第18号 平成26年6月4日(水曜日)
平成二十六年六月四日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 坂本 哲志君
理事 北村 誠吾君 理事 齋藤 健君
理事 谷川 弥一君 理事 宮腰 光寛君
理事 森山 裕君 理事 大串 博志君
理事 村岡 敏英君 理事 石田 祝稔君
井野 俊郎君 池田 道孝君
小里 泰弘君 加藤 寛治君
金子万寿夫君 川田 隆君
菅家 一郎君 清水 誠一君
末吉 光徳君 鈴木 憲和君
武井 俊輔君 武部 新君
津島 淳君 中川 郁子君
橋本 英教君 福山 守君
堀井 学君 簗 和生君
山本 拓君 渡辺 孝一君
後藤 斎君 玉木雄一郎君
寺島 義幸君 鷲尾英一郎君
岩永 裕貴君 鈴木 義弘君
村上 政俊君 稲津 久君
樋口 尚也君 林 宙紀君
畑 浩治君
…………………………………
農林水産大臣 林 芳正君
内閣府副大臣 後藤田正純君
内閣府副大臣 西村 康稔君
農林水産副大臣 江藤 拓君
農林水産大臣政務官 小里 泰弘君
環境大臣政務官 浮島 智子君
政府参考人
(内閣府規制改革推進室次長) 大川 浩君
政府参考人
(消費者庁審議官) 岡田 憲和君
政府参考人
(財務省大臣官房審議官) 大西 一清君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 義本 博司君
政府参考人
(農林水産省食料産業局長) 山下 正行君
政府参考人
(農林水産省生産局長) 佐藤 一雄君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 奥原 正明君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長) 三浦 進君
政府参考人
(農林水産技術会議事務局長) 雨宮 宏司君
政府参考人
(資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長) 木村 陽一君
政府参考人
(環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長) 梶原 成元君
農林水産委員会専門員 栗田 郁美君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第六〇号)(参議院送付)
農林水産関係の基本施策に関する件
養豚農業振興法案起草の件
花きの振興に関する法律案起草の件
養豚農業の振興に関する件
花きの振興に関する件
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○坂本委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、参議院送付、特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省食料産業局長山下正行君、経営局長奥原正明君、農村振興局長三浦進君、農林水産技術会議事務局長雨宮宏司君、消費者庁審議官岡田憲和君、財務省大臣官房審議官大西一清君及び資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長木村陽一君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○坂本委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。簗和生君。
○簗委員 おはようございます。自由民主党の簗和生でございます。
本日は、質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。
それでは、早速質問に入ります。
特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案について伺います。
農産加工業は、農産物を加工して多種多様な食料品を製造し、消費者に安定的に供給するとともに、国産農産物の重要な販路、需要先、安定した取引先として、地域農業の持続的な発展に重要な役割を果たしています。
他方で、とりわけ、本法の対象とする特定農産加工業は、輸入に係る事情の著しい変化により、厳しい経営環境下にあります。
特定農産加工業経営改善臨時措置法は、こうした事情に対応するため、金融及び税制上の支援措置を講ずることにより、新たな経済環境への適応の円滑化を図るなど、特定農産加工業者の経営改善を促進し、農業及び農産加工業の健全な発展に資することを目的に、平成元年に有効期限を設けた臨時措置法として制定されて以来、四度にわたり有効期限が延長されてきています。今般、有効期限が平成二十六年六月三十日に到来することとなっています。
これを受けて、まず、本法が果たしてきた役割について確認をしたいというふうに思います。
農産加工品等の輸入に係る事情の著しい変化がある中で、本法の活用により、特定農産加工業者の経営改善にどのような効果があったのか、農林水産省の見解を伺います。
また、それとあわせて、農産加工品等の輸入シェアが高水準にある中、特定農産加工業を取り巻く環境は依然として厳しい状況にあると考えますが、本法の有効期限の延長によって期待される効果についてお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
特定農産加工法の効果についての御質問でございますけれども、特定農産加工法は、関税引き下げ等により経営環境が悪化する特定農産加工業者を対象に、経営の改善を促進するための金融、税制上の支援措置を講じるものでございます。
平成二十四年度までに千四百十六件の計画が承認されまして、日本政策金融公庫等からの融資総額は六千百八十六億円、融資件数は千六百五十二件でございます。また、これとあわせまして、機械、装置の特別償却の税制特例でございますが、これが三百四十四件、それから事業所税の課税標準の特例が三百二十三件となってございます。
これらの支援措置によりまして、特定農産加工業者は、計画に従って新商品の開発や新技術の導入など、経営基盤を強化する設備投資を実施しているところでございます。
日本政策金融公庫の直近の調査によりますと、十九年度の融資先三十九事業者につきまして、五年後の状況は、売上高が四・五%、それから経常利益が三三・一%増加し、原料である国産農産物の取扱量は二五・六%増加し、また、従業員数は三二・三%増加しているということになっておりまして、経営改善の効果が出ているほか、地域経済にも大きな役割を果たしていると考えております。
それから、前回延長時、これは平成二十一年でございますけれども、これ以降の農産加工業を取り巻く輸入に係る情勢を見ますと、既に発効している経済連携協定等により、今後も国境措置の変更が段階的に実施され、輸入に係る事情の著しい変化が継続し、農産加工品については、平成元年以降、国内生産量が横ばいで推移する一方で、輸入品、それから輸入シェアが引き続き増加しており、直近五カ年で見ましても増加基調にあります。また、個別業種を見ましても、国産シェアは減少傾向で推移しているところでございます。こういうことで、依然として経営環境が厳しい状況にあるわけでございます。
こうした状況に対処するために、平成二十六年六月三十日までとなっている法の有効期間を延長するものでございまして、本法により国産農産物や地域農産物を特色とする商品を生産するための設備投資を促進し、経営基盤の強化を一層図ってまいりたいと考えております。
○簗委員 特定農産加工業をめぐる現状はいまだ大変厳しい状況にあると思いますので、この法律を延長して、万全な体制で支援を続けていただきたい、そのように考えております。
平成二十五年十二月十日に決定をされた、農林水産業・地域の活力創造プランにおいては、目指す方向性として四つの柱が示されています。その中で、一つに、需要と供給をつなぐバリューチェーンの構築ということで、農林水産物の付加価値の向上というものがあるわけでございますけれども、この農林水産業・地域の活力創造プランの実現に向けた今後の取り組み等、新たな農政を展開していくに当たって、農産加工業、とりわけ特定農産加工業をどのような位置づけとして捉えているのか、農林水産省の見解をお伺いしたいと思います。
また、あわせて、本法においては、支援を受けるに当たって提出する計画書に都道府県知事の承認というものがかかります。その要件の一つとして、地域農業の健全な発展に資するものであることというものがあるんですけれども、日本の農林水産業、食品の強みを生かせる市場の創造ですとか、地産地消の推進、食料自給率の向上等の観点から、国産農産物あるいは地域農産物の利用を促進する上での追加措置をぜひこの中に盛り込んでいただければ、そんなことも考えているんですけれども、見解をお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○林国務大臣 特定農産加工業者は、地域の農産物を利用して、専門性、加工技術のノウハウ、こういったものを生かしながら製造を行っておられまして、農業者との連携によって六次産業化をつくっていく、地元産の農産物を活用して特色ある商品づくりというものを進めていくことは期待をされるところであります。
加工して、魅力ある商品として付加価値を高めるということは、まさに今、簗委員からもお話があった農林水産業・地域の活力創造プラン、ここに、農産物の付加価値の向上に向けた需要と供給をつなぐバリューチェーンの構築、こういうことを書いておりますが、これに合致するということでございます。
本法による支援に加えて、農山漁村における六次産業化、農商工連携、こういうものを促進するために、六次産業化・地産地消法を初めとする法律、予算各般の施策によって支援を行っているところであります。
特定農産加工業者は、本法を活用して経営改善などの効果、今答弁いたしましたようなところを上げてきたところでありますが、今回の延長とあわせて、新たに原料となる地域農産物の使用量が増加する場合、または地域の農産物を使用していることを売りとした農産加工品の生産を行う場合、これを今お話のあった本法に基づく計画の承認基準に位置づけて、農産物の原料受け入れによって地域農業の発展、それから新たな雇用の創出というものにつなげていって、地域経済の発展等の効果を一層発揮していきたい、こういうふうに思っているところでございます。
○簗委員 ありがとうございます。
農産加工業をぜひ万全な体制で、本法の延長に加えて、各種の施策、六次産業化、地産地消、こういうものの推進とあわせて盛り上げていただければ、そのように考えているところでございます。
きょうは、実はもう一つ質問をしたいことがございまして、日本の太陽光発電事業において外資系企業が今参入をしているという状況で、私は大変懸念を持っています。
私の地元の那須烏山市において、中国系企業である上海電力日本株式会社が大株主である会社が太陽光発電所の建設の動きを始めています。土地は廃業したゴルフ場で、報道によりますと、十八ホール全てを使う四十八メガワット規模の施設ということで、日本最大級の太陽光発電施設になるということであります。
問題にされているのは、この事業者が土地利用、開発行為に必要な県や市との事前協議を済ませていなかったということであります。地元からは、適切に手順を踏んで進めているとは言えないという声が強くあります。
上海電力日本株式会社は、中国大手の上海電力が出資する日本法人であり、同社が進める太陽光発電プロジェクトは、このほかにも日本各地にあるというふうに報じられています。
外国資本による土地の所有、取引については、安全保障上の重大な関心事でありまして、政府としても、あらゆる事態の発生に備え、状況を把握し、安全保障や公益を害するおそれがある場合には、国民の生命と国家の存立を守るために、適切な措置を講じることが当然であるというふうに考えています。
まず、再生可能エネルギー事業の固定価格買い取り制度における外資系企業の参入状況について、経済産業省の把握状況について伺いたいと思います。
○木村政府参考人 固定価格買い取り制度におきまして、発電設備の認定というのを行ってございます。ここでは、法令に規定いたしております要件の充足を確認いたしますために、発電事業者名、あるいは発電所の出力でございますとかパネルの種類といった必要な情報の提供を求めております。
他方、固定価格買い取り制度の法令でございますけれども、これは再生可能エネルギーの導入促進というのがあくまでも目的でございまして、条文上、外資に特別な取り扱いをする根拠規定というものが置かれてございません。したがいまして、外為法等を別にいたしますと、当該発電事業者が外資であるかどうかということにつきましては、認定に当たりましては、特段私どもとしては報告を求めていないという状況でございます。
○簗委員 先ほど言ったように、安全保障の問題、これについては、備えあって憂いなし、しっかりと事前に把握できる状況をつくっておかなければいけない。それは国として当然だと思いますので、現状では、制度に若干不備があるのではないか、私は、それをちょっと申し上げたいと思います。
この固定価格買い取り制度に関しては、幾つかの問題が指摘をされています。
まず一つが、国による設備認定を受けているけれども、発電を開始していない案件というものが多いということなんです。資源エネルギー庁の資料によりますと、設備認定を受けたもののうち、運転を開始しているのは、件数ベースでは六〇%ですけれども、容量ベースでいうと二〇%という数字にとどまっています。
こうした実情を受けて、資源エネルギー庁は、平成二十四年度中に認定を受けた運転開始前の大規模な太陽光発電設備について、本年一月末時点で、土地の取得、賃貸等により場所が決定しているかどうか、そしてもう一つは、設備の発注等により設備の仕様が決定しているかについて、報告徴収を実施しています。
この報告において、場所、設備ともに未決定の案件については聴聞を実施して、そして、聴聞においても土地、設備ともに未決定と認められたものについては認定を取り消す、そういう措置をとるということを示されています。
設備認定と発電開始との著しい乖離という事態の背後でさまざまな問題が生じているのではないか、そういうふうな指摘が報じられています。
運転を開始していない設備に対し、海外に比べていまだに倍以上の買い取り価格での売電を二十年間にわたり保証するという認定を書類申請時点で適用して、認定から土地及び設備の確保に至るまでには期限を課されないという状況にありました。これについては、今、見直しを進めて、六カ月間という期限を設けたそうでございます。
世界的な低金利の中で、海外に比べて、これだけの好条件がそろえば、海外マネーの投資の対象になるというのは容易に想像がつくというふうに思います。設備投資費を極力抑えるために、売電の権利のみを先に取得して、太陽光パネルの価格が値下がりするまで意図的に運転開始をおくらせるといった行為や、あるいは、当初から発電事業を目的としているのではなくて、売電の権利の転売や土地取引を目的としている、また、権利を得ても事業にこぎつけられない事業者から、その権利を買い集めて大口顧客に販売する等のブローカー行為の発生を招いているとの指摘もあります。
固定価格買い取り制度の目的は、国民負担によって事業者が過剰な利益を得ることを保証することでもないし、ましてや、不正を働くような案件の発生を助長することでもないはずであります。
取り消し措置の導入や制度の見直しを行うことも結構でございますけれども、まずは、本制度の今後のあり方を検討するに当たって、発電が開始されていない案件の実態をしっかりと調査をして、その報告徴収を引き続きしっかりやる。
私がお伺いしたいのは、この報告徴収の結果として、どのような実態が把握されているのか、これをまずお伺いしたいと思います。
○木村政府参考人 今御指摘いただきました報告徴収の結果でございますけれども、発電事業者が、認定要件であります場所、設備の確保に時間を要している理由といたしましては、一つは、電力会社との接続協議に時間を要している、それから、農地転用あるいは林地開発といった行政の許認可に時間を要している、あるいは、融資がそもそもおりていない、あるいは、地権者との用地交渉が難航している、そういった理由が挙げられております。
私どもといたしましても、速やかに稼働に向けて事業を進めていただく必要があると思っておりまして、先ほど御指摘いただきましたような認定の失効等の手だてを今後講じていく所存でございます。
○簗委員 時間がもう超過ぎみですけれども、もう一つだけお話をしたいと思います。
もう一つ、実はこの固定価格買い取り制度には問題が指摘をされていまして、地方自治体が国の事業者への設備認定時に関与することができないということであります。
これはいろいろな理由があるということですけれども、今この結果として、自治体が、突然外資系が地元に土地を買って事業を始めるということを、ここで初めて聞いたとか、そんなことが生じている状況にあります。
私は、この制度自体を見直していかなければいけない、やはりある程度地方自治体もこの認定時に関与できる、そんな制度づくりが必要だというふうに思いますので、それをまず一点申し上げたいというふうに思います。
最後に、ちょっと質問させていただきたいんですけれども……
○坂本委員長 時間が経過しておりますので、簡潔にお願いします。
○簗委員 はい。わかりました。手短にやります。
先ほど申しました安全保障と地域への影響という観点から見て、しっかりと規制をかけるべきだと私は思います。先ほど外為法のお話もありましたけれども、一定の規制をかけることも国として考えるべきだと思います。それについての見解を最後にお伺いしたいと思います。
○坂本委員長 江藤副大臣、簡潔に答弁をお願いします。
○江藤副大臣 規制をかけるかどうかということは議論が必要だと思いますが、ここは農林水産委員会でございます。例えば、海上風力発電とかバイオマス発電、それから、農地を守っていかなきゃなりません。我々は、農林水産業の発展に資する、地域の発展に資するためのいわゆる発電ということに主眼を置いてこれからやっていかなきゃなりませんので、安全保障の観点も含めて議論を深めてまいりたいと考えております。
○簗委員 ありがとうございました。
安全保障上の懸念と地域社会への影響というものをしっかりと調査してもらって、制度の改善に適切につなげていただきたい、それを強く申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○坂本委員長 次に、石田祝稔君。
○石田(祝)委員 おはようございます。公明党の石田祝稔です。
きょうは、時間が少のうございますので、早速質問に入らせていただきたいと思います。
まず、法案についてお伺いをいたしたいと思います。
我が国は、EPAやTPP協定交渉など多くの国際交渉をやって、締結が予想されておりますが、それらの締結の後、これはどうしても農林水産物、特に農産物についての影響は非常に大きいものがあろうと思っております。
その際、新たな、ある意味でいえば国内対策というか、そういう観点で、今回のこの法案に盛り込まれております、もともと入っております支援の対象業種、こういうものについてもしっかり考えていかなきゃいけないというふうに思います。
例えば、さまざま潜在力を持つ作物もありますけれども、こういうものに対して、今後、ある意味では予想されなかったような影響が出てくるかもしれません。こういうもので、対象品目について業種を拡大する、そういうことをお考えになっているのかどうか。これは省令でありますので、大臣限りでできるわけでありますが、この点はいかがでしょうか。
○林国務大臣 今お尋ねのあった本法の対象業種でございますが、法律の二条二項に、農産加工品またはこれと競争関係にある農産加工品等の輸入に係る事情の著しい変化によって、相当数の事業者の事業活動に支障を生じ、または生ずるおそれがあると認める業種であることと法律に定めておりまして、この定義に合致するものということで、現在、かんきつ果汁製造業など十二業種を、今お話のあったように、農林水産省令で規定をしております。
二十一年の、前回の延長後について見ますと、スイス、ベトナム、ペルー、こういったところとEPAを締結しております。農産加工品の国境措置は変更されたわけですが、既に指定されている品目以外の品目で、輸入に係る事情の著しい変化を生じる内容、これはなかったということでありまして、今回の延長に当たっては、対象業種の追加、見直しを行わないことにしております。
現在行われている貿易交渉の結果を現時点で見通すことは困難でございますが、対象業種の追加、見直しについては、冒頭申し上げましたこの特定農産加工法の二条二項に照らして、適切に対応してまいりたいと思っております。
○石田(祝)委員 TPPの交渉はまだ、決着はいつになるのか。予算委員会等でも、最終局面、こういうお話もございましたけれども、なかなか具体の姿は見えてまいりません。
しかし、一つは日豪EPA、大筋合意をして、批准、発効まで御努力いただいていると思いますけれども、また日・EUのEPA、そしてまたTPPということを考えると、その上のRCEPとか、さまざまそういうことも考えられているところであります。
TPPについて、私は必ずしも全面的に賛成するというわけではありませんが、TPPが万が一妥結に至った場合に、やはり影響を受ける農産加工品に対して、同じ考え方でぜひ御支援を、国内対策をしていただきたいと思いますが、大臣、これはいかがでしょうか。
○林国務大臣 この延長は当然、今委員が御指摘いただいたように、TPPを前提とするものではないということであります。
TPPの交渉の結果を今の時点で見通すことは難しいわけでございますので、交渉の結果に伴う対策については、交渉の結果が出たその時点で改めて全般的に検討すべき、こういうふうに考えております。
重要五品目ということでいいますと、米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、でん粉に係る加工業、これは特定農産加工法による支援対象となる特定農産加工業に既になっているところでございます。
○石田(祝)委員 法案については、当然賛成いたしますので、これ以上申し上げることはいたしません。
きょうは、後藤田副大臣に来ていただいております。過日のいわゆる規制改革会議農業ワーキング・グループの意見、そしてそれを受け入れた親会議の規制改革会議そのものも農業改革に関する意見をまとめられております。この中で、農業委員会について少々お伺いをいたしたいというふうに思います。
農業委員会で、委員の選任の制度、選挙による委員と選任による委員、こういう形で、それぞれ四十人以内ですか、その中で条例で決める、こうなっております。それで、私が気になるのは、「より実務的に機能する者を選任することができるよう選挙制度を廃止し、」こういうことで市町村長に一元化するということになっておりますけれども、市町村長に選任の一元化をすることで実務的に機能する者が選ばれるのか、こういう疑問があるわけでありますけれども、この点について、いかがでしょうか。
○後藤田副大臣 お答えをいたします。
委員も農林水産副大臣もやられて御承知おきだと思いますが、昨今言われてきております農業委員会の課題につきましては、まずは平成十六年に、今までの個別申請等を前提とする受け身の業務から、地域全体としての農業振興に積極的に関与するという能動的な業務を、平成十六年の農業委員会法の改正、そしてまた二十一年の農地法の改正、そこで、まさに農地の利用状況の調査、そしてまた二十五年の改正におきましては、利用意向調査等、また裁定申請が可能になる、こういう形で、農業委員会のいろいろな課題について対応してきたわけでございます。
今回の我々の会議の考え方は、その方向性をさらに実効性たらしめるために、では、今の農業委員会の委員のあり方、組織のあり方はいかがなものかということを再度検証した結果でございます。まさに委員がおっしゃった、今までの選挙、選任方法を見直すという案が出されました。
平均的な農業委員会の構成は、よく言われるのは、二十一人の中で十六人が選挙委員、五人が選任委員、そして事務局が五人、これが平均的な農業委員の体制でございますが、やはり選挙による委員の九割が無投票で当選して、事実上それは形骸化しているのではないかという意見がございました。また、農業者に農林水産省が聞いたアンケートによりますと、名誉職化しているのではないかというような議論もございまして、そういういろいろな意見を踏まえまして、農業委員会のあり方を再度見直す。
その中で、やはりもっと地域の、首長さんもかかわった、首長さんにも責任をしっかり持っていただく、そういう組織として、今まで形骸化したものに対する委員のあり方を、市町村長を中心とした形での選任委員に変えていく。
しかしながら、これによって公正性、中立性というのが失われてはいけませんので、それに対しては、我々国会の同意人事もそうでございますけれども、議会同意といったものを得る形で中立性、公平性、公正性を担保することが可能ではなかろうかというふうに思います。そして、首長さんも含めて、説明責任をしっかり持っていただく。いわゆる地域の農地管理というものを、もちろん農業委員会だけに負わせるのではなくて、議会も首長も全て、皆様方しっかりやっていって、国土の保全、そして農業振興を図っていく、こういう考え方でございます。
○石田(祝)委員 今、中立性についてお聞きしようと思いましたが、お答えが先に、議会をかませることによって担保する、こういうお考えでございました。
この農業改革に関する意見ではそこまでは書いていないわけですね。中立性についてどう書いているかというと、「制度の中立的で健全な運用を担保するため農業団体等からの推薦制度を廃止する。」こういう形で書かれているわけですね。議会を関与させるということは書かれておらないわけでありますけれども、そういう方向で担保をする、こういうお答えだっただろうと思います。
実は、けさの農業新聞を見ますと、私が選ばれております四国からも、「農協制度見直しで緊急提言」という見出しで、拙速ではないのか、地域のことをしっかり考えてもらいたい、こういう御意見が出てきております。
そういう中で、後藤田副大臣もお隣の徳島でございますから、よく実情は御存じだろうというふうに思いますので、これからの質問についても簡潔にお答えをいただきたいというふうに思います。
例えば、選任制度だけにする、そして農業団体からの推薦を廃止する、こうなると、可能性としては農業関係者が一人も選ばれない、こういうことも理論上は考えられるわけですね。
我々は、あの農地法の改正のときに、農業委員の役割がますます重要であるということで、物心両面でバックアップしていこう、こういうことで農地法の改正をしたはずでありますけれども、今回の提案、意見でいきますと、先ほど申し上げたように、農業関係者が一人も選任されない可能性が排除できない、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
○後藤田副大臣 委員も御承知のとおり、現状の農業委員会の構成の大半は農業者でございます。農業者と農業関係団体というのをどう区別、位置づけるかというのは、これはさまざま御意見があろうかと思いますけれども、やはり、農業者が大半を占めるという今の農業委員会の現状について特段問題はなかろうかと思いますが、逆に、一方で、農業団体の推薦者が必要なのかということでございます。農業団体の方というのは、農業者の意見を聞いた方々が団体の関係者となるわけでございます。
加えまして、我々は、農業委員会から一律に農業関係者を排除する、こういう趣旨ではございませんで、先ほど申し上げましたように、さまざまな農林水産省さんの法律に従って大きな方向、改革が進んでいますが、実効性たらしめるために、やはり事務局体制を強化するだとか、また、いわゆる実態の調査、利用調査についての人員をふやすとか、そういう方向で前向きに改革していくべきではないかという考え方でございます。
○石田(祝)委員 私は、可能性が排除できないということで申し上げましたので、当然、誰一人選ばれないということは想像しにくいんですけれども、この制度をそのまま当てはめると、そういうこともなきにしもあらず、こういうことで申し上げているわけでございます。
それともう一点、選任制度にするということで、いわゆる無投票が九割だ。私は、それをてこにして選挙から選任に変えるというのは、ちょっと乱暴ではないのか。我々も選挙で選ばれてきているわけですね。そして、それぞれの選ばれている地域の中の市町村議会の選挙、これもまた、首長を含めて無投票のところがあるわけですね。
だから、これは投票だからいけないのか。能力がない人が選ばれているということでいけないと言っているのか。そこがごっちゃになって、やはり公選制で選ばれているということが、ある意味でいえば、さまざま規制をかける、そういうところの、一種の公権力を発動する大きな要素になっているわけですね。
我々だって、選挙で選ばれたということ以外に、いわゆる法律をつくったり、規制をかけたり、そういうことをする権利というのは与えられていないんですね。ただ、選挙を通ってきたというだけだと私は思っております。学歴も関係ない。年齢も関係ない。性別も関係がない。選挙に出て、通ってきたということ、これだけが公権力を行使する権能を与えられているわけですから、無投票が九割だからということは、私は理由にならないと思いますね。それは、候補者を擁立するような仕組みをしっかりつくるだとか、そういうことをもうちょっと工夫すべきではないのかなと思います。
時間の関係で、これが最後になるかもしれませんが、後藤田副大臣にお答えをいただきたいと思います。
○後藤田副大臣 委員おっしゃるとおり、これは一つの考え方でございます。ただ、やはり農林水産省さんがやりました農業者の方々のアンケート、これに、そういったものを背景にした名誉職化というものに対して、六割を超える、かなりの方がそういう意見を述べています。
農業委員会の活動が低調な原因として、農業者が、現場の人が声を出しているということは我々は真摯に受けとめなきゃいけませんし、また同時に、まさに先生おっしゃったように、機能的な、ちゃんと人を選ぶ、その責任を、首長さんが、議会も、地域が持っていただくことによって、今給料は月三万円ぐらいでございますが、もっと給料を上げてもいいんですよ。それで、ちゃんとしっかり仕事をしていただく方になっていただく。前向きな改革であることを御理解いただきたいと思います。
