第15号 平成26年5月21日(水曜日)
平成二十六年五月二十一日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 坂本 哲志君
理事 北村 誠吾君 理事 齋藤 健君
理事 谷川 弥一君 理事 宮腰 光寛君
理事 森山 裕君 理事 大串 博志君
理事 村岡 敏英君 理事 石田 祝稔君
安藤 裕君 井野 俊郎君
池田 道孝君 小里 泰弘君
加藤 寛治君 金子万寿夫君
川田 隆君 菅家 一郎君
國場幸之助君 清水 誠一君
末吉 光徳君 鈴木 憲和君
田畑 毅君 高橋ひなこ君
武井 俊輔君 武部 新君
津島 淳君 中川 郁子君
中山 展宏君 比嘉奈津美君
福山 守君 藤井比早之君
堀井 学君 簗 和生君
山本 拓君 渡辺 孝一君
後藤 斎君 玉木雄一郎君
寺島 義幸君 鷲尾英一郎君
岩永 裕貴君 鈴木 義弘君
村上 政俊君 稲津 久君
樋口 尚也君 林 宙紀君
畑 浩治君
…………………………………
農林水産大臣 林 芳正君
内閣府副大臣 後藤田正純君
農林水産副大臣 江藤 拓君
内閣府大臣政務官 小泉進次郎君
農林水産大臣政務官 小里 泰弘君
政府参考人
(内閣官房内閣参事官) 渡辺 哲也君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 内山 俊一君
政府参考人
(消費者庁審議官) 岡田 憲和君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 五嶋 賢二君
政府参考人
(農林水産省消費・安全局長) 小林 裕幸君
政府参考人
(農林水産省食料産業局長) 山下 正行君
政府参考人
(農林水産省生産局長) 佐藤 一雄君
政府参考人
(農林水産技術会議事務局長) 雨宮 宏司君
政府参考人
(水産庁長官) 本川 一善君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 谷 明人君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 大庭 靖彦君
農林水産委員会専門員 栗田 郁美君
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委員の異動
五月二十一日
辞任 補欠選任
中川 郁子君 田畑 毅君
橋本 英教君 藤井比早之君
同日
辞任 補欠選任
田畑 毅君 中川 郁子君
藤井比早之君 中山 展宏君
同日
辞任 補欠選任
中山 展宏君 高橋ひなこ君
同日
辞任 補欠選任
高橋ひなこ君 安藤 裕君
同日
辞任 補欠選任
安藤 裕君 比嘉奈津美君
同日
辞任 補欠選任
比嘉奈津美君 國場幸之助君
同日
辞任 補欠選任
國場幸之助君 橋本 英教君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
特定農林水産物等の名称の保護に関する法律案(内閣提出第八一号)
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○坂本委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、特定農林水産物等の名称の保護に関する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省消費・安全局長小林裕幸君、食料産業局長山下正行君、生産局長佐藤一雄君、農林水産技術会議事務局長雨宮宏司君、水産庁長官本川一善君、内閣官房内閣参事官渡辺哲也君、内閣審議官内山俊一君、消費者庁審議官岡田憲和君、外務省大臣官房審議官五嶋賢二君、経済産業省大臣官房審議官谷明人君及び国土交通省大臣官房審議官大庭靖彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○坂本委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中川郁子さん。
○中川(郁)委員 北海道十一区、自由民主党、中川郁子でございます。
私の住んでいる北海道十勝地域は、自給率一一〇〇%を誇る農業地帯でありまして、農業に関連のある産業も多くございます。二次、三次産業の皆さんも非常に関心の深いところでありますが、早くからフランスのAOC、原産地呼称保護制度に高い関心を示し、研究を続けており、一日も早くこの制度ができますように望んでおりました。
そういう中で、この質問の機会をいただきましたことに心から感謝を申し上げる次第であります。
法案に関する質問の前に、てん菜、ビートの緊急事態対応についてお伺いをしたいというふうに思います。
北海道における輪作体系の重要な一翼を担っているビートでありますけれども、農林水産委員会の議論を踏まえて、今年度から基準糖度の見直しを行っていただきました。
制度改正を機に、作付面積の減少に歯どめをかけるべく、生産者が鋭意取り組んでいただいた地域に大変な冷害がありました。四月下旬の大寒波で風害や凍霜害をこうむり、急遽、苗、種、そして労働力を確保して、補植、移植、直播を行っており、やむを得ずほかの作物へ転換した圃場も含めると数百ヘクタールあるというふうに聞いております。意欲的に取り組んだ地域ほど被害が大きいなど、せっかくの増産意欲を著しくそぐ結果になっており、適切な対策が必要というふうに考えております。
そこで、四月の寒波によるてん菜の被害の状況と、その対策について答弁をお願いいたします。
○佐藤政府参考人 お答えいたします。
今、中川先生の方からお話がございましたように、北海道のてん菜でございますが、ことしの春作業は、全体としてはおおむね順調に推移してきたところでございますが、四月二十八日から三十日にかけまして、強風、そして霜の被害によりまして、十勝地方を中心といたしまして移植てん菜の苗が枯れる、こういった被害が発生したところでございます。
この被害の状況や程度につきましては、まだ生育の初期段階でございますので、一概には申し上げられないものの、市町村からの報告に基づく北海道庁の取りまとめによりますと、十勝管内の十七市町村合計で千九百五十四ヘクタールのてん菜に影響が生じたとされておるところでございます。
こうした状況に対しまして、現地におきましては、苗の補植、あるいは再移植、直播栽培への切りかえ等の対応が行われているところというふうに聞いておりまして、てん菜糖企業の団体からは、既に九割の畑で補植等の対応を実施済みとの報告を受けているところでございます。
この被害でございますが、畑作物共済におきまして、凍霜害等で枯死するなどにより、一定規模以上の再移植や再播種を行った場合には、栽培経費の増加を損失と見まして共済金の支払い対象となっておりまして、現在、農業共済組合が、農業者の申告に基づきまして損害評価を実施しているというふうに聞いておるところでございます。
今後とも、現地と連携を密にいたしまして、今後の天候の状況、生育の推移、こうしたものにつきまして十分注視していきたい、このように考えているところでございます。
○中川(郁)委員 ぜひよろしくお願いいたします。
さて、本題に入りたいというふうに存じます。
ヨーロッパの例を見てもわかるように、適切な地理的表示保護制度を導入することにより、特定農林水産物の生産が振興され、農林水産業にとどまらず、食品加工業、観光産業にも好影響を及ぼしているというふうに思います。提案理由にもありますように、アベノミクスの成長戦略の重要な柱となり得るものというふうに考えております。
十勝地域は、先ほど質問させていただきましたビート、てん菜に代表されますように、主に原材料の生産地域であります。加工されて消費者に渡るということから、消費者に直接、十勝の名前を知っていただきたいという思いが強く、原産地呼称制度に早くから関心を持っております。
十勝ブランドについては、とかち財団の十勝ブランド認証、帯広商工会議所のMyとかち推進会議などが、海外の事例も調査しながら、取り組みを進めておりました。また、一昨年、平成二十四年六月十八日には、十勝品質の会が設立され、活動を集約化させつつ取り組んでまいりました。会長には商工会議所の副会頭が就任をするなど、まさに地域を挙げて取り組んでおりますし、農林水産省からの補助金もいただいて、支援をいただいております。
週末、地元に戻りますと、関心を持っておられる方々から、この制度についてのいろいろな質問や御意見を頂戴します。地域活性化にも大きく貢献する制度として、地元十勝も大変期待をしているところでございます。
そこで、攻めの農業確立のため、確固たる地域ブランドの創設、活用という視点から質問をさせていただきたいというふうに思います。
まず、第一番目の質問です。
農産物の地理的表示については、長年検討が進められてきたというふうに承知しております。法案提出までこぎつけられたことに敬意を表したいというふうに思います。そして、商標など既存制度ときっちりとすみ分けしつつ、バランスのとれた制度とすることが求められるのではないかと思います。地域団体商標制度等、既存制度と比較した本制度の特徴についての御説明をお願いいたします。
○山下政府参考人 既存制度との比較に関しての御質問でございますけれども、我が国には、地域で長年培われた特別の生産方法や、気候、風土、土壌などの生産地の特性により高い品質と評価を獲得するに至った、いわゆる地域ブランド産品が数多く存在しているところでございます。
本法案による制度は、これらの地域ブランド産品の価値を、地域の共有財産として公的に保護することに主眼を置いて構築しておるところでございまして、この点が他の知的財産制度と比べて特徴的なものになっていると考えております。
具体的に申し上げますと、本法案による制度は、既存の知的財産制度と比較しまして、農林水産物の特性とともにその名称である地理的表示を登録し、定められた基準を満たさない者は地理的表示を使用することができないこと、また、特定の権利者は存在せず、地域の生産者全体で地理的表示が使用できること、さらには、フリーライド、模倣品等の地理的表示の不正使用を、地域みずからではなく、国が取り締まること、こういった特徴があると考えております。
○中川(郁)委員 ありがとうございます。
次に、海外、特にヨーロッパの制度との比較について質問させていただきます。
フランスのAOCから発展をしたPDO、原産地呼称保護制度と、生産、加工、調製のいずれかが特定地域内で実施される地理的表示保護、PGIとの比較になろうかと存じます。十勝品質の会における研究でも、長野県産ワインの例のように、厳格な基準を設けることにより、高い信頼を得て付加価値はつくられているのではないかと考えますが、この視点から、本法案とPDO、PGIとの比較をしていただき、本制度の特徴を明らかにしていただきたいと思います。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
中川先生御指摘のとおり、EUの地理的表示制度については、PDO、いわゆる原産地呼称制度、それからPGI、地理的表示制度が存在するわけでございます。
PDOについては、その産品の生産、加工、調製の全てがある地域で行われていることを求めるものでございますが、PGIについては、その産品の生産、加工、調製のいずれかがある国で行われていることを求めるものとされているところでございます。
本法案による制度の設計に当たっては、我が国になじみのない制度であり、シンプルな制度とすることが求められ、また、幅広い生産者が利用できる制度とする必要があること等から、EUのPGIと同様な仕組みとしたところでございます。
なお、PDOのように、その産品の生産、加工、調製の全てがある地域で行われているものについては、その地域の経済への波及効果もより大きいものと考えられるところでございますけれども、まずは幅広い生産者が利用できる地理的表示の普及、定着に努めるとともに、今後、登録の動向等の施行状況を踏まえて、必要な措置を検討していきたいと思っております。
○中川(郁)委員 ありがとうございました。
続いて、各論について、具体例を踏まえながら質問を進めていきたいというふうに思います。
まず、お手元に新聞を配らせていただきました。「北海道を元気に」という新聞記事でございますが、北海道内には、高品質なチーズづくりに意欲的に取り組んでおられる生産者がたくさんいらっしゃいます。その中で、昨年六月に、北海道内の先進的な生産者が六人で話し合い、北海道高品質チーズ生産者標準というグループを設立しました。
この六人の皆さんでありますけれども、道東であります白糠、興部、中札内、新得、幕別、そして道央のニセコの生産者も含まれていまして、地域的なばらつきもございます。このグループの皆様は、こういう冊子もつくっておられまして、青カビタイプ、ウオッシュタイプ、それぞれについて、生産工程や品質の違いなども詳しくこの中に書いてあるわけであります。
このグループの皆さんでありますけれども、生産、加工、調製全てを地域内で行い、統一ブランドの新製品を開発しようとしています。北海道○○チーズ(仮称)として本制度で登録しようとする場合、留意すべき点について御説明をお願いします。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
地理的表示の登録に当たっては、地域とのつながりをどのように整理するのか、また、名称を含め、既存の産品との関係をどのように整理するのかというのは大きな課題だと考えております。
まず、地理的表示の登録の申請に際しまして、特定の地域を生産地とすること、それから、品質、社会的評価等の確立した特性が専ら生産地に由来することの二点が必要とされるということでございますので、新たに開発する産品がこのような地域とのつながりを獲得し、ブランドを形成するに至るまでには、比較的長い期間が必要になろうかと思っております。
また、既存のチーズとの関係については、登録を受けようとする北海道○○チーズというような名称が、一定の品質、社会的評価を伴ったチーズを示す名称として固定され、他のチーズには使えなくなることについて、関係する生産者間で意識が共有される必要があると考えております。
このような点も含めて、生産者の範囲や生産方法、産品の特性などの基本的な事項について合意が形成されるように留意する必要があるのではないかと考えております。
○中川(郁)委員 ありがとうございました。
次に、地域内のブランドの競合についての質問をさせていただきたいというふうに思います。
十勝品質の会でも、生産、加工、調製、全てについて十勝にこだわった商品ブランドを確立しようとしています。やはり厳しい生産基準を設けることで、消費者の信頼を安定的に獲得しようとするものであるというふうに思います。
ところが、この法案の内容を見ますと、原材料が輸入品であって、十勝で調製のみを行った製品も十勝ブランドとすることが可能になるものであるというふうに理解しております。本制度では、内容、水準の高さではなく、先に申請をした方が優先的に登録をされるという理解でよろしいのでしょうか。
私の問題意識としては、この運用を誤ってしまうと、自給率一一〇〇%を誇る地域で自給率〇%の十勝ブランドが販売される皮肉な事態も予想され、せっかくの制度の信頼を揺るがしてしまうことになるのではないかということです。お考えを聞かせてください。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
いわゆる複数の申請があった場合ということでございますが、本法案において、産品が満たさなければならない基準を地域で話し合った上で、明細書に定めていただくこととしております。
地理的表示の登録申請があった場合は、申請の概要が公示されることになります。この公示期間中に対象産品の重なる別の申請があった場合、最初の申請に対する第三者からの意見書の提出として取り扱われることになります。
このため、最初になされた申請の審査過程において、他の第三者からの意見書と同様に、後からなされた申請の内容も踏まえて、申請書の内容の修正が図られていくことになると考えております。
さらに、申請内容については、対象産品の生産の実態等について知見を有する学識経験者からの意見聴取手続を経て、公平な審査を行い、国として保護に値すると認めるものを登録することといたしております。
○中川(郁)委員 ありがとうございました。
次に、全国的に関心が深い問題に移らせていただきたいというふうに思います。
きのうも肉牛事業協同組合の皆様方の勉強会に出席をさせていただきまして、皆さんがいろいろな不安をお話をされておられました和牛の問題であります。
この制度は、諸外国及び国際的な制度と親和性、調和を有する必要があるというのは言うまでもありませんし、そこは理解をしているつもりです。また、地理的表示保護制度の導入により、海外における模倣品対策がこれで全て解決されるわけではないということも理解をしています。海外模倣品対策としては、短期あるいは中長期的にとるべき対策を十分に検討する必要があるというふうに思っています。
その上で、従前から深刻な課題となっております、EUなどにおける、いわゆるWAGYUブランドへの対抗には、この制度は適用できないという理解でよろしいでしょうか。質問いたします。
○小里大臣政務官 昨年、党や政府において決定をしました農林水産物・食品の国別・品目別輸出戦略に基づきまして、従来の輸出促進ロゴマーク、いわゆるおいしいマークや和牛統一マーク等のロゴマークを活用して、ジャパン・ブランドの売り込みを図ってきたところでございます。
今般、これに加えて地理的表示制度を創設して、品質や生産方法など、一定の基準を満たす産品について、地理的表示、そしてGIマークを使用できる仕組みを構築するわけであります。これによりまして、こういった表示、マークが使用されている産品であれば、国として認められた一定の品質が備わっていることを対外的にも示すことができるようになるわけであります。
このため、今後におきましては、この制度の創設後におきましては、従前のこういったマーク等の使用をすることで、ジャパン・ブランドとして売り込むことに加えまして、新たに創設されるGIマーク、これはこれまでの民間のマークとは違って、公的にもまた法的にも担保される制度となるわけでありますから、併用していくことで、国外で生産された和牛を名乗る製品との差別化を図っていこうということであります。
○中川(郁)委員 ありがとうございました。
法律が成立し施行された後には、制度の着実な定着、活用のために、必要な予算の確保、権利を保護するための人員確保などの体制の整備を図っていただくとともに、先ほど政務官のお話にマークということがありましたけれども、消費者の皆さんがすっと手が伸びやすくなるようなすばらしいロゴを作成していただくなど、万全の対応を講じていただくように、ぜひ大臣の御決意のほどを伺いたいというふうに思います。お願いいたします。
○林国務大臣 本制度は、今御質問いただいたように、大変大事な制度でございます。着実な定着と活用を実現するために、生産者、関連業者、それから消費者の皆さんに対する制度の十分な周知、それから何よりも不正使用への厳格な対応、これを通じた信頼の確保が重要であると考えております。
周知については、生産者の皆さんが本制度を十分に理解し活用できるように、申請に当たって助言などの支援を行うとともに、小売流通業者、消費者に対しても地理的表示マークの周知を行うなど、施行に向けてしっかりと準備をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
また、不正使用でございますが、これに対しては、地理的表示産品の登録状況も踏まえて、農林水産省の地方出先機関の職員の活用も含めまして、しっかりと対応していけるよう、引き続き検討してまいりたいと思っております。
○中川(郁)委員 力強い決意を伺って大変心強い、このように思います。
この制度を活用することによって、農林水産物の生産が振興されるとともに、地域振興、町おこしになることを強く望んでおります。食品加工業、観光産業にもぜひ好影響となりますような制度の運用をお願いしたいというふうに思いますし、アベノミクスの成長戦略の重要な一つでありますと同時に、地域の津々浦々、そして国民のお一人お一人がこの制度ができてよかったなと実感できるような制度を強く望んでおります。
きょうは、質問の機会をいただきましたこと、本当にありがとうございました。
○坂本委員長 次に、津島淳君。
○津島委員 自由民主党の津島淳です。
中川郁子先生の美声に聞きほれておりましたら、いつの間にか質問が終わっておりました。うっかりしておりました。気を引き締めて、質問させていただきたいと思います。
本日は、特定農林水産物等の名称の保護に関する法案質疑に当たり、質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。林農林水産大臣、江藤副大臣、小里政務官を初め役所関係者の皆様、また坂本委員長初め理事、各委員の皆様に厚く御礼申し上げます。
本法案の意義等、今、中川郁子委員から御質問がございました。これから質問させていただく内容は、一部重なる点もあろうかと思いますが、何とぞよろしくお願い申し上げます。
さて、本法案は、地元に帰りましても、大変強い関心をいただいております。また、幾つかの御意見や御質問も地元で頂戴して、この質疑に臨んでいるところでございます。
皆様が、ふるさとを離れて、ふるさとを強く感じるというのは、行った先で地元の農林水産物に接したときではないかと思うんです。
日本には、地域の気候や伝統的な生産方法により、特色ある農林水産物及び加工品が多くございます。各地にございます。青森では、青森リンゴ、大間のマグロ、私の地元は竜飛のマグロを売り出しているんですが、それから、たっこにんにく、ふかうら雪人参など、いろいろ売り出そうとしております。
私自身、スーパーに行くのが結構好きなんですが、そこのスーパーへ行って、リンゴやニンニクが青森産だと、やはり非常にうれしいです、率直に。ましてや、外国に行ったときに青森のものが置いてあると、本当にうれしい、そういう気持ちがございます。皆さんも、恐らくそういう気持ちは同じなのではないかと思うんです。
これらの特産物を国内外においてブランド化し、消費の拡大を進め、もって生産者の意欲と利益の増進につなげることがまず大事である。また、地名と結びつけることで、その地名の認知度を上げるという効果も私はあろうかと思っております。また、そのブランドを消費者が容易に選べるマークをつけることで、そのマークでにせものを排除していく、この効果も非常に重要だと思います。という意味で、この法案は、現在国が進めている攻めの農林水産業、とりわけ輸出倍増戦略において大きな意義を持つと私は考えます。
さて、そろそろ質問に入らせていただきたいんですが、現在、全国各都道府県では、各地域の農林水産物の輸出拡大に向けてさまざまな取り組みが行われております。
我が青森県も、リンゴを初めさまざまな農林水産物を青森ブランドとして売り込むべく、取り組みを強化しているところでございます。先日も、県として、マレーシア、シンガポールで青森県産品フェアを開催したところです。そのフェアでの現地バイヤーの声は、青森県として、もっと頑張らなきゃいけないな、一層の取り組み強化をしなきゃいけない、そういう決意をするものでございました。といいますのも、現状では、青森産よりも日本産として売ってほしい、そういう声だったんですね。
そういうような輸出先の声や、また、国としてもジャパン・ブランドというものを今前面に出しています。そうやって売り込みを強化していくことと、この法律案、地理的表示というものを保護していく、その目的とどのように整理されているのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
また、地理的表示、GIとしてどのような名称を想定されているかも私は非常に気になります。例えば、実際、青森県のリンゴの産地というのは、青森市の浪岡地区であったり、黒石市、弘前市、板柳町、五所川原市など複数の自治体ですね。自治体名をブランドとして前面に出したいという自治体のお考えもあるでしょう。でも、自治体名ではなく、津軽という旧国名をGIとする場合もあろうかと思います。こういった点についてもお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○江藤副大臣 お気持ち、よく伝わります。
私も、スーパーに行って、宮崎ピーマンとか書いてあると、やはり非常にうれしくて、ああ、この東京にまで宮崎のピーマンが来ているなというふうに思います。
昨年、香港に行ったときに現地のスーパーにも行ったんですけれども、オーストラリア・ビーフと日本の牛肉が並んで売っておりました。グラム当たり千円ぐらい高かったですけれども、買いに来たおばさんに、どうですかというふうに、手にとっていましたので声をかけてみたら、私はリピーターなのよ、これは食べてみたけれども、おいしかったから、また買いに来たの。私は、ありがとうと。そして、そこにあったものをおまけで、これは私からのプレゼントですから、ちょうど宮崎のサツマイモも売っていまして、これは私からのギフトですから、また近所のおばちゃんたちにもぜひ宣伝をしてくださいというふうにお願いしたことを思い出しますので、先生のお気持ちはよくわかります。
ですから、言われましたように、牛肉の世界も、佐賀牛とか米沢牛とか神戸ビーフとかいう売り方じゃなくて、和牛として売れ、日本国の牛肉として売れ、そういう戦略は確かにあったんですよ。そうでないと、オーストラリアのように統一して、いわゆるWAGYUですか、そういう売り方をしているところにフリーライドされて、和牛というと、もしかするとオーストラリア・ビーフを指すんじゃないかという風潮も世界ではないことはない。
ですから、大臣ともお話をさせていただくんですけれども、こういう場合については、我々はジャパニーズ・ビーフという売り方をした方が、逆にWAGYUで押されちゃっているので。
それに加えて、今度のGIで、佐賀ビーフ、宮崎ビーフであるとか、ほかの産品であっても、青森のリンゴであるとか、そういったものに特化をしていくと、国としてちゃんと今度は保護していくわけであります。その地域が、大臣のもとでもう五百日以上たちましたけれども、地域の宝を発掘する作業というのをずっと地道にやってきました。地域には宝が埋もれているのだ、その宝にさらにブランド力をつけるのがこのGIということであります。トータルパッケージとしてジャパンを売り込むのに加えて、ジオグラフィカル・インディケーションがつくということであれば、さらに、日本の中の特にこれが欲しいということに加えて、今度は地域間の競争も生まれてくると思うんですよ。例えば、同じリンゴでも、青森に負けてたまるものか、牛肉でも、宮崎に負けてたまるものか、そういった地域間の横にらみの水平的な競争も生まれてくることによって、活力も生まれてくる効果もあるのではないかというふうに期待をしております。
○津島委員 ありがとうございました。
どのような名称で登録するのかというのは、戦略的に、それぞれの地域ごとにコンセンサスを得ながら、また国とも御相談をしながら決めていくことが大事なのではないかということを私は感じさせていただきました。
続いての質問ですが、具体的な申請の手続について幾つかお尋ねいたします。三つほどお尋ねいたしますので、その三つを一括してお答えいただく形でもよろしいでしょうか。
まず、一つ目です。申請手続に当たって、申請者の経済的負担の軽減であるとか、それから手続自体がなるべく簡便であることが大事だと思います。この点についていかがお考えか、お聞きしたいと思います。
二つ目は、申請から登録まで、どの程度の期間を想定されているのか、お聞きしたいと思います。
三つ目が、当初登録した内容を後々変更することについてはどう整理されているのか。例えば、当初登録時に、その生産者団体、登録した団体、グループに入らなかった。まあ、よくあります。あいつとはちょっと一緒にやりたくないと思って、最初は加わらなかったんだけれども、いや、何かやってみたら思いのほかうまくいっているから、後から入りたいという後出しじゃんけんみたいな話は結構あると思うんですが、そういった場合に、後から入りたいと生産加工業者さんが申し出てきた場合どうなるのかという点をお尋ねしたいと思います。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
まず初めに、申請者の経済的負担の軽減とか、いわゆる手続の関係でございます。
本制度の設計に当たっては、中小零細の農林漁業者を含めた幅広い生産者が利用できる制度とする必要があるとの考え方で、申請に際して手数料を取らないということとしております。そういったことで、他の知的財産権と比べて軽い経済的負担での登録を可能にしているということがございます。
それから、地理的表示の登録申請がスムーズに行われるためには、申請書類の記載方法に対する助言等がなされることが必要と考えておりまして、制度の施行に向けて支援の仕組みについても検討してまいりたいと考えております。
それから二点目の、申請から登録までの期間の話でございます。
本制度上、地理的表示の登録申請を受けてから、農林水産省としても申請内容の審査を行うとともに、三カ月間にわたる第三者からの意見書の提出の手続ですとか学識経験者からの意見聴取、こういったものを行うこととしていることから、これらの手続を適正に行うための期間が必要でございます。ということで、具体的な審査期間は案件により異なると考えております。
いずれにしましても、施行に向け必要な審査体制を整備するとともに、運用に当たっては、迅速な審査に努めてまいりたいと考えております。
それから、後から地理的表示を使用しようといった場合の手続でございます。
それも含めまして、登録された内容の変更についてでございますけれども、登録後の事情によって、登録された産品の特性の変化などが生じることがあり得ることから、生産地の範囲や特性などの変更登録を行うことができるようにしております。
このような変更登録は、地理的表示の登録の際と同様に、第三者の意見書提出、それから学識経験者の意見の聴取の手続を踏んだ上で、農林水産省において審査を経て行うこととしております。
また、地理的表示は地域全体の共有財産であり、地域内の全ての生産者が地理的表示を使用することができるものでございます。このため、登録時に生産者団体に加入していない生産者であっても、事後的に生産者団体に加入すれば、何らの法的な手続を経ることなく、加入の時点から、基準に従って生産された産品について地理的表示をすることができる、かようになっているところでございます。
○津島委員 ありがとうございました。大変丁寧にお答えいただきまして、よくわかりました。
次に、本法律案の立法目的を達成いたしまして、特に生産者の利益につなげるためには、これから申し上げます二つの点が重要であると私は思っております。
第一に、小売流通業者などの関連産業への周知ということです。
せっかくのGI標章をつけた商品がスーパーの陳列棚の下の方にあっては、これはいけないと思うんですね。買い物に来る奥様方の目線の先に、やはりGI商品を置いていただかなければいけないと思うんです。また、さまざまな形で、スーパーなりがGI商品を大いに宣伝していただかなきゃいけないというふうにも思っております。コーナーを設けるとかということもあると思うんです。
第二に、消費者の皆様への周知ということも大事だと思います。
小売流通業者さんが大いに宣伝をしても、そして、今商品コーナーを設けるということも申し上げましたが、それを設けたとしても、肝心の消費者がGIマークが何なのかということがわからなければ、奥様方がわかっていなければ意味がないということですね。
この点については、地元の青森県の関係部局もそういった意見というものを私のところに持ってきたものですから、ぜひともこの点についてお考えをお聞きしたいと思っております。よろしくお願いします。
○小里大臣政務官 大変大事な御指摘であると思います。
生産者にとっては、生産した農林水産物、食品の質に見合った利益を得られるようにするとともに、消費者にとっても、品質の高い農林水産物、食品を容易に選択できるようにする、ここが眼目であると思っております。
そのような制度の趣旨を実現していくためには、御指摘のとおり、制度の内容はもちろんでありますが、登録されている産品、統一マークについて、消費者が容易に確認できるようにすることが重要と考えております。
当省としましても、小売流通業者等の関連業者、そして消費者への周知を図ってまいりたいと思います。
○津島委員 ありがとうございます。
いろいろな媒体でもってメディアの露出をふやして、また、マーク自体も、洗練されたといいますか、一目でわかるようなマークをお考えいただければと思います。
それでは、ちょっと視点を変えた質問をさせていただきたいと思います。
この地理的表示というのは知的財産の保護ということにつながると思うんですが、知的財産については、フリーライダー、模倣品の問題がございまして、この法案でも、それにどう対応するかというのがまた一つ立法目的に入っているかと思います。この点に関連して、我が青森県が経験した事例に即してこれからお尋ねをしたいと思うんです。
それは、中国による、青森、中国語でチンセン、それから、青に水三つと書いてチンミャオ、この商標の問題です。
まず、簡単に事のてんまつをお話し申し上げます。資料がお手元にあるかと思いますので、御参照いただきたいと思います。
まず、表が、「中国による「青森」商標登録問題」とタイトルが打ってあるところがそうでございます。
平成十五年五月、中国において、青森という商標が農林水産物で四件、衣服関係で一件出願されていることが確認されました。この衣服関係というのは防水服なんですが、青森と何の関係があるのかよくわかりません。それで、県は関係団体と共同で異議申し立てを行い、平成十九年末から平成二十年三月末にかけて、中国商標局が五件全ての案件について青森県側の主張を認める裁定を下したものでございます。
その裁定がおりて、ああよかった、ほっとしたのもつかの間、その裁定と時を同じくして、資料の裏をめくっていただきたいんですが、今度は、アオモリ、こういう商標の出願がされていることがわかりました。それも、事もあろうに、写真がありますけれども、御丁寧にリンゴのイラストに青森に類似した文字を組み込んだ商標が出願されていることが確認されたわけであります。
県は、リンゴ関係団体と共同で、このアオモリ、中国風の読みでチンミャオという商標について、同年四月に中国商標局へ異議申し立てを行い、つい先ごろ、平成二十二年十二月に本県側の主張を認める裁定を下した、そういう経緯をたどったわけであります。
この事例が決着した後、青森県としては、独自に県庁の商工労働部内に知的財産支援センターを設けて、中国等が行う商標の出願状況の監視を定期的に行うように対策をいたしました。
私も、これは大変ひどい話だなと思って、このマークもちょっとふざけているなと思ったんですが、皆様、どのようにお感じになったのか、後でお聞きしたいんですが……(発言する者あり)ありがとうございます。
このような事例に対して、今の商標法との関係で、農水省さんでは現状どのような対応をとられているのか、まずお聞きしたいと思います。
