衆議院

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第20号 平成26年6月18日(水曜日)

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平成二十六年六月十八日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 坂本 哲志君

   理事 北村 誠吾君 理事 齋藤  健君

   理事 谷川 弥一君 理事 宮腰 光寛君

   理事 森山  裕君 理事 大串 博志君

   理事 村岡 敏英君 理事 石田 祝稔君

      井野 俊郎君    池田 道孝君

      石崎  徹君    小里 泰弘君

      加藤 寛治君    金子万寿夫君

      川田  隆君    菅家 一郎君

      清水 誠一君    末吉 光徳君

      鈴木 憲和君    武井 俊輔君

      武部  新君    津島  淳君

      中川 郁子君    橋本 英教君

      福山  守君    堀井  学君

      簗  和生君    山本  拓君

      渡辺 孝一君    後藤  斎君

      篠原  孝君    玉木雄一郎君

      寺島 義幸君    鷲尾英一郎君

      岩永 裕貴君    重徳 和彦君

      鈴木 義弘君    稲津  久君

      樋口 尚也君    林  宙紀君

      畑  浩治君

    …………………………………

   農林水産大臣       林  芳正君

   内閣府副大臣       後藤田正純君

   農林水産副大臣      江藤  拓君

   内閣府大臣政務官     福岡 資麿君

   農林水産大臣政務官    小里 泰弘君

   経済産業大臣政務官    磯崎 仁彦君

   国土交通大臣政務官    土井  亨君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            遠藤 俊英君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    河津  司君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            山下 正行君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  佐藤 一雄君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  奥原 正明君

   政府参考人

   (林野庁長官)      沼田 正俊君

   政府参考人

   (水産庁長官)      本川 一善君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通保安審議官)     寺澤 達也君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           石川 正樹君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       加藤 久喜君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  関 荘一郎君

   農林水産委員会専門員   栗田 郁美君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十八日

 辞任         補欠選任

  菅家 一郎君     石崎  徹君

  寺島 義幸君     篠原  孝君

  村上 政俊君     重徳 和彦君

同日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     菅家 一郎君

  篠原  孝君     寺島 義幸君

  重徳 和彦君     村上 政俊君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

坂本委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省食料産業局長山下正行君、生産局長佐藤一雄君、経営局長奥原正明君、林野庁長官沼田正俊君、水産庁長官本川一善君、金融庁総務企画局審議官遠藤俊英君、消費者庁審議官河津司君、経済産業省大臣官房商務流通保安審議官寺澤達也君、大臣官房審議官石川正樹君、国土交通省水管理・国土保全局次長加藤久喜君及び環境省地球環境局長関荘一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

坂本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武井俊輔君。

武井委員 自民党の武井俊輔でございます。

 今回は、大変重要な時期に質問の機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。

 きょうは、農政改革、農業委員会制度等を中心に伺ってまいりたいと思うのですが、その前にまず一点、我がふるさと宮崎で大変心配されております、ニホンウナギの絶滅危惧種指定についてお伺いをしたいと思います。

 宮崎県は全国有数の養鰻県でございまして、ワシントン条約で国際取引が制限される可能性も出てきたということで、不安が広がっております。

 ウナギは日本の食文化そのものでありまして、和食を世界に打ち出していくというものでも極めて重要だと認識しております。

 きょうは、ウナギの質問をすると言いましたら、ある先輩が、では、ウナギを食わしてやるということで、お昼にウナギをいただいてまいりました。味をしっかり覚えて、質問をいたしたいと思います。

 今回、宮腰先生を初め多くの皆様の御尽力で、養鰻業者の届け出など、内水面漁業の振興に関する法律が衆議院で可決されて、今参議院で審議されているわけでございますが、今後のニホンウナギの保護、振興に対しての取り組み、これは、同じ養鰻県でございまして、ふるさとの先輩でもございます江藤副大臣にお伺いしたいと思います。

江藤副大臣 武井委員の御質問にお答えさせていただきまして、ありがとうございます。

 IUCNで絶滅危惧種ということで、非常に不安も、それは生産だけじゃなくて、ウナギ屋さんにも不安が広がっているわけでありますけれども、昨年の九月から、日、中、台、韓国で、この資源管理についての協議をずっと行ってまいりました。

 では、現状はどうなっているのかということでありますと、大体よくわからないんですよ、どれぐらい池入れをしているのか。もっと言ってしまうと、若干言い過ぎかもしれませんが、誰が養鰻業をやっているのか、それも、新規参入も大分ありますので、十分、国として把握ができておりません。

 ですから、いわゆる国際的な協議が合意をするということであれば、まず、それを見据えた上で、届け出制として、将来的には、これはもう大臣権限ということになりますけれども、許可制ということにして、ワシントン条約できちっとこれがまた制限されていることもないとも限りませんので、国内での資源管理がきちっとできているということを、内水面漁業振興法案が成立すれば、これを一助として、なし遂げていきたいというふうに考えております。

武井委員 ありがとうございます。

 これから、第一歩をスタートしたというところであろうかと思いますので、このウナギの振興ということに、ぜひまた、省を挙げて取り組んでいただきたいと思っております。

 続きまして、農政改革の議論について、何点か質問させていただきたいと思います。

 規制改革会議の農政改革の素案の発表以降、さまざまな動きがありました。皆様の御地元からも、JA中央会などさまざまな要請活動などもあったのではないかと思いますが、そういった中、農政を熟知された先輩方のさまざまなお考えが反映されまして、規制改革会議におきましても、JAの自己改革を基調としたという形でまとめられているものと承知をしております。

 これは、メディア、新聞各紙も言うに及ばず、日本農業新聞などを見ましても、自己改革をまずは見守っていこうということを言っているわけでありますが、そういった意味では、一にも二にも、まずJAグループの改革の姿勢をしっかり見守っていく、また国としても、しっかりそこに取り組んでいくということになろうかと思います。これから、農協法の改正といったようなことにも、また指導のあり方とかいった意味でも、国の役割というものも引き続き重要であると考えます。

 これは、林大臣、加えまして江藤副大臣にも、それぞれお伺いしたいと思いますが、農林水産省として、JAグループにどのような意識を持って改革に臨んでもらいたいとお考えでいらっしゃるか、それぞれの思いと期待をお伺いしたいと思います。

林国務大臣 農協法に基づく単位農協、農協連合会、こういう組織は、いわば会社法に基づく会社と同様でございまして、自主的に設立された民間組織でありますので、やはりその改革は自己改革が基本である、こういうふうに考えております。

 あらゆる民間組織に言えることですが、経済社会情勢の変化に対応して、みずからの事業、組織を不断に見直していく必要がありまして、そうでなければ、社会的使命を果たし、また、生き残っていくことが難しくなるということでございます。

 今回の与党の取りまとめ、また規制改革会議の答申も、これまでの農協組織は、経済社会情勢の変化を踏まえた十分な自己改革が行われてこなかったのではないか、こういう問題意識に立って種々の提言をされたものと考えております。

 したがって、JAグループにおかれては、与党の取りまとめ、規制改革会議の答申、こういうものを真摯に受けとめていただいて、この提言の枠組みを踏まえて、農家組合員、特に担い手農業者から評価される組織となるために具体的にどうしていくのかをしっかりと検討していただきたいというふうに考えております。

 思いをということでございました。

 そっ啄同機という言葉がございますが、ひながかえるときに中からつつくことをソツ、親がそれを助けるために外からたたくことを啄、これが同時でなくてはいけない、こういうことでありまして、やはりこういうそっ啄同機というような形をどうやってとっていくのかということが、JA改革にとどまらず、いろいろな改革には大変大事なことだ、こういうふうに思っております。

 そういう気持ちで、この自主改革をしっかりとやっていただいて、それを我々は後押ししていく、こういう気持ちで取り組んでいきたいというふうに思っております。

江藤副大臣 まさに大臣がおっしゃったことと同じでありますが、一昨年、大臣が御就任をされまして、それから農協改革、そして時代に伴った自主的な改革の必要性というものは、中央会とも、それから全農さんとも意見交換をしてきたところであります。

 規制改革会議からかなり高目の球が飛んでまいりましたけれども、これが一つのタイミングであることは間違いありませんが、これによってなされるということではなくて、実は自己改革もそれに伴ってやってきたことであって、最終的には自主的な改革によって改革がなされるというのが正しい方向だというふうに考えております。

武井委員 ありがとうございます。

 大臣、副大臣からもございましたけれども、本当に自主的な改革、それを基調に、ぜひ農水省としても一緒に後押しをしていただいて、この改革がより実のあるものになるように、継続的な取り組みをお願いしたいと思います。

 また、今回の農協改革を見ておりまして、これから単協を主体に改革をしていくということになっていく、単協をプレーヤーの中心にしていくということになっていくかと思います。単協が経済事業、すなわち農産物の販売等に全力投球できるように、また信用事業のあり方なども、農林中金の代理店になるとかそういうことも選択できる、そういったような形を含めて見直していくということであります。

 地元に帰って、いろいろミニ集会などをしながら農業者の方ともお話をしてきたんですが、農業者の皆さんの期待というのは、こうやって農協が変わっていく中で、経済事業と同じように望まれているのは、やはり営農指導を充実してほしいということであろうかと思います。

 一方で、組合の単協の職員さんなんかにお話を聞くと、これから経済事業に力を入れていかなきゃいけないという中で、では、どこまで営農指導を、まあ、営農指導自体は収入を生むわけではありませんので、どこまでできるのかなということもこれから考えていかなければいけないという思いがございました。

 今回の農政改革が、まさに現場のためになるという意味においては、この営農指導というものを、スタッフまた質的にも充実させていく必要があると考えておりますが、農水省としてどのようにお考えか、見解を求めます。

江藤副大臣 与党内で御協議をいただきまして御同意をいただきましたけれども、共済事業に重きを置いていた人員の配置を、営農指導から販売に持っていく。

 現在、いわゆる農産物の買い取り販売というものは実は全体の三%程度しかございませんで、ほとんどが委託ということになっています。委託になりますと、例えば米でいうと、最終決済が終わるまで大体二年をまたいでしまうということもあって、農家の収入的には安定しないということがあります。

 ですから、これからは、すぐにマーケットインの発想を持って、どこで何が求められているかということを着実に把握することはそんな簡単なことじゃないと思います。しかし、各地域には各地域の強みがあるわけで、その考えのもとで、大臣は、各地域の宝を発掘する、地方の宝を発掘する作業をこの一年半、ずっと進めてまいりました。

 ですから、各単協はこれから買い取りの比率を上げていっていただいて、そうなるとリスクも生じてまいります。そうなれば、その業務ができるように営農指導というものも続けていかなきゃなりません。ですから、マーケットインの発想をもとに、農家の方々はマーケットが求めているものをちゃんとつくる、そして、単協はそれをマーケットでより高く売って農家により還元をする、そういう努力がこれから必要になってくるんだろうと。

 ですから、どっちがどっちということではなくて、両方とも一緒にすることだというふうに考えております。

武井委員 ありがとうございます。

 まさに、両方が両輪となって進んでいくことが、今回の一連の農協改革が、農業者の皆さんに、ああ、変わったな、よかったなと実感していただく大きな意味になってくると思いますので、引き続きお願いしたいと思います。

 続きまして、地方自治体との関係についてお伺いをしたいと思います。

 農政改革におきまして、県中組織を中心に、そもそもJAは、都道府県、市町村とともに農政を担ってきたと言っても過言ではないと思います。

 規制改革会議は、地方自治体が安易にJAに行政代行を委託するべきではない、そのときはちゃんとルールを決めなければならないということを述べております。

 確かに、営農指導、またブランド化、こういったものも含めて、本来は行政が行うべき部分もJAが担ってきたものも少なくないと思っております。

 例えば、今、旬でございますが、宮崎県産の高級マンゴー、太陽のタマゴというのがあるんですけれども、こういったようなものも、宮崎ではJA経済連が独自にブランドとして定め、販路開拓をしてきたものであります。そういった意味でも、やはりJAグループというものが、市町村、都道府県の農業戦略を組織を超えて担ってきたということも言えると思っております。

 今回、このJA改革に伴いまして、国は、もちろん仕組みもいろいろ変わっていくわけですが、都道府県、市町村、地方自治体は、この農協改革をどのように受けとめて、そしてまた彼ら自身はどのように改革をしていく必要があるのか、その辺の見解をお伺いしたいと思います。

江藤副大臣 武井委員がほとんど答えをおっしゃったと思います。

 自治体には自治体の役割があって、権能を持っているわけですから、何かというとJAを頼ってしまうという体質がもしあるとすれば、具体的な言及は避けますが、それはよくないと思います。

 この間、国会でもGI法を通しました。これによって、ブランド化はまさに進んでいくと思います。キンカンのたまたまもそうですけれども、太陽のタマゴなんかは糖度等も厳しく決められております。そういったことを、これからは行政がやるべきこととJAの役割を分けるのではなくて、両方ががっちりタッグを組んでお互いに補い合う。こっちがやった方が有効なことはこっちの自治体が、そしてJAがやるべきところはJAさんにお任せをする、そういった話し合いを、各自治体と各単協、JAさんが、今まで以上に意思の疎通を行って、力を合わせて地域を守り立てていただきたいというのが我々の気持ちでございます。

武井委員 ありがとうございます。

 地方自治体と話をしていても、では、自分たちもどう変わっていかなければいけないのかというのは、まだ彼ら自身も今からというところかと思いますが、今まさに副大臣からお話がありましたとおり、JAがやるべきこと、そしてまた自治体がやるべきこと、しっかり話し合いがそれぞれ地域でなされていきまして、また有機的な連携ができていくことを期待していきたいと思っております。

 あと、きょうは、規制改革会議を所管されます内閣府から、福岡政務官にお越しをいただきまして、ありがとうございます。

 一点お伺いしたいと思うんですが、今回、農業委員会の改革についても触れられておるんですけれども、農業委員の数を減らして地域に推進委員を置くという制度設計であります。

 つらつらお話をしてイメージするに、農業委員と推進委員がチームとなって行動して、農地利用を進めていくというのは、地元でもよく説明すると、ああ、なるほどな、それであれば今からより変わっていくんじゃないかということで、話をきちんとすれば、結構肯定的に御理解をいただけている制度になるだろうなと思っております。

 農業委員会の改革もそういう意味で進めていくことが大事なんですが、話をしていて、なかなか理解が得られにくい、まだこれから説明していかなきゃいけないなと思っていますのは、やはり選挙制度を選任制に改革をするというところであります。

 実際、農協、JAと違って、直接的なものがある人、ない人がいるというのもあるんでしょうけれども、現状が何でいけないのという話、また、無投票が多いと言っても、それはそれぞれの御地元でいろいろな調整があった結果だということも常でございます。そもそも、大体農業委員の安い報酬で選挙なんかしたら、おまえ、三年分の報酬を全部使っちゃうじゃないかみたいな話をする人も中にはいたんですけれども、逆に、選挙で選ばれているから言えるんだという自負心みたいなものもあるのも事実であります。

 そういった意味で、なぜ選任という形に変えられたのか、また、首長が任命するという形にすれば所期の目的が達成されるということであったのか、この辺の議論がどのようになされたのか、お伺いしたいと思います。

福岡大臣政務官 委員御承知のとおり、現在の農業委員さんの中にも、選挙で選ばれた選挙委員と選ばれた選任委員さんと、両方いらっしゃるような状況でございます。そのうちの選挙委員さんは九割が無投票で当選をされているというのは、今委員がおっしゃったとおりでございまして、事実上、形骸化しているのではないかといった声が上がっております。

 また、農水省さんが実施したアンケート調査によりますと、農業委員会の活動が低調な原因として、農業委員は名誉職になっているのではないかといった御指摘や、農業委員には兼業農家が多いといった点が挙げられているところでございます。

 こうした御指摘を踏まえて、農業委員会の使命を的確に果たすことのできる適切な人物を選任することができるよう選挙制を廃止し、市町村長による選任制に変更することが望ましいという提言がなされたものと承知をしております。

武井委員 ありがとうございます。

 この選挙制、また選任制というお話、もちろん、これから具体的には、地域で一応推薦ができるといったような話もありましたから、どういう形で具体的に制度設計されていくのか、また、首長さんがどのような形で判断、選択をしていくのかというのはそれぞれで変わってくるんだろうと思うんですが、地域として、地域から声を出している代表だという思いもやはり強くありますので、このあたりは、現行の形というものも十分踏まえた上での改革が進むことを期待したいと思います。

 地元で、この農政改革の話をるる聞いておりますと、やはり若い農業者の方、また認定農業者の方、こういう方は結構やる気にあふれていまして、これで俺たちもいろいろやれるんじゃないかというふうな期待をする声も確かにあります。単協の皆さん、組合長とか理事の皆さん、また職員の皆さんも、いろいろこれからどう変わるのかなという不安も一方で抱えつつも、やはり自分たちがこれから主体となってやらなければいけないんだといったようなことを感じていらっしゃるという思い、これも徐々に広がりつつあるなというふうに感じております。

 ところが、実際に回っておりまして、やはり最もこのことを不安に感じていらっしゃるなと思うのは、本当に中山間地の、例えば山の上とか水の貧しいようなところとかで、夫婦や家族で肩を寄せ合うように経営をされている小規模農家の方、こういう方も、それぞれの先生方の地元にもたくさんいらっしゃると思います。

 国を信じ、役所を信じ、農協に言われたら、本当に従順に、ジュースを買えと言われれば買いまして、保険に入れと言われれば入ってという、本当にいい人たちはたくさんいるじゃないですか。そういう方から、すがるように、これからも、何かいろいろ変わるごつあって、俺はようわからんちゃけんどん、俺たちゃどんげなっとねというような切実なお声を聞きます。(発言する者あり)どうなるのかという意味ですね。