○石田(祝)委員 もう時間が来ておりますので、最後に一言だけ申し上げますが、転用の許可の問題だとか、ある意味で非常に重要な、一種の公権力を行使する立場になるわけですね。そういう人が選挙を経なくて選ばれて、行使ができる権能が本当に与えられるのか。私は、これからさらに議論をして、しっかりとした解決をしていかなきゃならない、このことだけ申し上げて、終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○坂本委員長 次に、鷲尾英一郎君。
○鷲尾委員 民主党の鷲尾でございます。
本日も質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございました。
それでは、早速でありますけれども、今般の特定農産加工業経営改善臨時措置法の改正案につきまして質問させていただきます。
まず、一点目でありますが、平成二十五年十二月十日に策定をされました農林水産業・地域の活力創造プランにおきまして、強い農林水産業、美しく活力ある農山漁村に向けた四本柱といたしまして、需要フロンティアの拡大、それから、多面的機能の維持発揮、生産現場の強化、そして、需要と供給をつなぐバリューチェーンの構築と。需要と供給をつなぐバリューチェーンの構築というのは、付加価値の向上ということでありますけれども、六次産業化の推進が挙げられております。
今般の特定農産加工業経営改善臨時措置法というのもそれにまつわる話であろうかと思いますけれども、この農林水産業・地域の活力創造プランとの関連はどういうものなのかということをまずお聞きしたいと思います。
○小里大臣政務官 特定農産加工業者とは、地域の農産物を利用して、その持てる専門性や加工技術のノウハウを生かしながら製造を行っているものであります。すなわち、農業者との連携による六次産業化、農商工連携によりまして、地元産の農産物を活用した、特色ある商品づくりを進めていくことが期待されております。
このような役割は、委員が御指摘をされました、農林水産業・地域の活力創造プランにおける、農林水産物の付加価値の向上に向けた需要と供給をつなぐバリューチェーンの構築との考え方にも合致をするものと考えております。
○鷲尾委員 特定農産加工業自体がそもそも位置づけられておるんだという政務官の御答弁だったと思います。
それでは、六次産業化資金を使って生産者が特定農産加工業に参入していく、当然こういうケースもあろうかと思います。もともとそういう事業をやっておられて、そして、こういった制度を使って、さまざまな数字も出ているわけですけれども、少し事業の改善につなげていく。もともとそういう加工業をやっていて、この制度を利用される方もおられると思いますが、六次産業化資金を使ってこういった加工業に参入をするという生産者も当然いると想定されるわけですね。
これがどれぐらいの方がいらっしゃるかというところをまず確認させていただきたいのと、あわせて、六次産業化資金を利用して特定農産加工業をやりますよとなったときに、特定農産加工業に係る制度をあわせて利用することは可能なのかどうなのかという点もお聞きしたいと思います。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
特定農産加工法におきましては、特定農産加工業に属する事業を行う者であれば、製造規模のいかんにかかわらず支援対象としているため、六次産業化に取り組んでいる農業者についても、特定農産加工業の十二業種に属する加工業を行う場合には、金融、税制上の支援対象になるということでございます。
現在、六次産業化・地産地消法に基づく、先生おっしゃいました六次産業化資金、これは農業改良資金のことだと思いますけれども、これを活用している者で、特定農産加工業種に属する事業を行っている事業者、これは平成二十三年度に二業者、具体的には、非かんきつ果汁製造業、それからトマト加工品製造業ということでございます。それから、平成二十四年度に二事業者がございます。これも、かんきつ果汁製造業、乳製品製造業でございます。また、平成二十五年度には三事業者、トマト加工品製造業二件、それから乳製品ということでございます。
そういうことになっておりまして、特定農産加工業種全体の工場数で見ますと、これは約六千あるわけでございますけれども、それと比べて大分少ないのかなと思っています。
いずれにしましても、先ほど申し上げましたように、六次産業化に取り組んでいる方々が特定農産加工業に進出する場合に、この特定農産加工業に関する支援は受けることができますので、そういったことができるだけ地域のために行われるように説明してまいりたいと思っています。
○鷲尾委員 両方使えるということなので、これはこれでいいのかなと思いますが、やはり今の局長の話でありますと、六次産業化をしようというときにこの制度を使えますよというのがどれだけ認知されているかというところでは、その数字を聞いて、ちょっと心もとないと感じたところでもあります。
今局長からも答弁ありましたけれども、ぜひ周知徹底をしていただいて、できる限り活用していただけるように、六次産業化をせっかくするわけですから、プラスで使えるのであれば、それにこしたことはありませんので、ぜひ御努力をお願いしたいと思います。
ただ、そもそもこの特定農産加工業は、私もいろいろ数字を見せてもらいますと、やはり大変厳しい状況にあるんだろうなというのも一方で感じているわけでございます。付加価値が高いもの、そして、生産者にとってみたら所得につながる分野であっても、やはり環境が厳しいというところは一つは参入のハードルになってしまっているのではないかというふうに思うところもあります。
特に、国産シェアが随分と下がってきているようでございます。国産シェアが減少している。直近の、平成二十年から二十四年の増減率でも、かんきつ果汁でマイナス二・八%、でん粉でマイナス一・八%で、牛肉調製品でマイナス三・三、乳製品でマイナス四・六ですから、軒並み下がっているということでありまして、平成五年からのシェアで見ると、さらなる低下が明確にトレンドとして出ているわけでございます。
そういった国産シェアがどんどん下がってきているという現状をどう認識されているのかというところをお聞かせいただきたいのと、あわせて、これをやはり高めていくべきではないかと思いますが、この点についてもお聞かせをいただきたいと思います。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘のように、特定農産加工業者に係る加工品の国産品のシェアが低下しているところでございます。
これは、特定農産加工業が国内で生産する品目と、外国農産物を原料とした大量生産が行われている輸入競合品目との間で、品質格差が少ない一方で、約二倍から三倍の内外価格差が存在していることが理由なのかなというふうに考えております。
特定農産加工業の地域における振興を行うためには、製造コストを下げ、競争力をできるだけつけていくことはもちろんでありますけれども、外国産との単純な価格競争に陥らないようにするために、やはり商品の差別化を進めていくことが重要ではないか、かように考えているわけでございます。
具体的には、国産や地域産を特色とした商品づくりや、多様化する消費者のニーズを捉えた商品の生産を進めていくことが必要であると考えております。
こうした課題に対応するために、この有効期間を延長するということでございまして、特定農産加工業者による新商品の開発や新技術の導入のための設備投資を支援することによりまして、特定農産加工業者の経営基盤の強化を図ってまいりたいと考えております。
○鷲尾委員 局長がおっしゃるとおりだと思うんです。
いろいろな技術もありますし、最新のものもあるわけですから、そこを活用していただくという点もあろうかと思いますし、あるいは、やはり国産品だというところをもう少し消費者にわかる形でブランド化していくというところもあろうかと思います。これだけシェアが低下しているということが明白でありますし、やはりこれを上げていくというのは、農業者の所得にとってみても、国内の農業にとってもプラスなわけですから、その取り組みを一段と、今回の改正を機にお願いしたいと思うわけであります。
まさしく、その需要であります。需要フロンティアをこれからどう拡大していくのかというところについても、特定農産加工業、この加工品が海外に向けて輸出されるという経路もやはりしっかりと確保していかなきゃいけないというふうに思っています。
これは、輸入量、輸入割合がどんどんふえてきているわけであります。輸入割合でいっても、平成元年二七・六%が、平成二十四年に三八・二%になっているわけでありますから、輸出経路の確保、輸出振興ということをもっとやらなきゃいけないと思いますけれども、大臣、この点いかがお考えでしょうか。
○林国務大臣 おっしゃるとおりだと思っております。
この法律自体は、輸出に向けた生産量ということの増加を直接の目的としておるわけではございませんけれども、特定農産加工資金を利用して取り組んでおられる事業者の中には、輸出に積極的に取り組んでおられる方もいらっしゃるということでございます。
若干例を挙げると、北海道で、この資金を活用して建てかえた新工場で牛肉コロッケというのをつくっておりまして、これを香港等に輸出している。それから、長野県で、この資金で導入した設備でブルーベリージャム等をつくって、これを香港の日系デパートで販売する、また、県主催の商談会等で輸出促進に取り組んでいる、こういう事例もあるところでございます。
昨年八月に国別・品目別輸出戦略をつくらせていただきましたが、二〇二〇年一兆円の中で、五千億は加工食品でやっていこう、こういう目標を立てておりまして、包装米飯、米菓も含めた米加工品の輸出ともども伸ばしていくということにしております。
したがって、本法律を延長させていただければ、これに基づく支援によって、今お話のあった新商品、新技術の開発を行って、やはりブランド化、差別化、こういうものをやっていくことを通じまして、先般この委員会でも可決いただきました地理的表示保護法が成立した際には、これをあわせて活用することによって、輸出に取り組める環境整備を図っていきたいと思っております。
○鷲尾委員 ぜひ頑張っていただきたいと思います。余すところなく御答弁をいただいて、恐縮でした。
食品加工というところで関連しますが、昨年、改正HACCP支援法を成立させています。このHACCPの導入状況、今どんなになっているか。どうでしょう、これもちょっと御答弁いただけますか。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
我が国の農林水産物、食品の輸出拡大のためには、我が国の食品製造業者におけるHACCP、この導入を促進することが重要だと認識しております。
しかしながら、中小の食品製造事業者におきましては、HACCPの導入率は二七%にとどまっている状況でございます。
昨年、先生がおっしゃいましたようにHACCP支援法を改正しまして、HACCPの前段階となる施設整備についても金融支援の対象としたところでございます。この制度の活用によりまして、HACCPの導入を促進してまいりたいと考えております。
なお、平成二十五年十月時点のHACCP導入率については現在調査中でございまして、最新のデータというのはまだできておりません。
○鷲尾委員 では、データがわかったら、また教えてください。
続きまして、バリューチェーンの構築に当たってということの関連で質問させていただきますが、A―FIVEについてでございます。
今までも何度となく質問させていただいたわけでありますけれども、生産者が、加工販売にこれから取り組むよ、そこで、別資本といいましょうか別会社を設立して、生産法人との資本関係を遮断して、リスクを遮断して、その上で、ファンドから出資を仰いで新たな事業に取り組む。加工販売事業について、当然こうやっていくということになるわけでありますけれども、通常、生産者の方が新たな分野に取り組むということを考えますと、加工販売に取り組むんだけれども、そこには、やはり関連する新たな生産物をつくろうということにも当然思いが至るわけでありまして、これが自然な成り行きです。そうなったときに、新たな生産設備を、付随するものでありますから、では、ちょっと整備したいねとなったときに、A―FIVEの資金は今のところ使えないという状況になっております。
これは、もう過去何度か質問させていただいておりますが、やはり付加価値を高めていくということを考えるならば、若干柔軟な運用にしていただかないと、A―FIVEの利用も伸びてこないんじゃないか。民間資金を農業へということで、非常に積極的に、大々的に広告宣伝はしているけれども、その足元の状況がいかがなのかというところをお聞かせいただきたいと思います。
○林国務大臣 これは去年の十一月ぐらいだったと思いますが、先生からも、A―FIVEの出資対象で、六次産業化の取り組みを行う事業体が事業の状況に応じて自分で生産を行う場合、これも出資ができるようになるといいんじゃないか、こういう御意見を賜ったところでございます。
六次産業化の取り組みを進めていきますと、やはりその原料となる農林水産物を自分で生産する、そういうケースは当然あるわけでございますので、御指摘も踏まえて、本ファンドの運用を見直して、こうした場合についても本ファンドの出資対象とすることにいたしました。
したがって、今後も、関係者の方々の御意見も頂戴しながら、やはりこのファンドが農林漁業の成長産業化にとってしっかりとした役割を果たせるように、活用に努めていきたいと思っております。
○鷲尾委員 大臣、ありがとうございます。
ますます利用されることを望んでおりますので、ぜひまたいい話を聞かせていただけたらと思います。ありがとうございます。
それでは、最後の質問であります。
これも、以前、予算委員会の分科会で、ちょうど大臣に質問したんですね。覚えておられるか、レンズ風車の話なんです。
レンズ風車というのは、風力発電に、今、普通の風車を使って、プロペラに風を受けて発電するという形になっていますが、その周りに円形のレンズがついております。このレンズ風車というものは、普通の風力発電の風車よりも音も小さいし、雷も落ちにくいし、そして、何よりも発電効率が二倍から三倍であります。これは、実証実験もされておりまして、確かなデータもあるわけで、今でもNHKの屋上等々に自立用の発電設備として、もう既に商業用にも使われているところであります。
先ほど委員の先生からも、農地と太陽光発電の関係ということで、再生可能エネルギーを利用しながら、そういう質問もあったかと存じますけれども、私は、せっかく再生可能エネルギーでレンズ風車があるわけですから、これを漁村再生に使えないかという趣旨の提案をさせていただいたわけであります。
このレンズ風車というのは、音が小さいです。今、経産省が随分、洋上風力発電の買い取り価格の値上げを今年度からいたしております。そういうことも手伝って、経産省が想定しているのは、海底にくいを打ち込んで海上で回す、そういう風車を想定しているわけですけれども、漁村再生に当たっては、浮体をつくって、その浮体の上にレンズ風車を載せる。そうすると、音が小さいですから、その下は魚礁になります。売電収入と、魚礁になったその漁業資源の利用を含めると、これは再生可能エネルギーで漁村再生につながるんじゃないかと思うんですね。
太陽光発電ばかりクローズアップされますけれども、こういった取り組みも農水省として、この間、大臣も、勉強すると明言をしていただいたと思っているんですが、その勉強の結果というのをぜひお聞かせいただきたいと思っております。
○坂本委員長 林大臣、簡潔にお願いいたします。
○林国務大臣 レンズ風車は、環境省の技術開発・実証研究で、平成二十二年から、九州大学の教授を中心に開発をされた。
今お話があったように、効率がよくなるので、軽くなります。したがって、浮体構造になるということで、魚礁としての機能を発揮させることが容易である、こういうふうに承知しております。
騒音も少ないので、高い集魚機能を発揮することが期待されるということでありますので、浮体式のレンズ風車を設置することによって、洋上における風力発電導入と漁業振興、これをあわせて振興できる、こういうふうに考えております。
○鷲尾委員 ぜひ農水省としても取り組んでいただけたらというふうに思います。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○坂本委員長 次に、大串博志君。
○大串(博)委員 おはようございます。民主党の大串博志です。
まず、委員長、一点苦言を呈させていただきたいと思います。この委員会の離席率の高さでございます。
先ほどの鷲尾委員の質疑の際にも、定足数を割っていたタイミングがあったのではないか。私は、ざくっとしか数えておりませんけれども、あるのではないかと思います。
法案を通していく、閣法を通していくというのは、一義的には与党の皆さんの抱えられることだろうと思います。その最低限の義務として、委員会における定足数を満たすというのは、これは当たり前のことじゃないかと私は思います。そこは緊張感を持って、私たち野党側が言うのは変ですけれども、ぜひお願いしたいということを申し上げておきたいというふうに思います。
さて、質問に入らせていただきます。
特定農産加工業ですけれども、これも、どれだけ緊張感を持って政策なり農政に当たっているかということとも絡む質問をきょうはさせていただきたいと思うんです。
すなわち、これは五年に一回の時限立法で更新されてきています。
五年前も私は質疑に立った記憶が何となくあるんですけれども、いわゆる貿易自由化によって影響を受けた農産品の加工品を、地域に影響を与えないように支えていこうということで、特別な立法をしていこうということで始まった立法だというふうに理解しております。それはそれで、趣旨として非常に私は大切なことだと思いますし、今でもこれは利用されておりますので、趣旨としては私たちは賛成です。非常に重要な制度だと思います。
その上で、この仕組みでやっていくのが本当にいいのかということは、やはり不断に、緊張感を持って、政府全体で考えていくべきだと私は思うんですね。
ちなみに、これは五年に一回の時限立法になっていますけれども、本当にこれは五年に一回見直しの時限立法である必要があるのか、まず、これについてお問い合わせさせていただきたいと思います。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
本法は、昭和六十三年の牛肉、かんきつ、農産物十二品目の輸入自由化を契機といたしまして、自由化等の影響をこうむる国内の農産加工業者の経営改善を促進するため、平成元年に制定されたものでございます。事業者の速やかな取り組みを促す観点から、当初、五年間の時限立法とされたものでございます。
その後、平成六年のウルグアイ・ラウンド農業合意などの新たな国境措置の変更などによりまして、有効期限を迎えるたびに、特定農産加工業をめぐる状況をレビューし、その必要性を検討の上、延長措置を講じてきたところでございますが、今回についても、延長の上で事業者の取り組みを促す必要性が認められていることから、改めて五年間の延長をお願い申し上げているところでございます。
○大串(博)委員 今回、更新をお願いされた理由を聞いているんじゃないんです。なぜ時限立法なのかということなんです。
恒久法でいいんじゃないか、本当に必要な法律であれば。私たちは、非常に必要性が高いと思っています。恒久法でいいんじゃないかというふうに思いますけれども、どうでしょうか。
○林国務大臣 本法が、輸入事情の変化へ対応する、こういう制定経緯で発足をしておりますので、制度の趣旨としては、有効期限を切って、有効期限を迎えるごとに、特定農産加工業をめぐる情勢の変化等を踏まえて、その存続の必要性を検討する、そして、その必要性が認められれば延長していくことが望ましいという考え方に立って、恒久法ではなくて、今回も時限立法としての延長ということのお願いになっております。
特定農産加工業者の経営改善を、やはり時限立法でございますので、できる限り速やかに進めて、この法律の支援から卒業していただくことができるようにするということが望ましいことであろう、こういうふうに思っております。
○大串(博)委員 貿易自由化による状況の変化にその都度その都度対応するように時限立法、こういうふうに言われていますけれども、基本的には、対象品目に関してはずっと追加されてきているんですね。追加されてきて、六十三年時点で影響のあったものは、ずっとこれまで対象とされてきているわけです。
そういった中で、支えなければいけません、支えなければならないのだけれども、本当に有効な支えとなってきているのかという観点も含めて、時限立法として漫然と繰り返すような形になっていないかということを私は申し上げたいわけです。
時限立法にすることによって、貿易自由化による影響を適時適切に支援し、卒業してもらうというふうな理念と実質の運用はかなりかけ離れているんじゃないか。であれば、きちんと恒久化して、恒久化した上で、例えば対象品目の追加、削除、卒業等々も含めて、めり張りのある、運用の方をむしろしっかり力を入れた方がいいのではないかというふうに思いますけれども、どうしても時限立法でなければならない理由というのは本当にあるんでしょうか。
○林国務大臣 これは政府内部の話かもしれませんが、臨時支援措置という枠組みをとることによって、これは臨時の対策であるということで、恒久法よりも金利などの面で有利な条件での支援が可能となっている、こういうこともあろうかというふうに思います。恒久法とした場合に、支援措置について、臨時措置法とした場合と比べて不利な条件となる可能性もある、こういうことでございます。
○大串(博)委員 臨時措置法とすることによって、金利など非常に低い形での支援が得られる、そういうことでございまして、それはそのとおりの今の政府の取り扱いになっています。果たしてそれがいいのかということを、政府ですから、もう一回考える必要があると私たちは思うんですね。これだけずっと同じく、ひとしく支援をしてきている内容なんです。
金利が低いから、立法という形、しかも臨時立法という形でしなきゃならぬというのは、これは政府の理屈ですよ。ひょっとしたらというか、私はそうだろうと思っていますけれども、財務当局と議論するときに、特別な利率をつける、政投銀から特別な利率をつけてもらう、そういうふうな制度にするためには、法律というたてつけ、しかも時限というたてつけをつくっておかなきゃならない。そういうことは、長くありました。長くありましたけれども、本当にそれが必要なのかということを考える必要があると思うんですね。頭がとまった状態になるんじゃなくて、一つ一つの制度を考える必要があると思うんです。
これは、財務省にもお尋ねさせていただきたいと思います。財務省の人、来ていますか。
財務省も議論にあずかっていると思います。いわゆるいろいろな金融措置の特別な利率、これをつけるときに、特別な利率の場合には根拠法がなきゃいかぬ、しかも時限立法じゃなきゃいかぬ、こういった流れで議論をこれまでもしてきていると思いますけれども、そういった考え方も、実態がそうでない場合には考え直す必要があるんじゃないか。私たち民主党は、租特に関しても、租税特別措置に関しても、長く時限立法として繰り返されているものに関しては恒久法とすべきだという考えも提示したこともあります。同じような考え方なんです。そういったことも、財務省としても考えるべきじゃないかと思いますが、どうですか。
○大西政府参考人 お答え申し上げます。
特定農産加工法は、農産加工品等の関税引き下げ等、輸入をめぐる事情の変化に対応して、特定農産加工業者の経営の改善を促進することを目的といたしております。
財務省といたしましても、こうした制度の趣旨を踏まえますと、五年間の有効期限を迎えるごとに、特定農産加工業をめぐる情勢の変化等を見定めた上で、制度の存続の必要性を検討し、必要性が認められた場合には延長していくことが望ましいものと考えております。
○大串(博)委員 決まり切ったそういう答弁を繰り返していると、これは更新できなくなりますよ。
例えば、この五年間で、今回の更新の理由に関しては、引き続きこれらの業種の直面する状況が厳しいからということで、私たちは、支援は必要ですから、賛成です。賛成ですけれども、余りに特別に、時限に、そのときの状況の変化に応じて必要なものを、法律を更新して支援していくんだということばかりを形式的に繰り返していると、いつかの段階で、これからも貿易自由化は進むと思いますから、それはそのときそのときで議論はあるでしょうけれども、少なくとも今回のような場合、なかなか議論は立論しにくくなりますよ。だからそれは、本当に、この制度をもってして支えられている趣旨をよく考えて、法律のあり方としてこれでいいのかということを不断に考えてもらう必要があると思うんです。
これは、形式論として申し上げているもののみならず、本当にこの制度が有効に活用されているということを、農水省としても確認、そして検証されながら進められているのかということもよく考えながらやっていかなきゃならないという問題意識によるものです。
例えば、貿易自由化によって輸入量が急増する、そういった農産物に対して対応していきたい、その加工品に対して対応していきたいということですけれども、例えば貿易自由化以外の理由で、その他の理由で輸入量が急増しているような農産物もあるのではないか。それに対する加工品、地域に影響を与えるもの、これもあるのではないか。こういった検証は、農林水産省はなされているんですか。
○山下政府参考人 確かに、先生おっしゃるように、輸入に係る要因というのは、国境措置の変化だけじゃなくて、為替の影響ですとか、いろいろその他の経済事情の影響はあると思います。
この法案は、国境措置の変化によって著しい状況の変化が生じて輸入が急増する懸念に対して対処するというものでございまして、国境措置の変更によらない要因ですと、例えば、原材料価格の高騰とか、それから経営環境が変化して売上高が減少しているとか、そういった事業者に対しましては、セーフティーネット貸し付けですとかセーフティーネット保証制度が用意されているということでございまして、そちらの制度を活用されているのではないかと思っております。
○大串(博)委員 今お尋ねしましたように、それぞれ支援策が仕切られた感が非常にあるんですよね。
この制度はこの目的のためにやっている、これはこれでいいことなんです。しかし、ほかの制度との連携、ほかの制度と同じような、貿易自由化ではなくても、輸入量の急増で影響を受けているところ、先ほどおっしゃったように、いろいろな、コストの面からそうなっている面とかもありますよね。しかし、それはやはり連携が必要になってくると思うんです。
さらに言うと、これは貿易自由化によって影響を受ける農産品に関する加工品を何とかしたいということで行われていますけれども、加工品を何とかしなきゃならぬという面ももちろんあります。だから、これは法律としては必要です。一方で、もともと影響を受けている農産品への支援、これもきちんと行われてはいますけれども、これとの連携もきちんととっていくということも必要だと思うんですね。
そもそもの作物の支援との連携はどういうふうに農水省内でとられているのか、そこを説明していただきたいと思います。
○小里大臣政務官 大事な観点であると思います。
特定農産加工業者の経営改善を図っていく上で、その原料として使用する農産物が安定的に合理的な価格で供給されるということは重要なことであります。そのため、生産面においても、農業生産に関する産地の条件整備、生産性の向上、流通体制の整備を図っていくことが重要であります。
例えば、乳製品関係については、加工原料乳生産者補給金の交付等による生乳の再生産の確保対策、酪農経営の安定対策等を行っております。
あるいは、米、麦加工品関係については、新品種の開発や生産コストの低減技術、単収、品質向上技術の導入対策等を行っていることは御案内のとおりであります。
また、果実、野菜加工品関係についても、実需者ニーズの高い優良品種への転換支援、あるいは安定的なサプライチェーンの構築支援といった措置を講じているところであります。
○大串(博)委員 今申し上げたように、作物支援等々も含めて、本当にこの制度が有効な制度になっているのかというのは、不断の検証をしていただきたいと思うんです。
一つお尋ねしますけれども、この制度が効果的な支援となっているということを農水省はどのようにして確認しているのか、簡潔に御説明ください。
○小里大臣政務官 そもそも、特定農産加工業者は、輸入量、輸入シェアの増加等の厳しい経営環境の中で、単に価格競争に陥ることなく、輸入品に対抗できるための付加価値のある製品を製造していく必要があると考えております。新商品の開発、新技術の導入などの設備投資に対するニーズを強く持っておると認識をしておりまして、ここにどう応えていくかだろうと思います。
このため、長期低利の融資、税制面での優遇など、設備投資を支援する現行の枠組みが有効であると考えておりまして、現に、関係業界からも、現行の支援の枠組みのもとでの延長措置を要望されているところであります。
ちなみに、平成二十四年度融資額が百八十六億円と、実績から見ても堅調でありまして、支援措置は的を射ているものであることから、この形で引き続き延長すべきであると考えております。
○大串(博)委員 ニーズがあるということはわかるんです。一方で、この支援を受けたところが本当にきちんとその後成長していっているのかということが、効果的な支援策であるかどうかのメルクマールだと思うんですね。
これは五年前もそうでしたけれども、この点を問うと、農水省から必ず出てくるのが、事業実施五年後の状況という表なんです。これは毎回出てきます。会計年度の五年前に対象となった事業の売上高とか経常利益とか従業員数がふえているかどうか、これが出てきて、ふえています、こういうことなんですね。
ただ、これは五年に一回しか出てこないんですよ。こういうことでは、本当に、きちんと資料をとられているのかもしれないけれども、こういうことを綿密にふだんから確認しながら、制度の精度をきちんと確認していっていただきたいということを、必要性があると思うがゆえに、今改めて申し上げさせていただきたいというふうに思います。
最後に一点、違った論点に関して質問です。
