第2号 平成27年1月13日(火曜日)
平成二十七年一月十三日(火曜日)午後一時開議
出席委員
委員長 江藤 拓君
理事 伊東 良孝君 理事 齋藤 健君
理事 谷川 弥一君 理事 宮腰 光寛君
理事 吉川 貴盛君 理事 篠原 孝君
理事 村岡 敏英君 理事 石田 祝稔君
赤枝 恒雄君 井野 俊郎君
池田 道孝君 加藤 寛治君
金子万寿夫君 神山 佐市君
坂本 哲志君 鈴木 憲和君
武井 俊輔君 武部 新君
津島 淳君 中川 郁子君
橋本 英教君 堀井 学君
宮路 拓馬君 森山 裕君
簗 和生君 山本 拓君
若狭 勝君 渡辺 孝一君
黒岩 宇洋君 佐々木隆博君
玉木雄一郎君 寺田 学君
鷲尾英一郎君 落合 貴之君
坂本祐之輔君 稲津 久君
佐藤 英道君 斉藤 和子君
畠山 和也君 仲里 利信君
…………………………………
農林水産大臣 西川 公也君
農林水産副大臣 あべ 俊子君
農林水産大臣政務官 佐藤 英道君
農林水産大臣政務官 中川 郁子君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 伯井 美徳君
政府参考人
(農林水産省食料産業局長) 櫻庭 英悦君
政府参考人
(農林水産省生産局長) 松島 浩道君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 奥原 正明君
政府参考人
(中小企業庁事業環境部長) 佐藤 悦緒君
政府参考人
(環境省水・大気環境局長) 三好 信俊君
農林水産委員会専門員 奥井 啓史君
―――――――――――――
委員の異動
一月十三日
辞任 補欠選任
菅家 一郎君 神山 佐市君
升田世喜男君 落合 貴之君
同日
辞任 補欠選任
神山 佐市君 赤枝 恒雄君
落合 貴之君 升田世喜男君
同日
辞任 補欠選任
赤枝 恒雄君 菅家 一郎君
―――――――――――――
平成二十六年十二月二十六日
一、農林水産関係の基本施策に関する件
二、食料の安定供給に関する件
三、農林水産業の発展に関する件
四、農林漁業者の福祉に関する件
五、農山漁村の振興に関する件
の閉会中審査を本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
農林水産関係の基本施策に関する件(畜産問題等)
平成二十七年度畜産物価格等に関する件
――――◇―――――
○江藤委員長 これより会議を開きます。
農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省食料産業局長櫻庭英悦君、生産局長松島浩道君、経営局長奥原正明君、文部科学省大臣官房審議官伯井美徳君、中小企業庁事業環境部長佐藤悦緒君及び環境省水・大気環境局長三好信俊君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○江藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○江藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武部新君。
○武部委員 自由民主党の武部新でございます。
閉会中でございますが、委員の皆様、大変御苦労さまです。選挙後初めての質問になりますので、どうぞよろしくお願いします。
まず、畜産、酪農問題に入る前に、米価下落対策について伺わせていただきます。
二十六年度米につきましては、夏場、豊作が見込まれたことと、また民間在庫が大きいということで、需給の緩和が見込まれたことから、全国的にJA系統の概算金が大幅に低い水準で決められました。また、実際も、取引価格も低い水準が続いております。
米価については、ナラシ対策で生産者の皆様方の減収補填を、補うことが基本ではありますけれども、下落によって来年度の生産意欲にも大きな影響を与えることが考えられます。
我が党も十一月十三日、解散前でありましたけれども、二十六年産米の価格下落への対応についてということで、要請の決議もさせていただいたところであります。
稲作農家の体質強化に向けて、今般の経済対策で緊急対策を講じているというふうにお聞きしておりますけれども、具体的にどのようなことを進められるのか、お伺いさせていただきます。
○西川国務大臣 ことしもお世話になりますが、よろしくお願いいたします。
それで、この米価下落対策の問題でありますが、私どもも、党の要請を受けたり、農林水産委員会の委員の皆さん等の御要請があって、できることは何だ、こういうことで検討してきました。
特に、七千五百円の直接支払交付金でありますが、これについては、十二月、とにかく早くお支払いしようということで、大体、全国的に十二月十一日前後に支払いを行った、こういう状況にあろうかと思います。それから、最終的にナラシの精算ができるまでの間、無利子の資金を用意して、これでよろしくお願いします、こういうことをやってきたわけです。二十万トンの日本米穀機構による出荷調整等も行う、こういうことを表明しましたが、米価下落、なかなか回復しない、これも事実であろうかと思います。
そういう中でありますので、今回、二十六年度の補正でありますけれども、新たな緊急対策として、稲作農業の体質強化緊急対策事業、二百億円、これを補正で獲得した、こういうことであります。
これは、二十七年度の営農計画を立てるときにいかに生産費を下げてもらうか、生産費を下げてもらうための項目をたくさん私どもも用意いたしました。これから市町村等の対策協議会等を通じて農家の皆さんとよく話し合いをし、三月いっぱいには支出をしたい、こういう考え方を持っております。あくまでも来年の米作以降について生産費をいかに減らすか、こういうことで、少しでも米作農家に対応できればということで計上した、こういうことであります。
価格としては、今のところ予定は、一ヘクタールまでの人たちには二万円、それから一ヘクタールから二ヘクタールの間は三万円、その後一ヘクタールふえるごとに二万円ふやそう、こういうことでやってきまして、これで生産費を下げていく、こういうことができればと考えております。
それから、二十六年度の補正予算の中で、飼料用米の生産、利用拡大のため、利用、保管に必要な機械のリース事業等も、導入等も予算化をいたしました。これは畜産機械リース事業ということでありまして、飼料用米に使おう、こういうことで五十九億円を用意しました。
これらにより、米農家が意欲を持って二十七年産米の生産に取り組んでいただけるように、こういう気持ちで私どもは取り組んでいるということを申し上げておきます。
○武部委員 大臣、ありがとうございます。
生産費を下げる努力をしっかりと支援されて、体質強化を図っていくということであります。
ただ、米価については、需要と供給のバランスで価格が決まるんですけれども、主食用米の需要が毎年八万トンずつ減っていっております。価格を安定させるためには、その主食用米をしっかりと飼料用米への転換を図っていくことが不可欠であるというふうに考えますけれども、この転換について、どのような対策を講じて進めていくか、お伺いさせていただきます。
○あべ副大臣 委員御指摘のとおりでございまして、今、この転換を進めさせていただいているところでございます。
特に、需要と供給のバランス、おっしゃるとおり、八万トンずつ、主食用米の需要が減少しているところでございまして、私ども農林水産省といたしまして、二十七年産以降の飼料用米の生産拡大に向けまして、水田活用の直接支払交付金による飼料用米生産の支援、これは最大十アール当たり十三万の支援を行うとともに、需要拡大が見込まれる多収性の専用品種の種子につきましても、平成二十六年に収穫されたもみの一部をすることによって必要量を確保するなど、また、カントリーエレベーター、畜産側における加工、保管施設の整備に対して支援するなど、関係機関と連携をいたしながら、現場において円滑に飼料用米への転換に進むよう取り組んでいきたいと思っているところでございます。
なお、二十七年産の飼料用米の生産拡大に向けまして、全農が、六十万トンの生産目標を設定いたしまして、みずから買い取り、販売する新たな枠組みを構築したところでございまして、農林水産省といたしましても、この全農の新たな枠組みを後押ししているところでございます。
○武部委員 ありがとうございます。
飼料用米につきましては、畜産、酪農対策にもかかわってくるところでありますので、しっかりと進めていただきたいと思います。
畜産、酪農問題に入らせていただきますけれども、我が党におきましては、十日から十二日まで畜産・酪農対策小委員会、坂本委員長を筆頭に、現場を視察させていただいて、意見交換をさせていただきました。
私の地元である北海道におきましては、毎年二百戸以上の酪農家の離農が進んでいるという大変厳しい現状がありまして、また、その減った農家数の乳量をカバーできていなくて、乳量が下がっているという現実があります。皆さんから御意見を伺いましたけれども、大規模化だけではなかなかこれを、限界が来ているんじゃないかという大変たくさんの意見がありました。
そこで、法人のみならず、家族経営者の皆様方、地域で中心的な経営体に対してしっかりとサポートしなければならないというふうに思うんです。機械導入や畜舎等の設備投資に向けて、しっかりと意欲を持ってやっていただけるように、それから、収益力を強化し、労働時間を削減していくということを進めていかなければ、今まで以上に離農が進んでしまうことも考えられます。
この辺について、政府のお考えをお聞きしたいと思います。
○西川国務大臣 酪農について離農が進んでいる、私どももこれは憂慮しております。やはり、生産基盤の強化をどうして図っていくかが喫緊の課題だろう、こう思います。
そういう中で、畜産の予算、二十六年度は千八百五十三億円でした、二兆三千億のうち。私どもいつも議論をしていますし、特に、昨年の畜産の産出額は、大体、二兆七千億円にふえます。一方、米の方は一兆七千八百億円ぐらいなんですね、減ってきまして。そういうときに、二兆三千億の予算の中で、畜産が千八百五十三億は、ちょっともう少し畜産に配慮した方がいいだろう、こういうことで予算折衝をやってきました。その中で、補正と二十七年の当初を含めて、どうしても五百億円超の予算を獲得したい、こういうことで畜産に力を入れてきました。
結果としては、五百十五億ということでございまして、畜産に対してはふやすことができたということで、予算は、千八百五十三億でありましたけれども、五百十五億ふえますので、二千三百六十八億使える。こういうことで、畜産基盤の強化をやっていきたいと思います。
そういう中で、今回やってきたのは、畜産クラスター事業ということで、今まで、どうしても、集団をつくり、組織をつくり、そういうことがまとまっていなければ補助の対象になりにくかった、こういうことでありますから、今回は、それを改善いたして、クラスター的な事業でも対応しよう、こういうことに変えたところでございます。
これの施設整備でありますけれども、法人ということだけに絞らずに、今後、法人化の計画を有する、こういうことであれば個別経営も支援対象にしていこう、こういう考え方で私ども予算折衝に当たってきたということを報告しておきます。
○武部委員 ありがとうございます。
畜産クラスター事業につきましては、生産現場の皆さんの期待も大変大きいですし、使い勝手のいいように、いろいろと検討していただきたいというふうに思います。
あと、円安の影響もありまして、配合飼料価格もそうですけれども、農業資材も大変高どまっていまして、生産費の上昇が大変経営を圧迫していて深刻な状況にあるんだという、そういった声もお聞きしてまいりました。
経営の実態をしっかりと把握していただいて、生産者の皆様方が意欲を持って酪農、畜産に取り組んでいただけることが、やはり、乳価が基本ではありますけれども、政府のメッセージとして、しっかりと頑張ってくださいね、こういう厳しい環境でもしっかりやってくださいというようなことを発しなきゃいけないというふうに思います。その上で、加工乳補給金単価ですとか交付対象数量、そういったことを考慮しながら設定すべきであるというふうに思います。
あわせて、輸入飼料に依存しているこの状態から脱却を進めなければなりません。先ほどもお話ありましたけれども、飼料用米を促進するですとか、あるいは草地改良を進めていくなど、自給飼料の生産拡大を進めていくことが重要な課題だというふうに思いますけれども、その所見についてお伺いしたいと思います。
○中川大臣政務官 我が国の畜産経営の安定を図るためには、穀物の国際価格や為替変動等に影響を受ける輸入飼料への依存体質から脱却をし、飼料生産基盤に立脚した足腰の強い畜産経営を実現することが重要であると考えます。
このため、平成二十六年度補正予算及び二十七年度予算において、草地改良や草地整備の推進、飼料米、ホールクロップサイレージ、WCSの生産、利用拡大、コントラクターの育成等を通じた自給飼料の生産拡大、イアコーンやエコフィード等の国産飼料の利用拡大、肉用繁殖牛や乳用牛の放牧の推進などの支援策により、自給飼料の生産拡大に努めていかなければいけないというふうに思っています。
そして同時に、先ほど先生がおっしゃったように、配合飼料価格が、十月から十二月に、値下がりしたものの、円安等の影響によって再度値上がりをしているということで、子牛価格や廃用牛価格については前年を上回って推移している。
いろいろなことを鑑みまして、単価については、配合飼料価格や光熱動力費、副産物である子牛価格等の直近の動向を反映させ、交付対象数量についても、生乳の生産事情や乳製品の需要等を考慮し、算定ルールにのっとり、食料・農業・農村政策審議会の意見を聞いた上で、適切に対処してまいりたいというふうに存じます。
○武部委員 時間が参りましたので、最後に、肉用牛の繁殖強化、基盤強化についてもしっかりと取り組んでいただきますことをお願い申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○江藤委員長 次に、稲津久君。
○稲津委員 公明党の稲津久でございます。本年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。
早速、通告に従って質問させていただきたいと思いますけれども、質問に入ります前に、今、補正予算、本予算の編成、詰めをやっておりますので、このことを二点だけ触れさせていただきたいと思っているんです。
一つは、今お話のあった稲作農業の体質強化策ということで、これを補正に計上していただいて、特にコスト縮減については具体的に取り組むというお話を伺っております。
そこで、私も、これは、例えば北海道でいうと、青死に米が大量発生したということ、概算金についても価格が非常に低かったということで、これらに対して生産意欲をしっかり持っていただくためには、有効な手を打っていただいたというふうに思っております。
ただ、ここでもう一つ問題になってくるのは、例えば機械の共同利用とか、そういう具体的な話があります。ぜひ、現場に即した、実態に合った取り組みにしていただきたいということ、地方協議会等でもこれから説明があると思うんですけれども、その辺の周知もお願いしたいと思います。
それからもう一つは、農業農村整備事業の予算の関係なんです。これは、これまでも委員会で何回も私は質問させていただいたところなんですけれども、今回も補正予算を見たら、非常にがっかりしました。これは前年度に比べたら四分の一ですから、とても補正なんて言えるような状況じゃない。現場のニーズは相当高いわけですから、ここをきちんと意識した予算編成をしていただきたいというのが強い要請なんです。今、本予算の方がこれから詰めに入っていくというふうに承知しておりますので、ぜひこの辺は反映をさせていただきたい。
これは、御案内のとおり、民主党政権下で六割削減された、現場からも悲鳴のような声が聞こえた。それから自公政権にかわって、随分予算は変わってきたんですけれども、いまだ本予算を見ると回復していないんです。だから、ここは、例えば水田フル活用、担い手対策、さまざまな意味で現場のニーズは高いわけですから、しっかりそうしたことを反映する予算を講じていただきたいということを強く申し上げておきたいと思います。
それでは質問に入らせていただきますけれども、まず最初は、酪農、畜産の現場の生産者が非常に減少しているということについて、特に、乳用牛の飼育農家の減少をどう認識して、どのような対策を講じようとしているかということについてお伺いしていきたいと思います。
酪農家について特に触れておきたいと思うんですけれども、減少には歯どめがかかっておりません。全国的に見ると十年間で約九千戸が減少している。北海道は十年間で千九百戸です。毎年二百戸ずつ減っている。ということは、十年間で一つの町が消失してしまうような危機的状況だということ、これにまず触れておきたいと思うんです。
では、原因は何なのか。これは、例えば将来が見通せないとか、頭数や生産量をふやすという意欲がどうしても弱まってしまう、それから、これは切実な声ですけれども、自分の子供に事業継承するということが非常に心配だ、極端な言葉で言うと、危険な橋を子供に渡らせたくない、こういう声も聞こえてくるという現実です。
その理由というのは、これは単純に言うと、所得が減っているということ、それから規模拡大の投資を控えているということがあると思うんですけれども、何よりも、先ほども触れておられましたけれども、餌代が非常に高どまりしている。輸入配合飼料、二年連続で一割ずつぐらい上がってきている。
では、牛乳は現場でどうなっているかというと、例えば、スーパーなんかではもう安売り商品の目玉になっている。何で、ペットボトルの水と牛乳と比べたら水の方が高いのか。これはもう生産者からしたらたまった話じゃない。
これは大臣にお伺いしたいと思いますけれども、こうした乳用牛の飼育農家の減少をどのように認識されて、具体的にどのような対策を講じようとしているのか、このことをまずお伺いしておきたいと思います。
