ほど申し上げた大豆と麦、これはどうなっているんだろうということで見ますと、ほとんど変わっていないんですね、作付面積に関しましては。
それで、私の理解ですと、畑作物の直接支払交付金ということで、今度からはゲタということでやっていきますし、同じく、今申し上げたような水田活用の直接支払交付金ということで、これまでも、水田においての麦、大豆の生産をふやしていきましょうということで、結構力を入れてこられたというふうに私は考えていたんですけれども、どうやら、少なくとも直近六年間を見てみますと、大豆が二十年度に十三万ヘクタール、麦が十七万ヘクタールで、これが大体同じぐらいで推移しているんですけれども、大豆に関してはちょっと減ってきまして、十一万ヘクタールぐらいに減ってきていますよということで、これが水田で転作をしている大豆、麦ということになります。
では、一方で、畑でつくっているそういったものはどうなっているのかなというと、これもやはり農水省さんの方の資料をいろいろと拝見しますと、例えば小麦なんかもほとんど変わっておりません。上下はありますが、大体八十万トンとかそのぐらいを境にして、上に行ったり下に行ったりという形になっております。大豆に関しましても、生産量に関しては、二十万トンを挟んで、上下行ったり来たりというようなことになっているということです。
林は一体何を言いたいのかというと、麦、大豆というものを、ある種、戦略作物という位置づけでもありましたし、しっかりとふやしていこう、つくっていこうというふうにしてきたのではないのかなと思っていたんですが、実際はそんなに増産されていないですよ。こういう現状です。
これに関して、政府の方ではどのようにお考えなのか。効果が上がっていないと考えるのか、それとも、そのほかの諸条件がさまざまあって、頑張っているんだけれども、何とかこのレベルで踏みとどまっているというような認識なのか、そのあたりをお答えいただきたいと思います。
○林国務大臣 麦、大豆ですが、水田の有効活用を図りながら、自給率、自給力の向上を進める上で大変重要な戦略作物でありますので、本作化を進めて、需要に応じた生産の拡大を図ることが必要であると思っております。
今回の米政策の見直しにおいても、県、市町村段階において、主食用米と非主食用米をどのように作付けるか、あるいは、麦、大豆について、どのような取り組みをするか等を検討していただいて、地域の作物振興の設計図となる水田フル活用ビジョンをつくっていただこう、こういうことをしていただいた上で、産地交付金の活用を通じて、地域の特性を生かした産地づくりの推進を図る、こういうことにしております。
今お話があったように、この作付面積の推移を見ても、どんどん伸びていくという状況にないわけですが、やはり水田における麦、大豆の生産に当たって、湿害等により収量が不安定なこと、ロットごとの品質のばらつき等の課題があることから、こういう課題を解決するために、生産性向上に資する単収向上技術、機械化体系の導入、それから、ロットごとの均質化等に資する乾燥調製施設の整備、こういうことを行うとともに、新たに、本年度より、生産者、実需者、行政が一体となって行う、生産性、加工適性にすぐれた新品種等の導入を進める、こういうことにしております。
これまでもいろいろなことをやってきたわけで、先ほど委員からは、効き目がなかったのか、効き目があってここにとどまっているのか、こういう御質問がありましたけれども、さらにこういうものを新しくやっていくのも加えていくわけです。もし、何もしなかったらどうなっていたかといえば、私の印象で申し上げれば、委員がおっしゃった後者の方、要するに、どんどん下がっていくという状況を今までも食いとめてきたのではないかと思っておりますが、さらにこれがふえていくような新たな取り組みをしていかなければならないということを先ほど申し上げたところでございます。
産地で、収量性、加工適性にすぐれた小麦新品種、それから、倒れにくく、大粒で良質な大豆新品種、例えば、小麦新品種では、三重県に二十五年から新品種のさとのそらが導入されておりますし、石川県では二十六年、ことしから里のほほえみという大豆の新品種を導入する予定になっております。
既に定着してまいりました北海道のゆめちから、日本で初めて日本産の小麦で食パンができる、こういうものや、福岡でラーメン専用の小麦というラー麦、こういうものに加えて、新しい動きも出ているところでございますので、こういうことを全体としてサポートしていきたい、こういうふうに思っておるところでございます。
○林(宙)委員 御認識はよく理解できました。
いろいろな難しい条件が重なって、かなり頑張っているんだけれども、なかなか上に伸びていくことが難しいということだと思います。
それは、私とて、大豆や麦がこのままでいいとは思っておりませんので、もっと国産で賄えるんだったら、何とかもっとふやしていただきたいという思いはあります。ただ一方で、そこに関して随分長い時間努力を重ねてきたにもかかわらず、それが実らないというような見え方になってしまうと、やはり最終的には、国民の皆さんに説明をして理解をしていただくというところが難しくなってくると思うんです。
なので、今、何年後にこのぐらいという目標を、きょうは詳しく申し上げませんけれども、設定はされていると思うんですけれども、その目標自体がいいのかどうかとか、それを野心的にやっていくんだったら、やはりもっともっと技術改良などを頑張っていかなきゃいけないと思いますし、それは、ぜひ私たちもいろいろな知恵を絞って、何とか御提供できればいいなというふうには思っています。
大豆や麦というのがもっとふえれば、私は生産調整をやめた方がいいんじゃないかと言っている立場ですけれども、一応、生産調整というのが有効に機能しているところも認めてはいるので、そうすると、生産調整をやる上では、大豆や麦というところも、特に水田フル活用においてはすごく重要になってくると思うんです。一方で、水田フル活用は、やはり飼料用米というのが今すごく脚光を浴びているという言い方がいいかわかりませんけれども、やはりその中心になりつつあるのかなというふうに思うんです。
そうしますと、これは政府側と提出者の両方にお伺いしたいんです。