そして、この法案施行後は、国が輸出先のそれぞれの国にこのGI標章を、マークを商標登録して、また、不正事案については、その登録をすることで不正事案を排除していくと聞き及んでおりますが、その点について確認をしたいと思います。
○小里大臣政務官 これも大事なお尋ねでございます。
御指摘のとおり、海外において、高い評価に便乗するために、日本の地名を商標出願、登録する事例が相次いでいるところであります。
このような問題に対応するために、平成二十一年度から、農林水産関係団体、弁理士、弁護士等による、いわゆる知的財産保護コンソーシアムというものを組織しまして、中国、台湾等における商標出願の共同監視、偽装品に対する海外現地調査等の取り組みを行ってまいりました。
このような取り組みを通じて、今御指摘のような案件、あるいはまた、韓国における長崎チャンポンの名称、中国における千葉の名称の不正使用等の動きを国内の関係者に情報提供してまいりました。そして、これを受けて、それぞれの関係県が当該国に異議申し立てをして、あるいは訴訟によりまして、不正使用の撤回をかち取ってきた、そういう経緯もあるわけでございます。
なお、本制度は、地理的表示に係る国内法制度の整備を行うものでありまして、本制度による登録を受けたとしても、直接的に他国の地理的表示保護制度の対象となるわけではありません。
ただ、地理的表示の登録を受けた産品には、地理的表示のマークをつける、貼付することになっておるわけでありますが、このマークを主要な関係先国で商標登録することによりまして、輸出先においても我が国の真正な特産品であることが明示をされ、差別化を図れるということになります。
また、これまでは、御指摘のとおり、関係県が異議申し立て等を行ってきたわけでありますが、これからは、国が国として異議申し立てとか訴訟を行えるようになる、そういったことになります。
また、将来的には、それぞれの関係する国々と地理的表示を相互に保護するという協定を結ぶことによりまして、今度は相手国がみずからの国内を取り締まってくれる、そういう効果が想定される、そこに向けてまた努力していきたいというところでございます。
○津島委員 ありがとうございました。
この中国の商標登録問題での青森県の対応、決着まで七年の歳月を要したわけでございます。この間、必ずしもなれている手続ではない、そういう提訴手続等を行った関係者の苦労というものは、察して余りあるものがあるわけでございます。
今の御答弁にありましたとおり、従来の登録商標では、違法行為につき、権利者が提訴をしなければいけなかった。しかし、この法案では、国がGI標章に関する違法行為を監視し排除するという点が大きなポイントであると私は思います。
また、お願いでございますが、監視体制の充実というものをこの場でお願いさせていただきたいと思います。
次の質問に移ります。
この法律案を見ますと、第十四条には、特定農林水産物等登録簿の縦覧という規定がございます。その記載内容については、第十二条二項第二号において、第七条第一項第二号から第八号に掲げる事項を記載するとしております。その第七条第一項の六号には、生産の方法という文言がございます。
この生産方法というものは、地域で長年培ってきた独自のノウハウも含まれていると思うんですね。これらについては、いわば企業秘密として、余り表に出したくないというところもあろうかと思うんです。そういう生産者団体もあるかと思うんです。この点についてどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
明細書に定める農林水産物等の生産方法については、その内容が規制の基準となり、これに適合しない産品に地理的表示をすることができず、違反した場合には罰則がかかるということでございますので、本制度においては、一般の農林水産物等との区別に当たって必要な程度に詳細な記述を求め、登録に当たって、その内容をあらかじめ公示することとしておるところでございます。
他方、地域ブランド産品の生産方法については、先生お話ございましたように、門外不出のノウハウとして地域で守ってきたものもございます。これを秘密にしておきたいという地域のニーズもあるかと思います。このため、明細書の原案は地域で話し合ってつくるものであることから、当該産品の特性と結びつく範囲で公表される必要があるものの、具体的にどこまで詳細に生産方法を公にするかは地域でよく話し合っていただいて決めていただくということなのではないかと考えております。
○津島委員 ありがとうございました。
実際、申請に当たって事前の御相談があるということでございましたので、そういった中で十分に現場の声を酌み取って、この法律による効果を実効あらしめるためにも、その点をぜひお願い申し上げます。
時間が残り少なくなってまいりまして、あと二つほど聞かせていただきます。
次の質問は、品質管理についてでございます。
品質については、農林水産物というものは天候に左右される、そういう特性がございます。ということで、一定程度の弾力的な運用が私は必要だと考えるんですね。この点について、品質管理は生産者団体に行っていただいて、農林水産大臣というか農林水産省さんの方でその手法のチェックを行うこととした趣旨とあわせて、品質管理についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。また、その際、生産者団体に新たなコスト負担が生じないのか、その点についても確認したいと思います。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
我が国の地域ブランド産品の中には、生産者団体がみずから品質基準を定め、品質管理を行うことでブランド価値を高めているものも多く見受けられるところでございます。また、地理的表示の登録を受けた産品は、その生産方法や特性が産地と結びついている必要があることから、その品質管理については、生産者団体みずからが最も知見を有していると考えているところでございます。
このような実態を踏まえ、生産者団体が品質管理を行うとともに、国がその品質管理の体制をチェックすることにより、産品の品質が公的に保証されるような仕組みとしたところでございます。
品質管理の具体的な方法につきましては、農林水産物、食品の種類、特性に応じて異なってくると考えておりますが、例えば、品質基準として糖度を定めた場合には、光センサーによる判定を行ったり、また明細書で定められた生産方法を生産者団体の職員が圃場を巡回して確認したりするということなどが想像されるところでございます。
また、既に、多くの地域ブランド産品については生産者団体が一定の品質確認を行っていることから、本制度の導入によって、必ずしも新たなコストの負担になるというふうなことは考えておりません。
○津島委員 ありがとうございました。大変わかりやすくお答えいただいて、心より感謝申し上げます。
時間もそろそろなくなってまいりましたので、最後の質問とさせていただきます。
このGIにより、何度も申し上げておりますが、国産農林水産物の消費拡大、輸出拡大、そして、何よりも生産者の利益につなげていくということが肝要であると思いますが、最後に林大臣のその点に関する御決意をお伺いしたいと思います。お願いいたします。
○林国務大臣 我が国の農林水産物、食品、これは品質の高さ等で非常に強みを有しておりますので、これらの地域の資源を活用することで攻めの農林水産業を展開していくということが大変重要だと思っております。
こういう中で、地域には、今お話ししていただきましたように、長年培われた特別の生産方法、それから気候、風土、土壌などの生産地の特性によって高い品質、評価を獲得するに至った地域ブランド産品、これはたくさんございます。
したがって、今回これを地理的表示として登録して公的に保護をかけるということで、この価値を守って、すぐれた産品に、既についているわけですが、高い付加価値をつけてそれを守るということで、やはり国内外の市場で販売できるような基盤を整備して、よってもって生産者により多くの利益が還元される、これを目指していきたい、こういうふうに思っております。
この間、OECDのパリの会議に出張したときも、パリのすぐ近くにあるブリー・ド・モーというチーズの農場を視察してまいりまして、GIということでございました。
GIのモデルになったAOCというものがフランスであるわけでございますが、お聞きしましたら、千年、同じやり方でずっとブリー・ド・モーというのをつくっていた。これは、そこの方がおっしゃっているので、本当かどうかわかりませんが、二百年ぐらい前にその一部を持っていって、ノルマンディーでつくり始めた方がいらっしゃって、それがカマンベール・ド・ノルマンディーになったんだと。
そちらの立場としてそういうふうにおっしゃっているのかもしれませんが、それぐらい長い間かけて培ったものがあって、我々も、ブリー・ド・モーというと、大変いいチーズだ、こういうふうな認識があるぐらいになっている。
こういうことでございますので、やはり、千年前からAOCがあったわけではないと思いますけれども、そういうものをしっかり制度で守っていくということを今回我が国でもやることにいたしまして、攻めの農林水産業をさらに展開し、農業、農村全体の所得の倍増に向けて頑張ってまいりたい、こういうふうに思っております。
○津島委員 時間が参りました。どうもありがとうございました。
○坂本委員長 次に、稲津久君。
○稲津委員 おはようございます。公明党の稲津久でございます。
それでは、早速質問に入らせていただきたいと思っておりますけれども、本法案の質疑をさせていただく前に、数点確認をさせていただきたいと思っています。
一つ目は、EU・HACCPの認証についてでございます。
これは、二〇一三年にHACCP支援法が改正をされまして、HACCP認証を求める申請数というのは増加をしてきていると承知しております。よって、食品加工の衛生水準が確実に底上げされている。それから一方で、昨年末に閣議決定された農林水産業・地域の活力創造プランで示された水産物の輸出の強化、このことによりまして、加工場のEU・HACCPの申請数も増加をしている。私は、正確な数字は別として、今年度の申請数は少なくとも二十を超える、こういうふうに聞いております。ただ、そのうち、現在までに認証されたのは極めて少ない、本当にごくわずかであるというふうに承知しております。
それで、では、どういう課題があるのかということは、それは時間の関係上割愛しますけれども、結論から言いますと、現状の保健所の認証手続で、残りの施設の認証が可能なのかどうかという問題なんです。
一昨日、大臣が産業競争力会議でこのことについて御提案をされたというふうに認識しております。私は、あわせて、ちょっと具体的なことを申し上げますけれども、例えば大日本水産会が検査機関となって、水産庁が認証を認める、いわゆる対米HACCPのような制度にできないだろうかと思っておりまして、この点について御見解を伺いたいと思います。
○林国務大臣 大変大事な御質問をいただいたと思っております。
水産物の輸出拡大に当たっては、EUが大変有望な市場であるということで、昨年まとめた国別・品目別の戦略にもそこを特記させていただいたわけでございます。
このことのために、今御指摘いただきました産業競争力会議、おとついでございましたけれども、水産加工施設のEU向けHACCP認定の加速化のために、厚生労働省、これは保健所ですが、これに加えて、水産庁みずからが認定主体となるということを発表させていただいたところでございます。
今、稲津先生おっしゃっていただいたように、認定に当たっては、アメリカ向けHACCPの認定を行っております大日本水産会などHACCP認定の実務に十分な知見のある機関を活用していくことが大変重要である、こういうふうに思っております。
具体的な認定の方法、手続、これは現在検討中ですが、今お話があったように、今年度の申請が集中すると見込まれます下半期から水産庁による認定が可能となるように、所要の体制整備を進めてまいりたい、こういうふうに思っております。
○稲津委員 ぜひとも、今大臣が御答弁なされたこの取り組みを進めていただきたいということを申し上げたいと思います。
あわせて、このEU・HACCPに関連して、これは、食品加工場だけではなくて、例えば漁港施設のところにあります荷さばき施設とか、こうしたものも対象になるわけでありまして、このことについて国内で認証準備を進めているのは、私は、これは正確かどうかはあれですけれども、東北の八戸港だけだというふうに認識しております。
今後、こうした荷さばき施設などの認証をどう進めるのか。これは、いわゆる産地市場の登録についてという考え方なんですけれども、復興支援にもつながるし、それから、いわゆる対EUへの輸出にもつながるという大変大事なことであると思っていますので、この点についての見解も伺っておきたいと思います。
○本川政府参考人 御指摘のとおり、EUにつきましては、生産現場から輸出に至るまでの全ての段階において食品の品質衛生管理を求めておりまして、例えば養殖場をきちんと基準に適用するようにするとか、水産加工施設はもとよりでありますけれども、そういう形になっております。産地市場で水揚げされる水産物を輸出するためには、産地市場についてもHACCP認定の登録をする必要があるということになっております。
しかしながら、現在の産地市場のEU向けHACCP基準というのは、基本的には水産加工施設の基準が適用されておりまして、例えば、飲用に適する水を使わなければいけないというのが水産加工施設の基準でございますけれども、多くの市場は清浄な海水を使っておられるとか、そういう微妙にずれがございまして、残念ながら、我が国の産地市場については登録施設はまだゼロの状態でございます。
他方、今御指摘のように、八戸市場では、密閉型の市場を整備して、かつ、フィッシュポンプなどによる、直接魚にさわらないような陸揚げも行うというようなことまでやっておられます。
そういうような先進的な施設が整備されておりますので、現在、我が国の産地市場の特徴を踏まえた産地市場の登録基準について、私どもとして検討しているところでありまして、今後、産地市場の登録を促進して、水産物の輸出拡大を加速できるようにしてまいりたいと考えておるところでございます。
○稲津委員 次に、別の質問に移ります。
豚流行性下痢、PED対策について伺っておきたいと思います。
これは、昨年の十月に国内で発生が確認されて、五月二十日現在で申し上げますと、三十道県、私の地元の北海道で、もう既に十一の農場で発生して、全国的な広がりを見せているという大変困った問題です。
私も、四月の三十日に、北海道で発生した現地、関連施設へ行ってまいりました。それから、関係者からもさまざまな要望、意見もいただいたところです。
それで、侵入、拡大の要因、これは本当に各所で精力的に調査をしていると思いますけれども、いまだその解明がされていない状況で、感染ルートがどうなっているのか、車なのかとか餌なのかとか、いろいろな声が出ていますけれども、いずれにしても、ぜひとも一日も早い解明を要請しておきたいと思います。
そこで、一点だけお伺いしておきたいと思うんですけれども、それは生産現場の侵入、蔓延防止対策、それに対する支援をしっかりやっていただきたいということなんです。
あわせて、これは三つあります。
一つは、消費・安全対策交付金の財源の確保をしっかり図っていただきたいということです。これは、食肉処理場の出入り口で行う車両消毒、機器も関係する、人員も関係するということで、ここを支援する財源確保です。
それからもう一つは、車両の消毒体制を現地に行って見てまいりましたが、最近、非常に近代的なものが出てまいりまして、ゲート式自動車両消毒装置、こういったものもあります。設置型のものだけではなくて、簡易的なものも含めて、そういったものもあるというふうに聞いておりますので、これをぜひ関連施設の補助対象にしていけないかどうかということです。
それからもう一点は、ワクチンのことです。
北海道の現場で聞いたのは、五月中には北海道全域に間違いなくワクチンの供給ができるという話でございましたけれども、やはり一番有効なのはワクチンですので、全国くまなく、しっかり需要に応えられる供給体制を実施していただきたい。
この支援体制についてお答えいただきたいと思います。
○江藤副大臣 大変重大な関心を私も持っております。
この消費・安全対策交付金につきましては、当初は、この交付金が使えますよという周知の仕方をしておったんですが、方針を変更いたしまして、ぜひとも、このお金はきちっと用意いたしますので、積極的に使ってくださいという働きかけをするように変更いたしました。ですから、その申請もかなり上がってきているというふうに承知をしております。
それから、簡易型のゲートですけれども、よくそれも承知しておりますが、これも対象になる場合とならない場合があります。物もいろいろありまして、宮崎でも随分使ったんですけれども、それは個別に御相談いただければ扱えるようにしてまいりたいと思います。
それから、ワクチンについてでありますが、現在は平年の六倍の供給が可能、三百万回打てる。母豚、大体一体、二・二、三しますから、一回の出産に二回打ってやっていく。十分足りる量がようやく行き渡り始めたというふうに認識をいたしておりますが、ただ、現場では、本当は母豚に打てばいいのに子豚に打ってしまう人がいたり、それから必要数以上にストックしておきたいという方がいらっしゃったり、やはりいろいろ混乱があります。
ですから、製造メーカーと都道府県とか地域の農協とかその指導員の方とか、いろいろな方々の協力を得て、冷静に、物は十分にありますから、これから供給体制を確立するとともに、無用に、パニックに陥らずに、ストックをするようなことがないように、指導もしていきたいというふうに考えております。
○稲津委員 ぜひお願いしたいと思います。
いずれにしても、飼料の値段が上がってきたり、それから消毒に対する負担の増加も当然ありますし、何よりも豚の出荷が途絶えることによって収入が減少しますから、現場は本当に深刻な状況です。一日も早い原因解明と、あわせて、今副大臣からお話しいただいた支援策に対して、しっかり実施していただくことをお願い申し上げておきたいと思います。
それでは、法案に対する審議に移らせていただきます。
本法案は、ブランド化を図るという意味では大変有意義ですし、類似品との差別による価格の上昇というのも考えられる。それから、地場産業の振興のための展開、いろいろな効果が期待されているわけなんですね。そして、ひいては輸出産業へのいい意味での影響もある、こう考えておりまして、速やかな成案をというふうに願っているところでございますけれども、数点伺います。
まず一点目ですけれども、これは既に御質問いただいたことと関連するんですが、確認の意味も含めてお聞きしますが、海外における農林水産物、食品の模造品対策についてということです。
先ほど私は申し上げましたけれども、攻めの農林水産業を実現していくということにおいては、やはり輸出拡大を図るということが極めて大事である。それで、このテーマでこれまでの委員会でも議論があったと思うんですが、かねてから、オーストラリアあるいはアメリカの、日本産と誤解されるような産品も問題になっている。広げて考えると、いわゆる模造品対策、知的所有権保護の仕組みが今求められているんだろうというふうに思っています。
そこで伺いますが、本法律の施行によって、我が国での地理的表示登録がされていくと、他国において保護されるわけではありませんけれども、国内法の整備によって、今後、他国で同様な制度の申請が進む影響もあるだろう、こういうことで、本法の成立、施行によって、海外における、そういった影響、効果はどのように考えていらっしゃるのか、この点についてお伺いしたいと思います。
○小里大臣政務官 お話にありましたように、直ちに他国における保護の対象となるわけではありません。
しかしながら、地理的表示の登録を受けた産品にはマークを貼付することになっておりますが、このマークを主要な輸出先国で商標登録することによりまして、輸出先国においても我が国の真正な特産品であることが明示をされまして、差別化につながっていくということは言えるわけであります。
加えて、今度からは、民間にかわって、特に不正使用等のときには、国みずからが相手国に対して異議申し立てなり訴訟なりやれるようになるということがまずあると思います。そしてまた、将来的には、相手国と協定を結ぶことで相手国みずからが取り締まってくれる、そういうことが期待されるようになるわけであります。
○稲津委員 現在でも、模造品による影響を相当程度受けているのは現実でありまして、ぜひこの法整備による制度で対策の強化が図られることを望んでおきたいと思います。
次に、登録を受けた生産加工業者の団体の品質の管理についてということで伺っておきたいと思うんです。
登録を受けた生産加工業者の団体、これが引き続き産品の品質を維持、そして管理をしていく、そうでなければ登録は取り消されるのか、これは当然だと思うんですけれども、では、具体的にどういう場合なのかということを考えるんです。
いずれにしても、農水省による品質管理体制のチェックというのは、一旦登録を受けた生産加工団体に対してどう行っていくのか。指導とか監督をどうするのかということなんですけれども、この点について確認をしておきたいと思います。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
品質管理ないしチェック体制についての御質問でございますけれども、本法案においては、生産者団体が、登録を受けた産品の品質管理を行う生産行程管理業務を実施する、そういうこととともに、国がその品質管理の体制をチェックし、必要があれば是正措置を命ずることにより、産品の品質が公的に保証されるような仕組みとしているところでございます。
品質管理の具体的な方法につきましては、農林水産物、食品の種類、特性に応じて異なってくるものと考えられることから、国としてそれぞれの種類、特性に応じた適切な品質管理の指導ができるよう、今後検討していきたいと思っております。
なお、万が一品質の確認を行う団体の体制に問題があれば、生産者団体としての品質管理の業務が不十分と考えることから、登録の取り消しも含め、厳正に対処していくというふうに考えております。
○稲津委員 もう一点、確認です。これは制度の周知なんです。
制度の周知をどう図っていくかということは、割と単純でありながらも、そうでない場合もあるだろう。特に、既存の地域団体商標制度との違いとか、むしろ、地域団体商標制度を受けているから、それで事足りるとか、いろいろな考えが錯綜する可能性もあると思うので、制度の必要性、それから効果、申請の手続、これはしっかりと図っていただきたいと思いますが、この点についても確認しておきたいと思います。
○山下政府参考人 制度の趣旨の実現をするためには、制度の内容を初め、登録されている産品、さらには地理的表示の統一マークについて消費者が容易に確認できるようにすることが重要であると考えておりまして、農林水産省といたしましても、小売流通業者等の関連業者、それから消費者に対して、本制度の趣旨の周知に努めてまいりたいと考えております。
また、地理的表示の登録申請が混乱なくスムーズに行われるためには、申請書類の記載方法に対する助言等がなされることが必要と考えておりまして、制度の施行に向けて、この支援のあり方についても検討してまいりたいと考えております。
○稲津委員 時間が参りましたので、予定の質問を少し変更いたしまして、最後に、地理的表示保護制度と輸出拡大の考え方ということで伺っておきたいと思います。これは大臣にお答えいただければありがたいと思うんです。
政府の輸出促進というのは、ある意味、日本統一ブランドというか、そういった戦略がある、そういうことが基本になっているということ、これは大事なことだと思っています。ただ、一方で、この地理的表示保護制度は、特定の産地、地域で生産をされて、その品質が生産地に帰せられるものであるということ、こう考えていきますと、この輸出拡大の取り組みとの整合性をどう図るのか。
この点について、非常にこれも大事なことだと思っておりますので、見解を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
○林国務大臣 ほかの国と競争をして、これに勝ち抜いて海外市場における日本産品のシェアを拡大していくためには、先ほど来御議論がございますように、それぞれの産地の取り組みにとどまらず、やはりジャパン・ブランドとして確立をしていくということが非常に大事だと思っておりまして、昨年八月の輸出戦略にもこの旨を位置づけて、取り組みを進めております。
今般創設する地理的表示制度は、まず明細書に適合すると確認された産品のみがこの地理的表示とGIマークを使用できますので、このマークが付されたものであれば、一定の品質が備わっているということが明らかになるわけでございます。
このマーク自体を輸出先の国で商標登録するということで、そうしますと、その輸出先国でもこのマークはほかの方は使えない、こういうふうになりますので、我が国の真正な特産品であるということが明示される。日本のGIマークのついた、さらにGIの表示という、この二段階の表示ができるようになって差別化を図ることができる、こういうふうに思っております。
こういう仕組みにいたしまして、ジャパン・ブランドを確立するというのは、これにとどまらずに全般的にやっていかなければなりませんけれども、それとあわせて、この地理的表示の登録を受けた産品にマークを貼付するということで、我が国の産品の中でも特に品質の高い産品であるということが明示をされる、こういうことでしっかりと輸出に寄与していきたい、こういうふうに思っております。
○稲津委員 終わります。
○坂本委員長 次に、石田祝稔君。
○石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。
時間も余りございませんので、早速質問に入らせていただきたいと思います。
私は、きょうは、キウイフルーツのかいよう病について、その対策を少々お聞きさせていただきたいというふうに思います。
過日、私も現地に、愛媛県の西条市というところに行ってまいりましたけれども、ここでしっかりと地域の特産物にしたいということで頑張っておられましたが、今までに発生したことがないPsa3系統のかいよう病が発生をした、こういうことで大変農家の方も苦しんでおられます。このことについて、対策等をきょうはお聞きしたいと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
この緊急伐採等に要する経費、代替園の確保、また新植に要する経費のほか、特に未収益期間に対する支援、こういうものの支援制度、これはしっかりとやっていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○林国務大臣 キウイフルーツの主要産地である愛媛県等において、今お話のあった病原性の強いキウイフルーツかいよう病の新系統が発生をしておりまして、農林水産省として、今後の防除の徹底と被害園地の復旧が極めて重要と考えております。
このため、この二月に大雪の被害対策でも活用しました、果樹の新品種への改植やこれに伴う未収益期間に対する支援、これを今般の病害に対しても実施することとしておるところでございまして、二十六年度予算額で六十九億円を確保しておりまして、その内数ということになるわけでございます。
委員御指摘の同一品種の改植ということがございましたが、同一園地やその近隣の園地に感染しやすい品種を再度植えますと再感染のおそれがあるということで、これについて、発生状況等を見きわめつつ、どういう対応ができるか、しっかりと検討してまいりたいと思います。
今後も、被害状況や生産者の方々からの要請を、既にいただいておりますが、十分踏まえて、事業を円滑に実施することによって、被害園地の復旧を円滑に進めてまいりたい、こういうふうに思っております。
○石田(祝)委員 よろしくお願いをしたいと思います。
現地の要望で、防風ネット等の施設整備に対する支援制度、これは具体的には直接のものはないように思いますけれども、こういうものもつくってほしい、こういう御要望でありますけれども、この点、いかがでしょうか。
○佐藤政府参考人 今、石田先生の御指摘がございました防風ネットにつきましては、キウイフルーツかいよう病の防除を徹底するために必要な、有効な手段というふうに考えておりまして、これにつきましては、現在、個人施設、個人の機材ということでございますので、スーパーL資金、あるいは経営体育成強化資金、あるいは農業近代化資金等の制度資金の活用が可能でございますので、こうしたことを農家の皆さんに周知していきたい、かように考えているところでございます。
○石田(祝)委員 融資でということでありますので、それについてはしっかりと対応をお願いいたしたいというふうに思います。
それで、キウイフルーツについては、もちろん果樹共済はあるんですが、いわゆる収穫共済の対象になっておりますが、樹体の共済の対象になっていない、こういうことであります。ぜひ、これは早期に樹体共済の対象品目にしていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○林国務大臣 果樹共済は、御案内のように、果実の減収等を対象とする収穫共済と、それから樹体の損害そのものを対象とする樹体共済がございますが、キウイフルーツについては、平成五年から収穫共済について実施してまいりましたけれども、今までは樹体共済についての御要望がなかったということで、対象としておりませんでした。
今般、キウイフルーツの生産地からの御要望をいただいたところでございますので、この樹体共済について、共済掛金率等の算定に必要なデータの収集、それから栽培農家の保険ニーズの把握、こういう調査検討を行うことにしております。
必要なデータがそろって、ある程度の保険ニーズがあれば、来年度から樹体共済の引き受けを開始できるように準備を進めてまいりたいと思っております。
○石田(祝)委員 来年度からできるようにしたい、こういうことでございますので、もちろん、これは希望者ということになると思いますが、よろしくお願いしたいと思います。
それで、今回、このPsa3系統という今までにない系統のかいよう病でございまして、非常に強力である、こういうこともわかったわけであります。この新たな病原への対策のため、耐性品種の研究開発、また防除等の具体的な技術について早期に確立すべきではないか、こう思っておりますが、この点、どういうお考えでしょうか。
○雨宮政府参考人 お答えいたします。
農林水産省では、災害や新たな疾病の発生等の不測の事態が発生して、緊急に対応を要する研究課題が生じたときは、競争的資金により緊急対応研究を実施しているところでございます。
今回発生したキウイフルーツの新系統かいよう病につきましても、四月下旬の発生の報告を受けまして、その緊急性、重要性に鑑み、既に本疾病の防除等の具体的な技術の確立に向けた研究課題の募集を開始したところでございます。
今後は、本研究により、かいよう病の診断技術の開発、効果の高い防除技術の調査、耐性品種の選抜等、発生地域における蔓延防止技術の開発等を速やかに進めてまいりたいと思っております。
○石田(祝)委員 私は、冒頭に現地にお邪魔をして視察をしたというお話もさせていただきましたが、その前に、農家の方からもさまざまお話をお伺いいたしました。
今回、非常に強力な新系統のかいよう病ということで、やはりこれは伐採するしかない、こういうことで、農家の方も泣く泣く伐採をしている。当然、病気にかかったものも、これはやむを得ないというのは、誰でもそうなんですけれども、やはり感染するということで、同じ樹園地にあったり、そういうものは症状が出ていなくても切らざるを得ない、こういうお話もなさっておりました。
まず拡大を防ぐ、こういうことが一番大事だということで決断をされたと思いますけれども、今後、こういうことに対して、これは、私は、畜産と果樹と違いはありますけれども、四年前の口蹄疫のときも、これはある意味でいえば、健康な牛とか豚にワクチンを打って疑似患畜にして、殺処分にして、蔓延を防いだ、抑え込んだという経緯もあります。こういうふうに、かかっていなくても、今回、予防的に、御自身の御判断で、また県からいろいろとそういうことも言われたかもしれませんが、なさったと思います。
ですから、こういうところを今後どういうふうに考えていくのか、また、感染源の解明についてどういうふうにこれからお取り組みになるか、このことを最後にお伺いいたしたいと思います。
○小林政府参考人 今回発生が確認されておりますキウイフルーツかいよう病の新系統であるPsa3につきましては、その発生原因とか被害程度というのはまだ未解明な点が多くございまして、現在調査を行っているところでございます。
現在までに得られている知見をもとにお話を申し上げますと、感染した木から近隣の樹木への感染の拡大というのは、主に雨水とかあるいは剪定器具で伝播するというふうに考えられております。昆虫が媒介するような場合と異なりまして、この病原菌が広範囲かつ急速に蔓延するということは考えにくいのではないかということがまず一点目でございます。
二つ目は、ニュージーランド等、既に発生を経験している国がございますが、そういった経験から、病気の症状が出ている枝や幹などをしっかり除去して農薬を散布する、あるいは抵抗性品種を導入するなどによって、生産を継続しながら、蔓延防止を図るということが可能ではないかというふうに考えております。したがって、現時点で、発生した園地全てにおいて一律に伐採を求めるということまでは必要ないというふうに考えております。
ただ、地域の実情に応じまして、今お話ありましたように、予防的に伐採を行うことも蔓延を防ぐ大変有効な手法の一つであるとは考えておりますので、樹体の伐採、撤去費用、改植に必要な苗木代の経費や未収益期間の苗木の養成に必要な肥料代や農薬代等の経費を農林水産省としては支援することが可能な体制をとっております。今後、それぞれの地域と十分連携して取り組んでまいりたいというふうに思います。
いずれにいたしましても、さらなるPsa3による被害が発生しないよう、発生原因の究明をしっかり行うとともに、改植する園地で再発生をしないように、挿し木でやるときの穂木を経由して伝染しないようにという意味で、穂木の生産に当たっては清浄性が確保された穂木を出荷するように生産者に指導を行うとともに、必要があれば、県または農林水産省が感染の有無を検定するということも実施したいというふうに思います。また、外国から侵入する可能性もありますので、輸入検疫を強化する、こういった対策を講じてまいりたいというふうに考えております。
○石田(祝)委員 ありがとうございました。終わります。
○坂本委員長 次に、後藤斎君。
○後藤(斎)委員 おはようございます。お疲れさまでございます。
大臣、ちょっと順番を一つだけ変えさせていただいて、二月のあの豪雪からちょうど百日余りが経過をしました。ハウスの撤去が山梨県全体でもようやく六割くらいというふうな形で、なかなか実は進んでおりません。
前回の委員会でも御指摘をさせていただきましたが、六割の撤去が済んだところも、資材、ビニールハウスがない、パイプがない、職人さんもいないという形で、なかなか建てかえまで、再建まで行っているというのは本当に少なくなっています。
