第19号 平成26年6月11日(水曜日)
平成二十六年六月十一日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 坂本 哲志君
理事 北村 誠吾君 理事 齋藤 健君
理事 谷川 弥一君 理事 宮腰 光寛君
理事 森山 裕君 理事 大串 博志君
理事 村岡 敏英君 理事 石田 祝稔君
井野 俊郎君 池田 道孝君
小里 泰弘君 加藤 寛治君
金子万寿夫君 川田 隆君
菅家 一郎君 清水 誠一君
白石 徹君 末吉 光徳君
鈴木 憲和君 武井 俊輔君
武部 新君 津島 淳君
中川 郁子君 中谷 真一君
福山 守君 藤原 崇君
細田 健一君 堀井 学君
簗 和生君 山本 拓君
湯川 一行君 渡辺 孝一君
奥野総一郎君 後藤 斎君
玉木雄一郎君 寺島 義幸君
柚木 道義君 鷲尾英一郎君
岩永 裕貴君 鈴木 義弘君
村上 政俊君 稲津 久君
樋口 尚也君 林 宙紀君
畑 浩治君 村上 史好君
…………………………………
農林水産大臣 林 芳正君
農林水産副大臣 江藤 拓君
農林水産大臣政務官 小里 泰弘君
政府参考人
(内閣府規制改革推進室次長) 大川 浩君
政府参考人
(内閣府消費者委員会事務局長) 黒木 理恵君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 杵渕 正巳君
政府参考人
(厚生労働省医薬食品局食品安全部長) 新村 和哉君
政府参考人
(農林水産省消費・安全局長) 小林 裕幸君
政府参考人
(農林水産省食料産業局長) 山下 正行君
政府参考人
(農林水産省生産局長) 佐藤 一雄君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 奥原 正明君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長) 三浦 進君
政府参考人
(水産庁長官) 本川 一善君
政府参考人
(環境省自然環境局長) 星野 一昭君
農林水産委員会専門員 栗田 郁美君
―――――――――――――
委員の異動
六月十一日
辞任 補欠選任
武井 俊輔君 中谷 真一君
橋本 英教君 白石 徹君
後藤 斎君 柚木 道義君
寺島 義幸君 奥野総一郎君
畑 浩治君 村上 史好君
同日
辞任 補欠選任
白石 徹君 藤原 崇君
中谷 真一君 湯川 一行君
奥野総一郎君 寺島 義幸君
柚木 道義君 後藤 斎君
村上 史好君 畑 浩治君
同日
辞任 補欠選任
藤原 崇君 細田 健一君
湯川 一行君 武井 俊輔君
同日
辞任 補欠選任
細田 健一君 橋本 英教君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
農林水産関係の基本施策に関する件
内水面漁業の振興に関する法律案起草の件
内水面漁業の振興に関する件
――――◇―――――
○坂本委員長 これより会議を開きます。
農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省消費・安全局長小林裕幸君、食料産業局長山下正行君、生産局長佐藤一雄君、経営局長奥原正明君、農村振興局長三浦進君、水産庁長官本川一善君、内閣府規制改革推進室次長大川浩君、消費者委員会事務局長黒木理恵さん、法務省大臣官房審議官杵渕正巳君、厚生労働省医薬食品局食品安全部長新村和哉君及び環境省自然環境局長星野一昭君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○坂本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北村誠吾君。
○北村(誠)委員 おはようございます。自由民主党の北村誠吾です。
質問の機会をお与えいただき、ありがとうございます。
早速、質問に入らせていただきます。
まず、EU向けのHACCPの認定の関係について、私どもが大いに期待をしている水産物の輸出拡大の課題を解決していくための大事な取り組みではないかと思いますので、農林水産省、わけても水産庁が、積極的に取り組んでまいりたいというふうな姿勢をお示しいただいていますので、確認の意味も込めて、お尋ねをいたします。
今後、我が国の水産物が、輸出において大きく拡大する余地があると認識をしております。特にEUに対する輸出につきましては、HACCPの認定が必要であるとなっております。このことは御存じのとおりです。現在、我が国で認定されている水産加工施設は二十九施設しかないという状況であり、昨年度の認定件数もたった二件にとどまっています。盛んにHACCP、HACCPと言う割には、実現がおくれているというもどかしさを強く感じています。
そういう中で、先日の産業競争力会議において、林大臣から、国産水産物の輸出拡大に向けた取り組みとして、EU向けHACCP施設の認定体制を強化するため、従来から取り組んでいた、所管していた厚生労働省に加え、水産庁もその認定の主体となるということが発表されたところであります。水産庁による認定は業界にとって長年の悲願であり、今回、水産庁が認定の主体となったということを高く評価します。
そこで農水省に尋ねますけれども、水産庁が認定主体となることによって、HACCPの認定の加速化ということをどのように図っていくか。この意気込み、取り組みの体制について、農水省にお尋ねをします。
○小里大臣政務官 昨年八月に公表しました水産物の輸出戦略におきましては、水産物輸出額を二〇一二年の一千七百億円から三千五百億円に倍増することを目指しております。
この目標の達成に向けましては、特に有望な市場でありますところのEUへの輸出をふやしていくことが不可欠であります。
ところが、今委員からの御指摘にありましたように、水産加工施設におけるEU向けのHACCPの取得状況が累計でも二十九件でありまして、昨年は二件にとどまったというような状況であります。ちなみに、米国のこれまでの累計認定件数が一千二十九件、中国でも六百三十四件と桁外れであります。
このため、昨年来、当省としましても、厚労省と調整をしながら、体制の強化に努めてきたところでございます。
まず、本来の認定機関でありますところの厚労省の保健所の機能を強化する、あわせて、水産庁みずからが認定主体となりまして、大日本水産会等を活用して、体制を組んでいくことになりました。その結果、昨年の年間件数二件に対して、今後は年間二十件を当分目指していく、そういうことになった次第であります。これによりまして、水産物の輸出拡大を強力に後押ししてまいりたいと存じます。
○北村(誠)委員 次に、私も生産県、出荷県の長崎県の出身であります。関心が深いので、改めてお尋ねをしますけれども、産地市場のEU・HACCP登録については、聞くところによれば、我が国内ではゼロということであります。
和食を世界遺産とし、また、世界じゅうに人気がある日本食というものを進めていこうという取り組みを実現していく中で、和食、日本食の食材のメーンを占めるであろう魚、魚介類について、EU向けのHACCP対応、登録が済んでいる産地市場は、国内に一件もないというふうなことでは、天然魚の水揚げが行われる産地市場等、体制が極めて脆弱であると言わざるを得ません。
輸出を振興していくために、産地市場の登録についても積極的に取り組まにゃいかぬと思いますけれども、この点についての取り組みはどうですか。
○小里大臣政務官 例えば、養殖魚の場合は、直接、水産加工施設に行きます。ところが、漁船でとれた魚は産地市場を経由していくわけであります。したがって、産地市場で水揚げされる水産物をEUに輸出するためには、その産地市場のHACCPの登録が必要であるということになります。
しかしながら、現在の産地市場のEU向けHACCP登録基準は、基本的には水産加工施設と同様の基準が適用されておりまして、我が国においては、登録された産地市場はないという状況であります。したがって、漁船でとれた水産物がEU向けに行くものはゼロであるという状況であります。
このような状況から、競りなどの水産物の取り扱い、特に競り場というのはEUにはほとんどないものですから、これをどう取り扱うか。競り場におけるEU向けの区画をつくるとか、そういった我が国の産地市場の特徴を踏まえた産地市場の登録基準というものをつくる必要がありまして、現在、検討を進めているところであります。
現在、我が国のEU向けに輸出される水産物はほぼ養殖物でありますが、産地市場で水揚げされる水産物についても輸出の可能性は大いにあると考えております。したがって、産地市場の登録を促進しまして、水産物の輸出拡大を加速化してまいりたいと考えておるところでございます。
○北村(誠)委員 EU向けのHACCPの登録が数多く実現することによって、アメリカあるいはアジア諸国に対する輸出というものの一つの牽引力ということになるであろうと思いますから、これの実現のために、人材、また財政の体制を整えて、積極的に取り組んでいただきたいというふうに切に願います。
次に、有明海の再生の取り組みについてお尋ねをします。
けさもニュースで報じられておりますけれども、委員の皆様方もごらんいただけたかと思います。もともと、有明海の水産振興につきましては、御存じのとおり、平成十六年に、当時の亀井善之農林水産大臣が、平成十四年の諫早湾干拓事業に係る短期開門調査、また平成十五年に行われた中長期開門調査の検討を踏まえて、中長期開門調査を実施しないと判断する一方で、議員立法によって成立した有明海特措法に基づきまして、有明海等の再生対策を進めるとの方針を示したものでございます。これは、先刻皆様御存じのとおりでございます。
このことから、対策が具体的に進められるものと信じてきた漁業関係者は、漁業が置かれている環境が大変厳しいということが、今回、開門問題を引き起こした最大の原因ではないかというふうに思っています。それは、まず水産庁が主体的に取り組んでこなかったのではないかというふうに私は考えております。
もともと、この諫早湾防災干拓事業を推進するに当たっては、国、県は、陸のことが終わったら海の振興のことに積極的に取り組み、そして水産振興、漁業振興を図りますという約束を有明海沿岸、国民に対してしていたものでありますから、水産庁が有明海の水産振興に主体的に取り組むべきというふうに考えていますが、どうお考えか、お聞かせください。
○本川政府参考人 大変厳しい御指摘をいただきました。
私ども水産庁として、有明海の漁業の振興につきまして、これまで、覆砂あるいは海底耕うんなどの漁場改善策、さらには増養殖技術の開発を行ってきたところでございます。
特に、我々として非常に有望と考えておりますタイラギの垂下養殖技術につきましては、昨年来、私どもとして、来られる方皆さんにお勧めしたり、いろいろな積極的なPRも行いながら取り組んでおります。
それから、今年度からは、水産総合研究センターに委託をして、タイラギの種苗生産技術の開発、こういったものも行いながら、漁業振興を図るすべをいろいろと検討し、お勧めしておるところでございます。
さらに、四月四日に四県の方々、漁協関係者が来庁されたときも、積極的な意見交換をさせていただきまして、各県がそれぞればらばらに水産基盤整備事業を行っておるといったような実態について漁業者の方はおっしゃっておられましたので、四県共同で水産基盤整備事業に取り組む、そういう仕組みができないかといったようなことを、今、県とも相談をさせていただいておるところでございます。
今後とも、水産振興に主体的に取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
○北村(誠)委員 水産庁長官、しっかり頑張ってください。
それで、昨年の十一月には長崎県の漁協長会、そしてことしの四月には、今申されたとおり、有明海沿岸四県の漁連の代表者が来て、それぞれ要望等々を開陳しておられますから、この要望に対して、大臣が今後どのように取り組んでいくかということが、いわゆる開門問題を解決するための一つの大事な要素ではないかと私は考えておりますけれども、この辺について、もし所感があれば、大臣にお聞かせいただきたいと思います。
○林国務大臣 ことしの四月四日でございましたが、有明の四県漁連等の代表者の皆さんから、有明海をどうやって再生していくかということに関して要望をお受けしたところでございます。
我が省として、有明海の再生は、国としても大変重要な政策課題である、こういうふうに認識をしておりまして、増養殖技術の開発、それから赤潮、貧酸素水塊の発生機構の解明、それから、今お話がありました覆砂、海底耕うんの実証事業、こういうものに取り組んできたところでございます。また、今水産庁長官から答弁しましたように、今年度から、タイラギの種苗生産技術の開発、これも一緒になって取り組んでおるところでございます。
四県の漁連の皆様からいただいた要望書の内容、関係者の御意見を踏まえながら、引き続き有明海再生の各種事業に取り組むとともに、平成二十七年度以降の有明海再生関係事業につきましても、より効果的な方法も含めて検討してまいりたい、こういうふうに思っております。
○北村(誠)委員 大臣、ぜひ積極的に取り組んでいただきたい。特に、水産庁を督励していただきたい、そういうふうに思います。
それと、再生策に対して協議、検討するための話し合い等々については、あたかも世間には全く何の話し合いも行われていないかのような印象が与えられているかもしれませんけれども、有明海漁場環境改善連絡協議会というのが、国、関係県の合意によって設けられて、熊本の九州農政局はその事務局として中心的に働いてきているところでありますから、改めて会議を設けたいというよりも、この協議会に、知事、副知事が話し合いの場に事務方とともに参加をして、水産振興策について、検討会議で協議をすることができる。今申された平成二十七年度以降の有明海水産振興策についても、この協議会の場で、水産庁の主催として、具体的に検討を行えばよいではないかというふうに私は意見を持っています。これは意見として述べさせていただき、回答は要りません。
一方、有明海の疲弊している海水浄化能力については、二枚貝が減少したことが原因であるという有力な研究報告があります。二枚貝の減少は、ノリの酸処理剤を使用することによって、それにかかわってプランクトンに対する異変、あるいはプランクトンが酸素を消費することによって、海底の腐泥に関する化学的な極端な変化が起きて、毒素が発生したりして貝類が死滅する、立ち枯れするというふうな経過が出ているという研究成果があります。
水産庁は、昭和五十九年、「海苔養殖における酸処理剤の使用について」という、適正な処理、処分を行うようにということで、水産庁次長の発する通知を関係都道府県知事に対して行っています。このことによって、酸処理剤が使えるというお墨つきを出したということに世の中ではなっています。
しかし、この酸処理剤による二枚貝に対する影響が非常に著しいものがあり、今申し上げた酸処理剤の使用というものについて、農林水産省は、事実関係の把握において手抜かりがあるのではないかという疑いの気持ちを私は持っています。
ですから、ここら辺をしっかりと科学的調査を行うことによって、酸処理剤がいかなる影響を与えたか、与えなかったか。これらのことについて、今後、農林水産省、また政府の関係連絡機関において、ぜひ調査検討し、そして、酸処理剤が二枚貝に与えた影響、それから波及して有明海の生産力の低下ということに至ったのであるという研究結果もあるわけですから、このことについてしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。
最後に、私は意見を述べさせていただきます。
前に質問させていただいたときも述べたことでありますけれども、きょうのテレビの報道によっても御存じのとおり、国は、あけることも閉めることもならぬというふうな司法の決定を受けていますから、あけることを前提にとか閉めることを前提にとかというふうな話し合いの場というのは持てるわけもないし、長崎県知事も、積極的に国、関係機関との協議ということに取り組んでしかるべきと私は考えておりますし、個人的には、県に対して、関係者に対してもそのようにお勧めしたいというふうに思っています。
一方、国が四十九万円とか支払わなければいけなくなった制裁金というふうな話ですけれども、国が国がと言うけれども、言わずもがなですが、これは国民の税金です。国民の税金をこれだけ払わなきゃいかぬという結果を来した原因は何かということについて、この決定を下した時の内閣、そして内閣総理大臣は、職を離れられてからも、自分の上告しないという決定は適切であり、正しかったと申されています。新聞報道は、そうではないということを産経新聞等も報道しておりますし、私も以前からそう思っています。
ですから、国会議員としての現職にある本人の名誉のためにも、また言論の府である国会の良識をただす意味でも、御本人を、ぜひ当委員会に参考人としておいでをいただき、本当に正しいことをなさった、正しいことが行われて、その上で、裁判の今の状況によって、国がお金を関係の人々に支払わなければいけないという状況になった、この政治責任というものをどうとるのか。
日本の政治家の政治責任のとり方は甘いと私は指摘せざるを得ない。これを許すことはできないので、ぜひ、委員長、理事会において、本件の取り扱いについての協議と結論を出していただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○坂本委員長 ただいまの件につきましては、後ほど理事会で協議をいたします。
次に、加藤寛治君。
○加藤(寛)委員 おはようございます。自民党の加藤寛治でございます。
質問する機会を得て、感謝をいたしております。
農協の現場に直接関係をした者として、農協改革について、四点ほどお尋ねをしたいと思います。時間が限られておりますので、簡明な答弁をお願い申し上げたいと思います。
農協改革についてでありますが、改革は、農協、農業に限らず、全ての産業において未来永劫の課題であろう、私はこのように考えております。しかしながら、改革は、改善であるべきであって、改悪であってはならないと思います。
また、農協改革は、農業を強くして、食料自給率の向上を図り、農家、農業所得をアップすること並びに食料安全保障を確立することが主眼だ、私はこのように考えております。
そこで、林農水大臣に御見解をお伺いいたしたいと思います。
○林国務大臣 農協は、言うまでもなく、農業者の皆さんの協同組織でありまして、担い手農業者のニーズに的確に応えて農産物の販売などを適切に行って、農業者の所得を向上させて、地域農業を発展させていくということが何よりも重要でありまして、このことが食料の安全保障の確保にもつながる、こういうふうに考えております。
したがって、農協改革についても、農協が農産物販売等に最重点を置いて積極的に取り組むにはどうしたらよいか、それぞれの農協がみずからの創意工夫で経済事業を展開するにはどうしたらよいか、その際に、農協をサポートする連合会、中央会はどうしたらよいか、こういうことを真剣に検討していく必要があると考えております。
農協改革については、与党におきまして、昨日、農協・農業委員会等に関する改革の推進についてということでお取りまとめをされた、こういうふうに承知をしております。
我々としては、この取りまとめを踏まえて、農林水産業・地域の活力創造プランに適切な改革の方向を盛り込んでまいりたい、こういうふうに思っております。