済みません。これこそ資料というかデータを皆さんにお配りするべきだったと思うんですが、先日の参考人質疑で、とある参考人の方が提出していただいた、たまたまこれは宮城県のデータということですね。先週の参考人質疑に出席された方は何となく覚えていらっしゃると思うんですけれども、要は、戸別所得補償モデルにおいて、主食用米で生産していったときの手取り額に比較して、そのほか、例えば加工用米とか飼料用米とか、こういったものを生産した場合にどれぐらい手取りの額が違うのかというものを宮城県内のデータで調べたものがあるんです。
手元にきょうお配りしていないので、ちょっと詳し目に言いますけれども、もちろん主食用米というのは戸別所得補償で十アール当たり一万五千円、こういった補助があるわけです。こういったものを加えて手取りの額を計算していった、これを基準、ゼロとします。
問題にしたいのは飼料用米の話なので、飼料用米に絞っていますが、飼料用米は十アール当たりで八万円の助成がございました。八万円の助成をして、一応、説明的には、それで手取りというか所得がとんとんになるようにという思想でやっていますよというお話のはずなんですけれども、では、実際、手取り額はどうなんでしょうかというと、飼料用米をつくると、主食用米をつくったときよりも三万七千円ほど手取りが低いんですよ、このデータによりますと。そうすると、では、飼料用米をこれからつくっていこうよというときに、インセンティブになるのかな。むしろ、つくっても主食用米より損するなと思われてしまう可能性が非常に高い。
今、一万五千円、戸別所得補償での助成があるよと言いましたが、政府案の方では、これから七千五百円にして、今からだと四年後にそれがゼロになるよということなので、その一万五千円の影響を除外すると、除外しても、飼料用米をつくると、主食用米よりも大体九千五百円ぐらい手取りが低い。それは十アール当たりでということになりますけれども、手取りが低いですよというようなことになってしまうわけなんですね。今の九千五百二十八円というのは、耕畜連携をしてもなおということです。耕畜連携をしないと、もうちょっと手取りの差が広がります。
ということで、これから飼料用米をたくさんつくっていきましょう、平均よりもたくさんつくったら、十万五千円まで上限で払いますよということも政府案の方では入っているわけなんですけれども、こういうことがもし全国的に一般化できるとすれば、飼料用米をつくるインセンティブというのがなくなってくるんじゃないかな。
要は、今、計画、お考えになっていることと実際に起こることが乖離していくのではないかなと私は懸念しているわけなんですが、これについて、まずは政府の方から、その後に提出者の方からお考えをお伺いしたいと思います。
○江藤副大臣 どちらかというと、飼料用米にお金を張り過ぎだという批判をいただくんじゃないかというふうに私個人としては思っているぐらいなので、このような御意見が出るのは非常に健全だと思います。
しかし、結果としては、私も地元を歩いておりますので、私のような畜産県においては、この間も、がっちりとりましょうみたいな話をしましたけれども、やはりこれからの農政は国民の理解がなければだめだということがまず根本にあると思うんですね。頑張れば十万五千円までとれて、そして、東北の方は二毛作はできませんけれども、耕畜連携も難しいかもしれません、畜産が少ないから。ですけれども、そういうものをがっちり使っていけば、決して主食用米に遜色のない所得が取れるということは、かなり現場にはもう落ちてきていると思います。
実際、私の宮崎なんかでいうと、国道十号線というのが走っているんですけれども、それから海側のところは余り水がよくないんですよ。そういうところは、やはりこっちの方は主食用よりも飼料用米をつくった方がいいよねという声が大分出てきました。しかし、山の方はいい水が出ますので、こっちの方はやはり団地化して主食用米をつくっていかなきゃいけない。
ですから、このトータルパッケージで、お金の張り方だけで誘導しているわけではなくて、畜産経営の中において、配合飼料の価格の不安定さというものが非常に経営を圧迫しているわけですから、やはり日本人は米をつくるのが一番得意である、そして、水田において飼料用の米がつくれれば飼料自給率も上がるわけですから、農政全体としての底上げになります。そういう感覚でいけば、私は十分インセンティブは働いているものというふうに考えております。
○玉木議員 お答え申し上げます。
八万円の飼料用米の単価を入れた際に、うちの近所でもこれに飛びつきまして、八万円ももらえるんだと思って飼料米をつくり始めたところがあったんですが、一年やってみて、どうも合わない。というのは、乾燥賃とかあるいは移動のための費用とか、ちょっと予期せぬコストもあって、主食用米と同じようになるように確かに単価設定はしました、ただ、実際にやってみると、なかなかそういった所得が得られなかったというところが初年度は確かにありました。
その意味では、今、政府・与党案でも入っていますけれども、例えば、産地資金、産地交付金を利用して、そういったものに上乗せをできるようにするとか、耕畜連携を拡充するとか、いろいろやり方はあると思うんですが、飼料用米に対してのインセンティブを、主食用米とは全くイーブンに並べないで、もう少し強化してやるというのも一つの方法だと思います。
ただ、主食用米と飼料用米を比べて飼料用米がより高くなるのを、主食用米に対する支援を減らすことによって相対的にこっちを上げていくというのは、いいような悪いような感じがあります。我々としては、もちろん飼料用米に対して支援を拡充していくこととあわせて、主食用米についても、生産調整の枠組みをうまく使いながら、所得を一定程度確保することをやはり主食用米できっちりやっていくことも大事だということで、この生産調整を条件とした戸別所得補償を入れているということであります。
ちなみに、水田活用の交付金については生産調整の条件を外しておりますので、ここは、ある意味自由にどんどん頑張ってつくっていただくということにはしておりますけれども、いずれにしても、主食用米と飼料用米とバランスをとって、どっちに全て寄せていくということではなくて、バランスよい生産の奨励と所得の確保ということが重要だというふうに考えております。
○林(宙)委員 ありがとうございます。