日本型直接支払いに関してですけれども、地方負担の部分がございます。国費負担があって、地方負担がある。これは、農地・水でも中山間でも同じだったということであります。地方負担の部分は普通交付税や特交で対応しているということでございますけれども、いろいろな地方から懸念の声が上がってきているんですね。
すなわち、もし、この制度に対して、多面的機能支払い等々に関してニーズが高い場合には、いろいろな地域から、うちもやりたいというふうな声が上がってくる可能性がある。そうなれば、いいことですよね。その場合に、一般財源で足りるだろうか。特に、地方は財政力が弱いんです。財政力が弱い地域に普通交付税あるいは特交で一般財源として与えられている場合には、足りるんだろうかという声が非常に強くございます。
この点に関して、政府として、十全なる地方負担への手当てをどういうふうに行っているのか、説明をいただきたいと思います。
○林国務大臣 多面的機能支払交付金は、地域政策で、地方にも利益が及びますので、地方公共団体にも御負担をいただくことになっておりますが、この負担に対しては、地方交付税措置として、普通交付税、特交を組み合わせまして、これまでの農地・水保全管理支払いと同水準の措置、すなわち、六割が普通交付税、その残余については、市町村が六割、都道府県が四割の特交、こういうことになっております。したがって、実質的には負担がかなり低い水準になっている、こういうことでございます。
それともう一つは、事務負担にも配慮しまして、推進事務に要する経費の定額助成についても、平成二十五年度が、これは農地・水保全管理支払推進交付金でしたが、十億一千七百万円、これを、三倍の二十九億五千二百万円、多面的機能支払推進交付金ということで確保いたしました。
こういう措置によって、地方公共団体の負担軽減をしっかりと図って、この制度の円滑な推進を図ってまいりたいと思っております。
○大串(博)委員 この多面的機能支払いが、いい制度と定着すればするほどニーズが上がり、農業の盛んな地方であればあるほど、一般財源が弱いので、より心配になるという構図があるものですから、ぜひ地方の負担には格段の配慮をお願い申し上げて、私からの質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○坂本委員長 次に、岩永裕貴君。
○岩永委員 皆さん、おはようございます。維新の岩永でございます。
非常に暑い日が続いております。この冬は雪害というのもたくさんありましたけれども、地元でちょっと農家さんを回らせていただくと、高齢化も進んでいることもあって、この炎天下ではなかなか厳しいというようなお声もたくさんいただいております。この暑さが、さまざまな分野で、また農業分野にも影響してくることもあろうかと思いますので、農林水産省さんには、そのあたりの現場の状況というのもしっかりと見ていただきながら、また必要なことがあれば措置を講じていただきたいということをまず冒頭にお願いさせていただきます。
きょうは、本法案について質問を六問用意してきたんですけれども、先ほど来の質問を伺っておりますと、そのうちの五問が既に聞かれてしまっているということですが、やはり我が党としても改めてお伺いをさせていただかなければならない論点があろうかと思いますので、かぶっている部分は御容赦いただきまして、質問に入らせていただきたいと思います。
まずは、先ほど来も出ておりますけれども、緊急措置として、本法案は、平成元年から、今回で五回目の延長をするというような内容でございます。
一方、輸入量がますます増加していく、そして、加工品の農家も減少の一途をたどっているというようなこと、国産シェアの推移についても、非常に右肩下がりのトレンドになってしまっているというような状況が続いている。
このような状況について、なぜこのような状況になっているのかという理由、そして、こうしたことを改善していくには、さらに今後どうした策を講じていく必要があると考えているのかということについて、まずお答えをいただければと思います。
〔委員長退席、齋藤(健)委員長代理着席〕
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
まず、国産品のシェアが低下しているということで、この理由でございます。
特定農産加工業が国内で生産する品目と、外国農産物を原料とした大量生産が行われている輸入競合品目との間では、品質格差が少ない一方で、約二倍から三倍の内外価格差が存在している、こういったことが基本的には国産シェアの低下の理由であると考えているところでございます。
このため、特定農産加工業者にとりましては、新商品、新技術の開発等により商品の差別化等を行っていかなければ、輸入競合品の急増が容易に起こり得るという厳しい競争環境に置かれているものと考えているところでございます。
○岩永委員 これは、それぞれの国産シェアがずっと下がってきていますよという状況なんですが、五年ごとにシェアの数値目標みたいなものは、農林水産省の中で何かつくっておられるのかどうか、そのことについて少しお答えをいただきたいと思います。
○山下政府参考人 特に数値目標というのは設定しておりませんけれども、本法に基づく支援を受けるためには、都道府県知事に改善計画なりを提出して、承認を受けなければならない。その承認の要件として、地域農業の健全な発展に資するという要件がございまして、その中で、都道府県知事は、国産農産品がどのぐらい使われるのか、そういった計画を出させているというふうに承知しています。
○岩永委員 これも先ほど来出ておりますけれども、国産シェアをいかに上げていくのかということが非常に重要なことであるのは申し上げるまでもないんですが、ほかの法案でもよく出る質問として、やはりそのあたりの数値の目標というものを一定定めていく必要もあろうかなというふうに考えております。
数字を定めるということは、目標をつくるということでございますので、それが達成しようが、達成しない場合でも、その原因がどこにあったのかというようなところが明確に浮き彫りになってくるわけでございます。そうした数値目標があると、五年ごとの見直しというものについても非常に分析もしやすいでしょうし、また、目指すところを明確にするというのは、予算を使っていく上では非常に重要なことであろうかなというふうに思いますので、一点、その点については指摘をさせていただいておきます。
そして、先ほどの局長のお話からもあったんですけれども、国内産の農産品を強くしていくというような話、シェアを上げていくためにはやはり差別化というものが一つ必要になってくるんだというお話がございました。
この差別化なんですけれども、非常に難しいんですね。どういうふうに差別化を図っていくのかということを考えていくと、これは恐らく、本法案だけではなくて、農業界全体が今後グローバル化が進んでいく中で抱えている大きな課題でもあろうかというふうに思います。
差別化というものを図っていくために、とにかくいいものをつくろう、そして安心、安全な食を確立していこうと農家の皆さんは努力をしていただいているわけでございますけれども、一方で、それにはやはりお金がかかる、だから、最終的には価格というものが非常に高くなってしまうというところです。
それで、海外から入ってくるものについては、三分の一程度の価格で入ってくる。安心、安全というものを、国民の皆さんも頭では恐らく御理解をしっかりといただいておりますし、それを基準に食というものを選んでいただいている方もたくさんいらっしゃろうかと思いますけれども、なかなか、即、体に何か異変が起きるとかそういったものでもないので、やはり安価なものを選んでしまうというような状況だと思います。
そこの差別化というものについて、農林水産省として、今後どのように差別化を進めていこうと考えていらっしゃるのか、そして、どういう差別化が今後必要なのかと考えておられるのかということについて御答弁をいただきたいと思います。
○山下政府参考人 先生おっしゃるように、国産の商品を海外と比較して、差別化して需要を喚起していくというのは非常に重要だと思っております。特に、地域産品を特色とした商品づくり、それから多様化する消費者ニーズを捉えた商品の生産を進めていくということが重要だと思っております。
こうした課題に対応するためにも、本法の支援スキームを活用して、特定農産加工業者による新商品の開発や新技術の導入のための設備投資を促進していくことが必要だと思っております。
またさらに、本法の措置に加えまして、農商工連携等による六次産業化への支援ですとか、それから知的財産を活用したブランド化への支援、こういったことをうまく組み合わせることによって、商品の差別化の取り組みを一層行ってまいりたいと考えております。
○岩永委員 この差別化、長年、どういうふうにして日本の国内産の農産品を世界に向けて、そして国内の中でも選んでいただけるかということについても議論がずっとされてきたんだと思いますけれども、やはり安心、安全、そしておいしいというところを国民の皆さんにもっと認知をしっかりとしていただくこと、そして、それがどれほど個人個人の人生を豊かにしていくものかということも含めて、より一層国民の皆さん方への理解を深めていくということだと思います。
国連からも、これ以上農薬を使った食が広がっていくと、世界の健康はどうなるのかというようなコメントも出ております。
それで、国外のマーケットへの積極的な進出ということについても、先ほど鷲尾委員からも質問があったところではございますけれども、そうした日本の食材の海外でのロビー活動を今どのような状況で行っておられるのかということについて御説明をいただきたいと思います。
○小里大臣政務官 海外でのロビー活動、広く日本の食材、文化の海外への情報発信についてのお尋ねであろうと思います。
和食のユネスコ無形文化遺産登録の決定、東京オリンピック・パラリンピックの開催等によりまして、世界各国が日本に対して注目度を高めてきております。このような機運を背景として、しっかりと日本の食文化、食材の情報発信を強化することが重要であります。
このため、総理や大臣の海外出張の機会に合わせて、外務省、経産省、国税庁等と連携した日本食材、食文化の魅力の発信を行いますとともに、クールジャパン推進会議で提言されました食の伝道師を育成するための、海外の料理人にだし汁のとり方を初めとした調理技術あるいは衛生管理を教える講習会の開催、海外の料理学校での日本食講座の開設等を行っております。
またさらに、外国人料理人が日本国内で働きながら日本食、食文化を学べるように、関係省庁と連携して外国人料理人に対するビザ要件を緩和したり、あるいは、海外メディアネットワーク等を利用した日本酒や和牛、水産物等の魅力を伝える番組の放映等々に取り組んでいるところであります。
なおまた、ちなみに、今月末からは、和牛をEUに輸出、販促を図っていくためのキャンペーン、これは民間団体が主催でありますけれども、当省としましても、これをしっかり後援して取り組んでいこう、ロンドンを皮切りにこれを始めていこうということであります。
今後とも、そういった日本食材、食文化の魅力を戦略的に発信する観点から、関係省庁あるいは関係団体とも連携をしながら、食文化、日本食の普及拡大に向けた取り組みを総合的に推進してまいりたいと存じます。
○岩永委員 ありがとうございます。
積極的に、さまざまな国で和食、そして日本の食材のすばらしさというものを発信していただいているというお話でございました。
私の友人なんですけれども、フランスの方でも、先般、日本食を向こうの料理人の方につくっていただいて、日本食をフランスの皆さんに、理解を深めていこうというようなイベントを開催されたということも伺っておりますが、そのイベントでも、なかなか、現地を本当に知っていらっしゃる方がしっかりそのイベントの計画段階から入っていないというような問題点があるようです。
そうした方が入っていないから、フランスの皆さんに、場所的に非常にわかりづらいところで、立地のわかりづらいところでそういうことが開催されているとか、行ってはみたものの、フランス語でしっかりと、日本の食材がなぜ安心なのか、なぜ安全なのかということが説明できるパンフレットとかそういったものも一切なかったので、外国から見たときには、もう少しそうした説明もしっかりと現地の言葉でしてほしいし、やはりフランスのもっとわかりやすいところでも開催をしてほしいというようなお願いも私の方に入ってきております。
より効果的に予算を使うということももちろんではございますけれども、きめ細かに、現地のニーズ、そしてそれぞれの文化にどうやって日本食が浸透をしていくのか、日本の食材が受け入れられていくのかということも、マーケティングも含めて、少し戦略的に今後も取り組んでいただきますことを改めてここでお願いをさせていただきます。
それと、この法案の対象業種の追加、そして見直しというものは今回されていないということではございますけれども、この法案が施行されてから、そのあたりの対象業種の追加、見直しというものはどういったことが行われてきたのかということと、今回、その見直しを行わなかった理由について御説明をいただければと思います。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
当初の指定業種は、かんきつ果汁製造業、非かんきつ果汁製造業等々、計九業種でございました。
平成七年に、ガット・ウルグアイ・ラウンド合意を受けまして、コンニャク粉製造業、米加工製造業、麦加工製造業、豚肉加工製造業、乳製品加工製造業が追加されて、一部重複がございますが、十二業種となっております。
平成二十一年の、前回の延長後について見ますと、スイス、ベトナム、ペルーとEPAを締結いたしまして、農産加工品の国境措置は変更されたところでございますが、既に指定されている品目以外の品目で、輸入に係る事情の著しい変化を生じる内容ではなかったということでございますので、今回の延長に当たっては、対象業種の追加、見直しは行わないこととしているところでございます。
〔齋藤(健)委員長代理退席、委員長着席〕
○岩永委員 それでは、最後の質問に移らせていただきます。
支援措置を受けている加工品というものは、本法案の目的でもございますので、当然、他の加工品よりも国内産の農産品の使用率というものが非常に高いわけでございます。国内同様、安心、安全をテーマに、積極的に、先ほどから申し上げております海外マーケットに打って出るにはもってこいの加工品であろうかというふうに考えておりますが、支援措置を受けた製造業者の輸出の促進状況というのを少し最後に御説明をいただきたいと思います。
○小里大臣政務官 本法案が果たす、輸出拡大に向けた効能についてのお尋ねであろうと思います。
御案内のとおり、本法案は、そもそも守りの姿勢の方から入っておりますので、直接的には輸出拡大を目的とするものではありませんけれども、この法案を利用した事業者の中には、製造した商品の輸出に積極的に取り組んでおられる業者もあると承知をしております。
例えば、先ほども話がありましたけれども、北海道で、この制度を活用した新工場におきまして牛肉コロッケ等を製造し、香港等へ輸出をしている事例、あるいは長野県では、ブルーベリージャム等を香港の日系デパートで販売したり、県主催で商談会等を活用して輸出促進に取り組んでいる、そういった事例もございます。
また、昨年八月に策定されました国別・品目別輸出戦略では、加工食品の輸出額を二〇二〇年までに五千億円に伸ばす目標でありますが、また、これとは別個に、包装米飯、米菓を含めた米加工品の輸出も伸ばしていくということにしているところであります。
今後、本法案に基づく支援によりまして、新商品、新技術の開発を行い、外国製品との差別化を図っていくことを通じて、輸出拡大にも努めてまいりたいと存じます。
○岩永委員 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○坂本委員長 次に、鈴木義弘君。
○鈴木(義)委員 日本維新の会、鈴木義弘です。
もしかすると最後の質問になるかもしれませんが、ひとつよろしくお願いしたいと思います。まあ、来週もまた何か委員会があるということで、また質問に立つかもしれませんので、よろしくお願いしたいと思います。
先ほど岩永委員の方からもありましたように、幾つかかぶっているところもありますが、角度を変えてお尋ねをいたしますので、お願いしたいと存じます。
冒頭に、この法案につきましては、先ほども何点か御質問がありましたように、二十五年目に入るわけですよね。そう言いながら、五年延長する理由として、依然として国内の農産加工業者の経営状況は厳しい状況にあり、この法律を五年間延長したら、こういう理由になっているんですけれども、もともとの昭和六十三年に、日米の貿易の関係で、加工品に力を入れようじゃないかということがスタートであったわけです。それは、加工業者を助けるんじゃなくて、農業者を助けるための、加工に少しでも融資制度を設けることによって、国産の農産物を保護という言い方が合っているかどうかはわかりませんけれども、振興していこうというのが根底にあったんだと思うんですね。五年ごとに更新、更新をずっとしてきて、これからまた五年を更新していくんです。
でも、実際、ちょうど時を一にはしていないかもしれませんけれども、私も前に申し上げたように、プラザ合意以降、円高がどんどん進行していくことによって、海外から安いものが輸入できやすくなっているわけですよね。その状況が、今、きょうはちょっと見てこなかったんですけれども、百二円とか、少し円高から円安に振れただけの話であって、この当時は、二百四十円、二百五十円の時代だったんだと思うんです。
これから為替がどう推移していくかによって、やはりもともとの根本の改善、一つは、国内のいろいろな農林水産加工のもとのコストをどう下げていくかということであったり、グレードの高いものを今まではつくってきたんですけれども、そうじゃなくて、加工品にするんだったら、逆に、グレードの中くらいのもの、もしくはもっと低いものでもいいんじゃないかぐらいな発想を持って、加工品用の食材をつくっていくこととその販売をする方と、そういった切り口を変えない限り、これを五年延長したからといっても、いただいている資料を見ても、平成五年から平成二十四年の比率で見て、豚肉の調製品が、国産シェアが二五・六%減少しているわけですよね。五年ごとに更新してきても、こういう状況が続いているということになれば、これから貿易の自由化をもっと促進していこうという国の考え方であるならば、これはやはりなかなか歯どめがきかないんじゃないかと思うんですね。
そこについて、まずお尋ねをしたいと思います。
○林国務大臣 おっしゃるように、農産加工品について、輸入量が直近五カ年では増加をして、輸入品のシェアも増加傾向ということで、国境措置の変更の影響が依然として見られているということがあるわけでございます。
本法に基づく支援措置は、長期低利の融資、税制措置等々、設備投資への支援措置ということで、事業を実施した後、売上高、経常利益の増加、それから売上高利益率が食品製造業全体での値を上回って推移している、あるいは国産農産物の利用拡大、こういうものが見られております。したがって、特定農産加工業全体の底上げにつながっている、こういうふうに思っております。
これだけで全ての問題が解決する、こういうふうに申し上げるつもりはございませんが、今先生がお話しになったいろいろなことを、各般の諸施策、先ほどの御議論の中でも、連携を図るべきだという御意見がありましたけれども、まさにそのとおりでございまして、総合的にいろいろなことをやっていく中で、この法律はこの法律としてしっかりと底上げにつながっている、御要請も強いということで、今回延長をお願いする、こういうことでございます。
○鈴木(義)委員 いろいろなファクターがあり過ぎて、どこのボタンを押したらすぐ結果が出るかというのは、私もなかなか自分の中でも解が見つからないところがあるんです。総合的と言えば聞こえやすいんですけれども、やはり少し整理をしていって、ボタンの押すところを間違わないようにしていった方が、効果的な政策の遂行ができるんじゃないかなと思います。
いただいている資料に目をやりますと、先ほども議題になったんですけれども、平成十九年度の特定農産加工資金を利用して売り上げが伸びましたとか経常利益が伸びました、従業員数が伸びました、国産の農産物の取扱量が伸びましたという資料なんですけれども、下のところに小さく書いてあるのをもう一回読み返しますと、平成十九年度の資金を利用して、三十九事業者が対象で、金融公庫からの調べでこういう資料が出ているんですと。
そのほかの資料を見ても、十九年度にどのぐらいの件数の融資があって、もともとがどのぐらいだったのかというのが、何業種対象だったのかというのが見てとれないんですね。いただいている資料の中で、ほかにも幾つもあるんですけれども、結局、資料自体がリンクしていないんです。
ですから、先々週だったと思うんですけれども、TPPのときにお尋ねしたように、やはり正しいデータがあるから正しい判断ができるんじゃないかと私はいつも思うんですけれども、いただいた資料を何回も何回も読み返しても、やはりどうしても整合性がとれていないような感じなんです。
仮のお話で結構ですから、平成十九年度のときに、売り上げが上がった、シェアが伸びたというところの事業所が、国産シェアがどのぐらいふえたのかとか、三十九の事業所が対象というふうにここではあるんですけれども、その当時に、何件で、どのぐらいの融資があったのかというのをまずお尋ねしたいと思います。
○林国務大臣 これは、この支援措置の効果を見るために、やはり設備投資を支援するわけでございますので、設備投資をした後、特定農産加工業者の経営状況がどの程度改善したかを見るということでございまして、導入直後に見るよりも、導入して、その後何年か、どうなったかということが有効であろう、こういうことで、五年間の経過後、売上高、経常利益の状況が収集できるということで、十九年度の三十九事業者の集計結果をお示ししております。
この生データ、個社がどういうことであったかということを出しますと、個別の事業者がどういう数字であるかというのが特定されてしまう、そういう可能性が出てきてしまいますので、個別で出しますと、その特定の企業の数字ということになってしまいます。そういう意味で、まとめて集計をして出している、こういうことでございます。
○鈴木(義)委員 わかりました。
次に移らせていただきたいんですけれども、この加工法の仕組みの中で、大手だとか中小企業の区分がないんじゃないかなと私は思うんです。国が応援をする加工業者さんで、やはり中小企業を応援するとか小規模事業者を応援する、協同組合を応援するというのでいいんじゃないかと思うんです。
今大臣が答弁をされたんですけれども、特定の事業者にどのぐらい行ったかというのは、特定秘密保護とは言わなくても、商売をやっているんだから勘弁してよというお話なんです。
でも、この制度をつくるときに、最初に何が目的だったのかといったら、国内の農林水産業をサポートするというのが一番だったと思うんですね。それがあって、初めて加工業になっていくんだと思うんです。
だから、先ほどから議論になっている、国産のシェアがどんどん落ちちゃって、海外産が入ってきてしまうよといったら、これは元も子もないんだと思うんです。それであるのだったら、融資をするに当たって、やはりどこをサポートしていくのかというのをはっきりした方がいいんじゃないかと思うんです。
その辺について、お考えがあったらお聞かせいただきたいと思います。
○江藤副大臣 先生のおっしゃるとおりでございます。
もともと、平成十八年の政策金融改革、この中では、民間でできることは民間でという仕分けがされたわけでありますけれども、民業の補完の観点から、日本政策金融公庫の発足に伴いまして、旧農林漁業金融公庫が行ってきた食品産業向けの融資は、平成二十年十月以降、中小企業者に対する償還期限が十年を超える資金の貸し付けに限定されております。
先生も資料をごらんになったと思いますけれども、そうなりますと、〇・六五から〇・八五、二・七億円を超えても、最高で一%の金利で借りられるわけであります。もともと、国際的に、牛肉・オレンジ自由化、それからウルグアイ・ラウンド合意、これによる国内農業への影響の緩和のためにこういう融資を特別に設けているわけでありますから、本旨をたがえないように、この運用を図っていきたいと考えております。
○鈴木(義)委員 時間がないので、次に行きます。
もう一つ、先ほども岩永委員の方からお尋ねがあったと思うんですけれども、十二業種の中で、パインアップル缶詰と書いてあるんですね。パイナップルのことを言っているんだと思うんですけれども、缶詰と規定されてしまうと、ここ二、三日、ずっと暑い日が続いて、北海道でも三十五度だとか六度だとかといって、そんなのはニュースで見たんですけれども、パインアップルのアイスは対象じゃないんですか。素朴に思ったんです。パイナップルを輪切りにしたものを冷凍して食べるとおいしいんですよね。これは対象じゃないんですよ。(発言する者あり)
いやいや、わからないんです。だからお尋ねしたいんですけれども、アイスはだめなんですか。
○江藤副大臣 先ほど小里政務官もお答えになったというふうに思いますが、例えば、これは山形県の高畠町ですけれども、ジュースを搾って、その残ったものを使ってジャムをつくるということはオーケーということになっております。
ですから、同じ原材料を用いて加工を行うことは指定業種以外であってもいいということでございますから、もちろん、ジュースを凍らせてアイスキャンデーにしても、それは大丈夫だというふうに認識しております。
○鈴木(義)委員 先ほど御答弁でありましたように、今回は十二業種だけで限定してしまうということなんですけれども、さて、TPPを含めて、いつ協議が調って批准していくかというのは、これから先の話になってしまうんでしょうけれども、対象業種拡大をするというのは今の時点で検討しなかったのかどうかだけ確認したいんです。
○江藤副大臣 これまで、昭和六十三年の牛肉・オレンジ自由化交渉の合意、それから、平成七年の、今申し上げましたウルグアイ・ラウンド合意、このときには大きな変化がありましたから、先ほど局長から答弁があったように、拡大をいたしました。
しかし、過去の五年間を振り返りますと、スイス、ベトナム、ペルーのEPAがありましたけれども、国内のいわゆる生産現場に対する影響が客観的に見てとれないということでありますので、対象の拡大は行わなかったということでございます。
○鈴木(義)委員 次に質問を移らせていただきたいと思います。
株式会社日本政策金融公庫、いろいろな経緯があってこの名称になったんだと思うんですけれども、ここに、経営改善計画を認めたものに対して融資を行っているというのが資料でありますし、それが一つの条件になっていると思うんですけれども、埼玉県を例に出すのはいいかどうかわかりませんけれども、埼玉県なんかの融資制度というのは、ほとんど直貸しをやめていて、利子補給をするような制度なんですね。
これは、平成二十六年度の財政投融資計画表、昨年の十月十五日現在のもので、ネットで引っ張った資料です。この中に、株式会社日本政策金融公庫、財政融資というのは五兆一千百二十億なんですね。そのほかいろいろあって、トータルで二十六年度の枠組みが五兆三千四百四十五億あるんですけれども、ここが原資になっていると思うんです。この原資というのはどこから来ているのかなというと、財投債。国債には変わりないけれども国債にはカウントしないんだ、そういう定義になっているんだそうです、私もまだ勉強不足なんですけれども。
なぜ、わざわざ国が借金したお金を原資にして民間に低利で貸すというやり方をとってくるのかということなんです。融資だけであれば、民間の金融機関から融資をさせて、利子補給をしてあげればそれで済むんじゃないかという考え方です。
緊急避難的に、景気が本当に大丈夫かというときとか、世界的ないろいろな事変、事象が起きたということであれば、国が財政出動の目的で国債を国民にお願いして、それを財源として融資をするというのはありなんだと思うんですけれども、これから五年間先延べする、今、とりあえずアベノミクスで景気が上昇しつつある中で、なぜまた財投債を発行させた原資を使って融資制度を行うのかということなんです。だから、もうそういう考え方に立たない。借金をどんどん積み重ねるのがいいのかというところは、国債ばかりじゃなくて、財投債も言えるんじゃないかと思うんです。
だから、千兆円もある借金をどうするんだといって、まあ、消費税は直接じゃないんでしょうけれども、八%で二カ月ちょっとたちましたけれども、そういったことも含めて、なるべく、借金をするんだったら、融資は低利で、その利子補給はするけれども、原資のリスクをとってもらうのはやはり事業者の方だというふうに私は思うんですね。そこのところをお尋ねしたいんです。
国債等と言っていいのかわかりませんけれども、依存しない仕組みをつくったらどうかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○林国務大臣 これは、実は、財投の改革、政策金融の改革ということで、もうかれこれ十年になりましょうか、随分大きな議論をいたしました。私は、そのとき党で事務局長なんぞをやっておりましたので、大分苦労いたしました。
組織の統合も含めて大胆な改革をやるということで、その以前は、財政投融資に入ってくるところは郵政等のお金、これがどんどん郵貯等で入ってくるものですから、入ってくるものを金利をつけて返さなきゃいけないということで、財政投融資が膨らんでいるのではないか、いわゆる入り口が出口を決めている、こういう御議論、それから、まさに先ほども御議論のあった、民業補完に徹するべきだ、こういう議論から、組織の変更、それから、自主運用ということで、お金が入ってくるところは、財投債もしくは財投機関債ということで、それぞれの機関が財投機関債をみずからきちっと調達のためにやる、こういう仕組みにいたしまして、預託義務の廃止ということをそのときにやったわけでございます。
