衆議院

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第3号 平成26年10月22日(水曜日)

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平成二十六年十月二十二日(水曜日)

    午前十時三十分開議

 出席委員

   委員長 江藤  拓君

   理事 伊東 良孝君 理事 齋藤  健君

   理事 谷川 弥一君 理事 宮腰 光寛君

   理事 吉川 貴盛君 理事 篠原  孝君

   理事 村岡 敏英君

      青山 周平君    赤枝 恒雄君

      井野 俊郎君    池田 道孝君

      今枝宗一郎君    小倉 將信君

      加藤 寛治君    金子万寿夫君

      金子 恵美君    川田  隆君

      菅家 一郎君    古賀  篤君

      坂本 哲志君    清水 誠一君

      末吉 光徳君    武井 俊輔君

      武部  新君    津島  淳君

      中川 郁子君    中谷 真一君

      橋本 英教君    藤丸  敏君

      堀井  学君    森山  裕君

      八木 哲也君    簗  和生君

      山本  拓君    渡辺 孝一君

      大串 博志君    玉木雄一郎君

      寺島 義幸君    鷲尾英一郎君

      坂本祐之輔君    鈴木  望君

      林  宙紀君    稲津  久君

      佐藤 英道君    桜内 文城君

      畑  浩治君

    …………………………………

   農林水産大臣       西川 公也君

   農林水産副大臣      あべ 俊子君

   外務大臣政務官      中根 一幸君

   農林水産大臣政務官    佐藤 英道君

   農林水産大臣政務官    中川 郁子君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         荒川  隆君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         今城 健晴君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房統計部長)          小風  茂君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            櫻庭 英悦君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  松島 浩道君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  奥原 正明君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            三浦  進君

   政府参考人

   (水産庁長官)      本川 一善君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 小川 晃範君

   農林水産委員会専門員   奥井 啓史君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十二日

 辞任         補欠選任

  井野 俊郎君     中谷 真一君

  菅家 一郎君     青山 周平君

  鈴木 憲和君     古賀  篤君

  武部  新君     金子 恵美君

  簗  和生君     八木 哲也君

  後藤  斎君     大串 博志君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     赤枝 恒雄君

  金子 恵美君     武部  新君

  古賀  篤君     藤丸  敏君

  中谷 真一君     井野 俊郎君

  八木 哲也君     簗  和生君

  大串 博志君     後藤  斎君

同日

 辞任         補欠選任

  赤枝 恒雄君     菅家 一郎君

  藤丸  敏君     小倉 將信君

同日

 辞任         補欠選任

  小倉 將信君     今枝宗一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  今枝宗一郎君     鈴木 憲和君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

江藤委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官荒川隆君、大臣官房総括審議官今城健晴君、大臣官房統計部長小風茂君、食料産業局長櫻庭英悦君、生産局長松島浩道君、経営局長奥原正明君、農村振興局長三浦進君、水産庁長官本川一善君及び環境省大臣官房審議官小川晃範君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。津島淳君。

津島委員 自由民主党の津島淳でございます。

 まず、西川公也大臣、あべ俊子、小泉昭男両副大臣、そして中川郁子、佐藤英道両政務官、御就任まことにおめでとうございます。

 また、江藤拓委員長にも、御就任を心よりお祝い申し上げます。

 我が国農林水産業の再生に向けて、私は、また一員として、全力で取り組んでまいりますので、今後とも御指導、御鞭撻を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

 きょうは、こうして質問の機会を頂戴しまして、理事、委員の皆様に厚く御礼を申し上げます。本当にありがとうございます。

 二十六年産米の価格下落に関しては、さきの委員会で質疑がございました。ぜひとも全国の米農家さんが営農を継続できるように、特に需給の改善という点を中心に、万全の支援をお願い申し上げます。

 さて、私は、きょうは、米を中心とした農業について、長期的な視点、また別の角度から、地元の取り組みなども踏まえて質問をさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 まず、一つ目の質問でございます。

 米あるいは本県青森県の主要産物であるリンゴなど、我が国それぞれの地域のすぐれた産品の高付加価値化や市場開拓などの事業活動をより一層充実させるためには、時間、距離、コスト、情報の壁を乗り越えて、生産市場から消費市場へと円滑につなげるロジスティクス基盤の整備が重要だと考えます。

 我が青森県は、太平洋側、日本海側、北海道との結節点であり、また、目の前の津軽海峡には、大陸―北米間航路がございます。そのような地理的特性を生かすべく、ことしの一月十五日、青森県ではロジスティクス戦略を策定いたしまして、基盤整備に取り組んでいるところでございます。

 この戦略の主要な視点は、以下の三点でございます。一つ目が、アグリビジネスを支えるロジスティクス拠点、二つ目が、国際的な物流動脈と直結したグローバルロジスティクス拠点、三つ目が、食料・資源・エネルギーに関するロジスティクス拠点、この三つの視点のもと、この戦略を進めていくわけでありますが、本戦略は、青森県のみならず、北日本の農林水産物をターゲットに、その国内消費拡大、輸出倍増に資するものでありまして、国と県が協働して戦略確立を目指すべきと考えております。

 そういう観点から、国と協働でその確立を目指す、その点について、ぜひ御所見をお伺いしたいと思っております。

西川国務大臣 今、農林水産物を、青森からどうやって輸出を図っていくか、こういう御質問をいただきました。

 青森県でつくってくれた青森県ロジスティクス戦略を私も読ませていただきました。これから、青森の港から東南アジア各地、さらには北米まで物が運ばれる、こういう計画でありまして、私は、この前向きな姿勢を高く評価して受けとめさせていただきたい、こう考えております。

 それで、農林水産物、食品の輸出額一兆円、これは早く達成したい、こう願っております。そのためには、物流費削減も図らなきゃなりませんし、物流面での取り組みをいかにうまく、円滑に物が運べるか、こういうことが最も大事なことだと思います。そういう意味で、前向きな姿勢で私どもと一緒にやっていただければと考えています。

 農水省でも、きょうも来ておりますが、櫻庭局長のところへ、窓口を何とか一本化できないか、こういうことを私はお話ししました。それで、ジェトロを通して一本化していけますということですが、農林水産省に問い合わせあるいは要請がたくさんありますので、この際、農水省としても窓口を開いてくれ、こういうことをお願いしましたが、早速窓口を開いてくれまして、輸出の一元化にどう取り組むかということで、窓口を地方の農政局にもつくろう。

 それから、これは食料産業局でありますが、輸出関係窓口は局長が一元的な窓口となっておりまして、今問題になっている放射性物質の関係、あるいは動植物の検疫関係の問題等もありますので、農政局と一緒にやっていきたいと思いますが、青森県庁とも十分連絡をとらせていただきたいと考えております。

 これから、物流関係は国土交通省の所管になると思いますから、国交省とも連携を深めながら、物流システムのあり方について議論を進めていきたい、こう考えております。

 先生が仲立ちされてつくった青森のロジスティクス戦略を高く評価して、貴重な御意見だと受けとめて、一緒に図っていけるように努力を重ねてまいります。

津島委員 大臣、ありがとうございます。大変心強いお言葉であったと思います。

 この戦略をもちまして、青森のみならず、北日本の豊かな産物、米、リンゴ、ホタテ、マグロなど、とった翌日には東南アジアの食卓に並んでいる、そういうことを実現させたいと思っております。ありがとうございました。

 次に、飼料用米についてお尋ね申し上げます。

 先日、地元五所川原市の若手農業者と意見交換をいたしました。五所川原市というのは、ちなみに、先日あべ俊子副大臣がおいでいただいた、つがる市のお隣にございます。ですので、農産物は、つがる市とほぼ同じような作物をつくっているというふうに御理解をいただければと思います。

 その場におきまして頂戴しました御意見で、特に、地元の飼料用米を生産している農家さんから、やはり販路の確保が難しいんだという御意見を頂戴いたしました。個人の農家で販路を開拓していくのは、時間がとにかくない、また、生産に特に力を入れていきたい、そういう意向もあるようでございます。

 この飼料用米については、今後の米農家の主要な収入源として、生産拡大をさらに進めていくべきであると私は考えております。その上で、安定した販売先を確保し収入安定を図るということが飼料用米の普及に欠かせない点である、そのように思っております。

 お尋ねいたしますが、この飼料用米の安定的な販売先の確保等について、国の方針を改めてお聞きしたいと思っております。

あべ副大臣 委員の御指摘のとおり、今後さらなる飼料用米の生産拡大を進めるに当たりまして、安定的な販売先の確保が重要と私どもは考えております。

 このため、農林水産省といたしましては、都道府県を通じまして、畜産農家からは飼料用米の利用希望を、また耕種農家からはその作付意向をそれぞれ聞き取りまして、双方に情報提供していきますマッチング活動、これを引き続き推進してまいります。

 また、二十七年産の飼料用米につきましては、全農が、六十万トンの生産目標を設定いたしまして、みずから買い取り、販売する新たな枠組みをつくる方針を掲げているところでございます。

 この枠組みのもとにおきまして、全農みずからが販売先を確保するということになっておりますため、個々の生産者などにおける販売先の確保が困難という課題の解消につながるものと考えておりまして、この取り組みを農林水産省としても後押ししてまいります。

津島委員 ありがとうございました。

 ぜひとも、その取り組みを進めまして、実際に多くの農家さんと販売先のマッチングが行われますように、私も地元の代議士として、また地元での理解が深まるように努めてまいりたいと思っております。

 次の質問に移ります。

 また、同じ意見交換の場で頂戴した御意見でございます。

 農家の所得倍増、安定化を図る上で、米農家さんが申していたんですが、米単作ではなく、野菜などほかの作物の栽培や、青森ですので冬は農業ができないけれども、その冬に栽培を可能にする取り組みが必要である、そういう御意見をいただきました。

 農業というものは天候に左右されるわけでありますし、万が一の不作という状況に備えて、多様な作物を栽培することの重要性というものを農業者みずからが認識された御意見であろう、私はそのように理解をいたしました。特に、長年冷害に悩まされ続けてきた北国の農業では切実な思いとも私は受けとめております。

 そこで、最近、地元青森市では、バイオマスの熱を利用して野菜などの施設園芸を行う取り組みが始まっております。具体的には、熱をビニールハウスに引き込みまして、そこで、最近需要が伸びている野菜、パプリカの栽培を始めたという取り組みがございました。こういった例がございますように、バイオマスを活用した施設園芸というのは今後拡大をしていくのではないかと思っております。

 また、実際、農林水産省におかれましては、農業者がバイオマスを活用して生産拡大を行うことに対する支援のスキームがある、メニューが存在することを承知しております。このようなバイオマス事業、これは、主体としては、農業者だけではなく、民間事業者さん、建設会社さんであるとか、あるいは新規に創業をなさった方もあろうかと思います。

 いろいろな形はあると思うんですが、バイオマスの熱を利用した施設園芸に対する支援について、もう一度、改めてですが、お考えをお伺いしたいと思います。

松島政府参考人 施設園芸につきましては、農家の経営の安定、所得の向上に大変重要な取り組みというふうに考えてございます。

 ただ、施設園芸につきましては、経営費に占める燃料費の割合が高いという課題がございまして、近年、燃油価格が高価格で推移しているということで、燃油の影響を受けにくい経営構造への転換を進めるための事業を農林水産省としては実施してございます。

 この対策の中では、燃油の削減目標を一五%以上とする省エネルギー推進計画をつくっていただきまして、三戸以上の農業グループに対しまして、今委員からお話がございました木質バイオマスを利用した加温設備などの省エネ設備に対しまして、リース方式による導入支援を講じているところでございます。

 また、この事業を通じまして、地域のバイオマス事業者と施設園芸を営んでいます農業者との連携が図られていくと考えてございます。

津島委員 ありがとうございました。

 多様な作物をつくることで収入の安定化を図る、そういう面からも、バイオマスの熱を利用した施設園芸を進めていただきたい、そのように考えております。

 それでは、最後の質問に行かせていただきます。

 我が青森では、米とともに、リンゴも一緒に栽培している農家さんがあります。米がこのように値段が下がっている。では、一方でリンゴの市況はどうかというと、決して楽観できる状況にはございません。長年、やはり果樹というものの消費が全体に落ち込んでいる中、今後が楽観できないという中で、輸出の拡大に農家は期待を持っております。

 時間の方がそろそろ終了なので、手短に質問させていただきまして、お答えをもって終わりとさせていただきますが、この輸出倍増を実現させるため、新興市場の開拓、特に東南アジアについて、その取り組み全般についてお伺いをして、私の質問を終わらせていただきます。

江藤委員長 松島生産局長、簡潔に願います。

松島政府参考人 リンゴの輸出の御質問でございますけれども、リンゴの輸出量、二十五年産で二万トン、金額で七十一億六千万ということで、果実最大の輸出品目でございます。

 こうした中で、我が国は、台湾、香港、タイ、インドネシアといった国々に対する輸出促進を行っているわけでございますけれども、やはり日本産リンゴのおいしさや安全さをアピールする、こういったことを通じたり、また検疫条件の改善を政府ベースで働きかけるといったことを通じまして、ジャパン・ブランドとしてのリンゴの輸出拡大に努めてまいりたいと考えてございます。

津島委員 ありがとうございました。

 質問を終わらせていただきます。

江藤委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 おはようございます。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 まず最初は、二十六年産の米対策ということで、これは前回の所信に対する質疑でもお聞きをいたしましたが、それ以降、地元に戻っていく中で、生産者などからさまざまな御意見もいただきました。そのことを踏まえて伺いたいと思います。

 概算金の話をこの間もさせていただいて、前年比で大変大きな下落で経営不安がある、これが現場の感覚、実態でございまして、当たり前のことですけれども、特に大規模な稲作農家ほど不安がある。

 特に、これは北海道的なことになりますけれども、作況が一〇八ということでした。しかし、これは、実際に調べる網目の大きさをいうと一・七ミリ、でも、実際に市場に出るときは、北海道は一・九五ミリなんですね。ですから、一〇八の作況で概算金が出てきても、いやいや、これはどうかな、そういう声なんです。ルールだから仕方ありませんけれども、なかなか厳しいものがあります。

 それで、二点伺いたいと思います。

 一点目は、ナラシ対策の補填対象の拡大ということで伺いたいと思うんですけれども、前回は前倒しについて伺いました。この点については、三月までの価格動向を踏まえて補填単価を出す、そのために実際の支払いは五月以降、こういう答弁がありまして、これは法律に基づいたことですから、それはそれでいたし方ないというふうに思うんですけれども、一方で、生産者などの御意見としては、これは特に北海道的なことかもしれませんけれども、ナラシのいわゆる二割コース、これを、二割コースだけではなくて、二割以上のコースを検討してはどうか、こういうお声がありました。この点についてのお考えをお示しいただきたいと思います。

奥原政府参考人 収入減少影響緩和対策、ナラシ対策の関係でございます。

 現在のナラシ対策につきましては、標準的収入額の二割までの減収を想定して制度設計をしておりまして、これに応じて拠出金を支払っていただいているわけでございます。

 ナラシ対策は平成十九年に開始をされましたけれども、これまでの七年間におきまして、全国平均で減収幅が二割を超えたことはございません。それから、地域ごとの減収を見ましても、局地的な災害による収穫分減少があった場合を除きまして、収入額の減少幅で二割を超えたケースはほとんどございません。

 こういったことから、現在の制度で実質的に対応できているものと考えております。

稲津委員 次は、米の直接支払交付金の前倒しということで、前回、これはあべ副大臣にお聞きいたしました。そのときの御答弁というのは、例年、九割の農業者の方々に年内交付している、こういう御答弁でした。早期交付に努めるということは十分理解ができました。

 ただ、もう一点、そもそも支払い時期をもっと早く確定できないのか、こういう意見も多数あります。これは、生産数量が生産数量目標を超えていないと確認できるのが十月末以降だということでこのような御答弁になっておりますけれども、つまり、生産調整に協力しているかどうか、これが確認できるかどうかという話だと思うんですね。

 田植えをして、夏になって苗も伸びてきて、大体どこでどういうふうにやっているかというのは地元ではよくわかっている話で、あとはそれをどういうふうに確認するかという話ですから、夏以降早い時期に、要するに収穫前に確認できないか、こういう声もございます。

 私は、こうしたことも含めて、少し幅広にいろいろ検討していくことも必要かなと思っておりまして、この点についての所見を伺いたいと思います。

西川国務大臣 今述べられましたように、生産調整に協力してくれているかどうか、これが判断の基準になりますね。

 それで、面積等もどのぐらいあるのかと思いましたら、百三万九千ヘクタールあるというんですよ。それで、十一月、十二月で九十六万ヘクタールぐらい支払いはしているようです、年内にですね。

 そういうことで、努力はしておりますけれども、確かに、今申されましたように、確認が、確実ではないけれどもある程度の状況はわかる、これは私も理解しております。そういう中で、早期支払いを年内ということでやっていますが、ほかに方法がないかどうかというのは十分議論をさせていただければ、こう思っております。

 以上です。

稲津委員 ありがとうございました。

 ぜひ、こうしたことも踏まえて、少し議論を深めていただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。

 次は、日豪のEPAについて伺っておきたいと思うんです。

 七月に署名された日豪のEPAの協定ですが、関連法案とともに今国会に提出予定ということで、これからこの点についての議論がさらに深まっていくと思うんですが、既に注目の牛肉については、御案内するまでもありませんけれども、冷凍、これは関税削減が十八年目に一九・五%、それから冷蔵についても十五年目に二三・五%、こういうことで、セーフガードも含めて導入するということで、一定程度の理解は、いろいろな御意見はありますけれども、理解は深まっている方向かなと思っています。

 その上で、米は対象から除外ですからいいんですけれども、小麦と砂糖のところの懸念がまだやはり拭えないという声もあります。ここは、将来の見直しということで、発効五年後に見直しですけれども、別な形でいうと、五年以内にも見直しもあり得るということもありますので、ここはしっかり丁寧にやっていかなきゃいけない、こんなふうに思っているところです。

 一方で、オーストラリア側から見ると、この牛肉のところは少し我々もわかるんですけれども、小麦と砂糖についてどんな関心事があるのか。例えば、もっとたくさん本当は輸出したいとか、そのためにこんな方策を考えているとか、これはいろいろあると思うんですけれども、その点についての見方をお聞かせいただきたいと思います。

今城政府参考人 日豪EPAについてのお尋ねでございます。

 まず、日豪EPAの合意内容でございますけれども、麦は、食糧用は将来の見直し、飼料用については食糧用への横流れ防止措置を講じた上で民間貿易に移行し無税化。砂糖につきましては、精製糖、一般粗糖は将来の見直し、高糖度粗糖については、精製用について無税として、調整金を糖度に応じた水準に調整するという内容でございます。

 委員御指摘のとおり、今回はこういう内容で日豪で合意したわけでございますけれども、豪州は、やはりASW等の小麦、それから砂糖、特に粗糖につきましても大輸出国でございますので、引き続き対日輸出のアクセスの拡大ということは思ってはいる、関心事項であるということは言えると思います。

 そういう中で、私どもとしては、将来の見直しとされたということでございますので、両国の将来の見通しの協議の中でしっかりと、結果は予断されていないわけでございますので、国内の農産業の存立及びその健全な発展が図られるよう、将来の見直しの際も、そういう豪州の関心もよくウオッチしながら全力を挙げて交渉してまいりたい、そういうことでございます。

稲津委員 特に砂糖については、沖縄、北海道で大変大事な農産物、基幹産業になっていますので、予断なく、これからもそうしたことに留意していただいて、慎重な対応をしていただきたいと思っております。

 もう一点伺いたいのは、チーズのことなんです。

 チーズ、これはプロセスチーズとシュレッドチーズ、両方ありまして、プロセスの方は、二十年かけて四千トンから二万トンに関税割り当てを広げていくということなんですけれども、シュレッドチーズ用というのがありまして、これは細かく切って、よくピザの上に載っけているものです。最近、非常にこの需要が高まっているということで、関係者側は非常に関心が高いです。これが、十年かけて千トンから五千トンに拡大ということなんです。

 ここで大事なポイントは、さらに今後少し注目を集めるシュレッドチーズ用のことなんですけれども、これは、この関税割り当ての際に、国産品の使用要件を、国産品一に対して輸入品三・五にするということが決まりました。今、日本の国の国内産のシュレッドチーズというのはほとんどないというふうに聞いております。したがって、このように一対三・五ということで国産品の使用要件を加えたということは、ある意味、今後の国産チーズの増産に期待が寄せられるということにもなると思うんです。

 そのようなことから、今回のこのシュレッドチーズ用の関税割り当てをどう見るか、この点についての所見を伺っておきたいと思います。

中川大臣政務官 シュレッドチーズの原材料として使用されるナチュラルチーズについては、これまで二九・八%の関税率で輸入をされてまいりましたけれども、日豪EPAにおきまして、国産チーズ一の使用を条件として、豪州産チーズ三・五の輸入について無税にするということになりました。この無税枠の数量を、十年間かけて千トンから五千トンに段階的に拡大するという新たな関税割り当てを設定したところであります。

 国内のチーズ需要が近年増加傾向にあるということに加え、この関税割り当ては、国産チーズの使用を増加させなければ豪州産チーズの無税輸入をふやすことができない仕組みとなっておりますので、国内の生乳生産に悪影響を及ぼすことはないと考えております。

稲津委員 今、政務官がおっしゃったように、悪影響がないどころか、私は、ある意味、これから非常に期待が持たれるのかなと思っています。

 確かに、政務官がおっしゃったように、需要は伸びてきていると思います。問題は、供給が追いついていかない。だけれども、酪農の関係でいうと、生産者が減ってきて、生産量も落ちてきている中で、しかし一方で、チーズの需要は高まってきている。国産チーズをやはりふやしていこうという、これが一番大事なポイントだと思うんです。これは今までも何回もこういうことが言われてきているんですけれども、なかなか決め手になる生産拡大の方策というのが若干まだ十分じゃないと思っています。

 今後の生産拡大の方策について、これを最後にお伺いして、質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。

西川国務大臣 先ほど中川政務官が答えましたけれども、抱き合わせの数量で、一対二・五が一対三・五になった。ちょっと政務官は、そこで国産が押し込められないかという心配を先ほど述べましたが、これは、豪州側でアクセス改善を求めてきた、こういう中で、どうしても私どもは守っていくのに、一対三・五で、チーズは伸びている、こういうことでこの数字を採用した、こういうことを御理解いただきたいと思います。

 それから、食生活が変化しておりますから、着実に拡大しています。その結果、二十五年度の我が国のチーズ仕向けの生乳は過去最高の四十八万トンになっています。

 それで、これから生産振興をどうやって図るか、こういうことになりますが、チーズ向けの生乳を加工原料乳生産者補給金の対象として、予算補助からこれを法律補助に、安定的に支援していく、こういうふうにさせていただきました。

 それから、これから新商品開発あるいは販売開拓あるいは六次産業化、こういうことをやっていかなきゃならないと思います。チーズの工房数を参考に申し上げます。二〇〇六年百六カ所でした。それが二〇一三年現在二百三十四カ所まで伸びておりますので、これからも国産チーズの振興を図ってまいりたいと考えております。

稲津委員 最後に大臣に御答弁いただきましたように、ぜひ振興を図っていただきたい、このことを申し上げて、以上で質問を終わります。ありがとうございました。

江藤委員長 次に、鷲尾英一郎君。

鷲尾委員 民主党の鷲尾でございます。

 この国会、初めて質問に立たせていただきますが、まずは、西川大臣、あべ副大臣、中川政務官、御就任おめでとうございます。また、江藤委員長も、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。委員長就任おめでとうございます。

 我が党の篠原大先輩が、米価下落の問題は今週やれということでございますし、また、国会でさまざまな種の課題がある中で、農水委員会はしっかりと政策議論をしていこうということでございますので、米価の問題、政策の問題、しっかりと議論してまいりたいと思っているところであります。

 今、我が地元の新潟もそうですが、ダブルパンチだと言われておりまして、米農家さんは大変な思いをしていらっしゃいます。いろいろ現場の話も聞いてまいりましたけれども、ダブルパンチに尽きるということでございました。ダブルパンチ、何かというと、一つは、もちろん、概算金が全国平均で三千円ですから、新潟はそれよりも下げ幅は少し少ないですけれども、相当な、全国平均に引っ張られる形で下がってしまっているというところが一つ。それから、米の直払いが半減してしまったというパンチであります。これがダブルパンチだということでございます。

 まず、質問させていただきたいのが、JAの概算金、これが大幅に下落している要因について、先週も質問があったと承っておりますけれども、その大幅に下落している要因をぜひお聞かせいただきたいと思います。