今のお二方の御答弁からいきますと、政府側としては、特にこれ以上、例えば、頑張れば十万五千円まで行くということで、実は、十万五千円まで行くと、このデータ上の差額というのは消えます。なので、そこまで行っていただければ、何とかうまく進んでいくのかなと思うんですが、これ以上、例えば額をちょっとプラスするということは恐らくないんだろうな、今のところはお考えではないというふうに考えました。
済みません。もう一度提出者の方にお伺いしますが、今のお話をそのまま理解すると、飼料用米に対する支援はもう少しというお話だったということは、八万円ではなくて、もう少しプラスする、例えば、九万円とか、政府の言うように上限十万五千円までだったらとかということも一つ選択肢としてはあり得るという理解でよろしいんでしょうか。
○玉木議員 もちろん、私もいろいろなパターンがあると思います。ただ、単価を上げていけば、その分、どこかから財源を見つけなければいけませんから、十万五千円もらえるということに対して、逆に、平均単収に満たなければ五万五千円まで下がるということとセットでやっていますので、こういうある種数量払い的な概念を入れていくことは、我々のときにはやりませんでしたけれども、私は、方向性としては、こういうことも一つの考えだと思います。頑張る人を支援していくという方向性の中では、数量払い、こういった方向性については、我々としてもとり得る選択肢の一つだと思っております。
○林(宙)委員 ありがとうございます。
そうしましたら、これできょうは政府側に対しては最後の質問という形になります。
先日、私は地方公聴会で新潟の方に行かせていただきましたけれども、今回の多面的機能支払いについても結構いろいろ触れられていたわけですね。
その中に、やはりある程度あった意見だなと思っているのが、多面的機能の支払いについては、これは衆法の方も同じだとは思うんですけれども、北海道以外の都府県に関しては、基本的にその交付金額というのは一応一律で計算されているということになるんだと思います。ただ、実際のコストというのは、当然地域差というのは発生してくるわけで、参考人でいらしていた方の中には、そういった地域差というのも一つ考慮した方がいいんじゃないかというような趣旨の話もあったわけなんです。
実際に一律に決めるときにはいろいろ計算されていると思うんですけれども、最終的に一律でオーケーというふうに決めた根拠というのはどのあたりにあるんでしょうか。
○三浦政府参考人 お答え申し上げます。
多面的機能支払いの交付単価でございます。これは、農地を維持するために地域共同で取り組むことが必要な水路や農道等の保全管理に要するコストに着目をして設定しているものでございます。
この交付単価の設定に当たりましては、まず、北海道については、府県と比較して、総じて農地の区画が大きくて、単位面積当たりの水路や農道の延長が短いということから、単位面積当たりの共同活動量が府県に比べて小さいということで、特に区分して単価を設定することが適当であるということが一つでございます。
二つ目は、北海道以外の地域につきましては、今申し上げましたような北海道と府県との間ほどの顕著な差異があるというふうには考えにくいということがございます。
それから、三つ目は、本支払いと同様に地域の共同活動のコストを支援しておりました農地・水保全管理支払いにおきましても、北海道と府県とに区分して単価を設定していたということがございます。
そして、四つ目に、平成二十五年度に行いました調査、この多面的機能支払いの設定に向けた調査でございますけれども、その調査の結果におきましても、北海道と府県との共同活動量に大きな差が認められたということ。
これらを踏まえまして、北海道と府県とに区分して交付単価を設定するということとしたものでございます。
○林(宙)委員 実際に計算をしてみたら、そんなに有意な差が大きくはなかったですよということで、最終的に一律になったということであれば、私は結構だと思います。一律の方が扱いやすいところもあるでしょうし、これは、実際、今後運用等々をしていく中で、もし見直す必要があるのであれば、そのときにまた考えればいい、そんなことなんじゃないかなと思います。
以下の質問に関しては、基本的には衆法の提出者の方にお伺いをする形になります。また、これまでの説明に対して疑問が幾つかありましたので、それをちょっと伺いたいなと思うんです。
戸別所得補償について、過去、何度も御説明をいただいていて、私たちも一応理解はしているつもりなんですが、やはりちょっと細かいところがすごく気になって、まず、戸別所得補償はばらまきではないというふうにおっしゃっておりました。
いろいろと根拠がございます。そのうちの一つが、例えば、交付金全体の大体六割ぐらいの金額が、農家の数でいうと一割のところにその六割の金額が集中的に行っていますよと。要は、一割の農家というのはすなわち大規模農家だということなので、その大規模農家にお金が集まるようになっている、そうやって、結局、集約化、大規模化を促していくんだという御説明があったんだと思うんですね。
ああ、なるほどなと私も思うんですが、一方で、面積で払っていますので、それは面積が多いところにはたくさんお金が行くでしょうということになると思うんです。なので、それをもってばらまきでないという根拠は若干弱いかなと思うんですけれども、それについてはどのようにお考えでしょうか。
○大串(博)議員 確かに、P掛けるQですから、面積が大きければ受け取る予算の額も大きくなるということは事の理でありまして、面積の大きい一割の農家に六割が配分されているということも、その面から説明されてしまう面も多いのではないかという御疑問なり問題意識は、そのとおりだと思います。
しかし、事実、一割の農家に六割が配分されているということはどこから来ているかというと、一律の単価をもってしてコスト割れの部分を補填しているという形にしているものですから、規模の大きい農家にとっては、利益がより多く出て、規模が小さい農家においては、コストが高いがゆえにコスト割れを賄えないという関係にあるということの事実が、ばらまきでないことの仕組みの一番のあらわれでございます。
結果として、例えば五ヘクタール以上の農家においては加入率は九八%、ほとんどの農家がやはり参加されるわけですね。一方で、〇・五ヘクタール未満の小規模な農家の方々の加入率は五六%、〇・五から一ヘクタールの、次のブラケットの皆さんは六六%というふうに、小規模の農家の方であればあるほどやはり参加されないんですね。
