衆議院

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第8号 平成27年5月13日(水曜日)

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平成二十七年五月十三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 江藤  拓君

   理事 加藤 寛治君 理事 齋藤  健君

   理事 宮腰 光寛君 理事 吉川 貴盛君

   理事 渡辺 孝一君 理事 玉木雄一郎君

   理事 井坂 信彦君 理事 石田 祝稔君

      井野 俊郎君    伊東 良孝君

      伊藤信太郎君    池田 道孝君

      今枝宗一郎君    勝沼 栄明君

      小林 鷹之君    瀬戸 隆一君

      武井 俊輔君    武部  新君

      中川 郁子君    中谷 真一君

      中村 裕之君    西川 公也君

      橋本 英教君    古川  康君

      前川  恵君    宮崎 謙介君

      宮崎 政久君    宮路 拓馬君

      森山  裕君    簗  和生君

      山本  拓君    金子 恵美君

      岸本 周平君    小山 展弘君

      佐々木隆博君    福島 伸享君

      井出 庸生君    小熊 慎司君

      村岡 敏英君    稲津  久君

      佐藤 英道君    斉藤 和子君

      畠山 和也君    仲里 利信君

    …………………………………

   農林水産大臣       林  芳正君

   内閣府副大臣       西村 康稔君

   農林水産副大臣      あべ 俊子君

   文部科学大臣政務官   山本ともひろ君

   農林水産大臣政務官    佐藤 英道君

   農林水産大臣政務官    中川 郁子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  澁谷 和久君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         今城 健晴君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房統計部長)          佐々木康雄君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            櫻庭 英悦君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  松島 浩道君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  奥原 正明君

   政府参考人

   (水産庁長官)      本川 一善君

   農林水産委員会専門員   奥井 啓史君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十四日

 辞任         補欠選任

  武井 俊輔君     堀内 詔子君

同日

 辞任         補欠選任

  堀内 詔子君     武井 俊輔君

五月十三日

 辞任         補欠選任

  今枝宗一郎君     中村 裕之君

  勝沼 栄明君     宮崎 謙介君

  瀬戸 隆一君     宮崎 政久君

  井出 庸生君     小熊 慎司君

  松木けんこう君    井坂 信彦君

同日

 辞任         補欠選任

  中村 裕之君     今枝宗一郎君

  宮崎 謙介君     小林 鷹之君

  宮崎 政久君     瀬戸 隆一君

  小熊 慎司君     井出 庸生君

同日

 辞任         補欠選任

  小林 鷹之君     勝沼 栄明君

同日

 理事松木けんこう君同日委員辞任につき、その補欠として井坂信彦君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

五月十二日

 農林水産省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出第二四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 農林水産省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出第二四号)

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

江藤委員長 これより会議を開きます。

 理事の補欠選任の件についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴いまして、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に井坂信彦君を指名いたします。

     ――――◇―――――

江藤委員長 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官今城健晴君、大臣官房統計部長佐々木康雄君、食料産業局長櫻庭英悦君、生産局長松島浩道君、経営局長奥原正明君、水産庁長官本川一善君及び内閣官房内閣審議官澁谷和久君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊東良孝君。

伊東(良)委員 おはようございます。

 きょうは、西村副大臣にも御出席をいただいているところでございますが、限られた時間でございますので、早速、TPP交渉等についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 西村副大臣は、四月の三十日から米国のワシントンを訪問し、また政府関係者、議会関係者と、TPPあるいはTPA法案の状況などについて意見交換をしてきた、このように聞いているところでありますが、その目的あるいは成果について、いま一度しっかりと御説明をいただきたい、このように思います。

西村(康)副大臣 お答え申し上げます。

 今回のアメリカ、米国への出張は、一つには、主要金融市場の関係者あるいは政府要人等への、いわゆる我々が進めております経済政策、アベノミクスについての取り組み状況、あるいはこれまでの成果、こういったことの説明、意見交換、こうしたものを行ってきたわけでございまして、広くアベノミクスについての理解を求めるというのが一つの目的でございました。

 それからまた、御指摘がありましたように、今回の訪米中、TPPにつきましても、下院の貿易小委員会のティベリ小委員長、日米コーカス、TPPコーカスの共同議長でありますブスターニ議員、それから前貿易小委員長でありますニューネス議員、こういった議会の方々ともお会いをしまして、TPPあるいはTPA法案についてさまざまな意見交換を行ったわけでございまして、情報収集等、有意義な意見交換が行われたものというふうに考えております。

伊東(良)委員 アメリカの主要な議員の皆さんとの意見交換、あるいは政府関係者とのお話ということでありました。

 その中で、五月の四日でありますけれども、記者会見の中でも、今回、議員なりといろいろお話をして、USTRは対外的に情報を出さないという条件でアメリカの国会議員にテキストへのアクセスを認めていることを確認した、こう、この記者会見であるわけであります。

 なおまた、さらに、日本でも、戻ってから相談するが、来週以降、テキストへのアクセスを国会議員に認める方向で調整したい、ここまでお話をされたわけでありますけれども、この発言に至る心境の変化というか情勢の認識というか副大臣の考え方、あるいはその経緯についてお伺いをいたしたいと思います。

西村(康)副大臣 お答えを申し上げます。

 TPP交渉に関する情報の開示につきまして、五月四日、これはワシントンの現地時間でありますけれども、私の発言によりまして、今御指摘のありました誤解あるいは混乱が生じたことに対しまして、まず、おわびを申し上げたいと思いますし、その上で、改めて、経緯につきまして、私の真意につきましても御説明を申し上げたいというふうに思います。

 御案内のとおり、TPP交渉につきましては、交渉参加国の合意事項であります保秘に関する約束において交渉に関する情報が外部に漏れないということを厳しく定めておりまして、その制約のもとでの情報提供について、どのような工夫ができるか、これまでも常に悩みながら検討を行ってきたところでございます。

 アメリカにおきましては、以前より、連邦議会議員へのテキスト閲覧を認めているとホームページ等で書かれておりましたけれども、実態について十分な情報が得られなかったわけであります。一方で、テキストへの十分なアクセスが得られなかったという連邦議員の不満の声も寄せられているということも承知をしておりまして、アメリカも悩みながら対応しているというふうに理解をしておりました。

 本年三月になりまして、アメリカが全ての連邦議員にTPPテキストの閲覧を認めると報道されたことで、国会の場、委員会でもこの点について質疑がなされまして、甘利大臣も私も、実態を精査するというふうに答弁したところでございます。

 しかし、その後も十分な情報が得られなかったことから、四月十九日の日米閣僚会議の席上で、甘利大臣からフロマン代表に対しまして、実態を詳細に教示するよう強く要請したところでございます。

 それを受けて、四月二十三日からアメリカで開催されました首席交渉官会合の機会に、私どもTPP政府対策本部の職員がUSTRに対して詳細な調査を行ったところでございます。また、私も、先ほどお話し申し上げましたとおり、今回の訪米中、米国議員との意見交換を通じて、直接聞き取りも行ったところでございます。

 アメリカにおきましては、外国との通商を規制する権限が、憲法上、連邦議会に対して与えられているということ、また、連邦議員には守秘義務が付されているということから、我が国とは制度が大きく異なっております。

 アメリカはそのような制度を前提として対応していると理解をしておりますけれども、我が国は我が国の制度を前提とした対応を行うことが必要でございまして、五月四日の私の発言は、そのような前提、制約の中で、今後どのような情報提供の工夫ができるか、引き続き検討していきたいということが真意でございました。

 そのことが、気持ちが強く出ましてあのような発言になってしまって、いろいろ誤解、混乱を生じたことを改めて反省しているところでございます。

伊東(良)委員 私もこのお話を一番最初に聞いたときは、本来そうあるべきだという思いをつくづくいたしました。制度の違いとかなんとかは私はわからなかったですけれども、しかし、守秘義務というか、これまでも非開示が原則だということで、ある程度納得せざるを得ないような形の中で推移してきたわけでありますが、一方では、アメリカでは国会議員がその情報を知り得ることになる、日本の国会議員はそれを知らないというのはいささか不公平ではないかという思いがずっとしていたところでもあります。

 私にしてみると、当初の副大臣の発言というのは、どういう形になるかは、アメリカとは一緒ではないにしても、これは大事なことだという思いをしたところでありまして、私は、恐らく副大臣もそのような思いがやはり根底にあったのではないか、アメリカの国会議員が知っていて日本の国会議員が知らない、これは対等な交渉になるのかという思いがあったのではないか、そういう思いがいたしました。この点については、副大臣、いかがでございますか。

西村(康)副大臣 今回の訪米中、実は超党派の訪米団での経済に関するセミナーもございまして、記者会見の直前でもやはり情報開示の話題にもなりました。常々、できる限り情報開示すべきだという思いは持っておりますので、日本でも何かできないのか、何か工夫はできないのかなというのは強く思っているところでございます。その思いが強く出てしまいまして、あのような誤解を招くような発言となってしまったことを反省している次第でございます。

伊東(良)委員 今もお話しいたしましたけれども、さまざまな条件の違い、義務感の違い等々があるわけであります。

 五月の四日の記者会見の中で、副大臣は国会議員に対する情報開示、アクセスに対する日本と米国の違いについても確かに言及をされているわけであります。TPPの情報アクセスについてUSTRから聞いてみたいというお話でありましたけれども、USTRから米国の国会議員に対してどのような開示方法がとられているとお聞きしたのか、お聞きいたします。

 まず、そのときは日本でも同様のアクセスが、恐らく副大臣の頭の中では、これは少し可能なのではないか、そういった感触を得たのでこういった発言になったのではないかというふうに私は推測するわけでありますが、副大臣も、守秘義務や罰則、アクセスの範囲などを日本に帰って検討したいと、この五月の四日の記者会見では述べられております。

 これらの課題について、その御発言の当時、どのような感触、あるいはどのような認識をされていたのか、お伺いするところであります。

西村(康)副大臣 お答えを申し上げます。

 米国の議員に対する情報開示について精査した結果、これは私も直接聞き取りをしたもの、あるいは先ほど申し上げたUSTRの職員に対して私どもの対策本部の職員が聞き取りを行ったもの、そういったものを総合してのことでありますけれども、改めてその点を申し上げますと、次のとおりでございます。

 第一に、連邦議員はTPP協定のルールに係る条文案、いわゆるテキストでありますけれども、これについて閲覧が可能であります。ただし、関税に係る譲許表など各国別の附属書は開示をされておりません。

 それから二つ目に、そのテキスト、文書については、秘匿文書閲覧室という部屋で閲覧をされ、メモはとれない、携帯電話やカメラ、その他の電子機器の閲覧室への持ち込みも禁止されているということであります。

 それから三つ目に、その閲覧した内容については、一般有権者、マスコミはもとより、セキュリティークリアランスを得ていないスタッフとの間で共有したり議論したりすることは一切できない。

 こうしたルールで行っているということでございます。

 それから、この点も大事な点でありますけれども、我が国とは異なりまして、米国の連邦議員には守秘義務がありまして、違反した場合には刑事罰の対象となり得るとの認識のもと、この条文案が、テキストが閲覧に供されているわけでございます。

 それから、アメリカにおきましては、外国との通商を規制する権限が、憲法上、連邦議会に与えられているということと、先ほどの連邦議員には守秘義務が課せられているということをあわせて、我が国とは制度が大きく異なるということでございます。

 アメリカはこのような制度を前提として対応しているものでございまして、我が国は我が国の制度を前提とした対応を行うことが必要でございます。私の五月四日の発言は、そのような前提、制約の中で、それでも情報提供の重要性は強く感じてきているところでございますので、今後どのような情報提供の工夫ができるのか、できる限り何かやりたいという気持ちでございまして、引き続き検討していきたいということが真意でございました。

伊東(良)委員 今のお話を聞いていて、わかるところはわかるんですけれども、少しわからないのは、それだけのアメリカと日本の違い、あるいは国会議員の立場、情報開示のあり方、義務、罰則、そういうものが違うにもかかわらず、五月の四日、記者から運用の開始時期を問われたとき、この時点では法整備をしている時間もないとの認識のもとで、やるとすればできるだけ早くしないと、来週以降、何らかのタイミングでそういうことを考えたい、ここまでおっしゃっているわけであります。

 それが、わずか三日後の五月七日、ロサンゼルスの記者会見で、私の発言に誤解が生じている等々、今御答弁いただいたような話になってきているわけであります。

 日米の制度の違いというのは四日の記者会見の当時から既に認識をされていた、こう思うわけでありますけれども、四日の会見を否定された七日の会見、そこに至る経緯や、なぜそのような発言になったのか、再度お伺いをするところであります。

西村(康)副大臣 繰り返しでありますけれども、以前より情報開示をしっかり行っていくべきだという気持ちを強く持っておりまして、それから、直前の超党派でのセミナーの場でも情報開示についてのやりとりもございました。そういったことを踏まえて、何か工夫ができないのか、それから、TPPの交渉も終盤を迎える中で、できるだけ多くの皆さんに理解もしていただきたい、そういう思いも強くございまして、あのような発言に至ってしまったことを反省しているところでございますけれども、この制度、制約がありますけれども、その中で何か工夫はできないかということは、引き続き検討していきたいという思いで申し上げたところでございます。

伊東(良)委員 今後の情報開示に取り組む姿勢というのは評価されるところではありますけれども、日本の国会議員がアメリカの国会議員並みの情報の提供を受ける、あるいはまた、国民あるいは業界団体等々の皆さんにも、いろいろ聞いて、一番御不満なのは、情報開示がなされていない、あるいはマスコミでその都度違う数字がぱらぱら出てくる、こうしたことが問題だという指摘を受けるわけであります。

 私は、今副大臣がおっしゃられたように、今後の情報開示のあり方、そしてまた、もう少し国民にも国会にもオープンに、これらを、本当に影響のない保秘義務、守秘義務の範囲内というか、ひっかからない程度のことはしっかり開示する必要がある、こう思いますが、今後の取り組みについてお聞かせをいただきたいと思います。

西村(康)副大臣 お答え申し上げます。

 情報提供につきましては、政府といたしまして、これまでもできる限り丁寧な説明を心がけていたところではございますけれども、先ほど来申し上げている制約のもとではありますが、今後もこうした質疑の場、あるいはその他さまざまな場を通じて、TPP交渉の現状につきまして、できる限り丁寧に御説明をしていきたいというふうに思います。

 五月一日には、TPP交渉テキストの現時点での概要を改めて、追加的な資料も含めて、内容も含めて公表したところでございますし、これまでも、交渉会合の節目ごとに、関係団体あるいは地方公共団体に対する説明会なども実施してきておりますけれども、今週十五日には、初めて一般国民の方々も含めた説明会を開催する予定にしております。

 今後、国会における質疑あるいは説明会での御意見なども踏まえまして、情報提供についても、できる限り幅広く行っていくという工夫をしていくということで努力をしてまいりたいというふうに思います。

伊東(良)委員 時間がもう少しでありますので、最後の質問にさせていただきたいと思います。

 実は、けさ入ってきたニュースで、十二日、アメリカ上院で、大統領貿易促進権限法案、いわゆるTPA法案でありますけれども、これが上院で否決されたというニュースが飛び込んでまいりました。上院で審議に必要な動議が否決されて採決ができなかったというお話であります。

 これによって、月内の法案可決が遠のいたのではないか、こう言われているところでありますけれども、副大臣が、四日の記者会見で、米国の議会、政府関係者との面談の中で、TPPの妥結にはTPA法案の成立が不可欠だ、こう述べてこられた、こう書いているわけであります。この背景、あるいは情勢、どのような発言であったのかお聞かせをいただきたいと思います。

 あわせて、TPPの妥結合意時期を日本としてどのように見ておられるのか、これについてもお聞きするところであります。

西村(康)副大臣 御指摘のとおり、昨日、現地時間五月十二日の十四時半というふうに聞いておりますけれども、TPA法案を議題に上げるという動議が五十二対四十五で可決をされなかった。六十票ないと妨害を防げないということでありますので、そういう意味でそういう結果になったというふうに承知をしております。改めて調整をされるというふうに聞いております。

 私が訪米中、議員とのやりとり等いろいろな情報収集を行った雰囲気は、ホワイトハウスも含めて、あるいは議会内の推進派の方々を含めて、何とかTPA法案を通そうという努力を非常に精力的に行っているということを強く感じたわけでございますけれども、私からは、今御指摘がありましたとおり、TPP交渉を妥結するにはTPA法案の成立が不可欠だという点と、それから日本としては、一旦妥結したものについて、アメリカの事情で何か再交渉を求められてもこれには応じることはできないということを強く申し上げてきたところでございます。

 いずれにしましても、TPA法案が今後どうなるかというところにもよってくるわけでありますけれども、交渉が最終局面を迎えているのは事実でございますので、引き続き、国益を最大限実現すべく、粘り強く、早期妥結に向けて交渉に全力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。

伊東(良)委員 これで終わります。ありがとうございました。

江藤委員長 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 おはようございます。公明党の石田祝稔でございます。

 きょうは、お時間をいただきましたので、TPPを中心に少々質問をいたしたいと思います。

 冒頭、質問の順番がちょっと変わりますけれども、今御質問もありました、私も、このTPPの交渉で、TPA法案が可決されるかどうか、非常に大きな鍵を握っていると思っておりましたが、今お話もありましたように、どうも審議入りが見送られた、こういうことであります。

 それで、確認したいんですが、ワイデンさんも反対なさったというふうにお聞きをしましたけれども、そのことの確認と、それから見通しについて、どういうふうに見ておられるか、まずお聞きをいたします。

澁谷政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど副大臣がお話ししましたとおり、アメリカ時間の五月十二日の二時三十二分から投票がなされました。これは、TPA法案を含む若干の法案を次の本会議の議題にするかどうかということの動議についての投票でございまして、賛成五十二、反対四十五、投票せず三、そういう結果でございます。

 民主党のワイデン議員、上院の財政委員会の筆頭でございますが、反対票を投じております。

 反対票を投じた民主党議員の声明なども私は読みましたが、上院の財政委員会で、TPA法案とセットで議論された幾つかの通商関係の法案がございます。これを全部パッケージで議題にするべきだ、今回のマコーネル議員が議題に出した動議ではそういったものが全てパッケージになっていなかったということについて不満である、こういうような声明が出されているのは承知しているところでございます。

 いずれにいたしましても、今後、動議し直しということになると思いますが、TPAを含むどういうパッケージで出すかということで、共和、民主の調整がなされるというふうに承知しております。

石田(祝)委員 この点、もう一つお聞きしますけれども、我々は、やはり一括して権限を委任してもらわないと、話し合いをしてまとまっても議会でどうなるかわからない、これではちょっと結論を出せませんね、カードを最後に切れませんね、こういうことだったろうと思います。

 これは副大臣にお伺いをしたいんですが、TPA法案が通らなければ、やはりこれは無理だ、妥結までいくことは当然できない、こういう政府としてのお考えかどうか。これはいかがですか。

西村(康)副大臣 お答え申し上げます。

 この交渉に参加をしているそれぞれの国が、今、最終局面の中で、最終のカードを切るかどうか、最終の決断をするかどうかという段階に来ているわけでございますけれども、その決断をするに際しては、やはり再交渉みたいなことはない、アメリカがしっかりイエスかノーかで、ある意味で政府が権限を得て交渉できるというところのいわゆるTPA法案の成立が不可欠だということは、これはそういうことだと思いますので、交渉妥結にはTPA法案の成立が不可欠だということで、私もアメリカの関係者にも申し上げたところでございます。

石田(祝)委員 これは逆から見たら、TPAが通ったらもう妥結だと、これはまた逆で、違うと思うんですね。これはどこまでいっても、我々の委員会決議が守られたということを我々が評価できる中身でないと、TPA法案が通りましたから、では、自動的に行きましょう、こういうことじゃないということを私は申し上げておきたいと思います。

 西村副大臣にこれからお聞きをします。

 今もお話がありましたし、副大臣からも、きのうもさまざまお話をお伺いいたしましたが、極めて優秀で頭のよろしい副大臣が、真意が理解されなかったとか、そういうお話をされていましたけれども、私は、最初にこの副大臣のお話がアメリカであったということを聞いたときに、二つ疑問点があったんですね。一つは、なぜ海外でそういうことをしゃべったのか。もう一つは、これは本来大臣が言う話ではないのか。ですから、これを副大臣がおっしゃったということは、大臣に相談もせずに、自分として何とかしたい、そういう思いも強くおありだったと思うんですけれども、私は誰にも相談せずにやったと思えないんですね。

 ですから、これは相談せずにやったら、これは大臣の権能に踏み込んで、ちょっと越権ではないのか、もしくは話し合っておったら、その後のことはちょっとわかりにくいな、こういうふうに私は率直に思うんですけれども、副大臣としては、真意が誤解されたのか、それとも自分自身の発言そのものがやはりふさわしくなかったのか、そのあたりはどうなんですか。

西村(康)副大臣 お答えを申し上げます。

 今回、アメリカで私なりに情報収集を行っていろいろ意見交換を重ねてきたそのこと、それから、超党派での、与野党を超えてのいろいろな意見交換あるいはセミナーの場でこの情報開示についても話題になってきたというようなことを踏まえて、従来から情報開示をしっかり行っていかなきゃいけないという思いを持っておりますので、さらにその思いを強めて、何か工夫ができないか、アメリカの議員も見ているというようなことの情報にも接する中で、これはそういう思いが強く出過ぎまして、誤解を招くような発言につながったということで、反省をいたしておりますし、その部分については撤回をさせていただいた次第でございます。大変混乱を与えたことを本当に申しわけなく思っております。(発言する者あり)

石田(祝)委員 人が質問しているんだから、ちょっと静かにしてくださいよ。自分のところの政党でやっているんだったらやじってもいいけれども、私が質問しているんですから、頼みますよ。(発言する者あり)人が質問しているときは静かにしてくださいと言っているんですよ。

江藤委員長 静粛に願います。

石田(祝)委員 これは林大臣にお聞きしたいんですけれども、さまざま、私たちは情報に十二分に接していない、そういう気が拭えないんですけれども、大臣として、非常に大事な守るべきこの重要五項目、この交渉過程について知らなかったことがあったとか、よもやそういうことはないと私は思いますけれども、全てその交渉過程において情報交換、どういうことで進んでいるか、特に農産品五項目については全て微細に承知している、そういうことでよろしいですか。

林国務大臣 TPP交渉につきましては、政府の対策本部のもとで政府一体となって交渉しておりまして、農林水産省としても、農林水産業を所管する立場から、主体的に交渉に参画をしておるところでございます。

 私も、担当の大臣として、農林水産物の市場アクセス交渉を初めとして、当省の所管事項に関する交渉については逐一報告を受けまして、状況を把握した上で、交渉方針に関する判断を行っているところでございます。

石田(祝)委員 続いてお聞きをしたいんですが、この情報開示について、西村副大臣は、やはりどういう形でか、できるだけの情報開示をしたい、こういう思いが強く出過ぎたのではないか、こういうふうなお話だったと思います。

 これで、今もお話がちょっとありましたけれども、アメリカは守秘義務があるんだ、日本はそういうものはない、特に国会の中での発言については責任を問われない、こういうことになってくるわけであります。

 これは、現状で、情報開示について、米国の議員と私たち日本の議員は、情報に接する程度が全く同じだというふうに評価をされているのか、若干そういう仕組みの違いがあって、アメリカの方が情報が進んでいるんだろう、こういうふうに評価されているか。これは具体的にお答えいただけますか。

澁谷政府参考人 お答え申し上げます。

 アメリカの連邦の議員に対する情報開示のあり方についての御説明をさせていただきますと、まずアメリカでは、大統領令によりまして、政府の機密文書の取り扱いが明示されているところでございます。政府部外の人間が機密文書にアクセスできるのは、次の三つの条件を満たす場合に限るというふうに限定されているところでございます。第一が、セキュリティークリアランスを受けているなど適正な資格があること、第二に、ノンディスクロージャーアグリーメントと言っておりますが、保秘契約にサインをすること、第三に、ニード・ツー・ノウと言っておりますが、真に知る必要があること、この三つの条件でございます。

 連邦議会議員は、就任と同時にセキュリティークリアランスをとったものとみなされているようでございます。また、契約にサインすることも免除されているようでございますが、最後の真に知る必要があるという、このところは連邦議員でもかなり厳格に適用されているようでありまして、連邦議員であれば政府の機密文書に直ちにアクセスできるということにはなっておらないということのようでございます。

 ただ、通商関係の資料へのアクセスにつきましては、通商関係の資料にアクセスすることの必要性は、連邦憲法で、議会が外国との通商を規制する権限があるということが大きな要因となっているということのようでございます。

 次に、情報が漏れないという保秘の担保でございますが、連邦議員による秘密漏えいについて、まず、連邦議会の院内規則に規定がございます。具体的には、上院規則では、上院の極秘または秘密の議事、事務または手続を開示した場合には、上院議員の除名が明記されております。次に、下院の規則では、議員に秘密指定情報の漏えいをしないという宣誓を求めているところでございます。

 次に、一般法規である刑事及び刑事訴訟に係る米国連邦法典の適用があると理解するところでございますが、その前に申し上げます。

 一般的に、これは我が国でも全く一緒ですが、個別の事案に対する法の適用の有無については、個別事情に応じて異なるから一概には言えないとか、最終的には司法の場で判断されるというのが、これは我が国でもそういう言い方をすると思いますが、そういう前提で、そういうお答えになりますが、専門家からの聞き取りも含めてさまざまな情報をもとにいたしますと、連邦議員による秘密漏えいに対しては、刑事及び刑事訴訟に係る米国連邦法典第十八編のまずは第千九百二十四条、これは秘密文書の持ち出しに係る規定でございます。それから六百四十一条、これは公的な記録の移転に係る規定でございます。これの適用があり得るというふうに理解をしているところでございます。

 我が国の場合は、TPPのような情報を外部に漏らした場合、これを罰則で措置するような規定がございませんので、ここが大きな違いではないかと認識しているところでございます。

石田(祝)委員 懇切丁寧な御説明をありがとうございました、ちょっと長かったんですけれども。

 ですから、情報に接しているレベルが同じですか、違いますか、これをちょっと最後に、私はそこをお答えいただいていないように思いますけれども。

 はっきり言えば、我々が知っている情報よりも、向こうの方がそういういろいろな制度があるからもうちょっと知っているんじゃないですかということなのか、いや、あっても同じ情報ぐらいしか接していませんよ、こういうことなのか、どちらですか。

澁谷政府参考人 西村副大臣が御説明したとおり、連邦議員は、TPPの交渉テキストに関しましては、ルールの部分について、協定の案文をセキュリティーのかかった閲覧室で閲覧をすることができる。ただし、メモをとったり、録画をしたりすることはできないということでございます。

 私ども、テキストそのものを先生方にお見せするということはしておらないわけでございますが、さまざまな形で、現在どういう交渉がされているのか、何が議題になっていて、我が国としてどういうスタンスで臨もうとしているのかということも含めて、さまざまな場で御説明をさせていただいているつもりでございます。

石田(祝)委員 これはお答えは要りませんけれども、アメリカはそういう情報漏えいについて罰則があるということだったと思いますが、現実に今まで誰も処罰された人はいない、そういうこともお聞きをいたしております。

 続いて、ちょっと角度を変えますけれども、農産物の五項目については決議をいたしましたが、ちょっと水産について。

 先月、水産物への影響があるのではないかという記事を私は目にいたしまして、我々は農産品そのものの影響ということはいろいろやりましたけれども、例えば牛とか豚肉の値段が下がることによって魚介類への玉突き的な影響が出るんじゃないのか。

 これは私の知る範囲で議論が余りなされてこなかったように思いますけれども、水産物への影響について、例えば、我々が知る範囲で、こういう形で今進んでいるんじゃないのか、肉類、そういうものに対する反射的な影響というものが水産物にあるんじゃないか。