○西川国務大臣 冒頭に稲津委員から二点指摘をされました。
それで、この二百億円の予算でありますけれども、必ず、使い勝手がよく、地元の意見を聞きながら対策ができるような、そういう仕組みにやっていくことを申し上げておきたいと思います。
それからもう一点、公共、NN予算という、農業農村整備事業、何とか回復したいということで我々もやってきましたが、プライマリーバランス等の問題があって、二十六年はなかなか補正では広げることができませんでした。
そういう中でありますけれども、当初予算の中で、非公共扱いでありますが、おととい麻生財務大臣との交渉の結果、非公共で土地改良、百億ですけれども、対応しよう、こういう方針が示されたということで了解をしてきましたが、これからも粘り強くこの拡大のために努力を重ねてまいりたいと思います。
それから、酪農の問題。減っていく。
今、理由をいろいろ申し述べてくれました。私どもの調査でも全く同じ状況が出ていまして、高齢化、後継者問題、これが最も多かったですね。続いて、経営者の事故等の問題もあります。さらに、将来への不安、こういうこともあって、減少に歯どめがかかっていない、これも事実であろうかと思います。
今、北海道の数字、約一〇%、二十二年に八千戸が二十六年には七千戸に減少していると思いますが、全国的にも、全国の方がちょっと減る傾向が強くて、約一五%、二十二年に二万二千戸が二十六年に一万九千戸と減ってきておりまして、これは私どももよく調査をして対応を考えていきたい、こう考えております。
そこで、今回、畜産のクラスター事業ということで、畜産の予算をふやそう、こういうことで努力をしてきましたが、予算だけで解決できないと思います。
そういう中で、生産局長はきょう来ておりますが、私は各局に、今の課題は何だ、そして、どうすればその課題を解決し、各局が持つあるべき姿はどうなんだ、こういうことを今つくっておりまして、各局ごとに、いずれ委員の皆さんにこれが御紹介できるように、なるべく早くやりたいと思いますし、今の状況を打破して、あるべき姿を求めて、農水省を挙げてどの部局も今しっかり対応を始めたところでありますので、これがまとまり次第お知らせをしていきたいと思います。
憂慮をし、対応を考えていく、こういうことを申し上げさせていただきます。
○稲津委員 ぜひ、しっかりとお取り組みをいただきたいと思います。
次は、加工原料乳の生産者補給金のことについて質問をしたいと思っています。
昨年末のバター不足というのは、少し騒ぎがございました。これは加工向けの牛乳の八割になる北海道の生産減だということが指摘されておりますけれども、もちろん、飼料価格の高どまりとか、それから生産農家の減少とか、草地更新がおくれていて資源が減少しているとかありますけれども、特に飼料の高騰が大きいわけですね。これは、国際的な穀物相場のことがありますけれども、高どまりしているのと、トウモロコシのシカゴ相場は昨年十二月に下がったと言われておりますが、為替相場はもう一段と円安が進んでいますから、三年前から比べたら一ドル四十円安い、こういう状況です。単純計算すると、輸入飼料は大体五割ぐらい上がったということになるわけです。
こうしたことから、先ほど私が申し上げましたように、これ以上酪農家の減少をさせない、生産量を安定させる、ふやしていく、このために、内外格差ですとか生産コスト対策を補完するためには、やはりどうしても加工原料乳の生産者補給金の単価、数量、特に単価については、特別対策も含めて、最低でも現状を維持しなければ現場は大混乱する、こういうことを申し上げておきたいと思うんです。
この補給金の単価、数量について、ぜひ大臣の御決意も含めてお伺いしたいと思います。
○あべ副大臣 委員がおっしゃるとおり、御心配、さまざまなところ、現場から聞いているところでございます。
平成二十六年度の酪農状況を見ますと、配合飼料価格、十月から十二月、この穀物相場の影響により値下がりしたものの、一月から三月期には、円安の影響によりまして再度値上がりしたところでございます。一方、農家の収入となる子牛の価格、また廃用牛の価格につきましては、前年を上回って推移しているところでもございます。
また、平成二十六年に関しましては、生乳生産量の減少によりまして、特に脱脂粉乳、バター向けの生産量につきましては、交付対象数量の百八十万トンを大幅に下回る見込みでございます。
いずれにいたしましても、平成二十七年度の加工原料乳の生産者補給金は、法律に基づきまして、単価につきましては、配合飼料価格、光熱動力費、また副産物である子牛価格などの直近の動向を反映させていただきまして、交付対象数量につきましては、生乳の生産事情、また乳製品の需要などを考慮し、算定ルールにのっとりまして、食料・農業・農村政策審議会の意見を聞きました上で、適切に判断、決定してまいりたいというふうに思います。
○稲津委員 審議会もそうですけれども、今、私どもがここで議論させていただいていることを最大に反映していただきたい、そのことを強く申し上げておきたいと思います。
一つ、これまでと違う要因を申し上げたいと思います。
それは、実は電気料金が値上げしているということなんです。北海道では、原発の稼働停止によって火力燃料費の増加、一昨年の九月に続いて昨年の十月も再値上げしたんです。どういうことが起きているかというと、規制部門、一般家庭を対象、これは酪農生産現場も同じものだと思いますけれども、七・七三%から再値上げ、一二・四%。だから、これでもう二〇%上がっています。
こういう状況があって、この電気代というのは酪農の全コストの五%とか言われていますけれども、そのうちの二割上がっているという現実。これは春になったらさらに上がりますから、激変緩和策がとれますので。そういったことをぜひ勘案して、この補給金のところはしっかり現場の声を反映させていただきたいということを強く申し上げておきたいと思います。
それからもう一点、次に移らせていただきますけれども、肉用牛の繁殖基盤の強化策について申し上げたい。
これは、畜産農家の現場も、輸入に頼る配合飼料、それから牧草などの輸入飼料も合わせて、もう数年前の二割以上増している、そういう厳しい現実があります。さらに、子牛の価格が高騰していて、最近では、相場で一頭六十万前後になっているという状況。こうなってくると、肥育農家にとって死活問題なんです。まずは、これは新マルキンの命綱ですから、ここをしっかり拡充を求めていきたい。
それからもう一つは、肉用牛の経営安定対策補完事業、この充実もあわせて求めていきたいと思いますけれども、この点についての御回答をいただきたいと思います。
○松島政府参考人 肉用牛の繁殖経営についての御質問でございます。
委員御指摘のように、肉用牛繁殖経営につきましては、農家の高齢化が進展している、それから、小規模農家が多いという事情もございまして、最近、繁殖雌牛の飼養頭数が急速に減少してきております。例えば、二十一年度がピークだったんですが、二十五年度までの四カ年で約九万頭、六十八万頭から五十九万頭になるということで、肉用牛の繁殖経営基盤は大変弱体化している。
これに対しまして、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、畜産クラスター事業、今回、繁殖経営も対象になりますので、これを活用いたしまして、しっかりてこ入れをするということに加えまして、先ほどお話がございました新マルキン、こういったものの予算についても必要額をしっかり確保してまいりたいと考えているところでございます。
○稲津委員 時間が参りましたので、ぜひ、きょう申し上げさせていただいたことを反映していただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
○江藤委員長 次に、佐々木隆博君。
○佐々木(隆)委員 民主党の佐々木隆博でございます。
二年ぶりの質問でございますので、少し思い出しながら質問というところもあろうかと思いますが、御勘弁をいただきたいと思います。
今、北海道の委員の質問が続いてございますが、私も北海道でありますので、酪農を中心にというか、酪農一本でいろいろと大臣のお考えなどを伺ってまいりたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
お二人の委員からも御指摘がございましたが、今の酪農の経営状況というのは極めて大変だということの認識は一致をしてございますけれども、ただ、それは今日的な対策とか今日的な状況ということではなくて、長い間のトレンドをやはりしっかり見て、そして、現状、これから先どうしなければならないのかというふうに考えていかないと、短期的に起きている現象ではないというふうに思ってございますので、そういった意味でお伺いを申し上げていきたいというふうに思います。
それで、まず、全体のトレンドを、しっかり共有認識をつくっておきたいということから、北海道は酪農でいうと全国の三七%、大体約四割が北海道でございますけれども、全国も含めて、まずは戸数の減少傾向について、これは局長でも結構でございますので、お答えをいただきたいと思います。
○松島政府参考人 佐々木委員から、酪農家の戸数のトレンドについてという御質問でございます。
全国の酪農戸数につきましては、毎年、大体全国ベースで約四%の減少、それから、北海道について見ますと約三%の減少傾向で推移してきておりまして、平成二十六年におきましては、現在、酪農家が、全国は一万八千六百戸、北海道では六千九百戸という状況になってございます。
○佐々木(隆)委員 今全体としての戸数のデータをいただきましたが、これは経営体に直さないとなかなかぴんとこない話でございまして、いわゆる一経営体当たりで一体どうなっているのかということについてもお伺いをしたいというふうに思います。
今日まで大規模経営をずっと目指してきたわけでありますが、まずは一戸当たりの飼養頭数、経産牛の方でできればいただきたいんですが、飼養頭数と飼料面積、いずれも戸当たりでどのようなトレンドになっているのか、これについてお伺いします。
○松島政府参考人 まず、酪農家一戸当たりの経産牛の頭数でございます。
これにつきましては、全国で見ますと過去四年間で約九%増加、北海道では約七%増加いたしまして、現在、全国では一戸当たり四十八頭、北海道では六十八頭という状況になっているわけでございます。
これは、先ほど酪農家戸数の減少についてお話がございましたけれども、そういった中で、離農された分を残された方々が増頭するという形で経営規模の拡大を図ってきたという状況だというふうに理解してございます。
それから、飼料作付面積でございますけれども、これにつきましても、平成二十五年のデータがございますが、これで見ますと、過去四年間で見ますと増加してきておりまして、現在、全国平均で一戸当たり二十八ヘクタール、北海道では六十ヘクタールの飼料が作付けられているということでございます。
これについては、一戸当たりの飼料作付面積については、ほぼ横ばいで推移しているという状況でございます。
○佐々木(隆)委員 頭数の方なんですが、今九%ないし七%ふえているということなんですが、実は平成二十年、二十一年あたりをピークにして、必ずしも伸び続けているわけではなくて、やや頭打ち状態になってきているというのが今の状況だと思うんですね。
それから、飼料の方の面積も、これは実は、ふえているというのは、例の餌米がカウントされているものですから、これでふえたという状況になっているんですが、いずれもやや頭打ち状況になってきているわけです、このごろ。
というのは、経営規模を拡大し続けてきたわけでありますが、やや限界に来ているというふうにも言えるんだと思うんですね。
ですから、今その中での離農があるという話が、先ほど前段の委員から質問がありましたが、今までは、離農跡地を誰かが買って、あるいは誰かが引き受けてそれをふやしてきたという状況が続いてきたんですが、これが大体限界に来ているというふうに考えなければいけないと思うんです。
ということは、これから先、もしそういう状況が起きれば、引き受け手が今度はないという状況が起きてくるというのが、今回の、この戸数の減少などについて、今までとは違って、極めて深刻だというふうに捉えなきゃいけないと思うんですね。
そういう考え方に基づかないと、これからの対策というのは、旧来型の対策を続けて何とかなるのかというと、決してそうはならないということを申し上げた上で、質問をさせていただきたいというふうに思います。
そこで、例の加工原料乳の補給金、それから限度数量の関係であります。
乳価は、御案内のように、一物二価であります、飲用乳と加工原料乳。もっと言うと、加工原料乳はさらに細分化されておりますから一物十価ぐらいになってございまして、極めて複雑な状況にあるわけであります。
今回のプール乳価で三円六十銭ぐらい上がるのではないかというような報道が既にされてございますけれども、最終的には補給金で幾らになるかということになるんですが、今、補給金の値段を言うというような状況には、もちろんこれから諮問するわけですから、その中で、生産費に基づいてこれは計算されるわけですから、生産費の近年の推移、そしてことしの傾向というのは一体どういうふうに捉えておられるのかということ。
それからもう一つは、限度数量の方でありますが、限度数量は、平成二十二年と二十四年の猛暑の関係があって、それ以来、限度数量まで未達の状況がずっと続いているというふうに思っておりますが、この限度数量について、今の状況はどのように押さえておられるのか。
○松島政府参考人 まず、加工原料乳補給金のこれまでの経緯を御説明申し上げますと、平成十八年にキロ当たり十円四十銭でございましたが、それ以降、餌の価格の高騰などもございまして、毎年毎年、算定ルールに従って計算してまいりました結果、二十六年度におきましてはキロ当たり十二円八十銭になっているという状況にございます。
これについて、現在まさに二十七年度の補給金単価につきましては算定中でございますけれども、その中では生産費の状況また直近の物価水準を反映させて計算したいと考えてございます。
現在、北海道の生産費を見ますと、全体のコストのうちの約七五%が物財費でございまして、約四割が餌代、半分が粗飼料、半分が濃厚飼料という内訳でございます。先ほどこの委員会の御質疑でも議論になっていますが、配合飼料につきましては一―三月期には上がるという見通しもございますので、そこはしっかり算定に反映させてまいりたいというふうに考えてございます。
ただ他方、現在、肉用の子牛の価格が非常に高くなってございまして、それにつられまして、廃用牛でございますとか、それから酪農家が産出しますF1牛、そういったものの子牛の価格が上がっているという状況でございます。こういったものを反映させてまいりたいというふうに考えてございます。
それから、限度数量の関係でございます。
二十六年度の限度数量は百八十万トンでございますが、まだ二十六年度の脱脂粉乳、バター向けの生乳生産量が出ておりませんけれども、前年が、二十五年度が百六十万トンでございます。限度数量が百八十万トンに対しまして、二十五年度の脱脂粉乳、バター仕向けは百六十万トン。二十六年度は二十五年度に比べまして減少傾向で推移してございますので、恐らく百六十万トンを下回る水準になることは明らかではないかなという状況になっているところでございます。
○佐々木(隆)委員 経費の方が上がっているという話が先ほど来あります。子牛価格のこともありますが、基本的に酪農家は、子牛価格というのは副産物ですから、本体は経営費が上がっている分がやはり圧迫をしていっているというのが現状であります。その副産物、あれは生産費調査上も副産物になっていますが、副産物を余り大きく見ていくとそこのところのトレンドを間違ってしまうので、そこのところはしっかり押さえていてほしいなというふうに思います。
それから、限度数量ですが、限度数量はことし、大体今局長がおっしゃっていただいたとおりだと思うんですが、約二十三万トンぐらい割れるのではないかというふうに言われてございます。
実は、若干これはマジックみたいな話になるんですが、加工原料乳の補給金があって限度数量があって、それが両方満杯だと農家は全額いただくことができるんですが、限度数量が割れるとその分は農家の手元に届かないということになるわけですね。
ですから、予算上の話ではなくて、農家一戸の手取りで見れば、限度数量が割れた分は、その分は農家のところにはお金は入らないことになりますから、ここのところもしっかりとした両方にらみ合わせた対策をとらないと、農家の手取りが必ずしもプラスになるということにはならないということも、これからの協議の中でぜひ御検討いただきたいと思います。これはそのように申し上げておきたいというふうに思います。
そこで、先ほどから出ておりました生産基盤の強化ということについて、クラスター事業というのが、本年の補正からでしょうか、始まるということでありますが、今のところは体制づくりといいますかソフト事業がメーンで進んでいるというふうに承知をしてございます。
そのクラスター事業を、希望もある程度あるというふうに聞いているんですが、体制がつくられた後、どういう事業をどのように展開していこうとしているのかということについて、お伺いをしたいと思います。
○松島政府参考人 クラスター事業についての御質問でございます。
委員御指摘のとおり、クラスター事業につきましては、平成二十六年度当初予算から、ソフト事業で、地域の畜産関係者の方々に集まっていただきまして、コントラクターですとか、それからTMRセンターですとか、それからJA、あと乳業メーカーとか、そういったところの人たちが、地域全体で酪農家の収益性の向上をどうやって図っていこうかということを議論していただくための計画でございます。