松島政府参考人 JAの概算金が下落している理由ということでございますけれども、二十六年産の生産量、これは、九月十五日付の作況をベースに計算しますと、前年に比べて二十八万トンの減少ということになってございます。

 こうした中で、夏ごろまでの新聞報道で、民間在庫が大きく、作柄もよいといったような報道がなされたり、二十六年産は需給緩和傾向であるというようなことが報じられてまいりました。米のスポット取引ですとか先物取引の価格が低下していたという状況もございます。また、各県段階のJA系統では、できるだけ早く自県産の米を売り切りたいといった意向や、それから、共同計算赤字になるリスクは小さくしたいというような意識が強いということも背景にあると思います。

 こういった中でJAの概算金が決定したわけでございますけれども、新潟について申し上げますと、新潟コシヒカリの一般で見ますと、概算金が、前年が一俵当たり一万三千七百円に対しまして、ことしが一万二千円ということで、千七百円の低下ということでございますけれども、全国で見てみますと、前年から一俵当たり大体二千円から三千円の低下という形で設定されているというふうに承知してございます。

鷲尾委員 JAの概算金の算定の仕方というか交付の仕方とか、いろいろな論点はありますけれども、要するに、今おっしゃるとおり、民間の在庫だとか需給のバランスとかで市場に任せると、これだけどんというショックが起きるということだと思いますね。やはりそれを前提に、政策というのは組み立てていかなきゃいけないんじゃないかなというふうに思っています。

 ただ、期首在庫で見ると、二十五年の六月の在庫と二十六年の六月の在庫というのは余り変わっていませんし、今、生産調整で随分減産しているというところもあるわけですね。でも、下がっちゃっているということですから、これは後でまたちょっと話しますけれども。もちろん、いろいろな要因はあるんですけれども、こういう状況を踏まえた上で政策というのは打っていかなきゃいけないんだという必要性を申し上げておきたいというふうに思っております。

 実際、この概算金の下落が全国で見て二千円から三千円ということですから、当然、その農家の経営に与える影響というのは大きいものがあると思っています。これは、経営規模いかんにかかわらずそうだと思いますし、将来に対して、経営所得の見通しという部分で、担い手の育成という部分でも、こういう概算金の下落というのは大変意味があるものだと思っています。

 この点をどう農水省として認識しているか、お聞かせください。

松島政府参考人 JAが農家に支払います米の概算金の水準が下がりまして、農家の方々の中で、農業経営に対する不安といいますか、心配があるということについては、私どもとしても十分承知しているところでございます。

 しかしながら、この概算金というのは農家に対する仮渡金でございまして、将来、販売の見通しを踏まえまして、農家への追加支払いが行われるということでございますので、まずは、JAにおきまして、今後、販売戦略をしっかり立てていただきまして、農家所得の確保の観点からも、適切な価格を設定し、販売努力をしていただくということが重要であろうと考えてございます。

 さらに、そうした努力の上で、仮に米価の変動が生じた場合には、収入減少影響緩和対策、ナラシ対策もございますし、二十六年産に限りましては、ナラシ対策に加入していない者に対する対策といったものも用意してございますので、そういった政策によって、農家の減収補填を実施してまいりたいというふうに考えてございます。

鷲尾委員 これは前々からの議論でもあると思うんですけれども、概算金の下落で農家の方がどんとショックを受けている、しかし、これは仮渡金だからというのが理由としてくるわけですよ。それは余り理由にならぬと思いますね。

 だって、仮渡金とみんなわかっていて、それの上でショックを受けているわけですから。そうですよね。常識的に考えて、仮渡金だからといって、概算金が農家にショックを与えるというのはおかしいじゃないですか、仮渡金なんだから。でも、概算金が下落した時点で農家はショックを受けるんですよ。だから、仮渡金だからという理由は使わないでほしいなと思いますよね。だって、そうでしょう、常識的に考えて。農家の皆さんがショックを受けているこの現状を踏まえて、どうかという話ですね。

 それで、販売努力をしてもらう、それは当然ですけれども、私が申し上げたいのは、結局、そういう話を聞いていますと、ナラシ対策という話は出てまいりましたが、今、それ以外になかなか打つ手がないじゃないかという話なんですよ。最後に、だって、仮渡金だから販売努力をしていってもらいたい、それからナラシ対策でしょう。それ以外に打つ手がないということですよ。もうちょっと打つ手を考えなきゃいけないんじゃないかというのが、さっきの問いに絡めてですけれども、最終的に私が持っていきたい結論です。

 もうちょっと別の打つ手を考えなきゃいけない。そうじゃないと、概算金をコントロールするのは難しいわけですよね、結局。生産調整がこれだけきいていて、後でも話をしますけれども、農協は米穀機構で買い入れもしているわけでしょう。かつ、これだけ概算金を下げなきゃいけない。

 もっと言うと、二〇一八年に生産数量目標の配分をやめるという話もしていますよね。こういったことも私は影響していると思うんですよね。こうなったときは相当厳しいと思いますよ。もう概算金のコントロールなんて、まあ、コントロールと言ったら、それはおかしな話ですけれども。これは概算金が大きく揺れることになるし、そうなると、農家の皆さんは、もちろん将来を見通すことはなかなかできないと普通思いますよね。そうなったときに、本当に担い手育成とかはどうなのと私は思います。

 では、一応、対策としておっしゃったナラシ対策についてもう少し深掘りして聞きたいと思いますけれども、加入している人たちの割合、今回これだけ収入減ですけれども、ナラシ対策で救済される人というのはどれぐらいいるんですか。

奥原政府参考人 この二十六年産のナラシ対策でございますけれども、生産調整を実施している方を対象としている米の直接支払交付金、これと比べまして、面積でいいますと四一%、人数でいいますと七%の方が加入しておられます。

鷲尾委員 そんなところですよね。

 それで、追加で、ことしだけの政策がありますよね。

奥原政府参考人 このナラシ対策のもとになっております担い手経営安定法につきましては、さきの通常国会で法律改正が行われております。そのときに、面積の規模要件は廃止をするということになっておりますが、この改正法の施行が来年の二十七年産からでございます。

 こういったことがございますので、二十六年産につきましては、このナラシ対策に加入できない農業者に対する対策といたしまして、農業者の拠出を求めないかわりにナラシ対策の補填の国費分の二分の一を補填する、ナラシ対策移行のための円滑化対策、これを実施しているところでございます。

鷲尾委員 そういう手当てをされていると思うんですけれども、ナラシ対策に加入する要件を緩和していますよね。これは私もよくわかっているつもりです。このナラシ対策の要件を緩和して、ナラシ対策にほとんど入っていただくということが前提だから、その円滑化対策というのはことしだけだ、今の説明からいくとそういうことですよね。

 では、お聞きしたいのは、ナラシ対策に来年までにほとんどの農家さんに入ってもらうということなんですよね、前提としては。目標を言ってください。

奥原政府参考人 このナラシ対策の加入者が来年に向けてどういうふうに変化するかということでございますが、先ほど申し上げましたように、さきの通常国会で法律改正が行われておりますので、規模要件は課さないということになったわけでございます。したがいまして、認定農業者になっている方であれば幅広くナラシ対策に加入できるということになります。

 農業で生計を立てていく意欲と能力のある方でありますれば、二十七年産に向けて市町村の認定を受けていただいて、認定農業者になっていただいて、ナラシ対策に加入をしていただくということだというふうに考えております。

 それから、中には、認定農業者になっていらっしゃらない、来年もなかなか認定農業者にならないという方もいらっしゃるかもしれません。その場合には、集落営農という形で加入するということが可能でございます。

 このナラシ対策に加入するための集落営農の要件、これにつきましても今回緩和を図っておりますので、組織の規約を定めているということと、それから対象作物の共同販売経理を行っていること、このことを満たしていただければ、集落営農として認定をされまして、ナラシ対策に加入できるということになっております。

 こういった制度の改善点、これを踏まえていただきまして、我々も周知徹底に努めてまいりますが、幅広い方に加入をしていただきたいというふうに考えているところでございます。

鷲尾委員 その幅広い方というのはどれぐらいなんですかね。その目標値を具体的に、自分たちはこれぐらい加入を目指します、そこまで言っているんですから、いろいろ手当てしているんですから、ばちっと言ってください。

奥原政府参考人 ここは、現在も加入推進をしているところでございますので、具体的な加入者数、今の時点でこのぐらいということを見通すのはなかなか難しいというふうに考えております。

鷲尾委員 見通しというよりは目標値を言っていただいて、それで必達に向けて努力するという気概が欲しいですよ。なぜならば、今これしか有効な政策がないんですから。どうですか、大臣。

西川国務大臣 今、奥原局長が申し上げましたが、できる限り入ってほしい、これは同じ気持ちなんですが、残念ながら、面積で四〇%強、人間では六%強、こういう状況にありますね。

 これが、大体、夏の始まりぐらいまでに加入をお願いして、払い込みも夏中にやってもらうということになっていますが、この期間を十分に使って、できる限り入るように努力をしていきたい、私どもはこう考えています。どうぞよろしくお願いします。

鷲尾委員 できる限り入っていただきたいという気持ちは私も一緒ですよ、だってこれしかないわけですから。

 でも、やはり、それはちゃんと目標を立ててやっていただいて、ああ、うまくいかなかった、では何が悪いんだろうというところの改善をしてもらわなきゃいけないわけですよ。そのためには目標が私は必要だと思うんです。いや、見通しはまだちょっとわかりません、そんな自信のないことを言われたら、やはり、これだけでは不安だとなおさら思ってしまいます。

 なぜならば、御承知のとおり、このナラシ対策自身にまだまだ問題点があるからです。

 一つは、その交付時期。特にことしなんか、こういう形で米価が下落してしまうと、農家さんは年を越せないという交付時期の問題もありますし、あるいは、標準的収入という部分では、五中三なんですよ。収入がどんどん下がっていけば、結局補填する金額もどんどん下がっていくしかないですよね。もっと言うと、収入の標準額から二割以上下落した場合、これは何の手当てもされていないんですよ。

 こういった点はどうお感じになっていますか。これしかないんですよ、制度は。

奥原政府参考人 いろいろな点を御指摘いただきましたけれども、加入者要件の問題もございますが、それから、二割減少までを補填上限としていることが一つございます。

 これは、先ほど申し上げましたけれども、平成十九年産からナラシ対策をやっておりますが、過去七年間で見まして、二割を超える減収になったというケースは、全国ベースで見て発生しておりません。それから、地域別に見た場合に、局地的な災害等で一部発生したものはございますけれども、ほとんどのところで二割を超える減収にはなっていない、こういった問題もあるというふうに考えております。

 それから、支払いの時期の問題でございますけれども、これにつきましては、三月までの価格を見るということになっておりますので、実際に補填単価が決まるのは、四月に入ってから四月の終わりぐらいということになりますので、実際に交付をされるのは五月、六月、これがナラシ対策の現在の状況でございます。

 この間のつなぎをどうするかという問題がございますが、これにつきましては、日本政策金融公庫のセーフティーネット資金がございますので、こういったものも御活用いただきたいというふうに考えているところでございます。

 それから、標準的な収入、これが五中三ではじかれるということになっております。こういうことになりますと、年々収入が下がっていくとすれば、これは標準的な収入のところが下がっていくということになります。

 ですが、このナラシ対策は、担い手の方々を対象として、自分たちの経営判断をきちんとしていただくということが前提になっていると思います。いろいろな需給、価格の動向を見ていただいて、来年はどういった作物をどのぐらいつくってどういうふうに売るのか、こういうことをきちんと考えていただくということでございますので、このことを前提にすれば、どんどん標準的な収入が下がっていくということはないものというふうに考えております。

鷲尾委員 我々も、収入保険の制度設計をやっていったらどうかという提案をしていますし、大臣も御答弁で、収入保険については触れておられます。

 ナラシ対策について、今局長からいろいろお答えがありましたけれども、将来に向けて、やはり制度というのは改善していかなきゃいけないと思いますが、大臣、この点、ちょっとコメントをいただけますか。

西川国務大臣 農政の考え方は、基本的に二つあると思うんですね。

 一つは、条件不利な地域を、平たんな、農業がどのような展開もできる地域と、経営上の困難さをいかに埋めていくか、これも一つ大きな課題だと思うんです。

 もう一方は、やはり、販売価格が下がったときに収入が減少します、そのときの収入をどうやってカバーするか、この政策を組むことも大きな一つの柱だと思うんです。

 そういう意味で、収入保険というような形を目指して、来年はぜひ、これはバーチャルな話でありますけれども、農家の皆さんを対象に、どういう仕組みを組んでいったら農家の経営に資することができるかということをやってみたい、こう思っておりまして、実際にお金を支払うわけではありませんが、これは広範な範囲で、この形で少し検討をさせていただきたい、こう思っております。

鷲尾委員 わかりました。ぜひよろしくお願いします。

 次の質問に移りたいと思います。

 先ほど奥原局長からも、ナラシ対策の交付時期が遅いというところの中で、セーフティーネット資金の手当てでどうかという話がありましたが、米の直払い、これも、たしか九〇%くらいが年内で、ただ、わずかばかりは交付の時期が年を越してしまうという指摘がなされております。これを、できる限り年内に支払われるようにということなんです。

 これを徹底していくというのが、どういうふうにやるかは、私はちょっと想像がつきませんが、それでも、米の直払いが、九〇%は年内に支払われているということなんですよね。ですから、そういう意味では、やらないにこしたことはないんですけれども、もう少し抜本的なことを考えた方がいいだろう。米の直払いでそれを前倒しするというのも大事なんです。でも、抜本的にもう少しいい方法を考えた方がいいんじゃないかと思っています。

 そのコメントをした上で、ちょっと米の直払いについての話に移りたいと思います。

 米の直払いは、今回半減をします。政府の目標としては、たしか経営所得を将来倍増するよという目標を立てられていると思います。今回の直払い半減と、それから概算金の二千円から三千円のマイナスで、これは、反当たりで見れば約三万円くらいのマイナスであって、一反八俵とれるとしても、四千円から四千五百円ぐらいマイナスするということなんですね。これで経営所得を将来にわたってどうやって倍増させていくんだろうと私は思います。この点、今の農水省はどう考えているか、ぜひ見解をお聞かせいただきたいと思います。

西川国務大臣 今の直接支払いのこと、九〇%前後年内に払う、こういうことで、私は、何で一〇〇%にならないかということをちょっと調べてもらいました。これは、農業者の都合によりまして、年が明けた方がいい、こういう主張をされる方もおるようでありまして、それはそれとして、理由は、農業者の関係で、九割が支出されるが一割残る、こういうことであります。

 それから、米が、確かに概算金が下がって、これがどういう形でおさまるかというのを私は非常に心配しています。十月十五日現在で、これを十月末にまた発表するわけですけれども、果たして本当に作況が一〇一なんだろうか、この心配もしています。確定は十二月の年末ということになりますが、この生産量の確定を見ながら、私も、今の御要請、いろいろありました、反当たり三万円も減るんじゃないか、こういう話もありましたけれども、この収量を見ながら、どういうことで農業の水稲経営を安定させるか、しっかり考えていきたい、こう思っています。

鷲尾委員 目標としては倍増と掲げられていますから、私の後でまた玉木議員がここら辺はねちねちやると思いますけれども、ぜひこれは……(発言する者あり)爽やかにやってくださるそうですが、農家の皆さんからしたら、冗談じゃないと思っているわけですよ。結局絵に描いた餅か、何も現場が見えていないじゃないかと農政自体の不信につながる問題ですから、大臣に考えていただくのは当たり前なんですけれども、やはりもっと危機感を持っていただきたいと思いますね。

 生産調整のことに話題を移したいと思いますけれども、ことし目標をほぼ達成しているという話なんですよね。これは、いわゆる飼料用米への転作が功を奏したなどと言っていますけれども、結局値段が下がっているんですよ。この状況をどうお感じになっていますか。

松島政府参考人 二十六年産の生産調整の状況ということでございますけれども、生産数量目標は百四十四万六千ヘクタール、量にいたしますと七百六十五万トンというふうに設定してございます。それに対しまして、実作付面積は百四十七万四千ヘクタールということで、二万八千ヘクタールの超過作付ということになってございます。

 これは先ほど委員から御指摘ございましたけれども、二十六年産の生産数量目標の削減幅というのは近年最大でございまして、二十六万トン、四万九千ヘクタール相当の削減を実施したところでございますけれども、農業者、農業団体、地方公共団体の御努力によりまして、この生産数量目標の削減幅とほぼ等しい面積が主食用米以外に転換されているということでございます。

 具体的には、飼料用米が一万二千ヘクタールの拡大、備蓄米が一万二千ヘクタールの拡大、また大豆などについても三千ヘクタール拡大するという形で、結果として、先ほどお話し申しましたように、二十六年産米の超過作付面積は二万八千ヘクタールということで、二十五年産の作付面積が二万七千ヘクタールでございますので、ほぼ同水準という形になってございます。

鷲尾委員 その上で、ことしは、米穀機構での市場からの隔離が行われたという話ですよね。

 改めて、これはどれぐらいの規模だったんでしょうか。

松島政府参考人 米穀機構におきます主食用米の買い入れでございます。

 先ほど御答弁申し上げましたのは二十六年産米の生産状況でございますけれども、米穀機構が買い入れましたのは二十五年産米のお米でございまして、米穀機構が保有します生産者の資金を活用いたしまして、需給事情から見て、販売の見込みが立たなくなった主食用米を、需要がある加工用米、それから飼料用米などに販売するということで、本年三月に三十五万トンの買い入れを実施いたしました。

鷲尾委員 三十五万トンですから、米穀機構はほとんどお金を使い切ったと聞いています。

 大臣にお聞きしたいのは、需要に応じた生産ができているとお感じになっていますか、どうですか。

西川国務大臣 日本の米の歴史からしまして、どうしても生産量が多いという過剰基調がずっと続いてきたわけであります。

 私も、日本の米、需要の最大は幾つだねと。千三百四十一万トンの時代があったわけですね。しかし、今、八百万トンです。これを割ろうとしています。年々減ってくるわけですね。

 ですから、生産調整を今までやってきましたけれども、それでは需給のバランスはとれない、こう思っておりますので、ほかの作物をつくるときに本当のインセンティブが働くような話をしない限り、私は、需要と供給のバランスはとれない、過剰基調はずっと続く、こう見通しておりまして、何とか早くバランスがとれるように努力を重ねていきたい、こう思っています。

鷲尾委員 では、今は需要に応じた生産はできていないんだ、そういう認識でよかったですか。

西川国務大臣 農業者の皆さんが、生産調整をお願いしたものが、守ってくれておればそう過剰基調にならない、こういう状況かと思うんですね。それから、農業というのは天候相手でありますから、天候不順があれば、また、予想できないときに下がる、こういう心配もありますが、やはり一番過剰基調になっているのは、超過作付がどうしても解消できない、ここにかかっていると思います。

鷲尾委員 今大臣がおっしゃったように、やはり守っていただかないとなかなか過剰基調だと。この先、それを変えていこうという話をされているわけですよ、ある意味、市場に任せて、需給を農家が見て。果たして、それで本当に過剰基調というのはおさまるんですか。大臣がおっしゃったように、私は難しいと思います。そんな話をしておきたいと思います。

 それから、冒頭、JAの販売努力について、もっとやってもらわなきゃいけないという話がありましたけれども、この販売努力。JAの販売努力、販売努力と言いますが、彼らも彼らなりにやっているでしょうから、幾ら農水省がやいやい言っても、これはなかなか難しいと思います。とはいえ、市場だってもう五〇%くらいの話ですよね。

 そこで、幾つか議論が出てきていますね。今、備蓄の棚上げ方式を見直すとか、こういう話も出てきていると聞いていますけれども、どうですか、そこまでのお考えはあるのかどうか。

松島政府参考人 委員から備蓄方式の見直しの話がございました。

 備蓄につきましては、平成二十三年から、これまでの回転備蓄方式から棚上げ備蓄方式に変更いたしまして、夏前に事前に契約したお米のみを備蓄米として購入するという形に変更したところでございます。したがいまして、現段階においては、そういった備蓄方式の変更について検討しているという事実はございません。

 それから、先ほど御答弁申し上げた中で、米穀機構の買い入れの時期でございますが、私は誤った答弁を申し上げました。本年三月と申し上げましたけれども、本年八月でございます。大変失礼いたしました。

鷲尾委員 そうなんですよね。これはもう一度見直されたら困るわけです。生産調整をやっている以上、出来秋にまた買い入れるなんという話を政府がやすやすとしてしまっては、これは真面目に頑張っている人たちの顔に泥を塗ることになりますから、こういうことはやめようということで我々も変えたので、ぜひ続けていただきたいなと思っております。

 時間がないので、質問を幾つか飛ばさせてもらって申しわけないですけれども、ふるい目別の作況を発表するという報道がありますけれども、これは何でそういう発表をするんですか。副大臣がせっかくおられるから、副大臣、ぜひお願いします。

あべ副大臣 十月末に公表を予定しております十月十五日現在の稲作の作柄につきまして、八月の日照不足によりまして、登熟にばらつきがございます。作況指数及び予想収穫量だけではなく、ふるい目幅別の重量分布、さらには収穫量、十アール当たりの収量について、従来の全国及びブロック別の値に加えまして、都道府県別の値も公表することといたしております。

 なお、こうした対応につきまして、実際の米取引への影響を現段階で評価することは非常に難しいところでございますが、地域別のきめ細やかな情報を丁寧に提供していくことが米取引の関係者のニーズに応えることになるものと考えております。

鷲尾委員 今おっしゃったように、今後市場にどういうインパクトを与えるのかという話なんですよ、このふるい目別のものを公表したからといって。概算金が下がったときにこういう公表をしていくわけなんですか、それとも、これはずっと毎年やっていくことなんですか。

 もう少し言わせてもらいたいんですけれども、だって、それはもう、市場関係者からいったら、出荷するものはもっと大きいふるい目でやりますよ。つまり、金融的にいうと、もう市場に織り込み済みですよ、こんなのは。何であえてやるのかというところが、いまいち意味がわからないですね。

 では、さっきの質問に答えてください。

松島政府参考人 ふるい目別の収穫量の公表、重量分布ですとか収穫量といったものにつきましては、従前は、都道府県別は行っておりませんで、全国と農業地帯別の数量のみ報告していたところでございます。

 ことしは、先ほどあべ副大臣から御答弁申し上げましたように、八月以降、日照不足によって登熟にばらつきがあるという中で、いわゆる一・七ミリとか一・八ミリとか比較的小さな粒、これは通常、主食用米として流通していない部分がございまして、そういったものがあって、正確に主食用米の流通量を把握していく上でそういった情報が必要だという現場の声もあるというふうに伺っております。

 そういった声に対しまして、本年度につきましては、都道府県別の先ほど申し上げたような数値について公表するということにしたところでございます。(発言する者あり)

鷲尾委員 今委員席から、来年度以降はという声もありましたけれども、これはちゃんと統一してもらわないと困るんですよ。だって、これから需給をきめ細かく農家の皆さんに見ていただくわけでしょう。だったら、情報というのはきちっと定期的に統一したフォーマットで与えていかないと、判断にばらつきが出ちゃうんですよ。それなのに、こんな場当たり的なことをやっていて、私は、農水省は一体何を考えているんだと思います。これ以上もう言いませんけれども、私はおかしいと思いますよ、ことしだけとか。どうしてもおかしいと思います。

 それで、ちょっと時間がないので、概算金の出し方やJAの販売努力について、大臣が、これをちゃんと注視していくと言うんですよ。私は先回の所信質疑の議事録を見させていただいて、大臣が確かに、注視していくという答弁をしているんです。何を注視するんですか。

西川国務大臣 ことしの概算金払いが例年に比べて低かった、これは事実ですね。そうすると、今度、十月十五日の作況でどの程度に作況が落ちつくかというのがこれから判断材料の一つになります。それから、年末に確定的な生産量が決まる、こういうことですね。

 それで、米価が回復するのかしないのか、今はまだ予測ができません。そういう中で、もし概算金が安かった、これからの追加払いも安かったということになりますと、得するのは誰だ。消費者ですね。しかし、農家は、大変な損害をこうむったことになります。

 そして、この低い数字を発表したのは農協であったわけですけれども、それでは、誰が得するのと。回復するのかしないのかわかりません。もし回復しないということになれば、消費者が安い米を買える、こういうことになりますが、作況の結果によってはどういう状況になるかまだ予測ができませんが、追加払いが多く支払われるような状況になったとすれば、なるかどうかわかりません、そういうことでありますと、最初に決めて売った人たち、そして、農協に売っていれば後から追加払いがありますが、農協以外の商業系に売却した人たちには追加払いはありませんから、あとはナラシの金は算定に応じてありますけれども、そういう状況の中で早く売った農家の皆さんが損失をこうむることになるかもしれない。