ですから、そういう意味で、小規模の方々にばらまいているというような形にはならない仕組みになっているということは御理解いただければと思います。
○林(宙)委員 重箱の隅をつつくような質問で、本当に恐縮ではあるんですけれども、やはりそういったところを一つ一つ私たちも確認していかないと、思想が最終的に同じベクトルを向いているとはいえ、なかなかその間でうまく賛同することもできないなということです。たくさんあるんですよね、まだまだ確認したいことというのは。
きょうも、大分時間もなくなってきましたので、もう一つお伺いして、恐らく終わりになろうかと思うんです。
全国一律で交付金を支払っているということが静かな構造改革を促していくということで、いつも玉木先生からこういった説明をいただくわけなんですけれども、これはこのとおりだと思うんです。これは、言っていることは確かにそのとおりだなというふうに思うんです。一方で、小規模農家では、今、大串先生のお話にもありましたけれども、参加をしない、加入率が低いというところがやはりどうしても気になっている。
何でなのかなと思うと、やはり、その交付金をもらう、もらわないじゃない、とにかくつくりたいんだよ、自分で自分の分をつくりたいんだよとか、結構そういう人が多いんじゃないか、今までいろいろなところに行って話を聞いていると、そういう感覚を持ちます。
そうすると、自家用プラスアルファ程度にと言ったら大変失礼なんですけれども、そんな形でお米をつくられている方というのは、余りコストが云々というところを気にしていないんじゃないか。例えば、兼業で、ほかからの収入で生活は何とかなっていますとか、そういったことも大いにあると思いますので、全国一律で交付金を設定しているから集積を促す、それが集積を促していることになっているというのも、何となく、いまいちつながらない。
要は、そういう今まで余りコストをそんなに気にしないでやっていた人たちが、ああ、何かとりあえず参加すれば一万五千円はもらえるらしいよという感じで、では、入っておこうかとか、何かそういう感じでやっているんだとすれば、小規模農家の人も、もらえるんだからもらっておこうという形になっていってしまうんじゃないかな、むしろ大規模化の方向からはちょっとずれていってしまうんじゃないかなと思っているんですが、これについてはどのようにお考えになっていますか。
○大串(博)議員 今お話のありました、小規模な農家の方々の思いだと思うんですね。
私たちは、御案内のように、全ての販売農家で十アール控除をして、やっています。その小規模な農家の方々が、コストが割れてしまって利益は出ないんだけれども、例えば自分の年金収入とかそういうのを充てて、とにかく農業を続けようというような思いで、経済的理由以外のことで営農を続けられているとすると、私たちの戸別所得補償は、先ほど申しましたように、一律の単価を入れて、経済的なインセンティブから集約化を促進していこうというものでございますので、農家の方が、今申し上げましたように、経済的理由以外のことから、集約をしない、あるいは続けておこうかというふうなことになる場合には、それは確かに違った次元の話があるのではないかという気がいたします。ですから、もし集積をするということであれば、そこには違った次元の政策対応をしていかなければならないだろうなというふうに思います。
いずれにしても、私たちが狙って行っている政策というのは、一律の単価を入れることによって、経済的なメリット、経済的なインセンティブから集積を果たしていく、わかりやすくシンプルな仕組み、マーケットをゆがめない仕組みにしている、その面での対応をしているということでございます。
○林(宙)委員 これは、本当に、細かいところをどういうふうに見ていくかというところですね。意地悪な見方をすれば、私が申し上げたような格好になってしまうと思いますし、大分難しいところではあるのかなと思うんです。
きょうは、もうそろそろ時間だと思いますので、ここで質問を終わりますけれども、最終的に何を聞きたいかというと、これはあしたお伺いしますが、予告するわけじゃないんですけれども、要は、小規模の農家の皆さんが農地をどちらかというと積極的に担い手に預けるインセンティブというのが、ポジティブな意味でのインセンティブというのが実はないんじゃないかというふうに思っているところがあるのでということをイの一番にお伺いしたいなというふうに思います。
ということで、きょうは以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
○坂本委員長 次に、畑浩治君。
○畑委員 生活の党の畑浩治でございます。
早速質問に入らせていただきます。
まず、今回、農地の多面的機能の発揮、これがメーンになるということで日本型直接支払いがつくられるわけですが、この事業の効果の検証をどうやって行うかということをお伺いしたいと思います。
というのは、戸別所得補償みたいな収益とコストの間の差額を埋めるものについては、その検証は客観的で容易だと思いますし、そもそも農地の集積ということで見るのであれば、集落営農の推移とか、農業所得の推移とか、農地規模の拡大の推移等のわかりやすい指標で検証ができる。
しかし、農地の多面的機能というのは、いろいろな効果があって、公益機能なわけですから、そこをしっかり客観的に組まなければならないわけです。そこをこれからの政策の柱にして、そして税金を入れる以上、そこの指標の明確化と客観化が非常に重要だと思っております。
そういう問題意識の中で、どのように明確化して客観化していくのか、まず伺いたいと思います。
○三浦政府参考人 お答え申し上げます。
多面的機能支払いにつきましては、第三者委員会の設置を予定しておりまして、その助言をいただきながら、多面的機能の増進を図る活動を含めた施策全体について、その評価方法等に関する検討を行うこととしております。