 これについて、今どういうふうに、頭の体操でもいいんですけれども、何も考えていませんということはないと思いますが、このあたりについて、これは長官にお伺いをしたいということでお願いします。

本川政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど先生がお触れになったように、魚介類と畜産物、特に肉類は動物性たんぱく質の供給源として共通でございますので、それについて、水産物と畜産物の価格の間で一定の相関があるのではないか、そういう前提に立って、先日、全漁連の方で一定の発表がされたということは承知をしております。

 まさに、同じ動物性たんぱく質として、水産物と肉類、消費の面でしのぎを削っているわけでありまして、そういう一定の見方があることについては十分承知をしております。

 ただ、市場アクセス分野は依然として交渉中でありまして、今、そういうような試算を行えるような状況にはないということでございます。

石田(祝)委員 これはもうこれ以上お聞きしませんけれども、今長官がお話しになったように、肉類と魚、ある意味ではトレードオフの関係になっている。両方とも一遍に同じ量だけ食べるということはない。肉を食べたら魚はちょっときょうはやめておこうか、こういうことだろうと思います。

 これについて、数字はどうかということは今お答えできないということでしたけれども、これはまさしく影響が出るということは考えておかなきゃいけないということだけ申し上げておきたいと思います。

 それでは、時間もなくなってまいりましたので、ミラノ万博と和食の件についてお聞きをいたしたいと思います。

 大臣も、五月一日からのミラノ万博に行かれて、日本館でさまざまな行事にも参加をされたというふうにお聞きをいたしておりますけれども、ミラノ万博で日本館に来ていただける方がどれぐらいかを考えても、一千万人来るということは考えられないわけですね。

 そういう中で、去年日本に来ていただいた訪日の外国人の方は千三百四十一万人、こういうことであります。ですから、私は海外へ行ってプロモーションするのも当然いいと思いますけれども、日本に来た方、いわゆるインバウンドの対策として、やはり和食、日本食のいい点に、おいしいな、安全だな、こういう点に触れて帰っていただいて、地元でまた食べたいなということで輸入をその当該の国からしてもらう、こういうことを私は考えるべきだと思うんですけれども、この点について、大臣、どういうお考えでしょうか。

林国務大臣 まさにおっしゃるとおりでございまして、私も連休の間にミラノの博覧会の日本館にも訪れてまいりました。大変すばらしい展示でございましたので、ここでいろいろと触れていただく、また海外でいろいろとこういう機会を利用して発信するということが、まずはFBI戦略の中のメード・バイ・ジャパンということで日本食の発信につながっていく、これがメード・イン・ジャパンの物の輸出につながる、こういうことにつなげていきたいということを考えております。

 まさにその先に輸出、もしくは、こういう機会を通じて触れていただいたら、やはりいつかは本場で本物を食べてみたい、こういうことにつなげていくことによって、インバウンドにつなげていく。

 これは、まさに地方創生、重要な課題になっておりますので、この本場というのは、何も大都会に限らず、日本国じゅうにあるわけでございますので、そういうところにインバウンドの、外国人旅行者の皆さんが来てくださるということも、農山漁村の活性化を通じて地方創生につなげていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。

石田(祝)委員 それで、私は一つ提案をしたいんです。

 和食は世界遺産になった。今、日本の文科省を中心に、いわゆる日本遺産という取り組みをなさっているんですね。私は、仮称、食の日本遺産みたいなものを、農林水産省を中心に、全国、日本のおいしいものといったら、すき焼きとかそれだけじゃなくて、それぞれ地域のものがあるよと。例えば、私は高知県ですから、カツオのたたきなんというのはまさしくカルパッチョみたいなものなんですね、さまざまほかにもありますけれども。そういう食の日本遺産的なものをぜひ宣伝して、大いに日本各地のものを宣伝してもらいたいなと思います。なぜかというと、東京に来て、東京から富士山を見て、京都へ行って、大阪へ行って、それで関空から帰っちゃうのでは困るわけなんですね。

 最後に、その辺のことをちょっとお聞きしたいと思います。

林国務大臣 まさに六月一日からGIも始まるわけでございます。カツオを食った帰りに、下関に寄っていただいてフグも食べていただければ、こういうふうに思いますけれども。

 まさに、郷土料理、食、こういうものの魅力あるコンテンツを受け入れ地域のマネジメントやマーケティングを一体的に推進する体制というものを構築していきたい、こういうふうに思っておりまして、いわば、今先生から御提案がありましたようなことも含めて、地理的表示産品、それから世界農業遺産というのもございますので、例えば食と農の景勝地みたいなものに集成をしてインバウンドにつなげていく、こういうことをしっかりと考えていきたいと思っております。

石田(祝)委員 ありがとうございました。

 終わります。

江藤委員長 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 民主党の玉木雄一郎です。

 質問をさせていただきますが、今、石田先生からGIの話があったので、同じ四国なので、ちょっと一つだけ大臣に申し上げておきたいんです。

 法律を通しました。今、施行されて、全国にこの新しい制度の説明をしているんですけれども、農政局単位で説明しているんですね。問題は中四国農政局です。中四国農政局なので、農政局管内で一個でやればいいといったら、いつも岡山とか広島でやって終わりなんですよ。何で四国に来ないんですか。ですから、石田先生もこうしておっしゃったので、四国でも説明会をぜひやってください。これを要望して、そういう方向で進めていただいているとは仄聞しているんですけれども、大臣、ぜひ、これは事務方に確認していただいて、四国を無視しないように。GIの制度は非常に大事だと思うんです。地域性を特に発揮してやっていくという意味では本当に大事なので、この点を事務方に大臣からも指示いただければなと思っておりますので、冒頭要望して、質問に入りたいと思います。

 それでは、きょう、与党の先生方からも質問がありましたTPPの情報公開、とりわけ、西村副大臣の発言を中心に質問したいと思います。

 西村副大臣、当委員会にようこそお越しをいただきました。

 まず確認をしたいのは、当委員会で決議をしたTPPに関する農林水産委員会の決議、これを守るという意識はおありでございますか。まず、その決意をお聞かせください。

西村(康)副大臣 しっかりとその決議を踏まえて、それを受けとめて我々は交渉に臨んでいるところでございますので、そのことを常に頭に置いているところでございます。

玉木委員 米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、そして砂糖という重要五項目を守るということは、これは先ほど石田委員からもありましたけれども、最後の最後まで、これは常に頭に入れて臨んでいただきたいということであります。

 もう一つ、この決議を守るとおっしゃっていただきましたけれども、第七項、これは何が書かれてあるか御存じですか。

西村(康)副大臣 しっかりと情報開示を行っていくという趣旨で書かれていることを認識しております。

玉木委員 その意味で、きょう、与党の先生方の話を聞いていただいてもわかったと思いますが、全く我々と同じ意見なんです、これは。与野党一致して、やはり情報公開をしっかりしていただいて、我々も国会議員として、与野党を超えて責任ある判断をしていきたい。特に、当委員会は決議をした委員会でありますから、最もその決議に合致しているかどうかということを責任を持って判断する一番最前線にいる国会議員だと思っているんですね。その意味で、時に厳しい質問をさせていただくわけでありますけれども、そういった観点からきょうも質問をしたいと思いますので、ぜひ誠実にお答えをいただきたいというふうに思っております。

 まず、資料をお手元にお配りしております。

 一連のさまざまな副大臣の御発言を少しまとめましたけれども、五月四日、まず、アメリカでは守秘義務のある連邦議員にTPP交渉の内容の閲覧を認めているということから、したがって、日本でも国会議員の守秘義務などのルールを定めた上で開示する方針を表明。五月四日です。

 私もこれは大変うれしく思いました、私も副大臣と一緒で、アメリカに同じころいましたので、これは私は帰ってきてから聞いたんですが。我々は、維新の党の皆さんと一緒に情報開示の議員立法を出したり、これは連休直前に出しましたけれども、あるいは当委員会でも何度も情報公開については求めてきた。また、連合審査も関係者の御努力によって開いていただいて、TPPに関する政府の答弁、特に甘利大臣も、どういう情報公開ができるのか頭の体操をしたいという、かなり前向きに踏み込んでいただいたので、それを受けての副大臣の発言だと思って、正直、大変歓迎をいたしました。

 しかし、その後、五日のニューヨークで、これも記者会見というふうに事務方の皆さんから聞きましたが、マスコミ二社に対して撤回したような発言をされ、そして、五月の七日であります、ロサンゼルス、これは日本のテレビでも報道されましたが、撤回をするというような趣旨の会見をされたということであります。

 大変前向きな発言から一転、極めて後ろ向き、きょうの答弁を聞いていても後ろ向きに変わっておられますけれども、この間、一体何があったんでしょうか。上司の甘利大臣から怒られたんでしょうか。あるいは、官房長官から叱責を受けたんでしょうか。この間の、これは変容とあえて書かせていただきましたけれども、なぜ変わったのか。その変わった一番の理由を教えてください。

西村(康)副大臣 先ほどの決議の項目にもありますとおり、情報開示、情報提供についてはできる限り行っていかなければならないという気持ちを強く持ってきていたところでございますし、先ほど来御説明申し上げているとおりなんですけれども、参加をした経済のセミナーの場等においても情報提供、情報開示についての話題になり、また、アメリカでは、今厳しいルールのもと、議員に開示をしているというような情報に接する中で、私なりに何か工夫はできないのかという思いが強く出て、あのような発言になってしまったことを反省している次第でございます。

 その点について、その日の、五月四日の発言の夜、報道を聞いて、改めて、私なりにこれは言い過ぎたということで反省をし、次の日のぶら下がりの会見の場を利用して、これは真意をしっかり伝えようということで、私自身が判断をして、その場を利用して発言の真意を申し上げたところですけれども、残念ながら、集まった記者が少なくて、そして報道にもならないということで、それを次の日、報道も確認しましたけれども、報道がないということも含めて確認した上で、もう一度改めて、これは撤回しなきゃいけないな、修正しなきゃいけないなということで、ロサンゼルスで会見を開いたわけでございますので、これは本当に私自身のそういう思いが強く出過ぎた点を反省しているところでございます。

 真意をロスで説明し、そのような誤解を与えたような発言について撤回をしたというのが経緯でございます。

玉木委員 今の説明を聞いてもよくわかりません、なぜ変わったのか。

 それで、一つ確認なんですが、二ページ目、資料二を見ていただきたいんですが、五月四日の最初の発言ですね。

 これは、繰り返しになりますけれども、USTRは対外的に情報を出さないという条件で連邦議会議員にはテキストのアクセスを認めている、したがって、日本でも来週以降、今週ですよね、この最初の五月四日の発言のとおりだったら、まさにこの週、我々はテキストへのアクセスが何らかの形で認められていたはずなんですが、そうはなっていない。

 私は、ここをまず確認したいんですが、事務方の皆さんにも聞きましたけれども、五月四日の西村副大臣の発言は、およそ担当の副大臣、政府の機関たる副大臣が発言されるわけですから、ましてや私的な思いや希望を話すことを記者会見でやるとは思えないんですね。一定程度、発言をするときは、特にTPPは関係各省が複数にわたりますから、各省合い議をした上で、一定の発言を固めた上でするというのが通常だと思います。

 私は、この前、着目をしたのは、五月四日の発言というのは、五月一日に、マスコミ各社に記者会見を行うということをかなり事前に通知した上で、つまり、たまたま記者がそこにいて話しかけられたから答えたというのではなくて、場を設けて、そして一番最初の冒頭発言として、西村副大臣からTPPの話を語り始めてこの話を言っているわけですね。

 ですから、何か聞かれて、ちょっとよく自分の整理もされないまま話したというのじゃなくて、場をセットしたのも副大臣側、そして、質問に答えるのではなくて、みずからの最初の、こちら側から、副大臣側からの冒頭発言として、最初の発言がこのTPP及びTPPの情報公開に関する発言をされています。

 これは、行政として判断してされた発言なのか、単なる個人的な思いをしゃべったのか、どちらなのか、お答えください。

西村(康)副大臣 まず、記者会見のセットにつきましては、これまでも海外に出張してさまざまな意見交換を行ったり情報交換した場合に、通常、私が出張する場合にはこのような形でセットして概要を申し上げるというふうな、そういうやり方をとっておりますので、今回もそういう前提で、さまざまな意見交換をする中で、そうしたことの一定部分は記者会見でお話ししようということでまずセットしたものでございます。

 今回、TPPの情報開示について私がしゃべってしまった内容については、これは事前に十分に事務方とすり合わせたわけではございません。一つには、この間に、米国内で米国の議員と意見交換する中でいろいろな情報に接し、また、直前のセミナーでも情報開示が話題になった、そんなことも含めて、私自身の情報開示を何か工夫ができないのかというその思いが強く出てしまいましてあのような発言になってしまったことを本当に反省もしておりますし、撤回もさせていただいたところでもございます。

 改めて、混乱に至ったことをおわび申し上げたいと思います。

玉木委員 確認ですが、それでは、五月四日の、これは事務方からもらった記者会見の模様ですけれども、冒頭、西村副大臣より説明ということで話し始めたこの内容については、全て、大臣の決裁等々をとらない、個人の思いをこうした記者会見の場をわざわざ開いて発言されたということでよろしいんですね。

西村(康)副大臣 記者会見の場では、もちろん、TPP以外の経済政策についての意見交換、あるいは経済諮問委員会とのやりとり等々についても私は申し上げましたけれども、TPPのその情報開示の部分については、私の思いが強く出過ぎてそのような発言に至ったわけでございます。

玉木委員 記者から問われて何か少し言い過ぎるということはあるんですが、記者会見を開いた、その一番最初の冒頭発言がいきなり言い過ぎるということは、私はにわかにはちょっと信じがたいなというのと、テレビの映像も私は確認させていただきましたけれども、比較的、副大臣は手元に、メモに目を落としながらしゃべられているのが印象的だったんです。

 ですから、何か発言の、思いつきで言われたというよりも、何か書いているものをかなりきちんと読んでおられたというふうな印象があったので、一定程度、行政的な整理あるいは調整、そういったものをした上で発言をされたのではないかと外形的にも思ったんですけれども、そうではなくて、あくまで調整もないまま個人の思いをしゃべってしまったということなんですか。もう一度お願いします。

西村(康)副大臣 メモについては、事務方が用意した一定のものはございましたけれども、そのTPPの部分、あるいはそれ以外の部分についても、私が個人的に誰とどのような話をしたのか、あるいはどこまで言っていいのかというような簡単なメモを自分なりに加えて書いておりましたので、そのようなもとで話していくうちに、情報開示についての部分、直前のセミナーで話題になったということもありますし、米国の議員が閲覧をしているということにも接する中で、私自身の思いが非常に強く出てしまいまして、あのような発言に至ってしまったわけでございます。反省もしているところでございます。

玉木委員 私は、西村副大臣の気持ちはよくわかるんです。

 というのは、私も同じ時期に行って、アメリカの民主党の下院議員、ジム・マクダーモットさんと直接話をして、どこまで公開をされていますか、見ていますかと。彼は民主党で、比較的TPPに慎重、そして委員会でのTPA法案については反対の立場を明言されている方なので、そういう意味では、常に慎重にTPPを見ている方です。

 彼に聞いたら、どうですか、USTRはホームページにも載せて、いろいろなことを連邦議会議員に公開しているというけれども、どこまで見ていますかという話をしたら、きょう副大臣がお話しになったように、シークレットルームと言っていましたけれども、秘密の閲覧室があって、そこに行けば見られる、ただ、テークノート、メモをとったり写真を撮ったりできないので、彼はこれぐらいと言っていましたけれども、これぐらいのものを覚えられない、厚いから、テキストも多いから。見ることはできるけれども、なかなかそういうサービス自体がちょっと不親切なので、十分分析ができないんだというような不満もあわせて言っていたのを覚えています。

 あわせて、労働組合のような、いわゆるステークホルダーズ、こういった方々も見ているのかと聞いたことに対して、それは、一部出せないところは黒塗りにした上で、そういったステークホルダーも見ているんだということを明確に私に説明をしてくれました。

 ですから、きょう御説明いただいた話と合致するところがあるので、私はそのとおりかなと思うんです。

 その上で、だったら、アメリカの議員にやっているのと同様の、同じレベルぐらいの公開はぜひ日本の国会議員である我々にもしてくれないかな、そういうことを私はアメリカで思って、帰ってきたら、まさに来週の委員会でこれを言おうと思っていたんですね。そうしたら、西村副大臣が先んじて、来週は公開しますということを言っていただいたので、質問する必要がなくなったなと思っていたら、やはり撤回をされて、質問せざるを得なくなっているということなんです。

 質問です。

 五月七日に撤回をされたときに、五月四日の発言内容は誤解を与えるというような表現を、五月五日も七日も使われていて、誤解だったので、真意を伝えるということで改めて会見したというふうにおっしゃっていますけれども、私は、これは誤解しようがありません、極めて明確なので。

 資料の三、訂正会見の方を見ていただきたいんですが、このようにおっしゃっています。日米の制度の違いから、同じ対応はできません、既に調整が行われている、方針を固めたということはない、よってもって、テキストそのものの閲覧は難しい、真意ではないので撤回するということになっていますが、朝一番の伊東先生からもありましたが、日米の違いがあるということは、実は五月四日の記者会見の中でもみずからお認めになった上で、日米いろいろ違いがある、もっと言うと、守秘義務などの義務がアメリカの議員にはかかっている、こういうことの違いがあるけれども、何かできないか調整をしてみるというのが五月四日の発言なんですよ。

 だから、違いがあるからできないという説明になっていますけれども、五月四日は、では、違いがないから認めるんじゃなくて、違いがあることをその当時から認識しつつ、それでもなお、来週は日本の国会議員にもテキストアクセスを認めようと発言されている。

 加えて、三の資料のところにあるように、「既に調整が行われている、方針を固めた、ということはない」、こう言っているんですけれども、これも同じなんです。五月四日も、別に何か決まったことがあると言っているのではなくて、「日本の場合は守秘義務がないので、どういうルールで、どういうやり方をするのか、少し詰めないといけないが、検討したい。」あるいは、「テキストへのアクセスを国会議員に認める方向で少し調整をしたい。」と。

 まさにこれから調整します、これから検討しますと、当時から、五月四日から言っておられていて、何か言い過ぎたとかどうこうじゃなくて、日米の違いがあります、そして、これから調整、検討します、そういうことを言った上で、それでもなお、来週、日本の国会議員にもテキストアクセスを認めると言っているんです。

 今のお話をずっと聞いていてもわからないのは、三の資料にも改めて書いていますが、日米の制度の違いがあるから閲覧ができないんだと。でも、五月四日、日米の制度はあるけれども閲覧を認めるんだと。その前提のところの認識は一緒なんだけれども、出てくる、導かれる結論が違うということになっていて、私はなぜ変わったのかがわからないんです。明確な日本語をしゃべっておられますから、誤解は少なくとも全くないです。真意も明確に伝わっています。

 改めて聞きますが、なぜ、日米の違いがあるということを五月四日も認識し、そして、これから調整する、検討するという、まさに日本に帰ってから前向きにやっていくんだという文脈の中で、テキストアクセスを認めると五月四日には言い、しかし、五月七日になると、日米の違いがあるから、だから閲覧はだめなんだと結論において変わってしまった、その最大の理由をもう一度お答えください。

西村(康)副大臣 お答えを申し上げます。

 日米の制度上の違いは、もう御理解をいただいていると思います。その制度の違いがあるからこそ、同一の対応はできない。

 しかし、その制度の違いを前提とし、日本は日本の制約がある中で、何か工夫ができないか、そういう思いが強く出まして、私は意図しなかったんですけれども、調整という言葉を使っていたようでありますので、そのことは撤回をいたしましたし、何か方針が固まったというふうな報道もありましたので、方針を固めたということも言っておりませんから、そういう意味で、誤解を与えたというふうに理解をしまして、改めて、誤解を与えたような発言があったことを撤回したわけであります。

 日本は日本の制度、制約がある中で、何か工夫はできないか検討をしたいという気持ちがございました。そのことを申し上げたつもりなんですけれども、それが何か、もう閲覧を認めるとか調整するとかということで、私の発言も含めてありましたので、そのことを撤回し、反省もしているところでございます。

玉木委員 いや、副大臣、ますますわからないのは、単なる冒頭発言で言い過ぎたとか言い間違えたならわかるんですが、その後、記者からQアンドAがあるんですね。それでこういうふうに答えておられます。日本には守秘義務のルールがないので、これをどうルールがつくれるか、一定の条件を課すことができるかをあわせて考えていきたいということをおっしゃっていて、違いがある中で、その違いを乗り越えて、日本なりにできることはないのかを検討したいということをまさにおっしゃっているわけです。

 加えて、与野党を問わずにテキストアクセスを認めるんですかと聞かれたら、そうですね、はいと。加えて、合意前に国会議員が見られるようにするんですかと聞かれて、その方向で検討したいと。やりとりの中でも誤解が連続して続くということはない。明確な意思として、少なくとも当時はそう思われていたんではないかなと私は思うんですね。

 お伺いしたいのは、日米の制度の差ということで、それが開示できない理由ということでおっしゃっているんですが、日米の差はそんなにあるんですか。これは私の疑問です。

 資料の四をごらんください。

 日米の差というときに、大きく二つ多分挙げられているのは、これは私もこの委員会で何度も指摘をして、TPAの話をするときには挙げるんですが、合衆国憲法と我が国憲法のつくりが違っていて、通商交渉権限が米国においては議会にあるということなので、いわゆるファストトラックが大統領に連邦議会から渡されない限り、一つ一つアメンドメントを受けてしまう。イエス・ノー・ボートにならないということなので、TPAを一生懸命つくりましょうということをやっているわけです。そこはよく違いとしてわかります。

 ただ、日米共通なのは、いずれにせよ、最終的には国民の代表たる国会、議会が承認しない限り、条約等は通過しないわけです。成立しないわけです。

 つまり、承認の仕方のやり方が、TPAが仮になければ、一個一個承認をしていくというやり方なのか、一括、イエス、ノーの包括的な承認の仕方なのかという認め方の違いであって、最終的に議会が認めるということにおいては、ある意味同じなんですよね。その観点から、最終的な判断を求められる国民の代表たる議員、議会が、一定程度情報が欲しいと言っていることは同じなんです、これは。

 加えてもう一つ言うと、冒頭お聞きした、日本とアメリカの違いでいえば、日本はアメリカと違うところがありますよ。国会の決議があるんですよ。第七項、きちんと情報を国会に開示してくださいということを、我々、院の意思として示しているということは、その意味ではアメリカと違うところであります。違うというのは、我々の方がある意味重い義務を政府に課しているとも言えますよ、そこは。

 ですから、その意味では、余りこういった憲法上の違いがあるからどうこうということでごまかさないでいただきたいのが一点。

 もう一つは、守秘義務に関してであります。

 これは、我々も法律を議員立法で提出するときに相当勉強しました。もともとは、これは資料の六、我々が出している法案の概要を書いていますが、実は守秘義務をかけようということのやり方についてはさまざまな検討をしました。

 もともと我々のオリジナルな案は、立法措置の中に守秘義務を課すことも入れていました。しかし、院の独立性、院の自主性というのがあるので、法律で国会議員の一々の行動について刑事罰をかけてやっていくというのは、立法府の、ある種の自主性、行政との関係での自立性と三権分立、さまざまな観点から検討した結果、やはりそれは院における自主性に委ねた方がいいのではないのかということで、立法措置からは直接は切り離して、これは議院における申し合わせ等によってやるということで、国会法に定める規定を最大限尊重する形で守秘義務を守っていこうということで、立法措置と議会による措置を明確に切り分けました。

 私が言いたいのは、四ページの資料に戻っていただきたいんですが、まず秘密にするかどうかということは、国会法五十二条二項に秘密会の制度がございます。

 加えて、これは余り知られていませんけれども、国会法の百二十二条でありますけれども、懲罰についてさまざま定める規定がありまして、そもそも十五章というのは懲罰の国会法の規定になっておりまして、その前の百二十一条では、まず懲罰事犯があった場合には、議長が懲罰委員会に対して審査させて、議院の議を経てこれを宣告する。また、委員会において懲罰事案があるときは、委員長は、農水委員会でいったら江藤委員長ですよね、これを議長に報告し処分を求めなければならない。処分の種類が種々規定をされておりまして、一、二、三、四とありまして、一番重いのは、四、除名です。

 先ほど澁谷審議官から話がありましたけれども、アメリカの上院のある種ペナルティーの規定の中に、院内規則で上院は除名がある。

 その意味では、何か秘密を侵す、あるいは秘密を侵すことがだめなんだと院が決めればいいんですから、そのことが懲罰規定に当たるということであれば、我々は議員資格を失います。ただし、失っても次の選挙で勝ってきてくれたら、それは、院はその当該者を拒むことはできないという規定も次の百二十三条に用意されていて、国会では、我々が自主性の中で決めれば、そういったことはできるわけであります。

 ですから、今は政府の立場で、何か国会の仕組みは不十分だとか、日本の国会議員は、よくお漏らし議員と言って、情報を出してしまって信用ならぬということをお思いになっているのかもしれません。

 しかし、我々は国会議員として、あるいは院の自主性の中でさまざまなこうした規定を持っていますので、こういうことをきちんと、もし必要であれば、我々も立法府として責任ある対応をしていきたい、その一環として我々は法律を出しているわけですから。そういったものを与党の先生にも御理解をいただきながら通した上で、やはりアメリカと同様の情報の公開を私はすべきではないかと思うんです。

 日米の違いに基づいて情報公開を拒むのは、私は間違っていると思いますけれども、副大臣、いかがでしょうか。

西村(康)副大臣 お答えを申し上げます。

 今のいわゆる院内での規則と、もう一点、私が米国の議員とお会いしましたときにも、彼らが一番気にしていたのは、何か外部に漏らせば訴追されるんだ、刑事罰があるんだという点を彼らは非常に認識をいたしておりました。

 つまり、刑事及び刑事訴訟に係る米国連邦法典の適用があるという点を彼らは理解しておりまして、その点が、日本の場合は刑事罰がないというところが大きな違いがあるというふうに認識をいたしております。

玉木委員 では、罰則がないから我々には出せない。最終的にはそこですか、違いは。

 ちなみに、先ほど石田委員から、質問にはならなかったので確認したいんですけれども、では、過去アメリカで連邦議会議員が情報を漏えいしたことによって訴追された具体的な例はございますか。今、石田委員はないというふうに委員自身がおっしゃっておりましたけれども、その事実関係を教えてください。

西村(康)副大臣 訴追された例はないというふうに認識をしております。

玉木委員 空振り規定というのはよくありますけれども、なかなか、どの国でも国会議員を訴追するのは非常に難しいと私は思いますし、先ほど説明があった連邦法典の適用、十八編の千九百二十四条、六百四十一条ということですけれども、本当にそれが国会議員に、このTPPの情報を漏らしたからといって適用されるものなのかどうか。そのことを唯一の根拠として我々に公開を拒んでいる、突き詰めればそこに至るのかということになるんですけれども、その点については、もう一回きちんと整理をして、この委員会に提出していただけませんか。

 今ずっとやりとりをして、唯一ひっかかるのはそこなんですけれども、ただ、それも過去適用されたことがないということなので、果たして連邦議会議員に、連邦法典というと、一般法というか、民法、刑法みたいなものだと思いますけれども、本当にそれが根拠なのか、そこは今お答えは要りませんので、後刻委員会に提出をしていただくことをお願いしたいと思うんですけれども、委員長、お取り計らいをお願いいたします。