○加藤(寛)委員 ありがとうございました。
それぞれ農協の改革については意見はあると思いますけれども、御案内のとおり、民間の組織であるわけですから、自己改革、自己研さんというのが原理原則であろう、私はこのように考えております。
また、農協組織の原点である、万人は一人のために、一人は万人のためにという原則を守りながら、農協での六つの業務、事業を行っておるということでございます。
例えば、私が関係をしておりましたJA島原雲仙では、販売額約三百億、全国的には、一県一JAを除けば、五本の指に入る純粋の農協であります。この地域は、長崎県下生産額の四〇%以上の約六百億の農産物が生産をされております。
そうしたJAの事業として、一つ目に、営農指導、二つ目に、農産物の販売事業、三つ目に、農業資材を共同購入して、大量に仕入れて、安価に農家に供給をする購買事業、四つ目に、規模拡大等するために投資をする場合に必要な信用事業、五つ目に、将来の万が一の場合に備えての共済事業、六つ目に、管内の状況並びに全般的な情報を正確に伝達するための月刊誌を配付しながら、広報事業を行っておるところであります。
ただし、営農指導、広報事業については費用支出のみで、全く収入はございません。
そこで、販売事業の赤字と収入を伴わないほかの部門等の人件費を賄っておる事業というのが、信用、共済事業であるわけでございます。
農協改革と称して、信用、共済事業を分離するという規制改革案は、結果的に農家、農業を崩壊することにほかならないのでありまして、規制改革案が示されて目を通したときに思ったことは、農業現場の実態を知らない、また全く無視をした案だと、憤りさえ感じた次第であります。
先ほど申し上げました一番から六番までの事業は、どれをとっても欠くことのできない事業であると私は確信をいたしておりますし、そしてまた、この六つの事業をうまくかみ合わせながら農協運営を行っていくことが、農家にとって、農業にとって最善の方法であると私は確信をいたしております。また、農協の職員も、一人数役を担いながら、日々、夜討ち朝駆けで頑張っておるところであります。
そこで、林農水大臣の御所見をお伺いしておきたいと思います。
○林国務大臣 農協は、農協法に定める事業の中から、農家組合員の選択によりまして事業範囲を決めております。多くの農協においては、組合員の利便性を考えて、組合員が必要とするサービスを総合的に提供するという観点から、経済事業、信用事業、共済事業など、今委員からお話のあった事業を総合的に行っている、こういうふうに承知しております。
農協経営の平均的な姿としては、やはり経済事業部門が赤字、これを信用、共済等の金融事業の黒字で補填する、こういう構造になっております。
今後、農協が自立した経済主体として、農業者の所得向上に向けた経済活動を積極的に行っていくためには、やはり農協の金融事業の負担やリスクを軽くしていって、人的資源等を経済事業にシフトしていくことも重要である、こういうふうに思いますが、その際に、組合員等に対して金融を含めた総合的なサービスを提供できるようにし、また農協の経営が成り立つようにしていく、こういうことが必要不可欠であると考えております。
○加藤(寛)委員 ありがとうございました。
先ほども申し上げましたように、やはり農協というのは、総合事業で、全体的に、お互いに連携をとりながら取り組んでいく。ひいては、それが農業、農家のためになるということは事実であるわけでございますから、ぜひとも、信用とか共済とかを切り離すというとんでもない発想にこれからもならないように、よろしくお願いを申し上げておきたいと思います。
次に、中央会についてであります。
全国には、一県一JAもありますけれども、全体的には県下に複数のJAが存在するというのがほとんどであります。同じ県内のJAであっても、それぞれ単協ごとに状況は違います。そこのところをうまく調整しながら指導をやっていくというのが、県域の中央会の大きな役目として、これまでも責任を果たしておるところであります。
もし県域の中央会の指導がなかったならば、てんでんばらばらになることは火を見るよりも明らかでありまして、一番被害をこうむるのは農家でございます。
また、同じ県内JAでも状況が異なるわけでありますから、私は、全国的には大変状況が違うことがあろうかと思います。例えば、北海道等豪雪地帯では、恐らく一毛作か二毛作しかできないと思いますが、私のところは、三毛作というのはもう普通にやっておるところであります。
ほかにも、変わった状況というのは多数あると思います。そうした県域の状況を加味しながら、調整、指導をしておるのが全中の役目ではないか、このように考えております。
これまで中央会が果たしてきた役割の一つに、以前、全国各地で、破綻しかかったJAを破綻させずに、それも金融危機当時の金融機関のように公的資金の投入もなくて、中央会独自の調整、努力で再建を果たしたという事実もございます。
これは、やはり中央会が、お互いに連携をとりながら、地域の状況を見きわめて、そうした単協の状況も踏まえながら、うまく指導をした結果というのがその成果であろう、私はこのように理解をしておるわけでございますけれども、この件について、林農水大臣の御見解をお伺いしておきたいと思います。
○林国務大臣 農協の中央会は、農協経営が危機的な状況に陥ったことを背景に、昭和二十九年に、農協に対する経営指導により農協経営を再建するために導入された特別な制度でございまして、全国段階、都道府県段階に、それぞれ一つに限り設立をされております。
これまで、農協中央会は、農協組織を束ねて意思集約をするとともに、合併の促進、連合会の再編、こういうことを進めることによって、農協、連合会の経営基盤の強化、それからJAバンクシステムのもとでの経営不振農協の処理等の農協の健全性の確保に成果を上げてきたところであります。
しかしながら、農協中央会については、今申し上げた昭和二十九年の農協中央会制度発足当時、一万を超える農協が存在しておりまして、農協の経営管理体制も弱かったということで、農協中央会がこれを指導する役割が大きかったわけでございますが、合併等によりまして農協の経営基盤、財務内容が強化をされてきまして、農協の経営管理体制も整備されてきたことから、現在では状況が変化をしておりまして、こうしたことを踏まえて、現在の状況に対応する事業組織のあり方を真剣に検討していく必要がある、こういうふうに考えております。
○加藤(寛)委員 中央会等の今後のあり方についても、大臣の方からお話を聞かせていただきましたけれども、そうした、これまでに果たしてきた大きな役割というのがあるわけでありますから、今後も、単協について、それぞれの農業団体について、いろいろ、何が起こるかわからないというのが、これは何事においてもあすのことはわからないことが多いわけですから、そうした場合に、万が一に備えて、いろいろな調整役をしてやる、指導をしてやる、そうした機関というのは私はぜひ必要であろう、このように考えております。
自己改革も、これはもちろん必要なことでありますから、自分で改革をしながら、そしてまた、足らざるところは多くの方々の御意見を賜りながら今後とも進めていかなければならないことも事実であろう、私はこのようにも考えております。
しかしながら、当初申し上げましたように、民間の組織でありますから、やはり原理原則は自己改革ということが私は原点にあろうと思いますので、この辺のところも加えて、よろしくお願いを申し上げておきたいと思います。
当初申し上げたことではありますけれども、やはり農協改革の本来の趣旨は、農業を強くするということが私は大前提であろうと思います。すなわち、農業者、担い手、農家を育てることはもちろんでありますけれども、人は石垣、人は城と言われますように、農協の職員も自己改革、自己研さんをしながらやっていくこともまた大切な要件であろう、このようにも考えております。それには本人の自覚、努力も不可欠でありますけれども、しかしながら、いかに努力しても、いかんともしがたいことももちろんございます。
例え話で恐縮ではありますけれども、少し以前の大相撲の力士に、栃ノ海という非常にわざのうまい横綱がおりました。しかしながら、当時の、同じ横綱同士ではありますけれども、大鵬にはどうしても勝てなかったということもあります。大鵬は、技術も体力も十分ありましたけれども、栃ノ海は、技術はあっても小兵であったものですから、なかなか体力的に追いつかなかったということが大きな原因であろうと思っておるわけでございます。
何事も、私は同じではないかなという気がいたしております。やはり基盤となるものがしっかりしておることが一番大事な、肝心なことであろう、このように考えておるわけでございます。もちろん、改革も技術も必要不可欠であることは十分理解をするわけでございますけれども、しかし、これはしょせん技術、技巧であります。
やはり農業を強くする基本は、行き着くところ、優良農地をいかに多くふやすか、いかに整備をするか。圃場整備のされた、かんがい設備の整った農地をいかに広く整備するかということに、私は、強い農業づくりの基本はかかっておると言っても過言ではないと思います。
そこで、御所見をお伺いしたいと思います。
○江藤副大臣 先生の、いつも現場に根差した御意見には、大変敬服をいたします。
何といっても、おてんとうさまを、お天気を相手にしている仕事でありますので、本人の自覚、努力が基本だという自助自立の精神というものは大事でありますけれども、それでもやはり天候に左右される、そういう宿命を背負っております。
今、例を出していただきましたけれども、北海道の話を昔したことがありますが、基盤整備をした農地については、大雨が降っても、タマネギは全部無事だった。しかし、基盤整備がおくれたところは全滅だ。隣で、同じ地域の後継者であるのに、片っ方は逆にタマネギの値段が上がって大もうけ、片っ方は全滅。やはり国が果たすべき仕事というものは、基盤整備に基本があると思います。
そういうことを踏まえた上で、我々は中間管理機構というもので面的集約をして、土地の能力も上げていこう、そしてコストの削減もしていこう、集約をしていこうということでありますので、先生がおっしゃる大区画化、排水の整備、かんがい事業の整備、これについては、予算もきちっと確保した上で、地域の実情をきちっと聞いて、計画的に実行してまいりたいというふうに考えております。
○加藤(寛)委員 圃場整備、優良農地の確保については、江藤副大臣から、その重要性については、必要であるという御理解をいただきまして、私も万人の味方を得たような気持ちで、大変気を強くいたしておるところでございます。現状では、中間管理機構を運用して、それをこれからの強い農業づくりにやっていくんだということも、もちろん私も大きく期待をいたしておるところでございます。
しかしながら、これから、担い手というわけですから、小規模零細企業じゃなくして、それ以上の農家の皆さん方に、全体の八割以上の農地を任せたい、耕作をしていただきたいという構想であるわけですから、八割以上というと、四百五十万ヘクタールの八割、三百六十万ヘクタール。今現在整備されておるのは二百万ヘクタールというふうに農水省の資料、統計等々で伺っておるわけですけれども、そうしたことから考えますと、百六十万ヘクタールの整備をやっていかなければならないところがまだまだ残っておるわけであります。
これについて、一日も早く整備できるような年次計画を立てながら取り組んでいくべきだという思いを強くするわけでありますけれども、私は、最後に一言、御所見をお伺いさせていただきたいと思います。
○江藤副大臣 やはり、基盤整備その他については、地方自治体の皆様方の御協力もいただかなければならないことでありますので、いつ、どのタイミングで整備に着工されて、どのタイミングでこれが完工するのか、国営かんがい事業等もそうでありますけれども。ましてや、それが遅延するということになると、地域の営農計画も大きく狂いますので、計画をきちっと立てて、そして地方の意見を聞きながら、計画的に進めることが肝要だというふうに考えております。
○加藤(寛)委員 ありがとうございました。
以上で終わります。
○坂本委員長 次に、石田祝稔君。
○石田(祝)委員 おはようございます。公明党の石田祝稔でございます。
きょうは、まず大臣に、ちょっと質問の順番を変えまして、農業の改革についてお伺いをいたしたいというふうに思います。
五月の十四日に、規制改革会議の農業ワーキングから、農業改革と称してさまざまな意見が出てまいりました。自民党、公明党、与党でそれに対する考え方をまとめまして、きのう発表もしたところでございますが、その中で、大臣として、このまとめられたものをどういうふうに受けとめていただいているのか。
これから、規制改革会議の答申案というものがまず出るわけでして、そしてその後、答申も出る。その後、手続としては、それを尊重する閣議というのが開かれるわけです。ですから、私たちがまとめた案に対して、それを的確に反映していただかなきゃならない、こう思っておりますが、大臣は、その取り組みについて、また見解もあわせてお伺いをいたしたいと思います。
○林国務大臣 農協、農業委員会等につきましては、与党における大変熱心な御議論を経て、昨日、農業の成長産業化、それから、農村社会の維持発展に資するという観点で、農協・農業委員会等に関する改革の推進についてが取りまとめられた、こういうふうに承知をしております。
我々としては、この与党の取りまとめを踏まえて、農林水産業・地域の活力創造プランに適切な改革の方向を盛り込んでまいりたい、こういうふうに思っております。
○石田(祝)委員 昨年の米政策の変更のときも、大変時間が短い中で結論を出さなきゃいけない。これは、時間がないというよりも、お尻がある程度決まっている中で、出てくるタイミングが遅かったということもあると思いますので、非常に短い時間で結論を出さなきゃいけなかった。今回も全くそのとおりでありますが、今回は、答申案からさらに法律改正ということになりますと、来年の通常国会、こういうことで、若干時間があるような気もいたしますけれども、それにしても、やはり大変急いだ改革の提案ではなかったか、こういうふうに思っております。
そこで、今回の規制改革会議の案を見ますと、経済ということを、確かにそれは所得をふやしていくという観点ではやっていかなきゃならない改革でありますけれども、やはり、社会政策というんですか、地域政策の観点が弱いのではないか。弱いというより、極端に言えば、すっぽり抜け落ちている。何か足したり引いたりだけではいけない部分があるわけですね。先ほども自由民主党の先生のお話で、全然収入にならないこともやっているんだ、そういうお話もございました。私は、そのとおりだと思うんですね。
そういう中で、昨日、私たちも党の中で、いわゆる骨太方針、経済財政運営と改革の基本方針二〇一四、その提案もいただきました。そこで、「日本の未来像に関わる制度・システムの改革」、こういう骨子案の中にありまして、二〇二〇年を目途に、人口急減、超高齢化への流れを変えるために、改革、変革をしなきゃならぬと。そして、その中で、五十年後に一億人程度の安定した人口構造の保持を目指す、こういうくだりがあるんですね。
これは骨子ですから、これから詳しい中身が出てくると思うんですけれども、一億人というと、今から二千五百万人ぐらい減るという前提です。今の人口流動構造を見ると、どうしても東京周辺の一極集中。そうすると、割合からいった減り方よりも、地域の人口構造が非常に、それ以上に影響を受ける。ある意味でいえば、今は限界集落と言われていますけれども、これは消滅集落という世界も多分出てくるんだと思うんですね。
国土自体が減るわけじゃありませんから、どんなに少なくなっても、そこに住んでいる人がいる。そういうときに、地域社会を支えていく社会インフラ、私は、言葉は悪いかもしれませんけれども、いわゆる公共財として、この農業者の組織というのは大変大きな役割を果たすのではないか、こういうふうに思っております。また、果たしていただかなきゃならぬというふうにも思っております。
そういう農業者の組織の役割、これから人口が減っていく中でどういうふうにそれを評価しているのか、これを大臣にまずお伺いいたします。
○林国務大臣 農協は、農業者の協同組織でありまして、担い手農業者のニーズに的確に応えて農産物の販売等を適切に行って、農業者の所得を向上させて、よってもって地域農業を発展させていく、これが最大の使命であるということであります。
一方で、農協は、高齢化、過疎化が進む農村社会において、地域社会のインフラ、今委員は公共財というふうにおっしゃっていただきましたが、そういう側面を持っておりまして、組合員でない地域住民も含めて必要なサービスを提供しているのも事実であろうか、こういうふうに思っております。
したがって、農協改革についても、農業の成長産業化に資するとともに、農村社会の維持発展にもつながる、こういったものでなければならないと考えておるところでございます。
○石田(祝)委員 大臣、ありがとうございました。
続いて、内水面漁業についてちょっとお伺いいたしたいと思うんです。
ウナギとかアユなどの内水面漁業について、自然環境の保全に配慮しつつ、内水面漁業の生産力の発展、国民生活の安定、向上を図るため、総合的に施策を推進する仕組み、これは今のところ存在をしておらないということであります。
こういうものの制度化、法制化というものも必要と考えておりますけれども、大臣の御見解はいかがでしょうか。
○林国務大臣 一般論としてということであれば、まさに委員が今おっしゃられたように、資源の管理をするということは水産業にとって大変大事である、こういうふうに思っております。
特に、例えばウナギを例にとっていえば、最終的には内水面でウナギを捕獲、利用していくわけですが、そのもとになるシラスウナギ、こういったものが東アジア全体で採捕量が非常に低迷している。そういう意味では、内水面のことであっても、国際的な漁業管理というものをしっかりと我々が主導的な立場をとってやっていくということが非常に大事である、こういうふうに考えております。
○石田(祝)委員 私は、ウナギの話も出しましたが、昨年のシラスウナギの取引価格は、一キロ当たり二百四十八万。聞くと、金が一キロ当たり四百万とか五百万とか言われていますから、まさしく泳ぐ金ですよね。それぐらい高かったんですが、ことしは下がってきているということでございます。しかし、減ってきていることは間違いない。
そういう中で、私が今ちょっと心配しているのが、国際自然保護連合が、どうもあした、十二日に、レッドリストに、ニホンウナギを絶滅危惧種に追加するんじゃないのか、こういうことが報道で、きのうの朝刊、また夕刊にも出ておりましたが、ここのところはどういうふうになっておりますか。国内ではレッドリストに載っているんだけれども、CITESについてはこれからであります。どういう情報をつかんでいらっしゃいますか。これは環境省に。
○星野政府参考人 国際自然保護連合、IUCNのレッドリストの最新版が十二日に公表される予定であり、ニホンウナギについても、世界各国のウナギに関する専門家の会合による評価結果が掲載されるとの情報を得ているところでございます。
なお、委員からも御指摘ございましたけれども、天然のニホンウナギの漁獲量は近年大幅に減少しており、環境省では、平成二十五年二月に公表した第四次レッドリストにおいて、絶滅危惧1B類に選定したところでございます。