特に、今、石田先生がキウイについてお話をされておりましたが、果物は言うまでもなく永年性でありますから、露地は余り被害がなかったので、果物の中では特にサクランボがハウス物から露地物に移りつつあって、その準備に追われている現状では、施設型、ハウス型にどうこうするという余裕が実は農家の方々にもなかなかないというのであります。
当然、予算主義でやっていますから、二回にわたった農水省の対策、これに県、市町村が連携し、撤去、再建については九割負担をしてくれるという形で、その部分については、改めて、本当にいい制度だなとは思うものの、前段でお話をしたように、その前提がなかなか環境的にできないというふうなことで、秋には、露地物にハウスをかけて、新しい施設型のものを来年に向けてやっていくというところまでいかない。ですから、資材の問題や職人さんの問題も含めて、二月、三月の上旬までに対策を講じてもらったものが、また違うハードルができたということになっていると思います。
確かに、一方の見方では、あと十カ月あるから、何とか今年度中にやれという形なんですが、例えば、着工まですればいいのかということも農家の方々が不安に思って、いや、完成までしなきゃいけないんだと、これが実はなかなか明確に理解ができていません。
あわせて、再建に向けた部分は、三者以上の相みつをとって、その中で一番安い業者さんと契約をしなさいという指示が農水省、自治体からあるという形で、それも、三者とるのには、今までそういうおつき合いが農家の方はありませんから、やはり値段が実は上がってしまうというふうなことがあります。
したがって、今明確に来年度も絶対やりますよということではなくて結構なんですが、一四年度中に、今年度中にできるだけの再建は可能な範囲でやるものの、そうでない部分については改めての対応をするという明確なメッセージ、宣言を大臣からしていただくことが、農家の方々が、ことしできなくても、また来年に向けて頑張っていこうという意欲が出てくるというふうに思いますので、いろいろな縛りがあって、メモは見ずに結構でございますので、ぜひ大臣の率直な思いを明示していただければというふうに思います。
○林国務大臣 被災施設の再建を支援する被災農業者向け経営体育成支援事業等々、これは、御案内のように、今御指摘あったように、二十五年度の予算と平成二十六年度の予算を活用して復旧が速やかに行われるようにやっていこう、こういうことでございます。
したがって、原則は二十六年度末までに行うというのが基本であるわけでございますが、今お話しいただいたように、最大限努力をしていただいても、現下の資材、それから人員の事情、こういうものがあって、年度中に対応できないということも考えられるわけでございます。したがって、こういう場合には、地域の事情をよく伺った上で、災害対策の性格を踏まえて、適切な対応を検討したいと思います。
○後藤(斎)委員 大臣、その際に、着工までやっておけばいいのか、それとも全部今年度中に完成しなければいけないのかということも、今でなくても結構ですから、農家の方々がこれから再建に向けて意欲が失われないような形のきちっとした具体的な整理をしながら指示していただいて、県や市町村にもきちっと経由をしながら、多くの農業者の方々がその仕組みについてまだ十分に理解をしているとは言いがたい部分もあるので、ぜひそれをお願いしたいと思います。
本論に入るんですが、新しい特定農林水産物等の名称の保護に関する法律も、実は同じように、具体的に話をこれからするんですが、本当に大臣が先ほど御答弁されたように、これをもって、地理的表示の部分で農家の方たちが保護をされて、生産者の方が保護をされて、それが生産者の利益や消費者の利益、そしてそれを通じて輸出拡大につながるのかというと、僕はちょっと違うような感じが最近してきたんです。
特に、EUではもう二十年以上前に地理的表示の保護体制というものを制度的に確立し、そして、九年前に地域商標という形で商標法を改正して、ある権利を持った団体があるということでは、いろいろな前提は違うかもしれませんが、それにおくれること、地域商標から見れば九年、EUから見れば二十年以上おくれた中で、なぜ今この制度をつくる必要があって、この制度を新たにつくる必要性というもの、意義というものがどこにあるのか。
これは大臣でなくても結構ですから、まず、その点について、簡潔で結構です。経緯は結構です。必要性と、なぜ今なのかということについて、改めてわかりやすい形で御説明をお願いしたいというふうに思います。
○小里大臣政務官 まず、なぜ今なんだということでございます。
御案内のとおり、昨年、与党で議論をして、所得倍増十カ年戦略を策定しました。これを受けて、政府の農林水産業・地域の活力創造プランが策定をされました。その中の大きな柱として、国別・品目別の輸出戦略、倍増戦略が組まれたわけであります。
先ほどから議論にありますように、地域には、特別の生産方法、生産地の特性によりまして、地域ブランド商品というものが多く存在をしてまいりましたが、これまでは、その産品の特性を評価して、地域の共有財産として保護する制度がなかったわけであります。こういった実態を踏まえ、また国の施策の方向性を踏まえて、今回の法案を策定することになったわけであります。
すなわち、地理的表示として登録をし、公的に保護をすることでブランド価値を守って、その品質に見合ったものとして生産者が得るべき利益をしっかり確保していく。あわせて、消費者にとっても、価値の高い商品を容易に選択できるようにすることで、消費者の利益の保護も図っていこうというものであります。
実際に、御指摘のEUの地理的表示制度では、例えば、フランスのブレス鶏が鶏肉の市場価格の四倍の価格で取引がされているというような実態も実際の効果として見受けられるわけであります。
地理的表示制度が農林水産物、産品の付加価値の向上に寄与していると同時に、すぐれた産品の名称の保護が高付加価値産品を求める消費者の利益の保護にもつながっていくという、いわゆる好循環が期待をされているところでございます。
我が国農林水産業の強みである品質、そしてブランド価値を保護して、あわせて消費者の利益の保護も図られるように本法案の取り組みを推進することが、攻めの農林水産業、そして農業、農村全体の所得の倍増にも寄与していくと期待をしているところであります。
○後藤(斎)委員 ブランド化であるとか、消費者保護の増大、付加価値の増大、これは確かにおっしゃるとおりだと思います。
ただ、政務官、お言葉を返すようで大変恐縮なんですが、法案の二条の中で、特定農林水産物等の定義が二つあります。特定の場所、地域または国を生産地とするものであること、二番目が、品質、社会的評価その他確立した特性が生産地に主として帰せられるものであると。これを読んでも、よくわからないんです。
では、これが多分基準だとしたら、どう基準を具体化して、例えば、これは政務官でいいですから、政務官は、どのようなものが登録の対象にこれからなっていくのかということをあわせてお答えいただけますか。
○小里大臣政務官 基本的に、これから地域が基準たる明細書をつくっていくということになるわけであります。そこには、当然、国も指導しながら、地域に特に経済的な負担等がないように、国がその窓口としてもしっかり充実をしながらこれを支援していくということになります。
具体的には、地域の気候、風土、土壌などの特性、あるいはまた長年にわたって地域の伝統に基づく産品としてこれが生産されてきたといったことなどを総合的な品質の評価対象として、これが明細書に付され、また審査をされていくことになろうと思います。
そういったことで、先ほど申し上げましたように、そういった長年の取り組みによる地域の特産品を評価する制度、保護する制度がなかったわけでありまして、これをしっかり法的に裏づけをし、実行していくことで、地域の生産品の利益の保護、そしてまた消費者の利益の保護が図られていくことになろうと思うところでございます。
また、輸出戦略において、先ほどから御指摘がありますように、海外において、模倣品あるいは不正使用ということによりまして、日本の産品が海外に普及していく障害となってきたことは否めないところであります。
直接的に海外でこれを保護するということではないのでありますけれども、しっかりと、まず国内でこれが証明されることで、他国の商品との差別化が図られてまいります。
加えて、今までは、もし何かあったときは、先ほど御指摘がありましたように、まず、地域や生産者が海外に対して異議申し立てをする、あるいは訴訟等によりその権利を確保していくということしかなかったわけでありますけれども、これからは、国みずからがそういった異議申し立てなり訴訟なり、対応していけるということになります。
そしてまた、将来的には、同じように地理的表示制度を備えた国と協定を結ぶことで、例えば、日本の農産品が海外で地理的表示あるいはマークが不正使用されるということであれば、当該国がみずからの国内で取り締まる。逆にまた、日本においても、相手国の産品を国内で取り締まっていく、そういうことが可能になっていくわけであります。
要するに、これからの制度の活用次第で、大いにその効果が期待されるし、そのようにしていかなければならぬと思うところであります。
○後藤(斎)委員 小里政務官、今政務官がおっしゃったものは、いわゆる新品種とかではなくて、やはり伝統的、気候、風土に合ったということになる。
実は、いろいろ調べてみたんですけれども、例えば野菜でいえば、今政務官がおっしゃった部分でいえば、いわゆる伝統野菜や在来野菜という、定義はいろいろあるようですけれども、そこがベースであって、その地域でしかできないような野菜、ですから、地域商標の部分でいえば、千ちょっとの全体の地域商標の中で、飲料も含めると三百くらいが農林水産関係になっているわけなので、そういう意味でいえば、非常にそこはプラスになっていくというふうに僕は思うんです。
例えば野菜にしても、先ほど、四倍の鳥肉がフランスであるよといっても、それにかかわるコストのかけ方とか、非常に伝統性を重んじるのであれば、政務官も御案内のとおり、伝統野菜とか地域野菜の定義というのはいろいろつくっていますよね、学者の先生方が。
一番古い事例というか先行事例である長野県なんかは、六十九という数字と五十七の品目選定という、何か二つ数字があって、多分六十九というのが正しいと思うんですが、昭和三十年代以前から栽培されている品種であること、当該品種に関しては、信州の食文化を支える行事食、郷土食が伝承されていること、三番目に、当該野菜固有の品種特性が明確になっていることというのがあって、愛知ではこれが、今から五十年前に栽培しているものとか、熊本では、古くからという形で、明示はないんですけれども、古い、いわゆる伝統がある、固有であるみたいなものが一つ明示をされているんです。
この定義からいうと、地方在来品種というのが、三十年くらい前の数字しかないんですが、我が国には千二百十四種の野菜が存在するというふうに言われているんです。
その中に大塚にんじんもどうもあるようなんです。大塚にんじんというのは私の地元なんですが、砂地のところで一メートル以上の非常に細長いニンジンができるんです。これは地域商標にも入っているんですが、確かに若干高いです。ただ、手間もかかるし、適地のようなところが四町歩が最高で、一毛作しか今していませんから、年間で本当に数トンしかとれないというふうなことなんです。
ですから、この法案の制度を突き詰めていくと、伝統種である、在来種である野菜や果物を、その地域の特性みたいなもの、気候風土に合ったという形で認定をしていくと、多分、まず一番大きい枠は、この千二百十四種の野菜の中からどういうふうに選んでいくかということになりませんか、政務官。
そうじゃなくて、つくるのも大変だし、今の部分でいえば、てじゃなくて、ごっちょなんです。非常に面倒くさいんです。ですから、在来種というのはだんだんなくなって、在来種というのは、種は自分でとって、その地域で保管をして、また翌年も使うというのが、伝統野菜、在来種の一番ベースなわけです。そうではなくて、今はF1で、要するに、全部種屋さんから買って、種を植えて苗にして、それを植えて野菜にしていくわけです、水耕栽培は違いますけれども。
ということから考えたときに、まず何がターゲットかということがわからないと、生産団体にしても、生産者にしても、この制度をどう使っていいかわからないんです。だから、そこをもう少し具体的に、どういう対象がまず一番大きな枠になるんですかということを明示していただきたいんです。そうしなければ、この制度は絶対動きません。いかがですか。
○山下政府参考人 後藤先生の御質問にお答え申し上げます。
先生の御質問は、登録の対象となる農林水産物、食品がどのようなものを想定されているのかということだと思います。
先ほど来お話がございました、EUにおいて、いわゆるPGI、それからPDOがあります。これを合わせて千百件以上の登録がなされていると理解しております。
また、我が国においても、平成十八年に発足した地域団体商標制度において、施行後七年余りで三百件近くの農林水産関係の登録がなされている、こういうことを考慮すれば、地域ブランド産品を知的財産として活用し、地域の活性化につなげていこうというニーズは潜在的に相当数存在するのではないかと考えております。
さらに、これらの中には、先生御指摘のように、伝統野菜のような一次産品から、地域の気候風土を生かした加工食品、さらには花卉などの非食品に至るまで、幅広い産品が含まれてくることになると想定をしているところでございます。
本制度の活用によりまして、地域特性産品のブランド化が推進され、生産者、需要者双方の利益の保護が図られるよう、制度の的確な運用に努めてまいりたいと考えております。
○後藤(斎)委員 局長が言うのも何となくわかるんですけれども、もう少しブレークダウンしてやらないと、制度の運用はできないという話を僕はさせてもらっているんです。
去年、農林水産省では、知的財産発掘・活用推進事業というのをやっていて、ある新聞では、隠れた逸品が千種類データ化されていると。見たら、百六品目しかないんですよ。この差は何があるか、あえてやぼな質問はしませんけれども。
やはり、こういうものにまとめていかないと、要するに、自分たちがこれをやりたいなと思っても、先ほど大臣や局長が、いやいや、ちゃんと指導しますよと言っても、みんな、現場の職員の方を含めて、では、何がこの物語をつくっていけるのかという、この二条だけの基準でそれができるわけないと思うんです。
まだちょっと待ってください。確かにEUは、二つの保護体系の中で合わせて千種類あるのは承知しています。でも、これは二十年間かけてやって、さっきの大臣のお言葉をかりれば、もう千年以上前から、そういうものを守って保存していこう、チーズやハムでもある、ワインでもあるというお話だけれども、多分そうだと思うんです。
ですから、在来野菜というものが何で淘汰されたかというのは、これは局長は御専門で、あえて言いませんけれども、当然、そちらの方がつくりやすくて、少し値段が下がってというか、いいものをつくればという形で、ほとんど一〇〇%近いものは、いわゆる全国ネットのナショナルベジタブルなわけですよ。果物についても同じなんです。
ですから、差別化を、あえて地域性というものに焦点を当てたこの法律の目的が達成されるには、多分、それを有機的に連携して、それで全体の表示の保護を、先ほど小里政務官がおっしゃったように、上手に国としても守りながら、輸出でも、この地域でこのラベルを張ったものはちゃんと国も認証しているよと。
でも、これは後で言いますけれども、セグメントが分かれれば分かれるほど、ジャパン・ブランドではなくなってしまうんです。林ブランドであって、宮崎ブランドであって、小里ブランドであって、いろいろなものが分かれ過ぎたときに、それを連携するものがバックアップ体制としてなければ、これをつくった意義がなくなってしまう。
確かに、今、通販が発達をしたり、いろいろな珍しい野菜や環境にいい野菜みたいなものを中心に通販でやっている業者さんや、少し高くてもいいと言われている百貨店関係の食品売り場には、在来種を中心に伝統野菜みたいなものを売っているところは、先ほど政務官が言われたように、四倍ではありませんけれども、五割くらい高い。
ただ、実は、地域ブランドを、廃れたものを、種を探してもう一回栽培しても、生産量は大体半分にならない。例えば値段が倍あっても、P掛けるQで、要するに利益はないということなんです。
ですから、先ほどお話を聞きましたけれども、まず、生産者にメリットというものを具体的に言っていかなければ、わざわざ国の管理のもとに置かれて、生産工程をまた誰かに調べられるようなことは、はっきり言って、よっぽどプラスの効果がつくっていく人にもなければですね。
それで、あわせて、先ほどもどなたかのお話を聞いていましたけれども、例えば、消費者や小売に直接携わる人たちが、この仕組みでできた野菜や果物や加工食品はほかのものよりもいいんだというものを理解していただかなきゃいけないんです。
でも、今そうじゃなくて、大臣はビールを飲むと思いますけれども、プレミアム系のビールは売れているじゃないですか。今までは、通常のビールから第三のビール、発泡酒みたいな、安くてというところに行っていたけれども、いやいや、もうそうじゃなくて、ちょっと高くてもいいよというのだと、倍までは行きませんけれども、五割増し、六割増しでビールを買って飲んでいますよね、多分大臣も。
ですから、そこは上手にメリットというものが、生産者の方にとっても当然ですけれども、それを受け入れて値づけをする小売業者や消費者の方が、この制度の仕組みを、ああ、いい制度だな、では、お互いウイン・ウインでやっていこうということがないと、これは本当につくっておしまいになっちゃうんです。
だから、そうでないように、具体的に、では、どんなものがイメージでありますかというふうに今お尋ねをしているのは、そこなんです。
ですから、基準というものも、これだけの基準ではやはりだめなんです。小里政務官に言ってもらったような気候風土や伝統性みたいなものだけでも、何となくわかるんですけれども、よくわからないんです。
それを、制度を導入したときのメリットというものもあわせて、やはりきちっときょうの夕方までにある程度かみ合っていくかというのが一番大切だし、それをまた、法律が仮に通ったにしても、農林省が責任持って、そこはウイン・ウインの形に生産者も消費者もなっていく中で、この制度が全体的にEUのように世界じゅうから評価されるというものにしていかないといけないのに、この二条だけでは全くわからないので、局長、もう一度その辺をわかりやすく答弁してください。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど、ちょっと答弁が足りなくて、大変失礼いたしました。
先生のおっしゃることは、まさにおっしゃるとおりだと思います。登録をされる側から、事前の予見が可能になるようにすることが望ましいと思っておりますので、本法案の施行に向けて、登録の審査も含めてガイドラインを示していこうと思っております。
○後藤(斎)委員 大臣、今局長にぜひもう少し指示していただきたいのは、局長はわかって言ってくれているんですけれども、そのガイドラインが、実はマスの部分で、今回指定をされていく、登録をされていく一つ一つのものが連続して物語になっていかなければ多分いけないと思うんです。そうでなければ、やはりばらばらの地域ブランドなんです。
過去十何年、二十年、輸出をいっぱいやろうとしても、それぞれの地域が、頑張る地域ほど先行的に果物を輸出した、野菜を輸出した。でも、それぞれの県の名前だけで事業者が海外へ行った。では、これからまとまって、ジャパン・ブランド、日本ブランドにしていこう。実は、二週間ほど前の連休中に、全国ブドウサミットというのを山梨で初めてやって、それはやはり、ばらばらの地域だけだといけない、輸出というものを考えていくのであれば、まとまって協力しなければいけないということでやったんです。
やはりそういうこと一つとっても、物語をそれぞれの地域が連続してやるのであればそうなっていくんですけれども、これは逆効果になると僕は思うんです。消費が伸びていく、需要が伸びていくときであれば、細かく細分化して、それぞれの地域が少しでもよくなればいいということなんですけれども、そうではなくて、それをナショナルブランドにして、メード・イン・ジャパンという形で売っていくというものを、ある意味で逆行している。
輸出をこれから二〇三〇年までに五兆円にするという数字がきょうの新聞では出ているようなので、まず一兆円というところからどう対応するかという、大臣、頭が痛いのに大変だなと思うんですけれども、だから、それにつなげていくためにも、ぜひそこはやっていただきたいんです。
そして、あわせて、重ねてですけれども、やはり消費者にとってもメリットになるんだ、だから高い金額を払えるような状況にするということを卸や小売の方たちも理解をしていただいて、かつ、生産者がプラスのメリット、要するに、利益が高まる、売り上げだけじゃなくて所得が高まるということに通じていかなければいけないということを、大臣が責任者として、最終のガイドラインも含めて、制度が前に向いて推進できるように、ぜひそのお考えはお聞きをしておきたいというふうに思います。
○林国務大臣 大変大事な御指摘をいただいたと思っておりますので、今度、法律を通していただいたとして、その後の運用をしっかりと考えてやっていかなきゃいけないと思っております。
先ほどブリー・ド・モーのお話をしましたけれども、私が視察に行ったときにも、チェックをする機関の人も陪席をして、事細かく製造方法についても、こういうことが決まっている、こういうことが決まっているというのを教えていただきました。
今消費者のお話がありましたけれども、消費者はそこまでチーズの製法全部について知っていて選ぶということよりも、AOCで認められたブリー・ド・モーという名前を信頼して、同じものが、きちっとおいしいものが食べられるということでやっていく、その好循環ができることによって付加価値がついて、そして収入がふえていく、こういうふうになっていると思いますので、やはりそういうふうにきちっとなっていくようなこと。
それで、既に長野県のワインとか、和歌山県有田市のミカン、そういうふうにブランドを一生懸命やっていこうというところも今お話ししていただいたように出てきておりますので、やはりそういうところがきちっとGIをとっていくことによって、さらにそこに専心していけるようにするということに意を用いていきたいと思っております。
それから、先ほど稲津先生からもお話があったように、輸出していくときに、やはりジャパン・ブランドということと地域性ということ、確かに方向が逆のことのように見えますので、そういうふうにならないように、先ほど申し上げたマークの活用ですとか、それから、品目別の全国協議会というのをつくって、それぞれの司令塔をつくって、別に青森のリンゴが有名になったから、それを日本リンゴというふうに変える必要はないと思うんですけれども、例えば、我々がフランスのワインをエンジョイするときに、フランスのワインだという次に、やれボルドーだ、何とかだというのがある。こういう形でしっかりと持っていけるように戦略的に取り組んでいきたい、こういうふうに思っております。
○後藤(斎)委員 大臣、物語をつくるということは、以前の委員会でもお尋ねをしたんですけれども、甲州ワインというのが今頑張っているんですけれども、やはり原料であるブドウが高い。その中の一つとして、生産量が非常に減っているというのがあって、それはなぜかというと、一つの要因は、今、果樹経営支援対策事業の中で、同一品種への改植助成というものが認められていないわけですね。ですから、例えば、甲州市でブドウを改植したいとか切りかえをしたいと言っても、そこには補助費は出ませんから、違うもの、例えばシャインマスカットであるとか、そういう新しいものに行ってしまうわけです。
ですから、そういう意味では、果物がどういうふうな形でこの新しい制度で支えられるかどうか、名称保護ができるかどうかわかりませんけれども、やはりそういう部分で、この果樹の支援制度自体、現行の、同一品種の更新が対象にならないということであれば、違うものへインセンティブが働くじゃないですか。
今までのように、たしかさっき津島さんがおっしゃっていましたが、確かに、日本の中で、三十年くらい前だと、八割、九割がミカン、リンゴでしたけれども、今は、それぞれの地域で果物も地域性、気候、風土を生かしという、さっき政務官がお答えいただいたように、やっているわけですから、改植の加速化というのは、ミカン、リンゴ並みにすぐできるかどうかとしても、ほかの果物についてもきちっと底上げをしていく、少なくとも格差がないようにするという、この二つが、伝統という部分をもしこれから生かしていくということでこの制度を加速するのであれば、やはり同一品種の改植も、更新も支える仕組みの対象としてあげないと、違うものに行って、伝統じゃなくなる。
シャインマスカットは、多分伝統じゃないんですよ。甲州とか巨峰は、物語があって、昔、弘法大師が来て云々かんぬんとか何かいろいろあって、本当かどうかよくわかりませんけれども、そういう物語があった方が楽しいし、やはりそういうことが、これから食文化というものをどう受け継ぐのかということも含めてあるので、ぜひ、この果樹経営支援対策事業の同一品種の問題と、ブドウ、桃についても、少なくとも支援の対象、要するに、ミカン、リンゴ並みにかさ上げをしていく形で地域を支えるということにしていっていただきたいんですけれども、その点について、大臣、どのようにお考えでしょうか。
○林国務大臣 果樹の経営安定対策は、収益力向上のための対策ということで、消費者のニーズの高い優良品目、品種への改植と、それから未収益期間対策、こういうことを推進しているわけでございます。
御要望として、同一品種の改植ですとか、ミカンやリンゴ以外の品目の補助金単価の定額化、こういうことが挙げられているのは承知をしておるところでございまして、消費者ニーズの高いという意味で、今委員が関連づけて御質問いただきましたけれども、GIになって物語がつながっていけば、まさにそのものが消費者ニーズが高い、こういうことになっていくわけでございます。
したがって、今、食料・農業・農村基本計画全体の見直しをやっておりますけれども、これにあわせて、果樹農業振興特別措置法に基づく果樹農業振興基本方針、この見直し作業を進めておりますので、今のお話も含めて、産地からの意見、要請、こういうものを受けて、新たな果樹の経営安定対策の方向を検討してまいりたいと思います。
○後藤(斎)委員 大臣、この制度ができたら、きちっと、生産者にとっても、消費者にとっても、そして輸出ということにとってもプラスになるように、具体的にわかりやすい事例を上手につくっていただいて、連携を相互にしていただいて、やはり日本全体のブランド力を上げるという形にしていかなきゃいけないということは確実だと思うので、ぜひその点を含めてお願いをして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○坂本委員長 次に、鷲尾英一郎君。
○鷲尾委員 民主党の鷲尾でございます。代表質問に引き続きまして、質問をさせていただきたいと思います。
少し細かい論点にも入りながら、また、朝から委員の先生方の御質問をお聞きしておりましたら、少しかぶるところもあろうかと思いますけれども、御容赦いただきたいと思います。
まず、地名の問題から入りたいと思います。
商標法の地域団体商標として登録できる商標は、地域の名称及び商品または役務の名称の組み合わせから成る商標であって、地名が含まれることが必要とされておりますけれども、本法律案で導入しようとする新制度については、地理的表示の中に地名が含まれることは必ずしも必要とされていないというところでございます。
また、地域団体商標における地域の名称には、先ほど来委員の先生方からも御質問がありましたけれども、少し抽象的に言えば、現在の行政区画単位の地名ばかりではなく、旧地名、旧国名、河川名、山岳名、海域名等の地理的名称が含まれるとされているわけでありますが、新制度において登録可能な地名の地理的な範囲、行政区画のレベルをどのように考えておられるのか、両制度の関係も含めてお答えをいただきたいと思います。
あわせての質問になって恐縮ですけれども、地域団体商標制度は海外の産品の登録も受け付けておりますけれども、新しい制度においては海外の産品の登録についてどのような取り扱いになるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
地理的表示の地名に関する御質問でございますけれども、本法案で登録される農林水産物、食品につきましては、地域団体商標制度と異なり、その品質等の特性が生産地と結びついている必要があります。このため、その名称も、その結びつきを特定できるよう、従来から用いられてきました産地名と産品の種類を組み合わせるということが基本だと考えております。
他方、先生御指摘のように、例えば切りたんぽのように、産地の表示がなくても産地を容易に特定できるような名称も存在することから、個別の申請に応じまして、申請に係る名称が生産地を特定できるようなものとなっているかどうかをチェックしていくことになると思っております。
それから、地理的表示の地名の範囲でございますけれども、先ほど申し上げましたように、本法案で登録される農林水産物、食品は、産品等の品質の特性が生産地と結びついているということが必要でございますので、そのため、その生産地について、農林水産物、食品との結びつきに応じて最も適切な範囲がおのずと決定されるべきものであると考えております。
このため、農林水産物、食品の生産の実態に応じ、生産地の範囲は、都道府県単位ですとか市町村単位、またはそれ以下の単位など、産品に応じてそれぞれ異なってくると見込んでいるところでございます。
海外からの登録の申請というのも、これは、WTOの協定によりますと、内外無差別とすることになっておりますので、海外からの登録というのも可能になっているところでございます。
○鷲尾委員 今局長から答弁があったように、おのずから決定されるであろうという想定をされているということなんですが、いろいろな制度が並列されているということもありますし、また、どういった生産者団体が申請をするかというところで、いろいろ合意形成等々難しいところも出てくるのかなというふうに思っております。これは、少し後の問いでまた触れさせていただきたいと思います。
次の質問でありますけれども、登録の対象となる対象産品の範囲につきまして、少し整理をしながら質問させてもらいたいと思います。
本法律案におきましては、農林水産物等として、農林水産物、飲食料品、農林水産物であって政令に定めるもの、農林水産物を原料または材料として製造し、または加工したものであって政令で定めるものとされております。
また、酒類の地理的表示については、酒類業組合法に基づいて保護されるということであって、本法律の施行後も酒類業組合法での保護だということでございます。
他方、EUの地理的表示保護制度では、乳製品、肉加工品、生鮮野菜、果物、畜産物、水産物、今言ったビール等も保護の対象となっていますけれども、干し草とか精油とか花とか、いわゆる食品でないものも保護の対象とされているところでございます。
ここの取り扱いについて、要するに、登録の対象となる農林水産物の食品の範囲について、今のEUの考え方も対照しながら、どういう取り扱いになっているのかということを御整理いただきたい。
あわせまして、今回新たな制度を発足するに当たって、いろいろな制度があって、これは大臣も本会議場で答弁いただきましたけれども、いろいろな制度のバリエーションを現地の状況に応じて採用していただければいいんだと。確かにそれはおっしゃるとおりだと思うんですけれども、いろいろなメニューがあって、最終的に、今の後藤委員の質問じゃないですけれども、使われないという話になったら、それこそつくる意味も本当にあるのかという話になってしまいます。
農水省としては、そんなばかげたことは考えていないでしょうから、どれぐらい使われることを想定されているのか。また後で触れますが、いろいろな組織体制も整備していかなきゃいけないものですから、どれぐらいの想定をされているのかということも、あわせてお聞かせをいただきたいと思います。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
登録の対象となる対象産品の範囲ということでございます。
本法案で保護の対象となります産品の範囲は、諸外国における地理的表示制度の事例等を参考にして、農林水産物及び食品ということとしておるところでございますが、酒類及び医薬品等につきましては、既に酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律等で対象になっていること等の理由から、対象から除外しているところでございます。
非食用の農林水産物及びその加工品につきましては、今後、先ほど先生御紹介いただきましたけれども、政令でその具体的品目を指定することとしておるところでございますが、花卉、イグサなど、現在国内においてブランド化の取り組みが進められている、こういった産品の範囲を踏まえまして、適切な品目を検討して指定してまいりたいと考えております。
○鷲尾委員 局長、今どれぐらいの想定かというところを御答弁いただきたい。
あわせて、先ほど、どういうふうに指定するか、政令によるんだという話をされていましたけれども、これは本当に、非食用であってもいろいろなブランド化が可能になると思うんですよね。
例えば、最近、それこそ鶏の餌に餌米を入れて、副大臣よく御存じだと思いますけれども、黄身が白くなるけれども、それを、ちょっと普通とは違う卵ですよと。私の地元でいったら、コシヒカリを食べて育った鶏卵ということで、高いブランド価値として認められているんですね。
要するに、餌としての価値というところでも、場合によってはブランド化することによって付加価値につながってくるという考え方もありますから、あくまでもこれは農家の所得向上であるとか競争力向上という部分で、幅広に政令というものも定めていただきたいなというふうに思っております。
その感想も含めて、さっきの、どの程度見込まれているかということをもう一度御答弁いただきたいと思います。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
地理的表示の登録の申請については、地域の生産者の発意によるものでございますので、現段階において具体的な件数を予測することはなかなか難しいと思っております。
他方、EUにおきましては、先ほども申し上げましたように、PGI、PDO合わせて一千百件以上の登録がなされていることや、我が国の地域団体商標制度において、三百件近くの農林水産関係の登録がなされている。こういった事情を考慮すれば、先ほど申し上げましたけれども、地域ブランド産品を知的財産として活用し、地域の活性化につなげていこうというニーズは、潜在的には相当数存在するのではないかと考えております。
先生御指摘の、EUでも餌の干し草が登録されているという事実もございますので、国内の生産実態とか今後のブランド化のあり方も含めて検討させていただいて、適切に政令を定めていきたいと思っております。
