第5号 平成26年11月12日(水曜日)
平成二十六年十一月十二日(水曜日)午前九時三十分開議
出席委員
委員長 江藤 拓君
理事 伊東 良孝君 理事 齋藤 健君
理事 谷川 弥一君 理事 宮腰 光寛君
理事 吉川 貴盛君 理事 篠原 孝君
理事 村岡 敏英君 理事 石田 祝稔君
井野 俊郎君 池田 道孝君
加藤 寛治君 金子万寿夫君
川田 隆君 菅家 一郎君
坂本 哲志君 清水 誠一君
末吉 光徳君 鈴木 憲和君
武部 新君 津島 淳君
中川 郁子君 橋本 英教君
堀井 学君 堀内 詔子君
三ッ林裕巳君 簗 和生君
山本 拓君 湯川 一行君
渡辺 孝一君 玉木雄一郎君
寺島 義幸君 鷲尾英一郎君
上西小百合君 坂本祐之輔君
鈴木 望君 林 宙紀君
稲津 久君 佐藤 英道君
桜内 文城君 畑 浩治君
…………………………………
参議院農林水産委員長 山田 俊男君
農林水産大臣 西川 公也君
農林水産副大臣 あべ 俊子君
農林水産大臣政務官 佐藤 英道君
農林水産大臣政務官 中川 郁子君
政府参考人
(消費者庁審議官) 菅久 修一君
政府参考人
(総務省自治行政局選挙部長) 稲山 博司君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 滝崎 成樹君
政府参考人
(農林水産省大臣官房統計部長) 小風 茂君
政府参考人
(農林水産省消費・安全局長) 小林 裕幸君
政府参考人
(農林水産省生産局長) 松島 浩道君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 奥原 正明君
政府参考人
(海上保安庁警備救難部長) 中島 敏君
農林水産委員会専門員 奥井 啓史君
―――――――――――――
委員の異動
十一月十一日
委員後藤斎君が退職された。
同月十二日
辞任 補欠選任
武井 俊輔君 堀内 詔子君
森山 裕君 湯川 一行君
坂本祐之輔君 上西小百合君
同日
辞任 補欠選任
堀内 詔子君 三ッ林裕巳君
湯川 一行君 森山 裕君
上西小百合君 坂本祐之輔君
同日
辞任 補欠選任
三ッ林裕巳君 武井 俊輔君
―――――――――――――
十一月六日
鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律の一部を改正する法律案(農林水産委員長提出、参法第二号)(予)
同月七日
鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律の一部を改正する法律案(参議院提出、参法第二号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律の一部を改正する法律案(参議院提出、参法第二号)
農林水産関係の基本施策に関する件
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○江藤委員長 これより会議を開きます。
農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房統計部長小風茂君、消費・安全局長小林裕幸君、生産局長松島浩道君、経営局長奥原正明君、消費者庁審議官菅久修一君、総務省自治行政局選挙部長稲山博司君、外務省大臣官房参事官滝崎成樹君及び海上保安庁警備救難部長中島敏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○江藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○江藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武部新君。
○武部委員 自由民主党の武部新でございます。
ここ数日来の報道で、皆様、落ちつかない日をお過ごしだと思いますが、やるべきことをしっかりとやってまいりたいと思います。
まず、中国船のサンゴ密漁問題について質問をさせていただきます。
小笠原諸島、それから伊豆諸島周辺海域で、中国船と見られる宝石サンゴの密漁が、十月三十日には二百十二隻も発見されるというような大変な事態が起きております。地元の皆さん方も大変不安でありますし、また荒々しい漁法で、漁場も荒らしていくというように、漁業にも大変大きな被害が出ていると思いますが、この中国漁船によるサンゴの密漁の取り締まり状況について、政府の対応をお聞きしたいと思います。
○中島政府参考人 お答え申し上げます。
海上保安庁では、中国サンゴ漁船と見られる漁船が小笠原周辺海域等に多数確認されたことを踏まえまして、同海域において、大型巡視船や航空機を集中的に投入した特別な体制を整えて、違法操業を行う中国サンゴ漁船の取り締まりを行っております。その結果、十月五日以降、これまでに五人の中国人船長を逮捕しております。
引き続き、水産庁、東京都が派遣している漁業取り締まり船等とも連携をし、法令にのっとり、厳正に対処してまいりたいと考えております。
○武部委員 しっかりと体制をとって、監視を強化していただきたいというふうに思います。
それと同時に、これは我が国の領海の中で行われている大変な蛮行でありまして、しっかりと中国政府に対して、外交ルートでたび重なる抗議をしているとは思いますけれども、中国政府がどんな対応をしているのか。それと、さらなる厳重な働きかけが必要だと思いますが、政府の対応をお聞きしたいと思います。
○滝崎政府参考人 お答えいたします。
私どもといたしましても、中国サンゴ船の違法操業というのは大変遺憾で、認められないというふうに考えております。
こうした観点から、外務省といたしましても、関係省庁と密接に連携しながら、中国側に対して、累次にわたって、東京、それから北京において、さまざまなレベルで取り締まりの強化や再発防止を強く申し入れてきております。
一番最近の例ですと、八日に日中外相会談がございましたけれども、その場で、岸田外務大臣から王毅外交部長に対して、中国サンゴ船の違法操業は極めて遺憾だということ、それから、中国国内における取り締まりの実効性を上げることが重要で、関係当局間の連携を強化したいと強く申し入れております。
こういう累次の申し入れに対しまして、中国側は、サンゴの密漁は中国国内でも違法だ、一貫して断固密漁を取り締まっていて、宣伝教育や厳格な法律の執行などの措置を通じて管理を強めている、それから、日中両国の法執行部門がこの分野においてより一層協力して、共同で関連問題を適切に解決することを望んでいるということを言ってきております。
外務省といたしましては、関係省庁と協力しながら、さらに働きかけをする、あるいは、必要と思われる手段を講じていきたいというふうに考えております。
○武部委員 岸田外務大臣からもお話があったということでありますけれども、しっかりと中国政府に対して働きかけを強めるとともに、やはり国際社会にもしっかりとアピールして、こういったことが行われているということを理解していただくように努力していただきたいと思います。
それと、新聞報道によりますと、漁業違反で逮捕された中国サンゴ船の船長が、罰金を払って釈放された後に、もう一度密漁で逮捕されたという新聞報道がありました。現状、これは、非常に価値の高い宝石サンゴの市場価格に比べて、罰金と担保金が低いため、払ってもう一回やったっていいんだと、抑止力になっていないんだというふうに思います。
それで、サンゴの密漁を抑止する効果をしっかり発揮しなきゃいけないなというふうに思いまして、やはりこれは罰金と担保金を早急に引き上げるということが必要だというふうに思いますが、水産庁、農水省、政府の対応をお聞きいたします。
○中川大臣政務官 武部委員の質問にお答えをいたします。
委員御指摘のとおり、サンゴ価格は、近年、キロ当たり二百万円、さらに、品質のよいアカサンゴに関しましては六百万円ということでありますから、非常に価格が高いわけであります。これに比べて、罰金額が四百万円あるいは一千万円というのは低過ぎるのではないかという指摘があるということは承知いたしております。
このため、我が国水域における中国サンゴ船の密漁に対する抑止効果を最大限に高めるべく、外国漁船の違法操業に対する罰金と担保金を大幅に引き上げる必要があると考えておりまして、現在、最終的な調整をしているところでございます。
○武部委員 しっかりと我が党も、政府と歩調を合わせて、これについて取り組んでまいりたいと思いますし、自民党におきましては、外交、国土交通、国防、水産部会の合同会議におきまして、中国船のサンゴ密漁に対する厳正な対処と厳重な抗議を求める決議を行いました。
その決議を菅官房長官にも申し入れを行ってまいりましたけれども、この中国サンゴ船を一刻も早く一掃するように、関係省庁が緊密な連携をとって、政府全体で早急に対応しなきゃいけないというふうに思いますが、西川大臣、その決意とお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○西川国務大臣 十一月六日に、今申された申し入れを、内閣官房長官に対して、自由民主党として、小笠原諸島周辺海域における中国船のサンゴ密漁に対する厳正な対処と厳重な抗議を求める、こういう申し入れがあったことは承知しております。
農林水産省としましては、小笠原諸島周辺海域における中国サンゴ船の違法操業に対し、海上保安庁と連携しつつ、中国サンゴ船による違法操業を阻止し、徹底的に取り締まるべく、航空機や漁業取り締まり船を現場海域に派遣し、取り締まりを強化しているところであります。
また、先ほども答弁があったように、政府としましては、外交ルートを通じて、中国側に対して再三の申し入れは行っております。再発防止を強く求めているところであります。
さらに、我が国水域における中国サンゴ船の密漁に対する抑止効果を最大限に高めるべく、外国漁船の違法操業に対する罰金と担保金を大幅に引き上げる必要があると考えております。現在、最終的な調整をしている、こういう現状であります。
これらの対策を講じることで、政府全体として、小笠原諸島周辺海域における中国船によるサンゴ密漁の根絶に向けて、対応してまいりたいと考えております。
○武部委員 あらゆる手段を投じて監視体制を強化する、それから中国政府に対してしっかりと申し入れをする、抗議をする。そして、やはり担保金、罰金、できることをしっかりとやって、一刻も早くこの密漁問題が解決するように、我々も一緒に努力してまいりたいと思います。
次に、鳥獣被害対策について、お尋ねをさせていただきます。
野生鳥獣による農作物の被害が二百億円を超えるというような大変深刻な事態になっておりまして、金額だけでなくて、営農意欲が減退したり、あるいは耕作放棄地が増加するなど、深刻な影響が出ておりますので、これはしっかりとやっていかなきゃならないというふうに思っています。
私は、狩猟者の人材確保というのがやはり一番大事なんじゃないかというふうに思っています。特に、お話を聞きますと、狩猟者の数が足りないですとか、あるいは高齢化が進んでいるとかなっていまして、鳥獣法の改正で、市町村で実施隊を設置することができる、被害計画をつくって実施隊をつくることが大事だ、その役割が重要であるというふうに思っておりますが、我が党のJ―ファイルにおきましても、実施隊の設置市町村数について、千を目標にやりましょうということも訴えているわけであります。
この設置をどんどん進めていかなければなりませんし、まだ実施隊が設置されていない市町村もございます。実施隊が設置されていない市町村についても、人材確保に支障が出ないような対応をしなければならないというふうに思いますが、政府のお考えをお聞きしたいと思います。
○松島政府参考人 武部委員御指摘のとおり、鳥獣被害が深刻化、広域化している状況の中で、捕獲や追い払いなどの活動の中核を担っております鳥獣被害対策実施隊、こういったものを各市町村で設置していただくということは大変重要なことだと考えてございます。
このため、現在、私どもは、鳥獣被害防止総合対策交付金という助成金で、わなやおりなどの捕獲資材の購入ですとか侵入防止柵の整備などの取り組みを支援してございますが、実施隊を設置している市町村に対しまして、この交付金を重点配分するというふうなことも行っておりますし、また、市町村長さんが参加される会議におきまして、実施隊の有効性や必要性について直接説明するということも行いまして、実施隊の設置促進に取り組んでいるところでございます。
先ほど、与党自民党の設置目標数がございましたけれども、二十六年四月末現在では、被害防止計画をつくっている市町村が千四百一ある中で、実施隊が設置されています市町村はまだ八百六十四にとどまっております。引き続き、実施隊の設置について取り組んでまいりたいと考えてございます。
さらに、武部委員から人材の確保のお話がございました。
実施隊を設置する上でも、その中で実際に狩猟に携わる方々の人材の確保が大変重要だと考えてございまして、例えば、農業団体が狩猟免許取得を円滑にするための講習会を行う場合ですとか、それから捕獲者の方の技術向上というために、いわゆる射撃場のような捕獲技術高度化施設といったものの整備ですとか、こういったものを支援することによって、技能の向上といったものを支援しているところでございます。
こういった支援策を通じまして、引き続き、鳥獣被害対策の担い手となっております実施隊の設置促進について、人材確保を進めてまいりたいと考えてございます。
○武部委員 しっかりと頑張って、鳥獣被害対策に取り組んでいただきたいというふうに思います。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○江藤委員長 次に、稲津久君。
○稲津委員 おはようございます。公明党の稲津でございます。
十五分という限られた時間でございますので、大変恐縮ですけれども、できるだけ簡潔な御答弁をお願いしたいと思います。
きょうは、まず本題に入ります前に、過去二回の委員会で質問をさせていただきました過剰米対策に関連してお話し申し上げたいと思うんですけれども、これは喫緊の対策ということで、ナラシの交付時期の前倒しとか、それから直接支払交付金についての、これも前倒しの支払いということについて質疑をさせていただいて、一定の御答弁をいただいてきたところなんです。
一方で、実はこのナラシの運用のところで、北海道だけじゃないと思うんですけれども、特に北海道においては、今年度産の米については、いわゆる青死に米が非常に多いということもありまして、実際に、統計による単収と主食用米の出荷量のところに差異が生じてくるだろう。こうなると、実態に合ったと認められた単収をどう見ていくのか。これは非常に大事な問題でございまして、ぜひこのナラシ対策の運用上のところの検討も進めていただきたい。これは、質問ではありませんけれども、意見として述べさせていただきたいと思います。
それでは本題に入りますけれども、まず最初は、太平洋のクロマグロの資源管理についてです。