なぜ民間でやらないのかということがそのときにも議論になりましたが、やはり長期の固定金利というのがなかなか民間では実際には難しいということ、それから、当時は、金融が非常に難しい状況も、不良債権等の問題もあったということもありますが、その後も、政策目的を限って、優遇された長期固定の低利、それから償還期間が始まるまでの据置期間、こういうものもありまして、やはりこういう条件で、特に中小企業にやるということがなかなか金融機関の方で出にくい。こういうことがあって、民業がなかなか出ていかないところは政策金融で補完をしていこう、これが政策金融の大きな考え方でありまして、その結果、政策金融公庫の融資というものが改めて位置づけられた、こういうことでございます。
したがって、長期、十年を超えて、低利で、〇・六五から一・〇〇%という今の本法で措置している金融措置ですが、政策金融公庫以外の民間の金融機関で行うということがなかなか難しい、こういうふうに考えております。
また、実際、この政策金融の改革のときも、借りる側の皆さんからも、ぜひ政策金融を残していただきたいと要望もあったところでございます。
民間でやれるところが出てくる、先ほど大企業のお話がありましたけれども、相手が大きくなって、与信ができるようになれば、いろいろな、プロジェクトファイナンスということもあるいはあり得るかもしれませんが、特定農産加工業者である中小企業がやるという意味で、政策金融公庫の融資を活用していきたいと考えておるところでございます。
○鈴木(義)委員 しつこくなるんですけれども、ここにある資料、財投融資というのは、財投債の発行などにより調達した資金を財源としてと。結局、借金なんですよね。そこで、やはり一%なり、何%かわかりませんけれども、利子を払いながら、またこっちで安い利子でお金を貸すという話になるわけじゃないですか。だったら、それは国がきちっと財源を持って利子補給をすれば、別に原資のところは直接民間でやればいいだけの話じゃないかなと思うんですね。
そこは意見の相違だと言われてしまえば、それで終わってしまうんですけれども、でも、借金を国がいつも抱えていなくちゃいけないというのは、これから先を考えたときに、なかなか身動きがとれなくなるんじゃないかなと思うんです。
最後に御答弁をいただいて、終わりにしたいと思います。
○坂本委員長 林大臣、時間が経過しております。簡潔にお願いします。
○林国務大臣 そこも随分大きな論点でございました。
一つの考え方としては、財投債ということで調達することによって、民間の銀行が調達するよりも、国の暗黙の保証的なことで安く調達できるということで、これは、使い切りの、いろいろな施策で使うわけではなくて、融資という形で出てきますので、償還が必ずできるという意味で国債とは区別している、こういうことであろうというふうに思いますし、そういう意味では、しっかりとこの制度を運用して、この制度の趣旨に合って、民業の補完に徹するということを気をつけながらやるべきだ、こういうふうに思っています。
○鈴木(義)委員 ありがとうございました。
○坂本委員長 次に、林宙紀君。
○林(宙)委員 結いの党の林宙紀でございます。
本日も質問をさせていただきます。
特定農産加工業ということで、漆も加工だななどとちょっと思ったりしたところもあるんですが、きょうは、漆には触れずにいかせていただきたいと思います。そのうち、御期待に沿えるようなところがあればというふうに思っております。
では、まず、大変細かいところからお伺いをしたいと思います。
今回の法改正によりまして、十二条第一項の罰金額、これが引き上げということになりました。いろいろとお伺いしたところ、ほかの法令との横並びというか、ほかの法令に合わせて罰金額を引き上げるということなんですが、他法令、ほかの法令というのは一体何を指すんでしょうか。具体例をお願いしますということで御質問させていただきます。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
先生おっしゃいましたように、今回の法律の延長に際しまして、都道府県知事の報告徴収に係る罰金額の上限を十万円から三十万円に引き上げたということでございます。
罰金額の上限を引き上げた例としては、平成十五年の肥料取締法の一部改正ですとか、同年の種苗法の一部改正がございまして、そういった法律を参考にして引き上げたということでございます。
○林(宙)委員 そういった法令と整合性を持たせるために罰金額を引き上げましたと。いろいろ法務省さんとの兼ね合いもあると思いますので、そういったことになるのは全く問題ではないと思っているんですが、それぞれの法律によって、扱う事項というか、そういったものも違ってくると思うのです。
そういう意味で、この特定農産加工をやる上で、十万円から三十万円に引き上げること自体が妥当なのかどうかという検討というのは、済みません、ちょっと通告に入れていませんが、どのぐらいなされたのかというところを、もしお答えできる範囲があれば、お願いします。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
先ほども申し上げましたように、罰金というのは、他法令の例に従って、法務省としっかりと協議させていただきながら引き上げたということでございます。
○林(宙)委員 いろいろな整合性を保つ意味でも、そこはそうすべきところではあるかなと思うんですけれども、いろいろ時代の変遷がある中で、こういった形で、それぞれに対して、では、それを適用すること自体がどうなのかというのはしっかり議論をしていただいていると思いますけれども、お願いをしたいなと思っております。
今、ちょっと言葉は悪いんですが、横並びでというような話をさせていただいたところで、今回、特定農産加工資金ということで貸し出しがされるという中で、先ほども少しお話に上がっていましたが、利率が二億七千万円というところを境に変わってくるということがございます。
単純に、どういった根拠でこの二億七千万円というのを境目にしているのかというところをまずお伺いしたいのでありますが、ほかのところを見ると、これは調査室さんがおつくりいただいた資料に載っているんですけれども、例えば中山間地域活性化資金といったものもそうですし、食品産業品質管理高度化資金とか、こういった資金に関しても、同じく二・七億円ですよということになっております。
それぞれ個別具体的に精査をした上でこれを境目にしているんだと思うんですけれども、その根拠を教えてください。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
先生おっしゃいましたように、この特定農産加工資金につきましては、これは平成元年の制度創設以来、二億七千万円で金利水準を分けているところでございます。
このように適用金利に差を設けておりますのは、より大きな設備資金となることによるリスクの増加と、政策的な資金として低利に抑えるべきという要請とのバランスによるものでございますが、具体的に二億七千万円とされているのは、他の主な政策資金との横並びをとりつつ、通常の設備投資規模であれば低い利率が適用されるように調整されたことによるものだと考えております。
なお、特定農産加工資金の実際の融資を見ますと、中小企業に貸付先を限定した平成二十年十月以降では、約八割の融資先が二億七千万円以下となっておりまして、最優遇金利を適用できているところでございます。
○林(宙)委員 それぞれの事業で扱う案件というのはさまざま違っている部分が多いんじゃないのかなと思うんですけれども、ほかのところが二・七億円だから、では、これも二・七億円でいいやという議論であれば、またそれはちょっと違うんじゃないかなと思っているんです。
今、最後の方に、八割がこの二・七億円のところでおさまっているという御説明もありましたので、そういった統計なりデータをとって二・七億円が妥当だという決め方をしているのならばそれでいいんですが、先ほど申し上げた中山間地域活性化資金並びに食品産業品質管理高度化資金、こういったものも、それぞれに精査をして二億七千万円でよろしいですという判断をされているんだったら、私はそれでいいと思うんですけれども、やはり、ほかがこうだから、これでいいでしょうというような決め方を、もし、いろいろなところで、これ以外もされているということであれば、それは政策の決め方としてどうなんでしょうかというところで、疑問を持ってしまうところはあるんですね。
ですので、常々そういった根拠というものは、私たち野党から質問されたときに、明確に、ああ、それならそうだよねと言っていただけるようなものを私は用意していただきたいなという思いでこの質問をさせていただいております。
そうすると、その根拠はどういったところにあるんでしょうかという類いでもう一つ質問させていただきます。
日本政策金融公庫の金利情報というのがあるんですけれども、これはホームページで見られる分に関してということなんです。
一応、今回の特定農産加工資金も含めて、農林水産事業というもの、これは主要利率と書いてありますから、ここに載っていないものもたくさんあるとは思うんですが、農林水産事業は、これをざあっと見ると、非常に利率が低い設定になっているんですね。今回の特定農産加工資金も〇・六五から一・一%と書いてありますけれども、一つ、農林漁業施設資金というものは最大が四・九%ありますので、これだけは例外的に映るんですが、そのほかは無利子であったり一%以下というものが非常に多いという形になっております。
では、翻って、中小企業事業あるいは国民生活事業といったものが政策金融公庫にはございますが、これは、特別利率などが複数設定されておりますので、何とも比較のしようがないんですけれども、同じ大体十年超とか十五年ぐらいのところで見ていくと、やはり最大利率が大体二%前後だったり二%を超えたりとか、そういうものも非常に多くあるということで、ぱっと見、一般の方々が接する一番簡単な情報であるインターネット上の、ホームページ上の情報としては、そのように映るところが否定できないんじゃないかなというふうに思うんです。
それぞれの事業でさまざまな要素もあると思いますので、ひとまず、ここは農林水産委員会ですから、農林水産事業のこの利率というのはどのような過程を経て決められているのか、お聞かせください。
○奥原政府参考人 日本政策金融公庫の金利の体系でございます。
今の政策公庫は、かつての農林公庫とか中小公庫が統合されてできておりますので、それぞれの分野におきまして、過去の金利の経緯というものがございます。
そこで、現在の日本政策金融公庫の農林水産事業に関します貸付利率の考え方でございますが、農林水産業は、天候の影響も受けて、それから収益性も比較的低いということがございますので、基本的に長期低利の融資にするという発想がございますが、実際の金利の考え方につきましては、まず、貸付原資の調達に要する金利を勘案いたしまして、基本金利というのを設定いたします。現行でいいますと、財政融資資金を期間二十年、それから据置期間三年で借り入れた場合の利率を基本金利として設定しておりまして、これをベースにしながら、資金ごとの政策の重要性を加味いたしまして、政策性の高いものは金利を低くするといった調整を行って、それぞれ決定をしている、こういうプロセスでございます。
○林(宙)委員 ありがとうございます。
事前に役所の方にお伺いしたときにはなかなか明確にお答えをいただいていなかったので、きょうは局長に説明をしていただいて、ああ、なるほどというところもあるんです。
そういったことで、一般的な目線からいって、これはどうなんだろうということについて、常々、今おっしゃっていただいたような根拠、今のお話についてももうちょっと詳しく聞きたいなと思うところはありますけれども、ひとまずきょうはこれでいいとして、やはりそういった明確な根拠というのをしっかりつけていただきたいんです。
それに関連してということで、今三つほど聞きましたけれども、きょう、一番お伺いしたいのは、ここで次の質問なんですが、まず、農林水産省にいただいている資料を見せていただいた中で、特定農産加工業者等の事業実施後の効果ということで、平成十九年度にこの制度を利用して、その五年後の状況はどうなんですかというものを表にまとめていただいた資料がございます、きょうは、これはわざわざ資料では用意しておりませんが。
五年たってどうだったんですかというと、この資料によると、売上高は四・五%ふえましたということなんですね。一方で、経常利益は三三%ふえている。おまけに、従業員の数が三二・三%ふえている。
このパーセンテージを見ていると、すごい効果だなと思ってしまうところもあるんですけれども、はたと立ちどまって、いろいろな見方があると思いますので、これは本当にそのうちの一つというふうに考えていただきたいんですが、売上高が四%から五%の伸びだったのに対して、経常利益が三〇%以上伸びているということは、考えようによっては、非常にしっかりとコスト削減をやっていただいたというふうに思っているんです。もちろん、商品の付加価値が上がって単価が上がったとか、そういった要素もあると思いますが、もしコスト削減というのをかなり大きく実行されたということなのであれば、コスト削減の王道は人件費だったりするわけです。
一方で、従業員は三〇%ふえていますので、従業員の数はふえているんだと。そうすると、見方によっては、人件費を少し減らして、従業員の数はふえているけれども、一人当たりの人件費自体は減らしているんじゃないかという可能性も、このデータだけ見たら否定できないと思うんです。
私は、きょう、事前にデータを出していただけばよかったなとちょっと後悔しているのは、これは三十九事業者まとめたデータですので、個別のデータも見せてくださいということを申し上げればよかったんですけれども、こういった形で、業界を複合的にやるとミクロ的なところは見えにくくなってしまうので、中には余り伸びがよくない会社もあるでしょう、一方で物すごく伸びた会社もあるでしょう、そういったところもぜひ見せていただきたいと思いつつ、質問としては、私が今言ったような、人件費はどうなんですかというような視点なども含めて、この五年後の状況というのを農林水産省でどのように分析されているかというのをお聞かせいただきたいと思います。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
本法による支援措置を利用しまして、特定農産加工業者は経営改善に取り組みまして、売上高や経常利益の改善など具体的な成果を上げているというのは委員おっしゃるとおりでございます。
日本政策金融公庫の直近の調査によりますと、委員御指摘のように、十九年度融資先三十九事業者の五年目の事業実施後の状況は、先ほどもございましたが、売上高が四・五%、それから経常利益は三三・一%の増加、原料である国産農産物の取扱量は二五・六%増加している、さらに従業員数については三二・三%増加しているということでございます。
売上高に比べて経常利益の伸びが大きいことについては、先生御指摘のように、製造コストの低減といった生産の効率化ですとか、新商品などの付加価値の高い産品の生産によって、利益が改善したことによるものであるのではないかと考えております。経常利益につきましては、比率で見ますと三三・一%という大きな伸びでございますが、金額で見ますと八十億円ということでございまして、売上高の増加額、これは五百二十億円でございますが、これと比較しても妥当なものじゃないかと考えております。
それから、先生御指摘の従業員でございますが、量的には新工場の建設などによって従業員の雇用が増加したことによるものでありまして、雇用の創出に寄与しているというふうに考えておりますけれども、データの制約もありまして、先生おっしゃいました質的な面、これについては十分把握しているところではございません。
○林(宙)委員 今、データの制約というお言葉があったので、そうすると、人件費がどのように変動したかなどについては把握はされていないということですか。それとも、それはわかるよということなんでしょうか。その点だけ。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
人件費そのものがどのように推移したかというのは把握しておりません。
○林(宙)委員 把握されていないということであれば仕方ないなと思いますが、そういう側面もぜひ分析の中には入れていただきたいんですね。人件費がそんなに減っているとは私も思いませんが、その可能性があるという以上は、そこも含めて効果がどうだったんだということをぜひ細かく分析していただきたいんです。その方が、私たちもいろいろな意味で、賛同するに当たって根拠が持ちやすいということでもありますので、今後、ぜひこれはお願いをしたいなというふうに思っております。
時間も少し限られてまいりましたので、次にお伺いしたいところ、もしかしてこれは最後になっちゃうかもしれませんが、ちょっと今の話と逆の方向に行くかもしれませんけれども、もう一つのデータで、売上高当期利益率の推移、こちらのデータも農林水産省さんに出していただいております。
これを見ると、特定農産加工資金融資を利用したというところは、平成二十二年度は大変いい数字が出ております、利益率が〇・八二%。一方で、特定農産加工関連業種で利用していないところは〇・三五%にとどまっているということで、そこそこいい結果が出ているんじゃないかなと思うんです。
ここまでの議論を聞いていると、参議院の方の議事録も拝見しましたが、やはりこの制度自体は農産加工の業種の方々に本当に大事なものであって、効果も非常にあるんだということでございました。そんなに効果があるものだったら、もっと周知をしてたくさん利用していただいた方がいいんじゃないか、何だったら、皆さんこれを使ってくださいぐらいのことをやってもいいんじゃないかと私は思ったりするわけなんです。
いろいろな意味で、利率を低く抑えていることで、そこに財政を充てているとか、いろいろな理由がありますので、全部はできないでしょうが、この制度を利用するために、この実績をもって、これだけいい結果が出ていますよ、だから皆さんも利用しましょうみたいな、こういう周知というのは、農水省さんの方ではやられているんでしょうか。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
先生おっしゃいますように、本制度をより多くの事業者に活用してもらい、特定農産加工業者の経営改善を進めるために、制度の普及啓発を進めることが重要であると認識しております。
このような観点から、農林水産省では、ホームページへの掲載ですとか、また食品産業センターなどを通じて各食品業界に対する普及啓発、さらには地方農政局や都道府県等における農産加工業者からの相談への対応を行うとともに、事業概要や事業効果などを取りまとめた参考事例集を用いて情報提供に努めているところでございます。
また、株式会社日本政策金融公庫におきましても、企業訪問やホームページへの掲載、パンフレットなどによって制度の周知に努めているというふうに聞いております。
○林(宙)委員 いいものであるという自信を持たれているのであれば、これはもっと利用していただくという方向にぜひやっていただくのもいいんじゃないかなと私自身は思います。
少し時間が残っていますので、最後にもう一問だけ聞かせていただきます。
さっき、ちょっとパイナップルの話が出ておりました。これは特定農産加工業の工場の数は幾つぐらいあるんでしょうかということで、だあっと調べていただいたら、パイナップルの缶詰製造業は一工場で、その背後にというか関係している農家の数は、これはデータ上が一千戸単位なので一と書いてありますけれども、ちょっとこのデータの出され方も余り納得いっていないんですが、これは五百戸から千四百九十九戸まで全部一に収束してしまいますので、今度これも細かく出していただきたいなというふうに思っています。
これ自体を否定するものではないんです。否定するものではないんですけれども、こういった形で、海外に比べてなかなか少ない、これから、もしかすると競争力的ににっちもさっちもいかなくなる業界があったとした場合に、その業種にこだわらずに、今後、より付加価値の高い業種に転換していくということ、この転換するというところについて、政府がやっていこうというような視点があるのかないのか、これを最後にお伺いして、終わりにしたいと思います。
○林国務大臣 この法律で、経営改善計画の承認を受けた方は、事業の転換を目的とした資金の貸し付けを受けることができることから、ほかの農産加工業への転換が可能ということでございます。
一方で、今、パイナップルの話がございましたが、この生産工場のある沖縄本島の北部地域、JAおきなわの東村ですが、土壌が強酸性でパイナップル以外の作物の栽培がなかなか難しい、こういうことで、作物転換が難しくて、ほかの事業への転換が不可能なものがございます。
この地域で、ここ五年間のパイナップルの生産が農畜産物生産額の六割で、やはり地域経済にとって大変大事な位置づけになっている、こういうことでございます。
こういう地域では、ほかのものにといってもなかなか難しいということもあって、より付加価値の高いパイナップル、先ほど、何かアイスキャンデーとかジュースとかいろいろありましたけれども、そういうことを推進するという道もあるか、こういうふうに思いますので、地域の特性に応じてしっかりと支援を講じてまいりたいと思います。
○林(宙)委員 先ほど出ましたアイスキャンデーの件については、私も強く支持をしたいと思っておりますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○坂本委員長 次に、畑浩治君。
○畑委員 生活の党の畑浩治でございます。
早速議論に入らせていただきます。
特定農産加工物の前提として、自由化によって、加工前提の素材の農林水産物そのものもかなり影響を受けて厳しくなっているというのは当然のことでありますけれども、ちょっと短角牛を例にとって伺わせていただきます。
資料をお配りさせていただいております。この日本短角種、これは日米合意が六十三年にあって、その後、平成三年から平成十二年にかけて関税が七〇%から三八・五%になった。今回のTPPの議論の先取りをしているようなことがあったわけです。
これでどうなったかということを見てみると、まず、繁殖雌牛の飼養戸数、頭数がやはり激減している。平成三年以降が牛肉自由化の影響で激減、その後も回復せずに漸減して、今はもう二千三百六十頭ぐらいになっている。肥育牛の飼養戸数と飼養頭数も大体同じような推移をたどっております。六十二、元年ぐらいから減っていって、ちょっと持ち直したことはありますが、やはりこれも漸減傾向にある。結局、自由化に対して、これまでの支援策、これについてはマルキンとか新マルキンとかいろいろあるわけですが、その効果を発揮しているのかどうかというのがかなり疑問に思っております。
自由化とその影響について、そして施策の効果についてどのように評価しているか、まずお伺いしたいと思います。
○林国務大臣 いわゆる牛肉自由化の影響について定量的に示すというのは難しいわけですが、日本短角種については、今お示しいただいたように、飼養頭数が減少しております。
他方で、国内対策としては、肉用子牛価格の低下に対して、自由化前の価格水準を基準として生産者に補給金を交付する肉用子牛生産者補給金制度をつくりました。それから、肉用牛の肥育農家に対しては、収益性が悪化した場合に損失の一部を補填する対策、これが現在の新マルキン事業につながってくるわけですが、それから、生産性の向上や流通の合理化のための対策、こういうものをやってまいりました。
肉用牛生産の総体は、規模拡大が進展しまして、肥育牛の飼養頭数は自由化以前の水準をおおむね維持しているところでございます。肥育牛の飼養頭数は、平成三年が百七十九万五千頭ということですが、平成二十五年度で百六十六万三千頭ということでございます。
引き続き、生産者が意欲を持って経営を続けられるように、しっかりと対応したいと思っております。
○畑委員 まさに規模拡大も含めてということで、短角について言うと、難しいのは、家族経営で、田舎のかなり厳しい零細な地域が産業的な感じじゃなくやっている部分があって、そこの規模拡大は難しいということになっているんだろうと思います。
結局、こういうものは、牛に限らず、農産物もそうですが、市場が求めるものを安定して供給できるかということで、実は短角というのは、需要はあるんですけれども、零細経営なものですから、欲しいといったのを安定して出せない、欲しいのに何か出てこないということもあって、この悪循環で、結局廃れていく部分もあるようなのです。
そこをどうするかというのは、支援も必要ですし、また、産業政策としてどうやってこの零細なものを、短角についてもしっかり産業化して、規模をしっかり維持していくかということも必要だと思います。セーフティーネットの議論以外も、そういう産業面の議論も含めて、しっかりやらなきゃいけないと思いますので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。
次に、法律の質問をさせていただきます。
本法、この特定農産加工の法律は、平成元年の制定以降四回にわたって延長されてきたということで、きょうたびたび議論がありましたが、お伺いしたいのは、支援の内容の推移ということなんです。
この支援の内容が、改正のたびに単純に維持されてきたのか、あるいは縮減されてきたのかというところなんですが、要は、これを見ると、結局、特定農産加工もシェアが減っている傾向にあって、やはり厳しいなということがうかがえるわけです。厳しいのであれば、単純延長だけではなくて、実は、私は、支援の対象というよりも支援内容を拡充する議論があったのかどうかという疑問を持っているわけです。
延長するたびに、よくあるのは、税制であれば、税務当局、財政当局との折衝で、実は償却率なんかが、その都度その都度、どんどん下がっていくんですね。そういうふうになってきたのではないかという疑いを持っているわけです。
そういうことも含めて、支援内容が延長のたびにどのような推移になってきたのか。そして、そこの考え方はどうしてそうなったのかというのをお伺いしたいと思います。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
支援の内容でございますけれども、本法は、金融、税制上の支援措置を講じているわけでございますけれども、このうち、金融上の支援措置につきましては、平成元年の本法制定以来変わらず、施設整備に対する長期低利融資を行っているところでございます。なお、株式会社日本政策金融公庫の発足に伴いまして、平成二十年十月以降、従来、旧農林漁業金融公庫が行っていた食品産業向けの融資は、中小企業者に対する償還期限が十年を超える資金の貸し付けに限定されるということになりました。
また、税制上の支援措置でございますけれども、当初、設備廃棄に係る欠損金の繰越控除期間の延長等、事業の合理化を進める税制特例措置などがございましたが、既に再編が一段落していることから、利用実績などを踏まえ縮小してきておりまして、今現在は、特別償却及び事業所税の特例が措置されているところでございます。
○畑委員 所得税、法人税の特別償却率自体、三〇%は変わらないで来ているんでしょうか。ちょっと確認をさせてください。
○山下政府参考人 特別償却の三〇%というのは変わりません。
○畑委員 わかりました。
さはさりながら、恐らくTPPの絡みで、TPPはこの内容だと私も反対ですが、そういう中で、支援の対象事業のみならず、支援の内容も、TPPの関係によっては、恐らく深掘りする議論が必要になってくるかもしれないと思っております。そのことはちょっと申し上げておきたいと思います。
そして、次に、東日本大震災の復興対策として、この特定農産加工法に基づく融資が、償還期限と据置期間の特例措置が講じられてきております。復興関係の法律なり政令で、この分を引っ張って、特例措置を講じていただいたということだと思います。
震災から三年経過した現在、この措置で、被災地における特定農産加工業の復興や経営改善に対してどのような効果を上げておるのか、お伺いしたいと思います。
○林国務大臣 今委員がおっしゃられましたように、東日本大震災により、主要な事業用資産について、浸水、損壊などの損害を受けた場合、また売り上げが相当程度減少した場合には、償還期限の延長を十五年から十八年、それから据置期間を三年から六年という特例措置を講じております。
それから、既に利用されている方で震災に遭われた方については、公庫が個別の事業者の方の事情をしんしゃくしまして、返済期間の延長、元金返済の猶予などにより対応している、こういうふうに承知をしております。
被災三県における特定農産加工資金の二十三年度以降の融資実績は八件、約十二億円ということですが、この特例の活用はないということでございます。
公庫によりますと、今後の融資案件として、工場や製造ラインの復旧に向けた具体的な相談が既に寄せられている、こういうことでございますので、この延長に当たっても、震災特例措置を引き続き措置することで、被災地における経営支援に努めてまいりたいと思っております。
○畑委員 よろしくお願いします。
今聞いたら、思ったより適用件数というか利用実績がないなという気もしましたのですが、これは周知なのか、それとも何か別な要因があるのか、ちょっとわからないところであります。
今、復興については、そういう農林水産業のところはかなり軌道に乗っておりますので、これ以外のいろいろな措置でなったのかということもあると思いますが、引き続き、いろいろな相談に柔軟に対応していただければと思います。
次に、西村副大臣に来ていただいておりますので、TPP交渉の話をお伺いしたいと思います。
TPPについては、関税の話はかなり出ておりますが、実はISDがどうなっているかというのがさっぱり出てこないなと思っております。ISD条項、ISDSともいいますけれども、これは日豪EPAの合意では入っていなかった。よく、オーストラリアというのはISDに反対しているんだというのは聞いております。その理由は、米国の入った協定であれば、濫訴が心配されるということではないかというふうにちらっと聞いております。この農水委員会の決議でも、国家主権を損なうようなISD条項には反対する旨の決議が盛り込まれております。
しかし、TPP交渉で、これも報道ベースで聞くと、日本は、アメリカとともに、ルールの部分は共通して旗振りをして、途上国等に対して働きかけているということも聞いております。
このルールというのは、ISDも入っているのではないかなとちらっと思っておるんですが、そうだとすれば、国会決議で、ISDは、国家主権を損なうものは反対だと言っておきながら、ちょっと何か違っているかなという思いを持っております。