これまで農地・水保全管理支払いにおきましても評価というのを行っておりまして、これにつきましては、その評価方法等について第三者委員会の助言をいただきながら、実施状況の分析、データですけれども、その分析を行いますとともに、遊休農地の発生の防止の効果、水路や農道等の施設の機能維持の効果、それから景観や生態系等の地域環境の向上の効果、あるいは地域のつながりを通じた地域の活性化の効果といった項目、これらの観点から、集落ですとか市町村に対するアンケートの方式によりまして調査、分析等を行いまして、施策の効果の評価を行ってきたところでございます。
多面的機能支払いにつきましても、こうした農地・水保全管理支払いにおける方法を参考としながら、適切に施策の効果の評価を行ってまいりたいと考えております。
○畑委員 こういうものはしっかり評価するとともに、恐らく数値化することもあるのかどうか。よく、これは公共事業なんかでBバイCと言われますが、特にこういう曖昧なものを評価する場合、定性的なものでいいのか、あるいは相当程度数値も入れて客観化していくのかという議論はあって、そこをどうつくるかというのは悩ましいわけですが、よろしくお願いしたいと思います。
そして、第三者委員会で審査して云々とおっしゃいましたが、これは更問いになりますが、この法律では、第三者委員会なり指標の客観化というのは、何か読めるような根拠規定が入っていますでしょうか。
○三浦政府参考人 お答え申し上げます。
法律の条文上は、そういった規定はございません。
多面的機能支払いは平成二十六年度、本年度から実施を始めておりますけれども、予算措置として行っておりますが、その交付金の要綱におきまして、第三者機関の設置ということが定められておりまして、そこで第三者委員会を設けるという根拠を設けております。
○畑委員 恐らく、法律でしっかり検証するというか、この法案を前提にするとすれば、そういうところの規定も今のを聞いていて必要なのかなと思いましたが、これはこれでしっかり客観化するという議論をまたしていきたいと思います。
次に、質問を移らせていただきますけれども、直接支払制度とは何ぞやという議論を以前させていただきました。直接支払制度、なぜ今回の多面的機能支払いが直接支払いなのかという議論をしまして、そのとき、たしかお答えが、中山間地域等の直接支払制度の例を挙げておられて、これが何か個人に行く部分もあるからとおっしゃったような気がいたします。
この理屈をこの理屈としてやるとした場合の話はまた質問させていただきますが、本来であれば、これは集落に行くのが原則だけれども、それが個人に行くから直接払いだというのは、何となくミスリードさせるような、何となく例外的な制度を直接払いと呼んで、不正確だなと私は思います。定義としては変だとは思うんですが、それはそれとして、それを前提にして議論させていただきたいと思います。
この理屈からいくと、中山間地域等直接支払制度は、平成二十三年度よりですか、集落協定の交付金の交付額のおおむね二分の一以上を個人配分に充てる、だから個人に行くんだということだと思いますが、法制化後、この取り扱いは継続されるのかどうか、されなければ、今の理屈からいえば当然おかしいと思いますが、されるのかどうかが一つ。
あと、ほかの日本型直接支払制度、農地維持支払い、資源向上支払い、環境保全型農業直接支援、これも直接支払いという以上は、同様に多くが、二分の一以上が個人配分に充てられることが私は必要だと思いますが、この基準とか、どのような方針かというのを伺いたいと思います。
○小里大臣政務官 御指摘のとおり、中山間地域等直接支払交付金の使途につきましては、交付額のおおむね二分の一以上を個人配分に充てることを原則にしつつ、最終的には地域の話し合いで決められているところであります。今回の法制化に当たりましても、この基本的な枠組みを維持することとしておりまして、その配分方法についても従来の取り扱いを踏襲してまいることになります。
多面的機能支払いについては、地域の共同活動を支援するものであります。農業者等による活動組織に支払われるものでありますが、その資金の使途についても、この場合も地域の話し合いをもとにしながら、個人が出役をした場合の日当として支払うこと等も想定をされております。
環境保全型農業直接支援につきましては、環境保全効果の高い営農活動を行うことに伴う追加的コストを支援するものでありますが、これも農業者の組織する団体等に支払われるものであります。その使途については、取り組みを行った個人に支払う、要するに個々により強く反映される形になるであろうと思います。
○畑委員 ありがとうございました。
それは、中山間地以外のおっしゃっていた部分も、二分の一以上を個人配分に支払うというところは同じ、変わらないというか、そういうことだと理解していいんでしょうか、その集落の話し合いによってというんでしょうが。集落の話し合いによって、いかような、二分の一になることもあれば、四分の一もあれば、四分の三もあれば、いろいろそこは話し合い次第ということでしょうか。
○三浦政府参考人 お答え申し上げます。
中山間地域直接支払交付金につきましては、今政務官からお答えしたとおり、二分の一以上を個人配分に充てるということが原則であるというふうに書いてございますけれども、多面的機能支払いにつきましては、これは地域の共同活動に対して交付金を交付するということでございまして、その使途として、地域の話し合いで決められる、そういう中で、個人が活動に参加した場合の日当というような形で支払うことも可能である、そういうようなたてつけになっておりますので、中山間直接支払交付金と同じような形で、二分の一以上を個人配分に充てることが原則であるというような規定にはなってございません。
それから、環境保全型農業直接支援につきましては、これも政務官のお答え申し上げたとおり、営農活動に伴う追加コストを直接に支援するということで、基本的に個人に支払うということが想定されているところでございます。
○畑委員 そうなると、物によっては、いろいろ性質があって、個人に行くかどうかはわからない部分もあるというふうな答弁だと理解いたしました。
そうすると、以前もおっしゃっておられました、二分の一以上個人に行くから、実質的には直接なんだという論拠は崩れるのかなと思っております。
つまり、やはり直接払いというのはミスリーディングさせるような用語でありまして、だから法律にも使っていないのかなとは思うんです。言ってみれば、多面的機能支払い、法律上はそうですね、だから直接支払いというのは、私はやはりどうかなと思っておるんですが。