○鷲尾委員 ぜひお願いしたいと思います。
今回、原産地呼称保護制度ではなくて、地理的表示という形で保護していくというのは、方向性としては全く当然といいましょうか、我が国の事情を考えれば、非常にいい制度だなというふうに思っているわけであります。生産、加工、調製の全てが特定の地域内で実施されることを要件とするわけではなくて、そのいずれかが地域内で実施されていることということをもって要件としているというのは、日本の中でのバランスを考えたら当然だと思うんです。
一方で、さらなるブランド価値ということで、地域内で全てを賄うというところもきっと出てくるでありましょう。それは、大臣も御答弁いただいていますけれども、今後の検討事項ということで、制度の運用を確かめながら、鋭意検討していっていただきたいというふうに思っているところであります。
先ほど局長の答弁で、いろいろとおのずから決定されますよというところの論点に関連するんですけれども、後藤委員からも指摘がありましたが、農林水産物等の伝統性、これにつきまして少し掘り下げて議論をさせてもらいたいというふうに思います。
これは、特にEUとアメリカの間でいろいろ議論があったと思いますが、やはり原産地呼称という形で、伝統に根差した産物を知的財産として保護していく。アメリカでは、余りそういう伝統というのは、日本よりも浅いし、ヨーロッパよりも浅いわけですから、アメリカが導入に対しては厳しい意見を持っている、あるいはいろいろな心配があるということも至極当然なんだと思います。でも、我が国は、歴史のない国と違いますから、伝統というものに根づいて付加価値をどんどん高めていけば、それこそ輸出する際にもプラスになるだろうと思います。
伝統の基準がどんなものであるのかというところが余り明示的になっていないというところもあります。おのずと決定されるとありますけれども、果たして本当におのずと決定されるのかどうか。それは、伝統というものは何なのかというところまでさかのぼって考えなければいけなくなるかもしれませんけれども、ある程度、申請する側の皆さん方にもイメージとして持っていただかなきゃいけない部分があろうかと思います。
この点、少し抽象的かつ具体的にお答えをいただけたらありがたいなと思います。
○林国務大臣 おっしゃるように、登録される産品は、品質とか評価が確立しておる、これがやはりなくてはなりませんので、その確立した特性が生産地と結びついているということが地理的表示というゆえんでございます。したがって、特性が確立するに至るまで、やはり一定の時間の経過といいますか、伝統性を具備していることが求められるというふうに思っております。
したがって、登録の基準ですが、やはり申請者が申請するときに予見可能性があるということが望ましいと思いますので、先ほど局長が答弁しましたように、審査に当たってのガイドラインを示したいと思っておりますので、施行までに、伝統性の具体的な要件、抽象的かつ具体的にということでございまして、まさにそのとおりだと思います。何年というふうに切ってしまえば、それより一年長ければよくて、それより一年短ければいいのか、こういう議論に必ずなりますので、まさに今委員がおっしゃっていただいたようなことではないかというふうに思います。
EUでは、三十年というのを一つの目安で求めている、こういうふうに承知をしておりますので、こういったものも一つの参考にしながら、運用方法を確立していきたいと思います。
○鷲尾委員 これからということのようでありますけれども、大臣、ここは本当に日本においては大事な点だと思うんです。そして、これは海外に受ける話だと思うんですね。やはりアメリカ人も伝統的なものを好きですから、歴史の重みを感じるものを、日本でしか発信できないものを売っていくという意味でも、うまくつくってもらいたいなと思います。やはり日本の農家さんが海外に出ていきやすい政治的配慮を行いながらやっていただきたい。もちろん、国内で競合するとかいろいろな部分もあろうかと思いますけれども、そういった視点も大事だと思うので、ぜひお願いをいたします。
それで、申請、登録手続についての質問に移りたいと思います。
今回、登録申請で、かなり農家さんも大変だなと思う手続もございます。
これは津島委員からも質問があったところでもありますけれども、特定農林水産物の登録の申請を行おうとする生産者団体は、明細書及び生産行程管理業務の方法に関する規程を添付して農水大臣に提出するということであります。明細書においては、かなり詳しいとは思うんですけれども、当該農林水産物等の区分、名称、生産地、特性及び生産方法等を記載するということであります。
今、私も読みながらぱっと思ったんですけれども、明細書に記載する生産地と農林水産物等の名称つまり地理的表示、これが一致しない場合ももしかしてあるのかなと思ってしまうわけであります。生産地と関連をしていればいいということでありますから、実際の地理的表示と生産地が合わなくなることもあるんじゃないかなということをぽっと私も思ってしまうわけであります。ここら辺が、やはり農家さんとしても、細かい論点ですけれども、非常に混乱が起きやすいところなのかなと思います。
先ほど来議論がありましたけれども、明細書の内容を公示するということになっております。なかなか公示できないものもやはりあるんじゃないかな、秘密にしておきたいところも随分あるんじゃないかなと思います。生産行程管理業務規程も公示されるということでありますが、これも公示するということは、普通で考えたら、わかりませんよ、一般的に考えたら、常識的にこの規定を見れば、結構丸裸にされるのかなと思っても不自然ではないわけです。ですから、そこら辺の心配というのは当然申請者においてあるわけで、やはりここの整理をしていただかなきゃいけないというふうに思います。
隠したら隠したで、今度は、保護されるべき地理的表示あるいは品質の基準というのは実際何なのかという話になっちゃいます。これは難しい論点なんですけれども、ぜひ明らかにしていただきたい。実務に携わる農業者の皆さんに不安が生じないようなたてつけにしていただきたいと思いますが、いかがですか。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
明細書についてでございますけれども、明細書に定めるべき農林水産物等の生産の方法につきましては、その内容が規制の基準となり、これに適合しない産品に地理的表示をすることはできず、違反した場合には罰則がかかるということになっておりますので、本制度においては、一般の農林水産物等との区別に当たって必要な程度に詳細な記述を求め、登録に当たってその内容をあらかじめ公示することとしているところでございます。これは先生のおっしゃるとおりでございます。
他方、先生も御指摘のように、地域ブランド産品の生産方法については、門外不出のノウハウとして地域で守ってきた、こういったものもあろうかと思います。
そういうこともあって、明細書の原案というのは地域で話し合ってつくるものでございますので、具体的にどこまで詳細に生産方法を公にするかという点については、地域でよく話し合って決めていただくことになるのではないかと思っております。
また、その点につきましては、生産行程管理業務規程についても同様でございます。管理方法についても、秘密にしておきたいという地域のニーズがあるとも考えられますので、具体的にどこまで詳細に記載するかは、これもやはり地域でよく話し合って決めていただくのが基本なのかなというふうに考えております。
○鷲尾委員 これはなかなか難しいですよ、地域で決定といっても。地域に任せますと言われても、地域は本当にどこまで記載していいんだろうと。自分がつくっているブランド品の本質にかかわる部分、では、これは除外しますよといったときに、相手がもちろん見よう見まねでまねする。でも、それは結局、いやいや、公示されている部分には違反していないから、別に問題ないでしょうということもあるわけですよね。そうすると、地域団体商標の制度で見ても、今回は品質の部分も保護していこうよという趣旨から、余りに地域に任せ過ぎてしまうと、なかなか利用する側も難しいんじゃないかということなんです。
だから、余り地域で決定、地域で決定と言われると、ちょっとこれはどうかなと私は思ってしまうんですが、どうですか、補足してもらえますか。
○山下政府参考人 地域において、具体的にどういった内容の明細書を作成するのか、それから生産行程管理業務規程をどこまでつくるのかといった点、先生がおっしゃるとおり、なかなか難しいところがあるかと思います。
我々といたしましては、今後、これが成立すれば、施行に向けて検討するわけですけれども、例えば明細書でいえば、そのひな形を示すとか、地域が作成するに当たって参考になるような、何らかのそういった作業をしていくことを検討したいと思っています。
○鷲尾委員 趣旨はもうお話ししておりますので、ぜひ十分踏まえてお願いしたいと思います。
続いての質問ですけれども、生産行程管理業務についてなんです。
これは、生産行程管理業務ということで、明細書に適合して行われるようにするために必要な指導、検査等の業務ということであります。これについて、明細書をつくります、生産行程管理業務をつくります、これが一体として、車の両輪のように動くことによって品質が維持されますというたてつけで、しっかりと指導、検査を生産者団体がしてくださいねということだと認識をしておりますが、そういった生産行程管理業務の水準ですね。
農業者の方からしたら、その生産行程管理業務の指導、検査というのも、もしかしたら、実質的に地域団体登録で商標をやっておられる生産者団体さんは、過去の実績を踏まえてうまくできるかもしれないけれども、新たに取り組もうとしたときに、またいろいろな混乱も生じるんじゃないかというふうに思います。
どんな水準のものを想定されているのか、この点をちょっと明らかにしていただきたいと思います。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
本制度において、地理的表示の登録を受けた産品について、生産者団体が品質管理を行うとともに、国がその品質管理の体制をチェックすることにより、産品の品質が公的に保証されるような仕組みということとしているところでございます。
品質管理の具体的な方法につきましては、農林水産物、食品の種類、特性に応じて異なってくると考えられますので、それぞれの種類、特性に応じた適切なチェックが可能となるよう、その基準について今後検討してまいりたいと思っています。
○鷲尾委員 これも今後検討ということで、なかなか検討尽くしで困ったなと思っているんですが、農業者の方が心配にならぬようにやってくれと。余り実務的な負担が重過ぎて利用者が減り過ぎてしまうというところも、これもまた問題ですから、どうでしょうか、そこら辺を勘定してもらいたいなというふうに思っているところでございます。
ちょっとほかの委員の先生と重なっている部分がございますので、幾つか質問を飛ばせてもらいまして、合意形成に関する質問に移らせていただきたいと思います。
地域団体商標制度、これは現在、千件以上の出願で五百数件登録されているということでございます。こういう地域団体商標について、これも一つのブランド化という意味で、いい取り組みであるというふうに思いますけれども、それに加えまして、今回は地理的表示保護制度を創設するということであります。地域団体商標制度よりも、品質管理について包括的にブランド化することによって、さらなる付加価値を高めていくということで、非常に取り組みとしてはいいわけでありますけれども、そもそも地域団体商標制度においても、地域の関係者の間でいろいろな意見があって、結局、登録後に異議申し立てを受けて取り消されたケースもあるというふうに聞いています。
これは地理的表示の保護制度も同じことが言えますし、かつ、地域団体商標制度と制度が並列することになりますから、農業者の方からすると、では、もう一度地域団体商標制度を活用していこうという人もあらわれるかもしれないし、ある方は、いや、今回新しい制度になったし、もっとブランド価値が高められそうだから地理的表示をやっていこうとか、また、先ほどの委員の先生の質問にもありましたけれども、やはり俺はこの人とは一緒にやりたくないから、別で今度やっていこうとか、地域での合意形成というのは本当に難しい。制度が併存すれば、いろいろな制度がふえればふえるほど、これまた難しくなってしまうんじゃないかと思います。
この合意形成をどうしていくのか。やはり政府も何らかの取り組みが必要なんじゃないかなと思うんです。もともと、登録申請を行う主体というのは生産者団体になるわけですから、何か個人でやりますということが認められるわけじゃないわけですから、いろいろ合意形成をするに当たっては、政府もやはり取り組んでいかないと、現場は混乱する。今の議論を聞いていても、これから検討します、検討しますですから、やはり何らかの努力が必要だと思います。
ここは大臣にしっかりと答弁をいただきたいんですが、いかがでしょう。
〔委員長退席、北村(誠)委員長代理着席〕
○林国務大臣 今度新しく制度をつくるわけですが、前の制度は残って、選択してもらえるようになる、こういうことであります。まさにそれぞれの地域でブランド戦略というものをどう考えてやっていっていただけるか、これに大きくかかわってくるということでございますので、やはり地域でしっかりと検討していただいて、方向性を出して、その道具の一つとしてこれを活用いただきたいということでございます。
したがって、これに申請する場合に、生産者団体、こうなっておりますが、そこにやはりより多くの方、例えば、一つの地理的表示をとるのなら、それにかかわる方が網羅的に入ってくださるというのが一番いいわけです。網羅的に入るというところにどうやって持っていくかというのが一番大事なところでありまして、地域によっては、もともとそういうふうになっているところとそうでないところもあると思いますし、それから、そう思って、ほとんど網羅的にやったら、今まで全くやっていなかった人がまた新しく手を挙げてと、いろいろなケースがあると思います。
したがって、なるべく多くの人が合意形成をして、参画して、登録されることが望ましいという考えのもとで、地域の合意形成それから申請書類の記載方法に対する助言、こういう支援の仕組みについて、施行に向けてしっかりと考えていかなきゃいけないというふうに思っております。
目的は地域の産品のブランド化、こういうことが最終的な目標でありますので、まずは各産地においてしっかりと考えていただくということを基本に、我々もしっかりと支援をしていきたいと思っております。
○鷲尾委員 しっかり支援していただけるということで、地域がといいますが、これは一人称ではありませんので、そこは本当に難しいですけれども、ぜひ、本当にいい形で制度を活用していただける方向に持っていっていただきたいと思うわけであります。
それから、ちょっと時間がなくなってまいりましたが、今回、農林水産省がやる、やらなければならなくなることというのは大変多いんじゃないかと思っております。地理的表示制度の導入に伴って、もちろん、今大臣がおっしゃったように、合意形成にも御尽力いただくということでしょうし、登録の申請受け付け、決定までの審査のみならず、その後の品質管理体制のチェック、不正使用の監視、取り締まり、業務が相当ふえるのではないか。知的財産を取り扱う、知的財産権について詳しい方も、人材確保として、当然必要になってくるんじゃないかというふうに思います。これは相当な、いろいろな体制の整備が必要になってくるのではないかというふうに思いますけれども、体制の整備についてどういうお考えを持っていらっしゃるのか。
ほかの質問とあわせますけれども、例えば食品表示の適正化ですと、日常的に情報収集を行っていると聞いております。食品の偽装問題等々も含めて、農林水産省も頑張って、情報を受け付けるような体制をもう既にとっているということであります。せっかく知的財産として守るという形にするわけですから、不正があるぞというのを受け取る側の体制としても非常に重要なんじゃないかというふうに思っているわけです。
先ほどの全般的な組織整備のあり方も含めまして、御答弁をいただけたらと思います。
〔北村(誠)委員長代理退席、委員長着席〕
○林国務大臣 登録の受け付けから、これを採用して、そしてまた、今度は不正使用の監督といいますか監視、いろいろなことをやっていかなきゃいけないということであります。
したがって、特に不正使用等々について、まず、発見した方は誰でも農林水産省に申し出ることができる、こういうふうになっておりまして、農林水産省が事実関係の確認、関係者の立入検査を行う。この部分は、かなり全国的にいろいろなところで出てくる。申請を受け付ける方は、来たものを受け付けるということですが、これは、いつ何どき、誰が申し出てくるかということがわからないわけでございますので、法の二十六条で、私の大臣の権限を、農林水産省令で定めるところにより、一部を地方支分部局の長に委任することができる、こういうふうにしてありまして、確認、それから立入検査、これらについては、農林水産省の地方出先機関に行わせる方向で考えております。
やはり不正使用が厳格に対応されるというのがないと、この制度そのものに対する信頼ということに直結いたしますので、登録状況を踏まえて厳格な対応をしていきたい、こういうふうに思っております。
全般的にも、基本的にはこれは食料産業局が所管をするわけでございますので、必要な体制をしっかりと確保していきたい、こういうふうに思っています。
○鷲尾委員 専門人材等も必要になってくると思います。そういったところもあわせて、しっかりと運用の体制の整備をお願いし、質問を終わります。
ありがとうございました。
○坂本委員長 次に、玉木雄一郎君。
○玉木委員 玉木雄一郎です。
きょうは、法案の審議に入る前に、幾つか確認をさせていただきたいと思います。
まず、PEDのワクチンについて。
この委員会でも私は質問いたしましたが、地元の香川県でも、連休明けになって、ようやく現場にワクチンが回り始めたということを確認しております。流通業者が集まって、やはりメーカーごとに系列があるみたいですね、このメーカーのワクチンはこの流通業者を使うとか。そういうことで、数字上はたっぷりあるんだけれども、なかなか現場に行かないという問題があったようでありますけれども、それが少しずつ解消されてきたということを確認しております。
そこで質問なんですが、これは現場から聞いたんですけれども、ワクチンの一発目、母豚に打つワクチンは行き渡ってきた。期間を置いて、二つ目のいわゆるブースターというのを打たなきゃいけないということなんですが、二回目のワクチンが、今度来るのは別のメーカーのが来ますよということを現場で生産者の方が言われたらしくて、最初に打つワクチンと二つ目に打つワクチンが別のメーカーのものでも効くのか、大丈夫なのかということを実は心配をされて、質問を受けたんですけれども、この点について、お答えいただけますか。
○小林政府参考人 お答えします。
今御指摘いただきました豚流行性下痢、PEDのワクチンにつきましては、今先生からお話ありましたように、メーカーが二つございます。いずれのメーカーのワクチンにつきましても、同じワクチンを一頭の豚に二回接種するという仕組みにしておりまして、その前提で国が有効性、安全性を審査して、承認しているということにしております。
両メーカーのワクチンに含まれていますウイルスと今回沖縄等で確認されたウイルスは、血清学的に違いはないということは確認されておりますが、異なるメーカーのワクチンを同一の豚に接種した場合の有効性ということについてはデータがございません。
したがいまして、両メーカーとも、増産したワクチンを五月中に、両方とも増産して、もう出荷が始まっております。農林水産省としましても、用法どおりに同じワクチンを二回使用していただけるよう、円滑な供給に努めておりますので、現場においても用法どおりの使用をしていただければありがたいというふうに考えております。
○玉木委員 私は、ある方から、農林水産省に確認したら、二回目が違うメーカーのワクチンでも大丈夫なので、違うメーカーから来てもいいよといった、現場でどうもそういう情報が回っていたらしいので、有効性が確認できていないのであれば、やはり同じメーカーのものを確実に一回目も二回目も入れるように、これは現場でよく確認してみてください。
うわさも含めて、いろいろなことが言われています。ですから、しっかりとした供給体制を改めて確認いただきたいということを、冒頭、お願いしたいと思います。
次に、燃油対策です。
最近、地元でも、皆さんもお聞きになっていると思いますが、円安になってガソリンの値段が高い、軽油も高い、加えて四月からの消費税、そしていわゆる温対税というものが燃料にかかっておりまして、農産物あるいは飼料を運ぶトラックなどが、燃料が非常に高騰していて、最近では、景気も少し回復傾向なので、人件費も結構かかっていて、仕事はあるんだけれども、トラック業者の人は非常に苦しいという声も、特に中小の業者から聞きます。
中小のトラック業者が苦しくなると、結果として、価格の転嫁も含めて、農産物の生産者の経営の安定にも影響を与えてくると思っておりますが、昨今の燃油の高どまりと言っていいのかもしれませんが、こういうことに対して、政府としてどのように対応を考えているのか、お答えいただけますか。
○大庭政府参考人 先生御指摘のとおり、トラック運送業者のほとんどは中小企業でございまして、燃料価格の高騰によりまして、極めて厳しい経営環境にあるものと認識しておるところでございます。
そこで、政府としての支援ということでございますけれども、国土交通省といたしましては、平成二十五年度の補正予算及び平成二十六年度の当初予算などにおきまして、トラック輸送の省エネ化に資する環境対応車やエコタイヤ、こういったものの導入を支援することなどを行っているところでございます。これによりまして、燃料高騰によるトラック運送事業者の負担の軽減を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
○玉木委員 エコタイヤでは対応にならないと思いますね。
ずっとこういう答弁なんですね。民主党政権の際もそうで、我々も対応としては十分できなかったんですが、恒常的な高どまりについては、やはり抜本的な対応策を打たなきゃいけないというふうに思います。これは農林水産委員会ではありますけれども、我々としても問題意識を持って考えていきたいと思いますので、国土交通省を中心に、また国土交通委員会でも取り上げたいと思います。来年度の予算の編成の準備が始まっていくと思いますので、そういった点もぜひ加味して対応いただきたいということを、これまたお願いしておきたいと思います。
続きまして、TPPの話題に入りたいと思います。
シンガポールの閣僚会合も終わりまして、また森山先生も行かれたと。今回は私は行けなかったので、御一緒できなくて申しわけありませんでした。
いつも悩むのが、各会合が終わった後の報道ぶりの解釈でやきもきするわけですね。進んだのか進んでいないのか、進まないことがうれしいと思う人もいれば、進まないことが悲しいと思う人もいて、同じ新聞の見出しを見ても解釈が非常に分かれるというのが昨今のTPP会合の特徴だと思います。これは、先般行われました日米首脳会談、そして、その後の共同記者会見の言いぶり、共同声明の書きぶり、こういったことにも同じような傾向が出ていると思います。
まず、きょうは小泉政務官にお越しいただいていますので、質問したいと思うんです。
私の理解では、甘利大臣あるいは政府からも、こういう認識なんだというふうに私は理解しているんですが、方程式、フォーミュラとも言われますが、そういった幾つかの式は決まったんだけれども、中に入れる変数、これがまだ決まっていなくて、では、ここに高いのを入れたらここは低くなる、ここを低くするとここは高くなる、こういうことが一般的に言われていて、そういう発言もあったやに記憶しております。
ということは、確認したいのは、農産物でいえば、関税の率を引き下げていく、あるいは撤廃に向けての期間、そしてセーフガード、あと、もろもろあると思いますが、そういったものを組み合わせることによって、いわゆる国境措置、クロスボーダーメジャーというふうに英語では言われますけれども、国境措置をそういった組み合わせの中で下げていくことについては合意ができている、その理解でよろしいんでしょうか。この点、まずお願いします。
○小泉大臣政務官 最後の方の下げることについてという御指摘の点でいえば、税率について合意したという事実はありません。
ただし、先ほど玉木先生が言及をされた、さまざまな要素について、そういった税率一つではない、そんなことに対する共有認識というのは持っております。
○玉木委員 なぜこういうことを聞いたかといいますと、お手元に配っている資料の二をごらんいただきたいと思うんですが、我々の側もフォーミュラがあるはずですが、アメリカ側にも多分フォーミュラがあると思うんですね。
これは、当委員会か内閣委員会か予算委員会で取り上げたんですが、四月十二日の、いわゆる日米並行協議、我が国がTPPに正式参加する際に、あわせて合意をした日米協議の合意の概要であります。左が日本語、右は英語ですけれども、ここの三の(二)のところに、自動車のことについて合意をしたということで、次のようなことが書かれております。「TPPの市場アクセス交渉を行う中で、米国の自動車関税がTPP交渉における最も長い段階的な引下げ期間によって撤廃され、かつ、最大限に後ろ倒しされること、」というふうになっております。
繰り返しますけれども、これは我が国がTPP交渉に入る前のアメリカとの合意文書であります。しかも、二国間の合意文書でありますけれども、TPPのこれから始まる交渉について先取りして、二国間で合意をしております。
まずお伺いしたいのは、今度は右側の英語を見ていただくと、オリジナルは英語ですけれども、その下の方にちょっと拡大して書いていますが、左の日本語の文章だと、最大限長い期間ですね。さっきのフォーミュラで言うと、その撤廃の期間の長さの話が書かれていますが、日本からアメリカに輸出される車にかかっているアメリカ側の関税については、これは英語で言うとフェーズアウトというふうに書いているんですが、関税撤廃だとよくエリミネーションという言葉を使いますが、フェーズアウトというのは、関税率でいうとゼロ、つまり関税を全くなくしてしまうということを指しているというふうに理解してよろしいんでしょうか。それとも、関税をゼロにすることではなくて、何かこう少しもやもやした、少し幅のある表現なのか。
日本語では関税の撤廃というふうに明確に書かれておりますけれども、このフェーズアウトについて改めて確認したいと思うんですが、これはゼロ関税を意味しますか。
○五嶋政府参考人 お答えさせていただきます。
先生御指摘の昨年四月の日米合意でございますが、これは佐々江駐米大使発マランティス米国通商代表代行宛ての書簡によるものでございます。
この合意におきまして、両国政府は、自動車に係る米国の関税がTPP交渉における最も長い段階的な引き下げ期間によって撤廃されることを確認いたしましたが、この書簡には、ウィル・ビー・フェーズド・アウトという文言がございます。これは、我が国の主要な英和辞典によれば、段階的に廃止されるという意味であるとされているところでございます。
○玉木委員 いや、主要な英和辞典ではなくて、アメリカとの確認の中で、これは関税をゼロにする、つまり我が国からしたら、これはとりたいですよね。ピックアップトラックで二五%の高い税率がゼロになるのか。それか、何かこう、ゼロではなくて、少し下がるんだけれども、関税が少し残っていくような話なのか。ここについてはしっかりと確認した上で、この文書をつくったんじゃないんですか。
もう一度答えてください。ここは、関税ゼロ、関税が全くなくなるということを一応意味するということでまず確認したいんですけれども、いかがでしょうか。
○五嶋政府参考人 確認をしております。
○玉木委員 ありがとうございます。
ということは、パラメーターの話に戻りますけれども、最終的な着地点がアメリカ側の自動車関税についてはゼロだということであれば、長さという、長さは変数ですよ、長かったり短かったりしますけれども、ただ、最終的に到着する税率については、これは、ある種、変数じゃないですよね、ゼロなんだから。
つまり、動かせる変数は期間で、率についてはいろいろ長さはあるにせよゼロだということを合意して、両国がこれで決めているということは、私は今の説明を信じたいんですが、であれば、当然、我が方側、つまり農産物の関税についても、長さとかセーフガードが認められるとかいろいろなことはあるにせよ、最終的な税率のゴールは、これは変数ではなくて、やはり同じように、彼らがフェーズアウトをゼロだと明確に認め定義しているのであれば、我々もそこは、ある種、レシプロシティーというか相互主義がありますから、ここはやはり交渉上ゼロをのまざるを得ないんじゃないんですか。その中で交渉せざるを得ないと思うんですけれども、それがある種のTPP交渉の原則ではないかなと思うんです。
そこが逆にゼロではないことを今の時点でとれているとすれば、むしろ、それを変数にすることができているのであれば、私は立派な交渉成果だと思います。
この点を、甘利大臣の今回のシンガポールの会合の後の発言を見ても、一応撤廃はしない、ただ、いろいろと歩み寄りは探っていかなきゃいけないということなんですが、ゼロにしなくていいことについては既に合意ができているということなんでしょうか。この点、もう一度お答えいただけますか。
○小泉大臣政務官 いずれにしましても、最終的な合意というのは交渉の中で決まっていくものであります。そして、日米の間でも、先日のオバマ大統領と安倍総理による日米の会談においても、お互いの国にとってセンシティビティーというのがあるということは共通の認識として持っているわけでありますので、これから、七月の首席交渉官会合が今回のシンガポール会合によってセットされることが決まりましたので、精力的に、七月が大きな山場という甘利大臣の発言もありましたし、交渉の加速をこれからもやっていきたいと思っております。
○玉木委員 交渉の肝にかかわることなのでお答えできないんでしょうけれども、ゼロじゃなくできるということであれば、私は大きな成果の一つかな、粘り強い交渉の成果だし、当委員会の決議などが大きな役割を果たしたと評価できるかもしれませんが、仮にそこがとれずに、結局、TPPの原点に戻って、そして、先ほど説明があったように、アメリカ側も、いろいろ理由はつけるにせよ、最終的にはゼロだということに合意しているんだったら、当然、おまえたちも譲れよと言うのは当たり前です。
かつ、もしそれが、最終的な到達点がお互いゼロであれば、アメリカ側は長さだけは多くとるということは、二国間で決めてしまっているんですよね。これも、本来であれば、TPP交渉の中で、交渉材料として、フェーズアウト期間についても交渉の対象にすべきなのを、さっさと交渉に入る前に、一つの変数については譲ってしまっているということは、少なくとも少しビハインドな状況で交渉を始めてしまっているということは、私はこれは事実だというふうに思いますね。
その後に、韓国の、米韓FTAでの取り扱い、これはアメリカの自動車関税についての特別な取り扱いということは、韓国以上の、大幅に上回るような特別扱いをしてくれよということがその後に書かれてあると私は認識しております。
ですから、いずれにしても、これから交渉が、さらに数字を入れていく話になっていくと思うんですが、関税を撤廃していく期間については、アメリカの自動車については極めて特別扱いしますよということについて、少なくとも我が国は同意をして交渉に入っているということは、今後の交渉の中で、これが足かせとかマイナスにならないように、強い交渉をぜひ行っていただきたいと思います。
新聞を見ていると、小泉政務官もおっしゃった、出入り禁止にした読売新聞を中心に、何かを譲るという話はいっぱい出てくるんですね、牛肉を譲ります、豚肉を譲りますと。それが、何かあたかも我が国の成果のように書かれているのは、極めて自虐史観的で嫌なんですね。譲る話を喜々として書くような我が国の新聞はいかがなものかと思って、その結果、これをとってきましたということが見出しを飾るなら、我が国民の一人として大変うれしく思いますけれども、こんなことが譲れました、こんなことが譲れましたと喜々と書いていることは一体何なんだ。その結果、二五%の関税を一桁台までとってきましたということを一回も見たことがないですね。
ぜひ、何を譲るかではなく何を獲得するのかという観点で、もう一度強い交渉で臨んでいただきたいなということを強くお願い申し上げまして、政務官には、以上でTPPの質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
続きまして、法案の審議、法案の内容に入りたいと思います。
きょうもいろいろ議論がありましたけれども、私は、この法案の方向性は極めていいと思うんですね。
ただ、これは役に立つのかなと私は思っているんですよ。ぜひ役に立ってもらいたいと思うんです。つまり、地域の伝統とか特性を生かした農産品あるいは食品、こういったものの努力が報われる制度というふうに思っております。
例えば、これから具体例を出していきますけれども、私は香川県の出身で、昔の名前を讃岐といいます。高知なら土佐。この古い名称についても保護対象になっているというふうに認識しておりますが、例えば、典型的な香川県の食品である讃岐うどんを仮に本法に基づいて登録をしたら、あるいは登録がそもそもできるのかというところなんですが、讃岐うどんという名称は本法の保護対象になるのかどうなのか、この点、お答えいただけますか。
○林国務大臣 この法案は、地域で育まれた伝統と特性を有する農林水産物、食品であって、品質等の特性が産地と結びついておって、その結びつきを特定できるような名称が付されているというものについて、その名称を知的財産である地理的表示として国に登録することができる、こういう地理的表示保護制度を創設するというものであります。
したがって、個別の案件については、実際に申請を待って、合致するかどうかを審査することになるわけですが、今お話のあった讃岐うどんについて、あくまで仮に、既に全国区的なものになっており、日本じゅうの人が知っているということで、産品の特性と産地の結びつきが失われて、普通名称というふうになっていると判断される場合は、本制度の保護の対象とすることはできないということもあり得るということでございますので、これはあくまで個別の案件でございますので、具体的な申請を待ってやるということになろうか、こういうふうに思います。
○玉木委員 何か刑事事件の質問に対して、個別の案件は答えられないみたいな感じなんですが、では、大臣、ちょっと質問をかえます。
これは事務方でもいいんですが、この委員会でも何度も取り上げましたけれども、讃岐うどんは、原料は今ほとんどASWですね。オーストラリアン・スタンダード・ホワイトというオーストラリアからの輸入小麦です。
原材料がその地域のものじゃなくても、極端な話、外国のものであっても、何かその地域の伝統のわざとか製法とか、そういったものを使ってやる場合には、今回の我が国のこの法律の保護対象になり得るのかならないのか、この点、お答えいただけますか。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