二十六年度補正予算から、このクラスター事業と関連づけまして、施設整備の支援と機械リースの支援といったものを進めていこうということで、財政当局とも調整いたしまして、補正予算で二百一億円、当初予算で七十五億円の予算を確保してございます。
今後のこの事業の推進でございますけれども、既に現地におきまして八百を超えるクラスターの設立準備協議会が設置されてございます。そこでいろいろ議論していただきまして計画をつくっていただきまして、その計画の中で地域の中心的な経営体として位置づけられた畜産農家を中心に、先ほど申し上げました施設の整備、牛舎でございますとかいろいろな搾乳関係の施設でございますとか、機械でも、搾乳ロボットに始まり、さまざまな畜産の収益性向上に必要な機械につきましてもリースで支援するという形で、今後、この畜産クラスター事業を中心に生乳生産基盤の強化を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
○佐々木(隆)委員 事業については、理解というか内容はわかりました。
結局、今の説明を聞くと、機械と施設の補助金というようなイメージが強かったんですが、今までもそれはもうずっとやってきていますよね。規模拡大だコスト削減だということで、ずっとそういうことをやり続けてきた結果として、やはりまた今離農が問題になっているわけです。
これは三役のどなたでも結構ですが、こういう補助事業というのは、補助事業自体が、手段が目的になっちゃっているのではないかと思うんですね。本来、補助事業をやるということは、その先に酪農家なりあるいは地域の酪農業がどういうふうに展開していくのかという手段でなければいけないのに、補助事業をやることだけが目的になっちゃって、それで終わりになっちゃっているというような気がしてならないんですが、この点について、三役のどなたでも結構です。
○西川国務大臣 しばらくぶりに佐々木先生の御質問を聞かせていただきました。
そこで、あるべき姿、ここはやはり求めていかなきゃならないと思うんです。農水省のように局がたくさんあって、どうしても広範囲な仕事をしておりますと、各局との連携等もいろいろ意見が出る、こういう状況にあることは事実です。
そこで、私は、一番先に米の問題、これは需要と供給の関係で価格は形成される、だから需要に見合った供給になるようにやりましょうというのを省を挙げてやろう、こういうことにして、今資料等もやっとでき上がったところなんですが、畜産も同じでありまして、やはり日本の酪農のあるべき姿、ここをとにかく追求しよう、こういうことで今始めたばかりで、先週からやり出したのでありまして、そこで、何と何を手段としてやれば目的が達成できるか、こういうことを今つくっておりまして、ぜひ御議論をいただけるような資料にしていきたい。なるべく早くやります。
そして、やはり農業の体質強化、成長産業に向けて私どもは目標を持ってしっかりやっていきたい、こう考えておりますということを申し上げておきたいと思います。
○佐々木(隆)委員 今大臣から御答弁をいただきました。この先、そのことについて少し論議をさせていただきたいというふうに思います。
大臣に一つお伺いをしておきたいと思うんですが、酪農、北海道の場合は特にそうなのかもしれませんが、全国的にもそうだと思いますけれども、生乳について一元集荷というのが行われてございます。
これは、もとは酪農家と乳業メーカーが直接取引をしていて、それでは大変不利な条件で、いわゆる搾取されているというような状況を何とかしなければならないということで、北海道でいえば、雪印というところが初め生産者団体の組織としてできて、そして、雪印も少し企業的になり過ぎたということで、今度はホクレンというところがまたそういうことを始めたりというようなことで、いずれにしても、一元集荷というものを通して酪農家を守ってきたという歴史的な経過があります。
今大臣も時々農協改革について触れておられますが、この一元集荷というシステムはそれなりに農業者を守ってきたのではないかというふうに私は思うんですが、その点についての見解をお伺いしたいと思います。
○西川国務大臣 指定団体で地方地方に一元化して生乳を出荷するようにやろう、あのとき、私もちょうどかかわっておりました。やはりこれは非常に酪農家の力が弱まったところを助けてきた、これは私も評価をしております。
そこで、これからどうするということで、きょうも議論をしましたが、特に、私は宗谷、稚内の地域を調査に行きまして酪農家の意見を聞きました。そのとき、雪が降って、一日分のバルククーラーはあります、二日目分、また雪で通れないとどうしようもない、三日目もだめだ、こういうときに誰が損するんだ、こういうこともあったりして、現場の状況をよく聞いてくれということをきょう指示したところなんです。生乳の出荷が一元化されて力は持ったのでありますが、まだまだ個別の農家の御苦労に対してやるべきことがたくさんあるということを私はきょう申し上げました。
さらに、施設等も、古い牛舎は天井が低くてなかなか近代的な装置を入れられない、これを何とかしてくれ、こういう話も承ってきたところでありまして、私ども、改善すべき点、しっかりやっていきたいと思いますし、きょうの御意見等をいただきながら、佐々木先生は指定団体にこのままやらせていったらどうだ、こういう気持ちがあると思いますが、改革は、農家のためになるかどうかで判断をさせていただきたい、こう思います。
○佐々木(隆)委員 この論議は、ちょっときょう余りやりますと時間が足りなくなりますので、また改めて機会を見てさせていただきたいと思います。
協同組合というものそのものは、力の小さいものが集まってできた組織でありますので、その理念というものはやはり忘れてはいけないのではないか。ただ、それは農協が忘れているのか、周りがそう思っているのか、これはまた見方によって変わってきますので、やはりこの基本路線は私は守っていくべきだというふうに思ってございます。
次の質問に移らせていただきます。
そこで、幾つかのこれから先の課題について触れさせていただきたいというふうに思うんですが、一つには、今も局長の方からもありましたが、クラスター事業の中でTMRというのが出てまいりましたが、私はTMRは非常にいいシステムだというふうに思っております。というのは、このことによって酪農家の皆さん方が、一つは、共同によるコストのダウンや、あるいはまた草地の拡大、そしてまた後継者の育成もそこでやってきてございます。
このTMRについて、農水省としても大変力を入れてやってきたんだというふうに思うんですが、現在どの程度普及しているのかということと、もう一つは、これは酪農家の皆さん方に要請をいただいているんですが、ここでヘルパーを育てているというか、一緒にTMRの中でヘルパーを雇っているような状況になっているわけですね。
そのTMRを組んでいる共同体の中で、あるいはその周辺で離農者ができると、ヘルパーさんが最優先でやはりその離農跡地を引き受けてそこに参加をするというような形が最も自然で、そして多い事例だというふうに伺っておりますが、片一方で、ようやくヘルパーさんが育ったと思ったら、離農跡地に入って酪農業を始めちゃうということで、次から次へヘルパーさんが不足している状況が続いていくわけですね。
このヘルパーをちゃんとこれから先も続けていけるような仕組みにするためには、受け入れるのはTMRというのがあれば、それはそれで受け入れられるんですが、養成をしていくというのは、これはある意味でかかり増し経費になるわけですね。こういうものについて、TMRをどうしていくのかということと、そこにおけるヘルパーの養成ということについて、どのようなことを考えておられるのかということについて。
○松島政府参考人 まずTMRセンターの件でございますけれども、これは、飼養規模の拡大が行われましたり、また他方で酪農家の高齢化が進む中で労働力不足に対応しましたり、また、酪農家は労働負荷が非常に強いという中で、労働負担の軽減を図るという観点からも大変重要な外部支援組織だというふうに考えてございます。
現在、TMRセンターは全国で百十カ所ございますが、うち五十一カ所が北海道でございまして、北海道においてはこのTMRセンターは大変活用されておりまして、酪農家の経営を飼料供給という観点から支援しているというふうに理解してございます。
先ほど来御説明申し上げています畜産クラスター事業の中で機械のリース導入や施設整備を行うに際しましては、TMRセンターといったものについてもしっかり連携しながら対応してまいりたいというふうに考えてございます。
それからもう一点、TMRセンターで雇用されている酪農ヘルパーの方々が、酪農の後継者として大変活用されているので、だんだん人材不足になってしまうということでございます。
酪農経営、技術的にも大変高度な経営でございますので、そういったヘルパーの作業をしながらいろいろな飼養技術を学んだりということで訓練されているということで、後継者育成という観点から大変重要な仕組みだろうと考えてございます。
ヘルパーに対しましては、私どももいろいろな形で、酪農経営の負担を軽減するということもありますし、後継者を育成する、そういう両面がございますので、しっかりALICの事業なども活用しながら支援してまいりたいというふうに考えてございます。
ヘルパーの人材が不足しているという点につきましては、そういった御指摘もよく勉強させていただきまして、今後どういう形で御支援できるのか考えてまいりたいと考えてございます。
○佐々木(隆)委員 ここは要望させていただきたいと思うんですが、普通、一般の耕種農業の場合にも、担い手対策というのは、新規で入ってくるような人たちに対しても、融資事業を初めとしていろいろ今対策をやっているわけですね。ヘルパーというのは、ある意味新規事業者、新規後継者とも言えるわけでありますので、同じような考え方をぜひ取り入れていくべきだということと、ALICに丸投げではなくて、ぜひ一つ一つしっかり点検をしていただくように要望しておきたいというふうに思います。
次に、持続的酪農経営支援事業いわゆる草地の助成事業ですね。一ヘクタール一万五千円の事業があったんですが、実は私はこの事業を大変注目しております。
先ほど申し上げましたが、価格対策というのは、どちらかというと短期的な対策なんですね、その年その年の状況によって、あるいは、資材が上がったとか燃料が上がったとかに対する対策が盛り込まれたりして。ですから、こういう価格での短期対策というのは、今、もう酪農以外はないんですね、ほかは市場に委ねるという形になってございますので。甘味資源が一部そうなんですが、これが対メーカーだということで仕方ない部分もあることは事実なんですけれども。
長期政策として、対策ではなくて政策として酪農を考えていったときに、私は二つあると思います、自給飼料の確保と、それから子牛という資源をどうやって確保していくのか。この二つの長期的な政策がなければ、短期的な対策を幾らやっても、酪農家の皆さん方が、あるいは畜産農家の皆さん方が安心してそれに専念できないということになっていくというふうに思います。
この持続的酪農経営支援事業について、これから先どのようにしていかれるつもりなのか。
○松島政府参考人 持続的酪農経営支援事業の今後の方向性についての御質問であると理解してございます。
先ほど来、餌価格が高くなって酪農経営を圧迫しているという御議論がございました。やはり、酪農経営の中でも、特に土地資源に恵まれています北海道を中心に、国際的な飼料価格の影響を受けない、また為替の変動を受けない自給飼料基盤に立脚した酪農経営を育成していくということは非常に大事なことだと思っております。
委員からお話がございましたように、持続的酪農経営支援事業につきましては、二十三年度から行っておりまして、現在、六十二億円の予算を措置しまして、飼料作付面積一ヘクタール当たり一万五千円を交付する事業という形で酪農家へ飼料作物の作付を促進している、誘導しているという事業になってございます。
この事業につきましては、平成二十七年度予算におきまして、その基本的な枠組みは維持した上で、耕畜連携におきます契約栽培ですとか二期作や二毛作といったものについても飼料作付面積としてカウントするという事業の見直しを行いまして、また、予算につきましても増額いたしまして、六十六億円の予算の措置を講じたいと考えてございます。
この事業を活用していただきまして、自給飼料基盤に立脚した酪農経営といったものの確立を支援してまいりたいと考えているところでございます。
○佐々木(隆)委員 もう一つあるんですが、それは、先ほど申し上げましたように、一つは自給飼料をどう確保するかということと、もう一つは子牛という資源をどうやって確保していくかということであります。
子牛の価格が、先ほど来ほかの委員からも指摘がありますように、枯渇状態に今陥っているというようなことが、これは乳牛だけではなくて肉用牛も全てそうなんでありますが、資源の枯渇状態にあるということがあります。
先ほど、限度数量の不足というところでもこの問題が一つの要因になっているというようなことも言われているわけでありますが、ぜひこのことで御検討いただきたいなと思うのは、規模拡大をしていきたいという希望者というのは依然として全体の酪農家の中にはまだまだおられるというふうに思うんですが、良質な子牛というものを生産していただくという仕組みが必要だというふうに思うんですね。
そのためには、今補助事業もあるやに聞いてございますが、それは、授精をしたところに補助金を出すというシステムであるがゆえに、必ずしも良質な子牛をつくるということにつながっていないというふうにも伺ってございます。
そういった意味からいうと、私はむしろ、家族型の酪農家、酪農経営の皆さん方にこの部分を拡大していって、そして、良質な子牛を生産し、規模拡大を求めている人たちに対してそれを提供できるというシステムをつくっていけば、資源の枯渇に、幾らかでもそれを解消することができていくのではないかというふうに思うんですが、この点についてのお考えを伺いたいと思います。
○中川大臣政務官 佐々木先生の御質問にお答えをいたします。
生産基盤を強化するためには後継牛が必要だというふうに思っておりますが、後継牛育成に対する交付金を創設してはどうかというお尋ねだというふうに思います。
今議論をされております加工原料乳生産者補給金制度でありますけれども、この補給金単価の算定に当たりましては、初妊牛価格が経費として計上されておりまして、初妊牛価格に含まれる育成経費が単価算定に反映されておりますので、現行制度下におきましては、育成牛に対する補助金の交付というのは難しいというふうに考えています。
なお、酪農の基礎資源である優良な乳用雌牛の確保につきましては、農林水産省といたしましても、性判別受精卵・精液活用等を支援する畜産・酪農生産力強化緊急対策事業二十億円、今先生おっしゃったとおりでありますけれども、この二十億円を平成二十六年度補正予算により措置するというふうにしております。
○佐々木(隆)委員 育成事業とか肥育事業というのは、それはそれで事業もありますし、それなりの助成制度もあるわけですね。そうではなくて、資源としての子牛を、乳用牛としての資源をどう確保していくかという視点になると、私はもう少し別な考え方があってもいいのではないかというふうに思うんですね。
そのことについて、もしお考えがあれば。
○松島政府参考人 やはり酪農経営をしっかり支えていくためには、酪農家が優秀な後継牛を育成していくということがまず何より大事だろうと思っております。
現在の酪農家の繁殖の状況を見ますと、大体、肉用の子牛の価格が高いものですから、三五%ぐらいが肉用の牛の種がつくられているということで、これはやはり生乳生産をこれから拡大していく中にあっては、酪農家に後継牛をつくっていただくということが大事だろうと思っています。
その中で、先ほど中川政務官から御説明申し上げましたように、受精卵にしても、それから雌雄判別精液にいたしましても、酪農家が保有している経産牛の中で優秀なホルスタインに対しては、そういった後継牛をつくるための雌牛を産んでいただく、そのあいたホルスタインの腹を使いまして、F1牛であったり和牛だったりをつくっていただくという形で、生乳生産能力の高い経産牛を再生産していくということが大事だろうというふうに考えているところでございます。
それから、先ほど御答弁の中で、クラスター計画の件数をちょっと言い間違えまして、八百件と申し上げましたけれども、正確には四百八十件でございます。大変失礼いたしました。
○佐々木(隆)委員 大分質問が進んでからなので、ちょっとそこまで戻る時間的余裕がございませんで、あと残された時間が少ないので、もう一点だけお伺いをさせていただきたいというふうに思います。
六次化についてお伺いをしたいと思います。
農業の中でも酪農は特に、肉牛も同じですが、大規模志向をずっと続けてきたわけですね。そして、北海道なんかは最もそうなんでありますが、大規模化するということは、イコール専業化するということになっていくわけで、これを六次化するというのは、ある意味で大変難しいといえば難しい課題なんです。
ところが、片一方で、地域の安全な食を求める人たちとか、あるいは観光というようなこともあって、手づくりのチーズとか手づくりのアイスクリームというのが非常に注目されていることも事実であります。
こうした中で、私は、酪農においても六次化を進めていく必要があるというふうに思うんです。大規模化されていることと相手がメーカーであるということを考えると、この六次化を進めていくというのは、ほかの業種とはまた違って、大変難しい課題があると思うんですが、しかし、地域の中で皆さん方が離村しないでしっかりとその地域で住み続けるためには、私は大変重要だというふうに思うんです。これは、最後に大臣のお考えを伺いたいと思います。
○西川国務大臣 六次産業化、私どもも積極的にこれからも進めていきたいと思います。
それで、北海道のこのチーズ工房の例を少し調べてもらいましたら、いずれもそう大きくないけれども特色がある、そういうのが五カ所ほど私に示されました。