これは、クロマグロの資源が近年減少しているということで、太平洋のクロマグロ資源を十年間で歴史的な中間値の約四万三千トンまで回復させる、これを目標にいたしまして、三十キロ未満の未成魚の漁獲量を、これは二〇〇二年から二〇〇四年までの間の平均から半減させるということが決まったというふうに承知をしております。
このことは非常に大事なことで、ぜひそれを着実に進めていくことが求められると思うんですが、ただもう一方で、幾つかの問題点、疑問点もあって、これに対応することも必要であると思っていますので、そのことについて伺います。
この三十キロ未満の未成魚の漁獲量を、先ほど申し上げましたけれども、二〇〇二年から二〇〇四年の平均の漁獲実績は八千十五トンとされていますが、これを半減する、約四千トンにするという話なんです。
ところが、漁法の仕方によって二つに分けている。一つは、まき網の漁業、これは大型、中型ですけれども、これが二千トン、それから、その他のひき網とか定置網、一本釣り等々については、沿岸漁業で約二千トンということであります。
これを全国六つのブロックに分けて、漁獲量の上限を設けているんですけれども、この漁業種別の漁獲量の上限の根拠は何かということなんです。これは最近の漁獲実績を踏まえて決めたというふうに説明もいただいておりますけれども、単純な半減とは違うわけでございまして、この辺の意味合いについてお伺いしたいと思います。
○中川大臣政務官 お答えいたします。
二〇〇二年から二〇〇四年の我が国の未成魚の平均漁獲実績は、まき網で四千五百四十五トン、そのほかの漁業で三千四百七十トンの合計八千十五トンとなっております。
これを単純に半減いたしますと、まき網二千二百七十三トン、その他の漁業千七百三十五トンの合計四千七トンとなりますが、近年の漁業実態を踏まえつつ、まき網にはさらなる削減を求め、まき網を二千トン、削減率五六%、その他の漁業を二千七トン、削減率四二%としたところでございます。
なお、直近の二〇一〇年から二〇一二年の平均漁獲実績は約六千トンでございまして、これの半減を目指すものではございません。
我が国では、太平洋クロマグロの最大の漁獲国かつ消費国であることから、資源管理を着実に行い、太平洋クロマグロ資源の復活を図ってまいりたいと存じます。
○稲津委員 そこで、重ねてのお伺いなんですけれども、今度は沿岸漁業の方について、ここをテーマにして伺います。
沿岸漁業の方は、ひき網、手釣り、さお釣り、定置網と、いろいろな多くの漁法で取り組んでいます。これは全国を六つのブロックに分けているんですけれども、一つのブロックの中においても、漁法とか、いろいろ取り組み等が違いますので、そうなると、いわゆる漁法別のずれだとか、あるいは魚をとるときの時期的なずれが生じる。
だから、まとめて言いますと、漁獲量に差が生じてくる。そういう意味で、沿岸漁業者の方からの意見としては、六つのブロックでは余りにも大ざっぱ過ぎる、もう少し細分化したブロック体制が必要だ、このような改善を求める声がありますけれども、これについての見解を伺います。
○中川大臣政務官 お答えします。
太平洋クロマグロは、日本の各地で漁獲をされており、その来遊時期は地域によって異なっております。
このため、ある地域の漁期前にほかの地域でとられてしまうなど、地域間の不公平をなくす観点から、関係漁業者との意見交換を踏まえ、来年一月から全国を六ブロックに分けて管理するものとしたところでございます。
ブロックのさらなる細分化を求める御要望もありますけれども、年によっては来遊状況が大きく変動いたしますことから、まずは六ブロックでの管理を行わせていただき、その実績を踏まえて、次年以降の課題として、関係県及び関係漁業者の皆様方の御意見を伺いながら検討していきたいというふうに存じます。
○稲津委員 ぜひ、そうした意見を踏まえていただきたいということを申し上げておきたいと思います。漁業者の協力なしでは、こうした資源管理というのはできないわけですから、これから重ねて、漁業者の意見をしっかり聞いていただきたいと思います。
それから、未成魚の漁獲制限だけで十分なのかということもあると思うんです。産卵の可能性が高い沖縄の周辺海域ですとか、それから日本海側、ここをどうするかということも大変重要なことですから、より実効性の高い対策を求めておきたいと思います。
次に移ります。
次は、小笠原諸島周辺海域における中国サンゴ漁船の問題について、先ほど武部議員も質問されました。重ねての質問になって恐縮ですけれども、伺っておきたいと思います。
まず、中国のサンゴ漁船が大挙して押し寄せている連日の報道を見ていますと、これは、小笠原諸島の漁業者の怒りというか、島民の不安な思いを考えますと、とにかく一日も早い対策を求めていきたいというふうに思います。
サンゴと同じ漁場を占拠されているキハダマグロなどの漁業への影響ですとか、場合によっては不法上陸されるんじゃないか、それから密漁船が、大変強い、鋼鉄製で大きいですから、もし周辺の漁船がぶつかったときに大事故になる、こういうことが非常に懸念されているんです。
そこで、二点について伺っていきたいと思います。
先ほどの武部委員の質問と同じことになりますけれども、罰則の強化、これはとにかく抑止力を強化する、それから密漁船を来させない、このためには、現行の外国人漁業の規制に関する法律、それからEEZの漁業法令違反に対する担保金の引き上げ、これが必要であると思っております。
先ほど政務官の方からも御答弁がありましたけれども、あの宝石サンゴは日本の三倍だ、一キロ六百万円、こういう状況でしたら、担保金の額とか罰金を見ると、まあ一回、二回来てみようという気持ちになってくる。したがって、ぜひ罰金の引き上げ等の対策を求めておきたいと思いますけれども、これは大臣の御所見を伺いたいと思います。
○西川国務大臣 小笠原諸島周辺海域における中国サンゴ船の違法操業についてでありますが、今御指摘がありましたように、近年のサンゴ価格が、私どもの方の調べでは、平均、一キログラム当たり約二百万円、こういうふうになっています。特に、品質のよいアカサンゴは、一キログラム当たり何と約六百万円、こういうこととされておりまして、これに比べて、現行の罰金額が四百万円または一千万円ということになっておりますが、これはやはり低過ぎるのではないか、こういう指摘があるということをよく承知しております。
それで、委員お尋ねのところでありますが、心配されているのは、国会議員の先生方は皆そうだと思います。そういう中で、私どもはしっかり調整を今進めております。
そこで申し上げますが、我が国水域における中国サンゴ船の密漁に対する抑止効果を最大限に高めていこう、こういうことをやっています。そこで、外国漁船の違法操業に対する罰金と同時に、担保金を大幅に引き上げる必要があると考えておりますが、今、与党の方でも調整をやってくださっておる、こう聞いておりますので、一緒になって、今、最終的な調整をしているということでございますので、よろしくお願いいたします。
○稲津委員 ぜひしっかり、また対策を講じていただきたい。
与党としても、ここはしっかり協議して進めていくということになっていますが、公明党といたしましても、これは党内にプロジェクトチームをつくりまして、先般は、山口代表と森下村長さんが太田国交大臣のところに参りまして、警戒監視体制の強化を強く要請したところでございます。そのような背景もありますけれども、しっかり党としても取り組んでいきたいと思っています。
最後の質問になりますけれども、私は、こういう罰則強化と同時に、やはり外交上のしっかりとした取り組みをしなければいけないと思っています。
そこで、報道によりますと、例えば、木寺中国大使が、中国の外相に対して再発防止の要請をしている。舛添都知事も、中国大使館に電話要請をした。今回のAPECの中では、岸田外務大臣が、中国に対して現地で要請をしている。
こういう状況ですけれども、一方の中国の対応、それから具体的な中国のこの問題に対する対策、このことについて、きょうは外務省からお越しいただいていますので、答弁をいただきたいと思います。
○滝崎政府参考人 お答えをさせていただきます。
先ほども申し上げたように、外務省といたしましては、委員御指摘のとおり、たびたび中国側に申し入れをしているわけですけれども、中国側としては、中国国内でもサンゴの採取については違法とされているということで、一貫して断固たる姿勢で取り締まっており、宣伝教育、それから厳格な法律の執行等の措置を通じて管理を強めているということを言ってきているところでございます。
具体的に、最近どういう動きをしているかというのを私どもの方で把握しているところで申し上げますと、例えば、サンゴ船の出港地域の一つとされています福建省においては、サンゴの違法採取の取り締まり強化のために、今月になりまして、福建省のレベルの漁業の法執行機関が、地方行政区の方に監督査察チームというのを派遣いたしまして、アカサンゴ密漁の取り締まりの重要性の認識と監督責任の徹底、それから漁民に対するアカサンゴ保護についての広報、教育、それから漁港や海域における調査、監督の強化というのを要求したというふうに承知しております。
外務省としましても、関係省庁と十分協力しながら、さらに働きかけが必要であれば強く働きかけていく、あるいは必要なことをやっていくということを考えております。
○稲津委員 時間が参りましたので終わりますが、一言申し上げておきたいと思います。
外務省として、やはり毅然とした態度、対応、そして、しっかりさらなる要請もしていただきたい、そのことを申し上げまして、私の質問を終わります。
○江藤委員長 次に、鷲尾英一郎君。
○鷲尾委員 鷲尾でございます。
時間が二十分ということで少のうございますので、早速ですが、質問に入りたいと思います。
まずは、質問というよりは、水産庁にしっかりと対応してくれという話を申し上げたいと思いますが、それは、小笠原諸島周辺海域のサンゴの密漁問題でございます。外国人の違法操業の規制が甚だ不十分であろう。今ほど、与党の方でもさまざまな議論がなされていると聞いております。我が党としても、この問題についてはしっかりと対処をし、与野党一致結束して、必要な措置を迅速にとっていくべきだということを申し上げておきたいと思います。水産庁は、体制を整備し、こういう問題に対しては特別な対応をぜひやっていただきたいと、まずは意見として申し上げたいと思います。
それで、質問に移りたいと思いますけれども、米の問題です。
ことしは、米価の問題、非常に厳しい状況でして、特に、地域の大きな産業の一つでありますから、農家さんの所得が下がると地域経済に多大なる影響が及ぶわけであります。
そこで、政府としてもいろいろ考えているところというのは承知をいたしておりますが、その中で、平成二十六年産の水稲玄米のふるい目別の重量分布状況、都道府県別のものを十月十五日のデータという形で公表をされたわけです。従来、都道府県別のものというのはこの時期に発表していなかったと承知していますが、その理由についてお聞かせいただきたいと思います。
○小風政府参考人 お答えいたします。
水稲の収穫量調査につきましては、飯用に供し得る玄米の全量を把握するということを目的といたしまして、作況標本筆ごとに一定面積の稲を刈り取り、農産物規格規程に定める三等の品位以上に相当するため、ふるい目の一・七ミリ以上の選別を行って、その重さを計測しているところでございます。
しかしながら、本年産の水稲につきましては、北海道から関東にかけて全もみ数が総じて多いということ、それから八月以降の天候が低温あるいは日照不足、こういう傾向でありまして、登熟にばらつきが見られました。
このため、本年産の水稲の十月十五日現在の予想収穫量調査につきましては、作況指数と予想収穫量だけではなくて、ふるい目別に、重量分布、収穫量、十アール当たりの収量について、全国及びブロック別の値に加えまして、都道府県別の値も公表したということでございます。
なお、水稲収穫量調査におけるふるい目別の重量分布につきましては、農家ごとに、使用するふるい目幅がだんだん大きくなっている、そういう実態も踏まえまして、最終的な報告では、平成七年産からは全国平均、それから平成十二年産からは都道府県別にそれぞれ公表しているということでございます。
○鷲尾委員 公表しておるというのはわかっているんです。それをいつ出すかというところも、今後の農政のことを考えれば、また、今、農政の方向性を転換していこうという中では、やはり気を使わなきゃいけないんじゃないですかということを申し上げているわけであります。
どういう基準でどういう状況になればどういうデータを農水省が発表するんだというものを、それは、農家さんや関連団体としっかりと連絡を密にする、コミュニケーションを図っていくと言わないと、これから生産調整も移行していく話ですし、しっかりと末端にまで、しっかりとした農家の経営、作付計画というのはできないだろうと思うわけです。その年々で違うデータを公表しているようでは、はっきり言いますが、場当たり的としか思えなくなるということです。
それから、先ほど稲津委員も青死に米という話をされていましたけれども、この青死に米、ナラシの問題も後でちょっと質問したいと思いますが、この発生状況も農水省のホームページで今回公表されていると思います。なぜ今回だけ公表したんですか。
○小風政府参考人 お答えいたします。
青死に米につきまして、本年の水稲につきまして、九月の末でございますけれども、九月の作柄の概況を公表いたしました。しかし、その後、調製後のふるい上に青死に米などが例年より多くなっている、そういう声が北海道などの産地から寄せられてきました。そこで、水稲収穫量調査の刈り取りの試料からサンプルを抽出いたしまして、青死に米の混入割合の調査を実施しております。
この結果、青死に米の発生状況につきましては、二十六年産の水稲における混入割合は全国平均で六・四%、過去の、日本精米工業会が行った平均と比べると二・一%増加している、こういう結果が出ましたので、これも発表しております。
○鷲尾委員 ですから、例年より多くなっているという声を承るのは当然として、どういう基準でこのデータは発表するんですか。どういうときに発表するんですか。
○小風政府参考人 統計部局といたしましては、やはり、現場の産地の方が、どういう米の生産状況であったかということを、現地の生産団体あるいは普及組織などとも意見交換しながらその状況を発表するということに努めております。従来から、現場の生産実態、そういうものを反映した調査に努めてまいりました。内容につきましても、改善を図ってきたということでございます。
本年も、先ほど申し上げましたけれども、九月の作柄の公表以降、産地の方では、青死に米の混入割合が多い、そういう声が多数ございました。農林省の統計としても、一応そういう状況を調査するということで、青死に米の発生状況調査ということを緊急に行いました。
収穫量の調査を含めまして、生産の実態をきめ細かく情報提供していくということが重要であろうというふうに考えております。
○鷲尾委員 大臣、今の答弁をお聞きいただいたと思うんですけれども、緊急に、特別にやっているわけですよ、そのときそのときで。ですから、そのときそのときが毎年毎年あるというのは、今後の農政の方向性としてどうなの、場当たり的じゃありませんかと申し上げているわけです。