○石田(祝)委員 これで、国際的にレッドリストに載せられると、いわゆる取引は全くできない。もう一つは、附属書の2で、許可書があればいい。こういうことになるわけですね。ですから、私は、それを防ぐという意味で、ちゃんと日本はやっていますよ、こういうことも必要ではないかというふうに思うんです。
そこで、そういう観点から心配しておりますのが、国際の場に行きますと、やはりこれはどうしても日本だけの考え方でなかなかいかない。私は、つい頭をよぎるのが、南氷洋のいわゆる調査捕鯨。ここなんかも、絶対大丈夫だろうと思われていたのが、あに図らんや、全く逆の結果になってしまった。ですから、ここは油断せずに、さまざまな対策を講じつつ対応をとっていかなきゃいけない、そういうことで今申し上げているわけであります。
こういう点について、水産庁はもうやっていただいていると思いますけれども、どういうふうな情報をとって、どういう対策を考えられていらっしゃるか、お聞きをいたしたいというふうに思います。
○本川政府参考人 IUCNが指定をするかどうかということの議論でございますけれども、IUCNのレッドリスト自体は、まさに民間の機関が指定するものでありますので、先ほどおっしゃったような附属書1、附属書2というのはワシントン条約のことでございますけれども、IUCNの指定がワシントン条約の附属書指定に直接的に結びつくものではありません。IUCNに指定されているものでありましても、例えばミナミマグロとかクロマグロ、こういったものはワシントン条約の附属書には掲載をされておりません。ですから、必ずしもそうではございません。
したがって、きちんとした資源管理を行っていくということを、私どもとして仕組みを構築し、かつ、それを対外的にいろいろアピールしていくということが必要ではないかと思っております。
御指摘のとおり、シラスウナギについては、最近採捕量が落ちておりますので、これを利用している東アジアの諸国、中国、台湾、韓国、日本、こういったところでその資源管理の枠組みについて国際的な議論を今進めております。
そのような形で進めて、国内でもきちんと三位一体で資源管理を行い、そういったものを踏まえて資源管理の体制を確立し、これを対外的に、国際的にアピールしていく、こういうことをしてまいりたいと考えているところでございます。
○石田(祝)委員 国際自然保護連合の発表がそのまま結びつくものではない、こういうことでありますけれども、これを参考になさることは間違いないんでしょう。
CITESが、締約国会議が再来年、二〇一六年にも開催される、そして、早ければ来年の八月にも附属書掲載の提案がなされる、こういうことのようでございます。
ですから、ある意味でいえば、大丈夫だろうというところから出発するのか。やはりこれはさまざま勘案して、こういうものは、えてして純粋に科学的な知見からやるんじゃなくて、ある意味で政治的な動きもよく考えておかなきゃいけない、こういうふうに私は思うんです。
そういうことも踏まえて、CITESが二〇一六年、早ければ来年夏にも附属書掲載の提案がなされる、こういう時間的なものもよく考えていただいて、いま一度、長官、心配ないのかどうかお伺いいたしますので、御答弁をお願いいたします。
○本川政府参考人 御指摘のとおり、CITESの次回会合は二〇一六年の予定でございます。それに向けまして、締約国がその会議で議論する提案を来年、二〇一五年の八月ごろにも行うといったような情報がございます。
したがって、そこでCITESの附属書掲載にシラスウナギ、ニホンウナギが提案されないように、やはり国際的ないろいろな働きかけを行いながら、きちんとした資源管理体制をつくっていく、こういうことがぜひとも必要であると思っております。
そのようなスケジュールを持って、私どもとしても今取り組んでいるところでございます。
○石田(祝)委員 それをぜひよろしくお願いしたいと思います。
それで、ウナギの稚魚、シラスが、一体どこで産卵をして、どうして日本に来るのかというのが長い間わからなかった。これはやっと、マリアナ海溝あたりで産卵しているんじゃないのか、それが太平洋を渡って、それぞれ日本の海岸から河川に上っていく、こういうこともだんだんわかってきたんですけれども、完全な養殖というのはまだできておらない、こういうふうに思っております。
資源再生ということを考えると、どうしてもしっかりとそういう点はやっていかなきゃいけませんが、特に、大学とか民間団体、これは一般社団法人もあると思いますが、また民間の会社、そういうところと産学官の連携によって資源再生ということは考えていかなきゃいけないというふうに思うんです。
特に、もうすぐ夏になると、当然、うしの日ということでございますので、需要が高まってくるだろうというふうに思うんですね。
私も、つい最近、赤坂のところを歩いておりまして、有名なウナギ屋さんだと思うんです、名前は忘れましたが。そのウナギ屋で見たら、お重みたいなものに入っていて、二串で六千円とかいう、ちょっと驚いたんですけれども、なかなかこれは食べに行けないな。店の場所柄、高いのか、高級ウナギを使っているのか、高知県の四万十の天然ウナギを使ってくれているのか、よくわかりませんけれども、それはなかなか庶民の口に入らない。
やはりこれから、平賀源内が言ったように、うしの日、この人は香川県の人ですから、そういうことから考えても、資源再生ということを国が力を入れてやっていただかなきゃいけないと思いますけれども、この点いかがでしょうか。
○小里大臣政務官 まさに、シラスウナギの人工生産、大量生産技術の確立というものが切望されるところであります。
シラスウナギの人工生産につきましては、平成二十二年に水産総合研究センターが、委託プロジェクト研究の成果として、実験室レベルでの完全養殖に成功し、さらに、同センターが平成二十五年に、新たに開発した大型水槽での生産に成功したところであります。
しかしながら、シラスウナギの大量生産を実現するためには、省力化、省コスト化を抜本的に図っていく必要があります。
このため、本年度から、給餌システムの改良、飼育水の効率的な交換等の実証試験を開始したところであります。その際、御指摘のとおり、民間企業、大学、水産総合研究センター、水産庁の産学官連携によりまして、幅広い知見の技術を結集して取り組んでいるところであります。
将来にわたりまして安定的にウナギを供給していくために、シラスウナギの人工的な大量生産、これが最も重要であります。早期の実現にしっかりと努力してまいる所存であります。
○石田(祝)委員 ぜひお願いをいたしたいと思います。
私も、知り合いにシラスウナギをとる人がおりまして、寒いときに、夜中に、新月の夜じゃなきゃだめだというんですね。新月というのは月が出ていないということでありますから、それで、小さいひしゃくですくって、あの小さいものを集めて、仲買のところですかね、そういうところに持っていって、幾ばくかのお金をアルバイト的に稼いでいると言っておりましたけれども、大変な作業をなさっているわけですね。
そういうことで、ウナギというものが、我々の食卓に昔からあるわけですから、ある意味では庶民的な値段で口に入るように、ぜひお願いをいたしたいと思います。
最後になります。
先ほど申し上げた民間団体を含めて、さまざまな方がいろいろなところで御協力いただけると思いますけれども、そういう方々、例えば一般社団とか民間団体、何らかの活動をしている人を応援する仕組みがあるのかないのか、ちょっとよくわからないのでお聞きをしたいと思いますし、なければ、ぜひ応援する仕組みをおつくりいただきたいと思いますが、この質問を最後にいたしたいと思います。
○江藤副大臣 内水面に関する法律を、今回、与党協議の中で御起草いただいたということでございますが、その四章の三十五条を見せていただきました。
内水面の振興のために、いろいろとトラブルがある、例えば、私のような魚釣りをする人間とか、ラフティングをする人間とか、いろいろな悪さをする人間とかがいて、学識経験者、その地域の方々のいろいろな知見を集めた協議が必要だということであれば、その設置を申し出ることができると、できる規定を設けさせていただいておりますので、これによって、先生のお考えになるような地域での話し合い、協議ができるようになるのではないかということを期待しております。
○石田(祝)委員 ありがとうございました。
○坂本委員長 次に、大串博志君。
○大串(博)委員 おはようございます。民主党の大串博志でございます。
きょうは、一般質疑ということで、いろいろ議論させていただきたいと思います。
まず、私も先ほどの石田先生に続いて、今回、内水面の漁業の振興についての議論を、委員長の方からも議員立法の提案ということがあるやの動きになってきております。
これは非常に大切なことでございますので、しっかり議論していかなきゃならぬというふうに思いますが、その中でも、先ほど来話がありました、私たちの生活にも非常に親しんでいるウナギ、これは食用としても私たちの生活に非常に密着したものになっている、こういう状況でございます。そういった中で、国際的な環境も見据えれば、いろいろな手だてをとっていかなければならないというのが現状だというふうに思います。
ところが、いろいろ考えてみると、あるいは振り返ってみると、今、ウナギに関して国際的ないろいろな動きがあるということがありましたけれども、天然ウナギあるいはシラスウナギの漁獲量というか採捕の量、これらが昔は非常に多かったのが、今は非常に激減してきているというのは、実は何も今に始まったことじゃなくて、かなりというか結構前から相当漁獲量が減ってきているという現状はあったと思うんですね。ですから、それなりの手も打ってこなければならなかった現状もこれまでもあったと思うんです。
こういう過去の流れにおいて、農水省として、天然ウナギあるいはシラスウナギ、こういったものに関して、資源を管理、確保しながら漁獲を進めていくという取り組みはどういうふうにこれまで行ってきていたのかという点に関して御説明をいただきたいと思います。
○本川政府参考人 御指摘のとおり、近年、ニホンウナギ、シラスウナギの採捕量というのは東アジア全体で低迷しておりまして、国内外での資源管理対策の推進が重要になっている状況でございます。
特に、平成二十四年に、前年の二十二トンのシラスウナギの池入れ量が十六トンに大きく減少した。それまでは、例えば、平成二十一年二十八・九トン、平成十八年二十九・二トンと、三十トンを少し下回るような水準で増減をしながら推移しておったんですが、平成二十四年に大きく減少するような事態になってきたわけでございます。
こういう状況を踏まえて、二十四年六月には、ウナギの緊急対策というものを決めさせていただきまして、ウナギ養殖業者向けの支援とかウナギ資源の管理、保護等を講じてきたところでございます。
その後、平成二十五年の池入れ量がさらに前年を下回って十二・六トンに減少した、こういったような状況を踏まえまして、さらに一層資源管理を強化する必要がある、そういう状況が生じてまいりましたので、国際的な資源管理対策として、東アジア地域による資源管理の枠組みの構築に私どもとしても主導的に取り組むとともに、国内でも、シラスウナギをとる人、それから親ウナギをとる方、ウナギ養殖業、こういった三位一体で資源管理を行う体制を構築すべく、今努力しているところでございます。
○大串(博)委員 二年前に緊急対策をとられて、それをだんだんアップグレードされてきて、今では、先ほどおっしゃったように、シラスウナギの採捕、親ウナギの漁業、あるいはウナギ養殖業の方々も含めて、三位一体で適切な資源管理をしながら漁業が進められるという状況をつくってきたということでございますけれども、それでも漁獲量の減少は非常に厳しいものがあるというのが現状だと思うんですね。ですから、事この状況は、ある意味、非常に深刻に考えなければならない状況であるのは間違いない、こういうふうに思うんです。
そういった中で、国際的な動きに関しても先ほど触れられていました。国際自然保護連合、IUCNが、あしたにもニホンウナギを絶滅の危険性が極めて高いという一番上のレッドリストに載せるのではないかという動きが可能性としてある。
それはそれで、民間団体の動きでありますけれども、さらには、ワシントン条約における締約国会合が二年後に行われるという予定の中で、このIUCNのレッドリスト指定が影響を与える形で、ワシントン条約会議における取引制限のリストにニホンウナギも入る可能性がある、こういうふうに言われていると聞いています。
ただ、これを考えるに、現状が今申し上げたように非常に厳しい、これまでいろいろなことをやってきたんだけれども、厳しい状況の中でこのような国際環境を迎えている、これは非常に深刻に捉えなきゃならないと思うんですね。
先ほど、ワシントン条約締約国会議における見込みのところに関してちょっと触れられました。その見込みも、なかなかわからないところがあると思うんです。わからないところがあると思うんですけれども、先般の調査捕鯨の例に鑑みると、やはり国際的な観点から情報収集をし、日本としても積極的に、どういうふうな国際的な状況になっているのかというのを把握した上でいろいろなことを考えなきゃならぬ。
だから、先ほどの、ワシントン条約締約国会議に向けての動き、これからよく見ていきたいということでありましたけれども、本当にそれだけでいいのか。今どういうふうに、ぎりぎりの情報収集等も含めて、見通しが立てられているのか、この辺に関して教えていただきたいというふうに思います。
○本川政府参考人 IUCNは、やはり国際的な民間団体でございますので、そこの行動を左右するということは私どもはできません。
しかしながら、CITESの会議においてそれが提案されないようにする、あるいは、仮に提案されたとしても、諸外国、関係国を説得し、そのような指定がなされないような状況に何とか踏みとどまる、そのようなことをやっていかなければいけないと思っております。
数年前に、大西洋クロマグロがレッドリストに掲載されるかどうかといったようなことがCITESで議論になったときも、諸外国をいろいろと回り、大西洋クロマグロについての資源管理の仕組み、そういったものを御説明し、何とかそこを回避したという経緯がございます。
現実に、今のところ、大西洋の、特に東側の方では資源の回復が見られて、割り当てが増加するといったような状況も生じておりますので、ニホンウナギにつきましても、先ほど来申し上げているような、国際的な資源管理の枠組みを早急に構築し、国内でもきちんと対応する、そういう仕組みをつくり上げて、そういった仕組みがきちんとワークするんだといったようなことを諸外国に対してきちんと説明し、理解を求めていく、このような形で取り組んでまいりたいと考えております。
○大串(博)委員 先ほど来お話をいただきましたように、これまでも、緊急対策から三位一体の対策等々行われてきたわけですね。それで、なかなか漁獲量の減少等々には歯どめがきかなかったという厳しい現状があった。
そして、今回、私たちが聞いているところでは、委員長提案ということで内水面漁業の振興に関する法律案というのを提案されて、その中で内水面漁業の振興に関する諸施策が盛り込まれていこうとしている。そして、その中で、指定養殖業の許可あるいは届け出養殖業の届け出、こういった枠組みを入れられて、管理をしっかり行いながら、国際的にも我が国の取り組みをアピールしていけるようにしていこうということなんだというふうに思います。
こういったことが今法律案として掲げられようとしている中で、この指定養殖業の許可あるいは届け出養殖業の届け出、こういった枠組みを使っての管理が本当に有効な管理となり得るのか。していかなければならないわけでありますけれども、この辺に関しての農水省の御見識を伺いたいと思います。
○林国務大臣 資源状態が低水準にありますウナギの資源管理を行っていくためには、やはりまずウナギの養殖生産量を把握いたしまして、これをコントロールしていく、これが大変不可欠であると思っておりまして、そのための枠組みが求められているところでございます。
他方、先ほども御議論がありましたが、二〇一六年のワシントン条約国会議に向けて、附属書掲載の提案が早ければ二〇一五年の八月にもなされる可能性があるということで、我が国として速やかに資源管理の枠組みを構築する必要がある、こういうふうに思っております。
こういう状況も踏まえて、今委員からもお話のありました、内水面漁業の振興に関する法律案の中に、指定養殖業の許可及び届け出養殖業の届け出の規定、こういうものが盛り込まれていると承知をしておるわけでございます。
この制度は、国内のウナギ養殖業の実態を詳細に把握して、国際的な資源管理の枠組みが構築された場合に、政府としての責任を果たすために重要な役割を果たすものでありまして、立法化された暁には、所管省庁として適切に対応してまいりたい、こういうふうに思っております。
○大串(博)委員 立法化された暁には適切に対応していくということでしょうけれども、これがもし立法化されたときには、適切に対応していただくと同時に、先般の調査捕鯨のときにもありましたけれども、やはり相手は国際社会でありますので、日本として、こういうふうな仕組みをつくってきっちりとやることはもちろん絶対に必要です、きっちりとやった上で、それを国際社会にも理解してもらう、アピールしていく。そして、認識をしっかりしてもらった上で、ああ、それならばというふうに思ってもらう。この取り組みが極めて大切だし、日本はそういうところがこれまで弱かったのかもしれません。ここの点が非常に大切じゃないかと私は思います。
この点に関して、国際社会に向けてどのようにアピールして、訴えて、理解を得ていくか。しかも、先ほどおっしゃったように、リストに載せるということの提案が行われるとすると、それは来年の夏かもしれないと、極めて時間的に切迫しているわけですね。そういった中で、国際社会の理解を得ていく運動、アピールをどのように行われるつもりなのか、御決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
○林国務大臣 大変大事な御指摘だと思います。
ウナギの資源管理に関しては、まず、平成二十四年九月から、ニホンウナギの主要な養殖国・地域であります日本、中国、台湾、この三者で国際的な資源管理についての協議をしておりまして、二十五年九月の第四回協議からは、ここに韓国も参加をしていただいているところであります。
この国際的な資源管理への取り組みについては、昨年六月それから本年五月、APECの海洋漁業作業部会におきまして、また本年二月のSEAFDEC、これは東南アジア漁業開発センターでございますが、これの作業部会において、我が国からそれぞれ説明を行ってきているところでございます。
六月九日からローマで開催をされておりますFAOの水産委員会、この開催に合わせて、我が国主催の発表会を開催して、広く我が国から説明を行っているところでございます。
今お話のあった法律案が立法化された暁には、本法案に定められた制度をウナギ養殖業の実態把握等に活用していくこととしておりまして、このことも含めて、引き続き、我が国それから関係国も含めた国際的なウナギ資源管理の取り組み、これをしっかりと国際社会にアピールしていきたいと思っております。
○大串(博)委員 ぜひそこはよろしくお願いします。それがないと、やはり車輪が欠けた形になると思うんですね。
そして、もう一つ、現在の問題に対する抜本的な解決策となり得るものの一つとして、先ほども話がありましたけれども、サイクルとして日本の国内で完全養殖を果たしていく、この技術をつくっていく、これも大変大切な調査研究活動だというふうに思います。