そこで、私どもが六次化に向けていくのに考えられる手段は、みんなで応援してやっていこう、こういうことであります。
そこで、今委員が御心配の、大規模でなくてもいいだろう、小さいところでも特色を持てばいいだろう、こういうことを御指摘されましたが、ちょうど日本再興戦略、昨年六月に改定されましたけれども、その中で、規模が、今までのように、基準が大きくなきゃいけない、こういう方針じゃなくて、実態に合わせようという動きがありました。
一つは、酪農家がみずから生産した生乳をみずから処理、加工できる数量枠、これは、今まで制限が加えられていたのを、日量一・五トンだったけれども、三トンまでいいですよということで、自由度を一つ高めました。
一方、小規模なチーズ工房等でありますけれども、日量三千リットル以下の設置規制ですが、これは緩和しよう、こういうことに今しておりまして、今までのように知事の承認を得る、こういうことをなくして、自由な発想で小規模の農家がチーズ加工施設をつくれる、こういうことにしていきたいということで、今、前向きで検討を進めておりますから、委員の御要請に応えることができるだろう、こう考えております。
いずれにしましても、所得の向上をいかに図れるかということでありますから、大規模ばかりではなくて小規模の酪農家についても私どもは特段の配慮をしていきたい、こう考えております。
○佐々木(隆)委員 ありがとうございました。
時間が参りましたので終わらせていただきますが、今までの延長線上ではない、やはり発想の転換を求めて、質問を終わらせていただきたいと思います。
○江藤委員長 次に、玉木雄一郎君。
○玉木委員 民主党の玉木雄一郎です。
まず、JAの改革についてお伺いをいたします。
通告はしていないんですが、佐賀の県知事選挙が終わりました。この結果についていろいろな分析がされておりますけれども、中には、JAの改革、それに対する反発が地元であって、そのことが自民党、公明党、与党の推す候補の敗因の一つになったというふうにも報道されておりますけれども、この点について、JAの改革と今回の佐賀県知事選挙の結果についての大臣の御所見を伺いたいと思います。
○西川国務大臣 佐賀県の知事選でありますが、確かに、自民党、公明党両党推薦の候補者が敗れた、こういう結果になったことは事実であります。そういう中で、マスコミの報道が、農協改革対何々というような表現をしております。
一方、詳しく各農協の御意見を聞いたのが、きょうの農業新聞等は非常に的確な報道がされていると思いますが、私どもはJA改革の対立ではない、人によって選んだ、こういう書き方をしてくれております。
私どもは、この佐賀県の知事選で、党の立場もありますが、昨年の六月に政府・与党の合意で、自律的な新たな制度に移行する、こういうことを決めたわけでありまして、改革についてはその合意事項に基づいてこれからも進めていきたい、こう考えております。
○玉木委員 私も、JA改革が何か争点になって、それが敗因だと思っていないんですね。
ただ、実は、我が党のことを申し上げてあれなんですが、前回、佐々木先生もそうなんですが、一回お休みされて、今回復活された方が多少いらっしゃるんですが、その多くの方が農村地域の選出の議員さんです。このことは、私もそうなんですけれども、やはり今の農政についてちょっと違うんじゃないのかなという声があることは、これはもう与野党を超えて真摯に受けとめるべきではないかなと思っているところであります。
佐賀県も農業県でありますので、そういった声がもしあるとすれば、単にこれはJAの改革がどうこうではなくて、現在、安倍政権のもとで進められている農政について、もし何か改めるところ、あるいは改善すべきところがあれば、これはぜひ真摯に耳を傾けて、農家にとってよりよいものに変えていくということをしっかりと受けとめていく必要があるのかなと思った次第であります。
今大臣がおっしゃったJA改革について質問したいと思うんですが、今月の初め、お正月明けに、全中を強制権限を持たない新たな法人形態に移行するということを記者会見で明言されましたけれども、この方針はもう確固たるものとして決まっている、そういう方針でいくということなのか、改めて大臣の御所見を伺いたいと思います。
○西川国務大臣 会見で、私がそのように申し上げたことは事実でございます。
そして、この経過を考えていただきますと、昭和二十二年に農協法ができた、こういうことでございます。当時、一万二千農協があった。それから、結局、農協の経営が行き詰まる、日本経済がなかなか低迷しておった、昭和二十年代ですね。そういう中で、農協の経営が非常に行き詰まったというケースがたくさん出て、二十九年に農協法を改正した。そこで強力な強制監査権限を与えたということで、今は七百弱の農協になっておりますけれども、経営が行き詰まっている、こういうことは私どもに報告はありません。
それが今六十年たったわけでありまして、果たしていつまでもこの強制監査権限で縛っておくのがいいのかどうか。農業も成長産業として育てていかなきゃならないというときに、やはり経営の自由度を高めるべきだ、こういう意見からしますと、この農協の強制監査権限というのは、私どもからすれば外していきたい、これが農水省の基本的な考え方でありますが、これから与党協議を経て国会等の議論も経ていく、こういう状況でありますが、私どもは方針としては強制監査権限は外していきたい、こう考えております。
○玉木委員 大臣がおっしゃる趣旨もわかります。私がここで聞きたいのは、JAの改革の目的は、大臣も会見でおっしゃっているように、やはり農家の所得を上げるために改革していくということで、改革のための改革であってはいかぬと思うんですね。
その中で、質問は、強制監査権限、確かに、読んで字のごとく強制監査権限ですから、強制的に何かをやらされるような感じがあるんですけれども、ただ、これは財務の健全性とか、事業はきちんと行われているのか、そのことをある種強制的に調べなきゃいけないということなんですが、この強制権限があればなぜ農家の所得がふえないのか。逆に言うと、強制権限をとればなぜ農家の所得がふえるのか。
この強制権限の有無と所得の増大、このことの因果関係がいま一つよくわからないところがあるので、この点について改めて御説明を、農家の人にわかりやすくしていただけませんでしょうか。
○西川国務大臣 今、財務の話については、やはり私どもは、自由度を高めていく、しかし自己資本率はしっかり守っていって、農協そのものの経営は安全だ、安心だということは示していきたい、こう思います。
そこで、まず、農協監査法人で、なぜ変えていかなきゃならないのか、こういうことになると思います。公認会計士等の監査法人等は金融庁で所管している、委員よく御承知のとおり。農協監査法人は、農協中央会がやっているけれども、国家資格だ、こういうことでありまして、そういう中で、身内が身内を監査するという状況を脱して、自由な発想でやるけれども、公認会計士等でしっかり監査しましょう、これがまず強制監査権限を外すかどうかの議論の一つになっています。
さて、所得がふえるかどうか、こういうことになりますが、今、農業の生産額は、一番新しいので八・五兆円です。輸入食物が五・五兆円、六兆円前後になるかと思いますが、十数兆円規模で食の原材料があります。それが、人間が食としてとる場合には九十四兆円を超えていきます。その差は八十兆円あります。そこは、この八十兆円の皆さんはもうそれぞれがそのポジションにいて、農家の人がなかなか入りにくい。これはもう事実だと思います。農家の取り分というのは、そこから考えると一二、三%ぐらいしかとっていないと思います。しかし、食の周辺産業の皆さんは、たくさんありますけれども、四割ぐらい関与していると思います。
そこで、私どもは今回の農政改革を三本柱でやりますが、一つは、直接関係ないかもしれませんが、耕作放棄地等をしっかり見守ってもらう農業委員会の制度を変えていこうというのが一つです。結局、農業委員会の方は、そういって農地の利用率を高めていきます。
それから、農業生産法人。これは、できる限り、過半数は農家が持つけれども、資本参加を多くして周辺産業と一緒にやりたい、こういうことを考えています。
ということを考えていって、農協改革と一緒にやりますから、やはり自由度を高めていかなきゃ上げようがない。周辺産業にいかに我々は進出していくか。六次産業化をいかに進めるか。それから、今五千五百億まで上がってきた輸出が、二〇二〇年にはこれを一兆円規模にしますが、早くやる。こういうことで、とにかく自由度を高めていきたい、こういう考え方でございます。
○玉木委員 大臣、今の答弁を農家の人が聞いて、話をもとに戻しますね、なぜJA全中の強制監査権限を外せば所得がふえるのか、今のままだとなぜ所得がふえないのかの説明としてはわからないと思います。
例えば、強制監査権限があれば輸出ができないとか、強制監査権限があれば六次産業化に踏み出せないとか、その明確な因果関係があればそういったものを外せばいいと私は思いますけれども、今の前段の金融に関してのお答えの中だと、むしろ身内でやる農協監査士ではなくて、公認会計士さんがやって、より客観的で第三者的な人がやった方がいいんだという話がありましたけれども、それは、どちらかというと、むしろ権限が強くなるんじゃないですか。厳しく見ていく方に働くように私は聞こえたんですけれども、いまだに、この間ずっと議論されていましたけれども、全中の強制監査権限の有無と農家所得の向上が、私はちょっと理解が乏しいからかもしれませんが、よくわからないんですね。よくわからないんです。
このことが本当に農家のためになるのかどうかということについては、もちろんJAも改革しなきゃいけないところは多いと思うんですが、仮にするのであれば、やはり農家にメリットがあるような改革を前面に押し出してやっていくべきではないかなというふうに思います。
きょうはここでとどめますけれども、最後に一点、ちょっと大臣がおっしゃられたので、確認だけしたいんです。
農協が行っている会計の監査制度については、大臣がおっしゃったような農協監査士の制度は、むしろ廃止をして、公認会計士による監査にかえていく。これは、小泉改革、私も担当していたので覚えているんですが、これはずっと規制改革の玉に上がってきて、いつもいろいろな理由をつけて、できない、やれないみたいなことで来たんですが、これは、今回の改革でここは踏み込むということでよろしいですか。
○西川国務大臣 そのとおりでございます。
○玉木委員 はい、わかりました。ありがとうございます。
JAの改革は、これは改革ごっこにならないように、本当にいろいろ議論をしていったらいいと思います。
例えば、今回のJA改革で挙がっていないんですが、第二農協をつくりやすくするという議論も、これまでの長い規制改革の議論ではあったと思います。既存の中央会の承認が得られないと新しい農協はつくれないとか、役所に聞くとつくれるんですという答えなんですが、これもずっとせめぎ合いをしてきました。こういう別のJA改革で論点になったことをこれからするのかしないのか、このこともやはり考えていく必要があるのではないかと思います。ですから、本当に農家の視点で改革を進めていってもらいたいなと思っております。
次に、農業・農村所得倍増戦略について少しお伺いしたいと思います。
とにかく、選挙中もそうだったんですけれども、農家の疲弊、あるいは、農村地域を何とかしてほしい、農政を何とかしなきゃいけない、これは与野党を超えたテーマでありますし、本当に真剣に取り組まないと、私も農村地域に住んでいますから、大変なことになってしまう。これは都会の人にはわからないです、幾ら説明しても、住んでいないから。
でも、我々は、見る見る自分の周りの農地が荒れていく姿、そこで子供の声が聞こえなくなる姿、そして農家集落の数が減っていく姿を見ていると、それは、やれることはどんなことを言われてもやらなきゃいけないという強い意思を持っています。
その中でお伺いしたいのは、これは前にも大臣に一度お伺いしましたけれども、資料をお配りしていますが、昨年十月二十二日でした。所得の倍増については、前の林大臣のときにも議論させていただきましたが、かなりばくっとした計算しかないんですね。今三兆円のものを六兆円にする、うち一兆円分がいわゆる農業所得の増大で、二兆円分がいわゆる六次産業化関連の増収分、簡単に言うとこういう感じでしたが、中身をもうちょっと、もうあれから随分時間がたっていますから、詰めてほしいなということを言っていまして、去年は、大臣から、三月末の農政審議会には作物ごとに出すように詰めているという話でした。
今回、まさに畜産物価格の決定です。そうなると、私は、倍増させるのであれば、畜産、酪農はすごく大事だと思うんですね。大臣もおっしゃったように、今、金額ベースでいうと、酪農、畜産があって、野菜、果樹があって、次に米が出てくるぐらいですから、これから農家所得を上げていくということに関して言えば、この狭い日本においては、畜産、酪農の所得をどう上げていくのかというのが多分一番重要ですよ。
そういう意味では、できれば畜種ごとに、倍増するというけれども、これぐらいになっていくんですよということはそろそろ示した方が、今畜産、酪農をやっている方も元気が出ると思うんですね。その後の検討ぐあいはいかがでしょうか。
○西川国務大臣 今、作目ごとにやっております。
この農業、農村所得倍増の話ですが、どういう形で倍増にするかというのは表現が難しいし、どの数字が倍になったんだというのを落ちつくところも、これは理解を得られなきゃなりません。
そこで、まず、とりあえず作目ごとに今つくろうということでやっておりまして、国の審議会等に諮れるような数字を今詰めている最中でありまして、これはお約束どおり三月いっぱいまでには出していきたいということでやっておりまして、早く私も見たいのでありますが、今やっている最中だということを申し上げておきます。
○玉木委員 大臣、私はきょうの議論もずっと最初から耳を傾けていましたけれども、北海道の酪農も厳しいですよね。北海道で厳しかったら、うちは香川県ですよ、全国一ちっちゃいところですけれども、酪農をやっている人はいます。一生懸命頑張っていますけれども、北海道で厳しければ、香川県のようなところで酪農を一生懸命やっている人はもう大変ですよ、これは。そういう中で倍増ということを出されてきたときに、本当に信じられるかというと、多くの農家は、倍増なんてしなくていいから、今の所得を何とか維持したいんですよ、それは。
ですから、私は、夢物語の倍増計画なら要らないと思います。むしろ、一〇%でもいいから、十年間で一〇%伸びていきます、五%伸びていきます、そういう具体的な、手でつかめるような具体的な目標を農家に示してあげることの方が、私は政策責任者としてやるべきことだと思うんです。夢物語では食えませんから、食える政策をしっかり示していくことが我々の責務だと思っています。
その意味で、その観点からお聞きしたいんですが、今回の畜産物価格の決定です。きょうの議論も踏まえて、審議会であすにもということなんでしょうけれども、昨年の六月、大臣おっしゃったような、初めて政府の閣議決定で公式に、日本再興戦略の中でこの倍増ということが、単に与党自民党の中の考えとかそうではなくて、政府の考えとして、もちろん、目指すという表現は使われていますけれども、倍増という言葉を政府の文書で書いたんですね。これが去年の畜産物価格の決定のときとは違う新しい要因です。
であれば、この倍増計画を初めて踏まえた畜産物価格の決定がことし行われるべきだと思うんですけれども、これは事務方でも結構ですが、お答えいただきたいんですが、今回の畜産物価格の決定は、この倍増計画を踏まえた上で決定することになるのかどうか、お答えください。
○松島政府参考人 農業、農村所得の倍増につきましては、現在、大臣からも御答弁申し上げましたが、食料・農業・農村政策審議会企画部会におきまして議論をされてございます。
その中で、昨年十一月二十一日には、品目ごとの農業所得の増大に向けた対応方向というのを示しまして、酪農、畜産につきましては、例えば、国産畜産物の需要拡大に係る施策の推進や畜産クラスターの構築を通じた生産基盤の強化などによる生産額の増大、それから、コスト面では、自給飼料の生産、利用拡大や省力化機械の導入などによる生産コストの縮減、こういった対応方向を示したところでございます。
このときの審議会の議論も踏まえまして、ことし三月の食料・農業・農村基本計画の見直しに向けまして、農業、農村の所得の倍増に向けた道筋や具体的な経営発展の姿などについて、より具体的なイメージが描けるよう、検討を深めているという状況にあるところでございます。
○玉木委員 全く答えになっていませんけれども、例えば、もし倍増することを反映するんだったら、指定食肉の安定価格はぐっと上げるとか、今回踏み込むべきなんじゃないですか。単にこれまでの算定根拠で、物価上昇のトレンドがこうだからそれを加味しました、加味しましたじゃなくて、倍増を目指すという新しい政策的要素を加味して畜産物価格を決定すべきだと思うんですが、それをしていないんだったら、やる気がないということですよ。
書いた以上は、閣議決定した以上は、死に物狂いでそれに近づいていくような政策努力をすべきじゃないですか、それは。今、るる、何か方向性がどうだとかかんとか、こんなの農家が聞いたって倍増するイメージは持てないですよ。
本当にやる気があるんですか。もう一回。
○松島政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたように、その倍増の姿につきましては、三月末に決定する予定の食料・農業・農村基本計画の見直しに向けまして現在検討中でございます。
したがいまして、今回の畜産物価格の決定につきましては、現行の制度の枠組みの中で適切な水準に決定してまいりたいと考えているところでございます。