結局、ISD条項の議論というのがどのような状況になっているのか。その部分は、ある程度関係国の間で認識がセットされているのかどうか。そして、仮に認識がほぼ収束しているのであれば、国家主権を損なわない形で、そこはどのような形になっているのか。国家主権を損なわないISDというのはどういうものなのかというのもあるんですが、濫訴を防ぐ手だてということだろうと思います。
日本で、今までEPAとかFTAは、確かに途上国向けはISDが入っていますけれども、しかし、だからいいというものではなくて、米国が入ってくることが確かに危険なわけです。訴訟社会で、むちゃくちゃなことを言って、ふんだくってくるようなこともやりかねないと思っています。
ISDの状況を、今申し上げたことを含めて、ちょっとお伺いしたいと思います。
○西村副大臣 お答えを申し上げます。
今御指摘のとおり、ISD条項、ISDS条項と呼んだりしますけれども、海外に日本企業が展開した場合に、その進出先で何か不利益を受けた場合、そのときに相手方政府を訴えることができるというものでありますので、基本的には、我が国企業の予見可能性とか法的安定性を担保するという意味で、これまで結んできた投資協定とかには、ほとんどISDS条項を含んできたというのが実態であります。
TPPでもISDSをめぐっていろいろな議論をしておりますが、基本的には、日本企業が海外展開をする上で、投資を保護するという視点から、ISDS条項は必要だというふうに考えております。
ただ一方で、そうした面と、それから、まさに国会決議でもありますように、我が国の規制の権限もありますので、このことに十分配慮するという両面がありますから、この決議もしっかり踏まえながら、交渉を通じていきたいと思っております。
ちなみに、オーストラリアがアメリカの企業から訴えられたというのも、香港の子会社を通じて、アメリカとオーストラリアの間にISDS条項を含んだ、何か協定があるわけではありませんので、オーストラリアと香港との協定でこれが訴えられたということで、日本も数多くの国とISDS条項を含んだ協定を結んでおりますから、そういう意味では、何か日本の政府がそういう差別的な扱いをしたような場合に、アメリカの企業は、子会社を通じて、協定を結んでいる国のその子会社から日本政府を訴えるということもできます、こうした状況にあります。ただ、日本政府は、これまでこうしたことで訴えられたことはないということを申し上げたいと思います。
いずれにしても、しっかりと決議を踏まえながら、国益を最大にすべく、しっかり交渉してまいりたいというふうに思います。
○畑委員 ちょっと具体的なことをお伺いしたいわけでありますけれども、今、牛肉、豚肉については、関税の引き下げと、それに見合ったような形の輸入枠の設定、そしてセーフガードとの組み合わせ、いわゆる方程式合意ということで、それをどうやってその変数を変えていくかという議論が行われているというか、なし崩し的にそうなっているというか、そういう空気ができております。
その場合に危惧しますのは、このセーフガード、これ以上超えたら輸入をストップするというのは、言ってみれば、これは自由貿易に反するものだと自由貿易論者は言ってくるんじゃないかという危惧を持っています、仮にある程度まとまったとしても。
そことISD条項との関係なんですが、ISD条項に基づいた訴訟の対象となることは、セーフガードの設定とか方程式合意の内容は、単純な関税引き下げではなくて、そこに輸入数量を設定するものですから、そことセーフガードの絡みの部分が、そういうふうに訴えられる可能性があるのではないかと思うんですが、そこは訴訟の対象になることはないんでしょうか。
○西村副大臣 ISDS条項は、投資をめぐる、投資に関する規定でありますので、セーフガードとか関税割り当てとか、こうしたものが対象になることはないというふうに認識をしております。
○畑委員 確認しました。ありがとうございます。
それで、もう一つ、先ほどの答弁で十分お聞きできなかった部分を確認させていただきたいんですが、ISD条項の議論については、TPP関係国の中でセットされているわけではなくて、まだ交渉中、決まっていないという理解でよろしいですか。
○西村副大臣 交渉全体はいろいろパッケージで議論をしておりますので、具体的な内容は申し上げられませんけれども、まだ全体として合意をされたわけではございません。
○畑委員 ちょっと時間はありますが、質問は大体やりました。また、午後もさせていただきますが、午前中は、これで終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○坂本委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○坂本委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
内閣提出、参議院送付、特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○坂本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○坂本委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、齋藤健君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党、結いの党、生活の党の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。大串博志君。
○大串(博)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
案文を朗読して趣旨の説明にかえさせていただきます。
特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
農産加工業は、国民に対して食料を安定的に供給する上で、農業と並ぶ両輪として重要な役割を果たしている。農産加工品の輸入自由化に対応するため、農産加工業の経営改善に向けた措置が講じられてきたが、農産加工品の輸入量の増加や国内市場の縮小など、農産加工業は厳しい経営環境に置かれている。
よって政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。
記
一 農産加工業の厳しい経営環境に対処し、その経営体質の強化を図るため、農産加工業の振興に努めること。
また、地域農業の発展に資するため、特定農産加工業において国産農産物の使用が一層促進されるよう、経営改善計画の承認等において必要な指導を行うこと。
二 農業及び農産加工業の健全な発展に資するという制度の本旨が十分発揮されるよう、本制度と農産物に係る支援制度等関連施策との有機的連携に配意しながら、不断に制度の評価・検証を実施し、適時適切な見直しを行うこと。
三 本制度の運用に当たっては、EPA・FTA等の進捗に即応して対象業種を追加指定するなど、適切かつ弾力的に対処すること。
四 農業生産者と農産加工業者による六次産業化や農商工連携の取組を促進するためにも、新商品・新技術の研究開発の促進、マーケティング等販売戦略について専門的な知見を有する六次産業化プランナー等による支援体制の充実、低利融資等、必要な措置を講ずること。
五 東日本大震災の被災地において農産加工業の振興を図ることにより、地域農業の復興や雇用の維持・拡大に努めること。
右決議する。
以上です。
何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
○坂本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○坂本委員長 起立総員。よって、本法案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣林芳正君。
○林国務大臣 ただいまは法案を可決いただきありがとうございました。附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
―――――――――――――
○坂本委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――
○坂本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十一時三十八分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○坂本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省生産局長佐藤一雄君、内閣府規制改革推進室次長大川浩君、文部科学省大臣官房審議官義本博司君及び環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長梶原成元君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○坂本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。齋藤健君。
○齋藤(健)委員 自由民主党の齋藤健でございます。
きょうは、花卉産業の振興、花卉文化の振興及び養豚農業の振興について、お伺いをいたしたいと思っております。
まず、花卉でございますが、冠婚葬祭から贈答用、あるいは装飾、さまざまな使われ方をしており、その用途や場面によって、種類、品種、色、細かく異なっておりまして、極めて嗜好性の高い品目であると私は思っております。
私が一番危機感を感じておりますのは、その日本の花卉産業が縮小に次ぐ縮小を続けているということでございます。御案内のように、花卉産業は、国内の産出額は、平成七年には六千二百億円に達していたわけでありますが、その後どんどんと下がってまいりまして、今では三千七百億円規模ということであります。これは、やはり集中して政策を講じて、巻き返して、さらには逆転して、成長していくという路線にぜひとも乗っけていかなくてはいけないのではないかと私は考えております。
しかも、花卉は、農業生産の中でも特殊なものでございまして、民間や個人育種家が多いという特徴もございます。それから、花卉生産者は、四十五歳未満の方が約二割を占めるということでありまして、若い世代の発想が経営に生かされる、そういう側面を持っている分野でもあります。もっと言えば、育種や栽培の技術は日本は世界トップレベルにあるわけでありますが、後退を続けているということは、非常に残念に思うわけであります。国際園芸博覧会でも最高得点をとったりするのが日本の育種、栽培技術なわけでありますので、何とかこれをビジネスに結びつけていくような方策をこれから総合的に講じていかなければ、もったいないと思います。
一方、残念ながら輸入品も多く入ってきております。輸入品の多くは切り花の類いでございます。母の日に皆さんがプレゼントされるカーネーションも、十年前の平成十四年には輸入はわずか二割ぐらいだったものが、このたった十年間で今や五割が輸入品ということで、急速に輸入品に市場を食われているわけであります。
特に、コロンビアなどから輸入されているわけでありますが、コロンビアのような暑い国から日本に運ばれてくるものに競争で負けるというのは、よほどこちらの方で政策で打ち返していかなくてはいけないと私は思っております。彼らは、コールドチェーンなんかを整備しながら、暑い地域で、しかも遠距離輸送があるにもかかわらず、日本の市場を食ってきているわけでありますので、私は、ここは何とか挽回をしていきたいと思っております。
また、かつて、この委員会でも問題提起をさせていただきましたけれども、古来より神事に用いられている榊も、ある中央卸売市場では、二十三年度に取り扱った榊の九割が中国などからの輸入で賄われているということは、私は残念であります。
一方、輸出はどうかといいますと、輸出の取り組みも行われてはおりますが、二十五年の実績で約百億円の輸出であります。しかし、その九四%は植木や盆栽でありまして、花卉の産出額の過半数を占める切り花の輸出は、何と二億円弱ということでございます。
こういう状況を考えてみますと、やはりこの辺で、花卉産業の振興及び花卉文化の振興について、総合的な、強力な政策をとっていく段階にあるのではないかと私は考えているところでございます。
このような花卉の需要を今度は国内で拡大していくためには、フラワーバレンタイン等の新しい物日をつくって購入のきっかけづくりをしたり、オフィスや公共空間での利用、教育機関での花育活動、生け花など伝統文化との結びつきですとか、花の名所づくりでの町おこしなど、農水省だけではなくて、文科省、国交省、経済産業省、環境省など関係する省庁が連携をして取り組んでいくような機運をしっかりつくり上げていくことも大事ではないかと思っております。
自由民主党においては、花卉振興の取り組みというのは、ここにおられる江藤副大臣のお父様の江藤隆美先生が昭和六十二年にフラワー産業議員連盟を設立されまして、もう二十七年も活動してきているわけであります。現在は、衆参で百二十名を超える会員になっているわけであります。
また、きょう、委員長席にお座りの坂本委員長も、花卉の産業の振興のために大きく貢献をされているわけであります。
フラワー産業議員連盟設立から二十七年を経て、今のような状況に直面をして、今後、この花卉産業、花卉文化をもう一回挽回して、さらに発展をさせていかなくてはいけないと思います。この長年の悲願を何とかこの国会の力で達成できないかと考えているわけでありますけれども、現在、このフラワー産業議員連盟の幹事長でもあり、農水省の副大臣でもある江藤副大臣に、今のお気持ちと御決意を聞かせていただければありがたいなと思います。
○江藤副大臣 大変温かい質問を投げかけていただきまして、ありがとうございます。
おやじがこの世を去って八年余りがたちましたが、フラワー産業議員連盟を立ち上げて、そして、農林省の中に花き対策室、現在は花き産業・施設園芸振興室と名前は変わりましたけれども、こういう部屋も設けて、大切な人に花を贈ろうと言ったのが、もう二十七年前であります。
こうやって、私もここで答弁させていただいて五百日以上たちましたけれども、たびたび野党の先生方からも、党派を超えて農林水産分野のことは議論すべきことなんだという御意見をいただいて、大変感謝をしています。
今回の件につきましても、筆頭にも御努力をいただきました。齋藤部会長にも御努力をいただき、大串先生にも御理解をいただき、こうやって皆様方の前でこういう決意を述べさせていただくということは、大変感謝にたえないことであります。
委員長にも御苦労いただきまして、本当にありがとうございます。
これは一つのきっかけでありますので、押し込まれているこの状況を、我々が得意とするはずのコールドチェーンの確立、これをきちっとやった上で、まず国内産業を立て直し、そして外にも打って出られる成長産業の核として立て直していきたいという覚悟でございます。
○齋藤(健)委員 私が申し上げたいのは、花卉産業、花卉文化の振興に当たっては、総合的な政策を強力に推進していくことが必要だということであります。いわば花卉産業の産業政策というものを確立していく。それぞれ、個々の分野での支援策はあるんでしょうが、花卉産業全体を見た上での総合戦略というものをきちんと組み上げていくことがまず大事ですし、それを、関係者が一つの気持ちになって、やってやろうという気持ちに持っていくことがすごく大事だと思います。
そういう意味では、きょうは、民主党を初めとする野党の皆さんにも、ぜひ御一緒に、一つの気持ちになって、花卉産業をもう一回挽回して、さらに発展させるように、皆さんと協力しながら進めていきたいと切に思っているところでございます。
そのためには、まず国の方が基本的な方針、こういうふうにやっていこうという基本的な方針を力強くつくっていただくことが大事だと思います。これはもう当然のことといたしまして、今度は、国がつくったら、国だけで終わらせずに、都道府県がそれを受けて、自分たちはこうしたいという計画をきっちりつくっていただくことが大事だろうと思います。国の方には、当然、そういう基本的な考え、方針をつくっていただくことにしても、これを都道府県の方に、国の方で働きかけて、あるいは我々議員が働きかけて、各都道府県がきちんとした花卉産業、文化の振興のための計画をつくってもらうようにしていくことが大事だと思います。この点についてどう思うかということ。
それから、今、都道府県の花というのが決まっております。都道府県の花は国会にも写真がありますけれども、都道府県の花だけではなくて、市町村の花を、これは決めているところもありますし、決めていないところもありますが、うちの市町村はこういう花を市町村の花として決めるんだという運動も盛り上げていって、意識を高めていくということも私は有効じゃないかと思っております。
この二点につきまして、御見解を承れればと思います。
○江藤副大臣 全く賛同するものでございます。
まず、国の方ではきちっとした方針を固めました。そして、都道府県の方でも、法律はまだ御可決はいただいていないわけでありますけれども、第四条の方に、いわゆる都道府県は花卉振興方策の策定を定めるように努めなければならないことというふうになっております。
そして、その下の市町村レベルにおいてもやはりやっていただかなきゃいけない。そして、先生おっしゃるように、全ての関係する人たち、生産から流通から販売から、そして、それを生ける、それから教育の分野に至るまで全ての方々が一体となってやらなければならないと思っています。
最近、ゆるキャラブームなんというのもありますけれども、ああいうのを見ても、市町村で花を定めていただいて、あらゆるツールを使って、花がもっと国民の生活を豊かにし、そして日本の文化、伝統を継承する一つのツールとなるように、これから努めてまいりたい、一体となって頑張っていきたいと思っております。
○齋藤(健)委員 ぜひ、本日を契機に皆さんの気持ちが盛り上がっていくことを念じまして、次に、養豚農業の質問に移らせていただきたいと思います。
米政策の見直しによりまして、飼料米をつくることによりまして水田を維持していこう、そういう基本的な考え方で政策が進みつつあるところでありますが、一方で、飼料米をつくったところで、きちんとそれを食べてくれる養豚農業というものが振興されておりませんと、うまく回っていかないということになります。今そういう局面にあるのではないかと思います。
また一方、エコフィードと言われて、食品残渣を有効に活用していこう、そのためには、やはり養豚の力をかりる必要があるんじゃないか、そういう機運もあります。
その二つの時代的要請を考えますと、ここでやはり養豚農業というものにもひとつ焦点を当てて政策をきちんと講じていくということは、私は時宜にかなった政策なのではないかと思っております。
いろいろと養豚農業の重要性を書いた紙を用意はしてきたんですが、時間がなくなってしまいましたので、大臣に基本的なことだけお伺いをしたいと思います。
我が国の養豚農業の現状につきまして、大臣はどのように認識をされ、そして、その認識を踏まえて、今後どういう方向で臨まれるおつもりなのか、この一点をお聞かせいただければと思います。
○林国務大臣 養豚農業は、国民の重要なたんぱく資源の供給源として、国民の食生活の安定に寄与し、食肉生産、加工等を通じて、地域経済に貢献している。畜産全体二兆五千八百八十億のうち、豚が五千三百六十七億円でありまして、大変大きな貢献をしております。
それから、今委員がお触れになったように、エコフィードや飼料用米等の利用、それから排せつ物の利活用を通じて、循環型社会の形成に寄与する重要な産業であると思っております。
実は規模が、この委員会でも何度か話題になりましたけれども、一戸当たりの平均飼養頭数は着実に増加しておりまして、平成十六年の千九十五頭から平成二十五年千七百三十九頭ということで、欧米諸国と比較しても遜色のない規模になっております。
ただ、輸入穀物を主原料とする配合飼料に大きく依存している中で、その価格が高どまりしていること、それから、混住化の進展によって、悪臭その他の環境問題が経営展開の制約になる場合がある、こういう課題がございます。
したがって、こういう課題に対応するとともに、今まさにおっしゃっていただいた水田フル活用による飼料用米の生産拡大、自給率の向上を図ることが大事である、こういうふうに思っておりまして、養豚経営の安定、エコフィードや飼料用米の生産や利用の拡大、飼養衛生管理や排せつ物の処理の高度化、国産豚肉の消費の拡大及び流通の合理化、こういうことにしっかりと取り組んでいきたいと思っております。
○齋藤(健)委員 きょう質問申し上げました花卉産業、文化の振興、それから養豚農業の振興につきましては、今そういう時期に来ているんだろうと思いますので、この国会中に、これら二つの振興策を大きく国会の力で前進させていきたいと思っておりますので、同僚委員の皆さん、政府の皆さんの御協力をいただければと思います。
以上です。終わります。
○坂本委員長 次に、稲津久君。
○稲津委員 公明党の稲津久でございます。
通告に従いまして、順次質問してまいります。
まず、花卉振興について伺いたいと思っております。
私は、人口減少社会に入った我が国の状況を考えたら、持続的な農業の発展ということを考えるときに、いわゆる農水省での医福食農連携事業なんかに象徴されるように、こうした事業とともに、花卉産業というのは、確かに課題は多いんですけれども、一方では成長産業としての可能性というのは非常にある、こういう立場に立っております。
もちろん、世界各国を見ますと、コロンビアとかオランダとか、花の輸出が国の主産業になっているという地域もありますし、そういう意味で、我が国にとっては、やはり農地の確保に比較的課題が少ないということですとか、あるいは、先ほど齋藤先生からもお話がありましたけれども、若年者の参入も比較的容易であるということで、今後、花卉産業の発展には大いに期待したいと思っております。
ところが、課題の方を見ますと、お話にありましたように、花卉産業の全体の売り上げは減少傾向で、ピーク時の半分程度になっているということ。例えば、冠婚葬祭の簡略化ですとか、あるいは景気の落ち込みとか、原因はいろいろあると思うんですけれども、もう一方では、花をめでる文化、それから幼少時から花に接するような機会の減少もあるんじゃないかと思うんです。
実は、全国花育活動推進協議会というところがございまして、ここで花育について非常に大事な意義をうたっております。幼児、児童の体験教育、花や緑を介した地域コミュニティー、あるいは日本の花文化の継承、こういうことで、いわゆる幼少時から青年期、老年期に至るまで、我が国の国民の文化の中にきちんと位置づけていかないといかぬ、こういうことは非常に大事なことだと思っております。
そこで、まず大臣にお伺いしたいと思いますけれども、この花育に関しての御認識と、また、今後、その推進に当たってはどのようなことが考えられるか、御所見をいただきたいと思います。
○林国務大臣 稲津先生がおっしゃったように、花育は大変大事であると思っております。こういう花や緑を教育や地域活動に取り入れる、芸術文化関係者、花卉の生産、販売業者等が、今おっしゃっていただいた全国花育活動推進協議会を設立して、連携して推進されておられるのは、大変ありがたい取り組みだと思っております。花育を進めることで、幼児、児童の情操教育、それからもう一つは、地域活動において花や緑を介して世代間の交流を深める、こういうことに効果があるのではないかと考えております。
我が省としても、食育の取り組みとあわせて、花育の推進についても重要な施策として位置づけまして、平成二十六年度からは、国産花きイノベーション推進事業で所要の予算を確保して花育を推進しております。
この事業を活用して、各都道府県における小中学校等での生け花、寄せ植えづくり等を行う花育体験、それから先生を対象とした花育活動実践者を育成する研修会の開催、それから花の栽培方法や飾り方を示した花育の副読本の作成、こういうものを支援するとともに、文科省を初めとする関係省庁と連携して、花育活動の普及推進を図ってまいりたいと思っております。
○稲津委員 ありがとうございました。
今大臣からも御答弁いただきましたが、農水省の事業としてこれを進める状況になっているということは、私は非常にすばらしいことだと思っております。そして、先ほど申し上げましたように、幼少時から花に触れていくということによって、例えば思いやりとか優しさとか、そういうものが醸成されていくだろう。さらに、小中高の児童生徒の中では、学校で花を栽培したりとか、あるいは卒業式や何かにコサージュをつくってみたりとか、非常に活発に取り組んでいるということも承知をしております。
そこで、きょうは文科省から大臣官房審議官にもお越しをいただいているんですけれども、ぜひお伺いしたいのは、食育というのがありますよね。平成二十年から学校教育における食育を学習指導要領に位置づけているんですけれども、この際、同じように、ぜひ学習指導要領の中に花育を位置づけたらどうか、こう思っておりまして、この点についての御答弁をいただきたいと思います。
○義本政府参考人 お答えいたします。
現行の学習指導要領におきましても、生活科あるいは理科、技術・家庭科などのさまざまな学習活動におきまして、花などの植物を育てたりしながら、植物育成に関する基礎的、基本的な知識、技術を身につけるとともに、生物に親しみ、愛護する態度を育てるなどの指導を行っているところでございます。
また、自分たちの学校生活をより豊かにしていくために、花壇などを利用した栽培活動を行っているところでございます。
例えば、小学校の生活科におきましては、植物を育てたり、生き物への親しみを持ち、大切にするということを明記するとともに、あるいは、小中学校の理科におきましては、植物の栽培や観察を通して、植物の成長の過程や植物の体のつくり等について学習することなどを定めているところでございます。
また、先ほど林大臣から御紹介がございましたような農水省のさまざまな花育に関する事業の御支援をいただきながら、学校現場におきましても、花育の趣旨を踏まえた取り組みを行っているところであるわけでございますが、今後、適切な取り組みがさらに行われるよう、文科省としましても、農水省を初めとする関係機関と連携を深めてまいりたいと思っております。
御質問いただきました指導要領の問題でございますが、次期指導要領において、花育を踏まえた内容をどのように反映させていくかにつきましても、学習指導要領全体の見直しを今後検討する予定でございますので、その中でしっかり検討してまいりたいと考えております。
○稲津委員 ありがとうございました。
最後に御答弁いただきましたように、これは、ことしの秋には中教審の答申をいただいて、そして学習指導要領の次期改訂に向けて、これから加速化していくと承知していますので、ぜひこの位置づけをよろしくお願いをさせていただきたいと思います。
義本審議官におかれましては、きょうは大変忙しいところを済みません。御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。
次に、養豚における排せつ物処理の高度化についてということでお伺いをさせていただきたいと思います。
私は、先日、北海道の鹿追町というところに行ってまいりました。ここの、牛の家畜ふん尿処理のメタンガスによる発電、それからガス精製ということで、いわゆるバイオガスプラントを視察してまいりまして、想像以上でございました。一日の処理量は成牛換算で千三百頭、電気は固定買い取り制度によって売電し、さらにプロパンガスをつくる、また液肥も販売するということで、成果は大変大きいというふうに思いました。
こうしたことが養豚の分野でも進展する、その必要性はあるのではないかと私は思ったわけなんですけれども、現在の豚の飼育動向を見ますと、一戸当たりの飼育頭数はふえているものの、戸数は減少傾向にあると聞いております。
そこで、このことにあわせて、豚の排せつ物の処理の高度化に取り組むことによって、それらの事業の進展に向けてはどうかと思っています。そのことがまず一つ。
それから、現場を回っておりますと、養豚業者の方々からは大変厳しい昨今の経営状況を訴えられます。養豚の経営安定対策事業をぜひ継続していただきたいということ、あわせて、ここが特に言われるんですけれども、生産者と国との積み立て割合、現行一対一ですけれども、この生産者の負担軽減を求める声が大変多い状況でございまして、この点についての所見をお伺いしたいと思います。
○江藤副大臣 この排せつ物につきましては、養豚経営については非常に大変な問題だということは、長年の課題であります。
大臣も先ほど申されましたけれども、混住化をしているということもあって、環境問題、地域住民との問題、それから内水面の問題とか下流域の漁協とのやりとりとか、いろいろなことがありまして、今までは浄化槽で曝気をして流すという方法をとってきたわけでありますが、確かにこれからは、高度化していって、いわゆるロータリー攪拌機を使った堆肥舎をつくるようなことも支援をしていく必要があるというふうに認識をいたしております。
そのためには、メニューとしましては、先生御存じの強農とか、個人向けの支援としましては、畜産環境整備リース事業、それから畜産経営環境調和推進資金、こういうところを活用していただきたいというふうに思っております。
それから、積み立てのお話でありますけれども、これは平成二十二年、御存じのとおり、我々が政権じゃない時代であります、こちらの時代でございますけれども、三対一から一対一にというふうに見直しがされまして、それから、その後に、我々の時代になりますが、今度は配合飼料価格が高騰しているという現状を踏まえまして、平成二十五年に、生産コストと粗収益の差に着目をして支払いを行う方法に見直しをしました。それから、屠畜経費も生産コストの中に入れるという見直しも行ったところであります。
確かに、牛の方は三対一ということで、一対一と比べると見劣りがするという御意見は私のところにも多数寄せられておりますけれども、牛の世界でいきますと、出生してから出荷されるまで大体三十カ月、豚の場合は大体七カ月ぐらいですか、それぐらい期間の差もありますし、差額関税制度がありまして、これは従量税ではありません、従価税でやっているわけでありますけれども、従量税換算してWTO基準でやると三桁ぐらいの関税率にもなるということもあります。