これまでは、先ほど話もありましたように、水産総合研究センター、独立行政法人の中の調査研究事業としていろいろなことが行われてきた。少しずつ成果も出てきています。しかし、先ほど来答弁もありましたように、まだまだいろいろな広がりを、一般実用化していくにはなかなか欠いている状況にある。
そういった中で、今般、二十六年度の予算として、ウナギ種苗の大量生産のシステムを実証実験していくという予算が二億五千万円計上された、こういうことになります。
ただ、これは、私の目から見ると、まだ非常につつましやかな感じもしないでもないなという感じもするんですね。
これまで、基本的には水産総合研究センターの予算の中、あるいはいろいろな予算をとってきてやられていた。その中で、さらに、今回やっと直接大量生産のシステムの実証研究が行われるようになった。二億五千万。何とかこれがうまくいってほしい。これがうまくいけば、大きなブレークスルーになり得ると思うんです。
だから、ここに大きな力をかけていくというのは極めて大切なんだというふうに思いますけれども、この点に関する取り組みをぜひお聞かせいただきたいと思います。
○林国務大臣 シラスウナギの人工生産につきましては、平成二十二年に、今お話のあった独法であります水産総合研究センターが、委託プロジェクト研究の成果として、実験室のレベルでの完全養殖に成功したところでございます。さらに、平成二十五年には、新たに開発した大型水槽でシラスウナギの生産に成功したということであります。
しかしながら、シラスウナギの大量生産を実現するためには、省力化、省コスト化を図る必要があるわけでございまして、そういった意味で、今おっしゃっていただいた予算を確保いたしまして、給餌システムの改良、飼育水の効率的な交換、こういう実証実験を開始したところでございます。
ウナギは、ユネスコ無形文化遺産に登録された和食の代表的な食材であります。先ほど石田先生から六千円というお話がございましたけれども、もうちょっと我々の手の届くところでしっかりと楽しめるような食材であり続けていかなければいけない、こういうふうにも思っております。
我が国の内水面養殖業にとって、養鰻業は重要な地位を占めておりますので、こういうウナギを将来にわたって安定的に供給するためにも、完全養殖の研究の成果をもとに、シラスウナギを人工的に大量生産することが最も重要である、こういうふうに思っておりまして、完全養殖の実用化に向けて、可能な限り早期の実現に努力してまいりたいと思っております。
○大串(博)委員 ぜひ全力を傾注していただきたいと思います。
そして、内水面に関して、お願い、意見を二点述べさせていただくと、内水面の漁業組合員資格、これは、年間三十日以上採捕活動を行っていかなければならないというふうに法律上はされています。これが非常に要件として厳しいという実情があります。
これに対して、通達をもってして、それ以外の活動も含めて三十日を計測するという形になっておりますけれども、現状、これがうまく働いてくれるかどうかというのはきちんと見ていかなきゃならないと思います。場合によって、必要であれば水産業協同組合法を変えてでも、組合員さんの利便に沿うような形にしていかなければならないのじゃないかというふうに私は思います。
さらには、内水面の管理あるいは育成という観点からすると、河川に関しては、例えば三面コンクリートの打ちつけをしたり、あるいは堰をつくったり、ダムをつくったり、もちろんこういったことも必要ですけれども、こういった事業自体が内水面の漁業に大きな影響を与えるというのもやはり否めない事実だと思うんですね。
今回の法律案の中では協議会も提案されていますので、環境にも配意しながらこういった事業が行われるという点にもぜひ配意した上で、今後の事業を行っていただきたいというふうに申し上げておきたいと思います。
さて、論点を変えまして、諫早湾干拓の問題に関して議論をさせていただきたいと思います。
四月十一日に、開門せよということに関する間接強制、これに対する申し立てが認められて、佐賀地裁で二カ月の猶予のうちに間接強制金を払いなさいという結論が出ました。これに対して執行抗告がなされておりましたが、それに関しても、高等裁判所において、執行抗告は認められないと棄却されまして、国は高裁に対して許可抗告や執行停止の申し立てをしていますけれども、その期限はきょうでございますので、きょうまでに高等裁判所から判断が示される可能性は今のところ低いんじゃないか。
そして、二カ月の猶予の期限が徒過するあすを迎えます。一日四十九万円の間接強制金の支払い、これは、お金が目的なのではなくて、開門してほしい、開門すべしということのあらわれなんですね。
きょう、許可抗告もしくは執行停止の申し立てが認められない場合、あす以降、一日四十九万円間接強制金を払われるのか、その場合、一年間でどれだけの出捐になるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○三浦政府参考人 先生御指摘のとおり、六月六日に福岡高裁は、諫早湾干拓地の潮受け堤防の開門に係る間接強制の佐賀地裁決定に対する国の執行抗告を棄却しております。
これもお話にありましたとおり、国は、これに対して福岡高裁に、最高裁への抗告許可、それから執行停止を申し立てておりまして、現時点で間接強制金を支払うこととなったというわけではないということでございます。
ただ、これも御指摘のとおり、開門の間接強制に係る四月十一日の佐賀地裁の決定によりますと、その期日は二カ月以内、すなわち本日、六月十一日までということとなっております。
間接強制金の額についてお尋ねがございましたけれども、一年間でというお話でございますが、現時点で間接強制金を支払うこととなったというわけではないということで、一定期間間接強制金を支払うということを前提とする御質問にお答えすることは差し控えさせていただきたいと存じます。
○大串(博)委員 あしたから支払いになる可能性は極めて高い。一年間で一億八千万円ぐらいになるんです。
大臣、私は、開門を確定判決としたときに関与していました。そのとき、農林水産省からは、最高裁まで持っていくべきだという意見が強く寄せられていました。最高裁まで行って、そこで開門判決となれば、それは長崎の皆さんにも理解が得られやすくなるのではないかということでした。しかし、当時の政権の判断として、開門を確定判決とする政治的意思決定を行いました。
裁判によってげたを預けられるのかというと、日本の裁判制度においては、この裁判事例においてはこういう判断が出る、一方で、この利害関係者に関してはこういう判断が出るということはあり得ます。ですから、裁判の結果に頼ろう、あるいはげたを預けようという態度は、私は、国としては、既に戦略としては破綻している。当時、農林水産省が、最高裁まで持っていけば、それで結論が得られるんですよという戦略自体、もう既に破綻していると思うんです。
繰り返して申し上げてきましたように、政治判断が必要なんだ。政治判断がないと、この状況は解決しません。政治判断をもってして理解を得ていくようにしないと、この状況は解決しません。その際には、今この論点に関して確定的な効力を持つのは、対策工事をとった上で開門せよというふうな判決を述べた確定判決のみ。この確定判決に沿って政治的な意思決定をして、その道筋をつくっていく以外は、間接強制金を政府が払い続けるという、国民の税金に負担を与えるこの行為を回避するすべはないわけであります。
ぜひ、一億八千万に至るこの間接強制金、税金です、それを回避するためにも、確定判決、これが唯一でありますので、これに沿って、裁判にげたを預けるのではなくて、政治的意思決定として事を進めてほしいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○坂本委員長 時間が経過しております。簡潔にお願いします。
○林国務大臣 はい。
福岡高裁判決により、開門義務を負っているのは事実でございますが、一方で、昨年十一月十二日の開門差しとめ仮処分決定により、開門禁止義務も課されておりまして、相反する二つの義務を負っているわけでございます。
この二つの義務について、法的にどちらが優先するか明らかでないために、司法による判断を経なければ、いずれか一方の立場に立つことができない状況にある、こういうことでございます。
したがって、関係訴訟において国としての主張を申し述べるなど、適切に対応していく必要がある、こういうふうに考えております。
○大串(博)委員 司法に頼る態度自体が四十九万円を生んでしまっているということは、ぜひ御認識をいただきたいというふうに思います。
終わります。
○坂本委員長 次に、玉木雄一郎君。
○玉木委員 民主党の玉木雄一郎です。
二十分質問をさせていただきたいと思います。
まず、ちょっと質問の順番を変えまして、農業における外国人技能研修制度について伺いたいと思います。
農業の成長戦略は、この委員会でもさまざまな方面から議論されていますけれども、一つ重要な観点で、あえて議論から外れているなと思うのが外国人の技能研修制度であります。うちの近所でもアスパラをつくっている人がいるんですが、外国人の方がされているんです。この制度は、農業に限らず、技術移転、国際貢献という名目でやっていますけれども、事実上、特に地方の農業の現場においては、外国人の皆さんの力なくしては成り立たないようなところが出てきているのも事実であります。
そして、今、さまざまな分野で労働力が足りない。特に、日本人が来ても一カ月でやめる、三カ月でやめる。こういう職種については、人手不足といったようなことが、むしろ農業の分野で先行的に起こっているのではないかというふうに考えます。
そこで、農業分野における外国人の活用について、何点か確認をさせていただきたいと思っております。
制度を調べますと、一年の研修が受けられるタイプ、それがさらに二年延長して三年できるタイプとありますけれども、例えば、同じ農業といっても、野菜あるいはイチゴ、こういったものは三年までできるんですね。でも、米づくりとかは三年できないんです。畜産でいうと、養豚とか養鶏、つまり豚とか鶏は三年まで研修という形で働けるんですけれども、例えば牛の肥育になると、これは三年できないんですね、酪農ならいいということになっていますけれども。
こういうことを、私は、制度をつくるときにいろいろな経緯があったんですけれども、作物によって長さが違ったり、畜種によって違ったりするというのも、そろそろ整理した方がいいんじゃないのかなという気もいたしております。
質問は、具体例を申し上げます。
野菜などでは三年で、ほかのものは一年のものもありますけれども、例えば積雪寒冷地域、北海道とか長野県、こういうところは、こういう方々を受け入れて、一年のコースですよといっても、実際、農作業、現場で研修ができるのは、季節の関係で半年未満というところが多いわけですね。そうすると、その働かないところもお金を払って一年間雇うわけにいかないので、それではお帰りをいただくということになっています。
今の制度では、同じ人が再入国をして研修を受けることはできないので、事実上、一年のコースだといっても、半年ぐらいしか研修が受けられない。これは、来られる外国人の方にとってもメリットがないし、あるいは受け入れる側にとってもメリットがない。双方にとって私はよくないなと思うんですね。
そこで、提案なんですが、こういうことが可能かどうか。半年で帰るある方がいて、もっと研修を受けたい、そういう方については、再入国、再研修を認めて、通算一年になるまでは同じところで研修を受け入れるといったことは、一定のルールの中で私は認めてもいいと思うんですけれども、こういうことはできませんか。
○奥原政府参考人 外国人の技能実習の問題でございます。
この制度につきましては、我が国で開発された技能、それから技術等の開発途上国への移転を図りまして、開発途上国の経済発展に資するという国際協力を目的とする制度でございます。
農業分野でも技能実習生は入っておりますが、農業の現場の方からいろいろな要請があることは承っております。今先生御指摘がございましたように、一つの例としては、出入国を繰り返して行うことができない、したがって農繁期等の期間を限定しての雇用等、柔軟な活用ができないということでございまして、特に積雪地帯、そういったところではこの制度がなかなか使いづらい、こういった声も聞いているところでございます。
こういった雇用サイドからの要請がございますが、一方では、国の内外から、人権団体の方から、人権擁護の観点で問題があるのではないかという指摘もいろいろ受けているのも事実でございます。
このため、農林水産省といたしましては、実習生の人権に配慮しながら、現場のニーズにも応えるようにしていくことが望ましいというふうに考えておりまして、法務省等関係省庁と連携をしながら、検討を進めてきているところでございます。
この結果、昨日、六月の十日でございますけれども、法務大臣の私的な懇談会であります出入国管理政策懇談会、こういったところで、制度の見直しの方向性についての検討結果が取りまとめられたというふうに承知をしております。この中に、実習期間の延長ですとか、対象職種の拡大ですとか、そういったことが盛り込まれておりますので、今後、これを踏まえまして、法務省等とよく相談をしていきたいというふうに考えております。
○玉木委員 もちろん、人権侵害的なこととか搾取のようなことはあってはなりませんし、そういったことに対しての対応をすることは必要です。
ただ、私が申し上げているのは、雪が降ったりなんかして半年しかできないということで、本来、法制度が予定している一年がどうしてもできないという方については、一時帰国をしていただいて、もう一度同じ季節に、野菜なら野菜、そういったことについての技能研修を行っていただくというものは、制度を柔軟に運用すれば、私はできるのではないかなと思うんですね。
そこで、今、奥原局長から言及がありましたけれども、きのう出たんですか、技能実習制度の見直しの方向性に関する検討結果というものがありますけれども、この中に、一時帰国をしていただいてもう一回やってもらうというようなこと、これは、農業に限らず、少し期間を延ばす場合には、家族と離れ離れになりますから、連れてきちゃいかぬというルールになっていると思いますので、本人のためにも、一旦帰国をして、もう一度来ていただいてやるということの提言もあったと思うんですけれども、今私が質問をした農業に関して、六カ月しかできない、半年しかできない人にもう一度来てもらってやってもらう、こういったことについては、見直しの中にはどういうような形で取り上げられていますか。あるいは、取り上げていませんか。改革の方向性、現在の検討、きのうの報告を踏まえて、少し教えていただければと思います。法務省。
○杵渕政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま御説明がありましたように、法務大臣の私的懇談会である出入国管理政策懇談会の分科会より、昨日、技能実習制度の見直しに関する報告書が法務大臣に提出されました。
技能実習制度については、国際貢献という制度の趣旨にのっとった運用とは言いがたい、あるいは人権問題があるといったような御指摘がございまして、分科会においても、制度の見直しについては、まずは制度の適正化を徹底すべきとの方向性が出されました。
制度の適正化に当たっては、不適正な受け入れの原因となっている点を洗い出し、これを防止するための措置を講じることにより、国際貢献という制度本来の目的に一致した受け入れになるようにするということが必要であるとされ、これを前提といたしまして、例えば、優良な受け入れ機関に限って、従来より一段高い技能等を修得するために技能実習期間を延長することや再技能実習を認めるといったようなこと、また、対象職種を拡大するということに関しても御提案をいただいたところでございます。
ただいま御指摘のございました、一度戻った後、再技能実習をするということにつきましては、三年間きちんと技能実習を行って、さらにより高いレベルの技能が必要だという場合に認めるということが適当ではないかというような御提案をいただいているというところでございます。
○玉木委員 三年間した人がさらに高いということも私は一つだと思いますが、今申し上げたような冬場の農業において、冬場の実習作業がどうしてもできなくて、半年間で帰国せざるを得ないような場合、こういったものについても、一時帰国した後、通算一年の範囲であれば認めていくようなことも、ぜひ今後の検討の中で、前向きに検討いただきたいなというふうに思いますので、これは要請、要望しておきたいと思います。
今法務省からもありましたけれども、おかしなことが起こらないように、やはり監理監督をきちんとしていくことは大変重要だと思います。
その意味では、現在、技能実習一号から技能実習二号に移る際に試験をやっていますね。各種それぞれの業界の団体がありまして、試験を行っております。農業の場合は農業技術評価試験というものをやっておりますけれども、これは全国農業会議所がやっているんですね。
今回の規制改革会議の提案の中には、農業委員会の改革の一環として、この試験をやっています全国農業会議所を廃止するということが提言されているんですけれども、今御説明のあったような、不正を防止する、しっかりと外国人研修制度を監理監督していくという観点からは、現在、農業技能評価試験を行っている全国農業会議所を廃止するという、この規制改革会議の提言というのは矛盾するんじゃないですか。それを廃止した際に、では、代替的にどこが試験をするとか、そういった検討はきちんとなされていますか。いかがでしょうか。
○大川政府参考人 お答え申し上げます。
突然の質問でございますので準備をしてございませんが、確かに、規制改革会議の意見書の中では、農業委員会の自主性、主体性を強化する観点から、農業委員会等に関する法律に基づく全国農業会議所制度は廃止するという御提言がなされておりますけれども、これは、あくまでも農業委員会等に関する法律に基づく制度としては廃止するということでございまして、任意の団体として、あるいは別の形の団体として、業務を継続されるということまで否定しているものではございません。
○玉木委員 法律上の組織としてどうこうという話はありましたけれども、例えばこういう役割も全国農業会議所というのは果たしているんですね。
今果たしている、そういう機能、権能も網羅的に検討した上で果たしてあの改革提案が出てきたのかということについて、ちょっと疑問を感じているので少し確認をさせていただいたんですが、私が議事録を読んだ限りにおいては、外国人技能研修制度、その試験をつくっている主体としての全国農業会議所の機能ということは、一度も議論がなされていなかったように私は認識をいたしております。
大臣、これはいろいろなことを考えて改革していかなきゃいけないと思うんですけれども、今一例で申し上げましたが、こういった研修制度の適正管理という観点からも全国農業会議所というのは一定の役割を果たしていると思うんです。
今回の提言というのは、こういう観点からも少し矛盾すると思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○林国務大臣 農業委員会改革の一環として、農業委員会法に基づく全国農業会議所の事業、組織の見直しも検討されているところでございますが、今委員がおっしゃったのは、今行われている大変有用な事業があるわけです、したがって、こういうことができなくなるという事態は避けなきゃいけない、こういうふうに思っております。