江藤委員長 検討させていただきます。

玉木委員 今までいろいろ質問してきたんですけれども、副大臣、大事なことは、日米の違いは、もちろん国が違うから違うんですよ、ありますよ。

 その上で、私は五月四日の西村副大臣に戻っていただきたいと思うんですが、では、違いを認めた上でどこまでできるのかと考える態度でいるのか、違いがあるから出すのをやめようといって出さない方向に閉じこもるのか、それはまさに政府の意思だと思いますよ。

 お伺いしたいのは、副大臣も会見で発言していますけれども、TPPはやはり最終段階に来ている、総理がおっしゃる出口が見えてきた、こういう認識でよろしいですか。

西村(康)副大臣 交渉が最終段階に来ているという認識は持っております。

玉木委員 ということは、いよいよもって、やはり情報をいただかないといけないと思うんです。

 なぜこういうことを言うかというと、これは政府からいただいた資料ですけれども、私がTPAと言ったときに、略を二〇一四年のトレード・プロモーション・オーソリティーから変えていると指摘したことがあるんですが、便宜上TPAと呼びましょう、TPA二〇一五。これでは、大統領は通商協定署名の六十日前までに協定テキストをUSTRのウエブサイトで公開するということが二〇一五年のTPA法案の中に入っているんですね。交渉妥結があって協定署名ですから、少し時間はあるんですが、いずれにしても、協定署名の六十日前、二カ月前までにUSTRのホームページに載せるんですよ。

 そうすると、今のような情報公開のあり方を続けていたら、我々日本の国会議員も日本のメディアも、最新の情報をとろうと思ったら、アメリカのUSTRのホームページにみんな一生懸命アクセスしなきゃいけなくなる、こんなばかな話はないと思いませんか。

 TPPというのはさまざまな制度のハーモナイゼーションをやっていくというのが大きな一つの目的だと思います。その意味では、情報公開についてもハーモナイズしていくということが私は大事だと思うんですけれども、どうですか、検討されるとはおっしゃっていたので、少し時間はかかるかもしれませんけれども、米国並みの、できるだけ米国に近づいていくような、そういう情報公開をぜひ検討してやるという方向で、明確な宣言、意思を表明していただけませんか。副大臣、よろしくお願いします。

西村(康)副大臣 まず、私の強い思いから出た発言でありますけれども、制度の違いはありますけれども、日本の制度の制約のもとで、できる限りの工夫をしながら情報提供を行っていきたいという気持ちは引き続き強く持っているところでございます。

 その上で、大事なことは、アメリカもしっかり担保されているというふうに認識をしておりますけれども、外部に漏れない、そのことをどのように担保するか。これは、いろいろなやり方、日本には刑事罰がないという点も申し上げましたけれども、ここは制度が違いますけれども、どうやって外部に漏れないということを担保するのか、これが一番大事な点だと思います。

 それから、アメリカ以外の国々で議員にテキストを見せているということは私どもは承知をしておりませんので、この十二カ国、それ以外の国々との信頼関係、これも含めて大事だ。交渉が最終局面でありますので、しっかりと、最後、交渉していく中で、この信頼関係を維持することも大事だと思います。

 そういったことを総合的に勘案しながら、日本の制度、制約のもとで、できる限りの情報提供を行っていきたいというふうに考えております。

玉木委員 本当にお願いしますね、副大臣。

 これは、我々が行政に対してどうこうというよりも、制度そのものが不備だから出せないんだというような、政府側からしたら、ある意味、そういう言いわけにもなっているところがあると思います。

 だからこそ、我々は法案を出しているので、これは、当委員会あるいは内閣委員会、関係委員会になるかもしれませんけれども、法案を提出しておりますので、ぜひ審議をしていただいて、今政府側から示された懸念を我々立法府としても担保するような措置を院の責任でやっていくことも必要なのかなと思いますので、これは与党の筆頭初め理事の皆さんや、あるいは委員長にも御協力をいただいて、これは全体の、議運の話になるとは思いますけれども、きょうの議論も踏まえて、当方から提出をしております情報公開法案の審議をしていただくこと、その早期の成立を図ることをお願いしたいと思いますので、委員長にもぜひ御協力をいただきたいと思います。

江藤委員長 その件につきましては、昨日の理事会で申し上げたとおりでありますので、改めて申し上げません。

玉木委員 努力をしてくれるということをきのう理事会でおっしゃっていただきましたので、ぜひそのことを信じて、我々も前向きな議論をしていきたいと思っております。

 なぜなら、通商交渉は、TPPに限らず、国民生活に大きな影響を与えます。今、基本計画、これから議論する農協改革、農業委員会の改革、農地の改革、こういったものは、このTPPがどうなるのか、農家の所得がどうなるのか、これから十年、二十年の我が国農政、農業の基本が、全てそこで決まるわけでありますから、その一番大きな根っこの議論をできるだけ情報を公開していただきたい、そのことを強くお願い申し上げまして、西村副大臣への質問は終わりたいと思います。

 次に伺いたいのは、総理の先般の訪米中における上下両院での演説の内容についてでございます。

 資料の五を見ていただきたいんですが、英語ですけれども日本語で書いておりますが、こういうふうに言っています。「実は…いまだから言えることがあります。」何か告白調で始まっておりますけれども、「二十年以上前、GATT農業分野交渉の頃です。血気盛んな若手議員だった私は、農業の開放に反対の立場をとり、農家の代表と一緒に、国会前で抗議活動をしました。ところがこの二十年、日本の農業は衰えました。」こういう言い方をされているわけですね。

 まずお伺いしたいのは、林大臣、この総理のアメリカでの演説というのは、農林水産省を含めた関係省庁を全て調整して、つまり、農水省としても、こういう発言をされるということを事前にチェックされた上でされた発言のスピーチだということでよろしいですか。

林国務大臣 これは国会での所信表明とは違いまして、アメリカの議会での安倍総理の演説の内容につきましては事前に承知はしておらなかったということでございます。

玉木委員 そういうことであれば、これ以上大臣に聞いてもあれなんですけれども、ちょっと私は気になったのは、これを見ると、二十年前、農業の開放に反対したことを何か恥ずかしい記憶のように告白しているんですね、アメリカの議会の前で。

 私は、事前にチェックをしないということであれば感想でいいんですけれども、農業、米に限らないと思いますけれども、開放に反対したということを語った上で農業は衰えたと言うんですが、関税を守るということが、結果として守ったことが、日本がその後二十年間、農業が衰える原因になっているというふうに聞こえるんです。そういう認識を総理がアメリカ議会で示されたというふうに思うんですけれども、これは問題じゃないですかね。いかがですか。

林国務大臣 感想ということでございますが、見た感じで、この文章を見れば、「ところがこの二十年、」というふうになっておりますけれども、これは、市場開放が不十分であったことが農業が衰退した原因だと述べたということではなくて、従事者の減少、高齢化、それから耕作放棄地の増大、こういう課題が山積している中で、改革が大事だ、こういう認識を示されたのではないのかな、こういうふうに思っております。

 「ところが」というのは逆説的に言っているわけで、例えば水際措置で守っていたのにこうなったということなので、いたこと自体が悪かったということでは必ずしもないのではないかなという感想を持っております。

玉木委員 私は、これはいろいろなとり方はあると思います。

 一つ問題だと思うのは、今、TPP交渉、最終局面ですよね、西村副大臣がおっしゃったように。そういう中で、何か関税を、こっちは二十年前と違って今は下げる用意がありますよというふうなことを示唆するような発言を、まさに交渉相手国のアメリカの議会に行って言うのは、私は交渉上もまずいんじゃないかと思うんですよ。私はこのセンスを疑うんですが、これは問題ではないですか。副大臣、もし何か御感想があれば。

 これは、交渉をやっていて、何か、関税を守ったことを、私は二十年前に、これを反省するような経験と語り、そして開放すれば日本の農業も変わっていきますというようなことを、今まさに農産物の交渉をやっているアメリカの議会で発言するのは交渉上も問題だと思いますけれども、いかがでしょうか。

西村(康)副大臣 ちょっと、この前後のお話も含めて承知をしておりませんので、総理がどういう意図で言われたのかはわかりませんけれども、高いレベルのものを目指して交渉をしているというのは事実でございます。

 完全な自由化はできませんけれども、日本としていろいろな形で粘り強く交渉をしていくのが今の現状でありますので、そういう意味で、基本的には高いレベルのものを目指して交渉しているということでありますから、そのことを私は強く感じるわけでありまして、総理がどういった意図で言われたのかは承知していませんので、お答えは控えたいと思います。

玉木委員 いろいろなそういう言いわけはできると思いますが、重要五項目を決議で決めて、それを守ろうという気持ちが常に胸にある人は、こういう発言はしない、できないと私は思いますよ。

 その意味では、改めて、交渉を担当する副大臣におかれても、そして甘利大臣にもお伝えいただきたいんですが、しっかり、重要五項目を含めたこの決議はしっかり守る。私は言っているんです、交渉関係者は小さくコピーして常にポケットに入れておいてほしいと。そのことをぜひ強くお願い申し上げまして、私からの質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

江藤委員長 次に、岸本周平君。

岸本委員 それでは、引き続き質問をさせていただきます。

 きょうは、都市農業について林大臣と議論をさせていただきたいと思っております。

    〔委員長退席、齋藤(健)委員長代理着席〕

 先般、都市農業振興基本法が議員立法で衆参可決をされました。それで、ここの同僚議員の皆様の中にも都市部の選出の方もいらっしゃると思いますので、都市農業振興の重要性は共通の課題として認識をしていただいていると思います。

 ただ、これも虚心坦懐に、定義の問題がありますので、都市農業振興基本法の第二条で定義をしておりますので、私は、きょうはその定義に基づいて、少し広目に都市農業をとっていきたいと思います。

 第二条では、「「都市農業」とは、市街地及びその周辺の地域において行われる農業をいう。」という定義をしております。

 私は和歌山市の選出でありますけれども、県庁所在市であります。中心市街地は密集していますけれども、ちょっと車で十分も走れば田園地帯であります。いろいろな選挙区があると思いますけれども、恐らく、田舎の県庁所在市であれば、車で十分走り抜ければもう田園地帯であります。しかし、そこは必ずしも市街化区域ではありませんので、都市農業振興基本法の定義による「市街地及びその周辺の地域」の「その周辺」というところが案外大事なんだろうと思っております。

 ところが、別に個人のことを言うわけじゃありませんが、私の印象で、間違っていたらおわびを申し上げますけれども、農林水産省の職員の皆さんは、どうも都市農業に対しては冷たいのではないか、関心も余りないのではないかと思うことが間々あるわけです。これは私の間違いであればおわびを申し上げます。

 というのは、マインドセットといいますか、これは私も役人をやっていましたので、専門家は思い込みみたいなものがあるんですね。そうすると、農水省の中で都市農業というと、どうも市街化区域の中でやる農業という刷り込みがあるように思います。

 私が職員の方に都市農業について質問すると、私なんかは、和歌山市といっても田舎ですから、水田があって、割と野菜が多いんですけれども、そういうイメージで議論しているんですけれども、農水省の職員の方は、どうも市街化区域の中の、家庭菜園とは言いませんけれども、何となく相続税逃れで畑をやっているとかいうようなイメージの受け答えがあるものですから、そこは寂しいなと思うわけであります。

 実際、これは地元の自慢をさせていただいて恐縮なんですが、和歌山市は、JAわかやまというのが、和歌山市の中で合併しまして、一つのJAわかやまというのをやっています。ここは、水田はもうほとんど大規模にやれませんので、兼業農家の方が自賄いの農業をやっているんですけれども、野菜については結構一生懸命やっていまして、例えばショウガは全国二位の生産量を誇っています。

 しかも、JAわかやまというのは、これまた褒め過ぎちゃいかぬのですけれども、伝統的にすごく改革マインドのある組合長さんが多くて、六次産業化にもう何年も前から取り組んでいまして、ショウガをそのまま売るんじゃなくて、ジンジャーエールにしまして、丸搾りジンジャーエールというのを和歌山の商工会議所と共同開発しまして、四年前に日本農業新聞の一村逸品大賞をとったくらいで、今、年間二百万本近く売り上げている。

 それは、いろいろな食品加工工場もつくり、まさに地元でとれる野菜や果物を加工してどんどこやっている。それで、ショウガの農家、あるいはミズナ、大根、結構所得も一千万を超えるような農家がごろごろいるようなところなんです。そういう意味で、JAわかやまは都市農業に割と真剣に取り組んでいます。そういうところはたくさんあると思うんですね。

 それが、どうも農林水産省の職員の方で、わかっていらっしゃる方もいると思うんですけれども、何となく、都市農業というとちょっとそんな感じではない受け取りをされているのではないかということであります。

 それは、また林大臣の所感もお聞きしたいんですけれども、例えば、皆さんがおつくりになった食料・農業・農村基本計画におきましても、かわいそうなんですよ、都市農業、十行しか書いていないんです。載っているだけでもありがたいと思いますけれども、探したら載っていましたよ、五十六ページに十行ちょっと。後で読んでください、同僚議員の皆さん。

 ここも、所得一千万を上げるような農業をがんがん進めましょうと書いていないんですよ。農産物の地元における消費の促進とか、市民農園とか、体験農園とか、交流活動とか、防災機能とか、防災機能は大事ですよ、何となく、なんちゃって農業みたいなイメージに書かれているんですよ、基本計画に。これは寂しいと思うんですけれども、まず林大臣の所感をお伺いしたいと思います。選挙区はどうですか。

    〔齋藤(健)委員長代理退席、委員長着席〕

林国務大臣 私は山口県全県が選挙区でございますので、都市から農村まで幅広くございます。なかなかジンジャーエールなんというのはうまそうだなと思って今聞いておりましたけれども、やはり時代の変遷というのがあるのかなと。

 大分さかのぼってみますと、この東京あたりが昔農地だったところがどんどん住宅地化していく、そういう過程の中で、都市農業ということを、昔からやっていたから、住宅地にするべきところだけれども暫定的にやっている、こういうような時代がかつてはあったのかもしれないな、確かにそういうふうに思っております。

 今、人口も減少する中で、都市農業基本法にも書いていただいておりますように、都市の住民にとっても農業は大事だ、農業をやっている人だけじゃなくて、それ以外の方にとっても大事なんだ、こういう意味で、岸本委員のお言葉をかりれば、マインドセットをきちっとやりかえて積極的にやっていこうという意味で、この基本法というのは大変意義があるもの、こういうふうに思っておるところでございます。

 平成十二年度からは支援する予算措置もやってきましたし、それから、二十年度は都市農業室を新設する、また、二十五年度、二十六年度は相続税の納税猶予制度の改善をやってきたわけでございます。

 それから、基本計画も、周辺部分の農作業体験や防災機能ということに加えて、農業経営の維持発展、農作物の地元における消費の促進、こういうものも推進すべき取り組みとして記載をさせていただいたところでございます。

 基本法がせっかく可決、成立をいたしておりますので、都市農業振興基本計画、これをつくるということになっておりますので、しっかりと総合的かつ計画的に推進をしていきたいと思っております。

岸本委員 ありがとうございます。

 ぜひ、大臣の今の御発言のように、本腰を入れて、都市農業の推進に省を挙げて取り組んでいただきたいと思います。

 きょうは、都市農業振興基本法に基づいて、幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 これも同僚議員の皆さんの生活実感と合うと思いますし、それはこのインターネット中継を見ていただいている国民の皆さんの生活実感でもあるかと思うんですが、私も昭和三十一年の生まれでありますから、本当に和歌山市も当時はきれいな田園地帯でありましたが、やはりスプロール化が進みまして、水田地帯が、ところどころ農地が転用されて住宅が建っていく。それが、特にこの十年ぐらいは和歌山の場合は激しくて、どんどん農転が行われて住宅が建っていく。

 そうすると、当然ですけれども、水田というのは保水機能がありますので、特に和歌山というのは台風の通り道なんですけれども、きのう大雨でありましたが、ちょっとやそっとの大雨でも都市部において浸水するというのは余りなかったんですけれども、そういう新興住宅街が接近してきて、水田のところがモザイク的に宅地になっているところは、本当にちょっとした雨で増水をしてしまうということで、これは本当に、二年に一回ぐらいは和歌山市内の住宅街で床上浸水近くまでいくことが多いんですね。それは私どもが子供のときはなかったことでありました。大きな台風が来てもそんなことはなかった、みんな水田ですから。

 やはり水田というのは値打ちがあるんですね。特に、それは都市部で案外そういう水田の保水機能というのが私たちの生活を守ってきたんだなということを、地元で活動しておりまして、つくづく思い知るようなことになっているわけです。

 そうやってつらつら思い起こしますと、これもよくこれまで議論されてきたことですが、特にヨーロッパなどに比べますと、我が国はゾーニングという考え方が甘いということで、これは国土交通省との関係もあるわけでありますけれども、ゾーニングに対して、それは国民の土地に対する意識が強過ぎるのか、あるいは公共の福祉という考え方について少し甘いのか、原因はいろいろあると思いますし、これまでも大きな議論がされてきたわけでありますけれども、今まで起こったことは仕方ありません、今宅地になったところをひっくり返すわけにはいきませんので。しかし、これから本当に都市農業を推進していくには、ゾーニングというのはすごく大事だと思うんですね。

 ところが、例えば、農政の歴史を振り返りますと、昔の話をしてなんですが、いわゆるお米が余るようになった時代がありました。減反をしていく。減反をしていくときのそもそものときには、お米をつくるのをやめていただくために、当然減反の奨励金を出す、お金を出す、そのことによってお米の過剰感を減らしていく。

 このときに、農水省と当時の大蔵省が激しく闘うわけです。なぜかというと、大蔵省は奨励金を出したくないわけです。要するに、転作奨励金にしても、お米をつくるのをやめてもらうために国家予算を使いたくない。限度があります。しかし、当時の政府・与党としては、そうはいったって、米価をある程度高く維持していくという当時の政策、これも農水省の先輩たちから言わせると正しいことかどうかという判断はありますけれども、少なくとも、米価を維持するために米の生産量を減らす、そのためには国家予算が別途要る、それは困る。

 それで何をしたかというと、当時、米の生産量を減らすために編み出された方法は、田中内閣でしたけれども、すごいんですよ、水田を住宅地に転換してしまえということを国策としてやっているんです。国策として、美しい水田を潰して住宅地に転換するということと合わせわざで、つまり奨励金の予算額を減らしてスタートしたという歴史もあるわけです。

 当時、このようなスプロール化というものを政治家の皆さんが予測したのかどうか、あるいは日本列島改造論を主導された田中政治の中でそういうことが自然に発想されたのかわかりませんが、そういう歴史もあるものですから、ここでひとつ、そういう過去の歴史を反省材料としながら、ゾーニングということについて、一応これは国土交通省とやっていただかなきゃいけません。十三条には、的確な土地利用に関する計画の策定等のための施策がうたわれております。

 これについて、林大臣の御所感と、もし何か御決意があれば、ぜひゾーニングについて農水省のお考えをお願いします。

林国務大臣 農地を含みました都市に関するゾーニングについては、農林水産省では、従来から、市街化を図るべき市街化区域と調整区域を都市計画で決定してきましたので、国土交通大臣等との協議に当たってきたということでございます。

 今御指摘の、田中内閣時代に国策としてどれぐらい、どういう仕組みでやっていたか、少し研究してみたいと思いますが、私が読んだ本の中で、JAさんが農家の収入を上げていくということを追求する中で宅地化していったということ、事業としてやっておられたということは読んだことがございますが、まさに今、岸本委員が御指摘になったように、当時の時代の背景で、どんどん人口がふえて、まさにスプロール化が進んでいった。そういう現象が背景としてあったのかなという感じもしております。

 一方で、市街化区域の中で、区域内の農地に関して、生産緑地地区ということを指定されたものに対しては、農業委員会が市町村長に対して農地としての管理の面で協力してきたということでございます。

 まさに今御指摘いただいたように、成立しました基本法の十三条で、国等は、都市農業のための利用が継続される土地に関し、的確な土地利用に関する計画が策定され、及びこれに基づき土地利用の規制等の措置が実施されるために必要な施策を講じる、こういうふうになっております。

 土地利用に関する計画や規制というのは、また多数の国民の利害、財産権にもかかわるということでございましょうから、課題も多いというふうに思っております。したがって、この基本法を踏まえて、施策をどうやって具体化していくかということについては、都市計画制度等を担当する国土交通省としっかりと連携して、今御指摘のあったような幅広い観点から検討してまいりたいと思っております。

岸本委員 ありがとうございます。

 これは農水省だけじゃなくて、あるいは国土交通省だけじゃなくて、いろいろな省庁が関連すると思いますので、ぜひ前向きに御検討をお願いしたいと思います。

 それからあと、ちょっと観点を変えますけれども、この基本計画あるいは最近の農林水産省の施策の展開を見ておりますと、ともかく農業経営を法人化していくんだ、あるいは企業の農業参入を推進するんだ、そういうお立場を明快にとっておられます。これは基本計画でもうたわれております。そのこと自体、私は否定するものではありません。それは、できるところはぜひやっていただければいいわけであります。

 ただし、そうなると、法人ですから、企業ですから、それを助成するためには、農水省は補助金がお得意なわけでありますけれども、やはり税制措置というのが非常に必要になってきます。租税特別措置というのは、これは悪者扱いされることもありますけれども、租税特別措置の政策誘導効果というものはそれなりにこれまでも評価されてきたところであります。

 実は、民主党政権のときに、租税特別措置の適用実態調査というのを始めました。同僚議員の皆さん、ぜひごらんいただきたいんですが、既にこれは三年分出ています。法人税関係の租税特別措置については、詳細に分析をされた資料が国会に提出されて、ことしが三年度目であります。

 それで見てみますと、実は、農林省関係の法人関係の税制というのは、言葉を選ばなければいけませんが、一言で言うと大変お粗末だと思います。これは、林大臣も税の専門家であられますし、齋藤健理事もおられますが、ちょっとこれまた農水省の職員さんの悪口にならないように言いたいと思いますけれども、やはり企業とか法人とかということとのつき合いが比較的浅いせいか、租税特別措置を使って何とかというマインドセットがまだできていらっしゃらないように思うんですね。

 実際、最も使われている租税特別措置は何かといいますと、当然ですけれども、農業生産法人の肉用牛の売却に係る所得の特例であります。これも実は民主党政権時代に見直したんですけれども、これは大変甘い税制だと思います。農業関係者から見ればすばらしい租税特別措置だろうと思います、齋藤理事からもお褒めをいただいておりますが。この肉用牛の課税の特例はまあまあ利用されておりまして、適用法人数は千件を超えております。

 これが課税の公平性を損なうのか損なわないのか、政策効果があるのかどうか、これは引き続き議論をしていって、課税の公平が担保される中で政策効果があるのであれば、これはこれとして、引き続き、見直しながらでも続けていくべきものだろうと思います。

 一方で、どうですか、大臣、もうベテランでいらっしゃいますけれども、農水省の中の議論で、せっかく法人や企業に農業に参入してもらおうと言っている割には、法人税制上のこれまでの措置が非常に薄いような気がするんですけれども、それについては、どうしてそうなっているんだろうか。御所見はありますか。

林国務大臣 私も党で税調をやっておりましたけれども、岸本委員は主税局にも多分おられたと思うので、まさに釈迦に説法だ、こういうふうに思いますが、法人税だけではなくて、所得税、いろいろと税制はあるわけでございますけれども、事法人税ということで今御議論がありましたので、租特ということで申し上げますと、まさに今御指摘があったように、法人経営体の拡大というのをやっていこうということでございますが、裏を返せば、今まではそういう法人が中心になっていくということが必ずしもメーンストリームではなかったかもしれないな、こういうことかもしれません。

 したがって、今後、法人が経営発展を図るために活用できる税制特例ということで今やっているいろいろなもの、農業経営基盤強化準備金制度等もございますけれども、こういう措置を強化していかなければいけない、こういうふうにも思っておるところでございます。

 やはり、税制一般で言いますと、必ずしも私の所管ではございませんが、党での経験で言いますと、御要望があって、これを部会でさばいて、そして税調で最終的にやっていくということでございますので、全く要望が出てこないものを、我々として、こういうものはどうかということを空でやるというのは、税制の仕組みとしてはなかなか難しいところがあるのかもしれないな。しかし、こういう状況でございますので、まさに我々の方からも積極的に提案していくということも含めて充実を図ってまいらなければならない、こういうふうにも思っておるところでございます。

 また、農業法人の多くは中小企業者でございますので、例えば中小企業者等の法人税率の特例、それから中小企業者等が機械等を取得した場合の特例措置、こういう一般の中小企業向けの特例の活用も可能でございますので、農業法人の経営発展に資するように、税制上の取り扱いについてもしっかりと検討を深めていきたいと思っておるところでございます。

岸本委員 ありがとうございます。全くおっしゃるとおりなんですね。

 それで、例えば、今おっしゃいましたけれども、準備金は確かにそれなりに使われておられますね。準備金については、適用法人が、二十五年度で大体千六百件近く、その前も大体千六百件ぐらいの法人が準備金制度を使われていますので、これはこれで効果はあるというふうに理解をしております。

 ただ、問題なのは、例えば、特定農産加工品生産設備等の特別償却制度というのがあるんですけれども、これはほとんど利用はされていません。年間一件程度でありますので、これは空振っているということですから、見直していくべきかもしれません。

 特別償却というのは、御存じのとおり、課税の先延ばしみたいなものなので、主税局が一番認めやすい制度なので、これはどこにもあるんです。特別償却なんて、ほとんど意味がないんですね。税金をいつ払うかというだけの話なので、効果はほとんどないので、だから主税局が特別償却は認めてくれるんです。

 準備金は、これもいつ払うかという話なんですが、うまく機能すると、とてもいいんですよね。そういう意味では、準備金は、いわゆる所得をならす機能が出てまいりますので、突然ばっともうかったときでもたくさん税金を払わなくて済むという意味では、計算上は中立かもしれませんけれども、経営側からすると、非常に便利な、使い勝手のいい制度だろうと思います。

 例えば、これから、農業の場合はやはり天候にも左右される産業ですから、場合によったら、大きく所得が失われるような年もあり得るでしょうし、あるいは、大きく所得がふえてしまって、その所得が上振れ、下振れするようなことが仮に今後出てくるとするならば、やはり準備金制度というのはかなりいいと思います。

 そういう意味では、要望をお待ちいただくよりも、今大臣がおっしゃったように、どんどん職員の皆さんに知恵を出していただいて、ニーズを掘り起こしていただいて、新しい税制をどんどんつくっていただく。齋藤理事に聞いたら、すぐつくってくれますから。一日に十本ぐらいすぐつくれますから。私もそういう相手をしておりましたので。

 それは本当にニーズを掘り起こして、税制というのは、これは一般的に誰もが使えるわけです。この会社の補助金、この農協の補助金というような個別の補助金というのは、やはり、別に利権とは言いませんけれども、個別の会社とかということになりますけれども、税制は要件さえ満たせば誰でも使える非常に中立的な政策ツールでありますので、そういう意味でも、ぜひ今後、農林水産省の租税特別措置が政策効果のよいものがどんどん生まれていくように、我々委員会からも提案したいぐらい、一緒に勉強していきたいという思いでおります。

 そういう意味で、ぜひ今後していただきたいんですが、実は、林大臣御自身が税の専門家でいらっしゃいますから、何か具体的に、都市農業を推進していくために、こういう税制はいいんじゃないだろうかというアイデアはございませんか、大臣。

林国務大臣 まさに今委員からお話があったように、特償と準備金というのは、たしか償却率を例えば自由にする制度というのをどこかの党が前に提案されたことがありましたが、こういうのは主税局はすごく嫌がるわけですね。そういうところがございますので、しっかりといいものを検討していかなきゃいけないと思っております。

 都市農地に係る税制ということでありますと、私も、最初に就任して以来、何カ所か視察をして、現地の方々とシンポジウムをやったり座談会をやったりしておりますが、やはり御要望として強いのは、相続税納税猶予の適用農地の貸し付けを行った場合、これは納税猶予を継続してほしいな、こういうこと、それから、生産緑地以外の市街化区域内の農地の固定資産税評価、これがかなりきついねというようなことがよく出てくる要望でございます。