青死に米がどういう状況だと毎年調査しているわけですから、どういう基準だったらしっかりと公表していくんだ、これは影響があるから公表しない。どういう基準なんだ。そんな場当たり的にやっていたら、農家だって混乱するわけですよ。場当たり的であるという印象を逆に与えるということにもなるわけです。
今後の農政の方向性を、今までの政府の話を聞いていますと、ちょっと違うんじゃないのと思うんです。どうですか、大臣。
○西川国務大臣 確かに、時期を定めて例年発表する、こういう形が発表の仕方としては一番適当かと思います。
ただ、ことしは、北海道が作況指数一〇八ということで非常に高いですね、しかし、皆さんは一〇八というのに非常に疑問を持ちまして、本当にそうなんでしょうか、こういうことで米を持ってきてもらいました。持ってきてもらいまして、ふるいの上に残ったものを調べますと、余りにも青死に米が多かった。異常な年だったな、それでは国民の皆さんに実態を知ってもらおうか、こういうことで、北海道の一七・三というのが非常に高い数字でありましたので、これは発表させていただいた。
しかし、統計の発表としては、やはりルールどおり発表していった方がわかりやすいんだと思いますから、そこは心がけておきたいと思います。
○鷲尾委員 本当にそのとおりだと思います。
農水省さんがつくった資料の中では、青死に米の調査とあわせて、ふるい下米がどれぐらいに上るのか。要するに、青死に米が出る、発生が異常であるということは出荷量が減るだろう、それと、ふるい下が随分出ているんじゃないか、例年より多いんじゃないかということとあわせて、出荷量というのはさほどでもないんだということを、ある程度数字を、それこそ推測、推計をしながら、需給というのはそんなに緩和の状況にはないんだよということを、精いっぱい農水省として印象づけようとしているんじゃないかと思います。
そういう印象づけようとするのが、毎年毎年違うやり方で、その時々の状況に応じてやるというのは、これはかえって農家さんにしたら混乱させる状況になる。余るんだったら余るで、どうやったら余るか、農水省の情報を見て、それでみずから判断するというのが今後の農政の方向性だと、私は今、政府、さまざまな議論の中でそのように感じているところがありますので、ぜひ、そこは心していただきたいなというふうに思います。
今ほど、ちょっと私も発言しましたけれども、ふるい下米も、随分、そういう意味では逆に多くなっていると思います。これは、いろいろな言われ方をしていますけれども、この流通価格でありますとか、あるいは加工用米、これは別途ちゃんと、経営所得安定対策の範疇に入りながら対策は打っているわけですけれども、こことの価格の連動性というのはどういった関係にあるかというところをお聞かせいただきたいと思います。
○松島政府参考人 まず、ふるい下米の流通なり価格のお話がございました。
ふるい下米につきましては、先ほど統計部長から御報告しましたように、作況は一・七ミリのふるいでふるっておりますけれども、実際の生産現場では、それよりも大きな一・八五ミリとか一・九〇ミリのふるいにかけて出荷をしている。この下に落ちたものが、一・七ミリと一・八五から一・九ミリの間の米がふるい下米と言われてございます。
実際、この流通の実態でございますけれども、これは、一・七ミリよりもさらに小さい米と一緒になりまして流通してございまして、その流通段階でそれを選別しまして、主食原料用ですとか、米菓、煎餅などですね、そういったものとか、それから餌用、こういったものに選別して、その目的に応じて流通している。
価格でございますけれども、これは政府は調査しておりませんが、民間の調査によれば、主食原料用のいわゆるくず米というものは、精米ベースで一俵当たり六千円から七千円程度、それから、米菓用としては一俵当たり二千円から三千円程度で流通しているということでございます。
これが加工用米にどういう影響を与えるのかということでございますが、加工用米については、用途としましては、清酒それから加工米飯、こういったものに向けられている比較的高価格で流通しているものと、それから米菓や焼酎やみその原料として比較的低価格のもの、さまざまでございますが、一部、ふるい下米と競合する面がございます。
しかしながら、加工用米につきましては、播種前に量や価格が契約されておりますので、今回のふるい下米の増加によって、直ちに二十六年産米の加工用米の生産や販売に影響を及ぼしている状況ではないというふうに理解しているところでございます。
○鷲尾委員 はい、わかりました。
ちょっと時間がなくなりつつあります。
米価が下落している、今そういう状況ですけれども、下落した場合の需要の価格弾力性、需要というのはどれぐらい、価格が下落した場合上がるのか。ふるい下とかそういうのはかなりいろいろ推計をされているんですけれども、需要としてどれぐらい回復するのかというのは、過去の実績もありながらも、どれぐらいの量なんだという見込みが発表されていないんですよね。それはどれぐらいなんでしょうか。
○あべ副大臣 価格の弾力性に関してでございますが、米は、国民の主食といたしまして生活に欠かすことができない必需品でございまして、一般的に、価格の変化に対する需要の変化率は比較的小さい品目だというふうに考えられています。
これまでの需要と価格の関係を見てみますと、主食用米の需要に関しまして、食生活の変化などの影響によりまして毎年八万トンずつ減少していく傾向にある中、例えば、前年よりも相対取引の価格が六十キロ当たり千円以上低下した十九年産、二十二年産、また二十五年産におきまして、一時的に前年から需要量が増加したところでございます。
価格との関係のみで需要量を見通すことは非常に困難でございますが、いずれにいたしましても、二十六年産米の取引はこれから本格的に行われるところでございまして、今後、需給の動向を注視してまいりたいと思っております。
○鷲尾委員 いろいろな数字を出しているので、ぜひこういった数字も出していただきたいですね、やはり需要量というのが非常に大事ですから。過去の実績だけではなくてこういった数字も出すことを望みます。ぜひ御検討をお願いします。
それから、ナラシ対策の話に移りたいと思います。
二割以上下がることはないんだ、二割以上下がらないように、今農水省も必死で、価格に対して影響を与えよう与えようとしていますけれども、何かかなり微妙な情勢ですね。そこをどう検討されているか、お聞かせください。
○あべ副大臣 二十六年産米の九月の販売状況は、年間の販売量の一割以下という限られた数量でございまして、引き続き米の価格動向を注視していく考えでございます。
ナラシ対策は保険的な制度でございまして、現在の仕組みは標準的収入額の二割までの減収を想定したものでございます。保険事故が起きた後に、さかのぼって制度を変えることは困難でございます。
なお、米価変動の影響を受けた農業者の資金繰りにつきましては、日本政策金融公庫の農林漁業セーフティーネット資金の利用が可能なところでございます。
○鷲尾委員 ちゃんと考えておいてくださいね、二割以上下がったらどうするのかという制度的な手当てが今ないわけですから。これは予想以上だと思います。今皆さんは必死になっていると思いますけれども、そう簡単に市場は動かないですから。動いたら動いたで、果たしてそれでいいのかという問題もあるわけですよ。だって、これからの農政の方向性があるわけですから。
それから、ナラシのもう一つの論点ですけれども、単収と出荷量が違うんだよと言っている場合に、要するに、作況と出荷量の関係が非常にアンバランスであるときに、補償額の計算、交付額の計算をどうするか、この青死に米の影響をどう考慮するんですか。
○奥原政府参考人 お答えいたします。
統計で使っております一・七ミリのふるいの上に残りました青死に米、これにつきましては、これまでの経験では、通常は何らかの形で主食用米に振り向けられる、こういう実態がございましたので、農林水産統計の米の収穫量調査の対象に当然なっているわけでございます。
これを受けまして、ナラシ対策の当年産の収入額を算定することになりますが、これはP掛けるQでございますので、このQにおきましては、この統計上の単収、一・七ミリ以上のものがどれだけかということで算定をしておりますから、青死に米も入ってくるわけでございます。
ただ一方で、ことしの二十六年産米でございますけれども、この一・七ミリのふるい上の青死に米が北海道など一部の地域で例年より大量に発生をしている、その相当部分が主食用に仕向けられないというお話も伺っておりまして、現在、その実態を精査した上で、適切に対応していきたいというふうに考えております。
○鷲尾委員 大変だと思いますので、ぜひ適切に対処していただきたい、そうしか言えないわけですけれども、お願いしたいと思います。
最後に、ちょっと時間がなくなってしまったので発言だけにとどめたいと思います。
やはり、価格をいじろう、いじろうというのは、これはなかなか難しいと思います。こういう発想で今後も取り組まれていくんでしょうけれども、それは、市場に任せている以上は、どんな情報を提供しようが、なかなか難しいと思います。
ですから、どういう状況になってもいいように、やはり、価格ではなくて、安定的に所得を補償する仕組みというのがあれば、そこまで右往左往しなくても済むわけですよ。中間管理機構を今運用していますけれども、価格が下がっていったら農地を集めようという気になるか。これはやはりならないと思いますよ。今後の生産調整の話もありますしね。ですから、やはり、価格いかんではなく、所得を安定的に補償する仕組みというのをしっかりとつくるべきであるんだということを申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○江藤委員長 次に、寺島義幸君。
○寺島委員 民主党の寺島義幸でございます。
前回の質問では農協改革について取り上げさせていただいたわけでありますが、今回は農業委員会の改革についてお伺いをしてまいりたいと存じます。
農業委員会の改革についてでありますが、六月二十四日に閣議決定されました規制改革実施計画におきましては、農協改革とともに農業委員会の改革についても方向性が示されているわけであります。
その内容は、公選制から市町村長の選任制への変更や農業委員数の半減、そして農地利用最適化推進委員、仮称でありますけれども、それの新設であるとか、意見の公表、行政庁への建議などの法令業務からの削除、都道府県農業会議及び全国農業会議所の指定法人化など、これまでの組織、制度を根底から覆すものになっているわけであります。
特に、公選制から市町村長の選任制への変更につきましては、地域の農地の管理や利用調整が、全部とは言いませんけれども、市町村長の意のままに進められる可能性もあるし、その意向によっては、極端なことを言えば、乱暴な農地転用であるとか農地集積によりまして地域農業の秩序ある維持発展が妨げられるのではないかという心配がされているわけであります。
地域から代表として選ばれて、地域から信任を得た農業委員会の委員だからこそ、地域の貴重な資源である農地の権利移転などの業務に円滑に関与できるものではないかと思っているわけであります。こうした代表制を担保するためには、公平性とか透明性が確保された手続が不可欠であろうというふうに思っているわけであります。そこで、公選制を基本にすべきであると考えるわけでありますが、大臣の御所見をまずお伺いいたしたいと思います。
○西川国務大臣 農業委員会は農地に関する市町村の独立委員会だ、これまでこういう位置づけで行われてきました。要は、地域の農地利用が最適化されているかということを私どもは検討して改革していく必要がある、こういうことで検討項目の中で議論をしてきました。
今、公選制で行われておりますけれども、実際には一割程度しか選挙をやっていない、こういうことがあるわけであります。制度が形骸化しているのではないか。それから、地域によってはいろいろ差はありますけれども、兼業農家が委員となり、担い手が選ばれにくくなっていますね、こういう議論もありました。
そういうことで、本年の六月の政府・与党の取りまとめにおいて、担い手など、農地利用の最適化を進める上で適切な人物がより確実に農業委員となるようにしようと。今の御指摘と同じであります。そこで、公選制から、今度は、市町村議会の同意を要件として市町村長の選任制に改めさせていただきたい、こういう議論をやってまいりました。その際、事前に地域からの推薦、公募等を行えるようにすることとしてやっていこう、こういうことでございます。
この枠組みを前提に、これから関係者の御意見を伺いながら、次期通常国会に関連法案の提出に向けて検討を進めているところでございます。
○寺島委員 そういうお話なんですが、選挙が一〇%しか行われていない、無投票が多いということなんですけれども、では、無投票の選挙がいけないのかということにも相なるわけであります。そしてまた、やはり、首長の選任制ということになりますと、首長というのは大変膨大な権限もお持ちでありますし、いろいろな方々が選ばれるわけであります。そうしたときに、影響力も大きいわけでありますから、果たして公明性あるいは透明性ということが本当に担保できるのかということを疑問に思うからであります。
次に、農業委員会の意見の公表、建議、諮問答申の業務についてであります。
これらの業務は、農業委員会等に関する法律に定められているものですが、今回の改革では、法的根拠がなくても行えるということで、法律から削除することとされております。
しかしながら、これらの業務は、現場の農業者の意見を行政庁の農業施策に反映させる、いわゆる正規な、独立した機関として、その手法も含めて極めて重要なものであるというふうに考えています。法律に基づく業務として維持することが重要であると私は思うわけでありますが、大臣はどのようにお考えなんでしょうか。
○西川国務大臣 私ども、本年六月の政府・与党の取りまとめにおきまして、農業委員会が農地利用の集積、集約化等の業務に集中するよう、法的根拠がなくても行える農業、農業者に関する事項についての意見公表等を法令業務から削除する、こういうことになったところであります。ここも大変な議論を呼びましたが、法的根拠がなくても意見はいつでも述べられる、そういうことで、特段取り出して法令の根拠がなくてもいいだろう、こういう結論が導かれたところであります。
これも、この枠組みを前提に、これから関係者の意見を伺いながら、次期通常国会に関連法案の提出をさせていただきたいと考えております。
法的根拠があってもなくても、農業関係者の御意見は真摯にお聞きしているところであります。
○寺島委員 逆に言うと、法的根拠があるからこそ、しっかりとした意見具申とか諮問ができるんだろうというふうに思うわけですね。
例えば、商工会議所法というのがありまして、この第九条の一項とか六十五条の一項にあると思うんですけれども、行政庁に意見具申をする、あるいはまた答申をするということが商工会議所法にも規定されています。