 そうすると、発信された最初の一〇一、一〇二、こういう数字と同時に、どういう影響が出て、誰が損失をこうむって、誰が得して、どうすればいいか、これは十分検討して、今後こういうことが起きないように努力をしていきたい、私はこう考えております。

鷲尾委員 今大臣がおっしゃったように、損失が出た人たちのことを考えて手当てしましょうというのは、これはある意味、政治の側が本当に市場に介入していく行為だと思うんですね。(西川国務大臣「しませんよ」と呼ぶ)でも、今、損失があった場合、検討されるというお話をされていましたので、私はそういう話をしているんですけれども。

 私は、正直言って、注視をしても、これは皆さんが勝手にやっていることなんですよ、どうしようもないことなんですよ。どうしようもないことを前提に、別の角度から政策を考えなきゃいけないのに、そこにこだわっていたら、大臣がおっしゃるように、ここは一緒だと思いますけれども、いつまでたっても農民の皆さんの苦しい状況は変わらないよということなんです。下手に介入するよりも、そこにこだわらずに、別の政策でしっかりと農家の方の所得を考えていくということの方がよっぽど重要だと私は思います。

 それで、そもそも、農林水産業・地域の活力創造プランで、米生産コスト、全国平均比四割削減が目標なんですよ。(発言する者あり)そうなんです、九千六百円。しかも、これは各紙、もう割り込んでいますから、概算金のベースでいくと。経営努力を重ねても先行きが見通せないという状況だと、皆さん、もう米づくりの意欲はなくなっちゃうと思いますよ。どう思います。

西川国務大臣 先ほど鷲尾委員は、私の発言とちょっとずれた解釈をされたと思います。

 私は、介入することはやりません、これは今の制度であることでありますから。ただ、誰が得して誰が損した、これは我々としてはよく検討して分析しておかなければ、次の政策を組むことができない。そういう意味で、これは、我々は十分調査検討をやります、こういうことをお話し申し上げたところでありますので、御了解ください。

 それから、今、非常に高い生産費が出ていますね。農水省の全国平均の米の生産コスト、六十キロ当たり一万六千円だ、こういうことで今まで計算をやっていたわけです。

 私は、これは平均のとり方が非常に難しいね、大規模だと一万一千円を割るような話もある、そういう中で本当に平均値は幾らなんだろうか、これを投げかけておりまして、これは正しい数字を、今も正しいかもしれませんが、正しいかどうかを含めて、私は今検討をお願いしたところなんです。

 それで、これから四割減をやろう、こういうことでありますから、これは大切な目標でありますから、大規模化をやれば、もう既に一万一千円云々という数字も出ているぐらいでありますから、これは達成できると思いますけれども、どういう状況で達成できるかということを含めて努力して、コスト減に向かっていきたいと思います。

 それと同時に、やはりやらなきゃならないことは、飼料用の米に食用の米をかわっていただく、ここの努力はこれからも続けていきたい、こう思っておりまして、あわせて、大規模農家の経営を応援していくし、一方、どうしても小規模のままやりたい、こういう意欲がある人はそれも応援をしていきたい、こう考えております。

 私どもは、農地中間管理機構、これを導入しました。非常にうまい調子で、今各県で立ち上がっております。東京都以外は大体立ち上がったということでありまして、県によってばらつきはありますけれども、しっかり取り組んでもらっておりますので、農地の集積、集約化をやって、さらには、農業機械費や肥料費等を削減して、四割達成を目指して努力してまいります。

鷲尾委員 まず、その四割削減で、もととなる生産費の正しさをと言いますけれども、農家の皆さんが今のメッセージを聞いたら、おい、では今までのは何だという話になっちゃいますよ。(西川国務大臣「いいです」と呼ぶ)それでいいですか。これは、また農家さんのやる気をそぐ話になっちゃいますよ。

 結局、もっともっと下がっていくという方向でしか検討しないということに近いですよね、今の大臣の発言、ニュアンスからいくと。私、これはおかしいなと思う。そもそも、四割減を目指すと今大臣はおっしゃいました。でも、四割減を目指したって、もう四割減の数値を下回っているんですよ、概算金ベースで。これは相当厳しい状況だと思います。

 目標を立てるのはいいけれども、今の市場の動向、そして今後政府が目指している農政、それこそ需給に応じて生産していく。価格はより乱高下すると思いますよ。この状況からいっても、四割削減というのはどれほど意味を持つんだ、農家さんの意欲を引き出すことに全くならないと思います、規模いかんにかかわらず。

 どうしても言いたいことがあるので、ちょっと質問に交えて言わせてもらいますけれども、私、最初から質問してきましたけれども、結局、今の農政にどうしても欠かせないのは、岩盤対策、戸別所得補償ですよ、どう考えても。こういうことが起こり得るんですから。こういうときのために戸別所得補償というのは機能するんです。そこはぜひもう一度考え直していただきたいと思います。農民が大事なわけですから、党派を超えて、もう一度、我々が提唱した戸別所得補償政策の復活をぜひ政府に求めたいと思います。

 農業の見通しが明るくなければ、担い手なんて絶対育たないですよ。市場に過度に任せたっていいことはないというのが、今のこういう現状だってあるわけですから、さらに任せてどうするんですかと申し上げたいし、安倍政権の目玉である地方創生を考えるんだったら、農業を頑張ってもらわなきゃいけないわけですよ。こんな農家の意欲がその年々によってもどんどん変わってしまう、今大臣から御発言があったように、もっと厳しい目標を課すようなことを言っていたら、全然地方創生になりませんから、岩盤対策をしっかり復活させて、地方創生をぜひお願いしたいと思います。

 ちょっとそのコメントをお願いします。言いたいことだけ言って済みません、大臣。

西川国務大臣 私ども、戸別所得補償と我々の経営安定対策と十分議論したんです。我々は、きょうここにおそろいでありますが、二十二回にわたって検討しまして、今の状況の中で、ほかの作物をつくる人もいます、水田だけに偏っていて予算はいいんでしょうか、こういう議論もありました。それから、納税者の気持ちはどうでしょう、こういう意見も取り入れました。

 そういう中で、私どもは、これは直接支払い七千五百円で進めていこう、こういうことを与党としても決めましたし、政府としてもこれを取り入れた、こういう状況であります。

 今のところは、この方式で進ませていただきたいと考えております。

鷲尾委員 今のところとおっしゃっていただいたので、まだ将来の余地もあるかもしれませんね。ぜひもう一度考え直してください。

 最後に近い質問になってしまいますが、ちょっと日豪EPAの話をしたかったんですね。日豪EPAなんですけれども、今、ちょうどこの臨時国会で閣議決定しまして、法案審査ということになっていますけれども、牛肉の関税なんです。

 発効日に一段階下がりますよ。年度がかわったときに、扱いとしては二年目になるんですよね。年度がかわったときに、また一段階下がる可能性があるわけですよ。そうすると、三八・五%の関税率が二段階引き下がると、冷蔵で三一・五、冷凍で二八・五なんです。影響緩和といっても、一気にこの三カ月、四カ月の間に二段階下がると相当影響があるんじゃないかと思うんです。簡単にコメントしてもらっていいですか、簡単に一言で。

今城政府参考人 日豪EPAの牛肉の関税、合意の内容につきましては、委員おっしゃるとおりでございます。

 ただ、これはまさに今から御審議をいただくことでございますので、発効日がいつかというのは私どもから今申し上げるわけにはいかないということでございます。(鷲尾委員「発効日が年度内だったらどうですか」と呼ぶ)

 したがって、今御審議をしていただいている段階でございますので、発効日については私どもから発言できません。よろしくお願いします。

鷲尾委員 それでは最後に、またこれは大臣にお聞きしたいと思います。

 日豪EPAについては、安倍総理自身が、国内畜産業の存立及び健全な発展を図っていくことができる合意内容と評価しているんです。大臣が農林水産委員長だったときに極めて重要な決議を当農水委員会で行っておりますから、その大臣の見解をお聞かせいただきたい。

 あわせて、セーフガード措置とか将来の見直し規定というのは、TPPの条件交渉でオーストラリアがより不利になった場合は、即時見直さなきゃいけなくなります。ですから、TPP交渉では、この日豪EPAのラインが我々が守るべき最低限と考えていいか。

 この二点について、大臣のお考えをお聞かせください。

西川国務大臣 私どもとしましては、この農林水産委員会の両院の決議が国会で守られたと評価を受けるような決着を目指して努力をしています。

 それから、日豪のEPAと今回のTPPは同じではありません。同じではありませんが、連動するところはたくさんあると思います。ただ、まだTPPについては合意まで行っておりませんで、現在は、日豪EPAの問題とは別だ、こういう解釈をしながら、将来は連動してくるだろう、こういう予測のもとに、しっかり守られたと評価をいただけるように努力を重ねているところでございます。

 以上です。

鷲尾委員 質問を終わります。ありがとうございました。

江藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

江藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。玉木雄一郎君。

玉木委員 民主党の玉木雄一郎です。

 本臨時国会、初めて農林水産委員会で質問させていただきます。西川大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

 農家にとって実のある、そして、わかりやすい議論を心がけたいというふうに思っております。

 きょうは、米政策に絞って議論したいと思うんです。

 お手元の資料をまずちょっとごらんいただきたいんですが、資料一です。これは、山形県のはえぬきの、最近話題になっています概算金のそれぞれの年の払いの推移を書いたものでありまして、大きく三つ谷ができているのをごらんいただければと思います。まずは二〇〇七年、そして二〇一〇年、そして本年、二〇一四年、平成二十六年であります。

 がたんと落ちたときに、これまで、それぞれいろいろな対策を講じてきたと思います。

 政策にはメリットとデメリットがあって、何が百点満点ということはないんですけれども、これまでのさまざまな米政策、対策を踏まえて、これから長もちする、長続きする、本当に農家にとってよりよい政策をしていかなければいけないという思いで今から質問をさせていただきたいと思っております。

 二〇〇七年は、もう皆さん御存じのとおり、後で少し触れますが、いわゆる緊急買い上げをして、相当なお金を使って米価を支えたという対策を打ったときであります。

 二〇一〇年、平成二十二年も、これは政権交代の翌年でありまして、よく覚えているんですけれども、戸別所得補償を入れたので米価が下がったと随分怒られました。因果関係についてはさまざまな議論がありましたけれども、これも後で少し説明しますが、戸別所得補償制度があったことによって、米価は下がりましたけれども、所得は補償されたという事実があります。こういったことを踏まえて、では、今回どうするのかということを議論していきたいと思うんです。

 まず、我々の政権のときに行った戸別所得補償制度、この資料はこの委員会で何度も出しているので、もういいとおっしゃる方がいるかもしれませんが、また出してまいりました。二番の資料であります。

 これは、右に行けば行くほど生産コストが下がっていくという姿をあらわしておりますけれども、ここに、全国一律、反当たり一万五千円、いわゆる固定払い、岩盤部分というふうに呼んでいましたけれども、これをまず講じること。そして、標準的な販売価格を下回った場合には、さらに、これに加えて反当たり一万五千円程度が出るという、二段階の戸別所得補償制度があったわけであります。

 これは、ここに書いているように、平成二十二年度、まさに米の値段が下がった年の状態を書いておりますけれども、この黒の線が、農家手取りということで、六十キロ一万二百六十三円の数字なんですけれども、ここまで下がったもので、これだと、この表でいくと五ヘクタール以上も全てコスト割れをしています、家族労働費を入れれば。

 こういう状況に対して、この右側を見ていただくとわかるんですが、定額部分、変動部分と書いていますけれども、これは、今私が申し上げた反当たり一万五千円を六十キロに換算したときには、大体千七百円が払われました。

 ちなみに言うと、岩盤部分については年内にほとんど、十二月末までに六十キロ千七百円が支払われ、年度末までに新たに六十キロ千七百円が払われて、この年も、大体二千円から三千円、概算金の払いが減る。中には、三千六百円、四千近く概算金の支払いが減った東北地方も、産地もありました。しかし、三千円下がったところに、結局三千円の補填がきいたので、米価の下落にかかわらず、まさに農家所得が補償されたという年でありました。

 これについて、まず事実関係を確認したいんですが、ことしのように米価が、正確に言うと概算金の払いが大きく下落したと言われた平成二十二年の農業所得、それが前年に比べてふえたのか減ったのか、改めて確認させていただきたいと思います。簡単に。

松島政府参考人 済みません。手元に数字はございませんが、前年に比べてふえているというふうに承知してございます。

玉木委員 私の農林水産省からいただいた資料によると、ここはグラフもつくりましたけれども、見ていただくとわかるんですが、資料三ですけれども、平成十八年、十九年、二十年、二十一年、ずっと下落傾向にあった農業所得、この農業所得は、厳密に申し上げると農業の粗収入から農業の経営費を差し引いたものでありまして、これが下落傾向だったものが、二十一年から二十二年、まさに戸別所得補償を入れて、これは二十二年は米価が下がった年ですよ、下がった年に、実は、前年に比べて所得は一七%ふえております。

 これは、右側の日本農業新聞でありますけれども、私は、思い出深いのは、これは初めて予算委員会でテレビ入りで私が質問した日なのでよく覚えているんですが、農業所得一七%増、水田作に至っては三七%増ということになっております。今も政策として続けておりますけれども、飼料米へのいわゆる転作加算でありますとか、水田政策ももろもろやった結果、水田作は三七%ふえている。これは二〇一二年の新聞でありまして、こういうことをやはり農家は今も求めているのではないかというふうに思います。

 午前中の鷲尾委員との議論の中で、いろいろ議論があったけれども、戸別所得補償はやめたということを大臣はおっしゃられました。私は、いろいろな議論はあったんだけれども、農家の所得というものをふやすことにおいては、価格の下落に対してもそういったある種のセーフティーネットとして機能した、そういう役割はあったのではないかなと思うんですけれども、改めて、民主党政権下で行っていた戸別所得補償制度についての大臣なりの評価を教えていただければと思います。

西川国務大臣 農家は生産費に対して全額補填される、こういうことでありますから、農業者にとっては非常に恵まれた制度である、こう思っています。

 私どもも、経営所得安定対策に変えるときに、たくさんの議論をやってきました。一万五千円出せればいいけれども、今の財政事情の中、あるいは、二兆三千億の農林水産省の予算の中で、米に七千億、八千億という数字で予算が使われている、ここで果たして米だけに偏重していいんだろうか、こういう議論をして、最終的には七千五百円を決めさせていただいた、こういうことであります。

 それで、一万五千円の問題、確かに、ほかの作物をつくっている人あるいは納税者の皆さんから理解がいただければ、これは多ければ多い方がいいと思いますけれども、私どもはそういうことを十分検討した上に、経営安定対策でいこうということを決定した、こういうことでございます。

玉木委員 納税者の理解を得ることは極めて大事だと思いますね。

 今大臣、九千億あるいは七千億、そういった数字は出ましたけれども、この戸別所得補償制度で大変誤解があるのは、ぜひこの委員会の皆さんも御理解いただきたいのは、岩盤部分にかかったお金は千五百億円です。変動部分も大体千五百億用意しましたけれども、生産調整に加入することを交付の要件にしたので、実は、この年は変動払いが払われましたけれども、変動払いが払われない年は千五百億円使っていませんから、その意味では、いわゆる戸別所得補償制度に使っているお金は千五百億円なんですね。

 先ほど、農水省の限られた予算ということで言いましたけれども、いわゆるペイ・アズ・ユー・ゴーを最も真面目にやったのは、ここに篠原筆頭がいますけれども、当時の農林水産省でありまして、いろいろな批判がありました。ただ、NN予算、土地改良の予算を削ったり、ほかのを削って何とか持ってきて捻出したという意味においては、役人の皆さんも非常によく頑張っていただいたなというふうに思っているので、私は、政局にまみれてしまったことは非常に残念かなと思っているんですが、この所得補償が持っていた、機能としていい部分については何らかの形で引き継いでいただければなと思っているのが正直なところであります。

 その上で、質問に移りたいんです。私は、大臣には大きい質問しかしません。細かいのは事務方にお答えいただければと思うんです。

 午前の審議でもありましたけれども、今回、概算金が下がっている、そのことに対して、対策を打とうとか、あるいは作況指数の表示の仕方を変えようとか、涙ぐましい、いろいろな努力がされているんですが、そもそも論としてお聞きしたいのは、概算金の払いが下がっていること、これが米価そのものの下落につながるのかどうかは、もちろん、待ってみないとわかりませんが、そもそも、今、安倍政権が進めておられる農政改革の中で、今回のような米価の下落はいいニュースなのではないですか。

西川国務大臣 これは先ほども申し上げましたが、私は農林水産を担当しておりますから、やはり農家の所得を考えなきゃなりません。そういう意味では、この八千円前後の概算金という数字が出たときに、私は、本当に農業者にとって不安はどうなるんだろう、こういうことを感じました。

 そういう意味で、これから、この概算金の扱い方、過去にも同じような状況がありまして、一気に上げましたけれども、どういう形が生産者にとっていいのか、ここは私どもは真剣に取り組んでいきたいと思いますし、私は農林水産業を発展させる立場でありますから、この概算金払いについては、数字云々じゃなくて、もう少し配慮がなされてもよかったのかな、こう受けとめています。

玉木委員 私が申し上げたいのは、さきの通常国会で、我々は、政府提出法案と我々が出した法案を徹底的に議論して、いい議論ができたと実は思っております。

 私が、米価の下落、概算金の下落がいいニュースではないんですかとあえて申し上げたのは、これは一部の政党の皆さんもそういうお考えを共有されているんだと思いますが、我々は、例えば、所得補償をすることによって小さな農家を温存してしまう、あるいは、そういった補助がなければ、本来、少なくとも米作からは手を引いて、他の産業、他の作物に行っていた人がそこに温存されるので、集約化が進まない、あるいは構造改革が進まないという批判を随分されました。

 そんな中で、我々はあえて太陽政策と北風政策というふうに呼んだんですが、安倍政権になって、特に去年の十一月ぐらいから私は農政は大きく変わったと思っているんですけれども、ある意味、ハードランディング路線。ある意味、非効率にやっている、特に米の農家については少し御遠慮いただいて、離農促進とまでは言いませんけれども、余り無理して米をつくらないで、高齢だということもあり、例えば中間管理機構に出してはどうですかと、そうして、たくさん出てきたものをいわゆる担い手に集約していくということをより積極的に進めるという方針だと私は今も理解しているわけです。

 その中で、例えば新聞なんかで見ておりますと、自民党の部会の中でも、例えばナラシの要件を緩和してくれとか、払いを年内にしてくれとか、そういう議論が幾つか聞こえてきますけれども、私、これはどうしてなのかなと不思議に思うわけですね。我々の立場なら、そう言います。

 個々の農家、一人一人の農家が死んでしまうと、私は体の細胞に例えてよく申し上げましたが、一つ一つの細胞が死んでしまうと、死んだ細胞を幾ら集めても生き生きとした体にならないんですね。今問題なのは、小さくても大きくても、今耕作をしている方が耕作の営農継続をしていただいて、それを緩やかに、着実に集約、集積に持っていくということが大事だ。これを我々は、静かな構造改革というふうに呼んでおりまして、全国一律単価の所得補償制度はこれをしっかり促してきたという思いがあります。

 資料四を見ていただくとわかるんですが、うちは香川県という全国で一番小さい県でありまして、平均的な耕地面積も全国の約半分であります。連担化が非常に進みにくいので、実際、まとめようとしたら、それはやはり集落営農組織をつくるのが現実的なんですね。

 所得補償を入れたことによって、今まで預けた人が全部戻して、いわゆる貸し剥がしが起こるとか、そういうことも随分批判されて、そういう集団化とか集落営農組織化がおくれるということが所得補償制度の批判の大きな柱でありましたけれども、これを見ていただくとわかるんですが、二十二年、先ほど言った、所得がある程度安定したなという見通しが立ったこともあって、いっぱい農地を集めてやっても、仮に米価が下がっても、きちんとした所得補償が入るから、ある意味、集約化すること、大規模化することのリスクから解放されたんですね。そのことによって、二十三年度はそれまでの傾向から大きく、非連続的に、集落営農組織化がぐっと進みました。これもファクトです、事実であります。

 こういうことを通常国会の間に随分議論をしたんですけれども、ただ、もうこの路線はとらないということになったわけです。一番大きいのは、多分、今の政府・与党と我々とで意見が分かれるのは、米については高い国境措置があります、これ以外には一切の対策は要らないというのが今の政策です。私は違うと思うんですね。

 ただ、いろいろな議論をする中で、高い国境措置がある米については、いわゆるゲタ、ナラシが用意されている麦とも違って、内外の条件不利さもない。一切そういうものがないので、ゲタ、ナラシも要らないし、ほかのあらゆる所得政策、価格政策も全部要らない、関税一本でいいということなので、それは大丈夫ですかといって随分疑問を呈し、それだと米価は下がりますよ、それでもそれは放置するんですか、構造改革に資するから本当にいいんですかと聞いたら、そうですという方向だったので、かじを切られたのかなと思って、それはそうとして、意見は違いますけれども、納得はしたんです。

 それで、この出来秋です。概算金が下がりました。それに対して、やれ、ナラシの交付対象の拡大だ、人によっては、緊急買い上げをして米価を支えなきゃいけないんだとか、あるいは、先ほども出ましたけれども、作況の発表の仕方をちょっと変えて、少し引き締まったような情報を出した方がいいんじゃないか、いろいろ出てきていますよ。でも、こういうことから手を引いて、ある種、市場原理に任せながら改革を進めていくというのが今の安倍政権の農政ではなかったのかなということを、いろいろ議論を聞けば聞くほど、私自身は非常に混乱をしていくわけであります。

 まず、もう一度改めて聞きたいんですが、大臣か、あるいは事務方でも答えていただきたいんですが、いわゆる、一番最初、資料一で見せましたけれども、二〇〇七年にやったような緊急買い上げは決してやりませんね。

松島政府参考人 委員から、需給を締めるための緊急的な買い上げの可否の御質問でございました。

 豊作や需要の減少によりまして米の供給が過剰となった際に、国が直接市場に介入して政府買い入れを行うということにつきましては、食糧法上、政府買い入れは備蓄の円滑な運営を図るために行うものであり、需給調整のために行うこととなっていないということもございますので、これは適当ではないというふうに考えているところでございます。

玉木委員 もう一つ答えてほしいのが、先ほど、鷲尾委員との議論の中で、原則はやらないというような答弁をされたと思うんですが、これは現行法制上できませんね。できますか。

松島政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたように、食糧法上、政府買い入れは備蓄の円滑な運営を図るために行うものということでございますので、需給調整のための政府買い入れは適当でないというふうに考えてございます。

玉木委員 需給の調整のため、すなわち価格を高く維持するために緊急買い上げをするようなことは現行法上できないと理解していますので、やるべきではないと思いますし、今の安倍政権の構造改革を進めるという路線からすれば、価格に国家が変に関与することは絶対にやめるべきだと思いますよ。そうしないと、政策の方向性がちぐはぐになると思いますので、この点についてはさまざまな要請もあると思いますけれども、私は、政策体系を整合的に進めていく上では、これはやはりとるべきではないと思います。

 もう一つ、ナラシの議論も午前中いろいろ出ましたけれども、よく、面積で四〇%、戸数ベースでいうと七%とか、それぐらいしかカバーされていませんねと。資料の五に参議院のやりとりを書いていますけれども、六・七ですか。ちなみに、地元の香川県で聞いたら、ナラシに入っている人はどれだけいるのと言ったら、戸数ベースでいうと二%です。二%ですから、ほとんどこれは入っていないのかな。面積でいうと、もちろん、集約化が進んでいますから、三〇%ぐらいにはなるんだと思いますが、戸数でいうと二%ですね。

 これについても少し要件緩和をしましょうみたいな話が出ていますけれども、私は、通常国会における議論を踏まえれば、我々は当然それはやったらいいと思うんですが、これまでの議論を踏まえたらやはりやるべきじゃないと思うんです。

 何でかというと、我々は、全ての販売農家がこういったことも対象になるべきだということによって、標準価格より下落したときには、先ほど申し上げたような、反当たり一万五千百円、六十キロに直すと約千七百円、年度末に出しました。でも、それがばらまきだと随分批判をされたので、限定して限定してということでナラシということだったので、ここも余り広げるようなことは、というか、広げるようなことは基本的にはないと私は思うんです。