 したがって、都市農業基本法を担いでいただいていた先生方の中からも、やはりこの都市農業基本法を通すことによって、次の段階としては、こういう御要望のある税制についてしっかりと弾みをつけていきたい、そういう御意識もあったのではないか、こういうふうに承知をしているところでございます。

 一方で、税制のあり方、それから、先ほど御質問いただいた土地の利用規制そのものについては、農業をやっていらっしゃる方だけではなくて、いろいろな立場の方々の利害、こういうものがございますので、都市計画制度を担当する国土交通省などとも連携しながらやっていく必要があるということは申し上げるまでもないことでございます。

岸本委員 今大臣がおっしゃっていただいた二つの問題、相続税の納税猶予を受けている農地の貸し付け、借り受けの問題における取り扱いとか、固定資産税の評価の問題、これは農水省の皆さんとともに我々議員も取り組んでいきたいと思いますので、ぜひ一緒にやっていきたいと思います。

 それで、今も各省庁との連携のお話が出ましたので、これは、基本法でいいますと二十一条に、関係省庁との連携協力の条文がうたわれております。

 ゾーニングの話もそうなんですけれども、実は、和歌山市で見ていますと、冬場の水問題というのが都市農業にとっては案外大事なんですね。日本列島は、夏場はおかげさまで水は豊富でありますので、水田がどこの町にもありますので、水が比較的豊かに使えるわけですけれども、冬場になりますと、水というのはなかなか大変であります。

 今やっているのは、今ある水の供給に合わせてやっていますので問題ないんですが、さらにこれから都市農業を充実させて、和歌山であれば、さっき言いましたように、野菜の生産をさらにふやしていく、冬場だってできるわけですね、そうすると、やはりそれなりの水が要る。

 ところが、これは水利組合という大変権利のお強い団体が今おられるわけであります。これはこれで御立派な団体でありますので、あえて評価はいたしませんが、水利組合との調整、さらには河川管理者、これはありていに言えば国土交通大臣でありますけれども、河川管理者との調整も、これはなかなか、現場に行きますと案外大変なんです。別に意地悪されているわけでもないんですけれども、河川を管理する方には河川の管理の理屈もおありでありましょう。こっちはこっちで、冬場の都市農業を進めていきたいという要請があるということなので。

 実は、冬場の水供給という問題、これは結構大事になってくると思うんですけれども、この問題を、我々、ほかの議員もそうでしょうけれども、現場でこづかれると言ったら言葉が悪いですね、御要望を受けて、いろいろなことを支援者の方に、ほら、しっかりしろと言われて、がんがん要求をいただくので肌身でわかっていますが、農水省として、こういう都市農業における水の問題について、これまでどこまで把握されてきているのか、今後どういう対応策をとっていかれたいのか、もし御所見があればお伺いしたいと思います。

林国務大臣 大変大事なポイントでございまして、まさに、飲む方の水というのは、冬になったからたくさん水を飲むとか、まあ、夏の方が汗をかくから少しはあるかもしれませんが、大体取水量というのが一定をしておりますが、農業用水の方は、御案内のように、田植えをする時期とか、その後のかんがい期とそれからかんがいしていないときと、もう全然差が出てくるわけでございます。

 したがって、農業用水を都市農業で確保していくということは、この両者の間のバランスといいますか綱引きというのは必ずある、こういうことでございまして、現場では、やはり冬場における用水に係る水利権の取得等、さまざまな要望がある、こういうふうに承知をしております。

 農業者が新たに農業用水を確保するということになりますと、土地改良区等の農業水利施設の所有者と調整をした上で、河川法に基づいて、河川管理者である国土交通省または都道府県に対し水利権を申請して許可を受ける、こういうことになります。

 こういう手続について農業者の皆さん等が技術的な支援を必要とする場合には、農林水産省の地方農政局が相談を受け付けておりますので、具体的な事案に即して丁寧に御相談に応じてまいりたいと思っております。

岸本委員 これから都市農業を進めようとしているところで、現場で困っているところも実際出てきていますので、早急に農水省の方で把握をしていただいて、きめ細かい後押し、御支援をぜひお願いしたいと思います。特に、国土交通大臣との調整は、農水省として省を挙げてお願いしたいと思います。これはお願いであります。

 それから、引き続き、都市農業振興基本法の十六条の方の規定に移りたいと思います。

 「高齢者、障害者等の福祉を目的とする都市農業の活用の推進」という表現があります。高齢者、障害者等の福祉を目的とする農業は都市に限る必要はないと私は思いますけれども、都市は交通の便もいいわけですので、比較的、特に障害を持たれている方々の意欲と能力に合った働き場所としては、農業というのはとてもいい場ではないかと思いますし、成功事例は幾つかあります。

 これは、例えばの具体例ですけれども、私も直接お話を伺ったんですけれども、愛媛県の松山市でやられている株式会社パーソナルアシスタント青空の佐伯さんという方が、この方自身も障害を持っているお子さんが三人おられて、その中で福祉の方から農業に入っていかれた。しかも、たまたま農業の方も、いわゆる自然栽培、自然農法ということで、農薬を一切使わない、肥料を一切使わない、いわゆる地中にいる微生物の力で自然栽培をしていく。木村さんという青森のリンゴ農家、これはもう誰もが知っている話ですけれども、木村さんに弟子入りをされて、松山で自然栽培をされ、しかも、それを障害を持たれている方々と一緒にやっていて、非常に成功していて、経営的にも大変うまくいっておりますし、そこでつくられる農産物は飛ぶように売れているというような成功事例なんです。

 こういうことが起こり得るわけでありますから、これは、十六条に書かれてあるからというわけでもなく、農水省としてぜひ進めていただきたいんですが、これまでの農水省内における農福連携の取り組み、これまでどういう取り組みをされてきたのか、それが十分だったのか、それを今後どのように省としてこの基本法とあわせて展開をされていくおつもりなのか、大臣にお伺いしたいと思います。

林国務大臣 今委員に挙げていただいた松山市のパーソナルアシスタント青空は、十五名の障害者を受け入れていただいていまして、随分手広くやっていただいておられるようでございます。米が、今触れていただいたように、有機農産物ということで、値段が大体三倍、それから、ほかの作物も一・三倍で売れている。非常にいい例ではないかなと私も思っております。

 まさに、今委員がおっしゃっていただきましたように、都市農業に限らず、農業と福祉の連携というのは大変大事だと思っておりまして、医福食農連携ということでずっと打ち出してやってきたところでございます。そもそもは、先ほどの愛媛県の例のように、農水省が何か頭で考えてどんと打ち出したということではなくて、いろいろな現場の例を農政局の局長さんが集まる会議で報告をしていただきますと、期せずしていろいろなところでそういう例があるということで、これはやはりひとつ柱として打ち出そうじゃないかということで、私が就任して間もないころであったわけですが、やっていこうということにさせていただいたところでございます。

 私も幾つか視察に行ったところもございますが、やはり、外で農作業をやって、太陽の光を浴びて汗をかく、これは非常にいいことであるということを実感されておられるなとヒアリングをして思いました。

 そういうことを含めて、障害者の方の就労機会が確保される、それから、高齢者の方が生きがいや健康をつくれる、こういう意味でも、福祉から見ても大変有益であるというふうに思いますし、農業側から見ても、労働力の確保、農地の有効活用や農業に対する理解そのものの醸成という意味でも大変意義があると思っておりまして、「農」と福祉の連携プロジェクトということで、厚生労働省と連携して福祉農園の開設や整備等を推進してまいりました。

 また、農水、厚労に加えて、農業関係団体、福祉関係団体も参加をしていただいた、全国とブロックごとの連絡協議会を設けるとともに、相互理解をさらに深めていただくための意見交換会の開催にも取り組んできたところでございまして、かなり広がってきたなとは思っておりますが、さらに取り組みを推進していければ、こういうふうに思っておるところでございます。

岸本委員 ぜひ、農福連携については、民間が現場からいろいろな工夫をされていますので、サクセスストーリーを集めていただいて、そこに思い至らない方々への情報提供、あるいは縁の下の力持ち的な応援をぜひ省を挙げてやっていただきたいということをお願いしておきます。

 それから、最後になりますけれども、都市農業だけではありませんが、あしたから農協改正法の審議が始まります。けさ、私どもは事務総長に対案を出させていただきまして、明日、政府案と我々民主党案で審議をさせていただきたいと思っておりますけれども、その中で、私たちが政府案に賛同するところもありますが、一番違うところは考え方なんです。

 これは、レッテル張りはいけませんけれども、二〇〇〇年代の小泉政権以来、少し流れとなった新自由主義的な考え方、今も続いていらっしゃると思うんですけれども、一億総株式会社化的な発想で、株式会社は効率のいいエンティティーであるから、株式会社的にみんなやりましょうということがあって、その分野があることは私も認めますし、どんどんやるべきです。規制を改革して、どんどん株式会社で効率を求める部分は求める。しかし、例えば、教育ですとか医療、福祉、なかんずく農業の分野において、本当に効率効率でいいんだろうかというのが、これは私どもの基本的な思いであります。

 そういう意味で、一億総株式会社化ではなくて、やはり協同組合という中間団体のよさというものをいま一度見直していこうではないかというのが今回の我々の農協改正法案の基本的な考え方であり、また、その際に、職能的な協同組合ということではなくて、地方の人口が減っていく中で、地域的な協同組合、地域協同組合としてもう一度農協を見詰め直していこうじゃないかというのが、我々の提案している改正法案の根幹になっております。

 その意味では、都市においても、実は農協の果たす役割はすごく大きくて、さっき私が言いましたJAわかやまなんかは、育苗施設もつくっていますし、食品加工工場もつくっていますし、本当に地域の中に溶け込んで、女性部なんかは、みんな地域の祭りを全部地域ごとにやっているんですね。というのは、やはり和歌山市も中心市街地は過疎なものですから、祭りでみこしを担ぐ氏子がいないみたいなところもあって、あるいは、祭りでちょっと物を売るのに人手がない。農協の女性部がやってくれているんですね。

 そういう、地域で農協が果たす役割というのもあるわけですが、特に都市農業においていうと、さらに加えて、やはり住民の御理解というのが要ると思うんですね。

 我々の言っている地域の協同組合になりますと、実は、准組合員という発想はなくなっちゃうんです。農業をしなくても、そこで地産地消の仲間に入っていただいて、一緒にまちづくりをして、一緒に祭りをやっていただく。地に住んでいる人は正組合員になるんです、地域組合ですから。

 そういうことを我々は訴えていきたいと思っているわけですけれども、その中で、都市農業において、では、都市住民の理解があるのかというと、最初、大臣も触れられましたけれども、なかなかそこは、いろいろなアンケートを見ても、まだかなという部分がございます。

 例えば、農水省のアンケート調査によりますと、都市農業に対する住民の意識として、新鮮で安全な農作物をいただける。目の前でつくっているわけですから、つくっている人の顔も見えますし、新鮮です、その場で地産地消ですから。その理解は非常に高いです。八割を超えています。ところが一方で、防災の観点という意味では、ここの理解はなかなか進んでおられないということで、三〇%台の理解であります。

 そういう意味で、都市農業を進めていくには都市住民の皆さんの御理解をいただく必要があるんですけれども、なかなか進んでいない。これはほかの分野でもそうだと思います。

 いろいろな参加型の都市農業をしていく中でも、我々が言う地域協同組合としてやっていきますけれども、そんな中で、今後、都市住民の皆さんに対して都市農業の理解を進めていくために、これまで農水省としてどういう取り組みをされてきたのか、またさらに、今後、林大臣としてどういう取り組みをしていかれたいのか、ぜひその辺の御所見を伺いたいと思います。

林国務大臣 都市農業は、今お触れいただいたように、新鮮な食料の供給、緑や農業体験の場の提供、防災空間の確保等、多様な役割を果たしているわけでございますが、今触れていただいたアンケートのように、新鮮な野菜等々農産物の供給ということでは八割近くの皆さんが理解をしていただいておりますが、心安らぐ緑地空間になると六七、農業への理解になると四一、災害に備えたオープンスペースということになると三六と、やはりかなり差があるわけでございます。

 したがって、都市農業の振興のための施策を充実させるためには、やはりこういう役割全般について理解を得ることが不可欠である、こういうふうに思っております。

 我が省においては、こういう多様な機能がありますよということを説明するためにホームページを開設したり、学校へ都市農業の専門家を派遣する、それから、首都圏を中心とした農業イベントに出展をする、こういうような啓発活動を支援する事業を実施しておるところでございまして、こういう活動を通じまして、また、我々自身が直接語りかけるということも含めて、都市農業、都市農地の意義の周知をしっかりやっていきたいと思っております。

岸本委員 どうもありがとうございました。

 都市農業振興基本法が通りまして、私ども、都市近郊に選挙区のある人間としては、本当にこれを推進していきたいという思いでありますので、きょうの大臣の御答弁、一つ一つ、前向きにお答えいただきました。

 少し中長期的な課題ばかりでありまして、私もきょうは優しい質問になってしまいまして残念でありますけれども、本当に最後にお願いしたいのは水です、水。ともかく、水の問題については、相手は国土交通省さんなので、地元の市ですとか農協とかあるいは個人ではなかなか太刀打ちできないところがありますので、ぜひ林大臣のリーダーシップで、お水の問題、冬場の水問題、よろしくお願いしまして、質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。

江藤委員長 次に、小山展弘君。

小山委員 民主党の小山展弘です。

 早速質問をさせていただきたいと思います。

 まず、今までの政務三役の皆さんや林大臣の答弁、あるいは安倍総理の国会での発言あるいは答弁の中にもあったかと思いますが、よく出てくる単語で、強い農業というものがあります。日本は強い農業を目指すとか、政府が言う強い農業とはというようなことでよく使われているんですが、この強い農業というのはどういう農業を定義あるいはイメージされているのか。

 これから強い農業にしていくということは、今までの農業というのは弱い農業だった、そういうことがこの裏返しにあるのかもしれませんが、これまでの農業と比べてどういう違いがあるのか、御答弁いただきたいと思います。

林国務大臣 我が国の農業、農村は、農業従事者が減少、高齢化をしていたり、耕作放棄地が増大している、こういうことがよく言われるわけでございますが、その一方で、大変持続性にすぐれた生産装置である水田、それから世界に評価される和食、美しい農山漁村の風景、こういった成長の糧ともなる大きな潜在力を有しておると考えております。

 潜在力を最大限に引き出すことで実現される、競争力があって持続可能な農業、これを強い農業というふうに考えておるところでございます。

 農林水産業・地域の活力創造プランをつくらせていただきましたが、これや、それから、先般閣議決定をいたしました食料・農業・農村基本計画において、こういう強い農業を実現するためには産業政策といった部分が必要になるだろうということに加えて、先ほど岸本委員からは、一億総株式会社ではいけないんだというお話がありましたけれども、まさにもう一つの側面である、美しく活力ある農村を実現するための地域政策、これを車の両輪として推進していこう、こういうふうにしておるところでございます。

小山委員 私は、今のお話を伺って、強い農業、強いというような言葉、これは語感の違いかもしれませんが、余りそういうイメージというものではなくて、むしろ、今までの農業政策の延長線上に、今までも課題のあった耕作放棄地の解消であるとか、あるいは地域の農地の維持といったものではないかなと思います。

 余り強いとか弱いとかというよりも、むしろもっと別の表現の方がいいのではないか。強いとか弱いというと、これはやはり競争というものも意識されますし、まさに今大臣おっしゃった、美しく活力ある農村とか、今の農地の維持というところが少し弱くなってしまうのではないかなということも、これは語感の違いかもしれませんけれども、今感じた次第であります。

 お金を稼げる農業という意味なのか、現行の農業政策の維持なのか、あるいは中小規模の農家は政策の対象から切り捨てるとか、あるいは大規模な農家、ここだけを重視していく、そういうことでは決してないと思うんですね、今までの御答弁の中で。ですので、私は、余り強い農業、強い農業と言うよりも、多様性のある、そして、今までの持続可能なというところをもう少し強調していただければなというふうには感じております。

 それから次に、今非常に一番茶、もう大分終盤に入ってきましたが、お茶についてお伺いをしたいと思います。

 四月の中旬あるいは下旬ぐらいからことしのお茶の初取引が始まりましたけれども、ことしは、三月、四月に寒い日もありましたけれども、凍霜害等もなく、四月後半からは天候にも恵まれまして、お茶のできばえ、品質というところでは、比較的いいものができていると言われております。

 しかしながら、ことしもお茶の市況は大変低下傾向にありまして、お茶農家はかなり打撃が見込まれております。私も、ゴールデンウイークの間、お茶工場を回りまして、お茶農家、お茶屋さんなんかとも話してきましたけれども、ことしは相当なお茶農家が多分廃業するだろうということが懸念をされております。

 ことしのお茶の価格低下の原因についてどのようなことが考えられるのか、農水省の現状における認識を伺いたいと思います。

あべ副大臣 委員にお答えいたします。

 お茶に関しまして、現在、平成二十七年産の一番茶の市場での取引が全国で進行しているところでございます。

 現在までのところ、例えば、静岡の一番茶の荒茶価格の平均単価が前年を一一%下回るなど、全体的に見て、価格が昨年よりも低い状況にございます。これは、過去五年の一番茶の価格で見ましても、最も低い水準にあるところでございます。

 二十六年が、静岡茶でキロ当たり二千九十五円でございましたが、二十七年五月十一日現在でございますが、キロ当たり千八百六十一円ということになっております。

 この主な原因でございますが、私どもが分析しているところ、最近、やはり、急須で飲まれるリーフ茶の消費が非常に減少傾向にあることに加えまして、本年は全国的にも天候に恵まれ、いわゆる生育が良好であったことから、市場の出荷量が多くなっているという状況もあるため、いわゆる在庫増を懸念して実需者の購買意欲が低減しているということが考えられるところでございます。

 近年の価格動向を踏まえますと、二番茶以降もこうした傾向が続く可能性もございますが、今後の市場の出荷量、また各産地の価格動向を注視してまいりたいと思っております。

小山委員 今お話しいただいたことは、そのとおりだと思います。

 加えて、あえて申し上げれば、やはり日本の総人口全体が減っているということ、それから、高齢者の方ほどお茶を飲む機会というのは比較的多いかと思いますが、それでも、高齢化が進んでいるということで、年々その消費量、食べる量、飲む量というのは減っていくということもあろうかと思います。

 それに加えて、お茶の場合には、今、あべ副大臣からお話もありましたとおり、ペットボトルで飲む人が若い人でふえているわけですね。高齢化が進むということは、ペットボトルで飲む習慣のある人の方が日本全体の人口に占める割合がどんどんふえるわけですから、若い人はペットボトルで飲むわけですからね。ですから、低価格品を好む人の割合が年々ふえていくということもあろうかと思います。こういったことから、茶価の低落傾向というのは変わらないんじゃないかな。

 こういう中で、あえて嫌みっぽく言うわけではありませんけれども、前回の質疑のときにもありました食料・農業・農村基本計画、これが、十年間お茶の価格が変わらないということで見通しをしておりますが、やはり私は、このさまざまな低下傾向、去年を一一%下回る価格低下であるということでございますから、私はこの食料・農業・農村基本計画、最初の一年目から、お茶についてはもう既におかしな方向に、計画からずれる方向に行っているのではないか、そのようなことを感じております。

 そこで、さらに質問をしたいと思いますが、現状の市況から考えられるお茶農家の所得について、今後どのようになっていくか。当然、価格が下がっているということで、所得の減少ということが見込まれるかとは思いますけれども、農水省として、それがどの程度であるとか、お茶農家所得についてのどのような見通しというものを持っていらっしゃるか、伺いたいと思います。

林国務大臣 農林水産省の平成二十五年の統計調査、農業経営統計調査でございますが、静岡県を含む東海地域のお茶の十アール当たりの農業経営状況が、粗収益が二十八万円、経営費が二十二万円ということで、差し引き、所得が六万円ということになっております。

 二十七年の所得に関するデータは今後調査をしていくことになろうか、こういうふうに思いますが、二十五年の静岡県一番茶の価格がキログラム当たり二千四百七円、それから、凍霜害の影響により一番茶の単収が十アール当たり六十六キロと低かったということでありますが、それで先ほどのデータになっております。

 二十七年の一番茶の価格は、今やりとりをしていただきましたように、二十五年より二割下がっております。また、生育は良好であるということでございますので、単収は二割高い平年並み、こういうふうに見込んでおりまして、したがって、逆に言うと、加工コスト、これも十アール当たりにしますと上がっていくということになるわけでございます。

 したがって、現在のお茶の農家の経営状況は厳しい経営状況である、こういうふうに認識をしております。

小山委員 私も政府の認識をほぼ共有するところですけれども、よく一般論として、農家の経営の規模を拡大しようとか、あるいは、食料・農業・農村基本計画の中でも、お茶の農家あるいはお茶に携わる農業者、この所得をふやしていく中で、省エネの機械を導入してコストの削減を図るんだということが農水省の方から示されておりましたけれども、しかし、その機械を導入するような、そういう状況にすらない、大変厳しい状況にあろうかと思っております。

 お茶の場合は、規模を二倍にすれば、収入は二倍にはなりません。といいますのは、毎日毎日、初取引の日から価格が下がっていくんですね。

 そうしますと、規模を二倍にして収穫できる葉っぱを同じ日に出せれば、単純にほかの要因を考えなければ収益は二倍になるかもしれない。ところが、大概の場合には、大規模化するということであれば、隣の農家さんと一緒になって二人でやっていたところを一人にするということであれば、一人のお茶を刈れる面積というのは限りがありますから、そうしますと、半分、二倍にした分の今までの分は初日に出して、倍にした分、ふえた分は次の日に出す。次の日になると価格は下がっていますから、収益というのは二倍にはなっていかない、こういったようなことでございます。

 ですから、単純に規模を大きくするということが本当にいいのかどうか。むしろ、先ほど私がお話ししましたが、いい機械を導入したところほど、今、お茶農協であっても、大規模にやっていらっしゃるお茶農家さんでも厳しくなっている。コスト削減の効果というものを上回る価格の低下の減収というものが響いていまして、借金を返せない。かえって兼業農家とかあるいは古い機械で小規模にやっているところの方が小回りがきいて、何とか黒字を確保できているというような状況もございます。

 ですから、これは多分お茶に限らないことだと思うんですね。ほかの作物でも、こういうような、規模を拡大するからいいんだということでもないのではないか。

 規模を拡大したり、あるいは設備投資をして、コスト削減も含めてどんどん利益を上げていくというのは、これは国内需要がどんどん伸びている時代はそれでいいと思うんです、先行投資で。しかし、人口減少とか、あるいはさまざまな要因から需要が減っていく時代においては、規模拡大でコストが削減されるんだ、だから農家の利益、収入、所得はふえていくんだという考え方は、必ずしもそうでもないのではないか。

 むしろ、前回も申し上げましたが、そろそろこの過剰供給状態というものを、国内需要というのはやはり多いわけですから、そこの過剰供給というところに少し考えを向けていく、そういう時期に入りつつあるのではないかなということを私は考えております。

 それから、ことしも含めて、ここ二、三年、あるいは一、二年のお茶の需要量、生産量についての農水省の現状の見通しについてお尋ねしたいと思います。

松島政府参考人 お茶の生産量、需要量の見通しということでございますが、先ほど委員からも言及がございました食料・農業・農村基本計画では、平成三十七年を目標年次にしまして、国内需要はおおむね現状のまま、ただ、輸出については年間一万トンの伸びがあるというような見通しを示しているところでございます。

 そういった生産努力目標のもとで、当面の需要量、生産量ということでございますけれども、需要量につきましては、先ほど副大臣から御答弁申し上げましたように、急須向けのリーフ茶については減少しておりますけれども、例えば、輸出などにつきましては、過去三年、二十四年の輸出量が二千三百五十トン、それから二十五年が二千九百四十トン、二十六年は三千五百二十トン、こういう形で毎年二割近い伸びを示しているところでございます。全体としては一定の需要増が見込めるのではないかなというふうに考えているところでございます。

 また一方、生産量でございますけれども、これは、近年、栽培面積は減少傾向ということになっていますけれども、収量の増とか効率化も図られている中で、おおむね年間八万五千トン程度で推移してございまして、需要に応じた生産が十分可能な生産体制というふうに考えているところでございます。

小山委員 主には輸出の増加というところを見込んでおられる。食料・農業・農村基本計画でも、平成三十七年までに一万トンの生産量の増加、これはほとんど輸出であるということでした。

 ただ一方で、次の質問でお尋ねしたいんですが、輸出が伸びていくのは、これは伸びていっていただきたいと思いますし、このためのいろいろな輸出に対する支援というものもぜひともお願いしたいというところでございますけれども、国内の需要というのはやはり減っていくと思いますね。

 それともう一つは、同じ国内の需要量だと仮定したとしても、ペットボトル化が進んでいけば、今急須で飲む方が少なくなるということがありましたが、低価格化というのはやはり進んでいくと思うんですね。

 そういった中で、やはり国内において需要喚起、消費拡大策というものをとっていかなければ、この食料・農業・農村基本計画、少なくとも農家の所得というところでは、ただでさえ価格が低下するか、あるいは、普通に人口のことを考えれば需要量も減っていくという中で、消費拡大、需要喚起策というものを打っていって何とか横ばいにできるんじゃないかというぐらいではないかと思うんですが、そういった国内の消費拡大、需要喚起策というものについてどのように農水省が考えているか、お答えいただきたいと思います。

あべ副大臣 委員にお答えいたします。

 お茶の需要に関しまして、急須を使っているリーフ茶の消費が本当に減少で推移する中でございまして、委員が御心配のように、この消費拡大をいかに図っていくのか、新たな需要をいかに開拓していくかということが私どもとしても必須であるというふうに思っております。

 具体的には、新しい日本茶の飲み方といたしまして、今後、需要拡大が見込まれる国産茶葉を活用いたしました発酵茶、また半発酵茶、これはいわゆるお紅茶とかウーロン茶の生産、また、ティーバッグ、インスタント茶などの簡易な飲用形態への転換、また、粉末茶などの食品加工原料としての用途拡大、これは特にお菓子に使っていくとか、さまざまな方法がございますが、国内需要の開拓の取り組みを支援してまいりたいというふうに考えております。

小山委員 今、生産農家の方に、もうお茶をつくるのをやめてくださいというようなことになるべくならないように、やはり、まだ東北の方とかあるいは北陸の方とかへ行けば白湯を飲む文化のところもありまして、そこに、お茶を飲んでいただくように、国内での需要喚起というところも、輸出というものも伸びていっておりますし、それも大変大事ではあるんですけれども、それと並行して、今まで以上に国内の需要喚起というものをさらに拡大していただけるように、農水省の力強いリーダーシップというものをさらに求めさせていただければと思っております。

 それでは、ここから農協法のことについて少し伺っていきたいと思います。

 まず最初にお伺いしたいのは、きょうはちょっと資料として配ってはおりませんが、多分政務三役の皆さんはもう十分御承知の、平成二十七年一月の「農協について」という農水省から出ている資料で、農協の部門別損益ということの資料があるんですけれども、この中でも「農協は、農産物の販売等の経済事業を適切に行い、組合員の農業所得を向上させていくことが最大の使命。」、その隣側にも農協の部門別損益ということで出ているんですが、ここで言う経済事業というのはどういうことを定義されているのでしょうか。

奥原政府参考人 農協の事業の範囲につきましては、農協法の第十条第一項というところに各号列記でもって書いてございます。この中に信用事業、共済事業も入っておりますし、それから経済事業もございます。