 そうしたときに、大変つらいなと思う反面、政治というのは、土とともに善良に生きてきた、そういう人たちが、最後まで自信を持って、誇りを持って農業を続けていける、そういう国でなければならない、そういう農政でなければならないと思っております。

 そういった意味で、地方で額に汗して正直に生きる、そういうたくさんの人たちが安心して営農を今後も続けていくことができるんだというメッセージを、大臣からぜひいただきたいと思います。

林国務大臣 質問の途中でちょっとわかりにくい部分がございましたので、今、江藤副大臣から翻訳をいただきまして、その趣旨を明確に把握させていただいたところでございます。

 農協は、先ほど申し上げましたように、農業者の協同組織でありまして、今回の一連の改革の取りまとめのプロセスで、若干、残念と申し上げていいと思うんですが、廃止という言葉が躍りまして、今お話しなさったような一般の方は、農協がなくなるのかなという率直な御不安というのがもしかしたらあったのかもしれないな、こういうところはしっかり反省しなければいけないというふうに思っております。

 よく読んでいただくと、地域の農協をどうやってサポートしていくか、まさに地域の農協が、そういう方々の組織として、使命を発展させていくためにどうしたらいいかということが書いてあるわけですが、見出しだけ見ると、どうもそれと逆のようなことが最初に打ち出された。この辺は工夫のしようがある、こういうふうに思います。

 最終的な取りまとめ、これは与党の取りまとめも、規制改革会議の答申も、地域の農協を活性化させて、その使命をよりよく発揮させて、農業、農村の発展につなげていこう、こういうことで貫かれているわけでございます。

 したがって、我々も、規模の大小にかかわらず、また、私の山口県は中山間地が非常に多いところでありますから、その状況もわかっているつもりでございますけれども、こういった、いわば条件不利地域でも、しっかりと農協の活動も通じながら営農を続けていただけるように、しっかりと我々も取り組んでいきたい、こういうふうに思っておるところでございます。

武井委員 本当に、農業に携わる全ての、土に生きる全ての人たちが、今からもしっかりとこらえて頑張っていける、やる気を持って前に進んでいけるというのが、やはり今回の農政改革の一番の目指すべきところではないだろうかと思っております。

 そういったすばらしい農政改革になりますよう、これからも期待を申し上げまして、ちょっと一分ほど時間が余りましたが、ここで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

坂本委員長 次に、樋口尚也君。

樋口委員 公明党の樋口尚也でございます。

 前回、前々回と、総合取引所をやらせていただきました。農産品の市場の活性化のための総合取引所の実現ということについて、前回は議論が尽くせませんでしたので、改めてきょう質疑をさせていただきたいと思います。

 林大臣には、前々回に、農水省としては早く総合取引所の実現について取り組みたいと考えていると、明快な御答弁をいただいておりますので、本日は、最後の方で、また御感想と御決意を賜りたいというふうに思っております。

 これまでの二回の委員会で、産業インフラである商品先物市場の活性化のためには市場の信頼性の確保が重要である、そして、市場活性化のために残された時間は余りにも少ないということを申し上げてまいりました。

 現在、商品先物市場の衰退は、個人投資家への勧誘規制の強化や、税制上の整備がなされていないことが原因であるということですが、個人投資家を再び取引に呼び込むことで、市場の活性化に向けた根本的な解決にはなり得ないというふうに考えております。

 もちろん、個人投資家のもたらす流動性自体も、マーケットにとっては必要なものであります。だけれども、国会の審議、附帯決議を踏まえて導入された不招請勧誘の禁止を、省令改正で事実上解禁して、個人投資家を再び取引に呼び込むということについてやるのではなく、むしろ、外国人投資家や機関投資家の参入拡大を目指し、市場の担い手を、現物を扱う当業者や外国人投資家、そして機関投資家といったプロを中心とすることが重要であり、そうした市場構造の転換といった抜本的な改革こそが真の商品先物市場の活性化につながると考えております。

 また、こうした外国人投資家や機関投資家といった大型プレーヤーの参入拡大を目指すためには、市場インフラとして、取引の清算、決済を行う清算機関の信用力の向上が不可欠であることも前回指摘をいたしました。

 そもそも、こうした市場構造の転換の必要性や清算機関の機能強化の重要性については、経産省の産業構造審議会における、七年前、平成十九年の中間報告においても指摘をされているところであります。この平成十九年の中間報告では、市場構造の転換や清算機関の機能強化について、どのような提言がなされ、また、どのような取り組みがその後なされ、その取り組みが商品先物市場の活性化にどのような成果を上げてきたのか、まず経産省にお伺いしたいと思います。

磯崎大臣政務官 お答えをさせていただきたいと思います。

 前回に引き続き質問いただいたということで、委員のこの問題に対する関心の高さというものを非常に見受けさせていただいております。

 先物市場につきましては、今お話ございましたように、平成十五年にピークを迎えまして、その後、ずっと減少の一途をたどっているというところでございます。特に国内の投資家が減少しておりますが、ここ五年ほどは、国内投資家の減少を海外の投資家が補っているのが現状ということかと思います。

 商品の先物取引につきましては、公正な価格を形成する、あるいはきちんとヘッジをしていくという意味で、非常に重要な役割を果たしておりますので、これを推進していくことは非常に重要であるというふうに私どもも思っております。

 具体的に、個人投資家、あるいは機関投資家、外国人投資家のお話がございましたけれども、まず、この取り組みにつきましては、私どもも新しいプレーヤーが市場に参加をしていくことは非常に重要だという認識を持っておりまして、そういう取り組みをしているところでございます。

 一つとしましては、エネルギー基本計画の中にも記載をされておりますけれども、電力先物あるいはLNGの先物、こういった新しい市場につきまして、電力会社でありますとかガス会社、あるいはエネルギー企業など、新しい事業者に参入していただく、この新たな参入者というものにこれから取り組んでいくことがまず重要であるというふうに思っております。

 それとともに、今申し上げましたように、ここ五年ほどは外国人の投資家がかなりふえてきているという現状がございますけれども、今後とも、外国取引との連携を進めまして、外国人投資家のさらなる取り込みを進めていく必要があるというふうに思っております。

 さらに、金融商品取引業者も、やはり商品先物へのさらなる流入といいますか、金融商品取引業者から新たな商品先物への新規参入ということも推進していく必要があるというふうに思っております。

 それと、もう一つ、清算機関の機能強化ということにつきましては、これも前回お答えをさせていただきましたけれども、御存じのように、平成十七年に日本商品清算機構が設立されておりまして、これまでにもいろいろな機能強化策に取り組んでまいりました。

 幾つか例を挙げさせていただきますと、まず、清算参加者の要件の厳格化に取り組んでいるというのが一つ目でございまして、なかなか国際標準になっていないということがございますので、例えば、証拠金の導入でありますとか適切なリスク管理の推進、こういったことにつきましては、国際標準に照らして、きちんとJCCHに導入をしていくということも、これまで中間報告を踏まえて推進をしてきているというふうな状況でございます。

 それと、個人投資家につきましては、今全体の三割を占めておりますので、この個人投資家も多様な参加者という意味では欠かすことはできないというふうに思っておりますので、外国人投資家でありますとか機関投資家、こういったものの推進ということも片方でやる一方で、個人投資家につきましても、多様な参加者という意味では、非常に重要な役割を担っているというふうに認識をしております。

樋口委員 政務官、ありがとうございます。

 お答えになりませんでしたけれども、平成十九年の産業構造審議会の中間報告で大事な部分は、金融商品と商品の融合が進む世界の潮流の中で、金融商品と商品の垣根を越えた連携、融合を進めるため検討を深めるべき、こう書いてあるわけです、七年前に。

 商品先物市場の活性化のためには、多様な参加者を得る必要があり、それは、多様な投資機会、すなわち多様な商品の提供ができる市場となることが大事ではないかと考えます。これまで我が国の商品先物市場の歴史を振り返ってみても、商品取引所同士の合併や新規商品の上場によって、市場を大型化して、その取扱商品の多様化を図ってきたものだ、こういうふうに理解をしています。

 また、世界に目を向けると、世界一の総合取引所であるシカゴのCMEグループは、一八九八年に創設されたときはバターと卵の取引所でありました。その後も、あるときはタマネギ、あるときは豚、牛、ベーコンの肉取引所でした。CMEの中興の祖であり、金融先物取引の父と呼ばれるレオ・メラルド氏が、CMEの理事長に就任してから大きな改革が始まりました。

 メラルド氏の自伝によれば、彼は、商品単品の取引所の限界を感じ、上場商品の多様化を図らなければならないという危機感を感じていたといいます。そのような商品多様化への危機感、そして、ブレトンウッズ体制、IMF体制の動揺という環境の変化から、メラルド氏は、経済学者であるミルトン・フリードマンの理論的なサポートも得て、一九七二年に最初の金融商品である通貨先物を上場いたしました。それが今のCMEの繁栄の基礎となっているわけであります。

 前回の委員会の後の五月末の報道で、東京商品取引所、TOCOMの江崎社長がインタビューに答えました。今のままでは、恐らく数年で商品取引所が日本からなくなる、こういうふうに述べたというのであります。

 商品取引所の経営トップとして、他人事のようなコメントが気になるところでありますが、いずれにしても、我が国の商品先物市場の復活のために残された時間は余りにも少ないと申し上げたいわけであります。農産品への影響も看過できません。このような状況の中、スピード感が最も大切であります。

 平成十九年に閣議決定がされ、いまだ実現を見ていない総合取引所を一刻も早く実現することが、商品先物市場の活性化に資するのではないか。我が国の商品先物市場の活性化のためには、一刻も早く総合取引所を実現すべきと考えますが、金融庁のお考えを聞きたいと思います。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、我が国における総合取引所の実現は、証券、金融、商品取引の垣根を取り払うことによりまして、国際的な競争に直面している取引所の国際競争力の強化、ひいては、日本の金融資本市場の国際競争力の強化を図り、また、証券、金融のデリバティブのみならず、商品のデリバティブまで含めて、投資者に対する多様な投資機会の提供を目指すものであり、さらには、この十年間で六倍に拡大しました世界の商品先物取引の拡大の流れとは対照的に、五分の一までに縮小してきております日本の商品先物市場を反転、活性化するための方策となり得るものというふうに考えております。

 すなわち、より信頼性の高い清算機関や取引システム等の市場インフラを備え、強固な経営基盤を持つ日本取引所グループを中核とする総合取引所を実現することによって、デリバティブ取引所でございます大阪取引所において、金融先物だけでなく商品先物も取り扱うことで商品の多様化を図り、その取引の清算、決済は、日本取引所グループの清算機関であり、国際基準を十分に満たし、海外投資家からも信頼されている日本証券クリアリング機構、JSCCが担い、個人投資家から機関投資家まで、より多様で厚い顧客基盤を有する証券会社の商品先物市場への参入を促すことによって、結果として市場参加者の質、量の拡大が図られ、市場にとって最も重要な流動性の向上につながると考えております。

 繰り返しになりますけれども、金融庁としては、総合取引所を可及的速やかに実現することが、我が国の商品先物市場の活性化のためにも極めて重要であると考えており、関係省庁間で連携を密にし、その実現に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

樋口委員 そのとおりだと思っております。

 ことしの三月に施行されました改正金商法においても、金融庁と農水省、経産省との事前協議、同意の規定が整備をされておりますが、この規定があることをもって、総合取引所の実現を先送りするようなことがあってはなりません。同意しないことで総合取引所の早期実現が妨げられるようなことがあれば、それは商品先物市場の活性化を損ない、ひいては、国益を損ねることになることは、以前、この場でも御指摘を申し上げたところであります。

 その委員会の場において、林大臣からは、事前協議の規定によって総合取引所の実現が先送りされる性質のものではないと極めて明快な御答弁をいただきました。

 国益を損ねることがあってはならないという危機感は、自民党さんも共有されており、五月二十三日に提出をされた日本再生ビジョンにおいて、「総合取引所を可及的速やかに実現することについての両省の同意が得られず本年夏までに政府としての決定がなされない場合、当該規定を削除するなど、総合取引所を可及的速やかに実現することを可能とする趣旨の議員立法を次期臨時国会に提出する。」という記載が見られるわけであります。

 前回、経産省の磯崎政務官からは、エネルギー基本計画において決定をされたLNGや電力の先物の上場をにらみながら、現実的、優先順位を踏まえたアプローチで総合取引所の実現を目指したいという旨の御答弁がありまして、先ほども同じ趣旨のお話があったかと思います。

 しかし、これは、あたかもLNGや電力の先物の上場が先で、総合取引所の実現が後であるかのごとく聞こえますが、私は、順序が逆で、まずは総合取引所を実現すべきだと思っております。

 現在検討されている政府の成長戦略も踏まえて、日本再生ビジョンにもあるように、総合取引所を可及的速やかに実現することが政府全体として強く求められているというふうに考えますが、改めて経産省のお考えを聞かせてください。

磯崎大臣政務官 お答えをさせていただきたいと思います。

 先ほど委員から御指摘ございましたように、多様な品ぞろえによって取引所の競争力を強化すること、これはやはり非常に重要なことだろうというふうに認識をしております。

 そういった意味で、先ほどもお話ございましたように、金融証券のデリバティブの市場、それから商品デリバティブの市場、これが世界じゅうで統合の傾向にあるということは、まさにこのことを示しているものだろうというふうに思っております。

 したがいまして、私ども経産省としましても、総合取引所の実現につきましては、可能な限り早期にこれを目指していくという考え方につきましては、共有をしているところでございます。

 ただ、ここからは前回の答弁の一部繰り返しになることは大変恐縮でございますけれども、他方で、今、日本の国自体がどういう状況にあるかと申し上げれば、やはり新しいエネルギー制約に直面をしているということでございますので、エネルギーの安定供給をやはりきちんと行っていかなければいけないというのが、まさに国としての国民の皆様に対する大きな責務であろうというふうに認識をしております。

 そういった意味では、繰り返しになりますが、ことし四月の十一日に閣議決定をされましたエネルギーの基本計画におきましても、エネルギー作物市場の整備を進めていくというふうにされておるところでございます。したがいまして、LNGあるいは電力の先物市場、これを創設いたしまして、軌道に乗るということも非常に重要な課題だというふうに思っております。

 したがいまして、これまで茂木大臣からも答弁をさせていただきまして、前回も、五月の二十七日のこの委員会におきまして私からも答弁をさせていただきましたように、総合取引所の実現につきましては、こういった状況を勘案いたしまして、LNG、電力先物の上場をにらみながら、現実的かつ優先順位を踏まえて実現を目指してまいりたいというのが私どもの考え方でございます。

樋口委員 四月十一日のエネルギー基本計画、私は四月十一日が誕生日でありまして、当然読ませていただいております。計画では、「電力、さらにはLNGといった燃料についても検討し、エネルギーの先物市場を整備していくことが期待されている。」こう書かれております。

 電力先物の上場を可能にする商先法の改正について申し上げます。

 先週、国会で成立をしたこの商先法の改正ですけれども、その施行は公布後二年半以内ということになっております。また、LNGについて、これはスポット取引がふえてからでないと厚みのある市場にはならないでしょうから、スポット取引がふえてくるのは、シェールガスの輸入が本格化する二〇一七年以降だというふうに聞き及んでおります。

 エネルギー先物市場の整備が期待されているということでありますが、経産省は、一体いつLNGや電力先物の上場を実現しようとしているのか、お答えください。

磯崎大臣政務官 お答えをさせていただきたいと思います。

 今委員の方からお話がございましたように、電力の先物市場あるいはLNGの先物市場につきましては、例えば電力につきましては卸電力取引所、この厚みが出てくるというのがやはり必要であるというふうに認識をしております。

 現在、電力につきましては、国全体の取引量の約一%、これが卸電力取引所での取引ということでございますので、まだまだやはり少ないというのが現実でございます。世界の実例を見ましても、大体諸外国では、実際の全体の取引量の二%から一〇%程度になった時期に電力の先物が上場された例が非常に多いということでございますので、その辺が一つの目安になるのではないかなというふうに認識をしております。

 同じくLNGの先物市場につきましても、本年四月からスポット取引価格に関する政府の統計を公表するようになりましたので、まずは価格情報の信頼性の向上に今注力をしているということでございます。LNGにつきましても、先物取引の厚みが増してくるということが上場に当たってやはり必要ではないかなというふうに思っておりますので、具体的なめどということにつきましては、今この時点でなかなか難しい状況ではございます。

 ただ、申し上げましたように、総合取引所につきましては、できるだけ早くということも私どもは認識をしておりますので、その兼ね合いの中で検討してまいりたいというふうに思っております。

樋口委員 LNGや電力の先物上場の具体的スケジュールは示されないわけでございます。

 先ほども申しましたけれども、LNGや電力の先物の上場には、電力は、法に書いてあるとおり、早くても公布から二年半ですから、LNGも、三年ぐらいかかるということは二〇一七年ということになると、このエネルギー市場の上場は、今後四、五年かかる、こういうふうに理解してよろしいのでしょうか。もう一つ、他方、総合取引所は可及的速やかに実現する。

 この二つについて、四、五年かかるという見通しでエネルギー市場がいいのかということと、一方で、総合取引所は可及的速やかにやる、こういう理解でよろしいのでしょうか。

寺澤政府参考人 お答えします。

 電力については、委員御指摘のとおりの段取りだと思いますけれども、LNGにつきましては、先ほど委員の方から二〇一七年というお話がありましたけれども、シェールガス輸入開始は二〇一六年から想定されています。また、いろいろなLNGの長期契約については、今、仕向け地制限というのがついていて、その見直しが来年以降本格化するということで、こうした進展によってLNGの供給面が変わってくる。需要面については、省エネを含めて、電力需給をめぐるいろいろな状況によってLNGの需要は変わってくる。