これらは、農業委員会だとか商工会議所だとかそういう性質からして、しっかりと整合性をとって、法的に位置づけられているんですよ。ということは、やはり、これをあえて外す必要がどこにあるのかというふうに思えてならないんですね。その辺、法的根拠を私は必要だと思うんです。その方がしっかりとした対応ができるし、効率も上がるんだろうというふうに思うわけでありますけれども、他の、例えば商工会議所法なんかにもあるわけです。これらとの関連はどのようにお考えですか。
○西川国務大臣 団体の皆さんからも、法的根拠で建議を行いたい、こういう御要請はたくさんありました。しかし、農林水産省の政策そのものは、必ず要請をいただき、そしてそれらを判断して、政策として予算を獲得していくわけでありまして、関係者から意見を聞く、ここはもう常にやっている話でありまして、私どもとしては、十分、法的根拠に基づく建議がなくても御意見は承っていく、こういうことで基本的な考え方を持っているところでございます。
○寺島委員 次に、都道府県農業会議、全国農業会議所制度の見直しについてであります。
農業委員会系統組織は、市町村農業委員会と都道府県農業会議と全国農業会議所から成り立っているわけであります。農業者や地域の声を結集して、地域、構造、経営対策を積極的に推進することによりまして、農業、農村の発展と農業者の経営確立に寄与されてきたわけであります。
今回の改革は、農業委員会ネットワークとして、その役割を見直し、農業委員会の連絡調整、農地利用最適化の優良事例の横展開等の業務を行う法人として、都道府県、国が法律上指定する制度に移行する、こういうふうにされているわけであります。
都道府県農業会議や全国農業会議所は、農業委員会の活動を日常的に支える組織として今日まで歴史を積み重ねてきたものでありまして、私の地元からも、農業委員の方からいろいろお話を伺ったわけでありますが、系統組織が今回の改革によって失われてしまうのではないか、実質的に農業委員会制度というのが壊れちゃうんじゃないかというような危惧する声も聞いているわけであります。
そこで、現行法律に基づく三段階の系統組織を見直して、都道府県農業会議あるいはまた全国農業会議所を指定法人化する必要が本当に果たしてあるのかどうかということであります。それに対して、見直しの趣旨、その理由についてお伺いをいたします。
○奥原政府参考人 都道府県の農業会議それから全国の農業会議所の関係でございますが、六月の政府・与党の取りまとめにおきましては、農業委員会の活動を支援するネットワーク組織としてこれをきちんと位置づけまして、その中身を強化しようということになっております。
業務といたしまして、農業委員会の連絡調整をする、農業委員会の業務の効率化ですとか質の向上に資するような事業を展開する、それから、特に農地利用の最適化をうまくやっている優良事例を横に広めていって、県内あるいは全国のレベルを上げていく、こういった仕事をしていただきましたり、地域の中の法人化の推進、法人経営等の担い手の組織化ですとかその経営発展の支援、あるいは新規参入の支援、こういった業務をきちんとやっていただきたいということで整理をされてございます。
一方で、現在の都道府県の農業会議それから全国の農業会議所でございますが、これは農業委員会法に基づきます認可法人でございまして、認可法人という性格ですと、これまでの行政改革の中のルールがいろいろございまして、新たな業務を法律の中に規定するということは非常に難しい状況になっております。
今回の取りまとめで書いてございます、先ほど申し上げました業務は、今までの法律の中には書いていなかった、実態的にはやっていたとしても法律には書いていなかったということもございまして、この際、指定法人に移行することでこの業務をきちんと位置づけて、これからネットワークとして十分機能するようにしていきたい、こういう考え方でございます。
○寺島委員 何か、理由がいま一つ希薄というか、しっかりしたものがないような気がしてならないわけであります。実は、JAの全中とか中央会とかを法律から外すと同じように、何か安易に農業委員会の改革も進めることが前進することだみたいな気がしてならないわけであります。あくまでも農業委員会というのは、行政機関として独立させた機関としてしっかりとやっていくということが重要ではないかというふうに思うんですね。
それで、教育委員会と同じように各市町村に設置をされているわけなんですけれども、この農業委員会というのは、農地の売買だとか移転だとかということにかかわる役目を持っていたり、あるいはまた監視、抑制するという役割があるわけなんです。したがって、農地は簡単に所有権移転ができないわけであります。農業委員会が許可をしなければできないということであります。
その背景というか哲学は、農地というのは、個人所有の不動産であると同時に、国民の食料を生産するという公共財としての大きな役割があるというふうに言われているわけでありまして、個人の、所有者の意思だけで勝手に所有権が移転できないということになっているわけであります。したがって、一定の制限が課せられているかわりに、固定資産税などは低く抑えられているのではないかというふうに言われています。これが多分、農業委員会が設置されている哲学だろうというふうに思うわけですね。
こうしたことを考えると、やはり独立行政組織としてしっかりと法に位置づけてやっていくことが、公平性とか透明性が図られるのではないか、こう思うわけであります。
ということは、今までの説明をちょっと聞いていますと、大上段に構えて申し上げるのであれば、その哲学を、農業委員会が置かれている背景というものを変えちゃうのかと思えてならないんですけれども、その点はいかがですか。
○奥原政府参考人 今回の農業委員会制度の見直しにつきましては、農業委員会が果たすべき機能、これは従来と基本的に変わっていないと思いますけれども、地域の中の農地利用の最適化、要するに、担い手の方に農地を集積していく、あるいは集約化を進めていく、耕作放棄地を解消する、新規参入を促進する、こういった仕事をよりよく果たしていただくためにどういう仕組みがいいかということで、政府・与党の中で議論をされた結果として六月に取りまとめが行われたというふうに考えております。
したがって、先生御指摘のとおり、農地制度をきちんと守っていく、農地が農地としてきちんと使われる、この体系の中に農業委員会が入ってきちんと仕事をするためにどうしたらいいか、こういう問題意識で整理をされているというふうに理解をしております。
○寺島委員 繰り返すようですけれども、農業委員会の背景というか哲学は、農地はなかなか簡単には移転ができないんだ、それは、個人の不動産であると同時に、国民の食料を生産する大事な公共財なんだ、これが一番の目的だろうと思うわけですね。それを公平かつ透明性を持って運用していくためには、ある程度の法的根拠であるとか、組織の整備だとか、そういうものがやはり重要ではないのかな、こんなふうに思えてならないわけであります。
農業委員会については、先ほどお話しのように、通常国会に関連法案を提出されるというふうにお聞きしているわけでありますが、地域農業の維持発展のために、我が党といたしましても、十分にその役割が果たせるように、現場に即した議論を今後ともしっかりとしてまいりたいというふうに思っておりますことを申しつけたいというふうに思います。
次に、農地中間管理機構の創設がされたわけであります。昨年の臨時国会のときでありました。
これは、うまくいっている、順調だというところもあるんですけれども、一方、私の地元の長野県は、中山間地域が非常に多いところでございまして、平たん地と比べて圃場が小さく不整形で傾斜が急であるなど、条件不利地域であるわけであります。高齢化の進展に伴って、農地を借り受ける担い手が不足しているという現実があるわけであります。そのため、農地の利用集積を図ることはおろか、農業を維持することすらなかなか困難な状況になりつつあるということであります。
私の地元からも、中山間地域の農地を活用して実効ある制度に、この農地中間管理事業をしっかりとやってほしいという声があるわけです。
御案内のように、法案審議のときにも附帯決議がつけられております。「中山間地域等の条件不利地域において農地中間管理事業を実施するに当たっては、農地の受け手が不足する等平坦地との格差を考慮し、中山間地域等直接支払制度と連携するなど創意工夫を凝らした事業展開が可能となるよう措置すること。」これを政府に求める附帯決議がつけられているわけであります。
こうした現場の声や本委員会での附帯決議を踏まえて、政府として、中山間地域における農地の利用集積の問題についてどのように取り組んでいくおつもりなのか、お伺いをいたします。
○西川国務大臣 平地に比べて中山間地域での農地流動化は難しい、こういうことは十分承知をしております。
そういう中でありますけれども、農業者の高齢化、あるいは耕作放棄地が拡大をしているわけでありまして、どうしても、中山間地の農地も農地として有効に利用していこう、この必要性は大変重要なことだと思います。そこで、農地の中間的受け皿として農地中間管理機構をうまく活用しよう、こういう目標を立てました。
中山間地域の場合は、担い手も少ない、それから借り受けの希望者が不足している、こういう状況の中で、うまい流動化ができればいいのでありますが、何度も申し上げますが、相当困難だとは思いますけれども、機構が中山間地域においても十分機能するためにも、機構が借り受け希望者の発掘あるいは創意工夫を図っていきたい、こう考えております。
あとは、事業の上では、リース事業等なんかの企業も来ていただければいいな、こう思っておりますし、耕作放棄地を放牧地として利用できないかとか、都市住民の市民農園として活用できないかとか、新規就農者の研修農場として使えないだろうかとか、そういうことを多面的に検討して中山間地での農地流動化の促進を図ってまいりたい、こう考えております。
○寺島委員 時間もなくなりました。
地元は中山間地域の農業、農村であります。前にも申し上げましたけれども、農業を産業として育てる、これも大事なことであります。しかし、農業、農村をどう維持するかという地域振興策というものも大事だと思います。それには、中山間地農業をいかに維持していくかということであります。誘導策を含めて、きめ細かな手当てをしていただきますことを強く要望させていただきまして、終わります。
○江藤委員長 次に、上西小百合君。
○上西委員 維新の党の上西小百合でございます。
本日は、最近随分とマスコミ報道でも取り上げられました、例えば冷凍物をフレッシュと表示したり、産地の偽装、あるいは、ブラックタイガーなど養殖輸入エビを、高級な国産エビですよ、こういった形で偽装表示するなどの事例の対応に関する分野の質問をさせていただきたいと思います。
さきの通常国会で景品表示法などの改正が行われ、消費者庁等が厳しく取り締まる、こういった体制は強化されましたが、その改正法には課徴金制度がなく、実効性に乏しいのではないか、こういった指摘に応え、昨日、課徴金制度を創設する再改正案が衆議院を通過したことは、まさに時宜を得たものだ、こういうふうに評価いたします。そのような行政の監視体制により偽装や偽装表示が減少していく、そして国民の皆様が安心して安全な食材などの物品購入ができる、こういった環境づくりにさらなる邁進をしていただきますよう、政府の皆様方には切に御要望させていただきたいと思います。
さて、我が国では日本工業規格のJISマークと日本農林規格のJASマークが普及して歴史が長く、国民は、そのマークの有無を購入判断の材料の一つにしている風潮があるのは確かだと思います。とりわけ、食品の多様化に合わせて、消費者たる国民の、食品の品質や安全性、そして、近年急激に健康に対する関心が高まってきた、こういった風潮に呼応して、食品の含有物の効能や含有量の多い少ない、こういったことを過度にアピールする傾向も強まったと思われます。
そのような中で、表示制度を充実強化する観点からJAS法が改正されて、一般消費者向けに販売される全ての飲食料品に、生鮮食品については原産地、加工食品については原材料等の表示が義務づけられて十五年の歳月がたったわけでございますが、時代が移り変わる中、現段階で何か問題点や課題等がありましたらお教えをいただきたいと思います。
○小林政府参考人 今お話しいただきまして、JASの話を出していただきましたけれども、表示制度全般は、省庁再編の中の役割分担がございまして、消費者庁に移管をしておりますので、私が御説明できるのはJAS規格の部分でございますが、よろしゅうございましょうか。(上西委員「はい」と呼ぶ)
JAS規格につきましては、長い歴史がございますけれども、例えば、もともとJAS規格は品質に対しての規格と決めておりましたが、その後、生産方法についての規格を決めるというふうに、全く新しいジャンルの制度もつくりました。また、従来の品質に関する規格の部分でも、昨年では、CLTといいまして、新しい集成材の規格をつくるなど、その時々のニーズ、それから生産者側の技術革新、こういったものに対応した新しい規格を常につくり出す、あるいはまた、不必要なものは常に廃止、改正するという見直しを行っております。
今後とも、そういう時代の流れに合ったJAS規格をしっかりつくって対応していきたいというふうに考えております。
○上西委員 消費者庁の方からは、JIS規格に関して御答弁いただけるんですか。
○菅久政府参考人 お答え申し上げます。
JASの表示に関しましては、昨年の通常国会で食品表示法という法律が成立いたしまして、JAS法、食品衛生法など複数の法律にまたがっていた義務の表示のルールを一本化するということで、現在、内閣府令の作成などの手続を行っているところでございます。施行を目指して、今作業中というところでございます。
○上西委員 御答弁ありがとうございます。
しっかりと時代の流れに沿ってさまざまな規格を提案していただいていると、今、JASマークの御説明もありましたが、私も消費者委員会で委員をしておりますので、まさに、そういった形で官僚の皆様方が御尽力をいただいておることにも心より敬意を表させていただきたいと思います。
しかし、例えば、アメリカで一年間、そして熊本県で八カ月、兵庫県で十三カ月、こういった形で飼育された牛の産地は、普通であれば、アメリカで生まれているんだからアメリカ産じゃないのか、こういうふうに思うわけなんですけれども、この場合は、国内で最も長く飼育されたのが兵庫県なので兵庫産、こういうふうに表示されたり、あるいは、アメリカで十カ月、オーストラリアで八カ月、国内で一年飼育された牛は、アメリカで一年、国内で通算一年六カ月飼育されているから、国内の飼育期間が最長だからこの牛は国産と表示されたことが、随分前ですけれども話題になりまして、トレーサビリティー制度等の厳しい決まりがあっても、スーパーなどにおける産地表示など、ほとんどがやはり気休めにすぎない、そういうことではないかと思いまして、私も消費者の立場として随分頭を抱えたことがあったわけでございます。