しかし、昨今、今先生御指摘のように、なかなか厳しい、配合飼料価格の高騰等の現状もありますので、そういったことも踏まえながら、今後慎重に検討させていただきたいというふうに考えております。
○稲津委員 次に移ります。
次は、いわゆる規制改革会議農業ワーキング・グループから出された意見についてお伺いしたいと思うんですけれども、農業委員会について伺います。
これは、現行の選挙制度を廃止して、市町村長による選任に一元化するというふうにあります。ただ、このことが果たしてどうなのかということなんですね。もちろん、専門的知識を有する委員の登用ですとか、女性あるいは認定農業者の担い手なども登用する仕組みへの移行というのは、これは現場からも声が出ておりまして、必要かなと思うんですが、市町村長による選任ということになりますと、果たして独立した行政組織である農業委員会の政治的な中立性とか、継続性とか、あるいは人選の透明性とか、そういうものが本当に担保できるのかどうかというところは非常に気になるところです。
それともう一点は、上部組織である都道府県農業会議と中央の会議所の廃止によって、今度は情報交換とかネットワーク組織のそうした利点などがなくなってしまう、そういう懸念があると私は思うんです。
この点について、大臣はどのような御所見をお持ちか、お答えください。
○林国務大臣 農業委員会は、昭和二十六年に、農業全般にわたる問題を農業者が自主的に解決していくために、地方自治体の組織として設置をしたものでありまして、委員の選出方法は、今お話がありましたが、当時は、農地改革直後ということで、どの農民もおおよそ同じ経営規模の農業者であったということもあって、選挙制を採用しております。
全国組織の全国農業会議所と都道府県農業会議は、農業委員会法上、農業委員会の系統組織ということで、農業及び農民に関する意見公表、行政庁への建議、それから農業及び農民に関する情報提供、調査研究等を行っているほか、実態上、新規就農や企業の農業参入の相談窓口業務を行うといった、担い手の育成確保に向けて、系統のネットワークを生かして活動しているところです。
今、稲津先生おっしゃったように、農業委員会は、農地に関する市町村の独立行政委員会で、担い手への農地利用の集積、集約化、新規参入の促進、耕作放棄地の発生防止、解消、こういうものを積極的に進めていくことが今後何よりも重要だと思っております。
したがって、委員の選出のあり方、それから全国組織、都道府県組織のあり方についても、現行制度制定時の考え方が現時点でも妥当であるか否か、こういう判断も含めて検討していく必要があると思っております。具体的な内容については、与党と協議しながらしっかり検討していきたいと思っております。
○稲津委員 時間になりましたので終わらせていただきますが、もう一問、実はJAのことについても質問したかったのですけれども、正組合員と准組合員の比率の問題、二分の一を超えないという、そういう提案がありましたが、そうであれば、実は、地方の農村地域のさまざまなライフラインは農協がかなり担っているという点で考えますと、到底これは受け入れがたい、このように思っておりまして、機会がありましたら、また質疑をさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○坂本委員長 次に、玉木雄一郎君。
○玉木委員 民主党の玉木雄一郎です。
きょうは、豚と花のことを中心に聞きたいと思います。
まず、養豚について。
先ほど江藤副大臣からも少し言及がありましたけれども、民主党政権下の農政というのは、いろいろな批判もありましたけれども、私は、よくできた制度がいっぱいあると思っているんです。その一つが養豚であります。
平成二十二年度の全国肉豚、それまで二五%の国の補助率だったのが五〇%、一対一まで、ある種、補助率を倍増させたというのは、私はこれは大きな進展だったと思います。
それでも、これは九十九億円です。新マルキンが、十倍とはいきませんけれども、八百七十億ぐらいだったと思いますので、牛に比べれば、そうはいってもまだまだ補助水準としては非常に薄いなというふうに私は思っております。その意味で、これはもっと拡充をしていくべきだというふうに思います。
もう一つ言うと、今TPPでも話題の差額関税制度でありますけれども、分岐点価格以下のいわゆる低価格帯については、私はこの委員会でも何度も指摘をしましたけれども、ざるだったわけですよ。今もそういう面があります。
ただ、関税局長から二十四年の四月に、きちんとした課税の適正化ということを業界の皆さんにも要望をいただきましたし、もう政界を引退されましたけれども、中井前予算委員長が大変熱心にこの点に取り組んで、財務省を呼んで、きちんとやれと言ったことによって、国境措置が、制度が予定したようにきちっと入るようになりました。その結果、枝肉価格の低迷に一定の歯どめがかかった。これも大きな成果だったというふうに思っております。
そこでお伺いしたいのは、今も少し申し上げましたが、牛の新マルキンについては、国と生産者の積立金の比率が一対三ということで、かなり手厚い支援になっているのに対して、豚については、拡充したとはいっても、まだ一対一であります。ここを継続的に、できれば牛並みに近づけていく。私は、畜種によって制度が、支援のあり方が違うというのはどうかと思うんですね。ですから、ここは、さらに養豚業を発展させていく、生産者の皆さんが安心して生産に取り組んでいける、後継者の皆さんも将来に展望が持てるということを確保するためには、この積み立ての比率、ぜひ牛並みの一対三に拡充すべきだと私は思うんです。
そもそも、なぜ支援のありようがこんなに違っているのか、同じように近づけることはできないのかどうか、まず、この点についてお答えください。
○佐藤政府参考人 お答えいたします。
先ほど江藤副大臣からの御答弁もあったわけでございますが、牛と豚の積み立ての割合が違っているわけでございます。
先ほど御答弁いただきましたように、牛は、生まれてから出荷までの期間が和牛で約三十カ月というふうに長くなっておりまして、出荷時の収益性を見込むことはなかなか難しいという経営上の高いリスクがあるというふうに考えております。これに対しまして、養豚につきましては、その期間が七カ月と短いといったことで、比較した場合、経営上のリスクというものが牛に比べて低いといったこと。
それと、先ほど話が出ておりましたが、豚については、牛と異なって、差額関税制度といったような保護措置があるといったようなことで、やはり置かれているいろいろな環境が違うといったようなことがありまして、これについては、こういう点を踏まえまして、十分慎重に検討していく必要があるんじゃないか、このように考えているところでございます。
○玉木委員 それは随分慎重な検討ですね。
多分、差額関税制度があるから、十分な国境措置があるので国内的な支援が余り要らないという答弁だと思いますが、これも、前回、私はこの委員会で聞きましたけれども、分岐点価格以下にかかっている関税はわずか三十数億円しかないんですよ。ということは、そこは十分な国境措置として機能していないということです。にもかかわらず、それがあるから支援が薄くていいというのは、これはまさに役人答弁だと私は思いますよ。ここは、慎重に検討というよりも、むしろ前向きにしっかり検討していっていただきたいなと思います。
あわせて、今TPPで議論がされております、差額関税制度をもう撤廃する、あるいは国境措置がより低くなっていくということがありますけれども、ここの根っこが揺らいでしまうと、幾らいい支援措置をつくっても、国境措置が全くない中で日本で養豚を続けることはなかなか難しくなると私は思いますよ。
ですから、本委員会でも決議をした農林水産委員会の決議、重要五項目を守る、このこともあわせてしっかりとやっていただきたいなというその決意を、通告はないんですけれども、大臣にお聞かせいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○林国務大臣 養豚全体については、先ほども申し上げたとおり、しっかりと経営安定に向けていろいろな諸施策をやっていきたいと思っております。
また、TPPについては、繰り返しになってしまうかもしれませんが、決議をいただいております。牛肉・豚肉ということでございます。しっかりと決議を踏まえて交渉に当たってまいりたいと思っております。
○玉木委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
もう一点、養豚について申し上げたいと思いますが、PEDであります。
連休前後の全国的な蔓延に比べれば、少し収束をしてきたかなとも思うんですけれども、私はぜひ政府にも御検討いただきたいのは、我々は、政権当時、口蹄疫を担当いたしまして、大変なものだということを実感いたしました。ただ、今回のPEDに関しては、いわゆる家畜伝染病予防法、家伝法における家畜伝染病、要は法定伝染病ではないんですね。そのことによって、この委員会でもありましたけれども、どういう支援メニューが受けられるのか、経済的なセーフティーネットが使えるのか、使えないのか、こういったことについても当初は極めて曖昧でありました。
もちろん、今PEDについては届け出伝染病というカテゴリーで法律上規定されておりますけれども、今回、これほどの被害が広がったこと、そしてまたアメリカにおいても大変大きな被害が広がっていること、そのもとの由来はどうも中国から来ているのではないのか、つまり、国境を越えて世界に広がる、そしてまた経済的な損失が非常に大きい病気の一つだというふうに思います。
ですから、私は、今回の教訓を踏まえて、さまざまな見直しをすればいい、あるいはすべきだと思うのが二つあります。
一つは、PEDについては、国際獣疫事務局、OIE、ここに対する届け出義務が必ずしもかかっていないと思います。いわゆるOIEのリスト疾病に入っていませんので、国際的な情報の共有とか連携というものが法定伝染病よりも弱いと思うので、この点については、今回の国際的な蔓延を踏まえて、国際的な見直しをぜひ日本がリードして引っ張っていってもらいたい、新しいルールや基準をぜひつくってもらいたいということが一点であります。
もう一つは、今の家畜伝染病予防法における法的なカテゴリーを、法定伝染病まで上げることは難しくても、やはりこれだけの被害が生じる、あるいは潜在的な広がりがあるということを踏まえて、新たなカテゴリーをぜひ設けてはどうかというふうに思います。
例えば、法律上の患畜、疑似患畜と言われるものについては、原則、法定伝染病に伴う患畜、疑似患畜だと思います。こういったものが指定されれば、移動制限がかかったり、あるいは隔離の義務が生じたりするんですが、届け出伝染病においては必ずしもこういった厳しいカテゴリーになっていないというふうに思いますので、先ほど申し上げたような国際的な情報の共有の仕組みや、あるいは家伝法の必要な見直しも含めた対応の強化といったことを図るべきだと考えますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
○江藤副大臣 国際的な情報の共有化、これはとても大切な観点だと思います。これだけ人の出入りが激しい国際社会にあって、他国での発生状況を把握する、OIEに対する働きかけも日本がリードしてやるという御提言は、極めていい御提言だと思いますので、しっかり受けとめさせていただきたいと思います。
それから、新しいカテゴリーの話ですけれども、非常に悩ましいところだと思います。これは届け出でありますけれども、これを法定伝染病にしてほしいという御要望が実際に養豚農家の方々からあるかというと、ないのは委員もよく御存じのとおりです。移動制限がかかったり、かえって経済的損失が余りにも大き過ぎる。
ただ、私どもも、今回、発生当初から、広げないように一生懸命努力をいたしました。農林省もしましたし、市町村も都道府県もやってくれたと思います。しかし、ここには絶対入らないだろう、例えば宮崎でも、ここだけは絶対入らないだろうというようなところにも入るんですよ。国の研究施設にも入りました。
こういうことであれば、新しいカテゴリーをつくるかどうかについては、今明言はできませんけれども、家伝法の改正というものは、口蹄疫発生以来から、柔軟的に行っていくべきものだと私自身は思っておりますので、この件についても受けとめさせていただきたいというふうに思います。
○玉木委員 これまでのいろいろな制度上の調整はあるので、どういった形の対応ができるのか、これはぜひ抜けのないように、前向きに検討していただきたいと思いますし、口蹄疫のときもそうでしたけれども、今回発生したことを次に生かしていくということがやはり重要だと思いますので、その点についても、ぜひ積極的な検討をお願いしたいというふうに思っております。
次に、花の話に移りたいと思います。
きょうも、齋藤委員初め、この話が出ましたけれども、まず、私はあえて提起をしたいのは、花卉という言葉は、皆さん、難しいと思いませんか。農林水産委員会でカキといえば、山になっている柿か、海にあるカキか、どっちかがまず思い浮かびます。
花卉という言葉は、確かに、広辞苑を引いたり、いろいろなところに載っていますけれども、ちょっとこの花卉という言葉が、これからまさに花卉を振興していくという意味では、JAにも花卉部会なんかがありますけれども、言葉が少し、古臭いとは言いませんけれども、難しいのかなというふうに私は思っております。
ちなみに、その意味でまず伺いたいのは、花卉というと、普通、切りバラなんかを、バラとかカーネーションとかをイメージしますけれども、この花卉という中に盆栽は入っていますか。
○林国務大臣 花卉は、広辞苑等によっても、広く観賞の用に供される植物、こうされております。
具体的には、今お話のあった切り花、それから鉢物、ここに洋ランとか盆栽、観葉植物等が入る。それから、植木のような花木、球根、花壇用の苗物、芝とか、こういうものが花卉に含まれるというのが一般的である、こういうふうに思っております。
○玉木委員 なぜ盆栽のことをあえて聞いたかというと、私の地元が盆栽が盛んだということは別にしておいて、輸出戦略としてこれから花卉を重要なことに位置づけていく、私も大賛成であります。
その中で、今現在、いわゆる花卉、難しい言葉の花卉というカテゴリーの中で、切り花ではない盆栽、あるいは木のような植栽、こういったものが占める割合はどの程度ですか。
○佐藤政府参考人 お答えいたします。
今御指摘の、我が国の花卉の輸出額でございますが、平成十六年は十六億円であったわけですが、二十五年では百億円と、増加傾向で推移しております。
内訳でございますが、植木、盆栽、鉢物が九十四億円で、輸出額全体の九四%を占めております。切り花が一億円で、これは輸出額の一%。球根やその他が五億円ということで、これが輸出額の五%というふうになっているところでございます。
○玉木委員 なぜあえて最初に花卉の言葉の話を挙げたかというと、今お聞きになったと思いますが、輸出額のうち、何と九四%がいわゆる盆栽とか植木とかで、花というふうに端的に思い浮かぶものは、実はわずか数%しかなくて、ほとんどがこういう盆栽、鉢物なわけですね。
ですから、もちろん切り花もどんどんふやしていかなきゃいけませんけれども、現在大きな比率を占めている盆栽等についても、やはりしっかりと振興していく必要があると私は思っているんです。
一つ質問したいのは、なぜ盆栽、鉢物の話をしたかというと、切り花と違って、これは土が一緒になって入っているんですね。これを輸出しようとすると、植物検疫がどうしても厳しくひっかかってくるんです、土と一緒に出しますから。この植物検疫があるがために、盆栽を輸出される方も、皆さんなかなか苦労されています。
私が聞いたところによると、台湾との間には一定の取り決めがあって、そういった植物検疫についての一定の手続があるので出せるそうなんですが、中国にはないんですね。ヨーロッパには二年間の登録制度というのがあって、これも一定のルールの中で、一旦免許のようなものをもらえば、二年間だけは有効で、輸出ができるというようなものがあるそうです。
ただ、これから大きな成長が見込まれるASEAN諸国であるとか、今申し上げた中国、こういったところには、植物検疫に関する二国間あるいは多国間のルールがありません。なので、輸出が非常に難しいし、煩雑だという話があります。
しかも、盆栽の中で最も主要なところを占めるクロマツについては、どの国も輸入制限をかけています。松くい虫があって、日本も大変な被害が全国に広がりましたけれども、クロマツについては一切だめというふうになっておりますので、逆に、うまくルール化して、きちんと互いの国で、こういうことは輸出の際は守りましょうよというルールができて、クロマツの輸出がいろいろな国にできれば、多分、今の輸出額は、倍増どころか、もっともっとふえると思います。
ですから、こういった植物検疫に関して、まず各国の制度がどうなっているのかということをきっちり調査して、仮にいろいろな制度上のでこぼこがあるのであれば、調和、いわゆる制度のハーモナイゼーション、こういったことをしっかりやっていくことが、広い意味での花卉の振興には不可欠だと思うんですけれども、この点については政府としていかがでしょうか。
○林国務大臣 植物防疫に関する国際条約において、植物の輸入国は、植物の病害虫の侵入を防ぎ、自国の農業を守るために、国際的なルールに従い、科学的根拠に基づいた植物検疫を実施するということになっております。いわゆるSPS協定というものです。
こうした中で、我が国からの花卉の輸出ですが、切り花は、今おっしゃっていただいたように、簡易な手続で輸出が可能な国が多い一方で、盆栽、とりわけ土つきのものは、病害虫が付着するリスクが極めて高いということで、厳しい検疫措置がとられております。
今お話のあったEUについては、登録された圃場で二年間栽培管理の上で年六回の検査を行う栽培地検査等を課しているということであります。我が国も、実は、土のついた植物の輸入は禁止をしております。
したがって、全世界に向けてというよりも、この間つくった戦略の中で重点国というのを決めまして、例えば中国、EUということになっておりますが、こういうところを中心にやっていく必要があろうかな、こういうふうに思います。
現在、アメリカ向けの盆栽の輸出条件の緩和について協議を行っておりまして、EU向けの盆栽の輸出条件の緩和についても、国内産地の御要望があれば、海外のニーズを踏まえて、先ほど申し上げました国際ルールと科学的根拠に基づいて働きかけをしていきたい、こういうふうに思っております。
○玉木委員 それは大変重要なことだと私は思いますので、農林水産省、また外務省、関係省庁が連携して、政府一丸となって取り組んでいただきたいなと思います。
いわゆるレシプロシティーというものだと思いますが、相互主義ですから、我が国としても一定のことをやる必要はもちろんあると思うんですが、他国との関係で、まずは二国間で、ターゲット国ですよね、そういったことが特に出ていきやすい国とは早目にそういう協議を始めていただくことが大事かなというふうに思います。
今、例えば第三国経由で、ベトナム経由で中国に入れたりとか、いろいろな工夫とか知恵を絞りながらやっているという話も一方で聞きます。正面からしっかりとしたルールの中でやるということが私は大事だと思いますので、政府としての積極的な検討をお願いしたい、取り組みをお願いしたいと思います。
もう一つ、花卉振興の法律を皆さんで議論して、我々としてもこれをぜひ通したいというふうに思っていますけれども、国が基本方針を定めて、地方でいろいろやってもらうというようなことが、先ほど質問があり、副大臣がお答えになりましたけれども、これは花卉に限らず、私が現場でいろいろ話を聞いて感じるのは、国が方針を決めても、地方がやらないんですね。あるいは、つくるんだけれども、地方独自の足切り基準を決めていて、国としては制度があるのに、裏負担がきついので、なかなか出したくないので、一定以上じゃないと、一定の大きさじゃないと、あるいは一定の被害じゃないとだめですと言って、現場でそれをはねているケースが、農林水産部門だけではなくて、およそ国の施策に関するものでは多いと思うんです。
ですから、本当に花卉の振興を全国津々浦々図っていくためには、国がもちろんしっかりとやることと同時に、地方、これは都道府県、市町村のレベル、両方そうですけれども、こういったところでもやはりしっかりと国の定めた方針をできるように、ある意味、国としても促していくといったことが必要だと思います。この点についてはいかがでしょうか。
○林国務大臣 花卉の振興に当たっては、国はもちろんですが、都道府県、市町村レベルの行政関係者の皆さん、そして、そこにとどまらずに、生産者、流通業者、消費者、そして芸術文化、生け花等も含めて、幅広い分野の関係者がやはり一体となって取り組んでいくということが大事だと思っております。
先ほど申し上げました、本年度からの国産花きイノベーション推進事業、これを活用しまして、新たに四十三都道府県で県及び花卉関係者等による協議会が設置をされまして、地域段階で花卉振興をやっていこうという整備がなされたところであります。
今後は、都道府県段階において、独自の試験研究機関を持っておられるところもあります、産地ブランドを形成していただくという意味でも大変重要な役割を担っておられると思いますので、この事業を通じて、都道府県の花卉振興方策の策定、地域の特色を生かした品目の生産供給体制の強化、それから県民フラワーフェスティバル等の需要拡大に向けた新たなイベントの推進、こういう具体的な都道府県の花卉振興の取り組み、これを支援してまいりたいと思っております。
○玉木委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
最後に、冒頭申し上げましたけれども、花卉という言葉がどうしてもちょっと、振興を図っていく上でも難しいなと思いますし、花卉という言葉から、例えば輸出においては非常に大きな割合を占める盆栽、そういったものはイメージされませんので、新しい法律ができた際には、これはフラワー・グリーン法とか、もっと易しく、わかりやすい、そういう一般通称なんかで呼んで、盆栽なんかも含まれるし、多くの人に親しみやすい花卉振興が行われるということをぜひ願いたいと思いますし、進めていただきたいなと思っております。
最後に、残りの時間で、農協の改革について聞きたいと思います。
規制改革会議で中央会の廃止ということが言われてから、新聞、マスコミでもこの点については大変多く取り上げられておりますし、これも報道ですけれども、どうも自民党さんの中でも、五年間の猶予期間を設けて、全中については廃止をするんだというような報道にも接しました。
実態はどうなのかよくわからないんですけれども、まず確認したいのは、規制改革会議の農業ワーキング・グループで、たしか十六回ぐらい議論をしているというふうに思うんですね。そもそも、中央会を廃止しましょうということ、こういう議論の背景というか理由、これが一体何なのかということ。
あと、事実としてまず確認したいのは、確かに、農協については、十六回のワーキングの中で六、七回議論されていると思います。いろいろな単協を呼んだり、都道府県中央会を呼んだりして聞いているのは、私も全部読んでいます。ただ、全部読みましたけれども、中央会を廃止しろという、廃止という言葉は、私は一回も出てきていないと思うんですよ。
この中央会の廃止が今回の規制改革会議の提言の一つの大きなメニューですけれども、一体どういう議論の過程を経て、何回議論してこの大きな目玉である廃止ということを書くに至ったか、その経緯を教えてください。
○大川政府参考人 お答えいたします。
昨年十月から本年四月にかけまして、規制改革会議農業ワーキング・グループにおきましては、全国農業協同組合中央会、全中、全国農業協同組合連合会、全国共済農業協同組合連合会、ホクレン農業協同組合連合会及び八つの単位農協等、多数の農業関係者からヒアリングを実施してきているところでございます。
また、四月八日に開催されました第十四回の農業ワーキング・グループにおきましては、全中から自己改革プランについての説明を受けたところでございますが、委員からは、具体性に欠ける等の意見が出されたところでございます。
このような意見交換を踏まえながら、委員間でさまざまな議論が行われ、農協の統合が進み、規模や環境が多様化している中で、中央会による指示や指導を法律で定める必要がなくなっているのではないか、また、各農協が主役となって自主的に地域農業の発展に取り組むことができるよう、各農協を中心に系統を再構築すべきではないかといった形で意見が集約され、都道府県の中央会も含めた中央会制度を廃止する提言につながったものと理解しております。
○玉木委員 二つ確認したいと思います。
私は全部読んだんですけれども、読み切れていないところがあるので教えてほしいんですが、そのヒアリングをした人の中から、中央会を廃止した方がいいという意見が一回でも、一人でもありましたか。このことについて教えてほしいのです。
二つ目は、中央会といっても、全中と都道府県中央会と二つあります。どちらが弊害が多くて、どちらを廃止するんですか。両方ですか。あるいは、全中なんですか、都道府県中央会なんですか。
それぞれの農協あるいは農業というのは地域差がありますので、地域の自主性はもっともっと生かせるようなことをした方がいい、私も賛成です。であれば、都道府県中央会は必ずしも潰す必要はないと思うんですが、今の、あるいは規制改革会議の文書を見ても、それは全中の話をしているのか、都道府県中央会の話をしているのか、にわかにはよくわかりません。わからないので、議事録を全部読んだんですが、そのことがわかる、判別できる議論がどこにも書かれていませんでした。
なぜこういう提言になっているのか、もう一度経緯を教えてください。
○大川政府参考人 お答え申し上げます。
まず、第一点目でございますけれども、農業ワーキング・グループの場におきましては、ヒアリング対象者からは、中央会制度に対する廃止の要望等は出されなかったというふうに認識しております。
それから、第二点目でございますが、意見の中には、あくまでも中央会制度の廃止ということで書かれてございますので、これにつきましては、全国、都道府県含めての中央会制度の廃止という趣旨だというふうに理解しております。
○玉木委員 よくわかりませんね。ちょっと皆さん、驚きませんか。
私は、農協はもちろん改革しなきゃいけないところがあるのはわかります。うちは、おやじもじいちゃんも農協にお世話になっていましたからね。ただ、やはり議論は大事だと思うんですね、あるいは議論の過程というものは。そのことに正当性がなければ、やはり変えていこうとするその成果物についても、みんなが納得できるものにならないと思うんです。
今、ヒアリングをして、いろいろな人から意見を聞いたけれども、一人からも、誰からも廃止の提言は出ていないんですよ。皆さん、聞きましたか。その後、いろいろ踏まえて委員間で討議をして出てきたと。私は、これはちょっと議論が粗っぽいんじゃないかなと思いますよ。
加えて、中央会を廃止というのが全国の中央会の話なのか都道府県中央会なのか、それを分けた議論もない中で、中央会と書いてあるから、多分両方含むんでしょう、こんなことで組織をいじっていいんですか。
あえて是非は言いません。ただ、議論のあり方、物事の進め方として極めて問題が大きいということは明確に指摘をしておきたいと私は思います。これは、与野党の先生方あわせて同じ思いだと思います。
ですから、集団的自衛権の話じゃないですけれども、やはり国会の場でしっかりと、農協の組織、先ほども出ました農業委員会も含めて、今回提言が出ているものについては、行政府の中だけで、あるいは一部の会議のもとで、しかも、ワーキング・グループが提言したもの、そこでのヒアリングでは一回も出てきていない意見をもとにまとめたもので、何十年と続いてきた制度を変えていくことは私は反対です。ですから、しっかりとした立法府での、国会での議論を行った上で、やはりしかるべき方向性を出していくべきだということを強く申し上げておきたいと思っております。
時間になりましたので、これでやめますけれども、当委員会でも、こういった農政の大きな改革、とりわけ、組織の見直し、農業委員会、農協、土地の所有の形態のあり方、法人のあり方、こういったものについてはぜひ集中審議をしていただきたい。このことを委員長に御検討、お取り計らいいただきたいということを最後にお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
○坂本委員長 後ほど理事会で協議をいたします。
○玉木委員 よろしくお願いいたします。
○坂本委員長 次に、村岡敏英君。
○村岡委員 日本維新の会の村岡でございます。
先日、予算委員会で農林大臣に来ていただいたのに、質問の時間がなくて、大変申しわけございませんでした。きょうは、時間を三十分いただいているので、お話しさせていただきたいと思います。
質問を通告している中でちょっと順番を変えて、玉木委員が農業改革に関して御質問されていましたので、それに続けて質問させていただきたいと思います。
この前の予算委員会でも、総理に、中央会制度の廃止、全農の株式会社化、単協の専門化ということで質問させていただきました。その中には、全農を株式会社化することも、それから、全中を廃止したり、また、農業委員会の選挙制度の廃止ということで総理にお伺いしたところ、これは断固、農政転換のチャンスだから、やりたい、実行すると。また、稲田規制改革担当大臣もそのように話しておられました。林農林大臣はどのような決意なんでしょうか。
○林国務大臣 五月十九日の産業競争力会議の課題別会合、ここで安倍総理から、農業委員会の見直し、農地を所有できる法人の要件見直しについて具体化を図っていきたい、また、農業協同組合のあり方について、地域の農協が主役となり、それぞれの独自性を発揮して農業の成長産業化に全力投入できるように、抜本的に見直していきたい、以上の三点の改革をセットで断行していく、こういう御発言がありまして、改めて、今お話のあった五月二十八日の衆議院予算委員会でも改革の決意を総理が述べられたということでございます。
私としても、今後、与党と協議しながら、農業者、中でも担い手の農業者から評価をされて、農業の成長産業化に資する改革案を早急に検討したいと考えております。