 なぜかというと、対象要件を緩和したり、あるいは九割じゃなくて十割にしろという要求というのは、一言で言うと、民主党時代の戸別所得補償制度に近づけてくれという要請と同じなんですよ、ある意味。一緒です、それは。我々も、新たな法案を出して、生産者拠出を求めるのに変動の部分は変えていますから、さきの通常国会に出した変動部分とは全く一緒ですよ、それは。前の、一番オリジナルの、生産者拠出を求めないものだったら違いますけれども、あれは新たに、そこはナラシと統合した上で新しい法案を出し直していますから、その意味では一緒です。

 我々はそうしてほしいんですが、ただ、そういうことをしないということを何度も答弁されていたので、与党内からはナラシの要件緩和についてはいろいろな声が出ておりますけれども、これも、基本的には私はしないと理解しているんですけれども、そういう理解でよろしいでしょうか。

奥原政府参考人 ナラシ対策の要件でございますけれども、さきの通常国会で担い手経営安定法を改正したわけでございます。二十七年産からは、この対象となる担い手につきまして、認定農業者、集落営農に加えまして、認定新規就農者を追加する。それから、いずれについても、従来ありました面積の規模要件は課さないということにしたわけでございます。

 こういうことで、農業で生計を立てていく意欲と能力のある方は、認定農業者になって、このナラシ対策に加入することができるようになったわけでございますので、これをきちんと守ってやっていきたいというふうに考えております。

 それから、もう一点、このナラシ対策に加入する集落営農、こちらの要件につきましても、前回の国会で御説明いたしましたけれども、要件を変更いたしまして、組織の規約を定めていることと、それから対象作物の共同販売経理を行っていること、この二つの要件を満たしていただければ、集落営農としてナラシ対策に加入できるということにしたところでございます。これをきちんと守って、加入促進を図っていきたい、こういう考え方でございます。

玉木委員 今の局長の答弁でいうと、原則、ルールは変えないというふうに理解をいたしました。

 これを私は批判しているのではありません。政策的な整合性をとるのであれば、いたずらに、先ほど言ったような緊急買い上げをしたりとか、あるいはナラシの要件を、概算金の払いが減ったからといって場当たり的に緩めたりするようなことは、今まで政府・与党がおっしゃっていたことを貫くのであれば、ここで余り中途半端なことはされない方がいいのかなというふうに思います。

 ただ、では、私はそのことに対して同意しているかというと、先ほど申し上げたように、やはり根本的にちょっとそこは考え方が違っていて、一番心配しているのは、ことし、この概算金の払いが下がりました。これからどうなるかわかりません。

 ちなみに、平成二十二年も二、三千円下がりました。後で追加払いがあったところもあります。ただ、なかった産地もあります。しかも、追加払いが行われたのが実は二月だったり三月だったりする産地もあったので、年末までの支払いに間に合わないというようなことが懸念されたときに、所得補償があった、特に岩盤部分は年内に払われたということが実態であります。

 ですから、今回そういうセーフティーネットが非常に弱くなっている中で、今回の概算金の払いが下がっていることについて、どう覚悟を決めて向き合っていくのかということが実は極めて大事だと思っています。

 ですから、政策を大きく変更するときはさまざまな問題、ひずみが生じると思うんですが、ここで頑張って、ある意味、構造改革を進めるんだということをもう決められたわけですから、余りじたばたしない方がいいのかな。

 その件でいうと、先ほどちょっと気になったので大臣にお聞きしたいんですけれども、全農に対してもうちょっと頑張れというのは、大臣だけじゃなくて、農家もみんな思っているわけですね。ただ、私は、その中で少し気になるのは、全農の株式会社化なんです。

 今のままだと、基本的に、ある種、出資者、株主は農家ですよね。ですから、農家のために頑張る組織だということなんですが、株式会社化して、いろいろな経営体がありますが、農家以外の株主が入ってきますね。そうすると、彼らの利益のためにも頑張らなきゃいけないような、仕組みによってはそうなります。そうなるとどうなるかというと、私がある種、ぴかぴかの株式会社化した全農だったら、申しわけないけれども、農家にはたたきますよ。できるだけ安く仕入れて、できるだけ高く売ろうとします。

 誰がもうけたんだとか、誰が得したんだと大臣はよく見るとおっしゃいましたね。めちゃくちゃもうけますよ。ただ、それは、もうける動機が組織に入っているからです。こういうことが起きている中で、全農の株式会社化を本当に進めていいのかどうか、私は疑問なんです。

 規制改革会議とか官邸の皆さんは、新自由主義か資本主義か何かいろいろなのが好きなのかもしれませんけれども、やはり、この協同組織の意味、農業協同組合あるいはそのグループが持つ意味というのも、実はこれは世界的に重要視すべき点があるんですね。

 その意味で、こういうふうに概算金の支払いが下がっている中で全農の株式会社化をしてしまうと、こういう農家への支払いを、むしろさらに低減させることを助長してしまうんじゃないか、こういう心配を私は持っているんですけれども、いかがでしょうか。

奥原政府参考人 全農の関係でございますが、本年六月に与党で取りまとめられました農協改革の考え方、それから政府の方では農林水産業・地域の活力創造プランの中に入っておりますが、この中におきまして、全農については、農産物の有利販売に資するために大口の実需者との安定取引関係の構築に努めるとか、それから、農業の発展に資する経済活動を、経済界と連携して積極的に展開するといったことが書かれております。

 また、こういった経済界との連携を迅速かつ自由に展開するために、これは選択によりということでございますが、農協出資の株式会社に転換できるようにするといったことが盛り込まれているところでございます。

 仮に全農が株式会社化されるといたしましても、その株主は、現在の出資者である農協等でございます。したがって、農協、ひいては農業者の利益に資するように運営されるのが当然というふうに考えております。

 農協であろうと、株式会社であろうと、構成員、農協の場合には組合員ですし、会社であれば株主ということになりますが、この構成員の利益になるように的確に事業を運営すべきことは、何ら変わりがございません。

 この二つの違いは、株式会社の場合には出資配当を原則としておりますけれども、農協の場合には、協同組合の考え方に即しまして、出資配当には法定の上限がございます。配当は利用高配当を基本とする、これが農協の考え方でございますが、違っているのは基本的にこういった点でございます。

 全農が農産物の安定的な販路を拡大していくことができれば、組合員に払われる米の代金、これは相応の水準が確保できるはずでございますので、株式会社になったからそれができなくなる、あるいはやりにくいということではないものというふうに考えております。

 ただ、いずれにいたしましても、全農を株式会社に転換するかどうかは全農自身の選択によるものということでございます。

玉木委員 そこは慎重に議論した方がいいと思うんですね。

 一般的に、JAグループとか全農がけしからぬと言う人は、要は、農協は商社になったらいいんだと。よく聞きますよね、大臣、そういう話も。単なる商社になってしまったら、私はいかぬと思うんですよ。商社になってしまったら、当然たたきますから、たたくことが正しい行動ですから。こういうことにならないように、総合的な農政の体系の中でどうやって位置づけていくのかということを、やはりしっかり考えていただきたいなと思っております。

 米価の話に戻りますけれども、私が心配しているのは、先ほど言ったように、今の農政は、このままいくと、米価はだんだん下落傾向に行くんじゃないのか、あるいは主食用米の過剰作付はやはりふえていくのではないのかと思うんですね。

 このことは何度も委員会でもやりとりさせていただきましたけれども、いや、飼料米を、しっかりインセンティブをつけてつくってもらうので、主食用米は引き締まっていきますと。米価がこれからどうなるかについては、今まで一度たりとも答えてもらったことがないんですね。石破農水大臣のときにやったような石破シミュレーションを私は出してくれと何度も要求したんですけれども、これも出てこない。農家は不安ですね、どうなるかわかりませんから。

 不安な要素がさらに幾つか出てきています。二つ申し上げます。

 一つは、大臣も委員長時代に深くかかわられた日豪EPAなんですね。

 私は、きょうは牛肉のことは聞きません。私が聞きたいのは小麦のことです。しかも、主食用の小麦ではなくて、飼料用の小麦のことであります。大臣は非常にお詳しいと思いますが、今回、日豪EPAの中で、実は、飼料用の小麦は無税化されています。

 私は、このことが実は牛肉以上にインパクトを与えるんじゃないかと思って心配しているのは、なぜかというと、西川農水委員長時代に、あの決議をしたときには、TPPでいうような重要五項目を守りましょう、国内と競合するものはちゃんと国境措置をつくりましょうというようなメッセージは明確に出されていますが、当時、今ほど飼料用米対策、飼料用米に農政の多くを寄せてやるようなことはなかったわけですね。

 でも、今、小麦、確かに競合する小麦は飼料用ではないです、日本は。ただ、餌米、飼料用米をこれからどんどんつくって、それをつくった人にはすごい補助をするので、主食用米が結果として引き締まるから、米価も何とかいけますね、こういう政策だと思いますが、今回のように飼料用の小麦が無税でどんどんオーストラリアから入ってくると、今、世界的にも穀物価格が少し軟調になっていますから下がりますよね。

 そうすると、立派な水田でつくった餌米も、ここまで下げないと餌としての勝負はできませんね。そうなると、水田でつくるとコストはそんなに変わらないわけですから、埋めるべきギャップ、補助なり交付金なり、ここがさらにどんどん広がっていく、あるいは、飼料用米というものに対しての需要が、小麦と比べて、あるいはトウモロコシなどと比べて価格競争力が相対的に劣っていくので、国内の飼料用米対策に大きな影響を及ぼすのではないかと思っているんですけれども、この日豪EPAの飼料用小麦の無税化についてどうお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。

    〔委員長退席、宮腰委員長代理着席〕

松島政府参考人 まず、日豪EPAにおきまして、飼料用小麦につきましては、現行では国家貿易制度のもとでSBS方式で輸入されておりますけれども、これを民間貿易化して無税にするという約束となってございます。

 しかしながら、現在の国家貿易制度のもとでの輸入につきましても、政府からの売り渡しに当たりましては、実費しか徴収してございません。したがいまして、ほぼ既に無税になっているというふうにお考えいただけると思います。したがいまして、民間貿易化し、また無税化することに伴う飼料用麦の価格低下といったことは余り想定していないところでございます。

 さらに、飼料用麦と飼料用米の競合関係といいますか、飼料用麦によって飼料用米の需要が減ってしまうのではないかという御指摘がございました。

 飼料用麦につきましては、同じ餌として使われておりますトウモロコシや飼料用米と比べまして、たんぱく質は高くて、脂肪や栄養価がやや低いという違いがございます。

 そういう栄養素の違いはございますけれども、現実には、飼料用メーカーは、原材料価格の動向などを踏まえまして、配合割合を適宜調整しながら、配合飼料をつくっているという実態がございます。

 さらに、飼料用麦の価格でございますけれども、ことしの八月時点で、トウモロコシやトウモロコシと同等の水準になります飼料用米に比べまして約一割程度高い水準にございます。したがって、今回の日豪EPAの合意によって、飼料用麦が、トウモロコシや飼料用米に対して、価格面においても、また栄養面においても競争力を増していくということはないというふうに考えてございます。

玉木委員 随分楽観的ですけれども、そこはやはりきちんと対策は考えておくべきだと思いますよ。

 もう一つ、二つ目の懸念のものは、資料七を見てください。

 これも大臣もお答えになっておられましたけれども、財務省が飼料用米の単価は高過ぎるということを、まあ、この季節になると財審の分科会がいつも出すんですけれども、ここで、最後のとりでみたいにして飼料用米にすごく寄せる政策をしているのに、これがまかりならぬということになってしまうと、今の政策体系ががらがらと崩れてしまうのではないか。

 確かに、財政状況が厳しいのもよくわかりますけれども、これは農家も心配していますけれども、飼料用米に対しての交付単価あるいは手厚い補助というのは、これからもずっときちんと続けていただけるのでしょうか。農家に対して明確なメッセージを、あるいは財政当局に対する思いもあれば、明確におっしゃっていただきたいと思います。

あべ副大臣 委員がおっしゃったように、二十日月曜日、財政制度審議会の制度分科会におきまして財務省から配付されました資料の中に、飼料用米などの助成についての言及があったことは、私どもも承知しているところでございます。

 今回の米政策の見直しは、四十年以上続いてまいりました米の生産調整を見直し、行政による生産数量の目標の配分に頼らずとも、農業者がマーケットを見ながらみずからの経営判断で作物をつくれるようにするとともに、需要のある麦、大豆、飼料用米の生産を助成し、その振興を図ることによって農地のフル活用を図りまして、食料自給率と自給力の向上をあわせて図っていくこととしているものでございます。

 この見直しの中で、水田活用の直接支払交付金については、主食用米との所得差が生じないようにすることを基本として単価を設定した上で、飼料用米について、単収向上の取り組みへのインセンティブといたしまして、私ども、数量払いを導入、十アール当たり最大十・五万円とするとともに、地域の実情に応じて独自の支援が行える産地交付金を充実させたところでございます。

 水田のフル活用を一層推進するために見直しを行ったところでございまして、今後とも、生産者が安定的に取り組めますよう、この飼料用米の生産の支援を適切に行ってまいりたいと思っております。

玉木委員 飼料用米の予算というのは、実は余りふえていないんですね。何でかというと、反当たり八万円だったものを最大十万五千円までふやしていますけれども、逆に言うと、単収より少なかったら五万五千円まで下がりますから、トータル、合わせて見ると、確かに十万五千円もらえる人もいれば、今までだったらどんな人でも八万円もらえたのが、五万五千円まで下がる人もいるので、余り予算は、そんな言うほどふえていませんよ。

 だから、予算獲得も含めて本当に本気でやらないと、これは大変なことになります。結果、よってもって主食用米が引き締まりませんから、米価は下がる、下がったときに所得補償もない、ナラシを受ける対象も限定されている。そうなると、もう離農はどんどん進むような気がしますよ。

 ですから、財源的な明確な手当てがないのに余り楽観的なことばかり言っていると、結果として離農と耕作放棄地をふやしてしまう結果になりかねないので、その点については、やるならやるで、気合いを入れてやるということをぜひやっていただきたいと思います。

 最後に、その意味で、農業所得について質問して終わりたいと思います。

 これも何度もこの委員会でやったんですが、資料の八を見てください。

 これは、昨年の六月五日に私が農林水産省からもらって、委員会でも使ったんですけれども、今大体三兆円ある農業所得を、六兆円に農業、農村所得を倍増しようということなんです。この内訳を当時聞いたら、二つに分かれていて、三兆が六兆になるので三兆円ふえるんですけれども、一兆円分は、いわゆる農業所得本体が一兆円ふえる、三兆が四兆になると。残り二兆は何かというと、六次産業化関連がどわっと十倍ぐらいにふえるので、そのうち農家に関係するものが二兆円ぐらいふえますということなんですが、私の質問は、農業の所得本体が一兆円ふえる部分、ここが、一体どんな作物をどれだけつくってふえるようになっているのか。

 当時は、今、安倍政権は毎年二%の物価上昇を目指しているので、一・〇二掛ける十乗したら大体一兆円ぐらいふえるみたいな、そういう説明だったんですが、もうあれから一年四カ月たっていますから、さすがに多少の積み上げはできているのかなと思っていて、農家も期待していますから、この所得増、倍増のうち、特に農家の所得がふえる部分ですね、どんな作物でどれだけ所得がふえるように計算しているのか、積み上げを教えてください。

    〔宮腰委員長代理退席、委員長着席〕

西川国務大臣 先ほどの餌米の関係がありました。委員も査定側におられたから、恐らく餌米がどんどんふえていくということには、私は予算上はブレーキがかかってくると見ています。しかし、これはブレーキがかかってこようがこまいが、私どもは、農業生産をバランスのとれたものにするためには餌米をやってまいります。そのために、財政当局との話もこれからありますけれども、安心してつくれるようなそんなものに仕上げていきたい、こう思っています。

 それから、農業所得の問題ですけれども、確かに、当初は、アベノミクスの二%成長、十年で二〇%成長しますね、食の全額は九十四兆円ぐらいですから十九兆円ぐらいふえます、そうしたら半分だけ農業所得にくれませんか、こういうことで、全体のパイでの計算はやってきたんです。

 しかし、今、農業生産額は約八・五兆円ですね。それをダブル計上していけば九兆三千億ぐらいの農業生産額になりますが、この八・五兆円の農業生産額の中で、果たして農家が取る所得は幾らあるということを今議論しています。

 それで、今までは、統計上使われている農業所得というのは、家族労働費の扱い方が、私どもが目指す産業としての扱い方と違っております。そこを、やはり農業も産業でありますから、家族労働費を全てきれいに払った上に、果たして幾ら残るんだ、そして、そこで幾らふやしていけばいいんだ、こういうことを今計算をしていまして、三月末の農政審議会にはしっかり作物ごとに出せるように今詰めている、こういうところでございます。

玉木委員 農家所得については、選挙公約なら、粗っぽい、倍増とか言っていいと思うんですよ、余りうそをついちゃいけませんけれども。ただ、もうそろそろきちんと詰めてやらないと、農家は幻想に振り回されてかわいそうです。

 ですから、先ほどの、米価が下がったことについても、何か補填があるように期待を抱かすこともやめるべきだと思いますよ。むしろ、下がって、やめていただくなら、やめていただくというメッセージを出したらどうですか。混在したメッセージが今農村にあふれていることが、私は大きな問題だと思うんです。

 さっき申し上げたように、所得補償をきっちりするというのが我々の考えです。ただ、そうじゃないことをとっておられて、むしろ米価の下落をうまく利用しながら構造改革を進めるのであれば、そういったことをきちんと言うこと、米をつくっていたのでは必ずしも所得は上がりませんよということも含めて、正直に政府の方針を伝えることが、本当の、今、安倍政権の目指している農政改革につながると私は思いますので、誠実な情報発信と、そして真摯な政策対応をお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

江藤委員長 次に、鈴木望君。

鈴木(望)委員 維新の党の鈴木望と申します。

 私は、どちらかといいますと、文部科学関係を自分の国会におけるメーンのテーマというふうに考えているものでありますので、きょうは、午前中からずっと米価の関係で集中的な審議が行われているわけですけれども、ちょっと異なった切り口で、米価問題の重要性といったことについて質問をさせていただきたいと思います。西川大臣、よろしくお願いいたします。

 まず、大臣にお尋ねをさせていただきますけれども、西浦田楽というのは御存じでしょうか。これは事前に質問通告をしてありませんので、大臣にお答えいただかなくても結構でございますけれども、多分、農業に博識な大臣は御存じかもわかりませんが、実は、こんな神楽といいますか田楽なんですね。

 これはどこで伝えられているかといいますと、私の選挙区の、天竜川を挟んだ西側にあります、静岡県西部の北遠州地域の、今は浜松市でありますけれども、旧水窪町に伝わる田楽であります。

 水窪町は、長野県との県境の町でありまして、この長野県と静岡県の県境の地域は、古くから神々が住む里と言われているところでございます。ですから、こういう田楽が千三百年もの間伝わっているわけであります。千三百年間伝わっているわけですけれども、毎年、旧暦の一月十八日、月の出から翌日の日の出まで、全く寒い観音堂の中で夜を徹して舞われるわけであります。

 ここで、私がなぜその田楽を持ち出したかといいますと、実は一九七六年に国の重要民俗文化財第一号に指定をされましたけれども、非常に特徴的なのは、旧水窪町の西浦地区というところの二十四戸の家が代々これを守り伝えてきたわけでありまして、しかも、二十四戸の家の長男がそれぞれその家に定められました役割を守って、ずっとこれを千三百年間、七一九年から始まったと言われておりますけれども、千三百年間伝えられてきました。

 現在は、二十四戸ある戸数が十五戸まで減少をしまして、長男だけで伝えるというのは無理だということで、次男、三男がもう総出で、今、何とか守り伝えている。まさに存続の危機に瀕している伝統芸能、国の重要民俗文化財ということであります。

 これは象徴的な例で言わせていただいたんですけれども、中山間地の限界集落は、まさに消滅の危機に瀕しております。重大なことは、集落が消滅をしてしまうと、そこに住む人がいなくなってしまうということだけじゃなくて、今言わせていただきましたように、西浦田楽のような国の貴重な文化、伝統、芸能といったものまで一緒に失われてしまうということであります。そして、この中山間地の経済や生活、生計を支えてきたのが、端的に言いまして米、米価だというふうに、私も田舎に住んでおりますので、身にしみてそういうことを思うわけであります。

 大臣におかれましては、米価問題が限界集落の消滅や、それと密接な関係にある伝統文化の消滅とも深く結びついているということをぜひ御認識されて、この米価問題にもちろん取り組まれていると思いますけれども、そこら辺の認識についてお尋ねをしたいと思います。

西川国務大臣 鈴木委員には、今、天竜川西の西浦地区の田楽の話を興味深く聞かせていただきました。その中で、二十四戸ある農家が、長男がみんな責任を持ってこのお祭りを続けてきた。しかし、今では戸数が減ったために長男だけではできない。それが結局、やがて人がどう住んでいく地域になるんだろう、こういう御心配をされている。さらにはまた、米が一番の決め手であったということをお伺いいたしました。

 この田楽については、改めてまた勉強させていただきたいと思いますが、私も確かに米経済であったと思うんです。しかし、これは残念ながら、需要と供給のバランスが崩れて、米価の下落が農業者にとっては大変痛い打撃を受けた、これもしっかり受けとめていきたいと思います。

 今、私は農水省の皆さんに廃屋調査をやってくれとお願いしたばかりなんです。それで、廃屋をどう、にぎわいを取り戻すときに使えるか、それとあわせて、耕作放棄地に牛を放牧して蹄耕法でもう一度戻せないかとか、たくさんのことを今やっておりますが、米が貴重で、米価が社会を決めてきたと、ここは改めて認識をさせていただきましたことを申し上げます。

鈴木(望)委員 ありがとうございました。

 ぜひ、全て農水省でやっていただきたいということじゃなくて、政府で、その中心は米価を抱えている農水省だとは思いますけれども、多方面にさまざま影響がありますので、政府一体となって、米価の下落が及ぼす影響についてきめ細かな対応策をとってもらってやっていただきたいと思います。

 それでは、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 限界集落にとりまして同様に深刻な問題となっておりますものが、また集落の人々のやる気を著しくそいでいるものが、鳥獣による被害であります。

 まず、国は鳥獣被害対策としてどのような対策を講じているのか。特に、私は、狩猟とかハンターの確保対策だけでは済まないんじゃないのかなという観点を持っているんですが、全体として、ごく手短に御説明をお願いしたいと思います。

松島政府参考人 委員から、鳥獣被害対策にどのような対策を講じているのかということでございますけれども、鳥獣被害防止措置法という法律がございまして、これに基づく市町村の取り組みというものを支援するために、例えば、わなやおりなどの捕獲資材の購入や侵入防止柵の整備への支援ですとか、それから捕獲者の確保と技術向上のための射撃場の整備などへの支援ですとか、それから、今お話がございました捕獲の担い手の確保という観点からの、例えば狩猟免許講習会の開催経費への支援、こういったものも実施しております。

 また、鳥獣被害防止緊急捕獲等対策ということで、これは補正予算によって措置されている対策でございますけれども、鹿などの捕獲数に応じて一頭当たり八千円を支払うといったような形で、鳥獣害の被害防止のためにさまざまな支援措置を講じているということでございます。

鈴木(望)委員 ありがとうございました。

 私の地元は、俗に言う、非常に田舎の地域でございますので、その実情を少し申し上げますと、幹線道路からちょっと入った集落、そこに主に生活しているのは高齢者の方ですね。子供たちは町の方へ出ちゃっているというのが多いわけで、そういう高齢者の方々が、昔からやっていた農業をやっている、自分で食べる分だけはつくれるからというようなことで庭先に畑とかを持っていまして。

 そういう私の支持者のところにお伺いしますと、庭先の畑のところに、たこ糸のようなものが畑を囲っておりまして、もちろん私も知っておりますけれども、結局は、電流が通っていて、イノシシよけですよね。夜、イノシシが来て、電流が通っていまして、その電流のところに鼻をつけると、イノシシは電気で驚いて、その畑の作物を食べないというようなことをやっている。それが家の真ん前なんですね。しかも、町からちょっと離れた、幹線からちょっと外れたような集落でも、そういうことをやらざるを得ないというような状況です。

 もう年をとった、そこに住んで何とかその集落を維持しているような方々も、自分が食べる分の根菜類やそういったものをイノシシがどんどん食べちゃう、また、ほだ木のシイタケを猿がとって食べちゃうとか、家の中にも猿が入ってくるみたいな状況があると、ここではもう暮らせないから、町へ行って、息子とか娘のところで一緒に暮らそうかとかというような気持ちが起こるというのは無理からぬことであります。しかも、猟友会とかそういう人たちを見てみますと、もう高齢化も甚だしい、数も減っている。そういう人にいろいろと助成措置とか何かしても、限界じゃないのかなというふうに私は思います。