当然、個体識別番号をつけるなど、消費者の信頼を獲得するために役所や業界団体が大変な努力を重ねてくださっていることは承知をしておりますが、これ以外の件に関しまして、何かこういったことに関連する具体例があるのかどうかお伺いをしたいのと、また、こういったことに関してはどのようにお考えでしょうか。
○菅久政府参考人 お答え申し上げます。
今先生から御指摘のとおりのようなルールで原産国の表示をするということが行われているところでございます。
現在のところは、現行のルールをきちんと執行し、また、違反があればそれを取り締まっていくということをやっていくことが今の課題かなというふうに考えております。
○上西委員 ありがとうございます。
国民の信頼をしっかりと得られるように御尽力をいただきたいと思います。
一般消費者である国民の摂取する一次産品とその加工品に海産物の占める割合は、相当高いものだと思われます。終戦直後の一九五〇年にできたJAS法は、正式には農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律という長い名前で、JAS規格の規格基準等の策定を農林水産省が担当されております。
かつては農林省と称していた役所が、水産行政の重要性の高まりとともに、一九七八年七月五日、農林水産省という省名に変わった例を持ち出すまでもなく、なぜいまだに、JAS法の中へ水産品が含まれていない、このイメージのままの名称を維持されているのか、御説明をお願いします。
○小林政府参考人 JAS法に基づきます、いわゆるJAS規格でございますけれども、この法律上の名称について御説明させていただきたいと思います。
御指摘のとおり、JAS法に基づきます日本農林規格という名称には、水産という文字は入っておりません。しかし、JAS法第二条に、日本農林規格の対象となる定義というのが置かれておりまして、その中に、飲食料品というふうに定義規定が置かれております。当然のことながら、農産物、林産物、畜産物、水産物が全て含まれるということは、法律上は明らかになっているということでございます。
また、JAS規格という名称が一般の国民の皆さんにはなじみのある名称で、法律もJAS法と略称をされております。そういったことから、あえて法律上の名称を改正するということの必然性というのは必ずしも高くないのではないかというふうに考えております。
○上西委員 JAS法第二条で飲食料品と書かれているから、水産物も当然含まれているのだと。それは、JASマークがついた魚の缶詰とかを売っているわけでございますから、当然のことだとは思うんですけれども、消費者あるいはJASマークを使いたい国民のためにも、やはり、中の条項を読んでくださいというんじゃなくて、もっとわかりやすく、例えば周知をしていただいたり、法律の名称変更とかも、要するに、農林物資の何々という形から、例えば農林水産物資というふうに変えたりだとか、何か御対応を今後お考えいただければありがたいな、こういうふうに感じるわけでございます。
戦後の経済復興、そして一九六〇年代から七〇年代初頭の高度経済成長下に、日本人の食生活は比類なき成長を遂げました。そして、その結果、食の多様化、健康で、安心して、安全なものを食べたいという国民の消費マインドの向上に従って、業者側は、健康にいい、太らない、血圧を下げる、こういった表現を用いた宣伝をしたり、直接的にはそれを語らなくても、そのことを連想させるネーミング商品等が町じゅうにたくさんあらわれたのも現実であります。
これが余りにも過度に行き過ぎたので、抑止する行政の対応とイタチごっこが、これまでも現在も繰り広げられてまいりましたが、消費者庁の設置で行政がこれまで以上に表示基準に目を光らせるようになった上に、今回の景品表示法の改正により、さらなる効果が増すのではないかと期待をしております。
そのような流れの中で、先ほど述べましたような国民の食の多様化に伴って、その販売部門を担うスーパーや小売店はさまざまな創意工夫をし、客をつかむ努力を繰り返してきたわけなんですけれども、その最たるものの一つが鶏卵販売業界だと思っております。
それは、販売業者に限らず、養鶏農家も同じでございますが、例えば、鳥の飼料そのものや栄養成分あるいは育成方法を差別化して、庭先卵とかビタミン強化卵などランダムな名称で、いかにも優良な卵だと一般消費者がわかるような表現やマークを張りつけるなどして誕生したいわゆるブランド卵が、その数は、以前に、千二百種類を超えるような数があらわれた、こういうふうに言われておりました。
そこで、お尋ねをしたいわけなんですけれども、二〇〇四年十一月、公正取引委員会が鶏卵業界に対して鶏卵の表示の適正化について要望を出したのは、一般消費者に、そうしたブランド卵の中には消費者のコンセンサスを得にくいものや理解がしにくいものが多かったから、表示を明確化する必要があったからだと私は認識をしているわけなんですけれども、そのような理解でよろしいでしょうか。その背景として具体的にどのような不都合が生じていたのか、事例をお示しいただければと思います。
消費者庁設置以降、かつて公正取引委員会の皆様方が担っていらっしゃったこれらの管轄は消費者庁に完全に移管されましたので、その当時の様子を消費者庁から御答弁をお願いしたいと思います。
○菅久政府参考人 お答え申し上げます。
平成十六年ごろでございます。鶏卵の表示につきまして、今御指摘がありましたような、一定のブランド名のもとに、鶏卵のパックやラベルなどに、例えばDHA強化などといいました、品質がすぐれていることを示すさまざまな強調表示が増加していたという状況がございました。また、これらの栄養成分などを訴求する表示でございますが、これがどのような根拠に基づいて行われているのかについて、一般消費者にとってわかりにくいものが多かったということ、そういうことから、当時、景品表示法を所管しておりました公正取引委員会が、一般消費者の適正な商品選択に資する観点から実態調査を行いまして、平成十六年十一月に公表をしております。
この実態調査の結果、現に一般消費者にわかりにくい表示が見受けられたこと、また、既に鶏卵業界におきまして表示の適正化に向けた取り組みが行われていたということから、中央鶏卵規格取引協議会に対しまして、公正競争規約の設定に向けた取り組みを行うよう要望したということでございます。
○上西委員 ありがとうございます。
御要望があったということでしっかりと対応していただいた、そういった形で今はある程度明確化をされている、こういった形でお伺いをいたしました。
その後、四年以上の長期にわたる検討を経て、中央鶏卵規格取引協議会の中へ検討のための専門委員会が設置され、鶏卵表示の適正化を図り、一般消費者が適正な鶏卵の選択をできるように役立つ情報提供を図ることを目的として、公正競争規約策定作業を続けられた御労苦には敬意を表したいと思います。そして、二〇〇八年八月には鶏卵公正取引協議会設立準備会の結成が実現し、翌年三月二十六日、その規約案が公正取引委員会から正式に認定されたことは御同慶の至りでございます。そして、その年、すなわち二〇〇九年六月十日に鶏卵公正取引協議会が設立されたわけなんですけれども、その経緯について若干の質問をさせていただきます。
まず、農林水産省の鶏卵生産者経営安定対策事業の執行に関与している公益法人である一般社団法人日本養鶏協会の活動内容と所在地をお聞かせいただけますでしょうか。
○松島政府参考人 お尋ねがございました一般社団法人日本鶏卵協会は、養鶏生産物の需給の安定、消費の促進及び鶏卵に関する情報の収集、提供などの活動を行っておりまして、所在地は東京都中央区でございます。
○上西委員 ありがとうございます。
次に、先ほど述べました鶏卵公正取引協議会の所在地と活動内容をお教えいただきたいと思います。
○菅久政府参考人 お答え申し上げます。
鶏卵公正取引協議会でございますが、これは景品表示法で定められました公正競争規約の運用を行っている団体でございます。
済みません。所在地は東京都にございますが、ちょっと今、それより詳しいところといいますと、手元に持ってございません。申しわけございません。
○上西委員 今、所在地は東京で、それ以下はわからないというふうにおっしゃったんですが、きのう通告しているんですけれども、それは今お調べいただいてもわからないんですかね。
○江藤委員長 上西君の審議時間のうちに、きちっと調べて御報告ください。
それでよろしいですか。
○上西委員 はい。
私が鶏卵公正取引協議会の所在地を調べさせていただきましたところ、これも同じく東京中央区だ、こういうふうにお伺いをしております。そして、所在地は、この二つの団体は全く同じビルにある、こういうふうに伺っておるわけでございます。
そして、活動内容を今お教えいただきましたが、ほとんど似たようなものなのかなと。いろいろさまざまあるというふうにお伺いをいたしましたが、大体は、国民の食生活の向上、そして鶏卵産業の健全な発展を目指す、こういうことで、養鶏生産物の需給の安定、消費の促進及び養鶏に関する情報の収集、提供などのさまざまな活動を行われている、こういうふうに認識していいのかなというふうに思います。
そうしてみますと、なぜほぼ同類のような団体が存在し、そして同じビルで活動されているのか、ちょっとよくわからないんですけれども、その背景、実情について農林水産省から御説明をいただきたいと思います。
○松島政府参考人 先ほど委員の御質問に対しまして、日本鶏卵協会とお答えしましたが、日本養鶏協会の誤りです。大変失礼いたしました。
今、なぜ同じような業務を行っているのかというお話がございましたが、大変申しわけございませんが、公正取引協議会につきましては当方の所管ではございませんので、公正取引協議会の業務内容と一緒かどうかということについてはお答えする立場にございませんが、日本養鶏協会につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、養鶏生産物の需給の安定、消費の促進及び養鶏に関する情報の収集、提供の活動ということで、先ほど消費者庁から御答弁がございました公正取引規約に関する業務は行っていないというふうに理解してございます。
〔委員長退席、吉川(貴)委員長代理着席〕
○菅久政府参考人 お答え申し上げます。
申しわけございません。所在地は、東京都中央区でございます。
○上西委員 今、私と同じように所在地の御答弁をいただきまして、二つの団体が東京都の中央区、そして、それぞれのなさっている御活動が同じものなのかどうなのかは、お互いの団体さんでお話をされていないからということですかね、わからない、判断はできない、そういうことなんですけれども、私もそういった関係の方々からいろいろお話をお伺いしていると、随分と似ている御活動をなさっている、こういうふうにお伺いをしておるところでございます。
ところで、国は、鳥インフルエンザやニューカッスル病の蔓延などが一たび起こると壊滅的な、パンデミックな被害が生じやすい養鶏業の実態に鑑み、鶏卵生産者経営安定対策事業として、年間約五十二億円の予算が組まれています。二〇一二年五月二十二日には、日本養鶏協会が鶏卵生産者経営安定対策事業の実施主体として国からの補助金等を第三者に交付する立場になったのに伴い、公益法人の扱いになりました。
話はさかのぼりますが、政府は、二〇〇二年三月二十九日、公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚会議幹事会申し合わせをしています。その中で、公務員が平成十四年度、すなわち二〇〇二年度から公益法人への再就職をする場合には、各府省庁は、役員の報酬や退職金に関する規程を定めること、こういったものがうたわれ、役員の在任年齢などに関しても適切な規程を整備するように要請すべきことがうたわれています。
公益法人である一般社団法人日本養鶏協会には、当然、かかる公務員制度改革大綱に基づく措置が適用されると考えますが、間違いはありませんでしょうか。
そして、二〇一二年五月二十二日の段階で、農林水産省は、日本養鶏協会に対して、国の方針に従い、理事などの役員の在任は六十五歳までとし、どうしても留任をする場合には非常勤で無報酬にすべき条件がつけられた、この事実はありませんでしょうか。
〔吉川(貴)委員長代理退席、委員長着席〕
○松島政府参考人 お答えいたします。
まず最初に、委員御指摘のとおり、現在、日本養鶏協会は、国の実施します鶏卵生産者経営安定対策事業の実施主体となってございます。
平成二十三年度からこの実施主体となったということもございまして、この協会については、国と特に密接な関係を持つ公益法人に該当するということで、政府全体の方針に従いまして、御指摘のとおり、平成二十四年五月に、当該団体に対しまして、農水省の担当課の方から、役員在任年齢につきまして、理事長相当職は七十歳まで、役員は六十五歳までとする、また、どうしても留任させる場合には、非常勤、無給を条件とするということを要請したというふうに承知してございます。
この結果、日本養鶏協会におかれましては、平成二十四年六月の理事会におきまして、役員の在任は六十五歳までとすること、ただし、会長または副会長で特別の事情がある場合には七十歳に達するまでとすること、さらに、役員の知識及び経験が本会の業務運営上特に必要である場合においては上記の限りではない、こういうことを規定いたしました役員在任年齢規程を決定したと承知してございます。
○上西委員 この団体が、国と密接な関係がある、こういった認識にしっかりと基づき、政府の方針に従い、きちんと規約をつくられた、これに関しては評価をさせていただきたいと思います。
その鶏卵生産者経営安定対策事業の執行に関与している前掲の二つの団体の相互関係について詳しい御説明をお願いしたいんですけれども、いかがですか。
○松島政府参考人 前掲の二つの団体というのは日本養鶏協会と公正取引協議会ということだと理解いたしますけれども、先ほど申し上げましたように、両団体は別の事業を実施しておりまして、私どもとして、その関係について申し上げる立場にはございません。
○上西委員 今の御答弁でありますと、二つの団体は全く別の事業をしているから全然中身もわからない、こういうふうな御答弁をいただいたわけなんですけれども、私が独自に調べました結果、今、一般社団法人日本養鶏協会で主導権を有する立場にある方は農林水産省のOBでありますが、在任年齢が六十五歳を超えているため、無報酬、非常勤の形態で勤務されているようです。
しかし、今、同じ所在地にある、東京都中央区にあるとおっしゃいました、鶏卵公正取引協議会の役員も、その一般社団法人日本養鶏協会の専務が兼任していると言われていますが、事実はいかがなのでしょうか。
○菅久政府参考人 お答え申し上げます。
鶏卵公正取引協議会のいわゆる専務理事のお立場にある方は、一般社団法人日本養鶏協会の専務理事の方ということでございます。
○上西委員 今の御答弁でいきますと、その二つの団体にまたがって、ある方が役員をされているということであります。