本制度では、産品の生産、加工、調製の一部がある地域で行われていることを求めればよいとされておりまして、必ずしも原材料が現地のものである必要はございません。
したがって、輸入した原材料を使用する場合であっても、製品の特性が産地と強く結びつくこととなれば、登録の対象となり得るということでございます。
○玉木委員 これは先ほども質問がありましたけれども、日本の場合、いわゆるEU型のPGIとPDOを厳密に分けずにスタートするということなので、生産と加工と調製の全てがその地域と結びついていなくても、一部のものが結びついていたらいいということで、今、だから認められるという話になったんですが、私は、スタートはこういう形でいいにせよ、将来的には、例えば原材料もその地域のものとか、そういった特別のカテゴリーを設けて、それをさらに評価して、そういったさらなる努力を応援してあげるような仕組みも、これから今後の見直しの中ではやっていった方がいいなというふうに思いますね。
ですから、そういうことであれば、例えば、讃岐うどんをつくるために、今、さぬきの夢二〇〇九とか、地元特有の小麦をつくっているんですよ。そういう努力を応援するような仕組みも私は必要だなと思いますので、スタートはゆるゆると入るのも仕方がないんですが、EU型のPDOの方の類似の制度も将来的には我が国においても整備していくことが、国際的なハーモナイゼーションとか、そういう観点からも大事だと思いますので、この点は指摘をしておきたいと思います。
もう一つ。私は、大学に入学するときに初めて東京に出てきたんですけれども、びっくりしたことが一つあって、讃岐うどんということで売っているうどんをうどん屋に入って食べたら、だしが真っ黒けなんですね。これは大阪とか京都とか、関西系の人にも御同意いただけるんですが、温かいそばのそばを抜いたものにうどんを入れて讃岐うどんみたいに出している店が、最近は減りましたけれども、さっき大臣がお答えいただいて、大分知名度が上がってきて、全国チェーンの店もふえてきたのでいいんですが、昔はあれを見て、これを讃岐うどんと呼ばないでくれと思ったわけですよ。今でもそういううどんを讃岐うどんで売っているところはあるんですけれども、私は、これを提訴はしないまでも、ちょっと注意申し上げたいなという気持ちがするんです。
ただ、質問は、食品が対象になっているということなんですが、うどんの麺と、今私が申し上げた、問題だと言った黒い汁、だし、これを組み合わせた食品である讃岐うどんというものが、幾つか仮定の話をされましたけれども、何か特殊な讃岐うどんで登録しようとしたら、麺とだしを組み合わせた料理たる讃岐うどんは今回の法律の保護対象になっているのかどうか、この点、ちょっと確認したいので、お願いします。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
本制度は、農林水産物、食品について、地理的表示として登録されたものについて、名称の使用とマークの貼付を認めるものでございます。
名称やマークが外され、調理されたものについては、品質の基準を満たすものであるかについての確認はもはやできませんので、本制度による規制を及ぼすことはできないということから、料理については、本制度の対象外としているところでございます。
○玉木委員 そうなんですよ。料理たる讃岐うどんは保護対象にならないんですよね。でも、例えば、いりこだしという、香川県に伊吹島という島があるんですけれども、そこのいりこを使っただしをとったものと讃岐の小麦を使った腰の強いうどんを合わせて、これがまさに、よってもって讃岐うどんのえも言われぬ風味を出すわけですね。
こういうことは、これも法案のスタート時点では仕方がないにせよ、料理はだめだといって一概にそれを切り捨てるのではなくて、一体性とか、そういった、だって、うどんをそのまま食べないわけですから、常にだしがあってうどんなのです。
農産物と不可分一体な構成要素については、それを一体として考える、あるいは、農産物の割合が大きいものについては、付加的に何かついてきたら、それは一体として農産物として考えるような柔軟な運用についても私はこれから求めていきたいと思いますので、これはぜひ考慮に入れていただいて、運用の中で、あるいは今後のそういった申請ぐあいを見ながら判断をしていただきたいなと思います。
もう一点、具体的品目を出して伺いたいのは、和牛であります。
資料の四を見ていただけますか。これは当委員会に一度出しましたけれども、私が前回シンガポールに行ったときに、シンガポールのレストランで食べたそのメニューを、まさに写真に撮ってきて、今度はぜひ宮腰先生と一緒に行きたいなと思っているんです。
前回取り上げたときに申し上げたのは、オーストラリア和牛というブランドは侮れないということです。単に模倣品とかそういうものではなくて、彼らは彼らのしっかりとしたブランディングをやっているなということを強く感じたわけであります。
その下側に、日本としての取り組みが少し書いています。いろいろ、佐賀牛とか米沢牛とか、きょうもありましたけれども、個々のブランドで出していくと、外国には何のことだかわからないので、ジャパニーズ・ビーフと今副大臣からもありましたけれども、和牛の統一マークをつくって出していこうというような努力もされているわけですね。
先ほど来の審議の中で、個々のブランドを認めていくことは、こういう我が国としての統一ブランドを進めていくという戦略と少しここは矛盾するところがあるのではないか、そういう指摘もありました。
これもちょっと確認したいんですが、和牛という、和というのはある種日本をあらわす言葉ですけれども、法律を見ると、特定の地域とか国も保護すべき地域の一つの例として法律で明示されていますけれども、和牛の和とか、和牛、これは本法律での保護の対象になるんでしょうか。
○林国務大臣 和牛という名称ですが、日本原産の牛の種の総称であるということで、それ自体で産地やブランドというものを示すものとはなかなか言えなくて、特定の地域と結びついた名称を保護するという意味で、本制度にはなじまないということであります。
今お話があったように、産地の名称の中に旧国名、和というのも日本という意味の古い言い方かもしれませんが、そういうものを用いることを排除しておりませんが、南北に国土が広がっておって、我が国全体の気候、土壌といった特徴が産品の特性に結びつくようなものというのは余り思いつかないわけでございまして、したがって、我が国全体をあらわすものとしての和という語を冠した産品が登録される可能性というのは、以上申し上げたように、低い、こういうふうに考えております。
○玉木委員 これは結構大事な問題だと私は思っていまして、輸出戦略をこれからいろいろな形で立てて、日本のブランドを世界に売り込んでいくということなんですけれども、私は、この法律にすごく期待するところもある一方で、先ほどからの審議も聞いておりまして、これは輸出戦略に直接は役立たぬのかなと。
幾つか、マークをとったら、それを相手国でトレードマークとして登録したらいいとか、国が直接出ていけるとか、そういういろいろな説明はありましたけれども、海外における我が国の地名を付した模倣産品の流通防止、これについては、この制度とは別に対策を打っていかないと、この法律をつくったからといって、やはり先ほど来答弁があるように、物すごく間接的でしかないと思うんですね。
なので、海外における我が国の地名を付したおかしなものの流通をどう防いでいくのかということについて、政府としてどのような方針で臨むのか、この点、最後に確認させていただきたいというふうに思います。お願いします。
○小里大臣政務官 和牛の統一マークを例に引きながらのお尋ねであると思いますが、昨年の党、政府で定めた農林水産物・食品の国別・品目別輸出戦略に基づきまして、御指摘の和牛統一マーク等のロゴマークを活用することによりまして、ジャパン・ブランドとしての売り込みを行っているところであります。
今般、地理的表示制度を創設して、一定の基準を満たす産品についてマークを使用できる仕組みを構築いたします。これによって、地理的表示とGIマークが使用されている産品であれば、国として認めた一定の品質が備わっていることを対外的に示していけるということであります。
したがって、従来の和牛統一マーク等のロゴマークを使用することで、ジャパン・ブランドとして売り込むことに加えて、新たに創設されるGIマークを併用することで、国外で生産された和牛等の製品との差別化を図っていく、そういう道筋であろうと思います。
○玉木委員 和牛という言葉が、ある種、先使用でとられてしまって、だから日本は、江藤副大臣がお答えになったように、ジャパニーズ・ビーフという言葉を我々が使うというのはちょっと変な話なので、情報のネットワークを世界に広げて、こういう例がちょっとでも出てきたら、早目に芽を摘むとか、そういうことを、これから和牛に限らず、果物とかいろいろ出てくると思いますので、ぜひ農林水産省も、外務省とも協力して、そういった情報収集、速やな初期段階での対応ということを強くお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○坂本委員長 午後一時十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時十七分休憩
――――◇―――――
午後一時十五分開議
○坂本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。村上政俊君。
○村上(政)委員 こんにちは。維新の会の村上政俊です。
法案について、通告に従って、順番に伺ってまいりたいと思います。
本法案により地理的表示保護制度を導入する理由として、国際的に、EUを初めとする百カ国以上に、広く地理的表示制度が導入されていることが挙げられております。
地理的表示保護制度については、WTO協定の一部であるTRIPs協定で定められている一方で、EUにおいて先行して取り組みがなされており、産品と地域の結びつきの度合いに応じ、原産地呼称保護、PDO及び地理的表示保護、PGIの二つの仕組みが存在すると承知しております。
本法案により導入しようとしている地理的表示保護制度は、EUの制度を参考としたと聞いておりますが、EUの制度と類似の制度を新法により導入することとした理由は何でしょうか。また、本法案により導入しようとしている地理的表示保護制度は、我が国の実情に応じて調整が行われたと聞いておりますが、EUの制度との違いは何でしょうか。お尋ねいたします。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
我が国の農山漁村には、長年培われた特別の生産方法や気候、風土、土壌などの生産地の特性により、高い品質と評価を獲得するに至った地域ブランド産品が多く存在しているところでございます。
本法案は、そのような地域ブランド産品の名称を地理的表示として登録し、ブランド価値を公的に保護することで、生産者にとっては、生産物の品質に見合った利益が得られるようにするとともに、消費者にとっても、品質の高い商品を容易に選択できるようにすることを目的とするものでございます。
EUの制度との違いでございますけれども、EUでは、先生おっしゃったとおり、産品と地域の結びつきの度合いに応じて、いわゆるPDOとPGIに分かれているところでございまして、我が国では、このPGIに相当する地理的表示保護の制度のみを設けることとしたところでございます。
それから、EUの制度とのもう一つの違いは、品質確認につきまして、EUでは国または第三者機関が行うのに対しまして、我が国では生産者団体みずからが行う品質管理を国が確認する、こういった仕組みとしているというところが挙げられると思います。
○村上(政)委員 次に、日・EU・EPAやTPPとの関係について伺います。
本法案の提出の背景として、EUが、我が国とのEPA締結に当たって、地理的表示保護制度の創設を強く求めており、日・EU・EPAを締結する上で、地理的表示保護制度の創設が交渉の成否を左右する大きな争点となっているという状況があると承知しております。
一方、米国は、地理的表示の保護のあり方について、EUのように特別の制度により保護を行うのではなく、商標制度により保護を行う立場をとっております。米国は、我が国における地理的表示保護の動向に注意を払い続けており、USTRの二〇一四年外国貿易障壁報告書では、既存商標の権利者の先行権利の保護、一般名称の使用の保護、異議申し立て、取り消し手続の保障など、地理的表示の保護範囲と地理的表示の登録保護手続を含む一定の主要原則を確保することを求めております。
我が国が、日・EU・EPAやTPPを推進していく中で、本法案により導入しようとする地理的表示保護制度は、EUや米国等の諸外国の理解を得られるものとなっているか。どのようにお考えか、お尋ねいたします。
○林国務大臣 地理的表示の保護のあり方については、特別の制度で保護を行うEUと商標制度で保護する米国などで立場が異なっている、こういうことでございます。
それぞれの交渉の詳細については差し控えますが、日・EU・EPA及びTPPの双方の国際交渉を成功させ、双方において我が国の国益の最大化が図られるように、地理的表示の保護においても、我が国の国内のほかの知的財産法制との調整を図りながら、両者のバランスをとりながら対応を行っているというところでございます。
○村上(政)委員 次に、登録の対象となる対象産品の範囲についてお伺いいたします。
本法案において登録の対象となるのは、農林水産物、食品とされております。一方、地理的表示保護制度が確立されているEUにおいては、農林水産物、食品のほか、精油、花なども保護の対象となっているとしております。
本法案の登録の対象となる農林水産物、食品の範囲についてどのように考えておられるのか。工芸品や料理などは対象とならないのか。また、農林水産物、食品については、我が党の同僚議員である村岡議員の地元の切りたんぽやしょっつるのように、地名が含まれていないものの、特定の地域の特産物であることを想起させるものもございますが、こうしたものについて登録の対象となるのか。お尋ねいたします。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
登録の対象となる農林水産物等の範囲でございますが、この範囲につきましては、諸外国における地理的表示制度の事例等を参考にしまして、農林水産物及び食品としているところでございますが、酒類及び医薬品等については、既に他の制度で対象になっていること等の理由によりまして、対象から除外しているところでございます。
また、先生からお話ございました料理につきましては、調理されたものということでございますので、品質の基準を満たすものであるかどうかの確認はもはやできないので、本制度による規制を及ぼすことはできないことから、料理については本制度の対象外としているところでございます。
また、先生からお話ございました工芸品につきましても、これを振興する別途の立法措置が講じられていること等によりまして、本制度の対象とはしていないということでございます。
また、地理的表示登録のできる産品については、その名称に必ずしも地名を含む必要はなく、その産品の名称がその生産地と強い結びつきを持っており、その名称から生産地が特定されるものであれば足りるということでございます。
ちなみに、EUにおきましては、地名を含まない産品として、ギリシャ語で切るを意味するフェタチーズなどが登録されているところでありまして、こうした点を参考にしつつ、我が国の実情に合った運用を図ってまいりたいと思っております。
○村上(政)委員 次に、付加価値の向上や所得の増大に係る効果についてお伺いしたいと思います。
地理的表示保護制度の導入に当たっては、十分な効果が期待されることが求められております。これについて、農林水産省の農林水産政策研究所の報告書においては、農林水産業振興、地域振興の面では、一、にせものの排除、消費者の信頼度向上による価格の向上、二、農業、農村の六次産業化の推進、三、輸出市場での有利性確保、四、多様な食品生産の維持、その地域での生産継続、地域の活力や文化の維持といった問題、そして五番目として、条件不利地域対策としての効果が挙げられております。また、消費者の利益として、一番に、選択のための情報の提供、そして管理システムによる品質の確保が挙げられております。
また、農林水産省の地理的表示保護制度研究会の資料においても、EUでは、地理的表示保護制度の導入により、対象産品について、公示された品質や生産方法の基準を満たすものであるという情報の提供を通じて、消費者の信頼が向上し、価格の上昇、それから生産者の所得の増加等の効果があったとのデータが示されております。
ここで注目したいのは、地理的表示で要求される生産方法を満たすために必要なコストや、検査、認証に係るコスト等により生産コストが上昇する品目も多いという点であります。最終的には価格の上昇により利益が改善されているケースが六六・七%、約三分の二を占めるとのデータが示されておりますが、逆に言えば、利益が改善されないケースが三割はあるということを示しているということだと思います。このことは、地域においてブランド振興の戦略をしっかりと描かなければ、地理的表示保護制度の有効な活用が難しいということを示しているというふうに考えます。
我が国で導入しようとしている地理的表示保護制度は、EU類似の制度でありますが、制度の導入による効果をどのように見込んでおられるのか。また、地理的表示を利用する場合のコストについてはどのように考えておられるのか。お尋ねいたします。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
本制度は、特定農林水産物等の名称を地理的表示として登録し、公的に保護することで、ブランド価値を守り、本来、その品質に見合ったものとして生産者が得るべき利益を確保することを目指すものでございます。
品質やブランド価値など、我が国の農林水産業の強みを生かす本制度は、攻めの農林水産業の展開の核となり、農林漁業者に裨益するものと考えているところでございます。
例えば、海外の例でございますが、フランス中東部のブレス地方の代表的な銘柄鶏であるブレス鶏は、通常の鶏の価格の四倍の高値で取引されているなど、ブランドの確立は生産者にとりまして利益をもたらすものと認識しているところでございます。
また、地理的表示は国が不正な表示を取り締まる制度としていることから、訴訟等の負担なく、農林漁業者が自分たちのブランド価値を低コストで保護することができる、こういったメリットもあるかと思います。
さらに、本制度の設計に当たっては、中小零細の農林漁業者を含めた幅広い生産者が利用できる制度とする必要があるとの考え方から、申請に際しまして手数料を取らないこととするなど、他の知的財産権と比べて軽い経済的負担での登録を可能としていると考えております。
なお、本制度は、生産者団体が品質管理を行う仕組みとしていることから、このことが生産者にとって新たなコスト負担になるのではないかといった御懸念があり得るわけですけれども、既に、多くの地域ブランド産品について、生産者団体が一定の品質管理を行っているということでございますので、多くの場合、本制度の導入によって大きな追加的なコスト負担が生ずるといったことにはならないのではないかと考えております。
○村上(政)委員 次に、地域団体商標制度との関係についてお尋ねいたします。
地域の生産者全体が本法案で導入される地理的表示保護制度を活用して利益を得るには、地域においてブランド振興の戦略をしっかり描いてマーケティングに取り組むことが前提となると考えます。本法案で導入される地理的表示保護制度は、既存の地域団体商標制度に比べ、まず登録の更新制がなく、登録維持のためのコストがかからないこと、そして不正表示への対応を国が行うこと等のメリットがあるというふうに承知いたしております。
一方で、産品の品質の基準である明細書を定めるためには、地域で話し合う必要があり、その合意形成には一定の時間がかかると想定されます。そのため、場合によっては、地理的表示保護制度ではなく、地域団体商標制度を利用するという選択もあるというふうに思われます。
地域において、地理的表示保護制度を戦略的に活用していくためには、地域ブランドの品質水準の確保が図られることはもとよりですが、あわせて、制度の使い勝手のよさも求められると考えます。
また、地理的表示保護制度や地域団体商標制度について、それぞれの特色や相互の関係を関係者にしっかりと周知していくことが重要と考えますが、政府としてはどのように対応していくのか。お尋ねいたします。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
先生おっしゃいましたように、地理的表示制度は、商標制度と比べまして、登録の更新制がなく、登録を維持するためのコストもかからない、不正表示への対応を国が行う、また品質の基準を満たしたものだけが地理的表示を使用できることから、ブランド価値が確実に担保される、こういった利点があるわけでございます。
一方、先生もおっしゃったとおり、品質、社会的評価等の確立した特性が専ら生産地に由来することが求められることに加えて、地域で話し合って産品の品質の基準を定める必要があり、その合意形成と登録までに一定の時間を要するものとなることも想定されることでございます。したがって、この地理的表示制度がいいのか、商標制度がいいのかというのは、一概には言えないと思います。
まず、ブランド振興の戦略として、どのような全体像を描くのかについて、地域でしっかりと検討していただき、その上で、商標を選択するか、地理的表示を選択するか、判断をしていただくのが大切ではないかと考えております。
このような地理的表示制度の内容や地域団体商標との違い等につきまして、制度の利用者への周知に努めてまいりたいと考えております。
○村上(政)委員 審査に要する期間、それから審査体制の整備のあり方についてもお伺いしたいと思います。
先ほども触れさせていただいたとおり、地理的表示の登録については、登録の申請までに、産品の品質の基準である明細書を定めるための合意形成に一定の時間がかかると想定されます。そのため、登録の申請から登録の決定までの期間はできるだけ短期間で済むようにする必要があると考えます。
本法案では、申請の受け付け後、第三者からの意見書の提出や学識経験者からの意見聴取が行われることとされておりますが、登録の申請から登録の決定までにどの程度の期間を要すると見込んでおられるのか。また、農林水産省として、迅速で公正な審査を可能とする体制の整備についてどのように取り組んでいかれるのか。お伺いいたします。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
本法案の制度上、地理的表示の登録申請を受けてから、農林水産省としても申請内容の審査を行うとともに、三カ月間にわたる第三者からの意見書提出手続、それから学識経験者からの意見聴取、こういったことを行うこととしていることから、これらの手続を適正に行うための期間が必要でございますが、具体的な審査期間は、案件により異なるものと考えております。
また、制度創設当初からどの程度の件数の申請があるかを見通すことはなかなか困難であるわけでございますけれども、本制度の効果が早期に発揮されるよう、施行に向け必要な審査体制を整備するとともに、運用に当たっては迅速な審査に努めてまいりたいと考えております。
○村上(政)委員 法案について、いろいろと多岐にわたってお尋ねさせていただきまして、どうもありがとうございました。
法案について用意していました質問が終わりましたので、ちょっと法案から離れてお尋ねしたいと思います。
通告している質問なんですけれども、新聞記事を取り上げながらお尋ねしたいと思います。
四月十一日付の日本農業新聞の記事でして、タイトルは「分からぬ相手 国内も」ということで、わからぬ相手というのは私のことだそうです。どういうふうに書いていらっしゃるかというと、「これまでの通商交渉を「農業に足を引っ張られて、わが国全体の国益が失われてきた」と決めつけた。」というふうに私の発言を引いておられます。
こういった、今までの通商交渉というのが農業によって足を引っ張られて国益全体が失われてきたという考え方について、政府としてはこの見解についてどのようにお考えでしょうか。
○林国務大臣 農は国の基という言葉がありますように、農林水産業は、食料生産にとどまらず、国土や自然環境の保全、集落機能の維持といった多面的機能の発揮を通じまして、国民の暮らしに重要な役割を担っていると考えております。
WTO交渉、それからバイ等のEPA交渉に当たっても、このような役割を担っている我が国の農林水産業の再生産が可能となる条件を確保することが、我が国の国民全体の利益、国益にかなうと考えて、その国益の実現に努めてきたところでございまして、農業に足を引っ張られて我が国全体の国益が失われてきたということではない、こういうふうに考えております。
○村上(政)委員 例えば、我が国の外務大臣が次のようにも発言いたしております。平成二十二年十月十九日、日経のCSISシンポジウム。林大臣も、外交、安保に非常に精通しておられて、日経CSISシンポジウム、深く関与されていることと思いますが、当時の前原外務大臣は次のように述べています。
日本は、農業を守るために、FTA、EPAに対しては非常に慎重であったということは、私は正しい分析だと思います、韓国の例を引きながら、韓国は、FTA、EPAについてはどんどん戦略的に進めて、関税はなくなっていきますが、日本は、農業があるということでちゅうちょして、競争力がなくなってきています、そして、日本のGDPにおける第一次産業の割合はどのぐらいだと思われますか、おっしゃるとおり、一・五%です、一・五%を守るために、九八・五%という大部分のものが犠牲になっているのではないかと思いますというふうに前原外務大臣も述べています。
自民党の政権時ではないということだとは思いますが、日本国の外務大臣も公の場で次のようにも述べています。
私自身は、農業に全くほとんど縁もゆかりもないにもかかわらず、日本農業新聞に取り上げていただいたことを、大変名誉で、また光栄なことだと思っておりますし、記事の中で、「傷口に塩を塗り込むような農業批判が飛び出した。」というふうに書いていらっしゃるんですけれども、私自身は農家の人たちにそういったことを申し上げるつもりがあるわけでもありませんし、農業のこれからの成長というものを非常に期待いたしておりますし、希望いたしております。
私が述べたことというのは、決して、極端な議論であったり、あるいは一方的な議論であったり、一部の人たちだけが思っている暴論ではないというふうに思います。
これからどういうふうに農業を発展させていくかということは、やはり我が国の農業について、きっちりとした現状認識を持ったり、あるいは現状を分析した上で対策をとっていく必要はあると思います。
例えば、次のような議論もあると思います。
私も前回申し上げたことでもあるんですけれども、日豪EPAについて、ある種の外圧として、農業の構造改革を進めていったらいいというふうに申し上げました。
例えば、これは政府あるいは政府の関係者ではありませんけれども、ICUの八代先生が次のように述べておられて、輸入小麦に高関税を課して国の独占販売で利益を貪る仕組みもある、これは十八世紀にアダム・スミスが批判した国家独占貿易の現代版であるが、こうした不透明な仕組みもTPPに加入すれば改革せざるを得ない、これはTPPに加入すると日本の国内制度が外国の圧力で維持できなくなるという反対論の背景ともなっているというふうに言っておられます。
事ほどさように、今申し上げたような、例えばTPPなりあるいは日豪EPAといった、海外に対して、外国に対して、我が国の市場を開いていく、そして開いたことによって、通商交渉によって、ある種の外圧として我が国の農業の構造改革を進めていくというのも、私独自の考えではなくて、多くの識者が考えていることですし、今までよく議論されてきたと思うんですけれども、こういった点についてもいかがお考えでしょうか。
○林国務大臣 農業にかかわらず、いろいろな分野において、外圧、よく片仮名でガイアツと書くことが多いんですが、これを利用して国内の改革を進めるというようなことを主張される方がいらっしゃるというのは私も存じ上げておりますが、かつてそうであったことが全くなかったかどうかは別にして、今からそういう手法でいいのかなということを私は常に思っております。
交渉は国益をかけて行いますので、守るべきところと攻めるべきところがございます。したがって、相手の国も守るべきものと攻めるべきものを持っているということで、お互い、それで自国の利益を最大化していこう、これは国益をかけて交渉をやっているわけでございます。
例えば、先ほどのお話で、鉱工業品分野でとるべきものがとれなかった、これは攻守の利益のバランスというところというよりも、やはりその分野が相手国にとって非常に守るべき分野であった、こういうふうに理解をすべきだろう、こういうふうに思っております。
現に、この間、日豪EPA交渉、大筋合意をさせていただきましたが、我が国は、農産品について、米、小麦等のいわゆる五品目について、関税撤廃等の対象から除外、将来の見直しということで合意をしたわけでございますが、他方、豪州は自動車について原則三年以内の関税撤廃を約束した、こういうケースがあるわけでございますので、しっかりと守るべきものを守って攻めるべきものを攻めるということによる自国の利益の最大化、こういう観点で交渉に当たるというのが基本姿勢であるべきだ、こういうふうに考えております。
○村上(政)委員 時間が近づいてきましたので終わりたいと思いますが、最後に申し上げたいのは、守るべきものは守って攻めるべきものは攻める、その点は私も同意いたします。
ただ、攻めるべきものもまだまだ攻める余地があるんじゃないか。ほかの野党からも指摘がありましたが、昨年四月の日米の間での合意というものがある種の足かせになって、不十分な形での合意があって、アメリカの自動車市場をとってこられていないとか、そういった点もたくさんあると思います。政府としては、これまで以上に強い交渉力を持って、攻めるべきものを攻めていただいて、守るべきものを守っていただいて、そして、日本の農業も国益全体の中で資するような形で発展させていくということを主張させていただいて、終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○坂本委員長 次に、岩永裕貴君。
○岩永委員 日本維新の会の岩永裕貴でございます。本日も、どうぞよろしくお願いをいたします。
午前中から、この法案につきましてさまざまな議論がなされてまいりました。
私の生まれた滋賀県にも、母なる湖、琵琶湖がございます。そして、私の選挙区には、タヌキで有名な信楽焼がございましたり、甲賀市というところで生まれましたので、御存じのとおり、甲賀忍者であったり、または、近江商人というような言葉、日本的にも非常に幅広く知られているブランドを抱えた地域でございます。そしてまた、そういった広く知られているブランドに対して、さまざまな農産品を使った地域の特産物というものが数え切れないほどたくさんあふれているような地域です。
午前中のお話をずっとお伺いしていて、やはりこれから、ガイドラインを含めて、まだまだ検討課題の多い法案なんだなというようなことを改めて認識いたしております。難しさもありますし、そのぐらいたくさんの地域の特産品というものがある中で、それに取り組んでいらっしゃる皆さん方とか、また販売の方法とかブランドの立て方とか、本当に多種多様で、そういったものをいかに集約、声を集めていって、今後、より発展した形で地域の発展につなげていっていただくのかということこそがこの法案のポイントになろうかというふうに思います。
法案の中身の質疑に入らせていただく前に、少しこの法案の背景について何点かお伺いをさせていただきたいと思います。
まず一点目は、これまで農林水産省では、農林水産物・食品地域ブランド化支援事業、地域団体商標制度への取り組みをずっと支援されてきたという経緯があろうかと思います。なぜ今この法案の提出に至ったのかということ、そして、この法案の提出に至っては、聞くところによると、十年くらい前からずっと検討をされていたということですけれども、なぜこの十年間なかなか提出に至らなかったのかというようなことも含めて、御答弁をいただきたいと思います。
○小里大臣政務官 従来、地域団体商標制度が存在しながら、なぜ今回の制度かというのがまずお尋ねの核心であろうと思います。
確かに、従来、地域団体商標制度が存在してまいりました。しかしながら、我が国の地域団体商標制度では、商標登録の際に、産品の品質基準の登録、品質の確認までは求められておりません。一定の品質基準を満たすものとはなっていないわけであります。
また、地域共有の知的財産である地域ブランド産品の適切な活用を図っていくためには、一定の基準を満たす地域内の生産者であれば地理的表示を使用できるということが望ましいわけでありますが、従来の地域団体商標制度では、登録権者にのみ商標使用を認める制度であります。一つには、それに対応するために今回の制度があるということは言えようと思います。
さらにまた、不正使用があった場合に、新しい制度でいけば、行政が取り締まるということになりますので、訴訟等においても、生産者の負担なくして、品質の確保、ブランドの確保ができていくということになってまいります。
また、公的に法律の裏づけを持って、しかも罰則を備えた制度になっていきますので、これによる取り組みによりまして、品質やブランド価値を守って、そしてまた、大きな農政の方向性としての攻めの農林水産業、農業、農村全体の所得倍増を図るに当たって、大いにこれが活用し得るものと考えております。
○岩永委員 ありがとうございます。
地域団体商標制度との違いについて、わかりやすく御説明をいただけたかというふうに思います。
ただ、本法案と地域団体商標制度、どちらがいいとか悪いとかという話ではないというふうに考えておりますので、特に生産者の皆様方の視点から見たときに、この二つの制度をどういうふうに使い分ければいいのかということについて御説明をいただきたい。
先ほどの御答弁とも関連しようかとは思うんですけれども、この二つをどういうふうに使い分けたらいいのかというところをわかりやすく説明をしていただければと思います。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
繰り返しになりますけれども、本制度は、地域団体商標制度と比較しまして、地域の特性と結びついた、一定の品質基準を満たした産品だけが表示を使用できること、また、表示の使用が特定の団体及びその構成員に限定されないこと、それから、不正表示への対応を国が行う、こういった点が地域団体商標と大きく異なっているということでございます。
このため、ブランド産品の名称を地域のいわば共有財産と位置づける場合には地理的表示が、また、一つの生産者団体のみが名称を独占することになじむ場合は地域団体商標制度が、それぞれ選択されることになるのではないか。