○玉木委員 いや、よくわからないですね、何か、やる気があるのかないのか。
では、もう一つ聞きますけれども、きょうは酪農、畜産の話なので、酪肉振興法に基づく酪肉近の基本方針、これも三月末に閣議決定する予定ですよね。ここには、例えば、あれは経営指標を書くことになっていますよね、前回、二十二年のときもそういう感じだったと思いますが、所得目標を書く予定ですか。それは書かないと私はだめだと思いますよ。だって、倍増というんだから、それぞれの畜種ごとに一つの指標として明確な所得目標は入れるべきだと思いますよ、審議会でもそういう議論をされていると思いますが。
この点について、今の検討状況を教えてください。
○松島政府参考人 酪肉近代化方針の見直しについての御質問でございます。
これは食料・農業・農村基本計画と密接にかかわる部分がございますので、同じく三月末に改定する、見直すということで、食料・農業・農村審議会の畜産部会で現在議論されてございます。その中で、今先生からお話がございました点につきましてどうするか、委員の先生方の御意見も聞きながら検討してまいりたいと考えてございます。
○玉木委員 いや、委員の先生の意見を聞くのじゃなくて、政府として倍増するということを閣議決定したんですから、委員の先生が何と言おうと倍増するんだということを示さないと実現できないじゃないですか、それは。私は、今はもう少し前向きな答弁があるのかと思ったんですけれども、それだと農家の不安は消えないですよ。倍増と閣議決定した以上は、それを具体的にイメージできる道筋を示す。その意味では、この三月の、基本計画もそうですけれども、酪肉近代化基本方針、この中身も極めて重要になってくると思いますよ。
ですから、それがわかるようなものをぜひお示しいただきたいということを、きょうは要請にとどめますけれども、これからしっかり審議会の議論も私もチェックしていきたいと思いますので、倍増に向けた具体的な絵姿をお示しください。
例を幾つか示すと、このきょうの資料にも書いていますけれども、ただ、こういう一つの非常に特殊な例を挙げて、みんながここにいきますというのでは、私はだめだと思いますよ。ですから、倍増、これを具体化するような計画、方針になることを強く要請しておきたいと思います。
その上で、残りの時間、もう一つ聞きたいんですが、これは何度も私もこの委員会でも聞いていますけれども、畜産の経営安定対策事業、我々のときは所得補償事業というふうに言っていましたけれども、牛だと、例の積立金が、国と生産者の拠出割合が三対一、豚になるとこれが一対一になるんですね。
養豚振興ということを、我々は法律もこの委員会で通しましたけれども、そういうことであれば、畜種ごとに国の関与の度合いが違うというのもなかなかわかりにくいので、いっそ豚も国の拠出割合三ぐらいまで、畜産振興するんだったら高めたらどうですかね、委員長も賛成してくれると思うけれども。
○松島政府参考人 畜産につきましては、それぞれ畜種ごとにさまざまな生産状況がございますので、今委員からお話がございました牛、豚だけではなくて、養鶏ですとか、また、きょうも議論のありました酪農、それぞれ畜種ごとの経営安定対策が講じられているという実態にございます。
その中で、養豚と肉牛生産につきましては、おっしゃいますように、国と生産者の積立金の拠出割合が異なってございます。この背景といたしましては、牛につきましては、出生から出荷までの期間、和牛で約三十カ月と言われておりますけれども、これが非常に長いということで、出荷時にその収益性を見込みがたいという経営上の高いリスクがある。他方、豚については、肥育期間が七カ月ということでございますので、経営上のリスクは牛に比して低い。こういう事情と、それからまた、国境措置でございますけれども、豚は牛と異なりまして差額関税制度によっても保護されている。こういった事情を踏まえて、先ほど御指摘の拠出割合の違いが設けられているというふうに理解しているところでございます。
○玉木委員 ということは、国境措置に変化が生じたときには、豚に関しても国家の関与が、支援が少し強化される余地がある、裏から読むとそういうふうに聞こえたんですが、この点については引き続き議論させていただきたいと思っております。
最後に、きょうは畜産の話ということになっているんですが、ちょっと海の話も一つだけさせてもらって終わりたいと思うんです。
新聞報道をちょっと見たんですが、私、瀬戸内海に面しておりますので、赤潮とか、私が小さいころは、随分それで養殖漁業が影響を受けたんですけれども、最近は、一方で、表現はどうかは別として、むしろ少しきれいになり過ぎているというような指摘もあり、栄養塩が少なくなってきて、ノリの色落ち、あるいはそもそも漁獲量が落ちているというような話もございます。
因果関係がいろいろ言われているので、必ずしも栄養塩だけではないというようなことも言われておりますので、こういったことに対してしっかりと調べる必要があるのかなと思っておりますが、環境省さんが来年度から水質調査を行うというような報道があったんですけれども、この点について、事実関係を環境省か水産庁から教えてもらいたいと思います。
○三好政府参考人 瀬戸内海の水質の調査につきましてのお尋ねでございます。
先生御指摘のとおり、瀬戸内海を初めとする閉鎖性海域におきましては、これまでのさまざまな取り組みによりまして、水質は全体としては改善傾向にございますけれども、今先生が例にとられました赤潮でございますとか、あるいは貧酸素水塊といった問題も依然続いているところでございます。
他方で、豊かな海の観点から、生物多様性でございますとか、あるいはノリや漁獲という観点の生物生産性の確保ということも非常に重要な課題になってきておりまして、藻場、干潟の保全、再生でございますとか、栄養塩類の適切な管理の必要性がございます。
こういった新しい課題に対応するために、藻場、干潟の分布状況でございますとか、底質に蓄積しております栄養塩類の状況等を調査、分析するための予算要求をしているところでございまして、私どもとしてしっかりとした因果関係の解明等を進めていきたいというふうに考えているところでございます。
○玉木委員 要望なんですが、底質環境の調査だけでなくて、さまざまな要因があると思いますから、広くそれは分析してもらいたいのと、あと、同じような調査を、例えば文科省の予算でやっていたりとか、例えば大学でやっている、そういうところもあるので、そういった重複がないような効果的な調査を行っていただきたいということを最後に要請をしておきたいと思います。
いずれにしても、農林水産業に従事されている方の所得をしっかり守り抜くという観点でこれからも委員会質疑に臨みたいと思いますので、大臣、どうぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○江藤委員長 次に、坂本祐之輔君。
○坂本(祐)委員 維新の党の坂本祐之輔でございます。
飼料用米生産拡大についてお伺いをさせていただきたいと存じます。
現在、政府は、主食米のつくり過ぎで米価が急落しないように、主食米の生産をやめて飼料用米などの生産に転作した農家に配る転作補助金をふやすなどの対策をとっておられます。総理も、食料安全保障に直結する麦や飼料用米などの生産を振興すると話されておられますけれども、しかしながら、飼料用米の生産拡大はまだまだ進展途上だと考えております。
今後、さらに国としてどのように推進を図っていくのか、大臣のお考えをお伺いいたしたいと存じます。
○西川国務大臣 米の値段、工業製品も同じだと思いますが、価格はやはり需要と供給のバランスで左右される、こういうことだと思うんですね。
それで、米は、日本人は最大に食べていたとき一千三百十万トン食べた。しかし、今は八百万トンを割ってきた、こういう状況にあります。そういう中で、八百万トンでありながら毎年八万トンずつ、一%ずつ減ってきている、これも事実でありまして、やはり必要なだけつくる、こういうことを私どももしっかりこれから方向づけをしていかなきゃならない、こう考えております。
そのときに、手段として飼料用の米をどうやってつくっていくか、こういうことになると思います。今、十八万トンしか生産しておりませんけれども、来年度については全農が六十万トン買い入れる、こういうことを決めてくれましたので、その数量に向かって私どもも拡大をしていく、そして結果的に需要に見合った生産に持っていく、こういうことを図っていきたいと考えております。
○坂本(祐)委員 年々国民の米を消費する割合が、大臣のおっしゃるように、減っていくわけでございます。
私も、市長を十六年間在職中に、減反、生産調整を行うことは、なぜそれだけ耕作をしない土地をふやしていくのか理解ができませんでしたけれども、この場に立たせていただいて、確かに、日本に存在をする水田を減らしていくよりは、飼料用米をどんどんつくっていく、これはとてつもなく大きな需要があると考えておりますので、できる限り水田の有効利用を図っていくというのは、これは道としては私は正しいと考えております。
飼料用米の生産を、これは多くの畜産農家が、いい飼料米であれば、トウモロコシ等に比べても、それを使うことは十分にできると考えておりますが、どのようにマッチングをさせていくか。畜産農家に飼料用米のメリットをもっともっとアピールすることによって需要もふえていくのではないかと考えておりますが、この点についてはいかがでしょうか。
○西川国務大臣 飼料用の米の支援策としては、かなり充実をしてきました。
今、一俵当たり幾らという比べ方もありますが、十アール当たりでどうかということを申し上げますと、六百八十キログラムとれる最大のときは十万五千円の補助が出ます。それから、耕畜連携で一万三千円。畜産農家と組んでわらを有効利用するとか、それは一万三千円上乗せになります。それから、生産量が非常に高い飼料用の米をつくると一万二千円の上乗せになるということで、十万五千円、一万三千円、一万二千円ですから、結局十三万円の支援策がある。
それ以外に、飼料用米、米が幾らで売れるかわかりませんが、八俵なら八俵とった場合、十アール当たりに換算すれば一万から二万ぐらいの数字になるかと思いますので、十三万を超えていく、そういう状況になりますので、主食用の米とそう遜色がない、ここまで支援策ができてきましたので、しっかりこれらが増産できるように、そして、水田から需要に見合った主食用の米の生産量になるように、我々は農家とともに話し合いながら進めてまいりたい、こう考えております。
○坂本(祐)委員 大臣のおっしゃるように、遜色ないということでございますので、農家の皆さんが自分の水田を自信を持って耕作できるような体制を整えていくということは必要だと考えております。
中長期的に見たその需要量は二百万トンとされているということでございますので、やはりこれからの需要も大きく見込まれるはずでございます。
しかしながら、私ども、地元の皆さんにお伺いをいたしますと、やはり農家の方たちは、人に自分がつくった米を食べていただくことによって、おいしいお米だな、こう言われることに非常に生きがいや喜びを感じるといった話をお伺いいたします。
確かに、米の価格や安定供給、需要のバランスを安定するために飼料用米の推進を行うことが必要で、そのことの理解をしていただくことも農家経営の皆さんにとってはとても大切だというふうに考えています。
抜本的な農業改革をもっともっと進めることによって、やはりこの日本の豊かな米社会、その米づくりを進めることができるのではないかと私は考えています。
飼料用米の生産も、もちろんこれは有効だと思います。しかし、攻めの農業とおっしゃっているのであれば、海外に輸出する米をもっともっとふやすことができる。海外進出のその先駆けを米によって行うということはできないのでしょうか、お伺いをいたします。
○西川国務大臣 私どもも、農産物の輸出、一昨年が四千五百億、昨年が五千五百億、それで、これを二〇二〇年に一兆円にしようと。それで、安倍総理は、なるべく二〇二〇年を待たないで一兆円を達成しよう、こういうことを考えております。
私ども、今まで輸出というのは、七百万人の香港、五百二十万のシンガポール、ここに大体焦点が当たって、結局、購買力があるだろうということで日本全国の農業関係団体、農業者が輸出に向けて働きをやってきた、こういうことなんですね。
しかし、私は、五億人のEU、あるいは三億一千万のアメリカ合衆国、やはり購買力は非常に高いと思いますので、ここに向けてやろうということになりまして、農林水産省で十月三十一日、農林水産物の輸出対策についての窓口を設置しまして、各般の御要請、相談を受けて、今実行しています。
日本の米は一万四千円前後で議論されておりますけれども、高いところを申し上げますと切りがありませんが、シンガポールあるいはジャカルタあたりで大体三万から三万五千円ぐらいです。ヨーロッパは、ジャポニカだと六万円前後で日本人が、向こうの駐在の人は食べております。
そういう状況の中でありますから、米も輸出はできる、とにかく取り組もう、こういうことで今省を挙げてやっておるということを御報告させていただきます。
○坂本(祐)委員 まさに二〇二〇年、オリンピックの年、ここに倍増の計画を持たれているということでございまして、私も、世界の多くの国々が日本のおいしい米を、多少の価格の差があって、質の程度もあるかもしれませんけれども、基本的にはこのようにおいしい米をもっともっと世界じゅうに輸出することによって、米の生産の拡大につながっていく、休んでいる水田をもっともっと働かせることができるのではないかと期待をいたしておりますので、ぜひその方向で進んでいただきたいと考えています。
確かに、飼料用米の推進を図って水田を活用していく、これは、国産飼料用米のメリットをもっともっと国内でもアピールすることによって、その需要が膨らんでいくことにもなろうと思いますし、今申し上げたように、人の食べる米も、しっかりと国内の消費を高めていくということとあわせて、大臣がおっしゃるように、海外への輸出も積極的に図る、これが必要だと思っています。
私が住んでいる埼玉県と同じ面積が耕作放棄地になっているということもお聞きすると、やはり日本は農がもとでございますので、それらの政策をしっかりと実現に向けて推進していただきたいと願っております。
米の話が出ましたので、米価の下落について、これも地元の方々の御意見が多かったので、これまで多くの議員の皆様からも質問はされていることではございますけれども、私からも一点質問をさせていただきたいと存じます。
昨年は米の概算金が例年と比べてかなり安かったわけでございまして、この金額では米づくりを維持できないという多くの農家の悲鳴も私どもの地域から上がってございました。
私は埼玉県のほぼ中央に位置するところが地元でございますけれども、ここにおきましても米農家の高齢化は進んでおりますし、今回の概算金の減少によって、農業そのものをやめてしまおうかと悩んでいらっしゃる方々も大勢いらっしゃいます。しかし、担い手もほとんどいない状況の中でやめてしまうと、やはり農地を維持できずに耕作放棄地になってしまいます。
追加精算やナラシ対策などの対策があるのは十分に理解をしておりますけれども、仕組みの難しさや、あるいは支払いまでの期間等、現実に農家の皆さんのさまざまな不安を取り除く仕組みになってはおりませんので、行政上の限界もあると思いますけれども、農家の皆さんの不安を取り除いて、安心して農業を営み、次の世代につないでいける仕組みが必要と考えますが、大臣の御所見をお伺いいたしたいと存じます。
○松島政府参考人 委員から、米の価格の低下についての御質問でございます。
直近の米の価格の状況を見ますと、十一月の相対取引価格、これが六十キログラム当たり一万二千百六十二円と、前年産よりも二千円ほど低い水準となっているところでございます。このため、先ほど来委員会でも議論がございますが、二十六年産米につきましては、ナラシ対策によって収入減少に対する補填を講ずるということになってございます。
当面の緊急対策といたしましては、直接支払交付金、これは反当たり七千五百円の交付金でございますが、この早期支払いということで昨年中に交付を終わってございますし、また、ナラシ対策の交付金が出るまでの間、実質無利子の資金も用意させていただきました。
さらに、二十六年度補正予算におきましては、米の生産コストを低減し、米価の変動にも対応できるような稲作農業の体質強化を図るという観点から、二百億円の事業を用意いたしまして実施することにしてございます。
いずれにしましても、米の価格は、先ほど大臣からも御答弁しましたように、需要と供給のバランスで決まるということでございます。今後とも、主食用米から飼料用米への転換を進めることで、米の需給と価格の安定、農家の所得の安定を図ってまいりたいと考えているところでございます。
○坂本(祐)委員 また、地元の農業を営む方々がよくおっしゃっているのは、米価が下落している中で、例えばコンバインを購入したときに、せめてその利息部分を補助していただけないかとか、あるいは、農業用のトラクターに入れる軽油の税金部分が免除されておりますけれども、これは都道府県で行っている事業だと思いますけれども、こういったことを知って農業経営者が申請に行くと、手続が煩雑で、結局それを諦めて帰ってくるということが多く発生しております。
今おっしゃっておられましたように、農家経営者のために、その所得をどんどんとふやしていくということであれば、国の制度をもっとわかりやすく、簡潔に、そして使いやすいものにしていく必要があるのではないかと考えておりますが、この点についてはいかがですか。
○松島政府参考人 委員御指摘のとおり、さまざまな事態に対応するために国がいろいろな施策を用意してございますけれども、これにつきましては、現場において十分周知されていないとか手続が煩雑であるとか、さまざまな現場の声も聞いているところでございます。