鶏卵公正取引協議会は公益法人でありませんし、国の補助金を交付されているわけでもありませんが、担っている業務は、鶏卵の表示に関する公正競争規約を定め、鶏卵公正マークを発行するという、国民と最も身近な立場で国民の安全、安心を守る、いわば行政の代行的業務遂行機関と言えます。そして、そこが発行した公正取引マークを一般消費者は信用して、安全で安心して食べられる、そして価格も適切であると確信をして購買という行動に至るわけであります。
そのように、非常に公共性の高い組織なのですから、鶏卵公正取引協議会も、一般社団法人日本養鶏協会と同じように、国と密接な関係がある、こういった団体にほかならず、就任年齢制限や報酬金額を定めたルールが適用されるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○菅久政府参考人 お答え申し上げます。
この鶏卵公正取引協議会はいわゆる任意団体でございますので、その組織運営、予算について、いわゆる消費者庁が監督を行っているものではございません。
○上西委員 確かにそうなんですけれども、私が申し上げたとおり、行政の代行的な存在であるということでありますから、やはりルールが適用されても何らおかしくはないのではないかな、こういうふうに思うわけなんです。
鶏卵公正取引協議会の過去の活動報告書などを拝見しておりますと、一般社団法人日本養鶏協会と鶏卵公正取引協議会の役員を兼務し、主な活動を前者で行っている六十五歳以上の者が、公益法人である日本養鶏協会から報酬を受けず、法人ではない鶏卵公正取引協議会から、同協議会の年間収入約一千九百六十三万円の六〇%超えにも及ぶ年間一千二百万円程度の報酬を受け取っているようです。
今回の一般社団法人日本養鶏協会と鶏卵公正取引協議会の事例は、あたかも、公益法人では給料が得られなくなった天下りを意図した元官僚が、報酬を求めて同じ事務所に席を設け、存在感をアピールしているだけ、こういった感が拭えないわけでございます。
国民が安心感、安全性を信じる適正マークを発給するところがこのような疑惑の目を向けられるのは、大変に残念なことと言わざるを得ませんし、そして、到底、これは国民の理解を得られるものではないと思います。
とりわけ、一人の役員報酬が鶏卵公正取引協議会の役員給与規程で一千二百万円になった前年度、すなわち二〇一二年までの人件費に八百七十六万円弱が支出されておりましたが、この給料は一体どこに支給されていたのか、こういうことを疑い出したら、本当に切りがないような状態であります。
過去五年で結構でございますから、鶏卵公正取引協議会の人件費の推移をお教えください。
○菅久政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど御答弁させていただきましたとおり、消費者庁はこの組織の運営、予算について監督しておりませんので、現在、承知していないところでございます。
○上西委員 これも、きのう、きっちり私から通告をさせていただいておりますが、ないんですかね。
○江藤委員長 通告を受けておるのであれば、御答弁ください。
とめてください。
〔速記中止〕
○江藤委員長 起こしてください。
菅久審議官。
○菅久政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、鶏卵公正取引協議会はいわゆる任意団体でございまして、我々はその組織運営、予算について監督を行っているものではございませんので、御指摘のような点についてお答えする立場にないかと思っております。
○上西委員 それだったら、通告のときにそういった旨を御説明いただかないといけないと思うんですけれども、私が通告をさせていただいたときには、はい、わかりました、では、これとこれを調べておいたらいいんですねという形でお帰りになったわけなんですけれども、どうなっているんですかね。
○江藤委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○江藤委員長 起こしてください。
菅久審議官。
○菅久政府参考人 先ほど申したとおりでございまして、役員報酬の状況につきましては、消費者庁としても、また多分農水省としても、所管団体ではないということで、お答えする立場にはないということかと理解しております。
○上西委員 ですから、それでしたら、きのうそういうふうにお答えをいただいたら結構だったわけなんですけれども、農林省の方から御答弁いただくことはできないでしょうか。
○松島政府参考人 お尋ねがございました鶏卵公正取引協議会というのは、私どもの所管団体でございませんので、お答えする立場にはございません。
○江藤委員長 委員長から申し上げます。
所管ではないということでありましても、通告をされております。このことについては、委員長の責任において理事会で審議をさせていただくことでよろしいでしょうか。
○上西委員 大臣の方から一言言っていただきたいと思います。
○西川国務大臣 御指摘をいただきながら両団体の状況が説明できなかったということでございますから、深く反省をし、おわびを申し上げながら、次回までに資料を提出させていただきます。
○上西委員 大臣、ありがとうございます。
今、人件費を過去五年出してくださいというふうにお願いをしていた分に関しましてちょっとお答えをいただけなかったんですけれども、実際、私の手元にある資料で、役員報酬、人件費が一千二百万円になったその前年度は八百七十六万円、こういった額でありまして、そうしたら、この一千二百万円を受け取っている役員の方がいらっしゃらなかった前、この八百七十六万円はどういう形で何人の方に支払われていたのか、こういったことも非常に不思議でございます。
恐らく、この八百七十六万円、普通に考えると、パートなりアルバイトなりに日当が支払われていたはずですから、二〇一三年度からは、私が今申し上げましたように、丸々役員一人の給与、こういう形になっていると思うわけなんですけれども、たくさんの方々が働かれていた協議会、そこから役員一人の方が働くことになった、これで組織の業務の維持ができるのか。
ただでさえ国民の多くは、独立行政法人、公益法人の存続に非常な疑問符をつけている、こういうことは皆さん御承知のとおりだと思います。公益法人が適正に存続し、国民の信頼を得るためにも、その関連団体、関係団体が襟を正し、そして、しっかりと、疑いを抱かれないような立ち居振る舞い、運営をしていただく必要があるのではないかと思います。
国民の鶏卵という食材の安全性、価格保持に大いなる貢献をしている組織が乱れると、当然それに伴い国民の信頼も信用も得られなくなり、そのような不適切な組織に今後国民の血税が注ぎ込まれる、こういったことは、今この不景気の状況ですから、決して許されることではない、批判を受けるべきところであると思いますので、これに関して、最後に農水大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○江藤委員長 大臣、答弁は簡潔に願います。
○西川国務大臣 持ち帰って、今の御指摘はよく検討させていただきます。
○上西委員 どうもありがとうございました。
○江藤委員長 次に、桜内文城君。
○桜内委員 次世代の党の桜内文城です。
きょうは、二十五分間いただいていますので、これから前半は、通告とはちょっと順番が逆になっちゃうんですけれども、まず、農協の経済事業、特に委託販売のあり方についてお尋ねをいたします。
前回の一般質疑の際に、ことし、米の概算金が大変下がってきておる、こういった中で、農協の経済事業のあり方そのものについて質疑をさせていただきました。その関連ということになろうかと思うんですけれども、農協の農畜産物販売事業、経済事業の中の一つですけれども、組合員が生産した米穀、青果物、畜産物などを販売する事業というふうに農水省からいただいた資料には書いております。
私はてっきり、最初は、農協が生産者から仕入れて、そしてそれを販売しているのかなというふうに思っていたんですが、どうやら違うというお答えをいただきました。
要は、農協は、組合員から販売委託を受け、連合会への販売の再委託や卸売市場を通じて販売するケースが多く、組合員からの買い取りによる販売、実需者、消費者への直接販売や契約販売は少ない、こういったことなんですけれども、これが、私は、ことし、概算金が大幅に引き下げられた一つの理由じゃないかと考えております。
というのは、委託販売なわけですよ。販売の代行ですよね。零細な農家にかわって、農協がかわりに販売をしてあげる。ですから、農協としては、手数料が売り上げの約三%とのことなんですけれども、要は、どんな価格がつこうとも手数料を三%確保されて、高く売る努力というか、しっかりと販売価格を維持していこう、そういうインセンティブがそもそもない契約形態になっているんじゃないかと思うんです。
前回も私は農協のあり方について少し申し上げた中で、やはり生産者は販売のリスクというのをとりようがないんですね。実際に大量に売っていらっしゃるわけです、農協の販売で取扱高が四兆二千億円ぐらいあるわけですから、大変大きな商社みたいなものですけれども。農協がリスクをとらずに、固定的に手数料を三%、売り上げの三%を取りながら、そういう商売をやっていると、高く売ろうというインセンティブはないじゃないですか。そこが、例えば今回の米の概算金にしても、ある種、リスクは全て生産者に押しつける、こういった構造的な要因になっているんじゃないかなというふうにも私は考えるんです。
ちょっとざくっとした質問ですけれども、農水省の見解をお願いいたします。
○奥原政府参考人 農協の農産物の販売でございますが、今御指摘いただきましたように、現在の農協の農産物の販売は、買い取りと委託販売とありますけれども、買い取りが大体三%ぐらいということでございまして、九七%は委託販売という形でやっております。
ということは、価格が上がっても下がっても、下がった場合のリスクは農家の方が負う、こういうことでございます。買い取ってしまえば、その後幾らで売るかは買った農協のリスクになりますけれども、委託販売の場合には生産者のリスクということになります。
したがいまして、農協が自分のリスクをきちんととって、できるだけリターンを多くするために一生懸命高く売る努力をするかというと、そこのところにやはりクエスチョンマークがつくというのは実態でございます。
六月に農協改革の政府・与党の取りまとめが行われておりますけれども、農産物を少しでも有利に販売する、農家の所得を向上させていく、これが今回の農協改革の一つの考え方でございますので、いきなり農協が全ての農産物を買い取るというわけにはいかないかもしれませんが、段階的に買い取り販売をふやしていって、農協がある程度リスクをとりながらリターンをふやしていく、これによって農家のメリットを上げていこう、こういうことが改革の中身に盛り込まれているということだと認識をしております。
○桜内委員 ぜひ、そのような方向で改革を進めていっていただきたいと思います。
要は、現状、今局長が御答弁いただきましたように、買い取りといいますか、普通の言葉で言えば仕入れですよね。農協の仕入れは三%しかないわけですよ。残り九七%、ほとんど販売価格のリスクをとっていないということなんですね。
私は、例えば概算金の事例等を見ておりまして、農家に最終的な価格変動のリスクを押しつけるというのは、ちょっと無理な業態なんだろうと思っております。
というのは、通常の二次産業、製造業等であれば、売れ行きを見ながら工場での生産をふやしたり減らしたりということも可能なんでしょうけれども、農産物の場合、米にしても、実際に流通に流すまでに半年以上かかるわけですよ。苗を植えて、そこから収穫までに至るリスクを生産者自体はとっているわけですね、長期間にわたる、生産に至るまでの、流通に流すまでの。
さらに、そこから先の流通、販売、特に価格がどうなるかわからぬというリスクを、農協がとらずして一体誰がとるんだというふうに私は考えておりますので、ぜひ、そこは農協改革の一つの柱に据えていただきたいということを要望しておきます。大臣、少しこの点についてコメントをいただけませんでしょうか。
○西川国務大臣 私どもの今度の農協改革も、農家の所得をいかに増大させるか、これに絞っておりますので、そういう中で、今委員から御指摘があったことを私どもは十分議論しながら、農家の所得の増大につなげていきたい、こう思います。
○桜内委員 ありがとうございます。
関連してちょっと指摘しておきますと、これも農水省からいただいた資料ですけれども、今、農協の全ての職員のうち、販売とか営農指導に携わっている方は一四%程度という数字があります。やはり農協ですから、今言った経済事業、特に販売、価格をちゃんと維持して売ってあげるという仕事がメーンでなくちゃいけないのに、残念ながら、わずか一四%なんですね。これによりますと、販売が七・五%、営農指導が六・七%、少な過ぎなんですよ。本来の、農協のメーンの仕事であるべき部分がこういった人員構成になっている。人員構成だけじゃなくて、やはり事業のあり方を考えないといけないと思います、これは指摘ですけれども。
また、せっかくですので、もう一つ指摘しておきますと、農協の部門別の損益というのも農水省からいただいた資料の中にあるんですけれども、要は、一組合当たりということで、信用事業でもって、例えば平成二十四事業年度であれば、三億五千万円ぐらい黒字が出ているんですね、損益として。また、共済事業では二億一千万ほどが黒字で、肝心の経済事業等では赤字が二億三千万円出ている。
要は、この間も指摘申し上げましたけれども、共済事業、特に信用事業で黒字を出して、そこから経済事業の赤字を埋めるという構造になってしまっているわけですけれども、その経済事業の中身がやはり問題だと思っておりまして、先ほど言いましたように、販売も、とにかくどんな価格で売れようが、三%の手数料を取れるという非常に楽ちんな商売をやっているわけですよ。何の努力もしていないと言って等しいんじゃないかと私は思います、ちょっと厳しいかもしれませんけれども。
これは、米に限らず、私の地元は愛媛ですので、ミカンとか、実際、人員構成を聞いてみますと、ある地元の一つの農協ですけれども、大田市場に販売員というか所長を一人置いている。何をやっているかというと、毎日、在庫が幾らあったとか、幾ら値段がついたとか、極わせがどうだったかとか、そういうのをファクスで送るんですね。そんなのだったら、どこかの大田市場の人に頼んで、お金を払ってファクスをもらえば済む話でありまして、やはり販売の努力というのは、営業先、大田市場だけじゃなくて、実際に首都圏のスーパーであるとか、それも、大手であれば買いたたかれるといいますから、地場の中堅どころのスーパーに直接売りに行くとか、やはりそういうマンパワーも必要だと思います。
やはり農協のあり方は、原点に戻って、特に経済事業でもって、高い価格を維持して、農家のためにも高く売るという努力をぜひ今後の農協改革の中でやっていただきたいということを申し述べておきます。
この関連になるんですけれども、この間から農水省の方に、これは実態はどうなっているのかなというのをいろいろ聞いていたのが、実は消費税のことなんです。