○村岡委員 その中身はこれから自民党と相談してということですけれども、先ほどの玉木委員からの話でいきますと、それぞれの改革のところで本当にヒアリングして聞いているのかということが問題になりました。
よく、新しい予算をつける、振興法ですと、いろいろな方々に聞いたときには、それが必ずしも実際の審議の中に生かされなかった場合でも、振興したり、予算を新しくつけるということで、それは非常にいいことだとは思っています。でも、このぐらいの改革をしようといったときに、その委員が、例えば、全中を廃止しろとか、農業委員会の選挙制度はだめだとか、全農は株式会社化しろとか、もしいろいろな意見が全くないままにやったとすれば、それは真剣な議論をしていたとは思えません。
例えば、新聞の中には、越前のたけふ農協ですか、そちらの方は、全中から、米絡みの会合が来なくなった、経済連から一切相手にされなくなった、資材も買えなくなった、こういう話でも、それが、ただ新聞記事やそういうのを委員に配って、中で審議していないとすれば、急に出てくる改革というのはおかしくなります。やはり審議をしっかりとしないままに改革を出してきたとすれば、何か聞いた話だけ、実態がわからないまま改革になったとすれば、大きな問題ですけれども、そこは大臣はどのように思われていますでしょうか。
○林国務大臣 規制改革会議の中のどういう経緯だったかというのは、先ほど答弁があったとおりでございます。私はその場にいたわけではございませんので、そういうやり方をしたんだなという受けとめをしております。
一般論として、何か物を決めていくときというのは、やはり報道によるということにとどまらず、実際にはどうなのかということを当事者やいろいろな方からお聞きした方が実態がさらに正確に伝わるのではないかなという意味では、委員がおっしゃった、一般論としてそういうことはあるのではないかなというふうには思います。
○村岡委員 大臣、例えばそういう議論がその中で出ていないのに制度改革を一挙に進めるというのは、実際には丁寧な手続ではありません。
例えば、その委員会じゃなくて、新聞やテレビの報道で、農業委員会の選挙なんていうのは、九割選挙はないからおかしいじゃないかと言っている人がいる、それからまた、全中は、例えばたけふですか、そのところでこういう行動をやっていたのはおかしいじゃないかと、よもやま話みたいに聞いたことだけでその制度の改革がいくとすれば、それは何のための政府の改革会議なのかわかりません。そういうのはしっかりやっていかなければ、この改革が出てくるのはおかしいと思っています。
江藤副大臣は、たしか出ておられたんじゃなかったでしょうか。出ていないですか。(江藤副大臣「産業競争力会議に」と呼ぶ)ああ、そうですか。なるほど、わかりました。
では、そういう今の議論に対して、江藤副大臣、どうでしょうか。
○江藤副大臣 何のために改革をするかというと、大臣も先ほどからおっしゃっていらっしゃいましたけれども、これからの担い手の方々にとって将来を見通せる農政を展開するために改革は行うべきものであって、その原点がどこにあるかということを見失わない議論をやはりしていかなきゃならないんだろうと思います。
私はもちろん規制改革会議は出ておりませんけれども、産業競争力会議でも多少は議論にはなりました。しかし、そこに参加する産業界の方々の中にもさまざまな御意見がありまして、農協の果たすべき役割、これまでの業績等を高く評価する御意見等も出たことは、委員にはお知らせをしておきたいと思います。
○村岡委員 改革を進めることはいいんです。担い手、そして将来の農業を成長産業に、やはり農業が成長していくためには、それぞれの今の組織を変えていくことももちろん必要です。
しかし、何が悪かったかという検証がしっかりしていないでやったら、それは農業の団体も農業者もついていけません。これまでの農業政策でなかなかうまくいかなかった原因は、国が決めて、その決めたことに農業者がついてこられなかったら、やはりうまくいかないわけです。その部分では、農業者自体でもここが問題だという検証があってこそ、新しい改革は必要だ、こう思っております。
例えば、林農林大臣は、三つのセットを断行していく、中身は別にして。それでは、この三つのうち、農業委員会に関してどこが問題だという御認識でしょうか。
○林国務大臣 農業委員会の改革案は、既に示されているところでございます。
また、この委員会でも、あるいは参議院の方の委員会でも、農業者のアンケートについてのやりとりがございます。実際にアンケートをとってみますと、いろいろな方によってそれぞれ数字は違いますが、農業委員会がもう少し実質的にワークしてほしいというような現場の農業者の方の意向があらわれる数字も出てきておるわけでございます。
先ほど、稲津先生だったと思いますが、そのときにお答えしたのと同じようになりますけれども、農業委員会というのは市町村の独立行政委員会でございます。担い手への農地利用の集積、集約化とか、新規参入の促進、耕作放棄地の発生防止、解消、これを積極的に進めていくということが何より重要だ、こういうことでございます。
こういうことの問題意識は規制改革会議も共通である、こういうふうに思っておりますが、具体的な内容についてどうするかというのは、まさに今から与党と、これは自民党にとどまらず、公明党も与党でいらっしゃいますので、与党と協議をしながら検討していきたい、こういうふうに思っております。
○村岡委員 結果、どういう改革になるかは与党での会議の中で決まっていくんでしょうけれども、しかし、どういう問題認識があるかというのは、やはり農林大臣が思っていなければおかしなはずです。
先ほど例で言ったように、農協の全中というのが、独自にやろうとしたら、資材とかそういうのを販売してくれないとか、いろいろな問題がある。その部分が新聞記事なんかに出ています。そうすれば、農業委員会に関しては別にして、全中に関しては何か問題があるという認識が、大臣の認識はどうなんでしょうか。
○林国務大臣 農協中央会でございますが、農業協同組合法に基づいて、農協それから農協連合会の健全な発達を図ることを目的として、全国段階、それから都道府県段階に、それぞれ一つに限り設立されるということでございます。
合併の促進や連合会の再編を進めることによって、農協、連合会それぞれの経営基盤の強化、それからJAバンクシステムのもとでの経営不振農協の処理で、農協の健全性の確保に取り組んできたところでございます。
農協について申しますと、合併等によって、農協の経営基盤、それから財務内容が強化されるということは進んできたわけですが、一方で、農産物の販売というところを見ますと、農業者、特に担い手農業者の期待に十分応えていないのではないか、こういう声もあるのも事実であります。
JAの方からも、自己改革ということで、農産物販売等に最重点を置いてやっていくというのが出されているところであります。まさに、農産物販売を有利に行う、また資材の調達を有利に行うということによって、農業者の所得を向上し、地域の農業を発展させる、そういうことをするために、みずから農協が創意工夫をして経済事業を展開する、こういうことをどうやったらさらにできていくのかということを検討する、これがまずあって、それを検討するのにあわせて、その農協をサポートする中央会というのはどうしたらよいのか、こういうことを真剣に検討する必要がある、こういうふうに考えております。
○村岡委員 そうしますと、政府での三つの改革というのは、一応そういうボールを投げて、もう一度いろいろな、与党でもそうですけれども、この農水委員会で集中審議を通じて、本当に農業の改革のラストチャンスだという思いでじっくりと集中審議でやっていただきたい、こう思っているんですけれども、大臣、どのように思っていますでしょうか。
○林国務大臣 国会でどういうふうにやられるかというのは、まさに国会でお決めになることでございますので、私からはあれこれ言うことは差し控えたいと思います。
○村岡委員 もちろん、ルール上、大臣は言えないでしょうけれども、この改革は本当に重要です。本当にラストチャンスとして農業が成長産業になるのか、それともこの改革によってむしろ農業が衰退するのか、大変な瀬戸際にあると思いますので、ぜひ集中審議をお願いしたい、このように思っております。
通告していた次の質問に移らせていただきます。
西村副大臣にはわざわざ来ていただきまして、ありがとうございます。
TPPの交渉は、本当に何回議論しても全く中身がわからない。そして、結果的に一進一退と今回書いておられますけれども、何回も一進一退で、一体いつになったら、期限を決めないことが交渉を努力しているんだというお話です。
そして、甘利担当大臣は、八合目まで来たけれども、八合目に来て急げば高山病になると。高山病になるというのは、頭痛がする、目まいがする、そして、急性だと肺に水がたまって死んでしまうという、これは大変な病気です。しかし、それはどういう意味なのか、さっぱりわからない。
八合目まで行って高山病。例えば、交渉している人がいろいろなバッシングを受けて、少しとどまって、マスコミや何かがいろいろなことを報道してくれると、だんだんとみんな厳しさがわかって、そして、なれてきたから、それよりは少し下げれば、いや、よくやった、こう思われると思っているのか。それとも、八合目にとどまって、頂上は見えているけれども、自民党や与党を何とか抑え込むために、高山病というのは与党の反対が少しおさまるようにしているのか。どうもそういうのが全然わからないんです。
甘利大臣の八合目という意味は、大体こういう例え話は決着がつきそうなときの言いわけだと私は長年見ていて思うんですけれども、そうじゃなく、どういう意味なんでしょうか、これは。
○西村副大臣 高山病の例えを甘利大臣が引かれて話されたという話は私も聞きましたけれども、その意味するところはぜひ甘利大臣に何かの機会でまた聞いていただければと思います。
私の理解は、二十九日、三十日で、私どもの大江首席交渉官代理とカトラー代行との間で、ここもまたかなり詰めた議論が行われたというふうに報告を受けております。八合目まで来たというのは、甘利大臣も私もそういうふうに認識をしておりますが、全体にかなり間合いが詰まってきて、ここから先の道筋が見えつつある、見えてきたというところだと思います。
最後に残ったところというか、道筋は見えてきたけれども、そこを詰める議論、交渉というのは相当厳しい交渉になっていると思います。先が見えてきたところで、最後に残った厳しいところ、その道筋をどう行くのかという厳しいところが今残っていますので、相当厳しい議論をやりとりする中で、行ったり来たりしながら進んでいるというところを大江代理は一進一退という言い方をされたんじゃないかと思います。
いずれにしても、これから引き続き粘り強く交渉していくということであります。七月には首席交渉官会議をやるということは閣僚間で決まっておりますので、今月末にももう一度事務レベルの交渉をやって、何とかその間合いをさらに詰めていく、そういう努力をこれからしていくということになります。
○村岡委員 副大臣も、八合目という認識は甘利担当大臣と同じだと。そうすると、頂上は見えているはずなんですね。八合目ということは、頂上がなければ。八合目まで来て、あと二合登れば頂上ですから。
この頂上というのを、報道では、SG、セーフガードとか、いろいろな意味で書いておりますけれども、関税のことは、アメリカとのいろいろな交渉の中で、中身の数字は聞きませんけれども、アメリカの抵抗は、むしろ日本にオバマ大統領が来たときよりも非常にきつくなっている。しかし、それをセーフガードの中では抑えられる、そこがせめぎ合いをしている、こういう認識は言っていただけないでしょうね。だけれども、むしろ関税のことは厳しくなっている、そのことも言えないですか。
○西村副大臣 厳しい交渉が続いているのは事実であります。特に、先行き、道筋は、甘利、フロマン両閣僚間で、パラメーターと言ったり、方程式と言ったり、言い方はともかくとして、道筋が見えてきた中で、最後の詰めのところが、これは相当厳しい議論になるのは間違いありませんし、ここから先も相当厳しい議論がまだ続くというふうに理解をしております。
○村岡委員 林大臣にもお聞きしたいんです。
安倍総理が野党時代、総裁のとき、野田総理との党首討論で、約束を果たすべきだ、なぜ私たちはそう言い続けてきたか、それは、政治の本質、国民の政治への信頼にかかわるからでありますと。これは消費税の上げに関してだと思います。主要な政策を百八十度変えるんですから、国民に対して改めて信を問うのは当然であります、このようなことを総理が言いました。
私は、別にTPPで信を問えと言っているわけじゃないんですが、それだけ選挙の中で自民党総裁として、そのときには、TPPの決議、断固阻止する、こういう中で、今聞いていますと、やはり関税は下がるわけです。そこをセーフガードで守ろうとしているのが大体見えてはきていると思っております。しかしながら、この約束、決議というものが、公約、やはりこれは守ると何回も、予算委員会で聞いても言っております。
今の状況の中で、農林大臣としては、よく言われる方程式の中で、全体的なパッケージで守れば、やはり守っている、そこが農業の再生産もできるところだ、このぎりぎりの線で、甘利担当大臣、総理に、ぜひ頑張ってくれということを言っていらっしゃるんでしょうか。それとも、どのように言っていらっしゃるんでしょうか。
○林国務大臣 私は、余り例え話が得意でないものですから、お経のようにと言うと怒られるかもしれませんが、同じことを繰り返し申し上げるようにしております。
それは、国会で決議をいただいておりますので、その決議を踏まえて、国益を守り抜くようにしっかりと交渉する、もうこれに尽きると思っております。余りいろいろなことを言うと、またそれはどういう意味かということで、要らぬ影響、誤解を招いてもいけませんので、常にこれでしっかりとやっていきたいと思っております。
○村岡委員 やはり林大臣は閣僚の中でも一番慎重な方ですので、そのような答えでしょう。
でも、この前、予算委員会で安倍総理にお聞きしたとき、林農林大臣のように、決議を踏まえとは絶対言わなかったんです。受けとめてしか言わなかったんです。何度も聞いても、踏まえては言わないで、受けとめて。これを私じゃない人が質問して攻めていましたけれども、踏まえてと言ってくださいと、大串委員だったですかね、予算委員会で。踏まえてと言ってくださいと言っても、受けとめてしか言わなかった。この真意は林大臣に聞いても、多分横で聞いていたんです、何で踏まえてを、林農林大臣のように慎重な人が踏まえてと言ったのに、受けとめてで、変えなかったんでしょうか。
○林国務大臣 そのときもたしか御答弁をあるいはしたかもしれませんが、踏まえと受けとめという言葉について、特に何か意図的に差を持って使っているというわけではないということで、議事録を見ると、総理も甘利大臣も踏まえということもお使いになったこともある、こういうふうに承知をしております。したがって、そこに何か違いというのが余りないのではないかと私も思っております。
私は、最初から踏まえと申し上げてきたので、余り変えるのもよくないなと思って、ずっと踏まえというふうに言っておるわけでございます。
○村岡委員 余り変えるのはよくない、そういう言い方はちょっと問題だとは思いますが、確実に、この前の予算委員会では、踏まえては言わないで、受けとめてだけでした。そして、先ほど聞いた農業改革に関しては、踏まえてとちゃんと言っておりました。そういう意味では、だんだんとこの決議に関して弱腰になってきた、言葉を少しずつ変えてきたんじゃないかなと。これでは、やはりよくないんです。
やはり本当に、どのぐらいの交渉にあるか、何回も言っていますけれども、別に外に公表しないで、しっかりとこの農林水産委員会で、絶対外には漏らさないような形で、どのような交渉になっているか。これは、与党の議員の人たちだって、地元に説明しなきゃいけない。我々も、別にすぐ情報を与えるというわけじゃなくて、それを一緒になって、実際に国会の承認のときには、きつい交渉結果になっても農業を守るという対策をこの農水委員会でもやっていける、こう思っているんですけれども、その辺はやはり、副大臣、中身に関しては交渉が妥結するまでは一切言わないという方針で、もう変わらないということですか。
○西村副大臣 毎回閣僚会議が開かれるごとに、その場で何を発表するかという文書を共同声明のような形で出す、それも閣僚間で議論が行われて出されますので、一定の範囲のものはそこで示しているわけであります。したがって、今後も、閣僚会議が開かれるごとに、どの範囲のことを対外的に出すかということの相談が行われていきますので、その都度、その範囲での声明が出される、発表が行われるということであります。
ただ、ベースは、お互いに交渉の内容は外には出さないという信頼関係のもとに交渉が進んでいるということでございます。
○村岡委員 同じやりとりになってしまうんですけれども、やはりこの交渉というのは、TPPは農業改革と一緒に、これは農業の改革の中で、TPPの結果いかんによっては、いろいろな農業改革というのも変えていかなきゃいけないことも出てきます。
同時に来ると、もちろん年月はかかるわけですけれども、その部分でいくと、今までは、TPPと農業の改革、私も、TPPいかんにかかわらず農業改革はするべきだ、いろいろな改革をしておかなきゃ農業は衰退してしまう、こう言っていましたけれども、八合目まで来た、そして、ことし中なのか来年なのかわかりませんけれども、そろそろこれは真剣に、逆に言うと、我々に全部を明かさなくてもいいですから、そのセットになってきたと思っているんです。
セットで、その結果がどのようになるかというのをある程度見据えて、農業改革というのはやるということを規制改革会議が発表したのも、農林大臣も、よし、これを断行しよう、総理も、やろうというのは、TPPと全く関係ないんですか。大臣、どういう認識ですか。
○林国務大臣 これは、かねがね申し上げておりますように、TPPいかんにかかわらず、耕作放棄地一つとっても、また農業従事者の平均年齢をとっても、昨年の十二月にまとめさせていただいたプランに従って改革をしていくということは待ったなしの課題である、こういうふうに思っております。
実は、そのときに、十二月に官邸でプランを決めた中に、農協とか農業委員会については来年の六月までに、したがって、ことしの六月ですが、いろいろなところの検討を経て改革案をまとめる、そのまとめた改革案をあの十二月のプランの改定として行うということを十二月に決めております。
そういう意味では、昨年の十二月からの一連の改革という位置づけを我々はしておりまして、したがって、TPPいかんにかかわらず、これはセットとしてやるということは申し上げてもいいのではないかと思っております。
○村岡委員 やはり交渉の結果は、必ずこの改革は絡んでいかなければ、TPPの交渉で関税が下がって、今まで守られていた聖域の関税が下げられたとすれば、それは相当な、農業者に対して大変な対策をとらなきゃいけない、改革をしていかなきゃいけないというところだと思いますので、まだ交渉の中身はわかりませんけれども、やはり国益を重視しながら副大臣にも頑張っていただきたいと思いますが、最後に、TPPに対して決意を。
○西村副大臣 日本の国益が最大となるよう、攻めるべきは攻め、守るべきは守る、この基本方針のもと、もちろん国会決議をしっかり踏まえて、交渉を粘り強く頑張っていきたいと思います。
○村岡委員 攻めるべきは攻める、守るべきは守ると言うんですけれども、何か守るべき、守るべきでいっていると、やはり攻めなきゃいけないです。攻めをぜひお願いして、西村副大臣はどうぞ。ありがとうございました。
それで、あともう一つ、議員立法での花卉の振興についてです。
先ほどいろいろな議論がありましたけれども、日本の花は、バブルのころには大変大きな需要があり、そして、花を栽培する人たちも、秋田でも、ハウスで花を栽培している人たちがいっぱいおりました。しかし、需要がどんと落ちて、やめている人たちもかなりおります。そういう意味では、花を振興、また日本じゅうに花の需要をふやしていくという対策の中でこの振興法ができてきているわけですけれども、前に大臣にお聞きいたしましたオランダは、いろいろな意味で、花を他国にも、つくったものをまとめてやる、オランダのような施設をこれから日本も参考にしなきゃいけない、このように話されていました。
そういう意味では、花に関して振興を進めていくべきで、実際に見に行った林農林大臣として、どのようにオランダの農業を見習うべきなのか、どういうふうに感じていらっしゃいますでしょうか。
○林国務大臣 花卉産業の振興は、国内需要の拡大とあわせて、やはり輸出の促進の取り組みが重要であると思っております。
したがって、まず、国内需要は、消費者の関心の高い、日もちする、こういう日もちの向上を図るための徹底した温度管理とか鮮度保持剤ということの使用によるコールドチェーンの整備の支援、それから輸出促進については、まとめさせていただいた計画で、平成二十五年の百億を、平成三十二年に百五十億円を目指そうということで、オランダやケニア等の先進国の事例を踏まえて、オール・ジャパン体制によるプロモーション活動への支援に取り組もうとしております。
オランダを見に行きまして、この間もちょっと申し上げたかもしれませんが、私が行ったところは大変大きな、一つのハウスがたしか四ヘクタールぐらい、高さ八メートルです。そこは、パプリカでしたけれども、全部機械でコントロールをして、御家族五人ぐらいでやっておられる、こういうことでございました。
こういうものをやろうということで、次世代施設園芸導入加速化支援事業、二十五年度の補正と今年度の当初で、三十億と二十億で五十億確保しまして、今、全国九カ所の新たな施設園芸産地の整備への支援に努めております。
オランダでは、CO2をロッテルダムからパイプで引いてきてやっておりましたが、我が国の場合は木質バイオマスというのがありますので、これで熱を供給するということにあわせて、できれば、CO2も出ます、したがって、CO2を使ってやるということも、日本版の次世代施設ということで取り組んでいければ、こういうふうに思っております。
オランダの例も参考にしながら、我が国独自の取り組みも加えて、しっかりとこういう整備への支援をしていきたいと考えております。
○村岡委員 もう時間が参りましたのでやめますけれども、花卉の振興は、大臣もオランダの農業を参考にということですので、日本はまだビニールハウスなんですが、ガラスとかにしていろいろな管理をすると、これは耐震構造で、相当な施設費用がかかります。そういう部分もぜひ考えていただきたい、こう思っております。
そして、前に、大臣と副大臣と私は同い年と言いましたけれども、自分たちも妻には必ず誕生日や結婚記念日に花を贈るように、私もしておりますので、お二人もぜひお願いしたいと思います。
質問、どうもありがとうございました。
○坂本委員長 次に、林宙紀君。
○林(宙)委員 午前中に引き続きまして、結いの党の林宙紀でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
養豚に関する法案というものが出されるやというふうに聞いておりますので、きょうは、その中で、恐らく大変重点が置かれているであろうエコフィードというものについてお伺いしていきたいなと思うんです。
エコフィードといえば、基本的には、食品残渣を利用しまして、豚ですとか鳥、そういったものの飼料にしていきましょうというものなんですけれども、エコフィードとして提供される飼料が、通常の配合飼料に比べれば、大分安い価格で仕入れられるというところもあるんです。
エコフィードは、原料の収集ですとか加工といったところにはそれなりのコストがかかっていると思うんですけれども、その安さも踏まえまして、どのぐらいのコストがかかって生産されているのかというところをまず教えてください。
○佐藤政府参考人 お答えいたします。
食品残渣などを活用した飼料、いわゆるエコフィードでございますが、原料及び製造方法のほか、原料の収集や加工などに係るコストにつきましても非常に多様でありますために、その製造コストを一律にお答えすることは困難でございますが、これは販売価格に反映されているというふうに考えておるところでございます。
当方で実施しましたエコフィードの製造業者からの聞き取り調査結果によりますと、エコフィードの販売価格でございますが、乾燥飼料につきましてはキログラム二十五円、サイレージ飼料と呼んでおりますが、発酵飼料ですと二十七円、リキッド飼料になりますとキログラム六円ということになっておるところでございます。
これらは、配合飼料の工場渡し価格である、キログラム当たり約六十五円、全畜種の加重平均でございますが、これと比較すれば、いずれも安い価格となっているところでございます。
○林(宙)委員 そんな御説明をいただいたところで、本当に、これはもっと使える余地があると思いますので、どんどん奨励していただきたいというふうに思っているんです。
お伺いしたかったのは、エコフィードの認証制度にまつわるところなんですけれども、エコフィードの認証制度、エコフィードという名前そのものを使うというところの認証、それからもう一つ、エコフィードマークを使うという意味でのエコフィード利用畜産物認証制度というものがあるわけなんです。
この名称を使う、あるいはマークを使うといったところには、当然、商標権といったものが設定されていまして、商標権が設定されるということは、通常、その使用料等々がかかるはずなんですけれども、これについてはどのような状況になっているでしょうか。
○佐藤政府参考人 お答えいたします。
エコフィードに関する認証制度でございますが、先ほど申し上げましたように、食料残渣を使うということで、社会的な認知といったものがまだまだ不十分であったということと、あとは、消費者の皆さん方への理解を深めていただくということで、こうした認証制度といったものを平成二十年度からスタートさせているところでございます。
その際、今先生の方からお話ございましたように、エコフィードという名称の商標権は公益社団法人配合飼料供給安定機構というところが取得しております。それと、エコフィードを使った畜産物につけるマークの商標権は公益社団法人中央畜産会が保有しておりますが、この商標やマークの使用料については無料ということになっているところでございます。
○林(宙)委員 商標権、その使用料は無料であるということで、大変使いやすい状態であるなというふうには理解します。
もう一つお伺いしたいのは、このエコフィード認証制度は、ちょっと複雑というか、何でこんなに分散しているんだろうということなんです。
まず、今お話にもちょっと出てきましたけれども、エコフィードの商標権、名称の商標権については配合飼料供給安定機構が所有をしている。一方で、エコフィードのマークは中央畜産会が保有しているということなんですね。ただし、認証する機関は日本科学飼料協会ということになっているわけです。
認証をするところと商標権を持っているところが全く別のところであるということで、それ自体が何か問題かと言われれば、そのような形態をとっているものもあるでしょうから。ただ、見えにくいと思うんですよね。
おまけに、今御説明あったように、マークを使ったり名前を使ったりすること自体は無料だ。特に、そこに何かしらの利益が発生するわけじゃないのであれば、こんなものは統合してしまえばよろしいんじゃないかなと私なんかは思うわけなんですが、これはどういった関係でこのようになっているのかというのを教えてください。
○佐藤政府参考人 お答えいたします。
まず、食品残渣等を使ってつくりますエコフィードそのものでございますが、これについては、食品残渣等の利用率や栄養成分等について一定の基準を満たす必要がございますので、この飼料をエコフィードといったことで定義しておりまして、これに該当するかどうかにつきまして、こういった専門的な、飼料の安全性等に知見を有します一般社団法人日本科学飼料協会、こういうところがやっておるところでございます。
認証されましたエコフィードをしっかりと、給与計画に基づきまして、エコフィードを使って給与して、一定の基準を満たして生産された畜産物、これをエコフィード利用畜産物と定義しまして、これにつきましては、畜産物全般について知見を有します公益社団法人中央畜産会が認証しているというところでございまして、今先生が御指摘いただきましたように、非常に複雑ではあるんですが、それ相応の理由があって、このようなことでしっかりと責任を持ってもらって認証をしていただいている、こういうことでございます。
○林(宙)委員 それ相応の複雑な理由があるんだということでございましたので、それを簡潔に今この場でお述べいただきたいなという思いはありつつ、そういう、分けているんだったら分けている理由があるんだよというのであれば、これはしっかりと説明をしていただきたいと思うんです。
私が申し上げたいのは、農水省さんからいただいた資料の中に、先ほど、マークについては中央畜産会で商標権を持っていますよというお話だったんですけれども、まず、このエコフィードそのものを使うことを認証された、いわゆる日本科学飼料協会が認証した事業者、製造業者ということなんですが、一応、情報公開していいですかという同意をとっているらしいんですよね。その同意が得られた業者については、そのまま科学飼料協会のホームページですとか、商標権を持っている配合飼料供給安定機構のホームページとかで公開されるものなのかなと思ったら、これは一括で中央畜産会のホームページで公開されるということなんですね。
それ自体が何か悪いということをここでは申し上げるつもりはないんですけれども、そういった意味で、こういった権利関係のものはもっとすっきりさせていただいた方がよろしいと私は思うんですね。
先ほど申し上げましたけれども、商標権によって何か利益が発生しているということであれば、配合飼料供給安定機構の方も、いや、それはちょっと、そっちに移動させるのは嫌ですということを言うかもしれませんけれども、発生していないんですから、これはもっとわかりやすいようにした方が、製造業者の皆さんにとっても、あるいは公開された情報を使う一般の方にとっても、いいことなんじゃないのかなと思うので、これはぜひ御検討いただきたい、それ相応の理由というのをぜひクリアしていただきたいなと思っております。