 特に、この信用事業、共済事業は、これは銀行業務、あるいは保険会社と同じ厳格な規制を入れておりますので、かなり明確な絞られた定義になっておりますが、それ以外のものが広く経済事業の範疇に属するものではございますけれども、特に中心となっておりますのは、組合員の生産する物資の運搬、加工、貯蔵、販売、特に農産物の販売、それからもう一つは、組合員の事業または生活に必要な物資の供給、特に生産資材の供給、こういったものが経済事業の特に中心にある仕事というふうに認識をしております。

小山委員 奥原局長にこのことについてもう少しお尋ねしたいんですが、そうしたら、この経済事業の中にはいわゆる葬祭事業とかそういったものも入るんでしょうか。

奥原政府参考人 経済事業がどこまでかということを法律の中で明確に定義しているわけではございませんが、信用、共済事業以外のものは基本的には広く経済事業という範疇に入り得るものというふうに思っておりますから、葬祭事業もその中に入ると思います。

小山委員 そうしますと、経済事業が非常に今までよろしくない。経済事業が本来業務だというような議論が展開されてきたかと思うんですが、経済事業の中でも、奥原局長がおっしゃったとおり、販売事業と購買事業、ここがやはりメーンだと思うんですね。ここの改革ということが本来だと私は思っております。どうしてもこれは手をつけなきゃいけない。

 その経済事業の中に、例えば、葬祭ビジネスであるとか、あるいは倉庫を利用とかもそうですし、あと、指導事業というものも入ってくるのも、これから農協法の議論が始まるわけですけれども、私は本当に、議論をする中で、まずしっかり定義した方がいいのではないか、そのように思っておりますし、全中の監査というものは、むしろ指導事業の部門に属することでありまして、経済事業という中に一緒にするのはどうかというふうに思っております。

 そういった中で、きょうお配りした資料をごらんいただきたいんですが、経済事業というのは特に定義がない。その定義がない中において、経済事業が本来業務だというようなことで議論が行われてきたんですが、しかし、農協の財務諸表をつくるときには、農業協同組合法施行規則に基づいてつくっているわけなんです。

 別紙様式第一号(三)、これだけじゃないんです、いろいろな定義はもう奥原局長は私よりもよく御存じだと思いますけれども、この中で、信用事業、共済事業、農業関連事業、生活その他事業、営農指導事業。農業関連事業の中に購買、販売というのが入ってくるんです。生活その他の中に先ほどの葬祭ビジネスとかが入ってくるんですね。明確に分けているんです。農協の決算書を見れば、これは全部そのようにつくっております。そういう頭で系統の人たちはみんないるわけですね。

 そういう中で、営農指導事業を経済事業に含めてしまって、経済事業の改革が大事だということで全中の監査あるいは全中というものの制度を変えていくということは、私は、これはちょっとミスリードがあったのではないか、むしろ、全中が悪いということを強調するためにこういう話を出しているのではないかというふうにも思うところがございます。

 そういった意味で、経済事業というものを定義して、私は、むしろ、農業関連事業の改革である、このように話をしていった方がいいのではないか。あるいは、生活その他事業で大幅に赤字を出している宝石販売とか毛皮とか、そのことも全部経済事業が悪いという中に、この農水省のつくった資料によりますと「経済事業等」と書いてありますけれども、大変な大赤字を出している中に、本当に販売、購買だけでうまくいっていなくて出しているところと、それ以外のところで赤字を出しているところも全部ごっちゃになっていますから、私は、ここは一度整理をした方がいいし、すべきではないかなと思っております。

 私は、指導事業というのは、農家の方から、組合員の方から、賦課金、会費のようなものを取って、そのかわりに指導する。ですから、これは収益を上げる事業ではないんですね。ここは永年赤字になっております。赤字になっているのは、もしここを指導事業だけで黒字にしなきゃいけないということであれば、賦課金を上げなきゃいけない。賦課金を上げて一番困るのは誰かといえば、これは組合員の方ということになります。

 ですから、賦課金をなるべく安くしておいて、指導事業、営農指導があっても、そこで赤字になっても、ほかの信用事業とか共済事業の収益で指導事業の赤字を埋めるということをやってきている。私は、これは決して間違った方式ではないと思うんですね。指導事業自体は決して悪いわけではない、そのように認識をいたしております。

 そういった中で、今国会、この委員会でも、農協が収益を上げていくことは決して悪いことではないんだと、これは林大臣からも答弁がありました。

 では、その中で、信用事業、共済事業がこれまで収益を上げてきております。また、信用事業、共済事業の収益の上げ方も、他業態とのプレーンな競争の中で頑張って収益を上げてきているということかと思っているんですけれども、こういった信用事業、共済事業が収益を上げていることに対しての政府の認識について伺いたいと思います。

奥原政府参考人 ちょっと営農指導について申し上げておきたいと思いますが、農協の事業の区分けはいろいろございまして、その中に営農指導というのが入っておりますけれども、これは農家の営農活動についていろいろな指導をする。例えば、トマトについて、こういう品種をこういうつくり方をしたらもっと高く売れますよ、こういうのが一つの典型ですけれども、これが営農指導という事業の範疇でございます。

 これと中央会がやっている監査とは全く別の仕事で、あくまで営農指導は末端の農協がやっている仕事の事業の区分、こういうことでございますので、その点は誤解のないようにお願いしたいと思います。

 その上で、現在の農協経営の平均的な姿でございますが、先生御指摘のように、経済事業、これは農業関係と生活関係を含んでおりますけれども、経済事業のところが赤字で、信用、共済の収益、金融事業の収益でもってこれを埋めているというのが平均的な姿でございます。

 このことが直ちに法律に違反をしているというわけではございませんけれども、経済事業がいつまでも赤字でいい、こういうものでもないと我々は思っております。特に、農業の関係のところは、きちんとそこについて収益も上がり、農家にもメリットが出るような形にしていく、これが基本だと思っております。

 平均的な姿は今申し上げたとおりですけれども、個別の農協ごとの状況を見れば、実はこれはかなり違っております。全国的に見ましても、経済事業だけを取り出して黒字になっている農協というのは二割ございますし、北海道だけで見れば、経済事業で黒字のところは七割はある。

 したがって、経済事業についても、やはり仕事のやり方、こういうものは非常に重要でございまして、この工夫をうまくしていけば、農協にとってもプラスになりますし、組合員の農家の方にとってもプラスになる経済事業の仕方は当然あるというふうに考えております。

 したがって、農協が地域の農業者と力を合わせていただいて、農産物の有利販売等にきちんと取り組んでいただく、そういう形で、農家にメリットが出るような農協の経済事業、特に農業中心の販売活動あるいは資材活動、これをやっていただくということが今回の改革の最大の目的でございます。

小山委員 ちょっと私もわかりにくい発言をしてしまったかもしれませんが、全中のところは理解しているつもりではございます。

 それと、先ほどちょっと申し忘れましたのが、指導事業というのは常に赤字なんですね。そのことも経済事業という形で含めてしまうと、赤字幅がこれは当然、どの程度かというのは全国まぶしてしまうと何とも言えないところはあるかもしれないですが、赤字幅が広がることになりますので、金額的な赤字の部分がどの程度かというのを考える上でも、また、一般の系統の皆さんというのは、この別紙様式第一号(三)のような、そういう認識でやっておりますので、誤解なく定義をしていただきたいということでございます。

 それと、今の奥原局長のお話の中で、逆に、農協の中で現行法の中でも収益を上げているところは、経済事業でも北海道は七割、全国でも二割。私は推薦をもらっていませんけれども、私の地元の農協さんも経済事業は黒字でやっております。だとすれば、これは全体を法改正するとか、全中をいじるということではなくて、個々の農協の経営改善指導を行っていくということが本来の経済事業改革ではないんでしょうか。

奥原政府参考人 それぞれの農協の経済事業の改善を指導する、これも国なり県の役割でございますので、これは従来からもやってまいりましたし、これからも当然やっていくことだと思っております。

 その一環として、我々がこの二十年ぐらいやっておりますのは、各地の農協で一生懸命経済事業をやっていらっしゃるところ、これはやはり各地にございますので、そういったいい取り組みについて農水省の方でもそういったものを調べて、優良事例を横に展開するという意味におきまして、農水省のホームページに載せたり、そういう研修会をやったり、いろいろな工夫を実はしてきております。

 ですが、なかなかそういうものが横にどんどん広まっていくという状況にないというのもこれまでの我々の経験でございまして、それにはやはり制度的なものもどこかに手をつけていかなきゃいけないんじゃないかということを、この一、二年はいろいろな角度から政府・与党の中で検討してきた結果として、今回の農協改革をこういう形で法律案を出して、いろいろな形で農協にもう一回いろいろな検討をしていただく、意識改革を進めていただく、あるいは仕事の進め方を変えていただく、こういう提案をしている、こういうことでございます。

小山委員 今の御答弁自体については大変共感するところでもあるんですけれども、ただ、今の質問の中で、本来の農協、これはもちろん、組合員の方々の所得の向上とか農家の方々の所得の向上という大前提、これは玉木さんとかみんな質問しますので、大前提のもとで、では、その中でお役に立つ農協の役割は何かということがあった上で話をするわけなんですけれども、私はやはり経済事業の改革が本当のやるべきことだと思うんですね。

 全中の監査の仕組みを変える、このことが経済事業改革にどう結びつくのか、あるいは、監査の仕組みを変えることで農協の負担がふえる可能性もあるわけなんですけれども、そういったところがどうしてもやはり私は結びつかない。むしろ、経済事業改革ということをもっと前面に押し出してやっていくべきではないんだろうか、そのようにも考えるわけであります。

 今ちょうど監査の話も少し出しましたが、農協が負担をふやさずに確実に会計監査を受けられるように配慮する旨規定するということがございますけれども、どのような配慮が検討され、今具体化されてきているのか、他の監査法人の監査を受ける株式会社や他の事業体とイコールフッティングを確保できるものかどうか、もし既に案があれば御答弁いただきたいと思いますし、そうでないということでも、現状の進捗状況について伺いたいと思います。

中川大臣政務官 今回の改革におきましては、会計監査につきましては、農協の信用事業をイコールフッティングでないといった批判を受けることなく、安定して継続できるようにするため、信用金庫、信用組合などと同様、公認会計士による会計監査を義務づけることとした上で、政府は、農協が負担をふやさずに確実に会計監査を受けられるように配慮することなどとされたことから、改正農協法案におきましては、附則第五十条におきまして、公認会計士監査への移行に当たりましての配慮事項を規定しているところでございます。

 この附則第五十条の配慮の具体的な内容につきましては、改正法の施行後に検討していくことになりますけれども、まずは、これまでの農協の負担がどれくらいかなどを確認した上で、会計監査人となった場合の負担がどの程度になるかを検証し、公認会計士協会等とも協議しながら検討していくことになるものと考えております。

 いずれにいたしましても、公認会計士法に基づく監査法人の監査を受けるものであり、イコールフッティングは確保されるものと考えております。

小山委員 配慮というものがなされるということが前提で農協グループは今回の法改正というものに一定の理解を示したというのは、これは条件なんだと思うんですね。

 そういうことからしますと、ここの配慮のところは改正後に考えますと。実際、本当に他の事業体と比べてのイコールフッティングというのが確保できるのかどうかというところが確証がないと、私は、これは農協グループからすれば一種の約束違反ということになるのではないかとも思いますし、やはり、今検討中ということですけれども、法案と同時にこのような配慮については示すべきではないかというふうに考えております。

 まあ、週刊誌に出ると嫌ですね、お互い。済みません、余計なことを言いました。

 それと、もう少し質問を進めさせていただきたいと思います。

 政府は、農協が、経営の自由によって、販売事業増収、有利販売、資材の有利購入ということが述べられております。そして、農協の収益の向上ということを今回の法改正でもうたっておりますけれども、具体的にはどのような方法で農協の収益の向上というのを図るように考えているんでしょうか。

林国務大臣 農協の農産物の販売でございますが、九六%が委託販売になっている、こういうことでございますので、いわば農協はリスクをとるということがないわけでございますので、なかなか有利な販売につながっていかない、こういうことであります。

 農協法ができた昭和二十二年の当時というのは、食料の需給状況全体が不足基調であったということでございますので、農業者から集荷して市場等に出すということが農協の大事な使命であった、こういうことであっただろう、こういうふうに思っております。

 現在は、言うまでもなく、不足基調から、食料は過剰基調ということになっておりますので、実需者、消費者、こういう方々のニーズにどういうふうに対応していくかということが大変大事になってまいりまして、まさに販売努力ということが不可欠になってくるわけでございます。逆に言えば、買い取り販売ということで、買い取った以上は、その値段以上で売りませんと赤字が出る、こういう状況で、適切なリスクをとってリターンを大きくするように真剣に取り組んでいくということが大事になってくる、こういうふうに考えておるわけでございます。

 したがって、経済事業については、地域農協においては、買い取り販売をそれぞれ数値目標を定めて段階的に拡大していくということ、それから、資材についても、全農、経済連とほかの調達先、これを相見積もりをとるなど価格や品質を比較して、最も有利なところから調達する、これは言うまでもないことでありますけれども、こういうことをしっかりとやっていただくという自己改革を進めようということにしておるところでございます。

小山委員 主に買い取り販売、有利販売をさらに広げていくということかと思いますが、そのことによって、組合員あるいは出荷者にとってはどのような所得の向上に結びつくのでしょうか。

林国務大臣 出荷時に農家としては農協との間でもう値段が確定するわけですね。したがって、結局、委託販売になりますと、売れたものだけということになるということでありますし、売るものも売れた値段でということになるわけでございますので、どうしても有利販売につながらないんではないか、こういう指摘があったところでございますので、しっかりと多数の農業者の方から集荷をした農協自体が、自分でリスクをとって有利販売をしていくということで、よってもって農業者の所得向上につなげていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。

小山委員 私は、理想的な形でいけば今の大臣のお話のとおりになるケースもあろうかと思います。しかし、そうでないケースもやはり考えられるのではないか。

 協同組合ということであれば、なるべく収益を上げないという観点からしますと、例えば高く売れるんだったら、その分、出荷者なり組合員さんの農作物を高く買うべきですよね。できる限り高く買って、それを赤字が出ない程度で販売をしていくということが本来のあり方ではないか。

 何を申し上げたいかといいますと、農協が収益を求めるということになれば、あるいは赤字になってしまってはいけないということで考えれば、安く仕入れて高く売るということも十分考えられるわけです。安く仕入れて高く売るということであれば、これは出荷者や組合員さん、農家の方々の所得はむしろ低下するということも考えられるかと思っております。

 ですから、むしろここは、協同組合としての本来の存在意義というものを失わずに、本来は、安く仕入れて高く売るということではなくて、なるべく高く買って、それが赤字が出ないように売っていくという姿勢でなければ、大臣が今お話しいただいたようなことの、いいシナリオにはなっていかないのではないか。その場合でも、できる限り高く買って、そして赤字が出ないように売るということであれば、これは農協の収益を求めていくということにならないのではないか、そんなふうにも考えるんですけれども、それについてはどのようにお考えでしょうか。

林国務大臣 大変大事なポイントだと思います。

 まず、組合は、その事業によって組合員のために最大の奉仕をすることを目的とする、この原則は維持をするということでございまして、その上で、事業の的確な遂行によって組合が高い収益性を実現することを求めるということを新たに追加するということでございます。

 値段でわかりやすく言うと、高く買うということは、まさに組合員のための最大の奉仕をする、これを残した上で収益を上げてください、こういうことでございますので、なるべく高く買い取って、それを高く売っていくということで、ある意味、緊張感が出てくると思いますけれども、こういう緊張感を持ちながら販路の拡大等に努力をしてもらう、こういう方向に行っていただきたい、こういうふうに思います。

 最初の原則なしに収益だけを上げろと言えば、まさに委員がおっしゃるような逆の方向に行くということもあるいはあるかもしれませんが、この原則を維持した上でしっかりと収益を上げていただく、こういうことで農業所得の向上につなげていきたいと考えておるところでございます。

小山委員 そこの原則のところがやはり外されてしまってはいけないと思いますし、いろいろ今、農協がだらしないからということで、株式会社で、農協よりも高く農産物を買って、売っていますよとか、そういうところも出てきていますけれども、ただ、お茶なんかが非常に代表的かと思っておりますが、協同組合がなくて、流通が株式会社あるいは茶商、こういったところになりますと、やはり安く買いたたくという現象が実際出ているんですね。

 そういうような、特に人口が減っていく、需要が減っていく局面ですから、なかなか生産者、出荷者の方が価格決定力で弱いところがあろうかと思います。ですので、ここがなるべく高く買って、それを赤字が出ないように売っていくということは、これは強調し過ぎてし過ぎることはないと思っておりますので、ぜひその点も御留意いただきながら、今後の議論を進めていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。

江藤委員長 次に、村岡敏英君。

村岡委員 維新の党、村岡敏英でございます。

 お昼にかかっての質問で、大変恐縮ですけれども、質問をさせていただきます。

 西村副大臣にも、午前中、途中抜けましたけれども、発言によっていろいろなところで質問を受けていると思いますけれども、よろしくお願いいたします。

 私は、五月四日の発言を聞いて、我々がこの農水委員会、また私は予算委員会でも、やはり情報開示をするべきだ、こういうことを言ってまいりました。そして、内閣と農水の合同審査で甘利大臣に聞いたときにも、検討していくような形で、前向きな発言があった。それを受けてから、西村副大臣がアメリカでこういう発言をされた。しっかりと、我々の意見、そして、決して野党だけじゃなくて、与党にもしっかり情報開示をするべきだ、こういう御意見があったのを踏まえて、甘利大臣と西村副大臣としっかりと打ち合わせをして発表した。こういうことで、これからこの委員会でその情報を秘密会にして、いろいろな罰則規定も我々は言っていますから、論議をしていきたいと思って、むしろ歓迎しておりました。

 決しておわびや撤回をしなくてもいい、こう思っていたんですが、その思いは、先ほど何回も聞いていますが、やはりこれは国会議員にしっかりと情報開示して、それは秘密保持という問題はありますけれども、やるべきだとは考えているわけでしょうか。

西村(康)副大臣 お答えを申し上げます。

 これまで国会の質疑の中でも何度も情報開示について求められてきたところでございますし、今般アメリカでの、私のいろいろなアメリカの議員との交流、意見交換の中でも、そうした実態を認識したところでありまして、できる限り情報開示をしていかなきゃいけないという思いを強く持っているのは事実でございます。

 ただ、私の発言が、アメリカと日本に制度の違いがあるにもかかわらず、アメリカと同様の開示ができるかのようにとられてしまった私の発言、これは非常に反省をしておりますし、撤回をさせていただいたところでございます。

 日本の制度、制約のもとで、何ができるのか、できる限り工夫をしながら情報開示に努めてまいりたいというふうに思っております。

村岡委員 本当に撤回、おわびは要らなくて、先ほど玉木委員からも指摘がありましたけれども、現実はほとんどアメリカと変わらないんです。そうなると、多分、西村副大臣もアメリカのいろいろな通商交渉の方々とお会いしたり、そして農林省がアメリカの法律を調べたりして、ほとんど変わらないじゃないかということに気づいたんじゃないかと私は思うんですね。その中で、発表していこうと思ったのに、なかなか国内が大騒ぎになって、アメリカにいるうちに撤回ということになりました。

 これは、アメリカと日本と情報開示でそれほど違うのかどうかをもう一回精査してください。私は、そんなに変わらないと思います。

 そして、日本の国会議員なら情報を漏らすというのは、国会に対しておかしな、そういう論になります。やはり国会議員というのは、国権の最高機関であり、国民から負託を受けて、外交も何も含めてしっかりと審議していくのが国会議員の役割です。その国会に何も言わずして、それを交渉で進めて、あとはイエスかノーかという方がむしろおかしいので、そういう意味では、西村大臣の考えのとおりなんです。曲げる必要はないし、撤回する必要はないと思っています。

 先ほど、海外で言ったとか立場とか、そういうのはあるのかもしれません。しかし、立場ではなく、一国会議員として考えれば、言った発言を撤回とかするのじゃなくて、むしろそのまま進めるという方向で努力していくことが必要なんじゃないか、こう思っています。

 さらには、先ほど言った、玉木委員からの日米の違いもちょっと精査して、この委員会に出していただけないでしょうか。

西村(康)副大臣 繰り返しになりますけれども、できる限りの情報開示には努めてまいりたいという気持ちを持っておりますし、最終的には国会で御承認をいただかなきゃいけませんので、合意がなされた段階では、きちっとお示しをして御理解をいただけるように、先ほど来御指摘のあります、国会で決議がなされておりますので、その決議の範囲内でというふうに認めていただけるように、粘り強く交渉していきたいと思いますし、情報開示にも努めてまいりたいというふうに思っております。

 日米の制度の違い、先ほど来申し上げているとおり、刑罰があるなしを含めて、外部に漏れないということがしっかりと守られることが大事であるということと、それから、他の交渉国も国会議員には、アメリカ以外は開示をしていないというふうに承知をしておりますので、そういった国々との信頼関係、これも含めて総合的に考えていくことが大事だというふうに考えております。

村岡委員 委員長、ぜひ理事会で、この精査するのを検討してみてください。

江藤委員長 本委員会のみで判断できることではなく、理事会で検討をさせていただきたいと思います。

村岡委員 よろしくお願いします。

 そして、西村副大臣、海外で言ったのが西村副大臣のそれぞれの答弁どおりだとすれば、情報は開示したいという思いで言ったけれども、アメリカとの制度の違いで撤回した、言葉足らずだったということです。これは先ほどの議論の中でもいろいろ疑問がありましたけれども、これは国内向けに言いましたか、アメリカ向けに言いましたか、その思いはなかったんですか。

西村(康)副大臣 国内向け、海外向けということを余り意識したわけではございませんけれども、意見交換、情報収集の中で、アメリカの国会議員が厳しいルールのもとでテキストにアクセスしているということも理解をし、そして、何か日本でも工夫ができないのかということを強く感じたわけであります。

 ただ、私の言葉が、そういう思いが強く出たがゆえに誤解を与えてしまって、まるでアメリカと同一のことができるかのようにとられてしまったことを反省いたしております。

 その意味で、海外向け、国内向けということではありませんけれども、国内で情報開示にできる限り努めていきたいという気持ちが強く出ての発言でございます。

村岡委員 西村副大臣、私は、海外と最初に言いましたけれども、アメリカ向けに言ったのかと思ったことも一つあるんです。

 というのは、アメリカの議員と話していて、アメリカの国会議員はいろいろアクセスしてその状況がわかる、なのに、日本の国会議員は一切アクセスできない、これはおかしいじゃないかということで、日本だって今ぎりぎりの交渉をしていますから、日本も議員に開示しながら、やりとりをするために日本の議員にもしっかり伝えて、アメリカと同等の中で交渉していこう、こういうことなら、外交戦略上、非常に大事なことだと思うんです。その思いではなかったんですか。

西村(康)副大臣 その時点で私が頭に思い浮かべていましたのは、まさに直前のセミナーでも情報開示についての議論にもなり、また、これまで国会でもたび重なる御指摘もいただいておりましたので、日本の国会の皆様方に、議員の方々に、何か情報提供、工夫はできないのかということを考えて、その思いが強く出ての発言でございます。

村岡委員 林大臣にもお聞きいたしますけれども、まず前提で、聖域なき関税撤廃じゃないということで参加した。そのときに農水委員会で、与野党ともに一緒に決議をして、国会並びに国民に広く情報を開示する、ここまで努力規定ですけれども、結果、今、もうすぐ出口が見えてくるというときに、一切、なかなか情報開示がない。最初のときの決議の思いと違ってきているんじゃないかと思っておりますけれども、林大臣はどのようにお考えですか。

林国務大臣 TPP交渉に係る情報提供については、これまでも交渉会合の結果等について情報提供してきておりまして、今、西村副大臣に来ていただいておりますが、TPP政府対策本部のもとで、政府全体で統一的に対応をしているところでございます。

 情報提供については、これも何度か先生にも御答弁をしたかもしれませんが、内閣官房において、中心となっていただいて、引き続き努力、工夫をしていくということが検討されるもの、こういうふうに考えております。

村岡委員 TPPの重要な問題、情報を開示しないということの中で秘密会、情報開示も秘密を守らなきゃいけないですけれども、やはり日本の国会が、こういういろいろな交渉事があったときに、このまま情報開示をしないままいくのは、やはりほかの国とこれからいろいろな貿易通商交渉があると思います。これからの問題もあると思うんです。そして、最初、参加するときに、TPP各国、秘密保持という契約をしながら、そのときにアメリカの憲法は違う、アメリカの罰則規定は違う、この国は違うと確かめなかったんですか。確かめたはずなんですよね。そのときに、だから、努力をするということをしっかりしていかなきゃいけなかった。

 そして、今ここに来て、そろそろこれは妥結するんじゃないか、こういう思いなんでしょうけれども、しかし、国会、また委員会が全く形骸化して、もう全て、外交で約束したことをひっくり返すというのもなかなか大変ですよ。やはり途中過程でやっていくというのは、この交渉だけじゃない。だから、この交渉をきっかけに、しっかり情報開示するということをやりながら、国会が国権の最高機関だったら、これをやはりやっていかなきゃいけない。

 自民党がいつまでも政権が続くかどうかはわかりません。自民党も政権じゃないときは、いろいろ情報開示を求めていたはずです。やはり国会を、国会議員を、委員会を信用して、しっかりと情報開示するべきだと思いますが、西村副大臣はどう思われますか。

西村(康)副大臣 できる限り情報開示には努めてまいりたいという気持ちは、繰り返しでありますけれども、強く持っております。

 ただ、一方で、十二カ国の間で保秘の契約があり、外部に漏らさないという、そのことが守られなけりゃなりませんので、そうしたこと、その十二カ国、他の国との信頼関係、こうしたことも含めて、日本の制度のもとで、制約のもとで、何か工夫ができないのかということは引き続き考えてまいりたいというふうに思っております。

村岡委員 十二カ国はもちろんです。それは外交で今交渉しているわけです。しかし、それぞれの国、アメリカは特にしっかりと国会議員に情報を開示している。そのことをしっかり踏まえた上で、そしてこの農水委員会での決議もあるわけですから、しっかり情報開示をしていく。努力、そういう形じゃなくて、しっかりするべきだと思っております。

 私は五月の連休中、地元の秋田に帰りました。昨年からの農業改革、そして飼料米の転換、いろいろなことで、皆さんが作付をしようということで準備をしておりました。代かきをやって、水を張って、そして種をやる。ことしは暑くて、桜の前線が早くて、五月の連休のときはもう散っていました。天気は非常によくて、温度がよくて、観光客はすごく来ていました。しかし、実際、農業の現場はやはり気候に左右されるんです。苗を育てようという種まきの種がやけてしまって、もう一度やり直ししているんです。

 そういう状況のときに、実は五月四日、種まきしているときに、村岡さん、情報開示するよ、西村副大臣がという話が来ていたんです。それにみんな期待したんです。その期待が、三日後、こういう形で撤回する。撤回なんかしなくて、もっと努力して、そして国会が困るわけじゃない、委員会が困るわけじゃないんです、これは農業者そして農村が困るんです、TPPは。我々が困るというよりも、その人たちが、今、農林省、政府の方針で、農業改革を進めていこう、農業の新たな道に行こう、そういって、なかなか悩んでいたけれども、もう一回作付しようとやっている、この部分をしっかり考えていただきたい。

 やはり、軽率にその部分を言ったということじゃなく、先ほど言ったように、もう一回しっかりと甘利大臣と、情報開示をこの委員会なり秘密会なりでするということをお約束願えればと思います。

西村(康)副大臣 私の発言がさまざまな混乱あるいは誤解を与えてしまったことを改めておわび申し上げたいと思いますが、引き続き、日本の制度、制約のもとで、各国との信頼関係、保秘の契約がある中で、これは何ができるのか、何か工夫はできないのかということを含めて、しっかりと真剣に検討してまいりたいというふうに思います。