といいますのも、先ほど言いましたように、農協のそういった農畜産物の売り上げの九七%が委託販売なわけですね。ですので、農協から我々が、例えば道の駅なり、農協が経営しているところで、Aコープもそうですけれども、何か地場の、地産地消だという農産物を買いました。そこには当然八%の消費税が乗っているんですよ。
では、これは、さっき言いましたように、仮に農協が仕入れていれば、仕入れ税額控除といいますか、その分と売り上げの八%との差額が申告納税されてくるはずなんだけれども、どうなんですかというふうに聞いたら、いやいや、これは仕入れじゃなくて委託販売なんですよ、ほうということです。
では、農家が、特に消費税についてどういう申告をしているのかねという問いを私から聞きまして、まだ調べてもらっている最中なので、余りここを追及する気はないんですけれども、聞きますところによれば、これは平成二十二年の直近の農業センサスによれば、農家の経営体として、売上高が一千万円未満、要は、消費税の免税点以下、免税事業者だとおぼしき農家の数が全体の農家の数のうち九二%だそうなんですね。ですので、この方々は、消費税は免税なので、仮に、農協が販売代行で売るときに消費税八%分を上乗せして売りました。では、その八%はどうなったんですかと聞くと、どうも、これは免税事業者なので、農協からは仕入れとして扱っていないものですから、消費税として百八分の八を農家にお支払いしているわけじゃなくて、単に農作物の代金として渡していますよということなんです。逆に言えば、これは免税事業者の、いわゆる益税でありまして、これは結構規模がでかいと思われるんですね。
もちろん、農家の数からいって、免税点といいますか、一千万円未満のところが九二%だからといって、残り八%の大規模な農家の方が恐らく売上高でいえば割合が多いので、九二%分が全て益税になっているとは申しませんけれども、しかし、農協の取扱高、売上高が四兆二千億もあるわけですよ。四兆二千億の売り上げから、本来であれば、これの八%上乗せした分が国庫に入ってこなくちゃいけないはずなんですね、理屈だけで言えば、もちろん仕入れ税額控除とかありますけれども。仮に、この九二%を農家数に応じてまず掛け算して、そこから百八分の八はどうなっているんですかねと計算してみたらば、やはり二千億円超えちゃうんですね。
全額益税とは言いませんけれども、結構ここを、ぜひ農水省、特に経営局に、農協に対して指導していただきたいと私は思っています。というのは、今の販売代行、委託販売の仕組みだと、こういう益税がどうしても発生しちゃうんですね。仮に、農協がしっかりと仕入れて、リスクをとって販売すれば、農協自体が消費税を申告納税すれば済む話なんですよ。
ですので、こういった益税をなるべく減らしていくという観点、それから、先ほど言いましたように、農家のためにきちんと高い価格で売ってあげるという観点も含めて、やはり委託販売が九七%もあるというのは、これはできるだけ早期に、特に今消費税が上がるかどうかで解散するかどうかなんか言っている時代ですので、なるべく早くここは明瞭にしていただきたい。かつ、仕入れというか、買い取り販売をふやしていただきたいと思います。
経営局長、ぜひ御答弁をお願いします。
○奥原政府参考人 まず、買い取り販売のことでございますが、先ほども申し上げましたように、今度の農協改革の中で、できるだけ委託販売から買い取り販売の方へシフトするように、きちんとやっていきたいというふうに考えております。
それと、今の消費税の関係の問題でございますが、いわゆる益税の問題ということかもしれませんけれども、基本的に、これは消費税に係る事業者免税点制度に起因する問題というふうに考えております。この免税点の制度は、基本的に、農家だけではなくて、中小事業者の事務負担に配慮する、こういうことでできているというふうに承知をしております。
例えば、農家が農協に農産物を委託販売した場合、農協は、価格に八%相当額を加えた額を卸売市場なり、あるいは米の卸売業者等から受け取って、その額から農協の販売手数料を引いたものを農家に支払うということになっております。
農家の中には、御指摘のように、免税事業者と課税事業者が混在をしております。例えば、農産物の販売におきまして、大量の出荷物をさばかなければいけない、それから出荷物を課税事業者と免税事業者に分けて管理するのはなかなか難しい、こういったことがございますので、これは農林省単独でやっているわけではございませんで、財務省主税局といろいろ協議をした上で、こういう取り扱いが認められてきている、こういうことでございます。
○桜内委員 局長の御答弁の中で、やはり納得できない部分が一つありまして、課税事業者と免税事業者との区別が難しいとおっしゃったんですが、農協の関係の方はみんな御存じでしょうけれども、税理士法五十条に基づいて、臨時の税務書類の作成等の、一カ月とか、確定申告期間に、農家の所得税あるいは消費税の申告を税理士じゃなくとも代理できるということで、実際にそれが行われてきているわけですよ。
なので、実態も今どうなっているのとお聞きしている段階なので、余り強く私も責めて言うつもりはありませんが、要は、消費税の課税事業者なのか免税事業者なのかわかりませんという話じゃないんですよ。農協は、臨税と略して言われるそうなんですけれども、税理士業務を代行できるわけですよ。なので、当たり前ですけれども、農協は、個々の農家が課税事業者なのか免税事業者なのかを把握できるんですよね、どこまで把握しているかはこれからお調べいただきたいとは思いますが。
そのような中で、では、この農家は課税事業者なんだ、この農家は免税事業者なんだとわかるわけですよ、別に、申告を勝手に農家の方が農協を通さずにやっているわけじゃないんですから。農協を通してやっているわけですよ、大半の方が。
なので、実際の委託販売の契約をする際に、どの方が課税事業者なのか、その方の委託販売を実際行うときには八%を乗っけて売る、免税事業者の方と契約する場合には、免税事業者の方の販売の代行でしかないわけですから、消費税を乗っけずに売る、これは全然不可能じゃないわけですよ。煩雑とおっしゃいましたけれども、全然煩雑じゃないと僕は思うんですけれども、局長、いかがですか。
○奥原政府参考人 これにつきましては、ちょっと財務省の主税局ともよく相談をさせていただきます。
税務申告の代行をしているからといって、そこで知り得た情報を自分の取引に使っていいかどうかとか、いろいろな問題もあるかと思いますので、ちょっと、よく勉強させていただきたいと思います。
○桜内委員 ぜひ、よく勉強していただいて、ただ、今申し上げたのも、なるべく買い取り販売をふやせば済む話でもありますので、農協改革の方向性として買い取り販売をふやしていくという方向性があるのであれば、なおのこと、買い取り販売をふやして、農協がしっかりリスクをとって、生産者のための流通、販売を行っていただきたいというふうに考えます。
随分時間がなくなっちゃったんですが、次の論点に移ります。
きょうは、この後、質疑なしで鳥獣被害対策特別措置法の改正案、単に時計を二年間延ばすということですので賛成ではあるんですが、一点だけちょっとお伺いしたいのが、この法律は確かに必要だと思いますが、どこまで本当に効果がちゃんとあるのかなという点でございます。
これは環境省所管の方なんですけれども、鳥獣保護法ですか、こちらとの関係にもなってくるんですけれども、やはり保護し過ぎたんですね。これは調査室からいただいた資料ですけれども、例えばイノシシの捕獲数はべらぼうにふえているんですよ、鹿も猿も。頭数まで言うと余り時間がないので、何倍になっているかというと、いただいた資料によれば、昭和三十五年のイノシシは、当時は三万三千頭捕まえたそうなんですけれども、それが、平成二十三年度では三十九万五百頭捕獲した。十一・八倍です。随分数がふえているんですね。
こんなのはまだかわいい方で、鹿がえらいことになっていまして、昭和三十五年、随分前ではありますが、そのときの捕獲数が七千八百頭。これが、平成二十三年度では四十一万五千五百頭、五十三倍です。
猿は、昔は余りいなかったのか、よくわからないんですけれども、昭和三十五年には百頭しか捕まえていないんですけれども、それが一万七千八百頭、百七十八倍の猿を捕まえているわけですよ。
やはり保護し過ぎたということと、それから、本当にこの分野は、おもしろいと言うと叱られるんですけれども、みんな苦労されているんですね。お年寄りばかりになっちゃったので、こうやってみんな困って、何とかやろう、そういう法律なわけですけれども、確かにお年寄りが相当ふえています。こういった銃砲等の関係の免許とか、もうほぼお年寄りばかりと言っても過言ではない。平成二十三年度は、六十歳以上の方が鉄砲を撃てる人の全体の七割になっちゃっているわけですよ。
そういった中で、これは、むしろ農水大臣の所管ではなくて、ちょっと申しわけないんですけれども、鳥獣保護法で危険猟法というのが禁じられているわけですよ。例えば劇薬、毒薬を使用する猟法とか、要は、毒まんじゅうとかを置いておいて、コストを安く、そういう悪いやつらをやっつけるというのが禁じられているんですけれども、やはりこの辺の制限も考え直していかなくちゃいけないんじゃないのかなと思っております。
と申しますのが、人間の身体または生命に対する危害を防止するため、そういう猟法が禁じられているそうなんですけれども、田舎は、先ほど鉄砲を撃つ人もお年寄りばかりと言いましたけれども、子供がいないんですよ。間違って食べる危険性もないのであれば、そういったローコストな、今まで危険猟法として認められてこなかったものも、やはり立法論としてはある程度認めていくべき時期に来ているんじゃないかなと思うんですけれども、済みません、これは環境省の所管の法律なんですが、最後に、少し農水省のコメントをお聞きして、質問を終わります。
○江藤委員長 松島生産局長、答弁は簡潔に願います。
○松島政府参考人 今委員から御指摘がございました薬の使用ということについても、いろいろ現場でそういう要望があることは承知してございます。
一方、環境省とは、昨年末、捕獲頭数を倍増するという計画を共有いたしまして、環境省も鳥獣保護法を改正いたしまして、鳥獣保護管理法という形で、農林省と連携をとりまして、鳥獣捕獲につきまして積極的に取り組んでいくということになってございます。今の委員の御指摘も踏まえまして、よく環境省と相談してまいりたいと考えてございます。
○桜内委員 ありがとうございました。
終わります。
○江藤委員長 次に、畑浩治君。
○畑委員 生活の党の畑浩治でございます。
早速質問に入らせていただきます。
本日、新聞記事のコピーの資料をお配りしております。これは、実は今、沖縄県知事選挙が行われておりますけれども、この沖縄知事選挙は、十六日投票で、そうすると、たしか三十日告示だったんだろうと思うんですが、その五日前、二十六日に、仲井真氏の応援で西川農水大臣が沖縄入りをしたと。
その中で、「沖縄の漁業振興を図るための新たな基金を創設する考えを示した。仲井真氏を支援する水産業関係者らの大会でのあいさつで表明した。」ということでございまして、「漁民の所得増大に向け新たな基金を積んで、いつでも取り崩しができるお金を約束したい。自由に使っていただき、沖縄の漁業が良くなってほしい」云々と書いてあります。
まず、お伺いしたいんですが、これは事実を確認したいと思います。
○西川国務大臣 十月二十六日に、沖縄県水産業を元気にする浜の女性大会に出席し、沖縄の漁業振興を図るための新しい基金の検討を進めていることについて発言したことは事実であります。
○畑委員 そこで、ちょっと事実関係を踏まえてお伺いしたいんですが、沖縄には公益財団法人沖縄県漁業振興基金というのがありますね。これは、昭和二十七年の日米講和条約発効から昭和四十七年の復帰までの間で、米軍による立入禁止や操業制限によって沖縄県漁民がこうむった被害に対して、日本政府から特別支出金として拠出された三十億円を基本財源としてやっている。その財団は、現在は、国が三十億、沖縄県から九千万、県漁連、信漁連から三百万が支出されていると聞いておりまして、平成二十一年度末現在で三十三億円余りがあるということで、その剰余金で運用されている、こういう基金が現行あります。
検討しておられるのは、この基金とは別途立ち上げるということでよろしいんでしょうか。
○西川国務大臣 沖縄県の漁業関係者から要請、要望を受けてきました。
沖縄周辺の海域は、外国漁船の来航も多くて、また広大な米軍訓練海域が設置されているということで、漁業の発展に支障が生じている、今の三十億円の基金はあるけれども、運用益が少なくてなかなか要望が満たされない、何とかしていただきたいという要請がありました。
○畑委員 なるほど。そうすると、別途なんでしょうね。
ちなみに、これは率直にお聞きしますと、選挙の応援の場で言ったということですから、どの候補が勝とうと、この検討は行われて、そういう基金が措置されるものと理解してよろしいですか。
○西川国務大臣 これは浜の女性大会に行ったわけであります。
ですから、仲井真さんが勝つ場合もあるでしょうし、負ける場合もあると思いますが、それらによってこの基金を検討している状況は変わらない、こういうことを申し上げておきます。
○畑委員 変わらないということですね。
ちなみに、そこで問題意識を持っていますのは、選挙の応援と目されるときにこういう発言をしたということで、一般の大臣ではなくて、ほかならぬ、権限を持っておられる農水大臣が発言されたというところで非常に疑念を呼んでいるということだと私は思います。
ちょっと事務方にお聞きしたいんですが、公選法二百二十一条一項で利害誘導罪というのが規定されていまして、今回の件はこれに当たる可能性があるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
○稲山政府参考人 お答えをいたします。
総務省といたしまして、個別の事案につきまして、実質的調査権等を有する立場にございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。
その上で、一般論として申し上げますと、ただいま御紹介のございました公職選挙法第二百二十一条一項第二号に規定しております利害誘導罪でございます。これには三つの要件がございます。一つには、特定の候補者の当選を得もしくは得しめ、または得しめない目的をもって誘導行為がなされること。二つ目には、その誘導行為が選挙人または選挙運動者に対してなされること。三つ目には、誘導行為が選挙人または選挙運動者自身の特殊の直接利害関係を利用して、あるいは選挙人または選挙運動者と関係のある団体の特殊の直接利害関係を利用してなされるものであること。こういったことを要件として成立するものと考えております。
したがいまして、一般論でございますが、例えば、当選を得もしくは得しめる目的をもってするものでなければ、公職選挙法の規定に抵触するものではございませんが、いずれにいたしましても、個別の事案がただいま申し上げましたような要件に当たるかどうかにつきましては、その時期、態様により、個々の具体の事実に即して判断がなされるべきものと考えております。