 そうした中で、定義はいろいろあるんですけれども、LNGのスポットマーケットは全体の二〇%と言われております。ここのところについて、今の厳しいエネルギー情勢も鑑みますと、できるだけ早くLNGについては先物市場の創設を目指していきたいと思います。

 ちなみに、LNG先物市場の創設については、日本だけじゃなくて、シンガポールも、いろいろな国が大きなマーケットだというふうに考えていますので、私どもとしては、何年もかけたいということではなくて、極力早くLNG市場の創設をやっていきたい。

 ただ、現実がついていく必要があるので、先ほど申し上げたような、シェールガス輸入、二〇一六年、いろいろな契約の見直し、二〇一五年、それから、電力需給の状況はいろいろ変わってまいります、そういうことをにらみながら、一番いいタイミングで極力早くLNGの先物市場の上場を実現していきたいと考えておる次第でございます。

樋口委員 後段の質問にはお答えがなかったと思いますので、もう一度聞きたいと思います。

 よくわかりました。だけれども、私は、二〇一七年ぐらいがシェールガスだというふうに承っていますが、おっしゃるとおり、二〇一六年からと言っている人もいます。それでも、二年後なわけですね。電力は二年半後です。総合取引所は可及的速やかにでありますから、何もこれが、どちらが先かということではなく、総合取引所を先にやるべきだ、そしてエネルギー市場のこともそれから考え合わせていくべきだ、このように思いますけれども、政務官、もう一回よろしいですか。

磯崎大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 やはり、電力、LNG、先物取引としてきちんと上場できていくというのが、片方では非常に重要だというふうに認識をしておりますので、それについても非常に重要ですが、総合取引所につきましても、申し上げましたように、やはり世界的な競争の中では非常に喫緊の課題という認識でございますので、両者がどの時点で両立をするのかということは非常に難しい状況でございますけれども、我々として、両方重要な課題ということで進めてまいりたいというふうに思っております。

樋口委員 きょうの新聞にも出ておりますけれども、JPXの斉藤CEOがきのうの記者会見で、日本の投資家が海外市場に出ていっている、魅力ある市場をつくらなければならない、一番いいのは今やっている取引所との協力だと述べ、TOCOMとの合流に期待をしたという記事もあります。JPXさんは、株式の取引は世界第三位でありますが、この金融デリバティブなどは世界十四位であります。TOCOMさんも二〇一三年の取引高はピーク時の二〇〇三年から三分の一以下に低迷をしている、こういう現状で、まさに待ったなしであります。

 先ほども紹介しましたけれども、商品取引所のトップが、このままでは、恐らく数年で商品取引所が日本からなくなると言っている数年は、二年とか二年半よりももっと前だ、こういうふうに私は理解をしているところでございます。

 大臣にお伺いをしたいと思います。

 きょう議論もさせていただきましたけれども、総合取引所の実現に向けては、安倍総理、そして茂木経産大臣ともよく御相談をいただいて、ぜひ林大臣に、農産品の活性化ということもあわせて、イニシアチブを御発揮いただきたいと思いますけれども、大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

林国務大臣 総合取引所構想につきましては、昨年六月に閣議決定されました規制改革実施計画、ここにおきまして、改正金融法の着実な実施を初め、総合的な取引所の実現に向けて所要の整備に積極的に取り組む、こういうふうにされております。我が省としても、関係省庁と連携して、関連規定の整備等を進めてきたところでございます。

 総合取引所の実現は、農林水産省としても早期に取り組むべきものと考えておりまして、これまでも、関係省庁と連携して関連規定の整備を進めてきたところでございますが、今後とも、今お話もありました、取引所を初めとする関係者、それから関係省庁とよく連携して、総合取引所を可及的速やかに実現できますように、積極的に取り組んでまいりたい、こういうふうに思います。

樋口委員 大臣、ぜひ積極的にお取り組みをお願いしたいと思います。

 消費者庁にも、きょうは来ていただいていましたが、質問ができずに申しわけありません。

 以上で終わります。ありがとうございました。

坂本委員長 次に、篠原孝君。

篠原委員 民主党の篠原孝でございます。

 四十五分間時間をいただきまして、質問させていただきたいと思います。筆頭理事も誰もいない中で質問させていただく無礼を、まずおわび申し上げます。

 資料を十一ページほど用意いたしましたので、それをごらんいただきながら質問を聞いていただきたいと思います。

 まず、今の農政問題、規制改革会議の答申が農業界を駆け回っているんじゃないかと思います。私は、これはやり方が本当にずさんだと思っているんです。粗っぽい、雑で、何よりも農家、農民に対する愛情に欠けるんじゃないかと思っています。よく考えていただきたいと思います。林大臣、それから江藤副大臣、小里政務官、皆五十代前半から中ごろ、将来、今ももうしょって立っておられるかもしれませんけれども、もうちょっとしたら、もっと自民党をしょって立つ方々です。非常に大事なことですので、この雑なやり方、謙虚さに欠けるやり方、よく反省していただきたいと思います。

 資料の三ページ、四ページ、五、六、七、このあたりをちょっと見ていただきたいんですが、規制改革会議、産業競争力会議、このメンバーとかでも、なっていないんじゃないかと私は思います。よく考えていただきたいと思います。

 四ページがそうなんですけれども、規制改革会議。本委員はいいですよ、しようがない。産業界とかいろいろありますので、農林水産業関係の方が入らなくたっていいですけれども、農業ワーキング・グループ専門委員、このあたりには、もうちょっとバランスを考えて選んでいただきたいんです。本間さんという学者は、私は前から知っていますけれども、よく御用学者、御用学者と言って陰口をたたかれる人がいますけれども、財界、経団連御用達学者かもしれません。ずっとそういう主張をされている方。それだったら、もうちょっと違う方も一人、学者を入れるとかですね。

 それで、次のページを見ていただきたいんです。農業関係者をどさっと入れているんです。入れているのはいいんですが、面積とかそういうのを見ていただくとわかるんです。みんな、ちょっと違った人。こういう人も入れていいんですけれども、ごく普通の農家とか、ごく普通の農協の組合長とか、農家で、農業委員をやり、農協の組合長をやっている人、あるいはやめた人とか、そういう有識者が一人も入っていない。非常に偏った議論が行われるんじゃないかと思います。

 こんなことに対しては、内閣府、後藤田副大臣のところが担当なんですけれども、これはおかしいんじゃないかとちょっと意見を言ってもいいような気がするんです。それはやはり、大臣がそういうことを一々クレームつけたらよくないので、お父さん譲りできちんと言うのにたけておられる副大臣がやられるべきだと思いますけれども、そういうことを一体されたんでしょうか。副大臣にお伺いいたします。

江藤副大臣 何とお答えしていいか、大変困っておりますが、結論から申し上げれば、意見はいたしておりません。

 これは内閣総理大臣が任命するということでありますので、このメンバー構成についておまえはどう思うんだということであれば、今私は副大臣という立場ではありますけれども、正直、見たときに感じるものはありました。しかし、この結論は結論として我々与党は受けとめて、公明党さんとも協議を固めた上で、規制改革会議の言うことをそのままうのみにするのではなくて、与党内でもんだ上で合意案をつくったということを先生にもできれば御理解いただきたいというふうに思います。

篠原委員 仲よくやられるのはいいんですが、やはり親しき仲にも礼儀あり、ちゃんと意見を内閣府の方も聞いたりするべきだと私は思います。

 民主党政権時代、余り統治の力がなかったとか言われていますけれども、そんなことはなくて、私が関与する限り、ちゃんとやりました。

 七ページを見ていただきたいんです。菅総理が突然TPPとか言い出されて、みんなTPPなんか何だかわからない、これじゃいけないから、もうそれに備えなくちゃいけないということで、官邸に食と農林漁業の再生実現会議というのを設けることになりました。委員の構成を見てください。一目見て、おわかりいただけると思います。学者がいます。女性の学者もいます。相良さんという五番目におられる方は、普通の農家のおばさんです。財界の代表の三村さん、実業界を代表して村田さん、商社の小林さんとかおられます。農協の会長もいます。こうやって満遍なくいろいろな各界の人に出ていただく、こういうことじゃないでしょうか。

 それから、三ページを見ていただきたいんです。安倍政権になってから、本当にめちゃくちゃだと僕は思います。一番ひどいのが、ここで言ったって始まりませんけれども、一番下の安保法制懇です。私は、これは予算委員会で質問いたしました、集団的自衛権の行使を容認するような人たちばかりじゃないかと。その発言を僕はみんな洗い出しました。これは偏っているんじゃないですか、こんなのでと。そうしたら、空疎な議論を排すために、専門家で、同じような議論の人たちだけを選んだ、総理はそう答えられました。空疎な議論、専門家だけにしたと。

 それだったら、専門家じゃない人たちがいっぱいいるんですよね。例えば私なんかが、私を例に出したってしようがないですけれども、四ページの規制改革会議の長谷川さんという東京新聞、中日新聞の論説副主幹、マスコミの人が入っていたっていいと思います。思いますけれども、農業問題について一家言あるとか、何かやっていられる方かなという気がするんですよね。そういう人はほとんどなしに、選んでいるんですよね。私は、空疎という安倍総理の言葉の空をかりたら、空回りの議論ばかりして、現場感覚から大きく離れた提言になってしまったような気がするんです。

 そして、既にもう農林水産委員会でも議論されています。農協中央会の廃止とか農業委員会の公選制の廃止とか、そんなことを意見で言う人はほとんどいないし、議論もされていない。全く議論されていない。議事録はみんな公開されています。それを突然、最後はさすがに政権与党自民党がこんなばかなということで直しましたけれども、途中、五月十四日にへんちくりんなのが出てくる。これだって大問題です。プロセスが卑しいのは、プロセスが間違っているのは正当な結論にはならないんです。

 この点、大きく反省していただかなくちゃならないと思いますけれども、後藤田副大臣、いかがでしょうか。

後藤田副大臣 お答えをいたします。

 規制改革会議について、いささか誤解といいますか、そういった点があろうかと思います。

 この会議は、何も農協さんをたたくとか、そういうことでは全くなくて、委員も御専門家でございますから言うまでもありませんが、農協法の第一条、まさに、協同組織の発達を促進する、加えて、農業生産力を増進していく、そして、農業者の社会的また経済的地位を向上していく、もって国民経済の発展に寄与するという第一条の目的を我々は真摯に、現状と照らし合わせて、いかによくしていくか、こういうことを考えて真剣に議論してまいりました。

 委員も御承知のとおり、昨今農業を取り巻く環境は、まさに、いわゆる基幹的な農業従事者は、昭和三十五年に比べれば八二%の減少、平均年齢は六十六歳、三十九歳以下の割合は四%。また、作付延べ面積や耕地利用率も約五割減少。耕作放棄地も、昭和五十年に比べたら三倍に増加。そういう中でも奮闘してもらっているのは農業生産法人。また、一般法人が増加していって、いわゆる産業政策として、いろいろな意味で新しい知恵、またチャレンジ、そしてチャンスをもって前に進めていただいている。農協の数も、委員御承知のとおり、昭和三十五年には一万二千を超えておりましたが、今はもう七百を切る、このような状況でございます。こういう状況をいかに打破して、先ほどの一条に照らして、どうあるべきかということを考えて議論していただいたわけでございます。

 委員から先ほどお話ありました民主党時代の会議も、私も勉強させていただきました。平成二十二年から二十三年にかけて、約七回やられているわけでございますけれども、我々もヒアリングを約十五回にわたってやらせていただいております。現地視察も二回行わせていただいております。

 我々のメンバーの中で、今資料を見ますと、農業生産法人の大きいところしかないじゃないか、こういうお話もあったかと思うんですけれども、我々がヒアリングで呼んだ方の中には、一ヘクタールの耕作面積で営まれている鈴盛農園の鈴木さんだとか、また同時に、三・五ヘクタールの久松農園さん、こういう小さいところも同時にヒアリングさせていただきまして、約十五回にわたって真摯な議論をさせていただいたところでございます。

 親会議は先ほどの商社の方が入っているということでございますが、民主党政権時代もその方が分科会の会長もされていたようでございますし、その他、前政権時代の方も引き継いで、いわゆる政治の継続性ということも踏まえながら、我々は、本当に農家のための農協であってほしい。そして同時に、いわゆる産業政策だけではなくて、釈迦に説法ですが、社会政策としての食料安全保障、また国土保全、こういったこともしっかり考えていくことが農政だと思います。

 しかし、そういう中でも、農業をより効率化、産業化していくことによって、そういった部分で社会政策にも寄与できるような、そういう農政にしていきたい。生源寺先生の言葉をかりれば、農政というのは、いわゆる消費者負担型と財政負担型、大きく分けて二つありますが、やはり財政だけでもなかなかもっていけない、消費者負担型、いいものをつくっていただいて、よりもうけていただく、こういう農政改革、前向きな改革であるということを御理解いただきたいと思います。

篠原委員 丁寧な御答弁、ありがとうございました。

 いっぱい質問通告してあるんですが、もう十分たってしまいましたので、ちょっと省かせていただくことを御了承いただきたいと思います。

 今、私が、この三人の委員は違うけれども、ヒアリングのところには新規参入の若手で普通の農家が入っていて、こういうことに配慮しなくちゃいけないんだと後で褒めようと思ったら、先に言われてしまいましたけれども、そういうことをしなくちゃいけないんです。だけれども、常に議論する三人が何十ヘクタールだけというのは、これはちょっとバランスを欠いているんですよ、明らかに。こういうことをやってはよくないと僕は思います。

 それからもう一つ、僕は、何か責め立てるようなというか、重箱の隅をつつくような質間は嫌いなんですけれども、ちょっと考えていただきたいのがあるんですね。

 これは、何とかの委員とかいうのを、私が農林水産省に入ったころなんか、審議会の委員というと、三分の一ぐらいが農林水産省の出身の人でした。僕もひそかに、俺もやめたらこうやって勝手にいろいろな意見を言えるんだ、早くそうなりたいと思っていました。そうしたら、私がやめたときは、役所のOBはその関係する審議会の委員に一切なれないと。これは行き過ぎのような気がします。だけれども、そういうルールになりました。ほぼなっていないです。エネルギー調査会、経産省がちょろまかして、一人入れたりしています。これはよくないことだと思いますけれども、ほとんどなくなりました。

 アメリカでは、こういうことは利益相反というので、ビジネス、企業の人たちがそれに関係するような政策決定に関与するのを非常に厳しく禁じているんです。そういうことからすると、私は、民間企業の人がルーズ過ぎるんじゃないかと思います。

 皆さん、ちょっと記憶をたどっていただきたいんですが、規制改革会議、オリックスの宮内義彦さんが座長、規制改革何会議といっていましたかね、ちょっと名前が違いますけれども、民間開放会議とかいろいろな名前がついていましたけれども、郵政改革でかんぽを売却すると。鳩山総務大臣が怒って、取り消したりしていたんですね。こういうのがあるんです。

 ところが、我が国は、民間企業のこういうところがルーズなんです。一つの例としてですけれども、岡さん、住友商事の相談役、この方は、いいことだと思いますけれども、住友商事が農業にも参入されて、秋田の米に目をつけられている。それから、小里さんの地元の畜産のところもやって、野菜をつくったり、農業に参入されている。これを緩くしろ、農業生産法人、企業のビジネス参入を緩くしろということをいろいろ言っているわけですね。

 私は、やはりこういう意見は余りに露骨なので、抑えたりすべきだと思います。こういう人は外して議論すべきだと思います。例えば、農協のことをするのに農協の組合長とか経験者がいたっていいと思いますけれども、そういう人を全然入れていないわけです。それからしたら、片方の農業生産法人の規制緩和に深くかかわる人が入っているというのは、やはりよくないような気がするんですけれども、後藤田副大臣、これはよく考えていただかなくちゃいけないことだと思います。

 今後、これは絶対考えてください。そうじゃないと、自分のところに関係する、例えば、薬のインターネット販売で、楽天の三木谷さんとかでも問題になりました。最近では、知りませんよ、週刊誌や新聞であれ、竹中平蔵さんとパソナで労働法制規制の緩和、利益相反じゃないかと言われているんです。こっちこそきちんと律していくべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

後藤田副大臣 規制改革会議の委員の公正性という御議論だったと思います。

 規制改革の難しいところは、今もお話ありました、薬のインターネット販売もそうでございます。そしてまた、今、医療の方ではいわゆる選定療養を改革していこうというような話とか、今回の農協もそうでございます。安全性とか有効性というものが片方である中で、一方で国民、消費者の利便性というもの、これをいかに両立させるかというのが規制改革会議の難しいところでもあり、これが大きなミッションだと思います。

 安全を言うばかりに、古い法律の中で利便性が損なわれるというのは、これはやはり国民に対していかがなものかと思います。しかし、それが委員がおっしゃるようにやり過ぎであれば、安全性その他に、社会政策に問題がある、こういうことがあろうかと思います。

 今回のワーキング・グループの座長は、これはITの方で、金丸さんという方でございます。今御議論に出た住友商事の方でございますけれども、この方はいわゆる議長役でございまして、ワーキング・グループの細かな議論には入っておりませんが、最終的に、会議としてはもちろん中身を見ているということでございます。