村岡委員 その言葉を信じて、しっかりと情報開示をこれからも我々は求めていきます。いきなり、妥結しましたから、はい、こういうふうになりました、それでは、この農水委員会も国会も形骸化するということを認識していただきたい、こう思います。

 そして、先ほどの中でも、アメリカで安倍総理の発言がありました。若いころ、二十年ほど前と。

 実は、私が昨年の三月十二日の予算委員会でお聞きしたときに、安倍総理大臣は同じようなことを答えております。

 二年前ですか、私は、自民党がまだTPPに参加を決めていないとき、それを聞きましたら、安倍総理の言葉ですけれども、当選したときに、国対の兵隊として働いていたんですが、当時、ガット・ウルグアイ・ラウンドでいよいよ米のミニマムアクセスが認められるというときにおいて、私も断固反対をいたしまして、国会の前でいわば泊まり込みストライキというのを何人かでやって、寝袋でもってやったことがございます、そのときには、断固として守ると、しかし、残念ながらこうした行動では守ることができないんだろうということを身をもって私も経験したところでございます、それよりも、やはり実際に地に足のついた政策でもってしっかりと農家を守っていくことが正しい道なんだな、こんなことを学んだこともございましたと。

 私は、さっきの意見と違って、ここまで言わなきゃいけないんです。やはり農家の人たちはいろいろな政策に従ってきたけれども、衰退してきた。そこのところには、政策でそれぞれのところが現場の意見を聞いたり、そして世界の需要を考えたり、国内需要を考えたり、そういうことが足りなかった、だからもう一回一緒にやっていこう、そういうメッセージならよかったわけですけれども、やはりアメリカでは、アメリカに対するリップサービスで、少し言葉足らずというよりは、むしろ誤解を受けるということがこの新聞報道によってあったと思うのです。自民党の議員の中からも、今この大事な時期にこういう発言はというのが新聞の記事には載っておりました。私も、このとき答えた、その後もありますけれども、しっかり答えているんです、やはり交渉妥結が近くなったときこそ慎重に答えるべきだ、それは西村副大臣もそうだと思います。

 林大臣はどう思われますでしょうか、先ほどの答えに安倍総理の思いを言われていましたが。

林国務大臣 総理の米国議会での演説の内容については先ほど申し上げたとおりでありますが、今委員が御披露いただいた総理の、これは委員会か何かの答弁でしょうか、それはちょっと記憶がなかったので、なるほど、詳しく言うとそういうことなのかなと思って聞かせていただきました。

 私は初当選が九五年でございましたので、総理が初当選された九三年と九五年の間に多分そういうことがあったのかなと思いながら今聞いておりましたけれども、まさに大事な局面に差しかかっている、常に大事な局面をずっと経過してここに至っているわけでございますが、くれぐれも、これは一般論でございますけれども、いろいろなことを対外的に言うときには、どういうふうに相手が受け取るかということにも思いをいたして、しっかりと説明をするということは、大事なことであると考えております。

村岡委員 対外的にはもちろんなんですけれども、国内の農業者を含めて、国民が注目していることで、アメリカで言ったことでも今はすぐさま情報が伝わるわけですから、特に、さっき言ったように、作付している状況のときですから、慎重に、そして一緒になって農業の成長、改革をしていかなきゃいけないわけです。現場は国会にあるわけじゃなくて、それぞれの農村地帯にあるということを絶対忘れちゃいけない、こう思っております。

 西村副大臣、今の安倍総理の発言とともに私の言ったこと、そして、あのときには細川内閣で、そのとき安倍総理かどうかは確認していませんが、五人ぐらい国会の正面玄関のところで座っていたところに、頑張ってくださいと私は差し入れを持っていきました。安倍総理かどうかは覚えていません。みんな座り込みして、寝袋を持ってやっていた。でも、私は若き熱い思いはいいと思うんです。それを否定はしなくていいんです、それを踏まえた上で農業の政策が、今までなかなか日本の農業の発展がなかった。それは、世界の市場も変わってきた、国内の事情も変わってきた、こういうことの上で言っていかなきゃいけない。

 そして、先ほど西村副大臣も、情報開示は考えていただき、言った発言を撤回するよりも、私の思いはこうなんだ、ぜひともやりたいんだ、大臣も説得して、そして十二カ国も説得して、ちゃんと秘密会でやるんだ、そういう覚悟こそ大切じゃないですか。

 私はやるんだということだけでいいんです。私はやりたいと思っている。それを最後に、政治家として。

西村(康)副大臣 前段のお話は、私も地元は淡路島、明石も都市農業はありますし、農業、水産業のところであります。その皆さん方が苦労しながら生産活動をしておられる。何とか将来にわたってしっかりとその活動を維持していけるように、そしてまた、さらに競争力を持ってやっていけるように、その気持ちは本当に強く、その点も持っているところでございます。

 それとあわせて、新しい時代の変化、グローバル化であったりIT化であったり、新しい技術も出てきております。そんな中で、どうやって調和を図っていくのかと常に悩みながら交渉にも当たっているところでございます。

 いずれにしましても、そうした皆さん方にもしっかりと安心していただけるように、そうなるように粘り強く交渉してまいりたいと思いますし、情報開示についてもこれまで以上に、今度は説明会も開きますし、五月一日には、ルールのテキストについてはさらに詳しい内容のものも公開をさせていただきました。これから先も、さらに何か工夫ができないのかということを真剣に考えてまいりたいというふうに思います。

村岡委員 ぜひ期待しています。政治家として、この交渉事をしっかりと国民の利益になるように、農業者が安心して農業の改革そして成長につながるようにお願いしたいと思います。

 そして、きょうは攻めの農業ということでも通告していますけれども、今のところ、ちょっと私もほかの委員会をやって抜けたときに議論があったかどうかわかりませんが、せっかく大臣がミラノの万博に行ってきたわけですけれども、もう質問があったかどうかわかりませんが、このミラノの万博、前の委員会でも大臣と大いに、日本の食を宣伝してくれということだったんですが、この外遊でどのような感覚を持ったでしょうか。

林国務大臣 先ほど石田先生からも御質問いただきましたけれども、ミラノ万博に国会のお許しをいただきましたので行ってまいりまして、前々から言っておりますように、無形文化遺産をユネスコで登録していただいた一昨年をホップ、それから、ことしのミラノ万博をステップ、そして、東京オリンピック・パラリンピックをジャンプということで、日本食、食文化を大いに発信をしていければと思っておったところでございます。

 パビリオンは、大体ゆっくり見ても一時間弱ぐらいで見られるようにうまくできておりまして、ただ展示を見て読むということだけにとどまらずに、いろいろなハイテクを駆使しまして体感をする。例えば、少し暗くなったところに田んぼを想定したような展示があって、自分が中に入っていけるわけですね。そうしますと、映像で、手を差し伸べると魚が逃げていくというように照明が、多分、上から下からセンサーがあってそういうふうになっているのかな、こういうふうに思いましたけれども、そういうことや、それから、ハイテクという意味では、滝のようなところがあって、そこからいろいろなものが流れ出ていくところに自分のスマホを置いておきますとアプリがダウンロードできる。それをそのまま持って帰って、より詳しい中身を後で持って帰れる。いろいろな工夫がしてあるな、こういうふうに思いました。

 最後のところに実はバーチャルな食堂がありまして、そこで和食を自分で注文して、出てくる。当然映像で出てくるので食べられないわけですが、それが終わって、出ていったところに食堂がちゃんとあって、おなかがすいたところでどうぞお食事を、こういうことになっておって、非常に戦略的にもうまくできておるな、こういうふうに思いました。

 やはり、食の手前の農業、農業を支える食文化、食を支える食文化、だしといったものをかた苦しくなく、それを体感することによってすっと入ってくる。日本食というのは、ただ、てんぷら、すし、すき焼きというのがおいしいというだけじゃなくて、背景にはこういう自然や文化というものがしっかりあるんだなということを体感していただけるすばらしいパビリオンになっていたな、こういうふうに感心をいたしたところでございます。

 関係者、日本の関係者はもちろんですが、イタリアの博覧会の関係者からも、ミラノ博でのナンバーワンになるぐらいの人気のパビリオンになるんじゃないかとお褒めをいただいておるようでございますので、しっかりと多くの方にこれを見ていただいて、和食がさらに発信をされるように我々もできる限りのサポートをしていきたいと思っております。(発言する者あり)

村岡委員 今、行きたいなという発言がありましたけれども、私も、半年間やっているので、私は理事じゃないので自分で行きたいなと思っていますけれども、委員長、ぜひこれは、海外戦略の一つとして、委員会で理事の皆さんで出かけて、しっかり見る、やはり海外戦略というのはこういうことが大事だ、こう思っています、委員長は答えないでしょうけれども。

 まあ、法案はしっかり審議をしてということで、私は行けないでしょうけれども、それは別にしまして、それは絶対行くべきだと思います。この日本館が、先ほど大臣が言ったように、国際的に、ヨーロッパ、世界の人たちが日本食に興味を持って、それをどうやってやっているかというのをより多くの国会議員が見ることは大切だ、こう思っていますので、ぜひそれは検討していただければ、こう思っております。

 そしてもう一つ、攻めの戦略の中といいますか、台湾のWTOの提訴とかということがありますけれども、台湾に対して、日本の風評被害みたいな形は大臣はいろいろ説明されていると思いますけれども、台湾の状況はどんな感じでしょうか。

林国務大臣 台湾においては、平成二十三年の三月、まさに福島第一原発の事故後、福島、茨城、群馬、栃木、千葉五県の全ての食品の輸入停止ということでやってきたわけでございますが、先月十五日に、さらに輸入規制の強化の公告というものが行われたところでございます。

 この措置でございますが、科学的根拠に基づかない一方的なものでございますので、我が国は撤回を求めておりまして、さらに、今回の規制強化に至った具体的な事実関係、偽装があったのではないか、こういう報道もあるわけでございますが、この事実関係等について、当方から再三説明を台湾の当局に求めているわけでございますが、いまだ説明がなされていないということで大変遺憾に思っております。

 引き続き、台湾側に対して輸入規制強化の撤回を求めていく一方で、関係事業者に対しては規制強化に関する情報提供はしっかりと行っていきたい、こういうふうに思います。

 記者会見でも申し上げましたけれども、今すぐにWTO云々ということを何か予定しているわけではございませんが、このままで何も改善が見られないということであれば、WTOに対する提訴も含めていろいろなことを考えていかなければならないということを申し上げたところでございます。

村岡委員 台湾は、本当に親日的で、日本に対しても非常に親しみを持って、日本食に対しても大変理解がある国だと思いますので、そこは、風評被害によってそのようなことにならないように、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 そして、攻めの農業という中で、ちょっと視点は違うんですが、農業高校のことを副大臣に言いましたけれども、農業高校を支援する会か何かを自民党ではつくられたみたいですけれども、そこは本格的に、自民党だけでやるのか超党派でやるのかわかりませんが、私は、攻めの農業の将来という意味では、ぜひ農業高校、農業大学とやっていきたいと思います。

 副大臣、何かやられたそうですけれども、違いますか。

あべ副大臣 農業高校を応援する会ということでございまして、まだ立ち上げではなく、打ち合わせだけをさせていただいた段階でございます。

村岡委員 ぜひ超党派でやりましょう。農業高校の子供たちと、歴史教育じゃなくて、新しいこれからの農業に関してということで、しっかりやっていきたいと思っています。

 それと、もう一つ、中山間地の攻めの農業。中山間地は、もちろん、大変傾斜地でありますから、直接支払いであったり、そしてまた日本型直接支払いと、いろいろな制度で保全していかなきゃいけない。日本の美しい棚田もありますし、そして農村社会を守るということはもちろんわかる。

 しかし、これを守るだけじゃない、攻めをちょっと考えていかなきゃいけない。そのときに、その制度だけでは、六十五歳以上、そして効率が悪い、なかなか担い手がいない、この状況。この制度だけで、中山間地を今後十年、二十年と守っていけるとお思いでしょうか、大臣。

林国務大臣 中山間地域は、やはり食料の安定供給、それから、先ほどから議論になっております多面的機能の発揮という意味でも大変に重要な位置づけを有しておりますので、今委員がおっしゃっていただいたように、高齢化それから人口減少、こういうことがあって厳しい状況の中ではありますけれども、そういう生産条件等の不利を補正しながら、地域の特色を生かした農業の展開を図っていくことが重要だと思っております。

 したがって、中山間地域等直接支払い、多面的機能支払いということがあるわけですが、さらに、豊かな地域資源を活用した付加価値の高い農産物の生産、六次産業化等の推進による所得の向上、こういうことで、まさに攻めていくところがあるのではないかと思っております。

 いろいろな各地の例がございますけれども、氷見だったと思いますが、いろいろな作物を化粧品にしたり、ハト麦茶ということでやったり、ハト麦を中心的に取り組んでいこう、こういうことや、最近は、先ほど医福食農連携という言葉がございましたが、漢方薬の原料の産地のマッチングということも進めさせていただいております。

 さらに、農業を軸に観光分野と連携するということで、雇用の創出、それから所得の向上につなげていくといった意味で、都市と農村の交流というような施策、こういうこともあわせてやることによって、攻めていく、打って出るということもしっかりとやっていきたいと思っております。

村岡委員 もう一つ、中山間地の農業に対して、ちょっと今、本を忘れましたけれども、あるんですね。それは、ほかの例でもよくありますけれども、一区画、例えば一反歩当たり生産委託して、企業や都会の個人がやる、そこまではいいんです。

 我々が少し検討しているのが、その委託で、例えば一俵当たり一万五千円だったとして、東京に来ればこれは三万円ぐらいするわけですから、一万五千円で生産委託する。一反歩で十万円ですから、十五万円生産委託を受ける。そして、中山間地は最初から値段が決まっている。そして、それを企業や都会の個人の人たちが生産委託した場合に、これは税制で何とかならないか。自然を守る、そして日本の豊かな国土を守る、そういうときに、例えば、企業だったら経費にする、個人だったら所得税の中での控除にする。その中が、中山間地で払われているお金があります。それは、見合いがなければ予算は新たにはふやせません。しかし、そういうことも特区で、農業者、農業法人が努力していろいろな制度はありますけれども、国全体で、農地を守っていこう、自然を守ろう、そして日本の豊かな食文化を守ろうという、これは都会も巻き込む中で少し考えられないか、今、我々も予算的なものを含めてちょっと考えている、中山間地の新たな攻めの農業だ、こう思っています。

 ふるさと納税というのがありますけれども、その納は農業の農でもいい、あれは地方税なのでちょっと違いますけれども。予算づけの中で、何か、守るべき点は守る予算と、攻めるべきところがなかなか出てこないことが、担い手はもういない、そして担い手が出てこない。しかしながら、地域で住んでいる人が、そういうことならやるかもしれない。それからまた、平地で大規模化した人が、最初から生産が決まっている金額ならやるかもしれない。何かやはり新しい取り組みをしていかなきゃいけない、こう思っているんですけれども、最後に、大臣、よろしくお願いします。

林国務大臣 大変傾聴に値するアイデアだ、こういうふうに思っております。

 農林水産省で農業女子PTというのをやっておりまして、ここに参加されている方の中で、テレファームということで、四国だったと思いますが、かなり奥の方の中山間地のところを、全部圃場を写真に撮って、きょうはこういう状況ですというのを区画ごとに売っていって、そして、そこの持ち主の都市の住民がスマホか何かを通じて見ることによって、そろそろこれを植えましょうとか肥料をやってくださいと指示をして、それを実際に現場でやる、こういうような取り組みをされて、今おっしゃっていただいたように、できたものも直接行きますので、都市の方がいろいろなことを通して買うよりも安くなる、こういうような取り組みをしていらっしゃるのを現地に行って見たことがございます。

 いろいろな工夫の仕方があるのではないか、こういうふうに思っておりますので、中山間地域の農業振興を図るという考え方の中でしっかりと検討してまいりたいと思っております。

村岡委員 きょうは、ここで終わらせていただきます。ありがとうございました。

江藤委員長 午後四時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時開議

江藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。仲里利信君。

仲里委員 ハイサイ グスーヨー ウクタンデーネーミソーラニ。沖縄の方言で、皆さん、お疲れございませんかという意味でございます。

 私は一回生ではありますけれども、入った途端に最長老になったそうでございまして、また、議席の順序も一番であります。何から何まで非常に幸せに思っております。総理の指名のときも、私に一票入れた方がおられまして、大変光栄に思っておりました。

 余談は抜きにいたしまして、このたびは農水委員会の皆さんの御好意によりまして、無所属でありますが、質問の機会をいただきまして、心から感謝を申し上げます。

 本日は、沖縄のかりゆしウエアを着用してまいりました。沖縄では年じゅうこれで許されております。寒い人はまた長いのをつけてもいいというふうになっておりますが、これは、私の地元であります沖縄県の南風原町というところの、かすりの里、そこのいわゆる特産品であります。ちょっと値段は高うございますが、ぜひ先生方にも着用いただけたらと思います。

 きょうは、実は、本旨でありますTPPの関係で質問をしたいなと思っておりましたけれども、これまでも林農林大臣には質問主意書という形で質問を何度かさせていただいておりますので、あくまで、例の水産に関係いたします辺野古の埋め立てにかかわる件を質問させていただきたいと思っております。

 辺野古の海は、沖縄県が自然環境の保全に関する指針でランクAとして保存すべきだとした立派な海でございます。この海を政府みずから国民の血税を使って潰して、そしてアメリカ政府に無条件で提供することに対し、県民は、七十年前と同じように、またこの沖縄を要塞化して、日本本土を守るための捨て石として利用していると考えるようになっております。

 それでは、通告の順序は違いますけれども、質問を行います。

 まず第一番目の質問は、農林水産大臣が知事の指示の執行停止を命じるに当たって挙げた理由の根底には、沖縄への差別と蔑視、国益のための県民の民意無視、これまでの琉球処分のように沖縄を切り捨てても構わないという考えがあるのではないかと懸念をいたします。

 答弁をいただく前に、辺野古への新基地建設強行に見られますように、これまでの沖縄県民に対する日本政府の対応等、歴史的な変遷と密接な関係があると思いますので、沖縄の歴史認識についてしばらく述べさせていただきたいと思います。

 まず最初は、十五世紀から十九世紀までにかけまして、沖縄、つまり琉球王国は曲がりなりにも独立国でありました。

 一六〇九年、幕命を受けた薩摩藩は琉球に侵攻し、武力で琉球王国を薩摩藩の附属国といたします。その一方で、幕府と薩摩藩は、琉球に朝貢貿易を仲介させるため、日清両属関係を継続させます。つまり、表向きは独立国ですが、実際には植民地だったからであります。その間、幕府と薩摩藩は、琉球に対し、徹底的な差別と弾圧で臨みました。日本による植民地支配の構図の始まりだったと考えられます。

 次が、一八七九年の廃藩置県です。

 明治維新により、急速に近代化の設立に邁進していた日本は、朝貢貿易をこれまでどおり行うとともに諸外国との修好条約をいち早く進めていた琉球に対し、日本への併合と廃藩置県を進めようといたします。

 ところが、明の代から続いている冊封関係から、いきなり日本の一部とすることはさすがにできません。まず最初は、勅命により琉球を琉球藩とし、薩摩藩の附属国を廃して日本国政府直属とし、次に、琉球藩を解体して沖縄県を設置するという段階的な方法で臨みます。

 もちろん、その手続に当たっては全く民意を問いませんし、むしろ、琉球処分官と軍隊の武力を背景に、強権的に廃藩置県を布告して日本に編入いたします。このため、県民はこれを第一次琉球処分と称し、県民の胸に深く刻んでまいりました。

 次が、一九四五年の敗戦に伴う米軍統治と、一九五二年のサンフランシスコ講和条約による屈辱的な信託統治です。

 アメリカは、沖縄を東アジアのかなめ石と位置づけて、最前線の基地を確保するため、銃剣とブルドーザーによる土地接収を行います。もちろん住民は、島ぐるみ闘争と呼ばれる抵抗運動を展開し、徹底的に反抗いたしました。

 また、米軍は、基地の安定運用を図るため、高等弁務官による直接統治を行い、沖縄の政治、経済、司法等、あらゆる面で住民を抑圧します。それを県民はキャラウェー旋風と呼んでやゆしました。つまり、県民にとって米軍統治は植民地支配以外の何物でもなかったのです。

 次に、サンフランシスコ講和条約による信託統治であります。

 県民にとって、この日は屈辱の日であります。沖縄が日本から切り離され、異民族の米軍の施政権下に置かれた日だからです。日本本体の維持、防衛のため、沖縄が見捨てられた、捨て石にされたからであります。だから、県民はこれを第二次の琉球処分と位置づけて、その非道さを長く語り継ぎました。

 次が、一九七二年の祖国復帰であります。

 我々沖縄県民の多くは、異民族支配から脱し、日本に戻るべきであると考え、保守、革新の垣根を越えて祖国復帰運動に取り組みました。しかし、結果は、統治者が米軍から日本政府にかわっただけで、それ以外は米軍統治下と何ら変わっておりません。

 米軍基地は相も変わらずそのまま残り、過重な基地負担は続き、基地から派生する事件や事故は、減少するどころか、むしろ増加、悪質の一途をたどっております。

 確かに、空港や道路、港湾等のインフラ整備は進みましたが、経済の自立化に結びつく産業の育成に日本は手をかそうとしませんでした。沖縄振興費と呼ばれる多額の資金は投入されましたが、県内には残らず本土に吸い上げられる、いわゆるざる経済であります。そのため、県民はこれを第三次の琉球処分と位置づけて、現在に至っても復帰の是非を自問自答しております。

 ところで、沖縄振興について、東京新聞は、沖縄振興予算の中に国直轄事業分や県と関係の薄い予算が含まれており、いわばまやかし、見せかけの沖縄振興予算であると厳しく糾弾し、そのからくりを暴きました。

 また、国からもらった交付額と国に納めた税額を見比べると、沖縄は国に多く納めていることも明らかとなっております。

 さらに、沖縄は、基地があるがゆえに、辺野古に新たな基地を受け入れる見返りのゆえに、通常の予算とは別枠で多額の予算が配分されているという声がちまたにはあるようですが、そんなことは決してございません。むしろ、沖縄は、先ほどの国直轄事業分等を含めても、全国の十七位にしかすぎません。

 次が、一九九六年の辺野古への新基地建設条件つきの普天間基地の返還です。

 普天間基地は市街地の真ん中にあり、世界一危険な飛行場と称されております。加えて、一九九五年に米海兵隊らによる少女暴行事件が発生したことから、うっせきした県民の怒りが爆発し、基地撤去を求める動きが加速いたしました。

 これに慌てた日米両政府は、普天間基地の返還を合意しますが、普天間基地の代替施設は県内という条件をつけます。

 これは、沖縄に最新の機能を持った基地を日本政府の負担で確保したい米軍の考えと、日本、とりわけ尖閣諸島の防衛にアメリカを巻き込みたい、新基地を日本の負担でつくっても防衛予算全体のコストからすれば安上がりで済む、尖閣諸島や東南アジアをにらんだ前線基地を沖縄につくり沖縄を要塞化したい、去る大戦と同様に、また沖縄を本土防衛のための捨て石にしても構わない、危険なものは全部沖縄に閉じ込めておけばよいという日本政府の思惑が一致した結果だと思っております。

 ところで、普天間基地の返還合意から既に十九年が過ぎました。日米両政府が目に見える形で沖縄の基地負担を軽減すると華々しく打ち上げました嘉手納基地より南の米軍施設・区域の返還にしても九年が過ぎております。なぜ基地返還は進まないのか。その最大の原因は、返還の条件とされた県内への代替施設の建設であることは明白です。

 また、辺野古基地建設を受け入れるとした稲嶺知事や岸本名護市長の苦渋の選択の前提条件である撤去可能な構造物、そして十五年共同使用について、政府は一言も触れようとしません。あたかも了解だけがあったかのように振る舞っております。

 だから、県民はもはや日米両政府の言うことは信用しませんし、納得もしません。基地負担を軽減するといいながら、実は県内で新たな基地をつくることが条件だということは明らかに不条理であり、誰も承知できません。むしろ、そのような考えを持つこと自体が県民に対する差別であり、蔑視でしかありません。

 したがって、今のように沖縄が自決権を奪われ、基本的人権と民主主義も適用されないのであれば、行き着く先は、主権の回復を目指す機運が生じてくるだろうと思料いたします。

 以上で、沖縄に関する歴史的な変遷と歴史認識についての説明は終了いたします。

 なお、答弁をいただく前に、あえて沖縄県と政府のやりとりを説明させていただきます。

 まず最初に、沖縄県が沖縄防衛局に対し、ボーリング作業の停止を指示します。これに対し、沖縄防衛局は、上位省である農林水産大臣に県指示の執行停止申し立てと審査請求を行ったというのが一連の流れであると理解をしております。

 それでは、早速でございますが、農林水産大臣の御答弁をお願いいたします。

林国務大臣 沖縄の本土復帰から約四十三年経ておりますが、今なお、国土面積の一%に満たない沖縄県の中に在日米軍の約七四%が集中している、これが、今委員からもるる歴史の御説明もいただきましたけれども、県民の皆様のやはり大きな負担となっております。こういう状況について大変厳しい声があるということは十分に認識しておるところでございます。

 冒頭、御質問でありましたように、県民の民意を軽視して、琉球処分のように、沖縄を切り捨てても構わないという考えがあるのではないかというお尋ねでございますが、決してそういうことはなくて、これは行政不服審査法という法律がございますので、農林水産省は本件の審査庁というふうになっておりますので、沖縄防衛局とそれから沖縄県、双方から提出された書面を慎重に審査いたしまして執行停止の決定を行ったということでございますので、そこは御理解をいただきたい、こういうふうに思っておるところでございます。

仲里委員 農林水産大臣は、知事の指示の執行停止を命ずるに当たって、その理由として、防衛省の所管である普天間飛行場の危険性の除去と、外務省の所管である日米間の外交、防衛への重大な損害を避けることをそれぞれ挙げておりますが、なぜ水産資源保護法上の理由を挙げないのか、また、なぜ水産動植物の繁殖や保全、漁業活動への支障の有無等を理由に挙げないのか、他省庁の所管事項を挙げた理由は何か、お聞きいたします。

林国務大臣 先ほど申し上げましたように、執行停止の要件につきましては、当事者双方から提出をされた書面によりまして、双方の主張を勘案して判断するというふうに法律で規定をされております。処分による損害は、処分の内容、それから審査請求人の行う行為の目的によってさまざまでございまして、必ずしも審査庁、この場合は農林水産省でございますが、この所掌に限定されるものではないということでございます。

 本件について申し上げますと、この工事の目的は、普天間飛行場周辺住民に対する危険性、騒音の除去等でございまして、工事がおくれることによりまして、これらの危険性や騒音の継続、日米両国間の信頼関係への悪影響が生じる、こういう審査請求人からの申し立てがございまして、我々審査庁として、先ほど申し上げましたように、この申し立てについて相当である、こう認め、こういうふうに判断をしたということでございます。

仲里委員 ただいま農林水産大臣から、危険性の除去とか、あるいは、私は他省庁のことであると思っておりますけれども、農林水産省が知事の指示の執行停止を命じるに当たって、その理由として、他の省庁の所管事項を理由に挙げたことは、行政事務の分担管理原則と、行政法の大原則であります法律による行政原則に反し、瑕疵があり無効ではないかと思いますが、御答弁をいただきたいと思います。

林国務大臣 執行停止の要件でございますが、当事者が提出する書面により双方の主張を勘案して判断すること、こういうふうに法律で定められておりまして、先ほど申し上げましたように、必ずしも審査庁の所掌に限定されるものではないということでございます。