 静岡県も広くて、伊豆の方で、鹿の捕獲中に猟銃の誤射で仲間が死亡してしまったというような事故もございました。

 そういうことから考えると、新たな鳥獣対策というのを考えるべきじゃないのかなとも思うわけでありまして、その一つは、静岡県で今一生懸命開発しておりますけれども、牛とか鹿の反すう機能を利用した硝酸塩を入れた餌です。これは、反すう機能を利用して、酸欠状態にして動物が死に至るということで、その肉を食べても危害はないわけであります。そういったものを活用することについてお尋ねをしたいと思いますが、いかがでしょうか。

小川政府参考人 薬物を用いました鳥獣の捕獲についての御質問にお答えいたします。

 静岡県の研究機関で検討しております薬物を活用したニホンジカの捕獲手法につきましては、環境省でもお話を伺っておりますけれども、現在はまだ研究段階のものであるというふうに承知をしております。

 今後ですけれども、研究が進みまして実用化された場合でございますけれども、この薬物では、ニホンジカのほかにカモシカなどの反すう動物にも影響があるということでございます。したがって、環境省としてもその取り扱いをしっかり考えていく必要があるというふうに考えております。

 鳥獣法では、毒薬などを使用する猟法は、危険猟法として、許可制をとっているところでございます。

 この薬物を利用した猟法につきましても、その効果と周辺の生態系への影響なども踏まえつつ、研究の進捗状況に応じまして、その取り扱いについてよく検討してまいりたいというふうに存じます。

鈴木(望)委員 そういう対応だから何事も前に進まないんだろうというふうに私は思うんです。

 安全性はどうかという観点でいうと、これは、草食動物の反すう機能を活用して、酸欠に至らしめて死ぬ。ただ、血液の色が変色するものですから食用には適さないんだけれども、ほかの動物とか何かが食べても何にも危険じゃないわけですね。何でそれを危険猟法とかというのにしなきゃいけないのかどうか。

 ちょっとでも新しいことがあると、すぐ、保守的に考えれば、自分の保身につながると思っているということじゃないんですか。私は、今の対応は非常に疑問に思います。私がこういう意見を持っているということを言わせていただいて、これで終わりにしたいと思います。

 時間もないものですから、もう一つ。

 実は、鳥獣被害の根本的な対策は、やはりマーケットメカニズムに乗せることじゃないのかなと私は思うんですね。ドイツでは、自然の動物、ハンターにとっての動物を、ジビエということで食べさせるのが高級レストランとして通用しているというようなこともございます。ですから、一方で、私どもにとっては迷惑な動物かもわかりませんが、命であることには変わりないわけですね、駆除された動物も。だから、その命をきちんと大切に思うということは、殺した動物を畏敬の念を持ってきちんと利活用するということだろうというふうに私は思います。

 今は主に埋設をしたり焼却処分にしているわけですけれども、せっかくのおいしい肉を、都内にもジビエの料理店があるわけですから、鹿は相当ふえちゃっているという事実もありますので、そういったものをとって、処理をして、そしてそれをマーケット、消費地の方にきちんと結びつけるというような一つのシステムを私は本格的につくっていくべきじゃないのかなというふうに思います。

 現在、どういうことをやっているのかということでお聞きをしましたら、六次産業化とかいろいろ言われています。だけれども、六次産業化で本当にそういった鳥獣被害対策に有効なのかなと。とれた鹿とかイノシシを、地元のお母さん方のやる気でもってハンバーグをつくったりとかカレーの中に入れたりとかというようなことをしているわけです。

 しかし、とれる頭数にこういうふうなばらつきがあるし、また、幾らやる気のお母さんでも一流のシェフにかなうわけじゃないわけですので、これはひとつマーケット、市場原理に任せて、いわゆる生産と消費という言い方が正しいのかわかりませんが、鳥獣が駆除された、それを都会の消費地の方に持っていく、そういうふうな一つのシステムを整備するといったことに、これはいろいろな省庁が絡んでいるかというふうに、主に厚労省が絡んでいるんじゃないのかなと思います。

 今言った問題を考えると、西川大臣が音頭をとって、そういう流通システムを含めたものをきちんと整備する。駆除対策に何十億円というお金をかけるよりも、ずっとずっと生きたお金の使い方になるんじゃないのかなと私は思いますが、そこら辺のことについて、大臣の御見解と、できたら、やる気をお願いいたします。

中川大臣政務官 ジビエ料理の振興についてお尋ねを頂戴いたしました。

 農林水産省といたしましては、鳥獣対策においてですけれども、捕獲鳥獣の食肉処理加工施設を整備すること、また、狩猟者、加工業者、または外食の事業者の皆さんと連携をさせていただきまして、ジビエ商品の開発や販路開拓などの取り組みについて支援を行っています。

 また、ジビエ料理の優良な取り組みについて表彰を行ったり、日本ジビエ振興協議会と連携して行っております農林水産省の消費者の部屋で展示をさせていただいています。消費者の理解の促進に努めているところでございます。

 また、先ほど先生がお話しになられましたように、厚生労働省が野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針の案を取りまとめましたことを受けまして、今後とも、ジビエ料理の普及に向けて、関係府省と連携をしながら取り組みを進めてまいりたいというふうに思っております。

鈴木(望)委員 これで終わりますけれども、答弁には非常に不満足です。もう一歩突っ込んでやってくれということを申し上げましたので、よろしくお願いいたします。

 終わります。

江藤委員長 次に、林宙紀君。

林(宙)委員 引き続きまして、維新の党、林宙紀でございます。

 ありがたいことに、早くも二回目の質問のチャンスをいただけたということで、二回目の質問では、本当は漆を、満を持して扱いたかったわけなんですが、どうやら、きょうは米価についてということでお伺いをしましたので、それであれば一回目のときに出しておくべきだったな、ちょっと戦略を間違えたなというふうに思っております。

 しかしながら、前回、先週お伺いしたことについて、実はもう少々お聞きしたいということがありましたので、今週もそれについて引き続きお伺いをしたいなと思っております。

 先ほども、鷲尾委員ですとか玉木委員が、米価について今後どうしていくのかということを非常に大局的なところから御質問をいただいたということで、私は前の通常国会から、できるだけ細かいところを聞かせていただく、しかしながら、やはり大事なことだと思っているので、お聞かせをいただきたいというふうに思っているんです。

 きょうは資料をお配りしておりませんので、前回どういうお話をしたかを簡単に言うと、ことしの八月に、米穀機構が三十五万トン、過剰米を積立金を使って買い入れるということをやりまして、ただ、それを六十キロ当たり一万円程度の金額で買い取ろうとすると、どうやっても二百二十億円の積立金では足りませんよと。そこで、政府が古い米と米穀機構が持っている新しい米と交換をすることで、その結果、結果としてという話になりますけれども、差額として生じた分、それが、この買い入れ代金にあてがわれるという形になっているんじゃないでしょうかというお話をお伺いしました。

 それで、まず最初にお伺いしたいのは、今後、このように過剰な米というのが出てきてしまった場合、もちろん、そうならないように生産の現場でやっていくということが基本にはなると思うんですけれども、やはり生産調整を見直していく、できる限り、農家の皆さんは市場を見ながらつくっていくんだということを基本にされるということで政府の方もお決めになったわけですから、少なくともこの数年以内に一度や二度ぐらいは同じことが起こってもおかしくはないだろうと思うんですね。起きないとは言い切れないと思うんです。

 そうすると、今回は、たまたま米穀機構が積立金二百二十億円という額で持っておりましたのでよかったなと思いますが、同じような事態が起こった場合には、何か対応するスキームというのは今考えられているのかというところをまず最初にお伺いしたいと思います。

松島政府参考人 米穀機構の二十五年産米の買い入れにつきましては、林委員から前回いろいろ御質問がございまして、その際にも、基金についてはほぼ使い切っているという状況だという御指摘もございました。

 米対策の見直しにつきましては、昨年の末に決定いたしました農林水産業・地域の活力創造プランにおきまして、水田活用の直接支払交付金を充実して、数量払いの導入など飼料用米のインセンティブを高める、それから産地交付金を充実して、地域の創意工夫を生かした産地づくりを進める、国によるきめ細かな需給、価格情報、それから販売進捗、在庫情報の提供を行う、こういったことを通じて、農業者や集荷団体がみずからの経営判断により販売戦略に基づいて需要に応じた生産を行える環境を整えていくということになったところでございます。

 したがいまして、国といたしましては、引き続き、農業者や集荷業者、団体が需要に応じた生産を行えるように、きめ細かな情報の提供や、主食用米から需要のある飼料用米などの主食用米以外への転換の支援、それから、結果として価格が変動した場合のナラシ対策、こういったものによりまして、米の需給と価格の安定、農家経営の安定を図っていくという考えでおります。

林(宙)委員 そうならないようにやっていくというのは、それはもちろん大前提だと思うんですが、起こり得るからこそ、そうなったときのためにどうしようという議論は少なくとも始まっているんですかということぐらいはお伺いしたいわけですよ。そうならないようにしていきますという意思表示は非常に重要だと思うんですけれども、今の段階で、打つ手はあるのかないのかよくわかりませんが、こういうことが起こったら、もう今回のようなことはできませんよということを受けて、どのようにお考えなのかということで、多分、そうならないようにという御答弁になるんだと思うんですけれども。

 ということは、局長にもう一度お伺いしたいんですけれども、では、今の段階で、過剰な、今回のような三十何万トンとは言わないですけれども、結構な量が過剰になったときに具体的にどうするかというのは、今のところは特に決めていませんよということでよろしいんですか。

松島政府参考人 米の過剰の問題、特に二十六年産の問題につきましては、本委員会でも何度か御答弁申し上げていますように、十月末に十月十五日付の作況が公表されます。そういった中で、米の需給状況をよく見きわめてまいりたいというふうに考えているところでございます。

林(宙)委員 毎年毎年その確定した需給の状況というのを見て、その都度その都度対応するということしかできないというふうに私は思いますので、これ以上は多分お伺いしても出てこないと思いますからやめておきます。

 そうすると、これも局長にお伺いしますけれども、一度確認をさせていただきたいと思うんです。

 要は、前回私がお話しした内容、つまり、政府が新しいものと古いものと交換をしたことで、先ほどちょっと申し上げましたけれども、結果的には、出てくるその差額というので機構が買い入れるお金をある種補填したというか、そこについては新しい米を買うという意味で財政出動したということになると思うんですけれども、その認識自体はそれでよろしいですか。

松島政府参考人 今、委員からの御質問につきましては、前回の委員会で御答弁したことも含めまして、改めて農水省の考え方を整理させていただきたいと思います。

 まず、米穀機構におきましては、あくまで民間主導の取り組みといたしまして、販売の見込みが立たなくなった二十五年産米の主食用米三十五万トン程度を買い入れ、需要がある加工用、飼料用などに販売することを決定したということでございます。一方、政府備蓄米につきましては、本年六月末現在で保有期間が五年を超える古米を二十五万トン保有しておりまして、農水省といたしましては、不測の事態になるべく品質のよい米を消費者に供給するという観点から、より新しい年産の米に更新する必要があると考えておりました。このため、米穀機構が加工用、飼料用などに販売するために保有する平成二十五年産米三十五万トンの一部、これは二十五万トンでございますけれども、政府備蓄米と交換することを八月に決定したということでございます。

 したがいまして、政府備蓄を適切に運営する観点から、政府備蓄米をより新しい年産の米に更新する必要があったために交換を行ったということでございまして、米穀機構が三十五万トンの買い入れを行うことを支援するために交換を行ったということではないということでございます。

林(宙)委員 では、もう一つお伺いしますが、こういった形で機構が買い入れた米、たしか機構が、二〇一〇年でしたか、十七万トンほど、同じように積立金を使って買い入れを行っています。たしか二〇一〇年だったと思いますが、平成二十二年産米につきましてということになるんですけれども、十七万トン買い入れております。そのときにも同じように交換はされたんでしょうか。

松島政府参考人 二十二年産米の対応でございますけれども、委員御指摘のとおり、生産者団体などのみずからの取り組みとしまして、米穀安定供給機構が十七万トンの買い入れを実施してございます。

 ただ、その買い入れたものについて、政府の方で交換等を行ったかどうかにつきましては、大変申しわけございませんが、通告がございませんので、ちょっと確認できませんので、また、後ほど調べまして回答させていただきたいと思います。

林(宙)委員 私は、知っておいていただきたいなと思って、通告していませんけれども、ちょっとお伺いさせていただきました。

 なぜかというと、今回交換をするという大義名分は、不測の事態になるべく品質のよい米を消費者に供給するというふうにおっしゃいましたよね。であれば、それは過去においても、それができるんだったら、その限りにおいてやるべきだったと思うんです。やっていらっしゃるんだったら、それは、今回も同じようにやったということで、私はいいと思うんですね。

 過去に機構が、あるいは機構じゃなくても、何か交換できる場所があって、それで、どこかのタイミングで、できるだけ新しいものにしましょうということで通例のようにやっているのであれば、それは非常に筋が通って、私も、非常時にあるものは新しい米の方がいいと思いますから、それはそれでいいかなと思うんですけれども、前回それをやらなかったけれども、今回はそういう理由でやりましたとおっしゃるのは、何となく合点がいかないわけです。

 要は、前回からずっと否定されていますし、私もそれ以上突っ込む気はありませんけれども、今回は、機構が買い入れを決めた時点で三十五万トンを買い切るだけのお金を持ち合わせていなかったというところから始まって、だからこそ政府が、まあ、交換という形ではありますけれども、そこにある種、財政出動をして、それを買い切れるようにしたんじゃないですかということを申し上げた。それははっきり否定されましたけれども、あのときの否定の理由が、四月に三十五万トンを機構が買うといったときには、持っているものを飼料用米で売るのか、加工用米で売るのか、そういったことが決まっていなかったので、額も決まっていないし、だからこそ、政府もそこに、何というか、交換をして云々とかということは、まだその時点では決めていませんでしたとおっしゃったんですよね。

 けれども、加工用米というのは、基本的に、四月の時点では、あらかた取引がもうほぼ進んでいる状況なんじゃないですか。かつ、きのうのレクのときに御担当の方にお伺いしましたけれども、加工用米というのは、もう取引がそもそも決まっていると。つまり、作付前に需要者が決定しているというようなスキームらしいんですね。

 となると、では、その後に、例えばこれは少し加工用米に対して売りたいから、余っている分を加工用米に売ってもいいかとなったときに、もちろん助成金が出るかどうかというところの差なんでしょうけれども、実際には、加工用米に後で売るということは余りない。担当者が、ないとはっきりおっしゃったわけじゃないですけれども、では、実際にその時点で加工用米に三十五万トンのうちの大部分を売るかと言われたら、そうではなかった状況なんじゃないか。これは完全に私の推測です。でも、そう思っているわけですよ。

 そうなると、先ほど何で、これが結局財政出動という認識でいいんですかというふうにお伺いしたかというと、先日の委員会のときに、たしか副大臣だったと思いますが、政府が買い入れをするということはしませんとおっしゃったわけです。それは重々私たちも承知しているわけですね。なんだけれども、これは冷静に考えたら、最初の、機構が四月に三十五万トン買い入れると決めた時点で、政府がかかわっていようがかかわっていなかろうが、政府がその交換によって、行って来いで払った何百億、何百億とは言いませんけれども、百億なり二百億のお金があるのだとすれば、結果的に買い入れたのと同じじゃないですかということを申し上げたいんですよ。間のプロセスは、もうこの際問いません。だけれども、結果的に買い入れたのと同じことになりませんかということなんです。

 だからこそ、先ほど、少なくとも過去にも、機構が買い上げたときに、では、それは、新しい、いい米があるから交換しましょうといってやったんだったら、まだ話はわかりますよ。だけれども、やっていないんだとしたら、今回初めてやったわけですよね。そこは、事実関係がまだ御答弁の中でありませんので、ここまでにしておきますけれども。

 だからこそ、今回のみそは何かというと、前回、機構が二〇一〇年、二十二年産米を買い入れたときというのは、多分、機構に積立金なりなんなりというのが、まだそこそこ今後も見通しがあったと思うんです。まだ、そこで全部使い切って、この後もう入ってきませんとか、そういう話でもなかったと思うんですけれども、今回は、完全に二百二十億円使い切って、今後発生しても、最初に言いましたけれども、来年とか再来年とかに同じ状況が起こっても、今度は機構が買い入れをするというのはなかなかできませんよねという状況なんですよ。

 かつ、全体で五百八十億円になろうという金額を買い入れるという決断において、自分の手持ちは二百二十億円しかない。その時点で、もしかしたら、飼料用米よりは加工用米の方が高く買ってもらえるらしいので、加工用米には結構売れるかもしれないと期待していて、では、残りの、五百八十億円のうちの二百二十億円を引いたら三百六十億円ぐらいになるわけですよね、それを加工用米で何とか埋められるんじゃないかと思っていたのかもしれませんが、基本的に、普通に市場で取引していたら、例年からいって、加工用米でそんなにたくさん引き受けてもらえないんじゃないのかなと思う方が私は普通だと思います。その方が、真っ当に仕事をしている方の感覚なんじゃないかなと思うわけです。

 いろいろ言わせていただきましたけれども、とにかく、先ほどお伺いした、済みません、通告がなかったのでということだったので、平成二十二年産のお米を買い上げたときにはその後どのように処理されたんでしょうかというのは、改めて今度お伺いしたいというふうに思います。次に私が質疑に立つときは絶対漆をやると決めていますから、この場ではなくて、後で事務的にお話をお伺いしたいなと思いますけれども、何とかそれは明確な御答弁というか御回答をいただきたいというふうに思っています。

 それで、このお話の関連で大変申しわけないんですけれども、これは通告していた内容ですから、ちょっとお答えいただきたいなと思うんです。

 前回、これも同じ局長の御答弁で、何も局長を非難しようと思って質問しているわけじゃないんですよ。ただし、この御答弁に対してちょっと疑問があるのでお伺いするんですけれども、たしか、金額は言えないにしても、結果的に買い入れたような形になっている、結構大きい額が財政出動することになるんですということぐらいはホームページとかで見やすいところに出しておいていただいた方がいいんじゃないですかというふうにお伺いしたら、その旨は既に公表されている、だから大丈夫だという御答弁をされたんですよ。

 それで、私は、質疑が終わってから、戻って、ホームページのどこにあるのかなと思って、発掘作業を行いました。出てこないんですね。なかなか出てこない。私は、こう言ってはなんですけれども、結構農水省のホームページを見るのが趣味ぐらいな勢いになっているわけですよ。結構見ているんですよ。前の林大臣には、何か、新しい農水族だねとか言われるぐらい、農林水産省のホームページを結構見ていると思うんです。その私が発掘できない。

 ということで、担当の方にお伺いしました、お電話で、これはどこにあるんですかねと。担当の方も結構苦労なさったようですけれども、ようやく発見していただいて、探し出したんです。確かに載っています。局長のおっしゃることは、うそではありません。なので、確かに、これは公表と言われれば公表なんだろうなという気がします。

 余り詳しく言いませんけれども、表のページから、大体五階層ぐらい下に行かなきゃいけないんです。しかも、皆さん御存じだと思いますけれども、サイトマップ的にいうと、一番上のページから下に行くに従って、枝がどんどん広がっていくわけですね。農水省のホームページをサーフィンするのが趣味である私ですら、どこに到達していいかわからないという状況なんです。これを一般の方、あるいはもっと言って、農協関係者、米の関係者だとしても、やはり見つからないと思いますよ。

 だから、公表していないとは言いませんので、こういうことがあったときは、ぜひトップページのニュースとかで、こういう取引をやりましたよ、契約金額については後日公表予定ですと書いておいていただきたいんです。そういうお願いをしたいんです。

 だって、A4の紙で出して、ちょっと皆さんにお配りすればよかったなと思うんですけれども、これはルーペが必要なぐらいちっちゃい文字なんですよ、A4に出しても。このぐらいちっちゃいので書かれているので、私も目はいい方だと思うんですけれども、こうやってようやく見えるぐらいなので、こういう情報の出し方というのは気をつけていただきたいというか、むしろ、それが国民に優しいということだと思いますので、ぜひやっていただきたいと思うんです。

 今、私は言ってしまいましたけれども、局長、私の話を聞いて、これが今のところ適正だと思うのか、今後ちょっと改善したいなと思うのか、そこだけお聞かせいただけますか。

松島政府参考人 私も、委員からの質問の御通告をいただきまして、みずからこのホームページを探してみました。確かに、五階層下に載っております。

 委員の御指摘を踏まえまして、今後は、よりわかりやすい情報提供に努めてまいりたいと考えております。

林(宙)委員 本当に、そういう姿勢をお持ちいただけるということをぜひ期待して、今後、また御協力いただきたいなというふうに思っています。

 ということで、大臣にちょっと今の件についてお伺いしたいなと思うんです。

 大臣には、前回の質疑の最後に、やはりこういった情報はできるだけ開いていくようにしたいというふうにおっしゃっていました。今のやりとりも含めて、改めて、今後、こういった農水省の情報について、大臣としてはどのようにされたいかというのを一言いただければと思います。

西川国務大臣 今答えたように、もう少し研究して、必要な情報がもっと早く出るように改善をしていきたい、こう思います。

 それから、この間は、二十二年産の価格まで公表してある、こういうことを申し上げました。それで、今、二十五年産米については、市場取引がまだ行われておりますので、買い入れ価格を公表できません。

 二十二年をやりました。今度、二十三年の番ですが、買い入れ価格については、もう既に流通が終了しておりますので、なるべく早く発表したいと思いますが、できれば今週中にも二十年産の買い入れ価格を公表いたします。

林(宙)委員 ぜひ、そのような形でお願いをしたいなというふうに思います。

 ということで、米価等々については……(西川国務大臣「ちょっと失礼しました」と呼ぶ)

江藤委員長 林君の発言の後にお願いします。

林(宙)委員 何か、もし補足ですとか修正があるようであれば。

西川国務大臣 私は何か読み間違ったようで、二十三年の数字を間もなく公表する、こういうことでございます。二十年と申し上げたようで、失礼をいたしました。

林(宙)委員 そうだろうなと思ったので、あえてそこは突っ込まずにおきました。

 そんなわけで、こういった、ちょっと不思議な、ちょっと複雑な作業が伴った場合には、やはり、そこまで大きく開示する必要はないともしかしたら農水省で判断されるようなことでも、こういった形で指摘をされたときには、これまでのようにくまなく明確に説明をしていただければ、それでいいんじゃないかなと思います。

 それで、米価等についてという意味で直接お伺いするのはここまでにしたくて、先ほど玉木委員もお伺いになっていたことで若干重複するかなと思っているんですけれども、私も興味が非常にあるところなので、ちょっとお伺いしたいなというふうに思っています。

 農業、農村全体の所得を今後十年で倍増というふうに、活力創造プランですか、そちらの方ではずっと書かれているわけなんですけれども、改めて意味を確認したいと思うんです。それが将来どのぐらいになったら倍増と言えるんでしょうかというのをちょっとお伺いしたいんです。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 今の農業、農村所得倍増の関係でございますけれども、先生お話がございましたように、昨年十二月に取りまとめられました農林水産業・地域の活力創造プラン、それから、ことしの六月の日本再興戦略二〇一四、こういったところで、農業、農村全体の所得を今後十年間で倍増させることを目指していくということが書かれておるわけでございます。

 考え方といたしましては、大きく農業所得の部分と農村の関連所得という部分に分けて考えられておりまして、農業所得につきましては、生産額の増大ですとか生産コストの縮減、そういったことを通じて所得をふやしていくということ。それから、農村関連所得につきましては、加工、直売の取り組みですとか食品企業の誘致といったような六次産業化なども含めて、農村地域としての雇用や所得を倍増していくということでございます。

 それで、それを幾らになるのかというお話、先ほど玉木先生の御質問に大臣も御答弁されておりますけれども、これまで私どもは、統計上の数字といたしましてはいろいろな数字があるわけでございますけれども、農業所得三兆円というものにつきまして、今後の経済成長二%で安定的に進むということを前提といたしまして、十年後にはおおむね十二兆円、そのときの農業所得を四兆円と見込むといったようなこと。それから、関連産業につきましては、現在の六次産業の市場規模一兆円を、これも再興戦略のKPIでうたっておるわけでございますけれども、十年後に十兆円にふやしていくというような中で、その分の関連所得を一兆円から二兆円にふやしていくといったような取り組みを考えておるところでございます。