こういう趣旨からも、昨日、与党で、農協・農業委員会等に関する改革の推進についてが取りまとめられたところでございますが、その中では、全国農業会議所については、農業委員会の連絡、調整、担い手の経営発展の支援等を行う法人として、国が法律上指定する制度に移行する、こういうふうにされておるところでございまして、農林水産省としては、これを踏まえて、農林水産業・地域の活力創造プランに適切な改革の方向を盛り込んでいきたい、こういうふうに思っております。
○玉木委員 ぜひ、さまざまな観点から十分な検討を加えて改革を進めていくべきだと思いますので、その点は政府としてもぜひよろしくお願いしたいと思います。
あと一点、大川次長に質問したいんです。
農協の改革で、きのうも与党で一定の方向性が出たやに聞いておりますけれども、改革の中に、農協には行政代行的なことはやらせないということが書いてあったと思いますが、一方で、これからのいわゆる減反、生産調整の見直しの政策の中で、国による配分には頼らないような形にしていきます、国は情報を出して、それを集荷団体等々が自主的に需要に応じた生産をしていくようにやっていきますと。ある種そういう団体を通じた緩やかな生産調整になっていくということなんですが、これはある面で見れば、今まで国がやっていた生産調整の割り当てなどを集荷団体等々がやるように、ある種行政の肩がわり的にやる面も出てくるんだと私は思うんですけれども、そういったことも一切しない、やらせないという方向の提言になっているんでしょうか。あるいは、そういう議論がなされた上でこのことは書かれているのか。その点について、事実関係だけでいいので、教えてください。
○大川政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま御指摘の二点、両者の整合性に関する議論というものは、特段、規制改革会議において行われなかったものと認識しております。
ただ、今回の意見は、特定の団体に行政代行的業務を行わせることの問題点を指摘したものでございまして、行政が公正なルールを明示しまして、例えば相当の手数料を支払って行政代行を依頼するということまで否定するという趣旨のものではないことを申し添えておきたいと思います。
○玉木委員 よくわからないんですが、要は、米政策も重要な改革が行われつつあるわけであって、その中における、例えば全農さんとか農協の果たす役割というのは大事になってくると思うし、重要だと位置づけられているんだと私は思うんです。
そういう中で、一方で、そういうことはやらせないような記述があるということ、少なくともそういう議論があった上で、苦渋の決断で一文書いているのかというと、全くそういう議論がないということでありますので、やはり政府における議論というのは、現時点においては極めて不十分で、言葉は悪いですけれども、薄っぺらいものにすぎないんじゃないのかなというふうに私は思います。
ですから、これから農林水産省においても、規制改革会議は一つの組織体としての意見でありますから、これを踏まえて、やはり農村の現場、これからの農政と矛盾のないような形の組織の見直しといったことをしっかりとやっていただきたい、そのことを申し上げておきたいと思います。
最後に一点だけ。
日本型直接支払い、この委員会でも何度も議論になりました。今現場でいろいろな説明を、私もしたり、聞いたりしていますけれども、このパンフレットの中に、農林水産省のパンフの二十五ページなんですが、農地維持支払いについて、基本的には農振地域に限定するということなんですが、例外があって、地方公共団体が多面的機能の維持の観点から必要と認める農用地も対象と書いてあるんですね。なので、おっ、これは今まで自分たちは受けられなかったけれども、受けられるんじゃないかといって期待される方もいるんですが、この記述が極めて曖昧なのです。
一体どういうところで新たに農地維持支払いが受けられるかよくわからないので、この点をちょっとわかりやすく説明いただけますか。
〔委員長退席、齋藤(健)委員長代理着席〕
○三浦政府参考人 お答え申し上げます。
多面的機能支払いのうち、農地維持支払いにつきましては、農振農用地区域以外の農用地を対象とする場合に、都道府県知事は、農業生産の継続性とか多面的機能を維持することの効果、必要性等を踏まえまして、基本方針において、対象となる農用地の考え方を定めるということとしております。
具体的には、農地の有する緑地機能、環境機能に着目して適正な保全が図られる生産緑地法に基づく生産緑地、地方公共団体との契約等によって多面的機能の維持を図る観点から適正な保全が図られている農用地、また、多面的機能の発揮を図るための取り組みを農振農用地と一体的に取り組む必要があると認められる農用地といった農用地を交付対象とすることができるとしておりまして、要領に規定しているところでございます。
例えば、農振農用地と一体的に取り組む必要があると認められる農用地といたしましては、洪水時に水田の貯留機能を向上させる、そういう活動に農振農用地と一体的に取り組んで、その機能の発揮を促進する、そういう農振農用地以外の農用地といったところが考えられるところでございます。
ただ、今後、都道府県の基本方針に基づきまして活動組織が市町村と協定を締結する際に、地域の実情に応じて具体的な対象農用地を決めていくということとなりますので、こうした各地の活用事例を収集、整理いたしまして、全国に紹介するということなどによりまして、わかりやすい説明に努めてまいりたいと考えております。
○玉木委員 今聞いてもわからないんですね。
結局、条例があったり、法律に基づいていたり、契約が地方公共団体とやっていたりと、事実上極めて限定的ですよね。
私が申し上げたいのは、今まで、全ての販売農家を対象に戸別所得補償の固定払いが出ていたのが、半減する、あるいは五年後になくなりますね。これは、農振地域か否かを問わず出していましたけれども、今度、農地支払い等々は、直接支払いは限られるわけですよ。
そうすると、今までもらっていた人が、中身は違いますけれども、もらえなくなって、事実上、農家所得が下がるということになりますので、農振地域以外でも、水路があったり、草刈りをしたり、一定の、いいお米をつくってやっているようなところもありますので、そういったところが柔軟に入るような運用についてはぜひ心がけていただきたいと思いますし、地方公共団体に対しても、今おっしゃったような、わかりやすい事例の提示等、基本方針の策定において参考になる情報を農林水産省としてもしっかり出していただきたい、このことをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○齋藤(健)委員長代理 次に、鈴木義弘君。
○鈴木(義)委員 日本維新の会、鈴木義弘です。
この通常国会の会期末までで最後の質問になるんじゃないかと思います、先週も何か同じことを言ったなと思うんですけれども。
過去に質問したことがあったかなと思いますけれども、食の安全についてお尋ねをしたいと思います。
国内の消費需要が減少する中で、海外に農林水産物を輸出して、産業としての活力を取り戻していくことに関しては、誰も異存はないと思っています。しかし、現在、海外から私たちの食卓に大量の輸入農産物が並んでいるのは御案内のとおりであります。輸入農産物の日本の対応はもともと甘く、ポストハーベスト農薬を見逃しているうちに、年を追うごとに農産物の輸入が増加し、問題が大きくなり過ぎて、違反を違反として摘発することができなくなったというふうに言われているところもあります。
ことしの三月二十八日付で、厚生労働省医薬食品局から各検疫所長宛てに、食品衛生法第二十六条第三項に基づく検査命令の実施についての通達を出しました。今お配りさせていただいている、もう目を通されている方が大半だと思うんですけれども、この代表的なものを例示させてもらいたいと思います。
全輸出国、これは日本に入ってくる相手先の国のことを言っているんですけれども、フグは、有毒フグが混入しているおそれがあるためというのがただし書きで書いてあるんです。すじこは、亜硝酸根が検出されるおそれがあるため。落花生、ピスタチオナッツ、ブラジルナッツ、ジャイアントコーン、アーモンド、クルミ、チリペッパー、乾燥イチジクは、アフラトキシンが付着または含有しているおそれがあるため等々が列記されています。
国別では、イタリアは、非加熱食肉製品、ナチュラルチーズ等。インドでは、養殖エビやトウガラシ、紅茶等。韓国は、豚肉、活鰻、養殖ヒラメ、アカガイ、タイラギガイなどが列記されている。インターネットでとったので、本来はすごい量のデータになっているんですね。これが異例な措置なのか、通常の措置なのか、お尋ねしたいと思います。
また、食品衛生法違反が、ホームページで検査結果が公開されていますが、検査不適合の地域や企業は、同じ地域なのか、同じ企業なのか。また、措置状況の中で、廃棄、積み戻し等を指示してあるんですけれども、その後の処理の状況を確認しているのか、していないのか、そこまでは明示されていないんです。
きょうはお配りしていないんですけれども、これも厚生労働省のホームページを引っ張り出しますと、たしか二十六年度の六月分と書いてある。これは毎月毎月出ているんですけれども、それについて、まずお尋ねをしたいと思います。
〔齋藤(健)委員長代理退席、委員長着席〕
○新村政府参考人 お答え申し上げます。
検査命令というものにつきましては、輸入時の検査などにおきまして食品衛生法違反が複数回判明するなど、輸入食品が、今後、法違反となる可能性が高い場合に、輸入者に対しまして、輸入の都度検査を行うように、厚生労働大臣が検査の実施を命ずるものでございます。
御指摘のリストにつきましては、検査命令の対象を一覧にしたものとして、厚生労働省から各検疫所長宛て通知しているものでございまして、検査命令の対象となれば、このリストに追加されるということになります。
一方、検査命令が解除された場合にはそのリストから削除されるということになりますが、その要件は三つございまして、そのいずれかに該当することになります。一つは、輸出国政府により原因究明や再発防止策などが講じられ、その有効性が確認されている場合、二つ目は、二年間新たな違反事例がない場合、三つ目は、一年間新たな違反事例がなく、かつ検査命令の検査件数が三百件以上にわたるものとなっております。
また、違反の傾向につきましては、その年の各国の自然状況ですとか、あるいは検査対象品目に係る違反原因の改善状況などによりまして変動するため、なかなか一概には申し上げられないところがございます。
一方、違反原因といたしましては、アフラトキシンなどのカビ毒、また残留動物用医薬品、そして残留農薬、こういったものが多くなっております。
検査命令の結果、違反となった貨物につきましては、検疫所の指示に基づきまして、輸入者が積み戻しまたは廃棄の措置を講じておりまして、その報告をきちっと受けているということでございます。
○鈴木(義)委員 人間がちょっとしつこいので、もう一回確認したいんですけれども、これは異例な措置なのかどうかということですね。
それと、あと、措置の状況で廃棄、積み戻し等の指示があるのはわかるんです。それがされたかどうかの確認をしているかということです。
○新村政府参考人 食品衛生法に基づきまして検疫所がモニタリング検査などを行っておりますけれども、それで複数回の違反が出た場合など、違反の蓋然性が高いような場合に、検査命令を出して、輸入者がきちんと輸入の都度検査をすべきということが法律に定められておりまして、これは法律にのっとった手続でございますので、検査命令に至る場合が、一定の法的な手続に基づいて行われているということでございます。通常の手続に従って行われているという意味では通例の手続でございますが、全てが検査命令に移行しているというわけではないという意味では例外的な措置ということも言えるかと思います。
また、検査命令の結果、違反となった貨物につきまして、輸入者が積み戻しまたは廃棄を命ぜられるわけでございます。その結果につきましては、文書を提出させておりますので、それによって一件一件確認しているということでございます。
○鈴木(義)委員 もう一回、ちょっとしつこく聞きたいんですけれども、備考の欄のところに、自主検査、モニタリング検査、行政検査と三つぐらいに分かれているんですね。行政検査というのは検疫所の方でやっているんだと思うんですけれども、自主検査だとかモニタリング検査というのは相手方が自発的にやっているのかどうか、そこだけちょっと確認したいんです。
○新村政府参考人 お答え申し上げます。
モニタリング検査と申しますのは、検疫所におきまして、輸入食品の監視指導計画という年間の計画に基づいて、一定の統計学的な計算に基づきまして抽出をしてモニタリング検査をする、そういう検査でございます。
一方、自主検査と申しますのは、規格基準に合っているかどうかというようなことについて、検疫所が輸入者を指導しまして、自主的に検査をしなさいという指導に基づく検査でございます。
また、行政検査も指導に基づくものでございますが、特にその事業者からの輸入食品が初回であるような場合には、必ず検査をするように指導している、そういったものもございます。
○鈴木(義)委員 横浜の税関というより検疫所のホームページで見せてもらったんですけれども、農林水産省の検査体制と共同してやっているところがあるんだと思います。
この六月分の指導、措置状況の中にも、小麦、アメリカから来ています。それとか、インゲンマメ、これもアメリカから来ていて、カビが生えたため、原因は水漏れとなっているんですね。その中で、全量保管で、廃棄、積み戻しを指示していて、小麦だって袋に入っているんじゃないんだと思うんですよ。船いっぱい小麦が入っているんだと思うんですね。これは水漏れだといって、カビが生えているからというような原因で廃棄処分命令をしたときに、きちっとそれが処理されているのかということですね。
それと、あと、時間がないので、あわせてお尋ねしたいんですけれども、農林水産省の検査体制と、現在の輸入件数と検査件数と検査結果はどういう状況なのか、そういったものはホームページで公開しているのかどうかも含めて。
同じく、不適格の状況とその措置をお尋ねしたいと思います。
○小林政府参考人 植物検疫について御説明を申し上げます。
植物検疫につきましては、農林水産省が担当しておりまして、病害虫の侵入を防止するために実施をしております。
現在の体制ですが、植物防疫所における植物防疫官というのがおりまして、全国で八百八十九名。検査を実施した件数は、平成二十五年におきまして、百二万二千百七十六件の輸入検査を実施しております。
具体的に言いますと、例えば、コンテナがありますと、そのコンテナをあけて、その中から検品をするという形になります。その中で、病害虫がくっついていたということで不合格になったのが七万四千六百九十五件という形になっております。こういった情報はホームページで公表をしております。
さらに、こういった不合格になったものにつきましては、発見された病害虫によって異なりますが、消毒を行う、あるいは廃棄をする、こういった措置を講じない限りは日本国内には入ってこないということでございまして、日本国内というか、むしろ港の外に出てこないということでございますけれども、それについてはしっかりと事後措置も確認をしております。
以上でございます。
○鈴木(義)委員 厚生労働省の方で、ちょっと答弁をお願いします。
○新村政府参考人 先ほどの、小麦が水漏れでアフラトキシンが検出されるというような場合の措置でございますけれども、これは船などで大量に小麦が運ばれてくるといった場合に、それを目視でチェックいたしまして、水漏れがあるというようなところ、そこにカビが生えているかどうかを確認いたしまして、その部分は廃棄をさせるということでございまして、非常に大量にあるもの全てではないということでありますけれども、その汚れているような部分についてはきちんと廃棄させるという措置をしております。
○鈴木(義)委員 今御説明いただいたように、日本の基準を超えた残留農薬は水際でチェックされているから、高度に汚染された農産物は入ってこないはずだと私たちは思っています。
例えば、これから梅雨が明けると暑い夏が来ます。気候的にはイチゴが国内ではなかなかとれづらい、一部ではやっているところもあるんでしょうけれども。これも税関のホームページで見たんですけれども、今、日本に入ってきているイチゴは、年間三千四百四十七トン輸入されているんですね。このうちの検査体制はどのぐらいなのかといったときに、平成二十四年度、アメリカの輸入量で千三百二トン、中国で七百九十三トン、フランスで五百三十六トン輸入されていて、横浜港から荷揚げされているのが全国のうちの二六%を扱っていますというのがお知らせされているんです。
飛行機でなくて、長い船旅をして日本にイチゴが入ってくるわけですから、色や味、見た目を保つためにいろいろな方法で鮮度を保っているんだと思うんです。その一つにポストハーベスト、過去にも話題になったと思うんです。
現在、国内で規制されている農薬は何種類ぐらいあって、アメリカや中国で収穫後のイチゴに使用を許可している農薬は何種類あるのか、お尋ねします。
また、この農薬は、日本で規制されている農薬と、収穫後に使用している農薬と同じものが規制されているのか、お尋ねしたいと思います。
○小林政府参考人 イチゴについて、国内及び海外での農薬の規制についてお尋ねでございますので、御説明させていただきます。
まず、国内でイチゴに使用できる農薬の種類、これは有効成分数でカウントいたしますと、二百十七ございます。このうち、国内で収穫後に使用できる農薬というのもございまして、一つは青酸、もう一つは臭化メチル、この二成分でございます。
農林水産省におきましては、国内において使用する農薬については、効果と安全性を審査して登録をして、その適正な使用を指導しているということになっておりますが、海外で使われる農薬につきましては、日本国内で農薬の登録手続がない限りは、まず農薬としては日本に入ってこない。
それから、農産物にくっついてくるということについては、残留農薬基準の方でチェックされるという形になっておりますので、海外での農薬の登録、使用実態についての情報は、私どもではつぶさには承知をしておりません。
しかし、このように網羅的には把握しておりませんが、例えばということで申し上げますと、今、我が国では、収穫後に、イチゴについては青酸と臭化メチルが利用できるというふうに申し上げましたが、アメリカでは、臭化メチルの使用は認められておりますが、青酸の使用は認められていないというふうに聞いておりまして、イチゴについていいますと、現時点で承知している範囲では、アメリカでは臭化メチルのみかと思います。
以上でございます。
○鈴木(義)委員 今御説明いただいているんですけれども、アメリカと日本、中国もちょっと確認をしたいんです。なぜかというと、アメリカからイチゴがたくさん入ってきた時代もあったんですけれども、今、中国産がやはり二番目なんですね。今、例を挙げましたように、フランスがその次、これで三千四百四十七トン、日本に入ってきているんです。
ですから、アメリカばかりじゃなくて、中国だとかフランスとかで使っている農薬、生産する途中なのかな、収穫後、日本に船旅に来るときにかけている農薬があるんだと思うんですけれども、そこのところを教えてもらいたいと思います。