ちょっとそこは、政務三役のどなたでもいいんですが、この前、江藤副大臣が、直接払いはそういうことだとおっしゃっていましたが、直接という定義はどうかなと思うんですが、いかがでしょうか。
○江藤副大臣 前回お答えしたときに、確かに私も認めました、直接農家の懐にお金が入るわけではありませんので、直払いという言い方はいかがかという委員の御質問は理を得ているものだと思いますが、ただ、この中山間地域直接支払いでは、今議論がありましたように、二分の一以上が農家の懐ということで規定をされております。
今回の部分については、それも規定はされておりませんけれども、ただ、地域の話し合い、裁量によって、そういうことも可能となっていくわけでありまして、中山間地域直接支払いという言葉はもう農家の間でも定着しておりますので、日本型という、その特徴を生かす、それを象徴的にあらわす意味で今回は使わせていただくということを私は申し上げているわけであります。
○畑委員 日本型ということで、世界の定義とはちょっと違いますが、そういうことを言って使っていくということだと思います。
本当は、そういう意味では、農家なんかでよく聞くのは、できるだけ個人に配分してほしいというのはよく言われます。そこは、集落のいろいろな話し合いということがあるでしょうから、そういう方向に行きやすいのかどうかということは、行きやすいのかなというか、行ってほしいとは思うんです。そういうことも含めて、できるだけ個人に行って、そして、今までの政策とそんなに大きく変わらないで、個人がもらえるような形でソフトランディングしていくべきだとは思います。
では、ちょっと違う質問をやらせていただきます。
今回、共同活動を前提にして農地維持支払いというのをやっていくということであります。これは、先週、参考人質疑でもあったんですが、東京農大の谷口先生だったでしょうか、農地を農地として維持していくというのは、何も共同活動だけではないのではないだろうか、そこは、共同活動を前提にすることなく支払いをしてもいいんじゃないかという話がありました。
というのは、田んぼは共同で活動しますけれども、何といっても、畑なんというのは別に共同なわけでもない、いろいろな農地の形態があるわけです。そして、個々に払ったって、その費用をもらえば、農地を農地で維持することになるわけです。だから、そこはなぜ共同活動を前提にするのかというのを改めてお伺いしたいと思います。
○小里大臣政務官 我が国では、まず水田を中心に、農業が土地、水のつながりによって地域ぐるみで営まれております。まとまりのある農地を共同で維持することによりまして多面的機能が発揮をされておるところでありますが、近年におきましては、農業者のリタイアあるいは高齢化等によりまして、なかなか、この共同活動で支えられた水路、農道等の生産基盤の維持管理が困難を来しているところであります。
そういったところから、担い手にとっては、例えば規模拡大を図っていっても、なかなか個人では難しいところがさらに出てきておるところであります。こういった負担の増大がネックとなって、規模拡大あるいは構造改革を妨げることにならないように、こういった制度の充実を図っていきたいということでございます。
すなわち、農業の有する多面的機能の発揮を促進するとともに、担い手の負担を軽減し、構造改革を後押しする、そのために、地域のまとまりを尊重して、これを単位として、水路や農道等の管理を支える共同活動に対する支援を充実していこうということであります。
このようなことから、農地維持支払いは、地域の共同活動に着目して支援を行う制度としたところであります。
また、農地維持支払いは、農業者のみの共同活動も支援対象とするなど、畑地等でも取り組みやすい仕組みとしていることから、農道や排水路の管理、鳥獣害防護柵の設置、管理等のさまざまな共同活動が支援の対象となっているところであります。
○畑委員 ありがとうございました。
次に、別の質問をさせていただきたいと思います。
これは、法律云々という話とはまたちょっと違うんですが、中山間地の支援というか、中山間地の農地の流動化について伺いたいと思います。
佐賀の地方公聴会で、農業法人をやっている方が言っておられましたけれども、中山間地の農地というのは、条件が悪くて、受け手も、できれば引き受けたくない。ただ、それが耕作放棄地になったり荒れてしまうのは、これはもちろんよくないわけです。だから、このままにしていいのかどうかということには非常に葛藤がある。
農地中間管理機構ができたわけですが、農地中間管理機構も、当然、借り手がなければ、そこは借りないというスキーム、受けないというスキームになっております。
このようなことをどうやって支援していくかということを考えた場合に、一つとしては、農地の流動化という意味で考えれば、出し手に対する支援というのはできて、そして、農地中間管理機構もできた。ただ、受け手に対する支援がなくなって、中間管理機構ができたからいいということだと思うんですが、そこはなくなった。
これは個人財産の形成ですから、受け手に対して何でもかんでも支援するというのは、もちろん適切ではないと思うんですが、中山間地域の農地を維持するという公益性に鑑みて、こういう一定の条件のもとで、こういう中山間地みたいな中の一定のところは、受け手に対する支援はあるよ、そういう組み方も論理的にはあるのかなという気がします。
もう一つ考えられるのは、佐賀の公聴会で、農業法人をやっている秋吉さんという方でしたが、やはりおっしゃっていましたが、条件不利地のような一定の限定された地域については所得補償を厚くすべきじゃないかと。受け手ということではなくて、そもそもその地域に対して所得補償を厚くしていくべきだと。
そうすると、今の中山間地直接支払いは、今までやったことを大体法制化することだから、それで足りないという趣旨なのかどうかということだと思いますが、地域政策でそういうことを考えていくというのは一つの考えだろうと思います。私も、こうやって聞いていると、今言った二通りの方向性が、講じるとすればあるのかなという気がします。
中山間地の支援をどの程度やるかということですが、耕作放棄地を生まないということであれば、何らかの支援の充実というのは今後考えていかなければいけないのかなという気もしておりますが、どのようなお考えをされていますでしょうか。