 先ほども申し上げましたが、生産性を上げていくんだ、新しく産業政策としていろいろな知恵をいただくんだという意味では、やはり生産法人で頑張っている方の意見も聞きながら、また商社のように、私も商社におりましたけれども、いろいろな意味で、購買力だとか、安いものをしっかり提供するだとか、こういう意見というのは当然聞かなきゃいけないというふうに思います。

 同時に、現場の声ということで、繰り返しますが、いわゆる現場を、ヒアリング重視で会が成り立っていたものでございますから、いわゆる基本のメンバーというよりは、ヒアリングを十五、六回重ねさせていただいて、いろいろな声を聞かせていただいた結果がこういうことでございます。

 そういう点におきまして、もちろん利益相反というものはしっかり見ていかなくてはいけないと思います。さっきの、名前は今検討中でございますが、例えば選択療養に、こういう形の中でも、これは患者起点という考え方でやっておるということでありますし、農協につきましても、先ほど来申し上げておりますように、地域農協が主役になって、農協法の基本である第一条をさらに深化させていく、こういうミッションでございますので、利益相反に当たるようなことは、私が政治という立場で見ていても、一切ないということを申し上げたいと思います。

篠原委員 これから考えてやってください。民間企業の皆さんだったら、野方図に、どの審議会の委員、こういったところの委員になれるというのは問題で、それこそ厳しくチェックしていただかなくちゃいけないと僕は思っております。

 次に、質問では二つに分かれていますが、一緒に答えていただきたいと思います。

 内容に入ります。

 何か農協とか農業委員会が悪いみたいな感じのことで責め立てる。全中、全国農業協同組合中央会、あるいは長野県農協中央会、これが地域農協の自主性を損ねるんだ、だから廃止だとか、そういうことを言っている。さすが皆さん、今度はちゃんと議論されて、廃止というのが、そんな乱暴なことはなくなりました。僕は、そういうふうに思い当たらないんです。どういうことを議論されているか、議事録を見ましたけれども、全然出てきていないわけです。

 それから、全農を株式会社にするというんです。どういうメリットがあるのか、突然出てきて。何でそんなことを言うのか。

 八ページをちょっと見ていただきたいんです。小さくて見えないけれども、内容をよく見てくださいというんじゃなくて、これだけあると。全農は、株式会社にすべきものは、これだけ株式会社にしているんですよ。だけれども、農業協同組合の延長線上にある。一人は万人のために、万人は一人のために、共同でもって相互扶助としてやって、皆助け合っていこうという、この精神は絶対崩しちゃいけないと思うんですよ。

 社会政策という言葉が盛んに出てきました。そういうことから考えたら、経済利益の追求だけじゃないんですね、農協というのは。どうもそこのところがわからないんです。

 この農協問題について二つ、自主性を損ねた例なんてあるのか言っていただきたいというのと、株式会社化するメリットというのはどこにあるのか。僕は、そんなことをしたら困るデメリットはいっぱい言えるんですが、それはやめておきますけれども、メリットを教えてください。

後藤田副大臣 先ほど委員が、農業委員会また農協の自主性、自立性ということで御指摘がございましたが、まず、これは農水省さんの実施したアンケート調査によれば、農業委員会というのは名誉職みたいになっているんじゃないかというのが、農業者から六三%の意見が出ました。そしてまた、農業委員には兼業農家が多いということが活動が低調な原因ではないかという意見もあったということでございます。

 我々は、その自主性、自立性を軽んじるつもりは全くございませんで、さらに、やはり農業関係者また農業者がしっかり理解するような農業委員会になっていただきたいという意味で、強化という方向性でございます。

 加えてまた農協につきましても、もちろん今まで、もう委員も御承知のとおり、全中、農協グループと政府というのは、一万二千あったときから、まさに相互依存的な形で社会政策また産業政策を担ってきたことは間違いがございませんけれども、今七百を切った中で、単位農協がいろいろ頑張っている中で、全中さんの中での、農協法の中の役割、アドバイスをするとかいろいろなことを書かれておりますけれども、今やもうそういう役割を法定する段階ではないんじゃないか。例えば、経団連だとか同友会だとか、法定されていない組織でございますけれども、そういう方々は、まさに政治、立法府に対しても行政府に対してもいろいろな意見が言えるわけでございます。

 そういう意味では、時代の変化の中で、さらに自主性、自立性、例えば、たけふ農協のいい例とかもございますし、我が県でも「いろどり」という葉っぱビジネスがございますけれども、何もこれは全中から言われたわけではありません。また、私は、亡き松岡先生と中国に三回ほど米の輸出で行きました。検検総局ともいろいろな議論をさせていただいたときに、当時、滋賀県農協と新潟県農協と宮城県農協の組合長も同席をしていただきました。

 そういったことで、今まさにもう自立性、自主性で頑張っているところもございますので、そういったところを学んでいただいて、ベストプラクティスとしてしっかりやっていく。そして、全中組織というのは、まさにシンクタンクとして、改めていわゆる格調の高い組織として機能していただいてもよろしいのではないか、こういう提案でございます。

篠原委員 デメリットを言うのはやめておきますけれども、ただ、今シンクタンクというのがありました。シンクタンクは日本には必要だと思います。余計な話ですけれども、アメリカにあって日本で余りきちんとしていないのがシンクタンクなんです。

 逆が今度大事なんです。日本にあってアメリカにないのが総合商社なんです。これはどうしてかというと、わかりませんけれども、商社が穀物にだけあるんです、農家がみんな自分で売ったりできないから。その分、日本は農協がやっているんじゃないかと思います。

 農協が何でこういうふうにごたごた言われるかというと、資料の二ページをちょっと見ていただきたいんですが、農協は確かにでっかいビジネスをやっているんですね。こういうのを見て、だから、みんな一緒に株式会社になってもいいんじゃないか。今は全農のことだけでしたけれども、生命保険、それから損保、これもみんな一緒になっていいんじゃないかと。

 だけれども、アメリカは、年次改革要望書とかそういうところで切ってくるんです。共済なんという制度は全く認めていないんですよね。何でもプライベートにしろと。考え方が違うんですよ。

 それで、仕方なしにこういうふうに比べられちゃうと、預金残高でも、これを見ると四位です。損保でも三位、生命保険でも二位、こういうふうになっているわけですね。それから、右上は信濃毎日新聞の資料ですけれども、全農の県本部や、これは独立しているのと、ちょっと複雑なんですが、県単位で見ると、これだけのビジネスもやっている。

 これはみんな一緒じゃないか、そういうふうに誤解があるんですけれども、やはり農協なんです。農協の上なんです。だから、上の方だけ株式会社化するというのはおかしいんです。これはよく承知しておいていただきたいと思います。

 その次に、きれいごとが続くんです。地域の自主性を重んじる。そうしてほしいと思います。しかし、そう言いつつ、この答申ではどうなっているかというと、農家がみずから選んでいる農業委員を市町村長が選ぶんだ、上から目線で選ぶんだと。農協についても、集落の方で理事何人とか決まっているわけです。立派な人をというので選んでいるのに、それを認定農業者と農産物販売、経営のプロを半分にしろと。これこそ介入じゃないですか。規制そのものじゃないですか。非常に矛盾していると思います。

 市町村長が農業委員を選んだら、どうなりますか。いっぱい市町村があって、それは立派な市町村長が大半です。しかし、一国の総理でも、趣味を出して、NHKの経営委員だとかそういう人に何か周りの人とかを選ぶ、こういうことをして批判を浴びている。そういうおそれがあるわけです。農地の転用をストップしている農業委員はけしからぬ、それを全部ずぶずぶに認める農業委員だけにしてしまう、こういうことが当然起こるんですよ。そういうことをさせたら絶対いけないと僕は思います。そういうのをすぐ想定できるんです。

 考えるのはいいんです。九割が選挙なしだというのは、だから、考えてもいいと思いますよ。僕なんかは、それだったら、それぞれの集落の区長さん方にきちんと入ってもらって、もっと大勢できちんと公明正大に議論するとか、そういう農村地域独特の議論があると思います。

 理事なんかに至っては、僕は本当によくないと思いますよ。専業農家やでっかい農家だけで農村が成り立っているわけじゃないし、農業も成り立っているわけじゃないんですよ。どうしてこういうでっかいばかりの、外部からの新規参入とか、そんなことばかりに拘泥するのか。

 ここはおかしいと思うんです。この自主性を損ねているということの矛盾について、どういうふうにお考えでしょうか。後藤田副大臣、お願いします。

後藤田副大臣 お答えいたします。

 確かに、我々も選挙で選ばれますし、選挙というのは一つの民主主義の公正なプロセスだと思います。

 しかし、先ほど来お話し申し上げておりますが、農林水産省さんのいろいろなアンケートを見ますと、名誉職的な形として九割が無投票というようなことで、実際、やはりその機能がいかがなものかということがあって、民主党政権時代にもあったかと思いますが、今までの農業委員会というのは、個別申請が中心または前提の受け身の業務だったものを、平成十六年、また二十一年、二十五年と農業委員会法また農地法の改正をして、より積極的に農地保全というものに関与していこうという、流れは変わってきたわけでございます。

 それをさらに加速するために、もう一つの選択肢として示したのが、いわゆる選任制度については市町村が一括して、しかし、それも、先ほど御意見があった、国会同意人事と同様に、公正性を担保する意味では、議会の同意を得る、こういう提案をさせていただいて、公正性、公平性を担保させていただいているというのが内容でございます。

 加えて、いわゆる中間管理機構等も含めて、市町村長さんにももっと積極的に、耕作放棄地をこれ以上ふやさない、農地保全をしっかりしていくんだ、こういうことをしっかりやっていただきたい。

 その中に、今回新しいのは、いわゆる農地利用の最適化推進委員というのを新設いたしまして、それを具体的に実行に移していくということでございます。

 以上でございます。

篠原委員 やはり組織の根幹、農村地域社会の根幹にかかわることへの介入です。規制強化ですよ。誰を選べというのを答申でやるなんというのは、僕は傲岸不遜だと思いますよ。考えてくださいといってやるのがいいんだろうと思う。ここはこれからもまだ議論を続けられるんでしょうけれども、今もうできているわけですよ。三分の一の員外理事が認められるし、でっかい農協については監事をきちんと外部から選ばなくちゃいけないとか、それなりのチェック機能は働いているので、もうそれでいいんだと思います。

 では、農政についてです。

 よく出てくるんです、認定農業者。国の制度、そして法律に基づいて市町村が認定しているわけですけれども、これも僕は本当によくないと思うんです。国会議員を認定国会議員と非認定国会議員と誰が分けるんですか。農家や中小企業。何か融資を受けるための資格云々でいいですよ。だけれども、ありとあらゆるところに認定農業者じゃなければだめだという縛りを加えるなんというのは、僕は、世界じゅうの農政で前代未聞だと思いますよ。きょうはOECDから農業貿易局長が来ておられるんですが、さんざんいろいろ議論をした中で、そこでもこんなとんちんかんな議論はしていないと思います。

 EUで、直接支払いの対象農家をどうするか、余り小さな農家にはやらないようにしようと。下限はどのくらいですか。平均が二十ヘクタールとか小さいところから、イギリスでは何か七十ヘクタール、八十ヘクタールなんですが、〇・三ヘクタールです。それをちゃんと対象にしているんですよ。

 それを、認定農業者じゃなければいけない、認定農業者を半分にしろとか、これは本当によくないことだと思います。農政はいつもこういうふうになって、でっかい農家だとか認定農業者だとか、こういうふうに偏るんですね。林大臣、これは反省していただかなくちゃいけないと思いますけれども、いかがでしょうか。

林国務大臣 篠原委員のお考えは、納得できるところもあるんですが、やはり基本的な考え方が違うところもあるなと思って今お聞きをしておりました。

 今回、米の政策の見直しもあわせてやったわけですが、我々は、基本的には、やはり我が国の農業を安定的に発展させて、国民に対して食料を安定的に供給していくために、効率的かつ安定的な農業経営が農業生産の相当部分を担う農業構造を構築することが重要である、まず、これがあります。ここのところがもしかしたら共有できていないのかな、こういうふうに聞いておりました。

 したがって、認定農業者を初めとする担い手に対して、農地中間管理機構を活用して、農地利用の集積、集約化を加速する。それから、経営所得安定対策等を講じていくということで、今、規模のお話がありましたけれども、規模は、東西南北、広い日本の中でいろいろな営農の仕方もあります。したがって、規模要件は廃止をした、こういうことであります。

 認定農業者制度は、この促進法に基づいて、農業経営を営んで、または営もうとする者が作成した農業経営改善計画、これを市町村が認定していただくものでありまして、現場できちっと意欲と能力のある農業者が幅広く認定を受けられる仕組み、こういうふうになっております。

 したがって、まさに、地域を分断したり、地域の自主性を奪うということではなくて、市町村がきちっと現場の状況を反映して認定していただくことによって、冒頭に申し上げた農業構造を構築していく、これにつながっていくというふうに考えております。

    〔委員長退席、齋藤(健)委員長代理着席〕

篠原委員 小里政務官に二つ続けてお伺いしたいと思います、畜産の本場の方ですので。

 九ページ、十ページ、これは予算委員会で使ったものなんです。

 企業の農業への参入というのが盛んに言われるんです。規模を拡大できないのは農協が邪魔しているからだとか、そういうことを平気で言う学者や評論家がいるんですけれども、違うんですね。いろいろな原因がありますけれども、一番は、日本は土地が狭くて、みんなそこに張りついているからなんです。

 土地が狭いという制約を受けないのが畜産業なんです。見ていただきたいんです。平均飼養規模拡大の推移というのは物すごいですよ。これだけ努力してきているんです。

 これは、江藤副大臣の地元、小里政務官の地元の皆さんが中心ですよ。ほかの県もいっぱいありますけれども、物すごいです。採卵鶏なんて、二十四羽の庭先養鶏から、今は五万羽近くです。ブロイラーも見てください、この規模拡大。国際比較をしたって、日本は引けをとらないんですよ。ここまでやっている。

 だけれども、では、このところに企業の参入が一体どれだけあるのか。ないんですね。安愚楽牧場とかはありますよ、ちょっといろいろ問題の。ありますけれども、これはどういうことを物語っているかというと、初めてここで申し上げるんですけれども、幾らでも農業に参入できるんですが、余りもうからない、だからやりたくないんです。企業に農地を所有させろ、所有させろ、そっちの方にばかり拘泥するんです。これがこの差をあらわしているんじゃないかと僕は思うんです。

 それで、調べました。農林水産省にも聞きました。

 先ほど、住友商事が米のビジネス、野菜のビジネスに参入していると。畜産に大きく参入しているのがあるかと聞きましたけれども、ほとんどないですね。

 イトーヨーカ堂が、岩手で遠野牛をやり始めました。ワタミが、自分のところで使う牛や何かを飼っていますけれども、それは、自分のところでやった、安全なものを使っているというPR、そういうのがあるからやっているんだろうと思います。

 ないんです。何を物語っているかと言うと、私は、やはり卑しい魂胆があって、企業が農地を所有し、それを転売し、そういうことを考えているからだと思うんですけれども、この点についていかがかということ。

 それから、小里さんは、農業、農村の所得倍増十カ年戦略に非常に深くかかわられたはずです。これと規制改革会議の提言はどのように関連してくるんですか。農協の役割はこうやって変わっていく、それから、企業が参入だと。これでできるんでしょうか。

 ちょっと二つ、違っているんですが、一緒にお答えいただけたらと思います。

小里大臣政務官 まず、畜産、酪農は、余り農地に関係ないから、もっと企業参入があるのではないかという御指摘でございますが、確かにそういった面はあろうと思います。

 ただ、酪農は、やはり農地は必要とします。肉用牛も、餌基盤として、ある程度農地を必要としますが、豚、鳥については、農地じゃなくて、農業施設用地があればいいわけでありまして、したがって、御指摘のとおり、企業が参入しやすい面があろうと思います。実際、私の地元でも、例えば、ジャパンファームとか三菱商事、日ハム系列の企業が大きく地域にも貢献をしております。そういったところ、企業の特性に鑑みて、畜産、酪農においては、しっかりまた企業の参入を図っていくべきであろうと思います。

 ただ、残念ながら、全体的な統計はございませんので、そこはお許しをいただきたいと存じます。

 それから、所得倍増戦略と今回の改革との関連についてのお尋ねでございます。

 農業・農村所得倍増目標十カ年戦略、これは十五本の柱から成っております。例えば、農地集積、担い手育成、六次産業化あるいは輸出戦略等々、いずれを展開していくにしても、やはり現場におけるコーディネーター、プランナーというものが必要であるということを我々は訴えてまいりました。

 まさにそういったところで農協にはしっかり役割を果たしていただきたいと思っております。農業用語に言いかえれば、営農指導とか、あるいはその延長線上での販売機能の強化というところになろうかと思うところでございます。

 また、企業との絡みでありますが、企業の持っている優秀なノウハウまた販路というものをしっかり生かしていく、これもやはり大きな柱として捉えていきたいと思います。特に、農産物の有利販売を徹底していくためには、農協が、実需者である企業とも連携して、安定した取引関係を構築していく。そのために、地域農協の創意工夫が生かしていける、そういった環境をつくっていくべきであると思っております。

 同時に、やはり企業と農業との関係というのは、適切な間合いというものが必要であると思っております。例えば、量販店と農業者、乳業メーカーと酪農家、あるいはお茶のメーカーと契約農家との間に見られますように、やはり企業というのは、本来、利益を追求するのが本分にありますから、農産物の買いたたきとか、どうしても農業者へのしわ寄せが行きがちであります。したがって、我々は、農産物の流通環境の整備というものを大きな課題として議論をしてきたところでもございます。