これにつきましては、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、現場でわかりやすいように施策をPRして、せっかくの施策でございますので、農家にしっかり活用していただくということが大事であると考えてございまして、今後ともそういった国の施策が現場でよく活用されるように留意してまいりたいと考えているところでございます。
○坂本(祐)委員 私も、市に農業公社等をつくって、そういった耕作者の、農業経営の方々の意見を聞いて、いろいろな政策を進めてきた経緯がありますけれども、やはり大もとは、国で行っている政策をしっかりと実現していく、農業を営む方たちがそれを利用していく体制をとっていただく、このことが大切だと考えておりますので、ぜひ今おっしゃっていただいたように進めていただきたいと思います。
それでは、家畜農家と周辺環境についてお伺いをさせていただきます。
都市近郊農業を進める中で、家畜農家にとっては、近隣住民の理解を得ながら仕事を推進していくことは必要不可欠でございます。特に養豚場や養鶏場の臭気に関しては、近隣住民とのトラブルにもなりかねません。発展してきた住宅地の近隣に経営する家畜農家にとりましても大きなストレスとなりかねない。
これは、家畜農家が先住民であるということから、近隣に開発によって住宅がふえてきたこと、あるいは、住宅を構えた、そこに住んでいらっしゃる方々が生活権を主張することによってそのトラブルのもとにもなっているわけでございまして、私も、地方行政上の経験から、市や県で解決できない問題も多くあるのではないかと考えています。本当に近隣住民の生活環境に影響を及ぼす基準が定まっているのかというところも疑問ではございますけれども、まさに地方自治体だけでは解決ができません。
こういった住宅街の中に、そこで経営を営まれている家畜農家とのトラブルあるいは住民からのさまざまな要望、こういった事例が今国内でも多く発生していると思いますが、こういった点を把握していらっしゃるでしょうか。
○松島政府参考人 委員御指摘のとおり、畜産農家と住宅地が近接する地域におきまして臭気の問題というのが起こっているということについては十分認識しておりまして、畜産経営からの悪臭につきましては、主に畜舎や堆肥舎といったところから出る排せつ物に由来するものでございますけれども、畜産経営に対しますさまざまな苦情の六割を占めているという実態にあると考えてございます。
それから、それに対する規制の問題でございますけれども、これは環境省の法律でございますが、悪臭防止法というものがございまして、政令によって悪臭物質というものが指定されまして、都道府県知事がその濃度に関する規則を制定いたしますと、畜産農家はそれを遵守する義務があるという仕組みになっているところでございます。
畜産の経営も、やはりその地域住民と共存しながらしっかりやっていただくことが大事だと思っていまして、現在、家畜の飼養管理を適切なものにするとか、ふん尿処理をしっかり行うということで、例えば、脱臭装置を活用して臭気が畜舎外に出ないようにするといったことも行われているところでございます。
先ほど来、畜産クラスター事業というのがこの委員会で議論されてございますが、この中でも、臭気対策その他の畜産環境問題に地域の関係者が連携して取り組むといったときには、その中心的な畜産経営体に対しまして脱臭装置などの機械や施設整備を支援するという仕組みを設けまして、環境問題へ対応してまいりたいと考えてございます。
○坂本(祐)委員 共存共栄、大変に都市近郊の中では難しい問題となっています。私は、そういった家畜農家を排除するのではなくて、しっかりと営んでいただくための体制をつくっていく、それは規制を強めればいいということではなくて、その人たちが営みやすい体制をどうやってつくっていくかというのは、市町村ではなかなか体制を組むことができません。国の大きな支援のもとに、営みやすいような体制はどうやってつくることができるのかということを御検討いただければと願っておりますので、この質問を申し上げさせていただきました。
次に、学校における農業教育と食育について質問させていただきます。
学校教育で地場農産物の理解を促進することは、子供たちの郷土教育、あるいは生産者や食品の理解にもつながってまいります。また、農作業や家畜の世話などの体験も郷土教育や農業教育にもなりますし、子供たちの成長にもよい影響を与えていくものだと思います。
本年元日の日本農業新聞には、小中学校教諭の九四%が農業体験が必要と掲載をされておりました。日本再興戦略では、食育を国民運動として定着させるために、農林漁業体験を経験した国民の割合を三五%とする、こういった目標を掲げて、食や農林水産業への理解増進を図るとしております。
これらの体験活動の取り組みと今後の推進についてお答えをいただきたいと思います。
○伯井政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、小中学生の段階から農業に関する理解、関心を深めることは極めて重要であると考えております。
小中学校の農業学習は社会科等の中で行われておりますが、例えば小学校学習指導要領におきましては、具体的な畜産物を取り上げながら、生産者の工夫、努力というのを子供たちに学んでいただくよう取り組んでいるところでございます。
また、総合的学習の時間などでは、御指摘いただきましたように、生産活動などの体験活動を積極的に取り入れるということに取り組んでいるところでございます。
さらには、農山漁村のさまざまな体験活動を子供たちが活発にできるように、文部科学省、総務省、農水省、環境省と連携しながら、農山漁村における宿泊体験活動の推進を行っているところでございまして、今後とも一層充実を図ってまいりたいと考えております。
他方、食育の観点におきましては、生産者の努力や食に関する感謝の念を育む上で極めて重要であるというふうに考えておりまして、今後とも、さまざまな事業を通じまして、地域の関係機関とも連携しながら、食育や学校給食における地産地消を通じた子供たちの理解促進を図ってまいりたいと考えているところでございます。
○坂本(祐)委員 学校によっては、牛の乳搾りの体験、あるいは牛を育てる餌、あるいは牛ふんの片づけ、そしてまた、農作業では田植えや稲刈り、こういった体験は子供たちにも貴重な体験となっておりまして、成人になっても忘れることはありません。まさに学校教育の中では教科書から得られない貴重な体験となるのではないかと思いますし、それがまた地場産業の育成にもつながっていくと考えております。
食育についてもお伺いをいたしますけれども、学校給食の地場農産物の利用につきましては、平成二十年の六月に、学校給食法の改正によって、学校給食において地場農産物の活用に努めることが法律に位置づけられて、食育基本法の食育推進基本計画においては、平成二十二年度までに利用割合を三〇%以上とする目標を定めています。こういったことは、生産者側にとりましても、流通コストの削減や農家経営の安定化に寄与して、全国五千億円の食材需要がある学校給食に対する国産の供給を拡大できて、生産者のやりがいにもつながる、メリットは大変にあると思います。
現在の学校給食での地場農産物利用をめぐる現況と今後の推進についてお伺いをさせていただきたいと思います。
○江藤委員長 櫻庭食料産業局長、簡潔に願います。
○櫻庭政府参考人 お答え申し上げます。
平成二十五年度における学校給食における地場産の活用状況でございますが、二五・八%となっております。
私ども、地産地消、食育に関する支援といたしまして、学校給食における地場食材の利用拡大として、各市町村ごとの推進会議の開催や研修会、圃場見学、そして新たな献立や加工品の開発、導入、実証などを御支援させていただいているところでございます。
○坂本(祐)委員 ぜひ子供たちに、地元でとれるおいしいもの、そしてそれが我が郷土を代表する作物である、これが将来、郷土を愛する心にもつながっていくと考えます。そして、それが、センター方式や自校方式、いわゆる学校給食の提供の仕方にもあると思いますけれども、そこで地元の豊かな食材を自分の口に運んでいく、そして健康に、健やかに育っていく、こういったシステムをしっかりと推進していただきたい、このことをお願い申し上げまして、質問を終わりにさせていただきます。
ありがとうございました。
○江藤委員長 次に、村岡敏英君。
○村岡委員 維新の党、村岡敏英でございます。
本年も、大臣初め副大臣、政務官、よろしくお願いいたします。
質問に入る前に、ことしの農林水産委員会は、農協改革、TPPの妥結もあり得るかもしれない、歴史的な農水委員会になる、こう思っております。ここが、日本の農業、日本の食がどのような方向性をつけるか、大切な時期だ、こう思っています。
西川農林大臣が、この農業改革が農村のために、日本の食のためにすばらしいものとなれば、十年後、教科書に載るような、銅像を建てられるようなことになりますけれども、しかし、これが、日本の農村がどんどん衰退していけば、この改革は何だったのか。
今、一年、二年のことも大切ですけれども、十年後を見据えたとき、この改革をやり切る、その決意のほどを初めにお聞きしたいと思います。
○西川国務大臣 農政改革、多くの課題があります。そういう中で、私どもは、二十六年は農政改革元年だ、こういうような位置づけでやってきまして、二十七年からしっかり実行していこう、こういう気持ちでおります。
そういう中で、農政改革、大きな柱が三つあって、農協をどう改革していくか、農業委員会制度をどうするか、農業生産法人制度をどう変えるか、この三つがありますが、しっかりこれは改革をしてまいりたいと思います。それは、目標としては、農林漁業家の所得の向上に必ずつながる、こういう目標を持ってやってまいりたいと思います。
それから、TPPの問題、どういう形であっても、衆参農林水産委員会の決議が守られたとの評価が得られなければこれは実行できませんので、必ず評価をいただけるようにしっかりやっていきたい、こう考えております。
日豪EPAについて、一月十五日、あさって発効されますので、これらについての影響があるのかないのかも見ながら対策等については検討を進めていきたいと思いますが、いずれにしても、強い農林水産業をつくっていきたい、こう考えております。
○村岡委員 方向性は、農村社会、農業の所得向上、そしてTPPはしっかりと日本の国益を守る、EPAももちろんですけれども、そこはぜひ基本として一緒に議論していきたい、こういうふうに思っております。
そこで、畜産に関してはいろいろな先生方がお聞きしたので、大臣も言われましたが、予算もふやして、やはり日本にとって畜産というのは、二兆七千億、非常に日本の農業を牽引していく、そういう意味では、ここに予算をかけるということは大切なことだ、これは本当に努力していただいた、こう思っております。
しかし、どんどん伸ばしていくためには、国内の需要はもちろんですけれども、海外市場に向けて、この予算の中でどんな取り組みをして、我々農水委員会でもインドネシアに行ったりマレーシアに行ったりして、ハラールの認証をしっかり取る、そういう世界市場を伸ばしていかなければ生産高というのはふえていかない、また、所得もふえていかない。
そこの取り組みは、今年度の補正または予算でどのような取り組みをするのか教えていただきたい、こう思っております。
○松島政府参考人 畜産物の輸出への取り組みでございますけれども、これにつきましては、輸出倍増計画の中で、畜産物についても非常に大きな、有望な品目だと考えてございます。
特に和牛につきましては、世界的に類のない品質の肉質を持っておりまして、これにつきまして、これまでBSEや口蹄疫が発生する中で、諸外国からなかなか輸入が認められなかった部分はございますが、検疫の協議を通じて順次輸入が解禁されてきてございます。その結果、平成二十六年につきましては過去最高の輸出額を記録するのではないかというふうに見込まれている状況でございます。
こういったものをさらに後押しするために、全ての畜種横断的な協議会を昨年設置しまして、我が国の品質の高い畜産物の輸出拡大に取り組んでいこうということを考えてございまして、そのための予算といたしまして、畜産物輸出特別支援事業ということで、補正予算で三億円を計上しているというところでございます。
○村岡委員 ぜひ、それが将来の畜産農家に担い手としてなっていくための、やはり市場が拡大しないとそれは当然担い手も入ってきません、そして、和牛というのは漢字で書かないと、ローマ字のWAGYUだとそのままオーストラリア産になってしまいますので、いろいろな対策をしっかり考えていただきたい、こういうふうに思っています。
そして、畜産の中で、これは畜産に限らずなんですが、私は、昨年、一昨年の農水委員会でも、将来の担い手をつくるためには、農業高校の生徒たち、この方々が二十五年度、就職一万四千人ぐらい、五%未満の方が農業に従事する、そういう状況を、ぜひ文部科学省と一緒に取り組んでいただきたい、このようなことを申しました。
二年間で取り組み始めたことは何かありますでしょうか。
○松島政府参考人 畜産経営はそれぞれ畜種ごとに大変多様でございますし、非常に高度な技術を要するということで、そういった技術の習得がまず大切だということがございます。
またさらに、畜産も大変規模拡大が進展しておりまして、そこに参入するためにはさまざまな施設の整備ですとか機器の整備といったもので多額な経費がかかるということで、いろいろな課題がございますけれども、そういったものにつきまして、まず、先ほど委員からお話がございました農業高校、そういった新規参入者の参入を促すということもあれば、現在畜産経営を行っている方々の後継者をしっかり育成していただく。
そういったもので、側面からそういったものを支援する観点から、先ほど来議論になっています畜産クラスター事業などを活用していただきながら、新規参入者が地域全体で支援を受けながら収益性の高い畜産経営を営んでいただくような、畜舎を初めとする施設の整備ですとか、酪農でいえば搾乳関係のさまざまな機器といったものについて国もしっかり支援をすることによって、新規参入者それから後継者の確保に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○村岡委員 まあ、取り組んでいないということでしょうけれども。
大臣、これこそ十年後を考えたら、縦割りの中で文部科学省に任せておくんじゃなく、まず、農業高校の生徒が高校時代、十五歳から十八歳まで農業高校にかかわっていたのに就職しない、それで外の人が来るはずがないんです。
そして、農業高校に聞いてみると、トラクターでもコンバインでも、畜産はちょっと聞いていないですが、機械が古いんですよ。古い機械を高校生に使わせているんですよ、予算がないから。それは、歴史でも学んで、まさかすきくわじゃないですけれども、昔はこんなものを使っていたというような機械を使ってそれを研修するという状況があるんですよ。
ですから、それはもう二年前に言ったわけですから、やはりここは縦割りの、これは農林省、これは文部科学省、そうじゃなく、農業を改革していく上で、もちろん一年一年大切です。しかし、十年後を見据えたら、先ほど大臣が歴史の教科書に載ると言ったのは、こういう農業高校の生徒たちに最新の技術をしっかり学んでもらって、そして経営もしっかりと学んでもらう。そういう中で、農業系の大学に行く人もいるでしょう、それから食品のメーカーに行く人も。これは六次産業化になる。こういうことに、将来にお金をかける、ここをもう一つ視点で入れていただきたい。
これに対して、大臣はどう思いますか。
○西川国務大臣 村岡委員から、大変貴重な意見をずっと続いていただいております。
問題は、農業高校に行って就農しないという人が大半だ、こういうことも現実ですね。それから、各県に持っている農業大学校、ここも同じような状況にあろうかと思います。そうでありますが、できる限り農業高校卒業生が就農していただけるように、私どもも省を挙げて少し研究をして、前向きに取り組んでいきたいと思います。
さらに、農の体験、非常に大事なことでありますから、これは我が省だけでもできるわけであります。農林省の職員は、各市町村に出すとか、それから各都道府県に出向してもらうとか、若いときにやっておりますが、逆に、社会の若者に就農経験を持ってもらう、これは大事なことでありますので、少し前向きに検討させていただきたいということを申し上げておきます。
○村岡委員 ぜひそこはお願いしたい、こう思っています。
農業高校の生徒の授業に農林省の方々が行ってもいいじゃないですか。そういうことをまず実践しましょうよ。大臣も、農業高校のところも訪ねてみてください。機械を見てください。古いですよ。これからは、十年後、二十年後の農業高校を卒業した人は、自動化の中で、衛星から来たものもやるかもしれないときに、もう使わない機械をいつまでも一応体験でやるということじゃなく、その人たちが就農しようという魅力があるところをつくるために、ぜひそれはお願いしたい、こう思っております。
そしてもう一つ、これはちょっと通告していないんですけれども、先ほど玉木委員からもありましたけれども、佐賀の知事選、大臣はお答えの中で、決して農協改革じゃなくて、人であったり、いろいろなことの条件が重なった、こう言われておりました。
衆議院の選挙の前ですけれども、滋賀の選挙、沖縄の選挙、そして佐賀の選挙、それぞれ事情は違うとは思います。しかし、農協の方々は農協改革だと思っていますよ。それから、わかりませんが、新聞紙上だと、自民党の先生方も思っている人がいますよ。その受けとめ方を、それじゃないというんじゃなく、そこもあるんですよ。ないわけじゃないんですよ。
そこは、一つ一つの改革というのは、当然、進めればあつれきは出ます。しかし、一番問題なのは、決して、反対している人たちが過激派や何かじゃないんですよ。一緒に農業をつくり上げる人なんですよ。その人たちに、大臣なり副大臣なり政務官は会っていますか。農協の人たちと議論していますか。規制改革会議の人たちとは官邸でやっているかもしれない。しかし、直接それを改革していく人たちともっと真剣に会っていますか。そこがないんですよ。だから不信になるんですよ。