○林国務大臣 中山間地域における農業者の支援は大変大事なことでありますが、まず農業の生産条件の不利を補正する、それから農業の担い手の確保に工夫を凝らす、そして農業を核とした地域の活性化を図る、こういうポイントがあろうかというふうに思っております。
まず、生産条件の不利性に関しては、中山間地域等直接支払制度による支援を基本としながら、多面的機能支払い、環境保全型農業直接支援と効果的に組み合わせた取り組みを進めることによって、地域の特色を生かした農業を展開する、こういうことであろうかと思います。
それから、やはりこの流動化を進めるために、農地中間管理機構をうまく活用していく必要があるんですが、中山間地域の場合は、担い手、それから借り受け希望者、人・農地プランをやっても、なかなかこの人というのが見つかりにくいというところもあるわけでございますので、やはり農地中間管理機構を活用する場合でも、地域と機構がよくよく連携して、借り受け希望者の発掘等に創意工夫を凝らす必要があるのではないか、こういうふうに考えております。
例えば、ほかの地域の法人とか、それからリースで参入したい企業、こういうものも積極的に誘致する、こういうところをストックとして持っておいて、こういうところがあるんですが、こういうことをやはり管理機構が積極的に行う、例えば放牧地としての活用を検討する、さらに都市住民の市民農園としての活用を検討する、それから新規就農者の研修農場としての活用を検討する、いろいろな工夫をしていく必要がある、こういうふうに思っております。
それから、農業を核として地域を活性化するという観点からいえば、やはり地域資源を活用した六次産業化、それから交流人口の増加、いわゆる都市農村交流でやっていく、それから農村景観や資源を保存、再生して活用する取り組み、こういうものもメニューがございますので、地域の特性にそれぞれ応じて展開することが重要であると思っております。
以上、三つに分けて申し上げましたけれども、これはやはり地域、地域に応じて総合的に推進していくということが肝要である、こういうふうに考えております。
○畑委員 恐らく、そういうことをするためには、中間管理機構がしっかりと能力を持って、コーディネート機能とかアドバイザー機能を持たなければいけないということだと思います。
地域を歩いていると、やはり中間管理機構の役割は勘違いされていまして、貸したいところはこういう条件の悪いところも原則として引き受けてくれる存在だ、だから助かったと言っているんですが、そこまで甘くないよと言っているわけです。あくまで、それはしっかり活用可能性がなければいけない。
ただ、活用可能性といった場合には、田舎のそういう中山間地は結局活用されないじゃないか、中間管理機構ができたって、できただけで実際には引き取ってくれないんだなというのも不幸なことでして、そこで中間管理機構が、単なるスルーして渡すのじゃなくて、まさにそこで頭脳集団というか、そういうことで付加価値をつけて、いろいろなことをアドバイザーとして誘導していく存在でなければいけないと思いますので、そこはそういうことで、まさに農業のプロ集団という気持ちを持って、しっかり育成して運用していかなければいけないと思います。
そういうことによって、農地中間管理機構が地域で信頼される存在になる。そうしないと、なかなか集約化は進みませんし、難しいことになってしまうと思います。条件のいいところは簡単なわけですが、そういうところをこなしてこそ、中間管理機構の真価が問われると思いますので、よろしくその辺は御指導と運用をお願いしたいと思います。
次に、生産調整について伺いたいと思います。
実は、これは何回も議論させていただいておりますが、私は、やはり行政によらない自主的な生産調整というのがなかなか理解できないわけです、済みません、恐縮ですが。実感できないということです。
これまでの政府の答弁は、きめ細やかな情報提供だと。きめ細やかな情報提供、これが本当に必要なことでありまして、これをもとにみずからが判断できるような仕組みをつくっていくということに尽きるわけです。
これも参考人質疑のときに、私の疑問に対して東大の中嶋教授は、きめ細やかな情報提供というのはまず必須なんですけれども、それプラス、販売先との契約をどれだけ事前にできるか、契約能力、販路開拓能力とか、そういうところだろうと思いますが、そういうことがどれだけできるか、それによって作付に大きく影響する、そういう事前のめどをつける能力、ネゴの能力ということもあるんでしょうが、そういうことがまず必要だ、そういう商慣行の、よりレベルアップするということもあわせて組み込んでいく必要があるんじゃないか、そこの組み込み、仕組み方が必要だと。そのときに、確かに大臣もこれまでそういうことはおっしゃっていただいたと思いますが、生産者団体がどのような役割を果たすのか、そして流通業者の方たちがその人たちとともにどのように対応するかということがポイントになると。
まさに、ここをどうやって組んでいくかという政策面の仕組みが必要だと思います。そこが、こうやっていくと言っていただいて、わかれば、もうちょっとすっきりするんです。本日は、そういうことを聞きたいわけです。
ちなみに、もう一つ、同じ質問に対して、東京農大の谷口教授は、きめ細やかな情報提供で生産者団体が自主的にやっていける、生産者が自主的にやっていくということは理想で、それが本当はいいことだと。それはそうです。ただ、実際には難しいだろう。だから、公的な関与は私は必要だと思うし、残らざるを得ないのではないかと。なぜ公的な関与がうまくいくかというと、これは、生産調整とリンクしているかどうかは別として、補助金があるからだと。補助金がない純粋民間だとアドバイザー機能だけになるから、なかなかそこはうまくいかないんじゃないかということをおっしゃっておりました。
そこに対してどうお答えになるか。端的には、まさに前者のことに対してお答えいただきたいんですが、生産者団体及び流通業者の役割というものをどうやって今言ったような形で組んでいくような施策の支援、展開をしていくのか、そこをお伺いしたいと思います。
○林国務大臣 大変大事なポイントだ、こういうふうに思っております。