 また、本件の審査庁である農林水産省として、行政不服審査法の規定に基づいて、執行停止の決定を行わせていただいたということでございます。

 審査庁としては公平中立に審査をしたところでありまして、そこのところを御理解いただきたいというふうに思っております。

仲里委員 沖縄防衛局が提出いたしました膨大な数の申し立て書と審査請求書に対しわずか六日間で、沖縄県の意見書も同様に膨大なページ数でありながらわずか三日間という、異例の短期間で結論を出せた理由は何か、伺います。

林国務大臣 執行停止につきましては、行政不服審査法の第三十四条七項でございますが、「すみやかに、執行停止をするかどうかを決定しなければならない。」こう規定をされておるところでございます。

 他方、本件にかかわります沖縄県知事の指示というものがございますが、ここには、全ての工事を停止し、七日以内に報告すること、指示に従わない場合は許可を取り消すことがある、こういうふうにされておるところでございます。

 したがいまして、沖縄防衛局による執行停止の申し立てについては、七日間という期限内に決定を行ったということでございます。

仲里委員 時間のようでございますので、質問を残しておりますけれども、残余の質問につきましては、改めてまたお願いをして質問したいと思います。

 大変ありがとうございました。イッペーニフェーデービル。

江藤委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 維新の党の小熊慎司です。

 きょうの午前中も質疑がありましたし、昨日、参議院の方でも質疑がありました。私自身は、外務委員会で、四月の二十四日にTPPにおける情報のあり方について西村副大臣と質疑をして、五月四日の発言はよかったなというふうに思っていたんですが、撤回をしたということで、四月の外務委員会での西村副大臣との質疑でも、もちろん、日米の制度の違い、仕組みの違いがあるという前提で、この日本の仕組みの中で情報公開というのをやっていかなきゃいけないでしょうと言ったら、そのとおりで、検討していきたいということですから、真意が違うから撤回というのではなくて、誤解を与えたことに関しては、詳細にもう一回説明をやればいい話です。

 確認したいんですけれども、基本的には、いろいろな制約がありながらも、やはり情報については、制約の中でも前向きに公開をしていく。午前中の答弁でも、きのうの参議院の速記録も見ましたけれども、副大臣の真意は、完全撤回ではなくて、やはり何らかの方法でこの情報というのは明らかにしていかなきゃいけないという思いでいいんですか、考えでいいんですか、どうですか。

西村(康)副大臣 お答えを申し上げます。

 小熊委員からも、質疑の中でそのようなお話も以前にもいただいております。お話しのとおりであります。

 この国会の委員会での質疑の場で、多くの方からそういう情報開示についてはもっと進めるべきだという御意見をいただく中で、私自身も、常に、何かできないのかという問題意識を持っておりまして、今回アメリカで、アメリカの議員と意見交換をする中で、閲覧が認められているという話も聞き、また、セミナーで情報開示についての話題も出て、そんな状況の中で、私自身が何か工夫はできないかという強い思いを持って、ああいう発言になりました。誤解を与え、また混乱が生じてしまったことを本当に反省しているところでございます。

 ただ、ぜひ御理解いただきたいのは、まず第一に、十二カ国の中で保秘の契約があって、外部には情報を出さないということ、これは各国それぞれの制度のもとで強く守られてきているところでありますし、アメリカも、議員には開示をしておりますけれども、そこから外には出していないということであります。

 そうした中で、我が国は我が国の制度、制約の中で、さらに何か工夫ができないのかということは、これは引き続き考えていきたいと思いますし、真剣に、情報開示についてさらに何かできないのか、これについては私も努力をしてまいりたいというふうに考えております。

小熊委員 ということであれば、五月四日の発言、これは多少誤解を与えたといっても、完全撤回ではないわけですよ。情報提供に関しては今後もいろいろ検討して努力していくということですよね。その方向性までも否定したんですか、この七日の日の撤回というのは。そこは否定していないんですよね。

西村(康)副大臣 引き続き、我が国の制度、制約のもとで、そして、十二カ国が保秘の契約を結び、外部に情報を漏らさない、そういう信頼関係のもとで交渉を進めている、そうした状況を踏まえながら、引き続き、何ができるのかということは考えてまいりたいというふうに思います。

 ただ、アメリカと全く同じようにできるのかというと、そこは、午前中も議論がありましたけれども、罰則の有無等を初め制度の違いがございますので、同様にはできないということでありまして、それが、全くアメリカと同様にできるのではないかというふうに捉えられてしまったことも含めて反省をしているところでございます。

 引き続き、何か工夫はできないのかということは考えてまいりたいと思います。

小熊委員 それは、副大臣、もっと堂々とやったらいいと思うんですよ。

 だって、四月二十四日の外務委員会の質疑の中で、日本とアメリカの仕組みが違う前提で、日本としての情報提供はどうですかという、まさに制約がありますよと私も認めて、その上でどうですかと聞いて、前向きに検討していかなきゃいけないと言っているんですから、何でそこからバックギアを引いちゃっているのかなと思っています。そんなものはみんなわかっていますよ、野党の人たちだって。その上で何ができるかというのは、どんどんやればいいじゃないですか。そこは否定していないんですよね。積極的にやっていくということですよね。怒られたから何か自信なさげになって、いつもの西村さんとはちょっと違うな。ちょっとお願いしますよ。

西村(康)副大臣 情報開示については、御案内のとおりの制約がある中で、引き続き、できる限りの情報提供をすべく、これは真剣に考えていきたいというふうに思います。

小熊委員 そうすると、七日の日は逆に言い過ぎなんですよ、撤回するというのは、それすらも撤回したような印象を与えていますから。

 今後は、もう一回修正をして、説明をしてください、国民に向けて。日本の限られた制約の中で、情報提供はしていく努力はしていくんですということはやはり言っていかなきゃいけないと思うんです。私は、七日の日のニュースを見て、もうゼロになっちゃったと思いましたもの。逆の印象を持ちました。真意が伝わっていない。七日の日の発言も逆に真意が伝わらなくなってしまいましたから、これはしっかり情報を……(発言する者あり)そうです、撤回の撤回。修正、詳細な説明を改めてすべきだと思いますよ。四日は言い過ぎたかもしれないけれども、七日は今度は引き過ぎたんです。

 もう一度、真意、詳細、方向性を説明すべき責任があると思いますけれども、再度答弁をお願いします。

西村(康)副大臣 繰り返しになりますけれども、アメリカでの、ワシントンでの私の発言が、アメリカと同様の、同じような開示の仕方ができるというふうに誤解をされてしまった。そのことによって混乱を生じさせてしまいましたので、そのように受け取られた発言については撤回をいたしました。

 しかしながら、これも繰り返しになりますけれども、十二カ国との保秘の信頼関係をしっかりと維持し、また、日本の制度、制約の中で、さらに情報開示、何か工夫はできないのか、これについては引き続きしっかりと考えていきたいというふうに思います。

 きょうもそうです、きのうもそうですけれども、国会のこの質疑を通じて、報道もなされておりますので、私の真意、今考えているところはぜひ御理解をいただきたいというふうに思っております。

小熊委員 私だって知っているんですから、もっとほかの優秀な国会議員も、アメリカと全く同じことなんかできないなんというのはわかっていて副大臣の発言を受けていたんですから、そんなに臆しなくてもよかったのになと思いますから、これから積極的にやっていただきたい。

 このやりとりを見ていて、林大臣、TPPの情報開示のあり方というのは、大臣としてはどう思いますか。

林国務大臣 やはり発言というのは慎重でなくてはならないなということを先ほど午前中の質疑でも申し上げましたけれども、私がずっと副大臣の答弁をここで聞いている限りは、同じことをやるということではないにしても、いろいろなことを工夫していく。それは甘利大臣も西村副大臣も前からおっしゃっていたことを繰り返しおっしゃっておられるので、三歩進んで二歩下がるという歌がありましたけれども、やはり進み過ぎちゃったから下がるということをやりますと、三歩進んで二歩下がれば一歩まだあるんですけれども、今の御指摘のように、そこもないんじゃないか。かえってそういうことも出てくるということでございますから、こういう微妙な案件については、やはりできることをしっかりと説明するし、言いぶりには、相手がどう受け取るかということを注意しながら言うということが大変大事であろうか、こういうふうに思っております。

 この情報公開については、まさに甘利大臣、西村副大臣のところが中心になって、政府全体として本部というのがございますので、そこでやられるということでございますから、やはりいろいろなバランスの中でできるだけいろいろな工夫をしていく、この努力は常にしていきたい、こういうふうに考えております。

小熊委員 端的に確認ですけれども、情報開示は日本なりのやり方で進めるべきだという趣旨でよろしいですか。

林国務大臣 そういう趣旨で申し上げました。

小熊委員 そういうことであれば、これは議会側に課せられた課題であって、同僚議員が発言をしていますが、民主党と維新の党で、いわゆるTPP等の情報開示促進法というのを提案しております。これをどうするかは議会での取り扱いになりますが、こうしたものについて、これはまさに情報開示、方向性は否定していないわけですから、日本の中で取り組んでいきたいという西村副大臣、林大臣の考え方です。

 では、それであるならば、具体的なこの案に対しての御見解をお聞きしたいと思います。まず、西村副大臣から。

西村(康)副大臣 立法につきましては、議会の方で、これはどういうふうに進めていくのか御議論されると思いますので、私がそれについてどうこう言うことは差し控えたいと思いますけれども、大事なことは、繰り返しになりますが、十二カ国の間で保秘の契約を結んで、信頼関係を持って交渉しているということ、それは、すなわち外部に漏らさないという前提で、各国、工夫しながら、苦慮しながら情報開示を進めているということでありますので、そういった前提をしっかり理解をいただいて御議論いただくということだと思っております。

林国務大臣 今、西村副大臣から御答弁があったとおりでございまして、議員立法でもございますので、政府としてはコメントは差し控えたいと思います。

 先ほど申し上げましたように、この午前中でありましたか、農作業の準備をもう既に始めていらっしゃる方の中にもいろいろな声があるという御指摘もあったところでございまして、やはり、この交渉の結果による影響を懸念する農業者の方々からもさらなる情報開示を求めるという声は承知しておりますので、そのバランス、秘密保持契約とのバランスを工夫しながら、できる限りの情報提供というのは我々としても努めていく考えでございます。

小熊委員 我々でも、法案をつくれるわけですから、政府の方は人材も能力もあるわけですから、情報開示をやっていかなきゃいけないという認識のもとであれば、早急にどうすべきか、何ができなくて何ができるかなんというのは明らかなわけです。そのもとではっきりと具体的な方策を今後提示することが、つくり上げることが、今回の西村副大臣の発言の火消しになると思いますよ。

 撤回、修正、何かいろいろ、また議会でも何回も何回も謝罪されていますけれども、謝罪すべきではなくて、しっかりと真意を詳細に伝えて、そして具体的にその方向で何をやるかというのを示すことが西村副大臣の今回の誠意の示し方だというふうに思います。政府全体の誠意の示し方だと思います。言葉を重ねることではなくて、情報開示という方向性は否定していないんですから、そこまで撤回していないと今言われたわけですから、であれば、具体的に何をするか、アクションを起こすことがこれは正しい対応だと思いますよ。

 これは早急にですよ、もうわかっているんですから、どうしなきゃいけない、何ができないとかというのは、今副大臣が説明しているとおり。こんな何カ月もかけて、こういうふうにしますという話じゃないですよ、能力はあるんですから。であれば、早急に、いつと、本当は一週間でも二週間でもいつですかと聞きたいけれども、そこまでは聞かない。早急にこれは対応しますね、副大臣。

西村(康)副大臣 できる限りの情報開示をしていきたいと思いますし、何ができるのか、できる限りの工夫はしてまいりたいと思います。

 五月一日の時点でも、それぞれルールの交渉状況について、これまで以上に詳しい内容のものを公開いたしております。そうしたことも含めて、何か工夫ができないのか、これは真剣に考えていきたいと思います。

小熊委員 今考えるというのは、四月の質疑のときも考えると言っているんですから、もう時間は過ぎているんですよ、具体的な案を出せるはずですから。これは本来であれば、この民主党と維新の党の案をしっかり議論して成立させたいんですが、そうじゃなければ、政府でしっかり出して、それが成立したら西村法案と言ったっていいですよ。これはしっかり早急に取り組んでください、それが本当に今回の誠意を示すことになりますから。ぜひ、政府全体で、林大臣も一緒になって支えて、具体的な提案を待っていますし、そうじゃなければ、我々の案をしっかり議論していきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 次の質問に移りますから、西村副大臣はもう結構です。ありがとうございました。

 この情報のことについては、今、林大臣もおっしゃっていただいたとおり、我々国会だけではなくて、まさに当事者であるさまざまな業界、団体、国民を含めて、議論をどうしていくかということがあります。制約もありますが、国民的議論をしっかりしていかなきゃいけないテーマです。でも、情報がない中で、このTPP、どう国民的議論を喚起していくのかというのは、なかなか大変なことでありますけれども、この国民的な議論をどのようにしていくべきなのか。大臣、よろしくお願いします。

林国務大臣 先ほどからここで西村副大臣からも御答弁があったように、できる限りの工夫をしていくということ、そして、私も答弁いたしておりますように、交渉のいろいろな会合があったら、そのたびに説明会を開く等々やっております。

 これは内閣官房に聞いていただいた方がいいかもしれませんが、今まではステークホルダーの皆さんを対象に説明会をやってきたということですが、一般の方を対象にたしかやられるという予定も聞いておりますので、いろいろな場を通じて、なるべくわかりやすく説明をする工夫というのを常にしていくということが大事ではないかと思っております。

小熊委員 実際は、本当は、交渉が妥結して、いよいよそれぞれの議会にかかるというときに情報が全部開示されて、その中で国民の判断を仰ぐということもあろうかというふうには思いますから、これは、交渉の途中のやり方と、交渉が妥結した後のまた国民、そっちからが実は本格的な議論だと思うんですね。そこも含めて、今後の対応も含めて、ぜひ取り組んでいかなければいけないんですが。

 現時点において、私も地元は農業が盛んな地域で、とりわけ米が多いんですけれども、この中で大変誤解をしているなというのを感じるのが、この委員会でした決議ですね。決議の文をさらっと見ると五項目、五百八十六品目あって五項目という言い方が整理されるのでいいんですけれども、五品目と言うと、またちょっと言い方が整理されないので、五項目を堅持すると言うと、フルでそれが堅持されるんじゃないかということを期待しているんですね。

 この委員会決議は、我が党はそのときは存在していないんですが、前身の維新の会なりというとそれは入っていませんから、それはやはり五百八十六の中での押し引きがあるから五項目そのものじゃないという判断もあったわけですよ。でも、この委員会での決議、五項目ということであるんですけれども、五項目をフルでなんかは交渉はしていないわけですね、これは私は外務委員会でも何回か確認していますけれども。それは細かい品目ごとに押し引きをしているわけなんです。

 でも、この委員会決議を意外と農家の人は知っていて、国会でも決議しただろうと私に言ってくるんですよ。でも、五項目それぞれでやっていることじゃないですよ、品目ごとに細かく交渉しているんですと言うと、えっと言うんですよ。そういう状況なんですよ、大臣、実際は。

 これは、今国民、特に農家の方は項目を守るというふうに思っていますから、そうではないということはしっかり伝えていかなきゃいけないと思うんです。品目ごとにやっているから、例えば米という項目の中でも開放するものもあれば守るものもある、牛の中でもいろいろあるというふうには捉えていないんですよ、実は。これは委員会決議ですから、委員会側の課題になってくるんですけれども。

 確かに、選挙のときもそうですよ。五項目守りますと言って選挙をやっている人が多いんですもの。国民をミスリードする。結局は、あげくの果てに、いや、品目の中でいえば、これは米の分野でいえば、七割、八割は守れましたから守ったことになるでしょうと多分言うことになると思うんですけれども、これは正々堂々としていない我々政治家もよくない。こういう間違った情報で今変な期待感をしてしまっていたのでは、まさに国民的論議は真っ当にできないわけですよ。これは品目ごとにやっていますよと言うぐらいはもっとはっきり、これは別に、何の交渉の邪魔になるわけでもないですから、それをしっかり言っていった方がいいと思いますよ。

 どうですか、大臣。農家の方々が五項目ごとだと思っちゃっている、こういう点については、これは違いますよね、実際。交渉の担当者ではないんですけれども、どうですか。

林国務大臣 交渉の中身についてはお答えはできないということをかねてより申し上げておりますが、この決議をどういうふうに解釈するかということも、この委員会で随分何回も議論があったところでございます。

 したがって、この決議のそれぞれの文言について、定義や、どういう解釈をしているかということは、まさに今委員がおっしゃったように、この決議をつくられたこの委員会といいますか、国会の方で御判断されるということでございます。

 私は、常々、この決議が守られたと評価をいただけるような交渉をするんだということを一切変えずに、たしか福島委員にはこの委員会でも御答弁をしましたので、予算委員会でも全く同じ答弁をたしか差し上げたと覚えておりますが、余りこの言い方を変えますと、そのことがかえっていろいろな御懸念につながってしまうということもございますので、なるべくそこのところは変えないようにしておるところでございます。

小熊委員 それが林大臣の誠意の示し方、混乱を起こさないということではあるんですが、だから、このままいくと、結果としてそういう意見になりますよということです。

 ほとんどの農家の人が、項目が全部だと思っていますから。フルで守られると思っているんです。これは違いますよと言うと、いや、大臣だって委員会決議を守ると言っているんだよと。そういうふうにとっているんですよ。そういう解釈がほとんどです。それを変えないというのであれば、それが違ったというふうにわかったときにしっかりと説明をしなきゃいけないんですよ。そういうことですよ。

 変えないという判断は、それはそれでいいですよ。でも、それが違っていた。私が説明しますよ。品目ごとにやっていますから一〇〇パーじゃないですよ、項目の中では一〇〇パーじゃない、七割か八割か、その項目によって違うけれどもという話をすると、びっくりするんですよ。何だ、それは、まただますのかと言うんですよ。そういう気持ちになりますよという話です。

 かえって混乱を起こすことを避けたい、それは誠意かもしれないけれども、それによって、結果が出たとき、具体的に開示したときに、そういう裏切られ感が出る、政治不信になるということです。それを踏まえて、もう一度答弁をお願いします。

林国務大臣 繰り返しになってしまうかもしれませんが、決議はあくまで衆参農林委員会でしていただいておりますので、この決議はもう文章として確定をしております。

 したがって、この文章をごらんになってどういうふうに受けとめられるかということについては、私の方から、これはこうで、こうですよということを一つずつ話していって、そのことがだんだん変わってきて、そのことが混乱を招くということはやはり避けなければいけないし、また、交渉に不用意な影響を与えてもいけない、こういうふうに思っておりますので、あくまでこの農林水産委員会で決議をされたこの決議が守られたというふうに評価していただけるように、政府一体となって全力で交渉する、このことを申し上げたいと思っております。

小熊委員 我が党はTPP積極賛成ですから、ちゃんと国民に説明をしたい。これは農業地帯へ行ったって、やんや言われますけれども、はっきり我々は言っています、選挙区に戻っても。

 でも、そこで、政府だけじゃない、我々政治家の中でも、後ろ向きに、地元へ行けばTPPは慎重に、五項目守りますみたいなことを言って、こっちへ来たらまた違うことをやっているということがよろしくないので、これは政治全体の問題ですから、これはそういう背景がある。

 解釈の問題と言っていましたけれども、ほとんどの農家の人は五項目フルパッケージで守ってくれると思っていますから。それを前提に、これが締結して開示されるときは、それを踏まえて大臣は丁寧な説明が必要だということを指摘して、次の質問に移ります。

 二月の予算委員会のときに、攻めの農業について大臣とやりとりをさせていただきましたが、時間も短かったので深く議論できませんでしたけれども、その後、担当者を派遣していただいていろいろ意見交換をさせていただきました。

 攻めの農業、きょう午前中でも我が党の村岡議員が台湾についてもやりましたけれども、政府また関係各界のいろいろな努力によって、いわゆる原発事故後の各国の禁輸措置は徐々に外れていっていますけれども、貿易の取引量の多い肝心のアジア地域は、いまだにはまっている国が非常に多い。

 なおかつ、科学的根拠が云々と言いましたけれども、過日、四月に、中国から全人代の方々が来て、私も交流をさせていただいて、この件について言ったら、中国政府も科学的根拠に基づいて禁輸措置をしているんだと言い張るんですね。

 こうなると、これを解除してもらうのに、またそれ相当の努力、積み重ね、今までもしていました。でも、残念ながら、このアジア地域では結果が出ていない。これからもしっかり、また新たに努力をしてもらわなきゃいけないのはもちろんですが、もう既に、攻めの農業ということで、どんどん海外にいいものを売っていきましょうと取り組んでいるわけです。でも、その禁輸措置にはまっている、国によっていろいろな県になりますけれども、それは違いがありますが、この禁輸措置を受けている県、地域というのは、足かせをさせられて、もうかる攻めの農業と言われても、攻めていくところがないわけですよ、特にアジア地域は。ハンディを背負っているわけです。

 二月の予算委員会で私が言ったのは、ハンディを背負っている地域に対して、攻めの農業は、ある程度のげたを履かすような支援策があっていいだろう、ほかの県とは違うだろうという話をさせていただいて、その予算委員会では質疑が深掘りできませんでしたから、その後、担当者を私の部屋に派遣していただいていろいろ意見交換しました。

 あれからもう二カ月ぐらいたっていますから、その後、何か省内、大臣の手元で、このハンディを背負っている地域について、攻めの農業、ほかの地域とは違うわけです。ここをどう補填していくのか、しないのか。何らかの方向性は見えましたか。お願いいたします。

櫻庭政府参考人 お答え申し上げます。

 今、風評被害という部分と禁輸の部分と二つの御指摘があったと承りました。

 例えば、先生の御地元の福島県というのは、非常に多くの国々から、禁輸措置、それから検査証明の提出、産地証明の提出を求められているのは事実でございます。

 私どもは、復興庁と連携しまして、復興庁計上になりますけれども、農水省に関して、風評対策の予算として、二十七年度十六億円という形で進めております。そういった形で、予算的にまずは広報活動。

 それから、福島県が、例えば、被災地も全て含めてでございますけれども、海外のイベントがございます。いろいろな商談会あるいはPR活動、そういったものに対してのジェトロを通じた支援策、これも今年度はしっかりと行っていきたいと思っております。

 最後になりますけれども、今、食と農業の万博がミラノで五月一日から始まりました。十月には福島県がそこに出展しまして、全世界に向けて、復興とともに、この風評対策、あるいはしっかりと科学的な見地に基づいて検査しているという事実を発表していくというぐあいに聞いておりまして、それもしっかり支援してまいりたいというぐあいに考えております。

小熊委員 福島のことを言っていただきました。それは復興というくくりでやっていますから、だから福島県以外もはまっているわけですよ、栃木とか群馬とか。これで日本全体で攻めの農業をやりましょう、世界に日本のいい農産物を売っていきましょうと言っているけれども、その戦いに参加できていませんという話です、その禁輸措置がはまっている県はですよ。福島県は、復興という形でそうやってやっていただいています。だけれども、攻めるエリアがないわけですよ、一部、福島県以外は。そこはほかのはまっていない県とは違う扱いをしなきゃいけないんじゃないのかという趣旨で、何か対応するんですかという話だったのです。復興の話だけじゃないんです、多分今はないんでしょうけれども。

 これは、またさらにどうするんだと。攻めの農業はいいんですよ、日本のいい農産物を世界に売っていこうと。でも、幾つかの県はその戦いに参加できないエリアがあるわけですよ。売り先が制約されているわけですから。その制約されているハンディをどう考えて、どう対応するのかということが必要でしょうというのが趣旨ですから。これは今のところ具体的な施策は多分ないと思いますけれども、それを少し考えていかなきゃいけないというふうに思いますよ。そうじゃなきゃ、またまた格差が出てくるわけですから、はっきり言って。

 例えば、私の隣の栃木県は、イチゴを中国に売りたい、売れない。福岡は売れる。これを、さあ、どうするのと。いや、福岡の努力の結果ですよ。いやいや、違いますよ。だって、禁輸措置がはまっているんだから売れないんだもの、こういう差が出てくるでしょうという話です。とりわけアジア地域が、禁輸措置がはまっているわけですから。

 これは対応しなきゃいけないんじゃないんですかというのを、いや、政府の方針としては、そこはもう自由競争で関係ありませんというのであれば、それはそのとおりですけれども、それをはっきりしなきゃいけないと思うんです。その方向性についてどうするんですかということです。検討していくんですかということです。

 今、福島の話は、福島だけの復興の話です。禁輸措置を食らっているほかの県も含めて、この攻めの農業という観点の中で、我々、ハンディを背負っている地域に対しては、プラスの支援策があってもいいんじゃないのかという私の趣旨ですから。それはないという方向でいきますでもいいんですよ。その考えを示してくださいということです。

櫻庭政府参考人 放射性物質の問題で禁輸なり証明書を求められているのは、あくまでも、日本政府とすれば、科学的なデータに基づいて禁輸の解除あるいは撤廃を求めている。それを、ハイレベルでの、例えば総理の外遊時、あるいは大臣のバイ会談等で働きかけていく。その成果は、例えば、各国それぞれ、タイとかそういったものは完全に解除してきているという状況でございます。

 今後とも、引き続き、そういった国々に対しては働きかけを強めてまいりたいというぐあいに考えております。

小熊委員 私の質問の仕方が悪いのか。

 だから、そうやっていても解除していないんです。でも、今や攻めの農業でやっているわけですよ。それで攻められない、この実態を解除に向けて努力するのは当たり前ですよ。そうじゃなくて、もう今は売り先が制約されちゃっているわけです。そのハンディをどう解消するんですかということです。それは、解除に向けて努力するのは当たり前ですよ。でも、結果が出ていないんですよ、日本全体で攻めの農業というのをやっているわけですから。そこの差をどう埋めるのか。

 とにかく解除に向けて努力するから待ってくださいと言うのか、少し考えましょうと言うのか、その考えを聞きたいと言っているんです。待っているということですか。何らかの支援措置はしないと。わからないですか。では、いいや。次の質問に行きますよ、時間がないので。引き続き、議論していきます。

 もう時間がないので最後になっちゃいますけれども、食料自給率の話で、これは多岐にわたるんですけれども、よく見てみると、やはり供給カロリーと摂取カロリーの差が日本はあります。これは廃棄の問題です。

 こういう問題も、その廃棄カロリーのことも考えれば、日本全体で食料自給率を上げていかなきゃいけないというときに、これは農水大臣の所管ではないかもしれないけれども、やはり流通の問題があって、もちろん家庭、それは食育といった分野にもかかわってくるでしょうし、我々も、いろいろな宴会に出て、ほとんど手をつけずに酒だけ飲んで、テーブルに出されたものを、多分これは捨てられちゃうんだろうなと思うと、本当に申しわけないなというふうには思うんですけれども、そういう問題もある。

 あと、今コンビニがどんどんとふえている中で、賞味期限を過ぎないで廃棄しているチェーン店もあると聞きました、私は地元の違うチェーンから。というのは、二十四時間前に捨てちゃうんです。それは何でかというと、家に持って帰って何時間かたつから、賞味期限の二十四時間前に店としては廃棄してしまうと。ほかの店舗は、本当は十二時間前とか六時間前ぐらいにしたいんだけれども、そういう過当競争みたいになって、やはり二十四時間前、賞味期限の二十四時間前に捨てちゃうんですよ、店として。細かく言えば、こんな問題もあるんですね。