 そういった、企業に対して弱い立場である農業者が集まって、共同で資材を安く購入して、いい営農をして高付加価値をつけて、そして適切な価格で販売していく、そのために構成されたのが協同組合であると認識をしておりまして、その本来の趣旨に沿ってこれから役割を果たしていただきたいし、そういった意味での今回の農協改革であると認識をしております。

 また、農業委員会で申し上げますと、農地利用の集積、集約化、これは、まず第一には担い手へのそれであるべきだと思っておりまして、地域において担い手が不足する場合には、リース方式での企業の参入を促進していく、こういった考え方が基本であろうと思っているところでございます。

 こういった考え方に沿った今回の答申であろうと思います。また、そういった考え方をしっかり実現していけるように、特に、農業、農村の所得倍増に結びつくように、しっかりとこれから中身をつくっていき、また運用を図っていかなければならないと思うところでございます。

    〔齋藤(健)委員長代理退席、委員長着席〕

篠原委員 どうもこの答申はやはり偏った価値観があるんですね。

 典型的な例は、六十一ページの「理事会の見直し」のところにあるんですけれども、「定数の三分の一までは正組合員以外の者を理事に選任することが可能であるが、実際には、正組合員が多くを占めており、」いいですか、正組合員が多くを占めている、「必ずしも担い手農家の意思が十分に反映されず、」と書いてある。とんちんかんな、よく見ないとおわかりいただけないかもしれませんけれども、正組合員が多くを占めているのが、担い手農家の意思が十分に反映されていない証拠だというんです。どういう農家が理事になればいいのかという、ちょっとここのところがずれていると思います。

 国際的な動向がどうかというのを後藤田副大臣にお伺いしたいんです。

 これは、もう林大臣以下には一度、二度、申し上げているので、また聞いていただきたいんですけれども、二〇一二年が国際協同組合年だったんです。そして、ことしが国際家族農業年だったんです。簡単に言うと、行け行けどんどんで、でっかくでっかくとかやっていったりすると、いろいろなところにひずみが出てきた、隣近所で助け合って生きていくやり方が大事じゃないのか、こういうことに気がついたんです。

 ですから、世界の潮流としては、家族農業の役割を見直そう、余りに農家人口が減り過ぎた、もうこれ以上減らすのはとめよう、そして、家族農業の集合体、生産者組織である農業協同組合、ほかに生活協同組合もあるんですけれども、これが大事だから、これを大事にしていこうと。官と民のはざまにある中間的な組織の役割が大事になってきているということなんですが、日本だけがあさっての方向を向いているんですね。企業の農業への参入だとか、こんなことばかり言っている国はないんです。

 そして、今TPPで皆不安に思っている、そういう人たちの不安を解消するような提言にすべきであるのに、不安をかき立てるような提言になっているんです。こういった提言は次の世代の農業者を励ますような内容じゃなくちゃいけないのに、そうなっていないんですね。なっていると思われますか。これは大きく反省していただかなくちゃいけない。

 いいんです。林大臣は、考え方が違うと言われましたけれども、そんなに変わらないんですよ。でかい農家はやはり育成しなくちゃいけないんです。だけれども、でかい農家だとか新規参入だとか、そんな方にばかり行っちゃっている。では、農家で生まれて農家で育って、この人たちが安心して農業をやれるように何でできないんですか。そっちの方に何で意を注がないんですか。これはおかしいと思うんですけれども、後藤田副大臣、いかがでしょうか。

後藤田副大臣 御指摘の国際的な協同組合、家族農業、これの役割を再認識、こういうことは承知しておりますが、基本的な認識としまして、もう委員御承知のとおり、日本は世界の輸出国とは環境が全く違いますし、若い担い手がやる気を起こすかという意味でも、再々、先ほど来の議論もそうでございますが、やはり今のままではだめではないかということで、我々は一石を投じさせていただいたわけでございます。

 協同組合のあり方につきましても、先ほど来申し上げておりますが、農協法の第一条の、協同組織の発達を促進していくという立場は何ら変わりません。その中で、今回も我々は、単協が地域の実情に即して主役となって自立性を発揮する、こういうことでございますので、組合というあり方を否定するものでは全くございません。さらに単協としてしっかり頑張っていただく環境を整える、また、その整えるべきところが今までどうだったのか、どれぐらい機能していたのかということについて、現状を踏まえて改革案を提示させていただいたところでございます。

 オランダのような生産性のある農業には、まだまだほど遠いわけです。その中でも、大規模化とか効率化とかという、いわゆる経済の視点とかといっても、まだ日本はそこに足元にも及ばない状況でございますので、そういった点を早くキャッチアップしていく。やはり農業にはチャレンジと、そしてチャンスを与えて、チェンジしていかなきゃいけない、私どもはそういう思いで提言を出させていただいております。

篠原委員 時間に近づいています。

 私の資料の一番最後をちょっと見ていただきたいんです。政務三役の皆さん、よく見てください。

坂本委員長 時間が経過しておりますので、簡潔にお願いします。

篠原委員 はい。

 一二年四月二十五日のTPPの集会です。つい最近開かれた集会です。どこが違うんでしょうか。こういう事実を御存じでしょうか。私は、この下のが始まる一時間ちょっと前に、長野県の皆さんの会合に行っていました。こっちの会合には、私は出ちゃいけないと言うんです。これはおかしいんですね、こういうことをしているのは。これは非常に反省していかないと。何でこんなことをしているのか。

 もし中央会がこういうことを指令してやっているんだとしたら、提言は正しいんです、地方の自主性を損ねている。地方は私に、TPP反対で、こんなに重装備してTPPと闘っているんです。それを無視で、来ちゃいけないなんて、何をふざけているか。こういうことは、一般社団法人になったらもっとひどくなっちゃう。だから、僕は反対なんです。

 以上指摘させていただきまして、私の質問を終わります。

坂本委員長 次に、林宙紀君。

林(宙)委員 結いの党の林でございます。

 いつもよりちょっと早い時間に登場させていただくことになりました。

 今国会は、千本ノックのような状況が大変続きまして、そのかわり、いろいろなことを学ばせていただいたなと思っております。恐らく、今国会で質問させていただく最後の農林水産委員会なのかなと思いますので、閉会前に、最後に何を確認させていただこうかなということで、きょうは、今資料をお配りしておりますが、緑の防潮堤というものについてお伺いをしたいなと思っております。

 先般、海岸法の改正案というのが成立しまして、いわゆる東日本大震災での被災地の沿岸に大きな防潮堤をつくっていくという計画に対しまして、そこに防潮堤と一体化する形で、防災林という形で木を植えていこうというのが盛り込まれたということで、それを緑の防潮堤と称しているわけなんですが、要は、それでもって防潮堤を補完しましょう、簡単に言えば、そういうようなものになっております。

 海岸法ですので、所管は国土交通省になりますから、きょうは参考人の方にもお越しいただいているんですけれども、緑の防潮堤、木を扱うということで、これは林野庁ともかかわってくるお話なので、今回、農水委員会で取り扱わせていただくということにいたしました。

 海岸法の改正が成立しましたので、これから緑の防潮堤というのがどんどん進んでいくというきっかけにはなったと思うんですけれども、実は、これに先駆けて、去年の六月に、今まさにお配りしているのは朝日新聞の記事なんですけれども、実験的にと言ったらいいのか、モデル的にと言ったらいいのか、先にこれをやっている地域というのがあるんですね。宮城県の岩沼市というところなんですが、ここで植えた木がどういうことになっているかというと、これは見出しのとおりで、植えた木が半分ぐらい枯れているということなんですね。ちょっと当初の予定と違って、もちろん、木が育っていって緑の防潮堤になるという予定だったんですが、これが半分枯れてしまったという状況になっております。

 そうしますと、いきなり計画の初段階から企画倒れのような形になってしまいつつあるので、この記事は写真が白黒になっていてよく見えないと思うんですけれども、何となく見ていると、木らしきものが余りないなというぐらいはわかっていただけると思うんですね。こんな状況なので、緑の防潮堤をやっていくにしても、もうちょっとその内容を考えた方がいいんじゃないのかというのが私の意見でございます。

 きょうは、その件についていろいろお伺いしたいなと思うんです。

 まず、国土交通省にお伺いしたいんですけれども、樹種、要は木の種類です。今回は、横浜国立大学の先生の提唱に従って、去年の六月に植えたプロジェクトでは、できるだけ常緑広葉樹とかそういったものを植えるようにということでやっていたそうなんですけれども、伝統的にはクロマツが植えられていたところなんですね、海岸防災林としては。

 こういったところのプロセスも含めて、どのように考えているかというのをまずお聞かせいただきたいなと思います。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 まず、緑の防潮堤でございますが、これは、防潮堤と一体的に盛り土と樹林を設置するということによりまして、津波が防潮堤を越えた場合の壊れるまでの時間をおくらせるということで避難時間を稼ぐとともに浸水面積を減らすなど、防災効果を有するものでございます。

 樹種の選定につきましては、気候等の地域特性や地元の意向、専門家の意見等を踏まえて、場所場所で決めていくことが重要だというふうに考えておりまして、岩沼市のモデル的な整備の樹種選定に当たりましては、岩沼市の千年希望の丘の取り組み、沿岸部で常緑広葉樹を植樹した事例、あるいは専門家の意見などを踏まえまして、常緑広葉樹を採用したところでございます。

 いずれにしても、緑の防潮堤は、厳しい自然条件の中で植樹を行うものでございますので、専門家の意見を踏まえて、しっかりと整備を進めてまいりたいと考えております。

林(宙)委員 ありがとうございます。

 今、専門家の御意見もというお話でしたので、国において木あるいは森林の専門家といえば、やはり林野庁ということになると思いますので、林野庁は、この件についてはどのようにお考えでしょうか。

沼田政府参考人 お答え申し上げます。

 一般的に、海岸部、特に海岸の前線部でございますけれども、飛砂、砂が飛んできたり、潮風があったり、それから強い風が吹いたり、こういった影響を受けております。また、土壌の養分や水分が少ない。そういった意味で、樹木の生育にとっては非常に厳しい環境にあるという状況でございます。

 こういった状況にある海岸の前線部におきましても、例えばトベラですとかシャリンバイ、それからマサキなんかのいわゆる常緑広葉樹でございますけれども、木の高さはそんなに高くならないということはあるんですけれども、生育はしているということでございます。

 私どもとしても、そういったいろいろな情報提供を国交省さんにもさせていただきながら、いろいろ協力してやっていきたいというふうに思っておりますし、また、国交省さんも、この緑の防潮堤の整備は、そういういろいろな知見を集積しながら実施されていくことになるのではないかなというふうに思っているところでございます。

林(宙)委員 ありがとうございます。

 そうしますと、国交省さんと林野庁さんの連携のところはどうなんだという質問を一応用意はしておりましたが、今の御答弁によれば、そこはしっかりとお互いに情報交換をしながら、いろいろとアップデートしつつやってきているんだろうなということなので、この質問は飛ばさせていただきます。

 そうしますと、実は、この海岸防災林の樹種を検証するということについては、ことしの二月に、東北地方整備局で事業評価監視委員会というのがありまして、この中で、防災林についてはよく専門家の意見を聞いた上で決めて植えていくべきだというようなことが既に指摘をされているということなんですけれども、この件については、それ以降、樹種の選定等々については何か進展があるのかどうかというところを教えてください。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 平成二十六年二月二十六日に開催された、先生御指摘ございました事業評価監視委員会において、緑の防潮堤整備を進めるに当たり、東北の厳しい自然条件における海岸での常緑広葉樹の育成技術などについて御議論をいただきました。その上で、植生については、専門家の意見を聞きながら事業を進めることと指摘をいただいたところでございます。

 先ほどのモデル事業でございますが、平成二十五年六月三十日に植樹をして以降、その地点におきまして、定点写真観測でございますとか、あるいはモニタリングというようなことを行ってきております。

 今後でございますけれども、これらの調査結果等を活用いたしまして、その上で、専門家の意見を聞きながら事業を進めてまいりたいというふうに考えております。

林(宙)委員 ありがとうございます。そういった指摘も既にあっている中で、海岸法も改正が成立したので、ぜひここはしっかりと見ていった上でやっていただきたい。

 何でかというと、今回の国交省さんの緑の防潮堤の計画だと、岩沼市、あるいはその南に山元町というところがありますが、そこの沿岸十二キロで十五億円追加するというような内容だったと思うんですね。

 十五億円というと、防潮堤全体の予算に対すればそこまで大きくないような印象はあるんですが、十五億は十五億ですから、これをつぎ込んで、それが数年でだめになってという結果になってしまうのは、やはり事業としてはどうなんだというお話があると思うんです。

 どういう樹種がいいのだろうか、あるいはどういう組み合わせで植えていけばいいのかとか、そういったところをよく最初に検証した上でやっていかないと、意味がない状態になってしまうと思うので、既にそういった検証は始まっているんだと思うんですけれども、ぜひやっていただきたいなというふうに思っています。

 もう一つお伺いしたいなと思っていたのは、せっかく国交省さんに来ていただいているので、これはぜひ聞きたいと思っていたんですけれども、お配りした新聞記事の左の真ん中ぐらいに、緑の防潮堤のイメージとありますね。これを見て、海側からかなり大きな津波が来た場合ということを考えたときに、私は、これは大丈夫かなといつも思うんです。

 何が大丈夫なのかなというと、これは、防潮堤のコンクリートの上に土を盛って、そこに植樹するわけですね。海岸法の説明をいただいたときに、この土に木が根を張るので、かなりがっちりと補強されるという説明だったんですが、普通に考えると、コンクリートの上に盛り土をして、それをいかに固めようと、津波が来たらぺろっと剥がれちゃうんじゃないのかなというイメージですよ。要は、木が、根こそぎそのまま土ごと持っていかれちゃうんじゃないのかなという危惧があるんです。

 済みません。我が党は国土交通委員会に議席がないものですから、これを確認できずに法案成立まで行ってしまったんですけれども、海岸法改正案の審議の際に、こういったところの疑問点とか、そういった議論があったのかどうか教えていただきたいんですが、よろしいでしょうか。

加藤政府参考人 お答えをいたします。

 海岸法改正の審議におきましても、樹林の流失に関する質問をいただいております。その際にも答弁をいたしたところでございますけれども、林野庁の方で実施をされました東日本大震災における海岸防災林の被害状況調査によりますと、地表面から地下水位までの深さが浅いところ、ここでは、樹木の根が地中深くに伸びずに、根の張りが弱かったことから根返りし、流されたものが存在するということが確認をされております。

 一方で、十分な樹高を有し、被害を受けずに残った樹木、これは地表面から地下水位までの深さが三メートル程度あるところ、ここでは育成していたことが確認をされております。

 これらのことから、緑の防潮堤の整備に当たっては、高木を植えるところでは三メートル程度の盛り土の高さを確保するということとともに、流失しにくい樹種の選定あるいは植樹方法を採用するなど、専門家の意見を聞きながら、津波に対し強い構造にしていきたいというふうに考えております。

林(宙)委員 今の御答弁の中で大変詳しく御説明いただきましたが、要は、三メートルぐらいしっかり根を張ってとかという木は余り倒れなかったよというようなことなのかなと理解しました。

 では、もう一つ、林野庁さんにこれはお伺いしたいんですけれども、今まで海岸の防災林として機能してきたクロマツの場合と、今回、実験的に植えた広葉樹系の木で、根の張り方は何か違いがあるんでしょうか。その深さとか、横に広がるとか、縦に伸びるとか、いろいろあると思うんですが、その根の張り方と、それから津波等が来た際に、倒壊の危険というのがあると思うんですが、倒れる倒れないの強度的な意味で何か差が生じるようなものなのかという、その点をちょっと教えてください。

沼田政府参考人 樹木の根の張り方でございますが、樹種によって一般的には異なっているという状況でございます。

 クロマツでございますけれども、地中深くまで根を張ります深根型、深く根を張るということでございますが、そういったタイプでございます。広葉樹でございますと、例えばコナラも深く根を張る深根型でございます。それから、タブノキは、深根型と浅く根を張る浅根型、そちらの中間でございます中間型というふうになっております。そういったように、樹種によってさまざまな根の張り方がございます。

 根の張り方と津波の抵抗力との関係でございますけれども、一般的には、やはり根が深く発達した樹木の方が津波に対する抵抗力は高いということが言えます。ただ、先ほどもお話がございましたように、東日本大震災後、調査を私どもさせていただきましたけれども、深根型のクロマツでありましても、地下水位が高くて、地下水位のところから先には根が張らないものでございますので、根が地中深く伸びていない場合ということは、そういうときには根返りをした例というのが多数見られたところでございまして、そういった意味でも、根返りのしやすさというのが樹種によって一概に判断できるかできないかというと、なかなか難しいというような状況にあろうかと思っております。

林(宙)委員 大変勉強になりました。ありがとうございます。

 地下水位というのは私も初めて知った要素なので、そういったところも検討しながら、今後、樹種をどうするかというのを考えなきゃいけないと思うんです。

 要は、樹種の選定というのはいろいろな要素があるんじゃないかなと思っていて、例えば、今の根の張り方というのも一つの要素でしょうし、もう一つ私がすごく気にしているのは、成長のスピードなんですよ。今、防潮堤を建設していて、津波でかなり破壊されていますので、その防潮堤を補完するという意味で緑の防潮堤も育てていきましょうという話になると、高い津波が次はいつ来るかというのはわかりませんから、とりあえず、この緑の防潮堤が早くできてほしいなと私も思いますし、大体の方はそうだと思うんです。