○小林政府参考人 先ほども御説明申し上げましたように、中国での農薬、しかも日本の国内に入ってこないという前提での農薬の使用実態については私どもでは捕捉しておりませんが、残留農薬基準という基準がありますので、その基準にひっかかるものは、もちろん、私どもといいますよりも、厚労省の方でチェックをして排除しておられますので、国内に入ってくるものについては、国内の残留農薬基準に適合したもののみが入ってきているというふうに考えております。
○鈴木(義)委員 そうしますと、外国では認められている農薬であって日本では認められていない農薬であれば、残留基準がどんなに高くても検査の対象にはならないということでよろしいんですか。
○小林政府参考人 残留農薬基準自体は、内外無差別に厚生労働省で設定しておられますので、厚生労働省もおられますので御説明いただいた方がいいかもしれませんということですので、日本国内でも認められる、海外でも認められるという両方に、内外無差別で設定されているというふうに考えております。
○鈴木(義)委員 だから、しつこいんですけれども、アメリカでは認められていて日本では認められていないもので、先ほど、ちょっと品名は忘れてしまったんですけれども、日本では二種類あるけれども、アメリカでは一種類、それを使っているんじゃないかというんですけれども、それ以外の農薬を、収穫後にアメリカが、色あせをしないとか品質を保持するために使った農薬で、日本に入ってきたときに、日本は農薬の残留基準としての農薬の種類自体が登録されていないわけですから、検査する対象にはならないかということなんです。
○新村政府参考人 お答え申し上げます。
残留農薬の基準値につきましては、個々の農薬ごとに、その安全性については、食品安全委員会の評価を受けた上で、安全であるという範囲内で、個々の作物ごとに残留基準値を設定いたします。国内で農薬としての申請があるものにつきましては、農林水産省を通じてデータを提出いただきまして、そのデータに基づきまして基本的には基準値を設定いたしますし、海外で使用実態があるということで、海外からの申請のあるものにつきましても、海外からのデータに基づきまして基準値を設定して、作物ごとに基準値の一覧表があるということでございます。
したがって、使用実態があるものにつきましては、設定された基準値以内であれば、輸入検査を通過するということになりますが、それ以外の農薬を万一使ったというような場合には、一律基準というのがございまして、〇・〇一ppmという非常に低い値、これは、世界的に見ても、このレベルであれば、人間への健康影響は考えられないという、その基準でございまして、万一想定されないものが使われた場合にも、それでモニタリング検査をしておりますので、チェックをして、違反があれば、先ほど申し上げましたように、廃棄などを命ずるというシステムになってございます。
○鈴木(義)委員 今イチゴの例を出させてもらったんですけれども、ジャガイモだとかニンジンだとかタマネギ、カボチャだとか大豆とか、先ほど例を挙げたインゲンマメも、アメリカから入ってきているわけなんです。そういったものがどんどん入ってきて、同じように検査していると思うんですけれども、全体で、問題なしというふうに言われたのが、私が知る限りでは、大体九九%ぐらい。それを超えるぐらいの農産物に関しては、オーケーですよというふうに言っているんです。
しつこく質問して申しわけないんですけれども、アメリカで使用が認められていて日本で使用が認められていないものでも、〇・〇一ppm以下だったら、そこで線を切るんですよということでよろしいんでしょうか。それは、イチゴ以外の農産物が入ってきても同じですか。
○新村政府参考人 お答え申し上げます。
残留基準値の設定の考え方は、先ほども申し上げたとおりでございまして、これはイチゴであれ、ほかの作物であれ、共通でございますので、日本側として、国内あるいは海外での使用があり、その申請に基づき、データとともに、専門家のチェックを受けて設定された基準値以内であれば、それは認められますし、想定外の使い方をされたというような場合で、作物で、本来の基準値が設定されていないようなものにつきましては、これは〇・〇一ppmを超えるものは違反ということになりますので、イチゴに限った話ではございません。
○鈴木(義)委員 ありがとうございました。
過去のデータによれば、日本市場の小麦粉や小麦粉製品には、残留農薬がかなりの頻度で検出されている事例もあったんだと思います。その中でも、マラチオン、フェニトロチオン、スミチオンというのは、私も小さいころ、薬まきを一緒に、祖父の手伝いをしたときに使ったのを覚えているんですけれども、有機燐酸系の殺虫剤が集中しているというのは、いろいろなデータを見てもわかるんです。
その殺虫剤の中には、発がん性があるとか、催奇性があるとか、変異原性というんですか、あと生殖毒性とかというふうに、俗に言う生殖ホルモンに作用するようなものだというふうに言われているんだと思います。
それと同じような、環境ホルモンに作用するような物質が殺虫剤として使われているんですけれども、ポストハーベストの農薬として使用されているマラチオンは、残留農薬の残留基準では、小麦で八ppm。これが、一九九一年以前では残留基準が設定されていなかったと聞いています。この八ppmという基準が、輸出国であるアメリカ、カナダ、オーストラリアと同じ基準だと。今はその基準でやっているんだと思うんですけれども、日本の安全基準が、逆に貿易障壁だとか、農薬の残留基準の緩和をというふうにアメリカが強い要求を日本に突きつけてきて、その基準になったというふうにも聞いております。
これで、日本がTPPの交渉の中で、お尋ねしてもなかなかお答えいただけないんだと思うんですけれども、今まで以上に豚肉だとか農産物が入ってくる可能性がある中で、私たちの健康をある意味では水際でチェックというんですか、検査してもらっているところが、なし崩し的に、やはりアメリカではこの基準でいいんだから日本もいいだろうというような感じで押しつけられたときに、本当に国益が確保できるのかというところを、今交渉中だからお答えできませんという答弁じゃないかなと大体思うんですけれども、それならそれで御答弁いただきたいと思うんです。
○林国務大臣 食品の安全性の確保ですが、食品安全委員会、厚生労働省とともに政府一体となって取り組んでおりまして、農林水産省では、農場から食卓までのフードチェーンにおける安全管理を所掌しているところでございます。
具体的な交渉の中身は、お答えを控えさせていただきますが、TPP交渉の中で、WTO協定の附属書の一つであるSPS協定を踏まえた議論がなされておりまして、食の安全に関する我が国の制度の変更を求められるような議論は行われていない、こういうふうに承知をしております。
いずれにしても、TPP交渉に当たっては、残留農薬等の基準等において食の安全、安心を損なわないこと、これは農林水産委員会の決議にもそういうふうになっておりますので、これも踏まえて、関係省庁と連携しながら、全力を尽くしたいと思っております。
○鈴木(義)委員 ありがとうございます。ぜひ頑張っていただきたいなというふうに思っています。
それで、日本に入ってくるものはきちっとカバーしているんだという話なんですけれども、逆に日本から外に出していくときに、相手国に対してどういう状況になっているのか、それをお尋ねしたいと思います。
○江藤副大臣 輸出戦略を立てておりますので、委員の御指摘はごもっともであるというふうに考えます。
例えば、日本の緑茶なんかは、ヨーロッパに輸出しても、現地ではほとんど生産しておりませんので、そういうことであれば、当該農薬の登録はそもそもなされておりません。ですから、残留農薬基準も設定されていないという場合があります。または、我が国に比べて厳しい残留の基準が設定されている場合もまた逆にあるということであります。
ですから、輸出相手国の最新の残留農薬基準値の情報収集、それから、そういうものを輸出をやる人たちに提供するということが大変大事だろうと思っています。
それで、今回の平成二十六年度予算でありますけれども、農産物輸出促進のための新たな防除体系の確立・導入事業委託費という新規の予算を組みました。この政策目的は、新たな防除体制の確立によりまして、我が国農産物の海外への輸出促進に資するとともに、病害虫被害を軽減するということでありますので、例えば、農薬だけに限らず、天敵を使う、ダニを使うとかフェロモンを使うとか、いろいろなことも推進しながら、こういった情報収集、情報提供を進めて、輸出促進にもつなげてまいりたいと考えております。
○鈴木(義)委員 ぜひ日本のいいところを外国の方にわかっていただくように御努力いただければなと思っています。
次に移りたいと思います。
スーパーに行ってアメリカ産のグレープフルーツの売り場に行ったところ、イマザリル、OPP・Na、TBZと小さく表示してあったり、輸入バナナ、日本でも一部バナナはとれるところもあるんでしょうけれども、ほとんど海外からの輸入ものだと思うんです。売り場には何の表示もしていないんですね、同じ輸入品にもかかわらず。これが、ポストハーベストの農薬というふうに言われていて、イマザリル、OPP・Na、TBZが表示されているんですね。薬剤によっては食品添加物とみなされる場合もあるし、農薬として扱われることがあるんだと思うんです。
なぜ海外での農薬が日本国内で食品添加物として定義されてしまうのか、そこを一度お尋ねしたいと思います。
○新村政府参考人 お答えいたします。
収獲後のかんきつ類などの作物に使用される農薬は、一般にポストハーベスト農薬と呼ばれております。また、食品衛生法上、食品添加物とは、食品の製造の過程において、または食品の加工、もしくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用するものとされております。
このため、ポストハーベスト農薬のうち、カビなどによる腐敗、変敗の防止など、防カビ目的に用いられるもの、いわゆる防カビ剤につきましては、食品の保存の目的で食品に使用するものに該当するため、食品添加物として扱っているということでございます。
○鈴木(義)委員 ですから、今お尋ねしたように、グレープフルーツに残留している同じ物質がアメリカでは農薬になっているんですね。日本では食品添加物として定義されていて、農薬なのか食品添加物なのか、それは今御答弁いただいた形なんでしょうけれども、すごくわかりにくくなっているというふうに言われています。
これは過去に日米レモン戦争とかと言われて、きのうも食事をしたときにレモンがちょっと添えてあるんですけれども、いい色なんですね。何日たってもあの色が変わらない。それだけやはり、農薬なのか食品添加物なのかわかりませんけれども、使っています。このような事例はほかでも幾つもあるんだと思うんです。
でも、これから、日本がEUも含めてEPAを交渉し始めるという報道もありますし、我が国の国家戦略として、もっと安全なもの、もしくは他国とは違う農産物の生産、流通などを、やはり安全、安心というのを一つのブランド化していって売っていったらどうだろうかという考え方です。
その辺について大臣の御答弁をいただけたらなというふうに思います。
○林国務大臣 まず、食の安全を守るということは、先ほども申し上げたように、国の最も重要な責務の一つだと思っております。
科学的知見に基づいて、食品の安全の確保をすることは、WTOのSPS協定において各国に認められた権利でございますので、EPA協定締結等に当たっても、これまでと同様に、厚生労働省等とも連携しながら、食の安全が損なわれることのないように、国際基準や科学的知見を踏まえた対応をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
一方で、今先生おっしゃったように、日本の農林水産物や日本食、安全性やおいしさという意味で非常に強みを有しておりますので、こうした特性を持つ産品のブランド化を国内外の市場で推進するということは、我が国の農林水産業を推進する上で大変重要なことだ、こういうふうに思っております。
○鈴木(義)委員 これは通告には書いていないんですけれども、例えば、日本では成長ホルモン剤を認めていないんですね。エストロゲン、発がん性との関係が疑われているために、日本国内では使用が禁止されているホルモン剤に対して、それを使った食肉の輸入を認めているんですね。これはダブルスタンダードじゃないかというふうに言われるんです。
日本では使わせないよと言っておきながら、それを今海外展開して、大臣がお答えになられたように、安全なものなんだ、そういったものを一つのブランド化して売っていきましょうと言っておきながら、海外から入ってくるものは、成長ホルモンだとか生殖ホルモンを投与された豚肉だとか鳥肉だとか牛肉を私たちが食べるというのは、やはりおかしいんじゃないかと思うんですね。
その辺はどうでしょうか。
○小林政府参考人 今お尋ねなのは、動物、特に牛などに、海外で成長ホルモンなどを使って大きくしている場合があるということを前提に、それが輸入品で入ってきているのではないか、また国内ではそういったものは使っていないじゃないかという御指摘であろうと思います。
それで、実は国内でも、そういった薬剤の申請があれば、手続をして合格になれば使用は可能ですが、現在のところ、そういった成長ホルモンを使いたいという農家の希望がないものですので、そういう薬剤の申請がないというのが現在の実情でございます。
○鈴木(義)委員 私がお尋ねしたのは、そうじゃなくて、大臣が御答弁された中で、日本は、安全、安心を一つのブランド化として海外展開するときに、日本のつくり方だとか日本の種とかそういうものが安全なんだというのを一つのブランドとして売っていくんだと言うから、それはいいことなんだと私も思うんです。でも、私たちの口に入れるものは、申請がないから認めていないだけで、どうぞ、どんどん成長ホルモンをと。
何か、これはきちっとしたデータがないから、昔聞いた話だから何とも言えませんけれども、一九五〇年代ぐらいに、鳥に成長ホルモンをいっぱい入れたものを食べたら、子供が思春期を早く迎えたという事例があったという話。それ以降、成長ホルモンを、鳥だったと思うんですが、それには与えなかった。では、それは損害賠償だとかそういった事例があったんですかといったら、そこまでにならない、うやむやのうちに終わってしまって、その薬品は使わなくなったんだと。だったら、日本はそういったものを使わないで海外展開していってブランド化していくというのであれば、やはり納得できるんじゃないかと思うんです。
国内で使わないんだから、海外からも入ってくるものは入れませんよというぐらいなものをしないと、日本も一部ヨーロッパと近いような感覚のところもあるし、やはりヨーロッパの中で食にかかわるものというのは、予防原則というのが一つあるというふうに話を聞くんです。わからないものは入れない、食べない。日本もEUとの交渉をしていく中で、必ず向こうはそれを一つの条件につけてくるんだと思うんですね。
それであれば、日本の農産物、農林水産物というのは安全なんだということであれば、それをやはりブランド化して推し進めていった方がいいんじゃないかと思うんですけれども、そこの点をもう一度お尋ねしたいと思います。
○林国務大臣 先ほど申し上げましたように、SPS協定というのがございます。国際基準や科学的知見を踏まえた上でこれまでも対応してまいりましたし、今後もそういう対応をしていくということの中で、先ほど局長から答弁いたしましたように、国内でも、それは禁止をされているというものでなくて、申請がされれば使っていいという判断をしているものでございます。
先ほど委員が挙げられた事例は詳細に承知しておりませんが、やはり、そういう国際基準、科学的知見を踏まえた今の仕組みになっている中で、我が国の安全、安心というブランドがある、こういうことであろうかと思っておりますので、もし問題があるようなことであれば、科学的知見を踏まえて、またそれなりの対応をしなきゃいかぬ。厚生労働省とも連携しながら、食の安全が損なわれるということであれば、しっかりと対応する。
要は、基準をきちっと守りながら、食の安全、安心ブランドというものをきちっと今度は輸出のときのブランドにしていく、これが肝要なことではないかというふうに思っております。
○鈴木(義)委員 イチゴの話に戻らせてもらいたいんですけれども、これは一年前の二〇一三年三月に、ジェトロが流通構造調査書というのを出されているんですね。日本のイチゴで「あまおう」とか「ひのしずく」というブランドを香港だとか台湾、シンガポールに輸出した実績の状況報告があって、それを目にしたんです。日本は飛行機でイチゴを持っていっているんですね、ちょっと確認していないんですけれども。イチゴは、アメリカからは船で来るんだと思うんです。
だから、結局、収穫後の農薬なのか食品添加物なのかわかりませんけれども、使うだけ使って、レモンもいい例だと思うんですね。それで日本に入ってきて、おいしい、おいしいと食べているわけです。そうじゃなくて、大体三倍ぐらいの値段がしてしまっているという報告書なんですけれども、でも逆に、日本はそれでいいんじゃないかと私は思うんです。
海外に、ちょっと高くなるのはどうかなと思うんですけれども、やはり、内外の輸送のコストを下げるとか、マージンの縮減に取り組むことで、でも、要らない農薬だとか、必要のないものは添加させないという考え方でブランド化して売っていく、お客様に喜んでもらうというのが、日本のこれから生き延びていく、農業を振興させていく一つの重要なキーワードになるんじゃないかと思うんです。
外国がやっているから、価格競争でやればいいだろうという発想じゃないところに活路を見出したらどうかなと思うんですが、再度お尋ねしたいと思います。
○坂本委員長 林大臣、時間が経過しております。簡潔にお願いします。
○林国務大臣 まさに、先ほど申し上げたように、食の安全、これが第一でございますが、その中で、例えば有機農業のように、こういうつくり方をしておりますということを前面に出してブランド化する、これは一つの行き方としてある、こういうふうに思っておりますので、そういうこともいろいろ工夫をしながら、展開を図っていく必要がある、こういうふうに考えております。
○鈴木(義)委員 ありがとうございました。終わります。
○坂本委員長 次に、林宙紀君。
○林(宙)委員 結いの党の林宙紀でございます。
きょうは、通告していた内容が前半と後半に分かれているんですけれども、済みません、先に後半の通告内容からお伺いをさせていただきます。
資料を用意させていただいておりまして、表が強い農業づくり交付金、裏が先日審議をさせていただいた特定農産加工業法、その特定農産加工の方からお伺いをしたいなと思っております。
先日採決をさせていただいて、私たちも、その趣旨、内容等々には賛同するということで、賛成させていただきました。きょうは、この特定農産加工についてのデータはあくまで一つの例ということで取り上げさせていただいて、先にデータの扱いがどうなっているのかということをお伺いさせていただきたいと思います。この間の質疑でも少し触れさせていただいたんですけれども、ちょっと詳しく聞かせていただくということでお願いをいたします。