 いずれにいたしましても、これは統計上の数値をその時点で整理したものでございますので、これから、来年の三月の食料・農業・農村基本計画の中で、マクロとしてどういう取り組みを進めていくのかということと、それから、マクロだけでは農業者の方々のイメージが湧きませんので、現場で経営発展の姿がイメージできるような展望といったようなものを書けるように、検討を深めてまいりたいと思っております。

林(宙)委員 そこまで言っていただけると、大変意に即したというか、ありがたいなと思います。

 つまり、今までお伺いしていた範囲だと、やはり農業とか農村と言っているけれども、非常に大きい話、マクロでこうなんですよと。では、個々の農業者の方はどうなるんですか、農業者の平均の所得をこうするとか、余りそういう話が見えてこなかったので、多分、農業者の方は大分不安に思っているんだろうなと思っていたんですね。

 今やっておられる政府の農政改革の方向性で行くと、全体というものだけ示されると、私なんかは結構細かいことを気にしてしまうタイプなので、例えば、物すごい極論ですよ、農村の中に、ある人は物すごい成功をして一億円プレーヤーになっちゃったという人もいれば、余り今までと変わらないというか、むしろ何か所得が下がっちゃいましたよという人も混在してきた場合、それでも、全体で足してみたら倍増には達しましたよなんという話もあり得るんですよね。

 要は、格差が生じるということを、それは仕方がない、それはそういうものだと思って認めるのかどうかというところは結構大事だと思うんですけれども、それについてはどういうお考えなんでしょうか。短くお答えいただければと思います。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 今御答弁申し上げましたとおり、農業、農村全体の所得を十年間で倍増していくという大きな目標、これはマクロでいいますと、今申し上げたようないろいろな統計データを使って、どれがどれぐらいになるのかというのをお示しすることになると思います。

 一方、ミクロの方も、先生おっしゃいますように、個々の、個別の農業者の方ですとか法人経営の方の所得がそれぞれ倍になるのかというようなことを、この農業、農村所得倍増で目指しているわけではございません。当然ながら、個々の農家、農業者の方は、大きさも違いますし、法人経営もありますので、そういった方々の平均的な所得で倍になるんだというイメージをお示しするということは適切ではないのではないかと思っています。

 ただ、マクロで全体がどうなるかということだけをお示ししたのでは何の役にも立たないではないかというようなお話がずっとございましたので、地域的、あるいは営農類型別に、こういう取り組みをすればこういう経営展望が図られるのではないかというようなことを丁寧にお示しできるようにしていきたいと思っております。

林(宙)委員 本当に細かいことを言い出すと、農村というのも、では、どこまで含むんですかとか、そういう話になってくるわけですよ。

 私が育った宮城県の名取市なんというところは、仙台市に隣接していますので、近年、開発は著しいんですね。しかしながら、基本的には、農村というか、水田が多い地域なんです、私の中学校は水田のど真ん中にありますから。やはり、そういうところなんですけれども、今までは農村と言ってよかったと思うんですよ。

 それが、これから宅地がどんどん仙台市に近い側に建てられていっていて、水田を潰さずに山の方につくったりなんだりしているものですから、そうすると、では、名取市というくくりで、それも農村ですよというふうに言われたら、多分、農家の方の所得は上がらないですけれども、農村の中に住んでいる人たちの所得は上がるんですよね。

 こういうことまで考えていろいろお決めいただきたいと思うんですね、どういうイメージなのかというのを。今後、そういうことも大事にしてくださいと言うことにとどめておきます。

 最後に、大臣にお考えだけお伺いしたいと思うんですけれども、済みません、通告した番号でいうと八番のところですね。

 最近、ちょっと悩ましいなと。私なんかでも明確に答えが出ているものじゃなくて、あえて大臣にどう思いますかとお伺いしたいだけなんですが、実は、所信の中でも、人口減少を克服し、地方創生に取り組んでいくため、関係府省と連携して、農山漁村の活性化に向けて努力しますといった趣旨のことをおっしゃっていたわけなんです。

 ところが、今、特に大規模化というものも含めて、農政改革を行っていくという政府の方針からすると、農家の所得ということを考えたときに、もちろんその中で農家の所得もふやすんだということをおっしゃっていますから、農家の所得をふやすには、もちろん、農産物とかそういったものの付加価値を上げるか、一戸の農家が販売する量をふやさない限り、所得は上がっていかないんですよ。

 しかしながら、大規模化というのは少ない農家でやっていくという方針なわけで、そうすると、農業に関しては、効率化を進め、大規模化を進めていくということをやっていく限りにおいて、人口はむしろ減っていく、あるいは、ふえてしまうと一人の取り分が少なくなるので余り適切じゃないという話になってくるんです。

 なので、今度は、人口減少と農業の振興というものは実は切り離して考えた方がいいのだろうかというところで思案しているところなんですが、大臣は今の段階でどのようにお考えか、最後にお伺いします。

江藤委員長 西川大臣、簡潔にお願いします。

西川国務大臣 はい。

 私は、大規模化を進めれば、当然、離農する人がおります、しかし、集落単位で考えれば、やはり就業機会をつくろう、こういうこともあわせてやりながら、農村地域そのものもにぎわいを取り戻したい、こういう考え方でやらせていただきたいと考えています。

江藤委員長 林君、時間が経過しています。

林(宙)委員 どうもありがとうございました。

 次回は、漆をやらせていただきます。

江藤委員長 次に、村岡敏英君。

村岡委員 維新の党、村岡敏英でございます。

 きょうは、まずもって、農水委員会が正常に開かれることを喜んでおります。各委員会ではいろいろな問題があって開かれていないわけですが、それはそれでしっかりと、政治の基本ですから、政治とお金の問題はしっかりやらなければならない、こう思っております。

 しかし、農業にとって今大切なのは、昨年から通常国会に向けて、農業の大転換、戦後ずっとやってきた生産調整を四年後には廃止して、そして新しい農業政策をやる。その一年目のときに、農家の方々が、もう農業はやめよう、米をつくるのはやめよう、こんな状況になってしまいました。これは本当に悲鳴に近いものが各農家の方々から聞こえてまいります。

 そこで、振り返ってみると、安倍総理大臣が、岩盤規制を、ドリルで穴をあけると、岩盤に。農林大臣は、農業にとって、安倍総理が言っていた、何をドリルであけようとしていたのか、どういう認識か最初にお伺いしたい、このように思っています。

西川国務大臣 安倍総理の考え方は、農家の所得をふやしていくように、さらには、農村のにぎわいを取り戻すためにどうやるか、これがやはり一番大きな課題だと思います。

 それで、ここへ来て話が出ているのは、農協改革をどうするか。これはなかなか、昭和二十九年に中央会制度ができて、六十年たっても全く変わっていない、こういうところをどう変えるかという考え方があるのだろうと思っております。

村岡委員 農協が岩盤だという認識なのかどうか、それはまた後でお答え願うとして、また、安倍総理は、明治時代の農業指導者、古橋源六郎暉皃さんを紹介して、いろいろな、養蚕だとか米だとか林業だとか、こう言いました。

 歴史を振り返ることは大切です。その時代は日本だけの市場だったんです。日本だけの市場ですから、食料が不足している、百姓と言われる、いろいろなことができるところがその人たちの職業であった。しかし、戦後、日本は、工業化とともに、農業というのは、好むと好まざるにかかわらず、グローバル社会に急激なスピードで入ってきたんです。そのグローバル社会に入ったときに、農業政策がなかなか追いついてこなかったということが本当は一番の原因です。

 その中で、それぞれの農協にしても、いろいろな制度にしても、決してそれは農業者が求めたものではなかったんです。それは、国の方針に従って、その制度をしっかり守っていったのがほとんど農業者なんです。この岩盤にドリルであけると言って、その先に、一年目にして米価の下落というのが来てしまった。これはなかなか、農家の方々はいろいろな対策を言っても信じてくれるかどうか、そこが大きな問題だ、こう思っております。

 午前中、民主党の方の戸別所得補償の話がありました。そして、今、自民党は、経営安定対策の中で所得倍増というのがあります。どちらも言葉はいいんです。ところが、これは他党が決めたことだから嫌だとか、こちらの決めたことだから嫌だという論議は、全く農業者にとっては関係ないんです。それにこだわり過ぎているというのがやはり問題だ、こう思っています。

 農業をしっかりと前に進めていくというところであれば、そして日本の食料でありますから、農業者がほとんどやめてしまっては農業というのは成り立たなくなります。その部分で、大臣には、この米価の下落という大変な問題のときに、もう与野党は関係ない、これはもうラストチャンスで、農業がしっかりと立ち直り、そして日本の農業が再生するという思いを共通にお持ちしてもらいたいと思っているんですけれども、どうでしょうか。

西川国務大臣 しっかり農業者が希望を持てる農業をつくり上げていきたい、この気持ちには変わりありません。

 それから、米価の問題は、この十月の作況を見てどういう状況になるか、これを判断したいと思います。

 ただ、私がいつも申し上げているのは、日本の畜産は二・六兆円を生産額として上げます。米麦は二・二兆円、それから野菜、果樹で大体二兆円、こういうときに、二兆三千億円のお金を米だけで七千億も八千億も集中して、米にだけ手厚くていいんだろうかというのは他産業の皆さんからもあるんです。それから、土地改良もやらなければならないんです。

 そういうことを総合的に考えながら、本当に農家の所得が増大できるような農業を組み立てていきたい、こう思っております。

村岡委員 もちろん、いろいろな品目がありますから、米だけ、米が現実に余分になっている、余剰米が出ているということですから、それはわかります。しかしながら、十年後にも農村社会を所得倍増と言っているわけですから、その一年目にこれだけの下落があるわけですから、それを、ただ単に米じゃなく、全部やろうというときに、米にマイナスのイメージだけを与えて、それで農家の人がついてくるかというと、そういう問題ではない、こう思っています。

 そこで、この米価の下落というのは、農家の人たちがいろいろ話しているのは、先ほどの議論の中でも出ておりましたけれども、離農させようという政策じゃないか、こういうふうに思っている農家が現実に多いんです。離農を勧めているわけではないんだという気持ちがしっかりとあるのか。聞いていると、どうも米農家の人たちを非難しているような形にしか聞こえてこないんです。大臣は、そこはどう思っているでしょうか。

西川国務大臣 私は、米はやはり需要と供給のバランスをとりたい、この気持ちは変わりません。これはやりたいんです。

 それから、超過作付は、水稲農家の皆さんにもぜひこれは考えていただきたい、こう思っています。

 それから、大切な水田はフル活用をやりたいです。そのときに、食用の水稲だけをつくるわけにいきませんから、今不足している飼料用の作物、つまり飼料用米にぜひシフトをしていただきたい。

 こういうことで、バランスのとれた農業生産にしていきたい、米は大切でありますし、しっかり守っていきたい、こう思っています。

村岡委員 大臣が最後に言ったように、米は大切である。しかしながら、いろいろな品目も、農家の所得を上げるために、そして日本の食料自給力、自給率を上げるためにも当然大切だ。これはしっかりとその気持ちを農家の人たちにわかってもらわなきゃいけない、そこが大切だ、こう思っています。

 そして、ナラシ対策のことを大臣、副大臣とお話しされております。このナラシ対策は、県によっては利子補給をして、そしてナラシの、損益が出るだろうという部分を年内にしっかり貸し付けをするという制度をとっていますけれども、これは全国的にどうなっているのか、農林省ではしっかりとつかんでいますでしょうか。

奥原政府参考人 米価の変動により経営に悪影響を受けている農業者の資金繰りにつきましては、売り上げの減少や所得率の悪化など一定の要件を満たす場合に、経営維持に必要な運転資金として日本政策金融公庫の農林漁業セーフティーネット資金の活用が可能というふうになっております。

 この資金の金利は、借り入れの期間に応じてちょっと変わりますけれども、〇・三五%から〇・四五%という低利な状態になっております。

 いずれにいたしましても、今後の米価の推移等を見きわめながら、農業者の資金繰りに支障を生ずることのないように、適切に対応してまいりたいと考えております。

村岡委員 それは、借り入れの政府関係金融機関の中で、〇・三五から〇・六五ということなんですが、例えば、ことしは、もちろんお金がないからそれを払えない。それは猶予とかというのも考えているんですか。

奥原政府参考人 セーフティーネット資金は、新規の借り入れをするための対策でございますので、これは必要な場合に借りていただくということでございます。

 それから、今回の米について特に出しておりませんが、例えば、大きな災害があったとき、そのような場合には、金融機関に対しまして、償還猶予とか条件の改定だとか、そういうことは通達でお願いしていることはございます。

村岡委員 ことしはそれを考えているんですか。それとも、もちろん作況指数も実収もわからないんですから、ことしはまだ考えていらっしゃらないんですか。

奥原政府参考人 これにつきましては、今後の米価の動向、それから作況の動向、そういうものを踏まえて検討させていただきたいと考えております。

村岡委員 決して農家の人たちの全てを救済しろというわけではなくて、意欲のある人たちは今のお金がなければ来年の営農もできない、そういう意味では、そこはしっかり考えていただきたい。

 それから、先ほど聞いたのは、各県や市町村によって、お金を農家の方々に貸すということをやっているんですが、それは金利をなしにして県や市が負担しているところがあるわけですけれども、これは、全国的にどのようにやっているか、農林水産省で把握しているかどうかということをお答え願いたい。

奥原政府参考人 そういう事例があることは承知をしておりますが、それにつきまして、地域別にどこがどうなっているということを悉皆で調べてはおりません。

村岡委員 それは、農林省がお金を出さないわけですから、調べる必要はないということじゃなく、一応把握しておいてください。やはり農林水産省として、各県がどのような対策を講じて農業対策をやっているのかは把握しておくべきだと思いますので、ぜひそれは把握していただきたい、こういうふうに思っております。

 そして、ナラシ対策なんですが、五年間の中で三年の平均で算出するというふうになっていますが、その場合、この五年間のものでの三年はいい、ことしが下がった、来年も下がったとする、そうなっての五年間となると、米がもっと下落していくわけですから、その中でナラシの部分というのは大変な状況で、そこも農家にとって、これから下落していくんじゃないかという不安があるから、農業をやめよう、そして、もう次は米をつくるのをやめよう、このような形になっているわけですけれども、大臣は、ナラシ対策はこのままでいくと考えていらっしゃるのかどうか、お聞かせ願いたいと思います。

西川国務大臣 ナラシ対策が必要だということは、委員もそう感じてくれていると思うんです。私は、これを収入保険に持っていけたら一番いいなと思っているんです。米だけでやるんじゃなくて、農家の所得を安定させるためには、米以外の、あるいは野菜、あるいは畜産を少し飼う人もいるかもしれませんが、農家そのものの所得をどうするかということを考えていきたい、こう思っているんです。

 そのために、来年、この典型的な農家になるかと思いますけれども、その農家の所得を調査して、これが収入保険に入っておったらどういう影響が出ただろうか、こういうことを来年は実証してみたいと思うんです。将来的には、作物ごとじゃなくて、農家全体の経営を考えながら収入保険制度ができればいいな、こういう希望を持って、来年は調査をし、次に向けて走り出していきたいと考えています。

村岡委員 大臣、その言葉をお聞きして、私も、通常国会の場合、それから去年の場合は、収入保険というのは、農業の改革とやはりある程度セットでなければ農民の人たちが信頼を置かないんです。あの改革だけを言って、結局どうなるのかという不安があるんです。そこはぜひ早目に検討していただきながら、農業全体の所得の倍増という言葉だけじゃない、やはりそこには気候やいろいろな変動があります、市場価格もあります、そこはしっかりとやっていただきたい、こういうふうに思っております。

 そして、ナラシの対策から、今度また実際の補填となると、中山間地域というのは大変本当は厳しい状況に、ことしはまたさらになっています。日本型直接支払いとか、いろいろ中山間地に対して加算しているのはあるんですけれども、中山間地の今の厳しさを考えたときに、中山間地に関して農林省はそれぞれ対策を考えていますけれども、今回特に、もう中山間地で農業をやめようという人たちが非常にいる。言葉として聞こえてきます。その部分はどのような対策を考えられているか、今までの対策だけで今回大丈夫なのかどうか、ちょっとお聞きしたいと思います。

奥原政府参考人 ナラシ対策の支給に当たりまして、中山間地域等でどういうことになるかということをちょっと御説明したいと思います。

 ナラシ対策は、収入の変動が担い手の経営に及ぼす影響を緩和するという対策でございます。このため、対象農産物の販売価格、これは地域別に基本的にとっておりますけれども、この販売価格に、加入者が実際に出荷、販売した数量を面積に換算いたします。換算して、これを乗じて当年産の収入額を決めて、標準的収入額との差額の九割を補填する、こういう考え方でございます。

 面積に換算するときに、単収をとるということになりますけれども、これにつきましては、必ずしも県別の単収ということではなくて、これは、地域によっては、市町村別あるいはもっと細分化をした単収でとっているところもございますので、これをやれば、中山間地域全体の単収が低ければ、それを反映したものが考慮されますので、中山間地域におきましてもそれなりの交付金が交付される、こういうことになると考えております。

村岡委員 現場の意見はそうでもないんですね。出荷数量でいくと、ことしは大変厳しい状況になるので、そこの辺はちゃんと調査しながら、中山間地の農業というのをしっかりとやっていただきたい、こういうふうに思っております。

 そして、今回の米の下落によって、農林水産省が新規の就農者をふやそうということで、青年就農金だとか、いろいろやっていますけれども、実は、これは相当減りそうな今の状況です。これは、非常に農業に希望を持てなくなるという中で、せっかくのいい制度が、一年間に百五十万円、この青年就農金であるわけですけれども、現実に一三年は減っているんです。また、米の下落が、もちろんいろいろな対策はするんですけれども、減る可能性はあるんです。

 若い、そしてまた新規就農者に対していろいろなメッセージがなければいけないと思うんですが、この下落を受けて、何か新しいメッセージでもなければ、これは新規就農者というのは相当減ると考えなきゃいけないんですけれども、それはどう考えていますでしょうか。

西川国務大臣 委員に申し上げますけれども、農林水産省の来年度の予算は、非常に前向きで要求しています。要求が一四%多い二兆六千五百四十一億円、こういうことにしていますね。

 そこで、先ほども出ましたけれども、中山間地の支払いをどうするんだ、こういう話がありました。

 私どもは、新しい制度を二つつくって、傾斜地が非常にきついところにどう手当てをするか、それから、中山間地域の傾斜地が集落でお互いに連携した場合にどういう加算をするか、こういうことも要求をしています。

 それから、先ほどの新規就農者の話で、百五十万円ずつ給付するわけでありますけれども、前年の所得が二百五十万円を超えた場合はどうするんだ、これを停止するのか、こういう質問があると思いますが、これは直ちに打ち切るということではなくて、給付水準を少し減らしながら対応できないか、こういうことも次年度の予算の中の要求に含んでおりますので、どうぞ御理解のほど、お願いします。

村岡委員 そこはしっかりとやっていただきたいと思います。現場の方で、実は中山間地の方は本当に不安になっているんです。そこのところは、しっかりとまだその政策が伝わっていないということが現実にありますので、そこは現場の方々に理解してもらい、そして次の年、営農していただく、それから、新規就農者が農業をしっかりと支えていくんだ、成長させていくんだというメッセージを、新規就農者の方にもしっかりとメッセージを発信していただきたい、こういうふうに思っております。

 そして、今度は、先ほどから話題になっておりますけれども、飼料用米。

 飼料用米で、これは一ついいニュースだとは思うんですけれども、全農が六十万トンの飼料用米を買うというようなニュースがあります。大臣、全農が六十万トンの飼料用米を買うということに関して、これはしっかりと事実関係としてつかんでいますでしょうか。

あべ副大臣 委員にお答えいたします。

 全農が飼料用米六十万トンを生産、販売する取り組みを後押しするということに関しまして、私ども、二十七年産の飼料用米につきまして、全農が六十万トンの生産目標を設定し、さらには、生産者からみずから買い取り、流通、販売する新たな枠組みをつくる方針を掲げている。また、この取り組みによりまして、飼料用米の保管場所、販売先の確保、また遠隔地への輸送経費などの課題の解消につながるものというふうに期待をしているところでございます。

 農林水産省といたしましては、このような取り組みを支援するために、いわゆる省令で、飼料用米などの用途限定米穀に関しまして、横流れ防止の観点から生産者と需要者の直接取引のみを認めていたところ、今回、需要者が特定されていることを前提に、直接、全農などの流通業者が生産者から買い取ることができるよう改正を行うとしているところでございます。

 また、今回の省令改正は、全農のみを対象とするものではなく、全農以外の流通業者に同様の取り組みの門戸を開くものでもございます。

村岡委員 そこは多分、本当に大事だと思うんです。今まで、飼料用米をつくれと言っても、きちんとその売り先がない。その中で、実際につくっていけと言っても、これは非常に不安だったと思うんです。そういう意味では、別に全農に限らず、その制度も利用できるということであれば、飼料用米というのは一つの大きなフル活用という中で大切な部分ですので、そこはしっかりと農林省で進めていただきたい、こういうふうに思っております。

 そして、飼料用米の、先ほど出ましたけれども、もう一つ、製造の効率化とか、それから種の部分だとか、いろいろな部分の対策があると思うんですけれども、同時に、買うことが決まっていても、多収性の種がないとか、また倉庫がないとか、いろいろな問題があるんです。その問題に関してもしっかりと対応していただきたい、こういうふうに思っていますが、先ほどちょっと触れていますけれども、もう一度その点を教えていただきたいと思います。

松島政府参考人 委員御指摘のように、飼料用米の生産拡大に当たりましては、多収性専用品種の種子の確保は大変重要な課題でございます。

 二十六年産におきましては六万トンに相当する種子を確保いたしましたけれども、二十七年産につきましては、その二倍の十万トンの種子の確保のめどが立っております。さらに、生産者の需要をよく把握いたしまして、不足が見込まれる場合には、ことし収穫されるもみを種子に転用するという形で、不足がないように対応してまいりたいと思っております。

 また、委員から、飼料用米の生産拡大のために、さまざまな施設の整備のお話がございました。耕種農家側では、例えばカントリーエレベーターですとか、それから畜産農家側では、飼料用米を受け入れる、保管する施設ですとか、それから餌を調製する施設、こういったものが整備されることが必要でございまして、これにつきましても、各種の補助事業なども使って、国としても政策支援を行ってまいりたいというふうに考えてございます。

村岡委員 そこは、この政策が成功するかしないかという部分は大切なところなので、ぜひしっかりと取り組んでいただきたい、こういうふうに思っております。

 そして、農業政策の中で、輸出ということがあります。お米の輸出というのは大変なんですね。これは、アジア系がお米を大量につくっていて、日本の米はまだそこの価格では勝負できないということもありますし、さらには、実際に大量に米を東南アジアや中国に輸出するとなれば、その国の、例えば消毒であったり何であったり、いろいろなことがあったり、流通の問題があったり、そしてまた、米は新鮮じゃなければ、生きていますから、低温倉庫も必要だ。いろいろな設備が必要だ。でも、ここは挑戦していかなきゃいけない。お酒も、もちろん日本酒、お米。

 このアベノミクスの中で、もちろん、いろいろな企業が輸出産業を中心にして非常に伸びていくのはいいんですが、一方、農業は、この円安の影響によって、エネルギーから、それから、飼料用米といったって、飼料用米だけじゃないので、飼料から、いろいろなものの値が上がって、本当はコストがどんどん高くなっているんです。大臣は、午前中の質疑の中でコスト削減をと言いますけれども、このコスト削減というのは、実際、それも輸入しているのが多いんですね。円安で悲鳴を上げているんです。

 だから、その点でいくと、輸出する方にはチャンスですけれども、一方、農業というのは、いろいろな資材を含めて輸入しているんですね。このバランスが非常に難しくなる。だから、最初に言ったように、本当にグローバルな社会に実は農業は入っているんです。

 そのところで、大臣、今の円安に対する対策は、これは農業だけじゃない、林業も漁業もだと思いますけれども、ここの点はどう考えていらっしゃいますでしょうか。

西川国務大臣 今委員が、米の輸出はどうかと。私は、やりたいですし、これは価格的に十分日本の米は対応できると思います。

 日本の米が六十キロ当たり一万五千円前後で議論されていますが、私は各国へ行くたびにスーパーマーケットへ必ず参りますが、シンガポールあるいはジャカルタは、六十キロ、大体三万円から三万五千円です。シンガポールの一番高い米は、キロ千六百円ですから、九万六千円です。どうしてこんな高い日本産の米が売れるのかな、こう不思議に思うぐらいであります。

 また、ヨーロッパも、全部調べてもらいましたけれども、イタリア産やスペイン産の日本人向けの米が、大体、高いもので六十キロ六万、うんと安いもので六十キロ三万、こういう状況です。ただ、売るときに、日本のように三十キロ単位で売るなんというんじゃなくて、大体三キロ、五キロ、こういうものでパックしております。