 そうなると、クロマツというのは成長スピードが速いというふうに聞いていますので、そういう意味で、専門家からも、クロマツというのは、やはり海岸防災林で使ってきた意味はそれなりにあって、そういうスピードもその一つの要素なんだよと。広葉樹の場合は、今回使われているものは、タブノキとかシラカシとかいろいろあったみたいなんですけれども、基本的にクロマツほど成長は速くない。効果を発揮するぐらいまで育つには、それこそ百年単位だというような意見もあるぐらいなので、こういったところも考慮して、今後どうするんだというのを、やりながらというのももちろん必要なんでしょうけれども、最初に方針を決めないと、さっき言った十五億円なり、もっとほかの地域にまで広げていこうというんだったら、さらにその掛ける二、掛ける三というお金がかかっていくはずなんです。

 だからこそ、早く、例えば専門家、有識者会議みたいなのを設置して検討した上で実行する方がいいんじゃないかなというふうに思うんですけれども、樹種の選定を含め、今後、国交省さんと林野庁さんでどのように連携してこれを進めていくのかというのをそれぞれお伺いしたいと思います。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 樹種の選定ということでございますけれども、国土交通省といたしましては、樹林の根が盛り土の中にしっかり張って、盛り土と一体となって、津波に対して粘り強く強固な堤防になるということが大事だということでございまして、特定の樹種に私どもとして決めているわけではございません。樹種につきましては、土地土地の気候等の地域特性、あるいは地域の意向も踏まえる必要もございますし、専門家の意見を聞きながら、良好に育成する樹種というのを地域ごとに選定していくことが重要だと考えております。

 その際に、国土交通省といたしましては、林野庁さんの方で現在実施しておられる、岩沼市における常緑広葉樹や松等の植栽樹種あるいは方法に関する実証実験の結果を共有するというようなことですとか、林野庁とも緊密に連携しながら樹種の選定などを行っていきたいというふうに考えております。

沼田政府参考人 私ども、今論議になっております緑の防潮堤でございますけれども、その緑の防潮堤のすぐ内陸側に、いわゆる津波に対する多重防御の一環として海岸防災林を再生しているという現状でございます。

 私ども、検討会を開催させていただきまして、その検討会の提言によりますと、まず、地下水位から十分な高さの地盤を確保した上で、海岸の前線部にはクロマツを中心に、そして内陸側には、生態系保全など地域の多様なニーズも踏まえながら、広葉樹を含めて植栽をするということが適切という提言をいただいておりますので、私どもとしても、これを基本として海岸防災林の再生を進めているところであります。

 また、その再生のあり方について、現在、いろいろな学会の方でありますとか研究者の方々からさまざまな御提言もいただいているところでございます。私どもとしても、より効果的かつ効率的に森林の機能を発揮し得る海岸防災林の再生に資するために、ことしの五月でございますけれども、専門家の指導のもとに、クロマツ、常緑広葉樹、落葉広葉樹など、さまざまな樹種の生育状況とコスト面を検証する実証試験、これを岩沼市において開始したところでございます。

 そういった新たに得られる知見についても再生の取り組みに反映していきたいと思っておりますし、そういったことについては、国土交通省にも随時情報を提供させていただきたいというふうに考えているところでございます。

林(宙)委員 クロマツというのは、要は、先人たちが試行錯誤の末に、これが海岸防災林としてはふさわしいだろうというような結果、できてきたような歴史もあるんだと事前に聞いていましたので、その実績を重視することも大事だと思うし、一方で、広葉樹林なんかも含めていって、いろいろな多様性のある森林を形成するのも非常に大事だと思いますので、ぜひそこは、今後、未来に向かってどういったものを残していくのがいいのかというところも含めて、しっかりと検証しながら進めていっていただきたいなというふうに思います。

 最後に大臣にお伺いしようかなと思ったんですけれども、時間が過ぎてしまいましたので、済みません、ここで終わらせていただきたいなというふうに思います。どうもありがとうございました。

坂本委員長 次に、畑浩治君。

畑委員 生活の党の畑浩治でございます。

 まず、まきストーブの振興について議論させていただきたいと思います。

 林業振興とかバイオマス、あるいは森林の有効活用のためには、当然のことながら、まきストーブの振興を図ったらいいなと思っております。

 木材利用ポイントは、実は北米や北欧のまきストーブは、しっかりして、頑丈でインテリアにもいいし、そういうものに対してはついているんだけれども、実態として、日本のまきストーブにはほとんどついていないんだという話を聞いたことがあります。

 これは、まさに国産のまきストーブに対して木材利用ポイントをどんとつけて使えるようにして、まきストーブの活用を推進することは有意義だと思うんですが、その辺のところはいかがでしょうか。

小里大臣政務官 御指摘のとおり、まきストーブで見れば、国産が二割前後に対して外国産が八割前後、実際ポイントが使われているという実態であります。一方で、木質ペレットストーブ、これは逆でありまして、国産が八割、外国産が二割前後、おおよそそんな数字になっております。合計すると、国産の方が三割、外国産の方が七割、大体そんな数字と認識をしております。これは、欧米の方が、特にまきストーブがはるかに普及をしておりまして、製造数も圧倒的に多い、そういった事情が背景にあると思います。

 そういった中で、まきストーブ、木質ペレットストーブともに、木材利用ポイントを付与することで、しっかりとこの活用を図って、地域産材を燃料として使っていく、そのことを目的としているのがこの制度であります。

 今後とも、この制度をしっかり活用して、まきストーブ、木質ペレットストーブともにしっかりと普及を図ってまいりたい、そのように思います。

畑委員 当然、今のお答えにあったように、内外無差別で、一定の登録要件に当たれば木材利用ポイントがつくということだと思います。結果としてついているのが少ないというのは、恐らく日本の場合、需要なり、生産、業界、あるいはそういうところも含めて、まだまだというところがあるのだろうと思うんです。

 なぜ日本はまきストーブがなかなか振興されないかということは、私が思うに、まさに登録基準を満たすものが少ない、あるいは生産者が少ないということから裏腹にうかがえるように、そこがいろいろな基準も含めてなかなかできていない、外国のようになっていないということが原因にあるのだろうと思います。

 よく、まきストーブを振興しようとすると、煙突火災等もあるし危険じゃないかとか、インテリアもいまいちだとか、そういうものは需要があるのかなと言われます。いろいろ聞くと、実はまきストーブそのものについての所管官庁はないようでありまして、木材の振興なら農水省なんですが、まきのストーブ、ストーブそのものになると産業政策で経産省、あるいは自然エネルギーということで環境省ということになって、要は、ぴたっとくるところがないのが今回のレクでいろいろわかったわけです。

 なぜそうなっているかというと、基準がなかなかぴたっとないということを申し上げました。つまり、まきストーブというのは、機器の構造基準も曖昧だし、あるいは設置基準も曖昧ですし、燃料基準も曖昧だし、環境適合性、CO2等の基準もまきストーブに関しては曖昧というか、ないような感じのようです。

 でありますから、私の問題意識は、まきストーブをしっかり振興するのであれば、本来ストーブなり暖房器具にあってしかるべきのこういうもろもろの基準を、所管官庁を明確に決めて、振興を推進すべきだと思います。もちろん、そういう議論をしていると、需要がないからなかなか進まないんですという議論もありますけれども、これは鶏と卵の関係ですから、こういう推進をやるとともに需要を高めるということを裏腹に、一緒にやらなければいけないと思っております。

 そういうことから、これらを適切につくって、その振興策を考えるべきだという問題意識を持っておりますが、その点を、きょうは経産省と環境省に来ていただいていますので、それぞれお答えいただきたいと思います。

関政府参考人 まきストーブの活用は、化石燃料の使用に伴います二酸化炭素の排出を抑制できるということから、地球温暖化防止の上でも有効であると私どもは考えてございます。

 その一方で、まきストーブ等のいわゆる木質バイオマスストーブは、不適切な利用をいたしますと、大気や健康に影響を及ぼしたり、あるいは、煙やにおいで近隣住民とのトラブルが起こる場合がある、こういうふうな課題もございます。

 このため、環境省では、平成二十四年に木質バイオマスストーブ環境ガイドライン、任意のものでございますけれども、これを策定させていただきまして、この中で、燃料、機器、設置、使い方等につきまして適切な方法をユーザーの方にお示ししているところでございます。

 環境省といたしましては、今後とも、木質バイオマスエネルギーの活用等に関する取り組みを進めていきたい、このように考えております。

石川政府参考人 お答えさせていただきます。

 先ほどのまきストーブの普及拡大につきましては、既に御指摘がありますように、煙や臭気や安全性などの面の基準の問題があるものと承知をしております。

 このような中で、環境省におかれましては、先ほど御答弁にありましたように、国内における排ガス制御、機器や燃料の規格、設置の基準等の整備が必要という観点から、木質バイオマスストーブ普及のための環境ガイドラインというものを策定されたというふうに承知をしております。

 メーカーなどの業界といたしましては、一般社団法人で日本暖炉ストーブ協会というものがございますけれども、こちらの業界団体におきましても、こうしたガイドラインを踏まえまして、燃焼効率など省エネ性能などの観点も含めて、業界団体としての自主基準の策定の動きも含めてあるようでございまして、経済産業省といたしましても、こうした動きに適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

畑委員 まさに、煙あるいは臭気、安全性、不適切な利用に対する関係ということで、ガイドラインというのが今できている話を伺いましたが、あくまでガイドラインでありまして、普通の暖房器具、ストーブであればあってしかるべきものが、まだガイドラインの段階にとどまっている、そこが、実は私は問題意識を持っていまして、今の答えは積極的に進めていただきたいと思うんですが、若干、まだ業界のそういうガイドラインとか自主的な取り組みは、模様眺めという感じが否めないなと今の答弁で思いました。

 これは、木材の利用ということから、農水省にも期待いたします。ぜひとも積極的に関係省庁等に取り組んでいただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。

 次の質問へ行きます。

 輸出戦略なんですが、実は、最近東南アジアのある国に行ってきた人からおもしろい話を聞きました。それは、日本人じゃなくて、現地人がやっているすし屋が大変おいしかった、日本で食べるすしと遜色ない、大変うまいと言っておりました。これは、もちろん、すしを握る技術も結局日本人が伝えているのでしょうから、結構その辺のところがうまく現地人で握るようになっている。そして、そのもっともとは、米が、シャリが、日本米が、実はちゃんとおいしい日本米だったと。

 それを調べると、日本から輸出されているわけじゃないらしいんです。現地生産のようです。要は、日本米を当然現地の人がつくって、そういう動きが広まってくると脅威なんですけれども、そういうのをつくって、現地のなれた職人が始めようと、すしを握って食べると、日本のすしと遜色のないすしがおいしく食べられた。

 これを聞いて、日本の文化を広める上では、メード・バイ・ジャパンという意味ではいいことなんですけれども、ただ反面、日本の輸出戦略にとっては脅威だなと思いました。

 つまり、日本の米単体で売ろうとすると、どんなに規模拡大、構造改革をやったって、途上国よりはどうしても高いわけです。一方、日本と同じ品種で、現地で安くつくれるようになってくると、日本のすしはうまいな、では、現地でつくろうということで広まっていくと、こういうふうになってしまう。だから、前にもちょっと議論しましたが、単品で、品質を高めて、規模拡大で戦おうというのはかなり苦しいなと、今のエピソードを聞いて思ったわけです。

 どうするかというと、やはり輸出戦略の重点の置き方を加工品にシフトしなきゃいかぬかなと。つまり、原材料、加工品と並行してやっていくことを考えるというよりも、原材料というのはなかなか現地生産に太刀打ちできなくなってくるとすれば、加工品、ブランド品、付加価値をつけたものに輸出戦略を日本も特化していくことが必要なのだろうと思います。

 以前、農水委員会で議論しましたが、ヨーロッパは確かにそうで、私たちはブランド化されたチーズだったら輸入して食べますが、ワインなんというのは、まさにブドウをそのまま輸入するんじゃなくて、ブドウなんというのはいろいろあるんでしょうが、あのボルドーワインとか、ここのワインだということで、高いお金を出して非常に喜んで買う。そういうことも含めて、重点を思い切りシフトしていくべきかなと、今のエピソードで私個人は思った次第です。

 このことを踏まえてお聞きしたいんですが、日本酒に限りませんが、日本酒等、あるいはそれ以外も含めて、例えば米であれば、加工品の輸出の促進のために全力を尽くしていくべきだと思うんですが、そこの戦略ということをお伺いしたいと思います。

林国務大臣 世界の食市場は、今後十年間でアジアを中心に三百四十兆から六百八十兆へ倍増する、こういうふうに見込まれております。まさにこの需要をどう取り込むかということが非常に大事だということで、昨年の八月に、農林水産物・食品の国別・品目別輸出戦略を策定して、輸出の拡大を図ることにしております。

 まさに今委員がおっしゃったように、米ですが、価格は高いけれどもうまい、こういう評価はありますが、輸出先の外国のマーケットで許容できる価格差というのは限界があるということでございまして、やはり精米だけでなくて、現状を見ても、精米の輸出はたしか七億ぐらい、それに比べて、米菓、米のお菓子や日本酒というのは一桁違う額でございます。したがって、これを含めて、米加工品の輸出に力を入れる、こういう戦略にしてありまして、トータルで百三十億円の米、米加工品の輸出額を、二〇二〇年に六百億と大きな目標を立てております。

 米の生産についてですが、輸出用の目的で生産される米については生産数量目標の枠外にしておりますので、生産者にとってはそういう取り組みはできるということがまずありますのと、それから日本酒についてですが、平成二十六年産米から、日本酒の生産増に伴う酒米については生産数量目標の枠外ということにいたしまして、需要のあるところにはどんどんつくっていただく、こういうことで輸出拡大の後押しをしておるところでございます。

 日本産米の輸出拡大に向けましては、今FBIとおっしゃっていただきましたけれども、メード・バイ・ジャパンの取り組みを通じて、先ほどの例でいくと、おすしが全くないところよりは、おすしが広まっていく、その中でどれぐらい日本からのメード・イン・ジャパンを出していけるか。そもそも、それが全くないところには可能性がないわけでございますので、やはりメード・バイ・ジャパンの取り組みというのは大事だ、こういうふうに思っておりますが、先ほどのお話にあったように、メード・イン・ジャパンとして、やはり日本酒、それから包装米飯というものもございます。いろいろな取り組みも出てきておるようなところでございますので、先ほど申し上げました米菓とあわせて、加工品の輸出拡大を促進していきたい、こういうふうに思っております。

畑委員 ぜひともお願いしたいと思います。

 メード・バイ・ジャパンで切り込んで、そこで日本のもののよさを知ってもらうというのはいいんですが、よさを知ってもらえばもらうほど、これは和牛でもそういうことがありましたけれども、現地でぱくってしまうとは言いませんが、つくられてしまうという、そこの部分の対策というのはもちろんあるんですけれども、ただ、単純なものではなくて、ぱくられないように、やはり加工価値、付加価値が強いものをどうやって後押しできるかというところがポイントになってくると思うので、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。

 次に、農協改革の関係でお伺いしたいと思います。

 農家の経営力を高めて所得を引き上げるためには、これは再三議論がありましたように、単協が自由に適切な販売先を選定できるとか、全農、経済連を通じて取引するかどうかは単協の選択に委ねるとか、各単協の自由な経営を制約しないということが言われておりまして、それはそうだと思います。

 私は、この農政改革、農協改革で議論されていることで思うのは、全中とか全農とか、組織をぶっ潰すとか廃止とか、大きな話をされ過ぎているなと。そんなのじゃなくて、どうやって単協が自由に売れるようにするかという既存の販売制度の部分の議論は多分これからなんだろうと思います。

 その関係で地元で言われたのが、一つの例ですが、加工原料乳生産者補給金制度という牛乳の場合の補給金ですね。あれは、補給金をもらって売る場合には、もらう主体としては、売る先は指定牛乳生産者団体にしか卸せないんだということを聞きました。

 もちろん、農協というのは、有利販売をしっかりとやるということのために、そこを通じて卸すということは価格形成にもいいんですけれども、選択の余地があってもいいのだろうと思います。そこは単協なりが、近くで有利なところがあればそっちを選んでもいいし、その場合には、結局補給金をもらえないということに現行制度はなるわけですが、補給金をもらっていても選択できるようなシステムを含めて、そこは変えていくべきかなと私は思っております。

 なぜ今そういう制度になっているのか、ちらっと私が今申し上げた部分なのだろうと思いますが、その縛りを緩和して、なくしていくことも必要じゃないかということに対するお答えをいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 畑先生の御質問にお答えします。

 加工原料乳でございますが、いわゆる牛乳、生乳でございますが、御案内のように、これは、毎日必ず一定量が搾乳といいますか生産をされる一方で、非常に腐敗しやすく貯蔵性がない液体でございまして、一日搾るのをやめますと乳房炎にかかるというようなものでございまして、短時間のうちに殺菌処理施設を有する乳業メーカーに引き取ってもらう、こういう必要がございまして、こうした観点から、どうしても酪農家は取引立場上は不利になる、こういったような特性があるところでございます。

 また、牛乳の実態でございますが、牛乳につきましては、一般の飲用向け生乳と脱脂粉乳やバター向けの加工原料乳につきましては、取引価格が非常に違っておりまして、飲用でいきますとキログラム当たり百十五円、加工原料乳ですと七十円ぐらいになっておりまして、非常に価格差がございまして、とりわけ加工原料乳につきましては生産コストを下回っておる、このような状況に相なっているところでございます。

 この補給金制度ができる以前におきましては、実態としては、飲用向けと加工向けの区別もせず、同一の乳価で取引されておりまして、こうしたことから、計算内容が不透明だということで、酪農家側の方から非常に不満が絶えませんで、酪農家と乳業メーカーとの間での乳価交渉をめぐりましてかなり紛争が続発した、こうしたような歴史的経緯がございます。