今、このように申し上げてきたところで、基本的にエコフィードそのものはもっと使われるようにしていただきたい、製造されるようにしていただきたいという思いはありながら、やはり、今、それを阻むというか、ある程度壁があると思うんです。いわゆる克服すべき課題、それを一つ二つ具体的に挙げていただけるとありがたいです。
○佐藤政府参考人 お答えいたします。
食品残渣等を活用しましたエコフィードでございますが、原料は、食品製造業由来の残渣を中心といたしまして、生産、利用量が順調に伸びておりまして、この十年間で倍増しております。
ちなみに申し上げますと、平成十五年度は四十八万TDNトンといった数字でございましたが、二十四年度は百四万TDNトンということになっておりまして、これにつきましては、濃厚飼料全体の栄養量の五・五%を占めまして、これは輸入トウモロコシに換算しますと約百三十万トンに相当する数量と相なっているところでございます。
このように、食品残渣の飼料化を含めた再生利用につきましては、関係者の努力もあり、進んでいるわけでございますが、その中で、食品製造業の再生利用率というのは平成二十四年度で約八〇%と申しますか七八%に達しているわけでございます。
他方、異物などの分別の手間や経費が必要であることから、食品小売業あるいは外食産業由来の食品残渣等については、いまだ廃棄処分が多いという現状にありまして、再生利用率は、それぞれ三六%、二〇%というふうになっているところでございます。
○林(宙)委員 ありがとうございます。
少しずつ増産してきているよということで、資料なんかもいただいておりますので、ぜひこのペースでどんどんふやしていただきたいなと思うんです。
それで、きょうは十五分しかないので、残り時間はかなり少ないんですけれども、最後になると思いますが、申しわけございません、通告していなかったんですけれども、今、資料を見ていて思ったことがあったので、もし答えられたらお答えいただきたいと思うんです。
今、製造数量のお話を局長にいただきましたので、それに関して、エコフィードの製造数量というこの資料、これは農水省さんからいただいているものです。この中に、済みません、皆さんにお配りしていない資料で恐縮なんですけれども、濃厚飼料全体に占めるエコフィード全体量の割合ということでパーセンテージ表示されているものがありますが、これはおわかりになりますでしょうか。
これは、平成十五年度は二・四%、二十四年度に五・五%とかなり上がってきているなというところはあるんですけれども、何が言いたいかというと、右の軸のパーセンテージと、ここに記載されているパーセンテージの数字が合わないんですよ。五・五%と書いてあるくせに、右軸をそのままつうっと見ると六%のところに行っていたりとか、そもそも右軸が、本来ゼロから始まるポイントが二%から始まっていますので、見ると、このグラフだと三%ぐらいのところに二・四%と書いてあったりとか。
非常に瑣末なことなんですけれども、私は常々農林水産委員会で、データはしっかりと出してくださいというお話をしていると思うんです。たまたまこの六%と五・五%、そんなにこだわらなくてもいいじゃないかと言うかもしれませんが、実は、〇・一%単位でも、大きな単位になっていった場合には、非常に差が出てくる場合があるわけであって、だからこそ、こういうデータの取り扱いは気をつけてくださいねということを申し上げているわけなんです。
ということで、これはどっちが本当なんでしょうかということを最後に聞かせてください。
○佐藤政府参考人 大変申しわけございませんでした。数字なり、図の描き方につきまして粗雑な点がありましたことをおわび申し上げたいと思っております。
いずれにいたしましても、今先生がごらんいただいておりますこの数字につきましては、右側の方といいますか、注というか、一つ一つ書いてある、こっちの数字というのが正確な数字でございますので、また改めまして、しっかり資料を整理させていただきまして、御説明申し上げたいと思っております。
○林(宙)委員 本当に、こんな質問をするのはどうなのかなと思いながら今質問させていただきましたけれども、今国会では、資料等々についてのミスなどがあって、国会がとまったりということもありましたので、このぐらいだったらまだ全然問題はないでしょうけれども、そういうことにつながっていかないように、ぜひ、こういった資料の提供についても気をつけていただきたいなということを最後に申し上げて、今回の質問とさせていただきたいと思います。
どうもありがとうございました。
○坂本委員長 次に、畑浩治君。
○畑委員 生活の党の畑浩治でございます。
早速質問に入らせていただきます。
養豚、花卉の関係の法案ということで、振興法が今検討されて、きょう採決ということでありますが、振興法のあり方について、ちょっと思うところを述べたいと思います。
振興法というのがいろいろあるわけでして、酪農振興法、養鶏振興法、養蜂あるいはお茶なんかもある。これらの振興法というのは、その時々の事情で、議員立法でできているものが多いものですから、大体、なかなか法律事項がなくて、基本方針とか訓示事項、努力義務等から成っている。まあ、花卉は一つありましたね。出願料等の減免というところがある。結局、こういうことにして、振興法というのはいろいろ乱立していく。
これは、本来、必要であれば、一つの基準のもとで、先ほど玉木議員からもありましたが、牛と豚は違うというのもあったり、そこは本当は一つの思想のもとで整理して、統一した考えでやるべきだなという思いは私もあるわけです。
これは、国交分野なんかでいうと、地域立法でその議論があります。地域立法というのが、多極分散とか過疎法とか山村振興、豪雪とか、やはりそれぞれの事情でできて、結局、日本全体を覆ってしまっているんですよね。だから、そうすると、地域の振興ということじゃなくて、オール・ジャパンの田舎の振興になっている。だから、そこは整理すべきだという議論は、古くて新しい議論ですが、昔からあります。
今回のこの二法を見ていると、農水分野の業振興法も、なかなか同じような問題があるのではないかなと思った次第であります。行く行くは、農水省として、いろいろ乱立したものを一つの考えで整理していく必要があると思うんですが、これはすぐにはできない。簡単な問題ではないんですが、そういう中で、あるいは足りない部分がまだあったら出して、どこまでやればいいのかという議論もあるだろうと思います。
このことについてのお答えは、きのうやりとりしても、なかなか事務的にも難しかったようでして、難しいからいいんですけれども、さはさりながら、このような状況を、いろいろある状況を踏まえて、なぜ今、花卉と養豚なのか、この法律の内容も含めて、法律が必要な理由について、端的にお伺いしたいと思います。これは議員立法ですが、正確に言うと、その法律が必要であると思うのかどうかの認識も含めてということですが、よろしくお願いします。
○林国務大臣 その背景ということで申し上げますと、まず、花卉の振興に関しては、国産花卉の産出額が減少傾向で推移をしております。切り花の輸入量が増加傾向であるということで、国産花卉の生産流通体制の強化が求められているということでございますので、その振興を図るための立法の検討が進められている、こういうふうに承知をしているところでございます。
また、養豚の振興に関しては、養豚農業が輸入穀物を主原料とする配合飼料に大きく依存をする中で、この配合飼料の価格が高どまりをしております。経営コストに占める飼料費の割合が六六%ということであります。それから、混住化の進展等によって、悪臭その他の環境問題が経営展開の制約となる場合がある。こういう課題に直面しているということも踏まえて、その振興を図るための立法の検討ということで進められておられるんだろう、こういうふうに承知をしております。
農水省としては、これらの議員立法の検討につきましては、花卉や養豚をめぐる諸課題に対応するものというふうに受けとめておりまして、立法化された場合には、所管省庁として、関係省庁と連携しながら、適切に対応してまいりたい、こういうふうに考えております。
○畑委員 ありがとうございました。
それで、養豚の法律の中に法律事項っぽいのが一つありまして、その他の中の附則ですね。食品残渣を原材料とする飼料の製造及びその利用の促進を図る観点から、これらに係る規制について検討と、規制をいじっている部分というか、いじっていませんが、これから検討ということで書いてあるわけで、法律的に必要ならば、ここのところを端的にいじればいいわけでして、もちろん、今それ以外の振興の必要があるから、あわせてこういう法律だというのは、これは否定しませんけれども、それで、この規制の部分についてちょっとお伺いしたいと思うわけです。
この食品残渣の利用の促進のための規制というのは、恐らく廃掃法なり食品リサイクル法というところだろうと思うんですが、いずれにしても、これらに係る規制を見直すということについて、これが通った場合、この法律を踏まえて検討が必要になってくるんですが、現段階でどのような認識をお持ちでしょうか。お伺いします。
○浮島大臣政務官 畑委員にお答え申し上げます。
食品残渣の再生の利用につきましては、循環型社会の形成の推進上、大変重要な課題であると認識をいたしているところでもございます。
このため、食品リサイクル法におきまして、食品関連業者の業種ごと、例えば生産、卸、小売、外食等でございますけれども、その業種ごとに目標値を設定すること等によりまして、食品残渣の再生利用の取り組みを促進しているところでございます。
また、食品残渣の再生利用の円滑化を図っていくために、食品メーカー等の食品関連事業者、そして再生利用事業者、これは飼料や肥料などをつくるところでございますけれども、それと農家の皆様等関係者の顔が見えるという、三者が連携をいたしまして食品のリサイクルを行う取り組み、いわゆる食品のリサイクルループというのをつくっておりまして、国が認定を行っているところでございます。これにより認定を受ければ、廃棄物処理法上、一般の廃棄物の収集、運搬の許可を不要とする特例制度を設けているところでもございます。
こうした措置によりまして、今全体で年間約二千万トン出ている食品残渣でございますけれども、そのうちの約半分、一千万トンの食品残渣が飼料として再生利用をされているところでもございます。
また、現在、食品リサイクル法につきまして、環境省と農水省との合同審議会におきまして見直しの検討を行わせていただいているところでございまして、現時点で廃棄物処理法に関する新たな特例制度が必要との指摘はなされていないところでございますけれども、一方で、食品リサイクルのループ、これにつきましては、しっかりと拡大をしていかなければならない、これが必要であると評価がなされているところでございますので、今後、当該制度の活用をより一層推進を図ってまいりたいと思っているところでございます。
○畑委員 現段階で現行法の不都合は認識されていないということでありますので、恐らく、中長期の課題ということも含めて、立法者の気持ちでは入れておられるんだろうと思います。
いずれにしましても、食品ループが閉じている場合のリサイクルというところを広げるというやり方が一つと、あと、そこから外れている場合、まさに廃掃法の許可そのものを食品残渣でどうするかというところと二通りがあるわけで、これは使いやすいあり方ということで検討が引き続きされていくことになると思いますので、よろしくお願いいたします。
特に、環境に配慮しながら、ただ、エコフィード、食品残渣の利用促進というのは非常に重要な課題だと思っておりますので、ぜひとも、またいろいろな検討をよろしくお願いしたいと思っております。
次の質問に行かせていただきます。
TPPの協議で、豚肉の関税を大幅に下げるというのが報道されておりまして、養豚農業振興法には、養豚農家の経営の安定のための必要な施策を講じるよう努めるという旨の規定がありまして、当然しっかりやっていかなきゃいけないというのは、これからもうかがえるわけです。
この振興のための施策を打っていく場合には、当然のことながら、例えばパッケージ方式、方程式合意でいろいろいじっていく場合に、微妙な中で、どれがより被害が少ないか、問題が出てこないかということの検討が内部でなされるのが当然だと思います。これは、まだ試算までしているかどうかというのは別に求めませんが、ただ、事務的な議論をする場合に、ここをいじって、ここをこうやった場合の組み合わせで、やはりこれがいいな、悪いなというメリット、デメリットというのは、当然、常識的に検討はされるんだろうと思うんです。
そのようなことはしているのでしょうか。お伺いします。
○林国務大臣 先月の二十九日から二日間で、ワシントンで日米実務者協議が行われたわけでございますが、先ほど西村副大臣からも答弁があったと思いますが、農産品の取り扱い等の日米間の残された課題について、一定の前進はあったものの、依然として日米双方の主張の隔たりは埋まっていない、こういうふうに承知をしております。
国会における決議を踏まえて、国益を守り抜くよう全力で交渉に当たっているところでございまして、国内農業への影響、それからこれに対する対応、これはまだ交渉中でございます。したがって、これについて述べることは、現時点では時期尚早であるというふうに考えております。
○畑委員 では、この件ではなくても結構です。
一般論でお伺いしたいわけですが、これはどの政策でもそうですけれども、今JAの改革もありますが、いろいろな法律をつくる場合でも、規制を打つ場合でも、振興策で支援する場合でも、当然、施策を打つ場合には、その施策を打つ場合の効果と副作用、デメリットというのを見ながら、大体、比較考量して検討していくというのが役所の実務的な常識であります。そうしないと、上司にとても怒られて、上げられないものでありまして、私も昔、政策をやる場合には、役所にいるときはそういうことをして詰められた記憶もありますが、かように霞が関というのは、えいやでやる役所ではありませんので、必要以上に詰めるところでもあるので、定性的な議論も含めてやはりやっているんだろうと思います。
この件というわけではなくて、一般論でお伺いしますが、政策をやる場合には、そういうメリット、デメリットを踏まえた議論というのは当然やるものだと思いますが、農水省のやり方はいかがでしょうか。
○林国務大臣 あらゆる政策は、メリット、デメリット、なるべくデメリットを減らしてメリットをふやすような政策というのが望ましい、こういうふうに思っておりますが、一方で、いろいろな制約、財政的な制約でございますとか、通商交渉の場合は相手がある、こういうことも、制約というか条件というか、そういうものがあろうかと思います。
そういう制約、条件の中で、メリットを最大化し、デメリットを最小化する、これが求められる姿ではないか、こういうふうに考えております。
○畑委員 ありがとうございました。
結局、関税引き下げとかをやる場合に、それに決定しているわけじゃないというのは、今までのあれで、それは百歩譲って認めるとして、やはりいろいろな選択肢というのは腹の中で検討して、急に相手からボールを投げられた場合に、打ち返すために勉強しているのだろうと思います。
一般論としてお聞きして、一般論としてやはりそういう政策の検討はするものだというお答えをいただいたので、本日は、それ以上は問い詰めませんが、大体穏当な答えだったと思います。
こういう中で、しっかり検討して、国益を最大にするということをおっしゃっていますので、当然だと思いますので、検討してやっていただきたいと思うし、そうやっているものだと、今の話の端々からうかがえたところであります。
それでは、花卉の話をちょっとさせていただきたいと思います。
花卉文化の振興については、実は、以前、私はドイツの大使館にいたことがありまして、ドイツというのは、ベランダなんかに花を飾っていまして、すごくきれいなんですよね。これはドイツ語圏が大体そんな感じで、オーストリアとかスイス、アルプスの山小屋なんかもそうなんですけれども、大変きれいで、そういう花を飾る心が根づいているなと思いました。
これは施策なのかメンタリティーなのか、両面あると思うんですけれども、花卉の法律をつくる場合でも、公共施設に花を飾るというのは、これは公共だから一番やりやすい、そういうところは必要なんですが、いかに民間というか一般の人が花をめでて飾るようにしてくれるかというところを、施策かなんかでできないかなという思いがあります。
花を愛するメンタリティーというのは、花を、何かあれば、誕生日で贈るとか、あるいはバレンタインデーで贈るというのは、それはもちろんいいんですが、そういうことをするとともに、何とかきれいな国をつくるという意味で、町とか家とか通りとか、花を個人も飾ってほしいなという思いがありまして、そういうことも含めて、日常生活において花卉の利用を推進すること、これが必要だと思います。その施策の推進についてはどのような認識でしょうか、お伺いします。
○林国務大臣 切り花の一世帯当たりの購入金額でございますが、残念ながら、長期的に減少しておりまして、平成十三年が一万一千五百三十六円、これが平成二十四年に九千五百四十一円、こういうふうになっております。
また、世代別に見ますと、若年層ほど購入金額が低い。二十九歳までが千四百七十二円で、三十歳から三十九歳になると三千百十二円、四十代が四千九百円、五十代が八千八百八十四円、六十代は一万三千八百九十六円、こういうことでございます。
この需要拡大に当たって、やはり無購買や低購買層への働きかけが有効であろうということと、ドイツの御経験というお話がありましたが、やはり日常的に花がある生活というのを定着させる、こういうことが大事だと思っております。
このために、我が省として、公共施設に花を飾るだけでなくて、インテリア業界等との連携による個人の家における活用機会の提案とか、それから関係者が、個人の購買のきっかけづくりとなる新しい物日、フラワーバレンタインが二月十四日、いい夫婦の日が十一月二十二日等、こういうものに向けた活動に対して支援をしていこう、それから季節の行事と一体となった四季折々の日本の花文化についての普及啓発等を推進していく、こういうことで消費拡大に努めてまいりたいと思っております。
○畑委員 確かに、花については、今まで施策の法体系がすぽっと抜けている部分だったと思います。この法律をもとに、まさに国民のメンタリティーの部分も含めて、醸成と推進というか、そのコーディネートも含めて農水省にやっていただくように取り組みをよろしくお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
――――◇―――――
○坂本委員長 次に、養豚農業振興法案起草の件について議事を進めます。
本件につきましては、各党間の協議の結果、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を得ました。
本起草案の趣旨及び主な内容につきまして御説明申し上げます。
本案は、養豚農業が、国民の食生活の安定に寄与し、及び地域経済に貢献する重要な産業であること並びに食品残渣を原材料とする飼料の利用等を通じて循環型社会の形成に寄与する産業であることに鑑み、養豚農業の振興を図ろうとするもので、その主な内容は次のとおりであります。
第一に、養豚農業の振興に関する基本方針についてであります。
農林水産大臣は、養豚農業の振興の意義及び基本的な方向に関する事項等を内容とする基本方針を定めることとしております。
第二に、国及び地方公共団体の施策についてであります。
国及び地方公共団体は、養豚農家の経営の安定、養豚農家による食品残渣または国内において生産された飼料用の米穀等を原材料とする飼料の利用の増進、豚の飼養衛生管理の高度化等に必要な施策を講ずるよう努めることとしております。
第三に、援助についてであります。
国及び地方公共団体は、養豚農家が基本方針に即した経営を行うことができるよう、必要な情報の提供、助言、指導、財政上の措置その他必要な措置を講ずるよう努めることとしております。
なお、この法律は、公布の日から施行することとするとともに、政府は、この法律の施行後速やかに、安全性を確保しつつ、食品残渣を原材料とする養豚に係る飼料の製造及びその利用の促進を図る観点から、これらに係る規制について検討を加え、その結果に基づき必要な措置を講ずることとしております。
以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。
―――――――――――――
養豚農業振興法案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○坂本委員長 お諮りいたします。
養豚農業振興法案起草の件につきましては、お手元に配付いたしております起草案を本委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○坂本委員長 起立総員。よって、本案は委員会提出の法律案とするに決定いたしました。
なお、ただいま決定いたしました法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任いただきたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○坂本委員長 この際、齋藤健君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、生活の党の四派共同提案による養豚農業の振興に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。玉木雄一郎君。
○玉木委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表いたしましてその趣旨を御説明申し上げます。
案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきたいと存じます。
養豚農業の振興に関する件(案)
我が国の養豚農業は、国民の食生活の安定に寄与するとともに、地域経済に貢献している重要な産業であり、また、食品残さを原材料とする飼料の利用等を通じて循環型社会の形成にも寄与している。
しかしながら、養豚農業を取り巻く環境は、配合飼料価格の高騰、豚流行性下痢(PED)の発生など厳しいものがあり、特に、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定については、交渉の結果によっては、我が国の養豚農業に大きな影響を与えかねないことから、養豚農家の間に不安が広がっている。
よって政府は、「養豚農業振興法」の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。
記
一 養豚経営安定対策事業について、養豚経営のセーフティネット機能が十全に発揮されるよう、養豚経営安定対策事業における国と生産者の積立金の在り方を含めた国の支援の在り方を検討し、必要な措置を講ずること。
二 国内における豚流行性下痢(PED)の感染拡大に対処し、早期のまん延防止を図るため、養豚農家による飼養衛生管理基準の遵守を徹底するとともに、防疫措置の強化を行い、これに伴う関係者の負担の軽減について配慮すること。また、本病に係る防疫対応の状況を検証し、家畜伝染病予防法の見直しも含め、必要な対策を講ずること。
三 TPP協定交渉について、我が国の養豚農業が今後とも安定的に発展できるよう、平成二十五年四月の本委員会決議「環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉参加に関する件」を遵守し、確固たる決意をもって臨むこと。また、今後の国際交渉の進捗に即応して、適時適切な国内対策を講ずるとともに、養豚農業振興法について必要な見直しを行うこと。
右決議する。
以上です。
何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
○坂本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○坂本委員長 起立多数。よって、本件は本委員会の決議とするに決しました。
この際、ただいまの決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣林芳正君。
○林国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重させていただき、関係省庁との連携を図りつつ、今後最善の努力をしてまいる所存でございます。
○坂本委員長 お諮りいたします。
ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
――――◇―――――
○坂本委員長 次に、花きの振興に関する法律案起草の件について議事を進めます。
本件につきましては、各党間の協議の結果、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を得ました。
本起草案の趣旨及び主な内容につきまして御説明申し上げます。
本案は、花卉産業が、農地や農業の担い手の確保を図る上で重要な地位を占めているとともに、その国際競争力の強化が緊要な課題となっていること及び花卉に関する伝統と文化が国民の生活に深く浸透し、国民の心豊かな生活の実現に重要な役割を担っていることに鑑み、花卉産業及び花卉の文化の振興を図ろうとするもので、その主な内容は次のとおりであります。
第一に、花卉産業及び花卉の文化の振興に関する基本方針についてであります。
農林水産大臣は、花卉産業及び花卉の文化の振興の意義及び基本的な方向に関する事項等を内容とする基本方針を定めることとし、都道府県は基本方針に即し、花卉産業及び花卉の文化の振興に関する計画を定めるよう努めなければならないこととしております。
第二に、国及び地方公共団体の施策についてであります。
国及び地方公共団体は、花卉の生産者の経営の安定、花卉の栽培の生産性及び花卉の品質の向上の促進、花卉の加工及び流通の高度化、花卉の輸出の促進、花卉の文化の振興等に必要な施策を講ずるよう努めることとしております。また、花卉の新品種の育成等に関する研究開発事業を行おうとする者は研究開発事業計画を作成し、農林水産大臣の認定を受けることができることとし、農林水産大臣の認定を受けた計画に基づく取り組みを進めるため、新品種の出願料の減免等の措置を講ずることとしております。
第三に、国の援助についてであります。
国は、地方公共団体の施策が円滑に実施されるよう、必要な情報の提供、助言、財政上の措置その他の措置を講ずるよう努めることとしております。
なお、この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。
以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。
―――――――――――――
花きの振興に関する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○坂本委員長 お諮りいたします。
花きの振興に関する法律案起草の件につきましては、お手元に配付いたしております起草案を本委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○坂本委員長 起立総員。よって、本案は委員会提出の法律案とするに決定いたしました。
なお、ただいま決定いたしました法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○坂本委員長 この際、齋藤健君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党、結いの党、生活の党の六派共同提案による花きの振興に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。鷲尾英一郎君。
○鷲尾委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきたいと存じます。
花きの振興に関する件(案)
我が国の花き産業は、農地や農業の担い手の確保を図る上で重要な地位を占めているとともに、その国際競争力の強化が緊要な課題となっている。また、花きに関する伝統と文化が国民の生活に深く浸透し、国民の心豊かな生活の実現に重要な役割を担っている。
よって政府は、「花きの振興に関する法律」の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。
記
一 花き産業及び花きの文化の振興に向けた取組については、国、地方公共団体、関係者等が緊密に連携し、一体となって進めることができるよう、法第四条に基づく振興計画が全ての都道府県において定められるよう促すとともに、市町村においても、法の趣旨を踏まえ、都道府県の振興計画に即して花き振興に積極的に取り組むことができるよう、必要な措置を講ずること。
二 「花き」とは、観賞の用に供される植物全体を指すものであり、具体的には、切り花、球根、花木類、盆栽等の鉢物、芝類、地被植物類をいうことを明確に示した上で、それぞれの特性に応じたきめ細かい振興策を講ずること。
三 花きの輸出の促進に当たっては、諸外国の植物検疫制度を調査し、事業者等に対し、輸出の円滑化に資する情報提供を行うとともに、花きに係る検疫条件について、我が国と諸外国との間で科学的根拠に基づき検疫協議が進められるよう、関係省庁とも連携して、必要な措置を講ずること。
右決議する。
以上です。
何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
○坂本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○坂本委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とすることに決しました。
この際、ただいまの決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣林芳正君。
○林国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重させていただき、関係省庁との連携を図りつつ、今後最善の努力をしてまいる所存でございます。
○坂本委員長 お諮りいたします。
ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時十四分散会