 農林水産省としましては、米も視野に入れて、必ず対応できる、こういうことで積極的にやっていきたい、こう考えております。窓口も、櫻庭局長のところへつくりまして、すぐ対応できるように、何の相談も乗っていこう、こういうことで今始まったということを申し上げておきたいと思います。

村岡委員 私もずっと農林水産委員会に所属しておりますけれども、米の輸出というのは、希望を与えています。そして、日本の本当の食文化を輸出することになりますので、それにはぜひ取り組んでいただきたい、こう思っています。

 そして、これはなかなか規制が厳しいのと、現実には、例えば、日本というのは自動販売機があふれていますけれども、世界というのは余りあふれていない。もちろん、エネルギーとか治安とか、いろいろな問題だと思いますけれども、実は、海外にもし自動販売機があれば、低温倉庫をつくらなくても、米を買っていただくということもできるんです。ところが、これはなかなか現実難しい。

 そうなると、やはり、資本投下はどうするかは別にしまして、米を輸出するとなれば、先ほど言った低温倉庫の問題が非常に大きくなるんです。せっかくの日本のいい米、東南アジアを中心にして、ある程度の所得の高い人たちがおいしい米を食べよう、そして、大臣が言ったように、余り大量に買うというものじゃなく、二キロ、三キロ、極端にいけば、先ほど言った自動販売機であれば、カップラーメンぐらいの、カップルヌードルぐらいのところに入れた米を買って、たまには、一週間に一遍おいしいものを食べよう、こういうところがあればいいと思うんです。海外の輸出で一番大切なのは、やはりそこのインフラ整備なんです。

 最後に、そこは農林省としてどういうふうに考えているか、教えてください。

西川国務大臣 農水省として、非常に大きなテーマにフードバリューチェーンがありますね。これは、正しく伝えるということになれば、食の連携事業だと思うんです。ですから、農機具屋さんもいるし、精米屋さんもいるし、運搬業者もいるし、銀行もいるし、そして生産する人も当然いる。こういうことで、今東南アジアの各地域でフードバリューチェーン、日本は始まりました。

 これは、国内でも同じような体制を組んで、農業者が所得を増大できるように、私はやっていきたいと思います。

 それで、海外への輸出で障害になる部分もたくさんあります。結局、ヨーロッパは、HACCPをどうやってクリアするか。それから、東南アジアで、イスラム圏ではハラルの問題もある。それから、なかなかよくわからないんですけれども、中国ではカツオブシムシがあるとか、こういう話はありますが、いろいろな障害も、取り組めば私は乗り越えられる、こう思って、これから輸出に向けて全力で当たってまいりたい、こう考えております。

村岡委員 もう時間が参りましたので、きょうは終わらせていただきますが、本当にこの危機を乗り越えていくということの中で農業の将来が見えてくると思いますので、ぜひこれからも論議していきたいと思います。

 ありがとうございました。

江藤委員長 次に、桜内文城君。

桜内委員 次世代の党の桜内文城です。

 きょうは、米の価格の集中というふうに聞いておりますので、まず、米の概算金のことしの状況、随分下がったというふうに数字も農水省からいただいております。二千円から三千円ぐらいの幅で去年よりも下がってきた。

 下がったのは仕方ないんですけれども、前回の一般質疑の中で、大臣は、これから追加払いもある、作柄等々を見ておると、いずれはもとに戻ってくるのではないかというふうなこともおっしゃっているんです。しかし、やはり問題なのは、そもそも概算金の決定自体が、こういうふうに大幅に下げられたというところにあると私は思っております。

 御承知のとおり、では、概算金というのはそもそも何なのかというと、JA等の集荷業者が生産者の出荷の際に支払う仮渡金であって、県単位で全農県本部、経済連が決定する。まさにそこの意思決定に何らかの問題があったんじゃないかと私は考えるんですけれども、原因について、大臣、どのようにお考えになるでしょうか。

松島政府参考人 委員御指摘ございましたように、概算金は、各県単位の全農本部でございましたり県経済連が県ごとに決めるものでございまして、その意思決定過程については、その県の中での内部の意思決定でございますので、つまびらかではございませんけれども、私どもがさまざまなところからお聞きしておりますのは、概算金の決定に当たりまして、やはり、民間在庫が大きかったとか、それから、いろいろな報道で、二十六年産は作柄もよくて、需給緩和基調にあるというふうな報道が多かった。

 さらに、二十五年産の米のスポット取引や先物取引の価格が低下していること、さらに、各県のJA系統では、そういった状況のもとで、できるだけ早く二十六年産を売り切りたい、また共同計算赤字になるリスクを避けたいというようなことが影響いたしまして、結果として、前年から六十キロ当たり二千円なり三千円の概算金の引き下げになったというふうに理解してございます。

桜内委員 原因というか、実際にどういうことがあって、それに対して全農県本部あるいは経済連がどう考えたかという意味の御説明にはなっていると思うんですけれども、私が思いますに、やはり、生産者とJAなり全農あるいは経済連との関係自体が問われているんだと思います。

 これから、このプランの中にもありますけれども、先ほども指摘がありましたが、平成三十年産から、行政による生産数量目標の配分に頼らずとも、国が策定する需給見通し等を踏まえつつ、生産者や集荷業者、団体が中心となって円滑に需要に応じた生産が行える状況になるよう、行政、生産者団体、現場が一体となって取り組みますという文言があるわけですけれども、このプラン、私も、この臨時国会から農水委員会の委員になりまして、上から下まで目を通させていただきましたが、残念ながら、どこにも、生産者と農協の関係というのがほとんど触れられていないんですね。

 私は、現状から見て、ここのところをまさに改革していくことができなければ、日本の農業というのが復活することはないんじゃないかというぐらいに危機感を覚えております。

 私は四国、愛媛四区でして、ミカンの生産が盛んなところなんです。米ではないんですが、やはり似たようなことが実際に起こっているんです。

 というのが、どこの農協とは言いませんけれども、ミカンの場合、共選というのがありまして、そこで甘さの等級とかをレーザーなりで調べて、農協の箱に入れて東京の大田市場に出すというようなことが毎年されています。日本のミカン生産ではうちの地元はもう本当に日本一なわけです。農協によって違いはあるんですけれども、ある農協は、専属利用契約というのを生産者との間で結構結ばせるわけですよ。専属利用契約をしなければ共選は使わせないよということなんです。

 そこで何が起こっているかというと、専属利用契約ですので、そこにミカンを出します、そして、農協が等級とかを分けて箱詰めした上で、東京に送って販売するわけなんです。そうすると、ミカンですので、日によって、年によってもちろん価格が変動するわけですけれども、農家に手取りとしてお金が行く分というのは、売り上げから一定の農協の手数料なりを差し引いた金額がぽんと行くわけです。これが市場の価格に完全に左右されておりまして、年によっては、原価割れといいますか、それまでのミカンの生産にかかった肥料代あるいは人件費等々を下回ってしまう、要は赤字経営になってしまうという事例がたくさんあるんですね。

 とはいえ、ミカンといっても、米と違って、今いろいろなミカンの種類が導入されていまして、やる気のある農家というのは、例えばブラッドオレンジというスペインとかでつくられていたものを持ってきたりとか、あと、「せとか」とか、今すごくおいしいのがいっぱいあるんですよ。おいしくて、一個千円で東京の千疋屋なんかで売られているのもあるぐらいなんですが、あれは、逆に言えば農協を通っていないんですよ。

 やる気のある農家というのは、いい品質のミカンを努力してつくって、販路も自分で開拓して、例えばジュースにしたらおいしかったりするのでジュースにして、インターネット販売したりする場合もあるんです。ところが、専属利用契約を結んでいたりすると、個人的な利益を図ったというふうにとがめられて、罰金まで食らうことがあるんです、一年間共選を使わせないよというふうな。ある種、やる気のある、まさに担い手、インターネット販売するぐらいですから若い人ですよ、そういう人ほど農協から離れていくんですね。

 なぜかというと、やはり、農協の果たすべき機能、プランに何度も書いていますけれども、有利販売、まず、高い価格で販売してあげる、もちろん流通もありますけれども。生産資材をなるべく安く供給してあげるというところを農協がしっかりやってほしいと僕は思うんです。

 ところが、逆のことをやっているんですよ。農協の箱というのは、ほかの仕入れ先から比べると高かったりするんですよね。でも、専属利用契約があるから箱を使わないと怒られる。専属利用契約違反だと言われれば、さっきのように罰金まであるんですけれども、そうじゃなくても、インターネットでジュースを販売したらまた怒られる。

 こういう意味で、やはり、生産者のための農協というふうなところに転換していく必要があると思うんです。

 恐らく、それは今回の、概算金が低過ぎる、相当低く下げられたというのとほぼ同じような構図なんじゃないかなと私は考えるんですけれども、大臣、今の現状をどうお考えになりますでしょうか。

奥原政府参考人 農協の専属利用契約でございますけれども、これは、現在の農協法の第十九条というところにこの規定がございます。これは、一年を超えない期間に限りという限定はつけてございますが、その間、組合員が農協を専ら利用する契約を締結することができる、こういう規定が入っております。ですから、今の法制度のもとでは合法的にそういうことができるわけでございます。

 御指摘がございましたように、農協はあくまで農家の自主的な協同組織でございます。自分たちのメリットがあるということで農協を使っていく。農産物の有利販売や資材の有利調達がきちんとできるかどうか、その上で、組合員が農協を使うかどうか、こういう問題でございますので、今回の農協改革の考え方、農家にも自由に経営をしていただく、農協も一つの組織としてきちんと経営をしていただいて農家にメリットを出していただく、こういう発想の中で、この専属利用契約をどうするかということも一つの検討課題だというふうに認識をしております。

桜内委員 具体的には、今おっしゃったとおり、農協法の十九条でありますが、ここには、もちろん、「一年を超えない期間を限り、」というんですが、これは毎年自動的に更新されるようになっているわけですよ、契約書の中では。

 さらに言うと、この十九条二項に、「前項の契約の締結は、組合員の任意とし、」というんですけれども、何か、慰安婦問題じゃないですけれども、広義の強制性というか。要は、専属利用契約を結ばないと、信用事業で、借り入れとかで不利になる、あるいは、箱の問題とか、資材の仕入れとか、そういった点で不利な扱いあるいは圧力を受けるというのが現実に起こっていることですよ。

 さらに言うと、「組合は、その締結を拒んだことを理由として、その組合員が組合の施設を利用することを拒んではならない。」というんですが、さっき言った罰金の事例では、一年間使わせないよというふうな処分が下されたりしているんですね。現実の処分です、これは。

 そういった意味で、私は、この十九条というのは、農協法九条の独禁法の適用除外と相当関連していると思うんですけれども、実際の現場で何が起こっているのかということをいいますと、今言ったとおりであります。

 やはり、力関係が、生産者よりも農協の方が非常に強い現状があるわけですね。信用事業も営んでいますから、そういったところで仕返しと言ったらなんですけれども、江戸のかたきを長崎で討つような、そういうふうな事実上の圧力というのもあったりする。これは当然、優越的地位の濫用ということで独禁法違反ですけれども、その執行がちゃんとなされていないわけですよ。

 この問題を私は農水省の方にも尋ねたことが二、三年前にありまして、ただ、やはり、農協に対する指導監督の権限は都道府県にあるから、自分たちは余り言えませんというふうなお答えでした。

 それならばということで、では、公取に聞いてみようというので、聞いてみましたらば、四国は高松に二十人ほどの事務所があるそうなんですね。ですので、全然こんな、うちの地元というのは高松からJRで四時間かかるんですけれども、そんなところまで見に来るわけないんですよ。農家の方が、こういう問題があるんだけれどもと相談に行っても、適用除外になっているからというふうな、結構、門前払い的な対応もあったと聞きます。

 ですので、私が申し上げたのはミカンのケースですけれども、今回の概算金の金額の決め方というのを今後しっかりと、決め方自体はどういうふうなプロセスで、それから、これは一万三千円とか二千円が二、三千円引き下げられているわけですよ。そういうところこそ、やはり国がしっかり、大臣がリーダーシップを持って指導していただきたいと思うんですけれども、その可能性について大臣にお尋ねします。

松島政府参考人 米の概算金の決め方の問題でございますけれども、米につきましては、生産者がまず単位農協に対して米の販売委託を行うわけでございまして、委託を受けました単位農協が、今度は県の全農本部であったり経済連に米の販売委託を行うという形で、販売委託という形で契約がなされているということでございます。

 したがいまして、米の生産者から販売委託を受けたJAが、概算金の水準をどうするかということにつきましては、生産者とJAとの民民の問題ではございますけれども、JAが、委託者である生産者の方々の理解を得て決定することがやはり望ましいのではないかというふうに考えてございます。

 また、このことに加えまして、JA等の集荷業者については、やはり販売戦略を立てて、農家の所得の確保の観点から適切に価格を設定して、しっかりとした販売努力をいただくということも、委託者である生産者の期待に応える、負託に応えるという観点から重要であると考えてございます。

 したがいまして、こういった考え方のもとで、JA等の関係者の方々には概算金のあり方なりについても考えていただくということが大事ではないかというふうに考えているところでございます。

桜内委員 よく考えていただくというだけじゃ、やはりだめだと思うんです。セーフガードというか、何割以上下げる場合は政府と相談するとか、もう一度しっかりと生産者と話し合いをするとか、そういった仕組みがやはり必要だと私は思います。

 なぜならば、概算金の後、追加払いがあった後はナラシの世界になってきますので、国の予算にも関係してくるわけですよ。そういった意味で、農水省が、そこはもう市場に任せていますから知りませんとも言えない部分だと私は認識しております。

 ですので、では、農協と生産者との関係を今後どうしていくのかというところで、やはり私は、前回も少し申し上げましたけれども、農協法自体をある程度見直していく必要があると思っております。

 例えば、まず八条ですけれども、「組合は、その行う事業によつてその組合員及び会員のために最大の奉仕をすることを目的とし、」そこまで書いてあるのに、ここまで組合員をいじめているわけですよ。「営利を目的としてその事業を行つてはならない。」という意味でいえば、組合が事業をやっているわけです。

 例えば、あるJAの例。私がたまたま見聞きしたところは、昨年度の財務諸表を拝見しました。そのJAは総資産が一千八百五十億円でした。ただ、これは金融機関みたいなものなので、信用事業のずうたいが非常にでかいんですね。ですので、九割方が農中やらそういったところに対する預け金なんですが、そこから、よくよく見ていきますと、信用事業の利益が約二十億円ぐらいありました。その利益を使って、例えば農家の生産資材の仕入れ価格を下げてあげる、あるいはこういった概算金というものをなるべく高くとってあげる、そういったことも考えられると思うんです。

 でも、一体何をやっているかというと、そこから先もっと下を見ていきますと、経済事業でガソリンスタンドやら葬儀屋さんとか手広くやっていらっしゃいますけれども、そういったところにその利益を突っ込んで、他の純粋な民間業者を圧迫しつつ、最後に利益を見たら、事業利益が一千五十万円になっているんですよ。総資産一千八百五十億円の会計主体というか企業主体が、そんなふうなお金の使い方をしちゃっているんですよね。

 ですので、経済事業をやるのもいいんですけれども、実際、これも農協法十条にあります。組合員の事業または生活に必要な資金の貸し付けのほか、必要な物資の供給というのもありますので、ガソリンなんかもそうなんでしょう。それから、農村の生活及び文化の改善に関する施設をつくっていいというので、葬祭場をつくっているのかもしれませんけれども、余りに手広過ぎるんじゃないのかということと同時に、せっかく信用事業で稼いできた利益がそういったところに、民業圧迫のところに使われて、本来の農協法の目的である生産者のために使われていないんですよ、現実。

 だから、概算金とかに、もっと上げてあげるように使えばいいんですよ、こういうのは。実際の作柄がどうなるかもわからない時期に概算金を決めるので、しようがないという面はあるのかもしれないけれども、しかし、そこはリスクをとれるずうたいなんですよ、農協というのは。なのに、そのリスクを生産者に押しつけているという実態を私はぜひ変えるべきだと思うんですけれども、大臣の所見をお願いいたします。

奥原政府参考人 農協は農業者の協同組合でございますので、農業者の所得向上に向けて、御指摘のとおり、農産物の有利販売あるいは生産資材の有利調達、これに最重点を置いて事業運営を行うのが基本であるというふうに考えております。

 一方で、高齢化、過疎化が進む農村社会において、農協は、実際上、地域のインフラとしての側面を持っているのも事実でございますので、農協法の範囲内で、組合員の選択により、組合員や地域住民の生活に必要なサービスを提供しているところでございます。

 農業者である組合員の選択によって事業範囲を定める現行の枠組みを直ちに変更する必要はないと考えておりますけれども、それが、本来の業務であります農産物の有利販売あるいは生産資材の有利調達を行う上で支障とならないよう、十分留意する必要があるというふうに考えております。

桜内委員 地域のインフラとおっしゃいましたが、要するにガソリンスタンド、うちは大変田舎ですけれども、民間企業がやっているところがありますよ。葬儀屋さんだってありますよ、民間企業が。逆にそういうところが潰れているんですよね。そういうときに、資本力があるからか、JAさんがセルフの安いガソリンスタンド屋さんをつくったりとかしているわけですよ。だから、お金の使い方が何か間違っているんじゃないのかというのが、素朴な、田舎に生きる人間の感想というのはお伝えしておきます。

 この農林水産業・地域の活力創造プランは、随分よく練られているとは思います。また、全農のあり方ですとか農業委員会のあり方、農業委員会については、ちょっと私は、選挙をやめるというのはどうかなと思う方ですけれども、西川大臣、かわられたばかりですけれども、本当にこれまでだったら袋だたきに遭ってもおかしくない、そういった斬新な内容だと思うんです。であればなおのこと、生産者と農協との関係についても、ぜひこれから見直しを進めていっていただきたいというお願いでございます。

 これはぜひ前向きな、ざっくりした答弁でも結構ですので、お願いします。

西川国務大臣 私たちも十分議論をして、農業委員会、それから農業生産法人、そして農協の議論もやってきました。先ほど御指摘がありましたけれども、やはり農家の所得に還元する仕組みでなければいけない、私は基本的にそういう考え方でありますので、困難なことではありますが、しっかりこれは前向きに取り組んでいきたい。その中で、法の改正が必要かどうか、これを含めて対応してまいりたいと考えております。

桜内委員 前向きな御答弁ありがとうございます。

 例えば、これは与党の方ですかね、ことしの六月の、別紙二になっているものですけれども、「各単位農協が、自立した経済主体として、経済界とも適切に連携しつつ積極的な経済活動を行って、」ここからが大事です。「利益を上げ、組合員への還元と将来への投資に充てていくべきことを明確にする。」というのであれば、まさに農協法八条、先ほど読み上げましたけれども、「営利を目的としてその事業を行つてはならない。」というのは、やはり時代にそぐわないと思います。ですので、何かしらをタブー視するのではなく、ゼロベースで、ぜひ、農協のあり方、農協法の規定自体も見直す必要があるかどうかも含め、しっかり検討していただきたいというふうに要望しておきます。

 続きまして申し上げますと、私は、前回もちょっと触れた点で、繰り返しになって申しわけないんですけれども、やはり担い手の規模要件がなくなったというのがどうにも違和感があるんです。

 確かに、ナラシの加入率が低いので、これを上げていくというのは一つのやり方だと思うんですけれども、その担い手の確保、かつ、中間管理機構を新たに設置したりとか、大きな方向性はやはり集約化であり、規模の拡大にあると思うんですね。

 ところが、ナラシの要件であります認定農業者の担い手の要件から規模を外して本当によかったのか。むしろ、集団営農でもいいかもしれませんけれども、やはり農業法人に社員として働くような形態もあり得ると思います。ですので、余りに小規模なところがふえるとまでは言いませんけれども、そこはやはり農業といえども、もちろん大事な産業なんですけれども、産業である以上、市場からの退出というのは、セーフティーネットを張った上で、これはあってはいけないという話じゃないと思うんです。

 そういった意味で、この担い手のあり方、そこについて御意見、見解をお尋ねいたします。

奥原政府参考人 御指摘のとおり、さきの通常国会におきまして、担い手経営安定法の改正が行われまして、対象者の担い手につきまして、面積規模要件を廃止するということにしたわけでございます。

 その国会審議におきましてもいろいろ御議論いただきましたけれども、この担い手というものとして、農業で生計を立てていく意欲と能力のある方、これが基本的な発想でございまして、そういう意味で定性的なものではございますが、認定農業者、認定新規就農者、それから一定の要件を満たす集落営農、まずこれが枠組みとしてはまっております。その上に面積の要件を課すかどうかというところで、今回の法改正ではそれはなくすということになったわけでございます。

 それは、面積が、従来ですと、都府県ですと四ヘクタールというのがかかっておりましたけれども、四ヘクタールに満たない認定農業者の方であっても、必ずしも米だけやっていらっしゃるとは限りません。野菜と米と複合的にやっていらっしゃる場合に、面積はそれほど多くは要らないわけです。米もやっているけれども、トータルで例えば三ヘクタール、二ヘクタールで十分な収益を上げていらっしゃる方もいらっしゃいます。こういう方が、四ヘクタールで線を引きますと、結局、このセーフティーネットのナラシ対策に入れなくなる、こういう問題もございます。

 そういう意味で、認定農業者であれば、規模要件はかけなくても幅広く対象になれるようにした方が担い手のセーフティーネットとしてうまく機能するのではないか、こういうことで法改正をされたというふうに考えております。

桜内委員 それで本当によかったのかということだと思います。

 立法論として言えば、幾つか制度設計の仕方はあったと思います。要は、認定農業者にならなければナラシ九割というのが全額受けられないという仕組みじゃなくて、例えば、規模の小さいところは五割までしか受けられないとか、いろいろな段階を踏ませて、規模の大きいところに誘導していくようなインセンティブを制度に埋め込むということも可能だと私は思います。

 ですので、ここは、これから実際、来年この制度が始まっていって実態がどうなっていくのか、そして、今随分ナラシの加入者が少ないといいますけれども、どれだけふえるのか、そういった実態を見ながら、やはり不断の制度の見直しというのは必要だと指摘させていただきます。

 そして、先ほど少し読み上げましたけれども、平成三十年産から、政府による生産数量目標の配分に頼らずとも、生産者、集荷業者、団体が中心となって円滑に需要に応じた生産を行えるようにするというふうに目標を掲げられています。このほかにも随分立派な目標がいっぱいあるんです。例えば、米の生産コストを全国平均比四割削減とか。実際、そうしてほしいですよ。ほしいんだけれども、やはり、ロードマップがまだないというのが、私はこのプランを読んで非常に残念に思ったところでもあるんです。

 まだないとしても、これからどうつくっていくのか、今後の取り組みについて方針をお聞かせください。

松島政府参考人 委員から今御指摘ございましたように、生産調整につきましては、四十年以上続いてきた米の生産調整を見直して、行政における生産数量目標の配分に頼らずとも、農業者がマーケットを見ながらみずからの経営判断で作物をつくれるようにするという基本的な考え方でこの政策見直しは行われているところでございます。

 こういった目標に向けて、プランにもありますように、環境整備を進めていくということが記されておりまして、例えば、農業者や集荷団体の方々が需要に応じた生産を行えるようなきめ細かな需給や価格情報ですとか、販売進捗とか、それから在庫の情報、こういったものをどういうふうに提供していくのか。それからまた、米の需給については、やはり、消費が毎年八万トン近い水準で減少する中で、主食用米から需要のある飼料用米などの主食用米以外の米への転換に対する支援をどうしていくのか、そういった環境の整備を、我々はこれから三年間かけてしっかり対応していきたいというふうに考えているところでございます。

    〔委員長退席、齋藤(健)委員長代理着席〕

桜内委員 もう今は平成二十六年ですので、平成三十年までというのであれば、本当に具体的なロードマップが今すぐないと動けないはずじゃないですか。また、今、平成二十七年度予算の概算要求で査定作業が行われているわけですよ、予算編成作業も。二十七年度はこうする、二十八年度はこうする、二十九年度はこうするというのがあって、ようやく平成三十年度の姿が描けるわけなので、これはぜひ急ぎ作業していただいて、我々農水委員会にできるだけ早く提示していただきたいということを要望しておきます。

 そして、繰り返しになって恐縮なんですけれども、このプランの中に、「必要な場合には、JAの組織分割や、組織の一部の株式会社・生活協同組合等への転換ができるようにする。」という文言もあります。