 こうしたことを踏まえまして、加工原料乳生産者補給金制度におきましては、今申し上げました生乳取引の不利性を補完しまして、酪農経営の安定を図るために、まず地域ごとに指定生乳生産者団体といったものを組織してもらいまして、そこに生乳を集めまして、酪農家側の乳業メーカーとの乳価交渉力を強化していくということ、それと、集送乳コストの縮減や生乳廃棄を招かない適切な販売を行うこと、また、先ほど申し上げましたように、飲用向け、加工向け等の用途別取引といったものを推進するということによりまして透明性のある価格形成、こういったことを的確に行うことのできる生乳流通体制の構築を政策的に誘導するといったようなことで設けられたものでございます。これによりまして、取引価格の低い加工原料乳を対象に補給金を交付しているところでございます。

 今先生の方からお尋ねがございましたように、仮にこうした縛りをなくした場合、先ほどの指定生乳生産者団体に販売を委託しない場合でも加工原料乳の対象になるといったようなことをした場合には、酪農家の乳価交渉力が低下することによりまして乳価が低落するおそれ、あるいは、ここまで築き上げてきました集送乳ラインといったものがまた錯綜するといったようなことによりましてコストアップの要因になるのではないか、また、現在行われております用途別取引といったものが形骸化いたしまして、透明性のある用途別の価格形成といったものに支障を来すといったようなさまざまな問題があるというふうに考えておりまして、慎重に検討していかにゃいかぬかというふうに考えているところでございます。

畑委員 時間が参りましたので終わりますが、恐らくいろいろな事情があると思いますね。それを選択させるのになじまないものと、あるいは農水省の補給金、補助金の分野はたくさんあると思いますので、物によってはそうでない分野もあるということだと思います。

 今の生乳でというか、何でもそうですが、単協なり農家、実際につくっているところが選んでやれるとすれば、自分たちがそれを選ぶんだということであれば、そこは何も全部ぶっ潰せというんじゃなくて、農家が選べるようにするという仕組みも柔軟に考えていいんじゃないかなということを申し上げています。

 例えば、規制改革会議でも、単協が全農、経済連を通じて取引するかどうかは単協の選択に委ねるとか、何か自民党さんのPTでも、単協が全農、経済連を通して販売するかどうかは単位農協の選択に委ねることもあっていいんじゃないかということも言っておりましたので、大きな枠組みは今のでいいと思うんです。ただ、そういう細かいところというのはかなりマイナーチェンジの余地がある部分が大きいんじゃないかなと思って、農水省においても、そういう補助金、補給金の分野を洗い出していただいて、農家の所得向上に資するような検討も賜りたいなということをお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

坂本委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 日本維新の会の重徳和彦です。

 農林水産委員会では初めて質問をさせていただきます。関係各位の御理解、まことに感謝を申し上げます。

 さて、去る六月十二日木曜日午前九時、国際自然保護連合、IUCNのレッドリストが公表されまして、ニホンウナギが絶滅危惧1B類として掲載されました。これは、近い将来における野生での絶滅の危険が高い種ということでございます。

 私の地元愛知県西尾市は、一色ウナギで有名な地域でありまして、これは地域の重要な産品、ブランド品でございます。私自身も、地元議員としてはもちろんですが、多くの皆様方と同じく、ウナギを大好物とする一消費者の立場からも、この問題をきょうは取り上げさせていただきたいと思います。

 まず初めに、ちょっとおさらいをいたしますと、この件につきまして、水産庁からは以下のとおりの説明がございました。IUCNレッドリストへの掲載は規制を伴うものではなく、ウナギ漁業及び養殖業に直接的に影響するものではないが、国際的にニホンウナギの資源保護を求める声が高まるものと考えている。また、レッドリスト掲載が直接的にワシントン条約附属書掲載に結びつくものではないが、検討の参考情報になると考えている。また、次回のワシントン条約の締約国会議は再来年、平成二十八年に開催します。早ければ来年、平成二十七年八月にも附属書掲載の提案がなされる可能性があるという指摘でございます。

 ちなみに、附属書1は、商業的な輸出入は全面的に禁止、附属書2は、商業的な輸出入に輸出国の許可が必要ということでございますが、これも、種の存続を脅かさないことを輸出国の科学当局が証明した場合のみ許可ということでありますので、既に附属書2に掲載されているヨーロッパウナギにつきましては、EUは輸出許可書を発給していないので、実質的に輸出禁止という状況でございます。

 こういう状況に至る前から、ここ数年、シラスウナギが国際的に採捕量が大幅に減っておりますので、ここ二年間、シラスウナギの池入れ量、私の地元では入れ貫という言い方をするんですが、この入れ貫が十六トン、十三トンと、それまでは二十トン台だったんですが、大幅に落ち込んでおります。それに伴いまして、仕入れ値も、一キロ当たり二百万円を超えるという状況でございました。ことしは少し落ちついてきたという状況でありますが、そこへ持ってきて、今回のレッドリストへの掲載という話でございます。

 我が国は、国内養殖用のシラスウナギの六割は輸入でありますし、活鰻、かば焼き製品も五割以上輸入ということでありますので、ことしは土用うしの日は七月二十九日ということでございますが、近い将来、日本のウナギ業界、そして、うな丼、うな重、ひつまぶし、こういったものを愛する日本人の和食文化というのが壊滅的な打撃を受けることまで心配される状況になっております。

 そこで、幾つかの観点から、この後質問をさせていただきたいと思います。

 まず一つ目は、漁業管理による乱獲防止と言われる点でございます。

 これは、よく指摘はされるんですが、本当に乱獲が主たる原因なのかどうかすら実は不明ということもあります。ただ、いずれにしても、こういう状況になった以上は、適切な管理をしていることをはっきりさせていかなければならないと思います。

 そこで、前提として、その数値を管理しなきゃいけない。シラスウナギ採捕の尾数、トン数とか、仕入れ先、池入れ量など、こういった実態や数値の把握、管理、これを確実にした上で一定の枠を設けるということによって、過去にクロマグロの例もありましたけれども、ワシントン条約の附属書掲載というものを回避できるのではないかと考えますけれども、農水省の御見解はいかがでございましょうか。

 ちょっと幾つかまとめてお伺いしたいんですが、その際、やはり日本のように、実際に食生活、食文化、食産業にウナギが欠かせないという状況であることは国際的に訴えていくべきことではないかと思います。ワシントン条約にどれほど有効かどうかはわかりませんけれども、そういった切実さも訴えていくべきだと思いますが、締約国の中にはウナギを実際に食する国というのが何カ国あるのか。さらには、今後、レッドリストそのものから外れる可能性というものはあるのかどうか。このあたりもあわせて御答弁いただけると幸いでございます。

林国務大臣 まずは、委員もウナギが好物ということでございましたが、そのお話を聞いていて、随分前ですが、知事選の応援に駆けつけたときに、その後、地元でウナギをごちそうになったななんということを今思い出しておりました。

 まさに今委員がおっしゃっていただいたように、ウナギを食する文化を有している国、これは正確にはなかなかわからないんですが、イギリス、フランス、インドネシア等々では、広く伝統的にウナギが食されてきているということでございます。また、スペインでは、例のシラスウナギをニンニクオリーブオイルいためにしたもの、これは大変おいしいんですが、こういう食べ方をしているところもある、こういうことでございます。

 ニホンウナギの持続的利用を確保していくためには、資源管理の一層の推進が必要でありまして、国際的な資源管理対策として、東アジア地域による資源管理の枠組みの構築、これを我々が主導して取り組んでいかなければなりません。それから、国内においては、まさに、シラスウナギの採捕、親ウナギの漁業、ウナギ養殖業、これが三位一体となって資源管理を進めなければならない、こういうふうに思っておりまして、その一環として、シラスウナギの採捕量や池入れ量の把握の取り組みを強化しているところであります。

 今後ですが、先般、衆議院で御可決をいただきました内水面振興法案、今、参議院の方に来ておりますので、これが成立をしますと、この規定を活用してウナギ養殖業の実態把握を行う、それから、ウナギ養殖生産量を制限する方向で国際的な協議が合意に達した場合には、内水面振興法案の許可制度を活用して資源管理を推進していく考えでございます。

 こうした資源管理の取り組みについて、まさに冒頭申し上げましたように、ウナギを食する関係国、こういう人たちと協力をしながら、ワシントン条約に関係する国々の理解を得る努力をしてまいりたい、こういうふうに思っております。

 IUCNの仕組み上、ダウンリスティングは、レッドリスト掲載種の資源状態が実際に回復すれば可能、こういうことでありまして、これまでも、レッドリスト掲載種が絶滅危惧種から外れた例も実際にある、こういうことであります。

 ニホンウナギについては、先ほど申し上げたように、資源管理を推進して、関係国の理解を得る努力、これをしっかりしていくことが大事だと考えております。

重徳委員 お聞きするところによりますと、これまで、日本、中国、台湾、さらに、最近では韓国、フィリピンも参加する形で非公式協議といったものが続いているということでありますし、今後、今大臣が言われたような、さまざまな実態の把握、そして一定の制限というものに取り組んでいかれるということでもございますので、ぜひともこれはしっかりと、日本が特に消費量が多い国でありますので、リーダーシップを持って進めていっていただきたいと思います。

 次に、海とか河川の環境改善の点でございます。

 例えば、愛知県でいうと、川に上っていくシラスウナギを保護するために、その採捕する許可期間というものを、従来、十二月から四月までという期間だったんですが、これを少しずつ短縮し、少しでもシラスウナギを保護しようという思いでやっているところなんです。

 ただ、当のシラスウナギが育っていく環境がなければ意味がありませんので、そういう意味で、乱獲ももちろん問題だと思うんですが、ウナギがすめる環境を守って回復するということも非常に重要なことではないかと思います。

 現に、昔はこの辺の川でもウナギが釣れたんだなんということを聞いても、今はさっぱり、そんな情景は見たことがないというような地域もたくさんあります。ですから、コンクリート河岸とか河口堰というものは、人間社会にとっては防災対策上必要なことなんですが、ウナギとかその餌になる生物の生息場所が失われている、これはもう間違いない話でございます。

 問題は、やはり縦割り行政なものですから、ウナギの問題というのは主に水産庁、農水省が担当だと思うんですが、河川管理とか改修とか、そういうものは国土交通省なものですから、国交省がどれほどウナギのことを気にかけていただけているかというのは、極めて不安でなりません。もっともっとウナギのことも考えて、川の保全というものをしていただきたいと思います。

 ですから、既に恐らく取り組まれていると思いますが、堰が設けられているところでは魚道を整備するとか、いろいろな工夫をして、もっともっと取り組んでいただきたいと思うんですが、このあたり、国交省としてはいかがお考えでしょうか。

土井大臣政務官 国土交通省といたしましては、河川が本来有している生物の生息、生育、繁殖環境等を重視いたしまして、その保全、創出をする多自然川づくりを全ての川づくりの基本といたしているところでございます。

 具体的には、魚類の生息、生育の場となる空隙を確保するための石積みによる護岸の整備や、連続性を確保するための堰への魚道設置など、個別の箇所ごとの状況に応じた中で取り組みを行っております。

 今後とも、ウナギを含めまして、多様な動植物の生息、生育、繁殖環境に配慮した多自然川づくりを進めることにより、良好な河川環境の保全、創出に努めてまいります。

重徳委員 これは、公共事業の受けをよくするアリバイづくりみたいなことでは本当に困りますので、実効性がなきゃいけないと思います。

 実際にウナギがどのぐらいすみやすい環境になっているのかということも、少し事務方でデータはないのかとお聞きしたところ、ろくなデータもないということで、そういったこともきちんとデータをとりながら、多自然川づくりの効果というものもはかっていっていただきたいと思います。全ての川づくりの基本だと今政務官がおっしゃっていただきましたので、本当にそういった点を大事にしていただきたいと思います。そういう意味で、省庁挙げて取り組むべき課題であろうと思っております。

 次に、同じくウナギの保全という意味では、今度は、下りウナギと言われるんですが、産卵に川から海に出ていって、マリアナ海溝の辺まで行くんだというふうに言われておりますけれども、この下りウナギの漁獲についての質問をさせていただきます。

 愛知県では、下りウナギの漁獲というのは、できるだけ自粛するようにという呼びかけを行っております。漁獲、とった場合にも、再放流をするようにというようなことを、自粛を促すというようなことをしておるわけなんですけれども、聞くところによりますと、県によっては、自粛なんというものではなくて、もっと厳しい取り組みをしているところもあるというふうに伺っております。

 これも、下りウナギをとって生計を立てている方も現にお見えになると思いますので、何でもかんでも厳しくさえすればいいかというと、その辺もバランスは必要だと思うんです。愛知県は比較的緩い方だというふうに聞いておりますが、一体、他県でどのような取り組みをどうやって、今申し上げましたバランスをとりながら取り組んでおられるのか、御教示をお願いします。

本川政府参考人 産卵に向かう親ウナギ、下りウナギの採捕制限につきましては、御指摘の愛知県については、漁獲の自粛、再放流について自主的に取り組んでいただいておるということでございますが、例えば、宮崎県、鹿児島県、熊本県及び高知県、こういったところでは、漁業法に基づく海区漁業調整委員会の指示でありますとか内水面漁場管理委員会の指示で、期間を定めて採捕を禁止しているといったような状況にあります。

 例えば、宮崎県では、十月から十二月までの河川の内水面における全長二十五センチを超えるウナギの採捕を禁止する。それから、高知県では、高知県内の十月から翌年三月までの河川の内水面における全長二十一センチを超えるウナギの採捕を禁止する。それぞれの県の事情に応じて時期も違ってまいりますので、このような採捕制限を法律に基づいて行っておるといったようなところもございます。

 その合意形成に当たりましては、ここのところ、私ども水産庁の職員も各県に赴いていろいろ説明をさせていただいたりしておりますし、海区漁業調整委員会とか内水面漁場管理委員会の決定に先立って、県職員が、関係する漁業協同組合とか漁業者を回って個別に説明して、制限措置によって影響を受ける漁業者を含む関係者の理解を得て、このような決定をしておるといったような背景がございます。

重徳委員 ありがとうございます。

 これからいろいろな取り組みが必要になってくると思いますが、関係者の合意形成にぜひとも国の力もおかりしたいと思います。

 それから、また別の観点なんですが、ウナギの放流ということも、これは地元の一色うなぎ漁協なんかでは、放流を一生懸命やっています。特に、毎年十月には、ウナギ供養とウナギ放流祭という、地元を挙げたお祭りのようにやったりして、地元の総意として取り組んでいるところなんです。

 ウナギの生態は、本当に謎めいております。養殖ウナギというのは、雄か雌かというと、ほとんど全部雄なんじゃないか、こういう話もありますし、放流した後、育っているうちに雌に性転換することもよくあるんだとか、この辺は生態がつかめておりませんので、明らかなデータがあるわけではないんですが、そういったいろいろな可能性、もちろん実体験に基づいた論拠に基づいて放流ということに取り組んでいるわけでございます。

 愛知県には油ケ淵という、ちょうど河口に近いところの湖沼、湖がありまして、そこなんかはちょうど海水と真水がまざった汽水域になっているので、そういうところに放流をしてみたら、ウナギ自身が選んで一番適切なところで生育をして、その後、産卵へと向かうんじゃないかとか、いろいろな取り組みがなされていますが、どうも決定的な科学的根拠というか、やっていることが本当に正しいのかどうか、このあたりも、やっている皆さんも、どうなのかな、でも、多分正しいんだというようなぐあいで取り組んでいる面もあります。

 このあたりは、水産庁としてはどのように、このウナギの放流ということについて、意義について捉えられていらっしゃいますでしょうか。

小里大臣政務官 親ウナギの放流というものは、養殖場でシラスウナギを一定の大きさまで成長させたものを放流するわけでありますが、ウナギ養殖業者による放流、ウナギ漁業者による放流が行われているところであります。愛知県でも、ウナギ養殖業者において、鰻供給安定化事業を活用した取り組みをいただいていると承知をしております。

 親ウナギになるまで養殖場で成長させますと、天然のウナギに比べて生存率が高くなるというデータがあるところでございまして、そういった意味から、親ウナギの放流は資源の増大に寄与するものと認識をしております。

 ただ一方で、委員からも御指摘がございましたが、天然ウナギは雌の方が多いんですけれども、養殖ウナギはどういうことか圧倒的に雄が多いということでありますから、放流効果を高めるためには、雌の比率を高めるための養殖技術の開発が必要でありまして、そのための研究開発を進めているところであります。

重徳委員 ありがとうございます。

 本当に不思議なもので、技術的に雌をふやすという取り組みが今行われているという政務官の御答弁がございました。

 いわゆる人工種苗の生産技術ということについて、関連して、今お手元にも資料をお配りしておりますけれども、つい昨年末になると思いますが、独立行政法人水産総合研究センターというところで、「大型水槽によるニホンウナギ仔魚の飼育が可能になりました!」というプレスリリースがあります。新しく開発した大型水槽で、人工的に生産したニホンウナギふ化仔魚から二百日齢の仔魚、レプトセファルス幼生というんですね、これを九百尾育てて、シラスウナギに変態するところまで育てることに成功した、これによりまして、ウナギ人工種苗の大量生産、完全養殖ウナギの安定生産への道が見えてきましたということでございます。

 聞いたところによると、農林水産委員会としても、来月八日に三重県のこのセンターへ視察に伺われるというふうにお聞きしておりますけれども、この人工種苗の生産技術、ぜひとも推進をしていただきたいと思います。