いずれにしましても、地域として地域のブランド戦略に応じて利用できる制度を選択できるようにしておくことが重要ではないかと考えております。
○岩永委員 ありがとうございます。
地域団体商標制度というのは、どこか特定の法人なり個人が生産、販売をされるときで、共有財産である場合はこちらの法案だというふうな御説明があったかと思いますが、地理的表示ということを考えれば、恐らくほとんどの場合、現場の方では共有財産ということになってこようかと思います。
ですから、それぞれどういう場合に、今の御説明も一つあるとは思うんですけれども、現場の方で、これをどういうふうに使い分ければ自分のところにどういうメリットがあるのかということも含めて、しっかりとした情報が行き渡ることがまず大前提だと思いますので、そのあたりも含めた説明にしっかりと今後取り組んでいただきたいというふうに思います。
そして、次に移りますが、いわゆるTRIPs協定です。これまでは、日本の中では不正競争防止法によってこれを担保してきたという見解が農林水産省さん、そして国の方にはあろうかというふうに思いますけれども、それに対する特にEUの評価というものはいかなるものだったのかということについてお答えをいただければと思います。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
先生が言及されましたTRIPs協定におきましては、地理的表示の保護を求めているものの、その具体的な国内担保措置は各国に委ねられているところでございます。
我が国では、先生おっしゃいましたように、TRIPs協定の国内担保措置としては、これまで、不正競争防止法の原産地誤認惹起行為で対応することと整理してきたところでございます。
EUからということでございますが、EUからは、地理的表示をより手厚く保護することを求められておりまして、本制度はこの要求にかなうものと考えております。
○岩永委員 わかりました。
引き続き、先ほども大臣の方から国益の最大化というようなお言葉がございましたけれども、この法案が可決されることによって、EUとのEPA、幅広い視点で、どのようなメリットが日本にとって生じてくるのかということの御見解を政府の方からいただければと思います。
○林国務大臣 今御質問いただいたように、EUは、地理的表示が知的財産として保護されるようになることをずっと求めてきておりまして、日・EU・EPAの中でもそういうことを求めているところであります。言うまでもないことですが、長い伝統に基づいて、先ほど私が申し上げたブリー・ド・モーとかパルマハム、そういうものの輸出がやはり増大しているということがその背景にあるんだろう、こういうふうに思います。
したがって、日・EU・EPAを、我々の方からいえば、我が国の農林水産物のEU向け輸出機会の増大を図る上での一つの大きな手段として位置づけていこう、こういうことですから、我が国の輸出品目のブランドがEU市場において適切に保護される、やはりこれが重要だというふうに考えております。
したがって、まず向こうが求めているということもあるんですが、逆に言えば、この法案の制定によって、相互に地理的表示を保護できるようになるということになりますと、日本とEU双方の利益につながるということになるわけでございまして、そういった意味でも、日・EU・EPA交渉を円滑に進める上でも大変重要であるというふうに考えております。
○岩永委員 ありがとうございます。
そして、これも報道によるとというところなんですけれども、アメリカはやはりこの法案というか条約というか協定というかには後ろ向きな姿勢だというふうなことが報じられております。
そのあたりについて、政府としてどういうふうに分析をされているというか、その理由についていかにお考えになっているかということを御答弁いただければと思います。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
地理的表示の保護のあり方につきましては、特別の制度で保護を行うEU、それから商標制度で保護するアメリカなど、立場が異なることは承知しております。
今回の制度設計に際しましては、適宜、アメリカ等とも情報交換を行いながら対応してきているところでありまして、引き続き、国際的な調和に配慮しつつ対応してまいりたいと考えております。
○岩永委員 アメリカが後ろ向きな理由については御答弁いただけなかったんですが、恐らく、やはりいろいろな視点があろうかと思いますし、みずからの国の国益というものを鑑みたときには、メリット、デメリット、それぞれを冷静に分析しながら事を進めていくというのは当たり前のことだと思います。
これからも、もちろんメリットだけではないですし、外交交渉においてさまざまなデメリットももしかしたら生じてくるような状況になることも十分に想定していただいて、外交交渉を含めて積極的に日本の国益獲得に向けて取り組みをしていただきたいということをお願い申し上げ、以下、法案の中身についての質問に移らせていただきます。
まず、午前中も出ておりましたけれども、品質管理体制のチェックについてというところ、これがこの法案の一つのポイントになろうかというふうに考えております。
当初案では、恐らくことしの二月ぐらいまでだったんですかね、第三者機関に委ねるということを考えていらっしゃったようでありますけれども、これを生産加工業者の団体へと変更された、そのあたりの理由について御説明をいただきたいと思います。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
我が国の地域ブランド産品の中には、生産者団体がみずから品質基準を取り決めて、品質管理を行うことでブランド価値を高めているものが多く見受けられるところでございます。
また、地理的表示の登録を受けた産品は、その生産方法や特性が産地と結びついている必要があることから、その品質管理については、生産者団体みずからが最も知見を有していると考えております。
このような実態を踏まえまして、生産者団体が品質管理を行うとともに、国がその品質管理の体制をチェックすることにより、産品の品質が公的に保証されるような仕組みとしたところでございます。
○岩永委員 生産加工業者の団体なんですけれども、午前中からの答弁を伺っていると、地域での合意形成とか話し合いというところが中心になりながら構成をされていくのかなということを想像するんです。
この団体は、ちょっと具体的に、JAさんであるとか、いろいろ想定されている団体さんがあろうかというふうに考えておりますが、どういうプロセスを経て地域内で合意が形成され、そしてどういう団体がこういった団体になるのかというようなところを少しわかりやすく、そのプロセスも含めて御説明をいただきたいと思います。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
地域にはいろいろな団体がございますけれども、本制度に基づく生産者団体といたしましては、農協などの生産者が組織する団体のほか、市町村、農協、それから商工会などを構成員として各地で組織されている地域ブランド協議会、こういったものも我々は念頭に置いているところでございます。
登録に当たっては、第三者の意見書提出や学識経験者からの意見聴取など、適正手続を確保した公正な審査を行うこととしており、この中で、生産者団体としてこれが妥当かどうかということも判断していくことになると思います。
○岩永委員 お伺いしたかったのは、この生産加工業者の団体というものが、誰が旗を振ってその地域地域の中でつくっていかれるのかということをどういうふうにイメージしていらっしゃるかというか想定していらっしゃるのか、少し詳しく、具体的にお伺いをできればと思います。
○山下政府参考人 誰が旗を振るかというようなお話でございますけれども、いろいろなケースがあると思います。
一つは、例えば自治体が音頭をとって始める、地域ブランド戦略を考えているところはそういったことがあるかもしれません。それから、もう既に地域のブランドを生産していて、そういったブランドがあるところにつきましては、引き続き、こういった制度があれば、この制度に申請してくるというようなことも考えられますので、一概にこれというのは特定できずに、いろいろな地域で取り組みが進んでいって、この制度が積極的に活用されることを期待しているところでございます。
○岩永委員 この生産加工業者の団体というところも含めて、やはりこの法案で一番懸念されるのが、地域内での合意形成をいかに図っていくのかというところが大きなポイントになってこようかと思いますし、そこの詰めが少し、まだちょっと厳しいのかなというふうな印象を受けているんです。
そして、なぜこのようなことを申し上げるのかといいますと、先ほども申し上げましたとおり、やはり地域の共有財産を、法律である限り、いかに地域の中で公平性を持って担保していくのかというようなところは、その地域地域に任せるといってもなかなか難しいんだろうなというふうなことを思います。
私も、数年前は地域のまちづくり団体の長をさせていただいておりまして、地域の農産品なんかを使ったさまざまな特産品を開発しようということで、お声がけをして、携わってきた経緯があります。
地域の農産物を使った特産品というのは、一つの法人がやっていらっしゃるケースももちろんありますけれども、NPOとかボランティアの皆さんが利益を目的とせずにやっていらっしゃるということも結構たくさんあるんですね。そして、利益が出た場合は、まちづくりに使っていただくように、自治体に寄附をしたりとかいうようなことをしていらっしゃる、ビジネスではない形でやっていらっしゃる団体さんもたくさんいらっしゃいます。ビジネスでやっているところは、出資なんかも自分個人個人がされている、そして、銀行から借り入れを入れて、みんなで出資をしていらっしゃったりとか、本当にその形態というのは多種多様に違うわけであります。
そういった中で、共有財産を地域の中でいかに公平性を持ってブランド化していく、ブランドを立てていくのかということはやはり非常に難しいんでしょうし、それまでの取り組みの状況なんかも違いますし、歴史なんかも違う中で、鷲尾委員からも午前中指摘がありましたけれども、ぜひこれは、農林水産省さん、明確なガイドラインは難しいんだとは思うんですけれども、やはりしっかり現場にコミットを何らかの形でして、そういった公平性というものは一定担保できるように、これからも必ず御尽力をいただきたいというふうに考えておりますが、そのあたりに対する考え方等を聞かせていただければと思います。
○山下政府参考人 先生お尋ねの、地域における団体の合意形成とか公平性の問題だと思いますが、我々は、これから、この運用に当たりまして、合意形成とかも含めて、申請に至るまでの助言ですとか支援をどういった形でできるかということを、ガイドラインの作成も含めまして検討していきたいと思っております。
○岩永委員 その点については、重々、ぜひよろしくお願いをいたしたいと思います。
あわせて、一つの生産者団体さんが出願してきたときに、三カ月だったと思うんですけれども、インターネット等を通じて、こういう申し出がありますよということを広く告知されるということでありますが、インターネット等でも、地域内に周知をするというのもなかなか難しいかと思いますので、できるだけ幅広く、自治体とも連携をして、そういった告知にも努めていただきたいというふうに思います。
引き続きまして、EUなんかでもあるようなんですが、例えば、カマンベールチーズのカマンベール、これは一般名称なのかどうかというところがEUの方でも議論があって、それは裁判になって、判例でそれは一般名称であるということが位置づけられたので、カマンベールというものについては、一般名称とされて広く使用がされているというようなこともお伺いをいたしております。
やはり、こういった制度が走り出したときには、こういった裁判なんかも含めて今後考えられるというか、裁判なんかもこれから行われてくるだろうというふうに私は考えておりますし、先ほどから申し上げておりますとおり、それぞれ取り組みによってはリスクを抱えられているわけでございまして、こういったリスクがあるがゆえに、望んではいないけれども裁判沙汰になってしまったりということが今後起こってくるかというふうに思います。
ただ、冒頭も申し上げましたが、かなり良心的に、ボランティアベースで特産品の販売や生産に取り組んでいらっしゃる方もたくさんいるし、財政的にもやはりそういった団体さんは非常に厳しい中で運営をしていらっしゃるということもある中で、裁判というものになってくると、とてもそういった状況に対応できるような団体さんばかりではないし、法人ばかりでもないというふうに考えております。
そういったことが事前に起こらないように、農林水産省として、先ほどの地域の合意形成という部分にもつながろうかと思うんですけれども、地域の中でうまくやっていただくための手だてなんかをどのように考えていらっしゃるのかということについても御説明をいただきたいと思います。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
地理的表示の登録申請のあった産品の名称が登録拒否事由である普通名称に該当するか否かについては、その登録申請のあった際に農林水産大臣が適切に審査する、こういうことになるわけでございます。
このため、生産者団体が訴訟に巻き込まれるというようなことにはならないのではないかというふうに考えております。
○岩永委員 そうなればいいんですけれども、やはり市場経済というものを考えるときには、特許とか著作とかいう部分については非常に裁判がたくさん争われている世界でもありますので、ないと前提をするのではなくて、決めつけるのではなくて、そういったことが起こらないように、事前にさまざまな角度からそれぞれの地域に対して対応ができるように、目を光らすと言ったらちょっとおかしいですけれども、しっかりと現場を見守っていただきたいなというお願いでございます。
引き続いては、伝統性について少しお伺いをしたいと思います。
審査の中で、伝統性ということを一つの判断基準とされるということでありますけれども、午前中の林大臣の答弁でありますと、EUの事例なんかでは、三十年ぐらいの伝統性をもって判断基準としていらっしゃるということであります。
これも、農林水産省さんは近年すごく頑張っていただいて、六次産業化を進めていただいている。そして、地域地域で、いろいろな農産品を使った新しい商品を開発しようという、非常にポジティブな、前向きな取り組みもされているわけであります。そうした中で、私は、地元でもそうなんですけれども、ここ二、三年で生まれてきた、もしくは十年以内ぐらいで生まれてきたものでも、十分にブランドとして保護に値するものもたくさんあるんじゃなかろうかなというふうに考えておりますけれども、そういった部分についていかにお考えなのかということを御説明いただければと思います。
○小里大臣政務官 地理的表示として登録される産品は、品質や評価などの確立した特性を有しており、その特性が生産地と結びついているということが必要になってまいります。したがって、特性の確立に至るまでの一定の伝統性を具備しているということが求められるわけであります。
そのことを含んだ登録の基準については、申請者の予見可能性を高めるために、審査に当たってのガイドラインを示すことを考えておりますが、具体的な内容については、御指摘の事項を含めて、施行までに精査をしていく予定であります。
なおまた、お話にありましたEUの事例、これはEUの伝統性の要件と承知をしておりまして、これを一つの参考としながら、今後検討を進めてまいります。二、三年はちょっと短いかな、そんなふうに認識をしておりますが、今後しっかり検討していくことになります。
○岩永委員 ありがとうございます。
私が心配するのは、今政務官がおっしゃっていただいたことを十分に理解いたしてはおりますが、ポジティブな、前向きな動きが地域で、さまざまなところで起こってきているというような、その皆さん方のモチベーションを下げないような取り組みにしていただきたいなというのがお願いでございます。
もちろん、一定のブランドを守っていくということは必要ですし、私も大賛成ではありますけれども、そうすることによって、反面、そうした新たなチャレンジがしにくくなるとかというようなことにだけはならないように、ぜひとも、今後のガイドラインを含めて、十分にその点についても御検討いただければというふうに思います。
引き続きましては、認証後の効力、これは無期限ということになっておりますけれども、その理由を御説明いただきたいのと、あわせて、二十二条では登録の取り消しについて触れられておりますけれども、どういった場合に取り消しになるのかということ、この二点について御答弁いただきたいと思います。
○山下政府参考人 登録の効力でございますけれども、無期限ということになっております。これは、やはり地域の共有財産ということで、特定の権利を付与するというものではないものですから、そういう理由から、期限を定めず保護するということでございます。
また、登録の取り消しでございますけれども、生産者団体に対して、生産者団体が適切な生産管理をしていない場合等に必要な措置を命ずることができることになっておりまして、この命令に違反した場合は登録の取り消しを可能とするということでございます。
○岩永委員 この取り消しというのも非常に重要な部分になってこようかと思います、無期限とされているわけですから。
地域のブランド、本当に日本全国にはいっぱいあって、いろいろな取り組みをされているんですが、やはり必ずしも全てがうまくいっているわけではありません。努力はされているけれども、営業力がどうしても不足をしているとか、資金的に厳しくなるとかというようなことも含めて、商品がしっかりと市場に出せないというような状況も多々あろうかと思います。
先ほども申し上げましたところと関連するんですが、この取り消しについても積極的に取り組むと言ったらちょっと語弊があるんですけれども、しっかりと判断をしていかないと、やはり新たなチャレンジをしていく皆さん方の壁になってしまっては元も子もないというふうに思っております。取り消しについても一定の基準をしっかりと設けていただいて、少し厳しいかなというときでも、その地域全体のブランド、共有財産のさらなる発展ということを考えたときに必要なことであるならば、しっかりと取り消しについても取り組んでいただく、そういった厳しい姿勢も一方で大切になろうかと思いますので、そのあたりについてもよろしくお願いを申し上げたいと思います。
私は、二十五歳ぐらいから三十五歳ぐらいまで広告の世界にずっとおりまして、ブランドの立て方というところをなりわいにさせていただいてまいりました。
このブランドの立て方というのは非常に多岐にわたりますし、市場の中で思ってもいないことがヒットをしてブランド化されるということはよくある話です。そして、その中でどういった戦略を選んでいくのかということも手探りの中でやっていくわけであります。
これは、どういう議論があったのかということだけをちょっとお伺いさせていただきたいんですが、例えば、全く有名じゃなかったタレントさんが、物まねタレントさんに物まねをしていただくことによって、めちゃくちゃ有名になった、売れたというようなこともあるわけですね。具体的な芸能人の名前は申し上げませんが、そういった方も結構たくさんいる。ですから、そういうブランドの立て方もやはりあるわけでございまして、そういった議論というのはこの法案を作成するに当たってあったのかどうか、検討されていたのかということについても少し御説明いただければと思います。
○小里大臣政務官 いわゆる地域外のフリーライドについての御質問であろうと思います。
これは、基本的には、やはり地域外のフリーライド、ただ乗り、物まねについては、本来のブランド価値を薄めるものであるという認識であります。地域と当該産品の結びつきを失わしめるものでありますことから、仮にそれによって知名度が上がるようなことがあったとしても、本来の我々が進むべき方向性に照らして、望ましいものではないと考えております。
○岩永委員 恐らくほとんどの場合がそうだろうとは思うんですけれども、本当に経済は生き物、何がどうしてヒットするかということはわからないですね。
ですから、農林水産省さんにもこれをお願いしたいんですが、これから地域地域でこれを有効に活用していっていただくということはもちろんなんですが、これを活用することが目的じゃなくて、やはりブランドをしっかり地域の中で確立していくということが目的であって、その中の一つの手法がこれである、選択肢がこれであるというようなスタンスをしっかり持っておいていただきたいです。
いろいろなアドバイスをこれからもされていくと思います。もちろん申請されるのは現場の皆さんですので、そのあたりの選択肢というのは現場の皆さんにあるわけではありますけれども、余り頭をかたく、これがあればブランドがしっかり確立されて、進むんだみたいなことだけを考えずに、ちょっと柔軟な頭で、現場のブランド確立に向けて取り組んでいっていただければなというふうに思います。これは、自分がビジネスの世界で経験をしてきたというところの経緯もあってのお願いでございます。
そして、これを推進していくに当たりましては、登録、監視体制にやはり新たな人員の配置というのが必要になってこようかと思いますけれども、このあたりの、新たに確保していかれる人員の規模なんというのはどういうふうにお考えいただいていますでしょうか。
○小里大臣政務官 人員と体制ということであろうと思います。
本制度の着実な定着、活用を実現するためには、それ相当の体制整備が必要になってまいります。制度の十分な周知、不正使用への厳格な対応を通じた信頼の確保が重要であると考えております。
制度の周知については、生産者が本制度を十分に理解し、活用できるように、申請に当たっての助言などの支援を行ってまいります。また、小売流通業者や消費者に対しても地理的表示マークの周知を行うなど、施行に向けてしっかりと準備をしてまいります。
不正使用に対しては、地理的表示産品の登録状況も踏まえて、農林水産省の地方出先機関の職員の活用も含めて、しっかりと対応してまいります。
なおまた、地理的表示の有無にかかわらず、地域ブランド産品については、その品質や生産方法などの統一化を図ることで、その価値を高めていくことが求められております。
このため、農水省におきましては、本年度から、地域が行う地域ブランド産品の製法や品質管理基準等の策定、産品の特性分析や市場調査、その産品のマーケティング戦略策定といった取り組みを支援する事業を始めたところであります。
あわせて、地理的表示の申請がスムーズに行われるためには、地域の合意形成や申請書類の記載方法に対する助言等が必要になってまいります。このため、相談窓口を充実する等、しっかり対応を図ってまいります。
とりあえずはそんなところでございます。
○岩永委員 ありがとうございます。
もう次の質問についてもあわせて御答弁をいただきました。
要は、これから人材を確保していっていただいて、アドバイザーとしてそれぞれ具体的に現場に入っていっていただくと思うんですけれども、この人材をしっかり確保していただきたいということと、この人材が、この法案だけではなくて、もう御答弁いただきましたのであれですけれども、やはり地域のブランドを育てるというような幅広い視野で現場に対してアドバイスができる人材をしっかりと育成していっていただきたいということを改めてお願い申し上げます。
ブランドを立てるということは、買いたいものがある町、それだから訪れたくなる、そこの地域の人々と交流がしたくなる、そして、最終的にはそこに住んでみたくなるということがこの地域ブランドを育てる大きな目的であろうかと私は思います、少子高齢化の中の人口減少に対応していくという意味では。
ですから、このブランド化を、本当に、本法案だけではなくて、全体的に、農林水産省を挙げて支援していっていただきますことを改めてお願い申し上げ、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○坂本委員長 次に、鈴木義弘君。
○鈴木(義)委員 先週の本会議に引き続きまして、法案について質問をさせていただきたいと思います。
先日の本会議での答弁をお聞きしておりますが、検討、検討、検討、特に経産大臣の御答弁は検討で、ボクシングばかりやっていたのかなというぐらい、やはり検討という言い方をされている答弁が何回か出てきたと思います。
振り返ってみて、日本は知的財産に対する取り組み方というんですか、やはり認識が甘いんじゃないかなと思うんです、そうしなくても商売になってきた時代が長く続けられたんだと思うんですけれども。
ですから、今回は地理的表示、国内の規制をかけることによって、海外は別なんですというふうな話だと思うんですけれども、結局、国内でブランド化で差別化しても、日本人だけが買っていたら、やはり商売はなかなか先が、これから人口が減少していく時代の中では、そう簡単にウイン・ウインの関係にはならないんじゃないかと思います。
最初に、もう一度、繰り返しお尋ねをいたします。
中国とか韓国はWTOに加盟している国にもかかわらず、結局、模倣品が横行しているわけですね。これは午前中の質問でもお尋ねしていたと思うんです。私は、情けないなと思ったのは、答弁の中で、たしか約一千四百億ぐらいの被害があったという、アンケートの結果によって把握しているんですと。では、その一千四百億ぐらいの被害、損害賠償を国がサポートしてあげたとか、企業の支援をしてあげたとかですね。関係省庁と連携して相手国に申し入れしたというだけで終わっちゃっている答弁だったんです。
午前中も、何か青森というんだかアオモリなのかわかりませんけれども、ああいうものが隣の中国ではやられちゃっているわけですよ。結局、外務省を通して外交ルートで、それをやめてくださいよと言っても、はい、わかりましたと言う国じゃないのはわかっているわけですよね。中国も韓国も同じだと思うんですよ、台湾も。
だから、そこのところは、やはりぬるいやり方じゃなくて、省庁と連携してセミナーを開くとか、各国の取り締まり機関への研修などの協力を実施して実効性のあるものにしていきたいんだという答弁をいただいていますけれども、本当にそれで守れるのかなと思うんですね。そこについて、まず初めにお尋ねしたいと思います。
○谷政府参考人 お答えさせていただきます。
経済産業省といたしましては、侵害発生国の税関、警察を初めといたします執行関係機関の職員の方々を対象に、模倣品の取り締まりに関します実践的なノウハウを提供する真贋判定セミナーの開催や、日本政府や産業界と知的財産問題の改善に向けた意見交換を行う招聘事業などの協力を実施しております。これらの取り組みによりまして、水際対策を含めた各国の行政執行の強化につながっているものと承知しております。
中国におきましては、温家宝総理時代に実施されました、知的財産権の侵害及び偽りブランド品や粗悪品の販売、製造を摘発する特別行動につながり、行政庁によります摘発が加速したものと認識しております。具体的には、中国では、行政庁によります摘発件数は、二〇一〇年には五万七千百二十九件でございましたが、二〇一一年には八万二千三十八件、そして二〇一三年には十二万九千四百二十二件と年々増加しております。このように、状況は改善している面もあるかと存じております。
また、地理的表示に係る問題といたしましては、中国において冒認出願されました讃岐うどんが官民一体となった我が国関係者の異議申し立てで解決されましたように、弊省の方もきちっと抗議をいたしましたし、また、香川県は副知事が先方の特許庁の方に出向いて抗議をいたしました。
このように、権利者ではない我が国政府が直接提訴することはできませんが、権利者との密接な連携、情報提供や、大使館を通じた相手国政府への強力な問題解決に向けた働きかけを行うなど、今後とも適切に対応してまいる所存でございます。
○鈴木(義)委員 今御答弁いただいたんですけれども、今回の地理的表示については、国が登録の主体になるわけですよね。そうすると、もし地理的表示に対しての模倣品をほかの国の事業者が使ったときに、国がきちっとした対応をとるということでよろしいのか。
権利者の後押しをするとか、先ほど御答弁いただいた、直接じゃなくても国が一生懸命やったんだということになるんですけれども、今回は、登録の主体は農林水産省になるんです。権利者は農林水産省が登録を受けるか受けないかで決まるわけですから、結局、当事者が国になるわけですね。では、国が責任を持って、中国、韓国、台湾の人たちに、やめてくださいというのをきちっと言うのかというのだけ、ちょっと確認したいんです。
○小里大臣政務官 お話しのとおりであります。
海外において、不正使用、模倣品等があった場合には、国が異議申し立てあるいは訴訟を起こして、しっかり対応していくということになります。
○鈴木(義)委員 対応するということでありますれば、損害が仮に起きたときに、その損害賠償を相手方の裁判所に提起できるかどうかわかりませんけれども、先日、一九三〇年代に契約した船の借り上げ賃で訴訟を起こされて、二十六億も払ったという事実があるわけですね。
逆に、では、もし日本で損害があったのであれば、相手の国に、監督官庁なのか、もしくは当事者に、きちっと損害賠償を提起するという考えでよろしいでしょうか。
○小里大臣政務官 ちょっとお尋ねの趣旨がよくわからなかったんですが、海外において不正使用等があった場合は、日本国が異議申し立て、訴訟を行うわけでありますけれども、逆のケースも当然あり得ると思います。
そういうお答えでよろしいんでしょうか。
○鈴木(義)委員 要するに、損害賠償の裁判まで起こしますかということですね。
先日の本会議の中で、経産大臣の答弁の中では、あくまでもアンケートの調査をもらっただけの把握しかしていないということで、全容解明には至っていないというところで答弁はとまってしまっているんです。
ですから、もう一歩、農林水産省がこの地理的表示で登録を受け付けるんですといって、今御答弁いただいた中では、責任を持って対応しますとおっしゃっているから、責任ある対応というのは、訴訟まで提起をするかということなんです。
もう一度だけ、ちょっと確認したいんです。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
午前中の質疑の中でもお話し申し上げましたけれども、日本で地理的表示が登録されたということで、その地理的表示と、それとあわせて統一マークを付する。海外にこの統一マークを商標登録すれば、輸出先国で差別化されるという話がございましたけれども、その商標登録された統一マークが輸出国で侵害されるのであれば、そこは何らかの訴訟というのはあり得るかと思います。
○鈴木(義)委員 何らかの訴訟でという、何か心もとない答弁だったんです。
次にお尋ねしたいんですけれども、地理的表示の対象を、先ほども冒頭申し上げましたように、やはり知的財産を大事にしていこうという国であれば、農林水産物以外のもの、今回は農林水産省が出してやっているんですけれども、午前中もたしかそういうお尋ねがあったと思うんですけれども、ほかの産品やサービスとかに制度を導入する必要性があるんじゃないかと私は思うんですね。
答弁の中でも、諸外国の状況を勘案しつつ検討するという言い方を経産大臣がされているんです。なぜ諸外国の状況を勘案しなけりゃ日本の知的財産を守ることができないのかということなんです。だって、地理的表示というのは、食品だとか農産物ばかりじゃなくてもあるわけでしょう。それを守っていきましょうというので今回の法律をつくっていながら、諸外国の状況を勘案しつつというのはちょっとぬるいんじゃないかと思うんですけれども、その辺について御答弁を、これは質問通告を出していると思うんです。
○内山政府参考人 お答えいたします。
地理的表示保護制度でございますけれども、これは、委員御指摘のように、知的財産政策の一翼を担う重要な制度でございます。
今般御審議いただいている法案によりまして、本制度が我が国に導入される環境が整うことはまことに意義深いものというふうに考えております。また、委員の御指摘のとおり、経済のグローバル化の進展に伴いまして、各国いろいろ知的財産のシステムを整える、そういう競争も激化をしております。したがいまして、我が国の産業競争力維持強化の観点から、そういった意味での知財政策の重要性がますます増しているということでございます。
そして、委員御指摘の、地理的表示保護制度の対象の拡大に関しての御質問でございますけれども、制度導入に関しますいろいろな御要望であったり諸外国における状況、そういったものを勘案すると、現時点におきましては、農産物等を対象とすることが適当ではないかというふうに考えております。
しかし、一方で、委員御指摘のように、今後、どのような産品、サービスについて制度を導入する必要性や可能性があるのか。これにつきましては、諸外国の状況であったり、いろいろな関係方面の検討状況も勘案しながら、まずは、各産品、サービスの所管省庁の方におきましてしっかり御検討いただくべきものというふうに考えております。
○鈴木(義)委員 お尋ねしているのが、知的財産を国家戦略の柱に据えようということでおやりになっているわけですね。だったら、農産物だけじゃなくて、それ以外の産品やサービスであれば、今回は限定的に農林水産物というふうになっちゃっているんですね。結局、お酒と医薬品の類いは外します、それ以外は農林水産物というふうに限定しちゃっているんですけれども、そうすると、もし違う産品だとかサービスなんかを地理的表示で保護していこうといったら、また別の法律をつくるんですか。
○内山政府参考人 お答えいたします。
ただいま委員の方から御指摘ございましたように、知的財産分野におきますしっかりとした国家戦略ということ、これは大変重要でございますので、昨年、政府といたしましても、知的財産政策ビジョンというのを決定いたしました。
このビジョンにおきましては、第一に、我が国の知財システムを魅力あるものとして、世界のユーザーさらにはイノベーション投資を呼び込む、さらには、そういった知財システムを新興国などのスタンダードにしていくことで、我が国企業がグローバルな知財活動を円滑に行えるようにする、こういった目的として、例えば我が国の専門家人財をアジア新興国に派遣する、あるいは現地における知財人財の育成を通じた取り組みを推進していく、そういった施策を打ち出しているところでございます。
今後とも、委員御指摘の点も十分踏まえながら、知財システムのグローバルスタンダードの構築、こういったことにつきましても主導的に取り組んでいくということで努力をしていきたいというふうに考えております。
○鈴木(義)委員 私は、難しく聞いていないんですよね。
地理的表示として、今回は農林水産物に限定しているんですけれども、ほかの産品やサービスに拡大しますかと聞いているだけなんです。拡大するときに、また違う法律を、同じような内容の法律をつくるのか、今回出した農林水産物、これは「等」と入っているから、幾らでも解釈は膨らますことはできるんだと思うんですけれども、そういう考えがあるのかどうか、もう一回だけお尋ねします。
○内山政府参考人 お答えをいたします。
本法案が成立をした暁には、地理的表示保護制度につきまして、我が国において十分な運用、そして実績がしっかり積まれる、まずはそういったことが大変重要であると思います。