 先ほど他の議員の方がおっしゃっていましたが、戸別所得補償がいいかどうかというと、私の意見としては、幾ら農業が大事だといっても、やはり結果の平等のようなことはあってはいけないと思います。やはり、機会の平等を、我々国会議員は制度としてつくっていく。その意味で、これまでのような戸別所得補償をやめて、このナラシ対策に切りかえていくというのは、私は賛同できるものだと考えております。

 ただ、その上で、今の現状からすると、今、農業協同組合法に基づいて農協があって、目的規定では、要は農業者のためというふうにちゃんと書いてあるにもかかわらず、先ほど言った概算金のような意思決定がなされてしまっているわけですね。

 では、株式会社になったらどうか。組合員が株主になれば、上場もしなければ、別に、生産者をいじめて農協だけ肥え太るということはあり得ない話なので、今の農協の仕組み、農協法に基づく農協のあり方、実際の意思決定というものが十分に法の期待するところに従ったものがないということであれば、やはり、組合員を出資者とする株式会社化というのも一つの大きな選択肢になり得ると私は考えております。

 その上で、出資者のためにということで利益もちゃんと上げる、そして、出資者のために、もともと協同組合だったわけですから、生産資材の有利調達を促す、あるいは、生産者から請け負った農産物、米にしろミカンにしろ、ちゃんと高い価格を維持して流通販売してあげる、こういった農協本来の目的にかなうのであれば、別にこの農業協同組合法に縛られることなく、もちろん、必要な制限があるのであれば、特殊会社のようなものでも結構です。そういった意味で、せっかくプランにもこうやって書かれているわけですから、ぜひ株式会社化の検討を進めていただきたいと思うわけですけれども、大臣のコメントをお願いします。

奥原政府参考人 現在の農協の事業は非常に多様化しておりまして、先生御指摘のとおり、葬祭事業、ガソリンスタンドを含めて、いろいろな事業をやっております。

 それからもう一つは、この事業の対象者でございますけれども、担い手農業者がおり、それから兼業農家がいる。これは両方とも正組合員ということになりますが、この正組合員の中に、担い手とそれから兼業農家が分かれている。そのほかに、准組合員として、農家ではない地域住民の方がいらっしゃる。准組合員でない地域住民の方に対しても一部サービスを提供している。こういうこともございまして、非常に農協の事業の対象者も多様化をしております。

 これが一つの組織でもって本当にニーズに応えて適切に事業運営できるのかというのが、この与党の取りまとめ、それから政府のプランの中に入っている考え方でございまして、この事業を適切に運営する観点から、必要な場合には適切な組織形態を選択できるようにしたらどうかということが書かれております。具体的には、必要な場合には、選択によりまして、農協の組織を分割したり、組織の一部を株式会社等に転換できるようにするということが書かれております。

 農林水産省といたしましては、こういった与党の取りまとめ等を踏まえまして、農協系統の検討状況も伺いながら、法律案を検討いたしまして、次期通常国会に法案を出していきたいというふうに考えております。

桜内委員 ぜひ、生産者が夢と希望を抱いて仕事ができるような農協に変えていっていただきたいというふうに思っております。

 私の地元は田舎ですので、水産業も農業も、逆にそれしかない状態ではあるんですけれども、若い人たちと話していますと、ミカン農家であれ漁師さんであれ、仮に、所得が一世帯一千万というような状態であれば、若い人も喜んで地元に帰ってくるし、そういった本当の担い手になってくれるというふうな話をしたりもします。

 そのためには、やはり所得をどうふやしていくのか。これは、先ほども少し申し上げましたけれども、要は、逆に言うと、所得が少なければ少ないほど政府が補填してくれるというような結果の平等ではなくて、まさに自立を促すために、しっかりとした売り上げを確保していく、利益を確保していく、その方向に、農協も生産者と同じ方向を向いて、ぜひ改革を進めていっていただきたいというふうに思っております。

 決して、私は農協が憎いわけでもないし、たたきたいとも思わないんですけれども、しかし、冒頭申し上げたような事例を地元で、こういった政治活動をしておりますとよく耳にするんです。そういった意味で、やはり、むしろ、若くてやる気のある生産者の方々をどう伸ばしてあげるのかということを考えなくちゃいけないと思います。

 また、経営能力のある人、販売まで含めて自分で段取りをつけて経営を組み立てていける人は少なからずいます。ただ一方で、サラリーマン的に、言われた作業、単純作業をやるのが得意な方も、もちろんいらっしゃいます。そういった意味で、やる気があって、能力もあって、随分活躍している人をいじめるんじゃなくて、むしろ、彼らを中心に農業全体の底上げをどう図っていくのかというふうに、これは生産者のことでもあるし、農協もそれをむしろ後押しするような仕組みに早くなってほしいなというふうに考えております。

 時間がそろそろ来ましたので、きょうはこのあたりにしますが、これからの生産者を、それも、やる気のある若い人をどう後押ししていくのかということを、ちょっと全般的な話ですけれども、大臣から今後の方向性についてコメントください。

    〔齋藤(健)委員長代理退席、委員長着席〕

西川国務大臣 農協を例えに挙げていただきながら、若い人たちのやる気をどう伸ばすか、こういう御意見をいただきました。

 常日ごろ私が主張しているのと余りにも同じなものですから、今後どうなるのかわかりませんが、私は、農家の所得をふやす、そして、若い人たちがまた農業に喜んでいそしんでもらえる、こういう農業にしていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。

桜内委員 では、終わります。ありがとうございました。

江藤委員長 次に、畑浩治君。

畑委員 生活の党の畑浩治でございます。

 まず、TPPについて若干議論をさせていただきたいと思います。

 TPPの閣僚交渉も行われるということで、あしたからですか、甘利大臣もシドニーの方に行かれるということになっているようであります。申すまでもなく、西川大臣は、自民党のTPP対策特別委員長として大変難しい交渉の知恵出しというか、影のフィクサーと言ってはなんですが、かなり実際の段取りをされてきたことに対して深く敬意を表する次第でございます。

 それで、TPPに対する認識ということなんですが、大臣は所信で、衆参の農林水産委決議が守られたとの評価をいただけるよう、政府一体となって全力を尽くしてまいりたいというふうにおっしゃっておられました。

 この言い方に私はちょっと違和感を感じたところがありまして、というのは、そういう評価をいただくためには、大臣は、こういうふうにやりたい、こういうふうに思っているということをもっと発信していただきたかったなという思いがあります。

 それで、大臣としては、どのような結果となればそのような評価が得られると考えておられるのか、お伺いしたいと思います。

西川国務大臣 これは、TPPの交渉も相当大詰めに来ていると思うんですね。それで、二十一作業分野の方は、相当これは進んできている、あと残すところは余りないのではないかと私は受けとめています。一方、関税の問題は、一番肝心なことが残っておりますので、私どもは、ここをどうしても日本の主張で合意してもらわなければならない、こう思っております。

 そういう意味で、何といっても、衆参農林水産委員会の決議が守られたという評価を国会からいただかなければ政府としてはどうしようもないわけでありまして、この国会で評価がいただけますように、最後まで努力をしてもらうように、対策本部の方へも私からも強く申し入れているところでございます。

畑委員 今の御答弁、この範囲が守られればその評価が得られるという答弁がいただけなかったので、これは性質上難しい御答弁だと思いますが、ちょっとそこは残念であります。

 そこで、お伺いしたいのは、中身の議論は、いろいろ交渉過程だし、守秘義務もあって出せないのは私も理解しておるというか、理解できないんですが、そういう答弁がこれまであったわけですが、最近のこれまでの日米の事務交渉で、米国が柔軟な対応をしてきて話がかみ合ってきたという報道があって、甘利大臣もそういうことを言っておられるようであります。

 これまで甘利大臣は、日本側は最大限の譲歩案を提示してきたと……(発言する者あり)そこがありません、どんなあれかがあるんですが、最大限の譲歩案を提示したと。これはこれ以上の譲歩をするのかどうか。つまり、それでも、あの九月の段階だと、アメリカはかたくなだった、話を蒸し返してきたということを言っておられるわけです。

 この前、十月十五日の内閣委員会で、これ以上、柔軟な対応ということで譲歩する余地があるのかどうかということをお聞きしたところ、ちょっと気にかかる答弁があったわけです。

 甘利大臣はこういうふうにおっしゃっておられました。つまり、うちはこうやったけれども、こっちはこう譲るから、そっちはもうちょっとこうしてねというような、バランスをとり合うというのは、交渉のすべとしてはこれはゼロではないというふうに思っておりますと。つまり、一方的に譲ることはない、しかし、相手が柔軟な対応をしたら、それはそういうこともあり得べきだという答弁なんです。

 でも、今まで、どういう内容かわかりませんけれども、最大限の譲歩をしてきたわけですよね。ということは、アメリカから言われようと、あるいはアメリカが柔軟な対応を示そうと、あるいはこっちから自発的であろうと、もうこれ以上の譲歩、九月の段階に示した案以上の譲歩はないはずだと私は論理的には思うわけです。

 実は、巷間、方程式合意と言われておりまして、大臣、中身は大変御存じだと思うんですが、セーフガードと輸入量と関税削減の年限を組み合わせてやるということのようであります。これはこれで、衆参の農林水産委決議に反するかどうかという議論はしなければいけませんが、私は反すると思いますけれども、再生産可能な範囲でおさめるということなのでしょう、今の交渉の範囲内の考え方は。

 ただ、これまで出したものよりも、さらに譲歩案をどんな段階でももう日本は行わない、私はそうすべきだと思うんですが、その点、明確にお答えいただきたいんですが、いかがでしょうか。

西川国務大臣 交渉事ですから、細部はなかなか申し上げにくいですね。しかし、我々の姿勢としては、譲歩はしない、重要五品目が、国会で、守られた、そういう評価が得られるところまでしか、交渉の中で、甘利大臣も進むことはやらないと思います。あくまでも、この国会の決議が守られた、その範囲内で頑張ってくれている、こう思っております。

 これは、どういうものが大事だと言ったら、大事だというものを攻めてきますよね、交渉国は。最後の最後まで、決着がつくまで、この交渉というのは厳しい局面が最後まで私は続くと見ておりますが、政府として、何度も申し上げますが、国会決議が守られたとの評価を国会でいただけるよう、交渉を最大限努力している、こういうことだけ申し上げておきます。

畑委員 そういう答弁になるのだろうと思いますが、九月の段階で最大限の譲歩案を日本は示した、アメリカに言っておられると。だから、そこの譲歩案は私は残念ながらわからないわけですが、そこからさらに交渉を進める、妥協するということはあってはならない。

 これは、いろいろ中身を見ると、例えば、セーフガードだって、従来の輸入量から見て、高く設定して、実際には発動できないようにするというような新聞記事もありました、米韓FTAはそうなっていると。

 結局、いろいろな組み合わせの中で、どんどん柔軟化、あっちからすれば柔軟化ということで、日本からいえばずるずる妥協したということですが、そういうことになる可能性が、方程式合意ということを交渉でとり始めた以上、あるのだろうと思います。

 そこは、午前中、日豪EPAの話もありましたが、ああいう中でやるとしても、あれが最低限だという議論はきょうはありましたが、あれより押し込まれていると、やはりこれはそういう評価はいただけないのではないかなというか、するべきじゃないなと国会議員として私は思います。きょうは、そのことを申し上げて、次の議論に入りたいと思います。

 引き続き、ぜひとも、農林水産大臣の立場からも、甘利大臣と連携して、督励していただいて、当初の案で通すような形でやっていただきたいということを強く申し上げておきます。

 次に、ナラシについて、きょうはいろいろ議論がされました。私も議論をさせていただきたいと思います。

 まず、ナラシについてですが、規模要件が、これから来年度以降、課されないわけですが、認定農業者等の担い手要件が入っているということになります。この理由はいろいろこれまで説明があってわかるんですが、事実として、現状の要件と比べて、加入者はどうなるんでしょうか。その点をお伺いしたいと思います。

奥原政府参考人 ナラシ対策につきましては、さきの通常国会で法改正が行われておりまして、担い手として、認定農業者、集落営農に認定新規就農者を加える、それと同時に、いずれも面積規模要件は課さないということになったわけでございます。

 したがいまして、農業で生計を立てていく意欲と能力のある方であれば、二十七年産に向けて市町村の認定を受けて認定農業者になっていただいて、ナラシ対策に加入をしていただきたいというふうに考えております。

 それから、ナラシ対策に加入するための集落営農の方の要件も今回緩和をしております。

 組織の規約を定めていること、それから対象作物の共同販売経理を行っていること、この二つの要件を満たしていただければ、ナラシ対策に集落営農として加入することができるということになっているわけでございます。個人としては認定農業者になれない方も、この集落営農を組織していただいてナラシ対策に加入をしていただくということが可能でございます。

 こうした制度の改善点を含めて周知徹底を図ることによりまして、加入者を大幅に拡大したいというふうに考えております。

畑委員 拡大したいというのはわかりますが、実際どれぐらい拡大するんでしょうか。まさに今、米の概算金の下落でどれぐらいナラシがセーフティーネットの効果を果たすかという議論をしているときに、そこがどれぐらいふえるかということをお答えいただけないと、農家の安心はなかなか得られないのではないでしょうか。

 これは、ふえるのは当たり前というか、ふえるのが当たり前かどうかは私はわかりません。JA岩手なんかと議論していると、実は、担い手要件が入っているので、そんなにふえないんじゃないかと言う人もおられます。であれば、これは、セーフティーネットの機能はナラシしかないということなわけですから、そこはセーフティーネットとしての機能が弱くなるのではないのかなと思っております。

 もう一度、その辺の集計、推計はどれぐらいふえるかというデータ的なところはされているのか、お伺いしたいと思います。

奥原政府参考人 通常国会で御審議いただきました担い手経営安定法の改正案は、基本的に、担い手のセーフティーネットをきちんとつくるという発想でできている法律だというふうに考えております。

 したがいまして、農業で生計を立てていく意欲と能力のある方であれば、幅広くこれに入れるようにする、これが制度の基本的な発想でございます。

 これから、制度の改善点を含めて、いろいろな形で加入促進を進めていきたいというふうに考えておりますけれども、具体的にどのくらいになるか見通すことは難しいんですが、二十六年産の加入件数は、現在、米について言えば六万件でございます。一方で、参考の数字として申し上げますと、米を作付している認定農業者の方、これが現在どれだけいらっしゃるかといえば、約十五万でございます。こういったことも考慮しながら、できるだけ加入促進を進めていきたいというふうに考えております。

畑委員 現行でどれぐらい入っているかというのは、きょうの玉木議員の話にもあって、面積で四〇・八%、加入者で六・七%ですから、これがどれぐらいふえるか。

 政府の農政の方向性というのは、担い手に集約化していくというところで、そこを守るということで、これはこれで、それは理屈なんだろうと思います。私も否定しません。ただ、こういう急激な変動が起こる今の状況の中で、やはりこれはラグがあるわけで、急にふやせるわけではないんですが、どんなタイムスケジュールでどれぐらいふえるかということを示さないと、全体のセーフティーネットとしての、安心感というか、そこの機能という議論がなかなかしにくいのだろうという問題意識で質問をしているわけです。

 きょうはちょっと出せないんでしょうから、これは引き続き議論したいと思います。

 ナラシ対策、きょう、鷲尾議員からもありましたが、実は、ナラシがセーフティーネットとしてなかなか不十分なところは多々ありまして、その一つは、二割以上下落した場合の対応がとれないということ。きょう、議論があって、これまでデータ的に二割下落したことがなかったので二割まででいいでしょうということなんですが、これから果たして二割以上下落することがないのかどうか、そこも議論しなければいけないと思います。

 というのは、米の需給調整を民間に任せるということになっていくと、今過剰基調にある、そこを市場任せにすると、そこは解消されるというのはなかなか難しいのではないか、されればいいんですけれども。となると、しかも、なおかつ、自由化していく中で、いろいろな変動がやはり極端に出てくるのではないかなというふうな気がしております。

 であれば、本当にやる気のある担い手とか農業者に対して、二割以上の収入減少が発生する場合にも補填対象とするような議論があってもいいと思いますし、現に、いろいろな生産者からはそういうふうな要望は聞いておるんですが、そこについて、補填対象ということの拡大が必要だと思うんですが、いかがでしょうか。

あべ副大臣 委員にお答えいたします。

 委員がおっしゃいましたように、先ほど説明にもございましたが、ナラシ対策は平成十九年に開始されまして、これまでの七年間、全国平均で減収幅が二割を超えたことがなくて、最大が二十二年産米の一五・二%でございました。地域ごとの減収の状況を見ましても、局地的な災害による収穫量の減少があった場合などを除きまして、収入額の減少幅で二割を超えたケースがほとんどないことから、現在の制度で実質的に対応できるものと考えております。

 なお、農業者の拠出を求めることなく、例えば収入減少を全額国費で補填などをした場合におきましては、ニーズを踏まえた生産、また真剣な生産者の販売努力を損なうなど、モラルハザードをするおそれがあるものと考えております。

畑委員 引き続き、ちょっとこのナラシについて議論をさせていただきたいと思います。

 ナラシ、農村社会におけるセーフティーネットをいかに張るかということなわけですけれども、私は、十月十四日の本会議で米の概算金の価格下落を取り上げて、地域のセーフティーネットを適切に組み合わせるということの重要性が必要で、これが地方創生の観点からも必要ではないかなということを申し上げて質問をしたところなんです。

 それに対して、総理からは、そこのセーフティーネットを張って支えるという話ではなくて、構造改革を進めるという形の考え方だろうと思うんですが、農業の成長産業化を図るため、農地集積バンクによる農地集積や米の生産調整の見直しなどの改革を進めるというふうなことを言っておられたので、はて、これがセーフティーネットかなと思ったら、結局、米の価格が急激に変動した場合には、ナラシ対策がセーフティーネットだという答弁もあったわけです。これを聞いて、競争を促進させながら、ナラシというところで救っていくのだなという答弁だと理解しました。

 戸別所得補償については、きょうはるる議論があったわけですが、これもこれまでの答弁と同じなんですが、総理は、全ての販売農家を対象とし、担い手への農地集積のスピードをおくらせる面があったことなどから、意欲と能力ある担い手に集中した対策に見直したところだという答弁だったわけです。

 これを聞いていて、政府の考え方は、端的には、小規模な農家とか非効率な農家を主食米づくりから退出させて、それによって需給を引き締めていくというふうな政策だと理解したわけなんですが、そうした場合、これは自由に競争させて、もうからないと思う人は出ていって、そこで結果的に需給は引き締まる。そういう政策はいいんですが、それはセーフティーネットという観点が入っているんだろうかなと。ナラシはあるんです、不十分なナラシは。セーフティーネットというところがかなり弱くなったような政策体系を組んだなというイメージを持ったわけです。

 何が弱いかというと、標準的なコストを補償して再生産を可能にするような考え方がこれからの政府の農政のあり方ではなくなったのだなと思います。

 ナラシというのは、きょうは議論が出ましたが、中長期の価格下落には対応できるものではないわけです。短期的な変動ですね。中長期は、もちろん自分で判断して、情報をしっかりとって、もうかると思うならつくって、もうかると思わなければ退出する、言ってみれば、そういう政策なわけです。

 これで、中長期はそうかもしれないけれども、当面、数年の範囲で見た場合、安心した生産につながるんでしょうか、そこのところの認識をお伺いしたいと思います。

あべ副大臣 委員にお答えいたします。

 セーフティーネットのあり方に関して、本当にセーフティーネットになっているのかという御質問でございますが、米の所得補償制度は、いわゆる麦、大豆と異なりまして、十分な国境措置がございまして、諸外国との生産条件の格差から生じる不利はないということ、価格低下分を全額国費で補填することは生産者の経営努力を損なうおそれがあること、さらには、全ての販売農家を対象とすることは農地の流動化のペースをおくらせる面があること、さらに、ほかの農産物の生産者や他産業、納税者の理解を得がたいことなどの政策的な課題がございました。

 定額部分は、二十六年産から単価を削減いたしまして、三十年産から廃止になりますけれども、変動部分は、二十六年産から廃止するところとした部分でございます。

 米価の変動に関してはナラシ対策で対応することになりますが、この意欲と能力のある生産者に重点を置いたセーフティーネットを、納税者の理解を得て継続していくことが重要だと思っております。

 また、米のコストと収入の差額を補填するという委員の質問に関してでございますが、税金を使用してコスト割れの補填を実施することは、十分な国境措置がなく、諸外国との生産条件の格差に起因してコスト割れが発生しているなど、合理的な理由が必要でございます。

 米につきましては、麦、大豆のように、諸外国との生産条件格差から生ずる不利はございませんでして、また、潜在的生産力が需要を上回っている状況にありますことから、コスト割れ補填をする合理的な理由はないものと私どもは考えております。

 米価が変動したときのセーフティーネットとしては、コスト割れの補填ということではなくて、収入減少の影響を緩和するナラシ対策を措置しております。

 また、最後になりますが、いわゆる米価下落が継続した場合におきましてのナラシ対策に対して、下がり続けるのではないかという委員の御質問でございましたが、経営の維持発展に向けて、どういう農産物をどれぐらい生産し、どのように販売するかという経営判断を的確に行っていただくことを前提とすることがナラシ対策でございます。

 こうした経営努力をしていただければ、標準的収入額が下がり続けることにはならないものと私どもは考えております。

 また、市場の価格変動と関係なく、標準的収入額を固定した場合には、投げ売りを助長するなど、モラルハザードを発生させることになりますし、納税者の理解を得ることができないなどの問題がございますので、標準的収入額を固定することは適当ではないと私どもは考えております。

畑委員 ナラシが適正なセーフティーネット政策かどうかということはあります。ナラシの加入状況はどれぐらいふえるのか、どうやっていくかということもお答えできずに、ナラシをセーフティーネットだと第一義的に言うのは、まず認識不足だと思います。

 それから、今の話を受けて、趨勢的な主食用米の価格下落はやむを得ない、再生産可能なコストの補償は不要という考えでいいですね。そこのところを確認したいと思います。そこは政治家から、あれほど自信を持ってあべ副大臣がお答えになったので。

西川国務大臣 今の価格の問題ですけれども、御指摘があるように、五年中三年をとるということで、これが下がり続けないように我々は望んでおりますけれども、米価の状況によってはどういう状況になるかというのはまだ予測ができない、こういうことになろうかと思いますが、我々は、今の希望として、五年中三年をとることによって、価格は下がり続けないでほしいと願っている、こういう状況です。

畑委員 それは、私も下がり続けないように念願いたします。

 私が申し上げているのは、望んでいるとか願っているじゃなくて、だってそうでしょう、政府のやり方は。これからは需給調整を実質的に廃止して市場に任せるということなんだから、そこは、政府は口を出せない話だし、口は出せるんでしょうが、制御できなくなるわけですよ。であると、下がる可能性もあるし、そこは、政府は何とも言えないはずなんです。

 そこにおいて、趨勢的に下がっていくことに対して、これをどうするかというのは、今のナラシでは対策できないと私は申し上げておって、そこについてどう対策をとるんですか、とらなくてもいいんですか、その確認をしたいと言っているわけです。

 今までの議論からすると、これは、政府は、自由に任せるんだから、趨勢的な価格下落はやむを得ない、それは情報を見ながら、生産者が退出していって需給は締まるだろうということを言っているにすぎないと思うので、そういう理解でいいのか。

 つまり、政府としては、需給の中で、市場の中で考えていくので、これは、趨勢的な主食用米の価格下落というのは望ましいとは言えないけれども、我々はそこは手を離してどうしようもないという認識でいいんでしょうか。

奥原政府参考人 昨年の秋に、米政策あるいは経営所得安定対策の見直しが行われておりますけれども、基本的に、需給とか価格の安定がなくていいというふうに我々は判断しているわけではございません。

 米につきましては、三十年産から、強制的な行政による数量目標の配分はなくなる方向で検討をするということになっておりますけれども、それは需給バランスがとれなくていいということではございません。例えば、餌米をつくったときの補助金をどうするかとか、そういった周辺部分の対策はいろいろございます。

 そういったものを組み合わせて需給価格を安定させる、それによって農家の経営も安定をさせる、変動した場合にはセーフティーネットを担い手を中心に張っていく、こういう発想で政策の整理がなされたものというふうに考えております。

畑委員 そこで、セーフティーネットは、収入保険制度をこれから検討されて、どういうふうにしていくかというところをまさにこれから議論しなきゃいけないところだと思います。

 きょうは、時間がなくなりましたので、市場に任せるというのは、方向としては当然そうなんですが、規制緩和というのは、セーフティーネットをしっかり張ることとうまく組み合わせないと、特に農政だとなかなか危ないことになりますので、そういう問題意識を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

江藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十三分散会


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