 そして、ウナギはかなり技術レベルとしても高度なところだと思うんですが、ウナギならずとも、例えば、浜名湖のアサリも人工的な取り組みをすることでふやしていこう、これも、浜名漁協さんが同じ独立行政法人水産総合研究センターと提携する形で人工種苗生産に取り組んでおられます。それから三重県でも、桑名市のハマグリも物すごく激減しまして、これへの取り組みも、赤須賀漁協が三重県水産研究所との協力のもと、種苗生産技術の実用に取り組んでいる。あとは、これも視察に行かれるようですが、三重県鳥羽市の浦村アサリ研究会というのがあります。

 結局、本当に危機意識を持った、そして熱心な地元の漁協と、最先端の研究開発を行っている研究所、ここがしっかりと一致協力して、高度な研究成果というものを実用に結びつけていただきたいと思うんです。

 最後に大臣から、今後のウナギの完全養殖技術の見通し、そして、これを熱望している地元漁協とぜひ一致協力して、地元ブランドを守り育てながら進めていただきたいと思うんですが、このあたりの御見解をよろしくお願いいたします。

林国務大臣 今御紹介いただきましたように、シラスウナギの人工生産については、平成二十二年に水産総合研究センターが実験室レベルでの完全養殖には成功しておりました。今お話しいただいたように、平成二十五年に、新たに開発した大型水槽でシラスウナギの生産に成功したということでございます。

 今後ですが、大量生産をやはり実現していかなければなりません。したがって、給餌システムを改良していく、それから飼育水の効率的な交換をする、こういうことをやっていく必要がありまして、本年度から、民間企業、それから大学、水産総合研究センター、水産庁の産学官の連携によりまして、幅広い知見の技術を結集した実証実験に取り組んでおるところでございます。

 将来にわたってウナギを安定的に供給するためには、シラスウナギを人工的に大量生産することが最も重要であるということで、この早期実現に向けて努力をしてまいりたいと思っておりますし、その際、この開発された技術が外国に不正に流出しないように適切に対処しながら、官民の連携を図っていきたい、こういうふうに思っております。

重徳委員 地元との協力についても、一言触れていただければと思うんです。

林国務大臣 いろいろなところで一緒にやっていただいている方がたくさんいらっしゃると思いますので、地元の皆さんともしっかり連携しながら取り組んでいきたい、こういうふうに思っております。

重徳委員 ありがとうございます。

 大臣にも御縁あって名古屋で食していただいたウナギでございますので、またこれからも全国民が、うな丼、うな重、ひつまぶしを召し上がっていただけるように、農水省、国を挙げて取り組んでいただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

坂本委員長 次に、岩永裕貴君。

岩永委員 日本維新の会の岩永裕貴でございます。

 恐らく、本国会最後の質問になろうかと思います。十分間の限られた時間ではございますが、この国会で私が特に力を入れて質問をさせていただいてまいりました三点について、改めて、確認の意味も含めて質問をさせていただきたいと思います。

 先ほど、後藤田副大臣がこちらの委員会にもいらっしゃいまして、農業はこれからチャレンジをしていくこと、そして、いろいろなチャンスを生かしていくことこそが農政の発展には欠かせないというようなこともおっしゃっておりました。おっしゃるとおりだと思います。

 そうした中で、私は、この国会では二回、三回ほど質問をさせていただきました、農業高校、そして農業系の大学生ですね。もう御案内のとおりではございますけれども、農業高校、そして農業系の大学から、毎年五万人の卒業生がいるにもかかわらず、就農をしているのはわずかに三%程度であるというような内容について、文部科学省と農林水産省がしっかりと手と手をとり合って、課題の解決、そして、新しい、若い担い手の育成に取り組んでいただきたいというお願いをさせていただいてまいりました。

 先日は、櫻田副大臣もこちらの委員会にお越しをいただきまして、かなり前向きで積極的な御答弁をいただいたところではございますけれども、次年度の国会、そしてまた次年度に向かって、農林水産省として、具体的に文部科学省と連携をして新しいメニューづくりというか、コミットをしていただくという期待を込めて、再度、大臣から、そこの部分に対する御決意をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

林国務大臣 持続可能な力強い農業を実現するために、青年の新規就農の促進が非常に大事であると考えておりまして、やはり農業高校は、若者が基礎的な農業技術を習得して、農業を職業として意識づけるための重要な教育機関としての役割を担っていただいていると思っております。

 したがって、これまで、各県の農業高校と農業大学校の連携を進めるように、道府県に対して働きかけをいたしまして、農業大学校における農業高校の教員を対象とした研修、大学に高校の先生に来てもらって研修をするということ、また、高校生みずからが農業インターンシップで体験をしてもらうこと、それから、全国農業高等学校長協会というのがあるんですが、そこにいろいろな農政の情報、攻めの農水はこういうふうにやっていますよということを提供して、情報を共有していただくこと。

 さらには、文科省の後援も得まして、農水省が主催して、農業高校生等が地域食材を使用して料理コンテストを行う「ご当地!絶品うまいもん甲子園」というのをやっていまして、ことしで三回目になりますが、こういう事業の推進も行っておるところでございます。

 さらに、平成二十四年度から、農業界と産業界の連携によって農業経営者を育成するためのセミナーがあるんですが、アグリフューチャージャパンというところが実施していただいておりますが、ここへの農業高校の教員の参加を推進しております。

 今後とも、所管の文科省と連携しながら、せっかく農業高校へ行っていただいているわけですから、就農促進につながるように、積極的にこの取り組みを進めていきたいと思っております。

岩永委員 前向きな御答弁、ありがとうございます。

 最近の食料・農業・農村政策審議会の議事録なんかを見ておりますと、この点につきましてもちょくちょくと指摘が出ているところでもございます。やはり、今現場で活躍をいただいている農家の皆さんに、プラス若い知恵とか勢いというものをしっかりと結びつけていくことこそが農政の発展には欠かせないと考えておりますので、ぜひ今後も、私も現場を見せていただきましたが、文部科学省だけではやはり限界があろうかと思いますので、農林水産省も若手育成についてしっかりと取り組んでいただきますことを改めてお願い申し上げます。

 そして、二点目でありますけれども、中山間地対策についてお伺いをいたします。

 中間管理機構、私の地元滋賀県でも、この四月一日から組織が立ち上がりました。八月からの具体的な実施に向けて、各地方自治体、そして農協等、話を進めながら今るる準備をしているところではございます。

 現場の感覚では、平野部は、市場原理というか、一定の集約化というものは、そこまで大きくコミットしなくても進んでいくんじゃないかという感触は持っているんだけれども、やはり中山間地が、中間管理機構に対する期待というところ、条件不利地域の方が圧倒的に大きいし、恐らく申請なんかもそういった地域からほとんど上がってくるだろう。ただ一方、ビジネスという観点から考えると、鳥獣被害なんかもあり、そうした部分をしっかりとビジネスとして成り立たせていこうという法人または認定農業者の皆さん方は非常に少ないというような問題が起こっているという状況でございます。

 この中間管理機構が果たす中山間地への耕作放棄地対策について、現状の御認識と今後の御対応について、簡単に御説明をいただきたいと思います。

奥原政府参考人 中山間地域の問題でございます。

 今御指摘がございましたように、平地に比べまして中山間地域での農地の流動化が難しいということは、我々も当然認識をしております。

 しかしながら、農家の高齢化ですとか耕作放棄地の拡大ということを踏まえますと、中山間地におきましても、農地を農地として有効に利用していくことの必要性は何ら変わらないというふうに考えておりまして、農地の中間的な受け皿として、農地中間管理機構をうまく活用していく必要があるというふうに考えております。

 中山間地域の場合には、担い手の方、あるいは借り受けを希望する方が不足していることも多いというふうに思っておりまして、機構が中山間地域におきまして十分に機能するためには、地域が機構と連携して、借り受け希望者の発掘等に創意工夫を凝らしていくことが非常に重要であるというふうに考えております。

 例えば、ほかの地域の法人ですとか、リースで参入したいという企業の積極的な誘致に努めて、受け手の拡大に努めるということがございます。それから、中には、放牧地としてこういうところを活用するという話もございます。あるいは、都市住民の市民農園としての活用を検討する、新規就農者の研修の農場としての活用を検討する、いろいろなケースがあると思います。

 各県で農地中間管理機構が立ち上がってまいりましたので、これから各地で創意工夫のあるいろいろな取り組みがあると思いますから、それを我々の方でも精査いたしまして、いい事例につきましては、ほかの県でもいろいろ御紹介をして、展開をして、中山間地域でも機構が機能するように、うまく配慮していきたいというふうに考えております。

岩永委員 今局長がおっしゃったように、私は、各県の情報共有というのがすごく今後大切になってこようかと思います。いろいろな地域でいろいろな新しい知恵も生まれてくると思いますので、そういったところを積極的にやはり全国的に発信して共有していただきますように、改めてお願いを申し上げます。

 そして、最後は林業についてお伺いをいたします。

 我々の先輩が、戦後植林をずっと行ってきていただきました。そういったことへの感謝の意味をしっかりと具体的に表現していく唯一の方法は、やはり国産木材をいかに市場の中で使用していくのか。そうすることで、林業についてもしっかりと成長産業へと結びつけていくことこそが、我々に今与えられた非常に大きな責務であろうというふうに考えております。

 現場サイド、供給サイド、そして需要サイド、それぞれの対応が必要な中で、需要サイドについては、これは千載一遇のチャンスと申し上げてもいいと思うんですけれども、CLTが今、林野庁、そして国交省の強度テストが恐らく平成二十八年度には終了をし、いよいよ市場に打って出るという状況になってこようかと思いますが、そういった中での現場サイド、そして供給サイドが、その二十八年度に向けて、今どういう準備を進めていただいているのかということについて、御説明を最後にいただきたいと思います。

沼田政府参考人 お答え申し上げます。

 CLTでございますけれども、CLTは、コンクリートと比べて軽くて、そして基礎が軽減できる、あるいは工期が短縮できる、こういった利点を有しておりまして、農林水産業・地域の活力創造プランにおきましても、CLTの早期普及は林業の成長産業化に向けた重要施策というふうに位置づけられております。

 このため、私どもといたしましては、CLTの品質等の基準を定めましたJAS規格を昨年の十二月に制定いたしました。そして、国土交通省と連携を図りながら、建築関係の一般的な基準の策定に必要となる強度データを収集しております。そして、CLTを用いた建築物を実証する取り組みを支援する、こういったことに取り組んでいるところでございます。

 そして、ことしの三月でございますけれども、国土交通大臣の個別認定を受けました、我が国で初めてのCLT建築物が竣工いたしました。また、ことしの六月五日でございますけれども、CLTのJAS認定製造業者第一号が認定されたというところでございます。

 こういった取り組みとあわせまして、やはり御指摘のように、国産材のCLTの生産体制、こういったものを整備する必要がございますので、路網の整備、そして施業の集約化を初めといたしまして、木材の安定供給体制を確立していく。さらには、CLTを効率的、安定的に供給できる加工流通施設の整備等の川中、川下対策というものに取り組んでいく所存でございまして、全力で取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

岩永委員 いずれにしても、しっかりとニーズに応えられるだけの木材が搬出をできなければ何の意味もないということですので、先ほどおっしゃいました路網の整備、そして搬出に係るさまざまな設備等々もしっかりと充実をしていただきながら、川上から川下までがしっかりと手と手をとり合った国産木材の利用にしっかりと準備を整えていただきますことをお願い申し上げ、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

坂本委員長 次に、村岡敏英君。

村岡委員 日本維新の会の村岡敏英でございます。

 通常国会も、きょうで農水委員会も最後の質問となると思います。また、最後のバッターとなると思いますので、きょうは全体のまとめをしながら大臣にお聞きしたい、こう思っております。

 予算委員会で、安倍総理大臣にパネルの写真を見せました。なぜ農業が大切なのか。日本にとって、日本の歴史が始まってから今まで、食料不足じゃないなんというのはほんの短い期間しかなく、農業で食料をつくるということによって日本はずっと発展してきた、そして、農業をしっかりとおさめる者が政治を治めていた、このことをきちんと押さえなきゃいけないということで、国会の前の芋畑を見せました。

 戦後、食料不足のときには、あらゆるところに農地をつくりながら国民の食料を守るということで、あのときは、集団自衛権も含めて安全保障等という予算委員会でありました。しかし、まず、これは自衛隊の方も何も、食料なくして安全保障なんてできない、農業というのは本当に大切なんだということが、これは与野党とも、また、国会議員、そして消費者も農業者も、どちらもしっかり認識しなければいけないということをずっとこの通常国会で話してまいりました。

 その中で、まず、今回の改革というのは歴史的な改革であります。農地中間管理機構、生産調整の廃止、日本型直接支払い、そして、規制改革会議から出てきました、例えば全農の株式会社化、中央会の廃止、農業委員会の選挙をどうするかという問題、いろいろな改革があります。

 その中で、先ほど言った、農業は大事なんだけれども、これまでの農政がなかなかうまくいかなかった。そしてまた、時代の変化で日本人の食の嗜好も変わり、輸入されたものを食べるようになって、必ずしも国産だけで食料事情を賄っているわけじゃない。そして、農業はその中でなかなか所得が追いつかなくて、当然、担い手の人が少なくなってくる。さらには、農業が新しい方々の魅力ある産業になっていない。だからこそ、改革しなければならない。これは全部つながっていくわけです。

 この中で、林大臣初め江藤副大臣、そして小里政務官、この歴史的な農業の変革のときに、農業の責任者として今就任されております。まさに今が農業維新のときなんです。農業維新が成功するかどうか、これによって農業がしっかりとした成長産業になるのか、それとも、それ以上衰退してしまうのか、大変大切なところであります。

 そして、何で農業が大切なのかというと、先ほどの食料も言いました。もう一つの問題が、日本の人口の問題です。

 日本の人口がどんどん減っていくという大きな要素の中に、地方がどんどん人口減少していくのは、第一次産業、農業、林業、水産業というのが衰退していってしまう。やはり第一次産業をしっかりと再生させることがこの国全体の発展につながる、その意識の中で農林大臣には取り組んでいただいておりますし、ぜひこれから取り組んでいかなければならない、こう思っております。

 そういう意味で、この通常国会でいろいろな改革の話がありました。そして、TPPもこれからあると思います。もう一度林農林大臣の決意を聞きながら、農業の発展にかける覚悟をお聞きしたい、こう思っております。

林国務大臣 村岡委員には何度か御質疑をいただいて、大変に貴重な御意見を賜ったこと、改めて感謝を申し上げたいと思います。

 私も長州でございますので、維新というのは非常に思い入れのある言葉でございまして、農業維新ということをしっかりとやっていかなければいけない、こういうふうに思っております。

 いろいろな改革をやっていくというときに忘れてならないのは、あくまでいろいろな改革というのは手段であって、目的は何かといえば、まさに今委員がおっしゃっていただいたように、しっかりと食料を確保する。そして、その貴重な食料を生産していらっしゃる、これは農にとどまらず、林、水の従事者の皆様が将来に展望を持って営みを続けていただける、こういうところにこそ新しく担い手も入っていってもらえるんだろう、こういう考え方で基本的にやってきたところであります。

 人口にも触れていただきましたけれども、人口が減っていくという、日本社会が直面する今までなかった状況の中で、やはり需要に見合った作物を、それぞれの生産者の皆様が、六次産業化等々で、消費者のいろいろな嗜好も直接触れていただきながら、経営者的なマインドも持ちながらやっていく、この部分も非常に大事にしていきたい、こういうふうに思っておりますし、一方で、農業の果たす、林業、水産業も含めた、多面的機能も大事でございますので、成長産業化していくいわば産業政策、そして多面的機能を守っていく地域政策、これを車の両輪として、しっかりと目的に向かって邁進をしていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。

村岡委員 農業改革、農業維新というのはこれからスタートですから、今後も、ぜひ一緒になって、これは与野党別にして、農業の発展のために、そして日本全体の再生のために頑張りたい、こう思っております。

 ちょっと新聞記事を見せていただきました。農業新聞ですけれども、規制改革会議の中で、「与党農林議員 背水の陣」「玉虫色の決着」というのが載って、大変気品のあるお二人のお顔が載っておりますけれども、これは、いろいろな改革は、現場を聞いて変わることはあると思うんです。しかし、しっかりとした現場を見ていくことが大事です。

 この改革は、今大臣が言ったように、確かに改革の目的は一緒であっても、登る山にはいろいろなルートがありますが、ルートが違うと、崖があったり、そこに落とし穴があったりします。ですから、やはりきちんとしたルートで進んでいくということは、目的が決まっていても、そこにたどり着くまで、一緒の山を登る人たちが協力していかなければ、そこには到達できないんです。やはりしっかりと現場を見るということです。

 それと、私が何回も言っていた、四十七都道府県、地域によって農業は違います。そのこともしっかりと踏まえながら、さらには、日本の需要だけじゃなく、世界を見据えながら、そういう部分でしっかりと、農業の発展のため、日本の再生のためということでやっていただきたいと思っております。

 もう時間がないようですので、これ以上は申しませんけれども、閉会中も、これからTPPの問題が出てくると思います。我々は、閉会中でも、日本の国益にとって、農業にとって大切だと思いますので、これからもどんどん質問をさせていただきたい、こう思っております。

 ぜひとも、大臣初め副大臣、政務官、一緒になって、与野党ともに、農業のために、日本の再生のために頑張っていきたいと思いますので、今通常国会、本当に長い間の国会でありましたけれども、質問させていただいたことを感謝しながら、そしてこれからも、間違っていること、それから指摘することにはしっかりと切り込んでいきますので、よろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

坂本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時二分散会


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