先生御指摘の点については、その趣旨を十分しんしゃくさせていただきまして、国内における本制度の十分な定着が図られた上で、どういった形で制度をまたしっかり拡充していくのか、そういった点につきまして、関係省庁と一緒になって検討していきたいというふうに考えております。
○鈴木(義)委員 だから、最初から冒頭で申し上げておりますように、知的財産を国家戦略の柱にすると言っておきながら、やはりスピード感が全然ないですよね。定着してからといって、定着するのに何年かかるかわからない中で、それを見て各省庁間で連携をとって、また拡大するかしないか判断する、外国の状況を見ながら判断するといったら、何年先になるかわからないということでよろしいのかなと思います。
次に、地理的表示の保護の条件として、自然的特性を生かした方法や伝統的方法というのが定義の一つであります。しかし、それがおいしいというふうに消費者が認知しないと、保護しても売れないんじゃないかと思うんですね。地域に固有の品質や特徴は、そこだけで認知されているのであれば、消費の拡大にはつながらないんじゃないかという懸念があるんです。
ですから、私の地域で特別に昔からつくっているこの製法でおいしいものがあるんですといっても、それが本当においしいよねと消費者の人たちが認知して初めてブランドとなっていくんだと思うんですね。
カマンベールのチーズを食べて、おいしいよなと思えば、それは消費が拡大してブランド化になっていったんだと思うんですけれども、それと同じように、これもお尋ねがあったかもしれませんけれども、地理的表示の保護をした後に、誰がそのコマーシャルをしてくれるのかということなんですね。
だから、登録はしました、その後どうしましょうといったときに、いや、これはやはりおいしくないから売れなかったよという話になったときに、地理的表示で保護をしても意味をなさないんじゃないかなと思うんですけれども、その辺、もしお考えがあれば、誰がコマーシャルして、いいものですよというふうに外に打っていくのか、そこのところは国が責任を持ってやってもらえるものなのか、お尋ねしたいと思います。
○林国務大臣 今委員もカマンベールのチーズのお話をされましたが、多分、カマンベールが、フランスのGI、AOCだと思いますけれども、そのようなものをとって、AOCを登録したところ自体がカマンベールのキャンペーンやコマーシャルを打つかといえば、打たないわけであります。
ブランドを保護するというのは、ブランドを保護するに足りるものがそもそもあって、地域ではそれが確立している。当然、その地域では、これはおいしいというか、どういう味かというのはそれぞれあるでしょうけれども、消費をしたくなるというものがもともとあるものがブランドとして確立するわけでございますから、これになったから、政府がこれを担いで売り歩く、こういうものではないということは御理解いただきたいと思います。
〔委員長退席、齋藤(健)委員長代理着席〕
○鈴木(義)委員 それと、この地理的表示のところの定義の一つに、今大臣がお答えをいただいたものとさらにプラスして、一定の生産や品質等の基準を満たしているかどうかが示されているんですけれども、誰が判断するのかということなんですね。
過去に、喜多方ラーメンはこれとはちょっとなじんでいない事例かもしれませんけれども、最高裁で、訴訟で負けちゃったんですよね、たしか。何かそんな記事が載っていた、間違っていたら申しわけないんですけれども。
だから、基準を満たしていても、農水省の担当の方にお話をお聞きすると、今まで地域団体商標登録の場合は、農協だとか商工会だとか団体が規定されていて、千団体ぐらいが登録されている、今回のものは、それ以外で、なじまない人でも、同じような、明細書だとか工程表を出して、きちっとやってもらえるんだったら登録ができるんですよとなっているんですけれども、同じものなんだけれども、Aさんがつくったらおいしいんです。私が、同じ明細書で、工程表に基づいてつくったんだけれども、まずいんです。例えがいいか悪いかはわかりませんけれどもね。だから、よく生産や品質だけで満たしているかどうかというんですけれども、やはり食べてみて初めて何ぼだと思うんですよね。そうすると、では、誰がそれを登録するときに判断するのかということだと思うんです。
あとは、もう一点、前の方が質問されているんですけれども、地域の範囲の限定を話し合いで決めましょうということになっているんですけれども、ブランド力が強ければ強いほど、私の地域ももっと入れてくれ、入れてくれという話になると思うんですね。そうすると、地域が拡大してしまっていって、結局、本当に地域ブランドじゃなくなっちゃう。
間違っていたら申しわけないんですけれども、しょっつる鍋というのは、先ほども出たんですけれども、青森でもあるし、秋田でもあるし、たしか山形でもあったと思うんですけれども、もし三県ぐらいにまたがっちゃうようなものがあったときに、三県で地理的表示で登録が可能なのかどうかですね。
例えば、とちおとめというイチゴの苗があるんですけれども、埼玉でも作付されているんです、お金を払ってその苗を、ランナーを買って。ただ、とちおとめという名称で売っているか、埼玉イチゴで売っているかは別として。そうすると、お金を払って苗を買っている、作付してできたイチゴは、商標登録している云々はまた別として、いろいろなところで苗が使われてしまっているようなものに関して、結局どういう位置づけにされるのかということですね。
お答えできればお願いしたいんです。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
まず、生産の方法とか品質の基準を、先生は、同じ製法であっても、また同じ明細書どおりつくったものであっても味が違うのではないかという例を挙げておっしゃいましたけれども、この制度は、地域で合意して明細書をつくってもらいます。その明細書で、品質ですとか製法ですとか特徴、そういったものを定めてもらいます。ですから、そこにもし何か味とかそういったものがあれば、味もそろえるのかもしれませんけれども、味のところまで書くかどうかというのは、そこまであるかどうかというのは議論があるかと思います。
それから、生産地の範囲でございますけれども、これも地域で話し合いによって決めていただくことになるわけですけれども、あくまでも地理的表示が生産地と強く結びついた知的財産ということでございますので、その結びつきをよく検討いただいて、どのような範囲が最も適切かについて決めていただく。また、登録の申請があって、その審査の過程で学識経験者からの意見聴取、専門家の意見聴取もございますので、そういった中で、我々は適切に判断していきたいと思っています。
○鈴木(義)委員 例えば、前回の委員会でもちょっと例示を出して御質問した、江戸川区の小松川でつくった菜っぱがコマツナ。今、埼玉の三郷でもつくっていますし、茨城も産地です。福島だとか、そのもっと北の方までたしか産地が広がっちゃっているんですけれども、このコマツナというのは地理的表示で保護してもらえるんでしょうか。もう一般大衆化しちゃっているという考え方でいいんでしょうか。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げましたが、この地理的表示保護制度は、その品質等の特性がその生産地と結びつきのある産品にのみ地理的表示の使用を認める制度でございまして、その名称に含まれる産地以外の地域で広く生産されている、地域との結びつきの乏しい産品につきましては、本制度による保護の対象とはなかなかならないのではないか。
先生が言及されましたコマツナでございますけれども、コマツナはその品種の野菜の標準和名でございまして、普通名称であると考えられるため、この保護の要件を欠いており、本制度による登録の対象外になるのではないかと思います。
○鈴木(義)委員 そうしますと、先ほど、前段でとちおとめの話をさせてもらったと思うんですけれども、結局、今のコマツナは一般名称化しちゃっているから対象にならないだろうというんですけれども、物によっては、先ほど例示を挙げさせてもらったように、一県とか二県じゃなくて、もっと広がっちゃっているものもあるんですね。でも、商標登録しているか、団体登録しているか、ちょっと別の話として、結局、そういったものは、その地域がどこまでの範囲までだったら認めるのかというのはなかなか難しい。話し合いで決めてくれといっても、全然関係ないところの、県をまたぐようなところの地域の人とどうやって話し合いをするのかなと思うんですけれども、その辺、もう一度確認をしたいんです。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
例えば、とちおとめという産品に言及されましたけれども、いろいろなところでそういった名称のものが生産されているといった場合は、その名称が、特定の地域とその産品の特性が結びついているとは、リンクしているとはなかなか言えないと思いますので、そういう場合は、本制度による登録の対象になるかというと、なかなかそれはならないんじゃないかと思っております。
○小里大臣政務官 念のために、先ほどの地理的表示に係る国の訴訟のあり方について申し上げておきたいと思います。
今回の法案が成立をしますと、この施行とあわせながら、海外で一斉に商標登録をしていくことになろうと思います。それが侵された場合には、国が訴訟を起こすことが考えられるということでございます。
○鈴木(義)委員 それが問題なんですけれどもね。
昨年のHACCP法の改正で私は質問させてもらったと思うんですけれども、JAS法のマークが幾つもあるんです。またここでマークをつくるんです。マークだらけなんですね。消費者が、マークがついているんだから間違いないだろうというんですけれども、どっちが上位にあるマークなのかという話なんです。
それと、消費者団体、マークだとか規制の内容を理解して、お客様である国民の、消費者の方が商品を求めてもらえるのかどうかということですね。現行の法律と、地理的表示と、原産地表示や原材料表示と、何がどれだけ違うのか。
国民に理解していただくのに、そのときも同じような答弁だったと思うんですけれども、周知徹底していきますとか、JAS法をもう少し啓蒙、啓発して、マークの趣旨を御理解いただくように努めていくというふうに答弁されていたと思うんですけれども、結局、今回も同じなのかなと思うんですね。マークばかりいっぱいつくっても、なかなか国民に認知していただけないんじゃないかと思います。
アメリカの方がもう少し緩くやっているのかなと思って、日本は、調味料だとか、いろいろな中身、前よりは食品の表示が細かくなったんですけれども、結局、それと同じように、今後地理的表示で保護をしていこうとするのであれば、食品表示も一段と詳細なものにやはりつくりかえていく必要があるんじゃないかと思うんですね。アメリカはそこまでやっていないんじゃないかと思ったら、日本よりももっと細かく表示するものもあるんだそうです。
そこのところを詳細なものにしていかないと、やはりブランドとしての差別化が図れないのではないかと思うんですけれども、その点をお尋ねしたいと思います。
○岡田政府参考人 お答えいたします。
現在の表示につきましては、JAS法に基づく表示基準において定められておりますけれども、昨年六月に、食品表示法にJAS法の表示も係る部分も取り込まれた形となる形で整理をしてございます。
現在、食品表示法施行に向けまして、現行の表示基準をまとめ作業中でございます。消費者委員会に食品表示部会がございますが、そこの御意見もいろいろ聞きながら進めてまいっているところでございます。
なお、JAS法に基づく各種の産地の義務づけの問題もございますけれども、これらにつきましては、私どもは、基本的には国際規格であるコーデックス規格に基づきまして議論をさせていただいております。そのうち、例えば原料原産地の表示につきましては、コーデックス規格にもない日本の表示ルール上の取り組みでございまして、事業者の実行可能性も考慮しつつ、消費者に対して商品選択に資する有用な情報提供を行っているところでございます。
○鈴木(義)委員 一番冒頭でお尋ねした、マークをつくって、それをどうやって国民に理解していただくのかというところはどうなんでしょうか。答弁いただきましたか。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
今回の地理的表示が登録されたという統一マークですね。
先生がおっしゃいました、いろいろなマークがあって、なかなか見分けるのが難しいんじゃないかということでございますが、やはり何といっても、このマークが消費者に容易に認識されるということが、この制度がマーケットで評価される、いわゆる市場で評価される制度になると思いますので、このマークは、これから省令で定めますけれども、先生にも褒められる、いいマークをつくってまいりたいと思っています。
○鈴木(義)委員 私は永田町のアンパンマンと自分で言っていますので、アンパンマンに近いようなマークにしてもらえればなと思うんです。
次に質問を移らせていただきたいと思います。もう大分時間が過ぎてまいりましたので、ちょっと細かい話をお聞きしたいと思います。
登録の手続の中で、明細書及び生産工程管理業務規程を公示しというんですね。その上で、広く意見を有識者の方から、専門家の方から意見を聞いて、どこまでの範囲に周知させて、三カ月の間で、では、仮受け付けみたいな形で登録の受け付けをとりあえずいたしました、それで、三カ月間で意見聴取をするというふうに一応決めているんですけれども、三カ月で一体足りるのかという話なんです。
先ほどお尋ねしたように、地域で話し合いをするんだといっても、エリアが狭ければ、それでもできるんだと思うんです。では、そのエリアが広くなっちゃっていて、それが受け付けの段階で、まだ登録じゃないですよね、登録というのは本当は受理された段階で登録になっちゃうんですけれども、仮登録、仮に受けておいて、有識者で、第三者委員会みたいなところで審議をする間、関係の人に来てもらって、うちも入れてくれ、うちは入れないでくれとか、こういう話になってくるんだと思うんです。それが三カ月で処せるのかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
本法律案では、地域ブランド産品の生産地、特性、生産の方法等を明細書や生産工程管理業務規程として登録することとしているわけですけれども、これらは公的な規制の基準ともなるものでございますので、客観的に妥当なものであることが必要でございます。
登録申請があった場合、その概要がインターネット等により公示され、何人でも意見書を提出することができることになるわけですが、その際に、明細書及び生産工程管理業務規程も広く公衆の縦覧に供することとしているところでございます。
他方で、これらの明細書等につきましては、迅速な審査を経て、早期に登録し、当該産品の保護を開始してもらいたいという要請もあることから、客観性、公平性、それから迅速性、こういったバランスの中で、三カ月間の意見聴取期間としたところでございます。
○鈴木(義)委員 やってみなくちゃわからないということなんだと思います。
もう一つ、登録申請手続で、仮に、事例を挙げられるんだと思うんですね。書式が決まっていて、ここにはこういうことを書きなさいよというのをネットで周知して、それに基づいて、御自分のところで、お出しになるものは準じて書いてくれという手続をとられるんだと思うんですけれども、その明細書等の提出後の修正や、拒絶理由に生産者団体が不服があるときは、どういう取り扱いをするのか。
仮に、一度登録を申請して、不備があったときに、差し戻すのか。そうすると、タイムラグが出てきたときに、違う団体の人がさっと書類を出してきて、それは形式が整っていたとなると、登録をするという話になってしまうのか。特に、特許の世界では先願出願ですから、一日でも半日でも、一時間でも一分でも先に出した方が権利者になってしまうわけですよね。
冒頭からお尋ねしているように、知的財産の位置づけで地理的表示というのがあるのであれば、やはりタイムラグのことも考えなくちゃいけないんだと思うんです。そこのところはどういう手続になるのか、お尋ねしたいと思います。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
明細書の修正ですとか登録の拒否に関連した御質問でございます。
まず、登録拒否に関連してですけれども、明細書等の内容が農林水産省令で定める基準に適合していないなどの理由で登録拒否をする場合には、登録の申請をした生産者団体に対しまして、拒否する旨及びその理由を通知することとしているところでございます。
登録拒否の理由に不服のある生産者団体は、行政不服審査法等の手続により、その取り消しを求めることになると考えております。
なお、登録拒否の通知を受け取った生産者団体が、拒否の理由を踏まえて明細書の修正等を行った場合には、再度登録の申請をすることもできる仕組みとしているところでございます。
また、明細書の修正についてでございますけれども、例えば誤記を含む形式的な不備については国から訂正を促すことは考えておりますけれども、内容にかかわる実質的な修正を国から求めるということは考えておりません。
○鈴木(義)委員 ぜひ、元気が出る農家、また、もうかる農業のためにサポートしていただければと思います。
以上で終わります。
○齋藤(健)委員長代理 次に、林宙紀君。
○林(宙)委員 結いの党の林宙紀でございます。
本日も、例によって大変細かいところの質問になろうかと思いますけれども、よろしくお願いいたします。
きょうは、非常に長い時間をおとりいただきまして、ここまで法案についてさまざま議論をいただいていたところを私も聞かせていただいております。その中で、私が大変関心を持っていたことについても既に明らかになっていたりするので、そこで触れられていないものを中心に選んでいきたいなというふうに思います。
まず、今回の法案で、基本的には農林水産物という枠の中で、食用、食べるものというのが大前提になってくると思うんですが、もちろんこの法案の中で、食品以外のものは政令で決めていくというようなことも規定されていくということなので、そうすると、食べるもの以外だとどういうものがあるんだろうなと。きょうも質疑の中でいろいろなものが例示されておりますが、炭とか木材とか、そういったものも対象になるんですよと事前に事務方の方にもお話を聞いております。
では、日本の中で、今その候補になり得るようなものというのはどういうものがあるんでしょうかというのをお聞きしようかなと思ったんですけれども、多分、まだなっていない国内のものについては、いろいろな影響があるので、恐らくお答えいただけないだろうと思いますので、むしろいろいろと先進的にやられているEUの制度の方で、食用品以外にはどういうものが登録されているかというのを二、三で結構ですので、例えばこんなものがありますよというのを教えていただけますでしょうか。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
EUの地理的表示制度で、食料品以外で登録されているものというお尋ねでございますけれども、例えば、フランスの飼料用の干し草でありますとか、これもフランスですけれども、ラベンダー由来のエッセンシャルオイル、それからベルギーの園芸用のツツジ、こういったものが登録されていると承知しております。
〔齋藤(健)委員長代理退席、委員長着席〕
○林(宙)委員 ありがとうございます。
ラベンダー由来のエッセンシャルオイルというのはなかなかいいなと思いながら今聞かせていただきましたが、そういう意味では、日本にも、それに類する、あるいはもっと幅広い範囲で、そうした形で地理的表示で保護していくべきものはあるんじゃないかなというふうに思っています。
私は、前回、漆の話をさせていただきまして、今、漆というのは本当に限定的な生産になっていて、ほとんどが岩手県で生産されていますよというお話もさせていただいたと思います。その岩手県も、浄法寺というところでの生産がほぼ中心的になっている。浄法寺漆ということで、漆に関しては、有名なブランド名と言ったら変ですけれども、そういった形で大変有名になっているものなんです。
ということは、これからいろいろと地理的表示をするにふさわしいものかどうかと調べるにしても、こういう漆というのも対象になるということでよろしいんでしょうか。
○山下政府参考人 先生お尋ねの漆でございますけれども、漆は食用に供されない農林水産物というふうに考えておりますので、政令で指定することにより、本制度の対象とすることはできるというふうに考えております。
○林(宙)委員 ありがとうございます。
漆もそうですし、いろいろと食用以外で、食用のものというのは非常に有名なものは多くあると思いますから、むしろ食用じゃないもので、今後どういうものを日本として、日本の国内でまず地理的な表示を入れたブランドとして保護していけるのか。最終的にはそれを海外に認めていただけるかどうかというところまでしっかり考えていくというふうに思っております。
いろいろと考えていくと、農産物あるいはその加工品というのは、割と地理的表示というのはやりやすいのかなと思っているんですけれども、水産物というのはどうなんでしょうね。
というのは、水産物、魚介類というのは、特に魚というのは水域をかなり移動したりするものだったりするので、今でも、とれた海域にかかわらず、水揚げした漁港でどこどこ産ということになったりする側面もありますし、なかなか難しいんじゃないのかなというふうに思っているところもあります。
私がきょう聞きたかったのはイセエビなんですけれども、イセエビですから、やはり伊勢志摩というところなんだろうなと思いきや、私は千葉県で仕事をしていることが随分長いことあったので、実は、漁獲量としては千葉県が日本一なんですね。なので、イセエビというのは、もちろん三重県でも非常に漁獲量が多いんですけれども、千葉県の房総とか静岡の伊豆とか、ああいったところでも結構な量がとれますよということになります。
先ほどコマツナのお話が挙がっていました。イセエビも恐らく一般的な和名という形になっているんじゃないかなと思うんですけれども、その場合は地理的表示が恐らくなされないんだろうなと思いつつ、千葉の房総の方へ行くと、イセエビ丼というのを結構扱っているお店があるんですね。非常に大きいんです。場合によっては、イセエビが二尾ぐらい、てんぷらになって載っかっているという非常に豪華なものがあるんですけれども、でも、名前はイセエビ丼なんですね。
彼らは、多分、房総エビ丼とか安房エビ丼とか、何かそういうふうに売りたいなと思った時期も正直あったそうなんです、当時お話を聞いたときは。ただ、イセエビというのは完全に確立された名前になっていますので、これはイセエビでいいんだということで売っていらっしゃるそうなんです。
こういった形で、結構、魚介関係というのは地理的条件を設定することは非常に難しいんじゃないかなと思っていますが、今後、魚介に関して設定していくときに、どういうことを想定して決めていくのか、今の段階で考えていらっしゃることで結構ですので、それを教えていただきたいと思います。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
先生おっしゃいましたように、確かに、水産物について、いろいろ議論はあるかと思います。
天然の水産物につきましては、漁獲される水域の温度ですとか水流などがその特性を決定づける上で大きな位置を占めるものと考えておりますけれども、一方で、水揚げ地域に伝わる特別の漁獲方法ですとか水揚げ港での水揚げ後の処理などにより、その産品の品質や社会的評価を守ってきたものも見受けられるところでございます。
このため、具体的な産品ごとに、何をもって地理的条件を設定するかを判断する必要がございます。実際の申請があった際に、登録手続の中でこういったことを適正に判断していくこととしたいと考えております。
なお、先生が御言及されましたイセエビでございますけれども、イセエビは甲殻類の標準和名でございまして、普通名称であると考えられるため、保護の要件を欠いており、本制度の登録の対象外と考えております。
○林(宙)委員 わかっていることではあっても、国側の方の正式な答弁で述べられてしまうと、残念だなというか、ああ、イセエビはやはりそうかという思いがちょっとしたりするわけなんですが、そういきますと、それはそれでいろいろ難しいところはあると思いますけれども、今後、しっかりと基準に沿ってやっていただければ結構なんです。
そうすると、今回、地理的表示というのは、生産加工業者の団体が登録をするというのが最初になってくると思うんですね。その登録団体に参加している業者さんですとか、その方々が地理的表示をして物を売ったりできますよということになると思うんですけれども、こういうケースはどうなるんでしょうかということでお伺いします。
なかなかトリッキーな言い方になるんですが、要は、地理的表示の登録をしている団体に属さない生産者さんがいるとします、私たちはその団体には入っていませんよと。そこに所属していない生産者の方が、例えば東京メロンとかというのがあったとしましょう、東京メロンの登録団体に入っていないんだけれども、自分でメロンをつくっている。そのメロンは、自分は別にそこに入っていないから、これは東京メロンじゃなくて、普通のメロンですといって売っているとします。この段階では普通のメロンなんです。なんだけれども、それを買ってお店で出すというレストラン側の人が、なかなか品質がいい、だから、これは東京メロンですといって売ってしまえとなった場合、これは景品表示法で罰せられるのか、それともこの法案で罰するのか、どちらの範囲に入るんでしょうかという質問です。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
先生のおっしゃったようなケースでございますけれども、いわゆる地理的表示産品を使用していないにもかかわらず、レストラン等でそれを、例えば地理的表示の名称のメロンを使っていますよとメニュー表示をされる場合ですけれども、これは景品表示法の取り締まりの対象になると考えております。
○林(宙)委員 ありがとうございます。
ということは、メニュー表示の場合は、それは従来どおり景品表示法であるよということなんですね。なかなかこの辺のすみ分けというのが、今の段階ではちょっとはっきりしていなかったのでお伺いしたんです。
そんな形で、この法に基づいて裁く場合と、景品表示法で裁く場合と、多分その罰則のあり方なんかが違ってくると思うので、そこは、先ほどから出ていますけれども、消費者の皆さんとか、あるいはそれを扱う業者の皆さんが混乱しないように、しっかりとガイドしていただきたいというふうに思っております。
そうしますと、今回のこの地理的表示というのは、EUの例を見れば一目瞭然なんですけれども、やはり歴史的に評価が確立されているものについて保護していくという考え方が、多分一番ベースというか、わかりやすいんだろうなというふうに思っているんです。場合によっては、これから、うちの地域あるいは市、町は一丸となって、この農産物を町の一大産品として育てていくんだみたいなプロジェクトがもちろんあったりするわけなんですが、そのときに、今の歴史的なというところからいくと、新しくできたもの、あるいは新しくできて三年とか五年ぐらいで、その町の人とか市の人ぐらいは大分認識されてきましたよというぐらいのものは保護の対象になるんでしょうかということと、そうでなかった場合に、では、何年以上の実績というんですか、どのぐらいのスパンの歴史があれば認めてもいいかなということになるのか。例えば、EUなんかではそういう基準がないんでしょうかということで質問いたします。
○小里大臣政務官 地理的表示として登録される産品は、品質や評価などの確立した特性を有していること、そしてその特性が生産地と結びついている必要があります。そういったことから、特性の確立に至るまで一定の伝統性を具備していることが求められるわけであります。したがって、新たに開発された商品は対象にならないと考えております。
なおまた、EUにおいては、先ほどもありましたけれども、三十年という一つの参考になる数字はあるところでございますが、いずれにしましても、登録の基準については、申請者の予見可能性を高めるために、審査に当たってのガイドラインを示すことになります。したがって、具体的な内容については、伝統性の具体的な要件も含めて、施行までに精査していくということになります。
○林(宙)委員 ありがとうございます。
済みません。その三十年という目安というのをちょっと私がフォローできていなかったので、先ほども御答弁いただいたということでありますれば、三十年というのが一つの目安になるよということです。
そうすると、今から新しく地域の特産にしていこう、これをうちの町の名前をつけて売っていくんだといった場合には、保護されるまでには基本的には大体三十年ぐらいは必要だよというふうに考えておけばよいということで、次の世代ぐらいになってようやく地理的表示が認められる、そのぐらいの歴史が必要なんだなということを改めて思いました。
そうすると、時間をかけて確立されたブランドというのはやはりとうとい価値があるということなんですが、先ほど鈴木委員の質問の中にも少し出ていましたけれども、今回のこの地理的表示のブランドは、複数の団体が登録できるようになっていますということで伺っております。
今までの地域団体商標制度の場合は、基本的にその団体しか使えないという御説明をいただきましたが、この地理的表示に関しては、もうちょっと広く、いわゆる共有財産のような形で、明細とか条件を満たしていれば、団体が二つあっても三つあってもいいですよということになるんだと思うんですね。
そうすると、既に登録された名称というか、同じブランド名を先に申請している人たちがいて、認められている。後から、私たちもこれはずっとつくってきたので、このブランドに申請しますといった場合に、これは特に、その登録済みの団体の許可を得なきゃ入れないとか、そういうことはないということでいいんですよね。これだけ確認させてください。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
地理的表示は、地域共有の財産であることから、既に登録された名称に係る団体の追加、後から団体の追加に当たっては、登録済みの団体の同意を得る手続を必要としておりません。
他方、追加の登録を受ける生産者団体が、明細書に従って産品の品質管理を適切に行うことができる団体であることを確認する必要がございますので、第三者による意見書の提出ですとか学識経験者からの意見聴取等の手続を経て登録がなされるというふうに考えております。
○林(宙)委員 ということで、ある団体に独占的に認められている権利ではなくて、皆さんで共有しましょうということで理解ができたなと思います。
そうすると、いろいろとお伺いしたいことがある中で、これもちょっとお話の毛色が変わりますけれども、先ほど岩永委員が、EUとの関係はどういうふうになっていくんでしょうかといったような趣旨のお話があったと思います。
その中で、少しだけ触れられていたかもしれませんが、私は、むしろアメリカの方の関係がちょっと気になっていまして、歴史的なところで、アメリカとか、あるいはオーストラリアなんかもそうだと思いますが、新大陸と呼ばれるところは、特にEU、ヨーロッパで使われている名称を大陸に移ってきてそのまま使っていたりとか、そういうことがあるんですね。だからこそ、EUの方で地理的表示が保護されてしまうと、新大陸の方では使えないのかとか、そういったことでいざこざがあったりしているわけなんです。
今回、日本がやろうとしていることは、どっちかというと、EUの制度に沿っていきますよというふうに見ることができると思います。一方で、アメリカ側とか、そちら新大陸側からすると、私たちがやめてくれと言っている制度の方に日本は寄っていくのかというとられ方をされかねないというふうなことを考えると、何かそこで、今TPPの交渉なんかもやっている中で、コンフリクトというか、そういう問題に発展していく可能性はないのかなとちょっと心配しております。
それが生じる可能性があるかどうか。あるなら、こういう理由でありますとか、ないなら、こういうことをやっているのでないと思いますと。そういったことについて御答弁をお願いします。
○林国務大臣 先ほどもEUとの関係で少しお話をしましたが、この地理的表示の保護のあり方については、EUのように特別な制度で保護を行うという行き方と、アメリカのように商標制度の中で保護する、こういうふうに立場が異なっているということを先ほど申し上げたとおりでございますが、特に、今、新大陸とおっしゃっていただいたように、アメリカや豪州、新しいということもあって、歴史がそれほど古くないということもあって、GIの手厚い保護には反対をしておられて、既存の商標制度の枠内でGIを保護していこうということでございます。
例えば、欧州の地名を冠した産品が多くて、既に流通をしておりますので、GIの普及によってその名称が妨げられる、こういうことに対する御懸念というのが新大陸の方はあるのかなということでございます。
バドワイザーというのは、アメリカのビールの名前なんですが、チェコのビール産地のブドヴァルというところから命名されているとか、それから、パルメザンチーズというのも、イタリアのパルマ産のチーズの名称の和訳であるとか、いろいろなそういうことがあるそうでございまして、そういう意味では立場が異なっているということでございます。
したがって、先ほども申し上げましたように、我々は、今、日・EU・EPAそれからTPP等々、いろいろな国際交渉に取り組んでいるわけでございますので、両方において、両方というのはEUに対してもアメリカに対しても、我が国の国益の最大化が図られるよう、地理的表示の保護についても、両者のバランスをとりながら対応を行っているということでございます。
アメリカに関しても、例えば米国のUSTR等とも情報交換を行いながら、この制度設計に対応してきた、こういうところでございます。
○林(宙)委員 この地理的表示の保護をもって、将来的には海外の方でもしっかりと日本のものということで売っていくという御意向でしょうから、ここはうまく貿易の方でもそのメリットを最大化できるようにしていただきたいなというふうに思います。
今回の法案の中で、非常に細かいんですけれども、罰則のところについてお伺いをしたいと思います。
罰則とは何のことをいうかと、この法案でいくところの五章に罰則というのがありまして、第二十八条以降がその罰則の細かい規定になっております。
どういうふうに聞くのがいいのかなとちょっと悩みながらなんですが、要は、法案をつくるときに、罰則規定を考えるときは、必ずほかの法律なんかと照らし合わせて、この罰則の水準が妥当なのかどうかというのを検討されると思うんですけれども、そのあたりについて少し確認させていただきたいということでお伺いします。
まず、この法案の中の罰則で規定されている最高の罰則というのは、恐らく第二十八条の五年以下の懲役もしくは五百万円以下の罰金、またはこれを併科、両方やるということですね。これは食用に供する場合の違反。そうじゃない、食用に供さないという方の地理的ブランドに関しては、これが三年以下または三百万円以下の罰金ということになるんだと思います。