実際に議論をしっかりと、相当な怒号が飛びますよ。これまで自民党や政府が強かった原因、日台の漁業交渉なんて、私は間近で、官邸の中でも見ました。怒号だらけですよ、漁業者にとって死活問題ですから。そういう場に行った姿をテレビや何かで見たことがないんですよ。農協の方々と真剣に向き合ってください。会っていないんですよ。
それで、その上、選挙のとき、東北地方の稲作農家が多いところのアンケート調査を見ます。そうすると、農協に関しては、農協は民間団体と同じだから自分たちの自己努力でやるべきだと、みんな選挙のときはアンケートに答えているんですよ。ところが、選挙が終わったら、もうやるんだ、こうなるんです。これはTPPの断固阻止と同じですよ。
それから、農協の米の部分も、中には民主党さんの言われた所得補償をするといってアンケートに答えている人もいるんですよ。それを、選挙のときだけはそうやって、選挙が終わった瞬間、違うことを言うから、みんな怒っているんですよ。
一緒に改革を進めるという大臣の気持ちじゃないですか。そのことに関して、大臣は違うかもしれませんよ、しかし、これは農協の人がどう思っていると把握しているのか、それから自民党内もどう思っているのか、その把握をしないでこの改革は進められません。そのことをぜひ、大臣から、どう思われているのか。
○西川国務大臣 改革の必要性は、村岡委員、よくわかってくれておると思います。
私は、農家の所得を上げていく、農協も強くしていきたい、こういうことで改革を考えております。
佐賀県の知事選については、あたかも農協改革は農協が弱体化するような話も流れたかもしれませんが、これは佐賀県の皆さんにもぜひわかってもらえるように、私どももしっかりこれから広報活動、あるいは職員が現地に出向いてよく農業者と話し合いをしていきたいと思います。
それから、私は、常に農協の皆さんと話し合いを続けております。何事かあれば私も呼ばれるし、私のところへも訪ねてくれておりまして、農業に対する御注文は常にいただいておりまして、現場の声は聞いておるつもりでおりますということを報告いたします。
○村岡委員 大臣はお会いして聞いているということですけれども、これは、農業者は別に農協改革だけじゃないんですよ。予算がありますから、大臣の前で余り言えないんですよ。それが人間ですよ。農業者ですよ。そういうときに本音を聞かないで、いやいや、カントリーエレベーターの予算をどうする、米の予算をどうする、そうなると当然、人間、言えないですよ。
結果的に、佐賀では、農協がしっかりと自公の候補者じゃない人を推したんですよ。それを見ると、私は話していますといっても、話していないのと同じだと農協の方々からは言われますよ。
みんな、死活問題で真剣なんです。これまで、この農業の衰退の原因を全て農協に押しつけているように見えるから、一緒に話してくれないんです。そして、決して新聞で書いていることが正しいと言わないけれども、コメントである程度出ているのが、いや、この佐賀で負けたから、やはりこれは少し改革のスピードを緩めなきゃいけないとか、そういう選挙目当てのことだけを報じられてしまう。
ここは、確かに改革の方向性、そして所得を上げるということは賛成です。しかし、これは立ちどまらないで、しっかり農協の方々、農業者の方々と膝を交えて、それは政治家、与野党を問わずですよ、これをやらないと日本の農業は衰退しますよ、もうどんどん人が離れますよ、その認識をぜひ持っていただきたいんです。
決して、私はじゃないんです。農協も、農業者も、今全体に、政府に限らず、国会議員全体、与野党、何なんだ、選挙のときと違うじゃないか、この怒りを持っているんです。この怒りが続いたら農業は成功しません、どんないい改革でも。そこだけはぜひ認識していただきたい、こう思っております。
そして、今回の米の概算金が大変下がったという実態の中で、実は、農地中間管理機構の中だけじゃなく、現場では二十町歩だ三十町歩だとどんどん田んぼは集まってきているんです。その原因は何かというと、農業をやめる人もいる、それからまた、病気になって、脳梗塞であったりいろいろな病気でやめて、三十町歩、四十町歩、五十町歩と集まり始めている人たちがいるんです。
しかし、現実に、その人たちが、一人二人でやって、田植えのとき、稲刈りのとき、アルバイトを頼んで何とか三十町歩、四十町歩、五十町歩をやっているんです。その人たちももう体が心配で、自分の両親が八十代ぐらいの人は、もう家族で四十町歩、五十町歩なんか無理だ、やめた方がいい、こんなことをしていて、政府を信じちゃいけない、体を壊してあんたも死ぬよと言われるような、現実には大変なんです。
成長産業としてやるところと、もう一つ、大規模になりながら家族的経営でやっているところもあるんです。それは、中山間地の小さいところはもちろん別でちゃんとやらなきゃいけないですけれども、家族的にやりながら大変なところもいっぱいあるんです。そのところの認識はどうお持ちか、お聞かせ願いたいと思います。
○西川国務大臣 農業政策の基本的な考え方は二つあると思うんですね。
私は、一つは、条件不利な地域は、ほかの平たん地と同じように、不利な部分だけは支援をしていくというのが一つあると思うんです。それからもう一つは、価格が下がったときに所得が思うように得られない、そこは制度として補填していきましょう。この二つの考え方があると思うんですね。
今の農林省の考え方、条件不利な部分も対応して今回もやりました。そこで、大規模化の一方、兼業で、あるいは小規模な農家をどう手当てしていくか、こういうことが大事なことだと思います。
ですから、私どもは、収入保険的なナラシ制度については、全員の方々が入っていただけるようにこれから誘導していきます。そのとき、小規模の農家が不利にならないように、我々はこの加入について十分な前向きの検討をして、小規模な農家も加入できる、こういう状況をつくり出していきたいと考えております。
○村岡委員 大臣の、いろいろな小規模農家に対してもというのはわかりました。
そうじゃなくて、現場がどういう状況で大規模化したり、どういう状況の人たちが実際に経営しているか、それをもう少し農林省がしっかりと把握しなきゃいけない。
例えば大きな法人になって、専業でどんどん大きくしたいという意欲を持ってやっている人だけじゃなく、農村社会として、田んぼが荒れたら大変だ、近所の人が病気になったからかわいそうだからと、まとめている人はいっぱいいるんですよ。ただ単に成長産業だけじゃない。でも、そういう人たちも非常に支えているんですよ。それの方がむしろ稲作地帯では多くなってきているんですよ。その実態をわからずして、ただ単に成長産業のためにといっても、その人たちだって六十ぐらいなんですよ、実際には。ですから、そういう状況はしっかり把握していただかなきゃいけない、こう思っています。
そして、大臣の、米の生産費減ということに対して担い手の組織の助成をしていただきました。これも非常に充実していると思います。一月三十日までで、それで、三月に、その計画が出たら、いろいろな面でコスト削減のための努力をしたら、これは金額がついてくる。
しかし、先ほど大臣が言ったように、あしたあたりかららしいですよね、説明するのは。これは選挙がありましたからいたし方ないことがありますけれども、これもまた、農業者の人、三十日までというのが本当に間に合うのか。そしてまた、この二百億というのは一体どのぐらいの農家を想定しているんですか。それもちょっとわからない。
それから、いろいろな条件がありますけれども、認定農業者、認定新規就農者、集落営農、人・農地プランと書いていますけれども、これはいいんです。農家五戸以上の組織も活用できる、もうそんなのは今できますか。もうほとんどここに入っていますよ。
実際にどのぐらいの人たちがこの計画を三十日までに立てられると農林省は思っていて、二百億という数字がありますから、当然これを計算すれば、どのぐらいのパーセンテージを考えられているのか。
○松島政府参考人 委員の方から、コスト削減の二百億円の対策の今後の実施の見通しということだと思いますけれども、これにつきましては、補正予算で計上したものですから、一月九日に政府として決定したということで、それ以降、直ちに説明会をということで、恐らく全国のほとんどのブロックで今週中に説明会を開きまして、現場にその制度の仕組みについて浸透を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
それから、事業参加者でございますけれども、今議員からお話がございました認定農業者ですとか認定新規就農者、集落営農といったものに加えまして、今回は、複数の農家が参加した場合についても、原則五戸でございますけれども、地域によってはもう少し緩和してもいいのではないかなと考えてございますが、そういったできるだけ多くの方、この米価下落によっていろいろな影響を受けて、来年以降、生産コストをしっかり取り組んでいただくというために支援が必要な方を幅広く対象にしていきたいというふうに考えてございます。
まさにこれは新しい取り組みでございますので、我々としては、できるだけ多くの方に参加していただくということを旨として進めてまいりたいと思っていますし、時間が限られていますので、事業の申請ですとか交付決定のスピード等、そういったものにつきましては、できるだけ取り組みやすいように、現場とよく相談しながら、より今後とも意欲を持って稲作に取り組み、生産コストの低減に取り組んでいただく方が極力参加しやすい形で進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○村岡委員 きょうはここで終わりますけれども、この農業の大改革、立ちどまってというのは別に半年も一年もというわけじゃないです。一カ月、二カ月、じっくりと膝を交えて、やはり農業者と政治家、それぞれ与野党問わず、やらずしてこの農業の改革、農業の将来はないと思っていますので、ぜひこれからも議論を続けさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○江藤委員長 次に、畠山和也君。
○畠山委員 日本共産党の畠山和也です。
本題に入る前に、昨年十二月十七日、発達した低気圧により暴風、高潮被害が発生した件について伺います。
水産と酪農の町、根室市を襲った高潮は、国交省調査で高さ二・五メートルまで達した地点もあり、冠水した家屋や商店街で商品や電気機器、顧客名簿などが海水浸しになった実態を私も現地調査してきました。
目いっぱい金融機関から借りているし、これ以上は借りられないという商店主や、閉店まで考えていたおそば屋さんもありました。市民有志で開いたばかりの根室市唯一のライブハウスも、ホールや音響機器が被害を受けました。十二月二十七日の緊急根室市議会で、長谷川俊輔根室市長は、被害金額は集計中としながらも、二十億円を超えると思われると答弁しています。
我が党は、十二月二十五日、山谷えり子防災担当大臣に直接支援の要請を行いました。今後の経営不安に応えるため、融資だけでなく個々の被災事業者の再建に対する直接支援はできないのか、経済産業省に伺います。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
中小企業庁といたしましては、地元の商工会議所、商工会等を通じて、今般の中小企業に対する高潮の被害状況を調査し、事業所施設の一部損壊や製品の破損等の被害を確認しているところでございます。
被災された中小企業、小規模事業者からの相談には、日本政策金融公庫等の政府系金融機関の最寄りの支店や商工会議所、商工会等の窓口において丁寧に対応しているところであります。
具体的には、先生もおっしゃいましたが、被害を受けた商品の仕入れ資金や施設の補償、建てかえ資金の借り入れや保証といった御相談が寄せられているというふうに承知をしているところであります。
引き続き、被災中小企業、小規模事業者の状況を把握していくとともに、被災事業者への支援にしっかり取り組んでまいりたいと思っております。
○畠山委員 被災した一軒一軒にとっては死活問題なわけです。東日本大震災のグループ補助金ですとか能登半島地震の際の被災中小企業復興支援ファンドなどの実績があるではありませんか。被災事業者への直接支援に踏み出すべきであることを、この機会に強く求めたいと思います。
本題に入ります。
畜産、酪農の経営環境が厳しさを増しています。例えば北海道の生乳出荷戸数は、一九九八年の九千二百五十五戸から二〇一三年には六千百七十三戸まで減り、この三、四年間は年間二百戸が出荷をやめています。ここに経営環境の厳しさがあらわれていると思いますが、この厳しさは何に由来するものか、大臣の認識を伺います。
○西川国務大臣 やはり農業を継続するかどうかという判断のときは、農業所得、これが次の世代につながるか、こういう希望が一番だろうと思います。
そういう中で、確かに農業は今厳しい状況がずっと続いてきております。それから、畜産が離農をされている、こういうこともありまして、私どもは、政策的な支援をどう充実させるか、こういうことに、二十六年度の補正予算も、それから二十七年度の当初予算も、畜産に対してこれは前向きで取り組んだつもりでおります。
農林省の予算、何度も申し上げますが、二兆三千九十億円ぐらいになる予定です。その中で、畜産の予算は、残念ながら千八百五十三億しかないんです。それで、私は、補正も当初も含めて、畜産の今の状況を打破して成長産業につなげるために、何としても五百億円以上は増加をしてくれ、こういうことをお願いしてきまして、これが認められて五百十五億、千八百五十三億に対する五百十五億が増額されるというのは少し異例のような増額だと思いますけれども、私は、畜産に力を入れていきたい、こういうことでお願いしたところであります。
やはりやめていく人の主たる原因は、所得が上がらない、これが一番だろうと思いますので、今やっている方々が安心して畜産に取り組んで所得が上がるようにやっていきたいと思います。ほかに、高齢になった人とか、後継者がいないとか、先行きが不安だからやめるとか、いろいろ原因は私どもの調査のところに出てきておりますけれども、一番大事なことは所得がしっかり確保できる、こういうことに尽きると思いますので、私ども取り組んでまいりますので、よろしくお願い申し上げます。
○畠山委員 重要なことは、特にこの数年間で経営苦に拍車がかかっているということです。
農水省の昨年九月時点の農業物価指数を見ても、二〇一〇年対比で配合飼料の平均は一二五・三、また、肥料は一〇八・五、灯油は一四一・一、軽油は一二九・〇です。これら物財費の上昇は円安によるものであることは疑う余地はありません。電力は一一六・七で、これは、北海道では十一月に北海道電力による値上げ分が負担としてふえています。
消費税の八%増税も生活基盤を脅かしています。
安倍政権が進めてきたアベノミクスによる円安と消費税増税が畜産、酪農の経営悪化を加速させているという認識はありませんか。
○松島政府参考人 委員御指摘のように、酪農家の生産コストを見ますと、特に飼料価格が、これは最近でこそ落ちついてまいりますけれども、数年前にアメリカでのトウモロコシの価格高騰ということもございました。また、直近では、円安に伴う国内の配合飼料価格の上昇といったものがございました。そういったものの中で、生産コストが上がっているという実態にあるというふうに認識してございます。
私ども、酪農経営に対しましては、加工原料乳補給金制度で経営支援対策を行っているわけでございますけれども、その加工原料乳補給金対策の補給金単価の決定に当たりましては、そういった酪農家の生産コスト、また、それぞれの物財費の中での、餌ですとか光熱費とか、そういったものについての直近の物価水準も反映させて算定してきたということでございます。
○畠山委員 この間の円安によって酪農家は苦しんでいるわけです。正面から畜産、酪農の現状を見てほしい。
大規模農家は、頭数をふやし、大きな設備も導入して、大きな負債を抱えております。また、家族経営でも、離農した方の牛を可能な限り引き受けています。朝五時に牛舎に入って、夜九時に終えて出てくるという毎日の中で、ましてTPP交渉の進展に悩みながらも、今いる生産者は誇りを持って働いているわけです。それなのに、円安などによる物財費などの上昇で経営が追い込まれている。これは政府が追い詰めているのではないかと思うんです。
再生産に見合った加工原料乳生産者補給金の大幅引き上げがなければ、生産現場では担い手がいなくなって、地方が崩壊してしまうという危機感があふれ返っています。補給金の大幅な引き上げが必要だと思いますが、いかがですか。
○松島政府参考人 加工原料乳補給金の単価につきましては、先ほどお話ししましたように、算定ルールに従って算定いたしまして、最終的には、食料・農業・農村政策審議会の御意見も伺った上で決定するということでございます。
二十七年度の補給金単価につきましては、先ほど来委員会でも御議論がございますが、飼料価格の状況、また酪農家の副産物収入でございます子牛の価格の上昇といった、さまざまなものを総合的に勘案いたしまして、適切な水準に設定してまいりたいと考えているところでございます。
○畠山委員 この間の経営悪化というのは、その算定ルール、算定式を超えるほどの速度なわけです。補給金の決め方が実態に追いつかないから出荷戸数が減っているというふうに思います。
補給金の歴史を振り返れば、二〇〇〇年以前は、生産コストの手取りを確保するための不足払い制度というのが前身で、生産を守るために国が責任を負っていたはずです。それが、小泉政権のときから、生産者団体と乳業メーカーとの価格交渉になって、補給金は前年度からの変化率で算定されるというふうになりました。