まず、上の方の表なんですけれども、これは、その法案を御説明いただいたときに農水省さんから御提供いただいた資料の中に入っていた表です。ごらんいただきますと、これは、平成十九年度に特定農産加工資金を使いまして、確認がとれた三十九事業者の事業実施前と五年後、どのように売上高や経常利益、従業員数などが変わったでしょうか、そういう表なわけです。
これをごらんいただくと、先日私も触れましたが、売上高は四・五%増加、経常利益については三三%増加、こんな形になっているわけですね。
この表を見ると、なかなかいい効果を発揮したなと。当然、農水省さんの資料にも、これは効果があった、改善効果があったということが認められるというような形で書いてございましたので、私も、これを見る限り、うん、なるほど、これはなかなかいい事業なんだな、そのように判断いたしたところもございます。
ところが、これは、先日ちょっと触れましたが、三十九事業者を一括して、その数字の総和で見比べておりますので、では、個々の企業がどうだったのか。具体的に言うと、例えば、三十九事業者のうち一握り、数社だけ物すごく売り上げが伸びているとか物すごく利益が伸びているということ、一方で、ほかの大多数が実は売り上げや利益が減っているんですよというようなことも考えられるんじゃないですかということを疑問に思ったので、法案の採決をした後に、これはどうだったんでしょうねということで、データをいただいたというところでございます。それが下の表ということになりますね。
これは、ごらんいただくと、私が思っていた懸念というのが出ているじゃないかということになってしまうわけです。
一番上の「全体」というところをごらんいただくと、この三十九事業者のうち、確かに売上高は二十六事業者で増加している。これは、上段が増加した事業者の数で、下の段が減少した事業者の数です。売上高は、三分の二がふえていて、三分の一が減っている。三分の一が減っているというのも結構大きい数字なんじゃないかなと私は思いますが、それは置いておいて、その隣ですよ、問題は。経常利益、これが減っている事業者の方が多いんですね。二十三事業者で減っている。
普通、経営改善を図るという目的で何か事業をやる場合には、売上高も大事なんですけれども、経常利益が上がったんですか、ここが物すごく大事なことであって、これを見ると、基本的に大多数と言っては変かもしれませんが、半数以上の事業者については利益が減っているということは、むしろ費用がふえたんじゃないですかということが言えてしまうわけです。そういうことですよね。売上高自体は伸びている事業者が多い、一方で、利益は減っている事業者が多いということは、コストがふえたんじゃないですか。これは経営改善と言えるんでしょうかという疑問になってきてしまうわけです。
ということで、まず最初にお伺いしたいのは、経常利益が下がっている事業者が多いということの要因、下がった要因ということ。それから、もし可能であれば、これをもってして、特定農産加工に関する全体の事業自体が本当に効果的なんですか、そう言える根拠は何ですかというところを教えていただきたいと思います。
○小里大臣政務官 御指摘のとおりであります。データで、全体として見ますと、経常利益も従業員数も国産農産物の取扱量にしましても三割前後ふえておりますが、個別の事業者数で見ると、経常利益が減少した事業者の方が多いということでございます。
これにつきましては、このデータの平成十九年以降の五年間を見ますときに、特に輸入競合品との競争が厳しい中で、例えば食品の企業物価指数あるいは消費者物価指数に見られますように、原材料が高騰する一方で、製品価格を十分に上げられず、利益が出しにくい状況があった、これは客観的なデータとして存在をいたします。また、特定農産加工法に基づいて設備投資をしますと、その減価償却費が負担となった、そういうことも考えられるわけであります。
いずれにしましても、厳しい環境の中でかなり善戦しているな、そのように印象を受けるところでございます。すなわち、輸入競合品との内外価格差が二倍から三倍ある中で、単なる価格競争に陥らずに、輸入競合品との差別化を進めるための新商品の開発、新技術の導入など、経営基盤の強化を図る上で、本法が経営改善の促進に役立ってきておるな、そのように考えるところであります。
○林(宙)委員 そうやって細かい理由を聞けば、私も、なるほど、今政務官がおっしゃったような要因があったんだなということが初めてわかったわけです。ここまで説明されませんでしたからね、法案のときに。今政務官がおっしゃったことは、本当に、要因としてはそのとおりだろうというふうに思います。
法案審議の中でたしか大臣もおっしゃっていましたが、要は、これをやることによって、例えば、どんと売り上げが伸びるとか、どんと改善が見られるということよりも、とりあえず踏みとどまるという効果ももちろん大事なんだということを、どこかでたしかおっしゃっていたと思うんです。
なので、そういう意味では、まあいいのかなというふうに思うんですが、ただ一方で、やはりそういった理由はさまざまあると思いますけれども、そうなると、今後、仮に国際環境が大分今よりも悪くなってくるような傾向があったときに、厳しくなってくるようなことがあったときに、では、これまでと同じやり方でいいんだろうかとか、そういう政策判断がだんだん必要になってくると思うんです。
今回のように、この法案をぜひ通してくださいという形で説明を受けるときに、最初に示したようなこういう表だけでは、全体はわかりますけれども、細かいところで何が起こっているかというのはやはりわからないと私は思うんですよ。それで判断をするということが果たして妥当なのかというところは改めて問い直したいなと思います。
実は、今回も、このデータをいただくのに私は相当苦労しました。
なぜかというと、まず、個別の企業のデータ、この上の表に書いてあるデータはそれぞれの企業のデータを足し上げているわけですから、もちろん個別の企業のデータはあるでしょう、見せてくださいと言ったんですけれども、だめだった。
これは、気持ちはわかります。情報保護の観点とかいろいろあると思うので、個別の企業名とかを出して一個一個提供するというのは難しいだろう。では、企業の名前は伏せてもいいですよ、だけれども、データだけ見せてもらえませんか。これもだめだと言われました。
では、今度は業種別に一くくりにして、これだったら提供してもらえますかと聞いて、それならちょっと検討しますとおっしゃったので、ほっとしていたら、出てきたのがこの下の表だったわけですよ。
私が要求したのはこれじゃないんです。これは事業者数しか書いていないですよね。私は、この上の、売上高とか経常利益のこういう数字がいただきたいという趣旨で申し上げたんですが、出てきたのはこれだと。聞いたら、これが限界ですということをおっしゃるわけです。これをもって、データをもとに客観的な判断をしろと言われても、なかなか難しいんじゃないのかな。
そこで、百歩譲って、私たちにはデータを見せられないにしても、農水省さんの中で、省内で、こういう形で個別の企業のデータ、統計で処理するんだったら、例えば平均値を求めるとか、そこから、データはどのぐらいばらつきがあるのか、標準偏差とか分散とかそういったところまで計算しているんですか、そういうことの方が私は気になるわけですよ。
私たちには見せられないけれどもやっていますというなら、それでいいかなと思いますけれども、聞いたら、やっていないとおっしゃっていました。それでどうやってこの政策を正当化していくのかなというのを私は常々思うんですね。
私も、学生時代の同級生がほかの省庁なんかにいたりしますので、こういうのは普通なのかと聞いたら、そもそも個別データを外に出さない条件でそういうデータをもらっているパターンが多いから、それはなかなか難しいよということで、統計データを出してくれと言うと、逆に嫌がる事業者もいるしと、そこはやはり事務方の皆さんも大変苦労されているというのは理解いたします。
しかしながら、公費をある程度投入して、それでもって実現している低利融資なわけですから、それはやはりデータを可能な限り農林水産省さんの方でしっかりと把握する。今回、政策金融公庫さんがデータを持っていて、それがどのぐらい農水省さんの方に行っているかわかりませんけれども、やはりそういった形でデータをちゃんととる。低利融資をするんだから、公開はどこまでやるかは別として、その分、データは下さいねということぐらいまでやってもいいんじゃないですかと思いますけれども、これはいかがお考えですか。
○林国務大臣 個社の企業のデータの取り扱いについては、今委員がおっしゃったように、やはり公開する限界というのはどこかにある、こういうふうに思っております。
一方で、特定農産加工業者の事業実施効果、これを的確に把握するという意味で、日本政策金融公庫が実施する調査だけではなくて、農林水産省としてもみずからこれを把握していく必要がある、こういうふうに考えております。
したがって、都道府県が法律の規定に基づいて行っている経営改善計画の計画承認後の状況調査、これでいろいろな状況を調査しているわけですが、今年度から、売上高、経常利益、それから国産農産物使用量、こういうものを全て把握するようにするとともに、事業者ごとに各項目ごとの年度推移を把握できるように、取りまとめ方法を改善したところでございます。
今後は、この調査を通じて、各業種ごとの経営改善の状況、こういったものの事業実施効果の把握に努めまして、今委員からも御指摘がありましたけれども、特定農産加工業者のフォローアップをしっかりと充実させていきたいと思っております。
○林(宙)委員 ぜひ、こういう時代になってきましたので、データをできる限りそろえて議論をする、あるいは政策評価をするということをスタンダードにしていただきたいなというふうに思っております。今大臣からも御答弁あったように、今後、できる限り、それはいろいろな苦労があると思うんです、だけれども、できる限りのところまで、ぜひデータをとりに行くというところに御尽力をいただけたらなというふうに思っております。
では、今度は強い農業づくり交付金について幾つかお伺いをさせていただきたいんです。
今の資料の裏側、こちらに事業実施主体区分別配分割合と書いてありますが、要は、市町村とか公社あるいは農協、そのほかということで大体民間というくくりになると思うんですけれども、平成二十四年度から今年度まで、どのぐらいの要望があって、どのぐらい交付金が認められたんですかというものをデータにさせていただいているところです。
これは、一目瞭然というか、ざあっと見ていただいてわかると思うんですけれども、二十五年度までは、当初、補正も含めまして、ほぼ一〇〇%に近い割合で交付金申請が認められているということになります。要は、ちゃんとした計画をつくって出せば、ほぼ確実に交付金が認められましたよというデータになっているわけなんですけれども、一方で、今年度の当初予算をごらんいただくと、著しく数字が低いわけですね。合計で五二%ですから、半分の申請しか認められていない。
今まではかなりの数が認められてきたんですけれども、今年度になって急に審査が厳しくなったのか何なのか、認められる数というのが少なくなったわけなんですけれども、これはどういった要因でしょうか。
○佐藤政府参考人 林先生の御質問にお答えいたします。
強い農業づくり交付金でございますが、今御指摘ございました平成二十六年度で、当初予算額は二百三十四億円でございますが、それを上回る事業要望、三百六十四億円が要望として寄せられたところでございまして、要望件数は二百五十五件でございますが、配分件数につきましては、これまでのところ、百三十三件ということになっておるところでございます。
○林(宙)委員 予算の制約上ということだと思うんですね。ということは、過去は、用意した予算の中でほぼ全ての事業が賄えたという一方で、今年度だけは、ちょっと額が大きくなってしまったので、どこかで切らざるを得ないというような形になったんだと思います。
そうすると、次にお伺いしたいのは、今年度予算で配分割合が、それぞれ、公社は一〇〇%、数が少ないからというところもあると思いますが、農協関係のところに至っては三七%しか認められていない。こういった差はどこから生じるんでしょうか。
○佐藤政府参考人 お答えいたします。
強い農業づくり交付金でございますが、この交付金につきましては都道府県別に当方から配分するわけでございますが、競争力強化等に積極的に取り組む産地を支援する事業目的を踏まえまして、一つ一つの事業につきまして、コストの削減や単収の増加、こういった産地の取り組みをポイント化いたしまして、ポイントの高い順に配分対象を選定するということとしております。
このように産地の取り組みを客観的に評価した結果、配分対象となった率が事業実施主体別に異なったものでありまして、当省といたしましては、事業主体によって区別は行っていないところでございます。
○林(宙)委員 ポイント制で区切っているということは、多分こういうことが考えられると思うんですが、今まではほぼ一〇〇%認められていたので、そのポイントが仮に二ポイントでも四ポイントでも、物すごく低いポイントでも多分認められていたと思うんです。それが、今年度に関しては、例えば二〇ポイントとか積み上げていてもだめだったケースというのがあるんじゃないかと思うんです。そういうことでよろしいんですね。なるほど、わかりました。
そうなると、これはしようがないかなと思いますけれども、何となく、二〇ポイントとかを積み上げているところは、物すごくいろいろな改善をしようという、質的にかなりいいと判断されるべきところがことしは落選してしまったというようなことだと思うので、そういったあり方もちょっとまたどうなのかなと思うところはあるんです。
やはり、これはかなりの数なんですね。毎年毎年これだけの整備を国費の補助金で行っていくという、そうすると、そこの必要性とか意義というのは改めて問いたいなと思うんです。
私は、さっき例に挙げましたけれども、特定農産加工の一ついいところは、やはり低利融資という形はいいなと思っているんです。なぜかというと、そこそこ公費はつぎ込むものの、その大部分はいつか返してもらうお金なんですね。そうすると、事業者の方も、利益を上げて返さなきゃいけないというマインドになりますので、一つインセンティブになり得ると思っているんですが、これは補助金ですから、渡したら渡しっ放しになっちゃうんですよ。
ということで、低利融資とかをもっと積極的に活用するという方法もあると思うんですけれども、これは政府としてはどのようにお考えなんでしょうか。
○林国務大臣 農業振興に向けた種々の支援措置には、支援対象者、それから取り組みの公益性やリスク、こういうものを勘案した上で、融資でやるのか、補助でやるのか、また出資というのもあり得ますが、この三つの手法を組み合わせて実施をしております。
集出荷施設等の共同利用施設の整備というのをやっているわけですが、まず、産地形成をする際の基幹となる施設でございまして、多くの農業者がこれに参画、またそこから受益をするという意味で、公益性が非常に高いということ、それから、新品種、新技術導入や農畜産物の輸出に積極的に取り組むなど、モデル性も高いので、逆に言えばリスクも高い、こういうことで、BバイCの分析などによって一定の要件をクリアした上で補助金でやっていく、こういうふうにしておるところでございます。
○林(宙)委員 今、最後にBバイCの分析ということで御答弁があったので、ぜひ、効果測定のためにデータをしっかりとっていただいて、評価を今後いろいろなタイミングでやっていただきたいなというふうに思っています。
実は、最後にそこら辺の質問をしたかったんですが、時間が参りましたので、また改めてこれはお伺いさせていただきたいなというふうに思います。
以上です。どうもありがとうございました。
○坂本委員長 次に、畑浩治君。
○畑委員 生活の党の畑浩治でございます。
まず、法案について御質問させていただきます。
ウナギについての、希少生物の関係で、この法律が委員長提案で出されるというのが想定されておりますが、議員立法の中の関係で、規制措置が想定されている。これをしっかりやっていくことによって、資源管理をしっかりやるということであります。
日本は、これはこれで当然しっかりやって、リスト入りもしっかり防ぐことも含めて対応しなければいけませんが、日本が幾らちゃんとやったとしても、やはり周辺のアジアの国、韓国、中国、台湾、ここを含めて、この部分の流通の規制の必要性が大きいわけですから、これらの国も日本が想定しているのと同様の規制をこれからとらなければ、結局、ワシントン条約の規制リスト入りということも危惧されるわけです。
これらの国との枠組みづくりとか、これらの国も同様の規制をしっかりとるような形で枠組みづくりが進んでいるのかどうか、その辺をお伺いいたします。
○林国務大臣 ニホンウナギにつきましては、一つの資源を我が国を含む東アジア沿岸国において養殖用の種苗として利用しております。その資源の持続的利用のためには、やはり国内での資源管理に加えて、まさに今委員がおっしゃっていただいたように、国際的な資源管理が必要であると認識をしております。
したがって、平成二十四年九月から、ニホンウナギの主要な養殖国・地域である日本、中国、台湾の三者で国際的な資源管理についての協議をしておりますが、二十五年九月の第四回協議から、ここに韓国も参加をしたということでございます。
ことし五月の第六回協議におきまして、養鰻業界を含む非政府機関による資源管理の枠組みを設立する、また、この枠組みのもとで養鰻生産量を制限することについて、九月の次回協議で結論を得るべく協議を継続する、これで意見が一致をいたしました。
今後も引き続き、この協議において議論を日本が率先して進めていくことによって、ウナギの国際的な資源管理体制の確立に向けて努力をしていきたいと思っております。
○畑委員 このアジアの枠組みの中でしっかりと国際的に管理ができるということが、危惧された事態に陥らないために重要だと思いますので、ぜひともよろしくお願いいたします。
そして、今回の議員立法で、まさに指定養殖業の許可制度という規制が盛り込まれることが想定されております。
私は、規制措置というのは国民の権利義務にかかわるものですから、本来であれば、閣法でやった方がいいなという思いもあるわけですが、これが今回委員長提案で出されることになりそうだと。
そうすると、これは来年の夏にも附属書掲載の可能性があるということの時間的制約も鑑みて進めなきゃいけないということだろうと思うんですが、その辺も含めて、今の段階で、委員長提案になりそうだということに対してのコメントというか認識をお伺いします。
○林国務大臣 資源状態が低水準にあると考えられるウナギ資源管理は、養殖生産量を把握してコントロールしていくことが不可欠であり、その枠組みが求められております。ワシントン条約国会議、先ほど申し上げましたように二〇一六年ですが、附属書掲載の提案が早ければ二〇一五年八月ということで、我が国としても速やかに資源管理の枠組みを構築する必要があるということでございます。
こういう状況の中で、準備をされておられます内水面漁業の振興に関する法律案に指定養殖業の許可及び届け出養殖業の届け出の規定が盛り込まれたと承知をしておりまして、養鰻生産量の制限により資源を管理する方向で協議することについて、先ほど申し上げたように、意見の一致を見たのが本年五月の第六回協議だったということで、法案の検討に今からかかるかというタイミングでこういう御検討をいただいているということでございますので、立法化された暁には、所管省庁として適切に対応してまいりたいと思っております。