 日本の農産物をどうしていくか、国産をどうしていくかということもありながら、一方で、データによっては、二割から三割捨てちゃっているという事実ですから。これをどうするかということもあわせて考えないと、国産がふえたはいいけれども、廃棄もふえている、また輸入もしている、何もしているというのであっては、これはよくないです。やはり、ここの部分も焦点を当てていくべきじゃないですか。これは流通の問題、各個別の企業にも立ち入らなきゃいけない部分も出てくるかもしれません。でも、ここを抜きにして、単に自給率を上げましょうというのも、これもまた本来的ではないと思います。

 最後に、その点について御見解をお聞きいたします。

江藤委員長 櫻庭局長、端的にお願いします。

櫻庭政府参考人 先生御指摘のとおり、廃棄物は非常にふえておりまして、流通問題はあります。

 例えば、今御指摘のありましたコンビニエンスストア、ファストフード店につきましては、食品廃棄物の発生抑制の目標を設定していただきまして、何%以内に抑えますという形で、業界を挙げて取り組んでいただくということをお願いしているところでございます。

 また、賞味期限、納品期限というのがございまして、賞味期限の三分の一以内を納品期限にするといういわゆる三分の一ルールを緩和するというパイロット事業を昨年から始めておりまして、その成果は、事業系のロス率を非常に削減するという効果があらわれまして、具体的に、今取り組む流通系もふえているということで、この成果を広める、それから国民運動として、いろいろな方々とともに、この食品廃棄物の削減について取り組んでまいりたいというぐあいに考えております。

小熊委員 ありがとうございました。

江藤委員長 次に、畠山和也君。

畠山委員 日本共産党の畠山和也です。

 きょうは長い委員会になりましたけれども、最後ですので、どうぞよろしくお願いします。

 西村内閣府副大臣のTPPの情報を開示するとしていた発言を撤回した件について、まず、私からも伺います。

 TPPは、言うまでもなく、秘密交渉です。

 まず確認ですが、これまで日本政府として、秘密保持契約にサインをして、情報を隠したまま交渉してきた例というのは過去にあったかなかったか、確認のために答弁をお願いします。

西村(康)副大臣 一般に、過去の貿易交渉、経済交渉において、今回のTPP交渉参加の際に交換したような秘密保護に関する書簡、契約を交わした例はないというふうに承知をいたしております。

畠山委員 今ありましたように、これまでの交渉は、逆に言えば、必ず情報を開示して進めてきたということになるわけです。

 ですから、今進めているTPP交渉、秘密保持契約があるということは、これまでの交渉とは質が異なる交渉であるという認識はもちろんございますね。

西村(康)副大臣 はい。そのような認識のもと、交渉を進めてきているところでございます。

畠山委員 では、なぜこのように秘密保持が必要とされているかといえば、その中身、この間、二十一分野ありますけれども、ちょっと個別にいろいろ言いますけれども、農業、労働ですとか知的財産とかISDとか、さまざま、国の基本にもかかわってくるような問題で、多くの国民が不安を抱えるものがたくさんあるわけです。

 ですから、本来、情報が出ないということ自体がおかしいわけでありまして、だからアメリカにおいても、あるいはほかの国においても、さまざま制約があるとおっしゃいますけれども、情報を示してほしいと国民から迫られてもいますし、先ほど来議論があるように、日本国内でも、国会あるいは国民からも、情報を出すべきであるという声が多いのは当然だというふうに思います。

 連合審査の際に私の事務所の方で調べましたが、地方議会からのTPP反対、あるいは慎重審議を求める意見書が二千を超えて寄せられています。もちろん、二度、三度と意見書を上げている議会があるにせよ、背景には数千万になるであろう国民の思いが反映していることでもありますし、仮にTPPが賛成であったにしても、情報がここまで出ないというのはちょっといかがなものかという声が出てくるのも当然だというふうに思います。

 情報の開示というのは、もちろん国民からの強い要望でもあるという認識はお持ちですね。

西村(康)副大臣 御指摘のとおり、もちろん、これだけの幅広い分野にわたる交渉でありますので、国民生活にも当然影響がございます。その意味で、秘密保持の契約は結んでおりますけれども、その範囲内でできる限り情報提供を行わなければいけないという気持ちも他方で持っておりまして、そうした観点から、これまでも、悩みながらでありますけれども、これは各国同じでありますけれども、悩みながらもできる限りの情報提供に努めてきたところでございます。

畠山委員 ですから、まとめますと、これまでに例のない秘密交渉であること、しかも、あらゆる分野が重大な内容を日本全体にかかわって持っているということ、それから、国民からも強い要望があるということ、そして、アメリカでも国会議員は条件つきだけれどもアクセスできるということなどを見れば、だから日本でも開示を進めようというふうに考えるのは私は極めて自然なことだというふうに思うんですよ。

 それで、きょうもずっと議論して、西村副大臣御自身のそのような思いから四日の会見では出たことなんだと繰り返し述べていらっしゃいますが、今言ったような背景があったからこそ、その気が生まれたということですよね。

西村(康)副大臣 先ほど申し上げたとおりでございますけれども、これまでもできる限りの情報提供に努めてきたところでございまして、先般、五月一日にも、いわゆるルールの交渉においての、テキストそのものではありませんけれども、交渉の状況について、これまで以上に詳しい内容のものも公開をさせていただいて、できる限り多くの皆さんに情報を開示していこうということで努めてきたところでございます。

 今般、アメリカで、アメリカの議員と意見交換する中で、閲覧をしているというようなことの情報にも接し、そしてまた、セミナー等においてもそうした情報開示の話題が出る中で、私自身、非常に強い思いの中であのような発言に至ってしまったわけでございますが、特に、アメリカと同じように開示ができるかのように受け取られてしまったことについて非常に反省をしておりまして、撤回をしたところでございます。

 そうした反省も踏まえながら、引き続き、我が国の制度、制約の中でどういう工夫ができるのか、これについてはしっかりと考えていきたいというふうに思っております。

畠山委員 TPP交渉については、もう最終局面だというような表現でも示されるほどですし、先ほど述べた、情報開示をめぐるさまざまな状況、情勢から、情報開示を求める声が高まる、そういうのが出てくる、必然だというふうに思うんですよ。逆に言えば、この時点で出ないという方が、情報が開示されないという方がおかしいのではないかと思います。

 それで、なぜ撤回をされたのかは、きょうも午前中から議論がありました。

 これは私の全くの個人の推測ですけれども、一旦情報開示に前向きになったけれども、もしかして、TPA法案の成立が長引きそうだ、あるいはまだ見通せないという示唆があって、それなのに今情報を出すわけにいかないという判断などがあったのではないか。実際、きょう、上院本会議でTPA法案の動議は否決されたということでありました。そういうことではないのですか。

西村(康)副大臣 繰り返しになりますけれども、従来よりこうした委員会での質疑等を通じて情報開示を強く求められてきましたし、それから、今般、アメリカでさまざまな情報に接する中で、もっと工夫して何か一定の、我が国の制度、制約はありますけれども、その中で何かできないのかという思いを強くした中で私があのような発言をしてしまったわけでございまして、そのことについて、報道に接して、アメリカと同じような開示をするというふうに受け取られてしまったこと、これについては、日米の制度も違いがあるし、同じようにはできないということでありますので、これは修正をしなきゃいけないということで、私の誤解を招いたような発言について撤回をしたというのが経緯でございます。

畠山委員 その話はきょう午前中からもう十回ぐらい聞いてきたわけでありまして、確かに、TPAがどうなろうとも、ただ、現状でアメリカでは国会議員がアクセスできていることは事実ですよね。

 通商交渉は、アメリカは議会の権限が強くて、日本は政府の権限だと言い張るということではないと思いますけれども、そうだということであるならば、余りにも国会軽視ではないのかと言われてきたわけですし、出口が見えるという状況であるならこそ、ますます開示する必要はあるというふうに思うわけですよ。逆に言えば、出口が遠のいたということなのですか。

西村(康)副大臣 TPPの交渉が最終局面を迎えているのはもう事実だと思います。

 しかしながら、最終に、交渉各国がいろいろなカードを切っていく、政治的な決断をしていく、これにはアメリカのTPA法案が必要だという認識も共有しておりますので、TPA法案の早期の成立を我々望んでおりますし、それがTPPの交渉妥結の前提だというふうに考えております。

 そういう意味で、TPA法案の早期成立を私ども期待をしているところでございます。

畠山委員 TPAをめぐる情勢は、きょう、先ほどあったように、動議は否決された状況でありまして、かなり厳しく、少なくとも今月中は厳しくなったのではないかとも報じられています。

 いずれにしても、きょうもずっと議論がありましたように、このTPPについて、もちろん、国民的な関心や、この後、日本が進むべき道について、重要な問題であるからこそ情報の開示をこのように求めてきているわけでありまして、国会への報告はもちろんですが、いわゆる国民に向けて今度説明会をされるということですけれども、本当はそういう国民向けの説明会も、東京一つだけではなく、私、出身、選挙区は北海道ですけれども、北海道はもちろんですし、全ての都道府県でやるべきであろうことだというふうにも思うんですよ。

 そういうように、さらに広くやはり開示していくということを改めて強く求めたいと思いますが、副大臣、この間ずっと、検討する検討するというふうに御答弁されましたが、いかがですか。

西村(康)副大臣 情報開示の必要性につきましては、委員御指摘のとおりでございます。

 さらにどういう工夫ができるのか、これは真剣に考えていきたいと思いますし、まずは十五日の日に、東京ではありますけれども、説明会を開かせていただく。これまで以上に広い会場、これまで以上にというのは、各団体に説明してきた、関係団体に説明してきたこれまで以上に大きな会場で、千人規模の会場を確保しておりますので、まずはその場でやらせていただいて、さらにどういうことができるか、これは真剣に考えていきたいというふうに思います。

畠山委員 繰り返しになりますけれども、最終局面だと言われている状況の中での情報開示の必要性は言うまでもないと思いますので、検討ということは繰り返し述べられていますが、その必要性をやはり改めて強く指摘しておきたいというふうに思います。

 次の質問に移ります。

 副大臣、結構でございます。

 安倍首相の米国連邦議会での演説について、きょうも玉木委員からありましたけれども、ちょっとそのことについて伺いたいというふうに思います。

 演説の中で首相は、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業交渉のときに、血気盛んな若手議員だった私は、農業の開放に反対の立場をとり、農家の代表と一緒に、国会前で抗議活動をしましたと演説しました。続けて、ところがこの二十年、日本の農業は衰えましたと述べました。

 きょうも午前中からこの文脈の解釈で議論がされるほど、文脈の意味が、私だけなのかどうかわからないのですけれども、よく理解できないんです。関税を守ったから日本の農業は衰えたと言いたいのか、農業開放に反対したんだけれども、それがかなわなくて日本の農業は衰えたと言いたいのか。それならば、やはり開放すべきではなかったというふうになっちゃうんですけれども。

 一体ここの意味は、本来だったら安倍首相に問いただしたいところではあるんですけれども、まず、この意味はどういうことなのか、答弁できますか。

林国務大臣 誰も手を挙げないものですから。

 午前中もお答えしたように、事前にこの演説を、例えば総理が所信表明を日本の国会でされますときは、各省に担当のところが来まして事前に調整するという作業が通常あるわけでございますが、このアメリカでの内容については事前に承知をしておらなかったわけでございます。

 これを読みますと、今まさに委員からお話がありましたように、「ところが」というのが、前の段落を言って逆説的につながるのが「ところが」でございますので、一体どこが逆説になるのか、こういうことだろうというふうに思いますけれども、私は、農産品の市場開放が不十分であったことが農業が衰退した原因だと述べたということではないんだろう、こういうふうに思っておるところでございます。

 平均年齢が十歳上がって六十六歳を超えましたとか、それから、これは私どもいつも言っておりますが、耕作放棄地がふえているということは、市場開放云々も全く影響がなかったと言うつもりはございませんが、農政の改革をして、待ったなしの改革というのは、対外的な交渉いかんにかかわらずやはり取り組んでいかなければならない課題である、こういう認識を示されたんであろう、こういうふうに理解をしております。

畠山委員 交渉いかんにかかわらず取り組まなければいけないのならば、こんな難しい表現をしなくてもいいわけでありまして、一体この演説は何を意図したのかと、たしか本会議でも、この安倍総理の演説についての質疑を行うことになったかというふうに思うんですけれども。

 例えば、演説原稿は英語でマッチヤンガーという言葉が入っているわけです、余りにも若過ぎたというわけで。若いから反対したということでなく、そもそも、やはり農業の開放が問題だったということを認識して反対したのではなかったのかというふうに思うんです。そうでないと、一緒に反対された農家の方が、がっかりしている方がいるというふうに思うんですよ。

 こんな告白よりも、これぐらい国民が反対をしてきた重要品目なんだと言った方がまだましな演説だったんではないかというふうに思うわけです。

 誰も答弁できないのかどうかわかりませんけれども、一体何でこの部分を演説で入れる必要があったのか。真意を答えられますか。

澁谷政府参考人 済みません、私はTPPの対策本部の人間でございまして、総理の演説原稿全般については事前に全く協議とかそういうものにあずかってはおりません。

畠山委員 官邸サイドなのかわかりませんけれども、結局、この問題を私は軽視するべきではないというふうに思っているんですね。

 ウルグアイ・ラウンドの合意を受け入れたのは細川内閣で、当時の会議録も振り返って私は読みました。例えば、平成五年十二月十三日の本会議で、当時、自民党の玉沢徳一郎議員が、自民党を代表してと言って、質問をこんなふうにされています。

 「本年は、天明の飢饉以来と言われるほどの未曽有の凶作に日本列島は襲われました。農家は生産意欲の減退が強まり、経営の存続にも深刻な悩みをもたらしております。それに加え、米について、ミニマムアクセスの受け入れで輸入量が年々拡大されることになれば、全国の稲作農家及び畜産・畑作農家すべてが崩壊に向かって進むことになりかねません。」と述べているんです。

 当時の自民党自身が反対の議論をされていたわけで、安倍首相が血気盛んで反対したというものではないはずというふうに思うんです。

 結局、村山内閣のもとで批准がされてミニマムアクセス米は始まりましたけれども、低下傾向だった食料自給率がこれを機にさらにどんどん下がっていくことになったわけです。

 歯どめなき農産物輸入の拡大は見直すべきだというふうに私は委員会で訴えてきましたけれども、当時のウルグアイ・ラウンド反対の根拠を持ったものとして反対をしてきたはずなのに、安倍首相は、マッチヤンガー、若過ぎたなどというふうに、今の輸入拡大路線を認めるような演説になっているんじゃないかというふうに思うんです。そのように読めるんですよ。

 それであるならば、日本がTPPでも前のめりになって約束をさらにちゃんとやっていきますよというふうに読めるんですが、林大臣、いかがですか。

林国務大臣 総理が演説をされたこと、今度は衆議院の本会議ですか、御質疑があるということですから、それを前に、余り私から勝手に解釈を申し上げるのはいかがかなと思いますが、英語の原文を読んでおりませんので、今委員がおっしゃったマッチヤンガーということになりますと、一般的な英語の語感だと、とても若かったということで、若過ぎたというニュアンスだとツーヤングということになるのかなと思って今聞いておりました。

 いずれにしても、この「ところが」のところがどういう逆説でつながっていくのかというのは、見方によっていろいろ変わってくるのではないかと思います。私は、先ほど申し上げたようなニュアンスで受け取っております。

 したがって、大事なことは、この後段のところで、日本の農業を今から変えていかなければならない、いろいろな改革、これは攻めの農政ということで、足かけ三年になりますが、やってまいりました。いろいろな改革がございますので、これをやっていかなければならないということが大事なメッセージじゃないかというふうに考えております。

畠山委員 ただ、アメリカの農務省が、昨年十月でしたか、TPPが妥結した場合に、二〇二五年までに参加十二カ国の農産物貿易がどれだけふえるかというのを発表しているはずです。それで、八十五億ドル、農産物貿易がふえる、その中の輸入増の七〇%は日本だ、米国産米の輸出は二倍強ふえるという発表をしているわけです。そんなさなかに、一国の首相が、輸入拡大に反対した私が悪かったかのような演説をしたとなるならば、これはやはり問題ではないかというふうに思うわけです。

 そういうことを前提として、昨年十月の米農務省の発表を認識に入れた上で、安倍首相の演説について林大臣はどのように認識されますか。

林国務大臣 繰り返しになりますが、この演説については事前に承知をしておらなかったものですから、あくまでこの文章を見ての推測ということになってしまうわけでございます。

 今例に出されたアメリカの推計でございますか、これもよくよく勉強してみなきゃいけないと思っておりますし、また、我々としても、この交渉参加に当たって、一定の前提を置いた推計というのは出しておりますが、これは御案内のように、全ての関税を即時撤廃した上で何の対策も講じない場合はこうなる、こういうのをやっておりますので、多分、アメリカのその発表というのも、何らかの、こういうふうになるということを仮置きしてやっておられるんだろう、こういうふうに思います。

 まだ交渉は妥結をしておりませんので、何も決まっていないということでございますから、何かの仮定を置かないとそういう数字は出てこない、こういうふうに思っておるところでございます。

 まさに、そういう意味では、この総理の演説は、大事なメッセージというのは、いずれにしても、年齢が上がってきている、耕作放棄地がふえるような今の状況を座視しているということでなくて、しっかりと改革をやって、持続的で、かつ新しい若い世代の方も希望を持って入ってこられるようにしていく、この大事さをメッセージとしてお出しになろうとされておられたのではないかと、あくまで推察をしておるところでございます。

畠山委員 結局、その後、続けて農協改革の話も出てきているわけですね。私は、予算委員会のときにも、林大臣がいらっしゃったときですけれども、この農協改革というのはアメリカからの要望でもないのかということを質問させていただきました。USTRから、二〇一〇年外国貿易障壁報告書の中で、わざわざアルファベットでKyosaiと書いた項目を立てて、日本の農業共済は、規制の基準や監督を競争相手である民間企業と同じ条件にすべきというふうに書いているではないかと。

 また、昨年六月の在日米国商工会議所、ACCJの意見書でも、平等な競争環境が確立されなければ、JAグループの金融事業を制約するべきで、外資系金融機関に不利な待遇を与える結果となっていると、米国の企業参加の道を求めて、最後に、ACCJは、こうした施策の実行のため、日本政府及び規制改革会議と緊密に連携し、成功に向けてプロセス全体を通じて支援を行う準備を整えていると、日本政府と二人三脚で農協改革を進めるという表明がされているわけです。

 こういう一連の流れとして演説をどうしても読んでしまうし、そういうふうにメッセージを送ったのではないかというふうに思わざるを得なくなるわけですよね。そういうことを改めて安倍首相にも問うていきたいというふうに思いますし、こういうようなことが事実であるならば、容認できないということは述べておきたいと思います。

 最後に、TPP妥結が何をもたらすかということについて、改めて具体的に議論をしたいと思います。重要品目のうちの甘味資源作物についてです。

 いろいろ、その数字のよしあしの出方はともあれ、米だとか豚肉、牛肉などの交渉状況の報道はされていますけれども、甘味資源作物の状況というのはもちろんよくわかりません。どのような交渉状況になっているのか、答えられないのかどうかと思いますけれども、一応確認したいと思います。

澁谷政府参考人 お答え申し上げます。

 TPPの交渉は、最終局面、最終局面に近づきつつあると言う方が正確なのかもしれませんが、依然難しい課題が残っております。

 御指摘の甘味資源作物も含めた農産品に関する二国間の交渉は、全体をパッケージで交渉しているという現状でございまして、各国との間でまだ課題が引き続き残っている、こういう状況でございます。

畠山委員 甘味資源作物の交渉もまた秘密の中にあるわけであります。生産者も関係者も、もちろん不安が消えません。

 北海道では、てん菜は甘味資源作物であるとともに、連作障害を防ぐ、欠かせない作物であります。

 そこで、北海道庁が、国の試算を踏まえた、TPP関税撤廃による影響試算を行っておりますが、これは全道十二品目として行っているその影響額のうち、てん菜の部分で、その影響額の総額と、雇用や農家戸数に与える影響というものについて、確認のために答弁をお願いします。

中川大臣政務官 平成二十五年三月に北海道庁が、関税を即時撤廃するなどの一定の前提を置いた北海道農業などへの影響試算を公表したことは承知いたしております。

 本試算におきましては、北海道農業などへの影響といたしまして、生産減少額が四千七百六十二億円、雇用への影響が十一万二千人と試算されています。

 このうち、てん菜につきましては、生産減少額が一千三十一億円、雇用への影響が一万一千人と試算されています。

畠山委員 農家戸数も出されているかと思うんですが、それについては。

中川大臣政務官 農家戸数への影響ということで二万三千戸ということはありますけれども、てん菜では試算されておりません。

畠山委員 試算されていないのですか。てん菜の部分、あると思いますよ。

 それでは、時間ももったいないので、続けます。

 全道十二品目の影響額の中で……(発言する者あり)きちんとそこは、通告をきのうしているんですから、お願いしますよ。

江藤委員長 委員長からも。

 通告があったことについては、しっかり準備をするようにしてください。

畠山委員 全道十二品目での総影響額一兆五千八百四十六億円のうち、てん菜は影響額で一五・六%を占めます。同じく雇用では九・八%、農家戸数では、比率でいえば三三・三%を占めるほどです。

 てん菜は、特に関連産業の影響額も大きい。全道十二品目での影響総額のうち、関連産業への影響が占める割合でいえば二二・三%になりますが、てん菜で限って見ると、関連産業の影響が占める割合は三六・七%にもはね上がります。

 連休の前に、私は、北海道の美幌町というところで、てん菜工場があるんですが、ここで調査を行ってきました。

 収穫の最盛期になれば、トラックが百三十台行き来するほど運搬にもちろんかかわりまして、てん菜は、霜害やあるいは風害のリスクもあって直播もなかなか進められないという中で、どうしても移植して栽培するということでは人手も多くかかる作物でもあります。そういうときには、地域の業者の皆さんも一緒になって手伝って、重労働を分担しているという現状にあります。こういうようなことも含めて、関連産業に対する比重が大きいというのがてん菜なわけです。

 これで、TPP交渉で仮に打撃を受ければ、先ほどの数字のように地域経済と雇用は大打撃になるわけでありまして、しかし、だからといって、てん菜をつくるのがやめられない。それは、やめたら連作障害を防げないからだというのは御存じのとおりだと思うんです。だから、仮に赤字になろうとも、てん菜をつくり続けているということがあるわけです。

 それで、確認しますが、北海道での十アール当たりの粗収入と生産費について、この間の特徴や傾向について、いかがですか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 私どもで実施をしておりますてん菜生産費調査で最近十年間の北海道のてん菜農家の収支状況を概観いたしますと、まず、全ての規模階層平均の物財費、労働費、資本利子、地代を含めました十アール当たり全算入生産費は、平成二十年前後に肥料費等が高騰した後、十万円台で推移をしているという状況でございます。

 他方、十アール当たりの粗収益でございますが、こちらは、各年の気象条件や病害虫の発生状況等によりまして変動が大きいわけでございますけれども、ここ近年の、平成二十三年からの三年間で見ますと、十アール当たり十万円前後で推移をしております。

 その結果、近年は、生産費が粗収益を若干上回っている状況になっているということでございます。

畠山委員 年によってもちろん違いますし、緑ゲタが始まったときなどもありますので、いろいろその年によってもちろん違うんですけれども、多くは生産費の方が多く、基本的には赤字続きで進めてきているわけです。でも、それだけでやはり農家を続けられるはずがありませんし、実際、作付面積が減ってきているところでもあります。

 それで、現地からの要望としては、家族経営が守られるような価格の設定をという要望も受けました。てん菜も含めて輪作体系が成り立てば農家の経営も安定するんだということは、強い要望であることを述べておきたいと思います。

 話は戻りますが、問題は、こうやって踏ん張っている農家の要望に応えるべきなんだけれども、やはりTPPが問題になってくるわけです。美幌町だけでなく、北海道は八つの地域に八つの製糖工場があり、関連八自治体でも連絡協議会をつくってTPP交渉の行方を注視しています。サトウキビを抱える沖縄でも、台風による被害ですとか生産費上昇で今苦境に追い込まれている実態があることから、ことしの一月に、我が党が、再生産を可能とする水準への要望も行いました。

 ですから、やはり、こういう甘味資源作物をめぐる実態を見ても、このまますんなりTPP妥結ということは認められないと思いますが、林大臣、改めて、甘味資源作物についての認識とこのTPP交渉の問題について、どう思いますか。

林国務大臣 交渉の具体的な中身については、先ほど内閣官房の方からありましたように、お答えを差し控えさせていただきますが、まだ、全体をパッケージとして交渉しておりまして、決まったというものはないわけでございます。

 この決議でございますが、今御指摘のあった北海道の輪作体系を支える基幹的作物であるてん菜などの甘味資源作物、これは重要五品目の中に含まれておるわけでございますので、この重要五品目などの確保を最優先するということが決議に入っているということでございますので、これも繰り返しになって恐縮ですが、この決議が守られたと評価をいただけるように、政府一体となって全力を尽くす考えでやってまいりたいと思っております。

畠山委員 評価がいただけるようなということは何度も繰り返し聞いてきたわけです。

 最後なんですけれども、一つだけ、ちょっとそれで確認したいんですけれども、昨年四月十一日の衆議院の内閣委員会で、甘利大臣が、日豪EPAの内容が仮にTPPで採用された場合、決議との整合性はとれるのではないかとの答弁があります。

 つまり、評価されるようにと言われる一線をどこにするのかということについて、この日豪のような、関税撤廃をしなければ国会決議に反しない、極端に言えば、一%の関税でも残っていればあとはセーフガードで結構だという認識は林大臣はお持ちなのですか、そうでないのですか。

林国務大臣 甘利大臣が御答弁されたというのを、詳細に今手元に資料がございませんが、この決議はまさにこの委員会でなされた決議でございますので、それがどういう意味をしているのか、解釈について政府側におります私の方から申し上げることは控えさせていただきたい、こういうふうに思っております。

畠山委員 否定がされるような答弁ではなかったというふうに今受けとめたんですけれども、甘味資源作物も含めて、今多くの農家、生産者を初め、これだけ最終局面と言われる中で不安を抱えているわけです。その中で、情報も示されないで、仮に国会決議を守れないようであるならば、我が党はTPP交渉からの撤退ということを求め続けてきました。

 改めてその立場を繰り返し表明いたしまして、質問を終わります。

     ――――◇―――――

江藤委員長 次に、内閣提出、農林水産省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣林芳正君。

    ―――――――――――――

 農林水産省設置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

林国務大臣 農林水産省設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。

 我が国の農林水産業は、農業生産額の減少と高齢化の進展、耕作放棄地の増加等の問題に直面しており、農林水産業の活性化を図ることが待ったなしの課題となっております。このため、強い農林水産業と美しく活力ある農山漁村の実現に向け、農林水産物等の輸出促進を初めとする施策をそれぞれの地域の実情に即して着実に推進していくことが必要となっております。また、地方創生をより進めていくためには、現場の要望を酌み上げ、現場の課題をともに解決することが必要となっております。これらを踏まえ、地域の実情に応じて、農政を機動的に展開できる体制を整備するため、農林水産省の地方支分部局の組織再編を行うこととし、この法律案を提出することとした次第であります。

 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、農林水産物等の輸出拡大を図るため、地方農政局及び北海道農政事務所の所掌事務について、農林水産省の所掌事務に係る物資についての輸出に関する事務を追加することとしております。

 第二に、地方農政局及び北海道農政事務所の分掌機関として設置している地域センターを見直し、その業務及び人員を地方農政局及び北海道農政事務所に集約するとともに、現場と農政を結ぶための相談業務を担う部門を整備し、その所掌事務として農林水産省の所掌事務に関する相談の事務を、地方農政局及び北海道農政事務所の所掌事務に追加することとしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及びその主要な内容であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。

江藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、明十四日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十八分散会


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