北海道の実搾乳量キロ当たりの所得は、十年前まで約三十円ほどだったのが、二〇〇七年にはキロ十四円まで落ち込み、今も二十円に届いていません。この分を価格交渉だけに求めても、転嫁できないのは当然です。制度を変えたときに、現在のような生産コストの上昇は想定されていませんでした。国が生産への責任を投げ捨てて、こういう市場任せの制度で生産者を支えられなくなっているのが現実ではないのでしょうか。
補給金制度について見直す考えはありませんか。
○松島政府参考人 委員御指摘のとおり、加工原料乳補給金制度は、これまで、生産者の価格を国が行政価格として決定するという仕組みから、補給金単価につきまして、毎年度の生産費の変動を勘案して算定するという方式に改めたところでございます。
その際、さまざまな生産コストの変動がその以降も生じるということも念頭に置きまして、毎年の単価水準の決定に当たりましては、直近の過去三カ年の生産コストの変動、それから、まさに直近の物価水準といったものを反映するということによりまして、その時々の生産コストを反映した補給金単価になるよう適切に策定してまいったというふうに考えているところでございます。
○畠山委員 それは知っているわけです。
大臣、いかがですか。
○西川国務大臣 生産者にとってみれば、単価が大きい方がいいというのは当然のことでありますが、私ども、全体の予算の中でどうするか、こういうことを検討しております。
また、審議会等の意見も聞いて決定をする、こういう方式になっておりますので、私ども、その意見を聞きますけれども、私どもの原案としては、できる限り農家のためになるように、あと、残された時間は少ないのでありますが、努力を重ねてまいりたい、こう考えています。
○畠山委員 酪農とともに、肥育農家でも深刻な経営の実態にある中で、政府が畜産、酪農を守るために責任を果たす立場に立つことを重ねて強く求めます。
次に、これ以上の離農、離脱を食いとめるための施策について伺います。
離農がとまらないどころか、加速傾向にあります。
JA北海道中央会は、昨年、二〇一二年度に生乳出荷を停止した二百五戸の酪農家の実態調査を行いました。二百五戸のうち、後継者候補がいながら離脱したのが六十戸あります。生産コストが上がる中で、施設の更新時期を迎えたときに不安感から親が継がせなかった例があるといいます。さらに、二十代から四十代の現役世代の離脱が四十戸ありました。親から引き継いだ牛舎などの更新をしようにも踏み切れず、幸いなことに負債もないし、やめるなら今かと離脱している事例があると聞きます。
大臣は、このような離農、離脱の流れがとめられない理由について、どう考えていますか。
○あべ副大臣 委員にお答えいたします。
おっしゃるとおり、過去四年間で、酪農経営は全国で約一五%、二十二年で二万二千戸から二十六年の一万九千戸、また、北海道では約一〇%でございまして、二十二年の八千戸から二十六年七千戸という形で減少しているところでございます。
酪農から離脱した農家に関して、その要因を農林水産省で調査したところ、委員がおっしゃったように、高齢化、後継者不足が最も多くて、続いて、経営者の事故など、将来への不安などとなっております。
こういうことから、酪農の経営の減少を防ぐために、後継者、新規就農者への円滑な経営の継承、さらには、意欲の高い農業者による酪農経営の継続が図られることが重要だと考えているところでございます。
また、農林水産省といたしまして、酪農経営の収益性の向上によって、経営の円滑な継承さらには継続にも資するよう、畜産クラスター事業等を活用いたしまして、地域の中核的な酪農経営に対する施設、機械の整備を支援することとしているところでございます。
このような対策に必要な経費といたしまして、二十七年度当初予算額につきましては、最終的な計数調整の段階ではございますが、先般閣議決定いたしました二十六年の補正予算と合わせまして、対二十六年度当初予算比で五百億円を超える増額を確保したところでございます。
以上です。
○畠山委員 政府の対策というのは、規模拡大を進める一部の担い手へ偏り過ぎているというふうに思うんです。
北農中央会が二〇一三から二〇一五年の三年間のうちに頭数をふやす計画があるかと調査したところ、あると答えたのが二八・二%、ないと答えたのが七一・八%です。中には離農された方がいるかもしれませんけれども、約七割は、拡大はしないけれども続けている、生産意欲を持った担い手であるというふうに思います。厳しい経営環境に、労働時間もふえるし体もきついから、規模拡大をちゅうちょする方がいるのも当然だというふうに思います。
規模はふやせないんだけれども、生産環境はよくしたい、生産量を上げたいという方がいます。全面的には無理でも、部分的な改築などで、その道を描ける方や次の段階に進む意欲が湧く方もいるのではないかと思います。現状維持でも、意欲ある生産者の支援と負担軽減へ、例えば設備をリフォームしたいという要望への支援などを検討すべきではないでしょうか。
○あべ副大臣 委員のおっしゃるように、畜産経営におきまして、家族経営から企業経営に至るまで多様な経営がございまして、それぞれの特徴を生かしつつ収益の向上に取り組むことが重要であるというふうに私どもも考えているところでございます。
特に、畜産クラスターに関しましては、畜産農家を初めとする地域の関係者の連携、結集によりまして、地域全体で収益性を向上させるという取り組みでございます。畜産クラスター事業におきましては、規模の大小にかかわらず、地域の中心的な経営体に位置づけられれば、多様な経営体を支援することとしているところでございます。
○畠山委員 今は規模拡大できないんだけれども、行く行くは収益を上げたいとか、行く行くは後継者が戻ってくるとかいう生産者もいます。こういう人たちに柔軟な対応ができると確認してよろしいですね。
○松島政府参考人 先ほど副大臣から御答弁申し上げましたように、クラスター事業というのは、それぞれの地域で畜産関係者が連携していただきまして、計画をつくっていただきまして、そこで位置づけられた中心的な畜産経営体を支援していくという仕組みでございます。
したがいまして、その地域地域の事情に応じて、どのような経営体を位置づけるかということにつきましては、基本的には、地域の判断を尊重してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○畠山委員 確認できたと思います。
大規模農家も家族経営も、規模を問わずに、意欲ある全ての農家を支える立場に立ってこそ、離農、離脱の歯どめをかけられます。重ねて充実を求めます。
最後に、日豪EPAとTPPについて伺います。
日豪EPAの発効を十五日に控えて、関税引き下げに不安が高まっています。畜産、酪農に対する影響について政府は調査する意思があるか、また、甚大な影響があるという場合にはどのように対応していくつもりですか。大臣に伺います。
○中川大臣政務官 畠山委員の質問にお答えいたします。
日豪EPAの協定内容につきましては、交渉妥結時の林大臣の談話にも明記されておりますとおり、我が国の畜産、酪農の存立及び健全な発展が図っていけるような内容であるというふうに考えております。
牛肉については、豪州産は、むしろ主として米国産牛肉と強く競合しておりまして、影響は限定的というふうに考えております。しかし、畜産経営への影響については注視をしてまいりたいというふうに存じます。
一方、乳製品に関しましては、バター、脱脂粉乳に関しては将来の見直し、ナチュラルチーズについては一定量の国内産品の使用を条件とした関税割り当ての設定となっており、国内の生乳生産に影響を及ぼさない範囲の合意内容であるというふうに考えております。
○畠山委員 日豪EPAに続けてTPPなのですから、生産者の不安は大きいわけですし、政府が本当に農業を守る気があるのか、日本の食料を守る気があるのかと多くの農家は思っています。
今度は大臣にお伺いしますが、このTPP交渉に対する不安にどう応えますか。
○西川国務大臣 日豪EPAについて、今、中川政務官がお答えをいたしました。
それで、きょうは十三日、あさって一月十五日に日豪EPAは発効いたします。そこで確かに牛肉等の関税が下がり出す、こういうことが一番心配かと思います。
現在三八・五%の牛肉、これは冷蔵も冷凍も分けておりません。しかし、今度は、日豪の間では、冷凍物と冷蔵物を分ける約束ができました。冷蔵物については、日本人の食生活の中で大変摂取が、所得が高い人たちもとられる、こういうこともありまして、ここは非常に慎重に交渉をしまして、十五年後に二三・五%でとどめる、こういうことにしました。冷凍物については、割と加工食品に使われるということで、十八年かけて一九・五%まで下げる、こういうことにしたんですね。牛肉の例を申し上げております。
そのときに、それでは量がたくさん入ってきたらどうするんだ、こういうことになりますので、私どもはセーフガードをとりました。ある程度の量を超えたらまた三八・五%に戻ります、こういう約束で日豪のEPAはできております。
また、畠山委員が心配しておる生乳の問題等はありますけれども、加工食品をつくるときは日豪で抱き合わせで使う、日本の牛乳も使ってくれなければ向こうの乳製品は日本に入らない、こういうことも取り決めをしておりますので、私どもとしては当面日豪のEPAの影響は出ないことを願っておりますが、出るか出ないかは、この一月十五日以降で調査し、対応してまいりたいと私どもは考えております。
それから、TPPについては、一昨年の二月の二十三日でありましたが、オバマ大統領と安倍総理の中で、日米お互いに、両国とも慎重に扱ってもらうべき分野がありますね、アメリカは自動車であり、工業製品ですということを私どもに伝えてあります、日本としては農林水産物、ここは慎重に扱ってください、こういうことで、日米の共同宣言は、お互いにそこに配慮をする、こういうことを確認されましたので、私どもはTPP参加を決めた、こういうことでございます。
交渉は、何度も大詰め大詰めという話になっておりますが、残された部分は非常に少ないと聞いておりまして、これらは、私どもとしてはアメリカの情報を待っておりまして、形としては衆参の農林水産委員会で評価をいただけるものにしていきたいと思います。
日豪EPAについては、私どもからすれば残念ですが、共産党の皆さんだけが反対をされたということを申し上げておきます。
○畠山委員 本当に日本の農業を守るのかという疑いの目が向けられているわけですよ。
安倍首相が、イギリス雑誌「エコノミスト」に、私は交渉を柔軟に進めるよう指示を出しています、この強い決意が速やかな結論に結びつくと思いますと答えています。
一方で、昨年の総選挙で安倍首相が北海道入りしたときは、TPPについてはだんまりでした。
外国に向けては推進を表明し、オール北海道でTPP反対の声が上がっている北海道では語ろうともしない、どうしてこれで政府を信用できますか。
十勝の町村会長を務められている高橋正夫本別町長は、十勝に来てTPPを一言も言わないなんて無責任きわまりない、ひど過ぎるとコメントするなど、疑問や批判的意見が出されています。
改めて、このような不安や批判に、大臣はどう答えますか。(発言する者あり)
○江藤委員長 傍聴席は静かにしてください。
○西川国務大臣 総理がなぜ発言しなかったのか、私は承知しておりませんが、総理も常々、日本の農林水産業を守り抜く、この考え方には変わりはございません。そういう意味で、競争力をこれから高めていかなきゃなりませんが、このTPPでも、日本の農林水産業が傷まない、こういう状況で進めていく、これが基本的な考え方と承知しております。
○畠山委員 日本共産党は、農業と地域を壊すTPP交渉からの撤退を掲げて、北海道でも十一年ぶりに議席を与えられました。ここにしっかりと民意があらわれているというふうに思います。
生産者は不安を抱えています。開拓農家として北海道に入り、日本のためにと食料もつくってきたのに、後を継いでくれと子供に言えない農家の苦悩があります。苦境にあえぐ生産者をさらに追い詰めるTPPは、認めるわけにはいきません。
日本共産党は、農業を日本の基幹産業に据える方針を持つ党として、農業と地域を壊すTPP交渉からの撤退を強く求めまして、私の質問を終わります。
――――◇―――――
○江藤委員長 この際、齋藤健君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、維新の党、公明党及び日本共産党の五派共同提案による平成二十七年度畜産物価格等に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。篠原孝君。
○篠原(孝)委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきたいと存じます。
平成二十七年度畜産物価格等に関する件(案)
我が国の畜産・酪農は、高齢化や離農の増加による生産基盤の弱体化に歯止めがかからず、子牛価格の高騰による肥育経営への影響や、国内乳製品需給のひっ迫のため乳製品の追加輸入を余儀なくされるなど危機的な状況にある。
よって政府は、こうした情勢を踏まえ、平成二十七年度の畜産物価格及び関連対策の決定に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。
記
一 我が国畜産・酪農の生産基盤の維持・拡大を図るため、地域農業・地域社会を支える多様な畜産・酪農の経営類型ごとの指標を示し、生産物の付加価値の向上や飼料費等の生産費削減、効率化等の取組を通じて、将来に向けて魅力ある持続可能な経営が実現できるよう、十分な所得を確保できる実効ある制度を含め、中・長期的な畜産・酪農の基本政策を確立すること。
二 加工原料乳生産者補給金の単価及び交付対象数量については、飼料価格の高騰等を踏まえ、酪農家の経営努力が報われ、営農意欲が喚起されるよう、再生産の確保を図ることを旨として適切に決定すること。
また、需要の拡大が期待できる国産チーズの生産拡大のための対策を充実・強化するとともに、担い手の労働負担を軽減する搾乳ロボット等の設備・技術の導入や酪農ヘルパー・育成センター等の地域営農支援組織への支援を充実すること。
三 牛肉・豚肉の安定価格及び肉用子牛の保証基準価格等については、畜産農家の経営安定に資するよう、需給動向、価格の推移、飼料価格の高騰等に十分配慮し、再生産の確保を図ることを旨として適切に決定すること。
また、肉用牛繁殖基盤の拡大等に一定の期間を要する中で、肥育経営の安定を図るため、肉用牛肥育経営安定特別対策(新マルキン)事業等については、必要な財源を確保し、その充実を図ること。
四 高収益型の畜産を実現するため、関係事業者が連携・結集した地域ぐるみの畜産クラスターの構築を推進するとともに、施設整備、機械のリース整備への支援を充実・強化すること。また、和牛受精卵移植を活用した和子牛生産や繁殖雌牛の増頭支援、酪農後継牛確保のための性判別精液・受精卵の活用への支援を一層強化すること。
五 配合飼料価格安定制度については、畜産・酪農経営の安定に寄与するよう、必要な財源を確保するとともに、制度の拡充を図ること。
六 輸入飼料依存から脱却し、国産飼料の一層の生産と利用を促進するため、コントラクター・TMRセンターの育成・活用や高栄養粗飼料の増産、草地改良の実施、放牧の推進等への支援を充実・強化すること。特に、飼料用米の活用促進を図るため、多収性専用品種の種子の確保・普及や改良を進めるとともに、流通や製造体制の整備を支援すること。
七 地産地消や食育の取組を進め、国産畜産物の消費拡大を推進すること。また、家畜疾病や原発事故等を要因とする各国の輸入規制の撤廃・緩和に向けた働きかけを強化するとともに、食肉センターの輸出拡大に向けた整備の促進や、ジャパンブランドとして一元的な輸出に資する取組への支援等輸出促進対策を一層進めること。
八 原発事故に伴う放射性物質により汚染された牧草地の除染対策と汚染された稲わら、牧草及び堆肥の処理を強力に推進するとともに、原発事故に係る風評被害対策に徹底して取り組むこと。
九 畜産経営に大きな被害を及ぼす家畜疾病については、適切な飼養管理の徹底や予防対策が重要であり、ワクチンの供給や予防に必要な消毒資材に対する支援を充実すること。
十 日豪EPAの発効に伴う畜産・酪農経営及び地域経済への影響を注視し、必要と認められる場合は速やかに適切かつ十全な対策を講ずること。
十一 TPP交渉については、我が国の畜産・酪農が今後とも安定的に発展できるよう、平成二十五年四月の本委員会決議「環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉参加に関する件」を遵守し、確固たる決意をもって臨むこと。
右決議する。
以上です。
何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
○江藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○江藤委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とするに決しました。
この際、ただいまの決議につきまして農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣西川公也君。
○西川国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨に従いまして、最近の畜産をめぐる情勢を踏まえつつ、十分検討してまいる所存でございます。
○江藤委員長 お諮りいたします。
ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○江藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
本日は、これにて散会いたします。
午後四時十分散会