我々が今回決めたものは、五年後を目途に、行政による米の生産数量目標の配分に頼らないで、農業者が、集荷業者、団体と一緒になって、マーケットを見ながらみずからの経営判断や販売戦略に基づいて需要に応じた生産、販売ができる環境整備を進める、こういうことになっております。
具体的には、この間も申し上げたかもしれませんが、全国の需給見通しを出す、県内の米の売れ行きの情報を出す。それから、各地域で水田フル活用ビジョンをつくってもらう。こういうことを踏まえて、主食用と非主食用をどういう作付にするか、麦、大豆についてどういうふうに作付するか、こういうことに関して、やはり生産者と集荷業者、これが相談をして決定をする。それから、みずから販売をしている生産者は主体的な経営判断に基づいて決定するということが想定をされるわけで、こういうことができるような環境整備を進めるということでございますので、何か、情報だけ出しちゃったら全部やるということではなくて、いろいろな集荷業者、団体が生産者と一緒になってやる場合が想定されるわけです。
したがって、国において、水田活用の直接支払交付金や産地交付金の充実を図る、それから、全国ベースはもちろんですが、県レベルでの販売進捗、在庫、価格、毎月こういうものを出していくということで、例えば、今つくっていらっしゃる銘柄の米の売れ行きがそれほど伸びていかないので、二十六年産の生産を少し減らそうとか、新しい銘柄の米の価格が上昇しておるので売れ行きがよい、二十六年産は生産をふやそう、こういうような主体的な経営判断とか集荷業者、団体の販売戦略、こういうものが出てくると思います。
やはり、基本的に米が一つの値段の単一のコモディティーである、こういうふうに考えると非常に難しいわけですが、御家庭でいただける有名になったいろいろなブランド、こういうものもあれば、中食、外食用のボリュームゾーン、いろいろな需要が出てきておるわけでございますので、そういういろいろな需要に対応して、生産者、集荷業者、団体、こういう方々の販売戦略がきめ細かく行える、そういうことをしっかりとバックアップしていく、こういうふうに御理解をいただけたらというふうに思います。
○畑委員 そうすると、結局、従来型の意味での行政の公的関与はなくなるけれども、やはりコーディネート機能、アドバイザー機能、そしてバックアップ支援機能と、ソフトなそういうものが残るというイメージですね。確かに、そういうことも含めてしっかり支援できる体制をとらなければいけないという問題意識を私も持っていますので、そこはそういうことでやっていくべきだろうと思います。
戸別所得補償はなぜいいかというと、私はそこがシンプルでいいなと思っていまして、実質、生産調整に参加すると支払われるというインセンティブを与えて、あめを与えて生産調整をやるという選択制とも言える制度なので、結局、シンプルで客観的な中で生産誘導の仕組みが入っているという意味で非常にわかりやすいなとそこは私は思っています。
そこの合理性から見ると、確かに、単なるほうっておくのではなくて、アドバイザー、バックアップをやるというのはわかりましたが、何となくそこの手段、手法がないという、ちょっとそこはすっきりしない部分があるのと、そこはしっかり、まさに行政も含めて、経営判断、将来の需給見通し、そこの能力はかなり磨かなきゃいけないという部分があるので、ある意味で、こういう補助金とか誘導でやったよりも難しいのだろうなと思っています。
そこが恐らく、私もすっきりしませんが、実際農業をやられる方も、ほっぽっておかれないことはわかったけれども、しかし、本当に行政が的確に、民間の商社みたいな形でしっかり見ながらやっていく能力があって、本当に我々を誘導してくれるのか。誘導してくれるというのがいいとは言いませんけれども、本当は自主的にやらなきゃいけないんですが、自主的なことを前提に、自主性を発揮させてもらいながら、しかし、そこはうまく支援してもらえる、そういうことになるのかというのが、不安なのだろうなと思います。
それで、もう一つ、その関係でお伺いしたいんです。
農協改革が、今議論になったり、先日、日経新聞にも載っていました。これをやっていくためには、以前も質問しましたが、まさにJAが、行政同様、かなり経営能力と需給見通しの専門家集団に生まれ変わらなければいけない。
ということは、まさに規制改革会議で言われたような観点からだけではなくて、そうではなくて、必要なのは、まさに米の生産調整を実質廃止した中で農協に負うべき部分が大だとすれば、そういう能力を発揮させて強くしていく、強化するための農協改革であらなければならないと思っています。
そこの農協改革との関係というのは、どのようにお考えでしょうか。
○林国務大臣 さすが畑委員の質問の組み立てはよくできておられるなと思いながら、今聞かせていただきました。
まさに、先ほどのようなことをやっていこうということになれば、農協の販売戦略、販売力、こういうものが非常に今よりも大事になっていくわけでございます。
もとより、この生産調整の見直しがなかったとしても、そもそも協同組合としての農協のスタートは何であったかということを考えれば、有利販売と、それから有利な資材の購入によって農業者の所得を向上させる、そのためにみんなが集まって協同組合をつくろう、これがそもそものスタートでございますので、まさに農産物販売等に最重点を置いて積極的に農協が取り組むためにどうしたらよいか、経済事業をみずから農協が工夫して展開するにはどうしたらよいか、その際、連合会や中央会が農協の努力をどうやってサポートするか、こういうことをやはり真剣に検討しまして、農業者、特に担い手の皆さんに評価される組織、こういうふうになっていく必要がある、こういうふうに考えております。
規制改革会議等でも議論が行われておりますけれども、今申し上げたような考え方で、しっかりとこの改革の議論をやってまいりたいと考えておるところでございます。
○畑委員 ありがとうございました。
農協改革は私も必要だと思います。今の農協の状態でいいわけではありませんので、しっかりと機能する農協をつくっていただきたい、そういう意味での改革をしっかり進めるべきだと思います。
時間が参りましたので、これで終わります。ありがとうございました。
○坂本委員長 次回は、明十六日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会します。
午後五時三分散会