○畑委員 結局、時間軸で、五月から、そして、来年恐らく附属書掲載の可能性、危険性がある中で、今国会で法律を通して速やかにそういう体制をつくってやっていこうということだろうと思います。
恐らく、閣法でやると、内閣法制局の審査やらいろいろ作業があって、次の臨時国会になる、それではちょっと遅いということだろうと思うので、それはそれであれだと思います。これは、速やかにそういう形でやるということの必要性は認識します。
ちょっと法案と違う形の質問を、これに基づいて、個別の案件なんですが、私の選挙区のある地元の河川で、一貫した水系なんですが、上流、下流に漁業協同組合がそれぞれある。そういう中で、下流の漁協がウライ堰という、ウライというのは河口堰みたいなものですね、魚の遡上をブロックする、そういうものを設置している。結局、魚が上流に遡上していかないというところで、上流の漁協と下流の漁協がすったもんだするわけですけれども、そこを撤去すべきじゃないかという議論がある。
もともとこのウライというのは、サクラマスについて、放流して、どれぐらい戻ってくるかというのをせきとめて調査するという建前で、資源調査のため、あるいは養殖漁業の一環として設置したわけだそうです。ただ、設置してから二十年ぐらいたっても、調査の期限というのが平成二十二年だったようでして、岩手県の調査のようですけれども、結局、そこがそのままうだうだと設置されたままになっている。であれば、上流の漁協というのは不満が高まっているわけです。
そういう前提のもとで、ちょっとお伺いしたいんですが、資源調査としてウライを設置して遡上魚をせきとめるということに対して、サケ・マスであれば、そういう必要性というか効果がある。人工ふ化による稚魚放流に取り組んで大きな成果を上げるという観点から、サケ・マスは効果があるんだと、とりあえずこの必要性を百歩譲って認めたとしても、ただ、サクラマスというのは、今の技術では人工増殖は難しくて、むしろ、産卵場などの河川環境に配慮して、やはり自然産卵によって資源増殖、維持を図るのが合理的だという見解があるようです。その方が一定の成果が得られている。
この点、サクラマスの増殖、維持管理については、今言ったような見解が正しいのかどうか、お伺いしたいと思います。
○本川政府参考人 サクラマスにつきましては、サケと同様に、河川で生まれて海に下って成長し、再び河川に遡上して産卵するという特性を有しておりますが、一点違いますのは、河川で生活する期間が、サケは、下るまでの六カ月、それから卵を産むために一カ月、七カ月でありますけれども、サクラマスの場合には、二十四カ月を河川で過ごすといったような特徴があります。
この二十四カ月というのは非常に長いものですから、いろいろな、他の生物に捕食されたり、あるいは死んでしまったり、河川で育つことによる影響を強く受けるといったようなことがございます。
これにどう対応するかということでありますが、一つは、まさに人工種苗で増殖をしてやるということであります。
飼育池で最長十八カ月まで飼育して、十三センチぐらいになってから放流する、それによって河川で過ごす時間を短くして、影響を受けないようにする、それによって資源をふやしていくというやり方が一つございます。ただ、これが問題なのは、十八カ月飼育するということになりますと、やはりそこにコストがかかってしまうというようなことが問題点としてあるわけでございますが、一つの方法でございます。
それからもう一つは、先生がおっしゃったような、河川で過ごしやすくする。
まさに、河川で親魚が遡上できる河川環境を確保したり、天然の産卵場所を確保したり、あるいは河川における適正な遊漁の管理をするということで、二十四カ月に及ぶ河川での生活の間に減耗することのないような環境を整える、このようなことで、影響を緩和する。
やり方としては二つございまして、人工的なふ化放流も行われております。
いずれにしても、都道府県が中心になって、関係者の理解を得ながら、どのような形をとっていくかということをお話し合いをしていただく、これが肝要ではないかと考えております。
○畑委員 ありがとうございました。
ということは、一概に、サケ・マスと同様のせきとめ方によってその資源増殖、維持を図るということではないのだろうと思います。そこは、当然、資源増殖、維持の必要性に鑑みたウライとか河口堰の設置のあり方があってもいいなと、今の話を聞いて思いました。
その関係でお聞きしたいんですが、これは、放流技術開発は調査ということでやっているということでありまして、こういう名目で遡上系の親魚を採捕する手段として、遡上防止柵のウライ施設みたいなもので塞いで、遡上する全ての魚を一網打尽にする手法というのは、合理的というか、現在、全国的に見ても例がないのではないかと言っておりますが、そこは、ないんでしょうか。そして、これはまともな手法なんでしょうか。ちょっとそこも含めてお伺いしたいと思います。
○本川政府参考人 いわゆるウライ、アユ漁のやなのようなものでございますけれども、ウライの設置状況につきましては、全国を網羅した調査は行っておりませんが、秋田県あるいは北海道などにおいて、一定の期間、河川の幅全体にウライを設置する例は多数あると承知しております。
岩手県におきまして、サケ・マス増殖用の種卵を確保する、ウライによる採捕は県の許可により行われておりまして、安家川の場合には、シロザケ用に八月五日から二月二十八日、それからサクラマス用に三月一日から五月三十一日の期間に許可されておりまして、六月一日から七月三十一日の二カ月間は、ウライから網を撤去して、魚が遡上できるような状態にするといったようなことを運用しているというふうに聞いております。
○畑委員 まさに、一年じゅう設置するんじゃなくて、外す部分があってもいい。そこはちょっと私も、現場がどれぐらい設置していて、どれぐらいの期間外しているのか、具体的な事例は把握はまだしておりませんが、おっしゃるとおり、例えばシロザケだと八月から二月ですか、一定の期間設置するということ、サクラマスはちょっとその前倒しになるのかどうかあれですが、あると思うんですが、この漁協は、一月から五月までの五カ月間は外してもらいたいと言っていることを見ると、恐らく外さないでかなりの期間設置しているのじゃないかなという気がします。
であれば、設置の期間によっては、まさに遡上魚はブロックされて、それによって生態系も変わるということになりますから、河川環境も変わってくる、そういう問題も出るのではないかと思うんですが、そこはいかがでしょうか。
○本川政府参考人 ウライ自体は、サケ・マスの親魚の採捕を目的としているものでありまして、小型の魚はウライのすき間から行き来ができるということでございますので、サケ・マス以外の魚種については、その上流と下流で大きな影響が生じにくいものというふうに承知をしております。
サクラマスの資源造成については、先ほど申し上げたような、関係者の意見も聞きながら、人工ふ化放流や親魚が遡上できる環境の整備、こういったことに取り組むことが重要であると考えております。
いずれにしても、河川環境や生態系の問題に配慮しながら、サクラマスの資源をどのように造成していくかについては、県が関係者の調整を図りながら、地域として意思決定をしていただく、こういうことが必要であるというふうに考えております。
○畑委員 サケ・マスの稚魚はすり抜けていけるから問題ないとおっしゃいましたが、済みません、サクラマスはどうなんでしたっけ。もう一度、そこの部分をお伺いします。
○本川政府参考人 サクラマスは大きゅうございますので、その期間についてはウライで捕獲をするということになると思います。
○畑委員 であれば、やはりサクラマスは大きいので、そこのウライの設定の仕方が長期間にわたると、やはり資源管理の目的からしても合目的な設置ではありませんし、なおかつ、そこは河川環境、生態系についてもなかなか問題があるということだと、今の総合的な話を聞いて認識を、そういう理解をいたしました。
長官もうなずいておられますが、そこで、まさにこれをどうするかというのが、漁業権者同士の調整、漁協同士の調整ということになって、この調整がなかなか、これは海も川もそうですが、漁業権を持っている人同士の調整は難しいわけですよね。これは当事者の話ではあるんですけれども、そこをどうやって調整しながら、行政もサポートしながらやっていけるかというところもあるのだろうと思います。
今回の法律案で想定されているものの中で、ちらっと見て、おっと思ったのが協議会であります。
この協議会は、共同漁業権者が都道府県知事に協議会の設置を申し出て、そして、都道府県は、協議が必要であると認める場合には、協議会を設置する。もちろん、協議会を設置しても、どういう内容にするかというのは別に行政が強制はできませんけれども、今、私の地元であっていることは、上流、下流の漁協で話し合いに応じなかったり、フラストレーションがたまっているときに、協議の場を与えて、協議しなさいというところは、何かこの法律は効果があるかなと思ったわけです。
それで、お聞きしたいのは、これまで、調整というのはどういう建前、システムで行われてきたのか。そして、この委員長提案で想定されている協議会も含めた法律ができることによって、その点がどのように改善されていくと見込まれるのか。その点をお伺いしたいと思います。
○本川政府参考人 私どもは、内水面における漁業権の管理につきましては、一つの河川に一つの漁業権ということで、都道府県に助言をしてきた形でございます。一方で、河川の形状とか水産動植物の生息、分布の状況などから、複数の漁業権が設定されている河川も多く存在しております。
複数の漁業者の調整につきましては、漁業法に基づき各都道府県に設置されている内水面漁場管理委員会というのがございますので、この場でお話し合いをされたり、あるいは免許権者である都道府県も入った当事者間による話し合いの場において協議する、これまではそういう形で行われてきておりまして、まずはそういうものを活用していただくことが重要ではないかなと思っております。
他方、今回の内水面漁業の振興に関する法律案に盛り込まれております協議会のスキーム、これにつきましては、漁業者と河川管理者などの話し合いを促進することを想定したものではありますが、そのスキームを利用して、関係する漁業者である上流と下流の漁協の間の話し合いを進める、このようなことも可能と考えられております。
例えば、サケ・マスでいきますと、山形で放流したサケ・マスが、オホーツクでメジカという形で非常に高級なサケとして漁獲されておりますが、こういう場合、両者がお話し合いをされて、一定の合意に基づいて対応しておられるといったようなこともございますので、サクラマスについても、やはり上流、下流で適切なお話し合いをされて進めていかれる、こういうことが肝要ではないかなと思っております。
○畑委員 前向きな答弁、ありがとうございます。
まさにこういう協議会を使いながら、しっかりと話し合いをできるシステム、あと、その背中を押すということも含めて、ぜひとも行政の方も御配慮をお願いしたいと思います。
この件も含めて、運用も含めて、いろいろ御相談なり、また調整のお願いをすることもあると思いますので、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。
漁業というのは、まさに、資源管理ということと、それと裏腹の、あわせ持った漁業権の調整なり、そういうところがかなり今日的な大きな課題にこれからなっていくのだろうと思います。この法律がそういうことの枠組みの一助になって、ぜひともそういうところがうまく推進、円滑になっていくことを期待申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
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○坂本委員長 次に、内水面漁業の振興に関する法律案起草の件について議事を進めます。
本件につきましては、各党間の協議の結果、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を得ました。
本起草案の趣旨及び主な内容につきまして御説明申し上げます。
本案は、内水面漁業の振興に関する施策を総合的に推進し、もって内水面における漁業生産力を発展させ、あわせて国民生活の安定向上及び自然環境の保全に寄与することを目的とするもので、その主な内容は次のとおりであります。
第一に、基本理念についてであります。
内水面漁業の振興に関する施策は、内水面漁業の有する水産物の供給の機能及び多面的機能が適切かつ十分に発揮され、将来にわたって国民がその恵沢を享受することができるようにすることを旨として、講ぜられなければならないことを基本理念として定めることとしております。
第二に、内水面漁業の振興に関する基本方針等についてであります。
農林水産大臣は、あらかじめ、国土交通大臣及び環境大臣に協議し、それらの同意を得るとともに、水産政策審議会の意見を聞いた上で、内水面漁業の振興に関する基本的方向等を内容とする基本方針を定めることとし、都道府県は、内水面水産資源の回復に関する施策及び内水面における漁場環境の再生に関する施策の総合的かつ計画的な実施が必要と認めるときは、基本方針に即して、その実施に関する計画を定めるよう努めることとしております。
第三に、国及び地方公共団体の施策についてであります。
国及び地方公共団体は、内水面水産資源の生息状況等の調査を行うよう努めることとするとともに、内水面水産資源の回復、内水面における漁場環境の再生、内水面漁業の健全な発展に関する施策を講ずるよう努めることとしております。
第四に、指定養殖業の許可及び届け出養殖業の届け出についてであります。
漁業法の規定が適用される水面以外の水面で営まれる養殖業であって、当該養殖業に係る内水面水産資源の持続的な利用の確保または内水面漁業の持続的かつ健全な発展のため養殖業を営む者等について制限措置を講ずる必要があり、かつ、政府間の取り決めその他の関係上当該措置を統一して講ずることが適当であると認められる政令で定める指定養殖業についての許可制度とともに、その実態を把握する必要があると認められる指定養殖業以外の政令で定める届け出養殖業についての届け出制度を創設し、指定養殖業者及び届け出養殖業者は、その養殖業に係る実績報告書を農林水産大臣に提出しなければならないこととしております。
第五に、協議会についてであります。
都道府県は、内水面の共同漁業権者の申し出に基づき、内水面水産資源の回復、内水面における漁場環境の再生その他内水面漁業の振興に関し必要な措置について協議を行う必要があると認めるときは、都道府県、共同漁業権者、河川管理者、学識経験者等で構成する協議会を設置することができることとしております。
なお、この法律は、一部を除き、公布の日から施行することとするとともに、政府は、この法律の施行後速やかに、内水面に排出または放流される水に係る規制のあり方について、内水面における漁場環境の再生等の観点から検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づき所要の措置を講ずることとしております。
以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。
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内水面漁業の振興に関する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○坂本委員長 お諮りいたします。
内水面漁業の振興に関する法律案起草の件につきましては、お手元に配付いたしております起草案を本委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○坂本委員長 起立総員。よって、本案は委員会提出の法律案とするに決定いたしました。
なお、ただいま決定いたしました法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○坂本委員長 この際、齋藤健君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党、結いの党、生活の党の六派共同提案による内水面漁業の振興に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。大串博志君。
○大串(博)委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきたいと存じます。
内水面漁業の振興に関する件(案)
内水面漁業は、水産物の供給の機能及び多面的機能を有しており、国民生活の安定向上及び自然環境の保全に重要な役割を果たしている。
しかしながら、内水面漁業を取り巻く状況は、漁場環境の悪化等による漁業資源の減少、外来魚やカワウによる被害、原発事故に係る風評被害など非常に厳しいものがある。特に、ニホンウナギについては、その稚魚であるシラスウナギの漁獲が低迷しており、資源状態の悪化による国際的な規制の強化が懸念される状況となっている。
よって政府は、「内水面漁業の振興に関する法律」の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。
記
一 ニホンウナギについては、ウナギ属に係る商業的な輸出入に対する国際的な規制強化の動向等を踏まえ、内水面漁業の振興はもとより、ユネスコ無形文化遺産に登録された「和食」の保護・継承が図られるよう、資源の持続的利用を確保するべく、本法により導入される指定養殖業の許可・届出養殖業の届出をはじめとする各般の施策の活用を含め、実効ある対策を講ずるため、国内の体制を整備すること。
また、国際的な資源管理に向けた取組やシラスウナギの大量生産技術の確立に向けた取組を一層推進すること。
二 内水面漁業協同組合の組合員資格に係る河川における水産動植物の採捕又は養殖を行う日数の算定に当たっては、内水面漁業が有している水産物の供給の機能及び多面的機能が十分に発揮できるよう配慮するとともに、必要がある場合には、水産業協同組合法の見直しについて検討を行うこと。
三 農業水利施設の整備、河川改修等が内水面の生態系に与える影響に鑑み、自然との共生及び環境との調和に配慮した農業水利施設、河川の整備等を推進するとともに、本法により導入される協議会の活用が図られるよう措置すること。
右決議する。
以上です。
何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
○坂本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○坂本委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とするに決しました。
この際、ただいまの決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣林芳正君。
○林国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨を尊重し、関係府省との連携を図りつつ、最善の努力を尽くしてまいる所存でございます。
○坂本委員長 お諮りいたします。
ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十四分散会