○畑委員 法律の解釈としてはそうなんでしょうね。これはそうとして、ただ、余りにも官僚的な答弁であって、法学部的な答弁だと思います。
問題は、政治家がこういうふうに思われる場所でそういう発言をしたのはどうかということの政治的な観点もあるのだろうと思います。選挙の告示の五日前に、公職の、まさに権限を持っておられる農林水産大臣が、漁業関係者で、自民党推薦候補者の応援のためという形の文脈で言われているわけでして、実は、ことし一月に似たような問題がありまして、当時の石破幹事長が、たしか名護市長選挙で五百億円の基金の創設の話をしたことがあって、これも問題になりましたが、自民党の幹事長であれば、職務権限という点では直接にはなくて、今回はほかならぬ農水大臣なわけです。
私は、これは政治的に非常に問題だし、民主主義をゆがめるような発言ではなかったかという問題意識を持っておりますが、そこは、法律は別にして、大臣のお立場でどうだったのかという認識をちょっとお伺いしたいと思います。
○西川国務大臣 沖縄での私の発言は、集まった漁業関係者の皆さんに対して、沖縄の漁業振興について最新の検討状況の一端を申し上げたものであります。特定候補への投票や特定候補の当選を条件とするようなものではありません。
ただ、いずれにいたしましても、発言が誤解を招くことがないよう、今後一層気をつけてまいります。
○畑委員 先ほど、これは、どの候補が勝とうが負けようが、当然沖縄の漁民の要望で進めていくべきものだという答弁がありまして、その結果いかんによらず、しっかり進められるということを今答弁でお伺いしましたので、そういうことになるかどうかというのは今後しっかり見きわめさせていただきたいと思っております。この件はこれで終わらせていただきます。
次に、漁業関係でもう一つ、ちょっと実務的な質問なんです。
岩手県のある水産加工業者が水産物の輸出をベトナムにするということで、当然手続が必要なわけでして、その手続というのが、許可というのか登録申請というのか、それをやるということで、業者から岩手県に行って、岩手県から水産庁を経由して恐らくベトナムの方に行くんだという手続なんだろうと思うんです。このとき、県までは出して、そして、手続ができていると思って、県からはインターネットでその状況は結果が見られるからといって、いつまでも載っていなかったので、どうですかと問い合わせたところ、何か国のところでとまっていたとその業者が言うわけです。
北海道地区の水産加工業者も、同時期、同じようなことがあったと。
これは、恐らく、業者がそう言っているのが正しいのか、あるいは国の方も、事情もあって、いろいろ誤解もあるような気もいたしますけれども、この状況の御説明と、なぜ起こったのか、そして、これに対して、いろいろな問題が相手政府との関係でもあるのかもしれませんが、どうやって改善していこうとしているのか、お伺いしたいと思います。
○中川大臣政務官 畑先生御指摘のベトナム向け輸出水産食品に係る施設登録につきまして、日本側の登録内容とベトナム側の登録内容との間に相違がございまして、同国への輸出ができない事案が発生していたところでございます。
御指摘の岩手県の案件も含めまして、同様の登録内容の相違が相当数確認されましたことから、ベトナム側に理由を照会いたしましたところ、ベトナム側が求める衛生管理に係る書類が添付されておらず、その結果、日本側から申請していた輸出品目がベトナム側に登録されていなかったことが判明したところでございます。
このため、ベトナム側から対応策を聴取いたしまして、必要な申請手続を確認いたしました上で、本年十月に施設登録の要領を改正するとともに、変更を希望する事業者に対しまして、再度申請を行うように周知をし、また、現在、事業者からの申請書類を順次受け付け、ベトナム側に提出しているところでございます。
今後とも、事業者に手続が十分御理解されるよう、政府として努力をしてまいります。
○畑委員 よろしくお願いしたいと思います。
ただ、今回の問題は、業者の方がうまく進んでいると思って、そうなっている状況にもかかわらず、あれは出るんじゃないかと思ったころに出ていなかったということでこうなったのがわかったので、今の問題は、本来であれば、もっと早く行政も把握して、損を来さないようにやっていただきたかったなと思います。恐らく、こういう業者というのは、年末、これから出すと思うので、そういう損を来さないように、ぜひとも御支援と御指導を賜りたいと思っております。そのことをお願い申し上げて、次の質問に入らせていただきます。
次は、小笠原の中国漁船のサンゴ密漁の件なんですけれども、きょうは多々御質問がありましたけれども、まず現状と対策について、改めてお伺いしたいと思います。
○中川大臣政務官 お答えいたします。
農林水産省といたしましては、小笠原諸島周辺海域における中国サンゴ船の違法操業に対しまして、海上保安庁と連携しつつ、中国サンゴ船によります違法操業を阻止し、徹底的に取り締まるべく、航空機や漁業取り締まり船を現場海域に派遣し、取り締まりを強化しているところでございます。
また、我が国水域における中国サンゴ船の密漁に対する抑止効果を最大限に高めるべく、外国漁船の違法操業に対する罰金と担保金を大幅に引き上げる必要があると考えており、現在、最終的な調整をしているところでございます。
これらの対策を講じますことで、政府全体として、小笠原諸島周辺海域における中国船によるサンゴ密漁の根絶に向けて、対応してまいりたいと存じます。
○畑委員 よろしくお願いしたいと思います。
それで、これは、もちろん我が党も含めて賛成すべき案件で、ぜひとも進めたいと思っておりますが、罰金が安いということで、その担保がとれない。あと、保釈される場合が、何かお金とかそういうのも、これは罰金とは別ですが、安いわけでして、ここをしっかり高くして、場合によっては保釈もされないということもしなければいけないのかなと思います。
実は、この話が難しいのは、陸上であれば、警察官が怪しい人に対して職務質問をする。そこで、職務質問によっては、拘束もできるし、公務執行妨害でしょっぴくこともできるというか、逮捕もできるということになります。恐らく、領海についても同じ構成なんだろう、海上保安庁がそういう権限を発動するのは同じ要件なんだろうと思うんです。海上保安庁も一生懸命やっておられるというのは聞いておりますが、何分にも海が広くて、なおかつ海上保安庁の体制も、恐らく陸上の警察官ほどは、なかなかリアルタイムでしにくい部分はあるのだろうと思います、そこは、これから海上保安庁の体制の充実というのも課題になりますが。
まず、領海に入ってきて、怪しいのは当たり前ですから、そういうことは必要なわけですので、体制次第ですが、すぐ職務質問をして、厳しく対応をして、そして罰金なり、あるいは保釈料がかなり高くなったことも相まって、彼らができないという抑止力もそうですが、仮にそういうことをやった場合、着手した場合、あるいは着手しそうだという疑いがある場合には、しっかり拘束をしていただいて、毅然とした対応をしていただきたいなと私は思っております。そのことは申し上げておきたいと思います。
それから、次の質問ですが、米価の価格下落の話をずっと議論されてきたわけですけれども、この対策として、ナラシが当面の対策だということでありました。ナラシ以外に対策があるのかというと、議論した中で、なかなかないと。ただ、予算委員会でしたか、この前、西川大臣が篠原議員の質問に対して、ナラシだけれども、状況を見ながらいろいろ検討していく余地があるかもしれないという、ちょっと含みのある答弁をしたような気がしたんですが、今の検討状況というか、検討の方向性というのをお答えいただきたいなと思います。
○あべ副大臣 御質問にお答えいたします。
二十六年産の米価の変動に関しまして、委員がおっしゃいましたナラシ対策、これ以外の、二十六年産に限りまして、ナラシ対策に加入していない方々に対しての対策、これは、農業者の拠出なく、ナラシ対策の国費相当分の五割を補填する対策でございますが、これによって農家の減収の補填を実施することにしております。
また、米価の変動の影響を受けた農業者の資金繰りに関しましては、日本政策金融公庫の農林漁業セーフティーネット資金の利用が可能である、そのほかに、また、米の直接支払交付金につきましても、例年、九割の農業者には年内に交付しているところでございます。二十六年産につきましても、各地域、各農業者の要望に応えまして、極力早期に交付できるよう対応していく考えでございます。
また、加えまして、米の需給の安定のためには、主食用米から需要のある飼料用米に、主食用米など以外への転換を進めていくことが必要でございまして、飼料用米等の一層の拡大に向けまして、国といたしましてもしっかり対応をしていく考えでございます。
このほかにもどのような対応ができるかにつきましては、与党でもさまざまな議論をいただいているところでございまして、現場の声にも耳を傾けまして、適切に対応していく考えでございます。
○畑委員 今の御答弁は、端的には、とりあえず現行の施策、制度でやっていく、それ以外の部分は、これから適切な議論をするけれども、当面はそういう予定がないという理解をしておきました、大臣も副大臣もうなずいておられますが。
そこなんですよね。ここはいろいろこれまでも議論したんですけれども、この議論を突き詰めていくと、国境措置があるからということになってしまう。TPPも、今、もちろん米の方は守るという形で進んでいるのか、アメリカから輸入枠をふやせという話を言われているような報道もありますけれども、恐らく、TPPの状況によっては、やはり国境措置というのも微妙に変わるのではないか。仮に変わらないとしても、TPPというのは関税撤廃を理想的には目指す協定ですから、国境措置をどうするかというところは、いずれ出てくる心配をしております。
となると、国境措置の議論のそういうことと絡めながら、やはりこういうナラシの、岩盤を守るあり方というのは考えていかなければいけないのじゃないかな。これは、一カ月、二カ月じゃないのかもしれませんが、これから収入保険をつくっていく中で、岩盤つき収入保険と言われている学者さんもおられますが、これはどの程度岩盤にするかというのは議論はあるんでしょうが、やはり趨勢的な価格下落と違う、岩盤というものを設定してやっていくということを考える時期が来るのじゃないかなという思いを私は持っております。
EUなんかもダイレクトペイメントをやっていますが、あそこはもちろん、日本のような、国境措置はもっと低いという前提でやっておりますが、そういうこともしなきゃいかぬし、アメリカなんかも、収入保険制度は岩盤つきですから、一応、理論上はああいう緊急発動の措置はあるという前提の中で、そういう措置もとっている。実際には、日本ほど関税が高くないということはあるのかもしれませんが、論理的にはやはりそういうことを含めて考える、これは農政の課題だと思います。
本日は、時間も参りましたので、そのことだけを申し上げて、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
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○江藤委員長 次に、参議院提出、鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより趣旨の説明を聴取いたします。参議院農林水産委員長山田俊男君。
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鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○山田(俊)参議院議員 ただいま議題となりました鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。
鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律は、鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための施策を総合的かつ効果的に推進し、もって農林水産業の発展及び農山漁村地域の振興に寄与することを目的として、平成十九年に制定された後、平成二十四年に一部改正が行われ、市町村による被害防止計画の策定、鳥獣被害対策実施隊の設置、鳥獣の捕獲等にかかわる人材の確保、猟銃の操作及び射撃の技能に関する講習の特例等の施策が実施されてまいりました。
この猟銃の操作及び射撃の技能に関する講習の特例は、銃砲刀剣類所持等取締法の猟銃所持許可の更新等の申請をした場合における同法の技能講習に係る規定の適用を除外するものであり、特定鳥獣被害対策実施隊員については、当分の間、適用を除外することとされておりますが、それ以外の被害防止計画に基づく対象鳥獣の捕獲等に従事する者については、本年十二月三日までの間、適用を除外することとされております。
しかしながら、被害防止計画を策定する市町村の数は本年四月末時点で千四百一にまでふえる一方で、鳥獣被害対策実施隊を設置する市町村の数は同月末時点で八百六十四にとどまっており、被害防止計画に基づく対象鳥獣の捕獲等を進めるに当たり、特定鳥獣被害対策実施隊員以外の猟銃を使用して捕獲等に従事する者に頼らざるを得ない市町村もいまだ少なくない状況となっております。
本法律案は、このような現状に鑑み、特定鳥獣被害対策実施隊員以外の被害防止計画に基づく対象鳥獣の捕獲等に従事している者についての猟銃の操作及び射撃の技能に関する講習に係る特例の期限を二年延長し、平成二十八年十二月三日までとするものであります。
なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。
以上が、この法律案の提案の趣旨及び内容であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げる次第であります。
大変ありがとうございました。
○江藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
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○江藤委員長 本案につきましては、質疑及び討論ともに申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
参議院提出、鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○江藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○江藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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○江藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時八分散会