そうすると、では、これをほかの何と比較したらいいんだろうというのは、恐らく、地域団体商標の例がありますので、商標法の方にかかってくるのかなと思って、商標法の方を見てみました。商標法の方は、実は、最高刑は十年以下の懲役か一千万円以下の罰金、またはそれの併科ということになっております。
五年以下の懲役もしくは五百万円以下の罰金というのは、もちろんこの商標法にも規定されているんですけれども、商標法の場合は、まさにその専用使用権を侵害した場合には、一応、十年以下とか一千万円以下、そういうのが科されるんですけれども、五年以下とか五百万円以下というのは何かというと、類似したものを販売しちゃったとか、そういう侵害したとみなされる場合という、一つ段階がおりているところの水準なんですね。
ということは、今回、何でこれがひっかかっているかというと、地域団体商標というのは、先ほどその団体しか使えないと御答弁をいただきました。ということは、かなり排他的な要素を持っています。しかしながら、地理的表示というのはそのような排他性が余りありません、公的な、皆さんで共有していく権利だということなので。
そうすると、この辺のバランスというのはどう考えたらいいんでしょうねという、かなりざっくりとした聞き方になってしまうんですけれども、地理的表示の方が少しこの排他性というのが薄くなっているという意味で、五年以下あるいは五百万円以下の罰金で、さらにそれを併科することも場合によってはあり得るというのは結構重いんじゃないのかなと思っているんですが、まずは、それについてどのようにお考えになっているかというのが一つ。
もう一つ。これはさっき気づいたんですけれども、二十九条に、「三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。」と書いてあるんですが、こっちは併科規定というのがないんですね。この辺はなぜゆえにこのようになっているのかということについて御答弁いただけるとありがたいです。お願いします。
○山下政府参考人 罰則についてのお尋ねでございます。
模倣品または粗悪品に地理的表示が使用されると、生産業者及び需要者の利益を害し、ひいては地理的表示制度自体の信頼性を損なうことになりかねないわけでございます。
このため、不正使用された表示の除去、抹消等の命令に対する違反に対しまして、先生御指摘のように、五年以下の懲役もしくは五百万円以下の罰金、またはこれらの併科というふうに厳格な対応をすることとしております。
この水準につきましては、他の知的財産法制における行政命令違反の罰則や類似する制度を規定する他法令との均衡を図っているところでございまして、我々としては妥当な水準だと考えています。
具体的に申し上げますと、例えば、種苗法でいきますと、秘密保持命令違反というのが五年以下の懲役もしくは五百万円以下の罰金、またはその併科となっております。また、商標法におきましても、秘密保持命令違反、その命令に違反しますと、五年以下の懲役もしくは五百万円以下の罰金、またはその併科となっているところでございます。
○林(宙)委員 大変細かい質問でしたので、むしろありがとうございます。
二十九条の併科規定がないことについてはなぜでしょうかという質問に関しては、これは改めてお伺いしますので、そのときに教えてください。
時間もそろそろ来ていますので、最後にお伺いしたいんですけれども、先ほどマークの話が出まして、済みません、これは通告に入っていないんですけれども、簡単なことだけお伺いしたいんです。
マークは、最終的なデザインは誰が最終決裁権を持っているんでしょうか。いろいろなデザイン案が出てきて、これでいきましょうといって決める方はどなたなんでしょうか。大臣ですか。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
省令で決めるというふうになっていますので、農林水産大臣が決めるということになるかと思います。
○林(宙)委員 なぜこの質問をさせていただいたかというと、先ほどマークがいっぱいあるというお話にはなっていたんですが、どうせつくるんだったら格好いいものにしていただきたいんですよ。
というのは、将来的にこのマークを海外でも商標登録して売っていくんだということであれば、やはりここから勝っていかないと、このマークはクールだねと、まさにクール・ジャパンです。こういうこともやはり考えていくのが一つのブランド戦略だと思いますので、何となく、こんな感じでいいんじゃないというふうに決めるのではなくて、大臣も本当にいろいろ吟味をしていただいて、何となれば、幅広い世代の方、あるいは役所の職員の皆さんの奥様方、お子さん方にも、このデザイン案はどうだという形で意見を幅広く聞いていただいて、すばらしいマークを御決断いただきたいなというふうに、これは意見ですので、御答弁は必要ございません。
そういったお願いを最後にさせていただいて、本日の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○坂本委員長 次に、畑浩治君。
○畑委員 生活の党の畑浩治でございます。
この法律の地理的表示保護制度についての保護のあり方というか、ここについてお伺いしたいと思います。
この地理的表示保護制度は、商標法による地域団体商標制度であれば、これは知的財産権という権利であって、訴訟の客体になるような権利だと思います。それと比べて、きょうたびたび議論がありましたが、排他性のないような権利というか、言ってみれば、今回の地理的表示保護制度は、知的財産ではあっても知的財産権ではないのだなと思います。これは単独では訴訟の対象にはならない。結局、行政当局による取り締まりでその実効性を担保するという整理であります。
これで十分な保護が図られるかどうかというのが若干疑問な部分もあるわけですが、そもそも、行政当局による取り締まりによる保護制度としたということ、権利としなかったという理由についてお伺いしたいと思います。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
これまで、我が国で法制化されてきた知的財産の制度は、特許であれば発明という行為を行った者を保護するというように、その方式として権利を付与する形をとることが一般的であったということでございます。
一方、本制度で保護しようとしている地理的表示は、長年培われた特別の生産方法などにより高い品質と評価を獲得するに至った地域ブランド産品について、その価値を評価し、地域共有の知的財産として保護するものでございまして、特定の者に限定せず、地域の生産者に広く帰属する形とする必要があると考えております。
このため、他の知的財産法制と異なり、権利を付与する方式をとらず、名称の使用規制を通じて、保護を行う制度としたところでございます。
また、本制度においては、不正使用に対しまして、生産者自身ではなく、国が取り締まりを行うこととしておりまして、こうした面では、むしろ、他の知的財産法制よりも手厚い保護がなされているのではないかというふうにも考えられると思います。
○畑委員 実は、国内的にはそれで取り締まりが十分できるのだろうと思います。ちょっと心配なのは、きょうたびたび議論がありましたが、外国の主体が模倣した場合の取り締まりのあり方であります。
結局、外国の主体がぱくってやった場合には、これは日本の行政当局が取り締まるものですから、外国の主体が日本でやったら、それは日本の行政当局が取り締まれる。ただ、中国の業者が中国で、今言ったようなものの名前を使って、極端に言えば、マークまで使うか使わないかというのもありますが、そういうことをぱくってやった場合には、当然、日本の国内じゃないですから、日本の行政の管轄権と処罰権は及ばないわけです。
そこに対して、知的財産権であれば、もちろん訴訟を起こせる、日本の裁判所に訴訟を起こしてもいいと思うんですが、そういうことができる。ただ、今回の構成であれば、外国の主体が外国でやった場合に対して取り締まりを及ぼすことが可能なのかどうかという疑問が生じます。
きょう議論はいろいろありまして、いろいろなところと連携してやっていくとか、外国の情報を得て事前にそういうことを防ぐようにしていくとか、定性的にはそういうことは言えるんですけれども、権力をもって実効性があるような取り締まりというのはなかなか難しいのだろうと思います。
そこのところが野放しになるというか、やられっ放しになる、そういう危惧はあるんですが、外国の主体が模倣した場合の取り締まりというのは具体的にはどのようにお考えでしょうか。
○小里大臣政務官 本制度は、地理的表示に係る国内法制度の整備を行うものでありまして、本制度による登録を受けたとしても、直ちに他国で同様の保護を受けられることとなるわけではありません。
ただ、地理的表示の登録を受けた産品には、地理的表示の標章、マークを貼付することになっておりますが、このマークを主要な輸出先国で商標登録をどんどんしていくことになります。したがって、輸出先国においても我が国の真正な特産品であることが明示をされ、差別化が図られることになります。
もしこの商標登録したマークが侵されるようなことがあれば、そのときは国が主体的に異議申し立てなり訴訟なりを行っていくということになります。
○畑委員 マークを使った場合には、確かに、そのマークを通じた当該国の商標法に基づいてそのような訴訟を起こすなり、求めることは可能だろうと思います。それはしっかりやっていただかなきゃいけないんです。
例えば、この制度そのものと言えるかどうかはあれですが、マークを使わないで、青森リンゴなら青森リンゴ、三陸ワカメなら三陸ワカメという名称を使って、日本にそういう名称の登録が今回の制度であったとして、外国で、マークは使わないけれども、同じ名前で何かパッケージに印刷して売る、そういう場合、マークそのものは侵していないわけですから、商標法に基づく当該国の訴訟までいけるかどうかというのは疑問があるんですが、そこはいかがでしょうか。
○小里大臣政務官 そこが先ほどから食い違いが若干あったかなと思うところでありますが、マークと地理的表示そのものとは区分けして、これは扱うことになります。
地理的表示の不正使用に対しては、民法の不法行為に基づく損害賠償請求や不正競争防止法に基づく差しどめ請求により民事請求を行って、これを執行することが可能となり、登録された生産者団体がこれらの請求を行うものと考えております。
○畑委員 やはり不法行為なんだろうと思うんですね、損害賠償で。それをやるということは、もちろんどの国でも可能だと。やる場合には、まねをされた人が損害を受けたことに気づいたときというのはもちろんそうなんですが、そこは、実は業者が網を張ってもわからないこともあるわけですから、国は、大使館なりジェトロなり、あるいはいろいろな公的機関がありますから、そこはしっかりと網を張っていただいて、ほったらかしにしないで、しっかりと自分の国のこういうものを守るという姿勢が欲しいわけです。
そこはぜひとも、きょう何回も議論がありましたが、これも攻めの、地理的表示を守る制度というか、そういう気持ちでやっていただきたいなと思います。そこはよろしくお願いしたいなと思っております。
次の質問をさせていただきます。
次に、本制度なんですが、きょう議論が何回もありましたけれども、生産、加工、調製のどれかが当該地域というか地理的表示制度に係るところで行われていれば、これは地理的表示制度の対象になるということであります。
きょう、これも議論があったんですが、例えば讃岐うどんなんというのは、その原料の小麦粉というのはかなりの部分オーストラリアから来ているというのは、私も聞きましたし、テレビでもやっていました。
結局、原材料が他国から来たものがあって、それを加工して日本で製品にする。それを守るというのは、当該地域のブランド、伝統であれば、それはそれで意味があるんですけれども、ちょっとそこで疑問に思うのは、そういうことをしていると、原材料の国内生産の振興にならないんじゃないか。であれば、この地理的表示制度を使いながら、自給率なり、あるいは日本の原材料の生産振興、こういうことも反射的に図られる、そういうところにも役立つ制度に組んでほしかったなと思います。
先ほど、EUの地理的表示保護制度はPDOの原産地呼称保護制度というのがあるそうで、これは、生産、加工、調製の全てが当該地域内で行われることを基準としているということであります。
結局、この制度についてこのようにしなかった理由は、間口を広げて、まずは運用の実績を上げて、幅広く活用してもらえるようにというお答えがありましたけれども、考えようによっては、そういうふうにしながら、もう一つ上のプレミアム地理表示制度というかスーパー地理表示制度というか、もうちょっと要件を付加して、二段階というか間口を広げながら、もう一つ上のものがあるんだよという組み方はあっても私はよかったのだろうなと思います。
そのようにしなかったという理由と、あと、結局、原材料が国産でない場合には国内の農業振興には結びつかないんじゃないかという危惧があって、そこはそういうふうにすべきじゃなかったのかなという思いもありますが、そこを含めてお伺いしたいと思います。
○林国務大臣 ほぼ答えもおっしゃっていただきながら御質問いただいたような感じがいたしますが、まさにEUにはPDOとPGIということで、PDOのマークがたしか赤いマークですね。それからPGIが青ということで、色で、私も向こうで百貨店等に見に行ってみましたけれども、区別がすぐつくようになっております。消費者からも、赤の方が全部一貫してやっているということがわかるようになっている、こういうことでございまして、そういう仕組みできちっと、今おっしゃったように、全てそこでやっているというものをさらに区別しているということがEUの制度にあるわけでございます。
我々もEUの制度を少し参考にさせていただいたわけですが、まず、なじみの制度でないということで、シンプルなところで始めようということと、それからやはり幅広い生産者に御利用いただこうということで、まずはPGIと同じような仕組みから始めようということにしたところでございます。
PDOのように、生産、加工、調製、全てその地域で行われているというものについては、今まさに御指摘いただいたように、地域の経済への波及効果はより大きくて、それから国内産原料の生産振興にも寄与し得る、こういうことでございます。したがって、まずは、先ほど申し上げたように、入りやすいということで、PGIと同様の仕組みで普及、定着に努めることといたしたいと思っておりますが、今後は、制度の登録の動向、施行状況を踏まえながら、必要な措置を検討していきたいと思っております。
○畑委員 ぜひとも施行状況を見ながら検討をいただきたいと思います。
やはり、よりよい原材料、農業の振興ということに役立ちますので、簡単に言えば、一つ上のプレミアム地理表示制度というか、スーパー地理表示制度みたいなものをやっていただくことが大変いいと思うので、これは今後の検討課題でよろしくお願いしたいと思います。
それから運用主体について質問させていただきます。
品質管理とか取り締まりについて、第三者機関によらないで、結局は生産者団体が申請して、農林水産省が行うという制度にしたということは、本日の議論でもあったところであります。
なぜこういうことをするかというと、生産者団体が一番知っているということもきょうの答弁であって、そこの知見を生かすことが合理的であろうということが一つあると思います。
あと、きのう事務方と議論したときには、第三者機関をつくるとしても、地方なんかだと、第三者機関、民間団体というのはなかなかつくりにくいというか、ないのではないかという話があったり、あるいはコスト的に考えて、現行の制度、この法案で、生産者団体を通じてやった方がコストも安く上がるという話も伺いました。それはそれで一つの見識だと思います。
そこで、私は、気づいたのは、地方にもある団体で、なおかつ、客観性があって、そしてコストもそれほどかからないというところがあるのではないか、地方公共団体があるのではないかなと思ったんです。地方公共団体であれば、地方の実情も知っていますし、客観性もあるのではないか、なおかつ地方分権にも資する、そういうことだと思うんです。
こういうことをしないで、地方に任せるということをしないで、これはいわゆる直轄、農林水産省でやるということにした理由、そこのところをお伺いしたいと思います。
○小里大臣政務官 本制度の申請主体を考えた場合に、生産者を直接または間接の構成員とする団体としておりまして、これには、都道府県、市町村、農協や商工会などを構成員として各地で現に組織をされている地域のブランド協議会といった組織が申請してくることが大いに想定をされるわけであります。
そうなってくると、地方公共団体を取り締まりの主体とした場合に、申請者と取り締まりを行う者が同一になるおそれがあるということでありまして、そういったことから直轄とした次第であります。
○畑委員 利益相反になるということですね。なるほど、そういう考え方のもとでこうやったと。
実は、地方公共団体がやった方がいいと思ったのは、体制的にも、現行、それなりにあるなと思ったんです。
こういう危惧の中で、結局、農林水産省、国がやるとした場合に、若干疑問があるのは、実は、今の農林水産省の体制で、模倣品の取り締まり等について、本当にしっかり的確にできるのかなというところであります。本当にしっかりやるのであれば、これは特許庁並みあるいは消費者庁並みの、一つの役所並みの人員体制を整えて、そういう専門家もそろえてやらなければ、なかなかばほっとしたものになってしまうと思います。ただ、それをやるのがいいかどうかというのは別問題でして、行政の肥大化になるし、なかなかそれでいいのかという問題はあると思います。
いずれにしても、難しいのは、現行の体制、肥大化を防ぎながら、いかに効率的で、かつ動くような、実効性があるような体制をつくっていくかということがポイントだと思うんですが、この体制整備をどのように進めていくのか、お伺いします。
○林国務大臣 不正使用を公的に保護するということのために、認知した場合の立入検査を現場で対応する、こういうことにしておりまして、現在、農林水産省の地方出先機関である地方農政局や北海道農政事務所が行う方向で検討しておるところでございます。
委員が今ちょっとおっしゃっていただいたように、余りこれで組織が肥大化するということも、行革の観点からは慎むべきところもあるわけでございます。したがって、具体的な体制について、制度が円滑に執行されるために、この地方農政局等の職員が表示監視に関する専門的知見というのを持っておりますので、こういうものをいかに活用するか、こういう観点にも心を配りながら、効率的で実効性のある体制整備をしっかりと検討してまいりたいと思っております。
○畑委員 よろしくお願いしたいと思います。
ちょっと危惧するのは、結局、商標制度とかいろいろなものがあって、そこの関係を使いながら、またそれぞれの制度で組み立てて、今回地理的表示制度ができたわけですが、そこのところをこの制度が、実は、実効性がある模倣品の取り締まりも含めて動きにくい、あるいは、そもそも制度として、商標権と違ってばほっとしたもので推移するのであれば、この制度がなかなか動かないということになるし、そうあってはいけないと思います。
活用してもらうためには、現行の制度というか、体制の中なんですが、実効性がある、しっかりと厳格な体制をつくっていただく、このことが大事だと思っておりまして、何とかこの制度がしっかりと動くことを期待したいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
法律の質問はこれぐらいにいたしまして、残った時間で、農協改革を含めた議論というか御質問をさせていただきたいと思います。
先週、規制改革会議で、農協を含めた農政改革に関する意見というのが農業ワーキング・グループから出たところであります。これについて、特に農協改革について、きょうはちょっとお伺いしたいと思っているわけです。
農協の改革というのは、どのような立場であれ、いろいろなやり方がありますが、必要であることは疑いはないだろうと思います。特に、経営感覚を持った農協をつくっていく、これは日本型直接支払いのときでもかなり議論がされたところであります。現行、農協というのは、実際に農業をやる人のためになっているのかどうか、そして、保険とか共済だけで食うんじゃなくて、経営機能をしっかり重視しながら、そういう人たちの役に立つようにしなければいけないということも、そのとおりだと思います。
これをどうやって改革していくかというのは、しかし、これはまた現実も踏まえなきゃいかぬ、しっかり組み立てなきゃいけないところであって、今回のこのワーキンググループの意見というのが、その方向性は、これはそうかもしれないと思う反面、細かく読むと、現実にこれでいいのか、動くのかという批判もあるところがあって、そこは、これから、まさに農水省なり、政治として、内閣として、フィージビリティーがあるような形にしっかり組んでいっていただくということなのだろうと思います。
まず、そういう意味で、とりあえずこの改革案に対する評価認識と、今後、政府として、どのようなスケジュールで、どのような方向性でこれに基づいた改革案をまとめようとしているのか、伺いたいと思います。
○林国務大臣 農協は、農業者の協同組織でありまして、担い手農業者のニーズに的確に応えて農産物の販売等を適切に行って、資材の共同購入等も通じて、農業者の所得を向上させる、よってもって地域農業を発展させていくということが何よりも重要である、こういうふうに思っております。
したがって、この農協改革の論点としては、農産物販売等に最重点を置いて農協が積極的に取り組むにはどうしたらよいか、それから、それぞれの農協がみずからの創意工夫で経済事業を展開するにはどうしたらよいか、それから、その際、農協をサポートする連合会、中央会はどうしたらよいか、こういうことを真剣に検討していく必要があると思っております。
今御指摘のありました規制改革会議農業ワーキング・グループで取りまとめられた農業改革に関する意見については、今まさに委員もおっしゃっていただいたように、問題意識は今申し上げたような我々の問題意識と共通であると考えておりますけれども、具体的な内容につきましては、今後、与党とも協議をしながら、農業者、とりわけ担い手農業者から評価をされて、農業の成長産業化に資するものになるように早急に検討したいと思っております。
去年の年末にまとめましたプラン、これを六月に改定する、こういうことになっておりますので、それに向けて検討をやっていきたい、こういうふうに思っております。
○畑委員 ありがとうございました。
この検討に当たっては、意見で言われたことに対して、メリット、デメリット、両方を客観的に見ながらやっていかなきゃいかぬのだろうと思います。もちろん政策というのは、やった場合にはメリットもあるし、当然、副作用、デメリットもあって、両方を比べながら、メリットが高い方のやり方をとるというのが必要なことでありまして、そこはしっかりやっていただきたいと思います。
規制改革会議の改革ありきの人はこれがいいと言うでしょうし、また逆に、現場を知り過ぎる人はこんなのじゃと言うでしょうから、そこはそのバランスというのは非常に難しいところでありますが、改革の必要性を踏まえながら、現実を踏まえて、メリットが大きいような改革を具体的には落としていくということでお願いしたいと思うし、そうなんだろうと思います。
ちょっと個別論について伺いたいと思います。
JA全農の株式会社化についても触れられておりましたけれども、株式会社化の狙いとその影響についてお伺いしたいわけであります。
あわせて、株式会社であれば独占禁止法の除外には該当しなくなると思うんですけれども、そうなのかどうか。そして、独占禁止法の適用除外がとれて、適用となる場合には、これはもちろんいい面もあるでしょうし、デメリットも出てくるかもしれませんが、どのような影響が出てくるのか。その両面を含めて、これは内閣府と農水省、両方にお聞きしたいと思うんですが、よろしくお願いいたします。
○後藤田副大臣 先ほど大臣からもお話がありましたとおり、農協法の基本であります農業生産力の増進、そして農業者の経済的社会的地位の向上、もって国民経済の発展に寄与することを目的とする、この問題意識と、加えて委員がおっしゃった、しかし現状はどうかと。一万を超えていた農協が、今、約七百ぐらいになっているかと思いますけれども、当時は、中央集権的な、効率的な運営というものは大変役割を果たしたと思いますが、その中で、総理大臣から諮問を受けました我々規制改革会議において調査審議をさせていただいた結果が、先ほどお話しいただいたワーキング・グループの一つの意見でございます。
その中で、委員がおっしゃったいわゆる全農の株式会社化の問題でございます。
まずは、やはり農業者の利益増進を実現するという最大の使命を達成するためには、今、全農の置かれている状況、これは日本全体もそうでございますが、少子高齢化による、まさに市場の縮小、こういったものに対しては、日本国内にとどまらず、グローバル市場における競争に参加する必要があるのではないかという認識だとか、実際、各農協の皆様方からの意見を伺いますと、いわゆる農業者の所得増加に寄与したところは、実は、系統出荷を縮減したり、農協自身がリスクを負ったり、創意工夫、こういった自立的なことをやることによって成功した事例だとか、いわゆる購買コストの低減のために、ほかの商系からの購買を戦略的に経営判断したりして、そして農業者の利益を確保したりですね。
こういった問題意識、まさにいわゆる仕入れも含めて、販売も含めて、そしてまた輸出も含めて、こういった点を考えたときに、果たして、今の全農の役割というものがどうなのかということを考えたときに、一つの案として、全農が、これから株式会社化することによって、ガバナンスをまず高める、そしてまた意思決定の迅速化、これは構造的な意思決定の問題も含めて、これを早く、いわゆる迅速に決定をするという仕組みをもたらすのではなかろうか。また、資金調達手段も多様化することによって、さまざまな、いろいろな戦略を打つ。もちろん、いわゆるデットだけじゃなくて、エクイティーも含めて、さまざまな戦略も打てるのではなかろうか、こういうことで株式会社化の提言が出されました。
そしてまた、いろいろな今までの制限、協同組織としての性格に由来する員外利用の制限などもございました。また、農協法に基づく事業範囲の制限もございました。また、行政庁の監督等もございましたが、そういった制限もなくして、一般企業と同じスキームのもとで取引を円滑に行うことが可能になる、そういうことによって、最終的に農業者の利益向上につながるようになればいいなという思いでございます。
そして、同時に、先ほどの独禁法の問題でございますが、御指摘のように、株式会社化しましたら、適用除外はなくなるということでございます。独禁法の今の現状でも不公正な取引方法については適用でございますが、いわゆる私的独占、不当な取引制限、あと不公正な取引、この三つの基本的な独禁法の考え方から立てば、不当な取引制限、つまりカルテルでございます、競争制限でございますが、こういったものも、今現状を考えますと、対消費者について言えば、本当に安いものを買っているといいますか、農家の方が本当に安い値段で困っているということを考えれば、まさにそういった独禁法の適用除外でなくなっても、やはり問題はなかろうか、このように考えておる次第でございます。
○江藤副大臣 後藤田副大臣がほとんどお答えになってしまったので、私の方から申し上げることは余りないんですが、しかし、私も産業競争力会議の方にはずっと出席をいたしておりました。そこで、新浪さんと意見交換をしながら、横にらみで、規制改革会議の進み方もずっと見てきたわけであります。
考え方、委員もおっしゃったように、何らかの改革が農協組織に必要だという意識は強く私自身も持っておりますし、その考えには賛同を示すものがありますけれども、しかし、規制改革会議の意見書を受けて、やはり与党内できちっとした議論をすることがまず大事だと思っています。
そして、株式会社化をしたとしても、株主は誰ぞやということはとても大事で、私は、全国のJA組織、単協なりがなるんでしょうけれども、そういう人たちがやはり株主になる。そして、譲渡制限をどういうふうにかけていくのかということもとても大事になると思っているんです。
ですから、農協というのは協同組合という理念に基づいてつくられたものであって、農業者のための農協で、いわゆる農協のための農業者でもないし、全国組織のための農協でもないし農業者でもないということでありますから、今先生から説明があったように、今までは、共同行為であれば独禁法の適用除外になっていましたけれども、それもなくなりますし、それから、税法上でいっても、二五・五%の法人になるわけですよ。今は一九%に減免されているわけですから、これも減っていくということも、やはり経営上はデメリットと言えるのかもしれません。
そこら辺のことを十分に加味しながら、委員がおっしゃるように、メリットとデメリット、そのバランスをきちっととっていくことがこれから必要になってくるというふうに考えております。
○畑委員 ありがとうございました。
実は、規制改革会議ではそのデメリットの議論は余りなかったと聞いたので、これから恐らく政府間とか農水省も含めた検討になっていくんでしょうから、そこはそういうデメリットも含めて、もちろん、今、江藤副大臣からあったように、株式会社だとしても、株の持ち方とかあるいは譲渡制限も含めて、いろいろ考え方はあるというのも伺いまして、これは結局、改革をしながら、しかし、危惧するのは、小規模な、まさに協同事業法の精神に即した零細な厳しい農家の人たちがまとまって助け合ってきたわけですから、そこのところはどんなスキームになっても残さなきゃいけないことは確かなのです。
競争力を高めて、もちろん金を稼いで、パイをふやして分配もふやすというのは必要で、そういう中で、しかし、それで一気に小規模な人とか農業者を捨てることはあってはならなくて、そこのバランスなんだろうと思うので、そこはしっかりと検討していただきたいと思います。
単純に株式会社にしていいものではありませんし、かといって、今の農協というのは、確かに、金融、共済で食っていたり、あるいは手数料の上前で食っていた部分も正直あるので、そこはいろいろな改革、まさに経営能力を拡大して、農家を助けるようないろいろな改革でなければならないというところで、改革の方の議論をまた引き続きさせていただきたいと思いますが、これからしっかり農水省も、現場を踏まえた組み方もよろしくお願いしたいと思います。
本日は終わります。ありがとうございました。
○坂本委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
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○坂本委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
内閣提出、特定農林水産物等の名称の保護に関する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○坂本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
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○坂本委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、齋藤健君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党、結いの党、生活の党の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。鷲尾英一郎君。
○鷲尾委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
案文を朗読して趣旨の説明にかえさせていただきます。
特定農林水産物等の名称の保護に関する法律案に対する附帯決議(案)
我が国の農林漁業・農山漁村をめぐる厳しい状況を克服し、本来の活力を取り戻すためには、いわゆる「攻めの農林水産業」を展開することが重要であり、そのためにも、農林水産物・食品に関する地理的表示保護制度を確立し、生産業者及び需要者の利益の保護を図ることが喫緊の課題となっている。
よって政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。
記
一 地理的表示保護制度の導入に当たっては、それぞれの地域においてその効果的な活用が助長されるよう、生産業者、生産者団体等による地域ブランドの確立に向けたこれまでの取組を十分尊重しつつ、関係者に対し、新たな制度の趣旨及び内容はもとより、既存の地域団体商標制度等との相違点及び制度の役割分担等について周知徹底を図ること。
二 地理的表示の登録に係る明細書の作成に向けた地域における合意形成の重要性に鑑み、円滑な合意形成に向けた支援を行うこと。
三 国による登録業務が迅速かつ公平に行われるよう、地域の様々な特性に由来した品質等を備えた農林水産物・食品をめぐる事情とともに、知的財産に係る高度な知見を有する人材を育成・確保する等、審査体制の整備を図ること。
四 登録を受けた特定農林水産物等の品質に係る信頼性の確保を図るため、登録生産者団体による実効ある品質管理が実施されるよう、適切に指導・監督を行うこと。
五 地理的表示及び標章の不正使用に対し、実効ある取締りが機動的に行われるよう、通報窓口の設置を含めた効率的な監視体制の整備を図ること。
六 地理的表示保護制度の活用を我が国の農林水産物・食品の輸出促進対策の重要な柱として明確に位置付け、輸出促進のための総合的なサポート体制を強化するとともに、海外における農林水産物・食品の模倣品への対策を充実・強化すること。
七 本法の施行状況に係る検討については、特定農林水産物等の登録の状況、生産業者及び需要者の利益保護の状況はもとより、諸外国における地理的表示保護制度の導入状況とこれが我が国に与える影響等も踏まえ、適時適切に実施し、その結果に基づき、十全の措置を講ずること。
右決議する。
以上です。
何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
○坂本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○坂本委員長 起立総員。よって、本法案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣林芳正君。
○林国務大臣 ただいまは法案を可決いただきありがとうございました。附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
―――――――――――――
○坂本委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――
○坂本委員長 次回は、明二十二日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時五分散会